ワシントン条約締約国会議で議論されている大西洋クロマグロの国際取引禁止問題について、
千葉県水産課は県内漁協所属のマグロ専門漁船がごく一部であることなどから「仮に禁輸が
決定したとしても県内への影響は少ないだろう」と、事態の推移を見守っている。
一方、県内有数のマグロ水揚げ先である銚子漁港では、国内業界の危機を逆手に取り、
県外マグロ漁船の受け入れを進めることで良質のマグロの水揚げを増やし、「銚子マグロ」の
ブランド化を目指そうとしている。
16日朝、マグロを専門に扱う同漁港第1市場では、高知県の漁船2隻が、メバチ、キハダなど
約600本を水揚げ。重さ444キロの記録的な大カジキも揚がり、仲買人らも活気づいた。
クロマグロ禁輸となった場合の影響については、現場も否定的だ。丸忠水産の白土さん(58)は
「クロマグロの代わりとしての需要があればメバチもキハダも値上がりするかもしれないが、
需給バランスによる値動きはいつものこと」。
県漁連も、県内水産業界への影響は少ないとの見方だが、「全体の供給量が減れば価格高騰に
つながり、消費者の魚離れにつながる」との懸念は示した。
禁輸となれば、日本近海のマグロ類の需要が高まることが予想される中、銚子市漁協は、
宮城県・塩釜港などが中心となってきたマグロ水揚げに攻勢をかける。
昨年は、大型魚を上げるクレーンを新調し、魚体を傷つけないために表面が滑らかな
コンクリートを構内に敷いた。
漁船に乗り組む外国人船員の煩雑な出入国手続きの代行業務も始め、県外漁船を引きつけるための
ハード、ソフト面の整備で、マグロ漁船は年間で延べ800隻が寄港している。
今後もサービスの質を向上させ、老朽化した第1市場も建て替える方針だ。
イワシ、サンマなどのイメージが強い銚子だが、2007年には年間で9250トンのマグロ類
(カジキ含む)を揚げている。
クロマグロ自体の水揚げはこの年でも134トンに過ぎなかったが、1キロ1万円の高値が
付いたこともある。
同漁協の木村参事は「まず、銚子でこれだけマグロが揚がっていることを世間に広めたい」と、
名前だけで高値がついてしまうとされる「大間のマグロ」などにならったブランド戦略を
模索している。
ソースは
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100316-OYT1T01215.htm 水揚げされたマグロを競りの前に品定めする買い受け人ら(銚子漁港で)
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20100316-144957-1-L.jpg 水揚げされた重さ444キロのカジキマグロ
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20100316-144929-1-L.jpg