このスレでは、正当派の英文解釈を目指す。すなわち、細部にとことんこだわり、
たとえ読書の歩みが遅くても構わないから、ともかくあらゆる文法事項や
単語や表現の使い方にこだわり、ピリオドやコンマの一つさえをも見逃すことなく、
緻密に読み取り、味わう。
テキストとしては、必ずネット上で無料で読めるものを採用する。もちろん、一人一人の
参加者は紙の本を使ってもいいが、途中から飛び入りで参加した者でさえすぐにでも
議論に参加でき、さらには参考になる表現を検索できるようにするためにも、
必ずネット上で発表されている電子版のテキストを選ぶ。
まずはどのテキストを選ぶかには迷うが、最初はきわめて簡単そうなテキストを
選ぼう。第一、最近に立てられたある英文解釈スレで取り上げられている
きわめて平易に見えるテキストにさえ、けっこう難しい問題も含まれていることが
わかったからである。
受験生を初めとして、質問は大いにしてくれてよいが、そのときは、必ず
テキストをできるだけ長く引用してほしい。テキストの写真を貼り付けるなんて
ことはしないでほしい。写真から文字を読み取るのは疲れる。だから
必ずテキストの一字一句をタイプして、このスレに書き込んでほしい。
あまり面白い題材ではないかも知れないけど、まず一つ投下してみる。
初めの投稿時のテンプレが決められてた方が書きやすいかも。
@ 引用元:
qyj00653.cocolog-nifty.com/blog/these.html
第15回 応用問題(→神戸大学2004年度大問2の過去問)
(原著URL:goo.gl/0xH49V)
A英文:
(a) Left to itself, the Earth would be a fantastically cold rock at near absolute-zero temperature.
(b) If the Sun had been slightly more massive, its high temperature would have made
the Earth's surface hot enough to melt lead.
A smaller Sun would have left the Earth unbearably cold. Distance also matters.
(c) Had the Earth been closer, we might be as extremely hot as Venus;
(d) farther away and we might have been as cold and dry as Mars.
(e) Without it, the Earth would be colder by about 33℃
B問題点:
特に気持ち悪いのは、(c)(d)の帰結節にあたる部分。
(c)地球が太陽に近ければ、金星のように熱くなっていたかも知れないのは「今=might be」のこと
(d)地球が太陽から遠ければ、火星のように寒くなっていたのは「過去=might have been」のこと
問題:
(c)のmight beはmight have beenでは?それに付随して(e)もwould have beenでは?
原作者の誤記ではないとしたら、帰結節でわざわざこの形にした理由は?
4 :
3:2014/06/18(水) 15:00:26.92 ID:+1k7cvxf
「さくらが咲いてますよ」エラーでURL投稿できなかった。
goo.glの短縮URLは使っちゃいけないということかな。
上の投稿の引用元URLには
http://を付加して下さい。
>>3 >>5 一応、長文の課題文の4つのパラグラフをざっと読んでみたけど、確かに不思議な文章だ。
あなたと同じ疑問を、僕も感じてしまう。これはじっくり考えてみたい。なお、さしあたって、
リンク先の文章の文字が小さくて見にくいので、特に重要な部分だけをここにコピーする。
なお、あなたと僕が疑問に思う箇所に、マークをつけておく。
第2パラグラフの全体
Most of us do not worship the Sun as did many in ancient civilizations,
but we certainly should not take for granted the light and heat that
it provides. Left to itself, the Earth ★would★ be a fantastically cold
rock at near absolute-zero temperature. If the Sun ●had been● slightly
more massive, its high temperature ■would have made■ the Earth's surface
hot enough to melt lead. A smaller Sun 【would have left】 the Earth
unbearably cold. Distance also matters. ★Had the Earth been★ closer, we
●might be● as extremely hot as Venus; farther away and we might have
been as cold and dry as Mars. We live at just the right distance from
a just-right star.
第4パラグラフの一部
The Earth's atmosphere is also of major importance in determining the
global temperature. Without it, the Earth ■would be■ colder by about
33℃, and therefore a frozen lump of ice.
http://qyj00653.cocolog-nifty.com/blog/these.html
>>6 の続き
>>3 への回答
さて、長いあいだじっくり考えたわけじゃないけど、中間報告としての回答を出しておこう。
僕が思うには、次の通り。
(1) 仮定法過去(were など)と条件法過去(would be など)の部分は、
「今ならば、このようになっている(いた)だろう」という意味。これについては、問題ないと思う。
(2) 過去完了(had been など)と条件法過去完了(would have been など)の部分は
すべて、「もしも太陽や地球が誕生した数十億年(あるいは100億年)前に、これこれ
こういう状態だったとしたら、このようになっただろう」という意味。
(3) 「If. . .」の部分つまり「条件節」の部分が過去完了なのに、そのあとの節(帰結節)が
条件法過去になっている部分のは、「もし太陽や地球が誕生したときに、これこれこういう
ふうなことが起こったとしたら、今ごろはこのようになっているだろう」という意味。
以上のことが、基本的な考え方。次に、個々の文について考えてみる。
8 :
momi:2014/06/18(水) 16:12:43.18 ID:BJrJQoXp
混合仮定法のさらに応用問題みたいな質問だね。
なんで表現を揃えなかったのだろう。
>>7 の続き
>>3への回答
さて、個々の文について考える。意味を考えるために、くどいような訳になってしまうことを許されたい。
(a) Left to itself, the Earth would be a fantastically cold rock
at near absolute-zero temperature.
地球がいま孤立していたら(太陽が今、そばにない状態であったら)、
地球は【今では】絶対ゼロ度の fantastically に冷たい一つの巨大な岩のような物体になっているだろう。
(b) If the Sun had been slightly more massive,
もし【太陽が誕生したときに】わずかに質量が今よりも大きかったとしたら、
its high temperature would have made the Earth's surface hot enough to melt lead.
その高い温度により、(太陽誕生時に)地球の表面は熱くて〜になったことであろう。
A smaller Sun would have left the Earth unbearably cold. Distance also matters.
太陽が誕生したときに今よりも小さい状態で生まれたとしたら、地球は耐え難く冷たく【なった】ことであろう。
(c) Had the Earth been closer,
【地球が誕生したときに】、それが今よりも近かったら、
we might be as extremely hot as Venus;
【今では】地球は金星と同じくらい極端に暑いことであろう。
(d) farther away and we might have been as cold and dry as Mars.
【地球が誕生したときに】もっとそれが遠かったら、地球は【そのとき】火星と同じくらいに冷たくて乾燥した状態で【あった】かもしれない。
(e) Without it, the Earth would be colder by about 33℃
それがなかったら、地球は【今では】温度が摂氏33度だけ低いであろう。
10 :
momi:2014/06/18(水) 16:30:12.93 ID:BJrJQoXp
>>9 ああなるほど〜素直に意を汲むのが吉なのか。
nowとかあればアレ、ってならなかったんだろうけど。
【このスレについての、テンプレに近い宣言文】
15:30の段階でこの課題文を見たとき、「おっと、僕には答えられそうもない」と
思ってしまった。降参するかもしれない、と思った。しかし、40分ほど、他のことをやりながら
ぼんやりしたりしながら考えるともなく考えたら、上記のように解決できた。たぶんこれで
正解だろうと思う。
僕としては、英語以外の専門分野(たとえば数学とか法学などの専門分野の高度な知識を要求する
ようなもの)の文献でない限りは、どんな問題に対しても本気で取り組むし、もしわからなければ
素直に降参する。そして、わかりもしないのにわかったような顔は断じてしないように心掛ける。
だから、遠慮なくどんな問題でもいいから提起してほしい。
テンプレ(つまりレス1に書いたこと)の中できちんと詳しく方針を述べることができなくて残念だったけど、
一応、【できるかぎり】ネット上にすでに電子情報として公開されているテキストについて
論議したいけど、もしそれが無理なら、たとえば受験生が手元に持っている小説でもいいし、
受験参考書でもいい。しかし、くどいようだけど、絶対にテキストの写真などを見せて終わりにしない
でほしい。きちんとテキストをタイプしてほしい。それから、問題文の一部のみを見せるような
ことはしないで、前後の5行から10行くらいをきちんと示してほしい。ネット上で見られる場合は、
必ずリンクを貼ってほしい。
理想としては、Project Gutenberg などで公開されている有名な小説などの一節を
みんなで一緒に読んで味わってみたいと思うけど、あまり無理しないように頑張りたい。
(続く)
(続き)
さらに、できる限り「一行レス」は、やめてほしい。きちんと言うべきことを言えば、通常は
一行で終わるはずがないのだ。だからといって冗長なものがいいというわけでは決してない。
しかし、言うべきことはきちんと、くどいくらいに言ってほしい。自分の言いたいことは、
面と向かってしゃべっているときには一行レスみたいな言い方でも通じることがよくあるけど、
顔も見えず、お互いにどこの誰かもわからず、いったい次の瞬間にどの分野のどのような
話しが飛んでくるかわからないときに、いきなり一行レスだけで質問されたり回答されたりしても、
意味がわかりにくいことが多く、イライラする。
だから、いつもなら必要なことをすべて書いた上でもなおかつ簡潔さを誇ることができる人も、
あくまで慎重に、たとえくどくなってもいいから、どこのどんな人が読んでもわかるように
書いてほしい。ましてや、僕を初めとして、みんなは、仕事や家事などの合間を縫って、
疲れ切った頭を抱えながら、眠い目をこすりながらこのコメントを読んでいるのだ。
決して遊び半分で2ちゃんねるをやっているとは限らない人もいるのだ。そしてこのスレこそ、
2ちゃんねるで最高の「修行の場」になるかもしれないので、そのつもりで、どうか
通常の軽薄なスラングだらけの1行レスだらけのアホなスレになるよう放置することなく、
ぜひとも重厚なスレに育て上げるよう協力して頂きたいと切に願う次第である。
【このスレについてのスレ主の思い】
ものすごく贅沢な野望かもしれないが、何年も先、あるいは20年くらい先になるかもしれないが、
2ちゃんねる上で、僕は Jane Austen, Charles Dickens, Shakespeare などを
初めとする古典文学を片っ端からみんなで英文解釈していきたい。
一行一行を大事に、一語一語を決してごまかさず、コンマやピリオドの使い方にまでこだわりながら、
読み味わい、深く鑑賞していきたい。そういう野望を持っている。
僕は、1年半ほど前から、僕自身の隔離・孤立スレを作って、それに似たことをやってはいるけど、
もちろんうまくは行っていない。まあ、遠い将来に花を開かせようともがいているわけだ。
momi さん、それから大学院の課題文を提起してくれた方、そして
>>14 さん、ありがとう。
それから、silent majority の方々もおられるかもしれないけど、みなさんに感謝しています。
16 :
3:2014/06/18(水) 18:05:30.32 ID:lfcCNdAQ
>>9 レスありがとう。俺もだいたいその解釈に同意見。
A smaller Sun would have left the Earth unbearably cold.→この時点では過去
we might have been as cold and dry as Mars / the Earth would be colder by about 33℃→この時点では現在
というところで、いったいいつ地球が「寒いor寒かった」と言いたいのか不明瞭な感じがして、
この著者は読者をただ混乱させたいだけなのか、とは思ってしまうけれど。
ただ、そのへんは著者の思考や論理展開の部分なのでここで議論することではないね。
あくまで「テクスト自体から何が分かるか」に焦点をあてるべきスレだと思うので。
取りあえずぱっと思いついたのをサンプル的に投下してみただけなので、何かこんな感じで、
もっと面白いものがあればまた投下してみますね。
良いスレだ!
>>6 について
確かに、この原文はもしかしたら悪文なのかもしれませんね。何も仮定法過去完了や
条件法過去完了にしなくても、すべてを仮定法過去と条件法過去にすればすむことかもしれません。
実験的に、
>>6 に挙げた原文をここに再びコピーし、仮定法過去と条件法過去だけを使って、
「今ではこうなっているだろう」というような意味で統一してみます。
なお、僕が書き換えた部分は、すべて大文字のみで表記します。下記のように、すべてを「今」で統一して
仮定法過去と条件法過去のみで表現しなおしても、問題ないと僕は思うのですが、
みなさんもそう思いますか?
第2パラグラフの全体
Most of us do not worship the Sun as did many in ancient civilizations,
but we certainly should not take for granted the light and heat that
it provides. Left to itself, the Earth ★would★ be a fantastically cold
rock at near absolute-zero temperature. If the Sun ●WERE● slightly
more massive, its high temperature ■would MAKE■ the Earth's surface
hot enough to melt lead. A smaller Sun 【would LEAVE】 the Earth
unbearably cold. Distance also matters. ★IF the Earth WERE★ closer, we
●might be● as extremely hot as Venus; farther away and we might have
been as cold and dry as Mars. We live at just the right distance from
a just-right star.
第4パラグラフの一部
The Earth's atmosphere is also of major importance in determining the
global temperature. Without it, the Earth ■would be■ colder by about
33℃, and therefore a frozen lump of ice.
長文おやぢのスレ?
20 :
momi:2014/06/19(木) 01:37:29.04 ID:DyGJgWfM
英標のp.177 Virginia Woolf, The Momentから。英標屈指の難文
なのだが、最初proceedをどう捉えていいかわからなくて、結局、
自分は下記のように、proceedの主語をweと読んできた。
we seek out〜 and proceed〜という読み。が、これは正しいの
だろうか。ある程度の納得はあるが、確信までには至らない。
もうひとつ、もし、proceedの直前のdeclaring this to be the very essence
of the French or American geniusが分詞構文だとすれば、genius proceed
というカンマなしの唐突なつながりが、いわゆる意識の流れの(たくさんある)
テクのうちのひとつなのだろうか?
Excursions into the literature of a foreign country much
resemble our travels abroad. Sights that are take for granted
by the inhabitants seem to us astonishing; however well we seemed
to know the language at home, it sounds differently on the lips
of those who have spoken it from birth; above all, in our desire
to get at the heart of the country ★we★ seek out whatever it may
be that is most unlike what we are used to, and declaring this
to be the very essence of the French or American genius ★proceed★
to lavish upon it a credulous devotion, to build up upon it
a structure of theory which may well amuse, annoy, or even
momentarily enlighten those who are French or American by
birth.
>>20 (1) 一つ目の課題("we seek out and proceed" か?)
結論から言うと、momi さんの言う通り、"we seek out and proceed" という読み方で
正しいと思う。その根拠。
前の文(らしきもの)が "spoken it from birth;" で終わっているので、そのあとの
"above all," から新たな文が始まると考えて間違いないと思う。
above all, in our desire to get at the heart of the country
. . とりわけ、その国の神髄に迫りたいと思うあまり、
★we★ . . . 私たちは、次のように (1) と (2) のことを行うのだ。
(1) seek out whatever it may be . . . どんなものであれ、(私たちは)ともかく懸命に探し出すのだ。
. . that is most unlike what we are used to, . . . that はその前の whatever を修飾する関係代名詞
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .(私たちが慣れ親しんでいるものとはほど遠い)
. . . and
. . . declaring this to be the very essence of the French or American genius
. . . . (分詞構文。これこそ、フランスやアメリカの天才的な才能の神髄そのものだと声高らかに言いながら)
(続く)
(続き)
(2) ★proceed★ . . . (私たちは)次に、下記のような、(2-a) と (2-b) のことを行うのだ。
. . . (2-a) to lavish upon it a credulous devotion, . . . それの価値を信じ込んで、のめり込み、
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 上記の it は、ずっと前にある "whatever it may be that is most unlike. . ." を指している。
. . . (2-b) to build up upon it a structure of theory . . . それの上に理論体系を作り上げてしまうのだ。
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 上記の it も、同じく "whatever it may be. . ." を指している。
. . . . . . . which may well . . . which は、直前の "a structure of theory" を修飾する関係代名詞。
. . . . . . . . [i] amuse,
. . . . . . . . [ii] annoy,
. . . . . . . . or
. . . . . . . . [iii] even momentarily enlighten
. . . . . . . . . . . . those who are French or American by birth.
. . . . . . . . . . . . . 生粋のフランス人やアメリカ人を、おそらくは面白がらせたり、苛立たせたり、
. . . . . . . . . . . . . . 一時的には啓発することさえあるような(理論体系を作り上げてしまうのだ。)
>>20 (2) 二つ目の課題
>>> "declaring this . . . American genius" が分詞構文だとすれば、
genius proceed というカンマなしの唐突なつながりが、. . . 意識の流れの. . .
テクのうちのひとつなのだろうか?
残念ながら、僕は Virginia Woolf の文章をさほどたくさんは読んでおらず、ましてや
その研究書も読んでいない。だから、これについてはコメントできない。僕が今のところ Virginia
Woof 関係で読んだ本と見たビデオは、次のものだけ。日本語訳は読んだことがない。原文のみ。
(a) "To the Lighthouse"
(b) "Mrs Dalloway"
(c) "The Waves"
(d) "Between the Acts"
(e) "Virginia Woolf" by Quentin Bell (彼女の伝記。ただし、まだこれを一部しか読んでいない。面白いことは面白い。)
(f) "The Cambridge Companion to Virginia Woolf"(ただし、まだこの一部しか読んでいない。)
(g) Virginia Woolf 原作による小説の映画化作品、数本。ただし、YouTube 上で公開されているもののみ。
(h) Woolf に関するドキュメンタリー、数本。ただし、YouTube で公開されているもののみ。
In primitive times, one had a feeling of unity with one's family.
The horizon was too narrow to see farther than that, though the
family wasn't as narrow then as it often is with us. It included a
variety of cousins and distant connections, often marked by a
common name. Such an extended family might be called a "clan."
基礎英文解釈の技術100 p118 59 より
上記のThe horizon was too narrow to see farther than that,
の意味がよく分かりません。訳には
「その視野は余りにも狭すぎて、自分の家族を超えた捉え方ができなかった」
とあるんですが、このhorizonは本当に「視野、範囲」何でしょうか?
horizons と複数形じゃありませんが。
なんかこの本の訳はどれも日本語が分かりにくくて困っています。
>>20 一応、momi さんが提起してくれた課題文をすべて和訳してみる。和訳としては、直訳、意訳、
思い切った意訳、(後ろから訳す)訳し上げ、(前から訳す)訳し下ろし、などなど、いろんな
和訳の方法があるけど、その中で、僕は特に「訳し下ろし」が好きなので、なるべくそのように
訳していく。
(1) Excursions into the literature of a foreign country
自分のよく知っている文化から離れてはるばる外国の文学の中に入り込んでいくことは、
(2) much resemble our travels abroad.
外国旅行によく似ている。
(3) Sights that are taken for granted by the inhabitants
現地の人が当然のこととして受け止めている光景は
(4) seem to us astonishing;
旅行をしている側にとっては驚きの種である。
(5) however well we seemed to know the language at home,
自分の国にいるときに、現地の言葉をどんなに熟知していると思っていても、
(6) it sounds differently on the lips of those who have spoken it from birth;
生れた時からそれを話してきた人の唇から出てくると、違ったふうに聞こえてくる。
>>25 の続き
(7) above all, in our desire to get at the heart of the country
特に、現地の神髄に迫ろうと思うあまり、
(8) ★we★ seek out whatever it may be that is most unlike what we are used to,
慣れ親しんでいることとは程遠いことを何でもかんでも探し出してしまい、
(9) and declaring this to be the very essence of the French or American genius
これこそフランスやアメリカの天才的な才能の神髄そのものだと声高らかに言いながら、
(10) ★proceed★ to lavish upon it a credulous devotion,
その掘り出し物の価値を信じ込み、素晴らしいと思い込んで、
(11) to build up upon it a structure of theory
一つの理論体系を作り上げてしまうのだ。
(12) which may well amuse, annoy, or even momentarily enlighten
those who are French or American by birth.
その理論体系により、生粋のフランス人やアメリカ人は楽しいと思ったり、イライラしたり、
あるいは一時的に「勉強になった」と感じることもあるかもしれない。
>>20 理解はそれであっているはず。
proceedの主語がweではないとすると、他に主語に相当するものがなくなってしまう。
above all, in our desire
to get at the heart of the country ★we[S]★ seek[V] out whatever[O]
it may be that is most unlike what we are used to,
→分裂文を戻すと、
to get at the heart of the country ★we[S]★ seek[V] out whatever[O]
may be most unlike what we are used to.
「その国の心臓部に到達するために私たちは慣れ親しんでいるものとはもっとも違う
物なら何でも探し出したいと思い」
and <declaring this to be the very essence of the French or American genius>
→分詞構文を戻すと
and we declare this to be the very essence of the French or American genius
「そして、私たちはこれをフランスやアメリカの天才の神髄だと言い」
★proceed[V]★ to lavish upon it a credulous devotion, to build up upon it
a structure of theory which may well amuse, annoy, or even
momentarily enlighten those who are French or American by birth.
「(私たちは)そのことに信じがたいほどの献身を捧げ、その上に
人を面白がらせ、苛々させ、更に時にはフランス生まれ、アメリカ生まれの
人々の目を覚まさせるような理論を構築することに向かう(proceed to)のである」
>>24 >>このhorizonは本当に「視野、範囲」なんでしょうか? horizons と複数形じゃありませんが。
horizon については、複数形でなくても「視野、範囲」という意味で使えるらしいです。
確かに「視野、範囲」という意味では複数形にすることの方が一般的だそうですけど。
その根拠を示します。
(1) オーレックス英和、第2版
horizon
[通例 -s] (知識、経験などの)範囲、限界、視野
(2) ジーニアス英和、第4版
horizon
[通例 -s] (思考などの)視野、展望;(経験、知識などの)限界
==============
上記のように、「視野、展望」という意味では、確かに「★通例★は複数形」だと書いてあります。
ということは、「●時には単数形●で "視野、展望" という意味で使うこともある」ということになります。
ただし、
Longman Dictionary of Contemporary English, 6th Edition
には、この意味ではあたかも■複数形■でないといけないかのような書き方をしています。
horizons [★plural★]
the limit of your ideas, knowledge, and experience
(LDOCE 6 より)
>>24 別の英英辞典を見ると、LDOCE 6 とは違って、先の二種類の英和辞典と同じく、
「★通常★は複数形」と書いています。
horizon
[countable, usually plural]
the limit of your desires, knowledge or interests
(Oxford Advanced Learner's Dictionary, 8th Edition)
というわけで、何か疑問を持ったら、1冊や2冊の辞書の解説を信じ込まず、
数種類に当たることが大事ですね。特に、英和辞典だけでなく英英辞典も
引かないといけませんね。ただし、一般の受験生とか英検準1級までの一般の人は、
無理をして英英辞典を引こうとは思わなくていいと思いますけど。
30 :
momi:2014/06/19(木) 09:48:19.31 ID:DyGJgWfM
おお、みなさん早速ありがとう。
proceedはそう読むのが妥当か。スタイルについてはまた自分で考えます。
自分は意識の流れのような様式的な用語が好きなんだけど、そういった言葉に
出会うたびに「じゃあ具体的にどう創作すると、その様式の模倣できるのよ?」と
いう隠れた不満があった。それが少しだけ先行き見えた感じがする。
>>24 文意についていうと、このhorizonは、SOEDのこれだと思う。文例注意。
b The boundary of any sphere of thought, action, etc.; the limit of mental
perception, experience, interest, etc. Formerly also, the sphere so bounded or limited. e17.
C.Priest
Children lack a world perspective; their horizons are narrow.
で大意だけど、
「有史以前、ある家族内では、同じ世界観が非常に密な状態で共有されていた。
その地平(世界観や価値感の範囲)というものは非常に限定されていて、自分が
属する家族の世界観を超えて新しい考えをこしらえたり、先を見通すことは非常に
難しかった。ただし、今使っている家族という概念は、現在の家族よりも大きな
集団を指すのであって、これは『一族』とも呼べるかもしれない。」
特に筆がしなっているのは、narrowを2つの異なる基準(視界のサイズと、家族のサイズ)
で連続して使用しているというところで、これは上記の大意には表れていないし、受験英語の
読解を越えた、表現技法の問題。よい訳をつけるとするならば、この巧みなレトリックを
かっこよく日本語に置き換えることも課題になると思う。
>>30 「意識の流れ」(a stream of consciousness) って何なのか、僕は研究書や評論を
きちんと読んだことがない。他の人がそれについて2ちゃんねるの文学版であれこれ議論している
のを眺めても、何だかよくわからず、すぐに読むのを諦めてしまう。
でも僕は、専門家たちがどのように言っているかはまるで知らないにせよ、Virginia Woolf
による5本ほどの小説を読んで、僕なりに感想を持っている。彼女は、確実に、僕が今までに
読んだことのある小説とは明らかに違った書き方をしている。そしてその書き方とはどういうもの
なのか?それについて僕なりに文章をいくらか書いたことがある。
「ヴァージニア・ウルフ」という2ちゃんねる文学板上のスレで僕が投稿したレス、3本
http://peace.2ch.net/test/read.cgi/book/1356090422/165-167 上に示した3本のレスにて、僕なりの考えを述べたけど、そもそもこの「ヴァージニア・ウルフ」
というスレの全体を通して、ものを書いているのはほとんどが僕だ。ひどい長文はすべて僕だ
と言ってもいい。まあ、暇なときにこんな戯言(たわごと)でも読んでやるかな、と思った
人がいたら、読んでくだされば幸甚だ。
念のために繰り返すけど、僕はいわゆるモダニズム文学
と呼ばれる作品を読んだことは、Virginia Woof 以外にはたぶんほとんどない。そして
Virginia Woof でさえ、数本しか読んでいない。そして、日本語版で読んでも難しいかもしれない
けど、慣れない英文だけで読んだので、余計のこと理解は浅い。
>>28 >>29 >>30 ありがとうございます。
やっぱり視野(価値観)が狭いってことなんですね。
farther than thatのthatが何を意味するか分からず困っておりました。
that自体がhorizonということですね。
ありがとうございました。
>>32 >>that自体がhorizonということですね。
それは違うんじゃないかな?
In primitive times, one had a feeling of unity with one's family.
The horizon was too narrow to see farther than ★that★,
the horizon = that だとすると
The horizon was too narrow to see farther than ●that horizon●.
となってしまうけど、これはおかしいと思う。やはりここは、
The horizon was too narrow to see farther than 【one's family】.
ということだろう。
【"Mrs. Dalloway" by Virginia Woolf -- 冒頭】
この小説を映画化したものを何度も見たし、その映画の台詞をすべて dictation したこともあるし、
さらにはこの小説の原文をちゃんと最後まで読んだこともある。そして、けっこう気に入っている。
ああ、それなのに、いまだに大してわかんないんだよね。今、改めて冒頭を読んでみたら、
すぐにはわからない。じっくり読んでも、果たしてそれぞれの文の構造や単語が隅々まで
僕にわかるかどうか。これでも、Virginia Woof の文章としてはわかりやすい方ではないか
と思う。しかし、わかりにくいとは言っても、全体のわかりにくさこそが、彼女の文体の魅力だ
とも言えるかもしれない。ともかく不思議で魅力あり、さらには静謐(せいひつ)で繊細な
文章だと思う。(続く)
【"Mrs. Dalloway" by Virginia Woolf】
Mrs. Dalloway said she would buy the flowers herself.
For Lucy had her work cut out for her. The doors would be taken
off their hinges; Rumpelmayer's men were coming. And then, thought
Clarissa Dalloway, what a morning--fresh as if issued to children
on a beach.
What a lark! What a plunge! For so it had always seemed to her,
when, with a little squeak of the hinges, which she could hear now,
she had burst open the French windows and plunged at Bourton into
the open air. How fresh, how calm, stiller than this of course,
the air was in the early morning; like the flap of a wave; the kiss
of a wave; chill and sharp and yet (for a girl of eighteen as she
then was) solemn, feeling as she did, standing there at the open
window, that something awful was about to happen; looking at the
flowers, at the trees with the smoke winding off them and the rooks
rising, falling; standing and looking until Peter Walsh said,
"Musing among the vegetables?"--was that it?--"I prefer men to
cauliflowers"--was that it? He must have said it at breakfast one
morning when she had gone out on to the terrace--Peter Walsh. He
would be back from India one of these days, June or July, she
forgot which, for his letters were awfully dull; it was his sayings
one remembered; his eyes, his pocket-knife, his smile, his
grumpiness and, when millions of things had utterly vanished--how
strange it was!--a few sayings like this about cabbages.
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
>>35 さっき引用したパラグラフのうちの一文。99語という長さ。長いとはいっても、途中で何度も
コンマとかセミコロンがあるから、わかりやすいかもしれない。ともかく、このような流れるような
文章。長く長く流れる。確か、樋口一葉あたりの文章もこんな感じだったような気がする。
How fresh, how calm, stiller than this of course,
the air was in the early morning; like the flap of a wave; the kiss
of a wave; chill and sharp and yet (for a girl of eighteen as she
then was) solemn, feeling as she did, standing there at the open
window, that something awful was about to happen; looking at the
flowers, at the trees with the smoke winding off them and the rooks
rising, falling; standing and looking until Peter Walsh said,
"Musing among the vegetables?"--was that it?--"I prefer men to
cauliflowers"--was that it?
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt Virginia Woolf の小説を1本、まるごと訳してみたいもんだ。"Mrs. Dalloway" なんかは、
特に気に入っている。
37 :
名無しさん@英語勉強中:2014/06/19(木) 13:49:03.71 ID:C11fzG+Q
無駄な努力ってご存知?
>>35 【和訳:"Mrs. Dalloway" by Virginia Woolf】
3回くらい読みなおしてみた。数時間前に仕事の合間にざっとこれに目を通したときは、実に
難しく感じた。何度か読みなおしてみて、実はそれほど難しくはなさそうだと感じた。難しいとは
言っても、現代の軽薄な娯楽小説に比べたら難しいというだけのことだ。それにしても、
やはり Virginia Woolf の文章は美しい。
僕は、翻訳することに興味があるわけでは決してない。ただ、飯を食うために産業関係の
翻訳をやっているに過ぎない。ただ、和訳や英訳をやっていると、一人で文章を読んでいたとき
とは違って、深く原文を読み込めるということはいつも感じる。だから、面倒くさいけども、
やはり和訳や英訳は常に、修業として自らに課して、呻きながらでも続けなければならないと思っている。
さて、"Mrs. Dalloway" を深く理解するために、この冒頭を和訳してみる。
(1) Mrs. Dalloway said she would buy the flowers herself.
ダロウェイ夫人は、花は私が自分で買いに行くからね、と言った。
(2) For Lucy had her work cut out for her.
というのも、ルーシーがダロウェイ夫人のためにその用事だけは残しておいてくれたからだ。
(3) The doors would be taken off their hinges;
ドアは、蝶番(ちょうつがい)から取り外すのだ。
(4) Rumpelmayer's men were coming.
ルンペルマイアーさんの店の作業員が来ることになっている。
(5) And then, thought Clarissa Dalloway, what a morning
それから、(とクラリッサ・ダロウェイ)は思った。なんて気持ちのいい朝なのかしら。
(6) --fresh as if issued to children on a beach.
. --- 浜にいる子供たちのためにやってきたかのような朝の気持ちよさ。
【和訳の続き "Mrs. Dalloway" by Virginia Woolf】
(7) What a lark! What a plunge!
なんて楽しい。なんて素晴らしい飛び込み台。
●注釈:これは、England の田舎にある Bourton での話。18歳のときのことをダロウェイ夫人が思い出している。
(8) For so it had always seemed to her,
というのも、ここはいつも彼女にとってはそんなふうに思えたのだ。
(9) when, with a little squeak of the hinges,
それは、蝶番(ちょうつがい)が小さな音を立てて、
(10) which she could hear now,
(またこの蝶番の音は、今もすぐそばで聞こえたのだが)
●注釈:これは、ロンドンの自宅での話。
(11) she had burst open the French windows
彼女はフランス窓をぐいと開け、
(12) and plunged at Bourton into the open air.
バートン別荘で、屋外に飛び出したときのことだ。
●注釈:Bourton というのは、England の Gloucestershire にある田舎町。
そこにある別荘で Mrs. Dalloway が18歳のころ、楽しく時を過ごしていたという話。
>>39 の続き 【"Mrs. Dalloway" の和訳について】
ところで、Virginia Woolf は日本語で読んでもわけがわからないと言う人が多い。
あまりにも文章が長く続き、登場人物がころころと変わり、現在と過去が錯そうするので、
日本語に訳してもわけがわからなくなる。この "Mrs. Dalloway" も、日本語訳では
たったの 400 ページくらいの小さな小説だけど、登場人物が確か100人を超える。
日本語訳では難しいけど英語での原文ならわかりやすいかというと、確かに日本語訳よりも
わかりやすくなるかもしれないが、それでもやはりわかりにくい。ともかく、ここで
僕は、あくまで僕自身がこの小説を深く理解するために、練習のために和訳しているけど、
きちんとした「わかる」和訳になっているかどうかは怪しい。だから読者諸氏は、
ぜひ原文を読んでもらいたい。
41 :
名無しさん@英語勉強中:2014/06/19(木) 16:50:00.53 ID:C11fzG+Q
日本語にしないと深い理解がえられないとは(ry
>>39 の続き
(13) How fresh, how calm, stiller than this of course,
the air was in the early morning;
朝早いと、空気はなんて新鮮で、静かなんでしょう。(もちろん今の空気よりも静まり返ってる。)
(14) like the flap of a wave; the kiss of a wave;
波がたゆたうように。波の接吻のように。
●注釈:(14) のこの二つの wave という言葉に注目。Woolf は波に深い関心を持っているらしい。
現に彼女は、"The Waves" という長い小説を書いている。それ以外の小説でも、波は
とても重要な存在だ。
(15) chill and sharp and yet (for a girl of eighteen as she
then was) solemn,
冷たくてピリッとしていて、それでいて(そのときは18歳の娘だった彼女にとって)荘厳で、
(16) feeling as she did, standing there at the open
window, that something awful was about to happen;
そのとき、そこで、開いた窓の脇で佇(たたず)みながら、
恐ろしいことが起こりそうな感じがしていた。
●注釈:この (16) に注意。この "Mrs. Dalloway" の小説の冒頭ですでに、
「恐ろしいことが起こりそうな予感」などと言って、伏線を張っている。幸せの絶頂にいても
おかしくない恵まれた境遇にいる彼女なんだが、それでも恐ろしいことが起こりそうな予感がしてしまう
ような、感性の鋭すぎる不幸な女性なのだ。
>>42 の続き 【"Mrs. Dalloway" by Virginia Woolf】
>>35 (17) looking at the flowers, at the trees
花々を見て、木々を見ていた。
(18) with the smoke winding off them
煙がそこ(花々や木々)からもくもくと上がっていて、
(19) and the rooks rising, falling;
ミヤマガラスが羽ばたいて上がっていき、そして下降していく。
●注釈:rooks(ミヤマガラス)は、英国で最も一般的なカラスだそうだ。現に、
Charles Dickens の "David Copperfield" においても、主人公 Charles が
生れた家は rooks(ミヤマガラス)がそばにいるわけでもないのに "Rookery" と呼ばれている。
(20) standing and looking until Peter Walsh said,
そして佇(たたず)んで景色を見ていると、ピーター・ウォルシュが次のように言った。
(21) "Musing among the vegetables?"
「野菜に囲まれて考え事をしてるの?」
(22) --was that it?--
-- そんな言葉だったろうか?--
(23) "I prefer men to cauliflowers"--was that it?
「僕は、カリフラワーよりも人間の方がいいや」-- そんな言葉だったろうか?
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
44 :
名無しさん@英語勉強中:2014/06/19(木) 18:33:53.56 ID:LQfYEoyw
昔の英文に注釈を付けて喜ぶスレ?
【Virginia Woolf の小説について】
それにしても、"Mrs. Dalloway" の冒頭の20行ほどをちょっとばかり訳そうとしてみただけで、
いかに彼女の小説が通常のものとまったく違うかを思い知らされる。僕は上から下へと「訳し下ろし」
をしようと無理やりにやろうとして、一つ一つの断片をブチブチと切りながら訳そうとしたので、
うまくいかなかった。このようなやり方でも、たいていの小説や評論や新聞雑誌の記事の
文章ではうまくいくのだ。詩でさえうまくいく。
ところが、Virginia Woolf だけは、このようなやり方で訳そうとすると、わけがわからなくなる。
もちろん、僕がもっと時間をかければ、このようなやり方でもそれなりにわかる和訳が
作り出せるだろうけど、そんなことをするのはあまりにも手間がかかる。他のものだったら、
Charles Dickens だろうと Jane Austen だろうと、はたまた19世紀あるいはそれ以前の
詩でさえ、さほど苦労しないでも、このような、細切れにブチブチと切りながら「訳し下ろし」する
ことができるのに、Woolf だけは無理なのだ。
とはいえ、日本語に訳そうとするから無理が生じるのであって、これをたとえばフランス語に訳す
のは、かなり簡単なはずだ。逐語訳していき、前から順番に訳していけば、けっこううまくいくはずだ。
Virginia Woolf は、おそらくはヨーロッパの諸言語をいくつか習得していたろうけど、
たぶん、英語や欧米諸言語とはまるで構造の違う日本語やウラルアルタイ系の言語や
アラビア語などは勉強したことがないだろう。だから、いかに彼女の文学をそういう非インドヨーロッパ
諸語に訳すのが大変であるかを意識はしなかったろう。
そしてそれだからこそ、Virginia Woolf については特に、日本語ではなく英語で読まねば
ならないと感じる。もし英語ができないのなら、せめてフランス語・イタリア語・ポルトガル語
などの西側ヨーロッパの言語による翻訳で読まないとダメだと感じる。
>>45 の続き 【Virginia Woolf について】
もちろん、「訳し下ろし」じゃなくて「訳し上げ」つまり後ろから前へと訳すやり方をすれば
問題ないじゃないかという気もする。ところが、そうすると、せっかくの彼女の「意識の流れ」が
損なわれると思う。彼女の文学に限らず、どんなものでも、前から順番に後ろへと読まないと
面白くない。そして、たとえ英語と日本語という、構造的にまったく違う言語間とはいえ、
たいていの文学やその他の文献では、すでに言ったように、「訳し下ろし」でもそれなりに
うまくいくのだ。ところが、Woolf の場合だけは、そうはいかないように思えるのだ。
気力と時間があれば、訳し上げの形でこの冒頭部分だけでも訳してみて、どうなるか
実験してみたいと思う。
47 :
名無しさん@英語勉強中:2014/06/19(木) 19:15:13.22 ID:LQfYEoyw
時間の無駄は続く?
時間の無駄は続く?
【訳し上げ:"Mrs. Dalloway" by Virginia Woolf】
「訳し下ろし」はかなり難しいことがわかったので、昔ながらの「訳し上げ」つまり後ろから
前へと訳していくやり方で、再び訳してみる。
(1) Mrs. Dalloway said she would buy the flowers herself.
ダロウェイ夫人は、花は自分で買うからいいわ、と言った。
(1) For Lucy had her work cut out for her.
というのも、ルーシー(ダロウェイ夫人のメイド)は、夫人のためにその用事を残しておいてくれたのだ。
(2) The doors would be taken off their hinges;
ドアは、蝶番(ちょうつがい)から取り外すことになる。
(3) Rumpelmayer's men were coming.
ルンペルマイアーさんの店の作業員が来ることになっているのだ。
●注釈:この小説の舞台は、ロンドン、1923年。第一次大戦が終わって間もない。
そういうとき、昔にドイツからイギリスに移住してきた Rumpelmeyer という名前の、
おそらくこれは日本式に言うと「工務店」に当たると思うけど、そういう人が経営する
店の作業員たちが来て、ドアを外すのだと思う。ともかく、第一次大戦ではイギリスの
敵国であったドイツの臭いがプンプンするような名前だ。そういう名前を、著者はわざと
小説の冒頭に掲げているのだ。
(4) And then, thought Clarissa Dalloway, what a morning
--fresh as if issued to children on a beach.
それから、(とクラリッサ・ダロウェイは考えた)ほんとにすがすがしい朝だこと。
まるで浜にいる子供たちのために朝がやってきたみたいな感じ。
>>49 からの続き 【訳し下ろし:"Mrs. Dalloway" by Virginia Woolf】
(5) What a lark! What a plunge! For so it had always seemed to her,
when, with a little squeak of the hinges, which she could hear now,
she had burst open the French windows and plunged at Bourton into
the open air.
ほんと楽しい。素晴らしい飛び込み台。そう、(18歳の)クラリッサには、ずっと前からそんなふうに
思えたのだ。それは、(数十年後の)今(ここロンドンで)聞こえてくる蝶番(ちょうつがい)の
小さな軋(きし)る音を立てながら、フランス窓を一気に開けて、(イングランドの)バートン
の屋外に飛び出したときには、それは水泳の飛び込み台のように見えたのだ。
●注釈:
過去完了で言われている部分は、彼女が18歳の時の思い出。そして通常の過去形で言われて
いる部分は、1923年の現在、ロンドンの自宅での、中年のクラリッサ・ダロウェイ夫人の
行動や考えを述べている。
51 :
名無しさん@英語勉強中:2014/06/19(木) 21:03:05.93 ID:LQfYEoyw
ウルフも自分の没後に東洋の片隅で自分の作品を
必死に日本語に置き換えて2chで発表する御仁が
出現するとは想像だにしなかっただろう。
さすがになげーので短くすることを試みるw
棺桶の中でウルフびっくり
52 :
momi:2014/06/19(木) 21:23:24.91 ID:DyGJgWfM
うーん難しい〜
what a morning--fresh as if issued to children on a beach.
ここのissuedの語義でまずひっかかってしまった。全く知らなかった。
a morning issued to children とつなげ、自動詞でemergeの意と読めばいいのか。
(はじめa morning was issued to children と読み、他動詞の可能性も考えていたが
うまくいかなかった。)ただ、現代英語だと自動詞は、issued fromの文例ばかりだから、
現在では一般的な用法とはいえなそう。下の解説が非常に参考になった。みんな苦労
しているということがわかってよかった。(笑
http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/research/journal/bk2014/pdf/no02_05.pdf
53 :
momi:2014/06/19(木) 21:28:40.49 ID:DyGJgWfM
しかし各話法がある程度、自由に交じる姿を味わう感性というのは、
普通に文学を楽しむ上で不可欠なので、ウルフが実験的なだけ、
ただ難しいだけと悄気げてはいられないな。
54 :
名無しさん@英語勉強中:2014/06/19(木) 21:29:36.98 ID:LtmcEJUq
>>26-27 >(9) and declaring this to be the very essence of the French or American genius
>これこそフランスやアメリカの天才的な才能の神髄そのものだと声高らかに言いながら、
>and we declare this to be the very essence of the French or American genius
>「そして、私たちはこれをフランスやアメリカの天才の神髄だと言い」
genius に対する訳(才能、天才)が素晴らしいですね。
これほどの解釈力をお持ちだとは、いやはや御見逸れしました。
55 :
momi:2014/06/19(木) 21:39:47.63 ID:DyGJgWfM
3 U〖通例the 〜〗(地域国民時代などの)特質, 真髄, 風潮, 精神
▸ the genius of the English people英国人の特性
こっちのほうがいいな。
56 :
名無しさん@英語勉強中:2014/06/19(木) 22:41:26.94 ID:LQfYEoyw
英英辞典を使いましょう。
>>55 (
>>54 について)
なるほど。genius には、そんな意味もあるとは知らなかった。
genius
the prevailing character or spirit of something:
例文:Boucher's paintings did not suit the austere 【genius】
if neoclassicism.
(Oxford Dictionary of English, 3rd Edition)
しかし、今回の場合、どっちの意味がふさわしいのかな?上記のごく普通の意味に解釈すると、
あまり面白くないように思う。
>(9) and declaring this to be the very essence of the French or American genius
>これこそフランスやアメリカの天才的な才能の神髄そのものだと声高らかに言いながら、
外国旅行をしていて、いろんなものにものすごく感動している人が、現地の人にとっては
何の変哲もないものに実は深い意味があるのだと大げさな理論体系みたいなものを
作り上げてしまうわけだし、またわざわざ "declaring" などという大げさな言葉を使っている
のだから、やはり genius は「天才(的な才能)」という大げさな意味で使っているような
気がする。
>>52 >>what a morning--fresh as if ★issued★ to children on a beach. [
>>49 の (4)]
やはり、いろんな人からのコメントがあると、実に素晴らしい刺激になる。一人で考えて一人で
書き続けていると、決して気づかなかったことに気づかされ、他の人が言った一行ほどの
言葉に刺激されて、僕は原稿用紙で言えば数十枚に相当するようなことを考えたり書いたり
することがよくある。
issue については、僕は単純に他動詞の過去分詞だと思っていた。
what a morning--fresh as if ■it had been■ issued to children on a beach.
というわけだ。そして、it (= the morning) had been issued to children は
【無理やりに】能動態に変えると "God had issued the morning to children" という
ようになるだろうなどと考えていた。あまり深くは考えていなかった。
しかし、momi さんの言うように、自動詞の過去分詞だと考えることもできるね。自動詞の過去分詞が
主語と "have (had)" を省略した形で出てくることは少ないけど、たとえば次のように使われるよね。
It is a dream ★come★ true.(夢が実現したわ)
これは、It is a dream that ●has come● true. という意味であって、決して
他動詞の過去分詞ではないのだけど、このように自動詞が過去分詞になって、have (has, had)
が省略されたり、名詞の直後に裸のままで来て、形容詞みたいに使う例は少ないので、
ついつい見落としてしまう。
>>58 "a dream come true" が「実現した夢」という意味であり、come は自動詞の過去分詞が
形容詞に変わって "come true" が「実現した」という意味の形容詞句になって、後ろから
dream を修飾している。これは決して "a dream comes true"(夢が実現する)という
言葉の typo ではない。
"a dream come true" を含んだ例文の数々
https://www.google.com/search?q=%22a+dream+come+true%22&btnG=Search+Books&tbm=bks&tbo=1&gws_rd=ssl ところで、日本のミュージシャンのグループで "Dreams Come True" というものがある。
この名前には二重の意味がある。日本の流行歌手が英語を使っていながら、正しい英語である
例は少ないけど、その少ない例のうちの一つだ。
● "Dreams Come True" の二通りの意味
(1) 夢は実現する。(dreams が主語。come が動詞。ここでは現在形。)
(2) 実現した夢(dreams を "come true" という形容詞句が修飾している。)
>>52 momi さんが紹介してくれた次のリンク先の論文は、まだ拾い読みしかしてないんだけど、
和訳の仕方で気になった点がある。
http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/research/journal/bk2014/pdf/no02_05.pdf 原文:For Lucy had her work cut out for her
訳例の数々
(1) なぜって,ルーシィまだやらなければならない仕事があるからだった。(野島秀勝 訳)
(2) ルーシーはたくさん仕事をかかえているのだから。(丹治愛 訳)
(3) ルーシーは他に仕事で手一杯だから。(柴田元幸 訳)
(4) だって,ルーシーは手一杯だもの。(土屋正雄 訳)
そして、僕の和訳は次の通り。
(5) 一回目の和訳:というのも、ルーシーがダロウェイ夫人のためにその用事だけは残しておいてくれたからだ。
(6) 二回目の和訳:というのも、ルーシー(ダロウェイ夫人のメイド)は、夫人のためにその用事を残しておいてくれたのだ。
そうそうたるプロの文芸翻訳家たちが「手一杯だ」という趣旨の和訳をつけている。僕とは違う。
僕が間違ってるのかな?なぜ僕が、これらの有名な翻訳家たちのようには解釈せずに、
僕の和訳のような解釈をしたかという根拠については、あとで詳しく述べる。
>>60 "Mrs. Dalloway" (Virginia Woolf, 1925) の冒頭の2行
Mrs. Dalloway said she would buy the flowers herself.
【For Lucy had her work cut out for her.】
さて、この小説の冒頭の2行目に出てくるこの文を、
>>60 に示したように、僕は
有名な翻訳家たちとは違った解釈の仕方をした。その根拠を示す。
なお、Lucy は Mrs. Dalloway が雇っている若いメイドだ。
(1) Lucy had 【her】 work cut out for 【her】.
この二つの her を、僕は Mrs. Dalloway のことだと解釈したのだ。だからこの文は
「Lucy は、Mrs. Dalloway のためにその(Mrs. Dalloway のための)用事を取っておいた」
というような意味になると考えたのだ。ところが翻訳家4人は、この二つの her を「Lucy 自身」
であると解釈しているように思える。つまり、
「Lucy は、Lucy 自身の仕事を自分のために置いてあった」
というような意味になりそうだ。だからこそ、「Lucy は今、手一杯だった」というような
和訳を4人ともつけているのだ。
(続く)
(続き)
さて、もしも本当に「Lucy は今、手一杯だった」という意味なのであれば、この
原文 (1) は、そんなふうに書くだろうか?次のように書くのではないか?
(1-a) Lucy had 【her (own)】 work cut out for 【herself】.
まあ、一つ目の her を "her own" とまで言わなくてもよくて、her だけでよいのだろうけど、
二つ目の her はこのままでは Mrs. Dalloway のことになってしまうのではないか?
あくまで Lucy 自身のためにその work が "be cut out" されているというのなら、
her ではなくて herself にすべきじゃないのか?
以上のような理由で、僕はこの原文 (1) を、「ルーシーが Mrs. Dalloway のために
(花を買いにいくという)用事を取っておいてくれた」というふうに解釈したのだ。
先を読み進めばわかる通り、Mrs. Dalloway は花を買いに行くのが好きだし、
おしゃれをしてロンドンの高級街を歩き、一流の店のあいだを縫って歩き、お気に入りの
花屋さんで花を買うのが好きなのだ。
読者諸氏のご意見をお願いする。僕は、この簡単そうに見える英文解釈の問題について、
本当のことが知りたいのだ。どう考えるのが正しいのか?ネット上の language forums で
尋ねたらおしまいなんだろうけど。
>>62 しかし、待てよ。もし本当に Lucy が「花を買いに行くという用事を Mrs. Dalloway のために
取っておいてくれた」としたら、わざわざ冒頭1行目で「花は私が買いにいくからね」なんて
言うだろうか?それに似たことを言うとしても、別の言い方をするのではないか?
ああ、わからんようになってきたぞ。あるいはもしかしたら、わざと曖昧に書いているのかもしれない。
著者は、少なくとも僕が読んだ
To the Lighthouse
Mrs. Dalloway
The Waves
という三つの長編小説においては、実に曖昧な書き方を意図的に通している。誰が誰に何を
いつしたのか、それを実に曖昧にしているのだ。それが彼女の文学の魅力の一つなのだ。
ここでも、もし明白にしたければ、次のように書けばよかったかもしれない。
(1) Mrs. Dalloway のためにその用事を取っておいた場合
Lucy had the work cut out for Clarissa. (Clarissa は Mrs. Dalloway のこと。)
(2) Lucy が手一杯であった場合
Lucy was terribly busy.
Lucy did not have time for the work.(など)
>>63 何本も長文レスを書いてあれこれと考えてしまったけど、翻訳家4人の解釈が正しくて、僕が間違って
いるらしいことが、ネイティブたちの書いているコメントを読んでわかった。
http://forum.wordreference.com/showthread.php?t=399465 上記のリンク先の language forum に書いてあることの要点は、次の二つ。
(1) You have your work cut out for you.
この言い回しはイディオムで、You have a lot of work to do. とか
You have a difficult work to do. というような意味。
(2) cut という言葉をここでわざわざ選んでいるのは、Lucy が seamstress である
ということに引っかけてある。そもそもこの "cut out" というイディオムは、
seamstress が行う sewing の作業から来ている。
>>64 【"have your work cut out for you" というイディオム】
これは、イギリスのイディオムだそうだ。
(1) have one's work cut out (for one)
[イギリス] 1) 予定された仕事がある、手一杯の仕事がある、忙しい
* I ●have my work cut out for me●. (私は、仕事が手一杯で忙しい)
. 2) 非常に骨が折れる、きわめて難しい、苦闘せねばならない
* It's a big job; he'll ●have his work cut out for him●.
(それは大きな仕事だ。彼はその仕事に苦闘せねばならぬだろう)
* I shall ●have my work cut out● to finish that job by the end of this week.
(今週の終わりまでにその仕事を終えるには、たいへん骨が折れるだろう)
(安藤貞雄「英語イディオム・句動詞辞典」)
***************
(2) have your work cut out (for you)
[informal] used to say that it will be very difficult to do something
例文:The team will ●have their work cut out● if they are to win the competition.
(LDOCE 6)
****************
(3) have your work cut out
[informal] to be likely to have difficulty doing something
例文:You'll ●have your work cut out● to get there by nine o'clock.
(OALD 8)
>>65 【have your work cut out (for you)】
このイディオムについては、「ジーニアス」や「ウィズダム」にも載っているが、定義だけであって、
例文はない。
ネット上の有料辞書でも引いてみた。ここでは、例文が多い。せっかくの例文をすべて
ここにコピーする。
★have one's work cut out★
定義文: Be faced with a hard or lengthy task:
(1) Shaw ●had his work cut out● keeping fires at bay in London
(2) Study hard Anna, you ●have your work cut out for you●!
(3) Julia is a hard act to follow and I will ★have my work cut out★.
(4) Richards will ■have her work cut out■ to convince clients the cuts were needed
and stop a further damaging exodus.
(5) ‘You ●have your work cut out for you●,’ she said, and began to clear the table.
(6) In the absence of global Australian education brand names, our universities
- and our other non-traditional providers - ★have their work cut out★.
(7) But bamboo growers and promoters ■have their work cut out for them■
if they want to create a solid industry in Mexico, in part because they are starting almost from scratch.
(Oxford Dictionaies Pro Online)
>>66 【have your work cut out (for you)】
この言い回しを、今度は OED で引いてみた。OED の割には、解説や例文が少ない。
しかし、他の辞書とは違って、歴史的な意味や使い方の変遷が見られるのがうれしい。
★ cut の項目で
12. fig. To plan; to prepare (work to be done).
Phr. to have (all) one's work cut out : see work n. Phrases 2a.
■1619 in S. R. Gardiner Lett. Relations Eng. & Germany (1868) 2nd Ser. 68
How they may by..ill affected subjects ●cutt us out newe worke● in Ireland and Scotland.
■1754 A. Murphy Gray's Inn Jrnl. No. 98. ⁋5
The excessive Officiousness of the female World in ★cutting out★ Matches.
■1795 E. Burke Lett. Peace Regic. France iv. (ad fin.), in Wks. (1818) IX. 126
They will ●cut out work for one another●, and France will ●cut out work for them all●.
■1866 T. Carlyle Inaug. Addr. Edinb. 174
The most unhappy of all men is the man..who ★has got no work cut out for him★ in the world.
(OED Online)
>>67 の続き 【"have your work cut out for you" というイディオム】
OED にしては例文が少ないと思ったけど、別の項目を見ると、これと同じイディオムが出てきて、
新たにたくさんの例文が見つかった。
★ work の項目
30. to cut out work (for a person) : to prepare work to be done by him, to give him something to do;
now only to have (all) one's work cut out (for one) (colloq.): to have enough, or as much as one can manage, to do.
■1619 in S. R. Gardiner Lett. Relations Eng. & Germany (1868) 2nd Ser. 68
How they may by..ill affected subjects ●cutt us out newe worke● in Ireland and Scotland.
■1795 E. Burke Lett. Peace Regic. France iv. (ad fin.), in Wks. IX. 126
They will ●cut out work for one another●, and France will ★cut out work for them all★.
■1862 Trollope Orley Farm II. xxxi. 247
Then Mr. Chaffanbrass rose..and every one knew that ●his work was cut out for him●.
■1866 T. Carlyle Inaug. Addr. Edinb. 174
The most unhappy of all men is the man..who ★has got no work cut out for him★ in the world.
■1874 T. Hardy Far from Madding Crowd II. xxii. 276
What with one thing and another, I see that ●my work is well cut out for me●.
■1879 H. C. Powell Amateur Athletic Ann. 19
This [race] Crossley ●had all his work cut out● to win.
■1893 R. L. Stevenson Catriona vii. 71
‘Ye'll ●find your work cut out for ye● to establish that,’ quoth she.
■1899 E. W. Hornung Amateur Cracksman 43
‘We shall ●have our work cut out●,’ was all I said.
■1927 R. A. Freeman Magic Casket vii. 222
‘You will ●have your work cut out●,’ I remarked, ‘to trace that man. The potter's description was pretty vague.’
■1951 Sport 27 Jan.–2 Feb. 9/3
The Quakers will ●have their work cut out● to keep the bigger clubs away.
(OED Online)
69 :
名無しさん@英語勉強中:2014/06/20(金) 12:37:48.69 ID:Sd4avGxu
和訳スレで間違い指摘されて謝罪もできずに顔真っ赤になっちゃった ID:fDhuYhjFはいますかー???
あんなの間違えるレベルで教える側に回られても迷惑ですよー^^
>>69 荒らしは、それでもうおしまいか?
荒らすんなら、命を賭けて荒らしてみろ。
中途半端な荒らしは、それこそカスにさえなれんぞ。
カスなら、カスとして命がけでぶつかってこい。
死ぬ覚悟で荒らしてこい。
俺は、常に命がけで生きてきたんだ。
貴様らクズどもとは、わけが違う。
>>50 の続き 【"Mrs. Dalloway" (Virginia Woolf) の冒頭付近】
というわけで、
>>50 では、今は50歳くらいになっている Mrs. Dalloway が、ロンドンの自宅で
いつものように名士を招待してパーティを開こうとしているのだが、その直前に、いろいろと準備
している。たいていのことはメイドに任せているが、花だけは自分で買いにいくことにした。
そこで、30年以上も前の18歳のときの回想が入る。いつも、さわやかな朝になると、
England の Bourton にある屋敷のフランス窓をぐいと開ける。そのたびに、
そのすがすがしさに感動する Clarissa (Mrs. Dalloway)。
次に、その続きの英文を読みたい。すでに訳してはみたが、細切れに切りながら前から後ろへ
と訳すいつもの「訳し下ろし」をしようとしてうまくいかなかった。今度は、後ろから前へと訳す
「訳し上げ」という伝統的なやり方で訳してみる。例のごとく、仕事の合間にこのレスを書いている。
How fresh, how calm, stiller than this of course,
the air was in the early morning; like the flap of a wave; the kiss
of a wave; chill and sharp and yet (for a girl of eighteen as she
then was) solemn, feeling as she did, standing there at the open
window, that something awful was about to happen; looking at the
flowers, at the trees with the smoke winding off them and the rooks
rising, falling; standing and looking until Peter Walsh said,
"Musing among the vegetables?"--was that it?--"I prefer men to
cauliflowers"--was that it?
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
>>72 後ろから前へと訳す「訳し上げ」をしようと思いながらも、「訳し下ろし」ができるときは
なるべくそうしたくなる。だから、両方の手法を混ぜながらやってみる。やっぱり、何十年も
前に学校で強制されたような、ずうっと後ろから前へと戻るように訳す方法は、実に気持ち悪い。
だから、それはできる限り避けたい。
(6) How fresh, how calm, stiller than this of course,
the air was in the early morning;
ああ、すがすがしくって静かで、、もちろん今の(ロンドンの)この空気よりも静まり返って、
(7) like the flap of a wave;
波の打ち返す音みたい。
(8) the kiss of a wave;
波の接吻みたいで。
(9) chill and sharp and yet (for a girl of eighteen as she then was) solemn,
冷たくて、きりっと(sharp)してて、それでいて(18歳のときのクラリッサとしては)荘厳で、
>>73 からの続き
(10) feeling as she did, standing there at the open
window, that something awful was about to happen;
そんなふうに思うと同時に、開いた窓のところで佇(たたず)みながら、
何か恐ろしいことが起こりそうな予感がしていた。
(11) looking at the flowers, at the trees with the smoke
winding off them and the rooks rising, falling;
花々を見て、木々を見ていると、煙が渦を巻いて上がっており、ワタリガラスが上がっていったり降りていったり。
(12) standing and looking until Peter Walsh said,
"Musing among the vegetables?"--was that it?--"I prefer men to
cauliflowers"--was that it?
そこに佇(たたず)み、周囲を見ていると、ピーター・ウォルシュがこう言ったわ。
「野菜に囲まれて考え事をするのが好きなのかい?」そんな言葉だったかしら?
「カリフラワーよりも人間の方が好きだけどな」そんな言葉だったかしらね。
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
>>72 【構造や修飾関係の分析 (1)】
わかりやすさを心がけ、しかも文章の流れに沿って前から後ろへと訳そうとすると、どうしても
構文とか修飾関係がはっきりしなくなってくる。あくまで原文の構造や修飾関係がどのようになっているかを
ここで示しておく。
How fresh,
how calm,
. . stiller than this of course,
. . . . the air was in the early morning;
もちろん、これは感嘆文。the air が fresh で calm で "stiller than this"
だと言っている。そして "stiller than this" の this というのは、ロンドンの
空気のことを言っていると僕は思う。そして、思い出しているさわやかな空気は、
18歳のときにいた England の Bourton という田舎の村の空気のことだ。
[How fresh, (etc.) the air was]
. . . like the flap of a wave;
. . . [like] the kiss of a wave;
そしてその村の空気が、打ち返す波のように、波の接吻のように、fresh なのだ。
[The air in Bourton was]
. . . chill
and
. . . sharp
and yet (for a girl of eighteen as she then was)
. . . solemn,
そしてその村の空気が、chill, sharp, solemn なのだ。
空気が solemn(荘厳)だというのは、18歳のときの Clarissa にとっては、そうだったということだ。
【構造や修飾関係の分析 (2)】
feeling as she did,
ここでの【as she did】の did は、どの動詞を指しているのかな?わからん。
standing there at the open window, (開いた窓のところで佇みながら、Clarissa は
次のようなことを feel したのだ。)
that something awful was about to happen;
(feeling that something awful. . . と続いている)
彼女が上記のようなことを感じていたと同時に、次のような動作をしたのだ。
【構造や修飾関係の分析 (3)】
looking at the flowers,
. . . . at the trees
. . . . . . with the smoke winding off them
. . . and
. . . . . . [with] the rooks rising, falling;
"with + 名詞 + 現在分詞" ということで、「付帯状況」を表している。
Clarissa が flowers や trees を見ていたとき、そういう付帯状況があったわけだ。
Clarissa が flowers や trees を見ていたとき、さらに
そこに佇んで、周囲を見ていると、下記のように Peter Walsh が話しかけてきたわけだ。
standing and looking
. . . until Peter Walsh said,
. . . . "Musing among the vegetables?"
. . . . --was that it?--
. . . . "I prefer men to cauliflowers"
. . . . --was that it?
Peter Walsh が話しかけてきたときの台詞を思い出そうとしているのだが、一つ目の台詞だったか、
あるいは二つ目の台詞だったのか、はっきりとしないのだ。
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
【"Hamlet" (Shakespeare) の朗読(YouTube)】
それにしても、Shakespeare は依然としてダントツに人気が高いが、彼の作品の中でも
特に Hamlet の人気はすごいようだ。他の作品なら、一つの団体または二つの団体だけが
朗読を YouTube 上で発表しているだけだが、Hamlet だけは、いくつもの団体が
発表している。
僕はいろいろと聴き比べたわけではないけど、Librivox というボランティア団体による
朗読が、無料なのにも関わらず質が高いので、とても気に入っている。その団体の
提供する朗読ビデオには、優れたものが多いけど、"Hamlet" のものも優れていると
僕は感じている。
Hamlet Audiobook Act 1
https://www.youtube.com/watch?v=CNlB5XXHP8w もともと僕は、Shakespeare になかなか馴染めなくて困っていた。原文を読んでも
難しく、かといって日本語版にはあまり興味がない。(いや、別に日本語を馬鹿にしている
わけじゃないけど、日本語で読むのは日本文学だけにしておきたい。外国文学の
日本語訳の不自然さが嫌いなのだ。)
そして、ほんの2年ほど前に、やっと "Romeo and Juliet" の Librivox による
朗読が気に入り、聴きながら画面に現れる文字を追っかけているだけでも、一応は
楽しめた。これはすごい。今の僕でも Shakespeare の原文が、曲がりなりにも楽しめる
じゃないか、そう思って気をよくしたけど、"Hamlet" の朗読を聴くと、今度はまるで
わからないだけでなく、楽しめなかった。
でも、つい2週間ほど前に再び気を取り直してこの朗読を聴いていると、以前よりもはるかに
"Hamlet" に出てくる英文に慣れてきていることに気づいた。今は、歩きながら
"Hamlet" の Act 1 の前半を何度も何度も聴いているけど、けっこう楽しめる。
Shakespeare 時代の古い英語の単語や表現を楽しむことができる。もちろん、
文章の文学的な香りの高さをも感じることができるようになってきた。うれしい。
Shakespeare を原文で楽しむことは、長年の夢だったのだ。
【Shakespeare が身近に感じられるようになった理由】
別に Shakespeare の原文そのものを読む訓練をしてきたわけじゃないのに、それでも
以前よりも Shakespeare が身近に感じられ、朗読を聴いても何となく以前よりも
楽しく感じられるようになったのはなぜか?
それは、この2年ほどの間に、ずいぶん19世紀を中心とした古い英文を読んできたからだ。
Thomas Hardy の長編7本、Charles Dickens の長編4本、Jane Austen の長編3本。
それから何を読んだっけ?ああ、そうそう、Virginia Woolf は1920年代だからさほど
古くないけど、それでも現代に比べると90年も前だから古いことは古い。彼女の長編も
4本ほど読んだ。他にも、古い英文をあれこれ意識的に拾って読んできた。
そういう古い英文を読むために、古い英語の単語や古い意味や、古い表現という点での
英語そのものの側面でも盛んに辞書を引きまくって覚えてきたけど、同時に、
イギリスの古い時代の歴史をずいぶん勉強した。さらに、風俗習慣について、古い時代のもの
について勉強してきた。
そういう2年間の努力のおかげで、たった2年間とはいえ、ずいぶんそれ以前とは違っている。
以前とは段違いに、古い英語が身近に感じられるようになってきたのだ。Shakespeare そのもの
は読んでいなかったのに、それよりも新しいとはいえ、現代に比べるとずいぶん古い英文をたくさん
読んできたおかげで、Shakespeare がべらぼうに難しいとは感じなくなったのだ。
>>79 おっと、大事なことを忘れていた。この2年間に、ずいぶん英語による詩を読んできた。
新しいものも、数百年前のものも、たくさん読んできた。そういうことの積み重ねがあったから、
Shakespeare が2年前よりもずいぶん身近に感じられるようになったと思う。
この調子で、僕は死ぬまでに、Shakespeare の時代である17世紀あたりから現代に
かけての英文学は、原文で総なめしたいと思っている。ちょっと野望が大きすぎるかもしれないけど、
ともかくそういうふうに、やる気だけは旺盛だ。
>>80 この2年ほどで Shakespeare が身近に感じられるようになった理由としては、さらにもう一つある。
それは、イギリス英語の方言をけっこう真面目に勉強してきたことだ。体系的に方言を勉強した
わけじゃないけど、Thomas Hardy や Emily Bronte などの小説に出てくる方言の
単語を一つ一つ真面目に調べて、覚えていったのだ。そのおかげで、大昔からの英語の歴史的な
変遷のみならず、各地で話されてきた方言が身近に感じられるようになり、Shakespeare に
出てくる言葉に近い言葉もずいぶん覚えるということに結びついた。
というのも、たとえば19世紀や20世紀のイギリスやアメリカの方言としてしりぞけられている言葉も、
実は Shakespeare においてはそっくりそのまま使われている例が多いのだ。
>>71 一人に言われ、貴様ら!はないんじゃねーの、おっさんよー。
大人になれよ。
お前は自意識過剰な子供のままだな。
それとネットに無意味なことをダラダラ書かず、まとめて書けよ!
命かけてんだろ?
こっちも命かけて生きているんだ。
くだらないミスだらけのレスは迷惑なんだよ。
このオナニーおっさん!
83 :
momi:2014/06/21(土) 10:51:58.76 ID:qAWF6h/3
昨日、辞書かなり引いたのだが、have one's work cut out (for one)
を探せなかった... cut outばかり引いていた…わかってから探すと、
iOSのウィズダム3のidiom検索でもcut outからhave one's work cut outが
見つかるであったw 物書堂で安藤句動詞idiom辞典がでれば絶対買うのに。
84 :
名無しさん@英語勉強中:2014/06/21(土) 15:13:02.63 ID:yMNc/xPH
>>70 一人称が途中で「僕」から「俺」に変わっちゃってるよ
>>83 安藤貞雄「英語イディオム・句動詞辞典」は、絶対にお勧めですよ。実は僕も、それを買ったのは
つい4か月ほど前だと思います。英語板のスレでいろんな人が奨めてたから、半信半疑で
買ってみたら、あっと驚き。他の人が言ってたように、手放せない。毎日のように小説を読んだり
映画を見たりしている人にとっては、一日たりとも手放せないと思う。他のどの大きな辞書にも
載っていないようなことがばっちり出ていたり、他の辞書にも載っているけど、安藤のこの辞書で
調べた方がはっきりと意味がわかったり、他の辞書では例文が少ないのに、安藤の辞書では
例文が多いとか、そういう感じ。
86 :
名無しさん@英語勉強中:2014/06/22(日) 00:27:27.19 ID:jNJzF9p3
>俺は、常に命がけで生きてきたんだ。
だから何?
>>77 の続き 【Virginia Woolf の "Mrs. Dalloway" の冒頭付近】
さて、1923年のロンドンでの自宅にて名士を招いていつものパーティーを開こうとしている
50歳くらいの主人公 Mrs. Clarissa Dalloway が、18歳のときに Bourton, England
の田舎町でのんびり過ごしていた青春時代を思い起こしている。周囲の素晴らしい光景を眺めて
いたら、幼馴染の Peter Walsh が話しかけてくる。その続きが、次のような一節。ざっと
見たところでは、別に難しくも何ともなさそうだが、あとで和訳してみよう。
He must have said it at breakfast one
morning when she had gone out on to the terrace--Peter Walsh. He
would be back from India one of these days, June or July, she
forgot which, for his letters were awfully dull; it was his sayings
one remembered; his eyes, his pocket-knife, his smile, his
grumpiness and, when millions of things had utterly vanished--how
strange it was!--a few sayings like this about cabbages.
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
>>87 (1) He must have said it at breakfast one morning
彼がそう言ったのは、ある朝の朝食のとき、
(2) when she had gone out on to the terrace--Peter Walsh.
クラリッサがテラスに出たときだった。
★ この (2) の文末に "Peter Walsh" をくっつける書き方が面白い。こういうふうな
文章の書き方のレパートリーが豊富であればあるほど、自由闊達な表現ができるということに
なるのだが。
(3) He would be back from India one of these days, June or July,
ピーターはインドから帰ってくる予定。それは近々のことで、6月か7月、
(4) she forgot which,
どっちか忘れてしまったわ。
(5) for his letters were awfully dull;
だって、彼の手紙ってすごくつまらないんだもの。
(6) it was his sayings one remembered;
彼の手紙を読んだあと、人が思い出せるのはその台詞。
(7) his eyes, his pocket-knife, his smile, his grumpiness and,
彼の目つき、ポケットナイフ、笑顔、気難しい性格、それから
(8) when millions of things had utterly vanished
数えきれないことが完全に消えてしまっても、
(9) --how strange it was!--a few sayings like this about cabbages.
ほんと不思議だわ。キャベツについてのこんな言葉をいくつか思い出すなんて。
【Virginia Woolf の詩的な文章】
そもそも詩を愛さない小説家なんていないだろうけど、Thomas Hardy と同じく、Virginia
Woolf も、詩をこよなく愛した人だ。いや、それどころか、彼女の小説の全体が一篇の詩という
感じがするほどだ。少なくとも、彼女の
To the Lighthouse
Mrs. Dalloway
The Waves
という長編3本は、詩そのものという感じのする小説だ。特に "The Waves" はその傾向が
強い。"Mrs. Dalloway" にしても、実に詩的な響きが強いということを、今回、
冒頭をこのように何度も眺めたり吟味したりしてみて、改めて強く感じる。
静謐な詩的メロディーというのが、彼女の小説における文体についての僕の素直な感想だ。詩的でありながら、
実に口語的な感じもする。しゃべっている言葉をそのまま並べているように感じさせる。
そしてそれでいて、野卑でもなく陳腐でもない。詩的な口語という感じ。
82 名無しさん@英語勉強中 sage 2014/06/20(金) 21:51:41.88 ID:shD10jA6
>>71 一人に言われ、貴様ら!はないんじゃねーの、おっさんよー。
大人になれよ。
お前は自意識過剰な子供のままだな。
それとネットに無意味なことをダラダラ書かず、まとめて書けよ!
命かけてんだろ?
こっちも命かけて生きているんだ。
くだらないミスだらけのレスは迷惑なんだよ。
このオナニーおっさん!
>>88 の続き 【Virginia Woolf の "Mrs. Dalloway"】
18歳のころの思い出は終わり、Mrs. Clarissa Dalloway は、パーティーに使う花を買いに
ロンドンの街を歩き始める。
She stiffened a little on the kerb, waiting for Durtnall's van to
pass. A charming woman, Scrope Purvis thought her (knowing her as
one does know people who live next door to one in Westminster); a
touch of the bird about her, of the jay, blue-green, light,
vivacious, though she was over fifty, and grown very white since
her illness. There she perched, never seeing him, waiting to
cross, very upright.
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
>>92 【Virginia Woolf の "Mrs. Dalloway"】
(1) She stiffened a little on the kerb,
クラリッサは縁石の上に立って体を少しこわばらせ、
(2) waiting for Durtnall's van to pass.
ダートノールの馬車が通るのを待った。
(3) A charming woman, Scrope Purvis thought her (knowing her as
one does know people who live next door to one in Westminster);
魅力のある人だな、とスクロープ・パーヴィスはクラリッサのことについて思った。
(ウェストミンスターの地域でのお隣さんとしてクラリッサのことを知っていたのだ。)
(4) a touch of the bird about her,
ダロウェイさんって、ちょっと変わってるんだよね。
(5) of the jay, blue-green, light, vivacious, though she was over fifty,
50を超えてるけど度が過ぎるくらいおしゃべりで、blue-green (?) で、軽くて元気で、
(6) and grown very white since her illness.
病気してからは色がとても青白くなったよ。
(7) There she perched, never seeing him, waiting to cross, very upright.
そこにクラリッサは立ち止まり、スクロープさんの姿に気づくこともなく、道路を渡ろうとして待っていて、体はまっすぐ伸ばしている。
★ というわけで、ここで、Mrs. Clarissa Dalloway のお隣さんが Clarissa の姿を
見つけて、彼女についていろいろと考えている。ここで、Clarissa が50を過ぎているということ、
それにも関わらず魅力があって、おしゃべりの度が過ぎる性格だということがわかる。
そして、つい最近、病気をしていたということもわかる。
>>93 の続き 【Virginia Woolf, "Mrs. Dalloway"】
ここで読者は、Mrs. Clarissa Dalloway が London の Westminster に住んでいることを
知る。僕はもちろんイギリスにも、それからロンドンにも行ったことがないけど、面白いところ
みたいだ。そしてこの Westminster という界隈は、特に高級住宅街で、名士がたくさん
住んでいるのだろうと思う。
For having lived in Westminster--how many years now? over twenty,--
one feels even in the midst of the traffic, or waking at night,
Clarissa was positive, a particular hush, or solemnity; an
indescribable pause; a suspense (but that might be her heart,
affected, they said, by influenza) before Big Ben strikes. There!
Out it boomed. First a warning, musical; then the hour,
irrevocable.
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
>>94 ううん、さすが。やっぱり20世紀を代表する文学者のひとりと言われる Virginia Woolf だけある。
数行ずつゆっくり読みなおして、その一語一語を噛みしめていると、その深い味わいが感じられて
くるような気がする。ネイティブだったらどんなにいいだろう。彼女の文章や Shakespeare が、
ゆっくり読みさえすれば深く、痛いくらいに理解できるだろう。
(1) For having lived in Westminster--how many years now? over twenty,--
だって、ウェストミンスターに住み着いてから、何年くらいかしら?20年以上ね、
(2) one feels even in the midst of the traffic, or waking at night,
車や馬車の通る最中(さなか)でも、それから真夜中に目が覚めても、
(3) Clarissa was positive, a particular hush, or solemnity;
特別な静けさ、あるいは厳かな様子が感じられる。
★文法構造 --- One feels a particular hush or solemnity.
これがこの文の骨子。それ以外はすべて修飾語や挿入句。
(4) an indescribable pause; --- 何とも言えない時間の停止。
★ この (4) も、それからそのあとの (5) も、その前の One feels の目的語。
>>95 の続き
(5) a suspense
はらはらした気分
(6) (but that might be her heart, affected, they said, by influenza)
(でもそれは、他の人が言うように、インフルエンザにやられた心臓のせいかも)
(7) before Big Ben strikes.
そのあとビッグベンの鐘が鳴る。
(8) There!
ほら。
(9) Out it boomed. First a warning, musical;
鳴った。最初は前触れの鐘で、音楽的。
(10) then the hour, irrevocable.
次は時刻を知らせる鐘。もう取り消せない。
★ (10) で、わざわざ irrevocable という言葉を使っている。これは、
Clarissa の繊細な神経のゆえの不安で苦しい思いを表すために、わざとこういう
言葉を使っているような気がする。主人公 Clarissa Dalloway は、
実に恵まれた人のように見えるが、精神的には実は若い時から
きわめて繊細で、人生の恐ろしさを深く感じとってしまうタイプ。
というわけで、Virginia Woolf の "Mrs. Dalloway" の冒頭を、ほんの20行くらい
読んできた。ほとんど問題のある難しい単語も文法構造もない。特に
>>95 >>96 では、
簡単であることきわまりない。
それなのに、主人公 Clarissa の繊細な感情をきわめて克明に描ききっているという
感じがする。そのことは、Virginia Woolf をあまり読んだことのない人にはまだ
感じられないかもしれない。
僕は2年ほど前から彼女の作品をいくつか読み、その一部は
2回くらい繰り返して読み、彼女の生涯について調べたりしながら、時間をかけていろいろ
考えたり味わったりしてきた。その上で改めてこの作品の冒頭を読んでみて、本当に
味わい深い文章だと思う。
>>96 の続き 【Virginia Woolf, "Mrs. Dalloway"】
主人公 Mrs. Clarissa Dalloway が自分の主催するパーティのために花を買いにいくため、
ロンドンの高級な街並みを歩いている最中に彼女の脳裏に浮かぶ思いを述べた文章が続く。
Big Ben の鐘が鳴った直後の話。
The leaden circles dissolved in the air. Such fools
we are, she thought, crossing Victoria Street. For Heaven only
knows why one loves it so, how one sees it so, making it up,
building it round one, tumbling it, creating it every moment
afresh; but the veriest frumps, the most dejected of miseries
sitting on doorsteps (drink their downfall) do the same; can't be
dealt with, she felt positive, by Acts of Parliament for that very
reason: they love life.
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
>>98 (1) The leaden circles dissolved in the air.
丸い鈍色(にびいろ)のものがいくつか、空中で溶けた。
★ それにしても、教会の鐘が鳴る様子を、このように表現するとは、すごい。
(2) Such fools we are, she thought, crossing Victoria Street.
人間って、ほんとに馬鹿なんだから、とクラリッサはヴィクトリア通りを渡りながら考えた。
(3) For Heaven only knows why one loves it so,
なぜそれがそんなに好きなのか、
★ "Heaven" というふうな言葉を使ってはいるけど、Clarissa は、この小説のあとの
方で出てくる話だが、キリスト教に懐疑的だ。はっきりとした atheist だったかどうかは
僕は忘れたけど、ともかく懐疑的だ。
● "one loves it" の it は何か?このあとにも何度か it が出てくる。そしてずっと
あとの方で(つまり (9) になって)初めて "they love life" とあるから、たぶんこの
it は life なんだろう。
(4) how one sees it so, making it up,
それをそんなふうに見る様子、作り上げて、
(5) building it round one,
自分の周りに築き上げて、
(6) tumbling it,
倒して
(7) creating it every moment afresh;
いつもいつも新しく作り直す様子を、神さまだけが知ってる。
>>98 (8) but the veriest frumps, the most dejected of miseries
sitting on doorsteps (drink their downfall) do the same;
でも野暮ったい女こそが、戸口に座ってる最高にみじめな人たちが(その人たちの没落に乾杯)
同じことをやってる。
★ "the veriest frumps" は "the very frumps" を強調するために最上級に
しているんだと僕は思う。「まさに野暮ったい女たちこそが」という意味だと思う。
(9) can't be dealt with, she felt positive,
by Acts of Parliament for that very reason: they love life.
まさにそういう理由で、国会制定法では扱えないんだわ。クラリッサは、そうに違いないと思った。
みんな、生きていることが大好きなのよ。
【to love life (生きていることが大好き?)】
>>100 の (9) で "they love life" という言葉が出てくる。僕はこれを一応、
「みんな、生きていることが大好きなのよ」と訳しておいた。このような
[Someone] loves life.
という言い回しは、たぶん英語としては自然なのだろうと思う。僕が知っている限りでは、
Dostoevsky の "Crime and Punishment" の最後にも出てきた。
(引用はじめ)
He [= Raskolnikov] looked at his fellow convicts and was amazed: how they, too, all
【loved life】, how they valued it! It precisely seemed to him that
in prison they 【loved and valued it [= life]】 even more, cherished it
even more than in freedom.
(引用おわり)
("Crime and Punishment," Fyodor Dostoevsky, 1866, translated by
Richard Pevear and Larissa Volokhonsky, translation published in 1992,
Everyman's Library p. 545)
(続く)
>>101 の続き
(引用はじめ、Project Gutenberg 版)
He [= Raskolnikov] looked at his fellow prisoners and was amazed to
see how they all 【loved life】 and prized it. It seemed to him that they
【loved and valued life】 more in prison than in freedom.
(引用おわり)
(Project Gutenberg での "Crime and Punishment" より、translated by
Constance Garnett)
Google Books にも、たとえば "I love life" を検索すると、たくさん出てくる。
I love life
https://www.google.com/search?q=%22love+life%22&btnG=Search+Books&tbm=bks&tbo=1&gws_rd=ssl#newwindow=1&q=%22i+love+life%22&tbm=bks 以上のような文脈から考えると、"to love life" という言葉に適合するこなれた日本語訳としては、
どのようなものが考えられるだろうか?「生きていることが大好き」とか「人生を愛する」なんて
堅すぎる。英語ではおそらく "to love life" は自然な言い回しなんだろうと想像する。
to love life
(1) 生きていることを大事にしている
(2) 【人生を楽しんでいる】
(3) 【楽しく生きている】
こんな感じだろうか?
>>100 の続き
"They love life"(みんな、人生を楽しんでるのよ)という台詞のあとに続く一節。
ロンドンの街並みを描写。名詞が羅列されるので、英文としては簡単かもしれない。
でも、ロンドンに行ったことがなく、さらにはこの時代つまり 1923年のロンドンは余計に知らない
ので、一つ一つの簡単な名詞の羅列も、そう簡単に読み流すわけにはいかない。
In people's eyes, in the swing, tramp, and
trudge; in the bellow and the uproar; the carriages, motor cars,
omnibuses, vans, sandwich men shuffling and swinging; brass bands;
barrel organs; in the triumph and the jingle and the strange high
singing of some aeroplane overhead was what she loved; life;
London; this moment of June.
>>103 (1) In people's eyes, in the swing, tramp, and trudge;
みんなの目つきに、体の揺らし方に、思い足取りに、とぼとぼ歩く足取りに。
(2) in the bellow and the uproar;
怒鳴り声や喚き声に。
(3) the carriages, motor cars, omnibuses, vans,
sandwich men shuffling and swinging; brass bands;
馬車、自動車、バス、貨物車、足を引きずって歩き、体を揺らすサンドイッチマン。ブラスバンド。
(4) barrel organs; in the triumph and the jingle and the strange high
singing of some aeroplane overhead was what she loved;
手回しオルガン、歓喜やチリンチリンという音や、頭上の飛行機の奇妙な高い歌声のような音、
そういうものの中に、クラリッサが好きでたまらないものがあったのだ。
(5) life; London; this moment of June.
それは生き物や人間、ロンドン、この六月の一瞬だった。
★ (1) から (4) にかけて、
"in + 名詞" という形がいくつも重なっている。「〜の中に」というわけだ。
そして (4) に至って初めて "in 〜 was what she loved: life, London, this moment of June"
と書いてある。つまり、今まで並べてきたたくさんのものの中に、彼女が好きでたまらない
life と London と this moment of June が包まれている、というわけだ。
一種の倒置法だ。
>>104 の続き 【Virginia Woolf, "Mrs. Dalloway"】
というわけで、
>>104 の一節では、主人公の Mrs. Clarissa Dalloway が自分の主催する
パーティの準備として花を買いにいく最中なのだが、ロンドンの街並みを歩きながら、いろんな
人々や乗り物などを見て、その喧噪の中にこそ、彼女が愛してやまない人生や生き物や人間の
営みとロンドンの街並みと6月のひとときがあるのだと感じている。さて、次はどういうシーンが
展開されるか?
For it was the middle of June. The War was over, except for some
one like Mrs. Foxcroft at the Embassy last night eating her heart
out because that nice boy was killed and now the old Manor House
must go to a cousin; or Lady Bexborough who opened a bazaar, they
said, with the telegram in her hand, John, her favourite, killed;
but it was over; thank Heaven--over.
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
>>105 (1) For it was the middle of June.
だって、今は6月の半ば。
★ 少し昔の英文には for が文頭に来て接続詞として because に似た意味合いで使われるけど、
かなり意味が弱いらしい。ほとんど訳す必要もないくらいのときもある。たとえば今回のこの
(1) の文頭にある For は、「理由」を表すという機能は実に薄い。その直前に
>>104 --- (5) life; London; this moment of 【June】.
と書いているからだ。
(2) The War was over,
戦争は終わった。
★ この小説の「現在」は 1923年なので、この "The War" は第一次大戦だ。
日本人にとっての戦後(第二次大戦後)やドイツ人にとっての二つの世界大戦後に比べたら、
イギリス人にとっての戦後なんてちゃんちゃらおかしいだろうけど、イギリス人のように、
それまでは長いあいだにわたって世界の4分の1を支配して世界の王様みたいに生きてきた
人たちにとってみれば、第一次大戦で受けた傷でも、やはり大きな傷だったかもしれない。
(3) except for some one like Mrs. Foxcroft
ただ、フォックスクロフトさんみたいな人は別。
(4) at the Embassy last night 【eating her heart out】
夕べの大使館での席では、人知れず悲嘆に暮れていた。
★ おそらく、大使館でパーティか何かがあり、そこで主人公 Clarissa はこの夫人と
話をしたのだろう。
★ (4) に出てくる "eat one's heart out" は「人知れず悲嘆(苦痛、くやしさ、あこがれ)
に身を焦がす」という意味。
(5) because that nice boy was killed
というのも、素敵な息子さんが死んでしまったから
>>106 の続き
(6) and now the old Manor House must go to a cousin;
古いマナーハウス(領主の邸宅)は従兄弟の手に渡さないといけない。
★ (6) については注意が必要。おそらく当時のイギリスではまだ、女性には財産の所有権が
なかったのだろう。だから、夫に先立たれた女性の場合、息子までが死んでしまうと、その
家には男性がいなくなるので、その財産である邸宅も、別の人に渡ってしまうのだろう。
これに似たことは、Thomas Hardy や Jane Austen を読んでいても、よく出てくる。
イギリスの社会制度や法律についても、少しでいいから知りたいと思う。
別に原書で読んでなくても、日本語ででもいいから膨大に海外文学や歴史書や教養書を
読んできた人にとっては常識なんだろうけど。
(7) or Lady Bexborough who opened a bazaar,
それから、バザールを開いたベックスバラ夫人もそうね。
(8) they said, with the telegram in her hand, John, her favourite, killed;
人が噂してたことだけど、お気に入りの息子さんのジョンの戦死を知らせる電報を手にしてたっていうことだわ。
(9) but it was over; thank Heaven--over.
でも終わったの。ありがたいわ。終わったのよ。
>>108 の続き
しかしおかしいな。この小説の舞台は 1923 年だったとどこかに書いてあったはずなんだけど、
どこで書いてあったか忘れた。そしてもし舞台が1923年のことなんだったら、なぜ "The War
was over" と言って、あたかも戦争直後であるかのような書き方をしているのか?
もしこの戦争が泰一次大戦なんだったら、1917年が終戦だったんではないか?もしかして
別の戦争が終わったのか?よくわからん。僕は歴史に極度に弱いので、こういうことにすぐ
混乱する。まあいいか、ともかく読み進める。とても息の長い文章がこのあと続くので、
あまり細かく切って説明していると、全体を見失いそうになる。
It was June. The King and
Queen were at the Palace. And everywhere, though it was still so
early, there was a beating, a stirring of galloping ponies, tapping
of cricket bats; Lords, Ascot, Ranelagh and all the rest of it;
>>108 "The War was over" とこの小説で書いているとき、それがどの戦争のことを言っているのか、
そして小説に出てくる細かい言葉や事柄については、日本語版とか、あるいは原書であっても
Penguin Books などには注釈が豊富についているので、それを見ればおしまいなんだろう。
かつてはその注釈を見るためにわざわざ日本語訳や Penguin Books まで揃えていたことも
あったけど、その逆に、僕がいま手元にあるような Everyman's Library のように、
英米の小説については注釈をいっさいつけないシリーズで読むのも面白いのだ。
わからないことはすぐに注釈が答えてくれるわけではないので、あれこれと自分で調べないと
いけない。調べるのを怠ると、困るのは僕自身。注釈は確かにありがたいけど、その代わり、
いつまで経っても、自分で調査する癖をつけることができない。たとえ能率が悪くてもいいから、
漢文を「白文」で読むときみたいに、英文の原書を注釈なしで読み、わからないことは
きちんと自分で調べる癖をつけていきたい。
第一、親切な注釈がついていると、その注釈を
流し読みして、何もかも理解したかのような気になり、そして "Easy come, easy go."
とか "No pain, no gain." という諺の通り、楽に楽しく覚えたことは、楽しく忘れてしまうのだ。
同じように、電子辞書などが流布した今日、紙の辞書や資料を参照することは非能率的であるだけで、
まるで利点がないかのごとく喧伝されるけど、僕はそうは思わない。電子情報によって楽に簡単に
手に入れた情報は、楽に簡単に朗らかに忘れていく。しかし、紙の媒体によって提供された
きわめて読みにくく検索しにくい情報は、ほんとに苦労して手に入れるので、忘れにくい。
手に入れたときの感動も大きい。
だから、このような時代に、僕は今でもわざと紙の本を
使うことが多い。もちろん、OED Online や Wikipedia など、電子情報も大いに活用している。
それどころか、かつて僕は10種類くらいの電子辞書を並べていたし、CD-ROM による辞書も
数十種類ほど持っていた。その上で、僕は電子情報の限界を知り、紙による情報に戻っていったのだ。
>>108の続き (1) It was June. The King and Queen were at the Palace.
6月だった。王様と女王様は、宮殿におられた。
(2) And everywhere, though it was still so early,
そして至るところに、まだ朝早いのに、
(3) there was a beating, a stirring of galloping ponies, tapping
of cricket bats;
物を叩く音、走る子馬が体を動かす音、クリケットのバットを叩く音が聞こえた。
(4) Lords, Ascot, Ranelagh and all the rest of it;
貴族、アスコット競馬、ラネラ庭園、それからその他いろいろ。
(4) には Ascot という言葉が出てくるが、「オーレックス英和」によると
the Royal Ascot で「アスコット競馬(場)」とあり、英国の Berkshire にあり、
多くの貴族が参加するので有名だと書いてある。これについても調べればきりがないけど、
あとで時間があれば調べる。
>>110 の続き
さらに、Ranelagh という、僕には聞きなれない言葉が出てきた。ロンドンに当時はあった
庭園らしい。
http://en.wikipedia.org/wiki/Ranelagh_Gardens そしてその庭園の名前は Ranelagh という名前の貴族が作ったそうだけど、その名前と
同じ地名らしきものがフランスにもある。
http://www.hotel-beausejour-ranelagh.com/ 詳しくは知らないし、詳しく調べようと思うとそれこそきりがないけど、おそらくは
Ranelagh という固有名詞そのものが昔からフランスにあって、それがイギリスに伝わった
のかもしれない。あるいはその逆で、イギリスにあった固有名詞がフランスに伝わったのかな?
ともかく、-agh という語尾を持つ地名や人名がイギリスにはあって、気になる言葉ではある。
有名なイギリスの役者で Kenneth Branagh という人がいるけど、その人の名前も
-agh で終わる。このあたり、人名や地名の語源を探ると、古英語(Old English)に
遡れるので、面白いことは面白い。
それについても調べたくなるけど、今はやめておく。
今はともかく、気分が冷めてしまわないうちに、できるだけ先まで Virginia Woolf の
この "Mrs. Dalloway" を読み進めておきたい。
>>110 の続き
wrapped in the soft mesh of the grey-blue morning air, which, as
the day wore on, would unwind them, and set down on their lawns and
pitches the bouncing ponies, whose forefeet just struck the ground
and up they sprung, the whirling young men, and laughing girls in
their transparent muslins who, even now, after dancing all night,
were taking their absurd woolly dogs for a run;
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
113 :
名無しさん@英語勉強中:2014/06/26(木) 09:34:45.44 ID:lZtD5e1W
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>>112 の続き
>>110 では次のような一節が出てきた。
there was a beating, a stirring of galloping ponies, tapping
of cricket bats; Lords, Ascot, Ranelagh and all the rest of it;
そして、そのあとを読み進める。
(1) wrapped in the soft mesh of the grey-blue morning air,
(そういういろんなものが)灰色のかった青色の朝の空気の柔らかい網目の中に包まれていて、
★ それにしても、(1) の描写は素晴らしい。こんな発想は、僕には絶対に出来ない。
(2) which, as the day wore on, would unwind them,
その網目が、時が経つにつれて、そういういろんなものを解いてくれて、
(3) and set down on their lawns and pitches the bouncing ponies,
芝生の上に落ちて、飛び上がる子馬を高く上げ、
(4) whose forefeet just struck the ground
子馬の前足は地面を蹴りさえすれば、
>>114 の続き
(5) and up they sprung, the whirling young men,
跳び上がり、俊敏な若い男たちと、
(6) and laughing girls in their transparent muslins
透き通るモスリンをまとって笑う女の子たちが
(7) who, even now, after dancing all night,
夜通し踊ったあと、今でも
(8) were taking their absurd woolly dogs for a run;
頭のおかしい毛むくじゃらの犬を走らせていた。
================
たったのこれだけのことなんだけど、何が何を修飾しているかはすぐにはわからず、
すいすいと読んでいるとわかりにくくなる。それでいて、実にリズミカルで、風景描写や
人物や動物の動きの描写も素晴らしい。じっくり何度も味わいたい。
>>115 の続き
and even now, at
this hour, discreet old dowagers were shooting out in their motor
cars on errands of mystery; and the shopkeepers were fidgeting in
their windows with their paste and diamonds, their lovely old sea-
green brooches in eighteenth-century settings to tempt Americans
(but one must economise, not buy things rashly for Elizabeth), and
she, too, loving it as she did with an absurd and faithful passion,
being part of it, since her people were courtiers once in the time
of the Georges, she, too, was going that very night to kindle and
illuminate;
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
>>116 (1) and even now, at this hour, discreet old dowagers
そして、今のこの時間でも、控えめな高貴な年配女性たちが
(2) were shooting out in their motor cars on errands of mystery;
どういう用事かわからないけれども、自動車に乗って突然に飛び出してきていた。
(3) and the shopkeepers were fidgeting in their windows
そして店の主人たちは窓の向こう側で
(4) with their paste and diamonds,
(人造宝石を作るための)鉛ガラスやダイヤモンドをいじり回していて、
(5) their lovely old sea-green brooches in eighteenth-century settings
その18世紀の台にはめ込んであるきれいで古い青緑色のブローチは
(6) to tempt Americans
アメリカ人たちの気分をそそるものだった。
(7) (but one must economise, not buy things rashly for Elizabeth),
(とはいえ、倹約しないといけないので、エリザベス女王のためだからと言ってむやみにお金を使うわけにはいかないのだ)。
★ (7) の "not buy things rashly for Elizabeth" というところの意味合いが
よくわからない。たぶんこの時代の社会背景を知らないとよくはわからないのだろうと想像する。
もしかして、「エリザベス女王の方針に従って、むやみにお金を使わないようにしないといけない」
という意味だろうか?
>>116 (8) and she, too, loving it as she did with an absurd and faithful passion,
そしてクラリッサ自身も、ばかげてるくらいにそういうものが好きでたまらず、
(9) being part of it,
そういうものにぞっこんなのだけれども、
★ 辞書で確かめたわけじゃないけど、(9) をパラフレーズすると "She is part of it"
ということだけど、「クラリッサは、そういうもの(宝石類)の一部である」ということだから、
「宝石に無我夢中」という意味だろうと思う。
(10) since her people were courtiers once in the time of the Georges,
クラリッサの先祖が、歴代のジョージ王の治世のときに宮廷人だったので、
★ 6人の England 国王 George の治世の年代は、次の通り。
George I (1714-1727)
George II (1727-60)
George III (1760-1801)
George IV (1820-1830)
George V (1910-1936)
George VI (1936-1952)
ただ、主人公 Clarissa Dalloway の先祖が宮廷人であった時代は "once in the
times of the Georges" と書いてあるだけなので、具体的にいつからいつまでなのかは
僕にはわからない。
>>118 の続き
(11) she, too, was going that very night to kindle and illuminate;
クラリッサ自身も、まさにその日の夜に、灯をつけて明かりを灯(とも)す。
(12) to give her party.
つまり、パーティーを主催することになっていたのだ。
>>119 の続き
But how strange, on entering the
Park, the silence; the mist; the hum; the slow-swimming happy
ducks; the pouched birds waddling; and who should be coming along
with his back against the Government buildings, most appropriately,
carrying a despatch box stamped with the Royal Arms, who but Hugh
Whitbread; her old friend Hugh--the admirable Hugh!
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
やはり、こんなたわいのない、何の変哲もないことを書き連ねていても、Virginia Woolf の
文章は、そのまま静謐(せいひつ)な詩になっている。
彼女はロンドンを主な住まいとしていたけど、
南イングランドの静かな田舎町に別荘も持っていて、その別荘にある庭の中に立てた小さな
書斎用の小屋にこもって小説を書き、その一方で、外の野原を毎日、かなりの長距離を
散歩しながら、自分の書いている小説をいつも朗読していたそうだ。朗読することによって、
自分が書いている文章が本当にこなれた自然な美しい文章になっているかどうかを常に
確かめていたそうだ。小説家なら誰でもそのくらいの努力はするだろうと言ってしまえば
おしまいだけど、彼女の場合、その努力が本物であったということが、文面をたどっていくと
強く感じられる。
>>120 (1) But how strange, on entering the Park, the silence;
でも、ほんと不思議。公園に入ると、この静けさ。
(2) the mist; the hum; the slow-swimming happy ducks;
霧、ざわざわした音、ゆっくり泳ぐ幸せそうなカモ、
(3) the pouched birds waddling;
袋を持った鳥たちがよたよた歩いている様子。
★ "pouched" という言葉の意味がわからない。有袋類の袋のことかなと思っても、ここでは
birds のことを言っている。もしかして、喉のあたりにある袋のような大きな空間のことを言っているのかな?
(4) and who should be coming along with his back against the Government buildings,
そして、お役所の建物を背にして、
★ (4) の should の使い方に注意したい。偶然にもこの時間帯にこんなところで、幼馴染の
Hugh が歩いてくるので、うれしくも驚いている Clarissa の感情を表しているのだろう。
(5) most appropriately,
ほんと、ちょうどいい時に、
(6) carrying a despatch box stamped with the Royal Arms,
王室の紋章のついた公文書送達箱を携えて歩いてくる人がいるけど、
★ "the Royal Arms" って「王室の武器」かなと馬鹿みたいなことを考えたが、
「王室の紋章」のことだそうな。イギリスのことについて知らなさすぎるので、
まだまだ勉強が必要だ。"The Royal Arms" については、下記のイメージ検索結果を参照。
https://www.google.co.jp/search?q=%22royal+arms%22&newwindow=1&espv=2&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=JpGsU8LBPIfmkAWkvYHIDQ&ved=0CAcQ_AUoAg&biw=1093&bih=515 (7) who but Hugh Whitbread; her old friend Hugh--the admirable Hugh!
ヒュー・ホイットブレッドじゃないの! 昔からの友達のヒュー。立派なヒュー。
>>122 の続き
今回のこの一節は、パッと見た感じでは、問題なさそうで、ざっと流し読みできそうだ。
"Good-morning to you, Clarissa!" said Hugh, rather extravagantly,
for they had known each other as children. "Where are you off to?"
"I love walking in London," said Mrs. Dalloway. "Really it's
better than walking in the country."
They had just come up--unfortunately--to see doctors. Other people
came to see pictures; go to the opera; take their daughters out;
the Whitbreads came "to see doctors."
>>123 (1) "Good-morning to you, Clarissa!"
「おっはよう、クラリッサ!」
(2) said Hugh, rather extravagantly,
とヒューが、やや大げさに言ったが、
(3) for they had known each other as children.
それは、二人が幼馴染だったからだ。
(4) "Where are you off to?"
「どこへ行くんだい?」
(5) "I love walking in London," said Mrs. Dalloway.
「ロンドンを歩くのが好きなの」とダロウェイ夫人は言った。
(6) "Really it's better than walking in the country."
「ほんと、田舎を歩くよりも楽しいもの」
(7) They had just come up--unfortunately--to see doctors.
ヒューたちの方は、残念ながら、医者にかかるためにロンドンまでやってきたのだった。
(8) Other people came to see pictures;
他の人たちは、絵を見に来たり、
(9) go to the opera; take their daughters out;
オペラ観劇や、娘を外に連れ出したりしに来ていたのに、
(10) the Whitbreads came "to see doctors."
ホイットブレッド夫妻の方は、「医者にかかる」ために来ていたのだ。
>>124 の続き
そしてこのあと、幼馴染の Hugh Whitbread の妻がしょっちゅう病気にかかっており、
そのためロンドンでたびたび医者にかかっていること、そしてその妻のお見舞いに
主人公クラリッサがしょっちゅう出かけていっていたという話が続く。
Times without number
Clarissa had visited Evelyn Whitbread in a nursing home. Was
Evelyn ill again? Evelyn was a good deal out of sorts, said Hugh,
intimating by a kind of pout or swell of his very well-covered,
manly, extremely handsome, perfectly upholstered body (he was
almost too well dressed always, but presumably had to be, with his
little job at Court) that his wife had some internal ailment,
nothing serious, which, as an old friend, Clarissa Dalloway would
quite understand without requiring him to specify.
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
>>125 (1) Times without number
数えきれないくらい何度も、
(2) Clarissa had visited Evelyn Whitbread in a nursing home.
クラリッサは養護施設にいるイヴリン・ホィットブレッドを見舞いに行ったことがあった。
(3) Was Evelyn ill again?
イヴリンは、また病気になったの?
(4) Evelyn was a good deal out of sorts,
イヴリンはまるで元気がない
(5) said Hugh,
とヒューは言ったが、
(6) intimating by a kind of pout or swell of his very well-covered,
manly, extremely handsome, perfectly upholstered body
きれいな、男らしい、きわめて格好のよい、完璧に美しいいでたちをした体で口をとがらせながら
★ (6) の最初の intimating は、(9) の that 節につながる。
>>125 (7) (he was almost too well dressed always,
(ヒューはいつも、きれいすぎるくらいの服装をしていたが、
(8) but presumably had to be, with his little job at Court)
そうする必要があったのかもしれない。宮殿でちょっとした仕事をしていたから)
(9) that his wife had some internal ailment, nothing serious,
奥さんは内臓が少しおかしいけど、大したことはないんだとほのめかしたが、
(10) which, as an old friend, Clarissa Dalloway would
その事情は、旧友のクラリッサ・ダロウェイなら
(11) quite understand without requiring him to specify.
詳しく尋ねなくてもちゃんとわかることだった。
>>125 の続き
次の一節は、3つの文からなっているけど、3つ目の文がすごく長い。
Ah yes, she did
of course; what a nuisance; and felt very sisterly and oddly
conscious at the same time of her hat. Not the right hat for the
early morning, was that it? For Hugh always made her feel, as he
bustled on, raising his hat rather extravagantly and assuring her
that she might be a girl of eighteen, and of course he was coming
to her party to-night, Evelyn absolutely insisted, only a little
late he might be after the party at the Palace to which he had to
take one of Jim's boys,--she always felt a little skimpy beside
Hugh; schoolgirlish; but attached to him, partly from having known
him always, but she did think him a good sort in his own way,
though Richard was nearly driven mad by him, and as for Peter
Walsh, he had never to this day forgiven her for liking him.
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
>>128 (1) Ah yes, she did of course;
あ、そうそう、もちろんわかったわ。
★
>>127 の (10), (11) からの続きだけど、Hugh がきちんと言わなくても、
幼馴染なので仕草だけで言いたいことが「わかった」という意味で "she did" と言っている。
(2) what a nuisance;
ほんと、大変だわね。
★ Hugh の奥さんが病気がちで、以前もよくロンドンの医者に診てもらうためにわざわざ郊外から
ロンドンに来ていたけど、今回もまた具合が悪くて、ロンドンで医者にばかり通っていて、
心配事が絶えない Hugh のことを案じて "What a nuisance!" と言っているのだと思う。
(3) and felt very sisterly and oddly conscious at the same time of her hat.
クラリッサは、ヒューの妹のような気分になり、同時に自分のかぶっている帽子のことが妙に気になった。
(4) Not the right hat for the early morning, was that it?
早朝にはふさわしくない帽子よね?
(5) For Hugh always made her feel,
というのも、ヒューはいつもクラリッサに感じさせるのだったが、
★ 具体的に Hugh は Clarissa に何を感じさせるかは、この数行あとの
she always felt a little skimpy beside Hugh
を読まないとわからない。途中でいろいろと修飾語がつくので、わけがわかりにくくなるけど、
このような回りくどく曖昧な言い方こそ、話し言葉の特徴だし、そもそも意識の中に
流れている考えや感情は、こんなふうに流れているのだろう。これこそ、
stream of consciousness の発露なのだろうと思う。
>>128 (6) as he bustled on,
ヒューはせわしなく体を動かし
(7) raising his hat rather extravagantly
帽子を少し大げさに持ち上げたり
(8) and assuring her that she might be a girl of eighteen,
クラリッサに対して「18歳の女の子みたいだよ」と言ったりしながら
(9) and of course he was coming to her party to-night,
そしてもちろん、クラリッサが今夜催すパーティーには参加するよと言ったが、
(10) Evelyn absolutely insisted,
(奥さんの)イヴリンがぜひ行きなさいよと言うもんだから、とも言い、
(11) only a little late he might be
ただ、少し遅れるかもしれない、とも付け加えたが、
(12) after the party at the Palace to which he had to take one of Jim's boys,
ジムの息子の一人を連れて宮殿でのパーティに参加したあとだから遅れるんだと言った。
>>128 あたりの一節を、読み流さないでじっくりと一語一語の意味を丁寧に読み解いていくと、
Virginia Woolf の文章は面白くないどころか、実に味わい深く、読んでいて気持ちのいいもんだ
と感じられてくる。教養あるネイティブだったら、さぞかし Woolf の文章を楽しく読み味わっている
だろうなあ、と想像する。僕も早く、彼女の文章を、辞書なしで、しかも一語一語をすべて
理解して読破できるようになりたいもんだ。
>>130 (12) after the party at the Palace to which he had to take one of 【Jim's】 boys,
この小説ではまだ出てきたことのない Jim という名前がいきなり出てきている。通常の小説なら、
Jim がどこの誰だという文言をひとこと添えるだろう。それをあえて添えないで、
あくまで Clarissa の意識の流れのままに、読者を無視しているかのように書くという手法を
採用しているのだろうと僕は思う。
どうやら、Hugh Witbread の息子のことらしい。だから "one of Jim's boys" は、彼の孫だと
いうことになる。自分が宮殿で働いているから、宮殿のきらびやかな様子や、祖父としての
自分の凛々しい姿を孫に見せたいのだろう。
>>128 (1) --she always felt a little skimpy beside Hugh; schoolgirlish;
クラリッサはいつも、ヒューの脇にいると自分が少し貧弱だと感じた。学校に通う女の子みたいな気分。
(2) but attached to him, partly from having known him always,
でもヒューのことはいい友達だと思っていた。一つには幼馴染だということもあるが。
(3) but she did think him a good sort in his own way,
でもクラリッサは、ヒューのことを彼なりにいい人だと思っていた。
★ (3) の but は、厳密に考えれば、というか、きちんとした書き言葉の中でなら
おかしな使い方かもしれない。しかしあくまで Clarissa の意識の中での口語としての
言葉づかいなので、はっきりとした意味を持つ but ではないのだろう。
>>128 (4) though Richard was nearly driven mad by him,
ただ、リチャードはヒューのせいで頭がおかしくなりかけたけど。
(5) and as for Peter Walsh,
ピーター・ウォルシュに至っては、
(6) he had never to this day forgiven her for liking him.
クラリッサがヒューのことをいい人だと思ったことを今日まで一度も許しはしなかった。
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt ● というわけで、ものすごく長い文だった。ピリオドを使っていくつもの文に分けることができそうな
ところでも、コンマをつけるだけで、そこに、通常の書き言葉では省略されるような and や but
などを大いに使って、いかにも話し言葉らしい気楽さを醸し出している。このような長ったらしい文章が、
慣れない時には気持ちが悪かった。克服すべき難関でしかなかった。しかし今では、このような
タラタラと続くように見える意識の流れ的な文章が、心地よい。
>>128 の続き 【Virginia Woolf, "Mrs. Dalloway"】
50代の主人公 Mrs. Clarissa Dalloway は、大統領を含めた名士たちを招待した
自分のパーティーの準備として、ロンドン市内の花屋さんに行って花を買いに行く道すがら、
ロンドンの街並みを見ながら、過去のことを思い起こしている。つい今さっき、幼馴染の
Hugh Whitbread に出会ったばかり。Hugh は Buckingham Palace で働いている。
奥さんの具合が悪いから、郊外からわざわざロンドンまで来て、複数の医者にかかっている。
というわけで、次のような思い出が続く。Hugh Whitbread はいつもきれいな服を着て、
とても優しい男で、お母さん思いだ。自分を曲げてでも、他人を(そしてお母さんを)
喜ばそうとする人だ。
そんな Hugh のことが、Peter Walsh は大嫌い。「あんな奴は、いい服を着てるだけで、
見掛け倒しで、ノータリンだ」というようなことを言い続け、そんな Hugh をいい人だと考える
Clarissa を批判し続ける。Peter Walsh は、Clarissa を深く愛している。
She could remember scene after scene at Bourton--Peter furious;
Hugh not, of course, his match in any way, but still not a positive
imbecile as Peter made out; not a mere barber's block. When his
old mother wanted him to give up shooting or to take her to Bath he
did it, without a word; he was really unselfish, and as for saying,
as Peter did, that he had no heart, no brain, nothing but the
manners and breeding of an English gentleman, that was only her
dear Peter at his worst; and he could be intolerable; he could be
impossible; but adorable to walk with on a morning like this.
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
>>134 --- (1) She could remember scene after scene at Bourton
クラリッサは、バートンでの場面を次から次へと思い出すことができた。
★ Bourton は、Bourton-on-the-Water という村のことであるらしい。
http://en.wikipedia.org/wiki/Bourton-on-the-Water そして発音をネットで調べると、イギリス式の発音では [ˈbəːtən] と発音している。
(2) --Peter furious;
ピーターはかんかんに怒っていて、
(3) Hugh not, of course, his match in any way,
ヒューはもちろん、ピーターにとって手ごわい相手でも何でもないのだが、
(4) but still not a positive imbecile as Peter made out;
そうは言っても、ピーターが言うほど大馬鹿というわけでもない。
(5) not a mere barber's block.
ただの「散髪屋のスランプ」というわけでもない。
★ "a barber's block" というのはもちろん、"a writer's block" をもじったものだと思う。
"a writer's block" は、作家がスランプに陥って、何も書けなくなる時期を言う。だから
"a barber's block" も、同じような意味を与えて、ジョークとして Peter が使っているのだ。
Hugh Whitbread はいつも身なりがよかったとどこかで書いてあったはずなので、
ヘアスタイルだけが悪かったということは考えにくいので、おそらくは Peter が Hugh の
身なりを嫉妬し、その一方では、Peter から見れば Hugh には深い精神性がないので、
ヘアスタイルを思い切りからかっているのだろう。
(6) When his old mother wanted him to give up shooting
年老いた母親がヒューに狩りをやめてくれとか
(7) or to take her to Bath he did it, without a word;
バースに連れてってくれと頼んできたときは、一言も文句を言わずに連れていっていた。
>>134 (8) he was really unselfish,
ヒューはわがままなところが本当になくって、
(9) and as for saying, as Peter did, that he had no heart, no brain,
nothing but the manners and breeding of an English gentleman,
ピーターが言うような、ヒューに思いやりがなくて、頭が悪くって、イングランドの紳士にふさわしい
マナーを備えてそういう育ち方をしているだけだっていう言葉については、
(10) that was only her dear Peter at his worst;
ピーターは本当はいい人なんだけど、そういうふうに最悪の性格を見せることもあるというだけのこと。
(11) and he could be intolerable;
それから、ピーターは本当に癪(しゃく)に触るときもあるわ。
(12) he could be impossible;
無茶苦茶な言動を取ることもある。
(13) but adorable to walk with on a morning like this.
でも、こんな朝には、一緒に歩くと素敵な相手。
>>134 の続き 【Virginia Woolf, "Mrs. Dalloway"】
>>134 にて、主人公 Mrs. Clarissa Dalloway がロンドンを歩きながら、35年ほど
前の自分や幼馴染の男女たちのことを思い出している。そしてそのあと、次のような
括弧 ( ) で括られたパラグラフが続く。さっきまでとは違ったことを書くために
括弧をつけているのだ。この一節では、ロンドンの街の様子が描かれている。
(June had drawn out every leaf on the trees. The mothers of
Pimlico gave suck to their young. Messages were passing from the
Fleet to the Admiralty. Arlington Street and Piccadilly seemed to
chafe the very air in the Park and lift its leaves hotly,
brilliantly, on waves of that divine vitality which Clarissa loved.
To dance, to ride, she had adored all that.)
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
>>137 (1) (June had drawn out every leaf on the trees.
(6月は、木の葉をすべて引き出していた。
★ June を無生物主語としたこの文章が詩的で素晴らしいと感じる。
(2) The mothers of Pimlico gave suck to their young.
ピムリコに住む女性たちが、赤ん坊に乳房を吸わせていた。
(3) Messages were passing from the Fleet to the Admiralty.
電報が、艦隊から海軍本部へと打電されていた。
(4) Arlington Street and Piccadilly
アーリントンとピカデリーは
(5) seemed to chafe the very air in the Park
ハイドパーク (Hyde Park) の空気そのものをこすって温め、
(6) and lift its leaves hotly, brilliantly,
木の葉を熱く、明るく持ち上げ、
(7) on waves of that divine vitality which Clarissa loved.
クラリッサが大好きな神々しい活力を持つ波の上に載せているように思えた。
(8) To dance, to ride, she had adored all that.)
踊ること、波に乗ること、クラリッサはそういうものすべてが好きでたまらなかった。)
>>138 なんという素晴らしい描写。詩そのものではないか。ああ、やっぱり Virginia Woolf は
すごい。
著者は、本当は実に明快で読みやすい文章の書ける人だ。彼女の書いたエッセイを読むとわかる。たくさん
読んだわけではないけど、ともかく、彼女のエッセイ(少なくともその一部)は、実にわかりやすい
流れるような文体で書いてある。馬鹿でも理解できる文章だろうと思う。
そういう明快でわかりやすい文章の書き手が、わざと、すぐには理解できないような曲がりくねった、凝った
文体を駆使して、独自の世界を作り上げている。明快な文章の書けない文章の下手な人が
深遠であるかのように見せかけた文章を書くのとはまるで違う。
>>137 の続き
For they might be parted for hundreds of years, she and Peter; she
never wrote a letter and his were dry sticks; but suddenly it would
come over her, If he were with me now what would he say?--some
days, some sights bringing him back to her calmly, without the old
bitterness; which perhaps was the reward of having cared for
people; they came back in the middle of St. James's Park on a fine
morning--indeed they did.
http://gutenberg.net.au/ebooks02/0200991.txt
141 :
名無しさん@英語勉強中:2014/07/03(木) 14:15:29.11 ID:qPn1Tf+2!
素晴らしいスレですね。
残念ながら個人的には文学作品にはあまり興味がなく、貢献できる語学力もないから、
ROMに徹して勉強させていただきます。
>>141 ああ、びっくりした。そんなふうに言ってくださる方もおられるんですね。しかも、おそらくは
海外からアクセスしてくださってるのですね。文学に興味がないのに、それでも読んでくださり、
「素晴らしい」とまで言ってくださって、ああ、なんというか、ぎりぎりまで自分を追いつめて
孤軍奮闘して疲れ切って、それでもがんばり続けなければならないと思っていた僕も、
ほんの少し、疲れが癒えたような気がします。
【William Shakespeare, "Hamlet"】
Virginia Woolf の精読と解説も続けたいけど、同時に Shakespeare も読み進めたくて
たまらない。ただ、Shakespeare を原文で読んだり YouTube で聴いたりし始めてから
間がないので、まだまだ難しく、このスレで精読するのはまだ無理かな?
"Hamlet" の原文を Everyman's Library で読み進める傍ら、YouTube 上にある
Librivox というボランティア団体による "Hamlet" の朗読
https://www.youtube.com/watch?v=CNlB5XXHP8w を何度も何度も聴いている。精読したり一語一語を理解しながらの聴き取りはまだまだだけど、
ざあっと読み流したり聞き流したりするだけでも、十分に面白い。これはすごいことだ。
400年も前の作品を、僕のような英語のろくにわからない日本人が、たとえ大雑把な形ではあれ、
楽しめるということはすごいことだ。それだけ Shakespeare が万人向けであり、偉大だという
ことだろう。僕はもともと、Shakespeare を原文で読むなんてまだまだ無理だとずっと
思ってきた。いずれはきちんと読もうと思いながらも、ダメだった。ときどき日本語訳や
Charles Lamb による Shakespeare の荒筋の解説を読んでみたり、あるいは
"Romeo and Juliet" や "Hamlet" を注釈つきで紹介した Arden Shakespeare
のシリーズをいくらか読んではいたけど、まだ無理だと感じ、途中で投げ出していた。
そしてここに至り、12歳のときから還暦近くなるまで約50年近くも半ば命がけで英語に取り組んできて、
やっと今、少しは Shakespeare が楽しめるようになった。
【"Get thee to a nunnery" (尼寺へ行け) --- Hamlet の台詞】
Hamlet の "To be or not to be, that is the question." はもちろん有名だが、
"Get thee to a nunnery."(尼寺へ行け)というセリフも有名だ。この台詞を聴くたびに、
僕はいつも、路上を歩きながら笑ってしまう。今朝も、朝、路上を散歩しながらこの台詞を
YouTube で聴きながら、笑ってしまった。30秒ほど笑いが止まらなかった。もちろん、
楽しい笑いではなく、ブラックユーモア的な意味での笑いだ。
★ 原文
【Get thee to a nunnery】, go. Farewell.
Or, if thou wilt needs marry, marry a fool,
for wise men know well enough what monsters you make of them.
To a nunnery, go, and quickly too. Farewell.
■ 現代英語訳
Get yourself to a convent, at once. Good-bye.
Or if you have to get married, marry a fool,
since wise men know far too well that you’ll cheat on them. Good-bye.
http://nfs.sparknotes.com/hamlet/page_144.html (Shakespeare, "Hamlet," Act 3, Scene 1)
【Shakespeare の "Hamlet" に出てくる下ネタ】
"Romeo and Juliet" では下ネタのオンパレードだそうだし、僕自身もその一部はよく
理解できていて、笑っちゃう。しかし、"Hamlet" はちょっと深刻なドラマだから、下ネタなんて
出てこないかと思いきや、どっこい。僕が気づいただけでも、3回、立て続けに出てくる。美しき恋人の
Ophelia に対して Hamlet は、次のような下ネタをかます。
["Hamlet," Act 3, Scene 2]
(1) HAMLET: Lady, shall I lie in your lap?
現代語訳 -- HAMLET: My lady, should I lie in your lap?
★ この (1) は、「君の膝を枕にして寝ようか」という意味と「君の股間の中に入ろうか?」
という意味との両方に解釈できるのだろうと思う。Ophelia は後者の意味に解釈し、
「ダメでございます」と言ったのだ。
(2) OPHELIA: No, my lord.
(3) HAMLET: I mean, my head upon your lap?
現代語訳:HAMLET: I mean, with my head in your lap?
>>145 の続き
(4) OPHELIA: Ay, my lord.
(5) HAMLET: Do you think I meant country matters?
★ country を cunt にかけている。
(6) OPHELIA: I think nothing, my lord.
このサイトにある英文での注釈:
In Shakespeare’s time, “nothing” (or “0”) was slang for the vagina.
■確かに、注釈にある通り nothing は 0 を意味して、その 0 という文字が vagina
に似ているからそういう意味のスラングとして使われたというのも本当だろう。しかし僕は同時に、
nothing が "nut + thing" つまり「豆の物」という意味にも聞こえ、nut は
clitoris を連想させていたのではないかと勝手ながら推測している。
(7) HAMLET: That’s a fair thought to lie between maids' legs.
http://nfs.sparknotes.com/hamlet/page_158.html
【Shakespeare, "Sigh No More"】
Shakespeare の "Much Ado About Nothing" を映画化した作品をかなり昔に見たことが
あった。Emma Thompson も出演する映画だった。そのころはイギリス英語にも慣れていなかったし、
少しばかり古典的な作品に出てくる英語もあまり聴き取れず、さらには Shakespeare の
作品だったから、余計のこと聴き取れず、わけがわからなかったけど、ぼんやり覚えている。
そこに出てくる Nonny, nonny という歌の台詞を思い出した。というのも、いま読んでいる
Hamlet にも出てきたのだ。調べてみると、この歌は Renaissance の時代に流行っていた
ナンセンスな歌だそうだ。
この歌を、今さっき、例のごとく辞書も引かずに滑り読みしただけだけど、
途中で声を挙げて笑ってしまった。男は浮気者だから、諦めなさいよ、
女性たちよ、というような歌だ。
"Much Ado About Nothing" の映画
http://www.imdb.com/title/tt0107616/
>>147 の続き
その作品に出てくる Renaissance 時代の歌の台詞
Sigh no more, ladies, sigh no more,
Men were deceivers ever,
One foot in sea and one on shore,
To one thing constant never.
Then sigh not so, but let them go,
And be you blithe and bonny,
Converting all your sounds of woe
Into Hey, nonny nonny.
Sing no more ditties, sing no mo
Of dumps so dull and heavy.
The fraud of men was ever so,
Since summer first was leavy.
Then sigh not so, but let them go
And be you blithe and bonny,
Converting all your sounds of woe
Into Hey, nonny nonny.
http://nfs.sparknotes.com/muchado/page_80.html
【YouTube 上にある "Hamlet" の朗読 -- 豪華キャスト版】
ちょっとびっくりした。YouTube 上には "Hamlet" を何人もの役者が朗読して無料で聴かせてくれる
ビデオが数種類もあるということはわかっていた。でも、その中には、なんと豪華キャスト版もある
ではないか。
(A) "Hamlet"
https://www.youtube.com/watch?v=YfDCcJSW7yQ このビデオの中で
(B)
https://www.youtube.com/watch?v=YfDCcJSW7yQ&t=40s これをクリックすると、キャストを紹介している。その役者の名前を聴き取って
書き出してみるけど、綴りが間違っているかもしれないから、ご注意を。
なお、僕がよく知っている役者には、【 】をつけてある。
(1) 【Kenneth Branagh】 - Hamlet
(2) Derek Jattleby - Claudius
(3) 【Judy Dench】 - Gertrude
(4) Richard Briars - Polonius
(5) Michael Williams - Horatio
(6) Sophie Thompson - Ophelia
(7) James Willby - Laertes
(8) Michael Elthic -- First gravedigger
(9) Michael Holden - Player king
(10) 【Emma Thompson】 - Player queen
(11) John Guilhood - The Ghost
>>149 の続き 【Kenneth Branagh 版の "Hamlet"】
この録音では、みんなが実にリアルに台詞を言っており、効果音も抜群で、
ドラマチックであることこの上ない。しかし、それだからこそ聴き取りが難しい部分も
大いにある。
(C) Librivox というボランティア団体による "Hamlet"
https://www.youtube.com/watch?v=CNlB5XXHP8w 僕は、上記の (C) ならばよく知っていて、何度も聴いたことがあった。朗読もきちんとしているし、
役者も素晴らしいと思っていた。でも、(A) の Kenneth Branagh 版はそれよりもはるかに
素晴らしい。ただ、(C) の方が、初心者である僕にとってはわかりやすい。効果音もなく、
声だけであり、そんなにまで激しく怒鳴ったり泣いたりはしておらず、声の大きさや朗読の
速さも一定しているため、台詞を聴き取るという点だけから見れば、聴き取りやすいのだ。
【Hamlet が「あなたが母親でなかったらよかったんだが」と言うとき】
"Robinson Crusoe" だったかどこだったか忘れたが、無人島に行こうとする男が
Shakespeare 全集と聖書だけはカバンに詰め込んだという一節を読んだことがある。
それくらいに Shakespeare は、400年もの長きにわたり、全世界で愛されてきた。
とは言いながら、僕は還暦近くなる今まで、Shakespeare の面白さがよくわからなかった。
そもそも、日本語版で読み始めても、すぐに嫌になる。じゃあ、原文で読もうとすると、つい
15年ほど前でも、膨大な注釈を少しずつ読み解いていくと確かに面白そうではあると
思ったけど、注釈と原文とを合わせて数十ページも読むと、やはり別の本に移りたくなってしまっていた。
朗読や映画版を聴くと、ますますわからない。確かに映画ならば映像を見ていればそれなりには
楽しめる。でも、Shakespeare のみならず、そもそも文学作品というものは、台詞や文章そのもの
が楽しめなかったら、本当の面白みはつかめない。だから、Shakespeare は僕にとって、
憧れの対象ではあったけど、実に遠い存在だった。(ということを、すでに何度も書いている。
同じことを繰り返して書きたくなるくらいに、やはり僕はこのことにこだわっているということだ。)
やはり、Shakespeare を初めとする、文章の美しさで勝負をしている作品は、
やはり原文の美しさがわかるようにならないと、その面白さはわからないのではないだろうか?
少なくとも、僕は Shakespeare の日本語版を読んでも、ちっとも面白くなかった。
【Hamlet による母親への台詞】
本当は、気に言った一節を片っ端から和訳していきたいところだけど、今はその気力がないので、
原文だけを紹介する。Claudius は、Hamlet の父親である王様を殺してデンマークの王様の
座を奪い取って、女王(Hamlet の母、そして殺された王様の妻)と結婚した。そんな不届きな
Claudius と結婚していながら平気でいられる母親(女王)である Gertrude に対して、
Hamlet はいろいろと意地悪いことを言うが、次の一節の最後で、(【 】で囲んだように)
「あなたが私の母親でなかったらよかったんだが」と言っている。
実の父親を殺したいとさえ思うくらいに憎む息子は多い。しかし、母親をさえ憎む息子は少ない。
母親をさえ憎まざるを得ないくらいの逆境を体験せねばならなかった Hamlet の悲劇。そして
そこまで純粋に生れてきてしまい、他の大多数の人間と同じく適度に鈍感で幸せな豚として
生れてこなかった Hamlet の人生の皮肉。母親に対してこのように言わないではいられなかった
Hamlet の不幸。そして実の息子からそれを聞くという運命を背負った女王 Gertrude の悲劇。
Shakespeare の作品のごく一部しか知らない僕だけど、それでも、Shakespeare には
人生のすべてが詰まっていると感じている。
(このあと、その原文を引用する。)
【Hamlet -- 「あなたが私の母親でなかったらよかったのだが」】
Ham. Now, mother, what’s the matter?
Queen. Hamlet, thou hast thy father mush offended.
Ham. Mother, you have my father much offended.
Queen. Come, come, you answer with an idle tongue.
Ham. Go, go, you question with a wicked tongue.
Queen. Why, how now, Hamlet!
Ham. What’s the matter now?
Queen. Have you forgot me?
Ham. No, by the rood, not so.
You are the Queen, your husband’s brother’s wife;
But 【would you were not so! You are my mother.】
(William Shakespeare, "Hamlet," Act 3, Scene 4)
http://www.bartleby.com/46/2/34.html
【Hamlet -- 私はそれなりに善良な人間だが、それでも「生まれてこなければよかった」と
思うくらいに罪悪感を感じることがある】
HAMLET
Get thee to a nunnery. Why wouldst thou be a breeder of sinners?
【I am myself indifferent honest, but yet I could accuse me of
such things that it were better my mother had not borne me.】
★現代英語訳
HAMLET
Get yourself to a convent (“Nunnery” could mean either convent or brothel)
at once. Why would you want to give birth to more sinners?
【I’m fairly good myself, but even so I could accuse myself of such
horrible crimes that it would’ve been better if my mother had never given birth to me.】
http://nfs.sparknotes.com/hamlet/page_142.html それにしても、たったいま気づいたが、上記の英語による注釈にある通り、「尼寺」と
日本語で訳される nunnery がなんと、convent という意味と brothel という
意味とがある。ますますもって意味深長だ。本当に Shakespeare は深い。
とてもじゃないけど、こんなものを「尼寺」とか「女子修道院」という一重の意味でしか
訳せない日本語訳なんかでは読んでいられない。やはり英語、しかも現代英語ではなく
あくまで400年前の原文で読まないといけない。
いや、もちろん、日本語で読んで楽しんでいる人たちを否定するつもりはない。
ただ、僕は英語にこだわり、古典文学や哲学が英語ですいすいと深く読めるように
なることを目標として何十年も頑張ってきた人間なので、Shakespeare をも
日本語なんかで読んではいられないのだ。僕にとって、英語は闘いなのだ。
>>154 【nunnery(女子修道院)を brothel という意味で使っていた理由】
>>154 で紹介した Hamlet による、美しき恋人 Ophelia に対する有名な台詞
"Get thee to a nunnery"(尼寺へ行け)の nunnery には「売春宿」(brothel)
という意味もあるということだが、なぜそんな意味が派生したのか、と考えてみた。
もしかして、女子修道院の中の、女性ばかりのいる雰囲気が売春宿そっくりだからか、と
思ったら、実はもっと深い背景があったようだ。それについては、OED の nunnery を含む
最後の例文を読めばわかる。【 】をつけておいたから、読んでほしい。
★ nunnery
b. slang. A brothel. Now hist.
■1593 T. Nashe Christs Teares 79 b,
[To] some one Gentleman generally acquainted, they giue..free priuiledge thenceforward in theyr ★Nunnery★, to procure them frequentance.
■1594 Gesta Grayorum (1914) 12
Lucy Negro, Abbess de Clerkenwell, holdeth the ★Nunnery★ of Clerkenwell.
■a1625 J. Fletcher Mad Lover iv. ii, in F. Beaumont & J. Fletcher Comedies & Trag. (1647) sig. C4v/1,
Chi. Ther's an old ★Nunnerie★ at hand.
Clo. What's that.
Chi. A bawdie House.
■1781 Compl. Mod. London Spy (title-page),
The characters of many well-known Persons who are now frequenters at Gaming-Houses, Bagnios, and other ★Nunneries★, Night-Houses,..Taverns, [etc.].
■1785 F. Grose Classical Dict. Vulgar Tongue,
★Nunnery★, a bawdy house.
■1846 ‘Lord Chief Baron’ Swell's Night Guide (new ed.) 126/2
★Nunnery★, a brothel.
■1977 J. T. Shipley In Praise of Eng. 194
【To the antipapist Tudors ★nunnery★ was a slang term for a brothel.】
上記(1977年)の例文の和訳:ローマカトリックに反抗するチューダー朝時代の人々にとっては、
nunnery(女子修道院)が売春宿を意味するスラングだった。
(OED Online)
【Hamlet: "The time is out of joint."】
これも有名な台詞。僕自身、Hamlet の台詞を意識していたわけではないが、20代前半に
頻繁に口にしていた言葉がある。
「宇宙の基盤が歪んでいる」
Hamlet の言っていることと共通すると感じて、今ごろになってその奇妙な共通点に驚く
★ 原文
HAMLET
Rest, rest, perturbèd spirit!―So, gentlemen,
With all my love I do commend me to you,
And what so poor a man as Hamlet is
May do, to express his love and friending to you,
God willing, shall not lack. Let us go in together,
And still your fingers on your lips, I pray.
【The time is out of joint.】 O cursèd spite,
That ever I was born to set it right!
Nay, come, let’s go together.
★ 現代英語訳
HAMLET
Okay, then, unhappy ghost, you can rest now. So, gentlemen,
I thank you heartily and with all my love, and I’ll repay you
however I can some day. Let’s go back to court together, but shhh,
please. No talking about this. 【There is so much out of whack in
these times.】 And damn the fact that I’m supposed to fix it!
http://nfs.sparknotes.com/hamlet/page_74.html
このスレでは英文解釈に限定した話題を提供しようと思ったけど、それだけに限るとなると
苦しくなってくる。やはり一つ一つの単語を語源学や歴史言語学あるいは印欧語比較言語学
あるいは方言学の観点から考察してみたり、あるいは文学としての味わいを追究したり
したくなる。「英文解釈」というと、やはり表面上の英文の語彙や文法や構造や語法だけを
追及することになる。だから、これからはもうあまりこのスレには物を書かないかもしれない。
やはり元の通り、下記のスレにて物を書き続けることになると思う。それにしても、他の人を引き付ける
ような話題を提供することは難しい。やはり自分の好きなこと、自分がこだわっていることを
書き続ける以外にはなさそうだ。
【隔離・孤立スレ】専門的すぎる書き込みを歓迎
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/english/1389234352/l50
【This thread is open to anyone who might want to communicate with me
or Random Gaijin or anyone either in Japanese or English.】
Random Gaijin, or anyone else who might want to communicate with me
or anyone else, you will always be welcome here.
160 :
Random Gaijin:2014/08/07(木) 12:07:27.44 ID:OHph7g0v!
Test
161 :
Random Gaijin:2014/08/07(木) 12:13:43.22 ID:OHph7g0v!
So, OED
Which Arabic-speaking country did you visit?
>>161 I was in Iraq. I worked there for two and a half years.
I wish I could tell you much more in detail, but I'm afraid anyone
ill-intentioned may collect all such information about me and
do something nasty to me. So I'm being careful.
By the way, Random Gaijin, I thank you for calling me a bigger person
than you are when I was saying I think I have to accept the fact that
I am a Japanese and that I have live in Japan, and so on.
Actually, I used to loathe everything about me when I was younger.
I loathed, just as if I hated earthworms trying to creep onto my
back or something, the fact that I was a Japanese, that I was from
Osaka, that I was a native speaker of Japanese, that I was Asian,
that I was a child of my parents, both of whom didn't -- and couldn't --
go to school after age 14 or so.
I used to hate everything about me. Yes, I tried to love it. I tried
day and night all my life to love my parents, my country, and everything
about me. But actually, at the bottom of my heart, in the deepest
recesses of my being, I hated and loathed my being, my life, my parents.
Now that I'm almost sixty (here again, I'm telling you only a ballpark
age of mine, I don't want to give my exact information
that might be used by ill-intentioned people on the Internet),
I'm becoming a bit mellow. I think that, although I hate my life
and my parents and myself and everything, I have to accept all that.
164 :
Random Gaijin:2014/08/07(木) 13:38:51.35 ID:OHph7g0v!
>>163 Whoa, that's deep man. I'm only 20, so I still get to blame everything
on my parents and circumstance. haha
Hopefully my plans to go to college and change my life will work out.
Hope to one day find myself in a Japanese school teaching English.
I say "hope", but I know that it "will" happen and "will only" happen
if and when I make it happen.
Is Iraq as frightening as it's made out to be? Did you ever feel
as if your life was in danger?
>>164 I really hope you'll some day get to come over to Japan to teach.
Actually I've always loved to teach and I've taught on various
occasions. As a student, I used to teach lots of students to
earn my way through college. After graduating from college,
I taught English at high school for two years.
I'm not the kind of guy that encourage lazy students to work hard.
But I really am a good teacher for students, whether very young
or rather old. For the past year I've been teaching my best friend
English. We read the British magazine "The Economist" together.
He, in his turn, has been teaching me all about what's going on
in the world, especially in on an economic level.
Iraq was rather frightening when I was there. I was working there
when the country was at war with its neighbor. All the time
I was there, the country was at war. We were having a hard time
procuring our goods, both for our daily lives and for our industrial
operations.
There was once a time when I was rudely awakened at five o'clock in the morning
while I was in the capital of the country. A bomb had hit the ground
only a couple of kilometers (a little more than a mile) from
our residence. (to be continued)
>>164 (continued from
>>165)
I was rather lucky, though, having luckily stayed away from bombings
and arrests. One of our colleagues was arrested there and stayed in
jail for two weeks or so. He didn't commit any serious crime.
Another colleague made a narrow escape. A piece of a bomb came
toward him while he was in a town close to the neighbor country.
That piece of bomb came and hit the wall, only ten centimeters
(about four inches) from his head. The piece of bomb
made a big hole in the wall.
Ah, yes, several years after I returned home from my work in that
country, "the" notorious president of the country arrested a lot
of foreigners, including Japanese, to detain them for a long time.
Everyone in Japan made a big fuss over that. So much so that one
famous politician went over to the country to talk to the president
of the country.
I'm sorry if I'm not writing in clear language. If so, that is
intentional. I am being ambiguous on purpose in an attempt to
evade the malicious attempts of some people on the Internet
to do something bad to me.
>>165 CORRIGENDA
I'm not the kind of guy that 【can inspire】 lazy students to work hard.
But I really am a good teacher for 【highly motivated】 students, whether very young
or rather old.
テスト