・鉄のフライパンの製法上の分別
【鉄板フライパン・鉄パン】
鉄板をプレス、絞り(回転絞り)、打ち出しなどの加工を以て成形するフライパン。
厚いほど加工が大変なので厚い物は高価になる。鉄製フライパンの主流。
鉄と言っても必ずしも純鉄ということではなく、なんらかの添加物を加えた合金であることも多く
また、特殊な処理を施してから出荷される場合もある。
【ブルーテンパー材(ブルーイング処理材)】
鉄板製の一種。酸処理で黒皮鋼板の皮膜を落として圧延を行い、焼き付けで酸化皮膜を作ったもの。
前処理により酸化皮膜が強固かつ均一に生成され、錆に強く油馴染みの良いフライパンになる。
【エンボス加工】
鉄板製の一種。鉄板フライパンの内側に、凹凸を付けた物。素材によっては接地面が小さく良く滑るが
料理によって向き不向きがあり汎用性に劣る。滑り易さは優れているが、焦げ付き難さは大差なし。
また、焦げや錆が発生すると再生が非常に面倒。
【スキレット】
アメリカではフライパンそのもの、ヨーロッパではフライパンや片手鍋などの長柄のパンを指すが、
日本では主に鉄鋳物製のフライパンを指す。
【鋳物】
鋳型と呼ばれる型に溶かした金属を流し込んで成形する金属製品。
鉄板製と逆で、厚手の物が安価に作れる変わりに薄手の物は製造が難しい。
フライパンにおいては、素材そのものが多孔質なのが特徴。
【南部鉄器】
鉄鋳物の一種。伝統工芸品に指定され、得に鉄瓶では職人の名入りで何百万というものまであるが
実用品としての南部鉄器フライパンは、他の鋳物製フライパンと大差ないものが多いのが現状。
・フライパンの形状
【平底フライパン】
一番オーソドックスな形。底径は間口径の7〜9割で、縁は約45度に直線的に立ち上がってるものや
Rを付けて90度近くまで立ち上がってるものもある。
【中華鍋】
底と縁の区別が無い球状型のパンで、大きく分けて取っ手が片手の北京鍋と両手の広東鍋がある。
薄手のものが多く、専用のリング状ゴトクを使わないと一般的な家庭用のコンロでは安定しない。
【炒め鍋】
【平底フライパン】と【中華鍋(北京鍋)】の中間的な物。間口径の3〜5割程度の平底と大きくRのついた縁から成る。
名の通り炒め物向きで、一応平底なので家庭用のコンロでも安定する。
【オーブン用フライパン】
本体は【平底フライパン】と同じような形状だが、オーブンに入れたときに邪魔にならないように
柄が極端に短くなっている。
【オーバルパン・レクタングルパン】
名の通り楕円、または四角形のフライパンで、円形では効率が悪い場合に使うが家庭ではあまり使われない。
【クレープパン】
クレープ専用のフライパンだが、極端に低い縁は、串を打った物を焼くのに適しているので
火を通すと身が反ってしまうものに串を刺して焼く用途に使われることも多い。
【グリルパン】
肉や魚の焼き物専用で、網状の焼き目を付けるために、底が縞状に凹凸している。殆どが鋳物製。
・フライパンの厚み
【極薄】 〜1.2mm
平底のフライパンには少なく、中華鍋や炒め鍋に多い。主に炒め物で使う。
【薄手】 〜1.8mm
全体的に見れば薄い部類にはいるが、平底のフライパンでは一番よく使われてる。
餃子焼きなどでは火加減やタイミングに気を使うことになるが、炒め物から揚げ物、焼き物まで汎用的に使える。
【中厚】 〜2.6mm
中間的な厚さだが、上記の通り【薄手】の物が主流になってるので、
この厚さを相対的に「厚手・厚板」などと呼ぶことも有る。用途的には汎用的に使えるが、
結構重いので女性や力のない人には煽りは難しい。揚げ物鍋ではこれ以降の厚さが多い。
【厚手】 〜3.4mm
鉄板製品では最厚手となることが多いが、鋳物製品では平均か平均以下の厚さ。主に焼き物に使われる。
少量の油で揚げる(大量の油で焼く)調理法では、油の温度が下がりにくいのでこのくらいの厚さが向く。
【極厚】 〜4.5mm
この厚みでは鉄板製品は少なく、殆ど鋳物製品の独擅場。用途的には【厚手】と同じ。
【特殊】 4.5mm〜
餃子鍋などの特定用途専用のものが多い。
【厚底】
底と縁で厚みが違うもの。厚板の調理特性を持ちながら少しでも軽くするための手法。
・柄の種類
【平柄】
鉄板を曲がり強度を上げるために湾曲させただけの柄。金属製なので持てないほど熱くなりそうなイメージを
持つ人が多いが、薄さ故に蓄熱性が無く放熱性が良く長もがあるので、家庭の火力で
持てないほど熱くなるということはまず無い。但し手がデリケートな人は熱くて持てないと言う人もいるし、
又は持ったときに手に食い込んで痛いという意見もある。
【丸柄】
パイプ状の金属柄。【平柄】と同じような蓄熱性、放熱性を持っているが、長さが短めのものが多く結構熱い。
主に北京鍋に使われる。
【木柄】
細い金属の軸柄に中通しの木材を差し込んだもの。全く熱くならず持ち心地も良いが 金属製に比べて耐久性が低く
塗れると乾きにくいので気候や環境によっては雑菌が繁殖したり、カビが生えることも。
家庭の火力では柄が燃えるということはまず無く、耐久性が低いと言っても1〜数年は持つし、交換可能なものも多い。
【キャストハンドル(鋳物柄)】
鋳物製フライパンでは柄まで一体成形で鋳物柄のものが多い。鉄板製でも一部鋳物柄を付けている物もある。
形状的には持ちやすく最高の耐久性を誇るが、蓄熱製が良いので長時間使うとものすごく熱くなる。
【樹脂柄】
【木柄】と同じく金属軸に樹脂を被せた物。熱くならずに持ちやすく衛生的だが、形状や樹脂の材質に因っては
滑りやすく、また殆どの場合交換不可。
【共柄】
鉄板製の場合は【平柄】、鋳物製の場合は【キャストハンドル(鋳物柄)】を指す。
【IHクッキングヒーターでの注意点】
IHで鉄フライパンは使えないこともないが、以下の点に注意する必要がある。
けっこうめんどうなので、テフロン等のフライパンを使った方がいいかも。
それでも鉄フライパンを使いたい場合は、卓上コンロがあると便利。
・最初から強火で加熱すると変形する可能性がある。
弱火から始めたり先に油や材料を入れるなどして徐々に加熱する必要がある。
一度変形したフライパンは元に戻せない。
変形したフライパンを使用すると火力が落ちたり、過熱防止機能が働かなかったりすることがある。
・過熱防止機能により空焼きができない。
洗った後の乾燥がしづらい。
磨いた後のメンテナンスができない。
・フライパン裏面に塗った錆止めの油がトップに付着する。
焼き付いてよごれが落ちないこともある。
NHKで放送された中華鍋メンテ法
1.アイヤー、中華鍋を焦げ付かせてしまったアル
2.鉄鍋を強火にかけてコゲを炭にする→こそげ落とす
3.100番の耐水ペーパーで水をつけながら磨く
4.600番の耐水ペーパーで仕上げ
5.中性洗剤を使用してしっかり洗い流す(これで鉄鍋の表面が滑らかになりました)
6.鉄鍋を強火で1分空焼き(鉄鍋以外は適しませんの注意テロップ)
7.大さじ2〜3倍の食用油を入れよくなじませる(このとき換気を忘れるな)
8.クズ野菜を炒める。表面全体に油がいきわたるように
9.およそ10分後、野菜が黒く焦げるまでしっかり炒めることにより鍋に油の皮膜ができる
10.野菜を取り除き鍋を十分冷ましたら水洗い。汚れがひどい場合のみ洗剤使用を使用する
11.調理前には返し油をすること(1分程度空焼きした鉄鍋の中に150ccの油を入れて30秒なじませる。油は容器に入れて使いまわし
その他
失敗しない!シラルガンのフライパン術
http://www.silargan.co.jp/oishii/oishii7.html
壮大な誤爆を見た