店員「ご一括ですか?それとも分割にされますか?」

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157影法師
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1223486189/37

この2段落目をwiki2で修正しました。影法師3の終わり近くの部分です

前回分
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1224342007/705
※鬱注意

『お前を飼う』と三橋に言った言葉を取り消そうとは思わなかったが、聞いておきたいこ
ともあった。
心持ち急いで昼飯を終わらせた俺は9組に寄らず直接屋上に向かった。
この寒空に屋上で飯を食っていたらしい生徒が数人、手を擦り合わせながら階段を下りて
くるのに行き合う。
上に出ると誰もいなかった。
フェンスにもたれて空を見上げ、ひととき頭を空っぽにする。
ヘリコプターが一機、視界の斜め下から上へと動いていくのを見切ったところで三橋が来
ていたことに気が付いた。
「あ、悪い、ぼけっとしてた」
「ううん、オレも 見てた」
「見てたって、ヘリ?」
「うん、乗ってみたい。ヘリコプター」
「そっか、俺もだ」
顔を見合せて笑うと少し気が楽になった。
「お前、昨日は眠れたのか?」
「えっと、少し…かな」
「調子悪かったら無理すんなよ」
「あ、うん…」
「あと、わかってると思うけど、家族に心配かけんな」
「ん……」
158影法師:2008/10/26(日) 06:17:57
>>157

昨日、言葉もなく三橋を抱き寄せたおばさんの手は震えていた。
幾度となくありがとうと言われても、疾しいところのある俺には居心地が悪いだけだった。
俺はその時々で最良だと思える選択をしてきたつもりなのに、全てが間違っていたんじゃ
ないかという不安が日々強くなる。
じゃあ、俺はどうしたらよかったんだろう?

あれから三橋は親に叱られたのかもしれない。
俺が今さら言うことではなかったが、三橋だって昨日の件については悪いと思う。
だけど──。
「…ごめん、余計なこと言って。俺のせいもあるんだよな?」
「ちが…違う、阿部君は何も」
俺は三橋をじっと見つめた。
「三橋、一回だけ聞いていいか?お前さ、悩んでること、あるだろ?病院とか…行ったり
 した?」
真正面からは聞きづらくてなんだか曖昧な言い方になってしまったが、果たしてこれで通
じるだろうか。
三橋はしばらく考えてから首を横に振った。
「…オレ、は、何も覚えてないって、あの人たちに 言った。それだと、困るから 思い
 出してほしいんだと 思う。だから、カウンセリング どうして受けないのって、聞か
 れた」
「あの人たちとか、思い出せないと困るって…なんだ?」
「えっと、刑事さん」
「それは、カウンセリングとやらを受けたら、お前がいろいろ思い出すだろうって、刑事
 が考えてるってことか?」
「…違うかもしれないけど…」
「でもお前は覚えてるし、それについては話したくないと…当たり前だよな」
「オレ、ダメだね。協力しなきゃ、いけないのに」
「お前が無理に話さなくても、捕まった奴が全部喋れば問題なくないか?」
「どうかな…」