コテハン至上主義!タケルたちの愉快な雑談スレ♪

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エロもバトルもなく、ただの三流同人小説になってしまった・・・。でも、つなぎって事で!三角関係ってなんか好きです!
「伊織のハメハメアドベンチャー」
過去ログ>>35 EVO.7>>36 EVO.8>>157-158 EVO.9>>167-168 EVO.10>>173-174
原案:八神ヒカり  作:火田伊織
EVOLUTION.11  火田伊織!初恋の終わり

僕は逃げた。
何でかわからないけど、京さんに泣いている顔を見られるのが嫌で、力の限り逃げまくった。
しかし、3年生と6年生。体力の差は歴然で、すぐに追いつかれてしまった。
こんな所にも年齢の壁が立ちはだかるのかと思い、ますます悔しくなってきた。
「待ちなさいよ伊織!」
京さんが、僕の手をぎゅっと握って捕まえる。
その手の柔らかさに一瞬ドキッとして後ろを振り返るが、京さんは照れているわけでもない。
そうか、そうだよね。一乗寺さんと、いつもつないでるんだ・・・。慣れてるんだ。
「何で逃げるのよ!」京さんは僕の手を握ったまま続ける。僕が今、どんなにドキドキしてるかも知らないで・・・。
「だって、お二人の、邪魔かと思ったから・・・。それに・・・」
「それに?」
・・・ずっと前から、姉弟のように一緒に遊んできた人。
けど、いつからか、僕はその人を姉としてではなく、一人の女性として、意識するようになった。
けれど、その人は、今、僕ではない、男の人と、付き合っている。
昔の思い出を思い出しても、ただ虚しいだけで、また涙が溢れ出した。
「ちょっ・・・どうしたの伊織!?」
たまらず僕は、ずっと前から隠していた、自分の胸の内を打ち明ける。
「僕は、僕は・・・京さんが好きなんです!僕たちが一乗寺さんと会う、ずっと前から・・・っ!」
「・・・ありがとう伊織。嬉しいわ」
3歳も年下の僕に告白されれば仕方も無いことだが、京さんは愛の告白と受け取ってはいない。
悔しい!僕より2つだけしか年が違わない一乗寺さんは、ちゃんと理解してもらえたのに・・・!
「違う!僕は、京さんを、一人の女性として、好きなんです!」
京さんの表情が変わった。ようやく、理解してくれたようだ。
「伊織・・・・」京さんが、凄く悲しげな表情で、僕の名前を呼ぶ。
「ごめんね。気付いてやれなくて・・・。でも、私、伊織のことを恋人にはできない。伊織は恋人って言うより、弟みたいな存在だから」
確かめたくない事実を、わざわざ確認してしまった。
僕は・・・馬鹿だ。こうなるって、わかってたのに・・・。
けど、心のどこかで、あきらめきれない自分がいる。
「でも、僕は!きっと!一乗寺さんより、京さんのことを、大事に出来ます!好きなんです!!」
「伊織・・・伊織が告白してくれるのは嬉しいし、私も伊織のこと、二番目に好きだよ」
優しい京さんのことだから、精一杯僕を励ましてくれてるんだろう。
だけどその、“二番目”という言葉が、余計に僕と一乗寺さんの間の壁を感じさせた。
「うっ・・・うっ・・・」僕は泣き続ける。
「ごめん、伊織・・・言ってくれるのが、遅すぎたのよ。賢君は私のこと、大好きだ、って言ってくれたわ。私も、伊織より賢君の方が好きなの。だから、私に出来ることは、これぐらいしかないわ・・・・」
しゃがみながら言うと、京さんは、僕の両肩に手を乗せ、頬にキスしてきた。
突然のことにびっくりするや嬉しいやらで、僕はさっと後ろに身を引く。
「なっ、なっ!?」
「ごめんね伊織、私やっぱり、賢君の方が好きなの。それに、伊織だって大きくなったら絶対カワイイ娘見つかるわよ。お家には早く帰るのよ!じゃーね!」
いつもの、軽いノリに戻り、僕に手を振って一乗寺さんの方に戻っていく。京さんらしいな。
僕はつい失笑する
「京さん、遅いなあ・・・」一乗寺さんは貧乏ゆすりで足をとん、とん、とさせながら、京さんの帰りを待っていた。
「うっ!?」大きな叫び声をあげた後、なぜか突然、一乗寺さんは倒れた。
家に帰り着くと、おじい様は先に帰っていた。
僕は夕食を食べず、部屋へ向かう。今日はもう、寝ることにした。
「ふう、一乗寺さんが一番好き、か・・・」
涙で濡れる布団の中で、僕は初恋の終わりを実感した。

つづく