漫画キャラバトルロワイアル Part8

このエントリーをはてなブックマークに追加
1Classical名無しさん
このスレは漫画キャラバトルロワイアルのスレです。
SSの投下も、ここで行ってください 、支援はばいばい猿があるので多めに

前スレ
漫画キャラバトルロワイアル Part7
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1194366827/
【外部リンク】
漫画キャラバトルロワイアル掲示板(したらば)
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9318/
まとめサイト
http://www32.atwiki.jp/comicroyale
漫画キャラバトルロワイアル毒吐き
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8882/1183133225/l50

・参加者リスト・
1/4 【アカギ】○赤木しげる/●市川/●平山幸雄/●鷲巣巌
1/2 【覚悟のススメ】○葉隠覚悟/●葉隠散
1/3 【仮面ライダーSPRITS】 ●本郷猛/●三影英介/○村雨良
3/4 【からくりサーカス】○加藤鳴海/○才賀エレオノール(しろがね)/○才賀勝/●白金(フェイスレス指令)
3/4 【銀魂】 ○坂田銀時/○神楽/●桂小太郎/○志村新八
3/4 【グラップラー刃牙】○愚地独歩/●花山薫/○範馬刃牙/○範馬勇次郎
4/4 【ジョジョの奇妙な冒険 】○吉良吉影/○空条承太郎/○ジョセフ・ジョースター/○DIO
3/4 【スクライド】●カズマ/○シェリス・アジャーニ/○マーティン・ジグマール/○劉鳳
2/4 【ゼロの使い魔】○キュルケ(略)/●タバサ/●平賀才人/○ルイズ(略)
3/4 【ハヤテのごとく】○綾崎ハヤテ/○桂ヒナギク/○三千院ナギ/●マリア
1/3 【HELLSING】○アーカード/●アレクサンド・アンデルセン/●セラス・ヴィクトリア
3/4 【北斗の拳】○アミバ/○ケンシロウ/●ジャギ/○ラオウ
2/4 【武装錬金】●防人衛/○蝶野攻爵/○津村斗貴子/●武藤カズキ
2/4 【漫画版バトルロワイアル】○川田章吾/●桐山和雄/●杉村弘樹/○三村信史
2/4 【名探偵コナン】 ○江戸川コナン/●灰原哀/○服部平次/●毛利小五郎
3/4 【らき☆すた】○泉こなた/●高良みゆき/○柊かがみ/○柊つかさ
計 37人 / 60人
2Classical名無しさん:07/11/21 22:38 ID:.jGHl7lg
【NGについて】
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
・協議となった場面は協議が終わるまで凍結とする。凍結中はその場面を進行させることはできない。
・どんなに長引いても48時間以内に結論を出す。
『投稿した話を取り消す場合は、派生する話が発生する前に』

NG協議の対象となる基準
1.ストーリーの体をなしていない文章。(あまりにも酷い駄文等)
2.原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている場合。
3.前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている場合(死んだキャラが普通に登場している等)
4.イベントルールに違反してしまっている場合。
5.荒し目的の投稿。
6.時間の進み方が異常。
7.雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)
8.その他、イベントのバランスを崩してしまう可能性のある内容。

上記の基準を満たしていない訴えは門前払いとします。
例.「このキャラがここで死ぬのは理不尽だ」「この後の展開を俺なりに考えていたのに」など
  ストーリーに関係ない細かい部分の揚げ足取りも×

例.「このキャラがここで死ぬのは理不尽だ」「この後の展開を俺なりに考えていたのに」など
  ストーリーに関係ない細かい部分の揚げ足取りも×
3Classical名無しさん:07/11/21 22:39 ID:.jGHl7lg
・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
 ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
 修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
・修正要求ではない批判意見などを元にSSを修正するかどうかは書き手の自由です。
・誤字などは本スレで指摘してかまいませんが、内容議論については「問題議論用スレ」で行いましょう。
・「問題議論用スレ」は毒吐きではありません。議論に際しては、冷静に言葉を選んで客観的な意見を述べましょう。
・内容について本スレで議論する人がいたら、「問題議論用スレ」へ誘導しましょう。
・修正議論を見て修正するかどうかは書き手の自由ですが、原則、書き手は本スレで出された修正案以外には対応する必要はありません。

・展開予想、ネガティブな感想、主観的な意見は「毒吐きスレ」でお願いします。毒は溜め込まずに発散しましょう。
・議論スレと正式に分離したことで毒吐きでの感想は過激化している恐れがあります。見る必要性もないので、書き手は見ないことを推奨します。
4Classical名無しさん:07/11/21 22:40 ID:.jGHl7lg
【能力制限】

◆禁止
・アーカードの零号開放
・武藤カズキのヴィクター化
・吉良吉影の“第三の爆弾バイツァ・ダスト”
・ギャランドゥ(ジグマールのアルター)の自立行動(可否は議論中?)

◆威力制限
・ゼロ勢の魔法
・空条承太郎、DIOの時止め
・スクライドキャラのアルター(発動は問題なし、支給品のアルター化はNG)
・アーカードの吸血鬼としての能力
・仮面ライダーの戦闘能力
・シルバースキンの防御力
・北斗神拳の経絡秘孔の効果
・激戦の再生力、再生条件

◆やや制限?
・グラップラー刃牙勢、北斗の拳勢、仮面ライダー勢、覚悟のススメ勢の肉体的戦闘力
・ジョジョのスタンド(攻撃力が減少、一般人でも視認や接触が可能)
・からくりサーカス勢の解体能力

◆恐らく問題なし
・銀魂キャラ、戦闘経験キャラなどの、「一般人よりは強い」レベルのキャラの肉体的戦闘力

【支給品について】
・動物、使い魔、自動人形などの自立行動が可能な支給品は禁止です。(自立行動を行わないならば意思持ちでも可)
・麻薬、惚れ薬、石仮面などの人格を改変するおそれのある支給品や水の精霊の指輪、アヌビス神などの人格乗っ取り支給品は禁止です。
・核金によって発現する武装錬金は、原作の持ち主の武装錬金に固定されています。
5Classical名無しさん:07/11/21 22:40 ID:.jGHl7lg
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
 勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。詳しくは別項参照。
 「地図」 → MAP-Cのあの図と、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。写真はなし。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム
6Classical名無しさん:07/11/21 22:41 ID:.jGHl7lg
書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
 二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであればしたらばの一時投下スレにうpしてください。
・自信がなかったら先に一時投下スレにうpしてもかまいません。 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
・本スレにUPされてない一時投下スレや没スレの作品は、続きを書かないようにしてください。
・本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
   ただしちょっとした誤字などはwikiに収録されてからの修正が認められています。
   その際はかならずしたらばの修正報告スレに修正点を書き込みましょう。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
 作品を撤回するときは自分でトリップをつけて本スレに書き込み、作品をNGにしましょう。
7Classical名無しさん:07/11/21 22:44 ID:.jGHl7lg
書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
 ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
 改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
 特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
 ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
8Classical名無しさん:07/11/21 22:46 ID:4tqMTjMA
書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)
・経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
 自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
 また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
・キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
・戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
 あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
 それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
・キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、スレには色々な情報があります。
・『展開のための展開』はNG
 キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
・書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
 誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
 一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
 紙に印刷するなど、媒体を変えるのも有効
 携帯からPCに変えるだけでも違います
9Classical名無しさん:07/11/21 22:48 ID:.jGHl7lg
【読み手の心得】
・好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
・好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
・荒らしは透明あぼーん推奨。
・批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
 同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。
・擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
 修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。
・嫌な気分になったら、ドラえもん(クレヨンしんちゃんも可)を見てマターリしてください。
・「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
・「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
 やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
 冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。
・感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
 丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。
・ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。

【議論の時の心得】
・作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
・ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
・議論が紛糾すると、新作や感想があっても投下しづらくなってしまいます。
 意見が纏まらずに議論が長引くようならば、したらばにスレを立ててそちらで話し合って下さい。
・『問題意識の暴走の先にあるものは、自分と相容れない意見を「悪」と決め付け、
  強制的に排除しようとする「狂気」です。気をつけましょう』
・これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。
10Classical名無しさん:07/11/21 22:50 ID:.jGHl7lg
【禁止事項】
・一度死亡が確定したキャラの復活
・大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
 程度によっては雑談スレで審議の対象。
・時間軸を遡った話の投下
 例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
 この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
 こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。
・話の丸投げ
 後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
 特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。

【予約に関してのルール】

・したらばの予約スレにてトリップ付で予約を行います
・初トリップでの予約作品の投下の場合は予約必須(5日)
 ただし、予約せずに投下できなら、別に初トリでもかまわない

・予約時間延長(最大3日)を申請する場合はその旨を雑談スレで報告
・申請する権利を持つのは「過去に3作以上の作品が”採用された”」書き手
・修正期間は審議結果の修正要求から最大三日(ただし、議論による反論も可とする)
・予約時にはトリップ必須です。また、トリップは本人確認の唯一の手段となります。トリップが漏れた場合は本人の責任です。
・予約破棄は、必ず予約スレでも行ってください。

【MAP】
http://www32.atwiki.jp/comicroyale/pages/34.html
http://www32.atwiki.jp/comicroyale/pages/330.html (登場人物の位置あり)
113修正:07/11/21 22:50 ID:4tqMTjMA
・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
 ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
 修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
・修正要求ではない批判意見などを元にSSを修正するかどうかは書き手の自由です。
・誤字などは本スレで指摘してかまいませんが、内容議論については「問題議論用スレ」で行いましょう。
・「問題議論用スレを通さない指摘は無効です。本スレで議論する人がいたら、「問題議論用スレ」へ誘導しましょう。
・「問題議論用スレ」は毒吐きではありません。議論に際しては、冷静に言葉を選んで客観的な意見を述べましょう。
・修正議論を見て修正するかどうかは書き手の自由ですが、原則、書き手は本スレで出された修正案以外には対応する必要はありません。

・展開予想、ネガティブな感想、主観的な意見は「毒吐きスレ」でお願いします。毒は溜め込まずに発散しましょう。
・議論スレと正式に分離したことで毒吐きでの感想は過激化している恐れがあります。見る必要性もないので、書き手は見ないことを推奨します
12 ◆1qmjaShGfE :07/11/21 22:53 ID:jAh0ANSs
心の底から>>1乙と言わざるを得ない
では、投下します
13Classical名無しさん:07/11/21 22:55 ID:1dg0V8Zg
rwsr
14Classical名無しさん:07/11/21 22:55 ID:.jGHl7lg
>>11
あ、まだ修正あったんですか。失礼しました。
銀時はソードサムライXを真横に振るう。
その一撃でラオウを倒せるとは思っていない。
ただ、距離を取らせるのが目的だった。
が、ラオウはそれを左の腕をあげて受け止める。
『どんだけT-800なんだよそのボディ! ネッガーですか!? 市長ですか!?』
そして無造作とも思える動きで右の拳を銀時へと振り下ろす。
『無造作? 隙どころか蟻の這い出る隙間も無ぇじゃねえか!』
銀時はその振るわれた拳が、ありえない程の奇跡的な技術に支えられた拳である事を見抜く。
こんなのに向かって踏み込んだ日には命が幾つあっても足りやしない。
素直に後ろに飛んで距離を取る銀時。
『あっぶね、かわした!』
にも関わらず真後ろに吹っ飛ばされる。
『あんたリアルかめはめ波使いなんて聞いてねえよ! PTSDに訴えっぞ!』
北斗剛掌波は見ているし、PTSDは心的外傷後ストレス障害である。
単に拳から放たれた闘気に吹っ飛ばされただけなのだが、実はこれは幸いであった。
おかげで労せずに大きく距離を取る事が出来た。
すぐにラオウに駆け寄りながら斬り付ける。
今度はラオウも腕で受けたりせずに、左にこれをかわす。
問題は、その動きでラオウの体勢が全く崩れていない事だ。
だが、ラオウの拳の間合いからは数センチ遠い。
銀時は駆け寄った勢いそのままに逆側へと駆け抜ける。
その後ろ髪を僅かにラオウの拳がかすめた。
ラオウの拳の間合いに入らず、剣の間合いのみで戦う。
銀時が選んだ戦術は、辛うじて初撃、二撃目まではうまくいっているようであった。
もちろん長く近接していてはそれも為しえないので、入りと出をうまく使っての戦いとなる。
そして、足を止めたら最後ラオウがそりゃもう地球防衛軍に迫るゴジラ(放射熱線有り)の勢いで襲い掛かってくるので、一時たりとも攻撃の手を止める事は出来ない。
一呼吸の間すらおかず、再度斬りかかる銀時。
左斜め上からの袈裟懸けは、ラオウが右に移動する事でかわされる。
この際、その足捌きのおかげか、ラオウは直立した姿勢のままである。
銀時は半ばまで振り切った剣を反転させ、左のラオウを横一文字に切り裂かんとする。
しかし、何時の間にか振り上げられていたラオウの左足の方が早い。
まるで大砲のようなラオウの蹴りをしゃがんでかわすと、銀時はひらりと一回転しつつ剣を振り回し、大地を支える右足を斬り落とそうと剣を振る。
銀時の剣がラオウの右足を捉える寸前、ラオウの巨体は宙を舞う。
『まずっ!』
空中に居るラオウは、その左足で雨あられと銀時に蹴りを浴びせた。
一撃目、首を捻ってかわす。
二撃目、しゃがんでよけたかったが、既に体勢が低かったのでしかたなく狙われた頭部でなく肩口で受ける。
三撃目、剣で受け止めようとするも、受けた剣ごと弾き飛ばされる。剣は必死に握って離さず。偉いぞ右手、今度マリアさんのおっぱい揉ませてやる。
四撃目、剣を持つ手とは逆の腕で受け、その勢いを利用しつつ同時に両足に力を込めて真後ろに飛ぶ。
五撃目、踏ん張る足場も無い状態での一撃。物凄く痛かった。
六撃目、ゆっくり吹っ飛ばされる余裕もねえのか、ちっとは遠慮しろ。
七撃目、まだ蹴れんのかよ! おかしくね? いやさ、ほら物理とか無視すんのよくなくね?
八撃目、きっくー、きっくー、きっくのおにー♪ え? いやほら歌でも歌ってねえとやってらんねえじゃん。そういう時ってねえ?
九撃目以降、ようやく蹴りの射程から離れてくれた。この野郎、何処のタップダンサーだてめえは、足の裏にスプーン付けてうきうきですか、おめでてーな。

地面に倒れ臥す銀時。
着地したラオウは歩み寄りながら言う。
「立て」
その声に弾かれたように飛び起きる銀時。
「せっかくの死んだフリ無視してんじゃねーよ! こう見えても俺は演技派男優として業界じゃ『全身バイブの銀時』と恐れられ……」50
ラオウの世界にAVは無い。
ツッコミ不在のまま戦いは続く。


銀時のソードサムライXは一度たりともラオウの体をかすらせる事すら無い。
しかし、ラオウもまた致命的な一打を加えられず居た。
銀時が最初に考えた戦術は既にラオウに見切られ、意味を成さない物となった。
ラオウは銀時の振るう剣をかわしながら踏み込み、より深い位置をとってから拳撃を放ってくる。
銀時の体捌き相手にはそれが必要と判断しての事、彼を評価しているといえばそう言えない事も無いが、無論銀時は嬉しくもなんともない。
17Classical名無しさん:07/11/21 22:58 ID:.jGHl7lg
                     
拳の間合いと剣の間合いが時間にすると半々づつ。
銀時も大きく間合いを取る事は無くなった。
戦術を考えていた頃と比べて、その体捌きは既に別物となっている。
速さ、重さ、ラオウの攻撃に対する反応、全てが数ランク上の物となっている。
それでも尚、拳王には及ばない。
遂にその拳を避けそこね体勢を崩し、そしてラオウの突き出した人差し指が銀時の胸部へと迫る。
しかし、狙われている部位は急所から僅かにずれており、それをまたずらすにはそれこそ急所への一撃をラオウに許す事になる。
判断に迷う銀時であったが、そもそもそんな事を、そんな余裕を、ラオウの一撃は銀時に許していなかった。
「がっ!」
くぐもった悲鳴と共に吐血する銀時。
その胸部には、深々とラオウの指が突き刺さっていた。
ラオウがその指を引き抜くと、銀時はその場に両膝をつく。
銀時を見下ろすラオウ。
「秘孔新血愁を突いた。お前はこれより三日後に全身から血を噴出して死ぬ」
苦しそうに胸を押さえる銀時は、しかし減らず口が無くなったわけではない。
「歌舞伎町の母ですかてめーは。なんでいきなり俺の寿命が成人した蝉以下になってんだよ」
酷薄に笑うラオウ。
「その三日の間にこのラオウの恐怖を広めて来い。それが、貴様に残された最後の役目だ」
銀時は、そう言うラオウの目を、顔を見て判断した。こいつは本気だ。本気で、銀時が三日後に死ぬと思っている。
必死の形相で立ち上がる銀時。
「てめえ……」
しかしラオウは最早銀時には興味無いとばかりに立ち去ろうとする。
銀時は叫んだ。
「ふざけんな! だったらてめえ三日で食いきれねえ程のパフェもって来い! そんな今決めましたー的な適当締め切りで死ぬぐらいだったら
俺はパフェ食いすぎて大往生してやる! その上で俺の断末魔の絶叫と死を前にした大量の恨み言を聞いてからきっちり葬儀屋に頼んで式を遂行してくれ! 戒名代けちるんじゃねーぞ!」
珍しく、そうラオウにしては本当に珍しく、既にラオウにとって死人と化した銀時の方を振り返る。
「最後まで掴めん男だな貴様は。まあ好きにしろ、最後の三日をどう過ごすかは貴様の自由だ」
それだけ言って立ち去ろうとするラオウ。
それに追いすがる銀時。
「居やがったな銀髪!」

遠間から聞こえてきた声に、足を止め振り返るラオウ。
その襟首を掴む銀時。相互の身長差から、子供が大人にじゃれついているようにしか見えないが。
「おら逃げてんじゃねえ! さっさとパフェ用意しやがれ! ああ、後ついでに俺を治せ」
声をかけた男は、銀時に加えラオウを見つけると心底嬉しそうな顔をした。
「おおっ! キサマそんな所に居たのか!」
ラオウはその男、範馬勇次郎を睨みつける。
「貴様は……」
「会いたかったぜぇ、全く、散々探させやがって。まさかどこぞに隠れてたんじゃねえだろうな」
銀時はラオウから手を放す。
「うっせえぞてめえ! 太陽の塔みてえな頭しやがって、こっちは取り込み中だってのがわかんねーのか! 邪魔すんじゃねえ!」100
「邪魔は貴様だ」
裏拳一発で吹っ飛ばされる銀時。
『アンタ……ツッコミ出来んじゃん』
ごろごろごろごろ、銀時は転がりながらそんな事を考えていた。
首を鳴らしながら前に出るラオウであったが、勇次郎は片手を前に出す。
「まあ待て。その前にそこの銀髪に戦いの邪魔された礼をしてからだ。何、すぐ済むからよ」
起き上がった銀時は、ゆっくりと自分を指差す。
「俺? なんで?」
「貴様だろう、さっき俺の戦いを邪魔しやがったのは」
ラオウは虫けらでも見るかな目で銀時を見た。
「下らん事をするのだな貴様は」
「ちょ、ちょっと待とうよ! 俺何もしてねえし! つーかたった今まで勝負してた俺よりぽっと出のキン肉マン二世、キン肉まんたろう信じるってお前それどうよ!? あれか? やっぱり肉繋がりか? 筋肉は筋肉を知るってか!?」
銀時の言葉を聞いているのかいないのか、ラオウは両腕を組んで勇次郎に言う。
「奴は既に死人だが、そうしたいのなら好きにしろ」
「死人? ……まあなんでもいいさ。さあやろうぜ銀髪!」
今にも飛び込んできそうな勇次郎。
それを前に、銀時は物憂げな顔になる。
「実はさ、俺……三日後にチンコが爆発して死ぬ病気にかかってんだ。だからさ、君の気持ちには応えられないんだ、ごめん。何、君ならすぐに良い相手が見つかるさきっと」
一足飛びに飛び掛って来た勇次郎の拳を、辛うじて剣で受ける銀時。
剣を持つ両腕、それを支える両足全てが余りの衝撃に痺れる。
「ど、どいつもこいつも少しは人の話信じろっての」
銀時の言葉を遮るように放たれた勇次郎の前蹴りを、銀時は左に身をよじってかわす。
その勢いで剣に押し当てられた拳をそらし、捻った体の反動を使って剣を勇次郎に振るう。
縦、横、右斜め上、左下、再度横、銀時の五連撃を勇次郎は、銀時にとって必殺の間合いに居ながらにしてかわす。
これを永劫に続けられれば、少なくともその間ぐらいは勇次郎の反撃を受ける可能性も低かったろう。
しかしいくら銀時とはいえ、それを、勇次郎の反撃を封じる程の攻撃を、いつまでも放てるわけはなかった。
僅かに甘くなった六撃目に合わせて勇次郎の回し蹴りが放たれる。
それをガードした左腕ごと胴にもらった銀時は、数メートル先まで吹っ飛ばされた。
銀時は空中で剣を口にくわえ、後ろに半回転すると空いた右腕で地面に手をつき、そのまま更に半回転。
両足を力強く大地につけると吹っ飛ぶ勢いを足で止め、臨戦態勢で立ち上がる。
勇次郎はそこで攻撃の手を止める。
「銀髪、キサマのその胸の穴はなんだ? その位置、深さなら結構な血が噴出してるはずだが」
攻防のやりとりの中で、そんなものを見ていたらしい。
数多の戦闘をくぐりぬけて来た範馬勇次郎、その彼が見たその傷は、確実な出血を伴うものであるはずだった。
銀時は恨みがましい目でラオウを見る。
「そいつはそこのペヤング四角い顔に聞いてくれ。俺にもわけがわからねえ」
ラオウは脅すでもなく誇るでもなく、淡々と告げる。
「経絡秘孔の一つを突いた跡だ。その男は三日後に死する定めにある」
「ほう」
すると、勇次郎は銀時も気付かない内に彼の懐に踏み込んだ。
「なっ!?」
驚く銀時を無視し、勇次郎は感心したようにその穴を覗き込む。
「こいつはすげぇ、経穴にしたってそこまで具体的な効果は望めねえはず。大した技術だな」
更に、コケにするかのようにせせら笑った。
「ま、闘い向きの技じゃねえがな。お医者さんごっこがしたきゃ、他所でやれよ」
勇次郎の興味、殺気は既に銀時には向けられていない。
それを察した銀時は恐る恐る問いかけた。
「あー、俺、もう行っていい?」
勇次郎は手をひらひらと振る。
「死人ってなそういう意味か。俺も死人にゃ興味ねえよ」150
腹の前で拳を握ってガッツポーズな銀時。
「よっしゃ! 俺無事! 俺無傷! 神様ありがとう!」
あっと言う間にその場を走り去る。
「んじゃー筋肉同士勝手にケンカしててくれー。もう二度と俺の前に現れるんじゃねーぞー」
すったかたーと上機嫌で居なくなってしまった。
二人の視界から外れて少しすると「……無傷でも無事でもねえじゃん俺」と三日後死亡の事と、ラオウにフルボッコにされた我が身を思い出して愕然とその場に跪くのだが、それは置いておく。


ラオウの視線が鋭さを増す。
「我が北斗神拳をごっこと抜かしたか?」
勇次郎はコケにするような口調を改めない。
「児戯に等しい。そう言ったんだ、理解できなかったかいボウヤ?」
両手を下ろした体勢のまま、勇次郎に歩み寄るラオウ。
「この拳王を愚弄した報い、その身で受けい!」
右の拳に闘気を纏い、全力でそれを振り下ろす。
その拳に合わせ、自らの左の拳を振るう勇次郎。
先ほど勇次郎が花山に対した時と同じ手を狙ったのだが、ラオウの拳の鋭さは花山の比ではなかった。
タイミングを外す、打撃点をずらすなどという芸当も出来ず、真正面からぶつけあう事になる。
勇次郎の左腕に痺れるような振動が響き、弾かれるように二人は距離を取る。
「我が拳を拳で止めるか。だが、闘気の扱いが不十分だな」
ラオウは今の一撃で何ら損傷を受けていないようだ。
その事実とこの見下したような言い方で、勇次郎は完全にキレた。
「キサマッ!!」
真正面からの乱打戦を挑む勇次郎。
右拳、弾かれる。左拳、受けられる。右回し蹴り、受けられる。左拳、止められる。
同時にラオウからの反撃も飛ぶ。
左拳、かわす。左前蹴り、受け流す。右手刀、かわす。
二人の回転はどんどん上がっていく。
双方共、どこまで付いてこられるか試しているのだ。
そしてそれは、時期に双方にとっての限界領域にまで上がっていく。
22Classical名無しさん:07/11/21 23:04 ID:.jGHl7lg
                                
勇次郎の右腕上部から鮮血が舞う。
ラオウのわき腹に赤黒い染みが刻まれる。
ある一定の速度を越えた頃から、双方に命中打が目立ってくる。
もちろん致命打ではないが、少しづつ、少しづつその量が増えてくる。
しかし、どちらも引かない。
打撃を行うに最適の間合いに立ち止まり、そこから一歩たりとも引こうとしない。
獣じみた蛮勇を振るう勇次郎。
その未来予知レベルの反射能力で致命打を避ける。
荒れ狂う暴風のように拳を唸らせるラオウ。
1800年に及び積み重ねられた術理に基づく捌きは、人の身でこれを突破し得るのは不可能かと思える程だ。
拳を交えながら、ラオウは確信する。
こいつは、必ず殺さねばならない相手だと。
勇次郎はかつて無い程の殺意を覚えた。
絶対にこいつは殺す。この男、これ以上この世に存在させてはおけぬと。
それぞれの歩む道、その先に必ずや立ちはだかるであろう敵。
ラオウにここまで敵を意識させた相手は数える程しか居ない。
しかしこの野人のような男は、今までラオウの耳に入る事すら無かったこの男は、この戦いで彼らと同格の敵としてラオウの意識に刷り込まれた。

勇次郎が歩んで来た人生において、ここまで底の知れない男と出会った事は無かった。
自ら最強を自負して止まず、飛び出した世界、その何処にも、この男に匹敵する相手は居なかった。200
獣も試した、武器も試した、兵器すら相手にした。
しかし、単体でここまでの武力を誇るものには巡りあえなかった。
しかも、この男は自らと同じく、拳のみにて戦う闘士。
断じてその存在を許すわけにはいかない。
勇次郎はあらん限りの力を込め、この男を殴り、蹴り続けた。
しかし、この男に有効打を打ち込む事は出来ない。
もっと速く、もっと強く。
知らず、勇次郎の背中に鬼の面が浮き上がる。
一発、いいだろう、一発はもらってやる。
上半身を捩れさせ、全身の力を溜める。
予想通り背中に一発もらう、まさに剛の拳と呼ぶに相応しい一撃であった。
だが、それは勇次郎の鍛え抜かれた肉体を破壊し尽くすまでには至らなかった。
24Classical名無しさん:07/11/21 23:06 ID:.jGHl7lg
               
25Classical名無しさん:07/11/21 23:07 ID:cHxoXsXs
支援
26Classical名無しさん:07/11/21 23:08 ID:j4aYi9TA
    
27Classical名無しさん:07/11/21 23:08 ID:1dg0V8Zg
test
28Classical名無しさん:07/11/21 23:08 ID:.jGHl7lg
                                          
次の瞬間、ラオウの視界から勇次郎の腕が消えうせる。
勇次郎の闘気は、右の拳を放つと宣言している。
にも関わらず、その軌道が読めない、見えない、捉えられない。
来るとわかっている拳を捉えきれないのは、ラオウにとって初めての経験であった。
その動きに気付いた時には、既に左胸に勇次郎の拳が叩きつけられていた。
拳王の肉体すら粉砕する圧倒的な破壊力。
身に纏った闘気をものともしないその衝撃は、容易くラオウの心の臓を貫いた。
その一撃で、完全に動きが止まるラオウ。
勇次郎がその隙を見逃すはずもない。
両腕を振るい、その豪腕にて全てを引き裂かんと襲い掛かる。
そんな勇次郎の、胴体ど真ん中に、ラオウの渾身の前蹴りが叩き込まれた。
北斗無想陰殺、視界によらず、相手の殺気に反応して放たれる無意識無想の拳である。
勇次郎の反射能力を持ってしてもかわしきれなかった一撃は、彼を大きく後ろへと跳ね飛ばす。
空中で体勢を直し、両足から綺麗に着地する勇次郎。
そこで、我慢しきれなかったのか大量の血を吐き出しながら片膝をつく。
対するラオウは、半ば白目を剥いたまま虚ろな表情で天を見つめていたが、すぐに自らを取り戻し勇次郎をその視界に収める。
震える足を叱咤しながら、立ち上がる勇次郎。
未だ落ち着かない心臓の鼓動に体を震わせながらも勇次郎を睨みつけるラオウ。
「貴様は何だ。我が覇道を阻止すべく天が遣わした獣か」
勇次郎もラオウ同様、ラオウを睨みつけたままだ。
「フン、キサマこそ何者だ。世界中の強者と呼ばれる奴は一通り知っているが、お前のような奴が居るなぞと聞いた事すら無い」
ラオウは自らの眼前で拳を握りしめる。
「我が名はラオウ。世紀末の覇者、拳王ラオウなり」
ラオウの名乗りに勇次郎は高笑いで応える。
「ハーッハッハッハ! 聞いてて嬉しくなるような大風呂敷を広げてくれるじゃねえか! いいだろう教えてやる、俺の名は範馬勇次郎ッ!」
わざわざ息子を育てるまでも無い。世界は広く、まだこのような男を勇次郎に残していてくれたのだ。
わざとらしく後ろ足でとんとんと地面を叩く勇次郎。
「ラオウよ、お前に言っておく」
大地に足を踏み降ろし、ラオウを鬼の形相で睨む。

「俺はッ! キサマの存在がッ! 心の底から気に喰わんッッッ!!」
30Classical名無しさん:07/11/21 23:09 ID:1dg0V8Zg
testestesteada
力の限り咆えると、今度はしわだらけの顔になって笑う。
「だが、俺はお前が居てくれたこの世界に心から感謝したい」
湧き上がる歓喜を堪えきれない。
「よくぞ鍛え上げたッ! 良くぞ磨き上げたッ!……この俺に倒される為にッッ! この俺を満足させる為にッッ!」
そんな勇次郎の様子を見たラオウは頷いた。250
「なるほど、やはり貴様はこのラオウを止めるべく天が遣わした獣だ。そうか、天はこのラオウが至る事を良しとせぬか。それもまた良かろう」
語る時間は終わりだとばかりにラオウは歩を進める。

「天への障害はそれが天自身だとてこの拳で打ち砕いてくれるわ!」

豪腕を振り上げ、勇次郎へと襲い掛かった。



『   〜〜 名も無き戦闘員による報告書 〜〜


ラオウと範馬勇次郎、どちらも豪腕無双、堅牢無比の肉体を持つとあっては、その闘いはまさに古より伝わる矛盾の説話そのもの。
だが、この場に於いて、それを明確に予測しておく必要性を認識した為、両者戦闘の場合をシミュレートしてみたいと思う。
まず、両者の差を明確にしたい。
それぞれの肉体は、北斗神拳を用い肉体の持つ本来の力を出し切る事により、また狂気の沙汰としか思えぬ鍛錬により、その強度を持つに至った。
というかこいつら、首輪が爆発しても平然としているのではなかろうか?
いずれにしてもそれぞれの世界において、それは人間の持ちうる最高強度を誇ると言ってよい。
ならばその拳はどうか?
後背の筋肉が打撃に特化した形状をしている勇次郎。その鍛え抜かれた肉体と相まってそれは人類の持ちうる最も強力な拳と化している。
そんな筋肉で殴ったら風圧だけですら拳の骨が砕けるだろとも思うのだが、どうやら拳も鍛えてある模様。
骨を鍛えるとか、絶対におかしい。私は彼を人間と認めるのに非常な努力を要する。
対するラオウは、転龍呼吸法含め肉体全体としては確かに強力であるが、勇次郎のように打撃に特化し、肉体を改造するまでには至っていない。
磨きぬかれたその肉体自体に差が無いと仮定した場合、ここは勇次郎に一歩譲る点であろう。
しかし、ここでラオウの身につけた北斗神拳というファクターが出てくる。
32Classical名無しさん:07/11/21 23:10 ID:.jGHl7lg
やっぱカッコいいなこいつら。支援
33Classical名無しさん:07/11/21 23:10 ID:1dg0V8Zg
testesatea teastas teaste tesate
34Classical名無しさん:07/11/21 23:11 ID:1dg0V8Zg
ta aeadta fartadfa atwrfasgqwrga saafgasr asdfag agasgaf asafas gsagfa
35Classical名無しさん:07/11/21 23:11 ID:.jGHl7lg
                       
36Classical名無しさん:07/11/21 23:11 ID:cHxoXsXs
俺のIDが支援
パンチを放つ。これはその身につけた流派によって威力、精度、速度に差が出てくるのは周知の事と思う。
ならば、拳にて人を殺す、その点において1800年の間無敗を誇った北斗神拳の伝えるパンチが、威力、精度、速度において他と比較しえない程の優位性を持つ事は想像に難くない。
間違いなく秘孔なぞ必要無いと思われる。医者としての人生を歩もうとしたトキ氏のみ、その適正を理解していたと私は彼の行動を支持する。
さて、今まで挙げた点だけ考えると、拳においても勇次郎よりもラオウにこそ打撃力の優位性があると見える。
ここで一つ別の視点から見てみよう。
ラオウはその半生を修行に費やした。
それは北斗神拳という究極と言って差し支えない程の拳法を学ぶ為必要であったのだが、ラオウはこれと並行して自らの肉体を鍛える事も怠らなかった。
実弟であるトキの柔の拳をラオウは恐れたと聞くが、それは実の弟への遠慮がそうさせているのでは、と邪推してしまう程、彼の肉体も拳法も完成されていた。
対する勇次郎であるが、彼は特に決まった拳法を学んだという記録は無い。
絶えず実戦に身を置く事で、その身に戦う方法を刻みつけたという。
その方法論だけ見ると、正直極めて非効率的と言わざるを得ない。
だが、その相手が兵器を所持しているとなると話は変わってくる。
勇次郎がその身を置き続けた戦場では、無論勇次郎が素手だからと敵も素手になぞなってはくれない。
ラオウの居た時代にはありえない銃器の数々が彼を襲った事だろう。
しかし、それらと闘い続け、今の彼を自ら作り上げたのだ。
敵を殴った回数において、ラオウは大きく勇次郎に水をあけられていると思われる。
そこまで強さに拘る理由は私には理解不能だが、彼の周囲の人間を見ているとそんな彼の行動も不自然と思えなくなってくるから不思議だ。
きっとあの世界は筋肉の質と量で全てが決まるのだろう。文明をコケにするにも程がある。
そうやって育てあげた勇次郎の肉体と、ラオウが拳法修行の傍らに行った肉体修行と、これを比較すると確実に勇次郎に軍配があがる。
何より勇次郎はこのおかげ(生来の物なぞと私は断じて認めない)で肉体と僅かな道具のみを頼りとしていた石器時代の人類ですら到達しえない程の高い反射能力と運動神経を得ている。
38Classical名無しさん:07/11/21 23:12 ID:1dg0V8Zg
>>36
suge-
39Classical名無しさん:07/11/21 23:13 ID:.jGHl7lg
                                
40Classical名無しさん:07/11/21 23:13 ID:j4aYi9TA
        
41Classical名無しさん:07/11/21 23:14 ID:1dg0V8Zg
x x x x
 x x
超一流の格闘家の拳に対し、空中を半回転しながらのカウンターを行うという時点で既に承太郎氏のスタンドに匹敵すると思われるのだが、
そんなカウンターに対してカウンターを返すなぞ、それこそ未来を読めたとしても実現不可能な芸当である。
これはラオウには無いものだ。この一点のみをとってもその基本的スペックにおいてラオウは勇次郎には及ばない。
無論ラオウは転龍呼吸法にて、その潜在能力を100%引き出しているだろうが、それを含めても、勇次郎の優位性は動かないであろう。
勇次郎の肉体は人間の潜在能力云々で説明出来る類のものではないからだ。
人間に未だ活かせぬ潜在能力がある事は認めるが、それを全て開放したら勇次郎になれると言われても私は納得出来ない。
ちなみにこの転龍呼吸法、これを用いれば長期にわたって食事を取らなくても肉体的な衰えがほとんどないとされる。
新陳代謝とか質量保存の法則とかエネルギー保存の法則が見えなくなる呼吸法らしい。う〜ん、殺したい。
そして、問題の北斗神拳である。
先ほどパンチのみを話題に出したが、この拳法の排他性は特筆に価する。
まずこれを極めるには血統による素質の有無が重要となってくる。
現にジャギはここで弾かれている。
そしてその素質に於いて、ラオウ、トキ、カイオウの三人は横並び(諸説あるが、ここでは言及しない)その上にケンシロウが居るという。
このケンシロウは1800年の歴史の中で最強と謳われた霞拳志郎に匹敵するといわれる規格外品なので除外すると、歴代でも稀に見る逸材との事。
余談だが、勇次郎も素質といった点では、生まれた瞬間世界中の強さランキングを一つ下げたと言われ程の素質の持ち主である。
それがその時代の間だけの話というのなら、ラオウと比べるべくもないが、生まれた瞬間にそのような事があったという事例はあの世界では私は勇次郎以外に知らない。
そういった意味では、二人に素質的な差があると私は考えていない。
北斗神拳は貴重な資質を必要とした挙句、一子相伝なのである。それを1800年。どこぞの皇室が見たら「ありえるかボケ!」とそれだけで激怒しそうである。
そんな北斗神拳自体の強さだが、これは同時代に南斗に代表される他流派拳法がその高い実用性に支持されて大流行していながらも最強を名乗り続けられた事から、勇次郎の世界のそれとは比較にならない完成度があると考えてよい。
勇次郎も数多の格闘技をその身に修めているとされるが、私が問題視しないのはそのせいである。
拳法の強さを比較する場合、その奥義のみに目が行ってしまいがちになるが、あくまで奥義は手段の一つと私は考える。
もちろん、北斗神拳の擁する奥義の数々はそれだけで相手に何もさせずに倒せるような物も多いのだが、
そもそもの地力の強さは、その拳法が如何に早く、強く敵を打てるか、そして如何に敵の攻撃を捌くか、に集約されると思う。
その為の手段を転龍呼吸法のみに頼っているというのでは、北斗神拳1800年の歴史が泣こう。
表立った見え方はしないが、これもまた究極の拳法と呼ぶに相応しい技術体系を築いていると私は推察する。
そして、更にこの拳法を凶悪なものとする要因に、闘気というものがある。
攻防共に利用出来、それによる遠距離攻撃すら可能というのだから最早何も言う気は起きない。
呪文を唱える分、まだルイズ女史の……失礼、キュルケ女史やタバサ女史の魔法の方が理解出来るというものだ。
ここまで語れば両者の差異は見えてくると思う。
その基礎能力(転龍呼吸法含む)に於いては範馬勇次郎に分があり、技術的な面に於いてはラオウの持つ北斗神拳と闘気が勝る。
どちらも単純に分類するならパワーファイターに属する二人だが、こうして各々の歴史を紐解いてみると、まるでそうでない事がわかる。
範馬勇次郎は、その反射能力と運動神経含む人類の持つ潜在能力すら超えた肉体、拳を振るう事に特化した後背部。
ラオウは、転龍呼吸法と自身の鍛錬による強靭な肉体、北斗神拳の一言に集約される攻防の技術に闘気と奥義。
以上が二者の相違点であると私は考える。


   PS ガモン様へ 申し訳ありません、そろそろ見張り交代の時間なので続きは他の者にお願いします
      いえ、別に結論が出ないとか、引き分けじゃマズイかなとか、そんなんじゃないです。ええ、本当に  』
「おーしやれーそこだー。いけ! めがとんぱーんち」
ラオウと勇次郎の戦いの場から離れる事五十メートル程。
そこで銀時は体育座りで二人の戦いを観戦していた。
この謎の呪いを解けそうなのはラオウのみ。
なら、あの男から離れる事は出来ない。そう思ってこの場に戻ってきたのだ。
「……足止めに来た俺が足止めされてどーするよと」
ラオウが負けたら全ては終わり。
だからといってあの戦いに割って入る事も出来ないので、こうして応援しているのだ。
「お、そこだ! ふれーふれーら・お・う♪」
服の袖で目の辺りをこする。
「ぐすっ……べ、別に俺寂しいわけじゃないから、全然相手にされなくても、一人でも平気だし。マジでマジで、寂しくて泣いてるとかありえねーから」
ツッコミも無し。二人は戦いに夢中だ。
「でもさ、少しぐらい声援に応えるとかさ、あるじゃん。いや、マジで俺寂しくないよ。でもさ、そういう心配り一つで色んな物が違ってくるわけじゃん」
いくらいじけても、とことんノーリアクションなので銀時は少し真顔になる事にした。
「さて、どうしたもんかね〜」
連中が逃げる時間稼ぎとしての役割は既に果たした。
後は自分の身の振り方である。
ラオウと勇次郎に蹴飛ばされた全身は、ここに来て泣きたくなるぐらい痛くなってきている。
寝ぼけた真似をしながらも、銀時はラオウと勇次郎の二人の闘いを見ていた。
戦闘スタイルにこそ若干の違いはあれど、基本的スタンスはとても似通っている二人。
どちらも最強を自負し、それを脅かすものの存在を決して許さない。
そしてこの二人の戦いを見ていた銀時は、そこからあるものを感じ取っていた。
それは二人と戦ったせいで蘇ってきた感覚、万屋に居た時からは考えれない程鋭敏になっている己の知覚のおかげで感じたものだ。
見過ごすには、あまりに大きすぎる。
「あんなのに関わった日にゃ、命が幾つあっても足りないんだがねぇ」
ラオウの振るう拳に、勇次郎も同じく拳で迎え撃つ。
おおよそ拳をぶつけあったものとは思えない、金属でも弾いたような音と、お互いの威力から溢れた衝撃波が周囲の雑草を激しく揺らす。
「うぬに真の北斗神拳を見せてやろう!」
先ほどと同じように乱打戦となるが、ラオウが狙うはただ一点。
ラオウの突きをかわす勇次郎、だが、北斗の動きが勇次郎を惑わし、急所でないと打撃を許してしまう。
その一点こそがラオウの狙いと知らずに。
「終わりだ勇次郎! 北斗残悔積歩拳!」
深々と勇次郎に突き刺さった指を抜く。
「終わり? 何をぬかす……ぬおっ!?」
勇次郎の足が、彼の意思に反して後ろへと後退していく。
「バカなっ!? この俺が後退だとッッ!」
すぐに勇次郎は先ほどの経穴の一種と察し、突き刺された部位に力を込め経穴を封じにかかる。
そんな勇次郎を鼻で笑うラオウ。
「無駄だ。心配はいらん、自ら引く屈辱も後数歩で終わる」
羅刹の表情となって叫ぶ勇次郎。
「このッ! 俺がッ! 敵を前に後退だとッッ!! 断じて認めんッッッ!!」
勇次郎の雄たけびに応えるかのように、ラオウが刺した部位が盛り上がり、その歩みが止まる。
ありえない出来事にラオウの顔が驚愕に歪む。
「バカなっ!? このラオウの秘孔を破ったというのか! ありえぬ! そのような……」
そこでラオウはここに来てから、自らの動きが鈍い事を思い出す。
『このラオウの秘孔が、このような力任せの野人に破られるなぞありえぬ。ならば、我が動き同様の事が秘孔にも起きていると?』
とても納得しがたい推測であったが、自分が全力で打った秘孔がこんな手段で破られたという事に比べれば、まだマシな推理であった。
憤怒の表情を見せるラオウ。
そしてそれは無理矢理後退させられた勇次郎も同じであった。
「八つ裂きでも飽き足らんぞラオウッ!!」
「ほざけ! ならばその肉体を粉々に砕いてやるまでよ!」
勇次郎のラッシュを何時までも受け続けるのは、このラオウを持ってしても厳しい。
後ろに下がり、距離がある間にラオウはカタをつける事にした。
闘気を操る術を持たない勇次郎ならば、これを受ければひとたまりもないはずである。
「北斗神拳の恐怖、その身に刻め勇次郎! 北斗剛掌波!」
46Classical名無しさん:07/11/21 23:16 ID:1dg0V8Zg
xws wwwssx
ラオウが前にかざした右腕より、闘気の奔流が迸る。
正に不意打ち。
拳も蹴りも届かない位置に居ながらにして放たれたその衝撃波は、勇次郎を更に後方にあった病院を囲む壁にまで吹き飛ばした。
壁面に叩きつけられ、その壁を粉々に砕きながらも、勇次郎はその場に立っている。
しかし、その衝撃のせいか視線が覚束ない。
そこに空中に飛び上がったラオウの蹴りが襲い掛かる。
「おおおおおっ!!」
銀時の時のような無数の蹴りが勇次郎に襲いかかる。
その全てを、勇次郎は朦朧とする意識のまま両の腕で受けきる。
が、やはり全ての衝撃を吸収しきる事なぞ出来ず、更に奥、病院の壁に叩きつけられ、今度はその壁をも突き抜けて内部に蹴りこまれた。
ラオウは悠然とその突き破った壁を抜け病院内部へと侵入する。
トドメを刺さんと室内の勇次郎を探すが、当の勇次郎は、室内に入り込んだラオウの真上に居た。
「邪ァッッ!!」
張り付いていた天井から飛び降りざまにラオウを蹴り飛ばす。
虚を突かれたラオウは顔面にまともにもらい、室内の壁をぶち破って隣室へと叩き込まれる。
壁に空いた穴から飛び込み、ラオウに追撃の拳を喰らわさんとする勇次郎。
ラオウは飛び込んできた勇次郎に対し、右手を開いてその手の平で勇次郎の拳を止める。
「ぐぬうっ!」
「ぬあァッ!」
どちらも一歩も引かず、その位置での力比べとなる。
だが、ここでもラオウの北斗神拳が膠着状態を打ち砕く。
ゆっくりと左腕を前に掲げ、ここまで練りに練った闘気を解き放つ。
それは先ほどの北斗剛掌波とは比べ物にならない程の闘気。
勇次郎諸共、隣室とを分つ壁全てを吹き飛ばし、奥の部屋全ての物をバラバラに砕く。
その衝撃は衰える事を知らず、隣室の天井、更に奥の部屋とを分つ壁に大きくヒビが入り、轟音と共に崩れ落ちる。
煙が湧き上がり、ロクに見えない隣室に向かい、ラオウは昂然と言い放った。
「北斗神拳奥義、天将奔烈。このラオウ無敵の拳よ」
ゆっくりと煙が晴れる。
勇次郎は、隣室の中心で両足を踏ん張り、両腕で顔面を庇いながら、その場に立っていた。
頭の上に乗っかった崩れ落ちた瓦礫を払いながら、ラオウに言う。
「……闘気と言ったな。まさかこいつがここまでの威力を出し得る物だとはよ」
48Classical名無しさん:07/11/21 23:17 ID:cHxoXsXs
支援
49Classical名無しさん:07/11/21 23:18 ID:Uegl4Zsc
支援
50Classical名無しさん:07/11/21 23:18 ID:.jGHl7lg
                        
51Classical名無しさん:07/11/21 23:18 ID:1dg0V8Zg
teste teste testea a
無事、とは言えないだろうが、勇次郎はまだ健在である。
それを見てラオウは一つ結論づけた事がある。
「なるほど、未熟とはいえうぬも闘気を操る術を心得ているか。しかしあくまで我が技を軽減する程度。北斗の技には程遠いわ」
別に勇次郎は闘気をそれと意識して操っているわけではないが、その天賦の才と修羅のごとき戦いの日々が自然とそれを身につけさせていたのだ。もちろん、それと認識して身につけたラオウとは比べるべくもないが。
その未熟な技術でラオウの天将奔烈をまともに受けたのだ。
今こそ勝機とラオウは勇次郎に向け踏み込む。
だが、それと同時に勇次郎もラオウに向かい踏み込んでいた。
ラオウはこの短い時間で勇次郎の人となりをある程度掴んでいたつもりだったが、その程の強さまでは把握していなかった。
予想ではその場にて迎え撃つと踏んでいたのだが、それを外されたラオウはすぐさま前傾姿勢の勇次郎に拳を振り下ろす。
勇次郎は更に低く踏み込む事でこれをかわし、ラオウの眼前でフリーの体勢を得た。
「邪アアアアァッッ!!」
左ボディがまともに入ったため動きが鈍ったラオウに、残る右ストレート、左足のロー、右肘、左ハイキックを叩き込む。
計5発、ラオウの鋼の肉体を持ってしてもこれにはその相貌を歪めずにはいられない。
「ヌンッ!!」
そして顎を真上に蹴り上げる。
ラオウの体は直上へと跳ね飛び、コンクリートの天井に突き刺さった。
その恐るべき勇次郎の蹴りの勢いは、ラオウの上半身までを完全にコンクリートの中に埋めていた。
完全に視界を失ったラオウに、勇次郎は飛び蹴りを放つ。
狙うは金的、しかしラオウはこれをその視界によらず察し、片足を上げて受け止める。
委細構わず蹴りぬく勇次郎。ラオウの体はそのまま上の階へとぶち抜けて行った。
勇次郎は一度床に着地すると、自らも跳躍して一足で二階へと飛び上がる。
そこで、ラオウは既に両腕を構えた状態で待ち構えていた。
「うぬは正に獣よ。だが、そのような野人にこのラオウは倒せぬわ」
そう言うラオウを勇次郎はせせら笑う。
「北斗だかなんだか知らんが、そんなもの俺には必要無い。貴様らのような弱者がそいつを肴に戯れていればいい」
53Classical名無しさん:07/11/21 23:19 ID:j4aYi9TA
       
54Classical名無しさん:07/11/21 23:19 ID:aSeDJcUs

55Classical名無しさん:07/11/21 23:19 ID:.jGHl7lg
                               
勇次郎の挑発に激昂するかと思われたラオウだったが、意外にも笑いで応えた。
「フッ、野人らしい答えだ。成る程、その傲慢さが貴様を支えているというのであれば構わぬ、そのままかかって来るが良い」
どちらも既に常人ならば満身創痍と言っていいほどの傷を負っている。
打撃傷が主なので、見た目にはわかりずらいが、彼らの攻撃はお互いを確実に蝕んでいるのだ。
しかし、双方ともそれをおくびにも出さない。
勇次郎がラオウにつっかける。
それを、ラオウは北斗の技で迎え撃つ。
振るわれる勇次郎の拳がラオウを捉えるも、あっさりと空を切る。
ほんの瞬きの間にラオウがその位置を変えたのだ。勇次郎が貫いたのはその残影のみ。
そしてラオウから拳が放たれる。
勇次郎の死角から放たれた拳でありながら、勇次郎はそれを知覚した瞬間に身をよじりかわす。
そしてラオウの居る位置に今度は蹴りと突きの連撃を放つ。
しかし、既にラオウはその位置から移動を済ませ、勇次郎の死角へと回り込む。
これぞ北斗神拳奥義七星点心、北斗七星の示す敵の死角を移動しながら戦う技だ。
おおよそまともな拳法家では対処しようの無い拳であるが、勇次郎はそれに真っ向から立ち向かった。
死角だろうとなんだろうと、かわすラオウよりも早く拳を叩き込めばよい。
しかし、ラオウはそんな勇次郎の動きを読んでいた。
次なる死角から放たれた攻撃、勇次郎はこれを拳が風切る音で判別してかわしていたのだが、これが今回は複数であるようだ。
全てをかわすは不可能。ならばとそちらに向き直りながら両腕で受けに回る。
そんな勇次郎の構えた腕を擦りぬけて、ラオウの拳が勇次郎の顎にまともに入った。
北斗残影蠍拳、残像による速さで敵の虚を突きながら、思わぬ角度から突きの連打を繰り出す技だ。
一撃入れば、いかな勇次郎とて僅かに動きが止まる。何故ならその一撃は拳王ラオウの一撃であるからだ。
すぐに無数の拳を繋げる。
勇次郎の体に無数の拳が刻まれるも、ラオウはそれを止めようとしない。
まるで隙の無い連撃を飽くことなく撃ち続けるラオウ。
そう、ラオウは攻撃こそがその本分なのだ。
その攻撃に壁まで追い詰められる勇次郎。
全てをもらっている訳ではない、もちろん勇次郎もかわし、受けているが、それでもラオウの攻撃を止める事は出来ない。
57Classical名無しさん:07/11/21 23:20 ID:1dg0V8Zg
支援支援
真後ろの壁に亀裂が走り、中を通っている鉄骨が見えるもラオウの連撃は留まることを知らず。
遂に壁が砕け、鉄骨が引き千切れ、勇次郎の体が大きく後ろに殴り飛ばされた所でラオウはその手を止める。
否、ラオウは更に勇次郎を粉砕せんと奥に踏み込み、拳を振り上げる。
それをかわしながら、勇次郎はカウンターの右ストレートをラオウに打ち込んだ。
狙った顎ではなく、頬を打ったのはラオウがそれを外させたからであるが、にしても強烈な一撃である。
その巨体が僅かに傾く。
勇次郎はそんなラオウに、まるで今まで打たれたのがまるで効いていないかのように反撃を開始した。
拳、蹴り、肘、膝、ありとあらゆる部位を用いてラオウに攻撃を叩き込む。
飛び膝蹴りからの頭突きでラオウは大きく後ろに仰け反るが、それを両足の力だけで踏み止まる。
勇次郎の胴中央に向けて放たれる反撃の拳。
しかし、それをまるで事前から知っていたかのような速度で叩き落とす。
勇次郎の攻撃は前面からに留まらない。
ラオウの反撃を右に左にかわしながら、ラオウを側面と言わず背面と言わずありとあらゆる方角から攻め、その全身に勇次郎の打撃を打ち込んだ。
そう、勇次郎も攻撃こそがその本分なのである。
しかし、その攻撃を突然中止して大きくラオウから距離を取る勇次郎。
ラオウは放ちかけた北斗剛掌波を出し損ねる。
全身に打ち込まれた拳の痕が、ラオウの動きを蝕む。
しかし尚その構えに乱れは見られない。
勇次郎も常に無い程の疲労が溜まっていた。
自らと同格の相手との死闘なぞ、ついぞ記憶に無い。
ましてや、そんな相手に無数の拳を、奥義を叩き込まれているのだ。
それでも、勇次郎は止まらない。
ラオウは、しかしそんな勇次郎を理解出来ないわけではなかった。
自らと同じくひたすらに自身の拳のみを頼りとし、全てを捻じ伏せんと欲するその姿勢。
そんな勇次郎を黙らせるには、ただその体全てを破壊する以外に無い。
ならばと構えを変えるラオウ。
その構えは一定の位置にその手を固定せず、静かに、流れるように動き続ける。
その動きで勇次郎は何かを察したらしく、その相貌を険しくする。
59Classical名無しさん:07/11/21 23:20 ID:cHxoXsXs
絶頂支援
60Classical名無しさん:07/11/21 23:20 ID:.jGHl7lg
             
いいかげん、この北斗神拳によるフルボッコをまともに受けてやる気も失せている勇次郎は、それらをコケに出来る、そんな攻撃を仕掛けてやるつもりだった。
腰を捻りながら踏み込み、全ての筋肉を右拳に。
それは、一度見せているからと使用を封じていたラオウの心臓を打ったあの拳であった。
『痴れ者が! このラオウに二度も同じ技を用いるとは!』
既にそのタイミングは掴んでいるラオウは、見る事すら適わぬその拳を受けてみせる。
直後に襲ってきた第二撃に、ラオウはその腕を大きく弾かれていた。
「何っ!?」
勇次郎は、あの全開の拳を、連打で放ってきたのだ。
三撃目からは受ける事も適わず、四、五、六、と立て続けにもらってしまう。
何処かが砕ける嫌な音が響く。
拳の理合も何も無い、技術も奥義もその全てがこの攻撃の前では無意味である。
何をする間も無く拳を打ち込まれ、何をどうしようと受ける事すら適わない。
代わりに勇次郎も正確に狙いを定める事を放棄しているが、それこそ些細な問題である。
当てた場所から順に砕いていけばいいだけの話なのだから。
七撃目で踏み止まるラオウの足から力が抜けると、続く八撃目でラオウは大きく殴り飛ばされ、背後の壁に叩きつけられる。
その壁も勇次郎の拳の威力とラオウの体重を支える事なぞ不可能で、僅かばかりラオウをその場に留めたかと思うとあっと言う間に砕け散り、隣室へとラオウは跳ね飛ばされた。
その際に壁面に出来た大きなヘコみは、その部屋の天井に致命的なダメージを与えていた。
会心の拳に笑みを浮かべている勇次郎の眼前で、天井が崩れ落ちてくる。
「どうした北斗神拳! 神の拳の名が泣くぞ! クックックハーハッハッハッッ!」
これは勝利の凱歌ではない。そう、再度立ち上がってくるラオウへの侮蔑の言葉である。
勇次郎は、まだラオウが立ち上がってくると信じて疑わなかった。

  流石に緊張する。だが、出来うる仕掛けはこれ以上思いつかない。

その殺気を感じ取り、勇次郎は自らの勘が正しい事を確認する。
奴は倒れない、何度でも勇次郎の前に立ちはだかってくる。
だから許しがたい。だから面白い。
これだけの愉悦の時、そんな簡単に終わろうはずも無いのだ。

  何時もやってきた事だ。何時だって、五分の条件、五分の相手など望むべくも無かった。

膝を付き、瓦礫の山に蹲るラオウ。
なんという獣か、北斗の技すら打ち破るその圧倒的な力は、ラオウの想像を絶していた。
心の中で師リュウケンを罵る。愚か者め、だから言ったのだ。
このような獣を相手に1800年間無敗の証を立てられるのは、トキでもましてやケンシロウでもない。このラオウのみだ。

  何時もどおり、自分がミスれば誰かが死ぬなんてのも何時もどおりなんだからよ。

壁の向こうの殺気が膨れ上がる。
そうだ、かかって来いラオウ。俺はここに居るぞ。
何度でも食らわせてやる、そう何度でもだ。貴様が息絶えるその時まで何度でも俺はお前を叩き伏せる。

「ぬかったな勇次郎! こっちだ!」

勇次郎の後方から突然ラオウの声が響く。
気配は勇次郎の正面にあったはず。確認の為後ろを振り向きかける勇次郎。
勇次郎の正面の壁が轟音と共に砕ける。
ラオウが壁を砕きながら飛びかかってきたのだ。
「小細工をッ!」
圧倒的な存在感と共に放たれる蹴りを受けるべく腕をあげかけたその時、僅かに覚えた違和感に従い全速で身をよじりながら振り返る。
そこに居た銀髪は、彼が見知った男とは別人に見えた。
戦場を駆け回った際、稀に見かけた目である。
目的の為に人殺しすら厭わない無情さと、強靭な意志を秘めた瞳。
この目をした人間は、そこがどのような戦場であろうと決して諦めたりはしない。
最もしぶとい兵士の目だ。
完全に消し去っていた殺気のせいで、勇次郎をしてその反応に遅れる程の踏み込み。
銀時のそれは、勇次郎の知る限りにおいて最高の奇襲であった。
63Classical名無しさん:07/11/21 23:22 ID:1dg0V8Zg
testestestesatesatatastasgasrtsaatarssdfagrsa
銀時の振るう剣が勇次郎に迫る。
肩口から袈裟に狙ったその一撃を、勇次郎は身をよじってかわすも、僅かに間に合わない。
代わりに振り上げた左の二の腕に剣が打ち込まれる。
勇次郎の筋量ならば、銀時の意図を阻止しえると踏んでの事だ。
しかし、銀時の剣は勇次郎の腕を斬り裂き、胴を袈裟に斬り裂いた。
剣を振り切った後の剣士は次の一撃に繋ぐのに、どうしても徒手空拳より僅かに遅れてしまう。
勇次郎はその差を活かし、銀時に蹴りを見舞わせる。
おそるべき事に、この時同時にラオウのとび蹴りを空いた腕にて防ぎながらの技である。
銀時は、剣を振り切りながら勇次郎から距離を取る。
勇次郎の足先は微かに銀時を捉えて空を切る。
いや、銀時は勇次郎から距離を取ったのではない。
もう一つの目標、ラオウへと踏み込んだのだ。

  頼む、右拳で来い! 他だとぜってーかわせねえ!

闘いに割って入る無礼者、ラオウが怒りを覚えぬはずが無い。
一撃で粉砕せんと拳を銀時に叩き込む。
銀時はヤマを張っていた右拳をかわしざまに剣を斬りあげる。
ぼけーっと二人の闘いを見てきたのは、この時の為。ラオウ本気の拳は充分見させてもらった。
ラオウの胴体に銀時の剣による裂傷が刻まれる。
『浅いかっ!?』
そう言って舌打ちする暇も銀時には無い。
深手を負わせたはずの勇次郎の蹴り、そしてラオウ怒りの鉄拳が同時に叩き込まれたのだから。
65Classical名無しさん:07/11/21 23:22 ID:.jGHl7lg
                         
部屋の端で壁にもたれかかりながら座り込む銀時。
そのポケットには蝶ネクタイ型変声機が入ったまま。銀時はこれを使いラオウの声を真似、陽動としたのだ。
トドメを刺さんとラオウが歩み寄ろうとするが、それを勇次郎が制する。
「よう、良い奇襲だったぜ。やれば出来るじゃねえかお前」
「……そう、思うんならさっきのであっさり倒れてくれ。あんまり手間かけさせんじゃねえよ……」
勇次郎は即座に殺さないつもりで居るらしいので、ラオウも殺す前に一つ気になった事を訊ねた。
「何故死に急ぐ?」
銀時はまっすぐにラオウと勇次郎を見つめている。
「感じたんだよ、お前等はきっとこの戦場の鍵になるってな」
「鍵だと?」
「そうだよ、いずれ戦場中の連中がアンタ達を倒すべく動き出すようになる」
そこで咳き込む銀時。内臓もやられているようだ。
「き、きっと山ほど死ぬ事になる。そいつが、俺には納得いかねえ。それだけの話だ」
勇次郎はそんな銀時を見て嬉しそうだ。
「おいラオウ、何が死人だ。こんな生きのいい死人見た事ねえぞ」
ラオウは何かを考え込んだまま銀時を睨みつけている。
銀時はおそらく勇次郎が秘孔を破る所を見ているはずだ。
ならば、この行動は死を前にした自暴自棄などではなく、銀時の信念に基づいた行動なのだろう。
本郷は仲間を守る為、まだ見ぬ誰かを守る為、ラオウに闘いを挑んできた。
そして、本来有り得ぬ打撃をラオウに加え、散っていった。
この銀時も同じ理由で戦いを挑み、本来有り得ぬ深手を勇次郎、ラオウに負わせた。
そう、ラオウですら為しえなかった、勇次郎の片腕を斬り落とすといった芸当を、銀時はやってのけたのだ。
その力の理由が、ラオウには理解出来なかった。
「おい聞いてんのかラオウ。こいつは俺が喰うが構わんな?」
勇次郎の声で我に返るラオウ。
特に文句も無いので了承の意を伝えると、勇次郎は嬉々として銀時に向き直った。
銀時も最初に会った頃とはまるっきり別人のような目で立ち上がっている。
ラオウはそんな二人に背を向け部屋を出ていった。
67Classical名無しさん:07/11/21 23:22 ID:j4aYi9TA
         
「さあ二度目だ。こっからが本番だろう銀髪」
片腕を失った事にはまるで触れない。同様に銀時の怪我も気にならないようだ。
「一人づつやってくれるか、ありがたくて涙が出るね。こちとらお前さん黙らせた後、もう一人の筋肉バスター仕留めなきゃなんないんで出来るだけ楽したいんだわ」
彼我の戦力差は理解している。
それでも、銀時は銀時である事を止めるつもりは無かった。
『やっぱり、命が幾つあっても足りねえよなこりゃ』

ラオウは病院を出ると、戦闘前に放り出したデイバックを拾って背負う。
勇次郎はラオウとの戦闘の間に、確実に成長していた。
それは直接拳を交えたラオウには良くわかっている。あの男はまだまだこの先強くなっていくだろう。
あの男、獣としか思えぬあの男、かつて攻め入った修羅の国の男達を思い出させるあの男は、一体何なのであろうか。
己こそ最強という自負が最強を作り出すとしたら、同じ思いを持つ二人の最強はどうすれば雌雄を決せられるであろう。
天への資質において自らが劣るとは思わぬ。
ならば何故勇次郎を圧倒する事が適わなかったのか。
それこそが、トキがラオウに教えたかった事ではないのか?
本郷、銀時にあって、自らに無い何かがあるのではないのか?
ラオウの疑念は晴れない。
一人思考に沈んでいると、後ろから声をかけられた。
「よう、こっちは終わったぜ」
病院から出てきた勇次郎は、右手にぼろぼろに傷ついた人間を引きずっている。
それをラオウに見えるように放り投げる。
部屋を出る時、既に銀時は深手を負っているように見えたが、それが軽症に思える程、銀時は全身傷だらけであった。
それを見下ろし確認しながら勇次郎に問う。
「勇次郎、貴様は北斗七星の脇に輝く蒼星を見たことがあるか?」
怪訝そうな顔になる勇次郎。
「星なんざ気にした事もねえ」
「そうか」
勇次郎に背を向けて歩き出すラオウ。
69Classical名無しさん:07/11/21 23:24 ID:1dg0V8Zg
支援  
70Classical名無しさん:07/11/21 23:24 ID:cHxoXsXs
支援
「勇次郎、勝負は預けた」
そう言うラオウに勇次郎は少し驚いた顔になるが、頬をかきながらも特にそれに異は唱えなかった。
「水差されちまったのは確かだな」
後ろを向いたまま、ラオウは勇次郎に言い放つ。
「貴様はまだまだ強くなる。次会う時を楽しみにしているぞ」
そう、次会うその時までに、この男を圧倒出来る何かを手に入れる。
その時こそ、天をその手に掴む時。
理由は無いが、ラオウはそう確信しているのだった。

ラオウを見送った後、勇次郎は自らの斬りおとされた左腕を袋詰めにし、中に氷を放り込む。
半ば廃墟と化してしまった病院であるが、その程度は簡単に揃った。
医者やってる奴でも居りゃいいんだが、とまるで人事のように考えながら勇次郎も歩き出す。
激闘の爪跡は勇次郎の体にも色濃く残っているが、それをまるで感じさせない力強い歩調であった。


病院は既に外から見てもわかるぐらい、危険な状態になっていた。
外壁には無数のヒビが走り、数箇所は明らかに崩れ落ちている。
中に残る人の姿も無く、その入り口には侵入者を拒むかのように死体が転がっている。
万力で捻じ曲げ、巨大なハンマーで叩き伏せたような怪我を負ったその死体は、何も語らない。
ただ、病院へ来る者に無言で忠告するだけだ。

『次はお前だ』と。

それがいかに生前の意志に反する事であろうと、それ以外を読み取れる者はこの場に於いても数少ないであろう。
72Classical名無しさん:07/11/21 23:25 ID:1dg0V8Zg
支援    
【坂田銀時@銀魂:死亡確認】
【残り36人】

※銀時の持ち物は、遺体の側にあります

【F-4 北部/1日目 午後】
【ラオウ@北斗の拳】
[状態]内臓に小ダメージ 、鼻の骨を骨折、 胴体に刀傷 全身フルボッコ(強がって気にしないフリをしている)
[装備]無し
[道具]支給品一式
[思考・状況]
1:ケンシロウ・勇次郎と決着をつけたい。
2:強敵を倒しながら優勝を目指す。
3:覚悟の迷いがなくなればまた戦いたい。
4:本郷、銀時の死に様に思う所あり
[備考]
※自分の体力とスピードに若干の制限が加えられたことを感じ取りました。又、秘孔を破られやすくなっている事にも


【F-4 北部/1日目 午後】
【範馬勇次郎@グラップラー刃牙】
[状態]体中に浅い銃創 闘争に餓えている 左腕欠損 胴体に刀傷 全身フルボッコ(強がって気にしないフリをしている) 
[装備]ライター
[道具]食料と水2人分、打ち上げ花火2発
[思考] 基本:闘争を楽しみつつ優勝し主催者を殺す
1:首輪を外したい
2:左腕をくっつける医者を見つけたい
[備考]
※自分の体力とスピードに若干の制限が加えられたことを感じ取りました。
74Classical名無しさん:07/11/21 23:25 ID:j4aYi9TA
      
75Classical名無しさん:07/11/21 23:25 ID:aSeDJcUs
銀さぁぁぁぁん!
76Classical名無しさん:07/11/21 23:26 ID:cHxoXsXs
とばっちりいいいいいいいいいいい!!!!
77Classical名無しさん:07/11/21 23:26 ID:.jGHl7lg
銀さあああああああああああああああん!!!!!
78 ◆1qmjaShGfE :07/11/21 23:26 ID:jAh0ANSs
以上です。正式タイトルは『激突! ラオウ対範馬勇次郎!!     ……特別ゲスト坂田銀時』です
みなさん、たくさんの支援ありがとうございました
79Classical名無しさん:07/11/21 23:28 ID:Uegl4Zsc
乙!!
勇次郎とラオウ、やはり相手が危険すぎたな……
しかし、それでも勇次郎の片腕を持ってったのは大きい。
安らかに眠ってくれ、銀さん。
80Classical名無しさん:07/11/21 23:28 ID:cHxoXsXs
投下乙

銀さん、赤木のせいで殺されたな…
81 ◆1qmjaShGfE :07/11/21 23:28 ID:jAh0ANSs
ぬあっ! 所々行の右端に数字が入ってます。50単位で
これ、私が行数把握する為に入れた数字ですので、これは外さなければー……ゴメンナサイ
82Classical名無しさん:07/11/21 23:30 ID:.jGHl7lg
投下乙……って特別ゲスト殺してんじゃねェェェェ!!
でも「これ本当に文章だったっけ?」って思えるほど戦いが頭の中にハッキリと浮かんできました。
銀さんはかなり好きなキャラだったがこの死に方なら納得だわ。
バランスも考えられててマジでGJな話でした。
83Classical名無しさん:07/11/21 23:30 ID:aSeDJcUs
>>78
投下乙!あの二人がいた時点で盛大な死亡フラグだったが、とうとう銀さんが逝ってしまったか。銀さん格好よかったよ銀さん。
しかしこれで神楽が病院にたどり着いたら大変な事になりそうだ。
84Classical名無しさん:07/11/21 23:30 ID:j4aYi9TA
GJ!
勇次郎とラオウのバトルに手を汗を握り、銀さんの死に様に……
片腕まで持っていくとは、さすが銀さん。
さて、続きがめちゃくちゃ気になるw

戦闘員の報告書に吹いたのは俺だw
コマンダーか、キサマww
85Classical名無しさん:07/11/22 00:21 ID:rgHrfqVI
うおおおおおおおおお銀さんんんん!!
逝ってしまったのは寂しいがこれ以上ないくらいかっこいい散り様だった
まじGJ!
86Classical名無しさん:07/11/22 00:38 ID:himJXgfg
銀時が逝ってしまったか……ギャグ要員と戦闘要員の両方を兼ね備えた良キャラだったんだがなぁ……
ま、この2人に出会って生きてたら、その方が怖いか。ともかく、GJなんだぜ!
87Classical名無しさん:07/11/22 00:50 ID:sy290U5w
いやいやいや、これSSってレベルじゃねーだろ!
力と力、野生と技のぶつかりあいとかバトロワじゃありえないって!
一介のジャンプ主人公が入る余地ないよこりゃ。

だがそれがいい。

旦那に拳王にオーガとDIO様と凶悪マーダーが多いロワですね
88Classical名無しさん:07/11/22 01:14 ID:CBalCLLQ
旦那とDIO様に続き、史上最強の生物vs世紀末覇者……

ここはドリームマッチ溢れるインターネッツですね
89Classical名無しさん:07/11/22 04:12 ID:OATT1E1w
>>73
超グッジョオォォォオブ!!!
ラオウVS王牙、やっぱ夢の対決はこうでないとなあ。
もう読んでて体の血が上がりまくりってやつですよ、マジで。
勇次郎とラオウの背景と強さにこれでもかと踏み込んでいるのがスンバらしい。
思考にもまったく違和感がない。そして銀時にも燃えた。
敵は強かったけど、頑張ったよ銀時……。
最高のバトルでした、超GJ!!
90Classical名無しさん:07/11/22 05:12 ID:Fu3CaBNY
GJ!!
確かに二人をやるチャンスは戦闘に集中しているあの時しかなかったが…銀さんなんて無茶を。
つか覇王と獣が凄すぎ。
マジでこいつらと戦う場合はあたり一面死屍累々だろうなぁ。とにかくGJでした!
91Classical名無しさん:07/11/22 08:13 ID:nNQKN4B.
投下乙
ラオウと勇次郎の白熱バトルはマジよかった
この戦いは一度見ておきたかった

レポートも文章が長いが、考察している感があるな
それにしても戦闘員ってあれか、ショッカー的な何かか?

そして銀さん死亡か
まぁ、あの2人にはちあわせちゃあ生き残るのが困難なのだがなぁ
だが、健闘したよ銀ちゃん。お前はよくがんばった
あれを神楽が見たらどう思うんだろうなぁ
92Classical名無しさん:07/11/22 08:53 ID:VHRv3Bbw
本当夢の対決だわ。GJ。


あとは旦那VS勇次郎か…
93Classical名無しさん:07/11/22 16:50 ID:CgoJpMxY
報告書が最高www
>間違いなく秘孔なぞ必要無いと思われる
まったく同感だw
94Classical名無しさん:07/11/22 17:38 ID:Khii58vg
今までの戦闘もどこかしらで戦闘員が見てたとすれば戦闘員捕獲フラグもあるかもな

ショッカーの戦闘服@仮面ライダーSPIRITS
95Classical名無しさん:07/11/22 22:49 ID:5swqvG32
ふと思ったんだけど、平山の死体ってやっぱりマジシャンズ・レッドで焼き払われたのかな?
96Classical名無しさん:07/11/22 22:57 ID:/LzmKdYQ
今読み終えました、GJ!!
拳を極めた化物(誉め言葉)同士の戦いは凄まじいな…
そんな中銀さんは頑張った!ごっさ頑張った!輝いてた!
つ【いちごパフェ】
あの世で食いまくっておくれ

しかしマーダーは数少ないながらも逸材ばかりですな
これから先も楽しみだ
97Classical名無しさん:07/11/22 23:21 ID:baK.fIz2
122 : ◆YbPobpq0XY:2007/11/15(木) 15:40:20 ID:cJLlzXP60
吉良吉影を予約します。

この予約はどうなったのでしょうか?

◆YbPobpq0XY氏の連絡を求めます。
98 ◆YbPobpq0XY :07/11/22 23:28 ID:CBalCLLQ
前スレ763で宣言した通り、現在修正中です
99Classical名無しさん:07/11/22 23:36 ID:baK.fIz2
>>98
安心しました。どうもです。
修正版をようやく書き終えたので、これより投下いたします

支援をお願いいたします

タイトル:サイアクだあなたは、沈黙したその目にヤラれそう
101Classical名無しさん:07/11/23 01:06 ID:gkabcVUU
許可するぅぅゥゥゥ!
102Classical名無しさん:07/11/23 01:07 ID:2qydipyw
こっちに戻ってこおおおおおおおおい支援
人生で二度も手を切断したのは、世界広しと言えども私くらいなものでは無いだろうか?
今回もう片方の手も、動脈が切りつけられている……おまけを通り越して出血大サービスだ。
ネクタイで止血する事により失血死は免れるだろうが、この痛みは何回味わってもなれる事は無い……本当に痛い。
だが唇を噛んで泣きたくなるのを必死にこらえる。
今はそれどころでは無いのだ。

河川を見下ろしながら、これからの事を考える。
あの女の死体の処分、これは絶対に行わなければならないな。
あいつ等に発見された所で正当防衛を主張すれば何とかなるかもしれないが、それでもキラー・クイーンの能力がバレる可能性は無視できない……とくにあのコナンと言う小僧だ。
一見するとただのガキだが、あいつの眼を見ると何かイヤな予感がする。
例えば、わたしの能力はおろか、素性や本性も全て暴いてもおかしくないような……。
考えすぎかもしれないと思う、しかし近い過去に何度も煮え湯を飲まされた経験上、子供だからと言って油断はできない。
もしそうなったら……元の世界に戻ってももう二度と平穏は訪れないだろう。
だからこそ一刻も早く探し出し処分するのだ。

川沿いに歩みを進めるが、足に転がっていた何かにつまずき、よろめいてしまう。
足元を見てみると、マリアさんがそのうつろな瞳で私を見つめていた。
ネクタイを絞め付け終えた右手を、マリアさんの頬に走らせる。

「バカな女だ……」

私は結局守りきれなかったのだ。
失ってしまったモノは余りに大きい……彼女の手『だけ』は。

「……でもコッチは『どうでもいい』な」

誰に話すでも無く、淡々と言い切る。

「キラークイーン!」

すでにコイツの首は爆弾にした。
別に深い意味も無いが、何の手も出せずに終わってしまうのも何だしな。
せっかくだから、という程度の話だ。
まぁやらないよりは、やっといた方がスッキリするだろう。

「発動しろォ!」

人差し指の付け根に取り付けられたボタン、そこに親指を添える。

「………………」
105Classical名無しさん:07/11/23 01:08 ID:gkabcVUU
書き込みがなかったら生き残りで全選手入場を投下しようと思ってたのはナイショだ
支援
……近くでよく見てみると分かる事だが、この人結構老け顔だぞ?
17歳だと言われた、どう考えてもそうは見えない。
なぜ女と言うものは少しでも若く見られようとするのだ。
それにしたってマリアさんの場合は無理がありすぎるだろ。

ゾクリとした悪寒が、突如私の脳天から背中にかけて走った。

慌てて付近を見渡すが誰もいない……。
シアーハートアタックもどこかへ行ってしまったようだ。

何だ今の凄味……いや、今のはそんなものじゃあ無い、『殺気』と言っていいレベルだ。
とにかく、彼女の年齢についてこれ以上言ったら、私は破滅しそうな気がする。

再び私はスイッチに添えた指に力を込めるが……。
年齢の他にも何かが気になる。
このまま吹き飛ばすというのは、心に取っ掛かりを残すな。
うーむ……

「……ん? そうか」

また新たな問題点を見つけてしまった。
マリアさんの後頭部、少しだがクセッ毛があるじゃないか。

…………気になってしょうがないな。
どうせ最後なんだし、直して置くか。

手に唾液をつけて、それを彼女のハネている毛にしみ込ませる。後は手クシだ。

「結構ガンコだな……一応リンスは使ってるんだろうが」
107Classical名無しさん:07/11/23 01:10 ID:2qydipyw
                         
食事の後は歯を磨いておいたが、歯磨き粉が違ったせいか?
口元がスッキリしないな。
病院で調達した物だから、悪いモノでも無いはずだが……。

「…………まぁこんな物でいいな」

ハンカチを取り出しづらいので、不精だがズボンで手を拭った。

「キラークイーン!」

今度こそ、と私は三度目のスイッチを出す。

「……………………………………………………………」

後はコイツを押すだけだ。
少しは溜ったモノもはれるだろう。
だが…………。

「……………………チッ」

態々こんな所でスタンドパワーを使う事もあるまい。
しつこいようだが、早くあの女の死体を見つけて処分しなければならないんだ。
モタモタしているヒマなんて無い。
109Classical名無しさん:07/11/23 01:10 ID:2qydipyw
                           
立ち去ろうとするが、良く分からない、いわゆる後ろ髪を引かれる思いが私を引き止める。
何をやってるんだ私は……これ以上何を気にかけているんだ?

再び振り返ると、彼女はやはり薄く開いた目を私に向けている。

(………………)

少し考えて、私はその瞼をゆっくりと閉ざした。

────クソッたれめ。

「坂田と言ったな」

腐った魚のような目をした、私にとってはストレスの要因にしかならなかった天然パーマの男。
少し前、病院でそいつと二人きりで話したのを思い出したのだ。
死ぬ時はパフェ食いすぎで……か、全く羨ましい。

「クソッ、アイツは…………」

独り言は前から少ない方では無かったが、この状況ではそれがありがたい。
自然と何かに気を紛らわす事ができるのだから。

「あの男は、多分悩みなんて何も無く生きて来たんだろうな……」
111Classical名無しさん:07/11/23 01:12 ID:gkabcVUU
 
何かムカつくが、そういう意味では尊敬できる男かもしれない。
多分あいつはそう簡単には死ぬまいしな、今度会ったらそのノー天気に生きる秘訣でも教えてもらうとしよう。

☆   ☆   ☆

壁に肩を擦りつけながらも、必死に川沿いに進む。
承太郎から逃げる時には夢中で気付かなかったが、体の一部を失ってしまうと、どうも体のバランスが崩れやすくなるようだ。
バリアフリー社会とは言え、当分は苦労しそうだ……。

突然だが、人生には誰でも浮き沈みがあるというのは簡単な事だ。
つまらない事、嬉しい事、結局トータルで半分になるとは良く言う。
そんな寂しい事言うなよと言う感じだが、密かに全勝狙いをするつもりも無い。
では私の現状はどうなんだ?
113Classical名無しさん:07/11/23 01:13 ID:xoze/z6U
114Classical名無しさん:07/11/23 01:14 ID:2qydipyw
                     

最悪な時にこそチャンスは訪れる……私のジンクスは上で挙げたそれと似通っている。
ならこの災難はいつまで続くんだ?

『あの女は……どこまで流された?』

進めど進めど、女の死体は見当たらない。
まだ水流に運ばれているのであれば、放っておけば舞台の外にでも放り出されるだろう。
だが、そんなに流れが激しい河川でも無い。
そろそろ追い付いていいはずだ。

もっと探そうにも、これ以上進めば病院に逆戻りだ。
それだけは避けたい。

(まさか……まさか……!)

さっきから一つの予感が頭を離れない。
そう思う要素は何一つ無いのだが、胸騒ぎと言ってもいい。
その予感はどんどん具体的になり、やがて脳に思考という形で現れる。

(あの女……生きてやがるッ!)

最後に、それは確証となっていた。
なぜそう思ったのかは分からない、殆ど本能のようなものかもしれない。
だが間違いは無い。
116Classical名無しさん:07/11/23 01:14 ID:xoze/z6U
117Classical名無しさん:07/11/23 01:14 ID:2qydipyw
                              
そうだとすれば、あの女は間違いなく私を狙ってくる。
そこまで考えて私は慌てた。
だったら……だったら私の平穏はどうなる?
またしても追われる事になるのか?

「冗談じゃあない!」

相手も負傷しているだろうが、シアーハートアタックを失った以上、今度襲われたら保障は無い。

第三の爆弾を手に入れて、少しはツキが回ってきたと思ったら……、まるで打ち切り漫画かゲームの選択肢を間違えたように、
こんな殺し合いに巻き込まれ、二度も危機を野放しにする事になり、あげくの果てにマリアを……極めつけはこの右手だ。
こっちの方も応急処置だけはしないと……感染症を起こしかねない。

「チクショウ……」

何で私がこんな目に……。そんな罪深い事をした覚えは無い。
もし……死んだら、私はどこに行くのだろう? 親父のように幽霊となるのだろうか?
天国と地獄があるというならば、マリアさんは確実に天国へ行けるだろう、考えるでも無い。
それとギントキ、気に食わないがヤツもだろうな。

だが……私は………………『もちろん』天国行きだ。
私は平穏に生きてきただけだ、それの何が悪い?
それなのに地獄に落とされるようならば、神という存在はよっぽどのクズと言っていいだろう。
きっと死後は確実な安心が待っている。
119Classical名無しさん:07/11/23 01:15 ID:xoze/z6U
だがまだ死ぬつもりは無い。
ソレは文字通り最期の手段だ、最悪な状況だが私は諦めない。
私は信じてやる、こんな最悪でも必ず転機は訪れるはずなんだ……それが私の運命なのだ。

あのクソカスアマは必ず殺す、向こうからやってくるなら好都合だ。
何時でも来い。

「I believe it……待ってやるぞ、稲妻にうたれるような啓示を……!」

幸せは歩いてこない、幼稚園児でも歌える事だ。
だがこちら求めるからには必ず手に入れられる。
彼女が命をかけて守ってくれたこの命だ……手段なんて選んでられない。

「彼女のした事は……マリアさんの、マリアの死は無駄にはしない!」

彼女のためにも私は、必ず安心を手に入れる!
手に入れてやる……誰を殺しても、必ずだッ!
幸せになってやるぞ……。

「フフ……」

私には分かるのだ……。
コレを乗り越えれば、きっと永遠の安心が待っている事が。
121Classical名無しさん:07/11/23 01:15 ID:2qydipyw
                        
122Classical名無しさん:07/11/23 01:15 ID:gkabcVUU
 
【F-4 病院南河川付近 1日目 午後】

【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:左手消失、右手首裂傷、胸全体に真一文字の切り傷、出血多量、疲労大、スタンド使いの宿命
[装備]:千切れた自分の左手
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:マリアのため、必ず生き延びる。ゲームに乗る事だってじさない。
1:とりあえず手の応急処置を考える。
2:病院は危険なので戻るに戻れない
3:顔に傷のある女(斗貴子)は襲ってきたら始末、マーティン・ジグマールを殺す。
4:自身を追うもの、狙うもの、探るものなど自身の『平穏な生活』の妨げになると判断した者は容赦なく『始末』する。
5:できる限り力無き一般人を演じる。
6:もし脱出できるのであればしたい。
[備考]
※『バイツァ・ダスト』拾得直後からの参戦です。
※『バイツァ・ダスト』が使用不可能であることに気づいていません。
※覚悟、ルイズ、ジグマール、劉鳳、斗貴子をスタンド使いと認識しています。(吉良はスタンド以外に超人的破壊力を出す方法を知りません)
※川田、ヒナギク、つかさの情報を手にいれました
※左手を失い、シアーハートアタックの解除が不可能になりました。
 吉良が死ぬまで永遠に、熱源を求めて周囲を動き回っています。
 ただし、制限の影響で破壊できる可能性はあります。
124 ◆YbPobpq0XY :07/11/23 01:18 ID:34bNGw1M
支援ありがとうございます

もし誤字脱字、設定の矛盾などがあれば指摘お願いします
125Classical名無しさん:07/11/23 01:19 ID:34bNGw1M
ageてしまった……

スイマセンスイマセン、ホントスイマセン……
126Classical名無しさん:07/11/23 01:22 ID:34bNGw1M
それと自分で気付いた修正……
[状態]の右端、スタンド使いの宿命はカットしといてください

ホント何やってんのオレ
127Classical名無しさん:07/11/23 01:26 ID:2qydipyw
投下乙。落ち着くんだw
この吉良のどっちつかずで微妙なスタンスが今後の展開への期待を膨らませます。
殺人に積極的な感じにしたのもGJ。自然だったと思います。
神経質なところとかは吉良そのものでした。上手くキャラを掴んでいますね。
美形が目覚めてからというもの、吉良が1話ごとにカッコよくなっていくw

>>105
前スレが20レスくらい残っているじゃないか。
128Classical名無しさん:07/11/23 01:29 ID:.9BfOCqU
ステルス対主催な吉良がとってもステキ。元病院組みいいよな〜、良くキャラクターを理解しててGJでした
129Classical名無しさん:07/11/23 01:35 ID:gkabcVUU
>>「I believe it……待ってやるぞ、稲妻にうたれるような啓示を……!」
一瞬スタンド名:ポルノグラフティ とか想像しちまったじゃないか

そろそろ普通じゃない人生自覚しろよ吉良w
ところで万が一G.Eとかで左手が復活した場合は再び制御可能に?

>>127
やるか ちょっと逝ってくる
130Classical名無しさん:07/11/23 05:58 ID:yz3EuSEw
>>124
乙&GJ!
状況次第でどう転ぶか分からない、本当に爆弾みたいな男だな彼は…
マリアさんに未練ありげなところに心打たれました
でも年齢考察酷すぎだろwww

それと俺もポルノ好きなので
いつも密かにニヤニヤさせてもらっております
131Classical名無しさん:07/11/23 06:07 ID:LfME1mAo
>>123
>だが……私は………………『もちろん』天国行きだ。
>私は平穏に生きてきただけだ、それの何が悪い?
>それなのに地獄に落とされるようならば、神という存在はよっぽどのクズと言っていいだろう

吹いたww
けど、吉良って野郎は本当にこう思ってるから
タチが悪いんだよな〜。
いやはや、殺人鬼の明日はどっちだろw
132Classical名無しさん:07/11/23 10:35 ID:Aut6Dqt.
そういや一つ。
シアーハートアタックって、切り離した左手を引きずっていくから無限に射程距離が延びるんじゃなかったっけ?
話の筋は一切修正する必要は無いんだが、状態欄で吉良が左手を持ってることになってるのは直した方がいいかも。
133Classical名無しさん:07/11/23 12:50 ID:noSVpekg
GJです、勇次郎の腕を切られるのも、完全に捨て身なら文句の無い展開です
やっぱり吉良は本物の悪だ、悪だという自覚すらない最悪だ!

>>132 シアーは切り離したときから、B・I・Gのように本体不要の独立型だった
はず、左手もC・Dで直したから飛んでいっただけ
134 ◆NIooiMe9JM :07/11/23 21:11 ID:aDQn1cPw
申し訳ありません。
延長させてもらいます。
135 ◆d4asqdtPw2 :07/11/23 22:05 ID:2qydipyw
すいません、俺も延長で。
136Classical名無しさん:07/11/23 22:09 ID:.9BfOCqU
>>134>>135
二人共、頑張れ。待ってるぜい
137Classical名無しさん:07/11/23 22:38 ID:epfD1T5w
無理せず頑張ってー
138Classical名無しさん:07/11/23 22:49 ID:.9BfOCqU
ラオウ対勇次郎を編集した方へ。戦闘員による報告書の所でページ分けてるのにワロタwwwwww
139Classical名無しさん:07/11/24 01:05 ID:.ddSVAm6
どうでもいいが、前スレの埋めAA自重しろwwwwwwwwww
140Classical名無しさん:07/11/24 21:42 ID:q1CqX4q6
なんか・・・こう・・・・・過疎ってるな・・・・・・
141Classical名無しさん:07/11/24 22:00 ID:uzMPrtwA
ここよりも話しやすい場所があるってことだよ
142Classical名無しさん:07/11/24 22:14 ID:sFOOtNGU
ここで雑談したらスレが勿体無いと思う俺はきっと変な考えなんだろうなw
でも未だ過疎と言うレベルでもないだろ?
143Classical名無しさん:07/11/24 23:12 ID:mhhpBlp.
じゃあ、話題というか所感でも
つい最近ようやくからくりサーカスを30巻まで読み終えたんだ

…あ、ありのままに起こった(略)
白金が再登場してようやく事情がわかったところで、ロワ内ではすでに白金は死んでいた
あの性格の悪さは勿体無かったとか、勝との因縁ネタは惜しかったとかそんなチャチなもんじゃねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
144Classical名無しさん:07/11/25 00:50 ID:jBW9f2qM
ほんとロワ的に惜しい人を失ったよ
奴の外道っぷりは色々と最凶だからな
145Classical名無しさん:07/11/25 00:50 ID:3u0nkfdA
「べ、別にしのぶの事を心配したわけじゃないからな! 承太郎達に感づかれるのが怖いだけだ!!」
「勘違いするな、スタンドパワーを余計な事に使いたくなかっただけだ! マリアは手しか興味なかったんだからな」

…………吉良ってツンデレだよねぇ
146Classical名無しさん:07/11/25 02:11 ID:/ChjO0rM
吉良「自分の正体がばれたから殺しただけなんだからな!」

うん、吉良はツンデレ
147Classical名無しさん:07/11/25 02:22 ID:3w7L0/rg
ツンデレな吉良と承太郎
活発なジョセフ
基本的に高慢だけど一目置くやつには一目置くDIO様

おまいらどこに話の方向を持っていくつもりだ
148Classical名無しさん:07/11/25 02:53 ID:jASLrbwk
流れぶった切ってすまんがからくり症候群って

L1:興味を持つorキャラ把握の為読み始め、軽井沢突入編のラストで衝撃を受け続きが気になる
L2:梁師範に惚れる
L3:真夜中のサーカス編で次々と人間らしく退場していくしろがねに涙する
L4:最古の3人とジョージと阿紫花の最後に涙する
L5:また読み返して号泣

って感じなんかな
そしてL6に至る者はうしおととら→夜の歌、暁の歌→邪眼は月輪に飛ぶ→黒博物館スプリンガルドと読み、藤田信者が一人出来上がる。
まあ俺の事だが
149Classical名無しさん:07/11/25 04:03 ID:JUmzZmL.
俺も
150 ◆hqLsjDR84w :07/11/25 06:35 ID:JmPZEAww
7時くらいに投下します。
人いたら、支援してください。
151Classical名無しさん:07/11/25 06:42 ID:CP5kocpE
オッケー、刻んだ
152Classical名無しさん:07/11/25 06:44 ID:EXe1YkDA
wktk
153 ◆hqLsjDR84w :07/11/25 06:55 ID:JmPZEAww
投下します。
154魔女狩り ◆hqLsjDR84w :07/11/25 06:56 ID:JmPZEAww
 『地図の端に向かい、そこを調べる』
 それが、俺とジョジョの共通の目的だった。
 最終目的は脱出だったが、それは脱出の為に必要なことだった。
 アイツはいなくなっちまったが、アイツとの誓いは果たしてみせる。
 この殺し合いを止めてみせるという誓いを。

「というわけで、地図の端に来てみたが……」

 境界線から先も何ら変わりなく道路は続いているし、建物も確認できる。
 地図の外に出てみたい衝動に駆られるが、どうすべきか。
 出た瞬間に首輪がボン! なんてことになっちゃあ、あの世でアイツに笑われちまう。
 そもそも、別に外に出れるかどうかを調べに来たわけじゃない。首輪を解除したあとに、脱出する為のルートを確保するのが目的だ。
 しかし……

「なんにも、見つかんねえなあ」

 本当に何も見つからない。
 決して地図の外に何も存在しない、というわけではない。目の前には道路や建物、樹木などがちゃんと存在する。
 見つからないのは、『おかしな所』である。
 おかしな所が存在しない。
 もしかして、地図の外に脱出へのルートなど無いのでは? そんな考えが脳内に浮かぶ。

 ――だが、気になることがある。

 ポケットに入れていた地図を開く。
 今まで禁止エリアと指定されたところには、ボールペンで印をつけてある。
 印が付いているのは6つ。
 第一放送によって告げられた禁止エリアは、H−7、F−1、A−3の3つ。
 第二放送によって告げられた禁止エリアは、H−2、C−2、A−7の3つ。
 その6つの内なんと5つが、『地図の端のエリア』なのだ。
 これは明らかに、主催者が『地図の端に、参加者は入って欲しくない』と考えている証拠とはいえないか……?
 もしかしたら地図の外に、バトルロワイアルを根本から破壊する何かが存在するのかも……?
155Classical名無しさん:07/11/25 06:56 ID:EXe1YkDA
   
156魔女狩り ◆hqLsjDR84w :07/11/25 06:57 ID:JmPZEAww

 しかしここで余計なことをして、死ぬわけにはいかない。
 俺は既に死んでいたはずだったのを、アイツに助けられた。
 今の俺の命は、言わばアイツから貰った命。
 無駄にするわけにはいかない。

「なんにせよ1人で考えるのには、限界がある。仲間がいなきゃ駄目だよなァ……
 ああ、アイツがいてくれれば……」

 だが、アイツはもういない。あの女に殺された。そんなこと分かってい―――

「いや、分かってねえ!!」

 俺は何をグズグズしていたんだ!
 あの女が危険人物だと分かっているのは、俺とあのバイクに乗ってた男だけだ。
 他の奴等は分かってねえ! バグを早急に取り除く為に、あの女が危険だと知らせなくては……だが、どうする?
 拡声器でも探すか? 学校やホームセンターならあるだろうが、俺の1番近くにある施設はホテルだ。
 こんなところに拡声器なんておいてあるわけがない。
 ならば、どうする? 俺はどうする?
 とりあえず今までにあったことを思い出せ。とりあえずクールに、だ。クールになれ。

 ――まず、体育館でアイツに出会った。
 ――そしてスーパーの事務室でハッキングを試みた。
 ――しかし、失敗に終わった。
 ――次こそは成功させるために、携帯電話を求めて外に出た。
 ――杉村の死で動揺していた俺は、アイツに本当の『クール』を学んだ。
 ――あの女に出会い、ボーリング場を目指すことになった。
 ――しかし道中で、アイツがトイレに行きたいと言い出し……

「――――――ッ!!」
157Classical名無しさん:07/11/25 06:57 ID:CP5kocpE

158Classical名無しさん:07/11/25 06:57 ID:EXe1YkDA
   
159魔女狩り ◆hqLsjDR84w :07/11/25 06:58 ID:JmPZEAww

 そうだ、アレだ。アレならば、遠くの相手にあの女の脅威を知らせることができる。
 さらにアレならばホテルにも……いや、どこにだって必ず存在する。
 いるのか知らねーが神様よ、思い出させてくれて感謝するぜ!





『とぅおるるるるるるるるるるん♪』

 最初はホテルの電話を使用しようかとも思ったが、それではホテルにメッセージを残せないので、近くにある民家の電話を拝借することにした。
 俺がこの電話を使用し始めてから、結構な時間が経過したからだろうか。すっかり、この奇妙なコール音にも慣れてしまった。
 1つのメッセージに約4分。それを十数回も繰り返しているのだから、結構な時間が経過して当然か。
 しかし、どこにかけても誰も出ないな……
 病院や学校ならば、人がいてもおかしくはないと思ってたんだが……

『ただいま留守にしております。ピーという発信音の後に――――』

 よし、今までどおりに―――

「今から話すことを真面目に、かつ冷静に聞いて欲しい。
 俺の名は―――すまない、言うことは出来ない。
 だが、信じて欲しい。言いたくないのではなく、言えないんだ。
 あの女に俺が生きていることを気付かせるには、まだ早すぎるからな。……これがどういう意味かは、今から説明しよう。
 参加者名簿に、『柊かがみ』という名が載っているだろう? 彼女はこのプログラム――いや、この殺し合いに乗っている。
 それを詳しく説明するために、俺がここに呼び出されてから今までにあったすべての事を話す。
 少し長くなるが、聞いてくれ」
160魔女狩り ◆hqLsjDR84w :07/11/25 06:59 ID:JmPZEAww

 さすがに十数回も同じ内容を話し続ければ、喉が若干痛くなる。
 喉の痛みを水を飲むことで緩和させながら、言葉を続ける。

「名簿に載っている、『ジョセフ・ジョースター』という男。
 俺はその男とこの殺し合いが始まってすぐに出会い、共に行動していた。
 しばらくして……第一放送が終わった頃だったな。路上で気絶していた少女、柊かがみを発見した。
 さすがに放っておくわけにもいかず、彼女を俺達で保護した。
 目覚めた彼女が仲間と合流したいといったので、俺達は民家から拝借した車でボーリング場へと向かっていた。
 その道中で先程の第二放送が始まり、直後に彼女は豹変した。
 急に『スタンド』という支給品を行使し、車を炎上させたんだ……
 俺はジョセフ・ジョースターの機転と、アイツの『波紋』とかいう能力で一命を取り留めたが、アイツ自身はおそらく……」

 奇妙なコール音には慣れても、やはりこの事を話すのは慣れねえな。
 そんなことを思いながら、さらにメッセージを言い続ける。
 口調がきつくなっていることに気付きながらも、こればっかりは変えようと思っても、変えられねえ。
161Classical名無しさん:07/11/25 06:59 ID:EXe1YkDA
   
162魔女狩り ◆hqLsjDR84w :07/11/25 06:59 ID:JmPZEAww

「俺は柊かがみを許さないッ! アイツを殺したあの女はッ!
 しかし俺の力じゃあ、あの女を倒せねえ。だから……俺は逃げるしかなかった。
 あの女が殺し合いに乗ったと、分かっていながら!!
 だがッ! これ以上の被害者は出さねえ! アイツみたいな、被害者を出してたまるか!!
 今からあの女の特徴と、持っている武器、そして支給品『スタンド』について話す!
 あの女の特徴を、頭に刻み込んでくれッ!!
 性別は女。名前は柊かがみ。髪と目は紫色で、長い髪を2つに結っている。身長は160cmくらいだ。
 服装は……車の炎上の所為で、服も燃えてしまったようなので何も着ていない。だが、おそらく適当な服をその辺で調達するだろう。
 そして槍のような武器を持っていた。あと『スタンド』についてだが……これは俺もよく分かっていない。
 CDのような形状で、それを額に埋め込むと背後霊みたいなのが出てきて、そいつが戦ってくれるんだ。
 俺も『スタンド』を支給されたのだが、あの女のものとは違う。
 俺のは筋骨隆々な青年のような姿だが、あの女のは真っ赤な鳥みたいな姿をいていた。
 そして口から、十字架型の炎を吐き出していた。それで車を炎上させたんだ。
 信じられないかもしれないが、真実なんだ。信じてくれ、頼む!
 もうアイツのような被害者は出したくないんだ!!」

 ここで受話器を下ろす。

「ふぅ……」

 これでだいたいの施設に、電話をかけ終えたことになるな……
 正直な話、『スタンド』の話を出すべきか否かはすごく迷った。
 そんな事を言って、このメッセージを虚言だと思われたら困るからだ。
 しかしあえて全てのメッセージに、『スタンド』に関することを残した。
 『スタンド』を所持していると知らずに、メッセージを聞いた人間があの女の戦力を過小評価したら困るからな。
 そんなことでアイツみたいな被害者を出すなんて、もう御免だ。

「ジョジョ……、お前の仇は絶対に取るからな……!!」
163Classical名無しさん:07/11/25 06:59 ID:CP5kocpE

164Classical名無しさん:07/11/25 07:00 ID:JmPZEAww



「ジョジョ……、お前の仇は絶対に取るからな……!!」

 力強くそう呟いて、三村信史は拳を握る。
 『死んでいない』ジョセフ・ジョースターの仇を取るという、強く硬い決心をその胸に秘めて。

 それにしても、彼は本当に運が無い。
 もしも彼が、もう少し早く柊かがみが暴走した直後に周囲を注意深く確認していたら、同志を見つけることが出来たかもしれないというのに。
 もしも彼が、もう少し早く変電所に電話をかけていれば、同志を見つけることが出来たかもしれないというのに。
 もしも彼が、もう少し後に病院に電話をかけていれば、同志を見つけることが出来たかもしれないというのに。
 もしも彼が、もう少し後にボーリング場に電話をかけていれば、同志を見つけることが出来たかもしれないというのに。

 もしも彼が、もっとクールでいられたならば――――



【D−8 最南端の民家/一日目 午後】
165Classical名無しさん:07/11/25 07:00 ID:EXe1YkDA
   
166魔女狩り ◆hqLsjDR84w :07/11/25 07:00 ID:JmPZEAww
【三村信史@BATTLE ROYALE】
[状態]:精神疲労(中)
[装備]:トランプ銃@名探偵コナン、クレイジー・ダイヤモンドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:七原秋也のギター@BATTLE ROYALE(紙状態)支給品一式×2
[思考・状況]
基本:老人の野望を打ち砕く。かがみはどんな手段を使ってでも殺す。
1:仲間を探す。
2:再度ハッキングを挑む為、携帯電話を探す。
3:集められた人間の「共通点」を探す。
4:他参加者と接触し、情報を得る。「DIO」は警戒する。
5:『ハッキング』について考える。
6:「柊かがみという女は殺し合いに乗っていて、人を一人殺した」という情報を参加者に広める
[備考]
※本編開始前から連れて来られています。
※クレイジー・ダイヤモンドは物を直す能力のみ使用可能です。
 復元には復元するものの大きさに比例して体力を消費します。
 戦闘する事も可能ですが、大きく体力を消費します。
※ジョセフは死亡したと思っています。
※マップの外に何かがある、と考えています。
※彼が留守番電話にメッセージを残したのは、以下13ヶ所です。なお、メッセージは全て同一です。
 老人ホーム(A−1)、市役所(D−3)、病院(F−4)、消防署(D−4)、学校(C−4)
 総合体育館(D−5)、ホームセンター事務室(H−5)、総合スーパー事務室(D−6)
 変電所(A−8)、汚水処理場(B−8)、ホテル(D−8)、パブ(F−8)、ボーリング場(G−8)
※乗用車は民家の前に置いてあります。
167Classical名無しさん:07/11/25 07:00 ID:CP5kocpE

168 ◆hqLsjDR84w :07/11/25 07:01 ID:JmPZEAww
投下完了です。
あれ? と思うところや、誤字脱字があれば指摘してください。
朝から支援、どうもです。
169Classical名無しさん:07/11/25 07:02 ID:dpSu2LfA
投下乙!
いいねいいねぇ、ロワで誤解から殺し合いになるは好みのシチュだ。
170Classical名無しさん:07/11/25 07:05 ID:CP5kocpE
投下GJ
……漫画ロワで欝展開が久々に見れるかも?!
続きが気になるぜええええ
171Classical名無しさん:07/11/25 07:08 ID:EXe1YkDA
GJ!
かがみんに平穏を与えない気かwww
漫画ロワじゃ珍しい鬱々な展開に期待だぜ!

前半のクールな考察と、後半のKOOLさのギャップが良いなw
172Classical名無しさん:07/11/25 11:35 ID:3u0nkfdA
GJィGJィ
やめろこのちっぽけなKOOLがァァァ!!

かがみんどんだけツンデレの法則発動すんだよw
173Classical名無しさん:07/11/25 11:56 ID:jASLrbwk
投下乙!
何というKOOL・・・、喫茶店にも留守電入っててそれをこなたが喫茶店に着いた人物からか直接聞いたりしたら大変だ。
しかしかがみは本当に不幸だなw
174Classical名無しさん:07/11/25 12:11 ID:uFCfYqjw
投下乙。一番ヤバイのは病院かなー。
疑心暗鬼書けるかな俺wでもこういう展開は必要ですね。
知識系のキャラがプッツン加減が上手く表現されていました。
13箇所か……ドッピオお疲れ様w
175Classical名無しさん:07/11/25 12:31 ID:3w7L0/rg
なんかもう住民全員でかがみんいじめようぜ的な流れだなw
あとはつかさとこなたとジョセフの寿命次第か…
176 ◆NIooiMe9JM :07/11/25 13:44 ID:CN3iwY/g
大変申し訳ないと思っているのですが
こちらの事情により予約を破棄します。
読み手や書き手のみなさま、特に赤木しげると津村斗貴子の両名を書きたかった方
申し訳ありませんでした。
177Classical名無しさん:07/11/25 14:03 ID:3u0nkfdA
>>176
そうか、お疲れさん

まぁマイドンマイドン
178Classical名無しさん:07/11/25 14:06 ID:EXe1YkDA
>>176
残念だが、次の機会を期待してるぜ!
179Classical名無しさん:07/11/25 14:27 ID:3w7L0/rg
>>176
お疲れさんー
よければ没になったネタを没ネタスレにでも投下してくれたらなんかいいことあるかもだぜ
180Classical名無しさん:07/11/25 20:49 ID:mk9OLs.6
順当にいくと、次は誰だろうか。
181Classical名無しさん:07/11/25 21:08 ID:mk15A5Vk
>>180
何がだい?
182 ◆d4asqdtPw2 :07/11/25 21:56 ID:uFCfYqjw
遅くなりました。そんな長くないけど投下します。
183Classical名無しさん:07/11/25 21:56 ID:z1wJ53VM
xxx
xx
x
「散を知っているのか……?」
村雨良の目の前に存在するソレは今確かに葉隠散と言った。ソレは今確かに自らを強化外骨格と言った。
停車している電車の中と外。たとえ空間として繋がってはいても、ソレの放つ異常な雰囲気が双方の空気が混じり合うのを阻害する。
まるで誰かの忘れ物のように、電車の中に置かれていたその鞄。
声を発する器官など持ち合わせていないはずのソレは、まるで自らが喋ることが当たり前の事ように平然と言葉を紡ぐ。
『どうして忘れることが出来ようか! 現人鬼散は我等が半身葉隠覚悟の兄でありながら、人類を滅ぼさんとする悪……』
「電車が出るようだ。……少し待っていろ」
(……処理すべき情報が多すぎる。移動しながらゆっくり話すとするか)
村雨が零の言葉を遮って告げると、零を電車の出口付近の床に置いてからどこかへ走り去ってしまった。

『おい、どこへ行こうというのだ!』
零の叫びが空しく響くが、無常にも電車のドアがプシューと音を立てた。
2枚の扉が電車とホームを隔離せんと動き出す。加速することも減速することもなく、一定の速度を保ったままスライドする。
そして、2枚の鉄板が空間を完全に分断するその直前……扉が停止した。
他ならぬ零自身によって。

『あの男……我等の体を何だと思っておる』
展性チタン合金と称された金属で出来ている強化外骨格を、異物として挟み込んだ2枚の扉。
彼らは自分たちとその金属との格の違いを思い知らされ、扉を閉じることを早々に諦める。それは同時に電車の発車も諦めるということ。
ガゴンという鈍い音が鳴り響き、2枚の扉の間の空間が再び開かれる。
しかし彼らの使命は電車をダイヤ通りに発車させること。
再び2枚の扉がお互いの距離を縮めようと動き出し、零に阻まれる。
彼らが不屈の闘志で愚直な開閉運動を何回か繰り返したころ、零は村雨が戻ってくるのを感じ取った。
だが先ほどと異なり、村雨はなにか大きなものを抱えている。

「待たせたな。俺は村雨良。……さぁ、貴様の話を聞かせてもらおうか」
そう告げると村雨は零を電車の座席に乗せ、抱えてきたクルーザーをドカンと床に下ろした。
大型バイクを電車の中に持ってくるなどマナー違反もいいところだが、この電車にはそれを咎める人間は存在しない。
185Classical名無しさん:07/11/25 21:59 ID:EXe1YkDA


『うむ、了解した。……我等は強化外骨格、零。旧日本軍により生み出された意思を宿した鎧!』
「散の持っていた霞というやつと同じようなものか」
『何! 散はすでに霞と共にあるというのか。やつらが一体化すればそれ即ち人類の危機。
 現人神と化したやつらは我等を装着した覚悟はおろか、強化外骨格雹を纏った実の父親の朧すらも圧倒する!
 ……ときに良よ。散のことを知っておるようだが、やつと拳を交えたのか?』
覚悟とは散が言っていた愚弟のことだろう。どうやらこいつは覚悟とは出会えてないらしい。
そしてこの殺し合いに参加する以前に散と覚悟は戦ったという事か。そして覚悟が敗れたと。無理もない。
霞を装着した散の強さを村雨は十分に理解している。実際に一度敗れているのだから。

「あぁ……さっきまで一緒に行動していた」
『……なんだと? 人類共通の敵である散と行動を共にするなど、貴様何を考えている!』
「誰にでも協力してやるさ。俺に記憶をくれるならばな」
『記憶? それはどういう……な!? 良よ、お前の体はどうなっているのだ!』
零が村雨のことを知ろうと、彼の体内をスキャンしたのだが……。
彼の体はもはや人間とは呼べない。体のありとあらゆる部分が何らかの人工物で構成されていた。

「分かってるさ。自分の体だ……この体で戦って、生き延びてきたんだ」
俯きながら、誰にでもなく呟く村雨。その眼には光は宿っていない。もしかしたら未来永劫、宿ることなど無いのかもしれない。
自分の体すらも、記憶の手がかりにはなりはしない。だったらどうすればいいのか、分かるはずがない。
『記憶を求めるか……我等のような怨念には歴史しか残ってはおらぬ。
 しかし覚悟がいれば、ともに未来を創っていくことができる。絶望を打ち破ることができるのだ』
そんな村雨を気遣ってなのか、零が話題を変えるが、村雨は一切の反応を示さない。

暗い地下道を走る電車の中、空間を支配するは沈黙。
乱れたダイヤを修正するかのごとく速度を上げ、その揺れは俯く村雨に振動を与え続ける。
ガタンゴトンと進んでいた電車は、出発してからものの5分で2駅目となる病院前の駅に到着していた。

「そういえば……どこで降りるか決めていなかったな。ここで降りるか?」
突然村雨が顔を上げ、零に問いかける。人に合うなら病院前のこの駅が適しているように思えるが。
『いや、実は頼みたいことがあるのだ。繁華街までついてきて欲しい』
特に返事はしない。了解したということだろう。
繁華街でも人は集まる。村雨にとっては誰かと戦えればそれで良かった。
それに傷ついた人物が集まる病院よりも、繁華街の方が戦い甲斐のある敵は多そうだ。
「それで、頼みたいこととはなんだ?」
村雨の言葉に重なるようにプシューという音が響いた。扉が閉まる前の合図のようなものだ。
2つの扉が動き出す。今度は彼らの間に異物などない。彼らの仕事を邪魔するものなどいない。

『実は良に会う前に刃牙という少年と行動していたのだが……』

2つの扉の距離が縮まり、その隙間が0となる直前。
「……! この感じは!?」
『まさかこれは!』

扉の隙間から異様な気配が流れ出した。

「なんだ……こいつは?」
既に扉は閉まっているのに、その残り香だけでもその凶悪さが感じられる。
禍々しさだけならば散よりも遥かに上。
その気配の発生源を探して周りを見渡す村雨。

そして、見つけた。

村雨たちが乗った電車とは反対側のホームにそいつはいた。
「……あいつか」
走り出した電車の中からでもハッキリと見える。
そいつは薄暗いホームを支配していた。まるでその男のためにこの空間が存在するかのごとく。
『あれこそが吸血鬼DIO! 人類最悪の敵であり刃牙を狂わせた悪魔だ』
顔が存在しない零の表情を読み取ることなど出来なかったが、その声は明らかに怒りに満ちていた。
188Classical名無しさん:07/11/25 22:01 ID:EXe1YkDA

189Classical名無しさん:07/11/25 22:01 ID:EXe1YkDA



◆     ◆     ◆


時間は村雨がこの駅に到着する30分前に遡る。

「……さて、今何時だ?」
発した声がプラットホームの小汚い壁に反射してエコーとなって帰ってくる。
闇に抱かれて安らいでいた帝王が静かに目覚めた。
駅構内を見渡して時計を探し、電車の発車時刻表の隣にあるアナログ時計の針が示した数字を覗く。
まだ微妙に頭が働かないせいだろうか、その数字から現在の時刻を読み取るのに数秒を要した。

(まだこんな時間なのか。流石に太陽は堕ちてはいまい)
……どうやら自分はここに着いてから1時間ほど眠っていたようだ。
ほとんど仮眠と言ってもよいほどの時間だが、それでも人外の体を回復させるには充分すぎた。

ふぅ、と大きく溜め息を吐いてシミだらけの天井を見上げる。脳が次第に覚醒していくのを感じながら。
そのままの状態で数秒もすれば、脳も肉体も完全に目覚めていた。

すぅ……と音も無く立ち上がると、コツコツと足音を残しながら階段へ向かう。
階段の上の改札に太陽の光が届いていないことを確認する。
そしてそのまま駅の内部を探索するために階段を上りだした。
その手には灰原哀から奪った名簿が握られている。どうやら探索と同時に考え事も行いたいらしい。

「……承太郎、ジョセフ、そしてアーカード」
暗い地下道を歩きながら、自分が倒さなければいけない者たちの名前を呟く。
他のやつらなぞどうでもいい。勝手に殺しあってくたばってしまえ。
しかしこいつらだけは違う。この帝王が自ら引導を渡してやらねばならない。
そのために必要なのは情報だ。情報さえ制すればこの殺し合い、自分が優勝したようなものだ。

承太郎とジョセフ、他にもいるであろう正義面した愚かな連中ならば組み伏せるのは容易い。
やつらはおそらく集団で行動している。弱いものを守りながら。
そこでやつらの仲間の1人の知り合いを人質に取った、とでもしてしまうとどうだろう。
肉の芽を植えつけた者のように、私の死に呼応してその人質も死んでしまう、としたらどうだろう。
やつらはその嘘を見抜く手段を持っているだろうか。
その『人質』の実名や外見的特長を見事に言い当ててしまえばやつらはあっけなく信じてしまうだろう。
私がこんな便利な名簿を持っているなんて考えに至るとは思えない。実際に拉致したと考える方が自然だ。
それに、嘘を確実に信用させる必要などない。人質をとった『可能性』を生み出してしまえば、やつらの拳は数テンポ遅れる。確実に。
渾身の一撃さえ決まってしまえばあとは勝ったようなもの。『世界』で時を止める必要すらないかもしれん。
とは言っても早まるのは良くないな。やつらが『人質』とついさっきそこで別れたばかりなんていう状況であれば嘘が容易くバレてしまう。
重要なのは、駆け引きか。

まぁ正々堂々と勝負したところで私が負けるはずがないのだが。

それよりも問題はアーカード……。
あの男には情報戦による小細工など一切通用しないだろう。
そこで重要になってくるのがスタンド、アルターなどの能力だ。
アーカードを殺すことが出来る能力者がこの中にいるかもしれないが……。

そこまで思考したところで立ち止まる。駅内部の捜索が終了してしまったからだ。
駅内部、と言っても狭い駅構内には地上に通じる階段と駅員室以外は特に何もない。強いて挙げるとすれば券売機と改札くらいか。
これならば内部を把握したところで戦闘が有利になるわけではないな。
フン、と呟いた後、地下2階のホームに戻るために階段を下りる。
コツコツと人々の足跡で黒ずんだ階段を丁寧に1つずつ踏みしめていく。
階段の中ほどまで辿り着くと、そこから見えるホームには電車が1台止まっていた。
192Classical名無しさん:07/11/25 22:03 ID:z1wJ53VM
s s s
193Classical名無しさん:07/11/25 22:03 ID:EXe1YkDA


「……誰か乗っているな」
足音を立てずに階段を下りるとその男の輪郭が闇の中ではっきりと映し出される。
(あれは確か、村雨……良だったか?)
名簿で見た限りだと殺し合いに積極的に乗るタイプの人間だろう。
ならばわざわざ接触する必要もあるまい。気配を消してやりすごすか。
プシューと音を立てて電車の扉が閉まる。その扉の動きは何故かオドオドしているように見えた。

「……あれは!」
村雨とかいう男の隣の座席に置いてある鞄。
アレは確か刃牙の持っていた意思を持ち、人語を話す鞄ではないか。
刃牙のやつ、どこかに捨てて行ったな……。
まずいな。アレは自分の事を知っているはずだ。下手な噂でも広められたら敵わんぞ。
先ほどの殺気に気づいたのだろう、振り返った村雨と目が合う。
電車は行ってしまったが、どうする。追うか?

いや、まだ日が落ちてない間から動くのは好ましくない。
さっきも眠っている間に死にかけているのだ。
刃牙から聞いた情報では『S3駅は地下にある』ということ以外は分からなかった。
もしこの駅が地上にあったとしたら、居眠りしたせいで死亡という情けない結末を迎えていたところだ。
あの男がどこで降りるか分からない以上、追うにも追えんな。

仕方がない。夜まではここで待機するしかないようだ。

帝王はベンチに座り、足を組んで、プロフィール付の名簿に目を通して再び思案に暮れるのだった。


◆     ◆     ◆
「つまり、あのDIOという男に操られた刃牙という少年を止めて欲しいと言う事か。……殺してしまうかもしれんぞ」
『生きて悪の道に堕ち続けるより、死して誇りを守る方が戦士として幸せだ!』
電車から降りた村雨たちがいるのは神社。零から聞いた情報によると刃牙は繁華街近くにいるはずらしい。
ちなみにS1駅で降りたのは、繁華街の中心で降りるより繁華街を西から東に突っ切った方が捜索効率が高いからだ。
「まぁ協力してやるさ。その少年が俺に記憶をくれるかもしれん」
父親への復讐のために強くなった少年。それは村雨にとっては吸血鬼なんかよりも魅力的な相手であった。

『言っておくが明らかに刃牙ではない人間を見つけても知らせはせんからな』
殺し合いに乗っているものと協力するのは不本意だ。
だが、何時間も誰とも会えなかったのだからこれが最後のチャンスかもしれない。
とはいえ戦闘力の高い人物以外は見つけても黙っておくべきだ。

「勝手にしろ。強いやつ以外は必要ないからな」
呟くと、クルーザーのエンジンを入れ繁華街に向けて走り出した。
【D-1 神社 一日目 午後】

【村雨良@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:全身に裂傷と中程度の火傷 、闘いへの強い欲求
[装備]:クルーザー(全体に焦げ有り)、十字手裏剣(0/2)、衝撃集中爆弾 (1/2) 、マイクロチェーン(2/2)
[道具]:地図、時計、コンパス 、強化外骨格「零」(カバン状態)@覚悟のススメ
[思考]
基本:殺し合いに乗る。
1:繁華街で刃牙を捜索し、戦闘。
2:エリアE〜H全域を探索し、ついでに施設の有無の確認。
3:劉鳳、ジョセフと次に会ったら決着を着ける
4:十二時間後(約零時)に消防署の前で散と落ち合う。
5:散の愚弟覚悟、波紋に興味あり。
6:DIOと戦う気はない。
[備考]
※参戦時期は原作4巻からです。
※村雨静(幽体)はいません。
※連続でシンクロができない状態です。
※再生時間はいつも(原作4巻)の倍程度時間がかかります。
※衝撃集中爆弾、マイクロチェーンの威力は制限で弱められています。
 制限の程度は後の書き手さんにお任せします
※施設の確認はあくまでも『ついで』なのでそれほど優先度は高くありません。
 またどのような経路を辿ってゆくかも後の書き手さんにお任せします。
※D-1、D-2の境界付近に列車が地上と地下に出入りするトンネルがあるのを確認しました。
※零は戦闘力のない『明らかに刃牙でない人物』を察知しても村雨には知らせません。
※また、零の探知範囲は制限により数百メートルです。
【F-4 S7駅 一日目 午後】

【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[装備]:スタンド『世界』、
[道具]:ダーツ(残弾数1)、デルフリンガー@ゼロの使い魔
    参加者顔写真&詳細プロフィール付き名簿。ルイズの杖。
    イングラムM10サブマシンガンの予備マガジン9。ライドル。
    スタングレネード×2。時計型麻酔銃(1/1)。麻酔銃の予備針8本。
    デイバック×4(DIO、桂、灰原、みゆき)
[思考]
基本:帝王に負けはない。参加者を殺し、ゲームに優勝する 。アーカードのボディを乗っ取り、太陽を克服する
1:夜になるまで地下で英気を養う。及び、地下鉄に乗りにやって来た参加者を各個撃破し体力を回復
2:デルフリンガーから平賀才人他の情報収集・デルフリンガーを用済み、又は障害と判断した場合破壊する。
3:どんな手を使ってでもアーカードを打倒し、ジョースター家を根絶やしにする
4:魔法使い・しろがね等の血に興味
5:ゲームを仕組んだ輩を断罪する
[備考]
※ジャギの腕はほぼ馴染みました
※時を止められる時間は約3秒間です
※首輪の他に、脳内に同様の爆弾が埋め込まれています
※S5駅方面の列車は途中で地上に出ることを確認しました
※デルフリンガーはコミックス2巻のフリッグの舞踏会の最中から召還されたようです。
198Classical名無しさん:07/11/25 22:05 ID:EXe1YkDA

199 ◆d4asqdtPw2 :07/11/25 22:05 ID:uFCfYqjw
投下終了です。支援ありがとうございました。
200Classical名無しさん:07/11/25 22:05 ID:ZLP44DEg
俺は支援をするぞーーーーっ!ジョジョ!
201Classical名無しさん:07/11/25 22:07 ID:ZLP44DEg
おっと投下が終わってしまったか
乙です
DIO様と良は戦わなかったか、やっぱりDIO様かしこいな
これからケンシロウVSDIOの再戦になりそうだな
202Classical名無しさん:07/11/25 22:12 ID:EXe1YkDA
投下GJ!
村雨の零に対する扱いにわらったw
しかし、真面目モードになるとかっこいいな。こいつらは
DIO様の描写も、帝王の貫禄たっぷりでなんていうかGJだぜ!
203Classical名無しさん:07/11/25 22:16 ID:wXDZ8y0.
GJ!
DIOと村雨が闘うのかとヒヤヒヤしたがそんな事はなかったぜ!
何故か村雨と零のやり取りが心に残ったw
依然好調のDIOだがどうなるか……続きが気になるぜ!
204Classical名無しさん:07/11/25 22:18 ID:mk9OLs.6
投下乙!
良と零、異色のコンビ結成だな。
刃牙を探すらしいが、刃牙は喫茶店への空の上だし、当分会えないだろうなあ……。

ところでDIO様、ひょっとするとケンシロウたちが通ったのを寝ていて気づかなかったってことはありませんか?
何か時系列順に並べるとそんな感じが……。
まあ、いいんですがね。
あ、それと回復、おめでとうございます。

>>181
次の投下は誰かなって程度の意味だったんだが、今、もうその結果は出てしまった。
気にしないでくれ。
205Classical名無しさん:07/11/25 22:37 ID:o8Diq2YY
GJ!
予約のときから気になってたが、こういうことかー
いやー、納得。
ZXと零のコンビに期待大だぜ!
DIO様の頭の良さとかも出てて、面白かったです。
206Classical名無しさん:07/11/25 22:46 ID:iwP3.p3.
GJ!
亡霊の塊コンビ結成か
零から少しツンデレ臭がする
207Classical名無しさん:07/11/25 22:47 ID:o8Diq2YY
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9318/1195993985/


したらばにSS批評スレを立ててもらいました。
利用の際には、>>1を必読とのこと。
208 ◆1qmjaShGfE :07/11/26 00:47 ID:OM7ljgUs
覚悟、川田、ヒナギク、つかさ、ジョセフ、かがみ、パピヨン、こなた、投下します
葉隠覚悟、川田章吾、桂ヒナギク、柊つかさの四人はホームセンターを目指していた。
道中何かと話をしているのはヒナギクとつかさの二人。
覚悟も川田も基本的に無口な人間なので、時々相槌を打つ程度だ。
思い出したようにつかさが口を開く。
「そういえば、ヒナちゃんとか覚悟君はパソコンって使える? 私はそういうの全然ダメだから」
ヒナギクはすぐに頷く。
「まあ、人並み程度には。とは言っても普通に使うってレベルよ」
覚悟は首をかしげる。
「申し訳無い。私は使った事が無い」
覚悟の言葉につかさもヒナギクも驚いた顔をする。
「そうなの? 覚悟君すごい頭良さそうに見えるから、私てっきり……」
「あ、それ私も思ってた。ほら、葉隠君って体つき抜きだとインテリって雰囲気あるし」
川田が笑いながら覚悟の肩を叩く。
「だとさ。実際の所はどうなんだ?」
「私は体を鍛える事しか知らない。無論、最低限の学業は修めているが、申し訳ないが君達の期待には沿えそうにない」
ヒナギクは覚悟と川田を見比べる。
「見た目だけだと、二人の印象って逆よね。川田君の方が肉体派って感じするわ」
肩をすくめる川田。
「そりゃどうも」
つかさはにこっと笑う。
「でもどっちも頼もしそうに見えるよ。川田君も覚悟君も第一印象から良かったし」
川田もなんとなくその話に乗る。
「第一印象って言うんなら、葉隠は最高だったよな。あれ見せられちゃ疑おうって気にはならなかった」
恐縮する覚悟、そしてヒナギクは一人川田から視線を外していた。
(ごめん川田君。私、川田君の第一印象あまり良くなかったかも……だって、その、ちょっと学生に見えなかったし)


     【 らき☆すた 第X話 あるいはこんな日常 】


ホームセンターに辿り着いた四人は早速中へと入っていく。
そこでヒナギクが提案する。
210Classical名無しさん:07/11/26 00:49 ID:lVcub7PE

211Classical名無しさん:07/11/26 00:49 ID:ThB8CTJA
                  
「ねえ、ここ地図の端にあるからそんなに危険じゃないと思うけど、一応二人づつで行動しない?」
四人一緒よりは効率も良いだろうという事で、それぞれ覚悟ヒナギク組、川田つかさ組にわかれる事にした。
覚悟とヒナギクは店の2Fを中心に見てまわる事にする。
「桂さんは、良く物を考えている。二組に別れるというのは考えて居なかった」
「あら、ありがと。……それだけじゃないんだけどね」
ヒナギクは棚にあるごっついドライバーを見ていたが、覚悟の方に振り向く。
「こんな場所だからこそ、二人の時間って取ってあげたいじゃない」
そんなヒナギクの発想は、覚悟には意外であったらしい。
驚いた顔をする覚悟。それを見て少しバツが悪そうになるヒナギク。
「そりゃ確かに、不真面目って言われたらそれまでだけど……」
言い訳がましくそんな事を言うが、それを覚悟も慌てて否定する。
「いや、非難している訳では無い。ただ、私はそういう事を考えた事が無いので、思いつきもしなかったというだけ」
ふーん、とばかりに棚の前を離れるヒナギク。
「ルイズさんの事も?」
覚悟が動揺した時間はコンマ数秒に満たない。なのでヒナギクにはそれを見切る事が出来なかった。
「何故そこでルイズさんが?」
問い返されたヒナギクは誤魔化すように手を振る。
「あ、あはははは。いや、なんとなくね。ルイズさんってどういう人なのかなって」
即答する覚悟。
「身の丈153センチ、桃色の髪をした女性だ」
ヒバギクの足が大きく滑る。
「形状じゃなくてどんな性格の人かって事よ!」
覚悟はそれをここで問う理由がわからなかったのだが、素直に答える。
「優しさと勇敢さを兼ね備えた素晴らしき女性なり」

ヒナギク脳内のルイズ像。
薄ピンクの髪を風に靡かせ、物憂げに旧校舎前に佇む。
清楚な白のワンピースにその身を包み、同じく白い鍔広の帽子を被っている。
そこに駆け寄る覚悟、それを見て儚げに微笑んだ後、彼女は覚悟に向かって言った。
「あの悪鬼は私の敵。必ずやしとめてごらんにいれましょう」
そうして彼女は幽霊蠢く旧校舎へと勇猛果敢に飛び込んでいくのだった。

(どういう想像図よそれ……)
本郷達のバトルを見たせいであろうか、ヒナギクの考える覚悟、そしてルイズ像は微妙に人間離れしていた。
「どうしたヒナギクさん?」
不思議そうにヒナギクを見下ろす覚悟の顔。
やっぱり覚悟には清楚可憐な人が良く似合う。そんな事を考えていたヒナギクであった。


     らき lucky☆star すた


一方川田つかさ組。
つかさは工具の棚の所で何やら悩ましそうな顔をしていた。
「川田君、これなんてどうかな? あると便利だと思うんだけど」
一本のナイフを手にとって川田に見せるつかさ。
「う〜ん、少しサイズが小さいな。それにあまり荷物を増やすと移動が辛くなるぜ」
川田の言葉に納得すると、とてとてとてと小走りに駆け、別の棚からナイフを取ってくる。
「じゃあ、これはどうかな?」
今度持ってきたのはオレンジのツールナイフもしくはアーミーナイフと呼ばれるものだ。
様々な用途に使える優れもので、日本では十徳ナイフの呼称が一番しっくりくる。
「悪くない。だが、そのサイズだと造りが弱いからどうせならもっと大きい方がいいな」
またもとてとてとてと走るつかさ。
その様を見て愛玩動物の類を思い出す川田。
苦笑しながらつかさの側にいく。
「つかささん、その奥の大きいやつなんか良いんじゃないか」
「あ、これいいかも」
同時に気に入った物を見つけた模様。
川田が指差したのはアーミーグリーンのゴツイツールナイフ。
先ほどつかさが持ってきた物とは比べ物にならない程、メインブレードが厚く大きい。
つかさはちょうどその三つ隣の物を手に取ろうとしていた。
色はピンク、取っ手部にはディフォルメされた猫のイラストが描かれていた。
とても分りやすい対比である。
214Classical名無しさん:07/11/26 00:51 ID:ThB8CTJA
                             
215Classical名無しさん:07/11/26 00:51 ID:lVcub7PE

つい噴出してしまった川田につかさは、わたわたしながらそのナイフを棚に戻すが、川田はつかさの選んだそれでも良いと言った。
サイズも強度もまあそれなり、つかさの力で扱うにはこのぐらいが適当と思ったからだ。
お互い満足の一品が見つかった事で、その場を離れる。
つかさは次の目的地が決まっているのかすいすいと棚の間を抜けていく。
探し物があるのならとその後を着いていく川田。
つかさは、集中レジカウンターまで来ると、少しうろたえた後、川田の方を振り向いてバツが悪そうに笑った。
(……つかささん、代金払おうとしたろ)
川田は見なかった事にしてあげた。


     らき lucky☆star すた


覚悟とヒナギクの二人、並んで歩きながらパソコンを探すも目当ての家電売り場は見当たらない。
だがホームセンターはそれ以外の何やら大きな角材やら工具なども揃っている。
「ねえ、葉隠君。こういう工具って武器とかで使えないかな?」
覚悟はじっと角材や工具を観察する。
「少し強度に難がある。武器として作られた物の代用品レベルであれば問題無いかもしれないが、今桂さんが持っているボウガンに勝るとは思えない」
改めて覚悟にそう言われると、支給品のボウガンが急に頼もしく思えてくるから不思議だ。
感謝の言葉を述べようと覚悟を見る。
そんな覚悟はまるで砲台か何かのようなハルコンネンを持っている。
「ん?」
(……途端に頼りなく思えてきたわ)
だがこれを使えと言われても、そもそも持って歩くのすら難しそうだ。
(うん、やっぱり私は私の出来る限りの事で頑張ろう)
そう思い一人密かに拳を握る。すると、少し離れた場所で何か物音がした。
そこでは覚悟が巨大な20センチはあろうかという釘を近くの壁に投げつけていた。
細長い形状の釘でありながら、覚悟がそれを放るとまっすぐに壁へと飛んでいき、深く根元まで突き刺さっている。
覚悟から壁までの距離は30メートル近く離れている。
「ふむ、やはり工具では武器としての使用に限界があるな。この程度の飛距離と耐久力では実用には耐えない」
その距離以上離れたらクロスボウを当てる自信なぞまるで無い。
(葉隠君は悪くない、葉隠君は悪く無い……)
217Classical名無しさん:07/11/26 00:53 ID:ThB8CTJA
                         
粉々に自信が砕けながらも、そう自分に言い聞かせるヒナギクであった。


     らき lucky☆star すた


つかさはクラッカー等のスナックを数個まとめて鞄に入れる。
ホームセンターには手付かずの菓子類があったのだ。
川田もこういう物は余分に持っておくべきとの意見だったので、買い物カゴ片手に物色してまわるつかさ。
「ホームセンターって食料品も置いてあるんだね」
「最近はな、この手の回転の早い消耗品置いとかないと商売になんないんだろう」
つかさはぽんと手を叩く。
「そっか、薬局とかにトイレットペーパーが置いてあったりするのも同じ理由なのかな」
「多分な。しかし、流石にパソコンまでは置いてないみたいだな」
今まで見てきた場所は工具類ばかり、女のつかさにはあまり興味を惹かれないものばかりだったのだが、食料品は比較的つかさにもわかるので、少し元気に動き回るようになった。
「あ、川田君ちょっと待ってて。あっちにあるの取ってくるから」
たったかたーと駆けていくつかさ。そのコーナーの上にある看板を見て、川田はオチを確信した。
買い物カゴ一杯に商品を詰め込んで、嬉しそうな顔で戻ってくるつかさ。
「えっと、カップラーメンと後スープとかも持ってきたよ。これね、私のオススメ。おいしいんだよ〜」
言いにくそうに川田は口を開いた。
「……つかささん、お湯はどうするんだ?」
「あ」
赤くなって商品を戻しにいくつかさ。
その辺に置いておけばいいものを、律儀に全部あった場所へと戻している。
小走りに駆けながらちょこまかと動くつかさは、一生懸命なのだがどこか抜けていて、それでいてそんなつかさに腹が立たない。
(……可愛い、とか、考えてる場合じゃねえだろ)
自分の置かれた状態を振り返って反省する川田。
(こんなザマじゃ葉隠に笑われちま……)
そこで覚悟の言葉を思い出す。確か奴もゲームセンターに行く約束をしているとか。
(…………男ってな度し難い生き物だよな、葉隠)
219Classical名無しさん:07/11/26 00:54 ID:lVcub7PE



     らき lucky☆star すた


一通り探してパソコンを見つけられなかった四人は1Fの休憩所で合流する。
川田と覚悟の二人は何やら販売用以外の端末云々と話をしている。
ヒナギクはつかさが大事そうにツールナイフをしまう所を微笑ましく見ていた。
ふとその視線に気付くつかさ。
「ん? どうしたのヒナちゃん?」
放送直後はあんなに辛そうだったつかさであったが、落ち着きは取り戻したようだ。
そんなヒナギクの視線がさっき気遣ってくれた時と同じだったので、つかさはヒナギクの意図を察したのか微笑みで返す。
「大丈夫だよ、私。きっとお姉ちゃんもこなちゃんも私みたいに頼もしい人達と一緒に居ると思ってるから。ヒナちゃんのお友達だってきっとそうだよ」
「……そうね。うん、きっとそうよ」
その強さを頼もしく思いながらも、これ以上この話題を引っ張るのも何なので、少し無理してでも別の話題を探すヒナギク。
「あ、えーっと、そういえばつかさはさ、葉隠君の言ってたルイズさんってどんな人だと思う?」
少し気になっていた事ではある。
そう言われてつかさも色々と考えてみた。
「葉隠君みたいに知的な人かな〜。ああ、後なんか儚いイメージあるかも。それでいて意思が強いってそんな感じ」
まるっきり同じ想像をしていたらしい。
「白のワンピース着てるとか?」
「う〜ん、それより着物着て純和風の邸宅でこう、そそそって歩く感じ」
「えー? それよりいざ動くってなったらとんとんとーんって感じじゃない?」
二人共、一応お互いのイメージはお互いに伝える事は出来ているようだ。
どちらなのか、とても気になったので覚悟に聞いてみる事にするつかさ。
「ねえ葉隠君」
「ん?」
「ルイズさんって人、そそそ、と、とんとんとーん、って感じ。どっちなのかな?」
「…………は?」
覚悟には全く伝わらなかった模様。
221Classical名無しさん:07/11/26 00:56 ID:ThB8CTJA
                  
222Classical名無しさん:07/11/26 00:56 ID:lVcub7PE



     らき lucky☆star すた


ジョセフ・ジョースターに背負われて移動する柊かがみ。
上半身裸、下半身タイツ。ありえない格好である。
おそらく自分がそんな奴を見かけたら、目を逸らしてみなかったフリをして通り過ぎるだろう。
ジョセフのおかげで落ち着きを取り戻せたが、落ち着けば落ち着くほど自らの現状を思い出して落ち着かなくなる。
「ご、ごめんジョジョ。その……どこかにブティックとかあったら、そこ入ってもらえないかな」
そんな泣き言も言ってみるのだが、神様はかがみが大嫌いな様でそれがまるで当然あるべき姿だといわんばかりに衣服を置いてそうな場所が見つからない。
ジョセフは背負っているせいでかがみの姿が見えないからか、大して気にもしていない。
「別に見る奴も居ない事だし、そんなに気にする事ぁ無ぇって」
「気にするわよ!」
そもそもこうして裸のまんまで背負われて居る事自体が物凄く恥ずかしいのだから。
「まあジャパニーズは慎ましやかだって聞くしな。OK、服ありそうな所見つけたらすぐにそこに行くからよ」
一応、こいつも紳士な対応をしてくれてる事だし、それはありがたい事なのかなと思い直すかがみ。
「でも成長まで慎ましやかになる事ぁ無ぇとも思うがね、HAHAHA!」
うまい事でも言ったつもりで得意になるジョセフ。
(……ムカツク、こいつムカツク)
かがみはジョセフの紳士としての評価を大幅に修正する事にした。


     らき lucky☆star すた


泉こなたは駅前にあるベンチに座り、勝達が去った方角を見つめているパピヨンに話かける。
「ねえパピヨン。その服ってさ、着替えたりしないの?」
いきなり意味のわからない事を聞かれたパピヨンだが、それこそ考えるまでもない質問だったので即答した。
「しない。蝶サイコーな現状を何故変えなければならない」
224Classical名無しさん:07/11/26 00:57 ID:ThB8CTJA
              
こなたはわざとらしく片手を腰にあて、もう片方の手をあげると、ちっちっちと指を横に振る。
「わかってないな〜。着替えイベントってのは、たまに別衣装でアレンジを加える事でユーザーに新鮮さを与えると共に、いつもの衣装を引き立たせるという意味合いがあるのだよ」
しかしパピヨンは譲らない。
「くだらん。万物は流転するがそれでもなお変わらない不変の価値を指して蝶サイコーと言うのだ」
「そんなもんかな〜」
とりあえずこなたは想像してみる。

タキシードパピヨン仮面様。
「蝶サイコー!」
仮面の忍者パピヨン。
「蝶サイコー!」
ガラスの蝶仮面。
「蝶サイコー!」
キャンサーのゴールドセイント、パピヨンマスク。
「蝶サイコー!」
マスク・ザ・パピヨン。
「蝶サイコー! ってこれさっきもやったぞ?」

何をやっても同じにしか見えなかった。
「ごめんパピヨン。君が正しかったよ……」
「わかればいい」


     らっきー ☆ ちゃんねる


おおきな駅とは比べるべくもない地下鉄駅、S2駅のホームに、彼女は居た。
はれやかな笑み、ふくよかなその肢体は見るもの全てを魅了した事であろう。
らいどる、そして彼女の意思が、その永続を拒否した。
っきゃー、例え身近にある友の無残な姿を見ても、そんな悲鳴をあげる事すら出来ない今の彼女の姿は彼女自身の望みなのだ
きせきは起こらない。何度祈っても、どれだけ嘆いても。
1番無垢で、穢れ無き存在。このバトルフィールドにおいてそんな存在であった彼女はもう居ない。
226Classical名無しさん:07/11/26 00:59 ID:lVcub7PE

227Classical名無しさん:07/11/26 00:59 ID:ThB8CTJA
                       
【H-5 ホームセンター 1日目 午後】
【葉隠覚悟@覚悟のススメ】
[状態]:全身に重度の火傷(治療済み) 胴体部分に銃撃による重度のダメージ(治療済み) 全身に打撲(どれも致命傷ではない、治療済み)、
頭部に大ダメージ、両腕の骨にひびあり、 強い決意
[装備]:滝のライダースーツ@仮面ライダーSPRITS(ヘルメットは破壊、背中部分に亀裂あり)
[道具]:ハルコンネン(爆裂鉄鋼焼夷弾、残弾5発、劣化ウラン弾、残弾6発)@HELLSING 大阪名物ハリセンちょっぷ
[思考]
基本:牙無き人の剣となる。 この戦いの首謀者を必ず倒す。
1:川田、ヒナギク、つかさと行動を共にし、その後病院に戻る。
2:杉村を弔う。
3:再びラオウと会い、自分の決意を伝えたい。
4:怪我が治ったらルイズとゲームセンターに行く
[備考]原作一巻第一話、逆十時学園入学初日より参戦
※決意が強まりました、殺し合いに乗った者が戦士であるならば容赦はしません。
※戦士でないと判断した者(一般人の女性や子供など)に対しては決して抵抗せず、 説得を試みます。
※戦士であるかどうかの判断は次の書き手さんにお任せします。


【川田章吾@BATTLE ROYALE】
[状態] 健康
[装備] マイクロウージー(9ミリパラベラム弾16/32)、予備マガジン5、ジッポーライター、バードコール@BATTLE ROYALE
[道具] 支給品一式×2、核鉄(バルキリースカート)@武装錬金、チョココロネ(残り5つ)@らき☆すた
    文化包丁、救急箱、ZXのメモリーキューブ@仮面ライダーSPIRITS、裁縫道具(針や糸など)
    ツールセット、ステンレス製の鍋、ガスコンロ、缶詰やレトルトといった食料品。
    薬局で手に入れた薬(救急箱に入っていない物を補充&予備)
    マイルドセブン(二本消費) ツールナイフ
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームに乗っていない参加者を一人でも多く救出し、最後は主催者にカウンターパンチ
1:仲間と一緒にPCと村雨を探す。PCが見つかったら、ハッキングを試みる。
2:つかさの姉や友人、ヒナギクの友人を探すのに協力する。
3:ゲームに乗っている参加者と遭遇した場合は容赦なく殺す
参戦時期:原作で死亡した直後
[備考]
※桐山や杉村たちも自分と同じく原作世界死後からの参戦だと思っています
※医者の息子であること、1度死んでいる事は話しています。
※首輪は川田が以前解除したものとは別のものです


【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
[状態] 傷の手当ては完了している。
[装備] ボウガン@北斗の拳
[道具] 支給品一式。ボウガンの矢18@北斗の拳
[思考・状況]
基本:ハヤテ達との合流
1:仲間と一緒にPCと村雨を探す。。
2:やれることを探してやる。だが無理はしない。
[備考]
※ ヒナギクが聞いた轟音の正体は、三影の大砲の音です
※参戦時期はサンデーコミックス9巻の最終話からです
※桂ヒナギクのデイパック(不明支給品1〜3品)は【H-4 林】のどこかに落ちています
※ロードローラー@ジョジョの奇妙な冒険と捕獲網@グラップラー刃牙は【H-4 林】に落ちています


【柊つかさ@らき☆すた】
[状態] 健康
[装備] なし
[道具] 支給品一式、ホーリーの制服@スクライド、ターボエンジン付きスケボー @名探偵コナン 、ツールナイフ
[思考・状況]
基本:ゲームには絶対に乗らない
1:仲間と一緒にPCと村雨を探す。
2:お姉ちゃんやこなちゃんたちと合流したい
3:みんなの力になりたい。でも無理はしない
[備考]
※川田、ヒナギク、覚悟、新八を完全に信用しています
230Classical名無しさん:07/11/26 01:02 ID:lVcub7PE
 
231Classical名無しさん:07/11/26 01:02 ID:ThB8CTJA
                     
【備考】
※4人は、ホームンター→総合スーパーの順で捜索を行い、
その後病院に戻る予定です。

※4人の主催者の目的に関する考察

主催者の目的は、
@強化外骨格に憑依させる怨霊にするため、
A最強の人間の選発、
@かA、または@とAの両方が目的

※4人の首輪に関する考察及び知識

首輪には発信機と盗聴器が取り付けられている。
首輪には、魔法などでも解除できないように仕掛けがなされている。




【E-8 北部/一日目 午後】

【ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康、顔面にマジシャンズ・レッドの拳によるダメージ
[装備]:ハイパーヨーヨー*2(ハイパーミレニアム、ファイヤーボール)、
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:あのスカタンを一発ぶん殴ってやらねぇと気が済まねぇ〜〜。
1:三村との合流のため取りあえずボウリング場に行く
2:マップの端を見に行く。
3:「DIO」は警戒する、一応赤石も探しとくか……無いと思うけど。
4:ところで、何で義手じゃないんだ?
5:赤ムシ野郎(ZX)にはもう会いたくねぇな

[備考]
※二部終了から連れてこられていますが、義手ではありません。
※承太郎、吉良、DIOの名前に何か引っかかっているようです。
※水を使うことで、波紋探知が可能です。
※村雨が西の方角へ行ったと勘違いしています


【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:左肩、左脇腹に打撲、精神消耗(大)、
[装備]:核鉄「激戦」@武装錬金、マジシャンズレッド(魔術師の赤)のDISC@ジョジョの奇妙な冒険 、江頭2:50のタイツ
[道具]:無し
[思考・状況]
基本:生きる
1: 殺し合いには乗らない、脱出を目指す
2: ジョセフについていく。
3:こなた、つかさと合流する
4:三村に謝りたい
5:ま と も な ふ く が ほ し い
[備考]
※第一回放送の内容はジョセフ達から聞きました。
※アーカードを不死身の化け物と思っています。
※「激戦」は槍を手から離した状態で死んだ場合は修復せずに死にます。
 持っている状態では粉々に吹き飛んでも死にませんが体の修復に体力を激しく消耗します。
 常人では短時間で三回以上連続で致命傷を回復すると意識が飛ぶ危険があります。
 負傷して五分以上経過した患部、及び再生途中で激戦を奪われ五分以上経過した場合の該当患部は修復出来ません。
234Classical名無しさん:07/11/26 01:03 ID:lVcub7PE

 全身を再生した場合首輪も再生されます。
 自己修復を利用しての首輪解除は出来ません
 禁止エリア等に接触し首輪が爆破した場合自動修復は発動しません。
※マジシャンズレッドの火力は使用者の集中力によって比例します。
 鉄を溶かすほどの高温の炎の使用は強い集中力を要します。
 火力センサーは使用可能ですが精神力を大きく消耗します
※精神消耗のためしばらくマジシャンズ・レッドは出せません


【D-2 駅前 一日目 日中】

【パピヨン@武装錬金】
[状態]:健康
[装備]:猫草inランドセル@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:首輪を外し『元の世界の武藤カズキ』と決着をつける。
1:勝と独歩を待ちつつ首輪などの考察をする。
2:シェリスの殺人は一般人に限り黙認する。殺し合いに乗っていたことも他言しない。
3:エレオノールを警戒しておく。
4:核鉄の謎を解く。
5:二アデスハピネスを手に入れる。
[備考]
※参戦時期はヴィクター戦、カズキに白い核鉄を渡した直後です
※スタンド、矢の存在に興味を持っています。
※猫草の『ストレイ・キャット』は、他の参加者のスタンドと
同様に制限を受けているものと思われます
※エレオノール、鳴海に不信感(度合いはエレオノール>鳴海)
※独歩・シェリスと情報交換をしました。
236Classical名無しさん:07/11/26 01:05 ID:ThB8CTJA
                          
【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、フレイム・ボール@ゼロの使い魔(紙状態)んまい棒@銀魂、エンゼル御前@武装錬金
綾崎ハヤテの女装時の服@ハヤテのごとく
[思考・状況]
基本:みんなで力を合わせ首輪を外し脱出 。
1:勝と独歩と合流後、喫茶店に戻る。
2:かがみ、つかさを探して携帯を借りて家に電話。
[備考]
※エンゼル御前は、使用者から十メートル以上離れられません。 それ以上離れると、自動的に核鉄に戻ります。
※独歩・シェリスと情報交換をしました。
※みゆきの死をいまいち実感していません
238 ◆1qmjaShGfE :07/11/26 01:06 ID:OM7ljgUs
以上です、支援ありがとうございました
239Classical名無しさん:07/11/26 01:11 ID:ThB8CTJA
投下乙。なんというらきすた……。
ショートショートは新感覚ですね。凄い面白かったです。
らきすた勢が奇跡的に穏やかな状況だから出来た技ですね。
ロワの中でこういうのは最高のオアシスです。GJ。
個人的には覚悟の釘投げが面白いwもはや天然だよw
240Classical名無しさん:07/11/26 01:14 ID:lVcub7PE
GJです。
あー、ロワの清涼剤だよ。このチームは
しかしホームセンターの事務室には、KOOLからのメッセージが……

覚悟の釘投げが、俺も特に好きだw
結構な武器になってんじゃねえかw零の搭載兵器には劣るけどさww
241Classical名無しさん:07/11/26 04:46 ID:nMhr3CyU
投下乙です。
いや〜和やかだね〜・・・・
こなたとパピヨンのやり取りで笑ってしまいましたw
あと212の
ヒバギクの足が大きく滑る。

ヒナギクの足が大きく滑る。
ではないでしょうか。
242Classical名無しさん:07/11/26 08:19 ID:KoxzuAcM
投下乙
ほのぼのの日常パートのような展開に和みました
ひょっとして川田とつかさに恋愛フラグたってね?
243Classical名無しさん:07/11/26 12:21 ID:V5xqQW3U
うーん、作中メンバーのそれぞれを書くとはこれまたやられましたな
全員ほのぼのとしててt…………みwiki orz
244Classical名無しさん:07/11/26 18:01 ID:6yOarBdk
GJ!
あのメンバーの予約にはびっくりしたが、こうくるかー
ジョセフの空気読めなさが素敵だw
245Classical名無しさん:07/11/26 18:26 ID:gubneiXQ
投下乙。
パピヨンの蝶サイコー想像して吹いたw
246Classical名無しさん:07/11/26 18:41 ID:wKzVcBwE
投下乙。
ほのぼのした先の3人もいいけど、その分みwikiさんが印象に残るな……
247Classical名無しさん:07/11/26 22:36 ID:U6VyebvQ
>>237
GJ!!

いやあ和み率高いなあw
どれもこれも読んでいてホッとしますよ。
それにしても↓が地味にツボだったw
>(ごめん川田君。私、川田君の第一印象あまり良くなかったかも……だって、その、ちょっと学生に見えなかったし
まったくだw
川田を見て、中3だと思う人間がいたらお目にかかりてーよw

嗚呼、それにしてもみwiki・・・。
248 ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:10 ID:4WMlBPgk
アカギ・斗貴子完成しました。
支援よろしくお願いします
249Classical名無しさん:07/11/27 00:10 ID:BO724ias
いえええええええええええすぅ
250銀の意志  ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:12 ID:4WMlBPgk
(そう……全ての鍵は、あの時だ……!!)

考察を進めるにあたり、アカギは最初に集められた広場の事を思い出した。
思い起こしてみれば、あの時の光成は余りに不自然。
言動の中に、怪しすぎる点が幾つか見られた。
それに関しては、少なからず考えていたが……
主催者が変わったに違いない今、全てがはっきりと分かった。



―――じゃが、わしも知らされておらんかったじゃ。勘弁してくれんか


―――この闘いには、ワシの命がかかっとるじゃぁ!! 勝手なことをせんといてくれぇぇ!!



(あの老人は、俺達と同じだ。
主催者に選び出された一人に過ぎない……それが、遅かったか早かったかだけ……!!
奴は、参加者になりえたかもしれなかった一人……!!)

光成の正体は、自分達と全く同じ。
主催者によって、知らぬ間に呼び出された一人に過ぎない。
首輪こそしていなかったものの、主催者に命を握られている事には代わりのない、ゲームの駒の一つだ。
光成は自分達よりも早く呼び出され、そして己の役割―――ゲームの司会者としての役割を聞かされた。
逆らえば殺すという、暴力を背景にした脅し付きでだ。
そして、それ以外は……必要最小限な事以外に関しては、恐らく聞かされていない。
そう考えれば、彼が自分達の呼び出し方について言及出来なかった事も、説明がつく。
251Classical名無しさん:07/11/27 00:13 ID:BO724ias
                       
252銀の意志  ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:13 ID:4WMlBPgk
(光成が主催者として選ばれた理由も、極めて簡単だ。
光成が首輪をしないということは、奴には少なからず自由はある。
主催者への反逆とて、不可能じゃない筈だ。
しかし、それをしなかった……出来なかったんだ……!!
奴はあの広場でも、己の死の恐怖に怯えていた。
そう、奴には抗う力も覚悟も無い……非力なのだ。
主催者は、自分達に決して逆らう事の出来ない、優秀な駒が欲しかったに過ぎない……!!)

決して自分達には逆らわぬ、それでいて優秀な手駒。
そして……真なる主催者である自分達の正体を、隠してくれる存在。
その条件に当てはまるのが、正しく光成だった。
光成は広場において、躊躇うことなく一人の少女を爆殺した。
そしてその後も、平然とした態度でい続けていた。
それが意味する事は一つ……光成は、人の死ぬ様に慣れているのだ。
これが、例えば平山なんかだったらどうなっただろうか。
あの男の事だ……爆殺した女性の首無し死体を前にして、きっと動揺するに違いない。

(それじゃあ台無しだ……仮の主催者として、参加者を多少なりとも圧倒できる凄みが必要なんだ。
参加者に深く、悪党としての印象を植え付けられる凄みが……!!)

光成=極悪人という印象が強ければ強いほど、その影に隠れるものの存在は薄くなる。
そして光成は、見事その役割を演じきっている……格好の囮だ。
御蔭で、真の主催者の存在は、まだ殆どの者が気付いていないだろうが……
さて、重要なのはここ。
何故真の主催者は、自分達の正体を隠す必要があったのか。
あの勇次郎さえも盤上の駒に出来るだけの力を持っておきながら、何故堂々と姿を現そうとはしないのか。
そう……堂々と出来ない、何か理由があるに違いないのだ。

(真の主催者には、自分達の存在を俺達参加者に知られるとまずい、何かがある。
恐らくは、参加者の誰かが……真の主催者と関わりを持っている。
真の主催者が、恐れている存在……天敵がいる……!!)
253銀の意志  ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:15 ID:4WMlBPgk
核鉄、スタンド能力、自動人形、ホムンクルス。
このいずれか、もしくは複数か、それともまだ見知らぬ未知の力か。
この中に、主催者が恐れている存在がある可能性が高い。
首輪に使われている技術に関連しているのか、それとも単に、主催者の苦手な能力を持っているのか。
考えられる可能性は、幾らでもあるが……確実なのは一つ。
主催者の正体が露見しては……何かしら、不利が生じるということだ。

(……くくく。
どうやら、真の主催者とやらも……ゲームを支配し切れていないようだな……!!)

アカギは内心、真なる主催者を嘲笑っていた。
そんなに恐れている存在がいるのならば、最初からゲームに参加させなければいい。
しかし、それをしなかったのは何故か……理由は二つある。
まず一つ目は、このゲームの参加者を、主催者が全員任意で選び出したという訳ではないという可能性。
参加者のうち何人かは、ランダムに選び出され……その中に、主催者の天敵たる存在がいてしまったという事。
主催者自身、ギリギリになるまで参加者が分からなかったというパターン。
そしてもう一つは……その天敵たる存在が、必要でもあったという可能性だ。
呼ばなければいい相手を、呼ばなければならない理由があったいう事である。
はたしてどちらかは、まだ現時点での断定は出来ないが……どの道、主催者の恐れる存在がいるのは、まず間違いない。
それだけ分かれば、十分すぎる。
尤も、既にその天敵たる存在が死亡なりしている可能性もあるが……これも保留だ。

(さて……後の問題は、二つだ。
この首輪の解除と……どうやって、俺達があの広場に呼び出されたかの特定だ。
どちらも、主催者に戦いを挑むのには必要不可欠な要素……)
254Classical名無しさん:07/11/27 00:15 ID:BO724ias
                        
255Classical名無しさん:07/11/27 00:15 ID:1ShtDJ96
SSに支援走る
256銀の意志  ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:16 ID:4WMlBPgk
前者は勿論、主催者の手の上から逃れる為。
首輪をしている以上、主催者へと戦いを挑むのは不可能だ。
まずは、命を握られているという状況から逃れ……対等の立場に立たなくてはならない。
そして、後者はというと……これも、主催者へと戦いを挑む為だ。
主催者が、自分達をあの広場へと飛ばした方法の特定。
それは逆に言えば、主催者がいる場所へと乗り込む方法の特定である。

(こちらから、絶対に乗り込めないという場所ではない筈だ。
それだと、向こう側も何かと不自由が生じる……一方通行とは思えない。
あるはずだ……この会場内に、移動の為のヒントが必ず……ん?)

アカギが更なる考察を進めようとした、その時だった。
彼の視界に思わぬものが入り、その思考を中断させてしまった。
それは、吉良吉影との激闘の末、川へと落ち込み流されてしまった斗貴子であった。
アカギは彼女の姿を見るやいなや、迷うことなく陸地へと引き上げた。
所々破けた、すすけたセーラー服。
酷く焼け爛れた肌に、痛々しい断面図をした右手首。
そして……左手に握られている核鉄。
戦闘で傷ついたというのは、見るからに明らかだ。
アカギは、彼女が流れてきた方へと視線を向ける……病院側だ。

(……向こうは病院か。
この様子を見るに、どうやら爆弾やら火炎放射器やらでやられたようだが……勇次郎の本領は、明らかに素手だった。
こいつをやったのは、別の奴に違いないな……
病院か、それとも更に向こう側かは知らんが……いずれにせよ、やった奴が勇次郎と鉢合わせる可能性はある。)

勇次郎を差し向けておいて、やはり正解だった。
病院には、恐るべき力を秘めた参加者がいる。
そいつと勇次郎が潰し合いをしてくれれば、大いにやりやすくなる。
目論見が上手くいってくれたことに、アカギは微笑を浮かべた。
257Classical名無しさん:07/11/27 00:16 ID:61NLaWB.
支援
258Classical名無しさん:07/11/27 00:17 ID:BO724ias
                    
259銀の意志  ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:18 ID:4WMlBPgk
その後、アカギは斗貴子の手から核鉄を没収し、そして彼女のデイパックを押収する。
アカギが彼女を引き上げた理由は、大きく分けて三つある。
まず一つ目は、今行ったとおりに支給品を得る事。
このゲームを乗り切り、そして破壊する為には、支給品の存在は必要不可欠だ。
二つ目は、情報収集。
彼女が生きているのであれば、知ってる限りの事を聞き出したい。
自分には幸い、傷薬も包帯もある……治療を代価にして、聞き出す事は可能だ。
そして三つ目は、彼女が死んでいるのであればだが……首輪を手に入れる事が出来る。

(さあ……どっちだ?)

アカギは斗貴子の腕を取り、脈を取った。
微かではあるが、動いている……まだ、息がある。
ならばと、アカギはデイパックから包帯を取り出し、そして彼女の体を縛り始めた。
もしも彼女がゲームに乗っているのならば、襲われるのは確実。
身動きを完全に封じ、何も出来ない状況にした上で、彼女とは接する必要がある。
両腕を胴体にしっかりと巻きつけ、そして足首も両方とも強く縛った。
そして、最後の仕上げとして……目隠しを施す。
少々悪趣味ではあるが、これならば抵抗の仕様は無いだろう。
後は、目が覚めるのを待つのみ……それまでの間、アカギは彼女の支給品をチェックする事にいた。

(小薄汚い本に、精々小学生サイズの靴、宝石……それに、銃の予備弾薬か。
肝心の銃が無いのは気になるが、どの道この弾は使用不可能だ。
水に濡れて、使い物になりそうにない……一見すれば、核鉄以外は完全に外れだ。
だが、靴と弾は兎も角……本と宝石は、何か価値がありそうだな。
後で集まった連中に、聞いてみることにするか……)

核鉄の様な、未知の支給品が存在するこのゲームだ。
一見無意味に見えるものでも、何かがある可能性は否定できない。
役に立つかもしれないと思って、アカギはそれらの支給品を自分のデイパックに移した。
そして、その後……斗貴子が持っていた核鉄を手に取り、発動させてみる。
260Classical名無しさん:07/11/27 00:19 ID:BO724ias
                       
261Classical名無しさん:07/11/27 00:19 ID:1ShtDJ96
倍支援だ
262銀の意志  ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:20 ID:4WMlBPgk
「武装錬金。」

掛け声を聞き、核鉄がその姿を変える。
アカギは、その手に出現したサンライトハートをしばし監察した後、軽く素振りをしてみた。
見たところはただの槍……しかし核鉄の武器である以上、何かしらの機能があるに違いない。
そう思いつつ、真っ直ぐに槍を突き出してみると……

「何……!?」

光を放出しながら、槍先が伸びた。
この光景を目にし、アカギは思わず声を出してしまった。
彼が驚かされたのは、サンライトハートの性能そのものではない。
サンライトハートが放った、光の色にあったのだ。
これは確か、先程喫茶店で見たあの光と同じ。
執事服の男が言っていた、カズキとやらの武器によるものだ。

(そういえば、名前が放送で呼ばれていたな……こいつが殺したのか?
それとも、単なる火事場泥棒か……)

武藤カズキという名前を、先程の放送で聞くことができた。
恐らくは、あの光―――確か、B−3の辺りから発せられていた―――を発した戦いの中で、命を落としたのだろう。
だが……斗貴子が流れてきたのは、病院のあるF−4側。
B−3からF−4まで、距離がそれなりにある。
それに、最低でもF−4……もしかすると、もっと遠くから流れてきた可能性だってある。
あの光が発せられた時点からでは、時間的に移動が可能とは思えない。
だが、現にこうして彼女はここに……このサンライトハートを持って、流れ着いている。
モーターギアの様な、高速での移動を可能とする何かを使ったのだろうか。
それとも、自分が最も欲している手段―――ワープの類を使ったのだろうか。
もし後者だとするならば、主催者のいたあの場へと乗り込む方法が、分かるかもしれない。
263Classical名無しさん:07/11/27 00:21 ID:BO724ias
                                
264Classical名無しさん:07/11/27 00:21 ID:61NLaWB.
支援
265Classical名無しさん:07/11/27 00:22 ID:1ShtDJ96
真っ赤な支援
266銀の意志  ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:22 ID:4WMlBPgk
(くくっ……!!
いいぞ……ツキは今、俺にある……!!)
「うっ……」
「お……気がついたか。」
「これは……!?
くそ、体が……!!」
「悪いな……暴れられちゃ面倒なんだ。
こちらの質問が終わるまで、大人しくしててもらうぜ。」

ここで、斗貴子が目を覚ました。
彼女は己の置かれている状況を即座に理解し、何とかしようと体を捩らせる。
だが、どうにもならない……斗貴子は大きく歯軋りし、アカギの声がした方向へと目を向けた。

「貴様……!!」
「そう、怖い顔をするな……質問が全部終わったら、解いてやらないこともない。
それじゃあ、早速だが単刀直入に聞くぞ……お前はゲームに乗っているか?」
「……そういうお前は、どうなんだ?」
「あんたが答えるなら、教えてやるよ。」
「……分かった。
私は……このゲームには、乗っていない。」
「乗っていない、か……」

斗貴子はアカギの質問に対し、自分は乗っていないと答えた。
そう答えなければ、この拘束は決して解かれないだろうという事ぐらい、誰だって理解できる。
だから、嘘をついた。
しかし……アカギは、その言葉を信用しなかった。
斗貴子は嘘をついている……彼女はゲームに乗っていると、分かっていたからだ。
そう判断した理由は大きく分けて二つ。
267Classical名無しさん:07/11/27 00:23 ID:61NLaWB.
ククク支援
268Classical名無しさん:07/11/27 00:24 ID:BO724ias
                                      
269銀の意志  ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:24 ID:4WMlBPgk
一つは、ずばり直感だった。
先程、斗貴子は酷い怒りの形相で此方を睨んできた。
あの表情を見て、アカギは直感したのだ……斗貴子は、ゲームに乗っていると。
アカギとて、博打打ちとして様々な死線を潜り抜けてきた身。
かつて、市川に拳銃を向けられた時の様に、チキンレースの報復に合わされた時の様に、鷲巣の狂気を相手にした時の様に。
対する相手に、明確な殺意があるかないか……それを感じ取るのは、アカギには容易な真似だった。
だが、それ以上に決め手となったのは、二つ目の理由。
彼女は自分の問いに対し、即座に答えようとしなかった。
少しばかり、間を置き……それからやっと答えた。
本当にゲームに乗っていないのであれば、躊躇う必要がどこにあろうか。

「安心しろ、俺も同じだ……ゲームには乗っていない。
俺は赤木しげる……あんたは?」
「……津村斗貴子だ。」
「分かった……じゃあ津村、次の質問に移らせてもらうぞ。」

しかしアカギは、すぐに言おうとはしなかった。
ここで彼女の嘘を暴いても、得など何もありはしない。
自棄になって口を紡がれたりしては、全てが台無しだ。
だが……あまり焦らし過ぎても、逆に話そうとしなくなるかもしれない。
だから、聞きたいことは早いうちに聞く……聞かなければならない。
アカギは早速、自身が最も気にしていた事について尋ねてみた。

「この核鉄……サンライトハートって呼んでいたな。
こいつの持ち主は、武藤カズキって奴のはず……あんたはこれを、どうやって手に入れた?
俺は、そいつがB−3の辺りにいたのを確認している……あんたが流れてきた場所から、かなり離れているぞ……?」
「―――!!」
270Classical名無しさん:07/11/27 00:25 ID:BO724ias
                               
271銀の意志  ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:25 ID:4WMlBPgk
アカギの言葉を聞き、斗貴子は大きく目を見開いた。
何故この男が、カズキの事を知っているのか。
しかも……サンライトハートの存在に加えて、その位置情報まで。
ここまで詳しいことを知っている理由は何か。
この時、斗貴子の脳裏に浮かんだのは、最悪のケース。

(この男が……カズキを殺した……!!)

カズキを殺した人物が、目の前にいる。
斗貴子は、愚かにもそう判断してしまったのだ。
もしも彼女に、少しでも本来の冷静な判断力があれば。
憎悪と殺意に心を支配されてさえいなければ、別の可能性を考慮できていただろう。
だが……今の斗貴子には、それは無理な事であった。


―――殺す。

―――殺す、殺す、殺す。

―――殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す……!!

―――カズキを殺した、この男を……殺す……!!


「アアアアァァァァァァァァァァッ!!!」
「っ!?」

斗貴子は雄叫びを上げ、全身へと渾身の力を込めた。
彼女を突き動かすは、どす黒い殺意。
何があろうともアカギを殺そうという、異常なまでの執念。
ぶち、ぶち、と音を立て、包帯の拘束が解かれようとしている。
しろがねと化し、身体能力が向上したからこそ成せる芸当。
272Classical名無しさん:07/11/27 00:26 ID:1ShtDJ96
 
273Classical名無しさん:07/11/27 00:26 ID:BO724ias
                            
274Classical名無しさん:07/11/27 00:27 ID:61NLaWB.
TQNファイト支援
275銀の意志  ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:27 ID:4WMlBPgk
「武装錬金!!」

とっさにアカギは、もう片方の手で握っておいたモーターギアを発動させ、自分の足へと装着させた。
拘束を解かれるという事態は、十分予想していた。
だからすぐに臨戦態勢に入れるよう、モーターギアを常にその手で握り締めておいたのだ。
そして、その直後……斗貴子の、両腕と両足の拘束が解かれた。

「貴様が、貴様がカズキをぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

斗貴子は人間離れした瞬発力で、アカギに急接近。
その拳を、彼の顔面へ向けて突き出した。
しかし、アカギは即座に後方へと下がり、ギリギリのところで回避する。
斗貴子はアカギにも聞こえるほどの大きな舌打ちをした後、目隠しの包帯を剥ぎ取り、怒りと殺意の色に染まった瞳を彼に向けた。

「モーターギア……!!」
(……成る程、そういうことか。)

斗貴子の先程の一言で、アカギは全てを悟った。
彼女は武藤カズキの関係者であり、彼が死んだからゲームに乗った。
彼を蘇らせる為、狂気と殺意に身を任せているのだと。
そして、錯乱して自分を殺人犯と誤認してしまっているのだと。
また、彼女がこうした反応を見せてくれた御蔭で、この核金がサンライトハートであるという確証が取れた。
見間違えかもしれないと、先程は少しばかり考えていたが……その可能性は、今消えた。
ならば彼女は、カズキの死体からサンライトハートを押収し、何らかの方法で長距離を短時間で移動したということになるが……

(……いや、断定するにはまだ早い。
考えを一つに縛っていては、真実には辿り着けやしない。
そうだ……逆に考えろ……!!)
276銀の意志  ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:28 ID:4WMlBPgk
アカギは、ここで発想を逆転させてみる。
結果、面白い考えが浮かび上がってきた。
そう……斗貴子がサンライトハートを持って移動したのではなく、サンライトハートの方が彼女の元へと移動してきたとしたら。
それはつまり、自分自身がワープ『する』のではなく、任意の対象をワープ『させる』力という事になる。
考えてみれば、あの広場からこの会場へと、自分達を瞬時に移動させたあの技術。
あれはまさしく、その力ではないか。
ならば、誰が斗貴子の元へと核鉄を送り届けたのか。
武藤カズキを殺害した、ゲームに乗っている人物か?
否……核鉄という強力な力を持つ支給品を、態々マーダーが手放すわけがない。
彼と一緒にいたというナギお嬢様とやらか、その現場に駆けつけた執事服の男と承太郎か?
確かに、あの執事服の男は甘ちゃんに見えた。
その主がどんな者かまでは分からないが、カズキの遺品を届けたいと願い、そして何らかの方法で実行した可能性はある。
だが……承太郎は違う。
あの男は、かなり頭が切れる……こんな危険なゲームで、態々強力な武器を溝に捨てるような真似をする筈がない。
なら、二人が駆けつける前に、ナギお嬢様とやらが独断で行ったのか?
否……その可能性も、極めて薄い。
執事服の男は、そのお嬢様とやらを守るためにカズキが戦っているかもしれないといった。
つまり、そのお嬢様自身には戦う力なんてものはない……非力な存在という事になる。
そんな者が、残された強力な武器をみすみす捨てるとは考えにくい……これは命の取り合いなのだ。
自衛の為の手段は、最低限確保しなければならない。
まあ、余程のお人よしという可能性もゼロではないが……この考えが限りなく低い可能性なのは、確かだ。
ならば……彼女の元に、誰が核鉄を送り届けた?
他にカズキの事を知る、見知らぬ第三者が行ったのか?
確かに、その可能性はある……だが。
もう一つ……それよりも、遥かに大きな可能性のあるケースが残されている。

(簡単だ……この女は、ジョーカーだ。
主催者が、殺し合いを円滑に進めるべく選んだ……奴等の鬼札……!!)
277Classical名無しさん:07/11/27 00:28 ID:BO724ias
             
278Classical名無しさん:07/11/27 00:29 ID:61NLaWB.
バーロー不要説を裏づけするかのごときこのアカギの鬼推理っっ!!支援
279銀の意志  ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:29 ID:4WMlBPgk
アカギは、この斗貴子は主催者が選び出したジョーカーだと考えていた。
先程の放送で、向こうは優勝賞品の話を持ち出してきた。
そうした目的は、先程も考えたとおり、主催者達が思っていたほど殺し合いが起こらなかったからだ。
だから、殺し合いを促進させる為に優勝賞品の話を持ち出してきた。
しかし……主催者が果たして、これだけの介入で事を済ませるだろうか。
答えは否……殺し合いを促進させたいのならば、もっと効果的な手段がある。
凶悪なマーダー―――ジョーカーを用意し、ゲームに波乱を巻き起こさせる。
精神的揺さぶりをかけて、殺し合いに乗らざるを得ない心理に持ち込む。
これこそが、もっと効果的な手段……そして、目の前にいる斗貴子が、今まさにその役割を果たしている。

(そしてこの女は、その事実を知らない。
主催者にいいように踊らされていることに気づかない、哀れな傀儡……!!
だが、こうなっては説得はもはや無駄だ……力ずく以外、止める方法はない……)

アカギは今、ここで斗貴子と戦うか否かを考えていた。
一見、丸腰で重傷という、とてもじゃないが戦える状態ではない。
戦えば、まず間違いなく勝てる相手に見える。
だが……ジョーカーとして選ばれた以上、彼女には何かがある様にアカギには感じられたのだ。
先程の、拘束を解かれた時なんかがいい例である。
ならば、ここで引くか。
それが賢明な判断なのは、間違いないだろう……だが。

(この女が仕留められれば、主催者は確実に動く。
ジョーカーが止められたとあっては……何かしらのリアクションを起こさずにはいられない……!!
新しいジョーカーを補給しに、別の参加者と接触するか。
それとも、俺の前に直接現れるか……いずれにせよ、何かしら起こる可能性は高い……!!)

斗貴子を倒すというのは、かなりのメリットがある行為。
少なくとも、主催者の目論見を一つ打ち砕くことができるのは確実。
願ってもない幸運……ツキが巡ってきているのだ。
この流れ、ここで手放す訳にはいかない……!!
280Classical名無しさん:07/11/27 00:29 ID:BO724ias
                           
281Classical名無しさん:07/11/27 00:29 ID:1ShtDJ96
支援
282Classical名無しさん:07/11/27 00:31 ID:61NLaWB.
鷲頭の豪運と同じくらい、アカギの直感による真実追求には説得力があるっ 支援
283Classical名無しさん:07/11/27 00:34 ID:1ShtDJ96

284銀の意志  ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:34 ID:4WMlBPgk
「いくぞ……!!」

アカギはサンライトハートを核鉄に戻し、そしてグリモルディに持ち直す。
彼は敢えて、戦う道を選んだのだ。
逆に、自分が殺される可能性も十分ありえる……この状況下においてである。
傍から見れば、不合理な行動としか思えない。
だが……それこそが、アカギの真髄。

「不合理こそ博打……それが博打の本質……博打の快感……!!
不合理に身をゆだねてこそギャンブル……!!」

人間業を超えた、まるで悪魔が如き天賦の才を持つアカギ。
人間を捨て、しろがねと成り果てた斗貴子。
主催者の打倒を目論む博打打ちと、主催者の思惑通りに動くジョーカー。
銀色に輝く髪を持つ、対極にあるようで、しかし似ている二人。

二人の意志が……銀の意志が、今交錯する。

【F-3 北東部/1日目 午後】
【赤木しげる@アカギ】
[状態]:健康
[装備]:基本支給品、グリモルディ@からくりサーカス 、核鉄(モーターギア)@武装錬金
     核鉄(サンライトハート)
[道具]:傷薬、包帯、消毒用アルコール(学校の保健室内で手に入れたもの)
ヴィルマの投げないナイフ@からくりサーカス (残り9本)、 始祖の祈祷書@ゼロの使い魔(水に濡れふやけてます) キック力増強シューズ@名探偵コナン
水のルビー@ゼロの使い魔
[思考]
基本:対主催・ゲーム転覆を成功させることを最優先
1:斗貴子を打ち倒し、主催者達の目論見を破壊する
 (殺害・生け捕りのどちらでも大丈夫と考えている)
285Classical名無しさん:07/11/27 00:35 ID:BO724ias
                        
286銀の意志  ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:36 ID:4WMlBPgk
2:対主催を全員説得できるような、脱出や主催者、首輪について考察する
3:1が終わったら、病院にいく
4:強敵を打ち破る策を考えておく
5:このバトルロワイアルに関する情報を把握する
(各施設の意味、首輪の機能、支給品の技術 や種類など。)
6:鳴海たちと合流するため、8時前には学校に行く

※光成を、自分達同様に呼び出されたものであると認識しています。
※参加者をここに集めた方法に、
スタンド・核鉄・人形のいずれかが関係していると思っています。
※参加者の中に、主催者の天敵たる存在がいると思っています
(その天敵が死亡している可能性も、考慮しています)
※斗貴子は、主催者側の用意したジョーカーであると認識しています。
287Classical名無しさん:07/11/27 00:37 ID:BO724ias
しえん
288Classical名無しさん:07/11/27 00:38 ID:1ShtDJ96
C\
289銀の意志  ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:40 ID:4WMlBPgk
【津村斗貴子@武装錬金】
[状態]:アカギに対して、酷く激怒。
    しろがね化 精神崩壊、判断力低下(本人は極めて正常だと思っている)、右手消失、全身大火傷
    非常に危険な状態であり、早急に処置しなければ死ぬ可能性もある。
[装備]:無し
[思考・状況]
基本:最後の一人になり、優勝者の褒美としてカズキを蘇らせる。
1:カズキを殺したアカギを、この手で殺す。
2:強者との戦闘は極力避け、弱者、自動人形を積極的に殺す
3:吉良、勇次郎、軍服の男(暗闇大使)は最終的に必ず殺す。

※本編終了後、武装錬金ピリオド辺りから登場
※全身に酷い火傷を負っており、右手も消失と、かなりの重傷です。
 今は気力で持ちこたえてますが、早急に処置をしなければ、命の危険があります。
※セーラー服はボロボロに焼け焦げており、所々に穴が空いています。
※軍服の男(暗闇大使)は参加者の一人だと勘違いしています
※斗貴子が飲んだ液体は生命の水(アクア・ウィタエ)です
また斗貴子は生命の水の事は知らず、只の治療薬の一種かと思っています
※カズキの死体は暗闇大使に掘り起こされました。
また暗闇大使は大首領の力を借り、ワープ能力を使いました
今後暗闇大使が介入するかは不明です
※しろがねとなったため、身体能力、治癒力が向上しています
また斗貴子はまだその事に気付いていません
※核鉄の異変に気づきました
※アカギがカズキを殺した張本人だと、思っています。
290Classical名無しさん:07/11/27 00:41 ID:BO724ias
            
291 ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 00:42 ID:4WMlBPgk
以上です。
正直、アカギの考察は相当悩まされました。
こいつは、発想その物が常人とかけ離れているってのがあるから……

後、斗貴子。
丸腰にしてごめん、頑張れ
292Classical名無しさん:07/11/27 00:47 ID:61NLaWB.
>>291
何故か一番ワロタのが>>後、斗貴子。 丸腰にしてごめん、頑張れ の一行な罠
アカギはねえ、吉良と並んで書きにくい奴の双璧だからねぇ。そんな中で良く頑張った
第二病院組とでも言うべきメンツが揃ってきたのが、楽しみな所ですね
カマかけやら、博打な要素をがんがん試すのはとてもアカギらしいと思いました
293Classical名無しさん:07/11/27 00:49 ID:1ShtDJ96
投下乙
アカギなんてさえてるんだ、考察もほぼ当たってるし
まさしく脱出派の筆頭だなコレは
このまま着々と脱出への糸口を見つけて欲しいところであります
294Classical名無しさん:07/11/27 00:49 ID:BO724ias
投下乙。アカギは完璧じゃないっすか。考察もいい感じ。
斗貴子さんはこのまま発狂路線を突き進んで欲しいね。
しかしカズキのあの1発がここで効いてくるとは……さすがアカギ。
ジョーカーまで考えが至るまでも自然な流れでした。
ただジョーカーっていうロワ用語をアカギが使うのは違和感あったかも。
……でも普通に比喩として考えれば大丈夫かな……どうだろう。
295Classical名無しさん:07/11/27 00:49 ID:NcKP1E2A
投下乙です!
アカギの考察は素晴らしい、と感心しました。
ただ気になったのはアカギが「マーダー」「ジョーカー」というロワ用語を当然の様に使っている事です。
「殺人者」「新たな駒」といった別の言い方が自然かなと個人的には思いました。
296Classical名無しさん:07/11/27 01:08 ID:IAcEdgEs
ジョーカーは違和感ないと思います。鬼札っていう補足もついてるし。
博打でも使う言葉だろうし。
ただ、マーダーは昭和30年代という時代設定を考えても不自然かと。
ですが考察自体はアカギらしさも出ていてGJ!トキコさんはどこまで食い下がれるか。
正直勝てる気がしねえw
297Classical名無しさん:07/11/27 01:14 ID:YM5Zwcww
投下乙!
アカギの考察がほぼドンピシャでワラタ
だが、他ロワでも早めに考察しすぎて主催者に殺された例があるから気をつけろ!
そしてTQNは素手でも目潰し攻撃が強いぞ!

んで、一箇所だけ指摘させてくれ

>>ヴィルマの投げないナイフ@からくりサーカス (残り9本)
調べてみたら95話のエレオノールが持ってるときから投げないナイフになってるwww
298Classical名無しさん:07/11/27 01:18 ID:V/UJlubM
投下GJ!
アカギすげぇ! 
TQNカワイソス!
アカギすげぇよ、マジに
ただこいつ見てると、某第5部主人公を思い出してry
299Classical名無しさん:07/11/27 02:49 ID:ajUI6972
GJ!
アカギに痺れてあこがれた!
この圧倒的有利な状況でも殺される可能性を考えてるのが逆に怖い……。
でもTQN、ここは退け!
退けばまだ活路はある!
……ダメか、完全ぶちまけモードだし。
300Classical名無しさん:07/11/27 12:34 ID:RVilcl1k
GJ。アカギすげぇ。
しかし、しろがねTQN相手に操り人形使うのって、実は相当に危険じゃないか……?
301Classical名無しさん:07/11/27 17:06 ID:yOzuUsWw
>>300
その事が結果的には更に冷静さを奪う結果になってるんじゃない?
当のアカギも知らないうちに。
302 ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 22:51 ID:4WMlBPgk
修正箇所、了解しました。
他にも、アカギの考察に大きな穴が見つかってしまったので、そちらも直したいと思います。
明日か明後日には、修正版をしたらばの方に投下しますね。
303Classical名無しさん:07/11/27 22:59 ID:LoV0lM9k
>>302
毒吐きの方でちらっと言われてたけど……
どうして、サンライトハートが一本しかないと思ったのかについても記述してもらえると助かります……


と思ったけど、いらんなこれ。
304Classical名無しさん:07/11/27 23:00 ID:LoV0lM9k
ごめん、上野は忘れてください。
305Classical名無しさん:07/11/27 23:18 ID:61NLaWB.
すみません、一つ質問させてください
バルキリースカートって何処行きましたっけ?
306Classical名無しさん:07/11/27 23:19 ID:BO724ias
川田が持ってれぅ。
307Classical名無しさん:07/11/27 23:22 ID:61NLaWB.
すまん、完全に見落としてた。ありがと_| ̄|○
308 ◆ga/ayzh9y. :07/11/27 23:33 ID:4WMlBPgk
>>303

はい、それです。
その毒吐きで上がってたのこそが、アカギ最大の穴です……
309Classical名無しさん:07/11/27 23:38 ID:LoV0lM9k
>>308
えっと、いらないかな? って書いたのは
所詮キャラの思考だから、どうでもいいかと思ったのです。
キャラの思考に穴があるのと、SSに穴があるのは違うと思います。
SSには穴がなかったと思うのですが……
310Classical名無しさん:07/11/28 00:56 ID:S33qeG.Y
少なくとも、斗貴子は複数サンライトハートがあるとは思ってないよね
そこから、赤木がそれに関して確証を得るのは、ありかと
それに、アカギが今まで出会った人間達の中で支給品被りしてる奴ぁ居なかった
そこから類推するのも、またありだと私は思った。敢えて表記無しでもまあ、問題無いっちゃ問題無い気もす
気になるんなら、一文だけでも加えればOKかと
311Classical名無しさん:07/11/28 18:05 ID:kKLDlisA
>>301 自動人形なら冷静でいられないけど、からくりなら冷静さと関係ないんじゃ
ないかな
312Classical名無しさん:07/11/28 22:04 ID:dRULb0EQ
〉〉311
しろがねになった時点で人形遣いの知識も入ってくる。
といっても知識だけで、動かすには相当の訓練が必要だけど。

アカギがあっという間に動かせるようになってるのは……天才だからな。
奴だけに許される行為だ。
313 ◆3OcZUGDYUo :07/11/28 22:09 ID:sYCmtFwc
ギイさぁぁぁぁぁぁぁんんんんん!!!
ふぅ、スッキリしたw
それでは勝、鳴海、独歩のSS投下します。
ガキュン、ガキュンと不気味で、間が抜けたような駆動音が周囲に反響する。
2本の長い脚部を地に渡らせ、その身体を支えているそれは、どことなく何か生物のようなものを連想させるが、決してそんなカテゴリーに区分されるものではない。
またその物体は当然持っているものがある。
ものの本質を示すのには不十分なもの……だがそれでいて無くてはならないもの。
だから大切にした方がいいもの、そう……『名前』というものを持っている。
そしてそれが持っている名前は逆十字号。
愛を、正義を、平和を信じた一人の青年に、いや全ての人間の胸で燃え続ける証『逆
十字』の名を与えられた輸送兵器は、この殺し合いで確かに稼動していた。
本来の運命では決して出会う事がなかった一人の少年と一人の男を乗せながら。

「…………ふぅ」
その歳の低さとは到底釣り合わない大人びた仕草で、溜め息をつく少年の名は才賀勝と言う。
たった今大きな溜め息をついた勝だが、彼は何に対して溜め息をつくのだろうか?
才賀エレオノール、勝がしろがねと呼ぶ女性であり、彼が想いを寄せる女性でもある者が彼女の元の世界に存在する勝のために、この殺し合いに乗る可能性があると危惧しているからだろうか?
答えはNOだ。
勝は数時間前、彼の仲間である泉こなたとパピヨンに自分がしろがねに対して、今まで自分がやっていた偽称の真意を話す決意を語った。

『このまま放っといてもしろがねは僕のために誰かを殺そうとする。
真実を告げても、『弱い僕』を助けようと誰かを殺そうとする。
それなら……力尽くで僕がしろがねを止める! この、命に代えても!!』

太い両の眉の下で、その存在を強調するかのように覗かせた二つの大きな瞳。
『しろがねを止める』と言う強固な意志が宿るその瞳で、勝は確かに己の決意を誓った。
勝は最早只の小学生ではなく、彼の祖父才賀正二や最古の四人が一人自動人形コロンビーヌや、
エレオノールの先生でもあり彼の先生でもある伝説のしろがね、
『オリンピアの恋人』ことギイ・クリストフ・レッシュなど様々な人や存在と触れ合ってきた。
勝は彼らの強さをもう既に知っている……自分達の為すべき事を貫き通す力、
『意思の強さ』というものを。
彼らにそんな力を貰った今の勝はエレオノールと会うまでの、
弱い勝ではない……ならば何故彼は何に溜め息をついたのか。
その疑問は勝と共に逆十字に乗っている一人の男にも涌いていた。

「どうした坊主? そんな歳から溜め息なんかついてちゃあ俺ぐらいの歳になったら苦労するぜ?」
そう言って、穏やかな笑みを勝に対して向ける男の名は愚地独歩と言う。
「武神」「人食いオロチ」「虎殺し」など、様々な二つ名を携える空手家であり、
空手団体・神心会の総帥と言う肩書きを持つ男。
独歩は勝が何について悩んでいるかは、見当が付いていたがあえて聞いてみる事にしてみたのだ。
年長者として、少年の勝に話をし易い環境を作るためにも。

「はい……またフェイスレスの事について考えていたんです……」
勝が重々しく己の口を開き、言葉の糸を紡いでゆく。
フェイスレス……才賀貞義、ディーン・メーストルなど様々な顔を持ち、
ゾナハ病、自動人形、人形破壊者(しろがね)など全ての事の発端となった者である白金の記憶を、
生命の水(アクア・ウイタエ)によって受け継いだ人物。
祖父才賀正二に貞義の事を、フェイスレスの事を聞かされた時、勝は彼の事を許すことは出来なかった。
それだけではなくその後エレオノールを手に入れるため世界に、
勝にとって大事な人達が住む村でもあり、エレオノールが生まれた村でもある黒賀村にゾナハ病を撒き散らし、
大勢の人を殺し、危険に晒した男でもあるフェイスレス。
勝にとって何一つ好きになれる要素はなく、彼が死んだ事は勝にとって間違いなく幸運な事だろう。

「僕は、しろがねは、鳴海兄ちゃんは、みんなはフェイスレスのせいで沢山苦しんで、
死んじゃった人も大勢居るんだ……あいつが死んで僕達に良くない事なんて一つもないんです。けど……」
けど何故か勝の言葉の糸はプツリと途切れてしまう。
まるで操り糸が途切れた操り人形(マリオネット)が、地に虚しく崩れ落ちるかのように。
勝が今、抱えている矛盾にも似た不可解な感情が彼の意識を支配していたからだ。

「けどそのフェイスレスって奴が死んでも別に嬉しいって気にはならねェ……そういう事だろ?」
「はい……あんなに酷い事をした奴なのに何故か……」
そう、今の勝はフェイスレスの死について素直に喜ぶような気にはなれなかった。
エレオノールを守るためにフェイスレスが言う『ゲーム』と名付けられた自動人形の闘いに生き残るため、
ギイの小学生にとってあまりにも過酷過ぎる特訓を行い続けた才賀勝。
エレオノールがフェイスレスに連れて行かれそうになった時、
フェイスレスの最高傑作とも言える『最後の四人』に、果敢に闘いを挑んだ才賀勝。
エレオノールと二人っきりになるため、彼女を宇宙に連れて行こうとしたフェイスレスの転送(ダウンロード)を破り、
想い人エレオノールの間接を『分解』によって外してまでも彼女を守った才賀勝。
勝の苦難の先にはいつもフェイスレスが笑いながら彼の前で立っていた。
そんないつもフェイスレスによって翻弄され続けてきた勝が、
何故か彼の死を喜ぶ事が出来ない事実に勝は困惑を隠せない。
自分はフェイスレスを倒すためにあれ程までに身を削ってきたのに……何故か。

「あのよ坊主……人を憎むってのは簡単な事だよな?」
「え?」
そんな時、独歩がどこかそっぽを向きながら勝に言い聞かせるが、
独歩の突拍子もない言葉に思わず、歳相応の間の抜けた声を勝は上げてしまう。
この人は突然何を言い出すんだろう? 疑問に満ち溢れた表情で独歩を勝は窺うが、
独歩は依然勝の方に視線は向けずに言葉を続ける。
只、逆十字号の車体が動く事によって起きる、振動の僅かな揺れに身体を揺らしながら。
「人を憎むってのは只、そいつの気に入らねぇところを穿り返し、蛇みてェに執念深く執着し続ければいい。
けどよ……人を愛するってのはそうそう直ぐに簡単に出来る事じゃねぇぜ?」
出会って未だ殆ど時間が経っていない同行者、独歩の言葉が勝の脳に語りかける。
『人を愛する』その事を聞いた勝は思わずエレオノールの笑顔を思い浮かべ、
顔を赤らめるがいつまでもそんな浮かれた考えをするわけにはいかない。
それよりも勝は突然こんな事を言い始めた独歩の考えが知りたかった。

「愚地さん、確かに貴方の言う通りだと思いますけど、僕とフェイスレスの事について何の関係が……?」
「へっ! 大人びてる坊主だと思ったがやっぱまだまだガキだなぁ。まぁその方がガキ臭くてとっつきやすいけどよ」
今までそっぽを向いていた独歩が突然、首を回し勝に視線を、そのいかつい顔を向けてきたので勝は驚き、独歩に馬鹿にされたような気がして少しムッとなる。
一方独歩は今まで無表情を装っていたが、勝とは対照的に少し嬉しそうな表情を浮かべ、勝の反応さえも楽しがっているようだ。
また依然、微笑を浮かばせながら独歩は勝に語り続ける。
そう、自分の目の前に居る、まだまだ子供なのに一人前に人を憎むという感情に真剣に悩む少年、勝に柄にもなく話し掛けている。

「いいかぁ坊主? 坊主の話を聞く限りそのフェイスレスって奴はかなりの悪人だったらしいな。
だからそいつが死んだから坊主は嬉しい……と思ってたが実際は良くわからんって事だろ?」
独歩の質問に勝は「うん」と頷いて素直に答える。
その勝の素直な反応に独歩は満足げな表情を浮かべ、独歩は更に言葉を続ける。

「別にフェイスレスが死んだ事を嬉しく感じなくてもいいじゃねぇか坊主。
どんな奴だろうと人が死んで喜ぶなんて奴は碌な人間じゃねぇ。
だからいつまでもフェイスレスを憎んでいたかどうか考えるなんて意味のねぇ事はさっさと止めちまえ。
それよりもな坊主……」
そう言って独歩は今まで逆十字号のハンドルを握っていた両手の内、
片方の手を放し、ある方向に伸ばす。
その手の先には黒と薄い茶色が混じった物体が……勝の頭に向けて手を伸ばす。
日々の鍛錬により培われた筋肉で構成された、ゴツゴツとした独歩の手。
お世辞にも手触りが良いとは言えないその手で、
勝は髪をクシャクシャにされるが不思議と悪い気はしなかった。
寧ろ力強い何かを勝は感じ、心地良いとも思える程の感触が彼を包みこむ。

「『人を何人憎むか?』って事より『人を何人愛するか?』って事を考えてこの先、生きていけ坊主。
それが人生の先輩の俺が今、坊主に言いてェ事だ」
勝の頭を掻き回し続けていた手の動きを止め、ポンと彼の頭を、力を抜いて独歩は叩く。
独歩は今まで聞くところによると小学生である、勝が言葉には出さないものの馬鹿みたいに悩み続けていたのを見て、
彼は勝を気に掛けていた。
だが、弁が立つとは言い難い男である独歩が同じ空手家ならいざ知らず、
ましてや小学生で出会って数十分しか経っていない少年を、励ます術など知っているわけがない。
だからとにかく独歩は不器用ながらも、自分の人生観、大切な事を偉そうに言ってのけ、
本当に自分の言葉で勝を励ます事が出来たかどうか不安だった。
その大きな瞳を普段以上に大きく見開き、独歩の言葉を聞いていた勝は……頷いていた。

「愚地さん……わかりました。僕はフェイスレスが嫌いだった……
あいつが死んでせいせいする程嫌いだったかは解りませんけど。
でもあいつは死んだんだ……だったら愚地さんの言うように、
僕がフェイスレスの事について考える事なんて時間の無駄です。
僕はしろがねと鳴海兄ちゃん、そして独歩さん達と一緒に必ずこの馬鹿げた殺し合いから脱出します!
それがフェイスレスとの闘いが終わった僕の……才賀勝の闘いだから!」
「へっ!……やっぱり大人びてる坊主だな。まぁ……嫌いじゃないけどよ」
力強く頷き、力強く決意を述べる勝に対して、独歩は自分の言葉が無駄ではなかった事に一安心しながら同時に、
こんなにも堂々と言ってのける勝が本当に小学生かと疑ってしまう程感心していた。
どうやら自分には心強い仲間が出来たようだな。そう独歩は思い、離していた手を再び逆十字号のハンドルに添える。

「愚地さんは誰か愛してる人でも居るんですか?」
「おうよ! 俺の可愛い女房だ。ここから脱出したら坊主にも紹介してやるよ。
それとそんな堅苦しい敬語は止めて、独歩でいいぜ」
「じゃぁ独歩さん、僕も坊主じゃなくて勝と呼んでよ。それと……」
逆十字号が走る。
歳の差が、生きている世界があまりにもかけ離れている才賀勝と愚地独歩を乗せて。
赤木しげる、そして勝の大切な存在である才賀エレオノール、勝に初めて『強さ』を教えてくれた加藤鳴海。
三人の仲間を捜し求めて……逆十字号は走る。
◇  ◆  ◇

数十分前二人の男によって、筋肉がぶつかり合う音や笑い声や怒声で満ち溢れていた場所。
繁華街の端に位置する、エリアE-2と名付けられた場所。
其処に一人の大柄な男が地の腰を下ろし、座っている。
その男の目に宿るもの……それは彼自身にしかわからない。

「ちっ!……あの原付野郎が。しこたまやりやがって……」
そう呟くのは加藤鳴海。勝を守るため瀕死の重傷を負った時、
ギイによって生命の水(アクア・ウィタエ)を与えられ、人形破壊者(しろがね)として生きる事となった鳴海が不機嫌そうにぼやく。
自動人形を破壊する事だけを目的とし、生に執着しないしろがねを自分自身がそうでありながらも、鳴海は好きにはなれなかった。
また同様に自動人形を倒す事よりも人間を守る事を優先する鳴海の存在は、他のしろがね達にとっても眉唾ものであった。
だがそんな鳴海としろがね達もゾナハ病を撒き散らす真夜中のサーカス、
フランシーヌ人形が率いる自動人形の集団は許せるものではなく、これらを一体残さず倒す事を目的とし闘い続けていた。
「今思い出しても腹が立ってくるぜ。だが! それよりも……」
刃牙が戦闘中に笑いながら言った殺人を肯定する言葉は鳴海の逆鱗に触れた。
普段の彼から想像が付かない程、闘争本能を昂ぶらせ、怒りのまま拳を奮った存在……
『悪魔』を再び呼び起こしてしまう程に。
だが今の鳴海にはもっと許せない存在が居る。
自動人形を束ねる存在でもあり、真夜中のサーカスの首領フランシーヌ人形と同じくらい許せない存在が。

「DIOと言ったか……こいつだけはオレにはどうしても許せそうにはねぇ! ぜってぇーにぶちのめしてやる!」
先程の戦闘で刃牙が口走ったDIOという男。
刃牙の話からするとこのDIOが刃牙の親玉であり、既に人を三人……10歳にも満たない子供さえも殺したらしい。
これだけの事をしたDIOを、誰よりも人を、子供を、笑顔を愛する鳴海が許せる筈もなかった。
ドラゴン殺しの英雄の名を冠する刃、
『聖ジョルジョの剣』が内蔵された義手に手を当てて鳴海は静かに両目を閉じる。
しろがねに成りたての時は、なにか不気味に見えた自分の義手と聖ジョルジョの剣だが、
鳴海は己の拳法とこれらを駆使し、人形を使わずに幾多の自動人形を破壊し続けた。
言わば鳴海の半身とも言える彼の義手。
(原付野郎の時は使わなかったがDIOの野郎には絶対に容赦はしねぇ……
眼には眼を、歯には歯を、悪魔には悪魔だ! クソッタレが!)
そんな義手に手を当てながら鳴海は決意を固める。
一言も激情に塗れた言葉は口には出さず、只歯軋りの音を周囲に響かせながら静かに、それでいて熱い感情を滲ませて。
そんな事をしていると、鳴海は前方から何か音が聞こえてくるのを感じとる。
ガキュン、ガキュンと音を唸らせ、逆十字号が走ってくる。
慣れない運転のせいか、逆十字号は鳴海の数十メートル先で急に停止し、
運転席と助手席に二人の人間が乗っていた……勿論、才賀勝と愚地独歩の二人が。
321Classical名無しさん:07/11/28 22:29 ID:mmwWz1J.
「よう兄ちゃん! エレオノールっていう嬢ちゃんは一緒じゃねぇのか?」
55歳という年齢の面影を微塵にも感じさせず、素早く逆十字号から飛び降りながら、
そう言って独歩は気さくに手を振りながら鳴海に話しかける。
当然、独歩と面識がない鳴海は一瞬、対応に迷うが直ぐに気を取り直す。

「ああ、エレオノールには先に喫茶店に行ってもらったんだ。
それでなんでオレ達の事を知ってるんだ?」
見た目はこれでもかと言うほどいかつい顔をした独歩に、警戒しながら鳴海は訊ねる。
鳴海が警戒するのも無理はない。
鳴海はエレオノールの知り合いは才賀勝だけだとしか聞かされておらず、
彼の目の前に居るスキンヘッドの男が才賀勝であるという事は有り得なかったからだ。
そんな鳴海の意図を汲み取ったかのように、独歩は逆十字号の助手席に手を伸ばす。
何故独歩はこんな状況で手を伸ばすのだろうか?
その答えは独歩の手の先に居る、一人の少年が握っている。

「久しぶりです。僕、喫茶店までエレオノールと一緒に居た者です」
独歩の手に助けられながら、助手席から降りてきた勝がそう言葉を発する。
勝の言葉を聞いて今まで警戒を続けていた鳴海の表情は緩み、彼は警戒を解く。

「成程そういうコトか、オレは加藤鳴海。鳴海とでも呼んでくれ。
アンタの名前は?」
「物分りが良くて助かるぜ。俺は愚地独歩。なら俺の事は独歩と呼べや」
エレオノールと共に喫茶店まで行動を共にしていた勝の事を、鳴海は当然覚えていた。
その勝と一緒に居るという事は、彼は自分達が花火の様子を見に行った後に、
喫茶店で勝達と合流し、その時自分達の事を聞き、様子を見に来たと鳴海は判断を下したからだ。
それに良く見れば独歩もそんなに悪いような奴には見えない、そう思い鳴海は独歩の事を仲間だと認識を深める。

「だが、なんでエレオノールの嬢ちゃんは先に行ったんだ? それと赤木って奴もよ」
そう鳴海に訊ねるのは独歩。
良く見れば独歩の傍に居る勝も、真剣な眼差しで鳴海を真っ直ぐ射抜いている。
勝は確かに鳴海とエレオノールが花火が打ち上げられた方向へ駆け出し、
赤木がその二人を追いかけるように出て行ったのを覚えているからだ。
てっきりエレオノールと赤木の二人は、鳴海と共に居るものだと疑わなかった勝も、
声には出さないまでも、かなり驚いていた。

「ああ、赤木とエレオノールはな……」
独歩達が驚く事は無理もないと鳴海は思い、彼は口を開く。
勝と独歩に対して、自分達が花火を見に行った後、どういう事が起きたのかを。
◇  ◆  ◇

「どういう事だ独歩さん!? あの原付野郎は……刃牙ってヤツはアンタの知り合いだって言うのかよ!?」
自分の話を終えた鳴海が独歩に鬼気迫る勢いで言寄る。
DIOの手下で、今まで名前は解らなかった原付野郎。
この男の話を独歩にした所、独歩の知り合い、
刃牙という事が解ったので、鳴海が驚くのは無理もない。
先程の戦闘の時の言動からは、紛れもない危険人物と断定出来る刃牙。
その刃牙の知り合いだという独歩を、鳴海は思わず不審な視線を向けてしまう。

「ああ、その通りだ。だが、DIOっていう男は知らねぇ……
もしかしてそのDIOって男に唆されたのかもしれねぇが……それでもあの刃牙が殺人に走るとは思えねぇ」
鳴海に言い寄られている独歩も、珍しく困惑の表情を浮かべている。
強き者との闘いを何よりも望み、範馬勇次郎を超えるために、己を鍛え、
闘い続けた刃牙がこんな殺し合いに乗る筈がないと独歩は確信していたからだ。
(一体何が起きたんだ刃牙? いや、刃牙だけじゃねぇ……もっと解らねぇのは光成の方だ)
いつも自分の闘いに、目を輝かさせて、子供のようにはしゃぎながら観戦していた光成。
只、屈強な者達が闘うのを観戦するのを、何よりも望んでいた老人である光成。
独歩にはこの光成が何故、こんなイカレタ殺し合いを開催したのかが理解不能であり、ずっと考え続けていた。
324Classical名無しさん:07/11/28 22:31 ID:mmwWz1J.
ac
325Classical名無しさん:07/11/28 22:31 ID:mmwWz1J.
tst
だが、今光成の事を鳴海達に話すのは更に状況を複雑にさせるものではないかと独歩は思う。
既に刃牙の事だけでも鳴海は勿論、独歩も困惑しているからだ。
それに鳴海の話を聞き、独歩には気懸かりな事があった……直ぐに対処しなければ、
とんでもない惨事を招くかもしれない程、気になるものが。

「それよりも……本当に刃牙は今エレオノールの嬢ちゃんと一緒に居るんだな?」
「ああ…………喉をツブシちまったから、さっき言った核鉄ってやつを持たせたぜ。
勿論、ロープで縛ったけどな」
独歩の眼つきが変わり、只ならぬ闘気が彼の周囲を覆うのを鳴海は感じ、思わず言葉を一瞬濁らせるが鳴海は口を開く。
その鳴海の言葉を受け、独歩は……一瞬の内に逆十字号の運転席に飛び乗った。

「お! おい! 急にどうした独歩さん!?」
「刃牙に治癒力を促進させるものを与え、ロープで縛っただけだと……?
甘ぇ! 甘すぎる! あいつはどんな境地でも這い上がってきた、
しかもおまえさんに負けてるとなると……エレオノールの嬢ちゃんがヤベェぞ!!」
独歩は知っている。
刃牙の異常とも言えるタフネス、勝利への欲求、彼の恐るべき身体能力を。
特に光成が開催した最大トーナメント戦、決勝戦で己の兄、ジャック・ハンマーと刃牙が繰り広げた壮絶な死闘は、
独歩の頭脳に強く認識されている。
双方の肉を、骨を、血を、命を削った闘いで刃牙は最後まで、ギブアップを行わずに勝利を収めた。
そんな刃牙が喉を潰され、全身を殴打し、ロープで縛られただけで……おとなしくしている筈が無い。

「何ッ!? わかった、DIO探しは一時中断だ。オレもアンタ達と一緒にエレオノールに行ってもらった喫茶店に向かうぜ!」
独歩のとてもふざけているようには見えない態度に、
鳴海は言いようの無い危機感を覚え、独歩と同じ動作で逆十字号に飛び乗る。
鳴海にとってエレオノールは最早、感じの悪い女ではなく、立派な一人の仲間なのだ。
仲間が危機に瀕しているかもしれないという状況で、鳴海は只手を拱いているような男ではない。
327Classical名無しさん:07/11/28 22:32 ID:mmwWz1J.
tessss
328Classical名無しさん:07/11/28 22:33 ID:PvTHs51Y
支援
「さぁ早いトコ行こうぜ独歩さん! そういえば……ボウズ、オレ達名前を紹介してなかったな。
オレに教えてくれないか? おまえの名前を」
助手席に座り終わった鳴海が、思い出したように訊ねる。
勿論、もう一人の同行者……勝に向けて。
その言葉を受けた勝の表情は……決してオドオドしているようなものではなく、毅然としたものだった。

「わかりました。鳴海さん……実は……」
◇  ◆  ◇

(この鳴海っていう兄ちゃんは間違いなく頼りになる。その事はいい。だがそれよりも……)
逆十字号を運転しながら独歩は思う。
何故、刃牙と光成があそこまで変わってしまったのかという事を。
二人とも殺人などに走るような人柄ではないと言うのに……。
(考えてもしかたねぇか……とにかく刃牙がエレオノールの嬢ちゃんを、
誰かを傷つけるような事をするならそれを止める事が第一か……それと鳴海の話に出てきた勇次郎を追うと)
己の今行うべき行動を、今一度独歩は自分に言い聞かせる。
勇次郎を放置すれば、奴のせいで不要な悲しみを被る者も出るだろう。
なら、知り合いのよしみとしても、勇次郎は倒さなければならないという決意を独歩は更に強くする。
そんな独歩はふと思ってしまう……刃牙と光成は自分の知っている刃牙と光成でなく、只の同姓同名の人物かという事を。
だが……その答えは未だ出ようとはしていない。
(この独歩っていうおっさんは頼りになるし、好感が持てるぜ……だが問題はこのボウズだ。
『ごめんなさい。エレオノールと合流出来た時に全てを話します』だと?
凄く真剣な眼をしてたからつい、引き下がっちまったけどな)
逆十字号の助手席に座りながら鳴海は思う。
彼は何故か勝から名前を教えてもらえなかったからだ。
その理由はいくら考えても鳴海にはわからない。
だが、それよりも……
(無事で居ろよエレオノール……ん?そういえば何でエレオノールはギイのオリンピアが使えるんだ?
いや、それよりもなんでオリンピアが此処にある? それにあいつの声を、オレはいつかどこかで聞いたような……)
鳴海も独歩と同じように悩みに頭を抱えていた。
まるでステージで、次に自分がやるべき芸を忘れてしまった道化のように。


(ごめんよ鳴海兄ちゃん……今は兄ちゃんに僕の名前を教えるわけにはいかないんだ)
勝が鳴海に名を伏せ、独歩に自分の事を鳴海に話さないように頼んだのは勿論、
自分が今までエレオノールに対して行っていた偽称のせいである。
エレオノールが才賀勝という人物を探していると、鳴海は当然喫茶店で知っているので、
そんな鳴海に『僕の名前は才賀勝です』と言うわけにはいかないからだ。
更に勝は普段エレオノールの事を、しろがねと呼ぶがその事実に反して彼女の事をエレオノールと呼んでいた。
しろがねという名を使ってしまえば、鳴海がエレオノールをしろがねの関係者だと思い、
只でさえ勝とエレオノールの、この殺し合いに呼ばれた時間の違いにより生まれた複雑な問題が、余計複雑になってしまうからだ。
だから勝は全ての、自分だけが知る事実は伏せてきた。
また、パピヨン、こなたとの相談で、エレオノールに自分の偽称、自分達の関係を話す決意をした勝は、
エレオノールと鳴海の両名が同席する場でその事を打ち明けようと思っていた。
この複雑な問題は二人揃っているほうが手間も省けるし、もしエレオノールが彼女の世界の才賀勝を守るため殺し合いに乗ろうとしても、
自分と鳴海で二人がかりで抑える事が出来るという利点もある。
それに勝はある事に賭けていた……
(鳴海兄ちゃんはどういうわけか僕としろがねの事についての記憶はない……けど!
しろがねは今ピエロのメイクをしているからわからないだけかもしれないんだ!)
そう、鳴海がピエロのメイクを外したエレオノールの素顔を見れば、
自分達の事を全て思い出してくれるのではないかという事に。
自分の説明がエレオノールを、完全に納得出来なかった時の最後の切り札として。
(これから僕がやろうとしている事は間違いなく、ここに連れて来られてから一番の大仕事だ、
けど……やらなきゃ! 絶対に……! 僕としろがねと鳴海兄ちゃんが何も隠し事をしないで笑って暮らしていくためにも……!)
そんな風に決意を固める勝はふと、空を見上げる。
降りかかってくる太陽の光が、今の勝には馬鹿みたいに眩しかった。
332Classical名無しさん:07/11/28 22:41 ID:mmwWz1J.
sadfadfa
【D-3とE-3の境目/1日目 午後】

【才賀勝@からくりサーカス】
[状態]:両足の脹脛に一つずつ切り傷。軽傷のため行動に支障なし。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、書き込んだ名簿、携帯電話(電話帳機能にアミバの番号あり)
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない
1:しろがねと鳴海に真実を告げるため、喫茶店へ向かい、しろがねと会う。
2:しろがねが殺し合いに乗るなら、全力で止める。
3:その後、駅に戻ってパピヨンたちと合流して喫茶店に戻る。
4:乗っていない人を探して味方にする。
5:みんなで脱出する。
6:アミバ・勇次郎・ジグマール・平次(名前は知らない)・タバサ(名前は知らない)に警戒。
[備考]
※勝は鳴海が自分のことを覚えていないということを感じましたが、同姓同名の別人ではないと思っています。
※独歩・シェリスと情報交換をしました。
※いざとなったら鳴海にしろがねの素顔をみてもらい、記憶を取り戻してほしいと思っています

【加藤鳴海@からくりサーカス】
[状態]:アバラ骨が一本骨折 胃腸に中程度の怪我 自己治癒中
[装備]:聖ジョルジュの剣@からくりサーカス
[道具]:支給品一式×2(刃牙、鳴海)  輸血パック(AB型)@ヘルシング
グリース缶@グラップラー刃牙 道化のマスク@からくりサーカス
[思考]
基本:バトルロワイアルの破壊、誰かが襲われていたら助ける。赤木がいう完璧な勝利を目指す。
1:喫茶店へ向かい、しろがねと合流する。
1:助けを求めている奴を探す。
2:才賀勝を探す
3:赤木との約束の為に、8時に学校へ行く
4:いつか必ずDIOをぶっ潰す
5:誰かが襲われていたら救出し、保護する
6:殺し合いに乗っている奴を成敗する
7:DIOの情報を集める
[備考]
※聖ジョルジュの剣は鳴海の左腕に最初からついていますので支給品ではありません
※参戦時期は本編18巻のサハラ編第17幕「休憩」後です
※サハラ編から参戦しているので勝、しろがねについての記憶は殆どありません
※エレオノールを取りあえずは信用しています、
またメイクのせいでエレオノールとフランシーヌ人形が
似ている事に気づいていません
※勝という名前、エレオノールの声と人形操りの技術、オリンピアの存在に何か引っかかっています
※勝を少し胡散臭そうに思っています
【愚地独歩@グラップラー刃牙】
[状態]:健康
[装備]:逆十字号@覚悟のススメ、キツめのスーツ
[道具]:支給品一式、黒王号@北斗の拳、不明@からくりサーカス
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない、乗った相手には容赦しない。
1:喫茶店へ向かい、しろがねと合流する。
2:その後、駅に戻ってシェリスと合流。そのままシェリスの服を見立てる為に繁華街に行って、服を探す。
3:アミバ・ラオウ・勇次郎・ジグマール・平次(名前は知らない)と接触、戦闘。
4:乗っていない人間にケンシロウ・上記の人間・タバサ(名前は知らない、女なので戦わない)の情報を伝える。
5:シェリスとともに劉鳳を探す
6:適当な時に勇次郎が行ったと思われる方向に行き、闘う
[備考]
※逆十字号に乗っている場合、移動速度は徒歩より速いです。
※パピヨン・勝・こなたと情報交換をしました。
※不明@からくりサーカス
『自動人形』の文字のみ確認できます。
中身は不明ですが、自立行動可能かつ戦闘可能な『参加者になり得るもの』は入っていません。
※刃牙、光成の変貌に疑問を感じています
336 ◆3OcZUGDYUo :07/11/28 22:46 ID:sYCmtFwc
投下終了しました。
支援どうもです。
今日は皆さん忙しかったんですね……。
337Classical名無しさん:07/11/28 22:46 ID:FtduFy02

しかし勝のせいでエレオノールに死亡フラグビンビンだな
オレ二人に会ったら真実を告げるんだ

勝手に人のフラグ立てんなマジで
338 ◆ga/ayzh9y. :07/11/28 22:57 ID:9x.E7rEM
乙です。
意外や意外、アカギに続いて主催者の問題に気付きかけてるのが、まさか独歩だとは。
けど考えてみれば、独歩は光成とかなり親しい仲だし、寧ろ当然といえるかも。
そして……エレオノールに死亡フラグが立った事が、何より怖い。
刃牙は独歩の言うとおり、滅茶苦茶ヤバイしなぁ……


後、したらばの方に修正版投げときました。
指摘された箇所並びに、アカギの推理の穴は、多分これで埋めれたと思います。
339Classical名無しさん:07/11/28 22:57 ID:gupaJ/IM
GJです。
独歩駄目だ!!
そんな事言ったらエレオノールがああああ!!!!!!!
あと状態表の所の鳴海の思考に1が二つあるのと
1:喫茶店へ向かい、しろがねと合流する。
は、エレオノールがしろがねと名乗っている描写がないので、
1:喫茶店へ向かい、エレオノールと合流する。
にした方が良いんじゃないでしょうか?
340Classical名無しさん:07/11/29 00:23 ID:nJxe94GM
GJ!
勝と独歩の会話がいい味を出しています。
独歩の年長者の貫禄はさすが。鳴海に対する名乗りも焦らして実にいいです。
喫茶店が楽しみになる話でした。
341Classical名無しさん:07/11/29 08:31 ID:Lew9uiUA
>あいつが死んで僕達に良くない事なんて一つもないんです。
おいこら、あるだろ重要なのが
342Classical名無しさん:07/11/29 09:55 ID:dxpkrvRc
投下乙。こんなカッコいいの独歩じゃな……GJ。
確かにフェイスレスは微妙なやつなんすよねー。悪人だけど最後の最後で憎みきれないし。
からくり勢のこの複雑な参戦時期を上手く生かした展開でした。
病院に続いてマップ上部が激戦地になりそうですね。
343Classical名無しさん:07/11/29 10:39 ID:ijK02LoQ
ゾナハの止め方かな。まあ、何言っても死んじまってるし元の時間に戻ればまた居そうではあるから構わないんだろうけどさ
344 ◆3OcZUGDYUo :07/11/29 12:42 ID:Wga4IAn6
感想どうも有難うございます!

>>339
うっかり独歩のをコピーしたのをそのまま貼り付けてしまいましたorz
wikiに収録され次第修正します。
ご指摘どうもです。
345Classical名無しさん:07/11/29 18:10 ID:Zr7RXsFE
>>312 からくり知識が流れ込んでも、にっくき自動人形じゃないんだから
取り乱さないでしょ
346Classical名無しさん:07/11/29 22:13 ID:xO2sOwOw
そもそも何でみんな斗貴子が飲んだ「生命の水」の中身が白銀だって決めつけてるんだ。
ひょっとしたら中国にあったフェイスレスの溶けた「生命の水」かもしれないじゃないか。
347Classical名無しさん:07/11/29 22:19 ID:qlpy7iX2
飲まされた回のSSで、自動人形を破壊するとか言い出したから
348Classical名無しさん:07/11/30 19:10 ID:dgWcLLH.
ところで◆Mangas0mkg氏の予約期間がもう過ぎたんだけど何かあったのかな?
349Classical名無しさん:07/11/30 20:03 ID:dgWcLLH.
ところで ◆Mangas0mkg氏の予約って期限過ぎたけどなんかあったのかな?
350Classical名無しさん:07/11/30 21:04 ID:XOgG48D.
あと、yb氏と1q氏の予約被った件。したらばかなんかで本人同士連絡したほうがいいんじゃなかろうか。
他の人も予約したいかもしれないし。
351Classical名無しさん:07/11/30 21:06 ID:v3.86iUg
どちらも破棄してるんだから、誰が取ろうと問題ない
352 ◆Mangas0mkg :07/11/30 21:41 ID:B5jsxLWk
>>348
ご、ごめんなさい。もう少し、待っていただけたら……
初投下なのに、大変申し訳ありません。
353Classical名無しさん:07/11/30 22:19 ID:ZoW7F0mY
>>352
頑張ってください。待ってます。
354Classical名無しさん:07/12/01 03:03 ID:QP92ricU
よし、延長されたところで場つなぎに三行状態表でも投下するか。色々おかしいとこはあるだろうが勘弁してくれ。具合がよかったらwikiにでも載せようと思う。

三行で知る「あのキャラは今どうなってるの?」 Ver〜146話まで

赤木しげる
・主催の意図読めてきたな。
・懸糸傀儡? 使いこなしてやんよ。
・目の前のTQNどうにかして鳴海達と合流するか。

アーカード
・散、ブラボーごちそうさま。
・強敵が多くて楽しいなぁ。
・ゴールド・エクスペリエンスとか出てきたけどどう使おうか。

アミバ
・カズマの遺志は俺が受け継ぐ!
・劉鳳とはかみ合わん。
・ケンシロウマジ怖ぇ。

綾崎ハヤテ
・お嬢様を守る!
・女装とか勘弁してください…
・マリアさんとヒナギクさん大丈夫かなぁ。

泉こなた
・みゆきさん……
・シェリスちょっと怖い。パピヨンはいいやつ。
・これってゲームじゃないんだよね…
355Classical名無しさん:07/12/01 03:04 ID:QP92ricU
江戸川コナン
・推理できないんですが。
・戦えね〜!
・毛利のおっちゃんや灰原の死を悲しんでる暇はねえ。

愚地独歩
・刃牙、光成に何があった?
・未だにマーダーに会ってないな(本人談)
・勇次郎はどこだ?

神楽
・銀ちゃんが殺し合いに乗るかァァァ! 確かめに行くネ!
・マダオ(キュルケ・マーティン)が多いところネ。
・いきなり人殴るのはよくないネ。

桂ヒナギク
・ルイズ…恐ろしい子!
・川田君とつかさがいい感じだ。
・覚悟は女のなんたるかを知るべき。

加藤鳴海
・子供を平気で殺す原付野郎(DIO)はぶっ潰す。
・フランシーヌ人形もぶっ潰す。まあいるわけないけど。
・勝……? 色々と気になるけど。

川田章吾
・人生三度目のバトロワ。でも負けられるか。
・味方が精神的に強くて安心だ。
・首輪外せねぇ。
356Classical名無しさん:07/12/01 03:07 ID:QP92ricU
キュルケ
・マダオってゆーなー!
・ダーリンを殺したやつには容赦しない。
・いきなりいきなり人殴るやつとかよくないわ。

吉良吉影
・人生二度目の手首喪失。死にそう。
・シアーハートアタックどこいった。
・マリアさんの手惜しかった。

空条承太郎
・ジョセフのジジイ探してDIOを今度こそ倒す
・首輪はナギに任せた
・ホモヤロー…(カズキ)

ケンシロウ
・北斗神拳は無敵だ(制限気付いてないけど)
・アミバ何しやがった
・神楽を追いかけよう

しろがね(エレオノール)
・お坊ちゃま(本物)はどこ〜?
・鳴海、死ぬなよ…
・願いを叶える権利か…


・フェイスレス、南無
・鳴海兄ちゃんとしろがね…はやくなんとかしなきゃ
・常に一歩間違えると死ぬ状況です。
357Classical名無しさん:07/12/01 03:09 ID:QP92ricU
ナギ
・ハヤテとジョジョと喫茶店へ行こう
・カズキのことを恋人に伝えなければ…
・WANABEEEEEE!!

シェリス
・劉鳳のためなら死ねる。
・わたしはステルスマーダー(現在殺害数0)
・平次、タバサは殺人鬼(誤報的な意味で)

新八
・なんか逃げてばっかです。
・首輪は役に立つのかな…
・てか、目立たないのはもしかしてコナンと一緒にいるから?

ジョセフ
・シンジはどこ行っちまったんだ?
・Oh! モーレツ! でも妻子持ちには関係ないぜ。
・赤ムシ野郎(ZX)にはもう会いたくねぇな。

パピヨン
・こなたは使える子
・武藤との決着は元の世界に戻ってからだな
・ニアデスハピネスがあれば蝶サイコー!

斗貴子
・カズキハァハァ
・カズキを殺したやつは殺す。てか全員殺す。
・なんか自動人形が憎い。白髪発見。
358Classical名無しさん:07/12/01 03:10 ID:QP92ricU
DIO様
・アーカードの身体はDIOのもの。
・最高に「暇!」ってやつだァァァァ。
・ザ・ワールドは制限により3秒まで。

覚悟
・女(ルイズ、ヒナギク)はよくわからない。
・牙無き人の剣となる。
・覚悟完了!

平次
・頭使おうや、頭。
・タバサ…死ぬな!
・血まみれだったシェリスは一体なにもん?

刃牙
・DIO様に痺れる憧れるゥ!
・ナルミ、親父とケリをつけるぜ。
・喉つぶれたけど核鉄手に入った。

勇次郎
・ラオウつえぇ!
・左腕をくっつけたい
・なお、腕を切った銀時はフルボッコに処した。

かがみ
・上半身裸+タイツ
・ジョ、ジョセフに感謝なんてしてないんだから!
・激戦やらマジシャンズ・レッドの反動でかなりきつ…
359Classical名無しさん:07/12/01 03:10 ID:QP92ricU
つかさ
・もう壊れたりなんてしないよ。
・みんなの力になりたい。
・川田君いい人〜

マーティン
・ア、アフロっだ!
・僕がここで一人で頑張ってみせないと、ギャラン=ドゥが安心して出て来れないんだ……!」
・吉良、コナン、マリア、銀時、ルイズは殺人鬼だよー。嘘だけど。

三村
・ジョセフ…安らかに眠れ。
・かがみぶっ殺す
・「ハッキング」する。「かがみは殺人鬼」をバラ撒く…両方やらなきゃいけないのがサードマンの辛いところだな」

村雨(仮面ライダーZX)
・俺は誰?
・強いやつに会いに行く
・強化外骨格「零」 が なかまになった!

ラオウ
・勇次郎つよい。
・ケンシロウ倒す
・秘孔を破られやすくなってる? でもそんなの関係ねえ!

劉鳳
・断罪するべき者多すぎ。
・タバサ…ルイズとキュルケを守り、才人の伝言を伝えるぞ!
・正義は砕けん!
360死亡者名鑑の守人(仮):07/12/01 03:26 ID:QP92ricU
ルイズ
・るるるのルイズ…は回避。
・アフロのメイクならおまかせ。キュルケの杖? そんなの使えなーい。
・殺人者許せない。

以上、36名の近況報告でした…って生存者多いわ!
もっと減らしてくれ…とかいうと今度は死亡者名鑑の仕事が増えて困る件。
死亡者名鑑の守人(仮)はみなさんの名鑑への投稿を心よりお待ちしております。
361Classical名無しさん:07/12/01 13:19 ID:pmdEYmIg
あんた名鑑の人だったのかよw
乙です、全員正しいのになぜかかなり笑ったw
362Classical名無しさん:07/12/01 18:07 ID:gU9Cz89M
まだ半分減ってないもんな〜。マジでわかりやすかった、乙!
363Classical名無しさん:07/12/01 18:18 ID:B0IMSv.g
けどやっぱ参加人数が少ないといいよね・・・。
あんまり死んで無いのに、残り36人。
一応人数的には中盤後期と言っていい数だし。
364Classical名無しさん:07/12/01 18:40 ID:ZFkId3DI
残り36人中、マーダーが

・アーカード
・吉良吉影
・シェリス(こなた以外の、足を引っ張る一般人限定)
・DIO様
・TQN
・刃牙
・勇次郎
・マーティン
・ラオウ
・村雨
・シアーハートアタック

シアーも含めれば11人か……思ったより凶悪なの多いな。
肉の芽支配の刃牙、記憶喪失の村雨、限定シェリスの三人だけは、まだ対主催者になる可能性が残されてそうだけど
365Classical名無しさん:07/12/01 18:55 ID:biHgXP3c
マーティンって誰かと思ってしまった俺
フルネームかせめて美形って言ってくれなきゃ分からないw
366Classical名無しさん:07/12/01 18:58 ID:9VbqVb6g
まぁマーダー候補は未だ居るから……へっへっ。
367Classical名無しさん:07/12/01 19:33 ID:gU9Cz89M
・アーカード  大本命、参加者の誰をどれだけまとめて殺しても皆が納得するだろう脅威のマーダー
・吉良吉影  何やら様々なフラグが立っていたが、その相手がことごとく死亡。最も先の読めない男
・シェリス  空気ステルス。ここに来てようやく大集団との合流が成り、今後に期待が持てる
・DIO様  アーカードと同じく本命の一人、強大な能力に加え、手段を選ばないという最も殺しにくい男
・TQN  発狂マーダー一番機、主催者ガモンの夢を乗せ、さあまずは赤木からだ
・刃牙  奉仕マーダー、プチ勇次郎の汚名を返上すべく武器をその手に立ち上がれ
・勇次郎  最強マーダーの一人であったが、片腕損失+対ラオウ戦の影響が気になる。案外気分屋なので、サラマンダー化に要注意だ
・マーティン   ネタ担当マーダーという新たなジャンルを開拓したパイオニア的存在。ある意味何をやっても許される男
・ラオウ   本郷、覚悟、銀時、勇次郎と名だたる猛者を相手にしてきたツケが出たか? 覇王の体はボトボトだ
・村雨  主催者が原作出身という極上の改心フラグを持ちながら、改心用キーアイテムから遠ざかるステキぶり。るるるを開く鍵はお前の物だ
・シアーハートアタック  こっち見んな
368死亡者名鑑の守人(仮):07/12/01 20:31 ID:QP92ricU
おお、マーティンて俺も誰だと思ったw
作業が思ったよりはかどらないで途中眠くなってしまってだn(略

>>367
マーダーは強力なラインナップ揃ってるけど無傷が少ないのがアレなのな
シアーハートアタックワロタ
369Classical名無しさん:07/12/01 20:43 ID:TjfsGl5o
昔読んだマンガを紹介できる「カココミ」サービス開始
http://news.ameba.jp/economy/2007/12/9032.html
370Classical名無しさん:07/12/01 21:47 ID:EfyjnUB2
DIOとアーカードは実力が頭一つ飛び出てる上にロワ向きな自動再生能力持ちだからな。
今、アーカードは負傷してるが、どうせ次に戦う頃には全快してるだろうし。
ぶっちゃけこの二人だけでも参加者全滅が可能かもしれないくらいだ。
371Classical名無しさん:07/12/01 23:12 ID:1rZq50dI
しかも、二人とも人気キャラだからうかつに殺すと信者から『空気嫁よ』だの『初めてクオリティの低さを理由にNGにしたくなった』
だのとイチャモンの嵐、そして存命する可能性90%超。
372Classical名無しさん:07/12/01 23:17 ID:GFUxD4eY
いや、そもそもこの状況でうかつにマーダー殺すなよ……。
373Classical名無しさん:07/12/01 23:29 ID:2HFRiQTs
それは他の参加者にも言える事だけどね
374Classical名無しさん:07/12/02 00:26 ID:oWWWjpNQ
逆に考えるんだ
今はたくさんマーダー殺しちゃっても、誰かが一騎当千すればいいんだと
375Classical名無しさん:07/12/02 00:29 ID:6uIPnpfE
まぁマーダーだらけになってもつまるが
376Classical名無しさん:07/12/02 00:31 ID:6Ibh2/xI
ふと思ったんだがアーカードっていくつも命持ってるけどキラークイーンで「アーカード」を丸ごと爆弾化してまとめて消し飛ばせるんだろうか?
それとも爆弾にできるのは一匹ずつなんだろうか
377Classical名無しさん:07/12/02 01:21 ID:h2Av7QB.
まあ制限無くても、一撃で全部無くなるような攻撃受けたら、
普通に死ぬんじゃないかなー、とは思う

どっちにしろ、このロワじゃ心臓を一回やられたら即死だから、
触れるだけで全身爆裂させるキラークイーンは正に天敵だね
378Classical名無しさん:07/12/02 01:23 ID:bx.YeVBE
DIOはおろか虹村父にも引導を渡せるような能力だからな
379Classical名無しさん:07/12/02 01:43 ID:dxLD5MT2
アーカードの良い所は本人に破滅願望があるところ。
さぁバーローに新八、空気脱出のためにも頑張れw
380Classical名無しさん:07/12/02 01:55 ID:vMzfq8Jw
>>374
強者限定マーダーは潰しあいもするだろうし、
吉良なんかは未だにやる気なし、
シェリスの弱者限定……

まぁこの比率が丁度いいのかもしれんね
381Classical名無しさん:07/12/02 02:08 ID:LCKsLfZ.
各地にみんな散らばってるから、どうしてもマーダーの手数も欲しい所だしね
しかし、対主催側最強戦力、承太郎とケンシロウがまだロクに戦闘してないってのが笑える。ああ、ケンシロウはよりにもよってカズマタコりやがったかwwww
382Classical名無しさん:07/12/02 03:05 ID:S026/g96
ちょwwwwパロロワまとめのツンデレのジンクスに吉良書いたの誰だwwww
383Classical名無しさん:07/12/02 12:29 ID:Kn76kdwQ
旦那は五、六人同時に相手にしても圧倒しそうだけど
逆に燃え展開補正ありとして旦那をタイマンで倒せそうな奴と行ったら誰だろう

覚悟は零+無傷状態だったらいけそうな気がしないでもない
384Classical名無しさん:07/12/02 16:14 ID:LCKsLfZ.
承太郎、ラオウ、勇次郎、ケンシロウ、DIO、鳴海辺りなら俺は許す。勝は核金やらスタンドフル装備なら納得する
385Classical名無しさん:07/12/02 16:56 ID:O7Mazt0U
そういう話はやめないか
386Classical名無しさん:07/12/02 18:53 ID:j8G3LM8s
何を言ってるんだ。覚悟は原作見る限り【全裸】状態こそが最強じゃないか。
387Classical名無しさん:07/12/02 18:54 ID:yYVnceM2
フム、↑に同意だな
そういうのは書き手さんお任せというスタンスで良いかと、
確にこういう論議がパロロワの醍醐味というのは激しく同意なんだけど、書き手さんがその為に書きにくくなったら本末転倒な気がするしさ
どんな強者でもミカンの皮に足を滑らせて頭うって死亡なんてことは有り得ない訳じゃないし
まあ、旦那がミカンの皮に足を滑らせて………なんて事になったらギャグとしては最高なんだけどね(笑)
388Classical名無しさん:07/12/02 19:30 ID:1oNWWYnw
間にいいのが挟まって>>387がまるで全裸大好き人間に見えるw
389Classical名無しさん:07/12/02 22:16 ID:sE9ozl5Q
◆Mangas0mkg氏予約マダー?(・∀・)
390Classical名無しさん:07/12/03 00:17 ID:DL.2rBBM
そういや某ロワで旦那がおちとして転ばし屋に転ばされたときは笑ったなw
391Classical名無しさん:07/12/03 01:15 ID:97yfcxEk
とりあえず特に指摘がなかったので三行状態表を作品順に整列させてwikiに追加しときました
投下がないときはこうやって時間を稼がなきゃならねぇ
392 ◆Mangas0mkg :07/12/03 01:22 ID:0ajGK3hw
ごめんなさい、とてつもなく予約期限をオーバーしてしまいましたが、今から投下します。
大変時間をかけて申し訳ありませんでした……
「吉良さん……」
 江戸川コナンは殺人鬼との戦いに身を投じていった仲間の事を思う。
 吉良は果たして、あの戦いで相手をどうするつもりだろうか。
 適当に相手をして、そのまま逃げ切るつもりなのか。
 それとも、説得して殺し合いから手を引かせるのだろうか。
 あの場にいないコナンには推理する以外に手はないわけだが、正直な話、どちらも考えにくい。
 吉良の性格や能力から考えて、あの少女を生かしておくとは考えづらいのだ。
 恐らく、彼はあの少女を殺す気で戦っている。
(どうする? 本当に吉良さんを一人にして良かったのか?)
 倫理的に考えて、この場で殺人をするかもしれない吉良を止める事が良い、とは必ずしも言い切れない。
 強制された人殺しの空間で、自分の身を守るために闘おうとする人は決して悪ではない。
 仮に、あくまでも仮に、吉良があの少女を殺したとしても、裁判になれば吉良は無罪だろう。
 それはコナンにも理解できる。しかし、彼は人殺しに対して絶対的な拒否反応を持っている。
 頭のいい江戸川コナンは、倫理や道徳と言うものが必ずしも殺人を否定しているわけではない事を知っている。
 あくまで、「知識として」ではあるが、世の中には殺人を肯定する倫理が存在する事を彼は知っている。
 しかし、その知識をもってしてなお、「理解できない」のが殺人なのだ。
(やっぱり、彼をあのままにはしておけないよな……)
 江戸川コナンが東の高校生探偵と呼ばれるまで、殺人事件を解決し続けたのも一つには殺人を嫌ったからである。
 一度は足手まといになるからという理由で吉良にあの場を任せたが、やはり放っておけない。
 坂田と違って、吉良は殺人を肯定する可能性がある。なまじ力があるだけに、あの少女を殺しかねない。
 それに今回の場合、少女の方にも力がある。あの槍を用いた突撃力と攻撃力には目を見張るものがあった。
 いつぞやの覚悟ほどではないにしろ、彼女は確かな力を持っている。
 そして、その彼女が明白な殺意の下、吉良に攻撃を仕掛けてきたのだ。
 間違いなく、あの場では殺人が起こりうる。

「……ねぇ、新八兄ちゃん。ルイズ姉ちゃん……」
 コナンはやはり探偵だ。殺人を見逃して、自分だけが助かるなど、どうしてそんな道が選べようか。
「僕、ちょっと用事思い出したから、病院に戻るよ。先に行ってて」
「ちょっと、いきなり何言ってるのよ」
「用事って……まさか……」
 コナンに吉良や、あの少女を止める力はない。そんな事は分かっている。
 コナンにはスタンドを操る力もなければ、銀時のような剣術もない。
 あるのは、探偵として養ってきた頭脳だけだ。
「うん、ちょっとね……」
 そんなコナンが、何しに行くかを説明すれば、新八とルイズは止めるだろう。
 この状況で、無力な人間が殺人を止めに行くのは、ほぼ不可能である。
 その上、コナンは具体的な人殺し防止策を持っているわけではない。
 そんな彼が、吉良の場所に戻ると言うのは即ち自殺行為なのだ。
「コナン君、まさか吉良さんのところに戻るつもりじゃ……」
「そ、そういう訳じゃないよ……ただ、ちょっとね……」
 頭脳は大人と思っていても、すぐさま言い訳が思いつくほど状況に恵まれているわけではない。
 だから言いよどんでしまう。
 せめて、この場で使う言い訳ぐらいまともなものを用意したいところだが、手持ちの情報や道具が少なすぎる。
「あ、ほら……包帯とか持ってくるの忘れちゃったから、取りに戻ったほうがいいと思ってさ。
 覚悟さんも怪我してるんでしょ。だったら、もう一回診てあげないと」
「アンタ馬鹿でしょ、病院にはあの大男がいるのよ、戻ったってしょうがないじゃない」
「で、でもさ……包帯や消毒薬は必要だよ。だって、これから怪我するかもしれないでしょ」
 苦しすぎる言い訳だというのは自覚している。
 しかし、それを差し引いてもあのまま吉良を放っておく事など出来ないのだ。
 探偵としての勘が、あの場で殺人が起こる事を予言している。見てみぬ振りなど、出来るはずがない。
「コナン君、病院に戻るのは覚悟君と合流してからで構わないでしょ」
(それじゃ、間に合わねーんだよ!)
「で、でもさ、覚悟さんがどこにいるか分からないでしょ。だったら、いつ病院に戻れるか分からないじゃない」
「病院じゃなくたって、簡単な治療道具ぐらい手に入るよ」
 やはり苦しい。四の五の言い訳して戻るよりは、はっきり人殺しを止めたいと言うべきかも知れない。
 いや、それを言ったところで無駄か。
 コナンには人殺しを止めたいと言う願いはあっても、力はないのだから。
「カクゴがどこにいるか分からないって言っても、病院に戻るわけないんだから、
カクゴを探すためにも病院には戻れないわよ」
 ルイズや新八の言うとおりだ。
 コナンは何を言っていいか分からなくなってしまった。

 そもそも、いつものコナンであれば「あれれぇ〜〜なんか変だぞぉ〜〜」等と言って、
大人たちの注意をどこかに向けて、たった一つの真実に気付かせていく事が出来る。
 しかし、それはあくまで真実がたった一つの場合である。倫理や正義のように複数の存在があるケースではあまり向かない。
 今回、殺人を止めるために吉良の場所に戻りたいというのはあくまで、コナンの願望であって、
決して不変の真理でもなければ、唯一無二の真実でもないわけだ。
 だから、いつものような推理を展開して、彼らを理路整然とした言葉で説得するといった事はとても出来ない。
 恐らく自分が吉良を止めたいから戻る、と本当のことを言った場合、彼らは彼らなりの反論をするだろう。
 そして、その反論の中には確かな正義が含まれているわけであって、コナンに反論の余地はない。
 だから困るのである。
 まして、今の自分は小学一年生の体だ。
 ここに阿笠博士の発明品でもあれば、状況は変わったかもしれないが、生憎とそんな都合の良いものは置いてない。
 とすれば、自分が戻る事は即ち、新八とルイズに「僕を見殺しにしてください」と言っているようなものなのである。
 戻る事など、許されるはずもない。
 せめて、何か武器があれば……状況も変わると言うものなのだが……
 コナンはもう一度自分の支給品が何であったかを思い出してみる。
 武器と呼べる物はヌンチャク一つ。それとて自分の体で扱っていては、とても吉良や坂田に及ぶとは思えない。
 元々の高校生の体で使ったとしても、まっとうな戦闘力は得られないだろう。
 自分の無力さを考えれば、やはり武器とは自動小銃あたりが適切と言えるのだが、
これでは間違って相手を殺しかねない。
 優れた武器であり、相手を殺さない武器と言えば思いつくところは時計型麻酔銃か。
 何にしても、武器はない。それがこの場での結論である。
「とにかく、コナン君。あんまりノンビリもしてられないしさ。
出来る限り早く覚悟君たちを探さないと、僕たちの命も危ないんだよ」
 全くの正論だ。
 いっそ、思っている事全てを吐露してしまうか。
 その方が無理なく、相手を説得できるかも知れない……

397Classical名無しさん:07/12/03 01:26 ID:97yfcxEk
うらっしゃあ!支援
 と、そんな時だった。
 コナンの視界に、なにやら小さな物体が入ってくる。
 大きさは人間の赤ちゃんほどもない。キャタピラ駆動により前進する車体。
 猫の耳のような突起がついた特徴的なしゃれこうべを前面につけて、まっすぐコナンたちを目指してくる物体がある。
「ね、ねぇ。あれって……」
 見間違えるはずもない。あの猫の耳は間違いなく、彼の使っていたスタンドのもの。
(それが何で、こんな所にきているんだ?)
 理由は分からない。だが、吉良は交戦中のはずだ。
 その彼が突然、妙な戦車もどきを出して自分たちの後を追いかけさせた? 一体、何が……
(まさか……吉良さんに何かあったんじゃ……)
 先の少女との戦闘で、吉良の命に危険があったとしたら。
 そして、その危険を伝えるべく使者を寄越したのだとしたら。
「新八兄ちゃん、あれを受け取って、吉良さんからのメッセージかもしれない」
「え? あ、うん……」
 新八はコナンの言うとおり、それを持ち上げようとする───
 その時だった。

  ボ
           ンッ!

 何かが弾ける音が聞こえた。
 咄嗟に後ろへと下がる新八。
 突然、戦車が爆発したのだ。

399Classical名無しさん:07/12/03 01:27 ID:97yfcxEk
「最新の話を読む」「支援をする」
両方やらなきゃいけないのが居合わせたやつの辛いところだな
「だ、大丈夫? 新八兄ちゃん」
「何とかね……」
 一瞬の回避により、軽傷ですんだ。
 とは言え、吉良からのメッセンジャーと思われた存在からの突然の攻撃に、一同は戸惑いを隠せない。
「あ、あれは一体……」
 疑問が口に出るルイズ。
 恐らく、勤勉な彼女の魔法知識をもってしても全く知らない存在であろう小型戦車。
「吉良さんのスタンドに似ているから、メッセンジャーか何かだと思ったんだけど……」
「冗談じゃない、ヨシカゲが何であんなのを送ってくるのよ!」
 全くルイズの言うとおりだ。
 見た目から、吉良のスタンドの一種だと推測したが、そもそもコナンはスタンドと言うものを知っているわけではない。
 恐らく、スタンドは何人かの人間が持っているものであり、その外見は皆、猫の耳のようなものを持っているのだろう。
 そう考えると、目の前の小型戦車がどうして、こちら側に攻撃してきたのか理解できる。
 ……いや、下手に結論を急ぐのは良くないか。
 あれが、吉良のものであるとか、ないとか、そんな結論は今の段階では出せない。
 仮に吉良のものだと考えるとどうなる?
 突然、新八を攻撃した事から考えて吉良に殺意が生まれたと言う事か。
 いや、考えにくい。
 この短時間に、自分たちへの殺意を吉良が育てるとは思えない。
 とすれば、最初から吉良は自分たちを殺すつもりだったのか。
 まぁ、この場は殺し合いの空間だ。考えられなくもない。
 しかし、これは恐らく違う。実際の殺意の有無はともかくとして、吉良は殺意を隠して自分たちと接触してきた人間だ。
 その人間が、自分のスタンドと同じ顔を持つ戦車で攻撃してくるとは考えにくい。
 もしもここで、コナンたちを仕留め損なったら、吉良の立場が危うくなる。
 それぐらいだったら、最初から殺しに来るだろう。
 だとすると、これもない。
 とすると、仮にあの戦車が吉良のものだと考えた場合、残された可能性は、吉良には明確な殺意がないという物になる。
 恐らく、先の戦闘で使用した武器が何らかの拍子でこちら側まで来てしまったと考えるのが筋だろう。
 そうすると、本人が来ないで戦車だけが来てしまった理由も理解できる。
(どっちにしろ証拠がないよな……)
 なんにしても、結論をこの場で出す事は出来ない。
 普段の殺人事件と異なり、この場ではコナンの知らない事が多すぎる。
 それよりは、今この場をどう切り抜けるかが先になる。
 逃げるか?
 いや、成長したルイズや新八ならともかく、小学一年生のコナンが逃げ切れるとは思えない。
 小型戦車はそれなりの速度を有している。逃げ切れないコナンを二人が放って置くとも思えず、結果として3人とも逃げられない形になる。
 とすれば、闘うか?
 いや、それも難しい。
 というより、小型戦車の性能が分からないため、難しいか易しいかの区別すらつかない。
 まずは、敵の力を分析するところから始めたい所だが、生憎とそんな余裕もない。

402Classical名無しさん:07/12/03 01:28 ID:00Uc58y.
                             
403Classical名無しさん:07/12/03 01:29 ID:97yfcxEk
 
404Classical名無しさん:07/12/03 01:30 ID:PWXH4tW.
 
405Classical名無しさん:07/12/03 01:30 ID:00Uc58y.
                
「とにかく、アイツを止めるわよ」
 一番に前に出たのはルイズ。
 短い付き合いだが、彼女が激しやすい性格である事は十分に理解できる。
「ルイズお姉ちゃん、まだアイツの事が分かってない! 余計な事は……」
「近づかなきゃいいんでしょ」
 コナンが言い終わるよりも先に、ルイズは杖の力を振るってメイジとして闘おうとする。
 詠唱とともに、小さな爆発がルイズの前で起こった。
 ファイヤーボール。かつて、ルイズがキュルケとの勝負の際に学院の壁を破壊した魔法だ。
 ちなみに、本来のファイヤーボールとは大分趣を異にする。
「ルイズ姉ちゃん、離れて!」
 モクモクと上がる灰煙の中、小型戦車の動く音が聞こえる。
 戦車の見た目にふさわしく、ルイズの爆発にも全く動じていない。無傷。それが戦車の状況だった。
「逃げるよ!」
 敵の戦力は分かった。
 この場で最大の攻撃力を持つ、ルイズの魔法に動じない防御力。
 それさえ分かれば十分だ。逃げ切れるとは思っていないが、それでも、『逃げ』が最善手であることに違いない。
 アイツと闘う事なんて出来やしない。
 だが、それを遮る人間がいた。いや、正確に言えば3人で逃げることを拒否した人間が。
「コナン君、ルイズちゃん、ここは僕に任せて逃げてくれ」
 志村新八である。
「ば、バー……、新八兄ちゃん。いいから、逃げて!」
「僕やルイズちゃんはともかく、コナン君は逃げられないでしょ。だったら、誰かがコイツを足止めしないとさ」
 新八の前に、小型戦車が迫り来る。
 新八が斜め前に、移動しつつ小型戦車をかわすと、それに釣られて戦車も動きを変える。
「僕なら、こいつを引き付けたまま、この場で避け続けることが出来る」
 道場を経営しつつ、養った足腰は一般人の中ではそれなりに強い。
 だが、いつまでも避けきれるものではないだろう。
「で、でも……」
「それに、今さら僕も逃げられなくなったっぽいしね……」
 新八の周りを、小型戦車は追い掛け回す。
 必死でかわす新八であるが、その動きは徐々に狭い範囲の中に閉じ込められている。
「出来る限り早く、誰か助けを呼んできてくれると助かるんだけど……」
 ほんの少し、弱気を見せる。
 けれど新八の表情はいつも通り、落ち着いたものだ。
(アイツ……俺の前じゃ弱気すら見せられねーってのか? それとも何か策でもあるってのか?)
 襲い掛かる戦車をよける新八の身体能力は意外に高いものだったが、
それ以上に妙に落ち着いているのが気にかかる。
「もう一撃、魔法を食らわせたら、ソイツも止まるわよ。シンパチ、耐えなさいよ!!」
 再び、ルイズが魔法を使おうとする。
「だ、駄目だよルイズお姉ちゃん。魔法なんか使ったら、新八兄ちゃんが先に死んじゃう」
「コナン君の言うとおりだよ、ルイズちゃん。大丈夫、僕には最後の武器もあるしさ」
 足捌き一つで、戦車の攻撃をかわしつつ、新八は強がりを見せる。
 どう見ても、あと5分と持つまい。本当に、誰かの助けを呼びに行ってよいものだろうか……
 いや、考えている時間はない。何かは知らないが、新八には最後の武器もあると言う。
 ここは信頼して、助けを呼びに行くのが筋と言うもの。
「行くよルイズ姉ちゃん。すぐに新八兄ちゃんを助けられる人を探してくるんだ」
「う……うん……」
 ルイズは、コナンに言われるがまま、その場から走り去る。
 目指すものは、覚悟でなくてもいい、とにかく新八を助けられる存在。

◇ ◆ ◇

 江戸川コナン、ルイズ・フランソワーズの2人が去った後。
 アスファルトの上に残されたのは、新八一人と一体の小型戦車。
 新八は何とか戦車の攻撃をかわしつつ、生き延びている。
 そもそも、戦車が本来の性能を持っていれば、最初の一撃で新八は死んでいた。
 戦車からの攻撃を咄嗟にかわす事など、通常はできない事である。
 この戦車、名前をシアー・ハートアタックと呼ぶが、こいつはコナンの推理通り、吉良のスタンドである。
 そして、この場ではスタンド能力は非常に強い制限を受けている。
 さらに、新八などのどちらかと言えば、一般人に属する人々の制限は弱い。
 結果として、最初の攻撃もかわせたし、今も戦車の攻撃をよける事が出来ている。
 この事を考えれば、制限万歳、ビバBADANと言いたくもなるが、残念なことに新八はBADANの存在を知らない。

 それと、避け続けて気付いた事だが、戦車はとても小さい。
 キャタピラ駆動のためか、二本足の新八と違って段差がとても苦手。
 車道と歩道の間の段差さえ、登るのに若干のタイムラグが発生する。
 もちろん、これも実際は制限によるもので本来は車道と歩道の間の段差ぐらい、この戦車には何ら障害にならないのだが、
それはともかく、そこに気付きさえすれば、意外と長時間引き付けておくことが可能かもしれない。
 けれど、そうは言っても、相手は執拗に人間を追い回す戦車である。
 そして、人間に近づいたら、先ほどのように爆発する戦車でもある。
 やはり、志村新八は侍として、こいつを放っておく事など出来はしない。
「何とかしないとな……」
 新八に残された武器はたった一つである。いや、正確に言うと二つか。
 だが、残りの一つはどうしても使いたくない。やはり、一つだけで何とかするべきだろう。
409Classical名無しさん:07/12/03 01:33 ID:97yfcxEk
 
410Classical名無しさん:07/12/03 01:33 ID:PWXH4tW.
 
411Classical名無しさん:07/12/03 01:33 ID:00Uc58y.
                        
 新八は小さく戦う決意をして、帯に挟んであったその武器を取り出す。
 正直な話、相手の小ささや、不気味だけれども紛れもない猫耳に、あまり恐怖を感じていない。
 もしも新八にスタンドに対する正しい知識があったなら、ここまで冷静に事態に対処することなど出来なかっただろうが、
そこは運に恵まれたと言うことだろうか。
 武器を左手に持ち、敵の攻撃をかわしながら新八は冷静に攻撃の機会をうかがう。
(武器は一つしかない。相手が爆発する戦車と言うことなら、相手の爆発に巻き込ませて使うのが一番だろうな……)
 観察すべきは、敵が爆発する瞬間。その瞬間に、覚悟とともに持ち帰った首輪を誘爆させる。
 よく観ろ、敵の動きはとても単調だから間違いなくあるはずだ。
 爆発するための、簡単な法則が。この戦車には存在するはずだ。
(さっきから、一回しか爆発してないんだよな……)
 一度の爆発は自分の体が近づいたとき。
 あの瞬間、この戦車はたった一度だけ爆発した。
 その他は、自分の体ほどもある段差にぶつかっても、爆発していない。
 何かに接触して、爆発するというタイプの戦車ではなさそうだ。
(だとすると、人体の何かを感知して爆発するタイプかな……)
 単純な行動をする生物(?)が、人体を検出する機構に何か覚えはないか。
 新八は、自身の記憶を手繰って、探してみる。
 小さな生物。それでいて、自分たち人間を正確に追跡する生物。
(何かいたよな……)
 つい先日、あの憎めない警察の所で見た気がする。それに似た生き物を。
 夏の風物詩と言ってもいい、あの生き物は人間を追跡する確かな能力を備えていたはずだ。
 それも、複雑な高次情報処理により人の姿かたちを認識する人間とは違って、至ってシンプルな方法でだ。
(この執拗なまでに人間を追いかけてくる習性。そして、シンプルな行動。小さい体……
 コイツは蚊だ。蚊と同じなんだ)
 蚊と同じであれば、二酸化炭素を追跡し、人間の場所を検出しているに違いない。
 と言うことは……
(コイツに口を近づけて息吐いて、誘爆させろっての? 無理! 絶対無理!!)
 いくらかわし方が確立したとは言え、顔を近づけて首輪とともに爆発させるなんて、自殺以外の何物でもない。
(はい却下。次の案プリーズ。
 出来ることなら、僕が傷つかないやり方をお願いします。
 ルイズちゃんみたいに遠くから爆撃できるやり方でお願いします)
 ま、実際には蚊だって顔近づけなくても血を吸ってくる生き物なんだけど、新八がそこに気付かないのはご愛嬌と言う事で。
 はてさて、一体どうやって、この戦車を壊したらいいものか。

414Classical名無しさん:07/12/03 01:36 ID:00Uc58y.
                  
◇ ◆ ◇

「とにかく、あのまま新八兄ちゃんを放っておく事なんて出来ないよ。
 すぐに助けを呼ばなきゃ……」
「分かってるわよ」
 新八と離れたコナンたちは南側に進んでいる。
 タイムリミットは非常に短く、救命人員に求められるスペックはとても高い。
 だが、それでも、コナンたちは誰かを探してこなければならない。
「ね、ねぇ。アンタさぁ、本当に誰か見つかると思ってるの?」
 時間制限は凡そ5分。
 コナンたちの足を考えれば、マップ上一つマスのを探索する事さえ出来やしない。
 そんな時間の中、誰かを探す。ほとんど不可能に近い。
 現在、生き残っている人間が約40人。そして、残りのマップが60マス。
 単純な確率で言えば、コナンたちと同じマスに他の人間がいる可能性はきわめて低い。
「アンタがさ、シンパチを放っておいたから……ってゆーか、そ、そもそも、ア、アンタが病院に戻るとか言い出したから……」
 コナンにも十分、彼女の言わんとすることは分かる。
 だが、現状とれる最善の策があれしかなかったのだ。
416Classical名無しさん:07/12/03 01:36 ID:97yfcxEk
新八死亡フラグか!? 支援
417Classical名無しさん:07/12/03 01:37 ID:00Uc58y.
                           
「アアア、アンタ分かってるわよね。もしも、シンパチが死んだら。アンタのせいなのよ。
 さ、さっさとカクゴ達を探していれば、あのちっちゃいのにも会わないですんだのよ」
「分かってるって…………だから、早く誰かを探そう」
 できる事は、味方の捜索以外にない。
 ルイズの愚痴は気にかかるけれども、相手にしている場合ではない。
 早く探さないといけない。
「もしも、シンパチを見殺しにしたら……アンタ、絶対に許さないからね」
「……うん」
 だからこそ、探さなければならない。
 慌てふためいて、叫ぶ事だけなら誰にだって出来る。
 探偵として、江戸川コナンは冷静沈着に新八の助けを呼ぶ必要があるのだ。

 そんな時だった、コナンの目の前の小道から一人の少女が顔を出す。
 木刀片手に走る少女。そんな少女が突然、昼時の街の曲がり角でコナンの目の前に現れた。
「新八がどうかしたあるか?」
 道のど真ん中、少女は自己紹介もコナンたちの素性確認もすっとばし、突然新八のことを聞いてくる。
「新八を見殺しって、どういうことあるか!?」
 微かではあるが、木刀を持つその手が震えていることに江戸川コナンは気付いた。
419Classical名無しさん:07/12/03 01:38 ID:Jv50Ritk
待ってたぜ支援!
420Classical名無しさん:07/12/03 01:38 ID:97yfcxEk
 
【F-5 北東(大通り)/一日目 日中】
【神楽@銀魂】
[状態]疲労、精神的に不安定
[装備]木刀正宗@ハヤテのごとく
 ジャッカル・13mm炸裂徹鋼弾予備弾倉(30×2)@HELLSING
[道具]支給品一式 拡声器@BATTLE ROYALE
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗っていない人は守る、乗っている人は倒す
1:病院に行き、銀ちゃん(銀時)を捜す。
2:新八を見殺しって何? ってか、こいつら誰?
3:帰る方法を考える。
[備考]・原作18巻終了後から参戦。

【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:健康
[装備]:ヌンチャク@北斗の拳
[道具]:基本支給品、スーパーエイジャ@ジョジョの奇妙な冒険、鷲巣麻雀セット@アカギ
[思考] 基本:仲間を集める。
1:新八を助けられる人を探す。目の前の少女を確認して、助けを求める。
2:灰原哀、服部平次、新八の知り合い(神楽)と合流する。
3:覚悟さん達と合流
4:ゲームからの脱出
5:ジグマールを警戒
[備考]
※メガネ、蝶ネクタイ、シューズは全て何の効力もない普通のグッズを装備しています。
※自分達の世界以外の人間が連れてこられていると薄々感づきました。これから、証拠を集めて、この仮説を確認しようとしています。
※川田、ヒナギク、つかさの情報を手に入れました。
【ルイズ@ゼロの使い魔】
[状態]:右足に銃創、中程度の疲労、強い決意、精神不安定
[装備]:折れた軍刀
[道具]:支給品一式×2 超光戦士シャンゼリオン DVDBOX@ハヤテのごとく?  キュルケの杖
[思考]
基本:スギムラの正義を継ぎ、多くの人を助け首謀者を倒す。殺人者に対する強烈な殺意
1:新八を助けられる人を探す。
2:覚悟達と合流
3:覚悟が戻ってきたら、スギムラを弔う
[備考]
※川田、ヒナギク、つかさの情報を得ました
423Classical名無しさん:07/12/03 01:40 ID:PWXH4tW.
 
424Classical名無しさん:07/12/03 01:40 ID:Jv50Ritk
しえん
【F-5 南部(大通り)/一日目 日中】
【志村新八@銀魂】
[状態]:腕に軽い火傷、疲労(中)、軽いパニック
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、陵桜学園高等部のセーラー服@らき☆すた、首輪
[思考]基本:仲間を集める。
1:目の前の戦車を破壊する。
2:コナン、ルイズが戻ってくるまで待つ。
3:銀さんと神楽ちゃん、コナン君の知り合い(服部平次)と合流する.
4:覚悟君達と合流
5:杉村くんを弔う
6:ゲームからの脱出
7:ジグマールを警戒
[備考]
※川田、ヒナギク、つかさと情報交換をしました。
※シアー・ハートアタックが二酸化炭素を追跡してくるものだと勘違いしています。

【シアー・ハートアタック@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:なし、単純自動行動。
[備考]
※制限のため、一般人でも何とか回避可能なスピードで攻撃してきます。
426Classical名無しさん:07/12/03 01:42 ID:r9HefsC6
投下終了しました。
大変、遅れて申し訳ありません。
しばらく、予約自重します……申し訳ありませんでした。
427Classical名無しさん:07/12/03 01:47 ID:97yfcxEk
投下おつ!
シアーハートアタックはエアロスミスじゃねーよw
久々にコナンが推理したと思ったらあんま真実にたどり着いてもいなくてカワイソス
428Classical名無しさん:07/12/03 01:50 ID:00Uc58y.
投下乙。シアー意外と仕事してるねw
神楽の妙なフラグもキッチリ繋いでいてGJな展開でしたよ。
コナンもいつもどおりにウザイwこれはもはやお約束ですよねw
そういえば元病院組はみんな地獄ですね。あ、覚g(ry
429Classical名無しさん:07/12/03 01:53 ID:Jv50Ritk
子供達の戦いイカス! いいなぁ、なんかこいつらが頑張る所って凄い良いな
新八はやれば出来る子なのです。難産だったようですが、本当にお疲れ様でした
430Classical名無しさん:07/12/03 02:00 ID:BW0jMir6
バーローは何時になったら活躍できるのだろうか…

投下乙。シンパチは生き残るだろう!!(多分)
431Classical名無しさん:07/12/03 02:16 ID:00Uc58y.
>>426
あ、そういえばシアーが出てくるなら時間表記は午後以降にしないと矛盾しますよ。
吉良対TQNが午後なので。
432 ◆05fuEvC33. :07/12/03 07:16 ID:.DBeKZ2E
投下乙。
子供4人に加え、シアーも上手く動かしていてGJです。
しかしコナンが、その頭脳を活かせる日が来るんだろうかw

自分の分の予約ですが、すいません延長をお願いします。
433Classical名無しさん:07/12/03 07:31 ID:cKX8sUts
頑張ってぇん
434Classical名無しさん:07/12/03 11:26 ID:IUH3P/b.
>>426
投下乙です
非力ながらも頑張ってる子供グループは素直に応援したい、新八頑張れ
コナンの推理がズレ気味なのが哀しいな…w

些細ですが気になったことを
原作での神楽の似非チャイナ語は基本的にカタカナなので
「〜ある」は「〜アル」になったほうがベターだと思います

>>432
乙です、お待ちしてます
435Classical名無しさん:07/12/03 19:08 ID:CNc3l1M2
投下乙
つかバーローは今度から自己紹介をこれに変えろw
「江戸川コナン・・・足手まといさ」
436 ◆Mangas0mkg :07/12/04 21:14 ID:jAJ5UO7I
>>431
指摘、どうも。了解しました。
単なる誤字だと思うので、掲載のときにでも直しておきます。
437Classical名無しさん:07/12/05 14:46 ID:VpS3S/fk
438 ◆05fuEvC33. :07/12/05 18:46 ID:7YjzB8xY
投下します。
439Classical名無しさん:07/12/05 19:03 ID:GYEzzhW.
440 ◆05fuEvC33. :07/12/05 19:09 ID:7YjzB8xY
>>439
支援ありがとうございます。
すいません、サーバの負荷が高いので書き込めませんと出るので
投下はしたらばの方にしました。
指摘点があればよろしくお願いします。
441Classical名無しさん:07/12/05 19:35 ID:.jcBT1ak
>>440
なんというフランシーヌ人形…これは間違いなく激戦の予感
442Classical名無しさん:07/12/05 19:44 ID:GYEzzhW.
乙です
刃牙、マーダー化した途端に生き生きし始めてきたなぁ
443Classical名無しさん:07/12/05 20:01 ID:qF.AQwnU
投下乙。待ち望んでいた展開だッ!
このバキがなんか原作のバキ以上に好きになってきたw
全てが裏目に出てしまった勝が哀れでならない。
444Classical名無しさん:07/12/05 20:02 ID:scwXpySg
こうして見るとポルナレフがいかに戦士として真っ当だったか分かるなw
洗脳花京院をぶっちぎりで上回るゲスっぷりだ
445Classical名無しさん:07/12/05 20:03 ID:qFd2mBso
投下GJです
エレオノール、再び……!
すっげえ続きが気になるぜ!
446Classical名無しさん:07/12/05 20:36 ID:1w7gW7ow
刃牙が明らかに刑務所の性悪バキw
体調はイマイチでも、口喧嘩で相手の思惑外すのマジ上手いな。
オリバの本質見抜いた眼力も活きてるし。GJ。
447Classical名無しさん:07/12/05 21:53 ID:qmWJlmWw
GJ!
ポルといい刃牙といい肉の芽には洗脳前と後で性格が逆になる効果でもあるんじゃないかと疑いたくなるなww
448 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:24 ID:doq00jVc
ケンシロウ、キュルケ、ジグマール、赤木シゲル、津村斗貴子
ラオウ、範馬勇次郎、DIO投下します。物凄い長いので、支援の方よろしくお願いします
449大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:26 ID:doq00jVc
ジグマールは焦っていた。
このまま病院なぞに行った日には絶対壊滅無敵殲滅軍団に目を付けられた惑星並にジグマール生存は困難となろう。
だが、逃げ出す事も殺す事も困難であった。
それは、同行者であるケンシロウという筋肉達磨(ピンク髪のバカ娘命名)にいっそ感動的なぐらい隙が無いせいだ。
具体的には、ケンシロウの周囲一帯に筋肉オーラが張り巡らされていて、その中でどんな動きをしようと即座に感ずかれるようなレベル。
さりげなくゆっくり走ってケンシロウ、キュルケと距離を取りながら逃げ出すチャンスを伺った所、後ろも見ずに移動を急かして来るような男だ。
必殺の人間ワープを使えば何とかなるかもしれないが、何やら距離が制限されているらしく、ワープ一回で逃げきる自信が無い。
いざ敵に回そうと考えてこのケンシロウという男を見ると、この男は並のアルター使いでは到底出しえない存在感を放っている。
こういう男相手に、下手に動くのは危険だ。
だが、逆にこの男を味方に出来たのなら、この上ない心強い盾となってくれよう。
幸いこの男は二匹の馬鹿女共の言葉より、ジグマールの言葉を信用してくれている。
(ええい、こうなれば最後の手段!)
ジグマールは急に足を止め、走るのを止める。
( 口 八 丁 だ ! )
「待ってくれ!」
ジグマールの大声にケンシロウもキュルケもその足を止める。
「どうか聞いてくれ。病院に行くのは本当に危険なんだ。あそこの連中は平気で人を騙す」
ケンシロウはそれがどうしたと言わんばかりの顔だ。
「ならば、尚の事放ってはおけん」
「いいから聞いてくれ。君達二人は、仲間の為に危険も顧みず危地に飛び込む、そして殺しをするような人間を放っておけないような、
勇敢で善良な人間だ。君達ならば私も信用出来るからこそ話すんだ」
キュルケはいらいらしながら先を促す。
「神楽より先に行かなきゃいけなんだから、簡単に言ってよ」
頷くジグマール。
「君達は、その神楽が君達を騙している可能性は考えたか?」
二人は揃ってジグマールを睨みつける。ジグマールは慌ててフォローした。
450大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:27 ID:doq00jVc
「あくまで可能性の話だ。私は病院で卑劣な不意打ちを受けた。『殺し合いには乗っていない』そう言って近づいた私は彼らの攻撃を受けたのだ。複数人が集まっているのなら殺し合いに乗っているという事も無かろう、と安易に考えた私のミスでもあった」
そこで大仰に両腕を横に広げてみせる。
「私は! 君達のような善良な人間が騙され、酷い目に遭うような行為を見過ごす事は出来ない! どうか、私の忠告に従って欲しい!」
キュルケはすぐに言い返す。
「じゃあ神楽はどうする……」
その言葉を遮ってジグマールが大声で言い放つ。
「本当に君達の事を想い、心配している人間が君達を置いて何処かに去るなどという事があるのか!?」
背負ったデイバックを開いてみせるジグマール。中には対人地雷が入っていた。
「これを見てくれ! 私の支給品だ! あれだけの人数に追われたのに私はこの支給品に手を付けていない! 私は人殺しなぞしたくないからだ!」
そのまま畳み掛けるように怒鳴る。
「君達が善良な人間だというのは今の行動で十二分に理解した! そして私もそうであるというのは今証明してみせた! では神楽はどうなんだ!? 彼女の身の証を立てる何かを君達は持っているのか!?」
実はジグマールが潔白だという理由付けは物凄く弱いのだが、それを勢いで押し切る。
(さあ、ここからはアドリブだ! 何が出てくる? この推定年齢19才のワリに異常発達した輝ける知能を持って応対してみせよう!)
ケンシロウは静かに主張する。
「神楽は怪我をしたキュルケを背負い、病院へ運ぼうとしていた。俺は彼女の行動に優しさを見た」
(ノーーウ!! あのバカピンク案外イイ奴ウウゥゥゥゥ!!)
しかし瞬時に思考をめぐらせるジグマール。
「病院? 病院と言いましたか? 病院と言いましたね? 今彼女が目指している、そして私が理解出来ない集団に襲われたあの病院トォォォォ!!」
キュルケもケンシロウもジグマールの言葉に耳を傾けてくれている。
451Classical名無しさん:07/12/06 19:27 ID:myNPdHb.
 
452Classical名無しさん:07/12/06 19:28 ID:myNPdHb.
  
453大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:28 ID:doq00jVc
「殺し合いに乗るのなら、そもそもチームを組むなぞ意味不明ッ! そして何かと病院に行きたがる神楽の行動も意味不明ッ!
それを繋ぐ鍵は……病院なのかっ!? 駄目だ。断じて駄目です。そんな所にたった三人で、心通い合った三人とはいえこれだけで乗り込むなんて無謀極まる!」
あいむじゃすてぃす理論を力強く振りかざすジグマール。
ケンシロウは、無言ですぐ側にあった郵便ポストの前に立つ。
「あたぁっ!!」
上から振り下ろした拳の一撃で真ん中から真っ二つに引き千切れる郵便ポスト。
余りの事に大口を開けたまま呆然とそれを見つめるジグマール。
「不足か?」
いきなりな事に思考停止してしまったジグマールが反論を述べようとすると、今度はキュルケが何やらぶつぶつと唱えだす。
「フレイムボール!」
キュルケの眼前から撃ち出された炎の弾、それの直撃を受けた街路樹が一撃でへし折れ、あっという間に炎に包まれ炭と化す。
「不足かしら?」
ケンシロウは何か凄まじい力を持つと思っていたが、まさかそのまんま力が凄まじいとは思わなかった。
そして所詮小娘と思っていたキュルケの炎。
(炎のアルター使いと激しく力自慢!? こいつらもしかして結構お強い!? もしかして私当たり引いた!? つか知らずに襲い掛かってたらほんのちこっとヤバかった?)
内心のガッツポーズを知られずに済むのに苦労した。
(それでも普通こんなにあっさり手の内見せるか? バカ? おバカですかー? 頭弱い弱い子ちゃんでちゅねー?)
「お、驚きました。確かに二人共凄い力をお持ちだ」
そんなジグマールを無視する二人。
キュルケはケンシロウが引き裂いた郵便ポストをつついている。
「……これ鉄じゃない。ケンってこんなに強かったの?」
ケンシロウは既に燃え尽きている街路樹を見やる。
「お前もな、炎の種は俺にも見えなかった」
またも無視されたジグマールは脳内復讐帳にそれをメモしながら、反論を考える。
(神楽を敵、もしくはその疑いがある、と考えさせなければ、病院行きを断念させる事は出来ませんね)
454大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:29 ID:doq00jVc
「私はあなた方三人がどういった経緯で一緒に行動したのか知りません。ですが、神楽さんの行動はあまりに不自然すぎます。そう思いませんか? そして私も襲われた病院の謎。これは、下手をすると私達がここに呼び出された根幹を為すかもしれないと思えるのです」
ジグマールは強引に神楽への疑惑を、このゲームへの興味にすり返る。
「私の考えすぎかもしれませんが、だとしたらこの人数だけで乗り込むのはやはり無謀。ここは更に仲間を集めてから動くのが得策と考えます。私の言ってる事、何か間違っていますか?」
キュルケは返事に困りケンシロウの方を向く。
ケンシロウはその視線を受けてきっぱりと言った。
「神楽は悪意を持っていない。俺の心がそう感じた」
本気で殺意を覚えるジグマール。
(お・ま・え! 人がここまで理路整然と話してやってるのになんだそれは! 心? そんな事平然と言えるお前の心をまず診断しろ! 確実にかつ手遅れな程に病んでいるだろ!)
「ケン……」
その言葉に勇気付けられたかのようにキュルケはその名を呼ぶ。
(なーにを夢見る乙女しやがりますかこの黒おっぱいが! お前もあれか? 心か? 心でおっぱいが黒々ですか!?)
こんな脳味噌花畑な二人でも今のジグマールには大事な手駒候補。何とかしてその意思を変えさせなくてはならない。
二人の世界入っている奴なぞこちらからも無視してやって、頭を高速回転させる。
「ケン……貴方のその優しさと力強さが微熱の琴線に触れたわ……」
(仕方が無い、ここはこちらが妥協するか。病院に行って偵察だけで済ませる。これなら問題はあるまい)
「心配するなキュルケ、神楽は良い子だ。俺が保障する」
(歩み寄りを見せれば、これ以上私に不信感を抱く事もあるまい)
「ああケン。神楽を連れ戻したら……いえ、ここを脱出したら私あなたと一緒になれる時間が欲しいわ」
(中に入る、もしくは接触を取るのは論外だ。そこの調整が難しいが、ホーリーを束ねていた私に出来ない事などない)
「そうだな、ゆっくりと出来る場所で話をするのも悪く無い。神楽も喜ぶだろう」
(………………。)
「もうケンったら……いけずなお人。でもいいわ、そんなストイックな所も……」
(ギャランドゥ、僕のギャランドゥ。僕は心底こいつら殺したくなってきたよ。早く戻ってきておくれ)
455大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:29 ID:doq00jVc
その後もさんざん話し合った末、ジグマールの妥協案をケンシロウもキュルケも呑んだ。
偵察だけで済ますかは向こうの状況次第とジグマールは更なる妥協を強いられたが。
ホームに着くと、ちょうど一本行った後らしく、しばらく待たされた後三人は地下鉄に乗り込む。
自動ドアの段階で驚いているキュルケは、地下鉄が動き出すとそれはもう見てて微笑ましくなるぐらい興奮していた。
「凄い凄い! まるでタバサのシルフィードに乗ってるみたいだわ! それもこんなに大きな物がこんな速さなんて信じられない!」
(何処のド田舎から出てきた黒ビッチ! ただでさえ機嫌の悪い私の気分を損ねるような真似をするんじゃない!)
ムカムカ来ていたジグマールはそんな思いが漏れてしまいそうだったので、終始無言であった。


グリモルディを後退させながら戦う赤木。
その両腕を振り回しながらなので、迂闊に近づけない斗貴子。
グリモルディをすり抜けて後方の赤木を狙う。武器が無い以上、これ以外に斗貴子が勝つ算段は無い。
この中距離での攻防こそが赤木に最も有利な距離であった。
両腕を振り回して、突っ込んでくる斗貴子を右に左に狙う赤木。
それを斗貴子は潜り抜けられずに舌打ちする。
赤木は考える、斗貴子は激情に任せて赤木にまっすぐ突っ込んでいるのだが、未だに致命打は与えられていない。
彼女は既に動ける体に見えないにも関わらずである。
これは、赤木と斗貴子との技量差がはっきりしている事を示している。
彼女自身は自覚していないようだが、すぐにグリモルディの攻撃に彼女は慣れるだろう。
そうなったら腕をすり抜けて赤木の下に至る事も可能だ。
それほど、斗貴子の動きは素早かったのだ。
ならばどうする? グリモルディで仕留められないのなら、投擲武器モーターギアを使うしかないが、この距離で斗貴子を確実に仕留める自信は無い。
確実に斗貴子がその動きを止める瞬間が欲しい。何、無いなら作るまでだ。
456大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:30 ID:doq00jVc
少し前から音が良く聞こえなくなった。
嫌な耳鳴りがして、目の前の人形の振る腕の音が聞き取りずらい。
今は、もう体中がどうなっているのかわからない。
ふっ、と視界に入る自分の右腕の先が無い。
そういえば、無くなったんだな。どうやって無くしたのか思い出せない、面倒だしどうでもいい。
足、動いてる。何も動いてる感じがしないのに動いてる。おもしろい。
これ、止めてみたら止まるのか? 物が考えられない、今視界に入ったものの事しか考えられない。
ああ、なんでずっと変な音がするのかわかった。
耳障りなあの耳鳴り。違う、あれは私の雄たけびだ。でもなんで私は叫んでいるのだろう。
やはり難しい、あの腕だけなら何とかなりそうだが、同時に上下左右から飛んでくる円盤が物凄い邪魔だ。

ザクッ!

遂にモーターギアが斗貴子の右腕を捉えた。
新たな傷は、麻痺していた斗貴子の神経に感覚を蘇らせる。
そしてそれは、同じく怪我と疲労のせいで麻痺していた斗貴子の脳細胞を再び蘇らせた。
(何!? 私は何を!?)
幸い思考が不明瞭だった時間にもこの体は動いてくれていたらしい。
回避行動は続けたままだ。
モーターギアの動きは良く知っている、そして懸糸傀儡の動きは脳の何処かにあった知識が教えてくれた。
相手の赤木はまだどちらも使いこなせていないようだ。
それが斗貴子には良くわかった。僅かにでも冷静になれれば、見えた事だった。
(行ける!)
当人は工夫しているつもりなのだろうが、単純な繰り返し作業にしか見えない腕を掻い潜る。
457Classical名無しさん:07/12/06 19:30 ID:myNPdHb.
   
458大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:30 ID:doq00jVc
そして、同時に扱う事がそもそも至難なのだろう。
モーターギアに至ってはただ同じ軌道をぐるぐる回っているだけだ。
そんなものに当たる錬金の戦士なぞ居るものか。
錬金の戦士と考えた所でチクリと何かが胸を刺したが、それはどうでもいい事だ。
瞬く間にグリモルディの腕を掻い潜ってその眼前まで迫り、大きく飛び上がりその背後の赤木を狙う斗貴子。
そうしてグリモルディを飛び越えた直後、斗貴子の目の前に投じられたナイフが見えた。
何と思う暇も無い。まともに額に喰らい、その勢いで頭部が跳ね上がり真上を向くが、全身で堪えて前を向く。
赤木はグリモルディを放棄して大きく後ろへと下がっていた。
斗貴子がグリモルディのすぐ前に来た時、その巨体で赤木の姿が隠れている間に後退したようだ。
彼は、再度ナイフを振り上げこちらに投げつけようとしている所だ。
手持ち武器無し、だが腕はある。これで弾くなり受けるなりすればいい。
しかし、そこで本来赤木に向けられていなければならない斗貴子の視線は、大きく後ろに下がっている赤木とグリモルディの間に置かれていた、カズキのサンライトハートに注がれていた。
「カズキ!」
斗貴子はその瞬間、赤木の存在を忘れた。
グリモルディから飛び降りんとする斗貴子の肩に、赤木の投げたナイフが突き刺さる。
それでも斗貴子は止まらない。ただひたすらに、カズキのサンライトハートをその手にする事だけを考えていた。

(頭部直撃のはず!? 何故動ける!?)
斗貴子の頭にナイフが突き刺さっている。しかし、斗貴子はそんな事まるで意に介さずこちらに向かってくる。
再度投じたナイフは、狙いを外れ斗貴子の肩に当たる。
当然よぎる不可思議の念と、不死という単語。
459大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:31 ID:doq00jVc
(……ふん。不死なぞ、この世には存在しない)
最後の奥の手はとっておいてある。
いつのまにか戻していたモーターギアを両足に装着。斗貴子へ向けて加速する。
斗貴子の視線は下を向き、こちらに意識は向いていない。
パーフェクトのタイミング、しかし、これを逃せば事態は急変すると知っている赤木は、決して油断はしない。
間合いに入る寸前、右足のみでの移動に切り替え、左足を振り上げる。
左足の先についたモーターギアの刃で斗貴子の喉を切り裂けば、その首は半ばから千切れ落ちる。
人殺しに微塵の躊躇も無い。
片足のみの移動にも不自由は無い。多少悪路であっても充分フォロー出来る範囲内だ。
確実に、殺る。

斗貴子がサンライトハートまで後一歩と迫った場所で、ようやくその視界内に赤木が入ってきた。
(あ……)
僅かに考えられた事はそれだけだ。
既に振り上げられている赤木の左足、その先に付いたモーターギアまで見えているのだが、自らの体勢が悪すぎて対処出来ない。
同時に視界に入っている赤木の右足、その接地部分が大事なサンライトハートに触れていた。
後、ほんの少しでモーターギアはこの喉に届く。そんな時なのに、その偶然から斗貴子は目が離せないでいた。
赤木右足のモーターギアが、サンライトハートの柄の縁を巻き込んで回転し、あの重量が大きく跳ね上がる。
柄尻部分を基点に、穂先が大きく斗貴子に向かって。
次の瞬間には槍が斗貴子の視界を遮り、斗貴子はサンライトハートごと押し飛ばされて後ろへと転がってしまった。
跳ね飛ばされながらも、サンライトハートをその手に握る斗貴子。
まさか、とも思う。しかし、いや、間違いない。こんな偶然があるはずないのだから。
(カズキ……私を……助けてくれたのか……)
460Classical名無しさん:07/12/06 19:32 ID:myNPdHb.
     
461大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:34 ID:doq00jVc

有り得ない事が起こった。
さしもの赤木も、僅かの間だがその場で立ち竦む。
しかし、それが起こした事の意味を、赤木はすぐに理解する。
グリモルディは斗貴子の後ろ、サンライトハートは斗貴子の手に。
自らの手持ちはモーターギアと投げナイフのみ、戦闘技術の差は歴然。
そして何よりも、今の斗貴子の状態が赤木の足を止めていた。
呆然とした顔で地面に落ちたサンライトハートをその手に握る斗貴子。
先ほどサンライトハートをその手にせんと飛び込んだ時と同じように、こちらにはまるで注意を向けていないままで。
まだこちらの方が有利に見える、そんな状況。
もし確実に殺したい相手がいるとしたら、そいつを完璧に追い詰めるのは愚の骨頂。
そいつは持てる全ての力を持って反撃してくるだろう。
僅かに生き残る希望がある、可能性がある。そこに縋るその心を討つのが上策だ。
そう、勝てる望みがあると見せ付ける事。
赤木を殺すには、その逃げ道が必要なのだ。
グリモルディが壁になって斗貴子は後ろに逃げる事が出来ない。
しゃがみ込み、サンライトハートは地面についている。
それを持ち上げる動作と、赤木が再度踏み込みながら足を振り上げる動作のどちらが速いかといえば、足を振りぬく方が早いと考えた。
だが、赤木はその全ての可能性をマヤカシと断じた。
今、この場で斗貴子を討つ事は、既に不可能となったと。
流れは変わったのだ。
即座に、全速で後退する赤木。
斗貴子が我に返る前に、その追跡から逃れられるだけの距離を稼がなくては、赤木の生存は無い。
今の斗貴子に油断は無い。
そしておそらく、突くべき隙も無くなっているだろう。ならば順当に戦闘経験のある彼女に赤木は敗北するだろう。
生憎とこれは半荘一回の勝負ではない。斗貴子ならば、まだ幾らでも崩す余地はある。彼女の心底は読みきった。
相変わらず呆然と槍を見下ろす斗貴子を置き去りにし、赤木はその場を離れていった。
462大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:35 ID:doq00jVc


赤木がこの場を離れて行って少し経った後、斗貴子はサンライトハートを手に立ち上がった。
愛おしそうにその槍を胸に抱きながら、ちらっと横目でグリモルディを見る。
何故かそれがどんなものか理解出来る。
あの糸を操って動かす物だ。
右腕で槍を支えながら、左手に糸をはめてみる。
ほんの少し動かしてみると、思った通りそれは下半身を操る為の糸であった。
「使える……かもしれない」
糸を指にはめたまま、グリモルディの上に乗る斗貴子。
「それっ」
思い切って糸を引いてみた。
物凄い速さでまっすぐに走り出すグリモルディ。
「わっ! うわっ!」
バランスを崩してグリモルディから落ちそうになる。それでもグリモルディはまるでスピードを落としてくれない。
このまま何処かに突っ込んでは危ないと、右腕で支えていたサンライトハートを苦労しながら糸に当て、思いっきり引いて糸を切る。
何とかグリモルディとの分離に成功した斗貴子は、すぐにそこから飛び降りる。
「あー」

ぼっちゃーん

まっすぐそのまま川に落ちたグリモルディ。
ぶくぶくと沈んでいく様を呆然と見ていた斗貴子は、頭を振って意識をはっきりさせる。
463大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:36 ID:doq00jVc
「ダメだ。まだ良く物が考えられない。とにかく、一休みしないと……そうだよなカズキ」
一休みも何も、全身に負った損傷を考えればすぐに倒れてもおかしくない状態なのだ。
サンライトハートが手元にあればとりあえず他の事はどうでもいい、そんな思考状態では何かが出来るはずもない。
そう考え、もっとゆっくりと物が考えられるように、斗貴子は近くの民家に侵入し、そこのベッドに横になる。
毛布を被ろうとした時、ようやく自分の頭に刺さっていたナイフに気が付いてそれを抜き捨てた。
胸元には核金に戻したサンライトハートを抱き、彼女は一時幸福な夢に浸る。
「一緒に寝るなんて……夢みたいだカズキ」


本来ならば、赤木はつかず離れずの距離で斗貴子を監視していたかった。
そうやって隙を窺い殺す。
これがどんな相手だろうと、一番嫌がるやり方であるから。
しかも斗貴子は主催者の肝いりだ、奴の一挙手一投足まで見張っていたかったのだが、赤木は既に放った刺客の確認もしたかったのだ。
奴、ケダモノのようなあの男は殺し合いに乗っている。
そういう男を戦力の集まるであろう場所に放り込み、戦闘を促す。
対するのが同じく殺し合いに乗った人間ならば良し。またその意思の無い人間だった場合でも、戦力の集中しているであろう人間達が相手をする方が、そうでない奴らが戦うより遙かに勝率が高い。
いずれの場合にしても、その戦いを見極め、途中参戦が適うのなら、随分と赤木にとって有利な状況となるだろう。
斗貴子と遭遇したせいでそれも時間的に難しいかもしれないが、戦場跡に行けば、誰がどんな戦い方をしたのかも知れよう。
そんな理屈と、赤木の感性が言っていた。
今ツキに乗っている斗貴子に絡むのではなく、ツキの流れがあった時の行動に沿った方が良いと。
だから赤木は斗貴子の元を離れ、病院へと向かった。

辿り着いた病院は、壁越しに見てもひどい惨状だった。
所々崩れて、まるで中で戦争でもしたかのような有様。
赤木は注意深く敷地と外とを分ける壁越しに中の音を探る。
特に大きな音は聞こえない。これだけの惨状を作り出した主は既に戦闘行為を終えているようだ。
464Classical名無しさん:07/12/06 19:36 ID:wTALJr66
465大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:37 ID:doq00jVc
入り口から馬鹿正直に入る気は無論無い。
モーターギアの音すら危険と思い、壁を自らの手足を使って乗り越える。
敷地内に入った赤木は、建物の側まで来ると再度聞き耳を立てる。
やはり物音一つしない。
あのライオンの鬣のような髪をした男は、ここで何かをしているのだろうか、それとももうここを発った後であろうか。
ここの戦闘跡を確認し、何とどう戦ったのかを調べるか、移動したかもしれない奴の後を追うか。
(もし奴がここに残っているのならば、これだけの激戦の後、しばらくここで休み続けるだろう。そうでないのなら、せめてその行き先ぐらい確認するべきか)
それは奴がここで敗れ、遺体を晒している場合も一緒だ。
もし生き残っているのなら、奴はどうする?
あの男は戦闘中に邪魔をした赤木を追って、戦闘を中断してまでこちらを追ってきた。
そもそもあの戦闘から離脱したかったという事は無いだろう。ならば本気でいつまでも追って病院まで来る理由がわからない。
もし、ここでの激戦が元で治療や休息を考えるのなら、やはりこの病院に居続ける。
それ以外でここを離れる理由は、怪我をそもそも負っていないか、怪我を負っていてもまだ殺しを行う気でいるか。
気性を見る限り後者とも思えるが、断定はしない。
仮に移動したとして、次に奴が向かうのは何処だ?
周辺地図を思い出す。繁華街周辺に居た理由はわかる、おそらく人の多そうな場所で参加者を探していたのだろう。
ならばここまで来た奴が次に移動する先は決まっている、地下鉄の駅だ。
この辺りでは病院と同じぐらい人が集まりやすい場所。
そうとわかれば赤木は迷わない。
来た時と同じように壁を乗り越え、モーターギアを装着する。
奴は最短距離で地下鉄駅を目指すだろう。
ならばそのルートを外せば、鉢合わせの確率は低くなる。
赤木は全速で地下鉄駅へと向かった。


地下鉄を降り、S7駅へと辿り着いたケンシロウ、キュルケ、ジグマールの三人。
466大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:37 ID:doq00jVc
列車から降りてすぐの事だ。
ジグマールがホームの真ん中で立ち止まり、きょろきょろと辺りを見回しだす。
「どうしたのよ?」
キュルケがそう訊ねるが、ジグマールは何も答えない。その額には汗が一筋。
(何かがある。この悪寒はなんだ? せ、背筋が凍るなどと……この私が? 一体ここには何がある?)
「ねえ、だからどうしたの……」
キュルケは後ろから何か圧力のような物を感じて振り返る。
後ろではケンシロウが列車を降りてすぐの所で列車を睨みつけている。
声をかけようとするもそれが出来ない。ケンシロウのこんな真剣な表情は初めて見る。
すぐに列車は動き出す。
一両、二両とホームから離れていき、最後尾がホームから去っていくと、その向こう側、下りのホームに居た奴が見えた。
壁面に置いてある椅子に腰掛け、優雅に足を組む男、DIOであった。
ケンシロウはそちらから目を離さないままジグマールとキュルケに下がるよう命じる。
その有無を言わさぬ口調に二人はそれに従う。
一足でDIOの居るホーム側まで飛ぶケンシロウ。
そしてゆっくりとその足を進め、DIOの前に立つ。
「良く見た顔だ。人の命を平然と踏みにじる、そんな下衆の顔をしているな」
椅子に座るDIOを見下ろしながら、指を鳴らすケンシロウ。
DIOは腕を組んだまま、愉快そうに答えた。
「D・I・O、DIOだ。お前は、そんな人間を許せない、という顔をしているな。それをこのDIO相手に押し通すつもりか?」
腐った人間はうんざりする程見てきた。
だが、このDIOという男はまたそれとは違う、いや、違わない。ただ、その度が過ぎるだけだ。
「貴様、殺し合いに乗っているな」
ケンシロウからの最後通牒、DIOがその身に纏う血の臭い、そして彼が浮かべる表情は、ケンシロウにとって決して相容れない類の相手であると気付いてはいたが、言葉で彼の意思を聞きたかったのだ。
「だとしたらどうする」
「何故殺す?」
467Classical名無しさん:07/12/06 19:37 ID:KzKplHd.
468大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:38 ID:doq00jVc
DIOは含み笑いを漏らす。
「お前は、一々食事に理由を求めるのか?」
会話は終わりだ。お互いの立場ははっきりした。
「あたぁっ!」
ケンシロウは拳をDIOに叩きつける。
反応する事さえ至難のその拳を、DIOは手の平で受け止める。
「良かろう、その挑戦受けてやる」
ケンシロウの拳を受け止め、掴むその速さと力にケンシロウは相貌を険しくする。
方やDIOもその手の平から伝わる人間離れした膂力に驚き、ケンシロウを油断ならぬ相手と認めた。
「この帝王DIO相手に、せいぜい足掻いてみせろ」
DIOとケンシロウの間に、DIOのスタンド、ザ・ワールドが現れる。
「何っ!?」
虚を突かれたケンシロウの胸板にザ・ワールドの拳がめり込んだ。

DIOは反対側のホームまで殴り飛ばしてやるつもりであったのだが、ケンシロウが足を踏ん張ったため、数メートル後退するに留まった。
本格的に相手をしてやらなくては。そう思い椅子から立ち上がるDIO。
ザ・ワールドから伝わってきた拳の感触、これがこの男の場合、人と呼ぶにはあまりに異質すぎた。
(何だ、コイツは?)
構えるケンシロウに向かってザ・ワールドの右拳が唸る。
それを事も無げに片手で受けるケンシロウ。
間髪居れずに打ち込んだ左拳も受け流される。
(なるほど、これが北斗神拳か。ちっ、鬱陶しい)
参加者プロフィールでケンシロウの顔は記憶していた。
生身で扱う拳法なぞ恐るるに足らずと思っていたが、どうやらこいつらは生身でスタンドと張り合えるらしい。
(だが! このザ・ワールド相手にそれが何処まで通用するかな!?)
DIOは更にザ・ワールドのスピードを上げる。
ケンシロウの捌きも更に速度を増す。
469大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:38 ID:doq00jVc
不意にケンシロウが足を振り上げ、ザ・ワールドの殴りつけてくる両腕を蹴り上げる。
そのまま振り上げた足の軌道を変化させ、ザ・ワールドを蹴り飛ばすケンシロウ。
ザ・ワールドも足を上げてそれを防ぐが、ケンシロウの蹴りの威力は受け止め切れなかった。
大きく蹴り飛ばされ後退するザ・ワールド。
「人形遊びなど、この俺には通用しない」
ケンシロウのこの一言、これはDIOのプライドをいたく刺激する。
「ほざけ野蛮人。我がスタンド、ザ・ワールドを侮辱した罪は高くつくぞ」
再度ザ・ワールドがケンシロウに飛びかかる。
今度の拳は先ほどよりも重く鋭い。しかしケンシロウはそれを綺麗に受け止める。
「フーハハハハハー! 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄アァァァ!!」
ケンシロウはそれを受ける、捌く、避ける。DIOは全て構わず全力全速のラッシュ。
スタンドでのラッシュが人間のラッシュと異なる点は、人間ならば連打はその打撃力を下げる一因となり得るのだが、そもそも肉体ではないスタンドにそれはない。
全ての攻撃が全力全速、燃料の続く限り機械のごとく殴り続ける。
しかも、そのコントロールは実際には体を動かしてはいない冷静な人間によるもの。
攻撃パターンの複雑化は人間がラッシュを行う時の比ではないのだ。
ここに来てケンシロウも本気で応えはじめる。
全身の筋肉がはちきれんばかりに漲り、その体を闘気が覆う。
「あーたたたたたたたたたたたたたたたたたっ!」
対するケンシロウは卓越した技術とその人の域を大きく超えた肉体能力でラッシュを放つ。
DIOが拳で来るのならと、こちらも得意の拳連打で迎え撃った。
しばし拮抗する両者の拳。
だが、それもじわりじわりと傾いてくる。
力では対等でも、技でDIOを大きく凌駕するケンシロウによる拳の弾幕が押し始めていた。
(馬鹿な……この男、この拳は一体……)
じりじりと後ずさるザ・ワールド。
拳の威力もスタンドと同等。この連打をまともにもらってはさしものDIOとて極めて危険な事態となる。
DIOは舌打ちしながら、ザ・ワールドを大きく後ろに飛び下がらせる。
意外にあっさりそれを許すと思ったら、ケンシロウはそんなザ・ワールドを見向きもせずにDIO本体に向かって踏み込んできた。
470Classical名無しさん:07/12/06 19:39 ID:9btdy/lg
471大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:39 ID:doq00jVc
(いいだろう、貴様に世界を制する力を見せてやろう)
「それは自殺行為だ、ケンシロウ君」
ケンシロウは自分の名前を知られている事を不思議に思いながらも、だからどうだと拳をDIOに振り下ろす。

その瞬間、世界が止まった。

止めていられる時間は三秒のみだが、吸血鬼たるDIOのスピードならばこの男を十回殺してお釣りが来る。
懐からライドルを取り出し剣にする。これで1秒。
これを突き刺してこの男はお仕舞いだ。
(バキに劣らぬ素晴らしい肉体の持ち主だ。相手がこのDIOでなければ、もう少し長生き出来たかもしれんな)
DIOは吸血鬼の膂力を持ってライドルをケンシロウの腹部に突き立てた。

ずんっ

剣から伝わってくるその手ごたえから、まるで鋼鉄に剣を突き立てているような手強さを感じた。
(馬鹿な!? こいつ一体何で出来ているのだ!?)
力を込めれば少しづつ進みはするが、致命傷を与えきるには残り時間が少なすぎる。
DIOは慌てて剣を引き抜くとケンシロウの側面へと移動した。
「何っ!?」
DIOが目の前から消え失せている事に驚いたのも束の間、すぐにDIOの居る位置へと体を向けるケンシロウ。
「……その技は?」
何時の間にか側面に立って剣を握っているDIOにそう言うが、DIOはそれには答えず逆に問い返す。
「貴様こそ、剣も通らんその体は一体何だ?」
質問に質問で返されたケンシロウだが、それに答える事に示威の意味があると考え、刺された腹部に手をやり、そこに付いた血を嘗めながら言った。
「北斗神拳はその奥義により肉体の持つ力を全て引き出す事が出来る。お前に勝ち目なぞ無い」


キュルケとジグマールは二人の闘いを固唾を呑んで見守っていた。
472大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:40 ID:doq00jVc
最初の内こそ何とか魔法で援護を、と考えていたキュルケだが二人の距離が近すぎるため、それも難しいとわかるとただ祈るようにケンシロウの戦いを見つめている。
ジグマールは、静かにそして冷静に二人の闘いを見ていた。
(あの人形のアルターはまあいい。だが、ケンシロウは本気で生身なのか? あれアルター使っているのではないのか? というかあのDIOとか言う男、さりげなく人間ワープ使ってないか?)
ケンシロウの力は嬉しい誤算だが、相手のDIOも一方ならぬ相手のようだ。
(ケンシロウが倒されるようなら、ここは一度逃げを打つか)
逃走経路を確認しながら、ジグマールは戦いの行く末を見守っていた。


下りの電車が停車し、再度動き出すがケンシロウもDIOも動かずお互いを牽制しあっている。
ケンシロウから見たザ・ワールドは、粗い技で力任せに拳を振るう素人であった。
その圧倒的な力、スピードは目を見張る物があったが、それ以上では無い。
ただ、特筆すべきはその動作の正確さ、そして疲れを見せない連続行動であった。
通常、どれだけ鍛え上げた人間であっても、いつまでも全開で体を動かし続ける事など出来はしない。
そんな真似をして、何時息を吸うというのか。
ありえない程正確に、そして止まらぬ動きを見せる人形の謎、そしてたった今ケンシロウすら見切れなかったDIOの動き。
特に眼前から完全に消えて見せたこの動きを見切らなければ、ケンシロウはこの男を倒せないと直感する。
しかし、不用意には近づけない。
このDIOという男は、ケンシロウに気付かれぬ内に側面へと移動し、剣を突き刺した。
ケンシロウの持つ全ての知覚器官が、DIOが目の前から消える、側面に移動する、剣を取り出しそれを突き刺すを同時に行っていると言っていた。
そんな事はありえない。何か奴にはケンシロウの感覚を麻痺させる準備があるのかもしれない。
毒の類ではない。それならばそれとわかる。では何だ?
視界だけならば確かに誤魔化す手はいくらでもある。しかし、聴覚他闘気までも誤魔化せる手なぞケンシロウは一つしか知らない。
(しかし、このDIOという男からは拳技の気配は感じられない。一体何だ?)
思考は堂々巡りとなる。
ケンシロウはその謎を解くため、やり方を変える事にした。
突然その場で真上に飛び上がるケンシロウ。
473Classical名無しさん:07/12/06 19:40 ID:DMZtRFx6
474大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:40 ID:doq00jVc
「あたぁっ!」
そして頭の上まで振り上げた足で天井を蹴り崩す。
その一撃はモルタル越しに天井を支えていた鉄骨に直撃し、大きく位置をずらした鉄骨はその先にある天井のモルタルまで崩し始めた。
そう、DIOの頭上にまで瓦礫が降り注いだのだ。

舌打ちしながら天井から降り注ぐ大きな瓦礫を振り払うDIO。
どうやらこれは目くらましのつもりらしいと見たDIOは、一瞬たりともケンシロウから目を離すものかとその動きに注視する。
案の定ケンシロウは物凄いスピードでこちらに向かってくる。
それを、DIOは見失ってしまった。
(何だと!? このDIOの目を持ってしても追いきれぬ動きとは一体どういう事なのだ!?)
DIOの脳内で警鐘が鳴り響く。
この男の姿を見失うのは危険だ。例え不死のこの肉体を持ってしても。
ただちに対処する必要がある。

「ザ・ワールド!!」

再び時が止まる。
DIOはその場を離れて周囲を見渡す。
居た。
DIOの真後ろであったその場所に、両腕を振り上げた今まさに襲い掛からんとするその姿勢で。
背筋が凍る。この男は、このスタンドすら持たぬ男は、不死と世界を支配するスタンドを持ったDIOにとってすら、脅威となりうる。
だがこの男に剣は通らない、ならば衝撃はどうだ? 残る時間の全てを費やし奴の死角からありったけの拳を撃ちこんでやったら?
即座に実行に移すDIO。
「所詮人間の域でこのDIOに逆らう事こそ、無 駄 なのだ!」
ケンシロウの正面から嵐のように拳を叩き込むザ・ワールド。そして時間が動き出す前に今度は後ろへと回りこむ。
このDIOに恐怖という感情を思い出させた憎きこの男を、この程度で許すなぞありえなかった。
もう残り時間も無いが、例え時が動き出したとしても、真後ろからの攻撃であり、既にザ・ワールドのラッシュを山と喰らっているケンシロウが反撃なぞ出来るはずがない。
そして、前からの衝撃と後ろからの衝撃が体内でぶつかり合えば、その内部はタダでは済むまい。
475Classical名無しさん:07/12/06 19:41 ID:MMTqoGV2
476大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:41 ID:doq00jVc
「内臓をグシャグシャにイイイィィィィ!!」
そして時間は動き出す。
ザ・ワールドはケンシロウの背後からその拳を放たんとしていた。
まるで死神のようなこの男、軽く人類の極限を逸脱してみせるこの男は、時間が動き出すなりそれが事前からわかっていたかのような速度で、DIOの拳に合わせて、カウンターの後ろ蹴りを放ってきたのだ。
「ぐがっ!」
腹部にまともに入った蹴りに、感覚がリンクしているDIOの体までくの字にへし折れる。
「あーーたたたたたたほぁたぁっ!」
ケンシロウ反撃の連蹴りをその身に浴び、DIOはザ・ワールド共々大きく壁際へと跳ね飛んでしまった。
同時にその場に膝を付くケンシロウ。
いかにケンシロウとて、DIOの拳の嵐は堪えたようだ。
だが、DIOはそれどころではない。
体中の内臓がひしゃげ、蹴りを打ち込まれた箇所の骨は粉々に砕かれている。
壁に叩きつけられたDIOはその壁に大きな血の花を咲かせ、ずるずると下に崩れ落ちていった。

歓声を上げるキュルケ。すぐに線路へ飛び降りてケンシロウの元に駆け寄ろうとするが、ケンシロウはそれを制止する。
まだ、ケンシロウは警戒を解いていない。
その理由はすぐにわかった。

ぱきっ、ぽききっ、みしっ……

奇怪な音を立てながら、壁際に倒れていたDIOが立ち上がる。
「驚いた。心の底から驚いたよケンシロウ。まさか私をこうまでしてくれる程の相手が居たとはな」
秘孔が表裏逆だとか、体がゴムのようだとか、そんな不死身の言い訳が子供の遊戯に思える程、この男の不死身さは常軌を逸していた。
確実に骨は砕いた、間違いなく内臓まで至る程の衝撃を与えた、何より、秘孔をあらん限りの勢いで突き倒した。
しかし、秘孔は効果を発揮せず、直接与えたはずの損傷も、今こうして見ているケンシロウの目の前で不気味に修復されていく。
生唾を飲み込むケンシロウ。
「貴様、物の怪の類か?」
ようやくケンシロウの驚愕の顔が見れたDIOは上機嫌で答えた。
477Classical名無しさん:07/12/06 19:42 ID:wddwhLrU
478大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:42 ID:doq00jVc
「人間を越えた存在。貴様らがエサにしか見えぬ程のな。理解したかケンシロウ? ではここでお前に言ってやろう、お前に勝ち目は無い」
そういう人間が存在する事、それを受け入れるのに時間がかかったが、ケンシロウはこの短い問答の間で自らを取り戻した。
「……ならば」
「ん〜? なんだ、命乞いする気なら誠意が必要だぞ?」
ケンシロウの構えが変わった。
「バラバラに切り刻み、それでもまだ蘇るか試してやろう」
再び強い表情に戻るケンシロウを見て、DIOは舌打ちをする。

そこで、ケンシロウとDIOの二人は同時に同じ方向を向いた。
地下鉄ホームに至る階段、そこから漏れ出す気配、それはあまりに猛々しく、無視するには大きすぎた。
「誰かと思えば、ケンシロウ。貴様だったか」
世紀末覇者、ラオウがゆっくりと階段を降りてきていたのだった。
全身を無数の怪我で覆いながら、尚その闘気はいささかも衰えず、悠然と歩み寄るラオウ。
凍りついたように身動きが取れなくなっているキュルケとジグマールの前を、まるで二人の存在なぞ視界にすら入らないとばかりに無視する。
それを当然と思わせる程、ラオウの闘気とキュルケ、ジグマールの存在感には差があった。
ラオウの動き、一挙手一投足に皆が釘付けとなって目が離せない。
いや、その中でラオウに気圧されず、自らの目的の為に動ける男が居た。
(あの男、確かラオウと言ったな。ケンシロウとは同じ拳を学んだ兄弟であったはず……マズイ、二対一でこの男と同レベルの相手を迎えるのはとてもマズイ!)
状況は不利になってきているが、参加者名簿を入手できた幸運を喜ぶDIO。
ケンシロウを迎え撃つ時は確かに油断したが、この名簿はとても有効だ。
こうして一目みただけでその人間の成り立ちや所有スキルを確認出来るのは、この戦いにおいて、他参加者に対して大きなアドバンテージとなる。
そしてそれ故、その時その場で誰よりも適切な行動を瞬時に選び取る事が出来るのだ。
(ケンシロウはラオウに完全に気を取られている。ならば、行動を起こすのは今しかない)
ラオウまではまだ距離がある。後はケンシロウさえ出し抜けばDIOはこの戦闘において最も有益な行動を行えるだろう。
DIOは線路に飛び降りると吸血鬼の足力をフルに活かし、線路沿いに走り出した。
479Classical名無しさん:07/12/06 19:42 ID:7mYLOKaU
 
480大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:43 ID:doq00jVc
(屈辱ではある、確かにな。だがこのDIOは勝利とプライドを天秤にかけるなぞという愚かしい真似はしない。だからこそ勝つのだ!)
ケンシロウ、ラオウはそのDIOの動きを見て、同時に動いた。
「俺が貴様を逃がすと思うか?」
「クズめが。消え失せい!」
ケンシロウは両手を、ラオウは片手をかざし、同時に叫んだ。

『北斗剛掌波!!』

二つの闘気による衝撃波は、その目標付近で合流し、渦を捲いて更に大きく猛り狂う。
その大きさは既にDIOが辿り着いていた地下鉄のトンネル全てを多い尽くす程であった。
漏れ出した破壊力のせいで地下鉄ホーム全体が細かく振動し、溢れ出した烈風はホームの上にあった軽量の物すべてを吹き飛ばす。
余波だけでキュルケもジグマールもバランスを崩して倒れそうになる程の威力。
北斗神拳史上でも稀に見る、いや、唯一と言っていいかもしれない。
二つの北斗剛掌波を掛け合わせ相乗するという、一子相伝の北斗神拳では本来有り得ない光景が、この地下鉄ホームに広がっていた。
(この技、この威力、やはり偽者などではない。本物のラオウか)
(ぬう、このラオウと同等の北斗剛掌波を放つだと? ケンシロウめ、いつの間に……)

万全の自信を持って走っていたDIOの背後から凄まじい轟音が響いてくる。
走りながら肩越しに振り向くDIO、そこにはDIOの長い人生の中でもそうそうお目にかかれない光景が広がっていた。
(なんだと!? これは、こんなスタンド攻撃があったのか!? いや、これが奴等の拳法だとでも言うのか!?)
あっという間に追いつかれ、荒れ狂う衝撃波がDIOの背中に手を伸ばさんとしたその時、DIOはこの戦い三度目となるザ・ワールドを使用した。
DIOの眼前に、歪みよれきった空気の流れが広がっている。
その威力を試すために片手をゆっくりとそこに挿し入れる。
指先が爪の所まで入ると、その圧力に耐えかねたのか中指、人差し指、薬指の爪がDIOの指から血の糸を引きながら跳ね上がる。
更にその衝撃波はDIOを指ごとその嵐の中へと引きずり込もうとしてきた。
「うおおおぉぉぉ!!」
バキュームのようなそれに逆らい、全力で手を引き抜くDIO。
481Classical名無しさん:07/12/06 19:43 ID:9sBZz8OU
482大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:43 ID:doq00jVc
これは伏せた程度でどうこう出来るシロモノではない。
すぐにザ・ワールドに真下を掘らせるDIO。下は砂利だ、壁を掘るより早く掘り切れるだろう。
人一人分、それを秒単位の僅かな時間で掘る。急がなくては、これの直撃を受けたら再生は絶望的な程の損傷を受けてしまう。
ギリギリ、本当にギリギリで間に合った。
すぐに穿たれた大穴にその身を投じる。
ザ・ワールドが解ける。
DIOの背の上はまるで地獄の釜の底のようで、悲鳴とも絶叫とも取れる轟音が鳴り響く。

ケンシロウ、ラオウ共にDIOの動きを一瞬たりとも見逃したりはしなかった。
だが、北斗剛掌波がDIOにぶち当たる直前、彼の姿が完全に消えうせたのだ。
直後にその衝撃波の影響で削り取られた壁の瓦礫が舞い上がり、周辺の状況を覆い隠してしまう。
このまますぐに決着をつけるつもりだった二人だが、DIOの最後が気になってその動きを止めていた。
そこに、一陣の黒風が走る。
その正体に心当たりの無いケンシロウは眉をひそめ、心当たりのあるラオウは口の端を軽く上げて呟いた。
「奴も来たか。大人しくしておれん奴よ」

辛うじて北斗剛掌波をやり過ごしたDIOは穴から飛び出し、ラオウとケンシロウの二人を睨みつける。
いや、一人多い。
真後ろに、居やがる。
前方に飛びながら振り向き、ザ・ワールドに両腕を防御姿勢で構えさせる。
黒いシャツに同じく黒いズボンの大男は、大きくこちらに飛びかかって来ていた。
「せっかくのパーティーだ! もっと楽しんでけよ!」
男はあらん限りの力を込めてザ・ワールドごとDIOを蹴り飛ばした。
大きくホーム側まで飛ばされるDIO。
すぐに立ち上がるが、受けに使った腕が震えて動きが鈍い。
吸血鬼として、並の人間の感覚など捨て去ったDIOだが、この腕の症状は覚えている。
喰らった蹴りのあまりの威力にこの腕が痺れているのだ。
DIOを蹴り飛ばしたその男、範馬勇次郎は胸をそらし、獲物を見つけた肉食動物の顔でラオウを怒鳴りつけた。
483Classical名無しさん:07/12/06 19:43 ID:7mYLOKaU
  
484大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:44 ID:doq00jVc
「ラオウ! こんな面白そうな事俺抜きで始めてんじゃねえ! 俺も混ぜろ!」
全身に打ち身打撲裂傷を無数に抱えながら、ラオウ同様この男もそんな様子は微塵も感じさせず、雄々しくそこに立っていた。
ケンシロウはラオウ、DIO、勇次郎の順にそれぞれの様を確認し、全員から殺意と暴虐の匂いを嗅ぎ取って肩を鳴らす。
「探す手間が省けたな。そこの黒シャツ男も含め、全員まとめて片付けてやろう」
ラオウは闘気を練り、拳を握ってその力が衰えていない事を確認する。
「拳王に歯向かう愚か者ばかりか。良かろう、全て粉砕し残る者への見せしめとしてくれるわ」
勇次郎は体の震えをとめる事が出来ない。歓喜がその全身を貫く。
「よりどりみどりじゃねえか……クックック……ハーッハッハッハッハッハ!!」
DIOは線路からホームに飛び上がり、体の再生具合を確認し、三人を嘗めるように見回す。
「フン、低い知能を筋量で補うような奴ばかりよくも集まったものだ。いいだろう、そんなに戦いたくばこのDIOが帝王の戦いを教えてやる」

人外の修羅場からハルマゲドン会場へと進化した地下鉄駅構内に、キュルケは泣き出したくなるのを堪えながらジグマールに問う。
「わ、私達ケンの援護した方がいいかしら?」
返事は無い。
「ジグマール?」
彼が居たはずの場所には誰も居なくなっている。
きょろきょろと見回しても彼の姿は見えない。すぐにキュルケは彼がどうしたかに思い至った。
「アイツ逃げたわねー!」
当然の対応だ。百人居たら百五十人が同じ事をする(百人が逃げ、その内の五十人は逃げた先からも更に逃げ出すの意)自信がある。
彼がこの場に居たのなら、そんな返事を返していたかもしれなかった。


真っ先に動いたのは勇次郎だ。
線路から大きく天井に向かって飛び、天井を蹴ると上からケンシロウを狙う。
ケンシロウは最初の飛び蹴りを右手を立ててあっさり受け止める。
次の回し蹴りを、ケンシロウは手首を勇次郎の足首に当てるようにして止める。
勇次郎の空中蹴りはまだ終わらない。
485Classical名無しさん:07/12/06 19:44 ID:7mYLOKaU
   
486大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:44 ID:doq00jVc
続く連蹴りで合計五発を蹴りこむも、ケンシロウはその全てを危なげなく受けきってみせる。
即座に反撃の拳を打ち込むケンシロウであったが、その拳が勇次郎に触れた瞬間、勇次郎の体全体が大きく反転し、カウンターでケンシロウを蹴り飛ばした。
「北斗神拳か、いいかげんその技にも慣れてきたぜ」
頭部を蹴り飛ばされ後退するケンシロウ。
「北斗神拳を知っている? 貴様、まさかラオウと……」
「てめえの動きも悪くねえ。北斗神拳の使い手ってなみんなこうか?」
ケンシロウの腕の動きが変わり、その手が天に輝く北斗七星を描き出す。
「北斗神拳は一子相伝、ラオウの拳は俺が封じる。貴様の邪拳もまた同じ運命だ」
「やってみな拳法オタクが!」

「おおおおおおおおおおぉぉ!!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄アァァ!!」
ラオウとDIOのザ・ワールドは正面から殴り合う。
ケンシロウとはまた一味違った分厚く重厚な拳は、一撃ごとにその衝撃がザ・ワールドの腕に重く積み重なっていく。
しかしザ・ワールドもまた最強と謳われたスタンドの一つ。近距離戦においてパワーとスピードで簡単に後れを取る事は無い。
(やはり拳のみでの勝負は僅かに不利。だが、このDIOはそんな事に拘った戦いはしない)
DIOは両の目を大きく見開く。
それは予備動作であり、石柱をも両断する必殺の武器。
体内にて圧縮した体液を目から放ち、標的を貫く。
(これは体内のエネルギーを大きく消費する、よりエネルギー効率の良いスタンドのある今、使う機会など無いと思っていたがな)
DIOの眼球が割れ、そこから体液が高圧で噴出される。
さながら水のカッターのようなそれを、ザ・ワールドとの戦いで身動きが取れなくなっているラオウへと放つ。
不意打ちは完璧であった。
拳王として幾度もの戦いを乗り越えてきたラオウとて、目から何かを放つ男などに出会った事などあろうはずもない。
だが、ラオウはDIOの動きだけを見て動いてはいない。
その隠しようもない殺気は、必殺の一撃を放つタイミングをラオウへと伝えていた。
大きく上半身を捻ってその一撃を外しながら、ラオウは回し蹴りでザ・ワールドをガードごと吹き飛ばす。
「奇怪な技を使う。だがこの拳王には通用せぬわ」
487Classical名無しさん:07/12/06 19:45 ID:7mYLOKaU
    
488大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:45 ID:doq00jVc
「人を超えた技、そう言え。貴様もこのDIOに忠誠を誓うのならその技授けてやらん事も無いぞ」

ケンシロウはまだ秘孔が通じにくくなっている事を知らない。
だからこそ闘気にて相手の秘孔を貫く北斗神拳奥義、天破活殺の為、天破の構えを取ったのだ。
DIOはバケモノと認識している為に例外と考えているのだ。まあそれ自体は間違いではないのだが。
この構えにて闘気を充分に練り、回避不能な速度で闘気を放つのが北斗神拳奥義、天破活殺。
だが、勇次郎は既に闘気を放つ技を何度かその身に受けているため、その感覚、闘気が膨れ上がる様を感じ取れるようになっていた。
ケンシロウの奇妙な構えとそれが一致し、勇次郎は即座に攻撃に出るべしとの結論を得る。
不用意とも思える突撃を敢行する勇次郎。
ケンシロウは闘気を練りながらこれを迎撃する。
これを喰らってはまずい、その事が勇次郎の脳内にあったため、勇次郎はまだケンシロウに披露していないアレを使う事にした。
背中の筋肉が彼独特の形に盛り上がり、準備は整った。
次の瞬間、ケンシロウの体は大きく宙を舞っていた。
防御不能、回避不可能なありえない速度と重さを持つ拳の一撃。
空中で体勢を立て直す事もままならず、ケンシロウは地面に叩きつけられる。
勇次郎の追撃を警戒して痛む体を押して立ち上がったケンシロウは、その視界の隅に奴を見つけた。

DIOはザ・ワールドの使用を極力控えたいと考えていた。
ケンシロウとやりあっていた時とは違う。ここには他に倒すべき強敵がまだ居るのだ。
こいつらの狂った身体能力とその技は、もしザ・ワールドの秘密が知れればそれに対処するだけの余地があるからだ。
だが、それだけでこの場を凌ぎきる事は難しい。
極力使用を抑え、最も効果的な場所で用いる。
時間をかける事も出来ない。こいつらを自由にしては何時こちらが追い詰められるかわからないからだ。
やはり、こいつら同士で勝手にやり合わせるのが最適解である。
DIOはしゃがみこんでその下準備を整える。
相変わらずザ・ワールドとラオウはやりあっているが、幸い大きくその状態が崩れる前に準備は整いそうだ。
(勝利は常に知恵者が得る物。ただやみくもに蛮勇を振るう貴様では永遠にこのDIOは倒せん!)
489Classical名無しさん:07/12/06 19:45 ID:7mYLOKaU
     
490大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:46 ID:doq00jVc
ザ・ワールドは拳一辺倒の攻撃から急に蹴りを織り交ぜる。
ラオウはその程度では全く動じる事無く片腕を上げてそれを受け止めた。
そのラオウの足元が、摩擦係数が、何時の間にか変わっていた事に気付かずに。
「ぬっ!?」
急に踏ん張りが利かなくなった為、ラオウの足が大きく滑り、ザ・ワールドの側面からの回し蹴りによってその体が宙を舞う。
DIOは気化冷凍法により、ラオウの周りの床を凍らせ滑りやすくしていたのだ。
そして飛ばされたラオウの行く先には、同じく勇次郎に蹴り飛ばされたケンシロウが居た。
(この二人は同門、ならば二人がかりでこのDIOか勇次郎という男を狙うが得策と考える)
危険はあるが、DIOはこの策に充分な勝算を持って臨んでいた。
(勇次郎の方に行けば良し。こちらに来た時はその時こそ勝機。ザ・ワールドにて二人まとめて始末してくれる)
既にDIOはこの三秒という短い制限時間内に彼等を殺しきる秘策を考えついていた。

ラオウは空中で伸身宙返りを見せ、悠然と着地する。
その際、立ち上がったばかりのケンシロウと目が合い、その標的を変えて大地を蹴る。
「ケンシロウ!」
同じ事を考えていたらしいケンシロウもラオウに向かって大きく飛び上がる。
「ラオウ!」
空中高く飛び上がった二人は、すれ違いざま一瞬の勝負に賭ける。
両者の蹴りが交錯する。
華麗に着地したケンシロウの右肩が大きく裂ける。
足の関節を僅かも曲げずに音も無く着地するラオウの左肩も同様に裂けた。
「腕は落ちていないようだなラオウ」
「ぬぬぬ、以前のケンシロウとはまるで別人。何が奴をここまで……」
大きく距離が開いた二人。
そこに勇次郎がラオウへと走り込んでくる。
「人の獲物に手出ししてんじゃねえ!」
片腕となるも、その勢いは全く衰えを見せないラッシュでラオウを追い込む。
491Classical名無しさん:07/12/06 19:47 ID:eODNkp0s
492大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:46 ID:doq00jVc
(虎は傷ついてからが本物とは良く言ったものだ。つくづく人間らしからぬ男だ、こやつは)

DIOは目論見が外れた事に不快感を覚えながらケンシロウを睨む。
(ケンシロウとラオウは敵同士だったか。こうなったら、確実に一人づつ消していくしかないな)
無造作に近づいてくるように見えて一部の隙すら無いケンシロウ。
この男とは決して同じ土俵で勝負してはいけない。
だから、DIOはこちらも同じように無造作に近づいていってやる。
(このDIOの謎、まだ貴様には解けていまい!)
ケンシロウは踏み込んでくるDIOを見るなり、遠間から構えを取って足を止める。
今までと違うやり方であったが、DIOの狙いはただ一点。ならば迷わず一直線にそれを目指すが上策と、その歩みを止めないDIO。
ケンシロウは明らかに届かないと思われる距離で、その腕を振り上げた。
ケンシロウの前に突如生じた見えない刃はコンクリートの床を弾きながらDIOへと目掛けて飛んでくる。
地を這うようなその刃を、DIOはザ・ワールドの両腕を交差させて受ける事で胴体への直撃を避ける。
受けた部位が血を吹き裂ける。
(くそっ! さっきの衝撃波の応用か! だが、連発出来ないのであれば……)
そんなDIOの予想をあざ笑うかのように、ケンシロウは腕を何度も何度も振り上げる。
襲い来る衝撃波にDIOはたまらず真横へと飛ぶ。
ケンシロウはそんなDIOを追うように次から次へと衝撃波を放つ。
(近づかせない気か!? こいつ、まさか我がスタンドの秘密に気付いているのか?)
右に左にその衝撃波をかわすが、それでも避けきれずに腕に、足に大きく裂傷が走る。
(いや、気付いているのならさっきのように姿を隠して一撃で屠る手を考えるはず。奴は、単に近づかれたら危険と思っているだけだ)
この判断はあながち間違いでもない。DIOのザ・ワールドが止めていられる時間に制限がある以上、一息で移動しきれない距離を空けるのはむしろ常道である。
避けた拍子に水飲み場にザ・ワールドが突っ込み、それを粉々に砕いてしまう。
栓を失った水流が噴出し、辺りに飛び散り広がる。
このままではじり貧である。ケンシロウの肉体相手では遠距離からの攻撃も効果的ではないだろう。
だが、DIOはそれを突破する策を既に講じていたのだ。
ケンシロウは自らの周囲の床の変化に気付いた。
493大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:47 ID:doq00jVc
水飲み場から噴出した水が床を覆っていたのだが、それが凍りついている。
「これは……お前の力か?」
DIOは足元から気化冷却法を用いて床に広がる水を凍らせていたのだ。
「予言してやろうケンシロウ。次に気付いた時には……」
ぴっとケンシロウに向けて指を指す。
「お前はもう死んでいる」
大きく後ろにジャンプして距離を取った後、猛然とケンシロウに向けて駆け出すDIO。
ケンシロウはDIOが必殺の間合いに入るなり攻撃するべく、両腕を構える。
そしてその腕を振り上げんとしたその時、DIOのザ・ワールドが発動した。
DIOは氷の床の直前で床がへこむ程力強く蹴り出し、氷の上を滑って移動する。
滑りながら氷の床を蹴り、加速していくDIO。
ケンシロウに辿り着くまでに三回氷の床を蹴る。移動速度は走り寄る時の倍以上だ。
「ハーハハハハ! これで貴様の取った間合いは無意味! そして今度はその肉体の限界を突く!」
ザ・ワールドはケンシロウに向けて拳を振り上げる。その拳は、人差し指と中指を立てていた。
「眼球! 頭蓋骨! そして脳は鍛えられんよなケンシロウオォォォ!」
ケンシロウの両の目に向けて、ザ・ワールドは人差し指と中指を突き入れる。

ゆっくりとケンシロウの目にザ・ワールドの指が突き刺さっていく。
眼球が圧力にひしゃげ、遂にその限界を迎えると中の物をぶちまけながら破裂する。
指は、更にその奥まで進む。
眼球であったものを張り付かせた指のすぐ先は眼底だ。
その壁一枚を突き破ればもうそこは脳である。
これに僅かでも傷がつけば、DIOの勝利となる。
そこで、DIOは違和感を覚える。
ザ・ワールドが解ける直前の感覚がDIOを包んだのだ。
(何イイイィィィ! まだ三秒どころか二秒にも達していないハズ!!)
すぐにその理由であるスタンドパワーの不足に思い至る。DIOはザ・ワールド以外にその力を使いすぎたのだ。
494Classical名無しさん:07/12/06 19:47 ID:PjKfc3N6
495大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:48 ID:doq00jVc
ケンシロウは時間が動くなりこちらが何をするよりも早く行動を起こしてくる。
とても信じられない反応速度だが、これは事実だ。そこから目を背けるような負け犬じみた真似を、DIOはしない。
残った腕でザ・ワールドを防御させる。いつケンシロウに攻撃されてもいいように。

ケンシロウが北斗神拳奥義水影心により学んだ、南斗紅鶴拳、伝衝裂波を用いてDIOを薙ぎ払わんとすると、いきなり両目から光が失せ、既にDIOの気配が目の前にあると知った。
考えるより先に体が動く。
北斗神拳究極奥義、無想転生が発動した。
眼球深くまで突き込まれていたDIOの指先は、その先にある眼底に辿り着く事なく振りぬかれる。
そして防御の為構えていたザ・ワールドの腕をすりぬけ、ケンシロウの拳がザ・ワールドの胸部ど真ん中に炸裂した。
下が凍っていたせいか、DIOは思いのほか遠くまで殴り飛ばされる。
北斗神拳究極奥義、無想転生。
何人もこれを用いるケンシロウに触れる事は適わず、そしてどのような手段であろうとこれを使うケンシロウの攻撃を妨げる事は出来ない。
唯一、これを破れるのは時の世界にその身をおかぬ者。DIOと承太郎のみ。
なればこそ、このケンシロウから両の目を奪うという真似が出来たのだが、時間制限の為、それ以外に全く隙の見出せないケンシロウの命を奪うまでには至らなかった。
お互い極めて不本意な形でこの激突を終える。
どちらも驚愕から立ち直るのにしばしの時を要した。


ラオウも勇次郎も、床が氷で覆われた事で、一度その動きを止める。
お互い存分に手合わせした後である、手の内も読める事から、そうそう決定打を放つ事が出来ずに居る中で、不意に床が氷に包まれたのだ。
その不可思議な現象に、それをやったと思われる二人の闘いへと自然目が移る。
そして、そのおかげで決定的瞬間を見る事が出来たのだ。
距離を開けての事であるから、すぐ側で見ている二人よりも正確に起こった出来事を把握していた。
いや、二人共がそれでも尚、何が起こったのかわからなかったのである。
二人の猛者が注視する中、忽然とその姿を消し去り、ケンシロウの前に姿を現したDIO。
そして完全にそれに虚を突かれながら、ありえないタイミングでその攻撃をかわし、なおかつ反撃してみせたケンシロウ。
496Classical名無しさん:07/12/06 19:48 ID:CwBFOzlw
497Classical名無しさん:07/12/06 19:48 ID:CxHjtv6U
         
498大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:49 ID:doq00jVc
ラオウは信じられない思いで一つの可能性に思い至った。
「……北斗神拳究極奥義、無想転生。馬鹿な、ケンシロウが身につけているなど……」
ラオウの心に激情が吹き上がる。
ラオウですら辿り着けなかった高みにケンシロウが居るなど、断じて認められぬ。
勇次郎の相手をしている場合ではない、それを確かめねば収まらない。
ラオウは完全にその相手をケンシロウへと絞っていた。

アイツ、あの逃げ出そうとしていた腰抜けは一体何をやった?
あの技、自分に仕掛けられたなら返せるか?
目をくれてやればいい? 馬鹿な、そのまま頭蓋骨までぶち抜かれて終わりだ。
どうやって倒す? あの男が反応する暇すら与えず、こちらの姿を視認する事すら許さず、ブチ殺す。
攻撃する余裕なぞ与えん、考える時間なぞくれてやらん、気が付いたら死んでいろ。
範馬勇次郎はあの男、DIOへの攻撃手段を決め、それを実行に移す事にした。
自分がもし喰らっていたら死んでいた。そんな想像を僅かでもさせたあの男をこの手で殺してやる。

DIOは自らのパワーダウンに狼狽する。
(ここまで来てこのザマか!? ケンシロウめ、なんたる悪運!)
しかもどうやらタイムリミットらしい。ここで決着を着けられなかった事に不満はあれど、決断すべき時を見誤ったりはしない。

プアーン

そんな音と共に上りの列車が近づいて来た事が全員に知れる。
「命拾いしたなケンシロウ。ラオウ、ユージローとやらも……」
そこまでしか口に出来なかった。
微かに見えた黒い疾風が後ろに回りこんで来たのに気付いたから。
ザ・ワールドを展開して攻撃を防ぐ。
かつての配下タルカス辺りが全力でハンマーを叩き込んできたらこんな感じだろう。
499大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:49 ID:doq00jVc
吹っ飛ばされながらそんな事を考えるDIO。
追撃を行ってくるであろうその黒い影、おそらく勇次郎であろう、に対するため体勢を立て直すDIOだったが、その勇次郎の姿が見当たらない。
こいつらは確実にDIOのザ・ワールド対策を心得てきている。
しかも、現状ではスタンドパワーが足りず止めていられる時間はほんの一秒程、下手をするとそれすら難しいかもしれないのだ。
ザ・ワールドのパワーとスピードに頼って乗り切るしかない。
そんなDIOの心中を知ってか知らずか、勇次郎はDIOの死角を選んで攻撃をしては移動し、そしてまた死角からの攻撃を繰り返してくる。
こちらは向きを変えて受けるだけ、そのはずなのに勇次郎の姿を完全にその目に捉える事が出来ない。
全身を使って移動する勇次郎のスピードはザ・ワールドのそれを上回っており、DIOは防戦一方に追い込まれる。
ここでも、DIOは一つの策を用意していた。
タイミングさえ合えば必殺の一撃となる、そして今その機は満ちた。
暴れまわる勇次郎から逃れるように大きくジャンプし、ホームの端へと向かうDIO。
前を向いて飛んでいるDIOの正面に勇次郎が来る可能性は低い。
その代わり後ろからの攻撃に対してはほぼ無防備。
DIOが着地し、振り向くタイミングに合わせてその後ろに回りこもうと画策したとしても、DIOの飛んだ先に向かって移動しなければならない。
そう、ザ・ワールドの背中に気化冷却法の氷で貼り付けたスタングレネードに向かってだ。
ホーム中に爆音と閃光が轟く。
直後、DIOは動いた。
振り向いたその先には、勇次郎が目を両腕で覆いながらこちらに飛んできている様が見える。

「ザ・ワールド!」

目潰しからの脳破壊はこの状態では使えない、時間が足り無すぎる。だがその必要は無い。
ザ・ワールドが振りかぶっている足を振り切り、勇次郎を真横に蹴飛ばしてやれば、それだけでカタが着くのだから。
ザ・ワールドに蹴り飛ばされた勇次郎はその位置を大きくずらし、ちょうど停車しようとして速度を落としていた電車の正面に押し出された。
そして、時は動き出す。
衝突音が一つ。その後、電車は完全に停車し、ドアを開く。
DIOはホームの奥でスターングレネードを物ともせずやりあっているケンシロウとラオウに向かって手を上げる。
無論向こうは気付いていない。
500大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:50 ID:doq00jVc
「では失礼しよう。せいぜい肉体労働者同士で潰しあってるがいい」
自分のデイバックを拾い、ゆったりと電車に乗り込んだDIOは、座席に腰掛け、発車する電車に揺られてS7駅を去っていくのだった。


半ば寝て移動したとはいえ、自分が移動してきた電車だ、ならば地下を通っての移動だろう。
この電車はS6行きなので、確実に次のS3駅で降りる必要はあるが、それさえミスしなければ安泰だ。
流石にケンシロウ、ラオウ、勇次郎の三人と戦うのは骨が折れた。
大きく息を吐き、背もたれによりかかる。
地下を走る地下鉄は当然その音がトンネル内を反響し、電車内であっても結構な騒音を拾ってしまう。
だが、その騒音から一つだけ、明らかに異質な音をDIOの耳は聞き取った。
「何?」
金属を引き裂いたように響く金切り音。
電車が線路をこすってあげる音と良く似ていたので危うく聞き逃す所であったが、その音は、他の音と比べて明らかに音が大きすぎた。
特にそれ以外の音は聞こえてこないので、気のせいかと思い聞き流す事にする。
また聞こえた。
今度は擦った様な音。それも金属でない何かをこすったような音。
この種の音は、今まで聞こえてこなかったはず。
自分が電車に入って来た時を思い出す、そう、あの時似たような音がしたはずだ。
自動で扉が開き、閉まる音。
DIOは隣の車両へと繋がる扉に目を向けた。
その扉が、引き手もついているので違うかもしれないが、もしその扉が自動扉だったとしたら?
もう一度入り口の扉を見る。
そちらの扉にも、引き手はついている。
(待て、落ち着け。そんなに気になるのなら確認してみればいいではないか。そう、その扉が自動なのか否か、そして、その音がさっき聞こえた音と同じかどうか)
立ち上がりかけたDIOは、はっとしてその行動を止める。
あの扉の開閉音は、見た感じからしてそんなに大きい音ではないと予測される。
なら、その音が今聞こえたというのはどういう事だ?
その先に何者か、そうあの駅から乗り込んだ、もしくは以前から乗っていた何者かが居たとしたら?
501Classical名無しさん:07/12/06 19:50 ID:VkNgej5k
502Classical名無しさん:07/12/06 19:51 ID:IBgiioY2
503大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:51 ID:doq00jVc
自らの存在を不用意に知らせるだけではないのか?

コツ、コツ、コツ……

(これは! 足音!? 確かにこれは何者かが歩く音!)

その相手がケンシロウ、ラオウ、勇次郎であった場合、事態は最悪となる。
今の状態で戦闘になっては、敗北を覚悟しなければならない。ザ・ワールドは最早有効と呼べる程の時間を止める事は適わないだろう。
そうでなければどうという事はないのだが、どうしても疑惑が晴れない。
ケンシロウ、ラオウは確かに乗り込まなかったのを確認している。
ならば、残るは勇次郎。奴が跳ね飛ばされながらもこの電車に乗り込んでいたとしたら?
時間は残り少ない。ここは先頭車両だ、その先への扉もあるが、そこは行き止まりであるし何よりその扉を開くためには通路の真ん中に出なくてはならない。
こちらに向かってくる何者かに見つからずにそれを行う事は不可能だ。
窓、ダメだこの窓は開くようには出来ていない。
では入り口を開けば? ダメだ。その音で気付かれる。ザ・ワールドでドアを開き、そしてそのドアを閉じて外に出るまでの時を止める事も出来るが、間に合うかどうかは微妙な所だ。
電車に跳ね飛ばされても平気な勇次郎が相手では、もしここに居る事がバレた瞬間、あの素早さで瞬く間に追い詰められてしまうだろう。
(考えろDIO! この程度切り抜けられないようでジョースターを滅するなど出来ようはずがない! 私ならば出来るはずだ!)

範馬勇次郎はあの男と決着を着けるべく電車に乗り込んでいた。
電車に跳ね飛ばされる直前、体を捻って正面ではなく電車の端をかすめるようにぶつかってダメージを軽減した。
そのせいで大きく下り線側のホームの中ほどまで飛ばされてしまい、DIOの姿を見失ってしまった。
下り線側ホームには女が一人居るだけ。ならばと電車の上を飛び越えて上り線ホーム側に向かう。
そこではケンシロウとラオウが戦っているのみ。
奴は電車に乗ったのか? それとも階段を昇って上へと逃れたか?
どちらか悩んでいる間に電車の扉が閉まり、発車をしてしまう。
勇次郎が居るのは電車の中ほどの位置、走り出す電車の中をホームから順に確認していくもDIOの姿は見えず。
遂に最後の車両が来る。勇次郎は決断を迫られた。
504大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:52 ID:doq00jVc
最後の最後で電車の一番後ろに飛びついたのは、何か確たる証拠あっての事ではない。完全に勘だ。
走る電車に足で張り付きながら、パンチ一発で扉をひん曲げ、そこから電車に乗り込んだ。
ちょうどここは最後尾。ここから先頭車両まで見ていけば奴が乗っているかどうかはすぐわかる。
勇次郎は先頭車両へと歩き出した。
一両目駄目、二両目駄目、三両目……
次は先頭車両、これと車掌室を確認したらそれで終わりだ。
「けっ、なんでぇ外れかよ。俺の勘も大した事ねえなぁ」
ぼやきながら先頭車両に入る勇次郎。
扉を開き車両内を見渡す。
そこには、誰も居ない。
可能性は低いが、確認の為に車掌室も覗く。鍵を粉砕して中に入るが、そこにも人の気配は無い。
ふと、電車の入り口が気になった。
ドアの最下端についているゴム同士、そこに隙間がある。
何故気になったのかわからない。そもそもその隙間は他のドアもそうであるかもしれないのだ。
他のドアに比べて大きい隙間かどうかなど覚えていない。
ドアに歩み寄った勇次郎は、そのドアを力任せに開く。
地下鉄トンネルの騒々しい音が車両内に響き渡る。
これでは、もし誰かが開けたとしてもすぐに気付いたであろう。
そのぐらいの轟音であるが、どうせここまでやったのだ。最後まで確認するかと片手でドアレールの上端を掴み、懸垂の要領で電車の上を見てみる。
何処にも人影は無い。
次に、電車の下に張り付いているかを確認する。
やはりそこにも誰も居ない。
車両内に戻ると、拗ねたような顔になる勇次郎。
「やってらんねえな、クソッ。繁華街近くじゃロクな奴に会えなかったし、あんな所戻ってもしょうがねえか」
そのまま開いた扉から飛び降りる勇次郎。
今更向こうの駅に戻っても、ケンシロウとラオウの決着は着いてると思われるので、勇次郎はのんびりと地下鉄の線路を歩いて戻る事にした。
505Classical名無しさん:07/12/06 19:52 ID:0BdOmroo
506Classical名無しさん:07/12/06 19:52 ID:7mYLOKaU
 
507大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:52 ID:doq00jVc
勇次郎が電車を去った後、通風孔から音が聞こえた。
直径30センチ程のひん曲がった蓋がしてあるそこに、良く見ると、その奥から人の手が伸びている。
その手が中指で蓋を弾く。音を立てて落ちる蓋。
今度はその手が右に左に動き出す。それは猫じゃらしが子供の手から逃げ出そうとする動作に似ていた。
手が少しづつ通風孔から姿を現す。いや、それは手だけではなく、腕、肘、と続いている。
そこからは早い。一気に全てが通風孔から転がり落ちる。
細長くなってはいるがそれには、腕、頭部、胴体、足と人として必要な部位は全て揃っていた。
それが少しづつ太くなっていくと、段々とそれが何者であったのかわかってくる。
苦しそうに息を吐くそれの正体はDIOであった。
DIOはザ・ワールドで時を止め、通風孔の蓋をこじ開け、座席のシートをひっぺがして中にバックを入れ、閉じる。
これで大きな物音は聞こえない。そして勇次郎がドアを開く前に通風孔の中に自らの体を細く変形させて侵入し、通風孔に中から蓋をしたのだ。
変形はただ自分の骨をへし折るだけだから楽だが、その再生に大きく力を使ってしまったDIOは荒い息を漏らしながら隣の車両へ行き、椅子に深く腰掛ける。
先頭車両の騒々しさはここまでは届かない。ぐったりと座席にもたれかかるDIO。
早急な血液の補充は最早必須となってきた。
「全くもって骨の折れる事だ。バキよ、頼りにしているぞ」


キュルケは何も出来ないままこの戦いを見守っていた。
ケンシロウは強い、物凄く強い。こんな強さがこの世に存在していた事に驚いてしまうぐらい強い。
だが、どうやら相手もそんなケンシロウと戦えてしまうぐらい強いのだ。
何度か魔法での援護を考え、その間を計るもあまりにスピードが速すぎるのと、ケンシロウの邪魔になってはと思いとどまっていた。
それと、戦場が主に上り線ホームだった事がここまでキュルケの命を救ってきたのだが、遂に状況が変わる。
ケンシロウの両目が抉られたのだ。
「ケン!!」
悲鳴を上げるキュルケ。
それをやった男は黒シャツ男の相手で忙しそうだが、もう一人の大男がケンシロウに向かう。
これは見過ごすわけにはいかなかった。
508大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:53 ID:doq00jVc
しかし、ケンシロウは両目から血を流しながら大男と戦っている。
とても信じられないが、目は瞑っているようにしか見えないのにケンシロウは大男と真正面から撃ち合っているのだ。
それどころか、どうやら押しているらしい。ケンシロウの拳が、蹴りが大男をぐらつかせる。
「凄い! 本当に凄いわケン!」
そこで上りの電車がホームに入ってくる。
窓ガラス越しだとかすかにしか二人の闘いは見えないが、それでもさっきの様子だと大丈夫のようだ。
電車が停車すると、ちょうど電車の影になって二人の様子が見えない。
黒シャツの男がこちらのホームに来た時は少し恐かったが、今までのように無視してくれたので助かった。
彼は反対側のホームに、電車の天井を飛び越えて移り、そして電車がホームから離れていく。
彼が電車の最後尾に飛びついていた時には呆気に取られたものだ。
(無茶苦茶するわね。居なくなってくれるのは嬉しいからいいけど)
懸案事項が減った事で再度ケンシロウとラオウの勝負を見る。
「ケン!!」
ケンシロウは壁際に蹲って頭を押さえており、ラオウは全身から血を噴出しながらも立ち上がろうとしていたところだった。

視界を失ったケンシロウに、ラオウは一切の容赦をしなかった。
だが、そんなケンシロウにラオウの拳は当たらず、ケンシロウの拳は防ぐラオウの腕をすりぬけてくる。
これぞまさに北斗神拳究極奥義、無想転生。これを用いるケンシロウは最早天下無敵。
ラオウの剛拳を持ってしても、それを打ち破る事適わなかった。
「おのれ! おのれケンシロウ!!」
憤怒の表情のまま何度も立ち上がり拳を振り上げるラオウ。
だがそれは無想転生の究極奥義たる所以を再確認するだけであった。
勇次郎との激闘の傷跡も残る今、ラオウはその底力すら尽きようとしていた。
そこで、ケンシロウに変化が生じた。
苦しそうに頭を抱えてその場に蹲る。
DIOが放った目突きは眼底までは届かなかったが、ケンシロウの頭蓋骨に大きな衝撃を与えていたのだ。
ラオウが目の前に居る事で無理をしていたケンシロウだったが、ここが限界点だったようだ。
509Classical名無しさん:07/12/06 19:53 ID:CxHjtv6U
                
510Classical名無しさん:07/12/06 19:53 ID:BnYB6WTI
 
511大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:53 ID:doq00jVc
かつて、師リュウケンを葬った時の事が思い出される。
哄笑と共にラオウは立ち上がった。
「やはり天はこのラオウをこそ欲しておるわ!」
拳を振り下ろそうとしたラオウのその真後ろで、大きな爆発音が響いた。
爆薬か何かを用いたと思われるその威力は、不意打ちとはいえラオウをよろめかせる程であった。
振り返るラオウ。
そこには、杖を手に必死の形相でラオウを睨むキュルケの姿があった。
「ケンから離れなさいバケモノ!」
その女はただ杖を構えるだけで、他に何かを持っている様子は見られない。
ラオウはルイズのやった魔法を思い出していた。
「女、それは魔法か?」
キュルケは気丈に言い放つ。
「そうよ! トライアングルメイジ微熱のキュルケが貴方の相手よ!」
トライアングルがどれ程のものかラオウは知らないので、大したはったりにはならなかったが、その啖呵はラオウをその気にさせたようだ。
恐怖を与える為、ゆっくりと歩くラオウ。
そこに、キュルケはありったけの魔力を込め、火の三乗魔法を打ち込んだ。
メイジは火、水、風、土四つの系統を重ね合わせて魔法を行使する。
これを幾つ重ねられるかがそのメイジの技量であり、一つならドット、二つならライン、三つならトライアングル、四つならスクエアと呼ばれる。
通常スクエアメイジは一国の中でも数える程しかおらず、トライアングルメイジはメイジの中でもエリートと称される程の技量の持ち主とされる。
彼女はこの年にしてトライアングルであり、メイジとしてはすこぶる優秀な部類に入る。
特に戦闘でこそその力を発揮する火系統を得意としており、詠唱の間さえ取れるのなら、十二分に戦力として戦えるのだ。
そんな彼女が出来うる最強の炎をラオウへと叩きつける。
正直に言うと、近くに居るケンシロウもちょっと危ないかなとは思ったのが、どうやらそんな手加減してられる相手でもないらしい。
一瞬で業火に巻かれるラオウ。
だが、その歩みは止まらない。
「拳王は燃えぬ!」
理不尽極まりない主張をその闘気で押し通し、キュルケの居るホームへと飛び移ろうとする。
512Classical名無しさん:07/12/06 19:54 ID:7mYLOKaU
  
513大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:54 ID:doq00jVc
「このっ! トライアングルを見くびるんじゃないわよ!」
キュルケの気合に応えて、更に炎が大きくなる。
それでもその炎はラオウを傷つける事は無かったが、自然界ではありえない程の業火が放つ熱まで止める事は出来ない。
ラオウは僅かに眉をひそめる。
だが、一飛びでキュルケを打ち砕く事に支障は無かった。
「無駄だ愚か者が!」
ホームの床を蹴るラオウ。
同時にその目の片隅に微かな輝きを見つける。
飛び道具か、ならばと指を構えて北斗神拳奥義、二指真空把にて投げ返さんとするラオウ。
しかしその飛び道具が高速で回転していると見抜き、空中で伸身宙返り、その飛び道具の軌道から外れ、線路の上に着地する。
キュルケはラオウが炎に構わず飛び込んできた事に驚き、魔法を解いてしまっている。
そんなキュルケの前に、高速で近づく者が居る。
片足に付けた回転する何かの力で疾走し、キュルケの前で急停止。
同時に大きく弧を描きながら戻ってきた飛び道具を、その指に引っ掛けラオウを見下ろす。
「そのぐらいにしとけよ」
キュルケの前に突如現れた銀髪の男、赤木シゲルはそう言って何時ものように、口を開かぬまま含むように笑った。

赤木はラオウが文句なりを言い出す前に口を開く。
「よう、ここに黒シャツ黒ズボンの大男は来なかったか?」
ラオウは赤木の言葉を無視する。
「なんだ貴様は?」
代わりに、助けてもらったキュルケが答える。
「あの男なら、電車に乗ってあっちに行ったわ」
乗ってというか掴まってなのだが、意図は通じるのでキュルケはそれで良しとした。
赤木は勇次郎の恐ろしいまでの戦闘ペースに半ば呆れながらラオウに言う。
「俺の名は赤木、赤木シゲルだ。何故あんたは殺し合いに? 優勝して欲しい物でもあるのか?」
そんな話を振りながら、赤木は背中に回した手を使ってキュルケに出口を指差して合図する。
514大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:54 ID:doq00jVc
「今死ぬ貴様に語った所で詮無きことよ」
どうやら話し合いの余地は無いらしい。
戦闘中という事もあり、気が高ぶっている状態での交渉事だ。こういう事もあろうと赤木は予測していた。
「向こうで蹲っている男を連れて学校へ行け。そこに俺の仲間が集まっている」
小声でキュルケにそう言う。
「無理よ、あの男からは逃げられないわ。私も戦う」
言い合っている暇は無いとばかりにぴしゃりと言い放つ赤木。
「奴は俺が引き付ける。急げ」
そこまで言うと、手に持ったモーターギアをラオウへと投げつけた。
同時に動き出すキュルケ。確かに言い合っている暇は無い。
ラオウはそれを跳躍してかわしながら赤木に飛び蹴りを放つ。
自分は一挙動もせず、足に付けたモーターギアの回転だけで大きく移動し、それを避ける赤木。
外れたラオウの蹴りが、ホームの壁を大きく打ち砕く。
(五分も保たせられれば御の字だな)
移動しながらモーターギアを回収し、こちらを睨むラオウへと突進する。
その攻撃範囲は見ていた。
そこをぎりぎりかすめるように、モーターギアで壁を登っていく赤木。
案の定ラオウの拳は届かず、壁を伝ってラオウの背後へと抜ける。
「まるで闘牛だな。赤い旗でも振ってやろうか?」
そう挑発する赤木。
振り返ったラオウは、しかし笑っていた。
「それでかわしたつもりか?」
同時に赤木の腹部が大きく裂ける。
やはり、赤木の見立てどおり、ラオウは赤木ごときで手に負える相手ではなかった。
傷を労わっている暇は無い。大きく踏み込んでくるラオウに対し、モーターギアを二つ足に付け、全速で後退する赤木。
(やはり、モーターギア二つならば、奴の移動速度より速い)
だがここは細長いホーム。モーターギアの速度を活かし切るには幅が狭すぎた。
515Classical名無しさん:07/12/06 19:55 ID:zHvQxmnE
 
516大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:55 ID:doq00jVc
あっという間にホームの端まで追い詰められる。
途中何度か横をすり抜けようと狙ってみたのだが、ラオウの歩法がそれを許さなかったのだ。
すぐ横には上へと上る階段がある。
(ここで逃げたらあの二人は逃げ切れない。もう二回、こいつをかわす必要がある……か)
床だけでは幅が狭い。ならば、床と壁の二面を使えば、走行可能面は倍になるのだが、実はこれはただの見せ掛けである。
壁を走った所で、赤木の体は床に居る状態からでも攻撃可能なのだから。
ここでの真の選択肢は、上か下かの二ルートだ。
下に居ながらにして、天井すれすれを走る者を攻撃する事は出来ない。
逆に上に跳んでしまったなら、床すれすれを通る者を攻撃出来ない。
実は赤木はこの場には少し前から着いて居たのだ。
そして、じっとあの四人を観察していた。
その動き、その攻撃手段、性癖、全てをだ。
遠間を攻撃する手段を、少なくともラオウという男は見せていない。
仮にあのケンシロウという男と同じ地を這う衝撃波を使えたとしても、モーターギアの速度ならば逃げきれる。
ならば後は上か下かのギャンブルだけだ。
赤木はモーターギアを後ろに向けて回転させる。
そのまま背後の壁を登り、頂点で壁面から離れる。
真下へ落下し、その速度を維持したまままっすぐにラオウへと走り出す。
助走は充分。既にトップスピードだ。
ラオウは不敵に笑いながら赤木を待ち構えている。

赤木には格闘技に関する知識が無い。
それは間合いの取り方であったり、四肢を含む体の運用方法であったり様々であるが、それを系統立てて学ぶ機会が無かった。
赤木の頭脳とセンスなら、基礎だけでもその身に修めていれば、その先を想像する事が出来たであろう。
街のチンピラ相手ならば、それでも赤木の持つ洞察力と感性で充分相手取れる。
更に言うならば、並の格闘家であっても街角でのケンカならばどうとでも処理出来たであろう。
だが、この場所で相手にしているのは、専用の訓練を受けたその道の猛者と呼ばれる者達である。
517大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:55 ID:doq00jVc
斗貴子もそうであったが、赤木が強力な武器を用いても彼等に敵わないのはその為である。
そして、今回の不幸は、その斗貴子ですら問題にしない程の相手を迎えた事である。
ラオウの技は、赤木の想像の及ぶ範囲ではなく、それがどれほどのものか彼には認識する事すら不可能だったのだ。
それと知っていれば、赤木は別の手を選んだであろう。
ラオウの手の届かない場所から攻撃する、もしくは何かの手段を用いてラオウの行動を阻害する等である。
そう、赤木はラオウの眼前に姿を現した瞬間に、既に詰んでいたのだった。
(上も下も左も右も、そして後ろの階段も、全てアウトだ)
それでも尚、赤木は上下の選択肢を選ぶ。
上と見せかけて下。相手の飛ぶ瞬間を見極めて、ぎりぎりまでそれを伏せておく。
壁の側まで走り、斜めに壁を走り上る。
ラオウはまだ動かない。
ギリギリまで引っ張る。自分が下を抜けるギリギリではない、ラオウが飛ぶ瞬間ギリギリまでだ。
僅かにラオウの体がぶれた。その瞬間に赤木はコースを変更、床すれすれを抜けるコースに切り替える。
驚くべき事に、その瞬間には既にラオウは宙を舞っている。
そうする、と読んでいなければラオウのその速さに反応出来なかったであろう。
その上で、ラオウには上を通ろうと下を抜けようと関係なかったのだ。
飛び蹴りの体勢から空中で体を捻って裏拳を赤木に放つ。
ラオウの巨体で赤木のモーターギアすら上回る素早さなのだ。
間近でそれを見た時の迫力たるや、想像を絶する。
赤木は、その裏拳をまともに受けて壁際へと殴り飛ばされた。
赤木の体では、この男の拳を一撃でも受ければ致命傷となる。
その一撃を、遂にもらってしまったのだ。

その場に着地したラオウは吹っ飛んだ赤木を見る。
「まだ息があるか。運の良い奴よ」
そんなラオウを見ながら、赤木は苦しそうにしながら笑う。
518Classical名無しさん:07/12/06 19:56 ID:7mYLOKaU
   
519大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:56 ID:doq00jVc
「運だって? 俺がたまたま下にあったバッグを盾にしてあんたのパンチをもらったのも、吹っ飛んだ先に網製のゴミ箱があって、それがクッションになって壁に叩きつけられずに済んだのも偶然? 随分おめでたい頭だな」
赤木が下のルートを使ってラオウを抜こうとしたのは、そこに置いてあったバッグを盾にパンチを防ぐ為。
そして、さきほどモーターギアで背面の壁を駆け上がったのは、その動きで怪しまれずにゴミ箱を倒しておく為。
ラオウは少し呆れて言った。
「それで死なずに済んだのは良い。だがこの後はどうする?」
赤木は首を横に振る。
「こうして、アンタが俺に興味を持ってくれれば、それで良かった」
赤木の物言いに訝しげな顔になるラオウ。
「どういう事だ?」
足に装着していたモーターギアを外し、核金に戻す。
「もう充分だという事さ。俺の仕事はあの二人を逃がす事だ」
ラオウはちらとケンシロウが倒れていた場所を見ると、既にそこに彼の姿は無い。
キュルケも居なくなっている。
振り返って赤木を見下ろすラオウ。
何時もならば怒りに任せて赤木を叩き潰していたであろう。
だがラオウはここに来てから疑問に思ってきた事を、こいつならば答えられるやもと思い訊ねる事にした。
「お前はケンシロウ達とは知り合いか?」
「いいや、今会ったばかりだ」
「ならば、何故そんな者の為に命を捨てる?」
ラオウから即座の殺意を感じられなくなった赤木は、胸ポケットからタバコを取り出し火をつける。
この男からどれだけ意識的な隙を引き出そうと、赤木がここから逃げ出す事は出来ない。
そしてこの男は殺人を忌避しない。それを当然として生きてきた者の血臭が漂っている。
ならば、後は死を待つだけだ。
「俺の目的はこのイベントを潰す事だ。その為にはあのケンシロウという男は欠かせない戦力だ」
「それで貴様が死ぬ事になってもか?」
「結果そうなるのなら仕方が無い。その時はただ、死ねばいい」
ふーっと大きく煙を吐く。まるで喫茶店でアイスティーを飲みながら一息ついているかのように寛いだまま。
520Classical名無しさん:07/12/06 19:56 ID:7mYLOKaU
    
521大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:57 ID:doq00jVc
「……貴様は他人の為に何故死ねる? ましてや知己ですら無い者の為に」
赤木はラオウの言葉から何かを感じ取ったのか、ラオウに問い返す。
「そういう奴に会ったのか?」
「…………」
「そいつと俺が同じ理由とは思わないが、俺の理由で良ければ話してやる」
そう言ってもう一度大きくタバコを吸い、煙を吐く。
「別に他人の為じゃない。俺は他人に俺の運命を決められるのが気に喰わない」
そこでラオウを指差す。
「あんたも一緒だろ。ただ手段が違うだけだ」
これ以上もう語る事は無い。タバコを線路の上に投げ捨てる。
「これで終わりだ。さっさと殺れよ、止めやしない」
ラオウは右手で抜き手の形を作り、それを赤木へと振りぬいた。
赤木の後ろにあった壁が砕け、埃が舞う。
すぐに赤木が聞いた。
「何のつもりだ?」
ラオウは赤木の顔の真横を貫いた手刀を抜いて、赤木に背を向ける。
「ただ死ねばいい、か。言った通りだったな。自らの最後の瞬間を目を逸らさず見つめられる男、そうは居ない」
口ではそんな理由を述べたが、本当の所はラオウにもわかってはいない。
死を覚悟し、他人の為と言って散っていった男達の顔が脳裏に浮かんだのは事実だが、だから赤木を見逃すという論理がラオウの中で成立しないのだ。
だから何故かと問われれば、何となくとしか答えようが無い。
赤木が見たラオウは、彼が望み続けていた命のやりとりを何度も何度も、それこそ気が遠くなるぐらい繰り返してきた男である。
そんな男が敵を生かしておく事の意味を知らないわけはない。
その上でそうするというのなら、赤木にとって、滅多に無い事ではあるが、この男に借りを作ったという事になる。
壁によりかかったまま赤木はラオウに声をかける。
「おい!」
振り返るラオウに、核金を放り投げる。
「そいつを怪我した場所に当てておけば治療してくれる。使えよ」
522大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:57 ID:doq00jVc
やってる事が矛盾していると気付いてはいたが、敬意を払える相手、それも敵に負い目を作りたく無かったのだ。
ラオウはそれを受け取ると、ケンシロウ達が上っていった階段へと向かった。
ホームを飛び越えて向こう側に渡る前に、一度だけ赤木を見る。
ラオウは赤木を自らの配下に欲しいと思ったが、何者かの配下になった赤木を見るのも不愉快だと思い、声をかけるのを止める事にした。
こんな思考もまた、ここに来てからのものだとラオウはまだ気付いていなかった。


ラオウが去った後、ふらふらになりながら赤木は立ち上がって階段を登る。
「……一つ、死線は越えたか……」
いつもなら、これで運は引っくり返る。
だが、ここには麻雀とは違う流れがある。
「もう一つ、って所か」
それはあくまで感性の話、何か根拠があってそう言っているのではない。
血が垂れ滴るわき腹を押さえ、自らの惨状を見下ろし苦笑する。
「武器の大半を失い、わき腹からは出血、体中は痺れてまともに動きやしない……」
鳴海、あの頼れる大男が居ればまた話は違ったのであろう。
奴ならばどんな死線であろうと乗り越えられる、そんな気概と力を感じた。
彼にケンシロウという男が加われば、今地下鉄駅で大暴れした連中が相手でも遜色は無いはず。
倒すべき敵も確認した、情報は着々と集まっている。
後一つ、恐らく今以上の死線となるそれを越えれば、これらの情報が活きる。それまで生き残れるかどうか。
それがわかっていながら、核金を手放してしまう。そんな自分を省みて自嘲する。
(こればっかりは性分だからな、どうしようもねえ)
一度立ち止まって、タバコを取り出し火をつける。
それだけの事に随分と苦労したが、大きく吸い込んで煙を吐く。
その味が、ホームで吸った時と同じ味に感じられる。それが赤木シゲルという男なのであろう。

523Classical名無しさん:07/12/06 19:58 ID:7mYLOKaU
     
524大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:58 ID:doq00jVc
マーティン・ジグマールは地下鉄駅の入り口を見張っていた。
先ほど出てきたケンシロウは何やら怪我を負っているようだったが、ジグマールのトレビアンセンスが警告を発したため、手を出すのはやめる事にした。
一度逃げ出した自分を受け入れてくれるとも思い難く、また二人が病院とは反対方向に歩いていった為、ジグマールは判断に迷う。
そうこうしている間に、二人は急いでいるのか足早に駅を離れて行った。
少しして、金髪の大男が出てきた。
怪我は最初から負っていたようなので、下でそれ以上に怪我を受けたかどうかはわからない。
彼は辺りを見回した後、北西へと進路を取った。
後下に残っているのは、黒シャツ黒ズボンの男と人間ワープ使い疑惑の男だ。
もう一人入って行った銀髪の男も居る。
こいつらの動きを見張り、その上で隙があるようなら殺す。
ジグマールは息を殺してそんな自分にとって都合の良い展開を待ち続けていた。



【F-4 S7駅階段/1日目 午後】
【赤木しげる@アカギ】
[状態]:脇腹に裂傷、全身打撲
[装備]:基本支給品、 ヴィルマの投げナイフ@からくりサーカス (残り9本)
[道具]:傷薬、包帯、消毒用アルコール(学校の保健室内で手に入れたもの)
始祖の祈祷書@ゼロの使い魔(水に濡れふやけてます) キック力増強シューズ@名探偵コナン 水のルビー@ゼロの使い魔
[思考]
基本:対主催・ゲーム転覆を成功させることを最優先
1:対主催を全員説得できるような、脱出や主催者、首輪について考察する
2:強敵を打ち破る策を考えておく
3:このバトルロワイアルに関する情報を把握する
(各施設の意味、首輪の機能、支給品の技術 や種類など。)
4:鳴海たちと合流するため、8時前には学校に行く
525大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 19:58 ID:doq00jVc
※光成を、自分達同様に呼び出されたものであると認識しています。
※参加者をここに集めた方法に、
スタンド・核鉄・人形のいずれかが関係していると思っています。
※参加者の中に、主催者の天敵たる存在がいると思っています
(その天敵が死亡している可能性も、考慮しています)
※斗貴子は、主催者側の用意したジョーカーであると認識しています。
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました


【F-3 民家の中/1日目 午後】
【津村斗貴子@武装錬金】
[状態]:しろがね化 精神崩壊、判断力低下(本人は極めて正常だと思っている)、右手消失、全身大火傷、頭部に刺し傷
    非常に危険な状態であり、早急に処置しなければ死ぬ可能性もある。
[装備]:核金(サンライトハート)@武装錬金
[思考・状況]
基本:最後の一人になり、優勝者の褒美としてカズキを蘇らせる。
1:とりあえず休む
2:カズキを殺したアカギを、この手で殺す。
3:強者との戦闘は極力避け、弱者、自動人形を積極的に殺す
4:吉良、勇次郎、軍服の男(暗闇大使)は最終的に必ず殺す。

※本編終了後、武装錬金ピリオド辺りから登場
※全身に酷い火傷を負っており、右手も消失と、かなりの重傷です。
 今は気力で持ちこたえてますが、早急に処置をしなければ、命の危険があります。
※セーラー服はボロボロに焼け焦げており、所々に穴が空いています。
※軍服の男(暗闇大使)は参加者の一人だと勘違いしています
※斗貴子が飲んだ液体は生命の水(アクア・ウィタエ)です
526Classical名無しさん:07/12/06 20:00 ID:4fQ7vkAM
 
527大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 20:00 ID:doq00jVc
また斗貴子は生命の水の事は知らず、只の治療薬の一種かと思っています
※カズキの死体は暗闇大使に掘り起こされました。
また暗闇大使は大首領の力を借り、ワープ能力を使いました
今後暗闇大使が介入するかは不明です
※しろがねとなったため、身体能力、治癒力が向上しています
また斗貴子はまだその事に気付いていません
※核鉄の異変に気づきました
※アカギがカズキを殺した張本人だと、思っています。


【E-3 地下鉄の中/1日目 午後】
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:エネルギー枯渇(ザ・ワールドで時を止められる時間が1秒になる程)
[装備]:スタンド『世界』、
[道具]:ダーツ(残弾数1)、デルフリンガー@ゼロの使い魔
    参加者顔写真&詳細プロフィール付き名簿。ルイズの杖。
    イングラムM10サブマシンガンの予備マガジン9。ライドル。
    スタングレネード×2。時計型麻酔銃(1/1)。麻酔銃の予備針8本。
    デイバック×4(DIO、桂、灰原、みゆき)
[思考]
基本:帝王に負けはない。参加者を殺し、ゲームに優勝する 。アーカードのボディを乗っ取り、太陽を克服する
1:夜になるまで地下で英気を養う。及び、地下鉄に乗りにやって来た参加者を各個撃破し体力を回復
2:デルフリンガーから平賀才人他の情報収集・デルフリンガーを用済み、又は障害と判断した場合破壊する。
3:どんな手を使ってでもアーカードを打倒し、ジョースター家を根絶やしにする
4:魔法使い・しろがね等の血に興味
5:ゲームを仕組んだ輩を断罪する
[備考]
528大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 20:00 ID:doq00jVc
※ジャギの腕はほぼ馴染みました
※時を止められる時間は約3秒間です
※首輪の他に、脳内に同様の爆弾が埋め込まれています
※S5駅方面の列車は途中で地上に出ることを確認しました
※デルフリンガーはコミックス2巻のフリッグの舞踏会の最中から召還されたようです。
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました


【E-4 S7駅を出て西へ 一日目 午後】
【ケンシロウ@北斗の拳】
[状態]:カズマのシェルブリット一発分のダメージ有り(痩せ我慢は必要だが、行動制限は無い)全身各所に打撲傷
    キング・クリムゾンにより肩に裂傷 両目損失 頭部への直接衝撃により激しい嘔吐感
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム(1〜3、本人確認済み)
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない、乗った相手には容赦しない。
1:キュルケと共にラオウから逃れる。
2:アミバを捜索、事と次第によれば殺害。
3:ジャギ・ラオウ・勇次郎他ゲームに乗った参加者を倒す。
4:助けられる人はできるだけ助ける。
5:乗ってない人間に独歩・ジャギ・アミバ・ラオウ・勇次郎の情報を伝える。
[備考]
※参戦時期はラオウとの最終戦後です。
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました


【キュルケ@ゼロの使い魔】
529大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 20:01 ID:doq00jVc
[状態]後頭部打撲(治療済) 貧血気味 マントが破られている
[装備]タバサの杖@ゼロの使い魔
[道具]支給品一式
[思考・状況]
基本:学院に三人で帰る、殺し合いには乗ってない人を守る、乗っている人は倒す
1:ラオウからケンシロウを連れて逃れる
2:タバサ、ルイズと合流する。ルイズが殺し合いに乗っているか確認する。
3:サイトを殺した人物が乗っていた場合容赦はしない。
4:帰る方法を考える。
[備考]
※軽い頭痛と出血により、行動に支障。
※首輪をマジックアイテムだと思っています。
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました
※ケンシロウに惹かれ始めています


【マーティン・ジグマール@スクライド】
【F-4 S7駅を出た所 一日目 午後】
[状態]:全身に負傷中 美形+アフロ状態
[装備]: 本部の鎖鎌@グラップラー刃牙 アラミド繊維内蔵ライター@グラップラー刃牙(未開封)
    法儀礼済みボールベアリングのクレイモア地雷(リモコン付き)@HELLSING(未開封)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:生き延びて全宇宙の支配者になる
1:S7駅出口で待ち伏せ
2:ギャラン=ドゥの言うとおりに行動する
3:ギャラン=ドゥが活動できるまで戦闘は避ける
530大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 20:02 ID:doq00jVc
4:匿ってもらう(美貌が使えそうなら使う)
5:素性を知っている吉良、コナン、マリア、銀時、ルイズたちの悪評をばら撒く
[備考]
アフロ状態が次の話まで続くかどうかは他の書き手に任せます
※人間ワープにけっこうな制限(半径1〜2mほどしか動けない)が掛かっています
連続ワープは可能ですが、疲労はどんどんと累乗されていきます
(例、二連続ワープをすれば四回分の疲労、参連続は九回分の疲労)
※ルイズと吉良良和と覚悟はアルター使いと認識しました
※沖田のバズーカ@銀魂(弾切れ)をS8駅の車掌室に放置しています


【ギャラン=ドゥ@スクライド】
[状態]:ジグマールに潜伏状態 全身に負傷小(自己治癒中) 小程度の疲労
[思考・状況]
1:成り行きを観察中
[備考]
※ギャラン=ドゥは制限によりジグマールと命運を共にしています
 そのため、ジグマールを生かしています
※ギャラン=ドゥは制限により、30分前後しか表に出られません(それ以降は体力を大幅に消費してしまいます)
※表に出られる時間はギャラン=ドゥ本人の体力と精神力に依存しています
※一度引っ込んだら2、3時間ほど間を置かないと、表に出られません(無理をすれば出られますが、体力を大幅に消費してしまいます)
※人間ワープにジグマールほどではないが、けっこうな制限(半径3〜4mほどしか動けない)が掛かっています
連続ワープは可能ですが、疲労はどんどんと累乗されていきます
(例、二連続ワープをすれば四回分の疲労、参連続は九回分の疲労)


【E-3 S7駅北西/1日目 午後】
531大乱戦 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 20:02 ID:doq00jVc
【ラオウ@北斗の拳】
[状態]内臓に小ダメージ 、鼻の骨を骨折、 胴体に刀傷 限界に近い程の全身フルボッコ(強がって気にしないフリをしている)
[装備]無し 核鉄(モーターギア)@武装錬金
[道具]支給品一式
[思考・状況]
1:ケンシロウを追う。
2:強敵を倒しながら優勝を目指す。
3:覚悟の迷いがなくなればまた戦いたい。
4:本郷、銀時の死に様に思う所あり
5:赤木が気に入った
[備考]
※自分の体力とスピードに若干の制限が加えられたことを感じ取りました。又、秘孔を破られやすくなっている事にも
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました
※無意識にですが、その戦闘技術如何によらず、自らが認めた相手に敬意を払いその生き方をも認める事をしました


【E-3 地下鉄線路内/1日目 午後】
【範馬勇次郎@グラップラー刃牙】
[状態]体中に浅い銃創 闘争に餓えている 左腕欠損 胴体に刀傷 全身フルボッコ(強がって気にしないフリをしている) 
[装備]ライター
[道具]食料と水2人分、打ち上げ花火2発
[思考] 基本:闘争を楽しみつつ優勝し主催者を殺す
1:首輪を外したい
2:左腕をくっつける医者を見つけたい
[備考]
※自分の体力とスピードに若干の制限が加えられたことを感じ取りました。
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました
532 ◆1qmjaShGfE :07/12/06 20:03 ID:doq00jVc
以上です。みなさん、支援本当に助かりました。ありがとうございます
533Classical名無しさん:07/12/06 20:13 ID:9w6GTnlM
乙です。
繋ぎとは思えぬ重厚なバトル見事でした。
特にラオウとアカギのやり取りにグッときました。
赤木を見逃したのもこれまでの話や、夢想転生をこの目で見たのとかが積み重なった末の結果の一つとして
非常に納得のいくものだと思いました。
ただDIOに気化凍結法をそのまま使わせたのはどうかと思いました。
そもそも三部では使わなかった上に肉体が馴染む前ですし、技が技だけに何らかの制限は必要だと思います。
534Classical名無しさん:07/12/06 20:27 ID:TyfX8ZH2
sienn
535Classical名無しさん:07/12/06 20:35 ID:Z6t0pe5s
両目を失うって相当なダメージなのにケンシロウだと逆に強くなりそうに感じてしまう不思議
536Classical名無しさん:07/12/06 20:56 ID:TyfX8ZH2
投下乙
DIO、ケンシロウ、ラオウ、勇次郎の強力なキャラたちが暴れ回る様は
まさに大乱戦でした

そしてアカギ、美形、キュルケ、斗貴子さん
その他の面面がいい役割を発揮してくれました
これはいいね
537Classical名無しさん:07/12/06 22:34 ID:KfPExNZY
手に汗握る力作で凄い良かったよ、お疲れ様です

一個だけ細かいこと言わせてもらえば、
赤木「シゲル」って表記にはどうにも違和感が……
原作準拠で「しげる」にしてもらえるとありがたかったな
538Classical名無しさん:07/12/06 22:37 ID:fODi.kR2
投下乙!
ごちゃごちゃし戦いは好きだぁ!!
美形がなんか企んでいるが、調子に乗りそうw
ラオウの拳は誰に向けるのか、DIOは? 勇次郎は? 赤木は?
次の展開が気になる、良展開でした。GJ!!
539Classical名無しさん:07/12/06 22:41 ID:CxHjtv6U
投下乙。なにこの地獄w
美形を除いた全てのマーダーが活躍して、なおかつ潰しあいにならないなんて凄すぎです!
それでいて対主催には深手を負わせるのはバランス乙です。
燃えるバトルのクオリティは流石ですね。
540Classical名無しさん:07/12/06 22:51 ID:YFtxGJt6
GJ! 

さりげにアーカードがいないな……
541Classical名無しさん:07/12/06 23:04 ID:TKphXx8.
投下GJだ!
とにっかく、ハラハラした!
なんとも、少佐や旦那がいたら羨ましがりそうなロケーションだぜ!!

それにしても、乱戦をこんなに巧く書ききるとは……
あなたのSS、僕は敬意を表する!!
542Classical名無しさん:07/12/06 23:08 ID:jpHxS/Nc
こんな極上の闘争に参加できない旦那涙目w
543Classical名無しさん:07/12/06 23:54 ID:3aaIJQWs
熱いけど勇次郎のダメージが気になった

いくら端をこするようにでも
電車にはねられたらさすがになんらかの損傷を負うだろ
原作ならまだしも制限かけられてるわけだし

まぁ乙
544Classical名無しさん:07/12/07 01:43 ID:6ocD5OQQ
投下乙
ロワ内でも上から数えた方が早いであろう実力者たちの競演、お美事でした。
このロワに参加しているのは化け物ばかりだな。
四人の格闘者たちのそれぞれの思考にも特徴が出ていて面白かったです。
つか、勇次郎が片腕がないとは思えないほど強いwww
あと、上でも述べられてますが、電車にこすられればもうちょっとダメージあるかとも思います。

四人以外も実にいい働きでした。
個人的にはこの状況を潜り抜けてすら油断すらしない赤木に最も感心しますね。
ジグマールから逃れられるかどうか。
モーターギアがないからなあ………。

TQNはますます病んでるようで結構。
ほとんど死んでるような状況だが、しろがねの体力で持ち直せるかな?

最後にキュルケ、こんな状況でもお前は……www
いや、でもこれは仕方ない。
ケンシロウはいい男だからな。
残り少ない対主催女性陣の非ロリとしてがんばれ。

最後に、もう一度、投下GJでした!
545Classical名無しさん:07/12/07 07:40 ID:YuU0etDw
そういえば電車ってどれくらいの速度出てるんだろうね
546Classical名無しさん:07/12/07 12:34 ID:/lJNnMyQ
数百mの崖から身を投げて鍛えたんだし、多少の制限なら平気なんじゃない、
漫画的にもラオウ、ケンのパンチ>>>>電車 みたいなイメージもあるし
547Classical名無しさん:07/12/07 13:46 ID:kdzRNdAY
>>545
直撃したら、衝撃だけで人間を五体バラす程度の威力はある。
ただまあ、停車直前ならそれほどでもないんじゃないかね。
548Classical名無しさん:07/12/07 19:34 ID:8ct35t9g
一応電車にぶつけて足止めしようとしてるよなぁ
つーことはこいつらの実力を一応把握したDIO的に
この速度の電車にぶつければさすがにしばらくは動けまいって考えたんだよな??
完全に乗った後、安心しきってるし

まぁ相手を侮ってすぐ油断するのがDIO様のいいところなんだけどなwww
549Classical名無しさん:07/12/07 20:16 ID:fU52KXVg
一方で、バキ世界の基準だと電車って対して恐くない気もするんだよなぁ……。
比較的弱い死刑囚でも走ってる電車に飛び乗ったり飛び降りたりするしw
勇次郎が電車に轢かれて瀕死なんて、想像もできないw
550Classical名無しさん:07/12/07 20:17 ID:Yin/CsRI
電車のほうが轢かれそうだよな……
551Classical名無しさん:07/12/07 20:43 ID:YuU0etDw
>>547
違うって
「漫画ロワの」電車はどれくらいの速度で走ってるのかって話
1kmを細かく移動するからさして加速はしないと思うんだけど
552Classical名無しさん:07/12/07 20:58 ID:L2xc3sHU
つか電車に当たっても無傷って最早一般人は食われるのみだなw
553Classical名無しさん:07/12/07 21:12 ID:L9t9QgrA
こんなラスボス連中と一緒でキュルケよく死ななかったなwww
554Classical名無しさん:07/12/07 21:29 ID:8ct35t9g
>>551
駅区間1kmぐらいってリアルでもそんなもんじゃね?
駅に侵入してくるときぐらいだったら50km/hぐらいでてると思われ
いやなんとなくだけど

日暮里〜西日暮里間は500mだし
555Classical名無しさん:07/12/07 21:31 ID:8ct35t9g
×駅に侵入してくるときぐらいだったら
○駅に進入してくるときだったら
556Classical名無しさん:07/12/07 23:23 ID:if/E5YPw
>>531
少し亀になってしまいましたがGJ!!

もう手に汗を握りまくってしまいましたよ。
みんなカッコええし強いし・・・。
個人的にはキュルケが頑張ったのがなんか良かった。
けど、それ以上にドリームマッチの連続にもう血の温度があがりまくりましたよ。
漫画ロワはやっぱこうでなくちゃあねえ。

後、地味にケンシロウとキュルケのやり取りに置いていかれてる
ジグマールが面白かったw 相変わらず受難だなあ、隊長。
とにかくGJ!! した
557贋辺露伴:07/12/09 02:31 ID:Po0YHKoA
 ん…ああ、ちょっと通りすがりの者なんだがね。いや、たいしたことじゃあないよ。
 今、ちょっと暇だったから、1P程描いてみたんだよ。
 http://up2.viploader.net/upphp/src/vlphp103377.jpg
 ああ、それだけだ。
558Classical名無しさん:07/12/09 02:38 ID:JiLT8uN.
すげぇうめぇ! 通りすがらないで定住してくれ!
559Classical名無しさん:07/12/09 02:46 ID:rNhUsQRQ
UMEEEEEEEEE!!!
全員が全員、らしく書かれてるな。
しかし、それだけに、キュルケと他二名のギャップがw
560Classical名無しさん:07/12/09 04:47 ID:rjxoEPEI
>>557
漫画ロワ逆漫画化かw
ジョジョの効果音がすばらしいな
是非ラオウと勇次郎も書いて欲しいものだ
561Classical名無しさん:07/12/09 08:39 ID:1BshP5eI
露伴せんせぇー!サインください!
いやマジ上手いわ。そしてこのロワの面子が濃いと改めて実感w
562Classical名無しさん:07/12/09 09:31 ID:kthIVS9g
模写としては、並以下だろう、顔とかまったく似てないし
563 ◆1qmjaShGfE :07/12/09 11:02 ID:PsWI447s
>>557
イwラwスwトwテラウレシスwwwwwwwww背景とか効果音とか芸が細かいwwwwwwwww
564Classical名無しさん:07/12/09 17:13 ID:H6xUYtvo
>>557
感動した!!もう言葉に表せない位に感動した!!
565Classical名無しさん:07/12/09 17:23 ID:9mE0rySE
イラストうめえなオイ
キャラがマジかっこいいな
保存しとくわ
566Classical名無しさん:07/12/09 17:29 ID:v9eUzJwU
スイませーん。露伴先生、ファンなんスぅ―――ッ
サインしてもらって良いスかあ?
名無しくんって書いてください
567Classical名無しさん:07/12/09 18:20 ID:.o1BSfSQ
キュルケから……まんまアニメの切り貼り臭がします……露伴先生……
568 ◆WXWUmT8KJE :07/12/10 01:43 ID:vK59oXjE
絵が素晴らしすぎてGJ!です。露伴先生。

早めに延長の申請をしたいと思います。
年さえ明ければ……ペースアップしそうなのに……
569Classical名無しさん:07/12/10 12:37 ID:Nc2ehses
>>568
師走はしゃーないさね。がんばれー
570Classical名無しさん:07/12/10 12:41 ID:6kDUK1as
>>568
オッケー、刻んだ!

>>566
岸辺露伴は動かない2、面白かったな
571Classical名無しさん:07/12/10 14:35 ID:Byn/hCoY
ココ・ジャンボレスだが……

>>382
・原作では発狂マーダー
・大切な人がグチャグチャになる
・本人も満身創痍と悲惨な状態
・ロワでも、マーダーフラグを着々と立てる
・ちょっと上でツンデレと確定

うん、ピッタリだ
572 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 21:47 ID:BKoea6mE
>>568
ライダーロワの最終話楽しませて貰いました!
いやーホントに熱かったですよ!スカイライダーが出てきて嬉しかったw
新作お待ちしています。

承太郎、ナギ、ハヤテ、バキのSSが出来たので投下します。
分量が長いので支援を宜しくお願いします。
573Classical名無しさん:07/12/10 21:48 ID:MhGwm5BI
            
574地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 21:49 ID:BKoea6mE
「どーして誰も来ないのだぁーっ!!」
ソファ席に寝転びながら、小柄でツインテールの少女が不機嫌そうに叫ぶ。
彼女の名は三千院ナギ。知る人ぞ知る名家のお嬢様である。
ナギは喫茶店に着くまでの道中で訊いた、新たな合流者がたった一人も居なかったどころか、戻って来ない事に腹を立てていた。
ちなみに彼女が寝転がっているのは今まで碌に休憩も取らなかったため、疲れ果ててしまっていたからだ。
やはり高校生といえども所詮飛び級、しかも体力は人一倍少ないナギの身体は悲鳴を上げていたのだろう。

「お嬢様、落ち着いてください。でも変ですね……何処かへ行かれたのなら、そろそろ誰か戻ってきてもいいと思いますけど」
怒鳴り喚くナギを、漆黒の執事服に身を包んだ青年が優しくなだめる。
青年の名は綾崎ハヤテ。三千院家に住み込みで執事の仕事をしている青年である。
この場合ハヤテの言う事は最もだろう。
第二回定時放送が流される以前に赤木しげる、ピエロの女、太い眉毛を持った小学生の少年、黒い服を着た青年、パピヨン、泉こなた達に確かに戻ってくると約束したからだ。
だが、あの時、武藤カズキがサンライトハートのエネルギーを天に向かって放った事だけに、ハヤテは気を取られ過ぎていた。
そのため今のハヤテには赤木達が範馬勇次郎によって、打ち上げられた花火を見に行ったという考えは至らなかったというわけだ。
「そう思いますよね? ジョジョさん?」
そう言ってハヤテはフェイスレスの首輪をしげしげと見つめている、学ランの青年に話しかける。

「そうだな……まぁその内来るだろうよ。それにナギの休憩を十分に取る事が出来ただけでも拾い物だ」
そう答える青年の名は空条承太郎。スタープラチナを持つスタンド使いである。
その青年はとても高校生とは思えないような鋭い両眼を持ち、なにか固い意志を感じさせている。
勇次郎の打ち上げた花火を承太郎は確認しており、赤木達はその花火の様子を見に行ったかと一時は思ったが、承太郎はその考えを取り下げていた。
わざわざあんな自分の場所を知らせるような行為をする人物に、こちらから接触するのはデメリットの方がメリットより大きい。
頭が切れるパピヨンと赤木も同じ考えを下し、きっと様子を見に行くのを止めたに違いないと判断したからだ。

575地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 21:49 ID:BKoea6mE
「な! なんだその言い方は! 別に私は休憩したかったわけではないぞ! 只、ちょっとフラフラとしてな……」
「無理しないで良いんですよお嬢様」
「やれやれだぜ」
数時間前に喫茶店に着いた時から数十分前まで、静かな寝息をたてて寝ていたというのに、必死に弁解するナギ。
そんなナギを見てハヤテは穏やかな微笑で、承太郎は心底呆れたような表情でそれぞれ言葉を発している。

「さて、誰も来ねぇのならそろそろこの首輪の事でも詳しく考えてみるか」
会話が一段落着いた時、承太郎が首輪を指差して口を開く。
喫茶店に着いた途端、思わずナギがソファに寝そべって休憩を始めてしまったため、出来なかった首輪の調査。
実の所承太郎はこの手の技術に長けていると思われるパピヨンが戻って来てから、調査を行いたかった。
だが既に数時間も無駄にしているため、最早そんな悠長な事も言ってはいられない。

「そうですね…………僕達は今、出来ることを精一杯やりましょう」
少し長い間を置いてハヤテも頷く。
首輪の解析は恐らくこの殺し合いに連れて来られた参加者全員の目的。
自分達がやろうとしている行為の、重大さに自然とハヤテの拳に力が入る。

「うむ! まぁさっきは少し疲れていたから、もしかしたら見落としがあったかもしれん!
もう一度この私が念入りに……こ! これは!?」
全く起伏が無い胸を叩き、首輪に手を伸ばそうとするナギの動きが思わず止まってしまう。
その驚いた表情を浮かべたナギの視線の先には、テーブルに置かれた首輪探知機が置かれている。
首輪探知機には承太郎、ナギ、ハヤテ、そしてフェイスレスの死体から回収した四個の首輪の反応があった。
そして、更に五個目の反応が、それら四個の反応と別の場所に存在していた。

◇  ◆  ◇
576Classical名無しさん:07/12/10 21:51 ID:MhGwm5BI
                         
577地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 21:51 ID:BKoea6mE
「やっぱスゲェなぁこの核鉄ってヤツは! こんな便利なものだったら銀さんに渡さなきゃ良かったなァ」
声高らかにそう言ってのける、短パンの少年の名は範馬刃牙。
徳川光成が開催した、最大トーナメント戦での誇り高きチャンピオンだが、今は吸血鬼・DIOの僕にしか過ぎない。
その事は彼の額の生え際で蠢く、親指程度の大きさの肉の芽が示している。
「もう肺は大丈夫か、休んでた甲斐があったな」
エレオノールがオリンピアで飛び立った後、刃牙は暫く身体を休める事に専念していた。
勿論あのお人好しの鳴海が、わざわざ自分に持たせてくれた核鉄を使って。
核鉄は人間の自己治癒力を促進させるもの。
人並み外れた生命力を持った刃牙には相性が良すぎるものであった。
既に肺はほぼ完治し、今は左肘の治療のため核鉄を当てている。
「ちょっと痛みは残ってるけどまぁやれるな、さーてどっかに手頃なヤツは居ないかなァ? そろそろマジにやらないと……」
未だ万全の調子とは言えないまでも、刃牙は獲物を求めるため市役所を出発していた。
己の主人、DIOの血液を補充するための人間、もしくは死体を未だ刃牙は確保出来ていないからだ。
そのため今の刃牙には若干の焦りがあった。
禁止エリアの増加により、十中八九移動したと思われるDIOを失望させたくはない。
そんな焦りが刃牙を突き動かしていた。
エレオノールと闘った時に見せた、警戒心を蔑ろにしてしまう程に。
「おっ?」
やがて、刃牙の視界に三人の人影が入る。
一人は随分良い肉体をしている青年。もう一人はまぁ平均的な肉体を持つ青年。
そして最後の一人は今にも折れてしまいそうな肉体をした少女。
「よりどりみどり、全部頂くぜぇ……DIO様のためになァ」
そう静かに呟き刃牙は弾丸のように走る。
最早彼ら三人がどういう人物かなどは関係ない。
只、自分の目の前に狩るべき獲物が三つ転がっている認識が刃牙の頭脳を支配する。
578地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 21:52 ID:BKoea6mE
「な! なんだあいつは!?」
「ナギ! ハヤテ! 下がってろ! あいつはなにかヤベェ! 殺し合いに乗ったと判断するぜ」
「た! 頼みますジョジョさん!」
自分の目の前で獲物達が何か喚いている。
なら、自分がするべき事は言うまでもないだろう。
只、ヤツらを捻じ伏せる……主・DIOのため、己の欲求のために。
二人の獲物は後方に駆けて行くが、一人だけ全く動じず此方を見つめ続ける。
(上等だ…………闘ってやるぜ)
今、闘争の幕が音をたてて開いて行く。


「オラァ!」
承太郎の腹の奥底から搾り出された掛け声と共に、瞬時に発現させたスタープラチナの拳が走る。
相手の油断を誘うフェイントなどとは違い、只相手を打ちのめす為だけに放たれた拳。
たとえ吸血鬼であろうが、しろがねであろうが、ホムンクルスであろうが当たれば到底無傷では済まない威力を秘めている。
その事を理解するには拳速を見れば容易だ。
驚異的な速度を伴った拳が、承太郎の前方から突っ込んで来る刃牙に向けられる。
だが刃牙は上半身を屈め、承太郎の方へ踏み込むことでその拳を避わす。
更に間髪入れずに刃牙は、そのまま数発のジャブを承太郎に向けて放つ。
一発目のジャブを承太郎は己の目で見切り、体を逸らす事で避わす。
しかし、その一発目の直後に襲った二発目、三発目、四発目は己の力で避わす事は叶わなかった。
なら承太郎はどうするか? 簡単な話だ、彼はスタープラチナを持っている。
何も慌てる事無く承太郎はスタープラチナの腕を使い、牙刃のジャブを受け流す。
579Classical名無しさん:07/12/10 21:52 ID:MhGwm5BI
                           
580地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 21:54 ID:BKoea6mE
「へぇ……」
承太郎にジャブをいなされ、咄嗟に一度距離を取った刃牙だがその表情には一片の悔しさもない。
只、たった今自分の打撃を軽く受け流した承太郎に、にやけ顔を向けている。
恐らくあの西洋の古めかしい戦士のような物体は、DIOのザ・ワールドと同質のものなのだろう。
戦意を喪失するどころか、逆に相手が強ければ強いほど戦意をより強固なものにさせるのが刃牙。
たとえ肉の眼を埋め込まれたといえども、刃牙の闘いへの欲求を消せる筈はないようだ。
トン、トンと軽く、その場で刃牙は飛び跳ね……地を蹴り一閃の軌跡を辿り、
筋肉で塗り固められた両足で疾走する。

「ッシヤァ!」
先程の小手調べとも言えるジャブとは違い、両腕の拳を力強く握り、
承太郎の頭、胸、腕、腹、脚の全てに向けて、その屈強な拳で刃牙は殴りたてる。
だが承太郎も只で、敵の拳を受けてやるほど平和主義者でもなければお人好しでもない。
刃牙の高速で迫る拳を、同じく高速の速度で作動するスタープラチナの腕である時は受け流す。
またある時は受け止めたり、拳を同じように打ちつける事で冷静に対処していく。
双方の拳が打ちつけられる度に、刃牙と承太郎の拳に衝撃が走り、神経に電気信号が走る。
しかし刃牙と承太郎の表情に痛みによる歪みは一向に生じない。
幾度かの拳による応酬を経て、刃牙は拳による打撃は中断。
承太郎の左足に、承太郎のスタープラチナの高い反応速度のせいで全力の力は込められないが、
相応の力と速度を伴ったローキックが蹴り込まれる。
刃牙のローキックの衝撃の重さに、初めて承太郎の表情にハッキリとした苦痛が生まれ、
思わず彼の身体が左方向に崩れ始める。
581Classical名無しさん:07/12/10 21:55 ID:MhGwm5BI
                         
582地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 21:56 ID:BKoea6mE
そんな承太郎の崩れ行く姿を見て、刃牙は口角を吊り上げニイっと笑い……両腕の指を丸め再び拳を形成する。
数え切れない程の闘いで、彼の勝利を支えてきた肉の拳を。
狙いは承太郎の上半身に、ありったけの拳を打ちつけるのみ。
しかし承太郎の、スタープラチナの力は未だ砕けていない……奇しくも彼は刃牙と同じ事を考えていた。
同じ考えを持つ者同士が出会うならば、手を取り合う事も出来るだろう……だがこの状況ではそんな選択肢など有り得ない。
今、この状況で必然な事項とは――
「ウウウッッッシシシシャャャーーーーーーッッッッッ!!」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
刃牙と承太郎のスタープラチナによる、熾烈さを添えたラッシュの応酬しかない。

一発目、二発目、三発目、四発目と拳が動く回数が増えていく度に、只でさえ尋常ではない双方の拳速が加速する。
拳同士がぶつかり、刃牙の拳からは血が噴出しスタープラチナの拳には僅かな亀裂が生じる事が、ラッシュの応酬の激しさを際立たせていく。
だが、もの事には必ず終わりは生じるものだ……その事実は黄金の意思を持つ少年のスタンドにしか覆すことは出来ない。
「ッ!?」
終わりが見えないラッシュの応酬の中、僅かに刃牙の拳速がスタープラチナのそれを下回り始める。
DIO、加藤鳴海、才賀エレオノールといった歴戦の戦士との激闘を、碌な休憩を挟まずに行い続けた刃牙。
対して承太郎は闘いと言えるようなものはパピヨンとの闘いしかなく、その闘いから既に十分すぎる時間が経過している。
どちらのコンディションが優れているかは言うまでも無い。
583Classical名無しさん:07/12/10 21:56 ID:vK59oXjE
584Classical名無しさん:07/12/10 21:57 ID:MhGwm5BI
                      
585Classical名無しさん:07/12/10 21:57 ID:vK59oXjE
586地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 21:57 ID:BKoea6mE
激闘により蓄積された疲労が刃牙の動きを僅かに、ほんの僅か鈍いものにさせる。
確かに感じた自分の身体の鈍さのせいで、思わず刃牙に隙が生まれる。
そんな彼の身体に、その隙を狙い済ましたスタープラチナの拳が腹部に直撃した。
「ガッ!……ちぇりゃゃゃ!」
急速に襲ってくる痛みにより、鮮血を吐く事になった刃牙。
すかさず刃牙は反撃の裏拳を伸びきったスタープラチナの腕に打ちたて、スタープラチナのダメージが承太郎に伝達していく。
だがスタープラチナは刃牙の強烈な裏拳を受けた腕ではなく、空いたもう片方の腕を後方に引き……腰の回転を利用し、渾身の力でストレートを叩き込む。
そのストレートを咄嗟に両腕で防いだ刃牙は、その衝撃により数歩後ずさる事を余儀無くされる。
再び距離が開いた刃牙と承太郎は互いに視線を交錯させる。
その視線に乗せた意志は決して相容れぬものではあるが。

「大丈夫か!ジョ――」
「こっちに来るんじゃねぇ! ハヤテ! ナギのヤツをしっかりと抑えとけ!」
ナギが声を掛けながら駆け出してくるのを、承太郎は怒声で止めさせ、呆然としていたハヤテに指示を与える。
承太郎の言葉を受け、ハヤテは慌てて、承太郎の荒々しい言葉に思わず身体を震わせたナギの腕を掴み、彼女の安全を確保する。
だが承太郎は最早、ナギとハヤテの方など向いてはいない。
生身の人間でありながらスタンドと、数多くの敵スタンドを打ち倒し、DIOが持つザ・ワールドすら打ち倒したスタープラチナ。
そんなスタープラチナとやり合う事が出来た、刃牙だけの方に向いていた。
587Classical名無しさん:07/12/10 21:58 ID:YurH3AO6
虎鉄のメイド服は期待しているんだが、多分ないんじゃね?
588地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 21:58 ID:BKoea6mE
「嬉しいなぁ……こんなに強ぇヤツが未だ居たなんてさァ」
防御の体勢を解き、刃牙はそう呟く。
そして油断無く、刃牙に対して構えを取り続ける承太郎を尻目に、彼は徐に短パンのポケットからあるものを取り出す。
刃牙が取り出したものを見て、承太郎とナギの表情は強張りハヤテは訝しげな表情を浮かべる。
今の刃牙に勝つ手段など考える余地はなく、たとえあったとしてもそんな事を考える事は馬鹿馬鹿しいものだった。
只、一刻も早くDIOに血を与え、勇次郎を超える力を貰うために刃牙はどんな力でも行使する事に迷いはない。
「武装錬金!」
だから刃牙は、彼が取り出したもの……核鉄を掲げて叫ぶ。
刃牙の掛け声を受け、核鉄が展開を開始していく。
刃牙の屈強な右腕を更に猛々しいものに変え、何者を打ち砕く力を与えてくれる唯一無二の武装。
武装錬金・ピーキーガリバーが刃牙の右腕に纏う。
「さぁ……まだまだお楽しみはこれからだぜェ!」
ピーキーガリバーの装着を再開のゴングとし、刃牙は疾走する。
刃牙の闘争への欲求は、彼の望みは未だ完全に満たされてはいないから。


「ちっ!」
刃牙がピーキーガリバーを装着したのを見て、承太郎は思わず舌打ちを打ちながら、彼もまた疾走を開始する。
自分達の闘いの巻き添えでナギやハヤテに危害が及ばないようにするためだ。
刃牙に十分に近づきスタープラチナの左ストレートを、彼の顔面に向けて繰り出す。
対して刃牙もスタープラチナの拳に応えるかのように拳を繰り出す。
当然、ピーキーガリバーが纏われた右拳を。
スタープラチナの拳と、ピーキーガリバーの拳が今や衝突する瞬間承太郎の表情が曇る。
589Classical名無しさん:07/12/10 21:58 ID:MhGwm5BI
                        
590Classical名無しさん:07/12/10 21:59 ID:YurH3AO6
ぬお、誤爆
591地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 21:59 ID:BKoea6mE
(何ッ! これは俺の錯覚か? ヤツの拳の大きさが……変化しているだと!?)
流石の承太郎もたった今、自分の目の前で刃牙のピーキーガリバーの大きさが変化している事に驚きを隠せない。
そのピーキーガリバーの拳の大きさは今では、ゆうに承太郎の背丈すらも越えている。
エンゼル御前と同種の武装錬金の名を持つ事から、何かあるとは思っていた承太郎も、そのあまりにも単純、且つ強力なピーキーガリバーの特性を見抜く事は出来なかった。
「オラオラオラオラッッッ!」
左拳だけでは不利と承太郎は判断し、咄嗟に両腕のラッシュに切り替える。
スタープラチナの猛烈なラッシュを受け、ピーキーガリバーに衝撃が走り、僅かに進行を抑えられる。

「やるなぁアンタ! ホントに面白いぜェッッッ!」
だがそんな承太郎の機転を利かした動きを見て、刃牙は嘲笑うかのように口を開く。
ピーキーガリバーに力を込め、更にピーキーガリバーは空中元素を取り込み、大きさを増す。
「ウッシャアァァァ!」
咆哮と共にピーキーガリバーを素早い動作で一瞬、ほんの一瞬だけ引き……勢い良く前方に突き出す。
それはホムンクルス・金城が、『ブロブティンナグナックル』と名づけた技にどことなく酷似していた。
迫り来るピーキーガリバーの剛拳に構わず、承太郎はスタープラチナのラッシュで応戦し、一時は均衡状態を保つ。
だが、それは所詮一瞬の事。
只でさえ異常とも言える刃牙の右腕に、右篭手(ライトガントレット)の武装錬金・ピーキーガリバーが装着された事により打ち出された拳。
たとえスタープラチナといえども抑えきることは出来ずに、承太郎の身体はピーキーガリバーの激突により後方に弾き飛ぶ。
咄嗟にスタープラチナの両腕をガードに回しながらも。
592Classical名無しさん:07/12/10 22:00 ID:MhGwm5BI
                          
593Classical名無しさん:07/12/10 22:00 ID:vK59oXjE
594地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:01 ID:BKoea6mE
ハヤテの思考の中で『危険』という文字があちらこちらを飛び回っている。
スタープラチナと言うスタンドを操り、自分達の中で間違いなく一番強いと思われる承太郎が押され、
たった今、巨大な拳にしこたま吹き飛ばされたからだ。
それでも今直ぐにでも承太郎の元に駆け寄り、彼を援護しようと思いを固める。
だがハヤテの身体は何故か動こうとはしない。
自分が黒服のSPやお手伝いロボと繰り広げた闘いとは、まるで次元が違う闘いを、
初めて目の当たりにした恐怖がハヤテの動きを止めていた。
(いや! ここで逃げちゃ駄目だ! 正直言ってジョジョさんの身代わりくらいになるしか
僕に出来る事はないかもしれない……けど! それでお嬢様が助かるなら僕は……)
恐怖を振り切り、ハヤテはナギを置いて、承太郎を援護しようと駆け出す。
しかし、ハヤテはある人影を見て、驚きのあまり思わず脚を止める。
「お! お嬢様!?」
そう、ハヤテが守るべき存在、三千院ナギが駆け出していた。
刃牙と承太郎の熾烈な闘いを見て呆然としていたため、注意力が低下していたハヤテの腕を振り切って。
「危険ですよお嬢様! 戻ってください!!」
思わず自分の失態を悔やみナギが戻る事をハヤテは願う。
そんな彼女は愛しい彼の願いを聞き入れず、走るのを止めなかった。


「大丈夫かジョジョ!?」
先程は承太郎の怒声で邪魔され、最後まで言う事が出来なかった言葉を、ナギは地に膝をついた承太郎に投げ掛ける。
勿論、ナギも刃牙と承太郎の闘いに介入する危険性はハヤテと同じようにわかっていた。
だがそれでもナギは承太郎の元へ駆け寄る。

「ナギ、てめー……来るなと言ったのがわからねぇのか」
ナギの焦りに塗れた言葉を受け、承太郎が不機嫌な様子で答える。
自分一人でも手こずりそうな相手だと言うのに、足手纏いにしかならないナギの存在は邪魔以外の何者でもないからだ。
「さっさともどっ――――――――ナギ!」
ナギが居ては勝てる闘いも勝てるものではなくなると、承太郎は判断を下す。
そのため承太郎はもう一度ナギを怒鳴りつけ、ハヤテの元へ戻らせようと試みる。
だが何故か咄嗟に承太郎はナギの腕を掴み、逆に自分の方へ彼女を抱き寄せる。
595Classical名無しさん:07/12/10 22:02 ID:MhGwm5BI
タイトルが不吉すぎるw 支援
596地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:02 ID:BKoea6mE
「う! うわ! なにするのだジョジョ!!」
顔を赤らめ、ハヤテの方を気にしながらナギは、腕を振り回し必死に抗議を行う。
そんなナギの行動には人目もくれず、承太郎は前方に視線を向け続けている。
なんだか自分がまるで、もののように扱われていると思い、不機嫌そうに頬を膨らませ、ナギも承太郎と同じ方向に視線を向ける事にした。
「なっ!」
その時、初めてナギは自分の視界に映ったものを見て、驚く。
先程の短パンの青年が、跳躍により宙を飛び……彼の右の掌がナギの視界一杯に広がっていた。
『ラピュータフォール』、ホムンクルス・金城が今、この場に居合わせたなら驚きながらそう叫ぶだろう。
武装連金は己の闘争心を力に、武器に変換する代物。
消える事がない闘争心を持ち続ける刃牙が武装連金を使いこなす事は、特に可笑しい事ではない。
今までのピーキーガリバーとはとても比較にならない大きさ、質量を伴った巨大な掌。
そんなピーキーガリバーが驚きのあまりあんぐりと口を開けたナギと、彼女の小さな身体を抱き寄せた承太郎に迫る。

「やれやれ手を焼かせるヤツだぜ……」
再び承太郎はスタープラチナを発現。
所々手を加えられた学生帽を整え、刃牙のピーキーガリバーをその鋭い両眼で睨み付ける。
承太郎の傍に居るナギの表情には絶望という文字が見えるが生憎、彼にはそんな文字は見当たらない。
だから彼は叫ぶ……いやもう一度叫ぶのだ。
承太郎にとって最早半身とも言えるほど慣れ親しんだ掛け声を。
「オラオラオラオラオラオラ!!」
ピーキーガリバーが自分達を押し潰そうとするのを、強引にスタープラチナのラッシュで押し切る。
それこそが承太郎が少ない時間で、咄嗟に下した現状での最善策。
先程、押し切られた時よりも更に承太郎は、スタンドに精神を集中させ、スタープラチナの拳速に速さが増していく。
その事により、スタープラチナの拳とピーキーガリバーがぶつかり合い、削り合う轟音が周囲に響き渡る。
597Classical名無しさん:07/12/10 22:03 ID:MhGwm5BI
                        
598地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:03 ID:BKoea6mE
「……くっ!」
だが、承太郎の表情は暗い。
流石のスタープラチナのラッシュでも、上方から刃牙の体重までも乗せて押し潰して来る彼のピーキーガリバー。
更にスタンドなどではなく、己の肉体を行使する事で勝利を飾ってきた刃牙との抜群の相性の良さ。
極めつけはピーキーガリバーの大きさは承太郎の視界を、覆い隠す程の大きさとなっている。
当然、スタープラチナに圧し掛かる重量も並大抵のものではなく徐々に、確実に承太郎の体力を奪っていく。

「ハハハハハハ! 無駄無駄無駄無駄ァ! 無駄なんだよ!!」
ピーキーガリバーにより、承太郎の表情を伺う事は出来ない刃牙が大声を上げて笑う。
表情を見ずとも、段々と押し潰している確かな感触があるからだろう。
圧倒的に有利な今の状況に刃牙は酔っている。
強敵を更に己の強大な力で捻じ伏せるこの快感。
刃牙は自分が今こうして、こんな快感を得ている事をDIOに感謝していた。
「さぁもうお終いだ! さっさとつぶれろよォォォォォッッッッッ!!」
右腕に込めた力を更に強め、刃牙が吼える。
刃牙のピーキーガリバーにより、更に押され続けられている承太郎の頬から、汗が地に向かって落ちる。
自分の数倍以上の質量を、更にスタープラチナと同程度の異常な腕力で押し込まれているので無理も無い。
そうこうしている内に、スタープラチナの腕に走っていた亀裂が更に大きくなり、承太郎に伝達されて行くダメージも同様に増していく。
(しかたねぇ……こうなったら限界まで時を止めるしかねぇか……)
どうしようもなく不利な状況で承太郎は、スタープラチナの奥の手を使う事を遂に決意する。
時を自分の限界、約二秒程度の時間の間停止させるスタープラチナの奥の手。
呼吸を整え、承太郎はその力を行使しようとするが……彼の動きは止まった。
「なっ!?」
普段はあまり表情を変えずに、驚く事は少ない承太郎が目を僅かに見開いて驚く。
承太郎の視線の先には、ピーキーガリバーへの対応に注意が行き過ぎた彼の腕の中を、器用に抜き出た少女。
三千院ナギが肩を震わせながら、立っていた。
599Classical名無しさん:07/12/10 22:03 ID:MhGwm5BI
                    
600地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:04 ID:BKoea6mE
あの時自分はフェイスレスと言うボケ老人を倒せるかもと思っていた。
だが、現実はあのボケ老人の方が一枚も二枚も上手だったため、自分は負けた。
所詮私には戦闘の経験なんて、ゲームの世界でしかないから当然の結果かもしれない。
けどそんな時、ちょっとボケてて、それでいて憎めない私の仲間が守ってくれた。

『ゴメン、ナギちゃん。俺が遅かったせいで、怪我をさせちゃったみたいだ』

武藤カズキ……津村斗貴子とやらを守ると、その力強い瞳の炎を燃やしながら言っていた私の仲間。
けどそんなカズキも死んでしまった……私が上手く出来なかったせいで。
でも何故か……カズキは笑っていたんだ……ムカつく程にな……。

「おい筋肉バカ! お前は何故こんな事をするのだ?」
「あぁ〜? 命乞いかぁ? お嬢ちゃん?」
「いいからさっさと答えろ! 私は真剣なのだ!!」
「……まぁ良いか。決まってるだろ? 闘りてぇから闘ってるだけさ。大体そんな事聞いてどうするんだい?」

だってそうだろ………………?
カズキが死んで胸が張り裂けそうなくらい悲しかった私が、バカみたいに思えるほどあいつの笑顔は優しかったんだ。
斗貴子とやらと未だ会う事が出来ていなかったというのに、まるで全てに満足したかのような優しい笑顔で……。

「ふん! これから私とジョジョ、そしてハヤテに倒されるヤツが何を考えていたか聞いても別に不思議ではないだろう?」
「おもしろいお嬢様ちゃんだな……でもどうするんだ? 頼みのジョジョってヤツはもうすぐ潰れるぜぇ?
ハヤテってヤツも当てになりそうにねぇしなァ?」

けど私はもうこんな事は起きて欲しくないと、あの時強く思った。
いくらカズキが満足そうな表情をしたと言っても…………仲間が死ぬところなんてもう二度と見たくはないのだ。
そうだ、もう二度と……見てたまるもんか! 絶対にだ!
601Classical名無しさん:07/12/10 22:04 ID:MhGwm5BI
しえん
602地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:05 ID:BKoea6mE
「もう少し考えてからものは言った方が良いぜぇ?
どーせ力も何にもねぇお嬢様が出来ると言ったらそのぐらいしかないからなァ。
ハハハハハハハハハハハハハハハッッッ!!」

私に出来る事だと? ふん! そんな事私自身がよくわかっておるわ!
だが、私は以前の私ではない! 今の私は無性に腹が立っている……ジョジョをこんな目に合わせているお前にな!
やってやる……私、三千院ナギはやってやるさ!!

「私を誰だと思っている!? 私は三千院ナギ! ジョジョは私の大事な仲間で、ハヤテは私の恋人だ!」
ナギは叫ぶ。
目の前に居る、恐るべき力を誇る刃牙に対しての恐怖は当然ある。
だが、それよりもまたあの時のように、自分の仲間が死んでいく事への恐怖の方が、何倍も、何十倍も大きい。
その恐怖を決意の炎に変えて……ナギはその細い両足で立ち、真っ直ぐ立ち尽くす。
「ハヤテを何も出来ないと言ったお前に! ジョジョをここまで痛みつけたお前に!
一分も、一秒さえも忘れる事は出来ない程後悔させてやる! この三千院ナギがなッ!!」
全神経、精神力を一点に集中させる。
ナギが得た、かけがえの無い力をもう一度行使するために。
「やるぞ! スパイスガールッッッ!!」
今まではナギの疲労のため、発現する事は出来なかったものが。
だが、ずっと父親に捨てられ、自分のやるべき事を手探りで、探していた少女を見守っていた時と同じように、
ナギを見守っていたものが。
全身に奇妙な網目模様を持った、人間の女性を連想させるようなものが。
「ワカリマシタ! コノボケガキヲ……ブッ殺シマスッ!!」
スパイスガールが今、再び発現した。
603Classical名無しさん:07/12/10 22:05 ID:MhGwm5BI
                          
604Classical名無しさん:07/12/10 22:06 ID:vK59oXjE
605地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:06 ID:BKoea6mE
「「何ッ!?」」
ナギがスパイスガールを発現した事により、驚いた承太郎と新たに五人目の声が聞こえた事により、驚いた刃牙の声が重なる。
三人から少し離れた位置に居るハヤテは、あまりの出来事に声を出す事も出来ずに只唖然としていた。
それほどまでにもナギがスタンド能力を使用した事は刃牙、承太郎、ハヤテの三人とっては予想外な事だった。
刃牙は言うまでも無く、今までナギはスタンド能力を得た事を承太郎とハヤテには伏せていたので、無理も無い。

「何をやったか知らねぇけど……俺の勝ちだ!!」
ピーキーガリバーを最大限までに、増大させている刃牙にはスパイスガールは見えない。
只、スパイスガールのふざけた言葉が聞こえただけだ。
だが、その言葉は刃牙の闘争心を更に揺り起こす結果となっていた。
「俺を殺すんだろ? だったらやってみろよ……お前がぶっつぶれる前になァァァッッッ!!」
ピーキーガリバーが更に地に向かって押し込まれる。
どうみても無力な少女如きに、殺すと宣言された自分。
今までの人生の中で、五本の指に入る程の屈辱。
肉の芽の洗脳により、感情の起伏が激しくなった刃牙の神経内でアドレナリンの分泌が早まる。
承太郎が、スタープラチナが、ナギが、スパイスガールが刃牙のピーキーガリバーにより、押し潰されるのも近い。

「望むところだ! こぉの筋肉バカァ!!」
売り言葉に買い言葉と言った要領で、ナギも怒声を返す。
スパイスガールの拳を動かそうとするが……。
「ど! どうしたジョジョ!?」
唐突にジョジョが右手を自分の肩に置いた事に、気付いた事によりナギの動きは止まる。
優しさなど微塵も無く、只無造作に置かれただけの右手ではあるが、ナギの頬がほんのりと赤く染まっていく。
「こ! こんな事をしている場合でないだろう!!」 そんな事を言おうとした矢先、承太郎の口が先に開く。
ナギが頬を赤らめている事など全く気付いた様子は見せないで。

606Classical名無しさん:07/12/10 22:07 ID:vK59oXjE
607Classical名無しさん:07/12/10 22:07 ID:MhGwm5BI
                     
608地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:08 ID:BKoea6mE
「理由は後で訊く、それよりもナギ!」
当然承太郎には何故、ナギが恐らく近接パワー型のスタンドを使えるようになったのかはわからない。
泉こなたという少女ではなく、この殺し合いで一番長く共に居たナギがスタンドを使えるという事実に驚かないわけがない、
だが承諾太郎はあえてこの場では追及しない事を決めた。
それよりも優先してやるべき事があるからだ。
「そのスパイスガールとやらの動きを俺のスタープラチナに合わせろ!!」
「わ! わかったのだ!!」
依然、ラッシュを繰り続けているスタープラチナの前後に動く両拳。
そのスタープラチナの拳をナギが……いや、スパイスガールが凝視する。
最高の瞬間に……スタープラチナと同じように、その両拳を叩き込むために。
「ん!?」
奇妙な感触を感じた刃牙が思わず声を漏らす。
何かピーキーガリバーから感じる感触が増えているような気がするからだ。
所詮、あのナギと言う少女は口だけの何も出来ない無力な者。
そう思い、刃牙は自分の勘違いだと思い、最後の一押しを行おうとするが……
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
「WAAAAAAAANNABEEEEEEEEEE!!」
数式の計算では一足す一は必ず二となる。
だが、スタンドは精神力を糧にすることで発現される揺ぎ無い力。
一発、二発と速度、量が今まで以上に増大した両拳のラッシュにより、その行動を止めざるを得なかった。
「なっなにィッッ!?」
一転変わって、逆に押されてきた刃牙は焦りの声を上げる。
どうやら先程自分に向かってふざけた事を言ったのは、ナギと言う少女が声を変えて、
言ったのでなく、スタンドが言ったらしい。
そこまではわかる……だが、何故スタンドが一つ増えただけでここまで押し込まれるのかが刃牙にはわからない。
そうこう考えているうちに右腕に衝撃が走り、ピーキーガリバーに亀裂が走っていく。
「な、なんなんだお前らは!?」
先程の余りある余裕は消え失せ、刃牙は狼狽する。
今のこの劣勢となってしまった状況は、考えれば考えるほど理解できない。
完全に自分は押していた……それが何故かここまで押されていからだ。
609Classical名無しさん:07/12/10 22:08 ID:MhGwm5BI
                       
610地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:09 ID:BKoea6mE
「うっさいバーカ! だから言っただろう! 私が後悔させてやるって!!」
「てめーには手間取ったが……終わりにさせてもらうぜ」

ピーキーガリバーにより、ナギと承太郎の表情は見えない。
だが……彼らの声を刃牙はハッキリと聞くことは出来た。
殺したいほど憎たらしい彼らの声が。
「調子に……調子に乗るなァァァァァァァッッッッッ!!」
激昂に任せて刃牙は、広げていたピーキーガリバーの掌を横に反す。
ナギと承太郎を押し潰すのをあきらめたのだろうか?
いや、ここまで言われ刃牙が引き下がるわけはない。
答えは至って単純過ぎる事だ。押し潰すことが無理なら……別の手段を講じればいい事。
既に横に反したピーキーガリバーに力を込める。
一旦、その未だなんとか強大な大きさを保っているピーキガリバーを後ろに引き……
「さっさとぶっとべェェェェェッッッッッ!!」
思いっきり横方向に薙ぎ払った。
拳を当てる相手を見失ったスタープラチナとスパイスガール。
承太郎とナギに対して、ピーキーガリバーは真っ直ぐ向かっていく。
刹那。
ピーキーガリバーの直撃により、喫茶店のガラス越しの壁に吹き飛ばされる者が一人。
立ち尽くしていたナギの身体を、突き飛ばした承太郎が宙を舞っていく。
承太郎の身体がガラス越しの壁に投げ込まれることで……幾枚のガラスが音を立てて、虚しく崩れる。
突き飛ばされた時の衝撃で、尻餅をついたままナギはそんな光景を見ている事しかなかった。


611Classical名無しさん:07/12/10 22:09 ID:MhGwm5BI
                          
612地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:10 ID:BKoea6mE
「ジョジョ!?」
「うるせぇよッ!」
叫び声を上げるナギの元へ、一旦武装錬金を解除した刃牙が迫り来る。
いや、刃牙の異常に発達した脚力により、既に数歩目の前まで辿り着いていた。
ジョジョの安否が知りたいナギは、未だ刃牙に対して対応が取れていない
慌てて、ナギは先程思わず戻していたスパイスガールを再び発現。
スパイスガールの拳を振るうが、所詮ナギはこの殺し合いで初めてスタンド能力を使えるようになった者。
圧倒的な経験、肉体、技術を併せ持つ刃牙にそうそう当たるものではない。
「しゅッ!」
スパイスガールの右頬にナギにとっては、あまりに強烈すぎる刃牙の拳が飛び込む。
「げふ……くそっ!」
伝達されたダメージによりナギは思わず俯き、次第に口の中で不快な血の味が回っていく。
だが、ジョジョのためにここは負けられない。
そう思い、ありったけの勇気を振り絞り、目の前の男の動きを追おうとナギは顔を上げる。
しかし、目の前の男は自分の視界には見当たらない。
何故視界に居ないのか? ナギがそんな事を考えている内に……
「がっ!?」
「やっぱり何も出来ねぇんだよお前はッ!」
瞬時に身体を屈め、上向きになっていたナギの視界から消えていた刃牙が、声を張り上げて姿を現す。
その屈強な右腕で、対照的にあまりにも華奢なナギの首を掴みながら。
刃牙の恐ろしい力により、ナギの身体は宙に浮いている。
今まで散々手こずらせて来た承太郎とナギの二人を倒す事が出来たという、喜びを噛み締め、刃牙は笑っていた。
「がっ……そ……そんな……こと――」
「ほら! 空中遊泳ってヤツだ!」
首輪の部分には触れないように首を絞められている事により、上手く声が出せないナギ。
そんなナギを刃牙は嬉しそうに、彼女の小柄な身体を力任せに喫茶店の方へ投げ飛ばす。
承太郎を倒した今、どう考えても自分が負ける要素が見当たらない刃牙は余裕であり、
ジリジリと痛みを与えながらナギを殺そうと考えていた。
それは先程のスパイスガールへの攻撃も同じであり、手加減をし今もやろうと思えば、
そのまま首を締め上げて殺す事も出来た。
613Classical名無しさん:07/12/10 22:11 ID:MhGwm5BI
しえn
614Classical名無しさん:07/12/10 22:12 ID:vK59oXjE
615地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:12 ID:BKoea6mE
「くっ! スパイスガールッ!!」
空中に投げ出されたナギは再度スパイスガールを発現し、自分自身を受け止めらせる。
「大丈夫デスカ? ナギ?」
「よくやったのだスパイスガール!」
依然、固い意志を秘めた眼を輝かせながら、ナギはスパイスガールに礼を言い、大地に降り立つ。
「そうだ、俺言い忘れてたんだけどさ〜」
そんな時刃牙は、ファイティングポーズは取らずに背中を掻きながら、彼はどことなく茶化した声で口を開く。
勿論、自分を侮辱したナギを殺すという目的には変わりは無いし、万が一にも自分が負けるとは思っていない。
只、無力な存在の癖に一向に戦意を落とさないナギを別の方面で仕掛ける事にしてみたのだ。
強いて言うなれば死に掛けた獲物に対して只の余興。
気に食わないナギに、絶望と言う感情を与えるために。
「俺の知り合いがさぁ、もう概に三人殺してるんだよねぇ。
その三人の中に……お前と同じような制服を着ているヤツが居たっけなぁ」
「なっ! なんだと!?」
刃牙は嘘は言っていない。
刃牙が見たのは血を抜かれた高良みゆきの死体だったが、彼女が生前着ていた制服もまたピンク色をしていた。
よく思い出してみれば、色は似ているとはいっても形が似ているかどうかは怪しい。
だが、刃牙はその情報を、誰が手を下したのかを隠しておく事にした。
この方が相手に不安感を与えやすい、そう思ったからだ。
「ま……まさかそいつは……」
「そ! その人はピンク色の髪の毛をしていましたか!?」
今まで、圧倒的な闘いを目の当たりにし、何も行動できなかったハヤテが口を開く。
ナギと同じような制服……ハヤテとナギには思い当たる人物が居た。
第二回の放送では呼ばれなかったが今も無事かは、全くわからない桂ヒナギク。
彼女の存在がハヤテとナギの脳裏に浮かんでいた。
(お願いだ……違うと……違うと言ってください!!)
心の中でハヤテは強く願う。
ハヤテはずっとナギやマリアやヒナギクが死んでしまったらどうするか考え、ある考えを振りほどいて来たからだ。
そんなハヤテの真剣な表情を見て刃牙は……笑っていた。
只、残酷に笑っていた。
616Classical名無しさん:07/12/10 22:13 ID:MhGwm5BI
                        
617地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:13 ID:BKoea6mE
「ああ! そういえばピンク色の髪の毛をしてたなぁ! もしかしてお前達の知り合いか?
ソイツは残念だったなァ……ハハハハハハハハハ!!」
きっとみゆきの死体がピンク色の髪の毛をしていなくても、そうだと刃牙は答えたに違いない。
ハヤテの必死な表情を見て、刃牙の喜びは更に増大していた。
その笑い顔は悪魔……そう表現出来る程の物だった。
「バ! バカもん! 未だヒナギクと決まったわけでない!」
動揺しながらも、ナギが声を張り上げる。
もしかしたらこの男が言っている事は、真っ赤な嘘という可能性もあるからだ。
そんな不確定な事を鵜呑みにするわけにはいかない。
いや、そんな事をナギは認めたくなかった。
自分の憧れの存在である、ヒナギクが死んだという事実は。
「まぁどっちでもいいけどさぁ〜そうだもう一つ忘れてたなァ」
思い出したように、刃牙は左の掌を右拳でポンと叩く。
ナギの行動を面白そうに眺めながら、刃牙は依然真剣な様子は見せない。
どうやら自分の言葉は予想以上に効果があったようだ。
そんなどす黒い感情を胸に秘めながら、刃牙は思考を走らせる。
自分に対して後悔させてやるとふざけた事を言ったナギを、逆にどんな後悔を与えながら殺すかという事を。
「俺はさっき倒したジョジョと一対一で、正々堂々と闘りたかったんだけどさ。
お前が邪魔したせいで、結局オシャカになったんだ……フェアじゃないよなぁこれはさァ?」
以前の刃牙なら正々堂々と強者である、承太郎と闘いたいと思っただろう。
だが、今の刃牙の額にはかって花京院典明、ジャン・ピエール・ポルナレフといった、
黄金の精神を持つ者達すらも暴走させた肉の芽が存在している。
今の刃牙には、過程や方法などどうでもよく只勝利のみを望んでいるため、正々堂々という言葉は意味を成さない。
そんな事を口に出した途端、刃牙は疾走する。
生意気なナギに止めを刺すために……いや、それは違った。
「ハ! ハヤテッ!!」
スパイスガールを発現し、たった今叫んだナギではなく、刃牙は呆然と立っていたハヤテの方へ走り出し、
彼の腹部にミドルキックを叩き込んでいた。
叩き込まれた衝撃により、ハヤテが苦痛に塗れた声にならないような嗚咽を上げる。
618Classical名無しさん:07/12/10 22:14 ID:MhGwm5BI
                         
619地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:15 ID:BKoea6mE
「へぇ、只の貧弱野郎かと思ったけど少しは鍛えてるんだなアンタ。だったらもうすこし力入れるぜッ!」
幼い時からのバイト、日々の筋トレにより予想よりも鍛えられていたハヤテの肉体に、ほんの少し驚きながら刃牙は口を開く。
そして刃牙は更に、大地を駆ける。
大きな動揺を浮かべたナギの方ではなく、刃牙の蹴りを受け前屈みの体制になったハヤテの後方へ回る。
笑みを浮かべながら、先程の蹴りよりも力を込めてハヤテの右肩にハイキックを繰り出す。
刃牙が今まで経験してきた、範馬勇次郎、花山薫、烈海王、ジャック・ハンマーなどいった相手との闘い。
そんな相手との壮絶な闘いの経験をハヤテは持ち合わせていない。
そんなハヤテに、手加減しているとはいえ、強烈なものには変わりない刃牙の蹴りが直撃。
更に大きい呻き声を上げたハヤテに対して、今度は前方に回りこみ刃牙はハヤテの右頬に拳を打ち込む。
「や、やめてくれ……ハヤテではなく私の方を狙え……」
倒れこんだハヤテの首根っこを強引に掴み、ハヤテが宙に吊り上げられたのを見て、ナギが小さな声を上げる。
先程までの威勢のいい態度は消え失せ、ナギは只ハヤテの事が心配で、怯えていた。
ハヤテが死んでしまったら……そんな恐怖がナギの思考を支配していく。
恐怖を振りほどき、ハヤテを助けようとナギは走り出そうとする。
だが、その時何か鈍い音が響いた。
苦しそうな表情を浮かべたハヤテが、刃牙に放り投げられ大地に落ちた音が。

「ハヤテーッ!!」
「ハッハッハァー! イイ気分だ! 歌でも歌いたいイイ気分ってヤツだなッ!!」
ナギの悲痛な叫びを聞き、刃牙は嬉しそうに吼える。
刃牙はハヤテに止めを刺す気はなかった。
DIOに血液を届けるために、新鮮な人間を一人は残しておこうと思ったからだ。
一人新鮮なものを差し出せば、残りは別に死体でも構わないだろう。
そう思い刃牙は再び狙いを付ける。
散々痛みつけられたハヤテの事が心配のあまり、無意識的にスパイスガールを戻したナギに。
620Classical名無しさん:07/12/10 22:15 ID:gn75pBAg
承諾太郎ふいたwwww
621Classical名無しさん:07/12/10 22:15 ID:MhGwm5BI
                                
622地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:16 ID:BKoea6mE
「次はお前だッッッ!!」
今までのものよりも更に速い速度で、ナギに向かって駆ける。
そんな刃牙の動きを見て、ナギは慌ててスパイスガールを発現しようとするが、未だ残る動揺のせいで動く事が出来ない。
無常にも刃牙とナギの距離が瞬く間に縮まっていく。
『遂に殺せる』そう確信した刃牙だったがそんな時、彼の視界に光を放つ何かが入る。
大きさの度合いにばらつきがある、割れたガラス片が真っ直ぐ向かってきていた。
何故ガラス片が飛んできたかよりも、先ずは避わす事を刃牙は当然考えた。
かなり速い速度を伴ったガラス片であり、自分も加速を付けていたので回避するのは難しい。
だが、それは一般人の場合の話だ。
刃牙には日々の特訓や実戦で鍛えた両眼がある。
ガラスの軌道を読み、加速は緩めずに刃牙は悠々と全て回避しようとするが……それは叶わなかった。

「何ッ! こ! これはッ!!」
何故か刃牙に向かってきたガラス片の数が、一瞬の内に倍以上に増えていたからだ。
まるで時が二秒程吹き飛んだような現象。
刃牙はこれと同じような現象を知っている。
そう、あのDIOと同じような力。
そんな事を考えながら、刃牙はその場で踏み止まり、避わしきれないガラス片を両腕で捌く。
だが、予想外のガラス片の出現により、全ては捌き切れず、一片の大きなガラス片が刃牙の左肩に突き刺さる。
血液の噴出など、気にせず刃牙は力任せにそのガラス片を引っこ抜く。
左肩に視線を落としていた、刃牙が顔を上げた時、彼は見た。

「お! 遅いぞジョジョ!!」
「少しセコイ手だったかもしれねぇが……てめーにはかまわねぇか。
さて、また俺のスタープラチナと殴り合ってもらおうか……?」
ナギの歓声のような叫び声が響き渡る。
そこには、スタープラチナを従えながらユラリと宙に承太郎が浮いていた。
623Classical名無しさん:07/12/10 22:17 ID:MhGwm5BI
                             
624地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:17 ID:BKoea6mE
「へぇ……さっきのガラスといい、ホントに驚いたよ。
じゃあまたやろうぜぇ……命の取り合いをよッ!!」
スタンドパワーを高める事で、承太郎やDIOは浮遊する事ができるが、当然その事を知らない刃牙が口を開く。
承太郎は先程、先ずはスタープラチナの左腕で拾い集めたガラス片を投げた。
ハヤテのような一般人だと危険を感じ、時間的余裕を持って回避しようとするだろう。
だが、刃牙や承太郎のような戦闘に慣れ、自分の身体の動きを隅々まで理解した熟練者は違う。
彼らは最小の動作で、時間で敵の攻撃を回避する術を闘いの中で身に付けている。
だから先程刃牙は最小の動作で、ナギとの距離を詰めるため、時間ぎりぎりでガラス片を避わそうとした。
そこで承太郎はスタープラチナの奥の手、時を二秒程止める能力を発動。
咄嗟に今度はスタープラチナの右腕で拾い集めたガラス片を、刃牙が動くと予想できる位置に投げ込んだ。
スタープラチナの時を止める力はDIOのザ・ワールドとそれと時間の長さは違えども、同じ力。
時を止めている間にスタンドや本体がものを投げた場合、一定の距離を離れる時まで、その動きは止まらない。
その特性を生かした時間差攻撃を承太郎は仕掛けたということだ。
「命の取り合いなんてくだらねぇな……俺は別のやりかたで、てめーをブチのめす」
そう言って承太郎は、右腕の人差し指を刃牙に向ける。

「てめーを裁く……そう、裁くのは俺のスタンドだッ!!」
承太郎が下方へ急降下し、刃牙がそれに構える。
再び刃牙と承太郎の闘いの幕が上がった。

◇  ◆  ◇
625Classical名無しさん:07/12/10 22:18 ID:MhGwm5BI
                          
626地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:19 ID:BKoea6mE
「大丈夫かハヤテ!?」
「ええ……申し訳ございませんお嬢様。ジョジョさんは無事だったんですね」
「そんなの当たり前だ! ジョジョがあれくらいで死ぬもんか! それに私のスパイスガールで、
ヤツのでっかい手の一部分を柔らかくしたのだ!」
地に伏せていたハヤテの元へ、ナギが小さい歩幅で駆けつける。
ハヤテが思ったよりも大丈夫そうな事に安堵したナギは、自慢げに自分がやった事を話す。
そう先程ピーキーガリバーに薙ぎ払われそうになった時、どうせ自分の脚力だと無理だと思い、避わす事は諦めていた。
よってスパイスガールを使って少しでも衝撃を減らそうとし、ピーキーガリバーが直撃する時に承太郎は、
時を止めナギを突き飛ばしたという事だ。

「そうですか……けどジョジョさんの体にはガラスが突き刺さっています。
無理しないといいんですが……」
「そうだな……けどあの二人の闘いに私達が介入する手段はない。
ジョジョの勝利を祈るぞハヤテ!」
「わかりました」
ナギが何故スタンド能力を得たのかという疑問は残ったが、今は聞くべきではない。
そう思いハヤテは熾烈な闘いを繰り広げる、刃牙と承太郎の方へ視線を向ける。
その表情には様々な感情が入り乱れていた。

再び始まった刃牙と承太郎の闘い。
承太郎には先程の闘いの他に、ピーキーガリバーによるダメージ、ガラス片による出血。
刃牙の方はDIOと鳴海との闘いの傷は、核鉄の力により大分癒され、先程の承太郎とのダメージくらいで、今もなお核鉄の恩恵を受けている。
刃牙にはピーキーガリバーなど使わなくとも、存分に己の肉体で闘えるからだ。
状況はどちらかというと刃牙の方が有利、だが……現実は違っていた。

「ガハッ……な、なんでだ!?」
スタープラチナの拳を鳩尾に受け、刃牙が嗚咽を漏らす。
反撃のハイキックを刃牙は、スタープラチナの頭に叩き込もうとする。
だが、スタープラチナは刃牙の蹴りが迫る瞬間に瞬時に後ろに倒れこむ。
地に背中がつく瞬間に、右腕を地に広げ身体を固定し、逆にスタープラチナは強烈なハイキックを刃牙の頭部に繰り出す。
627Classical名無しさん:07/12/10 22:19 ID:vK59oXjE
628地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:20 ID:BKoea6mE
「グッ……てめぇぇぇッッッ!!」
「これだけは言ってやるぜ……お前が弱いわけじゃねぇ」
馬鹿にされたような気がし、刃牙は逆上しながら拳をスタープラチナに向かって叩き落す。
だが承太郎の言葉と同時に、スタープラチナがその腕を使って、勢い良く飛び上がる。
虚しく空を切る刃牙の拳。
先程の動きとは全くキレが違うスタープラチナに、驚く刃牙に拳が叩き落とされる。

「ガッ……ウオオオォォォッッッ!!」
「かといって俺が強いわけじゃねぇ……単純(シンプル)な答えだ」
今度は左肩へのスタープラチナの強力な打撃。
ガラス片によって生まれた傷から血が噴出し始めるが、刃牙は気にしない。
そんな事を気にする間もなく、ボディブローを繰り出そうとする。
だが、スタープラチナは刃牙の拳が突き出された位置から、大幅に離れた位置に居た。
またあの力か? そう思いスタープラチナの時を止める力を恨みながら、刃牙は再度拳を放とうとする。

「ガハァッ……くそおおおぉぉぉッッッ!!」
「そう単純(シンプル)な答え、てめーの敗因はたったひとつだ……」
刃牙が気付いた時には既に動作に入っていたスタープラチナが、刃牙の拳よりも速く繰り出される。
今度は強烈なボディブローが。
度重なる衝撃、屈辱に刃牙は怒りに任せ、口を大きく開く。
スタープラチナの身体を食い千切ろうと、闘争心を露にしながら飛び掛る。
だが、承太郎の口は未だ止まらない。
刃牙が認めようとしない、彼の敗因を証明する言葉。
承太郎は未だ言っていない。

「てめーは俺を……いや違うな、てめーは俺達を怒らせた」
629Classical名無しさん:07/12/10 22:20 ID:MhGwm5BI
                                                 
630Classical名無しさん:07/12/10 22:20 ID:vK59oXjE
631地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:22 ID:BKoea6mE
迫りくる刃牙に承太郎は静かにそう呟く。
喫茶店に薙ぎ払われ、あまりの衝撃に一瞬気を失った後、目を覚ました時に聞いた言葉。
その言葉で刃牙がナギとハヤテを痛みつけている事を知った承太郎。
その怒りを糧にしスタンドパワーを全開にし、ガラスが突き刺さった身体から血が噴出しているのを、
無視してスタープラチナを最大限まで動かした承太郎。
その承太郎が呟いた言葉を受け、更に表情を歪ませた刃牙に……
「オラアッ!!」
スタープラチナの渾身の拳が刃牙の頬に叩き込まれ、刃牙は派手に後方へ吹っ飛んだ。

◇  ◆  ◇

「やった! さすがジョジョだ!!」
「来るなナギ! どうやらまだ終わりじゃねぇらしい……」
両手を挙げ、ピョコピョコ飛び跳ねながら、ナギが近づこうとするのを承太郎は制止する。
夥しい血液を流しながら、承太郎は一点を見つめる。
その視線の先には仰向けになった刃牙の身体。
気絶したのだろう、そうハヤテとナギは思っていたが……突然の刃牙の身体が跳ね上がった。
「こんな…………こんなところで負けるワケにはいかないんだ……ウオオオォォォッッッ!!」
このジョジョという男、ナギという少女を殺し、ハヤテという男を連れて行く。
そしてDIOに力を授かり、その力で勇次郎を殺し、最後にはDIOさえも殺しこの殺し合いのチャンプとなる。
その夢のビジョンを崩させるわけにはいかない。
そんな願望が刃牙に湧き上がり、同時に彼の脳内である物質が分泌される。
『エンドルフィン』という名を持つ物質であり、モルヒネと同様の物質。
高揚感、幸福感を引き出す物質であり、依存性が強く『脳内麻薬』とも呼ばれる代物。
刃牙はある特訓でこれを自在に分泌する事が出来るようになり、集中力、身体能力を向上できる。
それをたった今、刃牙は行っていた。
「てめぇは俺がーーーーーブッ殺すッッッ!!」
高められた身体能力を使い、刃牙が跳ぶ。
跳躍の瞬間に大地を蹴り上げた衝撃で、不自然な窪みが造られる。
目的はたったひとつ、ナギという少女よりも更に気に食わない承太郎を殺す。
今の彼にはそれしか考えられない。
632Classical名無しさん:07/12/10 22:23 ID:MhGwm5BI
                       
633Classical名無しさん:07/12/10 22:23 ID:vK59oXjE
634地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:23 ID:BKoea6mE
「やれやれ……てめーもDIOのようにクサってやがるぜ」
承太郎も覚悟を決め、再びスタンドパワーを全開まで引き出す。
溢れ出すスタンドパワーを使い宙に浮き、跳躍した刃牙に向かう。
出来れば殺人は避けたかったが、この男を野放しには出来ない。
今まで敵は再起不能にさせただけで殺した敵はDIOただ一人だった、承太郎も遂に刃牙を殺す決意を固める。

「やっぱりDIO様を知ってるのか! ならなおさらだッッッ!!」
「なにッ! てめーDIOを知ってやがるのかッ!?」
更に距離が接近したところで、承太郎は刃牙の言葉に驚く。
この男はDIOの手下か? そう思い承太郎は、その時初めて気付いた。
風圧によって乱れた刃牙の髪の分け目の辺りに、存在している肉の芽の事に。
(そういうことか……俺としたことがヘマかましたようだな)
今まで首輪の解除、闘いへの集中、死んだDIOを参加者にするこの殺し合いの仕掛け。
そして再び自分の前に立ちはだかると思われるDIOのザ・ワールド。
それらの事に気を取られすぎ、承太郎は気付けなかった。
DIOが肉の芽を使って、手下を増やしている事に。
ここで時を止めて、肉の芽を取っても目の前の只ならぬ攻撃を受ける事になるだろう。
だが、肉の芽を放って置く事も出来ない。
肉の芽を植えつけられた者は、DIOの手足となり危険を撒き散らす存在だからだ。
二つに一つの選択を承太郎は、一秒にも満たない時間で委ねられた。

635Classical名無しさん:07/12/10 22:24 ID:MhGwm5BI
                              
636地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:26 ID:BKoea6mE
「ウオオオォォォッッッーーーーちぇりりりゃゃゃゃゃッッッ!!」
足の親指から足首、足首から膝、膝から股関節、股関節から腰、腰から肩、肩から肘、肘から手首への関節。
これら同時八ヶ所を加速させることにより生み出される正拳突き。
愚地独歩の息子、愚地克己から見よう見まねで覚えた技。
その拳の速度は音速を超えるとも言われる『音速拳』を刃牙は承太郎に放つ。
身体の調子が完全とは到底言えず、至るところで悲鳴が響くがそんな事はどうでもいい。
狙いは左胸、心臓……一切の手加減をかけるハズはない。

そしてその瞬間、時は止まった。
「スターフィンガーッッッ!!」
スタープラチナの時を止める力。
静止した空間で刃牙に対して承太郎は、右の人差し指と中指を伸ばし、彼に向かって突き出す。
承太郎は選択する……たったひとつの選択を。

◇  ◆  ◇
637Classical名無しさん:07/12/10 22:26 ID:MhGwm5BI
                           
638Classical名無しさん:07/12/10 22:26 ID:vK59oXjE
639地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:27 ID:BKoea6mE
一人の男が地にゆっくりと落下する。
特に頭部、左肩、下腹部、鳩尾の箇所に痛々しい傷を負った青年。
範馬刃牙が虚ろな表情を浮かべ地に落ち、大地に伏せる。
スターフィンガーの衝撃のせいか、刃牙が一向に動く様子はない。
そして……
「ジ……ジョジョーーーーーッ!!」
三千院ナギの悲鳴が周囲に木霊する。
そう、刃牙が地に落ちた数秒後に空条承太郎の身体が同じように落下した。
音速拳をスタープラチナの胸ごと、己の胸に叩き込まれた承太郎。
左胸に不自然な空洞が空き、その傷口から、口から夥しい血液を撒き散らしていた。
承太郎もまた刃牙と同じように、動こうとはしなかった。

「し……しっかりするのだジョジョ!!」
「…………ああ」
ナギが承太郎の下へ駆け寄り、忙しなく彼の身体を揺する。
だが承太郎は普段よりも、更に短い言葉でしか喋らない。
「わ……私のスパイスガールとジョジョのスタープラチナは最強コンビなのだ!
きっと全世界の支配者にだってなれるぞ!!」
「…………そうだ……な」
ナギの馬鹿らしい言葉にも、一切嫌な顔はせずに承太郎は答える。
だが今回もあまりに短い言葉のみ。
只、そんな言葉の数とは裏腹に胸から流れ出る血液の量は多くなっていく。
「そ……そうだ! そこに私のハヤテとジョジョが言ってたジョセフっていうジイさんを加えよう! これで無敵のカルテットの完成だ!
ハヤテだけスタンドがないけどなーに心配ない! 適当なDISCを手に入れればいい!!」
「…………悪く…………ねぇ……な……」
早口で捲くし立てるナギに承太郎が答える。
依然、承太郎の言葉は短い。
最早DISCの事について聞く余裕も無いのだろう。
640Classical名無しさん:07/12/10 22:28 ID:MhGwm5BI
                        
641Classical名無しさん:07/12/10 22:29 ID:vK59oXjE
642地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:29 ID:BKoea6mE
「そう思うだろ!? きっと全宇宙さえも支配できるのだ! あの光成っていうフザけたジジイもブチのめせるぞジョジョ!!
だから…………………………」
ここにきて流暢に喋っていたナギの言葉が詰まる。
何を言うべきか考えが尽きたわけではない。
只、単に言葉が詰まってしまった……承太郎の言葉が段々小さくなっていくから。
悲しみがナギの小さな胸を締めつけていく。
「だから……だから…………死んだらダメだ………………。
もし、本当に万が一死んだりしたら…………許さないぞ…………」
顔を真っ赤にさせ、ナギが口を開く。
最後まで僅かな希望をあきらめはしない、してたまるもんか!
そんな意思を秘めた瞳で承太郎に話しかける。
「私は…………三千院ナギは許さない……絶対にだ……だから……
死んじゃいやだ…………ジョジョーーーーーッ!!」
ありったけの大声でナギが叫ぶ。
両の頬には涙が太い線を描くように流れている。
頬から流れ落ちた涙が承太郎の制服をしっとりと濡らしていく。
只、ほんの少しだけだが。
643Classical名無しさん:07/12/10 22:30 ID:gn75pBAg
 
644Classical名無しさん:07/12/10 22:30 ID:MhGwm5BI
しえん
645地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:31 ID:BKoea6mE
「…………ピーピー泣くんじ……ゃねぇ……」
そう言った途端、承太郎はナギの胸ぐらを掴む。
突然の承太郎の行動にナギは思わず、眼を丸くする。
「泣くヒマがあるなら…………強くなれ……もう二度とこんな、なさけねぇ顔で
…………後悔しねぇように…………な」
今までとは比べ物にならないほどの量の言葉を、承太郎は発する。
依然、口からも血を流しながら。
「おめーには…………スタンドがあ……る。スタンドは……誇りだ…………
自信をもてナギ…………そうすれ…………ば……おめーは……どこまでも…………
強くなれ……る…………それだけだ…………」
承太郎の言葉にナギが小さな頭を、上下に振りコクコクと頷く。
両眼には今にも溢れそうな涙を浮かべながら。
そんな時ナギは承太郎の表情が僅かに緩んだような気がした。
ほんの僅か……ほんの僅かな緩みが。
「そうい…………う…………コト………………だ……………………
じゃ……………………あ………………な…………ナ………ギ…………………」
ナギの胸ぐらを掴んでいた承太郎の腕が力無く落ちる。
承太郎の身体に限界の文字が滲む。
刹那。
ナギの叫び声が響く。
喉が潰れてしまうと思える程悲痛で、大きな声が響いていた。

◇  ◆  ◇
646Classical名無しさん:07/12/10 22:32 ID:vK59oXjE
647Classical名無しさん:07/12/10 22:32 ID:MhGwm5BI
                            
648地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:32 ID:BKoea6mE
実際には数十秒、だがナギにとっては数時間にも感じられた時間。
その時間の間ナギは泣き続けていた。
恥もへったくれもない程に、顔をボロボロにさせながらも泣いていた。
そんな状況で動きが起きた。

(俺は……生きてるのか………?)
スターフィンガーを受け、しこたま地面に倒れこんだ刃牙の意識が覚醒する。
だが、承太郎との闘いでの負傷により、鳴海に受けた傷も更に開いていた。
とても動けるような身体ではなく、満身創痍の刃牙。
(早く……立たねぇ……と…………)
だが、そんな身体に鞭を打ち、刃牙は立ち上がろうとする。
力を入れ、少し動かすたびに血が滲み出る刃牙のボロボロな身体。
常人なら、一先ず休む事を選択するだろうが、刃牙はしようとはしない。
(俺には…………やる……コト……が……)
刃牙にはやるべき事がある。
その目的のために序々に身体の節々を動かす事が出来るようになったが、未だ顔を上げる力は出ない。
だがあきらめるわけにはもいかない。
649Classical名無しさん:07/12/10 22:33 ID:MhGwm5BI
                       
650Classical名無しさん:07/12/10 22:33 ID:YW1DmxcY
651地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:34 ID:BKoea6mE
(うごけ……うごけよ…………なん………だ……?) 「――――金」
更に力を入れた刃牙は不思議に思う。
今聞こえた声はなんと言ったのだろう?
更にその後あのナギという少女が何か言っているのが聞こえる。
一体何を? そう思った瞬間、刃牙は違和感を覚えた。

ゴン!

頭に重い衝撃が走る。これは拳による打撃か?

ゴン!ゴン!

更にもう二発、先程より重い衝撃が襲う。
生暖かい液体が髪に纏わりつく。
だがあまりに大きすぎる衝撃……まさかこれは……

ゴン!ゴン!ゴン!

ピーキーガリバーの拳か?ならばさっきの声は武装連金を発動した掛け声……。
こんなことが……こんなことがあって…………たまるか……。
652Classical名無しさん:07/12/10 22:34 ID:MhGwm5BI
                          
653Classical名無しさん:07/12/10 22:34 ID:YurH3AO6
ハヤテ何やってんの?
654地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:35 ID:BKoea6mE
ゴン!ゴン!ゴン!ゴン!ゴン!ゴン!

急に拳の速度が上がった。
身体が冷たくなり、意識が朦朧としてくる。
このままじゃ…………………………まず……………い。
けどこのまま……………死んで……………たまる……………か。

(俺は……………俺は……………まだやり……………終えちゃあいな……………
い…………………………ん……………だ……………ァ)
ゴン!!
最後の、ピーキーガリバーの一撃が刃牙に振り下ろされる。
やがて、赤い鮮血を噴出しながらあっけなく割れた。
傷だらけの刃牙の頭部が。

◇  ◆  ◇
655Classical名無しさん:07/12/10 22:35 ID:MhGwm5BI
                       
656Classical名無しさん:07/12/10 22:36 ID:vK59oXjE
657Classical名無しさん:07/12/10 22:38 ID:vK59oXjE
658地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:38 ID:BKoea6mE
「な……なにを……やったのだ…………」
三千院ナギが震えながら口を開く。
たった今、自分の目の前で起きた凄惨な光景を目の当たりにして。
「こ……答えろ…………」
震えが全く収まろうとはしない。
今まで体験してきた事の中で最も信じることが出来ない。
こんな事は有り得ない……そんな事を行った人物。
「答えろ……ハヤテッ……!」
ピーキーガリバーで範馬刃牙を撲殺した綾崎ハヤテに対して叫ぶ。
そのナギの言葉を受け、ハヤテはビクっと身体を震わせる。
そしてハヤテはゆっくりとナギの方へ振り向く。
「大丈夫ですか……お嬢様…………?」
刃牙の返り血、脳漿を全身に浴びたハヤテが振り向いた。
更にナギの視線と合うものがあった。
頭をカチ割られ、脳を地に撒き散らした刃牙の、衝撃により飛び出た虚ろな眼球が。
「い…………いやだあああああぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!!!!」
思わず後ずさりし、ナギは後ろにひっくり返る。
その両眼はいつもハヤテを見る時に、見せるようなキラキラしたものではない。
紛れも無い恐怖。
それ以外の感情など持ち合わせてはいない。
尻餅をついても、ナギは必死にハヤテ、刃牙の死体から離れようとする。
659Classical名無しさん:07/12/10 22:38 ID:MhGwm5BI
                          
660地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:39 ID:BKoea6mE
「っ!…………お嬢様…………」
そんなナギの様子を見て、ハヤテは悲しそうな表情を見せ、駆け出す。
だが、ナギの方ではなく、何故か南の方へ。
「ハ…………ハヤテッ!」
駆けて行くハヤテを見て、ナギが言葉を掛けるがハヤテは止まらない。
いつもどんな我侭でも、笑いながら聞いてくれたハヤテが。
追いかけようとしても、ハヤテの走力に追いつけるハズもない。
そんな事を考えている内に、ハヤテの姿はとても小さいものになっていた。
「なぜだ……なぜなのだハヤテ…………」
力なくナギはそう呟く。
周囲に響く音はナギがすすり泣く声しかなかった。

◇  ◆  ◇
661Classical名無しさん:07/12/10 22:39 ID:MhGwm5BI
                           
662Classical名無しさん:07/12/10 22:40 ID:vK59oXjE
663地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:40 ID:BKoea6mE
綾崎ハヤテが全速力で走る。
目的地などなく、三千院ナギから離れるために。
ナギを怖がらせないために。
(喫茶店に居ればきっと赤来さん達が戻ってきます……だから無事で居てくださいお嬢様)
ハヤテは先程の闘いで全く無力な存在だった。
自分が守るべき存在であるナギでさえ、あんな力を持っていたというのに。
自分にも力があれば仲間達を救えるかもしれない……そんな事を何度も思った。
そんな時刃牙がナギと同じような制服を着て、ピンク色の髪の少女が死んだと笑いながら言ったのを聞き、
ハヤテの頭の中は真っ白になっていた。
(恐らくあの人……僕が殺した人が言ってたことは本当だ……あの人に嘘をつくメリットはない。
時間稼ぎなどしても、あの人程の力なら僕とお嬢様を殺す事など簡単だからだ……)
ヒナギクが死んだ……大事な友達であるヒナギクが。
あまりのショックで、刃牙の攻撃になにも反応が示せなかった。
せめてお嬢様だけは守って死のう……そう思ったとき承太郎が現れた。
(ごめんなさいジョジョさん……僕に少しでも力があれば…………)
復活した承太郎の強さにすべてが収まるとハヤテは安堵していた。
だが承太郎の胸に風穴が空いたとき、再びハヤテを絶望が襲う。
ナギが必死に話しかけている姿が痛々しく、何も声を掛けられない無力な自分。
承太郎が息を引き取った時、ハヤテは涙が落とした。
『なんでジョジョさんが死なないといけない!』 何度も何度もそう思った。
やがて、何秒か経った後ハヤテは見てしまった。
刃牙の身体が僅かに動いた姿を。
(僕は……僕は取り返しのつかないことを……)
『何故この人は生きようとしているのか? ジョジョさんが死んでしまったのに! この人は……許せない!』
思わず湧き上がった感情。
自分でも驚くくらい、殺意に満ちた感情をハヤテは持った。
そこから先は……気付いたら核鉄を持ち、刃牙が言った言葉を同じように言い、殴っていた。
生を求めようとしていた刃牙を。
664地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:41 ID:BKoea6mE
(あんなことをやった僕がお嬢様と共に居てはいけない……わかってるさ。
僕はあれだけの事をしてしまったんだ……当然の報いだ)
初めて殺人を犯した事をハヤテは信じられなく、呆然としていた時にナギの叫び声が耳に入った。
恐る恐るナギの方をハヤテは振り向いたが、彼女は脅えていた。
いや、実際は刃牙の凄惨な死体がギの恐怖の大部分を占めていたが、ハヤテはそれを拒絶と受け取ってしまった。
ナギの恐怖一色の大きな瞳。
その瞳を見ているのがたまらなく嫌になったハヤテは無我夢中に駆け出した。
(僕はこれからどうすればいいんだ…………?)
許されない罪を犯し、守るべき主人さえも脅えさせたハヤテ。
『自分はどうするべきなのか』そう思い悩むハヤテにある考えが芽生えた。
(そうだ……マリアさんに全てこの事を話して、助言を貰おう。
マリアさんはいつだって僕に優しい言葉を掛けてくれた……きっと上手くいくはずだ!)
新たな目的が出来たことでハヤテの足取りが僅かに軽くなる。
何故かハヤテの表情すらも明るくなっている。
自分の理論がどこかおかしいものになっている事に気付かぬまま。
(待っててください……マリアさん)
ハヤテは依然走り続ける。

◇  ◆  ◇
665Classical名無しさん:07/12/10 22:41 ID:MhGwm5BI
しえん
666Classical名無しさん:07/12/10 22:41 ID:vK59oXjE
667地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:42 ID:BKoea6mE
喫茶店付近で二人の青年の死体が横たわり、一人の少女が蹲っている。
脳をブチ撒けた青年の死体の傍に奇妙な物体が転がっていた。
それはスターフィンガーによって串刺しにされ、取り除かれた物体。
それはおぞましい親指程度の物体。
それは範馬刃牙に植え付けられていた物体。
肉の芽が大きな風穴を空けて、転がっていた。
その事実に気付いた者は……空条承太郎を除いて誰も居ない。



【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険:死亡確認】
【範馬刃牙@グラップラー刃牙:死亡確認】
【残り34人】
668Classical名無しさん:07/12/10 22:42 ID:MhGwm5BI
                     
669地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:44 ID:BKoea6mE
【D-3 北部 一日目 夕方】
【三千院ナギ@ハヤテのごとく!】
[状態]全身に打撲、右頬に中程度のダメージ、首に痣あり、精神疲労(大)
[装備]スパイスガール@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]無し
[思考・状況]
基本:殺し合いはしない
1:ジョジョ……ハヤテ……
2:ハヤテ、マリア、ヒナギク、ジョセフと合流する。
3:カズキの恋人という『斗貴子』とやらに会って、カズキの死を伝える。
参戦時期:原作6巻終了後
[備考]
※スパイスガールが出せるかは不明です
※ハヤテの変貌に恐怖を感じています。またハヤテの事が気懸かりになっています
※ヒナギクが死んだ事に当然確信はありません
670地獄の季節 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:45 ID:BKoea6mE
【D-4 中部 1日目 夕方(放送直前)】
【綾崎ハヤテ@ハヤテのごとく!】
[状態]精神不安定、下腹部、左肩、右頬に中程度のダメージ、中程度の疲労、核鉄 により自己治癒中
[装備]454カスール カスタムオート(7/7)@HELLSING、
[道具]核鉄(ピーキーガリバー)、支給品一式-水少量 13mm爆裂鉄鋼弾(35発)、ニードルナイフ(15本)@北斗の拳 女装服
音響手榴弾・催涙手榴弾・黄燐手榴弾、ベレッタM92(弾丸数8/15)
[思考・状況]
基本: ??????????????????
1:マリアと合流する
2:力を得る
3:自分がやった事に強い戸惑い
4:もし、首輪を解除できずに乗ってない人だけが残ったら……?
[備考]
※判断力が低下しているためヒナギクは死んだと思っています


[共通備考]
※喫茶店のテーブルに首輪探知機@漫画版バトルロワイアル 不明支給品0〜3(フェイスレス・ナギ)が放置されています
※ナギや刃牙の近くに支給品一式×4、フェイスレスの首輪、不明支給品0〜2(本人は確認済。核鉄の可能性は低い)が放置されています
671Classical名無しさん:07/12/10 22:45 ID:MhGwm5BI
                  
672Classical名無しさん:07/12/10 22:46 ID:YurH3AO6
 
673 ◆3OcZUGDYUo :07/12/10 22:47 ID:BKoea6mE
投下終了しました。
長い間支援どうもありがとうございました。
矛盾点などのご指摘をお願いします。

承諾太郎は……すいません、ほんとにミスりました。
wikiに収録され次第修正します。
674Classical名無しさん:07/12/10 22:51 ID:ZFd8SOqA
投下乙
ナギと承太郎のコンビは燃えたが
承太郎とバキがここで死亡かぁ
バキの改心フラグかと思ったがやっぱバトロワは甘くなかった

そしてハヤテ病み状態
素晴らしき勘違い執事だな
このままどんどん堕ちるとこまで堕ちてもらいたい
DIO様と組むのが望ましいか
675Classical名無しさん:07/12/10 22:51 ID:hGdnJIjQ
投下乙。
あと矛盾点というか、音速拳じゃ胴体貫通は厳しいと思います
676Classical名無しさん:07/12/10 22:53 ID:MhGwm5BI
投下乙。やりやがったよこの執事!
この命を賭けた一撃が実らなかったのは激しく鬱ってますね。
承太郎の不死神話はついに終わったか。でもこの散り様はいいわぁ。

細かいですが>>578の最後の行、刃牙が牙刃になってますよ。
677Classical名無しさん:07/12/10 22:54 ID:vK59oXjE
投下乙ぅぅッぅ!!!

夢のスタンドタッグにDIOの傀儡に承太郎が殺されるという良展開。
最後の最後で肉の目が解除されたのに結局は死んでいく無情さが好物です。
熱さと無情さがブレンドされた良策でした。
GJ!!

描写の綿密さは見習いたい。
マジで細かい……凄い。
678Classical名無しさん:07/12/10 22:58 ID:dKlfzIjA
投下乙です。
承太郎…ついにパロロワで初の死亡か…
あと、ハヤテはピーキーガリバーじゃなくて454カスール使った方が早いんじゃ?
いちいちバキの傍に行くより手持ちの銃使った方が早いし、確実だと思うのだが。
679Classical名無しさん:07/12/10 23:08 ID:gn75pBAg
乙です

しかし承りスターフィンガーで肉の芽とってたけど
肉の芽の構造上無理じゃないか??
あと承りがあのタイミングで肉の芽取りに行くのはないと思うんだが

まぁ熱いんだが
ジョジョロワスレ住人からするとまっこと残念だわー
680Classical名無しさん:07/12/10 23:09 ID:63F0eUFw
うわあああああああああああ承太郎おおおおお!!
お前の死を見るのは二度目だが、やっぱり慣れないぜ……
原作と同じく、ジョースター家らしく逝きやがって……

もう、なんつーかGJ! スゲェGJ!!
ハヤテの武装が何げにヤバいよ
バキと『零』のコンビがもう一度みたかった。アイツは放送後にどういう反応するんだろ。
681Classical名無しさん:07/12/10 23:37 ID:Nc2ehses
テラ乙!!
すんげー熱いよこれ! めっさかっこいいしもうね、ナギがたまらんですよ。最高ですよ
承太郎の逝き方も良かった。ハヤテの暴走に至る流れも大層良し! 誤字? そんなものは修正すればいいのです
承太郎対バキ、うんうん、これをきっちり盛り上げてくれるのが嬉しいね〜。ピーキーガリバーテラ強ス
戦闘描写も気合充分。そしてグッバイ、外道バキ。あんたの暴走が見ててめっさおもろかったよ
そしていかすぜヘタレハヤテ、これは想像してなかったwwwwwwwww
承太郎、ナギのかっこよさと外道バキ、ヘタレハヤテが好対照で非常に面白かったですよ
682Classical名無しさん:07/12/11 00:26 ID:jyuflrQU
俺の嫁に奉仕マーダーフラグが立ちまくRYYYYYY!
てか脱空気なのに刃牙戦で役立たずとはw
GJ!
683Classical名無しさん:07/12/11 00:46 ID:KoflFhTo
ただ一言で感想を言わせて頂く、いや、この言葉以外に自分には表現の仕方が分からない、
ただ一言、「熱い」
この言葉に尽きる
684Classical名無しさん:07/12/11 01:34 ID:wRGfnkY.
まぁ! 吉良が嬉しがりそうな話。
685Classical名無しさん:07/12/11 02:13 ID:8WiU0hfM
みゆきさんからヒナギク連想→ハヤテ暴走の流れに全俺が泣いた
しかもその行動があまりに自然すぎるぜGJ!

借金執事はああ見えて戦わせると強いからなぁ
まだ完全にマーダー化してないようだけど
頼みのマリアさんが死んでるだけに危険だ

つか、最近「ハヤテのごとく!」ハマった俺にはこの流れは辛すぎる…
686 ◆3OcZUGDYUo :07/12/11 09:49 ID:K3QXJjrM
感想どうもありがとうございます!
御指摘して貰った誤字などはwikiに収録されしだい修正しますorz
あとナギの現在位置を北部→喫茶店付近とも修正を行うつもりです。

それと気になったのですが現在位置から喫茶店が消えてるの自分のPCだけですかね?
687Classical名無しさん:07/12/11 10:39 ID:ihZb.D3c
俺のも消えてみえるよ。誰も居ないから削除したんじゃね?
688Classical名無しさん:07/12/11 10:59 ID:GTSqUZa2
なぁ、仮面ライダーSPIRITEの大首領って何巻くらいに出てくる?

近所の本屋どこにも売ってねえ……ッ!
689Classical名無しさん:07/12/11 11:13 ID:GTSqUZa2
ゴメン、ちょっと分からなくなった。
真の主催者が大首領で、その下にガモン大佐がいるって感じ?
wikiの主催者項目には大首領しかのってなくて、本編に二回出たのがガモン大佐、
wikipeによると二人は別人臭いんでコンガラガッタ
690Classical名無しさん:07/12/11 11:48 ID:Fk0pW4KM
喫茶店って元から地図には載ってなかったんじゃないのか?
そう思い込んでたんだが……
地図にあったなら、三村が留守電残さなかった理由が無い。
やっちまったぜ……


大首領とガモンは別人だよ
691Classical名無しさん:07/12/11 12:57 ID:K3QXJjrM
>>687
やっぱり消えてますよね。
どうもありがとうございます。

>>689
その通り。大首領の腹心の部下ですね。
今手元に本がないので巻数はちょっとわからないです。
申し訳ない。

>>690
wikiの現在位置には以前書いてありましたが参加者に配られた地図には書いてあるんですかね?
もし書いてなければ問題ないと思いますよ。
できればそちらの方が個人的には嬉しいですが……w

それで度々申し訳ないんですけどハヤテの時間を夕方(放送直前)→夕方に変更します。
やはり後々の展開を縛るのは良くないと思いまして。
692Classical名無しさん:07/12/11 13:46 ID:GTSqUZa2
二人ともdクス!

さて……遠くの書店も廻ってみるか……
693Classical名無しさん:07/12/11 13:54 ID:BxVvBHwc
マップの頁にも喫茶店無いし、元々は載ってなかったんじゃね?
喫茶店内が混沌としてきたから、wiki氏が作っただけで
694Classical名無しさん:07/12/11 18:31 ID:Dp.WKP/g
大総統初登場はZX乗っ取った6巻
695 ◆6YD2p5BHYs :07/12/11 18:32 ID:sJAyrbKU
当漫画ロワでは初投下。
昨日予約した 津村斗貴子 の分、投下開始します。

「ふぅ…………」

窓から吹き込む穏やかな風が、厚いカーテンを静かに蠢かせる。
気だるい午後の日差しが、カーテンの動きに合わせて揺らめく光の波を形作る。
適当に選んで侵入した民家の寝室、夫婦のものらしきダブルベッドの上で、斗貴子は艶っぽい溜息をついた。
やわらか過ぎるスプリングマットの上、指1本持ち上げるのも億劫、といった風で、額に貼りついた前髪を払う。

あまりに多くのことが、ありすぎた。
激情だけで突っ走ってきた斗貴子にも、流石に限界が来ていた。負った傷も深過ぎた。
夢と現の狭間で、彼女はぼんやりとこれまでの出来事を反芻する。

カズキと共に、殺し合いの舞台に放り込まれた。
カズキとは、生きている間にはとうとう再会できなかった。
カズキの死が告げられた。
カズキの死体を見せつけられた。
カズキの死体を嬲られた。
カズキの死体から核鉄を取り出した。
カズキの死体が破壊された。
カズキの死体を投げつけられた。
カズキの死体を串刺しにしてしまった。
カズキの死体が爆散した。
カズキの死体に吹き飛ばされた。
カズキの死体が目の前で消滅した。
カズキの核鉄さえも奪われかけた。
そして、厳しい戦いの中でなんとかカズキの核鉄を取り返し、今、こうして一緒にいる。
カズキを蘇らせるための戦い、その中途で体力の回復を図っている。

「だけど……足りない。足りないんだ」

化粧っ化の無い薄桃色の唇から漏れたのは、どこか悔しそうな呟き。
最愛のカズキを蘇らせるには、自分が優勝するしかない。なのに、これまでの戦績と来たらどうだ。

開始直後の混乱の中、最初に出会ったピエロとは戦いにもならなかった。花山薫が庇ってくれねば死んでいた。
錬金の戦士としての厳しい訓練の日々も、範馬勇次郎の圧倒的な暴力の前には何の役にも立たなかった。
カズキから得た武装練金を手にしても、吉良吉影には敗北に近い痛み分けに持ち込むのが精一杯だった。
そしてしまいには、カズキを殺したとおぼしき赤木しげるにも、傷1つつけられずに逃げられてしまった。

こんな調子では、とてもではないが優勝など望めない。
強者同士が潰しあってくれれば漁夫の利も狙えるかもしれないが、果たしてそこまで上手く行くものかどうか。
いや、これまでのことを考えれば、あまりに虫の良すぎる願いと言ってもいいだろう。
斗貴子は、改めて現状を確認する。

「……足りない。
 想いを貫き通すには……力が、足りない」

左手で核鉄を頭上にかざすように持ち上げ、斗貴子は憂いに満ちた呻き声を漏らす。
彼女に残された力は、カズキの遺品であるこの核鉄1つきり。
あとは何一つ残っていない。彼女自身の肉体さえも五体満足ではない。
右手は吹き飛び、全身に火傷を負い、頭にはナイフまで刺さっていた。
この民家に侵入した際、手近にあったもので大雑把な応急処置はしたが、とても十分な治療とは言えない。
新たな戦闘力の獲得どころか、斗貴子が元々持っている力の発揮すら困難な状況である。

これでは、またさっきのように敗れてしまう。
これでは、またさっきのように核鉄をも奪われてしまう。
これでは、またさっきのように『カズキ』を喪ってしまう。
核鉄とカズキを同一視する自分の思考の歪みに気づくこともなく、斗貴子は顔を歪ませる。

「カズキ……カズキ……。私は、どうすれば……。どうすれば、君のように……!」

誰にも見せたことのない弱々しい表情、弱々しい声で、斗貴子は核鉄に語りかける。
想い人である武藤カズキは、最初はとても弱かった。戦闘技術も体力も、共に不足していた。
けれどもその魂だけは、最初からとても強かった。
絶望的な戦力差があっても、絶望的な状況に追い込まれても、決して諦めようとはしなかった。
斗貴子が諦めかけてしまった時も、彼だけは最後まで諦めなかったのだ。
この1日で散々に自信を打ち砕かれた斗貴子は、カズキの幻の向こうに自分の求める「強さ」を見る。

「私は、弱い……。私は、こんなにも、弱かったんだな……!
 カズキ、どうすれば。
 どうすれば私も、君のように強い『心』を…………………………あ?」

稲光のように、ある考えが脳裏に閃く。
とりとめもなく呟いていた唇が、唐突に動きを止める。
遥かな過去の思い出を彷徨い、甘美な自己憐憫に溺れていた思考が、一瞬にして凍りつく。

そう。
斗貴子は、思い至ってしまったのだった。
その、方法を。
歪みきった愛情の果てにある、ひとつの究極のカタチを。
一瞬呆けたような表情を浮かべた斗貴子は、そしてやがて、ゆっくりと満面の笑みを浮かべる。
もしも誰か見る者がいればゾッとしたに違いない、壊れきった笑みを。

「そうか……簡単なことじゃないか。なんで気付かなかったんだ。
 カズキ。君と、1つになってしまえばいいんだ」

        *     *     *

しゅるり――。

窓から吹き込む穏やかな風が、厚いカーテンを静かに蠢かせる。
気だるい午後の日差しが、カーテンの動きに合わせて揺らめく光の波を形作る。
侵入した民家の、夫婦の寝室とおぼしきダブルベッドの側で……斗貴子は、ゆっくりと上着を脱いでいく。
微かな衣擦れの音が、分厚いカーペットに吸い込まれ、消えていく。

「――ひょっとしたら、こんなことに意味は無いのかもしれない。
 多くのものを失うだけで、私の自己満足にしかならないのかもしれない。それでも……!」

誰が見ているわけでもない薄暗い部屋の中、それでも言い訳じみた呟きを吐きながら、頬を染める。
カズキが妙に執心していた、綺麗なヘソ。美しくくびれたウェスト。小振りながら形のいい乳房。
火傷を負い、無数の掠り傷を負っていても、そのシルエットまでは失われていない。
上半身裸となった斗貴子は、己の胸に手を当てて深く深呼吸する。
自ら望み、自ら決めたこととはいえ、これからやろうとすることを考えると、思わず動悸が激しくなる。
不安。恐怖。そして――間違いなくその先に待っているであろう、歓喜の予感。

「…………武装、錬金」

逸る気持ちを抑え、歌うような呟きに応じて出現したのは、処刑鎌の武装錬金、ではなく、1本の槍。
武藤カズキの命であり、象徴であり、彼そのものを体現した存在でもある、山吹色の光を放つ突撃槍(ランス)。
改めてこうして見れば、堅く、真っ直ぐで、力強い金属塊。武藤カズキの精神を具現化したような存在。
斗貴子は慈しむかのように抱き寄せる。剥き身の槍を裸の胸に埋め、頬を摺り寄せる。

「こんなことをするのは、その、いうまでもないだろうが、初めてなんだ。
 きっと、痛くて、苦しくて、ひょっとしたら泣いてしまうかもしれないが……最後までやり遂げさせてくれ。
 カズキ……臆病な私に、勇気をくれ……!」

まるで槍そのものが恋人自身であるかのように、斗貴子は潤んだ瞳で語りかける。
槍を抱きしめたまま、彼女はその身をベットに沈める。
横たわり、槍を持ち上げ、角度と位置を調整しながら、自分の身体に押し当てる。
そのまま、しばらく逡巡。
ゴクリ、と喉が鳴る。
今ならまだ無かったことにもできるぞ、と、頭の片隅で甘く囁く声を無理やり振り払う。
数秒の後、ようやく覚悟を決めた斗貴子は、両目をギュッと瞑ると、そろりそろりと槍を手繰り始める。


  (少女は自分の胸に槍を押し当てている。左胸に、自らその切っ先を当てている)

つぷっ――。

「――んぁッ!!」

尖端が、斗貴子の身体に侵入を開始する。
武藤カズキそのものを象徴する存在が、無理やりに斗貴子の身体を押し広げ、肉を掻き分け、突き立てられる。
覚悟していた痛みとはいえ、思わず小さな悲鳴が漏れる。
生まれて初めて味わう種類の痛み。文字通り身を裂くような痛み。
動きの止まったサンライトハートと斗貴子が繋がっている場所から、つぅぅっ、と血が溢れ出す。

「だ……大丈夫だから。むしろ、ゆっくりの方が、い、痛くて、こ、怖いかも……。
 はは、は……な、何言ってるんだろうな、私は……。私が、望んだ、ことなのに……!」

明らかに強がりにしか聞こえぬ独り言を呟く。声が震える。想像以上の激痛に、斗貴子の目から涙が零れる。
もう、ここまで来たら引き返せない。もう、今さら戻れない。
折れそうな心を、必死で奮い立たせる。浅く荒い息をつきながら、斗貴子は奥歯をギュッと噛み締める。
強い想いが、激痛を快感に変換する。強烈な愛が、苦痛の向こうにあるはずのモノを求めさせる。
槍が進むにつれ、自分の大事なものがブチブチと壊されていく感触。
圧倒的な喪失感と、破滅の予感と、それすらも上回る達成感、満足感、充足感。
斗貴子の頭の中はもうとっくにグチャグチャだ。息も絶え絶えになりながら、それでも彼女は彼を求める。

「構わないから、一気に、最後まで来てくれ、カズキッ……!!」


  (少女の胸に槍が刺さっていく。明らかに致命傷になるであろう傷を穿ちながら、刺さっていく)

ずぶっ。ずぶずぶっ。

「――――――ッ!!」

涙と涎と鼻水と汗と、ありとあらゆる体液を撒き散らしながら、斗貴子は声にならない絶叫を上げる。
ばたん、ばたんと跳ねる足がベッドを叩く。
取り返しのつかない一線を越えたサンライトハートが、それでも勢いを止めることなく突き進む。
視界がチカチカする。脳裏が真っ白に染まる。一気に登りつめていく。
自分が自分でなくなってしまうような恐怖、そして高揚感。新たな世界の扉が開かれていくという確信。
身体の奥底で、熱い体液がブチまけられる。命そのものである液体が迸る。
串刺しになった格好の斗貴子は、そして白目を剥き、大きく仰け反りながら、


  (少女の胸を槍が貫く。少女の胸板を槍が貫通する。
   胸の中央やや左より、生命にとって最も重要な臓器を、完膚なきまでに破壊する)


「カズ、キ――!」

愛する者の名を叫びながら、津村斗貴子は、逝った。 

逝って、果てて、逝き果てて――それまでの「津村斗貴子」は、ここで死んだ。
武藤カズキと文字通り一体となって、逝き、果てた。


        *     *     *











窓から吹き込む穏やかな風が、厚いカーテンを静かに蠢かせる。
赤く染まり始めた夕陽の日差しが、カーテンの動きに合わせて揺らめく赤い波を形作る。
先ほどと同じ、寝室の中――そんな光景を静かに眺める人物が、確かにいた。
幽霊でも、ゾンビでもなく、確かに呼吸する生きた人間が、そこにいた。

目を覚ました斗貴子は、血や汗やその他もろもろでグチャグチャのベッドの上、それでも小さく笑う。
どれほどの時間、気を失っていたのか。
新しい『命』を得て生まれ変わった彼女は、実に楽しそうに、実に嬉しそうに、笑う。

「…………ふふふっ。ああ、すごく痛かった。けど……少しだけ、気持ちよかったよ。
 もう、私には怖いものなんてない。いや、『私たちには』、と言うべきかな、カズキ。
 だって、君と私はこうして身体を重ねて、本当に『1つ』になったのだから……!」

熱っぽい目で語る斗貴子の視線の先には、もう突撃槍は無い。核鉄も無い。何も無い。
それでも、虚空に語りかける斗貴子に不安の色はなく、溢れんばかりの幸せに満ちている。
傷ひとつない裸の胸に毛布をかけただけの姿で、穏やかに微笑んでいる。
704Classical名無しさん:07/12/11 18:49 ID:ihZb.D3c
支援! マジっすかー!wwwww

そう、要するに彼女がやったことは、かつて彼女が武藤カズキに施した施術の乱暴極まりない再現。
つまり、喪われた心臓の代わりとして核鉄を埋め込む、あの施術である。
ヴィクターを生み出し、カズキをヴィクターVにしてしまった、あの施術である。

  心臓の代わりにサンライトハートを取り込んだ、あの状態。
  あれを自分の身で再現できれば、自分も『カズキと同じ』になれる。『カズキと一体』になれる。
  『カズキの心(ハート)』を取り込み、『カズキのようになれる』――!!

狂乱と悲嘆、敗北と絶望の果てに斗貴子が導き出した狂気の答えが、そこにあった。
しかし、斗貴子には彼女自身の心臓がある。傷ひとつない、健康な心臓がちゃんとある。
これでは核鉄を埋め込めない。元ある心臓と重ねて埋め込んでも、『同じ』にはならない。
ではどうするか。
答えは単純明快、たった1つ。その心臓が、無くなってしまえばいい。
ゆえに津村斗貴子は迷うことなく。サンライトハートの切っ先を用い、自らの心臓を破壊したのだ。
まさに暴挙。まさに自殺行為。
決死の覚悟どころか、一度完全に『死ぬ』ことを前提とした行動。
上手くいく保障などどこにもない。正気の人間なら絶対に選ばないような、最悪の選択肢。
そして、完全に絶命する寸前、武装解除した核鉄を傷口に押し込んだところで、とうとう耐え切れなくなって失神。
目が覚めた時には……彼女の望んだ世界が、待っていた。
706Classical名無しさん:07/12/11 18:50 ID:ihZb.D3c
しえん

全力疾走をした後のような倦怠感が、全身を包んでいる。
あれだけ乱暴な施術を行ったのだ、いくらしろがねの身体になっていても消耗は激しい。
胸に開けた傷口こそ核鉄の力で塞がったが、本格的に動き出すにはもうしばらくの休息が必要だろう。
できればシャワーも浴び、服も洗っておきたい。今の斗貴子の状況は、色々と最低ではある。
手持ちの戦力はほとんど変化しておらず、むしろ心臓と核鉄を兼ねることで武装練金が弱点にもなってしまった。
ヴィクター化でパワーアップする望みもない。白い核鉄による処置を受け、もうその忌まわしき力は残っていない。
メリットといえば、せいぜいが待機状態の時に手ぶらになれることくらい。
なんらかの手段で戦力の強化を図らねばならない現状に、変わりはない。

それでも、斗貴子は幸せだった。
先刻までの不安は全て消し飛び、代わりに暖かなものが彼女の中を満たす。心の底から力が湧き出してくる。
もうこれで、核鉄(カズキ)を奪われる心配はない。
もうこれで、核鉄(カズキ)を傷つけられる心配もない。
核鉄(カズキ)は斗貴子の中にいて、これからもずっと共にある。
核鉄(カズキ)が居れば、もう何も怖くない。
核鉄(カズキ)が居れば、もう何が起こっても諦めることなく進むことができる。
核鉄(カズキ)さえ居れば、もうあとは何もいらない。

斗貴子は自らの胸に手を当てる。
1人きりのベッドの上、かつて彼に向かって誓ったあの言葉を再び口にする。
輝かんばかりの幸せを纏いながら。溢れんばかりの幸せを、噛み締めながら。
そして――ドブ川のようにどんよりと濁った瞳をしたままで。
708Classical名無しさん:07/12/11 18:51 ID:ihZb.D3c
しーえーん

  「 カズキ。君(サンライトハート)が 死ぬ(こわれる) 時が、私が死ぬ時だ。
    君と私は、今度こそ本当に、一心同体だ……!! 」


窓から吹き込む穏やかな風が、厚いカーテンを静かに蠢かせる。
赤く染まり始めた夕陽の日差しが、カーテンの動きに合わせて揺らめく赤い波を形作る。
銀髪のスカーフェイスは、これからの戦いのことを考え、小さく微笑んだ。



【F-3 民家の中/1日目 夕方】
【津村斗貴子@武装錬金】
[状態]:しろがね化、心臓代わりに核鉄、精神崩壊、判断力低下(本人は正常だと思っている)、あふれる多幸感
    右手消失、全身大火傷、頭部に刺し傷 (核鉄としろがねの力で回復中)
[装備]:核鉄(サンライトハート・待機状態・胸の中)@武装錬金
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:最後の一人になり、優勝者の褒美としてカズキを蘇らせる。
1:とりあえずもう少し休んで回復を図る。
2:可能ならば、なんらかの手段で戦力の増強を図る。
3:強者との戦闘は極力避け、弱者、自動人形を積極的に殺す
4:アカギ、吉良、勇次郎、軍服の男(暗闇大使)は最終的に必ず殺す。アカギは特に自分の手で必ず殺す。

※全身に酷い火傷を負っており、右手も消失と、かなりの重傷です。
※セーラー服はボロボロに焼け焦げており、所々に穴が空いています。
※軍服の男(暗闇大使)は参加者の一人だと勘違いしています
※斗貴子が飲んだ液体は生命の水(アクア・ウィタエ)です
 また斗貴子は生命の水の事は知らず、只の治療薬の一種と思っています
※しろがねとなったため、身体能力、治癒力が向上しています
 また斗貴子はまだその事に気付いていません
※核鉄の異変に気づきました
※アカギがカズキを殺した張本人だと、思っています。
※自ら自分の心臓を破壊し、核鉄(サンライトハート)を心臓の代わりとして埋め込みました。
 そのため核鉄やサンライトハートが壊れると確実に死亡します。
 既に「黒い核鉄」に「白い核鉄」を使用した後なので、ヴィクター化する可能性は皆無です。
711 ◆6YD2p5BHYs :07/12/11 18:54 ID:sJAyrbKU
以上、投下終了。支援感謝です。
指摘等ありましたら、よろしくお願いします。
712Classical名無しさん:07/12/11 18:54 ID:ux0.yJFo
しえん
713Classical名無しさん:07/12/11 18:54 ID:ihZb.D3c
しえんっ
714Classical名無しさん:07/12/11 18:57 ID:ihZb.D3c
このやろー! やってくれたじゃねーかー! どーしてこー……あーもー!wwwwwwww
悶えるぞこんちくしょー!ヽ(`Д´)ノ GJでしたっ
715Classical名無しさん:07/12/11 19:03 ID:ux0.yJFo
>>711
投下乙です。カズキの死体をいじくり回した一人だが、斗貴子さん本当にぶっ壊れたな・・・。
エロくてグロくて怖くて凄かったです!
716Classical名無しさん:07/12/11 19:06 ID:jyuflrQU
 sss
717 ◆1qmjaShGfE :07/12/11 19:24 ID:ihZb.D3c
パピヨン、こなた、シェリス投下します
パピヨン、こなた、シェリスの三人は駅前で何をするでもなく勝達が戻るのを待っていた。
それぞれに考える事があったので、自然と無口になっていたのだが、不意にこなたが口を開いた。
「そういえばさ、地図にある地下鉄って使った事ある?」
パピヨンもシェリスも首を横に振る。
こなたはそれを聞くなり難しそうな顔になる。
「あれってさ、動いてるんなら誰が動かしてるんだろ」
パピヨンは即答する。
「地図外にこの会場を管理してる奴が居る。そういう事だろ。別に地下鉄に直接乗っている必要は無い」
そこでう〜んと悩むこなた。
「それだと……今回の首謀者達は地下鉄駅の管理センターみたいな所に居るって事にならないかな?」
やはり即答するパピヨン。
「ならん。その場所は確実に人を配してある場所ではあるだろうが、それ以上でも以下でもない」
そう断じるパピヨンには彼なりの理由があるのだが、それを語る前にこなたは納得してしまった。
「そっか〜。やっぱりそんな簡単には行かないか〜」
そこで僅かに笑みを見せるパピヨン。
「だが目の付け所は悪くない。仮にの話だが、首輪を外した際の移動先候補を決めておくのは無為ではないな」
そう言うと一人で地下鉄駅に向かうパピヨン。
こなたも慌てて後を追う。
シェリスも少し迷った後、その後を追う事にした。

ひっそりと静まり返る駅構内をパピヨンは恐れる気も無く歩いていく。
薄暗いそこは、太陽のふりそそぐ外と違って気味の悪さが付き纏う。
シェリスもこなたも、パピヨンの後から離れないようにしながら歩いていた。
パピヨンは事務室らしき場所を見つけ、中に入るとそこの資料を漁って目的の物を見つける。
周辺一帯の路線図と管理センターの位置がわかる地図を手にするパピヨン。
一緒に地下鉄のシステムに関する書類をも手に入れていた。
719Classical名無しさん:07/12/11 19:26 ID:sJAyrbKU
 
その際、鍵のかかった机をパンチ一発でぶち破ったのにはこなた、シェリスの二人が揃って驚いた。
「主催者側の人間が一人でも捕まえられれば、有利なのは確かだ」
もっとも、そいつが人間である保証は何処にも無いが、とは言わなかった。
用は済んだとばかりに踵を返すパピヨン。
目的以外の物には見向きもしない。
理に適った行動を取り、やる事に無駄が無い。
シェリスはパピヨンへの評価をまた一つ上げる事にした。

「パピ!ヨン!!」

いきなり咆えながらポーズを決めるパピヨン。
いきなりの事に驚いて尻餅をつくシェリスだったが、隣のこなたは平然としている。
「何かあったの!?」
「うんにゃ、ただ単にパピヨンが叫びたくなっただけじゃない?」
何事も無かったかのようにすたすたと歩く二人。
シェリスはパピヨンへの評価をやっぱり一つ下げる事にした。
(何なのよこいつら……バカと変態は紙一重って奴?)
心の中で悪態をつきつつ起き上がるシェリス。
その時たまたま側にあったゴミ箱に手をついて立ち上がったのだが、そのゴミ箱がシェリスの体重に負けて引っくり返る。
「きゃっ」
物凄い勢いでそのゴミ箱を頭から被ってしまったシェリス。
(……ついてない時は、とことんついてないわよね)
パピヨンは振り向きながら呆れる。
「バカかお前は? それともそのゴミ箱が帽子にでも見えたか? とんだセンスだな、まるで変態だ」
こなたはきらーんと目を輝かせている。
「むむむ、ドジっ子属性で来るか。しかしそれにしては天然成分が足りないね。65点って所だよ」
無言でゴミ箱を脇にどけ、立ち上がって体にまぶされたゴミを払うシェリス。
(私、ストレス耐性ある方で良かったわ。他のホーリーの連中ならいきなり暴れだしてる所よ)
ムカツキを心の中で押さえながら、劉鳳と出会う以前の生活を思い出していたシェリスであった。

地下鉄の駅を出ると、シェリスは大層不機嫌な顔で、落ち着きなくそこらをうろうろしている。
せっかくシャワーを浴びたのに、頭からゴミの山を被っては意味が無い。
ホテルで調達した衣服も汚れているし、非常に不愉快だ。
そんな気配を察したのか、こなたもシェリスに話しかける事はしない。
触らぬ神に祟り無しという事であろうか。
しかし、こなたはすぐに解決策を見出した。
「ねえねえパピヨン。あれあれ」
こなたの指差す先にある看板を見て、その意図をすぐに察するパピヨン。
「……なるほど、確かにもう半日以上ご無沙汰だな」
「でしょ? ほら、シェリスさんも多分入りたいだろうし」
会話の中に自分の名前が出たシェリスは、怒り顔のまま二人の方を振り向く。
二人は同時に看板を指差した。

   【 銭 湯 】

三人は真顔でお互いを見つめあう。

『グッド!』

そして三人が全く同時、最高に息のあったサムズアップを見せた。


湯船を確認すると、男湯、女湯共にお湯は張ってあった。
何故? とか色々疑問は残るが、その辺の考察を考えているのはパピヨンぐらいで、シェリスもこなたもさして気にせず脱衣所へと戻る。
既にパピヨンは男湯に行っているので、ここには女二人だけだ。
いそいそと上着を脱ぐこなたは、ちらりと隣を見る。
スカートを下ろしたその足は、張りがあって瑞々しい光沢を放っている。
今にもはち切れそうな下着に覆われた臀部は、引き締まっていながらその存在感を失わない絶妙のブレンドをかもしだしている。
何故か生唾を飲み込むこなた。
シェリスはそれに気付いていないのか、次に上着を脱ぎ捨てる。
こちらはもう、真っ先に目が行く場所は決まっている。
(うっわ、何このエレガントマシュマロ風味。もう下着の意味無いよこれ。もしかしてもしかして90の大台に乗っているのではっ!?)
実際は89なのだが、まあそれは置いておく。
(ウェストもほっそい! お腹ぺっこーんってあれ腹筋で踏ん張ってるんじゃないの? 凄い、凄まじすぎる蝶高すぺっく!)
上着を棚に置くと、遂に下着にその手をかける。
後ろ手にホックを外そうとするも、やはり大きく熟れた果実が邪魔をするのか、少々てこずっている。
しかし、遂にそれも外され、はらりと下着が落ちる。

「パピ! ヨン!!」

隣室から聞こえてきた絶叫に、危うく頭部を棚に叩き付けそうになるシェリス。
「何?」
パピヨンの絶叫は続く。
「パピ! ヨンッ! パピ! ヨンッ!!」
ほんの少しだけ慣れたのか、シェリスはこなたに問う。
「……もしかして、あれで何か意思の疎通を図ってるとか?」
こなたは男湯に面した壁を見ながら呟く。
「私の予測だと、パピヨン鏡の前でポージングとかしてんじゃないのかな」
こなたの予想を裏付けるように、絶好調に盛り上がったパピヨンの雄たけびが聞こえてくる。
「パピ! パピ! パピ! パピ! パピ! パピ! パピ! ヨンッ!!」
シェリスはヨンッの叫びの所で最後の決めポーズなんだろーなーとかやる気なく考えつつ、もうどうでも良くなった。
723Classical名無しさん:07/12/11 19:27 ID:sJAyrbKU
  
さっさと下着を脱いで風呂へと向かう。
「先に行くわよ」
歩くたびに揺れる生のそれを見て、色々と絶望しながらこなたも後を追った。

二人並んで湯船に浸かる。
こなたはちらっと横目にシェリスを見る。
温められ、薄い桃色に覆われたシェリスの肌、首筋から華奢な肩へと視線を移し、そして急な傾斜を見せる胸部。
その続きはお湯の中、ほのかに揺れる水面と共に、ゆらめきながら見える触ったらふにっとへこみそうな柔らかそうなお尻。
そこと同じ柔肉の詰まった両腿は女らしく内股気味に重ねられている。
しかし、やはり一番目を引くのはお湯の上であろう。
湯気に当てられ、滴り落ちる水滴は、頬から首筋へ、そして鎖骨周辺を恥ずかしそうに回って胸の谷間に落ちていく。
ゆったりと湯につかって紅潮した綿菓子の様な頬が、同じく薄ピンク色になった水面に浮き出ている胸が、彼女の持つ色気と相まって見ている者を桃源郷へと誘う。
「……おおう、パーフェクト超人はこんな身近にも居たんだ」
シェリスは汗を手でぬぐいながら振り向く。
「何?」
「ああ、いやね。シェリスさんがネプチューンマン2800万パワーなら、私はカレクックの60万パワーぐらいかなって」
説明されても何を言っているのかまるでわからない。
だが、この機会に出来るだけこなたと仲良くなって信頼を得ておきたいシェリスはその話に乗ってやる。
「何を言ってるのかよくわからないけど、とにかく凄い差があるのはわかったわ。で、何の話?」
「胸とか」
こなたが即座にそう答えると、シェリスも返答に困る。
ちらっとこなたを見る。
「そんなものこれからいくらでも育つわよ。私も成長期入って一気に来たし」
「……へー、そー。じゃあ既に成長期が終わってたりしたらもう絶望的だね」
肩をすくめるシェリス。
「そんな事あるわけないじゃない。かくいう私もまだ成長しそうだし。十五才の私がまだ成長してるんだから、貴方なんてもっといけるわよ」
一瞬、その顔に深い闇を背負うこなた。
そして、搾り出すように口を開いた。
「……そっか、二つ下なんだシェリスさん。凄い大人っぽく見えるね」
聞き間違えと思い、それならば辻褄が合うのでシェリスはそのまま会話を続ける。
「こなたちゃんはまだ十三なんでしょ? だったらまだまだよ」
「いや、そうじゃなくて。私十七才、シェリスさんの二つ上」

かぽーん

お風呂場に独特の音が響く。
すぐにシェリスは手を振る。
「いやいやいや、意味わかんないからその嘘」
ぶくぶくぶくと口元まで湯船に沈み込むこなた。
目線だけシェリスへと向けている。
無言で、何か何ていうか絶望的な主張をし続ける。
「……本当なの?」
こくんと頷くこなた。
「身長それだと140ぐらいよね」
またもこくんと頷くこなた。目での主張は変化無し。
「それはそれで、凄くない?」
ぶくぶくぶくぶくぶくぶく、こなたは完全に頭の上まで湯船に沈んでしまった。


体を洗い終えると、もう一度湯船に浸かるシェリス。
こなたはまだ体を洗っている。
この間に、色々と考えをまとめる事にした。
パピヨンにやろうとしていた事を見抜かれたが、まだ実際に人をその手にかけたわけではない。
証拠も何も無い事だ。追い詰められた時は開き直ってそんな事は無いと主張するとしよう。
一緒に行動してきた独歩も信頼してくれているだろう。
だが、このままでは不安要素を抱えてしまうのも事実。
ちらっとこなたを見る。
体を洗い終わって湯船に入ろうとしている所だ。
(この子を殺すだけなら首でも絞めればすぐだけど、それをやるとパピヨンが黙ってなさそうね)
見た感じ、役に立つとしか口にはしていないが、あのパピヨンはこなたを気に入ってるように感じられる。
ならば、こなたをダシにパピヨンを殺す。
人質に取った程度ではまず無理だろう。あの力はシェリスがどうこう出来るような相手ではない。
ならばどうする? 決まっている、誰か力を持つ者に殺してもらうのだ。
戦闘さえ始ればパピヨンもこちらに注意を向ける事は出来ないだろう。
その時が勝負。こなたを盾にするもよし、こなたをその敵の前に放り出してやってもいい。
全てはタイミングが命。常に緊張を保って最善の状況を見逃さない事。
油断無い目でこなたを見るシェリス。
その目が点になった。
「う〜ん、やっぱり……届かない……」
こなたは男湯との境になっている壁に張り付いて何やらじたばたしている。
「何、やってるのあなた?」
何となく想像はつくが、シェリスは恐る恐るそう訊ねると、こなたは何か思いついたらしくぽんと手を叩く。
「そうだ、シェリスさんに手伝ってもらえば届く。よろしくっ」
「……私の目と耳がおかしくなってるのでなければ、あなた私に男湯覗くの手伝えって言ってるように聞こえるけど」
「そう、それ」
シェリスは湯船から立ち上がる。
「なんでそんな事しなきゃなんないのよ!」
こなたは偉そうにちっちっちと指を左右に振る。
「いいかい、相手はお風呂、裸だ。それはつまり……パピヨンはあのマスクを付けて無いって事だよ!」
こなたのは完全ないたずら心だろうが、シェリスはもっと実用的な意味でその企みに興味を持つ。
なるほど、あの男の素顔は見た事がない。それを覗き見る機会があるのなら活かしたくはある。
727Classical名無しさん:07/12/11 19:29 ID:sJAyrbKU
   
「それに、お風呂で覗きは基本イベントだよ」
「逆でしょそれ!」
賛成なのだが、ついつっこんでしまうシェリス。
その後、二人で相談して湯船の所からシェリスが肩車でこなたをまず上に登らせる策を採る事にした。
逆だと、普通に潰れそうなのでシェリスもそれで納得した。
まずシェリスが壁に手をつき、湯船の中に座る。
そこに、こなたがその肩に両足を乗せ、壁に手をついてバランスを取りつつ一気に肩の上に乗る。
案外バランス感覚の良いこなたは、綺麗にシェリスの肩に乗ってみせた。
「や、やっぱりちょっと重い……」
しかも下はお湯の張った湯船だ。下手な力の入れ方をするとあっさり滑って転ぶ。
気をつけながらせーので両足を伸ばすと、こなたの頭が敷居の壁の上端に届く。
シェリスはその場で足をぴんと伸ばすと、持ち上げる時に比べればずっと楽になった。
(ふう、これで一息。それにしても……)
こんなに近くで裸の女の子二人というシチュエーションもついぞ経験が無い。
自分の裸は見慣れているが、こうして他人の裸を間近で見るのも少し新鮮であった。
(あんなに卑下してたけど、結構女の子してるわよね、この子も)
未成熟ではあるが、それは男女の区別がつかない程でもなく、背中にかかった長い髪が濡れ滴って肌に吸い付いているのも、ショートにしている事が多い自分から見ればとても綺麗に見えた。
肌には実際触れてみたが、その小さい体に相応しいこう、ぷにぷにっという感じがとても愛らしく、申し訳程度に女性を主張する体に相応しい身長がまたその愛らしさを助長しているというか……
そこまで考えてふと気になる事が。
(……もしかして、生えてない……とか)
そんな所気にして見てなどいない。
が、気になり始めると物凄く気になる。年齢が優先されるのか、それとも成長がその先に来るのか。
首を上に向ければ、それでわかる。
だが、人としてどうかというそんな葛藤に身を狂わせ……
(って、なーんで私がそんな変態じみた事気にしなきゃならないのよ!)
変態に当てられておかしくなったのかも、などと愚にもつかない事を考えるシェリス。
劉鳳の助けになるように、そう考えて行動して、気が付いたらお風呂で未発達の女の子の体にドキドキって、一体私の身に何が起こったのだろうか。
729Classical名無しさん:07/12/11 19:30 ID:sJAyrbKU
    
そうこうしている間に、上でどうやら進展があった模様。

「何やってんだ泉?」

普通にバレた。
上でこなたがわたわた暴れている。そしてシェリスの両肩からその重量が消え、しばしの間の後、ぼっちゃーんと壁越しに派手な水音が聞こえた。
シェリスは、何も無かった事にして湯船に浸かりなおす事にした。
(これでゆっくりと考えられるわ)

パピヨンは、当然のごとくマスクをつけたまま、それ以外全裸な姿で湯船に浸かっていた。
「なんだ、俺の蝶サイコーな裸体がそんなに見たかったのか?」
「あ、あはははははは……」
照れ笑いを浮かべつつ、無い胸を一応隠しながら湯船に沈んで下も隠さんと試みる。
パピヨンはそんなこなたを一瞥した後、立ち上がってさっさと風呂を後にする。
もちろん、前を隠すような真似はしない。そんな素振りすら見られなかった。
「先に上がるぞ。お前はもう少しゆっくりしていけ」
そんな言葉を残し、風呂場のドアが閉まった。
こなたはぽかーんとそれを見ていたが、誰も居なくなったので風呂の中で背もたれによっかかって楽にする。
「もしかして、パピヨン私に気を使ってくれたの……かな」
ちょっと、嬉しいかも。
「まあ、それはおいといて」
顎に手をやるこなた。
「お父さん、パピヨンよりちょびっとリトルジョーだったよ……」
ちょっと遠い目をしつつ、意味不明なこなたであった。


こなたはパピヨンが着替え終わるのにあわせて、すぐに風呂を出る。
男風呂の入り口からこそこそと女風呂に戻って服を着ていると、ちょうどシェリスも上がってきた。
こなたの側に寄ってこそっと作戦の成否を確認するシェリス。
「で、どうだったの?」
「うん、普通にマスクしてた」
両のこめかみを押さえるシェリス。
「……なるほど、筋金入りって訳ね」
特に残念そうでもないこなたは、シェリスのゴミ汁やらガムやらに塗れた服を見て、一つ提案する。
「シェリスさん、その服どうする? もし良ければ私換えの服持ってるけど」
嬉しい申し出であったが、流石にサイズが合わないだろうというと、元々こなた用の物ではないとの事。
試しに着てみるかと、こなたから受け取ったバッグからその服を取り出す。
「…………」
シェリスは即座に服をバッグに戻した。
「あれ? 気に入らなかった?」
常識人なシェリスには、いくらなんでもうさぎの耳やらでっかい鈴やらフリルだらけの服を着る趣味は無かった。
抗議の視線を向けた後、とりあえず他の服を探しに番台の奥を覗きに行った。
「む〜、やっぱりこれはハヤテが着る運命にあるんだ。うん、きっとそうだ」
納得してロビーに出るこなた。
そこではパピヨンが全自動マッサージチェアーに座って寛いでいた。
こなたはソファーに座って両足を揃え、気持ち下を向いている。
しばしの間、マッサージチェアーが動く音だけが部屋に響く。
それが終わると、パピヨンはこなたに気付いたのか、彼女の座るソファーの横に立った。
「随分と仲良くなったみたいだな」
パピヨンの口調は、それを歓迎していないような、そんな口調に感じられた。
そしてそれは、こなたにとって予想通りの事であった。
「うん……パピヨンの言いたい事、わかるよ」
「そうか」
パピヨンはそれ以上追求しない。
732Classical名無しさん:07/12/11 19:31 ID:sJAyrbKU
         
だからこなたから話した。
「私はさ、そんなに器用じゃないから、何時もどおりやる事しか出来ないんだ。あの人に何か思う所があったとしても」
「そうだな」
そこで照れたように頭に手をやるこなた。
「で、でもやっぱりさ、そんなんじゃ駄目かなとも思うんだ。私も考えなくちゃ駄目だよね。苦手だけど、考えなくちゃ……色んな事を……」
それはみゆきの事も含めた色んな事だ。
話をしたり、別の事を考えたりしていればそれを考えないで済む。何時もどおりの事をしていれば、何時も通りのこなたで居られる。
だが、何時もと違うのは、考えなくちゃならない事が宿題や学校の成績なんかの事じゃ無いってこと。
何を言ったらいいのか、良くわからない。
唇が震えて、何かを言おうとしても言葉にならない気がする。
パピヨンがこなたの手をそっと握る。
「お前も怯えるんだな」
そう言われて初めて自分の手が震えている事に気付く。
「そ、そうみたい。がっかりした?」
「少しな」
すっと手を離すパピヨン。
こなたの側を離れてガラスケースの中にある瓶詰めのコーヒー牛乳を二本手に取る。
振り向くなり、その内の一本をこなたへと放り投げる。
「わっ」
驚きながらも両手でそれを受け取るこなた。
パピヨンは指を滑らせるだけで器用に蓋をあけ、それを飲む。
こなたもコーヒー牛乳の蓋に手をやる。
『これを開ける時、通は細い針みたいな物を使うんだよ』
『やっぱり風呂上りはコーヒー牛乳だよね。フルーツは邪道だよ』
『それで腰に手を当てて一気に飲み干す。いや〜、これが最高の飲み方だよ』
風呂上りには、そんな話をしようと思っていた。
そんな事しか出来ない、そんな事をしてまで誤魔化そうとしている自分が、惨めで、滑稽に思えてくる。
パピヨンは自分の分を飲みながらこなたの隣に戻る。
「……嫌な事の乗り越え方は人それぞれだ。そこに良いも悪いも無い」
そこでコンッとこなたの頭を瓶で軽く叩く。
「何もかもを真正面から受け止めるなんて、バカのやる事さ」
こなたはパピヨンを見上げる。
パピヨンは彼方を見ている。
その目が何を見ているのか、何を思い出しているのかはわからないが、パピヨン自身にも何か辛い経験があったのではとこなたに思わせる、そんな目だった。
でも、それを聞くのは止めにした。
今は胸の中に出来た、このあったかい何かをゆっくりと感じていたかったから。
「……ありがとパピヨン」
返事は無かったが、感謝の言葉を聞いてくれれば、こなたにはそれで充分であった。


風呂からあがったパピヨンはマッサージチェアーを見つけると、そこに座ってスイッチを入れる。
(さて、風呂場で考えた事をまとめるとするか)
幾つかの候補の中から特に矛盾の少なかった仮定を整理する。
ここがコンピューターの作り出した仮想現実の中だとするのはどうだ。
今こうしているパピヨン達も、データの羅列に過ぎず、本来の自分は元居た場所に存在するとする。
これなら、各人の記憶している時間軸に差があるのも納得出来るし、支給品にされている本来ありえない核金に関しても説明がつく。
いや、今まで起こった全ての出来事を矛盾無く説明出来る。
それは、とんでもない処理能力と気の遠くなる程の膨大なデータを必要とするだろう。
これを確認する為に、パピヨンは今までの自分の人生を振り返り、その生き方や記憶全てに疑問を投げかけて矛盾点を探してみた。
特に極端な矛盾は発見出来ない。という事は、少なくともそのデータには過去経験した全ての事が含まれているという事だ。
参加人数60人全ての人生を細部に至るまで完璧にデータとして再現させるのは、少なくともパピヨンの知る限りのコンピューターでは不可能だ。
もちろん理論的には可能なのだが、技術的に不可能と断じていい程の困難を伴う。
それは百年単位の技術格差があるのなら可能性は出てくる程度のものだ。
そして、パピヨンはこの仮定をあっさりと放棄する。
735Classical名無しさん:07/12/11 19:32 ID:sJAyrbKU
                 
現在パピヨンの知る限りの知識において、個人が持つ全ての情報をデータ化する手段は確立されていない。
そしてそれが確立されるであろう時代まで、自分や武藤の記憶すら含む完璧なデータが残っているとは考えにくい。
そもそも、その技術に到達した存在が居たとして、そんな存在がパピヨン達のような生物を気にかけるだろうか。
否、自らの全てをデータ化した瞬間、身体、時間、空間等、全ての境界から開放されてしまう。
そこでは出来ない事などなく、それ故そんな存在は、自らが存在する意義を見出す為に、自然と精神レベルが次のステージへと移行するだろう。
そうなったらそれは最早別世界云々ではなく、完全に高次の存在、概念としてのソレになってしまう。
いずれにしても、そんな連中がパピヨン達にこんな真似をしでかすなどという事はありえない。
パピヨンがちょっかいをかけられたと認識出来る形で干渉してきている連中は、間違いなくパピヨン達と同レベルの精神構造を持っている。
精神構造が同レベルならば、それが認識出来る技術に、比喩でない意味での次元の差などありえない。
そんな連中であるのなら、例え未知の知識体系を持っていようとも、それを理解さえしてしまえば恐るるに足らず。
白い核金すら自らの手で作り出した、当代最強のサイエンティストパピヨンは絶対の自負を持ってそう言い切れるのだ。

そこでパピヨンは思考が当初の予定とずれている事に気付いて、頭を振る。
首輪、これを爆破させる事なく解体するには、いや爆破覚悟でやるべきだろう。
そうなると精密動作が出来るマジックハンドが必要になる。スタンドを使うのも悪くないかもしれない。
見せしめの女の例を見る限りでは、手元で爆発しても死ぬ事は無いだろうが、身体部位の欠損を招くのはあまり嬉しくない。
スタンドを除外すれば、何処かの工場を使うのが一番と考えて地図と禁止区域を思い出す。
工業団地周辺ならば、おそらく何処かに大きな工場もあるとは思うが、あそこは後二箇所潰されると閉じ込められてしまう場所。
地下鉄も使えない、移動時間もさる事ながら、作業時間もどれだけ取られるかわかったものではない。
満を持すなら二つ、三つは首輪も欲しい所だ。
何処かに間抜けの死体でも転がっていないものか。
首輪の中身さえ見る事が出来れば、主催者連中の技術レベルも把握出来る。
737Classical名無しさん:07/12/11 19:34 ID:sJAyrbKU
     
それは翻せば連中の戦闘能力を把握出来るという事だ。
余人ならばいざしらず、このパピヨン相手にこんな情報の塊を与えてそのままで済ますとでも思ったか。
首輪の解体、そこからが本番だ。その時まではせいぜい静かにしていてやるさ。

そこまで考えてふとソファーを見ると、何時の間にかこなたが風呂からあがってきていた。
考えに没頭していて気付かなかったらしい、不覚である。
風呂場や脱衣所でシェリスと何やら騒いでいたのは聞こえていた。
少し注意を促すつもりで一言声をかけたら、傍目に見てわかるほど落ち込んでしまった。
察しの良いこなたと話すのは不快ではない。
だが、慰めてやる義理も無いので素直に思った事だけを口にした。
側で愚痴愚痴されても鬱陶しいだけなので、そうならなくなるよう少し工夫したのは事実だが。
しかし、最後の一言だけは、もしかしたら本音ではなかったのかもしれない。
『何もかもを真正面から受け止めるなんて、バカのやる事さ』
ああ、そういえば居たな。そんなバカ。勝手に色んな事を真正面から受け止めて、背負わなくても良い物まで背負って死んだんだろあの偽善者は。
本当にバカだ。イライラしてくる。
元の世界に帰ればそこに武藤は居る。それはわかっているが、それでも腹が立つ。
そこで、シェリスが番台側から戻ってきた。
いつの間にやら衣服がピンクの浴衣になっている。相変わらずセンスの悪い。
ケンカを売っているとしか思えないハートマーク柄を嬉々として着込んでるあたり、やっぱり殺しておくべきか等とぶっそうな考えが思い浮かぶ。
三人揃って銭湯を出ると、すぐに駅前に向かう。
ああ、泉がここに来る前に書いておいた張り紙がまだそのままだ。勝達はまだ戻っていないのだろう。
危険のある行為であったが、大抵の危険を突破する自信があったのと、別に裸でも戦闘能力が落ちるわけではないので見逃したのだ。

【お風呂入ってますので待ってて。覗くのなら今の内っ! ぷりんぷりんシェリスさんが待ってまーす】

その張り紙を見ていなかったシェリスが真っ赤になって泉に抗議している。
それを平然と聞き流す泉。
シェリスはぷいっとそっぽを向いてしまった。
「む〜、あれだけのナイスバディならむしろ見せてなんぼだと思うんだけどな〜。パピヨンもそう思わない?」
「そもそもあれをナイスとは思わん。贅肉の塊以外の何者でもないだろう」
こなたは首をかしげて考え込んだ後、人差し指を立てる。
「じゃあハヤテとかどう」
その発想は不意打ちだった。
「ふむ、細身でありながら質の良い締まった筋肉、上から下まで均整の取れた体型、貧乏臭いが清潔に整った風貌。言われて気付いたが、確かに奴は良い素材だ」
ハヤテ女装時に見えていたおみ足をしっかり確認していたらしい。
「でしょ? 後はあの堅苦しい執事服を何とかすれば完璧っ」
「こんな事なら予備を用意しておくんだったな、今日に限って用意を怠るとは」
「あはは、きっと女装と同じぐらいハヤテ嫌がると思うけどね」
鼻を鳴らすパピヨン。
「心外だ。そんなものと一緒にするな」
こなたはまあまあとバッグを開く。
「これを何とかハヤテに着せてやりたくてね〜。何か良い案無いかな」
例の衣装を見せると、パピヨンは難しそうな顔になる。
「それよりそのデザインを何とかするのが先だと思うぞ」
「そっかな〜これはこれで完成度高いと思うんだけど。この服パピヨンだったらどういじる?」
「ふむ……媚びた部分が癇に障るが、方向性を定めてそれに徹しているのは悪く無い。細かく注文させてもらうと、もう少しボディーラインを……」
そんな話をしていたら、何時の間にか不愉快な想いは何処かへ飛んで行ってしまっている。

ああ、やはりコイツとこうしているのは悪くないな。


【D-2 駅前 一日目 午後】

【パピヨン@武装錬金】
740Classical名無しさん:07/12/11 19:36 ID:sJAyrbKU
 .
[状態]:健康
[装備]:猫草inランドセル@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:支給品一式 地下鉄管理センターの位置がわかる地図 地下鉄システム仕様書
[思考・状況]
基本:首輪を外し『元の世界の武藤カズキ』と決着をつける。
1:勝と独歩を待ちつつ首輪などの考察をする。
2:シェリスの殺人は一般人に限り黙認する。殺し合いに乗っていたことも他言しない。
3:エレオノールを警戒しておく。
4:核鉄の謎を解く。
5:二アデスハピネスを手に入れる。
6:首輪の解体にマジックハンドを使用出来る工場等の施設を探す。
[備考]
※参戦時期はヴィクター戦、カズキに白い核鉄を渡した直後です
※スタンド、矢の存在に興味を持っています。
※猫草の『ストレイ・キャット』は、他の参加者のスタンドと同様に制限を受けているものと思われます
※エレオノール、鳴海に不信感(度合いはエレオノール>鳴海)
※独歩・シェリスと情報交換をしました。


【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、フレイム・ボール@ゼロの使い魔(紙状態)んまい棒@銀魂、エンゼル御前@武装錬金
綾崎ハヤテの女装時の服@ハヤテのごとく
[思考・状況]
基本:みんなで力を合わせ首輪を外し脱出 。
1:勝と独歩と合流後、喫茶店に戻る。
2:かがみ、つかさを探して携帯を借りて家に電話。
[備考]
※エンゼル御前は、使用者から十メートル以上離れられません。 それ以上離れると、自動的に核鉄に戻ります。
※独歩・シェリスと情報交換をしました。
※みゆきの死をいまいち実感していません


【シェリス・アジャーニ@スクライド】
[状態]:健康 
[装備]:光の剣(ただのナイフ)@BATTLE ROYALE、銭湯にあった女物の浴衣(ピンク地でハートの柄入り)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:劉鳳に会って脱出。
1:独歩と合流後、パピヨンの脱出に協力する。
2:劉鳳を探す。
3:足手まといだと判断した一般人は誰にも気づかれないように殺す。(こなたは殺さない)
4:平次、タバサ(両方とも名前は知らない)は殺人鬼という情報を流す。
[参戦時期]
劉鳳と同時期
[備考]
※タバサのマント@ゼロの使い魔 はホテルの脱衣所に放置、内側は血だらけです。
※ホテル従業員の制服は銭湯に放置、外側にガムやらゴミ汁やらがこびりついてます。
※アプライド=サック=アップについて。
触れた相手のアルターを吸収する能力。シェリス単独で使用可能とします。
アルター以外の特殊能力(スタンド、魔法など)にも吸収の効果は及びますが、能力などの制限は不明とします。
※パピヨン・勝・こなたと情報交換をしました。
743Classical名無しさん:07/12/11 19:37 ID:sJAyrbKU
..
744 ◆1qmjaShGfE :07/12/11 19:37 ID:ihZb.D3c
以上です。支援ありがとうございました
まさか、同系のネタが同日投下されるとはwwwww
745Classical名無しさん:07/12/11 19:41 ID:sJAyrbKU
投下乙です。
パピヨンはやっぱりパピヨンだなぁw というか対主催で一番心強い存在のような気が。
考察といい、行動力といい、安定感といい、実にいい。

そしてネタ被りについては謝らない。
嘘です。意図してなかったとはいえ、すいませんw
いやしかし、まさかここで銭湯とは……! しばらく無いだろうと油断してましたよw
746Classical名無しさん:07/12/11 20:13 ID:o.irJMo2
なんというシンクロシニティwwwwwwwwwwww
747Classical名無しさん:07/12/11 21:36 ID:JX19D8zk
両氏投下乙

斗貴子さんのSSは心臓を破壊するまでにいたった彼女の狂気が
素晴らしく鮮明に書けててGJです
しかし、槍とか、ずぶずぶとか、痛かったとか、気持ちよかったとかで
別のベクトルを想像した俺は体中をぶちまけられても仕方ないと思った

パッピー組のSSはまさかお風呂ネタがくるとは思わなかった
てもてーが来ると思ったがさすがにないか
シェリスのステルスっぷりが見え隠れしている中での
和やかさ、そして世界観の考察
なかなかいいSSです、GJ
748贋辺露伴:07/12/11 22:09 ID:p4gb6VlA
 ふん…やれやれ、どいつもこいつも良いSSを書いてるじゃあないか。
 そんな事より、ちょっと生臭い話なんだがね…。
 実は最近 『破産』 した。
 気まぐれに、2P程描いてしまったものでさ。
http://up2.viploader.net/upphp/src/vlphp104702.jpg
http://up2.viploader.net/upphp/src/vlphp104703.jpg
 おかげで、手持ちの資料が凄く足りない…。
 以前は持っていた 『北斗の拳』 の全巻セットハードカバー版も見あたらないし、ゼロの使い魔にいたっては
見たことすらないんだが… (まぁそれはたいした事じゃあないか)。
749 ◆1qmjaShGfE :07/12/11 22:15 ID:ihZb.D3c
>>748
君サイコーwwwwwwバキチックにボコられるDIO様wwwwwww後ろのザ・ワールドまで痛がってるwwwwww
なんかもーナギの立ち方からしてスゲェwwwwwwwテラカッコヨスwwwwwwww
750 ◆3OcZUGDYUo :07/12/11 22:43 ID:VmO1dgcw
>>711
初投下乙!ようこそ漫画ロワへ!!
いやーあの濃厚な描写のせいで最初は見事に騙されましたよw
「こ、ここまでやっていいのか!」ってw
なるほど、カズキと一体になって更なる高みを目指す斗貴子……GJ!
心理描写も深く、是非見習いたいものです!これからも定住していただけたら嬉しいなぁ。

>>744
投下乙!
ここで銭湯が出てくるとは予想できませんよw
シェリスの身体のあまりに丁寧な描写には只感心有るのみでした!
そしてこなたとパピヨンの仲が良いムードになってるのに驚き&GJ!
あと確かに地下鉄はどうやって動いてるかは自分も今まで忘れてましたw

>>748
貴方は神か……超乙です!早速保存させて貰いました!
自分のSSのイラストを描いて貰えるなんて夢にも思わなかったですしw
スパイスガールが特にカッコイイwww
751Classical名無しさん:07/12/11 22:46 ID:JX19D8zk
すげぇ、すごすぎるよ露伴先生
勇次郎とDIOがまじかっこよすぎ

そしてナギも原作よりも断然うまく描けてるw
スパイスガールもいいしもう全てのキャラが魂を持ってる

続き……待ってます……まん……が……
752贋辺露伴:07/12/11 23:20 ID:p4gb6VlA
 ついでにこれは、『ただの間違い』 だ。気にしないでくれ。
http://up2.viploader.net/upphp/src/vlphp104737.jpg
753Classical名無しさん:07/12/11 23:24 ID:sJAyrbKU
>>748
露伴先生……凄いです……。
って>>752、いろいろと台無しですがなw
754Classical名無しさん:07/12/11 23:53 ID:8jaXYGAM
>>711 >>744
キミたち、エロスは程々にしときなさいw

ウソです、両氏ともGJ!
露伴先生もGJですw
755Classical名無しさん:07/12/12 00:02 ID:xv/jsFC.
>>711
乙。
クソッ!すっかり騙されたぜ!
確かに、よく考えてみれば、そういう『一つになる』もありだわな。
アイデアの勝利だと思いました。

>>744
乙。
最近は戦闘続きでギスギスしてたので、和みました。
パピヨンはアカギとは違った意味で対主催の要だなあ。
こなたともフラグが立ったし……今後が楽しみ。
シェリスは……まあ、がんばれ。

>>748
うまいwwwwうますぎっすよ露伴先生wwww
承太郎の再現度とかハンパねえwww
ってか『破産』ってアナタwwwww
でも、そんなことをサラッと言ってしまうのが露伴先生らしくて素敵です。
756Classical名無しさん:07/12/12 00:10 ID:gWdADYDk
>>755
とりあえず六壁坂を読んで来い
757Classical名無しさん:07/12/12 00:14 ID:U3Xm2FB2
破産はあれだ。
岸辺露伴は動かない2を読むんだ。
758Classical名無しさん:07/12/12 00:24 ID:FQtkBPwE
>>744
風呂で和んでてもやっぱ緊張感もあるんだなと実感出来る良SSでした、GJ
ハーマイオニーの服、誰か着てくれないかなぁ、とこっそり期待してるんだけどw


>>748
こんなカッコいいナギ見たことないな
ロワ舞台じゃなかったらハヤテよろしく「お嬢様がぶっ壊れたー!」とか叫んでしまいそうだw

それにしてもナギは制服なんだな
珍しく登校して白皇から連れて来られたんだろうか
759Classical名無しさん:07/12/12 00:57 ID:.EMcTs/g
>>752
テラハルパゴスwwwwwwwDIO様相手に何やってんの将軍wwwwwww
760Classical名無しさん:07/12/12 01:50 ID:QHQeuaOI
露伴先生…サイコーです…
761 ◆WXWUmT8KJE :07/12/12 12:24 ID:TtkokCdQ
二人ともGJ!
サービス尽くしですかw
TQNのあれさと、パピヨンの肌カップ利に満足です。
武装錬金勢の生き残りの活躍の方向が間違って……いや、正しいですねw

自分も投下させてもらいます。
762一歩進んで ◆WXWUmT8KJE :07/12/12 12:25 ID:TtkokCdQ
 昼も近くなり、天に燦々と輝く太陽が街を照らしている。
 レンタルビデオ店、本屋、スーパー、パブなどが並び、こんな状況でなければ賑わうのだろう。
 百九十五センチのイギリス人に背負われる少女、柊かがみにとっては、人がいない不気味な現状に感謝をしていた。
 誰もが人がいないことに疑問を示し、あるものはこの舞台を考察、あるものは無力さと静かさに脅えている。
 そんな彼らが、かがみの感情を知り、最初は疑問を示すのだろう。
 その疑問は柊かがみの姿を見れば、万人が納得する。もっとも、そんな状況が起これば、かがみは羞恥で死にたくなるのだろうが。
 ここまでもったいぶってすまない。現在のかがみの姿は、上半身裸に下半身はタイツと言う、痴女と言っていい格好だ。
 かがみの肢体は自分の格好に対する羞恥と服が見つからない焦りで、白い肌をしっとりと汗で濡らしている。
 はかない印象を与える細く白い腕は背負う男の首にかけ、程よく肉がついている太ももをがっしりつかまれている。
 二つに結ぶ長い髪は背負っている長身の男、ジョセフ・ジョースターが走るたびに上下に揺れている。
 多くもなく少なくもない、標準的な女子高校生としては形の整っている乳房を背に感じても、ジョセフが動揺する様子はまったくない。
 外国人である彼にとっては、日本人では標準サイズに入るかがみの乳房でも小さい部類に入るのだろう。
 先ほどの会話を思い出し、かがみはムッとする。
 思わず彼の肉をつねろうかと考えたくらいだ。しかし、かがみはジョセフの鍛えられた肉体には体脂肪率が一桁だろうなと思い、余計にへこむ結果になっただけだった。
「かがみん、さっきから黙ってどうした? 胸が小さいこと気にしてんのか?
だったらいい話があるぜ。AAカップがCカップになる不思議な下着もあるんだ、世の中」
「その呼び方やめて……てか、寄せてあげるブラじゃない」
「気になさんなって。なんなら、か・がーみんって呼ぼうか?」
「何で呼び方の方なのよ! だいたい、区切るところが変!!」
「Oh〜ブラの方だったか。意外と小さいのを気にしてんのね」
「この、スカタン!!」
 かがみがジョセフの太い首を締め上げ、ジョセフが苦しげな声をあげながら降伏の意を示す。
 スピードを一切緩めないため、全然説得力がなかったが。
763一歩進んで ◆WXWUmT8KJE :07/12/12 12:27 ID:TtkokCdQ
 ジョセフの首から、力を込めていた腕を緩め、かがみは引き続きまわりを見渡す。
 彼女が探す、『ある店』を見つけられず、不満を爆発させる。
「も〜、何でブティックや古着屋が見つかんないのよ!!」
「服売ってそうなところや、店員の制服とかも探したのにな。
あれだ、貴重なサービスシーン担当だってことだな。我が友か・がーみんは」
「こんの〜〜、スカタン!!」
 本日二度目のスカタンは、拳固と共に発せられた。



「いってぇ〜、本気で殴りやがった。まだジンジンするぜ」
 軽口の代償に痛む頭部を撫でながら、ジョセフは一人街を走る。
 かがみは近くの民家に待機させている。あの後かがみがくしゃみをして、さすがに身体が冷えたのだろうと思い、羽織るものの探索に一人出たのだ。
 離れる時かがみは不安そうな表情をしていたため、早く戻ろうとジョセフは全速力で街を駆ける。
「それにしても、本当に服が見つからん。マジであのハゲジジイはかがみをサービス担当にしてニヤニヤスケベ面してんじゃねえか?」
 この戦いを観察し、一人ニヤニヤしている光成を思い浮かべ、ジョセフは吐き捨てる。
 もっとも、当の光成はジョセフが思うような恵まれた環境におかれているわけではないが、ジョセフが知ることはない。
 かがみを長い間一人にはしておけないと、更に加速しジョセフは駅前に辿り着いた。
「売店とかになんか残っていないかな〜っと。
駅があるってことは、汽車が走っているってことか? まあ、それよりも先に服だ、服。
個人的にはあのままでもいいんだけど」
 かがみが聞いたら、ジョセフの評価を更に下げるような事を呟く。
 ジョセフも本気でそう思っているわけではないが、目的の物が見つからないために少しめげそうになっているのだ。
 ジョセフでは何の目的で作られたか分からない、改札の前で頭を抱えて佇む。
 ふと視線を向けると、ダンボールが立てられた場所に薄汚れたコートを発見する。
 風を遮るように立てられたダンボールの中央には、古新聞が敷かれており、誰か暮らしていたような雰囲気を醸し出していた。
 ジョセフの時代には失業者など腐るほどいたため、気にせずに失礼しま〜すと、軽い口調で中へと侵入していく。
764Classical名無しさん:07/12/12 12:28 ID:.f18NZEg
765一歩進んで ◆WXWUmT8KJE :07/12/12 12:29 ID:TtkokCdQ
「お、ちょうどいいのがあるじゃん。ちょっと匂うけど、かがみもこれなら納得してくれるだろ!
まっていろよ、我が友、か・がーみん!!」
 一人でもおどける事を忘れず、ジョセフはコンクリートで舗装された道を戻る。
 彼が去った後には、空き缶で満杯のリアカーだけが残されていた。



「ジョジョ遅いなぁ……」
 かがみはため息を吐き、外の様子を窺って呟いた。
 本当はジョセフが服を探しに出かけてから十分も経っていない。
 さすがに待つ間、家の中とはいえ上半身裸では寒気がする。
 くしゅんと、ジョセフが服を探しに出るきっかけになったくしゃみをし、家の中にはあるものがないか探索をする。
 木製の床を踏んで歩きながら、周りを見渡す。
 大きなソファーと机、大きなテレビが鎮ある。自分たちのように夜には家族が揃ってここでテレビを一緒に見ていたのかもしれない。
 大きな庭が窓の先にあり、主を失った犬小屋が寂しげに置かれてある。
 リビングを出て書斎や寝室のある一階を回り、衣服類を一つも見つけられなかったかがみは二階へと向かう。
 勉強部屋だろうか、自分の部屋を思い出し、かがみは懐かしむ。
 家に帰れなくなってから、まだ一日も経っていない。なのに、二度と戻れない遠い場所のように思える。
 この部屋の端に存在するベットが、かがみが風邪で寝込んでいた時、見舞いに来たみゆきの人柄の良さを思い出した。
 涙を拭い、前に進むと決めた瞳を向ける。その瞬間、かがみは偶然目の前のクローゼットを発見した。
 みゆきの事を思い出していたのに、衣服があるかもしれないという期待をすることに罪悪感を抱く。
 それでもこの格好から開放されるという魅力には叶わず、かがみはクローゼットへと歩み寄った。
 結果としてはクローゼットの中は空であり、現実は非常であった。

「はぁ〜」
 期待を裏切られたかがみはため息を吐きながら一階の台所へと降りてくる。
 期待していた分だけ、空回りすると余計落ち込むのは人の常であった。
 静かさが演出する不気味さを、みゆきに対する罪悪感でかがみは塗りつぶしており、椅子に腰をかけて突っ伏す。
「ごめんね、みゆき、灰原さん、桂さん」
766Classical名無しさん:07/12/12 12:30 ID:.f18NZEg
767一歩進んで ◆WXWUmT8KJE :07/12/12 12:30 ID:TtkokCdQ
 答えは返らない。もしも生きていたのなら、どんな返事をしたのか、かがみは気になるが答えを知る術はない。
 死ぬ時は安らかに死ねただろうか? 三人を殺した無慈悲な殺人鬼は誰であろうか?
 気にしだすと止まらなくなり、こんな時はジョセフの軽口を無性に聞きたくなる。
 そこでかがみはジョセフは自分の気を紛らわせるために軽口を叩いているのではいかと思い、少し見直す。
 が、かがみの脳裏に胸の事を馬鹿にして、HAHAHAと外人臭い笑い方をするジョセフが描かれ、評価を上げるのを思いなおす。
 過大評価は必要ない。頭に血管を浮かばせ、かがみはそう心に決めた。
 次に思い出すのは、あの赤い戦士。
 どこか虫を髣髴させながらも、スタイリッシュにまとめたフォルムに赤い仮面。
 忍者のような技や手裏剣を放つ彼は、かがみを殴ろうとして明らかに戸惑っていた。
 ジョセフが言うには、強い相手と戦うことを喜ぶタイプだとのことだが、かがみに拳を当てなかったその無機質な緑眼に、悲しみを覗き見た気がするのだ。
(もしかしたら、あの人も私たちと一緒に戦ってくれるかも……)
 淡い期待を寄せるその戦士は、皮肉にも彼女の双子の妹の探し人でもあった。
 ジョセフと合流したら、その話もしようかと脳裏に書き留める。
 考えがまとまり、かがみはゆっくりと顔を上げる。そのかがみの視線の先には……


 かがみがいるであろう民家のドアをジョセフはたたき、鍵を開ける事を催促する。
「ノックしてもしもお〜し……って、シンちゃんのときにやったか。
かがみん、俺だ。ジョジョだ。呼び方気に入らないなら、か・がーみんって呼ぼうか?」
「呼ばなくていいわよ! 何気に気に入っているの? その呼び方!?」
「お、ちゃんといるじゃん。早く開けれくれよ〜」
「鍵を開けるけど、ちょ、ちょっと待ってね」
 ジョセフはその声に構わず、鍵があくと同時にドアを開ける。
 戦利品を手にして、ジョセフはホクホク顔で玄関に上がりこんだ。
「いや〜、身体冷やすとさすがにいけないって。俺が持ってきた……」
 ジョセフは最後まで言葉をいいかけて止まる。
768Classical名無しさん:07/12/12 12:31 ID:KLAwE3pg
携帯から支援
すでにエロいww
769一歩進んで ◆WXWUmT8KJE :07/12/12 12:32 ID:TtkokCdQ
 彼が目にしたかがみは、ここを出かえる前と変わらずタイツをはいている。
 出かける前と違うのは上半身。白い肢体にかけられている、白い布。背中は相変わらず肌を晒している。
 エプロンを裸の上半身につけ、青少年には刺激の強い姿にかがみはなっていた。
 ジョセフは口をあんぐりあけ、やがて表情を引き締める。
「かがみ、俺は妻がいるんだ。その、誘惑されても……なんだ、困る」
 ジョセフは真面目な顔でかがみを見つめ……いや、かがみの胸を見つめて戸惑いながら告げる。
「俺はロリコンでもないし……」
「このぉぉぉぉぉぉ!! スカタンンンンンンン!!!!」
 本日かがみの三度目のスカタンと共に全身全霊を込めたとび蹴りがジョセフの鳩尾にヒットした。


「乱暴だな、か・がーみんは」
「その呼び方やめてっていったでしょう。だいたい、人が説明しようとしているのに無視して入るし」
「せっかく人がそれよりマシな格好になるもん手に入れてきたのに」
「それは……あ、ありがとう」
 本気で感謝を込めてかがみは礼を言う。殺し合いが行われているのは、放送が物語っている。
 殺人鬼が徘徊しているかもしれない街中を、自分のために服を探してくれたのだ。ジョセフには感謝してもし足りない。
 それに、こなたが喜びそうな卑猥な格好から逃れられると思うと、素直に嬉しくてしょうがない。
 絶対こなたと再会して、この格好だったら彼女はこういう。
『かがみ、裸エプロンに首輪……それなんてエロゲー?』
 表情まであっさりと思い浮かべれたかがみは、そんな状況は真っ平ごめんだと首を振る。
 疲れた表情のかがみをジョセフは不思議そうに見つめていた。
「どうした、か・がーみん」
「いや、この格好を喜びそうな奴がいるのよ……」
「男なら誰でも喜ぶぜ」
770Classical名無しさん:07/12/12 12:32 ID:.f18NZEg
...
771一歩進んで ◆WXWUmT8KJE :07/12/12 12:33 ID:TtkokCdQ
「……いや、そいつは女よ」
 かがみの言葉を聞いて、ジョセフは驚愕する。
 あまりにも驚いているため、かがみは自分が何か迂闊な事をいったのではないか、不安になる。それも一瞬だけだったが。
「か・がーみんはその気があったのか!? Oh My God!! もったいねー!!
現在はともかく、将来は期待大なのに!!」
「ないわ!!」
 今度のツッコミはあっさりジョセフに避けられ、かがみは悔しげに拳を震わせる。
 HAHAHAとジョセフはわざと外人臭い笑い声をあげて挑発してくる。
「なんだかあんたといると、あいつの事を思い出すわ」
「へえ、女なのに男前ってか?」
「いや、なんかくらげっぽいところが」
「く、くらげ……か・がーみんの俺に対する印象っていったい……」
 妙にショックを受けるジョセフを前に、かがみは内心ガッツポーズをとる。
 実はジョセフを殴る時は、殴ったかがみのほうがダメージが大きかったりするからだ。
 くだらない戦いを一段落させ、ジョセフがかがみに収穫を伝える。
「かがみ、ようやく手に入れたぜ。……ちょっと臭うけど」
「え、嘘! 本当、ありがとう! ……まあ、臭いくらいなら」
 二人とも語尾が小さくなり、ジョセフがごそごそと収穫物を取り出す。
 かがみはわくわくしながら、ジョセフが手に入れた物を待ち続けた。
 取り出されたものは……
「ん? どうした、か・がーみん。嬉しくないのか? やっぱり臭いがきついか?」
「え……いや、そ、そんなことないわよ! 臭いはそんなに酷くない……臭いは」
 不思議そうに首を傾げるジョセフに、かがみは言う。
 ジョセフが取り出したのは薄汚れたコート。臭いはかがみが告げたように、さほど酷くはない。
 ないのだが、現在のかがみはしつこいようだが、上半身裸なのだ。
772Classical名無しさん:07/12/12 12:35 ID:.f18NZEg
. .
773一歩進んで ◆WXWUmT8KJE :07/12/12 12:35 ID:TtkokCdQ
 下半身だって、つけているかどうか微妙なラインである。
 そんな中、コートを羽織れば変質者のような気がする。かがみの脳裏に、コートの前を開けて全裸を晒す変態を思い浮かべ、げんなりする。
 そういえば、こなたがあんまり趣味じゃないといっていたゲームに、似たような状況の話があった。
『かがみ、それなんて鬼畜ゲー?』
 悪夢だとかがみは頭を振るが、ジョセフの行為を無駄に出来ないし、ないよりマシだ。
 下にエプロンをつけたままにするかかがみは少し悩んで、やがて取る。
 万が一、激戦を使うような事態に陥れば、代わりに羽織るものとして使えるからだ。
 もっとも、そんなことは二度と起きないようにとかがみは願うが。
(全裸にコート……こなたには……いや、誰にも見せたくない姿だ。代わりの服を早く見つけなくちゃ)
 かがみはよりいっそう服を見つけるという決意を強める。
 傍から見ると、マヌケな姿でもあった。


「それじゃあ、ボウリング場へと向かいますか。シンちゃんもその内来るだろうし」
「……ねえ、ジョジョ。このコート、どこで見つけたの?」
「ああ、駅があってさ、そこで見つけた。シンジと合流したら汽車にでも乗って旅をするか?」
 汽車という言葉にかがみは首を傾げるが、駅があるという方向に視線を向ける。
 ジョセフはその様子を不審に思い、声をかける。
「かがみ、どうした?」
「ジョジョ…………」
 ジョセフは無言で先を促す。表情はいつもの通り、どこかいたずらっ子のような顔をしている。
 かがみの真剣さを声色で読み取ったのだろう、茶化す気配は一向になかった。
「みゆきたちと別れるとき……私は吸血鬼をひきつけて、みゆきたちは駅で逃げたの……。
だから、みゆきたちは……きっとどこかの駅で…………死んで……」
 かがみの声がどんどん小さくなり、最後は嗚咽が混じる。
774一歩進んで ◆WXWUmT8KJE :07/12/12 12:37 ID:TtkokCdQ
 もう泣かないと決めたはずなのに、頑張ると決めたはずなのに、かがみの涙は意思に逆らって流れてくる。
 こんなことでは自分を助けてくれたジョセフに申し訳ないと、涙を拭うが、何度拭っても拭い足りない。
 涙の止まらないかがみに、ジョセフは静かに歩み寄って涙を拭う。
「なあ、かがみ。シーザーの話をしたよな。
俺、あいつが死んだとき最初は思いを受け継いで、前に進もうと思った。俺たちの波紋の先生リサリサもあえて冷徹さを装って、前に進もうとした」
 かがみは目をぱちくりさせ、ジョセフを見つめる。
 いつにもなく、ジョセフの表情は真剣で、どれほど亡き友を思っているかを読み取れる。
「けどな、俺もリサリサも瓦礫の下から流れる、シーザーの血を見てみっともなく泣いた。敵地のど真ん中なのにな」
「ジョジョが…………?」
 その事実はかがみにとって信じられないものだ。
 かがみが見てきたジョセフは、身体を焼かれてもかがみを救うために全力で立ち向かってきた。
 とても今の自分のように泣くような弱さを見出せない。
「ああ。だけどな、それでよかったんだ。
俺もリサリサも、それでシーザーの死を確認できて、きっちり片をつける覚悟が出来たからな」
 ジョセフは踵を返して、駅の方向へと向かう。
 かがみは慌てた後を追い、声をかける。
「ちょっと、そこはボウリング場じゃ……」

「かがみ、お前の友達を探してやろうぜ。こんなところで殺人気に襲われてはい、さよならじゃ可哀想過ぎる。
それに、俺たちのようにかがみが友達の死に決着をつけなくちゃいけない。安心しなさい。
悪党はこのジョジョがぶちのめすからよ!」

 力強く宣言するジョセフに、かがみの涙腺は決壊し表情を崩す。
 そのかがみにジョセフは焦り、やがてかがみは涙を浮かべながらも、笑う。
「ありがとう、ジョジョ」
775Classical名無しさん:07/12/12 12:38 ID:.f18NZEg
.. ...
776一歩進んで ◆WXWUmT8KJE :07/12/12 12:38 ID:TtkokCdQ
 かがみの笑みは、女性の好みにうるさいジョセフを一瞬見惚れさせるほど、輝いていた。



 ボウリング場から出てくるかがみを見つけ、ジョセフは大きく手を振る。
 ちなみに、服の類はここにもなかった。ここまで来ると嫌がらせのような気がする。
「か・がーみん、メモは置いてきたか?」
「うん、私のメモを張っておいた」
「よし、シンジもこれで俺たちを追いかけるだろう。運が良けりゃあまた合流できるさ」
「でも……三村が危なくない?」
「あのシンジがこの程度でくたばるタマかい」
 あっさりとジョセフは言い切り、かがみを背負おうとする。
「ジョジョ、私は大丈夫だって。もう疲れもないし」
「そう? まあ、つらくなったらいつで声をかけな」
 妙に男らしい事を言うジョセフにかがみは素直に頷きかけて、やっぱりやめる。
 これ以上ジョセフに迷惑をかけれない。かがみは静かに首を振った。
「大丈夫、私は歩くよ。ジョジョ」
 ジョセフは後ろを振り返り、いつものように明るい表情をかがみに向けた。
 かがみにとってその笑顔は、何百人の味方をつけたような心強さがある。

「だって、みゆきや灰原さん、桂さんに誇れるようになりたいから。
きっと、三人の死体を見つけたらみっともなく泣くだろうけど……絶対決着をつける。片をつける。
だからジョジョ、今は歩かせて」

「……へへ、もちろんいいに決まっているだろ!!」
777一歩進んで ◆WXWUmT8KJE :07/12/12 12:39 ID:TtkokCdQ
 ジョセフは嬉しそうに身体を伸ばしながら立ち上がる。
 力強く頷くかがみを守るようにジョセフは彼女の傍に立った。
「じゃあ、かがみの友達を殺した悪党を懲らしめに行きますか!」
 燃える思いを胸に、ジョセフが吠える。二人が力強く歩む先には駅がある。
 二人が右足を前に出し、一歩前に進んだ時、
「くしゅん!」
 風が吹いて、かがみの身体が冷えてついくしゃみをする。
 やはり、全裸にコートではまだ寒い時期のようだった。
778一歩進んで ◆WXWUmT8KJE :07/12/12 12:40 ID:TtkokCdQ
【G-8 ボウリング場前/一日目 夕方】


【ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康、顔面にマジシャンズ・レッドの拳によるダメージ
[装備]:ハイパーヨーヨー×2(ハイパーミレニアム、ファイヤーボール)、
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:あのスカタンを一発ぶん殴ってやらねぇと気が済まねぇ〜〜。
1:かがみを三人の友達の死に対して決着をつけさせる。
2:1のために駅周辺を探索。三人を殺した悪党をぶちのめす。
3:三村とそのうち合流。
4:マップの端を見に行く。
5:「DIO」は警戒する、一応赤石も探しとくか……無いと思うけど。
6:ところで、何で義手じゃないんだ?
7:赤ムシ野郎(ZX)にはもう会いたくねぇな
[備考]
※二部終了から連れてこられていますが、義手ではありません。
※承太郎、吉良、DIOの名前に何か引っかかっているようです。
※水を使うことで、波紋探知が可能です。
※村雨が西の方角へ行ったと勘違いしています
※三村の留守電を聞き逃しました。
779一歩進んで ◆WXWUmT8KJE :07/12/12 12:41 ID:TtkokCdQ

【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:左肩、左脇腹に打撲、精神消耗(大)、
[装備]:核鉄「激戦」@武装錬金、マジシャンズレッド(魔術師の赤)のDISC@ジョジョの奇妙な冒険
    江頭2:50のタイツ、上半身裸に汚れたコート
[道具]:白いエプロン
[思考・状況]
基本:生きる
1:みゆきたちの死と決着をつける。
2:そのために駅周辺を探索する。
3:殺し合いには乗らない、脱出を目指す
4:ジョセフについていく。
5:こなた、つかさと合流する
6:三村に謝りたい
7:ま と も な ふ く が ほ し い (切実)
[備考]
※アーカードを不死身の化け物と思っています。
※「激戦」は槍を手から離した状態で死んだ場合は修復せずに死にます。
 持っている状態では粉々に吹き飛んでも死にませんが体の修復に体力を激しく消耗します。
 常人では短時間で三回以上連続で致命傷を回復すると意識が飛ぶ危険があります。
 負傷して五分以上経過した患部、及び再生途中で激戦を奪われ五分以上経過した場合の該当患部は修復出来ません。
 全身を再生した場合首輪も再生されます。
 自己修復を利用しての首輪解除は出来ません
 禁止エリア等に接触し首輪が爆破した場合自動修復は発動しません。
※マジシャンズレッドの火力は使用者の集中力によって比例します。
 鉄を溶かすほどの高温の炎の使用は強い集中力を要します。
 火力センサーは使用可能ですが精神力を大きく消耗します
※精神消耗のためしばらくマジシャンズ・レッドは出せません
※三村の留守電を聞き逃しました。
※ボウリング場にかがみのメモを張っています。
780 ◆WXWUmT8KJE :07/12/12 12:42 ID:TtkokCdQ
投下終了。矛盾、誤字の指摘、感想をお待ちしています。

サービスネタが被りましたが、私は謝らない。
某イギリス貴族ネタも私は謝ら(ry
781Classical名無しさん:07/12/12 12:45 ID:.f18NZEg
投下乙。
裸の上に、おれっちのコート、とは……ええい、まさにそれなんてエロゲ?!
このコンビはやっぱりいいなぁ。信頼するシンジは負の方向に暴走中だけど。GJ。
782Classical名無しさん:07/12/12 14:11 ID:.EMcTs/g
投下乙! ほんっっっっっっとに重なるなwwwwwwww あれか全開バトルの後はエロで心を和ませろって気遣いかwwwwwww
空気読みすぎだ君等wwwwwww つかかがみにハヤテの女装服着せたれやこなたwwwwwwww

まあ、サービス抜きにしてもジョセフとかがみのやりとりはとても和んだ。相変わらず地の文の表現も豊富だしGJ!
最後に、お帰りなさい、待ってたぜ!
783 ◆3OcZUGDYUo :07/12/12 18:05 ID:hOzsX9Hk
投下乙!
ジョセフがかっこいいなぁ……かがみとも良いムードですし、このロワはカップルが一杯ですねw
というか坊ちゃんネタが入ってることに驚いたと同時にニヤリとしてしまったw
かがみに幾分かマシな服を与えてくれた事に感謝! 何気に状態表も手が加えられてて吹きましたw

それと自分が投下した『地獄の季節』ですが、一部加筆したのを一時投下に落としました。
ご意見お願いしますね。
784Classical名無しさん:07/12/12 18:27 ID:FzYva3pA
投下乙ー。
実にエロカッコイイのう。

ところで頭砕かれたり、全身焼けたりしてるのに、かがみんはツインテール維持できてるの?
と思ったが、激戦の元の持ち主も何故か、縛った髪ごと再生してたわ。
785Classical名無しさん:07/12/12 23:33 ID:zQvS6d/2
したらば行けないけど、どうなってんの?
786Classical名無しさん:07/12/12 23:53 ID:.f18NZEg
したらば全体が障害らしい。22時頃から。復旧時期不明、現在作業中とのこと。

こういう時は「したらば」でググってみ。ライブドアのお知らせとか見れるページ出るから。
787Classical名無しさん:07/12/12 23:57 ID:zQvS6d/2
>>786
トンクス
788Classical名無しさん:07/12/12 23:58 ID:3TGyJcTw
tp://blog.livedoor.jp/bbsnews/archives/50391364.html

を見つけてきたのに既に786があって悲しすぎた……
789Classical名無しさん:07/12/13 00:46 ID:GoBuWpBI
ところで毒吐きにいけないんでここで吐かせてもらおう

TQNでもシェリスでもかがみんでもない
パピヨンのサービスシーンに期待した俺のわくわく返せ
790Classical名無しさん:07/12/13 01:13 ID:sZlgNARE
承太郎に波紋を使わせたかったがなァ……
スタープラチナオーバードライヴ
星の白金色の波紋疾走、なんて名前をつけて空気を媒介にできる波紋を……
791Classical名無しさん:07/12/13 01:23 ID:EhoH.42A
ジョセフにSPWのごとくパウッされる承太郎を想像して吹いた
792Classical名無しさん:07/12/13 01:31 ID:sZlgNARE
それと、これも今更だが結局第二部主人公と会わせられなかったのも残念だよなー
じじい扱いしている人間が、若い頃は自分と瓜二つだと知ったらどう反応したことやら
793Classical名無しさん:07/12/13 01:39 ID:OTXosA.A
容量が480kb越えているんで、立ててきたけどパート名間違えたorz
ごめんよぉぉ

http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1197477200/
794Classical名無しさん:07/12/13 01:53 ID:1G86pq0I
ごっつここだけの話。マリアさんがユリアに似てるって話にしよーとか妄想してた時がある
マーダーコレクターに更なる一品をとか考えてたんだが……ああ、あの時予約負けしてて良かった
795 ◆uiAEn7XS/. :07/12/14 07:15 ID:UJlbdMjU
いかん、日数計算間違えた……。
予約延長させてください。
長くはないからこっちに投下したほうがですかね?
796Classical名無しさん:07/12/14 09:02 ID:1HuTH6DU
うい、梅も含めてその方がいいと思います。
がんばってね
797 ◆ctWQeRff.I :07/12/15 15:36 ID:Kk5uspiQ
突然ですがwiki管理人です。

携帯持っている方にお願いします。
tp://www32.atwiki.jp/comicroyale/pages/476.html
から三つほど、リンクが張ってあるのですが、そのリンク先に飛ぶ事が出来るでしょうか?
PCからだと問題なく、閲覧できるのですが、一部携帯で読めなくなるケースがあるようです。

大変申し訳ありませんが、何名かの携帯所持の方にお願いします。
まず、ttp://www32.atwiki.jp/comicroyale/pages/476.htmlがどのように表示されるかを教えてください
次に、そこから、三つのリンク先に飛べるかどうかを教えてください。
お手数をおかけして申し訳ありませんが、お願いいたします。

以上です。
798Classical名無しさん:07/12/15 15:49 ID:Kk5uspiQ
>>797に補足です。
ページ閲覧中に?という文字が見えた場合はご報告ください。
また、PC閲覧時と大きく違うものがあった場合も、ご報告をお願いします。

最後に、このような確認をするのは、一部携帯で使用できない文字がある場合、
SS本文の閲覧にどれだけ影響が及ぶのかを確認するためです。

再度、ご協力をお願いいたします。
799Classical名無しさん:07/12/15 16:12 ID:HXW7vROY
>>797
いつも乙です
当方あう使いです
最初のページはこんな感じで表示されました↓


トップ覧検タ下
〜ページ
―――――――――――――
テスト

〜テスト
テスト
?テスト


トップ覧検タ上
―――――――――――――


他のページもだいたいこのような感じでした
真ん中に飛んだとき、上部が「?テスト」と表示されます
PCでも確認しましたが、どうやら真ん中は「?」が出ないみたいだ

こんな感じの報告でいいのかな
800Classical名無しさん:07/12/15 16:14 ID:Kk5uspiQ
>>799
どうも、ご協力ありがとうございます。


他の方の報告もお待ちしておりますので、よろしくお願いします。
801Classical名無しさん:07/12/15 16:14 ID:HXW7vROY
ちょ、PCのほうが文字化けしとるがなorz
やり直します…すんません


トップ覧検タ下
〜ページ
―――――――――――――
テスト

〜テスト
テスト
−テスト


トップ覧検タ上
―――――――――――――


こう見えていました
コピペしたのがまずかったな
802Classical名無しさん:07/12/15 16:15 ID:Kk5uspiQ
>>799
あ、あとリンク先には飛べたのでしょうか?
リンク先の文字は普通の文字なので、読めるはずですが三ページ読めたか読めなかったか。
を教えていただけると助かります。
803Classical名無しさん:07/12/15 16:21 ID:HXW7vROY
>>802
リンク先の文字は3つとも読めました
「よく読めました!」「よく読めました。」「終了!」で大丈夫ですよね
804Classical名無しさん:07/12/15 16:27 ID:Kk5uspiQ
>>803
ご協力、ありがとうございます。
ということは、二番目の「テスト」は正常に表示されていないが、リンク先は読めたということですね。

念のために、回答テンプレを作っておきます。

1. 〜テストのページ名が正常に表示された。 ○/×(×なら表示内容を教えてください)
2. 〜テストのページ内容が正常に表示された。○/×(×なら理由を教えてください)
3. —テストのページ名が正常に表示された。○/×(×なら表示内容を教えてください)
4. —テストのページ内容が正常に表示された。○/×(×なら理由を教えてください)
5. −テストのページ名が正常に表示された。○/×(×なら表示内容を教えてください)
6. −テストのページ内容が正常に表示された。○/×(×なら理由を教えてください)
805 ◆ctWQeRff.I :07/12/16 00:03 ID:vKXIcrug
えっと、いくら待っても完全スルーなので少し悲しいですが>>804は終了にします。
今回の試験で確認したかった事は、文字の種類によってSS本文が読めなくなるようなケースは生じるのかということです。
私一人で色々調べてみた結果、少なくとも、本文がまるまる読めなくなる(つまり、リンクを飛べなくなる)というケースは
文字コードが原因では起こらないようです。(他の原因では起こります)

しかし、そうは言っても、やはり一部の携帯電話では上のような文字は表示できないケースがあることが分かりました。
特に—はこれまで報告にあった案件全てで表示できないことが分かっています。
ですので、やはり—は使用しないようお願いいたします。

ただし、問題はここからなのですが、実はこの文字編集者が意図して組み込んだものではない可能性もあるんです。
編集する方の環境によっては、意図せずこれが組み込まれてしまう恐れがあります。
それによって、色々と弊害が起きてしまいます。細かい事かもしれませんが、結構重要です。

ですので、もしも今後、同じように読めない文字を見つけた方はご連絡ください。
よろしくお願いいたします。
806Classical名無しさん:07/12/16 00:07 ID:vKXIcrug
>>803
遅れましたが、再度お礼を申し上げます。
ご協力ありがとうございました。
807 ◆uiAEn7XS/. :07/12/16 01:38 ID:QUun/8pM
えーとですね。遅れましてすいません。
アーカードのパート、予想外に長くなったので新スレに投下します。
こいつの心理描写、いざ書くとなると厄介な……。
808Classical名無しさん:07/12/16 15:04 ID:9V4MdH.c
さてこっちはもう埋めムードに入っていいものか・・
809Classical名無しさん:07/12/16 15:18 ID:uXcQkLBU
1000ならバーローが空気を脱出
810Classical名無しさん:07/12/16 16:45 ID:OAhj.T7c
>>809
お前それ狙ってないだろw
811Classical名無しさん:07/12/16 16:51 ID:EOj95vmk
       r`"⌒`ー=v ‐-、
        1:::::.....................  }
       |:::::::::::::::::::::::___::リ,    まいったな、ジジイより先にリタイアとは……
       r| ::::::::::::::( )|'爪|::jリ    俺もヤキがまわったか
      /``======_‐ラ(6,′
     ,>‐'つ__... =-〒rtッテ|h′    俺はもう助けてやれねえ
   /.ノ (:{,|| i   i l゙`~.jl|リ      ナギ、後はてめーが自分でやるんだぜ
   ! }/゙ヽl.l ',  ヾツ  |l!|) _
   { (´/ヽ.):ヽ  r=- l/l:}/,r=,ヽ.._
    ヽ( イ- ) ̄l|、|!゙¨´ / l:八.>=iこ⊂⊃
     \ `ヽ:::::lドミ==‐' レ____l[二´__
 ̄:¨"7゙<〉   )::¨o7 /  ̄ フ 7ー-、:_:: ̄
::::::::::/:::::::\ ノノ:::/  '  '"´ /  / `ヽ
812死亡者名鑑の守人(仮):07/12/16 17:26 ID:uXcQkLBU
死亡者名鑑の追加5名を書いてたんだが、銀さんの称号がいまいち思いつかない
何かいいのないかな?
813Classical名無しさん:07/12/16 17:43 ID:wxNgxoJU
原作まんまの白夜叉でいいんじゃない?
814死亡者名鑑の守人(仮):07/12/16 18:07 ID:uXcQkLBU
>>813把握

死亡者名鑑スレに5名追加しました
まいどのことですが何かキャラの軌跡に違和感があったらお伝えください〜
815Classical名無しさん:07/12/16 18:38 ID:ThufsmBE
死亡者名鑑乙!
いつも楽しみにしてるぜ!
相変わらず称号のセンスもいいし、違和感は感じなかったよ。
816Classical名無しさん:07/12/16 18:52 ID:hp/xlw4.
>>811
         / / ,. -'"´         `丶、、 ヽ
       __l //      /  |      \ \\ ゙、 
     / :::||  / / /    l l      ヽ ヽヽド、     
    l::::::::::|| /   /  /      ! l  ヽ   ヽ ヽヽ ||:::::ヽ 
   斤.::::::::||/  /   //! ハ  l  !  ヽ   ', ゙ヽ||::::::::勺 
   |ll|i :::::::|| l l  イ l /!l | ヽ  ト、|、  ト、  l  l、||::::::::}ll|  
   |ll|ヽ:::::|l  !l  |l!‐!‐ト、l  ヽ | l | ヽ | l i l  l||:::::::/!l|  分かったアル。ちょうど目の前に
   |lll| `ー!  l  | l 」-=ミ|`ヽ ヽ | !-‐!‐|-l、|} l  |r、〃|ll|  メガネの知り合いがいたからがんばって
   L!l   |   l | 〃{ノ::::iヾ  ヽ! ,. =-ミ、!ハ l  !"´ |ll|   居場所を聞いてみるネ
         {l  |!l | ヽ `ー"     ' トイ:::}ヾ  | l |  |ll」  
         ヽ |l !|               `二ノ  '| || 
          l |', |                 /)|l l   
           l | ゙、        ` ´         /-イ| l    
            !|  \    ヽニヽ      , ′/゙! l   
         |   |ヽ、  ー     /  〃 | !     
             ,.rr|   丶、   ,.. '´ト、     l′ 
            l::l {:|     ` ´   |::}}          
        _. -‐1::ヽ' -、    _,.. -‐ン::|ヽ、
 _.. -‐ "´     |:::::::::`ゝヽ  /rJ::'"´:::::::!  ` 丶、

817Classical名無しさん:07/12/16 18:55 ID:uf2TKe4c
>>816
お前くんな
818Classical名無しさん:07/12/16 23:28 ID:O3kJiBIQ
819Classical名無しさん:07/12/17 20:43 ID:D2uV5Hlg
埋めさせていただく
820Classical名無しさん:07/12/17 20:58 ID:yMg8fgLw
埋め
821Classical名無しさん:07/12/17 21:49 ID:dR6fO/eo
1000なら愚地独歩さんのエロシーンが見れる
822Classical名無しさん:07/12/18 20:29 ID:VBU54Xqw
前スレを埋めさせるなッーーー!!
いいや、限界だ 埋めるね
823Classical名無しさん
          __...,. - ...,.r__   i'    _
        / i'´  / ,.ィ `フ' `ー ´ `i
          i i' フ ,r' / ,i'./ ./    /  i i `i 、
    ,. - 、_ノ )ヽ l  l/ l, l   ,i'    l  }  `i
   / ,r  ,. -─ i、ヽ、l  l.i i`、      ,i' ,r'  }  ヽ
   V ,〉´,r'´ `ヽ `、i i. ヽ i } ! l   _ ノ /  ノ / ,!l
  、. ,{  l ,. 、 ヽ ヽ‐-、 i'./r,.‐',ニ´... イ,.. - 、 ' ./ i l.i
 _ヽニノ ノ  ,i.   ーミ i i i.l { /,. ‐'ニア_´,.、 i. i ' /,i i
  ‐- イ r ´         ,r  "'´ニン彡-‐  }ノ i ///
   ,ゝl.ノ ,...、    ,.'         ` r' r' r _. ',i'
   l l.  ''ヽヽ    i           l (_ r´r_
    | l  r .._ヽヽ.  )          ` t:_,.r=-、〉
   l l.  ヽ.l ゚ンミ`!    __ ... _‐._´ヽ 二..,.r ^)''
   ゝl   ` ̄´     '"',ニ._´   ``  /イ /
    l         /    ヽゝ゚ンヽ   /rノ /  もしスレが埋まるのならそれもいいだろう……
     l      /       ` ´   /   ,i'次スレにこそわたしの求める『安心があるのかもしれないのだから』……
.    l     i    r ′         /
    !   .__  `- "         ,rr ´
      i    `ー 、       ,i' /.l`i
.      }、  ` - .._ `     // l.l l
      i i         _. - ´   l i. l
.    ,i  ヽ、    _. - ´       /  i、
   /  __  `  ´          ,i'    ヽ
 / .l /,ィ_,ー^i         /      `!