北越製紙への敵対的TOB(株式の公開買い付け)を実施している王子製紙は25日、株式取得目標
引き下げなどTOB条件の変更はしない方針を固めた。取得目標を引き下げてTOBを成立させても
北越との経営統合に直結せず、期待通りの投資効果を得られないと判断した。
9月4日に期限を迎えるTOBが不成立となった場合、王子は再び北越に経営統合を提案することや、
北越と日本製紙グループ本社の提携交渉への参加を要請することはせず、単独で経営戦略を
立て直し、同月末の経営説明会で発表する方向だ。
北越の安定株主など王子のTOBに不参加の方針を固めた株主の保有株数が過半数に達するなど、
TOB成立が困難となる中、打開策として、(1)TOB成立の条件としている「50%超」の取得目標を
引き下げる(2)1株800円のTOB価格を引き上げる(3)9月4日までのTOB期間を延長する−−などの
選択肢を検討してきた。しかし、いずれも三菱商事と日本製紙が北越株の約3分の1を握った状況
では、統合効果を出せないと判断した模様だ。
王子は、北越の筆頭株主の三菱商事がTOB参加へと方針転換した場合や、北越株が急落してTOB
への応募の大幅増が見込める場合は、「条件変更に踏み切る可能性はある」(幹部)と選択の余地を
残している。だが、三菱商事が王子と協議のテーブルにつく見込みはないままだ。
25日の東京株式市場では、北越株が終値で前日比27円安の776円と、TOB価格(800円)を下回った。
このまま北越株が下落した場合、TOBに応じる株主が増えるとみられ、王子には有利に働くことに
なる。
王子は先月23日の経営統合提案の発表以降、北越株主にTOBへの支持を訴えてきたが、北越
経営陣が反発し、感情的な溝が深まっている。強引に資本参加しても相乗効果を出すのは難しい
との判断も働いたとみられる。【上田宏明、小原綾子】
>>2に続く
▽News Source MSN-Mainichi INTERACTIVE 毎日新聞 2006年8月26日3時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/kigyou/news/20060826k0000m020138000c.html