漫画キャラバトルロワイアルPart10

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1Classical名無しさん
このスレは漫画キャラバトルロワイアルのスレです。
SSの投下も、ここで行ってください 、支援はばいばい猿があるので多めに

前スレ
漫画キャラバトルロワイアル Part8
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1197477200/(実質Part9)
【外部リンク】
漫画キャラバトルロワイアル掲示板(したらば)
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9318/
まとめサイト
http://www32.atwiki.jp/comicroyale
漫画キャラバトルロワイアル毒吐き
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8882/1183133225/l50

・参加者リスト・
1/4 【アカギ】○赤木しげる/●市川/●平山幸雄/●鷲巣巌
1/2 【覚悟のススメ】○葉隠覚悟/●葉隠散
1/3 【仮面ライダーSPRITS】 ●本郷猛/●三影英介/○村雨良
3/4 【からくりサーカス】○加藤鳴海/○才賀エレオノール(しろがね)/●才賀勝/●白金(フェイスレス指令)
3/4 【銀魂】 ●坂田銀時/○神楽/●桂小太郎/●志村新八
3/4 【グラップラー刃牙】○愚地独歩/●花山薫/●範馬刃牙/○範馬勇次郎
4/4 【ジョジョの奇妙な冒険 】○吉良吉影/●空条承太郎/○ジョセフ・ジョースター/○DIO
3/4 【スクライド】●カズマ/○シェリス・アジャーニ/○マーティン・ジグマール/○劉鳳
2/4 【ゼロの使い魔】○キュルケ(略)/●タバサ/●平賀才人/●ルイズ(略)
3/4 【ハヤテのごとく】○綾崎ハヤテ/○桂ヒナギク/○三千院ナギ/●マリア
1/3 【HELLSING】○アーカード/●アレクサンド・アンデルセン/●セラス・ヴィクトリア
3/4 【北斗の拳】○アミバ/○ケンシロウ/●ジャギ/○ラオウ
2/4 【武装錬金】●防人衛/○蝶野攻爵/○津村斗貴子/●武藤カズキ
2/4 【漫画版バトルロワイアル】○川田章吾/●桐山和雄/●杉村弘樹/○三村信史
2/4 【名探偵コナン】 ○江戸川コナン/●灰原哀/○服部平次/●毛利小五郎
3/4 【らき☆すた】○泉こなた/●高良みゆき/○柊かがみ/○柊つかさ
計 31人 / 60人
2Classical名無しさん:08/01/01 11:49 ID:MK6dBgyM
【NGについて】
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
・協議となった場面は協議が終わるまで凍結とする。凍結中はその場面を進行させることはできない。
・どんなに長引いても48時間以内に結論を出す。
『投稿した話を取り消す場合は、派生する話が発生する前に』

NG協議の対象となる基準
1.ストーリーの体をなしていない文章。(あまりにも酷い駄文等)
2.原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている場合。
3.前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている場合(死んだキャラが普通に登場している等)
4.イベントルールに違反してしまっている場合。
5.荒し目的の投稿。
6.時間の進み方が異常。
7.雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)
8.その他、イベントのバランスを崩してしまう可能性のある内容。

上記の基準を満たしていない訴えは門前払いとします。
例.「このキャラがここで死ぬのは理不尽だ」「この後の展開を俺なりに考えていたのに」など
  ストーリーに関係ない細かい部分の揚げ足取りも×

例.「このキャラがここで死ぬのは理不尽だ」「この後の展開を俺なりに考えていたのに」など
  ストーリーに関係ない細かい部分の揚げ足取りも×
3Classical名無しさん:08/01/01 11:50 ID:MK6dBgyM
・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
 ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
 修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
・修正要求ではない批判意見などを元にSSを修正するかどうかは書き手の自由です。
・誤字などは本スレで指摘してかまいませんが、内容議論については「問題議論用スレ」で行いましょう。
・「問題議論用スレ」は毒吐きではありません。議論に際しては、冷静に言葉を選んで客観的な意見を述べましょう。
・内容について本スレで議論する人がいたら、「問題議論用スレ」へ誘導しましょう。
・修正議論を見て修正するかどうかは書き手の自由ですが、原則、書き手は本スレで出された修正案以外には対応する必要はありません。

・展開予想、ネガティブな感想、主観的な意見は「毒吐きスレ」でお願いします。毒は溜め込まずに発散しましょう。
・議論スレと正式に分離したことで毒吐きでの感想は過激化している恐れがあります。見る必要性もないので、書き手は見ないことを推奨します。
4Classical名無しさん:08/01/01 11:51 ID:MK6dBgyM
【能力制限】

◆禁止
・アーカードの零号開放
・武藤カズキのヴィクター化
・吉良吉影の“第三の爆弾バイツァ・ダスト”
・ギャランドゥ(ジグマールのアルター)の自立行動(可否は議論中?)

◆威力制限
・ゼロ勢の魔法
・空条承太郎、DIOの時止め
・スクライドキャラのアルター(発動は問題なし、支給品のアルター化はNG)
・アーカードの吸血鬼としての能力
・仮面ライダーの戦闘能力
・シルバースキンの防御力
・北斗神拳の経絡秘孔の効果
・激戦の再生力、再生条件

◆やや制限?
・グラップラー刃牙勢、北斗の拳勢、仮面ライダー勢、覚悟のススメ勢の肉体的戦闘力
・ジョジョのスタンド(攻撃力が減少、一般人でも視認や接触が可能)
・からくりサーカス勢の解体能力

◆恐らく問題なし
・銀魂キャラ、戦闘経験キャラなどの、「一般人よりは強い」レベルのキャラの肉体的戦闘力

【支給品について】
・動物、使い魔、自動人形などの自立行動が可能な支給品は禁止です。(自立行動を行わないならば意思持ちでも可)
・麻薬、惚れ薬、石仮面などの人格を改変するおそれのある支給品や水の精霊の指輪、アヌビス神などの人格乗っ取り支給品は禁止です。
・核金によって発現する武装錬金は、原作の持ち主の武装錬金に固定されています。
5Classical名無しさん:08/01/01 11:52 ID:MK6dBgyM
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
 勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。詳しくは別項参照。
 「地図」 → MAP-Cのあの図と、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。写真はなし。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム
6Classical名無しさん:08/01/01 11:52 ID:MK6dBgyM
書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
 二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであればしたらばの一時投下スレにうpしてください。
・自信がなかったら先に一時投下スレにうpしてもかまいません。 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
・本スレにUPされてない一時投下スレや没スレの作品は、続きを書かないようにしてください。
・本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
   ただしちょっとした誤字などはwikiに収録されてからの修正が認められています。
   その際はかならずしたらばの修正報告スレに修正点を書き込みましょう。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
 作品を撤回するときは自分でトリップをつけて本スレに書き込み、作品をNGにしましょう。
7Classical名無しさん:08/01/01 11:53 ID:MK6dBgyM
書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
 ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
 改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
 特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
 ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
8Classical名無しさん:08/01/01 12:04 ID:ncPAY6iQ
書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)
・経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
 自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
 また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
・キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
・戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
 あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
 それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
・キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、スレには色々な情報があります。
・『展開のための展開』はNG
 キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
・書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
 誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
 一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
 紙に印刷するなど、媒体を変えるのも有効
 携帯からPCに変えるだけでも違います
9Classical名無しさん:08/01/01 12:05 ID:ncPAY6iQ
【読み手の心得】
・好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
・好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
・荒らしは透明あぼーん推奨。
・批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
 同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。
・擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
 修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。
・嫌な気分になったら、ドラえもん(クレヨンしんちゃんも可)を見てマターリしてください。
・「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
・「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
 やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
 冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。
・感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
 丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。
・ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。

【議論の時の心得】
・作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
・ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
・議論が紛糾すると、新作や感想があっても投下しづらくなってしまいます。
 意見が纏まらずに議論が長引くようならば、したらばにスレを立ててそちらで話し合って下さい。
・『問題意識の暴走の先にあるものは、自分と相容れない意見を「悪」と決め付け、
  強制的に排除しようとする「狂気」です。気をつけましょう』
・これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。
10Classical名無しさん:08/01/01 12:06 ID:ncPAY6iQ
【禁止事項】
・一度死亡が確定したキャラの復活
・大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
 程度によっては雑談スレで審議の対象。
・時間軸を遡った話の投下
 例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
 この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
 こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。
・話の丸投げ
 後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
 特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。

【予約に関してのルール】

・したらばの予約スレにてトリップ付で予約を行います
・初トリップでの予約作品の投下の場合は予約必須(5日)
 ただし、予約せずに投下できなら、別に初トリでもかまわない

・予約時間延長(最大3日)を申請する場合はその旨を雑談スレで報告
・申請する権利を持つのは「過去に3作以上の作品が”採用された”」書き手
・修正期間は審議結果の修正要求から最大三日(ただし、議論による反論も可とする)
・予約時にはトリップ必須です。また、トリップは本人確認の唯一の手段となります。トリップが漏れた場合は本人の責任です。
・予約破棄は、必ず予約スレでも行ってください。

【MAP】
http://www32.atwiki.jp/comicroyale/pages/34.html
http://www32.atwiki.jp/comicroyale/pages/330.html (登場人物の位置あり)
11Classical名無しさん:08/01/01 13:15 ID:bpWvwjXk
>>1
乙だ!
12Classical名無しさん:08/01/01 13:36 ID:owf.silI
>>1乙&あけおめ
13Classical名無しさん:08/01/01 15:23 ID:GILV65AI
>>1乙なんだよぉ〜〜〜ッ!ジョジョッ!
14Classical名無しさん:08/01/01 20:02 ID:XH9.HNmc
>>1
乙だ!

しかし参加者リストの左の人数が
 ○/○ 
が変わってない・・・
15Classical名無しさん:08/01/01 20:21 ID:iI4OIAbg
1/4 【アカギ】○赤木しげる/●市川/●平山幸雄/●鷲巣巌
1/2 【覚悟のススメ】○葉隠覚悟/●葉隠散
1/3 【仮面ライダーSPRITS】 ●本郷猛/●三影英介/○村雨良
2/4 【からくりサーカス】○加藤鳴海/○才賀エレオノール(しろがね)/●才賀勝/●白金(フェイスレス指令)
2/4 【銀魂】 ●坂田銀時/○神楽/●桂小太郎/●志村新八
3/4 【グラップラー刃牙】○愚地独歩/●花山薫/●範馬刃牙/○範馬勇次郎
4/4 【ジョジョの奇妙な冒険 】○吉良吉影/●空条承太郎/○ジョセフ・ジョースター/○DIO
3/4 【スクライド】●カズマ/○シェリス・アジャーニ/○マーティン・ジグマール/○劉鳳
1/4 【ゼロの使い魔】○キュルケ(略)/●タバサ/●平賀才人/●ルイズ(略)
3/4 【ハヤテのごとく】○綾崎ハヤテ/○桂ヒナギク/○三千院ナギ/●マリア
1/3 【HELLSING】○アーカード/●アレクサンド・アンデルセン/●セラス・ヴィクトリア
3/4 【北斗の拳】○アミバ/○ケンシロウ/●ジャギ/○ラオウ
2/4 【武装錬金】●防人衛/○蝶野攻爵/○津村斗貴子/●武藤カズキ
2/4 【漫画版バトルロワイアル】○川田章吾/●桐山和雄/●杉村弘樹/○三村信史
2/4 【名探偵コナン】 ○江戸川コナン/●灰原哀/○服部平次/●毛利小五郎
3/4 【らき☆すた】○泉こなた/●高良みゆき/○柊かがみ/○柊つかさ
計 31人 / 60人

>>14
指摘感謝いたします。
16Classical名無しさん:08/01/01 20:23 ID:iI4OIAbg
1/4 【アカギ】○赤木しげる/●市川/●平山幸雄/●鷲巣巌
1/2 【覚悟のススメ】○葉隠覚悟/●葉隠散
1/3 【仮面ライダーSPRITS】 ●本郷猛/●三影英介/○村雨良
2/4 【からくりサーカス】○加藤鳴海/○才賀エレオノール(しろがね)/●才賀勝/●白金(フェイスレス指令)
1/4 【銀魂】 ●坂田銀時/○神楽/●桂小太郎/●志村新八
3/4 【グラップラー刃牙】○愚地独歩/●花山薫/●範馬刃牙/○範馬勇次郎
4/4 【ジョジョの奇妙な冒険 】○吉良吉影/●空条承太郎/○ジョセフ・ジョースター/○DIO
3/4 【スクライド】●カズマ/○シェリス・アジャーニ/○マーティン・ジグマール/○劉鳳
1/4 【ゼロの使い魔】○キュルケ(略)/●タバサ/●平賀才人/●ルイズ(略)
3/4 【ハヤテのごとく】○綾崎ハヤテ/○桂ヒナギク/○三千院ナギ/●マリア
1/3 【HELLSING】○アーカード/●アレクサンド・アンデルセン/●セラス・ヴィクトリア
3/4 【北斗の拳】○アミバ/○ケンシロウ/●ジャギ/○ラオウ
2/4 【武装錬金】●防人衛/○蝶野攻爵/○津村斗貴子/●武藤カズキ
2/4 【漫画版バトルロワイアル】○川田章吾/●桐山和雄/●杉村弘樹/○三村信史
2/4 【名探偵コナン】 ○江戸川コナン/●灰原哀/○服部平次/●毛利小五郎
3/4 【らき☆すた】○泉こなた/●高良みゆき/○柊かがみ/○柊つかさ
計 31人 / 60人

これが最後です。本当に申し訳ない…orz
17Classical名無しさん:08/01/01 20:50 ID:wnCVwdzI
スピリットがスプリットになってないか?
18Classical名無しさん:08/01/01 20:56 ID:XH9.HNmc
>>16
修正乙!!

しかしだいぶ人数も減ってきたなぁ・・・
19Classical名無しさん:08/01/01 20:59 ID:cFqmBTQk
ジョジョが4人のまま
20Classical名無しさん:08/01/01 21:33 ID:mwHipNL6
バキも3人になった。
でも総合人数はあってる。
21Classical名無しさん:08/01/01 21:35 ID:iI4OIAbg
1/4 【アカギ】○赤木しげる/●市川/●平山幸雄/●鷲巣巌
1/2 【覚悟のススメ】○葉隠覚悟/●葉隠散
1/3 【仮面ライダーSPRITS】 ●本郷猛/●三影英介/○村雨良
2/4 【からくりサーカス】○加藤鳴海/○才賀エレオノール(しろがね)/●才賀勝/●白金(フェイスレス指令)
1/4 【銀魂】 ●坂田銀時/○神楽/●桂小太郎/●志村新八
2/4 【グラップラー刃牙】○愚地独歩/●花山薫/●範馬刃牙/○範馬勇次郎
3/4 【ジョジョの奇妙な冒険 】○吉良吉影/●空条承太郎/○ジョセフ・ジョースター/○DIO
3/4 【スクライド】●カズマ/○シェリス・アジャーニ/○マーティン・ジグマール/○劉鳳
1/4 【ゼロの使い魔】○キュルケ(略)/●タバサ/●平賀才人/●ルイズ(略)
3/4 【ハヤテのごとく】○綾崎ハヤテ/○桂ヒナギク/○三千院ナギ/●マリア
1/3 【HELLSING】○アーカード/●アレクサンド・アンデルセン/●セラス・ヴィクトリア
3/4 【北斗の拳】○アミバ/○ケンシロウ/●ジャギ/○ラオウ
2/4 【武装錬金】●防人衛/○蝶野攻爵/○津村斗貴子/●武藤カズキ
2/4 【漫画版バトルロワイアル】○川田章吾/●桐山和雄/●杉村弘樹/○三村信史
2/4 【名探偵コナン】 ○江戸川コナン/●灰原哀/○服部平次/●毛利小五郎
3/4 【らき☆すた】○泉こなた/●高良みゆき/○柊かがみ/○柊つかさ
計 31人 / 60人

本当にスマン。これで最後だと思う。
22Classical名無しさん:08/01/01 21:35 ID:cPRxS13k
1/4 【アカギ】○赤木しげる/●市川/●平山幸雄/●鷲巣巌
1/2 【覚悟のススメ】○葉隠覚悟/●葉隠散
1/3 【仮面ライダーSPIRITS】 ●本郷猛/●三影英介/○村雨良
2/4 【からくりサーカス】○加藤鳴海/○才賀エレオノール(しろがね)/●才賀勝/●白金(フェイスレス指令)
1/4 【銀魂】 ●坂田銀時/○神楽/●桂小太郎/●志村新八
2/4 【グラップラー刃牙】○愚地独歩/●花山薫/●範馬刃牙/○範馬勇次郎
3/4 【ジョジョの奇妙な冒険 】○吉良吉影/●空条承太郎/○ジョセフ・ジョースター/○DIO
3/4 【スクライド】●カズマ/○シェリス・アジャーニ/○マーティン・ジグマール/○劉鳳
1/4 【ゼロの使い魔】○キュルケ(略)/●タバサ/●平賀才人/●ルイズ(略)
3/4 【ハヤテのごとく】○綾崎ハヤテ/○桂ヒナギク/○三千院ナギ/●マリア
1/3 【HELLSING】○アーカード/●アレクサンド・アンデルセン/●セラス・ヴィクトリア
3/4 【北斗の拳】○アミバ/○ケンシロウ/●ジャギ/○ラオウ
2/4 【武装錬金】●防人衛/○蝶野攻爵/○津村斗貴子/●武藤カズキ
2/4 【漫画版バトルロワイアル】○川田章吾/●桐山和雄/●杉村弘樹/○三村信史
2/4 【名探偵コナン】 ○江戸川コナン/●灰原哀/○服部平次/●毛利小五郎
3/4 【らき☆すた】○泉こなた/●高良みゆき/○柊かがみ/○柊つかさ
計 31人 / 60人
23Classical名無しさん:08/01/01 22:12 ID:.xv5s37Y
そろそろ第三回放送草稿を投下してもいいころだろうか?
24Classical名無しさん:08/01/01 22:33 ID:ncPAY6iQ
むむむ?まさかもう出来てるとか?
一時投下ならいいんでないかな?
25 ◆C1.qFoQXNw :08/01/01 22:51 ID:.xv5s37Y
一時投下スレに投下完了。
伊藤博士の介入はプッチ同様先走ったかもしれないがいかがだろう?
26Classical名蕪しさん:08/01/02 00:54 ID:u0CAMzhA
伊藤博士ががどんなキャラかをある程度描写しないと、判断のしようがないのでは無いでしょうか。
と、同時に、伊藤博士が登場すると言うことは、原作のどの時点のBADANなのか、とか、そういう部分に関わるし。
27 ◆9igSMi5T1Q :08/01/02 03:54 ID:/Evnwj0g
ラオウ、斗貴子投下します。
28ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/02 03:54 ID:/Evnwj0g
 夕方。太陽が赤みを帯び始める。
 昼間は赤くないそれが変色する理由は何だったか。そんな事を考える者など、この会場にはどこにもいない。
 心にゆとりを持ち、変わり行く景色に心を奪われる者が、この場には一人もいない。
 精神のゆとりを、肉体の余裕を、弱肉強食の掟が奪い取っている。
 心弱き者は、その掟に飲まれ自らの精神を蝕み、心狂わせて行く。ここにも一人、正常でいられなくなった女がいた。

「カズキ……今一歩、私は君に近づいたよ……」

 津村斗貴子は、自らの中にいるカズキに声をかける。元々持っていたはずの戦士の誇りは既に無い。
 それを失ったことさえ彼女は気付いていないだろう。

「……思えば、私はここに来て君に一度も会ってなかったんだな……」

 胸元を触り、感触を慈しむように斗貴子は語りかける。

「私は君に会いたい。再会したい、それだけなんだ……」

 本当に、斗貴子にとってはそれが全て。
 当の本人さえ気付いていないだろうが。完全に全てなのだ。
 例えば、殺された人間の事を忘れ、次の出会いを探そうとか。
 例えば、死んだ人間の気持ちを考え、彼の信念を受け継ごうとか。
 そういう事は一切考えに昇らない。会いたい。ただ、それだけ。

「あと30人ぐらいかな……少し手こずるだろうが、待ってて欲しい」

29ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/02 03:55 ID:/Evnwj0g
 胸にいるカズキは一言も返事を返さない。

「君は私のことをどう思うだろうか……フフッ……きっと、拒絶するだろうな。でもね。
私は決めたんだ、君と2人きりの世界を作ってもらう。君とそこで暮らすってね。もう、君は逃げられない」

 カズキは言葉を返さない。
 斗貴子は一人呟き、歩き続ける。

「ふぅ……思えば、少し疲れたな」

 先ほどの戦闘を斗貴子は思い出す。
 もう一人の自分との戦い。相手は戦闘訓練など全く受けてないド素人。
 爆発術が使えるあたり、ただの少女というわけでもないだろうが身体能力は明らかに格下。
 苦戦するような戦いではなかったはずだ。どう考えても斗貴子は本調子でない。
 連戦により肉体は悲鳴を上げ、体中から抜け出た血液はその命さえも奪い取るかもしれない。

「休息が必要かな」

 狂っていても、戦士の思考は変わらない。
 彼女は自身の戦闘力低下をはっきりと認めていた。そして、この場にいる他の者達の圧倒的な強さも。
 格下の相手にさえ手間取っている状況では、勇次郎のような圧倒的上位には太刀打ちできない。
 今の自分は戦士として、カズキを求めるものとして、絶望的に力が不足している。

30ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/02 03:55 ID:/Evnwj0g
 現状を悟った斗貴子は近くにある四階建てのマンションへと足を運んだ。

「1フロアの部屋数は6つか……中々だな」

 本当なら、もう少し広いマンションの方が隠れ場所に適しているとも思ったが、生憎、近くにそんな都合のいい物件は無い。
 それに、4×6の24部屋あるマンションだと、襲撃者からの攻撃はかなりの確率で外れる事になる。
 また、地上四階の高さという事は襲撃時にも、窓から飛び降りて脱出する事が出来る。
 気休めかもしれないが、少しは楽に眠れるというものだ。
 斗貴子はマンション3階にある一つを選び、そこを寝所とすることにした。
 念のため、脱出経路を確認する。
 脱出経路は窓とベランダ。ベランダから下は芝生になっており、着地に失敗したとしても大怪我をする心配はなさそうだ。

31ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/02 03:56 ID:/Evnwj0g
「よし、大丈夫」

 ベランダの窓とカーテンを閉める。脱出の際は、サンライトハートで突き破れば良いだろう。
 脱出経路を確認した後は、傷口の応急処置。
 ただの民家であるため、右手喪失に対応できるような道具はどこにもない。
 仕方なしに、布団のシーツを破いてそれを右手に巻くことにする。
 左手で軽く消毒液を塗り、口と手でシーツを丹念に巻いていく。
 全身に付けられた火傷にも、適当な塗り薬を塗っておき同じようにシーツを巻く。
 最後に、デイパックから適当な食料を取り出し、それを口に運ぶ。

「出来る事と言ったら、これぐらいか……」

 医学に明るい者でもいれば、脅して治療させる事が出来たかもしれないが現状ではこれが精一杯だ。
 他にやることがないと感じた斗貴子はベッドに横たわり、一時の休息をとる。

「時間をかけてすまない。だが、これも君に会うためだ。分かってくれ、カズキ」

■■

32ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/02 03:57 ID:/Evnwj0g
 次なる戦いを求め、拳王は彷徨う。
 ここに来てからというもの、本郷や覚悟、勇次郎にケンシロウといった強者ばかりと巡り合う。

「これが天運というものか……」

 恐らくラオウは今、天からの審判を受けている。
 修羅のごとく闘いにまみれた生を歩んできた彼も、1日にも満たない短期間でこれ程の強者と闘った経験は無い。
 というより、ラオウはこれまで自分と互角の者などほとんど知らなかった。

「天よ、我を阻み最後の抵抗を見せるのか。それとも、我を認め最後の試練を課すのか……」

 どちらでも良い事よ。
 この闘いの意味が試練であろうと無かろうと、ラオウに負けは無い。
 常に勝利を。それが世紀末覇者を唱えるラオウの行く道。過ぎ行く地にあるものは敗者と屍のみ。
 それはたとえ、相手が無想転生を身に着けた義弟であったとしても変わらない事実だ。
 しかし。

「ケンシロウ……どこへ行ったか」

 赤木の時間稼ぎにより、ラオウは目標を失っていた。
 さしあたり闘うべき相手はケンシロウと勇次郎。だがしかし、奴らはどこに行った。
 闘いのさなか、電車と共に消えていった勇次郎は既に探す事も出来ない。
 しかし、歩いて逃げたケンシロウにはまだ追いつけるはずだ。

33ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/02 03:58 ID:vaPa3nI6
 駅舎から出て、周囲を見渡す。
 見える範囲に人陰は無い。

「ならば、運に頼るまでだ」

 ラオウは地図も見ずに、ケンシロウを探して進む事にした。

 しばらくして。
 錬金戦士が、マンションの一室で束の間の休息を取っている最中。
 ラオウの体に異変が起こった。
 体の内部。腹部に痛みを感じる。

「……うぬぅ……」

 腹痛。食中りか。
 ラオウには思い当たる節が無いでもない。
 この世界に来て初めて飲んだコーラ。あれが、ラオウの腹に中ったのかも知れない。
 時間的に見て若干遅れているかもしれないが、戦闘の緊張感が食中りを遅らせたと考えれば納得できる。
 ともかくも、突然ラオウの腹はギュルギュル悲鳴を上げ始めた。

「…………ぬぅ……」

 どれ程鍛えても、体の内部は人と同じ。すぐさま探さねばならない。トイレを。
 ラオウは食中りに震える腹を押さえ、近くにある民家へと駆け込む。

「便器は、便器はどこだ」

34Classical名無しさん:08/01/02 04:01 ID:R3eO9KiY
                        
35Classical名無しさん:08/01/02 04:03 ID:R3eO9KiY
                     
36ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/02 04:07 ID:g0ssXRQs
 拳王が叫びながら、トイレを探す。
 幸いにして、トイレは民家の入り口近くにあった。
 だが……

「……入れん……」

 ラオウの巨体が災いして、民家の小さいトイレでは入ることが出来ない。
 ならばと、ラオウはその拳を振るう。

「行く手を阻むものは、たとえそれが天であったとしても討ち果たすまでよ! 北斗剛掌波!!」

 彼は行く道を阻むトイレの外壁を、北斗神拳で弾き飛ばす。
 これで入れるはず。そう思い、便座を見る。するとそこには……

「なんと儚き物よ……」

 北斗剛掌波により、破壊され陶器の欠片と化した便座が一つ。
 そこからはトイレ用の下水が溢れ、とても使用に耐えない。

「やはり、我が覇道は破壊の道だという事か。それが天命だというのなら、このラオウ甘んじて受け入れよう」

 破壊された便座を前に、ラオウは自らの人生を悟る。
 だが、今はそんな彼にも油断ならぬ敵が襲い掛かってくる。

「……ぅぐ……」

37ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/02 04:08 ID:g0ssXRQs
 再度の腹痛。
 もはや、一刻の猶予もならない。いかなる形であっても、世紀末覇者に敗北は許されない。
 ラオウは民家を出て、次なる便座を探す。
 思えば、先ほどの便座は弱者であった。北斗剛掌波一つで破壊されてしまうものであった。
 世紀末覇者であるラオウを受け止める便座であれば、やはり、それに相応しい強度が求められる。
 そう、喩えるなら勇次郎の肉体と赤木の精神を併せ持つような便座が。

 ラオウは周囲を見渡す。
 先ほどのような民家の便座に用は無い。求めるものは強者の器。
 ならば、巨大な建物にこそ、そのような便座はあるはずだ。
 しかし……

「あるものは、あの建物のみか……」

 ラオウの目に映ったのは、4階建てのマンション。
 繁華街に出れば、もっと大きな建物があったかもしれないが、この場ではあのマンションが最も大きい。すなわち、最強である。

「このラオウの器に足るとは思えんが……っぐ……」

 愚図愚図している暇は無い。
 敵は今もなお、ラオウの腹部を攻撃し続けている。反撃は今こそ求められている。
 周りに相応しい建物が無いのならば、目の前のマンションに行くほかは無い。
 ラオウは、そのマンションに向けて突撃を開始した。

38Classical名無しさん:08/01/02 04:08 ID:R3eO9KiY
支援w
39ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/02 04:09 ID:g0ssXRQs
「ぬぁああ!」

 全身の闘気を込めた一撃で、壁を粉砕する。

「便座はどこだ!!」

 世紀末覇者の肉体が、闘気に包まれ戦闘状態へと移行する。
 そう、彼に油断は無い。
 人目につかぬ孤独な戦いであったとしても負けは無い。
 否。
 孤独な戦いだからこそ、拳王に負けは許されぬ。

 マンションの一室で、ラオウは壁を破壊しながら探索を進め、ついに便座を見つけた。

「周囲の者達は、もはや我を阻まぬ」

 周りの壁は根こそぎ倒した。
 ラオウは心置きなく、便座に腰を下ろすことが出来る。

「いざ、ゆかん!!」

40Classical名無しさん:08/01/02 04:10 ID:R3eO9KiY
                
41ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/02 04:10 ID:g0ssXRQs
 力強く宣言し、便座に座り込む。
 その瞬間……


 ラオウの力に耐え切れず、便座は破壊された。

「馬鹿な……この拳王が敗れたというのか…………」

 破壊された便座。
 溢れる下水。
 今のラオウは一敗地にまみれるではなく、一敗下水にまみれるの状態。

「ともかく、出すだけは出さねば……」

 そう思ったのも束の間。
 今度は建物が揺れ始める。

「今度は何だ……」

 身の危険を感じ、ラオウはズボンを下ろした格好のまま、その場を走って逃げ出した。

■■

42ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/02 04:11 ID:g0ssXRQs
 斗貴子はベッドの上で束の間の睡眠をとっていた。
 いかにアクア・ウィタエの力を得たと言っても、連戦の疲労は彼女の体を深部まで蝕んでいる。
 ここで休息をとらねば、彼女の体は使い物にならないほど疲弊し、カズキに会う事など文字通り夢と消えるだろう。

「……カズキ…………」

 寝言で愛しい人の名前を呟く。
 夢の中では、彼に抱かれているのだろうか。
 それとも、戦士として共に戦っているのだろうか。

    ガンッ

 そんな彼女の夢を妨げる音が、下から聞こえてくる。
 マンションの一階から、何かを破壊する音が聞こえてくる。

43Classical名無しさん:08/01/02 04:11 ID:R3eO9KiY
                       
44ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/02 04:12 ID:g0ssXRQs
    ガンッ! ガンッ!!

 音は少しずつ大きくなってくる。
 斗貴子は跳ね起きた。

「カズキ、逃げるぞ」

 休息は不十分。敵の正体は不明。ならば、まずは逃げて状況を確認する。
 斗貴子はあらかじめ確認しておいた逃走経路、ベランダに移動し、そこから飛び降りる。
 ベランダの下の芝生に降り立ち、サンライトハートを顕在させる。
 何者かが、マンションの一階を破壊している。
 油断ならない攻撃力。一体、何者がいるというのか。
 斗貴子の目がマンションの一階を注視した瞬間。マンションは大きく揺れ始める。

「崩れるか……」

 ならば、この場を離れよう。
 そう考えた斗貴子の視界に、あり得ぬほどの巨漢が飛び込んでくる。
 その巨漢のこれまたあり得ぬ姿に、斗貴子は一瞬意識を奪われてしまった。

■■

45Classical名無しさん:08/01/02 04:13 ID:R3eO9KiY
                         
46ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/02 04:19 ID:JwuGQHcs
 ラオウは走る。
 ズボンとパンツを下ろしたまま。
 彼の脚力により、両者は既に絶命しており、ラオウの両足には布切れが巻かれているだけの状態だ。
 当然、彼の大事な部分を覆い隠すものは存在しない。

「っく」

 かつて、これ程の恥辱を味わった事があったか。
 孤独な戦いでよかった。ラオウはひそかに胸をなでおろす。
 崩れ去るマンションから走り出て、ラオウは立ち止まった。

「…………次なる便座と……着替えを探さねばな」

 生まれて初めての屈辱に、彼は隣にいる女性に気付くのが遅れてしまった。

「君は……一体、何をしているんだ?」

 隣から聞こえる少女の声。
 見るとそこには、傷顔銀髪の女が汚いものを見るような目でラオウの顔と股間を交互に見つめている。

 世紀末覇者ラオウ。
 彼の威厳は地に、いや地の果てまで堕ちていった。
47Classical名無しさん:08/01/02 04:21 ID:R3eO9KiY
             
48ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/02 04:21 ID:JwuGQHcs
【F-3 東中央市街北 1日目 夕方】
【ラオウ@北斗の拳】
[状態]内臓に小ダメージ 、鼻の骨を骨折、 胴体に刀傷 限界に近い程の全身フルボッコ(強がって気にしないフリをしている)、腹痛。下半身裸。
[装備]無し 核鉄(モーターギア)@武装錬金
[道具]支給品一式
[思考・状況]
1:ケンシロウを追う。
2:強敵を倒しながら優勝を目指す。
3:覚悟の迷いがなくなればまた戦いたい。
4:本郷、銀時の死に様に思う所あり。
5:赤木が気に入った。
6:便座と着替えを探す。
[備考]
※自分の体力とスピードに若干の制限が加えられたことを感じ取りました。又、秘孔を破られやすくなっている事にも
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました
※無意識にですが、その戦闘技術如何によらず、自らが認めた相手に敬意を払いその生き方をも認める事をしました
49ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/02 04:22 ID:JwuGQHcs
【津村斗貴子@武装錬金】
[状態]:しろがね化、心臓代わりに核鉄、精神崩壊、判断力低下(若干回復)
    右手消失、全身大火傷、頭部に刺し傷 (核鉄としろがねの力で回復中)。衝撃により、骨にヒビ。簡単な治療済み。
[装備]:サンライトハート@武装錬金
[道具]:支給品一式×2
[思考・状況]
基本:最後の一人になり、優勝者の褒美としてカズキを蘇らせ、二人きりで暮らす『夢』を叶える。
1:目の前の男は何をやってるんだ?
2:可能ならば、なんらかの手段で戦力の増強を図る。
3:強者との戦闘は極力避け、弱者、自動人形を積極的に殺す。
4:アカギ、吉良、勇次郎、軍服の男(暗闇大使)は最終的に必ず殺す。アカギは特に自分の手で必ず殺す。
※数分ですが休息をとりました。
50Classical名無しさん:08/01/02 04:23 ID:R3eO9KiY
                 
51Classical名無しさん:08/01/02 04:23 ID:JwuGQHcs
投下終了です。
52Classical名無しさん:08/01/02 04:30 ID:R3eO9KiY
投下乙、ってなんだよこれw
このド深夜のテンションで見たら、笑いすぎて俺まで腹いてぇw
ラオウだからこそ面白いネタですね。
状態表の
>自らが認めた相手に敬意を払いその生き方をも認める事をしました
この1文が切なすぎるよw
53Classical名無しさん:08/01/02 06:10 ID:jeg6gqQs
徹カラ後の超テンション中にこれに遭遇。ラオウが哀れすぎて言葉もねえwwwwwwwwwwwwwwww
便所の使い方もしらねーのか世紀末覇者! お前は勇次郎とケンシロウと覚悟と特に本郷さんに土下座して謝れっwwwww
アカギといい、ラオウといい、年末年始ははちきれる書き手多いのなwwwwwwwwwwwwww
54Classical名無しさん:08/01/02 09:26 ID:kkWRaiL6
謝れ!www闘いに敗れ散っていった幾多の星々に謝れ!www
年末年始に投下された方々、並びに書き手読み手の皆様方、今年も宜しくお願いします。
55Classical名無しさん:08/01/02 11:57 ID:rm5zGQRk
投下乙!!

ラオウwwwwww
拳王様なにしてるんすかwwww
56 ◆C1.qFoQXNw :08/01/02 12:37 ID:uBD7/AKQ
第三回放送草案修正を投下しておきますた。
57Classical名無しさん:08/01/02 13:59 ID:jeg6gqQs
>>56
前のよりずっとわかりやすくなってます。私はこれでOKと思いますよ。乙です!
58Classical名無しさん:08/01/02 14:12 ID:DHfSqO9Y
>>56
死亡者の順番はどうして、この順番なの?
59Classical名無しさん:08/01/02 15:10 ID:jeg6gqQs
おっと、そうだった。ルイズとタバサの順番入れ替えれば完璧だね
参加者一覧の上から順番に、同作品はあいうえお順って話でしょ
60Classical名無しさん:08/01/02 15:17 ID:nrCb/tlY
これまでの放送だと、死亡順に呼ばれてたよ。
61Classical名無しさん:08/01/02 15:40 ID:jeg6gqQs
【汚物消毒所】   λ..........スマン、イッテクル
62Classical名無しさん:08/01/02 15:42 ID:R3eO9KiY
死亡順のがいいと思うよ。
あと、放送で主催に何かしらボロを出さして欲しい。
徳川さんがわざとヒントの意味で情報漏らすとか。
63Classical名無しさん:08/01/02 15:47 ID:nrCb/tlY
順番弄るんだったら、縦読みでヒントを入れるとか、そのぐらいやって欲しいな。
64Classical名無しさん:08/01/02 16:25 ID:ICBTr/q.
前スレ埋めるついでに禁止エリア決めないか?
65 ◆C1.qFoQXNw :08/01/02 18:31 ID:uBD7/AKQ
順番が入れ違ったのはただのミスでした。
たびたびすいません、光成なりの配慮を加えてみました
66Classical名無しさん:08/01/02 18:33 ID:nrCb/tlY
いや、だから死亡順だと
67 ◆3OcZUGDYUo :08/01/02 21:18 ID:IRN3BjRM
一日遅れですが明けましておめでとうございます。
これからもよろしくお願いします!

>>51
投下乙です!
ラオウがギャグをやっているとはw
このロワはどんなキャラでも何をするか本当にわからないですねw
そして微妙に冷静になった斗貴子も何か笑えるwww

>>65
放送案一時投下乙です!
問題はなくなったので言い感じだと思いますよ。
只、死者の発表は他の人が言うように死亡順の方がいいと思います。


という事でエレオノール、勇次郎投下しますね。

68Classical名無しさん:08/01/02 21:20 ID:R3eO9KiY
             
太陽が沈みかけ、ほのかに映える橙の色彩が空一面に、これでもかというくらいに広がっている。
橙の大空の下には、それと同じようにどこまでも広がる黒々とした力強い大地。
所々に緑の草木が生い茂っている事が、その大地の力強さをひっそりと印象付ける。
橙と黒と緑の協調によって描かれたこのエリアD-3。
そんなエリアD-3というキャンパスに銀という、異色ともいえる色が混じっていた。
その色の正体は、短く、それでいて丁寧に整えられた銀一色の髪。
そして強い意志を秘め、髪と同じ鋭い光沢を放つ銀色の両眼。
人形破壊者(しろがね)の名を持つ、才賀エレオノールだった。

「たしかこの辺りだったな……ギイ先生のオリンピアは」
透き通るような白い体躯に、ピエロのメイクをしたエレオノール。
しろがねの逸脱した身体能力のかいもあって、疲弊した身体でありながら彼女は一時の休憩も挟まずに走り続けている。
エレオノールは先刻の愚地独歩との闘いで失ったオリンピアを探すために再び、この地へ戻って来ていた。
全ての懸糸を断ち切られ、最早懸糸傀儡としての価値は見出せないオリンピア。
だがオリンピアの本来の操り手であって、“オリンピアの恋人”と称されるギイ・クリストフ・レッシュ。
エレオノールにとってギイは人形繰りの先生でもあり、まるで実の兄のように慕う人物。
そんなギイのオリンピアをエレオノールはある理由を持って探していた。

「あった……」
遂に力なく横たわっていたオリンピアを見つけ、エレオノールは口を開く。
だが、その声には嬉しさと悲しさが入り混じった複雑な感情が見え隠れする。
愚地独歩との激闘によって、無残な状態となったオリンピアを発見すれば、エレオノールがそう思うのも無理はない。
所々に独歩の剛力によってつくられた不自然なおうとつが一際印象深いオリンピア。
そのオリンピアの身体をエレオノールは抱き上げ、顔を覗き込む。

「申し訳ございませんギイ先生……私が未熟なばかりに……」
オリンピアの頭部をその成熟した身体でエレオノールは優しく包み込む。
まるで己の可愛い赤子に慈愛を持って接する母親のように。
そんなエレオノールの暖かい胸の中に抱かれたオリンピア。
だが、懸糸を根こそぎ切断されたオリンピアはもう優雅に舞う事は出来ない。
その事実がどうしようもなくエレオノールの心に不規則な、不快な波を立てる。
この不快な気持ちを落ち着かせるには、もう少しこのままオリンピアを抱き続けたいとエレオノールは切に思う。
だがいつまでもこの場に踏み止まるわけにはいかない。
同じ場所に留まり続けるという事は、銃や重火器で狙撃される可能性もある。
みすみすやられるつもりもなく、逃げる気もないがわざわざ不利な状況で闘うつもりも当然ない。
範馬刃牙、愚地独歩との闘いで少なからず疲弊した身体を休めようという考えもあったので尚更だ。

「ですが貴方のオリンピアはもうこれ以上傷つけさせません……絶対に!」
今はこの場に居ないギイに対して誓いをたて、エレオノールはオリンピアから一旦手を放す。
後ろに振り向き、両腕でオリンピアの身体を抱え、おんぶの状態でそれを持ち上げる格好となる。
支給品である何の特徴もない簡素な地図を、デイパックから取り出し片手を使い、折り畳まれたそれを開く。
目的は己の身体を休ませる事ができ、オリンピアをこれ以上傷つけさせないために隠す事が出来る場所。
地図からお目当ての場所を見つけた彼女はそれを片手で器用に折り畳み、デイパックに戻す。
その動作が終わった瞬間。
既に彼女はそのしなやかな身体をもって、全力で駆け出していた。
その速度は見る者に驚嘆を与える程に速い。
そう。畏怖させる程の速さで何処へ駆けて行く。
只、ひとえに己の目的の為に。

◇  ◆  ◇

71Classical名無しさん:08/01/02 21:24 ID:ICBTr/q.
しえん
鉄筋によって構築された建物がエレオノールの視界に映り、徐々にその大きさは増していく。
やがてエレオノールはその建物の入り口の前に立ち止まり、それのドアに備え付けられた取っ手を握る。
ドアを開け、忍び足で薄暗い部屋に侵入し、周囲に気配がない事を確認。
その後、すぐ傍に設置された蛍光灯のスイッチに手を伸ばす。
次第に明るさが灯っていくのを、エレオノールは少し眩しく思いながらも実感した。

「よし。此処で間違いないハズだ……エリアD−4、消防署は」
自分が居る部屋のすぐ横にガレージがあり、更に一台の消防車が停車されていたので確信は強まった。
また不自然に空いたスペースからもう一台何かが停まっていた事が推測できる。
他の誰かが乗っていったのだろうか?
そう思考にふけるエレオノールだったが、どの道自分には関係ない事だと考え、自分が休憩できる部屋を探し始めた。
だが、この消防署に人物が潜んでいるかは勿論、今のエレオノールにはわからない。
そのため周囲への警戒を一層強めながら、エレオノールは探索を続ける。

「仮眠室か。この部屋ならいうことなしだな」
やがてエレオノールの鋭い両眼は“仮眠室”と記された白いプレートを捕らえた。
消防署に侵入した時と同じように、警戒を行いながらドアを開き、室内に片足を踏み入れる。
その部屋は奇しくも、エレオノールと同じくしろがねとなった少女、津村斗貴子が身体を休めた場所。
ただしエレオノールとは違い、愛する者のために、彼女は狂気のしろがねとなった。
当然その事を知る由もないエレオノールは視界に入った椅子に近づく。

「ふぅ……さすがにオリンピアを運んで走るのは少し疲れたか」
今まで背中に担いでいたオリンピアを、そっと椅子に座らせながらエレオノールは口を開く。
人間の血液を動力源とし、稼動する限りそれを求め続け、人を襲う自動人形。
自動人形を根絶するために、様々な武器や仕掛けが施され、しろがねが操る懸糸傀儡。
その為懸糸傀儡の重量は決して軽いものではない。
幾らしろがねの怪力と体力があるといってもそんなオリンピアを担ぎ、全力で走れば疲労するのは当たり前だ。

73Classical名無しさん:08/01/02 21:26 ID:nrCb/tlY
74Classical名無しさん:08/01/02 21:26 ID:ICBTr/q.
支援するべき時は……泣くべきじゃないってよ
「だが、何か身体の調子がおかしい……これ程までに疲労が溜まってしまうとは」
首輪の力によってしろがねの身体能力に制限が懸けられていた為、エレオノールは傍にあったベッドに倒れこむ。
今まで色々な事を経験したエレオノールは心身ともに疲れきっていた。

「あの二人は今どうしているのだろうか……?」
そんな時ふとエレオノールは小さな声で呟く。
己を綾崎ハヤテと偽り、一時は行動を共にし、自分が捜し続けていた才賀勝。
そしてその生き方に感銘を受け、一時は憧れの存在となったが、不信感が漂う加藤鳴海。
この二人の言動が、そして存在が特にエレオノールの脳裏に焼きついていた。

「いや、私は決めたハズだ……この殺し合いに勝ち残り、人間になると……」
だが、エレオノールは人間になるためこの殺し合いに乗った事を既に決めている。
ならば彼らは自分の障害にしかならない。
そう考え、彼らの存在を消すかのように頭を左右に振り、支給された時計をデイパックから取り出す。
未だ定時放送までの時間は少なからずある事を確認し、エレオノールは少し睡眠を取る事を決意する。
“殺し合いに勝ち残り、人間になる”。
この言葉を言った時、何か忘れているのでないかとエレオノールは思わず感じた。
その疑問への答えが出る間もなくエレオノールの意識は段々と深い闇に沈んでいき、やがて沈みきる。
エレオノールの疲労は自身が感じていたそれよりも大きかったに違いない。

◇  ◆  ◇

何も色を帯びていない白一色でひしめく世界。
どことなく得体の知れない世界でエレオノールは一人、立っていた。
また今のエレオノールはピエロのメイクはしておらず、勿論衣装も着ていない。
この殺し合いに連れて来られる直前に着ていた、ノースリーブの上着。
そしてなんの変哲もない長ズボンとブーツといった格好だ。
自分は何処にいるのだろう?そう思い彼女はキョロキョロと辺りを見回す。
そんな時、エレオノールは一人の人物が自分の方を見ているのに気付き、その姿を見て驚く。
何故ならその人物がエレオノールにとって、とても馴染み深い人物だったからだ。
モデルのように細く洗練され、純白ともいえる程白い体躯と甘いフェイス。
更にその毛髪と両眼はエレオノールと同じ銀色の光沢を放つ人物。

「久しぶりだなエレオノール」
そう。その声の主はギイ・クリストフ・レッシュであった。
予期せぬギイとの対面に驚くエレオノールだったが、彼にはさして驚く様子は見受けられない。
只、己の長いコートのポケットに両手をつっこみ、口を開いているだけだ。

「ギイ先生……」
この殺し合いに呼び出され、初めて信頼できる人物と巡り会えた事をエレオノールは素直に嬉しく思う。
だが、エレオノールの口からはそれ以上の言葉は一向に出てこようとはしない。
嬉しさのあまり、言葉が喉の奥で詰まってしまったのだろうか?
いや、それならばエレオノールが浮かべている、どこか不安そうな表情について説明できない。
そう。エレオノールはいいようのない不安に駆られていた。
「なぜそんな悲しそうな顔をなさるのですか……ギイ先生……?」
何故ならエレオノールを見つめるギイの表情はいつものように優しいものではない。
その表情はどことなく悲しさを漂わせていた。
ギイの目の前に立ち尽くすエレオノールは、何故彼がそんな顔をするのか皆目見当が付かない。
不可解な不安を抱えながらも、ようやくエレオノールは口を開く事が出来たというわけだ。

「エレオノール、君は何のために闘っている?」
ふいに告げられたギイのエレオノールへの質問。
その質問の意図を理解しようとエレオノールは暫し思考を巡らせる。
だが、一向に彼の意図をエレオノールには理解できない。

「……この殺し合いに勝ち残り、人間になるためです」
そのため、一瞬の間を置き、エレオノールは正直に自分の考えをギイへ示す。
現時点で自分が人間になるために、険しい道ではあるが、最も道筋がハッキリとしている方法。
だが、何かを忘れているような気を以前から感じていて、エレオノールの口調はあまり威勢のいいものではない。
そんなエレオノールの様子を見て、ギイは溜息をつく。

「なるほど、最後の一人になればどんな願いでも叶えられる権利というやつか。
だが、エレオノール……君には見落としていることがある」
冷たい声でギイがエレオノールに向ってそう言い放つ。
彼の言葉にエレオノールの身体が一瞬の震えを起こす。
いつも全てを見透かしたような瞳で自分に話しかけるギイ
そんなギイに面と向ってこんな事を言われたら、エレオノールが動揺するのは無理もない。

78Classical名無しさん:08/01/02 21:29 ID:ICBTr/q.
 
「君にはあのトクガワという人物が信頼に値する者かどうか判断できるのか?
君がもし勝ち残ってもあの男が約束を守るとは限らないだろう?」
「それは……」
ギイの口から出された質問に対し、エレオノールは返答に詰まる。
何故ならギイの質問は至極まともな事であり、尚且つ重要な事だからだ。
確かにギイの言う通り、もし生き残る事が出来ても、優勝の権利が貰えなければ何の意味もない。
しかもあの徳川光成という老人は有無を言わさずに、こんな馬鹿げた殺し合いを引き起こした人物。
本当に信用できるのかと訊かれ、エレオノールが自信をもって肯定できるハズもない。

「どうなんだエレオノール? 君はこんな不確かなゲームに乗る事に価値が見出せるのか!?」
少し口調が強まったギイの言葉がエレオノールの胸に突き刺さる。
自分の正当性を証明するために何か言い返したい。
そんな事を必死に考えるエレオノール。

「そ!それでも……私は……私は人間に……人間になりたいのです!」
だが所詮、光成が信用出来るかどうかの確信が得られていないエレオノールに強く反論する事など無理な話だ。
だからエレオノールには精々、自分の望みを必死に口に出す事くらいしか出来ない。
幼き頃から自動人形を倒すために送った、道具のような日々。
来る日も来る日も人間になるために、願い続けてきた日々。
最早人間になるという目的はエレオノールにとって、絶対に諦める事は出来ない願望だからだ。
そんなエレオノールの様子を観察し、ギイは先刻よりも更に大きな溜息をつく。

「そうか……ならば、僕は君を止めはしない。
僕にとって君はどんなコトよりも優先するべき存在だからな。
君がしたいようにすればいい……僕はそれで満足だ」
そう言ってギイは踵を返し、エレオノールに対して背を向けて歩き出す。
後ろを向いたギイの華奢な背中は、エレオノールにもう用はないと言っているかのように彼女は感じた。
一歩一歩、全く後ろを振り返らずに先を進んでいくギイ。
80Classical名無しさん:08/01/02 21:31 ID:ICBTr/q.
  
「ギイ先生……」
そんなギイのあまりにそっけない態度に、エレオノールは弱弱しく片手を伸ばす。
だが、エレオノールのか細い小声を聞いても、彼女の片手とギイの距離は広がり続ける。
明らかに満足していない様子で自分から離れていくギイ。
己の先生に嫌われてしまったのかと思うと、次第にエレオノールの表情に悲しみの火が灯る。

「ああそうだ、言い忘れてたコトがあったな……」
そんな時、ギイはふと歩みを止め、エレオノールの方へ向き直る。
ギイが立ち止まり、顔すらも向けてくれた事に嬉しさで満ち溢れるエレオノール。
自分にどんな優しい言葉を掛けてくれるのだろうか?
また昔のように優しく自分の頭を撫でてくれるのだろうか?
様々な期待がエレオノールの心に押し寄せていく。
だがギイはそれ以上エレオノールの方へは近寄らず、その場で立ち止まるだけに留まった。

「エレオノール、加藤ナルミ……ナルミと出会い、そして闘え。
きっとナルミは君に教えてくれるハズだ」
「なっ!……なぜ先生がカトウのコトを!? それにあの男が私に何を教えてくれるというのですか!?」
突然ギイの口から予想も出来ない名前、加藤鳴海が出てきた事に驚きの表情を見せる。
自分の先生であるギイと、日本人であるという事しか知らない鳴海。
この二人の数奇な関係など今のエレオノールにはわかるハズもなく、只、彼女の思考は乱れるばかりだ。
そしてそれ以上に理解不能な事は、鳴海が自分に何かを教えてくれるとギイが言った事。
紛れもない動揺を見せるエレオノールを見つめるギイは、彼女にそれ以上近づこうとはしない。

「“シェイクスピア曰く……
この世は舞台なり――誰もがそこでは一役、演じなくてはならぬ”という言葉がある」
そう言ってギイはゆっくりとエレオノールに近づく。
依然、ギイの言葉の真意を探ろうとし、困惑の表情を浮かべるエレオノール。
そんなエレオノールの目と鼻の先に、ギイは歩を進める。
そして昔やったようにエレオノールの頭を優しく撫でるギイに対し、エレオールの表情は緩む。
「才賀マサル……マサルも最後まで彼が守りたいものために命をかけた。
彼は自分が命をかける舞台を見つけ、自分の役を最後まで演じきったのさ。
そしてナルミもまた、彼の舞台で自分の役を演じている……」
エレオノールの頭を撫でる手の動きを止め、ギイが言葉を続ける。
今度は才賀勝の名がギイの口から出てきた事に、再びエレオノールは驚き、顔を上げた。
何故己の名を綾崎ハヤテと偽っていた、勝の事までもギイは知っているのか?
そしてギイが彼らの事を話し、自分に何を伝えたいのか?

「エレオノール、君にも当然ナルミやマサルのように、命をかける君だけの舞台がある。
だが、君はその舞台が未だわかってはいない……。
だからナルミに教えてもらえ、君の命をかける舞台をな」
その疑問を口に出す前に、ギイの言葉がエレオノールの鼓膜に響く。
ギイが言った言葉の意味についてひたすら考えるエレオノール。
だが、依然思考の歯車が完全には噛み合おうとはしない。
何故加藤鳴海なのかがエレオノールには全くわからない。

「僕の話はこれでおしまいだ。できるものならば僕は君の手助けをしたい。
だが……君達の居る舞台に僕の役は、今のところ割り振られてはいないのさ。
残念ながらね……」
そう言うや否や、ギイの身体が宙に浮き、エレオノールと離れていく。
浮遊しながら自分と離れていくギイを必死に追いかけるエレオノールだが、彼女の手は彼には届かない。
そんな非情な現実にエレオノールの瞳には涙さえも溢れようとしている。
だが、ギイはエレオノールの元に戻ろうとはしない。

「幸せにおなり――――エレオノール」
たった一つの言葉を残してギイの身体はエレオノールの視界から消えていった。

◇  ◆  ◇

エリアD-4、消防署内の仮眠室。
簡素な造りで備え付けられた白色のドア。
そのドアが突如、荒々しく開かれる。
備品を後の者のために、丁寧に扱おうという気持ちは微塵にも感じさせない開け方。
そんな開け方をして、一人の男が仮眠室にその片足を踏み入れる。
芸術品ともいえる程、隆々とした筋肉で構築された体躯。
燃えるような真っ赤な色彩を放つ毛髪。
そして燃え滾るほど熱い闘争心を持ち、周囲の存在から“オーガ”と称される男。

「さて、放送とやらまでの間ここでヒマを潰すとするか」
範馬勇次郎がそう呟きながら、部屋の隅に置かれたベッドにその屈強な身体を投げ込む。
勇次郎の重量のせいで、悲痛な音色を軋ませるベッド。
だが、その事を勇次郎は考えていたせいか、ベッドが壊れる事はなかった。
勇次郎は参加者を集めるために花火を打ち上げる場所を、この殺し合いで呼びされた始めの地である消防署に決めていた。
その理由は単純で明快。
只、この殺し合いの会場の中心であるからという理由だけだ。
放送を聴くために周囲に耳を傾けた参加者を集めるために、放送が終わった後に花火を打ち上げる。
数分前に決めたこの目的のために、どうせやる事もないので今は身体を休めておこうと勇次郎は考えていた

「ン? 惜しいコトをしたな……もうすこし速く着いていれば楽しめたかもしれねぇなァ」
そんな時、勇次郎はふと鼻で周囲の匂いを嗅ぎ始め、その正体をつきとめる。
勇次郎の視線の先にはベッドに備え付けられた硬い枕に、うっすりと付いたシミ。
鍛え抜かれた嗅覚で勇次郎は数分前、別の参加者が此処で休憩を取っていた事に気付く。
更に辺りを見回してみれば、洗面所には未だ水滴が付着している事もわかったので確信は強まる。
その匂いからして女性であるということがわかったが、闘争を何よりも好む勇次郎は落胆せずにはいられなかった。
「まァしかたねぇな、なーにエモノはまだまだ居るハズだ。
後で食ってやるぜ……鳴海と一緒になァ!」
勇次郎にとっても加藤鳴海は興味深い存在だった。
勝という少年の死を乗り越えて、再び自分の前に立ちはだかるか?
それとも乗り越える事は出来ずに、無様に死んでいくのか?
色々と興味は沸いたが、勇次郎は鳴海の事を後回しにする事に決めた。
既に花山薫、範馬刃牙、ラオウ、坂田銀時、ケンシロウ、DIO、鳴海という実力者と拳を交えた勇次郎。
だが、勇次郎はもっと希望に胸を躍らせていた。
他にもきっと自分を楽しませてくれる実力者が居るに違いない。
そう。彼は別の参加者の味を知りたかった為、既に拳を交えた鳴海を後回しにしたという事だ。

「さーて、なにがくるか……楽しみなコトだな」
勇次郎はひたすらに闘争心という牙を磨く。
彼の至福の時が来る、その時まで。

◇  ◆  ◇

85Classical名無しさん:08/01/02 21:34 ID:ICBTr/q.
   
一台の消防車が北上している。
その消防車の助手席にはオリンピアが、整然と座る。
そして運転席でハンドルを握り、アクセルを踏んでいる運転手が一人。
そう。言うまでもなく才賀エレオノールだ。

「まさかあんな夢をみてしまうとは、だがギイ先生は何故カトウの事を……」
今の彼女はピエロのメイクもしておらず、私服を着ている。
そもそも才賀勝を守るために必要な変装だったので、最早意味などないからだ。
そんなエレオノールは夢の中でギイが言っていた事を思い出していた。
いくら考えても読む事ができないギイの真意。
だが、エレオノールはギイの言う通りに行動する事を決めた。
己の先生であるギイの言う事に背く程、今のエレオノールは判断力が落ちているわけではないからだ。

「見ていてくださいギイ先生……私は見つけてみます。
貴方が私に伝えたかったコトを……
只、その答えがわからなかった時……私は人間になるコトを諦めるつもりはありません
たとえ私の指先がこれ以上血に塗れようとも……」
エレオノールを乗せた消防車は走り続ける。
彼女が誓った新たな誓いと共に。
以前鳴海とともに行動していた時、待ち合わせの場所と決めていた所へ。
喫茶店へ消防車を向けていた。
87Classical名無しさん:08/01/02 21:36 ID:ICBTr/q.
投下には支援。そんな事を考えていた時期が俺にもありました。
【D-3南部/一日目 夕方】

【才賀エレオノール@からくりサーカス】
[状態]:健康、消防車で移動中
[装備]:なし
[道具]:青汁DX@武装錬金、ピエロの衣装@からくりサーカス、支給品一式
[思考・状況]
基本:殺し合いに優勝し、人間になる。
1:人形以上に強力な武器が欲しい。
2:ナルミと会い、闘うために喫茶店へ向う
3:私の命をかける舞台とは一体……?
[備考]
※参戦時期は1巻。才賀勝と出会う前です。
※オリンピアは懸糸の切れた状態で消防車の助手席に座っています。
※夢の内容はハッキリと覚えています
※エレオノールが着ている服は原作42巻の表紙のものと同じです
※ギイと鳴海の関係に疑問を感じています。
※メイクは落としました

【D-4 消防署内、仮眠室/一日目 夕方】

【範馬勇次郎@グラップラー刃牙】
[状態]闘争に餓えている 左腕切断(アクア・ウィタエの効果により自己治癒中)
[装備]ライター
[道具]支給品一式、打ち上げ花火2発
[思考] 基本:闘争を楽しみつつ優勝し主催者を殺す
1:戦うに値する参加者を捜す
2:首輪を外したい
3:第三回放送が終わった後、花火を打ち上げる
4:未だ見ぬ参加者との闘争に、強い欲求
[備考]
※自分の体力とスピードに若干の制限が加えられたことを感じ取りました。
※ラオウ・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました。
※生命の水(アクア・ウィタエ)を摂取しました。身体にどれ程の影響を与えるかは後の書き手さんに任せます。
90 ◆3OcZUGDYUo :08/01/02 21:38 ID:IRN3BjRM
投下終了しました!支援どうもありがとうございました。
何か矛盾などあったらお願いします。
やはり自分にはシャワーシーンは無理だった……w
91Classical名無しさん:08/01/02 21:47 ID:ICBTr/q.
投下乙!
……てめーは期待していた俺を怒らせた。嘘だけど。
勇次郎とはすれ違いになってしまいましたか。
まあ会ったら殺されるどころかレイープされかねんけどw
ところでエレオノールが夢の中のギイ先生を意識しすぎなのが疑問なのですが……。
あくまで夢なんだし……それを本物のギイ先生の言葉だと信じてしまうような、
そういう精神状態であるということならば、それでもアレは夢なんだと自分に言い聞かせる描写があればいいかもです。
92Classical名無しさん:08/01/02 21:55 ID:rm5zGQRk
投下乙!!
93Classical名無しさん:08/01/02 22:06 ID:LnMudr26
乙!!
戦うと言っても片や武器なし片や心身ともにボロボロ、どうなるかが楽しみだ
94 ◆C1.qFoQXNw :08/01/02 22:20 ID:uBD7/AKQ
脱落者の順番を修正しておきました。重ね重ね申し訳ない。

95Classical名無しさん:08/01/02 22:29 ID:R3eO9KiY
投下乙!
消防車には動かない恋人と乗る法則w
しかしメイクを落とした状態でナルミに会うのは……。
勇次郎も次に誰に会うか楽しみになりましたw
96Classical名無しさん:08/01/02 22:50 ID:xZq3xdnY
投下乙!
…と言いたいんだけど、ちょっと参戦前のしろがねの夢としては疑問符が。
確かにギィ先生は鳴海と知り合いだし、実際に死亡前のギィ先生に会ったらそう言いそうな感じはするけど…

夢の内容を操作するなんらかの要因があったならともかく、
鳴海を信じたいんだけど…という深層心理前の話の躊躇のなさからは見受けられないし、ちょっと都合がよすぎませんか?
97 ◆3OcZUGDYUo :08/01/02 23:08 ID:bElPdcjM
確かに少し都合が良すぎたかもしれませんね。
それでは夢の内容は変えずに、エレオノールが夢でギイから訊いた事はあまり意識しない方で修正したいと思います。
98Classical名蕪しさん:08/01/02 23:33 ID:u0CAMzhA
 どちらかというと、エレオノールとギィの関係性を考えれば、夢の中であろうと何だろうと、
ギィの言葉を意識する展開自体は自然だと思う。
(意識する過程の描写を工夫するのも良いかもしれない)
 ただ、ヤボンヌな事を承知で言うと、むしろエレオノールが知り得ないことを、夢の中で言わ
れているという事それ自体を、どう扱うのかの方、なんじゃないかしら、と。
 夢というのは本来的には、「過去の記憶や潜在意識のにより情報の再構成」 なワケで、何ら
かの外部からの影響や刺激 (実際に耳元でささやかれたりとか、あるいはテレパシーの様な
手段で鳴海と知り合った後のギィが何等かの手段で語りかけているか) がない限り、知らない
こと考えつかないことは出てこないわけで。
 「光成は信用できない」 とか、「鳴海に引っかかるモノがある」 あたりの、記憶や潜在意識と
して既にある、ありそうな事柄が、信頼できる師、ギィの言葉という形で現れる、てのは自然だ
けど、それ以上のことが具体的な事柄に関しては、(まぁパロロワ的な演出として流す事も出
来るかもしれないけど) あまり細かく言及させない方が、後々どっちにも出来る余地が残る、
とは思う。
99 ◆hqLsjDR84w :08/01/02 23:51 ID:lnzyswaA
>>94
修正乙です。
伊藤博士ktkr! なんだか放送後はかなり話が動きそうな予感。
ただ『SPIRITS』のスペルが間違っていますので、そちらの修正をお願いします。(これはwiki掲載後でいいかな?)

>>97
修正頑張ってください!
ギィ先生はかっこいいなあ、本当に。
感想は修正後にとっておくとします。


では、一時投下していた「ホワイトスネイク−介入者」の修正版を投下します。
100Classical名無しさん:08/01/02 23:52 ID:R3eO9KiY
                    

 いま殴り飛ばした軍服を着た男は、一体何者なのか。
 カズキさんに承太郎さん、そしてマリアさんが死ぬまでの経緯を知っていたことから、光成という老人の仲間ではないか。最初はそう考えた。

 絶望している参加者を精神的に追い詰め、絶望の淵に立たせる。
 その参加者に一筋の光明――1つ願いを叶えさせるという、優勝者への特典の話を振る。
 絶望の淵に立っていた参加者がそんな話を聞いたなら――その参加者が殺し合いに乗ると決心してもおかしくはない。
 そうして殺し合いに乗ると決心させた後、最後に強力な武器を渡す。
 殺し合いを円滑に進めたいはずの主催者ならば、そうして損は無い。

 しかし、軍服男は参加者の1人だろう。
 僕たちの首にあるのと同じ首輪が、首に存在しているのだから。
 ならば、何故僕に支給品を渡したんだ……?
 殺し合いに乗っているのなら、早々に僕を殺せばよかったはずだ。
 マリアさんや承太郎さんのことを知っていたのは、『どこかから見ていたから』で説明できる。
 僕を煽って殺し合いに乗せようとしたのも、『大量の参加者を1人で殺すのは、骨が折れるから』で説明できる。
 だが、支給品を渡すなんて――――何を考えているんだ?

「スタンドをいきなり使いこなすとはな……バトルロワイアルに抗おうというのか。
 貴様は……ククッ、あの女のように堕ちならなかったか」
「なッ!?」

 前方から聞こえた声によって、現実に引き戻される。
 声の主は、先ほどの軍服男。
 武装錬金で巨大化した拳から放たれた、僕の渾身のパンチをまともに受けたはずなのに……
 まるで何もなかったかのように、笑みを浮かべながら立っている。
 ゾクリと背筋が凍る感覚に襲われる――が、すぐに怒りが込み上げてくる。
 あの女のようにはならなかったか――軍服男は、そう言ったのだ。
 その言葉が何を意味するか、考える必要すら無い!
 軍服男は、僕の前に既に参加者の1人、それも女性をそそのかしていたという事だ。

「……再認識しましたよ」
「何ィ?」

 口を三日月形に歪めながら、軍服男が尋ねてくる。
 だから、教えてやる。

「あなたを放ってはおけないという事をですッ!!」

 同時に武装錬金で巨大化した右拳を、再び軍服男に打ち込む。
 またしても拳は直撃し、軍服男は凄まじいスピードで吹き飛ばされていく。
 壁は2度目の衝撃によって崩れ、軍服男はもう陽も落ちかけた屋外へと投げ出された。

 しかし、ダメージは無いだろう。
 ついさっきも渾身の力で殴ったが、たいしたダメージを負っていたようには見えなかったのだから、この程度でダメージを負うとは考えにくい。
 僕に武器を渡した――おそらくその前に会ったであろう女性にも――ということは自分自身の戦闘力、あるいは他の支給品に絶対の自信があるのだろう。
 ならば、1度でも攻撃を受けるわけにはいかない。
 承太郎さんのような、相手の攻撃を幾度となく受けても立ち上がるタフネス。それが、僕には無いからだ。
 ならば……鍵となるのは、軍服男が渡してきたコレしかない!



「ほう……」
103Classical名無しさん:08/01/02 23:55 ID:R3eO9KiY
                                

 イヤホンから流れてくるあまりに衝撃的な音声に、ついつい驚愕の声を上げてしまう。
 綾崎ハヤテが堕ちなかったのだ。
 それどころか、暗闇大使に拳を叩き込んだのだ。
 さらに暗闇大使の言葉では、スタンド『オー! ロンサム・ミー』を使いこなしているようだ。
 首輪によって強制的に、全てのスタンドを使う『適性』が存在している状態になっているとはいえ、かなり飲み込みが速い。
 私が今までDISCを与えた者の中でも、上位に組み込めそうなほどの飲み込みの速さだ。

 まあ、彼がどうなろうと私にはどうでも――――待て。
 私にとってはどうでも良いことだったが……このBADANという組織は、大首領とかいう奴のボディが欲しかったのではなかったか?
 綾崎ハヤテがバトルロワイアルの最後の1人になる可能性は、一気に上がった。
 殺し合いに乗る気は無さそうだが、それでも最終的に1人になってしまう可能性はある。
 ならば、だ。
 暗闇大使は戦うつもりみたいだが、倒してしまうのは組織が『バトルロワイアルを開催した理由』に反するのではないか?
 彼等は、この殺し合いの舞台で『参加者同士』が戦って、その結果最後に残ったものを求めている。
 暗闇大使が参加者を殺してしまうというのは、『参加者同士』の殺し合いではない。

 ここまでなら、私にとってどうでも良いことだ。

 しかしこの状況は、私に対して不信感を募らせている暗闇大使から信頼を得るために利用できる。
 数時間前。私は、『スタンドだけ』を殺し合いの舞台に送ることが可能かどうかを確かめるため、『死神13』を送った。
 バトルロワイアルの舞台の遥か上空には衛星カメラが設置されていて、捉えた映像を暗闇大使の配下が随時チェックしている。
 『死神13』は夢の中だけでしかヴィジョンを発現させられないスタンドなので、上空の衛星カメラには映らない。バレないように送り込むには、最適なスタンドだ。
 しかしその最中に、暗闇大使が自室からこの部屋に来た為に、スタンドを解除せざるを得なかった。
 その後、暗闇大使が自室に戻っていった頃には、『彼』は目覚めていた。
 あの実験で『スタンド』を殺し合いの舞台に送ることが可能ということは分かったが、ミスを犯した。
 あの男に数回声をかけられるまで、『彼』と会話してしまっていたのだ。
 『死神13』の性質上、スタンドを見られることはなかった。
 しかしそれ以降、暗闇大使が私に対して若干の不信感を抱いている様に感じた。

 私の首には、参加者や暗闇大使と同じく首輪が嵌っている。気づいたら嵌められていたのだ。
 バトルロワイアルが始まる前に、暗闇大使は目の前で見知らぬ男の首輪を爆破させてから言った。
 『貴様の能力をBADANの為に活用するのだ。拒否したらあの男のようになってしまうぞ、お前も……あの男も』と。
 『あの男も』と言ったときに、見せられた映像に――私は驚愕し、少ししてから理解した。
 映っていたのは……『彼』だった。
 私はそれを『運命』だと思った。
 その『運命』を引き寄せたのは、『引力』
 そして、その『引力』の中心にあるモノは――――私と彼が天国へ到着するべき『天国』。
 そう理解した。

 BADANに従うと暗闇大使には言ったが、私としてはそんなことはどうでもいい。
 私の目的は、私と彼が天国に到着すること。ただそれだけだ。
 だが、『こんな殺し合いなどどうでもいい、真の目的は他にある』などと、暗闇大使に悟られるわけにはいかない。
 バレてしまったら、その場で首輪を爆破されてしまうかもしれない。
 若干でも不信感を抱かれている今の状況は、言うまでもなく『危険』だ。
 その不信感を払拭するには、命令に従っているところを見せつければ良い。
 出来れば『身を挺して』とか『自分の身が危険なのにもかかわらず』BADANの命令を優先しているところを見せ付けられれば最高だ。

 私は、BADANがバトルロワイアルを開催した理由を知っている。
 『BADANの為に能力を活用する』というのなら、私は暗闇大使を止めるべきだ。
 暗闇大使が綾崎ハヤテと戦うのは、BADANの長であるという大首領の思惑から外れているのだから。

 命令に従っているふりをする為に、『ホワイトスネイク』を殺し合いの舞台に送る。
 綾崎ハヤテが危なくなってきたら、彼を救う。
 暗闇大使は怒るだろうが……、救った理由を説明すれば良い。
 BADANの為という理由を聞けば納得するだろうし、私への不信感も払拭されるはずだ。
 何せ暗闇大使を怒らせるという行為には、その場で首輪を起爆されるリスクがあるのだ。
 『こんな殺し合いなんかどうでもいい』なんて思っている奴が、そんな事をするとは思わないはずだ。

「……よし」

 『ホワイトスネイク』を発現させ、先ほど暗闇大使が呼び出した魔方陣の上まで移動させる。
 丁度魔方陣の中心に足を乗せたとき、眩い光がホワイトスネイクを包み込み、次の瞬間にはその場から消えていた。
 慌てずに、ホワイトスネイクの操作に意識を集中させると、すぐにホワイトスネイクがいる場所を把握できた。
 総合体育館の近く、地図でいうとD−5である。
 綾崎ハヤテや暗闇大使にバレないように総合体育館に侵入し、天井にでも掴まっておこう。




 これは、『試練』だ。
 思惑がバレてしまうわけにはいかない。
 これ以上不信感を募らせ、本にされてしまうわけにはいかない。読まれてしまえば終わりだ。
 綾崎ハヤテを助けた私に怒り、首輪を起爆されてしまうわけにはいかない。
 死ねば、そこで天国への道も潰える。
 これは、『試練』だ。
 天国へ行く為の『試練』だと、私は受け取った。
 天国へ私と彼が到着するという『運命』を、望む『結果』を引き寄せる『引力』を、私は信じている。

107Classical名無しさん:08/01/02 23:57 ID:R3eO9KiY
                   

 壁に埋もれた体を、少しずつ抜き出しながら、ガモン大佐は思う。
 綾崎ハヤテは自分の思うように動かなかった。
 人間の分際でありながら、思い通りに動かぬ人間。そんなものは、最近得た『新たな力』で殺してくれる――と。
 己を2度も殴りつけた愚者への殺意を胸に、ガモン大佐は再び総合体育館へと足を踏み入れる。

「……何?」

 総合体育館に入るや否や、ガモン大佐はそう呟いた。
 自分に向かって大口を叩いたはずの綾崎ハヤテが、そこにはいなかったからだ。
 逃げたか? そんな考えがガモン大佐の脳裏を過るが、その考えをすぐに消し去る。
 近くに誰かいるという気配を感じ取ったのだ。

(フン、人間の考えそうなことよ)

 胸中に人間への侮蔑の意を秘めながら、ガモン大佐は用具室まで歩いていき、ドアを勢い良く開いた。
 瞬間、ガモン大佐の顔面目掛けて、凄まじいスピードでバレーボールが飛来する。
 それを危なげない様子で回避し、中にいた男に声をかける。

「この部屋に灯りを点けなかったのは、今の奇襲の為だったのか? 綾崎ハヤテ」

 ガモン大佐の問いに表情を険しくしながら、中にいたハヤテが答える。

「……正解です。強力な力を持っているであろうあなたに、正攻法で勝てる気がしなかったのでね。
 しかし、こんなにも早く居場所を突き止められるとは……思ってもいませんでしたよ」
「思い上がりも甚だしいな」
「ええ、今ではそう思いますよ。ところで、1つだけ質問していいでしょうか?」
「フン、言ってみるがいい」
「なんで僕がバレーボールを投げたと思います? それも1球だけ。
 威力はもちろん、見えにくいという意味でも、野球やテニスのボールのほうが適していると言うのに」
「貴様は何を言っている」
109Classical名無しさん:08/01/02 23:57 ID:ZJ2t5tD6

110Classical名無しさん:08/01/02 23:58 ID:R3eO9KiY
                               

 目の前の男は何を言っている……イカレてるのか、この状況で?
 ガモン大佐の脳内にそんな考えが浮かんでくる。
 当然だ。
 誰が見ても絶望的な状況で、最後に得た質問の機会。
 それを意味の分からない、必要とは思えない質問で浪費しようとしているのだ。

「分からないんですか? そろそろ目が慣れてきたはずですから、気付きそうなものですが」
「何ィ? ――――ヌゥッ!?」

 ガモン大佐が声を疑問のあげたのと同時に、ハヤテが武装錬金『ピーキーガリバー』を展開。
 ガモン大佐もそれに気付き、後ろに飛んで距離をとる。

「そうそう何度も正面から喰らうとでも思っておるのか?」
「思っていませんよ。
 だからこそ投げたんですよ。暗くてよく見えなかったでしょうが――――」
「ッ!?」
「――――数枚のバレーボール用のネットを括りつけた、バレーボールをね!!」

 次の瞬間、ガモン大佐が宙に舞う。
 前方のハヤテからの攻撃を警戒していたはずが、何故か『後方』からハヤテの巨大化した右拳が現れ、アッパー気味の一撃を叩き込んだのだ。
 ハヤテの左手にはバレーボール用のネット。
 そのネットの先には、武装解除によって元の形態に戻った核鉄とそれを掴むハヤテの右腕。さらに先には、ハヤテが先ほど投擲したバレーボール。

(1度拳を叩き込むだけではダメージを受けないのなら……何度だって叩き込んでやる!)

 そう決意すると、ハヤテが右腕を再度分解させ、ネットの上を伝わせていく。
 暫く伝わせたところで、分解した右腕をくっつけると、右腕がネットに編みこまれているような状態になる。
 その編みこまれた右手が持っているのは、核鉄――『オー! ロンサム・ミー』は肉体だけでなく、持ち物や服も分解してロープを伝わせることが出来るのだ。

「武装錬金!」

 ハヤテがそう叫ぶと核鉄が光り輝き、篭手の武装錬金『ピーキーガリバー』を展開する。
 武装錬金が展開されたのを確認すると、ハヤテはピーキーガリバーに覆われた右掌を強く握り締め――

「まだまだァ!!」

 ――落下してきたガモン大佐に、もう2度目の巨大化した右拳からのアッパーを浴びせる。
 再び宙に打ち上げられるガモン大佐。
 しかしそこは、BADANのNO.2。
 空中で対抗策を練ったガモン大佐が、それを実行に移す。

(あのスタンドで移動できるのは、紐状の物がある場所だけ……
 ならば、ネットが無い場所に落ちればよいだけのことよッ!)

 ガモン大佐が体を捻ることで、強引に落下点をずらす。
 その結果、ガモン大佐が落ちてくるであろう場所に、ネットは存在しない。
 しかしハヤテは焦る素振りすら見せず、左腕を分解。そのまま一気にネットを伝わせる。
 バレーボールの近くまで伝わせると左腕をくっつけて、バレーボールを左腕で掴んで即座に投擲。
 バレーボールの飛来する方向は、ガモン大佐が落ちてくるであろう場所と同じ。
 勿論、括りつけられているネットも、転がるバレーボールに引っ張られる。
 バレーボールはガモン大佐の落下点を越えてしまうが、括り付けられたネットはガモン大佐の落下点にちゃんと存在する。
 ネットさえあれば体を伝わせることが出来るのが、スタンド『オー! ロンサム・ミー』。
 ガモン大佐の落下点にあるネットまで、分解させた右腕を伝わせ、くっつける。
 くっついた右腕には、既に『ピーキーガリバー』を装着済み。

「まだまだまだァ!!」
113Classical名無しさん:08/01/03 00:00 ID:3l0kAkQ.


 ハヤテが放つのは、三度目の巨大化した右拳からのアッパー。
 ガモン大佐が味わうのは、三度目の空中浮遊。


 そこからは、同じことの繰り返し。
 ガモン大佐が空中で体を捻って落下点をずらし、ハヤテの左腕がボールを投げてガモン大佐の落下点にネットを設置し、ハヤテの右拳が落下してきたガモン大佐にアッパーを叩き込む。
 それが数十回続いた後、ガモン大佐が空中で体を捻ることをしなくなる。

「ハァハァ……武装、解除……」

 ハヤテがピーキーガリバーを解除する。
 これだけ拳を打ち込めば、さすがにもう立ち上がれないだろう。
 空中で体を捻らなくなったのは、その為だろう。そう思っての行動。

「あの軍服男は……」

 ハヤテが、武装錬金とスタンドの同時使用による疲労のせいで、少し覚束ない足取りでガモン大佐の方へ向かう。

 もしもの為に、ネットが括り付けられたバレーボールと武器は携帯している。
 ハヤテがガモン大佐の生死を確認しようと、ガモン大佐に触れようとしたその時。

(――え!?)

 何者かの手がハヤテの腕を掴み、そのままハヤテを放り投げた。
 ハヤテが驚愕し、先ほどまで自分がいた場所を見る。
 瞳に映ったのは、起き上がるはずのないガモン大佐。

(なんであの人が!? いや、それよりも……)

 ハヤテの顔面が絶望に染まる。
 投げられた際に、バレーボールを奪われてしまっていたのだ。

「クッ……武装錬――」
「遅い」

 ハヤテがピーキーガリバーを展開しようとするも、ガモン大佐が投擲したバレーボールが核鉄を弾き飛ばす。
 後方に飛んでいく核鉄は掴めなかったが、咄嗟にバレーボールを掴み取ったので、一瞬ハヤテの脳内に希望が沸く――も、すぐにその希望は灰となる。
 括り付けていたネットは既に外され、飛来してきたのはバレーボールだけだったのだ。

「なかなか機転が利くではないか。
 だがこの私を――暗闇の使い、ガモンを殺すには足らぬ」

 ガモン――そんな参加者がいただろうか。
 そんな事をハヤテが考えている間も、ガモン大佐は言葉を続ける。

「足らぬ、足らぬ、足らぬ、足らぬ、足らぬ、足らぬ、足らぬ、足らぬ。
 パワーが! 冷徹さが! 殺意が! 全てが足らぬわッ!」

 そう言い放つと、ガモン大佐の目が輝きを放つ。
 そして、ガモン大佐の視線とハヤテの視線が、交わった瞬間――

「え……?」

 ハヤテが驚愕の声をあげる。
 持っていたはずのバレーボールも、何故か落としてしまっている。

(力が入らない。それに、体が……動かない……?)

 そう、体が動かなくなってしまったのだ。
 驚愕しているハヤテを見て、ガモンが御満悦な様子で言葉を投げつける。

「さぁ、恐怖のサインを私に見せるがいい。
 私が最近得た力――『エニグマ』を使わせてみるがいい!」

 そう言い放つと、白と黒の二色から成る禍々しさで溢れたスタンドを発現させる。
 スタンド名は、『エニグマ』。
 能力は、物質を『紙』に『封印』し、保存できること。
 封印したものは、その紙を『開くこと』で取り出せる。
 また紙が破壊された場合、『封印された物質も』破壊される。
 銃や蝶ネクタイなどの小さいものはもちろん、ロードローラーやゼロ戦などの巨大な物も封印することが可能。
 炎や電気などの、放っておいたらエネルギーが尽きてしまうものも、『封印した時のまま』保存可能だ。
 ただし、意思のあるものを封印するには、封印する対象が『恐怖』していなければならない。
 ちなみにこのバトルロワイアルの参加者への支給品は、全て『エニグマ』によって封印されたものだ。



 そのエニグマでハヤテを封印しようと、ガモン大佐がハヤテが『恐怖のサイン』を浮かべるのを待つ。
 しかし、ハヤテの目を見た瞬間、エニグマを解除する。

「その目……敵対を止めぬ瞳!
 『恐怖』せんというのか、この状況で!?」

 そう、ハヤテは『恐怖のサイン』を浮かべていない……
 それどころか、ガモン大佐に敵対を止めぬ瞳を向けているのだ。
 周りに『オー! ロンサム・ミー』で移動できるものが、ネクタイしか無いというのに。
 そもそも体が動かないというのに――だ。

 その姿が、ガモン大佐を苛立たせた。
 ガモン大佐の瞳から放たれる輝きが、さらに強くなる。

(すみません、お嬢様……)
117Classical名無しさん:08/01/03 00:02 ID:GTPR4RcQ
                         
118Classical名無しさん:08/01/03 00:02 ID:3l0kAkQ.


 更に体が重くなるのを感じたハヤテは死を覚悟し、胸中で主に侘びを入れる。
 それでも、屈したとは思われたくない――その思いから、ガモン大佐を睨みつけるのはやめない。

 ――ガモン大佐の視線の先、ハヤテの足元に亀裂が入る。
 ――轟音が鳴り響く。
 ――瞬間、ハヤテが先ほどまでいた場所に、半径2mほどの巨穴が空いた。

「何故助けた……」

 ガモン大佐がそう呟きながら、ハヤテが先ほどまでいた場所の上――天井を見る。
 そこにぶら下がっているのは、全身に横縞模様があり、C・A・G・Tの4つのアルファベットが全身に浮き出た、異形のスタンドのヴィジョン。
 名は『ホワイトスネイク』。
 本体は――

「エンリコ・プッチッ!!」

 ――『エンリコ・プッチ』。
 そのホワイトスネイクが、天井から床へと降りる。
 その腕の中には、綾崎ハヤテ。何が起こっているのか理解できない様子で、呆然としている。
 激昂しているガモン大佐を意に介さず、ホワイトスネイクが口を開く。

「元々ノ目的ヲ忘レテイルノカ? 少シ前ナラトモカク、今ノ綾崎ハヤテハ、『ボディ』ニ成リ得ル可能性ヲ秘メタ存在ダ。
 BADANノ者ガ傷付ケルベキデハナイ。バトルロワイアルノ流レニ任セルベキだ。
 『BADANノ為ニ』、私ハソウ判断シタ。決シテ裏切ッタ訳デハ無イ。ソレニ……」

 「ぐ……」と言葉を詰まらせているガモン大佐を尻目に、淡々とホワイトスネイクが言葉を続ける。

「裏切ル事ガ出来ナイトイウ事ハ、オマエガ1番理解シテイルハズダ――暗闇大使」

 ホワイトスネイクが言い終えてから数十秒ほどして、黙っていたガモン大佐が口を開く。

「……確かに、あの方の思惑から外れることになるな」

 その瞳からは、先ほどのような輝きは消えていた。

「だが、そやつが知ってしまったことについては、どうするのだ。
 貴様が記憶を抜き取るのか?」
「綾崎ハヤテガ知ッタコトガ、後ニ何カヲ成ト危惧スルノナラ」

 『参加者如きに存在を知られたくらいで、何か行動を起こすのか?』
 ガモン大佐に対する、ホワイトスネイクの遠まわしな挑発。
 それに気づいたのかは分からないが――ガモン大佐は「フン」と鼻であしらう。
 するとガモン大佐の足元に、光を放つ魔方陣の様なものが現れた。

「命拾いしたな、綾崎ハヤテ」

 ハヤテの方を向いてそれだけ言うと、より一層強烈になった光がガモン大佐を包み込む。
 暫くして、その光が消えた時。それまで傍観していた――いや、傍観するしかなかったのだが――ハヤテの体を戦慄が駆け巡る。
 ガモン大佐の姿が消えていたのだ。
 『超スピード』だとか『催眠術』みたいなチャチな物ではないのだろうな――ハヤテは漠然とだが、そう思った。
 呆然としていたハヤテを呼び起こしたのは、背中に走った衝撃。
 それまで綾崎ハヤテを抱えていたホワイトスネイクが、唐突に手を離したのだ。

「っ痛〜〜〜〜!? いきなり落とすこと――」

 そこまで言って、ハヤテの表情が変わる。
 いきなり落とされたので、素が出てしまったが――
 それどころでは無いということを思い出す。
121Classical名無しさん:08/01/03 00:03 ID:GTPR4RcQ
                                  

「――今の軍服の男あなたのやり取りは、いったいどういうことなんですか?
 そしてあの軍服の男……ガモンと名乗り、あなたが暗闇大使と呼んだあの男は……
 大首領とは……、裏切ることが出来ないとは……、軍服の男を包み込んだ光は……
 そもそもあなた自身……一体何なのですか?」

 真面目な眼差しをホワイトスネイクがそれまで『いた』場所に向け、ハヤテは疑問に思ったこと全てを投げかける。
 しかしホワイトスネイクは、そこから既に――

「あ……れ? いな……い…………?」

 ――消えていた。



【D-5/総合体育館 1日目 夕方】
【綾崎ハヤテ@ハヤテのごとく!】
[状態]下腹部、左肩、右頬に中程度のダメージ、核鉄とスタンドの同時使用により疲労極大、核鉄により自己治癒中、いろいろあったので混乱
[装備]454カスール カスタムオート(7/7)@HELLSING オー・ロンサム・ミーのDISC
[道具]支給品一式-水少量 13mm爆裂鉄鋼弾(35発)、ニードルナイフ(15本)@北斗の拳 女装服
音響手榴弾・催涙手榴弾・黄燐手榴弾、ベレッタM92(弾丸数8/15)
[思考・状況]
基本:マリアの死を無駄にしないためにも、力の無い人を助ける。命を捨てる事も辞さない。
1:何が何だか分からない。
2:軍服の男を放ってはおけないけど、一体どこに……? ガモンなんて参加者いたっけ?
3:力を得る。
4:ナギにあわせる顔が無い。
[備考]
※判断力が低下していたためヒナギクは死んだと思っています
※核鉄(ピーキーガリバー)@武装錬金、バレーボール(現地調達)、バレーボール用のネット(現地調達)が、総合体育館内に落ちてます。
※総合体育館の一部に、半径2mの穴が空いてます。
※ガモンを参加者だと思っています。



【??/?? 1日目 夕方】
【暗闇大使@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]ワープ中、ハヤテから受けたダメージは自然治癒中
[装備]エニグマのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]
[思考・状況]
基本:大首領の命令のままに
1:戻ったら、そろそろ放送。
[備考]
※首輪をつけてます。
※ガモン大佐がつけている首輪には、制限装置と爆破装置がつけられていません。
※その為にスタンドDISCが使えます。
※プッチに大して少し不信感を抱いていた模様(現在は不明)。



【??/?? 1日目 夕方】

【エンリコ・プッチ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]健康
[装備]
[道具]死神13のDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本:DIOと天国に行く。
1:ホワイトスネイクは解除した。
2:暗闇大使に首輪を起爆されるのは、避けねばならない。
[備考]
※首輪をつけてます。



【首輪について】
※身体能力、異能力を弱体化させる装置。
 嵌めた者を強制的に、全てのスタンドDISCに対する『適性』が存在する状態にする装置。
 爆破装置。
 上記の3つの装置が内蔵されています。
※能力制限装置は、制限する能力と制限の度合いを選択可能です。
※現在参加者に嵌められている首輪は、強者と弱者の格差をなくすように働いています。
※その為に弱者には軽い制限、強者には重い制限がかけられています。
125Classical名無しさん:08/01/03 00:05 ID:3l0kAkQ.

126Classical名無しさん:08/01/03 00:06 ID:GTPR4RcQ
                   
127 ◆hqLsjDR84w :08/01/03 00:06 ID:ipHmAdLE
投下完了です。
誤字、脱字、その他あれっと思う点があれば指摘してください。

最後になりましたが、あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。
128Classical名無しさん:08/01/03 00:10 ID:GTPR4RcQ
投下乙!
さすがジョジョ好きに定評のある◆hq氏!
スタンドの特性を生かしたバトルは素晴らしい!
プッチがBADANと異なる思惑があるってのもGJ。
129Classical名無しさん:08/01/03 00:14 ID:3l0kAkQ.
GJ!
さすがにスタンドバトルや神父の電波っぷりを出すのが、うまいですねw
エニグマやデスサーティンを出して、伏線を回収してる辺りも素晴らしいです。
いや、しかし神父の電波っぷりがマジで凄いわwww
130Classical名無しさん:08/01/03 00:17 ID:2a2gxS3o
支援が間に合わなかった。

>>90
投下乙!
ギイさん切ない。勝も死んで、エレオールに影響するかどうか不安に。
今後彼女の行く道は茨の道だな。
勇次郎、すれ違っただけかいw
レイプシーンを期待した俺の馬鹿!
GJ!

>>127
投下乙!
ハヤテがオー! ロンサム・ミーを使いこなしている。
ガモンも妙にアクティブだなw
スタンドと武装錬金の組み合わせは、かがみんのときも思ったけど鉄壁やな。
プッチの動向にも期待。
GJ!!
131Classical名無しさん:08/01/03 00:19 ID:S7Kc.JGM
>>127
投下乙です。
スタンドの使い方が面白い上に……何気にハヤテが重要な対主催側情報を掴んでる!?
今後の展開が面白くなりそうです。GJ。

瑣末なことですが……
>>106に「本にされてしまうわけにはいかない」との一行が残っているようです。
これは丸ごと削るのが適当かと。
132Classical名無しさん:08/01/03 00:21 ID:ipHmAdLE
>>131
あれ? そこ最初に直したはずなのに……
指摘ありがとうございます。
wikiに掲載された際に、修正します。
133132 ◆hqLsjDR84w :08/01/03 00:22 ID:ipHmAdLE
おっと、トリップ
134Classical名無しさん:08/01/03 00:56 ID:Whma8pFY
GJ!
空気と言われていたハヤテをこんなに格好よくするなんて!
スタンドと核鉄の使い方が面白いです。
あと、なんといってもプッチ神父が彼らしくて嬉しい
135告知:08/01/03 01:36 ID:nd7sASBc
お正月進行という事で
修正締め切りが三が日中で切れる作品は、その修正期限を一月四日いっぱいまで延長します

よろしくお願いいたします
136 ◆3OcZUGDYUo :08/01/03 10:57 ID:Q6FKO10w
>>127
投下乙です!
遂に神父が本格参戦ですか!相変わらずの電波だw
ハヤテもなんかカッコよくなってしまって……オー!ロンサム・ミーの使い方が上手いからですね。
そしてガモンも上手く描写されてて良かったと思います!

自分のSSの修正ですが>>86の部分を差し替え、あとエレオノールの状態表を少し修正しました。
何もなければこのまま投下するつもりなのでよろしくお願いします、

137Classical名無しさん:08/01/03 13:14 ID:bvx7tBYo
投下乙!!

あいかわらずプッチはDIO様大好きwww
プッチがどう動くかで大きく物語が変わるな
138ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/03 15:58 ID:WFBwBpy6
修正です。

>>46を下のに書き換えます。
----
 ラオウは走る。
 ズボンとパンツを下ろしたまま。現在、彼の大事な部分を覆い隠すものは存在しない。

「っく」

 かつて、これ程の恥辱を味わった事があったか。
 孤独な戦いでよかった。ラオウはひそかに胸をなでおろす。
 崩れ去るマンションから走り出て、ラオウは立ち止まった。

「…………次なる便座を探さねばな」

 生まれて初めての屈辱に、彼は隣にいる女性に気付くのが遅れてしまった。

「一体、何をしているんだ?」

 隣から聞こえる少女の声。
 見るとそこには、傷顔銀髪の女が一人。
 彼女は汚いものを見るような目でラオウの顔と股間を交互に見つめている。

 世紀末覇者ラオウ。
 彼の威厳は地に、いや地の果てに堕ちていった。
139ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/03 15:59 ID:WFBwBpy6
>>48も下記のように   訂正します。
----
【F-3 東中央市街北 1日目 夕方】
【ラオウ@北斗の拳】
[状態]内臓に小ダメージ 、鼻の骨を骨折、 胴体に刀傷 限界に近い程の全身フルボッコ(強がって気にしないフリをしている)、腹痛。下半身裸。
[装備]無し 核鉄(モーターギア)@武装錬金
[道具]支給品一式
[思考・状況]
1:ケンシロウを追う。
2:強敵を倒しながら優勝を目指す。
3:覚悟の迷いがなくなればまた戦いたい。
4:本郷、銀時の死に様に思う所あり。
5:赤木が気に入った。
6:便座を探す。
[備考]
※自分の体力とスピードに若干の制限が加えられたことを感じ取りました。又、秘孔を破られやすくなっている事にも
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました
※無意識にですが、その戦闘技術如何によらず、自らが認めた相手に敬意を払いその生き方をも認める事をしました
140ラオウ敗れる ◆9igSMi5T1Q :08/01/03 16:02 ID:WFBwBpy6
再度訂正
>[状態]内臓に小ダメージ 、鼻の骨を骨折、 胴体に刀傷 限界に近い程の全身フルボッコ(強がって気にしないフリをしている)、腹痛。下半身裸。

>[状態]内臓に小ダメージ 、鼻の骨を骨折、 胴体に刀傷 限界に近い程の全身フルボッコ(強がって気にしないフリをしている)、腹痛。下半身裸(ズボンとパンツは足に絡まっています)
に訂正します。
141Classical名無しさん:08/01/03 19:15 ID:KYj/9mN.
ああ…さすがにズボンとパンツが逝ってたら、
下半身裸のままTQN戦になだれ込みかねんしな。
これでシリアス戦闘できる書き手がいたら崇拝するわ。

修正乙です。
142 ◆3OcZUGDYUo :08/01/03 20:09 ID:Q6FKO10w
修正した箇所を投下します。
143>>86修正 ◆3OcZUGDYUo :08/01/03 20:11 ID:Q6FKO10w
一台の消防車が北上している。
その消防車の助手席にはオリンピアが、整然と座る。
そして運転席でハンドルを握り、アクセルを踏んでいる運転手が一人。
そう。言うまでもなく才賀エレオノールだ。

「まさかあんな夢をみてしまうとは……しかしあれは夢だ。
疲労のあまりあんな幻想を見てしまっただけかもしれない」
今の彼女はピエロのメイクもしておらず、私服を着ている。
そもそも才賀勝を守るために必要な変装だったので、最早意味などないからだ。
そんなエレオノールは夢の中でギイが言っていた事を思い出していた。
いくら考えても読む事ができないギイの真意。
だがたとえギイが言っていたとしても、所詮現実の世界ではなく夢の世界で言われた事。
その夢の内容をエレオノールはそこまで気にかけてはいなかった。
しかしエレオノールの脳裏にはある一人の人物の存在が以前よりもハッキリと焼きついていた。

「カトウナルミ……確かに私にはあの男ともう一度会わなければならない理由はある」
夢の中で鳴海の事を聞かされたエレオノールには、その話の真偽はともかく、鳴海への興味が沸いた。
それに鳴海がわざわざ刃牙に核鉄を与え、自分から逃げやすい状況をつくった事実についても真相を確かめていない。
刃牙に不快な声で捲し上げられ、冷静に考えれば短絡的だったと思えるあの時の自分の思考。
エレオノールの逆上しやすい性格が関与して、鳴海の真意を理解する猶予を与えなかった事で決めた自分の方針。
だがエレオノールはその方針を曲げるつもりはなかった。
エレオノールにとってやはり人間になる事はあまりにも魅力的な褒美だからだ。
たとえ本当にその褒美が貰えるのかわからずとも、その希望に縋りついていたかったから。
そのためにエレオノールは全ての心残りを絶つ事に決めた。

144>>86修正+状態表 ◆3OcZUGDYUo :08/01/03 20:12 ID:Q6FKO10w
「カトウ……決着をつけるぞ。私にとってもお前にとってもそれで全てがわかるハズだ。
私達の進む道は別れてしまったというコトを……」
そう。この殺し合いで知り合った鳴海との決着をつける事だ。
正直自分にはあの拳法のようなものを操る鳴海と真正面からぶつかれば勝機は低い。
だが、自分にはサーカスで鍛えた身軽さがある。
一瞬の隙をつき、しろがねの力で繰り出す手刀なりなんなりを急所に叩き込めば、自分にも勝機はある。
そう自分を奮い立たせ、ハンドルを握る腕に力を込め、アクセルを更に強く踏み込む。
目的はかって行動を共にしていた時、待ち合わせの場所に決めていた喫茶店。
恐らく鳴海が居ると思われる場所にエレオノールは消防車を向ける。
冷静に考えれば、武器もないこの状況で鳴海と闘うのは無謀ともいえるエレオノールの行動。
そんな行動を起こしたエレオノールの意識には今もなお、深く根付いた言葉があった。
“命をかける君だけの舞台がある”
夢の中でギイが言ったこの言葉、この言葉だけはエレオノールの脳を揺らし続けていた。
【D-3とD-4の境界/一日目 夕方】
【才賀エレオノール@からくりサーカス】
[状態]:健康、消防車で移動中
[装備]:なし
[道具]:青汁DX@武装錬金、ピエロの衣装@からくりサーカス、支給品一式
[思考・状況]
基本:殺し合いに優勝し、人間になる。
1:人形以上に強力な武器が欲しい。
2:ナルミと会い、闘うために喫茶店へ向う
3:私の命をかける舞台とは一体……?
[備考]
※参戦時期は1巻。才賀勝と出会う前です。
※オリンピアは懸糸の切れた状態で消防車の助手席に座っています。
※夢の内容はハッキリと覚えていますが、あまり意識していません。
※エレオノールが着ている服は原作42巻の表紙のものと同じです
※ギイと鳴海の関係に疑問を感じています。
※メイクは落としました
145 ◆3OcZUGDYUo :08/01/03 20:13 ID:Q6FKO10w
以上です。
ご迷惑おかけしました。
146Classical名無しさん:08/01/03 21:37 ID:wD.wAPOI
放送はいつ頃投下しましょう?
私としては現在予約があるもの全てが投下されてすぐにでも、放送投下でいいと思っているのですが。
また、放送が終わった次の日の0:00から予約開始ということで……


これは議論スレ行きですかね? とりあえず、本スレで提案。
147Classical名無しさん:08/01/04 00:04 ID:PsnPPLBI
禁止エリアの投票途中経過でーす。

E-8 4票
B-3 3票
B-1 2票

以下1票のエリア
C-3、C-1、A-5、G-4、G-2、C-6、G-6、B-4、F-3、D-6、H-3、H-6、D-4


手集計なので間違ってるかも。確認誰か頼む。
投票は前スレにて行なっております。明日の0時が締め切りでいいかな?
148147:08/01/04 00:38 ID:PsnPPLBI
なお、禁止エリアは投票制ではありません。
決定権は今回の放送を書く書き手さんの手にあります。
あくまでこれは書き手さんの参考にする為のものですので、そこを禁止エリアにしたい理由などを添えて下さるといいかもしれません。
149Classical名無しさん:08/01/04 22:38 ID:kIXUPFWQ
しかし、本当にスタンドDiskはやめて欲しいなぁ、しかも、あらゆるタイミングのスタンドを
Disk化出来てるとか無茶すぎるよ、ヘブンズドアーの刺さったBoyUMenとかしかも
プッチが関わってたとか、あらゆる時空に干渉できるような強力キャラじゃないよあいつ
、メイドインヘブン後なら、今更、こんなイベントに参加するわけないし
150Classical名無しさん:08/01/04 22:50 ID:/Ev1GMw.
雑談スレの感想リレーの人、乙だぜ!
151Classical名無しさん:08/01/04 23:02 ID:oCE6OWtw
◆NIooiMe9JM氏へ。
現在、修正状況はどうなってるでしょうか。
既に、修正期限の三日を過ぎているのでご連絡ください。
152Classical名無しさん:08/01/04 23:29 ID:5MN48IYQ
ところでラオウ、TQNとエレオノール、勇次郎の話は通しでいいの?
ならwikiにアップしちゃいたいが
153Classical名無しさん:08/01/04 23:30 ID:oCE6OWtw
別にNGな話は出てないから、通しだろ。
154Classical名無しさん:08/01/04 23:43 ID:TYi0dWCo
上がった修正版でどちらもOKかと
155Classical名無しさん:08/01/05 00:13 ID:5Lq/W.nQ
誰かwiki編集手伝って。
追跡表のところを頼む。
156 ◆L9juq0uMuo :08/01/05 00:33 ID:LarkhhZQ
明けましておめでとうございます。そしてお待たせしました、すみません。
それでは投下します。
157Classical名無しさん:08/01/05 00:35 ID:opkzwddY
     
158Classical名無しさん:08/01/05 00:36 ID:opkzwddY
       
159Don’t stop Don’t give up ◆L9juq0uMuo :08/01/05 00:36 ID:LarkhhZQ

夕焼けを背景に、自分の無力感からうつむく一人の少年と、それを見るだけしかできない三人の男。
その声が聞こえたのは、服部が少年、江戸川コナンに話しかけようとしたその時だった。

『カクゴォォォォ!!』

北の方角から聞こえるルイズの叫び。
その声を聞いたコナンはまだルイズが生きている事を知り、咄嗟に体が彼女の声のする方向へと向かおうとする。

『わたしを殺したのは、銀髪銀目の、顔に傷がある娘よ!!!』

『わたしを殺した』、それはつまり彼女は今、死に行く身だという事である。
その事実にコナン達の心が絶望に染まる。

『だけど彼女を許して、そして救ってあげて!! お願い、カクゴォォォォォォ!! みんなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

この殺し合いの場で自分と同じ境遇になりながら道を違えた女性を救う為、自らの命を顧みず、持てる力を振り絞った少女の叫び。
その思い、その覚悟は、奇跡的にも一区画も離れた反逆者達に確かに伝わった。
そして、その言葉を最後にルイズの声は聞こえなくなった。それはつまり、彼女が帰らぬ人となった事を意味していた。
それを理解したコナンが地に蹲るようにして伏した。
――また、間に合わなかった。
服部達の心にもまた絶望と悔恨に支配された。
やり場の無い怒りから、劉鳳の拳が壁を力強く殴る。
160Don’t stop Don’t give up ◆L9juq0uMuo :08/01/05 00:37 ID:LarkhhZQ

ややあして服部が口を開いた。

「……行こか、ルイズ言う嬢ちゃんの事、埋めたらなあかんしな。それに、できるなら最後の願いも無碍にはできんやろ」

平次の呟きに、アミバと劉鳳は沈黙で肯定する。
三人共にやりきれない表情をしている。
しかし、コナンだけは伏したまま動こうとはしない。

「おい、何してんねや坊主。お前もはよ……」
「俺は、行けない」

弱々しく、それでいてはっきりとした口調でコナンが断る。

「なに阿呆抜かしとんねん、ええからとっとと……」
「行けねぇって言ってんだろ!」

夕焼けの住宅街にコナンの叫びが響く。

「……何もできなかった……」

ぽつりとコナンが呟く。
地に蹲っている事からその表情は読めない物の、その語気は、後悔や無力感、悔しさ、自責等の感情に満ちていた。

「病院の時も、マリアさんが殺された時も、新八さんが俺達を逃がすために残ってくれた時も、そして今も。俺は、何もできなかった」

泣いていた。口では色々と言いながらも、結局何もする事ができず、犠牲者だけを出してしまった不甲斐ない自分に対して、無力な自分に対してコナンは泣いていた。

「俺は探偵失格だ。俺はもう、一歩も前に歩けない」

挫折が、絶望が、コナンの体を縛り付けて話さない。
それを平次はおとなしく聞いている。逆光のせいで彼の表情は読み取れない。
161Classical名無しさん:08/01/05 00:38 ID:coLeYOE.
 
162Classical名無しさん:08/01/05 00:38 ID:opkzwddY
       
163Don’t stop Don’t give up ◆L9juq0uMuo :08/01/05 00:38 ID:LarkhhZQ

「だから俺の事は……」
「馬鹿たれが」

コナンの弱音を服部が切り捨てる。

「おい、服部! いくらなんでもそれは……」
「あんたは黙っといてくれへんか、これはオレとこいつの問題や。それに、今のこいつは馬鹿以外の何者でもないわ」

傷ついた少年に対する暴言を咎めようとした劉鳳を黙らせ、服部はコナンへと厳しい表情を見せる。

「なん……だと?」

ロクに事情も知らない癖に自分を馬鹿と決め付ける服部に対し、怒りが湧き、コナンが服部に詰め寄りくってかかる。

「ふざけるんじゃねぇ! たった今来たテメェに何で馬鹿にされなきゃいけねぇんだ!! 俺は何もできなかった、助けを呼ぶくらいで後は逃げる事しかできなかった! その挙句に俺を助けてルイズは死んじまったんだ!
俺は探偵として、一人の人間として、どうする事もできなかったんだ!! それを……それを……」

コナンは涙と共に自らの激情を叩きつける。
それに対して服部は何も言わず、動ずる様子もなく、ただ、コナンの事を見ている。

「テメェに俺の何がわかるっていうんだっ!!」

夕焼けにコナンが吼えた。自分の無力を嘆き、目の前で行われた凶行を止める事ができなかった事を悔やみ、コナンが吼えた。
164Don’t stop Don’t give up ◆L9juq0uMuo :08/01/05 00:40 ID:LarkhhZQ

「わからんなぁ」

沈黙を保っていた服部が静かに、しかし、はっきりとコナンに告げる。

「わかりたくもねぇよ、だから言うてここで挫折するような阿呆の気持ちなんてな」

コナンを見据え、服部は続ける。

「オレらもな、仲間が一人、逝ってもうたんや。……タバサ言うてな、お前が言うてたルイズの友達や」

彼女と初めて遭遇した事、バイクを組み立てた事、二人でバイクに乗ったこと。
この殺し合いでの彼女との出来事が服部の脳裏に次々と浮かぶ。

「オレかてお前と同じや、あいつが死んだ戦いで、ロクに何もでけへんかった」

銃を前に体が竦んでいた、死の恐怖に怯えていた。
服部の表情もまた、悔しそうに歪んでいた。

「せやけど、オレは止まらんぞ。止まってたまるか! ここで止まったらタバサの奴は無駄死にや、せやからオレは絶対に止まらんぞ! お前かてそうや、ここでお前が止まったらお前を助けたルイズの行為は、命をかけた行為は無駄になる!
お前はそれでええんか? 探偵として、一人の人間として何もでけへんかった、だから言うて、お前はこれから助けられるかもしれん命も、命をかけた奴の行為も全部棒に振ってええ言うんか!? オレはそんなん御免や、お前はどうや? 答えろ!!!」

夕焼けに服部が吼える。無力を嘆き、悔いながらも諦めずに前へと進もうとする青年は、好敵手と定めた友に吼える。
対するコナンの表情は俯いている為に確認できない。
165Classical名無しさん:08/01/05 00:40 ID:coLeYOE.
バーロー支援
166Classical名無しさん:08/01/05 00:41 ID:J8eqUp6Q
 
167Don’t stop Don’t give up ◆L9juq0uMuo :08/01/05 00:41 ID:LarkhhZQ

「そう、だな」

コナンが顔を上げる。その瞳は先ほどとは違い覇気に、決意に満ちていた。

「あいつの為にも、ここで止まれねぇ。……探偵が諦めたら、そこでおしまいだよな」

そう言って笑うコナンに対し、服部もまた笑顔を浮かべる。

「ようやっといつものお前に戻ったな」
「すまねぇ、迷惑かけちまって」
「ええって、ええって、気にせんとき。お前がそんな調子じゃあこっちも調子狂うよって」

申し訳無さそうに顔をうつむかせるコナンの頭を、服部がぽんぽんと叩き、劉鳳とアミバの方を向く。

「すまんなぁ劉鳳はん、アミバはん、時間とらせてもうて」
「いや、構わん」
「俺もだ、こんなところに子供を一人で置いていく訳にもいかないからな」

劉鳳、アミバ共に、一人の少年がこの殺し合いの場で立ち直った事に安堵していた。
彼らもまた、またも間に合わなかった事を悔いていた。
しかし、彼らも止まる事は選ばない。
服部の言う通り、タバサの死を、助けられる筈の命を棒に振る訳にはいかない。
何より、一人の男から受け継いだ『反逆』が、自らの心に燃える『正義』が、彼らがここで立ち止まる事を良しとしなかった。
168Classical名無しさん:08/01/05 00:41 ID:opkzwddY
 
169Classical名無しさん:08/01/05 00:41 ID:J8eqUp6Q
  
170Classical名無しさん:08/01/05 00:42 ID:coLeYOE.
 
171Don’t stop Don’t give up ◆L9juq0uMuo :08/01/05 00:42 ID:LarkhhZQ

コナンは今日この時までに出会った人々を思い出す。
毛利小五郎、灰原哀、志村新八、マリア、吉良吉影、坂田銀時、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエール、葉隠覚悟、神楽。
まだ生きている者もいれば、既に命を失った者もいる。
彼らの死を無駄にしない為にも、まだ生きている彼らと共にこの殺し合いから脱出する為にも、こんなところで止まる訳にはいかない。

(そうだ、俺はこんなところで止まるわけにはいかねえんだ。諦める訳にはいかねえんだ。
覚悟は決めた。何があっても、何があっても俺は、この殺し合いを止めて見せる!!)

コナンの脳裏にルイズの最後の願いが響く。

(俺に何ができるかはわからねえ、でも、お前の願い、俺が必ず叶えてみせるからな!)

新たな決意を胸に、コナンは空を見上げた。
夕日は沈みかけ、これからの彼らを暗示するかのように暗闇が迫ってくる。
しかし、その中にあってもまだ光るものがあった。
まるで闇にも屈さぬ一筋の希望のように、一番星が迫りくる闇の中、きらりと光っていた。
172Don’t stop Don’t give up ◆L9juq0uMuo :08/01/05 00:43 ID:LarkhhZQ
【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:全身打撲。左肩脱臼。疲労大。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、スーパーエイジャ@ジョジョの奇妙な冒険、鷲巣麻雀セット@アカギ
[思考] 基本:仲間を集める。
1:新たな決意、ルイズを埋葬しに行く。
2:ルイズの最後の願いを叶えたい。
3:ルイズを守れなかったことと殺人を止められなかったことに後悔。
4:覚悟さん達と合流
5:ゲームからの脱出
6:ジグマールを警戒
[備考]
※メガネ、蝶ネクタイ、シューズは全て何の効力もない普通のグッズを装備しています。
※自分達の世界以外の人間が連れてこられていると薄々感づきました。これから、証拠を集めて、この仮説を確認しようとしています。
※川田、ヒナギク、つかさの情報を手に入れました。
※ヌンチャク、バラバラになったシャンゼリオンのDVDは近くに放置されています。
173Classical名無しさん:08/01/05 00:43 ID:J8eqUp6Q
 
174Don’t stop Don’t give up ◆L9juq0uMuo :08/01/05 00:43 ID:LarkhhZQ
【劉鳳@スクライド】
[状態]:疲労中、全身に小程度のダメージ、左肩と腹部にダメージ中、右拳骨折(包帯が巻いてある)、核鉄で治癒中
[装備]:ニアデスハピネス@武装錬金(核鉄状態)
[道具]:支給品一式、4色ボールペン、色々と記入された名簿、スタングレネード×2 、タバサの眼鏡
     タバサのデイパック(内容は液体窒素(一瓶、紙状態)、支給品一式 、色々と記入された名簿)
[思考・状況]
1:ルイズを埋葬しに行く
2:ルイズの最後の願いについてどうするか。
3:防人と合流、タバサのことを知らせる。
4:悪(主催者・ジグマール・DIO・アーカード・村雨)は断罪、弱者(シェリス、キュルケ)は保護。
5:シェリス・防人の知り合い・桐山の知り合い・核鉄を探す。
6:シェリスに事の真相を聞きだす。
[備考]
※絶影にかけられた制限に気付きました。
※桐山・防人・服部・タバサと情報交換しました。
※平次の策に乗る気はありません。
※タバサの遺体を抱え、制服の袖の部分がタバサの血で濡れています。
※E−6にタバサを埋葬しました。ネクロノミコンはそこに置いてあります。
※銀髪銀眼の顔に傷のある人物が殺し合いに乗った事を知りました。
175Classical名無しさん:08/01/05 00:44 ID:coLeYOE.
支援
176Classical名無しさん:08/01/05 00:44 ID:opkzwddY
  
177Don’t stop Don’t give up ◆L9juq0uMuo :08/01/05 00:44 ID:LarkhhZQ
【アミバ@北斗の拳】
[状態]:健康、疲労小、強い決意、今までの自分に強い自己嫌悪(多少軽減)
[装備]:ジャギのショットガン@北斗の拳(弾は装填されていない)、携帯電話 、
[道具]:支給品一式(×3)(一食分消費済み)
     綾崎ハヤテ御用達ママチャリ@ハヤテのごとく、ノートパソコン@BATTLE ROYALE(これら三つは未開封)
     ギーシュの造花@ゼロの使い魔、神楽の仕込み傘(強化型)@銀魂 、
     スティッキィ・フィンガーズのDISC@ジョジョの奇妙な冒険、空条承太郎の記憶DISC@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本:ゲームの破壊、主催者の殺害。
1:ルイズを埋葬しに行く
2:ルイズの最後の願いについてはどうするか。
3:病院へ向かい、防人と合流。
4:ゲームに乗っていない人物と協力する。
5:ゲームに乗った人物と遭遇した場合説得を試みて駄目なら殺害する。
6:ケンシロウとラオウには出来れば会いたくないがいざとなったら闘う覚悟はある。
7:服部の策に乗り、脱出をネタに仲間を募る(一時的に保留)。
[備考]
※参戦時期はケンシロウに殺された直後です。
※『スティッキィ・フィンガーズのDISC@ジョジョの奇妙な冒険』の説明書は存在しません。
※服部・タバサと情報交換をしました。
※スティッキィ・フィンガーズのDISC、空条承太郎の記憶DISCに興味を持っています。
※銀髪銀眼の顔に傷のある人物が殺し合いに乗った事を知りました。
178Don’t stop Don’t give up ◆L9juq0uMuo :08/01/05 00:45 ID:LarkhhZQ
【服部平次@名探偵コナン】
[状態]:健康。両頬が腫れている
[装備]:スーパー光線銃@スクライド、ハート様気絶用棍棒@北斗の拳 、バイクCB1000(現地調達品)
[道具]:首輪、「ざわ……ざわ……」とかかれた紙@アカギ(裏面をメモ代わりにしている)、支給品一式 、色々と記入された名簿。ノート数冊
     才人のデイパック(内容は支給品一式、バヨネット×2@HELLSING、
     紫外線照射装置@ジョジョの奇妙な冒険(残り使用回数一回)未確認)
[思考・状況]
基本:江戸川コナンよりも早く首輪のトリックを解除する。
1:ルイズを埋葬しに行く
2:ルイズの最後の願いについてはどうするか。
3:病院へ向かい、防人と合流。
4:シェリスを発見し、真実を明らかにする。
5:自分自身にバトルロワイアル脱出の能力があると偽り、仲間を集める(一時的に保留)
[備考]
※劉鳳と情報交換を行い、シェリスの名前を知りました。
※劉鳳、アミバ、タバサの事は全面的に信用しています。
※自分自身にバトルロワイアル脱出の特殊能力があると偽るつもりです。
※バトルロワイアル脱出の特殊能力は10人集まらないと発動しません。(現時点での服部設定)
※脱出作戦を行うかはどうかは考え中。
※銀髪銀眼の人物が殺し合いに乗った事を知りました

[共通備考]
※劉鳳、服部、アーカードの持つ名簿には以下の内容が記載されています。
 名簿に青い丸印が付けられているのは、カズマ・劉鳳・シェリス・桐山・杉村・三村・川田・才人・
 ルイズ・防人・カズキ・斗貴子・タバサ・キュルケ・コナン・服部 ・灰原
 赤い丸印が付けられているのは、ジグマール・DIO・アーカード・散・村雨
 緑色の丸印が付けられているのは、蝶野
179Classical名無しさん:08/01/05 00:46 ID:J8eqUp6Q
バーロー復活ッッ! バーロー復活ッッ! バーロー復活ッッ! バーロー復活ッッ! バーロー復活ッッ!
180Don’t stop Don’t give up ◆L9juq0uMuo :08/01/05 00:49 ID:LarkhhZQ
以上で投下終了します。
なんかトライガンとか烈火の炎の関西弁が混じって服部が書きづらかった……。

それと新年一発目の誤字を発見しましたので

挫折が、絶望が、コナンの体を縛り付けて話さない。→挫折が、絶望が、コナンの体を縛り付けて離さない。
に差し替えます。

では質問等ありましたらばお願いします。

そして今年もよろしくお願いします。
181Classical名無しさん:08/01/05 00:55 ID:opkzwddY
あけおめ&盛大な乙!!
コナンの落ち込みと服部の叱咤激励、そしてコナンの復活に熱くなりました。
コナンがルイズの最後の願いを聞けば、そりゃかなえたいと思うわ。
服部たちもどう動くか、じつに興味深い終わり方でした。
GJ!!
182Classical名無しさん:08/01/05 00:56 ID:J8eqUp6Q
こいつらと合流して鬱っぱなしってな流石に無理だなwwwwwwwwwww コナンのここまでの足手纏いっぷりが流石に堪えたって描写も好きですよ私は
そして……そうか、こいつらに聞こえちまったか……茨の道は長く深そうだぜー。そんな先行き不安な展開がとてもCoolでした。GJ!
それとトライガン云々というのはアレかね、服部にハルコンネン持たせろとかそういう遠まわしな要求かね。精霊の力で十字架タイプに変形せよとwwww
183Classical名無しさん:08/01/05 01:08 ID:coLeYOE.
投下乙!
あのメンツにかかればバーローが失墜するなんて無理だよなw
つかバーローちゃんと銀髪銀眼のやつの詳細教えないとなんか勘違いされるぞ
184Classical名無しさん:08/01/05 03:20 ID:hvbLyNlQ
>>145
ああ、ギイ先生……切ねえ
鳴海とエレの因縁……気になるなあ!
修正も乙でした! GJ!

>>180
服部、お前がこんなに輝くとはなあ。
ウザかったはずのコナンも何だかカッコいいし……
劉鳳、アミバ、コナン、服部、この男達からは、目が離せねえ!!
GJ!
……関西弁は確かに難しいっすよね。
185 ◆NIooiMe9JM :08/01/05 03:43 ID:ZaZGL5Wk
十九九九九九九〜史上最大の同い年〜の修正版を
一時投下スレに投下しておきました。

おもな修正場所は
おっぱい→赤髪
敬語→普通
あと多々あるアカギのセリフ
そしてジグマールのことがわかったか
その他目に付くところは修正しておきました
後はちょくちょくwikiのほうで発見次第修正したいと思います

最後に重要なこと
遅れてしまい本当に申し訳ありませんでした。以後精進します。
186Classical名無しさん:08/01/05 03:53 ID:5Lq/W.nQ

今から読む。多分、感想は明日になると思う。
俺ももう寝るので
187 ◆C1.qFoQXNw :08/01/05 13:42 ID:IKk4d4TA
最後の予約と修正が投下されたようなので放送いきます。


午後6時から時間はややさかのぼる。
ガモンのいなくなった監視室で光成は自責の念に苛まれていた。
脅迫されていたとはいえ大人数の拉致に手を貸し、あげくシエスタという少女を無残に殺害してしまったのだ。
自ら手を下さなかったものの他にも29人の死亡が確認されている。
(ワシは――どうすればいいんじゃ…?)
背後でドアが開く音がする。ガモンが帰ってきたかと振り向くと科学者然とした男が立っていたる。
「伊藤と申します。徳川さん、折り入ってお話があるのですが――」


さて諸君、午後18時の定時放送を始める。調子はいかがだろうか? 
まだ一人も仕留めておらぬ童貞もいるようだが、夜になればまあ状況も変わるじゃろう。
では恒例の禁止エリアと脱落者を発表する。
午後19時からB−1
午後21時からD−7
午後23時からH−6
次に惜しくも脱落していった者達は――

葉隠散
マリア
タバサ
防人衛
坂田銀時
空条承太郎
範馬刃牙
志村新八
才賀勝
ルイズ
――以上10名じゃ。
188 ◆C1.qFoQXNw :08/01/05 13:44 ID:IKk4d4TA
フム、前回より一名減とは参加者減少ペースはほぼ一定といったところかのう。
判っているとは思うが闇夜では狩人が何時の間にか獲物になっている場合もある。
力無き者には踏んだり蹴ったりかも知れんが逆も又真なり、じゃ。チャンスは平等故に精進せよ
…だがあえて言わせてもらえば益荒男が一方的に弱者を狩る、といのも考え物じゃ。ワシが“地下闘技場”を主催していたときのように強者同士一対一に限る。
ああ、別に首輪をいじったりなどと強制はせんぞ。ワシ個人の嗜好故、無理に“地下闘技場”を再現せんでもいい。ゲーム進行は諸君らの自主性に委ねたい。
では御機嫌よう、6時間後の放送を心待ちにしていたまえ。


ガモンは放送直前に帰還した。多少負傷しているようだが少なくとも奴に手傷をあたえる猛者が残っているということか。

『私は首輪の事を調べてみます。光成さん、何とかして参加者たちと接触する手段を得ていただきたい』

伊藤博士――彼も自分同様無理矢理バダンに協力させられており参加者の一人村雨良のメンテナンス関わっていたという
彼は語る、ガモンの目的とその手段を。このままではいずれ『大首領』なる存在が復活してしまう。
自分にできる償いは殺人ゲームの破壊と生き残った者に倒される事、それには――
(あやつを出し抜けるのか…いや、やらなければならんのじゃ)
現在参加者との接触手段は放送のみ、あれが限界のメッセージだ。後は伊藤博士の手腕に期待する他無い。
反抗の機会をうかがうのは参加者だけでは無い。自分もその一人なのだ、と。

*伊藤博士の参加時期は原作(仮面ライダーSPIRITS)4巻からです。
189Classical名無しさん:08/01/05 14:03 ID:TqykH8TE
放送乙。禁止エリアも無難なところですね。
1つくらいマップ中央近くとかでもよかったかもしれないですけど。
徳川さんが味方を得て、どう動くかは今後かなり重要になってきますね。
ステルス対主催って斬新じゃね?w
190Classical名無しさん:08/01/05 14:35 ID:XsA2NLrA
いや〜残り人数も約半分だし放送迎えたし前半戦終了か〜最初期からいる俺としては感涙物だよ。
191Classical名無しさん:08/01/05 15:27 ID:H/26.Dws
放送乙!
という事は明日の零時から予約開始って事かい!?
192Classical名無しさん:08/01/05 17:11 ID:5Lq/W.nQ
>>185
読んできますた………赤木の喋り方が凄く幼稚に見える以外は特に問題ないのかな……
193Classical名無しさん:08/01/05 19:44 ID:4F4In7UQ
>>191
OK!!!
194Classical名無しさん:08/01/05 20:21 ID:rR6UAFag
長かったようで……短かったようで……
195Classical名無しさん:08/01/05 21:20 ID:xCsAO176
じゃあ後約二時間四十分程で予約合戦開始でよろしいんですね皆さん!?
俺は大丈夫だぜ!
196Classical名無しさん:08/01/05 23:25 ID:5Lq/W.nQ
>>185はもうwikiに掲載してOK?
197Classical名無しさん:08/01/07 00:19 ID:ydZleNnw
ところで、◆L9juq0uMuo氏のDon’t stop Don’t give up だけwikiでスルーされてるんだが、没にでもなったの?
198Classical名無しさん:08/01/07 00:50 ID:emTkkdRo
>>197
俺が時を止めた…◆L9juq0uMuo氏が投稿した時点でな

時は動き始めた
199Classical名無しさん:08/01/07 01:49 ID:emTkkdRo
同タイミングでwiki編集してた人、やりにくかったろう
すまなかった
200Classical名無しさん:08/01/07 01:57 ID:ajJmKD6Q
◆L9juq0uMuo氏へ。
Don’t stop Don’t give upの収録が遅れて申し訳ありませんでした。
何とか収録が終わりましたのでここにお詫び申し上げます。

>>199
無問題。一緒にやってくれてありがとう。


あとDon’t stop Don’t give upには登場人物の位置が記述されていませんでした。
念のためご確認ください。暫定的に前回の位置と同じとして扱っています。
(というか、こういうと誤解されそうですが、収録してくださったのは、ほとんど199氏ですので、彼に多謝)
あと、位置が間違っていた場合は修正して欲しいのですが、間違っていても正しくても、
SS本文のほうに位置情報を入れておいてください。
その方が、後々やりやすくなるとおもいます。

以上です。
201Classical名無しさん:08/01/07 02:12 ID:ReLS/lWU
質問がありますが、今週号の銀魂キャラが『スタンド』を知っていたのは普通にスルーで良いんですか?
202Classical名無しさん:08/01/07 02:33 ID:emTkkdRo
>>201
こなたやナギと同じように記憶制限でいいんでない?
そもそもジャンプがあるって事態まずいわw
203Classical名無しさん:08/01/07 16:25 ID:ydZleNnw
ところで三村の雷管ってやっぱり没収かな?
特別プレゼントを見てみたい俺が言ってみる。
204Classical名無しさん:08/01/07 16:45 ID:M0nvdg16
そろそろあれだ、承るの記憶ディスクを使って欲しいな。
てかあれが脱出及び対主催のキーアイテムだと思うのは俺だけか?
205Classical名無しさん:08/01/07 17:43 ID:JyF3f7wg
いつのときの承太郎の記憶だか知らんが特に脱出に役立つ記憶なんてあるか?
せいぜいが吉良対策とかジョセフのスタンド開花とかそんなもんだろ。
記憶じゃなくてスタープラチナのディスクならともかく
206 ◆L9juq0uMuo :08/01/07 19:20 ID:LDNyjpuE
いえいえお気になさらず。載せて頂いただけでありがたいんで。
では名無しに戻ります
207Classical名無しさん:08/01/07 20:44 ID:fKmUTBp6
アニ2ndでテーマソングの話をしててふと思ったんだけど
ここのテーマソングを決めるとしたらどうなるかな?
なんかコテコテの熱血アニソンになりそうな気もするけどw
208Classical名無しさん:08/01/07 20:53 ID:Kc7km.i2
俺もそう思う
JAM roject
209Classical名無しさん:08/01/07 20:54 ID:Kc7km.i2
途中送信スマソ

JAM ProjectのGONGとかSKILLとか未来への咆哮らへんかなと思った
210Classical名無しさん:08/01/07 21:59 ID:iZOeU41I
>>205
普通の奴に渡っても、確かにDIO・吉良対策ぐらいかもしれない。
だが、ハヤテに渡った場合だけは少し分からない。
承太郎は、ホワイト・スネイクの姿をホンの僅かとはいえ確認しているからな。
主催者側に繋がると言えば繋がるヒントだ
211Classical名無しさん:08/01/07 22:15 ID:LDNyjpuE
真っ赤な誓いに一票
212Classical名無しさん:08/01/07 22:22 ID:Gz4qXArM
いやいや限界バトルだろう
213Classical名無しさん:08/01/07 23:04 ID:NKUsPG4A
いやいやVICTORYもいいかと!
しかし全部JAM系なのに笑ったW
214Classical名無しさん:08/01/07 23:27 ID:y48eYk0s
JAMといえばGO!を忘れちゃならん
215Classical名無しさん:08/01/08 02:04 ID:C3Jg1mIA
マジレス&洋楽ですまんがMy Chemical Romanceの「Welcome to the black parade」オススメ。メロディも歌詞もハマリと思うのですよ
216Classical名無しさん:08/01/08 11:14 ID:v2EA6m/E
テーマソングってよりエンディングっぽいかもだけど
RIP SLYMEのOneに一票
217Classical名無しさん:08/01/08 13:43 ID:kCQ.Ijcw
真っ赤な誓いも惜しいけど
個人的にはやっぱり覚悟完了!に一票
218Classical名無しさん:08/01/08 14:33 ID:5lw/Mn5w
ここまで影山ヒロノブ HEATS なし
219Classical名無しさん:08/01/08 14:51 ID:t9OCHUNw
ハヤテの持ってるディスクて第七部のだよな。
神父が生きてるのに第七部のはまずいんじゃ…ね?
220Classical名無しさん:08/01/08 16:20 ID:ROF68QYQ
大首領はなんでもありだから無問題
221Classical名無しさん:08/01/08 17:24 ID:wX/T2UsE
多分最終話あたりはスクライドみたいに色々フリーダムになると思われ
いい意味で
222Classical名無しさん:08/01/08 18:46 ID:FmQaC1cM
B'zのナンバーで「黒い青春」と言ってみる。
歌詞がね、特に原作バトロワ勢に合ってる。
223Classical名無しさん:08/01/08 22:31 ID:sLK1qxJk
すまん!今気づいたけどwikiで支給品欄を編集した人超GJ!!!
お陰でかなりわかりやすいぜー。
224Classical名無しさん:08/01/08 22:41 ID:b1HOcryw
>>223
まだ全部やってないんだ。
真似して、続きやってくれる人がいたらうれしい。
俺は今日もうねる
225Classical名無しさん:08/01/08 23:29 ID:f4PGlNds
さっそく気になったんだけど、強化外骨格『零』って二つの零、二つの魂に出てたっけ?
226Classical名無しさん:08/01/09 07:55 ID:H2Z.nOaE
>>225
その話の「二つの零」とは、ゼロのルイズと覚悟の「零式防衛術」を指すのではないかとマジレス
227 ◆3OcZUGDYUo :08/01/09 20:54 ID:j7bqI8SQ
投下ラッシュ一番手は貰った!
台詞ばかりなのに何故か長めになってしまったけど気にしないでw
という事でナギ、鳴海、独歩投下します
228Classical名無しさん:08/01/09 20:56 ID:6oFwd9C.
    
初めは夢だと思ってたんだ。
こんなゲームや漫画みたいなふざけたコトなどあるハズがない。
けど実際に私の目の前でメイド服の女の首が飛んだ時、これは夢なんかじゃないってコトに気付いた。
だからあのミツナリとかいうジジィが言った、このバトルロワイアルに連れて来られた時は、正直寂しさで死にそうだった。
もうハヤテやマリアやヒナギク達に……いやあいつらだけじゃない。
サクや伊澄やワタルやタマやハムスターやクラウス達にも、もう会えなくなるんじゃないかと思うとどうしようもなかったんだ。
けどジョジョやカズキと知り合う事ができて、更にあのハヤテにも会えたから私の不安はどこかに消えていった……そう信じたかったのだ。
でもカズキもジョジョも私のせいで死んでしまった。
どうやらジョジョと闘ったあの短パン男は私の目の前に居る、ドッポというおっさんの知り合いでバキという男だったらしい。
理由はどうあれ私はバキという男を許すつもりはない。
けど、だからといってハヤテがバキという男を殺した事を、喜べるわけもないんだ……。
どこかに駆けて行ったハヤテに、その事を問い叱ってやろう……そう思っていたのに。
なんでだよ……なんで私を置いて行っちゃったんだ…………?
いつもおまえは私がどんなコトを言っても優しく聞いてくれたじゃないか……?
なんでなんだよ……教えてくれよ……マリア………………。

◇  ◆  ◇
初めて会った時は、どこか気に入らない子供だった。
小奇麗な服を着て、小学生のくせに敬語でオレに話しかけた子供。
『サーカスに連れてって』とオレに頼んだ子供は、遺産がらみで親戚に命を狙われていた。
オレにとっては次元が違い、あまりにもイカレタ理由であの子供を狙う大人共。
オレはボコボコにやられながらも、ヤツラと必死に闘った。
やせっぽちで、すぐにピーピー泣く子供が、どこか昔のオレ自身とダブったってのも多分あると思う。
だが、それよりもオレには許せなかった。
あんな小さな子供がどうしようもねぇ大人のために、アイツだけの人生を踏みにじられるコトが。
その怒りを胸に闘った俺がヤツラに囚われた時、あの子供は身を挺して、逆にオレを助けに来た。
もう別人ともいえるほど、いいツラをしてな。
あの時の、あの子供のボロボロな姿を、オレは決して忘れない。
そう、思ってオレは絶対に守ってやると心に決めたハズだ……それなのによ。
なんでオレは忘れてたんだ……なんで腕を一本持っていかれ、アクア・ウィタエでしろがねになっただけで忘れてた…………?
なんであんなに大事なコトを忘れちまったんだ……オレが護ってやれなかったコトを。
そしてまた、オレは守ってやるコトができなかった……バカな道化だオレは……。
すまねぇ……すまねぇ……オレは今までおまえのコトを思い出すコトができなかった……。
以前、喫茶店でオレの方をチラチラと視線を向け続けていた、その意味を理解できなかったオレを恨んでくれ……。
オレはあいつにお前を護ると誓ったハズなのによ……。
ほんとうにすまねぇ…………勝……………………。

◇  ◆  ◇
第三回定時放送を告げる声が終わり、支給された名簿や地図に鉛筆を走らせていた、愚地独歩の腕が止まる。
今、愚地独歩、加藤鳴海、三千院ナギの三人は今、D-3エリアの東部にある民家に身を潜めていた。
やはりナギにとっては会ったばかりの独歩に抱きかかえられ、黒王号に揺られるよりも自分の足で立つ方が安心できたのだろう。
今は備え付けられていたベッドにナギは横になっていた。
そしてベッドの近くに置かれたテーブルと二つの椅子。
その二つの椅子に、独歩と鳴海が腰を下ろしたというのが今現在の構図だった。

『――では御機嫌よう、6時間後の放送を心待ちにしていたまえ』

第三回定時放送を告げる声が終わり、支給された名簿や地図に鉛筆を走らせていた、愚地独歩の腕が止まる。
その表情はとても穏やかといえるようなものではない。
“人食いオロチ”とも称される独歩の今の様子は、さながら噴火寸前の火山のようなものだった。
こんなバカげた行いには、到底闘いの歓喜など味わうことなど出来ない。
だが、範馬勇次郎、“オーガ”と謳われる者は必ずこの状況を愉しむため、他の参加者を喰らい続けるだろう。
そんなコトをさせはしない。
決意を強め、拳を力強く握り締める独歩。
だが、独歩は流し込んでいた力をふと放散させる。

(……ナニも言えねぇよな、やっぱよ)

悲痛な表情で、心の中で呟く独歩。
死亡者の発表で刃牙が呼ばれた事について悲しみに明け暮れているのだろうか?
確かに独歩にも刃牙の死は何か心に突き刺さるものはあった。
だが、その傷はあまりも小さく、精々小さな働き蟻が林檎に噛み付いた傷くらいでしかない。
そう。独歩の目の前に居る二人の青年と少女が受けた傷に較べたらあまりにも小さすぎる。

232Classical名無しさん:08/01/09 20:59 ID:6oFwd9C.
     
233Classical名無しさん:08/01/09 21:00 ID:2K6b/x9A
 
「ひっく…………ひっ……マリア……マリアァ…………うぇ……」

幼い頃からまるで姉のように慕ってきた三千院家のメイド、マリアを失ったナギ。
最早桂ヒナギクが死んだという情報が誤ったものだという事に安心するのを忘れ、大粒の涙を流し続けている。
ナギが腰掛けているベッドに不自然に映る染みが、彼女の悲しみを独歩に際立たせていた。
独歩と鳴海に保護された時から、空条承太郎の死と綾崎ハヤテの凶行のショックで茫然自失となっていたナギ。
放送でマリアの死を知ったお陰で、なんとか気を取り戻す事は出来たがその代わり深い傷を負ってしまったナギが、涙を流し続けるのは無理も無い。

「すまねぇ……空条……俺が甘いせいで…………。
それに……すまねぇ、ホントに……すまねぇ…………勝……」

スタープラチナを操るスタンド使い、空条承太郎。
鳴海が承太郎に抱いていた印象はあまりよいものではない。
だがそれでいて、強い何かを秘めた両の眼差しは鳴海にとって印象深かった。
そして勇次郎との闘いで死なせてしまった才賀勝。
鳴海がしろがねとして自動人形との闘いに、身を投げ出す事になったきっかけともいえる少年。
彼らの死は鳴海にとってあまりにも心に堪えるものだった。
今の鳴海は只、俯く事で必死にその悲しみを隠そうとするしかできない。

「…………」

そんな彼らを目の当たりにしては独歩も迂闊に口を開けない。
自分の言葉が彼らにどんな影響を及ぼすかもわからないからだ。
あまり口を動かす事には向いておらず、身体を動かす方を得意とする独歩。
そのため独歩は無言で椅子から腰を上げ、一歩ずつ歩を進めながらドアの方へ向った。
自分にはどうしようもない状況だと悟り、このまま二人が自力で立ち直る事を期待したのだろうか?
そんな独歩をナギと鳴海は全く見向きもせず、只悲しみに身を浸しているだけだった。
遂に、ドアの前に立ち、取っ手を握った独歩。
ここまで来たなら大抵の者なら何も言わず、彼らをそっとするために出て行くだろう。
恐らくナギも鳴海もそれを感じ取ったためもあって、独歩の行動に何も言わなかったのかもしれない。

235Classical名無しさん:08/01/09 21:01 ID:li7xpleU
 
「……なぁ、お二人さんよォ」
だが、独歩は言葉を発した。
独歩の予想外の行動にナギと鳴海は少しだけ彼の方へ視線を向ける。
独歩は柄にもなく決めていからだ。
この場は、この場だけは少しおせっかいなヤツになろう。
見るに耐えない自分の仲間達に伝えたかった事があったから。

「オレには空手しかねぇ……けどよ、そんなオレでも思うコトはあるぜ」
只、その屈強な背中を見せながら独歩は呟く。
一言一言、喉の奥から搾り出した野太い声が、小さな民家の中で反響する。

「あの勝が今のオレたちを見たら、きっといいキブンはしねぇんだろうなぁ……ってコトをなァ」
気を紛らわすために、毛髪が生えていない己の頭を撫でる独歩。
その眼はドアの一点を見つめ続けている。

「オレは会ったコトがねぇが、マリアや空条ってヤツも同じさ。
オレたちのこんなふがいねぇザマを見たら、きっとガッカリするだろうよ」
その眼に映る色は当然ナギと鳴海には、視線が合っていないのでわからない。
いや、視線が合っていてもわからなかったかもしれない。
それ程までにも独歩の言葉を虚ろな表情で聞いていたから。

「アイツらのコトを忘れろとは口が裂けてもオレは言わねぇ……。
そうよ、忘れちゃいけねぇ……アイツらの死んじまった意味を忘れちゃあいけねぇのさ」
独歩は自分の言葉がここまで長くなっていたのに驚いていた。
背中越しから感じるナギと鳴海の悲壮感を、その背中で感じ取ったせいなのかは定かではないが。

237Classical名無しさん:08/01/09 21:02 ID:2K6b/x9A
     
238Classical名無しさん:08/01/09 21:04 ID:6oFwd9C.
   
「だからあの世でアイツらに笑われねぇように……一歩踏み出してみようぜ。
つまずいても、転んだってもいいからよぉ、テメェのやれるコト、やらなきゃなんねぇコトを探していくためによ。
それが見つかった時には…………」
大きな深呼吸を独歩は行う。
勝を守れなかった原因は自分にあるため、昂った気持ちを抑えるために。
自分の言葉に重みを持たせるためにも

「その時にはこの神心会会長、愚地独歩が全力で手助けしてやるぜ!
オレはちよっと外の空気に当たってくる……だから今はゆっくりと考えろい。
後で答えを聞かせてもらうからよ……オマエさんたちがやりてぇコトをなッ!!」
そう言って独歩は片手を、ヒラヒラと振り、ドアを開け、外に出て行く。
独歩を仮初の主と認めたかどうかはわからないが、民家の外で律儀に待っていた黒王号に彼は飛び乗る。
迅速の速さで走り出す黒王号に乗って、独歩の姿は何処へ消えていった。
驚きの表情を浮かべ、口が開いたままになっているナギと鳴海を残して。
彼らの脳に独歩の声は確かに、力強く響いていたのを当の独歩は知らずに。

◇  ◆  ◇

大地を驚くべき速度で疾走していた、黒王号の速さが緩み、やがて0となる。
その動作に一時の間を置いて、独歩が黒王号から飛び降り、地面に両足をつけた。
独歩の視界には承太郎と刃牙の闘いで、ボロボロになった喫茶店の姿が映し出されていた。
そんな喫茶店を見て、若干表情を歪ませながら、独歩はある場所へ歩を進める。
数歩の歩行を終えて、やがて独歩の動きは停止。
独歩の視線の先には、最早肉のオブジェともいえる刃牙の姿が寂しげに存在していた。

「情けねぇよなぁ……刃牙。いや、オメェだけじゃねぇか……」
露呈した大地に腰を落とし、あぐらを掻きながら独歩が呟く。
だが、当然刃牙から返事が返ってくるわけもない。
しかし今の独歩には刃牙の返答など元から期待してなく、彼は言葉を続ける。

240Classical名無しさん:08/01/09 21:06 ID:2K6b/x9A
   
241Classical名無しさん:08/01/09 21:07 ID:2K6b/x9A
                 
「一端の空手家のくせに拳を揮うコトじゃあなくて只、
カッコつけて説教たれるコトしか出来なかったオレもよ……本当に情けねぇぜ……」
“自分がエレオノールとの闘いにもっと早くケリを付けて、鳴海と勝の加勢に行けば”。
そんな後悔を独歩は勇次郎から逃げ遂せた時からずっと脳にこびりついた考え。
だが、年長者である自分がそんな弱音をナギや鳴海におめおめと吐くコトは彼の空手家としての尊厳が許さなかった。
だから独歩は物言わぬ身となった刃牙に己の罪の懺悔ともいえる行為を行おうと考えていた.

「刃牙、闘う気のないヤツを襲うとはテメェは何を考えていたんだ……?
テメェがやったコトは勇次郎と一緒だぜ……だが今更言っても仕方ねぇか。
テメェはもう身体を休めておけ。
この愚地独歩がテメェの尻拭いをしてやるからよ……」
己の罪の懺悔の他に独歩にはやるべきコトがあった。
それは予想外な行動を起こし、凄惨な末路を遂げた刃牙に対して行う儀式。
刃牙を見届け人にし、“決意”を咆哮する誓いを独歩は行う事に固く決めていた。

「テメェのせいで滅茶苦茶にされたナギの嬢ちゃんも、ハヤテというボウズもオレが護ってやる。
そしてテメェが目指してた勇次郎……超えてやるぜ! この愚地独歩がよッ!
オレの空手に外していた後退というネジはもう、はまるところすらねぇ……
ヤツには勝という貸しもあるんでなッッッ!!」
大きな握りこぶしを二つ作り、大声で叫ぶ独歩。
ほんの少しの間しか居られなかったが、あまりにも綺麗な瞳、心を持った才賀勝。
独歩はあまりにも早く人生の幕を引いた勝の無念さは今も彼の心に深く根付いていた
最早独歩にはもう、勇次郎に対して後退という文字はない。
そう。その相手がたとえ自分の右眼を抉り、二度も自分を倒した相手でもだ。
何故なら独歩の自慢の空手には後退というネジは外してあり、たった今そのネジが嵌る箇所も溶接されたから。
“決意”と呼ばれる溶接によって。
最早用件は終わるといわんばかりに立ち上がり、黒王号に向って歩き出す独歩。
そんな時彼は不思議そうな表情を浮かべながらふと立ち止まった。
薄闇の中、何か奇妙な物体が大地に落ちていたのを独歩は気付く事が出来たから。

◇  ◆  ◇
民家の室内に二人っきりになったナギと鳴海は一言も喋らず、俯いていた。
実際にはほんの数分の時間だったが、当の二人に数時間経ったような静寂な空間。
いや、正確に言えば、ナギは幾分落ち着いたが、未だ泣きべそを掻いており、その鼻をすする音は反響している。
だがその空間は突如として破られた。

「……確かナギっていったな?」
「ああ……それがどうした?ぐす……」

鳴海が少し無愛想に、未だ泣きべそを掻き続けるナギに話しかける。
そんな鳴海の態度に嫌な顔は見せず、だが同じように少しぶっきらぼうにナギが答える。
鳴海とナギには互いに言いたい事があったので、それぞれの態度に気を掛ける余裕もない。
そんな状況の中、鳴海の口がまたしても開く。

「すまねぇな……オレのせいで空条のヤツも死なせちまって、
ハヤテとかいうヤツが何処かに行っちまったのも全部オレのせいだな……。
ほんとにすまねぇ……」

鳴海が俯きながらポツリポツリと一言ずつ言葉を吐き出す。
承太郎とハヤテの名が挙がった時、ナギの身体が反応を示した事を鳴海は見逃さなかった。
そんなナギの様子が鳴海にはあまりに辛い光景だった。

「そうなのだ……お前があんな危険なヤツに核鉄なんか渡したから……
お前が全部悪いのだ!――――――――なっ!?」

途方に暮れていた自分をわざわざ保護し、承太郎とハヤテと少しながらも面識がある鳴海。
そんな鳴海が危険人物でもなければ、直接の原因は承太郎を上手く手助けできなかった自分にもある事は、ナギにも当然わかっている。
だが、ナギは自分でも自分の行動は間違っていると理屈では理解できたが、鳴海に責任を転嫁しようとしていた。
身代金目当てで自身の命が狙われる事はあっても、他人の命が関わる程の責任を負った経験はナギにはない。
あまりに重く圧し掛かる責任から逃れたい気持ちで、ナギの身勝手な言動。
244Classical名無しさん:08/01/09 21:09 ID:2K6b/x9A
            
「お……お前…………?」

その言葉と共に、鳴海の頬に平手打ちを食らわせてやろうと思い、腕を振り上げたナギの動きが止まる。
泣きじゃくるナギの表情には、怒りは消え失せ、驚きしか見えない。
理不尽な怒りを爆発させる事よりもナギは鳴海の表情を凝視する事を優先させた。
いや、させざるを得なかったという方が正しいのかもしれない。

「わかってるぜ……お前の言うコトはなんだって聞いてやるさ……それで少しでも罪滅ぼしになるならな……。
だが、その前にオレにはやらなくちゃならねぇコトがある……」

いままで俯いていたせいでナギにはわからなかったが、鳴海も彼女と同じように大粒の涙を流し続けていたからだ。
怒りをぶつけようと思った相手が自分と同じような顔をしている。
その事実と鳴海のあまりにボロボロな顔を見ては、我侭なナギといえども何も言うことはできない。
泣き続けたおかげで、真っ赤になった顔をしたナギがどうしたらいいかと狼狽する。
そんな時、鳴海がいきなり片腕を上げ、おもいっきり己の涙を拭いた。

「DIOを倒す! 勇次郎を倒す! このイカレタ殺し合いをブッ潰す!
だが、それ以外にも……オレにはやらなくちゃならねぇコトがあるんだ……」

自分のやるべき事を独歩の言葉で再認識した鳴海が吼える。
鳴海のあまりにも大きな声に、抗議の声をあげようとしたナギだが、彼女の口から言葉は出ない。
その鳴海の表情があまりにも真剣な顔で、そしてナギにとって少し怖かったから。
最早流し続けた涙は枯れ果てたともいえる鳴海の“決意”がそのまま彼の顔に浮き出ていたから。
246Classical名無しさん:08/01/09 21:10 ID:2K6b/x9A
        
「オレはどういうわけかこの殺し合いに乗っちまったエレオノールを……しろがねを止めてみせるぜ!
きっと勝もオレにずっとその事をオレに伝えたかったにちがいねぇ!
それだけは譲るつもりなんざ……あるわけがねぇんだよッ!!」

黒王号の上で独歩に聞いたエレオノール、いやしろがねの暴走。
自分は記憶を失っていたが、しろがねは無事あの才賀善二の屋敷の闘いで脱出できたはずなので自分を覚えていないのは奇妙な話だ。
エレオノールの行動に始めは疑念を抱いていた鳴海だったが、彼の中で突拍子もないある考えが閃いた。
“もしあのしろがねが自分と勝と出会う前のしろがねだとしたら?”
しろがねとなった自分と自分達に出会う前のしろがねには無視出来ない時間のズレがある。
頭がいいとは決して言えない鳴海でも、時間のズレが生じた人物が同じ場所に居るという、まるでSF小説のような考えは思いつかないだろう。
だが、鳴海には気になっていた事があった。
それは独歩の知り合いである、刃牙と光成の変貌だ。
独歩といえども刃牙と光成の全てを知っているわけでないが、彼らの変貌の様は理解できないらしい。
という事はあの二人と独歩の間にも時間のズレが生じているのではないのか?
それならば自分としろがねにも時間のズレが生じていてもおかしくはない。
鳴海は多少強引にそう考え、自分のとるべき道を決める。
元より鳴海にはそんな面倒な考えを行わずにも、しろがねを止めようとしていた。
勿論しろがねがフランシーヌ人形とあまりにも似すぎているという無視出来ない事もある。
だが、鳴海はその問題はこの殺し合いを潰して、元の世界に戻ってから考える事に決めた。
あまりもややこしい問題であり、自分で考えるよりもルシール辺りに聞く方が良いと思ったからだろう。
それに何故ならしろがねは鳴海にとって、勝にとって大切な存在だから。
そんなしろがねを止めるという方針だけで今の鳴海には十分過ぎる理由だからだ。

「……ふ、ふん! なんだよバカみたいに大声出して……私だって……私だって」

頭をだらしなく下げ、先刻までナギと同じようにボロボロだった鳴海。
そんな鳴海の変貌にナギは驚くと共に、どこか羨ましそうな顔で小さく呟く。
ナギにだって伝えたい事が、頼みたいコトがあったからだ。
248Classical名無しさん:08/01/09 21:12 ID:6oFwd9C.
   
「私にだってやらなくちゃならないコトがあるんだ……。
ハヤテとヒナギクには絶対に会って、あの光成とかいうジジイをブッ飛ばして、
家に戻るのだ……それで……うぇ……それで私はカズキとジョジョとマリアの……ひっ……」
「おい……無理するな」

鳴海の大声に引っ込んでいた涙がまたも顔を出し、ナギの声が段々と小さくなる。
ナギの悲痛な様子を鳴海が心配そうな様子で宥めようとする。
こんな小学生みたいなナギに、ここまでの悲しみを与えた要因の一つである自分に怒りを募らせる鳴海。
だが、ナギはそんな鳴海が気に障ったらしく、必死な表情を浮かべながら言葉を続ける。

「バカにするな! 私は……私は絶対にカズキとジョジョとマリアのコトを一秒たりとも忘れない!
そのコトを証明させてやるのだ……私がこのふざけた殺し合いを止めてみせるコトで!
だから……だから……お願いだ!」

流れ続ける涙を拭く事も、鼻をすする事も忘れナギが鳴海の服の袖を両手で引っ張りながら叫ぶ。
その表情は真剣そのものであり、最早鳴海に言葉を投げ掛けているわけでもなく、
懇願しているといった方が正しい。
ナギもまた鳴海と同じように独歩の言葉で自分のやりたい事を見つけていた。
かってカズキがサンライトハートを大空に撃ち上げ、打ち立てた真赤な誓い。
今ならその時のカズキの気持ちを、ナギは何故だか理解できるような気がした。
250Classical名無しさん:08/01/09 21:13 ID:2K6b/x9A
       
「私にお前の力をかしてくれ! 私一人では悔しいがまたハヤテと会うコトすら難しい……
でもそれじゃあダメなのだ! そんな事では私のせいで死んだカズキとジョジョに申し訳がたたん!
私は一歩、いや十歩でも百歩でも進むと決めたのだ……きっとマリアだって悲しんでいる私なんか見たくないハズだからな!
だから…………私の力になってくれ! この三千院ナギ、一生のお願いなのだ!!」

“決意”
カズキが奮い立たせた同じものを、今のナギは確かに感じていた。
ジョジョを失った一因である鳴海に怒りを叩きつけるのは簡単だ。
だが、そんな事をしてあのジョジョが一体何を喜ぶというのか?
あの無愛想な顔を付けたジョジョが本当に自分にそんな事を求めているのか?
あまり自分の事を喋らなかったジョジョだが、ナギにも彼について理解できた事はある。
それはきっとジョジョは自分に復讐などという行為を求めていない事。
そうでなければ“強くなれ”と言い残す必要などありはしない。

「ああ……勿論だ。だが条件がある」
「わ! わかっておるわ! お前にもそのしろがねという女に用があるのだろう?
その用が終わってからでもいいから……」
「違うぜ。もっと簡単なコトだ」

ナギ程の少女にもここまでの決意があった事に、少し驚きながら鳴海が応える。
鳴海の言葉にナギが何故か慌てて、更に言葉を返す。
それは鳴海がナギの小さな頭を撫でながら彼女に話し掛けたから。
鳴海にいきなり頭を撫でられた事に、ナギが顔を赤らめながら驚いてしまったからだ。
そんなナギを勝と同じくらいの歳だと思っている鳴海には、彼女の思春期特有の動揺も知る由もない。
たとえ知っていても鳴海が言おうとしている内容に変わりはない。
「オレは“お前”じゃねぇ、オレは加藤鳴海。鳴海ってんだ。
ちよっと身体が他のヤツとは違うが正真正銘の人間だ。だからよ……」

出会ってから碌に行っていなかった自己紹介。
そして自分の身の上をかなり簡略にナギに話す。
ナギが自分に必要以上に気を使わないようにするためにも。
ナギが自分を仲間として頼る事に、ためらいを感じさせないようにするために鳴海は口を再び口を開く。
自分達がやらなければならない事を完遂するために。

「オレを……鳴海と呼びな。それで俺達は仲間だ。
そうさ、それだけでわかるぜ……辛くなった時はオレが全力で助けてやるってコトをな。
アンタも同じだろ……? 独歩さん?」
「えっ!?」

鳴海の意外な言葉に、驚いていたナギの表情が更に驚きに歪む。
そのナギの驚きの声からほんの僅か、一秒にも満たない間を置き、ドアが音を立てて開く。

「流石だな鳴海。けど初めから気付いていりゃあ言ってくれてもよかったのによォ」
「まぁ独歩さんにも聞いて欲しかったからな……オレ達の答えってヤツをな」
「へっ! その様子から見ればもう吹っ切れたみてぇだな鳴海ッ!」

陽気な声で室内に戻ってきた独歩が口を開き、鳴海も表情を緩ませながら答える。
独歩がドアの傍に立ち、鳴海とナギの話を聞いていたという事実。
そしてその事実を鳴海も独歩の気配を感じ取り、知っていた事にナギは口を開けて驚く事しか出来ない。
そんなナギの方へ独歩が眼を向ける。

「まぁそういうコトだ、お嬢ちゃん。
オレのコトも独歩でいいぜ、なんせオレ達は……仲間だからよォ。
仲間に堅っ苦しい敬語なんざいらねぇぜ」

今までとてもお世辞にはいいとはいえなかった独歩の人相。
その人相が今のナギにはとても頼りがいがあるものに見えていた。
それは独歩の言葉が鳴海のそれと同じで、とても心地よいものだったからだ。
自分を仲間として認めてくれる言葉が。

「だ! だったら私のコトも特別にナギと呼んでもいいぞ!!
わ!私達は仲間だから……な……ひっ……うぇ……ぐし……」
「へっ! 全く泣き虫なヤツだなぁ、ナギはよォ」
「う……うるさいぞナルミ……ひっ……」

鳴海と独歩の言葉に安心したせいか、再びナギの頬に涙が流れる。
彼ら二人に保護されるまで、一人夕闇の中で喫茶店の近くを放浪していたナギ。
その時、膨れ上がった悲しみが今、この場で抑えられなくなっていたのかもしれない。

「ナギ、オレは以前勝に言ったんだ。
“笑うべきだとわかった時には、泣くべきじゃない”ってな。
ナギ、今のお前にはわかるはずだぜ……今はどういう時かをな」

以前勝に言った言葉を再び口に出し、鳴海がナギに言葉を投げ掛ける。
その表情は穏やかさの中に強い意志をも秘めた複雑な表情。
再び勝に言った事を発言する事で、彼を護れなかった自分への戒めの意味を兼ねていたのだろう。
今度こそ、自分は勝の望みを叶えるという誓いを成就するために。
254Classical名無しさん:08/01/09 21:18 ID:2K6b/x9A
      
「ふ……ふん! 私は泣いてなどいない!
もし仮に私が泣いていたとしても、これでもう私の泣き顔は見納めだ!
だから私の泣き顔を見れたコトを光栄に思うがよい!!
そ、それと……」

鳴海の言葉を受け、ナギが慌てながらよくわからない事を口走る。
その言動には根っからの負けず嫌いな性格が災いしていた。
だが、ナギの言葉に鳴海も独歩も嫌な顔を全くせずに、微笑を浮かべ、心なしか彼女の表情も明るい。
そしてナギの話はまだ終わっていなかった。
ナギにはまだ言いたい事が、とても大事な事があったから。

「ありがとう……ナルミ、ドッポさん。本当に……本当にありがとう……」

見ず知らずの自分をこんなにも温かく受け入れてくれた鳴海と独歩。
彼ら二人にナギはたまらなく礼が言いたかった。
こんな無力な少女である自分を仲間として受け入れてくれた事に対する感謝の言葉。
それはナギも彼ら二人を完全に信用したという証。
そしてその言葉を言った時に見せた笑顔。
その笑顔はナギが鳴海と独歩に見せた、初めての笑顔でもあり、とびっきりの希望に満ち溢れた笑顔。
そう。三千院ナギは“いい笑顔”をしていた。
鳴海と独歩が思わずその笑顔の眩しさに眼を瞑ってしまうかもしれない程に。

◇  ◆  ◇
256Classical名無しさん:08/01/09 21:18 ID:2K6b/x9A
       
「よし! じゃあそろそろ行くぜ!」
「おうよ独歩さん!」
「わかったのだ!」

お互いの身の上話を一段落終え、独歩、鳴海、ナギの三人が次々と席やベッドから立つ。
彼らはパピヨン、泉こなた、シェリス・アジャーニ、赤木しげるなどの仲間が喫茶店に戻っているかもしれないというと思い、再び喫茶店に戻る事を決めた。
彼ら三人にとって、仲間との合流はこの殺し合いを潰すと決めた彼らにとって重要な事だからだ。

「しかしミツナリというジジィが脅迫されているかもしれないとはな……」
「いや、刃牙が変わっちまった前例もあるが……まぁオレは十中八九そうだと睨んでいるぜ」
「刃牙ってヤツのコトはDIOに聞き出せばいい……それだけだぜ」

ナギもまた鳴海と同じように光成、そして刃牙の事を独歩から聞いていた。
とても信じられない話だったがナギはしっかりと記憶に留めた。
そしてDIOという人物が刃牙の変貌の鍵を握っているかもしれない事も。
ナギが承太郎にDIOの事を詳しく教えてもらっていなかったため、今の三人には危険人物である事しかわからないが。

「しかし本当にこのへんちくりんなヤツを知らねぇのかお二人さんよォ?」
「いや、私は知らないぞ」
「悪いな独歩さん、オレも知らねぇ」

そう言って独歩があるものをスーツのポケットから取り出し、ナギと鳴海は否定の意を示す。
独歩が取り出したものは、干からびた肉の芽の残骸だった。
先程喫茶店の近くに行った時に見つけていたものを独歩は、拾い上げ持っていたのだった。
二人の反応を受け、独歩は特に気にした様子もなく、再びポケットに戻す。
そんなやり取りを終え、ドアを開けて、三人は外で待機していた黒王号の前に立つ。
258Classical名無しさん:08/01/09 21:20 ID:2K6b/x9A
             
「さてそろそろいくが……やりてぇコトはわかってるな?」
「勿論だ! 私は絶対ハヤテを叱ってやるのだ! だからハヤテの問題はこの私に任せて欲しい!!」
「オレもしろがねは絶対に止めてみせるぜ……勝のためにもな! だからしろがねのコトはオレがやるぜッ!!」
「上等! 上等ッ!!」

ナギは喫茶店で起きた全てのコトをもう鳴海と独歩に話し終えている。
流石にハヤテが生きているかどうかわからなかったが刃牙を殴りつけた事には二人も眉を顰めた。
だが、ナギが決意に満ちた瞳で自分がケリを付けると言った時、二人はナギに任る事に決めた。
その事は鳴海の話でも同じ事であり、協力はするが最終的なケリは当人が付ける。
それが三人の共通の意思であった。

「ナギ、オレがおぶってやるぜ」
「う……うん、わかったのだ」
「じゃあぼちぼち出発とシャレ込むぜッ!」

独歩が黒王号の手綱を握るため、鳴海がナギの落下を危惧して言葉を発する。
その鳴海の言葉に少し恥ずかしながらナギが答え、独歩が出発の宣言を行う。
三人の準備が整った瞬間、黒王号が走り出す。
(見ていてくれカズキ、ジョジョ、マリア……私は絶対にハヤテとヒナギクにもう一度会う!
そしてこの殺し合いの謎も解き明かしてくれるぞ!)
(勝……オレが護ると誓ったお前は護れなかった……だが、安心してくれ。
しろがねは……お前とオレにとって大切なしろがねは……オレが止めて、護ってやるッ!)
(若けぇもんは立ち直りがよくて助かるぜ……これでオレも心置きなく拳を奮うコトが出来るぜ!
なぁ勇次郎ッ!!)
三人の各々の思いを乗せて。
彼ら三人が自分らしく、誇らしく、向うために。
“未来”という開幕のベルを鳴らすために、限りない大地を黒王号が走り抜ける
【D-3北東部の民家前/1日目 夜】

【三千院ナギ@ハヤテのごとく!】
[状態]全身に打撲、右頬に中程度のダメージ、首に痣あり、精神疲労(中)
[装備]スパイスガール@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]無し
[思考・状況]
基本:殺し合いを止め、家に戻る
1:ハヤテ、マリア、ヒナギク、ジョセフと合流する。
2:カズキの恋人という『斗貴子』とやらに会って、カズキの死を伝える。
3:独歩、鳴海と共に行動する。
4:喫茶店に向かい、暫くの間知り合いが合流するのを待つ(具体的な時間は不明)
5:ハヤテに事の真相を聞きだし、叱りつける
参戦時期:原作6巻終了後
[備考]
※スパイスガールが出せるかは不明です。
※ヒナギクが死んだ事への疑念は晴れました
※独歩の話を聞き、光成の裏に黒幕が居ると睨んでいます
※鳴海、独歩と情報交換をしました
261Classical名無しさん:08/01/09 21:22 ID:2K6b/x9A
     
【加藤鳴海@からくりサーカス】
[状態]:胸骨にひび 肋骨2本骨折 左耳の鼓膜破裂 右手首欠損 全身に強度の打撲 出血(応急処置済み) 疲労 自己治癒中
[装備]:聖ジョルジュの剣@からくりサーカス
[道具]:支給品一式×2(刃牙、鳴海)、不明支給品0〜3(フェイスレス・ナギ)  輸血パック(AB型)@ヘルシング グリース缶@グラップラー刃牙 道化のマスク@からくりサーカス
[思考]
基本:バトルロワイアルの破壊、誰かが襲われていたら助ける。赤木がいう完璧な勝利を目指す。
1:独歩、ナギと共に行動する。
2:エレオノールと再開し、勝の願いを果たすためにも話をし、彼女を止める。
3:誰かが襲われていたら救出し、保護する。
4:赤木との約束の為に、8時に学校へ行く。その旨をパピヨン等にも伝える。
5:いつか必ずDIOと勇次郎をぶっ潰す。
6:殺し合いに乗っている奴を成敗する。
7:DIOの情報を集める。
8:喫茶店に向かい、暫くの間知り合いが合流するのを待つ(具体的な時間は不明)

[備考]
※聖ジョルジュの剣は鳴海の左腕に最初からついていますので支給品ではありません
※参戦時期は本編18巻のサハラ編第17幕「休憩」後です
※勝とエレオノールの記憶を取り戻しました。エレオノールとフランシーヌ人形が酷似していること、彼女がしろがねである事については、今は気にしない事にしました。
※勇次郎との戦闘での負傷はある程度回復していますが、戦闘には支障があります。
※独歩の話を聞き、光成の裏に黒幕が居ると睨んでいます
※独歩、ナギと情報交換をしました
【愚地独歩@グラップラー刃牙】
[状態]:健康
[装備]:黒王号@北斗の拳、キツめのスーツ
[道具]:支給品一式×3(独歩、勝、承太郎)、フェイスレスの首輪、不明支給品0〜2(承太郎は確認済。核鉄の可能性は低い)、不明@からくりサーカス、書き込んだ名簿、携帯電話(電話帳機能にアミバの番号あり) 首輪探知機@BATTLE ROYALE 、干からびた肉の芽の残骸
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない、乗った相手には容赦しない。
1:鳴海、ナギと共に行動する。
2:基本姿勢を、闘うことより他の参加者 (女、子供、弱者) を守ることを優先する事に変更。
3:シェリス、パピヨン、こなた等や、他のゲームに乗っていない参加者に、勇次郎の事を知らせ、勇次郎はどんな手段をもってでも倒す。
4:その他、DIO、アミバ・ラオウ・ジグマール・平次(名前は知らない)、タバサ(名前は知らない、女なので戦わない)、危険/ゲームに乗っていると思われる人物に注意。
5:乗っていない人間に、ケンシロウ、及び上記の人間の情報を伝える。
6:赤木と合流するために、鳴海と共に8時に学校へ行く事と、余裕があればシェリスと共に劉鳳を探すのもアリだとは思っている。
7:可能なら、光成と会って話をしたい。
8:喫茶店に向かい、暫くの間知り合いが合流するのを待つ(具体的な時間は不明)
[備考]
※黒王号に乗っている場合、移動速度は徒歩より速いです。
※パピヨン・勝・こなた・鳴海と情報交換をしました。
※不明@からくりサーカス
 『自動人形』の文字のみ確認できます。
 中身は不明ですが、自立行動可能かつ戦闘可能な『参加者になり得るもの』は入っていません。
※刃牙、光成の変貌に疑問を感じています。
※鳴海、ナギと情報交換をしました
264 ◆3OcZUGDYUo :08/01/09 21:26 ID:j7bqI8SQ
投下終了しました。支援どうもありがとうございます。
なにかありましたらお願いします。
PCの調子が悪すぎる……orz
265Classical名無しさん:08/01/09 21:28 ID:JwDcFp0.
GJ!!
熱い、熱すぎるぞこの三人。
独歩は昔の空気が嘘かのように、年長者として周りを引っ張っていってるな。
黒王号にも認められた辺り、まさしく漢の中の漢だ。
266Classical名無しさん:08/01/09 21:38 ID:2K6b/x9A
>>264
投下乙!!
熱すぎて思わず、衝動的に窓を開けちまったぜ!
もうね、独歩がカッコよすぎて痺れるぜ。
鳴海の熱さと涙がいいね。鳴海にはやはり誰かのために流す涙が似合う……・。
そしてナギに話しかける所で、勝と鳴海が会話してるシーンを思い出して泣けてきた。
そしてナギがまた、魅力的すぎますな。ジョジョの精神がナギに受け継がれているようでこれまたよい。

「笑顔」とか「誓い」とか原作を生かしつつロワ内での展開をふまえ、
その上で綿密に心理描写を行う。
まさに超GJ!! な一作でした。
267Classical名無しさん:08/01/09 21:45 ID:JWLyyyqY
投下乙です。
熱い!!熱すぎる!!
独歩が格好良くてシビレました。
ところで、ナギの状態表の
1:ハヤテ、マリア、ヒナギク、ジョセフと合流する。は
1:ハヤテ、ヒナギク、ジョセフと合流する。
じゃないでしょうか。
268Classical名無しさん:08/01/09 21:46 ID:bT5w7O.I
投下乙。ナギすらも絶望から這い上がるとは、なんという漫画ロワw
ここ数話で独歩の株が急上昇してるよ。
鳴海もしろがねのこと思い出して、希望が湧いてきた!
269 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 21:57 ID:6oFwd9C.
やっと読み終わりました。投下乙!
独歩が渋い。ここまで大人の渋さを漂わせる姿に、よだれが出そうです。
ナギも立ち直り、鳴海も新たな決意。
このチームが凄く魅力的に描かれたいました。
GJ!

それにしてても◆3O氏と投下が被る……
投下を開始します。
270Classical名無しさん:08/01/09 21:57 ID:bT5w7O.I
                   
271 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 21:57 ID:6oFwd9C.
 日が沈み、空に星が瞬く中、自らの胸に刺さる街灯に村雨は視線を向ける。
 パピヨンへの意趣返しを企む彼の脳裏に、散の舞うような、華麗な戦い方が浮かび上がる。
 散なら、パピヨンを相手でも己のペースを崩さず圧倒していたであろう。
 自分では散の領域には遠いかもしれない。

 ―― お前戦闘した事あるのか?

 パピヨンの蔑むような声が耳に蘇る。村雨は今までのことを思い出す。
 村雨の戦いは、常に圧倒的なものであった。バダンの脅威的な科学力によって構成された身体は、現代兵器のいかなるものも寄せ付けなかった。
 タイガーロイド、三影英介と共に人間を相手に圧倒していた。戦闘機を圧倒していた。戦車を圧倒していた。
 しかし、村雨の戦闘力を寄せ付けない者と出会うことになる。
 仮面ライダー1号。
 そう名乗る戦士と戦い、宙に舞い上げられたところで村雨はここに召還された。
 今でも思い出す。右足と左腕を砕かれ、竜巻を起こすほどの回転投げ。
 あの技は、どう繰り出したのか脳裏に再生させる。
 そして散。
 散の螺旋に仮面ライダー1号との戦いと同じく、左足を砕かれた。
 あの時、左足は回転に巻き込まれるように捻れ、砕け散った。
 回転。それが散の技に切れを出していたように見える。
(回転……か)
 呟くことなく、空を見上げる村雨の瞳に、昇り始めた月が映る。
 自身は気づいていないが、度重なる敗北に彼の精神は疲労していた。
 その彼を、天は追い討ちをかけるように残酷な知らせを伝える。

「……なん……だと?」
 あまりの衝撃に、自分でもどういう意味で言ったのか不明だった。
 三度目の放送が伝えたのは……
「散が……あの散が……死んだだと……?」
272 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 21:59 ID:6oFwd9C.
 呟きは無意味。嘘はありえない。事実、自分が、散が殺した桐山や才人は死んだ。
 なのに、散の死がどうしても信じられない。
 一緒にいた期間は短い。それでも、散は記憶のない村雨にとって、鮮明な輝きを放っていたのだ。
「う…………」
 俯き、漏れる声。村雨の記憶にない感情が、彼の胸を支配する。
 思い出すのは散の姿だけだ。自分の半身を失ったかのような、胸にポッカリと穴がいたような、虚無感に満たされる。
 しかし、それも僅かな間。すぐに村雨の胸が熱くなり、堪えきれず熱いものが胸よりこみ上げてくる。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 激情に任せるままに、村雨は吠える。
 その勢いで彼の身体が赤く光り、ZXへと身を変えて街灯を引き抜く。
 シンクロは彼に力を与え、再生能力を早めさせる。
 それは制限下でも、幾分か衰えながらも変わらず存在する。
 引き抜いた街灯を投げ捨て、クルーザーを引き起こす。
 緑眼が闇夜の中を煌き、目的のものを探り当てる。
 ビル内へとZXは入っていった。


 放送の内容を、強化外骨格「零」は聞き、理不尽な殺人が止まらないことに憤慨していた。
 もう六十人からなる参加者は、半分になろうとしていた。
 止まらない悲劇、力になれない己の身。
 DIOのような残忍な殺戮者の思うがままだ。
『覚悟よ……お前もまた、この理不尽に対抗できずにいるのか? 口惜しや!』
 己が半身の無事を祝いつつも、覚悟の力になれないことを悔やむ。
 しかし、零にとって朗報もある。
『葉隠散……現人鬼も堕ちたか!』
 覚悟の兄、葉隠散。彼が死んだのなら、最早彼によって犠牲が生まれることはなくなる。
273Classical名無しさん:08/01/09 21:59 ID:.M2C4v3c
支援
274 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:00 ID:6oFwd9C.
 そのことについては零はよかったと思っている。
 そして……
『刃牙……すまぬ。我々の力が足りぬために……』
 放送で呼ばれた、範馬刃牙。DIOのために戦う彼を見なくて良かったとホッとすると同時に、彼の死を悼む。
 範馬刃牙には夢があった。世界最強を目指し、父親を越えること。
 まさに、男子の本懐。男子の宿命。
 その夢を叶えることなく、刃牙は逝ってしまった。
 しかも、その夢をDIOという悪に汚されて。
 零は無力感に無い歯を噛み締める。後悔と共にもれるのは死者の唸り。零の泣き声。
 後悔と共に、誰の力にもなれないことを猛省する零の視界に、自動ドアを潜り抜ける影が入った。

 零はZXが周りを見渡す気配を感じた。しばらくして、受付のカウンターの傍に放置されていた己へと近付く影がある。
 零の予測どおり、ZXが倒れたままのカバンを拾い上げた。
『良、よくぞ無事で戻ってきた』
「お前に頼みがある」
 無事を祝う強化外骨格に構わず、ZXは協力を要請する。
 表情はないが、訝しげな雰囲気をだす零へとZXは構わず言葉を続けた。
「放送は聞いたな。散が死んだ。あいつの死体を捜すのを協力してくれ」
『探してどうしようというのだ?』
「どうする……か。決まっている」
 僅かだが、ZXの語尾が上がる。その様子から、零はZXが怒りを持ったことを悟った。
「散を殺した奴を俺の手で殺す!」
 バキッと、彼の握ったカウンターにひびが入って砕ける。
 変身が解けた村雨の眼には明らかな怒りが浮かんでいた。
 零は驚く。感情をもたなかった村雨の瞳に、感情が宿り始めていることに。
275Classical名無しさん:08/01/09 22:00 ID:bT5w7O.I
                      
276Classical名無しさん:08/01/09 22:01 ID:.M2C4v3c
もっと支援をこめて!
277 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:02 ID:6oFwd9C.
『当てはあるのか!』
「俺と散は各施設を探索する約束だった。散は西側で施設を探索するといっていた。
俺はここから南下しながら、西側をしらみつぶしに探す。零、キサマの探知能力を俺に貸せ」
 否定は許さないと無言で告げる村雨。零は数秒の沈黙の後、重い口を開いた。
『いいだろう。我々が出す条件を呑むのなら、力を貸そう!』
「何だ?」
『散の死の真相を知った後、DIOを倒してくれ! 刃牙の仇を我々の代わりに討ってくれ!! 頼む、良!!』
「ああ、構わない。俺に散の死の真相を教えてくれるならな」
 そう呟き、村雨はクルーザーに零を固定して、エンジンを吹かす。多少こげているが、本来の持ち主と同じく頑丈さが売りである。
 夜の街に響く排気音。コンクリートに舗装された街の中を、突き進む。
 ハンドルグリップを握り、バイクを加速させ続ける。
 最高時速700キロを誇るクルーザーの白い車体が闇夜に輝いて踊る。
 村雨は、痛みに続いて怒りをも散より受け取った。



 ガモンを撃退した身体を引きずり、ハヤテは体育館を抜け突如消えたガモンを探す。
 彼女を生かすために、この殺し合いに乗った参加者は見逃すわけにはいかない。ナギのために。
 ハヤテの右手は震えている。
 ガモンは強大だ。人の頭を軽く潰すピーキーガリバーの打撃を受けても倒せなかった。
 そして、使いどころの難しいが、トリッキーな戦闘が可能となるスタンド『オー! ロンサム・ミー』。
 スタンドの凄さは承太郎、そして彼の主であるナギ、そして先ほどの戦闘で己自身から学んでいた。
(勝てるのか? いや……勝たなくちゃいけない! お嬢様を生き残らせて、主催者を倒して、ここから脱出するのがマリアさんの望みのはずだから。
マリアさん、見ていてください。必ず、僕がヒナギクさんやお嬢様をここから脱出させます。僕の命に代えても!!)
 先ほどの放送を思い出しながら、ハヤテは決意をマリアに告げる。
 放送を聞いたとき、知っていたとはいえ、覚悟していたとはいえ、マリアの死はハヤテの胸を確かに抉った。
278Classical名無しさん:08/01/09 22:02 ID:zWhprHp.
村雨えええええええ!!
279 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:03 ID:6oFwd9C.
 マリアを頼っていたナギがどれほど悲しむのか想像して、傍にいてやれない辛さに唇を噛んだ。
 それでも、ハヤテは前に進む。僅かとはいえ、休息は取った。
 ナギや、放送で安否を確認したヒナギクを守るため、前に進む。
 ヒナギクの無事を知った彼は静かに泣いた。誰にも見られたくない姿だったが、それでも泣いた。
 無事でいてくれて嬉しい。ただ、ひたすらにそう思った。
 今のハヤテの眼は赤く、明らかに泣きはらしたことを示していた。
 なのに、その顔は凛々しく、女顔であることも忘れさせるほどに決意と覚悟に満ちていた。

 ハヤテが街灯を頼りに夜道を歩く。
 地図とコンパスを片手にどうにか、ナギと合流しないように、逃げるように南へと歩く。
 地図をデイバックに収め、深く、深くため息を吐き顔を俯かせる。
 今後、ナギと再会した時の気の重さがハヤテにのしかかる。
 理由はどうあれ、ハヤテはナギの目の前で人を殺した。
 あわせる顔などとっくの昔になくしている。またも手が震えるが、今度は罪悪感によって震えているのだ。
 先ほどの激闘のときや、放送ために緊張していたときと違って、今のハヤテには若干余裕がある。
 そして、一人であることがハヤテの思考回路を袋小路へと追い込んだのだ。
 ブロック塀に右手を突き、こみ上げる吐き気をハヤテは辛うじて飲み込む。
 再び歩みを進めようとしたハヤテの耳に、バイクの排気音が轟いた。
「こんな殺し合いで目立つような真似を……」
 呟きながら振り返るハヤテの脳裏に、バイクの持ち主が殺し合いに乗っているのでは?という疑問が浮かぶ。
 もしそうならば、止めなければならない。最悪、殺してでも。
 でなければ、ナギやヒナギクが危ない。ハヤテは己の心を痛めながら、バイクの持ち主が殺し合いに乗っていないことを祈って近付いた。
「お前に聞きたいことがある」
 ハヤテが声をかける前に、バイクの持ち主が先に声をかけてきた。
 ハヤテは警戒したまま、核鉄をポケットの中に潜ませながらいつもの調子で返そうとする。
 しかし、バイクの持ち主はせっかちな人柄らしく、それよりも早く話しかけてくる。
280 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:04 ID:6oFwd9C.
「葉隠散……そう名乗る人物の末路を知らないか?」
 その答えを聞いた瞬間、ハヤテから緊張が開放される。
 葉隠散、今回の放送で呼ばれた人物。自分以外の人間の死を気に懸けている。
 なら、バイクの持ち主は殺し合いに乗っていない。ハヤテはカン違いではあったが、異常なストレスから逃れたいこともあってそう判断した。
 人を殺さなくていい。
 殺し合いに乗った殺戮者に遭遇しなくていい。
 その二重の意味でハヤテは安心できた。
(良かった……本当に……)
 まるで糸の切れたマリオネットのようにハヤテは地面に倒れ伏す。
 誰かが呼ぶ声が鼓膜に響くが、構わずにハヤテの視界が暗転する。
 ドサッと倒れる音が、まるで他人が発した音のように聞こえた。


『村雨、少年の手当てをするのだ』
「断る。俺にそんな暇は……」
『だが、散の末路を知るには情報が無い。貴重な情報源を放って置くのか?』
「……まあいいだろう」
 零の屁理屈に、村雨はあっさりと従う。そのことに零はホッとしながら、この少年が散と関わり無いことを祈る。
 零にとって散は見過ごせぬ『悪』だ。
 村雨を始め、多くの者を惹きつけるカリスマがあることは認める。
 だが、父親に手をかけ、人類抹殺を狙う散は、零と覚悟にとっては悪以外何者でもない。
 ゆえに、散を倒した者は正義感溢れる者か、散を凌駕する悪のどちらかである。
 この少年はどちらかというと、前者に近い。散を倒すほどの力を持っているかは怪しいが、散を倒した者の知り合いである可能性もある。
 もし、前者であることが分かれば、散の死の真相は村雨に伏せるつもりである。
 零は村雨に期待をしているのだ。溢れる身体能力、改造された身は強化外骨格に匹敵する頑強さを誇る。
281Classical名無しさん:08/01/09 22:04 ID:eygyT2KA
携帯から支援!
282Classical名無しさん:08/01/09 22:04 ID:.M2C4v3c
闘争の時間支援
283Classical名無しさん:08/01/09 22:05 ID:zWhprHp.
ハヤテえええええ! 今すぐ女装しろごるぁあああああああ!!
284 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:06 ID:6oFwd9C.
 村雨が正義に目覚めれば、この上ない味方になる。しかし、散を殺したのが前者であれば、村雨は堕ちる。
 真実を知らぬのもまた、幸せであることを零は理解している。
 逆に後者なら、零にチャンスが訪れる。
 村雨の様子からすれば、たとえ強大な悪だと分かっていても倒そうとするはずだ。
 同時に、それは村雨の意識を正義に向ける最大のチャンス。
 散が居らず、自分が居て、悪がいる。
 多少狡賢い行為だが、零は村雨のことを思ってそう判断した。
 今の村雨には己が無い。だからこそ精神的に不安定で、身体能力の劣るパピヨンに手玉に取られる形となった。
 その不安定さゆえに、殺し合いに躊躇せず乗る。
 悔しいことに、零に村雨の記憶を与えてやることは出来ない。
 なら、せめて……
(村雨、我々はお前に未来を与えてやりたいのだ。我々のような存在に、死人のような存在になるには若すぎる)
 村雨のために祈り、零は夢想する。
 正義の徒となり、悪に立ち向かう村雨の姿を。
 零の脳内の村雨の眼は、活き活きと輝いていた。



 水が落ちる音を耳に、ハヤテは自身の眉を顰め、首を左右に数回振る。
 ぼんやりとした視界に毛布が映り、頭がはっきりしないまま周囲を見回す。
 一般的な一戸建て内のリビングのソファーに寝かされているらしい。
 ハヤテは数秒ほどボーっとしていたが、すぐにここが殺し合いの場であることを思い出し、時計を取り出す。
 時間は十分進んだか、進んでいないかだ。ホッとしながら時計を収め、自分が気を失う前に出会った人を思い出す。
「そういえば……あの人は……?」
「眼を覚ましたか」
285 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:07 ID:6oFwd9C.
「うわっ!」
 ぬっと背後に現れ、急に声をかけられてハヤテは思わず飛び上がる。
 ハヤテが振り向くと、長身に鍛え抜かれた身体を黒いスーツに身を包む男が立っていた。
 彼はパーマがかかった黒髪に、無機質な瞳でハヤテを射抜き、多少居心地が悪くなる。
 しかし、手当てがされた身体を見るからに、悪い人間ではないとハヤテは判断した。
「すいません。助けてもらっておいて驚くなんて、失礼でした」
「気にするな。それに、俺の意思ではない」
「え?」
『少年よ、あの場で倒れるほどのストレスとは、いったい何があった?』
「カ、カバンが喋った……?」
 村雨の持つ黒いカバンより声が発せられて、ハヤテは戸惑う。
 平然としている村雨の態度を見て、おかしいのは自分だろうかと間違った認識を持ち始める。
(いったい何なんだろう、あのカバン。介護ロボのように高性能AIが積んであるカバンとか?
けど、カバンにつけていったい何の意味が?)
 ハヤテの疑問が明後日に飛んでいるとき、無表情なままで村雨が問い始める。
「お前に聞きたいことがある」
「……やはり、AIBOのように愛玩カバンとか……って、ハイ!? すいません、またボーっとしちゃって。
あの……僕が気絶する前に聞いた、葉隠散さんのことですか?」
「ああ」
「すいません、ご存じないです。散さんと会ったことはありません」
「……そうか」
 無表情な村雨の顔に、僅かに混じる落胆の色。
 その表情を見て、ハヤテは思う。
(この人、散さんという方が本当に大切だったんだな……)
 彼の表情がマリアを失った自分の表情と重なる。
 涙や鼻水で見っとも無くなった自分の顔と比べるのは失礼な気がするが、それでも村雨の僅かな変化は、ハヤテにとって悲しみを感じるには充分であった。
286Classical名無しさん:08/01/09 22:07 ID:.M2C4v3c
支援執事
287Classical名無しさん:08/01/09 22:08 ID:.M2C4v3c
AIBO「何故そんなことを言うの……?」
288 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:09 ID:6oFwd9C.
「大切な方だったんですか?」
「散は……記憶のない俺に、痛みすら忘れた俺に、痛みを思い出させてくれた」
「記憶喪失なんですか?」
 無言で肯定する村雨を前に、ハヤテは立ち上がってにっこり笑う。
 痛みをこらえるような、痛々しい笑みであった。
「だから、記憶をくれた散さんが大切だったんですか。あの雪の日に僕を助けてくれた恩人の一人、マリアさんを失った僕のように……」
「大切……? そうか、そうだな」
 ハヤテの言葉に、村雨は戸惑う。しかし、それも数秒のみ。
 やがて、納得したように一人呟く。
「俺は散に惹かれていたんだな」
 静かに響く村雨の声を耳にして、ハヤテの瞳に涙がたまる。
 自分と同じ立場の人間が居る。その事実にホッとしたわけでも、同情したわけでも、己の身を哀れんだわけでもない。
 なぜ涙が流れるのか、自分でも不思議に思う。一人でないことに安心しただけなのかもしれない。
 人前であるため乱暴に腕で涙を拭い、不思議なものを見たという顔をしている村雨に無理矢理笑顔を向けた。

『そろそろ少年の名を聞かせてくれぬか?』
「あ、うっかりしていました。僕は綾崎ハヤテと申します。三千院家の執事を……」
 やっていると、言おうとしてハヤテは言葉に詰まる。
 彼の脳裏に、三千院家の執事にふさわしいか?という疑問が浮かび上がったのだ。
 頭を振って疑問を吹き飛ばし、もう一度告げる。
「三千院家の執事をやっています」
『了解した。我々は強化外骨格「零」! ハヤテ、よろしく頼む』
「村雨良だ」
「ハイ。村雨さん、零さん」
 握手をしようとハヤテは村雨に手を差し出すが、村雨は冷めた目つきで見るだけだ。
289 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:10 ID:6oFwd9C.
 所在なさげに出した手を虚しく突き出すハヤテに零が助け舟を出す。
『良、ハヤテの手を握り返すのだ。それが『握手』というものだ』
「『握手』か。握り返せばよかったんだな」
 村雨はハヤテの手を握り返す。嫌われたわけでないと分かったハヤテはホッとしながら、村雨がほとんど手に力を入れていないのに気づく。
 不思議に思うハヤテは知らないことだが、改造人間である村雨が手に力を入れると、悲惨なことになるため村雨が加減したのだ。
「村雨さん。僕からも聞きたいことがあるんですが、いいですか?」
 ハヤテの言葉に村雨は続きを促す。
 自分が対峙した相手、ガモンの不気味な表情を思い出し、身体が震えるが、唾を飲み込んで村雨の顔を正面から見据えた。
「暗闇の使い……ガモンという方の名を知っていますか?」
「いや、知らない」
 そうですかと、うなだれるハヤテ。ハヤテも村雨も零も知らないことだが、もう少し未来の村雨ならガモンを知っていた。
 幸か不幸か、ガモンを知らない村雨には覚えがないと答えるほかに無かった。
 めげずに顔を上げて、ハヤテはもう一つ気になることを尋ねようとする。
(あの時……ガモンともう一人の人? というか白い化け物がいっていたBADAN……これについて、村雨さんに確認しなくては。
ガモンという人は名簿には乗っていなかった。もしかしたら、あの光成と言う人の仲間かも……)
 自分の考察も含め、村雨に問おうとした時、ピンポーン♪となる。
 誰か訪ねてきたのだろう。一瞬殺戮者が来たのだろうか?と思うが、助けを求めに来た人だと大変だ。
「村雨さん、零さん、あの光成さんについて僕から話したいことがあります。
その前に、ここに来た人を確認しに行きますので、二人はここで待っていてください。」
 ハヤテは村雨と零に一言断り、玄関に向かう。
 どうにか殺し合いに乗った人じゃありませんようにと祈りながら、歩みを進めた。


 離れていくハヤテを見送り、村雨は零を取る。
「零、ハヤテが戻ってきたら散の死体の探索を続けるぞ」
『ハヤテはどうするのだ?』
290Classical名無しさん:08/01/09 22:11 ID:.M2C4v3c

291Classical名無しさん:08/01/09 22:11 ID:bT5w7O.I
                        
292 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:12 ID:6oFwd9C.
「別れる。それで問題があるのか?」
『ハヤテのような少年を一人にするなど、見殺しにしたも同然だぞ、良。
頼む、散の探索には引き続き協力する。だからハヤテも守ってはくれぬか?』
 取引はDIOの件だけだと冷たく告げようとして、村雨の言葉が詰まる。
 村雨にハヤテの言葉がなぜかこびりつく。

 ―― だから、記憶をくれた散さんが大切だったんですか。

 おそらく、ハヤテにそう言ってもらわねば、散に拘る理由も村雨は理解できなかっただろう。
 彼のおかげで自分の新しい面を知れた。その事実が、村雨にハヤテを見捨てることを躊躇わせる。
(いったい俺は何を考えている?)
 村雨が思い出すのは、泣きはらす女の幻影。
 泣いている姿しか見たことが無い。しかし、ハヤテを助ければ、あの女は笑ってくれるだろうか?
 村雨には確かめる術など無い。
 ソファーに身体を預けようとした瞬間、村雨の身体に怖気が走る。
 このプレッシャーは玄関、ハヤテが向かった方向だ。零も何かを感じ取っているらしく、無言で通じた二人は廊下へと躍り出る。
 玄関へと目を向けると、ハヤテと少女が佇んでいる。
『ハヤテ! 離れるのだ! そやつは人間ではない!!』
 零の叫びとともに、村雨は地面を強く蹴った。


 ハヤテは玄関に辿り着くと、まずは外の様子を窺う。
 ドアの隙間から見えるのは、コートを羽織る、黒い長髪の幼い少女が居た。
 外見からはとても殺し合いに乗っているようには見えない。
 顔は多少、険がキツイというか、気の強そうではあったが。
293Classical名無しさん:08/01/09 22:12 ID:bT5w7O.I
                    
294Classical名無しさん:08/01/09 22:13 ID:.M2C4v3c
旦那支援
295 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:13 ID:6oFwd9C.
 安心してドアを開けると、少女はにっこりと笑う。その背後には、エンジンを吹かしたままの自動車があった。
 彼女が乗ってきたのだろうか? いや、まさかと思い、話しかける。
「お嬢さん、どうしましたか? 一人で居ると危ないですよ」
 ハヤテが話しかけても、眼前の少女は笑みを深めるだけだ。
 連れの人間が居ないか、ハヤテが視線を移動させた瞬間、背筋に悪寒が走る。
 どこにいるのか悪寒の元を探すが、人の気配は目の前の少女以外感じない。
(何……だ? これは……?)
 ガチガチと歯がかみ合う音が大きく聞こえる。
 蛇に睨まれた蛙のように身動きの取れないハヤテへと、背後から声がかかる。
『ハヤテ! 離れるのだ! そやつは人間ではない!!』
 零の声とともに、ハヤテの身体が後ろへと引っ張られた。
 同時に、少女の腕が玄関の床を砕く。
 周囲の壁と床にひびが入り、民家が音をたてて崩れ始めた。


 村雨はハヤテを一瞬で回収し、零を壁に叩きつけ、勢いよく壁を砕いて崩れゆく民家を抜け出す。
 村雨の電子頭脳がクルーザーを呼び出し、夜の闇にクルーザーのライトが光る。
 ブオン!と排気音が唸り、風を切り裂いて天にクルーザーが踊る。
 村雨は左手で零を持ち、左腕でハヤテを抱え、右手でハンドルグリップを握る。
 そのまま地面へとクルーザーを落とし、前輪が大地を噛み締め、左足を軸に後輪を滑らせる。
 火花が散り、ブレーキゆっくりとかけながらクルーザーを停止させる。
296Classical名無しさん:08/01/09 22:14 ID:bT5w7O.I
                         
297 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:14 ID:6oFwd9C.
 ようやく止まった車体の上から、村雨は瓦礫を昇る少女を睨みつける。
「し……死ぬかと思った……」
『村雨、油断するな! あやつの姿は女子供だが、気配が尋常ではない!』
「分かっている」
 零に答える村雨を数秒見つめていたかと思うと、少女はニヤリと笑う。
 笑ってばかりの女だと思いながら、相手の出方を伺う。
 理由はハヤテが要るからだ。下手に仕掛けては、彼の身がもたない。
「ここに向かってきて正解だったな。まさか、村雨良と出会えるとは」
「キサマ……なぜ俺を知っている?」
「ククク……現人鬼と名乗る、私と同じ化け物<フリークス>よりお前の情報を血から読み取った」
『読み取った? キサマ、何者だ!』
「私の名を尋ねるか、強化外骨格「零」よ。いいだろう、私の名はアーカード。葉隠散の血を吸いし、吸血鬼だ」
 その一言に、村雨は眼を剥く。さらに、村雨でも判断つかない激情が、身体を駆け巡った。
「どうだ? 私と同じような化け物<フリークス>よ。人の記憶は取り戻したか?
それとも、いまだ自分のルーツが分からず、迷い子のように彷徨うだけか?
散は私に星義を見せて散っていったぞ? 己のルーツを知らないとすれば、お前に私は討てない」
「あなたが……散さんを殺した……」
「そうだ、糞餓鬼。それがどうした? 散の記憶にお前などない。それでも散の仇を討つ為に、お前が私に立ち向かってくれるのか?
そこの記憶喪失の化け物<フリークス>よりは楽しめるだろうから構わんぞ」
 ハヤテはギリッと悔しげに歯を噛み締める。
 村雨の大事な人、葉隠散は目の前の化け物に殺されたのだ。
 理不尽に、マリアのように。
 許せないという想いが、ハヤテを駆け巡る。
 アーカードはそのハヤテを見て、満足そうに頷き、失望したような表情で村雨を見る。
298Classical名無しさん:08/01/09 22:14 ID:.M2C4v3c
しえん
299Classical名無しさん:08/01/09 22:15 ID:45g6Mmno

300 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:16 ID:6oFwd9C.
「哀れだな、化け物<フリークス>。その糞餓鬼のように怒ることも、悲しむこともしないか。
人としての生を失ったお前に、空っぽのままのお前に、何の価値がある?
犬の餌になって死んでしまえ」
「確かに俺は空っぽだ……」
 村雨はクルーザーから降り、ハヤテと零を置いて前に進む。
 その背中に、ハヤテと零の視線を感じながら。
「記憶も……悲しみも……ない。あるのは散からもらった、痛みだけだ。パピヨン……奴に対する感情も、怒りではなかった。
あれはただの逆恨みだ。だが、散が死んで一つ思い出したものがある」
「ほう、それは何だ?」
 村雨は風に薄汚れたマントをなびかせ、右手の平を天に向け頭の高さまで肘を曲げたまま上げ、右腕を右方向に突き出す。
 左拳を右手首ほどの位置で固定し、両脚を肩幅まで開く。
 そのままアーカードを見据える村雨の瞳に、静かに、深く、熱く燃え上がる感情が宿る。
 パピヨンの時に感じた感情とは違う。許せない。己が身のためでなく、誰かのためにそう思う。
 これが……

「これが……真の怒りか……」

 村雨の身体から上がる粒子が、その身を変化させていく。
 カミキリムシを模した赤い仮面にエメラルドの複眼。シャッター状の銀のマスクを携えた仮面。
 赤い強化スーツに白いボディーアーマーを持つ戦士が、緑のマフラーをなびかせて吸血鬼の王の眼前へと姿を見せる。
「その怒りで、この吸血鬼に何を見せる? 化け物<フリークス>」
「ハヤテ、零と一緒に逃げろ。あいつは……俺が殺す!」
 零とハヤテに告げて、ZXは地面を蹴る。
301Classical名無しさん:08/01/09 22:15 ID:zWhprHp.
ロリ旦那参上支援
302Classical名無しさん:08/01/09 22:16 ID:bT5w7O.I
                          
303Classical名無しさん:08/01/09 22:16 ID:.M2C4v3c
村雨対主催モードか支援
304 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:18 ID:6oFwd9C.
 吸血鬼とパーフェクトサイボーグ。
 人外同士の激突に、空気が震えた。


「あれが……村雨さん?」
『そうだ。どういう経歴かは知らぬが、村雨の身体は機械が大部分を占める。
元の人としての部品は、最早脳だけだ』
「それで化け物だと、あの吸血鬼はいったのですね」
『……恐ろしいか? 村雨が』
 零の問いにハヤテは目を瞑り、今までの村雨を思い出す。
 といっても、あったばかりでどういう人なのか、詳しく知っているわけではない。
 それでも、ハヤテに声をかけ、勝手に気絶した自分を零と共に助けてくれた。
 自分がマリアを失って悲しんだように、散を失って村雨は悲しんでいた。
 そして、その散を殺した吸血鬼、アーカードに立ち向かっている。
 マリアをだしに、自分を殺し合いへと誘ったガモンに、ハヤテが立ち向かったように。
 外見だけなら村雨は化け物なのだろう。それは余りにも禍々しく、余りにも人とかけ離れた外見を持っていた。
 それでも、化け物だと怖がることは、ハヤテには出来ない。
「見くびらないでくださいよ。これでも、ロボや喋る虎と戦ってきたんですから。
今更、正義のサイボーグなんて、古いですよ。サイボーグ009じゃあるまいし」
 チッチッチと零に対してハヤテは人差し指を振る。
 零の呆れたため息を耳にしながら続きを告げる。
「それに、借金取りに比べたら村雨さんなんて怖くありませんよ。
零さんは借金取りの恐ろしさを知っていますか? 骨までしゃぶる恐ろしい連中ですよ」
 もっとも、これは強がりだ。承太郎が死に、ガモンのような化け物がいる。
 変身した村雨の拳を、平然と受け止める少女の姿をした吸血鬼がいる。
305 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:20 ID:6oFwd9C.
 怖くないはずが無い。それでも、震える脚に活を入れて、ハヤテは二本足でしっかりと地面を踏む。
「零さん、ここにいてください」
『どうする気なのだ!? ハヤテ!!』
「戦います。どこまでやれるか分からないけど、これ以上……」
 ハヤテの脳裏に、悲しみを浮かべる主、ナギの顔が浮かぶ。
 雪の中、マリアとの出会いが再生され、二度と会えないことを噛み締める。
 そんな思いを、あの吸血鬼は多くの人に与え続けるのだ。
「これ以上、お嬢様や村雨さんのように悲しむ人を増やすわけにはいかない! 僕は……」
 ヒナギクのちょっと怒った顔が思い浮かぶ。
 こんなことを言えば、彼女は怒りそうだ。それでも、ハヤテは宣言する。

「僕は、男ですから!!」

 454カスールを構え、ハヤテは地面を蹴る。
 疾風のごとく――


 ZXの拳が風を切り裂いて、アーカードに迫る。
 轟音振りまく拳を、アーカードは己が細い腕を振るって右拳をぶつける。
 拳と拳の衝突。まるで十トントラック同士が衝突したような衝撃と轟音が空気を震わせる。
 凄まじい衝撃を身体に感じつつも、二人の化け物<フリークス>はそのまま拳の連打を続ける。
 ZXの右拳がアーカードの肩の骨を砕き、アーカードの右拳がZXの胸部のアーマーにヒビを入れめり込む。
 続けてZXの左の二連打がアーカードの太ももと脇腹に命中し、アーカードが血反吐を笑いながら吐く。
 アーカードは愉悦に浸った妖艶な笑みを浮かべたまま、ZXの頬に左ストレートを思いっきりぶち込んだ。
 ZXの銀のクラッシャーから血反吐が吹き出て、二人の右拳が再度衝突する勢いで数十メートルほどの間合いが開く。
 ニィっと笑うアーカードの傷が塞がっていく。ZXも傷から粒子が立ち上り、傷が塞がっていくが、圧倒的に遅い。
306Classical名無しさん:08/01/09 22:20 ID:.M2C4v3c
 
307Classical名無しさん:08/01/09 22:20 ID:zWhprHp.
放送直後の鬱タイムを物ともしないコイツラがタマラネェ。最高だマジで
308Classical名無しさん:08/01/09 22:20 ID:.M2C4v3c
どうなるんだこの戦い支援
309 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:21 ID:6oFwd9C.
「どうした? 再生だけなら下級の吸血鬼でも出来ることだぞ? お前の芸を見せてみろ!」
 ZXは無言。答える手間も惜しい。
 ZXの両肩より霧が出て、ベルトが淡く光る。アーカードが興味深く見つめる中、霧が晴れた先に三人のZXがいた。
「ほう、目くらましか」
 襲い掛かってくるZXを前にしても、アーカードは動じない。
 むしろ、つまらなさそうに腕を組む。
「村雨良、付き合ってやろう。キサマの児戯にな」
 三人のZXの拳がアーカードをすり抜け、右に移動した瞬間、アーカードの横を後ろから現れたZXの拳が通り過ぎる。
 後ろからの攻撃を避けられて驚くZXの腹に、アーカードの踵がめり込み、砲弾のような勢いでZXの身体が雑居ビルへと激突する。
 崩れていく瓦礫に埋もれるZXを見下しながらアーカードは進む。
「どうした? まだ眠りにつくには早いぞ」
「う……おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 ZXの腕のシャッター部よりチェーンが飛び出て、アーカードを拘束する。
 地面を蹴り、高速でアーカードへと迫るZXは右腕を大きく振りかぶる。
 ZXは怒りを吐き出すように、始めて己が技を叫ぶ。
「ゼクロス……パァァァンチ!!」
 そのまま音の壁を破る拳はアーカードの頭をいとも簡単に砕いた。
 しかし、アーカードより発せられるプレッシャーが消えることは無い。
 戸惑うZXに、首の無いアーカードが頭を鷲掴みにする。
 刹那、ZXの身体が木偶人形のように振り回され、地面へと叩きつけられる。
 二、三度ボールのように跳ねたZXは痛みに身体を震わせ、立ち上がる。
 蝙蝠がアーカードの首に集まり、顔を構成してく。
 再び黒い長髪をなびかせ、幼い少女の顔を持つアーカードは拍手しながらZXを称える。
「なかなかタフだ。それに速く、技の切れもいい。技の繋ぎ方もそう悪くは無い。
散の記憶よりお前の技を知っていなければ、さすがの私も一時的に行動不能になっていたかも知れぬな」
310 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:22 ID:6oFwd9C.
「黙れ。キサマが散の記憶を語るな」
「なぜ語らせる? それが不満なら、お前が黙らせろ。吠えるだけの駄犬でもあるまいし」
 アーカードの挑発に応えるように、ZXの瞳に炎が宿る。静かに燃える、青い炎が。
「そうだな……今すぐ黙らせてやる」
 ZXのマイクロチェーンが再びアーカードを襲う。
 あっさりと避けたアーカードだが、マイクロチェーンは電柱に巻きついて、巻き取る勢いを得たZXが速さを上げて突進してくる。
 それも散の記憶で見たものだと、アーカードが落胆の様子を見せる。
 それでも、ZXは進むしかない。
 瞬間、一陣の風が吹いた。


「アーカード!!」
 ハヤテの声と共に、銃弾がアーカードを掠める。
 ほうっと、呟き振り返るアーカードは嬉しそうに告げる。
「ついにキサマも参戦したか。糞餓……」
 しかし、アーカードの視線の先にはハヤテはいない。
 あるのは、マイクロチェーンを移動する454カスールを握る『左腕』のみ。
「武装錬金!!」
 ハヤテが叫ぶ。同時に巨大な拳がアーカードの全身を叩き潰し、跳ね飛ばす。
 今度はアーカードが雑居ビルへと叩きつけられた。
 ハヤテの上半身がマイクロチェーンをつたりながら、身体の各パーツをくっつけてZXの傍に立つ。
 ZXの腕がマイクロチェーン上で分解され、一瞬で再構成される。
「村雨さん、僕も戦います。この『スタンド』と『核鉄』で!」
「……なぜ逃げない? そのために零とクルーザーを置いてきたんだが……」
311Classical名無しさん:08/01/09 22:23 ID:zWhprHp.
はああやああてええええええええ!!
312 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:24 ID:6oFwd9C.
「僕はあなたのように、あいつに大切な人を殺されたわけじゃないです。
でも別の奴に、大事な人を殺されました。……もう二度とそんな思いはごめんです」
 ハヤテは寒い冬の公園でナギと出会った日を思い出す。
「僕は借金に塗れて、お嬢様を誘拐しようとした、どうしようもなく荒んで汚れた人間でした。
その僕を、お嬢様はあろうことか、執事として雇ってくれました」
 ヒナギクの気の強そうな、それで見ていて気持ちのいい笑顔を思い出す。
「ヒナギクさんは、完璧超人だけど、どこか可愛いところもあります」
 高所恐怖症だったり、お化けに脅える彼女の姿が浮かび、ついハヤテは微笑む。
 彼女たちだけではない。死んだマリアもハヤテにとっての恩人だ。
 もう逢えはしない。そのことに、どれだけの人が悲しむのだろう。
 怒りと共に、その悲しみを振りまこうとする存在を睨みつけながら、ハヤテは宣言する。
「あいつは、僕の人生をピカピカにした、大事な人たちを奪う。
その人たちを守るために、僕の命はあるんです!」
「……俺にはまだ、お前の言葉が理解できない」
 ZXの感情の篭らない声がハヤテの鼓膜に響く。ハヤテはZXの言葉に落胆する。
 自分の言葉は記憶喪失の村雨には届かないのか?と。そのハヤテに構わず、ゆっくりとZXはハヤテの傍に並んだ。
「だが、理解したいと思う」
「村雨さん……」
「ハヤテ、一つ忠告しておく。俺のマイクロチェーンは高圧電流を流す」
「ええっ! 下手したら、僕さっき死んでいた……?」
「そうだ。だが、今回は使わない。安心してマイクロチェーンを利用しろ」
「……いや、黙っていてくれた方が安心して使えたんですが」
「そうか」
 ZXの返し方に呆れているハヤテの眼前で、瓦礫が飛び散る。
 中央からゆらりと幽鬼のごとく現れたアーカードに背筋を凍らせながらも、怯まない。
313Classical名無しさん:08/01/09 22:25 ID:45g6Mmno

314 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:25 ID:6oFwd9C.
 綺麗な黒髪が宙を舞い、アーカードは顔に狂喜を浮かばせる。
「人と化け物が徒党を組むか、面白い!
さあ、そのスタンドを繰り出せ! 核鉄を発動させろ! 赤く光れ! 化け物として、砕けても砕けても前進を続けろ!
人と化け物よ、私の心臓(ハート)を打ち抜いて見せろ! それが私を殺せる手段だ!」
「あなたにいわれなくても、僕たちはもともと……」
「そのつもりだ」
 瞬間、二人は跳び、アーカードへと向かう。
 人と化け物。限りある命と、悠久の時を刻まざるを得ない肉体。
 いくつもの命が交差をし、肩を並べて不死王へと迫る。
 滅びぬものなど、ないのだと証明するために。


 右拳に右篭手の武装錬金、ピーキーガリバーをハヤテはアーカードの細い身体を押しつぶさんと振り下ろす。
 あっさりと避けたアーカードがハヤテの眼前へと迫る。
 ハヤテは身を捻り、空中で繰り出されたアーカードの右回し蹴りを辛うじて躱す。
 アーカードは身体をコマのように回転させながら、レミントンM31の銃口をハヤテに向け、散弾を吐き出させる。
 ばらける鉛の弾がハヤテの身体を抉らんと迫るが、ハヤテは動じない。
 あらかじめ決めていたように、ZXがハヤテを庇うために前に出て、散弾を全て受け止める。
 ポロポロと落ちる弾をそのままに、今度はZXがハヤテと交代するように前に出る。
 街灯の頭を蹴って一段と高く飛ぶアーカードへと追従するように、ZXも街灯を蹴って宙に舞う。
 二人の拳のラッシュのやり取りが行われ、アーカードは胸と肩に一発づつ、ZXは顔に二発もらう。
 僅かに間合いが開き、ZXはマイクロチェーンを射出する。先端についた刃がアーカードの腹を貫き、地面に突き刺さった。
 地面にはハヤテがいることをZXは確認している。
「狙いはいいが、私をやるにはバレバレすぎるぞ」
 アーカードは呟くと、マイクロチェーンを掴み、力任せに振って、ZXを地面に叩きつけた。
315 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:27 ID:6oFwd9C.
 そのまま後ろに振り向き、マイクロチェーンの上をつたう分離したハヤテの右腕の、ピーキーガリバーを蹴り上げる。
「うわッ!」
「どうした? 人間。キサマの核鉄はこの程度の芸しか出来ないのか?」
「ヌォォォォォォォ!!」
 ZXが何度目か分からない跳躍をし、一直線へとアーカードに向かう。
 その様子を見て、零が焦る。
『正面からは危険だ! 村雨!!』
「もう遅い。猪突しか能の無い無能な化け物など、このまま砕けてしまえ」
 ニィっと、拳を固めてアーカードがZXへの迎撃の準備を整える。
 アーカードの拳が、先ほどとは逆にZXの頭を潰すために振るわれる。
 風が唸り、アーカードの右腕が常人では捉えられない速度で振るわれた。
『村雨……?』
「なに?」
 その拳は空を切る。ZXはマイクロチェーンの上を、身体を分割させながらアーカードへと迫っていた。
 オー! ロンサム・ミーはロープ状の物の上なら自分だけでなく、他人をも分解させることが出来るスタンド。
 ZXは先ほど、己の腕が一瞬分解したことで、そのことを悟った。
 ハヤテは、今この瞬間のためだけに、あの時ZXの腕を一瞬だけ分解させた。
「やっときました! チャンスです、村雨さん!!」
「ああ。…………捕まえた」
 ガッチリとZXはアーカードの身体を両の腕で捕らえる。
 右手でアーカードの頭を掴み、左手で腰の部分を握りこむ。
 ZXの脳裏に、仮面ライダー1号に投げ飛ばされた記憶が蘇る。
 両脚で地面を踏みしめ、全身に力を込めて上半身を回転させる。
316Classical名無しさん:08/01/09 22:28 ID:.M2C4v3c
今の僕には理解できない
317Classical名無しさん:08/01/09 22:28 ID:UPIBOggo
支援だぜ
318Classical名無しさん:08/01/09 22:28 ID:bT5w7O.I
                    
319Classical名無しさん:08/01/09 22:28 ID:45g6Mmno

320 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:28 ID:6oFwd9C.
 起こる竜巻。その暴風に飲み込まれ、アーカードは天へと踊る。

 ―― ライダーきりもみシュート

 ただ一度くらっただけの技を、ZXは見よう見まねで再現して見せた。
「村雨さん!」
 ハヤテの声にZXは無言で頷く。
 跳躍し、身体を赤く光らせる。左手を右腰ほどの高さに、右手を頭ほどの高さに、それぞれ右方向へと真っ直ぐ突き伸ばす。
 空中で右脚をアーカードへと向け、シンクロより発生するエネルギーで推進する。
 爆裂するエネルギーが、稲妻のごとく闇を切り裂いた。

 ZXの身体が赤く光ったと同時に、ハヤテは地面を踏みしめる。
 狙いは、天に舞うアーカード。
 手加減はしない。思いっきり、左足をスライドさせ、つむじ風がハヤテの周りに起こる。
 脅威的な脚力で地面を蹴り、アーカードへと神速の速さで迫る。
 まるで、疾風のごとく。
 天と地より、稲妻と疾風が交差する。
 その中央にいるアーカードを貫いて、二人が交差した点が、夜空に爆発の花を咲かせた。


(あ……マズイ)
 スタンドを駆使し、ガモンから連戦を繰り広げた上、全力の必殺技を使ったハヤテに地面に着地する体力は残されていない。
 迫る地面を見て、ハヤテは痛みを覚悟する。
(あれ、落ちたら痛いだろうなー。出来たら勘弁だけど……もう指一本も……)
 目を瞑り、衝撃が走るのを待つ。しかし、ハヤテの身体は地面へと叩きつけられなかった。
321Classical名無しさん:08/01/09 22:30 ID:bT5w7O.I
                         
322 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:30 ID:6oFwd9C.
 誰かに抱きとめられる、ゴツイ感触を感じたハヤテは眼を開ける。
 そこには、ハヤテを抱き止めた村雨がいた。変身は解いているらしい。
「村雨さん、助けてくれたんですか? ありがとうございます」
 村雨は無言。アーカードを倒した満足感に包まれたハヤテは、お姫様抱っこという恥ずかしい状態なのに気づいていない。
 もしこなたがいれば、ハヤテが女装していないことを悔しがっただろう。
 それほど、お姫様抱っこが似合う男なのだ。綾崎ハヤテは。
「散……」
 呟く村雨の横顔は、切なそうだった。何と声をかけていいか、ハヤテは分からない。
 その二人に、零が叫ぶ。
『まだ倒しておらぬぞ! 二人とも!!』
 驚き、二人がアーカードがいた場所へと顔を向ける。
 そこには、上半身と右肩が吹き飛んだ少女が笑っていた。
「惜しかったぞ。私を倒すには糞餓鬼の体力が持たなかったようだな」
「キサマ……何度でも殺してやる!」
「そうだ、その意気だ。村雨良」
 アーカードの言葉と共に、黒い巨狗が瓦礫より現れる。
 村雨が後方に跳び、地面が噛み砕かれた。
 村雨の身体から粒子が上がるが、零が止める。
『落ち着くのだ! 今は退け、良!』
「もう少しで散の仇が討てる! それを邪魔するのか!?」
『だが、ハヤテの身体が限界だ! これ以上はハヤテを殺す結果になるぞ!』
「く……」
 悔しげに呻く村雨に、ハヤテは申し訳ない気持ちになる。
「僕に構わないでくださ……」
「黙っていろ」
323 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:31 ID:6oFwd9C.
 村雨はZXへと姿を変え、迫る黒い巨狗へと膝に付属している爆弾を投げる。
 爆発が巨狗の頭を吹き飛ばし、粉塵が舞う。
 その隙に、ZXはクルーザーへと飛び乗った。
「アーカード。忘れるな。キサマは俺が殺す」
「その時は、人の記憶を思い出して置け。人間・村雨良よ」
 化け物でなく、人間といいなおしたことに疑問を持つことも無く、ZXはクルーザーのアクセルを全開にする。
 瓦礫を乗り越え、宙を飛び跳ねながらクルーザーは南へと消えていった。



『ここまで来れば、一息つけるであろう』
 零の声を合図に、クルーザーが止まる。
 ハヤテが安堵のため息を突いている横で、悔しげに村雨がクルーザーの車体を叩いた。
「クソ……あいつを……」
「すいません。僕の力が……」
『そんなことは……』
「そんなことは無い。だから、次は倒す」
 短く告げる村雨を見て、零は感心する。
 記憶以外に興味が無い様子だったが、ハヤテとの接触は彼をいい方向へと向けてくれたようだ。
「……分かりました」
『少し休むがいい。疲れた身体では、今回の二の舞になる。策を立てるぞ、良』
「ああ」
 村雨がクルーザーを止めて、零を降ろす。すると、零が何かに気づいたように、声を出す。
「どうした?」
『良、そのまま南に我々を向けたままでいてくれ。すまぬが、今どの地区にいるか教えてくれ?』
324Classical名無しさん:08/01/09 22:31 ID:2K6b/x9A
          
325 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:32 ID:6oFwd9C.
「地図とコンパスを確認して……ホテルがあっちにあるから……D−8エリアみたいですよ」
『つまり、南端か……。良、あそこをみて、違和感を感じぬか?』
「なに?」
『その身で感じぬのなら、変身して視力を高めろ。見えるものがあるはずだ』
 村雨は零の指示に従い、ZXへと姿を変える。
 真実を映す緑の瞳が零の指示する場所へと目を向けた。
「なるほど……お前が言いたいことが分かった」
「どういうことですか?」
『遥か先の地平線に、雷雲があるのだ! しかも、ホログラムでカモフラージュをして、普通の風景を映してな!
良、あのホログラム、お前の虚像投影装置と似たような方法であの景色を映している。
何か心当たりは無いか?』
 零の言葉に、変身を解いた村雨は正面を見据えたまま頷く。
「なるほど。バダンか」
「BADAN!? 村雨さん、BADANを知っているのですか?」
「ああ、俺にこの身体を与え、そして記憶を与えてくれる連中だ」
 その言葉を皮切りに、村雨はバダンとの関係をハヤテたちに告げる。
 バダンによって、身体を改造されたことを。
 記憶がないため、バダンが記憶をくれると約束したことを。
 そのために多くの人を殺してきたことを。
 そして、バダンは世界中の軍隊を潰せるほど巨大であることを。
 この殺し合いの主催者として暗躍してもおかしくないことを。
 余りにも、淡々と。
 村雨は全てを語り終えた。


 全てを聞き終えた、零はカバンでありながらも、身体を震わせる。
326 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:33 ID:6oFwd9C.
『それで全部か?』
「ああ」

『この…………大馬鹿者ッッッ!!!』

 零の怒声に、ハヤテが思わず耳をふさぐ。
 それにも構わず、零は怒りを村雨にぶつけた。
『状況から察するにお前の記憶を奪ったのは、バダン以外ないであろう!
記憶を奪った連中が、記憶を戻すと思うか!? お前が記憶に執着するのを見て、ただ利用しているだけだッ!!
なぜ、それが分からなかったのだ! 良よ!!』
「俺はバダン以外知らない。記憶を戻してくれるのも、バダンぐらいしか俺は……」
「知らないなら、今から知ればいいじゃないですか」
 突然のハヤテの割り込みに、村雨の眉がかすかに動く。
 怒りに燃えるハヤテが静かに佇んでいた。
「村雨さんの記憶をエサに利用する連中なんて、放っておけばいいじゃないですか!
村雨さん、僕たちと一緒に脱出を目指しましょう! 記憶を取り戻す方法は、連中を捕まえて吐かせましょう!!」
 手を差し伸べるハヤテを、村雨は不思議そうに見つめる。
 どうしてこの二人は、自分の身を案じてバダンに怒りを感じるのか、村雨には分からなかった。
 村雨は、今度はハヤテの手を取らす、呟く。
「アーカードと約束のDIOを倒すまでは協力する。そのあと、脱出を目指すかは別問題だ」
「駄目ですよ。村雨さんは僕と零さんの仲間なんですから。脱退許可は下りません。指をつめても駄目です」
『と、言うことだ。良』
 悪徳業者のような黒い笑みを浮かべるハヤテと、調子を合わせる零に、村雨は思わずため息を吐く。
327Classical名無しさん:08/01/09 22:34 ID:UPIBOggo
支援
328Classical名無しさん:08/01/09 22:34 ID:2K6b/x9A
         
329 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:35 ID:6oFwd9C.
 頭より覗く月は、最初村雨が見たときよりも綺麗に思えた。


 ハヤテの説得により、バダンへと疑いを持つ村雨を見て零は安堵する。
 ハヤテとの出会いとアーカードとの対決は村雨にいい方向へと影響を与えた。
 同時に、主催者への情報が手に入る。
 雷雲をカモフラージュする技術とハヤテのガモンと名乗る男との接触から得た情報により、十中八九バダンが黒幕であることが分かった。
 世界中の軍隊に勝る戦力を持つ敵。
 巨大といっていい。それでも、立ち向かうのが、正義を貫くのが強化外骨格「零」の務め。
(おそらく……バダンの本拠地はあの雷雲の中にある)
 四方を囲んであるだろう、雷雲。零はその中にバダンの本拠地があると判断する。
 なぜなら雷雲の中には、稲妻が発生しているらしく、時々放電をしている。おそらく迎撃装置の意味合いもあるのだろう。
 そうまでして隠したいもの。零にはバダンの本拠地以外、考えられなかった。
 しかし、それが分かっても内部の侵入は難しいだろう。首輪のこともある。
 だが、速度のある乗り物ならどうだろうか? たとえば、村雨の乗るクルーザーなどは?
(あの稲妻がバダンの迎撃装置とするなら、撃たれる前に走り抜けれる乗り物が必要となるはず。
それでも、まずは首輪を解除させ、あそこの近くに行かねば話にならない。
あの雷雲を詳しく解析し、必要な速度を割り出せば脱出は現実のものとなる。
村雨の支給品、クルーザーは何度か、時速600キロメートル後半を記録していた。
探索のためにスピードを落とし良の操作技術が高いとはいえ、一地区四方を縦横無尽に駆け回っても、消費した時間は十分にも満たない。
おそらく、この地域を全て回るのにもそう時間は必要あるまい。
クルーザーは脱出にも必要なアイテムだ。失うわけにはいかない。それに、アーカードやDIOに奪われるのは最悪だ。
あやつらがクルーザーを手に入れれば、いかなる場所にでも短時間で移動でき、多くの人間を殺すことが可能だ)
『良、クルーザーを決して手放すな』
「急にどうした?」
330 ◆wivGPSoRoE :08/01/09 22:36 ID:2K6b/x9A
     
331 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:36 ID:6oFwd9C.
『その説明を今からする』
 零は自分が確認したことを、仲間となった二人に語る。
 彼らが確認したことが真実か、否か。
 それが主催者バダンに一矢報いるか。
 それでも、負けるわけにはいかない。彼らは前に進むための闘争は、まだ続いている。



 頭に輝く月を見て、アーカードは笑う。
 右腕と下半身は村雨とハヤテのタッグに吹き飛ばされて、さしもの不死王も回復の時を必要としていた。
 アーカードが乗り回した車は先ほどの激闘で、いつの間にか炎を上げて燃えている。
 燃える車を背に、綺麗に流れる黒髪が月光を反射し、凄惨な戦いの後を残す顔を照らす。
「いい夜だ。回復にはもってこいなほどに。それにしても、この私が二度も死に掛けるとは」
 ククク……と低く笑い、狂った望みに思いを馳せる。
 自分の望み通りの強者たちが跋扈している地。
 もし、最後の技のとき、ハヤテの身体が疲労で勢いを衰えなければ、アーカードとてどうなるかは分からなかった。
 そして、死んだと聞かされていたジョセフ=ジョースターが生きていた。
 楽しみはまだまだ残っている。それが、酷く楽しい。
 強者との戦闘の時間はとても愛しく、手放したくないほど切望する。
 身体の回復を待って、闘争の準備を整えるのも悪くないと思えるほど。
 月の光が照らす中、アーカードは狂喜の中で笑い続ける。
 アーカードをマスターと慕う、死んでしまったドラキュリーナが、始めてきた時は月を眺めていたことは彼は知らない。
 そしてアーカードは天に浮かぶ月を綺麗だと思っていた。
 殺し合いを盛り上げるほどに。

332 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:37 ID:6oFwd9C.
【D-8/南 1日目 夜】
【綾崎ハヤテ@ハヤテのごとく!】
[状態]下腹部、左肩、右頬に中程度のダメージ、核鉄とスタンドの同時使用により疲労極大、核鉄により自己治癒中
    仲間を得て精神的に安定。
[装備]核鉄(ピーキーガリバー)@武装錬金 454カスール カスタムオート(6/7)@HELLSING オー・ロンサム・ミーのDISC
[道具]支給品一式-水少量 13mm爆裂鉄鋼弾(35発)、ニードルナイフ(15本)@北斗の拳 女装服
音響手榴弾・催涙手榴弾・黄燐手榴弾、ベレッタM92(弾丸数8/15)
[思考・状況]
基本:マリアの死を無駄にしないためにも、力の無い人を助ける。命を捨てる事も辞さない。
1:村雨と共にアーカードを倒す。
2:BADANを許せない。
3:力を得る。
4:ナギにあわせる顔が無い。
[備考]
※総合体育館の一部に、半径2mの穴が空いてます。
※ガモンを主催者の一味でないか?と考えています。
333Classical名無しさん:08/01/09 22:37 ID:2K6b/x9A
               
334Classical名無しさん:08/01/09 22:37 ID:zWhprHp.
 
335 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:38 ID:6oFwd9C.

【村雨良@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:全身に無数の打撲。疲労(大)
[装備]:クルーザー(全体に焦げ有り)、十字手裏剣(0/2)、衝撃集中爆弾 (0/2) 、マイクロチェーン(2/2)
[道具]:地図、時計、コンパス 、強化外骨格「零」(カバン状態)@覚悟のススメ
[思考]
基本:殺し合いに乗る? かなり揺らいでいる模様。
1:アーカードを倒し散の仇を討つ。
2:アーカードを倒した後、零との約束(DIOを倒す)を果たす。
3:劉鳳、ジョセフと次に会ったら決着を着ける。
4:散の愚弟覚悟、波紋に興味あり。
5:パピヨンに恨み?
6:ハヤテに興味あり?
[備考]
※傷は全て現在進行形で再生中です
※参戦時期は原作4巻からです。
※村雨静(幽体)はいません。
※連続でシンクロができない状態です。
※再生時間はいつも(原作4巻)の倍程度時間がかかります。
※D-1、D-2の境界付近に列車が地上と地下に出入りするトンネルがあるのを確認しました。
※また、零の探知範囲は制限により数百メートルです。
※零はパピヨンを危険人物と認識しました。

【零の考察】
・ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外に発見。放電しているのを目撃。
 1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
 2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。

336 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:39 ID:6oFwd9C.
【D-5/南 1日目 夜】
【アーカード@HELLSING】
[状態]:ロリ状態(外伝および9巻参照)。全身にダメージ大(吸血鬼による能力で自然治癒中)
    上半身左腕のみの状態。
[装備]:フェイファー ツェリザカ(0/5) 、レミントンM31(2/4)
[道具]:支給品一式、スタングレネード×4、
色々と記入された名簿×2、レミントン M31の予備弾22、 お茶葉(残り100g))
[思考]
基本:殺し合いを楽しむ。
1:身体の治癒を待つ。村雨たちのリターンマッチに期待。
2:満足させてくれる者を探し闘争を楽しむ。
3:DIO、柊かがみ、劉鳳、アミバ、服部、村雨&ハヤテとも再度闘争を楽しむ。三村は微妙だが興味はある。
[備考]
・参戦時期は原作5巻開始時です 。
・首輪は外れていますが、心臓部に同様の爆弾あり。本人は気づいてます。
・DIOの記憶を読み取り、ジョセフと承太郎及びスタンドの存在を認識しました。
・柊かがみをスタンド使いと認識しました。
・散、ブラボーの記憶を読み取り、覚悟・マリア・村雨・劉鳳・タバサ・服部・アミバ・斗貴子・パピヨンの情報を得ました。
・首輪そのものがスタンドではないかと推測。


ゴールド・エクスペリエンスのDISC、核鉄(シルバースキン)を持った梟(桐山の首)が会場をさまよっています。
ゴールド・エクスペリエンスは人体を創る事は出来ません。
変電所周辺に桐山の首なし死体が放置されています。
またその傍に名簿を抜いた支給品一式が入ったデイパック×2が放置されています。
337Classical名無しさん:08/01/09 22:39 ID:2K6b/x9A
           
338 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 22:40 ID:6oFwd9C.
投下終了。
矛盾、誤字の指摘をお願いします。
そして、タイトルは Double-Action ZX-Hayate form です。

多くの支援、ありがとうございます。
感想お待ちしています。
339Classical名無しさん:08/01/09 22:42 ID:.M2C4v3c
投下乙!まさかの村雨対主催!?
敵の本拠地っぽいところが見つかり
ハヤテと村雨、旦那の因縁

面白くなりそうだ
340Classical名無しさん:08/01/09 22:44 ID:m/.SHvco
両者投下乙!
独歩、鳴海、ナギ、ハヤテ、お前らみんな漢だよ…本当に放送後か?
村雨も順調に記憶取り戻しに向かってるし好調だな
アーカードはアーカードで強者一杯狂喜乱舞w

ところで誤字報告をば

>>そこには、上半身と右肩が吹き飛んだ少女が笑っていた。
ちょ、アーカード死んだw
341Classical名無しさん:08/01/09 22:46 ID:2K6b/x9A
>>338
まずは、熱血バトルGJ!! 
と言わせていただきましょうか!
なんか今日は熱すぎて焼死しそうだ……。

散のことを思い出して怒りに目覚めるZXがイイ!
仮面らライダーはやっぱこうでないといけないぜ
それにハヤテが男らしくてこれまたよかったです。

>指をつめても

それにしてもさすが借金取りに追われていただけのことはあるww
こういう用語を聞かされて育ってきたんだろうなあ。
脱出の糸口も盛り込み、まことにGJ!! な一作でした。
342Classical名無しさん:08/01/09 22:48 ID:JwDcFp0.
乙。
ついに村雨、対主催へと移行しはじめた!!
あのアーカードを相手に、深手を負わせた点も見事。
マイクロチェーンにロンサムって、結構相性いいもんだな……

そして、ついに主催の本拠地を発見。
四国編の雷雲が迎撃システムと来たか……さて、どう突破するか。
343Classical名無しさん:08/01/09 22:49 ID:bT5w7O.I
投下乙。あれ、これメモリーキューブいらな……。
予約だけ見て「さようならハヤテ」って言う準備は出来ていたのにw
まさかこんな熱血バトルの末に名コンビが結成されるとは。
344 ◆3OcZUGDYUo :08/01/09 23:06 ID:eygyT2KA
>>338
投下乙!
まさかまさかのZXとハヤテの共闘という展開にビックリしましたよ!
やはり氏はライダーの戦闘が上手くて支援を思わず忘れてしまったW
本拠地も凄い自然な形で話に絡ませるその構成力にGJ!

ホントによく被りますね……いつか夜の日にあなたと私でダブルライダーでもやりたいなと思ったりW


WX氏の力作に霞みまくってますがナギの状態表の間違いご指摘どうもありがとうごさいました!
wikiに収録されたら修正します。
皆様感想どうもありがとうございました!
長文失礼。
345Classical名無しさん:08/01/09 23:08 ID:Ck/hJHEM
>>343
一応トリオって事で
しかし良が記憶を取り戻したら散に対してブチ切れる悪寒
346Classical名無しさん:08/01/09 23:14 ID:lLO4IFZQ
投下乙。GJな熱いバトルでした。
ハヤテ、ちょっと前のヘタレ状態が嘘のような漢っぷりだなぁw
意外にも対主催としての考察が一番進んでるようだし。

記憶については、メモリーキューブ持ちのチームには覚悟やヒナギクがいるから、
連中に会えれば案外すんなりと解決しそうだが……
まぁ、出会うのが大変なのがバトロワなんだけどね。
347 ◆WXWUmT8KJE :08/01/09 23:31 ID:6oFwd9C.
>>344
今夜は俺と氏でダブル投下だからな。
こうですか? 理解できそうです><

霞む?
んなこたぁありませんって。ハヤテのごとく二人が同じ日に投下……なんかロワ内でも繋がりがあるんでしょうかw

冗談はさておき、指摘部分はwiki掲載時に直したいと思います。
感想ありがとうございます。
348Classical名無しさん:08/01/09 23:36 ID:9vLgGj3w
両者投下乙。

涙の中から立ち上がった鳴海・ナギ・独歩組は、たくましくなったなぁ。
実に熱い。

アーカード対、まさかのタッグ・ZX&ハヤテも熱い!
対主催の道筋がうっすら見えてきた。まだまだ壁は高く道は険しいけど……!

ああ、負けてられねぇ……!
349Classical名無しさん:08/01/10 01:23 ID:txJLqIsM
            r──── 、ー- 、
         ,.:.:´: : : : : : : : : : : : :\: : `ヽ
       /: : : :{: : : : : : : : : : : : : :\ : : :\
      /: : : : : ::{.:.:ヽ.:\: : : : : : : : : ::ヾ.:.:.:.:.:.',
     /: : ::l: : :::/ ヽ:::l\:.:\: : : : : : : : :ヾ.:.:.:.:.:i
     i : : ::|.-=/  ヽ|  ヾ \: : : : : : : レヽ.:.:.i
     l: : : |: : :/    l 〃 ⌒丶、: : : : : iヽ,/ ̄ヽ
     .l: : ::|: :/      / f´:::ヽ  Y: : : ::lヽ\ /    お母さん、このロワは熱血がいっぱいです。
      ',: : :l.:.:r ⌒     V:{ }   \: : |}.}_}/:::\    とっても熱いです。
      丶::::l:.:{ f::ヽ    `ー´    }ヾレ::`ヽ`ヽニニミ、
       ヽ::lヾヽゝソ          し ∧ミヽ: : : : :`ヽ、
         ノ:ハ          ,, イ⌒;,ヽ \ ̄ ̄ ヾ
        //{jヽ.    C__/⌒´;, ;, ;, ;, ;, ;, \ヽ
       /'  {r─` ==r‐ヽ,;,ヽ;, ;, ;, ;, ;, ;, ;, ;, ,ヽ
      ⊆ヽf;, ;, ;, ;, ;, ;, ;,l⊆-};, ;,}; ;, ;, ;, ;, ;, ;, ;, ;, }i
      {ソィノ;, ;, ;, ;, ;, ;, ;,l  l ̄7¨''─ァ;, ;, ;, ;,; {ヽ
         `-、__,, ─--{`ーゝ/___ ノノ;, ;, ;, ;, ;,ヽ}
                }ー´{ニ};, ;, ,; ,; ,; ,; ,; ,; ,; ;ヽ
                |;, ノi ヽ`ヽ、;, ;, ;, ;, ;, ;, ;, ゝ
350Classical名無しさん:08/01/10 01:42 ID:0dFxK1dc
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      ヽ!::::::_,. -―――――‐-、:::::::::l:/
       |::,イ! ニ二二二二二二ニ`゙ト;、:|
     /⌒ヾ.jl _二二ニ、―‐,ニ二二, {il/ニヽ
     |{{とl、ム-、ェ:::ェ≧、 .イ≦ェ::ェッゝ.|'ヽ) |
     | 冫 |彡'`    ''"l ト`"  '^'ミ'|,ニ、|
     | |:.r'l     ,ィ,' } .{ ミ、、    |) || これは良い
     | `'_,.|    /(r:(__)ぅヽ.    |ー' ,.!   素晴らしき創意に熱気…。
     |   |    '  __j_l__ ':,    | ̄ |
     、_ノ!   | ヽ、===ァア |    !、_ノ
      r―ゝ、 {  ヾ二二ン  }  ∠-、
      /!:::{ト、|\ '、      ,' /|/}::::lヽ
    / l::::l ヽ、:l``、___.ノiイ / l:::::l 丶
  ,.-/  l::::l  ヽ'ノ       l У l:::::l  \
351Classical名無しさん:08/01/10 03:02 ID:pHirbeV2
ZXとハヤテのコンビが戦闘・かけあい・精神のどの点においても、これほどピタっとくるとは!
そしてなんか零の口調ともマッチ。アーカードもかっこいいし、GJ!
 しっかし、きりもみと疾風の如くとZXキックの合わせ技燃えた。
352Classical名無しさん:08/01/10 18:46 ID:0dFxK1dc
 あ、そう、細かいところですが。
>>239
>「その時にはこの神心会会長、愚地独歩
 作中での呼称に倣えば、「神心会館長」 となると思います。
353Classical名無しさん:08/01/10 20:34 ID:wzE3dho2
>>352 作中での表記は館長なだけどでも板垣のミスにしか思えないんだよね
極真会館の大山館長をモデルにしたから館長って呼ばれてるけど、神心会だと
会長としか呼びようが無いんだよね。でも原作どおりにいくべきなだろうね

両作者ともGJでした、お疲れ様です、独歩最高
354 ◆WXWUmT8KJE :08/01/10 21:24 ID:piONyTHk
ttp://ud.gs/40ddf

ついで、禁止エリア追加マップです。
忘れていました。
355Classical名無しさん:08/01/11 03:22 ID:ardhN5xQ
ツンデレのジンクスに承太郎を追加してきた。
後悔はしてない。
356Classical名無しさん:08/01/11 15:32 ID:KvuoTics
>>354
亀になったけどマップGJ!
禁止エリアが増えてきたなぁ!
357Classical名無しさん:08/01/11 16:06 ID:/n0ilido
>>355
あれはツンデレじゃないだろ常考
ただ仲間思いなだけだ

俺はあの項目に入れたのは感心しない
358 ◆vPecc.HKxU :08/01/11 17:34 ID:MQrVXImg
板間違えた ジョセフとかがみ、延長します
359Classical名無しさん:08/01/11 19:07 ID:eF3orquc
支援準備は整っているっ
360Classical名無しさん:08/01/11 19:18 ID:9ktE80Z2
了解、けど一言くらい謝罪の言葉を添えても罰は当たらないと思うぜ。
頑張って!
361 ◆1qmjaShGfE :08/01/11 19:55 ID:eF3orquc
投下と勘違いしてた_| ̄|○
覚悟、川田、ヒナギク、つかさ投下します
E-5中央部民家、二階建ての一軒家。
一階の居間は畳敷きになっており、十畳程のその部屋の中央には長方形の大きな木の座卓が置かれていた。
その床の間に飾られている掛け軸と大きな壺が、和で統一されたこの部屋の雰囲気を更に引き立てている。
サッシ窓はこれから始る放送を聞き逃すまいと、大きく開かれている。
座卓の前に座るは葉隠覚悟、川田章吾、柊つかさ、桂ヒナギクの四人。
各人の前に置かれた湯呑みには熱いお茶が注がれている。
座布団をしいたそこに座っている四人は、それぞれがその性格に合わせた座り方をしていた。
「……なあ、葉隠。別に正座して待つ事は無いと思うんだが」
川田が苦笑しながらそんな事を言うが、覚悟は不思議そうに川田に問い返す。
「何か問題でもあるか? ならば座り方を変えるが」
ヒナギクも呆れた様子だ。
「葉隠君らしいといえばらしいけどね。その教科書に載せたくなるぐらい理想的な正座姿とか」
つかさは羨ましそうに覚悟を見ている。
「すごいね覚悟君、私だとどうしても背筋がぐにーって曲がっちゃうからそんなかっこよくは座れないよ」
そんな事を言いながら、つかさは覚悟の真似して正座をしてみるが、無理して背筋を伸ばしているので見ていて何かバランスが悪い。
ヒナギクも一緒になって正座をしてみる。
「私剣道やってるから結構出来てると思うわよ」
自分で言う通りヒナギクの正座姿は、その端正な容姿、美しく背中にかかる長髪も相まって、見ている三人が驚くぐらい清楚な雰囲気を醸し出している。
三人は口々にその姿勢を褒め、ヒナギクも満更ではない模様。
「ありがと。でもそれよりも私、川田君のあぐら姿の方がよく似合ってると思うわよ」
覚悟、つかさの目が同時に川田に向く。
学ランの前をはだけ、Tシャツがむき出しになっているが、それ一枚ではその下の筋肉を隠しきれず、
胸部を中心にTシャツを引っ張りながら大きく盛り上がっている。
また極端に短く刈り上げた髪、顔の数箇所に刻まれた傷跡、
無精髭といった男らしさを主張する顔のパーツの多くがあぐらをかくという鷹揚な座り方に驚く程マッチしている。
何やら深く納得するものがあるのか、大きく頷くつかさ。
「……確かに。川田君これ以外無いって座り方だよね」
その言葉が少し気に障ったらしく、川田は腰をあげる。
「よし見てろよつかささん」
改めて座りなおす川田。
その正座姿は覚悟やヒナギクに勝るとも劣らない、見事な正座姿であった。
つかさ、ヒナギクは同時に声をあげた。
『……修行僧だ』
印象が一緒だったのが嬉しかったのか、二人は顔を見合わせて笑う。
「そうそう、山奥で拳法の修行とかしてる感じだよね」
「囲炉裏とかを前にお酒がぶがぶ飲んでる破戒僧ってイメージよね」
女性陣の言いたい放題に川田は肩をすくめる。
「何とでも言ってくれ」
すぐに足を崩しながら、テーブルの上に載せていた灰皿を側に引き寄せ、タバコに火をつける。
それを見たつかさ、ヒナギクは嬉しそうにまた声をあげる。
『やっぱり破戒僧!』
とても吸いずらくなった所に二人の追い討ちが重なる。
「でも川田君、タバコは体に悪いよ」
「そうよ、まだ未成年なんだからタバコなんて吸っちゃダメよ」
渋い顔になって、灰皿にすぐタバコを押し付ける。
それを見て二人は満足したのか、さっきの話の続きを始める。
それがあまりに楽しそうなので、文句を言う気も失せてしまった川田であった。
とりあえず賑やかに騒いでる二人を放っといて隣の覚悟に声をかける。
「お前の正座の話から始まってこっちは散々だ」
覚悟は彼にしては珍しく愉快そうに笑う。
「なら、私も姿勢を崩すとしよう」
川田に合わせてあぐらをかく覚悟。
こういったその場のノリ等と疎遠であるイメージがあったため、この不意打ちには少し驚く川田。
「ははっ、そいつも案外似合ってるぜ葉隠。次は足でも伸ばしてみろよ、お前のだらしない格好ってのも滅多に見れそうにないから……」
そんな川田の冗談をつかさが控えめに遮る。
「だったら、私体育座りとか見てみたいかな。可愛くていいと思うんだけど」
いきなりの無茶な注文にヒナギクが噴き出す。どうやら二人は男二人がどんな座り方したら楽しいか相談していたらしい。
調子に乗る二人に、川田はそろそろ止め時かと考える。それに覚悟だと、そもそも体育座りを知らない可能性すらある。
「おいおい……」
「了解した」
「やるのか!?」
驚く川田を他所に、足を横に向けると、両足をまっすぐに伸ばして揃え、そこから両膝を曲げる。
その上で両手を膝の上に乗せて組む。背筋はまっすぐに伸ばしたままだが、それを不自然と感じない清廉さが覚悟にはあった。
だが、そんな美しい体育座りに演技指導が付く。
「葉隠君、そこでもうちょっと腰曲げて……そう、膝の上に顎乗せちゃって。片足は伸ばした方がいいわね〜」
「首は横に寝かせた方がいいかも。それと、もうちょっとこう、やる気無いー、寒いーとかそんな感じが……」
グラビア撮影か何かと化してきているこの惨状を、川田は武士の情けで見なかった事にしてやるべく、
覚悟から視線を逸らしてお茶を手にするが、それを当の覚悟が邪魔しにくる。
「……もしかして私は変な格好をしていないか? 川田、少し見てくれ」
覚悟の隣に座っている川田とは反対方向に足を伸ばしているので、川田からは覚悟がどんなザマになっているのか良く見えない。
なので覚悟は、ヒナギク、つかさの注文どおりの格好でふいっと両足を宙に持ち上げると、
見事なバランス感覚でお尻を基点にくるっと回転して川田の方を向いたのだ。
「ぼぶふぉっ! ごほっ……そ、それは反則だろ葉隠。なんつー捨て身なギャグを……」
盛大にお茶を噴出す川田。そして不意に静かになる女性陣。
畳に片手を付き、残った手はテーブルの上。咳き込みながら全身を小刻みに震わせるつかさ。
両手を畳につきながら、何かを堪えるようにどんどんと畳を叩き続けるヒナギク。
川田も全力で笑い出したいのを堪えつつ、覚悟に助けを請う。
「葉隠……頼むから、正座に戻ってくれ……それ、卑怯の域だ……」

行儀良さそうに並んで正座するヒナギク、つかさの二人。
あぐらをかいたままの川田は仏頂面である。
「俺もこんな事言いたくないんだがな、二人共」
ヒナギクとつかさは赤面して縮こまる。
状況も考えず、緊張感の欠片も無い有様を反省すべしとの川田の言に返す言葉も無かった。
「そりゃ陰鬱に沈んでるよりゃマシだけどよ……」
横目で覚悟の様子を見る川田。流石に気を悪くしたかと思っていたのだが、覚悟は微笑すら浮かべている。
「なんだ、何か嬉しいのか?」
川田の問いに微笑を崩さず覚悟は答えた。
「私は戦う以外に何の術も持たない。そんな私が、こんな簡単な事で彼女達を喜ばす事が出来た……少し、感動しているのだ。そうか、私のような武骨者でも出来るものなのだな……」
二人に気を遣っての事ではない、覚悟は本心からそんな事を喜んでいるようだ。
それを見た川田は、再度ヒナギク、つかさの二人をじろっと睨む。
その視線には、こんなに素直でまっすぐな覚悟をからかった事への非難が込められている。
二人共すぐにそれを察し、頭を下げた。
「ごめんね、覚悟君」
「本当ごめん葉隠君、もう二度としないから」
何故謝るのか理解出来ない覚悟に代わり、川田が大きく頷いてやる。
「よろしい」


川田が盛大に噴き出したせいで汚れた座卓をつかさが綺麗にし、ヒナギクはその間に四人にお茶を入れなおす。
各人が出会った、ないし見知っている人間に関しては、それぞれ説明済みだ。
それが誰にとっての重要人物であろうと、全員がそれを共有出来るよう準備はしてある。
川田は名簿を見ながら覚悟にその内容を確認しつつ、地図を広げている。
ここに連れて来られて既に18時間が経とうとしている。
一回目放送までの死者が8人、二回目放送までに11人。川田が前回参加したプログラムと比べると人数の変遷に違いが見られる。
少なくとも前回のプログラムまでは、最初に大きく人数が減った後、それ以上に死者の数が増える事は無かった。
(集められた人間の違いって奴か。そして今回の死者数で、二回目放送時の褒美とやらに食いつく人間がどれ程居るかわかるはずだが……)
不確定要素が多い為、必ずしも死者数が参考になるとは限らないが、一応の目安ぐらいにはなるはずだ。
川田は自分が参加したプログラムと今回のそれとの違いを考える。
死者数に大きく影響したのは、やはり最初の知識の差であろう。
川田が参加した二回のプログラムでは、参加者の全員が多かれ少なかれプログラムに関する知識を持っていた。
そういう事が起こりうる。それを知っていたし、それに逆らう事が如何に困難かも事前に知っていたのだ。
だが、今回はそもそも第一放送までに与えられた情報が首輪の事と、殺し合いをしろという命令のみ。
これでは第一回放送までに殺し合いをする人間の方がおかしい。
それでも8人の人間が死んでいるのだ。覚悟が言っていた散という人間のような、
そもそも人を殺す事を目的としているような参加者が複数居るのだろう。
ラオウという人間の事もわからない。
こんな場所に放り込まれたというのに『強い奴と戦いたい』だとか、正気を疑う。
だが、そんな奴を止める為に本郷が戦い、散っていったのも事実。それは受け止めなければならない。
川田はそこまで考えて、ため息と共に愚痴じみた言葉を漏らす。
「ダメだな。イレギュラーな要素が多すぎる」
川田が考え込んでいる間に、つかさとヒナギクは地図を見ながらこの後の移動先を相談しており、川田のぼやきを聞きとめたのは覚悟だけである。
「何か悩み事か?」
肩をすくめる川田。
「並行世界なんていわれたら、何でもありすぎて予測の立てようが無いって話さ」
手にしていたお茶を座卓に置き、覚悟が川田の言葉に答えようとしたその時、18時の放送が聞こえてきた。
まるでその声が何かのスイッチであるかのように、四人の表情が変わる。
先刻まで冗談を言い合っていたのが嘘のように、鋭い視線と険しい表情になって名簿と聞こえてくる放送に集中する。
つい昨日までは、家族や友人達と共にある事が当然であったヒナギクやつかさも、
数年間訓練を積み重ねてきた兵士のような集中力と真剣さを見せる。
少しでもみんなの足手まといにならないように、それを実践するに必要な事を彼女達なりに必死に考えてきた結果であろう。
それが、頼もしくもあり、また悲しくもあると感じる川田は、随分と七原達に影響されたものだと自嘲する。
(それでも三人に任せられない汚れ仕事はある。それをやるのが、俺の役目だ)

外から聞こえてきた放送、その内容はこの四人にとっては特に重い内容であった。
川田、つかさの二人は自らの関係者が呼ばれる事は無かった。
だが、マリアの名が呼ばれた時のヒナギクの表情の変化は劇的であった。
それでも全ての人間の名が呼ばれ、名簿に印を付け終わるまでその作業を止めなかったのは賞賛に値すると思われる。
筆を置き、無言で名簿を見下ろすヒナギクは、傍で見ていてわかる程に震えていた。
そっとその表情を伺うつかさ。
目の焦点が合っていない。
つかさは、川田に目配せする。
それを理解した川田は、彼女との役割分担を了承した。

やはり自分が当事者になると違う。
覚悟も決めていたし、いざそうなった時どう考えるべきかも頭に入れてある。
だが、こうして自分の身に降りかかってみると、それら全てが何処かへとすっ飛んでいってしまう。
色んな事柄が頭に浮かんでは、それらが脈絡も無く繋がって消えていく。
意味の無い事、ありえない事を考慮に入れ、真剣に脳内で議論する。
そしてそこから導き出される答えから生まれた、新たな疑問の解決策を見出すべく、思考にふける。
その矛盾と不毛さに気付いて前提条件を考え直すが、何処からがまともで、何処からがそうでないのか判別がつかない。

「……ナ……ちゃん」

しかし、自分でもそれと気付かない内に、確実にその思考は改善不能な陰に篭ったそれへと向かっていく。
その思考が当人にとって極めて重要であるが故、そこに没頭し、五感が知らせてくれる刺激をそれと認識出来なくなる。

「……ヒナちゃん!」

不意に聞こえてきた大声にその目を開く。
いや、目はずっと開いていた。ただ、そこから入ってくる情報に全く注意を向けて居なかっただけだ。
368Classical名無しさん:08/01/11 20:03 ID:pm6lZpXc
sage
369Classical名無しさん:08/01/11 20:04 ID:.X2akxek
 
声の主は? 声は何処から聞こえてきた?

「ヒナちゃん!」

今度は聞こえた。右隣から、そうだ、この声はつかさだ。
そちらに目を向けると、確かにそこに居るのはつかさだと思った。
右手が汗ばんでいる事に気付き、それを拭おうと手を上げかけて止める。
自分の右手にはつかさの左手が添えられていた。
そこでようやく、自分がつかさに心配をかけている事に思い至れた。
空いている左手を開いて、つかさの前に出す。
「大丈夫。うん、大丈夫だから」
自分に言い聞かせるように繰り返す。
ああ、やっぱり大丈夫じゃない。体の震えを止めるにはもう少し時間が要る。
やはりつかさは心配そうな目でこちらを見ている。
時間稼ぎが必要だ。
「ごめんつかさ……水、もらえるかな」
つかさはこちらの様子をまじまじと見つめた後、すっと立ち上がった。
「うん、待っててね」
小走りに部屋を出るつかさを見送った後、体の中に溜まっている澱んだ何かを追い出すように、大きく息を吐き出すのだった。

つかさから合図を受けた川田が覚悟の様子を見ると、覚悟は静かに目を閉じて正座したまま、微動だにせず佇んでいる。
不純物の一切無い、透き通るような氷に身を包み、静寂の中でただ時が過ぎるのを待ち続ける彫像。
いつもの肉厚で骨太な存在感は影を潜め、空気と一体化したかのようにその場にただあり続ける。
自分を隠す事もしないが、同時に人の手が触れる事も許さない。
川田は首を横に振り、再度自分の役割を思い出す。
「……葉隠、少し表の空気吸って来い」
覚悟は表情一つ変えず、その硬質な雰囲気は崩さないままに立ち上がる。
371Classical名無しさん:08/01/11 20:04 ID:DiREnjZw
しえん
372Classical名無しさん:08/01/11 20:04 ID:pm6lZpXc
age
「この後どう動くかは俺が考えておく。だから今は余計な事は考えなくていい」
言うべき事はこれで終わりだ。後は覚悟が自分で解決するだろう。
一瞬、覚悟の雰囲気が変わる。
振り返る事もしなかったが、今にも消え入りそうな声で一言。
「……すまん」
そう言い残して、覚悟は部屋を出ていった。

つかさから受け取った水を一気に飲み干す。
コップを座卓に置きながらちらりとつかさを見ると、まだ心配そうにこちらを見ている。
なので、彼女の前で笑顔で拳を握ってやる。
私はこの仲間達の為ならいつだって笑って見せてやれる。こんな所で負けてなんてやるもんか。
ちょっと笑顔が引きつってしまってるかもしれないけど、その辺は大目に見てもらうとしよう。
もう大丈夫、油断するとすぐに泣いちゃいそうだけど、それでもみんなの事考えるぐらいは……

ヒナギクは思い出す。
読み上げられた死亡者達、その面々に聞き覚えがある事。
それらの全てが、覚悟の口からもたらされた言葉である事。
敵であり兄でもある、葉隠散さん。
病院ではマリアさんや坂田銀時さんと一緒だったと聞いている。
誇らしげに志村新八さんの事を話してくれていた。
そして……ルイズさん。
覚悟は、彼等を置いてヒナギク達と一緒に来る事を選んだのだ。
ラオウを止められず、本郷さんが倒れた事を本気で悔やんでいた覚悟が、それを悔やまない訳がない。
人が喜ぶ所を、あんなにも嬉しそうに見ていられる覚悟が、彼等の死を悲しまない訳がない。
慌てて覚悟の姿を探すが、既に部屋から出ていった後だ。
「葉隠君は!?」
川田が地図から目を上げる。
374Classical名無しさん:08/01/11 20:05 ID:.X2akxek
  
「……外だ。少し一人に……」
最後まで聞かずに部屋を飛び出すヒナギク。
ヒナギクの様を見て心配気に川田を見やるつかさだったが、川田が特に焦った様子ではなかったので、自分もすぐに動くのは止める事にした。
つかさの心配も理解出来る川田は、今後の動きを考える事を一時止めにして、タバコに火を付ける。
「タフな娘だな、ヒナギクさんは」
川田の感心したような口調に、つかさは嬉しそうに頷く。
「うん、ヒナちゃんは本当に強い人だよ。私も驚いちゃった」
二人が出ていった入り口を眺める川田。
「葉隠もな。あいつ、俺が声かけるまで泣き言の一つも言いやしなかった」
覚悟の辛さを考えると胸が潰れる思いなのか、自分の胸の前で両手を握り締めるつかさ。
「……何かしてあげられる事無いかな」
目線を下に落とす川田。
「俺には一人にしてやるぐらいしか思いつかなかったな。ヒナギクさんは別のやり方を考えてるみたいだが……」
ふと気が付いてつかさを見る川田。
つかさの不安そうな表情は変わらない。
「……一応、様子は見に行っておいた方が無難だな」
下手すりゃ今の覚悟に喧嘩を売りかねんなどと、失礼極まりない事を考えながら川田もつかさを伴い部屋を出た。

ヒナギクが家の玄関を出ると、そのすぐ側に覚悟が背を向けて立っていた。
覚悟はヒナギクの気配に気付くと、いつもの真顔で振り返る。
本当にいつも通りだ、動揺の欠片もそこから見出せない。
ヒナギクは何かを考えて後を追ったのではない、ただ放っておけなかっただけだ。
言葉に詰まる。改めてこうして面と向かってみると、何を言ってやればいいものか。
「心配をかけてしまったか。すまない」
それだけを口にする覚悟。
彼は本当に強い人だから、やっぱり助けなんて必要無くて、気を使えば使う程逆にこの人の負担になってしまう。
だったら何も言わず、彼が耐えるのを見守るしかない。
耐える? そもそも彼は苦しんでいるのだろうか。
今まで厳しい生き方を自らに強いてきた彼は、私達ならば立ち直れないような痛みでも平然としていられるのではないだろうか。
彼は私達とは違う何か別の生き物、その背中は遠い地平の彼方にあって、更にその先を目指して進み続けている。
だから一時も立ち止まらない、振り返りもしない、その道行きが茨の道であろうと闇の中であろうと確固たる信念の元歩き続けられる。
今の私に出来る事は、そんな彼が少しでも歩きやすいよう道を均す程度。
それすら、彼にとっては本来必要ではないのだろう。彼は与える事はあっても、誰かを、何かを必要とする人間ではない。
そんな人間が存在出来るのか?
居る、今ここに。想像もつかない程の後悔と悲しみに苛まれているはずの彼は、それらを自分一人で抱えきって見せているではないか。
私が彼を支える必要など何処にも無い。

それでも……これは私のわがまま。私が、彼を支える何かになりたいから。

私は彼に聞いてはならない事を聞いてしまう。
それが彼を傷つけるだけだとわかっていても。
きっと彼は自分を押さえて答えてくれるだろう。
そんな彼を見た私が、どうしようもなく切なくなるのもわかっている。
それでも……

「覚悟君……」

そんな労わるような目で見ないで欲しい。今から私は貴方に残酷な問いを放つのだから。
優しい貴方は、その強さできっと私のわがまますら綺麗に包んでくれる。
でも、きっと心の底で涙を流しているのだろう。

「今、貴方は……何を想っているの」

僅かに彼の瞳が揺れた。
377Classical名無しさん:08/01/11 20:06 ID:DiREnjZw
 
「……失われた命を」

それだけだ。後はそのまま、何も変わらず、私に背を向ける。
彼の大きな背中が巨大な防壁のように、私と彼との住む世界を分つ。
もう充分だ、私では彼の力にはなれない。彼と私とではその強さにおいて無限に等しい距離がある。彼の強さをきっと私は理解出来ない。

「あ……」

思わず声に出してしまった。
天まで届く勢いでそびえ立っていた防壁の音を聞いたから。
細かく揺れるその防壁はきっとそれで崩れたりはしないけど、それでも確かに、揺れていたのだ。
少しでもその揺れが収まるように伸ばした両手は、容易くその全てを包み込む。
あんなに大きく見えたその背中は、私の両手で収まる程の、そんな大きさだった。

「辛いに決まってるよね、苦しいに決まってるよね……」

すぐ側に感じる彼の震えは止まらない。

「……零式防衛術は相手を殺す技でなく己を殺す技……怒りは両足に込めて己を支える礎とせよ……」

零式防衛術の文句を呪文のように唱える覚悟。

「それでも……それでも尚っ!!」

彼の吐き出すような一言一言が、その苦悩の深さを私に教えてくれる。
彼は超人なんかじゃない。私と変わらない、いや、誰よりも優しい男の子なんだ。
379Classical名無しさん:08/01/11 20:07 ID:pm6lZpXc
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380Classical名無しさん:08/01/11 20:07 ID:.X2akxek
   
「みんな大切な人だったんだよね」
「必ず守ると誓った! 俺の零式防衛術はその為にある! だというのに……悪鬼も倒せず、牙持たぬ人も守れず……俺を呼んでくれたのに……その声が聞こえたというのに!」

より強く抱きしめる。そうすれば彼の苦しみを少しでも自分と分かち合えるような気がして。

「きっと、みんなも覚悟君の事が大好きだったわよ」

遂に覚悟の目から涙が零れだす。

「うおおおおおおおおおおおおおお!!」

荒れ狂う嵐をその懐にて受け入れる大海原のように、彼を受け止めてあげよう。
きっと彼は立ち直る。でも、その時すぐ側に居るのが自分であるように。
優しい彼が戻る先、その目印になれるよう精一杯優しく、彼を待っていてあげよう。
そうする理由なんてわからない。ただ私がそうしてあげたいだけなんだから。


覚悟が落ち着きを取り戻し、何時の間にか覚悟とヒナギクの様子を見守っていた川田、つかさの二人も一緒になる。
川田は既に行動指針をまとめており、それに従って総合スーパーではなく病院へと進路を変える。
覚悟が病院を離れてから約六時間が経過している。
しかし、新八も被害にあっている事から、実際に病院に襲撃等の問題が起こったのは新八と別れて以後である公算が高い。
ならばそれはここ数時間の話だ。
それから今までの間、生存者であるコナン、吉良の二人は何処かしらで救援を待っている可能性がある。
それと、これを川田は口にはしなかったが、病院が襲撃されていた場合犯人は十中八九ラオウであると考えていた。
あの時点でラオウは怪我を負っている。ならばその移動先として病院が挙がるのは至極当然の事である。
これ以上奴を暴れさせては、脱出の為に必要な戦力を、主催者を叩きのめすのに必要な人員を失う事になる。
既に半数が脱落しているのだ、これ以上の損失は受け入れられない。
前回とは違い、確たる脱出のプランは無いのだ。ならば協力出来る人数は多いに越した事は無い。
(奴と出会う前に、同じ目的を持った連中と合流出来ればよし。それが出来なければ……)
一人密かに覚悟を決める川田。
そんな川田の決意を込めた瞳を見て、つかさは何かを察する所があったようだが、口に出しては何も言わなかった。
進むべき道を説明する川田とそれを聞くつかさ、覚悟から少し離れた場所にヒナギクは居た。
(なんで私はあんな恥ずかしい真似をっ!!)
顔中真っ赤にしながら隅っこの方で悶えるヒナギク。
(だ、大体あれは覚悟君が……その……勢いというか……なんというか……)
その動きを不審に思った覚悟がヒナギクに声をかける。
「どうされた桂さん?」
何度言われても直る気配すら無い、その至近距離からの問いかけ。
「っきゃあああああああああああああああ!!」
回数を重ね慣れてきても不思議ではないのだが、ここに来て今までで一番のリアクション、物凄い悲鳴をあげながら後ずさるヒナギク。
最早茹で上がらんばかりの顔に、流石の覚悟も怪訝そうな顔になる。
「顔が赤いようだが、もしかして調子が悪い……」
「ぜんっ! ぜんそんな事無いわよっ! さっさと行くわよ!」
急に怒り出したヒナギクに覚悟は首をかしげる。
川田とつかさはそんな微笑ましい二人を見て笑う。

(零よ、やはり女人は謎だが……)

「ほら! 何やってんのよ覚悟君!」
「わ、わかった桂さ……」
ヒナギクは手を上げて覚悟の言葉を遮る。
「ヒナギク、よ」
そこにどんな差があるのかは良くわからないが、とりあえず逆らう理由も無い。
「ヒナギクさん」
383Classical名無しさん:08/01/11 20:09 ID:.X2akxek
     
「うん!」
失った命を思わせるヒナギクの満開の笑み。それは、覚悟の胸に少しの棘と無類の勇気を与えてくれる。

(こうして笑っているのが一番良い)

兄、散よ。貴方程の猛者を倒しうる者が居る事、いまだに信じられません。
しかし、貴方は間違いなくその力の全てを出し切り、命尽きるその時まで戦い抜いたと愚弟は確信しております。
ならばそれは武門の誉れ。この覚悟、涙でなく賛辞を持って貴方を送りたいと思います。
戦士新八、マリアさん、坂田さん達を守りきれなかった事、さぞや無念であったろう。
お前の思い、仲間の証と共に確かに俺が受け継ごう。俺とお前は、永遠に仲間だ。
そして……ルイズさん。
いまだ未熟のこの身なれば、貴女を思うたびこの胸が張り裂けんばかりです。
貴女の死を受け入れられるまでしばしの時を要すでしょうが、どうかそれまでこの未熟者の哀れな想いをお許し下さい。

両の足に悲しみと怒りを込め歩く力と為す。
その背には守るべきかけがえの無い仲間達の想いを。
ならばその身は既に不退転。
悪鬼を討つに、悲しき魂を守るに何の不足があろうか。
川田よ、お前の内なる思い、しかと受け取った。

戦鬼ラオウはこの葉隠覚悟が討ち果たす!



【E-5 中央部 1日目 夜】

【葉隠覚悟@覚悟のススメ】
[状態]:全身に火傷(治療済み) 胴体部分に銃撃によるダメージ(治療済み) 頭部にダメージ、両腕の骨にひびあり、 強い決意
[装備]:滝のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS(ヘルメットは破壊、背中部分に亀裂あり)
[道具]:ハルコンネン(爆裂鉄鋼焼夷弾、残弾5発、劣化ウラン弾、残弾6発)@HELLSING 大阪名物ハリセンちょっぷ
[思考]
基本:牙無き人の剣となる。この戦いの首謀者を必ず倒し、彼らの持つ強化外骨格を破壊する。
1:川田、ヒナギク、つかさと行動を共にし病院に戻る。
2:病院に残った人々が気になる。
3:杉村を弔う。
4:再びラオウと会い、決着をつける
[備考]原作一巻第一話、逆十時学園入学初日より参戦
※決意が強まりました、殺し合いに乗った者が戦士であるならば容赦はしません。
※戦士でないと判断した者(一般人の女性や子供など)に対しては決して抵抗せず、 説得を試みます。
※戦士であるかどうかの判断は次の書き手さんにお任せします。


【川田章吾@BATTLE ROYALE】
[状態] 健康
[装備] マイクロウージー(9ミリパラベラム弾16/32)、予備マガジン5、ジッポーライター、バードコール@BATTLE ROYALE
[道具] 支給品一式×2、チョココロネ(残り5つ)@らき☆すた
    文化包丁、救急箱、ZXのメモリーキューブ@仮面ライダーSPIRITS、裁縫道具(針や糸など)
    ツールセット、ステンレス製の鍋、ガスコンロ、缶詰やレトルトといった食料品。
    薬局で手に入れた薬(救急箱に入っていない物を補充&予備)
    マイルドセブン(四本消費) ツールナイフ
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームに乗っていない参加者を一人でも多く救出し、最後は主催者にカウンターパンチ
1:病院へ戻り生存者(コナン、吉良)の救出
2:仲間と一緒にPCと村雨を探す。PCが見つかったら、ハッキングを試みる。
3:つかさの姉や友人、ヒナギクの友人を探すのに協力する。
4:ゲームに乗っている参加者と遭遇した場合は容赦なく殺す
5:ヒナギクのことが心配
参戦時期:原作で死亡した直後
[備考]
※桐山や杉村たちも自分と同じく原作世界死後からの参戦だと思っています
※首輪は川田が以前解除したものとは別のものです


【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
[状態] 両足に痛み(核鉄で治療中)
[装備] ボウガン@北斗の拳
[道具] 支給品一式。ボウガンの矢18@北斗の拳 、核鉄(バルキリースカート)@武装錬金
[思考・状況]
基本:ハヤテ達との合流
1:病院へ戻り生存者(コナン、吉良)の救出
2:仲間と一緒にPCと村雨を探す。
3:やれることを探してやる。だが無理はしない。
4:敵を倒す為なら死んでもいい。
[備考]
※ ヒナギクが聞いた轟音の正体は、三影の大砲の音です
※参戦時期はサンデーコミックス9巻の最終話からです
※桂ヒナギクのデイパック(不明支給品1〜3品)は【H-4 林】のどこかに落ちています
※ロードローラー@ジョジョの奇妙な冒険と捕獲網@グラップラー刃牙は【H-4 林】に落ちています
※核鉄に治癒効果があることは覚悟から聞きました
※バルキリースカートが扱えるようになりました。しかし精密かつ高速な動きは出来ません。
 空中から地上に叩きつける戦い方をするつもりですが、足にかなりの負担がかかります。


【柊つかさ@らき☆すた】
[状態] 健康
[装備] なし
[道具] 支給品一式、ホーリーの制服@スクライド、ターボエンジン付きスケボー @名探偵コナン 、ツールナイフ
[思考・状況]
基本:ゲームには絶対に乗らない
1:病院へ戻り生存者(コナン、吉良)の救出
2:仲間と一緒にPCと村雨を探す。
3:お姉ちゃんやこなちゃんたちと合流したい
4:みんなの力になりたい。でも無理はしない
[備考]
※川田、ヒナギク、覚悟、新八を完全に信用しています

【備考】
※4人は、病院に生存者(コナン、吉良)を救出に向かい、その後総合スーパーで捜索を行う予定です

※4人の主催者の目的に関する考察

主催者の目的は、
@殺し合いで何らかの「経験」をした魂の収集、
A最強の人間の選発、
の両方が目的。
強化外骨格は魂を一時的に保管しておくために用意された。
強化外骨格が零や霞と同じ作りならば、魂を込めても機能しない。

※4人の首輪に関する考察及び知識

首輪には発信機と盗聴器が取り付けられている。
首輪には、魔法などでも解除できないように仕掛けがなされている
389Classical名無しさん:08/01/11 20:12 ID:pm6lZpXc
sien
390 ◆1qmjaShGfE :08/01/11 20:12 ID:eF3orquc
以上です。何か問題ありましたらご指摘の方、よろしくお願いします
391Classical名無しさん:08/01/11 20:40 ID:VdHOeXSA
投下乙!!

序盤の四人の和気藹々とした描写から
放送後の四人の行動、決意がアツイッ!!

392Classical名無しさん:08/01/11 20:56 ID:SouTs92A
>>388
投下乙!
いいなあ、こいつ等本当に……。
とはいえついにこの4人も嵐が待つ、北部へと移動を始めたわけで。
盛り上がってきたぜ。
393Classical名無しさん:08/01/11 21:43 ID:L3fQZTcY
でも、覚悟は泣かないと思うんだ、ましてや守るべき女生徒の前で
394Classical名無しさん:08/01/11 21:50 ID:9ktE80Z2
投下乙!
このチームも悲しみを乗り越える事が出来て、ホッとした。
ヒナギクがけなげに覚悟の支えになろうとしている意思に心が震えたんだなこれが!
覚悟……お前はやはり牙無き人々の戦士だよ!最後の決意も決めてくれるぜ!

何気にハヤテ勢が三人立て続けで投下されたのには何か意味でもあるのだろうかw
395Classical名無しさん:08/01/11 22:06 ID:bux95GZw
投下乙!
ああ……覚悟。
言い回しに心理描写、完璧でした。
そうだよな、散様に対しては、ああいう言葉をかけますよね。
川田の渋い見せどころが光る。こういう役割はこいつの専売特許っすね。
ヒナギクにつかさ……ヒロインしているなw
こいつら主人公チームっぽいw
完璧でした。GJ!

>>393
いんや、泣くっすよ。
堀江さん死亡確認(だと思ったとき)とか。
あの時の覚悟の台詞は名台詞。
396Classical名無しさん:08/01/11 22:28 ID:xXzjppnQ
戦鬼ラオウがトイレを探してさまよってる
とはさすがに、想像すらしてないだろうな
397Classical名無しさん:08/01/11 23:02 ID:YByWtLsU
ヒナギクもな、好きな男が死んだらどうなんだろうな
合流できるかどうかも怪しいし
398Classical名無しさん:08/01/11 23:27 ID:AtXwc4pI
ハヤテ勢3人の連続……まさに疾風の如くだな。にやり!
399 ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 00:09 ID:nOVs3LUQ
したらばの一時投下スレに
吉良、神楽、コナン、劉鳳、服部、アミバ を投下しました。

矛盾点、不自然な点があったら言ってください
よろしくお願いします

400Classical名無しさん:08/01/12 00:19 ID:dDUrj1uY
>>399
投下乙!
感想は本投下のときにでも。

指摘は自分は特になし。
401Classical名無しさん:08/01/12 00:36 ID:rvrdztNY
>399
乙です。
こちらも、問題のある内容は無いように思えます



そして今、精々DIO対策ぐらいの役にしか立たないと思われていた承太郎の記憶DISCが、意外な形で役に立ちそうな事を知る。
吉良、お前の悪行はそのDISCに記憶されているぞ……
402Classical名無しさん:08/01/12 00:48 ID:Wg6rA9kU
>>399
投下乙。感想については、投下後に。内容に問題はないと思う。

>>401
記憶のdiskなん? どっちかは次の書き手が選べるもんだと思ってたが
403Classical名無しさん:08/01/12 00:56 ID:rvrdztNY
>>402
まあ、あくまで可能性の話。
DISCを二枚所持してる時点で、両方試す可能性があるからどの道の可能性もあるとだけ
404 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:24 ID:1YrFWJRQ
ジョセフ、かがみ投下します。
ちょっと長めなので支援をお願いします
405 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:26 ID:1YrFWJRQ
「……………オオオオオォォォォ――ッ!!!」
「ジョジョッ!? なにするのよ!!?」

エリアG-8の大通りに面した民家の一角で少女、柊かがみの怒声が響く。
怒声の矛先は身の丈195cmを誇る波紋の戦士、ジョセフ・ジョースター。
数分前まで仲間だったはずの彼は今、腕を前後に180度以上広げるというポージングでかがみを見据えている。
そこから湧き上がる波紋のオーラ、そしてジョセフが放つ『スゴ味』にかがみは金縛りにも似たような感覚を体験していた。

(や……やられる……っ…)

背後には壁。全力で逃げたとしても常識破りの速度で走るジョセフから逃げ切ることは無理。
「逃げられない」 かがみは覚悟を決めた。
吸血鬼…不死王アーカードと対峙した時と同じく、激戦を握り締める。
それと同時に、ほんの半日程前に頭部を砕かれた記憶が蘇り、
かがみは恐怖の表情を浮かべ、歯を食いしばり目を瞑った。
だが、ジョセフはそれを見てなおポージングをやめない。

――ピチャッ

ジョセフの手の先から油が垂れて落ちる。
次の瞬間!! あろうことか!!
ジョセフはその筋骨隆々の肉体を思い切り捻り、かがみの頭部目掛けて手刀を突き出したのだッ!!

 メ メ タ ァ ! !


 ◇  ◆  ◇


「……やる時は最初に断ってからにしろ――っ!!」
406 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:26 ID:1YrFWJRQ
本日何度目かにもなるかがみの鉄拳がジョセフの顎にクリーンヒットする。
それ自体に大したの威力はなかったのだが、ジョセフがオーバーに吹っ飛んで民家の観葉に突っ込む。
ジョセフ本人はこれで笑いを取って許してもらおうという魂胆だったのだが、依然かがみは怒り心頭だ。

「オーいてぇーッ。そーいやシンジにも同じことやって似たよーなこと言われたっけ」
「懲りないヤツなのね、アンタって……」

半分呆れ気味にかがみが頭に手をやる。
つい先ほど、確かにジョセフの手刀はかがみの頭部に当たった。
だが、かがみが頭にやった手には血の生暖かさはおろか、たんこぶの1つの感触すらない。
しいていうならば、少しおでこにサラダ油がついたくらいである。

「ヘヘッ。だが、今のは意味があったぜ。なんたって…」

そう言い、ジョセフが近くに落ちていた円盤状の物体を拾い、器用に回す。
それはまさしく、かがみが使っていたスタンド―マジシャンズ・レッドのディスクだった。


 ◇  ◆  ◇


時は少しさかのぼる。
かがみが自分の足で歩くことを決意し、駅周辺の探索を始めようとした直後のことだ。

グウゥ…

「オイオイ。かわいい腹の音だな、かがみ」
407 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:27 ID:1YrFWJRQ
腹が減っては戦はできぬ。などと言うが、かがみはそんな状況であった。
参加者がこの場に集められたのはもう18時間ほど前のこと。
特にかがみは何度か嘔吐をしていたため、もはや胃の中には何も残っていない。
それでもこの数時間は友人や仲間の死を悼み、気にする余裕がなかった。
しかし、友人や仲間の死に向き合おうと考えた瞬間、身体の緊張が少しほぐれたことで空腹が気になり始めたのだ。

「しょ、しょうがないでしょ! 食べ物もみんな燃えちゃったし、家の中にも何もないし…」

それに気付いたかがみが冷えた腹部を押さえ、顔を赤らめる。

「しょーがねェな。コレやるぜ」

そう言い、ジョセフがデイバックの中からコンビニで売っていそうなカツサンドとコッペパンを取り出す。
デイバックにはあらかじめ食料がいくつか入っているのだが、その内容も実はランダムらしい。
ちなみにそれらの種類は現代日本で食されているものに限られているのだが、特にそれと察する者はいない。

「あ、ありがと。こっち、もらうね」

差し出された二つのうち、コッペパンを受け取り口にくわえる。
それを見てジョセフもカツサンドを口に放り込んだ。

「お、これウマイな。波紋のおかげであんまハラは減らねェけど、やっぱりイイもの食べると心が躍っちゃうネッ!」
「まあ、確かにコンビニで普通に売ってるものでも、お腹減ってるとおいしく感じちゃうわよね」
「コンビニ? こんなのが普通に売ってる店がかがみの住んでるとこじゃあるのか? 便利なもんだぜ」
「……? コンビニくらいアメリカとかイギリスにもあるでしょ?」

まるでコンビニという単語を始めて聞いたかのようなジョセフの質問に、再びかがみの頭に疑問がよぎる。

かがみがジョセフの上に乗っていた時……語弊がありそうなため、言い直そう。
精神疲労のためまともに立てず、ジョセフに背負われていたとき、二人は色々な話をした。
スピードワゴンという老齢の石油王の知り合いがいること、ナチスの科学は世界一なこと、波紋や吸血鬼の力のこと、
まだ生き残っているかがみの友人、こなたのこと、自分の家族のことなど。
408 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:28 ID:1YrFWJRQ
みゆきや桂、灰原のことが出てこなかったのは語ることにかがみが辛さを感じていたからである。
3人の死を乗り越えられたらこのことは語ろう、とかがみは決めていた。

その話の中では、少なくともジョセフはアメリカやヨーロッパ諸国を渡り歩いたはずである。
アフリカの奥地で生まれ育ったのならともかく(このときかがみはジャングルで雄叫びをあげてターザンをするジョセフを想像してコッペパンを噴いた)、
コンビニを知らないというのはあまりにも常識外れではないのか?
自他共にオタク・インドア認定をしているこなたですらコンビニにカツサンドが売っているくらい知っている。

先ほどもジョセフが駅の話をした際、はっきりと『汽車』という単語を使っていた。
現代の都会に住むものならばまず『汽車』などという単語は使わず、『電車』というはずである。

(まさかね………?)

こなたと違い、常識人であるかがみはそこで思考を踏み留めようとした。
ジョセフはただ単純にふざけているのであろう、と。

だが、
不滅の再生力を誇る吸血鬼アーカード、
頭に挿入でき、自分の身体より発現したマジシャンズレッド――といった、
明らかに自分がいた世界には存在しないはずのものが頭をよぎる。
もしかしたら、それらに比べればジョセフに抱く疑問である”それ”はまだ普通なのではないかと。

――ジョセフが過去の人間であるということが。


「……かがみ、オイ! 聞いてるのか?」
「な、なにっ?」

突然のジョセフの声にかがみは驚き、振り向く。
するとジョセフはかがみの手を取り、駆け出した。
409Classical名無しさん:08/01/12 02:28 ID:iS64U62g
                     
410Classical名無しさん:08/01/12 02:28 ID:iiw9Ulwc
 
411 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:28 ID:1YrFWJRQ
「ちょっと! いきなり何するの…

「時間が来たみたいだ。電灯のある場所に行くぜ」
「あ…………」



――さて諸君、午後18時の定時放送を始める。調子はいかがだろうか? 






――では御機嫌よう、6時間後の放送を心待ちにしていたまえ。


マイクのスイッチが切れる音を最後に、戦士達の死を告げる放送が終わる。
幸か不幸か、彼らがこれまでに会った仲間……生存者はわずかに三村信史、泉こなた、柊つかさの三名だが、
彼らの名前が呼ばれることはなかった。
そのことにかがみは不謹慎ではあると思ったが、心の中で安堵のため息をつく。

(そういえば、桂さんや灰原さんのこと、あんまり聞かなかったな……)

1人は幼い容姿にも関わらず、どこかダークでシリアスな雰囲気を醸し出していた灰原哀という少女。
もう1人は時代錯誤な格好をしていたが確かな実力を持っていた男、桂小太郎。
かがみは2人の知り合いを知らない。
412 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:29 ID:1YrFWJRQ
4人は出会った時、互いを疑いはしなかった。
そのため皆が皆、仲間割れで時間を食うことなく協力して隠れ家を作り、作戦を立てることができた。
この時4人全てが確かに「希望」というものを持っていた。
だからそれ故に彼らはすぐに全ての手持ちの情報を打ち明けあわなかった。
なぜなら、あまりにも早い別れが来るとは思わなかったから。

現状の情報の少なさに、かがみは心もとなさと、多大な後悔の念を抱く。
しかし、あまり不安そうな顔をしてジョセフに気を使わせることもためらわれた。
なるべく不安を顔に出さないよう、かがみは隣で名簿を覗き込むジョセフの方へ顔を向けた。

「………………」

そこには恐らく静かな怒りの表情を浮かべ、それでも闘志の炎を燃やす男がいる。
そうかがみは思っていた。
ところがそこにいたのは、彼曰く『マヌケ面』のジョセフだった。

「ジョジョ……?」

怪訝そうな表情でかがみがジョセフの顔をまじまじと見る。
腹痛か何か? いや、それは突然それはありえないだろう。
だとすればかがみが知らない、ジョセフの知り合いの名前が呼ばれたのだろうか?

かがみは襲われた時とは別の焦りを感じた。
彼女はこれまでの放送の中で他者に励まされたことはあれど、自分が励ます側に回ったことなどない。
子供のように頭を撫でればいい?
後ろからそっと抱きしめる? それも違う。 何より―

―どんな言葉をかければいいのかわからない。
それが彼女の心境だった。

「………く、」
413Classical名無しさん:08/01/12 02:29 ID:iiw9Ulwc
  
414Classical名無しさん:08/01/12 02:29 ID:iS64U62g
                         
415 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:29 ID:1YrFWJRQ
ジョセフがゆっくりと口を開ける。

「空条承太郎……おれにはジャパニーズの知り合いなんざいねェ。
 けど、コイツの名前を聞いた時、まるで親友と息子を同時に失った……そんな気分になった」
「し、しっかりしてよジョジョッ!」

かがみが思わずジョセフの肩に手をかける。
その振動にジョセフがハッと我に返る。

「あ、ああ。ただそんな気がしただけなんだ。
 経験や記憶じゃない、もっと何かを越えた……深い”何か”が、俺を悲しませやがる……そんな気がな」

ジョセフと空条承太郎。時間が時間ならば2名は旅を共にし、
打倒DIOを誓った仲間であり、同時に祖父と孫であった。
またある時は吉良吉影を追う強きスタンド使い達のうちの2名でもあった。

しかし、今ここにいる誇り高き血統の男の中に承太郎の記憶はなく、
空条承太郎の名前を知っていると感じたことすらほんの気のせいかもしれない。
だが、遠い未来に自分の娘より生まれ、
氷のような沈着冷静さを持ち合わせながらも熱き炎のような魂を持って戦った男に、
ジョセフは無意識に涙を流さざるを得なかった。

「ジョジョ………」
「大丈夫だぜ、かがみ」

不安そうに見つめるかがみを元気づけようと、ジョセフが指を涙を拭う。

「サンキュー。まさかこのジョセフ様が心配されるとはな」
「ううん…ごめん。私、なんていったら言いかわからなくて……」
416Classical名無しさん:08/01/12 02:30 ID:iS64U62g
                            
417Classical名無しさん:08/01/12 02:30 ID:iiw9Ulwc
   
418 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:30 ID:1YrFWJRQ
「気にするなよ。かがみの裸思い出したら余計なとこまでゲンキ出てきちゃいそー」
「っっっのスカタン!!!」
「ちなみにウソだぜ」
「……それはそれで腹立つ」

かがみに無力さを感じさせることなく、ジョセフが軽いジョークで場の空気を引き戻す。
しかし、ジョセフの表情はすぐに真剣なものに変わった。

「シンジのヤローも無事だ。
 だが、さすがにこのおれ様でもちょっと危機感を覚えたぜ」


ジョセフはまだこの場に来て、まともな敵と拳を交えたことがない。
そのため、ジョセフは持ち前の力とその場のアイデアのみで誰とでも戦えるだろうと過信していた。
だが、承太郎の死。
それは無意識のうちに自分よりも遥かに強い相手がいるということをジョセフに感じさせていた。
かつての宿敵、ワムウとの戦いと同じ規模のものがあるのではないかと。
また、わずか18時間で参加者が半分に減ったという事実も彼を急かせた。

「新たなパワーが必要だな」
「新たなパワー……って、アテはあるの?」
「アテ? Yes Yes. もちろんあるに決まってる。それはかがみ、オメーだ」
「えぇっ!?」

自分より遥かに優れた肉体を持ち、さらに波紋という技まで持っているジョセフ。
そんなヤツが一体私に何を求めるのだろうとかがみが訝しがった。

「正確に言うと、あの焼き鳥だ。一体全体どーやって出してるんだ? アァン?」
「わっ、私の力じゃないに決まってるでしょ! 支給品よ、支給品!」
「支給品だと!? なァんてベストなんだッ!!
 楽シテ身につく方法サイコ――ッ! どんな道具なんだ!?」
419 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:30 ID:1YrFWJRQ
かがみの言葉を聞いた瞬間、ジョセフが目を輝かせて両手を肩前でにぎにぎさせる。

「えっと、支給品の紙からディスクが出てきて…それを頭に入れたら使えるようになったってゆーか…」

が、途端にジョセフの顔がカワイソウなものを見る目つきに変わる。

「かがみぃ〜、おれはオメーのことをちょっと意地っ張りなフツーのオンナの子だと思っていた。
 けど、ちょっとオトボケな一面を発見したぜ。頭に穴なんてあいてるわけねーだろガッ!」
「あるわけないじゃない! でも実際入ったのよ!」
「オーケイ。この際信じてやる。で、それは出したりできるのかい?」
「うっ……それは……」

かがみは困った。
アーカードと対峙した時に咄嗟に使ったはいいのだが、あまりにも事態が切羽詰っていたため、
説明書の最低必要限の文しか読まなかったのだ。
もしかしたら外す方法が書いてあったかもしれない。
下手をすれば一生この焼き鳥…マジシャンズ・レッドを宿したまま生きることになりかねない。

「わからない…」
「入ったからには出す方法があるはずだよなぁ〜〜〜。コイツは試してみるしかねェ」
「ごめん…って、どこ行くのよジョジョ!」


そう言うと、ジョセフが思い出したように民家を漁りだし、帰ってくる時には手に油が滴り……



 ◇  ◆  ◇


そして、今に至る。
420Classical名無しさん:08/01/12 02:30 ID:iiw9Ulwc
    
421 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:31 ID:1YrFWJRQ
「まったく、もう!」
「だーからさァー、怒るなよかがみ〜ん。ぶっ叩いたら出てくると思ったんだってばよォー」
「だからって危ないじゃない! それに女の子の頭を殴るなんて!」

憤慨するかがみにひたすらジョセフが平謝りを続ける。

――ジョセフの思考は単純明快。
頭の中に異物が入っている。ならば波紋でそれだけを弾き飛ばしてやればいい、と。
波紋は物体によって伝導率が異なる。
つまり人体を通しながらも傷つけることなくそれに繋がる物体を破壊することができる。
今回のものはそれの応用で、かがみの頭の中にあるであろうディスクのみを吹き飛ばす、という荒業。

当然ながら人体の中にあるものを吹き飛ばしてしまえば身体に風穴が開くが、
かがみの頭が虫食いでないというのであれば、それは物質法則を無視して挿入されたということ。
万が一彼女の身体を傷つけるようなことがあったとしても、今の彼女には田園地帯で見せた激戦の再生能力がある。

これらの条件下のもとでジョセフは首輪に力が向かないよう、手にちゃっかり民家の台所で見つけた油を塗り、
万全の状態で力の行使を行ったのだ。
そして、これらの行動は結果的に功を奏した。


言い訳に聞く耳を持ってもらえそうにない、とジョセフは判断した。
そこで気を散らせる意味も含め、ディスクを頭へと挿入する。
すると、かがみの言うとおり、ジョセフの虫に食われていそうな頭の中にディスクは入っていった。

「…ど、どう? 使えそう?」
「やってやろーじゃないの。カモーンッッッ! 焼き鳥ちゃ〜〜ん!!」

ジョセフが出ろ、と念じるとそこに猛禽の頭部と、格闘家の体格にも勝るとも劣らない人の身体を併せ持つ肉体が現れた。

「シュッ」
422Classical名無しさん:08/01/12 02:31 ID:Wg6rA9kU
423Classical名無しさん:08/01/12 02:31 ID:iiw9Ulwc
 
424 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:31 ID:1YrFWJRQ
ジョセフが右手を繰り出すイメージをすると、同じように右手が繰り出される。

「ハァッ!」

同じように左足で蹴り上げるイメージをすると、また同じように左足が蹴り上げられる。

「うっふゥ〜〜ン」

ジョセフが両手を左右反対の肩にやり、足を気色悪くくねらせると同じようにマジシャンズ・レッドも……

「マジメにやりなさいよっ!!」


「それじゃあマジメにやるとするぜ」

そういうと、ジョセフは持っていたヨーヨー2つかがみに手渡す。

「ん? 何よこれ」
「ちょっと練習には危ねェから少し離れてくるのさ。それで遊んで暇潰してくれよ」
「ってこんな子供っぽいので遊ばないわよ、ジョジョ……! もう…」

怒鳴ろうとするかがみを背に、ジョセフは走り出していた。全力で。


 ◇  ◆  ◇


(マジメにやるっつったがな……コイツはかなりクセモンだ)

内心でジョセフはかなり苦戦していた。
425Classical名無しさん:08/01/12 02:32 ID:iiw9Ulwc
  
426Classical名無しさん:08/01/12 02:32 ID:iS64U62g
                          
427 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:32 ID:1YrFWJRQ
内心でジョセフはかなり苦戦していた。
かがみから離れたジョセフは、街路樹のある大通りで練習…ではなく、街路樹があった大通りで練習していた。
単純なパワーのみで戦うというスタンスは悪くはない。
だが、問題はそのパワーである。
念じすぎれば炎は威力どころか範囲すら定まらない。
加減が過ぎればライターの火から一気に近隣一帯半焼である。

戦いの場において、スタンドで殴る蹴るだけならば加減などせずに全力に打つだけで済む。
また、特定の能力を”発動させるだけ”でも加減はいらない。
だが、ジョセフが操るそれは力を調節できる炎。
万が一味方が近くにいる場合に全力で放ってしまえば、田園地帯でのかがみの二の舞になる。

実は彼がその威力をうまく操ることが出来ない、その理由は波紋の修行に関与していた。
波紋の技の使い方の基本は、何らかの物質にその力を注ぎ込むことである。
対象は人体の一部であろうとコーラであろうと何も問題はない。
しかし、何故か彼は無意識に炎を波紋のように扱ってしまう。
注ぎ込むような力の使い方で炎は使いこなせない。

(クソッ! せっかく使えるようになってもコレじゃ意味ネー!)
428Classical名無しさん:08/01/12 02:33 ID:iS64U62g
                              
429 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:33 ID:1YrFWJRQ
せめて炎を操ることができるだけでもジョセフの戦法は格段に広がる。
完全に使いこなせなるまで努力する気はないが、せめて使い方くらいは理解したい。
それがジョセフの心情だった。


(チッ、なんだか疲れてきやがるぜ……やっぱやめてやる、こんな焼き鳥ヤロー)

使えないならば使えないでいい。威嚇など、戦闘以外の使い道だってある。
ジョセフが投げやり気味に道路に寝転ぶ。

(日が暮れるな……)

日が暮れれば訪れるのは深い闇。
夜空に輝くの星や月を尻目に跳梁する吸血鬼達。
そしてサンタナ・エシディシ・ワムウ・カーズといった柱の男達。
サンタナを倒すべく手榴弾で爆発していったシュトロハイム(生きてたけど)、身体を半分喰われたマルク、
そして命を賭けて敗れていったジョセフの戦友、シーザー。

他にも数え切れない人々が吸血鬼に襲われ、恐怖の中死んで逝ったに違いない。
自分の祖父や父もまた吸血鬼の手によって……

(………………)

そのことを思いジョセフは………


ハラが立った。
430Classical名無しさん:08/01/12 02:33 ID:Wg6rA9kU
xsxsxsxsxs
431Classical名無しさん:08/01/12 02:33 ID:iiw9Ulwc
   
432 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:33 ID:1YrFWJRQ
「こぉぉンのブァカヤローガァァァァ――ッ!
 なんだって俺がそんな思いしなきゃならねェんだヨォォォ―――ッ!!」

身体をバネに立ち上がると、ジョセフは思い切り走り出し、
少し離れた場所に生えていた街路樹を思い切り殴りつけた。

マジシャンズ・レッドで。

その怒りを発散させるべく、その殴りつける手から迸るイメージは……

「な、なんだ!? いきなり燃えあがっただとッ!?」

マジシャンズ・レッドが殴りつけた部分から発した火は瞬時に業火となり、街路樹を炭に変えた。
そう、ジョセフにとってもっとも使いやすいイメージである注ぎ込む動作と炎の合わせ技。
これこそが今のジョセフにとって唯一の炎の威力を操る術だった。


 ◇  ◆  ◇


一方、ジョセフから少し離れた位置にいるかがみはある決意を固めていた。

(ジョジョが過去の人間だとしたら……)

思い当たる節はいくつもあった。
間違っていたらまたバカにされるだろうが、聞いてみる価値はある。

だが、それが本当ならばいくつものとんでもない事実が発覚してくるだろう。
それがかがみにとって恐ろしい。
433 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:33 ID:1YrFWJRQ
(ダメだな、私……誰かと一緒にいないとどんどんマイナス思考になっちゃう……)

そんな自分に嫌悪感を抱きながらもジョジョが戻るのをかがみは待つ。


(それにしても暇ね)

思考を一旦やめてしまうとやることがない。
ふと手に目をやると、先ほどジョセフから借りたヨーヨーがある。

「懐かしいなぁ、こういうの。昔つかさや友達と一緒にやったっけ」

そう思い、少しだけとヨーヨーの糸を指にハメて振り下ろす。
もっとも基本的な技であるスリープの技をして、手に戻す。
案外できるものね、と今度はスリープさせたヨーヨーを道路に付け、走らせてみる。

「あれはできるかな……なんだっけ、ループ・ザ・ループ」

かがみの手から前方に投げられたヨーヨーが引き戻され、手首の返しで再び前方へと飛ぶ。
そして戻ってきたヨーヨーをかがみは……キャッチできなかった。

「あはは、やっぱできないかなー………あ」

誰もいないのに笑みを零すかがみ。

それをジョセフが民家の脇からイイ笑顔で覗き見していた。

「子供っぽいかがみんカワイィ―ッ!」
「う、うっさい!!」


 ◇  ◆  ◇
434Classical名無しさん:08/01/12 02:34 ID:iS64U62g
                            
435Classical名無しさん:08/01/12 02:34 ID:iiw9Ulwc
    
436 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:34 ID:1YrFWJRQ
ジョセフがひとしきり笑い転げたところでかがみが喋りだす。

「…で、あれは使えたの?」
「おれ様を誰だと思ってやがる。オメメパッチリでご覧アレ!」

そういうとジョセフは近くに落ちていた大きめの石を上に投げる。
落ちてきた石に向かいマジシャンズ・レッドが拳を放つ。


「赤熱の波紋疾走(プロミネンス・オーバードライブ)!!」


石は砕け、直後に燃え上がると地面に落ちる前に炭と化した。

「にひひッ、気に入ったぜ。名前がほしいな。
 生命エネルギーから作り出され、
 そばに現れ立つパワーある像(ヴィジョン)……名づけて『幽波紋(スタンド)』だ!!」
「……いっとくけど、初めからそれ名前あるわよ。マジシャンズ・レッドって」
「な、なんてこった! 初めにそれを言ってくれよな〜〜〜かがみぃ〜〜〜〜〜」
「しかもそういえば、そういうのを総称して『スタンド』って言うみたいよ。世の中偶然ってあるものよね」
「チクショ―ッ!! ソイツを名づけたやつはハンサム顔か相当性格悪いヤツに違いねェな!
 いっぺん会ってみてーぜッ!」

頭を抱えて心の底から負けたとジョセフが嘆きの声をあげる。
そんなジョセフを見て、かがみは1つため息をつくのであった。


「よし、じゃあそろそろ駅に向かうとするか」
「待って」
437 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:34 ID:1YrFWJRQ
駅へと向かおうとするジョセフをかがみは引き止める。
かがみの疑問。それが今後2人の精神面にどういった影響をもたらすかはわからない。
だが、やらずに後悔するよりはやって後悔しよう。
そう、かがみは思った。

「そっちの問題が片付いたみたいだから私も単刀直入に言うわね」

かがみが胸に手を当て、深呼吸をする。
そして自分を落ち着かせながら口を開いた。

「ジョセフ……あなた、西暦何年生まれの何歳?」
「1920年9月27日、実年齢19歳のてんびん座だッ!」
「星座は余計よ。…それで、間違いないのよね?」
「俺がウソつくよーな人間に見えるのかッ!?」
「見えるから言ってんのよ。…そっか…そうなのね」

波紋使いだというから、もしかしたら見た目は若いが年は相当、ということも予想していた。
だが、予想は裏切られかがみが落胆し、地面にへたれこむ。
それを見て『俺がウソつきに見えるだってェ〜〜?』と脅そうとしていたジョセフの口が止まる。

「それがどうしたんだ?かがみ」
「私が21世紀の人間だって言ったら分かりやすい?」

「な、なんだってェ!? ってゆーことはかがみは未来人…」
「違うわよっ! アンタが過去から来たの!! …とは言い切れないか」
438Classical名無しさん:08/01/12 02:35 ID:iiw9Ulwc
 
439 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:36 ID:1YrFWJRQ
もう何があってもおかしくはない。
これがかがみにとって1番恐ろしい事態だった。

自分達をここに招いた連中は時を越える技術を持っている。
何故わざわざ21世紀のただの人間であるかがみと、
20世紀の波紋使いであるジョセフが呼ばれたのかはわからない。
『なんでもよかった』などという理由なのだとしたら、それはまさに狂気だ。
技術の無駄遣いにも程がある。

「するってェとアレか…これもそれで説明がつくのか?」
「これ?」

ジョセフが指したのは自分の左腕。
見るからに逞しく、健康的なそれに違和感はない。

「いいか、かがみ。俺はカーズを倒す時に左腕を失っている。
 そして、その後俺はスージーQって女と結婚している。この意味がわかるか?」
「わっ、わかるかもなにもっ、ジョセフの言うことが本当ならおかしいじゃない!?」
「そうだ。確かに俺はあの後から義手をしている。だが、この腕はどうだ?
 切りゃ血は流れる。波紋の通りだってイイ。どう考えてもカーズ…柱の男を倒す前の腕といって間違いねェ」
「じゃあ、ここに来るまでにジョジョの腕が治ったってこと……?
 でも、そんな完璧に腕を治しちゃう技術なんて見たこと……」

そこまで言うとかがみの脳裏にあるものが思い浮かぶ。
”アーカード” 彼のような再生力なら或いは…?
しかし、目の前のジョセフは吸血鬼を倒す力、波紋の使い手だという。
そんな力の持ち主が吸血鬼であるだろうか?
そもそも、義手をつけるくらいなら自然に治るのを待った方ほうがいいのでは?
440Classical名無しさん:08/01/12 02:37 ID:iiw9Ulwc
  
441 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:37 ID:1YrFWJRQ
そう思い、かがみはそれを口に出すのをやめた。
ちなみに波紋使いが吸血鬼になったという例はあるのだが、かがみはそんなことをしるよしもない。

「……こういっちゃあナンなんだけどな」

ジョセフが自分の、かつて義手だったという手を見つめながら口を開く。

「今のこの状態。こいつはおそらく、おれの人生でほぼ最強のコンディションだ。
 はっきり言うぜッ! おれにとってコイツは『都合がイイ』!」
「はぁ!? ちょっと待ってよ! アンタ、19歳なのよね?
 なんでそれなのに、最強のコンディションなんて言うのよ!?」
「まず、俺が呼ばれた時期だ。カーズとの戦いはおれにとってまず間違いなくナンバー1・2を争う激闘だ。
 この経験は確実におれを強くした! 年月が経てばこの記憶はだんだん劣化していく…今がホットなのさ」

ジョセフは究極生命体となったカーズとの戦いで左腕を失い、長い療養を必要とするハメになった。
だが、その戦いの中でジョセフはどう足掻いても倒すことができない絶望、
それとそれに対して抗う意志を感じた。

「それはまあわかるけど……でも、これから修行したらもっと強くなれるんじゃないの?」
「そりゃ〜ないな。ボクちゃんこれから修行する気なんてないもんネー」
「でも、波紋の修行って、身体を若く保てるんでしょ? ならやった方が……」

かがみは女性のとって当たり前の意見を言ったつもりだった。
だが、ジョセフは何故かどこか遠い目をしながら言葉を放つ。

「……かがみ、おれはな。波紋の力を使ったり、吸血鬼になってまで長生きした連中を見てきた。
 けどな。そういう連中に限ってロクな人生送っちゃいなかった」
442Classical名無しさん:08/01/12 02:37 ID:iiw9Ulwc
   
443 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:37 ID:1YrFWJRQ
目を瞑るジョセフの脳裏に蘇るのは3人の戦士。
老いを恐れ、吸血鬼へを身を変貌させた男、ストレイツォ。
夫を失ってなお、実の息子を抱きしめることもなく苦心の修行を続けてきたジョセフの母、リサリサ。
そして、1万2千年もの間強者を捜し求め彷徨っていた男、ワムウ。

それらの人物との出会いはジョセフに何を思わせただろう。

「俺はもっと人生ハッピーに生きてェ。
 それに、愛しのマイワイフ、スージーはやきもち焼きだからな。
 いつまでもこんなハンサムボーイが若かったら老後も落ち着いてられないだろうぜ」
「…ジョジョ………」

愛しい人と人生を歩むために自ら歩調を合わせる。
それも、通常の人間よりも遥かに長く生きられる権利を捨てて、だ。
それができるということはなんと素晴らしいことか。
かがみはそこまで頭が回らなかった自分に腹を立てると同時に、一種の感動すら覚えていた。

だが、その一種の感動は一瞬で砕け散る。

「……なァ〜んてな! 本当はそんな生真面目なことやってられるかってーのよ
 おれの嫌いな言葉は、一番が「努力」で、2番目が「ガンバル」なんだぜ。
 修行が面倒なだけに決まってんだろーがッ」
「…でしょうね。アンタの場合」
444Classical名無しさん:08/01/12 02:38 ID:iiw9Ulwc
    
445 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:38 ID:1YrFWJRQ
人差し指を突きたて主張するジョセフに対し、かがみが呆れると同時にコートがずり落ちて肩があらわれた。

(まあ、ちょっとだけカッコよかったかな。さっきのは)

結局かがみにはジョセフが言ったことが真実かは皆目検討がつかなかった。


「で、つまり…私達をここに連れてきたやつらはすごい医療技術を持っているってこと?」
「ああ。それもナチスよりも高い、な。シュトロハイムのヤツが聞いたら喜んでスパイしに行くだろーぜ」
(ナチスが1945年になくなったってこと、言っていいのかしら?)
「もしかしたらおれの他にも変な時代から連れてこられて、
 最高にハイな状態にされてるヤツがいるかもしれねェ。いたらそれで決まりだ。
 あの光成ジジイはおれ達を集めてトーナメントでもやろうって魂胆だ。放送でも言ってたしな」
「少し待ってよ。ならどうして私達みたいな一般人が呼ばれるの?
 それも、別に私は今が最強の状態だなんて思わないし……」

ジョセフが言う通り、強者を選び出すためだけというのならば不自然ではある。
それこそアーカードやジョセフ、ZXといった戦士がふさわしく、
かがみ達や三村といった一般人がを並べるべきではない。
それこそかがみ達や三村が後にスゴイ能力を発現する…といえばわからなくもないが、
ならばそのスゴイ能力が発現後に呼び出すのが適切と言えよう。

「ンッン〜。確かに、かがみはもうちょっと時期が経ってたら胸もビッグに。そしたらサイキョ…」
「ほっとけ!」
「じゃあテキトーに選ばれた、ってのはどうだ?」
「どうだ…って言われても。納得できないわよ。私がそういう目的でやるんだったら、
 もっと効率的にやるわ」
「そうだな…なら、ジョースター家には伝統的な発想法があってな」
446Classical名無しさん:08/01/12 02:39 ID:iS64U62g
                          
447 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:39 ID:1YrFWJRQ
「『逆に考える』んだ 『テキトーに選んだ』のではなく『テキトーに選ばざるを得なかった』ってな」
「…それなら、一応筋は通るわね。それで適当に選ばれたのが私達や三村ってこと…で……」
「サッパリしねェけど、手持ちの情報じゃこれが限界だ」
「うん……」

こうして2人の最優先目的は自動的に、誰かと合流することとなった。


 ◇  ◆  ◇


「さて、これからどうするかね」
「ねえ、ジョジョ。私が暴走してた時のことなんだけど…
 あの時、もう1人いたわよね? あの人は信用できない? 私を助けてくれたんでしょ?」
「難しいな。アイツはかがみの腕をいきなり切りやがったヤローだ。
 ワムウと同じく戦闘大好きみてーだが、戦う約束もしちまったし、会いたくねェ」
「でも……」

なんとか説得できないか、かがみはそう言おうとした。

「そういやアイツ、かがみの裸をマジマジ見てたぜ」
「…合流は後回しにしましょ」
「オーケイ。誰だってそーする。おれもそーする」
「三村は? ジョジョは大丈夫っていうけど……」
「大丈夫さ、アイツは」

ジョセフの強い言葉をかがみは信用することにした。
きっとジョセフが信頼するほど三村は強い男なのだ、と。
448 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:40 ID:1YrFWJRQ
「行くぜ、俺達の仲間を探しにな」
「あ、ちょっと……」

早歩き気味に駅へと向かうジョセフの後をかがみが小走りで追いかける。

「駅に行ってことは北に行くってこと?」
「言っただろ。”仲間”を探しに行くってな」
「あ………うんっ」


日は沈み、吸血鬼だけではなくどこにいるかもわからない殺人鬼も活発化するであろう時間になった。
だがしかし、それに怯むことなく生死を問わず仲間を探しに行く者もいる。

(空条承太郎……いったいオメーは何モンなんだ?)
(もし本当に、”適当”に私達や三村をこんな目に会わせたんだとしたら……)


2人は新たな情報を求め、北へ向かう。
それぞれの思惑を秘めて。

To be continued…………


【G-8 駅前 一日目 夜】

【ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険】
449Classical名無しさん:08/01/12 02:40 ID:iiw9Ulwc
 
450Classical名無しさん:08/01/12 02:40 ID:iS64U62g
しえん
451 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:41 ID:1YrFWJRQ
[状態]:健康、顔面にマジシャンズ・レッドの拳によるダメージ、精神疲労(微小)
[装備]:ハイパーヨーヨー×2(ハイパーミレニアム、ファイヤーボール)、
     マジシャンズレッド(魔術師の赤)のDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:支給品一式、食用油1L(現地調達)
[思考・状況]
基本:あのスカタンを一発ぶん殴ってやらねぇと気が済まねぇ〜〜。
1:S10駅を捜索。何も発見できないようならばS5駅までの各駅とその周辺を探索していく。
2:かがみを三人の友達の死に対して決着をつけさせる。
3:2のために駅周辺を探索。三人を殺した悪党をぶちのめす。
4:三村とそのうち合流。
5:マップの端を見に行く。
6:「DIO」は警戒する、一応赤石も探しとくか……無いと思うけど。
7:空条承太郎の情報を集める。
8:赤ムシ野郎(ZX)にはもう会いたくねぇな
[備考]
※二部終了から連れてこられていますが、義手ではありません。
※承太郎、吉良、DIOの名前に何か引っかかっているようです。
※水を使うことで、波紋探知が可能です。
※村雨が西の方角へ行ったと勘違いしています
※三村の留守電を聞き逃しました。
※主催者は目的は強者を決めることであり、その中にはイレギュラーもいると考えています。
※少なくともかがみとは別の時代の人間であるということを認識しました。
※波紋の力を使うことで対象のディスクを頭部を傷つけることなく強制排出することができます。
 ただし、かなりの集中力を要求します。
※マジシャンズレッドの火力は使用者の集中力によって比例します。
 鉄を溶かすほどの高温の炎の使用は強い集中力を要します。
 火力センサーは使用可能ですが精神力を大きく消耗します
 また、ジョセフのマジシャンズ・レッドは通常の炎の威力の調節が極端に難しい状態です。
 ただし、対象に直接マジシャンズ・レッドの手を当てて炎を出した場合に限り調節が可能です。
 修練をすれば通常の炎の精度が上がる可能性がありますが、今のところ修練する気はないようです。 
452 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:41 ID:1YrFWJRQ
【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:左肩、左脇腹に打撲、精神消耗(大)
[装備]:核鉄「激戦」@武装錬金、
    江頭2:50のタイツ、上半身裸に汚れたコート
[道具]:白いエプロン
[思考・状況]
基本:生きる
1:S10駅を捜索。何も発見できないようならばS5駅までの各駅とその周辺を探索していく。
2:みゆきたちの死と決着をつける。
3:そのために駅周辺を探索する。
4:殺し合いには乗らない、脱出を目指す
5:ジョセフについていく。
6:こなた、つかさと合流する
7:三村に謝りたい
8:赤い仮面の男(ZX)をちょっと警戒
9:ま と も な ふ く が ほ し い (誰か助けて)
[備考]
※アーカードを不死身の化け物と思っています。
※「激戦」は槍を手から離した状態で死んだ場合は修復せずに死にます。
 持っている状態では粉々に吹き飛んでも死にませんが体の修復に体力を激しく消耗します。
 常人では短時間で三回以上連続で致命傷を回復すると意識が飛ぶ危険があります。
 負傷して五分以上経過した患部、及び再生途中で激戦を奪われ五分以上経過した場合の該当患部は修復出来ません。
 全身を再生した場合首輪も再生されます。
 自己修復を利用しての首輪解除は出来ません
 禁止エリア等に接触し首輪が爆破した場合自動修復は発動しません。
※精神消耗のためしばらくスタンドは出せません
※三村の留守電を聞き逃しました。
※ボウリング場にかがみのメモを張っています。
※主催者は目的は強者を決めることであり、その中にはイレギュラーもいると考えています。
※波紋、ジョセフが知る吸血鬼の能力について知りました
453Classical名無しさん:08/01/12 02:41 ID:iiw9Ulwc
  
454Classical名無しさん:08/01/12 02:41 ID:iS64U62g
                      
455 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:41 ID:1YrFWJRQ
※2人の主催者に対する見解。
@主催者は腕を完璧に再生する程度の医療技術を持っている
A主催者は時を越える”何か”を持っている
B主催者は@・Aの技術を用いてある人物にとって”都合がイイ”状態に仕立てあげている可能性がある
Cだが、人物によっては”どーでもイイ”状態で参戦させられている可能性がある。
456Classical名無しさん:08/01/12 02:43 ID:iS64U62g
                   
457Classical名無しさん:08/01/12 02:44 ID:UMv6VCPg
>「チクショ―ッ!! ソイツを名づけたやつはハンサム顔か相当性格悪いヤツに違いねェな!
 いっぺん会ってみてーぜッ!」


おまえだオマエ―――――ッ!!!!!
458 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 02:44 ID:1YrFWJRQ
投稿は以上です。タイトルは「波紋の記憶」
夜遅くに支援をありがとうございました。
また、初書きの予約の期限を勘違いしてしまったことを深くお詫びします。

あと、ジョセフのマジシャンズ・レッドとの複合技のネーミングですが、
センスが東方丈助並なので何か良案があれば差し替えたいと思います。
よろしくお願いします
459Classical名無しさん:08/01/12 02:57 ID:iS64U62g
投下乙。
若ジョセフがスタンド! これは夢のコラボ……。
考察にかなり説得力がありますね。今後の参考にさせていただきます。
ジョセフの美形風の自己紹介wとか、ヨーヨーで遊んじゃうかがみんとか、散りばめられたネタもGJ!
460Classical名無しさん:08/01/12 02:59 ID:iiw9Ulwc
俺はそのネーミング嫌いじゃないぜ。ついでに言うと君から湧き出るJOJOオーラも
様々な問題の整理を、キャラクターの魅力を引き出しながら書いてくれたのがすげー嬉しかった
ジョセフとマジシャンズレッドの組み合わせとかも面白かったです
端々から感じられるJOJOな世界観がとてもGOODでした。乙!
461 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 03:10 ID:1YrFWJRQ
ついでなので感想をば

>>◆1qmjaShGfE氏
前半の川田=破戒僧と覚悟のお尻回転がツボにwww
後半はさすがに覚悟関連で鬱入るかなと思ったけどこちらも見事に乗り切ったようで一安心。
台詞と情景描写の感覚が絶妙でとても読みやすかったです。

>>◆bnuNxUeVnw
感想は本スレ投下時にでも
矛盾点は特に見受けられなかったと思います
462Classical名無しさん:08/01/12 03:44 ID:Mw/yMeLg
◆vPecc.HKxU氏投下乙!!
そういや三部でもジョセフとアヴさん仲良かったから若ジョセフが扱えるのも納得です
改めてGJでした!!
463Classical名無しさん:08/01/12 14:33 ID:NaMvRHlo
投下乙です
若ジョセフ+スタンドktkr!!
464 ◆vPecc.HKxU :08/01/12 18:04 ID:1YrFWJRQ
誰にも指摘されないうちにひっそり
ジョセフの[道具]:支給品一式 は [道具]:支給品一式(2食分消費)なのでwiki掲載時に直したいと思います

あと、支給品の食料が現代日本で食されているものに限られていると言う文を書いたのですが、
これについて何か問題があればご意見お願いします(一応BADANが主催ということで日本との因縁を込めてですが)
465今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 18:27 ID:nOVs3LUQ
投下乙!!
この2人もついに激戦区の北に来るのか…
承太郎の死を悲しむジョセフに胸を打たれました。

それでは吉良、神楽、コナン、劉鳳、服部、アミバ 投下します。
466 ◆6YD2p5BHYs :08/01/12 18:28 ID:7VAu/Zfo
すいません、120時間というなら既にやや過ぎてますが、
今夜日付が変わる前には投下できると思います。
いちおう報告まで。
467今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 18:29 ID:nOVs3LUQ
F-4の病院
ここに1人の平凡なサラリーマンと一人の可愛らしい少女がいた。
一見平凡な2人組み…ではなく傍から見たら危ない関係の2人組みかもしれない。
しかし実際は違う。
男の名は吉良吉影、手の綺麗な女性を48人殺してきた連続殺人鬼であり爆弾に関する能力を持つスタンド「キラークイーン」を操る男。
少女の名は神楽、宇宙最強を誇る絶滅寸前の戦闘種族夜兎族であり自称「かぶき町の女王」
見た目は普通、中身は人外 真実はそんな2人組みだった。


吉良が神楽にアフロについて尋ねようとした時だった。
『カクゴォォォォ!!』
2人の知った声が響く。
「あのキンキン声はさっきのヤツ…」
神楽がルイズの声を聞いて呟く。
その小さな呟きを吉良は聞き逃さず、神楽がルイズと知り合いという事実を知る。
『わたしを殺したのは、銀髪銀目の、顔に傷がある娘よ!!!』
わたしを殺した
これから死にゆくルイズの言葉に神楽は顔をこわばらせる。
さっき会ったあのキンキン娘が死ぬ…
まだ名前も聞いてないのに……
そしてルイズが死ぬという事実が神楽に二人の死をおもいださせる。
苦しい

銀ちゃん、新八…

座りこみそうになるのをなんとか堪える。
苦しい

銀ちゃん、新八…

468今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 18:31 ID:nOVs3LUQ
そんな時だった。
『だけど彼女を許して、そして救ってあげて!! お願い、カクゴォォォォォォ!! みんなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
最後の力を振り絞ってのルイズの叫びが神楽の崩れかけた心を奮い立たせる。
銀時と新八の後ろに二人の人物が見えてくる。

キュルケとケンシロウ
ここにきてからあった大切な2人
もう失いたくない。
もうあんな苦しい思いはしたくない。
もうあんな苦しい思いを誰にもさせたくない。

強い決意が
強い思いが
再び神楽をたちあがらせる。

吉良は突然の事にも冷静に脳を働かせていた。
最初は神楽とルイズが知り合いであることを利用し、両者を処分しようとしたがさっきの言葉でルイズが死んでいくことがわかり、すばやく頭を切り替える。
(あの顔に傷のある女が娘と戦闘を行った。勝利したのは顔に傷のある女。
とりあえずルイズは死に、この吉良吉影に平穏は一歩近づいた。
そして大事なのはここだ。
私がルイズたちと別れた時いたのは新八とルイズとコナンである。
新八は自分で処理したし、ルイズは死んだ。コナンが新八と一緒にいなかったことからルイズと供にいたのだろう。
そしてあのガキの戦闘力は無いに等しい……。)
この事実より吉良は一つの結論を出した。
三人とも死んだッ!!
吉良はこらえていた笑いを我慢できなくなった。
慌てて下を向き神楽に表情を見られないようにする。
この吉良吉影はッ!!
50億人にひとりの幸運の男だッ!!
後はあの顔に傷のある女とアフロを処理すれば…
469Classical名無しさん:08/01/12 18:31 ID:7VAu/Zfo
 
470今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 18:35 ID:nOVs3LUQ
着々と近付いて来た平穏な生活を考えていた時神楽の声が吉良を思考の海からすくいあげる。
「なにしてるアル!!はやくあのキンキン声が聞こえた場所に行くアル!!」
神楽の思いもよらない提案に吉良は驚く。
「なにを言っているんだ?あの声からして危険な殺人鬼がうろうろしている、だが私たちには戦闘力は無いに等しい。君は女の子、私はただのサラリーマンだぞ?一体なにができると思っているんだ?」
吉良の言葉に神楽は行動で答える。その場で地面をおもいっきり殴りつける。
夜兎の力で、神楽の手を中心に周りが陥没する。
あっけにとられている吉良に向けて神楽は叫ぶ。

「銀ちゃんは強いから、新八は侍だからっ!!」

「きっと大丈夫、必ずまた会えるっ!!」
自分の思いを

「そうやってみんないなくなったっ!」
自分の決意を

「もうなにも失いたくないアル!!」
自分の覚悟を


一瞬の沈黙の後、吉良は口を開く。
「……わかった」
吉良は溜め息をつきながらも声が聞こえた方へ向かっていく。
本来ならもっと速く走れるのを抑えて神楽は吉良に並んで走る。

471Classical名無しさん:08/01/12 18:37 ID:7VAu/Zfo
  
472今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 18:39 ID:nOVs3LUQ
銀ちゃん、新八、やっぱり吉良は良いやつネ。
またあんな思いをしない為に吉良は絶対私が守るネ!!
二人の決意を私は無駄にしないヨ!!
だから悲しむのは、もうちょっと後にするヨ。
けど…
けど…もしこのゲームが終わったら、2人のことを思って少し泣いてもイイよね?

神楽の目から涙が一筋こぼれた。

神楽は知らなかった。
自分が仲間とおもっている吉良は吐気をもよおす邪悪だということを。
自分の大切な人である新八を殺したのは吉良だということを……。


二人を綺麗な月が照らしていた。
一人の心には光を、一人の心には陰を。


三人の男と1人の子供が川に沿ってゆっくりと北上していく。
その四人の歩みは決して速くない。
このゲームに乗っているものを警戒しているのもあるが、なにより先ほどの放送での仲間の死が四人の歩みを遅くさせていた。

タバサ
防人衛
坂田銀時
志村新八
そしてルイズ
473Classical名無しさん:08/01/12 18:42 ID:cWK007Rg
sage
474今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 18:43 ID:nOVs3LUQ

(ブラボー……なぜ死んだ!?勝ち目があるから俺たちを病院に行かせたんじゃないのかっ?!なのに……どうしてだっ!!)
劉鳳はやり場のない怒りに身を震わせる。
(あの時やはり俺が残りあのアーカードという男を倒していれば…いや、しかしタバサを救うためにはやむをえなかったことだ……。)
彼の脳裏に青髪に、赤縁の眼鏡をかけた小柄な少女が浮かんでくる。
(すまない……タバサ……)
1人の少女の死に際の最後の願いを守れなかった。
それがまた劉鳳を苦しめる。
無意識にタバサの形見である眼鏡を強くにぎりしめる。

(ここまでの俺の判断は正しかったのか?
俺に出来たことがほかにあったんじゃないのか?

俺のせいないのか……?
俺がもっと強い正義を掲げていれば……?
俺にもっと力があればっ……!!)

「そんな顔をするな、劉鳳」アミバが言う。
「!!」
「さっき誓っただろう。もう立ち止まらない。己の信じる正義を貫き、その正義に殉じ、この腐った殺し合いを止める。それよりもなんだ、お前の正義はこんな所で折れるようなやわな正義なのか?」
「……ふん」
アミバの言葉で劉鳳の瞳に輝きがよみがえる。
(タバサ 今度こそ君の約束を守り、キュルケを守って見せよう!!
そして見ていてくれ、ブラボー!! 悪を断罪し弱者は守る、そして悪の根源である主催者に必ず俺の正義を貫き通す!! 俺たちの正義が正しい事をっ!!)

475Classical名無しさん:08/01/12 18:44 ID:cWK007Rg
age
476Classical名無しさん:08/01/12 18:46 ID:cWK007Rg
ss ss sss sss
477Classical名無しさん:08/01/12 18:47 ID:cWK007Rg
p p p p p p p p
p p p p p p p p
p p p p p p p p
p p p p p p p p
p p p p p p p p
p p p p p p p p
478今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 18:48 ID:nOVs3LUQ
二人が再び強い決意を取り戻すのを見て、服部は安心し、コナンにむかって小声で話しかける。
「おい、どう思う工藤?さっきの放送、主催者であるおっちゃん明らかにおかしかったと思わへんか?」
西の名探偵の言葉を聞き、東の名探偵は答える。
「ああ、明らかに俺たち参加者に対してのなんらかのメッセージを発している…。それもかなりまわりくどい感じだ…。」
「なぁ、工藤思ったんやけどこのオッサン…」
「ああ…」

盗聴の可能性が高いこの状況で自分達の推論をわざわざ相手に言う必要はない。
服部は首輪を指しながら口に指をあてる。ルイズの死から立ち直ったコナンにはすぐさま盗聴の可能性を伝えておいた。
コナンは頷く。これ以上詳しい話は後々話せばいいだろう。

「それに今は嬢ちゃんの埋葬を優先せなあかんな」
「……そうだな。もしかしたら傷から相手の殺害放送もわかって犯人確保に役立つかもしれないな…」
死んでしまったルイズから読み取れるだけ情報は読み取る。コナンは残酷な現実から目を背けなかった。

四人は歩みを止めない。自分たちの正義をかかげて歩き続ける。
美しい月が彼らを見守るかのように夜空に輝いていた。


479今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 18:53 ID:nOVs3LUQ
物がすべて青白く、空気の肌触りも冷え冷えとして、もの静かさが漂う。
土を掘る音と、川のせせらぎ。
二つの音がまるでメトロノームのように一定のリズムを刻む。
そのリズムは一定で歯車をまわす。
カチリ、カチリと運命の歯車を。

吉良吉影はふぅ、と息を吐き手を休め伸びをする。顔に傷がある女を警戒しながらゆっくり来たのもあってルイズの死体を見つけるのに思いのほか時間がかかってしまった。

(それにしても……)
と吉良は神楽をチラッと見ながら思う。
(あの怪力、そして底無しの体力、最初はスタンド使いかと思った…。)
視線を目の前の穴に向ける。対して時間がたってないのにも関わらずもう人一人は入れるであろう穴が出来ている。
(だが地面を殴りつけた時にスタンドは出現していなかった。そして穴を掘る作業中にも、だ。)
そして吉良が思い出した女が一人
(このルイズを殺した顔に傷がある女、あいつの体力や腕力も常人離れしていた…。)

吉良は穴を掘りながらもこのゲームが始まってからの今までの不自然な現象についての考察を行っていたのだった。
(スタンドがスタンド使い以外にも見える、異常な怪力をもつ少女、常人離れした身体能力。このゲームには様々な人間、もしくは人間ではない人間を超越したなにかが参加しているのではないか?だからこそ…)

480Classical名無しさん:08/01/12 18:57 ID:PnwMBN3o
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481今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 18:58 ID:nOVs3LUQ
吉良の顔に邪悪な笑みが広がる。
(あの空条承太郎が死んだッ!!この吉良吉影の平穏を脅かし続けた男がッ!!)
しかし同時に不安も募る。
(あの男さえ、このゲームでは生き残れない。やはり私の知らないようなモノたちが参加しているのだろうか…。もしかしたら…)
その時だった。
「吉良さんっ!?」
(なにッ!!??)
意外ッ!!それはコナンの声ッ!!


「鋭利な刃物、それも傷口から見てけっこうな大きさやな」
「ああ、俺たちを襲った時に使っていた槍が凶器で間違いないな。」
六人は合流した後ルイズの埋葬を最初にし、それから今後どうするか話しあうことにした。二人はルイズを埋める前に死体の検視を手早く行い、その後全員で黙祷を捧げた。
一段落したところで互いに情報交換をすることになったが、神楽は「
チャラついた情報なんていらないネ。これだから現代っ子のゆとり教育どもは。それより食事をもってくるというレディーに対する優しさはないの?」と言い、川を眺めていた。
吉良がそれでも声をかけようとしたのを服部が笑いながら止め、男五人で情報交換をすることになった。神楽には後からコナンが色々言ってやればいいだろう。


482Classical名無しさん:08/01/12 18:59 ID:PnwMBN3o
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483Classical名無しさん:08/01/12 19:01 ID:PnwMBN3o
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484今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 19:02 ID:nOVs3LUQ
「あなたは生まれつきスタンドが使えたのか?」吉良がスタンド使いと知ってアミバが発した問いに対して吉良は怪訝そうに答える。
「どういう意味だ?」
それに対してアミバはふたつのDISCを見せる。
「アーカードという男はこれと同じようなDISCを頭に差し込み、スタンドを出現させていたのだ。あなたもこのゲーム中にスタンドを得たのかと思ったのだが…。」
「いや、私のスタンドはそのDISCで生まれたものではないんだ。すまない、なんの役にも立てなく……」
吉良が申し訳なそうに言う。
「いやなにももしかしたらと聞いただけだ。服部、お前はどう思う?」
慌ててアミバが返し、服部に問う。
「まぁ、誰かの支給品やろうな。俺たち一般人でもこの殺し合いに簡単お手軽に参加できるちゅう狙いやろ」
DISCを受け取り、観察しながら答える。
「あのおっちゃんたちの目的は殺し合い。あのアーカードみたいにスタンドを出現させるようになると思うんやけど、危険がないと100%断言はできへん」
「そうか、しかしうまく行けば俺にもスタンドが使えるようになるのだろ?」
DISCを持ち、アミバは意を決したように立ち上がる。
「みんな、念のため下がっといてくれ」
アミバの言葉にみな頷き、距離をとる。
先程雲で隠れていた月が出てきた。
月の光があたりを照らす。
一瞬の静寂、川のせせらぎ。

アミバは勢いよくDISCを頭に差し込んだ……。



歯車のように一定に
カチリ、カチリと運命はまわりだす。
はたして彼らがむかえるのは黄金の精神による新たな「進化」か。
このゲームで若くして散った男の記憶による「動乱」か。
月は見ている 彼らのこれからを。


485Classical名無しさん:08/01/12 19:04 ID:iiw9Ulwc
 
486Classical名無しさん:08/01/12 19:05 ID:PnwMBN3o
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487今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 19:06 ID:nOVs3LUQ
F-3 川の傍
【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:全身打撲。左肩脱臼。疲労大。強い決意
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、スーパーエイジャ@ジョジョの奇妙な冒険、鷲巣麻雀セット@アカギ
[思考] 基本:この殺し合いを止める
1:アミバを見守る
2:ルイズの最後の願いを叶えたい。
3:ルイズを守れなかったことと殺人を止められなかったことに後悔。
4:覚悟さん達と合流
5:ゲームからの脱出
6:ジグマールを警戒
[備考]
※メガネ、蝶ネクタイ、シューズは全て何の効力もない普通のグッズを装備しています。
※自分達の世界以外の人間が連れてこられていることに気付きました
※川田、ヒナギク、つかさ、服部、劉鳳、アミバの情報を手に入れました。

488Classical名無しさん:08/01/12 19:06 ID:PnwMBN3o
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489Classical名無しさん:08/01/12 19:06 ID:iiw9Ulwc
  
490今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 19:07 ID:nOVs3LUQ
【劉鳳@スクライド】
[状態]:疲労中、全身に小程度のダメージ、左肩と腹部にダメージ中、右拳骨折(包帯が巻いてある)、核鉄で治癒中
[装備]:ニアデスハピネス@武装錬金(核鉄状態)
[道具]:支給品一式、4色ボールペン、色々と記入された名簿、スタングレネード×2 、タバサの眼鏡
     タバサのデイパック(内容は液体窒素(一瓶、紙状態)、支給品一式 、色々と記入された名簿)
[思考・状況]
1:アミバを見守る
2:ルイズの最後の願いについてどうするか。
3:悪(主催者・ジグマール・DIO・アーカード・村雨)は断罪、弱者(シェリス、キュルケ、神楽)は保護。
4:シェリス・防人の知り合い・桐山の知り合い・核鉄を探す。
5: シェリスに事の真相を聞きだす。
[備考]
※絶影にかけられた制限に気付きました。
※桐山・防人・服部・タバサ・吉良・コナンと情報交換しました。
※平次の策に乗る気はありません。
※銀髪銀眼の顔に傷のある人物が殺し合いに乗った事を知りました。

491今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 19:07 ID:nOVs3LUQ
【アミバ@北斗の拳】
[状態]:健康、疲労小、強い決意、今までの自分に強い自己嫌悪(多少軽減)
[装備]:ジャギのショットガン@北斗の拳(弾は装填されていない)、携帯電話 、
[道具]:支給品一式(×3)(一食分消費済み)
     綾崎ハヤテ御用達ママチャリ@ハヤテのごとく、ノートパソコン@BATTLE ROYALE(これら三つは未開封)
     ギーシュの造花@ゼロの使い魔、神楽の仕込み傘(強化型)@銀魂 、
     スティッキィ・フィンガーズのDISC@ジョジョの奇妙な冒険、空条承太郎の記憶DISC@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本:ゲームの破壊、主催者の殺害。
1:DISCを試す
2:ルイズの最後の願いについてはどうするか。
3:ゲームに乗っていない人物と協力する。
4:ゲームに乗った人物と遭遇した場合説得を試みて駄目なら殺害する。
5:ケンシロウとラオウには出来れば会いたくないがいざとなったら闘う覚悟はある。
6:服部の策に乗り、脱出をネタに仲間を募る(一時的に保留)。
[備考]
※参戦時期はケンシロウに殺された直後です。
※『スティッキィ・フィンガーズのDISC@ジョジョの奇妙な冒険』の説明書は存在しません。
※服部・劉鳳・吉良・コナンと情報交換をしました。
※スティッキィ・フィンガーズのDISC、空条承太郎の記憶DISCに興味を持っています。
※銀髪銀眼の顔に傷のある人物が殺し合いに乗った事を知りました。
※スティッキィ・フィンガーズのDISC、空条承太郎の記憶DISCは区別がついていません。どちらのDISCをアミバが入れたかは次の書き手さんにおまかせします。

492Classical名無しさん:08/01/12 19:08 ID:iiw9Ulwc
   
493今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 19:09 ID:nOVs3LUQ
【服部平次@名探偵コナン】
[状態]:健康。両頬が腫れている
[装備]:スーパー光線銃@スクライド、ハート様気絶用棍棒@北斗の拳 、バイクCB1000(現地調達品)
[道具]:首輪、「ざわ……ざわ……」とかかれた紙@アカギ(裏面をメモ代わりにしている)、支給品一式 、色々と記入された名簿 ノート数冊
 キュルケの杖 拡声器 才人のデイパック(内容は支給品一式、バヨネット×2@HELLSING、 紫外線照射装置@ジョジョの奇妙な冒険(残り使用回数一回)未確認)  
[思考・状況]
基本:江戸川コナンよりも早く首輪のトリックを解除する。
1:アミバを見守る
2:ルイズの最後の願いについてはどうするか。
3: シェリスを発見し、真実を明らかにする。
4:自分自身にバトルロワイアル脱出の能力があると偽り、仲間を集める(一時的に保留)
[備考]
※劉鳳と情報交換を行い、シェリスの名前を知りました。
※劉鳳、アミバ、コナンの事は全面的に信用しています。
※自分自身にバトルロワイアル脱出の特殊能力があると偽るつもりです。
※バトルロワイアル脱出の特殊能力は10人集まらないと発動しません。(現時点での服部設定)
※脱出作戦を行うかはどうかは考え中。
※バトルロワイアル脱出の特殊能力についてはまだ吉良に言っていません。そのうち時期を見て言うつもりです。
※銀髪銀眼の人物が殺し合いに乗った事を知りました

494Classical名無しさん:08/01/12 19:09 ID:PnwMBN3o
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495今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 19:09 ID:nOVs3LUQ
【神楽@銀魂】
[状態]疲労 服が爆弾化  軽く空腹
[装備] ジャッカル・13mm炸裂徹鋼弾予備弾倉(25.30)@HELLSING 木刀正宗@ハヤテのごとく
[道具]支給品一式×2 陵桜学園高等部のセーラー服@らき☆すた 首輪
[思考・状況]
基本: 殺し合いに乗っていない人は守る、乗っている人は倒す。
1: 情報交換が終わるのを待つ
2:マダオ達を助けに行きアフロ(ジグマール)をぶっ飛ばす。
3:銀ちゃんと新八を殺した奴は許さない
4:新八を殺したのは一体……
[備考]
※原作18巻終了後から参戦。
※新八を殺した人間について、吉良の可能性は今の所除外しています。
※吉良がスタンド使いと知りません。
※5人との距離はそれほど離れていませんが、仮にキラークイーンの能力により爆破された場合5人に致命傷を与えることはありません
※吉良のことはある程度信頼しています
※キュルケとケンシロウについてはまだ五人に話していません

496今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 19:10 ID:nOVs3LUQ
【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:左手消失、右手首裂傷、胸全体に真一文字の切り傷、出血多量、疲労大  強いストレス
[装備]:
[道具]:支給品一式 核金ソードサムライX@武装錬金 包帯・消毒薬等の治療薬、点滴用セット(十パック)
    病院内ロッカーの鍵(中に千切れた吉良の左手首あり)
[思考]
基本:マリアのため、必ず生き延びる。ゲームに乗る事だって辞さない。
1: アミバを見守る
2:治療をし、休息をとる。
3:顔に傷のある女(斗貴子)は襲ってきたら始末、マーティン・ジグマールを殺す。
4:自身を追うもの、狙うもの、探るものなど自身の『平穏な生活』の妨げになると判断した者は容赦なく『始末』する。
5:できる限り力無き一般人を演じる。
6:もし脱出できるのであればしたい。
[備考]
※『バイツァ・ダスト』拾得直後からの参戦です。
※『バイツァ・ダスト』が使用不可能であることに気づいていません。
※川田、ヒナギク、つかさ、服部、アミバ、劉鳳、コナンの情報を手にいれました
※左手を失い、シアーハートアタックの解除が不可能になりました。
 吉良が死ぬまで永遠に、熱源を求めて周囲を動き回っています。
 ただし、制限の影響で破壊できる可能性はあります。
※自分がスタンド使いであることがばれ、平穏な生活が離れたことから強いストレスを感じてます。またそのため、自分をスタンド使いと教えたコナンに不快感を抱いています。
※自分達の世界以外の人間が連れてこられていることに気付きました
※アルターについて知りました

497今夜月の見える丘で ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 19:10 ID:nOVs3LUQ
[共通備考]
※劉鳳、服部、アーカードの持つ名簿には以下の内容が記載されています。
 名簿に青い丸印が付けられているのは、カズマ・劉鳳・シェリス・桐山・杉村・三村・川田・才人・
 ルイズ・防人・カズキ・斗貴子・タバサ・キュルケ・コナン・服部 ・灰原
 赤い丸印が付けられているのは、ジグマール・DIO・アーカード・散・村雨
 緑色の丸印が付けられているのは、蝶野
※劉鳳、服部、アミバ、コナンは吉良がスタンド使いということを知りました
※ルイズをF-3の川岸に埋葬しました。折れた軍刀は墓標として刺してあり、キュルケの杖、拡声器は服部が所持しています
※ルイズの最後の願いについてはまだ話し合っていません
※ラオウ、津村斗貴子との位置は極めて近いため、戦闘音の大きさ次第では耳にはいる可能性があります
※吉良はスタンドのルールについてはなにも言っていません。
498Classical名無しさん:08/01/12 19:11 ID:iiw9Ulwc
    
499 ◆bnuNxUeVnw :08/01/12 19:13 ID:nOVs3LUQ
投下完了しました。
一時投下スレにて誤字を指摘してくださった方、ありがとうございました
500Classical名無しさん:08/01/12 19:15 ID:PnwMBN3o
投下乙。
コナンが本領発揮しつつあるな……さすがは服部だw
だが、吉良のことでコナンはどうするかなぁ……一応、コナンはシアーが吉良のものかも知れないぐらいには気づいてるんだよな。
吉良がピンチってことかぁ……


>>499
だが、まだ誤字は残っている。
>>479
>視線を目の前の穴に向ける。対して時間がたってないのにも関わらずもう人一人は入れるであろう穴が出来ている。
大して
501Classical名無しさん:08/01/12 20:09 ID:iiw9Ulwc
うきうき吉良がもうね、見ててめっちゃ楽しい
色々とその後でいじり甲斐のありそうな話、極めつけは最後のスタンドディスク挿入
すんげー次が楽しみになる、そんなお話でした。GJ!
502Classical名無しさん:08/01/12 21:15 ID:cYfBoh9Y
乙です、リサリサ先生が母親ってのは流れからであって、JOJOがリサリサを母と
知ってるわけじゃないんですよね?
503Classical名無しさん:08/01/12 21:27 ID:0Z4R0hRg
>>502
2部終了時だからあってると思う
504Classical名無しさん:08/01/12 21:48 ID:cYfBoh9Y
ああ、成る程、2部終了時ってのは自分の墓に来た時点だと思ってました、リサリサのJOJOへの
告白は、その後の話だと思ってました、シュトロハイム死亡とかスモーキーが初の市長に
なったとか書かれてたから
505Classical名無しさん:08/01/12 22:00 ID:dDUrj1uY
>>458
マジシャンズレッドをジョセフが使うのは何気に夢のコラボw
かがみんが寂しくヨーヨーやっている姿は萌えたw
時代の差も認識したし、いい感じ。
それにしても対主催者チームのバラバラな情報を一つにしたら何とかなりそうなまでに主催者の考察が進んだな。
GJでした!

>>499
東西の探偵コンビは組むと安定しますね。
さすがです。吉良はほんと、ド反吐が出るくらい邪悪ッすねw
ルイズの願いを受けて神楽が立ち直ったのが良かったです。
吉良の次回の運命は!
GJ!!
506 ◆6YD2p5BHYs :08/01/12 23:39 ID:7VAu/Zfo
遅くなりました。投下を開始します。

日が暮れた商店街に、光が灯る。
街灯に照らされた無人の街の中、何故かホカホカの肉まんを手にして歩く人影が3つ。
パピヨン、こなた、そして2人から僅かに遅れてついていくシェリスの3人だ。
彼らは肉まんを食べながら、何やら話をしている。話をしながら、何かを探している。

「おっ……あれは、お肉屋さんか。『当店自慢の手作りコロッケ』。蝶・美味そうだな。あれも頂こう」
「……パピヨン、まだ食べるの?」
「あれだけ運動したからな。腹が減るのも仕方ないだろう」
「あんま食べ過ぎると太るよ〜」
「なに、これでも人間じゃないんでな。多少のことでこの蝶パーフェクトな体型が変わるわけがない」

パピ!ヨン! と叫びながら肉屋に飛び込んでいく彼の後姿に、こなたは少し呆れて溜息をつく。
確かにこのハードな殺し合いの場において、食事抜きでは体が持たない。
先ほど確保した暖かい肉まんは、こなたやシェリスにとっても有り難いものだった。
だがそれにしたって、パピヨンは食べすぎじゃないだろうか。肉まんだけでもぺろりと5個も平らげている。
さらにこの上、コロッケだなんて……あの派手な吐血から1時間も経ってないというのに、呆れた健啖ぶりだ。

あのゼクロスとの死闘が、一段落した後――
おもむろにパピヨンが提案したのは、夕ご飯だった。言われてみれば腹も減っている。
幸いと言うべきか、S3駅の周辺に広がっているのは繁華街。料理や食料を扱う店には事欠かない。
中華料理屋のテイクアウトコーナーで熱々に蒸されていた肉まん。
焼き鳥屋の店先に並べられた、少し冷めてしまった焼き鳥。
弁当屋にあった、ちょっと海苔が湿気っていたおにぎり。
八百屋の店頭に広げられた果物の数々。
いずれも、本気で探せばすぐに見つかった。逆に言えば、探す気がなければ素通りしていたかもしれない。
先ほど見つけたお湯の張られた銭湯と同様、その気になればすぐに参加者が利用できる状態。
人々の日々の暮らしが普通に営まれている中、住人たちだけが神隠しに合ったような、そんな格好である。
508Classical名無しさん:08/01/12 23:40 ID:X1130/Ic
支援

「ちっ……コロッケは冷めてたか。まあいい。これはこれで美味い。お前も食べるか?」
「いや、いいよ私は……。それより、パピヨン。さっきの放送だけどさ……」
「ああ」

差し出されたコロッケを断るこなたの顔が、僅かに曇る。
パピヨンも、面白くもなさそうな表情で手元のコロッケに齧りつく。
思い出すのは、ついさっき流れた3回目の定期放送。この6時間で命を落としたという、10名の名前。

「やっぱり、勝くんたちってさ……」
「才賀勝に、空条承太郎。何が起こったのかは分からんが、それぞれ『何か』があったんだろうな。
 好戦的な参加者に遭遇したか、あるいは……」
「助けに行かなくていいのかな」
「どこに居るかも分からん。焦って下手に動いて入れ違いになる方が怖い。
 食事が終わったら、一旦喫茶店に戻るぞ。そろそろ誰かが戻ってきているかもしれない」

ぺろり。先ほどこなたに差し出した分も自分で食べ、パピヨンはさらなる食料を求めて周囲を見回す。
まだ足りないの? とうんざりするこなただが、しかしそれ以上は急かす気にもなれない。
勝と一緒だった独歩や、承太郎と共に出て行ったはやてと会えれば、きっと詳しい事情を知ることもできる。
でもなんとなく、真相を知ってしまうのが怖いような気がしていた。
ここまで悲惨な現場に遭遇せずに済んできた彼女だ。ちゃんと受け止められるのかどうか、自信が無かった。

  *   *   *

シェリス=アジャーニは……そして、そんな2人の様子を少しはなれて見ながら、1人考えにふけっていた。
彼女は今までのことを思い出す。パピヨンの言動を、思い出す。

(……そう考えてみれば、色々と辻褄は合う……!)
510Classical名無しさん:08/01/12 23:41 ID:X1130/Ic
 
511Classical名無しさん:08/01/12 23:42 ID:X1130/Ic
  
512Classical名無しさん:08/01/12 23:42 ID:dDUrj1uY
     

考えてみれば、彼女と出会った直後の行動からして不審があったのだ。
戦いも予想される場に向かった独歩と勝。足手まといを怖れて1人残ると言い出したこなた。
ここまではいい。彼らの性格や能力を考えれば、不自然な点は何一つない。
だが何故そこで「十分に戦えるはずの」ホムンクルス・パピヨンまでが駅前に残ろうとしたのか?
しろがねに嫌われている、という言い訳も、シェリスを尋問するという目的も、共にやや弱い。

(あの吐血を見た今なら分かるわ。パピヨンは、明らかに「戦闘を避けていた」。
 あんな怪人を手玉に取れる実力があって、なお可能な限り「本気の戦闘」を避けていた……!)

戦闘後に見せた吐血。あの消耗しきった態度。
そして、仲間との合流よりも優先させた今の食事。過剰にも見える食欲。シェリスは確信する。

(パピヨンは強いわ。パワーもスピードも頭の回転も、どれも超人そのものよ。
 でも、そんな彼も『持久力』には劣っている。
 それも、致命的なまでに。並大抵の人間さえも下回るほどに。あの程度の戦いで底をついてしまうほどに。
 戦闘を避けてたのも、きっとそのせい。この旺盛な食欲も、たぶん一刻も早い回復を図ってのこと――!)

虚弱体質と超人的能力の奇妙な調和。不治の病を抱えた「不完全な」人型ホムンクルス。
それが、蝶人パピヨンの本質だ。そのことに気付いてしまったシェリスは、ここにきて不安を覚える。

(彼と組んで、彼らと一緒にいて……それで本当に劉鳳の助けになれるの? 私の目的を果たせるの?
 そりゃきっと、こんな状態でもパピヨンは私より強いし、戦ったりしたら返り討ちなんだろうけど……)

今はまだその時期ではない。今は行動を起こすべきではない。
けれど、もしも何かチャンスがあったら、その時は。
パピヨンを見捨て、パピヨンの所から離れ、他の参加者につく頃合なのかもしれない……!
不穏な決意を心に決めるシェリスは、しかし今は素直にパピヨンたちについて歩く。
商店街で食べ歩きを続ける彼らの後に、そっと従い続ける。そして……。

  *   *   *
514Classical名無しさん:08/01/12 23:43 ID:dDUrj1uY
       
515Classical名無しさん:08/01/12 23:43 ID:X1130/Ic
   

「…………む。こっちは違うか」
「やだな〜パピヨン。何期待してんのかな〜?」
「……ちょっと、女の子2人連れてどこ行く気よ?!」

食料を求めて彷徨っていたパピヨンの足が、ふと止まる。女性2人から同時にツッコミが入る。
こなたからはやや苦笑交じりの声で。シェリスからは焦りと羞恥の混じった声で。同時に拳が飛ぶ。
何故なら、彼らが今いるあたりは……。

「居酒屋にキャバレーにバーに……ダメだな、せいぜい酒かつまみくらいしか置いてなさそうだ」
「おっ、本屋発見! ってあの店か〜、ここ同人誌の品揃えけっこういいんだよね〜。18禁ばっかなんだけど」
「……なんでこなたがそんなこと知ってるのよ」

繁華街から何本か奥に入った裏通り。ネオンの灯り始めた夜の街。
酒を振舞う店から始まって、怪しげなホテルに、風俗店に、いかがわしい本屋。
パピヨンたちが迷い込んだのは人が集まれば必ず生まれる都市の暗部、いわば街の「裏側」だった。
地図の上ではE−2あたり。繁華街の北東部。
こういった歓楽街は、繁華街のすぐ近く、しかしお堅い市役所などからは離れた所に自然発生するものだ。
シェリスは頬を赤らめる。
『本・ビデオ・同人誌』との看板を出す店にフラフラ行きかけたこなたの襟首を捕まえ、パピヨンに抗議する。

「もうっ、さっさと引き返しましょう! こんなところに用はないでしょ!?」
「やー、せめて新刊のチェックだけ。10分でいいから。こないだのイベントで買いそびれたのがあってさー」
「あなたもちょっとは自重ッ! 女の子でしょ!! なんでわざわざこんないやらしいお店に……」
「……2人とも、静かにしろ」

どたばたしていた2人の動きを止めたのは、鋭い声。
はッとして振り向けば、パピヨンは立ち並ぶ建物のうちの1つを見つめている。
彼の視線の先にあったのは、見るからに扇情的な看板が並んだ――
517Classical名無しさん:08/01/12 23:45 ID:X1130/Ic
ちょww

「ストリップ劇場? パピヨンも好きだね〜」
「違う。感じないか? この濃厚な気配、傲慢なまでの存在感。どうやら向こうは隠れる気もないらしい」
「……??」
「……!!」

パピヨンの言葉に、こなたは不思議そうに首を傾げ、シェリスはハッとする。
言われてみれば、シェリスにも感じられる。理屈ではなく、直感的に分かってしまう。
見ずとも聞こえずとも感じられる、ジグマール隊長やスーパーホーリーの面々が放っていた圧倒的な威圧感。
それに近いものが、無人のはずの劇場の中から放たれている――!?

日没後間もない歓楽街が、異界へと姿を変える。
『それ』が『そこ』に居ると気付いただけで、世界の色が塗り替えられてしまう。
ゴゴゴゴゴ……、と、遠雷のような地響きさえ聞こえてくるような気がする。
いつの間にか、シェリスの膝が震え始める。額に脂汗が滲む。
こんな場でも平然としていられるのは、まだ何も気付いていないこなたか、あるいは。

「相手もこちらには気付いているだろうに、反応なしか。これは『入って来い』ということかな?」
「ちょ、ちょっとパピヨン!?」
「せっかくの『御招待』だ。挨拶くらいしないと失礼だ」
「ん? なになに? 誰かいるの? なら私も行くよ〜」
「ちょ、ちょっとこなた!?」

それほどの相手に気づいてなお、パピヨンは顔色1つ変えずにストリップ劇場に踏み込んでいく。
先ほどの食事で消耗は回復したということなのだろうか? それとも、何か考えでも?
ついてくるこなたに何も言わないのも驚きだ。さっきの戦闘のように「ここに残っていろ」とも言わない。
何があっても守りきる自信があるのか? それとも、迂闊に離れるより近くに居た方が安心だと言うのか?
しばし呆然としていたシェリスは、そして自分1人取り残されかけていることに気付き、慌てて叫んだ。

「ちょ、ちょっと待ってよ2人とも! あたしも行くってば! こんな所に置いてかないでよ!」
519Classical名無しさん:08/01/12 23:46 ID:X1130/Ic
 
520Classical名無しさん:08/01/12 23:46 ID:dDUrj1uY
       

  *   *   *

その男は、悠然と待ち構えていた。

四方からスポットライトを浴びた舞台の上。
どんな演目で使うものなのか、舞台中央に据えられていたのは大きなソファ。
まるで自分の家であるかのように寛いだ姿で座っていたのは、大柄な西洋人。
キラキラと輝く黄金色の頭髪。陶磁器のように白い肌。整った顔の造り。
男性がつけることが珍しいハート型のアクセサリーも、この男には妙に似合っている。
場の設定といい、身なりといい、あまりに突き抜けているがために逆にフィットしてしまう、そんな男。
帝王の風格すら身に纏った男が、そこにいた。

「これはまた……奇妙な組み合わせのお客さんが来たものだ」

何気ない囁きひとつに、匂い立つような色気が含まれている。
シェリスもこなたも、彼の圧倒的なカリスマの前に身じろぎひとつできなくなって……
そんな中、ただ1人パピヨンだけが、普段の調子を崩さない。

「ふん。好き好んでこんな所に城を構えたお前に言われたくはないな」
「ふふふ。なら、なおさら女連れで入るような場所ではないだろう?」
「よく言う。俺たちがバラけた所で仕掛ける気マンマンだったくせに」
「ほう……気付いてたか。優れているのは、そのファッションだけでもないようだな」
「おや、この蝶サイコーなセンスが理解できるか。お前のそのセンスも悪くないぞ。俺にはやや劣るがな」

舞台上の男は、余裕たっぷりに3人を見下ろす。舞台の下のパピヨンも、余裕の笑みを崩さない。
己の「存在感」の強さを自覚し、それを「策」に組み込んだ男。その「策」を看破し封じたパピヨン。
どちらも、只者ではない。そしてどちらもイニシアチブを渡すつもりはない。
高まる緊張の中、舞台の上の男が不意に微笑む。
522Classical名無しさん:08/01/12 23:47 ID:X1130/Ic
  

「ふっ。これは失礼。私の名はDIO。
 試すようなことをして悪かったね、『蝶野攻爵』……いや、『パピヨン』と呼ぶべきか。
 『錬金術』の1つの究極の到達点、『人型ホムンクルス』のパピヨン君」
「!? 貴様、俺の名を……?!」
「帝王は何でも知っているものさ」

一瞬動揺を見せるパピヨンに、DIOと名乗った男はニヤリと笑う。
どちらも頭の良い者同士だ。一方的に情報を握っていることの優位が、分からぬわけではない。
『お前のことを知っているぞ』――その事実でもってパピヨンの動きを封じたDIOは、そして視線を転じる。
パピヨンの陰に隠れるようにして固まっている、女性2人。
舐めるような、値踏みするような視線。DIOの紳士的な態度の下にあるものが、一瞬だけ顔を覗かせる。

「そちらの連れのお嬢さん方のことも、知っているよ。
 シェリス=アジャーニ、15歳。牡牛座のO型。身長157センチ、趣味はダンスと占い。
 スタンド、いや、『アルター』の使い手。能力名は『エターナル・デボーテ』。他者の能力を増幅する能力。
 『ホーリー』という部隊の隊員だったが、現在は市民権剥奪中。ちなみに――非処女」
「……なっ!? それって、ちょっ……!」
「小さい方は、泉こなた、こんな体格でありながら、正真正銘の17歳。双子座のA型。
 ニホンのハイスクールに在学中。特異な能力特になし。
 強いて上げるならば、『オタク』とかいう分野の知識に人並み外れて優れている……」
「いや〜、それほどでも……ってひょっとして私、有名人?」
「しかし、実に不思議な組み合わせだ。
 私としては、どういう経緯で君たちが共に行動することになったのか、大変興味がある。
 ひとつ、教えてはくれないだろうか……?」
524Classical名無しさん:08/01/12 23:49 ID:X1130/Ic
そんな事までw
525Classical名無しさん:08/01/12 23:49 ID:GatUIdHg
wkwk

情報戦において一気にイニシアチブを握ったDIOは、ニンマリと笑う。
3人の戦闘力を大まかに知った上での、この余裕。DIOにはそれだけの実力があるのだ。
口調こそ紳士的だが、その目は鼠を嬲る猫そのもの。
生殺与奪の権を一手に握っていると確信する者の視線。
死にたくないなら、あるいは、死ぬまでの時間を僅かでも引き延ばしたいのなら、情報を提供しろ――
そう言外に告げるDIOの言葉に、パピヨンは。

「……なるほどな。DIO、貴様の言う『帝王』っていうのは、カンニングして悦に入るような奴なわけだ」
「んん〜〜? 何のことだ?」
「デイパックから、手品の種が覗いているぞ。ちゃんと閉めたのか? 4つも抱えてれば無理もないがな」
「!!」

パピヨンの呆れた声に、DIOの動きが凍りつく。
咄嗟に手元の4つのデイパックの1つに手を伸ばし、そのチャックがきちんと閉じていることを確認。
確認してしまってから、そんな自分の動きに気付いてしまって……彼の顔が、怒りに歪む。

「――次にお前は『騙したなパピヨン!』と言う」
「騙したなパピヨン! …………はッ!?」
「ああ、騙した。だが、間抜けは見つかったみたいだな」

皮肉たっぷりの微笑み。
こんどはパピヨンがDIOを嘲る番だった。

  *   *   *
527Classical名無しさん:08/01/12 23:50 ID:X1130/Ic
 

パピヨンが口にしたのは、要するに一種のハッタリである。
だがそれに対する反応を見てしまえば、疑念は一気に確信に変わる。
相手が立ち直る隙を与えず、パピヨンは畳みかけるように追い討ちをかける。

「察するに、そこに入っているのは参加者の個人情報を記した詳細な名簿、ってところか。
 これだけの準備を整えた主催者なら、それくらい用意できてもおかしくないな」
「パピヨン、貴様ッ……!」
「DIO、貴様は調子に乗りすぎた。星座や血液型といった、語る必要のないデータを語りすぎた。
 ま、そういうデータは覚えやすいし語りやすい。一度知ってしまえば、思わず口をついて出るだろうさ」

そう、機先こそ制されたものの、パピヨンは素早く複数の可能性を検討していたのだ。
なんらかの特殊能力でパピヨンたちの記憶や思考を読み取った可能性。
これまでに他の参加者と接触して、パピヨン一行の話を聞いていた可能性。
けれども、それではああいった数値やデータは出てこない。出てきても真っ先に言うべきものではない。
何気ない言葉の端々に、『アルター』や『オタク知識』に関する無知も匂わせてしまっている。
詳しい事情を知った上での発言ならば、ああいう言葉にはならないはずなのだ。

DIOのことを鼻先で笑いながら、しかしパピヨンは用心深く彼の動きに注視する。
心理的優位は今のやり取りで取り戻した、と思う。だがこういうものは攻めすぎても危険なのだ。
ひょっとしたら怒りのあまり、ここでDIOが襲ってくるかもしれない――そう警戒を強めるパピヨンの前で、

DIOは、大声で笑い始めた。

「クククッ……フハハハハハハ! 面白い、面白いぞ!
 資料にも頭の良さは書かれていたが、想像以上だ!
 いや、全く。その才能、ここで殺してしまうのは本当に惜しい。
 ……どうかな、パピヨン。この帝王の下につく気はないかね?」
「断る。俺は誰かの下につくような性分ではなくてな」
529Classical名無しさん:08/01/12 23:52 ID:X1130/Ic
  
530Classical名無しさん:08/01/12 23:52 ID:cwQc52dQ
531Classical名無しさん:08/01/12 23:54 ID:cwQc52dQ

532Classical名無しさん:08/01/12 23:54 ID:X1130/Ic
支!援ッ!

即答しながら、しかしパピヨンは僅かに怯む。
自分の実力に絶大な自信があるのだろうか。だがこれは普通は「優位にある時」に言うべきセリフだ。
こんな風にパピヨンにやり込められた後に言う言葉ではない。
見たところこのDIOという男、やられっぱなしで済ませるような性格でもないのに――?
そんなパピヨンの動揺に、DIOは。

「ふふふッ。プライドが邪魔するかな、パピヨン?
 なら、今は『部下』という扱いでなくともいい。ほんのちょっと、私に協力してくれるだけでいい。
 どうせ我々は、同類だろう?」
「同類、だと?」
「ああ――ほんのちょっと、そこにいる『食料』を分けてくれるだけでいいんだ。それで事足りる」

ニヤリ。意味ありげに微笑んだDIOの口元から、鋭い犬歯が覗く。
DIOの視線が、パピヨンの陰に隠れる2人の少女に向けられる。こなたとシェリスがビクリと身を震わせる。
一瞬呆けたような表情を浮かべたパピヨンは、そして、

「――貴様、まさかッ!?」
「君がわざわざ無力な人間を連れ歩いているというのは、『いざという時の非常食』ということなのだろう?
 なあ、パピヨン。いや――『人食いの怪物』ホムンクルス、パピヨン!」

DIOの宣言に、こなたとシェリスは息を飲む。パピヨンの顔が、怒りとも焦りともつかぬカタチに歪む。
その反応自体が、千の言葉よりも雄弁な肯定となる。誤魔化しようのない告白となる。
ここまで伏せてきた、ホムンクルスの「人喰い」という生態。それは詳細名簿にも載っている、事実である。

「貴様もこのDIOと同じく、自らの意思で人間を辞め、人間を喰らう側に立った存在なのだろう?
 実の親兄弟すらもその手にかけ、思うがままに貪ったのだろう?」
「…………まれ……」
「ホムンクルスというものが、どうやってヒトを喰うのかは知らないが……
 私は血だけでいいんだ。君は残りの肉を食べればいい。悪くない共生関係が築けると思うがね?」 
「…………黙れ、DIOッ……!」
534Classical名無しさん:08/01/12 23:56 ID:X1130/Ic
    

「ああ、シェリス=アジャーニは惜しいな。ここで食べてしまうには惜しい能力を持っている。
 できれば彼女には、生きたまま私の部下に加わって欲しいところだ。
 そういえば――あの『高良みゆき』とかいうのはそこの『泉こなた』の親友だったか」 
「ふぇ……!? み、みゆきさんのこと、知ってるの……?」

不意に名前を呼ばれたこなたが、場違いに間抜けな声を出す。
爆発寸前の怒りに震えるパピヨンを無視し、DIOは舌なめずりを1つして、


  「ああ。イエローモンキーの雌にしては、なかなか悪くない味だった」


  *   *   *

たぶん、今が「そのとき」なのだろう。真っ白に塗り潰されていく頭の片隅で、こなたはそう思った。

  『あたしはね、まだ信じられないんだ。
   あの爺さんが名前を読んだだけで……みゆきさんが死んだことになったのが、さ』

逆十字号の上での会話。2回目の放送の後に交わした会話。
自分自身が発したかつての言葉が、遥か遠くから聞こえてくるような気がする。

  『多分本当にみゆきさんは死んじゃったんだろうけど、上手くそのことが認識できてないんだよね』

認識できたはずがない。それまでこなたは、幸か不幸か、殺し合いを回避し続けてきたのだ。
死体を目の当たりにしたこともなく、殺気を正面から叩きつけられたこともない。
目撃したパピヨンとゼクロスの超人的なバトルも、どこか怪獣映画じみていて、リアルな実感に乏しかった。
危機ではあったし、死の恐怖も無いわけではなかったが、それでもどこか他人事で済んでしまっていた。
536Classical名無しさん:08/01/12 23:57 ID:X1130/Ic
久しぶりの黒いDIO様

  『だからいつかその死が事実なんだって分かったときが来たら、そのときに凄い傷つくんだと思う』

だから――あの時点のこなたには、まだ分からなかった。
本当にみゆきの死を受け入れた時、どんな感情を自分が抱くことになるのか、まだ分かっていなかった。

実際にそこにあったのは、感傷ではない。追悼の念でもない。怒りでも憤りでもなかった。

ゲームやアニメのような作り物ではない、リアルな死の危機を前に、
自分の親友を殺し喰らったと笑いながら告白する吸血鬼DIOを前に、
その吸血鬼が、今度は食欲も露わに自分に食指を伸ばしてくる姿を前に、
ずっと一緒にいて気も合うと思っていたパピヨンも、実は『人食いの怪物』だったという事実を前に、

  泉こなたは、恐怖した。圧倒的な恐怖に、自分を見失った。

「〜〜〜〜〜!!」
「…………!! …………!!」

パピヨンとDIOがまだ何か言っている。何か言い争っている。でもこなたの耳には届かない。
パピヨンがついに殴りかかる。DIOの体から出てきた人型の影がそれを受け止め、逆に殴り返す。
両者の間で交わされる無数の拳。吹き飛ぶ座席、大穴の開く壁。
まるで現実味のない戦いを目にしながら、こなたは、

  逃げ出した。

何も考えられない真っ白な頭で、ただ恐怖に駆られて、その場を逃げ出した。震える膝で必死に駆け出した。
どこに行こうとか、どうすれば生き延びる確率が上がるかとか、そんなことはまるで意識できない。
ただ、逃げ出した。全速力で、激しい格闘戦の繰り広げられるストリップ劇場から、逃げ出した。
538Classical名無しさん:08/01/12 23:58 ID:X1130/Ic
 
539Classical名無しさん:08/01/12 23:59 ID:dDUrj1uY
     
540Classical名無しさん:08/01/12 23:59 ID:cwQc52dQ
541Classical名無しさん:08/01/12 23:59 ID:13OEJcxI
 
542Classical名無しさん:08/01/12 23:59 ID:X1130/Ic
     

  *   *   *

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!」
「パピパピパピパピパピパピパピィ〜ヨンッ!!」

DIOの身体から飛び出したスタンドが、猛烈なラッシュをかける。
超人的な腕力とスピードを持つパピヨンが、そのラッシュに拳を合わせる。
互いの攻撃の余波で、周囲がどんどん壊れていく。こなたもシェリスも、悲鳴を上げて逃げ出して。
戦う両者はストリップ劇場の壁を破り、外に飛び出し、いつしか歓楽街の路上にその戦場を移す。
無人の路上で、貧相な街灯と毒々しいネオンが2人の戦いを彩る。

「貧弱、貧弱ゥッ! WRRYYYYYYッ!!」
「なんの! 蝶ォォォォォォォッ!!」

DIOの嘲る声に、パピヨンはさらに怒りの色を濃くする。拳を手刀に切り換え、繰り出す速度をアップさせる。
それでも濃密な拳の弾幕に守られたDIOには届かない。
相手の肩口を掠めるのが精一杯。逆にパピヨンが拳を受け、弾き飛ばされる。
路上に違法に置かれていたピンク色の捨て看板が、巻き添えを喰らって宙を舞う。

S7駅での激闘のダメージが残り、『ザ・ワールド』の動作がいつもより鈍い。パピヨンの動きも悪くない。
それでもやはり、地力ではDIOの方が上だ。
ここまでのラッシュだって、まだまだ手を抜いている状態だ。全然本気を出していない。
切り札の時間停止も温存している。それでもなお、こうしてパピヨンを圧倒しているわけで。
DIOの顔に、余裕の笑みが浮かぶ。追いうちをかけることもせず、相手が立ち上がるのを待つ。
544Classical名無しさん:08/01/13 00:00 ID:Cgp9iP3c
   
545Classical名無しさん:08/01/13 00:00 ID:/CccO2ZA
 

だが、パピヨンもただ殴られていたわけではない。
全ては避けられないと見るや、あえて前もって狙いをつけていた方向に殴り飛ばされたのである。
叩き込まれた居酒屋の店頭で、ビールのケースを掴むと腕力任せに放り投げる。
空中でビール瓶を片端から蹴り割れば、それは尖ったガラスの散弾と化してDIOに襲い掛かる。
流石のDIOも、これには迎撃で手一杯。
一瞬相手の動きが止まったのを見逃さず、パピヨンは一気に飛び込んでヤクザキック。
今度はDIOが向かいの店に叩き込まれる番だった。

粉塵がもうもうと上がる。
焼き鳥屋の店内で、DIOが悠然とその身を起こす。
確かに不意はつかれたが、この程度はDIOにとってダメージのうちにも入らない。
むしろ、パピヨンの攻撃力の程を見極められたことの方が意味が大きい。
この程度のパワーなら、DIOにとってさほどの脅威ではない。時間停止抜きでも、倒される気がしない。
絶大な自信を抱いたまま、DIOは外に歩み出て……

「……逃げたか。なかなか思い切りのいい」

そこに、パピヨンの姿はなかった。
どこかから出血したものか、僅かな血痕だけ残して消え去っている。
頭に血が昇っているようだったが、それでも彼我の実力差を察する程度の理性は残っていたということか。
あの知恵者をここで倒しきれなかったのは痛いが、DIOの方にも深追いするだけの余裕はない。
まだ、昼間のダメージが身体に残っている。
溜息1つついて頭を掻いたDIOは、そしてふと気がつく。

「そういえば……デイパックの数が足りないな。どこかで落としたか?」

  *   *   *
547Classical名無しさん:08/01/13 00:00 ID:/CccO2ZA
しいいいいしょおおおおおおお!!
548Classical名無しさん:08/01/13 00:01 ID:kABtexGI
    
549Classical名無しさん:08/01/13 00:01 ID:c6.n/jP2
  

「ディオ・ブランドー、またはDIO。吸血鬼にして時を止めるスタンド『ザ・ワールド』の使い手、か。
 奴が余裕ぶっている間に見切りをつけたのは正解だったな」

歓楽街から、より真っ当な繁華街の方に抜けたあたり。
駅前に向かって歩きながら、パピヨンは手にした名簿をめくる。

もとより、パピヨンはこの場でDIOの命を取れるとは思っていなかった。
対峙した瞬間に分かった。奴は手強い。豊富な経験に裏打ちされた自信は本物だ。
あの時点では『時止め能力』のことを知らなかったが、何か強烈な『切り札』を隠していることも直感できた。
ニアデスハピネスが手元にあればともかく、消耗も激しい現状では倒しきれる気がしない。
だから、無理して決着を狙わなかった。
むしろ、相手が本気を出さないよう、相手がパピヨンを侮って決着を急がないよう、注意して立ち回った。
撤退を決めた直後にまた吐血してしまったが、まあ結果的には最高のタイミングだったと言えるだろう。

それよりも彼が重視したのは、この詳細名簿。
あのカマ掛けが成功した刹那、DIOの視線が向けられたデイパックをパピヨンはしっかり覚えていた。
覚えておいて、攻撃の最中にその肩紐を切断し、DIOを蹴り飛ばし、落ちていた荷物を拾って撤退したのだ。
DIOは4つの鞄に中身を分散させていたらしく、他には共通支給品と1本の杖しか入ってなかったが……。

「知識は力だ。ビバ! ノウレッジ! これだけでも手に入れた価値は十分にある!」

まだパラパラとめくっただけだが、この詳細名簿を検討すれば多くのことが分かるだろう。
スタンド能力についての詳細、首輪の解析に役立ちそうな人材の目星、そして敵になった者の情報。
これがあれば、さきほどDIOがパピヨンたちに仕掛けたような揺さぶりも可能になる。
相手が隠しておきたい事実を言い当て、動揺させ、その機に乗ずるような真似も……。

嫌なことを思い出してしまった。パピヨンは思わず渋い顔になる。
人食いの怪物。親兄弟すらもその手にかけた外道。確かにそうだ。そのことは否定のしようがない。
そして、そういった過去をも含めてこその『パピヨン』であるはず、だった。
551Classical名無しさん:08/01/13 00:02 ID:/CccO2ZA
  

  こなたさえあの場に居合わせなかったら、こんなことを考えもしなかったのだろうが。

パピヨンは苛立つ。
苛立ちながらも、自分自身が何に苛立っているのか認めたくない。無言で噛み潰す。

「……ふむ」

駅前までやってきたパピヨンは、そして足を止める。
……誰もいなかった。
串刺しにしてそこに留めておいたはずのゼクロスも、はぐれたこなたやシェリスも、誰もいなかった。
パピヨンは仮面を手で押さえながら小さく呟く。

「ま、予想外に時間がかかりすぎたからな。奴が逃げたのは予想の範疇として……
 あの2人は、いったいどこに行った? こっちには来てないのか?」

彼女たちに聞こえたかどうかは分からない。
だがパピヨンは、ストリップ劇場の戦いが始まる時、2人に逃げるように叫んでおいた。
3人はもともと、夕食を取ったらあの喫茶店に戻る予定だったのだ。それだけで意は通じる、と思ったのだが。

もう彼女たちは喫茶店に着いているころだろうか。なら急いで合流せねば。
あるいは、パピヨンが通り過ぎてきてしまった街のどこかで隠れてたりするのだろうか。
それとも、DIOと同じく人喰いであるホムンクルスを恐れて……?

「…………ッ」

ギリッ、と噛み締められた奥歯が鳴る。
心中穏やかでないまま、パピヨンは……。

  *   *   *
553Classical名無しさん:08/01/13 00:03 ID:c6.n/jP2
蝶すげー
554Classical名無しさん:08/01/13 00:03 ID:neIyO2M6
支援
555Classical名無しさん:08/01/13 00:03 ID:kABtexGI
    
556Classical名無しさん:08/01/13 00:03 ID:/CccO2ZA
   

シェリス=アジャーニは、迷っていた。
激しい戦闘から慌てて逃げ出したら、入り組んだ裏通りで自分の居場所を見失ってしまったのだ。
いつの間にかこなたともはぐれ、パピヨンたちの姿も見失い、迷って歩きながら、別のことでもまた迷う。

(これは、チャンスなのかもしれない……!)

パピヨンはきっとDIOを倒しきれないだろう。傍から見ていても力量が違う。
パピヨンが弱いわけではない、DIOの方が底知れない存在なのだ。

そのDIOが、自分のことを『部下に欲しい』と言っている。
パピヨンたちのことを見切ろうと思っていた自分を、誘ってくれている。
元々、シェリスがパピヨンの下で大人しくしていたのも、シェリス1人では劉鳳の力に成れないから。
劉鳳に会うまで、生き延びることさえも難しいから。
DIOはそんなシェリスの弱さを理解した上で、なお部下に欲しいと言った。
それはつまり、パピヨンなどよりもっと熱心に自分のことを守ってくれるということではないのか……?

「あっ……ここって、もしかして……!」

思い悩みながら裏通りの暗がりを走っていたシェリスは、見覚えのある光景にはッとする。
どこをどう回ってきたものか、再びあのストリップ劇場の前に戻ってきてしまっていた。
ここまで来れば現在位置は分かる。しかし、同時にあのDIOに遭遇してしまう危険も高いわけで。

(でも……ここはむしろ……!)

壁に大穴の開いたストリップ劇場からは、またあの禍々しい気配が漏れ出てきている。
居るのだ、DIOが。またこの場に戻ってきているのだ。
虎穴に入らずんば虎子を得ず。相手が彼女を利用するつもりなら、彼女も相手を利用してやればいい。
シェリス=アジャーニは、簡単に利用されるだけの女ではないのだ。
大きく深呼吸ひとつ。乱れた浴衣の裾を合わせ直すと、彼女はそして、虎穴へと踏み込んでいった。
558Classical名無しさん:08/01/13 00:04 ID:kABtexGI
 
559Classical名無しさん:08/01/13 00:04 ID:/CccO2ZA
    

  *   *   *

DIOが好き好んでストリップ劇場などという場所を選んだのには、いくつか理由がある。

地図には載っておらず、誰かの待ち合わせ場所などに使われる心配がないこと。
戦いになったら、ある程度自由に暴れられる広さを持った空間であること。
逃走の必要が生じた時、抜けられる出口が複数あること。
相手を威圧し、DIO好みのハッタリを効かせるための舞台装置があること。
ついでに、ここからなら地下鉄の駅も近い。日が昇る前に駆け込むこともできるだろう。
いつ捨てても構わない拠点としては、悪くない。

だが何よりも、こういった街並みはDIOにとってよく馴染むのだ。
猥雑でどこか後暗い裏の街。
それはディオ・ブランドーが幼い日々を過ごした場所にも似て。
また吸血鬼となった後、傷を癒すべく潜伏し、切り裂きジャックと出会うことになった街にも似ている。

元々DIOは、こちらから打って出るより余裕たっぷりに待ち構える方を好む。
たとえ敵がいると分かっていても、自分から出向いたりはしない。せいぜい部下を放つ程度。
山の中のウインドナイツロッドに篭った時も、エジプトのカイロに館を構えた時もそうだ。
自分自身は動かず、慌てず、ゆっくりと回復を図る。

逆に言えば――だからこそDIOは、部下を必要とする。
反乱や裏切り、情報漏洩の危険を承知の上で、それでもなお、自分より弱い部下たちを必要とする。
ストリップ劇場の舞台の上、大きなソファに身を沈めたまま、DIOは傍らに立つ『新たな部下』に語りかける。
561Classical名無しさん:08/01/13 00:05 ID:c6.n/jP2
   
562Classical名無しさん:08/01/13 00:05 ID:/CccO2ZA
 
563Classical名無しさん:08/01/13 00:05 ID:kABtexGI
  

「バキの時の過ちは、奴自身が好戦的だったことだ。十分以上に戦える存在だったことだ。
 きっと奴は、弱い者を狙うことを良しとせず、強い相手に真正面からぶつかっていったに違いない」
「…………」
「その点、君は決して強くはない。だから同じ失敗はしないだろう。
 言わずとも分かっているとは思うが、くれぐれも無理はしないようにな。
 もしも強敵と出会ってしまったら、なんとかして私の所まで逃げてくるんだ。
 さっき実験した通り、このDIOの『ザ・ワールド』を『エターナル=デボーテ』で強化すれば、我々に敵はない。
 君が何人かの『食料』を連れてきてくれれば、私も打って出るだけの体力を回復できる。
 ついでに、私がどこかに落としてきたデイパックを見つけたら、拾ってきておいてくれよ」

DIOは笑う。傍らに立つボディラインも露わな少女に、自信たっぷりに微笑みかける。
そして、どこか虚ろな目をした少女は。

「……劉鳳は」
「ん?」
「DIO様の言う通りに誰かを騙して連れてくれば、DIO様の下で劉鳳と一緒になれるんですよね?
 DIO様と劉鳳と一緒に、この殺し合いの場から脱出できるんですよね?」
「ああ、約束するよ。君と劉鳳の助けがあれば、私も目的を達することが出来るだろう。
 もしも望むのなら、全てが終わった後、君たち2人に永遠の命を授けてあげてもいい」
「なら……DIO様、行ってきます――」

堅い足音を鳴らして、少女が舞台から歩み去る。ハイヒールの鳴る音が夜の歓楽街へと消えていく。
すっかり離れたところで、DIOは改めて足を組みなおす。底意地の悪い笑みを浮かべる。

「ま、あの詳細名簿で見た限り、劉鳳とやらがこのDIOの下につくことはまず無いだろうがな。
 フフフ……彼女の『献身(デボーテ)』も熟れた肉体も、このDIOが頂いたぞッ、劉鳳ッ!!」

  *   *   *
565Classical名無しさん:08/01/13 00:07 ID:neIyO2M6
566Classical名無しさん:08/01/13 00:07 ID:/CccO2ZA
  

泉こなたは、いかがわしい本屋の店内で1人潜んでいた。

そこは、そう、パピヨンたちとストリップ劇場に踏み込む前に発見した、あの店である。
同人誌や雑誌、漫画やビデオに満ち溢れた店内で、膝を抱えて溜息をつく。
とてもではないが、新刊のチェックをする気分にもなれない。

どこをどう走って逃げてきたのか、全然記憶にない。
いつの間にシェリスとはぐれたのか、全く覚えていない。
それでも無意識に馴染みのある空間を求めたのだろうか、この店に飛び込み、息を殺して身を隠して……。
しばらくの間、扉1枚隔てた向こう側で派手な戦闘の物音が聞こえていたが、ふつりと聞こえなくなって。

それから、いったいどれほどの時間が経ったのだろうか。
ゆっくりと、こなたはいつもの調子を取り戻す。仮面のように強張っていた顔に、ようやく普段の笑みが戻る。

「……いや〜、しかしどうしたもんかね〜。なんか出るに出られないな〜」

あのパピヨンが簡単にやられてしまったとは思えない。けれど、今外に出ていいものかどうか。
ひょっとしたら、店の外に出た途端にDIOとコンニチワ、なんてことになってしまうかも……?
目を細めたまま、こなたはブルッと身震いする。
さっきからそんな想像ばかりが頭を過ぎって、この安全な隠れ場所から外に出る踏ん切りがつかない。
いつまでもここに居るわけにはいかないとは分かっているのだが、腰を上げるタイミングが掴めない。
本の山に身を隠したまま、彼女は店の窓に貼りつく。ガラス越しに猥雑な裏通りを眺める。

「こーして店の外見てる限りじゃ、誰もいないっぽいんだけどねー。
 …………ん? あれは?」

カツーン。カツーン。遠くから足音が聞こえてくる。堅い足音が無人の歓楽街にやけに響く。
誰かが歩いてくる。どう見たってDIOではありえない、華奢な体格の人物が。
568Classical名無しさん:08/01/13 00:07 ID:/CccO2ZA
   
569Classical名無しさん:08/01/13 00:08 ID:cnqmVY8I
誰が?

「……あれって……シェリス? でも……!」

そう、あの蒼いショートの髪は見間違いようがない。
他ならぬシェリス=アジャーニ。こなたがはぐれ、出来れば合流したいと思っていた仲間。
……だが、服装が違う。さっきまで一緒だった浴衣姿ではない。
でっかい汗の粒を額に浮かべながら、こなたは思わず呟いてしまう。

「その格好って……それ、なんてエロゲだい?」

シェリスの格好、それは一言で言えば――ボンテージファッション。
首輪だけは全ての参加者と同じものをつけたまま、黒光りするレザーの光沢が彼女の手足を包んでいる。
ブラジャーは胸を覆うよりむしろ強調する役目しか果たしておらず、下半身を覆う面積も限界ギリギリだ。
道の真ん中を歩くような格好でないことを除けば、その豊かな身体に悔しいほど似合っている。

こなたは知らない。知るわけがない。
先ほどDIOは、『ザ・ワールド』を『エターナル=デボーテ』で強化できるかどうか、という実験を行った。
シェリスの利用価値を測る上では、一度やっておかねばならない実験である。
だが『エターナル=デボーテ』を使用すれば、強化対象と合体する際、シェリスは全裸になってしまう。
銭湯で見つけた浴衣は、1回の実験でバラバラになって千切れ飛んで……。
衣類を失った彼女は裸でいるわけにもいかず、劇場を漁って見つけたのが、この扇情的な衣装だった。
他にも舞台用の衣装が無いわけでもなかったが、どれも大同小異。
ひょっとしたらこの服の選択には、DIOの趣味も多少加わっているのかもしれないが……。

「なんか、見るからに変な感じだよねェ……。どーしたもんかな……」

明らかにおかしなシェリスの姿に、こなたは悩む。今すぐ姿を見せるべきかどうか、激しく悩む。
そんなシェリスの髪を、ふわりと歓楽街を吹き抜けた夜風が軽く揺らす。
……その髪の生え際あたりに何か蠢く肉塊があることに、こなたは気が付けただろうか?
571Classical名無しさん:08/01/13 00:09 ID:c6.n/jP2
  
572Classical名無しさん:08/01/13 00:09 ID:/CccO2ZA
    
【D-2 S3駅前/一日目 夜】

【パピヨン@武装錬金】
[状態]:動きすぎで疲れて吐血。全身に打撲。
[装備]:猫草inランドセル@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:地下鉄管理センターの位置がわかる地図、地下鉄システム仕様書
    ルイズの杖、参加者顔写真&詳細プロフィール付き名簿、
    支給品一式×2(パピヨン、灰原)(灰原の方はデイパックの肩紐破損)
[思考・状況]
基本:首輪を外し『元の世界の武藤カズキ』と決着をつける。
1:はぐれたこなたたちと合流し、保護して喫茶店に戻る。
 一旦喫茶店の方に向かう? それとも引き返して彼女たちを探す?
2:シェリスの殺人は一般人に限り黙認する。殺し合いに乗っていたことも他言しない。
3:エレオノールに警戒。
4:核鉄の謎を解く。
5:二アデスハピネスを手に入れる。
6:首輪の解体にマジックハンドを使用出来る工場等の施設を探す。
[備考]
※参戦時期はヴィクター戦、カズキに白い核鉄を渡した直後です
※スタンド、矢の存在に興味を持っています。
※猫草の『ストレイ・キャット』は、他の参加者のスタンドと同様に制限を受けているものと思われます
※エレオノール、鳴海に不信感(度合いはエレオノール>鳴海)
※独歩・シェリスと情報交換をしました。
※逃げられてしまったゼクロスにさほど執着はないようです
574Classical名無しさん:08/01/13 00:10 ID:c6.n/jP2
 
【E-2 繁華街裏通り・ちょっと怪しい本屋/1日目 夜】

【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:軽い打撲。軽い恐慌状態。
[装備]:エンゼル御前@武装錬金
[道具]:支給品一式、フレイム・ボール@ゼロの使い魔(紙状態)、んまい棒@銀魂、
     綾崎ハヤテの女装時の服@ハヤテのごとく
[思考・状況]
基本:みんなで力を合わせ首輪を外し脱出 。
1:怖くて仕方ない。外に出るタイミングが分からない。怪しい様子のシェリスと合流するべきか否か?
2:パピヨンと合流して? 喫茶店に戻る。
3:かがみ、つかさを探して携帯を借りて家に電話。
[備考]
※エンゼル御前は使用者から十メートル以上離れられません。 それ以上離れると核鉄に戻ります。
※独歩・シェリスと情報交換をしました。
576Classical名無しさん:08/01/13 00:11 ID:Cgp9iP3c
       
【E-2 繁華街裏通り/1日目 夜】

【シェリス・アジャーニ@スクライド】
[状態]:肉の芽による洗脳状態、軽い打撲
[装備]:光の剣(ただのナイフ)@BATTLE ROYALE、ボンテージファッション一式
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:劉鳳に会って一緒にDIOの下について脱出。
1:DIOのために近くで一般人(こなたでも可)を見つけ、上手く騙してストリップ劇場に連れて行く。
  その際、強い者と遭遇してしまったらDIOの所まで逃げる。落ちているデイパックを見つけたら拾ってくる。
2:劉鳳を探す。
3:足手まといだと判断した一般人は誰にも気づかれないように殺す。
4:平次、タバサ(両方とも名前は知らない)は殺人鬼という情報を流す。
[参戦時期]:劉鳳と同時期
[備考]
※アプライド=サック=アップについて。
触れた相手のアルターを吸収する能力。シェリス単独でも使用可能とします。
アルター以外の特殊能力(スタンド、魔法など)にも吸収の効果は及びますが、能力などの制限は不明です。
※パピヨン・勝・こなたと情報交換をしました。
※DIOによって、肉の芽を埋め込まれました。
※どうやらシェリスの『エターナル=デボーテ』で『ザ・ワールド』の能力を強化することが出来るようです。
 どの程度の強化が出来るのかは不明です(時止めの時間を延長できる?)。当人たちは確認済みです。
※肉の芽による洗脳を抜きにしても、DIOの目的は脱出狙いであると信じています。
578Classical名無しさん:08/01/13 00:11 ID:kABtexGI
    
579Classical名無しさん:08/01/13 00:11 ID:/CccO2ZA
      
【E-2 繁華街裏通り・ストリップ劇場内部/1日目 夜】

【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:エネルギー枯渇(ザ・ワールドで時を止められる時間が1秒になる程)
[装備]:スタンド『世界』、
[道具]:ダーツ(残弾数1)、デルフリンガー@ゼロの使い魔、時計型麻酔銃(1/1)。麻酔銃の予備針8本。
    イングラムM10サブマシンガンの予備マガジン×9、ライドル、スタングレネード×2、
    支給品一式×3(DIO、桂、みゆき)
[思考]
基本:帝王に負けはない。参加者を殺し、ゲームに優勝する 。アーカードのボディを乗っ取り、太陽を克服する
1:シェリスが生贄を連れてくるのを待ち、生贄を襲ってその血で体力回復を図る。
2:シェリスを待つ間、ストリップ劇場で英気を養う。加えて、近くにやって来た参加者を各個撃破し体力を回復
3:どんな手を使ってでもアーカードを打倒し、ジョースター家を根絶やしにする
4:魔法使い・しろがね等の血に興味
5:デルフリンガーから平賀才人他の情報収集・デルフリンガーを用済み、又は障害と判断したら破壊する。
6:ゲームを仕組んだ輩を断罪する
[備考]
※ジャギの腕はほぼ馴染みました
※時を止められる時間は約3秒間です
※首輪の他に、脳内に同様の爆弾が埋め込まれています
※S5駅方面の列車は途中で地上に出ることを確認しました
※デルフリンガーはコミックス2巻のフリッグの舞踏会の最中から召還されたようです。
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました
※詳細名簿(とルイズの杖)が入ったデイパックは、戦いの際、どこかに落としてきたと思っています。
 パピヨンが拾った可能性にまだ気付いておらず、シェリスに見つけ次第回収するように命じてあります。
581 ◆6YD2p5BHYs :08/01/13 00:12 ID:ne0lW362
以上、長文投下終了、支援感謝です。
肉の芽、使ってしまいました。まあ肉の芽も色々制限されてるかもしれませんし。
もし万が一、異論が多いようならまた考えます。
582Classical名無しさん:08/01/13 00:18 ID:c6.n/jP2
投下乙!
肉の芽には、もし制限加えるとしたら洗脳できるのは同時に一人だけ、みたいな感じにすればどうでしょうか。
これならバキの件とも矛盾が出ないかと。
まあ役に立つ人間しか洗脳しないなら、やたらめったら乱発する事も無いと思いますが。
それにしてもDIOを出し抜くパピヨンに、以前の作品を生かしたこなたの心理描写にも感心してしまいました。
あと、あなた絶対エロネタ仕込まないときがすまないんですかwwwwwwwGJ!!
583Classical名無しさん:08/01/13 00:19 ID:Cgp9iP3c
GJ!
DIO様ついに部下を手に入れたか。
ビバ!ノウレッジをネタとして取り入れるあなたが最高w
こなたとパピヨンに出来たヒビが実に気になる。
ここに来て『ザ・ワールド』の強化。
さっすがDIO様! 俺たちに出来ない事を平然とやってのける!
そこに痺れる! 憧れる!
584Classical名無しさん:08/01/13 00:22 ID:/CccO2ZA
パピヨンのバトル叫びに噴いたwwwwwwwwww
そしてシェリスの服最高、流石にやってくれるwwwwwwwwwwwww
真面目な所だと、ぱぴ・こな・シェリスをきっちりばらけさせたのが見事です。しかもシェリスにゃ肉の芽付き!
みゆき殺害フラグまで拾ってのこの流れは見事の一言でした!GJ!
585Classical名無しさん:08/01/13 00:29 ID:cnqmVY8I
乙。
こなたを殺し合いの世界にいること自覚させたり、
シェリスに肉の芽を入れたり
パピヨンを言い負かしたり
DIO様が外道過ぎる!!

シェリスがエロスになったのもGJ
586Classical名無しさん:08/01/13 00:56 ID:NIxlNEug
投下乙
みゆきの殺害フラグにシェリスの洗脳!
いろんな見どころが満載でよかった
DIO様すっげえな
587Classical名無しさん:08/01/13 00:57 ID:MGgfyqAw
承るが死んだ今、世界の能力に真っ向から対抗出来る存在いないしな、
おまけに強化までしちゃってるし……なんてマーダーが強いんだ、このロワ。
さすがだぜッ! 漫画ロワ!!

対主催で(今のところ)唯一世界の能力を知ったパピヨン、がんばってくれ!!
588 ◆hqLsjDR84w :08/01/13 01:01 ID:eUO4Opk2
ふう、ギリギリですが書き終えました。
感想を書きたいのですが、結構未読SSが溜まってしまっているので、時間がかかってしまいます。
その為、先にSSの方を投下したいと思います。
589Classical名無しさん:08/01/13 01:02 ID:c6.n/jP2
支援するぜ
 ――――定時放送。

 バトルロワイアルの哀れな参加者の大半が、それを聞くために行動を中断する。
 殺し合いに乗った者も、主催者へ対抗しようと心に決めた者も、未だどっちつかずの者も、等しく耳を傾ける。
 それが、6時間ごとに主催者が行う定時放送だ。
 バトルロワイアル開始から18時間経ったいま。

『さて諸君、午後18時の定時放送を始める。調子はいかがだろうか?』

 その定時放送の第3回目が始まり、徳川光成の声が会場全体に鳴り響く。

『午後19時からB−1、午後21時からD−7、午後23時からH−6』

 まず告げるのは禁止エリア。
 禁止エリアは2時間ごとに1つずつ増えていき、参加者の行動範囲は限定されてしまう。
 殺し合いを円滑に進たいという、主催者の意図が汲み取れる。
 主催者の思惑通りに動いてやるもんか。そう思っている参加者も、これには従わざるを得ない。
 何故なら、禁止エリア――そこに足を踏み入れた者は30秒以内にそこから脱出しなければ、首輪を起爆されてしまうのだ。
 そうなれば、主催者に反旗を翻す事は出来ない。死んでしまえば、そこで終わりなのだから。

『次に惜しくも脱落していった者達は――』

 次に告げるのは、前回の放送から今回の放送の間に命を落としていった参加者の名。
 今回呼ばれた名の数は、10。
 死に至るまでの経緯も、それまでの人生も、千差万別。
 全員に当てはまる共通点は1つだけ。
 呼ばれた10人その全てが、もうこの世にはいないということだけ。
 その10の名を聞いた参加者がどう思うのか、またどう動くのか。それもまた千差万別。

『では御機嫌よう、6時間後の放送を心待ちにしていたまえ』

 その次に徳川光成は何やら講釈を垂れていたが……、これに耳を傾ける者が何人いるだろうか。
 とにかく、かくして放送は終わり。
 ここ、D−8エリアには再び静寂が訪れた。

 それから数分が経った時だった。
 スタンドの酷使によって気絶していた三村信司が、意識を取り戻したのは。



「う……」

 目覚めて最初に感じたのは、錆びた鉄の味だ。
 少しの間、脳内で状況の整理を行い、その理由を思い出す。

「ああ、そうだ。あのせいだな」

 あのアーカードとかいう少女――吸血鬼とか言ってたな――に、顔面を蹴り飛ばされたからだ。
 吸血鬼。その短度を聞いて、思い出してしまうのは――

「ジョジョ……」
592Classical名無しさん:08/01/13 01:04 ID:Cgp9iP3c
      
593Classical名無しさん:08/01/13 01:05 ID:ne0lW362
 
594Classical名無しさん:08/01/13 01:06 ID:c6.n/jP2
支援

 つい言葉が零れてしまう。
 ジョジョは言っていた。
 波紋という原理は分からんが凄い能力で、吸血鬼とその上の存在である柱の男を全員ぶちのめした――と。
 そんなメルヘンやファンタジーみたいな話をしていた。
 俺にも――――『アイツ』にも。

 あの話は、動揺していたアイツの気を紛らわす為の作り話ではないかと思っていた。
 ジョジョが強いのは分かっていたし、波紋の凄さも教えられた。それでも、そんな話を信じられなかった。

 しかし今では、あの話は本当だったのではないかと思えてくる。

 吸血鬼、そんなものが存在するわけがない。
 そう考えていたし、今でも信じられないが、アーカードは少女の姿をしていながらまるで『人間じゃないみたいな』動きをしていた。
 そしてアーカードは言った。自分は吸血鬼だと。
 ジョジョの言葉、アーカードの人間のレベルを逸脱した動き、そしてアーカードの言葉。
 以上のことから考えて、導き出すべき結論は……

「信じるしかねえ……のかもな」

 信じるしかない。そう結論付けて、立ち上がる。
 周囲を見回すと、アーカードの置いていった原チャリが近くに転がっていた。
 壊れかけだが、消し炭になった自動車も直せたんだ。クレイジー・ダイヤモンドで直せるだろう。



 クレイジー・ダイヤモンドの拳を壊れた原チャリに叩き込んだら、時間をチェックしようと民家の中に足を踏み入れる。
 そして時計を見て……ケツの穴にツララを突っ込まれたような感覚に襲われた。
596Classical名無しさん:08/01/13 01:06 ID:Cgp9iP3c
    
597Classical名無しさん:08/01/13 01:06 ID:MGgfyqAw
……やれやれ、休む暇もな支援ッ!

 ――既に放送が終わって、10分ほど経過している。

 死んだ参加者が聞けなかった事に関しては、あまり気にしない。
 杉村とジョジョがいなくなったいま、誰の名が呼ばれても関係ない。
 知り合いが1人だけいるが、大して話したこともない奴だ。
 しかし禁止エリアを知らないというのは、ヤバイ。
 知らないままその禁止エリアに入れば、ジョジョに助けられた命を落とすことになる。
 それだけは避けたい。
 その為には、一刻も早く他の参加者と出会い、放送の内容を訊かねばならない。

「クソッ!」

 そう吐き捨てて民家から飛び出し、既に修理が完了した原チャリに飛び乗る。
 北には、病院や学校などの施設がある。そこに行けば、参加者に出会えるはずだ。
 そう考えて少し北に向かってから、アーカードも北へ向かったことに気付く。
 さっきは何故か見逃されたが、今度アーカードと出会えば命の保障はない。

 ジョジョがいれば吸血鬼にビビることは無かっただろうが、ジョジョはもういない。『アイツ』に殺された。

 仕方が無い。
 一度F−8エリアまで移動した後、北上。このルートで参加者が集まりそうな病院を目指そう。
 参加者が集まるところには、危険人物も集まるかもしれないが……
 禁止エリアを知らないリスクの方が大きい。
 そうと決まれば、すぐに行動に移す。
 即座にハンドルを右に捻って、原チャリの向きを変える。
 目下の目的地は東。その後、北だ。
599Classical名無しさん:08/01/13 01:07 ID:c6.n/jP2
  
600Classical名無しさん:08/01/13 01:07 ID:ne0lW362
 



 三村信史は知らない。
 彼がそのまま北に向かっていれば、主催者に対抗する意思を持った2人男達と出会えた事を。
 ジョセフ・ジョースターが生きていて、柊かがみと共に行動している事を。
 彼は、知らない。
 勘違いは、終わらない。


【D−8/一日目/夜】
【三村信史@BATTLE ROYALE】
[状態]:精神疲労(中)、鼻の骨を骨折、顎にダメージ有り(大)、原チャリで移動中
[装備]:トランプ銃@名探偵コナン、クレイジーダイヤモンドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険、銀時の原チャリ@銀魂
[道具]:七原秋也のギター@BATTLE ROYALE(紙状態)支給品一式×2
[思考・状況]
基本:老人の野望を打ち砕く。かがみはどんな手段を使ってでも殺す。
1:仲間になってくれそうな参加者に会う。
2:1の為にF−8エリアに向かった後に北上し、病院を目指す。
3:参加者に出会ったら第三放送の内容を訊く。そして「柊かがみという女は殺し合いに乗っていて、人を一人殺した」と伝える。
4:再度ハッキングを挑む為、携帯電話を探す。
5:集められた人間の「共通点」を探す。
6:他参加者と接触し、情報を得る。「DIO」は警戒する。
7:『ハッキング』について考える。
8:アーカードは殺す。
[備考]
※本編開始前から連れて来られています。
※クレイジーダイヤモンドは物を直す能力のみ使用可能です。
 復元には復元するものの大きさに比例して体力を消費します。
 戦闘する事も可能ですが、大きく体力を消費します。
※ジョセフは死亡したと思っています。
※マップの外に何かがある、と考えています。
※彼が留守番電話にメッセージを残したのは、以下13ヶ所です。なお、メッセージは全て同一です。
 老人ホーム(A−1)、市役所(D−3)、病院(F−4)、消防署(D−4)、学校(C−4)
 総合体育館(D−5)、ホームセンター事務室(H−5)、総合スーパー事務室(D−6)
 変電所(A−8)、汚水処理場(B−8)、ホテル(D−8)、パブ(F−8)、ボーリング場(G−8)
※第三放送を聞き逃しました。
※ジョセフの話(波紋、吸血鬼、柱の男 etc)を信じることにしました。(どの程度まで詳しく話したかは任せます)
603Classical名無しさん:08/01/13 01:09 ID:c6.n/jP2
    
604 ◆hqLsjDR84w :08/01/13 01:10 ID:eUO4Opk2
投下完了。
期限ギリギリまでかかっておきながら、短くて申し訳ない。
そして支援ありがとうございます。
誤字、脱字、その他あれ? 思う点がありましたら指摘してください。


それにしても、最近の速さは異常ですね……w
605Classical名無しさん:08/01/13 01:11 ID:rF6nH17E

606Classical名無しさん:08/01/13 01:16 ID:ne0lW362
投下乙です。
ゲーッ!? 放送聞き逃しやがったァーッ!?
もう、面白くなっちゃうじゃないですかw せっかく誤解解けるチャンスだったのにw
この子はどこまでKOOLで行くんだろうw
607Classical名無しさん:08/01/13 01:19 ID:c6.n/jP2
まずは乙です。
いや、最近ホント速さが足り過ぎですよw
しかしKOOL……たいした奴だ……。
彼の迷走はどこまで続くか……二代目バーローになれるかもしれんww
あと何気に吸血鬼のことを認識したのは後々重要になるかもしれませんね。
期待してんだから頑張ってくれサードマン!


あと、誤字の指摘を。
>>591
吸血鬼。その短度を聞いて、思い出してしまうのは――
>「単語」ですかね?

>>601
主催者に対抗する意思を持った2人男達と出会えた事を。
>2人の男達と出会えた事を。
が正しいのでは?
608Classical名無しさん:08/01/13 01:19 ID:rF6nH17E
支援遅れたか、ごめん

>>581
DIO様、つえええええ!!
ぱぴぱぴラッシュで吹いたw
こなたは、一般人もんな……仕方ないさ。
肉の芽とか、時止めとか、ザ・ワールド強化とか、反則っぷりも実にいいぜ。
そしてシェリス……GJと言わせてもらうぜ!


>>604
放送聞き逃したーww
他の参加者に出会いたいと作中で決断させながら、人のいない方に移動させるなんて……
その姿勢に、痺れて憧れたぜw
こちらもGJ!
609Classical名無しさん:08/01/13 01:20 ID:MGgfyqAw
アーウチッ! なにやってんだシンジ。
他の対主催面子は大体チーム組んでるのに、
何時までこの子は孤独なの!?
610Classical名無しさん:08/01/13 01:23 ID:Cgp9iP3c
投下乙!
放送聞き逃しw これは勘違いが止まらないw
KOOLなままのあなたでいて欲しいというメッセージを受け取りました!
もうこのまま突っ走れ!
GJ!
611 ◆hqLsjDR84w :08/01/13 01:24 ID:eUO4Opk2
スゲェ……未読SSが4つも!
いやあ、本当に速いw

>>607
ミスしすぎだろ……
wikiに掲載された際に直します。
指摘どうもです。
612Classical名無しさん:08/01/13 01:29 ID:NIxlNEug
サードマンマジ
613Classical名無しさん:08/01/13 01:29 ID:NIxlNEug
ごめん、途中送信
サードマンマジKOOLすぐる

誤解解けてほしかったけどまぁこれはこれでおいしいか
614Classical名無しさん:08/01/13 01:39 ID:JfV4SQ5.
乙です。いやあサードマンKOOLですね。COOLじゃなくてKOOLですね。
迷惑な誤解フラグをブチ撒けちゃって。
あと、
それから数分が経った時だった。
 スタンドの酷使によって気絶していた三村信司が、意識を取り戻したのは。
は、
それから数分が経った時だった。
 スタンドの酷使によって気絶していた三村信史が、意識を取り戻したのは。
だと思います。
それにしても信史って名前一発変換できなくて面倒ですね。
615Classical名無しさん:08/01/13 01:55 ID:tlmPiykQ
サードマンはアーカードよりもかがみん殺害を優先か。
もしジョゼフとかがみんが離れ離れになったりしたら、血の雨が降りかねん。
616Classical名無しさん:08/01/13 01:59 ID:GRNQTGWg
逆に三村への勘違いフラグかもな。
「ジョジョが殺された」→「嘘だ!」的な
617Classical名無しさん:08/01/13 02:01 ID:rF6nH17E
なんておいしいんだ、サードマンww
618Classical名無しさん:08/01/13 03:04 ID:jVT7OeCY
>>465
吉良笑いすぎwww そりゃ宿敵が死んで嬉しいだろうけどさww
ルイズは無事埋葬されたか…ルイズにしろタバサにしろ墓に添えられるものがあるキャラは幸せですな
東西の名探偵コンビでバーローの立場向上の可能性、吉良を再び非日常へと叩き込む記憶DISCのフラグはお見事でした

>>507
DIO様乱戦でボコボコにされても帝王顕在w
威圧するのはいいけどちゃんと名簿管理しないとw
あと、何気にパピヨンの服飾センスを褒めてたけど本気だとしたらますます笑いがwww
こなたの闘争への誘い、漫画スクライドを再沸させるボンテージシェリスなど、キャラの動かし方に定評があると言わざるを得ない

>>590
三村は砕けない…もといKOOLは期待を裏切らない
田園地帯のときといい、ロリカードにケンカ売るといい何から何まで状況を選べない男だw
今後ジョセフとかがみが離脱するか否かが展開の分かれ目になりそうな予感
619Classical名無しさん:08/01/13 03:37 ID:eUO4Opk2
やっと読み終わった。
>>390
最初の方の座り方トークで凄く和んだ。覚悟……お前何やってんだw
放送前のこのトークで、放送後のシリアスが際立っているように思います。
ヒナギクもだけど、覚悟の反応が印象的。男泣き――!!
個人的に1番すきなのは散様への言葉かな。実に彼らしく、実に熱い。
ついに激戦区に足を踏み入れる4人の今後が、気になるぜ……
GJです!

>>458
承太郎の死を知ったジョセフの反応が、何ともいえない……
それにしても、激戦があるからってかがみに波紋流すジョセフが素敵すぎるw
しかしジョセフ+魔術師の赤は強力だぜ〜。なんせ幽波紋は、波紋を通すからなァ〜。
結構某吸血鬼、ピンチかもなァアア。
波紋の呼吸を止める理由で、スト様とか出してくれたのも凄くうれしい。サイコーだ!
GJです!

>>499
吉良のノリノリっぷりがwww
まあ、こいつの承太郎に対する恐怖心は半端無いからな……
ブラボーの死に対する劉鳳の心中がつらいぜ。
服部とコナンも本領発揮しかけてて、先が楽しみだ。
最後にDISC挿入……気になるううううううう
GJです!

>>581
シェリス。あー、肉の芽かー。劉鳳は遠いし……どうなる!?
DIO様の吐き気を催す悪っぷりが最高、素敵すぎる、これでこそDIO。
反則スタンドの『世界』をさらに強化ってww
勇次郎といい、マーダー強化されすぎwだが、何故かそれでこそ漫画ロワと思えてくるw
一般人であるこなたと、重症のパピヨン……これも気になるなああ。
GJです!
620 ◆hqLsjDR84w :08/01/13 03:39 ID:eUO4Opk2
>>614
こちらも、wikiに掲載された際に直します。
指摘どうもです。

……それにしても今回ミスしすぎだな。
621Classical名無しさん:08/01/13 11:37 ID:xhMv50eg
DIO様は刃牙はなんか役に立たなかった的なこと言ってるけど、
実際時止めに対するただ一つの切り札って言える承太郎倒してるんだから大金星だよな
622 ◆bnuNxUeVnw :08/01/13 12:29 ID:Clhah7Hg
>>500
orz まだあったなんて…
指摘ありがとうございます wikiにて訂正します。

>>507
DIO様、大活躍ッ!!
これからのシュリスの活躍しだいではさらなる躍進をするかも。

そしてこなた、逃げてぇぇーーー!!


>>590
三村が迷走しはじめたか…
幸い禁止エリアに入ったとしてもすぐに死にはしないけど
まだまだ波乱がありそうですね

両者投下乙!!

623 ◆d4asqdtPw2 :08/01/13 18:59 ID:gwq8DOvc
すいません。延長します。
そんなに長い話ではないんですが……。
624Classical名無しさん:08/01/13 19:30 ID:zjAi8oDE
>>581

投下乙です、しかし気になるのですが
詳細名簿の自分の欄を放置しているというのはDIOにしては無用心過ぎるのではないでしょうか?
確認したらすぐに破りとって焼き捨てるなり粉々にすると思います。
625Classical名無しさん:08/01/13 19:36 ID:zjAi8oDE
すいません、ageてしまいました……
626Classical名無しさん:08/01/13 19:42 ID:c6.n/jP2
>>624
本スレで議論するときりが無いので、そういった疑問点はまずはこちらに。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8882/1183133225/l50
627Classical名無しさん:08/01/13 19:44 ID:zjAi8oDE
了解です、そちらで改めて質問させていただきます。
空気を読んでない行為だったようで申し訳ないです。
628 ◆d4asqdtPw2 :08/01/14 17:31 ID:GYtvMKq6
一時投下スレにエレオノールを仮投下しました
短いですが色々と入り組んでいるため、分かり辛かったら指摘してください。
その他、誤字、設定ミス、疑問点などあったら指摘おねがいします。
629Classical名無しさん:08/01/14 19:04 ID:IhM7CmKU
問題ないと思います。
いや、こうきたかー……

感想は本投下の際にします。
630Classical名無しさん:08/01/14 19:07 ID:flv9FfBA
指摘はこちらでしても構わないのでしょうか? だめなら、別の場所に移動します。

>これは偶然なのか?
>まさか……私は二度と人間にはなれないのではないか?
>「願いを叶える権利」はまやかしだったのか? 私の心を惑わすための嘘?
>私は……誘惑に負けたのか?

ここの意味が分からなかったので、説明していただけると助かります。
私としては、優勝褒美と才賀勝護衛は何の関係もない物だと思っていますし、エレオノールとしても、ここが殺し合いの場であって、
自動人形破壊者の任務や、これまでの人生とは何の関係もない事件だと今のところ認識しているように思えます。
なのに、二つをつなぎ合わせて、才賀勝が死んだから願いの権利がまやかしとは少し行き過ぎじゃないでしょうか。
また、才賀勝は小さな子供なのですから、いつ死んでもおかしくないとはエレオノール自身思っていたはずです。
だから、護衛するつもりだったわけで……それが死んで、どうして権利がまやかしという考えに至ったのか分かりません。

>今まで見てきた死体と何一つ変わらない。
>そう、変わらないのだ。
(略)
>コレは私を人間にする力なんて持たない、ただの子供だ。
死体の見た目が変わらないからと言って、どうなんでしょう?
エレオノールは1巻登場前に一度だけ、才賀勝とすれ違っています。あの時、エレオノールが勝に気づいていたかどうかは分かりませんが、
才賀勝の外見がごく普通の人間である事ぐらい承知していたのではないでしょうか?
ここも、外見が普通だからといって、これまで信じていたことが虚構だと断定するには根拠が薄弱だと思うのです。

そんな感じです。
631Classical名無しさん:08/01/14 19:07 ID:p2.RD096
仮投下乙です!
エレオノールの性格上特に問題ないと思いますよ。

感想は本投下の時にします〜。
632 ◆d4asqdtPw2 :08/01/14 19:32 ID:GYtvMKq6
>>629-631
ご意見ありがとうございます
>>630
仮投下なんで個人的にはここで指摘していただいて構わないです。
上の疑問ですが、自分が優勝褒美にシフトした瞬間に勝が死んだので、
褒美は自分の心を惑わす試練みたいなものだったのではないかってことです。
勝が死ぬタイミングが良すぎた(悪すぎた)ために、勘違いしてしまったということです。
この時点ではあくまで「疑惑」ですけど。

下の方は、あくまで個人の見解ですが、
勝を守れば人間になれる以上、エレオノールは勝に何か幻想を抱いているのではないでしょうか。
「あれ? こいつ普通すぎんじゃね?」って感じです。
633 ◆O4VWua9pzs :08/01/15 13:39 ID:2.X0TEXE
アカギ、ジグマールのSS
延長お願いいたします
完成までかかりそうなのでもう少し待ってください
634Classical名無しさん:08/01/15 17:22 ID:QPEw2Mps
>>633
頑張れ、超ガンバレ
かなり難しい組み合わせだけどうまく書いたら大化けするぞ!
635 ◆d4asqdtPw2 :08/01/15 21:04 ID:kjTy.vOk
>>633
そのコンビは、どう転ぶか全く予想つかないですね。
かなり期待してますよ。頑張ってください。

それでは、俺の嫁投下します。
636真夜中のサーカス ◆d4asqdtPw2 :08/01/15 21:05 ID:kjTy.vOk
殺し合いの大地を赤く照らしていた太陽が沈んでいく。
しかし地平へと消え去る直前まで、巨星はその光で暗闇を封印し続ける。
消防車で北上しているエレオノールにとって、その西日は邪魔で仕方が無かった。
真横からこれでもかという程に彼女の顔を照らしつけ、視界を遮り、運転を阻害する。
いくら振り払っても、赤い波長を帯びた粒子は、止めどなく彼女を攻撃しその手先を狂わせる。
身体的ダメージは皆無だが、彼女の精神力はガリガリと削られていく。
そのおかげで、消防車は牛の歩くような速度で、のそのそと前進せざるを得なかった。
本来ならばこの赤い車は、緊急時に風のような速さで駆けつけるはずなのだが。

「……少し、休むか」
ブレーキペダルを踏み込むと、元々殆ど速度を有していなかった車が、ついに停止した。
急ブレーキだからだろうか、運転席に座る彼女にはフロントガラスの方向に多少の慣性力が働いた。
前のめりになってしまった体に、今度は自分で後ろ向きの力を加え、背もたれに勢いよくもたれかかる。
そのまま背もたれにその身をあずけ、体を休めることにした。

(命をかける……私の、舞台)
夢の中でギィが発した言葉。
歌うように、軽やかに脳に伝わる彼の声。
それは彼女に『答え』を示しているかのような……。
(私の『役割』を演じれば、人間になれるのですか……?)
自分に与えられた役割、それは才賀勝を守ること。
彼を守り続ければ、このかわいそうな人形は人間になれる。

なぜ? なぜそんなことで人間に生まれ変われるのだ?
私と『人間』は何が違う?
私が『人間』になるために欠落しているものとは何だ?

それをカトウナルミが教えてくれるのか?
「そうなのですか……先生?」
虚ろな目をして問いかけたが、答えは返って来なかった。
637Classical名無しさん:08/01/15 21:05 ID:xjvWZo6Y
呼んだか? 支援だ
638真夜中のサーカス ◆d4asqdtPw2 :08/01/15 21:05 ID:kjTy.vOk
『さて諸君、午後18時の定時放送を始める……』
(……! 放送、か)
突如響いた老人の声が、迷宮入りした思考を強制中断させる。
答えの出ない苦しみの最中にいた彼女にとっては、不快な放送もありがたいものであった。
ふと外を見る。
あれだけ鬱陶しかった太陽は、夜に敗北して、地平の底で眠りについていた。


トクン、トクンと響くのは、私の心臓の音。
鳴り止まない。ずっと……さっきの放送の後からずっとこの調子だ。
原因は、才賀勝。
もちろん空条承太郎 や範馬刃牙が死んだことも驚いた。
とくに範馬刃牙は自分の歯車を散々狂わせた男だ。
その食わせ物の男が死んだ。この数時間の間で。
だが、彼らの後に徳川とか言う老人が呼んだ名前……才賀勝。
その名前が呼ばれたことは、空条や範馬の時とは比較にならない程の衝撃だ。
才賀勝が死んで悲しいって訳じゃない。
あの少年は、偽名を使って私を偽っていた者だ。
それに、元々深い信頼関係で繋がれていたのではない。
だから才賀勝も、この名簿に載っている他の参加者と同じく、ただの殺害対象でしかなかったはずだ。

だが私はまだあの言葉にすがっていたのだろう。
『人間になりたければ、命をかけて勝を守れ』
人形である私を人間へと導いてくれる唯一の方法だった。
今回の殺し合いに優勝する褒美として与えられる「願いを叶える権利」によって、私が才賀勝を守る必要はなくなった。
ならば彼の死に動揺することなどないはずだ。
それでもこの心臓が鳴り止まないのは、私が才賀勝にすがっているからだろう。

それにしても、才賀勝はさっきまで生きていたはずだ……。
事実、1時間前に私は才賀勝と言葉を交わした。
そして、彼に刃を突きたてた。
その結果として彼を殺すことは出来なかったし、その上オリンピアの懸糸を切られてしまった。
639真夜中のサーカス ◆d4asqdtPw2 :08/01/15 21:06 ID:kjTy.vOk
その後間もなくして、何故か勝は死んだ。
私が才賀勝に決別してすぐに、勝は死んだ。
勝を守るのを放棄した直後に訪れてた勝の死。
それはまるでゲームオーバーを宣告されたような……。
「勝を守る」チャンスは二度と訪れない。私が放棄したその瞬間に彼は失われた。

……余りにもタイミングが良すぎる。

勝と共に行動していたあの空手家もかなり強かったはずだ。
あの空手家、独歩なら勝を守るために戦うはずだ。命をかけて。
それなのに、才賀勝だけが死亡した。
これは偶然なのか?
まさか、私が勝を諦めたから……私が過ちを犯したから……彼は死んだのか?

だとしたら……「願いを叶える権利」は私の心を惑わすための嘘? まやかしだったのか? 
私は……誘惑に負けたのか?
まさか……私は二度と人間にはなれないのではないか?

「そんなはずは……ない」
ただの偶然だ、いくら人形繰りが出来るようになっているといっても、勝は弱い子供だ。
この短い時間であっさり死ぬ事だってあり得る……。
だが、もし本当に……『優勝の褒美』が私を惑わす試練だとしたら……。

『才賀勝』という言葉が私の頭から離れない。
なぜだ……彼の死を私の脳が許していない。

だんだんと早く、大きくなる胸の鼓動を聞きながら、消防車のアクセルを全開にする。
向かう先は、最後に勝と出会った場所。
私が勝に決別したあの場所。
あれから大した時間も経っていない。ならば、その近くで彼は死んでいるはず。
640真夜中のサーカス ◆d4asqdtPw2 :08/01/15 21:07 ID:kjTy.vOk
彼の死体に会ったからって、その死体が私を人間にしてくれるわけじゃない。
だが、確認したかった。

彼が本当に死んだのか。
才賀勝がどんな死に方をしたのか。
私は……これからどうすればいいのか……。


◆     ◆     ◆


「なんだ……これは」
決別の地からそう遠くない場所に、彼はいた。
うつ伏せに倒れる彼の周囲には彼のものと思しき血液、脳髄。
それらが発する不愉快な臭いが鼻を刺激する。
彼の頭は強い衝撃によってグチャグチャに潰されていた。

「あ……うぁ……」
私は……震えているのか?
何に? 私は何に怯えている?
うつ伏せの死体を抱きかかえ、上を向ける。
死体の肩に手を添えた瞬間、ヌチャリと音がした。
何か、と思って自分の手を見ると、勝の肩に付いていた彼の血液で真っ赤に染まっていた。
「……っ!」
死体などで怯える訳はない。
死体など、この90年の人生の中で、山ほど見てきた。
今更こんなもので怯えるはずなどないのだが……。

もう一度、才賀勝の肩を持って抱きかかえる。
顔面があったであろう場所は、何が何だか分からないほどメチャクチャにされていた。
641真夜中のサーカス ◆d4asqdtPw2 :08/01/15 21:08 ID:kjTy.vOk
その小さい体も傷だらけで、両手足は力なくだらりと垂れている。
「なんだ……これは……」

その死体と対峙して初めて、『エラー』を認識した。
『私は人形で、才賀勝を守れば人間になれる』
その言葉は、私の脳の深い、深い部分に巣食っている。
今も、私の頭の中で響き続けている。


これは才賀エレオノールは知らないことだが、彼女は今まで永きに渡り、強い洗脳状態にさらされていた。
それでなくとも、生まれてすぐに複数の人物の記憶を植えつけられた彼女の精神は、非常に不安定な状態にあった。
その不安定な状態から、彼女の人格は幼い頃に一度破壊され、ある人間の言葉を元に形成され直していた。
彼女の脳は、その『人形から人間になるために、才賀勝を守れ』という命令を中枢として存在している。
しかし、その守るべき人間が死亡した。
才賀勝の死亡という決定的な視覚情報は、その暗示に決定的な矛盾を生んだ。
彼女の恐怖の根源は、この『エラー』にある。
才賀勝の存在の消滅に、歪な脳は耐えられない。


「あぁ……ぁ……」
そうだ、私はこの恐怖に震えているのだ。
自らが信じていたものが崩壊していく恐怖。
自らの思考回路が破壊される恐怖。
才賀勝しか私を導いてくれない。
それなのに私は彼を裏切った。
彼はもう……消えてしまった……。

もう、人形は……人間にはなれない……。
私は……このまま……ずっと…………人形……。

「あ、あ……がぁ……」
一気に襲い掛かった絶望に、脳が追いつかない。
642Classical名無しさん:08/01/15 21:09 ID:hhIR/zck
 
643真夜中のサーカス ◆d4asqdtPw2 :08/01/15 21:10 ID:kjTy.vOk
視界がマーブル色に揺らいでいく。
死体が放つ不愉快な臭いも、この会場に吹く風の音も認識できない。
脳がその機能を停止しようとしているのだ。
震えが止まらない。
寒い。寒い。
「さ……む、い」

「かっ……は……」
ついに耐え切れなくなった脳がショートする。
私の目玉はぐるりと回転し、そのまま意識を闇に落とす。
ブラックアウトの直前に見えたのは、私が古い井戸に落ちていく光景。
極限まで不安定になった精神が、ある記憶を呼び起こした。



「ここは……?」
目覚めた私は、暗闇にいた。
見上げると、円形状に穴が開いていて、そこから月明かりが僅かに差し込んでいる。
そうだ、私は井戸に落ちたのだ。
腰の辺りまで水に浸かっているのが分かる。
(何とか脱出しなければ)
そう思って、抱えていた才賀勝の死体を捨てようとしたのだが……。
「才賀……勝じゃ、ない……?」
私の抱えていたソレは才賀勝よりも遥かに小さい、子供。
恐らく、生後間もない乳児だ。

……まだこの子は生きている。
だが、様子がおかしい。
「おい、どうした? なにがあった?!」
その子の呼吸は荒く、汗をびっしょりかいている。
冷たい井戸の水に浸かったせいで、体温が低下しているのだ。
「大丈夫か? おい、大丈夫か?!」
644真夜中のサーカス ◆d4asqdtPw2 :08/01/15 21:10 ID:kjTy.vOk
こんなもの、放って置けばいいのに。
そうだ、私は殺し合いに生き残って人間にならなければ……。
でも、なぜだ?
なぜ……この子を見殺しにすることが出来ない?

すると……。
「これは……」
子供が浸かっている部分の水がバラ色に変わっていく。
やがてそれは井戸の水全体に広がり、井戸の底はぼんやりとした光で包まれた。
「この液体を私は知っている……」
この液体は全てを溶かしてしまう。
このままでは私もこの子供と一緒に溶かされてしまう。
早く、私だけでも脱出しなければ……。

私だけでも……。

「大丈夫……私が抱っこしててあげる」
何を言ってるんだ……私は。
違う……私はこの子を置いて脱出しなくてはならない。
なんでこの子を抱えあげなくてはならないんだ。
ダメだ。こんなことをしては私の体が、私の機械の体が溶けてしまう。
そんな私の意図とは別に、私の体は子供を抱え上げたまま動かない。
そんなことをしているうちに、私の体はジュウ……と音を立てて溶かされていくというのに。

ダメだ、こんなことをしていては……このままでは。
(このままでは……彼女を支えていられない)
違う……! 子供を支えてやる必要なんてない!
私はここを出て、人間に……人間に!

「神様……私は人間になどなれなくていい!」
さっきから私は何を言っているんだ……!
私は人間になるために、ずっと今まで……。
645真夜中のサーカス ◆d4asqdtPw2 :08/01/15 21:11 ID:kjTy.vOk
それをこんなことの為に台無しにするつもりか!

「でも……この子だけは……!」
やめろ……それ以上言うな!
人間になれないんだぞ? 私が……お前がずっと望んでいた人間になれなくなるんだぞ?!
お前はそれでも構わないのか……?

「かわいそうに。ごめんね……。ね……泣かないで」
お前は本当に……その子供の為に全てを諦める気か?
その子供になんの価値がある?
お前は、生み出されてからずっと今まで苦しんできたじゃないか!
ずっと人間になりたいと、望んできたじゃないか……。
それと引き換えにするほど、その子供に価値があるのか!

――風に葉っぱが舞うように

……! これは……歌?
歌っているのか……? 子供の為に。
自分の体が溶け始めているというのに。
お前は……なんでそこまで……。

――天にまします神さまよ

ここが、お前の舞台なのか。
これが、お前が命をかけて演じた役割なのか……。
この終焉で、お前は満足なのか?

――いつかは恵みをくださいますよう

なぜこんな終わり方で胸を張れる?
答えろ! 答えろ……。
646真夜中のサーカス ◆d4asqdtPw2 :08/01/15 21:12 ID:kjTy.vOk
おい、答えろ……返事をしてくれ……。
おい、子供が……泣き止んだぞ……。

「落ち着いた? もう泣かないでね、ほら……」
お前は……それでいいんだな?
それで、よかったんだな?
見ろ、子供が笑っているぞ。

こんな……恐ろしい人形に笑ってくれているぞ……。

「星が見えるわ……」

あぁ、星がよく見える。
とても、いい夜だ。

「なんて、いい気持ち」

……あぁ。とても心地よい。
私も分かるよ。お前は、満足なのだな。

人形よ……お前は、人間になれたのだな。

とても満足そうな顔で、彼女は溶けていった。
同時に私も、消えていった。
『もう一つの記憶』を抱えたまま。



「……ここは……?」
目覚めると、私は殺し合いの会場に戻っていた。
今のは……夢だったのか?
(違う、私ははっきりと覚えている。この記憶を)
647Classical名無しさん:08/01/15 21:12 ID:xjvWZo6Y
648真夜中のサーカス ◆d4asqdtPw2 :08/01/15 21:12 ID:kjTy.vOk
人形が、人間に変わる瞬間の記憶。
彼女の記憶は私の中に眠っている。

何故その記憶が私の中に在るのかは分からない。
でも、確かに彼女は私に教えてくれた。
人間になる方法を……。
自分の脳が正常に作動していたことに気づいた。
脳が『エラー』を認識しなくなったのだ。

さっき先生は私に「自分の役を演じろ」とおっしゃった。
やっとその意味が分かった気がする。
記憶の中の『彼女』は自分の舞台を演じきった。
そして観客はあの子供。
そして彼女は観客を、あの子供を笑わせることができた。
だから人間になれたのだろう。

先生は私に「カトウナルミに会え」とおっしゃった。
それは、彼を観客に選べということ。
彼のために、自分の舞台を演じろということか。
彼を笑わせるために。
彼の笑顔が、私を人間に導いてくれる。

でも……どうやって?

大丈夫。それも、彼女が教えてくれた。
彼女の記憶が教えてくれた。
『誰かを笑わせる方法』を……。
これは、才賀勝を裏切ってしまった私に与えられた最後のチャンス。
ギィ先生と私の頭に眠る『彼女』が与えてくれた……。
649真夜中のサーカス ◆d4asqdtPw2 :08/01/15 21:13 ID:kjTy.vOk
立ち上がった私は、消防車へと歩き出す。
その途中で、手が血まみれになっているのを思い出した。
才賀勝の血だ。
いくら汚れても構わないのだが、この血だけは拭いたい。
才賀勝の血だけはオリンピアには付けたくない。
どうしようかと考えていると、消防車の中に古いタオルがあるのが見えた。
それを手に取り、ごしごしと血を拭う。
爪の先に付着したものはタオルでは取れないから、仕方がないので舐め取った。

運転席に座り、アクセルを踏み込む。
「先生……行きましょう」
隣に座るオリンピアへと話しかけた。
自分の意思を確認するために。
「この殺し合いの会場を……」
車を発進させる。
何か、ゴシャ! と鈍い音が聞こえた気がした。
何か轢いてしまったのだろうか?
だがそんな事はどうでもいい。
私の目的は決まっている。

「この殺し合いの会場を……血で染め上げるために」

消防車が去ったあとには、才賀勝の死体だけが残されていた。
彼の体は、消防車に轢かれて、ひしゃげていた。


古井戸での人形の記憶を知った後、エレオノールは別の記憶も取得していた。
それは血に染められた村の光景。
人間はただの肉の塊として扱われていた。
地獄という言葉ですら生ぬるい。
人形を笑わせるために、その僕たちが人間を嬲り殺している記憶。
クローグ村の惨劇と呼ばれた夜の話。
650真夜中のサーカス ◆d4asqdtPw2 :08/01/15 21:13 ID:kjTy.vOk
そんな光景の中でも『彼女』は嫌がる素振りをみせなかった。
あの井戸の中で人間になった人形は、その殺戮を望んでいた。
なるほど……誰かを笑わせるには、殺戮という演目が最高に適しているらしい。
だからカトウナルミを笑わせるために、この会場を血で染め上げようと彼女は決めた。
最後に残った彼と対峙するために。

そんなことをしても、加藤鳴海は笑うはずはないのに。

記憶を見る順番を間違えたために、彼女は変わってしまった。
エレオノールは完全に人形と化してしまった。
記憶が彼女を壊してしまった。
そして彼女を救えるのもまた、記憶だけ。
彼女の中に眠る人形の記憶。
そして加藤鳴海が持っている、彼女との記憶。

最大の希望である才賀勝の記憶は、もう失われてしまった。


【D-3とE-3の境界 1日目 夜】

【才賀エレオノール@からくりサーカス】
[状態]:精神不安定、消防車で移動中
[装備]:なし
[道具]:青汁DX@武装錬金、ピエロの衣装@からくりサーカス、支給品一式
[思考・状況]
基本:加藤鳴海以外を皆殺し
1:人形以上に強力な武器が欲しい。
2:殺戮を繰り返せば、ナルミは笑ってくれるはずだ……。
[備考]
※参戦時期は1巻。才賀勝と出会う前です。
651 ◆d4asqdtPw2 :08/01/15 21:13 ID:kjTy.vOk
以上です。支援ありがとうございました。
652Classical名無しさん:08/01/15 21:30 ID:xjvWZo6Y
投下乙!
フェイスレスめ、とんでもない因子を残していってくれたなw
フランシーヌ人形もギィ先生も望んじゃいない方向にどんどん突っ走るKOOL2号を誰かとめられるのか?w
それとカズキといい勝といい生前いいヤツだったのに死後の扱いひでぇなぁ・・
653Classical名無しさん:08/01/15 21:40 ID:2FnusMt2
投下乙!
やっべーこの展開は予想出来なかった!だがそれがグッド!!
エレオノールの悲壮さがよく染み出てよかったと思います!
というかギイさん……余計ヤバい方にいかせたじゃないかorz
あと消防車はもう呪いのアイテムだなw
654Classical名無しさん:08/01/15 21:49 ID:oL3JeRdg
投下乙。
このロワの男性マーダーはあんなにフリーダムに戦いを楽しんでるのに、
どうして女性マーダーはこう悲壮かつ救われない方向に狂って行くのか……。
たった1人の真夜中のサーカスがこれからどう暴れるのか注目。
655Classical名無しさん:08/01/15 21:51 ID:Tjx.xP.c
読み専の俺が書いてみた。漫画キャラバトルロワイヤル
大統領のせいで起こるこんな不具合。
参加者が元々いた世界は彼ら彼女らが消えた事でどんな変化が起こるのか。
取りあえずバトルロワイヤルだけ書いてみる。
三村信史が生還した場合。
桐山がいないので、分校爆破確定。別の話になる。
川田章吾が生還した場合。
川田が復活して七原と中川ビックリ。三人でアメリカに行く。
桐山和雄が死んだせいで起こる変化。
犠牲者の数が大幅に減る。
日下と北野の呼びかけが成功する可能性あり。
杉村弘樹が死んだせいで起こる変化。
千草の最期を誰も看取らない。
琴弾が相馬に見つからない。
656Classical名無しさん:08/01/15 21:57 ID:OzdLhnJQ
>>655
まず言っておこう。
×大統領
〇大首領
657Classical名無しさん:08/01/15 23:07 ID:Yf6zTER.
投下乙!
……すげえ。
「べろべろばあ」をこんな鬱と発狂の引き金に使うアイデアに脱帽しました。
えーと、しろがねを救う、勇次郎とDIOを倒す、ナギを守る。
全てやらなきゃいけないってのが鳴海兄ちゃんの辛いところだな。
頑張れ……ハードルは高いうえにやる事は多いぜ!

>>655
川田は死亡直後、桐山達は本編開始前から連れてこられてるんだぜ。
658655:08/01/15 23:42 ID:Tjx.xP.c
>>657
平行世界かなと。
だから桐山、三村、杉村が連れてこられた世界のプログラムには何らの変化は起こるけど
川田が連れてこられた世界のプログラムは原作通りになるけど、そのあと七原達と一緒に政府と戦うなのかと。
まあまだ二人の生還が確定したわけではないけど。
659Classical名無しさん:08/01/16 00:13 ID:/OvyvWp.
投下乙!
エ、エレオノールがヤバいぜ!
鳴海も記憶取り戻し、エレオノールはフランシーヌ人形の記憶を思い出すとは!
からくり好きにはこのクロスオーバーには嬉しすぎる!!

>>658
投下直後にやるもんじゃないぜ。
今後は絶対に気をつけてくれよ。
660655:08/01/16 00:26 ID:KvflplhM
>>659
申し訳ありませんでした。
今後は気をつける様にします。
661 ◆04DcwbhVLk :08/01/16 04:31 ID:prKVyl.o
勇次郎投下します。
662最強と最弱と ◆04DcwbhVLk :08/01/16 04:32 ID:prKVyl.o
 夕日が、あたりを赤く染めている中、一人の男が消防署から出てくる。
 彼が周りを見回すだけで、赤い日光を受けて余計に赤くなったポストは一本足で逃げ出したいと思う程だ。
 地上3階建ての消防署は、彼が体から抜け出たことにホッとした表情を見せている。
 地上最強の生物、それは無生物が相手であったとしても、脅威の対象となりうる。
 けれども、数メートル上から彼を見下ろす街路樹だけはその表情に僅かな陰りがあることを見逃さなかった。
「……死んだか」
 数分前に流れた放送は、範馬刃牙の死を伝えてきた。それが彼に与える影響は少なくないということなのか。
 地上最強の生物は軽く溜息を漏らすように呟く。すでに薄暗くなった空気が一瞬白く変わる。
「……痴れ者が」
 息子と共に、父として過ごした日々を思い出しているのか。
 息子に外道と言われながらも、やはり裕次郎も人の親だったと言うことか。
 彼の周囲は、そのオーラに包まれ1度だけ温度が上がっている。
 けれど、彼の吐息は悲しみに包まれ、逆に温度を下げているようにも思える。
「ックックック……」
 彼が嗤った。
「弱いッ、あまりにも脆弱。何たる腑抜けぶりッッ!!」
 彼は決して悲しんでなどいなかった。誰にでもなく、虚空に向かって鬼は叫ぶ。
「俺に挑むと言っておきながら、どこの馬の骨とも知れぬ輩に敗れるなど恥を知れ!!」
663 ◆04DcwbhVLk :08/01/16 04:33 ID:prKVyl.o
 自らに挑むと誓った息子が死んだ。久方ぶりに見た餌に足る人間。それが死んだ。
 範馬勇次郎にとって、息子の死はそれ以上でも以下でもない。だから別に悲しんだりはしないのだ。
 それに今の勇次郎は落胆もしない。勇次郎は知っている。この場には息子以上に強い者がいることを。
 1800年の歴史と共に、磨き上げた奇跡の技術。
 その精度は中国拳法すらも超え、その肉体は近代兵器すらも凌駕する。
 科学では作りえぬ純度。ただひたすらに強くあれと願い続けて作られた肉体。
 そう、その男の名はラオウ。
 この場には、息子を遥かに上回るあの男がいるのだ。だからもう、刃牙の挑戦を待つ必要はない。
 あの男を喰らえば、それで全てが足りる。
「クックックッ……」
 再び、鬼が嗤う。今度は明らかに楽しそうに嗤う。
 そして、デイパックから打ち上げ花火を取り出す。
 辺りは既に薄暗い、太陽の明かりは僅かに地上を赤く染めるだけ。
 今花火を打ち上げれば、周囲に目立つこと間違いなし。
 そう考え、勇次郎が花火に手をかけた瞬間……周囲に、異質な気配を感じた。

664 ◆04DcwbhVLk :08/01/16 04:35 ID:prKVyl.o
 気配は勇次郎の背後から近づいてくる。
 足音ひとつさせず、だが確かに一歩ずつ勇次郎に近づいてくる。
 そして、その背中まで1メートルという所で止まった。
「親父は生き残ったんだな……」
 勇次郎の背後にいたのは少年。彼の息子、範馬刃牙。刃牙は勇次郎の返事を待たず、言葉を紡ぎ続ける。
「俺はアンタに憧れていた。アンタより少しだけ強くなりたかった」
 幽鬼となり、死しても勇次郎の側に現れた刃牙。
 彼は執念でこの場に現れたのか、それとも、別の者に誘われたのか。はたまた、これは単なる勇次郎の幻影なのか。
 勇次郎は応えない。振り返り、ただ刃牙を見つめるのみ。
「受け取ってほしい親父……いや、父さん。アナタに捧げる俺の拳だ」
 言うが早いか、刃牙は両掌を広げ、両手を天高く掲げる。
 父、範馬勇次郎と同じ構え。対峙する勇次郎はズボンのポケットに手を突っ込んだまま微動だにしない。
 刃牙が動く。
 ノーモーションからの右アッパー。半歩後ろに下がり、かわす勇次郎。
 続けざまに左フック。右へ一歩ずれてかわす勇次郎。
「……勝利は、蚊トンボを獅子へと変える」
 刃牙の攻撃は、さらにスピードを上げて勇次郎に襲い掛かる。
 けれど、勇次郎はその場からほとんど動かず、すべての攻撃をかわし続ける。
「ならば敗北は、死は、獅子を蚊トンボへと変えるものなのか……」
665 ◆04DcwbhVLk :08/01/16 04:36 ID:prKVyl.o
 刹那。勇次郎の表情が霞んだように見えた。刃牙は嵐のように続くその攻撃を、一旦止めた。
「アンタらしくないね。少しは反撃するかと思ったら、独り言かい」
 勇次郎は、霞んだ表情のまま溜息をつくように呟く。
「……当たるかと思えば、脆弱な攻撃ばかり。
色を知り、欲を知り、果ては死まで知りて、辿り着いた地がそこか。刃牙よ」
 明らかな失望。勇次郎の表情からは、紛れもないそれが感じられる。
 だが、刃牙は意にも介さずといった表情で、足を肩幅より大きく広げる。右拳を脇に構える。音速拳の構え。
 空条承太郎に対し繰り出した刃牙の最大技。
 体中8ヶ所の間接を同時に動かすことにより、拳速を音の域まで高める刃牙の必殺技。
 その必殺技を刃牙は連続で繰り出す。
 音速の、否、音速を超えた拳の嵐が勇次郎に襲い掛かる。
 だが、勇次郎はその場から一歩も動かず、ポケットから出した片手で音速拳を払い除けるのみ。
「……弱くなったな…………刃牙よ」
「まだ、全てを見せてない」
 刃牙が構えを変える。そして、拳に力をためる。刃牙が使える最強の拳打は二つ。
 間接を最大限に加速させて打つ音速拳と、間接を一瞬で固定させて放つ剛体術。
 そう、音速拳が通じないのなら剛体術。これなら、勇次郎の体をも貫く。
「ッハ!!」
 65kg。刃牙の体重すべてが勇次郎に一瞬にして圧し掛かる。けれど、勇次郎は動かない。
「強さとは負けぬ事。自身を最強だと信じる究極のエゴイズム。負けて弱者に成り下がった貴様には縁の無いものよ。
消え失せい!!!」
 勇次郎は剛体術もろとも、刃牙を蹴り落とした。
 それきり、刃牙は動かなくなり。ついには消えた。

666最強と最弱と ◆04DcwbhVLk :08/01/16 04:38 ID:prKVyl.o
「っへ。弱くなりやがって……」
 範馬勇次郎は気分屋である。
 先ほど、打ち上げ花火を手にした時、不意に息子に会ってみたくなった。
 その彼がやったことはリアルシャドー。
 勇次郎が知る刃牙を、勇次郎なりにリアルに再現し、独闘。
 けれど、勇次郎の思い描いた刃牙は全盛期の彼とは異なり、全く弱々しくなった刃牙だ。
 それが真実とは限らない。否、刃牙は一度敗れただけで弱くなる存在ではない。
 だから、これは勇次郎の想像の中の出来事。単なる誤り。けれど、勇次郎の中では真実。
 勇次郎を支えるのは、一点の曇りも無い最強への自負。
 彼自身、自覚しているであろう。その自負がなくなったとき彼は最強ではなくなる。
 彼を構成する全ての細胞は最強から最弱へと変わり果てる。
 その事を、勇次郎は分かっている。
667最強と最弱と ◆04DcwbhVLk :08/01/16 04:39 ID:prKVyl.o
 だからこそ、思い描く刃牙の姿は最弱へと変わり果てた息子の姿だったのだ。
「先に冥土に行ってな。100年経ったら、俺も付き合ってやる」
 勇次郎は自分が死ぬ姿など微塵も想像していないだろう。
 それどころか、負ける姿さえ考えたことも無いだろう。
「クックック……興を殺がれちまったな……」
 鬼は嗤う。息子の死でさえも。
 詰まらぬ弱者に興味は無い。強いものを喰う。
 それこそが、鬼の望み。
「暫く歩くか……」
 だが、何を思ったか彼は花火をデイパックにしまい込み、そのままS7駅へと歩いていった。

 沈み行く太陽が、彼の背中を見たとき。
 なぜか、少しだけ啼いているように見えたという。
 リアルシャドーは勇次郎なりの刃牙への弔いだったのかも知れない。
668最強と最弱と ◆04DcwbhVLk :08/01/16 04:40 ID:prKVyl.o
【D-4 消防署内、仮眠室/一日目 夕方】
【範馬勇次郎@グラップラー刃牙】
[状態]闘争に餓えている。左腕切断(アクア・ウィタエの効果により自己治癒中)。息子が死んで少し切ない気分。
[装備]ライター
[道具]支給品一式、打ち上げ花火2発
[思考] 基本:闘争を楽しみつつ優勝し主催者を殺す
1:戦うに値する参加者を捜す
2:首輪を外したい
3:S7駅へ向かいラオウ、DIO、ケンシロウを探す。
4:未だ見ぬ参加者との闘争に、強い欲求
[備考]
※自分の体力とスピードに若干の制限が加えられたことを感じ取りました。
※ラオウ・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました。
※生命の水(アクア・ウィタエ)を摂取しました。身体にどれ程の影響を与えるかは後の書き手さんに任せます。
669 ◆04DcwbhVLk :08/01/16 04:42 ID:prKVyl.o
投下終了
670Classical名無しさん:08/01/16 09:15 ID:mWuHgtn.
乙です。
勇次郎、やっぱり何だかんだ言っても刃牙死亡はショックか……
671Classical名無しさん:08/01/16 12:43 ID:a9bTusVM
投下乙です。
勇次郎なりの哀しみ方だよなぁ、これは……。普通に泣いたりするわけにはいかないもの……。
なんか哀愁漂う背中が見えるようなお話でした。GJ。

しかし向かうのが東のS7駅か。いろんな人と遭遇しうる面白い方向だなぁ
672最強と最弱と ◆04DcwbhVLk :08/01/16 13:54 ID:Z9FdNB5.
>>668修正
【D-4 消防署前/一日目 夜】
673Classical名無しさん:08/01/16 13:55 ID:3QVrV02k
投下乙!
勇次郎の少し人間臭いところが垣間見えて、ファンとしては超GJ!
他の怪物集団とはまた違った最強マーダーですね、こいつは。
息子を失ってそれでなお、その強さは全く揺らがない。彼の魅力がしっかり詰まったSSでした。

>>662で、勇次郎が裕次郎になってますのでそこだけ訂正お願いします。
674Classical名無しさん:08/01/16 17:55 ID:6J4xikEY
よく石原が乱入するSSですね
しかし鬼にも情ってものがあったんだなぁ…しみじみ
S7って言うと……美形逃げてーっ
675Classical名無しさん:08/01/16 19:15 ID:2gD6YIEA
>>674
落ち着いて予約スレを見てみるんだ。

>「受け取ってほしい親父……いや、父さん。アナタに捧げる俺の拳だ」
バキでもなく、範馬刃牙でもなく、「グラップラー刃牙」としての台詞だよなぁ……。
もうね、なんかジンときた。勇次郎がものすごくカッコよくて素晴らしかったです。
676Classical名無しさん:08/01/16 19:25 ID:C1RNTvEo
>>659
氏ね
677 ◆04DcwbhVLk :08/01/16 21:59 ID:Z7yoVqjE
ごめんなさい。自分で書いたSSの内容が気に入らないので、大幅に書き換えるってやってもいいでしょうか?
>>668のSSなのですが……

予約入っているので、難しいかもしれませんが……
678Classical名無しさん:08/01/16 22:02 ID:6J4xikEY
>>677
さあ審議の時間だ
とりあえず書き換えた後の内容を書いて、後続の書き手が構わないと言うようならなんとかなる?
wikiにもまだ載ってないし
あんまり詳しくないんで誰か経験者意見を求む
679最強と最弱と ◆04DcwbhVLk :08/01/16 22:08 ID:Z7yoVqjE
大雑把に言うと、
>>666
>「っへ。弱くなりやがって……」

「強くなったな……」
に変わります。行動方針や打ち上げ花火などは変わりません。
680Classical名無しさん:08/01/16 22:10 ID:M/JLivvE
>>677
ますは乙です。
リアルシャドーで刃牙との戦いをシミュレートするのは意外でした。
勇次郎らしい弔い方だと思います。
キャラに深みが出て、実によかったと思っています。
GJ!

さて、直したいとのことですが、一時投下スレに投下してみて、現在予約している◆ga/ayzh9y.氏に確認を取ってみてはいかがでしょうか?
681 ◆04DcwbhVLk :08/01/16 22:14 ID:Z7yoVqjE
>>680
では、今日・明日中に書いてみることにします。
それが間に合わなかったら、書き換えできなかったということで。
書き換えが出来たとしても、◆ga/ayzh9y氏が気に入らなかったら、
現在のバージョンの方でお願いします。
期限は1/17 23:59までということで。
682 ◆d4asqdtPw2 :08/01/16 22:17 ID:ng67hW9I
失礼、状態表が途中で切れてました。
>>650の下は一時投下のものと同じです。収録され次第wikiで訂正します。
683 ◆ga/ayzh9y. :08/01/16 22:20 ID:OE0EDhRQ
>>681
その旨、了解いたしました。
先にお書きになりましたのはそちらですし、全面的に此方が合わせますから、此方の事は気にしないで書いてください。

 「…これは、『聞いた話』だから、どこまで正しいかは分からない…が…。
 『スタンド能力』を引き出すモノがあるそうだ…。
 私の父が、エジプトの占い師の老婆から聞いたと言っていた。
 それを使うと、先天的にスタンド能力を持っていない人間も、スタンド能力に目覚める…。
 しかし、『素質がない』 場合は、まれに… 『死ぬことがある』 らしい…。
 私には関係ない事だと…そんなに信憑性のある話でもないと…そう思ったから、ほとんど忘れていたし………たいして信じても居なかったよ…。
 だが…まさか…いや…。
 『コレ』がそうなのか…?
 今ここで、これだったとでもいうのか…?
 そんな馬鹿なことが…いや…馬鹿げたことが…」

 ◆◆◆

 おん…おん…おん…おん…。
 音が。
 耳の奥から聞こえてくる。
 脈打つ様な感覚。
 その音が。
 徐々に…徐々に……大きくなり………そして…。

 ――― すえたような匂いがする。
 アンモニア臭…古く、じめじめとして…陰鬱になる様な匂いだ。
 地下室…? いや、全体に薄暗いが外から光が入ってきている。
 違うな…これは、人口の光だ…。
 鉄格子が見える。ここは牢獄なのか。
 しかし…この部屋の中には様々なモノが溢れている。
 積み上げられた本…時計…ギター…トレーニング用のダンベルや鉄アレイ…玩具の類…。
 『出ろ! わしと帰るぞ』
 『消えな』
 誰だ…? 長身の、いかつい初老の白人…と…ローブをまとった黒人…。
 『魔術師の赤 (マジシャンズレッド)』
 赤銅色をした、鳥の怪人。
 『承太郎! 悪霊と思っていたのはおまえの生命のエネルギーが作り出すパワーある像なのじゃ!』
 『側に現れ立つというところからその像を名付けて…』
 『幽波紋 (スタンド)!』
 黒い服を着た長身の男が手に人形を持ち側に立つ。
 床には、口から血を吐き出した女が倒れている。
 『『悪』とは てめー自身のためだけに 弱者を利用しふみつけるやつのことだ!!』
 『だから おれが裁く!』
 細い、紐のような触手が腕を伝う。
 『動くなよ花京院。しくじればテメーの脳はおだぶつだ』
 額に埋め込まれている奇怪な…植物の芽の様なモノを引き抜く。
 老人が手刀でそれを払うと、一瞬光がほとばしったように瞬き、塵と化して消えた。
 塵…宙に舞う粒子…砂粒。
 砂。砂。砂。乾いた空気。一面の砂漠…。
 『バカな。自分のスタンドで自分を!』
 その男の頭からしたたる血が、見る間に砂に吸い込まれている。
 男は言う。
 『悪には悪の救世主が必要なんだよ』
 赤い血…赤い陽…赤い…アカイ…アカイ…唇。
 『花京院のやつも…すでに始末してやったぞ………』
 ぐみのように赤く、ふっくらとして蠱惑的とまで言えるその唇。
 『世界ッ(ザ・ワールド)! 時よ止まれ!』
 その唇から放たれた言葉と共に、全てが止まって見える。
 風も、木々の揺らぎも、街頭の瞬きも、あるいは自らの吐息の先さえもが、静寂の中に封じ込められている。
 『見えて………………いるのか?』
 『くたばりやがれッ! DIO! OOOOッ』
 『ポルナレフ!』
 『そうだ。ジョセフ・ジョースターの血を吸うための 「逃走経路」だ!』
 赤い…血に塗れた…男の姿。
 『ロードローラーだッ!』
 『11秒経過だぜ』
 ぽとり、ぽとりと、足下にしたたり落ちる。
 『ば…ばかなッ! ………こ…このDIOが………』
 赤い鮮血をほとばしらせ、ナタで割ったように真っ二つに割れる。
 赤い…血が。
 手のひらでなでると、すっ、と消え去った。
 『こんなキズくらい簡単に…オレのスタンドが』
 小綺麗に整った室内。
 一人の男が座り込み、もう一人の仰向けに倒れている男…制服を着てる初老の…警官をのぞき込んでいる。
 『仗助……』
 『人間は何かを破壊して生きているといってもいい生物だ』
 『その中でおまえの能力はこの世のどんなことよりもやさしい』
 『だが…生命の終わったものはもう戻らない』
 男はゆっくりと顔を上げて、こっちを見る。
 『コッチヲ見ロォ〜』
 それは、小さな亀の様にも見えた。 
 丸いシルエットの、キャタピラ付きの玩具の戦車に、悪趣味な髑髏の顔を付けている。
 『やれやれだ。初めて出会ったぜ。こんなガンジョーな「スタンド」は…』
 熱。音。光。爆風と、痛み。
 『康一くん……君は。精神的にはその男に勝っていたぞ………』
 猫のような顔をした「スタンド」が振り返る。
 受け止め…押し返し…対峙する…視線が下がる…膝をついた…? 後頭部に…振り抜く。
 拳が男の 「スタンド」 を打ち抜くと、ぐらりと体勢を崩した。
 あっけにとられた顔。何が起きたのか信じられぬという顔。
 『オラオラオラオラオラオラオラオラオラ』
 拳が雪崩のように降り注ぐ。
 吹き飛んだ痩せた男を目の端に納め…ゆらり…ゆらり…ふるえ…ゆらり…煙が、揺れる…。
 『み……見てくださいッ! あの人ケガをしている!』
 静かな朝の風景に、異質なモノが差し込まれていた。
 小さな少年が叫ぶ。
 『今! ここにある 「正義の心」 に比べればちっぽけな力なんだッ!』
 『そしてあの男は 「川尻浩作」 だ……。どうやら………話が見えて来たようだ……』
 『いいや、限界だ押すね! 今だ』
 『この、クソカスどもがァ ー――― ッ!!』
 男は宙に舞い、倒れ…下敷きになって…どくどくと…川のように…血が流れ…ゆれて…ゆらり…血が…。
 鎖骨の間から吹き出す。
 『スタープラチナ!』
 糸を編み上げて作った手の様なモノが、直撃を防いでいる。
 冷たい、機械的な部屋の中。
 煙が…煙草の煙が揺れている。
 少女は、止まった時の中で仰向けに倒れかけたまま。
 指で弾丸を弾く。
 漂う気流の渦に、それがふわふわと舞っている。
 ふわふわと…ゆらゆらと…揺れて…震え…どろりとした…意識が…溶かされ…。
 弾丸…宙を舞う「スタンド」…。銃を撃つ男…少女…。
 振り返る。
 壁を這うモノ…。
 ナメクジのように貼り付いているそれ…。
 少女を突き飛ばし…弾丸から守って…はじき飛ばし…背後…。
 『「一手」 遅カッタ…ナ…。空条承太郎………待ッテイタゾコノ時ヲ』
 衝撃が脳を揺らす。
688Classical名無しさん:08/01/16 23:00 ID:ng67hW9I
                           
 ゆら…ゆら…揺れて…
        頭から何かが…
    …漏れて…       取り出されていく…。
 ゆら
             ゆら
                          ゆら          
    ゆら…。
 地面が。
     回り。
 おん…  
            おん…
       おん…         おん…。

 耳の。
 奥から…。
 音が…聞こえる…。
 血の流れる音だ。
 自分の身体の中。
 血管の中を、血が流れる音だ。
 どくり。どくり。
 おん。おん。おん。おん。
 血が、流れ。
 それが。
 次第に。
 ゆっくりと…。
 
                             暗転。

 ◆◆◆

 真っ黒な、漆黒の液体が、カップになみなみと注がれている。
 この部屋の中よりもなお暗い、夜の闇の中から一掬い。
 それを真っ白なカップに注ぎ込み、たっぷりの角砂糖を溶かしたかのようなコーヒー。
 カフェインが疲れた身体に喝を入れ、糖分は脳にエネルギーを与える。
 褐色の腕をカップに伸ばし、熱々の液体を一気に飲み干す。
 「ふぅ〜…」
 息を吐いた。
 「飲まへんか?」
 入り口の側、壁際に立っている赤毛の少女にも促した。
 さほど興味なさげに視線をよこし、
 「いらないアル」
 とつぶやく。
 「その代わり、酢昆布があったらよこすネ」
 そう言って、杖代わりにしている番傘に肘を乗せたまま、再び、開いたドアから廊下の方へと視線をやる。
 そのドアから、小さな少年が入ってきた。
 「とりあえず、落ち着いてるよ」
 そう言って、江戸川コナンは、服部平次の正面に座る。
 柔らかいソファは、コナンの小さな身体を包み込み、ともすれば心地よい忘却の彼方へと誘いかねない。
 だが、今はそのときではない。
 コナンはその小さな手で、もう一つのカップを手にして、コーヒーを飲んだ。
 「お子ちゃまにコーヒーは毒やで」
 「ほっとけ」
 軽口を言う平次に、同じくコナンは軽快に返す。
 薬品によって一時的に身体は10歳児並になっているが、コナンの意識と頭脳は東の高校生探偵、工藤新一のままだ。
 服部平次は、表向き秘密にされているその事を知っているからこその軽口であり、又お互いがお互いを、心の底では信頼し、尊敬し合っているからこそのやりとりでもある。
 その二人が向き合って座っているソファの間。
 低いガラステーブルの上には、コーヒーカップ以外にもいくつかのものが置かれている。
691Classical名無しさん:08/01/16 23:01 ID:ng67hW9I
                         
 ノートパソコンが一つ。
 造花が一つ。
 携帯電話。
 ショットガン。
 まだ閉じたままの紙…「綾崎ハヤテ御用達ママチャリ」 と書かれている。
 そして、銀色にぬらりと光る、一枚のDISC。
 二人の視線は、自然とそこに注がれる。
 テーブルに並べられているのは、今ここに居ないアミバの所持品だ。
 先ほど…。

 吉良、神楽の二人と、コナン、平次、劉鳳、アミバの四人が合流して、簡単な情報交換をした際、アミバの持っていたDISCについての言及があった。
 これを頭に差し込む事で、『スタンド』 という特殊な能力が手に入る ―――。
 荒唐無稽な話だが、既にしてこの場は荒唐無稽に過ぎる。
 アミバは、自らそれを試みようとし ―――。
 一枚のDISCを頭に差し込んで ―――。
 昏倒した。
 頭にDISCを差し込んだとき、最初は身動きもせず、目を見開いていた。
 それから、次第に息を荒げ、うめき声を上げ、それが悲鳴に変わった。
 劉鳳が素早く駆け寄り、吉良が驚愕した顔で覗き込んでいる。
 駆け寄った劉鳳の腕の中に、くずおれるように倒れ込んだアミバは、右手を指さすように掲げて … そのまま、意識を失った。
 
 「脈は正常だったぜ。疲れが溜まっていたから…だろうかな。
 何かあったら吉良さんが呼んでくれるだろうし…まぁ、大丈夫だろう」
 その幼い外見には不似合いな、大人びた声音でコナンが言う。
 
 とにかく、倒れたアミバを野ざらしには出来ない。
 手近な民家を探して、劉鳳と服部の二人で担いで、寝室に運び込む。
 念のため、平次のバイクは少し離れた位置に隠しておいた。
 アミバを寝かせ、同じく意識はハッキリしているものの、左手首を失うという重傷を負っている吉良が、休息を兼ねてアミバの様子を見る役を買って出た。
 現在は、残りの四人…コナン、平次、そして神楽と劉鳳の四人が居間に陣を張り、二人は別室で休んでいる状態だ。
 いずれにせよ、彼らに休息が必要なのは誰の目にも明らかだった。
 吉良の怪我は、頸動脈を縛る応急処置でなんとか出血は抑えられているようだったが、下手をすれば出血多量にもなりかねないほどだし、気丈な様子の神楽も、仲間の死に直面したばかりで精神的な疲労が強い。
 コナンは比較的軽傷だが、全身の打ち身がずきずきと熱をはらみ、今でも痛んでいる。
 左肩の脱臼は、民家に落ち着いてすぐ、劉鳳によって手荒く治療された。
 HOLY という特殊部隊の精鋭だった劉鳳にしてみれば、この程度の応急措置はお手の物、とは言うが、名探偵とはいえ民間人。同年代の一般的高校生としては群を抜いた運動神経を持つ工藤新一とは言え、本格的な格闘技や軍事訓練の経験はない。
 ましてや子供の身体になっている今のコナンでは、かなりの荒療治だ。
 そうやってはめ込まれた肩に、家捜しして見つけた湿布を山のように貼り、包帯で固定している。同じく、全身の打撲にも湿布を貼りまくった。
 自由に動くというほどではないが、なんとかさまにはなっている。
 劉鳳が治療に使っていた核鉄は、吉良に渡されている。
 核鉄の治癒効果がどれほどまでのモノかは知らないが、劉鳳の右手は既に動くようにはなっているようだし (とは言え、彼特有の強がりの可能性もあるが)、コナンの怪我は一番軽い。
 失った手首が元に戻る …とは、流石に考えにくいが、とりあえず失血死は免れるだろう。
 
 応急手当を一通り済ませてから、支給品の食料を皆で摂ることにした。
 湯を沸かすことには些かの心配があったが、位置的にも目立たぬ民家を選んだし、何より気力体力の充実をするのには、冷たいものばかりでは拙い。
 結局、ガスコンロと薬罐でお湯を沸かし、コーヒーを炒れた。
 ついでにインスタントのカップスープも作り、これは神楽も飲んだ。
 
694Classical名無しさん:08/01/16 23:03 ID:M/JLivvE
            
 
 食事を摂りながら、服部とコナンは筆談をしている。
 お互いが推理してきた事などをすりあわせ、纏める必要があった。
 一旦それらを検証して、共通の仮説を組み立てる。他の仲間に対しての説明は、その後でも良い。
 食事中で口にものを入れている状況ならば、会話が少なくなっても取り立てて不自然ではない。
 今の内に済ませておきたいことの一つだった。
 中心になった話題は二つ。
 一つは、この世界が何なのか、という事。
 そしてもう一つは、あの光成老人のメッセージについてだ。
 前者、この世界の可能性については、早々と合意が得られた。
 つまり、「ここには、異世界といえるような異なる時代背景、世界の人間や道具が集められている」というその一点だ。
 『アミバ、劉鳳、→携帯電話の存在を知らない (?)』
 『神楽、新八 → 異星人が地球上に存在し、生活している世界』
 『ルイズ、タバサ → 魔法』
 名前と、重要と思えるキーワードを矢印で繋げる。
 「…まったく、参ったよな。まさに荒唐無稽な漫画の世界。ナンデモアリ、だ」
 それぞれがお互いに集めてきた状況証拠は、照らし合わせれば確実にその結論に至らざるを得ないものだ。
 そして、服部はノート新しいページの真ん中に、3つの単語を書き並べる。
 『スタンド(DISC)』『アルター』『核鉄』
 そして、お互いがそれぞれに、
 『スタンド(DISC) → 吉良』
 『アルター → 劉鳳、ジグマール、カズマ(?)、シェリス(?)』
 『核鉄 → キャプテン・ブラボー』
 と、名前を書き入れる。
 括弧書きで (?) と入っているのは、直接確認をしていない、伝聞による情報だ。
 「やっぱり気になる具は、この3つだよね」
 これらのどれか…あるいは何れかのオーバーテクノロジー、超常能力は、この事件の中心に居座っている。
 そんな気がしてならない。
 だとすれば、それらの謎を解くことが、この事件の謎を解くことに最も結びついているのではないか?
696Classical名無しさん:08/01/16 23:04 ID:ng67hW9I
                             
 その可能性が考えられる。
 一旦、「このセカイの謎」については、そこで切り上げた。
 それから、服部は別のページを開き、
 『光成の言葉』 と書いて、丸で囲って強調する。
 「冷めた……うん、まぁ、二つ、やろな」
 『地下闘技場、前半の演説部分での繰り返し』
 タッパに詰まった梅干し入りの冷めたおじやをかっ込む服部に、ノートを受け取ったコナンが、バナナをほおばりつつスラスラと返す。
 ちなみにそのセットに入っていた飲み物は、炭酸の抜けたコーラだった。
 栄養吸収効率は良さそうだが、味としては趣味が悪い。 
 「その、アレな」
 『地下闘技場 → おそらくは、特定人物 (集団?)への語りかけを示す固有キーワード』
 「誰かが…知ってるんだろうなぁー、これ」
 『最初に集められた場所で、あの老人にくってかかった赤毛の大男 →ハンマユウジロウ』
 「会ったことあるぜ、一度」
 「ホンマか」
 コナンは、そのときのことを思い出し、一人身震いをする。
 まるで猛獣の檻に閉じこめられたかのような…背後から不意にツララを刺し込まれたかのような…純粋なる恐怖。
 捕食者を目の前にした、小さな小動物…。
 それが、あのときの自分だった。
 『あいつは間違いなくゲームに乗っている。そして、間違いなく桁違いに強い。
 最初のやりとりからすると、老人とは旧知だ。もしかしたら地下闘技場というヤツの関係者かもしれない』
 そして、その下に矢印で、
 (ハンマユウジロウ − ハンマバキ → 血縁? )
 横に広げていた名簿を示しながら、
 (名簿 → 知り合いグループ順)
 「多分、間違いない」
 「ま、せやろな」
 自分たちの名前を指で囲み、劉鳳とシェリス、アミバとケンシロウ、神楽と銀時、新八をそれぞれ指でなぞる。
698Classical名無しさん:08/01/16 23:06 ID:M/JLivvE
       
 今まで得た情報、交流関係の相関図と名簿を重ねれば、親しい者同士、知り合い同士でまとめられている名簿であることは明白であった。
 コナンは、名簿を指でなぞりながら、ピタリと吉良吉影のところで止める。
 上、下、にそれぞれ指を移し、
 「どっちかなー。シャケと梅干し」
 「サンドイッチでもええやろ」
 コナンはノートでは無く、敢えてメモ用紙に、
 (誰も知り合いは居ない、とは言っていた)
 と書き、服部に示してからすぐに破り捨てた。
 範馬勇次郎が光成老人の旧知であり、知り合い同士がまとめられている名簿の並びであるとする。
 ならば考えられるのは、
1.吉良はその真上の範馬勇次郎と知り合いで、光成老人とも知り合いである。
2.吉良はその下にいる空条承太郎と知り合いである。
3.本人が言うようにただ一人孤立していて、知り合いが一人もいない。
 という可能性の、3つがある。
 そして同時に、先ほど確認した仮説、「異世界の人間が集められている」 事と重ね合わせて考える。
 範馬勇次郎と光成老人の知り合いは、光成老人が 「地下闘技場」 というものを主催している世界の人間であり、吉良がそこに属しているならば、吉良もその関係者かもしれない。
 そしてその場合付け加えれば、
 『範馬勇次郎 → スタンド使い?』
 という可能性も考えられる。
 そこに、コナンはさらに矢印して 『→その可能性は低い?』 と書き込む。
 それまでに集めた情報をパターン化すると、集まっている人間(世界)には、ある程度の共通のキーワードがある。
 つまり、それぞれの世界に、最低でも一つ、あるいはあまり重複しない特定のキーワードがある、という事だ。
 コナン、服部達の属するグループは、『探偵』である。
 死んだ毛利小五郎もそうだが、自分たちは 『探偵』というキーワードで括られうる存在だ。
 劉鳳とそのグループは、『アルター』で、キャプテン・ブラボーとそのグループは 『核鉄、錬金術』。
 アミバとそのグループは、『北斗神拳』及び『文明世界の崩壊』。
 タバサとルイズ、神楽と銀時、新八らにも同様のことが言える。
 もし、光成老人と範馬勇次郎たちのグループを繋ぐ共通キーワードが 『地下闘技場』 だとするならば、そこに 『スタンド』 が入り込むのは、どうにもしっくりこない。
 それよりは、その下にいる空条承太郎、ジョセフ・ジョースターという名前の人物等と、『スタンド』 という共通キーワードで結びついている方が、すんなりいく。
 『知り合いがいない ≠ 同じ世界の人間がいない』
 吉良について、コナンはそう付け加える。
 『スタンド』 という超常能力をキーワードとする世界から来たのが吉良一人だとすれば、DISCの存在が多すぎる。
 これは、あくまで証拠ではなく類推できる可能性としてでしかないが、吉良一人に対してスタンドDISCが複数、というのであれば、バランスが悪い。
 勿論、これには明確な根拠はない。
 ただ、このゲームを主催した人間が存在すると仮定して、その人物の考え方のパターン…言い換えれば犯罪者心理として…そこではバランスをとろうとするのではないか、と。
 そう思えるのだ。
 「『登場人物が作者を指弾することは出来ない』…か」
 「『世の中に不思議なことは無いのだよ』 やな」
 コナンが、素早くペンを走らせる。
 『この事件は、大がかりで全体像が大きすぎる上に、網が幾重にも張られているが、仕掛けは穴だらけで目が粗すぎる。
 粗雑だし稚拙だ。
 まるで手当たり次第に別の海や川で投網を投げて、手に入った獲物を一つの水槽にそのままぶち込んだみたいだ。
 それは、俺たち登場人物が、とうてい作者に近づけないという自信故なのか、あるいは、作者自身が既にこの事件を制御仕切れていないか』
 「偶然の上に張られた蜘蛛の巣か ――― 蜘蛛の巣の上に載せられた偶然か ―――」
 『スタンド』『核鉄』『アルター』『魔法』『北斗神拳』 ―――。
 多種多様でまとまりのない様々な要素を集めてぶち込んでいる割に ――― それぞれの扱いが実にぞんざいだ。
 首輪で個々の人間を管理してはいるが、それらの中にその首輪解除の可能性はないのか?
 それら多様な要素を、あまりに無計画に放り込んでいるのではないか?
 何れにせよ、
 『作者が作者のままではなく、この舞台に降りてきて貰う』
 のが、
701Classical名無しさん:08/01/16 23:08 ID:ng67hW9I
                  
 服部が応える。
 「ま、そいつは一旦置いとこうや。次のを食おう」
 ノートを引き寄せて、服部がさらにペンを走らせる。
 『光成の演説 → 呼びかけ
 獲物が狩人 逆も又真なり チャンスは平等』
 「…このあたりやろな」
 持って回った言い回しだが、ニュアンスの近い言葉を繰り返している。
 『主催者に対しての逆転の可能性の示唆?』
 二人はこれらの言葉に、同じ印象を持っていた。
 『挑発、じゃないよな。
 それならもっとわかりやすく言う。
 刃向かえるモンなら刃向かってみろ、返り討ちにしてやる、とかな。
 これでは、慎重に聞かなければ、その真意には気づけない』
 『わし個人の趣向』
 続けて書い抜き出した単語に、強調の○印を重ねる。
 『真意をボカす為の強調』
 『誰に対して? → 別の主催者の可能性? 参加者の一部への煙幕?』
 『光成 → 地下闘技場 → 知り合いへの反抗の呼びかけ?』
 『光成自身は本当の主催者ではない? →要 光成と知り合いの参加者との接触。情報不足』
 『本当の主催者 → スタンド、核鉄、アルター等の所持者?』
 二人の筆談は、そのほとんどが余計な部分を省いた、必要最低限の疑問と仮説の繰り返しで行われている。
 これが、旧知でない、あるいは細かい説明が必要な相手であれば、もっと丁寧なものになるだろうが、この二人の間では必要がない。
 お互いがお互いの思考の裏を表も知り尽くしているかのような、そんな関係だからこそ出来るコミニュケーションだ。
 実際には出会って交流を持ち始めてから半年程度でしかないが、その短期間で、既にそこまでお互いのことを知り抜いている。
 『仮説 光成自身も登場人物の一人である?』
 服部が最後に纏めた一言。
 そこに、矢印をしてコナン。
 『こちらから協力を呼びかける手段は?』
 「無くはない…よね?」
 指で、首輪を指し示す。
 「せやな…そら、たいしたご馳走や」
 光成が放送を使って参加者に反逆を呼びかけたのなら、首輪の盗聴を逆手にとって、光成に協力の意志を伝える ―――。
 今それをするのは拙速だろうが、無くはない考え方だ。
 「…ったく。ボウズの食い意地にはかなわんわ」
 嘆息したように顔を上げ、両手を後ろについた服部に、コナンはニッコリと笑いかけた。

 それから。
 アミバの持っているという、もう一枚のDISCを確認することにした。
 それが今、テーブルの上に並べられているものだ。
 デイバッグに無理矢理詰め込まれていた番傘は、神楽が受け取った。
 元々は彼女の物だったのだという。
 懐中電灯の小さな明かりで、それらを照らす。
 持ち運びに不便そうな 「綾崎ハヤテ御用達ママチャリ」は、紙のままにしておいた。
 ノートパソコンは一旦取り出して確認してみたが、中に重要なデータが入っているという事もなさそうだ。
 携帯電話も、今は保留。
 ショットガンには弾がない。
 問題は…一枚のDISC。
 見た目は、ただのCDのDISCの様だ。
 つやつやと銀色に輝いた円盤状で、真ん中に穴が開いている。
 しかし、触ればぐにゃりとした弾力があり、何か生き物のように湿った感じもする。
 はっきり言って、薄気味が悪いシロモノだ。
 「服部」
 「何や?」
 「これ、頭に入れてみろよ」
 「アホか! いややっちゅーの! 工藤、お前がやれや!」
 「オレだっていやだ!」
 「自分がいやなものを人にやらせるなッ!」
 「冗談だ」
 「どおーゆー性格しとんのや!」
 神楽がこっちを振り向いた。
 「…意外と呼吸が良いネ…」
 小さく呟く。
 とは言え、アミバの例がある。
 「…真面目な話、用心しなきゃなんねーよな…」
 可能性を挙げるだけならいくらでも出来る。
 このDISCを入れると、一時的に体力を消耗してしまうというだけかもしれない。
 単純に、自分の頭に異物を差し込むという異常な行動へのストレスから緊張が極限に達して、それまでの疲労が吹き出しての事…だったのかもしれない。
 「…ま、これは様子見…やな…」
 ただ可能性を並べ立てることは、推理とは言わない。
 それらの取捨選択をして、部分から全体像を組み立てること ――― それが "推理"だ。
 全てにおいて材料の足りない現状で、彼らは常に無力感を感じている。
 
 「おい」
 窓際の方から、別の声がした。
 劉鳳だ。
 「いつまで…ここでじゃれている気だ?」
 声に、僅かながら苛立ちがある。
 焦れとるな。
 服部は思う。
 "ここ"に来て、劉鳳とは短くはない時間を過ごしている服部には、その焦りが分かる。
 それは服部も同じだ。
 HOLYという組織がどんなものかは、服部にも分からない。
 いずれにせよ、何らかの治安組織にいた彼は、単純だが強固な信条に基づいて行動している。
 「悪を断罪する正義」
 危ういが、明確だ。
 探偵は違う。
 探偵の仕事は、裁くことではない。
 隠された真実を露わにし、つまびらかにすることだ。
 罪を裁くのは、個人が行って良いことではない。
 そこを踏み越えれば…探偵も犯罪者も同じになる。
 私人として、犯罪にもっとも近づくが故に、服部もコナンも、そのことを常に意識しわきまえている。
 劉鳳に、その境界はない。
 アミバは、その境界からかろうじて戻ってきた。
 彼岸から此岸へと戻ってきたのだ。
 勿論…アミバの凶行によって殺された者や、その関係者にとってみれば、「だからどうした」 というべき事だろう。
 アミバが過ちを悔いたからと言って、殺された者が帰ってくるわけでもなく、虐げられた者達が浮かばれることもない。
 安易に、「生まれ変わったのだから水に流そう」 などと言って良いことではない。
 服部やコナンには、断罪する権利もない代わり…赦しを与える権利もないのだ。
 完全なる裁きも、完全なる赦しも、人の道理を越えた所業。言うなれば、神の所業だ。
 彼らが事件との関わりにおいて、決して犯人の生命を危険にさらそうとしないのはそのためだ。
 人の秘密を知り、人の暗部をかいま見る。
 その中で、自らに人を裁く権利があると考えてしまえば、彼らは、彼らで居られなくなる。
 自らが自らの在り方を全うするために、彼らは事件との関わりでの人の死を忌避するし、恐れる。
 殺人の忌避の最たる理由は、人道主義でも倫理でもない。
 彼らが、探偵の分を越えてしまうことへの忌避であり、彼らのアイデンティティに関わる問題なのだ。
 過去は繕われることはない。
 ただその傷跡を時間が覆い隠し、その痛みを気にしなくなるだけだ。
 人の本質は、そうそう変わらないものだ、とも思う。
 探偵として、様々な事件に関わり合ってきた。
 勿論、生まれながらの悪と呼べる者は少ない。
 そして誰しも常に、 "動機" を抱えている。
 不安をなんとかしたい。より多くのものを手に入れたい。愛している。憎い。好きだ。嫌いだ。許せない。
 環境と、機会と、手段が…その様々な情念に、カタチと輪郭を与える。
 犯罪というカタチを。
706Classical名無しさん:08/01/16 23:10 ID:R/qcXFMA
パロ……これは、青酸ロワ!
707Classical名無しさん:08/01/16 23:10 ID:ng67hW9I
                               
 アミバは、文明の崩壊した荒んだ環境の中で、他人より認められたいという強い情念を持ち、その手段としての特殊な拳法を習得し、そうする機会に巡り会った。
 あるいは、それを人助けという方法で実現することも可能だったろう。
 だが、彼はそれを、狂気の人体実験というカタチにしてしまった。
 それは、不幸であり悲劇であるとしか言い様はない。
 今更悔いたところで、既に遅いのだ。
 劉鳳の正義も又、常に過ちを犯す危険性をはらんでいる。
 彼の信念に対する躊躇の無さは強みだ。
 強いが、それは直線的すぎる。
 探偵は、あらゆる可能性を多面的に考えて、それを一つ一つ検証する事で、なんとか全体像を見つけ出そうとする。
 過程が最も重要で、最も繊細なのだ。
 それが、彼にはない。
 そのことを、服部は危ぶんでいる。
 予断と思いこみと、正義感。
 それこそが、冤罪を生み出す最たるものだと言うことを、服部は知っているからだ。
 だがそれでも…。
 今ここに居る彼の気持ちは、服部にも分かる。
 コナン…工藤新一にも同様の感情があるだろう。
 無力感。
 探偵というのは基本的に、事件が起きてから現場にいるものだ。
 多くの場合、既に起こった事件にしか、関わることはない。
 起こりつつある事件の渦中で、次々と死に行く人たちに対して、何も出来ずにいる。
 そのことが、あまりにもやりきれない。
 
 「劉鳳はん」
 落ち着いた調子で、服部がそう返す。
 窓の外に目をやっていた劉鳳は、僅かに顔を向けた。
 もとより、激情型の人間だろうが、今はそれをかなり押さえ込んでいるのが分かる。
 再三、後手に回り続けている今、ただ闇雲に激しているような余裕はないのだ。
709Classical名無しさん:08/01/16 23:14 ID:ng67hW9I
                           
 「もとより…まずはアミバはんの回復を待つべきなんやけど…」
 ペンを手にして、ノートに文字を走らせる。
 『次は、劉鳳はんの荷物を頼んます』
 「俺らも、少しは休んでおかな」
 「ふん…」
 不承不承、という態で、劉鳳は自分のデイバッグを服部達に渡す。
 半分はここにきて足止めを食っていることへの苛立ち。半分は、主催者側への牽制としての演技だ。
 アミバのDISCの件もあったため、休息と行動方針の確認をすると共に、それぞれの持っている荷物についての再確認をしておく、というのが、先ほどこれも筆談で決めたことだった。
 これらの中に、一見どうという事のないものに見えて、実は重要な手がかりになるものや、有効な道具があるかもしれない。
 又、ある人物にとっては無用でも、他の者にとっては有用なものと言うこともある。
 現に、アミバが持っていた番傘は、神楽にとっては必要なものだったのだ。
 (本来の持ち物であった番傘を手に入れた神楽は、「これ、いらないネ」 と言って、木刀を一本投げて寄越した。
 その木刀はコナン達の間をもの凄い勢いですり抜け、深々とソファに突き刺さり穴を開けたのだが。
 結局その木刀は、剣道有段者の服部が持ち、服部はその代わりに既に持っていた棍棒をコナンに持たせることにした)
 何よりも、それがどんなに些細なことであっても、知識は力だ。
 盗聴のことを考えて、これらに関しての詳細な会話は極力控えている。
 アミバの荷物について触れないのは返って不自然だと言うことで、それらを見ることについては会話で話す。
 結果、内容に関しては取り立てて有益な情報はなかったが、細かいことは筆談にした。
 また、こうしておけば、今ここに居ない吉良やアミバにも、後で情報を伝えるのが楽になる。
 だから、実際に盗聴している者達が居ても、服部達はただアミバの回復を待って、食事と休憩と、無駄口を叩いている様にしか思えないはずだ。
 劉鳳の荷物の中に、取り立ててめぼしいものはなかった。
 スタングレネードと液体窒素は、戦闘能力に乏しいコナンか服部が持つ方が何らかの利用価値があるかもしれないと言うことになったが、ひとまずはどうするか保留にする。
 神楽の装備も同様に、銃と木刀があっただけだし、服部の荷物も、やたらと大きいライトとバヨネット。裏にしても逆さにしても、新しい発見はなかった。
 スーパー光線銃がかなりの威力のある武器であることは劉鳳の言により分かったが、かといって今ここで試すわけにもいかない。
 それぞれの装備品について分かったことと分からないことをノートにメモ書きをする。
 「アカンなぁ…」
 さほど期待しては居なかったが、やはりたいした発見はない。
 最初に開けたアミバのノートパソコンにも、それほどの成果がない。(というより、服部達の知らないOSが組み込まれていたので、分かりようもなかったのだが)
 「成果無し…か」
 ソファに沈み込むように、コナンがぼやく。
 『まだ、お前の分がある』
 服部が突きつけたノートの文字に、コナンが応じて荷物を取り出した。
 『俺のが一番ひどいかもしれねーぜ』
 コナンがメモを返す。
 真っ赤な宝石と、一部が透明になった麻雀セット。
 「これは…」
 つい、服部が口に出す。
 麻雀のセットは、まぁそれなりに高級そうでもある。(もしかしたら象牙なども使われているかもしれない)
 しかし何より、宝石だ。
 血のように真っ赤な、あるいは太陽そのものから削り取った燃えさかる炎を閉じこめたかのようなきらめきを持つ宝石。
 美しさも類い希なるものだが、何よりその大きさだ。
 『5〜7cmはあるか?』
 『こんなときじゃなきゃ、まさにこいつが殺人の動機になってもおかしかねーよな』
 『数億じゃ済まんやろ。こんな宝石、見たことない』
 『怪盗キッドの予告状がもれなくついてくるぜ』
 ルビーでも無いし、ダイヤでも無い。
 どんな宝石か分からぬが、相当の価値があることだけはハッキリ分かる。
 細工も飾りも、一流の仕事だろう。
 しかし…。
 それが、何らかの解決に結びつくものには、とうてい思えない。
 服部とコナンは顔を見合わせる。
 出来れば、コナンが言った様に、こいつを盗みに来た怪盗との知恵比べ、等という場面で見たかったものだ。
 「…ちょ」
 横合いから声がした。
 「何コレ、何なのコレ!?」
 神楽だ。
 「ちょ、神楽はん、声…」
 食いつかんばかりの勢いで、深紅の宝石を見る。
 「いやいや、ここでこんなにも素早く再会できるとはネ。これ、ママの形見で、ズットサガシテイタヨ。美しかった思い出が全力で詰まりまくっているネ。つべこべ言わずにさっさと寄越すアル」
 「う…嘘をつけー―――ッ!」 
 「ウソナイ。ホント。ヤトゾクウソツカナイ」
 「急にカタカナでしゃべるな!」
 「バ、バーロ、見え見えすぎだっつーの…!」
 二人の男、いや、一人の少年と一人の幼児が、チャイナ服の少女に押されている。
 流石に、さらなる怒気を含ませた劉鳳が向き直り、 
 「おい、服部、ふざけるのもいい加減…」
 途端。
 その脇のガラス窓に、小さな穴が開いた。

 
 
 
 「な」
 空白は沈黙と衝撃と動揺を現す。
 「殺す気かー―――― ッ!?」
 「いや、ちょ、何、今の!?」
 「何や、レ、レーザー…!?」
 一筋の光が、宝石から一直線に放たれ、一瞬にして窓に穴を開けたのだ。
 「待て、待て、待ちぃ。劉鳳はん、こっち、まずこっち」
 服部が促し、劉鳳が従う。
 声もなく、コナンが手にしている宝石を見つめる一同。
 その脇の、懐中電灯。
 それを、服部が慎重に手に取り、ゆっくりと宝石にかざし…。
 閃光。
 再び放たれたそれは、やはり一直線の赤い光の筋となり、窓ガラスを貫いた。
 「光を増幅するんだ…」
 筆談することも忘れて、コナンが呟く。
 「この宝石は、光を集めて内部で増幅して…一種の熱線として照射する事が出来るんだ…」
 「…みたいやな…。こりゃ、なんとも…信じられんわ…」
 「たいした兵器だな…」
 兵器、というその言葉に戦慄する。
 服部、コナンのみならず、破格の戦闘能力と経験を持つであろう劉鳳ですら、驚愕の色を隠せない。
 ちらりと、神楽を見る。
 「ママもたいした形見をくれたもんやなぁ」
 ぶるぶる、と首を振り、
 「シラナイネ、ソンナノ、ワタシシラナイネ」
 「また言葉がカタカナになってるぜ…」
 座ったまま後ずさった。
  
 その神楽の背に、何かが当たる。
 スーツを着たサラリーマン風の男。
 吉良吉影だ。
 「吉良さん…」
 コナンが声をかける。
 「…何やら騒がしいようだが…」
 「あ、ああ、すまん。問題は無い…わけでも無いけど、まぁあとで説明するわ…。
 それより…」
 「ああ。アミバ君が目を覚ましたよ」
 入り口に少しもたれるようにして、吉良はそう告げた。

 ◆◆◆

 まとわりつく、粘ついた空気。
 暗闇の中で呼吸も出来ずに、もがいている。
 脚に、腕に、身体に…そしてのどに、無数の手がからみついて、引き戻そうとしてくる。
 誰だ?
 振り返りたい衝動。
 しかし、振り返ってはならない。
 何故か、そんな気がする。
 耳元に息がかかる。
 生暖かい。
 首筋に液体がかかる。
 ぬらりとした感触。
 うめき声が、悲鳴が、嗚咽が、怨嗟が。
 耳の奥へとぬるりぬらりと入り込んでは、ぐるりぐらりと渦巻いて脳を揺さぶる。
 痛い…苦しい…助けて…何故…。
 何故こんな非道いことを…。
 お願いします、子供だけは…。
 痛い、痛い、痛い…身体が…中から…。
 顔にかかる液体の暖かさ。
 爆ぜる肉体の、はらわたから立ち上る湯気。
 そのはらわたから溢れる糞の匂い。
 アンモニアの匂い。
 血の匂い
715Classical名無しさん:08/01/16 23:17 ID:R/qcXFMA
 
716Classical名無しさん:08/01/16 23:17 ID:ng67hW9I
                        
 悲鳴。
 声。
 匂い。
 溶ける。
 溶け出す。
 記憶。
 スデニ……出来テイタナ…。イイゾ…。
 記憶。
 空条承太郎の記憶。

 ばね仕掛けの人形のように跳ね起きる。
 息が…のどが詰まる。
 苦しい。
 呼吸が、もどかしく引きつる。
 「み…」
 荒い息の中から、あえぐように言葉を吐こうとする。
 (水…水は…)
 暗闇の中に手を伸ばす。
 ベッドの脇にあったサイドボードに、コップがある。
 手に取り、確かめもせずに一気に飲み干した。
 甘い。
 砂糖が入っているのか。
 ざらりとした感触がある。
 しかし、それよりもまずは、のどの粘つきが洗い流された事への安堵がある。
 息がつける。
 呼吸が次第に落ち着いてきた。
 それと同時に、暗闇に慣れた目が、辺りを確認する。
 小綺麗な一室だ。
 ベッドがあり、本棚やクローゼットがあり、机がある。
718Classical名無しさん:08/01/16 23:18 ID:M/JLivvE
   
 広くはないが、狭苦しくもない。
 そして何より、文明の匂いがする。
 アミバの記憶の中では、核戦争によって失われたものの匂いがする。
 この街に着たときから思っていた。
 人気が無く、まるで死人の街のようではあるが…失われていると思っていた様々なモノが、ここにはある。
 いや、むしろ、彼が知っているかつての文明よりも、発展しているかのようにも思えた。
 闇の中にいてなお、アミバはそのことに安堵する。
 かつての自分とは、切り離されたモノがここにあり、切り離されて自分がここにいる。
 そんな錯覚を覚える。
 だめだよ。
 声がした。
 ビクリと、枕元の闇へと視線をやる。
 歪にねじくれ、奇怪な姿をした異形の者が、ベッドの下からはい出てきて睨め付ける。
 だめだよ。アンタは昔と変わっちゃ居ない。
 おれをこんな姿にして殺したアンタのままなんだ。
 お前の本性はただの殺人鬼だ。
 今更イイコになろうなんて、だめだよ。
 部屋の角から。
 机の下から。
 本棚の隙間から。
 クローゼットの中から。
 だめだよ。
                                       だめだよ。
                    だめだよ。
   だめだよ…。

                     モウオソイヨ。

 歪にねじくれた異形の者達 ――― かつて自分が秘孔の実験台としてきた者達 ――― がささやきかけ。

 目が覚めた。
 同じ部屋。
 同じ暗闇。
 同じ匂い。
 
 息を吐く。
 のどが焼けるように痛い。
 水が欲しかった。
 水を飲んで、この痛みと乾きと粘つきと ――― 過去を洗い流したかった。
 
 す、と。
 コップが目の前に差し出された。
 考えるまもなく、それを奪って口を付ける。
 甘い。
 砂糖が入っているのか。
 ざらりとした異物感があったが、そんな事を気にしてなどいられない。
 一気に飲み干して、大きく息を吐く。
 それでも、のどのひりついた痛みは消え去らない。
 
 「具合は」
 声がした。
 「…どうかな? えー…と、アミ…バ。アミバ君…?」
 落ち着いた…いや、この場この時にしては、些か調子っぱずれな感もする、浮ついた声にも思えた。 
 紫がかったライトグレイのスーツは、高級そうだったが既によれよれにくたびれている。
 身体の前が横一文字に切り裂かれ、そこかしこに血が染みつき、どす黒く変色していた。
 上品そうな物腰…だが、何か不安をかき立てる影がある。
 「あー、あー、無理に話さなくても良い。なんとなく分かるよ。
 今…音楽を聴いていてね。
721Classical名無しさん:08/01/16 23:19 ID:qMI/e3Qw
真実はいつもバーローwww
722Classical名無しさん:08/01/16 23:19 ID:ng67hW9I
                       
723Classical名無しさん:08/01/16 23:19 ID:R/qcXFMA

 これさ」
 手のひらに収まる、小さな黒い箱を手にし、さらには何か操作をして開いたそれから中身を取り出す。
 銀色に光る円盤…ディスクだ。
 「意外かもしれないが…私は結構UKロックが好きでね。
 どちらかというと、クラシックとかオペラとか、そういうのが好きだろうと思われやすいんだが、そうでもない。
 特に80年代のUKロックはスバラシイ。
 一番のお気に入りは、勿論 QUEEN だ。
 フレディ・マーキュリーを失ってからの QUEEN の活動は地味で悲しいものがあるが、失われたものは帰ってこない。
 仕方がない事だ…。
 だが…曲は残る。そうだろ?
 『ボヘミアン・ラプソディー』 『We Will Rock You』 …皆、名曲だ。
 だがやはり…ん…? なんだか分からないって顔をしてるな?
 さては、QUEEN を知らない?
 ふむ…。君とは音楽の趣味は合いそうにない、か」
 机の前の椅子の、背もたれに顎を乗せるようにして座ったまま、男は一方的に話し続けた。
 「話題を変えよう。
 ケンシロウ君…。
 君の話にあった、彼。
 字は、何て書くのかなぁ。
 "建志郎" 健康の健、志、太郎の郎…とか…、拳法家だから、いっそ拳法の拳、なんてのも洒落ているかな。
 ラオウ君は、予想がつかないね。羅、螺、裸…、いや、裸は無いか。ラーメンのラに王様の王、なんて、こっちはふざけすぎかな?
 アミバ君は、魚を捕る網に、場所の場? そんな感じかなぁ」
 何を言っているんだ?
 アミバは、胃の腑にじわりと、不気味な感触を覚える。
 親しげな、あるいは躁的な声音。
 有り体に言えば、嬉しそうな声だ。
 しかし、何故ここで、こんな事を嬉しそうに話しているのか、理解不能だった。
 意味が無い。意味が無いし、意図が分からない。
 「私の知っているヤツでね。
 面白いあだ名のヤツが居るんだ。
 名字の最後と、名前の最初が同じ音で、それがあだ名になっている。
 クウジョウ・ジョウタロウ。ジョウ・ジョウ、で、略して、ジョジョ、だってさ。
 しかもその…ええと、甥? 叔父? ま、どっちでも良いか。
 そいつも、あだ名が同じだそうでね。
 ヒガシカタ・ジョウスケ。
 こっちは、ジョウ、に、助けるのスケ、を、ジョ、と読んで、ジョジョ…。
 無理があるよなぁ〜、流石に。
 まるでそのあだ名を付けることが先にありき、みたいじゃないか!」
 笑った。
 その笑顔に。
 アミバは戦慄する。
 「…見ていたな」
 表情が、変わった。
 「その反応! 貴様、DISCの中の私を見ていたな…!
 あの…空条承太郎の記憶…私も知らぬDIOという男…どろどろに意識を溶かす奇妙なスタンド…そして、私の秘密をも全て知っている、あの膨大な空条承太郎の記憶を見て、知ったな……ッ!」
 跳ね起きて、構えを取ろうとする。
 が、立ち上がれない。
 社会の裏側で、ひっそり48人もの人間を殺してきた殺人鬼!
 爆弾の能力を持つスタンド、キラー・クィーン!
 自動追尾爆弾、シアー・ハート・アタック!
 顔を変え、川尻浩作となり身を隠すも、その正体を暴かれて死んだ男!
 吉良吉影!
 この男は…ッ!
 漆黒の中の闇、ドス黒い殺人の衝動に突き動かされ続けるこの男は…ッ!
 「ギィ…が…はぐ…ッ!?」
 声が出ない。
726Classical名無しさん:08/01/16 23:20 ID:M/JLivvE
    
 焼け付く痛み。
 「この排水溝をはい回るドブネズミよりも汚らしいゲスが…!
 既に私のキラークィーンが貴様の喉を焼いている…ッ!
 しゃべらせるわけがないだろう。
 私の秘密を知った者に…!
 …いいか、私は常に 『平穏な暮らし』 を望んでいる。
 ささやかな希望だ…。そうは思わないかい?
 君のように、嫉妬に狂って人と争う様な野蛮人には理解できない、高尚な望みか?
 だがね…その平穏を乱す敵には、この吉良吉影は容赦はしない………。
 いつだって、だ……!!」
 立ち上がり、アミバを見下ろしてそう断言する。
 すぐさま飛びかかって、この男を止めなければ。
 そう思うが、身体が思うように動かない。
 「ふふ…結構、慎重でデリケートな作業なんだよ。
 君の身体の要所…筋、とか、間接、とか、そういうところを、小さな爆発で 『壊して』おいた。
 しかも、傍目には目立たない傷として、ね。
 まぁ勿論…検死解剖なんかをされれば一発だろうし、普段は死体を全部消してしまうから、こんな面倒で時間のかかることはしない。
 今回は、特別だ。
 君が…あのDISCで何を見たのかを確認しておきたかった…死体は残さなきゃならないしね。
 それにしても…本当に私は絶好調だ!! 
 全てが巧く回っている…! 何もかもが………!!」
 腹の底から嬉しそうに、吉良は満面の笑みを浮かべる。
 「それじゃあ、君にも最期のお別れをさせてあげようじゃないか!」
 そう言って、吉良は颯爽と、部屋のドアへと向かい、歩いてゆく。
 まるで、遠足に行く子供が、軽くスキップをしているかのような軽快な足取りで。

 ◆◆◆

 幸運だった。
 吉良吉影はそう考えている。
 治癒効果があると言われた、六角形の金属片、核鉄。
 劉鳳が持っていたソレは、武装連金のかけ声で発動し、黒い蝶の羽をもって空を飛べるのだという。
 そして、怪我をしたときに身体に当てることで、治癒力を増して、体力を回復する。
 空を飛ぶ、等という目立つ行為はなるべくしたくはないが、この失った左手首の傷口、右手首、そして腹についた裂傷を治せるというのは魅力的だ。
 そして、吉良はデイバッグの中に転がしてある、病院で銀時から得た金属片に目をやる。
 形は同じだ。
 書かれている番号が違う。
 もしかしたら、これにも同じような効果があるのではないか?
 吉良はそう考える。
 取り出して、それを自らの身体にあてがう。
 なんとなく、体力が回復している様な気がした。
 失われた左手が戻れば良いが、流石にそれは虫が良いだろう。カニやザリガニじゃあるまいし、自然治癒の範疇をを越えている。
 とはいえ、傷口がふさがり、痛みが引くならそれに超したことはない。
 そして。 
 空条承太郎の記憶DISC。
 まずは、こんな支給品が自分の目の前に現れたことが、実に幸運だ。
 これが他人の手で、私の知らぬところで既に使われて…自分の秘密が広まってしまっていたら…。
 考えるだけでもそら恐ろしい!
 そして次に、これを最初に使ったアミバが…おそらくは、度重なる疲労と緊張の上に、あの膨大な空条承太郎の記憶という情報の負荷に耐えきれず…昏倒してしまったこと。
 これが何よりも幸運だった。
 今、あの秘密を知っている可能性があるのはアミバだけだ。
 そしてそのアミバは、こうして目の前で無防備に気を失っている。
 吉良吉影は小さく嗤い、思い返す。
729Classical名無しさん:08/01/16 23:21 ID:ng67hW9I
                           
730Classical名無しさん:08/01/16 23:22 ID:M/JLivvE
  


 あのときの私は、そんな事態など全く想定していなかった。
 まさに青天の霹靂だ。
 アミバが倒れ込み、くずおれるその前…かすかに…そのDISCの表面に映った像。
 まるで、角度によって色んな像が見えるホログラムシールの様に、偶然に映った像に。
 自分の姿が見えた。
 偶然か、とも思った。
 錯覚か、とも思った。
 しかし…。
 まだ、川尻浩作へとなる以前の自分。
 靴のムカデ屋で空条承太郎と鉢合わせし…シアー・ハート・アタックで大ダメージを与えるも、逆襲され対峙せざるを得なかったあのときの自分…。
 その姿がここで映っているというのは。
 決して捨て置けないことだ。
 意識を失ったアミバだが、とりあえずは命に別状はなさそうだった。
 手近な民家に場所を移し、アミバを寝かした後、自ら看護役を買って出たのは、二人きりで確かめるべき事があるからだ。


 まずは、アミバの頭からDISCを取り出す必要があった。
 意外にもこれは苦労しなかった。
 元々しっかりとはまっていなかったのだろうか。
 あるいは、意識を失っているからなのか。
 幾度か衝撃を与えたら、ゆるゆるとこぼれ落ちた。
 もしこれが…しっかりとはまっていたとしたら?
 ここも又、幸運だったのだと思う。
 慎重に、表面を眺めた。
 きらめく光の中に、いくつもの像が浮かんでは消えていく。
 自分の姿があった。
732Classical名無しさん:08/01/16 23:22 ID:R/qcXFMA
アミバさあああああああああん
 先ほどちらりと見えたように思った、靴のムカデ屋での戦闘。
 エステ・シンデレラに残していった、本物の川尻浩作の死体。
 それから…今の、川尻浩作となった自分の血塗れの姿…。
 確かめねばならない。
 二つの事柄を。

 ぐにゃりとした、気味の悪い感触がする。
 生暖かいのか、ひんやりと冷たいのかも分からない。
 見た目はCDに似ているが、これは別のものだ。
 何らかのスタンド能力で創られたものなのだろうか?
 ゆっくりと…それを…自らの頭に近づけ………挿れた。
 途端に、奔流のように情報の渦が脳の中を駆けめぐる。
 老人と牢屋の中で対峙している。若い…が、これはジョセフ・ジョースターか?
 エジプトへの旅の様子。数多のスタンド使いとの戦い。
 エンヤと名乗る老婆。父が、矢を買った相手だろうか。
 DIO。吸血鬼…? そうか…確か、あの億泰の父親が仕えていたとか言う人物か…。
 そして、私だ。
 私と闘っている。
 覚束ない足取りだが、この私を殴り飛ばしている。

 糞…忌々しい!
 私の平穏は失われた。
 街をうろついて、様々なところへ行っている。
 虱潰しに私を探している。
 岸部露伴が、川尻早人に目を付けた。
 これは父から聞いて知っている。
 そしてだからこそ私は、時を吹き飛ばす第三の爆弾、バイツァ・ダストを手に入れたのだ。
 だが……。
734Classical名無しさん:08/01/16 23:23 ID:ng67hW9I
                     
 
 私は敗れた…!
 静止した時の中、承太郎は私を殴り飛ばしている。
 吹き飛ばされた私は…動き始めた時間の中で…。

 糞…っ!
 見ていられなかった。
 一旦、DISCを取り出す。
 自分で差し込んだDISCは、どうやら自分で取り出すことが出来るらしい。
 息を整える。
 忌々しく、ムカっ腹の立つ光景だが、見なければならない。
 コナンのヤツが持ってきたコーヒーを啜り、一息を入れる。
 甘ったるい味が気に障ったが、疲れには良い。

 再び、DISCを差し込んだ。
 私は死んでいる。
 バイツァ・ダストは無敵ではなかったのだ…。
 何故敗れたのかは分からない。
 分からないが、私は敗れているのだ。
 認めざるを得ない。
 
 その後も、様々な場面が続く。
 他愛のない場面…ヒトデを虫眼鏡でじろじろ見たり、頭の出来の悪そうな女との間に出来た、さらに出来の悪そうな娘となにやら話をしたりというくだらない場面が続き、湿地帯の島にある刑務所に向かう。
 そこで、おそらくは成長した出来の悪い (…しかし、なかなかに良さそうな手をしている様にも見える) 娘と口論をし…銃撃され…こで情報にノイズが入るが…最後に、壁に貼り付いている奇妙なスタンドに攻撃をされ…真っ暗になる。
 
 深呼吸をする。
 落ち着け。
736Classical名無しさん:08/01/16 23:23 ID:M/JLivvE
      
 落ち着くんだ。
 私は、無意識に爪を噛んでいた。
 だめだ。やめろ。
 爪を噛むのはやめろ。
 分かったことを整理するんだ。

 1つ。
 このDISCには、空条承太郎の記憶が入っていて、頭に差し込むとそれがパノラマの様に再現される。
 アミバは、この情報の洪水に耐えられなかったのだ。
 だから、昏倒した。
 見るからに粗暴で野蛮な顔つきをしている。
 こんな大量の情報を処理しきれるだけの脳のキャパシティが無かったのだろう。
 鍛え上げたマッチョな肉体も、脳までは鍛えられなかったと言うことだ。
 2つ。
 バイツァ・ダストは無敵ではない。
 方法は分からないが、敗れている。
 あの記憶からすると、早人か…仗助か…まさかとは思うがバカの億泰のいずれか誰かによって、破られているのだ。
 3つ。
 そして、私は死んだ。
 いや…私は、死ぬハズだった。
 バイツァ・ダストの無敵を信じていた私は、あの後 (…"あの"…? どの時点の "あの"…? そうだ。ここに連れてこられる以前の、"あの" だ ) 死んでいる。
 4つ。
 そして、空条承太郎はそれから数年後に、壁を這う黒い仮面をかぶったようなスタンドに殺される。
 このDISCは、おそらくはその時に作られたものだ。
 
 重要なのは、まずこの4点だ。
 私が死んだ先の未来から持ってこられた、空条承太郎の記憶。
 真っ当な言葉じゃあないが、つまりはそういう事だろう。
738Classical名無しさん:08/01/16 23:24 ID:M/JLivvE
   
739Classical名無しさん:08/01/16 23:24 ID:ng67hW9I
                              
 立てられる仮説は…いくつかある。
 その中でもかなり確率が高いのは、4つめの考察に出てきた、黒い仮面をかぶったかのようなスタンド…空条承太郎を殺し、記憶をDISCにしてしまったスタンド使いが、このゲームに関わっていること。
 これは、おそらく間違いないだろう。
 話によれば、アーカードという男も別のDISCを持っていて、スタンドを発現させたというのだ。
 黒い仮面のスタンドは、もしかしたらスタンド使いを殺して、記憶とスタンドの二つ…か、それ以上の何かをDISCにするという能力を持っているのかもしれない。
 そう言えば父から、人の魂を奪い取ってコインや人形にしてしまうスタンドがあると聞いた様な気がする。まったく、趣味の悪いスタンドだ。きっとそいつは、相当なゲス野郎なのだろうな。
 しかし、ここで一つ矛盾が出る。
 このゲームにはその空条承太郎も参加していたのだ。
 つい先ほどその死が放送されたが、それまでヤツは生きていた。
 そこで…あまり考えたくない仮説だが…。
 既に、私も空条承太郎も死んでいる。
 つまり、ここは所謂、"死後の世界"…というヤツではないか、という事だ。
 死んだ私と、死んだ空条承太郎が、魂…のような存在としてここにいる。
 私に死んだ当日の記憶がないように、空条承太郎も死んだ当日の記憶を無くしていて、死んだことを自覚していない…という事だ。
 もしかしたら、他の連中もそうなんじゃないか?
 嫌な考え方だが…しっくりこなくもない。
 そしてそうだとしたら…死ぬというのは、意外とたいしたことがない。
 何せ、生きていた時とさほど変わらないのだからな。
 違うのは、バトルロワイヤルだかなんだかいう、平穏とはほど遠いい殺戮の場に放り込まれてしまうと言うことくらいだ。
 そうか。だとしたら、これは地獄とか言うヤツなのか?
 確か、無間地獄だかなんだとかいう、永遠に殺し合いをさせられる地獄というのが、仏教の教えか何かにある、というのを聞いたことがある。
 不条理極まりない話だ! 私のような穏和な人間が、天国ではなく地獄に堕ちるとは…!
 まぁ、ここが死後の世界で、私や空条承太郎がが死後の存在としてここに居るかどうかは…どうでも良い。
 何れにせよ、私が望むのは平穏な日々。ただそれだけだ。
 人の記憶やスタンドを、DISCにしてしまうスタンド使いが居て、そいつがこの忌々しいゲームに関わっている。
 そしてそれとは…おそらく別の、死んだ人間か…あるいは別の形でか…色んな人間を一カ所に集めるスタンド使いが居て、協力関係にある…かもしれない。いや、アルター使いだとか言うヤツかもしれないな。
 あの光成とか言う老人か? 
 なんとなく、違う気がする。
 空条承太郎に背後から近寄っていった黒い仮面のスタンド使いは、おそらくかなり用心深く、慎重な人間だ。
 あんな風に無防備に姿をさらすことはないだろう。
 人を集めるスタンド使いにしても同様だ。
 仮に、あの場で誰か一人でも、首輪の威力を信じないか、あるいは自らが死んでもあいつをやっつけよう、という考えの人間が居たら、それで全て終わってしまうかもしれなかかったのだ。
 私ならそうしない。誰だってそうしない。
 よっぽどのバカでなければ、の話ではあるが。

 とにかく、このDISCは危険だ。
 決して誰かに見られてはならないし…これを見た者は全て始末せねばなるまい。
 幸運だ。
 このアミバという男にしか見られていないのは、幸運だ。
 もう一つ、確認をしておくことはある。
 つまりは、今意識のないこの男が、本当に私の正体を知ったかどうか…私とこの男が、このDISCで同じものを見たのかどうか…だ。
 もしかしたら…可能性は低いが…人によっては見えるものが違っているかもしれない。
 例えば、私の場合は、私を殺したのが空条承太郎だから、空条承太郎の記憶が見えた、という可能性だ。
 自分を殺した人間の記憶が見えるDISCだ、という事も、無くはない。
 ただ、この男を始末する事に関しては…既に決定事項だ。

 神楽の服に仕掛けた爆弾を解除する。
 それから、丁寧に、入念に、アミバの身体を調べる。
 忌々しいほどに健康だ。
 腕なんか、私の太ももより太いぞ!
 一体何を喰ったら、こんな身体になるんだ?
 少し厄介だが、なんとかしよう。
 足の筋…間接…重要な箇所を見つけ出し、チェックする。
 それから、角砂糖を手にして、爆弾に変えた。
 それを砕いて、アミバの開いた口の中に注ぎ込んで…スイッチを入れる。
 喉が焼けた…はずだ。
 アミバが起きる。
 私は暗がりに身を隠す。
 ヤツは、枕元にあるコップを手にして、水を飲んだ。
 これは、使えるな。
 そのまま、ヤツは崩れる様にして身を伏した。
 うなされている。
 そ、っと、アミバの足首の腱にキークイーンで触れて、爆弾に変えた。
 スイッチを入れる。
 脚の腱が小さく吹き飛び、消滅する。
 呻いた。
 キラークイーンの爆発は瞬間で、規模も自由に調節できる。
 際限なく大きくは出来ないが、小さくするのは可能だ。
 緊急時や、シアーハートアタックの遠隔操作爆破や、他のものの爆発に巻き込まれる場合はその限りでは無いが、人間や人間の一部を直接爆発させる場合、あまりに一瞬過ぎて、爆発した本人ですら気づかないことがあるし、血も出なければ火傷も負わない様にも出来る。
 このキラークイーンの能力の目的は、あくまで証拠、痕跡を残さないことだ。
 証拠や痕跡を効率よく確実に消すために、キラークィーンを使う。
 爆弾で殺すことが目的ではないのだ。
 そういう目的のスタンドだとしたら、そいつはきっと爆弾魔か何かに違いない。
 そんな最低のゲス野郎と一緒にされるのは、御免被る。
 だから、慎重に、丁寧に爆発させれば、死体を丸ごと消すことも、事故 … 小学生の息子が、風呂場で足を滑らせて頭を打ったように … 見せかけた死体をでっち上げることも、不可能ではない。
 おそらく…巧くいった。
 そして最後に…。
 
 ◆◆◆

 「大丈夫か、アミバ!」
 真っ先に駆け込んできたのは劉鳳だった。
 苛立たしいそぶりを見せてはいたが、もしかしたらアミバの身を最も案じていたのは、この男だったのかもしれない。
 服部が内心危ぶんでいる劉鳳の性分…すなわち、自らが悪と直観的に判断した者は全て断罪するという潔癖な正義感は、意外にもアミバというかつての殺人鬼の今を許容している。
 「どないしたんや!?」
 続けて入ってきた服部が、そう驚きの声を上げる。
 ベッドから降りているアミバ…いや、ベッドから転げ落ちているアミバは、這うようにして手足をばたつかせ、床を叩き、口を開いて何かを訴えようとしている。
 「…まさか、声が出ないんじゃあ?」
 最後に入ってきたコナンの問いに、かすれたうめきと、首を縦に振る激しい動きでアミバは答えた。


 「吉良…顔色まだ良くないネ…。大丈夫か?」
 よろめいた吉良に寄り添うように、神楽がそう問いかける。
 「…ああ、有り難う、神楽君…。劉鳳に貰った核鉄とかいうヤツは、案外よく効いている様でね。
 今は、少し調子が良いよ」
 優しく、また、明るい声音だ。
 「…なら、良かったネ」
 赤毛の少女も又、少し安堵したようにそう返す。
 銀時、新八と、立て続けに親しい仲間を失った神楽は、周りに対してそう振る舞い、また自分自身が自覚している以上に、心細さと孤独を感じている。
 その反動が、彼ら仲間の死と立ち会う前後に出会った吉良への、普段の振る舞いからすればやや過剰なまでの気遣いに表れている。
744Classical名無しさん:08/01/16 23:26 ID:ng67hW9I
                      
 言い換えればそれは、神楽自身が吉良に対して、自分を気遣い、優しくして欲しいという深層心理の表れなのだが、本人がそのことを自覚することはないだろう。
 「君は…」
 真っ黒な、大きな瞳で、覗き込むように吉良が神楽を見据える。
 不意の視線に、少女はひるむ。
 今まで、こんな風な眼差しで見られたことはない。
 「結構、美しい手をしているな…」
 ささやくように、あるいは呟くように、吉良がそう言った。
 何故か、神楽は心臓がじくりとした。
 それがどんな感情のによる働きなのか…やはり神楽自身にも分からないし、和本人がそのことを自覚することはないだろう。


 「どうした、アミバ? 何か言いたいことがあるのか?」
 どん、どんどん、どん…。
 目を見開き、口を大きく開けて、アミバは床を叩いている。
 「あかん…吉良はん! ちょっと、来てくれ! 何があったんや…!?」
 服部が叫ぶ。
 コナンが駆け出して部屋を出ようとするのと同時に、神楽に寄り添われるようにした吉良がドアの所へとやってくる。
 「吉良さん! 核鉄を…」
 「一体…どうしたんだ? アミバ君は…」
 アミバの動きがより激しくなる。
 右手を高く掲げ、こちらを指さし、左手は激しく床を叩き…。
 「おい、アミバ…!?」
 そのまま。
 びくりと仰け反るように痙攣して。
 口から大量の血を吐き出し。
 動かなくなった。


 「………私には関係ない事だと…そんなに信憑性のある話でもないと…そう思ったから、ほとんど忘れていたし………たいして信じても居なかったよ…。
 だが…まさか…いや…。
 『コレ』がそうなのか…?
 今ここで、これだったとでもいうのか…?
 そんな馬鹿なことが…いや…馬鹿げたことが…

 こんな馬鹿げたことがあって良いのか………?」

 誰に言うでもない、吉良の呟き。
 アミバの横にうずくまっていた劉鳳が、悲痛な面持ちのまま立ち上がり、叫ぶ。
 「…それでは…アミバが死んだのはあのDISCを試してみたからだというのか!?
 俺たちがあのDISCを使うことを止めていれば、死ななかったとでも言うのかッ!?」
 「…いや…それは…分からない。
 さっきも言ったが、何の確証もないんだ。
 私の聞いた "何か" がDISCかどうかも分からないし、そもそもそれによって人が死ぬことがあると言うことだって本当かどうか…」
 劉鳳の剣幕に、気圧されるようにして吉良が後ずさる。
 その吉良をかばうように、
 「吉良は何も悪くないネ! 怒る相手間違ってるアル!」
 神楽が劉鳳に立ちはだかる。
 劉鳳は唇をかみしめる。
 その通りだ。
 少なくとも今は、その通りなのだ。
 固く拳を握りしめ、劉鳳は部屋を出る。
 「俺が…ッ」
 誰とも視線を合わせず、真っ直ぐな歩みで、劉鳳が叫ぶ。
747Classical名無しさん:08/01/16 23:27 ID:ng67hW9I
                          
 「カズマの…そしてアミバの "反逆" も…俺の "正義" も…。
 全て背負う!
 このふざけたゲームを断罪する!」
 その響きが、劉鳳の去った後も部屋の中に残り、こだましているかのようだった。

 その横で服部平次は、生命の抜け落ちたアミバの亡骸を調べている。
 「死因は…おそらく内臓…胃が破裂したんやないかな…」
 「この出血量は、そうだろうな」
 床に広がるおびただしい血だまりを見ながら、コナンが言葉を引き継いだ。
 昏倒して、倒れていたときにはこんな気配はなかった。
 強い衝撃を受けたわけでもなく、突然胃が破裂するとはどういう事なのか?
 「吉良さん」
 少年は顔を上げ、ドアの近くに立っていた吉良に尋ねる。
 「あ…ああ、何だい、コナン君?」
 「アミバさんが目を覚ましたときの様子は、どうだったの?」
 あどけない、と言っても良い年頃の少年の表情は、恐怖でも混乱でもなく、内に秘めた激しい怒りと、鋭い叡智を秘めている。
 「私は…彼が目を覚ましたとき、すぐに君たちに知らせなくてはと思い…彼の様子を細かく観察する余裕が無かった。
 会話もしなかったよ…。だから、声のことも分からないんだ。
 済まない。そのとき私が、彼の異常…異常の前兆を見つけては居れば……」
 右手で顔を覆う様にし、沈痛な声でそう告げる。
 「吉良はんがここを出て…居間に知らせに来て…数分…長くて5〜6分、てトコやな…。
 その間に、この部屋に侵入して、アミバはんに致命傷を負わせて…逃走する」
 「まず、無いな…」
 「毒物…も、可能性はなくはないが…」
 「いつ、どうやって摂取させたかが分からねぇし…ただの毒物にしては、この出血は多すぎる」
 淡々と、可能性を挙げて、それを消去する。
 「その…胃を爆破させる様な毒物なんてものは…あるのか?」
 吉良がそう口を挟む。
 「いや、聞いたことあらへん」
749Classical名無しさん:08/01/16 23:28 ID:ng67hW9I
                              
 それに対しての服部の回答は、身も蓋もない。
 その通りだ。
 トリックだとか毒だとか、そんなものでどうにか出来る様な死ではない。
 そのことが、二人には十分分かっている。
 ましてや。
 「スタンドだとか、アルターだとか…核鉄だとか…」
 「分からんもんが多すぎや!!」
 通常の殺人事件と同じように考えて、分かるわけがないのだ。
 「彼が…その、アミバ君が使うと言っていた…何…何とか拳だとか…」
 「北斗神拳?」
 「そう、それだ」
 「…まぁ、こういう感じなのかもしれんなぁ…」
 アミバが使うと言っていた北斗神拳は、曰く、経絡を突くことで人体を意のままに操り、あるいは内部から破裂させて殺害せしめることの出来る暗殺拳なのだという。
 「あ」
 神楽が声を上げる。
 「それなら、筋肉ダルマが使っていたネ。私が見たのは、嘘かホントか自白させるとか言うヤツだったけど…あんなの全然信用できないアル」
 神楽が言っているのはケンシロウのことであり、又彼女が見たのは、病院に殺人鬼の集団が待ちかまえているという美形…ジグマールの言い分の真偽を確かめるために、意志と関わらず真実を口にする新一という経絡秘孔を突いたときのことだ。
 実際にはその前に、北斗繰筋自在脚で身体の自由を奪われるはめになっていたのだが、そのことは語らない。(嫌なことなので忘れているのかもしれないが)
 神楽は思い返す。
 ジグマールの言ったことは完全なデタラメで、病院に居た銀時たちは当然のことながら殺人鬼の集団などではなかった。
 それどころか、銀時も新八も殺人鬼と戦い殺され、病院で一緒にいたという吉良も又、殺人鬼と戦い左手を失う大怪我を負っている。
 筋肉ダルマは、強いかもしれないがいい加減で信用ならない。
 あんなのと一緒にいるマダオ…まるでだめなおっぱいお化けのキュルケが心配だと、神楽はぼんやりと考える。

 「その…いいかな」
 吉良が遠慮がちにそう切り出す。
 「彼を…ベッドに寝かせてあげないか?」
 「…せやな」
 床に倒れ伏したままのアミバの遺体を、先ほどまで寝ていたベッドに寝かせようと、平次と…そして促されて神楽が運ぶ。
 その上で、見開かれている目を閉じ…毛布を掛けて、最後にコナンが、顔に布を被せた。
 これ以上、そこで語れることは無い。
 言葉もなく、彼らはこの部屋を後にする。
 最後に残った少年…江戸川コナンが、物言わぬアミバの遺体に、小さく語りかけた。
 「なぁ…アミバさん…。
 あんた、最後に一体何が言いたかったんだ?
 俺たちに、何を伝えたかったんだ?」

 ◆◆◆

 吉良吉影は考える。
 ここまでは、まぁまぁ巧くやった。
 DISCが死に繋がるかもしれない可能性を示唆したことで、奴らが私の隠し持っている "空条承太郎の記憶DISC" を見る確率は減る。それに、無力な者がスタンドで自らを強化しようという発想も減らせるだろう。
 アミバの始末も、及第点だ。
 これが常ならば、誤魔化しきるのは難しいだろう。
 それでも、こんなに神経を使う爆破は滅多に無い。
 最初は、アミバの身体を爆弾に変えて、残りの三人を全て爆破させる手も考えた。
 が、これは三人同時に爆殺出来ない場合、確実に自分に嫌疑がかかる危険性がある。
 あの神楽でさえ、新八、アミバと、立て続けに私の周りで人が爆死する異常事態が起これば、疑ってくるに違いない。
 また、それだけの大きな爆発をさせるとなると、音や衝撃を抑えるのも難しく、どうしても目立ってしまうだろう。
 しとめるときは、確実に、そして目立たぬようにする…。
 それが、いつにもまして求められている。
752Classical名無しさん:08/01/16 23:30 ID:ng67hW9I
                                 
 異常事態だからこそ、多少強引に出来る所もあるが、集団だからこそ、より慎重にならねばならない面もある。
 神楽は、比較的簡単に御せる様だし、戦力として残せる。
 劉鳳は、敵に回すのは厄介ではあるが、味方としては使えそうだ。
 何より、彼のアルター、『絶影』は、あの美形にすら 「手強い」 といわせる程のものらしい。
 だとしたら、一撃で確実にしとめられるときまでは、トラブルを起こすのは控えた方が良さそうだ。
 恥を忍んで、みっともなく慌てたり怯えたり、さらにはあのしみったれたクソのカスのような大男の死を悼む芝居をしたりしたのだ。
 彼らには私を守る役に立って貰わねば割に合わない。
 この二人が、銀髪傷女と美形をやっつけてくれればしめたものだ。
 江戸川コナン…。
 こいつは、厄介だ。
 あれほどまでに殺人を忌避していたのに、実際に人の死を目の当たりにしても、怯える気配がない。
 ちょっと前までオムツを穿いていたようなクソガキのくせに、早人以上に肝が据わっている。
 その上、思考力は大人顔負けに鋭い。
 あの場で、ああまで簡単に死因を当てられるとは思っていなかった。
 アミバに飲ませたコップの水。
 その中に、爆弾に変えた破片を入れておいた。
 とにかく、目立った外傷も無く殺し、死体が消え失せるという不審な状況を回避するためには、内部を破壊する方が良い。
 だから、爆弾を飲み込ませたかった。
 砂糖を溶かして入れていた分、破片の違和感に注意が向かなかったのだろう。
 危ういが、これには成功した。
 そして、彼ら衆目の場で、自分が一番離れた位置にいるときに、こっそりとスイッチを押す。
 目撃者は全員。容疑者も全員。
 私が爆弾のスタンドを持っていると知らなければ、分かるわけもないハズだし、それが殺人なのかどうかも分からない。
 だが…。
 スタンドやアルターという超常能力に対しての知識がないため、その思考パターンは今のところ制限されている様だが、それでもあの小僧には、油断がならない何かを感じる。
 以前のように、いかにも子供然とした無邪気さ (あれは、ともすれば芝居だったのでは?) 等みじんもない、どっしりとした目つきが気に入らない。
754Classical名無しさん:08/01/16 23:30 ID:XZDuSkFk
       
 そしてまた、コナンの友人だという服部というガキとも、相性がよさそうなのが面倒だ。
 この二人は…出来るだけ機会を見つけて、始末をしたいところだ。
 全員、始末は付ける。
 この吉良吉影の平穏を阻む邪魔者は、全て例外なく始末を付ける。
 そしてもう一つ。
 もしかしたら、という可能性を考える。
 どこかに、この吉良吉影の記憶DISCというものがあるのではないか、という可能性を。
 現に、参加者としてここに居たはずの空条承太郎…私が居たときよりも未来の空条承太郎の記憶が、DISCとして配られていたのだ。
 あの黒い仮面のスタンドが、同様に私の…あるいは他の参加者の記憶をDISCにしていないとは断言できないのではないか?
 だとしたら…。
 それも又確保しなければならない。
 そして、だとしたらあの黒い仮面のスタンド使いも始末しなければならない。
 それが、私の "平穏"な人生に繋がり、"幸福" へと至る道なのだ…。

 ◆◆◆

 「工藤…」
 小さい声で、服部平次は江戸川コナン…高校生探偵の工藤新一へと語りかける。
 「アミバはんの…最後のアレ…」
 「ああ、分かってる」
 「…やな」
 顔も合わせずに、二人は意思の確認を行う。

 吉良吉影の疑念は、正しかった。
 この二人は、決して油断してはならない相手なのだ。
 そして又、吉良吉影は誤算をしていた。
 それは、アミバという男を、ただの無知で無教養な拳法家と思ったことだ。
 アミバは、紛れもなく傑出した才の持ち主だった。
756Classical名無しさん:08/01/16 23:31 ID:M/JLivvE
     
757Classical名無しさん:08/01/16 23:31 ID:ng67hW9I
                           
758Classical名無しさん:08/01/16 23:31 ID:XZDuSkFk
    
759Classical名無しさん:08/01/16 23:31 ID:qMI/e3Qw
760Classical名無しさん:08/01/16 23:32 ID:M/JLivvE
      
761Classical名無しさん:08/01/16 23:33 ID:XZDuSkFk
                                                     
 門外不出。本来ならば一子相伝の秘拳、北斗神拳。
 それを、見よう見まねで不完全ながらも習得してしまうというのは、まず不可能なことなのだ。
 そんなことが容易くあり得る様なら、そんなものは秘拳などではない。
 アミバは、ただ単に筋肉にモノを言わせて喧嘩をするだけの乱暴者でも野蛮人でもない。
 知識も教養も、人並み以上に持っている男であった。
 だがしかし、だからこそ。
 そこに起因する驕慢と…そして何より、拳法において彼を凌駕する才の持ち主、ラオウ、トキ、ケンシロウと言った破格の天才達が、同じ時代に彼より先を行っていたことが、彼と、又、彼に関わってしまった犠牲者達の悲劇の元であった。
 彼はただ、苦し紛れに床を叩いていたのではない。
 床を叩くことで、モールス信号を送っていたのだ。
 キ・ラ・ハ・サ・ツ・ジ・ン・キ…。
 繰り返し、彼は床を叩き、メッセージを送っていた。
 承太郎のDISCから知り得たことを、可能な限り送っていた。
 万全な状態ではないため、些か不完全だったかもしれない。
 記憶違いの所もあったかもしれない。
 きちんと伝わったかどうかは、定かではない。
 だがしかし、コナンと服部は、それに気がついていた。
 アミバが必死に、メッセージを送っていたことに気がついていた。
 そのことを、吉良はまだ知らない。
 アミバが死に瀕して残したメッセージの存在を、吉良はまだ知らない。
 今にも落ちてきそうな星空の下で、秘密と謎と、残された遺志が交錯する。
 
 *--------------------*
【アミバ@北斗の拳:死亡確認】
【残り30人】
F-2 民家
【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:全身打撲。疲労大。左肩と全身に湿布と包帯。強い決意。
[装備]:ハート様気絶用棍棒@北斗の拳 、懐中電灯@現地調達 包帯と湿布@現地調達
[道具]:基本支給品(食料一食消費)、スーパーエイジャ@ジョジョの奇妙な冒険、鷲巣麻雀セット@アカギ、
[思考] 基本:この殺し合いを止める
1:アミバのダイイングメッセージを解明し、また殺人ならばその犯人を見つける。
2:ルイズの最後の願いを叶えたい。
3:覚悟さん達と合流
4:ゲームからの脱出
5:ジグマールを警戒
6:範馬勇次郎以外の光成の旧知の人物を探り、情報を得たい。
7:スーパーエイジャを慎重に扱う。
[備考]
※メガネ、蝶ネクタイ、シューズは全て何の効力もない普通のグッズを装備しています。
※自分達の世界以外の人間が連れてこられていることに気付きました
※川田、ヒナギク、つかさ、服部、劉鳳、アミバの情報を手に入れました。
※平次と二人で立てた仮説、「光成の他の主催者の可能性」「光成による反抗の呼びかけの可能性」「盗聴器を利用した光成への呼びかけの策」 等については、まだ3人に話していません。又、話す機会を慎重にすべきとも考えています。
※スーパーエイジャが、「光を集めてレーザーとして発射する」 事に気づきました。
※「DISCを使うと死ぬ可能性がある」という吉良による情報を考慮に入れていますが、確定はさせていません。
764Classical名無しさん:08/01/16 23:34 ID:XZDuSkFk



  
   
   
【服部平次@名探偵コナン】
[状態]:健康。両頬が少し腫れている。
[装備]:スーパー光線銃@スクライド、木刀正宗@ハヤテのごとく、携帯電話
[道具]:支給品一式(食料一食消費)、首輪、「ざわ……ざわ……」とかかれた紙@アカギ(裏面をメモ代わりにしている)、
    色々と記入された名簿、ノート数冊、ノートパソコン@BATTLE ROYALE、
    ジャギのショットガン@北斗の拳(弾は装填されていない)、綾崎ハヤテ御用達ママチャリ@ハヤテのごとく(未開封)、
    ギーシュの造花@ゼロの使い魔、スティッキィ・フィンガーズのDISC@ジョジョの奇妙な冒険 (内容、使用方法不明)、
    キュルケの杖、拡声器、
    才人のデイパック(内容は支給品一式、バヨネット×2@HELLSING、
     紫外線照射装置@ジョジョの奇妙な冒険(残り使用回数一回)未確認)  
[思考・状況]
基本:江戸川コナンよりも早く首輪のトリック、事件の謎を解除する。
1:アミバのダイイングメッセージを解明し、また殺人ならばその犯人を見つける。
2:ルイズの最後の願いについてはどうするか。
3:シェリスを発見し、真実を明らかにする。
4:範馬勇次郎以外の光成の旧知の人物を探り、情報を得たい。
5:自分自身にバトルロワイアル脱出の能力があると偽り、仲間を集める(一時的に保留)
766Classical名無しさん:08/01/16 23:35 ID:ng67hW9I
                            
[備考]
※劉鳳と情報交換を行い、シェリスの名前を知りました。
※劉鳳、コナンの事は全面的に信用しています。吉良、神楽に対してはまだ保留しています。
※自分自身にバトルロワイアル脱出の特殊能力があると偽る策を考えています。
※バトルロワイアル脱出の特殊能力は10人集まらないと発動しません。(現時点での服部設定)
※脱出作戦を行うかはどうかは考え中。
※バトルロワイアル脱出の特殊能力についてはまだ吉良に言っていません。そのうち時期を見て言うかは保留です。
※銀髪銀眼の人物が殺し合いに乗った事を知りました。
※バイクCB1000(現地調達品)は、民家から少し離れた路地に、シートを被せて隠しています。
※コナンと二人で立てた仮説、「光成の他の主催者の可能性」「光成による反抗の呼びかけの可能性」「盗聴器を利用した光成への呼びかけの策」 等については、まだ3人に話していません。又、話す機会を慎重にすべきとも考えています。
※スーパーエイジャが、「光を集めてレーザーとして発射する」 事に気づきました。
※「DISCを使うと死ぬ可能性がある」という吉良による情報を考慮に入れていますが、確定はさせていません。
【劉鳳@スクライド】
[状態]:疲労中、全身に小程度のダメージ、左肩と腹部にダメージ中、右拳骨折治癒途中(包帯が巻いてある)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(食料一食消費)、4色ボールペン、色々と記入された名簿、スタングレネード×2 、タバサの眼鏡
    タバサのデイパック(内容は液体窒素(一瓶、紙状態)、タバサの支給品一式 、色々と記入された名簿
[思考・状況]
基本:正義を全うし、ゲームとその主催者を断罪する。
1:アミバの遺志を背負い、正義をなす。
2:ルイズの最後の願いについてどうするか。
3:悪(主催者・ジグマール・DIO・アーカード・村雨)は断罪、弱者(シェリス、キュルケ、神楽)は保護。
4:シェリス・防人の知り合い・桐山の知り合い・核鉄を探す。
5:シェリスに事の真相を聞きだす。
[備考]
※絶影にかけられた制限に気付きました。
※桐山・防人・服部・タバサ・吉良・コナンと情報交換しました。
※平次の策に乗る気はありません。
※銀髪銀眼の顔に傷のある人物が殺し合いに乗った事を知りました。
※「DISCを使うと死ぬ可能性がある」という吉良による情報を考慮に入れていますが、確定はさせていません。
※液体窒素の瓶(紙状態)、スタングレネードなどは、仲間の誰かに渡しても構わないと思っています。
769Classical名無しさん:08/01/16 23:37 ID:ng67hW9I
しえん
【神楽@銀魂】
[状態] 軽度の疲労
[装備] 神楽の仕込み傘(強化型)@銀魂 、ジャッカル・13mm炸裂徹鋼弾予備弾倉(25.30)@HELLSING
[道具]支給品一式×2(食料一食消費) 陵桜学園高等部のセーラー服@らき☆すた 首輪
[思考・状況]
基本: 殺し合いに乗っていない人は守る、乗っている人は倒す。
1:ひとまずは、吉良たちと行動を共にする。
2:マダオ達を助けに行きアフロ(ジグマール)をぶっ飛ばす。
3:銀ちゃんと新八を殺した奴は許さない
4:新八を殺したのは一体……?
[備考]
※原作18巻終了後から参戦。
※新八を殺した人間について、吉良の可能性は今の所除外しています。
※吉良がスタンド使いと知りません。 他の五人が行った情報交換の内容も正確には知りません。
※吉良のことはある程度信頼しています。
※キュルケとケンシロウについては細かいことをまだ四人に話していません。
※「DISCを使うと死ぬ可能性がある」という吉良による情報を考慮に入れていますが、確定はさせていません。
【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:左手消失(止血済み)、右手首裂傷、胸全体に真一文字の切り傷、出血、疲労、ストレス、核鉄による治癒中
[装備]:空条承太郎の記憶DISC@ジョジョの奇妙な冒険、核鉄ニアデス・ハピネス@武装練金 (核鉄状態、治癒中)
[道具]:支給品一式(一食消費)、核鉄ソードサムライX@武装錬金、
    包帯・消毒薬等の治療薬、点滴用セット(十パック)
    病院内ロッカーの鍵(中に千切れた吉良の左手首あり)
[思考]
基本:心の平穏のため、自らの秘密を知る可能性のある者は全て始末する。主催者も含めて。
1:空条承太郎の記憶DISCを死守し、誰にも見せない。
2:引き続き核鉄による治癒を続ける。出来れば休息も取る。
3:顔に傷のある女(斗貴子)は襲ってきたら始末、マーティン・ジグマールを殺す。コナン、服部等も折を見て始末する。
4:自身を追うもの、狙うもの、探るものなど自身の『平穏な生活』の妨げになると判断した者は容赦なく『始末』する。
5:できる限り力無き一般人を演じる。スタンドも無力になっている風を装う。
6:もし脱出できるのであればしたい。
772Classical名無しさん:08/01/16 23:39 ID:XZDuSkFk
           
[備考]
※『バイツァ・ダスト』拾得直後からの参戦です。
※『バイツァ・ダスト』が使用不可能であることに気づいていません。
 しかし、『バイツァ・ダスト』が敗れたことを知り、翻って、『バイツァ・ダスト』に何らかの盲点、弱点があると考えています。
※川田、ヒナギク、つかさ、服部、アミバ、劉鳳、コナンの情報を手にいれました。
※左手を失い、シアーハートアタックの解除が不可能になりました。
 吉良が死ぬまで永遠に、熱源を求めて周囲を動き回っています。
 ただし、制限の影響で破壊できる可能性はあります。
※自分がスタンド使いであることがばれ、平穏な生活が離れたことから強いストレスを感じてます。またそのため、自分をスタンド使いと教えたコナンに不快感を抱いています。
※自分達の世界以外の人間が連れてこられていること、時代の違う人間が居ることに気付きました。
※承太郎の記憶DISCの内容から、自分が負けたこと、死んだこと、それより先の未来で承太郎が負けた (死んだ、と思っている)事を知りました。
※記憶をDISCにして抜き取る "黒い仮面を被ったような半身の溶けたスタンド" の事を知り、主催者なのではないかと疑っています。
※アルター、核鉄について知りました。
※核鉄、ソードサムライXの能力は知りません。また、所持していることは誰にも話していません。


[共通備考]
※劉鳳、服部、アーカードの持つ名簿には以下の内容が記載されています。
 名簿に青い丸印が付けられているのは、カズマ・劉鳳・シェリス・桐山・杉村・三村・川田・才人・
 ルイズ・防人・カズキ・斗貴子・タバサ・キュルケ・コナン・服部 ・灰原
 赤い丸印が付けられているのは、ジグマール・DIO・アーカード・散・村雨
 緑色の丸印が付けられているのは、蝶野
※劉鳳、服部、コナンは吉良がスタンド使いということを知りました。
※ルイズをF-3の川岸に埋葬しました。折れた軍刀は墓標として刺してあり、キュルケの杖、拡声器は服部が所持しています。
※ルイズの最後の願いについてはまだ話し合っていません。
※吉良はスタンドのルールについてはなにも言っていません。
※アミバの持っていた支給品一式×3 (食料一食消費) は、F−2民家の中にあります。
※アミバの持っていたノートパソコンには、大東亜共和国謹製のOSが組み込まれています。

※今回分で、放送終了からおおよそ 30分〜1時間程度の時間経過があると考えてください。


775Classical名無しさん:08/01/16 23:40 ID:M/JLivvE
   
 以上、支援書き込み感謝。
 誤字脱字、事実誤認、設定描写のの不備、嘘大げさ紛らわしいなどの
ご指摘ご報告等、お待ちシッテッイマァッス〜。
 『書いているとついついつやたらと長くなってしまう』
 『気がつけばこのパートだけやたら時間が進んでいて気まずい』
 どっちもやらかしてしまってから後悔するのが、書き手の辛いところだ。
777Classical名無しさん:08/01/16 23:45 ID:M/JLivvE
投下乙!
なんという殺人事件!
東西探偵コンビの出番ですねッ!
アミバ……今までよく頑張った。安らかに眠れ……。
吉良はコナン世界でも違和感ないw
さて、次回は推理が見られるのか!? 劉鳳はどうするのかッ!?
全てが気になる展開でした。GJ!!
778Classical名無しさん:08/01/16 23:47 ID:XZDuSkFk
          
779Classical名無しさん:08/01/16 23:52 ID:ng67hW9I
投下乙。このロワの裏主人公が逝ったか……。
アミバはロクな死に方しないと思ってたけど、最後に大仕事をしてくれたじゃないか!
何気にバーロが死神全開w 吉良もステルス全開でGJ。
スタンドは上手い書き手が使えば、頭脳プレーにも変化するってのを思い知らされました。
死者半分で折り返しですね〜。
原作ではアレなのに、ここまで生きぬいたアミバはマジでお疲れ様。
780Classical名無しさん:08/01/16 23:54 ID:qMI/e3Qw
 ミス一カ所。

>>700-702 の間に、

 「…一番やな」

 を入れてください。
782Classical名無しさん:08/01/16 23:58 ID:NhPXnXUg
アミバも逝ったか……
吉良の『どす黒い悪』を見事に体現して、すげぇ。
なんだか下手な強マーダーよりこいつのほうが怖いわ。
勇次郎が哀愁を漂わせていたので、この話は余計に背筋がゾッとした。
吉良は改めてジョジョのラスボスだなぁと思ったし、
それを見事に書ききった書き手がスゴイッ!!
783Classical名無しさん:08/01/17 00:00 ID:7pScmoNQ
これは、バーロー汚名返上フラグ……
のように見えて、これって原作だと服部活躍フラグだよな。
ともあれ、アミバ最後の仕事GJ。

そして、吉良。アンタはやっぱりキラーだわ。
784Classical名無しさん:08/01/17 00:08 ID:hsGoDYEk
いやGJ
吐き気のする悪をかなり上手く表現できたなーすごいです
もうバーローの存在はホント死亡フラグだな
ていうかもうステルスマーダーって言ってもいいんじゃないかってぐらい
みんな逃げてええええええええええ
785Classical名無しさん:08/01/17 00:19 ID:gJx930sc
さらばアミバ・・・というかロワ内で人気だったけど、アミバなんて所詮アミバなんで
ざまあみろぐらいにしか思いませんね、ただ違和感は承太郎の記憶DISKはH・Sに
抜き取られてじゃなく六部ラストまでのロワオリジナルアイテム? あとコーラも
知らない世界からの召還なのにモールス信号とは?
786 ◆wivGPSoRoE :08/01/17 00:35 ID:y9lzgfss
ええと、投下したいのですが、60kb超えておりまして、
多分容量オーバーだと思います。
こういう場合は、どうすれば……
787Classical名無しさん:08/01/17 00:36 ID:iN.vVQq6
投下乙
タイトルと状況を見てジョジョ5部のあの人をことを思い出した
そしてバーローに服部はじまったな
いい対主催コンビになってきたじゃないか
そして吉良、凶マーダーに出会わない限りコイツ最強かもしれんな
788Classical名無しさん:08/01/17 00:37 ID:iN.vVQq6
>>786
次スレ、もしくは臨時投下としてしたらばとかどう?
789新スレテンプレ:08/01/17 00:38 ID:7pScmoNQ
このスレは漫画キャラバトルロワイアルのスレです。
SSの投下も、ここで行ってください 、支援はばいばい猿があるので多めに

前スレ
漫画キャラバトルロワイアル Part10
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1199155761/l50
【外部リンク】
漫画キャラバトルロワイアル掲示板(したらば)
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9318/
まとめサイト
http://www32.atwiki.jp/comicroyale
漫画キャラバトルロワイアル毒吐き
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8882/1183133225/l50

・参加者リスト・
1/4 【アカギ】○赤木しげる/●市川/●平山幸雄/●鷲巣巌
1/2 【覚悟のススメ】○葉隠覚悟/●葉隠散
1/3 【仮面ライダーSPRITS】 ●本郷猛/●三影英介/○村雨良
3/4 【からくりサーカス】○加藤鳴海/○才賀エレオノール(しろがね)/●才賀勝/●白金(フェイスレス指令)
3/4 【銀魂】 ●坂田銀時/○神楽/●桂小太郎/●志村新八
3/4 【グラップラー刃牙】○愚地独歩/●花山薫/●範馬刃牙/○範馬勇次郎
4/4 【ジョジョの奇妙な冒険 】○吉良吉影/●空条承太郎/○ジョセフ・ジョースター/○DIO
3/4 【スクライド】●カズマ/○シェリス・アジャーニ/○マーティン・ジグマール/○劉鳳
2/4 【ゼロの使い魔】○キュルケ(略)/●タバサ/●平賀才人/●ルイズ(略)
3/4 【ハヤテのごとく】○綾崎ハヤテ/○桂ヒナギク/○三千院ナギ/●マリア
1/3 【HELLSING】○アーカード/●アレクサンド・アンデルセン/●セラス・ヴィクトリア
3/4 【北斗の拳】○アミバ/○ケンシロウ/●ジャギ/○ラオウ
2/4 【武装錬金】●防人衛/○蝶野攻爵/○津村斗貴子/●武藤カズキ
2/4 【漫画版バトルロワイアル】○川田章吾/●桐山和雄/●杉村弘樹/○三村信史
2/4 【名探偵コナン】 ○江戸川コナン/●灰原哀/○服部平次/●毛利小五郎
3/4 【らき☆すた】○泉こなた/●高良みゆき/○柊かがみ/○柊つかさ
計 31人 / 60人
790Classical名無しさん:08/01/17 00:38 ID:7pScmoNQ
アミバ死亡については、まだ通るかどうか分からないので保留。

んで、死亡者表を訂正する。

1/4 【アカギ】○赤木しげる/●市川/●平山幸雄/●鷲巣巌
1/2 【覚悟のススメ】○葉隠覚悟/●葉隠散
1/3 【仮面ライダーSPIRITS】 ●本郷猛/●三影英介/○村雨良
2/4 【からくりサーカス】○加藤鳴海/○才賀エレオノール(しろがね)/●才賀勝/●白金(フェイスレス指令)
1/4 【銀魂】 ●坂田銀時/○神楽/●桂小太郎/●志村新八
2/4 【グラップラー刃牙】○愚地独歩/●花山薫/●範馬刃牙/○範馬勇次郎
3/4 【ジョジョの奇妙な冒険 】○吉良吉影/●空条承太郎/○ジョセフ・ジョースター/○DIO
3/4 【スクライド】●カズマ/○シェリス・アジャーニ/○マーティン・ジグマール/○劉鳳
1/4 【ゼロの使い魔】○キュルケ(略)/●タバサ/●平賀才人/●ルイズ(略)
3/4 【ハヤテのごとく】○綾崎ハヤテ/○桂ヒナギク/○三千院ナギ/●マリア
1/3 【HELLSING】○アーカード/●アレクサンド・アンデルセン/●セラス・ヴィクトリア
3/4 【北斗の拳】○アミバ/○ケンシロウ/●ジャギ/○ラオウ
2/4 【武装錬金】●防人衛/○蝶野攻爵/○津村斗貴子/●武藤カズキ
2/4 【漫画版バトルロワイアル】○川田章吾/●桐山和雄/●杉村弘樹/○三村信史
2/4 【名探偵コナン】 ○江戸川コナン/●灰原哀/○服部平次/●毛利小五郎
3/4 【らき☆すた】○泉こなた/●高良みゆき/○柊かがみ/○柊つかさ
計 31人 / 60人
791Classical名無しさん:08/01/17 00:39 ID:Mbh8r3ko
毒吐きも訂正ですね
792Classical名無しさん:08/01/17 00:41 ID:NJm5OTJ.
次スレ立ててみる
793Classical名無しさん:08/01/17 00:41 ID:y9lzgfss
>>792
立てました。
794Classical名無しさん:08/01/17 00:42 ID:y9lzgfss
漫画キャラバトルロワイアルPart11
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1200498002/l50

次スレです。
795Classical名無しさん:08/01/17 00:43 ID:NJm5OTJ.
>>793

リロードしてよかった
796Classical名無しさん:08/01/17 00:44 ID:DtSYiqM.
とりあえず、アミバ関連で問題あると思われる方。
議論スレのほうへどうぞ
797Classical名無しさん:08/01/17 00:51 ID:asN5VRrA
 新スレ支援!
 支援って板単位で良いんだっけ。
798Classical名無しさん:08/01/17 19:34 ID:lqR1gHhs
          ノ= 、、、、ッッー― 、-、-、- 、― 、
      ,、-'"三ヾヾシ―乙三ミミ\\\ミ、ヽ`゙'' 、          ,、 ー '" ̄ ゙゙'
    ゙マ´"シ 三ll|ll|彡''"""ミミ゙゙゙゙ヽヽヽ ミヾ\ヾ ヾ'、       /   後  服
   /彡三ミミ从/ ,、-= 、ヾ゙゙  ヽ   \\;;;;'、 ll|l',    /     は 部
   /;;;;/三ミミ、l|//´;;;;彡ミ;;ミミミ} l| l|ヽ、、、、ミミl|ヽ;;;;リl | ',   /      任 、
  ,'////;;;;三ヲー、ィッッ--ー-、ll|゙l l| l|ヽヾ;;;;;ヾ;;;;;;;l|レl|ミll| ;}   l         せ 劉
 ,j从//;;;;,'             }ll|,| |l|;l|,l| ゙゙}}lll||l|;ィll|ッッl|l|l|l|   |         た 鳳
  j从ll|| ;;;;|、,,         jlリl| |l|ll|从;;;;;;;、 - ''"´,jl|;;;;;;l|   l       :
 リ从从;;;;;',  `''''' ー― ---l||;;;;lリl|l|l|''" ̄,, 、-ー'''"ヾヾll||   ヽ        :
 { l|ii 从 |;;| `゙''ー =ミ ,,,,, _l||;;;;;;;l|ll|-|''"´ll\ヾlリリ;;;;l|ヽlj    \
 ヽ ソ从l|;;;l       ...:::::::|;;;;;;イl||从ヾヾヾヾ゙゙゙ |l||ll|/l|l|     `''ー-ァ- ー ''"
 /ノ彡リ;;;;;;'ー,、 ,,、,,  ''"""´ ヽ、;;从从ヾヾ゙'ー、ヾミ≧;;〈〈
/ノ,,ノノ从||:ミミ弖ミ:ッ''ー-::::__:::;;;;;;ミミ゙lwミミミミヽ`'ーミ;;;;}{、
イイイノノ从;;',゙::::::::,' ''""゙ヽ`'''''''"´彡  |ll|゙'ーwW;;;;;;;;ヾヾ}リ;;l
' 、l|lV/ノノ ;;', :::::,'           l|ll||ll| |;;;;;;;;;;ヽ、l|ii|リ|リ
   ラ;;;;l/ ; ;;', :::,'   -、:::...      lリl;|ll|从;;;;;;;;;;;;;;;Yl|〈〈〈
    |ll|l/;;;;/;;', (",,、-:ァ''       l.|l;;;;;;ヽヾヾll|;;;;;;;;イ|从ll|
   ヽl||;;;/ ;;;', :゙´、∠____,,,ノ   |l|lヽ;;;;;;\\リ、;;;;;;ノミllリ
     l|;l||| ;;;;;', `゙゙'""""´´      |l|;;|lll、ミミミ゙\イll(llミl|<、
    , ''、ll;;;;;;;;;;', :`:::""´´     ゝ;;;;;;;\、、ヽヽ、゙ヽミ ミーミ、
   , " イ ; ;;;;;;;;l イ       ,、 彡ツ;;;;;;;;;;ヽミヾヽ\ヽヽヽヽ\
   イ /|lヽ;;;;;;;;;'、、::..   ,、-'":::"///〉〉lll|;;;;;;;llヽl|;;;)|l;;;;)l|〉ヽ))
799Classical名無しさん:08/01/17 19:35 ID:lqR1gHhs
               __, , ,,-- --、_      ハ
           , -' ´::::::::::::::::::::::::::::::`'‐、  /::::::ヽ
     _______ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`y:::::::/
 r'ニ二----、ン::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ン
  _/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<
  / :::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
 / :::;イ/:::::::::::;イゝ;::::ヽ、:::r、_::ヽ、,ハ、ィヽr、::::::::::::::::::i
 l ://///:::::/i:l:ハ`ヽ::::ヽヽ、ヽ__>==--ヽ、i::::::::::::l
 l::{ {{ {:ト;:::::lr'リr、_L__ヽ、_ヽ_f´ ;rr''´j`t-、 }ミ:r‐‐ゝ
 レ' リ リ ヽ::f´"「{``トト、 }`‐{ ッ'゙{ ゝ辷ソ ノ レ'/こi`}
       t-iヽ{ ゞ;;;ソ l ̄ゝ,  ー‐ '´ ノ (_,ノ ノ
       ヽゝ、`ー'"、_   `ー ---‐'´r'´ _,/
         `弋‐‐'´  _,-‐‐‐-、 /⌒゙i弋;ゝ  犯人はお前だ!
           ヽ、  ヽ,   ノ f    !____
             `ニ=、_____,,∠_{   }___:::ヾヽ
             ゙、:::::::r:::r'´::::::「` ノ/ `、__::゙ヽ
            r‐'´}:::::::ト-ヘ;;;;;;;;;ト 、_/      `}::{
             ノi:/`フ´ _ン‐‐‐く  /   /   ゙‐}
           ,イ:<_::;ィ/ r'´     〈  ,ィ'  / ./
           f::::r‐'´〈 廴_,,,-‐''ー‐‐辷、_,ィ'´ _,ノ
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        V::::::::::;ン'{:::::ヽ::::::::::::::::::::::::::ノ:ヽ
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800Classical名無しさん:08/01/17 19:44 ID:lqR1gHhs
AAが尽きたので、普通に埋め
801Classical名無しさん
500KB突破なら、今年度中に完結!