トヨタ自動車の平成19年3月期連結決算は、世界メーカーで「1強」ともいえる
存在感を見せつけた。環境に優しいとされる小型車人気を追い風として、新興国は
もちろん、北米や欧州などの先進国でも売り上げが拡大している。ただ、100万円
未満の低価格車ではライバルたちの後塵を拝しているという現実もある。現地採用
社員の育成や世界の投資家を納得させる経営の効率化といった巨大さゆえの悩みも
抱えており、取り組むべき課題はまだ残されている。
■苦しむライバル
24兆円近い売上高と2兆円以上の利益をたたき出したトヨタの19年3月期決算は、
業界内でも「雲の上にあるかのような数字」(大手首脳)と評される内容だ。
一方のライバルたちは苦しんでいる。世界販売台数1位の米ゼネラル・モーターズ
(GM)と、同3位のフォード・モーターは2006年度決算で共に最終赤字。トヨタへの
対抗馬は存在しないかのようにみえる。
これまで、「世界一は意識しない」としてきた渡辺捷昭社長も9日の決算発表で、
「世界中のお客さまに感謝したい」と満足感を口にした。
■今後の成長の核
しかし、死角がないわけではない。まず、今後の自動車市場の成長の核といわれる
低価格車分野が弱い。仏ルノーが新興国向けに開発した低価格車「ロガン」
(約6000ユーロ=約96万円)は2006年、ルーマニア、ロシアなどを中心に人気を
集め、販売台数は前年比70.4%増の約25万台となった。インドでは、日本のスズキ
が圧倒的なシェアを誇る。韓国の現代自動車も従来の低価格に加え、品質でも評価
が高まってきた。トヨタも低価格車を開発中だが、市場投入は2010年ごろになる
見通しで、出遅れ感は否めない。
■拡大の副作用
経営面では急成長と同時に、「開発、生産、調達、販売など、すべての面で品質を
向上させなければならない」(渡辺社長)という課題が浮上する。
効率化を徹底的に追求し続ける「トヨタ式生産」を実現するには、現地従業員の
レベルアップが不可欠。また、規模が大きくなることで、経営の難易度も増す。
トヨタは4月に発表した役員人事で専務を6人増やし、取締役数を30人とした。
現場に近い専務クラスを増やし、取締役会レベルでの経営判断を早めるのが狙いだ。
ただ、このうち外国人は新たに専務に昇格した1人だけ。「閉鎖的な日本企業の
イメージから抜け出せていない」との指摘もある。
世界一の座をほぼ手中に収めたトヨタ。今後は、名実ともに自動車業界をリード
する「顔」としての役割が求められることになりそうだ。
ソースは
http://www.sankei.co.jp/keizai/sangyo/070510/sng070510004.htm 関連スレは
【自動車】トヨタ、日本企業初の営業利益2兆円超え 07年3月期[07/05/09]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1178691919/l50 【自動車】欧州自動車工業会(ACEA)がトヨタの加盟承認 欧米以外のメーカーでは初 [07/05/05]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1178347091/l50 など多数。