このスレは、『魔法先生ネギま!』キャラを用いたバトロワスレです。
<特徴>
他の多くのバトロワスレはリレー小説の形式を取っていますが、このスレでは異なります。
単独の作者による、長編SSスレとなっています。
現在、第16部まで完了。次は17部となります。各長編SSはそれぞれ独立したお話となっています。
たまに、既に完結したお話のサイドストーリー、アナザーストーリーなどの短編が書かれることもあります。
<作者志望の方へ>
このスレでは、原則オープニングからエンディングまで全て書き終えた者が連載を開始できます。
見切り発車厳禁。頑張って書き上げましょう。
完成したら宣言の上、皆の了承を得て投下を開始して下さい。
<注意事項>
作品に対して内容にケチをつけたり、一方的な批判をするのはやめましょう。
こういう人が居ても、他の人は荒らしとみなしてスルーしましょう。
作者の都合もありますので、早くしろなどの催促はできるだけしないように。
次スレは原則
>>950を踏んだの人が立てること。
容量オーバーになりそうなときは、気づいた人が宣言して立てましょう。
基本的にsage進行。
過去スレ等は
>>2-5くらいに
にゃおーん
____ ______ _______
|書き込む| 名前: | | E-mail(省略可): |sage |
 ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∩
, ─|l| ,/ノ
! ,'´  ̄ ヾ
! | .||_|_|_|_〉
! トd*゚ -゚|| ここにsageって入力するんだ
ノノ⊂ハハつ 基本的にsage進行…
((, c(ヾyイ なんで私だけバニー…
しソ
投下完了。
糞スレ立てんな蛆
コセヒニケタヘマユシアク
イシクタニタヘマレヤタユ
シタナアヌヨマヒタスカイ
アタクセハタヒタロヨチマ
メルフソエキチュマヒスヌ
こんばんは。
>>1さん乙です。
お待たせしました。
今から投下始めますね。
前書き
この作品で閲覧者側のもつネギまキャラのイメージが崩れてしまうかもしれませんがご了承ください。(そうでもしないと物語が進まないので)
SSを書くのはこれが初めてなので描写や話の進め方などが今までの作者様よりも劣っているかとは思いますが、
長期に渡ってつくりあげた、私なりに頑張ってつくったSSなので他作品と比べたり中傷的な発言は止めてください。
ですがご指摘は大歓迎です(そこの描写はこうしたほうが良かった、や次からはもっとこうすれば良い、など優しく言ってくださると幸いです)
展開が読めても内容を書き込んだりしないでやってください。。
まとめサイトを閲覧してみたのですが沢山作品があるようでした。
なので表現が少し被る作品があるかもしれません。
最後の辺りではオリキャラ(といっていいのかわからないんですが一応…)やオリジナル設定やネギま!?設定が出てきます。
ネギま!?を観ていない人でネタバレが嫌だという人、オリジナル設定に嫌悪を抱く人は閲覧しない方が良いかと。
今自分の作品を読み返したところ、前半部分と後半部分の一話の文章の量がかなり違いました。
最初は読み手側を不安にさせてしまうかもしれません。(一体作者はやっていけるのか、この調子で大丈夫かなど)
それでは投下を始めたいと思います。
良かったら最後までお付き合いください。
第一話
7月28日
『先日、関西○○学園都市全体で火事が発生しました。現場の焼け跡からは生徒の遺体とみられるものが――』
朝から痛々しいニュースを観ながら悠長に食事をとっているのは神楽坂明日菜(出席番号8番)だった。
画面に映っている学園はもはや学園というより焼け野原だ。
「ひどいわねー、放火かしら…っと、ヤッバー!もうこんな時間!」
「アスナー、はよせんと学校遅れるえー」
玄関から行動を促す声が聞こえる。
明日菜は慌ててテレビを消すとパンを口に無理やり詰め込んで友人の元へと向かった。
神楽坂明日菜は友人の近衛木乃香(出席番号13番)・桜咲刹那(出席番号15番)と担任のネギ・スプリングフィールドら平常通り登校した。
今日は平日だというのに校内はどこか薄暗く、人気が無い。
「ねぇ、今日登校日よね?何か…変じゃない?」
「確かに…全校生徒が居るにしてはやけに少し静かすぎますね」
「もしかしてウチらだけなんやないかな?この前の期末の成績、最後やったし」
木乃香がさらさらと並べた言葉はバカレンジャーの一員の明日菜の胸に少々刺さった。
「そ、そっかー…」
明日菜は額に汗を浮かばせる。
「それじゃあ、僕は職員室に配布しなければならない書類があるそうなのでそろそろ行きますね!また後で、アスナさん、このかさん、刹那さん!」
ネギは大きく手を振りながら職員室の方向へと掛けていった。
「あ、うん。じゃあまた後で!」
「後でなー」
第二話
教室の中には馴染みある友人ら全員が静かに自分の席に座っていた。
いつもならば教室内の様々な箇所に数人で固まってわいわいと話をしているため非常に珍しい光景である。
「何々?何か大事な話でもあ…」
一歩室内に足を踏み入れた明日菜が妙な空気を破った。
パァァアアン!
「!!」
言葉を途絶えさせた音は紛れもなく銃声だった。
三人は目を見開いて音源の方角へ顔を向ける。
「何…なの……?」
教室の黒板前に並んだガタイの良く武器を片手に握った兵士が数人と、教卓に寄りかかった男が一人。
手前の男の容姿は全てマントで隠されていて見えないが、肩の形で性別は判断できた。
「良いから席に着け」
一人の男がこちらへ、促すように銃を向けた。
身体が震えるのを感じながら席へと向かったのは、明日菜と木乃香だけだった。
「席につけと言っているのがわからないのか」
兵士の声色は先程より一層強くなる。
「何故貴様らの命令を聞かねばならない。一体何者だ?場合によっては…」
刹那は柄に触れ、片足をやや前に出す。
途端にマント男の口元が緩むのが見えた。
「良いから席に着いてください、桜咲さん」
開け放たれた扉から姿を現したのはネギであった。
ネギの声はいつもよりやや低く、透き通った瞳はひどく濁っていた。
「ネギ…せんせ…」
「桜咲さん」
意思があるのかないのかわからないような感情の篭っていない声色でネギが刹那の言葉を遮る。
刀としまった刹那は暫く何か考えたあと命令通り席に着いた。
教室にはまだ重たい空気が漂っていた。
見知らぬ男たちもネギも、誰も何も喋ろうとしない。
いつものように教壇に立つネギは黙って手に持つプリントを見眺めているだけだ。
そして面を持ち上げたネギが笑って告げた。
「今から皆さんには、殺し合いをしてもらいます」
流石にこの言葉にはクラスメイト殆どが声を上げる。
「どういうこと?」
「冗談だよね」
「今何て言ったの?」
当然、ネギの言葉を認めようとする者はこの時点では一人も居なかった。
突然殺し合いをしろ、だなんて言われてはいわかりましたなんて言えるはずもないし、本気で言っているなんて思えなかったからだ。
「静かにしろ!」
男のどすのきいた声は騒がしい教室の中でもハッキリと聞こえた。
その迫力に誰もが口を閉じる。
支援
俺も1レスに収まりそうな話とかありますぜ
第四話
「それではルールを説明しますね」
静まり返った教室にはネギが一生懸命に黒板にチョークを打ちつける音だけが響いている。
その間皆頭を抱え俯く者や眼に涙を溜める者、友人と目を合わせる者の姿があった。
「あ、あの…」
ネギが文字を書き終え振り向いた瞬間扉が開き、同時に見覚えのある顔が見えた。
「ようやく来ましたか。相坂さん」
相坂さよ(出席番号1番)の身体は何故か実体となって姿を現していた。
両足もしっかりと床に着いているし、雪のように白かった肌もちゃんとした「人間」の肌色になっていた。
「あ、は、はい…」
さよ自身もこのことに対してはよく状況を把握できていなかったが、とりあえず空気の流れに沿ってあまり口を開かぬようにした。
そして何十年も座り続けた、一番前の端の席へと移動した。
朝倉の前を通りかかったとき、さよは横目で目尻に涙を浮かべる朝倉の顔を見遣った。
「あぁ、相坂さん…それと皆さん。相坂さんにはそちらの方が、相坂さんにもこのゲームの参加者になってほしいと自ら肉体を与えてくださったそうです。良かったですね、相坂さん」
ネギがさよや他の全員の表情から心中を想定し大まかな説明をしながら、教卓前に居る男を示した。
それでも当然のことであるが、魔法関連のことを知らない人物らはまだ理解できてはいないようだ。
「とりあえずこれで全員揃いましたね。ちょうど良かったです!」
浮かべた子供じみた笑みだけはいつものネギであった。
バトルロワイヤル
〜バトルロワイヤルについて〜
バトルロワイヤル(以下BR)とは、集まった全員で殺し合いをし勝者を一人決めるというゲーム。
〜ルール〜
行動できる範囲は麻帆良学園都市全体。
だが不定期に「禁止エリア」というものが決められる。
その際は放送で一度だけ、それまでに死亡した生徒の名前と同時に発表される。
(エリアは区切られているので記号で発表される)※各エリアごとのは地図参照
禁止事項
・エリア外に出ること
・首輪を外そうとする行為(無理にいじる、PCの使用など含)
・ゲームの進行の妨害
以上の行為をはたらいたら首輪が爆発。
また、48時間経った時点で1名以上が残っていた場合は全員の首輪が爆発。
二日目朝方の時点で10名以上が残っていた場合はネギ・スプリングフィールドが参戦。
ネギ・スプリングフィールドのみは人数には入らないため、ネギ含め二人となった場合はもう一人の生徒が優勝者となる。
〜ディバックの中身〜
ディバックは教室退出時に一人一人に持たされる。
中身はBRについてのプリント・地図・懐中電灯・食料(食パン・コッペパン・メロンパンの内どれか一つ)・飲料(水・お茶のどちらか)・武器
武器は全員それぞれ違う物が入っている。
(私物、調理室や理科室などで武器になるようなものは全て回収済み)
↑すみません、第四話となっていますが第三話となります。
どのくらい投下すればいいでしょうか。
暫くはこのくらいの長さが続くんですが…。
これくらいでいいと思いますよ。
期待してます。
PC弄れないのか…
てことは早くも脱出は絶望的か?
量は大丈夫かと
wktkして待ってますぜ
>>19 わかりました。
これからこのくらいのペースで投下していきたいと思います。
時間帯は大体21時以降になります。
では、また明日。
ああああああ!
本当にすみません!修正前のルールを貼っていました。
今更ですがルールの部分だけ再投下させてもらってもいいですか?
バトルロワイヤル
〜バトルロワイヤルについて〜
バトルロワイヤル(以下BR)とは、集まった全員で殺し合いをし勝者を一人決めるというゲーム。
〜ルール〜
行動できる範囲は麻帆良学園都市全体。
だが不定期に「禁止エリア」というものが決められる。
その際は放送で一度だけ、それまでに死亡した生徒の名前と同時に発表される。
(エリアは区切られているので記号で発表される)※各エリアごとの記号は地図参照
禁止事項
・エリア外に出ること
・首輪を外そうとする行為(無理にいじる、壊すなど)
・ゲームの進行の妨害
以上の行為をはたらいたら首輪が爆発。
また、48時間経った時点で1名以上が残っていた場合は全員の首輪が爆発。
二日目朝方の時点で10名以上が残っていた場合はネギ・スプリングフィールドが参戦。
ネギ・スプリングフィールドのみは人数には入らないため、ネギ含め残り二人となった場合はもう一人の生徒が優勝者となる。
〜ディバックの中身〜
ディバックは教室退出時に一人一人に持たされる。
中身はBRについてのプリント・地図・懐中電灯・食料(食パン・コッペパン・メロンパンの内どれか一つ)・飲料(水・お茶のどちらか)・武器
武器は全員それぞれ違う物が入っている。
(私物は後に回収、調理室や理科室などで武器になるようなものは全て回収済み)
何度も何度も最初からミスばっかり…。本当にごめんなさい。
これからはもっと落ち着いて投下するようにします。
では今度こそ、また明日!
投下乙
パンの種類の豊富さに吹いたw
珍しい導入かな? 今後に期待
半年かけて練りに練って書き直しまくってやっとできたー
作者18名乗っていいか?
>>28 とりあえず鳥付けて欲しい
今のところ誰も居ないし問題ないかと
こりゃ20以内は無理かorz
投下乙
早速の指摘で申し訳ないんだけど、首輪はもう付けたの?
この状況から付けるおなると、少なくとも兵士は全員刹那らの抵抗で瞬殺されそうな気が……。
1名以上って1名も入るよね…
大丈夫か…作者……
一度宣言したら何があろうと最後まで投下する。それがネギまロワのルール……!
でも、今なら数日待って仕切り直すのもアリだと思う。
>>30 いくら武道四天王でも全員を守り切る自信はないだろ。下手な行動して仲間が死んだらあれだし……
それに黒ネギとかがいるから余計に動けないだろ
まぁこれからはゆっくり落ち着いて投下してくれ
話は期待してるから
>>30 首輪はまだなんじゃない?
アスナたちは来たばかりだからつける暇ないだろ
>>28 断る理由など何もない!
>>29 俺も20以内狙ってたけど無理そうwww
時間がかかればかかるほど原作との矛盾が広がり更に完成から遠のくwww
じゃぁ、一応名乗っておきます
38 :
マロン名無しさん:2007/09/29(土) 14:33:25 ID:cmNuoEws
ポロリがあるときいてとんできますた
>>39 誤爆ですよね……
先日は色々とすみませんでした。
一人以上というのも二人以上、ですね…。
くじけず今日の分の投下、いきますね。
第四話
「そろそろお願いします」
ネギの合図で兵士らが一人一人に首輪をつけていく。
一人の男が明石裕奈(出席番号2番)の首元に触れた。
「……て、よ…」
小刻みに震える唇から音が漏れる。
「止めてよ!触らないで。アンタたちおかしいんじゃない!?」
右手に力を込めてプリントを握り皺をつくり、男の方向に投げた。
そして机に手のひらを叩きつけながら立ち上がると、椅子の足が床に擦れ嫌な音が室内に反響する。
「ネギ君どうしちゃったの?何で私たちがこんなことしなくちゃなんないのよ!?」
「何を言ってるんですか。早く座ってください、話が進められないでしょう」
「答えなさいよ!」
パァァアン!
裕奈の身体が左手側に弾き飛んだ。穴の開いたこめかみからは血と、煙が浮かび上がる。
そちら側の席の千雨と夕映は倒れてきた裕奈の身体を反射的に避けてしまい、裕奈の遺体はドサッと音を立てて床に倒れた。
「嫌ァァァア!」
裕奈とよくつるんでいた佐々木まき絵(出席番号16番)が後頭部に手を添え叫んだ。
和泉亜子(出席番号5番)や大河内アキラ(出席番号6番)は『裕奈』を直視することはできなかった。
「…とまァ、莫迦な人はこうなりますから、抵抗しないほうが良いかと」
自分の生徒が死んだというのにネギは笑っている。裕奈が死んで喜んでいるかのように。
我慢できなくなった刹那や楓は立ち上がり常に所持している武器へと手を伸ばす。
周りの兵士が銃を構えるがきっと簡単に避けてしまうだろう。
「仕方ないですね…」
「戒めの矢」
それを考慮してネギが捕縛魔法の呪文を唱え、身動きのとれない状態にした。
それによって刹那たちは武器に触れることすらできなくなり、何もできない悔しさから唇を噛み締める。
カチャ、カチャと、何度も同じ高音が途絶えることなく室内には響いていた。
「そうそう、この首輪には色々な仕掛けがしてあるんですよ」
同じ音が30回鳴った後で、ネギは魔法を解いて皆を解放した。皆の首には首輪がつけられている。
「この首輪をしたら魔法が使えなくなりますから、無駄な抵抗はしないでくださいね、エヴァンジェリンさん」
全員が一斉にEvangeline.A.K.McDowell(出席番号26番)を注目する。
エヴァは机の下に手を降ろし、不自然に人差し指を浮かせて小さく呪文を唱えていたようだ。
「それから絡繰さんの特殊な機能や桜咲さんの気なども、首輪で封じ込めています。他の皆さんが不利になるので」
エヴァが詠唱を止め小さく舌打ちをすると、ネギを睨みつけた。
通常ならここでエヴァはネギに食い掛かかっているだろうが、エヴァもそこまで頭は悪くない。
今は自分がただの少女だということはわかっている。
「他にも、戦闘意欲を高めたり精神を乗っ取るものも何個かあります。誰に当たるかは僕にもわかりませんし、効果が出るのは皆さんが出発してからとなるでしょう」
「ちょっと待って下さい。それでは本人の意思は…?」
「雪広さん、それは愚問ですよ。皆さんの意思なんて知るわけないじゃないですか。誰もやる気にならなかったらつまらないでしょう」
雪広あやか(出席番号29番)が挙手して述べるとネギは即答した。
徹底的にやるつもりだ。そんなことすればどんなに信頼している友達でも疑ってしまうではないか。
「…では、そろそろゲームを始めましょう。皆さん楽しんでくださいね?」
ネギの言葉と共に、黒板の上に掲げられた時計が丁度九時を指した。
【明石裕奈死亡 残り30名】
【ゲーム開始】
第五話
ゲームが開始して数分経った頃、超鈴音(出席番号19番)は世界樹の根元に腰を降ろしていた。
あれから友人を捜そうとも考えたが性格故か、この広い敷地内での捜索が段々面倒に思えてきたのだ。
それにもし魔法で自分の意思を無くしたクラスメートに出遭ってしまったら。
恐らく自分は迷わず殺してしまう。殺した後で後悔し、挙句の果てには狂ってしまうかもしれない。
自分では精神面でも体力面でも強い方だとは思っているが、状況が状況だ。
「武器はレミントン M700…」
足元に置いてある、チャックの開いたディバックを見つめて先程確認した武器の名を呟いた。
バックの中で眠ったままの説明書には手を伸ばそうともしなかった。
「…ふん、くだらないネ」
「意外だな」
超のこめかみに銃を突きつけたのは龍宮真名(出席番号18番)であった。銃口の冷たさが肌へと伝わる。
誰にも遭わないように気を遣っていたつもりだがまさかこんなにも早く敵に出遭ってしまうとは。
「お前こそ、こんなつまらないゲームに乗るとはナ」
語尾と同時に相手の銃を持つ手を上から包み込み銃口を空へ向ける。
超はまったく怯えを見せなかった。
「暇潰しだよ。お前はここで死ぬのか?」
「私がそう簡単に死ぬわけないヨ」
「ならば立つが良い。武器を持て」
超はそれ以上、一向に動こうとはしない。両者とも口を結んだまま、微動だにしなかった。
微風に髪が靡いた瞬間、風にのって鉄の臭いが超の鼻を突く。
超は今、初めて龍宮をまともに見た。龍宮の制服は真っ赤に染められていた。
もちろん龍宮のものではない血だ。
「お前……」
「四葉五月と釘宮円に遭遇してね。抵抗されて少々時間が掛かったが…ちなみにこの銃は釘宮からのもらいものだ、私のはあまり役に立ちそうになかったのでな」
超は武器を握り締めるとその場に立ち上がった。銃口を龍宮へと向ける。
「仕方ないナ。私も暇を持て余していたところだたし…遊んであげよウ」
【超鈴音 レミントン M700所持、龍宮真名 S&W M19所持】
【釘宮円、四葉五月死亡 残り28名】
第六話
-麻帆良大学工学部キャンパス中央公園
「な…何か音…してへん……?」
亜子が銃声がしていると思われる方向を振り向いた。
重みのないディバックを抱きしめる両腕には自然に力が入る。
女性らしさを感じる丸い肩が一瞬竦んで動いていた足が止まってしまった。
「気…気のせい…やんなぁ?」
誰に言うでもなく呟いた言葉とは裏腹に音源とは真逆の方向へと大きな足音を立てながら駆けていった。
(もう嫌や!誰か助けて!ウチは死にたくない!)
「う、うわっ!」
前方しか見ていなかった亜子は何かにつまずいて派手に転んだ。
強く地面に摩擦した膝を押さえて、亜子はつまずいた原因へと顔を向ける。
「ひっ、ひゃぁあああ!」
亜子が見たモノ。
それは喉から血を流した釘宮円(出席番号11番)と、隣には目玉を抉りとられた四葉五月(出席番号30番)の死体がだった。
気付けば亜子の足元には先端に血が付着した、というより銀色だったはずの部分が真っ赤になったフォークが転がっていた。
「だ、誰がこんな酷いこと…」
「ア、アカン…」
亜子を激しい吐き気が襲った。
口元を押さえた指の隙間から、異臭を放つ胃液が次々に漏れる。
亜子は頼りない足元で何とかあの場から逃げた。
元々亜子は気が強い方ではない。
というか、例え気が強かったとしてもあんな目の前でクラスメイトだったものを見れば誰でもそれから離れるだろう。
ガサッ
「!!」
思わず進めていた足を反射的に止める。振り向くのを恐れた亜子はとにかく武器を、とバックに手を掛ける。
「亜子さん」
その声にもちろん、聞き覚えはあった。
脳内でその声の主を推測するために心を落ち着かせようとするが先程の光景が浮かんでくるだけで恐怖しか生まれなかった。
亜子は走った。全力を尽くして走った。背後の人物も負けじと亜子の跡を追った。
亜子はクラスでも運動神経は良い方である。現に運動部四人組と呼ばれる仲の一人なのだ。
だが足音が減ることもなく、ずっと一定としたスピードで両者は走っている。
「亜子さん、私に殺意はありません。走るのを止めてください」
言葉通り殺意の篭った声ではないが、追いかけてくる理由がわからない亜子は足を止めない。
大事な仲間が無残な姿になっていた、ということは『仲間』を『その姿』にした人物が居るのだからそんな言葉は信じられなかった。
「やったらついて来んでええやんか!」
「亜子さん、止まってください」
とうとう相手は亜子が後ろに振り上げた肘を掴んでしまった。
(こ、殺されるッ…!)
以上で今日の投下は終わりです。
では。
乙
ゆーなとくぎみーとさっちゃんか…orz
亜子も死亡フラグたったしな…
あと一話くらいプラスして投下したほうが良いと思う
ランダムに選ばれた者の戦闘意欲が上がるシステムは中々面白い設定だな。
事前に伝えてあるからこっちも誰がマーダーになるかわからなくて楽しみだ。
ただ超りんの口調がちょっと変かな?
ジャンプしたのに波動拳があたるのはどうして?
>作者17氏
乙
久しぶりに来たら、新スレ立ってて驚いた。いや〜久しぶり?に俺以外の人が立てたなwww
ともかく
>>1も乙カレー
ところで作者16氏に比べ、死亡ペースが速すぎると思うのは俺だけか?
作者それぞれ。寧ろ俺は16氏が遅すぎたと思う。
多少誤字や喋り方の違いが目立つが乙
でも…
最初からくぎみー殺すなよ(:_;)
これで夏美にまで出番なく終わったら俺読むのやめる(´Д`)
まぁくぎみーが酷い目にあうシーンが見れないですんだと考えればいいか。
今後の展開に期待する。
ちなみに追いかけてるのはいいんちょと予想。亜子さんと呼ぶのは少ないしかつ亜子に追い付ける運動神経を持つのはいいんちょかなと…
>>52 あやまれ!裕奈と五月にあやまれ!
……まあそんな事言うくらいなら最初から読むなとマジレス。
ロワなんだから誰かが死なないと進まないし。
俺も今書いてるんだがやっぱり序盤で死ぬやつもそれなりの描写入れたほうがいいんだろうか?
いやまぁ流石に一行ズガンではないんだが……
リレーしかやったことないからその辺がどうもよく分からんのですよ
死亡ペースは大丈夫だと思う
序盤は少し数減らさないと書きづらいしな
>>54 意図的にあっけなさを演出したい時以外は、死の描写はある方がいいのは当然。
只でさえネギまはキャラ色の強い作品なんだから、書いて損はないだろ。
で、中盤以降は更に描写を増やせばメリハリも利くだろ。
死亡ペースはあまり気にしなくていいんじゃないか?そもそも作者毎に生存者数が違うんだし。
あまり死ななくても話がダレないなら誰も文句は言わないだろ。
・・・最近は生存者が少なめだから、あえて10人くらい生き残るのもアリか?
おはようございます。
バイト前に覗いてみたらこんなにレスが。
呼び方というのがネギに対してでしたら後々出てきますのでご安心を。
口調は…超編読み直してきます。
それから今日の投下はわけあって夕方六時頃になります。
昨日言うのを忘れていたので…。
おっとすみません。
呼び方とか誰も書いていませんでしたね…寝ぼけてるのかな。
ではバイトいってきます。
俺もこのくらいでいいと思うぞ、展開
呼び方は少し思ってた
バイトいってら
呼び方ってのは俺のレスの
亜子さん〜の分だろ
そもそも原作で判明していない呼び名も多いんだよなあ。
桜子なら平気でちづ姉に「ちづるちん」とか言ってそうだし。
\ /
● ●
∵ ∵ 17さん私は生き残らせて!
 ̄
>>62 誰でしたっけ?えーっと?美…み…美空!!!
今日の投下を始めます。
第七話
パァァアン!
「動きが鈍いな…クラスメートが殺されて動揺しているのか?」
龍宮は容赦なく超に向かって銃を撃つ。超は避けてばかりで戦いが始まってもまだ一度も銃を撃っていない。
超が平らな地面を踏む度に土は周辺に飛び散て、多少の凹凸をそこに作る。
「何故銃を撃たない?」
パァァアン!
弾が超の頬を擦れる。だが超は表情を変えることはなかった。
流石、お互いに戦闘に慣れているだけのことはある。
(コイツを確実にしとめられる時は僅かにでも隙ができた時だけ。
いくら私でも銃を持っているコイツに、カシオペア無しで勝つことはできないだろう)
銃の達人の龍宮に対し超は体術が優れていた。
その力を生かすためにはまず相手に接近せねばならない。
闘っている内に段々と近付いてきてはいるがまだ手の届く範囲までにはきていない。
パァァアン!
超が漸く弾を撃った。龍宮の銃も同時に音をあげる。
「…!」
回避しようと地面を蹴るが、完全に避けることはできなかった弾丸は超の右足に掠った。
不自然な体勢になった身体を支えるべく利き足を地につけるもバランスを崩してしまいその場に尻をついた。
龍宮の身体からはどこからも血が出ていない。超の銃は当たらなかったようだ。
「これで最後だ」
龍宮が超の垂れ下がった前髪を乱雑に左手で鷲掴みにし銃口を額に当てた。
(まずい…)
カチッ
「!?」
カチッ、カチッ
「何故だ?何故弾が出ない!」
引き金を何度引いても弾は出ず、空白を感じさせる音が虚しく繰り返されるだけだった。
「抵抗されて殺すのに時間が掛かった…ということは、ダ。一般人がお前を手間どらせるには何か武器が必要ネ」
「…」
「相手は何発撃っていた?」
パァァアン!
超は数センチ離れたところに転がった銃を握ると、迷わず引き金を引いた。
銃弾が龍宮の胸を貫き、銃口から出る煙が天へと上る。
(いつもの冷静なコイツであれば、確実に残りの弾数ぐらい頭の中に入ていただろう)
(コイツでも正常な判断ができなくなることもあるのカ?)
(動きも、少し雑だたナ…)
落ちてきた死体を右腕で弾くと左足に力を入れ立ち上がった。
いつの間にか先程居た世界樹は少し離れた場所となっておりゆっくりと元の場所へと戻り、食料と飲料を拝借しようと龍宮のディバックを漁る。
「コレは…」
バックの中には弾が残っていた。
何故使わなかったのだろう?
倒れたまま、もう二度と動くことの無い龍宮を見おろし暫し彼女の本当の想い考えた。
眠っている彼女の顔は今まで見たことがないくらいに幸せそうな表情だった。
狂ッテシマッタンダ。何モカモガ──
【龍宮真名死亡 残り27名】
第七.五話 Mana tatsumiya
殺すことに恐れを感じては駄目だ。
自分の心を殺せ。
今までそう言われてきた。だからそうした。
それが正しいか間違っているかなんてわからない。
答えは誰が教えてくれるだろう。
ただひとつわかったのは、
最後に銃口を向けられたとき、
瞳から涙がこぼれそうになった。
その涙の意味だけ。
第九話
衝撃を恐れ瞼を強く閉じた亜子だが、なかなか動きがない相手に疑念を抱き眼を開ける。
「ちゃ…茶々丸さん……?」
腕を握っていた相手は絡繰茶々丸(出席番号10番)だった。
茶々丸とはあまり絡んだことはなかったのだが、公園や広場で茶々丸がしゃがみ込んで猫に餌を与えているを見かけていた。
他にも泣いている子供に優しい言葉をかけていたり、困っているお年寄りの荷物を持ってあげたりなど、茶々丸の善行をよく見ていた。
だからだろうか、心の真ん中に固まっていた不安は安心に変わっていた。
「何故あんなに必死で逃げていたのですか?」
「は、はぁ!?」
思いも寄らなかった質問に亜子は思わず声を張り上げる。
「そらこんな状況であんなに追い掛け回されたら誰だって逃げるやろ!」
息を切らしながら普段のように盛大なツッコミをいれた。亜子の意見には誰もが同意できる。
「申し訳ありません」
「い、いや…謝られても……」
散々追いかけておいていとも簡単に謝罪をする相手の思考が理解できず、亜子は困惑する。
「そうですか。釘宮さんと五月さんの死体が…」
「そんなあっさりと言わんといてや!」
話している間に何度か気分が悪くなったり泣きそうになったりはしたが何とか亜子はとりあえず目撃したもの全てを茶々丸に話した。
コントは未だに繰り広げられている。
「そ、そういえば…茶々丸さんの武器って何なん?」
一息ついたところで亜子が密かに気になっていたことを問う。
茶々丸はまだ確認していなかったのか、ディバックの中を覗いた。
「包丁のようです」
柄を握った茶々丸は胸辺りまで包丁を持ち上げに刃先を亜子の首に向けて言った。
刃先は空に浮かんだ太陽の陽射しに反射して妙に輝いている。
今、茶々丸の背を誰かがポンと押せば確実に首を貫かれるだろう。
「ちょ、わかったからこっち向けんといてよ!」
「失礼しました」
茶々丸が武器をしまうと何か言いたそうにこちらを見つめる。
その意を理解した亜子がバックから取り出したものは長い間使われていないのだろう、黒く汚れた分度器だった。
「こ、これがウチの武器」
「…」
言葉が浮かばなかったらしい、茶々丸は黙り込んでしまった。亜子は武器を見せたのをすぐに後悔した。
「…い、移動しよか」
気まずい沈黙を破った亜子は返事を待たずに茶々丸の腕を引っ張って宛てもなく足を進めた。
【和泉亜子 分度器、絡繰茶々丸 刃渡り15センチの包丁所持】
第八話
-中等部体育館内体育倉庫
「はぁ…」
これで何度目の溜息だろうか。動きが滑らかでない窓から入ってきた椎名桜子(出席番号17番)は詰まれた跳び箱の中で身を潜めていた。
光が漏れてくる隙間からはあまり使われていないのだろう埃の乗った平均台、ボール籠、ボードなどが見える。
最初は隠れるのには最適な場所だと思ったのだが見つかってしまうと逃げ場が無いし隠れていただけでは埒があかない。
一番良い方法なのはきっと信頼できる仲間を捜しにいくことなのだろうがもし仕掛けのされている首輪を引いていたら。
そしてその人物から殺されそうになったら、自分は一体どうするだろう。
それによって自分の感情がコントロールできなくなってしまったら?
「美砂…円ぁ…」
何て自分は弱いのだろう。こうして逢いたい友人の名前を呼ぶことしかできない。
重たい鉄でできた扉をスライドする音が室内に響いた。
桜子は息を殺して僅かな隙間から扉を開いた人物の様子を窺う。
開けた人物は朝倉和美(出席番号3番)だった。
桜子は安堵して跳び箱を持ち上げようとしたがどこか違和感を感じてやめた。
相手の首輪が妙な光を放っているのだ。そして視線を持ち上げ改めてゆっくりと相手の表情を確認した。
「!!」
何者かに支配されているような無の表情が、桜子に恐怖を与えた。
(お願い、来ないで!)
戦おうなんてことはせず、目尻に涙を浮かべながら桜子は懸命に祈った。
「見つけた」
背筋が凍るような相手の声。足音が序々にこちらへ近付いてくる。
―――ああ、終わった。
できることならば最後に美砂や円に逢いたかった。そうだ、どうせ死ぬのなら二人に逢っていれば良かった。
最初からこういう運命だったのだ。分かっていれば別れの挨拶くらいは済ませておきたかった。
死んだら誰か泣いてくれるかなぁ、なんて思いながら桜子は一人目を閉じ痛みを待った。
今日の投下はここまで。
九話と八話が入れ替わってしまいました。またミスですね…。スミマセン。
それから死亡ペースについてですが最初は速いなと思われる方が多いかもしれませんね。
結構すぐに逝ってしまったキャラは龍宮のように自分の感情を載せるようにしています。
感情がわかりにくいキャラや作中に書けなかったキャラは大体作っています。
では。
龍宮の最後の心境がイマイチ分からない
誰か解説お願い
乙
龍宮がこんなに早く死ぬとか思わんかったけど描写云々より心境がわかれば良いかな
>>72 多分だけど殺したこと後悔してたんだとおもう・・
乙!
描写云々というのは心理描写の事だろうから、その解釈でいいと思うよ。
ただ、個人的には呼び名よりも気になる点が。
関西弁をもう少し頑張ってきれ……。
>>72 個人的解釈だが…
前半部分は昔のNGO時代のことを思い出してるんだろう
んで昔みたいに殺してみたら悲しかったと。
こんな感じじゃね?
>>752 原作での関西弁もけっこう不自然だからいんじゃね?
>>77 確かに原作も微妙だよな・・・。
まあ、語尾さえしっかりしてればそれっぽく見えるから頑張れ!
>>75 まあ、関西人としてお前の言いたいことはわかるw
ただ、方言だけは無理があるだろ。外国語みたいなもんだしな。
>>77 随分な未来安価だな。
>>78 このかの中の人は原作通りっぽくやってたのに微妙とか言われる始末だしな……。
赤松はこのかに〜え〜え言わせすぎなんだぜ…
思ったんだけど作者16みたいに八行くらい投下したら?
序盤で人がいっぱい死ぬなら早く落ち着いてほしいんだ
>>82 8レス、な
確かに16氏はペースも盛り上げも死ぬときの心情描写も結構うまかったから
比べちゃうと若干見劣りしちゃうのかもね・・・
まあ17氏には17氏なりのやり方があると思うからガンガレ
八行投下噴いたwwwwwwwwwww
別にこのくらいのペースでも構わないと思うが…
まぁ
>>83の言う通り17氏のやり方でいいと思うんだぜ
>>83 他の作品と比べるのはどうかと思うぞ
特に作者16の作品と比べるのは……(もちろん良い意味でね)
まぁ俺がそういう話にしたんだが…
MO.2「…良い意味で」
作者16が書くのうまかったから16から読みだした俺は17少し見劣りする
18は書くのうまかったらいいな
えーとこんな時にですが、作者19を名乗りますけどいいですか?
超遅筆で完成は来年の1月あたりになりそうですが。
>>88 他にもっと早く書きあがる人がいるかもしれないから作者19と名乗るのは出来ればもう少しまってほしい。
ただ酉を付けるだけならありかもしれん。
作者を名乗るのは書き上げた人のみっていうのは暗黙の了解だと思うが・・・
書き上げた奴が作者を名乗れるというのがここの掟
てかそろそろ寝たいから今日の投稿してくれないかな…
最後これ読んで寝るとよく眠れる
過去のバトロワをケータイで見たいんだが
どこかいいサイトあるか?
第十話
-図書館島付近
「のどかやハルナはどこに居るのでしょう」
綾瀬夕映(出席番号四番)は親友の内の二人を捜して、あれからずっと学園内をさ迷っていた。
本が好きなのどかとハルナならきっとここに来れば逢えると信じて来てみたのだが、どうやら姿が見えない。
どうしたものかと溜息をついて橋の手すりに頬杖をついて、少し待ってみることにした。
ネギが言うには首輪には仕掛けがされており本人の意思は無視され、
無理にでも殺人ゲームを進行させるというシステムになっているらしい。
のどかやハルナにその首輪が当たってしまうという可能性はあるが確率的にはとても低い。
万が一相手が洗脳されていたとしてもどちらもということは無いだろう。
だが早く誰かと合流しなければきっと自分には勝ち目は無いと思った。
別に脱出できれば勝ち負けなんてないのだがそれは不可能に近い。
3−Aの大体の面々は身体能力は非常に優れているのに対し夕映・ハルナ・のどかの三人は運動が得意なわけではない、どちらかというと苦手だ。
もう一人、夕映が親友だと思っている人が居る。
それは勿論、同じ図書探検隊の仲間の一人の近衛木乃香だった。
でもこのかには桜咲刹那という有力な護衛がついているし、ルームメイトの神楽坂明日菜がついている。
だからといって完全に安心できるわけではないが二人だったら信頼できるため今はのどかとハルナのことを考えていた。
「武器はスタンガンですか。身を護る際に使えそうですね」
先ほど肘をついていた位置にバックを乗せて武器を確認した。
自分の小柄な身体は戦闘には不向きであるため、護身用の武器が当たったことで少し安心する。
「このままここに居ればいつかは誰かと遭遇することができるかもしれません…、しかしここに居ると危険ですね」
直線に伸びている一本の橋の上では敵が来ても逃げることはまず無理だろう。
図書館島へ逃げれば良い話なのだろうが追いかけられたときに図書館島の中を走り回れるか。
ただでさえ危険な図書館島で鬼ごっこだなんて自分には無理ではないのかと悟った夕映は移動しようと地図を確認した。
「誰か居るとするとやはり世界樹の方でしょうか。少し危険な気もしますが…」
不安を抱えながらも世界樹を目指して夕映は歩き始めた。
【綾瀬夕映 スタンガン所持】
第十一話
「出ておいでよアキラ……」
(へ?)
相手の口からまさか今その名前が出てくるとは思わなかった。
もしかしたら全て演技でからかっているのかと思ってしまった。相手の性格からするとその可能性も否定できない。
だがガタッという物音と共にボードの陰から大河内アキラ(出席番号6番)が姿を現す。
アキラは最初からここに居たのだが桜子が途中で来た。声を掛けるか否か迷ったのだがもしも相手の精神が不安定になっていたらと思って止めておいたのだ。
朝倉は無抵抗のアキラの頭部を掴む。
「何で武器を出さないの?」
「…戦う気なんて、ない」
「面白くないなぁ、やっぱり。アンタが体育館に入っていったのを見たからわざわざ色んなところ捜したのよ?」
今、アキラはとても危険な位置にいる。桜子はアキラを助けたい気持ちでいっぱいなのだが実際に行動に出す勇気がない。
朝倉がアキラの後頭部を掴んで平均台の上に額をうちつけた。アキラは鈍い音と同時に小さく声を上げる。
桜子は目に涙を浮かべながらその光景を眺めることしかできなかった。
(お願い、誰か来て――!)
すると、祈りが神に届いたかのような絶妙なタイミングで扉が音を立てた。
「誰か…居るの?」
声の主は佐々木まき絵(出席番号16番)だった。他にも二つほど影が見えたが誰のものかはわからない。
「朝…倉…?ちょっと!何やってんの!?」
まき絵の声がアキラの遠のいていく意識を呼び寄せた。
額から垂れた血が邪魔で右目を開くことができず、片目だけをまき絵へと向ける。
「アキラ…!」
それでもその状態を保つことは不可能で、とうとうアキラは意識を無くし瞼を閉じてしまった。
ドスン、と再度平均台の角に同じ部分をうちつけ朝倉はアキラの身体を床に落とす。
パックリと割れた額からは血が流れ床に赤い川を作った。
桜子がアキラの方を見つめていると三人のうちの一人が逃げるぞ、と声をかけ急いでどこかへ去っていった。
それを追うように緩慢な動きで朝倉も姿を消す。
桜子は表の入り口から体育館に入ってきたわけではなかった。体育館更衣室。そこにはグラウンドから来た人もすぐ入れるように外に繋がる扉があった。
最初は休憩所に行くつもりで、途中でその扉が見えたので方針を変えた。それが桜子は自分自身の命を救ったことに繋がった。
桜子は足音が聞こえなくなると跳び箱から外へと出てアキラの死体を見おろした。
「ご…、ごめんなさい……ごめんね、ごめんね…」
アキラは自分の存在に気付いていたはずなのに、最後まで朝倉にそれを明かさなかった。
その場にうずくまって、届くことのない言葉を、桜子は呟き続ける。
【大河内アキラ死亡 残り26名】
第十一.五話 Akira okouchi
あの子は私に謝っている。
泣きながら、謝り続けている。
でも本当は、
大好きな仲間が壊れてゆく姿を
見たくなかっただけ。
私はただ、逃げただけ。
第十二話
「ハァ、ハァ、ハァ……!」
葉加瀬聡美(出席番号24番)は迫り来る日本刀から逃れるべく今まで発揮したこともない速度で走っている。
超人的な身体能力を持つ人相手ではたかが知れているだろう。でももし追いかけてくる相手と闘えるくらい強い人に出逢えたら助けてくれるかもしれない。
そして走っている内に、前方を歩いているクラスメートの後ろ姿が見えた。
「な、夏美さ…!」
名前を呼ぼうとした瞬間…うなじに、他者の吐息が掛かったのを感じた。
「あ、アアアアアアアアアアアアアア!!!!」
-ダビデ広場
「せ、せっちゃん…」
「お嬢様は下がっていてください」
入り口付近で待っていたこのかを引き連れた刹那は現在、古菲(出席番号12番)と対峙していた。
古菲の首輪は赤い光を放っている。恐らく首輪には魔法がかけられているのだろう。
古菲の表情は教室でみたネギのものと似ていて、足元には葉加瀬聡美の死体が転がっていた。
刹那が駆けつけたときは既にこの状態だった。二人は近くで悲鳴が聞こえたためここに居る。
古菲と葉加瀬との運動能力の差は明瞭だったので何故こんなことになったかということはすぐにわかった。
もう少し駆けつけるのが早ければと刹那は悔やむ。
「古菲さん…」
「…」
古菲は問いに答えることもなく刹那の背後に身を隠すこのかを睨みつけ、日本刀の柄を強く握りしめ地面を利き足で蹴った。
このかを狙った刃は刹那の一つに結った黒髪を切り裂き、地には黒い糸が数本散る。
今古菲が持っている武器が刹那にあればきっとこのゲームで闘いぬくこと、このかを優勝させることができただろう。
刹那は自分の命なんてどうでも良かった。ただこのかを護りたいだけなのだ。
ただこのかに生き延びてもらうためには最後に刹那とこのかだけが生き残らなければならない。
だからクラスメート相手でも刹那は闘おうと心に決めた。
「くっ!」
(あの武器では、私に勝ち目はない…!)
「お嬢様!武器を貸してください」
「せっちゃん…?まさか戦うん?」
二人は合流してからすぐ、お互いの武器を確認していた。刹那の武器は「ハズレ」だったのだ。
刹那には護るべき人が居る。こんなところで殺られるわけにはいかない。
「この状態では戦うしかできません。お嬢様、早く!」
「嫌や、せっちゃん…クラスメート殺す気なん?」
「殺すのではありません。お嬢様を護るのです!」
「クラスメートに手をあげるせっちゃんなんて見たない!」
古菲の攻撃はまだ続いている。刹那は何とかこのかを庇いながら回避していたがそう長くは耐えることはできない。
多少の隙ができた刹那を避けて、刃先がこのかの喉元へと伸びてきた。
「お嬢様!」
【葉加瀬聡美死亡 残り25名】
【古菲 日本刀所持】
第十三話
夕映はあれから世界樹へと向かってひたすら歩き続けていた。
体力の備わっていない小柄な身体が序々に限界に達してきているのを感じながら。
頭の中では不可能だと決め付けていた脱出の方法を何回も頭の中でシュミレーションしているものの相手が魔法使いとなれば簡単に掻き消えてしまう。
ただ脱出は無理でも本部に乗り込んで主催者を倒し、このゲームを早く終わらせることならできるかもしれない。
だとしたら洗脳された人間も魔法が解けるので元に戻り、今までのようにとは行かないだろうが日常生活を取り戻すことができるはず。
僅かな希望を胸に、夕映は何とか底をついてきた体力に耐えながら歩いた。
ガッ
周囲に警戒は張っていたはずだが、背中に切り傷をつけてきた少女の気配にはまったく気付かなかった。
やはり長時間の歩行で体力・精神力・集中力が削がれてきているからなのだろうか。
とりあえず痛みより驚きの方が大きい。今朝のネギの雰囲気とは違い、いつもと同じ雰囲気を放つ相手。
きっとその行動は彼女の意思。他の人たちを蹴落とし自分だけは生き残ろう、それが彼女の考えなのだと夕映は思う。
背中に負った傷が少々痛むが全然深くない、かなり浅い傷だったため意識をはっきり維持することができた。
「村上さん、ですか…」
「アハハ、やっぱり綾瀬さんって冷静なんだね。ビックリしちゃう」
「ビックリ…って。それはこっちの台詞です」
村上夏美(出席番号28番)がナイフの先にちょっとだけついた夕映の血を人差し指と親指の腹で拭う。
夏美は自分のとった行動は自分にとっては当然のことだと思っている。
だってまだ十五歳だ。こんなところで死にたくなんかない、叶えたい夢だって大切な家族だって居るのだ。
それを捨てろといわれるのならクラスメートと育んできた友情を捨てたほうがマシだ。
本当は最初、夏美だって誰かと協力して脱出しようとは思った。
だが見てしまったのだ、側で友情が崩れるところを。知ってしまった、友情は儚いものだと。それもゲームに乗った理由の一つ。
「古菲が、聡美を殺したの」
「古菲さんが?!」
古菲は思いやりのある、とても人を殺すようには思えない人物だ。
そういえば相手は演劇部に所属している。これはもしかして嘘ではないかと夕映は疑った。
「それで、文化部の貴方は古菲さんから逃れられたのですか?」
「桜咲さんが来たからね」
確かに彼女は強いし、きっと殺されそうな人が目の前に居たら手を差し伸べると思う。
もしかしたら首輪に魔法が掛けられていたのかなとも思うがやはり信じられない。
「いいよ、信じなくても。どうせアンタなんか、すぐに殺せる。私が…殺す……」
「ま、待ってください。私には闘う気はありません。古菲さんだってきっと魔法で…」
「うるさい!」
ナイフが夕映の短い前髪の中をすり抜けていく。
一歩間違えていれば目玉を斬りつけられていたかもしれない。
「聞く耳は持たない、ということですか…だったらこっちは……」
夕映は相手に背を向けると残り全ての体力を使って走り出した。
きっと追えば追いつくだろう。けれど夏美はそれを眺めるだけで何もしなかった。
「まぁ綾瀬さんみたいな人はどっちかというと狙われる側だし、私が殺すまでもないよね」
【村上夏美 ナイフ所持】
第十三.五話 Natsumi murakami
私はいつも気にしていた。
クラスに居る皆とは違って、
ただ一人だけ私は浮いていた。
スタイルでも勉強でも運動でも、
私だけは特別にはなれなかった。
だから思ったの。
このゲームで特別になろうと。
今日の投下は以上です。
一応量多めにしてみました。
ですがそしたら…一週間くらい一日に二、三人殺してしまうことになりますがもっと欝になりませんか……?
では、また明日。
俺は何人死のうが平気。他の人は知らんけど。
それよりもどうしても突っ込みたいことがいくつか・・・
http://www2u.biglobe.ne.jp/~clown/negima/chara/kosyo.htm ここでもう一回クラスメイトの呼び方を確認したほうがいいかもしれない。それぐらいの修正ならできると思うし。
それとアキラの死に辺りなんだけど額を打ち付けられて意識が飛ぶ事はあまりないと思う。
いくら平均台の角でも女子中学生の力で額を打ち付けても死に至るとは考えづらいと・・・
今回はストーリーの修正は利かないから無理だけどもしもまた何か書くようなことがあればもう少しその辺をしっかりしてほしい。
個人的に好きな文体だしストーリーも好きだから応援している。
以上、偉そうなことばかりすまん。
乙!
夏美がマーダー化とは・・・!!
>>104 パックリわれて出血死じゃないのか?
血の川までつくって生きてたらホラーだよ・・。
それに今までの作品でも不自然な死に方してるひとはいたからさ。
偉そうだとかただの嫌みじゃなくてちゃんと指摘してるから良いと思うけど。
>>104 >いくら平均台の角でも女子中学生の力で額を打ち付けても死に至るとは考えづらいと・・・
貴様の主観でモノを語るんじゃねぇ。人体の脆さをなんだと思ってんだ。
古は楓の事かえぽんと呼ぶ
ここ注意するように!
ってか夏美orz
夏美だけは汚して欲しくなかった…
夏美マーダーは初じゃね?
確かに呼び方や、5話とか気になるとこはあるが
古がハカセ襲う→夏美が見る→このせつ助ける→古vsこのせつ&夏美マーダー
は話をうまく持って行ってる気がする
体育館もばったり場面とかうまく書けてる
ただ短時間で人が集まりすぎてるのが気になったが…
明日も期待して待ってる。乙。
× 、5話
○ .5話
ただ夏美の13.5話が気になっただけ
気にしないで
夏美マーダー化には色んなわけがあったと考えておk?
ごちゃごちゃしてて読み難いなorz
話の移り変わりに違和感を感じる
でも死んだキャラの感情を盛り込む等、斬新な設定は面白いと思う
まだまだ始まったばかり期待しているので頑張って下さい
PS.ネギロワで好きなキャラが早死にするのを嬉しく思うのは俺だけでいいw
>>113 いや、俺だ
実は一番マーダー化でサイコになりそうなのはこのかと思ってる
トマトといい取り乱した時の立ち直りっぷりといい君には素質が(ry
>>113 ロワ住人の半分近くは嫁の退場にwktkしています
序盤での退場の方が後半での狂化とか錯乱よりも精神的に楽だしなw
お前ら歪み過ぎだw
まぁ激しく同意なんだがなwww
くぎみーが酷い描写なくてよかた
でもくぎみー最後までいい奴キャラで残れば文句ない
夏美マーダーしたのは仕方ない
夏美,感動で締めくくってくれ作者17
夏美だけはいい奴であって欲しい
作者17応援してます。がんばって
夏美って大半が早期退場orズガンなんだよなー
おまいら少しは嫁の生還を信じろw
夏美のマーダー化=死亡フラグとしか思えない
俺は美空を信じてるんだぜ
俺の嫁が美空。
だが美空には早く殺されてほしいな。
確かに夏美は死ぬだろう
でも最後は感動でいい奴で…って終わって欲しい
作者17様今まで悲惨だった夏美にどうか救いの手を!
投稿まだかなー
そろそろ眠たいわ…
>>124 つーか完成した状態じゃないと作者宣言出来ないのに今更救いの手とか無理だろ……。
17氏が元々夏美をいい形で死なせるプロットで書いてない限り俺ら読み手が内容変えろなんて失礼もいいとこ。
17氏が自分自身の意思でシナリオを変えたのなら話は別だけどさ。
こんばんは。
今から今日の分の投下を始めます。
リアル遭遇きたー
C
夏美の展開にwktk
第十四話
-麻帆良教会階段前
「あら、のどかじゃない」
ゲームが開始して一時間程経った今、那波千鶴(出席番号21番)は宮崎のどか(出席番号27番)の姿を確認した。
普通は警戒して気軽に声などかけないだろう。
それでも躊躇いなく声を掛けたのは一人になるのが怖かったのだ。
年齢よりも大人びた性格や容姿をもつ千鶴は、皆からはよく頼れるお姉さん的な存在としてみられていた。
だが本当の自分はそんなに強くない。
クラスメートの裕奈の死を目の前にすれば恐怖くらい感じる。
「な、那波さん……」
突然背後から声をかけられたのどかは千鶴の名を呟き慌てて一歩後退する。
その様子を見て千鶴は苦笑するとディバックを地面に落として手を上げた。
「あらヤダ。私は人殺しなんてしないわ。のどかもそうでしょう?」
「…」
のどかは実際に千鶴と言葉を交わすことはあまり無かった。
別に千鶴のことが嫌いなわけではなかったのだが相手と長く続くような話も持ち合わせていなかったしこれといって話す機会もなかった。
ただ、図書委員の仕事をしているとき。のどかが大量の本を胸に抱え本棚まで運んでいた際は自分から声をかけて手伝ってくれた。
そのときも会話したといえば『有難う』と『どういたしまして』ぐらいだった気がする。
それでも困っている自分を助けてくれた相手を悪く思おうとは、誰であってもしないだろう。のどかだって良い人だとは思っていた。
もし相手がのどかを殺すつもりだったとしたら声をかけてはこないだろう。
突然銃を突きつけられても運動能力の低いのどかなら避けることはできないだろう。そのくらい誰でもわかるはずだ。
私怨
私も、誰かを殺すつもりなんてありません」
千鶴を信じよることにし、のどかはバックを降ろす。だがその気持ちとは裏腹に、のどかは身体を震わせている。
すると千鶴の手がのどかの顔へと伸びてきて、思わずのどかは目を瞑った。
「安心して。ね?」
千鶴の優しい声で、のどかの脳内には両親の顔が浮かびだし、瞼が熱くなった気がした。
抱きしめられた身体に伝わってくるのは千鶴の温かな体温。
心臓の鼓動も些か速いようである。それを感じることによってのどかは千鶴の本当気持ちを知ってしまった。
そして自分が千鶴に対して恐れを感じたこと、疑ってしまったことを後悔する。
相手だって自分と同じ人間。年齢だって変わらない。女の子なのだ。
こんなことになって怖くないはずがない。のどかは千鶴を抱きしめ返した。
「千鶴さんも…怖かったんですよね?大丈夫、大丈夫ですよ」
その言葉で千鶴も大粒の涙を零した。本心を知ってもらえたことが嬉しかった。
「これからどうしましょうか?」
お互い落ち着いたことを理解すると少し照れながらも身体を離した。
特に千鶴はあまりクラスメートに甘えたりすることができなかったから尚更照れくさい。
二人は少し離れたところにあるそれぞれの自分のバックを肩に掛けると側らの階段に腰をかけた。
「そうね…私は夏美ちゃんに逢いたいと思ってるわ」
「私も夕映やハルナに逢いたいです…」
そう、二人には逢いたい人が居る。このゲームが始まってからずっとその人のことが頭の中にあった。
でも無事に再会を果たすことができるか少し心配だった。
もし先に出遭ってしまったのが逢いたいと願う人物でなく、その人物がゲームに乗っていたらきっともう逢うことはできない。
ただ、一人味方がつくというだけでも、そうなってしまったときまだ状況を一転することができるかもしれない。
一人だったら説得する勇気なんて湧かずにすぐに逃げ出すか殺されてしまうかするだろう。
そう考えるとお互いの存在がすごく大事に思えてくる。
「じゃあ、一緒に捜しましょうか。大勢で居たほうが安心するもの」
「そうですね、行きましょう」
第十五話
-イグドラシル(喫茶店)
「あ、朝倉さんどこに行るんだろ…」
相坂さよは勝手にグラスに注いだ商品のオレンジジュースを飲みながら溜息混じりに呟く。
毒が入っているかもしれないというのに、躊躇なく店の飲料を飲んでいるのは物を飲み食べすることが今までできなかったからであろう。
昼間になるとクラスメートは教室や中庭などで弁当を広げる。
いつもは見ていることしかできなかったことが、漸くできたのだから嬉しいのは当然だ。
しかしその気持ちもすぐに薄れてくる。さよはワイワイと賑わっている教室の中で皆が食事をしながら話をしている光景に憧れていたのだ。
そのさよの夢と今の状況はまったく異なっている。
「…ちょっと寂しいな……」
頬杖をついた肘に微かな痛みを感じて腕を脇に垂らす。
「せっかくみんなに見えるようになったのにこんなことになるなんて…」
カランカラン
店内にベルの音が響いた。通常こういう場合、店員が笑顔で客を迎えるのであろう。
だが今はそうもいかない。店員ではないのだが、こんな状況で笑顔で客人に応対するなど考えられるわけがない。
「誰も居ない…みたいだな」
さよがグラスと共に咄嗟にテーブルの下に隠れて暫く経ってから、長谷川千雨(出席番号25番)が声をあげる。
少し沈黙ができたのは店内の無人を確認していたからだろう。
「よ、良かったー!」
佐々木まき絵が安堵の声を漏らしている。通常より二割程度声量を落として。
「それにしても…びっくりしたね……」
早乙女ハルナ(出席番号14番)が一番手前の席に腰を降ろした。
それを見て二人もテーブルを囲む椅子に座る。
誰も警戒を怠ってはいない、ちゃんとディバックは膝の上に乗せいつでも武器を取り出せる体勢をとっている。
「まさかこんなゲームに乗っている奴が居るとはな…」
(ゲームに…?一体誰が…)
気にかかったさよは三人の会話に耳を澄ます。
第十六話
-中等部音楽室
「はぁ…」
手のひらに乗った武器を見て深い溜息を吐き出したのは春日美空(出席番号9番)だった。
彼女の武器はこのゲームでは完全に使い道のない、ハズレだった。
「軍手なんて…。草むしりでもしてろってことなんスかねぇ」
軍手から連想できるものを言葉にすると、悲しみは一層増す。
このゲームにこんな武器で優勝できるわけがない。
別に優勝したいわけではないが死ぬのはやはり怖い。
一番良い方法は皆で学園内から脱出することであるがそれは無理だろう。
ネギの話からすれば必ずこのゲームに積極的に参加している者は数名居るはずだ。
まきちうぱるとは珍しい3人組
「これからどうするかな…」
授業でこの教室を使用するときは狭く感じたが、室内の中心に一人で立ってみると広々としているようにみえる。
そう思うと少し物足りない気持ちになってきて、その気持ちを紛らわすために開いた窓へと歩み寄り外の景色を眺めてみる。
「こんなに綺麗だったんだ」
お馴染みの風景もこうやってまともに見てみると美しく見える。
「もう、戻れない――!!」
景色に見惚れていると後ろで扉が開くがした。窓から身を離し慌ててその方向へ身体を反転させ唾を飲む。
相手がゲームに乗っているなら闘える武器など持ち合わせてない自分はどうすればいいだろう。
逃げ切れる自信はある。だがその可能性しかない、というわけではない。相手が運動神経が良ければ捕まってしまうだろう。
「朝倉か……」
朝倉は運動部に所属してはいないがスクープを追っかけてばかりなので体力はそれなりにあるだろうし、体育祭前に測った短距離走のタイムは速かった。
だが陸上部所属の美空は体力でも走力でも負けるわけにはいかない。これが普通の勝負ならばきっと顧問に叱られてしまう。
「春日……。春日はマシな武器当たった?」
「え…いや、軍手だったけど……」
狂気に満ちた顔を見た瞬間寒気がした。絶対コイツは乗っている――。そう思って逃げようとした瞬間朝倉が美空の懐に忍び寄る。
「な―――」
『何で』
そう言おうとしたが言葉を喋ることができなくなった。傘の鋭い金属でできた先端が美空の喉に突き刺さっている。
「武器…ないの。戦えないんじゃ意味無いよ」
朝倉が傘のプラスチック部分を自分の身のほうに引き寄せると床から天井まで美空の血が飛沫を上げ赤に染め上げた。
木造の床から放出される心地よい木の香りは苦い鉄の臭いへと変化していく。
【春日美空死亡 残り24名】
【朝倉和美 透明傘所持】
朝倉は本当マーダーぱたが多いな
どうしてそう見えるんだろ?
次の作品は朝倉まともであって欲しい
朝倉を止めるのはさよしかいない!!
そうか、最近の傾向はそうだが初期の頃は裕奈と共に熱い魂の持ち主だったよ。
第十七話
-初等部6年生教室
神楽坂明日菜は何年ぶりかに初等部時代に自分が毎日通っていた教室へと足を運んでいた。
今の自分の身体に比べてみると当時使用していた机や椅子が小さくみえる。
黒板には9月1日と始業式の日付が丁寧な字で刻まれていた。
きっとこの子たちはクラス全員でいつもと同じ『毎日』を繰り返すことができるのだろう。
「あー、ばかばかしいわ」
悪態をつくことで怖いという気持ちを必死にかき消して一つの椅子に腰を降ろした。
明日菜は身体のサイズに合わない机に苦笑いを零す。
「やっぱり成長したのねー私の身体も」
顎を下げ落書きの目立つ机の平面部分を視界の中心においた。
すると右上の隅の方に『このさる女!』と小さな文字で綴られていてひょっとして
この机の主の子は虐められているのかなと心配したが何となくその文字に見覚えがある。
もしかすると、と思いその文字を書いたと思われる人物の机を捜す。
「あー、あった!やっぱりあれ私が使ってた机じゃない」
今明日菜の目の前にある机には同じような位置に『くそがき』と書いてあった。
恐らく初等部のときに、どちらから始めたかは覚えていないがお互いが落書きしたものなのだろう。
何百回くらいしてきた喧嘩の理由なんていちいち覚えているはずがない。
「懐かしい、アハハ」
明日菜は表情に笑顔を染めて、再び自分が使っていた窓際の席へと座り窓から外を見眺めた。
ここから見える景色はまったく変わっていない。
桜の木がいくつも立ち並び遊具があちこちに設置されているグラウンドが明日菜の色違いの双眸に映る。
そういえば体育祭もあの狭いグラウンド(自分の通う学園のグラウンドとは比べてだが)でやった覚えがある。
その時もリレーのアンカーを決めるか何かであやかともめた気がする。何を見ても思い出すのはあやかの存在だった。
あやかは自分にとってライバルでもありいちばんの良き理解者である。
別に人と争うことがが好きだというわけではないのだが、あやかとの喧嘩は嫌いではなかったし、どちらかというと喧嘩をするために学校に来ていた。
「……また、いいんちょと喧嘩できるかな?」
あやかの怒鳴り声を思い出し、一人クスリと笑う。
平和な毎日だったな、と思い出に浸りながら視線を少しずらした。すると隅の方から刹那とこのかが現れた。この二人はあやかと同じ、かなり信頼できる二人だったので密かに募っていた不安は一気に掻き消えた。
「合流できたんだ!って、刹那さん傷だらけじゃない!」
二人の無事を確認すると明日菜は椅子から立ち上がり、二人と合流するべく一階へと急いだ。
第十八話
「う、うぅ…ッ」
まき絵の双眸から雫が落ちる。そういえばまき絵の鼻は先程から赤く、目元も少し腫れているような気がする。
明かりのついていない薄暗い店内に嗚咽が響き渡る。千雨が黙って綺麗な桃色をしたまき絵の頭部に優しく手を乗せた。
ずっとここに引きこもっていたため、何が起きているのかわからないさよは思考を巡らせる。
(ゲームに乗った人…が居るということがわかるということは…誰かが…殺された)
あちらからこちらの姿が見えてなかったとしても、さよは毎日皆の様子を見てきた。
本当に誰かが誰かを殺すなど、想像することなんてできない。しかし、もしそれが本当だとしたら…。
と、ここでさよの心臓が跳ね上がる。嫌なタイミングで丁度朝倉の顔を浮かび上がってきた。
「朝倉の首輪、光ってたよね」
「やっぱり魔法でやる気になっているってこと…?」
何故ここでその名前が出てくるのだろう…?
朝倉和美はさよにとっての親友だった。
それが一方的な想いであっても構わなかった。
さよは死んだ幽霊、朝倉は生きた人間。
最初に自分の存在に気付いてくれたのが朝倉だったのだから。
無意識の内にさよは三人の前に姿を現していた。
第十八話
「う、うぅ…ッ」
まき絵の双眸から雫が落ちる。そういえばまき絵の鼻は先程から赤く、目元も少し腫れているような気がする。
明かりのついていない薄暗い店内に嗚咽が響き渡る。千雨が黙って綺麗な桃色をしたまき絵の頭部に優しく手を乗せた。
ずっとここに引きこもっていたため、何が起きているのかわからないさよは思考を巡らせる。
(ゲームに乗った人…が居るということがわかるということは…誰かが…殺された)
あちらからこちらの姿が見えてなかったとしても、さよは毎日皆の様子を見てきた。
本当に誰かが誰かを殺すなど、想像することなんてできない。しかし、もしそれが本当だとしたら…。
と、ここでさよの心臓が跳ね上がる。嫌なタイミングで丁度朝倉の顔を浮かび上がってきた。
「朝倉の首輪、光ってたよね」
「やっぱり魔法でやる気になっているってこと…?」
何故ここでその名前が出てくるのだろう…?
朝倉和美はさよにとっての親友だった。
それが一方的な想いであっても構わなかった。
さよは死んだ幽霊、朝倉は生きた人間。
それでも最初に自分の存在に気付いてくれたのが朝倉だったのだから。
無意識の内にさよは三人の前に姿を現していた。
>141-142
寝ぼけてるせいか真面目に両方とも読んでしまったorz
ミスかな?
支援
第十八話
「う、うぅ…ッ」
まき絵の双眸から雫が落ちる。そういえばまき絵の鼻は先程から赤く、目元も少し腫れているような気がする。
明かりのついていない薄暗い店内に嗚咽が響き渡る。千雨が黙って綺麗な桃色をしたまき絵の頭部に優しく手を乗せた。
ずっとここに引きこもっていたため、何が起きているのかわからないさよは思考を巡らせる。
(ゲームに乗った人…が居るということがわかるということは…誰かが…殺された)
あちらからこちらの姿が見えてなかったとしても、さよは毎日皆の様子を見てきた。
本当に誰かが誰かを殺すなど、想像することなんてできない。しかし、もしそれが本当だとしたら…。
と、ここでさよの心臓が跳ね上がる。嫌なタイミングで丁度朝倉の顔を浮かび上がってきた。
「朝倉の首輪、光ってたよね」
「やっぱり魔法でやる気になっているってこと…?」
何故ここでその名前が出てくるのだろう…?
朝倉和美はさよにとっての親友だった。
それが一方的な想いであっても構わなかった。
さよは死んだ幽霊、朝倉は生きた人間。
それでも最初に自分の存在に気付いてくれたのが朝倉だったのだから。
無意識の内にさよは三人の前に姿を現していた。
何といううっかりぶり……
「ど…どういう…ことですか?…朝倉さんが…やる気になってる…、って…?」
頬を伝う涙が乾いた床に染みを作る。突如姿を現したさよに三人とも注目した。
さよは三人とは違う制服の裾を握り締め顔を下げている。
「教えてください!朝倉さんは…朝倉さんは何で…」
「さ、さよちゃん…落ち着いて」
「落ち着けるわけないじゃない!」
いつもは温厚なさよだがこの状況では口調が荒くなってしまった。
感情的になるさよとは対照的に常の冷静さを保った千雨が口を開く。
「どういうことって、朝倉は大河内を殺したんだよ」
「何で…」
「『何で』?お前、話聞いていたのか。あのガキが言っていただろ、予めいくつかの首輪に仕掛けをしているって。何にせよアイツが大河内を殺したことに変わりはない」
「止めようよ、もう」
まき絵が慌てながらこれ以上の二人の会話を阻止しようと言葉を挟む。
ハルナはこんな時であるのにこの状況を楽しんでいるようだ。
確かに千雨の言っていることは正論だ。だがそうハッキリと言われるとさすがに苛立ちがこみ上げる。
「…私は、行きます」
「行くって…止めてよさよちゃん。一緒に居ようよ」
さよの向かう先は皆が大まかに予測することはできた。ディバックの紐を肩に掛けるさよをまき絵が配慮して声を掛ける。
だが返答は無く、さよは振り下ろした銀髪を揺らしその場をあとにした。
それにしてもホント明日菜マーダーにならんなー
今日の投下は以上です。
ってうああああああああああああ!
一度目は修正前をはっつけて投稿ボタンを押したのですが修正前の文章だという
ことに気付き中止ボタンを押し修正後の文章を投下でまず二連投、次は規制され
ていじけてフォームに文章入力したまま何度も更新ボタン連打してたら…!何と
いうミス…!何という言い訳…!
>>145>>147が本当の一つの物語となります。本当にお騒がせしてすみません!
呼び方が載ったサイトを教えてくださった方、指摘をしてくださった方には本当に感謝しています。
有難うございました。
ちなみに夏美がゲームに乗った理由がどうのと書いていた人が居ましたが、
そのことについては今後の作中に出てきますから今はそっとしておいてやってください。
では、今日は本当にすみませんでした。
いじけた作者に糞ワロタww
落ち着けよw
投下乙
作品投下中に救えだとかの要望を書くのは身勝手すぎだろ
少しは自重しようぜ
ここまでミスりまくりだと叩く気なくなるな
むしろ可愛いぞ17
夏美に期待だな。
後朝倉は過去最強じゃね?
武器なしに素手で1人傘で1人殺っちゃってるよww
乙!
予め、その日の投下分を確認して別のフォルダにコピーしておいて、
テキストファイル名を番号にしておけば、投下ミスは減らせると思うよ。
>>149 乙!個人的には15話と18話は一緒でいい気がする。
「誰がきたんだろう?」みたいなドキドキ感を演出したいのだろうけど分けすぎてちょっと読み辛いかな?
それと那波さんは基本、さん付けで呼ぶから「宮崎さん」か「のどかさん」のほうが那波さんっぽいかな?
なんか昨日から本当細かい指摘ばっかですまん。こういう性分なんだ。
>>152 同意。指摘はいいけど要望はやめようぜ。そんなに思い通りのストーリーじゃないなら自分で書けばいいんじゃね?
投下乙です
アッ――!
信じてると書き込んだその日に美空が死んだwww
158 :
夏美ヲタへ:2007/10/02(火) 23:55:44 ID:???
夏美「みんな殺しちゃったー♪」
あすな「やられたー」
夏美「一人になちゃった・・ちづねえ寂しいよ」
千鶴「天国でまってるわ」
夏美「じゃあわたしもしのう」
自殺後
夏美「私がみんなを殺したから一人だけ地獄行きってないよぉうえーん」
閻魔「この恨み地獄へながします」
パソコンの前でほくそえんでるネギ
今から今日の分の投下を始めます。
第十九話
-中等部屋上
「私、お姉ちゃんがお姉ちゃんで良かったです」
「ボクも。史伽が妹で良かった」
青かった空が時間を掛けて茜色に塗り替えられていく。
そこには蝉の奏でる美しい音色が響いていた。
頬に橙の光が刺さり、桜色をしたツインに分けられた髪にも朱が映し出されている。
鳴滝風香(出席番号22番)と鳴滝史伽(出席番号23番)は高い手すりの向こうの狭い足場に直立し、手はしっかりと握り合っていた。
そよ風に舞う髪など無視して二人は顔を向かい合わせる。
二人の瞳にはお互いの瓜二つの顔が映っていて、表情も同じだった。
幼い顔立ちの二人も、今だけは何となく大人びているように見える。
そして顔を何も存在しない前方へと向けると溜まった唾を飲み込んで大きく息を吹き出した。
二人はゲームが始まってから、出席番号が前後なので玄関ですぐに合流できた。
風香は史伽を、史伽は風香を護りたいという気持ちは同じだった。
本当はこれからもずっと二人で生きていきたかったのだが、このゲームで勝つ自信なんて無い。
だったら最初から二人で、美しく散ろうではないかと決めて今ここに居る。
「大丈夫だよ」
「うん、大丈夫」
「それじゃあ行きましょう?」
「「…せーのっ」」
寂しさや悲しさを含んだ優しい微笑みだけを残して、体重を前に掛ける。
すると重力で足が地から離れ、小さな身体が空気を裂いていった。
ほんの一瞬、階下の音楽室の窓からクラスメイトの最期が見えた。
グシャ
【鳴滝風香、鳴滝史伽死亡 残り22名】
第十九.五話 Fuka narutaki・Fumika narutaki
死ぬことなんて怖くない。
貴方と一緒ならどこでも行けるよ。
私には貴方がついてるから。
久々にワロタ
第二十話
-初等部保健室
「お嬢様」
「…」
「お嬢様」
刹那の身体にはたくさんの切り傷や打撲の痕が残っていた。
喉にも浅く切り傷がついている。深く斬られていたら切り傷なんかでは済まず命を落としていた。
顔にも無数の傷。きっと深いものであればそのまま痕が残ってしまうかもしれない。
女の子だったら当然周りの目を気にしてしまうだろう。それに刹那の顔は元々整っているのだから尚更だ。
このかは心の中で無力な自分を責めた。そしてなるべく刹那の傷を見ないように目を逸らして。
「この傷はお嬢様のせいではありません。全て私の責任ですから」
刹那のディバックに入っていたのは尖った鉛筆1ダースだった。いくら刹那でも鉛筆で日本刀に敵うわけがない。
そんなことはわかっていた。それでもこのかには刹那に武器を手渡す勇気がなかった。
刹那にクラスメイトに手を掛けるようなことはしてほしくなかったのだ。
確かに古菲は二人を狙ってきたがそれは古菲の意思ではない。
もしも古菲が洗脳されていなければ一緒に脱出の方法を考えること、仲間になることができただろう。
戦う術を持たなかった刹那は傷だらけになりながらもこのかを抱え走った。そして今に至るのだ。
「せっちゃん、ごめんな。あの時ウチが…」
「私が古の攻撃を避けることができなかったからです。お嬢様は何も悪くありません」
「でも…」
刹那はこのかが泣いていることを理解していたため、敢えてこのかに背を向けていた。
このかは肩を懸命に震わせている。そして鼻を啜る音を響かせた。
「ウチ…足手まといやない?」
「…お嬢様、いい加減にしてください」
先ほどからずっとこのような遣り取りが続いていて、何度否定してもキリがない。
包帯を取ろうと棚を開くと薬品の臭いが鼻に染み込む。ガーゼで流れ落ちる血を拭ってから取り出した包帯を丁寧に巻いていった。
「なぁ、せっちゃん」
いつもの落ち着いた声色だった。だから刹那はようやく落ち着いたかと安堵しながら足先からこのかの方へと身体を反転させた。
パァァアン!
「…………様?」
「お嬢様ァァア!」
このかの姿が、目線の先から消えていく。何かがこのかの頭部に丸い穴を開けた。
床には頭部から赤黒い血を大量に流すこのかの死体が転がる。
その瞬間は不思議なくらいゆっくりとしていて、まるでスローモーションで再生しているかのような感覚。
もし本当に誰かの意思でスローモーションになっているのなら巻き戻してほしいくらいだ。
「う…うアァァァァアア!」
刹那は腰を屈させ頭を抱え、瞳孔を開いて狂ったように金切り声を上げた。
綺麗な顔立ちをした刹那だが、今の彼女からはそんなことは些かも感じられない。
必死に護ってきたものをこうも簡単に失ってしまうなんて。大好きだった人が、目の前で死んでしまった。
誰のせいだろう、誰が悪いのだろう。頭の中で何度も唱える。
「ああああああ…!」
視線を感じて刹那は視界の隅に捉えられたツインテールの少女に顔を向けた。
立ちすくんでいたのはこのかと仲の良い、今朝も一緒に登校した者の中の一人、神楽坂明日菜だった。
明日菜は身体を上下に激しく揺らすとその場から素早く逃げるようにして走り出した。
刹那は追いかけようとはせずこのかの寝顔を見つめ、側に座り込んだ。
うはw
「このちゃん…」
床に着座した刹那の膝の上に、血みどろのこのかの頭を乗せる。
そして固まった血が付着した艶やかな黒い長い髪を撫ででこのかを抱きしめる。
まだこのかの身体はまるで生きているかのように温かい、それは今死んだばかりなのだから当然のことだ。
「このちゃん……」
何度同じ名前を呼んだだろう。室内には刹那の声が虚しく響くだけだというのに。
「大丈夫、このちゃんの仇はウチがとるから」
美しく微笑んだ刹那は、このかのディバックを放置してその場を立ち去った。
【近衛木乃香死亡 残り21名】
【桜咲刹那 鉛筆1ダース所持】
第二十一話
-中等部図書室
委員長である雪広あやかは漠然とした広さをもつ図書室の棚の影に身を潜めていた。
たくさんの本棚に囲まれているここならばきっと誰にも見つからずに考えをまとめられるだろうと思い、ずっとここに留まっていた。
現にこの時間帯になっても誰とも逢っていないのだ。
何度か扉の開かれる音はしたが、室内の広さから人を捜す気も失せてその音の主は必ずすぐに引き返していった。
その度に考えていたことを一旦止めて、再び思考を巡らせていた。
あやかは慕っていた少年の突然の変化が気になっていた。
「『雪広さん』…」
彼が自分を苗字で呼ぶことは今までに一度もなかった。
できることなら名で呼んでほしかったが、いつも彼からはお馴染みの愛称で呼ばれていた。
それでも自分の名が相手の口から出てくることが嬉しくて、心臓の鼓動が早まっていた。
その度に彼女は大きな幸せを感じていたのだ。
「ネギ先生…」
ピンポンパンポン。
放送委員がよく何かのお知らせ時によく使う音が構内に響いた。
何の知らせかすぐに解ったため、あれこれと考えるのを一旦止め息を飲んだ。
「こんにちは、生徒の諸君。今から死亡した生徒の名と禁止エリアを発表する」
あやかは事前に制服のポケットに入れていたボールペンと地図を用意しスピーカーに耳を傾けた。
「死亡した生徒は出席番号6番大河内アキラ、出席番号9番春日美空、出席番号11番釘宮円、出席番号13番近衛木乃香、出席番号18番龍宮真名、出席番号22番鳴滝風香、出席番号23番鳴滝史伽、出席番号24番葉加瀬聡美、出席番号30番四葉五月。以上九名」
地図の数箇所に水滴が落ちていくことなど無視して、メモを取る手の動きを止めない。
「次に禁止エリアの発表だ。禁止エリアはA、初等部内全体になる。今Aのエリア内に居るものは五分以内にそこを離れるように。では、ゲームの続きを楽しんでくれよ」
ブチッ。
放送が切れるとペンと地図をバックの中に押し込み、誰かと合流すべく移動をはかることにした。
あやかは3−Aの委員長である。みんなもそれを認めてくれているからあやかのことを大抵の人が『いいんちょ』と呼んでくれていた。
クラスで殺し合いが行われている。それは今、本来団結すべきところでクラスの心がバラバラになっているという証拠だ。
だとしたらそれを止めるべきなのは誰だ?クラスをまとめるべきなのは私ではないのか。それができるのはクラス委員長の自分だけではないのか。
あやかの足は速まる。少しでも早く、少しでも多くの人を助けるために。
嫁が死んだぁ……
どーも皆さん、ウチの木乃香がいつもお世話になってますぅ
以上で今日の分の投下は終わりです。
>>154さんのアドバイスの通りしてみたらミス無しで無事終了できました。
有難うございました。
明日は用事があるので投下が少し遅れます。
恐らく、22時以降になるかと。
では。
乙カレさんでーす
>明日菜は身体を上下に激しく揺らすと
どういう意味?
いまいち状況が浮かばない…
乙
>>172がいってるとこ肩をってしたかったのかな?それともわざとか?
どっちにしろビクーリしたんだとおもうが・・・
>明日菜は身体を上下に激しく揺らすと
とってもエロいことを想像した俺は死ね
じゃあ俺も死なないといかんな
なんで明日菜がそおなったの?
机のとこからは予想できない
おまえ等が飢えてるだけだろーが
カスどもが
>>177 とりあえずアレだな
伏線とか首輪の機能とかいろいろあると思うからどうなるのか見守ろうぜ
んで最後まで謎だったら聞けばいいだろ
ただアスナは純粋に驚いて逃げて、本当に撃ったのは遠くからスナイパーライフルを持った誰か・・・?
せっちゃんの目からハイライト消えたな。静留さん並のガチレズヤンデレ希望だぜ。ぐへへ。
やばい、オレ、やっぱり死んでくるわ
それでは今から今日の分の投下を始めます。
第二十二話
-初等部中庭
Zazie Rainyday(出席番号31番)は正直、誰かと一緒に居るということが苦手だった。周りに引き連れた魔物たちが居れば、それで充分だと思ってた。
心で思ったことを率直に相手に伝えられる周りの皆を少し羨ましく思ったことも、今思い返せば無くは無かったかもしれない。
小学生のとき、『喋らない何を考えているかわからない』。それが原因で仲間はずれにされたことがあった。
クラスの女子の中では変な上下関係があり、ザジはどちらのグループにも入っていなかった。入ろうとしなかったのか入れなかったのかは定かではないが、最初は寂しかった。
しかし、所詮人間。すぐに慣れがきた。それにそのおかげで動物と触れ合う機会が増え、小鳥や野良猫などと仲良くなれた。
所属しているサーカス団内では口を開くこともしばしばあるし、他の団員は無口なところも受け入れてくれていたから楽しかった。
本番では得意の空中ブランコを披露して観客が喜んでくれることが嬉しくて、ステージから客席を見渡すのが大好きだった。
サーカスだったら声を出さなくても演技が成功すれば皆が注目してくれた。自分を見てくれている人が居る、かけがえの無い場所だった。
「……」
それに、いくら言葉数が少なくたって、ザジにだってちゃんと感情がある。いきなりクラスメートを殺せといわれてもどうすればいいかわからない。
それに今のクラスは居心地が良かった。こんな自分でも理解してくれている人たちが居た。だから迷ってしまう。
乗るか乗らないかは自由。自由じゃなくて、どうせならば最初から各人に役目を割り振りしてくれていれば悩まず済んだ。
武器は金属バット。乗ろうと思えば乗れる。でも乗って何を得られるだろう、失うだけではないだろうか。
「………私は、」
ガサガサッ
「……」
周囲を気にせず遠慮なしに草を掻き分ける音がした。こちらへ誰かが来ているのだ、ザジは止まってその誰かを待った。
「………」
暫くして出てきたのは古菲だった。古菲はまっすぐ前だけを見ていたが、ザジが地面に落ちていた木の枝を踏んでしまったのでこちらに気付いてしまった。
それでも焦りはしなかった。あちらがザジのことをあまり知らなくてもこちらはクラスで良い意味でも悪い意味でも目立つ古菲のことは結構知っている。
でもその考えは古菲の首輪と持っているものを見て一変した。
ザジは古菲が乗っていることを察すると金属バットを握り締め頭部目掛けて突っ込むが、古菲がそれを手で受け止めた。
逃げなければ―――
それがその状態になって初めて出てきた言葉。相手の片手には日本刀。バットを離さなければすぐに日本刀の餌食となってしまう。
バットから手を離したザジは後方に二、三歩下がりその場から遠ざかろうと走った。が、ここで胸の方が酷く熱かったので足を止めた。
何か生ぬるいものが下半身を伝っている。ザジは恐る恐る胸元を確認した。
赤色の刃が胸を貫通している。ああ、やられてしまったんだ。ザジは倒れ斜め上に視線を持ち上げると、そこには古菲が立っていた。
古菲は、笑っていた。
【Zazie Rainyday死亡 残り20名】
第二十三話
-麻帆良学園女子中等部食堂棟
「まさか魔法なんてものが本当にこの世にあるとは思わなかったわ」
千鶴とのどかは魔法の存在について話しながら、友人を捜して回っていた。
どう反応すべきかわからないこの話題は避けたかったのどかだが、
適当に相槌を打つことで深いところに持っていくことは阻止していた。
それはネギに対する気遣いであるが、あれだけ魔法魔法と、朝ネギが繰り返していたのだ。もしかしたら全てを打ち明けたほうがいいかなとのどかは困惑した。
それに千鶴は無関係であるはずなのに魔法の世界に巻き込まれている人なのだから、尚更だ。
だがのどかが全てを話すより、ネギが元に戻ったときにネギ自身が全てを話したほうが良い気がする。
「私も、魔法なんて本の中の世界にだけあるものだと思ってました。ネギ先生が来るまでは」
「え?」
しかし全てを誤魔化すことは、今ののどかにできそうにない。
千鶴の本心を知ってしまったのだから、あまり嘘はつきたくない。
「きっとネギ先生が。このゲームが終わったとき、ネギ先生が全てを打ち明けてくれますから。
だから、少し待っていてあげてください。ネギ先生を信じて待っていてあげてください…」
「…のどかさんは知っていたのね。大丈夫、のどかさんは何も言わなくていいわ。皆でこのゲームを終わらせた後で、ゆっくり聞いてあげる」
もしかして話してはいけない理由でもあるのかと思った千鶴はのどかの頭をそっと撫でてやる。
「でも、魔法が使われているっていうのなら、あの人は魔法使いってことになるのよね」
『あの』が指す人物は正体が明かされていない、マントに身を包んだあの人物のことだろう。
のどかの知る中では思い当たる人物が一人。それは少し前に現れたヘルマンという男。
もしかしたら、また誰かに雇われこんな卑劣なゲームを開催したのかもしれない。
「あの…あの人、もしかすると…」
「あ、そういえばね。コタローくんと初めて逢ったとき、変な男の人が部屋に来たんだけど…」
「変な男の人って…まさか千鶴さん知ってるんですか?」
たしかコタローが麻帆良に来た日だった、ヘルマンとネギが闘ったのは。
千鶴の言う変質者とのどかが言っている人物は一致しているのかもしれない。
「名前とか、聞いていませんか?」
「名前は覚えてないけど…何だか紳士的な老人だった気がするわ。どうも雰囲気が似てたのよね、あのマントを被った人」
「そう、その人かもしれないって私は思っています」
「…だとしたらまたコタローくんを狙っているのかしら?」
「いえ、彼は確かあの時自分は雇われの身だ、と言っていましたー…だから恐らく今回も…」
「そうだったの……だとしたら皆で本部に乗り込むのはすごく危険よねぇ…」
女子二人が魔法使いの男に立ち向かうというのはかなり危険だ。
二人でなくとも魔法というのは大きな範囲で攻撃することができるものもある。
それを知っているのどかは千鶴よりもこのゲームの終わりを早める方法が難しいということをわかっていた。
「…でも、皆で居るに越したことは無いわ。とにかく皆と合流しなくちゃね」
一人で悩むのどかを見た千鶴が、ここは話の方向を良い方に変えたほうが良いと判断した。
何だかんだでやっぱり千鶴はしっかりしている。
「…そうですね、悩んでたって仕方無いですからー…。有難うございます」
のどかも今は夕映やハルナ、夏美たちクラスメートを捜すことに集中することに決めた。
第二十四話
「あの子たちを…どうするつもりじゃ?」
近衛近右衛門は他の全教員と共に、職員室ほぼ全体を囲む魔法陣の上で着座させられている。
縄で縛られているため手足に自由はない。
散らばった荷物が乗せられている机椅子はそのまま端に寄せられていた。
「お前は一体…」
高畑・T・タカミチはフードを深く被ったまま正体を明かさない男を睨んだ。
男は不気味な笑みを浮かべたあとフードを肩へと降ろす。瞬間、タカミチと近右衛門が眼を見開いた。
「お前は…!」
第二十五話
-中等部区域入り口付近
「今の、聞いた?」
冷房の効いていない外に出れば夏特有の蒸し暑さに額から汗が流れる。
輪郭を伝う雫を袖でふき取り小さな歩幅で足を進めた。
白いシャツにはたくさんの染みができており、スカートのひだも乱れていた。
「うん…聞こえた」
親友の内の一人の木乃香の名前がスピーカーから流れると涙がハルナの眼球を包み込んだ。何とか堪えようと何度も瞬きを繰り返す。
まき絵は一番端で号泣しており、真ん中の千雨は涙を流さずに敢えて黙り込んでいる。
今は泣いていない千雨はいつもクラスメートに対し非常識だの騒がしいだのと悪態をついていた。
それでも本当に3−Aが嫌いだったわけではない。クラスメートとも一定の距離を必要とはするが実際に居なくなると心が痛む。
「九人も…だよ?」
まき絵は幾度も肌を摩擦していたため、皮膚に痛みを感じる。
千雨の面は地面を向いており前髪の影で表情が見えない。
「ねぇ…もう私嫌だよ。何でこんなことしなきゃいけないのよ」
「まき絵…」
「こんなことして…何になるっていうの?」
まき絵が前進するのを止めた。二人は数歩進んでまき絵の立つ後方を振り向く。
「い、いやぁああああ!」
こちらを見るハルナの表情が一気に歪んだ。
隣に並んだ千雨もつり上がり気味の双眸を大きく開いていた。
正面を向いているまき絵には訳がわからなかったが、右腕の辺りにひどい痛みを感じてゆっくりと振り向いた。
「キャァァアア!」
背後に居た人物がまき絵の右腕の肩から肘にかけて日本刀で切り目をいれていた。
傷口を押さえながらまき絵は咄嗟に長谷川たちの方へとかけ寄った。
それによって今まで見えなかった「殺人者」が姿を現す。
「古菲……!」
ハルナが目前に直立した相手の名を漏らす。
古菲が日本刀の刃先を天にかざすとまき絵の血が垂れてそこに千雨の顔が映った。
「逃げるぞ!」
武器を見るなり千雨はまき絵とハルナの華奢な腕を掴み時折腰を捻り後方を確認しながら走った。
第二十六話
-世界樹広場前
「ハァ…ハァ…」
乱れた呼吸を落ち着かせようと胸元に手を添え肩を上下させながら序々に速度を落としていく。
今まで幾度もクラスメートに「体力バカ」と言われていた明日菜だが、今は気力も体力も皆無だった。
ガクガクと力のこもらない膝が地面に落ち、何とか手のひらで上体を支える。皮膚からは汗が滲み出てくる。
垂れた長髪は汗で濡れていて、シャンプーの香りが明日菜の周りを舞っていた。
「何なのよ」
何でこんなことになってしまったのだろう。今明日菜は最悪な位置にいる気がする。
きっと刹那の怒りの矛先は自分に向いているだろう、睨まれたときは恐怖で押しつぶされそうになった。
ちゃんと足が絡まずに動いて逃げることができたことが奇跡のようなものだ。
二人を見つけたときはかなり安堵したのに、やっぱり逢いに行かなければ良かった。
心と身体を落ち着けようと一先ずその場に座り込む。一応、いつでも動けるようにバックを手元に置いて。
この場面を見た人物が居ればすぐに襲い掛かってくるだろうと思ったからだ。
実際に今、明日菜を見張っている人物が居る。明日菜はそのことに気付いていない。
(…アスナさん、あんなに慌ててどうしたのでしょう。まさかアスナさんまで乗ってしまったということは…)
明日菜の行動を木陰から見つめているのは夏美に襲われ逃げてきた夕映だった。
一度あんな目に合っているのだから安易に誰かに声を掛けたりはしない。
それも相手が明日菜であるなら尚更だ。体力の違いはかなりあるのだから迂闊には動けない。
だがもし乗っていなかったら、相手は強力な仲間となってくれる存在になる。
夕映は迷いに迷った末に、スタンガンを手に取ると明日菜の背後から近付くことにした。
「アスナさん、動かないでください」
「あ、ああああ!」
明日菜が背後の夕映に気付いた瞬間過剰な反応を見せた。殺し合いの真っ最中であるのだから仕方ないことだ。
特徴的な声だったので明日菜は言葉通り振り返らずに相手を脳内で特定した。
「夕映ちゃん…?もしかして夕映ちゃん、乗ってるの……?」
いつもの気の強い明日菜とは違う様子に少し不審に思いつつスタンガンの電源を入れる。
バチバチッという音で明日菜を威嚇して、更に場の雰囲気を重たいものへと変えた。
「よく聞いてくださいアスナさん。こんなことはしていますが私は誰とも闘う気などありません、
寧ろ皆で本部へ乗り込みこのゲームを終わらせようと…そう考えています。それにはまず仲間が必要ですよね。
そこでです。アスナさんの考えをお聞きしたいのです。もしアスナさんに殺意が無いのなら、私は……!?」
説明している内に明日菜の蹴りを利き手に喰らいスタンガンが地面に落ちた。
蹴りにそれほど威力があったわけではないのだがスタンガンを握っていた手には、恐れからか力を込めることができなかったのだ。
「嘘!夕映ちゃん、アンタもしかして刹那さんと組んでるんじゃないの!?」
「な、何故そうなるのです!大体刹那さんと組むとは…」
明日菜の言葉からすると刹那がゲームに乗っている、ということになる。
正義感に満ち溢れている刹那がゲームに乗るはずが無い、そんなことになっていたらこのかは一体どうなるのだ。
「私は何もしてない!私は何も悪くない!」
「落ち着くですアスナさん!話を、ちゃんと話を聞かせてください!」
警戒心の欠片もない大きい声が広場にただ、響くだけだった。
今日の投下はこれで終わりです。
アスナが身体を上下に揺らしたというのは驚いたのだと思ってください。
肩を揺らして驚くより、身体全体を上下に揺らして驚いた方が驚いた感じが出ると思ったのですが…。
変な誤解を招いてすみません。でもまさかこのスレでそんな言葉が出てくるとは……。
それでは、また明日。
GJ!
アス刹いいな
残念だが俺にはこの状況をどう見てもアス刹には見えないんだが
乙
あぁ…ザジが…………
アス刹の使い方待ちがっとるがな(´・ω・`)
なんにせよGJ!明日菜がビビリとは新鮮だw
いくらアスナでもこの状況じゃあな・・・
>>192 (そんな言葉)についてkwsk
わざわざ指摘されると思ってもみなかったよ的な感じ?
唯気になっただけだからあんまり深い意味はないぞ…
>>197 おま・・17が女だったらセクハラになるぞw
(俺の予想が当たっていれば)
そりゃ殺し合いの文章がエロい意味で捉えられるとは思ってなかっただろw
夕映に死亡フラグ…か?
昨日言い忘れていましたが千鶴の呼び方なのですが、
>>156さんの意見の通りにした方が私もしっくりきたので変更しました。
>>156さん有難うございます。
今から今日の分の投下を始めます。
第二十七話
四つの足音はずっと続いている。
先を走るまき絵以外の二人は運動部では無いし、運動が得意というわけはない。
古菲との運動能力の差はかなり激しかった。
だがそんなことは承知の上で生き延びようと死ぬ気で走った。
途中で何度も転びそうになったが決して諦めず、ただ前へと進んだ。
三人のものではない足音はもうすぐ後ろに来ている。
「クソッ」
序々に距離が縮んできていることに気付いた千雨はバックから武器の銃を取り出そうと、首を捻り視線を落とす。
その時。
ブシュァァアアア!
千雨とまき絵のの白い面に赤い斑点がつく。
隣から何かが地面と衝突した音が聞こえた。
「!!」
音を立てたのはハルナの身体で、ハルナの首から上は進めていた千雨の足元に転げた。それを千雨は不可抗力で蹴ってしまった。
千雨は凄まじい表情を刻んだままのハルナと視線を交わす。
込み上げた吐き気を抑えようと何度も唾を飲み込み、顔を背けた。
まき絵はひどい混乱状態に陥ってしまい頭を抱えたまま動こうとしない。
「い…や…」
まき絵の震える足は上半身を支えることができずその場に腰を落とす。
古菲がハルナの胴を蹴りのけ、まき絵に歩み寄る。
ハルナの開いた鞄から顔を覗かせた武器を手に取り、まき絵から視線を外そうとしない。
「誰か…誰か…」
古菲の赤色に染めたシャツがとうとう鼻の先に触れると、観念したかのように瞼を閉じた。
振り下ろされた刀を避けようとはせずに。
しかしなかなか痛みは襲ってこない。まき絵が古菲の顔を仰いだ。
「くー…ふぇ……」
日本刀を持っているはずの古菲の右腕が地面に転がっていた。
切断面は真っ赤になっていてどうなっているのかさえわからない。
古菲はまき絵とは反対側に倒れた。
まき絵は古菲の身体を視界の中心に据えたまま、恐ろしさから四つん這いで数歩後退する。
すると上体が背後に居た千雨の足に触れ、緩い速度で振り向いた。
「千雨ちゃん…」
千雨の手に握られた鎌には、恐らく古菲のものであろう赤黒い血が付着していた。
「……ちっ」
舌打ちをした千雨はまき絵に背中を向けそのままどこかへ走っていった。
まき絵は千雨の背中が小さくなっていくところを見届けてからようやく状況処理ができた。
「ま、待って千雨ちゃん!」
落ちたディパックを肩にかけると千雨のあとを追いかける。
【早乙女ハルナ、古菲死亡 残り18名】
第二十七.五話 Ku fei
知らない内に赤くなっていく手のひら。
支配されていく身体。
空を飛ぶ私は、
貴方に小さく有難うを言った。
第二十八話
-高等部屋上
「フン……」
ネギと変わらない程の年齢に見える容姿の少女、エヴァンジェリンは今はただの人間である。
単独行動をとっている今、誰かに見つかってはまずいと普段さほど人気のない高等部の屋上に身を潜めるべく
重たく錆びた扉を開き外の空気を吸い込んだ。彼女はそれなりに愛着のあるロボット、
茶々丸の姿を捜そうとも思ったがもし他の誰かに見つかればと考え一人でエリア内を歩きまわっていた。
だが広い敷地内から茶々丸ただ一人を見つけ出すなんてことがそう簡単にできるわけがない。
しかも今はただの10歳の少女なのだからそんなに長時間歩くことは不可能だった。
見晴らしの良いところに行けば茶々丸を見つけ出すことができるかもしれない。
そう思ったがいくら高い位置に居るとはいえ見えない範囲だって存在するわけだから、茶々丸を見つけることはできなかった。
「こうなったのも全部アイツのせいだ!アイツは…何を考えているんだ」
この言葉が指しているのは茶々丸でもネギでもない。
恐らく遠い昔、彼女の危機を救った「彼」のことだろう。
地団駄を踏むと思った以上に足に勢いをつけすぎたのか、足の裏がひどく痛み格好つかなかったことが些か恥ずかしく周囲に誰も居ないかを確かめた。
陽の光と高い温度のせいで熱を帯びた鉄の手すりに背を預けると空を仰ぐ。
屋上だからか、手を伸ばせば届きそうな空に記憶を映した。
ナギとの出逢い、ネギやクラスメートとの思い出。
エヴァは自分の変化に気付いていた。変わろうとしたわけではない、自然に変われたのだ。
こんなことで自分の日常が壊されてたまるかと一人悪態を吐く。
「やっと、逢えたんだ…」
細い腕を天へと突き出す。もちろん空には届かない。
持ち上げている開いた手で拳をつくると夕日にかざした。
顔に被さった影のおかげで双眸に入れていた力を抜くことができた。
「止めてみせるさ。お前の思惑通りにはさせんよ」
エヴァの表情からいつもの幼い雰囲気は抜けていた。
誓うように言葉を残し武器のハーネルStg44を用意し中等部3−Aへと足を進めた。
【エヴァンジェリン Stg44所持】
第二十九話
-ダビデ広場
とうとうやってしまった。
遂に人を殺してしまった、私が。
私は普通に生まれて普通に育って普通に学生生活を過ごして普通に結婚して…。
そんな普通な生活を送りたかった。でもたった今、過ちをおかしてしまった。
この手は汚いんだ。もう誰とも関わってはいけないのだ。私は、クラスメイトに手を出してしまったんだから――
長谷川千雨はクラブ棟へと続く階段に座って顔を膝にうずめていた。
先程の自分の行動は正しかったのだろうか。もう何が正しくて何を信じればいいのかわからなくなってきた。
古菲はとても良い子だった。嘘をつくことができない、とても純粋で友達想いだった。
そんな古菲を殺してしまった。魔法で洗脳されているだけだったにも関わらず。
「千雨ちゃーん!」
考え事をしていると遠くにまき絵の声が聞こえた。
今は一人になりたい、誰にも逢いたくない。しかもまき絵の顔を見ればまたさっきの出来事を思い出してしまうだろう。
千雨はハッとして立ち上がりバックと鎌を手にすると声とは正反対の方に足先を向けた。
「キャァァアア!」
一段階段を上がった瞬間、まき絵の叫び声が空にこだました。
肩越しにまき絵の方向を振り返ると、高い位置に居たためかダビデ広場と教会前を繋ぐ階段の下にまき絵と刹那が居たのが見えた。
刹那が自らゲームに乗ったとは思えないが、魔法が関連しているとすればおかしくない。
何よりまき絵の悲鳴が、刹那から湧き出る殺意を証明していた。
千雨は身をひるがえして二人が居る方に急ぐ。
第三十話
断面部分から溢れ出る血を袖で押さえながらまき絵は走り去った千雨を必死に追いかけた。
今は運動神経の良し悪しは関係ない。右腕の怪我は浅いものではないのだ。
例え素早い動きができる古菲でも超人と呼ばれている鈴音でもきっと運動神経は鈍るはずだ。
まき絵は出血多量で今にも倒れそうなのだが、無理に身体を引きずっている。
ダビデ広場に入ったところにある階段を一段降りると、立ちくらみがした。
「千雨ちゃーん!」
それでも必死に長谷川千雨の名前を呼んだ。
そんなところで呼んでもきっと千雨は易々と姿を現すことはないだろうに。
だが背後から足音がした。
「千雨ちゃん?」
まき絵は安堵の表情を滲ませ、身体をそちらに向ける。
その瞬間、まき絵の鼻先に足音の主の黒髪が触れ手で額を前へと押し出された。
「キャァァァア!」
足の裏が階段の平面から離れてバランスが崩れた。
自分を突き落としたのはこのかとよく一緒に居るのを見かけた刹那だった。
相手の顔が見えたのもほんの一瞬のことだ。視界から相手が逃げる。
ドサッ
バックが下敷きになってまき絵は一命を取り留めるがそれを刹那がそのまま見逃すはずがない。
「こ、来ないで…」
刹那は焦らすように一段一段、しっかり足音を立ててゆっくりと迫ってくる。
まき絵の心拍は高まり、動かない身体にはさきほどの衝撃で痛みが走っている。
「――!」
もう駄目だ。
真っ白になった頭の中に浮かんでゆくのはクラスメートの笑顔。大好きだったネギくん。
自分をこの世界に産み落としてくれたお母さんや、ここまで育ててくれたお父さん。
そして有難うの一言だけ。
「諦めるなまき絵――!」
あの距離では自分の足では間に合わない。
自分の命を諦めた素振りを見せる相手の名前を呼ぶと刹那に向かって鎌をブーメランのように回転させながら投げた。
それでも刹那がそれを避けるのはわけじゃないし、それを千雨は計算していなかったわけでもない。
とにかくまき絵を救いたかった。
自分の手で救えるものは全部救いたい。
そんな一心でまき絵の元に駆け寄るとまき絵のバックからボウガンを取り出すと刹那の足元めがけて矢を放った。
その間にまき絵の身体を起こすとまき絵は千雨の肩に腕をかけその場から逃げた。
刹那は二人を追おうとはせず、付近に落ちた鎌を拾うと刃の部分に自分の汚れきった面を映して微笑んだ。
【長谷川千雨 ボウガン入手】
第三十一話
-クラブ棟
「そう…だったのですか。すみませんでした、あんなことを…」
突如暴れだす明日菜を何とか落ち着かせた夕映。二人は今クラブ棟に数個設置されたベンチに
腰を降ろしてお互いの身に起こった出来事を全て打ち明けあっていた。このかの死に様を知った夕映の瞳が揺らぐ。
放送直後にはただ、木乃香の死を嘆いていたが、今は刹那がついているということだけで安心していた考えの甘かった自分を愚かだと思っていた。
「ごめんね、夕映ちゃん……疑っちゃって…」
夕映は何とか涙を堪えながら首を横に振った。こんな弱弱しい明日菜を見たのは初めてかもしれない。
もし自分がそんな事態に遭遇してしまったらきっと明日菜のように自分をコントロールすることができなくなっていたかもしれない。
信頼できる親友でなくとも仲間が居れば確かに少しは安心できるし、相手が自分の意思で殺人をおかすような人物ではないと夕映は知っていた。
そんなこと夕映はわかりきっていたはずなのにあんな行動をとってしまった。
そして、明日菜の方は実際にクラスメートに背中を切りつけられている夕映の冷静さに感心した。
いきなり背後から声を掛けられたときは正直驚いたが自分だってそうしただろう。
お互いがお互いにとってしまった行動を反省する。
「そうだ、夕映ちゃん言ってたわね。このゲームを止めるって…」
「ああ、はい。そうです。このゲームから一人一人が脱出することは恐らくできないでしょう。
ですが逃げるのではなく、あの男の人を倒しこのゲームを中止させることなら可能だと思うのです」
「でも相手は魔法使いでしょう?いくら大人数でいったって…」
「そうですね、たかが知れています。ですがこちらには一人、魔法使いがついています」
明日菜たちの味方で魔法が使える人物。思い当たる人物は一人しかいない。
だがその人物は朝クラスの皆を苦しめた人物でもある。
「それって…ネギ……だよね?」
「はい。ネギ先生は明日、恐らく私たちの前に姿を現すと思うのです」
「でも…ネギは…」
「アスナさんはアレがネギ先生の本心だと思うですか?ネギ先生はあの男に操られているのです。
もちろん魔法で…。でもネギ先生の中に本当のネギ先生はまだ居るはずなのです。
ネギ先生自信の成長、ネギ先生の魔力の成長を見てみれば魔法抵抗力はそれなりにあると思いますですし…。きっとネギ先生を元に戻すことは可能です!」
それはただの願い事のようにも聞こえるが夕映はネギを信じている。
だからこうやって断言できるのだ。もちろんネギを信じているのは夕映だけではない。クラスのみんなだってそうなはずだ。
まだ生存しているクラス全員の気持ちが一致すればきっとチャンスはくる。
「…うん、私もネギを信じてる。きっとできるわよ!」
「では皆さんを捜しに行きましょう、明日すぐに動くことができるように」
二人は自分のすべきこと、護るべきものを理解することができた。
紫煙
以上で今日の投下は終わりです。
それではまた明日。
投下乙
あちこち徐々に動き出してきたな
とりあえず刹奈は完璧マーダー化したんだよな?
とりあえず黒幕ナギは無さそうだw
いつの間にかマーダー化してたり
俺の脳じゃ話に追いつかない・・・
それはあるな
もう少し一部展開の説明が欲しいところ
それは後々ってことかな
え、ナギじゃないの?
もう疲れた…
16氏帰ってこないかな
こんばんは。
今から今日の分の投下を始めます。
第三十二話
-世界樹前
「あら…」
あやかは夕日を横目で見送った後やっと目的地にたどり着いていた。
世界樹を目指した理由はクラスメートとの合流であったが、そこには予測とは反して生きているクラスメートと遭遇することはできなかった。
付近に転がる龍宮の死体へと目をやるのは意識的に避けていた。
きっとまともに見た瞬間気がおかしくなってしまうだろうと思ったのだ。
「地図の中心に書いてあるので一番に目がいくと思ったのですが…誰も居ないようですわね」
ここまで来るまでにクラスメートを見かけることは無かった。見かけていれば今ここに一人で居ることは無い。
何故誰かに逢いたいと思ったときに逢うことができなくて、プライベートで誰にも逢いたくないと思ったときに偶然逢ってしまうのだろう。
これは自分のもっている運が低いということなのだろう。あやかは肩を落とした。
「どうしましょう、ここで待機するか場所を移動するか…」
とりあえず疲労を抑えるべく根元に腰を降ろし背をもたれた。
凹凸があり多少の痛みは感じるがそれは最初だけであり、不思議と心地悪くはない。
あやかは知らないだろうが世界樹にはとてつもない量の魔力が集っている。
それの力のおかげかもしれないが、あやかは体力や精神力の回復がやけに早いことに気付いた。
もちろん、ただ移動のせいだけで体力が削られていったわけではない。バックの中の物の重みだ。
「そういえば偉く鞄が重いとは思っていましたが…」
あやかはバックの中を何度か開いたことはあったが武器を確認するために開いたことは一度も無かった。
地図や飲料を取り出す際に黒く硬いものが手に当たる感触はしていたもののそんなに気にはとめていなかったのだ。
「こ…これは……」
バックから出てきた黒光りしているものは金棒だった。
節分の時期になると売られている豆などのパッケージに登場している鬼、が、手にしている物。
実物を見たのは初めてだったあやかは柄を両手で握り鋭い棘が突き出ている部分を観察して唾を飲み込む。
大体クラスメートがもし自分を殺しにきたら自分はこれで立ち向かわなければいけないのか。
私の美しく細い腕でこの重たい物を振り回せるのでしょうか、とこんな状況でも馬鹿らしいことが思えるのはそういう性格だからだろう。
これで人を殺したらきっと肉は飛び散るはひどい血飛沫に襲われるわで大変だろうと妙な想像をしてしまった。
「どうりで重たかったわけですわね…」
【雪広あやか 金棒所持】
第三十三話
-中等部グラウンド
夏の夜とは言えど深夜ともなれば体を潜り抜ける夜風が少し肌寒いのか組んだ腕同士を擦りながら隅の方に腰を降ろした。
グラウンドには身を隠す場所は無いが良い方に考えれば考えれば相手の姿もすぐに発見できる。
柿崎美砂(出席番号7番)は襲ってくる睡魔に何とか勝利しようと瞼を持ち上げた。
「寝ちゃ駄目!フレーフレーみーさッ!」
いつもの調子で応援を始めるも瞼が落ちてきて口も動かなくなってくる。
その度に目を無理に開いて首を左右にブンブンと振って自分で自分に寝るなと言い聞かせた。
それでもすぐに十秒ほど意識が飛ぶと頬を叩いて低く唸る。
誰かと合流することができていればこんなことせずに、見張り交替で仮眠することができただろうに。
そんなことを考えていると向こうに見覚えのある姿が一つだけ見えた。
「あれ……エヴァちゃんじゃない。エヴァちゃーん!!」
美砂は何の迷いもなくエヴァに声を掛けることにした。
近付くに連れ相手との距離が離れていくような感じがしたのは気のせいだと思ったが、
明らかに相手が居た場所を過ぎていたためさすがにおかしいと思った美砂は大声を上げた。
「え、何か離れてない!?ちょっと、エヴァちゃーん!」
「…」
何なんだアイツは、とエヴァは舌打ちをしつつ一歩一歩後退していた。
魔法が使えない今はただの少女であるし、銃は元々入っていた弾数が三弾しかなかったためあまり無駄に使いたくは無い。
それにエヴァは目的地が目の前なので時間をロスしたくなかった。
だが美砂はエヴァの考えなど知るよしもなく小さな身体に抱きついた。
「コ、コラ離せ!撃つぞ!」
美砂の身体を剥ぐと手にしていた銃をこれ見よがしに見せ付ける。
それでも一向にその場から離れようとしない美砂の表情を見た。
美砂の頬で光ってみえるのは瞳から流れた一筋の涙だった。
「オ、オイ…」
すると懲りずにまた美砂がエヴァに抱きついた。
位置的に美砂の表情は見えないのだが、耳元で聞こえる鼻を啜る音ですぐにわかった。
本当は一人で、ずっと心細かった。グラウンドに来たのはすぐに誰かと逢えると思ったから。
寝ないようにしたのは身を護るためでもあるがクラスメートの姿を見逃さないため。
見つけたらすぐに声を掛けようと思っていた。
最初は緊張感の欠片も無かったが放送を聞いて円の死を知り、突如恐怖が襲ってきた。
「怖かった……」
「……」
「ずっと一人だったから…良かった。一緒に居る人が居なくて寂しくて…」
「貴様は……このゲームで生き残る気はあるのか?」
エヴァが俯きがちな顔に影をつけて、威圧感のある声で美砂に問いを投げかけた。
美砂は死にたいなんて思わない。だが生き延びるためにはクラスメートを殺さなければならないことになる。
その質問は物凄く残酷なものだった。
「私は…死にたくないけど、クラスメートを殺すのもいや」
「だったら貴様はそこに居ろ、私はこれから本部に行く。私についてきてもロクな目には遭わん」
エヴァは美砂の両肩を掴んだ両腕を伸ばし顔と顔の間に距離をつくると冷たい表情で言い放った。
本部に乗り込むということはエヴァはこのゲームを終わらせようとしているということになる。
つまりこのゲームには乗っていない。美砂は何とか説得しようと泣き顔を真剣な表情に変えた。
「それなら私も協力したい。一人で乗り込んだって無理に決まってる、こういうときまで一人で何とかしようなんて思わないでよ」
1年の時からエヴァは茶々丸というロボットと二人だけで居ることが多かった。
内の茶々丸の方は少しではあるが他のクラスメートとも若干馴染めている感じもあったし、
実際に美砂も出席番号が近いのもあってか全校集会のときなどで並んだときに何度か間の明日菜や美空を交えて会話をしたことがある。
だがエヴァはそうではない。最近は雰囲気もどことなく柔らかくなってきたとは思うが、
クラスの皆と親しくしている場面はあまり見かけない。それに美砂も二年と少し経った今もあまり言葉を交わした覚えが無い。
遊びに誘っても無視をしてその度に茶々丸が謝罪をしてきて、行事にもロクに出なかった。
それに自分が好いている人物は名前で呼んで、距離を置いている人物のことは名前すら呼ばずに『お前』だったり
『貴様』だったり、フルネームで呼んだりする。別にそれが鼻についたりはしなかった。
何か事情があるのだろうと思っていたがさすがにこの状況となると心配になる。
「いっつもそうだった。エヴァちゃんって他人と自分の間に壁、作ってるよね。きっとそれには何か理由があるって思ってた。
でもエヴァちゃんは私のことが嫌いでもね、私にとっては大事なクラスメートなの。こういうときくらいは、仲間だと思ってほしい」
「…」
本気で自分と向き合ってくれた相手。自分のことを見てくれているクラスメートが居るとは思っていなかった。
そのことに愕然としつつもエヴァが表情を緩めることはなかった。
「くだらんな。これだからガキは嫌いなのだ。仲間だの何だの、私は貴様らのことなんか……」
「エヴァちゃん…!」
「………美砂…」
「え?」
「……ありがとう」
ドサッ
今日の分の投下は以上です。
マーダー化した人たちのことですが操られている人以外の話はちゃんと後から出てきます。
もう暫しお待ちください。
それでは。
乙!
これはエヴァが当て身で実砂を気絶させたんだと思いたい
この二人いいなあ
美砂とエヴァにゃんの絡みはなんか新鮮だな
乙です
最後の展開何?
よく分かんないをだが…誰か説明頼む!
てかキティとみさて出席番号近かったっけ?
>>232 よく読め。出席番号の話は茶々丸についてだ
こんだけ近い関係になってるけどやっぱりエヴァは「柿崎」って呼ぶ気がするんだよな…
何か美砂ってのは違和感あるわ
>>234 私は良いと思うよ
エヴァがそれだけ変化したっていうのが伝わるし
自分の価値観おしつけるような指摘するなよ
エヴァがみさと呼んだりありがとうと言ったり滅茶苦茶だなw
↑反応乙。
何でスルーできないかなorz
↑おまえこそスルーできないかな
今から今日の分の投下を始めます。
第三十四話
エヴァは闇に包まれた廊下を月明かりのみを頼りに歩いた。
しばらくの間広い空間には足音だけが響き、どこからか漏れる魔力を辿ってようやく到着した先は3−Aの教室ではなく職員室だった。
扉の前まで来ると感じたことがないほどの強い魔力に、いくら吸血鬼の真祖とはいえ背筋が凍った。
一体中では何が行われているのだろう。それを知った自分はどうなるのか。
恐る恐る扉に手をかけ、静かに開く。
室内の中心には大きな魔法陣。
その中には人間だった『もの』たちがたくさん飛び散っていた。
「この魔法陣は…、まさか……!そういうことだったのか」
相手の目的がエヴァの中でとうとう明確になった。驚きのあまりに銃を落としそうになるが慌てて握りなおした。
再度室内を見渡すと一番に目についたのがこの学園の園長、長年生活を共にしてきた彼はこのかの祖父でもある。
顔や身体はぐちゃぐちゃになっていたが付近に散らばった白髪と破れた衣服の色で何とか判断できた。
全ての事実を知ったエヴァは怒りに震えながら、職員室の中へと一歩足を踏み入れた。
その瞬間――
「よォ、久しぶりだな」
背後から声を掛けられた。
何年ぶりだろう、この声を聞いたのは。ずっと聞きたかったのだ、この声が。
「サウザンド……マス、ター…」
逢いたかった。何年もこの男のことを想ってきた。忘れたことなど一度も無い。
ゆっくり、ゆっくりとエヴァは身体を反転させるとそこにはナギ・スプリングフィールドが立っていた。
彼の姿を見ると怒りも今自分が置かれている現状も頭の中から吹っ飛んでいきそうになるが、
それを何とか自分で阻止し震える腕を持ち上げて銃口を相手の心臓の位置にあわせた。
「一体、何のつもりだ?ようやく面を見せたと思えばコレか」
「…アッハハハハ、相変わらず可愛げの無い奴だなァお前は」
エヴァの深海を映し出していると思わせるような蒼い瞳が、ずっと見たかった彼の笑顔を据える。
胸が痛くなったかと思えば急に一筋の涙が頬を滑り、銃と共に床に落ちた。
涙が止まらない。心から歓喜したエヴァはナギの大きな胸の中へと飛び込む。
「泣き虫だな、お前は」
「うるさい!黙れ!」
「ハハハハ」
聞き覚えのある優しい声調でささやくとエヴァの身をさらにナギは引き寄せた。
温かいナギの懐に顔を埋めてエヴァは号哭し続けた。
十年以上彼を待ったエヴァ。たまにもしかしたら、こうやって待っている日々は無駄なのかもしれない。
そう思っていたがある日彼の戦友から告げられた言葉は自分の考えと対なるものだった。
それでもナギが自分の目の前に姿を現す日がくるなんて…。
「ずっと、…ずっと…待ってたのに……」
「有難う、本当に……」
ドスッ
「……サウザンド…マスター……?」
「あの中を見られたら、生かしてはおけない」
生々しい音はエヴァの胸元から発せられた。
口から垂れた赤い血が妙に艶やかだ。
「愛してるよ、エヴァンジェリン?」
銀色に輝いた剣を引き抜くと、ナギにエヴァが身体をあずけた。
「…………逢えて………良かった…」
エヴァは愛しい人の胸の中で永遠の眠りについた。
【Evangeline.A.K.McDowell死亡 残り17名】
第三十四.五話 Evangeline A. K. McDowell
私はずっと貴方に逢える日を待っていた。
こんな形にはなってしまったけど、
それでも貴方に殺されるのなら。
それは私の本望だ。
第三十五話
「う、そ…何で?」
柿崎美砂はあれから意識を失っていた。グラウンドに居たはずなのだが身を隠すようにグラウンド付近の木の影に横たわっていた。
上体を起こしまだクラクラする頭を撫でながら今に至るまでの経路を辿る。
「グラウンドの隅に居たのはハッキリ覚えてる。それで…そう。エヴァちゃんに逢ったのよね」
このゲームが始まって初めて話した人物でもあり最後に話した人物でもあるエヴァンジェリン。
周りを見渡すがエヴァの姿が見当たらない。もうこの世界から消えてしまったことを、美砂は知らない。
やっと仲間を見つけたのにと、三角座りをして肩を下げた。
「また一人になっちゃった…」
どうしようと美砂は再度悩む。今動いて平気だろうか、ここに誰かが来ることはないだろうか。
抱え込んだ膝の上に顎を乗せ口を結んだ。だが静寂を保つのが何となく怖く、今年開催される合唱コンで歌う予定だった曲を口ずさみ始めた。
「♪〜」
美しい音色は風になって行く宛てもなく流れていく。
伏せた瞼の裏に映した3−A全員との思い出が歌詞と一致して胸が熱くなった。
もう二度と同じように日々を過ごすことはできない。全ては過去の出来事となってしまった。
恋人とももう逢えるかどうかはわからない。今自分が殺し合いをさせられているなんて知ったら駆けつけてくれるかな、なんてことを考える。
こうなることがわかっていれば別れを告げていればよかった。自分が死んだ後に悲しい顔なんてさせたくない。
愛する人を想いながらおそろいで購入した少しサイズの大きい指輪を見つめる。叶うことなら、あの日に戻りたい。
「綺麗な歌声だね」
降ろしていた瞼を上げて音源の方を向くと朝倉が微笑んで立っていた。
今度は嬉しさではなくその場に留まっていたことへの後悔で胸がいっぱいになった。
朝倉の右手に握られた傘に散らばる赤い斑点と、白から赤に変色している制服のシャツ。暗闇の中奇妙なほどに光を放つ首輪。
「アンタ…!」
美砂は立ち上がり朝倉とは反対側に逃げようとするが正面は壁。先に逃げ場などない。
唇を噛み締めると美砂はバックを振り回し、朝倉の方向に突っ込んでいく。少し朝倉が怯んだ瞬間に美砂は全力で走り出した。
舌打ちをすると朝倉は横を通り過ぎる美砂に向かって攻撃をしかける。持ち前の運動神経で何とか避けることはできた。
しかし傘は次々と休むことなく進行方向に飛び出してくる。こんな状況であるのに文化部であるはずの相手の底知れない体力に感心する。
「私はアンタと違って、大好きな人が待ってんのよ!」
素早く背後に立つ朝倉に気付くと素早く身体を反転させてバックから催涙スプレーを取り出し目を閉じて相手の顔面向かって振りかけた。
双眼に走る痛みに思わず両目を手で塞ぎ呻く朝倉。その隙を見て美砂は必死にその場から離れた。
第三十六話
-噴水公園
「茶々丸さんて、眠ったりせんでええの?」
亜子は柔らかい土になっている部分に横になり茶々丸の膝の上に頭を乗せている。
辺りに人の気配が無いためそろそろ仮眠をとろうということになった。
この状況だ。生身である亜子に疲れはひどく溜まっていた。
「はい、私の動力はゼンマイと魔力…ですが今はゼンマイの力のみに頼るしかありません」
「そうなんや。…そういえばご飯食べたりしてるのも見たことないもんな」
「ロボットですから」
茶々丸が亜子の顔を覗くによって長い髪が亜子の頬をくすぐる。
紫色に包まれた空には淡い光を注ぐ月が一つ浮かび、それを囲むように星が散らばっていた。
その景色に暫く見惚れていると、今こんなゲームが行われていることが嘘みたいに思えてくる。
「それではゆっくりお休みください」
「うん、有難うな」
長時間共に行動していたため、元は接点の無かった二人の仲は深くなっていた。
だがもちろん、茶々丸の中からエヴァの存在が消えたわけではない。エヴァならクラスメートに殺されることはないだろうと思っていた。
ただ、何故か胸騒ぎがする。自分の知らないところで、何かが起こっているような、そんな気がした。
「マスター…」
色素の薄い亜子の髪の毛を手ぐしでとくように頭部を撫でながら、主人の名前を呟いた。
その言葉は亜子の耳にはもちろん届いていた。
「心配?」
「聞こえていましたか」
茶々丸はエヴァを信用していないわけではないのだが黒幕の男の正体はわかっていた。
普段の発言からその男に対してエヴァの抱いているだろう感情を考えると、だ。
いくら愛する男からの指示とはいえ自分のマスターが自らこのゲームに参加するとは思わない。
だがエヴァの性格からしてまずは本部に乗りこみ男との接触を試みるのではないか。
不安になるくらいなら最初からエヴァを信じているなどと言わずに、エヴァを捜し回っていればよかった。
でも恐らく、どちらにしろ茶々丸はじっとしていろと言われるか、本部にはついてこなくていいと言われるだけだろう。
「無事で…あってほしいです」
「うん、きっと、エヴァちゃんは生きとるよ!」
亜子が上体を起こして茶々丸が自分にしていたように茶々丸の頭を撫でる。
茶々丸の表情が一瞬和らいだように見えたそのとき。
ガサガサッ
最初は茂った雑草が風に身をそよがせている音かと思った。
だがそれにしては自己主張が激しい大きな音だ。誰かが草を踏みつけ、掻き分けるような。
二人は傍の木の影に移動し神経を張りつめて音のする方角をずっと見つめ相手が姿を現すのを待った。
今日の投下はここまで。
それではまた明日。
自分>237だけど>234じゃないし自演でもない
ただ単にエヴァがみさと呼んだりありがとうと言ったりしたのが不自然思っただけ。
後,ポエムが気になる…
>>250 おまえ最初から居た?
居たならもう一回
>>1から読み直せ
それかポエムの意味を調べてこい
いい感じに荒れてきたな
つうか指摘じゃない書き込みを何で作者がスルーできて読者がスルーできないんだよ・・・。
確かにポエム部分は少し鼻につくなw
―以下厨はスルーしましょう―
作者乙です
しっかし今回の事件の真相は相当エグそうだな
早々に魔法先生ジェノサイドとなると、欝まっしぐらな感じだね
ゲームの全体像が把握しにくいんだが・・・
》259
どういう意味だ?
ここまだ生きてたか
受験終わったら戻るつもりだったけど浪人してからすっかり忘れてた
来年もまだ続いてて俺に春がくればまた短編でも投下したいね
>>260 範囲が広すぎるっていうか、それぞれのグループがどのくらい離れてるのか
わかりにくい
エリアについてのもうすこし詳しく説明がほしい
地図とかでもいいから
>>262 どの作品もエリアについてはこんなもんだと思うが
今から今日の分の投下を始めます。
第三十七話
ウェーブの掛かった少女の金糸の束を掴むとそのまま身体を引きずって職員室の魔法陣の中へと放り込んだ。
「まぁ、呪いを解くという約束は守ったんだからな。許せよ、エヴァンジェリン」
もちろん彼は魔力を使って呪いを解いたわけではない。彼女に死を与えることによって自然に呪いを解いたのだ。
何年も待ってくれていたエヴァを簡単に裏切ったナギ。エヴァがこの学園で過ごしてきた数年間は無駄だったのかもしれない。
「ナギ・スプリングフィールド」
チャッという重たい音が耳元に聞こえると同時に後頭部に銃口がつきつけられたのがわかった。
きっと後ろを振り向いたらすぐに撃たれるだろう。冷静にそう判断したナギはそこに立ったまま動かない。
気配を消していた彼女が珍しく険しい表情を浮かべながら自分を睨んでいるのがわかる。
「長瀬楓…か。さすがだな、まったく気付かなかった」
こちらを見ずとも気配のみで人物を察知する相手に、長瀬楓(出席番号20番)は驚きもしない。
彼の積んできた経験を考えればそのくらい当然のことだろうと、これまた戦いについての知識が豊富な彼女は思った。
「今すぐ皆の首輪を外すよう、兵士たちに指示するでござる。さもなくば…」
「さもなくば…何だ?」
詠唱をしている暇は無いと考えたナギは指を鳴らして兵士たちに危機を知らせた。
するとまるでずっとその場に居たかのように兵士たちは姿を現した。その動きは普通の人間のものでは無い。
「この兵士たち…人間ではないな」
楓を円で囲んだ集団が一斉に中心へと銃を構えた。
それでもナギの後頭部から銃を離そうとはしない。
「お前に話すことは何も無い」
鋭く吊り上げた双眸を相手に向けた瞬間今の状態から逃れるためにナギは上体を屈める。
心が一体となっているかのように兵士たちは揃って引き金を引いた。
おかげで鼓膜が破れそうになったが命に別状は無い。無傷だ。思い切り地面を蹴った楓は宙に浮く。
そして銃をナギ向けるが今度は逃げようとはしなかった。楓の銃は発砲音を室内に響かせた。
「仕留めた!」
ナギの倒れた身体を見おろすと楓に対して怯えを見せる兵士たちを睨みつけた。
「さぁ、お前たちは皆の首輪を…」
「来れ、虚空の雷、薙ぎ払え」
「…何!!?」
ナギの背後を取っていたはずの彼女の後ろで、先ほどとどめをうったはずの人物が呪文を唱える。
驚いた楓が足元に転がっていると思っていたナギの死体を確認しようとしたがもう遅かった。
「雷の斧!」
天から広い範囲に落ちてきた雷が楓の身体に衝撃を与えた。周囲に居た兵士たちが巻き込まれていく姿をナギは眺めた。
きっとこれをネギが全力で使ったとしても戦闘能力の高い楓には致命傷を負わせることはできなかっただろうし、当たることもまず無かったかもしれない。
校舎を破壊せぬよう力を最低限まで制御したはずなのだが、床には円状に穴が空いていた。
そこから下を覗けば吸い込まれていこそうなくらいの漆黒の闇。周りの焦げている部分からは煙が天へと舞い上がる。
【長瀬楓死亡 残り16名】
第三十八話
-体育館裏
「はぁー…、はぁー…」
休憩所が経路となるここはなかなか人に気付かれにくい場所だとふんだのは長谷川千雨と佐々木まき絵だった。
今は千雨のシャツの裾で止血してあるが、右腕を負傷し全身打撲状態のまき絵の体力と精神力は削られていくばかりだ。
正直、もう自分がこのゲームで生き残れる自信なんてなかった。
大体三人で歩いていたとき、自分が愚図っていたから古菲に狙われ、ハルナが襲われたのではないのか?
それにあの時千雨が自分の手を引っ張ってくれなかったらきっと――。
千雨はまき絵を助けた。だが千雨はクラスメートを殺した自分を追いつめている。それは元々誰のせいだ?
「千雨ちゃん」
「…ん?どうした。どっか痛むか?……って、痛いのは当然だな。保健室行くか?」
「千雨ちゃん、私はもう、一人で大丈夫。だからもう千雨ちゃんは行きなよ」
その言葉が嘘だというのは震えている身体が証明している。
こうなればと胸の内に秘めていた思いを伝えようと口を開いた瞬間、それを悟ったかのように千雨がまき絵の頭の上に手を乗せた。
「私が一人が嫌だからお前と一緒に居るんだ」
素直じゃない千雨の性格だ。きっとその言葉をまき絵本人に伝えるには勇気がいっただろう。
今懐中電灯で相手の顔を照らしたらきっと赤くなっている気がする。
「千雨ちゃん…ありがと……!」
まき絵は斜め下に位置する千雨の肩に額を乗せて泣いた。
恥ずかしそうに目を逸らした千雨だが、まき絵を引き剥がそうとはしなかった。
実は千雨こそ、自分のせいでまき絵に傷を負わせてしまったと考えていたのだ。
それを言えばもっとまき絵を苦しめてしまいそうだったから言えなかった。
だが今の二人にはもうそんなことは関係無い。そんなことを言い合っていても、前には進めない。
「古菲に殺られそうになったときも桜咲に突き落とされたときもお前、諦めただろ。……でももう諦めるな、何かあれば助けてやるから」
「……うん!私、千雨ちゃんを信じてる!」
後ろに傾けた上体を支える役目を果たしている千雨の手の上にまき絵は手を重ねた。
闇に差した光は、お互いの存在だった。
「…!と、とりあえず止血するから」
「……あはは、うん、お願い」
まき絵は千雨が照れている姿が愛らしく思え喉奥をクツクツと鳴らして笑った。
制服のボタンを外し持っていたティッシュでまき絵の右腕の血を丁寧に拭き取る。
血のついたティッシュを捨てるとブレザーを脱いで自分のシャツを破り始めた。止血をするために。
丁度良いくらいの大きさになった布の切れ端をまき絵の腕に結びつけ、応急処置は完了だ。
ガサッ
何者かが背後の草を掻き分ける。咄嗟に二人は音がした方を振り向いた。
今の状態でもし刹那や朝倉、もしくは他にゲームに乗っている人物に見つかってしまったら…。
千雨が手元のボウガンを手に取ると慌てて構えた。するとそれと同時に相手も銃口を見せてくる。
「千雨サン。おや、その状態のまき絵サンをかくまっているということはこのゲームには乗っていないということカナ」
何とその相手は超だった。自分を魔法世界へと導いた人物でもあり、学園祭でネギたちを苦しめた張本人でもある。
きっと超の性格からしてこのゲームに積極的に参加しているに違いない。
千雨とは違い、人を殺すことに快感を覚え本能のままにどんどんクラスメートを殺しているのだろう。
それはただの推測にすぎなかったが、制服についた血を見て千雨の中で答えは明らかになった。
「テメェ…!」
「む?」
手が震えて狙いが上手く定まらないまま発射した矢。発射音はとても情けなく弱い音で、矢も中途半端な距離で地面に墜落してしまった。
「話を聞くヨロシ。私はこんな馬鹿馬鹿しいゲームに乗るほど落ちぶれちゃいないネ」
「嘘つけ。じゃあその返り血は何だっていうんだ!」
「…やはり学園祭の件で信頼性を失くしてしまたカ。でもここで殺してしまったらせっかく見つけた首輪を外す方法も無駄になてしまうヨ」
「………ちょっと待て。お前…それじゃあ本当に?罠じゃないだろうな」
朝からずっと鬱陶しい首輪。それを外す方法が超は見つけたというのだ。その話に千雨は興味を持つ。
すると背後に身を潜めていたまき絵が顔を出して超を見つめた。
「超りん、それ本当?」
「信じてもらえるのなら、そのボウガンを捨ててもらおう。もちろん、こちらの銃も捨てる」
千雨が数秒間沈黙をつくる。本当に信用して良い相手か、瞼を閉じ心を落ち着かせ脳内で思案を練った。
「…わかった、話を聞く」
やがて発した言葉は肯定的なものだった。もし二人を殺す気だったならわざわざこんな話を出したりはしないだろう。
ボウガンが土の上に落ちると口許を緩めた超も銃を捨てる。
そして首輪を外す方法を説明するために、口を開いた。
第三十九話
亜子たちは物陰からずっと同じ方向を見つめていたのだが一向に相手は出てこない。
もう大丈夫なのかなと思ったがまた雑草が身体を打ち合わせている音が聞こえた。
そして同時に現れたのは武器を堂々と露にしている刹那だった。
(茶々丸さん。桜咲さんならこんなことせんでも大丈夫なんとちゃうかな?)
小声で質問を投げかけたくせに亜子は返答を待たずに声をかけようと木の影から平然と出ていった。
だが刹那の瞳を見た途端一回目の放送の内容が頭の中に蘇った。
(ア、アカン――!)
今更身を引っ込めてももう遅い。刹那はこちらにとっくに気付いていた。
「亜子さん、逃げてください。ここは私が」
「で、でも…」
「私は後から追いつきます」
そうこう言っているうちに刹那がこちらに接近してきた。さすがこのかの護衛を務めていただけはある、速い。
茶々丸は亜子の恐ろしさのあまり動かなくなった身体を突き飛ばすとバックから取り出した包丁で鎌に対抗する。
大きな金属音が耳に響いた後亜子はようやく我にかえり自分のバックを取ると走り出した。
「ごめん、茶々丸さん!後で絶対会おうな!」
茶々丸は亜子の背中を尻目に捉えたあとで再び包丁の短い刃を鎌に打ちつけ相手の身体を弾いた。
ピンポンパンポン
これは今から放送が始まるという合図だ。だが今はそれどころではない。
「失礼します、刹那さん」
今度は茶々丸の先制攻撃だ。鎌を持つ相手の肘を身に引きよせると内側に入り込んで肘を腹部に打ち込む。
『死亡した生徒は出席番号12番古菲、出席番号14番早乙女ハルナ、』
相手が僅かに身を捻ったことによってみぞおちに入れることはできなかったが呼吸が乱れた刹那は咳きこんだ。
そして相手の鎌を握った方の手に平手を斜めに打ち、刹那の手から鎌が滑り落ちた。
『出席番号26番Evangeline.A.K.McDowell、出席番号31番Zazie Rainyday。以上四名』
放送に意識など向けていなかったつもりだった。だが今確かに自分のマスターの名が呼ばれた。そのことに自分は気付いた。
刹那が隙をみて鎌を拾ったことも、次の瞬間自分がどうなっているかもわかった。
申し訳ありません、亜子さん――
ガシャンという物が破壊されるような音のあとで茶々丸の身体の一部となっていた部品の数々が辺りに粉砕した。
【絡繰茶々丸機能停止 残り15名】
第三十九.五話 Chachamaru karakuri
貴方が居なくなってしまったのなら、
私には存在する理由が無い。
しえん
今日の分の投下はここまで。
感情部分について(のことですよね)ですが批判の声はありましたが無いとそのキャラの感情がわかりにくいかと思ったので投下しました。
不快感を与えてしまい申し訳ありません。そういう方はその部分だけとばしてくれると有難いです。
エリアについてですが木乃香たちは単行本一巻でネギに「初等部は前の駅」といっていました。
ですが聖ウルスラの人たちが中等部を平気でウロウロしているようなので恐らく歩ける距離だと私は判断しています。
中等部内についてはゲームの一時間目、二時間目を参考にしています。
では、また明日。
すみません。
>>273のエリアの説明を読み返してみたら脱字しててわかりにくかったですね。
ウロウロしているようなのでと恐らく歩ける距離という文章の間に
「それぞれの学園との距離は」
と入れて読むと少しわかりやすくなるかもしれません。
今度こそまた明日。
17氏乙です
早く桜子が死なないかwktkしてるぜ
…えっと未だ死んでないよな?
てか桜子出てきてすらなくね?
全員桜子の存在忘れてました
-END-生存者、桜子
乙!
ようやく楓キタ━━━━(・∀・)━━━━!!!
と思いきや即退場に運動部好きの俺ですら泣いた。
この段階で武道四天王がマーダー刹那のみってのは、先が読めんな・・・
乙
ネギには誰も殺してほしくないな・・・
俺の予想では美砂が生き残ると予想
17氏、1番好きなキャラはなんでしょう?
今から今日の分の投下を始めます。
第四十話
-本部(3−A教室)
ピンポンパンポン
エリア全体に響いた音に再び全員が静まり返り、眠っていた生徒の脳も自然に覚醒していった。
「こんばんは、生徒の諸君。順調に進行しているようだね。では死亡者と禁止エリアの発表に移るとしよう
死亡した生徒は出席番号12番古菲、出席番号14番早乙女ハルナ、出席番号26番Evangeline.A.K.McDowell、出席番号31番Zazie Rainyday。以上四名
次に禁止エリアの発表だ。禁止エリアはC、高等部全体。今Cのエリア内に居るものは二分以内にそこを離れるように。では、引き続きゲームを楽しむように」
「まさか一日で約半分もの人間が消えていくとはな」
ナギが覗き込んだ兵士が操作しているパソコンの画面には生存者の名前が、
隣に並んだパソコンには様々な場所に設置された監視カメラの映像が映し出されている。
「数時間後、夜が明ける。そろそろ準備しておけよ」
髪を束ねなおしたネギがその声に立ち上がると杖を握る。
そして身体を男へと向けネギの固まっていた表情が柔らぐ。
「はい、ナギ・スプリングフィールド様」
第四十一話
「どうしようかな…」
夏美は自分が優勝できるとは到底思えないが、生きることを諦めたくはなかったので抱いたバックの中に手を忍ばせナイフの柄を握っていた。
何故優勝できないと考えているかというと夏美以上に頭がキレる人物は沢山居るし、夏美以上に身体能力が高い人物も沢山居た。
だから風が吹いて草木が音を立てるだけでビクビクといちいち反応していたし、一分に二回くらいは辺りに誰か居ないか確認していた。
誰かが居て乗っているようだったら逃げて、襲い掛かられたら反撃、乗っていない人が居れば仲間になる。
RPGで戦闘モードに入ったときに出てくるような選択肢が頭の中に浮かんだ。きっと千鶴に逢うまではこれで持つだろう。
そんな時、背後から誰かが自分の名前を呼ぶ声がしたのだ。
「な、夏美さ……!」
息を荒げて葉加瀬はこちらに向かって走っている、狂った古菲付きで。そのまま追いつかれては自分は巻き込まれてしまう。
夏美は二人から逃げるために走り出す。何とと言われようが自分で自分の身を護るためなのだから仕方無い。逃げているときはそう思っていた。
距離の差を確認するために再び振り返ると葉加瀬は居なかった。歩いて追ってきているのは古菲だけ。しかしよく見れば古菲の向こう側に何かが赤いものを出して倒れている。
それがこちらを向いて、口を動かした。
『ヒトデナシ』
彼女は助けを求めていたのに―――
「あ、アアアアアアアアアアアアアア!!!!」
夏美は叫んだ。それは誰かに危機を知らせるためにではなく、友人を見殺しにしてしまった自分への恐怖を表している。
殺されそうになっている人のために何かをしようともしなかった自分が恐い。自分という人間が恐くて恐くて仕方なかった。
「私が、私が……」
髪の毛を掻き毟り目に雫を溜めて自分を責めた。責める度に葉加瀬が自分を呼んでいるときの顔が脳内にフラッシュバックする。
我慢ができなくなったナイフで手首を切ろうと、手首に刃を当てた瞬間、頼んでもいないのに刹那とこのかが助けに来た。
逃げろと言われると夏美は全身全霊を込めて走った。そうすれば現実から逃れられると思って、止まることなく見えないゴールに向かって走りまくった。
私は聡美を見捨てた。私は聡美よりも自分の命を選んだ。私はロクでなしの下等動物。私は人のために何かをしようという心さえ持ち合わせていなかった。
「私は何もできなかった私は弱い何で弱いの何でいつも皆に頼っているの私はいつだって―――」
そう、私はいつだって無力だった。頼られるのは他の人、何をするにも、いつだって私より上の人が居たから。勉強も運動も部活もスタイルもどんなものだってそう。
私より下の人だって何かしら取り柄を持ってて、私だけ中途半端な存在だった。クラスの皆は優しいから「夏美には夏美の取り柄がある」だなんて言って。
私の取り柄ってなに?私には何の力がある?所詮皆が言っているのは奇麗事。私だって今、実際にクラスメートを蹴落として自分だけ逃げた
―私は何もできない人間。私はロクでなしの下等動物。中途半端。
――違う、私はそんな人間じゃない!
―私は聡美を見捨てた。私は聡美よりも自分の命を選んだ。ただの弱者。
――ヤメテ、チガウ。ワタシハソンナニンゲンジャナイ。
「違う。私は弱くなんかない。強い、誰よりも。途中でくたばった聡美が悪いだけ!」
「私は、皆とは違う。
こんなところで、死んでたまるか!」
――そして今、夏美は一人で自分の獲物となるクラスメートを捜して回っていた。
「フフフ、誰が一番になるのかな?」
第四十二話
亜子は中等部までの一本道を止まることなく走り続けていた。
茶々丸を残していくのには抵抗はあった。実は今でも気にかかっているのだが自分の気持ちを無視していた。
茶々丸は言った。『私は後から追いつく』と。その言葉を信じてひたすら前へと進んでいた。
だが今亜子は走ってきた道を引き返している。整っていた呼吸をひどく乱して。
放送の合図が鳴って亜子は戸惑った。一度目の放送は傍に茶々丸が居てくれたから耳を向けることができた。
しかし今隣には誰も居ない。一人で失ったクラスメートの死を知ることが怖かった。
それでも茶々丸は必死に今戦っているのだ。怖がってばかりではいけない。
そう思ってクラスメートの名を一つ一つ聞いていった。すると四番目に呼ばれた名前がエヴァンジェリンだった。
いくら茶々丸がロボットでもいつも一緒に居たエヴァにもう逢えないことを知ったら―――
その先を考えるのはさすがに怖くなってやめたが胸騒ぎはおさまらない。
亜子は必死に走る。まるで視界の端に過ぎていく木々の方がが走っていっているかのように感じた。
「茶々丸さん――!」
大地を蹴ると噴水公園内にようやく足を踏み込んだ。
先刻茶々丸と刹那が対峙していたところへと目をやるともうそこには刹那の姿は無かった。
それじゃあ茶々丸は、と地面に視線を這いずらせる。
「そんな!」
胴体は砕かれ部品は周辺に散らばっている。首から上は数メートル先に転がっていた。
血の流れていないロボットでも亜子の精神は狂いそうになった。
「茶々丸さ――」
ガッ
最初に茶々丸たちが隠れていた木の裏側から出てきた刹那が亜子の後頭部に鎌を突き刺した。
鎌の先端が亜子の左目を追い出して、高い位置から落ちた目玉は地面との衝突により地面に溶ける。
「おかえりなさい、和泉さん」
【和泉亜子死亡 残り14名】
第四十三話
-工科大学保健室
その頃宮崎のどかは那波千鶴と周囲に気を配り明かりをつけずに休息をとっていた。
面倒見の良い千鶴はずっと泣き止まないのどかの背中を撫でてやっている。
「大丈夫。大丈夫よのどかさん…」
「うっ、うっ…ひぐっ」
のどかは先ほどの放送で親友のハルナの死を知ってしまった。
どんなに優しい言葉をかけられても、そんなに強くないのどかが立ち直ることはそう簡単なことではなかった。
千鶴も理解していたため、些かの苛立ちも感じたりはしない。
「のどかさん、ちょっと眠ったら?私が見張っておくから…少し休んでおきなさい」
「で、でも」
「誰か来たらちゃんと起こすから」
「うっ…あ、有難う…ございます」
のどかはようやく涙を抑えつつハルナのことを頭から遠ざけようと、千鶴の気遣いに甘えてベッドに横になった。
千鶴は子供をあやすかのように小さく子守唄を口ずさみながらリズムに合わせてのどかの肩を軽く叩く。
落ち着いているように見せているが内心、不安で堪らなかった。
妹のように可愛がっていた村上夏美が無事かどうかずっと気になっていたのだ。
先ほどの放送では名前が呼ばれなかったことに安堵はしたがあれから少し時間が経った。
生存していたとしても、『夏美』のままで居てくれているだろうか?
最後に言葉を交わしたのは今朝だった。でも今日は珍しくバタバタしていたので会話という会話はしていない。
もし夏美より自分が先に死ぬことがあったなら、きっと傍で見守っていよう。
もし自分より夏美が先に死んでしまったなら、きっとすぐに後を追おう。
「私ったら…何心配しているのかしら…」
信じなくては駄目だ。
「大丈夫、大丈夫よね」
きっと夏美なら――
千鶴はのどかが眠ったのを見届けると気分転換に校舎の周りを歩いた。
周りとっても一周しているわけではない。ただ入り口付近をフラフラと歩いているだけだ。
活動音の止んだ今の時間帯に一人で歩くのはただでさえ怖いのだが自分の現状もプラスすると恐怖が大きくなる。
鮮明に空に掛かる凝縮される月明かりのみを見つめながら歩みを繰り返している。
静かに横切る夜風に髪をそよがせるその姿は何て美しいのだろう。
「夏美ちゃん…」
のどかの前では一度も口に出すことはなかった夏美の名前。
それはのどかへの彼女なりの気遣いだった。自分が弱音を吐いていたらのどかが甘えられなくなってしまう。
「…?」
入り口の辺りから人の気配がしたため視界から空を引き剥がすと慌てて玄関の扉の影に身を潜めた。
相手が懐中電灯を点けていたためこちらからあちらの様子を窺うことはできた。
必死に目を凝らすとそこには再会を願っていた人物、夏美の姿があった。
「な……――」
夏美が無事だったこととまた逢えたことの喜びから千鶴は涙した。
そして警戒を解いて夏美の元へと駆け寄った。
「夏美ちゃん!」
「ちづ姉…!だ、駄目だよそんな大声出しちゃ…」
夏美を抱きしめると肩に額を乗せて安堵の息を漏らし、ひたすら泣いた。
見たことのない千鶴の一面を見て一瞬驚いたが夏美も抱きしめ返した。
「それにさ、ちづ姉…」
途端に千鶴は腹部に痛みをおぼえた。何か鋭いものが刺さっている気がする。
夏美が短刀を引き抜き離れると千鶴は身体を支えていたものが無くなってその場に倒れた。
「無闇に人を信じちゃ駄目だよ」
刃先を天へと向けると月明かりが血の付いた銀色を照らした。
そして夏美の足音が段々小さくなっていき、とうとう聞こえなくなってしまった。
「のど…かを守らなきゃ……」
腹部に負った傷を押さえ這いつくばって保健室へと向かった。
一番信じていた人に裏切られ絶望を感じさせる瞳を震わせながら。
今日の投下はここまで。
>>280 好きなキャラを殺すのも結構好きですよ。
乙。>288の一言で17が好きになった。
好きなキャラを殺すのも好き(´・ω・`)
良ければ教えて頂きたい。
夏美がちづ姉を殺すのはちょっと悲しくなった…
夏美は最後はいい形で終わって欲しいな
投下乙
今回はポエム?ないのな
それより誰が生きてるか解らんorz
跳び箱(空気) 夏美 アスナ ゆえ 本屋 刹那 超 まき絵 千雨 千鶴 美砂 後3人いる筈だけど…
よくつずいているなぁ、頑張ってください
>>293 桜子=跳び箱で
朝倉とさよか…普通に抜けてたぜorz
後一人いるんじゃないかな
ざじーは?
いんちょ
>>290の跳び箱(空気)ってのを見て
あ、美空か
と思って疑わなかった俺は氏ね
さらに美空が死んでいることすら気づかなかった俺もっと氏ね
17氏よ
誤字脱字の修正ぐらいまだできるだろ?
気になっちゃう俺を許してくれまいか?
どこかちゃんと言ってやれよ
俺がと゛このことか気になるわ
ああ脱字があったね
誤字もあったろ
て になってた。
ってかそんなのどうでもいい。
それなりに17はがんばってる。
ただ要求するとすれば自分9時には寝るから8時半頃投下して欲しい。
まぁただのわがままなんでスルーしていいが…
>>298>>300>>301 すみません、教えてくれて有難うございました。
>>301 すみません。今みました。
別に私はバイトが終わる18時以降なら何時でも良いんですがあまりに早かったら皆さんが気持ち悪がると思ったので九時ごろ投下してます。
そのような要望があるのでしたら用事が無い日は八時半頃投下するようにしますね。
今から今日の分の投下を始めます。
第四十四話
「要するに神楽坂を捜しだして魔法無効化を利用し、首輪の解除魔法を掛けて外しゃいいっつーことか」
魔法とは非現実的なものである。最初まき絵は現実主義者の千雨が簡単に魔法の存在を認めたことに驚いたが、
話を聞いている内に千雨が魔法に関係していることを理解した。今は関係無い仮契約の話ももしかすると後に役に立つことになるかもしれないと思い超はまき絵に説明した。
ネギとキスを交わしたらしい千雨に些かヤキモチを焼きながらも真剣に話に耳を傾ける。
そして相手の正体、一番聞きたかった首輪を外す方法を二人は知った。
「でも、誰が魔法使うのー?魔法って誰でもかけることできるの?」
「……オイ、超テメー、ちゃんと考えはあるんだろうな」
確かにこの方法でいくには魔法使いが一人居なければ成立しない。魔法使いのネギが操られている今、誰が呪文を唱えれば良いのだろう。
「千雨サン。私はサウザンドマスターとネギ坊主の子孫ヨ?」
「………」
「もしかして私の武器はカシオペアだけと思てたネ?」
「………」
麻帆良祭の夜のネギ対超の最終戦を観戦していなかった千雨はあの時茶々丸と必死に闘っていた。
そのため超の身体に刻まれた呪紋回路のことをまったく知らなかった。
超は自分の身の起きたことを二人に説明した。
まき絵は話を聞きながら泣いている。超はまき絵の涙に胸が熱くなった。
「頑張ったんだね、超りん…」
まき絵が零している涙に『可哀相』だなんて感情は一欠けらもない。
「……フフ、まき絵さんのような人が私の傍に居てくれたら良かただろうに」
千雨たちにとっての現在は超にとっての過去。二人には未来の世界がどうなっているのかだなんてわからないが、
超の感じた恐怖、辛さ、痛みを理解することができないことが悔しかった。でも一つだけ分かったことがある。
自分の未来を救おうと自ら動き、自分の過ちに気付いて未来で感じた全ての感情、悲劇を受け入れることの強さが、超にはあるということだ。
「…まき絵、そろそろ動けるか?」
「え?あぁ、うん。大丈夫だよ」
千雨が超に対して何も言わなかったがその話を改めて聞いて無感情だったわけではない。
きっと彼女は彼女なりに超に気を遣ったのだろう。それを理解して超は薄く笑みを浮かべた。
「っていっても、麻帆良は広いぞ?この中から神楽坂一人を捜すなんて…」
どう考えても不可能な話だ。適当に捜していたって日が暮れてしまう、挙句の果てには日付が変わってしまうかもしれない。
そんなことしたら首輪が爆発して死んでしまうではないか。
「そうそう、言い忘れてたネ。ここに来るまでに確認した鳴滝姉妹の片われの遺体の傍のバックから、これをもらてきたネ」
そう言いながら腰元に下がったバックの中から取り出したのは首輪探知機だった。
画面の中心で点滅している赤い小さな三つの丸は、超・まき絵・千雨を示しているのだろう。
「それを早く言えっつーの。…あぁ、だから私たちがあそこに居ることがわかったのか?あんなところ普通ならあんまり気付かないだろう」
「まぁ、そんなところネ。でもあぁいうところこそ気付かれたりもするから、気をつけたほうが良いヨ」
超の言うことにも一理ある。かくれんぼのときだってそうだ、鬼に見つからないよう何かの裏や中、あまり人に知れていないところに隠れる。
まき絵が怪我をしたときは心中かなりテンパっていたからそこまで気が回らなかったのだ。
何だかそんなつもりはなかったのだが超に助けられたというような感じがして、千雨は恥をかいた気分になってしまった。
「それに…明日菜サンのことネ。きっと仲間を引き連れて、本部に乗り込むためにいつかは中等部エリアに来るはず。だから中等部エリア内で張っておけばきっといつかは合流できるヨ」
そんなことを言っている内に画面の右端に赤い円が二つ見えてくる。
「むむっ、反応があたようネ。…二人、この近くに居るみたいヨ」
「…行ってみるか」
千雨は息を飲むと先頭をきって歩き出した。
【超鈴音 首輪探知機入手】
第四十五話
「宮崎さん、おめでとうございます。優勝者は貴方です!」
大人たちがのどかとネギを囲んで、拍手の喝采を送った。首元に重みを感じないと思いきや、一日中つけていたはずの首輪が無くなっている。
生き残るために殺してきた人々の血が制服を赤で塗りつぶしていた。
「私が…一人で?夕映や、ハルナたちは…」
周囲を見渡すが親友の姿はどこにもない。見たことのある教員の面々といつか見たヘルマンという老人がそこには居る。
「何を言っているんですか、のどかさん。夕映さんもハルナさんも、貴方が殺したんですよ!」
「え?」
その時、のどかの足元から闇が広がっていき、最終的には暗闇の中心にポツンとのどかが立っているだけの景色になった。
今まで居たはずのネギ、大人たちの姿がどこにも居ない。そしてふと足元に視線を落とした。
「キャァァア!」
自分が足場にしているのは何と親友たちの死体だった。そのずっと下にはクラスメートの死体が山積みになっていて、のどかは高い位置からそれを見下ろしてしまった。
のどかが悲鳴を上げると、足元が突如崩れ身体が闇の彼方へと堕ちていった。
「!!!」
あまりにも衝撃的な夢の世界から脱出したのどかは素早い動作で布団を剥いで上体を起こす。
疲れを癒すために仮眠をとっていたはずなのに逆に疲れてしまった気がする。息を荒げながら隣についているはずの千鶴の方を見た。
「…あれ?」
だがそこには千鶴の姿は無く、自分のバックが放ってあるだけだった。千鶴が居ない以外は何の変哲も無いようだ。
だから手洗いに行っただけなのかなと考えたが、今の夢を見て一人で居るのはさすがに怖い。
行くとすれば隣の職員トイレだろう。のどかはベッドから降りるとバックを肩にかけ、千鶴が行ったと思われるトイレへと向かった。
このタイミングであんな夢を見ると精神的に非常に弱まってしまう。それにこの時間帯の学校だ、身体の震えを抑えきれない。
「ち、千鶴さん…よくこんな暗い中を一人で……」
あれだけゲームに対して恐怖心を抱いていた千鶴でも、幽霊やオバケなどの類の話をして怖がっているところは見たこと無い。
寧ろ楽しんでいた気がする。
「夏美ちゃん!」
「え!?」
その声は確かに大人びた千鶴の声だった。窓の外を見ると校門の方に千鶴の方向を見つめている人物の姿があった。
月明かりのみを頼りにするしかないのであまり正確に誰とは言えないが、千鶴が躊躇いなく駆け寄っているし先ほど呼んだ名前から考えて、それは夏美なのだろう。
再会を願っていた千鶴の想いが神様に届いて奇跡が起こったのだ。そう思いながら邪魔するのも悪いかなとじっと、その光景を見つめていた。
しかし夏美を抱きしめる千鶴の影を見ると腹部から何か尖ったものが飛び出だしたように見える。
そして次の瞬間、夏美が倒れてくる千鶴の身体を避けるようにして退き、千鶴を放置したままこちらに向かってくるではないか。
何が起きたのか解ったのどかの頭の中には千鶴の元へ行くか、この場から逃げるかという二つの選択肢が現れた。
相手は自分が千鶴と一緒に居たことを知らないため、きっと今すぐ逃げれば見つかりはしないだろう。
千鶴の元へ駆けつけている時間は無い。今他人のことなんか考えている暇などないのだ。
だがこういうときに限って千鶴の日頃の良い噂や目にしてきた親切、支えてきてくれた千鶴の言葉が脳裏を過ぎる。
「……千鶴さん!」
玄関で夏美と鉢合わせしないように窓枠に足を掛けると開いた窓から外へと出た。
と、ここまでは格好ついたものの運動神経の無いのどかはしっかり着地することができず尻から地面へと落ちた。
「あぅ〜…!」
「誰から逃げてるの?のどか!」
小さな音さえ聞き逃さなかった夏美は、窓ガラスを介してこちらを見て不敵に笑ってみせた。
第四十六話
-世界樹
「何だか眠くなってきちゃった」
世界樹に到着した美砂は木に寄りかかるとそのまま身を地面へと引きずり落とした。
背中が木に摩擦して座った後で痛みに気付くが撫でて痛みを和らげるしかない。
数時間前には夜空に散らばっていた星も、煌々と地上に光をもたらしていた月様も今は見当たらない。
一日中歩くというのも辛いだろうが美砂のように一日中気を張らして同じ場所に留まっているというのも結構体力がいる。
「…そういえば私…エヴァちゃんと何話してたっけ……」
美砂が最初に目撃したクラスメートのエヴァ。恐らくエヴァが最後に目撃したのは自分だろう。美砂は自分が意識を失う前に彼女と何か会話をしたのは覚えていた。
しかし会話の内容を思い出そうとするがなかなか記憶を引き出すことができない。それがもどかしくてイライラする
どうしても思い出そうと無理に思考を巡らせるものの考えれば考えるほど別のことが思い浮かんでくる。
これは諦めるしかないと悔しそうに息を吐く美砂。気になるという気持ちはまだ残っているというのに。
「皆…何やってんのかなー」
そういえば放送で桜子の名前はまだ呼ばれていない、前回の放送までに呼ばれた人数は約半分。
当然それからも動いている人間は少なくないだろう。それに朝倉の名前だって呼ばれなかったのだから、今朝倉に襲われている人だって居るかもしれない。
もしかしたら一気に人数が減ってしまっているのかもしれないのだ。こんなに不安な気持ちになるのなら定期的に放送を行ってほしいと思った。
きっとそうなればそうなったで真逆のことを思ってしまうのだろう。
今まで読み上げられてきた名前を脳内に並べていく。忘れよう忘れようと思っていた円の名前が最後の最後で出てきてしまって泣きそうになった。
ずっと一緒に居たし今日の朝まで楽しく話していたのだから、美砂には円の死を受け入れることができなかった。
テレビドラマでこういう展開になったとき、物語の世界に入ったように激しく感情移入する人と物語の世界は物語の世界だときっちり区別をつけ人間は儚いな、
くらいしか思わない人間の二種類が居るが美砂は大抵、後者だった。ああ、死んじゃった可哀相にくらいしか思えなかった。
だがそういうことが現実で、しかも自分がそのドラマのような物語に巻き込まれていて、身の回りでクラスメートが死んでいっているのだから、
もしかして自分は今まで非情だったのかもしれないなんて考える。
きっとこの出来事がドラマ化されて視聴者がああ、コイツ死んだんだ可哀相になんて言われたらきっと自分は発言者を殴るだろう。
もしこれまでに観てきたドラマで、馬鹿にしたような言葉を掛けたものがノンフィクションだったなら美砂は土下座してもいいくらいだと思った。
端から見ればしょうもないと思うのかもしれないが自分が美砂の位置にたてばきっとわかる。
「…………そろそろ寝ても大丈夫よね」
色々と考えている内に、クラスメートではなく睡魔が美砂を襲ってきた。
グラウンドでは何とか堪えられたものの二度目は駄目だ。とうとう深い眠りの中へと入っていった。
以上で今日の分の投下は終わりです。
一応二回くらい、改めて読み直しましたがもしかすると誤字や脱字があるかもしれません。
そのときはまたコッソリ言ってやってください。
それから首輪について「?」って思った方も多々居られるかと思います。
恐らくそのことについて書き込みがあると思うので先に言っておきますが、後から詳細が出てきますので少しお待ちください。
ちなみに好きなキャラは五月・超・チア三人・刹那です。
ではまた明日。
乙。
じゃあそいつらは死ぬのかな・・・?だが超は生き残りそうな雰囲気だな・・。
わざわざ8時半に投下してくれるとはありがとうございます。
光栄です。
これからもがんばって下さい。
てか別に8時半に投下してもきもいとか思わないよ
俺的には何だかんだでアスナが残りそう
今から今日の分の投下を始めます。
第四十七話
-クラブ棟
遂に見つけてしまった。捜していたはずなのだから目標が自分から目の前に姿を現してくれたことは、本来なら喜ぶべきなのだろう。
助け出さなければ、相手を殺さなければ、そんな感情の中に逃げてしまいたいという気持ちが生まれてきた。
だがここまで来たのだからそう簡単に背中を見せるわけにはいかない。さよは一度固めた決意が揺らぐのを何とか止めた。
「朝倉さん…その血……」
相手が握っているのは透明のビニール傘…だったのだろうが、今は『赤い傘』になっていた。
それに制服だって少しも白い部分が見当たらない。きっとこれまでに何人ものクラスメートたちに手を掛けてしまったのだろう。
「さよちゃんじゃん。さよちゃんが私を楽しませてくれるってわけ?」
まさか朝倉からこんな言葉が出てくるとは思っていなかった。
千雨たちの会話を盗み聞きしたとき、実際は心のどこかでは多少疑心を抱いていた。
(だって朝倉さんだもの。朝倉さんがほんとに友達を殺すなんて、思えないもの)
そんな気持ちが残っていたのだ、今の今まで。でも身体中を真っ赤に染めている朝倉を自分の目で確認してしまったのだ。
もう現実と向き合うしかない。彼女の中にはもうさよが大好きだった朝倉和美という存在は残っていない気がする。
朝倉の焦点は、さよと一致していなかった。もう完全に狂っている。
「朝倉さん、貴女は私が止めてみせます」
まだ使ったことのない銀色のダガーを取り出す。このゲームで使ったことがないどころか生前でも人に向けたりはしてないのだろう。
刃先を相手に向けただけて今から人を、クラスメートを、親友だと思っていた人をこれで刺し殺すんだと思うと恐怖心が湧き上がってきた。
それでも自分の気持ちよりも親友を救い出すことを優先しなければと思った。それがただ一つ、さよにできることなのだから。
朝倉が傘を振り回すと付着した血の雫が飛び散ってさよの頬に凝着した。目の中に入るのを防ぐために片目を伏せる。
すると耳元で風を切る音が聞こえた。死角から物凄い速度で傘が襲ってきてさよは右腕を下敷きにして倒れてしまう。
「う…」
「まだ、まだ戦えるでしょ!?ねェ、さよちゃん!」
打撃を受け一時的に意識が朦朧とする。しかし心の中で何度も自分の使命を唱えて意識が遠のいていくことを防ぐ。
そんなことをしている内に朝倉が傘の柄を両手で握り先端を足元に倒れているさよに向けた。そのまま一直線に落ちてくるがするどい先端は土に埋まった。
次はさよの番だ。アレコレ考えるのは止め、朝倉を仕留めることだけに集中し狙いを定めてダガーを突き出す。
その攻撃を朝倉は持ち前の瞬発力と反射神経で回避し、地面から引き抜いた傘をそのままその勢いを利用してさよの方向に振った。
触れそうになる直前まで気付くことができなかったため無理な体勢で避けてしまい、足元がもつれ数歩後退して壁に背がぶつかった。
これでは追いつめられてしまう、そう思った瞬間相手からの次の攻撃だ。容赦なく今度は傘の先端が髪をすり抜け壁を突き、即座に移動した所作で先端の下敷きになっている髪の毛が数本切れる。
さよは肉体を与えられたといっても何十年も運動をしていないため体力の消耗は早い。情けない話ではあるがここまで来る途中だって何度も休憩をとっていた。
別に自分の力を過信していたわけではない。ただ朝倉を止めたいという想いしかなかったので、自分の力など考えていなかった。
さよは既に肩で息をしていて、額からは汗が一筋流れている。圧倒的に押されているのはさよだった。きっと傘だけでも奪うことができれば後は簡単な話なのだろうが、そうはいかない。
実際にさよが左側から襲ってきた傘を掴もうとしたが物凄い速さなのでもろにくらってしまった。
もしこの攻撃を何度も受けて、尖った先端で刺されでもしたらきっと死に至ることになってしまうだろう。そうすればきっと朝倉は今までの何十倍、何百倍と後悔してしまう。
支援
「…朝倉さん。早く…早く助けてあげますから…!」
何故か朝倉の動きが一瞬止まった。その時、少しだけいつもの『朝倉さん』がそこに居た気がする。
さよはこの機会を逃さない。余った体力全てを使い朝倉の背後に回る。朝倉の大きな背中にダガーで赤い斜線を深く引いた。
「ぐぁああっ!」
切り目から溢れ出す朝倉の血が元々制服に滲みこんでいたクラスメートの血と混じり合う。
さよの瞳から流れる透明の涙は、朝倉の返り血がついた頬を通って赤い色をつけた。
「…さよ……ちゃん。サン…キュ……」
元の朝倉はもう居ないと思っていた。いや、実際にそうだったのかもしれない。
もしかするとさよの強い意志が届いたから本当の朝倉を引き出すことができたのかもしれない。
「朝倉さんこそ…」
親友を救うことができた、親友を失ってしまった。
「朝倉さんこそ、独りぼっちから救ってくれて、有難うございました…」
その涙が安心の涙なのか、悲しみの涙なのかはわからい。答えはどこにもないのだ。
つい今できた赤い水溜りの上に、腰を落とす。雨が降っているかのように、その水溜りに何度も波紋ができた。
「終わったんだ…」
まき絵たちがさよたちの居る場所に辿りついたのは闘いが終わる数分前のことだった。
最初は千雨とまき絵がさよに加勢するために出て行こうとしたのだが野暮なことはするなと超に阻止されて二人の闘いをずっと見ていた。
親友と救うために傷だらけになりながら、体力の限界も近いはずなのに諦めなかったさよと朝倉の闘いに横入りするのは確かに出すぎた行動かもしれない。
戦闘が終わり泣いているさよを三人はずっと見つめている。いや、見守っているという言い方のほうが相応しいかもしれない。
少しそっとしておいて、落ち着いた頃にでも声を掛けてあげようと思っていた。
大好きだった朝倉を自分の手で殺してしまったのだから、そう早くは落ち着かないだろう。
魔法が掛けてある首輪なんて無かったらさよが朝倉を殺さなくて済んだはずだ。そう思うと千雨は怒りで腕を震わせた。
「……」
千雨に身体を支えてもらっているまき絵がそれに気付くが、超が目で合図を送ると小さく頷いて返答し何も言わずにさよたちへと視線を戻した。
まき絵だって、超だって、本当はこのゲームのシステムに対して腹を立てているのだ。
二年間育んできた友情を無理やり壊して、大好きなクラスメートを殺させ、大好きだったクラスメートに殺される。
こんなことを好んでする人なんか3年A組には居ないはずだ。少なくとも三人はそう信じている。
どんな理由があろうとそれは人を傷つけていることにしかならない。あとでどんなにすごい物を得たとしても、クラスメートを失うくらいなら賞金をどれだけ積まれたってそんなもののために動いたりはしない。
三人は心の中で、早くゲームを終わらせようと強く誓った。
【朝倉和美死亡 残り13名】
第四十七.五話 Kazumi asakura
高ぶる感情のコントロールは不可能で。
少しずつおかしくなってくる私が恐かった。
でも貴方に逢えた瞬間、
もしかしたら、って思えたんだ。
有難う、 。
第四十八話
「ひゃっ…!」
夏美が窓枠から身を乗り出してのどかの髪を掴もうとしたが寸前のところで何とか逃げることができた。
こんな展開は幽霊やオバケが出てくるよりも何倍も恐ろしい。今まで自分たちは殺人鬼を捜し回っていたのかと思うと夏美を心配していた自分や千鶴が哀れで仕方ない。
のどかは魔法の修行で少しではあるが体力はついたため今までより少し速いペースで千鶴の元へと向かった。
「千鶴さんー!」
廊下から外を眺めていたときは確かにここに千鶴が横たわっていたはずなのだ。それなのに足元には人間の身体は見当たらず、赤い血が広がっていた。
それから視線を緩慢な動作で右側へと滑らせる。すると何かを引きずったような痕跡とそれによってできた赤い川が見えた。
まさかと思ってのどかは再び目前の玄関から室内へと戻る。どうしようなんて考えている時間なんて自分には与えられていない、その行動はのどかの本能だった。
「…は……わたし……る」
「この死にぞこないっ!」
廊下の真ん中で、千鶴は夏美の足に腕を絡ませ抱きついている、夏美がのどかを追えないようにしていたのだ。
叫びながら何度も何度も千鶴の背に刃物を突き刺す。その度に千鶴の身体はビクッビクッと反応していたが夏美を解放しようとはしなかった。
周辺には物凄い量の血が飛び散っていた。人間の体内に流れる血の半分ぐらい無くなっているのではないかと疑えるくらいの多さだ。
同じ音程で延々と呟き続ける千鶴の言葉は、耳を澄ましても少し聞き取りにくいが何とか理解することができた。
「のどかはわたしがまもるのどかはわたしがまもるのどかはわたしが…」
夏美とは違った意味で狂ってしまっている気がする。そりゃあ千鶴は夏美を信じていたのだから、こうなってしまったのも無理はないかもしれない。
しかし何度も背を刃物で刺されているのに何故まだ生きているのだろう。死んでほしいなんて想いは一寸も無いが少し不気味だ。
それにいくら狂ってしまったといっても神経が通っていないわけではない。痛みだって感じているに違いないのに…。
「千鶴さん…もう、もう止めてくださ……」
「離せ!離せ!…離してよ!!」
足を激しく動かして千鶴の腹部に蹴りを入れた。口から血を吐き出しそれが夏美の靴の上に落ちて、靴下にまで染み生暖かさが伝わってくる。
しかしそんなことを気にはできなかった。千鶴は壊れた玩具のように笑いながら、夏美の足にしがみついている。
こちらを見上げる千鶴の笑顔から放たれる狂気。その力はクラスメートを裏切り殺そうとしている夏美のものより強く、二人を恐怖で戦慄させた。
「フフフフ、ウフフ……」
のどかは千鶴を助けるために逃げることはしなかったのだが、どうすれば良いのかがわからなくなってしまいそこに立ち尽くすことしかできなかった。
開いたままの千鶴のバックからは鋏の柄が顔を出している。まるで自分の存在を千鶴にアピールしているかのように。
それに気付いた千鶴は鋏を取り出した。柄をしっかり握って鋭い先端を夏美の顎辺りまで伸ばして、遊んでいるかのように左右に降った。
「や、止めて…止めてよちづ姉………怖い…怖いよ……あぶ、危ない…」
「のどかはわたしがまもるのどかはわたしがまもるのどかはわたしがまもるのどかはわたしがまもるのどかはわたしが」
グサッ
鋏が夏美の左胸…心臓付近の位置を襲った。しかしそれはあくまでも付近であって心臓に直接刺さってしまったわけではない。
痛烈な痛みが夏美の身体の中で走り回る。
「ぎゃあああああああああああああ!痛い!痛いよちづ姉!止めて、止めてよのどか!お願い…!」
止めてと言われても気の弱いのどかだってそんな過激なシーンの中へ飛び込めるはずもないし、完全に身体の力が抜けてしまっていた。
地面にへたりこんで視線は一点を見つめているだけ。夏美の声はのどかに届いてなどいない。
夏美の言葉など無視して千鶴は鋏を突き刺したまま、ゆっくりゆっくりと、彫刻等で板を彫るようにして夏美の身体に鋏の先端で線を引いていく。
「痛いいいいい!お願いちづ姉、さっきのことは謝る!謝るか…」
「許さないからね、夏美」
鬼のような形相で夏美を睨みつけた後、スカートの裾を掴んで鋏を引き抜き、今度は正確に心臓を狙って鋏を再度刺しトドメをさした。
ここで千鶴の体力も限界に達し、夏美の身体の上に覆いかぶさるかのようにして倒れ、息を引き取った。
【村上夏美、那波千鶴死亡 残り11名】
今日の分の投下は以上で終わりです。
それから早めに言っておきます。
来週月火は旅行のため二日連続で小説の投下をお休みさせていただきます。
ですから水曜日には少し多めに投下しようかなと思っています。
では。
乙!!!!
朝さよにぐっときたとおもったら・・・鬱orz
聞いておくが・・17氏は嫌いなキャラとかいる・・・・?
わざわざ8時半に投下ありがとうございます
これで気持ちよク寝れます。
好きなキャラを
すぐ殺される、活躍する、マーダーと贔屓なく上手く使い分けてるとこに好感が持てた。
17氏、これからもがんばって下さい
×親友と ○親友を
×彫刻等 ○彫刻刀
でいいのかな?
ま、そんなの気にせず乙。
月曜の分は日曜、火曜の分は水曜じゃだめかな?
あるあはケータイの方に送っといてその日になったらケータイから投下とか?
ま、17様のすきなように。
>持ち前の瞬発力と反射神経
朝倉は首輪の魔力に操られての力なのか
持ち前の力なのかがよくわからないな
投下乙
>>328 多分二時貫目の初期設定を参考にしたんだとおもう。
多分ね、
11人って
マーダー化した刹那と
超 まき絵 千雨組
ゆえ アスナ組
あと単体で いいんちょ のどか 桜子 美砂 だよね?
いいんちょ あんまり出て来てなかったからそろそろ見せ場かな〜?
何ていうか緊迫したムード等がイマイチ伝わってこないな
親友同士なのに相方の心理描写が薄すぎる
感情移入しにくい感じに受けた
なんか読みにくいと思ったら、前に改行を多用する作者がいてそれに慣れてたのか
乙
感情はちゃんとわかるがそろそろ桜子を・・・・・・・・
>>333 そういうのやめろ
文章の指摘は投下が終わってからにしないか?
書き終わった後だから訂正はできないと思うし。17氏がやる気なくしたらいやだし・・・。
>>331 16氏はこういう時期に明日菜の感動話があったんだよな
まぁムード作りも感情表現も全然下手じゃなかったが…
つまりはなんか心を動かすような話があれば人気はすぐ戻るって言いたかったんだ
なんかやたらと16氏と比較してるがそんなに凄かったか?
まあ、仮に凄かったとしても比較するのは失礼だと思うけどね。
投下乙です。
ロワ久々の朝さよ絡み
和美惚れな俺には充分過ぎたぜ
どう見ても自演
>>336 同意
感情表現はできてたが行動描写はよくわからんかったから俺はまだ工夫してあるこの作品や他の作品のがまだよみやすい
16をよいしょしてる奴らのほうがよっぽど自演にみえるのは俺だけ?
330
さよがっ・・・
あえて言う
総合的な文章力では作者6氏と司書氏が頭一つ抜けている、と
しかし、それぞれの作者にはそれぞれの良さがあるのだから
投下された文章をアラ探しばっかりしてる奴はなんなの?
SSは書く人書く人全員違った個性が出るからいいんだろ
投下中に文句言う奴等は黙って読むこともできないのか
せめてそういうのは作者が全部投下し終わってから言うとかにしろよ
》342
俺今度投下しようとおもってたけど比較厨が居るからあきらめてた
お前みたいなやつがいてくれるからまた頑張ろうとおもえたよ
ありがとう
まほらのはずなのにむじんとうとのちがいがわからないな
ないようおもしろいからいいけど
>>341に全面同意
まぁ17氏もスルーしてるのに住人同士が言い争っても無駄だよな
そもそも文章力で作品の良し悪しが決まるとも限らんしな
そうだ。18はもっと文章力ないかもしれん!
と18が申しておる。
てか完成させてるってだけで評価されるべきと思うのは俺だけ?
流れぶった切ってすみませんが
作者18様はおられるのですよね?
作者19名乗ってもよろしいでしょうか?
昨日完成しました。
>>349 いいんじゃね?
とりあえずコテつけたらヨロシ
今から今日の分の投下を始めます。
支援
第四十九話
あやかは迂闊にもあの後、金棒を握ったまま深い眠りに堕ちていた。
朝日が顔を出した頃、瞼を差す光によって目が覚める。瞳を瞼で二部程覆ったまま周辺を見渡し、序々に脳が覚醒していくとその場に立ち上がった。
表情からは朝の清清しさなど微塵も感じられない。とても不機嫌そうな顔を朝日に晒した。寝ぼけているのか、何故外で眠っているのか一瞬忘れてしまう。
「……わ、私ったら!良かった、い、生きてますわ!もしも誰かに見つかっていたら…!」
だが状況を理解すると大声をあげ自分の手で咄嗟に口を隠す。金棒をバックへと戻すと両指を絡ませ上体は後ろへ、腕は前へと押し出し軽く伸びをする。
先日はアレだけ歩き続けたのだから完璧に疲れがとれることはなかったが、些か和らいだと思う。
凝った肩に右手を乗せて大きく回し、一息つくとあやかは立ち上がって地図を見た。一番人が集まりそうな世界樹に誰も居ないのだから、
一体どこに移動すればいいのだろうと考えた。きっと二日目なのだから本部を襲撃するために中等部区域に集まる人も居るだろう。
一晩経ってもあやかクラスメートとの再会を諦めてはいなかった。
「とりあえず、移動をしている内に誰かに逢えるかもしれませんわね」
そう言って世界樹広場とは逆側の方から顔を出し広場に人が居ないか確認すると、木の陰から出て日光を身体に浴びせた。
妙な姿勢で寝ていたせいか首もとに痛みを感じた。起抜けだからかバックも昨日より重量があるような気もする。
そんなことを考えながら広場の方に一歩近付くと誰かが寝息を立てるような音が聞こえた。
「…か、柿崎さん……?」
音源の方を見下ろすと柿崎美砂が眠っていた。美砂は自分が寝ているすぐ逆側に居たのだ。
もし美砂が乗っていて自分の存在に気付いていたらきっとあやかはもうここには居ないし、あやかが乗っていたら今すぐにでも美砂を殺しに掛かっているだろう。
自分も寝てはいたが何て警戒心の無い人だろうと呆れてしまった。しかも美砂は口を開けているから余計に無防備に見えてしまう。
起こそうかどうか迷ったが、あやかは起こすことにした。起こさず放置していて殺されでもしたら見殺しにしたのと一緒になると考えたからだ。
乗っているだろうと決め付けるようとしないのは、あやかの良いところだ。
「柿崎さん、こんなところで寝ていたら危ないですわ。柿崎さん、起きてください」
「…う……ん………」
誰かが自分の名前を呼んでいる。美砂は夢の中から現実の世界へと引き戻されていった。
「何…、誰?…いいんちょ?何でいいんちょが私たちの部屋に……って、うぁぁぁあ!」
いつもは寮の部屋で目覚めるがここは屋外だ。しかも世界樹広場をバックにあやかの顔が見える。ゲームのことを思い出した美砂が勘違いして催涙スプレーを取り出そうとバックに手をつっこみ、
支給されたコッペパンを武器だと確認せずに出すと相手にそれを向けた。向けた後で自分が何をやっているのか気付いて、命の危機を感じる。
「こ、こここ、殺さないでいいんちょ!こ、これあげるから!」
混乱してしまった美砂は訳も分からずコッペパンをあやかの胸に押し付ける。挙動不審の相手にあやかは疑問を抱いた。
殺さないで、ということはひょっとして自分はゲームに乗ったと誤解を受けているのだろうか。だとしたら少し腹が立つ。
「柿崎さん…。よく考えてみなさい、私が貴方を殺す気なら、わざわざ起こしたりはしないでしょう」
「……あ、そ、そっか。ごめんねいいんちょ」
あれだけ身を取り乱したくせにすぐに態度を一変させる美砂に尚苛立ちを感じたが事を荒げないためにあやかは怒りを抑えた。
「まったく、失礼な人ですわ。でも良かったです、誰にも逢えなかったので」
「私も…いいんちょに逢えて良かったかな?」
「…何故疑問系なのですか!!」
「ごめんごめん」
美砂の胸倉を掴んで怒りの声を上げると美砂はあやかを落ち着かせようと肩を掴んで苦笑いを浮かべた。
平常心を持ったままのクラスメートに一人でも逢えたことだけでまるで日常に戻れたような感覚が生まれ、美砂もあやかも心地良く思った。
第五十話
昨晩初等部保健室にて-
「う…暗くてよく見えないよ…」
アキラの死を目の前にした桜子は実は先程までまだ体育館に居た。別にそこに特に意図があったわけではないが外に出ることがただ少し怖かっただけ。
桜子が暗い中懐中電灯も点けずに暗い廊下を歩いている理由は、誰かに自分がそこに存在していると知られたくなかったから。
それにもしどこかに死体でもあったら見たくなくても見えてしまうだろうからだ。
それでなくても桜子は既に恐怖を体験している。アキラの最期を目の前で見てしまったのだ。しかも自分を庇ってくれたのに見殺しにしてしまった。
いくら能天気とはいえ罪悪感くらいは感じる。暗い気持ちを引きずりながら桜子は一人こんなところに居た。
「これでオバケとゴキブリが出てきたら…色んな恐怖に押しつぶされて死んじゃうかも」
ろくでもないことを呟きながら桜子は延々と続くような廊下を前に進んだ。
確かに夜の学校というのは怖い。麻帆良学園も外装や内装は綺麗だが結構歴史のある学校なのだから、幽霊が居たっておかしくはない。
実際にクラスメートの一人は幽霊だといわれている。きっと他にも居るに違いないだろう。ホラー映画などテレビで見る分はスリルがあって面白いが、いざ自分がこんなところに立たされたら心臓の鼓動がうるさくてしようが無い。
「ちょっと保健室で休んでいこうかな?」
扉の上に掲げられた札に表記されている文字を確認して、保健室への扉を静かに開き一度無人を確かめ隙間から中へと身を滑り込ませた。
桜子はここに来るまで何度か眩暈がするほどの疲労に襲われていたのだが自分に自分は元気だとその度に言い聞かせて精神を保っていた。
ここには三つほどベッドが並んでいて休息にはちょうど良い。
時計の針は深夜の二時をさしていた。皆寝ていてもおかしくないだろうと桜子はベッドへと歩み寄る。
だが何かに躓いてベッドに頭を突っ込んだ。もしかしたらクラスメイトの死体かもしれない。確認するのが怖い。だがこのまま眠ってしまってもし本当にそうだったなら死体と一晩を共に過ごしたことになる。
それにもし朝その場面を誰かに見られてしまったら、酷い誤解を受けてしまうかもしれない。
深く、深く考えた後にこんな状況なのだからきっと自分は考えすぎなのだ、妄想するのはもう止めようとベッドに横になった。
そして今に至る。
窓から差し込む爽やかな朝日と小鳥の合唱が溢れる清清しい朝にも関わらず桜子の重たい瞼は一行に動きを見せない。
足元には蒸し暑さから蹴り払った最早役目を果たさぬ上体維持する布団が丸まっている。
「んん〜…」
クーラーも扇風機も効いていない、真夏の締め切ったままの空間で眠るのは困難なことだ。脳内に描かれていた夢が歪み崩れを見せ始める。
小さく唸りながら一度瞼を開くが明るさに耐えきれなかったため再び伏せ、身体を反転させると白いシーツを両手で弱く握った。
一応は起きているのだが完璧には覚醒しきっていないために桜子は重い身体を起こすことが億劫になり夢の中に戻ろうとそのまま動かなくなってしまった。
もしこんなところをゲームに乗っている人物が見てしまったら即座に殺してしまうだろう。
昨夜あんなに考え込んでいたはずなのに、一度寝てしまったらこうも何も考えなくなってしまった。
それから数分経ってもまだ眠っている。同じ姿勢を保つことがきつくなってきて右側に二回ほどゴロゴロと転がった。
しかしベッドの幅はそんなに広くなかった。桜子はベッドから落ち昨晩自分が躓いた何かにぶつかって床に落ちた。
「…ったァ〜!……」
硬い床に頭をぶつけ表情を不満げに彩る。これは神様が自分に起きろといっているのだろうか、と桜子は不満そうに目を開いた。
そして、やはり起きなければ良かったと桜子は酷く後悔した。
「ギャァァアア!」
隣の何かを不可抗力で見てしまった。しかも相手はこちらを見ていて、視線を交わしてしまったのだ。
それは近衛木乃香の遺体だった。頭からは血が零れだしていて、床まで流れているそれは既に固まった状態だった。
そういえば腐臭がするとは思った。でも死体の臭いなんて嗅いだことが無いため保健室独特の薬品の臭いがしているだけだと思い込んでいた。
最悪な目覚め方をした桜子は霞んだ視界のままバックを手に取り急いで保健室を飛び出る。
今日の分の投下は以上です。
>>327 わわ、すみません。また誤字ってましたか…。
恐らく旅行先では携帯が圏外になってしまうと思います。
ですから日曜、水曜にそれぞれ月曜の分と火曜の分を多めに投下しようと思っています。
では、また明日。
乙
美砂に萌え死んだのは俺だけでいい
というかアレだ、美砂は俺の嫁なんで酷いことになる前に……
まぁとにかく乙でした
美砂に萌えた。
桜子にたった。
コノカを殺したのって未だわからないんだっけ?
\ /
● ●
∵ ∵ 私生き残ってみせる
 ̄
現実を見るのよ、夏美・・・
>>364 あなたが いきのこる なんて とんでもない
誰がこのか殺したんだっけ?
アスナじゃなぃんだろ。
ってかコッペぱん買ってくる
来週、ネギま・絶望先生・ハンマーセッションと1番好きな3つがまとめて休載
そして毎日の楽しみのこのスレが2日続けて休み
来週学校行かない…俺…
すみません遅れました
トリつけて名乗っておきます
371 :
マロン名無しさん:2007/10/13(土) 12:45:27 ID:C1ON8d2r
まとめサイトが更新ないな。
誰か14のスレを保管してる人おらん?
俺、作者16から見出したんだけど今までで1番良かったのってどれ?
いいのあったら読もうと思うんだが
>>372 七(ただたんにいんちょがいきのこったから)
6部のこのせつな展開で泣きそうになった俺
俺は七部が好き
桜子の散り方が良かったから
>>371 その前にアンチが沸いてスレが荒れるからsage進行で。書き込みさえあればsageても保守は可能だし。
>>372 完結してないけど一番最初のやつ
次に作者1氏
3番目が6部の人
作者1は黒歴史……
まさかこんなにたくさんのレスがもらえるとは思いませんでした
6が凄い人気みたいなんで読んでみます。
ついでに自分も授業中書いてるんで作者25までにはなれそうです。
ありがとうございました
俺も6氏の読んでみたくなったなw
ケータイからだとまとめサイト文字化けするんだよな
ケータイで6氏の作品読めるのないかな?
今から今日の分の投下を始めます。
第五十一話
「首輪が…ですか?」
あれから数分して落ち着きを取り戻し移動しようとしていたさよの前に、千雨とまき絵と超が姿を現し、全て見ていたことと首輪のことを話した。
まき絵が励ましの言葉を掛け超と千雨はその件については無言だったが気持ちはまき絵たちと同じだっただろう。
「だから明日菜サンを捜してるネ。相坂サンは明日菜サンを見てないカ?」
「いえ…私は朝倉さんに逢うまでは長谷川さんたちにしか逢っていません」
できるだけ朝倉以外の人物を避けて歩いてきたためクラスメートに遭遇する回数は少なかった。朝倉を止めるつもりで歩いていたのにその前に誰かに殺されたら話にならない。
休憩をとる時だって周囲に気を配りながら何かの影に身を潜めていたため、誰が周辺を通ったかも知らなかった。
もし朝倉以外のクラスメートに出逢っていて、その人が乗っていたらその人のことも殺していたのだろうかとさよは思った。
「残念ネ。探知機だけを頼りにするしか無いカ…しかし範囲が狭いからなかなか見つかりそうに無いヨ」
探知機で捜せる範囲は半径2km程度。都市内はかなり広いのだから、これでは到底見つかりそうにない。
「じゃあ首輪はやっぱり…」
「うむ、魔法アイテムネ。裏の世界でも似たようなことが行われていてこの首輪が使われているみたいヨ、実際に私はそんなゲームに参加したことない上に魔力も封じられているからコレが魔法アイテムだと気付くことに時間は掛かたがネ」
「パソコンで解除できるもんなら、パソコン室に行けば後は簡単なんだけどな…。魔法相手にパソコンが通用するわけねェ」
超は最初パソコン室のパソコンから首輪のデータが入っているはずの本部のパソコンへアクセスした。もちろんそれを行うまで数時間、時間を費やした。
一般人のパソコンにハッキングを仕掛けるなら超にとっては結構簡単なことだが、本部のパソコンのセキュリティはかなり強力なものだった。
ようやく首輪が外せると思ってエンターキーを押したがパソコンの画面に映ったのは生存者には○、死亡者には×が書かれたクラスメート表だった。
首輪のプログラムが一切見当たらない。疑問に思った後、すぐに使っていたパソコンの画面が黒くなり赤い字で『残念でした♪』と超を挑発するような言葉が映った。
しかしちっとも残念ではない。これで首輪を外すためのヒントが得られたのだから。
「で、早くアスナに逢って、仮契約…っていうのをしてる皆がアーティ…何とか…とか、魔法を使えるようになればいいの?」
「そういうことネ」
自分が不利になる魔法が効かない明日菜の身体を利用すれば、超たちの首輪に掛けられている魔法(詳しく言えば魔力を制御している魔法)を無効化してくれるかもしれないと超は踏んでいる。
きっと端から見れば変な絵になってしまうだろうが、この際気にしていられない。
「とりあえず動きませんか?歩いている内に見つかるかもしれませんし…」
確かにその通りだ。このままここに居座ったまま探知機を眺めていてもあっちだって動いているだろうから意味が無いだろうし、少し場所を変えただけでも隅っこに明日菜の番号が映るかもしれない。
その意見に全員が賛同する。だがここでまたもや画面の横端に首輪をしている人物が居ることを示すマークが現れた。何て絶妙なタイミングなのだろう。
「今度もまた、二人組みのようネ。どうやら色々な人が中等部エリアに集まてきているようネ」
反応がある場所は食堂棟の辺りからだ。一人や二人という少人数で居るなら机などが邪魔で身を隠してくれるから、結構便利な場所かもしれない。
四人は顔を見合わせると動き出した。まき絵は相変わらず千雨の肩に腕を垂らしたままだ。千雨はまき絵のペースに合わせて歩いていく。
第五十二話
-本部(数時間前)
「そろそろ動き出しても良い頃だな。ネギ、用意は良いか?」
兵士が操作するパソコンの画面を覗いた後でナギは教壇に腰を降ろしているネギに問いかける。ネギは一睡もせず、この時を待っていた。
壁に立て掛けていた杖を大事そうに握ると時計を見て時刻を確認する。針は六時を指している。そろそろネギが加わわっても良い頃だ。
真夏のため朝日は一時間ほど前に顔を出している。きっとゲーム中なので生存者の大半がそろそろ起きている頃だろう。
初めて行う殺し合い、今からネギは人を殺しに行くのだ。しかも今まで仲良く接していた人を、大切だと思っていた人を自分の手で殺す。
心拍数が高まっているのはネギを信用してくれていた人をネギが殺すときの表情を考えると楽しみでたまらず、ワクワクしているからだろう。
「行ってきます、お父さん!」
-食事棟
「ハァー、まだ歩くの?いいんちょ」
寝起きなのにあれからずっと歩き続けている。変な寝方をしていたため美砂の身体の節々が痛んでいるが条件はあやかだって同じだ。
なのにあやかは休憩をとろうとはしない。昨日の話が脳内を駆け巡っている。もしも十人以上生存者が居れば愛するネギ先生が敵となって現れるのだ。
教室でのネギの様子がおかしいことには誰もが気付いていた。あやかだってその内の一人。ネギが自らゲームに参加するはずがない。
いくら洗脳されていたからとはいえ、クラスメートを自分の手で殺めてしまったことをゲーム終了後に知ってしまったら。そんなネギの気持ちを考えてあやかは今動いている。
ネギのためにも、今生き残っているクラスメートを護れるように皆の傍についていたいと思った。
その想いがあまりにも強いため、早くしなければという焦燥感にかられ、いっぱいいっぱいになってしまい美砂の言葉など耳に入らない。
「まったく、いいんちょってばァ…」
美砂は何を言っても足を止めようとしないあやかを怪訝に思いながらもちゃんとついて歩いている。それを思うとあやかの気持ちをちゃんと理解しているようにみえる。
圏外になっている携帯のディスプレイに映る時刻を見ればもうネギはとっくに動いているだろうということがわかった。
二人は魔法についての知識なんて持ち合わせていない。でもそんな非常識なものが存在しているのは事実だし、並みの人間では対応することはできないだろう。
不可能なのは承知だったが、それ以上にネギのことを愛しているからこそ、こうやって進み続けることができるのだ。
普通ならどこかに隠れて事が収まるまで待つだろう。だがあやかにはそんなこと思い浮かびもしなかった。
とにかく委員長として、あやかのプライドに賭けて、全身全霊を尽くし皆を護りネギをも護ること。それが自分にできることだ。
そんなことを思いながらあやかは角を曲がった。考え事に夢中になって、しっかりと前方を確認せずに。
「――ッ!」
あやかは何者かと正面から衝突した。あちらもこうなることは予測していなかったため小さく声を漏らしていたようだ。
「痛…」
「ア、アスナさん……!」
「いいんちょ!」
無事果たせた再会が信じられず互いに右手を目元まで持ち上げての甲で軽く擦るが、何も起きない。どうやら夢ではないようだ。
あやかが明日菜から視線を横にずらすと綾瀬夕映がこちらを凝視している。きっと背後に立つ美砂もそんな表情をしているのだろう。
相手は明日菜だ。確実にゲームに乗っていないだろう、寧ろ馬鹿馬鹿しくおもっているはずだ。
「「…」」
「も、もう!ちゃんと前を見て歩いてください!」
「不注意はお互い様でしょ!」
その証拠に、いつものように喧嘩を吹っかけるとあっさりとのってきた。まるで日常生活に戻ったような光景。
互いに罵声の浴びせあいをしながらも、心の中では歓喜していた。こんな関係だからこそ、一番に信頼できる。
美砂はいつもの調子で二人をけしかけ、夕映は呆れてものも言えない状態だ。しかも巻き込まれたくないがために数歩二人から距離を置いている。
しかしここに居る皆同じことを願う。この喧嘩が最後にならなければ良いな、と―――。
今日の投下はここまで。
既に気付いている方もいらっしゃるかと思いますが、
終盤は無駄に(?)長いのですがここら辺は何故か焦って展開がかなり速くなっていますが、あまり気にしないでやってください。
では、また明日。
あ、それから先日私の嫌いなキャラについて書かれていましたが私は3−Aメンバーに嫌いなキャラは居ません。
それでは、今度こそまた明日。
確かに都合良く集結しまくったな・・・
まぁ話し進みやすいならそれでよかろうけど
とにかく乙!
それからアスナの無効化は他人にもきくの?
>>389の冒頭が「アッー」に見えた俺orz
51話は確かに唐突かも試練
>>393 単行本派なんで情報遅れてるんだが…効果範囲は自分だけじゃないか?
明日菜の体に触れば無公化きくよ。
明日菜の体に触れば唐揚げになるよ。
木乃香を殺したのが誰か
ってことが後半のポイントになると予想
超りんだろ
全員集めて全員暗殺を狙ってる
案外せっちゃんだったりアスナだったりして・・・・・
アスナの武器って出て来てないよね?
このかを殺した展開を忘れてた17は必死に今書き直してます
まとめサイト3が見れなくなってる…
ページが見つかりません、って
うわ、マジで見れねえ
まとめサイト2がまだ見れるぞ!!
今から投下を始めます。
(何度も言いますがかなりの急展開になっています、しかもここらへんは特にひどいです)
第五十三話
「ね、そういえばさ。いんちょとぶつかったとき硬い物にも当たったと思うんだけどもしかして武器?」
四人はベンチで休憩をとった。あやかと美砂は別として明日菜も夕映もまだ充分な睡眠を得られていないため、時折顔が地面を見る。
あやかと美砂は小腹が空いていたため支給されたメロンパン、コッペパンをそれぞれを小さく千切っては口に入れていた。
「恐らく。私の武器はそれですわ」
両手が塞がれているため無礼にもあやかは顎先で鞄を示した。明日菜と夕映が鞄を囲むようにして中を確認すると、武器から放たれる威圧感に驚きの声を上げた。
美砂は二人の表情を見るなり気になってバックの中を覗くと、黒光りしている金棒。こんな物を持った人と二人きりだったのかと心臓が跳ねる。
「これって金棒ー?!アンタこんな物騒なもんを…」
「…い、いいんちょ」
「ちょっと何ですかその目は!言っておきますが私は何もしていませんわよ、この武器を確認したのは昨夜のことなのですから」
集中的に視線を受けるとその意味を悟ったあやかの手から細かく千切ったパンが落ちた。
金棒を使用していないにしても、いっぺんに三人から誤解を受けたのかもしれないと思えば動揺してしまうのは当然だ。
それを見て眉根を寄せ声を張り上げるあやかの額を明日菜が軽く小突く。
「バーカ。アンタがそんなことするなんて誰も思ってないわよ」
「えぇ、ただよく…そんな重そうな物を持てたな、と」
「う、うん。いいんちょって結構鍛えてるのかなーってね」
明日菜と夕映のそれは本音なのだろうが、美砂の言葉だけはどこか引っ掛かるような気がしたが深くは突っ込まなかった。
「……そういう貴方がたの武器は何でしたの?」
パンが半分になったところで透明の袋を折りたたみ鞄にしまいながらあやかが聞いた。
「アスナさんが孫の手で、私がスタンガンです」
孫の手、それは明らかに武器にはならない。
高いところにあるものを取るときや届かないところを掻くときには便利なのだろうが、とてもこのゲームで役に立つとは思えない。
あやかは冗談だと思い明日菜の方を一瞥したが、恥ずかしそうに俯いていた。
「フフッ、お気の毒ですわねぇ孫の手だなんて。まるでお年寄りみたいですわ」
「だからこいつに言うのは嫌だったのよ夕映ちゃん!」
地団駄を踏んで明日菜は夕映の方を睨むと、その視線から逃げるように夕映が少し位置をずれる。
「あーっ、本当だ。アスナってばおばーちゃんみたい!」
「柿崎ィ!」
バックの中を勝手にまさぐった美砂が孫の手を取り出し、あやかは含み笑いした。
それが原因となり、再び二人はつかみ合いを始める。
第五十四話
二人の喧嘩を見守っていたのは夕映と美砂だけではない。実は超たちも草陰からその光景を見つめて、出ていくタイミングを見計らっていた。
超の制服の血を見て大きな誤解が生じるのではないかと千雨はそれだけが心配だった。
「オイ、お前それどうにかしろよ」
「ソレというのは龍宮サンの返り血のことカナ?それは無理ヨ。もう乾いてしまているネ」
あれから約一日が経っているのだから今更拭き取ることもできないのは当然だ。千雨にはちっとも気にしていなかった超の頭の中が理解できない。明日菜たちに誤解を受けたらどうするのだ。
千雨は不満そうな表情を浮かべつつ四人の様子を窺う。四人は動きをみせないまま、ずっとそこに佇んでいた。
「お取り込み中、失礼してヨロシ?」
「え?」
予告も無しに警戒も無しに掛けられた言葉に、互いの頬を引っ張り合っていた二人とそれを眺めていた二人が呆気にとられた状態で四人の中心に居る超を見た。
後ろの方で千雨たちは超の登場の仕方に対して苦笑いを浮かべている。その堂々とした態度は是非見習いたいものだ。
誤解を招くような出方をして万が一殺されでもしたらどうするのだろう。しかしあまりに大胆な登場だったので誰も武器に触れようとはしなかった。
「超さんじゃない。アンタまさか…」
「ううん、私たちは首輪を外すためにここに来たの!超りんが外してくれるんだよ!」
「超さんが…ですか……?」
疑いの目を受ける超はあまりの自分の信頼性の無さが逆に面白くなってケラケラと笑った。それも超の風変わりな性格が現れているといっていいだろう。
超は明日菜の許可無く手を取り首元に添えると、表情から笑みを消し去った。今からは猛烈な痛みに耐えらなければならない。
「ちょ、ちょっと何す…」
「コード…呪文回路解放 封印解除 ラスト・テイル・マイ・マジックスキル・マギステル」
空気を壊すような明日菜の言葉を遮って詠唱を始める。すると魔法無効化の力が効いてか、魔法陣はちゃんと足元に浮かんだ。
金色の光に包まれる超を見て、初めて実際に魔法が使われるところを見るまき絵、あやか、美砂は息を飲む。
「閉ざされた扉、結ばれた紐、かの者を縛りつける闇よ 解け!」
「―――!」
ガチャッと音がしたと思えば超の靴の上に重みが掛かった。そう、首輪を外すことに成功したのだ。
「超りんが魔法使いって本当だったんだー!」
「超さん、すごいですー!」
盛り上がる二人を余所に、話の読み込めない明日菜たちはそれぞれ顔を見合わせる。何故魔法なんかで首輪が外せたのだろうか。
大人しくしている千雨は少し胸騒ぎを感じた。運良く事が進みすぎだし、こんなに仲間がいっぺんに増えたのだ。嫌な予感がする。
「あ、見てください!近くに誰かが居るみたいですよ」
探知機の画面を覗いたさよが声を上げると超、千雨、まき絵の三人がそちらに注目する。
画面を見るとどうやら教会の方に一人、首輪をつけた人が居るらしい。
「よし、だったらまとめて一気に首輪を外そう。そちらのほうが…」
「あァ、賛成だ。そっちのほうが効率が良い」
きっと身体への負担が少ないと言おうとしたのだろう。千雨がそれを察した。
超たち四人組はバックを担ぎなおすと反応がある場所へと急ぎ、行動を視線で追うことしかできなかったあやかたち四人も慌しく跡を追った。
【超鈴音 首輪解除成功】
第五十五話
行動を共にしていた千鶴が殺された、殺したのは誰だろう。自分はきっと考えが甘かったせいだ。誰かと一緒に居ればきっと平気だと、甘えてたのだ。
あの時寝ていなければ、千鶴の気持ちをもっと気遣ってあげていれば、自分なんかと一緒に居なければあんなことにならなかったはずだ。
挙句の果てには狂ってしまった千鶴を止めることができず、夏美までもを見殺しにしてしまった。
状況が状況なので夏美だって一時的におかしくなってしまっただけだったかもしれないのに。説得すれば仲間にできたかもしれないのに。
千鶴を殺人者にしなくて済んだかもしれないのに。あの二人の笑顔が、傍で見れたかもしれないのに。
『夏美と再会したい』という千鶴の願いを壊したのは自分だ。のどかはそう思い込んだ。そんなことを思えば思うほど、自分に対しての嫌悪感が生まてくる。
最初に自殺でもしていれば良かったのかもしれない。きっと今でも間に合うだろう、これ以上自分のせいで犠牲者を増やしたくない。
顎を上げると夏美の持っていたナイフを、自分の喉にあてがう。自ら命を絶つために――。
そんなことをしたからといって、千鶴や夏美がかえってくるわけではないということはわかっている。ただ、自分のために。これ以上罪悪感を膨らませたくないがために。
「ごめんね…夕映ー…」
「つまらないですよ、自殺なんて。宮崎さん」
「え?」
聞き覚えのある…いや、そんなことを言うのは今更だろう。声を掛けてきたのは一番逢いたかった人物でもあり、一番逢いたくなかった人物でもある。
少年の名はネギ・スプリングフィールド。のどかの大好きな人。そんな彼に情けない姿を見られてしまって屈辱感でいっぱいになる。
ナイフをバックの中に隠すが見られてしまったことには変わりないため、恥ずかしさから目を合わせられない。
「あ、あのー…こ、これは……」
「魔法の射手!」
「キャッ!」
すんでのところでネギの攻撃を避けた。眩い光の衝撃を浴びたのどかが立っていた場所は焦げて一筋の煙が空に伸びている。
「ネ、ネギせ……!」
ネギの顔をまともに見て思い出した。ネギは十人以上生き残っている人が居れば二日目からゲームに参加するということ、そして優しい少年だったネギではなくなってしまったこと。
昨晩は色々あってそれどころではなかったのだ。心を破壊されるような事が立て続けに起こり、のどかはどうすれば良いのかわからなくなってしまう。
逃げるにしても足が動かない。声を出すにしても大きな声は出ない。闘うにしても自分にそんな力はどこにでもない。
のどかは完全に身体を恐怖に支配された。背筋に感じる熱はやがて冷めていき風が吹いては体温を下げていく。
「い…い、いや…せ、せんせー…」
死にたいと思っていたはずののどかの心が揺らぐ。自分では本気でそう思っていたつもりだったのに、足は竦んでしまっている。
何もかもが中途半端だったんだなと、またのどかは自分を嫌いになってしまった。ここまでくればもう自分のどこを好きになれば良いのかわからなくなってしまった。
「今度は外しませんよ?魔法の…」
パンパン!
「本屋ちゃん!」
「ままま、まきちゃん…千雨さんに相坂さん…、それに超さんまで……」
銃声が聞こえたかと思えば次にはクラスメートの声。発砲したのは超、声をあげたのはまき絵だった。
奇妙な面々だということを不思議に思う時間など無く、ネギに身体を引き寄せられたかと思えば自分が掛けているバックからナイフを奪われ、
逃げられないように肌に刃を突きつけた。少しだけ刃が肉に食い込んで、そこから鮮血が流れ出す。痛みよりもまずショックだった。
洗脳されているとはいえ、もっとも信頼していた愛する人がこんなことをしているのだから。
「宮崎さんを殺されたくなかったら、超さん。貴方の指で長谷川さんの目玉を抉り取って、佐々木さんの傷物になってしまっている腕を引きちぎってください」
何を言っているのだろうか、この教師は。生徒に生徒の目玉を、右腕を…と頭がおかしいにも程がある。
超と千雨とまき絵が気まずそうに視線を混じり合わせた。そんなことをするわけないことはわかっていたが、そうせずにはいられなかった。
「それか長谷川さんと佐々木さんが、超さんの…」
「何やってんのよこの馬鹿ネギ!」
背後の殺気に気付いたネギは咄嗟に屈み込んで明日菜の猛烈な蹴りを回避したが、そのおかげでのどかに腕の中から逃げられてしまった。
解放されたのどかはフラフラとネギから3メートルほど離れると虚ろな瞳のままその場にへたり込んだ。相当ショックだったのだろう。
「邪魔…しましたね。…まァ良いでしょう。ここに居る人たちを全員を殺せば…」
「お止めください、ネギ先生!そんなこと…!」
今にも倒れそうなのどかを腕の中に包み込んだあやかが、残酷な言葉を向けてくるネギに叫び訴えた。
「よくも本屋ちゃんの首に、傷をつけてくれたわね。私が反省させてあげるわ!」
明日菜には魔法無効化の力があるのでネギの魔法は効かない。身体を構えた明日菜が不敵に笑みを浮かべる。
「ア、アスナさん…」
「わかってる。私だって、アンタと同じ気持ちなのよ!」
どうすれば元のネギに戻るかはわからない。とにかく手元にあるものは全て護りたい。
最初は何だこのがきんちょは、としか思っていなかった。だが今は違う。日が経つにつれ、ネギの良いところ、悪いところを知って、色々なことを共に経験し、
家族のように過ごしてきた。明日菜だってあやかと同じ。大好きな人を傷つけたくないから、闘う。
第五十六話
明日菜とネギでは身長やパワーには幾分差はあるかもしれないが体術は形や、相手に動きを読まれないために気持ちを無にすることが必要だ。
それを考えればどちらが勝つかは大体想像がついていた。長い時間古菲を師匠として拳法を教わり人よりも習得の早いネギ、生まれつきの馬鹿力と体力に最近体術を教わってきた明日菜では、
明らかに水がさしている。事実、学園祭後にネギと明日菜が戦った後、勝ったのはネギだった。ネギには傷一つついていなかったのに明日菜は傷だらけの状態だった。
修行からはまだ少ししか経っていない。その間明日菜がどれだけ成長したか、というのが問題だ。
あれだけ信頼のおける刹那に修行をみてもらったのだから、最初のように指一本触れられないということにはならないだろう。
「行くわよ、ネギ!」
二人は明日菜の掛け声と同時にお互いに向けて走り出す。スピードと出だしは全く同じだと言っても間違いではない。
明日菜が手足を突き出せばネギは上体を反らし、ネギが古菲に教わった体術で明日菜の体制を崩そうとすれば明日菜は空中に舞って攻撃を交わす。
一つ一つの行動が素早すぎてあやかたちには何が行われているのかすらわからない。スローモーションで再生してもわかるかわからないかぐらいだろう。
「せっかく明日菜サンに逢えたと思たガ…こんな展開になるとは思わなかたネ……」
今の超の心境を表現するならばよく恋愛小説などに出てくる目の前にあるのに掴めずもどかしいという節が相応しいといえるだろう。
「カグラザカアスナ………」
「え?」
何者かに名前を呼ばれた張本人が不可解に思い足を止める。するとその隙にネギが明日菜の両腕を掴み器用に身体を捻り相手を横転させた。
足先から頭のてっぺんまで、全身に痛みが染み渡る。ここでよく漫画などでは『卑怯だ』と相手を罵るのをよく見るが今のは闘いの途中で余所見をした自分の方が完璧に悪い。
次の一撃を逃れるため慌てて後ろに下がった。ネギが更に押そうと右手を引く。しかし何かが二人の間に飛び込んできて、明日菜は動かぬままネギの攻撃を防げた。
「な、何……」
「アスナさん、危ない!」
鎌を振りかざす刹那に気付いたあやかが明日菜に体当たりし、鎌から明日菜を遠ざけた。そんな明日菜と引き換えに自分が鎌の下に来ることになってしまった。
刹那は自分の邪魔をしたあやかを許すことができず、あやかの首を狩るべく鎌を横に振る。だが金棒でそれを何とかあやかは阻止した。
金棒が刃を削る音が耳元で鳴る。対なる方向から力を加えられて、小さく火花が散った。が、気にしていられない。再度刹那が鎌を振り上げた。
素早く立ち上がったあやかは鎌を仰ぐと足を斜め前後に開き右腕を伸ばし手のひらの部分で刹那の顎に触れた瞬間そのまま前に押し出した。
「雪広あやか流合気柔術天地分断掌!」
ネギのこともあって心に余裕が無かったあやかの一撃はしっかり入りはしなかった。少し体勢は崩れ振り上げていた鎌の重さで倒れそうにはなったが、自ら身体を宙に浮かせ着地する。
そうしたことによって体勢を整えることができた刹那が、今度は明日菜を睨みつける。
「せ、刹那さん……うあっ!」
「神楽坂さん。桜咲さんは雪広さんに任せて、貴方は僕との闘いに専念してくださいよ」
刹那に何か言いかけた明日菜の腹部にはネギの撃蹴が打ち込まれた。女の子にとってお腹は大切な場所なのに、そんなことネギは気にもしない。
いくら丈夫だといっても今のようにまともに喰らってしまえばかなりキツイだろう。痛みが響く部分に手を添えて明日菜は立ち上がった。
「ぐぅぅ…さ、流石に一気に二人に狙われるのは……」
「貴方のお相手は私が…!」
今度は何だ。いつの間にか明日菜の身体があやかの下敷きになっている。どうやら刹那があやかを避けてまで明日菜を狙ってきて、それをあやかが阻止してくれたらしい。
明日菜の腹部にこれ以上の衝撃を与えないよう肘をついて自分の上体を些か浮かし明日菜の身体に覆いかぶさり、勢いをつけて振り下ろされた釜を金棒で受け止める。
パン!
銃弾があやかの頭部すれすれに飛んでいった。超は刹那を狙ったつもりなのだろうが、もう少しあやかの座高が高かったら頭が吹っ飛んでいただろう。
「超さん!私のスタイルが良かったから無事だったものの…、一歩間違えてたら大変なことになってましたわよ!」
「いやいや、申し訳ないネいんちょ。でもあんまり動かれてもこっちも手を出しづらいネ」
超は通常通りの受け答えをしているがあやかはこんな時に何を言っているのだろうか。弾丸を避けた後で刹那が隙を逃さず、あやかの身体を利き手側に放り投げた。
「桜咲さん。僕の獲物に―――」
「チッ!」
ネギが魔法の杖を構えた瞬間次の行動を悟った千雨がネギに体当たりをし、媒体となる杖を奪おうと手を伸ばすが掴んだのはネギの腕だった。
慌てて手を離した千雨の行動はあまり意味が無いものとなってしまったが明日菜たちを護ることはできたと思った。
明日菜がそちらを見ると千雨の首からは首輪が消えていた。他にものどか、夕映、美砂、さよ、まき絵の首輪も外れている。超の仕業だろう。
「神楽坂、こっちは私たちがどうにかする!!お前は桜咲をどうにかしろ!」
明日菜はこのとき迷った。せっかくネギに逢えたのに何もできないなんて悔しい。
しかし刹那の攻撃も止まない。悩んでいる内に鎌がどんどん明日菜に襲い掛かってくる。
「…わかった!ありがと。アンタたちにネギは任せるわ!」
もしこのまま自分があそこに居て別の無関係の人間が巻き込まれてしまったら意味が無いため、明日菜は一人で刹那をおびき寄せることにした。
今日の投下はここまで。
ここら辺は全話投下終了後、まったりとしたペースで修正・加筆を加えてく予定です。
では、また水曜日。
2日も…
寂しくなるな……
皆、どうする?
270:名無しさんの次レスにご期待下さい :2007/10/14(日) 18:54:11 ID:xKY21RubO [sage]
ネギま全巻買うお金がなかったから
親父の財布から10000円盗もうと思ったら
ガキの頃渡した肩たたき券が入ってた
泣きながら盗んだよ
272:名無しさんの次レスにご期待下さい :2007/10/14(日) 18:56:18 ID:J4xeaSPE0 [age]
通報しますた
283:名無しさんの次レスにご期待下さい :2007/10/14(日) 19:49:44 ID:xKY21RubO [sage]
ネギパ全巻買うお金がなかったから
親父の財布から10000円盗もうと思ったら
ガキの頃渡した肩たたたたき券が入ってた
泣きながら変換しなおしたよ
285:名無しさんの次レスにご期待下さい :2007/10/14(日) 19:50:57 ID:J4xeaSPE0 [age]
通報しませんですた
286:名無しさんの次レスにご期待下さい :2007/10/14(日) 20:00:01 ID:xKY21RubO [sage]
ネギま全巻買うお金がなかったから
親父の財布から10000円盗もうと思ったら
ガキの頃渡したあたたたたたたたた券が入ってた
泣きながら北斗真拳を伝承したよ
287:名無しさんの次レスにご期待下さい :2007/10/14(日) 20:06:33 ID:J4xeaSPE0 [age]
あたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたっ
本スレより。面白かったので。
短編を投下してみる(短編ならネタがある奴はけっこういるだろ)
今までの作品の見所なんかを語ってみる(どの作品にも、名シーン的なのがあると思うんだ)
どこかスレのルールで考えたほうがいい所があれば議論してみる(これはまとめサイトにある議論スレのほうがいいか)
リレー(最後の手段)
スレを消費する方法なんざいろいろあるぜ
まとめ3を復活後ネギロワ15をupしてほしい
短編─ザジの1日─
ザジ「・・・」
短編―せっちゃんの1日―(修学旅行前編)
刹那「じー(このかを見つめながら)」
短編─せっちゃんの1日─(修学旅行中編)
刹那「じろっ(このかを睨みながら)」
いずれは作者になりたいとおもってるんだが価値観を押しつけるような指摘は禁止にしないか?
あまりにひどいキャラ壊しへの指摘は例外として・・・・.
>>424 気持ちはわかるが、インターネットという不特定多数の人の目に触れる場所に作品を投下する以上、
作者側にもある程度批判をスルーしなければならない義務があると思うぞ。
キャラ壊しに関しては、過去に14作品(黒歴史除く)も投下されているので、
過去の作品との差別化をはかる以上、ある程度受け入れなければならないと思う。
しょうがない・・・・
1年以内に投下してやんよ・・・・・
出来てたらな。
しょうがない・・・・
1年以内に投下してやんよ・・・・・
出来てたらな。
黒歴史ってなんなん?
盗作ってんだよバーロー作品パクったんですよ
作者なんぼ?
何ぱくったん?kwsk
短編─チア部の1日─
皆「いぇ────!」
みさ「今日も始まりました。この日あの日、やっちゃった暴露話!」
桜子「略してKY〜小島よしお〜」
円「今日もやっちゃった後悔しちゃった話しますよ!」
みさ「じゃぁ私から!あのね、あのね、
どうしても買いたいバックがあったの…(´・ω・`)
でもお金なかったの(´・ω・`)
だからね、お父さんの財布から20000円盗もうとしたの…
そしたらね、昔渡した肩たたき券が入ってたの…
泣きながら盗んだよヽ(´ー`)ノ
円「盗んだのかよ!」
桜子「私も似た体験あったよ!」
円「なになに?」
桜子「どうしても買いたいお洋服があったの…(´・ω・`)
でもお金なかったの(´・ω・`)
だからね、お父さんの財布から20000円盗もうとしたの…
そしたらね、昔渡した肩たたたたたき券が入ってたの…
泣きながら誤字を修正したよ┐(´〜`;)┌
円「間違えたのかよ!」
パル「私も似た経験ある!」
みさ「わービックリ!どったの?教えて!」
パル「どうしても買いたい高級トーンがあったの…(´・ω・`)
でもお金なかったの(´・ω・`)
だからね、お父さんの財布から20000円盗もうとしたの…
そしたらね、昔渡したあたたたたたたたたた券が入ってたの…
泣きながら北斗真拳を伝承よ(゜_゜)
桜子・みさ「・・・」
円「お前はもう死んでいる!」
>>431 おいおいww
そいつ3回もパクってんのかよwwww
しかも記念すべき1までw
14部リアルタイムで見たかったorz
>>432-434 糞わろたwwwwww
>>425 そっか・・・ごめん
何か17は名に言われてもふつうにスルーしてるが俺がいつか投下したとき同じこと言われたら鬱になりそうだと思ってorz
我慢できるようにしとくわ
まぁ上の短編みたいな具合に外からパクって
あたかも自分が考えました っと言っちゃったワケYO
だれか短編投下してー
短編あるけどネタでパロディって感じでいいのなら。
敗者復活戦の続きでいいのなら。
>>432‐434
わろたwwwwww
円のツッコミないす
>441
頼む!
寝たいから早めに!
>443
では投下します。
あくまで暇つぶしのネタです。真面目に読まないようにお願いします。
「エヴァちゃん。」
黒フードの女が親しみを込めるような言い方をする。
「十数年ぶりかな、まさかこういう形で再び貴様に会えるとは思いもしなかったがな。
いい加減に顔を見せたらどうだ、かっての大戦で命を落とした、その名もそこの明石裕奈の母、明石ゆう子(仮)よ!」
エヴァが言い終わったと同時に黒フードの女はフードと一体型となったマントを脱ぎ捨てる、
そこには昭和末期に流行ったロングスカートのセーラー服に身を包み、
髪型は15歳裕奈と同じサイドポニーテールだが髪の長さは刹那のポニーテールに近かった、
また落ち着き払った感じは千鶴の雰囲気も少し持っていた、
いうならば15歳裕奈がベースで大人っぽくして刹那、千鶴が混じった感じの女子高生の姿があった。
「私のおかーさん、明石ゆう子(仮)、されどその姿はいったい……。」
「この人が明石先生のお母さん!?」
「おまえは20代半ばで死んだはずだが、その姿は私と初めて出会った頃の姿だ、そしてその頃と変わらぬ若さだ。」
「おどろいた〜!? エヴァちゃん、これが私を復活させた神の力なんだよ。」
外見に合わせたのか、エヴァが相手だからなのか、黒フードを被っていたときとは違い、砕けた言い方を裕奈母はしていた。
「その神に忠誠を誓ったおかげで再び生気あふれる命を与えられたんだよ、しかも人間が最も美しく光り輝く18歳の肉体をもってね。」
裕奈母は両腕を広げ体を軽く動かすとセーラー服に包まれた豊かな胸がぷるんと振るえた。
「それに比べてエヴァちゃん………。
変わらないツルペタロリ………。」
その言葉を聞いてエヴァは手を裕奈母の顔に向けてかざして魔力をぶつける。
が裕奈母はなんなく首を傾けてさける。
「フーー、ハアハア、幻だな。」
エヴァは怒りを静めて言う。
「なにっ!?」
「おまえ達の命や若さなど幻というんだよ。私がなぜ時計台をライトアップしたのかわかるか!?
お前達の命などあの時計台の光が日によってかき消されるまでの幻、それはゆう子(仮)お前達が一番よく分かっているはずだろう。」
エヴァは裕奈と雪の方をみる。
「裕奈、雪、お前達はすぐに楓達を追うんだ、そして超達と協力してあいつらを一人残らずあの世に送り返せ。
夜が明けるまで10時間、それまでになんとしてもあいつらを送り返せ。」
「「ああっ」」
裕奈と雪に少し軽い衝撃が走る。
「もう動けるはずだ、この場は私にまかせろ、ゆけ二人とも。」
「はいっ。」
「わかりました。」
裕奈と雪はエヴァと裕奈母がにらみ合うなかを真ん中を横切る形で通って学園の中に入っていった。
「追わないのか!?」
「私はゆーな、エヴァちゃん、超鈴音。この三人のうち誰か一人を釘付けにすることが目的だよ。
まあエヴァちゃん、無駄な戦いは好まないでしょう。夜明けまで茶でも飲んで語り明かしましょう!?」
裕奈母は言うと、ペットボトルを数本と紙コップを取り出した。
ピッピッピッ。
裕奈は移動しながらメールを打つ。
「侵入者達は学園に侵入した、相手は私が所属した3-Aの死亡した生徒23人、彼女らはこの学園でバトルロワイヤルを行っている、
彼女達の目的は夜明けまでの10時間生き残り、その報酬としてこの学園の人間の肉体を乗っ取ってこの世によみがえってしまう。
みんなお願い、彼女達を夜明けまでにあの世に送り返さないと、頼みます。」
ピロロロロッ。
メールを送って10数秒後裕奈の携帯が鳴った、相手は超だった。
「裕奈さん、本当かネ。」
「ちゃおりん、本当だよ、私も信じられないが。私と雪ちゃんは風香以外の生徒をみたの、まき絵と桜子は私があの世に送り返したけど。」
「そうか、で彼女達は首輪をしているのか?」
「そう」
「そうか、ひょっとしたら。少し待つネ。」
超がキーボードを押す音が受話機ごしに聞こえる。十数秒後。
「ビンゴネ、この首輪は8年前に使われていた首輪と一緒ね、その証拠が私が作ったレーダーに反応するネ。」
ついている。裕奈、雪はそう思った。この広い学園、10時間以内に全員を見つけるのは難しいと思っていたが、レーダーがあるのならその時間は移動時間だけで済む。
「ちゃおりん、その場所をみんなに教えて。」
「落ち着くネ、裕奈さん、2分待つネ、いまから学園の地図にレーダーを付けて携帯サイトを作るネ、これでこちらからはどこに隠れていても分かるネ。」
「頼んだよ。」
2分後超からメールが一斉に配信される。
「さて皆さん、いま送ったメールに書いてあるアドレスは今作った、侵入者がどこにいるか分かる地図ネ、
見方は学園の地図に○があるところに侵入者が居るね、あとその中に書いてある数字は彼女達の出席番号ネ。
そして画面の右下にある5X5の白い正方形のますはよみがえった25人の一覧表ネ。数字が書いてあるネ、そこの16と17が黒くなっているネ、
この2人は明石先生があの世に送り返した生徒ネ、彼女達があの世に送り返される、すなわち死ぬとこのますは黒になるネ。
あと何人で誰が帰っていないか一目同然ネ、あと3-A23人のデータも見れるようにしたネ。では皆さんよろしく頼むネ。」
ピッピッピッ。裕奈は再び電話を掛ける。
「すごいよ、ちゃおりん、これで何とかなりそうだよ。」
「裕奈さん、落ち着くネ、といっても魔法生徒達でも苦しい相手は何人か居るし。その時は裕奈さん、わかっているネ。」
「ええ、私が行くわ。」
「明石先生、15番が黒に変わりました。」
「違うネ、雪さん、15番の白が黒に変わった、白の側頑張る、黒の側も頑張る、残り22人で次の問題です。」
「って”ピーーーー”か。」
「その通り!」
「ふざけている場合ですか、あっ30番も黒に変わりました。」
「残るますが21枚。」
「超さん!」
「ありがとう、ちゃおりん、落ち着いたよ。」
裕奈は超がなぜこんなことをしたのか分かった、自分はあせっていた、その為にわざわざ超は肩の力を抜くためにこういう物を作ったのだと。
「うむ、裕奈さん、で裕奈さんの近くにいるのは……。」
「ええ、ちょうどいいわ、私が行く。」
裕奈と雪の近くにも反応がある超が言っていた苦しい相手の一人である。
「雪ちゃん、この人の相手は私がするわ。雪ちゃんはここをお願い。」
裕奈は自身が判断した無難な相手を示している印を指す。
「分かりました、気をつけて。」
「無理をしては駄目よ、やばくなったら逃げなさい。」
「はい。では行きます。」
雪は示された反応に向かって走っていった。
携帯サイトを見ながら、
8年前の宮崎のどかに似た髪型の一人の女子中学生の制服を着た魔法生徒が近くにいる反応目指して移動している。
「弐集院さん!」
ストレートロングの女子中学生が声を掛ける。
「貴方もこっちに!?」
「はい、少し離れていますが反応が二つありましたので。」
二人の少女が情報交換をする。
「薔薇の花びら!?」
二人の少女は立ち止まり周りを用心深く見る。
「「!!」」
二人の少女は目をみはった、そこに広がっていたのはグラウンド一杯に真っ赤な薔薇が覆っていた。
「これはいったい!?」
「これ以上近寄らない方が良い、弐集院。これは魔宮薔薇しかもとびきり強力なものだ、香気を吸っただけで死に至る。」
「なぜここにいるの!? ガンドルフィーニ。」
ガンドルフィーニと言われた黒人の少女が答える。
「まあそんなことよりもこの舞台の仕掛け人は彼女のようだな。」
グラウンドにある朝礼台に座っている少女が居た。
「よくきたわね、魔法生徒さん達。私は雪広あやか、3-A出席番号29番3-A委員長の雪広あやか。」
Game Start END
435
わかるが強い心もとうぜよ
この短編よく分かんない…
あまりにも酷いので途中で読むのやめた
雪ってだれ
453 :
マロン名無しさん:2007/10/16(火) 16:22:48 ID:qYJfBxFs
ネギまロワのまとめサイト4って今どうゆう状況?
更新状態がかなりグタグタに…
10月中は本当に厳しいです…。時間を見つけたら少しでも更新したいですが
正直更新停滞しすぎてる感じがするので、11月中に、15部の保管を完成させると宣言します。
こんな状況らしいよ。
体が動かない……そっか、私撃たれたんだっけ。お腹から血が止まんないからかな。
悔しいなぁ……結局なにもできないまま終わっちゃうのか……
もっと生きたかった。もっとみんなと一緒にいたかった。
ネギは大丈夫かな?私が死んで変な責任感じてなきゃいいけど。
雨降ってきた。寒い……木乃香の味噌汁が飲みたいな。京風で出汁が効いてて……
「明日菜さん!」
誰だろ?暖かくて懐かしい……
「しっかりしてくださいまし!明日菜さん!」
「い……いんちょ……」
あんた雨でびしょ濡れじゃない。折角の綺麗な髪が台無しじゃない。
「なにバカなことを言ってるんですか!本当に……お猿さんなんですから……」
いいんちょの泣き顔なんて何年ぶりかな?……そっか、もう戻れないんだ。あの喧嘩して笑いあった頃には……
じゃあ最期くらいちゃんと伝えなきゃ……あっちで後悔しないように。
「いままで……ありがとう……」
もしこっちに来たらギッタギタのボッコボコよ
――だから私の分まで生きてよね
おわり
お久しぶり。作者16です。
今日3年間片思いしてた人の結婚式の招待状が届きした。
ぐすん…
まきえ「意義有り!殺し合いなんてやだ!」
パンパンパンパンッ
まきえ「jんcぢえおえおわ!」
亜子「ひゃ〜血や〜(死亡)」
いんちょ「ネギ先生に手を出すなんて10000000000000000000000000000年早いです」
パンパンアpン
のどか「dんjxszづい」
ザジ「・・・・」
いんちょ「・・・・・・」
パンパンパンパン
ザジ「ιΣ〇★↑#」
いんちょ「私よりお金持ちなお嬢様キャラは他にいりませんから」
パンパンパンパンパン
このか「じゅいksぉえじだ!」
刹那「雪広〜!貴様〜!」
パンパンパンパンパンパンパン
刹那「ピャーーーーーーーーーポ」
いんちょ「お金を払えばなんでもしてくれる龍宮さん有難うございます」
龍宮「いや、これくらいなんとも」
いんちょ「では1000000000000000000000円差し上げますから自殺してください」
パン
龍宮「ふいあsdjkl;おlで0」
いんちょ「頭が悪い辰巳やさん有難うございました」
【雪広あやか以外全員死亡 雪広あやか優勝】
短編─火星に帰ってからの超─
2年とちょっと…長かたネ…
長い地球での生活のせいで未だ不自由ネ…
8本の足では動きづらいしこの長い口だと食べづらいヨ....
それにしても結局夏美おばあさんとはたいした話出来なかたネ…
小太郎と夏美は付き合うものの破局。
ネギは明日菜、あやか、のどか、まき絵、ちうなどと付き合うものの破局。
ネギと夏美が結婚しその何代かのち超が生まれた
もうロワですらねぇwwwwwwwwwwww
何か昔書こうとしてた残骸があったんでちょっと手直しして載せてみる
後悔はしていない。反省はしてます…
以下短編
「あはッ、あははははははハハははははッッ!!!」
転がった生首に向かって力任せに右手を振り下ろす。
一度だけでは飽き足らずに、何度も何度も鉈を振り下ろす。
頭蓋が砕け、脳髄が飛び散り、原型を留めない肉の塊になっても、まだ止まらない。
やがて木乃香の興味はそんな肉塊から、無傷の体へと移る。
一撃で首を斬り落としたのだから、体が無傷なのは道理だった。
木乃香はその体に寸分の躊躇も無く鉈を振るう。
その小さな体はあっという間にひしゃげ、蹂躙され、壊れていく。
かつて人の身であったことを疑いたくなる、そんな光景。
皮膚を破り、肋骨を砕き、臓物を引き摺り出して、叩き潰す。
返り血は服どころか木乃香の顔にも飛び散っていく。
それでも、止めない。
狂った笑いは止むことなく森の中に響き続ける。
腕が?げれば挽き肉にし、脚が千切れれば更に細かい肉片へと切り刻む。
悪魔としか思えない所業。
そんな木乃香を止めるものは無く、木乃香はただ笑っていた。
皆に勧められた作者6の作品全部読んだ
確かに出来がいいね。文才ある。
少し死ぬシーンとか他の真似てるけどそれが気にならないくらい。
特に朝倉がまき絵に撃たれた後抱きついたとこは感動だね。
俺も書いてみるよ。作者25までにはなる。
その時はよろしくね。
464 :
マロン名無しさん:2007/10/16(火) 22:16:19 ID:aaCSxETJ
えぬびぃあーるえっくすぶいって何?
466 :
短編投下:2007/10/16(火) 23:18:00 ID:???
「突然だが、君たちにはこれから殺し合いをしてもらう」
それが合図であった。
どこかも分からない無人島につれてこられた挙句に生徒全員で殺し合いだ。
笑えないギャグにツッコミを入れた桜子が呆気なく殺されたことで、これが本気なのだと知った。
それからは各々の戦いの連続であった。
ある者は仲間を求めて、ある者は戦いに勝ち残るために、そしてある者は自らの命に変えても守りたい人のために……。
悲劇が悲劇を呼び、復讐に目標を変える者、絶望に打ちひしがれ自殺する者も現れた。
それでも脱出できることを信じて必死に戦い、皆は生き延びていた。
そして2日と12時間が経過した時点で生き残っている生徒は僅かに7人。
放送で死んでいった生徒の欄が×印で一杯となっていた。
明日菜は次の禁止エリアが現在居る山の頂上だった。
急いでふもとへと移動している最中、大木に持たれかかっているあやかの姿を認めた。
初めは話しかけるべきか否かで迷ったが、あやかの傷ついた姿を見て思わず駆け寄った。
「ちょっといいんちょ!? 大丈夫? しっかりして」
すぐさま明日菜はあやかを介抱した。
あやかの傷は重く、左腕からはおびただしい量の血が出ており、その美しい顔にはナイフで傷つけられた跡がついていた。
「早く……逃げてください明日菜さん……、ここはもうすぐ禁止区域になるはずです」
あやかは自らの危機よりも、この場に留まる明日菜を危惧した。
逃がそうとしたが、明日菜は言うことを聞こうとしない。
明日菜はあやかを抱きかかえて山を下り始めた。
「お嬢様を殺したのはあなたですか……」
武器の日本刀を構えてエヴァンジェリンに詰め寄る刹那。
467 :
短編投下:2007/10/16(火) 23:19:02 ID:???
真名に裏切られ、ハルナに殺されかけ、最後には守るべき木乃香は惨たらしく殺されていた。
もう、誰も信じない。生き残ろうとも思わない。
自分のことしか考えず、助かるためなら何をしたっていいと思っている連中を道連れにする。
今の刹那には木乃香の仇をとりながら、多くの人間を地獄へ叩き落すことを目的にしてしまった。
エヴァンジェリンは堕ちる所まで堕ちた刹那を、睨むようにして見つめた。
「私ではないと言ったら?」
「……不死の吸血鬼でも、この結界内ではただの人間。このまま死んでもらいます」
刀を構えてエヴァンジェリンを威嚇する刹那。
武道大会で見せた気迫どころではない、もはや殺意の塊でしかないのだから。
エヴァンジェリンも武器の鉈を取り出し、構えた。
「そうか……なら相手をしてやろう。己の浅はかさをあの世で悔いるがいい!」
生き残るためなら何だってした。何が何でも生き残る。何人手にかけたか覚えていない。
美砂は助かるためなら親友までも殺してしまった。後には引けない。
だがハルナと戦った時、銃弾を腹に食らってしまった。
「はぁ……はぁ……」
意識が飛びそうなほどの痛みと出血。
前方が完全に歪んで見え、覚束ない足取りでふらふらと森を抜けた。そこには澄んだ湖がそこにはあった。
ペットボトルの水はすでに空。水を見つけるや急いで飛び込んだ。
「み……水………」
直接口につけて大量に水を飲んだ。乾いた喉越しが水によって潤っていく。
「………」
そこまで考えた時、今更ながら自分は何をしているのだろうかと思った。
何人も殺して生き延びようとした自分が、ここにきて良心の呵責に苛まれるなど……。
「こんなのおかしいやん……、何でや…なん…で……」
死に間際の木乃香の声が、美砂の決意を揺らがせていた。
468 :
短編投下:2007/10/16(火) 23:20:04 ID:???
すると次の瞬間、静寂の森を断ち切る銃声が美砂の体を貫いた。
「―――!」
振り向く間もなく美砂の視界は空を向き、回転しながら暗転していく。
意識が暗転する直前、震えてた幼い声が耳を突く。
「…………ひ…ぃ……や、やったよお姉ちゃん。お姉ちゃんの仇は取ったよ!」
そんな声を聞いた美砂はそのまま湖の中へと消えていった。
姉を殺され、仇をとるために戦う鬼へと変貌した史伽は狂った笑いを浮かべていた。
【出席番号7 柿崎美砂 死亡】
「さて、そろそろ動くカ」
武器を手に取る超はこれから戦いへと向かう準備をする。
パソコンには管理者のパソコンを狂わせるウイルスを作成しており、後は流すだけである。
「チャンスは一回だけネ」
マシンガンを構えていつでも戦う準備をする。死んでいった葉加瀬、、千雨、古の死は無駄にしない。
パンは動きに支障が出ない程度に食べたし、水も飲んだ。後は決意のみ。
パソコンのキーを叩くと、そのまま超は隠れ家である小屋を後にした。
未完
短編書いてる途中で意欲が沸いてきた。
作者20番台を目指して書いてみる。
桜子またかwwwwwww
エバを殺そうとする意味がわからん・・・・
まぁ、その辺は書くに連れ上手く修正されるだろ。
てか,ここってまだ結構人いるな
ROMが多いのかな?
皆、もっと積極的に書き込もうZE☆
二日もすみません、先ほど帰ってきました。
今から投下を始めます。
第五十七話
初等部へ続く小道。地面は綺麗な平面となっていてとても走りやすかった。この道は陸上部がランニングする際にも使用されている。でも相手も同じ道を走っているのだから、そういう問題ではない。
鬼ごっこをしているのは明日菜と刹那。それから後ろには、まともな武器を持っていない明日菜を心配してあやかが追ってきているようだ。
三人はどんどんネギたちの居た場所から離れていく。きっとスムーズに事を運ぶことができるのは超たちが上手く足止めしているからなのだろう。
それよりも何故明日菜だけが刹那に狙われているのか、あやかには不思議でならなかった。
修学旅行以来、雰囲気も一変し驚くほどに早くクラスに馴染んだ刹那。明日菜と木乃香と刹那は、いつも一緒に居て今日も三人で登校してきたのに。
木乃香一人が居なくなってしまっただけなのに、何故こうまでも関係が崩れてしまったのだろう。
刹那が狂っているとしても、あそこには複数の人間が居たのに明日菜があの場に居ることがわかると刹那は明日菜にだけ斬りかかってきた。
「キャ!」
この通りで殺されたらしい、古菲の遺体が足元に見えると避けたつもりだったが、ギリギリのところで足先が引っかかって明日菜は地面にキスをした。
急いで上体を起こした明日菜が鼻先に土を乗せたまま背後を振り返ると、既に真後ろに刹那が来ていた。刹那は古菲の遺体傍に落ちていた日本刀を拾う。
「アスナさん、早く!」
あやかの声で我に返った明日菜が刹那に背を向け立ち上がろうとしたが、何も無いのにまた倒れてしまった。
青ざめた表情で自分の足元に視線を奪われているあやか。恐る恐る視線を辿ると明日菜の右足、足首から太ももまでがパックリと割れていた。
気付くまでは感じなかったのに、今激烈な痛みが神経を駆け回る。
「お嬢様の…このちゃんの仇だ!」
こちらを睨む刹那の目がどす黒く見えた。そこに映っている明日菜はまるで闇の中に放り投げられているようだ。声色からは憎しみの念しか感じられない。
「刹那さん……このかは…」
「貴様が…貴様がこのちゃんを殺した!」
神鳴流剣士の一人の刹那が、日本刀を構えた。刀一本あれば強さと迫力がまた一段と増し、明日菜の身体を恐怖で硬直させる。
「アスナさんが…このかさんを…?」
あの明日菜が、親友の木乃香を殺害した?そんなこと、明日菜にできるのか?
大体明日菜が人を殺していたのなら今あやかや夕映や美砂は何故生きているのだろう。
ベンチに座っていたときなんて隙だらけだったはずだ。あやかのバックからこっそりと金棒を取り出して殴りつけることだってできたはずだ。
何があったのかなど解らない。だが二人が一緒に過ごしてきた時間は長いのだ。これだけは言える。
「桜咲さん!アスナさんがこのかさんに手をあげるはずがありません!」
あやかの言葉が今の刹那に聞こえるはずがない。
刹那の頭の中には明日菜を殺すことでいっぱいなのだから。
「貴様が、貴様が銃でこのちゃんを!」
その言葉であやかは確信した。刹那の言っていることは完璧な嘘だということを。
「アスナさんの武器は銃ではありません!いい加減に…」
「違う!コイツだ!コイツがこのちゃんを!」
「刹那さん!違う、私じゃない!刹那さんだって見てた!このかはあの時―――!」
「黙れェェェェェエ!!!」
明日菜の言葉を刹那は自分の声で必死にかき消そうとしたが、明日菜の言葉を隠すことはできなかった。
第五十八話
「柿崎は宮崎とまき絵と相坂を連れてあそこの草陰で休んでろ」
まき絵の傷の痛みは止まらないが最初に比べれば随分穏やかになった気がする。支え無しでも何とか足元は安定できたが、長く持ちはしない。
さよも先ほどの闘いで体力はかなり消耗してしまっていた。こんな追い込まれた状況なのに千雨はそれを気遣う。
超に腕を掴まれた二人は心配そうに千雨たちを見るが、わざと目を合わさないように千雨が顔を逸らしたので諦めて闘いを見守ることにした。
それにまき絵は足を引っ張るのはもう懲り懲りだと思った。自分のせいでまた怪我をさせてしまえば今度こそ立ち直れない。
美砂は何故自分の名が呼ばれたのかはわからなかったが、遠回しに足手まといだと言われいるのだろうと素直に従った。
「どうにかしてアイツを…」
千雨は何とかネギを元に戻したいと思っていた。普段は子供教師と莫迦にしていたが千雨は関わりを深めることによってどんどん惹かれていった。
それを言葉にしたり行動にしたりしたことは無かった。自分で認めるのが悔しかったし、心の中でネギのことを考えるのは避けていたから。
平和な日常を奪った相手でもあるが、学園祭のとき彼が未来を守るために必死に闘っていた姿を見ると、自ら協力したいと思った。
それに彼にはマギステル・マギになるという夢を持っていることを千雨は知っている。自分にだって夢があるし、それを叶えさせてあげたい。
元に戻って、また夢を追いかけてほしい。きっと千雨のことだから顔から火が出るくらい恥ずかしいと、口に出しては決して言わないだろう。
でも実際には止める方法なんて一つしか無いのだろう。クラスメートが消えていくのとネギが血に汚れていくのを防ぐために、ネギを殺すしか。
「千雨サン。サウザンドマスターの魔力は高い。ネギ坊主の魔力は確かに強い、だが…サウザンドマスターには適わないだろう。だから止める方法は恐らく、ネギ坊主を…」
「待て。そんなことしたらお前だって困るだろう、こんなゲームのために…」
「超さん……」
「あァ、莫迦げていル。ゲームのために、誰かのために自分の命を捨てるなんて…私には似合わない話ヨ」
隣で夕映が不安げに超に視線を送る。超の瞳には寂しさが垣間見えた気がした。
「私にはネギ坊主側について残ったクラスメート殺し優勝することもできる。そうしたいのは山々ヨ?…でも、残念なことに私の血にはネギ坊主の血が混ざてるネ」
必死にクラスメートを、大切な人を護ろうとしていたネギの血が。
「話はもう良いでしょう?行きますよ」
丁寧に攻撃の合図をしてくるネギ。きっと相当勝つ自信があるのだろう。超に向かって走り出したネギは腹部目掛けて拳を打ち込もうとする。
一発で仕留められるわけにはいかない超はその拳を手のひらの中に収めると勢いを利用して腕を引き、ネギの身体を引き寄せ左拳をネギの顔面の位置まで持ち上げた。
が、その行動を読んだ捕らえられた方の手首を捻りネギは空中へと躍り上がる。着地と同時に超から解放された右手で地面に触れた。
少しの間を見て銃を取り出した超はネギを撃つかと思えばそうではない。周りでこの闘いを止めるべきか否か迷っている夕映に向かって投げた。
「何を戸惑ているネ、君たちの『ネギ先生』が変わっていく姿を見ていたいのカ?」
「し、しかし…そんなこと…」
「…チッ」
照準を定めた千雨がボウガンを撃つと、轟音が響いた。死角から狙えば足にでも矢が刺さったかもしれない。ネギは直線に向かってくる矢を避けた。
「千、千雨さん!」
「黙れ!」
阻止しようとする夕映に向かって声を張り上げる千雨。できることなら千雨だってまたネギ先生に逢いたい。
でもそれができないというのなら、立場が逆転したとき彼がとるだろうと思った行動を選択するべきだろうと考えた。
自分が後悔することはわかっている。それでもクラスメートを相手に殺させたくないという気持ちを優先した。
「千雨さん………」
これ以上何も言えるはずなかった。いや、言ってはいけないと思った。超と千雨の気持ちを揺るがしてはいけないと思った。
何かを得るためには何かを犠牲にしなければいけない。何かを護るために、残りのクラスメートを、大好きなネギ先生を護るために夕映は銃を構えた。
「魔法の射手!」
ガッ
「…戦いの歌」
二人からから仕掛けられた攻撃は、中心に居る限りどうしても受けることになってしまう。しかしそれが嫌なら話は早い、ただその場から移動すれば良いだけだ。
千雨が発射した矢は超と夕映の間をすり抜け、超が放った光は地面に堕ちた。夕映は銃を構えたは良いが引き金に添えている指が震えて発砲することができなかった。
そして一瞬で夕映の影をネギの影が覆う。着地する寸前にネギが杖を構えて叫んだ。
「桜華槍衝 太公釣魚勢!」
「…!」
背後を取られてはお終いだ、これを普通の人間がまともに受ければ簡単に骨をやられるだろう。ネギが武道会で刹那に掛けようとした技だ。
夕映は咄嗟に回避しようとしたが魔法の修行に力を入れていた夕映にそれができるはずもなく、衝撃で前に回転しながら数メートル先の壁にぶつかった。
骨が何本もやられ身体が動かない。衝撃が大きすぎて声も出ない。夕映の小さな身体では、その痛みに耐え切ることもできなかった。
皮膚を破いた骨は赤く染まっている。放置していれば傷口から菌が侵入し、きっと死んでしまうだろう。
「夕映ちゃん!」
草陰からまき絵、美砂、さよが出てきたボロボロの夕映に駆け寄った。見てる方が痛々しいその姿を、直視するのには勇気がいる。
段々意識が遠のいていく中、最後にネギの方へと視線を投げた。でもそのネギは本当のネギでは無い。最期にネギ先生が見たかったと思う。
のどかは強いのだが、自分を信じることがあまりできていないような気がする。だからその気持ちが自分自身の足を引っ張ってしまうのではないかと思っていた。
その言葉は親友として、最期にのどかに伝えたいことだった。
第五十九話
──「大丈夫や。このちゃんはウチが護ったるからな!」
これが幼少期の私の口癖だった。
そしてお嬢様は私に微笑んでくれた。
「ありがとな、せっちゃん。ウチらはこれからもずっと、ずーっと一緒や!」
この幸せを、今、無かったことにしなければならない──
480 :
マロン名無しさん:2007/10/17(水) 20:38:14 ID:bBgdorUZ
C
「このかさんが…ご自分で……」
あやかは刹那と一定の距離を維持したまま、足を止めた。それは意識的な行動ではないので、足が止まってしまったといったほうが正解だろう。
『このかはあの時、自分で銃を撃ったじゃない!』
その言葉に唖然とする。まさかこのかが自ら命を捨てるなんて、そんなことが、ありえるのだろうか。
だが明日菜が嘘をついているとは思えなかった。明日菜はそんな嘘を吐くような人間ではないし、その場に居たと言われている刹那だって否定するのを止めてしまった。
刀はあと一センチほどで明日菜の胸に届くところだった。しかし腕が震えて、上手く柄を握ることができない。力が入らない手の中から、刀が滑り落ちそうになる。
「きさ…貴様ァァァア!」
チガウ、チガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウ―――!
刹那はもう叫ぶしかなかった。狂ったように、乱雑な動きで刀を振り回す。
正気だったなら一発で仕留めることはできたはずなのに、刃は身動きのとれない明日菜に命中することはなく周囲の木や茂みなどに当たりガサガサと音を立てた。
「刹那さん…」
「うるさァァァい!」
記憶を辿るのが怖い。一度閉ざした記憶を開いてしまったら、きっともっと刹那はおかしくなってしまう。その事を予測した明日菜はそれ以上何も言わなかった。
刃先が確実に明日菜を向いた。明日菜は回避しようと身体を反転させるものの、右足に力が入らず転んでしまう。
その衝撃で、バックの中の物が全て地面に転げ落ちた。さきほどは愉快な気持ちを生み出してくれただけの孫の手も、今は明日菜が人殺しをしていないことの証明品となった。
「桜咲さん、このかさんの武器は何でしたか?アスナさんの武器は…見ての通りです。アスナさんは…」
「違う!違う、どこかに、どこかに――!」
揺れ動いて不安定な足取りでバックに駆け寄ると中身をあさった。中から外へと放り出されていくのはかじり掛けのパン、使用感の有る地図、懐中電灯…。
バックの奥底を突いても刹那の求めているものが見当たらない。そんなものが入っているはずなかった。
「桜咲さん。桜咲さんも、本当は解っているのではないですか?お願いします、これ以上誰かを傷つけることは…」
遭遇キタ?
とりあえず支援
木乃香暴発ドジっ子説浮上
当然支援
──「なぁせっちゃん」
私があの時振り向いたとき貴女は、笑っていましたね。
こめかみに銃口を押し付けて。
その途端、私の身体は硬直したように、動かなくなった。
そしてごめんな、と声を出さずに唇だけを動かして、貴女は引き金を引いた。
パァァアン!
私が無力だったから。
私が、全て私が──
「うああああああああああああああああああ!」
瞳孔を開いて頭を抑えながら踊るように動きながら刹那は狂った、狂い続けた。刹那たちを見下ろす空に響いた声で眠っていた鳥たちは目を覚ましどこかへ飛び立つ。
様子を見ている太陽は笑っているだろうか。普段のように三人を照らしてくれている。
いつも隣に居た木乃香の香りを届けてくれた風は心に癒しを与え続けてくれている木々を揺らして。
大好きだった人が居なくなった事実。木乃香が自ら命を絶った後でも平然と回り続ける地球、進み続ける時間、生きている人々。
「………あ、ああああ…………く、ぁ…」
護れなかった自分が憎い。落ち着きを見せた刹那の綺麗な瞳から零れる涙が、下にある明日菜の頬に落ちていく。雨でも降っているようだ。
刹那は明日菜の手元に落ちた日本刀を再度自分の手に握った。殺気は一切無いようなので、二人は黙ったままでいる。
受け入れなければいけない現実から、自分が逃げてしまっていたこと。そんな強さが自分に無かったこと、全てを――
「認めなければ、ならないのですね……」
「刹那…さん?」
「私は…佐々木さんを傷つけ、和泉さんと茶々丸さんの命を奪いました」
和泉亜子と絡繰茶々丸と言えば、確かまだ放送では呼ばれていない。まき絵の右腕には布が巻かれていたので、傷があるのだろうと思ったことは覚えている。
「最低な人間…いえ、完璧な化け物になりさがってしまいました」
自嘲気味な笑みを浮かべ、意味を理解しているだろう明日菜へと視線を送った。涙で視界が滲む。
「私が、弱かったのです。全ては私が…。アスナさん、ごめんなさい」
刹那は刃を自分の胸へ向ける。
「さようなら」
「駄目です、桜咲さ――!」
支援
とりあえず、エラーばかりなので一時間ほど投下をお休みします。
十時から続きを投下しますね。
ぐはっ
読んで寝ようと思ったら…
途中まで読んで寝て明日の朝続きを読む事になるとは…
生殺しだorz やるじゃないか17
このか「ウチ自殺なんかしてないえ」
こんなところで止める17に殺意がわいた俺を許して・・・・・・・!!
イマイチ感動できなかったがここで止める17には感動した
えっ感動ネラいなの?このはなしは・・
今から続きを投下します。
今更ですが私の書くストーリーに感動を求めるのは止めたほうが良いです。
私自体、良いお話というのが苦手なので…。
ブシュ――!
シャワーを出すような水音が響いた。
「何故…」
前を見ると、刃先と自分の間に明日菜の姿があった。柄を握る自分の手の甲に明日菜の体温が伝わる。刃は明日菜のわき腹を貫通していた。
明日菜は刹那に刃がいかぬよう、固定して。どうりで何時まで経っても痛みが襲ってこないわけだ。
「アスナさん!」
「せ…つなさ…」
刀を引き抜くと赤いような黒いような、濁った色をした血が吹き出た。
肩で息をしている状態の明日菜が、刹那に背を預ける。刹那は力が抜け、明日菜を手で支えつつも地面に座り込んだ。
明日菜が刹那の涙で濡れた頬に何とか触れる。そして色違いの双眸を細め、いつもの彼女とは違う風に微笑した。
「ここで…アンタが死んだら、意味…無いじゃない……?」
刹那の目から落ちる涙が、明日菜の流す涙と混じり合う。
「刹那さんは……ちゃんと…いいん…ちょ、と……生きて帰んなさい…よね…。皆を…護って…あげ…て…」
金棒を地面に落とし、あやかは明日菜の元に歩み寄る。今の信じられない光景は、幻ではないのか。見間違いではないのか、と。
しかし力なく言葉を発しているのは紛れも無く自分の良く知っている神楽坂明日菜本人。当たり前のことだ。
「…何泣いてるのよ……」
「泣いてなんか、いません」
顔を隠すように長い髪の毛を垂らし俯かせ、乾いた地面に染みを作る。
チリン
「これ…高畑先生……にもらった……リボン…片方……アンタに預ける…わ」
「…それは貴方のものです」
「いいから…。また…次に逢ったとき…に、返しなさい……よね…」
強引な彼女の言葉。そんなこと、もうできるはずが無いのに。
あやかはしゃがみ込んで刹那の腕に頭を乗せている明日菜の震える手の中から、涼しげな音を奏でる鈴のついたリボンを受け取った。
「アンタとの…喧嘩……楽しかった…」
噛み締めていた下唇から、ツーと純潔な血が涙と一緒に垂れ落ちる。
「私だって、…楽しかった……」
握っていた明日菜の手からぬくもりが消え、もう片方の手が刹那の頬から地面に落ちた。
あやかの言葉は届いたのだろうか。明日菜の安らかな寝顔を見て、あやかはリボンを握り締めた。
【神楽坂明日菜死亡 残り10名】
第五十九.五話 Konoka konoe
ごめんな。
ごめん。
ごめんなさい。
私のせいで傷ついていく貴方を見たくなかったから。
最後まで貴方を護れなかった私を
許してください。
第六十話
「……ちゃん!」
「そんな…」
遠くの方から悲鳴が聞こえる。実際には音源はかなり近距離にあるのだろうが、今のどかは一人で遠くに居るような気がした。草同士が触れ合う音がし、今度は本当に遠くから声がした。
誰かが誰かの名前を呼んでいるのはわかる。でもハッキリと聞こえない。聞きたいとも思えない。
震える身体が地面に倒れそうになる。たくましく生えた雑草を握り、大好きな人が大好きな人を殺している場面をのどかは眺めていた。
あの二人は闘っている。親友が闘おうとしている。それでも親友は散ってしまった。
なのに何故自分はこんなところでボーッとしているのだろう。大好きな人を救うあと一歩の勇気が踏み出そうとせず、最初から諦めて、何故こんなにも私は―――
「――え、ゆ、……夕映ェェェエ!」
駆け寄ったところで何もできないのはわかっていた。でもそれをせざるをえなかった。のどかはバックから救急セットを取り出すと処置をしようと蓋を開ける。
でもガーゼや消毒液で対処できる怪我なんて誰も負っていないのだ。夕映を救えるはずがない。それでも必死にガーゼで血を拭い、手当てをしようとした。
「夕映、ねェ、夕映!」
いくらのどかが大声を張り上げたところで夕映の怪我が治るわけがない。親友のために、自分は何もできなかった。
しかし名前を呼んでいる声が一度だけ届いのだろうか、夕映が一度だけ小さく口を動かした。
『ネギ先生と自分を、信じてください』
『のどかは強いですよ』
声には出していなくとも、言いたかった言葉はのどかの胸に充分伝わった。夕映の手を最後に握り締めると、のどかは立ち上がった。
「桜華崩拳!」
「風花・風障壁!」
光を載せた拳が千雨に襲い掛かってくるが超が詠唱することによって直撃を防ぐ。夕映が死んでしまったのにも関わらずネギは二人に攻撃を繰り出している。
クラスメートを殺してしまったことに、何の罪悪感も感じていないのだろうか。本当にもう感情が消えてしまっているたっだの操り人形になりさがってしまっているのだろうか。
ネギの本心がわかるのはのどかのアーティファクト、いどのえにっきだけだ。心の声が聞けるのはのどかしか居ない。のどかにしかできないことなのだ。
「アデアット!」
「息が上がってきてますね、超さん、長谷川さん」
千雨の武器、ボウガンは矢が無いのでもう使えない。なので先ほどから逃げるよう指示しているがネギがそれを許してくれないため、超が護りながらの闘いを続けている。
詠唱をするだけで身体中に凄まじい痛みが走るというのに、ずっと身体を張った戦闘を続けているのだ。きっと立っているだけでも辛いだろう。
息が荒がるどころじゃない、本当はすぐにでも呪紋を封印したい。だがネギを止めるため、千雨を護るためにはそういうわけにはいかない。
あと一度でも呪文を唱えればきっと後の闘いに響くことになるだろう。それを考えると無理に詠唱するのは控えたのだが…。
ネギが超の懐に入り込むと横からわき腹に膝蹴りをお見舞いしようと足を持ち上げる。超はそれをすねで受け止め、骨が軋むような感覚に眉を顰めた。
その隙に千雨はというと夕映が落としていた銃を手にしていた。もちろん銃口は背後からネギに向けられている。位置的にそれを確認できた超がネギの両腕を掴み上げた。
「さァ、一緒に逝こウ、ご先祖様」
「デフレク――!」
パンッ
以上で投下は終わりです。
では。
さっきはイマイチ感動できないと言って悪かった。
いいんちょと明日菜、スゲー感動した!
鈴を渡すシーンが頭の中で鮮明に描かれたよ
17の今までの投稿で1番良かった。心から乙。
あれ?目から汗が…
まさか17の作品でここまで感動できるとゎ…
>494でそぉゆってるがもう少し自分に自信を持て…
少なくとも俺は感動した…
>>501 〉まさか17の作品でここまで感動できるとゎ…
その言い方は少し失礼だと思うんだが・・・。
作者17がかなりネガティブだなあ〜とは前々からおもってた。
勝手な意見や文句を言うからだろ
これじゃ誰だってネガティブになるに決まってる
>>503 その流れは荒れるからスルーで
いや普通にグッときたw
gjと言わざるをえない…
そして跳び箱娘が生き残りそうな流れktkr?
生殺しされたものです
今、仕事に向かう車の中です。
…涙から目が(;_;)
かなりグッと来た、17は才能あるb
あら?前が見えない
>>505 確かに17すごいな!
他人の涙から目をつくりだすとは
涙出すぎてパソコンが浸水
修理せずに大事にとっとくよ...
刹那が極度のドジっ子か
新鮮だな
〉〉509
何というか・・・読解力ないね
自殺しようとしてる刹那と日本刀の間に潜り込む明日菜
人が入る隙間が開いてたとは思えないが
つぅかネギま小説でリアリティを求めても・・・
そんなのどうでも良いじゃんか
昨日の投稿で6からずっと見てきた俺の中で17はベスト3に入った。
今から今日の分の投下を始めます。
第六十一話
今、時計が午後2時を回った。通常だとこの時間は授業中だろう。授業中だからと言って皆が大人しく勉強に没頭していたわけではない。
明日菜とあやかの口喧嘩、そして口論から掴みあいになる。そして毎回皆が二人を囲んで「アスナに100円!」「いいんちょに300円!」などの声が飛び交う。
慌てふためきながらネギが全員を落ち着けようと声を掛けて…。そんな日常が戻ってくることはもう永遠に無いのだ。どちらか片方でも欠けてしまえば、喧嘩なんてできない。
広々とした空間に取り残された二人は、穏やかに満たされた彼女の寝顔を見つめていた。刹那が踏みしめている地面は雨が降った後のように濡れている。
ゲームから外れた彼女は今どんな夢を見ているのだろう。手を血に染めることなく死んでいった彼女なのだから、きっと幸せな物語の世界から見守っていてくれているに違いない。
チリンチリン、と懐かしい音を立てているのは今、あやかが自分の髪をリボンで高い位置に結っているからだろう。
「私は…どうすれば良いのでしょう」
背を丸め滅多に見せることのない涙を流し続けながら言葉を紡いだ。汚れきった自分の手のひらを潰すように握り締め、拳を身体にくっつけた。
「死んでくださいと言えば死んでくれるんですか」
「……」
金髪を一束に結い上げた後、平然とした態度で述べた。あくまでもこれはただの例えだ。本当に『死ね』だなんて言うつもりはない。
『死んでください』と言われたところで、クラスメートを殺めてきた刹那を楽にさせてしまうだけだし、明日菜の行動が無駄になるだけだ。
「貴方はアスナさんに言われていたことを、守ってください。一緒に、闘ってください…、生きてください」
「…残酷ですね、アスナさんも雪広さんも」
今の刹那にはその言葉は重たかった。死んだからといって誰が戻ってくるわけではないが、罪悪感に埋め尽くされた心は一生晴れることはない。
それならばいっそ、命を投げ捨た方が苦しみを味わって生きていくよりよっぽど良いだろう。罪を背負ったまま、生きていけというなんて酷な話だ。
「約束です、桜咲さん」
「…わかりました」
右手を刹那の顔の前に持ち上げ小指を立てた。刹那は戸惑いながらも約束を守る証として、小指を絡み合わせ誓いを結ぶ。
パンッ
解いたところで先ほどあやか達が居た方角から銃声が聞こえる。きっとネギとの戦闘で誰かが発砲したのだろう。目で合図をかわすと刹那が日本刀を拾ってネギたちの方へと向かった。
第六十二話
のどかはネギのことを慕っていた。いや、慕っているのはクラスの全員だ。のどかは他のクラスメートとは別に、特別な気持ちを、恋愛感情をもっていた。
いつものどかはネギに救われてきたのだ。異性が苦手なのどかが彼に好意を寄せたきっかけも、のどかが階段から落ちたところを彼が助けてくれたから。
のどかには楓や古菲と違って戦闘が得意なわけではないし、明日菜や刹那のように体力があるわけではない。でもできることなら強くなりたい。誰かを護ってみたい。助けたてみたい。
ネギのことでも夕映やハルナに手伝ってもらってばかり、魔法の修行だって一人でやってきたわけじゃない。
弱い自分が、怯えて逃げるだけの自分が嫌いだった。そんな自分を変えたいとずっと思ってきた。でも思ってきただけで、なかなか実際に行動に移すことはできなくて。
さっきだって、のどかはネギに捕まり明日菜に助けられた。そしてネギをも救おうとする明日菜を見て、羨ましくなってしまった。
強い心が持てる彼女を、自分もそうありたいと思った。つまり明日菜にのどかは勇気づけられたのだ。
それに千鶴と一緒に居たとき、ネギを信じようと言ったのは他の誰でもない、のどかなのだ。なのにその場に居なかったはずの夕映に思い出させてもらうなんて――
「みや…ざ…」
「……ハァッ…ハァッ…ゴホッネギ…先生……」
ネギの頭部に当たるはずだった銃弾は、のどかが身体で受け止めていた。弾丸が命中した場所から涌き出る血が制服に滲み出した。
白いシャツから香るはずの洗剤の匂いは、生臭い人間の血の臭いで完全に消えてしまっていた。
超は驚いて知らぬ間にネギを解放していた。しかし身体の自由を取り戻せたはずのネギはまったく動かない。動こうとしても、まるで誰かが身体を制しているように硬直してしまった。
アーティファクトを大事そうに胸に抱いたまま、のどかはネギに歩み寄った。一歩、一歩と恐れることなく。長い前髪の間から僅かに覗いたのどかの瞳に強い決意が宿っていたように見えた。
「ネギせんせ……聞こえてますよね……?私の声…届いてますよね……?」
小刻みに身体を震わすネギ。まるでこっちに来ないで、と言っているかのようにのどかが距離を詰めるごとに震えを大きくしていった。
怯えるネギの後頭部を左手に乗せると、両膝で地面に立ちネギを抱き寄せた。
「大丈夫ですよ……信じて…います……。辛いんですよね……でも…ネギ先生には…3Aの皆がついているじゃないですか」
「………」
「ネギせんせ…の、せいじゃないんです…ネギせんせーは……何も悪く…ありません…安心してくださ…い…」
「…………」
「…せんせー……私…ネギせんせーのこと………」
「……………」
「大好きです」
のどかはネギの唇にそっと口付けをした。最後に自分の気持ちを伝えるために。
しかし二人のキスはすぐに終わってしまった。冷たい唇が触れると、のどかは自分の足で身体を支えられる状態ではなくなり、ネギと反対方向に倒れかけた。
が、ネギがのどかの腕を握り倒れるのを止めた。温かい力に本当のネギが導かれたのだろうか。
「――さん、」
「のどか……さん…」
ネギがのどかの名を呼ぶ。だが返事が返ってくるわけがない、のどかはもう永遠の眠りについていた。
「…のどかさん、のどかさん!のどかさん!」
大好きなネギ先生が戻ってきたというのに、ネギを救い出した張本人はもう死んでしまった。最後までネギに逢えなかったまま、死んでしまったのだ。
のどかを抱きしめ、身体を必死に揺さぶる。のどかは、寝ているわけではないのだから起きるわけがない。そんなことは、誰にだってわかる。
それでもネギはずっと、ずっと彼女に触れていた。
「ウワァァァア!!!」
晴れ渡る空を揺らす少年の叫び声。
どんなに叫んでも手の中の美しい少女は、目覚めることは無い。
【綾瀬夕映、宮崎のどか死亡 残り8名】
今日の投下は以上です。
>>520の二行目の空白はミスです、すみません。
それから終盤が本当…何というか……かなり言いにくいんですが、もう、ジャンルがネギまで良かったね、という感じなので…。
もしも、万が一、作品に期待を抱いている方が居て、その期待を壊してしまったら、本当にごめんなさい。
ではまた。
のどか……(泣)
乙です……
>>520 いや、前半に比べるとかなり良いよ
すげぇ感動してるもん俺。
今日は投稿数少なかった?
17よ、もっと自信をもて
というか17最初やる気あった?今のあたりと最初あたりで力ね入れようが違うな
>>525 失礼な言い草の際に誤字付きってのは切腹モノの恥ずかしさだと思うね、ん?
527 :
マロン名無しさん:2007/10/19(金) 15:08:18 ID:zh6RRXtX
亀田は切腹してないアルか?
しとるえ
せやなあ
さぁ、どの3人の会話でしょう?
どっかのスレからきました
俺も俺も
あっ、じゃあ俺も
ついでに最初から読んでみるよ
>>459 何がしたいか知らないが、作者16氏は自分のことを作者16と言うときは必ず
全角の『16』だったぞ
それに高校生の16氏の片思いの人から結婚式の招待状なんてくるかばか者
最近変なのが沸いてて困る。17氏を装って他スレで宣伝してるアホがいるし。
最近はロワスレ全体に珍妙な荒らしがわいてるんでスルー推奨
やり口が単調なおかげで無視したところで正直さほど被害はない
>>531 煽りはそういうの使い分けて煽ってるからまあ533でFA
今から今日の分の投下を始めます。
第六十三話
「のどかさん……」
あやかたちがたどり着いたときには既にネギの胸の中で少女は息を引き取っていた。近付いてわかったことだがのどかの腹部に小さな穴が開いている。
丁度銃弾くらいの大きさの穴だ。ネギが撃ったのかと疑ったが銃を持っているのは千雨だけだった。まき絵や美砂、さよに励まされている千雨は俯いたままだ。
制服に付着した鮮血は日の光に反射したためまだ新しいものだとわかった。千雨がのどかを撃ったという証拠は充分に揃っている。
しかし誰も千雨を責めたりはしていない。きっとのどかを撃ったのは意図的なものではなかったのではないかと二人は悟った。
一方、立ち尽くしのどかの方を見つめる超は唇を震わせている。まるで泣くのを我慢しているかのようにも見える。
「僕が…僕が、殺してしまったんです。僕がのどかさんを、夕映さんを……僕が!」
「ネギ先生…」
ネギが教師になって、初めて受け持ったクラスの生徒たち。
教師にならなければならないことを知ったばかりの時はマギステル・マギになるための試練ということで期待とやる気で心を満たしていたのだが、いざ当日年上ばかりの中に飛び込んで挨拶すると、全て不安へと変わっていった。
果たして皆はこんな子供を受け入れてくれるのだろうか、と。だがクラスの大半が、笑顔でネギを迎えてくれた。
最初はギクシャクな関係が続いていた明日菜だって何だかんだ言って仲良くしてくれたし、普段あまり口を聞いてくれなかった人たちもネギが頑張っている姿を見て認めてくれた。
吸血鬼騒動、図書館島探検、修学旅行、学園祭…他にも様々なことでクラスメートを護るために必死に努力してきた。
そのはずが、今築き上げてきた絆を自らの手で壊してしまったのだ。自分のために魔法の修行を頑張ってくれた夕映を、自分のことを好きだと言ってくれたのどかをこの手で殺してしまった。
バトルロワイアルなどというくだらないゲームを、生徒たちに参加させてしまった。
なのにのどかは最後の最後までネギのことを好きだと言ってくれた。自分を止めるために夕映たちは闘ってくれた。そんな皆を裏切ってしまったのだ。
「皆さんの手で…僕を……僕を、殺してください」
「ネギくん!何言ってるのよ!?」
「そうだよ、ネギくん。何でそんなこと言うの!?」
「僕には生きる価値なんてありません。僕は僕を信じてくれていた人たちを殺してしまったんです。早く殺してください」
もう止めてというようにさよは耳を両指で塞いだ。だが淡々とした口調で言い放たれる言葉たちは止まない。
「だからせめて僕が信じている皆さんに殺されたい。そうすればのどかさんや夕映さんと同じ気持ちを…」
「先生、失礼します」
バシンッ
それ以上そんな言葉を聞きたくなかったあやかが、とうとう我慢できなくなってネギの頬を引っ叩いた。どれ程の力が込められていたかはネギの真っ赤になっている頬を見ればわかる。
だがネギの頬が痛いのと同じように、いや、それ以上に皆は心に痛みを感じている。ネギの正面顔は叩かれた方向のまま、ただ震えるだけだ。
「ネギ先生、私はネギ先生を愛していました。ですがそんなことを言う人なんて、…大嫌い……ですわ」
「……」
「ネギ先生は自ら私たちを置いていこうというのですか?」
「………」
「これまでにたくさんの仲間を失いました。アスナさんだって…。それでまたネギ先生までもを私たちは失わなくてはいけないと?
……居なくなってしまった方々のために…私たちが、ネギ先生がやるべきことがあるのではないのですか?」
「いいんちょさん…」
本当はネギに向かってどんな形であろうとも『大嫌い』だなんて言葉は言いたくなかった。でも彼のこんなにも弱い姿を見続けるのは何より辛かった。
あやかの知っているネギは強い心をいつも持っていて、泣くことはあってもクラスメートを見捨てるような人間ではなかった。
「ネギ坊主、その通りヨ。生き残った皆を護るために、やるべきことをやるネ」
「皆さん……」
「私たちのために、闘ってくれませんか?」
自ら命を捨てようとし、皆を護り生き延びると誓った刹那がネギに問う。ネギの気持ちは痛いほどわかるが、あやかに言われて護るべきものを理解できた。
自分の修行不足のせいでこんな状況になっても皆は信用し続けてくれている。皆の言動は絆の深さを物語っていた。
ここで立ち上がらなければきっと天国にいった明日菜やのどかたちに頭が上がらない。護るべきものは探さなくても目の前にあるではないか。
「……僕は…僕は、闘います。皆さんのためにも、自分自身のためにも――!」
本当の闘いの幕が今、開かれた。
第六十四話
首輪が外れあやかと刹那の歩調は軽快になっていた。息苦しい感覚から解放され心地良い二人を余所に超の身体の痛みはまた一層増していた。
ピリピリと電流が駆け巡っているかのように身体が疼く。だからといって皆の気持ちが一つになった今、それを告白するわけにいかない。
痛みを心配してか身体の調子を尋ねてきたネギには結構自信のある演技で誤魔化すことができたと思う。
それに先刻これからの闘いに備え体力の補給をするため、ネギが自分の生い立ち、魔法についてを説明するために数分ではあるが休憩をとったのだから、更に時間をロスすることは許されない。
「…超さん、無理はしないでくださいね?…本当に……」
「何を言てるネ。これくらいの痛み、もう慣れてるヨ。私を誰だと思っていル」
無理に表情に笑顔を滲ませ嘘を重ねていく。ネギは正直、それは強がりだとわかっていたが折角そこまで言っている相手を無理に休ませるのにも抵抗があってか何も言わなかった。
「絶対に我慢できなくなったら、言ってください。それからできるだけ、もう魔法は使っちゃ駄目ですよ?」
「…あァ、わかてるヨ」
危惧の念を抱くネギを落ち着かせるために頭の上に手のひらを置いて撫でてやった。心配してるのに、と子ども扱いをされて少しふくれっ面になる。
「それより、ネギ坊主も気付いていると思うが私が首輪を解除した瞬間、エリア中から巨大な魔力を感じた。もしかするとサウザンドマスターの目的は…?」
ネギたちは中等部に長く続く階段に差し掛かった。校舎へと続く階段は清掃をした直後のように輝いている。
階段を一段昇った先頭の超の頬に傷が走る。意識していなかったため気付かなかった手足にもいつのまにか傷ができていた。
超は皆に怪我をさせないよう腕を伸ばして前方を塞いだ。そして冷静に原因を探る。
「コレは…」
「呪いが解けたか、ネギ・スプリングフィールド」
階段の頂上を仰ぐと放送で呼ばれたはずのクラスメート、エヴァンジェリンが立っていた。顎を上げてこちらを見おろしている。
しかしそんなことをしてもいつもの迫力が些かも無いし、生気すら感じられない。やはり死んだということは事実なのか、それとも死んだということにしてあちら側についたのか。
「……死体を誰かが操っているナ。今のエヴァンジェリンは本当の操り人形になったようネ」
生きていれば魔法抵抗できたかもしれないが死んでしまったらエヴァの魂も消滅してしまう。
魔法が使えないエヴァの空の身体を使っている理由は何だ?彼女に残された能力は何だ?そう、答えは言うまでもない。
階段が輝いて見えたのは陽射しに反射し、超の頬に傷をつけたワイヤーが原因だ。振り返れば所々に皆の赤い血が宙に浮いて見える。
「さァ、遊ぼうじゃないか」
エヴァが伸ばした両腕を頭上に持ち上げる。すると顔をグッタリと下ろしたままの死んだクラスメートたちが周りを囲んだ。
最初に殺された明石裕奈、目玉が見当たらない釘宮円と四葉五月、額に穴を開けた龍宮真名、胸元に血が滲んでいるZazie Rainydayたちが斧や包丁など、刃物を持ってそこには居た。
全員五体満足な身体なので利用しやすかったのだろう。まき絵は裕奈の遺体を見るのが嫌だったので目を背け、反対に美砂は親友だった円から視線を外せなかった。
笑みを浮かべた口元から牙を覗かせると指を捻り、駒となる裕奈たちを動かす。操り人形が人形を操って襲撃するというのも珍しい話だ。
そして一段ずつ階段を降りてきた。
「皆死んでいるネ、迷いを見せるナ!」
死んでしまったクラスメートを目の前にすると皆が少し弱気になる。特にまき絵と美砂は親友だった人が敵だと認たくなかった。
立ち向かってくる刃物は避けているが二人はこちらから攻撃するをしようとしなかった。相手が親友でなくともどちらにしろまき絵は既に怪我をしている右腕を庇っていることしかできなかっただろう。
頭の隅に常にそのことを置いていた千雨が斧を振り回す裕奈の腕を銃で襲撃した。即座にザジが上下に鉈を振り下ろすが刹那の肘がザジのわき腹を討ち攻撃をずらす。
「まき絵、柿崎!超の言う通りだ、コイツらは全員もう生きていない、それに今は私たちの敵だ!」
「千雨ちゃん…」
「……わかってるわよ!円、ごめん!」
千雨の言葉が美砂を後押ししたのか、泣きながら催涙スプレーで包丁を向けてきた円を殴った。
ボコッという音は周辺の音でかき消されたが缶が凹んでいるので生きていれば結構な衝撃だったろう。
千雨はワイヤーを掻き分けながらまき絵との距離を縮めていく。時折ザジの方を振り返り銃口を向けるが固定されているので追いつくのに時間がかかっているようだ。
「まき絵!」
「千雨ちゃん……!」
まき絵を護るために千雨はまき絵の前に立ち斧を奪おうと柄を握った。バスケ部で鍛え上げられた裕奈の腕には程よく筋肉がついている。
帰宅部の千雨には同等の腕力があるわけではないが、まき絵を護りたいという想いの強さが千雨に力を与えていた。
斧は様々な方向に引っ張られるがなかなか決着がつかず、二人の闘いは平行線のままだ。まき絵は再び自分の無力さを知らされる。
今日の分の投下は以上で終わりです。
それから、言い忘れていましたが物語も漸く終盤に入ってきましたので二話ずつ投下するという形に決めました。
では。
あやネギだ。
ってとおおぉ!!なんて展開!
いろんな意味でたまらんよ。
GJ!!
ほんと引き込まれます。
どんどん17に惹かれてく
早く読みたいから3話ずつ投下してくれ〜
良かったら終わった後のエピソードで短編を作って欲しい
今日も感動でした…
何故か頭の中で有心論が流れてきたのは俺だけ??w
誰か20巻の裏表紙の桜子upしてー
age
age
今から今日の投下を始めます。
第六十五話
「クソッ」
どれだけ腕に力を込めても相手もその分力を強め、奪い合いの続く一方だった。それならばと千雨は左手に銃を構え裕奈の胸目掛けて撃った。
少し上体が逸れたと思えばワイヤーに吊られている相手は倒れるはずもなくすぐに体勢が整えられる。だが、裕奈の両手は空になった。斧は千雨の手に渡った。
これでとりあえずまき絵の方は安心だと思ったがあくまで裕奈は『操られている』だけなのだ。裕奈本人に体術が使えなくとも操っている本人に知識があれば身体を使って攻撃してくることはわけない。
斧を奪えたことで安心しきっていた千雨の横っ面に裕奈は蹴りを入れた。闘いの途中で油断をしてしまったことを後悔する。
衝撃で斧も銃も落としてしまい千雨の身体は横に吹っ飛んだ後ワイヤーがわき腹に食い込んで、ワイヤーにも制服にも千雨の血が付着する。
「千雨ちゃん!!」
手探りでワイヤーを探し、手に触れたワイヤーを掴み千雨の方へと手を伸ばす。千雨はわき腹を押さえながら血のついていない片方の綺麗な手でまき絵の手を取る。
これも千雨が蹴られたときと同様、戦闘の途中でやってはいけない行動だ。目の前に敵が居るにも関わらず顔を逸らしてしまった。
裕奈がまき絵の髪を鷲掴みにし、自分の方に引き寄せようとした。右腕を振り上げた瞬間―――
「魔法の射手!」
「フン、ガキが」
皆の攻撃を止めるためには皆を操っているエヴァを倒すしか方法は無い。それを察した超が近距離からエヴァへと攻撃を仕掛けた。
が、裕奈の身体が宙に舞いネギに放たれた電撃を追い越してエヴァンジェリンの盾になった。裕奈に捕まっていたまき絵も同時に持ち上げられそうになったが千雨がまき絵の手を離さなかったので無事だったようだ。
身体全体が傷ついてしまった裕奈を無理に闘わせることは不可能だろう。これからの盾代わりにしようとエヴァは自分の隣に裕奈の身体を放る。
「ひどい……何てこと……!」
裕奈は自分を襲ってきた、しかしまき絵は親友だった裕奈のために、まき絵は涙を浮かべた。エヴァに言っているかのように思えるが、まき絵の怒りの矛先は確実に主催者のナギに向いていた。
エヴァンジェリンたちの身体を利用して自分たちを殺そうとする相手が許せない。何故自らが闘おうとしないのだ、何故ヒトを利用するのだ。
普通の人間のすることではない。しかしいくら怒りを膨らませてもこのゲームを終わらせなければ意味が無い。
「エヴァンジェリン……!」
人間として許せなかったその行動に、怒りの鉄拳を繰り出そうとした超の動きがまるで時間が止まったかのようにピタリと止まる。
あと数センチでエヴァの顔面に届くというのに、どれだけ腕に力を込めても何故かそれ以上拳がエヴァに近付かない。
「……!」
「今更気付いたか?」
「……皆、ここは先に行くヨロシ。私に良い考えがあるネ」
「超さん?」
超が不敵な笑みを浮かべながら自信満々な声調で言葉を並べた。超は頭がキレる、学園内トップの頭脳の持ち主なのだ。きっと良い策があるのだろう。
しかしそう思ったのはネギを除く他全員。ネギだけはその言葉の意味を知っていた。ネギの眼差しに気付いた超が、眉尻を下げる。
「ネギ坊主、これしか無いネ。皆、そんなに不安そうな顔しなくてもきっと後から追いつくヨ」
「しかし…!」
「……行きましょう、皆さん」
「ネギ先生…」
超の言葉に抗議するあやかの腕を強引に掴むネギ。ネギの瞳に、うっすらと涙が浮かんでいるのが見える。
皆は対峙していた相手の攻撃とワイヤーを何とか避けながら階段を昇って昇降口へと向かった。
「これも…誰かサンの遺伝カナ」
全員の背中が見えなくなったとき、超の瞳から一筋の涙が流れた。何か悲しいことでもあったのだろうか。
身体に纏わり着いたワイヤーを超は解こうともせず、ただ自分を捕らえているエヴァを睨んでいるだけ。
こうなればきっと自分も裕奈のように盾にされるか、誰かがそのことに気付きエヴァへの攻撃を止めるか、または操り人形となってしまうか。
とにかく足手まといになってしまうことには変わりなかった。でもそんなのはごめんだ、何のためにここまで来たのかわからなくなってしまう。
「ほう…時間を稼ぐために、自らの命までもを犠牲にしようというのか」
「…時間稼ぎ?そんなことをする愚か者では無いヨ。勝算が無ければ、こんなことはしない」
「ラスト・テイル・マイ・マジックスキル・マギステル」
今まで皆を囲っていた裕奈たちが一斉に超一人を大きく囲んだ。
「契約に従い、我に従え、炎の覇王」
「来たれ、浄化の炎、燃え盛る大剣」
「やれ」
エヴァの指示で五月が超の胸に刃を突き刺した。刃先からは超の鮮血が垂れ、五月の手へと流れてきた。
刃は確かに心臓に達している。それでも超は絡みついた糸を握ると、エヴァに向かって勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「ほとばしれよ、ソドムを焼きし火と硫黄」
二年前の桜が満開になった頃。同じ制服を着た女の子たちが通り過ぎて行くのを横目に見送り、自分の目的のことを考えながら歩いていた。
学園生活に対して期待なんてしていなかった。自分の未来を変えるという計画で頭がいっぱいだったのだ。
咲き誇る桜の花びらが風で枝から離れていく。戦争の絶えない超の時代では、桜に見惚れることさえ許されなかった。
爆風によって自然は崩壊し動物たちは厳しく調教され戦争に使われるか、野放しにしたまま場所を奪われ食料を獲られず死んでゆく。
澄んだ青空を見上げれば敵の航空機。人々は戦い傷ついていき、超の大切な人だって沢山死んでしまい、とうとう独りになってしまった。
でもこの時代は違う。まるで自分が描いていた希望の世界のようだ。小鳥たちは自由に歌を、太陽は世界を照らし、皆が笑顔でいる。
理想の世界だった。できることならば、皆とずっと居たかった。もっと皆と一緒に生きたかった。でも、だからこそ護らなくちゃいけないこの世界。
ネギ坊主、絶対に生き延びるネ。
そして、またいつか―――。
「罪ありし者を、死の塵に 燃える天空!」
「超鈴音はエヴァンジェリンらの身体と共に消滅したか。アレだけ魔法を使っていれば…それにあれだけの傷だ。死ぬのも当然だろう。
それから…やはりナギ・スプリングフィールドの息子だ。もう目覚めてしまったか……」
廊下の窓から戦いの最後を眺めていたナギ。彼は冷静な口調を保っているが内心ネギの強さに興奮していた。
いや、ネギの強さもそうだが他の皆の心の強さにも非常に感心している。脆く儚いとばかり思っていた人間たちにもそのような人間が居るのだな、と。
本来の目的を忘れたわけではないのだが、彼と戦ってみたいという気持ちが生まれてきた。それは彼の本能なのだから仕方が無い。
「私はここで待っている。早く来い、ネギ・スプリングフィールド」
窓から少し離れ硝子に映った自分と目を合わす。一瞬そこに目を赤く光らせ口の裂けた黒い影が見えた気がした。
【超鈴音死亡 残り七名】
第六十六話
ドーン!
昇降口を抜けた瞬間、外から爆発音が聞こえた。七人は何事だと思い引き返そうとしたが外は危険かもしれないと廊下へ出た。
シャリッという硬い音がした。床には硝子が散らばっていて、それを踏んでしまったようだ。爆発で空気が膨張しできた爆風の圧力で割れてしまったのだろう。
破片に触れないよう注意して窓へと歩み寄り外を見た。しかし吹き荒れる風に渦巻く砂や石、葉で状況がいまいち掴めない。
それでも煙の中で、何がどうなっているのか、ネギには想像できた。ネギは超の考えていたことが、わかっていたのだから。
本当はそれがただの勘違いで済んでほしかった。だが超の言っていた麻帆良全体を包む込むような巨大な魔力の中に学園祭最終日の夜に感じた覚えのある超の魔力が混ざっているのでネギの考えは的中していた。
後から追いかけると言ったときの超の顔が思い浮かんでくる。
あの時誰か一人でも居ればきっと巻き添えになると考えて魔法を使うことはなかっただろう。でもそうしなければ、前へと進むことはできない。
いくら秀才と謳われていた超だって、あの状況で一人で何ができた。
「ネギ先生、超さんはきっと…」
「……刹那さん、僕は大丈夫です。僕は、ちゃんと僕の使命を果たさなくてはいけないんですよね」
「ネギ、先生……」
「皆さん、僕は絶対にあの人を…父さんを倒します!」
皆の方を振り向き力強く拳を握って見せた。迷う必要なんてない、自分には選択肢なんて残されていないのだ。そう、最初から。
挫けている時間なんて無い。今しなくてはならないことは一つしかない。
小さな少年を、この時ほど頼もしいと思ったことは無い。その言葉がここに居る皆に強い勇気を与えた。
窓から超へと黙祷を捧げた後でホールを横切り教室がある三階へと続く階段を一段一段上がっていく。
校舎の様子は昨日以上にあまりに静かで、寂寞としている。大勢居たはずの職員やクラスメートたちが消えたからだろうか。
何にせよ、その違和感は拭えない。ネギたち皆は、こんな物寂しさを体感したことはなかった。
教室に近くなるにつれ心臓の鼓動を打つ速さが上昇してくる。緊張を意味しているのか恐怖を意味しているのか、どんな意を意味しているのかはわからない。
無駄に長く感じた階段が終わればA組の教室は隅にあるのですぐそこだ。漸くここまでやってきた、全員そう思った途端。
「お待ちしておりました、桜咲刹那様」
やんわりとしたイントネーション、女の子らしい高い声。背後から名前を呼ばれた刹那が振り向き、他の皆もつられるように後ろを向いた。
「この………お、お嬢……様?」
『ゴスロリ』と呼ばれる黒い衣装に身を包んだ木乃香がスカートの裾を持ち上げお辞儀をした。手には刹那の武器、夕凪が握られている。
近衛木乃香といえば、刹那が狂人になった原因でもあった少女。一日目でこのゲームから脱落していったはずなのだ。エヴァの時と同様、操られているのだろう。
死んだときに開いたこめかみの穴は、塞がっていないままだ。木乃香のあの時の表情が刹那の脳裏に蘇える。
「マスターなら屋上に居ます。他の皆さんはどうぞお進みください」
他の皆さんということは刹那だけは進むことを許さない、という意味だろう。ネギは刹那の腕を握ると自分側へと引っ張った。
「駄目です。刹那さん、これはきっと罠です」
「私は……」
「せっちゃん?」
「刹那さん!」
「………私は、残ります」
想定外の反応に、皆は驚いた。木乃香は思惑通りにいったことが嬉しく、ニコニコと笑顔を浮かべている。
「せっちゃん、ウチ嬉しいわ」
「刹那さん……」
シャッ カシャン!
鞘にしまっていた刃を出す音が同時に聞こえたと思えば次の瞬間には刹那の刀と木乃香の刀がぶつかり合った。
木乃香の刃は刹那の攻撃を受けた後軽く横に流す。木乃香自体には剣の技術はなかったが、操られている今は刹那と同じくらいの腕の持ち主だ。
無駄の無い動きで刹那との距離を最大限にまで縮め木乃香は刹那に向かって刀を振った。腰を低くし頭上を通る刃に刃を打ちつける。
「お嬢様の狙いは私、皆さんは先に行ってください!」
「……行きましょう、ネギ先生」
超のときと同じだ。もしこれで相手が後から来なかったら、絶対に後悔してしまう。
でも、前に進まなくては超の行動の意味が無い。それが罠でも、ナギに接触せねば何も状況は変わらない。
「わかりました。待っていますから!」
その言葉を聞くと安心したように笑った後で、刹那は木乃香の刃を思い切り弾き返して懐に突っ込んだ。刹那の頭部が腹部を襲うと木乃香は壁に背を打ちつけた。
走り去っていくネギたちの背を尻目に入れ、刹那は刀を構える。
「参ります、お嬢様!」
今日の分の投下は以上です。
三話投下を希望される方が居ましたが今回三話投下するとあまりに長くなってしまいそうだったので…。
文の長さによって投下する話の数を変えようと思います。
では。
超殺すとか何様だっつぅのwww
桜子は幸運属性発動して何にも巻き込まれずに生存ってか?
とりあえず投下乙です
あからさまに出てないと気になるもんだね
乙
ナギの口調違うとおもったら・・・あの言いぶりはまさかナギじゃないのか・・・??
桜子の幸運属性
読んでるとその特性を忘れてしまうぜ
逆に夏美は不幸属性w
うああああ!!!
今日初めて見たが感動したわ。
次もwktkして待ってるんだぜ
今生きてるの誰々?
>>563 さよ 美砂 刹那 まき絵 桜子 ちぅ いいんちょ
みさくらこ居んのかよ
円かわいそす(´・ω・`)
今から今日の分の投下を始めます。
第六十七話
明日菜も木乃香も眠っている深夜、ネギは机に向かって椅子に座り分厚い本を読んでいる。
机とセットになっている電灯だけに照らされたその本は、きっと昔からある書物なのだろう、黄ばんでいて1ページがかなり硬い。
次の日に響かないように毎週金曜と土曜の深夜になると翌日が休みなのでこうやって魔法書を読み独学で魔法を勉強している。
「マギステル・マギ、か……」
頭の中に浮かぶのはたくましい父親の姿だった。昔一度だけ見た父親のように、それ以上に強くなるためにネギは修行も勉学も欠かさない。
が、この日は疲れが溜まっていたのだろうか。珍しく机に突っ伏せていつの間にか眠っていた。
夢の中で、気付けばネギはある学園の書物倉庫に立っていた。真っ暗なそこは無人かと思いきや金髪で少し背が高い少女が一人。
彼女が一冊の本を持って出て行くとそれを追うようにしてネギも退室した。夢の中では自分をコントロールすることができることもあるが、今回はできないときだったのだろう。
勝手に場面が切り替わった。暗い倉庫から人気の多い図書館内に移動していた。少女を捜すと目の前の椅子に座って何かを書いているようだ。
そしてまた知らない間にネギの前の景色は変わっていた。倉庫で少女が居た場所に、見覚えのある人物の後姿があった。
忘れるはずなんてない。ずっと捜し続けていた人―――
「父さん!」
屋上へ続く階段を昇りきると空間を遮っている扉を開いた。ネギの声に混じってギギギ、と重たい音がする。この扉は普段開きっぱなしになっているから、少し開きにくかった。
洗脳されているときも心の中では自分が見ている景色や話している相手はわかっていたが本当『ネギ』としてナギを見たのはこれで二回目だ。
ネギは足を止め、向き合う形のまま、ナギと見つめ合った。隙があるのに後ろの兵士は攻撃しようとはしない。
ずっと前から描いていた親子の再会とはまったく違う。想像していた涙はネギの瞳からもナギの瞳からも出なかった。
「お前一人か。…ま、そりゃそうだな」
「……教えてください。何故、こんなことを…?」
ナギの言葉を無視するネギ。ナギはマントを投げ捨てる。黒いマントはカラスのように風に乗って陽に向かって空を羽ばたいた。
一風落ち着いているかのように見えるネギだが充分ナギには殺気が伝わる。どんな理由があろうと大事な人たちが死んでしまったことに変わりは無い。
でもやっぱり聞いておきたい。聞かなくては気が済まなかった。
「理由は二つある。一つはあの人を蘇えらせるため」
「あの人……?」
「そう、俺を…悪魔の私を、本から解放してくれたあの少女を……」
悪魔、本、少女、これがナギに何の繋がりがあるのだ。全然意味がわからない。わからないがこのタイミングで、一時期立て続けに見ていた夢を思い出す。
あまり心あたりがなかったのでそんなに気にとめていなかったが、そういえばこんな話を聞いたことがある。ネギがウェールズの魔法学校に通っていた頃聞いた話だ。
学園の中には広い図書館が設置されていた。その図書館は図書館島ほどの莫大な広さもっていていつも沢山の勉強熱心な学生で賑わっていた。
ネギもその学生の中の一人。毎日放課後になるとそこに行って、本を数冊選んでは何時間も読んで勉強していた。
図書館内には書物倉庫があり、そこは教室ほどの広さがあった。そこにはネギも先生の許可を得て時折書物倉庫に入らせてもらっていた。
そしてある日、数ある中、一冊の本を選び抜いたネギがその本に触れようとした瞬間。先生に慌てて止められたのを覚えている。
後で理由を聞くとその本は大昔から悪魔が封印されていると伝えられてきたものだと言われました。
その本に直接関わった者は悪魔にとり憑かれ最後には殺されしまうという。実際に一度、悪魔が憑いた少女は死んでしまったらしい。
そしてまた、悪魔は魔法使いに本に封じられたままだというが、それが本当かはわからなかった。
本当は金庫に保管しようと思っていたがそこは魔法生徒しか居ない学園。もしもその本の魔力に気付いて興味本位で盗み出されれば取り返しのつかないことになってしまう。
噂でも事実でも、誰も手の届かないところに置くほうが妥当だろうと考え、ある学園の図書館に預ける予定だという話。
「…貴方は……」
「私は君の父親じゃない。私は名の無い悪魔…そうだね、ブランクとでも言っておこう。君の父親に封印されそうになり、長い決闘の末、偉大な魔力を持つ身体を、乗っ取らせてもらった」
衝撃の事実にネギは驚愕した。ネギのために明日菜たちがウェールズにまで行く予定を立ててくれた、あやかがネギのために父親についての調査を行ってくれていた。
皆、父親に逢いたがっていたネギのために協力してくれていた。それなのに、ずっと信じて探しつづけていた人はもう居なかったなんて。
「違う…違う……父さんはお前なんかに負けるような人じゃない!!」
信じたくなかった。こんな形で裏切られるなんて、こうも簡単に夢を壊されてしまうなんて…。
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル!」
「「来れ、虚空の雷、薙ぎ払え 雷の斧!」」
ネギと同時にブランクと名乗る相手は同じ呪文を唱えた。互いが放った斧状の衝撃波が互いを狙った。
ネギは素早く攻撃を回避した。ネギが元居た位置を確認するとそこには穴が空いていた。穴を覗けば一階が見える。
物凄い威力だ。対してネギの攻撃を敢えてかわさなかった相手は平然な顔をして立っている。まったく効いていないように。
「ハハハ。少しは効いているよ、君の攻撃。だが……つまらないね、想像以下だった。ナギ・スプリングフィールドの息子の君の力は…」
「そ、そんな……」
「でも君にはもっと魔法を使ってもらわなくちゃならない。魔法陣にエネルギーを補給するために。君の大切な生徒を一人殺し、その生徒の魂を魔法陣に転送すればあの人の蘇生に一歩近付く。
更に君の怒りも膨らみ私を倒そうと沢山の魔力を使う。放出された魔力は魔法陣へと自動的に転送されてゆく。これで一石二鳥だよ」
「皆は僕が護ります!貴方には指一本触れさせません!」
「……残念だね、ネギくん。生き残っているクラスメートは、校舎に居る彼女ら以外にもう一人居るんだよ。『首輪』をつけている少女がね」
「……どういう、」
「―――、 SIINA SACURACO。」
ネギが身体をピクリと反応させた後、ブランクが小さく呪文を唱えた。
第六十八話
「もおー!こんだけ捜して誰も居ないにゃんて……もしかして皆ネギくんに殺されちゃったとか……?」
他の皆が全員集まってネギも元通りになったことを知らない桜子はとにかくエリア内を歩いて歩いて、歩き回った後にはまた初等部に戻っていた。
ロクでもないことを言いながら想像力豊かな桜子はその場面の映像を脳内で再生した。映画だったらR指定ものだ、桜子は気分が悪くなって妄想をやめる。
大体もしもそれが事実だとすれば自分の首輪はもう外れているはずだろう。最後の一人じゃないことを知ると桜子は安心した。
「朝からあんな物見ちゃったから、嫌なことばっか考えちゃうよー……」
胸ポケットから携帯を取り出すと画面を開く。画面の隅の電池マークのところに圏外と出ている。
いつもなら嫌いな新田の授業の時隠れて円や美砂にメールを送ることができた。これも魔法とやらの仕業なのだろう。
少し考えた後で桜子はメニューボタンを押しデータフォルダを開いた。ピンクのハートのストラップがついたこの携帯は3年A組になって買い換えたもの。
画像フォルダにいくと沢山の写真が出てきた。古いものから順に眺めていく。
一番目は桜子を中心に美砂と円が囲んでピースしているもの、二番目はネギの隠し撮り、三番目は桜子・美砂・円三人が照れるネギに抱きついているところ。
他にも明日菜とあやかが喧嘩しているもの、木乃香が妙な占いグッズを抱えて笑っていて丁度画面の端に刹那が映っているもの、まき絵と裕奈と亜子とアキラが弁当を食べているところ、
超と葉加瀬が古菲に実験台になれと迫っているもの、嫌がる龍宮とノリノリの楓、寝ているエヴァと傍についている茶々丸(この後気付かれて散々怒鳴り散らされた)、
屋上でのザジと小鳥とのツーショット、待受けにしていれば幸せになりそうな五月の笑顔、スクープを追いかける朝倉とその背後に映ったさよ、
変な漫画を描いているハルナとそれを手伝うのどかと夕映、ノートパソコンに向かって何かを必死に打ち込んでいる千雨、神について語りだす美空、
千鶴の黒い笑みと怯える夏美、黒板に落書きをする風香と史伽。他にもイベントや大好きなカラオケのときの写真など、どれも皆幸せそうな顔をしていた。
こんな皆が本当に殺し合いをしているとは思えなかった。これを撮影したときはまさか、こんなことが起きるなんて思ってなかった。
「戻りたい。この時に戻りたいよ…、皆とまた……笑い合いたい………」
水滴が落ちた画面が、段々ぼやけて見えなくなってきた。叶わない願いだとわかっていても、やっぱりそれを望んでしまう。
「円……かえってきてよ。またみんなで、カラオケ行こうよ………。もう、独りはやだ……」
あまり考えないようにしていた円の死。写真を見て沢山の思い出が蘇ってくる。これ以上こんなものを見ていたらきっともっと悲しくなる。
電源ボタンを長く押し画面を真っ暗にさせるとポケットにしまった。鼻水と涙を裾で拭いて桜子は歩き続けた。
それから数分後、木が生い茂るなか中等部の先っぽが見えてきた。
もしかすると皆、中等部に集まっているのかもしれない。そう思って桜子は走り出した。早く誰かに逢いたいという一心で…。
だが、次の瞬間―――
「――――!!」
第六十九話
「まき絵、何でマスターの邪魔するん?何でネギくんについとるん?」
空洞になっている目を眼帯で隠している亜子はまるで向き合っているまき絵の行動が間違っているとでも言うかのような言い草で首を傾げた。
可愛らしい仕草も金槌なんか持っていれば台無しになる、寧ろ恐ろしい。体格が良く目つきの鋭い普段から暴言を振るっている人が持っていてくれたほうがまだ良い。
「亜子。ごめんね、私は亜子や皆のために、貴方を倒さなくちゃいけない」
そんな親友の変貌に些かの動揺も見せないまき絵は、千雨の手を握っている。まき絵たちも刹那たちと同様に、亜子から引き止められていた。
兵士が回収した武器は教室に全て置いてあったので、一応預かっておくということで奪われたリボンをまき絵は持ってきていた。
敵となるクラスメートとの戦闘を前にしている。静かに駆け抜ける風が一層雰囲気を出した。
「残念やな。やったらもう、まき絵には用無いわ。ほな、さいなら」
繋がれた手を引き裂くように二人の中心に亜子が突進してきた。狙いはどっちだ。亜子の顔はまき絵の方を向いた。だが、それはフェイント。
利き足のつま先は千雨を向いている。その状態でまき絵を攻撃するのは不自然だし、態勢が崩れてしまう可能性がある。
「…ッ!」
案の定亜子の顔が千雨の真正面に来る。それは予想通りだったため千雨は身体を捻り、背には肘を、腹部に膝を同時に打ち込むという何かの漫画で見たことのある技を使った。
所詮素人、みぞおちに入れることができなかったため対したダメージを与えることはできなかったがおかげで隙ができた。
まき絵がリボンで金槌を奪おうとしたが金槌にリボンが絡みついた後、誤って開いた窓の外へと吹っ飛ばしてしまった。
しかしこれで金槌を振り回すことはできなくなった。亜子のもたれた身体を押して少し距離ができたら即座に胸の辺り銃を打ち込んだ。
パン!
「……どうだ、人間様の強さを思い知ったか」
予め打ち合わせをしていたわけではないのに二人の完璧なコンビネーションに得意になる千雨が亜子の倒れた身体を見降ろす。
二度の眠りについた亜子の身体。銃弾が貫いた身体からは血は流れていないが、煙だけは穴から沸きあがっていた。
激しい動きのせいで乱れた裾を直しながらこちらを向く千雨は、ネギたちの足手まといにならなかったことに少し満足そうにまき絵に向き直す。
壁にぶつかり床に横たわった亜子の身体とそれを背にしている千雨がまき絵の視界に入っている。
リボンを解きまき絵が近付きながら千雨に手を伸ばした瞬間、こちらを向いた亜子の伏せられた瞼が開いた。
「千雨ちゃん!!」
「…?」
まき絵は千雨を助けるべく思い切り目の前の身体に自分の身体をぶつけた。すると千雨の身体は横に倒れ、亜子は飛び込んできたまき絵の首を絞める。
亜子が手に力を込めるごとに縄か何かで締め付けられているような音が強くなっていく。
千雨が先ほどの衝撃で少し離れたところに滑っていった銃を握ると亜子の頭を打ち抜いたが亜子はそんな攻撃を諸共せず、まき絵の首を絞め続ける。
壁に押し付けたまき絵の身体を持ち上げながら、亜子はまき絵を下に落下させようとする。
「止めろこのデク人形…!……まき絵!!」
まき絵も負けじと亜子の両肩を掴むと両腕を捻り相手の足を内側から右足に引っ掛け、思いっきり身体を捻らせ位置を交代させる。
亜子の上半身は手摺りの向こうへと押し出されて、あと少し力を加えれば確実に相手は落ちていくだろう。千雨がまき絵に加勢するために亜子に近付いた。
二人の力により亜子の足は上半身に引きずられ手摺りの向こうに落ちてゆく。しかし亜子が咄嗟に千雨の腕を掴んだため、千雨も巻き添えになってしまった。
今日の投下はここまで。
では。
明日で70話か…中々の大作だな。
何話まであるんだ?
めんどうなんで明日で終わりです。
騙りは死ね。
これは酷い騙り…
騙り酷すぎて吹いたwww
今から投下を始めます。
第七十話
時計を見れば丁度九時になっていた。感覚的にはまだ夕方だと思っていたがもうそんなに経ってしまっていたのか。
…いや、だとすれば有り得ないのは窓から差し込む太陽の陽射し。夜に太陽など浮かんでるはずも無いし、電気を点けた覚えも無いのに室内は明々としている。
まさか時計が狂ったか、それは今あやかたちが見ている光景自体にだって言えることだ。元々目の前の物全て、信じてなどいないのだが信じようとしている自分が居る。
何故かと言えばそれは皆が抱いている叶うはずのない希望が、そこにはあったからだ。
他の皆と同様、恐らく操られているのだろう千鶴と夏美に案内されあやかと美砂とさよはとある教室へと招かれた。
本当は武器を構えていたのだがあまりにも二人に戦闘意欲が無いため、それをすることが馬鹿ばかしく思えてきたので素直に応じた。
千鶴が扉を開いた瞬間、ゴスロリ姿だった夏美と千鶴の服が制服に変わった。まるで手品のように、一瞬で。
そして室内が騒がしいと思えばそこには一昨日まであった日常的な光景。
双子は教室の隅でイタズラの仕掛けを、夕映とのどかはハルナの原稿の手伝いを、朝倉は新たなるスクープを得るために色々なグループの話に聞き耳を立てメモを取っている。
一体何が起こっているというのだろう。まるで、夢でも見ているかのような…。もしかすると、バトルロワイヤルというゲームをしているこの世界こそがただの悪夢なのかもしれない。
現実世界の自分が目を覚ませば地獄から解放されるのだろうか。しかしさよの手のひらは現に朝倉の血で汚れているし、あやかだってネギをぶったときの手の痛み、美砂は円を缶で殴った感覚が確かに残っていた。
「ちょっと、朝っぱらからそんなとこに突っ立ってんじゃないわよ!」
誰かがあやかの肩を押し教室に入っていった。境界線を引いているかのように扉から離れていたはずが、不可抗力であやかは室内に一歩踏み入ってしまった。
そしてその原因となる人物を、あやかは視線で突き止めた。その先にはもう居ないはずの明日菜が、木乃香と共に登校していた。
きっと彼女も操られているのだ。だが木乃香は今刹那に足止めされているはず、ならば何故傷一つ無く明日菜に微笑み掛けているのだろう。
あやかが更に視線を彷徨わせると、まだ二階に居るはずの刹那が、三階で呼び止められたはずのまき絵と千雨が、背後に居たはずの美砂が教室の中に居た。
カメラを構えた朝倉が一人で喋っているのでさよが背後に憑いているのだろう。
「どういう…ことですの……?」
「何ボーッとしてんのよ。アンタ」
「何か今日のいいんちょ、変やな」
私がおかしいのか、それとも二人が騙そうとしているのか。教室中から聞こえる声全てが、偽りなのか真実なのかわからない。
あやかは耳を塞ぎ、目を閉じた。罠だとすれば惑わされてはいけない、でも流されそうになっている自分が居ることは事実。
「ちょっと、大丈夫?」
明日菜が差し出した手を、あやかが強く振り払った。
そんなわけ無いのに、少し期待してしまっている自分が居る。この二人は死んでしまった。今はブランクに操られているのだから、あやかの敵なのだ。少しでも気を緩めたら負け。
「……騙されませんわよ!どうせ敵に操られているのでしょう!」
「…何言ってるの?何よ、敵…って」
「あはは、いいんちょ夢でも見たんやない?」
二人は笑ってあやかの言葉を軽く流し、席へと向かった。
思わず二人の笑顔に安堵しそうになるが慌てて首を振ってしっかりしろ、と自分に自分で渇を入れた。
一方、千鶴と夏美は誰かの席を使って楽しく会話をしていた。会話の内容に耳を澄ますが戦闘とはまったく関係の無い話だった。手の込んだ作戦だ、とあやかは二人を睨みつけた。
その視線に気付いた二人があやかと目を合わせる。すると、こっちにいらっしゃいと千鶴が手招きする。
「いい加減になさい!貴方がたが敵だということはわかっています!正々堂々、掛かってらっしゃい!」
バックの中から金棒を取ろうとした。が、何故か金棒が見つからない。その代わり出てくるのは国語やら数学やらの教科書。
よく見ればディバックも通学用バックに変わっていた。すり替えたのだとすれば一体いつの間に?明日菜の手だって払ったし、誰もあやかには触れていないはずだ。
「いいんちょ…どうしちゃったの?」
「そうよ、せっかくアンタに良いニュースがあるっていうのにさ」
「良い…ニュース……?」
「あやかにね、逢わせたい人が居るのよ。ね、ほら、貴方のお姉さんよ」
いつの間にか千鶴の隣にはあやかのような輝かしい金髪をした、顔立ちも美麗な少年が立っていた。
年齢は恐らくネギと同じくらい、身長はネギよりも少し高いくらいだった。子供用のスーツを身に纏っており、透き通った瞳をこちらに向けている。
何もかもが、小さい頃に想像していた死んでいった弟の将来の姿と一致している。
でも彼は確かに生まれてくる前に天国に逝ってしまったのだ。こんなところに居るはずがない。居るはずはないとわかっているのだが、あやかの瞳からは一筋の涙が零れた。
「お姉ちゃん……?」
「ね、ねェ……いんちょは、どこに消えちゃったの!?」
扉の向こう側へとあやかが踏み入れた瞬間日常風景と共に姿を消したあやか。慌てて二人があやかを追い中に入るが窓は外の先刻確認したときの時刻と合点がいくような空の色。
室内の丁寧に並べられた机椅子には誰も座っているはずもなく、当たり前の景色が美砂とさよの前にはあった。
それでもあやかがこの場で消えたことは事実。二人は必死にあやかの名を呼びながら室内を探した。すると、扉が突然閉まった。
「さよちゃん…」「美砂……」
振り返った二人の目に映ったのは、ゴスロリ姿の朝倉和美と椎名桜子。桜子は放送で名前を呼ばれていない、チアリーディング部の仲間。
中等部に居ないからといって死んでしまった可能性しかないということは無い。そう思っていたが、その希望が打ち砕かれた。
せめて彼女には生きていてほしかった。3年A組、チアリーディング部はとうとう完全に崩壊してしまった。
一方、さよの心は今、再び罪悪感に染められていた。大好きだった親友を自ら殺してしまったことの後悔、でもそれしか無かったんだと必死の弁護。
ネギのためにまた朝倉を二度も殺すか、罪悪感に飲まれ朝倉に殺されるか。さよも美砂も、互いに違う意味の涙を流した。
頬は透明なキャンバスに絵の具がついた筆先で色をつけられたかのように薄く赤みがさしてきた。
「あのね、私たち」「もう一度、貴方の傍に居ることができるかもしれない」
二人の口から出たそれは、あまりにも唐突すぎる言葉。死んでしまった人間から、もう一度という言葉が出るはずがない。
でももし本当にもう一度だけ、今までのような毎日が繰り返せたなら…それは物凄く幸せなことではないだろうか。
「でも、さよちゃんたちは私たちの敵なんでしょう?」「マスターの敵は、私たちの敵だもん」
『オネエチャン』
ずっと憧れていた。誰かにそう呼ばれることに。
あやかの理性の糸が、とうとう切れてしまった。
「ああ、あああああああ!!!!」
バックを落とし頭を押さえ唸りを上げると、フラフラと不安定な足取りでその少年へと近付き、膝を床につけて身の丈を合わせると抱きしめた。
「本当に、本当に…あの子なのですね。本当にあの子が……帰ってきたのですね…?」
「そうだよ、これからは、ずっと一緒に居られるんだ」
「……ずっと、本当にずっとですわね?」
「うん。でもね、お姉ちゃんは…」
「…?」
「お姉ちゃんは僕よりネギ先生が大事なんだよね?だから、僕の敵なんだよね?」
「私が…貴方の……?」
「お姉ちゃんは、どっちを選ぶの?僕?それとも…」
「「ネギくんを選ぶ?」」
それぞれの心の中で、何かが変わり始めた。
今日の投下は終了。
さよならキモヲタども。
『オネエチャン』
ずっと憧れていた。誰かにそう呼ばれることに。
あやかの理性の糸が、とうとう切れてしまった。
「ああ、あああああああ!!!!」
バックを落とし頭を押さえ唸りを上げると、フラフラと不安定な足取りでその少年へと近付き、膝を床につけて身の丈を合わせると抱きしめた。
「本当に、本当に…あの子なのですね。本当にあの子が……帰ってきたのですね…?」
「そうだよ、これからは、ずっと一緒に居られるんだ」
「……ずっと、本当にずっとですわね?」
「うん。でもね、お姉ちゃんは…」
「…?」
「お姉ちゃんは僕よりネギ先生が大事なんだよね?だから、僕の敵なんだよね?」
「私が…貴方の……?」
「お姉ちゃんは、どっちを選ぶの?僕?それとも…」
「「ネギくんを選ぶ?」」
それぞれの心の中で、何かが変わり始めた。
今日の投下は終了。
さよならキモヲタども。
第七十一話
「神鳴流奥義……!!」
全身に流れ込む気を集中させるが木乃香は人間離れした速度で肉薄し、刹那の目前から刹那の背後まで到達する。
身を反転させ構え直すが刃に光を走らせた瞬間に襲い掛かってくる夕凪から、刹那は後ろへ飛んで逃げることしかできなかった。
着陸地点に辿りつくまでにそんなに時間は掛からないはずなのだが、木乃香が視界から消えたと思えば背後で待ち構えているではないか。
(速い!)
刹那は素早く向きを変えて木乃香が翳した刀へと刃を打ちつけた。聞き飽きた刃の悲鳴は廊下全体に響き渡る。
無理な体勢になり不自然な着地の形になったことにより思わず片膝をついてしまう刹那。
立てた膝に利き手を乗せ握った刀の刀身を見遣ると、刃はボロボロに乱れていた。対して夕凪は綺麗な鋭い刃を描いている。
「せっちゃん、ウチを護る言うてたのになァ。護らなアカンウチに押されるなんて修行不足やえ」
木乃香は休む間も与えてくれない。再び刃が鳴き声を上げ、火花を散らせる。後ろに倒れそうになりながらも何とか刀を前に押し出しながら立ち上がる。
壁に押し付けられた状態になった木乃香は抵抗できず、刹那は左手で夕凪の刃を摘み木乃香の胸元から太ももにかけて刀で線を刻んだ。
躊躇もしなかったし目も逸らさなかった。木乃香にできることはこれくらいしかない。
「……ひどいわ、せっちゃん。何でこんなことするん?」
「何!?」
カシャーン!
木乃香が夕凪を力強く振り上げ、刃に傷をつけた。咄嗟に刹那は三歩後退する。
刹那の攻撃は致命的ダメージを与えたはずだ。でもそれは相手が人間だったらというわけであって、動く死体だったら話は別だろう。
既に死んでいる相手にはどんな傷を与えても死にはしない。考えなくてもわかる、当然のことではないか。
しかしこめかみの穴とたった今つけた傷は治りはしないようだ。再生能力は無いらしい。だったら相手の肉体を滅ぼすまで。
愛する木乃香の身体。それでも木乃香の魂は別の場所から、ちゃんと自分を見守ってくれているはず。
「お嬢様、申し訳ありません」
刹那は瞼を閉じ何も無い所へ向かって頭を下げる。そして予想通りにその隙をついて足音も消さずに背後から狙ってくる木乃香。
全身全霊を落ち着け、相手を斬ることだけに集中させる。今の相手の位置、残り何歩で相手が傍に来るか、振り返るタイミング、全てを悟った瞬間、刹那は。
「神鳴流奥義…」
今から使う技は戦闘で使ったことは一度も無い。修行中に一人で密かに極めていた技。威力はかなりのもので、エネルギーのみで相手を消滅させる技。
だからこそ高度はかなり高い。何百回も剣を振るってきた刹那でさえ、今だに完成はしていない。だが、今ならできる気がする。
(このちゃん、見ててな)
「滅殺斬空斬魔閃!!」
第七十二話
「フハハハハ!今頃椎名さんの首は吹っ飛んでいるのだろうな、ネギくん」
椎名桜子。彼女はいつもニコニコとしていて落ち込んでいる時などには応援の声を掛けて元気を与えてくれるクラスのムードメーカーの一人。
ネギだって教師になったとき、辛いことがあった時などには元気づけてもらっていた。そんな優しい彼女が今、死んでしまったと告げられた。
もう桜子の笑顔を見れる日は来ない。
「………」
ネギの足元に浮かんだ魔法陣から放たれる魔力は極限にまで高まっている。魔法の暴走だ。ネギの怒りが強い魔力を引き出した。
その怒りは大切な宝物を奪っていくブランクへ、そしてまた、クラスメートを護れなかった自分への怒り。
相手がただの人間であれば、その覇気だけでやられてしまうだろう。
「雷の斧!!」
つい先ほどネギとブランクが使った技だ。斧のように天から降りてくる雷を仰ぐと地面に身体を転がし寸前で回避した。
最初はその攻撃を身体で受け止めるつもりだったのだろう。だが攻撃の威力を悟るとブランクは興奮する。ネギが本来の力を出してくれたことが嬉しいのだ。
地面を突き破った穴は一階の床までもを破壊している。その勢いは父親を破ったブランクの魔力までもを超えた。
「ほぉ…無詠唱でこの威力……。やはり凄い」
「僕はお前を…許さない!」
「そうだ。もっと私を憎しむがいい。憎悪の念は悪魔にとって最高の餌になる、力を引き出す餌に!」
天地を貫く不条理への怒りは抑えることはできなかった。一教師として、一人の人間として、命をいとも簡単に消し去るブランクが許せない。
強く睨みつけるネギが再び呪文を唱えるべく口を開いた。その瞬間、背後に立っていた兵士たちが一斉に消えて、ブランクから感じる魔力が強まった。
「……!」
「この人間たちはとうの昔に死んでいる、私の魔力が動力だ。…だが…、それでは君の力には適わないようだ。
だから、全ての魔力を引き戻し、魔力を高めた。これが私の魔力の最大限。来い、ネギ・スプリングフィールド。本気で闘おうじゃないか!」
今日の投下は終了。
さよならキモヲタども。
第七十三話
椎名桜子は本当は本部へ向かうはずだったが、思わぬハプニングに見舞われ訳の分からない道に迷い込んでいた。
麻帆良には初等部から通っているわけだがどうもこの道に覚えは無い。ただ、この先にある建物には特に用が無かったので通ったことがないだけなのだが…。
今更方向を変えたところでまた道に迷ってしまうだけなので、とりあえず建物に入ろうという魂胆だった。
「うー……確かにあの時、円の匂いがしたんだよね…」
膝の擦り傷から血を垂らし、痛みに耐えられず生理的に目尻に涙を浮かべながら一本の橋の上を歩き続ける。
釘宮円といえばゲームが開始され数時間も経たない内に龍宮真名によって殺された、桜子にとってかけがえのない存在だった相手。
足を引きずりながら桜子は、ずっと『あの時』のことを回想していた―――
―――中等部に行くことを決めた桜子は初等部から繋がる小道を行くことにした。
行く手を邪魔する草木が腕や足がに触れて音を立てるが、あまり気にしていなかった。それで誰かが見つけてくれるなら逆にラッキーだと考えた。
一本道となるこの経路。初等部の頃、美砂と明日菜とあやかと四人で見つけた中等部への抜け道だった。最初はその四人以外知らなかった。
よく中等部の様子を盗み見ては将来通うこととなる麻帆良女子学園に期待を膨らませていた。
でもそれがその頃三年生だった中等部の瑛子たちにバレて、それを教師に知らせたので怒られた。その時からその道を色々な人が使用するようになった。
思えば麻帆良都市はかなり思い出深い場所だ。どこに行っても、何を見ても色々な出来事を思い出すばかり。
「ハァ……」
自分には逃げ道は無いのか、と溜息をついた。
「もう、こんなの…嫌だよ……」
しえん
しえん
規制かな? 支援
支援
しぇん
「―――!!」
桜子は何者かに背を押され何かを下敷きにして倒れた。しかしここですぐに確認したり、衝撃で閉じてしまった目を開いたりはしない。
正気な人物だとすれば、こんな登場の仕方はしないはず。瞼を開けばきっと銃や刃物を構えるクラスメートが居るのだろう。
少しの間桜子は死んだ振りを続けるが、懐かしい匂いが桜子に届く。記憶を辿らずとも、その人物はすぐに脳内に出てきた。
「円…?」
死んだはずの親友。思わず桜子は双眸を開き自分が元居た位置に視線を移すが、そこには人一人さえ居なかった。
背には誰かの手のひらが触れられた感覚が確かに残っているのに、不可解な話だ。ただ、本当に幽霊になった円が自分を転ばすなんて何てヒドイ親友なのだ。
そんなことを考えながら桜子は自分の右頬に当たっている柔らかいものは何だろうと手触りで確認する。
そして顔を上へ向けるとスカート、そしてその中には白いパンツ。自分が顔を乗せていたのは誰かの滑らかな肌、それも太ももだった。
もしかして、この状況は朝体験したものより酷いかもしれない。
桜子は恐る恐る上体を起こして、自分が下敷きにしていたものを改めて見遣った。
「……」
「アアアアアアア、アスにゃァァァァアアアアアア!!!!!」
一瞬固まった後、桜子は嵐のようにその場を走り去った。
今日の投下はここまで。
>>591はコピペミスです、すみません。
支援有難うございます。
ばいばいお猿さんといわれまくりました。
ちなみにこのSSは全91話あります。
長くてすみません。
では。
荒らしにもクールな対応ワロタ
それにしても今回の桜子なかなかしぶといぜw
お猿さんGJ!
くぎみー最高!!!!!!!!!!!!!gj
円の臭いがしたのになんで明日菜?
ばいばいお猿さんと言われました
ってどういう意味?
>>609 規制されたらいわれるんだよorz
過去には俺だって・・・・・
>>610 ヒント:背中を押した人と死体はべつもの
>>908はどんな質問したのか……次の作者のストーリーに期待w
613
どういう意味??
Do you know me?
桜子生き残るフラグか…orz
桜子美砂さよは生き残りそう
刹那あやかまき絵桜子
だろ・・・
少し早いですが今日の分の投下を始めます。
第七十四話
ガシッ
寸前のところで千雨の伸ばした腕をまき絵が掴んだ。千雨はまき絵を信じたからこそ、手を伸ばしたのだ。
「今度は諦めなかったよ。やっと千雨ちゃんを助けること、できたね」
「…言ってる場合か、ノー天気娘が」
汗で滑りそうになる手を更に強く握り締めながら、千雨の安心感に満ちている瞳に映る自分の笑顔を見る。
千雨を護ることができたことが嬉しかった。右腕が負傷してからずっと傍に居てくれた千雨。この手は絶対に離さない。
まき絵は千雨の身体を引き上げようと左腕を持ち上げた。所作で亜子の潰れた遺体が視界に入る。銃や刃物は効かなくても、再生能力は無いようなので身体が無くなると動けなくなるようだ。
「よ、いしょっ」
力が入らない右手を左手に添える。背後に立つ人の気配に気付かずに。
「…まき絵!離せ!逃げろ!」
千雨が叫んだ瞬間、突如背中に衝撃が走った。まるで背骨が砕かれているかのような痛みだ。
視線を千雨の顔に戻すと青ざめた表情をしており、伸ばしている手を揺らし解放を促した。千雨の双眸に映るのはまき絵の背後に立ち金槌を背に向かって振るうアキラ。
きっとこの手を離せばアキラをどうにかすることができるのだろう。だがそんなことをすれば護れたと言っていた言葉が嘘になってしまう。
「まき絵、私はもう良い。この手を離せ!大河内、殺すなら私を殺せ!まき絵には手を出すな、大河内!」
何度も何度も背や頭部に金槌を打ちつけるアキラ。千雨の訴えも虚しく、アキラは作業を止めることはなかった。
「諦め……ない…よ、まだ……」
「良い、まき絵、もう良い!だから、離せ!!」
もう腕に込めていた力も段々抜けてきた。身体を支えている足さえ、もう限界に達してきた。
グチャグチャになったまき絵の後頭部からは大量の血が流れ出ていて、普通ならばとっくに出血死しているはずなのにまだ手を離そうとはしない。
約束したんだ。諦めないと。二人でこのゲームから脱出すると誓ったんだ。そんな想いがまき絵の命を繋ぎとめていた。
「まき絵ェェェェエエ!!!!」
千雨は誰かに助けを求めるようにまき絵の名前を叫んだ。廊下にこだまする声は、果たして誰かに届いたのだろうか。
本当に神というものが居るのならいくらでも祈る。どうかまき絵だけは、最後まで護り抜きたかった。
遠くなっていくまき絵の意識。それでも手に込めている力は弱まることなく、ずっと、千雨の腕を握ったまま動かない。
こうなったらこの腕を、無理にでも振り解こう。千雨はぶらさがっていた左手を重力に逆らわせ持ち上げる。
「遅くなりました!」
「え?」
夕凪がアキラの上半身と下半身を切断する。だがアキラは動かなくなったりはしない。必死に両腕両足を動かしている。しかし何もできないことには変わり無いのだ。
千雨は、刹那が木乃香に勝利し助けに来てくれたことを悟った。自分の願いは届いたんだ。これでまき絵も、まき絵と一緒に自分も、最後まで生き延びることができるかもしれない。
刹那はまき絵の身体を支えながら千雨の身体を引き上げた。まき絵は刹那が来たことをわかっているのかわかっていないのか、とりあえず千雨が助かったことだけは理解し微笑んだ。
まき絵を隅に横たわらせた後で刹那はまき絵の死期を察し、千雨の顔色を窺った。しかし千雨はまき絵の笑みに返答するかのように笑顔を浮かべている。
脇に垂らされたまき絵の手を握り、千雨はそれを必死に揺さぶりながら、まき絵の気を引くために言葉を掛けた。
「桜咲、まき絵、有難う。まき絵、これでアイツが勝てば私たちは一緒に帰れるんだ!」
「……」
「オイ、シカトかよ!まだ早いかもしれないけど、ちっとは喜べよ!」
「……千雨…ちゃ…ん」
「お前、腹減っただろ。今日は一緒に近くのファミレスにでも…」
「……千雨ちゃん」
「………珍しいかもしれないけど、たまには良いと思っ…」
「…私、最後まで…頑張ったよ、千雨ちゃ……――――」
―――ありがとう、千雨ちゃん。
「冗談は…止めろよな、まき絵。本当は…まだ……」
現実主義者の千雨が、いつの間にか現実を疑うようになってしまった。涙も拭かずにまき絵の身体を揺さぶり続ける。
その度に制服が擦れる音しかせず、当然まき絵は目を開く様子なんか見せやしない。
「まき……絵…まき絵…まき…」
何度その名を繰り返しても、まき絵が生き返ることなどない。
「ごめん。護りきれなくて、ごめん……」
廊下には千雨がすすり泣く声だけが、暫く響いた。
【佐々木まき絵死亡 残り六名】
第七十五話
「さよちゃんは誰の味方なの?」「美砂はどっちを取る?」
沈黙のままに過ぎる数分間『ネギの味方をすれば自分は目の前の人の敵に、目の前の人の味方をすれば自分はネギの敵になる』と堂々巡りを続けた。
時折判断を促する相手の声が曖昧に耳に入るが、返答はしなかった。ただただ進んでいく時間の中で、二人は自分の中で答えを探す。
しかしどれだけ時間を重ねても、思い浮かんでくるのは皆を護ろうと必死に闘う一人の少年の姿だけだった。
当たり前ではないか。あれだけ慕っていたネギを裏切る理由なんてどこにある、時間を費やして考えるまでもないではないか。
「私は何て愚かなのでしょう。……答えは一つしか無いというのに、何を悩んでいたのでしょうか」
「で、どうするの?いいんちょ」
「……あの子はもう、居ない。死んだ人間はもう二度と、戻ってくることはありませんわ。仮に本当にあの子が戻ってきたとしても、こんなことを言うはずがない」
「じゃあ、さよちゃんも柿崎も、ネギくんを取るんだ」
「……貴方は恐らく、ただの幻想」
「私たちはそんなものに」「惑わされません!」
悔しそうに歯を食いしばる千鶴と夏美を睨みつけ三人は二度と決意を揺るがさないことを誓い、あやかがバックの中からそ武器を取り出した。
少年の姿も、朝倉と桜子の姿も消え三人は現実の世界に引き戻される。
気がつけば、あやかは教室の隅に、美砂とさよは廊下に…元立っていた位置に戻っていた。
「流石ね、初級レベルの簡易魔法だけど魔法の知識の無い貴方たちが幻術を見破るなんて…!」
鉄パイプを手にした千鶴があやかの懐に潜り込んだ刹那、あやかは千鶴の側面へと逃げる。その瞬間、千鶴はあやかの香りを感じた。
正面から夏美が鋸を振り回して襲いかがるがあやかが千鶴の右腕を返し弧を描くようにして宙を舞い踊る千鶴を盾にし、刃は千鶴にぶつかった。
切断された千鶴の右腕が落ちる。千鶴は左手だけで身体を支えながら立ち上がり、衝撃で転がっていった鉄パイプを持ち上げる。
あやかはそんなことには動じない。金棒を取り出すとバックを投げ捨て下から千鶴の顔面へとぶち込んだ。飛び散る千鶴の皮膚に襲われながらも姿勢を低く持ち背後の夏美の方に身体を捻る。
千鶴が持っていた鉄パイプが頭上にまで降ってくるとあやかはそれを左手で受け取り、夏美の腹部を先端で突いた。
「ああぅっ…!」
よろける夏美のこめかみに鉄パイプを叩きつけるとそのまま左手を離し、夏美の真正面へと顔を持っていく。
あやかは夏美の眼球に二本指を突っ込んで倒れた夏美の身体の上に馬乗りになった。そして最初は重たかった金棒を楽々と振り上げた。
「…!」
しかしあやかの影に覆いかぶさる大きな影。ハッとしてあやかが振り返ると、骨が砕かれ鼻は内側にへこみ、片目が潰れている千鶴が立っていた。
倒したと思ったのに、相手に背後を取られてしまった。あやかが唾を飲み込んだ。
ドサッ
「…これは一体……?」
「いんちょ…大丈夫?」
「見ていたんなら加勢しなさい!」
「い、いや…私らが行ったら…ね?」
「邪魔かなーと…思って」
千鶴はそのまま横転した。何が起こったのか飲み込めないあやかたちは夏美へと顔を向けなおすが、夏美もグッタリとしていてしっかり掴まれていたノコギリも今は手のひらから落ちていた。
不審に思った三人は暫し身体を突いたり距離を置き二人を見据えたりするが変化はなく、ただ倒れているだけ。
訳の分からないまま三人は時計を一瞥した後で扉を開き廊下に出た。先に行ってしまったのかとあやかが階段を一段昇ったとき、背後から刹那が声を掛けた。
「あら…あなた方も、今…?」
「はい…」
「まき絵は……?」
美砂の問いを、二人は沈黙で押し通す。聞かずともわかることを、反射的に質問してしまった自分に腹を立てながらあやかに視線で助けを求めた。
「…では、参りましょうか」
あとは目の前の階段を昇るだけだ。
まき絵……orz
支援
第七十六話
薄暗くなった夏の空にはまだ星は顔を出していない。ずっと遠くの橋の向こうに並ぶ民家の明かり、きっと今頃家族団らんと食事でもするのだろう。
本当はネギだって通常なら木乃香の手料理を明日菜と食べている時間だ。
一緒に居てくれた人たちは今、天で自分たちを見降ろしながら何を想っているだろう。皆を護れなかった自分に、どんな期待を抱いているだろう。
そんなこと誰に問わずとも充分わかっていた。だからこそネギは傷だらけの身体を引きずりながらも何度も立ち上がる。
体格、経験、実力の差は圧倒的なのに、倒れては立ち上がりの行動をずっと繰り返していた。
「僕は…負けない……」
「やはり簡単にはいかないな。だがそろそろ限界ではないか?」
ブランクもブランクでネギの強烈な攻撃を何度も受けていたが、呼吸の乱れすらみせていないところを見ると少ししか効いていないようだ。
ただ、左手は再起不能にすることができたので最初ほど敏捷に動くことはできないようだ。
「まァ、こちらも限界とまではいかないが、少々キツイかもしれんな。君の残りのクラスメートを私の人形から解放してあげるよ」
そう、彼にはまだ切り札があった。まだ使い果たしていない魔力がある。つまりブランクはまだ強い力が残っているということになる。
序々にブランクから感じる魔力が増加していく。それでもネギは怯まずに立ち向かおうと杖を構えた。
ネギからは相変わらず殺気が消えない。それほど大事な仲間とやらを殺たれたことが悔しいのかとブランクは失笑した。
「…これでもまだ降参しないか」
「……」
「…そういえば、まだもう一つの目的を君に教えていなかったね」
「……もう一つの…」
「最後に、それだけ教えておこうか。私の昔話と一緒に…」
第七十七話
本部では激しい接戦が繰り広げられている今、そんなことを知らない桜子は一人で図書館島の中を走り回っていた。
建物から漂う不思議な雰囲気に惹きつけられて来てみたのだが、こんな所に誰かが居るわけないだろうと最初は中に入るのを躊躇い入り口の前を四往復くらいした。
だが前回の放送までに夕映やのどかという図書館探検部に所属している人の名前が挙がっていない。
もしかするとこの広い建物の中に隠れているのかもしれないと思った桜子は思い切って入ってみた。室内がどんなに危険な場所かなんて知らずに…。
「ギャァァアア!!!!!」
ロープを使って棚の上から下へ降りると着地した瞬間足元の床がへこんだ。と思えば突如一本の矢が桜子の目の前に飛んできた。
あと一歩でも前に居たなら桜子の頭に直撃していただろう。そしてそれから棚の並びに沿って慎重に歩いていき、突き当たりとなるところを右に曲がると今度は天井から小さなナイフが数本落ちてきた。
「ひゃあああああ!!!」
「うわあああああああ!!!」
「にゃああああああ!!!」
広い室内の中でも桜子の奇妙な悲鳴は充分と響いた。倒れてくる大きな棚、壁から突き出てくる槍、足元に現れる落とし穴などといった、
数々の困難をクリアしていく。本当は途中で帰ろうと思って引き返そうとしていたのだが罠を避けている内にいつの間にか奥の方まで進んでいたらしい。
脈を打つ鼓動がかなり速い、というより今にも心臓が爆発しそうだ。全身に吹き出た嫌な汗が空気に触れて少し寒気がする。
「もう、何なのよー!?こんな所に来る人居るの!?」
桜子の言うことはもっともだ。だが実はこの図書館島に足を踏み入れた者は少なくないし、夕映たちなんて何度もここに訪れている。
しかし初めてここに立ち寄った桜子はこれまでの罠のせいで小さな音が立っただけでも敏感になってしまい身体を震わせた。
「帰り道も、もうわかんないよー……」
バサッ
「いやああああああああ!今度は何!?…本?」
何か硬いものが頭に降ってきて桜子は絶叫した。数歩離れたあとで恐る恐る振り返るとそこには一冊の本が落ちていた。
本だったから良かったものの、あれがもしも槍だったり鋭い刃物だったなら確実に自分は死んでいるだろう。それを想像した桜子は青ざめた。
丁度ページが開かれていたところに絵が描かれていて、その絵柄がとても可愛らしかったため桜子は本に近付いた。
「何々?…blank……ブランクって、えーっと白紙だっけ?」
一番最初のページに戻すと少し黄ばんでいるページの中心に『〜blank〜』と書かれており、その下には女の子と黒い影のようなものの絵が描かれている。
読書などしている時間など無いはずなのだが、何故かこれを読まなければいけない気がしてならなかった。
「……どうせ誰も来ないよね」
一言言葉を落とした後で床に腰を降ろし本棚に背を預けて、次のページへと進んだ。
今日の分の投下は以上です。
昨日全91話と言っていましたが先ほど見直したら92話でした。
では、また明日。
631 :
支援:2007/10/23(火) 20:10:49 ID:???
動かず、書き込まず、ただ座って読んでるだけか?何もせずに助かれる程さるさんは甘くないのだよ。
乙!まき絵・・・・・orz
まき絵……orz
しかし千雨は心開く度に相手か自分かが命落とすな
もし桜子じゃなかったら罠で死んでたろww
なんという強運www
来週くらいには終わりそうだな
18、19が今いるんだよな
誰か20名乗る人いる?
まき絵…
今日の話でちうは生き残りほぼけてーいだな
名乗りたいのはやまやまだが、作者15、16、17とカブッてる部分があったのでヤケになって一から書き直してる最中だじぇい
名乗りたかったが致命的な矛盾見付けて投げ出したんだぜ
作者34くらいな名乗れそう。
書き始めてもうすぐ一年……未だ七話分しか書けてない\(^O^)/
作者20より前に、司書氏とか16氏とかが2作目書き終わるんじゃね?
ホアーッ
>>635 9割型完成。誰もいないなら20番目を名乗っておく?
残り1割完成してから名乗ってくれ。
アンタが1番早いかもしれんが、まだ万が一ってこともある。
授業中常にノートにこれ書き続けて4日で完成したが最後の日に友達に見つかってネギま読んでる隠れオタ判明。
更に2chしてる事がバレてかなり噂になった俺が通りますよorz
>>639 まだハルナに魔法バレしてなかった時期に書き始めた俺が通りますよ
今から今日の分の投下を始め魔手。
第七十八話
『むかしむかし、一冊の本に一匹の悪魔が住み着いていました。
その本はある大きな学園の図書館に保管されていて、悪魔は人間に害を及ぼそうという考えなんてなかったのに、
悪魔のことを知っていた村の人々は誰も本に手をつけようとはしませんでした。
そのため悪魔はずっと独りぼっちで、誰かが本を開いてくれるのを待っていました。
でもある日、一人の少女が図書館へやってくるとその本を手に取ってしまったのです。
そして開いた瞬間、黒い光が一瞬輝きを放ちました。
「まぁ、今のは何かしら」
少女は不思議そうに呟いて、辺りを見渡しましたがこれといって変わったことはなかったようです。
少女は近くの椅子に座るとその本を読もうと次のページをめくりました。
でもおかしいことに、その本には一切文字が書かれていませんでした。
「不思議な本ね。でもこれじゃあ何だか寂しいわ」
空白のページを見ると少女は悲しそうな顔をして、本についていたペンで物語を書いていきました。
その時悪魔は既に眠りから覚め、少女をずっと見つめていました。
「何て美しい少女だろう」
本の中から少女の姿を眺めながら悪魔は呟きました。
どうやら悪魔は人間の少女に恋をしてしまったようです。
それから次の日も、また次の日も、ずっと少女は悪魔の前に姿を現しました。
その度に悪魔は少女の姿に見惚れ、幸せな気分になっていきました。
でも、そんな幸せな日々は、長々とは続かなかったのです。
少女が本を開いてしまったことを知ってしまった村人たち、少女の家族。
皆が、もしかすると少女に悪魔が憑いてしまっているのではないかと噂しはじめました。
それでも少女は毎日本に書き込みをしました。
そんな日々が繰り返されていたのに、突然少女が姿を現さなくなってしまったのです。
悪魔はとても心配になりました。もうあんな寂しい想いはしたくなかったのです。
すると扉を開く音が聞こえてきました。悪魔は少女が来てくれたのだと喜びました。
でも違ったのです。入ってきたのは軍手をした一人の男と老婆。
「まったく…あのガキ、こんな本に触りやがって」
「気持ち悪いったらありゃしないね」
自分は何もしていないのに何故こんな仕打ちを受けねばならないのだろう。
「殺して正解だったよ」
少女は悪魔のことを知ってしまったから来なくなったのかと思った。
だが違った。
「お前…!!あんな気持ち悪いものにまた触ってきたのか!」
「村から出て行け!この悪魔が!」
少女は村人たちからいじめられて、顔も身体を心の中もボロボロでした。
そして最後には殺されてしまったのです。本を開いてしまったためだけに――
悪魔は怒りました。
何の罪もない少女を殺した人間を恨みました。
そして、村人たちは二度と同じ過ちがないように、ある大きな学園へと本を保管してもらうことにしました。
どこへ行っても何十年、何百年も村人たちを…人間たちを恨み続けた。
その間は悪魔の本には誰も手をつけようとはしなかった。
膨らみ続けた怒りの念はやがて力へと変わり、悪魔はとうとう本の封印を破ることができた。
そして外の世界へと飛び出し、無関係の人間の身体を得てもう居るはずのない少女を殺した人間を探し続けました。
その噂を聞きつけた魔法使いが、悪魔の元へやってきました。
「お前を封印し、その子を解放する」
魔法使いを殺してやろうと、悪魔は戦いました。
しかし物凄い魔力の持ち主だったので、簡単に倒すことはできませんでした。
ここで悪魔は、ある一つ方法を思いつきました。
殺さずに、偉大な魔力を持つ相手の肉体を手に入れれば、少女を生き返らせることはきっと可能だと――
「待っててくれ。俺が貴方を…、蘇らせてみせる……。そして、アイツらに復讐を―――!」
――――
人間の蘇生に必要なものは魔法陣を動かす巨大な魔力、魂の器となる肉体、生きた人間の魂、悪魔の血。
「今から皆さんに殺し合いをしてもらいます」
そして悪魔はその都市のある大きな学園で、バトルロワイヤルというゲームを開催しました。
クラスメート全員に殺し合いをさせ、優勝者の魂と肉体を得るために。
大きな魔力を得るために、そして…
自分と彼女を苦しめた、『アイツら』に復讐をするために。』
第七十九話
「そして私を封印しようとした魔法使いが君の父、ナギ・スプリングフィールドだった。彼は本当に強かったよ、君のようにね」
「ちょっと待ってください!貴方は…、『アイツら』に復讐をするためにと、言いましたよね…?」
しかし実際に危害にあっているのはネギの大事なクラスメート。皆が村人なわけがないし、村人が何百年も生き続けているわけない。
言っている意味がよく理解できなかったネギは一つの疑問を抱いた。
「貴方を苦しめたのは…皆じゃない……!」
「君は輪廻転生を信じるか?」
その質問はあまりに唐突すぎて、最初は何が言いたいのかがわからなかったが、少し落ち着いて考えればすぐに答えは出た。
つまり相手が言いたいことは、クラスメートたちがその村人たちの生まれ変わりだと言いたいのだろう。
だがそうだとしても、こんな奇跡的に何人もの人間が一箇所に集まるものだろうか。
しかし、それが最初から仕組まれていたことだとしたら?―――
全てが偶然ではなく、必然だったとしたら?―――
「まァ、エヴァンジェリンや超鈴音などの例外も入っているが…」
皆との出逢いが、最初から何者かの手によって工作されていたなんて、信じたくなかった。皆が出逢えたのは本当の奇跡だと信じたかった。
しかし一番ショックだったことは本当は皆、どんな形になっても出逢ってはいけなかったこと。出逢ったからこそ、惨劇は起きた。
「ウ、ウワァァァァァア!!」
悲しみの叫びを空に響かせながら、ネギは一瞬にしてブランクとの距離を詰めた。そして宙に浮いたまま力いっぱいブランクの頬に拳を振るう。
ブランクは避けきることができず数メートル吹っ飛んだ。ネギは着陸した瞬間にまた地面を蹴り相手に近付く。
「感情が高ぶれば高ぶるほど強くなる…やはり面白い。ならばもう一つ君に教えてあげよう」
腹部にめり込むネギの膝。ブランクの身体が激しく衝突し壁には亀裂が入った。
ブランクの声はネギに聞こえているのか聞こえていないのかはわからないが、ブランクは喋り続けた。
「私が相坂さよに肉体を与えことを知っているだろう?」
ブランクの前髪を掴むと体格の差があるというのに軽々しく持ち上げ反対側の壁へと吹っ飛ばし、ブランクの身体を追うようにしてネギは走り出した。
「そして、先日関西の魔法関係者が大勢居る学園で発生した事件を知っているかな?」
物凄い勢いでブランクの身体に迫るとネギは空を向いたブランクの背に思い切り踵を落とし、ブランクの身体が地面に叩きつけられた。
「私が言っている意味が、わからないかな?…相坂さんだって、何人もの人間を犠牲にした上で私が作り上げたモノなんだよ。
まァ、私にとってはただの実験台だったわけだが…君だって相坂さんだって、実際に嬉しかったのではないか?彼女の願いが叶ったのだから」
再度拳を振り上げたネギが動きを止めた。生徒の一人、さよが幸せになってくれれば当然嬉しいに決まっている。
だがさよは何かを犠牲に幸せを得たのだから、心から喜べない。喜んではいけなかった。
「さて、これを相坂さんが知ったら…彼女はどうなるかな?…きっと壊れてしまうだろうね、ハハ…」
「雷の暴風!」
これ以上ブランクの言葉など聞きたくない。ネギは強力呪文を近距離で唱え、見事相手の身体と地面に穴を開けた。
ネギは胸倉を掴むと目に涙をいっぱい溜めて、迫力のある形相でブランクの頬に拳をぶち込んだ。
「それ以上何か言ったら…!!」
魔力の暴走。それはあくまでネギの怒りが頂点に達したことにより、力が高まるということ。
決して怪我が回復するわけではないのだから、暴れた分反動はかなり大きなものだった。ネギはその場に倒れこみ、震えながらも更に立ち上がろうとした。
しかし既に無理をしすぎていたらしい。ネギの瞼が重たくなって、上体を支えている両手の力も抜け、地面にへたり込んでしまった。
「うぅ…サギ…タ……マギ……」
「無駄だ。それ以上呪文を唱えれば君の命が危ないぞ?」
「ネギ先生!」
乱暴な開閉音の後、皆が姿を現した。薄れていく意識の中、皆がネギの元に駆け寄り懸命に自分の名前を呼びかけてくれているのがわかった。
だがもう、ネギには指一本すら動かすことができない。あやかの膝の上で、ネギは眠りにつこうとしていた。
「ネギ先生!いけません、ネギ先生!」
「貴様ッ…」
刹那が夕凪を構え右足を前に出した。あらゆるところにポッカリと穴を開けたブランクも、同時に構える。
冷たい地面に皆は頬をくっつけて倒れていた。破れた衣服からは下着が見えており、意識は朦朧としている。
サイドで一つに結っていた髪が解けた刹那だけは、何とか意識を維持し刀を杖にして立ち上がった。無理に身体を動かしたせいで血反吐を吐く。
そして刀を振ろうとしたが、やはり倒れてしまう。膝も腕もガクガクと痙攣を起こしてしまっている。
「最後に君たちに、面白い話を…エヴァンジェリンの死に様を教えてあげよう。冥土の土産だ」
第八十話
僕は結局、ただの弱い人間だった。
ただの小さな子供で、魔法だって体術だってまだ習得中の未熟者。
力のコントロールすらできなかった。
護る護ると言っておきながら何一つ護ることができなかった弱い自分。
それでも大好きだと言ってくれた人が居た。
それでも闘おうと言ってくれた人が居た。
なのに最後の最後で裏切ってしまった。
きっと、もっと僕が強かったら何とかなったのだろうに。
ごめんなさい、皆さん―――
「……ギ、ネギ。こォらネギ坊主!」
夢。そこは暗闇の中、誰かがそこに居ることを知らなかったネギだが、自分の名前を呼ぶ声がしたことで漸くそのことに気付いた。
声の主を探そうと膝に埋めていた涙でグシャグシャになった顔を上げると、アンバランスな髪型をした少女が不機嫌そうな顔をしており、それがとても懐かしく思えた。
彼女は腰に手を当て仁王立ちになって見降ろしている。言いたいことは彼女の様子を見れば考えずともわかった。
「……僕は…」
「アンタ、これでのこのこと私たちのトコに来てみなさいよ。あっちでぶん殴ってやるんだから!」
「…え?」
「ぶん殴って蹴って、投げて…ボッコボコにしてやるわよ!」
指を鳴らす彼女の言葉は冗談めいているが、確実に本気だ。ネギはその迫力に怯えながらも視線を逸らす。
「でも……僕の力じゃきっとまた…」
「あーもう、それ以上言ったら殴る!私はいんちょみたいに優しくないわよ?パーじゃなくてグー!アンタみたいな餓鬼の歯の一本や二本、簡単に折れちゃうわよ」
胸倉を持ち上げられたネギの身体が地面から離れ、見上げなくても正面に彼女の顔が見えた。
眉毛を逆のハの字にして今にも殴りかかってきそうな彼女。些か暴力的ではあるが、彼女は彼女なりに励ましてくれているのだ。
アンタならまだできる。
アンタなら絶対に大丈夫。
「そうでしょ、ネギ?」
夢の中の彼女が差し出してくれた手を、ネギは―――
第八十一話
エヴァはコイツを愛していた――
なのに、エヴァは殺されてしまった――
「実に愉快だったよ、わざと首輪の力を抑えわざと魔力で誘導したらまんまと罠にはまって…」
この男の手によって彼女は殺された。
「涙まで流していたよ、吸血鬼の真祖が」
コイツが、エヴァちゃんを殺した。
――――「私はこれから本部に行く」
―――「……美砂、」
――――「ありがとう」
「あ、ああああああああああああああああああああ!」
全部、思い出した。昨夜彼女が言っていたこと、彼女の優しい表情。全てが美砂の中に蘇えり、とうとう怒りは頂点に達した。
愛する人からの裏切り。美砂にだって愛している人が居るからわかる。
美砂は無理やり立ち上がりブランクに詰め寄る。途中で何度倒れそうになっても、必死で足を進めた。
そして漸く相手の目の前へとたどり着くと平手を何度もお見舞いした。強く右手を振るう度に美砂の瞳から涙が飛び散る。
「アンタは……殺す!アンタ…だけは……絶対に!絶対に…許さない!」
こんなことをしても殺すことはできないと知っていたが、パチンという音が尽きることはなかった。
エヴァと美砂の間に何があったか知らない皆はその光景を、ただ唖然と眺めているだけだった。
「アンタはエヴァちゃんを殺した!エヴァちゃんはアンタを愛していたのに!なのに!」
「……それは違う。彼女が愛していたのは私ではない、私はただ、彼女が愛していた男の魂を喰らっただけさ」
「柿崎……さん、ソイツから………離れてくだ……!」
「あっ……」
「つまり私はその愛とやらを利用しただけ。私を愛してくれていたのは既にこの世には存在しないのだから」
赤い瞳をした黒い影がナギの身体から抜け出し、美砂を庇うようにして立ちあがった刹那を避け美砂の澄んだ瞳に吸い込まれていった。
倒れていたナギの身体は地面にもたれ双眸を伏せ、漸く本当に永遠の眠りにつく。ナギの身体から漏れる魔力と、都市全体を囲む魔法陣から放たれる魔力が美砂の身体に溶けていくのがわかった。
(ごめんね、エヴァちゃん。バイバイ、―――くん)
美砂の薬指から、指輪が抜け落ちた。
しえん
しーえーん
更にしえん
しぇん
しえん
しーえーん
―――エヴァは気絶させた美砂の身体を抱き上げた。十歳の少女の腕力で、何とか美砂の身体を抱えるエヴァの表情は濁っている。
「何故私がこのようなことをせねばならんのだ」
悪態をつくが誰が指示したわけではない、それは自らが選んだ行動なのだ。
視線を少し落とせば見える美砂の寝顔。睫は涙に濡れ、頬には一滴の水滴。エヴァは人目につきにくい場所を確保するとそっと美砂を降ろし、その涙を指で拭ってやった。
「………もう、二度と逢えることはないのだろうな」
美砂の髪を耳に掛け、眠っている顔をまじまじと見るエヴァの表情は少しだけ、寂しそうだった。
立ち上がったエヴァが美砂に背を向け、数歩足を進めた後、一旦動作を止め美砂の方を振り返り、最後に一言だけ残して立ち去った。
「……ぼーやと残りの連中を、頼むぞ」
今日の分の投下は以上です。
支援有難うございました。
数えてみたのですが、恐らく日曜日には全話投下し終わると思います。
ただエンドストーリーが長いのでまた、何度も規制にかかってしまうかもしれません。
ではまた明日。
乙!日曜には終わり魔手か←
乙
にしても17は萌え魔手なあ
始め魔手とか…
かわいすぎだろ…常考…
今日の投稿楽しみにして魔手
前半は正直中だるみがあったのは否めないですが、
後半の展開はなかなかの神展開!今夜もwktkしときます
桜子たのむ魔手!
魔手魔手♪
俺の髪型魔っ手る〜む〜
なにこの流れ・・・・・
↓以下、ハピ魔手
674 :
マロン名無しさん:2007/10/25(木) 15:54:02 ID:Qnn0mLeP
光る風を追い越し魔手
この魔手の流れを無視して
今日の投稿始めます
は今日はダメだからな17
>>674 ageるとアンチにスレ荒らされるからageんな
オリジナル笑顔で駆け抜け魔手
678 :
マロン名無しさん:2007/10/25(木) 16:23:41 ID:4F15jMmz
↑上げてごめん間違った
ageとsageの違いを2ch初心者の俺に教えて
↓3分後に投稿と予想
支援し魔手
すみません、何でしょうかね『始め魔手』って……orz
気付きませんでした…。
でも何より驚いたのは誤字のことだけで10レスもついていたことです。
今から今日の分の投下を始め マ ス。
第八十二話
「今…どうなったんだ?」
「何か黒い物体が、柿崎さんの中に…!?どういうことですの!?」
何かが美砂の身体に入り込んだと思えば、美砂はバックをドサリと落とし俯いたまま、ずっと立ち尽くしているだけで何もしようとしない。
ただ、普通の人間の美砂から何か不思議な力を感じる。それはナギの身体から放出されていた力に似ているが、力の大きさは先ほどとは比べ物にならないくらい大きいものだ。
ネギはここで理解した。ナギのボロボロの身体はもう使い物にならない、だからブランクは新しい器を得たのだと。
「フフ…流石麻帆良魔法学園都市、世界樹の力だ。西の魔法学園よりも遥かに凄い力を感じるな。そのボロボロの身体のままだったなら逆に魔力に喰われていたろう」
妙な話し方をする美砂にあやかは戸惑い、どういうことか問うように状況を把握し刀を構える刹那に視線を預けた。
「貴様は……人間では、無いな…」
「気付いていなかったのか?桜咲さん。」
痛みに身体を震わす刹那の首を掴み、ブランクが軽々と持ち上げる。
「全ては復讐のために、」
手には段々と、力が込められる。
「全てはあの子のために!」
そして握力で喉を潰そうとした、その時。
横たわっていたネギの周りに壮大な魔力がとぐろを巻く。魔力を感じないあやかやさよでさえも、その不思議な力に圧倒された。
美砂の身体へ、ブランクの元へ渡った全ての魔力が、今度はネギの身体へと吸い込まれていく。まるでブランクを拒み、ネギへと自らの意思で動いているかのように。
護りたいというネギの気持ちに、全てが応えてくれているような温かい力がネギ自身にも伝わる。
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル…」
「………!」
杖を握りフラフラと立ち上がるネギが始動キーを唱えた。無詠唱でないのは今から唱える呪文が超高等呪文だからだ。数年前に村を滅ぼし、大切な人たちを殺した悪魔たちへの復讐のために死ぬ気で覚えた最大呪文。
肉体を破壊するのは勿論だが、この呪文を受ければブランクそのものまで消えてしまうことになる。
あまりに莫大な魔力にブランクは逃げ出そうとするが、刹那がそれを許さなかった。
「逃さんぞ、化け物め」
胸を貫く夕凪が、更に力を吸い取っていく。刹那はブランクの肩を掴み、逃げられないよう固定する。
だが、これでは刹那も巻き添えを喰らってしまう。しかしそんなことはお構い無しに刹那は飛び込んできたのだ。
「オイ、あれじゃあ……桜咲だって危ねェんじゃねェのか!?」
「桜咲さん!言ったはずです、貴方はちゃんと最後まで…!」
「…雪……広さん、それでもアスナさん……は、こうもおっしゃって…いました。……『皆を…護ってあげて』、と」
刹那が瞼を閉じ、明日菜の最期を思い出す。明日菜との誓いは、絶対に果たさねばならない。
「躊躇わないでください先生。私は一度、コイツのような化け物になってしまった。ですがアスナさんのおかげで、こうやって皆を護ろうとすることができた。
約束したのです、アスナさんと。誓ったのです、皆を護ると。皆を助けるためです、ネギ先生!お願いします」
刹那の声がネギの耳に届いた瞬間、ネギが目をギュッと瞑って最後の呪文の名称を唱えた。
(お願いします、刹那さん―――!)
空に飾られた照り輝く星よりも白い光が、麻帆良全体に広がった。
【柿崎美砂、桜咲刹那死亡 残り四名】
ます。魔手。(ますまるましゅまる)
支援
第八十三話
僕は夢の中で、満点の星が見える丘の上に居た。そこは僕が子供の頃よく遊んでいた場所。独りぼっちで座って俯いている僕に、誰かが手を差し伸べてくれた。
「何泣いてんのよ、男の子でしょ?」
彼女に言われて僕は泣いていることに気付き、顔を上げる。するとそこには僕が望んでいたみんなの笑顔があって、僕は嬉しくなって、アスナさんの手を握って立ち上がった。
「───貴、兄貴!起きろ兄貴ィ!」
「ネギ先生はお疲れですのよ!?無理に起こさなくてもよろしいではありませんか!」
騒がしい声でネギの脳が覚醒していく。胸の辺りが重たく、ネギは半ば無理矢理瞼を上げて頭を持ち上げその原因へと目を向ける。
「カ……モ…くん?…ここは……保健室………?」
己の顔を覗き込む白い小さな物体は、明らかになっていない視界の中でもそれが何かはしっかりわかった。
体中の傷が疼くのを我慢しながらネギは上体を持ち上げると、掛けてあった布団と胸の上に乗っていたカモの身体が落ちる。
瞬時に肌に直接伝わる風、ネギは違和感を感じ自分の身体を見降ろした。
「うわぁ!」
全身にできた傷の手当てをしたため、ネギはパンツ一丁になっていた。所々が破けた脱がされたスーツは丁寧にたたまれていて、隣のベッドに置いてあった。
本当はスーツを脱がした後、あやかはパンツにまで手を掛けていたが慌てて千雨とさよが止めたのだ。
ネギは顔を真っ赤にさせ俯き、女の子のようにもじもじさせた。その光景に両目をハートにさせるあやかを、冷たい目で千雨は見つめる。
「しかし驚いたぜ兄貴」
カモは先日、ブランクたちによって眠らされていた。そしてつい先ほど、教室を通りかかったあやかたちに大声で助けを求め鳥かごの中から脱出した。
「まさかサウザンドマスターに…」
「ううん。……あれは、父さんじゃ、ないんだ……父さんはもう、居なかったんだよ………」
拙いことを言ってしまったかもしれない。カモは自分の口を押さえてネギの顔色を窺った。
ネギはカモの心中を察して無理に笑みを作った。そして事件の真相を事細かく話した。
「……何か、暗い話になっちゃいましたね」
ブランクがゲームを開催した理由を聞かせると、三人とも気分を落とし涙を浮かべた。
「オイ、待ってくれ兄貴。そのブランクは本当に、兄貴の魔法でやっつけちまったのか?」
「ええと……僕は、最後に魔法を使った後の記憶が………」
「ネギ先生が呪文を唱えた後、本当に柿崎さんの身体は、さ……、桜咲さんの身体と一緒に……」
「………」
カモは顎に手を添え首を捻る。
「どうしたのカモくん?難しい顔して…」
「……いや、ソイツは実体を持ってねェ。ブランクっつーのは強力な魔力が宿った本が作り出した悪魔なんだよ。
だから、兄貴が唱えた呪文がどんなに強い魔法であっても死なないんだ。アイツを倒すには、誰かが運良く本を開いて物語を……」
「兄貴、そういえばその本、この学園のどこかに保管されてるはずだぜ!もしかすると…!」
「運良く…?……運が………もしかして!」
「…心当たりがあるのか兄貴!?」
幸運の女神の存在を思い出した。
第八十四話
「アレ?これって…」
本を読んでいると、時折左側に挿絵が描かれていた。それは麻帆良学園にかなり似ていて、話の流れも桜子には覚えがあるものだった。
バトルロワイヤル。それは今自分たちが強制的に参加させられているゲームの名前だ。
桜子がページを開き、またページを開いていけば学園の生徒たちが殺しあっていく様子が書かれてあった。
『悪魔は立ち向かってくる少女の身体に憑依する。
するとどんどん、計り知れない魔力が自分の中に入っていくのを感じ、ほくそ笑んだ。
その頃、別の場所で一人の少女が悪魔を生み出した、魔力が宿っているという本を開いた。
そして物語を読んでいく内に、何となく自分の身の回りで起きていることに似ているなと思った。
次のページから続く空白が気になった彼女は、本についていたペンを』
中途半端なところで物語は終わってしまった。ここから先は空白で、何一つ文字が書かれてはいない。
桜子は物足りない気持ちになって何度も本当に続きが書かれていないかを確かめた。
「何よ、気になるじゃーん!」
まるで桜子たちのことを物語っているかのようなこの本。続きが書いてあれば今からの自分の未来がわかるような気がして、それが書かれていないことに桜子は腹を立てた。
何だか桜子たちには未来が無いといわれているみたいだったからだ。
喧嘩を売られてるんだと思った桜子が付属のペンで白紙の部分につらつらと文字を綴っていく。
それから一時間後の今、桜子は本棚を背もたれにして深い眠りについていた。
22時を切ったころ、このゲームのルールが載った紙を今更ながら見直した。桜子の記憶は正しかった、48時間経った時点で二名以上残っていれば首輪が爆発、という文。
恐らく、自分がまだ助かっていないということはまだゲームが終了していない。もしかすると他の皆が桜子を探しているかもしれないが、ここから脱出するを既に諦めていた。
何と言っても残り二時間も無い。罠を抜けることも困難だったし帰るルートさえわからないのだから、きっとここを出るくらいで二時間ギリギリ掛かってしまうだろう。
ならば誰もが夢見るような楽な死に方をしよう。桜子は心を無にして目を瞑ると、ゆっくりと夢の世界へと入っていった。
そんな桜子を起こさないよう、ネギは杖から降りると解除魔法で桜子の首輪を外した。所作で目を覚ますかと思ったが余程疲れていたのだろう、寝たままの状態を維持していた。
ネギが何故この場所を特定できたかというと、ブランクの魔力に似た、僅かに漏れていた魔力を少し辿ると図書館島へ続く道を歩いていたからだ。
足元に落ちている開きっぱなしの赤い本をネギが確認すると案の定、ブランクという名前が。やはり全てを解決したのはこの少女だった。このゲームに勝ったのは彼女の強運だったのだ。
武力も無い魔力も無い、ただの少女の寝顔を見据えた後でネギは表紙を捲り物語を黙読する。
読んでいけばブランクが話していた過去のことが沢山書いてあった。そしてブランクの気持ちも、ネギは理解した。
「…………寂しかったんですね…」
大切な人を失ったときの気持ちは、ネギにだってわかるし今の皆にだって痛いほどわかるだろう。
例えそれが悪魔だったとしても、人間でも、動物でも…、愛する人が居なくなってしまうなんて現実を受け入れ生きていくことは難しい。
生き残っているクラスメートがまだ居るということは嬉しいが、それでも護れなかったことが悔しい。
「………」
どんどんページを捲っていく。ページに時折雫が落ちるが、物語を読むのを止めようとはしなかった。
『力つきた少年は夢の中で、一人の少女に逢いました。
その少女は絶望に満ちていた少年の心を希望に変えてくれました。
少女の言葉で、少年の何かをまもりたい、助けたいという気持ちが大きくなりました。
少年の声がみんなに、天に届いたかのように、今まで感じたことのないくらい大きな力が少年の身体にみなぎってきました。
悪魔はそれをこわがり、逃げ出そうとしたけど逃げることはできませんでした。
そして少年は悪魔を無事たい治することができ、長い戦いからかい放された安心感からその場で眠ってしまいました。悪魔は少女の魂とともに安らかな眠りについたので、本は何の変哲もない本となり、』
妙な文章の途切れ方をした次には桜子独特の表現の仕方で、今の自分の願いをひたすら書き綴っていた。ペンは蓋が開いたまま少し離れたところまで転がっている。
『ゲームが行われた学校の皆は無事生き返り、皆は今までのように楽しく平和に暮らしました。』
恐らくそれが桜子の最大の願いだったのだろう。静寂の流れるこの空間で、鼻水を啜る音だけが響く。
彼女の願いが叶うことなど永遠に無い。だって既に本はただの『本』になってしまっていたのだから。
「桜子さん、起きてください。校門で、皆さんが待っています」
「んにゃ……?ネネネ、ネギくん!」
「あ、だ、大丈夫です。…皆さんのおかげで、僕も元に戻れましたし……全て、終わりましたから」
全てを終わらせたのは桜子。
桜子の強運が、皆を勝利に導いた。
【主催者 消滅】
【相坂さよ、椎名桜子、長谷川千雨、雪広あやか、ネギ・スプリングフィールド 生存者五名】
紫煙
第八十六話
『先日二十八日、埼玉県麻帆良市にある麻帆良学園で火事が発生しました。
現場の焼け跡からは生徒の遺体とみられるものが――』
ゲーム終了後、ネギの魔法で麻帆良学園全体を爆破した。
悪魔に殺し合いをさせられたなんてことを、信じてくれる人間なんて居ない。だからといって放っておくと後々大変なことになる。
燃やされていく生徒たちの亡骸へエリアの外から黙祷を捧げ、皆は麻帆良の最期を黙って見届けた。
そして翌日に放送されたニュースは、どの局もこの話題を大きく取り上げていた。
関西の学園、関東の学園と立て続けに発生した大火事。今だ犯人は見つからないことになっているが、どれだけ警察が捜査しようが犯人など一生見つからないだろう。
しかし時間が経った今、この事件を覚えている人など居るのだろうか。
誰が、どれだけの人間の頭からこの記憶が消えていようが、ネギたちは一生忘れない。
第八十七話 Bad end
2007.7.28
「それが私たちに与えられた運命でした」
雪広あやかは今教壇の上に立っている。目の前に居る少女たちは皆瞳を左右に揺らし口を閉じていた。
窓から差し込む日差しは春らしい暖かさを教室の中に注ぎ込む。平和を感じさせる鳥の鳴き声、空に白い線を描く飛行機。
これが少女たちにとっての最後の日常の風景となる。
あれからネギたちはある計画を経てた後で、皆の魂を麻帆良に封印した。
そして皆は四年間、ネギとウェールズで魔法の勉強を独学で学び、仮契約も交わした。
もう聞こえなくなったクラスメートたちの笑い声。もう見られなくなったクラスメートたちの笑顔。
もうできなくなってしまった明日菜との喧嘩。もう帰ってこない自分の日常。
待ってても再び始まりが来ないのであれば意味がない。しかし、帰ってこないのなら自らが迎えに行けばいいのだ。
そして今、久しぶりに麻帆良の地へと足を運んでいる。
あやかの隣には白いマントを被った女が二人。そして黒板に白いチョークで大きく文字を綴る少年。
教室の隅にはいつの日か明日菜たちを襲った上位悪魔の老人が血まみれになって倒れており、傍ではパソコンのキーをカタカタと鳴らす女の後姿。
背後に並ぶ兵隊たちはあやかの前に並ぶ椅子に着座する生徒たちを睨む。喚くものが居れば殴ってでも大人しくさせ、あやかの意志に逆らおうとすればあやか自身が銃を向け黙らせた。
「きっとあの楽しかった日々に帰るのは時間が掛かるでしょう」
身長の高いあやかが教壇から降りると、必然的に黒板に綴られた文字がはっきりと見えた。
「ですがそれでもまた、皆さんに出逢えるのでしたら私はどれだけの金銭が必要でも、どれだけの努力を積まなければいけなくとも――」
教室の中の光景は四年前にも見た覚えがある。ああ、何て懐かしいのだ。悲劇はここから始まった。
「どんな手を使っても、取り戻してみせます」
今のあやかの表情は嫌に生き生きしている。これは全て自らの意志だ。
さあ、もうすぐ時計が九時を差す。一斉にクラスメートを地獄に落とす時がくる。
10、9、8、
「早く、早く…皆さんに逢いたい」
7、6、5、
「きっと皆さんも…同じ気持ちですわ」
4、3、2
「また皆さんとあのような日常を…」
1
「それではゲームを始めましょうか。皆さん、思う存分楽しんでくださいまし!」
【ゲーム開始 残り???名】
子えん
今日の投下はここまでです。
何だかこのペースでいけば全話投下土曜に終わりそうです。
では……。
乙です!
こ、この展開はまさか……!
God endに期待
投下乙
Good endあってほしいな
生存者一覧見たときはもう…
確かにこの展開なら桜子は生き残らないといけないな
こういう生き残り方なら生存率0が生き残っても良いと思う
最初はぐだぐだ感があったが最後は伏線をうまくまとめてて良かった。
…でもいいんちょがロワ主催者に?!
桜子ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
とにかく乙!そしてありがと!もう12部みたいな事にはならないよな?な?
まだ油断できないか?
作者16が最初よくて終盤へただったから君らがタッグくめばいい
705 :
704:2007/10/25(木) 23:51:17 ID:???
16氏→感情描写うまい→行動・戦闘描写がへた
17氏→行動・戦闘描写うまい→感情描写へた
へたとかいう表現やめろって
やったぜ桜子!
1氏→行動・戦闘描写うまい→感情描写うまい→最高!
作者1→丸パクリ→最低
作者6→このせつ→最高
作者20→ネギ爆発→最強
ちゅどぉぉん
↑これ第何部だっけ?
>>712 何部でもない短編だと思う。
個人的には魔法先生ロワが結構好きなのだが…
714 :
マロン名無しさん:2007/10/26(金) 07:51:20 ID:isjlLrhk
へたっていうのはやめてくれ
だったらお前が書いてみろっていう典型的な荒らしの悪循環が始まるから
だいたい全然へたじゃなかっただろ
15氏→ザジ美砂→みかん
17→桜子空気→神
私情により今日残りのエンドストーリーを全て投下しようと思います。
かなり急になってしまい申し訳ありません。
詳しい事情は聞かないでやってください。
では今日の投下を始めます。
第八十八話 Negi springfield 〜二年後〜
カチャカチャ
時計の針が午後七時を指す。大分慣れた手付きで箸を持つネギ・スプリングフィールドは空白の一室の中心で一人夕食をとっていた。
気持ちを紛らわすためだろう、電源を入れたテレビには今のネギには似合わぬお笑い番組が流れていた。
一人きりで食べる夕飯は、作りたてと言えど何だか冷たい。湯気が昇っているご飯も冷めているような気がした。
―――悲劇の終わりから一年半経った今、皆は新しく生まれ変わった麻帆良学園女子中等部の屋上に来ていた。
崩れ落ちていた手摺りは元通りになっていて、校舎全体もネギが最初に来たときのように完璧な造りに戻っている。
あれから色々考えて、ネギはウェールズで一度修行を一からやり直すことに決めた。そして今日、ここに戻って来た。
もちろん教師の道に戻るつもりである。目標だった人はもう居ないが、マギステル・マギになるという夢は捨てないことに決めた。
ネギは手摺りの方へと歩み寄りそこから見える景色を見渡す。ここで過ごした数ヶ月を思い出し、これから過ごす何年間を想いながら。
そうやって視線を彷徨わせていると遠くの方に馴染みのある寮が見えた。ネギはこれからあそこへ行くつもりである。
明日菜と木乃香が居た部屋には、今は誰も住んでいない。二年もの空白を空けていたのだから初日の清掃が大変ではあるだろう。
きっとあの部屋に居れば色々なことを思い出してしまうかもしれない。でもネギの居場所はあそこしか存在しない、そうネギは思ったのだ―――
それから半年の月日が経った。
「そう。僕にはここしか、無いんです」
涙が次々とご飯の中に零れ落ちていって何だかしょっぱく感じる。身体を震わせながらも必死に箸を握り、ご飯を器官へと落とす。
ネギは今でも木乃香が作ったご飯の味を覚えているし、たまに明日菜がおかずをくれていたことも忘れてなどいない。
しかし誰も居なくなった今は自分で好きな物を作れば良いし、好きなだけおかずもおかわりをすれば良い。
寂しくても、いくら泣いても、木乃香の手料理は二度と食べられないし明日菜におかずを分けてもらうことももう不可能なのだ。
「……いつもですね。いつも、僕は泣いてばかり……。明日からは、泣かないようにしなくちゃ……」
鼻を赤くして発した言葉はただの独り言か、自分自身に言い聞かせているのか。それとも見えない誰かに言っているのだろうか。
ネギは暫く、その言葉を毎晩言い続けた。
第八十九話 Chisame hasegawa 〜四年後 AM9:00〜
―――あの事件の後、長谷川千雨は一時、ネットから離れていた。身の回りに起きた事件が心に強くのしかかり、更新どころではなかったからだ。
まき絵のことが頭からどうしても離れなかったので、一人の友人として千雨はまき絵の実家に挨拶に行った。
「まさかあの子がこんなにも早くこんなことになってしまうとは思わなくてね…」
千雨の前に座るまき絵の母親は目を真っ赤に腫らしていて、今も涙を流し目尻にハンカチを置いている。
母親の涙を見ると千雨の胸が痛んだ。千雨はまき絵を護りきれなかったことをまだ引きずっていたから、ひどい罪悪感を感じていた。
あの時無理にでも手を振り解いていれば、まき絵が死ぬことはなかったと思う。護る護ると言っておきながら護れなかったまき絵の命。
きっとまき絵の性格からしてそんな自分を恨むことなく、今は天国から見守っていてくれているだろう。
それでも自分自身を許すことはできなかった。何度か手首にカッターの刃を当てたことがあるが、更に自分の情けなさを知るだけだったのでいつも途中で止めていた。
「私が…私が彼女の傍に居たのに、何もできなかったんです。まき絵さんを護ることができなかった…まき絵さんは、私を助けて…そのせいで……」
母親の表情をそれ以上直視できず顔を降ろしては零れていく涙が膝に乗せていた手の甲に落ちていく。
大事な娘が死んでしまった根本的な原因は目の前に在るのだ。張り手の一つや二つ、いや、この際刺されることすら覚悟してここに来た。
それくらい千雨はまき絵の死に責任を感じていた。あの日のあの時からずっと。
「…千雨ちゃん、だったかしら?」
「…はい」
「今の言葉をまき絵が聞いたら多分、貴方まき絵に怒られちゃうわよ」
「……え?」
名前を呼ばれた途端に肩を震わせた千雨。だが、母親の声は実に穏やかなもので、怒りなんて少しも含まれていないように感じた。
そんな彼女の顔は、笑顔を浮かべている。何だかまき絵と話しているような感覚になった。
「あの子はもう居ない。でもあの子が護りたかった貴方は今、ちゃんと居る。だったら、貴方はまき絵の分まで、まっすぐ前を向いて生きていくべきじゃないかしら?」
「……」
「私に言えることはそれだけよ」
ベッドに身体を沈め天井を見つめながらこれからについて考えた。
久しぶりにベッドの脇にあるカーテンを開けば茜色の空が一際美しく見え、更に開いた窓からは頑張って泣き喚く赤ん坊の声が聞こえてきた。
「まっすぐ前を向いて生きろ……か…。よし、久しぶりにHPでも覗いてみるかな」―――
『ブログの女神、謎の美女ネットアイドルちう降臨。えー、皆さんは最近ネット上で話題になっている『ちう』さん。ご存知ですか?』
朝起きたら当たり前のようにつけるテレビの画面に映るのは自身のブログ、そして丁寧な修正を施しアップした写真。
ちうに対して可愛い、綺麗などと感想を述べていくキャスターやコメンテーター。千雨は朝食を取りながら満足そうに一人頷く。
「そりゃ、当然だろ。こっちは色々と苦労してんだから」
『いやー、実際に逢ってみたいですね』
『今度取材させてもらったらどうですか?』
「…オイオイ、マジでするなよそんなこと」
そんなことをされれば画像を加工していることが知られてしまう。そんなことになれば散々叩かれて挙句の果てにはネット界から永久追放されてしまうかもしれない。
「冗談じゃねー。有名になるっていうのも大変だな」
別の話に切り替わったところで電源を切り、食器を台所まで運ぶ。途中、壁に掛けられたカレンダーを見ると、今日の日付に赤い丸がしてあった。
「さ、そろそろ準備するか」
規制に掛かりそうなのでここで一旦切ります。
少し誤解が生じているようなので言っておきますが、
バッドエンドは一話完結、今日投下するエンドストーリー五話はまた別のお話だと思ってください。
ではまた九時頃。
いやいや急すぎだろ・・・
身内の不幸とか?
支援
再度の投下を始めます。
支援
何かもう泣きそうだ
第九十話 Sakurako shina 〜四年後 AM11:00〜
椎名桜子は高校卒業後麻帆良を離れ貯めていたお金でアパートを借り、複数のバイトで学費を稼ぎながら都内の大学に通っている。
今はまだやりたいことは見つからない。でもそれは生活を送っていく中でゆっくり考えていこうと思った。
「クッキ、ビッケ、まど、ただいまー!」
扉を開いた桜子の薄く塗られたファンデーションの上には更に土や泥が付着していて、白いTシャツの汚れが特に目立つ。そんな桜子の胸の中には同じく泥だらけの白猫。
先ほどベランダから近くの公園を眺めているとその一匹の猫がベンチに座っていたので、気になった桜子は寝間着のまま公園へと飛んでいった。
野良猫なので素直に捕まってくれず小一時間園内を走り回っていた。時折子供を遊ばせている主婦や散歩している年寄りに笑われていたことにも気付かないで追い回していた。
胸の中に抱きしめている今だって大人しくはしてくれない。鳴き声をあげながら手足を激しくばたつかせ必死に抵抗している。
「みんな、新しい仲間のみーちゃんだよ!みーちゃん、あんまり鳴かないで。ここペット禁止だから」
足元に纏わりついてくる三匹の猫の中にその猫を離した。最初は怯えていたがすぐ仲良くなったようだ。
桜子は再び泥だらけの猫を抱き上げると風呂場へと運んだ。お互いにたくさん汚れてしまったので身体を洗おうと思った。
だが、階段を誰かが一段ずつ上がってくる音がすると慌てて四匹の猫を襖の奥へとしまい込む。
周りの迷惑を考えずにこんなに大きな音を立てて階段を昇ってくるのは大家しか居ないからだ。
桜子が音だけで人を判別できるのは長い間このアパートに住んでいるからというのもあるが、実は何度も、『声がうるさい』『アンタペット飼ってない?』と指摘しに来ることがあり、
その度に謝ったり誤魔化したりしていたからだ。恐らく今回はどちらも指摘されるだろう。桜子は襖の隙間から顔を覗かせると唇の前で人差し指を立てる。
そしてドンドンという乱暴なノックに返事を返すと階下の住人に迷惑が掛からぬようゆっくり扉へ向かった。
「あ、何だ大家さんか。どうしたんですか?」
「アンタ…」
「髪型変えたんですねー!すごく似合ってる!」
「アンタ声うるさいよ。一階まで聞こえる、少し静かに話せないのかい!?」
「ごめんにゃさい…」
「それから……アンタ猫飼ってない?」
「…やだにゃー、それ何回も言ってるじゃーん。飼ってませんってばー」
「それなら良いんだよ。ただし、次やったら追い出すからね。それじゃ」
扉を閉めると大家は静かに自室に戻った。桜子はホッと胸をなで下ろし襖を開き、猫と共に風呂場へと向かう。
きっと大家は猫を飼っていることも猫を拾ってきたことも知っているのだろう。
しかしそれを言わないのは桜子が元麻帆良生で沢山の仲間を失ったこと、大切な人を失ったときの寂しさを知っているから。
大家の優しさは充分に桜子には伝わっているからこそ、桜子は何を言われてもずっとここに住んでいた。
「ちょっと遅刻しちゃうけど大丈夫だよね…とりあえず皆、良い子にしててね。いってきます」
身支度を終えた桜子が時計を確認すると待ち合わせ時間まで残り30分もないことに気付く。
出迎えてくれた猫たちに手を振り部屋を出ると先ほどの大家よりも騒がしい音を立てて場所へと急ぐ。
通りかかった大家の扉の横に鋏まれた札には『柿崎』と書いてあった。
第九十一話 Sayo aisaka 〜四年後 PM12:00〜
背もたれへ身体の圧を掛けて、顎を上げレンズ越しに雲が流れる空に視点を置いて早くも15分が経過した。
ぶれないように両腕をしっかり固定しシャッターボタンを押すが納得がいかず、短い呼気を一つ。
相坂さよは高校入学直後、身の回りが大分落ち着いたということで報道部に所属していた。しかし消極的な性格なので朝倉のように上手くはいかず、
気に入ったものがあればとにかくカメラに収めるだけで終わった。最初からさよには性格的に『報道部』の道は合わなかったのかもしれない。
でも、カメラだけは好きだった。幽霊のとき、朝倉の撮影する写真を見せてもらっていたがどれも感動するくらい最高なものだった。
だから自分も朝倉のようにカメラを常時持ち歩いているが、これも朝倉ほど上手くはいかなかった。
何を撮影してもしっくり来ない。清清しい青空、緑の中で咲き誇る花、透明に青が映し出された海、どんなに美しい風景を撮ってもいつも違和感を感じた。
一体何が足りないのか、さよは撮影後よく悩んでいた。どうすれば朝倉のような写真を撮ることができるのだろう。
「…まだ時間に余裕はあるけど…もう行こうかな……ぐふっ!」
カメラをケースに入れると早くも待ち合わせ場所へ向かおうと立ち上がった。その刹那、何かが腹部に突撃して衝撃で再びベンチに腰を降ろすこととなった。
ベンチの角で後頭部を殴打するとさよは涙目になりながら原因を探す。顔を下げると、すぐにそれは見つかった。
青いスモックを着た黄色い帽子を被った子供が膝の上に顔を乗せている。もしかしたら今の衝突のせいで動けなくなったのかもしれない。もしくは意識を…?
過剰な妄想がさよの脳内を埋め尽くしていく。さよは心配して子供の頭を上げると顔色を窺った。
「ぼ、ぼく、大丈夫?」
「……ババァ!」
「え…!?」
可愛らしい顔をして毒を吐き捨てると子供は前方にある砂場で遊ぶ、同じ装束の子供たちの輪の中へと入っていった。
「ひ、ひどい……私まだ、19歳なのに………あ、でも長いこと幽霊やってたからやっぱり老けてるのかな?それでもやっぱり…」
「あのー…」
子供染みた声の次に今度は大人の声が聞こえた。低迷させた視界の中に誰かの足が入ってきたのでこれは自分への呼び掛けなのだろうとさよは顔を上げた。
そこには白いトレーナーにジーパンというかなり動きやすい格好をした女性が、首には赤い笛を下げていてさよに向かって頭を下げてきた。
「すみません、あの子が失礼なことを言ってしまって。お怪我はありませんか?」
「え…あ、はい!全然大丈夫です!」
「良かった…。って、コラ!そっちへ行っちゃ駄目!待ちなさい!」
相手は安心の色を映し出したと思えば数秒挟んで鼓膜を揺らす声にさよが肩を上下させ、相手が走っていくのを視線のみで追った。
たどり着いた視線の先には沢山の子供の群れに混ざって戯れている大人数人。恐らく幼稚園児とその先生の集団だろう。
沢山の笑顔を見ていると何だか胸が騒ぐ。今カメラを手に取れば物凄く良いものが撮れそうな予感がして堪らなかった。
目の前の光景を撮影しなければ確実に後悔する、写真を撮りたい。そんな衝動に駆られさよは先ほど話しかけてきた人物を見つけ出し、勇気を振り絞って声を掛けた。
「あ、あの……えっと………」
「はい?」
「その…写真………写真、撮らせてくれませんか?子供たちの…駄目だったら、良いんです。でも、良かったら……」
言えた!さよはスカートの裾を握り締め返答を待った。
「……良いですよ。並ばせますか?」
「あ、有難うございます!この自然体のままを撮らせてください!」
砂場で山を作ったり、ブランコの立ち漕ぎで誰が一番高く漕げるかを競ったり、滑り台を三人同時に滑ったり、広場を自由に駆け回る子供たちを、さよは楽しく撮影した。
美しい物など無くても、子供たちの輝かしい笑顔が沢山カメラに収められてさよは満足した。
「有難うございました」
「いえいえ。頑張ってくださいね」
さよは、夢へと一歩踏み出せたような気がした。
「…あ、ネギ先生にもらった薬飲まなくちゃ!」
ネギからもらった薬というのはさよが霊体に戻らぬよう、ネギが作った魔法薬だといって毎月郵便で届けてくれるカプセルだ。もちろんそれは嘘で、本当はさよに掛けてある幻術の効果がきれないようにする薬。
今さよが霊体のときと同じ姿をしていられるのはブランクの掛けた魔法のお陰であり、本来なら肉体の持ち主(つまり解りやすく言えば関西魔法学園での優勝者)の姿なのだ。
さよは一週間に一度、これを飲むよう指示されている。また幽霊の生活に戻らぬよう、さよは毎週欠かさずこの薬を飲んでいた。
「ふぅ〜、危うく忘れるところだった」
♪〜
ペットボトルから唇を離した瞬間、広場の時計から音楽が流れる。毎日12時になると園内に響くメロディーだ。
さよは次の予定を思い出すと立ち上がると荷物を持ち、慌てて退園した。
第九十二話 Ayaka yukihiro 〜四年後 PM:12:15〜
「あれからもう四年ですか」
あれから四年経った今は2007年7月28日。あやかたちは毎年この日になるとここで集まって墓参りをすることに決めている。
あの時15歳だったあやかはもう19歳になる。元から大人びたあやかの顔形からはもっと大人の女性の雰囲気が感じられた。
父親の下で働いている今はロングだった髪をショートに切っていて、仕事重視の生活を送っていた。将来は父親の跡を継ごうと思っている。
一歩歩く度にリン、という涼しい音を立てるのは結べなくなった今は毎日肌身離さず持っている白いスーツジャケットのポケットに入っている明日菜にもらったリボンに結われた鈴。
この鈴が鳴ると、あやかは明日菜が隣に居てくれているように感じていた。その度にひょっこり現れたりするんじゃないだろうか、と。
落ち込んだときに鳴る音は『アンタらしくないわね』という渇の言葉に、嬉しいときに鳴る音は『何浮かれてるのよ…でもまァおめでとう』と密かに一緒に喜んでくれる言葉に聞こえた。
「逢いにきましたわよ。アスナさん、皆さん」
あの日のように空の隅々まで広がった青色に浮かんでいる太陽から注がれる光が暖かい。視軸を上空へ寄せるとネギの声がした。
あやかが振り向くとそこには14歳になった少年が花束を持って現れた。ネギと逢えたのは三年前の墓参り以来だ。仕事があまりにも忙しく、あやかだけ時間が合わなかったのだ。
だからネギの変化には目を疑った。それなりの歳になったネギの身長や顔つきは、当時よりずっと大人になっていた。
髪も少し伸びていて、可愛いからカッコイイへと変わっていた。それをあやかは少し侘しい気持ちになるがネギが浮かべた笑顔があまりにも変わってなかったのでその気持ちは吹っ飛んだ。
「お久しぶりですわネギ先生!何て素敵な少年に育ったのでしょう、この雪広あやかはまたしてもネギ先生に心を奪われてしまいましたわーッ!」
「い、いいんちょさ…」
こういう状況になると照れたように顔を火照らすところも変わっていない。あやかはネギの身体を抱き締めた。
胸の部分をネギの顔に押し付けるあやかに戸惑い手足をバタつかせるネギ。すると、『何やってんのよ!この変態女!』…とでも言うかのように突風が二人の間に駆け抜け密着していた身体を剥がした。
「何だか今、懐かしい感じが……」
「いいんちょズルイー!今ネギくんと何してたのー!?」
遠くからその光景を見ていた桜子と千雨が漸く墓前へと辿りついた。そして大分後ろの方にはさよも居るようだ。
桜子はツインテールにしていた髪をサイドで一つに纏めえりあし部分だけを降ろし、千雨は相変わらずのロングヘアーを後ろで一つに結い、
さよは前髪を横に分けていて、それぞれ顔つきが少し大人っぽくなっていた。あやかは皆の変わりように驚くが口にはしなかった。
「久しぶりに会ってみたら雪広さん、髪切ったんですね。似合ってますー」
「うんうん。デキる女って感じだよね!」
「とっても素敵ですよ、いいんちょさん」
「ふふ、有難うございます。本当にお久しぶりですわね。これからは恐らく大分落ち着くと思うのでたまにはこうやって集まることができると思いますわ」
「じゃあ今度カラオケ行こうよ!丁度クーポンあるし!」
「…………全然成長しねー奴」
皆が笑い声を上げた。少しだけ中学時代に戻れたように感じた。
話に区切りがついたところでさよが途中で購入した花を墓前に飾ると合掌を送った。線香の香りが鼻をくすぐる。
閉じた瞼にはクラスメートたちの笑顔。そして笑い声が聞こえてくるような気がする。隣を見ればそこにはクラスメートが居そうな、そんな気が。
お参りが終わった後五人はどこかで食事をとることにした。千雨は不本意だが、皆からのしつこい誘いを特に断る理由も無いので渋々付き合うことにした。
「そーいえば、今日の朝テレビでちうって子の特集があったの見たー!?凄く可愛かったけど誰かに似てるよね」
「み、見てねー!誰にも似てねー!」
「何で千雨ちゃんそんなに必死なの?」
「必死じゃねー黙れ!」
「お、落ち着いてください千雨さん……」
出口へ向かう途中、皆が賑やかに会話をする中で、あやかの耳にリン、という音が届いた。それは自分の物ではない。
もしかして、と、最後尾を歩いていたあやかが背後を振り返ると同じようにこちらを見つめている小さな少女が立っている。
つり上がった双眼や雰囲気が明日菜に似ていて思わずあやかは立ち止まった。そしてゆっくり、少女に近付く。
あやかが傍に寄ってきても、無愛想な少女はあやかを視点に置いたまま何も喋らない。
まるで初めて出逢った頃の明日菜のようだ。
「これ、…貴方にお返ししますわ」
あやかはポケットからリボンを取り出すと少女に向かって差し出した。すると固まっていた少女の表情が崩れて、笑みが刻まれた。そして小さい声で短く言葉を返す。
「…有難う」
戸惑うことなくリボンをあやかの手のひらから奪う少女が、あやかと視線を交える。
その瞬間、あやかは柔らかい風に包まれた。
「いいんちょー何やってんのー?置いてくよ!」
あやかがついてきていないことに気付いた桜子があやかを呼ぶと、あやかは四人が待っている方向へと身を翻した。
「どうしたんですか?」
不思議に思ったさよが問いを投げかける。前を行く桜子たちもこちらを見ている。気になっているのだろう。
だが、鞄をギュッと握り締めると嬉しそうに微笑みながらあやかが先頭に立って歩き始めるだけで、返事を返さない。
後ろでは桜子が不満の言葉を上げているのが聞こえた。あやかは僅かに振り返る。
「……内緒です」
「えー何それ!!」
「気になりますー…」
(だったらわざわざ溜めんなっつーの)
あやかに対して数々の不服が飛び交う中、ネギだけはあやかの表情を嬉しそうに眺めていた。
―――そう、秘密ですわ。
私と、アスナさん。
二人だけの―――
〜完〜
あとがき
最後の最後で私の勝手な都合で、急に全話投下することになってしまい本当に申し訳ありませんでした。
それではまず、最終話に出てきた少女についてです。
この少女は一体何者なのか、どういうことなのか。それは読んでいる貴方の判断にお任せします。
『これだ』という答えは元々考えていません。それに答えを決めてしまうと何かつまらないなと思ったので…。
九月下旬(ほとんど十月なんですが)に投下し始めて約一ヶ月。
この作品を書き上げるので四ヶ月くらい掛かったと思います。
実は私、宣言するまで『2ちゃんねる』に真面目に書き込みをしたことがあまりありませんでした。(基本ロム専、ネタSS専なので)
ですから最初はかなり緊張しミスの連発…。それでも最後まで付き合ってくださった皆様、有難うございました。
指摘してくださった方々のおかげで、自分の足りない部分というものをハッキリと理解することもできました。
17を名乗る前から書いていたネギロワが一つあるのですが、今までできなかったキャラ一人一人の感情をわかりやすく表現するということを意識して書き直しています。
当然、いつかはその作品も投下しにくることとなるでしょう。
ですがその時、『コイツ作者17だ』と思ってもなるべく言わないでやってください。
兎にも角にも、本当に最後まで有難うございました。
これから作品を投下する作者さんたち、頑張ってくださいね。
では。
乙!
さよがこういう形で生き残るのは初めてな気がする…
桜子の生存率0%も消えたしw
とりあえず今自分も書いてるんだが感情表現の何と下手なことかorz
乙!!!!!!
いんちょ編泣いた・・・・
17は伏線が上手だったよ
少し気になったんだがネタSSとはネギロワの?
17がネタ投下してるところが想像できん・・
なにがともあれ有難う!お疲れ様!
次回作期待してる!
乙!
楽しかったよ。今までお疲れ様!
そして桜子、生存率アップおめでとう!
正直最初の文章の印象では全然期待してなかったが後半になって思いっきり引き込まれたよ。
特に桜子が絵本の続きを書いたあたりがよかった。ネギと一緒に涙が出たよ。
とにかくお疲れ様でした。ゆっくり休んでまたここに戻ってくることを期待してるよ。
あれ?
目から汗が・・・
17氏乙でした!!
次回昨待ってるよ!
17氏...なかなか類を見ないほどのいぃw作者だったと
思 う
18氏たんマダー?
17氏、感動をありがとう!
伏線がうまくここ何作かでは終わり方が良かった!
次回作期待してる。
1番にあっ、こいつ17だって気付いてやんよw
17氏ぃぃぃぃぃ!
超乙。
まじでひさしぶりに泣いた・・・
感動を有難う!!
次回も期待してる!
「はぁ・・・はぁっ・・・」
「・・・逃がさないよー♪ゆ〜な〜♪殺してあげるよっ♪♪」
息を切らしながら裕奈は駆けて行く。
背後には笑顔のまま、まき絵が裕奈の後を追っていた。
「くぅっ・・・!!」
「よっと、そんなの当たらないってば〜♪」
逃げている間に裕奈は少し立ち止まり、苦し紛れにブーメランを投げるものの、運動神経の高いまき絵は首を横に反らし軽々とそれを避けてしまった。裕奈は軽く溜息をつく。
裕奈のダメージは非常に大きかった。おそらく後一撃でもやられたらあっけなく死んでしまうだろう。
肉弾戦で立ち向かうにもまき絵は少し負傷をしている程度。勝つ見込みはなかった。
そして逃走劇の果て、ついに裕奈は崖際まで追い込まれてしまった。
「・・・くっ・・・私は見たのよ・・・アキラを崖に落としたのは・・・まき絵、あんただって・・・!!」
裕奈は見てしまっていた。まき絵が容赦なくアキラの体を落としていく様を。抵抗する暇もなくアキラは崖から落とされてしまっていた。
自分ではアキラを助けることが出来なかった。後悔の念が募る。
しかしいくら後悔したところでもう―――アキラは戻ってくることはない。
抵抗の念を込め、誰のものかはわからなかったが、目の前にはバットが置いてあったので投げつける。
「うっ!?・・・ぐっ・・・中々やるね〜・・・ゆーな・・・」
弧を描くバットはまき絵の体に当たった。
しかし少し後ろに飛んだもののすぐに立ち上がり、裕奈に詰め寄っていく。
最後の抵抗と考えていた裕奈にもう策はなかった。さらにまき絵の手の中にある『とあるもの』を見て、抵抗する気が失せてしまった。
裕奈は立ち止まり、絶望した表情でまき絵のほうを見る。
「・・・それ、はっ・・・!!」
「・・・ふふっ、観念したみたいだね、ゆーな♪」
まき絵は器用に鈍い光沢を持つ『とあるもの』を見せびらかすように回転させている。
裕奈は絶望した表情をまき絵に向けたままだ。
「えへへ〜・・・これわかるんだ?これアキラが持ってたんだよ〜♪・・・盗っちゃったけどね♪これすっごく強いんだよ〜♪」
まき絵は手に持っている『とあるもの』、銃を裕奈に向ける。
銃口からは徐々に光が漏れ始めていた。裕奈の顔から冷や汗が出る。
「バイバイ、ゆーな♪このゲームに勝つのは・・・私なんだっ♪そのために・・・死んでっ♪」
「・・・く・・・そっ・・・」
裕奈の抵抗はむなしく、無情にもまき絵の銃からは強大な光が放たれた。
巨大な光弾は裕奈の体に向かっていく。覚悟した裕奈はその場に立ち止まったままだ。
そして―――――
ブツン。
「「あ〜っ、ちょっとー!!?」」
電源の切れたテレビの前で裕奈とまき絵は吼える。
前には寝巻きの亜子が目を擦りながらむっとした顔で立っていた。
「亜子のバカ〜!!いいとこで止めないでよ〜!!?」
「・・・ダメや、二人とも・・・夜中にゲームやんのは勘弁し〜や。うるさくてたまらんわ。目も悪くなるしな・・・いい加減にせ〜よ?」
「う〜・・・怒んないでよ〜・・・ごめんごめん♪」
亜子は頬を膨らませながら怒ってる様子を見て申し訳なさそうに頭を掻く裕奈。
そっとなだめるように亜子の頭をなで謝る。
「ま、まぁええわ・・・そこまでいうんなら・・・///」
「だけどさぁ〜!!電源を無理やり切るのは勘弁してよ〜!!ゆーなに止めさすとこだったのに〜!!」
「だって死んだやら殺すやら物騒な事ゆーてたってか叫んどったやん・・・冗談でも勘弁しぃ。」
まき絵の発言に対し、赤い顔で俯いた亜子が顔をあげツッコミを入れる。
裕奈とまき絵がまさに同じタイミングに「ごめんね〜」と言う様子を見てアキラはクスリと笑顔を零す。
「さぁ、亜子も入ってっ!四人対戦の方が燃えるにゃ〜♪」
「・・・じゃあ今度も私はサムス〜♪」
「ま、またぁ〜!?じゃあ今度はリンクじゃなくて私はヨッシーでいくにゃ〜!!」
「(・・・でっていうか・・・。私はメテオで何も出来なかったし・・・もう一度マリオにしよ・・・)」
「・・・はは、まあほどほどにしときーや・・・。まぁ、私もやるけどな♪」
亜子も笑顔を零し、コントローラーを握った。
この三人といるのはとても心地よい。日常が毎日楽しい。亜子以外の三人もそう思っているだろう。
そしてそれぞれが四人の仲がこのまま崩れないものだと信じている。
幸せな日常が当たり前で、みんな仲良し。そう信じていた。
しかし―――
「まき絵・・・どう・・・してっ・・・!!!」
汗ばむ拳を握りながら裕奈は叫んでいた。悪い夢であってほしかった。
その隣で震えている亜子の顔は涙でクシャクシャになっている。
「(何でこんなことに・・・!!!!?)」
どうして、まき絵は、こうも歪んでしまったのか裕奈にはわからなかった。
「・・・私は・・・ゲームに勝たなくちゃいけない、いけないんだよ・・・死にたくないのっ!!」
「何で・・・何でなのよ・・・!!?・・・なっ!?」
「わっ、ゆ、ゆーなっ!?」
―――まき絵の銃から硝煙が吹いた。
銃を構えた事に瞬時に反応できた裕奈はとっさに亜子の体を自分の体の影に隠す。
それと同時に裕奈の体が跳ねた。
少し間が空いた後亜子はようやく状況を理解した。
「・・・ゆーなっ!!?ゆーなぁ!!!!?しっかりしてよ!?・・・ねぇ・・・!!?」
亜子はぐったりとした様子の顔の裕奈を抱え、耳元で叫ぶ。
必死の力で体を揺するが裕奈は口を開くほどの体力もなかった。
「・・・生き・・・て・・・」
最後の力を振り絞り裕奈は、耳元でポツリと呟き、亜子の体をそっと抱き締めた。
しかしそれが最後。抱き締めていた裕奈の手は力を失い垂れ下がった。
「・・・ゆー・・・な・・・」
「・・・あはは・・・あははははは・・・私が、私が勝つんだ・・・!!みんな死ねばいいんだ・・・!!!」
―――そして無情にももう一度硝煙が吹いた。
その場にはただ静寂だけが残されている。
凹凸が見られる地面には二人の少女が顔を合わせて横たわっていた。
一人の少女はすでに力尽き、瞼をすでに閉じている。
薄れゆく意識の中、その様子を見た亜子は思っていた。
―――日常は人が思っているより遥かにもろく、壊れやすいものなのだ―――と。
「(何で・・・昨日までが当たり前と思ってたんやろ・・・。私はホントに・・・バカやな・・・)」
亜子の頬から悔しさから涙が伝ってくる。
しかしその涙を拭ってくれるものはもう自分の側にはいない。
近くても―――遠い。顔がこんな近くにあっても話すことも笑顔を見ることや出来やしない。
「(ゆーな・・・守れなくて・・・ごめんな・・・ウチも・・・す・・・ぐ・・・)」
眼前に倒れた裕奈の頬をそっと撫でた後、亜子もゆっくりと―――瞼を閉じた。
森にまた銃声が響く。断末魔が遠くから聞こえる。
―――まだ惨劇は終わらなそうにはない。
【明石裕奈、和泉亜子、死亡。】
【バトルロワイアル終了まで 3−A 残り?名】
この作者17氏GJという空気をものの見事にぶっ壊すだけの短編 〜完〜
何となく痛い作品を投下。反省はしているが後悔はしていない。
P.S.作者17氏・・・いいんちょ編にリアルに泣かせてもらったぜ・・・GJ!!!次回作にも期待して待ってるんで!
あんたは神だぜっ!
ちょwwwwめっちゃ感動した☆
やっぱ短編もいいな
まじでGJ
運動部好きの俺にはたまらない作品だったよ
17の作品、俺も最初はすこし退屈だった
けどエヴァ美砂話後くらいからだんだん好きになってきた
個人的にはいいんちょ編のエンドが一番好き
普通に感動したわ
桜子信者な俺は適当に空気扱いされたままでの生存率0%は嫌だった。
そんなことをしたらある意味個性だった死にキャラというポジションを失ってしまうからだ。
だが……これなら、この展開なら満足せざるを得ない。
本当は俺の手でやりたかったけど、このクオリティなら先越されても不満はないぜ……
おめでとう、桜子。
さようなら、ネタキャラとしての桜子。
そしてお疲れ様、感動をありがとう17氏
この作品はネギまらしさがででた。新鮮で好きだったよ、17氏ありがとう。
なんだかんだ言って好きでした。
17氏良かったよ。お疲れ様!
まえ餓鬼
よろしくっス☆
文才ないけどよろしくぴょん
では今から投稿始めます。
1話〜ちうのブログ更新〜
おっはろー☆☆
今日はね先日あったーとーっても怖いお話するぴょん><
...それは3日前の事であった
「皆さんには殺し合いをしてもらいます」
「( ゜Д゜)」
ネギの突然の言葉に皆唖然とした。
しばらく沈黙が続いたがそれを破るようにアスナが言った。
「ちょwwwおまっwwwwwwねーよwwwwwwwwww」
ずきゅううううぅぅぅぅうううううぅぅん!!!!!!!!!!!!
次の瞬間ネギの隣にいた幼女の銃から凄まじい音が発せられた
その瞬間アスナは倒れこんだ
隣の木乃香が唖然としてる「( ゜Д゜)」
刹那が覚☆醒した!
「きっ.......きさまっ....................」
「神鳴流奥義...惨悔積歩拳!」
「貴様は自らの足で後ろの崖へと...」
モロにくらった幼女は自らの足で崖(黒板)へとぶつかり出血多量で死んだ
「ちょwwやべぇよww桜咲さんこえぇwww」
「まさか北斗真拳使える人がいるとはね...」
皆が陰口を叩く中木乃香が言う
「せっちゃん...」
刹那は泣いた。泣き過ぎて死んだ。
【桜咲刹那 神楽坂明日奈 死亡。残り29名」
2話〜ちうのブログ荒らしに...〜
ゲームが開始し皆が学校に散らばる
五月は調理室にいた。
「私の武器なんだろ・・・」
何かビンのようなものが入ってた
「DO☆KU☆YA☆KU!!!」
「まさか私の武器がDO☆KU☆YA☆KUとはね...。」
毒薬入りの肉まんで皆殺しにする事にした五月
さっそく30個の肉まんを作った。(トリカブト入り)
そこで五月はある重大な事に気づいた!
「わたし...味見してしまった。°゜°。。ヘ(。><)ノ」
【四葉五月死亡 残り28名】
今日は終わり。
明日は3話、4話と番外編で俺のバイト先で作ってる独肉まんの作り方を載せるね。
この独肉まんは五月のと一緒だから皆楽しみにしててね。
本人かよ( ゜Д゜)ポカーン
・・・本人なのか?荒らしなのか?釣りなのか?
・・・まぁいいがww
とりあえずまともなのは期待しない方向でいいのかな?
まともな指摘はしなくていいよな?ww
ちょwwwwwwギャグwwwww新しい試みwww
一日に投下する分をふやしてくれ!!面白いwwww
ちょっwwww
本気で最後まで投下するなら、もっとペースは早くして欲しいな
面白い……
明るいバトロワw
31話完結とかかな…?
ホントに本物の作者18なのか??
てか電車の中で吹いちゃった俺のプライドを返せ!!!!
でも17の作品でしんみりしたあとでギャク系の作品はイイ!
やばいwww吹いたwwww
才能ありすぎるww
しかも本人じゃねぇかwww
ちょwww
続行期待かよw
今日だけで追い出されると思って話考えてねぇよ…www
今日の分も今日アドリブで作って投下したもんだよww
ちっ、今から明日明後日の分とりあえず作るよ…
まず、どこからつっこめばいいのか迷うのだが…w
>刹那は泣いた。泣き過ぎて死んだ。
ねーよwww
>>775 全30話くらい希望^^^
一日五話ずつ投下^^^
神 降 臨 w
スゲーおもしれぇww
頼むから続行してくれw
ギャグってコンセプト丸被りして俺涙目www
ちなみにギャグ容認派が多いのはリレーの時に判明してるw
>今日だけで追い出されると思って話考えてねぇよ…www
……いや、そこがギャグでないならそれは許せないんだけど。
文体はまあ笑って許せるけど、スレ進行の基本ルール曲げるなよ。
これは面白いww
さっさと明日の分書けよwわくてかで待ってるw
次のバトロワを投下すべきタイミングがわからんなこりゃ
完成させてから作者を名乗るのがルールだろ。面白ければいいという問題ではない。
完成してから作者を名乗るルールに完全に違反している点で作者18は完全アウト。
これを仮に許したら、今後見切り発車が多くなり、無茶苦茶になる。
くそわろたぞwww
固い事言わなくて言いんじゃないかww
作者18には17の次回作以上に期待
>固い事言わなくて言いんじゃないかww
固い事じゃなくこれは最低限のルール。
>>784の言うとおり無茶苦茶になる
>>775には悪いが今回は作者18は諦めてくれ。新しい作者18が出るまで外伝として投下、もしくは完全に書き上げてから改めて作者○○と名乗ってくれ
>>785 人の作品と較べるなよ
面白ければいいというような発想をするお前は厨以下
別の作者の話をもちだすのはどうかと思うぞ
とにかく19(居たよな)が投下した方が良いとおも
すみません。
自宅のPCが壊れて保存してた話全て消えてしまいました。
18氏が投稿してる間に急いで書き直そうと思いましたが間に合いそうにありません。
別の人に変わりに作者19を名乗ってもらいたいです。
\(^o^)/ナント
\(^o^)/超☆展☆開
以前の作者の後日談的なのを勝手に妄想したりしたが、文章にするのは時間がいるしな……
やはり、ここは最終兵器、リレーしか(ry
ちょwwwここ数時間の流れが神すぎるwwwせっかく17氏の感動に浸ってたのにwww18氏のギャグロワが終わったら、20氏が投下するのか?
>>793 見切りOKにしたらこれまで頑張って書き上げて投下していった作者たちに失礼な気がする・・・.
先生ロワは違反だと自覚してたから「作者〇〇と名乗れ」と周りが言っても断っていた
これ以上の徹底議論は、まとめの外部板でやったらどうだ? こっちはこっちでマターリと、ね。
だから17氏が居なかったときのように短編投下でイイヨ
\______ __________/
|/
∧_∧
(○) (∀・ )
ヽ|〃 (∩∩ )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
議論いらねぇよwww
2時間で全部書き終えたよwwww
ちゃんと毎日投稿するよwww
まだ次の作者誰も名乗ってないからそれでおK?w
おk!
何話あるの?
乙です
あの短さだと一日5話くらい投下して欲しいかも
>>800 と言うか18名乗る前に書き上げてたんじゃないのか?
今日の投稿始めま
>>801 言ったらつまんない
>>803 今日思いつきのアドリブで書き綴った
ぶっちゃけ1話3分もかかってない
3話〜逆さに読んでも新聞紙〜
美砂は階段を登っていた。
すると上から転がり落ちてきたザジとぶつかってしまった。
そしてなんと合体してしまったのだ!
2人は「美ジ・砂砂砂ーデイ」とお互い半分ずつ使って名前をつけた
美ジ・砂砂砂ーデイはバックを確認するがどうやら食べ物を入れ忘れられてたらしい。
という事でたまたまたどり着いた調理室にたまたま置いてあった肉まんを食べた。
パクッ
するとどうやら合体した2人にトリカブトが反応して2倍の大きさになってしまった
彼女らは「巨・美ジ・レイニ砂砂砂」と改名する事にした。
ザジ「(計画通り!)」
4話〜逆さに読んでも龍宮やん〜
龍宮は教室に戻っていた
なんと龍宮はこけた弾みに記憶を失ってしまったようだ
そこへたまたま楓が通りかかった
「どうしたでござりんぐか?腹痛いでござるか?食べすぎアルか?」
何故か古の喋りをさりげなく使った楓であった。
すると龍宮は口を開いた
「黙れぇぇええぇぇえ!このバタースティック野郎!!!!!」
「なっ!?どうしたでござる!??バタースティックなどないでござるよ」
「黙れ黙れ!貴様がバタースティックだ!」
「なっ!お主こそバタースティックだ!」
「貴様の方がバタースティックだ!!!!」
「いや拙者がバタースティックなはずなどない!!!!」
「違う!貴様は確かにバターsssssssss
しびれを切らした楓が水鉄砲を打ったようだ
【龍宮真名ショック死 残り27名】
5話〜逆さに読んではダme〜
楓は酷く後悔をした
「...拙者が殺しを......。」
楓は自らの水鉄砲で自殺しようとした。
だが次の瞬間
「ダメですぅぅぅぅぅう!」
間に夕映が入ってきた
「ダメです!簡単に死んではダメです!」
「バカリーダー...拙者が悪かった。」
「(計画通り!これで私より成績の悪い者がいなくなって済んだ。それにボディーガードになる)」
「では参るでござるか」
「はい。」
そして2人は教室を後にする。
ちょうどその頃教室の掃除用具入れに隠れてた茶々丸はお茶を煎じていた
6話〜ちうサバイバー〜
その頃長谷川千雨は千の雨になっていた。
彼女のブログの最後の更新にはこう書かれていた
「私のお墓の前で泣かないで下さい そこに私はいません 眠ってなんかいません
千の雨になってアフリカの雨が降らないかわいそうな地域に降っています」
多くのレスが寄せられていた
「ありがとう」「d」「乙」「全俺が泣いた」「俺も雨になる」「一生忘れない」
「風じゃないのかよw」「欧米か!」「そんなの関係ねぇ!」「うんこしたい」
ちうはブログの仲間と共にあの世へと旅立っていったのだ。
誰も冒頭の「怖いことがあったよ」はじゃぁ誰が更新したのかという事は疑問に持たず...
【長谷川千雨いつの間にか死 残り26名】
18、笑いの才能ありすぎwwww
今日も糞吹いたwww
なんつー作りだwwwwしかしこれもネギロワwwwwいい味出してるぜ
wwwwww
やべぇww今までで1番の名作wwww
バタースティック吹いたwwwwww
茶々丸何してんだ...w
バタースティックは各変だww
水鉄砲で死ぬwww
零部に続く名作だなコレw
レイニ砂砂砂で糞ワロタwww
ブログ更新してんの誰だよwww
今日もwktkが止まらないw
明日菜と刹那が脱落した時点で29人になってるけどさよちゃん出るの?
今日の投稿はお休みです。
では今から投稿始めます
7話〜大゛〜
エヴァは歩いていた。およそ時速200kmの速さで。
すると後ろから茶々丸が追いかけていた。およそ時速0,5mの速さで。
「くっ・・・茶々丸のやつなんて速さだ・・・。もうすぐ追いつかれる・・・。はぁはぁ。」
最初は30m程差があったが気づけば後5mほどにせまれれたいた
「何故だ!何故私を狙う!茶々丸ぅ!うぅ!!」
それは1時間前の事
「私の武器はPCですか。これでマスターを守れますかね・・・」
茶々丸の武器はPCだった。それもスパコン。
とりあえず茶々丸は脳内メイカーをしてみる事にした。
脳内メイカーをする事でこのゲームから脱出できると考えたからだ。
脳内メイカーをすると脳の中心に一文字だけ現れた。
『犬』
茶々丸は嘆いた。そして叫んだ。
「はぅぅっ・・・!」
「そうだ・・・私がマスターを殺せば!」
自分の脳は犬なんかではない。そう茶々丸は思った。
ドン!
次の瞬間PCでエヴァは殴られた。
頭からは酷く緑色の血が流れてる
「まさかこの私がロボットなんぞにやられるとはな・・・」
【エヴァンジェリン撲殺 残り25名】
8話〜森羅万象〜
「ぱうーぱうーぱううー」
のどかは何故か犬になっていた
円はそれ見ていった。
「魔手ー魔手ー」
円の武器は悪魔の手、通称魔手だった。
魔手に念じ「魔手ー魔手ー」と唱えるとそれを聴いたものを操れるらしい
さっそくのどかが操られてしまった。
それを木陰できいていた、さよ・朝倉・古・亜子も操られてしまった
「ぱうーぱうーぱううー」
「よぱーよぱーよよよぱー」
「らくーらくーらくくー」
「おへしーおへしーへしー」
「おしりかじり虫〜♪」
円は奴隷達の前で思った
「優勝はもらいんぐ☆」
だが次の瞬間・・・
ドン!
9話〜そろそろ飽きてきた投稿やめたい〜
美ジの攻撃を円はモロにくらったのだ
そして何故か円は2つに分裂した
彼女は自分Aを「く」、自分Bを「ぎみやまどか」と名づけた
悪い。あんま面白い話おもいつかねぇ
【釘宮円、美ジ・レイニ砂砂砂、さよ、朝倉、古死亡 残り19名】
10話〜あぁ、刹那と明日菜の絡みで凄い面白いネタ思いついたが2人とも殺してしまったorz〜
もはやアナルほじり虫の化した亜子は校舎を1人さまよっていた
「おしりかじり虫〜♪アナルほじり虫〜♪ネギ君はちんこいじり虫〜♪」
その場にアキラが現れた、が、スルーした。
次にまき絵も現れた、が、スルーした。
でもゆーなは違った。
「亜子・・・」
「ゆーなに分かる?私の気持ち!?」
些細なことで喧嘩が始まったようだ。
「じゃぁ、亜子には私の気持ち分かる!?今日バイトのレジでお釣りを渡す時『200円のお返しになります。お確かめ下さい。』を『200円のお返しになります。お母さん。』といった作者1hじゃなくて私の気持ちを!?」
亜子は酷く後悔した。
「ゆーな・・・そんな恥ずかしい体験をしたなんて・・・」
亜子はゆーなの説得のおかげで正気に戻った。
亜子とゆーなは仲良くなった
11話〜盲腸なんか根性で治してやる!〜
その頃夕映と楓は歩きながら喋っていた
「盲腸になったみたいですね」
「あぁ〜眠いでござる」
「盲腸なんか根性で治してみせるです」
「新しい手裏剣がほしいでござるなぁ〜」
「痛いなど今弱音を吐いてる場合ではないです」
「X JAPAN再結成でござるかぁ〜」
「ゲームを終わらせる方法はないのですかね?」
「肉まん食べたいでござるなぁ〜」
話が噛みあわない2人であった。
話が噛みあわわわない2人であった。
肉まんの臭いに釣られて2人は調理室にあった肉まんを食べた
【楓、ゆえ毒死 残り17名】
魔手ときいてwwwww17氏みてないのかなwwwww
17氏に対する挑戦状と見たw
なんで毎日こんなに面白いんだwww
おもろすぎwwww
俺が17ならかなり嬉しいww
なんか全部の話が面白すぎなんだけどw
パクリの形跡もないし18スゲーwww
ぶっちゃけ>665で最初に魔手を指摘したの俺なんだよね。
久々に覗いてみたら・・・・なにこの自演・・・・・・・・
糞吹いたwww
18は今までで1番gj
作者18はコンビニでバイトしている
作者18はお母さんと間違えてお客さんに言う
これなんて俺の学生時代www
もう突っ込みどころ大杉wwwww
837 :
マロン名無しさん:2007/10/29(月) 23:33:42 ID:K5/e4bRF
才能の無駄遣いww
てか時速矛盾www
投下終了後のレスにwがつく率、ほぼ100%ww
つーか15部読んでないのに、まったくまとめで保管される気配がねぇぇぇ
>>838 10月は忙しくて無理ってサイトに書いてあるだろ。よく読めよ厨房
datスレを変換して読めばいい
作者18氏の作品が大して面白いと感じていない俺は異端か?
>>841 禿同
人のミスネタ、下ネタ、元ネタがあるギャグは18がおもしろいんやない
面白いとか言ってる奴は自演だろ?
違うとしたら随分とこのスレは落ちたものだな
普通に面白いと思う
少なくとも叩いてる奴等よりは
十分わらかしてもらた
短編としては面白いかもしれないがこれが延々と続くとなると間違いなく飽きる
多分作者1とはまた別の黒歴史になるな
こんな陳腐な三流ネタで面白がってる奴はただの読書不足な厨二病患者。
さっさと次の作者になんねーかな……
どっちかというと叩いてる方が自演に見えるw
なんつーか、タイトルの所でやる気無さとか言い訳とかを見せるのはどうかと思ったな。
ギャグとして楽しませることにすら徹してないというか。
VIPPER系、ナンセンス系ギャグという路線を選択したこと自体はアリだし、一種のコロンブスの卵だったけど、
たたき出されると思った・書きあがってませんでした発言とか、本文以外の所での「誠意」に疑問を感じてしまう。
ただでさえ、一部で大ウケする一方で反感も持たれやすいスタイルだもの。その辺の気遣いは大事よ。
>本文以外の所での「誠意」に疑問を感じてしまう。
ここが一番問題だと思う。
大半は短編も含めて作者の誠意というものが大半の投下作品には見えるのに、そのかけらすらない。
こんなんでウケてる奴アホだな
って18が言ってるのが目に浮かぶほど18に対する周りの評価は低いかと
予想通りの展開ktkr
別に叩かれてもどうも思わんが自演なんぞしてない事は信じて欲しい。
仕事忙しいから10時寝6時起きで帰るの8時だからな。
まぁ俺がいると荒れそうなんで俺はこのスレから去るとするよ。
さらばだだば。
19マダー?
18乙でした^^
19誰か名乗ろうぜ^^^
この流れが予想通りですぐに去るんだったら最初から作者名乗るなよ。
そんな面白半分で名乗っていいほど「作者○○」のコテは軽いもんじゃねーよ。
お前は今まで頑張って書き上げた職人を馬鹿にした最低な野郎だな。
作者18すげぇなww
最後まで面白いwww
でも18のネタ見れないのは残念だな
新たに1に続く欠番作品ができてしまったか・・・
個人的にはこんなの第18部として認めたくないんだが……
ここ戦メリファン居る?
ロワに関係するから答えてくだちぃ
18乙。中々面白かったぞ。
もし19が出たら新しくスレ立てんのか?
あーん。
ウチ18好きだったえ。
こんな終わり方なら「自称」作者18 ◆m55MqPwen6 は荒し扱いで抹消で次の作者に正式に18名乗って欲しいな。
どーせ全部書いてなかったんだろ。全部書くだけの能力の無い奴だったんだろ。
こんな前例認めたら番号だけ延々増えてくぜ
>>858 ファンとまではいかんがすきと言えばすき
>>862 多分戦場のメリークリスマスっていう歌
858
映画は知らんが好き
18氏のにはマーダーがでてこないな
まぁそれでもいーんだけど
とりあえず次の作者決めようぜ
正直言って今回は叩いた奴が悪い
叩かせておいてそれ口実に逃げたんだろ でもって惜しい惜しいの自演大合唱
叩いた側にも自演混じってるかもな
色んな意味でもうこのスレはひどいな
厨のすくつだな(何故か変換できない)
>>871 そうくつ だっつーの…
アホみたいに面白がってた奴も悪いんじゃね?
一番悪いのは作者に決まってるでしょ
今までの作者はちょっとやそっと批判されたくらいじゃめげずに投稿続けてた
それに誰かも言ってた通りやる気を感じないし、読み手側や今までの作者をバカにしてるようにしか見えない
笑ってたやつも笑ってなかったやつも悪くない
アッー!
まぁ何言っても18はびくともしないんだからそろそろ別の話に行こうぜ
結局18部はどうする?
無かったことにして次作を新たな18部にするかそのまま19部にするか
除外したほうがいいかも
除外だな。
>>789の 作者19 ◆EvnKgjqvJs 氏の次期作者宣言は一旦リセットってことでいいのかな。
書き直しのペースによっては、やっぱり◆EvnKgjqvJs 氏が次の作者になるのかもしれないけど。
あとギャグ路線が被ったと言ってた書きかけの作者、頑張って欲しいもんだ。ギャグには罪はない。
じゃぁ次の作者が出たら新たにスレ立てる
それまでリレーしようぜ
「やられた!」
エヴァは刹那に撃たれた。
が、しかし!
キレたエヴァに睨まれた刹那は動けずにいた
そこにやってきたのはなんと!
えっちにゃ目付きの五月だった
「あかん、さっちゃんせっちゃんが…!!ちゃう、せっちゃんせっちゃ…さっちゃ…せっちゃんさっちゃんが!!ちゃう、さっ…あ、それこそちゃうわ合うとった」
このかのボケに、せつなはこう叫んだ。
お前らどんだけおもしろくないリレーやってんだよ・・・
、と。しかし木乃香はギャグに満足していた
朝倉「早く新しい作者現れないかなー」
誰が何と言おうとそれが朝倉の本心だった
さよ「朝倉さん、殺してもいいですか??」
朝倉「ええ、よくってよ!」
さよが朝倉を殺した。
(朝倉和美しぼんぬ^^)
くぎみー「作者18まだー('A`)」
みさ「作者18まだー('A`)」
さくらこ「18がこないからみさも円も殺しちゃうよ♪」
そんなこんなで朝倉死亡後、誰も死なずに24時間経過 全員爆死
爆死によって主催者よりぶっ殺された
でもなんとなくぶっ生きかえった
ちう「復活だぴょーんほしおんぷはーとかおもじびっくりまーく」
17氏の最終投稿の後PC立ち上げてすらいなかった俺が来ましたよ
つーか何だこの糞カオスな流れは……orz
誰か作者名乗ってこの流れをぶった切ってくれ…
いや俺も書いてはいるんだがまだまだ先が見えないorz
作者3さんの時にあったタッグマッチルールなんだけど、
自身で書くとき固定制でやるのか、話の中でキャラ達に自由選択制がいいか悩むな。
それぞれ一長一短があるし。
固定制は出席番号か席の隣同士とか決まってくるし、
自由制はある程度決まってしまうし、けどサプライズもしやすいしな。
ランダム制でいいんじゃないかと思う
それが生徒自身には分かってるのか分かってないのかは別として
狙う側にだけ分かってるとかにすれば疑心暗鬼を誘発…ってその辺は口出すところじゃないかスマソ
>>924 ちげぇwww
肉のかけらを食うんだよwwww
このスレを見ている人はこんなスレも見ています。(ver 0.20)
ギャルゲ・ロワイアル感想雑談スレ5 [ギャルゲー]
ロリショタバトルロワイアル14 [サブカル]
ジョジョの奇妙なバトルロワイアル第9部 [イベント企画]
【僕が】るろ剣 瀬田宗次郎 4【許しませんからね】 [漫画キャラ]
実写版魔法先生ネギま!誰が一番可愛い? [格付け]
今思ったけど、何でるろ剣?w
かそ
くそーち
18もどきの幼稚な自演行為で、またこのスレ荒れてしまった・・・。まだ完成には程遠いが、面白いの作っていつか投下するぜ。
俺も書いてみようと思うのだが
だいたい1話がノート1ページ分で1話を3つに分けて投稿すればちょうど良いのか?
>>908 なんかこいつ自分が作者になったら自演で自分の作品誉めまくりそうw
一話の長さは人それぞれでいいんじゃないか?
俺なんか各話で長さバラバラで困ってるくらいだし…
一回くらいリレーでやってみたいけど
荒れるし面倒か。
他のパロロワみたいな、きっちりしたテンプレのリレー?
確かに1回やってみたいが、ここは環境的に向いてないかな。IDは表示されたい。
レスしろよ
ID表示が無いのもそうだがきっちりテンプレまで作っちゃうと長引くからな
書きあがった作者さんが投下できなくなる
リレーの方を途中で中断して投下、ってのも空気的に難しいだろうし
作者さんも名乗りづらいだろうしね
やるとしても分家扱いか。別の板探して別スレ立てて……ってそこまでしてやろうっていう熱気に欠けるな
917 :
マロン名無しさん:2007/11/03(土) 23:48:10 ID:srMdJHP5
誰か完成してる人いない?
関係ないが話題もないので書かせてもらう
ニコニコ組曲の祭りで本名や電話番号載せた奴いる?
919 :
マロン名無しさん:2007/11/04(日) 09:34:39 ID:R9dkyEUt
age
考えはまとまってるけど、文章にして完成させるのに時間が掛かる……
大学のレポート書くのよりも難くて緊張するぜ………いつ完成するやら
>>920 組曲が200万再生達成していろんな祭りが起きた
流れが早く一時期は4分で1000個のコメントが流れるくらい
だから本名や電話番号を皆載せまくっていた
茶々丸のAA貼ってその上に茶々の電話番号とか言って書いてる奴もいた
書き終えた人,今書いてる人に聞きます
何に書けば書きやすいですか?
どのノートだとどういう利点がありますか?
ノートはプロットとか流れをまとめるための、本文の前段階に使うがいいかと
本文はPCのメモ帳を推奨
携帯はしらね
プロット?
俺も良いか?
俺は大学ノートか何かに書いてワードに保存しとこうと思うのだがどうだ?
みんな書いている上で一番気ぃ遣うところってどこなんかな?
俺は少なくとも登場人物が31人いるから、視点移動がどこでするか非常に悩むところなんだが。
マジレス失礼。
>>927 暫く書いてからじゃないとわからんがワードはマジで重い
メモ帳を推奨しますよ
>>928 会うときの表現
後は31人全員活躍は無理だから捨てキャラをどう上手く散らすか、とか?
後は質問。短編も書いているんだがリレーの時に投下は当然まずいよな?
短編書いてるなら投下してくれ
作者18が出るまで過疎りすぎて仕方ない
>>929 そもそもリレーをやるかどうかもわからんがとりあえず短編は宣言してから。
他に長編のものがあればそれが終了後、もしくは長編作者が何日か空ける時に繋ぎとして投下。
どちらにしろ宣言してほしい。
あとリレーは反対派。折角他ロワとは違う方法でやってるんだからこれからもこのままで行きたい。
ちなみに俺はメモ帳で書いている。携帯で書いてる人はメールボックスに保存がいいと思う。
こんばんわ17です。
親族が亡くなってやっと立直れたし2作品目も投下できる状態になりました。
投下してもいいですか?
>>932 お手数だが、トリップつけてもう一度書き込んでくれないか?
アレの後なんで・・・
まとめ4がやっと更新再開しているな。
俺もメモ帳で書いてる
ノートの切れ端とかにプロットというかなんとなく思い付いたことを書いてはみるんだがあんまり生かされてない現状
>>928 出会うときの表現もそうなんだが、やっぱり一番は殺しとか死の描写
どうにも感情表現が下手なんでその辺がうまく行かないんだorz
プロットて何?
938 :
マロン名無しさん:2007/11/04(日) 23:55:08 ID:R9dkyEUt
つるぺたってゆーなー
>>937 話しの骨組みみたいなもん。「誰と誰が出会ってあーしたこーした」みたいな簡単な話しの流れ。
それに描写などを肉付けして小説にしていく。
新参なんだが作者6は11部も書いたんだよな
その時の名前は作者6のままだったんだよな
なら作者10の次が作者6(11部)でその次が作者12だったって事?
後司書氏とかも教えてくれ
何スレ目に何部が書かれてそれは作者何が書いたとかまとめてるとこないの?
一応まとめサイトに補完してある部は書いてあるが、半分も埋まってないな。
じゃぁ誰かここに書いて下さい
お久しぶり。16氏ですw
テスト前に短編投下しましょうか?
944 :
マロン名無しさん:2007/11/05(月) 11:22:37 ID:wuRGxEo4
よろー
残念ながら私は自分で『16氏』なんていうほど常識知らずじゃありません。
ていうか、私もほぼ毎日ここ見てるんで、
なりすまそうとするのやめてください。
一応私もこれだけは…。
なりすまされるのは別にどうでもいいんですが、勝手に親族殺すのは止めてください。
投下最終日に言っていた事情(私情って誤字ってました)云々というのは(今考えると)そんなに大したことではありませんし…。
なりすまされるのはいいんかいwww
あらためて15部を見ると、何つーかクセの強い作品だよな…
16,17両氏
簡単な短編(ロワでなくても)いいから書いて頂きたい
>>949 思いつくネタは全部2作目のほうにつぎ込んじゃってるんで、
即興で短編というのはなかなか厳しいです・・・。
申し訳ない^^;
明らかに方向性の違う短編ならあるけど、朝方に落とそうか?
>>949 私は短編となると絶対にふざけてネタにしてしまいますからごめんなさい。
>>953 くぉっ!!! きづきませんでしたorz
立て方わかんないんすけど・・・
誰か代わりにやっていただけませんか?
>>950 悲惨www
不覚にも吹いたwww
16氏が踏むとはw
>>951 今すぐでも良いから頼むよ
皆飢えてるんだ
>>952 ふざけまくってくれて結構。
良かったら投下してくれ。なんなら名無しでも構わない。
以前あった顔剥ぎロワも見てみたい。
>>955 じゃあ落とすけど、主旨を間違えてる短編だからな。
先に謝っておく。ごめんなさい。
参加者以外、誰も居ない住宅地を、裕奈は一人で歩いていた。
極力音を立てずに、おそるおそる民家の玄関のドアを開く。もし、中にゲームに乗った参加者が居れば、
少しのミスが命取りになる。そして、裕奈はそっと中の様子を確認する。
そして、脱力した―――
不意に耳に飛び込んで来たのは、誰かが侵入してきた足音。突然の出来事に、亜子は思わず身を縮ませる。
(だ、誰やろ……?)
見付かったら、殺される。
背筋に冷たいものを感じながら、亜子は押し入れの中に隠れた。
―――ここまで誰にも逢わずに済んだのに。
亜子に、自分が他の生徒を殺すなんて発想は無い。あるのは、見付かったら殺されるという強迫観念だけ―――
(でも、ゆーなやまき絵、アキラだったら―――)
此処に来たのが、数少ない信用出来る親友だったなら。
淡い期待。
そんな都合の良い話がある筈も無い。こっそりと亜子は自嘲気味に溜息をこぼす。
だが―――
侵入者の足音は真っ直ぐに亜子の居る部屋に近付いてくる。そして、躊躇いも無くドアが開かれた。
(なんで!? なんでウチがおるのがバレとるん!?)
思っていたより早く訪れた危機に、亜子の身体が小刻みに震え出す。
カツンカツン、と響く足音。
相手は部屋の真ん中で足を止めた。最早、見付かるのも時間の問題である。
恐怖に顔を歪ませながら、亜子は必死で息を潜める。そして―――
「亜子いるんでしょー?」
まるで普段通りの挨拶みたいに、あまりに脳天気な裕奈の声が部屋中に響いた……。
「へっ!? ゆ、ゆーな?」
条件反射で、亜子はついうっかり答えてしまう。そして、亜子がしまった、と後悔する間も無く、
押し入れの戸は開かれたのであった―――
「亜子みっけ♪ 大丈夫だった? どこもケガしてない?」
そこにあったのは、いつもと同じ裕奈の笑顔だった。張り詰めていた緊張の糸がぷつりと切れ、
亜子はくたーっ、と体勢を崩してしまう。それを見た裕奈はくすりと微笑んだ。
「もう……、しんぞー止まるかと思うたわ。脅かさんといてえな、ゆーないきなり上がり込んでくるんやもん……」
亜子の抗議に、裕奈はにやにやと不敵な笑みを浮かべる。そして、きっぱりと言い切った。
「そりゃあさ、中に居るのが亜子だって分かったからね〜♪ 後は亜子が隠れてそうな一番奥の部屋を探すだけだし」
「な、なんでウチがおるのが分かったん?」
亜子が不思議そうに尋ねると、さすがの裕奈も苦笑を禁じ得ない。やれやれとばかりに、裕奈は答えた。
「いくらなんでも殺し合いの最中にさ、ご丁寧に靴を脱いで家に上がるのはどうかと思うよ……」
「―――あ。」
瞬く間に亜子の顔が恥ずかしさのあまり紅潮していく。
「いや〜、第一発見者があたしでよかったよ〜。ゲームに乗った人だったら間違い無くやられてたね♪」
「あ、あはは……、つい、いつものクセで靴脱いでもうた……」
真っ赤になりながら弁明する亜子に、裕奈はこの先亜子を守っていけるのか、一抹の不安を感じていた―――
(おしまい)
最後の決戦〜夏美・千鶴編〜
ロワイアル終了時間まで後10分
生存者2名 村上夏美 那波千鶴
「まさか最後にちづ姉とやる事になるとはね…」
「私も驚きよ。夏美。」
「最後まで残れると思ってなかった…」
「もちろん私も。でもまさか夏美と殺し合うとはね」
千鶴は鉈を構え一歩ずつ前に踏み込む
「おいで鉈女!」
千鶴は勢いよく駆け抜ける。
ガンッ!!
鉈と日本刀のぶつかる衝撃音が響く
「やるわね、夏美。」
「ちづ姉こそ。」
「夏美、もう時間がないわ。決着をつけるわよ。」
残り2分となっていた。天国の皆は息を飲んでその光景を眺めている。
2人は一斉に走り出した。
グサッ―――
夏美の日本刀が千鶴の胸を貫いていた。夏美の目からは涙が溢れる。
「うぐっ………っ………や…やだよ!ちづ姉えぇええぇぇぇ」
「生きるのよ夏美。私の分も…皆の分も。」
そう言うと千鶴の腕から鉈が落ちる。千鶴は最後の瞬間わざと夏美に当てなかった。
ゲーム開始の時クラス全員で仲間を作らず殺し合うと決めたのに最後になって千鶴がとうとう約束を破ってしまった。
誰よりも大人だった千鶴だからの裏切った行動なのかもしれない。
ナツミ、アナタハイキテ
──優しい裏切り──
おっ!?
投下したら被ってしまったみたいorz
今、短編投下した人すみません。思いつきで書いただけの駄作と被らせてしまってorz
こんな時間に2つもw
前の方はゆーなが亜子を殺すんじゃないかとヒヤヒヤしながら読んだがそうならなくて良かった
後の方はうまく短めにまとめれてて良かった
書き方が良いので良かったら別の人の分も作ってくれないか?
>>962じゃ、思いつきで良いなら…
最後の決戦〜明日菜・いんちょ編〜
ロワイアル終了時間まで後10分
生存者2名
「まさか最後の最後にあんたとやる事になるとはね…」
「私は負けませんわよ明日菜さん」
「どうしても殺し合うしかないのね?」
「当然ですわ。生き残るために17人もこの手で殺したんですもの。」
いいんちょはマシンガンを構え一歩ずつ前に踏み込む
「おいでセーラー服と機関銃!」
いいんちょは勢いよく駆け抜ける。
ババババババババババババババババババババババババ!!
明日菜はその全てを受け流す。そう右から…
「やるわね、明日菜さん。」
「私は死なないわよ。そしていんちょも死なせない」
「明日菜さん、もう時間がないわ。決着をつけるわよ。」
残り2分となっていた。明日菜は答えを探していた。
後2分で2人とも助かる方法を…
だが結果は無惨にも時間切れで2人とも首輪が爆発し生存者0となってしまった。
天国で明日菜は後悔する。あの時私が自ら死ねばいいんちょだけでも生き残る事が出来た。
天国でいいんちょは後悔する。あの時何故ゲームに乗ったのか…私が乗らなければ生き残る人もいたかもしれない。
悔やんでも悔やみきれない2人の後悔は今なお続く。
──ダレモアナタタチフタリヲウランデナンカイナイヨ──
\ /
● ●
∵ ∵ 人殺しいくない!
 ̄
巧妙な自演会場
「疲れた休もうかな・・・。」
武器がタウンワークだったアスナは青いベンチに座ってバイト探しをはじめた。
どれもアスナは指定された年齢にたっしていないものだったがごまかす気だったし
今までもバレなかったので普通にページをめくっていたが、アスナはとんでもない事実を知ってしまいショック死した。
「これ・・福岡版・・・・。」
それをみていたあやかは泣きながら駆けよる
胃にあなを空けたアスナをみてあやかは半分に折り曲げた案内をもう一度みて後悔した
「この声が枯れるくらいに君に好きといえばよかった・・・!」
ニーソックスをはいたあやかはショック死した。
「わたしのニーソックス返すです!セーラーはもってっていぃよ・・・。」
あやかの靴を脱がしニーソックスをうばったあとゆえはショック死した。
エンド
青いベンチと何が混ざってんの?
またなんか変なのが湧きはじめたな
\ /
● ●
∵ ∵ 青いベンチ私好きだよ!
 ̄
らきすたかな
らきスタって見たことないけどあのOPはそうとうきもい
何作か短編投下されたけどどれが1番良かった?
おつつつつつつつ
それにしても誰も名乗らないな…
書いてる人はどのくらい進んでる?
まだ五十三話まで。
つなぎの話をいっぱい書いてるからそれでもまだ一日目。
俺は60話完結くらいを予定で今17話
まだ20話弱しか書いてない俺orz
早くも一日目夜が明けそうなんですがw
>>973 おいで鉈女!で吹いた
俺もそこ吹いたww
偶然?確信?ともかくもう一作希望。
誰も書かなくて暇すぎる…
あっれー……今プロット見直したら俺古菲殺し忘れてるじゃん……
……優勝エンドの奴はねじ込むの面倒になる前にちゃんと全員出て来たか数えとけよ……
981 :
マロン名無しさん:2007/11/07(水) 01:47:37 ID:irwMypbS
作者18まだかよー
くーふぇは諸事情により中国の実家に戻ってた事にすれば良い
984 :
マロン名無しさん:2007/11/07(水) 23:20:53 ID:OzeqYW8G
70話まで書きました。もう限界・・・。
70話まで書いてるんなら作者18になってよ
この際仕方ないよ。もうずっと投稿ないし…
後何話くらいで完成なの?
訓練されたネギまロワ住人なら2ヶ月は待てる。
だから書いてる人は焦らずにじっくり完成度を高めて欲しいんだが……。
待てん。暇。もうすぐ完成なら俺は多目に見る。
投稿して良いぞ。