1 :
774RR:
2 :
774RR:2008/02/03(日) 20:46:38 ID:e6GIZc8E
ポニテがなんたらかんたら
3 :
774RR:2008/02/03(日) 20:55:50 ID:izciLQc9
4 :
774RR:2008/02/03(日) 21:00:16 ID:wjD52bQc
5 :
774RR:2008/02/03(日) 21:15:21 ID:ct6eIcu9
6 :
774RR:2008/02/03(日) 21:34:10 ID:LVGXpfcH
7 :
774RR:2008/02/03(日) 21:44:12 ID:Ey2FlFPI
記念カキコ
8 :
774RR:2008/02/03(日) 23:24:56 ID:iot7e9Dj
>1 Z
9 :
774RR:2008/02/04(月) 00:42:39 ID:joQ67eek
>>1 /} ))
/ !____
| ̄`ヽ、_/ 〈: : : : : : `: . 、 )) 。
(( | - Y }ニニ=、: : : : : \ ・ o っ o _____
, オ r'`t---': : : :.ヽヽ: : ヽ/〃/ , " ==- ____
//{ /:∧:ヽ: :ヽ: : : : : : ! : :.:.l. . :;ゞ______________,.へ ____
/ /:/: :レ': : /| ヽ:.{\:.\: : : :|: : :.:|. . l:ミ::::::::::::::::::::::::::| |////////| ヽ ==−
. /:/: : : : {: :l ヽ \ `ニ弌ヾ| : :.:.|::./::《〜〜〜〜〜| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ア / ──
/:,イ: : : : :.l: :|/ l: : : |/ :.:ミ` ────┘____ / /
|/ {: : : : : |X| / |: : :.|⌒i : ` 、ヾ・、 ==- / /
| : :l : : |. ≠─┼: : |_ノ :.\ っ o / / |\
| : :l : : |ヽ -─‐ァ |: : :.|x: :∧ 。 ゚ | { j ヽ
((.. |: /l : : |::.ヽ / xx|: : :.l^}/ ', `ー――‐" ノ
|/ !: :ト:.::八 xxx o .ィ'´|: :./ ̄歹 ` ----------‐´ ____
. c ヽ|:.:.:∧`:.ーr:t.7T 「/ ノ/ <__}{.| ==─
. |:.:/ V:.:∧l./ | / / | , -‐┐
. ((. ∨ ∨ / / l |'´ : : :.:} これは刺さってるんじゃなくて
/) V ! / , '´ ! : : : : :| 乙なんだからねっ!
〈¨ / | // |: : : : : }
10 :
774RR:2008/02/04(月) 09:34:28 ID:OFmeonaI
乙乙R
11 :
774RR:2008/02/04(月) 12:28:24 ID:G5TJ+lFe
12 :
774RR:2008/02/04(月) 22:25:11 ID:bmzbh5+9
通勤電車の楽しみがマスオな俺のために超続編期待
13 :
774RR:2008/02/05(火) 23:21:45 ID:ehDVDSA7
学校終わって映画のスーパーカブ見に行ったら
20時40分からの1回だけですって追い返されちゃったよ。
14 :
774RR:2008/02/06(水) 22:56:09 ID:ij2Vb64b
スーパーカブ、関西でやってないんだよなぁ(´・ω・`)
15 :
774RR:2008/02/07(木) 02:40:09 ID:sk+9CTeU
16 :
774RR:2008/02/08(金) 08:49:33 ID:DkhIjuH9
ほしゆ
17 :
774RR:2008/02/08(金) 12:42:44 ID:f2NwM1BR
ほす
18 :
774RR:2008/02/08(金) 15:12:58 ID:jnBsFiYE
凄くタイトルが気に食わないが「団塊ボーイズ」を見に行きたい
19 :
774RR:2008/02/08(金) 22:47:38 ID:TxUrFxSj
アメリカでは結構ヒットしたみたいだけど、あれじゃあ日本では鳴かず飛ばずで終わりそうだな。
団塊ボーイズ(笑)
20 :
774RR:2008/02/08(金) 22:48:20 ID:TxUrFxSj
アメリカでは結構ヒットしたみたいだけど、あれじゃあ日本では鳴かず飛ばずで終わりそうだな。団塊ボーイズ(笑)
21 :
774RR:2008/02/08(金) 22:49:10 ID:2/OKp0zZ
ウメさんのバイクってメイト?
22 :
774RR:2008/02/08(金) 23:24:46 ID:ueia88Zx
えっ、カブだと思ってたけど。
まさかメイトなのか?
23 :
774RR:2008/02/08(金) 23:27:40 ID:qvdY+5Q4
オレの名前は伊佐坂甚六、店の仲間からは「JIN」と呼ばれている。
大学を中退し、今の店で働き始めてからもう5年は過ぎようか。
浪人してまで入った大学を何で中退したかって?
オレがバカだったのかもしれない。
浪人のストレスから妹を無理やり押し倒し、大学合格後もその関係を続けた。
しかしある日その現場を母親に見つかり、親から勘当言い渡され敢えなく大学中退ってわけさ。
だが決して後悔なんかしていない、なぜなら・・・
甚六の住む安アパートに近づくチョイノリの音。
やがてそれは甚六のアパートでエンジンを止め、代わりに聞こえてきたのは鉄製の階段を昇る
オンナのブーツの音。
足音は甚六の部屋の前で止み、シリンダー錠を廻す音がする。
ドアを開け、買い物袋を下げたオンナが一言
「ただいま、兄さん」
24 :
774RR:2008/02/08(金) 23:50:29 ID:PBvcuohp
プッ
25 :
774RR:2008/02/09(土) 08:43:28 ID:4ElYWJNN
新しい作家さんだね。
期待してるよ。
26 :
774RR:2008/02/10(日) 18:45:48 ID:Y9kP5kXx
サザエさん観てたら急に第三京浜行きたくなった。
見終わったら行ってくる。赤のスズキのバイク。
27 :
774RR:2008/02/10(日) 18:47:08 ID:Y9kP5kXx
おい! さっきサザエさんでネイキッドのバイク出てきたぞw
車種はなんだwww
28 :
774RR:2008/02/10(日) 18:47:43 ID:eOjghc+I
赤いバイク…
と、東京タワー消防署仕様!?
29 :
774RR:2008/02/10(日) 18:55:54 ID:7db1UKDD
アナゴさんの奥さん、こえーなw
現在執筆中です。もうしばしお待ちください。
・・・今日はアナゴさんの入浴シーンが見られて得した気分w
31 :
774RR:2008/02/10(日) 23:00:31 ID:3XKdrZGv
待ってます
32 :
774RR:2008/02/10(日) 23:38:21 ID:U9DUFrMg
おっこれは期待
つC
33 :
774RR:2008/02/11(月) 00:06:31 ID:5PzkR9sQ
34 :
774RR:2008/02/11(月) 16:46:39 ID:cVWRZDgE
サザエさん昨日だったか。。。
なんか、今日が日曜な気がする。。。
35 :
774RR:2008/02/12(火) 16:56:31 ID:E0lvdiHs
36 :
774RR:2008/02/12(火) 20:38:10 ID:7ROnodOT
魔棲雄氏降臨age
魔 / ∩___∩ \_WW/
・ ≪ | ノ ヽ ≫ 魔 ≪
棲 ≪ / ● ● | ≫ ・ ≪
・ ≪ | ///( _●_)//ミ ≫ 棲 ≪
雄 ≪ 彡、 |∪| 、`\ ≫ ・ ≪
! ≪ / \ ヽノ /_> / ≫ 雄 ≪
≪ \|-─●─●-/ / ≫ ! ≪
MMM\ | / ̄ /MMM\
| /\ \
| / ) )
∪ ( \
\_)
37 :
774RR:2008/02/12(火) 21:16:45 ID:9mBoA6MM
38 :
774RR:2008/02/14(木) 07:59:28 ID:VKLr3TqT
ほしゅ
39 :
774RR:2008/02/15(金) 18:25:02 ID:n3ARgXzK
ほしゅ
40 :
774RR:2008/02/15(金) 22:13:05 ID:JNLpYTcV
>>30 1週間でも2週間でも気長に待ってるぜage
41 :
774RR:2008/02/17(日) 00:05:57 ID:R/QwR2e6
魔棲雄支援ホシュ
42 :
774RR:2008/02/17(日) 00:45:57 ID:CRrs9QAJ
捕手ならageて欲しい
43 :
774RR:2008/02/17(日) 01:30:27 ID:iuhj0X8h
上げなくても保守にはなるぜ
44 :
774RR:2008/02/17(日) 21:31:31 ID:mE/cfbha
>>42 バイク板のホシュはアゲなくてもいいんだぜ
45 :
774RR:2008/02/18(月) 10:54:55 ID:0r0ti94h
ほ
46 :
774RR:2008/02/18(月) 20:30:00 ID:SSHt6D2m
し
47 :
774RR:2008/02/18(月) 20:39:17 ID:mytHpD7y
の
48 :
774RR:2008/02/18(月) 20:42:04 ID:25pe6KMH
こ
49 :
774RR:2008/02/18(月) 21:15:18 ID:2d7tf34p
ま
50 :
774RR:2008/02/18(月) 21:16:09 ID:TLT9BDbh
ん
51 :
774RR:2008/02/19(火) 04:07:08 ID:dA+bzwAj
こ
AM2:30 首都高湾岸線東行き──
赤城レッドサンズ・プロジェクトDのリーダー、高橋涼介がカワサキ ZX-10Rで
湾岸を激走している。後ろから弟の啓介がFDで追う。
…寄る年波には勝てず、涼介は長年連れ添った愛車・FCを手放した。
オークションに出品されたFCは、“赤城の白い彗星”涼介が乗っていたということもあり、
マニアに280万という異常とも思える高値で買い取られていった。
新車近い値段まで跳ね上がるとは…さすがの涼介も予想できなかった。
FCと別れた涼介は車を買わず、10Rを選んだ。「高橋兄、四輪から二輪に転向か?」
関東の走り屋達は揺れ動いた。啓介にも大きな衝撃を与えた。
涼介の10Rが次々と一般車の間をすり抜けていく。峠仕様の啓介FDは
ハイペースな涼介についていけず、途中からミラーに映らなくなった。
涼介が首都高に出てきた目的は明確である。「悪魔のZ」と「湾岸のSABU」を
まとめて撃墜すること。両者とも、数多くの伝説を打ち立てた猛者だ。
リターンライダーの涼介が参戦するのは誰の目から見ても無謀…。
ぼんやりとしていた涼介のスピードは落ち、そこそこのペースになった。
ミラーに眩い光が見えた。
「(なんだ啓介…やっと追いついたか……)」
しかし、後方から接近してくるヘッドライトはFDのものではない。
「速い!これは車じゃない…バイクか…!?」
つづく
54 :
774RR:2008/02/19(火) 16:19:46 ID:QRanM08t
ヤンマガ乙
55 :
774RR:2008/02/19(火) 19:36:33 ID:rL/5l6co
悪魔のZ2か?
56 :
774RR:2008/02/19(火) 21:55:31 ID:qakAoXLU
イイヨイイヨ
「速い!これは車じゃない…バイクか…!?」
迫ってくるヘッドライトは一灯、ロータリーとは異なる低いエキゾーストノート。
譲って先行させるか、加速して振り切るか…。涼介が思案したその刹那…!
「…!」
バイクは涼介の横をかすめるようにして、前に飛び出た。
「緋色の隼…魔棲雄!?」
完敗だった。10Rに乗り換えて初の敗北…。FCに乗っていた頃を入れても2回目…。
料金所を抜けた涼介は大井PAに入り、啓介の到着を待った。
程なくして、啓介がPAに着いた。車から降りてきた啓介は興奮気味だった。
「アニキ!さっきの単車は何だ?凄ぇ勢いでブチ抜かれたぜ…」
「あれは魔棲雄…。まさかSABUに会う前にお目にかかるとはな。」
「で、勝ったのか?」
「フン。何言ってんだ、ボケてんなよ啓介。あんなバケモノに勝てるわけないさ…」
「…ウソだろ…!!」
涼介の敗北。それは本人以上に、啓介をはじめとする周囲の人間を悲しませた。
情報はブログ、掲示板、メール、口頭…あらゆる手段で日本中に伝達された。
「池谷先輩〜!マジ緊急っす!涼介さんが首都高で負けたらしいんですよォ!!」
「何!あの高橋涼介が…。やっぱ峠じゃないとキツいかなぁ…。」
「ねーねー、北見サン 高橋涼介が湾岸で撃墜(オト)されたみたいヨ」
「くくく・・ オジョーチャンお得意の噂話か・・ で 誰だ?高橋ってヤツは」
つづく
59 :
774RR:2008/02/20(水) 18:34:46 ID:cy0eOIYX
湾岸でいきなりだとアクセルオンオフとかじゃなくね?
ましてバイクでしょ
気付いてから加速して振り切れるわけないじゃん
さらにターゲットの機種も知っててチャレンジしてるわけだよね
今後、高橋くんが抗える要素はどこなんだろ?
今後の展開に期待してます
作者さん頑張って下さい
60 :
774RR:2008/02/20(水) 20:50:52 ID:FiLl2eom
なんだ、このサラリとしたツンデレは。。。。
61 :
774RR:2008/02/21(木) 00:43:09 ID:TtLGRTrw
ワロタ
62 :
774RR:2008/02/21(木) 05:10:26 ID:omyB4xA4
湾岸走ったことあんのかこの作者?
つーか無免許だろw?
ぜんぜんリアリティが無いけど頑張って書いてね
63 :
774RR:2008/02/21(木) 08:03:40 ID:FXSnJI7d
もちろんターボ化だろ
260キロからウィリーする相手を追って、西湘バイパスの壁突き破って海へダイブすんの
64 :
774RR:2008/02/21(木) 12:20:16 ID:NHCZZR1A
キリンでそんなやつがいたな
65 :
774RR:2008/02/21(木) 17:30:53 ID:sJ8bqDZ/
66 :
774RR:2008/02/22(金) 06:20:25 ID:tlpq4IsN
全然臨場感内
無免許乙ww
67 :
774RR:2008/02/22(金) 14:23:56 ID:XNUFBYDD
マスオ伝説の続きまだー
68 :
774RR:2008/02/22(金) 21:27:26 ID:kQ9mCyQR
もうダメかもシレンねorz
上を向いて歩けないよ(涙目)
69 :
774RR:2008/02/22(金) 21:33:35 ID:aKJaMybg
上を向いたままあるかなければ良いと思うよ
いや、もう本当に申し訳ないです。かなりバタバタしてまして。
巻き返しは計りたいと思ってます。
>>52 つC
71 :
774RR:2008/02/22(金) 22:00:10 ID:F2mjlDZD
72 :
774RR:2008/02/23(土) 09:36:10 ID:Q+QcicYz
イージス艦あなご
73 :
774RR:2008/02/24(日) 06:31:02 ID:d3bsqutB
アナゴさん
鼻のデカさは
空母級
74 :
774RR:2008/02/24(日) 07:31:37 ID:KQAZNkgl
いっそターゲットを湾岸スレの悪魔のZ(50J)にしとけば…w
75 :
774RR:2008/02/24(日) 20:59:19 ID:d3bsqutB
久々にサザエさんを見ましたら、アナゴさんを見て噴いてしまったw
このスレのせいだ(#^ω^)
76 :
774RR:2008/02/24(日) 21:38:20 ID:q4efMVXi
>>75 どのへんで噴いてしまったんだ(#^ω^)?
あ、今から録画したやつ見るから参考までに
77 :
774RR:2008/02/25(月) 00:35:59 ID:2lsTGA1n
78 :
タラオの寿司:2008/02/26(火) 00:46:33 ID:jxN1toUw
ボクもバイクがほしい。
父の昔の写真は真っ赤なバイクとともに写っていた。
幼い日に憧れたオートバイという乗り物。
その写真の記憶だけは色あせずいつまでも心の奥底にこびりついている。
三無い運動や祖父母が心配するといった気持ちもあるが、この気持ちだけはどうしようもない。
こつこつと小遣いを貯めた金は、原付免許へと姿を変えた。さすがに中免までは届かなかったがしかたが無い。
いよいよ高校生だ。これからはアルバイトだってできる。
タラオ16歳の春である。
夕日がまぶしい朝日が丘団地。小高い丘の上に造成された団地は頂上付近の1丁目から4丁目までの集合住宅地だ。
東京のベットタウンとして急な住民の増加を生みそれに伴い駅前の商店街までの道も整備された。
丘の南側に下るツヅラ折りの坂道は夕焼けがよく見える。美しい町並みである。
ジリリリリリリリリーン ジリリリリリリリリーン
電話の音が鳴り響いて女将さんが電話に出る。
「はい鮨辰です」
「いつもお世話になっております・・・はい・・・上握りを・・・・3人前・・・はい」
「1つがさび抜きで・・・茶碗蒸し・・・こちらも三人前で・・・はい・・・・・いつもありがとうございます」
「30分ぐらいでお届けにあがります。ありがとうございました。」
いつものお客さんからの出前の注文だ。たしか巨人が連勝すると寿司を取るお客さん。
15分もしないうちに寿司と茶碗蒸しが風呂敷に包まれてタラオの元へ廻ってくる。ここからがタラオの仕事だ。
出前用のジャイロに商品を積み込むとジャンバーと手袋をつけて跨る。
後ろに下がりながらUターンをして表の道へとタイヤを向けるとヘルメットのあご紐を締めてエンジンをかける。
後ろから女将さんが「次の出前が入ってるから急いで行ってきなさいね」と声をかける。
軽く会釈をして夕焼けの道へ出る、頂上の一丁目までの一本道を荷台を気にしながら安全運転で走っていく。
親方には出前の最初にしっかりと言われてい
79 :
タラオの寿司:2008/02/26(火) 00:48:10 ID:jxN1toUw
「ちょっとの衝撃でも寿司は転がっちまう。そうなったら崩れてしまって売り物にならないから注意してくれよ」
「段差やブレーキも気を遣わなくちゃならないからな」
「最初だから練習にこれを積んで1丁目の一番上の朝日が丘第一公園まで行って来い」
荷台に置かれたのは茶碗蒸しが1つ。
「公園に着いたら食ってみろ。柔らかめに作った茶碗蒸しがこぼれてなければ上出来だ」
言われるままに走り出したタラオだったがよくよく考えればダンパー付きの荷台である、水を汲んだコップだってこぼれるわけは無いのだ。
それでも根が真面目なのか慎重かつ丁寧に走り、公園に着くと荷台の茶碗蒸しを取り出して匙で一口すすってみて驚いた。
舌の上で優しくとろけるシイタケの香りと鶏肉の深みのある味わい、銀杏の苦味のアクセントが調和して三つ葉の茎が舌触りを楽しませる。
茶碗の中に詰め込まれた極上のハーモニー。
とても美味しい茶碗蒸しだ、これをお客様に届けなければならない、親方や兄弟子が一生懸命仕事をしたことを自分が台無しにしてはならない。
その思いが一口飲み下す度に強まるのであった。
そういった事からタラオの運転は時に神経質とも言えるほど加減速や段差の乗り越え、左右のバランスに気を使った走りであった。
もはやこの団地のあらゆる段差とカーブは手に取るようにタラオの感覚に取り込まれていた。
80 :
タラオの寿司:2008/02/26(火) 00:49:24 ID:jxN1toUw
「ありがとうございました。器は明日取りに伺いますので外に出しておいてください」
そういってお客様の家を背にしてバイクに跨ると、出掛けに言われた女将さんの言葉が思い出された。
「そうだ、急がないと・・・」
颯爽とジャイロに跨るとエンジンをかけ走り出す。その走りにはのぼりの時の遠慮は無い。
加速の良いくだりとはいえ、クネクネと続くカーブをキビキビと下ってゆくためにはやはりブレーキングと全開時間の長さが重要になる。
しかし、配達時の走りで道の全てを我が物にしているタラオにとって攻めるという感覚はもはや常軌を逸しているといっても過言ではない。
3輪である特性を生かしたフルバンクからの切り返し、後輪のすべりを感じながらクリッピングポイントで路面のうねりに乗せて一気にグリップを回復させる。
彼には路面の轍すらもバンクの一部だ。
そして唯一のストレートからのヘアピンをイン側の街灯に屋根が擦るほど寄せながら排水勾配に片輪を落として一気に駆け抜ける。毎日何度も走り続けるからこそ彼には他のものには見えないラインが見えていた。
「戻りました!」
店に戻るとすぐに次の出前が用意されていた。
「次は4丁目だからね、気をつけていきなさい」
再び走り出したタラオの背中を暮れ残した夕日が優しく照らす。
今日も忙しくなりそうだ。
81 :
タラオの寿司:2008/02/26(火) 00:50:10 ID:jxN1toUw
ついかっとなってやった、今は後悔しないように努めている。
スレを汚したことについては追って謝罪文を掲載させてもらう場合があります。
82 :
774RR:2008/02/26(火) 00:51:58 ID:pHVSURQw
83 :
774RR:2008/02/26(火) 00:52:43 ID:C/B0zkpk
>>81 イニDっぽいところがアレだけど面白かったデス
84 :
774RR:2008/02/26(火) 00:56:13 ID:F9OWbhLM
85 :
タラオの寿司:2008/02/26(火) 00:59:54 ID:jxN1toUw
すいません、まんまイニDネタを持ち込みたかっただけです。
タイトルは将太の寿司から戴きました。
レッドサンズピザとかのデリバリー担当の兄弟とバトルが始まりそうですが、
続編は書きません。
コメントありがとうございました。
86 :
774RR:2008/02/26(火) 01:50:27 ID:f4Rzn/32
>>85 GJ そこまでやるなら笹寿司と佐治さん出さなきゃ収まらないんじゃないか?
87 :
774RR:2008/02/26(火) 12:17:12 ID:sXozlQSI
つCCC
88 :
774RR:2008/02/26(火) 22:27:55 ID:+PE0reNB
ヤバい、まさに寿司屋で配達してる俺だwww
寿司配達した後、パッド付けて膝擦りながら交差点曲がるのは快感だよ。
三輪だから安定してるし( ´ー`)
とにかくCCCC
89 :
774RR:2008/02/27(水) 00:18:46 ID:tL2/8rH8
90 :
774RR:2008/02/27(水) 02:10:35 ID:0elFUqWa
ピザ屋の俺が通りますよ
91 :
774RR:2008/02/27(水) 02:29:37 ID:N/FRhX2s
ピザ屋だけど三輪ギャップにすげーよわくね?
92 :
タラオの寿司:2008/02/27(水) 03:12:53 ID:8HmNK3zp
拝啓
実は高級寿司店でバイトしています。
>>91 まぁ、ネタですのでそのへんはご愛嬌ってことで許してください。
>>88 おいらも三輪ジャイロ(グリップヒーター付)で寒空のした配達しております。
太い国道から左折する際、減速なしに突っ込んでいくのは快感ですね。
お互い安全運転で頑張りましょう。ちなみに当店では上握り4000円からです。
配達時に転がしたら、その日の給料吹っ飛びますwww
>>皆様
レスありがとうございます。気が向いたらもしかして続編を書く機会があるかもしれませんが、その際は温かい目で見守って下さい。
敬具
93 :
774RR:2008/02/27(水) 03:47:50 ID:QYPwKJ1M
俺は去年までSPACY100でバイク便やってた。
主な行動地域は杉並、中野、世田谷。
環八や環七周辺はサザエさんの舞台なんだなw
94 :
774RR:2008/02/27(水) 11:44:16 ID:AfHGZMqu
95 :
774RR:2008/02/27(水) 20:08:54 ID:ry1/NmCK
イージス艦アナゴ 緊急浮上します!
96 :
774RR:2008/02/27(水) 20:12:10 ID:I0F7pl2H
イントルーダー1800だろ。
…空気の読まない携帯がいう。
97 :
774RR:2008/02/27(水) 22:37:54 ID:S83TAq1d
ジャイロとかの三輪ってさ、後輪の接地面積がハンパないわけじゃん?
そうすっと例えばレースとかするとしたら、そのライテクは普通のバイクとかと
全く違ったものになるのかね?
98 :
774RR:2008/02/28(木) 14:56:06 ID:+OliyIFG
ジャイロは方輪浮き始めてからが勝負だ…と聞いたことがあるw
99 :
774RR:2008/02/28(木) 23:36:41 ID:sysfLcVz
_________
く〇√
‖
くく
よし!次は任せたぞ!
100 :
774RR:2008/02/29(金) 17:10:40 ID:8za3wjMv
ホスホス
101 :
774RR:2008/02/29(金) 21:10:59 ID:3IILRRl8
カツオって出世しそうなタイプだよな
102 :
774RR:2008/03/02(日) 03:42:00 ID:QS2jevwu
ホシュ
103 :
774RR:2008/03/03(月) 16:09:48 ID:2kR1VMVU
ほしゅ
104 :
774RR:2008/03/04(火) 02:56:35 ID:pT++FZq+
前スレにあった電車男だけどあれはヤラセ(リアルタイムを装った釣り)な
オタ産業狙ってたのがバレた
カーセクースカットされてたりシナリオ外の途中で湧いたコテハンの存在が消されてる
しかしそのコテハンをモチーフにしたキャラクターは映画とかでは脇役で使われてたが
105 :
774RR:2008/03/04(火) 03:33:20 ID:L+8sWKnA
そんなこと、電車から入ってきたやつ以外は
みんな知ってんじゃないの?
と思ったけどバイク板しか見ない人もいるだろうし
そういう人は知らなくて当然か。
106 :
774RR:2008/03/04(火) 12:06:30 ID:pT++FZq+
>>105 意外と知らないやつ(信じてる)が多い
住民の入れ替わり
結婚して降りるのも('A`)ヴェノアで残るのも自由だ
看板背負ったバイトのおにーさんたち
調子にのって店や本部に通報されないよーに気をつけなヨ
それだけじゃあすまない
アソコは暴走族が配達しているなんて噂たったら洒落にならないヨ
看板を背負って走るとはそういうコトなんだ
107 :
774RR:2008/03/04(火) 20:04:07 ID:EhxsNTll
今日も配達
108 :
774RR:2008/03/04(火) 20:13:04 ID:LT/tHOh0
>>105 昔、電車男の、まとめサイト作った人って
バイク板住人だって聞いたけどホント?
109 :
774RR:2008/03/06(木) 09:49:33 ID:8JEmILVK
ホシュ
110 :
774RR:2008/03/07(金) 01:33:47 ID:xtGDxVWh
魔
111 :
774RR:2008/03/07(金) 05:03:52 ID:kf0Q/5Qx
棲
112 :
774RR:2008/03/07(金) 05:30:31 ID:YwkOw44Z
雄
113 :
774RR:2008/03/07(金) 09:27:43 ID:tM4/Rdje
正月から更新なしか…。
前回の話ってどんなんだっけ
114 :
774RR:2008/03/07(金) 14:16:29 ID:U/JK0hr4
たしか前回はアナゴさんと一緒にソープ行って童貞を卒業した話だよ
115 :
774RR:2008/03/07(金) 18:48:05 ID:wphjaJKy
そうそう
雑誌で相談したら有名な作家が
さっさと行けって即答だったね
116 :
774RR:2008/03/08(土) 07:27:21 ID:zfzuH0wv
(゚ω゚)ニャンポコ
117 :
774RR:2008/03/08(土) 11:42:32 ID:vvnwR1YA
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−┃
┃ | 三シ ヾミ 彡シ ヾ三 | ピキーン!! ┃
┃ | 三| -丶、.,_ノ 'i'´(_,,/`_,. i三 | ┃
┃_________ト、ニ| <でiンヽ ;'i"∠でiン |三|._∧,、_________○┃
┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄',.iヽ!i ヾ`= ‐' / 、 `ー´ i|シ,イ ̄'`'` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ┃
┃ i,ヽリi ,': :、 i|f ノ そろそろ来るか!? ┃
┃−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
118 :
774RR:2008/03/08(土) 22:07:15 ID:N52gRWw7
まろやめれwww
119 :
774RR:2008/03/09(日) 11:07:28 ID:vgLjEFXQ
緊急浮上
120 :
774RR:2008/03/09(日) 18:37:41 ID:QdrvM/Jv
リアルタイムあげ
華沢さんの父ちゃんの朗読が聞けて満足w
121 :
774RR:2008/03/09(日) 19:01:21 ID:3JrBV5sn
来週のサザエさんは「カツオ昭和ロマン」
やっぱ80年代のバイクが出てくんのかなw
122 :
774RR:2008/03/09(日) 20:38:41 ID:lQtcUA08
123 :
774RR:2008/03/10(月) 22:33:23 ID:XkzUTag9
ほゆ
124 :
774RR:2008/03/12(水) 11:34:08 ID:e89/ZrcV
浮上します。
125 :
774RR:2008/03/13(木) 12:58:48 ID:UFRAvbEE
もうだめぽ
126 :
774RR:2008/03/13(木) 13:35:17 ID:wAUqbKWY
まあまあ、他人任せで進行してんだからそこを理解しましょう。
127 :
774RR:2008/03/14(金) 11:05:53 ID:wwThWF0T
ホシュしにきました
128 :
774RR:2008/03/14(金) 18:49:33 ID:38yccuuQ
保守ぬるぽ
129 :
774RR:2008/03/14(金) 19:10:44 ID:zDgjRgAG
130 :
774RR:2008/03/15(土) 02:32:23 ID:gUQ1CqYM
魔
131 :
774RR:2008/03/15(土) 06:23:35 ID:Lzh6oBnY
神
132 :
774RR:2008/03/15(土) 08:40:28 ID:DOAaFsHJ
ガ
133 :
774RR:2008/03/15(土) 08:43:03 ID:fZ5VlkvH
ッ
134 :
774RR:2008/03/15(土) 11:15:35 ID:7MM65Sk7
Z
135 :
774RR:2008/03/16(日) 18:24:10 ID:sxJEiJDJ
もう春だ、バイクの免許を取りに行こう。
去年の今頃はそう思ってた。
↓続きよろしくね
136 :
774RR:2008/03/16(日) 18:56:50 ID:Lsl5gADh
雪解けが進むこの季節、今年こそはバイクを買おうと思い続けて幾年月…
昨年の今頃もそう思ってた。
↓後は任せた。
137 :
774RR:2008/03/16(日) 21:46:40 ID:gOO3LcjS
のどかな風が吹くこの頃、今年こそは膝を擦ろうと思い続けて幾星霜・・・
20世紀の終わり頃もそう思ってた。
↓後は分かるな?
138 :
774RR:2008/03/16(日) 21:47:13 ID:m0C2oF4/
そんなある日、
月明かりに照らされ不気味に輝く一台のバイクに目を奪われ
ランニング状態で足を止めた
↓
139 :
774RR:2008/03/17(月) 00:22:55 ID:7k2HAAQV
カワサキか・・・
↓
140 :
774RR:2008/03/17(月) 04:42:57 ID:sG6U3n1J
せっかくの流れ豚義理で悪いがこれは言わせてくれ
>>139 クソワロタwww
141 :
774RR:2008/03/17(月) 04:46:40 ID:HwZUJ/T+
水銀灯に照らされてか、それとも僕を誘ったのか、そのカワサキのヘッドライトが光ったような気がした。
導かれるように距離を縮める。
車種はなんだ?
142 :
774RR:2008/03/17(月) 06:42:02 ID:xhTJXLZG
ZZR250だ
143 :
774RR:2008/03/17(月) 11:16:33 ID:dmZkzO1j
漆黒のZZR250、一見至ってノーマル。だが、
144 :
774RR:2008/03/17(月) 11:26:55 ID:hJjwGkk0
よく観るとエンジンはTZR50のエンジンだった
145 :
774RR:2008/03/17(月) 12:58:58 ID:si6rjHLv
足回りはZX-10。すごいチューンだ
146 :
774RR:2008/03/17(月) 13:11:49 ID:hJjwGkk0
さらにカーステと三段シートまで装備された超高給ラグジュアリー仕様であった
147 :
774RR:2008/03/17(月) 13:34:02 ID:jtgUK6Yq
そのバイクにマイナスドライバーを片手に持つ少年が近づいてきた
148 :
774RR:2008/03/17(月) 13:58:23 ID:2yWBy8ZH
「もうっ!チャーンが真っ黒じゃないの!あと魔棲雄氏まだ?」
少年は一晩かけてそのマイナスドライバーでチャーンの汚れを取り除いた
149 :
774RR:2008/03/17(月) 16:23:36 ID:WVgnZ4Wp
すまん・チャーンって何だ?
150 :
774RR:2008/03/17(月) 16:27:16 ID:/3CNnfPx
151 :
774RR:2008/03/17(月) 19:10:47 ID:t2AF04ax
152 :
774RR:2008/03/17(月) 20:26:32 ID:vZSFufcP
>>148 華氏も最近出てこないね。
個人的に好きなのにな…。
153 :
774RR:2008/03/18(火) 00:30:23 ID:2kkJCli0
チャーン≒チェーン
154 :
774RR:2008/03/18(火) 00:51:14 ID:Zm0nFKLt
そして少年はおもむろに、バイクにチャーンとチェーンの違いについて語りかけ始めた。
155 :
774RR:2008/03/18(火) 14:26:38 ID:Atdtingu
156 :
774RR:2008/03/18(火) 23:25:38 ID:KhPNdBtU
チャーンwww
157 :
774RR:2008/03/19(水) 10:55:05 ID:LR23XaXX
1行小説ならよそでやれ。
158 :
774RR:2008/03/19(水) 11:27:46 ID:L6Rrjh2U
元来小説スレで無いんだから、言い始めたらきりが無い。
他にすること無いんだったら雑談くらいいいじゃないか。
嫌なら他に行けなんて言葉、大嫌いだから使いたく無い
159 :
774RR:2008/03/19(水) 13:20:06 ID:20LOnw49
元々魔棲雄氏専用スレじゃないんだから・・・
そーゆーのは作者さんにとってもプレッシャーにしかならないと思うよ
もっと和気藹々といこうじゃないか
160 :
774RR:2008/03/19(水) 16:17:43 ID:qgaSuPOO
もうすぐ載せるとか言って待たせてて和気藹々と行くわけないだろ?
もう来ないんじゃないかな?それはそれで仕方ないと思うけどな
161 :
774RR:2008/03/19(水) 17:17:24 ID:1D43352l
気の短い奴だな〜また〜り待とうぜwww
つ【カルシウム】
162 :
774RR:2008/03/19(水) 18:14:56 ID:4M5LpA0m
まだこのスレ有ったのかよw
というか、まだ魔棲雄さんがんばってたのかよw
ちょっとまとめスレ見てくる。
163 :
774RR:2008/03/19(水) 19:04:59 ID:An364NY6
魔棲雄氏の最終更新から3ヶ月弱くらいか。
164 :
774RR:2008/03/19(水) 21:10:05 ID:AGx1lJGN
待つのは自由じゃんねぇ。
俺は待つぜ
165 :
774RR:2008/03/19(水) 22:42:29 ID:OGOEQG/7
ただ待つのも暇だから一行小説でもやるか
↓
166 :
774RR:2008/03/19(水) 23:13:05 ID:skdKgRPn
と、165は書き始めた。
167 :
774RR:2008/03/19(水) 23:56:53 ID:oZIKgfZH
初代スレはリレー小説が主だった時期もあった。
私も当時執筆していた者の一人だが、現在は筆を休めている。
168 :
774RR:2008/03/20(木) 00:24:31 ID:AtLbxzmG
しかし本業は文筆業だ。
編集担当の若いのが来る前に、今日も姿を眩ませるか。
169 :
774RR:2008/03/20(木) 00:33:55 ID:IQQeNxfZ
伊佐坂先生逃げちゃダメですよ
170 :
774RR:2008/03/20(木) 02:36:53 ID:rK8ronpt
おっと、担当の飯島嬢に見つかってしまった。
171 :
774RR:2008/03/20(木) 20:41:55 ID:tzyVRKi9
スイーツ(笑)
172 :
774RR:2008/03/20(木) 23:20:53 ID:L6oymOBT
>>58 魚屋氏、まだこのスレ見ててくれてます?
もし見ててくれてるなら、是非続きをお願いします。
急かす気はないんで、ゆっくりどうぞ。返信不要です。
173 :
774RR:2008/03/20(木) 23:44:30 ID:Yr2PGY2X
昨日魔棲雄の最初のほうがまた読みたくなってまとめ読み始めたら
止まんなくなって、一気に読み返しちゃったよ。
やっぱり面白いな。
174 :
774RR:2008/03/22(土) 03:46:00 ID:0xU4lnbt
保
育
176 :
774RR:2008/03/22(土) 21:21:11 ID:2kcVPnKC
園
177 :
774RR:2008/03/22(土) 21:39:42 ID:1XiZQcCG
の
178 :
774RR:2008/03/22(土) 22:00:30 ID:mvmORDb3
俺が碓氷の走り屋で「ヌシ」を自称してた頃のことだった。
俺は当時'86GSX-R1100に乗っていて路面の荒れた碓氷では4輪・2輪関係無く
誰にも負ける気がしなかった頃だ。
今からもう、10数年前のことになるだろうか。
ある日俺は大学にも行かずにいつもどおり妙義を軽く2,3往復流してタイヤを暖めてから18号に戻り、碓氷峠を目指していた。
季節はそう、今のような梅雨が明けて夏の到来を告げる日差しの降り注ぐそんな日の昼下がりだったよ。
バイパスと旧道の分岐点に差し掛かるところで後ろから猛烈なスピードで追い上げてくる複数のヘッドライトに気づいたんだ。
ミラーで見るとそれは黒っぽいバイクと白バイにしか見えない数台のバイクだった。
いつもの習慣でアクセルを緩めた次の瞬間には、残像のように過ぎ去る黒地に菊の紋章をあしらったヨシムラボンネビルと
それに追随するように走る数台のCB1100RDにぶち抜かれていた。
そして、信じられない事にそのCB1100Rのカウルには「皇室警察」と書かれていたんだ。
もう俺は相手が白バイの一種だなんて事は忘れて必死に追いすがったね。
でも、なかなか追いつかない。
追い付いたのは俺がタイヤをあらかじめ暖めていたおかげでもあるのだが、13個目のコーナーを抜けたあたりだった。
もちろん俺もグリップ走行の限界までその当時の俺の技術を駆使して走っていたんだ。
だけど、そのコーナーまで至る間には明らかにコーナーリング途中についたとしか思えない真新しいブラックマークが5本、
くっきりと刻まれていたんだ。
中心に色濃く、周囲の4本は比較的薄く。
俺は追い掛けたよ。
「ヌシ」の矜持に賭けて。
179 :
774RR:2008/03/22(土) 22:25:33 ID:0xU4lnbt
なんかきたぁ!
挟まれ4円
180 :
774RR:2008/03/22(土) 22:27:18 ID:mvmORDb3
そこからあとはしばらく俺も「ヤツ」に食いついていったよ。
替えたばっかりのタイヤがどろどろに溶けてゆくのを自覚しながら。
だけど、「ヤツ」と俺の決定的な実力の差を思い知らされるのはそれほど後のことではなかったんだ。
六十いくつ目かの、ある種変わり映えしないヘアピンに近いタイトコーナーでのことだった。
そうは言ってもそのコーナーは直前に比較的長いストレート、と言っても碓氷峠の事だからその短さは想像できると思うけど、
まあとにかくストレートのあとのヘアピンカーブだった。
「ヌシ」を自称する俺としてはそのコーナーの事も当然よく知っていた。
オーバースピードで突っ込めば、たとえそのコーナーはクリアできてもその先の切り返しが間に合わなくて谷底行きだって事も。
だけどヤツはそこで全てのパワーを後輪に叩き付けたんだ。
フロントはリフトアップする。
その状態でコーナーの入り口まで引っ張って、ヤツは俺のほうを振り返ったんだ。微笑を浮かべて。
フルフェイスのヘルメット越しにもわかるような、背筋も凍るような微笑だったよ。
それと時を同じくして4台のCB1100Rは黒いボンネビルに対する包囲を「スウッ」と解いたんだ。
当然、俺も奴らを追い越してしまうかたちになる。そして俺たちはほぼ同じスピードでそのコーナーに突っ込んだ。
181 :
774RR:2008/03/22(土) 22:59:09 ID:2AFKs9+t
(0゚・∀・) ワクワク テカテカ
182 :
774RR:2008/03/22(土) 23:16:25 ID:gbetj3LK
懐かしいコピペだなーw
この話好きなんだよなぁ。
183 :
これでおしまい:2008/03/22(土) 23:19:14 ID:mvmORDb3
俺は意地を賭けて、そいつは何も知らずに死のコーナーへ限界を超えて飛び込んでいったわけだ。
カウルまで削り取るようなフルバンクで俺とボンネビルの2台は第一のコーナーを抜けた。
俺のそれまでのバイク暦の中でも始めての前後輪を完璧にスライドコントロールできた瞬間だったよ。
傍観者の視点に立てば先行するボンネビルの動きと俺のR1100が完全にシンクロするような美しいコーナーリングに見えただろう。
だけど、そこが俺の限界だったんだ。
完全にスライドしている前後輪と暴れる車体を抑え込むのがやっとだった俺は当たり前のように次のコーナーで「飛んだ」
ハイサイドだ。
上下が逆転する視界の中で、俺は「ヤツ」の動きを追っていた。
俺が「飛ぶ」寸前にアクセルを戻し俺と同じようにハイサイドで飛びかける瞬間に車体を強引に抑え込み、
暴れる車体をなだめながら切り替えし、言わば「ハイサイドターン」とでも言うべき動きを見せた「ヤツ」は
何事も無かったように碓氷の荒れた路面にブラックマークを残しながら俺の視界から消えていった。
それから後の事は良く憶えていない。
ただ、自損事故にもかかわらず治療費が異常に安かった事、そしてフルフェイス越しに見えたあの笑みを
事ある度にテレビで見掛けて、背筋が凍るような思いをする事、そしてあのボンネビルのペイントと
「ヤツ」をまるで警護するように張り付いていたCB1100Rの白バイ。
俺も馬鹿ではないからだいたいの想像はつく。
馬鹿でないからこそ、それが公にしてはいけない事実だとも・・・。
あれから10年以上が経つ。
最速なんていう妄想はもう抱いていないけど、俺は今「ヤツ」にもう一度会いたい。
それが叶うならばたとえこの命を失う事になろうとも一片の後悔も無い。
184 :
774RR:2008/03/22(土) 23:47:12 ID:uhiJLMHT
185 :
774RR:2008/03/23(日) 05:47:22 ID:i7xcjqoa
当時の皇太子スレに出たレスだっけ?
何れにしても優秀なコピペだよ
186 :
774RR:2008/03/23(日) 07:28:07 ID:8L9KtHBb
これ皇太子なのね。
雅子妃がピタピタの黒ツナギ着て走ってるのを想像してた。
187 :
774RR:2008/03/23(日) 08:30:34 ID:vgstpTLA
>>186 >雅子妃がピタピタの黒ツナギ着て走ってるのを想像してた。
スレ違いだが15年くらい前、西野美緒ってAV女優(巨乳)が
雅子妃に似てるってことで話題になってたな。
188 :
774RR:2008/03/23(日) 23:21:47 ID:K9yN+70g
今日のサザエさんに、かおりちゃんと早川さんの
高校卒業したくらいの姿が出てたな。
たしかに早川さんは美人になってるのは分かるが、
かおりちゃんはビッチになって首都高の女王になってると思う。
189 :
774RR:2008/03/24(月) 22:44:14 ID:EyMGnQSZ
早川さん頭がでかいんだよ
久しぶりに来たけど、マスオ氏相変わらず忙しそうだね。
お体ご自愛ください。
191 :
774RR:2008/03/25(火) 18:11:13 ID:5Fl2+n2a
ここって、サザエさんの小説以外も載せて良いのかな?
192 :
774RR:2008/03/25(火) 19:03:46 ID:tINYp76K
当たり前だよ ジャンジャンやってよ
193 :
191:2008/03/25(火) 19:21:52 ID:5Fl2+n2a
稚拙な文章ですが…よろしくお願いします。
一人の男が、スーパーで、清算を済ませた買い物袋をぶら下げて雑誌コーナーで立ち読みしている。
そのスーパーにカップルが、やたらと密着して入ってくる。
「ねぇ、貴君。今回が二人の初スーパーだね。」
カップルの女の方が、男の腕を抱え込み、満面の笑みで貴君と呼ばれている男の顔を覗き込みながら言った。
「たかだか、スーパーだろ?ちょっとは、離れろよぉ。」
男の方も満更ではないらしく、その抱え込まれた腕を振り払おうとはせずに、そう言っているだけだ。
そのカップルは、そんな調子で生活臭のする生鮮食品のある第一コーナーへと消えていった。
雑誌を読んでいた男は、雑誌を置くと生鮮食品コーナーの二人を横目で確認しつつ足早にスーパーを出る。
スーパーを出た彼の早足は、そのまま全速力へと変わった。
走りながら、彼の愛車HONDA Scoopy(50t)の鍵をポケットから取り出し、scoopyの元に到着するや否や、直ぐにエンジンを始動した。
彼はscooyという鉄の馬に激しく鞭を打つ。手元の速度メーターはそのスロットルにあわせて20…30…40…50。
グングンとスピードを上げていく。
走り始めてから、1kmほど走った後、突き当たりの右カーブで、目線を右カーブの奥へやり、ステップに乗せている右足を右後ろに滑らせながら、シートの真ん中に置いて居る腰を右下へと沈み込ませるように落としていく。
60km程のスピードが出ていただろうか、scoopyのアンダーカウルは地面との摩擦にガリガリという音を立てながらそのままのスピードでカーブに吸い込まれていく。
その後、後ろからサイレンの音が彼に近づいて来る。
彼は、ハッとしてサイドミラーで彼の後ろをぴったりとマークしている白と黒のツートンカラーのVFR800を確認した後、左の路側帯に停めヘルメットを取った。
VFR800に乗った白バイ隊員は、ゆっくりとバイクをscoopyの前に停める。
「危ないなぁ。何キロで曲がった?」
白バイ隊員は、優しく、そして威圧的に彼に話しかけた。
「すいません。分からないです。」
194 :
191:2008/03/25(火) 19:22:12 ID:5Fl2+n2a
続き
彼は俯き加減にそう答える。
「60kmだよ、60km!そして、さっきのカーブを危険運転と見なせばあわせ技で免許取り上げだ。」
白バイ隊員はニヤニヤしながら、彼に話した。
「そうなんですか…すいません。」
彼は、ただそういうしかなかった。
「でも、原付でそんな風に点数取ると直ぐに免停だから、今回は30km違反で済ませてやろう!」
「三点でやっぱり免停か…」
彼がそう呟くと、白バイ隊員は彼を見て軽く溜息をつきながら
「よし、今日のところは速度24km超過の2点で見逃してやろう。感謝しろよ!」
そういうと、彼から免許を借り、違反切符をササっと書き上げた。
「納期は一週間だからね!忘れるなよ!」
白バイ隊員は切符を渡し、去っていった。
彼は、そのまま切符を財布にしまい、scoopyに乗って走り出した。
100mほど走り、一軒の貸家に着いた。
そこで、scoopyから降りヘルメットを脱ぐ。丁寧に、駐輪場に居れハンドルロックを掛け、自分の部屋に向った。
「あと、少しなら捕まらなかったのに…10000円損したよ。本当についてない。」
そう呟きながら、部屋に入った。
玄関に、買い物袋を、投げ置き、ベッドに横になった。
彼の名は、本田拓斗(ホンダ タクト)。
中国地方の地方大学に通う大学二年生だ。
拓斗は、特に努力をしなくても大概の事は、中の上レベルで出来る性分で、今通っている大学にも勉強せずに入れる位であった。
そんな拓斗も普通にサークルに入り、授業をサボって遊びに言ったりと大学生活を楽しんでいる。
そんな彼が、何故こんなにも落ち込んでいるのか。話は三日前に遡る。
195 :
774RR:2008/03/25(火) 21:25:52 ID:pQDRZGLA
つC
196 :
191:2008/03/25(火) 21:29:53 ID:5Fl2+n2a
>>195 支援嬉しいです!
今上げたのは一話で、今第八話まで書いています。ので、一気に八話分上げます。
日曜日に一話づつ上げます。
197 :
774RR:2008/03/25(火) 21:31:25 ID:5Fl2+n2a
三日前。
それは、大学の後期試験が終わった数日後の事で有った。
拓斗のアパートの隣の家では梅の木が植えてある。
その梅の花が咲き、アパートの部屋の中も昼間は窓を閉めっぱなしでは少し温かすぎる。
そこで、部屋の窓を開けると、田畑を耕した後の少し埃っぽい匂いと梅の花の香りが混ざり春の意識として感覚に届いてくる。そんな日だった。
拓斗は、終わったテストの問題用紙を鞄から取り出した。
彼のテスト用紙は、テストが終わった後鞄に突っ込まれるだけなので皺だらけだ。
そんなテスト用紙を、部屋の片隅においてある古雑誌入れに放り込む。そして、その後、ベッドにもたれ掛かる形で床に直接座った。
床には、去年の初冬から敷いてある安物絨毯があり、フローリング床の鋭い冷たさを感じずに済んだ。
床においてあるリモコンを手に取り電源ボタンに親指を乗せる。
その時だった、携帯の電子音が鳴る。
手にとってみると、ディスプレイには南川孝弘(ミナミカワ タカヒロ)と表示してあった。
その名前を確認すると、すぐに携帯電話を開き応答した。
「もしもし、孝弘?」
彼は、楽しそうに電話に出る。
198 :
774RR:2008/03/25(火) 21:36:14 ID:5Fl2+n2a
「おう! 元気そうだな!」
「当たり前だろ。だって、あの憎きテストが終わったんだぜ?」
「確かにそうだなぁ。まあ、俺は嬉しい。けど拓斗。お前勉強して無いだろ?
嬉しいって言う資格無いぜ?」
孝弘は、元々あまり勉強しなくても出来る拓斗を茶化しながら言った。
「はっはっは。まあ、俺は授業聞けば覚えちゃうんだよ。」
拓斗もそれにふざけながら応戦する。
「羨ましい限りだぜ。ところで、拓斗は四日後の日曜日暇か?」
孝弘の電話からの声では、楽しそうに聞いている雰囲気が伝わってくる。
「俺に暇って聞くか?知ってるくせに。これから二ヶ月ほど春休みで暇だよ!」
拓斗は笑いながら、演技臭く答えた。
「うん。知ってて聞いた。さて、問題です。春と言えばなんでしょう?」
孝弘は、クイズ番組の司会者のような口ぶりで聞いた。
「そりゃあ、孝弘。去年も行ったもんなぁ。答えは、花見原付ツーリング!」
拓斗は、「行ったもんなぁ」までをテンションを落とし、
ツーリングでテンションを上げて答える。
電話の奥では、孝弘の笑い声が聞こえている。
「当り!拓斗、日曜日は花見原付ツーリングに行こうぜ!」
孝弘のテンションも上がってきている。
「勿論!!でも、桜ってまだ咲いてないんじゃないのか?」
「拓斗…。君は花見は桜だけと思っているのか?君のアパートの隣見てみろよ。何か咲いてるだろ?」
拓斗は孝弘に言われるまま、ベランダに出で外を見渡す。
ほんの少しだけ肌寒い風邪が頬を掠めた後、隣から微かな、それでいて芳しい甘い香りが流れてきた。
「孝弘、分かった!梅の花見だな!」
「正解。最近じゃあ梅の花を改めて見るなんて少ないが、昔は良くあったみたいだぜ?そもそも、花見は奈良時代には桜を見るんではなく梅の方が主流だったんだ。
まあ、派手な桜に変わってしまったが梅の美しさは変わらないもんさ。
まあ、もっと言えば花実の起源なんてものは…」
孝弘は長々とウンチクを垂れていたが、拓斗は適当に相槌を打ちながら最後は、
「なるほどぉ。」
と締めた。
199 :
774RR:2008/03/25(火) 21:36:41 ID:5Fl2+n2a
「お前、聞いてないだろ?」
孝弘が冗談めかして怒りながら言うと、拓斗は「まあね」と笑いながら答えた。
「ああ、あと鈴木もくるよ」
と孝弘が言うと、拓斗は「まあ変わり映えしない、いつものメンバーだな」とニヤついて答えた。
そして、二人は日曜日の約束を確認し電話を切った。
電話を切った後、又テレビのリモコンに手を伸ばし電源を入れようとすると、今度は玄関のアラームが鳴った。
「今日は、電話やら客やら忙しいなぁ。」
拓斗はそう呟きながら玄関に向った。
返事をしながら玄関を開けると、そこには拓斗の彼女川崎佳代(カワサキ カヨ)が立っていた。
「おお、佳代。いきなりだね!」
拓斗は少し驚きながら笑顔を作った。
しかし、佳代はニコリともせずに俯いている。
「あれ?どうしたの?まあ、上がってよ」
そう言って、拓斗は玄関の戸を目一杯に広げて招きいれようとした。
やはり、佳代は家には入らず俯いている。
「佳代、どうしたんだよ? 何かあったのか?」
拓斗がそう聞くと、佳代は目を潤ませながら、
「ゴメン! 私、もう拓斗とは付き合えない!」
そう言って走り去ってしまった。
拓斗の部屋はアパートの二階にあり、そのアパートの向かいにも一軒のアパートがある。
だから、階段の音、歩く音が反響してよく聞こえる。
佳代の足音も例外なく良く響き、足音から走りながら離れていくのが解るほどだった。
拓斗は、一人玄関口に取り残された形となった。
拓斗と佳代が出会ったのは丁度、半年前。拓斗が所属している、飲み会とコンパが主な活動のバトミントンサークルでのサークル内恋愛だった。大学独特の、いつの間にか友達だった異性の友達と恋人関係に成っている。
そんな、ありがちな馴れ初めだった。
そんな事で出来た彼女も、居るのが当然になり、拓斗本人も気付いては居なかったが、良い心の支えとなっていた。
その彼女に突然フラれ、拓斗はその別れの唐突さと別れたショックから頭が真っ白になっていた。
それから三日間、拓斗は家でゴロゴロしているわけである。
200 :
774RR:2008/03/25(火) 21:37:02 ID:5Fl2+n2a
拓斗は、24km/h超過の交通違反切符をベッドの上で寝転がりながら見ていた。その切符を財布にしまうと、寝返りを打ち、手を伸ばしてベッドの隣の窓を開けた。やはり、相変わらず梅の花の良い香りが漂ってくる。
深く息を吸い込み、ゆっくりと吐く。すると、いきなり振られて気付いてはいなかった寂しさや悲しさ、そんな物が心の栓を抜き、結晶となって目から溢れ出て、こめかみへと流れ落ちる。部屋には、嗚咽と春の爽やかな風の音だけが響いていた。
その時であった。拓斗の部屋に二人組みが近づいてきて居るのが解った。その足音は、鉄製の階段を駆け上がり、ふざけながら近づいて来る。その二人組みは部屋の前でピタリと止まりチャイムを鳴らした。
拓斗は、起きようともせずに、少しだけあけた窓から見える網戸越しの景色を、目を赤くしながら見つめていた。
「おーい!拓斗!」
「明日の前哨戦も兼ねて、今日もツーリング行こうぜ!」
声の主は、孝弘と四日後、つまり明日一緒にツーリングに行く予定の鈴木裕樹だった。
それでも、拓斗はさっきから微動だにしない。
「あ〜あ、居ない見たいだなぁ。」
演技臭く孝弘は裕樹に話しかける。
「だなぁ。残念。今日は二人で出かけるか!」
裕樹も演技のように話した。
そして、足音は階段を降りていった。
一つ妙なのは、階段を下りる音はしたが、離れていく音がしなかった事だが拓斗はやはり気にも留めていなかった。
201 :
774RR:2008/03/26(水) 00:04:17 ID:38qGW3I5
うほっwwwwww
202 :
191:2008/03/26(水) 00:12:11 ID:YQUFn8NY
あんまり連投したら、アク禁されそうで怖いです。
とりあえず、第二話をアップしてみました。
203 :
774RR:2008/03/26(水) 00:13:12 ID:BaQiFo2O
204 :
191:2008/03/26(水) 00:20:59 ID:YQUFn8NY
>>203 支援本当にありがとうございます!おk!では、三話をうpさせていただきます。
「オイ、絶対アイツ居留守してるよな」
拓斗の部屋はマンションの二階にあり、その真下に裕樹の部屋は位置している。
拓斗の部屋を訪ねた後、裕樹と孝弘の二人は裕樹の部屋に入った。
孝弘は、寝転んでバイク雑誌に目をやりながら、そう言う。
珈琲メイカーに、珈琲のろ紙と珈琲豆をセットし水を入れた後、後ろのスイッチを押す。
その後、小さく息を吐き顎を人差し指で掻きながら裕樹は、そうだなと答えた。
「だって、拓斗の愛車がガレージにある。これは居留守に違いない」
そう続ける。裕樹は、何度か頷きながら話を聞いていた。
裕樹は、一人暮らしの大学生には不似合いの本格的なCDコンポのボリュームツマミを、
ゆっくりと左に回した後、電源を入れる。
「ロックとジャズどっちが良い?」
そう聞くと、孝弘はすぐに、ロックと答えた。
CDラックからGansN'Rosesのアルバムを手に取り、コンポに入れる。
Welcome to the jungleのギターリフが流れた後、アクセル・ローズのハスキーボイスが響く。アメリカのミュージシャンには珍しい事ではないが、
破天荒な性格で多くの問題を起し裁判とライブに忙しい。
80年代にリリースされた楽曲ではあるが、そのカリスマ性や音楽性は今聴いても色褪せては居ない。
「なあ、この部屋から拓斗の部屋に忍び込もうぜ!」
こんなことを言い出すのだから、孝弘も中々の破天荒振りである。
「じゃあ、この珈琲は拓斗を連れ出してから飲むとするか」
裕樹は、珈琲メイカーの保温ボタンを押しベランダを開けた。
二人はベランダに出ると孝弘は手すりに足をかけ、二階のベランダ、つまり拓斗の部屋のベランダ
の床に手をかけると手の力だけで上がろうとするが、力足りず、足で手すりを探し一段落ついた。
「おいおい、大丈夫か?気をつけろよ」
裕樹が声をかけると、孝弘は大丈夫、とサムアップし反動をつけて二階の床に足を掛け上
がって行ってしまった。
裕樹は部屋に戻り、やれやれと言った感じで床に座った。
205 :
191:2008/03/26(水) 00:22:09 ID:YQUFn8NY
続き
拓斗のベランダの侵入に成功した孝弘は、拓斗のベランダのドアを開ける。
そこには、ベッドで目の周りを赤くして寝ている拓斗が居た。孝弘は、ベッドに座り拓斗を揺すった。
「佳代?佳代!?」
そう言いながら飛び起き、孝弘に抱きついた。孝弘は驚き、避けようとしたがコンマ一秒遅く
拓斗の腕の中に収まってしまった。拓斗は寝ぼけたままのようだ。自分の彼女の名前、
いや、元彼女の名前を呼び孝弘の口に接吻をした。
孝弘は、吹きだし、拓斗の腕の中からげん骨を食らわした。
「痛ぇ……。佳代、何するんだよ?」
拓斗は頭を摩りながら喋ている。しかし、目は閉じたままだ。
「いい加減に目を覚ませ!」
孝弘が拓斗の肩を叩くと、拓斗は半目を開け目の前に居る人物を確認した。
「あれ?あ…オイオイ!なんで、孝弘が!?どこから!?」
混乱していたので、孝弘は部屋のテーブルに腰掛、開いた窓を指差した。
「また、ベランダから入ってきたのか……。悪いが今日はもう帰ってくれ」
拓斗はそう言いながら孝弘を玄関まで押していこうとすると、孝弘は拓斗に向きかえる。
「ツーリングってなると何があろうと行くお前だったのに。今日は何があったんだ。お前らしくないぜ?」
「べ…別に。」
「別にって顔じゃないな。別になら、目じりに涙の跡なんて付かないしな」
そういって、孝弘は拓斗の顔を覗き込む。
「何かあったんだろ?俺ら、もう一年の付き合いになる。原付だけどツーリングも沢山してきた。
それだけ長い付き合いの友達だ。言ったら少しは楽になるんじゃないか?
助けにもなれるかもしれないしな!」
拓斗は、少し考えて話そうとした。その時、孝弘はまあ待てと止める。
「相談相手は多いに越したこと無いだろ?裕樹の部屋で話そうぜ」
そういって裕樹の家で話すことにした。
裕樹の部屋で流れていたGansN'RosesのアルバムはすでにNightrainのトラックに入っていた。
裕樹は椅子に座り足を組みながらバイク雑誌に目を通していた。珈琲の香りが部屋一面に行き渡っている。
206 :
191:2008/03/26(水) 00:23:42 ID:YQUFn8NY
続き
そんな中、玄関から孝弘と拓斗が入ってきた。裕樹はそれを一瞥すると、「お帰り」と一言。その後、GansN'RosesのアルバムをJAZZのJamie Cullumのアルバムと入れ替えた。落ち着いた雰囲気の曲
These Are The Daysが流れる。そして、珈琲カップを開きから取り出し、珈琲メイカーの前に置いた。
その間、孝弘と拓斗は、テーブルを囲んで座る。拓斗は、jazzの流れるスピーカーをぼぅっと見つめている。それに対し、孝弘は珈琲メイカーを見たり部屋を見渡したりと、落ち着かない様子だ。
裕樹は、ブラックの珈琲二杯と砂糖と牛乳のたっぷりと入ったカフェオレを一杯作った。
ブラックの珈琲を孝弘の前に置きカフェラテを拓斗の前に置いた。孝弘は「サンクス!」と言い一口飲む。
裕樹は自分の分の珈琲を持ってテーブルに向った。
「まあ、飲め。牛乳と砂糖は気分を落ち着かせるからなぁ」
拓斗は、目の前のカフェラテをごくりと飲む。口に入れた瞬間に甘さが全体に広がり、
飲み込んだ後温かさが喉を伝わる。その後、珈琲の芳香が鼻をくすぐる。拓斗は深く息を吐いた。
「落ち着いたか?」
裕樹がそう聞くと、拓斗は小さく頷いた。
「で、何があったんだよ?俺たちに相談出来ないことなんてないだろ?」
孝弘がおちゃらけて言う。どうやら、彼は場を盛り上げて元気を出させようとしているようである。
裕樹はそれを片手で制した。
「まあ、大変な事があったんだろ。ゆっくりで良いし、言いたくなければ言わなくてもいい。
俺たちは、ここに居るからさ」
裕樹はそういうと、またさっきのバイク雑誌に目を通した。孝弘はつまらなそうに、
寝転んでかかっているCDのジャケットを眺めたり、バイク雑誌に目を通したりしていた。
そのまま、数十分立った時である。拓斗は今まであったことをポツリポツリと話し始めた。
孝弘は飛び起き興味津々と話を聞いている。裕樹は、バイク雑誌をテーブルの隅に置きそれに耳を傾けた。
それを話し終わり、拓斗は一息ついた。
「つまり、三日前突然別れを言い出した彼女が、さっきスーパーで大紀先輩と歩いてたってわけだ」
一通り聞いた後、裕樹がまとめた。
「なんか、色々あったみたいだなぁ、ところで、大紀先輩ってだれ?」
孝弘が、裕樹に聞く。
207 :
191:2008/03/26(水) 00:26:02 ID:YQUFn8NY
「拓斗のサークルの先輩だよ。」
孝弘が「ふーん」と頷く。裕樹は拓斗に向き直る。
「大紀先輩がそんな人とは思えないがなぁ。しかし、だからこそ女性は惚れるのかもなぁ。
拓斗、こればっかりは大紀先輩に聞いてみないと分からないよ」
「そんなこと分かってるさ。でも、怖くて出来ないよ。こんな事初めてだ」
拓斗が呟く。
「なあ、裕樹。ところで、大紀先輩ってどんな人?」
裕樹は拓斗と同じバトミントンサークルに一度入った事がある。
今は、あまりに飲み会の多さとレベルの低さに飽き飽きし一ヶ月で辞めてしまったのだが。
それから、孝弘が作った原付同好会に入ったのであった。
そんなすぐ辞めた裕樹に最後まで優しく接してくれたのが大紀先輩だった。
「そうだなぁ。jazzが好きだったなぁ。特にoscar petersonが好きだった。
あと、乗っているバイクはKATANA1100。旅もよく行ってたみたいだし、サーキットにも通ってた。
あと、バトミントンも凄く上手かったなぁ。
頭もよかったみたいだしね。少なくとも、あのサークルの中では一番イカす人だと思うよ。」
「音楽の趣味は知らんが、兎に角無敵超人ってこと分かったよ。
しかし、それを拓斗の前で言わなくても……」
「聞かれたから答えただけさ。というか、拓斗本人が一番分かってる。だろ?だから傷ついてるんだろ?」
拓斗は、無言で頷いた。
「さて、どうするか。拓斗の彼女の真意が知りたいな」
裕樹が腕組をしながら言った。
「本人に聞けば一番早いじゃん」
孝弘が、携帯電話で佳代に電話をかけながら言った。
裕樹と拓斗が目を丸くして孝弘を見た。それから、拓斗は携帯電話を奪おうとしたが、
孝弘はベランダに逃げてしまった。そして、意外に早く電話はつながる。
「もしもし、佳代ちゃん?」
電話には、暗い声をした佳代が出た。
「…もしもし。」
拓斗もベランダに行き、孝弘に掴みかかったが、当の孝弘は人差し指を口の前にやりニヤリと笑った。
「元気ないねぇ。何かあった?」
208 :
191:2008/03/26(水) 00:27:37 ID:YQUFn8NY
三話うp終わりです。
ちょっと風呂に入ってきます。
209 :
191:2008/03/26(水) 00:30:23 ID:YQUFn8NY
何故か続きがアップできません。
210 :
774RR:2008/03/26(水) 00:50:22 ID:j4nhA0Or
紫煙
211 :
191:2008/03/26(水) 00:54:56 ID:YQUFn8NY
「え?拓斗と別れてさ……」
落ち込んでいる様子で佳代は答えた。
「それっていつ?」
孝弘は真剣な声で聞いているが、顔はニヤついている。なにか企んでいるようだった。
「三日前。拓斗と別れたんだ」
「ああ、だからスーパーに違う彼氏と居た訳ね」
「あ…あれは…。ってか、どこでみてたのっ!?」
佳代は焦って聞いた。それを孝弘は落ち着いた声ではなす。
「ははは、大丈夫。拓斗には言わないからさ。それに、俺も拓斗とは仲悪いんだ。
今もその件で電話したんだしね」
それを言い終わった後、孝弘は携帯の話すボタンを長押しにしオンフック設定にした。
「どうしたの?」
212 :
191:2008/03/26(水) 00:55:40 ID:YQUFn8NY
佳代の電話の声が携帯電話のスピーカーから流れてくる。オンフック設定により、
その声は拓斗にも裕樹にも聞こえる。
「あいつスゲェ中途半端じゃん?一緒に居てつまんないしね。
ツーリングもすっぽかすし、だから、
ちょっと彼女である佳代さんから言って欲しいって頼む為に電話したんだけれど……。
もう別れてるんだね」
孝弘はやはり、ニヤニヤしながら言い放つ。拓斗はそれを困惑しながら見ていた。
そして、孝弘は続ける。
「ところで、佳代さんは何でアイツとわかれたの?
まあ、つまんない奴だしね。分からんでもないけれど」
孝弘が笑いながら言うと、携帯のスピーカーから、佳代の声が答える。
「アイツ、本当につまんないんだよね。何かに一生懸命になるって事を知らないって言うかさ。
特に努力もしないで出来るみたいだけれど、それに何の意味があるんだろうね。
最近、それが嫌いになってきてて……
それで、サークルのある先輩と比べてしまったらこれ以上付き合えない。そう思ったんだ」
「そうなんだ。佳代さんのお陰ですっきりしたよ! アイツ最低だな! つまんないし」
そうは無しを合わせた後、適当に話をして電話を切った。
三人誰も話そうとしなかった。
213 :
191:2008/03/26(水) 00:57:39 ID:YQUFn8NY
風呂上がった後、再試行すると出来ました。
何だったんでしょうか……。
>>210 支援ありがとうございます。
読んでくれて本当に感謝です!
214 :
774RR:2008/03/26(水) 01:05:41 ID:u+knA1fJ
貴方が良いのなら、別に問題ないのかもしれない
それでも貴方のためを想って、一人の言葉があったことだけは覚えていてほしい。
8話も書き溜めたならゆっくり行けよ、書きながら時間をかけて上げればればここの住人も喜ぶ。
だけど、ひととき時間が空くと急に叩き出す連中だっているんだ。
貴方がよい作品を上げてくれるのだから、、、、
続き、(,,゚Д゚) ガンガレ! C
215 :
191:2008/03/26(水) 01:37:23 ID:YQUFn8NY
>>214 ありがとうございます!!
そんな良い言葉を僕なんかが貰って良いんでしょうか……。本当に感謝です。
やる気が出ます!!
みんなのそんな言葉が嬉しくて、ドンドン投下してしまうんですよw
216 :
774RR:2008/03/26(水) 05:18:45 ID:qt2yR+2F
読むなって言われたらそれまでだけど、句点の多さが目につきました。
でも続き期待してます。次は日曜日?
217 :
774RR:2008/03/26(水) 05:54:36 ID:7Zd2vFq6
カフェオレとカフェラテどっちなんだよ
218 :
191:2008/03/26(水) 09:10:02 ID:YQUFn8NY
>>216 確かにそうです!句点に注意して読み直して見ると、ちょっと気になる多さですね。
「主語の後ろは句点をつけて…。あ、ここも点をつけたほうが読みやすいかも!」
なんて言いながら書いていったので、句点が増えたのかもしれません。
>>217 名詞の統一は基本ですよね…。ブラック珈琲とBlack珈琲と二種類あったり、推敲の時点で
いくつか直したのですが、まだ残ってたみたいです。
添削本当にありがとうございます。自分ひとりや知り合いに見せる程度では分からなかった
課題が、ドンドン出てきて嬉しい限りです。
これからも、よろしくお願いします。……ってちょっと図々しすぎですかねw
219 :
191:2008/03/26(水) 09:27:21 ID:YQUFn8NY
>>216 今日から、ちょっと忙しくなるのですが(こんな時間に書き込んどいてよく言いますよねw)
第四話は夜なべしてでもうpしますよ!
220 :
774RR:2008/03/26(水) 18:12:49 ID:JqsVVWPY
とりあえず
つC
続きが気になるぜ
221 :
774RR:2008/03/26(水) 20:06:22 ID:9jULOxiV
スクーピーガンガレ
222 :
774RR:2008/03/26(水) 22:39:47 ID:sd6tNkax
C 楽しみにしてます (・∀・)
223 :
191:2008/03/26(水) 23:08:06 ID:YQUFn8NY
>>220・221・222
今日一日お疲れ様です。
自分も漸く一日が終われそうです。
いや、九話を書かなければいけないから、終われそうに無いか…
支援・応援ありがとうございます。第四話うpしますね。
224 :
191:2008/03/26(水) 23:11:12 ID:YQUFn8NY
佳代から別れた理由を聞いた後、拓斗は自分の部屋に帰った。裕樹の部屋には裕樹と孝弘の二人だけが
残っていた。
「ちょっと、悪い事したなぁ」
孝弘がそう呟き俯いて、携帯を見つめた。
「まあ、確かに良いことはしていない。だが、いつかはどこかで知ることになるだろ。それが早いか遅い
かさ。気にすることは無いと思うがな」
裕樹は孝弘の背中を軽く叩き、床に座った。孝弘も床に座りながら神妙な表情をしている。
「だから、やってしまったことは仕方ないさ」
裕樹が優しく言うと、孝弘は首を振り答えた。
「いや、明日の花見ツーリング行けるかどうかが気になってさ」
「孝弘、少しは反省しなよ?」
裕樹は少し笑いながら言った。
一方、拓斗は部屋に戻りバイク雑誌を読みながらベッドに寝転んでいた。バイク雑誌の写真だけを眺めて
ただパラパラとめくる。すぐに一冊終わってしまい、今度は携帯電話を眺めた。携帯のアドレス帳の佳代の
ページを開き、個人データの生年月日や血液型を眺める。ネット上の相性占いに、そのデータを書き込み自
分との相性を占う。結果は“相性抜群!でも、努力しないと報われません”と書いてあった。大体、この手
の占いは楽観的な結果と厳しい結果を繋げて載せる。占いが何となく当たっている気がするのはそのためだ。
拓斗はそれを眺めた後、電源を切り携帯電話を床に置いた。
「つまんない男……か」
そう呟き、天井を眺めた。
孝弘も裕樹も彼女は居ないが何だかんだでモテている。スポーツの授業やテスト前になると、拓斗は周り
からチヤホヤされた。一生懸命しなくてもサッカーではフォワードに押し上げられ、ポイントゲッターとな
り、テスト前では、当の本人はあまり勉強していないのに、それ以上勉強している友人や女の子が勉強を聞
きに来た。何となく、一般以上には人気はあったが、その二人とは何か根本的に違っていた。
その根本的なものが、拓斗には何かわからなかった。
孝弘は勉強やスポーツは人並みだったが、何よりも一生懸命していた。裕樹はスポーツはあんまりだった
が勉強はよく出来ていた。そして、なにより趣味がjazzだったり珈琲だったりとしていた。
そして、なにより二人は原付でもバイクが好きであった。
225 :
191:2008/03/26(水) 23:12:07 ID:YQUFn8NY
天井を眺めているといつの間にか寝てしまったようで、あたりは真っ暗になっていた。手で部屋を探りな
がら電気をつけ、時計を見ると夜の7:00。どうやら、5時間ほど寝てしまったようだ。そのまま親の仕送り
のカップラーメンを食べ、適当にテレビをみたり風呂に入ったりと時間を潰し眠くなるのを待った。四時間
ほど経って瞼の重力が大きくなるのを感じ、また眠りに落ちていった。
朝起きて、窓から駐輪場を見ると裕樹の愛車であるSUZUKI・Let's4が無かった。拓斗を残して花見ツーリ
ングに行ってしまったらしい。窓から、scoopyだけが残されている駐輪場を眺めながらポケットの中の携帯
電話を取り出す。携帯電話のバックディスプレイを見ても時刻を表示しているだけで着信・メール履歴は無
かった。
「一応、起こしてくれても良かったのになぁ」
そう呟き部屋に戻る。そして、ベッドに座りながら
「っま、誘われても行かなかったけどな」
また、独り言を呟く。
一方、裕樹と孝弘はそれぞれLet'sとYAMAHA・Jogに乗って岡山から国道2号線を南下し、国道184号線に
乗り換える。それから10kmほど走った所の右手に見える味平で尾道ラーメンを食べていた。ラーメンの醤油
味に隠れた小魚の風味を麺に絡め豪快にすする。すすった麺を何度か噛み、飲み込まない内にスープを口に
入れる。それを飲み込んだ瞬間に口から鼻に抜ける香り、喉を麺が流れ落ちる感覚。それらを一度に味わい
溜息を一つ。
「うまい!」
裕樹とテーブルで向かい合って座っている孝弘が、一口食べてから言った。
「ああ、確かに旨いな。流石、ツーリングマップルに載っているだけはある」
相槌を打ち、裕樹は二口目の麺を口に入れた。孝弘は、ラーメンに目を遣りながら何度か頷いた。そして
、ラーメンの麺を箸で掴み上下に動かし冷ましながら、孝弘は言う。
「なぁ、拓斗置いて来て良かったのか?」
「ここに来るのに4時間以上かかっているんだ、もうどうしようもないだろ」
裕樹は笑いながら言い、また続ける。
「それに、俺は明日から実家に帰って家の喫茶店の手伝い、孝弘も実家に帰ってバイト。その前の打ち上げ
的なツーリングなんだ、拓斗が来たら台無しになるだろ。それに、昨日の今日じゃあ、誘っても来ないだろ
うしな」
226 :
191:2008/03/26(水) 23:12:59 ID:YQUFn8NY
「裕樹は、落ち着いてるように見えるけど、結構言うねぇ」
孝弘は驚いた様な表情をして言った。裕樹は少し黙った後にラーメンから孝弘に目線を移し言う。
「まあ、本当の理由は……。あいつに今必要なのは友人の優しさじゃなく厳しさだからかな」
頭の上にハテナマークを浮かべている孝弘をよそに、裕樹は少し考えた後口を開いた。
「今日、ツーリングから帰ったら、拓斗の家に集まろう。良い考えがある」
孝弘は首をかしげていたが、麺が伸びると裕樹が言うと、ハッとして残りのラーメンを全て食べた。
原付ツーリングはキツイ。走行速度30km/h、飛ばしたとしても精々50km/hである。それに信号待ちなんか
を入れれば、ツーリングの殆どの時間を走りに使ってしまうことになる。この二人も例外に無くそうなって
いた。この尾道でラーメンを食べるのが目的になってしまった様な物である。しかも、50tという極めて小
排気量で小さい為どんなに壮大なツーリングをしていても荷物をメットインに積んでしまえば、ちょっと変
わった地名のナンバープレートをしている地元の人に見られてしまう。それ以上に、原付ツアラーも少なけ
れば、原付ツアラーに話し掛けようなんて思う中・高排気量ライダーもそうは居ない。
原付ツーリングは孤独である。トラックからは挽肉にされる危機を持ってこられ、警察からは良いカモと
してただでさえ少ない免許証の点数を狙われている。街行く人は地元の人と勘違いし話しかけず、ライダー
にも冷たくされ、ツーリングするなら中免取れとか訳のわからない説教をされるのだ。
この二人もその例外ではなく、ラーメン屋の主人からは原付を見ても何も言われなかった。バイクだった
ら言われたという保障は出来ないが……。
二人はそれからまた長時間かけて家に戻った。その時にはもう、暗くなっていた。Let'sとJogをScoopyの
隣に置き、拓斗の部屋に向った。
227 :
191:2008/03/26(水) 23:13:58 ID:YQUFn8NY
チャイムを数回押すと拓斗が出てきた。寝ていたらしく、あくびをしながら目を擦っている。裕樹が入っ
て良いかと聞くと、拓斗は二人を家に招きいれた。裕樹は部屋の床に座り、孝弘はベッドに腰を下ろした。
さっきまで眠そうだったがツーリング帰りの爽やかな彼らの顔を見て、拓斗は少々不機嫌になっていた。
「なんで、ツーリング誘ってくれなかったんだよ」
拓斗が二人の顔を見ながら言う。孝弘は悪ぃと言って頭を掻いた。裕樹は拓斗の目を見ながら言う。
「誘っても来なかっただろ?」
拓斗は言い返す。
「そりゃあ、そうだろ!こんな気分で行けるかよ!」
「じゃあ、俺たちに断られる為に誘えって事なのか?」
裕樹は拓斗の目を見つめゆっくりと喋る。拓斗は、裕樹が言い終わった後、視線を逸らせて黙ってしまった。
孝弘も裕樹も拓斗も黙ってしまった。その沈黙を裕樹の溜息がかき消す。
「俺も孝弘も明日実家に帰るんだ。拓斗はどうするの?」
裕樹は溜息のあと言った。拓斗は困惑した表情をした後話す。
「いや、俺の実家はこの県内だから、もっと後に帰るかな」
「バイトはしないのか?」
「親からの仕送り結構溜まってきてるから、しないかな」
「じゃあ、何か予定あるの?」
「気が向いたら実家に帰って…。それ以外は特には無いかな」
拓斗がそう答えた後、そっか、と一言裕樹は呟いた。そして、拓斗を諭すように話し始めた。
「拓斗が振られた理由ってそういうところだと思うな。何かするでもなくダラダラと過ごして、それで金が
溜まって。でも、それでも何もしない。俺が彼女なら、やっぱり退屈で別れたくなるだろうと思うよ」
裕樹がそういった後、拓斗は拳を握り締めていた。
「なあ。拓斗、そりゃあ面白くないよ。お前が一番分かっているんだろ?全てにおいて何でも出来るとか言
ってるが、それは自分が出来る範囲のことしかしてないからだ。サッカーだって、勉強だってそうじゃない
か。サッカーは初心者を相手にしてるから上手く見えるだけでサッカー部の輩と比べたら劣るだろうし、勉
強だって然りだ」
裕樹がそう続けた後、拓斗は裕樹の胸倉を掴んだ。
「なんだよ。本当の事言われてカッとなったか?」
228 :
191:2008/03/26(水) 23:14:44 ID:YQUFn8NY
裕樹は拓斗を睨みつける。孝弘は、二人の間に入り殴り合いに発展しないようにひきはなそうとする。少
しの間その睨み合いは続いたが、孝弘が力を入れて引き離すと拓斗は手を離し、孝弘に押された反動で床に
座り込んだ。
「裕樹も、拓斗も冷静になれよ!」
拓斗は床に座り込んで俯いている。裕樹はそんな拓斗を厳しい目で見つめている。その後、裕樹は孝弘を
みて言った。
「今俺たちがしなきゃいけないことは、慰めることじゃない。だからと言って放っておくことでもない。ラ
ーメン屋で話したよな」
孝弘は少し考えて頷き、拓斗を見て言う。
「拓斗、俺は裕樹も拓斗も親友だと思ってる。だから言うぜ?今のお前じゃあ駄目だ。拗ねてばかりいるだ
けじゃあな。だから、変わって欲しいんだ」
拓斗はポロポロと涙を流し始めた。手の甲で涙をぬぐいながら二人に向って叫ぶように言った。
「じゃあ、どうすれば良いんだよ!」
それを見て、裕樹が口を開いた。
「この春休み。自分には出来ないようなことに挑戦して見ろ」
「例えば、なんだよ!部活に入ってサッカーでもしろって言うのかよ!」
裕樹はジッと拓斗を見つめる。
「確かに、それも良いかもしれない。でも、もっと良いことが有る。拓斗、旅をしなよ。一人で」
「え?」
裕樹の唐突な提案に、拓斗は唖然としている。そんな拓斗を尻目に裕樹は続ける。
「旅をして、色々と自分のことについて考えてくると良い」
「でも、どの辺を?」
「そうだなぁ。手始めに原付で四国を一周なんてどうだ?」
あまりの突然さに拓斗は涙も引っ込んでしまった。
「……行ってみようかなぁ」
拓斗は考えながら呟いた。
「行ってみるんだな?よし!じゃあ、決まりだ!明日から行け!」
「ちょっと……、まだ行くとは決まってな…」
拓斗がそう言いかけた時、孝弘は拓斗の肩をぽんと叩いた。
229 :
191:2008/03/26(水) 23:15:11 ID:YQUFn8NY
「ここまで言って、行かないとか言ったらかっこ悪いぜ?」
「マジかよ!」
拓斗が、頭を抑えながらショックを受けている。それを見て裕樹と孝弘が笑う。そして、笑っている二人
を見て拓斗も噴出す。三人はいつもの三人に戻っていた。
次の日、早朝から孝弘と裕樹は実家の方へ帰って行った。
拓斗はホームセンターに行き、テントや寝袋など、裕樹と孝弘に旅に必要な物を教えてもらい買い揃えて
いた。
230 :
191:2008/03/26(水) 23:21:28 ID:YQUFn8NY
四話うp完了です!m(_ _)m
231 :
774RR:2008/03/26(水) 23:26:44 ID:QqRUVFbq
乙っす
おらワクワクしてきたぞwwwww
232 :
774RR:2008/03/27(木) 00:51:45 ID:5A2LqW9i
233 :
774RR:2008/03/27(木) 01:06:07 ID:aerfUDK1
旅っていいよね
若さだけで結構色々出来ちゃうのが学生なんだよね
俺は大学行ってないけど
234 :
191:2008/03/27(木) 01:15:12 ID:5N3fOkZf
>>233 ええ、良いですよね!
大学に行かなくても旅は出来ますよ。関係ないです!
すいませんが、短編を一本うpしてもいいですか?
235 :
774RR:2008/03/27(木) 02:09:45 ID:W65Ec/2V
尾道ラーメンを食べたくなってきたw
短編長編どんとこい
>>235ありがとうございます。では、お言葉に甘えてうpさせて頂きますm(_ _)m
夜の十一時、クーラーの効いた電車のソファに座り、ただぼんやりと外を眺める男が居る。
彼の名前は、飯田士郎。有名大学を卒業し一流商社と言われる今の職場に勤めだしてから、もう三年目と
成った。三年間働いて来たが、今まで残業が無かった日が無い。いつも、朝6時に起きて満員電車に乗り8時
に出社する。そして、大体この時間の人の少なくなった電車に乗って家路に着くのである。
その生活に疑問を持っていない訳ではなかった。安く仕入れた商品を高く売る。ただそれだけの事に空し
さを感じていないわけではなかった。そのプロセスに有る人と人との触れ合いが楽しくないわけではなかっ
た。
しかし、このままでは自分が自分でなくなるようで。それが怖かった。「会社に勤めてキツイのは三年間
だ。三年間で慣れる。」そんな風にいろいろな人から言われ続けた。でも、これは会社に慣れる。では無く
、会社にあった自分に成れる。という意味な様なきがした。
そんなことを考えていると、電車は士郎の家の最寄の駅に停まった。定期を財布から出し、電車から降り
る。夏特有の水分を多く含んだ暑苦しい風が、冷房の効いていた電車内に慣れた体にまとわり付く。背中か
ら粘度の高い不快な汗がしみ出る。
定期を通し、駅を出る。帰り道の途中でスーパーにより半額のシールの貼られた惣菜をいくつか買って家
に着いた。壁際のベッドの隣にCDラックが置いてあるが酷く誇り被っており、もう長い間触っていない事
が伺える。洗い場には洗われた発泡スチロールの惣菜トレイが積んである。部屋にあまり居ないせいか、部
屋自体に活気が無い。そんな部屋に帰ると、上着をベッドの上に載せ、テーブルの上に惣菜を置いた。
家でそれらを電子レンジに居れ温める。晩御飯の惣菜を腹に入れ、風呂に入り眠りに付く。
三年間、いつもその繰り返しだった。
しかし、今日は違った。携帯に着信履歴があった。どうやら、夕方に着信があったようだ。着信履歴なら
、三年間で何度もあったが、大学の友人である林則之からの着信は久々だった。
時間的に、電話をかけなおそうかと迷ってしまう。会社に勤めると、早く連絡した方が良いというわけで
はない。いくら電話に出なかったからと言って、こんな深夜に電話をかけるのはあまり良いことではない。
すなわち、マナー違反なのだ。
それを考え、電話を一度置いた。しかし、ビジネスマナーなんかを考えている自分が嫌になり、また電話
を手に取り友人にかけなおした。
夜の十二時近いと言うのに、友人はすぐに出た。
「もしもし、久しぶり。今日電話しただろ?」
「おう、久しぶり。ああ、まあね。頼みがあってさ」
「頼みって言うと?」
「まあ、それは後で良いとして、お前なんかあった?」
則之は、怪訝な声で聞く。
「え?どうして?」
「変に、ビジネスマンみたいな喋り方になってるぞ」
確かにそうだった。今まで電話対応、マナーなどが必要なビジネスの世界に身を置き過ぎて、そっちに慣
れてしまっている自分が居た。
電話応対では聞き取りやすい単語を選び、比較的ゆっくりと喋る。それが癖になってしまっていた。
「そうかもなぁ」
「そうかもなぁ。じゃなくて、そうだよ。まあ、会社に勤めて三年もしたらそうだろうなぁ。」
士郎は、最近その自分の変化に嫌気が差していた。そして、それは昔の友人ならば気付くほどの変化であ
ったことがショックだった。
「俺は変わったのかもなぁ」
電話口で呟く。
「まあ、仕方ない。仕事に慣れたら嫌でもそうなるさ。それはそれとして、士郎。お前バイク欲しくないか
?」
「バイク?なんでまた?」
「俺も仕事ばっかりでさ。時間は無いけれど金がドンドン溜まってきたんだ」
「それで?」
「俺たち、大学時代はバイクばっかり乗ってただろ?あの時のバイクを長い間放置してたら調子が悪くなっ
てさ、もし時間が出来た時の為にバイクを修理しようとバイク屋に持ってたんだ。」
「それは、いい考えじゃないか」
「でもよ、金があると要らん欲が出てくる物で、修理せずにバイク屋に展示してあった新車を買ってしまっ
たわけよ」
則之は笑いながら話した。
「まあ、成り行き任せのお前らしいな」
士郎も笑いながら相槌を打った。
「そこでだ、ジャンク品だけど、以前乗ってた俺のバイクを貰ってくれないか?」
「ええ?マジで言ってるのか?」
士郎は驚いて、声が裏返ってしまった。
「お前、あのバイク。CL400を凄く大事に乗ってたじゃないか」
士郎は続けて言った。
「だからだ。ただでさえ、バイクに乗る時間なんて中々無いのに、新車なんて買ったからCLに乗る時間なん
て皆無だ。そうなると、あのバイクは俺のガレージで朽ち果てるだけだ。そこで、お前に持ってて欲しいん
だ。勿論、修理は手伝うし、バイク屋に預けるなら修理代は払う。だから、頼む。勝手な願いとは解ってい
るが、お前が乗ってくれ」
士郎は少し考えて承諾した。
それから、色々と話すと則之は大会社の営業として朝から晩まで士郎と同じように働いている事、士郎の
アパートと則之のアパートは一駅分ほどしか離れて居ない事が解った。電話を切った後、則之は一駅分CL40
0を押して士郎のアパートに持ってきたのだった。
それからの数週間。仕事が終わり家に帰った後のわずかな時間を使い、則之と士郎のバイク修理の日々が
始まった。二人の目の下のクマは深くなったが、CL400は着実に調子を取り戻しつつあった。
バイクのシートを外し、タンクのねじを外す。それから、フューエルタンクとエンジンを繋ぐチューブを
外す。ビーカーにチューブに残ったガソリンを入れ、フューエルタンクを完全に取り外す。一日でそれくら
いしか作業が進まなかった。
これは、時間が少ない事も勿論あったし、作業が真夜中だったので頭に付けたライトしか光源がなかった
というのもある。しかし、一番作業が進まなかった理由は、二人がツーリングに行ったときの思い出話やバ
イクの話に花が咲き、ほとんど手を動かさなかった事にある。
二日目は、チェーンをエンジンの回転部から外し、エンジンを完全にフレームから下ろした。三日目は、
エンジンの中のエンジンオイルを抜き取り、分解した後灯油に漬けた。
四日目の朝。士郎は上司から注意されることが多くなった。寝不足で単純なミスが増えたからではない。
確かに、船漕いでしまうような瞬間は何度もあったが、三年も仕事をしていれば単純なミスはほとんどしな
い。怒られる理由は私語が多くなったからだ。以前は、必要なとき以外話はせずにもくもくと電話とビジネ
スライクな会話をするのみだったが、このところ、仕事はしているが趣味の話や笑い話を客や同僚にするよ
うになったのだ。職場が和気藹々とした雰囲気にはなったが、それが上司にはサボっているように見えたの
だろう。
仕事が終わり、家に戻った後、灯油に漬けたエンジンを則之と一緒に磨きながら、その事を話すと、則之
は大きな声で笑った。どうやら、則之も同じような事が起こっているらしかった。
エンジンが終わった後、組み立てなおし、フロントフォークのオーバーホール、リアクッションのオーバ
ーホールとこなして行った。全工程に二ヶ月ほどかかった。その間、睡眠時間が今までより二時間ほど減っ
たが、今までよりも充実していた。
とうとう出来上がった後、言い知れぬ寂しさと、達成感で胸が一杯になった。久々に感動した。二人は、
オイルまみれなのに、待った訓気にも留めずに抱き合った。目が潤んで、ただひたすらやった、やった。と
呟いた。
出来上がったCL400に新しいオーナーとなる士郎が跨り、キックでエンジンをかける。オーバーホールし
たてのエンジンはまだオイルが回っておらず始動し難い。汗だくに成りながら、何度かキックをした後、始
動した。
その久々のバイクの振動に、士郎は溜息を漏らした。則之はそれを見てずっと微笑んでいた。真夜中にそ
の音だったので、近隣住民は迷惑していただろう。近所迷惑を考えて五分ほどアイドリングした後、エンジ
ンを切った。バイクの音が止まったマンションの前は、蝉の声と遠くの国道を走る車の音だけが響いていた。
「なあ、ツーリング行こうぜ」
そう言い出したのは士郎だった。
「でも、会社はどうする?」
ちょっと困ったような表情で則之は答えた。
「有給休暇を貰おう」
「もらえなかったら?」
則之が聞くと、士郎は自信満々で答えた。
「そんな会社、行く必要ない。ずっとバイクいじってて思ったんだ。なんで、俺たち働いているんだろう?
って」
「そりゃあ、かねをかせぐためだろう」
「確かにそうだ。でも、俺も則之も十分な貯金があるじゃないか」
則之は、黙って考え込んでいる。
「俺たち、大学卒業したとき話したよな!いつか日本一周したいなって!」
士郎は続けた。則之は、だまって俯いて頷いた。
「今しか出来ないんだよ。これから、ずっとしたって大きな休みは貰えない。爺さんになって定年退職して
日本一周して見える景色と、今日本一周して見える景色は絶対違う!なあ、今しかないんだ!」
士郎が、則之の肩を掴むと考えさせてくれと一言、言って自分のマンションに帰って行った。
それから、一ヶ月二人は連絡を取り合わなかった。CL400は治りエンジンもかかるようになり、士郎も一
週間に一回くらいエンジンをかけるようにしている。
それから、今までの生活に戻っていった。満員電車に乗り、残業してかえる。すぐに寝てまた次の朝。そ
んな日々が繰り返された。
あれから、丁度一ヶ月経った時だった。士郎は、あの日々に戻ることが出来なくなっていた。そして、則
之から連絡は無かったが会社を辞めた。当然、有給休暇をくれなかったからだ。
辞めて見るとあっけないもだ。
マンションの窓から外を見ているとマンションの表からバイクのアイドリングの音に気付いた。
部屋を出てバイクの音のするほうを見ると、SR400に乗った士郎がマンションの出入り口にバイクに跨って
居た。
「悪い、引継ぎをするのに遅くなった!」
242 :
233:2008/03/27(木) 02:45:43 ID:aerfUDK1
俺みたいな社会人のために書いてくれたのかな?
有り難う!なんかリアリティがあるね。
俺は二輪は乗らないけど有給取ってサーキットの走行会出たりしてるよ。金がないから年に数えるほどしか行ってないけどね。
彼女ができたら走れなくなるからね…って気付いたら今年27だよorz
ローンあるけど貯金も初めないと。。。
243 :
191:2008/03/27(木) 02:49:20 ID:5N3fOkZf
>>233 ええ、大学系ばかりじゃあ楽しめないかもと思ったので…。
喜んでもらえて嬉しいです。
僕も今年23。バイクでローンは後二年あるし、金もないです。
でも、楽しんでいきましょうよ!
244 :
774RR:2008/03/27(木) 11:00:10 ID:eFN/0qH+
片岡義男の小説を思い出すなぁ
オレは32歳。家庭があるから退職してツーリングなんてできないけど、密かに
つC
245 :
774RR:2008/03/27(木) 12:13:48 ID:zsX3iHF6
すげえな入社三年で仕事辞めていいくらい十分な貯金があるなんて
羨ましい
246 :
191:2008/03/27(木) 14:48:27 ID:5N3fOkZf
>>244 支援ありがとうございます!
お父さんは大変ですね。でも、たまには自分に御褒美を上げても良いんじゃないでしょうか?
>>245 自分の先輩は、都会に出て二年で新車を現金で買っていました。乗る暇は無いそうですが……。
本当に、羨ましい限りです。
一魔棲男さんのファンとして、連載までの?ぎになればと思いうpしています。
支援してくださる方々、本当にありがとうございます。
247 :
774RR:2008/03/27(木) 20:59:43 ID:fu/JWriZ
>>246ガンガレ
描写に無理があるところもあったけどw
俺も原付好きだから応援するぜ
248 :
191:2008/03/27(木) 23:16:28 ID:5N3fOkZf
>>276 描写は難しいですね。これから、どんどん精進して無理のあるところを減らして行きたい
のでよろしくお願いします。
大きいバイクを使っての高速ツーリングも良いですが、原付のまったりツーリングも楽しい物ですよね!
あと、長編の小説の題名は「朝焼けのハングオン」です。
初めに書くのを忘れていました。
三月の早朝はまだまだ寒い。東の山沿いから登った日の出が低い角度でscoopyと愛車に荷物を積む拓斗を 照らす。その影は西に向って長く伸びる。その陽を全身に浴びて、温かさが服の外側からじんわりと伝わっ
てくる。時折、寒い風が吹くと折角温まった体も一瞬にして冷えてしまう。その寒い中でも、拓斗の住むマ ンションの隣にある梅の木にはメジロがたわわになって、元気に梅の花を啄ばんでいる。
空には、筋状の雲が何本か太陽の光と垂直に伸びていて、橙色の光を反射して東側の雲だけが黄金色に輝 いていた。
「テント、コンロ、寝袋、服、鍋…いや、コッフェル、タオル、洗面用具、充電器……。これでよし! と」
拓斗はscoopyのメットインの中に服、充電器、タオルなどの濡れない方が良くてかさばりにくい物を詰め
、後ろのキャリアにテント、コンロ、寝袋をバイク屋で買ったスパイダーネットでくくり付けた。そのネッ
トの隙間にコッフェルを挟めカラヴィナフックで固定する。キャリアに積んだ荷物を両手で押したり引いた
りしてちゃんと固定されているかをチェックした。その後、駐輪場から自分の部屋まで走り、自分の部屋の
ドアノブを回して施錠してあることを確認する。
再び駐輪場に戻り、OGKのフルフェイスヘルメットを被り、ダウンジャケットを羽織ってから駐輪場を後
にした。大通りに出る前にもう一度マンションの自室を振り返る。
「次に戻るのは、一週間後か二週間後か……。じゃあね」
誰に言うでもなく、ヘルメットの中で呟いた。その呟きは、ヘルメットのシールドに淡い曇りとなったが
、走り出すとすぐに消えた。
岡山市内の国道二号線を南下し国道三十号線に乗り換える。二号線は車の流れが速く、スローペースな50
tのscoopyと不協和音を奏でていた。
拓斗は、車の流れがハイペースな時は路肩を走り、信号前などでスローペースな時は道路の真ん中を走っ
た。途中で寒くなり、道路左側のコンビニに停まると風が無い分太陽が暖かかった。春と思ってちょっと油
断して私服にダウンジャケットを羽織り下はジーパンという格好だから、走行中の風で簡単に冷えてしまい
、停まってから手のひらで二の腕をゴシゴシ擦って暖を取った。
下半身はscoopyの足置きの前のカバーのお陰で風が来ないらしく、寒いとは感じなかった。拓斗は、擦る
腕を止めてscoopyの風防に触り
「初めて頼もしいと思えたよ」
そう呟いた。
コンビニでは、熱い缶珈琲を買い、scoopyを停めた駐車場所の縁石に腰を下ろし珈琲を口に運びながら愛
車を眺めた。
飲み終わった後、空き缶をゴミ箱に投げ入れ出発する。
バイクは、乗り手の気持ちと呼応する。この時、scoopyの排気音がいつもより力強く聞こえたのは気のせ
いではない筈だ。
それから、四時間ほど走り続けると港が見えてきた。中国地方と四国を結ぶ四国汽船フェリー乗り場だ。
フェリー乗り場に着くと、月曜日と言うのに沢山の人が居た。トラックも居るが、それ以上に若い連中が
目に付く、長期休暇中の学生なようだ。しかし、彼らの中でも拓斗のように原付で旅をしようなどと言う猛
者は目に付かなかった。彼らは、五〜六人で旅行を楽しんでいるようで、仲間内とで冗談を言ったり計画を
言ったりとしていて、見ず知らずの旅人が入り込む隙間は全く無い。
拓斗は、つまらなそうにフェリー乗車券とscoopyの積み込みの申請をする為に受付の列に並んだ。本当だ
ったら簡単な申請ですぐに列はなくなるはずなのに、若い旅行者が車の車検証を忘れたり財布を車において
きたりとするものだから列の進みは予想をはるかに超えて遅くなっていった。
拓斗も始めは、その準備の悪さに何も感じなかったが、それが何人も続いて行き、並ぶ時間も一時間を越
えてくると段々イライラしてきた。
腕を組んで、貧乏ゆすりをしていると、後ろから肩を叩かれ
「まあ、そんなイライラしなさんな。フェリーの出発時刻には間に合うんだから」
一人の初老の男性が話しかけてきた。
251 :
191:2008/03/27(木) 23:33:31 ID:5N3fOkZf
五話うp終わりです。
五話はちょっと量が少ないですね。
252 :
774RR:2008/03/28(金) 00:28:32 ID:V/gijmj2
短編もあわせて乙
253 :
774RR:2008/03/28(金) 00:42:46 ID:UUPwgWjq
いいなー
社会人になって一年の俺も、満開の桜とリクスー着てる新社会人を見ながら、ついこないだだった学生時代を思い出しセンチメンタルになってた
さらに、最近は学生時代から三年半付き合ってる彼女とも、休みが合わずうまくいってない
そんな所に、こんな話をのっけられたら、北の大地を一周した、あの暑過ぎる夏を思い出したよ
あの時乗っていて七万`以上共に走った愛車は、今はもう無い
大型への乗り換えで、結局手放してしまった
こかしたし、倒したし、ぶん回してたし、峠も走って無理させた、雨の日も、雪の日も走ったしね
だけど、ろくすぽ整備も分からなかったけど、ヤツは壊れなかったなー
俺の無茶にいっぱい答えてくれて、初めての感動をいっぱいくれたよ
確かに旅はいい
何か、上司にガンガン飲まされて、一人きりの部屋でこのスレを見て、思わずレスしてしまったよ
長々とごめんね
ありがとう
ゆっくりでもいいから、頑張ってください
254 :
774RR:2008/03/28(金) 00:58:11 ID:EDbaxAg+
>>253 作者じゃないけれど、あなたのレスで心が熱くなった
今年は無理してでも北海道に行ってやるw
255 :
774RR:2008/03/28(金) 01:05:59 ID:bOJbdRar
何だろう
>>253のレス見て涙出そうになった32の春。
作者さん つC
256 :
191:2008/03/28(金) 01:19:24 ID:Sv9Gy5iL
>>253 斉藤純の小説“暁のキックスタート”に「 オートバイ乗りの心には、埋めようのない深い穴ポコが空いている。」
という一説があります。多分、今の
>>253さんの気持ちこそが穴ポコなんじゃないでしょうか。
本当にレスで泣きそうになりました。ありがとうございます。
>>255 支援ありがとうございます!
短編が後三つほど書き溜めているので、また何かあればうpさせていただこうと思っていますm(_ _)m
257 :
191:2008/03/28(金) 01:21:28 ID:Sv9Gy5iL
どうでも良いですが、IDがSVでした!
ちょっと嬉しいです。
258 :
774RR:2008/03/28(金) 06:46:15 ID:acNsGtMa
C
259 :
191:2008/03/28(金) 22:53:36 ID:Sv9Gy5iL
260 :
774RR:2008/03/29(土) 00:46:09 ID:5IYqDCkY
>>259 夜型人間になってない?
まぁ、楽しんで執筆してCCC
261 :
191:2008/03/29(土) 01:11:24 ID:aKnHMkt1
>>260 かなりなってます……。そのせいで朝起きれませんしね。
ので、今日は六話をうpしたらすぐに寝ようと思います。
お気遣い嬉しいです。ありがとうございますm(_ _)m
初老の男がそういうと拓斗は、はにかんでそうですね。と答えておいた。
それにしても、フェリー受付の列の進みが遅い。あまりにも前の客が財布や車検証を忘れてあたふたして
いるものだから、それにつられて拓斗も自分の財布とscoopyのナンバーを書いた紙に誤りが無いかの確認を
もう何度も繰り返している。確認しすぎて、自分のナンバープレートの番号を暗記してしまったほどだ。
余りに退屈なので拓斗は乗船証を書く台に置かれているパンフレットを取り、それを眺めた。どうやら四
国はうどんやみかんだけではなく、それ以外にも色々な魅力が有るようだ。それを見るだけで、時間は思い
の外すぐに過ぎ、気が付くと乗船の受付は拓斗の番になっていた。
原付や250t以下のバイクは車検証が無い為に、受付は早く終わる。宇高国道フェリー代として50tのバ
イク代1040円と二等客室の390円を払い、乗船票を貰った後に受付所を後にした。それからscoopyを停めて
ある場所に戻り、次に来る船に乗る客の為の駐輪スペースにscoopyを移動させた。
フェリー乗船までにはまだ、30分ほど時間が有った。さっきの若い旅行者は、その時間を喋りに使ってい
る。一人旅のライダー達は、バイクを日よけに地面に寝たり、バイクのシートに腰掛、コンビニオニギリを
食べたり、タンクバッグから小説を取り出して読んだりと思い思いの事をしている。
拓斗は、初の一人旅に少々戸惑っている様子で周りを見渡した。中型以上に乗っているマス・ツーリング
ライダー達は楽しそうにバイク談義に花を咲かせているが、拓斗はそれを一瞥した後、寂しそうにscoopyを
見た。
その次の瞬間、拓斗の隣にHondaスーパーカブが勢い良く走り寄り、停まった。スーパーカブに乗ってい
たのは、さっきの初老の男であった。
「おお、兄ちゃんも原付だったか! 」
男はそういうと、ニコっと笑った。拓斗は、その男を見て一瞬安堵した表情を見せ、それから笑顔を返し
た。
「はい。愛車はこのscoopyです」
拓斗がそう言うと、男は何度か頷き、その年で関心関心。と顔をほころばせた。
それから少しして、港にフェリーが着き、拓斗と男はそれぞれscoopyとカブを押して、フェリーに乗り込
んだ。
拓斗は二等客室を素通りした後、フェリーのデッキへと上がった。陸上の埃っぽい風とはまた別に、海上
では強い風が水滴を含んで吹き上げる。その水滴を、春先の太陽が斜め上から照らし、フェリーが波を一つ
乗り上げるたびにキラキラと輝いた。
拓斗は、その水滴の向こうに離れていく本州を見た。鼻から潮風を目一杯吸い込み、一呼吸置いて口から
全部吐き出す。そして、行ってきます。と一言呟く。その呟きは、波と潮風の音にかき消された。目を瞑り
もう一度深呼吸する。
拓斗の目は、もう本州ではなく四国へと鋭く向けられていた。scoopyのメットインから出してきていた地
図を広げ、ポケットから三色ボールペンを取り出しキャンプ場と目に留まった観光スポットに青ボールペン
で丸をつけた。
そうこうしている内に、一時間経ちフェリーは岡山県の宇野から香川県の高松へと到着していた。
『あと、十分ほどで高松へと到着します。お忘れ物の無いようお願いします。』
船内にアナウンスが流れ、船は港へと舵を切った。
拓斗はデッキから三頭客室へ移動する。そこでは乗客が車が置いてある駐車スペースに戻ろうと席を立っ
たり荷物をまとめたりとしている。その中で、初老の男は手荷物を枕にして寝息を立てていた。
彼を起こそうと、拓斗が近寄ると男は目を覚まし起き上がった後、ゆっくりと伸びをした。
「おっ、原付のにいちゃんじゃないか。どうした? 」
「もう、このフェリー四国に着きますよ」
そういうと、男はフェリーの丸い窓から外を見た。外には、入り江の景色が広がっている。
「いけねぇ!寝過ごしちまったか!起こしてくれてありがとな、さあ、早く下に行こうぜ」
そういった後、拓斗と男は駐車スペースがあるしたのフロアに向った。
階段を降りる途中で、男は拓斗に話しかけた。
「兄ちゃんは、四国のどこに行くんだい? 」
そういわれた後、拓斗はニヤリと笑って答えた。
「愛車scoopyで四国一周です」
そう答えると、男は嬉しそうに微笑み
「それは良い。実は、俺は日本をカブで一周していてな。だから、俺も四国を一周するんだ。奇遇だな! 」
拓斗はそれを聞いた後、目を見開いて驚いた。
「そりゃあ、凄いですねぇ。」
「そんなこと無いさ。誰だって気持ちさえあればすぐにでも出来る。そうそう、兄ちゃんはどっち周りで四
国を回るんだい? 」
そう聞かれて、拓斗ははっとした。
「そういえば、まだ決めていませんでした」
それを聞くと、男は笑って言った。
「そりゃあ、無計画だな!だが、男らしくて俺は好きだ。じゃあ、俺は左回りに行くから、兄ちゃんは右回
りなんてどうだ? 」
「別に良いでけれど、なんで逆に行くんですか? 」
拓斗がそう聞くと、男は答えた。
「一緒の方向に行くと、一度追い抜かしちまえばもう相手の背中しか見れないが、反対方向に行ったら正面
で会うだろ?」
拓斗は頷いた。
「正面でもし、また出合ったら二人でピースし合おう」
「それいいですね! 」
拓斗は、目を輝かせた。
「お、そういえば兄ちゃんの名前聞いてなかったな。俺の名はアラウンド、兄ちゃんは? 」
「俺は拓斗です。開拓の拓に北斗七星の斗。それよりも、アラウンドって日本の方じゃないんですか? 」
拓斗がそう聞くと、アラウンドは大きく笑った。
「これはキャンパーネームって奴さ。野宿ツーリングやキャンプをする輩が名乗る物さ。今の日本一周の前
にも俺は日本一周しててさ、その途中で名付けられたんだ」
「へぇ、そんなのがあるんですね」
「それよりも、お前さんの名前の方が変わってるな。scoopyに乗っているのにタクト。面白いじゃないか!
よし、兄ちゃんのキャンパーネームはtactだ!キャンプ場で名前聞かれたら、scoopyに乗ってるtactです。
って答えな! 」
「ははは、それいいですね! 」
そう話している内に、二人は駐車ペースに着いた。
拓斗は、バイクにキーを差込みエンジンをつけた。それから数分した後、フェリーが港に着いた時の、軽
い振動がが起こり、フェリーの港への扉が開いた。車が全て走り去った後、バイクが走り去る。
アラウンドに船員が、出発を促した。彼は、拓斗の横を通る時、ヘルメット近くに人差し指と中指の二本
を上げ、走り去った。その後、拓斗に船員が近寄りタイヤ止めを外し、外に走り出した。
フェリーの駐車スペースの薄暗い場所から、走り抜けると潮風の匂いと、埃っぽい匂いが混じった港の春
の匂いが鼻をくすぐる。
少し走って、一番初めの交差点にアラウンドが停まっており、サイドミラーで拓斗を確認すると左手を振
り左側に走っていった。拓斗はそれに連動するように、左手を振り右側に走っていった。
266 :
191:2008/03/29(土) 01:25:06 ID:aKnHMkt1
六話うp完了です!よろしくお願いします。
267 :
774RR:2008/03/29(土) 02:15:26 ID:8hGupE7k
俺今年は北海道って決めてたつもりなんだけど、
このまま話が進むと四国に行っちゃいそうだw
もちろんモミモミ、そしてナメナメ。。
香「あぁ…んん……ちょw激しすぎw感じちゃうでしょwww」
俺「感じてもらうためにやってるんですが?ww」
香「まったくもうw」
俺「それではこちら(下)のほうも…」
香「こっちは自分で脱ぐからあっち向いてて!!」
俺「あーい♪」
と素直に従うわけはなく、チラチラみてたら軽くキレて枕を投げられたorz
まあいいのだ。
香「てか私だけ脱いでるのズルイ!」
俺「あぁ、そうだなwんじゃ俺も脱ぐわ」
香「今度は、私が脱がしてあげるw」
俺「マジで?それは恥ずい…」
香「はい?何か?」
俺「いえ…なんでも…」
と尻に敷かれっぱなしの俺。
香「はーい、バンザイして♪」
俺「ったく、しょうがねーな。わかったわかった。…ハーイ♪」
香「さあいよいよ、この時がやってまいりましたw」
俺「なんだよそれwさあどうぞ!」
と腰を香に突き出すw
香「ちょっとー?なんか真中が膨れてますが?」
俺「あ、あたりまえだろうがw」
香「はい、ご開帳♪……ちょwwwデカwww」
と見つめている。
俺「そうか?こんなもんだろwwwwあんま凝視すんなw」
とお互いが全裸になった。
俺「よっしゃ!そろそろ本格的に始めるべwww」
香「もう本格的でしょうがwww」
俺「まあいいからいいから♪はい、寝てください」
香「恥ずかしいから電気消して。」
俺「おk〜」
今度は下も弄ってみる。
まずは指の腹で軽く触るように周辺にさぐりをいれる。
香「ん…ん…」
と大分声を我慢しているようだ。
ここであえて俺は指を入れずにそこまででとめておく。
まあいわゆる”ジラシ”ですなw
少し経って
香「ねえ?なんでそのまま?w」
俺「いや?別に?どうして欲しいの?」
香「ちょー意地悪!○○のドSw」
俺「ええ、ドSですが?wやめちゃおっかなぁ」
香「もう…早くしてw」
さすがに雰囲気が悪くなりそうだったので残念ながら妥協した。
俺「突入!w」
と指を入れる。今まで焦らして来たのが功を奏し、彼女のコマンはビチョビチョ。
香「ちょwwwいきなりかいwww……んん…」
と感じてくれているようだった
香はすんごい感度がいい素直な子であったw
やべーwww
完全な誤爆www
272 :
774RR:2008/03/29(土) 03:04:52 ID:ySNSdm2Z
よりにもよってここに誤爆かw
274 :
774RR:2008/03/29(土) 04:03:29 ID:5IYqDCkY
>>273 おい、続きはどこにうpした??
誘導して
275 :
774RR:2008/03/29(土) 09:59:16 ID:8hGupE7k
何が起きたのか一瞬分からなかったw
276 :
774RR:2008/03/29(土) 13:05:21 ID:M+zIxIXX
ジャイロキャノピーの新型が出たね
アニメのほうのSABUもそっちに乗り換えるのかな?
277 :
191:2008/03/29(土) 13:59:16 ID:aKnHMkt1
>>267 四国も良いですよ〜。
北海道でも四国でも、一周終われば同じくらいの感動が来ますからね!
278 :
774RR:2008/03/29(土) 15:39:58 ID:ESyW1bDx
>>277 つC
先生は吉備の国の住人ですかのう?
279 :
191:2008/03/29(土) 15:49:57 ID:aKnHMkt1
>>278 支援ありがとうございます!
あわわ……先生なんて滅相もない。
出身は吉備ではないですよ。でも、人が温かくてノリがよくて好きな場所です!
流石、桃太郎を輩出しているだけの事は有りますよww
280 :
774RR:2008/03/29(土) 18:50:43 ID:z09W6716
漏れも学生時代に四国行ったから、そん時のことを思い出したよ。
うどん食う以外は行き当たりばったりだったけど、
会う人みんな親切ですごく思い出に残ってる。
地図ではちっぽけだけど走ってみると意外とでっかくて、
予想してたより全然距離を走れなくて
山奥の倉庫の軒先で野宿する羽目になったり、
見知らぬおっちゃんが「泊まってけ」と言ってくれたり、
雨具がしょぼくてパンツまでずぶ濡れになって
高知の南海で合羽とブーツカバー買ったり。
その合羽は10年経った今でも使ってる。
今はどうしても帰りのことを考えてしまって
あんな無計画なツーリングはとても出来ないよ。
Cついでにダラダラ書いてしまってすまん。
続き期待してます。
281 :
191:2008/03/29(土) 23:10:59 ID:aKnHMkt1
>>280 >>地図ではちっぽけだけど
凄くわかります!
無計画な旅……いつか、しましょうよ!
フェリーから出て右側。つまり、拓斗の旅は四国を反時計回りに廻るという旅になった訳である。走って
暫くして、拓斗は自分の腕時計を確認した。時計の短針は二時を示しており、拓斗の腹はお昼ご飯の時間を告
げた。
四国には、大体二種類のうどん屋があると思っていいと思う。一種類は製麺屋がその場で出すと言うもの。
二種類目はどこにでもあるようなスープとうどんを出すと言うのも。前者は箸と丼と醤油を持っていかなけ
ればならない場合もある代わりに麺代だけなので安く、そして本場の味……と言われる。後者は、箸や丼を
持っていかずに済み、手軽に食える代わりに一杯三百円程で前者に比べると高い。しかし、他の県にはなか
なか見られない「ぶっ掛け」といううどんが食えるのが特徴である。
拓斗は走りながら左手にうどん屋を見つけ、入った。店内には、地元のFMが流れておりDJがJ-popを流し
ていた。こんな曲を裕樹が聴いたら色々といちゃもんをつけるんだろうなぁと思うと、ふっと笑いがこみ上
げてきた。
開店してまだ間もないようで、店内の柱やカウンターの台に使われている木材が、まだベージュ色の輝き
を持っており、壁は塗りたてのように真っ白だ。
「いらっしゃい! 」
店主が固まった麺をほぐしながら言った。
拓斗は軽く会釈をし、カウンターの上に重ねてある御盆を取った。
「ぶっかけうどん一つ」
「ぬくいの?冷たいの? 」
店主は、さっきほぐしていた麺を笊の中に放り投げ、大きな寸胴鍋にそれを突っ込みながら言った。
「えっ?ぶっかけうどんに暖かいのもあるんですか?」
拓斗は少し考えた後、暖かいのを注文した。
「あいよ! 」
店主はそう言った後、麺を笊から上げショケに移した。それに冷水をかけ麺を締める。その後、丼に茹で
汁を入れ、またその茹で汁を寸胴に戻す。その丼にさっきの麺を放り込み、暖かい汁をかけた。
その上から、カウンターの裏側にあるタッパーに入っている揚玉と葱を豪快に掴み取り、丼に入れる。
「おまちどう! 」
店主はそういうと、拓斗の前の御盆にうどんの入った丼を置いた。拓斗はカウンターの上で御盆をレジの
前まで滑らせた。うどん代300円を支払った後、適当なテーブルに行き箸を取る。
二時という中途半端な時間の為か、店に客は拓斗一人しか居なかった。拓斗はちょっと周りを見渡した後
、うどんをほぐしたり、鍋に水を足したりしている店主を見る。その後、箸をうどんに付けた。
うどんを二本ほど摘み上げる。締めた後、出汁に付けられたうどんは良く滑り、絡みはすぐにほぐれた。
摘み上げた麺を、豪快にすする。
田舎うどんにはない強い腰のせいで、豪快にすすっても途中で切れる事は無い。全てすすった後、しっか
りと噛む。讃岐うどんが、拓斗のあごを押し返し、拓斗はそれを再び噛み潰す。その行為のたびに、うどん
から旨い味がにじみ出る。
噛めば噛むほど、旨みがうどんから出てくる。数回かんだ後、それを飲み込む。ツルツルとして摩擦の無
いうどんが、喉を流れる。その後、水を一口。そして、溜息を一つ。
「おじさん、うどん旨いよ」
拓斗は、テーブルからカウンターの店主にそういうと、店主はにっこりと笑って
「だろ?讃岐のうどんは一番だからね」
と言った。イントネーションの違いから拓斗が県外からのツアラーだと分かったのだろう。
頷きながらもう一口食べる。良く噛んで飲み込んで、もう一口。
そうしている内に、すぐに一杯食べ終えてしまった。ただ、余りのうどんの腰に顎のダルさは残ったが……
丼の乗った御盆を返却口に返した。
その時、店主が話しかけてきた。
「今、旅行中なの? 」
「ええ。原付で四国一周中です」
そう答えると、店主は驚いていた。
「え、原付で?それはキツかろう」
「多分辛い旅になりそうです。でも、まだ四国に着いたばかりなので」
「ん?と言う事は出身は四国じゃないわけか」
「ええ、出身は岡山です。フェリーを使ってここまで来ました」
「そんな遠くから……エライねぇ。あ、ちょっと待ってなよ」
そういうと、店主は厨房の奥に入り何かを探した後、戻ってきた。
「まあ、お腹減った時にでも食べなよ」
そう言って、蜜柑を二個、拓斗に手渡した。
「そんな!良いんですか? 」
「たくさん貰ったからね。良いよ良いよ」
店主は嬉しそうに笑って言った。
「じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとうございます」
深々とお礼を言って、拓斗はうどん屋を出た。両手に持たされた蜜柑を見つめて、微笑んだ。scoopyの小
物入れにそれらを入れた後、メットインを開き地図を取り出した。それから、腕時計の短針を太陽の方向に
あわせ北の方角に地図を向けた。
信号に書いてある交差点名から現在位置を割り出し、現在位置から一番近いキャンプ場を探した。フェリ
ー内で四国中のキャンプ場にチェックを入れたお陰ですぐに見つかった。道を指でなぞり、大体四十センチ
メートル。つまり、ツーリングマップルが1:140,000の縮尺であるから距離にして大体六十キロメートルだ
。原付が時速三十キロメートルで、ツーリングだとワインディングでの減速や信号の停止のせいで一時間に
二十キロメートルほど進む。
時計を見ると、短針が三時を示していた。
「あと三時間ほどでキャンプ場に着くから……六時には着くわけか」
拓斗は独り言を呟き、地図をメットインの中に戻した。
キーを挿し、scoopyを起こし、地図の示す方向に走った。
一時間ほど走ると、疲れがドッと出てきた。拓斗は、岡山から今現在までフェリーや昼食の休憩は入った
ものの、早朝からずっとはしりつづけなのである。
ハンドルから伝わってくる振動で手が痛くなり、スロットルの開閉により右手首も痛くなってきた。シー
トは柔らかめに作られてはいるが、それでもお尻が、目の疲れから首・肩がこって来た。
scoopyを走らせながら、伸びをしたり立ち上がってみたり片手運転になって、手を回して見たりした。そ
れで、大体コリや痛みは引いてきた。
二時間になってくると、さっきのコリや痛みが激しくなってくる。伸びをしたりする頻度もかなり多くな
り視線もずっと前ではなく、周りの景色に目が行ったりと意識が散漫になってきた。
五時半を越えた辺りからだろうか。
拓斗は不思議な感覚を覚えた。バイクと体が一つになったように、バイクのタイヤの先っぽの感覚まで手
に取るように分かる気がした。バイクの挙動も、自分の体のように感じ、思い通りに動かせる。周りの車の
音や道路のノイズが一つの信号のように感じ取れ、scoopyの音だけが現実の音のように耳に届いてくる。
長旅の疲れも完全に忘れ、バイクから降りて休みたいなどとは微塵も思わない。それどころか、今日どれ
くらいの時間、バイクに乗っていたかを忘れるほどバイクの上に居る事が普通になっていた。いわゆる、ラ
イダーズハイというものある。
そうなってから、一時間ほど走ったのだろうか。
目的地が近いようで、拓斗はバイクから降り地図を再び確認する。
信号についている地域名と地図とを確認た。山の中にあるキャンプ場への道程の中で、最後の信号に差し
掛かったのである。
拓斗はそれから、キャンプ場目指してscoopyを走らせた。
「思いの外、疲れているな」
ヘルメットの中で呟いた。地図を見るとき、立っているとほんの少しだが膝が痙攣したのだ。それもその
筈。バイクに長時間乗ったことによる、極度の疲れや緊張から脳内でエンドルフィンが分泌される。これは
麻薬の役目をし、気分を高まらせる。それにより、疲れや痛みを一時的に忘れる。しかし、それも少し休み
を取れば疲れをまた認識してしまう。
拓斗はまた、バイクに乗りながら手を回したり背伸びをしたりしてコリや疲れをほぐす事にした。
「あれ……全然着かないな」
20分ほど走っただろうか。地図上ではもおう到着している筈のキャンプ場が見えてこない。それどころか、看板さえ出てこないのだ。
「迷ったかなぁ」
そう呟くと、バイクから降り、メットインから地図を取り出して眺めた。
一本道なのに、どうしたら迷えるのだろうか。拓斗はキャンプ場まで最後の信号から一本道しか記されて
いない地図を眺めて路肩に座り込んだ。
その瞬間、今までの疲れが一挙に押し寄せてきた。それから、足の間に頭を埋め溜息をついた。
「もう駄目だ」
迷った時の不安と、疲れでもうキャンプ場を探す気にもなれなかった。
「今日はここで寝よう」
川沿いの道路で、一車線しかない。しかも、人通りは皆無だった。
「ちょっと、怖いけど仕方ないな」
拓斗は自分に言い聞かせながら、エンジンを切りテントをscoopyのリアキャリアから下ろした。
腕時計は六時半を示していた。三月と言っても日の入りはまだ早い。もう真っ暗だったが、月の光で作業
する事はできた。
テントの入っている袋を開けようとしたとき、単灯の乗り物が近づいてきた。そして、独特の単気筒の軽
い音がした。それだけで、原付だと分かった。それにしても原付にしては速い。時速八十キロメートルは出
ているだろうか。
それが拓斗の隣を通り過ぎようとした時であった。
急にブレーキランプを輝かせ、リアタイヤをロックさせた。その後、迫ってきた原付のライダーは左に重
心をかける。慣性によって進行方向に滑らされたリアタイヤは、その重心の変化によって右側に流れる。ラ
イダーは左足を前に出しバランスを取り、その勢いが少し収まったところでライダーは出した左足を引き、
原付のサイドスタンドを蹴りだした。
あまりの滑らかなライディングテクニックに拓斗は見とれていた。
そのドリフトによって原付の進行方向は逆になり、スタンドはそのバイクの勢いから地面をえぐっている
。その勢いのまま、ライダーは原付を飛び降り、拓斗に飛び掛ってきた。
拓斗は、あまりの突然の事に逃げることが出来なかった。そして、その飛び掛ってきたライダーに馬乗り
にされた。
「う……うわぁ!!助けて! 」
拓斗は、あまりの突然の恐怖に声を裏返しながら言った。
ライダーはヘルメットを取り、拓斗の胸ぐらを両手で掴みながら叫んだ
「ここで死ぬな! 」
拓斗は困惑した。いきなり死ぬなと言われたからだけではない。
ヘルメットを取ったそのライダーが、黒く滑らかな長髪、透き通るような肌、アーモンド形の目、小さく
整った鼻、ぷっくりとした唇の、美しい女性だったからだ。
288 :
191:2008/03/29(土) 23:24:01 ID:aKnHMkt1
七話うp完了です!よろしくお願いします!
>>281支援ありがとうございます!
289 :
774RR:2008/03/30(日) 00:55:59 ID:Akkij/+S
っC
たくと君は左回り?
290 :
774RR:2008/03/30(日) 00:57:38 ID:X8WsCDe/
俺も原付しかなかった頃に色んなとこにいったから
この物語をめっちゃ面白く読める。
矢田亜希子似(脳内再生w)のライダーも登場して
ますますこの先が楽しみになってきたw
291 :
191:2008/03/30(日) 01:09:27 ID:6HbB8PNr
>>289 カーフェリー乗り場を出て左ですから、地図から見たら右回りですね……。
でも、もうUPしてしまいましたから。カーフェリー乗り場から出て左と言うことでお願いします。
あと、支援ありがとうございます!
>>290 面白いと言って頂けるのが本当に嬉しいです。ありがとうございます!
小さい鼻・唇・アーモンド形の目……本当だ!矢田亜希子っぽいww
292 :
774RR:2008/03/30(日) 06:17:35 ID:Fvb991GF
その訂正だと時計回りでは?
>>282 島の内側を見て右方向へ進んでだら反時計回り
海(外)を見て右へは時計回りだよ
つまり、フェリーのケツから降りたら海側を見て右…ん、でも最初の信号から右だよね?
本文間違ってないんじゃないかな?
293 :
191:2008/03/30(日) 09:00:37 ID:6HbB8PNr
>>292 信号を出て右ですから…
>>267最後のの行
>>拓斗はそれに連動するように、左手を振り右側に走っていった。
フェリー乗り場
↓
−−−−−−−
| 信号 |
| ← |
| 四国 |
| |
−−−−−−−−
確かに、左回りです。
294 :
774RR:2008/03/30(日) 14:11:43 ID:xxIrwqdE
アパートが何の前ぶれもなく、いきなりマンションに変わる文章なんだから細かい事は気にしなさんな。
大意を読み取って楽しもうぜ。
作者くん頑張ってな
295 :
774RR:2008/03/30(日) 15:25:24 ID:Fvb991GF
スマソ。
ちょっと旅のイメージに関わるとこなんで。
続き気になります
CCCCCCCC
296 :
191:2008/03/30(日) 15:52:43 ID:6HbB8PNr
>>294 本当に推敲不足ですいません。何度か読み直したのですが……。極力減らしていこうと思います。
これからも至らない所があれば添削よろしくお願いします。
応援と共に、感謝です。
>>295 いえいえ、適当なレスをしてしまいました。すいません!
どこをどう走るかってのは旅において重要ですからね!
これからもよろしくお願いします。
沢山の支援ありがとうございます(;ω;)ブワッ
297 :
774RR:2008/03/30(日) 17:43:42 ID:um6ZyzcV
>>296 楽しく読まさせて頂いております っC
一つ質問なんですが、この作品のタイトルはまだ未定なのでしょうか?
298 :
774RR:2008/03/30(日) 18:06:27 ID:Fvb991GF
299 :
191:2008/03/30(日) 18:59:39 ID:6HbB8PNr
>>297 >>298です!
今、毎週書いてる朝焼けのハングオンの第九話書き終えました。
飯を食べてから八話をうpしようと思います。九話は、明日にでも!
300 :
191:2008/03/30(日) 19:43:56 ID:6HbB8PNr
彼女は拓斗の胸座を掴みながら話した。
「あんたらのような自殺者のせいで、どれだけ私達が参ってるか! 」
彼女の顔は、般若の面のように成り、それが月の光に照らされている。拓斗は、相手が美しい女性と言えど
も恐怖に慄いた。
「じ……自殺?し……知りませんよ! 」
拓斗が震えながら答えると
「じゃあ、何でこんな時間にここに居るのよ! 」
「きゃ…キャンプしようと思って……」
拓斗は馬乗りにされながらscoopyから下ろしておいたテントを指差した。
「キャンプだぁ? 」
彼女は拓斗の指差した方を見た。そこには地面に落ちているテントの袋が有った。
「へ?もしかして、あなた……キャンパー? 」
彼女はキョトンとしながら拓斗を見た。
「はい。一人で、しかもキャンプ場以外のキャンプは初めてですが」
彼女が普通の顔に戻っていたため、拓斗は落ち着いて話すことが出来た。
「なんだ、そんなことなら早く言ってくれたらよかったのに……」
そう言いながら拓斗から降りた。拓斗は、起き上がりながら
「それは、そっちがいきなり飛び掛ってきたから……」
と言いかけたが面倒になりそうだったので
「すいません」
と謝っておいた。
彼女は拓斗の背中についた草を払いながら言う。
「でも、何でこんな所でキャンプをしようと思ったの? 」
拓斗は背中を払う彼女にありがとうと言った後、続けた。
「この辺に、キャンプ場があるはずなんだけれど、迷ってしまってさ。だから、ここでキャンプしようかなっ
て思ったんだ」
そう言うと彼女は指先を自分の口元に当て、目線で上を見ながら考えた。
「この辺にキャンプ場?多分、この辺には無いわ」
301 :
191:2008/03/30(日) 19:44:45 ID:6HbB8PNr
それを聞くや否や、拓斗はテントの近くに置いておいた地図を持ってきて目的地のキャンプ場を指差した。
「ほら、ここに有るんだよ」
彼女は、どれどれと言いながら地図を見る。暗かったのか、目を細めながら見ていたので拓斗はポケットか
ら携帯電話を取り出しその部分を照らした。
「あ〜、ここね」
彼女が手を叩き、いわゆる「思い出した」というジェスチャーをした。
「知ってるの? 」
「ここはね、二年前くらいに潰れたよ。ちょっと待ってね、この地図……」
そういいながら地図を閉じ、表紙を見ると2005年版と書かれている。
「古い地図持ってるわねぇ。ツーリング行く時は最新のを持って行かないと。店とかって潰れたりするから意
外に変更があるものよ」
拓斗は、それを聞いた後、多少がっかりしたが
「確かに。まあ、キャンプ場が無くても今日はここにキャンプするってさっき決めたし、地図が古くても何と
か成るけれどね」
そう言って、テントを袋から出し、キャンプの準備を始めた。
「本当に、ここでキャンプするつもり? 」
「うん、今日はたくさん走って疲れてるから」
「別に、したいなら止めはしないけれど……。勇気あるわね……」
彼女は、少し引き気味に言った。
「どういう意味? 」
拓斗は彼女の言い方に不安を覚え、怪訝な顔をして聞いた。
「あなた、ここがどういう場所か知らないの? 」
拓斗は、少し考えてハッとした。
「もしかして……最初に行ってた、死ぬなって言葉……」
彼女は、拓斗の言葉にゆっくりと頷く。
「そう、ここって自殺の名所なの。しかも、心霊スポットでもあるわ」
302 :
191:2008/03/30(日) 19:45:34 ID:6HbB8PNr
拓斗は、それを聞いた後、辺りを見渡した。広い幅を持った川は、月の光を吸収し、どこまでも沈みそうな
くらい真っ黒だ。川の手前の藪は背の高さほどもあり、時折、風で音を立てる。その中で、ゆっくりとした川
の流れがテトラポットに当たり、何かが水中に潜んでいるような音を立てる。
拓斗の全身に鳥肌が立った。これは、何か人以外のものが居る。この雰囲気で居ない方がおかしい。むしろ
、ここにお化け的なものが居なかったらその方が驚いてしまいそうだ。
拓斗は出したテントを再びしまい、地図をメットインに入れようとした。しかし、何かが引っかかってシー
トが閉まらない。
ふっと、拓斗の脳裏に疑問が過ぎる。
この暗闇の物々しい場所に何故彼女は現れたのだろうか?
いや、彼女は本当に人としての女性なのだろか?
考えて見れば、このメットインが閉まらないのもあの女の神通力なのではないのか?
さっきの鳥肌が恐怖へと変わった。早くここから逃げなくては。そう思い拓斗はポケットから鍵を取り出し
エンジンを始動しようとするが、手が震えて上手くかからない。
「なにしてんの? 」
彼女はそういいながら近づいてきた。一歩、また一歩。その草を踏む音が拓斗に近づくにつれ背中に、手の
ひらに粘度の高い生ぬるい汗がドッと溢れてくる。
後ろ近くまで近づいた所で彼女の足音がいきなり消えた。
後ろを振り向くと、誰も居ない。早まる動悸を感じながら、小さく深呼吸をした。
落ち着いた所でシートを閉めようと後ろを振り向くと、彼女がシートを両手で掴んでいる。
「ひえぇ! 」
拓斗は生まれて初めて悲鳴で「ひえぇ」と言った。腰が抜け、その場に座り込んでしまった。
303 :
191:2008/03/30(日) 19:45:54 ID:6HbB8PNr
彼女はそれを見ると、悪戯を思いつた子供のように不敵に笑った。目線を上に向けて、目を細めて白目を剥
き、手を力なく前にやり
「一緒に……一緒に……」
と呟きながら、腰が抜けて座り込んでいる拓斗に近づいた。
「お……おおお……お助けぇ!! 」
拓斗は泣きながら腰が抜けて力が入らない下半身を引き摺り、ほふく前進のような格好になりながら必死に
逃げた。
それを見て、彼女は思わず噴出してしまった。
「プッ……アハハ……怖がりすぎだろ!アハハ……」
涙と鼻水と涎、顔から出る物全て出た状態で向き直った。それを見て彼女は流石に反省したのか、笑うのを
堪えて言った。
「ごめんごめん、冗談だよ。幽霊なわけないじゃん」
拓斗は腕で顔を拭き
「酷いよ!あんな事教えられた後だったら、誰でも怖がるさ」
拓斗がそういうと、彼女は再び笑いながら謝った。
「それはそうと、ここではない所でキャンプする事にするよ」
テントをリアキャリアに載せながら拓斗は言った。
「そう?でも、この辺はキャンプ場無いし、もう結構遅いわよ? 」
そう言って、彼女はジーパンの尻ポケットから携帯電話を取り出し、開いて見せた。ディスプレイにはデジ
タル時計が映し出されており、二十時と記されていた。拓斗がキャンプの準備をしたり、驚かされたりしてい
る間にもう一時間半も過ぎてしまったようだ。
拓斗はその時間を聞いただけで余計に疲れてしまい、scoopyのシートに腰掛けると、うな垂れて溜息をつい
た。
304 :
191:2008/03/30(日) 19:46:15 ID:6HbB8PNr
「相当疲れてるねぇ。ところで、名前聞いてなかったね。どうせだし、教えてよ」
彼女は自分のバイクに腰掛けながら言った。
「キャ…キャンパーネームは、タ…tact」
拓斗は照れながら言った。
「そういうのは、照れながら言わない!こっちまで恥ずかしくなるでしょ。tact君か……。私の名前は舞子。
よろしくね」
「うん。よろしく」
拓斗は疲れているせいか、若干声に生気が無い。
「疲れてるねぇ」
舞子はタハハ…と笑いながら言い、続けた。
「ところで、tact君は今日どれくらい走ったの? 」
「岡山から、ここまで……かな」
「そんな遠くから、これで!? 」
舞子は、scoopyを指差して言った。
「そうだよ……。何キロくらい走ったんだろう」
「二百(キロメートル)は有るわね。原付でそれだけ走れば、そうなるわよ」
拓斗は、軽く頷いた。
「まあ、これからキャンプ場を探すわけにもいかないし、これから二十も三十も走れないわよね。よし、私の
うちに来ない? 」
拓斗はまた軽く頷いた後、ハッとした。
「うん……。……? それは不味いよ!女の子の部屋に男が上がるなんて! 」
そういった後、頭を掻きながら
「いや、舞子ちゃんが良いって言うなら別だよ。あ、俺もある種の傷心旅行だし、傷を舐めてくれるなら…。
って俺の馬鹿!そういうのじゃあないだろ! 」
拓斗がそういっている間、舞子はニコニコして口を挟んだ。
「いや、私大学生だけれど、一人暮らしじゃなくて家族と一緒に住んでるし、私の部屋には入れないわよ」
拓斗は、まだ頭を掻きながら自問自答している。
「……一緒の部屋でも、男女だし…。布団は別が良いと思うんだ!……って、実家? 」
舞子は拓斗の言葉に少し呆れながら、ゆっくりと頷いた。
305 :
191:2008/03/30(日) 19:46:36 ID:6HbB8PNr
「そう、実家生」
「そうなんだ…。でも、泊めてくれるだけでも本当に嬉しいよ!ありがとう」
「でも?『でも』って言ったって事は、泊める以上に何か嬉しい事を期待してたの? 」
「いや……、そんなつもりじゃあ…」
拓斗がそう言いかけると、舞子は自分のバイクにキーを刺しながら言う。
「旅をする女の人って、芯が強い子が多いからねぇ。あんまり、そういうの期待しないほうが良いよ。一応言
っとくけど、私も良く旅をするから、護身術くらいは出来るからね。家で変な事は考えないように」
そういってキーを捻ると、暗闇だった川沿いの道が明るくなった。
「泊めてもらう家主にそんな失礼な事はしないし、考えもし無かったよ」
拓斗も、そういいながらキーを捻った。二つの光源が道を照らす。拓斗の愛車:scoopyの光で舞子の愛車が
照らされる。その独創的なフォルムから一目で車種がzoomerだと分かった。
「それなら良かったわ」
そう言って、スタートボタンを押した。一瞬zoomerのヘッドライトが暗くなり、スターターエンジンの音が
川原の道に響く。その後、元気の良い、水冷4ストローク単気筒エンジンの音が鳴った。その後、拓斗もエン
ジンスタートした。
「私のバイク、リミッターカットしてるからちょっと速いの。ちょっと、ゆっくり行こうか? 」
舞子がそういうと、拓斗は不敵な笑みを浮かべた。
「俺のバイクもリミッターカットしてるよ。それに、ライディングにはちょっとは自信があるんだ」
「ライディングに自信があるねぇ……。ふ〜ん」
「何? 」
「ここから、家まで三キロほどの一本道でタイトコーナーの連続なの。私についてこられたら、その自信、信
じてあげるわ」
舞子がニヤつきながらいうと、拓斗は伸びをしながら言った。
「追い抜かすのは有り? 」
「有りだけど、きっと無理ね」
舞子がそういうと、スロットルを一杯に捻った。
306 :
191:2008/03/30(日) 19:47:39 ID:6HbB8PNr
49tの単気筒エンジンから発せられる4.2馬力の力がグイグイとzoomerと舞子の体を押す。少し遅れて、拓
斗も地面を蹴って発進した。見た目とは裏腹に圧縮比12のパワフルなフィーリングを持つscoopyのエンジンは
4.4馬力を放出しながらzoomerよりも若干軽いscoopy自身と拓斗を引っ張っていく。
始めの200mほどの直線で拓斗は舞子を追い抜かす。
「あれだけ、自信満々なのに、あっさりだな! 」
ヘルメットの中で拓斗が叫ぶ。舞子は無表情で、ただ只管スロットルを捻り続けた。
zoomerとscoopyでは、エンジン型は同じだが乾燥重量が10kg近く違う。これにより、大幅に加速や最高速を
変える馬力と力の比はscoopyに分がある。バイクで一番時間がかかるのは発進時である。それを地面を強く蹴
ることによって初速度を与え、最高速までの時間を抑えたのである。
10mほどscoopyがzoomerと差をつけたときだろうか、前方に左へのブラインドカーブが見えた。
拓斗は、前後輪のブレーキをかけ、車線を右寄りにしコーナー手前で時速二十キロほどに落とす。左足を足
置きの後ろに置き、腰を左側に落としながらブラインドで見える限りのカーブ終わりを見る。
「カーブのアールがキツイ!ヘアピン!? 」
その時であった。後ろに迫っていたzoomerがscoopyの左側を素早く抜き去った。
「カーブに入るスピードが速すぎる!危険だ! 」
拓斗が叫ぶ。舞子はそのスピードのままカーブに突っ込んだ。逆ハンドルをきり、左足を前方に出しながら
左レバーをいっぱいに握りこむ。
307 :
191:2008/03/30(日) 19:48:18 ID:6HbB8PNr
後輪ブレーキはスリップをし始め、zoomerの車体はカーブの終わりの方向に真っ直ぐに向いた。その瞬間、
フルスロットルでzoomerに鞭を打つ。急激な加速に後輪は空回りをする。タイヤが、急に地面を噛みロケット
のようにカーブを飛び出していった。
拓斗はようやくカーブの終わりが見えたところだった。カーブを抜けながらスロットルを捻ろうと右グリッ
プを握った瞬間、あることに気付いた。タイヤがジャリジャリと音を立てているのだ。
「路面に砂が浮いてる! 」
しかし、気付くのが遅すぎた。
カーブをこなす時、一定のリズムがある。大体ライダーは、『ブレーキ・バンク・アクセル』という一種の
タンゴのようなリズムでカーブを舞う。
拓斗の体は既にそのリズムの中で、右手にスロットルを捻る動作に入っていた。
「不味い! 」
言うのが早いか、砂利による抵抗の減少で、いつもより早く摩擦の臨界点に近づいていたscoopyの後輪は、
そのエンジンからの馬力で地面を滑った。バンク角が急に深くなり、scoopyのサイドカウルは地面と擦れ、タ
イヤは一瞬地面から離れた。
地面に落ちるような感覚を覚えた瞬間、拓斗は足置きの後方に置いていた左足で地面を強く蹴る。scoopyは
体勢を立て直す。しかし、方向はカーブの外側のガードレールへと向っていた。
拓斗は、ブレーキをかけ、時速10キロほどに抑えた後、カーブを出た。
「危なかった……」
そう呟き、それからのカーブは手前で思いっきり減速し出来るだけバンクさせずにこなして行った。二〜三
のコーナーを抜けると、左に方向指示器を点けたzoomerが停まっていた。
拓斗がその横に停め、息を切らしながら言う。
308 :
191:2008/03/30(日) 19:48:54 ID:6HbB8PNr
「速ぇ……」
zoomerに跨った舞子はニヤリと笑って言う。
「あれだけ自信満々だったのに、あっさりだったわね」
そして、笑いながら続けた。
「じゃあ、ゆっくり行ってあげようか? 」
拓斗は不満そうな顔をしたが、頭を下げ
「ちくしょう……。……お願いします」
と言う。
「しょうがないなぁ」
舞子は笑いながら言い、拓斗が来た速度くらいで走った。五〜六分ほど走ると一軒の明かりのついた家が見
えてきた。
その家の前の車庫の前に行き、舞子は車庫の奥を指差す。拓斗はバイクを車庫の奥に入れ、エンジンを停め
た。舞子はその後ろに停める。
「ちょっと、待っててね」
舞子は、そういうと拓斗を車庫に待たせ家の中に入っていった。
数分後、戻ってくると
「お母さんが、泊まって良いって! 」
そういうと舞子はscoopyのリアキャリアのネットを外しテントや寝袋を持って家に向っていった。
拓斗は伸びをした後、メットインから着替えを取り出し舞子の後に続いた。
309 :
191:2008/03/30(日) 19:49:42 ID:6HbB8PNr
朝焼けのハングオン(第八話)うp完了です!よろしくお願いします!
310 :
774RR:2008/03/30(日) 20:38:43 ID:Usnngjsl
つC
漏れは今まで「191」って題名なのか、と勝手に思い込んでたヨ
311 :
774RR:2008/03/30(日) 21:11:06 ID:Akkij/+S
きっと俺が大型でも、舞子さんには勝てないに違いない
312 :
191:2008/03/30(日) 22:31:00 ID:6HbB8PNr
>>310 初めてこのスレにレスした番号が191だったので、そのままになってますww
今後とも朝焼けのハングオンと短編たちをよろしくお願いしますm(_ _)m
>>311 YAMAHAの新型WRなら俺でも勝てるか!?
多分無理ですね……
313 :
774RR:2008/03/31(月) 00:02:19 ID:dqX2+JQk
つかズーマーってリミッターカットだけでそんなに出ないよー。
314 :
774RR:2008/03/31(月) 02:07:58 ID:bFd4YJWh
いやそこは楽しんでおこうよw
315 :
774RR:2008/03/31(月) 12:17:17 ID:5t5urH6v
多分、下り坂だったに違いない
316 :
191:2008/03/31(月) 23:40:02 ID:RCHVwuJD
お疲れ様です。今から「朝焼けのハングオン」(第九話)をうpします。
これで、全て書き溜めた物がなくなりました。
これからは、日曜日に毎週一話ずつうpしていきます。
これからも、どうぞよろしくお願います!
317 :
191:2008/03/31(月) 23:45:17 ID:RCHVwuJD
舞子は拓斗の荷物を玄関の前に置き、そこで待っといてと言うと家の中へと歩いていった。
グローブをしたまま着替えとフルフェイスヘルメットを両手に持ち、拓斗は玄関から舞子の家を見渡した。何だか良くわからないキャラクターのキーホルダーや“佐多岬”と書かれたペナントが無造作に貼ってある
。決していい趣味とは言え無いが、ここの家が旅好きで有るだろう事は良く分かった。
部屋の奥から何やら話す声が聞こえた後、舞子と中年の女性が玄関に来た。
「うちのお母さん」
舞子は隣にいる女性を指差して言う。彼女は
「人に指差さない! 」
と言ってポンッと舞子の頭を叩いた。イテッと彼女が言ったが、母親はそれを無視して拓斗に話しかける。
「まあ、こんな所に居るのもなんだから上がっていきなさいよ」
そういうと、拓斗は深々と頭を下げ
「本当に、こんな遅くにすいません」
「そんなん良いって、早くあがんなよ」
舞子は笑いながら拓斗を家へ促す。
「いや、泊めてもらうんだからきちんと挨拶はしておかないと……」
拓斗がそう言いかけたとき舞子は
「立派な事言うねぇ。さっき腰抜かして、『お助けぇぇ』って言って人には見えないよ」
と笑いながら言った。
「それはもう良いだろ! 」
拓斗は赤面しながら言う。舞子はまだ笑いながら
「まあ、この話は今日の酒の肴にするとしようか」
「やめてぇぇ」
拓斗もふざけながら言う。
その二人を見て、初めはいきなりの訪問者である拓斗を警戒していた母親も柔らかな表情になっていた。
「ほらほら、二人とも。早く部屋に行きなさい」
母親が言うと、舞子は「はぁい」とだらしなく答える。拓斗はまた深く頭を下げ
「では、本当にすいません。お邪魔します」
といい家に上がった。
318 :
191:2008/03/31(月) 23:45:57 ID:RCHVwuJD
部屋に上がる拓斗と舞子に母親は続ける。
「バイクに乗った後は、外の空気いっぱい吸ってるからね。うがいと手洗いちゃんとするんだよ」
舞子は「はいはい」と、まただらしなく答える。拓斗は分かりました。ありがとうございます。と笑顔で
答えた。舞子は拓斗を洗面台に導くと、コップの場所を教えると拓斗の後ろに下がった。
拓斗は手を洗い、うがいをする。ふと、自分の肩辺りを見ると舞子が白目を剥き「一緒に……一緒に……」と呟いている。拓斗は余りにびっくりして、うがいしていた水を飲んでしまった。おえぇっと洗面台に飲ん
だ水を吐こうとするが、飲んだ水はもう出で来ない。
それを見て、舞子は爆笑している。
「アハハハハ!何回でも驚くね! 」
それを見て、拓斗も言い返す。
「まだ二回目だ!それに酷いよ!二回もするなんてあんまりだ」
拓斗は口の周りをタオルで拭いた後、舞子の方を振り返ると彼女は気が済んだのか楽しそうに母親が料理
をしている台所へ向っていた。
軽く溜息をつき、持っていたタオルを洗面台の横についているフックに掛け台所に向った。
台所では舞子が料理に使った食器を洗っており、母親がフライパンで何かを作っている。余ったガスコン
ロのもう一方の口では両手鍋が置かれており、並々とお湯が沸かしてある。
そこら一面に胡麻油の香ばしい匂いと油で炒める音が響いている。拓斗はそれらを楽しみながら眺めてい
ると、母親が拓斗に気付き笑顔で言った。
「あら、もうすぐ出来るからリビングに行ってて」
拓斗は返事をし、リビングに入った。リビングでは眼鏡をかけた舞子の父親がテーブルに新聞を広げて読
んでいた。
「初めまして!今日一晩ご厄介になる拓斗です。よろしくお願いします」
拓斗がそういうと、父親は眼鏡を外し拓斗を見ると嬉しそうに話す。
「おお、初めまして。君が母さんの言っていた拓斗君か。まあ、自分の家だと思ってゆっくりしていってく
れ」
319 :
191:2008/03/31(月) 23:46:22 ID:RCHVwuJD
拓斗は何となくその言葉に違和感を覚えたが、その違和感の原因が分からなかった。軽く会釈し、父親の
向かい側に座った。テーブルの真ん中には調味料を置く台が置かれてあり、その横には雑誌を置く本立てが
ある。やはり、拓斗はその妙な配置に疑問を持ったが他人の家にはそれぞれ流儀があるんだろうと自分を納
得させた。
父親は拓斗の出身や、学生かどうかなど在り来たりな事を聞いてきた。三十分ほど話したときであっただ
ろうか、外で中型バイクの音がした。
その音は、段々と近づいてきて舞子の家の前で、走っているときの高回転の排気音からアイドリングの排
気音に変わった。その音が反響していたことから、拓斗は車庫にそのバイクが入ってきたことが分かった。
そのバイクのエンジンが止まり、コツコツと革靴の音が玄関に向って来る。その音が玄関の前で止まり、
玄関が開けられる。その後、男の声がした。
「ただいま〜 」
声の主はそういいながらリビングに入ってきた。
彼は拓斗を見ると「おおっ」と言って驚いた。拓斗は気まずい雰囲気になる前に、椅子から立ち上がり笑
っていった。
「初めまして、今日一晩ご厄介になる拓斗という者です。よろしくお願いします」
そういうと、彼は思い出したように言う。
「ああ、舞子が言ってた子ね。それにしても若いね」
「若いって? 」
「だって、お遍路参りしてるんだろ?そんな若い子が珍しいなぁって思ってさ」
「お遍路?い……いえ、違います。普通にバイクツーリングです」
拓斗がそういうと、彼は少し考えた後口を開く。
「あ、舞子の友達か! 」
そういうと、拓斗は軽く首をかしげ
「友達ってわけでもないんですが……」
彼は、ハッとして拓斗の肩をいきなり掴んで言った。
「分かった!俺の弟に成る人か! 」
その時、拓斗は彼が舞子の兄である事が分かった。そして、兄が勘違いしている事も。
「いや!もっと違います! 」
320 :
191:2008/03/31(月) 23:46:42 ID:RCHVwuJD
拓斗がそう否定すると、兄は目線を上に挙げ考えていた。
「じゃあ、なんなんだろ? 」
「あの、話せば長くなるんですが…・・・」
拓斗がそういいかけたときに、母親と舞子が台所から注ぎ分けられた晩御飯をお盆に載せて持ってきた。
「あら、智也お帰り」
母親は舞子の兄に言った後続けた。
「ほら、。晩御飯できたよ並べて」
と拓斗と智也に言う。二人はそれぞれ料理を配る。細長く切った肉やピーマンなどがとろみを付けられ炒
められた中華料理:青椒肉絲と、丼に入ったうどん、そしてご飯だった。
「香川って家でもうどんを食べるんですね! 」
拓斗は兄にそういうと、兄は笑って答える。
「うちのうどんは、ちゃんとした製麺屋から買っているからね。旨いよ」
そのうどんの出汁の香りと、小麦の香りが拓斗の鼻をくすぐる。
母親は、一度台所に戻り丸椅子を持ってきた。それを拓斗と父親が居る方と反対側に置き、そこに座った。
智也は父親の隣に座り、その前に、つまり拓斗の隣に舞子が座った。
「こんな物しかないけれど、口に合うかしら? 」
母親が拓斗にそういうと、拓斗は首を横に振っていった。
「こんな物なんて、凄くおいしそうですよ。本当にありがとうございます」
そういうと、母親は嬉しそうに笑い
「じゃあ、冷めない内に食べましょ」
と言う。その後、舞子が「いただきまぁす」と言ってうどんを啜った。拓斗もそれを見て、いただきます。と一言いい、うどんに手を伸ばす。
拓斗は昼にもうどんを食べたので、大体どう食べたら良いかは慣れで分かってきた。一度に沢山のうどん
を掴み口に入れると、噛む時間が増えて出汁とうどんの風味を同等に楽しめなくなってしまう。だからと言
って一本ずつ食べればそれもまた違う。
そこで数本箸で摘み口に運ぶ。やはり舞子の母の言う通り良い麺を使っているだけはあり小麦の香りが違
った。腰もより強く、出汁は醤油ベースに小魚を使ったもので味わい深かった。
うどんを噛んでいる途中で出汁を飲む。濃い出汁をそのままかけるぶっかけとはまた違う味を楽しんだ。
321 :
191:2008/03/31(月) 23:47:07 ID:RCHVwuJD
「いやぁ、旨い! 」
拓斗がそういうと母親は
「うどん以外も沢山あるから食べてね」
と言う。拓斗は青椒肉絲をご飯の上に載せた後、青椒肉絲とご飯を一緒に口に運ぶ。ご飯の上の青椒肉絲
の辛味とオイスターソースの深い味わいがご飯に染み出す。ご飯は少し柔らかめでとても熱く、手で口を隠
しながらハフハフ言って口の中を冷ます。どうにか飲み込める熱さになった後、噛んで飲み込む。口の中に
広がった胡麻油の香りが鼻から抜ける。
「拓斗君は本当に旨そうに喰うなぁ」
智也が笑いながら言うと、拓斗は
「本当に美味しいですから」
と智也と母親を見ながら言った。母親は「そうかしら?」と少し照れている。
「お母さん、料理上手いもんね」
舞子が言うと母親は演技っぽく溜息をつきながら言った。
「いつもは不味そうに食べるくせに、この子は」
その後、父親が
「結婚した当初は、母さんの料理なんて食えたもんじゃなかったのになぁ」
と笑いながら言う。拓斗はその言葉に笑っていいものか迷った。ふと、隣を見ると舞子と母親が俯いてい
る。智也は父親を見て溜息をついた。
「本当につまんないわ」
舞子が小さな声で呟く。折角楽しい食卓の雰囲気が崩れ去った瞬間だった。
拓斗はその雰囲気を上手く変える為に必死に笑顔を作って話題を振った。
「そういえば、俺四国一周の旅をしてるんですけれど……」
と、今まで有った事を話した。岡山からフェリー乗り場まで走り、その途中でコンビニに停まった時に愛
車が頼もしく思えた事、最初に食べたうどんはぶっかけだったことなど取り止めのない話する。
始めは雰囲気作りの為に話したが、話せば話すほど今日の走りの思い出が飛び出てきて二十分ほど話し続
けた。その間で拓斗の料理は多少冷え、舞子の家族は皆食べ終わっていた。
拓斗が話し終わった後、父親は席を立ち台所の冷凍庫から氷を、リビングにおいてある国粋と書かれた一
升瓶とグラスを持ってきた。グラスに氷を入れ、一升瓶の酒を注ぐ。
322 :
191:2008/03/31(月) 23:47:45 ID:RCHVwuJD
国粋とはさぬきの米の地酒である。国の酒は米の粋(すい)、酔(すい)通じる手作りの味。という謳い文句
の酒である。味はさっぱりとしていて飲み易く、飲んだ後米の香りが鼻を通る。
指を氷の上に置き軽く回すと、氷とグラスの当たる涼しい音が響く。それを一先ずグイッと一口飲んだ。
酒の香りを楽しむようにゆっくりと息を吐き、グラスをテーブルに置いた。
「俺も昔は良く旅をしたよ」
父親がそういうと、母親は食器を片付け始めた。拓斗は少しだけ冷めたご飯と青椒肉絲を交互に食べ、頷
きながら聞いていた。舞子と智也は父親を見ている。笑っても居ないし怒ってもいない不思議な表情だった。
父親は続ける。
「そう。あれは三十年くらい前の話だろうか。俺は会社を辞めて一人で北海道ツーリングに行ったんだ。辞
めた理由は今思えば大した事ないが、あの時は色々と悩んでたんだな」
そういって「ハハハ」と笑い、氷が少しだけ解けた酒をまた一口飲む。
それから父親はそのツーリングの事を話した。数ヶ月にも及ぶ壮大なツーリングだったこと、荷物をキチ
ンと固定していなかったせいで荷崩れし、そのせいで荷物が全部崖に落っこちたこと、テントも無く着替え
も無くその日は愛車の下で蹲って寝たこと。そして何より、そこで自分の中の決心が見つかったことを話し
てくれた。
その話は二時間ほど続き、拓斗達は笑い、そして最後には感動で涙ぐんでいた。
そんな中、舞子が口を開いた。
「今までお父さんがそんな事してたなんて知らなかった。ちょっと、見直したよ」
そういった。父親はにっこりと笑って頷いた。
「ところで、何で父さんは今までそんな話を俺らにしなかったの? 」
智也がそういうと、父親は嬉しそうに言う。
「人には人の話を聞ける時期がある。いろいろな事を経験して、初めて人のことが分かる時がある。拓斗君
が来て旅の話をして、それを皆が聞いて……。あ、もう皆に色々な俺の経験談を話しても良いかなと思ったんだ」
323 :
191:2008/03/31(月) 23:48:05 ID:RCHVwuJD
父親は柔和な顔でそういった。
拓斗はすっかり料理を食べ終わり、母親がその食器を台所に持っていく。拓斗は「すいません」と軽く会
釈をした。父親は、グラスを人数分出してきて全員に酒を振舞った。
リビングはしんみりとした雰囲気になってしまった。
「そういえば、拓斗さ。何で家に泊まるようになったかって言うとさ……」
今度は舞子がその雰囲気を打破する為に、拓斗が舞子をお化けと間違えた時のことを話し始めた。
舞子の拓斗が驚いている時の真似がとても上手く、夕食の後片付けを終わらせて台所から帰ってきた母親
と、智也と父親は大爆笑していた。
拓斗は始め恥かしがっていたが、みんなの笑う顔を見て楽しくなった。
皆酔っ払って、取り留めの無い事で笑った。その日は良い宴になった。
12時頃になり宴も収束に向うと、父親は残りの酒を飲み干し
「じゃあ、先に寝るわ」
と言ってリビングから出て行った。母親は父親が出て行くのを確認した後
「お父さんがツーリングの話をするなんて。よっぽど楽しかったのね。あんな楽しそうな顔久しぶりに見た
わ。拓斗君、あなたのお陰よ。ありがとう」
そういって深く頭を下げた。拓斗は酔っ払って顔を真っ赤にしながらも、「いえいえ、とんでもない」と
返した。
「私も、もう寝るわね。舞子は兎も角、智也は明日会社でしょ?早く寝なさいね」
と言って母親はリビングを出て行った。
「二十三にもなって、こんなこといわれるとはな」
智也は笑って言った。その後、唐突に舞子が口を開く。
「酒飲んだらトイレに行きたくなった」
「勝手に行けよ」
そう智也が言うと、舞子はノロノロとリビングを出てトイレに向った。リビングには智也と拓斗の二人き
りになった。
智也は少し真剣な顔で拓斗を見て言った。
「ありがとな」
拓斗は「こちらこそ停めてもらって、ご飯と酒までご馳走になって」と返すと、智也はさっき舞子が座っ
ていた椅子を見ながら話し始めた。
324 :
191:2008/03/31(月) 23:48:42 ID:RCHVwuJD
「いつからだったかなぁ。父さんと舞子が仲が悪くなったのは……」
拓斗はその言葉で、舞子の家に入ってからの違和感を思い出して見た。
父親の「母さんから聞いたよ」と言う言葉、父親が言ってから俯いた舞子。そう、舞子が知り合いを家に
泊めるのに、その話を父親が母親から聞いたという事だ。家の中に居れば、普通舞子が言うだろう。つまり
、あの違和感は父親が舞子と話していないことにあったのだ。
拓斗はグラスに口をつけ唇についた酒を舐め、深く頷いた。
「高校に入ってから、父親が距離を保つようになったんだよなぁ。まあ、年頃の娘を持つわけだから何とな
く気持ちは分からなくないけれどさ」
智也は残りの酒を飲み干した。拓斗はテーブルの下に置いてある一升瓶を持ち上げる。智也はグラスを近
づけ、それに拓斗が注いだ。半分くらい注ぎ、一升瓶の栓を閉めた。
「舞子が大学に実家から通うって言った時は、俺も父さんと仲良くなったのかと思ったけれど……」
そういった後、酒を一口飲み首をゆっくりと左右に振った。
「何となく歩み寄れなかったんだろうな。その時! 」
そういって、強くグラスをテーブルに置いた。乾いた音がリビングに響く。
酔ってボーッとしていた拓斗はその音に驚き、背筋がピンッと伸びた。そんな拓斗に智也は指差し
「拓斗君が来た」
「はぁ……」
「拓斗君の旅の話が二人の、薄いのに破る機会が無かった壁をブチ破った」
拓斗は遠くを見ながら「ほぅ」と言って頷いた。本当に分かっているのだろうか?
「お遍路さんを泊めた家は幸福が来るんだ。初めに拓斗君にお遍路さんかって聞いたけど、強ち間違ってな
かったかも。本当に、今日はありがとな」
そういって、智也は酒を飲んだ。
そうして話が終わった時、リビングの扉が開き舞子がトイレから帰ってきた。
「何の話してきたのぉ? 」
舞子は酔っているためか、ゆったりとニヤニヤしながら智也に聞いた。
「舞子に手を出すなって、拓斗君にね」
そういうと、拓斗は何度も頷いた。
舞子は拓斗の顔をジッと見て
325 :
191:2008/03/31(月) 23:49:04 ID:RCHVwuJD
「本当?怪しいぃ」
と息が酒臭いと分かるほど拓斗に近づいて言う。それにしても、酷く酔っている。拓斗は後ろに仰け反り
ながら引きつった笑いを見せた。
「ま、私の顔見て腰抜かすくらいだし、手は出せでしょ」
と言って笑って席に着いた。
時計は十二時半を示している。それを智也がちらりと見る。それにつられて拓斗も時計を見た。
「拓斗君、明日もたくさん走るんだろ?俺も明日仕事だし、そろそろ寝ようか? 」
智也がそういうと、拓斗は大きく頷きグラスを開ける。智也も残りを一気に飲み干す。舞子はと言うと、
いつの間にかテーブルに伏せて寝ているようだ。
「しょうがねぇな」
そういうと、智也は少し酒の入ったグラスを自分のグラスに重ねた。そして、それを拓斗の前に出し「良
いよ」と言う。拓斗は智也にグラスを渡す。智也は拓斗のグラスの上に二つを重ね、台所に持っていった。
拓斗は玄関に行き、自分のバックから歯ブラシセットを出した。洗面台に行き、歯を磨いていると智也も
やって来て一緒に歯を磨いた。
「拓斗君、そういえば走りで舞子に負けたんだって? 」
智也がそういうと、拓斗は「勝負にもなりませんでした」と答えた。
「明日は、何時に出るの? 」
「まだ決めていません」
「じゃあ、正午に出ても良い? 」
智也が口に溜まった泡を吐き出して言う。拓斗は少し考えて「ええ」と返事をした。
「よし、じゃあ一緒に午前中だけでも走ろう」
そういうと、拓斗は泡を吐き
「仕事はどうするんですか? 」
と言うと、智也は腹を急に摩りだし
「あれ?腹の調子がおかしいな。これは明日相当痛くなる。これは午前中は仕事休むしかないな」
と笑いながら言った。拓斗もそれを見て笑う。
「でも、そんな簡単に休んで良いんですか? 」
そう聞くと、智也は笑いながら頷き
326 :
191:2008/03/31(月) 23:49:28 ID:RCHVwuJD
「俺も君の話を聞いて学生時代のツーリングと走りに明け暮れた日々を思い出してね。で、拓斗君はどうな
の?」
拓斗はすぐに返事をした。
「お願いします! 」
「よし、それでこそライダーだ」
そう言って、二人ともうがいを済ませリビングに戻った。リビングではさっきまで伏せて寝ていた舞子が、拓斗の椅子と自分の椅子の二つを使って横になって熟睡していた。
「本当にしょうがねぇな」
智也が舞子を抱きかかえようとすると、拓斗が言う。
「俺、しましょうか? 」
そういうと、智也は舞子から手を離す。
「それは、君が俺の弟になってからな」
そういって、舞子を抱きかかえ舞子の部屋のベットに寝かしつけた。
「そういえば、拓斗君は風呂入った? 」
智也がそう聞くと拓斗は首を横に振った。
「母さんが風呂入れてたみたいだから、入ってきたら良いよ」
拓斗は頷き、玄関に置いてあるバッグから着替えを出した。風呂場は台所の奥、洗面所の前に有った。そ
こで、服を脱ぎ風呂場に入った。一通り体や頭を洗い風呂に入ると、脱衣場に誰か入って来た。
「拓斗君、タオルは洗濯機の上に置いておくからね」
声で智也だと分かる。拓斗は「ありがとうございます」と返した。
風呂から上がり、体を拭く。丸一日走ったせいで若干体が引き締まっている気がする。寝巻き用に持って
きたジャージに着替え脱衣所の扉を開ける。そこには智也が自分の着替えを持って待っており、拓斗が出た
後入った。
「もう寝といていいよ。俺の部屋は舞子の部屋の隣だから」
そういって脱衣所の扉を閉めた。そうは言っても、他人の家で一人で移動するのは何となく気が引けたので、拓斗は智也を待った。
十五分ほどすると智也も上がる。
「おお、待ってたのか」
327 :
191:2008/03/31(月) 23:49:49 ID:RCHVwuJD
智也が言うと
「ええ、何となく」
と拓斗。それを聞いた後、少し考えて智也は言った。
「別に拓斗君が舞子を襲うなんて考えてないよ」
拓斗は小さく溜息を吐き言う。
「考えても居ませんでしたよ」
そういうと、智也は拓斗の頭をポンポンと叩き
「冗談だよ」
と笑いながら言い、続ける。
「じゃあ、寝るか」
拓斗は嬉しそうに大きく頷いた。ヘトヘトに疲れて川辺でうな垂れてからもう四時間以上経っているのだ。寝れるというだけで嬉しくなってくる。
328 :
191:2008/03/31(月) 23:50:31 ID:RCHVwuJD
智也の部屋は壁にRSタイチの皮ツナギが掛けてあり、その向かいにはMr.Bigのポスターが貼られている。
棚の上にはボロボロのAraiのヘルメットが飾ってある。CDコンポの隣にはと大量のCDが並べられており、パ
ソコンの置かれている机にはmotoGPのDVDが重ねられている。
「このヘルメットはなんですか? 」
拓斗が聞くと、智也はヘルメットを持ち上げ撫でながら答える。
「初めて買ったヘルメットだよ。もう、随分使ってヘタってるから使い物にならないけれどね。何となく捨
てられないんだ」
拓斗はそれを見た後、部屋を見渡した。この部屋には智也の好きなもので満たされているのだ。その代わ
り部屋は狭くなっていたが……。バイク、レース、音楽……。ふっと自分の部屋を思い出した。グシャグシ
ャにされたプリントたち、漫画……それくらいしかない。
拓斗は智也の部屋を目を輝かせて見ていた。
「そんな面白いもんあるか? 」
智也が聞くと、拓斗は
「バイク関連がいっぱいありますね」
と言う。智也はふざけてかえした。
「だって、バイク好きだもん」
拓斗も「そりゃそうですね」と笑う。
「さて、寝るか」
そう言って布団を敷いたが、スペース的に布団二枚は敷けない。一枚の布団の上にズラして、もう一枚を
敷く。言わば、一枚半の広さにしてそこに男二人で寝た。
電気を消して智也が一言。
「これ……狭いな」
そう言って拓斗を見ると、もう寝息を立てていた。
「一瞬で寝るとは。疲れてたんだな」
ふっと笑って拓斗を見た後、眠りに落ちた。
329 :
191:2008/03/31(月) 23:50:52 ID:RCHVwuJD
九話うp完了です!
330 :
774RR:2008/04/01(火) 00:09:10 ID:VAR9jQ7Z
つC
331 :
191:2008/04/01(火) 00:47:06 ID:kF26GukA
>>330 もうレスが!
支援ありがとうございます!
332 :
774RR:2008/04/01(火) 01:06:09 ID:VAR9jQ7Z
333 :
774RR:2008/04/01(火) 14:58:29 ID:2kSgYvoP
334 :
774RR:2008/04/01(火) 23:12:25 ID:a0sTBJvh
予想外の展開だ
CCC
335 :
191:2008/04/02(水) 00:51:59 ID:wGVYE88w
>>334 支援ありがとうございます!
そう言って頂けるとありがたいですね!
>>333 いえいえ!
336 :
774RR:2008/04/02(水) 14:19:16 ID:b4KaU1jM
なぁ、アニメキャラは出てないよな?
それとも俺が知らないキャラのデフォルメなだけか?
頼む、誰か教えてくれ・・・・気になってしょうがないんだょ
とにかく CCCC
337 :
774RR:2008/04/02(水) 20:24:27 ID:V9P1ka6C
最近キリン読者になったんだけど、マスオ氏の作品って
キリンにかなり影響受けてるというかインスパイアされてるというかパクってるというかなんだな
マスオ氏は実はヒマつぶしに2ちゃんやってた東本氏だったならオモシロイね
338 :
774RR:2008/04/02(水) 22:51:14 ID:tODhpvLq
「イクラ」
この名前で一生を過ごすと思うとあの暴君っぷりも許せるではないか
339 :
191:2008/04/02(水) 22:53:22 ID:wGVYE88w
>>336 朝焼けのハングオンの登場人物は、アニメのデフォルメじゃないですね。
それと言うのも、俺が殆どアニメを見ないので……。
でも、最近先輩に進められて棍棒を持った天使のアニメ?を見ました。
340 :
774RR:2008/04/02(水) 23:08:52 ID:tODhpvLq
こんぼうのてんし??
341 :
191:2008/04/02(水) 23:12:15 ID:wGVYE88w
主人公が中学生か高校生で、やたら死んでました。
最近のアニメってグロテスクな表現多いんですね…
342 :
774RR:2008/04/03(木) 00:02:24 ID:d+8bldhE
ドクロちゃんか!
アレは特別ですって
343 :
191:2008/04/03(木) 00:26:56 ID:Z4Q3UQUi
>>342 それです!
テラへとかBlood+とか面白かったのに、それをみて愕然としましたよ。
特別なんですね。ちょっとホッとしましたww
344 :
774RR:2008/04/03(木) 01:51:05 ID:L8aeJaLg
ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜
345 :
774RR:2008/04/03(木) 01:51:05 ID:Dg7v8wvP
>>337 どっちかっつーと湾岸ミッドナイトの影響を強く受けてんじゃないかと
346 :
774RR:2008/04/03(木) 03:49:32 ID:CjFPEgps
>>345 キリン読んでみれ、似たようなエピソード出てくるよ。
第三京浜のパトカーのとか北海道編とか。
347 :
774RR:2008/04/03(木) 05:38:10 ID:MwDinqW3
魔棲雄氏の最後の話から3ヶ月か…
348 :
774RR:2008/04/03(木) 19:01:43 ID:JPgWYrZV
>>346 キリンは今のところ全巻持ってるんだけどw
349 :
191:2008/04/04(金) 02:20:58 ID:qWVCZO+N
第十話下書き終わりました。後は加筆修正で終わりです。
何となく、一仕事終った感で書き込んでしまいましたw
350 :
774RR:2008/04/04(金) 02:28:17 ID:gzrmvv/E
351 :
774RR:2008/04/04(金) 03:31:43 ID:GWo4C3Qv
352 :
774RR:2008/04/04(金) 09:42:44 ID:EjQo/gKI
持ってるけど呼んだことないんだろうw
とりあえず
つC
353 :
774RR:2008/04/04(金) 10:46:35 ID:4x3S2LT2
ううむ、キリン・湾岸ミッドナイトねえ・・・
強いて漫画に例えるならば、秀吉を亡くした直後のグンの苛立ち、自暴自棄、焦燥・・・
といった暗さというかネガティブさを感じます。だからこそ走行シーンの闇はより深く、
速度はより速く感じられます。
作者殿を急かすことなく、十分練り込んだ作品を待ちたいですね。
354 :
774RR:2008/04/04(金) 12:45:41 ID:VzQDWooN
|\|\l\|\
| ヽ
|____ ヽ
| 丶 丶
. |,へ.__, ,_ノヽ丶 丶 /―――--,
. | ・ ・ | _| /三河屋 /
| ⊂ ∴ レ6)|. /――――`'
| ___ |/
/\ /\ ヽ_/ //
/ /\ \___/ ./
())ノ__ ○二○二⌒/../
/ /||(二ニ) (___/../ 几l
γ ⌒ /|V||彡Vミ/⌒_ノ二二ノl0
l| (◎).|l |((||((゚ )/⌒/||三三三・) || (´⌒(´
__ ゝ__ノ  ̄(___) ̄ ゝ__ノ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(´⌒(´⌒;;
355 :
774RR:2008/04/04(金) 15:59:26 ID:opio9DWW
356 :
774RR:2008/04/04(金) 23:05:45 ID:JXvdyQ6U
キリン、湾岸、両方からインスパイアされていると思うけど。
言葉の言い回しも、情景の描写も。
357 :
774RR:2008/04/05(土) 00:06:08 ID:ja+bEUpB
旅が好きで、バイクが好きで
楽しいと思ったことは全てやってきた。
お陰でずいぶんと遠回りしてしまって、社会人としては失格だったし
辛いことも悲しいことも、楽しいことと同じぐらい多くて
でも、なんかさ。
普通の人生の三回分ぐらい濃くやれた気もするんだ。
長い旅から帰って、普通に勤めだして、マジメにガムシャラに頑張って
バイクも原付二種一台だけにして。
んで気が付いたらソコソコの地位にいて、ソコソコの給料貰ってて。
でも会社が突然なくなって、転職までの合間に小さな旅をして思ったんよ。
ああ、俺はどうしようもなく、こんな風にしか生きていけないんだって。
今はまたマジメに働いてる。次の旅の資金を得るために。
旅を商売に出来ないものか考えてる俺は駄目人間。
358 :
191:2008/04/05(土) 00:30:30 ID:JfS4Q8sp
>>350ー352
支援ありがとうございますm(_ _)m
>>357 旅ってそうですよね。
人生が濃くなりますよ、本当に。
感動しました!
359 :
774RR:2008/04/05(土) 13:42:08 ID:ws9QfFqA
>>357 俺も以前勤めていた会社が倒産した時に、ちょっとした旅に出たよ。
俺は1週間程度だったけど、旅に出てよかったなぁと思う。
360 :
774RR:2008/04/05(土) 19:14:02 ID:S7A1Y0/f
361 :
191:2008/04/05(土) 20:29:12 ID:vzh0uFS4
>>360 明日のうpの前に、短編を一つうpさせてください。
以前の物で、推敲が一応終ったので。
電話の呼び出し音、忙しそうに走り回る足音、人々の話し声。
この男の通うオフィスはいつも忙しかった。いや、今日も。と言うべきか。
男はオフィス全体を見渡せるいつもの席に座り、ビジネスバッグから家で仕上げてきたこの会社でこの男の最後の発表の資料を出した。
「長野部長お早う御座います。今回の企画も、一発で通らせましょうね! 」
入社してまだ2年目の女性社員が話しかけてきた。
この女性社員“花山”は長野がこの会社での引退。即ち定年を迎える事を見越して“教育”してきた社員だ。二年前は電話番さえおぼつく程だったのに今では新入社員に檄を飛ばすまでになっている。
それ以上にここのオフィスでは長野が納得の行くまで育てた社員だらけだ。
入社して40年近く。来月を定年退職とした今40年もそう長くは無かったなと思うと感慨深いものがある。
「そうだな。この企画課の一発で通って全部成功した記録を私が居るうちに少しでも多くしないとな」
とハハハと長野は返した。花山はニコリと笑い、返事をしてデスクに戻った。
長野は企画書を見つめる。
点数をつけるなら八十五点。長野の最後を飾るには素晴らしい出来だ。
後は通った後に細かい修正をして百点の出来にすれば良いだろう。
午前に企画会議があり、企画課の“記録”は一つ更新された。
二月の日の入りは早い。オフィスに朱色の光が差し込んだのは三時ごろになってだった。
会議から開放された長野は歳のせいか、溜息をしながら椅子に座った。
一仕事終わり、これから呑みにでも行きたい気分にいつもなら成るだろうが、今日は何故かそんな気分に成れない。
押し迫った定年というゴールのせいだろうか?定年までまだ一ヶ月以上あるのに…。
その日は部下に誘われたが少し調子が悪いと言って飲まずに帰った。
次の日。またいつもの様に会社の椅子に座る。皆忙しそうだが長野だけ暇そうだ。
長野の定年後の生活、すなわち仕事を辞める事への心構えを作るのために会社がくれた“休暇”という名の出社日である。ここでジッとしていても部下は全く構ってくれない。
「ちょっと、優秀に育てすぎたなぁ」
と長野は独り言を呟き苦笑いを浮かべた。初めの一時間ほどは良かったが余りに暇すぎたため長野は挨拶回りに行く事にした。
エレベーターではなく階段を使って一回に降り、公用車の鍵を見る。
十台近くある公用車は殆どが使われていた。最近買ったピカピカの公用車と古い物の二台が残っていたが、こんな暇潰しのために最近買った公用車を使うのは気が引けたため、長野は一番奥のNo.1と書かれた古い車の鍵を手に取った。
忙しい時期以外は使われない為か、長野が乗る公用車には木の葉が何枚か車に落ちている。長野はそれを払いのけ、シートに座る。
重いハンドルをカーブを曲がるたびに回し、今日回る会社を考える。
「ボロイなぁ……」
長野は呟きながら速度計の下のトリップメーターに目をやった。 十一万キロメートル。
そろそろ廃車予定だ。
「お前も俺と一緒か……」
長野は一人その車へ話しかける。
そのまま、何社か周り世間話をした後、会社へと車を走らせた。
帰り道、ふと見慣れない単語が目に飛び込んできた。
“ライダーズハウス植山”
昭和初期生まれの長野にとってライダーと言えば三無い運動の標的にもされた、不良のイメージしかない。 しかし、そのライダーズハウスはウッド調の外壁に落ち着いた看板。
長野の“不良”のイメージとはかけ離れていた。
気になったので入ってみると、マスターは室内展示のヤマハ:XJRを磨いていた。
軽く挨拶を交わし、長野はカウンターに座る。さっきまでバイク磨きをしていたマスターはボロ布をバイクの上に置きっぱなしにしながら長野を見た後、笑顔で言う。
「いらっしゃい」
琥珀色の室内照明、壁に飾ってあるジャケットやコート、そして、壁のコルクボードにはこれでもかと言うほどのマスターとそのバイク仲間とのツーリング中の写真が貼ってある。
長野が店内をキョロキョロと見渡していると、マスターはカウンターに手を置きながら言った。
「お客さん車で来ましたね?」
「そう。仕事の途中でね。」
「結構仕事暇なんですか?」
「ハハハ、そうだねぇ。皆は忙しそうだけど、私だけ暇だよ。」
長野は初めて行く会社には自分を良く認知してもらう為に少なからず自分の身の上を少しだけ露呈させる。それと同じように、いつもと同じように話した。
長野と一緒くらいの歳のマスターはそれを見透かしたように相槌を打った。
平日の午後だからだろうか?客は長野一人しか居らず、ゆったりとした時間が流れている。
長野はメニュを見た。ハウス植山はカフェと民宿を兼ねた所の様で、様々な珈琲の種類があった。
サンタマルタ・ブルーマウンテン…ツーリング。
「ツーリング?マスター、このツーリングってのは?」
「ははは、ここのオリジナル珈琲ですよ。ただ、お客さんにはちょっと早いですがね。」
長野はマスターの上からものを言ったような物言いに腹が立ったので、適当に珈琲を頼んでライダーハウスを去った。
会社に帰り、適当な書類処理をした後、定時で家路についた。
家に帰ると、妻が電話で誰かと話していた。
「…うん。って事は伸也は納得って事ね。お母さんもうこれ以上は無理みたいなの。うん……うん。じゃあ、切るからね」
「帰ったぞ! 」
ビジネスバッグを玄関に置き、自分の部屋の机の上にスーツをかける。大抵妻はそれを次の日にはハンガーにかけている。
風呂に入ろうと風呂場に行くがお湯が張ってない
「オイ!風呂はどうした! って、まだ五時半か……」
今まで帰りは10時〜11時だった為いつもお湯が張ってあったが、今日は帰りが早いのである。はぁ……と溜息をつき、まだなんの準備もなされてないキッチンを通り過ぎ居間のソファにゴロンと横になりテレビをつけた。
すると、妻がやってきて書類を机に置いた。
「来月から定年なんですってね。お疲れ様」
「ああ」
「私には何の言葉も無いんですか? 」
「ああ?疲れてるんだ。後にしなさい」
妻は鼻息を荒くしてキッチンへ行った。長野はテレビ番組の奥の虚ろを見つめた。
そして、また妻が戻ってくるなり言い放つ。
「あなた、あなたが今月の定年まで私は頑張るわ。でも、私はそれ以降、実家に帰るわ」
「……? 」
長野は意味が分からなかった。今まで家庭のために自分を犠牲にして働いてきたのに、何で実家に帰るのか。
あまりの唐突さに長野がボーっとしていると、妻は続けた。
「あなたは今まで自分だけが頑張った気で居るんでしょう?でもね、私だって頑張ってきたの。伸也が大学を 選ぶ時どれだけ二人で話したか…。あなたが、仕事で上手くいかないとき、どれだけ気を遣ったか!! 」
「それは伴侶として当然じゃないのか? 」
「それだけじゃないわ!事あるごとにあなたは私を責めた! 」
「今まで、お前を責めた事なんてないだろうが! 」
「ほら、そうやってすぐに声を荒げる!! 」
妻は泣き出し、自分の部屋に篭った。長野はわけが分からずコンビニに晩飯を買いに行き一人で寝た。
次の日も次の日も……。妻が何に怒っているのか“理解”出来ぬまま……。
とうとう、引退の日。社員から花束を貰い、送迎会の話も中々に家路に向った。
家に帰ると、リビングの机の上に手紙が一つ。
“言った通り、実家に帰らせていただきます。
どうせあなたは恩をあだで返したとでもおもっているんでしょうけど”
長野は目の前が真っ暗になった。どうせ、年寄りの癇癪だと思っていたがまさか本当に出て行ってしまうとは。
しかし、連れ戻そうにも切っ掛けが見つからない。なんていって良いのかわからない。
今まで、自分は家族のために働いて来た。順風満帆にやってきた。そう思っていたのは自分だけだったのか?
分からない。そもそも、何に怒っているのか?自分の言葉使い?態度?
今まで、疲れたときは別にして出来るだけ気を遣ってきたはずだった。
はぁ…。静寂な家に溜息が一つポッカリと浮かんだ。
その日は、適当に料理を作って寝た。独身時代の一人暮らし以来にしては上々の味だった。まあ、作った料理は野菜炒めという簡単なものだったが。
土曜日、朝起きてスーツに着替える。ハッと気付いて家着に戻る。庭をグルッと回り適当に煙草をふかしながら掃き掃除をする。1時間もすれば庭はピカピカになった。
家に戻り、新聞を読みテレビをつける。
それにしても暇だ。時間と言うのは何故こうも意地悪なのだろうか?忙しい時は時計の分針が秒針のように思えたものだが、今は分針が時間針のようだ。
ふと、あのライダーズハウスを思い出した。
「暇だし、行ってみるか…」
ライダーズハウスは土曜日と言うのもあって客は5〜6人は入っていた。
いらっしゃいとマスターが長野に声をかける。長野はまたカウンターに腰をかけ、珈琲を頼んだ。
客を見渡すと皆カラフルなツナギを着ている。しかも、色に似合わず皆長野と同じような年齢だ。
「マスター、彼らは一体何の集団なんですか? 」
長野がマスターに尋ねると、マスターは
「ライダーですよ。つまり、バイク乗りです」
ほうほう、と長野が頷いていると
「あなたは今日も車ですね。また、仕事の途中ですか? 」
「ああ、前回来た時を覚えてらっしゃいましたか。恐縮です。 今回は仕事ではなく、珈琲を飲みに来ました」
「土曜日休みですか?羨ましいなぁ。定休日があるって良いことですよ」
「ははは、そうですなぁ。しかし、私にとっては毎日がこれから定休日ですよ」
「…定年ですか? 」
「…はぁ。まだまだ先のことと思っていたらここまで来てしまいました」
「そうですか。実は私も去年定年したんですよ」
「ほう、それは奇遇ですなぁ。と言う事は、老後の先輩ですか。ここは一つ宜しくおねが……」
「いえ、先輩は貴方ですよ。私はまだ老後ではありませんので」
長野の頭上にハテナマークを浮かべているとマスターは続けた。
「私は前々からこのライダーズハウスがやりたかった訳ではないんです。一生懸命働いていたのに女房には逃げられる。…ほら、なんか最近年金制度が変わったでしょう? あれですよ。で、何をするでもなく家でダラダラしていると大学時代の友人が家に来たんです」
「ほほう、それはどんな目的で? 」
「“私を趣味に誘い”にです。“お前定年なってどうせ暇だろ!バイクの免許取りに行くぞ!!ほら!!”と私の手を握ってそのまま自動車学校まで連れて行かされました」
「それで? 」
「私その時車の免許は持ってましたし、ポケットマネーに10万ほどあったのでその場で講習代を払いバイクの免許を取りました」
「…ははぁ、大変だったでしょう? 」
「それが、講習の先生も年下でしょう?丁寧に教えてくれましたし若いエネルギーを貰いましたよ。それから、退職金でバイクを買ってその友人と日本一周しましてね」
「それもまた……」
長野は多少呆れながら相槌を打った。
「その時に全国各地のライダーズハウスに世話になりましてね」
「それで、ここを? 」
「そうです。単純でしょ?ハハハ、よく言われるんですよ」
長野はグイッと珈琲を飲み干し
「いやぁ、今日は良い話を聞きましたよ。有難う御座います」
深々と頭を下げた後、そう言い残しライダースハウスを出ようとした。その時、向こうで騒いでいたツナギ
の男が近づいてきた。
「アンタも退職組かな? 」
「ええ、まあ」
適当に返事をし、席を立とうとした。しかし、ツナギの男はまあ座れと手を引きカウンターに座らせた。
なんとも強引な男だ。
「コイツですよ。私をライダーズハウスに駆り立たせた男は」
マスターは笑いながらツナギの音を指差した。
「あんた、暗そうな顔してるなぁ。なんか有ったなぁ? 」
「いえ……」
この男、強引な割には物凄く澄んだ眼をしている。
「はい……。ちょっと」
この男の前では嘘がつけない。長野はそう思った。
「言ってみな。気がすっとするぜ」
ツナギの男がドンと長野の背中を叩く。
長野は今まであった事を全て話した。今まで頑張ってきた事、それなのに裏切られたように伴侶が去った
事。あまりにも思いつめていた為かスラスラと言葉が出てくる。
多分、ツナギの男が聞き上手ってのも有ったんだろう。もう、2〜3時間は話しただろうか?
「…そりゃあおまいさんが悪いな」
ツナギの男が呟いた。
長野はツナギの男を睨んだ。
「なんでも我慢すりゃ良いってもんじゃねぇ。そりゃあ、おまいさんの奥さんにも言える事だがな?きっと
、おまいの奥さんはおまいさんが我慢して働いてしたいことがあるのにしない事を気にしてたんだろうな。
そして、それはおまいさんが勝手に家庭に尽くす事が家庭に愛を注ぐ事だと勘違いしてやっている。その上
、我慢しているのをおまいさんは奥さんや家族のせいにしている」
「違う!家族のせいになんかしてない! 」
長野は叫んだ。ハウスの中は“しん…”と静まった。
「ほら、怒るって事は思ってたんだろ?言わなきぇら良いってもんじゃないさ」
長野は図星で黙った。
「じゃあ、俺はどうすれば? 」
「ンなもん知るかよ。ただ、おまいさんの奥さんは今でもお前に好きな事を見つけて輝いて欲しいと思って
いるだろうな」
好きな事と言われても長野は四十余年ずっとデスクに向き合っていた男だ。趣味と言っても何にも浮かん
でこない。しかも、その趣味をする理由が楽しむ為ではなく伴侶を連れ戻す為、何か思い浮かぶわけも無く
ただ沈黙が続いた。
その時、ライダーズハウスの外で排気音がした。ドゥカティ:モンスターに乗った女性は
「上っち、お疲れ〜」
そういいながらライダースハウスに入ってきた。
ツナギの男も花山を見るなり手を挙げ言う。
「花ちゃんお疲れ〜」
と挨拶を交わす。年甲斐の無い男だ。そう長野は思った。
「あ!山ちゃん!お疲れ〜! 」
マスターは上ッチ、ツナギは山ちゃんと呼ばれている。全く、偉そうに喋りながら…
そう思いながら長野は彼女を見ると、長野の良く知る花山だった。
「あ!君は! 」
長野が驚きながら花山を指差す。
花山も目を見開いて喜びながら言った。
「あ!長野部長!!ハハハ!昨日振りです! 」
笑いながら返してきた。少し話して彼女はハウスの奥のツナギの野郎共の中に混じって雑談を続けている。
別に彼女に感化された訳ではないが長野の中でバイクのイメージが横浜銀○から華やかな物に変わった。
長野はパッとツナギの男に振り返り
「えっと…」
「山ちゃんで良いよ」
「山ちゃん、私もバイクに乗ってみたいんだが…。どうだろうか? 」
「……」
山ちゃんは無言でハウスの壁にかけてあるジェットヘルメットを長野に渡し、外へ向った。
外には山ちゃんのハーレー:FLHTCUが停めてあった。長野をそのタンデムシートに放り投げるとエンジン
をかけ、自動車学校へ向った。
山ちゃんが駐車場に止めようとしたとき、長野が耳元で言った。
「申し訳ないが山ちゃん、今手持ちに1万円も無いんだ。」
「それを早く言え! 」
山ちゃんは後ろを振り返るなりそう叫ぶと片足を突きながらUターンして銀行へ向った。
長野が金を下ろし、またバイクに乗ると山ちゃんが捕まってろよ!!と叫ぶや否や脱兎のごとくさっきの自
動車学校に向った。
長野を下ろし、長野はヘルメットを山ちゃんに返した。
「後は自分でがんばんな! 」
山ちゃんが軽く長野の胸にパンチし帰った。
「帰りはバスだな」
一人取り残された長野は呟いた。
教習代を払い、長野は教習を受けた。
卒業までに5時間ほどオーバーしたが、そのお陰で高校生や大学生、おまけに自分と同じくらいの歳の友
達まで出来た。
卒業検定はその友達とだった。高校生や大学生はすぐ受かる物の自分や同じ歳くらいの友達は3〜4回落
ちた。
最後は、お情けで受からせてもらったものの、長野は感動で涙が出た。友達も泣いていた。
仕事では味わえない達成感。それが趣味なのかもしれない。
そのあと、免許の更新をしその足でバイクを購入した。
バイクは安全も考え慣れているHONDA:CB400SFにした。
バイクを買って一年は花山や、植ちゃん、山ちゃん。そして、教習所の仲間達と毎週のようにツーリング
に出かけた。年金では足らなくなり近所でバイトも始めた。
そして、一年がたち、二人乗りが法的に許された時、長野はライダーズハウス植山に出かけた。ハウスに
はいつもの皆が集まっていた。
「皆、聞いてくれ!!俺はこれから自分の妻を奪還に行って来る!もし、失敗したら大声で笑ってくれないか? 」
長野は入るなりそう叫ぶ
「行って来い!骨は拾ってやるよ! 」
と山ちゃん
「ちょっと、残念ですね。でも、頑張ってくださいね! 」
と花山
「きっと大丈夫!奥さん戻ってもCBには乗るんだよ? 」
と植ちゃん。
長野は、また外に飛び出しCB400SFに跨った。その時、植ちゃんが走ってきた。
「長野!これこれ!ツーリング珈琲! 」
植ちゃんの手には水筒が握られていた。
「ツーリング珈琲ってのはさ、ツーリング中美味い珈琲が飲みたくなった時の為のコーヒーさ。そして、そ
れ以上に、カッコいい奴が飲む珈琲なんだ。今の長野に飲んで欲しい」
「植…ちゃん。」
長野の目じりに光るものが伝った。
そう、あれから一年。長野はちょっと変わっただけかもしれない。ちょっとした趣味人へと。それだけかもしれないし、人によっては長野は駄目になったと思うかもしれない。
でも、それで良いと思う。きっと、自分の価値なんて自分が好きな人が決めれば良いもんだから。
長野は涙目で植ちゃんの水筒を受け取る。
植ちゃんは長野の背中を叩き、行って来い!と笑った。
長野は人差し指と中指を立て、ハウスの皆に「またな!」とおでこから手を上げ敬礼し、CBのアクセルを捻った。
短編うp終わりです。よろしくお願いします。
372 :
774RR:2008/04/05(土) 20:57:27 ID:xQmKkPx8
続編強く希望
373 :
774RR:2008/04/05(土) 21:12:23 ID:z2vrCM42
(・∀・)つC イイハナシ!
374 :
774RR:2008/04/05(土) 21:44:44 ID:syjkDSeC
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ッ!!
375 :
774RR:2008/04/05(土) 22:09:04 ID:+kcHf0Lg
乙乙。ええ話や。
きっとこの後、奥さんを後ろに乗せてライダーハウスに戻ってくるんだろうなぁ。
376 :
191:2008/04/05(土) 22:49:48 ID:vzh0uFS4
>>372 では、いつか機会があれば……。
>>373 支援ありがとうございます!
>>347 初めてキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ッ!!を見ました!ちょっと感動ですww
>>375 でしょうねぇ。あんなにカッコいい人がCBで迎えに来たら、戻っちゃいますよww
377 :
774RR:2008/04/06(日) 00:55:44 ID:Oj/FnYx/
俺もライダーになろうかな
つCCC
378 :
191:2008/04/06(日) 01:17:29 ID:v+IyS2HX
>>377 支援ありがとうございます!
「CB400SFに乗った王子様」は主人公の全く違う短編の三連作、「乗り初め・春」の一作です。
後の二作も、機会を見てアップさせて貰えたらありがたいです。
小説をアップできる機会に本当に感謝。支援してくださる皆様本当にありがとうございます。
379 :
191:2008/04/06(日) 13:45:37 ID:v+IyS2HX
十話完成です。
今からバイクで花見に行ってくるのでうpは夕方〜夜頃になると思います。
外から聞こえる雀の声で拓斗は目を覚ました。乾燥して冷たい空気を顔全体で感じる。布団から上体を起
こして周りを見渡す。昨日は夜だったし、酔っていたのでしっかりと部屋を見渡す事が出来なかったが、改
めて見ると智也の部屋はバイクと音楽だらけだ。昨日見たヘルメットやポスター、部屋の北側に扉があり南
側は窓になっている。西側に三段のアルミラックがあり、その中段には大きなCDコンポが置いてある。その
上にはバイク雑誌が綺麗に並べられており、一番下には工具箱が置いてある。工具箱にはKTCと書かれいて
、使い込まれてはいるが良く手入れをしてあり輝いていた。
その向い側には机が扉の隣に置いてあり、会社から貰ったようなビジネス書とマナー講座などと書かれた
本が並べてある。こちらは全く手をつけていないようで、新品のままで埃被っていた。机の上には皮を磨く
クリームも置いてあり、こちらは本と違って良く使われている。その隣に置いてあるピカピカになっている
皮のグローブを見たらそれが分かった。
ふっと隣を見ると、一緒に寝ていた筈の智也が居ない。それどころか隣の布団は綺麗に畳まれ部屋の片隅
に片付けてあった。
「ヤバイ、寝過ごしたか! 」
拓斗は枕元に置いていた携帯電話を手に取り開く。ディスプレイには七時四十分と記されている。
安堵した表情を見せ、布団に戻った。しかし、智也が一緒に走ろうと言っていたのを思い出しノソノソと
布団から這い出した。布団から出た後、思い切り伸びをする。朝の新鮮な空気が体に入ってきて昨日の疲れ
や、酒が嘘のように抜ける。なんとも晴れ晴れとした気持ちになる。そのまま、布団を畳み智也が寝ていた
布団の隣に置く。携帯を尻のポケットに入れ智也の部屋を後にする。
一軒屋特有の短い廊下を通ってリビングに向う途中、玄関から新聞を取って来た父親と出くわした。
「おはようございます」
拓斗がそういうと、父親は爽やかに「おう、おはよう」と返してきた。父親とリビングに入り、昨日と同
じ席に座る。
父親が新聞をテーブルに広げて新聞を読んでいると、しばらくしてから台所から舞子がタオルで顔を拭き
ながら出てきた。どうやら、舞子はさっき起き、顔を洗ってきた所のようだ。タオルをテーブルの椅子に掛
け、座った。
「テーブルに新聞広げないでよ。ご飯食べてからにして」
舞子がそういうと、父親は軽く返事をしてテーブルの下に置かれたマガジンラックに新聞を差し込んだ。
マガジンラックと言う名の壁、薄い壁が無くなり少しだけテーブルが広くなっていた。
拓斗が眠そうにリビングの片隅で突っ立っている居ると母親が声をかけた。
「ほら、朝御飯出来たから座って」
拓斗は眠そうな声で「あ……ありがとうございます」と返事をし、昨日と同じ場所に座った。
母親が台所に戻ってから智也と話している
「智也も朝御飯……。って、なにしてるの?」
母親が少し驚いた声で智也に聞く。
「ちょっとね」
智也はすまして答えた。
「ちょっとね……って、会社に遅刻するわよ。そんな格好して……」
「今日会社は色々有って午前中は休みなんだ。だから拓斗君と走るわけだよ」
「怪しいわねぇ。サボりじゃないの?まあ、いいけれど。午後からでも、遅刻はしないようにね」
母親が少し呆れたように言うと、智也は「分かってるって」といい、リビングに顔を出し拓斗に聞く。
「拓斗君、身長何センチ?」
拓斗は寝惚けながら答える。
「百七十無いくらいです」
すると、智也は少し考えた後
「俺より十センチ位低いのか……」
そういった後、智也の部屋に戻って行った。
その間に、母親は朝御飯をリビングのテーブルに持ってきた。
白ご飯に鯖の塩焼きと卵焼き、そしてラップが掛けられた皿が出てきた。母親はご飯と魚と卵を並べた後、ラップを取る。昨日の残りの青椒肉絲であった。これは一日置いて少しだけ細切りの野菜がヘタっては居た
が、どれもとても旨そうだった。
白ご飯は炊いた後の蒸らしが上手くできていてご飯の粒がピンと立ち上がり、その一粒一粒が真っ白く熱
い湯気を出している。鯖は脂が良く乗っていて、皮の上で脂がジュウジュウと音を立てて飛び跳ねている。
卵焼きは切り分けてあり、中が半熟で葱が入っている。少しだけ醤油の香りもする。
並べ終えた後、母親はリビングの扉から顔を出し智也の部屋に向って叫ぶ。
「ご飯出来たわよ! 」
そういうと、智也も返事を叫ぶ。
「今行くー! 」
それを聞いた後、母親はテーブルに着いた。
「よし、じゃあ先に食べましょ」
母親がそういった後、皆いただきますと口々に言い朝餉を食べ始める。
拓斗は智也を待っておくことにした。
すると、二〜三分位経った後智也が自分の部屋から帰ってきた。
「いやぁ、悪い悪い」
そういいながらリビングに入ってきた智也は二の腕と背中にGreedyと書かれた革ツナギを着ていた。
手には壁にかけてあったRSタイチのツナギを持っている。それを拓斗の座っている椅子の背凭れに掛けた
後自分の席に着いた。
「拓斗君、それちょっと大きいかもしれないけれど貸してあげるわ」
智也はテーブルの真ん中においてある箸を取りながら言う。拓斗は目を丸くして、椅子から立ち上がり背
凭れに掛けてあるツナギを広げた。古いけれども手入れがしっかりとしてあり、腰の部分にもひび割れ一つ
無い。
「ありがとうございます!でも、良いんですか? 」
拓斗がそう聞くと、智也は鯖を齧り白ご飯を口に入れた後答える。
「いいよ。それ俺が学生の時の奴でちょっと小さいんだ。……横が」
拓斗は苦笑いを浮かべる。
「ほら、拓斗君も早く食べて。冷めちゃうわよ」
母親が返しに困っている拓斗に言う。拓斗は返事をし、朝食に手を付けた。
鯖に食らいつくと、鯖の皮の部分はパリパリで身の部分からは滴るように脂が出てくる。そのさっぱりと
して、塩味の効いた脂を口の周りに付けながら白ご飯を書き込む。塩味が良いおかずになる。数回噛んで一
気に飲み込む。次に卵焼きを食べる。卵焼きはやはり醤油が入っているようで、その隣に置いてあるマヨネ
ーズを付ける。それを食べると、マヨネーズの酸味、卵焼きの塩見が相まって、これもご飯が進んだ。
それを見て舞子は呆れたように言う。
「朝っぱらから良く入るわね」
拓斗は「旨いからね」と笑いながら答えた。
それを見て、智也も負けじとガツガツ食べる。その光景を見て、父親と母親は顔を見合わせた後嬉しそう
に微笑んだ。
「ごちそうさま!」
拓斗と智也はほぼ同時に食べ終えた。拓斗が食べ終わった食器を台所へ持っていこうとすると、母親が
「私がしとくから、二人は走ってくるんでしょ? 」
と言う。智也と拓斗は頷き、最後にお茶をグイッと飲み干す。拓斗は椅子から立ち上がり、ズボンと上着
を脱ぎツナギに着替えた。途中舞子が「ヒューヒュー」と茶化したが、特に何もせず着替え終わった。
「よし、良くか」
智也がそう言うと、拓斗は頷く。
玄関に来て、智也がリビングに向って叫ぶ。
「舞子!Zoomer借りてくぞ! 」
一時すると、だらしの無い声で
「いぃよ」
と帰ってきた。
リビングの中で
「え?お兄ちゃん達どこに行くの」
と舞子が聞くと
「なんか走りに行くらしいわよ」
母親が答える。
「舞子はお留守番みたいだな」
と父親が笑う。
そういう会話が聞こえてくる。
車庫に行くと、zoomerとscoopy、そして茶色のZEPHYRが停まっていた。
「智也さんのバイクってZEPHYRなんですね」
拓斗が言うと、智也はZEPHYRのタンクを軽く撫でて
「バイクってスペックじゃあないんだぜ」
と言う。智也が満足そうだったので、拓斗はとりあえず「はぁ」と返事をしておいた。
その後、智也はzoomerに乗りエンジンをかける。拓斗もscoopyに跨る。
智也は頭から車庫に入れているzoomerを少しだけだし、左足を地面に着きギリギリまでzoomerを倒し、左
側のレバーを一杯に握った後アクセルを捻る。その後、左手のレバーを離すとzoomerはくるりとUターンし
た。拓斗はscoopyに跨ったまま後ろに後ずさりし、車庫を出た後ゆっくりと発進し智也に並ぶ。智也はそれ
を確認した後、出発した。百メートルほど走ると舞子に負けたコースが見えてきた。砂利が浮いている上に
タイトカーブ。その上ブラインドが多いコースだ。
智也は着くと、左足でサイドスタンドを出しzoomerから降りた後フルフェイスヘルメットのシールドを開
けて拓斗に近づく。拓斗はエンジンを切り、シールドを上げた。
「どんな事教えてくれるんですか? 」
そういうと、智也は
「俺のまねをしながら着いてきて」
とだけ言ってzoomerの所に戻り、サイドスタンドを戻した後エンジンを着けて出発した。
全ての道を時速二十キロほどのスピードで走る。しかも、その速度でハングオン姿勢が取れている。
拓斗もそれを真似してハングオン姿勢を取るが、何度もこけそうになりフラフラしながらなんとか付いて
いった。
コースが終わった後、二台は路肩に停めヘルメットを取った。
「二十キロでもきつかったろ? 」
智也は笑いながら拓斗に聞くと、
「結構キツイです」
と少し息を切らしながら答える。
智也はそれを見て、少し笑った後また聞いた。
「どうして拓斗君のバンクは滑って、俺のバンクは滑らないと思う? 」
そう聞くと、拓斗は考えた。
智也も拓斗と同じようにハングオンしていた。それなのに、あの安定感の違いは何だ?と。
しかし、どう考えても違いは見つからない。
「……分からないです」
そういうと、智也は笑って言う。
「荷重だよ。それもステップ荷重」
拓斗は黙って頷いている。どういう意味か分からないといった様子だ。
「拓斗君はハングオンしながら曲がる方の足でステップ荷重してる。これではより深くバンクしてしまって
、タイヤの摩擦に頼った走り方になってしまう。ドライのオンロードなら通用するけど、ウェットとかオフじ
ゃあそれは通用しないよ」
拓斗は「確かに」と頷いた。
「だから、ウェットやオフでは出来るだけバンクしない。俺はハングオン姿勢はしていたけどその逆の方の
足でステップ荷重していたからバンク角が深く無かっただろ? 」
拓斗は前を走っていた智也を思い出す。確かにハングオン姿勢は取っていたが、それほどバンクはしてい
なかった。拓斗は力強く頷いた。
「そして、アクセルワーク。拓斗君はカーブ終わり、つまり一番バンクする場所でフルスロットルにしてる
よね。でも、ただでさえ摩擦の臨界点近くにあるタイヤに力をかければ当然招くのは限界突破、スリップだ
。だからカーブ終わりの立ち上がりでもアクセルは滑らかにね」
そう言って智也が右手を前に出し、ゆっくり捻るジェスチャーをする。拓斗はそれを見て頷く。
「分かった? 」
智也がそういった後、拓斗が聞く。
「ドリフトとかは教えてくれないんですか? 」
智也はそれを聞いて、少し真剣に言った。
「ああいう走り方は基礎が出来て初めて生きて来るんだ。どこでもドリフトをすれば良いってもんじゃあ無
いからね。それに今の拓斗君に教えても危険だよ。先ずはちゃんと基礎を固めよう」
拓斗は「なるほど」と真剣に聞き、答えた。
「じゃあ、後は昼まで走ろう」
そういうと、智也はまたzoomerに戻り走り出した。拓斗もそれに続く。
さっきと同じ時速二十キロで走る。カーブ手前で少しだけブレーキをかけ、さっきの方法でバンクする。
荷重を逆側にかけている為滑り出したら車体を立てる。さっきとは比べ物にならないくらい楽に智也に着い
ていける。
「これは良い! 」
拓斗はヘルメットの中で呟く。
あっという間に、コースが終わった。
「智也さん、これ凄いですよ! 」
そういうと、智也は笑って答える。
「そう。大切なのは基本。無闇にフルバンクしたりドリフトすれば早いわけじゃないんだ」
拓斗は大きく頷いた。
「よし、じゃあ時間までガンガン走ろうか」
そういって、智也はまた出発する。
時速二十キロを二十五キロ、二十五キロを三十キロ、三十キロを三十五キロと少しずつ速くした。拓斗も
以前より速くなっていた。
楽しい時間はすぐに過ぎてしまう。逆に言えば時間が速く過ぎたと感じれば、それが楽しかった証明でも
有るのではないだろうか。
二人の時間はすぐに過ぎ、家の前に二人が着いた時智也が腕時計を見た。
「残念だけど、もう時間だ」
智也はzoomerを車庫に入れた。拓斗もそれに続く。
「これから仕事ですね」
拓斗がそういうと、智也はゆっくりと頷いた。
「スーツは仕事場にも置いてあるからこのまま行くよ。拓斗、もし良かったら四国一周終わって、帰るつい
ででもいいからまた来い。今度はドリフト教えてやるよ」
智也がそういうと、拓斗は「はい!絶対にまたお邪魔しに来ますよ」と笑いながら答えた。
「じゃあ、待ってるからな」
二人は固く握手を交わし、智也はツナギのままでZEPHYRに乗り飛び出していった。
拓斗はテントや着替えを玄関においてあるのを思い出し、舞子の家の中に入った。父親と母親は仕事なの
か出張っていて家には寝巻きから家着に着替えた舞子だけだった。
「あ、拓斗お帰り」
舞子がそういいながらリビングから出てきた。
「あ……た……ただいま」
「ただいま」と言う言葉が何となく照れくさかった。それを見て舞子は「んふふ」と笑うとリビングに戻
った。
拓斗は玄関の荷物をscoopyに積みなおす。そして、ツナギを返す為にまた家に戻った。
リビングに行くと舞子がテレビを見ており、テレビにはローカルなレポーターが温泉に入ってそれを実況
していた。
「温泉いいなぁ」
舞子がそれを見ながら呟いている。
拓斗が座っていた椅子に、拓斗が着ていた服が綺麗に畳んであった。
「このツナギどこにおいて置けばいいかな? 」
拓斗が聞くと、
「椅子にかけとけば良いよ」
と舞子が返す。拓斗がツナギを脱いで服に着替えていると、舞子はそれを見ながら言う。
「もう一日泊まらない? 」
そういうと、拓斗は考えた。
ここの居心地は良い。それに多分、数日泊まっても喜ばれるくらいだろう。舞子も居るし、智也も居る。
そんな奴らともう少し一緒に居たい。
ゆっくりと考えて拓斗は答える。
「泊まりたいけれど、僕は今旅人だから。先を急ぐよ」
舞子はそれを聞いて真面目な顔をした後、プッと噴出した。
「かっこ良いじゃん!はっはっは! 」
それをみて拓斗も恥かしくなって言う。
「別に笑う事ないだろ」
「いや、でも本当にカッコいいよ」
舞子は拓斗を見つめる。少し涙ぐんでいたのは笑いすぎただけだろうか。
少しの間無言が続いた。
テレビのレポーターが温泉に入ったときの一言「ああ〜、極楽〜。いってまうわぁ」で二人とも噴出した。
二人はテレビに目線を持っていかれた後、見つめ合う。舞子は少しだけ微笑んで言う。
「拓斗、また来なよ」
拓斗は頷く。
そして、両手で拓斗の右手を握り見つめて続ける。
「良い旅を」
拓斗は「ありがとう」と言い、玄関に向った。
scoopyのサイドミラーに掛けておいたヘルメットを被り、グローブをはめエンジンをかける。
跨ったまま後ずさりをし、車庫から出す。
右手の人差し指と中指をくっつけて、ヘルメットの前にかざす。「またな」とヘルメットの中で呟き、舞
子の家を後にした。
舞子は家の前の道まで出て、拓斗が見えなくなるまで見送った。見えなくなった後、呟く。
「また来いよ」
と。
scoopyを少しだけ上手く操れるようになった拓斗が舞子に負けた道を今度は一人で走る。カーブの度に
「ハングオン、逆足荷重……」
と呟く。始めよりも大分上手くカーブをなぞる事ができている。今なら舞子に勝てるんじゃないか?など
と考えるが、あの激しいドリフトのライディングを思い出しその考えが大方間違いであると苦笑する。
「今までの走りはなんだったんだ」
拓斗はつづら折れのカーブを右に左にこなしながら言う。本当に楽しいのだ。
その道も十分程で終わり、一番最初の信号を左曲がり次の信号を右に曲がる。しばらくすると国道十一号
線に出た。これを左に、つまり西側に行けば海伝いに走ることが出来、しばらく走れば香川の善通寺市に着
き南下に変わる。まあ、scoopyで今日中に南下するまで走れるとは思えないが。
拓斗は流れの良い国道を走って居ると、何故か微笑んでいた。寂しい気持ちと次の場所への期待とがグチ
ャグチャに混ざり合って……。でも、何だか嬉しい気持ちになって。
昼過ぎでちょっとだけ傾いた日差しが拓斗のヘルメットを照らした。
第十話うp終わりです。
よろしくお願いします!
390 :
774RR:2008/04/06(日) 23:37:28 ID:tpge6Dn+
つC
素晴らしい。これは殿堂(まとめサイト)入りですな。
391 :
774RR:2008/04/07(月) 00:05:39 ID:pVyvSf8J
1周する頃には全開でヒザを擦れるようになるのかな。
んで舞子にリベンジバトルを申し込むとw
392 :
191:2008/04/07(月) 00:59:31 ID:ZZjct/Nn
>>390 支援ありがとうございます!!殿堂入り出来れば良いですねぇ。
でも、二次創作じゃないから駄目かも……。
>>391 旅で一周してまた同じ場所に戻る。舞子と出会え、宿が見つかった偶然。
それが旅の醍醐味ですよね。
良い意味で期待を裏切っていきたいと思います。
393 :
774RR:2008/04/07(月) 01:51:30 ID:evYU6rRs
>>392 どんな風に期待を裏切るか楽しみにしてるよ
つC
394 :
774RR:2008/04/07(月) 23:37:00 ID:hSkmo0as
395 :
774RR:2008/04/08(火) 00:08:30 ID:mwTYEDzp
かあさん続きはまだかのう
396 :
191:2008/04/08(火) 00:28:27 ID:XMW1JLTy
>>394 支援ありがとうございます!
>>395 おとうさん十話を昨日うpしたばっかりじゃないじゃないですか。
呆けたりしたら、あたしゃ嫌ですよ。
来週の日曜日に!
397 :
774RR:2008/04/08(火) 07:26:13 ID:uASL42XX
もう魔棲雄は、いらない子
398 :
191:2008/04/08(火) 09:14:38 ID:E+s+cPeI
>>397 そう言わずにまったりと行きましょうよ。
399 :
774RR:2008/04/08(火) 11:59:34 ID:A3rUq23k
クルマに轢き殺されたスズキさんかわいそう
400 :
774RR:2008/04/08(火) 12:06:16 ID:2nkKhe+n
魔棲雄さんの続きが読みたい。
あと華沢さんも。
401 :
774RR:2008/04/08(火) 12:41:18 ID:uASL42XX
居ない奴の話をしたって仕方ないだろ?
402 :
774RR:2008/04/08(火) 21:43:46 ID:DaWu1eyV
年末年度末は忙しい人が多いんだから気長に待とうよ
403 :
774RR:2008/04/08(火) 22:37:46 ID:VbzH2QZh
個人的には191氏のCB400SFに乗った王子様や、まとめサイトの
ドラえもんシリーズのような短編が好み。
短編で執筆デビューしようかな。
404 :
191:2008/04/08(火) 23:14:12 ID:XMW1JLTy
>>403 短編って面白いですよね!
短編小説期待してます!
あと、今週中にも短編小説三連作(CB王子含む)の一つをうpしようと思います。
出来上がってはいるのですが、中々うpするタイミングがつかめないので……
>>172 ご無沙汰してます。
批判・苦情が殺到したので連載打ち切りました。
406 :
191:2008/04/10(木) 01:07:46 ID:AMT+Imz/
ところで、バイク小説のスレとか今まで無かったので立てようかと思うのですが
どうでしょうか?
マスオさんのスレに俺のような小説をうpするのがスレチかと思ったので。
407 :
774RR:2008/04/10(木) 04:54:45 ID:/ZcehJUK
もう乗っ取っておいて今更いらないんじゃね?
魔棲雄だって消えたんだし、今このスレは、
>>191メインのスレだよ
408 :
774RR:2008/04/10(木) 05:24:51 ID:Uni+kZja
小説スレはあったよ
いろいろ
409 :
774RR:2008/04/10(木) 08:37:16 ID:EZLBNC3v
410 :
191:2008/04/10(木) 09:01:26 ID:AMT+Imz/
>>407 ありがとうございます!
確かに、そうですねw
>>408 やはり、小説スレは書く人が居ないと落ちるからでしょうか。
お言葉に甘えて、まだこのスレで続けさせて貰おうと思います。
今日の夜辺りに、短編一本うpします。
411 :
774RR:2008/04/10(木) 10:56:19 ID:mI9ImSu6
頼むマスオさんカムバック!
412 :
774RR:2008/04/10(木) 11:14:05 ID:ORwiviqW
俺も待つ
413 :
774RR:2008/04/10(木) 16:22:35 ID:M+nLv+SC
414 :
774RR:2008/04/10(木) 20:05:54 ID:g4CUckXc
懐かしむもなにも、他人の創作物で盛り上がったりしてるだけのスレなんだからヘンな仕切りは無用だよ。
415 :
191:2008/04/10(木) 22:21:03 ID:AMT+Imz/
とりあえず、短編一本うpさせてもらいます。
短編三連作の二話目:「救世主はDR-Z乗り」です。
夏。子供たちは来るべき大型連休に胸躍らせ、川も木々も山々も思い思いの色に輝く。
そんな中、一人平日なのにもかかわらず部屋の中で黙々とスナック菓子とコーラを唾液と混ぜ胃に流し込
む単純作業のみをしている男が居た。
彼の名は吉川。神奈川県に住む十九歳。今を時めくニートと言うものだ。
何故、吉川がこうなったのか。話は一年前に遡(さかのぼ)る。原因は些細な、本当に些細な事だった。
その時、彼は県内でも有数の進学高校生の3年だった。彼はその学校で良い成績であったが特に何がした
い、とか何になりたい。とかいうものは無く、いつも勉強しても無駄だと考えていた。
ある夏休みに入る前の日。といっても課外があるから夏休みとは言えないが、彼の友人である栗本がある
簡単な要望をしてきた。
「なあ吉川。お前頭良いからさ、俺に休みの日勉強教えてくれないか?なんとしても医学部に行きたいんだ
よ」
彼の偏差値で医学部はギリギリであった。多分、吉川が教えればいけるであろう。
しかし、教えたくない。吉川はそう思った。自分が目標が無くて迷っているこの受験の時期に、よく教え
てなんて言えるな!と。
追い詰められた子によくある事である。自分の目標が無かったり、努力が足りなかった時に誰かに鬱憤を
ぶつけたいと思う。大人ならそこで我慢するが、まだ十代の子供ではそれをそのまま相手へとぶつけてしまう。
吉川もその子供の例外ではなかった。
「俺がお前に教えても無駄だよ。大学落ちろや」
いつもはそんな事言わないのに、虫の居所が悪かったとしか言いようの無い八つ当たりを友人の栗本にし
てしまったのだ。
しかし、其の八つ当たりの代償は酷く大きかった。
教室がシーンと静まり返り、皆が引きつった顔で見ている。さっきまで、皆話したり勉強したりで和やか
だった教室の雰囲気が一瞬にして気まずい雰囲気になった。
不味い…。そう思ったときにはもう遅く、栗本も作り笑いで「ゴメンな? 」と言って他の奴のところに
行ってしまった。
それから「アイツそこまで頭良くないのに、調子乗りすぎだろ? 」などと教室のあちらこちらで囁かれ
、次の日から同じクラスの誰も口を利いてくれなくなった。
自分のせいとは解っていても、辛い日々が始まり学校には試験の日以外行かなくなった。卒業は出来たも
のの大学にも行かず就職もせずただ、部屋で過ごす限りだった。
吉川はお菓子の袋に手をやり、弄るがチップスが手に触れない。
「あれ?もう無いや……」
部屋でスナックを食べ続けていたが、気が付いたら無くなっていた。
薬が切れた廃人のように、フラフラと過度の運動不足で細くなった足を引きずりながら家中探すもずっと
食べ続けられて時間がまぎれるような物が無い。仕方なく、汗染みとフケの着いたスウェットを着たまま近
くのコンビニに行った。スナックを籠一杯に買い店を出たとき、右前方から猛スピードで近づいて来るDR400
Z。吉川の居るところのギリギリで停まったので其のまま尻餅をついてしまった。
「あ……、あぶ……、あぶ……な……」
半年間誰とも喋っていないというブランクは伊達じゃない。「危ないじゃないか!」もろくにいえないのだ。
「うっは〜、悪ぃ!お前さんのギリギリ前でウイリーをして見せようと思ったんけど、失敗してもうたわ! 」
DRからおりた青年はヘルメットを脱いで笑いながらいった。
どちらにしても危険運転だろ!と突っ込みたいが当然ブランク。パクパク…と吉川の口から出る空気は声
帯を振動させられなかった。
「ん?もしかして、君…。吉川君とちゃう? 」
DRの青年はどこか見覚えがある。
彼はそのまま続ける。
「吉川君やろ?ほら、中学ン時一緒やった永見やがな! 」
吉川は思い出した。
「…あ、中学時代の友……達だよ……ね」
吉川はたどたどしく答える。
「そうそう、しっかし喋るの遅いなぁ。何があった? 」
永見は喋りブランクのある吉川を気遣ったが、吉川が俯いた(といっても初めから俯いていたが)のでそれ
以上は聞かなかった。
「まあ、人生色々。お前も色々や。咲き乱れたり枯れたりするやろ。よし、ここであったのも運命。今夜は一杯やろか? 」
永見は、のそりと起き上がった吉川の背中をドンと叩きDRのタンデムシートに吉川を載せ、コンビニの前に
おいてある煙草の自販機で煙葉を一箱買い、吉川の家まで走っていった。
夜になり、二人は缶ビールで乾杯をし、今まであったことを話し合った。……というより永見の話を吉川
がうんうんと頷きながら聞いているだけだったが。
「なあ、ところで吉川は今何してんの?学生でもないようやし、働いてるようにも……みえへんよなぁ……
。あ、もしかして今はやりのニート君か? 」
酔って陽気になった永見が吉川をからかって言うと吉川は黙ってしまった。
「ホンマにニートなんか? 」
永見が聞き返すと少し遅れて吉川がウンと頷いた。
「そら良くないなぁ。ほら、今すぐ働けぇ…と言いたい所やけれど、そうでけへんからニート君してるんや
ろなぁ」
「……」
「なあ、吉川。今すぐ働けとも言わん。学生しろとも言わん。ただ、お前に一個だけ頼みがあるんや。聞い
てくれるか? 」
さっきまで目をそらしていた吉川が、永見を見た。
「俺は今、関東を一周中や。しかも、大学の講義サボってまでもしてんやで。何でと思う?彼女に振られた
んや」
「……ふーん」
「それだけかいって思ったんとちゃうか?旅の理由がそれだけかいって。でもな、そんなもんなんよ。彼女
に振られたから、苛めにあったから、セクハラにあったから…傍から聞いたら、何やそんなもん我慢しいや
。って思うようなことも本人からしたら大問題なんや。多分、今吉川は自分だけが辛いおもてると思うんよ
。でも、皆辛いことの一個や二個持ってるもんや」
「……。説教……」
「ああ、すまんすまん。本題から外れてもうたな。で、頼みゆうんは、吉川。お前暇やろ? 」
「え?……うん。まぁ」
「俺の住所をここに書いとくから、俺のお使いを頼まれてくれ」
「……は?それぐらい自分で……」
吉川がキョトンとして、話すと永見がそれを止めた。
「シャラーップ!ただしな、そのお使いでは公共機関はフェリー。足はチャリンコかバイクしか使っては駄
目やで。ほな、ここに俺がバイトで一生懸命貯めた一部である12万。おいとくで」
永見は財布から12万を机に置き、タンクバックからペンとメモ紙を取り出して買うものリストを作り出した。
「お……オイ。俺はまだ……するっていってな……い」
永見は、行動を停めようとする吉川を無視し、ツラツラとメモ紙に書いて早々と眠ってしまった。
メモには
――――――――――――
|運転免許(吉川用) |
|各地方限定の何か人形 |
――――――――――――
とだけ書いてあった。
吉川が起きると既に昼の1時であった。永見は既に出てしまっていて、机には12万とメモと(やれば出来る
。頑張れ)と書かれたメモだけがあった。
どうせ、旧友との口約束。この12万をネコババしてやろうか?其の考えが吉川を過ぎる。
でも…。永見は12万払ってまで吉川の将来。いや、吉川の人生を救おうとしてくれたのだ。
高校時代、目標ある奴に八つ当たりしているような屑野郎を救おうとしてくれているのだ。
そういえば、吉川の口座には小学時代から、もしもの時にと貯めているお年玉貯金があった。好きなこと
や目標や趣味の無かった吉川にとって標準の会わない「もしも」はきっと今なんだ。吉川の目標は決まった。
メモのものを全て買い揃え、12万を永見にプレゼントする。
そう決めると数週間ぶりのシャワーを浴び、着替えて自動車学校へと向った。
〜一ヵ月後〜
髪を短く切り、ライダースーツに身を包みZZR400という鉄馬に跨る吉川が居た。
19年縛られ続けた家や家族という温もりを捨て、それに対する感謝の心を胸に秘め、北へと向った。
ある時は雨に降られ、ある時はエンジンからオイルが漏れ、ある時はヘルメットの中にムカデが居たりし
た。それでも吉川は走り続けた。
走り出してから一週間ほど経ったときの事だ。
道の駅の駐輪場に、吉川はZZRを停めた。宿代を浮かすために野宿という魂胆だ。
テントを張ってテーブルの上で缶ビールとチーズカモボコで晩酌していると、遠くからユラユラと蠢く光
の玉がドンドン近づいて来る…。吉川は怖くなり「誰だ!! 」と叫ぶと、其の光が吉川の顔を照らした。
「誰だはこっちだよ。君、ここの道の駅は夜は閉鎖するんだ。困るなぁ」
光の主は警備員だったようで、吉川は注意された。
「あ…、すいません。出て行ったほうがいいですか? 」
警備員はフッと笑って
「君、旅をしてるんだろ?それに酒も飲んでるから出るに出れないだろう?しょうがない、今日だけは見逃
そう。その代わり、頑張って旅を続けろよ」
警備員はポンと吉川の背中を叩き、また巡回に行ってしまった。
吉川は空を見上げた。酒が美味くなったんだろう。
走り出して、丁度二ヶ月がたったころ。ようやく、永見の家に着いた。
チャイムを押すとドタドタという足音と共に、永見が出てきた。
それから、二人はまた、飲むことになった。
「お前、ホントに一周して来たんやなぁ。スゲェ奴やで」
吉川の旅話を聞いて永見が驚いている。
それに続けて、吉川が言った。
「俺さ、高校時代苛められてさ……」
急に離し始めて永見は驚いたが、黙って聞いていた。
「結局、外が怖くなってニートになって…。でも、旅をしてそんなのちいさな事だって解った。それ以上に
、苛めの原因をぶっ潰してこようと思う」
「いじめの原因? 」
永見が聞くと、吉川は栗本に言った事から全てを話した。
「だから、俺は栗本を探して謝ろうと思う。それからでも進学や就職は遅くないと思うんだ」
「ほんまか…旅の経験がそういうなら正解やな。よし、行ってこい! 」
次の日、永見の家にはあの時渡した12万と、得体の知れないご当地人形が沢山と、「ありがとう」と書か
れたメモが置いてあった。
「救世主はDR-Z乗り」うp完了です。
かなり初期に書いた奴なので、多少読み辛い所もあるかと思いますが、よろしくお願いします。
422 :
774RR:2008/04/10(木) 23:57:01 ID:eyC4jimN
つC
旅の情景と心理描写が淋しいけど、
これはこれであっさりしてて、読みやすかった
423 :
774RR:2008/04/11(金) 01:16:39 ID:460MRIKG
C×5乙 話の重量度合いと長さが丁度良く良くまとまっていて良い感じだと思う。
424 :
191:2008/04/11(金) 01:35:22 ID:0ilclKVR
>>422 表現や文体を若干直しただけで、話は書いた当時のままを出来るだけ残して出させてもらいました。
出した時は不安でしたが、そういってもらえて安心しました!
>>423 支援ありがとうございます×5ww
本当にそういってもらえるのが何よりです!
425 :
774RR:2008/04/11(金) 01:42:16 ID:z2quz2Rh
426 :
774RR:2008/04/11(金) 05:58:26 ID:I3pqRxFv
これぐらいの長さだと一気に読めていいね
細かい点を気にしても仕方ないからやめとく。カモボコ
427 :
774RR:2008/04/11(金) 06:07:20 ID:kMCyBNzx
うん。
長編もいいけど、短編も気軽に読めていいと思うよ。カモボコ
428 :
774RR:2008/04/11(金) 08:07:07 ID:BEiD23bV
つC
ここから膨らませてテレビドラマしてほしいね
429 :
774RR:2008/04/11(金) 09:15:26 ID:ov0eENNz
430 :
774RR:2008/04/11(金) 22:22:03 ID:y8R6fMgO
191氏の小説のいいところは、人と人との助け合いが描かれているところだよ
主人公の至らない「何か」「満たされない気持ち」を誰かが救済する道を提示してくれる。
そのツールはバイクなんだけど、ライダーになる過程と目的がワンパターンでなく、描き分けられている。
そしてバイクはツールから相棒へと変わっていく…
431 :
191:2008/04/12(土) 02:12:57 ID:aa6FOUr/
>>426>>427 そういってもらえて嬉しいですね!
ってカモボコになってる!!やられた……
>>425 dクス!
>>428 良いですね。最近青春ロードストーリーが無いんで是非みたいです。
>>429 妻武器いいですねぇ。
>>430 本当にそういってもらえてありがたいです。身に余る光栄です。
正に小説で言いたい事です。
やっと十一話書き終わりました!後は明日・明後日で推敲してうpします!
432 :
774RR:2008/04/12(土) 02:28:58 ID:LqYuHnJS
っC
433 :
774RR:2008/04/12(土) 02:40:28 ID:q0huzJSt
亀有交番に出てくる本田さんに似合いそうなバイクは?
434 :
774RR:2008/04/12(土) 02:55:56 ID:GJviwkXe
>>433 CB750F改(900)じゃなかったっけか。
435 :
774RR:2008/04/12(土) 03:08:24 ID:CSuQi/CY
やはりCBが似合う・・・と思ったけど、意外にNinjaも似合う気もする。
436 :
774RR:2008/04/12(土) 06:06:11 ID:LsfGnvyK
437 :
774RR:2008/04/12(土) 06:23:31 ID:c7Ru502z
438 :
774RR:2008/04/12(土) 08:09:39 ID:BcDyfHDc
>>437 なぜ?全レスは作者氏の読者に対する真摯な気持ちの現れだと思うが。
439 :
774RR:2008/04/12(土) 10:17:55 ID:LqYuHnJS
440 :
774RR:2008/04/12(土) 10:22:35 ID:vtIjEs57
本田は確か、ブサ乗ってた。
妹の送り迎えに使ってたような。
441 :
774RR:2008/04/12(土) 12:58:57 ID:GJviwkXe
ブサもあったな
つーかいろんなの乗ってたような
442 :
774RR:2008/04/12(土) 14:59:27 ID:YW5EP0hf
>>437 馴れ合いになんのが嫌か?
腐女子じゃあるまいよ
443 :
191:2008/04/13(日) 00:31:14 ID:OsyxkcmO
レスが必要ない時は、レスに何かつけるとかどうでしょうか?
俺は支援されたり応援されたり感動されたりしたらそれに感謝したいので、レスしますよ。
444 :
774RR:2008/04/13(日) 00:43:07 ID:D57diKOm
てすと
445 :
437:2008/04/13(日) 02:11:01 ID:ol8oZ0pW
いや
>>191の作品を楽しんでるし、別に煽りでも何でもないんだよ
ただ、多くを語りすぎると冷めてくると言うか、
語るんであれば作品で語って、感想とかは一言二言で抑えてくれよ!と思ったわけです。
ただ、
>>191に思う所があればどうぞ続けてください。
こちらでサラッと流せるようにします。
いちゃモンつけたみたいでごめんなさい。
446 :
774RR:2008/04/13(日) 03:08:18 ID:7hpITZgO
なんかいろいろ揉めてるみたいだがとりあえず
つC
447 :
774RR:2008/04/13(日) 08:24:53 ID:vmeIQB1K
>>443 気持ちはわかるけどねただ
>>445の言う「多くを語りすぎると冷めてくると言うか」は読み手としては同意。
448 :
774RR:2008/04/13(日) 08:26:35 ID:vmeIQB1K
でも191氏には楽しませてもらってる側だからブーブー言うのはお門違いかもな
つCCC
449 :
774RR:2008/04/13(日) 09:41:06 ID:Tz+Q1Xhl
小説はもちろん、191さんの全レスも楽しみにしてたりします
450 :
191:2008/04/13(日) 11:12:20 ID:OsyxkcmO
>>437 なるほど、「初期に書いたもの」とか「この小説ではこれが言いたかった」とか良い過ぎたかもしれません。
いえいえ、謝る必要なんて全く無いですよ。
とりあえず、感謝だけはさせてくださいw
>>446 支援ありがとうございます!
>>447 やはりそうなんですね。分かりました!
でも、感謝だけはさせてください。上と重複ですがw
>>448 支援ありがとうございます!
>>449 これからは感謝はしますよ。沢山書いて良いときは「191そこんとこどうよ?」とか
なんとか書いてくれたらじゃんじゃんレスするので。
ありがとうございます。
これも既にレスなのですが、これを最後に感謝レスだけにしたいと思います。
451 :
774RR:2008/04/13(日) 17:07:12 ID:NhI7qJeo
つC
452 :
774RR:2008/04/13(日) 20:44:58 ID:jm7kzmrm
糞 投稿者:イクラー (5月5日(金)20時35分43秒)
俺はノリスケの子供やってんだけど、ある世田谷の民家にある台所みたいなとこで急に糞したくなったんだけど、周りにタラオもカツオもいない。
しょうがねぇから、波平の部屋の奥に行って下だけ脱いで(野グソは慣れてねぇから汚さないように)ふんばろうとしたら、いきなりライト当てられた。
サザエかと思ったら、どうやら発展場みたいになってるらしく、隣の部屋でテレビ見ながら一家で盛ってたらしい。
いきなり俺が下半身マッパで糞してるもんだから、面白がってライトつけたまま笑いながら見てやがる。
最初は「おう! 止めろ! 明かり消せや!」って怒鳴って見たけど、全員ニヤけながら俺のケツに注目してやがる。
しかも離れたとこに置いておいたズボンをタラオが持ってて返そうとしない。
俺は糞してぇのが我慢できなくなって、自棄になって野糞を公開することにした。
「勝手に見てろ!アホ!」
怒鳴りながらしゃがんで力むと、「ハーイ、チャー、バブブー」とデカイ音出しながら一気に切れのいい糞をひり出した。
周りの連中に「クセぇ でかいの出たな」とか「尻尾みてぇに糞がぶら下がってる」とか囃し立てられて、すげぇ恥ずかしかった。
453 :
774RR:2008/04/13(日) 21:10:10 ID:NhI7qJeo
イクラーワラタwww
二時間ほど走ると、看板に道の駅“とよはま”の文字が現れた。拓斗は看板が示す距離に目をやった後五分
ほど走る。すると、右折車線と道の駅の看板が現れる。
そこで右折し道の駅に入り、駐車場の区画の端に止まりエンジンを切った。scoopyを降りてからグローブ
を外しシートの上に置いた後ヘルメットを取る。グローブを荷物ポケットに入れシートを開く。そこにヘル
メットの顎紐を引っ掛けてからシートを閉める。
ポケットから携帯電話を取り出すと、ディスプレイに“着信あり”と表示されていた。
携帯電話を開き、着信の相手を表示させると“大紀先輩”と書かれてある。拓斗はすぐに電源ボタンを押
し、待ち受け画面に表示を戻した。
「なんだよ……」
そう呟き、海を見に行く。潮風の香りと波の音がする。瀬戸内の海が見える。
このまま真っ直ぐ泳いで行けるとしたら、広島県に着くだろう。出発した岡山とこの場所は距離的には大
した物ではないかも知れない。しかし、ここまで来るのにもう数十時間費やしているのだ。
「結構遠くまで来たな」
そういって海を眺めた。何もかも波に流されていく。潮風に吹き飛ばされていく。拓斗はそう思った。
scoopyに乗っているときは気持ちが良くて、電話の着信履歴を見て気分が滅入った。しかし、この海を見
て清々しくなった。人間なんて単純な生き物だ。
そう思うと、少しだけ笑いがこみ上げてきた。
「佳代ってどんな顔だったっけ」
海の上にある青空に語りかける。その言葉が本意なのか、それとも負け惜しみなのか。多分、拓斗さえも
分からない。
また、携帯電話を見る。時刻は午後二時を示していた。ライディングの楽しさでさっきまで空腹を忘れて
いたが、朝飯を食べてからもう六時間近く経って居る。自分の部屋でダラダラ過ごしている時は一食位抜い
ても構わなかったのに、今は心の底からご飯を食べたいと思った。
携帯電話を尻ポケットに戻し、道の駅構内の食堂へ向う。今日は大学生は春休みだが、世間一般は火曜日
で平日。それだからか客の入りは疎らだった。店員が暇そうにレジの前で海を眺めている。
「こんにちは、一人なんですけど」
拓斗が店に入いってそう言うと店員は挨拶を返し、「好きな所へどうぞ」と言った。
拓斗は海が見える席に座った。メニューを見る。やはりうどんがある。
また、ボーっと海を眺めている店員を呼び“仕込みうどん”を注文する。香川では一風変わったうどんで
味噌で味付けされており、ごぼうや人参を煮込んで作った物だ。いくらか待つと、土鍋に入ったうどんが運
ばれてきた。
人参などの具と一緒にうどんを箸で掴み、すする。やはり、本当に旨い物は何度食べても旨い。今までは
醤油か出汁で食べたが、敢えて味噌味と言うのも旨かった。特にスープの味噌風味とうどんの小麦粉の風味
が温かい土鍋で立ち昇る。濃い野菜の味も味噌に負けずに香る。
「うまい」
拓斗はそう呟き、海を見た。
この道の駅は丁度香川と愛媛の間にある。このうどんを食べ終え出発すれば五分も立たないうちに愛媛県
へと乗り入れてしまうのだ。
「香川では色々有ったなぁ」
また海を見て言う。客の少ない食堂で食べるうどんは香川での思い出を少しだけ懐かしくさせた。
今朝舞子の家を出たばかりなのに。まだ香川に居るのに。少しだけ香川が恋しくなる。
うどんを一口すするたびに大きな目を細めて笑う舞子の顔が、うどんを噛むごとに妹想いで頼れる智也の
顔が、スープを飲むごとに優しい舞子の母親と旅好きの父親の顔が思い出された。
鼻水が出て、目が潤む。拓斗は土鍋から湯気が出ていて助かったと思った。
全て食べ終わり、ナプキンで鼻を噛み涙を拭いて笑顔になってレジに行く。
「凄く美味しかったです」
と店員に伝えると、店員はにっこりと笑って「それは良かった」と答えた。
代金を支払い出ようとしたとき、拓斗はレストランに入ってくる男と肩がぶつかった。お互いに軽く頭を
下げ、別れる。拓斗は彼がバイクのりであることが分かった。それと言うのも、青いNANKAIのオフロ
ード用ジャケットと左手にはAraiのこれもまたオフロード用のヘルメットを持っていたからだ。
拓斗は振り向きそれらを眺め、話し掛けようかと思ったが何となくタイミングが合わなかったので諦めた。
レストランを出てお土産コーナーを見ると、「讃岐うどん」と達筆で書かれた生めんや蜜柑ビスケットな
どが並べてある。それらを見て、手に取る。賞味期限は一ヶ月後で大丈夫そうだった。
「scoopyに載り切るかな」
拓斗はそう呟き、少し考えた後諦めた。
駐車場のscoopyを置いた所に戻ると、愛車の左隣にkawasaki:D-trackerが停めてあった。リアキャリア
にはテントと寝袋、そしてNANKAIの防水バッグが載せてある。その積み方一つで、旅慣れしているこ
とが分かる。
拓斗はそれを少し眺めた後、ヘルメットを被りキーをscoopyに差し込む。エンジンを点けた後グローブを
付ける。scoopyに乗り、車体を右側に傾け荷重を逆側にかける。そのままスロットルをゆっくりと捻ると、
智也のように滑らかにとはいかないが、大分綺麗に小回りできた。
道の駅を出る。それから五分ほど走ると愛媛県に入ったことを告げる看板が見えた。
拓斗は路肩に停車し、その看板を携帯電話のカメラで撮影した。撮れた画像を見て、愛媛県に到達した感
動が表現できなかったので、その画像を消去し走り出した。
きっと、どんな高性能カメラでもその感動を映し出すことは出来ないだろう。
二時間ほど走ると緑色の道路標示が現れ、左に曲がれば新居浜市の伊予西条のICに乗れる事を知らせる。
拓斗はそれから二十分ほど走るとコンビニを見つけた。そこの駐車場にscoopyを停め、シートの中からツー
リングマップルを取り出す。
辺りはまだ初春と言うこともあり、まだ午後四時半と言うのに薄暗くなっていた。コンビニから漏れる光
を照明代わりに地図を見る。フェリーの中でキャンプ場全てに印を付けていたお陰で、今日の宿泊所は一目
瞭然だ。
拓斗は今治市にある龍岡キャンプ場を見た。「国道の十一号、一九六号、そして三一七号か」そう言って
行く道をなぞる。
地図をシート下に直し再び出発した。
国道十一号は車通りは多いものの流れが良く走りやい。まあ、それは拓斗の乗っているバイクが百二十五
t以上のバイクだったらの話だが。
大通りを走ると、scoopyの隣をトラックやら箱バンやらが猛スピードで追い越していく。scoopyの軽さは
走りに関しては良いが、車道で走るには風の影響を受けやすかった。
車が横を通るたびに拓斗とscoopyを路側帯から車道の中へと引き摺り込もうとする。
特に、国道十一号から国道百九十六号へと右折する時が一番の難関である。
拓斗が十一号と百九十六号との分かれ道に着き、二段階右折の為右ウインカーを光らせ横断歩道を越えて
交差点の左端に停まった。この道路交通法上で何の間違いも無い行動でも、ここいら辺りの原付ライダーは
二段階右折をあまりしないようで、後ろから来ていた車が拓斗が停まった事を予測できなかったようだった。
そのままの速度で近づき、scoopyの前輪ギリギリを走っていった。
極めて近い車の音とその迫力に、改めて拓斗は車の恐怖を感じた。拓斗は国道百九十六号線に乗った後は
、出来るだけ車道の真ん中を走るようにし、道幅が広くなったら左に寄り後ろの車を抜かすようにした。
道の駅を出て二時間ほど走ると、次の道の駅である今治湯ノ浦の看板が見えてきた。しかし、それにして
も暗い。拓斗は一休みする為にその道の駅に入りscoopyのエンジンを切った。
駐車場には殆ど車は無く、明かりも消されていた。拓斗は携帯電話の時計を見る。
時刻は六時半だった。
「閉まっちゃったか」
そう呟いた。閑散とした閉店後の道の駅を歩く。辺りはもう暗くなっていて、小さな電灯と携帯電話に付
いたライト機能だけが頼りだ。
レストラン近くに設置してある自動販売機で缶珈琲を買い、scoopyの元まで持っていく。そこで缶珈琲を
開けた。プルタブが開く音が静かな駐車場に響く。有るのは風の音と、時折通る車の音しかしない。
拓斗はその場所で珈琲を飲む自分が酷くカッコよく思えた。シートに左から腰掛、左足だけをステップに
乗せる。そこで景色を見ながら珈琲を飲む。珈琲は微糖と書かれていたし、厳選豆を使用などと謳っている
がどう味わっても微糖にも厳選した豆を使っているようにも思えない珈琲だ。眺めた風景は景色と言っても
真っ暗で、近くの家の明かりや電灯、そして車のヘッドライトくらいしかない。それでも……いや、それだ
からこそ良いのだ。
旅と言うのはそれで十分なのだ。どこを見ても絶景、どれを食べても絶品ではつまらない。
ライダーは走っているだけで風を感じ、エンジン音一つで幸福を味わい、旅で食べる簡単な料理に舌鼓を
打つ。そうだからこそ、拓斗は家から漏れる無機質な明かりに暖かさを、不味い缶珈琲から旅の情緒を味わ
えたのかもしれない。
珈琲を飲み終え、空き缶をさっきの自動販売機があった所に捨てに行った。駐車場に戻ると軽自動車が入
ってきて、その中から男四人が降りてきた。彼らは道の駅が閉まっているのを見た後、何やら騒いでいた。
多分、ここに来る前に四人の内の誰かが遅くなってしまい、そのせいで道の駅の閉店に間に合わなかった
ようだ。そして、それをへらへらしながら罵り合っている。
それから彼らは景色を見渡し
「マジなにもねーじゃん」
と言い軽自動車に戻りどこかへいってしまった。拓斗は小さく息を吐き
「俺も少し前まではあっち側だったんだろうな」
と呟いた。ヘルメットを被り、エンジンに火を入れグローブをはめる。いつもよりも激しくスロットルを
捻り道の駅を出て行った。
それからまたしばらく走り、国道三百十七号線に左折し三十分ほど走るとキャンプ場龍岡に着いた。龍岡
キャンプ場は廃校になった小学校を利用したキャンプ場でサイト使用料無料、イン・アウトフリーである。
拓斗はそこにscoopyを停め、小学校のグラウンドであっただろう所にテントを張った。テントの中に貴重
品を抜いたバッグを放り込み、scoopyを軽くする。
それから、近くのせせらぎ交流館の温泉に入った。拓斗は敢えて入浴券を自動販売機で買わずに受付で払
った。番台さんは拓斗を見て
「旅の人ね? 」
と聞いた。拓斗は頷き、何でですか?と聞くと
「旅の人って感じがするんよ」
と番台さんは答えた。拓斗は答えになってませんよと笑うと、番台さんも「でも、そうだから」と笑った。
四百円にしては良い湯だった。温泉は玉の湯と川の湯が有り、今月は男湯は玉の湯だった。
今日は大した距離は走らなかったが、キチンとしたライディングで今まで使わなかった筋肉を使ったから
か若干体が痛かった。温泉の壁に腰掛、深呼吸をする。温泉の香りがゆったりと体に入ってくる。
湯気と温泉が心のそこから疲れを取ってくれるようだった。
温泉で一時和んでいると男が一人、入ってきた。拓斗はその男を何となく知っていた。男も拓斗に気付い
たようで体を洗ってから、拓斗の横に来た。
「今日の昼はどうも」
男は一言そういう。そう、彼は拓斗と昼に道の駅のレストランで肩をぶつけた男だった。
拓斗は笑顔で会釈する。
「君、もしかして旅してる? 」
男がそういうと、拓斗は
「ええ、四国一周中です」
と答える。
「そうか!何となく旅してそうな雰囲気してたんだよな。俺も四国一周中なんだ」
男は嬉しそうに言った。
「そうなんですか、ここで会ったのも何かの縁。俺、tactと言います。キャンパーネームですけど。初めまして」
拓斗がそういうと、男は
「俺は弘道。よろしくな」
と笑顔で言った。
二人は出身や学生か社会人かなど軒並な話をした後、拓斗は上せてきたので上がる事にした。簡単な挨拶
をし別れる。旅人と言うのはよく出会いよく別れる。そして、また何かの拍子に会う事もある。だから、別
れはあっさりとしていているのかもしれない。
楽しい出会いのお陰でさっぱりとした気分で上がることができた。温泉を出てから三百十七号線を北上し
玉川辺りのスーパーで野菜と肉を買いキャンプに戻った。拓斗のキャンプから二十メートル程離れた所に、
テントを張った当初には無かった別のテントが張ってあった。それの主はまだ帰ってきていなかった。
拓斗はテントの中に入り、バッグの中からCAPTAIN STAGのガスコンロを出し、ご飯を炊くことにした。ガ
スコンロでご飯を炊くとガスが沢山要り勿体無いので、ガスコンロは火付けの為に使う。近くの林までscoop
yを走らせヘッドライトを頼りに薪を拾う。大き目の石を集めて丸く並べ、その中に薪を放り込む。硬く絞
った新聞紙をガスコンロで火をつけ薪の下に滑り込ます。上から薪を押さえ込む。しばらくすると薪に付い
た葉っぱに火がつく。そこでゆっくりと風を送り込み薪に火をつける。火がついてきたら薪を足す。火が大
きくなったところで、安定するまでしばらく待つ。
鍋と米を炊事場まで持って行き、米を研ぐ。水を切ってから米と同じ量だけ水を加える。それから三十分
ほど置いておく。携帯電話を出し、三十分後にセットする。景色や空を眺める。
「たった二日だけれど色々あったな」
拓斗は今までのたびを思い出していた。この二日間は今までの大学の学生生活よりも濃密であった。本当
にそう思えた。今度は焚き火のそばに行き暖を取る。木々が弾ける音が何となく懐かしい気持ちにさせた。
時々薪を入れる。すると、一時期火は小さくなるがそれからまた激しく燃え出す。人間も焚き火も同じよう
な気がした。何か燃え上がるには少しだけ苦労が要るのだ。そして、その苦労に負けてしまえば薪を入れす
ぎた焚き火のように立ち消えてしまう。
焚き火を見ながらそんなことを考えると、今までの拓斗は薪が少なすぎたのかもしれない。
「今回の薪で、俺は変われるかな」
他の他人に届かないその言葉は本当の拓斗に深く届いたのだろうか。
そうしている内に携帯電話のアラームが鳴った。鍋の底を拭き丸く置いた石の上に置く。
蓋がなかったので、まな板にする為に持ってきた鉄板を良く洗い鍋の上に置いた。十五分ほどの間強く炊
く。鍋の中が沸騰している音がするのが分かる。それから鍋の位置をずらし当たる火を少なくし、また五分
ほど炊く。炊き終わったら十分ほどそのままで置いておく。拓斗は間、その鍋にタオルを巻き座っている石
の横に置いた。
その時、キャンプ場の入り口からバイクが走ってきた。車高が高いバイクで単気筒の音がする。それだけ
でそれがオフローダーであることが分かった。そのバイクは拓斗の隣に張ってあるテントの前に停まった。
一目でそれがD-trackerであると分かった。
そのオフローダーのライダーはヘルメットを脱ぎ、テントに入っていった。
一時するとテントからガスコンロとスーパーの袋を持って出てきた。それをテントの前におき、地面にド
カッと座る。
そのバイクから降りた男は弘道だった。
弘道がふっと横を見たとき、拓斗と目が合った。お互い「あっ! 」と声をあげ笑った。
「そのテントtactのやったんやな」
弘道がそういうと拓斗は笑って「ええ」と答えた。
「ところで、今から飯なんですが良かったら一緒に食いません? 」
拓斗がそういうと、弘道は嬉しそうに頷いた。弘道は飯を入れた鍋の隣に座った。
「じゃあ、これも食おう」
弘道はそういってスーパーの袋を渡す。
拓斗が中を確認すると、中にはパスタとミートソースの缶が有った。
「旨そうだ」
拓斗が言うと弘道は鍋の乗せていない焚き火に薪を放り込みながら言う。
「旅のときって楽だから大体パスタなんだよな」
拓斗は「そうなんですか」と感心していた。
弘道は立ち上がり、自分のテントに戻り鍋を取り水を汲んできた。底を拭いてから焚き火に乗せ沸かした
。その間、拓斗はご飯の入った鍋を開けご飯を混ぜた。白ご飯の湯気が二人の腹の虫を刺激した。
再び蓋を閉めタオルに包む。焚き火の方ではお湯が沸いたので、弘道がその中に塩を入れパスタを入れた
。十分ほど茹でた後、後ろ側に茹で汁を捨てその上にミートソースを流し込む。それを再び焚き火に乗せ和える。ミートソースの旨そうな匂いが漂った。
拓斗は二つのプラスチックの皿にご飯を盛り、弘道も持ってきていた皿二つにパスタを盛り付けた。拓斗
は続いて野菜を火にかけ油をたらす。
「焼けた奴から食おう」
と野菜の入った鍋を指差して言った後、飯を弘道に渡す。弘道も拓斗にパスタを渡す。
火にかけている鍋に塩コショウを振る。始めパスタをオカズに食べ、それが無くなったら焼けてきた野菜
を食べた。野菜が減ってきたら次は肉を投入する。
外で食べると本当に何でも美味しく感じる。そのせいで食事はどんどん進み、すぐに食べ終え残すは肉と
野菜の炒め物になった。二人はそれを突きながら話す。
それで弘道が大阪出身である事、会社を有給で休んできている事などが分かった。
「tact、日本酒飲むか? 」
弘道は右手を口元に持って行きそれを上に持ち上げる。
拓斗にいわゆる、酒を飲むジェスチャーをしながら聞いた。拓斗は頷く。すると弘道は自分のテントから
四角いコッフェルと日本酒の紙パックを持ってきた。
四角いコッフェルの一番大きい物と、一番真ん中に入っている小さい物を取り出し一番大きい物に水を汲
んできた。それを火にかけ沸いた事を確認すると小さい方に日本酒を入れて蓋をした後大きい方に入れた。
「キャンプ場で熱燗といえばこれだよ」
そういって、弘道は微笑んだ。
拓斗は弘道の慣れた手つきに感心しきりだった。
小さいコッフェルから酒のにおいがしてきたのを感じる頃、蓋を開け二つの紙コップに注ぎ分ける。
拓斗はそれを口に含み、酒の味を確かめる。少しずつすする。紙コップを置き、野菜炒めの入った鍋を焚
き火に置き温まってから肉を食べる。
「最高の贅沢ですね」
拓斗が言うと、弘道は「そうだろ? 」と笑って答えた。
「ところで、tactは何で旅してるんだ? 」
弘道が聞いた。拓斗は少し悩んでいる。それを見て弘道は
「言いたくないなら別に良いんだ。じゃあ、俺の話を聞いてくれないか」
そういって、箸を野菜炒めに伸ばす。野菜を食べながら弘道は口を開いた。
−−−−−−−−−−−−(朝焼けのハングオン十一話終わり)−−−−−−−−−−−
463 :
774RR:2008/04/13(日) 22:54:34 ID:USx7JQr7
ロードノベル
464 :
774RR:2008/04/13(日) 23:18:33 ID:aBjzmKAO
つC
465 :
774RR:2008/04/13(日) 23:22:18 ID:CnpnaT01
466 :
452:2008/04/14(月) 00:17:37 ID:OvwR5bLJ
さっき、湾岸でやったノリスケ兄貴凄かったです!ガチムチの色黒兄貴がフルスロットル連呼で
タイトコーナー突っ込んでリヤ振ってました。俺も追尾させられてブロー食らい無様に
オイルさらしました。ブサターボ出されたときは一瞬引いたけど、兄貴の「いやなら
止めていいんだぜ!」の一言で覚悟決め、生まれて初めて300オーバー体験しました。そ
の後、ライト・ウインカーも外されてビンビンのレーサー、思いっきりしごかれ派手に三京の直線
飛ばしました。スッゲー男らしく気持ちよかったです。また行くとき
カキコして下さい!帰ってから赤キップの束見て、また感じまくってます!
467 :
774RR:2008/04/14(月) 00:57:44 ID:WOm9mTVD
468 :
774RR:2008/04/14(月) 08:37:38 ID:UAmLRigx
携帯で読むのマンドクセ
書籍形式にしてくれ
469 :
774RR:2008/04/14(月) 08:39:26 ID:VAAyTuN+
じゃあ読むなよW
470 :
774RR:2008/04/14(月) 11:36:27 ID:MRTnQGeO
471 :
774RR:2008/04/14(月) 13:49:04 ID:UAmLRigx
文庫なら良いのになぁ
472 :
191:2008/04/14(月) 23:49:57 ID:NHd92949
473 :
774RR:2008/04/15(火) 00:49:55 ID:ofMEerw/
さぁ一円が四つで何円でしょうか?
474 :
191:2008/04/15(火) 00:53:27 ID:OS6lpqL1
475 :
774RR:2008/04/15(火) 12:34:55 ID:gI0+n0b9
記念カキコ
476 :
774RR:2008/04/15(火) 21:04:13 ID:DmKSjyPH
>>466 このスレに俺以外に六尺スレ住人がいたとは
477 :
774RR:2008/04/16(水) 08:32:07 ID:NR/NmFyt
つC
作者頑張れ!
478 :
774RR:2008/04/16(水) 09:17:11 ID:tnlHVAoU
NR…先週の土曜日にNAPS世田谷で買い物したあと多摩川堤通りですれ違ったな。オーラなかったw
作者がんがれ つC
479 :
774RR:2008/04/16(水) 11:07:05 ID:X4d/AQ+z
480 :
774RR:2008/04/16(水) 11:20:54 ID:AoZNyoce
魔棲雄もついに冨樫か
481 :
774RR:2008/04/16(水) 12:48:12 ID:uJjMRmtw
>>478 たぶん知り合いが遭遇したのと同じNRの予感
482 :
774RR:2008/04/16(水) 20:21:41 ID:QP4KIgVa
NRか・・・
バイク乗り始めて半年位の頃、ノートスレで俺の次の人がNRだったな。
当時どういうバイクかよくわからず、後で値段を見てビックラこいた思い出w
>>476 オイルまみれのバトルをやりたいぜ。お互いに暖気してから、タイヤをバーンナウトしながら顔や頭からタイヤカスをかけたりかけられたりした
ら最高や。もう考えただけでキャブがパーコレーションしてしまう。出来れば走り屋の親父や爺さんの相手が一番だが、タイヤカスだらけになれるな
ら30代40代の珍走でも一緒に違反の限りをつくし気が狂うほどぐちゃぐちゃになりながら、白バイを煽ったりオイルだら
けのチャンバーを舐めあおうや。又ギャラリーのおっさんにウイリーを見せ合ったり、そのまえでストッピーを掛け合ったら興奮してたま
らないぜ。一緒にやろう。岡山県の北部なら良いが、岡山市内でも良いぜ。163*90*53の走り屋親父や。皮ツナギ姿のまま
で走りながら狂うのが一番や。連絡早くしてくれ。ガソリン、ためて待つぜ。
484 :
191:2008/04/16(水) 21:26:06 ID:7E4cLyDP
水曜日なんで短編(三連作の最後)をうpしようかと思うのですが、良いでしょうか?
485 :
774RR:2008/04/16(水) 21:30:06 ID:54+WevaS
午後四時半、男は日本の大学の中で最も権威があるだろう門を潜り、溜め息をついた。
家に帰り、寂しさとストレスで買い溜めた小物類を一瞥しながらリビングに入りTVをつける。自分でつけたくせに、バラ
エティの笑い声に我慢できなくてまた電源ボタンを押した。
静まり返った部屋のベッドにドカッと腰を下ろす。
「何なんだろうな?」
と誰に聞くでもない聞かすでもない独り言を呟いた。
彼の名は貴紀。超難関国立T大の2年生。成績は可も無く不可も無く。四年で卒業できるだろうというくらい。
貴紀は、気付くと暗闇の中に居た。
ベッドに腰を下ろしてから寝てしまったらしい。携帯の時計を見ると18:23と表示されている。大体2時間くらい寝てしま
ったようだ。
手探りで室内照明のスイッチを探し電灯をつけた。ちょっと肌寒い。春先の夕方はまだ暗くて寒い。しかも、薄着で寝
てしまったから風邪を引いた様だ。貴紀は大きなくしゃみをした。
「栄養ドリンク飲んで寝れば酷くはならないな。」そうまた独り言を放つと貴紀はコンビニへ向う。
コンビニには何時も通り仕事帰りと見られるおじさんや、学生が立ち読み禁止の張り紙も無視で立ち読みしている。
貴紀もその集団に混じり退屈しのぎのファッション雑誌を手に取った。
貴紀はお洒落と言うには程遠い格好をしていたが、カラフルな「コレは買い!」や「〜が今のキモ!」などの在り来たり
なフレーズを使った“一押し”商品の写真をペラペラ捲ることで退屈しのぎくらいにはなった。
一通り雑誌をザッピングして栄養ドリンクのコーナーへと足を向けようとしたその時、漆黒の闇の中から二つ目の明か
りが見えた。車のライトにしては感覚が狭いし、自転車は一つ目。何となく気になってその“二つ目”を眺めているとそ
の“二つ目”はコンビニの前に止まった。コンビニのライトに当たってその二つ目はバイクYAMAHA R-1である事が解
った。
貴紀は息を呑んだ。そのバイクの余りに美しいフォルムに…
ではなく、そのバイクのライダーが余りに小さい事に、だ。
140cmあるかないかのライダーは慣れたようにそのバイクから“飛び降りる”と手馴れた手つきでエンジンを切る。
そのライダーはとても小さいが何故か乗られているバイクはとても嬉しそうだった。
ライダーは大股で歩き、貴紀に近づき話しかける。
「すいません、トイレに行きたいんでちょっとどいてもらえます?」
貴紀は
「ぁあ、すいません」
と道を空けた。これが、ライダーと貴紀との最初の出会いだった。
次の日、昨日買って来た栄養ドリンクが効いたのか風邪はすっかり治ったようだ。
勉強道具一式を鞄に入れ、またいつもの大学へと足を運ぶ。
貴紀は高校時代を思い出していた。
彼の高校時代は正に絵に書いたような優等生。テストは毎回二位以下を広く引き離してトップだった。塾は行ってい
なかったが学者の父が毎日夜は付きっ切りで勉強“させられていた”。今思うと学歴の低かった父が自分に楽して欲
しかったからなのかもしれない。
受験前はもっと酷く受験日一週間前まで一日3時間睡眠それ以外ずっと勉強、受験一週間前は5時間睡眠でテストに
完璧に備えさせられた。
合格発表でT大合格がわかった後も、先生にはただ真面目に勉強しただけです。と答えた。
クラスの皆からは一目置かれ休み時間の間勉強すると周りで騒いでも、話しかけて来る者は居なかった。テスト前は
別だが。
それが今では成績中の中。成績上位者はカンニングした奴か本当の天才。
今までの自分は何なんだろうな?と呟いてしまう。
高校時代ちやほやされ過ぎて寂しくなったのか?
勉強だけで空しさを感じたのか?
本当の自分って何なのか知りたくなったのか?
いくら自分に問いかけても何にも出て来やしない。
考え事をしながら歩いていたせいか校門を通り抜けてしまった。時計を見ると講義開始1分前。今までの優等生が災
いしてか、遅刻が許せない。
渡りきった横断歩道の信号が青の点滅だったので全速力で走った。
その時、左折してきたバイクが体を掠め、ライダーは避けようとフルバンクした。
避けきれたのは良いが、道路の砂利にタイヤを取られ道路に滑り込んだ。
バイクのカウルは左側が無残にも傷だらけになり、ライダーも道路に寝転んだままだ。
この時、貴紀の足は学校の校門へ向いていた。
遅刻してしまう!!貴紀の気持ちは焦った。
遅刻したら怒られる!!怖い!!
おき上がらないライダーを背に貴紀は校門へ走る。
時計を見ると講義は既に開始している。ヤバイ!!ヤバイ!!怒られる!!
貴紀は泣きそうになりながら校門に走る。
貴紀は人生で一度だけ遅刻したことがある。それは小学校の時だ。通学路の横の川のせせらぎが綺麗で、眺めてい
たら学校を5分遅刻したのだ。その学期の通知表には「おしい!!この遅刻が無ければ無遅刻無欠席!!次を目指せ!!」と
先生のコメントと遅刻回数の所の矢印とが書いてあった。
先生の文字は丸文字で激励だったが、それを見た父は顔がどんどん鬼のようになっていったのを覚えているが、そ
れから何があったのか、貴紀は覚えていない。だが、激しい恐怖があった事はそれから中学高校が無遅刻無欠席だ
った事から伺える。
それがあってか、貴紀は全速力で走った。怒られる怒られる怒られる。
その時、ふと我に帰った。今思うとこけたのは昨日のライダーだった気がする。
やたら嬉しそうだったR-1。
不釣合いなのにやけに似合っていた“二人”。
遅刻が怖くて全速力の貴紀。
急に貴紀は急にこけたライダーが可哀想になった。
遅刻がなんだ!!
父親がなんだ!!と自分を鼓舞した。一人暮らしで大学生だから怒られる訳も無い。でも、なぜか、ここでライダーの元
へ行くのが凄く怖い。ライダーも怒るだろう。でも、それ以上に言い知れぬ恐怖が貴紀を襲っていた。
今走って講義に行けばそれでも走ったんだよって良いわけできる。
だれに?
父に?
もう、怒る人は近くに居ないはずなのに。
そんな事を頭の中をぐるぐる回った。貴紀は目を強く瞑って静かに息を吐き、さっきの交差点に走った。
ライダーは既に起き上がっていたがバイクが起き上がらなかった様で、詰まった車からクラクションを鳴らされていた。
貴紀は走って行き、バイクのリアシートを掴んだ。
「手伝います。」
その一言が言えたらどんなにかっこよかっただろう?何となく罪悪感と緊張で言えなかった。
貴紀は無言でR-1を起こし、後ろから押しながら路側帯へ上げた。
「ありがとう!!さっき、横断歩道渡った後凄い勢いで走ってたけど大丈夫だった?」
小さなライダーはニコッと笑いながらそう言った。
「ぁあ、はい…。」
口だけ笑った不恰好な貴紀の笑いは自分でも解るほど気持ち悪かった。
「怪我は無かった?」
小さなライダーはそう聞いてきた。貴紀はこっちの台詞だと言いたかったが、
「ぁあ、大丈夫です。」としか答えられなかった。
「いやぁ、なんかこけた時当たった様な気がしたからさ!一応、何かあったら不味いからね、一応、俺の名前と連絡先
かいとくよ!」
とポケットから取り出したメモ帳に名前と携帯の連絡先を書いた後、そのページを破って渡された。紙には山野鉄也
と090‐××××‐△△△△と書かれていた。
左がボロボロのバイクに山野が“飛び乗り”、エンジンをかけるがセルは回るものの着火する様子が無い。
「こりゃカブッたかなぁ。工具借りにバイク屋まで行くかな。」
と山野は独り言を言うと、スタンドを蹴り上げ、R-1を押し始めた。
貴紀はそれを見ていたが、山野とR-1への興味で一緒にバイクを押したくなった。
生唾を飲んで山野に歩み寄った。
「ぁあの…、て…手伝わせてくだしゃい。」
最後に少し噛んだが言いたい事は言えた。山野はまたにっこりと笑って、じゃあ、後ろから頼むわ。と後ろを指差した。
バイク屋まで3km程だったがR-1と山野と貴紀の“三人”は話しながら押したので、そんなに遠く感じなかった。
山野はT大ではないがこの付近の私立大学生だった事。たまたま今日が全休でバイクでの散歩を楽しんでいる最中
だった事、出身、何てこと無い話をずっとしていた。
「ところで、貴紀は何処大生?」
何の気なしに山野は貴紀に聞いた。
(T大だよ。別に大した事無い大学だけど、高校時代は割りと勉強したね。)貴紀は山野が(T大!?凄いじゃないか!!)と言
ってくる事を見越して頭の中で今まで言ってきたお決まりの台詞を考えた。
「T大だよ。」
そう貴紀が答えると、山根は、じっと貴紀を見て
「つまんねぇんだろ?いや、これからどうして良いのかわかんないんだな?」
とニヤニヤしながら言った。
貴紀は頭上に?マークを浮かべていると
山野は続けて
「高校時代は勉強だけしとけば良かったが、大学に入って社会に入って自由を手に入れた。しかし、何して良いか解
らない。そして、自分だけ周りにおいていかれた気になってんだろ?」
貴紀はハッとした。ここ最近ずっと悩んでいた事を見事に文章化されたからだ。
それに、いままで思い出しておいた“お決まりの台詞”も使えなくなり
「あぁ、ま…まあそんなとこ。」
と答えた。
「そっかぁ、そりゃあ、大変だなぁ。」と山野はハハハッと笑いながら答えた。
その時、R-1も小さな砂利を踏んで上下に振るえ笑ってるように思えた。
貴紀は自分の悩みを笑われているように思えて腹が立ったが、山野の爽やかな笑いを見ると自然と立った腹も収ま
っていった。
一時間ほど歩くと山野の目的のバイク屋に着いた。
着くや否や山野は「店長!!」と叫んだ。すると、暫くして店長らしき人物が出てきた。
「どした?チビ〜。」
とあくびをしながら店から出てくると山野の頭をポンと叩いた。
山野はその手を跳ね除け、R-1を店長に見せた。
「オイオイ、コレは前カウル全交換だから高いぜ?」
と店長は苦笑いしながら山野に言った。
山野は「いや、今金無いから後にする。それよりもびっしょり被ったみたいだから工具貸してくれ。」
と店長に言うと、ホイホイとバイク屋に入った。
「ま、前でするのもなんだ。入れ入れ。」
と手招きした。
山野と貴紀がバイク屋に入ると大小さまざまなバイクが展示してあった。しかし平日ってのもあって客は貴紀達二人
だけだった。
店長が工具箱を山野に渡すと、「所で、お前は?」と貴紀に聞いてきた。
貴紀は「あ…あの…、何と言うか、横断歩道で…」
とゴニョゴニョ喋ってると、店長が
「ん?よく解らんなぁ、おい、チビ!コイツお前のダチか?」
「あの…友達と言うか…、そこの横断歩…。」
まだ、貴紀が言い終わらないうちに
「ダチさ、そこで出会ってね。色々世話になったんだ。」
山根は工具箱から工具を取り出しながら言った。
そうかそうかと店長は頷いた。
「後ね…」
山根は続けた。
「この子も人生の迷子らしいよ。」
とニヤニヤしながら店長に言った。
店長はがっはっは!!と笑い、貴紀の肩を叩いた。
「そうか、人生に迷っているのか。ところで、君はえ〜…」
店長がいいどもると、貴紀が言った。
「た…貴紀です。」
「そう、貴紀君。人生とは迷いやすい物だ。そう、君は今、フリーター…かな?」
なんか、名言を言いたいなら情報を集めてから言えよと貴紀は多少呆れながら
「大学生。T大二年。です。」
多めに情報提示した。
「T大か…。高校時代はレールに乗っかって頑張れば良いが、社会はそうは行かない。ずるする奴もいれば、本当に
凄い奴もいる。大抵そのどちらかが世間で大成するもんだ。で、君は糞真面目にそれはおかしいと思っている。…大
体そんな感じ?」
山野に引き続き店長にも言い当てられ、貴紀は大変腹が立った。それも、この店長物事を何でもネタにして笑いもの
にする。それで、余計に腹が立った。
「まあ、そんな感じです。あの、僕って考えてる事解りやすいですか?」
貴紀が店長に聞くと、山野と店長が顔を見合わせてウッヒャッヒャと馬鹿笑いした。
貴紀は笑いものにされている気がして腹が立ったが、段々情けなくなり涙目になってきた。
それをみた店長はちょっと焦った。
「スマンスマン!いや、君らの悩みなんて大体そんなもんなんだよ。このチビも、そうだったしな。」
山野は黙々とタンクをはずしていた。聞こえない振りか、はたまた聞こえないのか?
「こいつは、大学に行かずに高校でて働くつもりだった。でも、親は大学に行けという。理由は簡単、高卒より周りの
目が良いし、親もコイツに苦労させたくないんだろうな。で、こいつは反発として学校をサボりまくった。その上、不良に
なるためにうちのバイク屋に着たんだ。今のお前とは逆だけどよ、悩みは似てんだよ。そして、アイツはバイクに乗っ
た。俺はもっと小さいバイクを進めたんだけどさ、あのバイクがあのチビに惚れこんじまってさ。」
悩みを解消する為に山野はバイクにのった。
そして、乗るバイクは山野がそのバイクを選んだんじゃなく、バイクが山野を選んだ。ばかげた話だが、何となく解る
気がする。そして、貴紀はバイクに乗りたいと思った。
話が終わった頃、丁度R-1のエンジンがかかった。
その音が、正に悩みという名の貴紀の心にかかった雲をとり除く風のようだった。
もう、俺何なんだろう?という貴紀の疑問の答えは出た。
貴紀は今までに無い晴れ晴れとした気分に成った。
ただ、一台のバイクに乗るだけ。それだけの事かもしれない。
しかし、それはそれだけの意味じゃなくて一つの自分の生き方を得るって事なのかもしれない。
乗ったって何も変わらないかもしれない。
でも、乗らなかったら絶対何も変わらない!
そう思うと、居ても立っても居られなくなり楽しくなってきた。
店長は貴紀の背中を叩き、封筒を手渡した。
封筒には二輪免許取得の為の自動車学校の資料が入っていた。
−−−−−−−(R-1に乗るリトル・カウボーイ)終わり−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
493 :
774RR:2008/04/16(水) 21:54:47 ID:Nju3OS4I
俺、4輪の飛び込み試験合格したから
今度は2輪の免許を取ろうと思うんだ
丁度ぴったしな話だったよ
ありがとう
>>191
495 :
774RR:2008/04/18(金) 00:13:56 ID:9Ge6Ia3o
そろそろガルーダに潰されるだろうな
496 :
774RR:2008/04/18(金) 01:55:20 ID:nQvJfsCx
497 :
774RR:2008/04/18(金) 10:40:43 ID:cExqSDsH
つC 四国の話は日曜日だっけ?
498 :
774RR:2008/04/18(金) 13:18:34 ID:ApNA43Ci
鈴木さんはどうして死んでしまうん?
499 :
774RR:2008/04/18(金) 17:00:05 ID:nQvJfsCx
500 :
774RR:2008/04/18(金) 21:50:24 ID:sRGsv6kQ
四国 四十八ヶ所参りだっけ?
映画「死国」で逆順に回ると死者が蘇る「逆打ち」というのを娘を亡くした親がやって…
と、やけにつまんない映画だったw
501 :
191:2008/04/18(金) 22:37:57 ID:chlKmuDx
>>496 >>497 支援ありがとうございます。そうです、四国の話(朝焼けのハングオン)は毎週日曜にうpします。
502 :
774RR:2008/04/19(土) 00:26:01 ID:T5wfgzoX
スレ半分埋まったね
503 :
774RR:2008/04/19(土) 20:52:24 ID:T5wfgzoX
アゲ
504 :
774RR:2008/04/20(日) 09:04:41 ID:EpQI5o5O
さーて日曜だ。四国の続き頼むわ つC
「ええ、聞かせてください」
拓斗がそういうと、弘道はコップの中の少し冷めた日本酒を飲み干して語り始めた。
「俺、彼女と別れたから旅を始めたんだ」
そう言った後、弘道は後ろに置いた紙パックの日本酒を右手で探った。紙パックを掴み、空になった小さいコッフェ
ルに酒を一杯分注いだ後手に持った紙パックを拓斗に見せて「要るかい? 」と言う。拓斗は頷いて「お願いします」と
言った。弘道はもう一杯分注ぎ、大きい方のコッフェルを火にかけその中に小さい方を入れた。焚き火の方は始めよ
りずっと勢いが収まっており、炭になった薪が赤々と光るくらい。その上にコッフェルを置いたので日本酒が熱燗に変
わるまではしばらくかかりそうだった。
しかし、二人とも薪を入べようとはしない。
「そう、あれは丁度三ヶ月前。会社で新年会があったときだったかなぁ」
……三ヶ月前……
大阪府内の観光ホテル。そのホテルの入り口のホワイトボードにはには「○○会社御一行様」と書かれている。
そこの大広間では丸テーブルがいくつも並べられ、その周りの椅子に人が座っている。その中の一つのテーブルの
椅子に弘道も座っていた。
そこでアナウンスが流れた。
「○○会社代表取締役、長沢正成。ステージにお上がりください」
そうすると、ステージに照明が着き白髪頭の男がビールの入ったグラスを持ってステージに上がった。ステージの上
の台に手をつき大広間を見渡した。丸テーブルに座った全社員が長沢を見る。
「長く喋ってもしゃあないからな。俺が社員の頃なんて、社長がステージに上がっただけで寝むたくたったもんや」
そういうと、大広間から笑いが起こる。
「だから、すぐ終わらそか!あけましておめでとうさん!今年もうちの会社はガンガン行くでぇ!……それだけや! 」
そういうと、「お手元のグラスをお持ちください」とアナウンスが流れる。
「行くでぇ!乾杯!」
そう言って長沢は手に持ったグラスを上に上げる。それにあわせ丸テーブルに座った社員達も口々に「乾杯」と言
い合い近くの者達とグラスをぶつけ合う。社員達は上司に、上司は幹部に乾杯を言いに行く。それぞれ乾杯し、二言
三言喋った後席に戻る。
弘道もそれに違わず上司や同僚たちと乾杯をし、元居た席に戻った。席の隣には同じ課の女性が座っている。
彼女の名前は藍瀬美奈。顔も身なりも整った女性。そして、この女性こそが弘道の三ヶ月前の彼女である。
「弘道、気を取り直して今年もよろしくお願いします」
そう言って美奈はビールの入ったグラスを持ち上げ、弘道に近づけた。弘道はそのグラスに自分のグラスを当てる
。乾いた音がし、ビールが揺れる。
それをテーブルに置く前に弘道はグイッと飲み干し、美奈は一口のみテーブルに置いた。
「相変わらず熱いねぇ」
弘道と美奈の同僚である博之が言う。
「そんなんじゃねぇよ」
弘道は笑って言い返す。
「うらやましいなぁ」
これもまた彼らの同僚である夏子がからかう。
「そんなんじゃないってばぁ」
美奈がてれながら言う。
同じ席の同僚達がそのやり取りを見て笑った。
二人が付き合いだしたのはこれから一ヶ月ほど前で、クリスマスの二十日ほど前だった。弘道がそのイベント前に
一人身なことに焦り、会社で美奈とたまたま二人きりで残業だった時に「付き合ってくれ」と頼んだのである。偶然にも
その時美奈も焦っており付き合うことになったのだ。その付き合ったことは、博之の「最近二人の様子がおかしい」の
一言で会社の課中に広まることになる。
新年会はそれから三時間ほどで幕を閉じた。
社長である長沢の一本締めの後、会社から家が近い社員は会社行きの貸切バスに乗り会社で解散。現地である
観光ホテルからの方が家まで近い者は現地解散と言うことになっていて、それぞれバスに乗り込んだり駅に向って走
ったりとしていた。
「いやぁ、面白かったね」
観光ホテルの前で夏子が言う。
「ああ。一人で飲む酒も良いけど、こういう風に大人数で飲む酒もまた楽しいな」
弘道が寒そうにポケットに手を入れながら返した。
「一人で?本当かなぁ? 」
博之が弘道の顔を覗き込んで、またからかう。
「博之しつこいぞっ! 」
美奈が博之を小突いた。内心は少し嬉しかったのかもしれない。
そうやってふざけている時、博之が時計を見て言う。
「そろそろバスが出る頃だから、俺行くわ」
そういうと、美奈は少し残念そうに
「そっか、もうそんな時間か。私もバスだから行くわ。じゃあ、弘道またね。ついでに夏子も」
「私はついでか! 」
笑いながら夏子が美奈に突っ込む。
「おう」
弘道は一言そういって、バスに向いながら振り返る美奈と博之に手を振った。
二人が乗り込んだ後にバスの扉が閉まりバスが出た。どうやら、出発時間ギリギリだったようだ。
弘道と夏子で、窓から顔を出す二人に手を振る。バスはすぐに走り去っていった。
「弘道君は家何処だっけ? 」
二人で駅に向いながら、夏子が聞く。
「俺は交野市の西川原辺りだよ」
そういうと夏子は何か考えて、少し時間を空けた後言った。
「本当に?私倉治南辺りに住んでるのよ」
「へぇ、それは知らなかったなぁ。どちらかと言うと堺辺りに住んでるのかと思ってたよ」
弘道がそういうと、一瞬夏子の顔が曇ったがすぐに笑顔に戻った。
「そう?私ってそんなイメージ? 」
夏子が笑いながらそういうと弘道は顔を横に振り
「会社に来る時、上り列車から降りてきたのを見た気がしたからさ」
弘道がそういうと、夏子はしばらく黙っていたが
「な……何かの見間違いよ。だって、堺なんて行った事も住んだ事なんてないわ。多分堺に行った帰りの私を見たん
じゃない? 」
弘道も、それを言った夏子自身もその言葉の不自然さに酔っていたせいか気付かなかった。
「そっか」
「きっとそうよ。だから、帰り道は同じ方向ね」
「そうだな。話し相手が居て助かったよ」
弘道は笑いながら言う。夏子は半歩だけ弘道との距離を狭めた。
電車に乗り、二人はいろいろな事を話した。しかし、弘道が美奈の事を聞くと「どうかしら? 」などと夏子ははぐらか
した。
いつの間にか電車は東寝屋川駅に着き、弘道は「じゃあ」と夏子に言い電車を降りた。すると、夏子も電車を居り
「ちょっと弘道君の家に上がらせてよ」
と言い寄ってきた。弘道は酔っていたせいもあって
「別に構わないよ」
と承諾した。夏子は子供のように「やった」と飛び跳ねる。
「俺の家は駅から少し歩くよ」
弘道がそういうと、夏子は「少し位なら大丈夫よ」と笑って答えた。
本当に少しだけ歩くと弘道のアパートに着き、二人は部屋に入った。弘道は短い廊下を抜けリビングに入るとベッド
に腰掛、スーツの上着を脱いでネクタイを外した。夏子はテレビの前に置いてあるテーブルに向ってちょこんと座った。
弘道が小さく溜息をつく。
「一人の時は何を飲んでるの? 」
夏子が弘道を見上げて聞く。
「そうだなぁ、日本酒を飲んでるかなぁ」
そう答えて、テレビの隣に置いてある紙パック入りの日本酒を持ってきた後見せた。
銘柄は何処にでもある大量生産の日本酒である。
「ねぇ、私達でもう一回飲み直さない? 」
夏子がそういうと、弘道は少し考えて
「俺は良いけれど、夏子ちゃんは帰りはどうするの? 」
そういうと
「何とかなるわよ。それにまだ十時くらいだから終電まで時間もあるし、大丈夫大丈夫」
と言って笑った。
「そうか、じゃあ良いか」
弘道がそういって、日本酒の栓を開ける。
「どうせだから一番美味しい飲み方で飲もうよ」
夏子がそういうと、弘道は頷いて鍋にお湯を沸かし始めた。
「熱燗? 」
そういうと弘道は軽く頷いて、
「やっぱり、日本酒でこの時期は熱燗だよ」
と答える。
お湯が沸いた音を聞くと、徳利に日本酒を注ぎお湯を沸かしている鍋に立てた。
「もう少し待ってて」
弘道がそういうと、夏子は嬉しそうに頷いた。
夏子は何かと弘道に聞いた。趣味やら最近の出来事やら。しかし、その中の殆どの話が弘道の興味をそそる物で
はなかった為か弘道は事務的に答えた。ただ、バイクの話を振られたときは弘道は饒舌になった。
「そういえば、ここのアパートにバイク停まってたけれどあれって弘道君の? 」
夏子がそう聞くと弘道は嬉しそうに答えた。
「そうだよ。kawasakiのD−trackerって言うバイクなんだ」
嬉しそうな表情を見て夏子も笑った。
「バイクの話になると嬉しそうにするのね。そういえば、家のおとんもバイクに乗るけれどいつも暇が有れば磨いてるわ
。男の人ってそういうの好きよね」
夏子がそういうと、弘道はすぐに「お父さんは何乗ってるの? 」と目を輝かせて聞き返した。男の人って……の件
は全く聞いていないようだった。
「ええっと、kawasakiのZR……なんとかだったかしら。兎に角自動車の軽よりも排気量が大きいの」
そういうと弘道は興奮して聞いた。
「それ緑色か黒で、ライトの所にカウル……といっても分からないよね。カバーみたいなのが付いてなかった? 」
「どうだったかしら。……う〜ん。多分付いてた気がするわ」
それを聞いて弘道は身を乗り出して言った。
「それ絶対ZRXだ」
そういうと、部屋の雑誌入れの中からOutriderを出してきて背表紙の広告に乗っている新型ZRXを指差して見せた。
夏子はそれを見ると何度も頷いて
「そうそう、これだった」
と言う。弘道は大袈裟に頷いて
「夏子ちゃんのお父さんってkawasaki乗りだったんだ。分かってるね。もしかして、乗る時いつも黒のツナギを着ない? 」
そう聞くと、夏子は驚いて
「えっ!?何で分かるの? 」
と言う。弘道は笑いながら
「kawasaki乗り同志は男気で繋がっているからね」
とだけ答えた。夏子はちょっと苦笑いだったが、嬉しそうな弘道を見て柔らかな笑顔に変わった。それから、outrider
を広げて弘道のバイク講義が始まった。バイクのスペック表を見せたり、バイクの高回転の所以であるボア・ストロー
ク比を説明したり、馬力の意味を教えたりと、父がバイクに乗っている事以外でバイクに縁の無い夏子には到底面白
いと思えない話でも夏子はそれを楽しそうに聞いていた。
一通り話が終わった後、弘道は後ろの方のページの短編オートバイ小説を見せた。
「ちょっと、これ読んで見てよ」
そういった後、流し場に向かいすっかり温まりすぎてしまった熱燗を濡れ布巾で包んで取り出しテーブルに持ってきた。
「どう?面白い? 」
御猪口を食器棚から取り出しながら弘道が聞く。
「まだ始まったばっかりよ」
少し笑いながら夏子が答える。
「そっか、それもそうだ」
弘道は頭を掻きながら言った。二つの御猪口に熱くなった徳利から日本酒を注ぎ、夏子の前に一つと自分の前に
置いた。それをチビチビと飲みながら弘道は夏子を見ていた。夏子は御猪口に見向きもしないでそれを読んでいた。
「酒、注いだよ」
弘道がそういうと、夏子はハッとしてテーブルの上に置かれたお猪口を見る。
「わあ、おいしそう。ありがとう」
そういって少し飲み、また読み始める。弘道が顔を覗き込み
「面白い? 」
と聞くと、夏子は小説に目を向けたまま頷き
「これ、面白いよ」
と返した。弘道は嬉しそうにそれを見て、御猪口に入った日本酒を飲み干してまた注いだ。
夏子は数十分ほどで読み終わり、テーブルの上にOutriderを置いた。
「本当に面白かったわ」
夏子がそういうと弘道は
「だろ?バイクって良いもんだろ? 」
そういうと、夏子は笑って「そうね」と答えた。ふっと夏子が時計を見ると夜の一時をさしていた。
「あっ、いけない。もうこんな時間」
夏子が驚いてそう言う。いや、本当に驚いていたかは定かではないがそのような顔をした。
「終電何時だっけ?」
弘道が聞くと夏子は申し訳なさそうに
「京橋行きでも十二時十九分だったと思う」
と言い、そういうと弘道は驚いて
「もう過ぎてる! 」
と言った。
「どうしよう」
夏子がそういうと、弘道は少し考えて
「じゃあ、今晩泊まっていく? 」
と聞いた。夏子は嬉しそうに、だが一応遠慮して
「えっ、悪いよ」
と答える。弘道は
「夏子ちゃんが良いなら、俺は別に全然構わないよ」
と言う。すると夏子は
「じゃあ、泊まらせて貰って言い?」
と聞き、弘道は「勿論」と言う。夏子は満面の笑みで喜んだ。
「じゃあ、改めて乾杯しよ」
夏子はそういって御猪口を持ち上げ弘道に近づける。弘道も御猪口を持ち上げ夏子のに当てた。
一通り飲んだ後、二人は風呂に入って寝る事にした。
「夏子ちゃん先に入る? 」
弘道がそういうと夏子は首を横に振って
「弘道君、家主なんだから先に入ってよ」
と言う。弘道は「そんなん別に構わないよ」と答えたが夏子が「私が構うの」と言うので先に入ることにした。
弘道は久々に風呂にお湯を張りながら、シャワーを頭から被る。暖かいお湯が頭から背中を伝って流れ落ちる。
彼は一ヶ月前の事を思い出していた。
美奈に告白する三日前、弘道は美奈と夏子のどちらに告白するか迷っていた。どちらも背格好が似ていて整った顔
立ちをしていた。ただ、美奈は髪を染め前髪にストレート横側にカールのパーマを当てており夏子は真っ黒で長い髪
で全体ストレートだった。格好も美奈はスカートにフリルの付いたカーディガンを着ていたが、夏子は綿パンにシャツだ
った。
何となく美奈の方が軽い感じがしたので、弘道は美奈に告白する事に決めた。だが、今思っては夏子も美形だし夏
子とも付き合って見たかったとも思うのであった。体を洗い、湯船に浸かる。そうして、今夏子は自分の近くにいる。
そのような厭らしいことを考えていたが、湯船で顔を洗い
「夏子と、美奈は友達だからそんなことはあり得ないだろ」
と呟いた。
客人が来たから、今日はお湯を張ったがいつもなら風呂はシャワーで済ます。だから、お湯を張った風呂に入るの
は久しぶりだった。
お湯を手ですくい顔に浴びる。気持ちよくて溜息が出る。
その時、脱衣所で物音がした。
---------------(朝焼けのハングオン第十二話終わり)---------------------------
513 :
191:2008/04/20(日) 12:06:33 ID:r6sDAW4b
>>504 支援ありがとうございます!
これからも頑張ってうpしていこうと思うのでよろしくお願いします!
514 :
774RR:2008/04/20(日) 12:32:50 ID:+tZ4V6sK
191
弘道裏山ハアハアハア
(*´Д`*)つCCCCCCCCCCCCCC
515 :
774RR:2008/04/20(日) 12:42:11 ID:1HgMtUEP
191氏乙
つC
516 :
191:2008/04/20(日) 12:54:11 ID:r6sDAW4b
517 :
774RR:2008/04/20(日) 13:42:03 ID:OGwmHKEs
良いとこで切りやがるなぁw
518 :
774RR:2008/04/20(日) 15:34:54 ID:EpQI5o5O
つC
来週まで勃ちっぱなしだな、こりゃ。
519 :
191:2008/04/20(日) 19:27:03 ID:r6sDAW4b
>>517 wktkして待ってもらえたら嬉しいですねぇwww
>>518 支援dクス!
たまには抜いてくださいねw
520 :
774RR:2008/04/20(日) 20:46:16 ID:DCW9fWVM
C
何とか来週まで生き抜く目標が出来たぜ
521 :
774RR:2008/04/20(日) 23:51:51 ID:QIY1UpJY
三 ̄ ̄ ̄ ̄\
/ ____|
/ > |
/ / ⌒ ⌒ |
|_/---(・)--(・) |
| (6 つ |
| ___ |
\ \_/ /
\___/
マスオです。
日差しのきつい季節なりました。サザエと別れて早5年。
風の噂でサザエがソープにいる事や、タラがリカちゃんを妊娠させて
夜逃げしたこと、カオリちゃんと中島君のSEXシーンを目撃した勝男が
2人を頃して現在服役中であること、そしてハゲがノリスケとの禁断の愛に
目覚めたことなどを耳にしましたが、磯野家は今どうなっているのやら・・・。
さて、次回は
「臭くてキモいボケ老人、波平」
「妊娠したワカメ」
「イクラ、ついに少年院へ!」の3本です。ウン!ガ!ウッ!グ!
522 :
191:2008/04/21(月) 00:11:08 ID:45//mG6+
>>520 ちょっと明日が月曜日だからって……。
来月はGWがあるんですから!日が経つに連れ大型連休が近づいて来るんです!
指折り数ていきましょうよ!
523 :
774RR:2008/04/21(月) 08:26:34 ID:HTd3TQXw
来週が待ち遠しいぜww
524 :
774RR:2008/04/21(月) 19:42:24 ID:dunWwdtm
>522
あんた、いい人だなぁ
525 :
191:2008/04/21(月) 23:07:14 ID:45//mG6+
>>524 いえいえ、俺もそう考えるようにしているのでww
526 :
774RR:2008/04/23(水) 00:57:00 ID:cQ4lZJk3
ageとくか
527 :
774RR:2008/04/23(水) 01:00:20 ID:A/994KAg
■「チベットを思う」日本人の気持ち■
http://www3.uploader.jp/user/bl_radio/images/bl_radio_uljp00017.jpg まだ子供の顔を残したチベットのお坊さんたちは、外国の取材陣を前にして
「チベットに自由はない」と叫んだ。
自分の命をかけて叫んだ。
もし、長野でおこなわれる聖火リレーが、中国の赤い旗で埋めつくされたとしたら、
普段ネットを見ていない日本の人たちは、
このお坊さんたちの叫びを知ることもできないだろう。
それでいいのだろうか?
われわれ日本人ひとりひとりが、チベットの人たちの辛さと無念を胸に刻むことで、
こうした酷いものごとを変えることはできないだろうか?
もちろん、中国政府に訴えても何かが変わるとは期待できないかもしれない。
しかし、日本人の多くが“変えよう”と決意すれば、
いつかは変えることができるかもしれない。
4月26日、長野に行こう。
チベット国旗を振ってもいい。
身ひとつのまま「チベットに自由を」と叫ぶだけでもいい。
われわれ以上にチベットのことを考えてくれた善光寺に
お参りするだけでもいい。
日本人は、まともな人間だということを、日本人自身に対して証明しようではないか。
■4月26日(土曜日)、長野集結をお願いします■
528 :
774RR:2008/04/23(水) 01:20:35 ID:cQ4lZJk3
>>527 九州だから参加出来ないが、感動した
是非とも頑張って来て欲しい
フリー・チベット(`・ω・´)
529 :
774RR:2008/04/23(水) 18:08:29 ID:ckymtlQV
つC
朝焼け一気読みしたらGP乗ってるけど原付欲しくなったwww
530 :
774RR:2008/04/23(水) 20:41:27 ID:Nhf/UmmT
華沢さんの話、また見たいな
531 :
191:2008/04/23(水) 21:39:23 ID:sQivtXnR
>>529 支援ありがとうございます!
GPカッコ良いですねぇ。俺もZeaLしか持ってないので原付欲しいです。
昔乗ってたSUZUKIのMINTは赤男爵にドナドナされていきました……。
たまには原付乗りたい。そして、たまにはSUZUKIに乗りたい。でも、一番はYAMAHAですww
長々とすいませんでしたー
532 :
774RR:2008/04/25(金) 00:17:56 ID:MKdgiYku
つC
何とか日曜日までアゲ
533 :
774RR:2008/04/25(金) 01:09:03 ID:BRZl2+1w
534 :
774RR:2008/04/25(金) 19:21:27 ID:MKdgiYku
ミントはスズキじゃないよ
535 :
191:2008/04/25(金) 23:34:04 ID:PV5oOMT5
>>533 >>534 今ググッたらミントはSUZUKIではなくYAMAHAでした。
ミントに乗ってたのが四年以上前なのでずっと間違って居た事に……。ああ、恥かしい……。
リミッターカットだけで80km/h出るという所が何となくSUZUKIっぽいイメージだったのかもしれませんww
536 :
774RR:2008/04/26(土) 03:51:26 ID:zj6FUZ5q
ミントってそんなにスピード出たっけ?
537 :
774RR:2008/04/26(土) 04:07:37 ID:qYRtbpSz
ジ ミント ウ 死ね。 売国奴。
538 :
774RR:2008/04/26(土) 09:18:48 ID:yCPv248T
ミントと初期JOGを間違えている気が
539 :
191:2008/04/26(土) 12:31:00 ID:FLBa/lqu
>>536 >>538 結構速かった気がしましたけどねぇ。
でも、初めて乗ったバイクだったから速く感じただけな気もしますが……。
あと、結局リミッターカットは仕方が分からず出来なかったのですがwwjogは速いですもんね。
>>537 誰が上手い事言え(ry
でも、だからと言ってミンスも売国奴……。
540 :
774RR:2008/04/26(土) 13:02:10 ID:V14m7yj9
確かに華氏の物語は読みたいわ
連載当時は魔棲雄氏マンセー状態でもがんがって続けてくれてたな。
漏れ最初の華を読んだときクソツマンネーって思ってたけど
色んな伏線はったり他のストーリーとリンクさせたり面白かったな。
なんやかんやと華氏の物語って文章力は魔棲雄氏に劣るかもしれないけど
物語構成はピカイチだと思ってる。
カムバック!華沢! 俺は伊佐坂VS花沢父の椿バトルが読みてぇぇぇぇ!!!
伊佐坂の時止めコーナリングをもっとぉぉぉぉぉ!!!!!
541 :
774RR:2008/04/26(土) 13:20:06 ID:43yP1LJ7
>>540 同意!
華沢さんみたいな快活でチョイブサは小学生の頃は
クラスで目立つタイプだが、中高生くらいになると
目立たなくなるんだよな。
逆におとなしい感じの女子は急にモテはじめて調子こきはじめる。
カオリちゃんみたいな女は、なぜか結婚も早い。
542 :
774RR:2008/04/27(日) 11:42:23 ID:/j2+dL1q
さて、日曜日だ
つC
543 :
774RR:2008/04/27(日) 18:32:06 ID:FhpfsNtB
サザエさん始まったage
544 :
774RR:2008/04/27(日) 18:43:59 ID:y0n4LD7Z
バイコロジーw
545 :
774RR:2008/04/27(日) 19:00:04 ID:aMG8H3cF
おい! 来週のサザエさんのタイトル「魔棲男風を切る」だぞ!
なんか魔棲男さんがバイクに乗ってたw
546 :
774RR:2008/04/27(日) 19:00:37 ID:1gJsbNMX
次回予告でマスヲがバイク乗ってたのでとんできますた
547 :
774RR:2008/04/27(日) 19:02:27 ID:zefIiALy
ちょwww来週のサザエさん予告
「マスオ風を切る」
マスオ、バイク乗ってるwww
548 :
774RR:2008/04/27(日) 19:08:27 ID:T5rF/kMS
作者先生諸氏の作品を通じた働きかけがエイケンに届いたのか!? つC
549 :
191:2008/04/27(日) 21:48:13 ID:KpuVLBui
日曜日なんでうpしてもいいですかね?
550 :
774RR:2008/04/27(日) 21:56:12 ID:Q02Dhxn9
どんとこーい
弘道は音のする脱衣所の方を見ると、風呂場の入り口の擦りガラスに柔らかなフォルムをした肌色のものが映ってい
た。彼はそれが何であるのかすぐに分かる。そして、彼の心臓は高鳴った。
彼は風呂場の入り口から目をそむける事ができず、ずっと見ていた。すると、風呂場の入り口が開くと何も衣類を着
ていない夏子の姿があった。二つの乳房を右手で隠し、秘部を左手で隠しているが手のひらから少しだけ恥毛が見え
隠れする。弘道がそれを見て、極度の興奮と驚きで口をパクパクさせている。すると夏子が洗い場の中に入りながら言
った。
「一人ずつ入るより、二人で入ったほうが早いじゃない? 」
そういうと、弘道はやっと我に帰り夏子から目を逸らし水道の蛇口を見ながら言った。
「そりゃあ、そうだけど……」
弘道は一瞬だけ美奈の事が頭を過ぎった。しかし、その考えを遮るように
「え……迷惑? 」
と、すぐに夏子は悲しそうな目で弘道に訴えかけるように言う。彼はそんな彼女を見て、首を横に振ることしか出来な
かった。
「本当に? 」
夏子は今度は泣きそうな顔をして弘道に言う。弘道は彼女の潤んだ目を見つめ、何度も強く頷いた。
「よかった! 」
夏子は嬉しそうに笑い、冗談めかして
「恥かしいからジロジロ見ないで」
と言う。弘道は「ご……ごめん」と顔を赤らめながら答えた。
夏子は左手で洗い場の椅子を真ん中に引き摺り座った。再び蛇口に目を向けていた弘道の目には、銀色の蛇口に
映っている夏子の恥毛が見えていた。彼の脈が早くなり、顔は真っ赤になった。いつもならすぐに上がっているとことだ
が既に冷静な判断が出来ない状態にある。彼はメタリックで鏡のような水道管に映る桃色の誘惑を凝視するしか選択
肢は無いのである。興奮しながらお湯に使っていると、段々ボーっとしてきた。その時、夏子が桶で浴槽からお湯をすく
う。
浴槽の隣には蛇口があり、その方向と同じ向きに鏡が設置してある。弘道は蛇口を、夏子は鏡を見ていた。その隣
に居る裸体の夏子がお湯をすくうとき伸ばした右腕の下から綺麗な形の膨らみが見えた。生憎、鏡は曇っていて見え
なかったが弘道は危うくその“膨らみ”に手を伸ばす所だった。
彼は餌を目の前におあずけをされた犬のように、ただただ生唾を飲んで耐えた。
夏子はすくったお湯を頭から被り、鏡の下に置いてあるポンプ式のシャンプーを押し頭を洗った。彼女は頭を洗うと
きに目を瞑って下を向く。そして、人は髪を洗う時必ず腕を上げるのである。
弘道は彼女が下を向いた後、腕の下から見える膨らみを貪るように眺める。そして、彼女を前から見ようと立ち上がり
覗き込んだ時
「何してるの?覗き込もうとしてるでしょ? 」
夏子が言った。弘道は驚いたが出来るだけ平静を装い
「い……いや、熱いからこの蛇口から水を出そうとしたんだ」
と返す。夏子は演技染みた言い方で「ふーん、そうなんだぁ」と笑った。
弘道は蛇口から冷たい水を出すとそれを手ですくい顔にかけた。冷たい水が弘道の火照った心と顔を冷やす。しか
し、彼の気持ちは冷えるどころか美奈への罪悪感が背徳からの快感と夏子を欲しがる劣情へと形を変えていた。
彼が覗き込んだときに一瞬見えた泡にまみれた恥毛と膨らみの先端の蕾は彼の男根をそそり立たせるのに十分な
魅力を放っていた。
夏子は髪を洗い終わった後、また浴槽から桶でお湯をすくい髪を濯ぎトリートメントをつける。それらを流し、顔を洗
った後体を洗う。泡を塗りつける行為がとても色っぽい。そんな事を思いながら弘道はそそり立ったそれの先端を何度
か指で触った。
それを流し終わった後、彼女は顔だけ弘道の方を向き
「入っていい? 」
と聞く。弘道は出来るだけ冷静に「ああ、良いよ」と言った。
「じゃあ、おじゃまします」
夏子はそういうと、浴槽の縁を跨いでお湯に入った。弘道からは彼女の太腿の付け根から綺麗に処理された恥毛が
見え、それだけでも彼女が女性である事が分かる。
彼女が完全に浴槽に入ると大量のお湯があふれ出た。
「勿体無かったかな? 」
彼女がそういうと弘道は「そんなこと無いさ」と答える。
彼女は浴槽の中で弘道を背凭れのようにして座った。浴槽内はとても狭く、二人が入っただけでも密着しなくてはな
らなかった。弘道は両手のやり場に困っていたが、浴槽の縁に手を置いておく事で落ち着いた。
夏子は前に伸ばしていた手を、隣に乗せている弘道の手の上に重ね体を少し回して弘道の方へ向き直った。彼女
の頭は弘道の首元にあり、弘道は優しく目を合わせた。彼女が少し微笑むと、自然に二人の唇は触れ合っていた。
弘道は我慢できなくなり、そのまま自分の舌を夏子の中へと差し込んだ。弘道より少しだけ冷たい彼女の体温で口の
中は少し冷たく感じ、歯や頬を舐めると何だか不思議な感じがした。夏子の中で動き回る弘道を彼女の舌で触り返す。お互いが強く動かしているせいで、風呂場には二人の動きで口から押し出された空気の抜ける音が響く。
彼は浴槽の縁に向けていた右手の手のひらを裏返し夏子の手を持ち、それを自分の肩にかけさせた。彼女は肩を
強く握って今度は夏子の舌を弘道の中に入れた。
弘道は右手を湯船に付け、夏子の腰辺りを撫でた。
「……ん、ふぁぁ……」
彼女は口付けをしながら声が漏れる。それから唇を離し
「いきなり触るからびっくりした」
そういったあと、微笑み顔を近づけ弘道の上唇を舌の先で優しく舐めた。
「駄目? 」
そう言いながら弘道は上下の唇で夏子の下唇を挟みゆっくりと離す。
「ううん、良いよ」
そう囁いて夏子は弘道の肩に置いた腕を首に回し又唇を交わす。
また、お互いの舌で戯れながら弘道は夏子の腰元に置いた右手を上方に持って行き胸の膨らみを下から掬い上げ
るように優しく触る。少し擽ったそうに夏子が笑う。
「擽ったい? 」
弘道が触りながら聞くと「ううん、気持ちいいよ」と口の中で相手と遊んでいた舌を自分の口の中に戻し微笑んで言っ
た。「良かった」それだけ言うと、弘道は乳房を包み込んでいた手の親指の腹でその先端の蕾を優しく擦る。
「……ん、ああ……」
二人が動く事によって揺れる水面の音と接吻の時に漏れる音、そしてその喘ぎ声だけが一人用のユニットバスに響く。
無意識の内に出た声が恥かしかったのか夏子は唇を離し、上目遣いで弘道を見た後「えへへ……」と照れくさそうに
笑う。弘道は無性にその表情が可愛く見え強く抱きしめた。それから、右手を乳房から臍を通り下腹部へと這わせていく
とその手を優しく夏子が静止する。
「逆上せちゃうよ?上がってからにしようよ」
と一言良い、軽く口を開いて弘道の唇に合わせる。弘道が名残惜しそうに「……ああ」と答えると、彼女は弘道のそそ
り立った男根を根元から亀頭にかけてゆっくりと撫で上げ「我慢できない? 」と微笑んで言った。弘道が力強く頷いたが
「ふふふ……駄目だよ。さっきからずっと入ってるじゃん」
と笑い、触っている手を浴槽の縁に置き換え立ち上がった。弘道は湯船に座ったまま立ち上がった夏子を見上げた
ので股の間から見えるその誘惑に目を凝らしたが両足とその恥毛に遮られ見る事が出来なかった。
湯船から出た後、また右手と左手で乳房と秘部を隠し洗い場の椅子に座る。
「ちょっと、先に出て」
優しく弘道に言うと、彼は「いや、先にでなよ」と返す。しかし、彼女は「女の子は時間がかかるのよ。だから先に出て」
と弘道を促した。
弘道が急に立ち上がったので、一瞬ふらついた。湯船に長い時間入り過ぎたらしい。蛇口から水を出しそれを顔に
かぶった後、手ですくって一口飲む。急いで飲んだので「プハッ」と言ってしまう。長く入りすぎて体が水を欲していたの
か、大阪の水道水がとても旨く感じた。
「長く入らせたみたいで……。ゴメンね? 」
夏子がまた上目遣いでそういうと、弘道は左手で彼女の頭をポンポンと叩き「大丈夫だよ」と微笑む。浴槽から上がる時
余りに男根が立ち上がっていたため、右手で抑えながら脱衣所に戻った。脱衣所にはピンク色のポーチが置かれてお
り、その中には夏子の化粧品などが入っているようであった。
弘道は脱衣所の上のほうに設置されてある開きからバスタオルを取り出し、ザッと体を拭いた後下着とタンクトップに
着替えるとリビングに戻った。彼はリビングで夏子が戻ってきた時どうすれば良いかを考えていた。美奈となら適当に話
したりしているうちに交わるのだが、夏子となると何故か緊張してしまい初体験の時の男子学生のようにベットに腰掛太
腿に手を置いて夏子を待った。
五分ほどしてから、夏子はバスタオルを巻いて出てきた。
「下着は? 」
弘道がドキドキしながら聞くと
「着替えは持ってきてないし、風呂上りに一度着たのはきたくないのよ」
そう答えた後弘道の横に座った。弘道は心臓が早鐘のようになる。ふと、部屋の中でベットと対称の位置に置かれて
いるテレビを見ると緊張している弘道と彼に寄り添っている夏子が反射して見えた。そして、彼女の両足の間は陰にな
っているがその奥には……。弘道はそう考えると余計に興奮してきた。
すぐに肩に凭れている夏子を抱きしめるとベットに押し倒した。彼女は
「もう……。早いよ」
と微笑みながら言う。弘道は「ご……ごめん」と返す。
「我慢できなかった? 」
夏子がそういうと、弘道はすこし躊躇したあと頷いた。
「嬉しいな」
そういって、夏子は恥かしさで高揚している弘道の唇をふさぐ。そのままさっきの続きといわんばかりにお互いが強く
抱きしめ合った。夏子は本当に良い匂いがする。弘道はそう思った。きっと、脱衣所であのポーチの中に入っていた
香水を使ったに違いないがその匂いは間違いなく夏子の香りだった。
抱きしめた後、弘道は右手で彼女の乳房を優しく触る。夏子は一度彼の手を退かした後巻いているバスタオルの胸
の部分だけ肌蹴させた。すぐに彼女の綺麗な形の乳房が現れ弘道はその先端の蕾に貪り付く。
「はぁぁ、…うっく」
弘道が先端を舌の真ん中で舐め上げると、彼女は時々そう喘ぎながら体がピクンッと脈打つ。夏子は弘道を抱きしめ
ていた左手で彼の頭を優しく撫でた。弘道は左手を彼女の背中に回し右手を下腹部へと滑らす。滑らかな肌に湿った
バスタオルが引っかかっている。その上から彼女の割目の筋に沿って下から上へと撫で上げる。そして、それを何度も
繰り返す。すると、上方に何か硬い突起が出てくる。その淫茎に中指の腹が当たるようにまた下から上へと撫でる。
「んん……ぁぁぁ……。キス……したい」
彼女はそう漏らし淫茎を撫で上げるたびに背中が弓のように反る。弘道は舐めていた口を彼女の口へと移動させる
。少しだけ口を開け彼女の唇を挟む。すると、彼女の舌が弘道の口内へと入り込んできた。弘道はその舌を口の中で
舐め回しながら吸ったり舌で擦ったりした。彼女の陰部を擦っていた右手を一度離し、今度はバスタオルの中へと滑り
込ませる。
縮れた毛を手のひらに感じながらさっき撫でた部分を中指でなぞる。その部分はヌメリを持っており下から上へとなぞ
るだけでその割目の奥へと入り込んでしまいそうだった。
弘道は口を離した後
「舐めて良い? 」
と聞く
「んん…、……うん?ええ!? 」
目を瞑り快感の中で微笑んでいた夏子はそういって驚いた後、顔を赤らめながら「恥かしいよ……」と小さな声で呟
いた。
「……そっか」
弘道が少し残念そうに言う。この間も右手の中指は裂け目をなぞっていたので触っている周りから恥毛にかけてロー
ションを塗ったようになっていた。
「…じゃあ、私が舐めるよ」
夏子は弘道の耳元で呟き、上体を起こしてベットの下のほうへと移動するとまた横になった。弘道の男根を目の前に
持ってきて、口をあけて舐めようとした時弘道と目が合った。
「恥かしいから見ないで」
そういって、起き上がり部屋の電気を消す。
真っ暗で何も見えないが、弘道の亀頭の先を何か暖かい粘液のような物が包み込む。それは亀頭の周りを移動して
裏の筋を下から上へとなぞる。
「ぅあぁ……」
弘道はあまりの気持ちよさに声が漏れた。
男根に触れる粘液が亀頭や筋を通っている時、睾丸の辺りを撫で回される。弘道はどんどん息が荒くなってくる。
その行為が五分ほど続けられると、男根の奥から込み上げてくる。
「くっ……ぁぁ……出そうだ」
そういうと、夏子はピタリと行為をやめた。弘道は息を切らしながら下を向き
「どうしたの? 」
と聞くと夏子は
「すぐにいったら勿体無いよ」
そう答えた。
「そっか、じゃあ……」
弘道はそういって手探りで夏子を探し当て、自分の隣に来させた。そこで再び唇を合わせた後弘道は寝ている方向
を逆にした。
「ええっ!? 」
驚いている夏子をよそに、閉じている足を開かせ顔を埋める。女性特有の香りがする。そして、それと共に香水の香り
もした。
「真っ暗だし、恥かしいのはお互い様だよ」
弘道はそういった後、彼女の割目を舌の先を使って舐め上げる。
「そりゃあ、そうだけ……ぁんん……」
そのまま弘道は太腿の付け根から恥毛の生え際そして割目までも舐めまわす。その間にも夏子は弘道の男根を舐め
たり握って動かしたりした。そして、お互いイキそうになると止める。それを繰り返した。
「ねえ、弘道君」
夏子が弘道の太腿を撫でながら言った。
「ん?何? 」
弘道は指でヌルヌルになった彼女の太腿辺りを弄りながら答える。
「したい」
彼女はそう一言言うと、弘道の亀頭の先を少しだけ舐めた。弘道は「うっ…うん」と少し喘ぎながら答える。
弘道はまた寝ている方向を逆にする。いつも美奈と寝る時に使う避妊具を入れている、ベットの隣の引き出しを暗闇
の中で探り取り出す。 その間、夏子は弘道の腰に手を回しそっとくっ付いた。
弘道はすぐにそれをつけると、夏子のほうに向き直り優しく唇を合わせる。
「いいの? 」
弘道が聞くと夏子は「うん、いいよ」と答える。それを聞いてから弘道は彼女の足の間に入る。膝を両手で広げた後、
手で割目の位置を探る。さっき散々舐めたお陰で場所はそのヌメリからすぐに分かった。
そのまま、ゆっくりと腰を近づけて行き男根の先端を割目の前に持っていく。
ゆっくりと優しく奥へと差し込む。
「ぁぁぁ……」
夏子は吐息とも喘ぎ声とも分からない声を出す。弘道は夏子を抱きしめる。そして、二人の腰と腰の間が段々と狭くな
っていく。途中で、痛くなると止め少し抜いてからまた差し込んでいく。
それを繰り返し、二人は男根の根元までしっかりと割目に入れた。その後ゆっくりと動く。
その度に夏子は「ああ……んん」と喘ぎ声を出した。
二十分ほどゆっくりと出し入れした後、急に弘道は下半身が熱くなるのを感じた。
「夏子ちゃん、いきそうだ」
そう言うと、夏子は「……はぁん……イって良いよ」と言い弘道の背中に手を回した。弘道の腰の動きはベッドがミシミ
シと音を立てるほど速くなる。それを五分ほどした後、男根の奥から熱い物が上り避妊具の中に放出される。何度かに
分けて出た後、弘道は夏子の上に被さった。
「気持ちよかった? 」
弘道がそう聞くと、夏子は弘道の頭を優しく撫でながら「うん」と答えた。
「抜くよ」
弘道がそう言い、割目から男根を抜き出す。
「んっ……」
夏子はそう漏らした。弘道はそのままで夏子の隣に寝転んだ。
二人は恋人の友達と言う関係から、それ以上の関係を持ってしまった。
「やっちゃった」
夏子が弘道に腕枕をされながら嬉しそうに言う。弘道は逆の腕で彼女の頭を撫でる。
弘道は美奈への裏切った事と新しい関係を持つ女性を得た事。その罪悪感と快感に揺れていた。
その日は、二人とも裸のまま一夜を共にした。
話はキャンプ場に戻る
弘道は消えそうな焚き火に火をくべながら冷えた日本酒に口をつける。
「それからどうなったんですか? 」
拓斗は弘道に聞く。
「ちょっと、話し過ぎて疲れてしまったよ。日本酒も冷えたし、もう一回火を焚いて熱燗にしなおそう」
そういって飲んでいた冷えた日本酒を後ろの土に捨てた。拓斗もそれに見習い残った酒を捨てる。
投げ込まれた薪はパチパチと音を立てながら隅っこが赤く成っていく。二人ともそれを眺めていた。急に拓斗が話し
はじめる。
「俺も……話していいですか?旅に出た理由」
そういうと、弘道はにっこりと笑い頷いた。
「じゃあ、早速聞かせてもらおうかな」
赤くなった炭を、入れたばかりの薪に寄せながら言う。
「でも、弘道さんの話を全部聞いてからで良いですか? 」
拓斗がそういうと、弘道は「ああ、良いとも」と答えた。
……それから
弘道と夏子はそれから何度もプライベートで会うようになった。勿論、美奈には秘密で。
周に三日は夏子と一緒に生活しし、周に四日は美奈と一緒に居る。その様な生活が一ヶ月ほど続いた。始めは夢の
ような生活だと思っていたが、日が経つにつれ快感が薄れてきた。むしろ二人の束縛に不快感を感じてきたのだった。
バイク乗りは何処に言っても自由を好む生き物だと思う。それはバイクを“所有”している物全員とは言わないが、バイ
クを愛し風を愛するものならばその自由がどれほど大切かは心の奥底でしっかりと知っているのでは無いだろうか。
弘道も女性を選ぶ自由を得たが、それによりその女性達から今度は時間の自由を奪われてしまったのだ。
彼は段々美奈にも夏子にも愛を注げなくなる。そのことは彼女達が何となく気付いていたお互いの存在がばれる事
につながってしまう。美奈は一ヶ月ほど前から合う頻度が減った事を不満に思っていた。夏子はいつまでたっても弘道
が自分のものにならない事に不満と不安を募らせていた。
ある日の夜、弘道と夏子が二人で交わっていると玄関口で何やら音がした気がした。
二人は動くのを止めリビングの入り口を見ていると、電気が点き
「弘道おつかれー」
と買い物袋を持った美奈が入ってきた。
彼女は全裸で交わっている二人を見ると、目を丸くして止まった。
「……え?何これ……」
彼女は脱力し買い物袋を床に落としてしまった。そして、玄関の方へ走り家の外へと出て行ってしまった。買い物袋
には料理の材料が入っていた。
弘道は夏子と交わったまま玄関の方向を見た。頭の中は明日会社でどんな顔をして美奈と会えば良いだろうか。そ
ればかり考えていた。眼下の夏子に目をやり
「どうしよう」
そういうと、夏子は弘道を抱きしめ
「大丈夫よ」
と言い、行為を続けた。
次の日、会社に行くと美奈が居たがいつもと変わらず仕事をしていた。ただ、違うのは休み時間でもプライベートの話
は絶対にしなかった。
それにしても、美奈は逃すには惜しい女性と弘道は考え残業で二人になったとき話しかけた。
「なあ、美奈」
そういうと、彼女はパソコンのディスプレイに目を向けたまま
「はい、なんですか? 」
そう答える。
「いや、その……。ごめんな」
そういうと、彼女は立ち上がり修羅のような表情で弘道を睨みつけた。
「謝るくらいなら、何であれから追いかけてくれなかったの? 」
「それは……」
「どうせ、あの子と……夏子と続けてたんでしょ? 」
「……」
「最低じゃない?どうせあの晩が初めてじゃなかったんでしょ? 」
「……」
「私と夏子の仲さえも切り裂いて……。騙されてる私を見て楽しんでたんだ? 」
「いや……そんな事は……」
「そうじゃない!結果的のそうよ! 」
「……」
黙っていると、美奈はポロポロと涙を流しながら
「ありえないわ……最低…」
そういって、椅子に座り込んだ。弘道は頭を掻いて少し考えたが、かける言葉が見つからず席に戻った。
それからも美奈とは必要最低限の事しか話さなくなる。周りの同僚は心配したが「別になんでもない」といつも弘道は
答えた。美奈も特に同僚に相談したりはしなかったようだ。いや、同僚で同性の友人が夏子だったのだから相談出来
なかったのかもしれない。
そして、それから一ヶ月ほどして弘道と夏子も別れた。理由は弘道が自由を求めた事と、夏子は弘道自体が好きだ
ったからではなく美奈と付き合っている弘道が好きだった事にあったようであった。
また話はもどりキャンプ場にて。
「でも、何でその別れが旅に出る理由になるんですか?美奈さんの旅に出る理由なら分かりますけれど」
拓斗がそう聞くと弘道は笑う。
「そうだな。でも、この話はコレで終わりじゃないんだ」
木切れで焚き火を弄りながら続けた。
「美奈はそれから一週間後に同僚の博之と付き合ってたんだ」
「早いですねぇ」
拓斗がそういうと、弘道は頷いた。
「ああ、結局美奈も俺と同じように誰でも良かったんだろう。そして、夏子は他人のものが羨ましく見えたんだろうな。結
局皆同じ穴の貉(むじな)ってことさ。……さて、俺の話も終ったし拓斗君の話を聞こうか」
もう焚き火は薪に完全に燃え移り赤い炎が立ち上がるまでになっていた。
拓斗は今まであった事を話す。
佳代に振られた事、その彼女がどうやら浮気をしていた事それら全てを話した。弘道はそれを聞きながらせっせと熱
燗の準備をし、時々「うんうん」と相槌を打った。
拓斗が話し終った後、日本酒は完全に温まっていた。今回三杯目の熱燗を二人で注ぎ分ける。
「俺とは真逆だな」
注ぎ終わった後、弘道が言った。
「弘道さんは酷いですよ。美奈さんのことを考えた事あるんですか? 」
そういうと、弘道は真剣な顔をして拓斗を見た。
「ああ、ある。罪悪感はあったさ」
「それでもしたって事は最悪ですよ! 」
拓斗は酔っているせいか語調が強くなっていた。この言葉は弘道を通して佳代に向けられた言葉なのかもしれない。
「確かに酷いし悪い。でもだから何だって言うんだ? 」
「どういう意味ですか? 」
拓斗がそう聞くと弘道は話し始めた。
「例えば、結婚しているのに浮気した犯罪だ。コレは悪い。でも、ただの恋愛さ。別れようが別れまいが、付き合う人数
を増やそうが減らそうがそれは個人の自由じゃないのか?法律でも罰せられない」
「それはおかしいですよ!法律に書いてなければ何をしても良いなんて事はないでしょう! 」
「確かにそりゃあそうだ。モラルと言うものがあるけれどね。でも、君みたいに自分のモラルを他人に押し付けるのは…
…それこそ道徳違反じゃあないのかな? 」
拓斗はハッとした。そして、それ以上何も言えなくなった。
「多分、拓斗君が激しく俺に言ってきたのは、さっき話した佳代とか言う女の子と俺がダブったんだろうね。まあ、それ
は良いとしても自分のモラルに反した相手を攻撃してはいけないよ」
「攻撃はしてませんよ」
拓斗は言い返すが、さっきの噛み付くような言い方を思い出すとあまり説得力が無い。
「とりあえず、その佳代って女の子とまた付き合いたいの? 」
弘道は優しく聞く。拓斗は少し考えて首を横に振った。
「う〜ん、少し迷っているんだね。気持ちにまだ名残があるわけだ。でも、浮気するような奴は治らないよ。諦めた方が
良い。それよりも、違う相手を探して佳代よりも幸せになれば良いんじゃないかな?それが佳代って女の子に対する仕
返しにも浮気相手への仕返しにもなるんだよ。俺で言う美奈がそうしたようにね。まあ、物凄く一般論だけれどさ。でも、
現に俺は少しそれで傷付いてる 」
拓斗はそのありふれた言葉を聞き入っていた。拓斗はゆっくりと口を開く。
「確かに、ずっと佳代とその浮気相手の事ばかり考えていたんです。でも、そうじゃなくて自分がどうするかなんですよね
。自分がどう幸せになるか……」
拓斗は何かを掴んだ気がした。それはただの言葉かもしれないがその言葉が気持ちを、感覚を大きく変えてくれる事
もあるのだ。
「そうさ、その息さ」
そういって、弘道はコップに入った日本酒を飲み干した。拓斗も急いで飲み干す。
弘道は大きいコッフェルに入ったお湯を焚き火にかけ火を消した。一瞬辺りは真っ暗になったが、目が慣れてくると
夜空には太く長い天の川が見えた。
「焚き火の火のように小さくて近いものに目が行くと、あんな壮大で美しいものは見えなくなってしまうものさ」
そういうと、拓斗は夜空を見上げながら頷いた。弘道は焚き火の跡を数回踏みつけた後
「寝るか! 」
と言った。拓斗は「そうですね」と返し二人ともテントに入った。
−−−−−−−−(朝焼けのハングオン第十三話・終わり)−−−−−−−−−−−−−−
564 :
774RR:2008/04/27(日) 22:31:03 ID:/j2+dL1q
…ふぅ
つC
565 :
774RR:2008/04/27(日) 23:37:12 ID:MSfZD+TB
うほっ
つC
ハアハアハアハアハアハアハアハアハア
(;´Д`)
566 :
774RR:2008/04/28(月) 00:26:51 ID:5NLhZ3lt
……ふぅ
pink鯖かと思った
567 :
774RR:2008/04/28(月) 01:54:22 ID:8bpT7bnn
……ふぅ
つC
まさか文章で抜けるとはwww
568 :
774RR:2008/04/28(月) 02:07:57 ID:f27wtydv
来週のサザエさんは永久保存だな
569 :
774RR:2008/04/28(月) 03:12:10 ID:0vq0n9B7
……ふぅ
なにお前らこんな話真剣に読んでんだよwww
つC
570 :
774RR:2008/04/28(月) 18:08:20 ID:3JjLiyYv
賢者大杉だろう…
…ふぅ。
571 :
191:2008/04/29(火) 00:35:03 ID:fL+9JWm3
572 :
774RR:2008/04/29(火) 01:09:45 ID:UhVXyUvz
573 :
774RR:2008/04/30(水) 00:16:18 ID:dsP6ZTXQ
つC
574 :
191:2008/04/30(水) 00:58:56 ID:XSp36PkF
>>572 ちょっとP小説風になってしまったのは本当に申し訳無かったと思っています。
うpする前に確認すべきでした。本当に申し訳ありません。
>>573 支援ありがとうございます!
575 :
774RR:2008/04/30(水) 03:10:32 ID:oNZ92/4g
まぁ…ああいうシーンは普通の小説にも結構あるからな
稀だがファンタジー小説にもあったりするし。
あと、ガンダムでアムロとセイラやるのは有名でしょ
576 :
774RR:2008/05/01(木) 00:44:25 ID:bhA6/2gl
577 :
774RR:2008/05/01(木) 14:41:44 ID:gK7NQgS1
>>574 >>572は気にしなくて良いよ。
エロをテーマで書いた訳でも、ましてやそれがメインでもないんだから。
ただ、いつもより筆が活き活きとしてた気はする(笑)
578 :
774RR:2008/05/02(金) 11:52:22 ID:VQ2dCufS
少し見ないうちに毛色が変わってきたな・・・スレ的に
なんでもいい、面白いのでCCCC
579 :
774RR:2008/05/02(金) 20:41:17 ID:X87VVAiz
>>578 まぁメインはサザエさんのキャラだったからね。
580 :
774RR:2008/05/03(土) 10:36:40 ID:fBZpCIiY
俺は191氏の方が好きだぜ
CCCC
581 :
774RR:2008/05/03(土) 12:50:47 ID:mQ5KLRkH
俺は魔棲男氏の方が好きだぜ
CCCC
ところで明日のサザエさんが楽しみだw
582 :
191:2008/05/03(土) 14:42:56 ID:p66hMxmI
>>577 確かに書いてて楽しかっ……ってそんな事ありませんよwww
>>578>>580>>581 支援ありがとうございます!
明日から九州のやまなみハイウェイにツーリングに行く予定なので、日曜日のうpは遅れたり
早くなったりするかもしれません。
583 :
774RR:2008/05/03(土) 14:47:09 ID:QPq466V0
無茶しやがって…(AA略
584 :
580:2008/05/03(土) 16:43:42 ID:fBZpCIiY
585 :
774RR:2008/05/03(土) 18:47:38 ID:PdhDT+u1
そうか・・・九州に来るのか・・・
どういうルートで入るか知らんが、福岡市近郊はどんたく渋滞が明日までだから・・・気をつけて
586 :
191:2008/05/03(土) 19:20:13 ID:p66hMxmI
>>585 ありがとうございます!
orzそうだ、博多ドンタクがあるのか……。高い高速代払っても渋滞に巻き込まれて時間のロスをしたらキツイですねぇ。
やはり、大観望?(仏様が寝ているように見えるとか言う)を見て宮崎の知事を見るって言う計画は無理があるのかなぁ。
587 :
774RR:2008/05/03(土) 19:48:49 ID:PdhDT+u1
>>586 走る時間しだいだろ・・・
ヒント>早出
588 :
191:2008/05/03(土) 20:10:41 ID:p66hMxmI
>>587 !?
八時出にしようかと思っていましたが、コレは五時出位にしようかなぁと思案中です。
まあ、何れにせよ。久々のツーリングにwktkが隠せません。今日眠れるかなぁww
589 :
774RR:2008/05/03(土) 20:35:44 ID:PdhDT+u1
>>588 俺は明日福岡インターから下関方面に6時ごろ走ってるから、見かけたらピースしてくれw
590 :
191:2008/05/03(土) 21:33:37 ID:p66hMxmI
>>589 おk!俺は珍走以外にはほとんど俺からピースする生粋のヤエリストだ。
風が強くなければ両手でピースしてやんよ!
ところで、バイクは何に乗っているのか教えてくれまいか?
591 :
774RR:2008/05/03(土) 21:50:06 ID:PdhDT+u1
水色のヴィッツ・・・・明日は出張です
592 :
191:2008/05/03(土) 22:06:11 ID:p66hMxmI
>>591 !?ヴィッツとな!
おk、
>>591の出張が素晴らしい物になるように祈りながらピースしますよ。
ところで、明日うp出来ないので「朝焼けのハングオン・第十四話」を今日うpしてもいいでしょうか?
593 :
774RR:2008/05/03(土) 22:25:43 ID:vku9rWZ5
アップ!アップ!
594 :
774RR:2008/05/03(土) 22:55:50 ID:7VxmCY1Q
ばっちこーい
んで明日に備えて早く寝ようぜ
595 :
191:2008/05/03(土) 23:25:34 ID:p66hMxmI
冷ややかな朝の空気を感じて拓斗は目が覚めた。テントの内側についているファスナーを開け外に出る。今日も四
国は良い天気で空には薄い筋状の雲が漂っている。それを見上げた後、両手を上に挙げ大きく伸びをする。
「そういえば、小学生の時夏休みにラジオ体操って有ったよな」
そう呟き、軽く腰を捻る。すると、腹が鳴った。
「そういえば、scoopyに蜜柑が入ってたような」
そういって、テントの隣に停めてあるscoopyに近寄りポケットに入っていた蜜柑を二つ取り出してテントの前に持って
いく。昨日置いた石の上に腰を下ろし、「うどん屋のおじさん、頂きます」そう言って蜜柑の皮を剥いた。爽やかな芳香
があたりに広がる。房を一つ取り出し口に放り込んだ。酸味より遥かに勝っている甘みがあった。房の周りの薄皮も全く
口に残らないほどであり、さすが蜜柑の国・愛媛であると拓斗は再認識したのであった。
蜜柑を頬張りながら拓斗のテントの隣を見ると、昨日有った筈の弘道のテントとD-trackerが無くなっていた。どうやら
、先に出発してしまったようだ。今の時刻が七時丁度なのにもう出発しているとはなんともパワフルな人だ。拓斗はそう
思った後、昨日の夜の晩酌を思い出しニヤ付いた。
「アレくらいの悩みでしょぼくれてたなんてな」
また蜜柑を一房口に入れながら言った。森から気持ちの良いそよ風が吹いてきた。拓斗は上を見上げて目を瞑った。
「じゃあな」
そういって、また目を開ける。
いつの間にか、拓斗は二つもあった蜜柑を平らげていた。蜜柑の皮を茂みの中へと投げ入れた後、テントの中に入
れた荷物を出した。全て出し終えテントのファスナーを外から閉じようとした時、そのファスナーの取っ手に何か付いて
いた。
それは、千切られた紙がタイラップで括り付けられているという物だった。その紙はピンク色で良く見るとツーリングマ
ップルの一番後ろのメモ欄。それには『頑張れよ!良い旅を祈る 弘道』とだけ書かれていた。拓斗はそれをしばらく
眺めた後微笑み、財布の免許証の後ろにしまった。
596 :
191:2008/05/03(土) 23:26:02 ID:p66hMxmI
テントの骨を抜き、萎んだテントのフライシートと本体を一度に丸める。それらを一つにまとめてテントの入っていた袋
に詰め込む。ふと、テントの下に動くものが有った。良く見ると中指一本分位はありそうなムカデが二匹拓斗の方へと歩
いてきていたのだ。
「うわぁ! 」
そう言って拓斗は飛び上がりムカデの猛攻を避けた。ムカデは何も無かったようにそのまま真っ直ぐ歩いていき茂み
の中へと消えていった。拓斗はテントや荷物の中にムカデが潜んでいないか心配になりテントを再び広げたり、バッグ
を弄ったりした。その行為は二十分ほど続いたが、結局徒労に終った。
溜息を一つ付いた後、荷物をscoopyに詰め込みエンジンに火を入れる。セルモーターが勢い良く回る。スロットルを
ゆっくりと捻りキャンプ場を後にした。キャンプ場を左に出ると県道十七号線に乗る。走りやすい峠道で拓斗は、テクニ
カルに攻めながら走る。しかし、この道をもっと大きい排気量のバイクで走ったらどれほど官能的だろうかと思ってしまう
。二時間ほど走ると十字路に差し掛かり、そこで左折し国道百九十六号線に乗っかる。拓斗は気持ちの良い朝の日を
浴びながら南下していく。この日の朝から、拓斗にはある目標が出来ていた。そのためには全て海岸線沿いに四国を
きっちり一周すると言う事はできない。拓斗は四国一周を内陸部も使う事を決意した。
拓斗が気持ちよく走っている午前十一時頃、兵庫県内のjazz喫茶・カプリソ内で裕樹は朝刊を読んでいた。モーニ
ングの時間も終わり丁度客の入りもほとんど無い時間。裕樹は客の入りが多い時間ではあまり流さないNat King Coleの
Stardustを流していた。彼の鼻歌のような優しい歌声に聞き惚れながらエチオピア産の豆で淹れた珈琲をすする。
モーニングの後で少し疲れた時には少し酸味の強い珈琲を飲むと良い。裕樹は珈琲の味を確かめながらそう思った
。裕樹の親が持つこの店は二階以上が生活用の建物で一階が喫茶店となっおり、カウンターの奥に二階へ上る階段
がある。ふっと彼はその階段の一段目に置いてある自分のバッグを見ると中が緑色に光っていた。
裕樹がそのバッグに近寄り中を見ると携帯電話が光っており、背面のディスプレイには“孝弘”と書かれていた。
597 :
191:2008/05/03(土) 23:26:27 ID:p66hMxmI
「はい、もしもし」
裕樹が出ると、受話器の向こうから孝弘が元気良く話した。
「おっす!裕樹?今、暇か? 」
「ああ、丁度モーニングの時間が終った所さ」
そう言いながら裕樹は座っている丸椅子の小さな背凭れに体重を預けた。少し斜めになると、天井に付いたひだのあ
る傘の琥珀色の裸電球が見えた。
「そうか、俺も今日はバイトが午後からで丁度暇になってね」
「クラス会とか無いのか?孝弘なら毎日のように有りそうだが」
「クラス会を兼ねた飲み会なら二日連続で有った、それで今日は休肝日さ」
孝弘は笑いながら答える。裕樹はそんな孝弘の言葉に微笑んだ。
「それにしても、二連チャンで飲んだらバイトで稼いだ金も無くなるんじゃないのか? 」
「そんな事は無い。その何倍も稼ぐつもりだからさ」
「おお、それは大変そうだ。でも、何でそんなに稼ぐんだ? 」
裕樹が不思議がって聞くと、孝弘は鼻息荒く答えた。
「良くぞ聞いてくれました!裕樹、俺達のツーリングってそろそろ限界が来ていると思わないか? 」
裕樹は珈琲を一口飲むと
「それはどういう意味で? 」
と聞いた。
「この前の尾道ツーリングの時、走ってばっかりのツーリングになったじゃないか」
「確かに、ほとんど走ってばっかりいたなぁ」
「俺達のツーリングって走行距離短い割りにずっと走ってばっかりいる訳よ」
「……まさか、孝弘」
裕樹はそういいながらニヤリと笑った。
「ああ、そのまさかだ」
「それは良いな。じゃあ、拓斗に連絡入れとくか? 」
そういうと、受話器の向こうでチッチッチと音がする。多分孝弘は顔の前で人差し指を左右に振っているに違いない。
「もし、拓斗が帰ってきて同じことを考えていたら……それって凄くないか? 」
「確かに凄いが……。そうなるもんかな? 」
「分からない。だから、賭けて見たいんだ」
「もし、拓斗が今のままで良いと言ったら? 」
「そん時は裕樹と俺だけで良いさ」
598 :
191:2008/05/03(土) 23:26:50 ID:p66hMxmI
と孝弘が言うと、裕樹が言う。
「そうだな。マス・ツーリングでもソロ・ツーリングの集まりだものな。バイク乗りは結局は一人だ」
「そういうことだ」
そういったとき、喫茶店の入り口に付けたベルが鳴り早めのランチを食べに来た客が入ってきた。
「いらっしゃいませ! 」
裕樹は携帯電話を耳から離し下に隠しながら客に笑顔でそういった後、しゃがんで孝弘に「ちょっと、客来たから切る
わ。またな」と言い孝弘は「ああ、またな! 」と返し電話を切った。
客はKISSのライディングジャケットを着ており、カウンターに座るとホットサンドと珈琲を注文した。
「お客さん、ツーリングですか? 」
裕樹が聞くと
「ああ、長い休みが取れたからね。jazz喫茶巡りを兼ねたツーリングをしているのさ」
「そうですか、それはいいですね。ここは巡った中でどうです? 」
裕樹が笑いながら聞くと
「入った瞬間に若い奴が店番してるからマイナスだと思ったが……。このナッキンコールは君の選曲かい? 」
裕樹は一瞬ムッとしたが、笑顔を作り頷いた。
「その若さで中々良い趣味をしているじゃないか。意外性でプラスだな」
そういって客は笑った。裕樹は「ありがとうございます」と言って微笑んだ。
jazz喫茶・カプリソのホットサンドは普通とは少しだけ違う。甘めの食パンを厚めにカットしレタスとトマト、そして生ハム
を載せる。それだけでは普通のホットサンドと同じだが、違いが出るのはここからだ。手作りのシーザードレッシングをか
けた後アボカドを載せサンドする。そして、もう一つはミートソースを小鍋に入れその中に解き卵を一個分入れる。煮え
だしたらその中にチーズを入れる。それが少し溶けたら熱い食パンの中央を凹ました物に流しいれる。そしてそれをそ
のままホットサンドにする。この二つをセットに一品として出すのだ。
出来上がると裕樹はその客にホットサンドを出した。
「中身が流れ出る時がありますので、注意して食べてください」
そういった。客は笑いながら
「一体どんなものが入っているのやら」
と言って、一口食べた。
ミートソースの入ったホットサンドに当たったようで、齧り付いた後流れ出そうになるソースを吸った。
599 :
191:2008/05/03(土) 23:27:11 ID:p66hMxmI
「コレは良いねぇ。なるほど、少しだけ卵で固めてあるわけか。うん、旨いよこれ」
裕樹は笑ってありがとうございます。と返した。
「ところで、君はどんなバイクに乗っているの? 」
客が聞くと、裕樹は少し考えた後
「……俺はSUZUKIのLet's4です」
と答えた。客は少しがっかりした様子で
「ん?原付か……」
そういって、客はホットサンドを手早く食べると珈琲をグイッと飲み席を立った。
「ご馳走様、美味しかったよ」
そういって出て行こうする。その時、裕樹は声をかけた。
「半年後、もし思い出したらまた来てください」
それを聞いて客は眉毛を上にあげながら聞く。
「それは……なんで? 」
客が聞くと裕樹は答える。
「その時はきっとお客様と一緒に走れるようになってますから」
そういうと、客は笑い「楽しみにしとくよ」と答えた。
その日の晩、拓斗は国道百九十六号線から北藤原で国道三百十七号線、国道十一号と乗り換えそこから国道三十
三号線・三百十七号線へ。走り続ける事愛媛の銚子ダム公園にテントを張る事にした。
この日はキャンプする人が少なく、ビールと日本酒と惣菜とご飯を近くのスーパーで買いテントの前で食べた。
百円ショップの電池四本使用のランタンを目の前に置き冷たいご飯を食べる。その冷たい物でも何故か楽しかった
。晩飯を済ませた後、ビールを開けた。未だ肌寒く虫もあまり鳴いていないこの時期、草が風で揺らぐ音だけが辺りに
響く。
拓斗はランタンを切り、空を見上げた。綺麗な星達が拓斗の上に散りばめられている。
「最高だ」
そういってビールを飲んだ。
一人の夜も悪くない。拓斗は心のそこからそう思った。
次の日、拓斗は来た道を戻り国道三十三号線から南東へと向う。そのまま真っ直ぐ走ると大渡りダムが見えそれをず
600 :
191:2008/05/03(土) 23:27:50 ID:p66hMxmI
っと直進していくと高知県に入り段々と街になって来る。
途中で、コンビニに入り缶珈琲を買って出る。前で飲んでいると車道からYAMAHA:RZ50が入ってきた。ライダーは
フルフェイスヘルメットを被り、狭いダンデムシートには大きなバッグと寝袋が載せてある。
ライダーはRZ50から降りるとヘルメットを取って拓斗に言った。
「君もツアラーかい? 」
拓斗は頷く。フィフティライダー同士は何か繋がるものがあるようだ。
−−−−−−−−(朝焼けのハングオン・第十四話終わり)−−−−−−−−−−−−−−−−−
※この物語はフィクションです
601 :
191:2008/05/03(土) 23:31:49 ID:p66hMxmI
うp完了です!
では!明日に備えて早く寝ます!
602 :
774RR:2008/05/03(土) 23:32:24 ID:PdhDT+u1
おつかれちゃーん♪
603 :
774RR:2008/05/04(日) 18:33:17 ID:NxXAb462
サザエさんktkr
604 :
774RR:2008/05/04(日) 18:34:30 ID:uER3pV3K
会社の後輩キター!
605 :
774RR:2008/05/04(日) 18:34:36 ID:6RBB9jqQ
マスオktkr
免許はいつ失効したのかしら…
606 :
774RR:2008/05/04(日) 18:35:02 ID:19yD8Z/0
このスレを思い出して飛んできたw
607 :
774RR:2008/05/04(日) 18:35:05 ID:S4ef2IcN
今週のサザエさん
魔棲男じゃん
608 :
774RR:2008/05/04(日) 18:35:07 ID:KVbflirg
「マスオ風を切る」
609 :
774RR:2008/05/04(日) 18:35:55 ID:uER3pV3K
今日の名言
「バイクイコール危険というのは偏見だよ。」
610 :
774RR:2008/05/04(日) 18:37:25 ID:uER3pV3K
ライダーマスオキター!
611 :
774RR:2008/05/04(日) 18:38:12 ID:19yD8Z/0
サブちゃんがカツオと中嶋にバイク教えるここのSSを思い出したw
612 :
774RR:2008/05/04(日) 18:38:17 ID:DFiupXoj
のりすけキター
613 :
774RR:2008/05/04(日) 18:38:20 ID:qJF9xYb4
ww
614 :
774RR:2008/05/04(日) 18:38:22 ID:G2KKIbo1
風邪をひいて帰ってくるに一票
615 :
774RR:2008/05/04(日) 18:38:41 ID:S4ef2IcN
これは保土ヶ谷まで行ったな
616 :
774RR:2008/05/04(日) 18:39:52 ID:c87A3J3z
ちょwww
ひでー話だなw
617 :
774RR:2008/05/04(日) 18:39:55 ID:NxXAb462
北海道まで行ったマスオが何言ってんだw
618 :
774RR:2008/05/04(日) 18:40:13 ID:5S0BprbO
今回神過ぎるwww
619 :
774RR:2008/05/04(日) 18:40:25 ID:uER3pV3K
サザエ キラーン
620 :
774RR:2008/05/04(日) 18:40:28 ID:DFiupXoj
バブー
621 :
774RR:2008/05/04(日) 18:40:34 ID:Xx2rFWU5
ワロタw
622 :
774RR:2008/05/04(日) 18:40:46 ID:NxXAb462
ノリスケがバイク運転したらスピード違反で、すぐに免取りになそうだw
623 :
774RR:2008/05/04(日) 18:41:05 ID:S4ef2IcN
バイクは危ないと
世間に再認識される回だな…
624 :
774RR:2008/05/04(日) 18:42:03 ID:tpF32Hfl
ひどい話だったな・・・
625 :
774RR:2008/05/04(日) 18:42:21 ID:hNd0YoEj
マスオだせぇ・・・
自信がないとはまさにマスオだな・・
626 :
774RR:2008/05/04(日) 18:42:48 ID:19yD8Z/0
このスレの存在を知って悪ノリだけで作ったような話だったなw
627 :
774RR:2008/05/04(日) 18:44:11 ID:NxXAb462
あ、そういえばアナゴさん出てこなかったな。
628 :
774RR:2008/05/04(日) 18:44:23 ID:uER3pV3K
魔棲男降臨の予感
629 :
774RR:2008/05/04(日) 18:47:59 ID:tR2wS4Tn
免許取ってすぐタンデムってノリスケあほじゃね?
630 :
774RR:2008/05/04(日) 18:49:09 ID:Fg7yfCGO
もう日本にはバイクの居場所はないのか
631 :
774RR:2008/05/04(日) 18:55:45 ID:LgHMADit
今回のサザエサン、焼酎片手にニヤニヤしながら
観てたら嫁にすんごい気味悪がられた。
632 :
774RR:2008/05/04(日) 19:12:03 ID:f/cZ2kvg
こんな所にもサザエさんネタwwwwwwwwwwwwwww
633 :
774RR:2008/05/04(日) 21:58:24 ID:BDeeZDDU
今日のさざえさん見たけど、ノリスケの図々しさは異常w
ってのが感想。
取得後1年間タンデム禁止って知らない脚本家なんだろうな。
634 :
191:2008/05/04(日) 22:25:33 ID:k5VrJTqa
旅先からカキコ
今回のサザエさん見逃した!誰かストーリー教えてください!
635 :
774RR:2008/05/04(日) 22:28:08 ID:6RBB9jqQ
>>634 電車通勤に嫌気がさしたマスオさんが、過去の血が騒いだのかバイク通勤に憧れる話。
636 :
191:2008/05/04(日) 22:37:37 ID:k5VrJTqa
かなり面白そうなのに、皆さんの反応からすると残念なものなんですね……
637 :
774RR:2008/05/04(日) 23:04:26 ID:IudfqAO0
>>636 知識のない素人(しかも、バイク否定派)の視点から作られた感が満載の、つまらない話だった。
自分はこれから免許を取る予定だけど、あれは許せなかったし、サザエがウザ杉でムカついた。同じ女という立場から見ても、サザエのヒステリックさは異常。
638 :
191:2008/05/04(日) 23:19:23 ID:k5VrJTqa
>>637 否定の意見で描かれて居るんですね。
残念すぎます。
どうでもいいですが、キャンプ場の炊事場で外人(ヨーロッパ系)のライダー達がギター片手にカントリーロードを熱唱してた。
混じれない俺の意気地なしorz
639 :
774RR:2008/05/05(月) 00:29:29 ID:19h8VU0/
>>636 マスオがバイク通勤にあこがれるている事を話すが、サザエは猛反対
↓
とりあえず休日にサブちゃんの原付を借りて練習してみることに
↓
日が暮れても帰ってこないで心配になるサザエたち
↓
実は会社まで実際に行ってみたはいいものの道に迷っただけ
↓
家に帰るとサザエが「毎日こんな心配するような生活は嫌」と泣きつく
↓
マスオバイク通勤を諦める
大体こんな感じの流れ。
640 :
774RR:2008/05/05(月) 00:48:45 ID:xI34ouvw
国内四大メーカーがサザエさんのスポンサーだったら
こんな結末にはならなかっただろうに。
641 :
774RR:2008/05/05(月) 01:58:08 ID:odqTSthq
良い話じゃないか。サザエのマスヲへの思いがなんたらかんたら
魔棲男カンバック!!!!
642 :
774RR:2008/05/05(月) 02:47:18 ID:psm7hwhb
>>641 でもサザエってSABUと不倫してるんだよねw
643 :
774RR:2008/05/05(月) 09:23:16 ID:odqTSthq
ならば保険掛けて好きに乗らせりゃ良いのに
644 :
774RR:2008/05/05(月) 10:14:35 ID:JafvxqFC
まぁ、あの晩のサザエはバイクより官能的だったに違いない
645 :
774RR:2008/05/05(月) 11:17:09 ID:YqWQzLsA
誰か知らんが抗議スレ立ててるぞw
御無沙汰しております。
諸々の所用が重なり、やっとネット環境に戻ってくる事が出来ました。
さて、これまで録画していたサザエさんを見て驚いたのですが、昨日マスオはバイクに乗った
ようですね(笑)
私的には、ストーリー含めて突っ込みどころ満載でしたし、ちょっとバイク乗り的には気持ちのよい
ものではありませんでしたが・・・。
とりあえず、昨日の『サザエさん』のほうを黒歴史とすべく(笑)今週を目処に一発投下し、それ以降も
頑張って挽回する所存ですので、何卒お付き合い下さいませm(_ _)m
647 :
774RR:2008/05/05(月) 16:24:05 ID:xI34ouvw
帰ってキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!!!!!!!!
648 :
191:2008/05/05(月) 16:31:21 ID:QrFaHfQB
魔棲男氏お帰り!
649 :
774RR:2008/05/05(月) 17:01:51 ID:YmGiVExG
魔棲雄さんおかえり!おかえり!
いくらでも付き合うぜー!
650 :
774RR:2008/05/05(月) 20:52:04 ID:TzZfjLv5
魔棲男さんおかえり!
事故ったりでもしたんじゃないかとずっと心配してたよ。元気そうで良かった。
651 :
774RR:2008/05/05(月) 20:56:35 ID:pPFvf0bV
652 :
774RR:2008/05/05(月) 21:29:54 ID:5xFentnt
653 :
774RR:2008/05/05(月) 23:38:21 ID:ezg15hu9
うpあり
654 :
774RR:2008/05/05(月) 23:52:28 ID:ezg15hu9
危ない危ないって危ないとしか言えんのか…。
タラオの3輪車で公道走行の方がよっぽど危険かと。
でもやっぱり世間からはこういうイメージしかないんだろうな。
655 :
774RR:2008/05/06(火) 00:15:03 ID:HCovEJy/
「バイク=危ないというのは偏見だよぅ」
マスオさんにはバイク乗りの血が残ってるのかな。
魔棲雄氏おひさし! 期待age
656 :
774RR:2008/05/06(火) 00:46:35 ID:H8pEb7ip
魔棲雄 殿 へ
御無沙汰です。
貴殿が納得いくまで俺(ら?)は待ちますから
納得がいくまで長考下さい。
魔棲雄が完結するまで事故らずにいますからw
657 :
774RR:2008/05/06(火) 01:01:38 ID:CDM3yyGW
作中のバイク、激萌。誰かカスタムして作ってくれ。
上空を照射するヘッドライト、箱みたいなメーター、ストロークしなそうな方向で付けられた
リヤサス、カブみたいなチェーンカバー。。。
バイクのこと一つも知らないクセに資料写真の一枚も見ずに書くようなぞんざいな扱いがバイクへの
無理解を物語ってるよ。
「危ない危ない」言いながら、次話ではタラオが一人で外出してて、こっちのほうがありえないw
まさかとは思うが、「魔棲雄」から着想を得て、なおかつ魔棲雄設定を破壊する目的で
作られたのか?ってまで考えちまうよw
魔棲雄氏おかえりなさい。さりげなく「バイク=危ないっていうのは偏見だよ」って台詞を
どこかに入れ込んでくれたらウレシス
658 :
774RR:2008/05/06(火) 02:45:45 ID:hBz9n5tQ
魔棲雄さんお帰りなさい( ´Д⊂ヽ
いつまでも待ってます!
659 :
774RR:2008/05/06(火) 05:52:47 ID:OkPs/d9d
魔棲雄のだんなお帰りなさい、すっごい待ってたお
660 :
774RR:2008/05/06(火) 12:31:07 ID:vcZpaOs1
661 :
774RR:2008/05/06(火) 12:41:57 ID:D0S9dtSb
しらぬ
662 :
774RR:2008/05/06(火) 12:44:24 ID:cLDrGqub
おぉ、久しぶりに来たら魔棲雄がきてるwww
つC
191氏にも
つC
663 :
774RR:2008/05/07(水) 23:23:27 ID:skWiydRL
つC
サザエさんほどBGMの種類が少ないアニメはそうない。
664 :
774RR:2008/05/08(木) 01:36:53 ID:XJZFDuwI
>>652 今回のといい、前の波平のやつといい、まったくひどい扱いだな。
665 :
774RR:2008/05/10(土) 03:54:13 ID:YPjasgts
>>652 ちびまるこちゃんでバイク取り上げたときと大違いだな。。。
たまちゃんのお父さんがCB750FOUR乗ってたり、
ヒデ爺がブラフシューペリア乗ってたりと
録画しとけば良かったと後悔する内容だったな。
666 :
774RR:2008/05/10(土) 09:55:48 ID:+3ZPl4yF
>665
マジで?
さくらももこはバイク乗りなのかなあ?
667 :
774RR:2008/05/10(土) 10:06:44 ID:ZjCH0ib/
まるちゃんって何気にクルマやバイクがちゃんと描写されてる。
668 :
774RR:2008/05/11(日) 00:56:38 ID:gZBWxS+H
魔棲男来たからage
669 :
774RR:2008/05/11(日) 01:04:28 ID:gP3LFK0F
魔棲男も来るんなら新作作ってから来いよな
本物か騙りかわかりゃしねー
670 :
774RR:2008/05/11(日) 01:22:05 ID:AY+MFbz4
191の日だ。C
671 :
774RR:2008/05/11(日) 12:14:56 ID:gZBWxS+H
672 :
191:2008/05/11(日) 15:42:40 ID:D4fvTFy7
日曜日なんでうpしてもいいでしょうか?
673 :
774RR:2008/05/11(日) 18:22:03 ID:7fiPMaUl
RZに乗ったライダーは拓斗より年上で、筋肉質な青年だった。
「それは良い。同じ最低排気量同士だな」
ライディンググローブを外しながら彼は言った。拓斗は“最低排気量”と言う言い方に一瞬ムッとしたが笑顔で「そうで
すね」と返した。
「あっそうだ、自己紹介が遅れたな。俺の名前は俊(しゅん)。初めまして」
そういうと、拓斗も自己紹介をした。もう、今までのようにtactと名乗る事に恥かしがったりはしていない。
「ところで、そのtactって誰に付けられたキャンパーネームだい? 」
俊が聞くと、拓斗は
「いや、カブで日本一周している変な爺さんに付けられてね」
そういうと、俊は眉間にしわを寄せ何かを思い出そうとしたが
「カブ……日本一周……爺さん……。何か知っているような……」
と鼻の頭を掻きながら言うと
「思い出せないな」
俊は笑いながらそういった。拓斗の飲んでいる珈琲を見て「俺も飲もう」と言いコンビニに入り缶珈琲を買って出てきた
。二人は珈琲を飲み、駐車場の車止めに座りながら様々な事を話した。今までの旅の話、旅を始めた理由、香川で
のZoomerとのバトル……。それを聞いた俊は頷き、時に大笑いしながら聞いた。と言うのも、拓斗がそれまでの事を面
白おかしく話したからだ。
一方、俊は地元のライダーでメインバイクはYAMAHA:R-1だが最近買ったRZで近場のキャンプ場へのツーリングの
途中と言うことであった。拓斗はRZがメインバイクではないことに少しがっかりした。
数十分話した後、俊は立ち上がり尻を軽く叩きながら言う。
「なあ、tact。フィフティでバトルしたって言ったよなぁ」
拓斗は頷く。そう、彼は俊がRZと言う名の暴れ馬に乗ってきていた時点でそうなる事はうすうす感じていたのだ。
「ここの先にキャンプ場じゃあ無いけど良い野営が出来る場所があるんだ。それまでの道が中々良いコースでね」
俊がそう言う。拓斗はグイッと缶珈琲を飲み干しコンビニのゴミ箱へ放り投げた。
ゴミ箱の中に入った缶はガシャンと音を立てる。
「良いね。バトル……やってやるぜ」
俊も沢山残っている缶珈琲を一気に飲み、ヨシッ!と言うと缶をゴミ箱へ強く投げ入れグローブをはめた。
拓斗もグローブをはめ、scoopyに乗った。俊もサイドミラーに掻けたヘルメットを被りRZに跨る。お互いの鉄馬から元
気の良い鼓動が響く。俊は右手の親指を挙げ横に何回捻り“ついて来い”とジェスチャーした。拓斗は頷いた。
少し走ると、左手に片側一車線の道が現れる。俊はそこに入ると、右手を横に放ち前へと振った。それだけで拓斗
にはコレからがバトルである事がわかった。拓斗は追い抜き左手でサムアップする。サイドミラーでRZの姿を確認した
後スロットルをブン回した。
腰を押されるような重力が拓斗にかかり、それに対抗するように前傾姿勢になる。前方の空気がscooyのフロントカウ
ルにぶつかった後拓斗を包み込みヘルメットの後ろで渦を巻く。
「コレはイケルッ! 」
以前よりも加速が上手くなっている。スロットルを捻るタイミング、角度、荷重。それらが全て絶妙に合い加速と言う形
で噴出する。速度メーターは既に四十……五十……六十……と、限界を振り切った。
「RZも大した事無いなッ! 」
拓斗がそう言い左側を振り向いた。
しかし、そこにはもうRZの姿は無い。
「!? 俊が居ない! 」
意味が分からず前を向きなおした。その時、拓斗のすぐ右側をRZが一瞬で抜き去った。
「コレがマシンスペックの違いさッ! 」
俊はそう叫び、峠の第一コーナーへと飛び込んだ。フルスロットルからパーシャルに戻し、フルバンクさせる。その瞬
間、後ろに積んだ荷物の荷重が急にかかりグラついた。
未だクリッピングポイントに届いてないながらも俊はアクセルを捻り立ち上げる。勢いがつきすぎたRZに今度はフル
ブレーキをかけカーブを抜ける。
「フィフティはやっぱり非力だな……」
俊は呟く。
いつも乗っているR−1での荷物とRZのそれとでは荷物の荷重比、馬力比があまりにも違いすぎる。最早リッターバ
イクとフィフティは違う乗り物だ。
「アイツ……慣れてない!? 」
拓斗はそう呟き、唇を舐めた。さっきのカーブを拓斗は全てパーシャルでこなす。
「scoopyだからこそできる走り、見せてやるぜ! 」
RZは七.二馬力、scoopyは四.四馬力。確かに後者の方が非力であるが、それ故の圧倒的な扱い安さが武器となる。
カーブの中心をなぞる様に全くブレずにRZを追う。拓斗は減速したRZの横を颯爽と抜かした。
しかし、カーブ終わりのクリッピングポイントで二回目のフルスロットルをするRZの加速と最高速に道路中心を走るsco
opyは容易く抜かれてしまう。
「クッ! やっぱり、厳しいか! 」
拓斗は奥歯を噛み締めた。
「でも、また次のカーブでッ! 」
拓斗はそう叫びフルスロットルのままRZの後を追いかける。ジリジリと開いていく距離が二台のスペックの差を物語る。
すぐに二台は峠の第二コーナーに差し掛かった。それもさっきと同じような高速コーナー。
RZがそのコーナーに差し掛かる。クラッチを切りギアを一速下げる。高くなるエギゾーストノートを響かせながらコー
ナーに入る。
「また、ここで刺す! 」
拓斗も二秒ほど遅れてそのコーナーに入った。さっきと同じようにパーシャルで入り込む。
また、ここでRZの内側を抜かせる。拓斗はそう思った。
しかし、俊はR−1に乗るライダー。峠の場数自体は彼の方が上なのだ。
「同じ轍は二度は踏まないさ! 」
俊はそう叫ぶ。一速下げたお陰でRZのパワーバンドにすぐ手が届く。八千回転を保ちつつカーブを曲がりクリッピ
ングポイントでフルスロットル。
甲高いツーストロークの鳴き声が響く。それと同時に前輪が浮き上がるような加速でカーブを突き抜ける。
拓斗はカーブでも俊に追いつけない。
「これじゃあ……負ける……」
カーブでも直線でも差が広がる。コレでは絶対に勝てない。
「どうする……どうすれば……」
拓斗はヘルメットの中で今までの走りを、仲間達を思い浮かべる。
その時、思い浮かんだのは舞子の激しいドリフトだった。
「……アレをしなければこのバトルに勝機は無い」
しかし、同時に智也の“今の拓斗には危険”の言葉だった。
それを考えている間にもRZとscoopyの距離は段々と開いていく。
考えている暇は無い。
拓斗は顎を引き、目の前の“ターゲット”に狙いを定める。
「やるしかない! 」
二台の前には見晴らしのいい急な左カーブが待ち構えていた。
RZはそのカーブに入る前にきつくブレーキングする。それにより、RZとscoopyの間の二秒がコンマ五秒に縮まる。
先に入った俊は、セオリー通りアウト・イン・アウトで曲がる。そのアウトの状態の時に拓斗は左側に滑り込む。
「危ねぇ! 」
俊が叫び、ぶつからないようにブレーキングする。
拓斗は右サイドミラーでそれを確認した後、左足を前方に出し逆にハンドルを切る。そして左手で後輪ブレーキを握
りロックさせた。
タイヤのゴムが地面を削る音が聞こえる。倒れそうになりながら回転する車体。カーブの終わりをヘッドライトが向くと、
ブレーキを離し鉄馬に鞭を打つ。
綺麗に舗装された道路を後輪タイヤが力強く掴み、前へと押し出す。
減速しラインが膨れたRZを尻目に拓斗はカーブをすっ飛んでいった。
「ヒュウ! ヤルネェ! そうでなくっちゃ」
俊はニヤつきながら呟く。
「これで勝機は見えたな。しかし……」
拓斗の全身は震えていた。急に車体を倒す恐怖、激しい全身運動、瞬間の集中力。それらを一気にかけた為に、
心臓が高鳴り極度の緊張状態になっていたのだ。
しかし、緊張を収まるのを待つ時間は無い。
すぐに右カーブが迫ってきているのだ。橙色の矢印形の反射板がいくつも見える。間違いなくヘアピンかそれに近い
ものだ。
「ここで差をつければ、逃げの体制に入れる……」
拓斗は震える手でスロットルに握り締める。
RZとscoopyは未だテールツーノーズの状態。相手の抜き方を読んでブロックをするには距離が足りない。
「次のカーブでもドリフトをされては……」
俊は呟く。
次のヘアピンは普通にアウトインアウトで攻めるには減速が激しすぎる。
そして、第二コーナーのようにより相手から減速させられる羽目になれば差が開くのは明白。
ならば、ヘアピンカーブは捨てるしかない。俊はそう考えを巡らした。
右側のサイドミラーでなかなか抜きにかかれない俊を確認する。
「俊……ドリフトを恐れているなッ! コレが好機だ! 」
コーナーに直進した拓斗は直前で前後輪ブレーキをかけ敢えてハングオンもせずにリーンアウトでアウトインアウトの
ラインをなぞる。
今の状態では恐れが有りドリフトがただの減速になりラインが崩れて余計に遅くなる可能性が高い。また、最小回転
半径がRZよりも小さいscoopyではカーブの内側を取れる。そう判断した拓斗はセオリー通りのライディングをする。
「甘いぜ! 」
そのカーブ直前でのブレーキまでもぴったりとくっ付いていた俊は叫ぶ。
クリッピングポイントをいつもより手前に取る。ドリフトを諦めた隙を俊は見逃さなかった。イン側を走っている拓斗を
外側から抜かす。
「その速度じゃあ、またラインが崩れるな」
左サイドミラーで俊の動向を見て拓斗は呟く。
「まだまだぁッ! 」
俊はギアを一速下げる。より高い排気音に成る。その音をより高くしながら俊はハングオン姿勢を取った。
「これが俺のフルバンクだッ! 」
金属が擦れる音がする。RZのバンクセンサーから火花が飛び散っている。
外側の白線に乗り上げる前にアクセルを全開に開ける。タコメーターの針はすぐにレッドゾーンギリギリに回る。
そのまま俊の体を持ち上げカーブを抜けた。
「スペックでもテクニックでも負けてるのか……」
拓斗は呟く。そして力強く鮮やかに抜き去ったRZのテールを見つめた。
いつの間にか手の震えは消えていた。
「まだだ……まだイケルッ! 」
拓斗はフルスロットルで俊の後を追う。緩い左カーブの時、緑色の山肌が見えその中に黄緑色の小さな草原がある。
「アレがゴールか……」
その草原までザッと見積もって五百メートル弱。拓斗はハンドルを握り締めた。
RZとscoopyの距離は三十メートルほど。
「どうにか真後ろにはつかなければ」
拓斗はそれからのキツイカーブを全てドリフトでこなしていく。舗装された道路では強めに体を押し出すのがコツと言
うのも分かってきた。
その追い上げで拓斗は漸くカーブで抜きされる範囲に近づいた。
俊は拓斗をサイドミラーで確認すると、右手を上げ人差し指を立てた。
最後のカーブと言う意味らしい。
拓斗は頷く。
次で勝負をつけなければ。拓斗はそう思い手にも力が入る。
俊を抜くラインを考える。
しかし、路面までは読んでいなかった。
拓斗は最後の左カーブに差し掛かると、またフルスロットルで突っ込み左レバーをいっぱいに引き後輪をロックさせる。
タイヤが滑り出す頃、体重を左にかける。
次の瞬間、路面に浮いた砂利で滑りscoopyは一気に倒れた。
scoopyは重力のままに左側に横転し、カウルの擦れる悲痛な音を出しながらカーブの奥へと滑っていき対向車線を越えて反対側の壁にぶつかり止まった。
拓斗は出していた左足を軸にして前方に転げる。
上手く転げた拓斗はそのまま立ち上がったが、膝が震えた。膝に痛みが走る。転がった時に擦りむいたようだ。
上半身は全身震えた。その震えで立っていられなくなり、よろよろとscoopyが倒れているそばまで行きそこで蹲った。
少しして俊が引き返し、拓斗の隣にRZを止めヘルメットを取り駆け寄る。
「tact! 大丈夫か!? 」
拓斗は倒れたscoopyに抱きついたまま動かなかった。
−−−−−−−−−−−−−−−−(朝焼けのハングオン・第十五話:終わり)−−−−−−−−−−−−−−−−−
680 :
774RR:2008/05/11(日) 21:45:17 ID:7YxAnV1p
熱いぜ
681 :
191:2008/05/11(日) 21:53:35 ID:D4fvTFy7
682 :
774RR:2008/05/11(日) 23:12:10 ID:Y45tmDRe
つC
子供の頃は笑点やサザエさん見ると鬱になってたぜ…
「あー明日から学校かー」ってね。
683 :
774RR:2008/05/11(日) 23:39:29 ID:SvSJvTxw
684 :
774RR:2008/05/11(日) 23:40:46 ID:Eg+DLB4d
685 :
191:2008/05/12(月) 01:20:32 ID:qYRZq4Zf
686 :
774RR:2008/05/12(月) 08:13:35 ID:c+ex8kzw
つC
687 :
774RR:2008/05/12(月) 12:49:09 ID:IonNvYbk
隼が似合うと思う
>>191さん
つC&はじめまして。
熱いですw
原付には原付のスピード感がありますよね〜。小さくて貧弱な車体がそう感じさせるのかは
わかりませんが、あの速度「感」にはスピードというものの持つ根源的な魅力があるような
気がします。
>>みなさん
魔棲雄続編、もうちょっと待ってください。
いまいち納得のいくモノが。。。ホントに申し訳ないです。
689 :
774RR:2008/05/13(火) 00:42:28 ID:yXoXtAq3
>>688 気長に待ってるから気負わないでね〜♪
つC
690 :
774RR:2008/05/13(火) 02:56:46 ID:movgjr6N
>>688 だから言い訳は新作出してからだ
新作出すよ出すよておまえは出す出す詐欺か?
691 :
191:2008/05/13(火) 03:03:53 ID:00nyAfRZ
>>688 魔棲男氏初めまして。レスするのは初めてですね。
支援ありがとうございます。
鈴木さんを失った彼らがどう立ち直るのか、どう乗り越えるのか。
続編期待してます!
692 :
774RR:2008/05/13(火) 08:30:07 ID:incVAZgI
>>690 金は絡まないから詐欺ちゃうし
あ、藻前の心が盗られたのねツンデレ乙
693 :
774RR:2008/05/13(火) 20:04:38 ID:QtLQ6vvA
191つC マスオも頑張って
ニヤニヤしながら読んだよw
694 :
774RR:2008/05/13(火) 21:39:40 ID:zhoBB/sJ
191氏つC
原付が欲しくなったよww
695 :
774RR:2008/05/13(火) 23:27:08 ID:VWKef6qg
原付とカタナに乗ってる俺は幸せ者だとおもた
【SCENE126】
僕らの心を陰鬱にした理由はもちろん、自らが鈴木さんの死の一端を担っているという罪悪感に違いなかった。
しかし、贖罪の方法を知り得なかった僕らは、ただ膨らむだけの罪悪感を持て余すだけだった。
日々の生活の中で何かを楽しんだり笑ったりするということが、その罪悪感に対しての背徳行為のように
感じられ、心に鉄鎖を絡めたように深い闇の淵から斜めに世の中を見ていた。
もしかすると、残りの人生の時間をそのように過ごすことこそが贖罪となり得るのではないかという気持ちも
何処かにあったかもしれない。重い心で日々を過ごす事がむしろ幾分か心を軽くしてくれているという
奇妙な矛盾の状態でもあった。
当時の僕は、そんな生き方こそが亡き鈴木さんの魂に忠実である証だと信じて疑わなかったが、幾分か
分別のついた大人となった今、当時の若かった僕らの心理状態を冷徹に分析してみれば、それはあまりに
浅はかだったような気もするし、なにより自己満足的な欺瞞に満ちていたような気もする。
その対象が自分自身だとしても、その当時と今現在に至る時間軸を無視して批判を加えるのはフェアでは
無いような気がするので、当時の僕の陥っていた心理状態をこれ以上評価するようなことはしたくないが、
少なくとも正しい判断を下すに足りる知恵と経験を欠きながら、極端な思考に安易に傾倒していたような気も
するのだ。
697 :
774RR:2008/05/13(火) 23:29:40 ID:7YKvU8I+
それなんてギャガタナ?
698 :
774RR:2008/05/13(火) 23:30:04 ID:7YKvU8I+
おっと!!
つC
とにかく僕とアナゴ君は前述したように、充実した日々を生きる事を自らに禁じ、陰鬱とした毎日に身を置く
ことを与えられた贖罪のように思い、そしてそれを忠実に実践していた。
だがそれと同時に、救いを求めるように追い求めていた世界があった。・・・そう、「スピード」の愉悦だ・・・。
鈴木さんを死へと導いた罪を贖罪する為に自身に重い鎖を課しながら、片方ではその辛苦から解放されようと
スピードの世界に救いを求める・・・。そんな明らかに矛盾する心理状態が、僕らの心の中で両立していた。
それは即ち、鈴木さんの魂に忠実であるという体裁を繕いながら結局は何かに逃避する僕らの利己的な部分の
現われでもあったろうし、当時の切実な苦悩と葛藤の末に辿り着いた「居心地のよい牢獄」のような場所
だったのかも知れない。
少なくとも当時の僕にとってそんな唯一の拠り所である「スピード」の世界に、その「真紅のポルシェ」は
現れたのだから、僕はその未だ見ぬ敵機との遭遇を願い続け、時には自ら追い求め走った。
保土ヶ谷で、ほとんど口を開かなくなっていた僕だったが、ポルシェの目撃情報を聞くたび、剥きになって
その場所や時間を聞きだそうとした。
アルバイトが終わると、ほとんど毎日のように第三京浜を走った。しかし、ほとんどのアルバイト代がガソリンと
タイヤに消えても、その標的はまるで僕の行動を知っているかのように僕の前に姿を現すことは無かった。
・・・その日、僕は三夜連続でポルシェではないその相手を振り切る為にスロットルを開け放していた。
換えたばかりの健康的な弾力を持ったタイヤのゴムが、路面の継ぎ手の暴力的な衝撃を吸収する。
振り返らない。ミラーを覗き込みもしない。自分が相手より速い自信があるからだ・・・。お前などに負けはしない。
その遮音壁を断続的に真紅に彩り僕を追う敵機は・・・交通機動隊のパトロールカー。
おそらく同じ車両と思われるそのパトカーに、僕は3夜連続で遭遇していた。
・・・相手が誰であろうと関係ない。赤色灯に恐れおののいたヨンフォアの頃は遠い昔のことだった。
ポルシェを捜し求めていた僕にとって、その飛び入りのように現れたパトカーは望まない鬱陶しいだけの
存在のはずだった。
ながらくお待たせしたにも関わらず、投下量が少なくてすみません・・・。
これからは、少しずつですが頻繁に投下するようにしていこうと思っています。
702 :
774RR:2008/05/13(火) 23:37:32 ID:7YKvU8I+
いいよいいよー!!
じっくりと作品を作り上げていってくださいな。
703 :
774RR:2008/05/13(火) 23:49:29 ID:7W6441uH
魔棲雄キタ―(゚∀゚)
704 :
774RR:2008/05/14(水) 00:06:12 ID:BegCgDFs
キター。
久々に読むのにあっという間に引き込まれ世界を取り戻すのはさすがです。
つC
705 :
774RR:2008/05/14(水) 00:24:12 ID:qVnSCapw
一発免停フラグ?
超支援つC
706 :
191:2008/05/14(水) 00:37:21 ID:82G2pSIR
やはり魔棲男氏は凄い。この一言ですね。
スラスラと読めてしまい、もう次の話が待ち遠しい限りです。
つC
707 :
774RR:2008/05/14(水) 02:35:05 ID:zHntFAq6
ギリギリの所で救われたよ
魔棲雄氏ありがとう
つC
708 :
774RR:2008/05/14(水) 03:10:18 ID:t8WXEZvh
魔棲雄ktkr!
709 :
774RR:2008/05/14(水) 04:03:40 ID:55gwF0Xs
スレにまた血が通ってきたな。
待ってた甲斐があったよ。
ありがとう。
つC
710 :
774RR:2008/05/14(水) 06:16:36 ID:nL3Ae/tm
魔棲雄きてくれた!wktkして待つ!
711 :
774RR:2008/05/14(水) 19:33:17 ID:gfuP1ibF
うわっ魔棲雄の旦那来てるww
魔棲雄↓ ↓漏れ
/ ̄ ̄\r〜〜ー-、__
/ _ノ ムヘ._ ノ
| (ー)┣=レヘ、_ 了
. | (__ム// _..-┴へ チュ
| r、 ` レ⌒', ヽ.
. |(三 |`,、 ソ } ヽ
. ヽ `、 / イ `、
ヽ `、___,./. ヽ ',
/ く l. |
| \ | |
| |ヽ、二⌒) |__.. -‐イ
| ノ/
712 :
774RR:2008/05/14(水) 20:17:54 ID:xO77FNMj
魔棲男、いいねえ、黒さがいいねえ
ゆっくりでいいからまた楽しませて下さいな。
もちろん、191もガッツンガッツン投下してくれ
いい職人さんがそろってるスレだぜ
713 :
774RR:2008/05/14(水) 22:22:41 ID:EWXx/u6u
中断してる話の続きも読みたいナー
714 :
774RR:2008/05/14(水) 22:28:31 ID:J+JvTc9a
>>712 魔棲男が東本昌平、191が片岡義男ってかんじじゃね?
715 :
774RR:2008/05/14(水) 22:46:41 ID:PNwSbc3a
716 :
774RR:2008/05/15(木) 17:30:25 ID:eRdOlpTS
魔棲男も帰ってきたし、191のつなぎの役目も終わったなW
717 :
774RR:2008/05/16(金) 00:04:25 ID:4hnTF3+P
>>716 元からつなぎではない。
巨匠が増えたのだ
718 :
774RR:2008/05/16(金) 06:15:30 ID:+3rE2Ew0
719 :
774RR:2008/05/16(金) 22:53:51 ID:qQysqu0F
>>716 嬉しさのあまり、調子こいて悪乗りし、ヒンシュクを買うヤシ。。。
何処にでも1人は居るなwww
191つC
720 :
191:2008/05/17(土) 00:04:47 ID:sqp6YEQI
>>719 支援ありがとうございます!
>>717 ありがとうございます
確かに
>>716の言う事も一理あります。
しかし、今連載を止めてしまえば読んでくれている方々に失礼です。
ですから、朝焼けのハングオンが終れば名無しに戻ろうと思っています。スレチの小説、目障りかもしれませんが
もう少々お付き合いください。
721 :
774RR:2008/05/17(土) 00:13:10 ID:XCLlsFMh
722 :
774RR:2008/05/17(土) 00:32:51 ID:j2PNO3xh
>>720 前にも言ったけどここはもうお前メインのスレだ
謙虚なのもいいが、行きすぎると害にしかならいぞ
自信を持っていい誇れる作品作ってんだからもうちょっと自信持てよ
723 :
774RR:2008/05/17(土) 02:07:53 ID:c4rC6Vze
そんなにスレ違いが気になるなら、別スレ立てるか?
俺は魔棲男もサブちゃんに似合いそうなバイクについて何も言ってないんだからスレタイから言えばスレ違いになってると思うがな
ま、気にすんなって事だ
724 :
774RR:2008/05/17(土) 02:39:08 ID:omoiLsdM
チワー
三河屋でーす。
サザエに影響されず、サブちゃんを「三河屋さん」と呼ぶタラちゃんはエライ
725 :
774RR:2008/05/17(土) 11:49:42 ID:O1kITC4a
>>724 そりゃ、自分の母親と情事を交わす間男だからな。葛藤が
あるんだろ。
726 :
774RR:2008/05/17(土) 15:54:41 ID:PKBRWhY9
>>720 俺は、朝焼けのハングオンを楽しみに、このスレにきてるんだぜ。
191つC
727 :
774RR:2008/05/17(土) 23:19:51 ID:AIxENFlm
俺も朝グオンが大好きだ。
50ccでもバイクなんだっていう熱い魂を感じる。
728 :
774RR:2008/05/18(日) 07:49:05 ID:1v2fzZtH
朝ハン?朝グオン?
どっちか分からんが毎週かなり楽しみにしてるぜ
191氏、名無しに戻るなんて言わないでくれ
729 :
774RR:2008/05/18(日) 13:16:27 ID:oocgp32O
今日は191氏うpの日ですね
つC
730 :
774RR:2008/05/18(日) 17:15:13 ID:223zAo2l
191氏マダー(・∀・)
731 :
191:2008/05/18(日) 22:46:34 ID:4t5XvTMy
いつの間にか沢山のレスが。
皆さん色々とありがとうございます!あと、うpが遅れたのはツーリングに行っていたからです。
では、今からうpします!
「おいッ! 大丈夫か!? 」
俊が拓斗の肩を叩きながら呼ぶ。
彼は事故の場合、揺すったりするよりも大きく叫び軽く叩かないといけないということを知っていたのだ。
拓斗は何も答えないが、抱きついた背中から彼の嗚咽が聞こえる。
「……tact? 」
俊が拓斗の顔を覗き込むと、そこには後部車輪を覆うカウルの左側面沢山の傷がついたscoopyと、それにしがみ付き
目に涙を浮かべる拓斗の顔があった。
俊はアスファルトの道路に膝を着きそのカウルの傷に触れる。
「どこか痛む所は無いか? 」
そう聞くと、拓斗はコクリと頷く。
「そっか……。それは良かった」と言い、その場にドカッと胡坐を掻いた。
「俺がバトルしようなんて言ったからなぁ。スマンな」
俊がそういう。 拓斗は首を横に振り、目に溜まった涙が大粒の雫となって乾いた道路に落ちる。
ずっと黙っていた拓斗が口を開いた。
「そんな事は無いよ。ただ、テクニック不足の癖に無茶な走りして……。scoopyをこんなにした俺が……馬鹿だ……」
そういうと、「ごめん」と呟きscoopyのフロントカウルを撫でた。
俊は小さく息を吐き、拓斗の頭をクシャッと撫で、
「そんなことねぇさ」
彼は二カッと笑って言った。
拓斗が顔を上げ俊を見る。俊は続けていった。
「バイクに乗って峠を攻めたりバトルしたりする以上、絶対一度はこける。当然バイクもボロボロになる」
拓斗は目を伏せる。
「でも! その凹みや傷なんかがtactとscoopyが一緒に走った証なんだぜ? 」
拓斗は俯いて少し考えた後、俊に聞く。
「俊のR-1にも傷が? 」
拓斗が聞くと、俊は大きく頷く。
「R-1ではまだこけて無いから大きい傷は無いけど、ストリートでバトルすると前を走る奴のタイヤで吹き飛ばした小石なん
かが飛んでくるんだ」
拓斗は「そうなんだ」と頷く。
「だから細かい傷が沢山フロントカウルに有るな。あと、タンクバッグとシートバッグをつけたときに出来た薄い傷がタンクと
テールに付いてる」
拓斗はscoopyに出来た傷を見た。そこに手を当てると、何となくscoopyの鼓動が聞こえてくるような気がした。今まで機
械だったscoopyが生身の相棒のように感じる。拓斗は少しだけ微笑んだ。
立ち上がるとズボンの膝の部分が破けており、膝から血が出ているのが見える。
俊はそれを見ると
「おい、怪我してるじゃねぇか! 」
そういうと、拓斗はハッと気が付いたように
「本当だ。転げた時に怪我したんだろうな」
それを聞いた俊は呆れて
「“だろうな”って……自分の体だろ? 」
「滑っていったscoopyの傷の方が気になって、分からなかったんだ」
拓斗は頭を掻き笑いながら答えた。
それを聞き、俊は溜息をつき真剣な顔つきで言う。
「良いか? バイクを大事にしたい気持ちは大切だが、tactが死んでしまってはscoopyもただの鉄の塊だ。こけたりした時
は先ず自分の心配をするんだ」
真剣な俊を見て拓斗は大きく頷いた。
「分かったなら良いよ。さて、とりあえずコイツの状況を見てみないとな」
俊はそういうと、こけたscoopyを起こしスタンドを出した。キーはonに入ったままであったがエンジンは止まっていた。彼
は一度キーをoffに戻し再びonに入れる。そしてセルモーターのボタンを押す。モータが回っている音がするがエンジン
がかかる気配は無い。
「かぶったかな? 」
俊はカウルのしたからエンジンを覗き込む。少しガソリンの匂いがした。
その状況を拓斗が心配そうに見つめる。その間、怪我した左足に力を入れると膝が笑う為右足に重心をかけながら立
っていた。
俊は立ち上がり、RZの元へ戻ると後ろに積んだバッグから工具を出し持ってきた。
「scoopy大丈夫かな? 」
拓斗が聞くと俊は笑って「なぁに、少し被っただけさ。カウルを取ってプラグを磨いてやればすぐに治るよ」
と答えた。
「良かった」
拓斗はそういって、地面に座り込んだ。scoopyが壊れたかと心配していたのが一気に抜けたようだ。
俊は「拓斗は擦り傷、scoopyも擦り傷。大事に至らなくて本当に良かった」
そう言いながら、工具入れからスパナを出しカウルを外す。プラグについたケーブルを外そうと手を差し込むとエンジン
の熱気が伝わってくる。
「冷めてからじゃないと無理だな」
俊はそういってその場に座った。拓斗は膝を摩っている。
「なぁ、tact。その体でキャンプはしないほうが良い」
「たかがすり傷だろ? 」
俊の言葉に拓斗は笑って返す。
「いや、骨や筋に来てたらどうするんだ?そういうのはすぐには来なくても一日して痛みとして出るときがあるんだ。そんな
時にキャンプ場じゃあ危ないだろ? 」
俊がそういうと、拓斗は「確かに」と頷いたが
「でも、この辺泊まる所無さそうだし……」
と言う。俊は少し考えた後、「大丈夫! 」と言う。
「この先に俺の走り仲間がやってる喫茶店が有るんだ。多分アイツなら泊めてもらえるはずだ」
「いや、でも……。俺はその人とは初対面なわけだし……」
拓斗が言うと、俊は笑い
「大丈夫、俺も泊まるって」
と拓斗の肩を叩いた。拓斗は「ありがとう! 」と嬉しそうに笑った。
「ところで、tactは大きいバイクに乗る予定は無いのか? 」
俊が聞くと、拓斗は少し考えて
「この旅が終ったら、乗ろうと思っているだ」
と答えた。俊はニコニコして
「そん時に乗るバイクは何にするんだ? 」
と身を乗り出して聞く。拓斗は何か思いつき、聞き返す。
「今年の八月、またここに来ないか? 」
俊は首をかしげる。
「次にここに来る時は、多分新しいバイクに乗っている。その時に見せるよ」
「じゃあ、アドレス交換するか」
俊がそういいながら携帯電話をとりだしたが、拓斗は首を振った。
「いや、アドレスじゃなくて住所を教えてくれないか? 手紙書くよ。旅で携帯電話は使いたくないんだ」
拓斗がそういうと、俊は大きく頷き
「それ分かる。俺も住所教えてくれ」
と言って、メモ帳を取り出した。拓斗もバッグから手帳を取り出しお互いの住所を教えあう。
「tactは岡山か」
「コンビニで言っただろ? 」
そんな風に笑いながら話していると、scoopyのエンジンも良い按配に冷えてきた。
俊はエンジンの近くに手を広げて温度を確認すると、プラグについたコードを引き抜きプラグを外した。取り出した後、
金ブラシで軽く擦りまた戻す。
「あと少し待った後、もう一回エンジンかけてみようぜ」
俊はそういってscoopyのカウルを取り付けなおした。最後のネジを締めて、シートを片手でポンと叩く。
それから五分ほど待ってエンジンをかける。セルモーターが回るが、どこか煮え切らない。ゴボゴボと音がするだけで
今一つエンジンには火がつかない。
「壊れたのかなぁ? 」
拓斗が心配そうに聞くと、俊は「いやいや」と言って笑った。
「勢いが足りないのさ」
彼はそう言うと、スロットルを全開に回しキックを何度も踏む。始めの内はエンジンが回るだけだが、踏めば踏むほどエ
ンジンの回転の時間が長くなってゆく。十数回踏んだ時、エンジンに火がつき元気のいいエギゾーストノートが響いた。
「スゲェ! 」
拓斗が感心していると、俊はかかったエンジンが止まらないようにスロットルを少し捻りながら
「意外に何事も勢いなんだよ」
そういって笑った。拓斗は何となくそれがわかる気がした。
「よし、行こうか! 」
俊はscoopyの回転数が安定した事を確認すると、RZの元に戻りながら声をかけた。拓斗も返事をし、二人は喫茶店へ
と向った。scoopyは少し傷ついただけでエンジンは元気なままだ。
scoopyとRZが走っているとき、拓斗はある違和感を感じていた。
ハンドルを捻っているのに真っ直ぐ進み、真っ直ぐにすると右に反れるのである。
拓斗は驚き、すぐに路肩に止めた。それに気付いた俊も戻ってくる。
「tactどうした? 」
彼が声をかけると、拓斗は肩を落として「やっぱり壊れてる」と呟いた。
「どうあるんだ? 」
「ハンドルが捩れているんだ」
「ハンドルが捩れた? 」
「ああ、真っ直ぐ進んでいるのにハンドルは曲がっているんだ」
そういうと、俊はすぐにscoopyに駆け寄り足置きを跨いだ。ハンドルを真っ直ぐに向け前輪を覗き込む。
「本当だ、捩れてるな」
「これで、残りの四国回るのか……」
拓斗がそういうと、俊は苦笑いを浮かべて
「大袈裟な! コレくらい治るよ」
そういって、ハンドルを目一杯左に切り右側からタイヤを蹴った。
「何してるんだよ! 」
拓斗がその行動に驚き俊を止めようとすると
「ああ、スマンスマン。でもこうしたらハンドルの捩れは治るんだ」
「こんな方法で? 」
「そうだ。バイクのフロントフォークってのは両端と真ん中で止めてあるだけなんだ。だから、こけたらすぐ捩れる。でも、す
ぐ治る」
「へぇ」
拓斗が感心していると、俊は前輪を蹴りながら
「バイクっ未完成な物なんだ。でも、だからこそ直しやすい。しなやかに強いってかんじだな」
そういって、また前輪を覗き込んだ。その光景をを感心しながら拓斗が見ていると俊は続けて言った。
「一人で峠を攻めるとき、一人でロングツーリングに行くとき。助けてくれる物は少ない。必要最低限のことは出来るように
なっておかなきゃな」
拓斗が「……はい」と返事をした時
「よし、真っ直ぐになった。まあ、良いさ。今回覚えれば済む事だしね」
俊はそう言い拓斗の頭をポンポンと叩いた。
二人はまた走り出す。数十分走ると右側に目的地の喫茶店が見えてきた。
“喫茶スラップ”と緑色の背景に黄色い文字で看板に書かれいる。そこに付く頃にはもう夕方二時半時頃になっていた
。俊はRZに乗りながら右手でその看板を指差し右側の方向指示器を点灯させた。拓斗もそれに着いていく。
砂利が敷き詰められている敷地内に入ると、二階建てのログハウスが一棟建っておりその隣には屋根付きの駐輪場が
付いている。ログハウスの前には紐で枠が書いてあり簡単な駐車場が出来ている。
拓斗と俊は駐輪場にバイクを停め、入り口に向った。
入り口にはプランターに色とりどりの花が植えられて、数匹の蜂が蜜を吸っている。この時期には中々吸えない花の蜜
を集めているのだろうか。俊がログハウスの扉を開ける。建ててまだ間もないのか、木の香りが薄っすらとし奥に入るにつ
れて珈琲の香りが鼻を擽った。
時間帯もあり客は一人も居らず、ログハウス。つまり喫茶スラップの中にはマスターが一人居るだけだった。マスターは
髭を蓄え髪も長めだが、綺麗に整えてあり野性味溢れるログハウスの中をお洒落な雰囲気にしている。彼はRed Garland
のアルバム“Franco Ambrosetti”を喫茶内のスピーカーで流しながら楽しそうに中皿を布巾で拭いている。
「よお」
俊がマスターに声をかける。マスターは俊たちに今気付いたようで、一瞬驚いたがすぐに
「おお、俊か」
と嬉しそうに言った。
「珈琲で良いか? 」
マスターが言う。
「あ、いや。今日はちょっと頼みがあってきたんだ」
「お前が頼み事とは珍しいな」
俊は「まあな」と答えた。
「入り口で話すのもなんだ。まあ、座れよ」
マスターがカウンターの席を勧める。俊は拓斗を誘ってそこに座る。
机も椅子も切り出したままの木に琥珀色のニスが塗られている簡単なものだった。しかし、何かのコーティングがしてあ
るせいかニス独特のベタベタ感はしなかった。拓斗はそのサラサラとした机を撫でた。
座った時にマスターは拓斗の存在に気付いた。
「あ、お客さん? 」
マスターが聞くと拓斗は「いえ」と答え俊を見た。俊はマスターに今まで有った事を話す。
「なるほど、そんな事があったのか」
マスターは顎鬚を撫でながら言う。それに俊は「ああ」と答える。
「泊めるのは全然構わないさ。その代わり、晩酌には付き合ってもらうぜ? 」
マスターが拓斗に言う。拓斗は笑って「勿論」と答えた。
「それにしても、RZにscoopyで勝つとはまた驚いた奴だな」
しみじみとマスターが言うと、俊はうんうんと頷く。拓斗は照れ隠しに「こけたから勝敗は分からないよ」とごまかした。
三人で話していると時間はすぐに過ぎ時計は午後六時を指していた。
彼らは喫茶店の二階に布団を敷き、また一回の喫茶店に戻ってきた。
「さて、ここには風呂も有るし飯もある。後は飲むだけだ」
そういってマスターは冷蔵庫から出してきた店用のワインをテーブルに上げグラスを三つ持ってきた。
拓斗はマスターに旅を始めた切っ掛けや、旅で起こった事などを話した。マスターは俊とはまた違ってその話を嬉しそ
うに聞いていた。
その話を聞いた後マスターは、しみじみと
「いやぁ、羨ましいよ。そんな風に旅が出来るって。その経験、その時間。大事にしなよ? 」
と言う。拓斗は頷く。
拓斗の話が終わり、峠やライディングの話になり、バイクの話になった。しかし、それらが終ると特に話題がなくなってし
まった。
拓斗はマスターの事を聞くことにした。
「ところで、何で喫茶店をしようとおもったんですか? 」
俊はそれを聞いてマスターの肩をポンと叩く。
マスターはワインを一口飲むと語りだした。
「俺の家は農家でね。俺は高卒で農家を継ぐことになっているんだ。高校在学中からバイクに乗っていた俺は、農家が
忙しくて長い旅なんて出来ないことを知っていた。だから、卒業後一ヶ月親から余暇を貰って旅に出たんだ」
「それってもしかして、最後の旅になったんですか? 」
拓斗が聞くとマスターは頷いた。
「ああ。でも、旅してみると面白いのなんのってさ。人が温かくて、風の匂いが違って、走るたびに風景が異なるんだ。最
後の旅にしては後ろ髪を惹かれすぎたんだな」
拓斗は真剣な顔でその話を聞く。
「でも、農家は継がないといけない。だから、俺はここに残っても旅を出来る方法を探した」
「残って旅が出来る? 」
不思議そうに拓斗が聞くとマスターは頷く。
「そう、旅をしている人が立ち寄れるライダースカフェを作ろうってさ」
「それが……」
「そう。ここって訳だ」
マスターはログハウスの床を指差していった。そこで俊が話しに割り込む。
「そして、そのカフェの最初の客が俺って訳だ」
「お前は開店前から来てただろ? それどころか一ヶ月のツーリングはお前と行ったわけだし」
マスターが笑いながら突っ込む。俊は「高校一緒だからな」と頭を掻いた。
拓斗も笑った。ふと時計を見ると話しすぎたのか午後十時を示していた。
「おっ、そろそろ風呂に入ったりしないと寝れないな」
マスターがそういって立ち上がり、食器を片付けだす。拓斗も手伝おうと食器を持ってカウンターに持って行こうとする
と「まあまあ、tact君は怪我してるんだから風呂でも入ってゆっくりしててよ」と言わた。
拓斗は荷物から着替えを取り出し風呂へと向った。
「俊、面白い奴だな」
マスターはまだテーブルでワインを飲んでいる俊に言う。
「ああ。scoopyでドリフトするようなやつだ。そりゃあ、ぶっ飛んでるだろ」
「ああ」
「どうした? 」
「いや、高校時代のあのツーリングを思い出しちまってさ」
「あれか。確かに最高だった」
「九州一周だったよな」
「ああ」
「雨ばっかりだったよな」
「ああ」
「あの時のバイク。バリオスまだ乗ってるか? 」
マスターは皿を洗う手を止め言った。
「いや、もう売ったさ」
「そうか」
「お前は? 」
俊はそういってワイングラスに口を付けた。
「JADEはまだあるよ。といっても、エンジンがかかるかどうかは分からんがな」
「そうか」
「なあ、JADEをこれから治す。そして治ったらツーリングに行かないか? 」
「別に良いけれど、今乗ってる奴でも良いんじゃないのか? 」
「いや……」
マスターは、それを口に出すのをためらうかのように俯いた。そして意を決し話す。
「一ヶ月位の長い奴さ」
「……無理だろ。俺だって会社があるし、お前だって仕事があるだろ? 」
「それくらい分かってるさ。でも、旅をしているtactを見たらもう止まらなくなってしまったんだ」
俊はグラスに入った残り少ないワインを眺めながら答えた。
「俺だってその気持ちは分かるさ。でも、もう……」
「やってみようぜ! 」
マスターは拳を握り締めていった。
俊は黙って俯き
「……俺寝るわ」
というと残りのワインを飲み干し二階へ上がっていった。
丁度そこへ拓斗が風呂から上がり、タオルで髪を拭きながら喫茶の中へと入ってきた。
「いやぁ、いい湯でしたよ。って俊は? 」
「……」
マスターは俯いている。
「マスター、何かあったんですか? 」
拓斗が聞くと、マスターはハッとし
「ああ、良い湯だったかい? 怪我したんだし早く寝るといいよ」
そういって皿洗いを再開した。拓斗は頬を人差し指で掻きながら「そうするよ」と言い二階に上がっていった。
敷いてある布団に入ると、疲れているのと酒が入っているのとですぐに深い眠りに落ちて言った。
山中の朝は様々な鳥の鳴き声がする。それを心地よく聞きながら布団から顔を出す。拓斗はその快楽を存分に味わい
ながらまどろみの中を彷徨っていた。そこに
「朝だぞ、起きろ! 」
とマスターの声が一階からしてく。その声で俊と拓斗はまどろみから完全に覚醒した。
眠い目を擦りながら、洗面台に行き顔洗う。拓斗の足の傷は瘡蓋(かさぶた)になり、それ以外の損傷は無いようだった
。
喫茶に集まり、マスターの作った朝飯を食べる。
トーストとハムエッグと珈琲だけだったが、本当に旨く。三人はすぐに平らげた。
マスターはすぐにその食器を片付け、拓斗と俊は荷物をまとめる。朝の冷たい風の中で荷造りをすると、拓斗は旅立と
の朝を思い出した。
すぐに荷造りが終わりマスターにお礼を言おうと喫茶に戻ろうとしたとき、マスターが喫茶から出てきた。
「何から何まで、本当にありがとう」
拓斗はそういうとマスターは「ライダー同士は助け合う物さ」と言って笑った。
俊も「ありがとな」と言いヘルメットを被った。
拓斗もヘルメットを被り、二人に手を振るとそのまま旅路へと戻った。
俊はRZに火を入れる。
RZに跨ったまま、マスターの方へ向き
「どうなるかわかんえぇけどよ。…・・・ツーリング、絶対行こうな」
そういって走り出した。
マスターはニッと笑って手を振った。
--------------------------(朝焼けのハングオン〜第十六話〜)終わり---------------------------------------
743 :
774RR:2008/05/18(日) 23:12:46 ID:223zAo2l
つC
俺も旅に行きたいなぁ(´・ω・`)
744 :
774RR:2008/05/18(日) 23:33:29 ID:T2Fmk2O9
…で、サブちゃんはどこ?
745 :
774RR:2008/05/19(月) 00:01:45 ID:1v2fzZtH
746 :
774RR:2008/05/19(月) 01:45:42 ID:vP7TTXdi
JADEとバリオス。いいねえ
骨乗りの俺からC
747 :
774RR:2008/05/19(月) 14:43:36 ID:ClzX3BdT
どっちがどっちに乗ってるのか解らなくなった俺ガイル
748 :
774RR:2008/05/19(月) 16:43:13 ID:K8MKxIOT
ミィトゥ
つC
749 :
774RR:2008/05/19(月) 16:49:50 ID:xWYyBA8j
ミートゥ
つC
750 :
774RR:2008/05/19(月) 18:00:43 ID:ClzX3BdT
俺だけじゃないと分かってホッとした。
751 :
191:2008/05/19(月) 22:47:55 ID:GxcUtFrO
>>747 お疲れ様です。
会話文を増やすと分かりにくくなってしまいますね。
俊とマスターが交互に話たり、どちらかが続けて話したりしているので分かりにくかったかもしれません。
マスター:JADE
俊:バリオス
です。
752 :
774RR:2008/05/20(火) 00:16:25 ID:WnaiKun6
ぼく、英才って言います。
実は今度の週末に、第三京浜にてある勝負をします。
相手は小学校の頃に同級生だった野比君です。
何故野比君と勝負をすることになったのか…。
それは、 しずかくんの事が理由なんです…。
しずかくんとは小学校を卒業した直後から付き合っていて、かれこれ15年の付き合いです。
ところが最近しずかくんの様子がおかしいから話しを聞いたんです。
するとしずかくんから信じられない言葉が…。
「半年くらい前にのび太さんにツーリングへ誘われて…」
「その後も何度か会ううちにズルズルとのび太さんと…」
正直僕はしずかくんを恨んだ…。
何故そんな事になってるんだ…?
でも、良く良く考えたら悪いのは野比君じゃないか!
ぼくとしずかくんが付き合っているのを知ってて野比君はちょっかいを出して来たのだから!!
僕は来月には海外へ赴任します。
だけど…その前にしずかくんにキチンとプロポーズをして
一緒に海外へ行こうと思ってたんです…。
それなのに…。
753 :
774RR:2008/05/20(火) 00:24:05 ID:WnaiKun6
それなのに…。
「英才さんは真面目だし頭も良いけど、息が詰まって…」
「だからつい、おおらかでマイペースなのび太さんと…」
まさかしずかくんが野比君と…。
やっぱりぼくは野比君が許せない!
だからこの前野比君に直接切り出したんです。
「野比君!しずかくんが僕と付き合っているのは知っているよね!」
「う…うん…」
「なんでしずかくんに手を出したんだい!?」
「だってぇ…やっぱりしずかちゃんが好きなんだもの…」
「分かった!それじゃあこの際だから決着をつけようじゃないか!」
「う…うん〜…。わかったよ…。」
こうして僕らはどちらがしずかくんと付き合っていけるのか勝負する事にしたんです。
754 :
774RR:2008/05/20(火) 00:25:00 ID:1N6+cCTj
ワッフルワッフル
755 :
774RR:2008/05/20(火) 00:35:48 ID:WnaiKun6
野比君は小学生の頃は運動音痴だし勉強も出来なかったし
何をやらせても本当に駄目な奴だったんです。
でも、高校生になってバイクの免許を取ってから人が変わったみたいなんです…。
野比君はバイクの才能があったのか、すぐに実力を付け始め
僕が通っていた高校でも有名でした。
なんでも、その頃からレーシングチームに誘われていたみたいで…。
いや、別に弱気になってる訳じゃないんです。
っと…。
そろそろバイクのセッティングがてら走りに行かないと…。
ちなみに僕のバイクはドゥカティ999。
野比君はかなり手の込んだカスタムをしたYZF-R1です。
とりあえず当日使う第三京浜を流してきますね。
756 :
774RR:2008/05/20(火) 00:51:25 ID:VIEqV+1/
ドカ好きの俺にはたまらんぜ
つC
191氏つC
普通の小説ならあれくらいあるとおもうが…
757 :
774RR:2008/05/20(火) 01:31:37 ID:Q8X9NnzF
758 :
774RR:2008/05/20(火) 14:41:13 ID:L+aXz3aR
サブちゃんはラスボスだからまだ出ないな。
北海道編でちょっとでたか
759 :
774RR:2008/05/20(火) 14:42:23 ID:4dylMiL0
サブや〜ん
760 :
774RR:2008/05/21(水) 00:07:39 ID:GG4yT+BS
夜明けが近づいた。
東の空は明るく染まり、愛車のあるガレージの前シャッターを背に、
マスオは懐から若葉を取り出し咥える、そして十年来のジッポを左手に持ち、
それを隠すよう右手でいたわりながら火をつける。
遠く離れた山と山の間から日が差し込み、マスオはその目を細めて夜明けを感じた。
さぁ出発だ。若葉を指で弾き、シャッターを開けるとそこには愛車のGSF1200改に朝日が降り注いだ。
ポケットからキーを取り出し、キーシリンダーに差し込む。
軽くチョークを引きながらエンジンを始動させるとパラついた脈動がガレージに響き渡る。
シンプソンメットをかぶり鋲のついたグローブに手を通し、愛車に跨りスタンドを戻す。
澄んでいる空気の中をマスオは道なりに進んだ。
大通りに合流する信号待ちをしている時に、目前に右から左へとアナゴ君の刀ファイナルが通過する。
この先のスタンド前で待ち合わせのアナゴくんだが、こちらに気づくとマスオ一瞥して、
大通りを進んでいたった。
そう、今は妻の家庭で同居している肩身の狭いマスオさんである「僕」ではなく、
一人の男として、そして自称ながら街道の貴公子たる「俺」であるのだ。
今日はアナゴと走りで決着をつけ、来週発表される海山商事の人事移動で課長職が内定している、
アナゴに係長の俺が、仕事以外での優位性を知らしめることができるラストチャンスなのだ。
その秘めたる決意を考えていた時に信号が青へと変わった。
761 :
774RR:2008/05/21(水) 00:21:52 ID:Iacy0d8j
英才です。
夕べはセッティングを試すのと、勝負の下見の為に第三京浜を流してきました。
基本的にエンジン関係には手を入れず、サスペンションのセッティングだけ…。
今回は10年来の付き合いであるオクムラにてサスのセッティングをしてもらったんです。
999は元々ポテンシャルも高いんだけど、やっぱりサーキット向け。
だから公道…特に今回みたいに高速道路で「使える」ようにセッティングし直してもらいました。
さすがに専門ショップだけあってコーナリング時の安心感が違いましたね。
元々ぼくの乗り方だと、リアに体重を預ける感じで曲がっていくから
高速域ではフロントの接地感が希薄だったんです。
だけどオクムラさんで調整してもらったサスはすごい!!
ぼくが思った通りに曲がっていくし、フロントの接地感が増したし
何よりコーナリングではピタッと狙ったラインに入っていけました。
多分かなりの速度でコーナーに進入していってもフロントから破綻する事はないんじゃないかな…。
762 :
774RR:2008/05/21(水) 00:26:22 ID:Iacy0d8j
そうそう。
夕べ第三京浜を流していた時の話しなんだけど…。
野比君の事も(未知数だから)気になるけど、すごいライダーがいたんです!!
服装やヘルメットからして結構年齢のライダーなのかな…。
くたびれた皮のジャケットには、蛇(?)と唇みたい模様がありました。
いくらマシンの様子を見ながら走っていたとは言え
ぼくは200km/h以上は出していたのに、その横をスパーン!と抜いていったんです。
しかもそのバイクはショート管を付けた刀でした。
あのライダーはもしかしてとんでもないライダーだったのかな…。
野比君との勝負の前に、なんだか心が折れかけています…。
763 :
774RR:2008/05/21(水) 00:46:48 ID:BguJojgU
出来杉君には盆栽先生の素質があると思うのは俺だけか
764 :
774RR:2008/05/21(水) 03:12:05 ID:JT2zexg9
>>763 出来杉君は頭はいいけど、あまり良く立ち回れないタイプ。
能力はあるのに出世しないタイプだな。
逆にカツオは学校の成績は良くないが、持ち前の行動力で
出世して金持ちになるタイプ。
765 :
774RR:2008/05/21(水) 05:53:41 ID:PWgw9qNA
出来杉君って外国人の嫁さんもらって、火星に住むんだよな
766 :
774RR:2008/05/21(水) 06:56:42 ID:PWgw9qNA
もとい、火星には住んでない 出張で行くらしい
767 :
774RR:2008/05/21(水) 07:49:01 ID:CpHYT3T9
>>765 しずかちゃんと結婚できなかっただけで出来杉は負け組だろ。
むしろジャイアンとスネ夫のほうが勝ち組だよ。
768 :
774RR:2008/05/21(水) 09:36:18 ID:5TOr6XJ4
769 :
774RR:2008/05/21(水) 10:03:25 ID:FE289WIa
出来杉の話ばかりしてないで、支援しようぜ♪
つC
770 :
774RR:2008/05/21(水) 10:10:03 ID:Iacy0d8j
英才です…。
もう何もかも信じられなくなりました…。
信じられるのはぼくの999だけ…か…。
実は夕べしずかくんに大切な話しがあるからと呼び出されたんです。
どうしたんだろうと思い待ち合わせ場所の裏山にある一本杉に急いだんです。
そうしたらしずかくんだけじゃなくて野比君もいたんです。
「英才さんごめんなさい…。実はお腹の中にのび太さんの子供がいるの…」
しずかくんの突然の話しにぼくは言葉が出ませんでした…。
771 :
774RR:2008/05/21(水) 10:14:27 ID:Iacy0d8j
半年くらい前から様子がおかしかったしずかくん…。
ちょうどその頃ぼくは出張中だった…。
そっか…そうだったのか…。
しずかくんの脇で申し訳なさそうに、だけどデレデレとした野比君を見たら
なんだかもう何もかもイヤになりその場から立ち去りました…。
小学校を卒業する時から付き合ってきたしずかくん…。
もうイヤだ…。
もうイヤだ…。
ぼくは来月から海外へ赴任します…。
これからは海外で幸せをつかみます…。
この999と一緒に…。
772 :
774RR:2008/05/21(水) 18:33:26 ID:TqaXidCq
カワイソス…
773 :
774RR:2008/05/21(水) 22:16:12 ID:FE289WIa
774 :
774RR:2008/05/22(木) 01:08:30 ID:MHueJsQr
出木杉の下の名前は何?
のび太の特技といば、昼寝と射撃とアヤトリだが、どれも職業には適さないな
昼寝はベッドや医療機関の被験体としていいけど、所詮バイトだし。
射撃だけでは運動オンチだし計算もできないから、そっちのプロになれねぇだろうな。
でも未来では裕福そうだが、エンジニアでもやってんのかねぇ?
775 :
774RR:2008/05/22(木) 01:18:57 ID:bf3eqIuk
>>774 出来すぎエリートほど滑るときの落差が大きい。
免許証を洗濯してしまったレベルのつまんない失敗で首をくくってしまうことも珍しくない。
776 :
774RR:2008/05/22(木) 09:52:56 ID:yPd1Sxsa
確か出来杉英才じゃなかったっけ
777 :
774RR:2008/05/22(木) 09:56:29 ID:bbKKOqh3
出木杉英才ね。
今回の書き込みに散々英才って書いてある訳だが。
778 :
774RR:2008/05/22(木) 11:20:43 ID:4iqoz9D/
バトルしないのかw
779 :
774RR:2008/05/22(木) 11:32:15 ID:OZOlBEsh
のび太は環境問題に取り組む仕事に就くらしい
780 :
774RR:2008/05/22(木) 12:46:19 ID:2g8pzm04
いやぁ、英才マジ面白かった。
つC
781 :
774RR:2008/05/22(木) 17:19:09 ID:VgkcmQBf
782 :
774RR:2008/05/22(木) 23:30:20 ID:MHueJsQr
トンdクス
できすぎえいさい
でいいの?
奇天烈斎さまみたいな名前だな
おれは出木杉太郎とかだと思ってたもんで。
中島君は単純すぎて逆に覚えにくい名前だったけなぁ…
783 :
774RR:2008/05/22(木) 23:36:51 ID:jN+SYvGT
英才と書いてひでとしね。
784 :
774RR:2008/05/22(木) 23:52:37 ID:j3VvReF3
読み方にはえいさい説とひでとし説がある。
原作で読み仮名ついたことがないしアニメで名前を呼ばれたこともない。
ちなみに父親は一コマだけ登場した事があるんだけどアニメとマンガでは
顔が全然違う。
785 :
774RR:2008/05/23(金) 00:07:58 ID:vgrdtqZc
>>783-784 dクス
ひでとしの方が正しい読みっぽいですね。
だけど できすぎひでとし はなんか音感が変な希ガス
のびのびた
ほねかわすねお
できすぎひでとし
ごうだたけし
みなもとしずか
できすぎえいさい
うーむ…
786 :
774RR:2008/05/23(金) 08:55:27 ID:SGveARRD
英才の話しを書き込んだ者です。
調子に乗ってすみませんでした。o(_ _*)o
最初から勝負に持ち込むつもりはなかったです。
何でも完璧にこなす英才の運の悪いところ
いつも運が良いんだか悪いんだか分からない野比君を表現したかったので…。
スネちゃまと剛君のお話しも投入しようと思ってたけど。(笑)
787 :
774RR:2008/05/23(金) 14:30:58 ID:0gHlTjDv
深田恭子と沢尻エリカと3人で部屋で宴会。ほろ酔いになり繰り広げられる軽いエロトーク。
エリカ「ちょっとさぁ、AVとかないの?AV」
オレ「あるっちゃぁあるけど…見る?」
恭子「見る見る〜。じゃぁ…コレ!」
恭子が選んだのは♂1♀2の3Pモノ。あーだこーだいいながら見る3人。
恭子は興味津々の目でほんのり笑顔を浮かべながら画面を食い入るように見ている。
ふとエリカのほうに目をやると、かっぱえびせんをくわえながらトロ〜ンとした目でこっちを見ている。とっさに目をそらすオレ。エリカはワンピースで片ひざをついているため、完全にパンチラをしている。オレはまさに蛇ににらまれたカエル状態である。そうこうしていると、
恭子「ちょっとトイレ」
抱きしめていたリラックマをおいていってしまった。恭子がトイレのドアを閉めた瞬間
エリカ「ねぇ」
オレはなんとなく雰囲気を察しながら
オレ「ん?」
エリカのほうを見ると、エリカは案の定薄笑いを浮かべこっちを見ている。
と、その瞬間四つんばいで近寄ってくるエリカ。
エリカ「ねぇ。…これと同じようなコトしてみたくない?」
テレビの画面をアゴで指しながら、耳元でささやくと、返事を待たずにオレをゆっくり押し倒すエリカ。
オレ「ちょっ、ちょっと!」
エリカ「いいじゃん?ね?経験経験」
オレ「だぁめだって!ちょっ!恭子、戻ってくるから!」
エリカ「大丈夫大丈夫。すぐ終わるから」
オレ「すぐ終わるわけないじゃん!ダメだって!」
そんなことを言いながらエリカはオレのシャツのボタンをどんどん外していく。
788 :
774RR:2008/05/23(金) 14:32:05 ID:0gHlTjDv
オレ「だめだってば」
エリカ「ちゅっ」
オレ「あ…」
右の乳首を舐められた瞬間オレは、抵抗する力を失い、目を閉じてしまった。
エリカ「こうされたかったんでしょ?フフフ…」
こういって一度オレの口にディープキスをし、再び乳首を攻めはじめるエリカ。
憧れていたエリカにこんなことをやられている…。まさに夢見心地だった。ひとしきり舐めまわしてベルトに手をかけるエリカ。
オレ「ちょっ!下はマジでダメだって!ヤバいって!!」
エリカ「大丈夫だから」
オレ「だから大丈夫じゃないって!ちょっ…じゃわかった、今度今度!いまは恭子がいるからさ。ね?」
エリカ「フフフ」
全くやめようとしないエリカ。本気で抵抗は出来ないオレ。そして、全く戻ってくる気配のない恭子。
オレ「あ、ダメだって…」
天を仰ぐオレのズボンを脱がすエリカ。
エリカ「ダメとかいいながら腰浮かしてんじゃん。ね。…アレ?…超たってるんですけど。」
笑みを浮かべながらこっちを見るエリカ。オレはエリカの、上半身への口撃を受けて、すでに勃起していた。それどころか…
エリカ「ねぇ。パンツこれ、…超濡れてんだけど。…ガマン汁出ちゃってんじゃないのぉ?」
オレ「いや違、それは…あっ…」
エリカ「ホラ〜」
とうとうトランクスを脱がされてしまい、あらわになったオレのモノはてらてらと光っていた。
エリカ「いただきま〜す」
いきなりパクッとくわえたかと思ったら、ディープスロートをし始めるエリカ。目の前で起こっていることに信じられないでいると、エリカの両手がオレの乳首へ。
…もう無駄な抵抗はやめよう。いや、抵抗するフリはやめよう。…気持ちよすぎる…。そんなとき、ゆっくりトイレのドアが開いた。
789 :
774RR:2008/05/23(金) 14:35:11 ID:0gHlTjDv
恭子「あ〜、何やってんのぉ〜」
オレ「いや、コレは…」
取り繕おうとするオレとは対照的に、全くやめようとしないエリカ。
恭子はといえば、驚いているようなそぶりは見せているものの本気でないように見えた。
…そういうことか…。オレは全てを悟った。2人にはめられたのだ。AVを見るくだり、恭子がトイレに行くくだり、しばらくして戻ってくるくだり…全部計算だったようだ。どおりで、水を流す音がしなかったわけだ…。
恭子「恭子も仲間にいれてぇ〜」
無邪気に近寄ってくる恭子。そして、恭子はオレの上半身を担当することになったようだ。
恭子に上半身を、エリカに下半身を舐めまわされ、もう天にものぼるような気持ちだった。オレは左手で、恭子の左足内ももを触った。そこからミニスカートの中へと滑らせていった。
恭子「あ…」
布1枚隔てた状態でも恭子の中心部が既に濡れているのがはっきりとわかった。
エリカ「なにやってんの〜。なんで後から来た恭ちゃんが先に気持ち良くなってんの〜」
そう言ってエリカは立ち上がり、おもむろにワンピースをめくりパンツを脱ぎだした。そしてそのままオレの顔をまたぎ、
エリカ「ちょっとアタシも気持ち良くしてよ」
しゃがみこんだ。
オレ「え?え?うぐっ…」
仰向けになっているオレの顔に股間を押しつけ腰を振っているエリカ。
エリカ「ちゃんと舐めて…。あ、気持ちい…。ホラ、胸も触ってよ…」
オレの手を自分の胸に持っていくエリカ。黄色いワンピースが顔に覆いかぶさっているため視界は完全にさえぎられているが、どうやらエリカは上半身裸のようだ。ブラジャーもいつの間にか脱いでいる。エリカの乳房は柔らかかった。
エリカ「あ〜ん、気持ちい、気持ちい…。あ〜」
オレ「うぐっ、うぐっ」
恭子「あ〜、おちんちん空いてるぅ〜。恭子食べちゃおっ。ぱくっ」
嗚呼…ついに恭子にもくわえられてしまった…。一夜にしてこんな幸せを手にしてしまった。
おそらくオレはもうすぐ不慮の事故かなんかで死んでしまうに違いない…。そんなことを思い浮かべずにはいられないほど、幸せだった。そしてオレはもう限界に達しそうになっていた。
790 :
774RR:2008/05/23(金) 14:36:37 ID:0gHlTjDv
オレ「うぐっ、お゛ぅ、も゛ぅ…」
エリカ「え?なに?もうイっちゃうの?ねぇ。…我慢しな。」
そんなこと言われたって…憧れの二人にこんなことされたら、我慢なんて出来ないよ…。そう思ったが、もはやしゃべることは出来ない。
恭子「ダメだよダメだよ。出しちゃったら入れさせてあげないよっ。」
エリカ「ホラ〜、入れさせてあげないってよ」
恭子「あ〜もう我慢できないっ。入れちゃお入れちゃお。」
そう言って立ち上がる恭子。
エリカ「ちょっ、ダメだって!ズルいよ!」
恭子「だってエリカっちなめてもらってんじゃん。」
エリカ「じゃんけんじゃんけん!」
恭子「え〜?!」
オレをまたいでじゃんけんが始まった。
エリカ「やった!」
恭子「え〜?!」
どうやらオレはエリカに先に犯されることに決まったようだ。
エリカ「恭ちゃんは舐めてもらいな。…じゃぁ入れるよ…」
オレ「あぁ…」
エリカ「あぁ…」
いつの間にか全裸になっていたエリカがオレにまたがり、キャッチャースタイルで一心不乱に腰を振っている…。
恭子「もう、ズルいよ…。エリカっちで出しちゃダメだからね!わかってる?」
オレ「うんうん…」
恭子「じゃぁ恭子のなめて。」
エリカとは対称的に、まだ服を一枚も脱いでなかった恭子だったが、自ら服を脱ぎだした。
上半身裸になり、たわわな胸を顔に押しつけてきた。オレは恭子の乳房にむしゃぶりついた。
791 :
774RR:2008/05/23(金) 14:37:21 ID:0gHlTjDv
恭子「あ〜ん」
そのままオレは右手で恭子の秘部を攻めた。パンツの脇から指を滑らせクリトリスを刺激した。
恭子「あっ、あっ」
そして、指を入れた。その間もエリカは依然腰を振りつづけている。
恭子「あっ、いい」
ふとテレビの画面を見ると、映し出されたAVと全く同じことをやっていた。まさかこんなことを自分がやるなんて…。しかもこんな2人と…。オレは高ぶり、指を、腕を早く動かした。
恭子「あっ、あっ、あっ、あっ!」
恭子のペースがどんどんはやくなっていくのがわかった。それでも…いや、だからこそオレもペースを速めた。
恭子「あっ、ダメっ!イっちゃうっ!」
左手で恭子の右の乳首に触れた瞬間、
恭子「イくっ!!」
…。
恭子は果ててしまった…。
エリカ「はぁ〜?なんで恭ちゃんが先にイっちゃうわけ〜?!」
そういって、エリカは仰向けになってるオレにしがみつく。そして、隣でぐったり横になっている恭子を尻目にそのまま、まだ腰を振る。
エリカ「あ〜気持ちいい、気持ちいい〜。アタシもイっちゃっていい?」
しかしこのコ、あれからずっと一度も止まることなく腰を振り続けてる。まるで、さかりのついたサルのよう。
エリカ「もう…」
そしてエリカのペースが速くなる。
エリカ「あ〜、イクイクイクイクっ!…あ〜〜!」
792 :
774RR:2008/05/23(金) 14:38:11 ID:0gHlTjDv
エリカもイった…。
憧れの二人が目の前でオーガズムに達するなんて…。非現実な光景だったはずだが、もうこの頃には感覚が麻痺しており、夢かと疑うことはなくなっていた。
オレは、中途半端に脱がされていたズボン・パンツを完全に脱ぎ去り、横たわっていた恭子に覆いかぶさりキスをした。
舌を絡め、乳房を揉みしだき、秘部をまさぐり…。抱き合い愛し合った。
エリカ「なんかいいな〜。“愛”があるってカンジ」
虚ろな目でこちらの様子を見ている。
オレは状態を起こし、恭子のパンツに手をかけ、下ろした。嗚呼…愛しの恭子の秘部がいま目の前に…。
ミニのスカートをめくり、黒のオーバーニーソックスをはいたままの足を持ち上げ、恭子の秘部にむしゃぶりついた。
恭子「あ〜ん。あ〜ん。」
幼稚なあえぎ声が、オレのモノをよりエレクトさせた。
エリカ「入れちゃえ入れちゃえ」
オレはエリカのやじに促されるように、恭子の局部に自分自身をあてがった。そして…
恭子「あ〜…」
挿入した。
オレ「恭子…。」
さっきエリカがオレにやったのと同じように、今度はオレが肉感的な恭子の体にしがみついた。そして、ディープキス。
恭子「あんっ、あんっ、あんっ、あんっ…」
恭子はリズミカルにあえいだ。
揺れている大きな胸を押さえるように、揉んだ。
両腕で恭子の両足を抱え上げ、突いた。
肌と肌が触れ合うたびに、汗と愛液でいやらしい音を立てている。
まさにいまオレは、深田恭子とセックスしている。
横にはさっきまでセックスしていた沢尻エリカ。
一瞬冷静になった自分に絶頂の波が押し寄せてきた。
793 :
774RR:2008/05/23(金) 14:39:04 ID:0gHlTjDv
オレ「恭子…オレ…ヤバい…」
恭子「いいよっ!…いいよっ!」
オレ「出しちゃうよ」
恭子「うんっ、来て!…中に来てっ!」
オレ「中?!いいの?!…あっ」
恭子「恭子ももうダメっ!あんっ、あんっ、あんっ、あんっ!」
オレ「中、出しちゃうよ!」
恭子「あーイっちゃう!」
オレ「出るよ!」
恭子「イくっ!!!」
オレ「イくっ!!!」
………。
そのままの体勢でしばらくいた。というか、ぐったり動けなかった。
ふと、隣に目をやると、エリカは少し怒っているようだった。
エリカ「なに?恭ちゃんのこと好きなの??」
オレ「え、いや…。なんで?」
エリカ「超愛がこもってるカンジしたんだけど。気のせい?」
オレ「気のせい気のせい…。嫉妬してんの?」
エリカ「別に…」
出た!“別に…”。オレはちょっと笑いながら、抜いた。
恭子の中から白いものがドロっと出てきた。
オレ「中に出しちゃったけどホントに大丈夫なの?」
恭子「さぁ?」
オレ「“さぁ”って…」
恭子「まぁ、気持ち良かったからいいじゃん。気持ち良かったでしょ?」
オレ「まぁ…」
恭子「恭子は超気持ち良かったよっ!」
恭子はそう言って、オレに軽くキスをした。
オレはなんだか照れてしまい、周りをキョロキョロした挙句、エリカに軽くキスをした。
エリカは突然のことで顔を赤らめ下を向いてしまった。
さっきまでものすごいことをしていたとは到底思えないほど、中学生のような3人だった。
794 :
774RR:2008/05/23(金) 15:29:00 ID:pYjtMz0a
誤爆?w
795 :
774RR:2008/05/23(金) 17:19:22 ID:I+m6SI8j
バイク出てこないしw
とりあえず妄想はしてみたww
796 :
774RR:2008/05/23(金) 21:41:45 ID:K9aDTADv
ふう・・・
ここはバイク板だぞ。場をわきまえたまえ
797 :
774RR:2008/05/23(金) 21:59:17 ID:ew1yVf0F
>ふう・・・
一発抜いた後は冷静ですねw
798 :
774RR:2008/05/23(金) 22:46:32 ID:ZevYosSx
>>796 自慰行為ってやつですね、わかります。
気持ちよかったですか?
恋人はいないのですか?
799 :
774RR:2008/05/24(土) 00:24:07 ID:aYOvLDrg
ふぅ・・・
ツマンネ
800 :
774RR:2008/05/24(土) 01:03:39 ID:NXRxOFXY
801 :
774RR:2008/05/24(土) 01:25:18 ID:OKlFu/2u
802 :
774RR:2008/05/24(土) 01:37:46 ID:NTo2o07C
ふぅ…
読んでないぜ!本当だぜ!?
803 :
774RR:2008/05/24(土) 02:38:00 ID:nparteWx
ああ、お、俺も読んでないぜ ホントだぜ
804 :
774RR:2008/05/24(土) 08:34:38 ID:3nywC8pt
読み始めて、すぐにやめた。
> 中学生のような3人だった。
までしか読んでない。
805 :
774RR:2008/05/24(土) 08:42:38 ID:rsP1N82c
, -─── 、
/##二二__ヽ、 置 こ よ
/##/ 、 ヽ ヽ
,'## / /_/」_ハ `、 `、 い こ く
|ヘ、#_lノ ;≠、'ノ 刈 l l!
{ (( ッ'ト-リ ゙ ,、リソハ |' と に 分
ヽヽ o゚ ´ /ソ}'ノ ノノ
Y ° - ' `゚イイ´ き テ か
/⌒ ( Y)` ;‐‐ ' ゚( i )
|:::::::::::〉i/^^ゝ-、 (y ) ま ィ り
l++::::(/\ ,ミ}::ハ:ヽ〉i(
l+┘ /::::::::::ソ:::::}:( y) す ッ ま
l::::::/:::::::::::/::::::/::::)i〈
l:::::;++、::/:::::::::!::::{l|ll} ね シ せ
ハ(___ ノ:::::;++:|l::::::::ハ
/ ̄キ:::::::::メ メ::|ヽ、:::::::::ゝ、 ュ ん
,'+++':::::::::::++'::::::\ヽ、::::::キ ヽ
l::::::::::::::::::::::::_rァ⌒`ヽ、:::└++ヽ_____ が
l:::::::::::::::_/ヽノ ヽ::::::::/_っー’ _,,..i'"':,
ノ_へ∧/ `、__ \ |\`、: i'、
(_ \ `、 `丶、 `; .\\`_',..-i
`‐‐--\ `、 ノ .\|_,..-┘
, '⌒ヽ._____\ `、─---‐'
/  ̄`ヽ ;
806 :
774RR:2008/05/24(土) 12:38:41 ID:FWLgKY8+
>>804 ちょっwwwそwそれ全部だろwwウェww
807 :
774RR:2008/05/24(土) 17:26:30 ID:J30E0d7E
ふぅ・・・・
マスオ物語の進捗状況を聞きに来てみたら、お前ら何やってんだよ・・・
呆れて変な液しか出てこねーよ。
ふぅ。
808 :
774RR:2008/05/24(土) 19:57:49 ID:NXRxOFXY
ふぅ・・・
スピード感あふれる物語だったな
ふぅ・・・ふぅ・・・ふぅ・・・
809 :
774RR:2008/05/24(土) 19:58:57 ID:l8TqeQSs
早漏乙
810 :
774RR:2008/05/24(土) 23:19:26 ID:LxUibjN2
まったく、おまえらは…
ふう…
811 :
774RR:2008/05/25(日) 00:38:16 ID:+g3YCzz1
812 :
191:2008/05/25(日) 18:42:00 ID:dGB3YSt0
お疲れ様です。
朝焼けのハングオンうpしてもいいでしょうか?
813 :
774RR:2008/05/25(日) 18:43:59 ID:MY0F6izE
ふぅ
ばっちこーい
814 :
191:2008/05/25(日) 19:07:21 ID:dGB3YSt0
拓斗は携帯電話を見た。今日はもう木曜日。月曜日に出発したから、今日で旅は四日目だ。
彼はまだ一度も洗濯を経験していない。そろそろ衣類を入れたバッグが異臭を放つ頃。
scoopyは国道三十三号線の途中で路肩に停まった。拓斗はシート下のボックスを開け中のバッグを匂うと微妙に酒
のような、納豆のような匂いがする。
「朝からコレは匂いたくなかったな」
そう言ってシートを締めた。
「今日は洗濯しなきゃな」
そう呟きヘルメットを被り、エンジンを点けスロットルを捻った。
旅において大変なことと言うのは結構ある。その中で洗濯物の処理は重要項目に入るはずである。洗濯の必要の無
い為に沢山の着替えを持ってっても良いが、三日以上の旅になると嵩張ってくる。つまり、長距離ライダーにとって洗濯
と言うものは必要不可欠なのだ。
この洗濯は出来れば夕方にするのがよい。特に原付ライダーならば尚更である。原付ライダーの一日の行動の殆ど
はライディング。やたら目的地まで時間がかかる為、否が応でも走り続けなくてはならず日中の貴重な時間を洗濯物に
使うのは勿体無い。
拓斗はその様に考えていた。
「とりあえず、今日中に高知市内には入ろう」
scoopyで風を切りながら呟く。
三十三号を東に行き、国道百九十四号線とのT字路に着いた。この時には既に午後二時ごろでそろそろ腹も空い
て来た。
それにしても何も無い。キャンプ場の看板はたまに出てくるがそれ以外は山ばかりであった。路面は綺麗だが緩いカ
ーブがあるだけでヘアピンやタイトなカーブなど拓斗を楽しませる物はあまり無かった。しかし、怪我をしている上にこ
けた事に対するショックが残る彼自身にとっては良いリハビリのコースだ。
815 :
191:2008/05/25(日) 19:07:43 ID:dGB3YSt0
今までの命を削るような、余計に体を入れグリップに全てを任せるようなライディングは出来なくなっている。しかし、こ
れが本当の原付の姿かもしれない。
それから一時間ほど走ると高知の道の駅:土佐和紙工芸村が見えてきた。中に入り、レストランコーナーでカレーを
頼んだ。朝から今の三時まで何も食べていないせいか、明らかにレトルトだと見られるカレーがやたらに旨く感じる。
カレーを食べながら、拓斗は福神漬けはカレーを食べた後にまとめて食べるのではなく白ご飯の上に福神漬けを載
せてカレーと一緒に食べるのが旨いことに気付いた。だが、一度に口に入れる欲求に勝てず結局カレーとご飯と福神
漬けを混ぜ一気に食べてしまった。食べた後、福神漬けの食感を百パーセント楽しめなかった事を残念に感じたが満
腹でもう一杯頼む気も無かった。
ふと拓斗はここの道の駅が普通の道の駅と一風変わっている事に気が付いた。そう、体験コーナーが多いのである
。目の前で漉くたびに綺麗な模様が出来上がる和紙を見ていると溜息が出てくる。
拓斗も体験に参加しようかとも思ったが、和紙が出来上がった後シート下に入れても衣類の匂いがうつりそうだしリア
キャリアについているネットに挟んでも皺くちゃになってしまう。
散々迷った挙句に諦める事にした。
綺麗な蔵の建物である工芸村に後ろ髪を引かれながら拓斗は高知の中心街へと向った。二時間ほど走ると、もう西
の空は茜色に輝きだしている。
拓斗は鏡川に架かる橋の手前でscoopyを停め端の中腹まで渡ると沈んでいく夕陽を眺めた。
「夕陽が綺麗だ」
そう呟き、手すりに寄りかかる。
その後ろをジャージを着てタオルを頭に巻いたチャリダーが走り去っていった。後輪の上の泥除けにはなナンバー
プレートのつもりであろうか。針金でダンボールがくくり付けてありそれには黒い文字で東京03と書かれている。
「東京から!? 」
拓斗は目を疑った。驚いた拍子に橋から落ちそうになり、ふらふらしながら手すりから降りた。
その失態に少し恥かしくなり、逃げるようにscoopyの元に戻った。
高知の中心街に入ると、空は薄暗くなり車通りは多くなる。
「早めに宿を見つけないとな」
そう言ったとき、左手にコインランドリーを見つけた。
816 :
191:2008/05/25(日) 19:08:08 ID:dGB3YSt0
休憩の目的も兼ねて、拓斗は左折し駐車場に向った。
入り口には東京03と書かれたさっきの自転車が停まってあり、コインランドリーの中に入るとトランクス一枚のさっきの
チャリダーが椅子に座りながら特に何かをするでもなく回る洗濯機を眺めている。
中には彼以外に客は居ない。拓斗はscoopyから降りるとシート下のボックスから衣類が入ったバッグを取り出し、そ
れを持ったままコインランドリーの中へ入る。
すぐにトランクス一丁の彼と目が合い、拓斗は軽く会釈した。向こうは「ども」と一言言い、また洗濯機に目を向けた。
拓斗は洗濯機の蓋を開けバッグの中の物を放り込み、蓋を閉じようとした。その時、チャリダーが立ち上がり拓斗に
声をかけた。
「バッグも洗ったほうが良いよ」
拓斗はいきなり言われたので、よく分からず、「え? 」と言う。
「バッグの中匂ってみな」
チャリダーはバッグを指差して言った。
拓斗は言われるままにバッグに顔を突っ込み思い切り息を吸う。なんとも形容しがたい匂いが鼻を突いた。
「うえっ! 」
匂いを嗅ぎすぎ、気持ち悪くなった。それを見てチャリダーは笑っている。
拓斗はちょっとムッとしながらも、バッグを洗濯機に放り込んだ。それを見てチャリダーは
「裏返しにしたほうが良いよ。時間を置いた汗のにおいは中々取れない」
拓斗は「そうだな」と言ってバッグを取り出し裏返しにした後洗濯機に戻した。
それからトランクス一丁のチャリダーを見てTシャツとGパンを脱ごうとした時、チャリダーが焦ってそれを制止する。
「それは止めた方がいい」
拓斗は「なんでさ? 」と聞くと、チャリダーは真剣な顔で
「同性愛の人と間違われるから」
と答えた。「そんな馬鹿な話があるか」と拓斗が笑っていると、チャリダーは首を振った。
「この前友達と、それをやったら同性愛者と間違われて嫌な目にあった」
拓斗は笑いながら「どんな事があったか教えてくれないか? 」と聞くとチャリダーは話し出した。
「俺と友達がそうしていたら、その辺に住んでるおばちゃんが来て『そういうのは自分の部屋でしなさい』って言われた」
と言った。
817 :
191:2008/05/25(日) 19:08:28 ID:dGB3YSt0
拓斗は腹を抱えて笑った。「確かに男二人がそんな格好してたら怪しいな」そういって、脱ぎかけの服を着
なおし、チャリダーと椅子を一個分開け座った。
チャリダーは思い出したように
「そうそう、俺マチャって言うんだ。よろしく」
と自己紹介した。拓斗もいきなり言われ驚いたが
「俺はtact。こちらこそよろしく」
言った。
「tactは今日の宿決まってる? 」
マチャが聞くと拓斗は首を振って
「いや、未だ決まってない。でも、もしもの時は何処にでもテントを張って寝るさ」
と答えた。
「そうか、俺は駅前近くのタウンセンターホテルに泊まるんだが一緒に泊まらないか? 」
マチャが聞くと、拓斗は考えた。そして、聞くべきことがあることを聞くことにした。
「料金は? 」
「五千円くらいだった」
「それならいくかな」
拓斗は寝袋の寝心地よりもベッドのそれを選んだ。
「それは良かった。じゃあ、今日は一緒に飲もう」
マチャは嬉しそうに言った。拓斗もそれに答えて
「いいねぇ! 今晩は楽しそうだ! 」
そう言って、二人で肩を組んだ。
その時、コインランドリーの入り口が開きおばさんが入ってきた。彼らを見るや否や、眉をひそめて
「そういうのは誰も居ない所でしなさい」
と言って、鼻息荒く洗濯物を洗濯機に突っ込むとすぐに出て行ってしまった。
二人は顔を見合わせた後、大笑いした。
それから数分して二人の洗物が終った。拓斗は洗濯機の扉を開けると、洗濯物はさっきの納豆の香りから花の香りへ
と変貌を遂げていた。拓斗は洗濯物に顔を埋めて、思い切りその匂いをかいだ。
818 :
191:2008/05/25(日) 19:08:51 ID:dGB3YSt0
「tact、やっぱり洗い立ては気持ちいいな」
マチャが顔を埋めている拓斗を見て言うと、拓斗は
「……最高」
とうっとりしながらいった。マチャは「そんなに? 」と笑っていた。
それから二人は洗濯物を畳んでバッグにしまうと、コンビニで酒を数本とおつまみを買い宿へと向った。
宿に着くと、チェックインを済ませ拓斗の部屋で飲む事を決め荷物を置きに各々の部屋へと入った。
拓斗はさっき洗濯したバッグだけを部屋に持ち入れ、テレビの前に置きベッドに倒れこんだ。
ズボンの後ろのポケットに入れた携帯電話をベッドの枕元に置こうとした時、バックディスプレイに『着信あり』と表記さ
えていた。携帯電話を開けて確認するとまた大紀先輩からであった。
「かけなおしてみるかな」
誰に言うでもなく、そう呟きかけ直そうとした。
その時、部屋のドアがノックされ向こうから「tact〜 」とマチャの声が聞こえてきた。
拓斗はすぐに電源ボタンを押し、携帯電話を閉じてドアを開けた。
「おじゃましまーす」
そういってマチャが酒とおつまみが入ったコンビニ袋を提げて入ってきた。
そのまま、ベッドの前に胡坐をかくと袋から酒を取り出す。
拓斗もその後を追い、洗濯したバッグの前に座るとマチャの取り出した酒を手に取った。
お互いに乾杯し酒を飲む。
そして買ったおつまみとお互いの身の上話を酒の肴にする。出身地の話、周りの友達の話、職場や学校の話。お互
い笑い合いおつまみ以上に良い肴になり、話からマチャが東京に住む大学生であることが分かった。
拓斗はふとマチャの旅の切っ掛けに興味を持ち聞いてみることにした。
「マチャは何で自転車で旅をしてるんだ? 」
すると、マチャは噛んでいた裂きイカをビールで流し込むと「プハー」と旨そうに息を吐き話し始めた。
「それは、失恋なわけよ」
マチャは缶ビールを床に置き両膝に手を置きながら言った。
「それはどういう? 」
819 :
191:2008/05/25(日) 19:09:12 ID:dGB3YSt0
拓斗が聞くとマチャは
「三年も付き合った彼女から振られたんだ」
と答え、拓斗は頷いたあと「浮気か? 」と聞くとマチャは首を振り
「いや。ただ、純粋に俺と別れたかったらしい。だから、元彼女は未だフリーな筈だ」
拓斗は「浮気じゃないだけマシだ」と言うとマチャは笑って
「絶対こっちの方が辛いぜ? だって、浮気は浮気相手と今の相手を比べるわけだから相対的に俺が浮気相手より低
かったって話だけど、コレは純粋に嫌いになったわけじゃん。俺のこと全否定だよ」
と言った。拓斗はう〜んとうなり、「確かにそんな気もする」と頷いた。
「だろ? 」
とマチャは言う。拓斗はハッとして「浮気かどうかじゃなくて、それからどうなったんだよ」と話を元も戻す。
マチャはそうだった。と手を叩き、話を続けた。
「それから、友達に相談したんだ。『寂しい』って」
拓斗は「ほほう、それで? 」と相槌を打つ。
「そしたら、友達は『失恋って言ったら、旅じゃん。旅って言ったら? 』って聞くんだ」
「それでマチャはなんて答えたんだ?」
拓斗が聞くと、マチャは
「さあ?って答えたよ」
「そしたら? 」
「『旅って行ったら自転車だろ?』って言ったんだ」
拓斗は「へぇ」と言った。
「だから」
拓斗は“だから”の後に何か来ると思い、待った。しかし、マチャはビールを飲んでいる。
「えっ? 終わり? 」
拓斗が驚きながら聞く。
マチャは何食わぬ顔で
「そうだよ。だからチャリで旅に出たんだ」
拓斗は「そうか」と答えるしか出来なかった。
820 :
191:2008/05/25(日) 19:09:55 ID:dGB3YSt0
でも、面白くてすぐに噴出した。
「真っ直ぐすぎだろ? 」
拓斗は笑いながら言う。マチャも「だな」と答えて笑った。
道中の楽しい宴はすぐに終わり、マチャは空き缶とゴミをゴミ箱に捨てると立ち上がり
「明日は五時に出るから、多分もう会わないだろうな。楽しかったよ。また何処かの旅路で」
そういって部屋を出ようとした。拓斗はマチャを呼び
「住所を教えてくれないか? 」
と言った。マチャは「なんで? 」と聞く。拓斗は
「この旅が終ったら手紙を出すよ」
と答え、ツーリングマップルの後ろのメモの欄とペンを渡した。マチャはサラサラと住所を書きその後ろに【マチャ】と
添えた。
「俺もtactの住所教えてくれ」
とマチャが言い。拓斗は部屋のフロンと呼び出し用の電話の横に置かれているメモ帳を一枚取り自分の住所を書くと
マチャに渡した。
マチャはそれを受け取ると、「サンキュー」と言い拓斗の部屋を後にした。
-------------------------------(朝焼けのハングオン第十七話・終わり)------------------------------------
821 :
774RR:2008/05/25(日) 20:29:52 ID:DxrjK1yq
191氏お疲れさま
つC
822 :
774RR:2008/05/25(日) 21:35:27 ID:6P6NxEDh
乙ノシ
823 :
774RR:2008/05/25(日) 22:13:38 ID:qJcA7MIh
824 :
774RR:2008/05/25(日) 22:16:29 ID:pqj16HVA
サザエさん最終回
「カツオ、暁に死す」
「マスオ絶命・炎のハーレー」
「波平死す・男たちよ永遠に」
825 :
774RR:2008/05/25(日) 23:23:10 ID:BL32s97o
あー今日って日曜日だったんだ…
っC
826 :
191:2008/05/25(日) 23:53:09 ID:dGB3YSt0
827 :
774RR:2008/05/26(月) 22:08:36 ID:DV9I0uUU
191のはあっさりしてて良い
つC
828 :
774RR:2008/05/27(火) 00:32:29 ID:S3QsIvvp
乙っす。
最近250買ったのに191氏のせいで50買いたくなってきたw
829 :
191:2008/05/27(火) 01:10:27 ID:NME4Vptz
>>827 支援ありがとうございます!
>>828 乙ノシ
俺なんてT-SQUAREのCD買ったけれど和泉宏隆の方買いたくなってきましたw
朝焼けももうすぐ最終回。次は250で書けたら良いななんて思っています。
830 :
774RR:2008/05/27(火) 16:26:41 ID:LgBL1cQo
191氏は和泉宏隆好きなのか
831 :
774RR:2008/05/27(火) 20:56:40 ID:bXgHFZP+
俺もT-SQUARE好きだ。
THE SQUAREの時代から聞いてる。
191氏とはうまい酒が飲めそうだwww
832 :
774RR:2008/05/28(水) 12:58:52 ID:cEQUyvCS
魔棲夫はなんで違うスレに書いたんだろ
833 :
774RR:2008/05/28(水) 13:11:03 ID:MlTjSfzu
あれは魔棲男じゃないよ。
タッチは似てるがそもそも話が別。
834 :
774RR:2008/05/29(木) 00:20:47 ID:kX0PeJtK
ルーツのCMおもろいなw
「改造してるの?」
「どうかな」
電車の広告の方はバイク小説風なコピーだしw
835 :
191:2008/05/29(木) 00:53:43 ID:Ogu3Bbdr
>>830 和泉宏隆好きですよ。宝島は名曲過ぎるw
836 :
774RR:2008/05/29(木) 13:49:08 ID:ZAZG1ZMn
あぁ不動車でしかもカウル無しのNS-1一万で買っちまった…
いつか直して旅に出よう。
ゴメンよ250、浮気さしちくり。
837 :
774RR:2008/05/29(木) 16:58:23 ID:Wcp5wdPZ
漏れも250持ってるけど町乗り用にSCOOPYが欲しいぜ
838 :
774RR:2008/05/30(金) 03:55:14 ID:nEyi7g1P
正直、これだけ待たされると勝手に話を進めたくなる。
俺の脳内では勝手に話が進んでるんだ。
次回、「魔棲雄・狂気の朝焼」
ああ、勝手に書きてぇー。
839 :
774RR:2008/05/30(金) 07:23:02 ID:lpp5U7tC
840 :
774RR:2008/05/30(金) 12:21:45 ID:sRdGHo/Q
華氏とか波平氏とかどこいったんかなぁ
841 :
774RR:2008/05/30(金) 14:15:31 ID:0LboCJNm
>>840 華沢さんの話はおもしろかったから
またやってほしいな。
842 :
774RR:2008/05/30(金) 14:32:48 ID:k9guvVrv
まとめサイトが動いてないのも気になるところ・・・
843 :
774RR:2008/05/31(土) 00:58:12 ID:83L8oqUF
>>840 きっと遠くの空で見守ってくれてるさ・・・
844 :
774RR:2008/05/31(土) 10:58:06 ID:4tSou2P/
845 :
774RR:2008/05/31(土) 17:29:58 ID:rEWBE6tN
ビクスクは男が乗るように設計されてるのかな。女のビクスク乗りは超似あわない。似合うな〜と思った事は一度もない。原付だったら似合うんだよね不思議と。
大きいバイクでもMTは似合うね。髪を結んで腰やパンツも見せてるとムラムラしてくるし。
846 :
774RR:2008/05/31(土) 21:20:50 ID:xF7XBty9
クラウンに女が乗っても似合わないようなもんじゃない?w
847 :
774RR:2008/06/01(日) 01:17:16 ID:M4tpXlmN
いやビクスクこそ女の乗り物と思う。
荷物載るしATだし、何より跨るタイプじゃないから乗り降りが楽だろ。
似合う似合わないは性別じゃなくてその人自身の問題だ。
848 :
774RR:2008/06/01(日) 01:38:02 ID:2o8c4nHP
三河屋のサブちゃんにはZX-11が似合うって事?
849 :
774RR:2008/06/01(日) 02:54:53 ID:eGFlUw69
そもそもあんな便器は人間の乗り物じゃないだろ
850 :
774RR:2008/06/01(日) 07:49:49 ID:Te2tPOFr
>>191 おはようございます。本日も宜しくお願いします。
キョンとハルヒのツーリング物を執筆中です。機会を見て投下します…
851 :
774RR:2008/06/01(日) 11:20:03 ID:567mZVXo
>>842 まとめの中の人です。
4月に転勤があり、色々と環境が変わりました。
まとめが遅くなりますが、放棄はしませんので長い目でみてやってください。
852 :
774RR:2008/06/01(日) 12:12:15 ID:QdFH+jFJ
>>851 いろいろ忙しかろうが・・・(,,゚Д゚) ガンガレ!
過去ログは保存してんのか?
無いならお兄ちゃんたちに訊いてみな、誰か助けてくれるからよ・・・
だからボウズ、もう泣くんじゃねぇぞ
泣いたら、お天道様に笑われちまう
853 :
774RR:2008/06/01(日) 19:35:57 ID:T8VB9ppu
サザエさん40周年スペシャル
「オープニングで着る衣装大募集」に
魔棲男のツナギ着てるやつを誰か応募しろよ。
854 :
774RR:2008/06/01(日) 19:55:16 ID:V3CRdIAB
募集しているのは「サザエさん」だけじゃないの??
855 :
191:2008/06/01(日) 22:21:55 ID:C0d6et77
>>850 こんばんわになってしまいましたwwすいません!
ハルヒのツーリング物。是非読みたい!!
じゃあ、今からうpさせてもらいます!
拓斗はポツポツとビジネスホテルの窓を叩く音で目が覚めた。ベッドから起き上がり枕元にある充電器の刺さった携帯電話の表
示に目を遣る。
バックディスプレイには午前六時四十五分と表示されており、「早く起きすぎたな」と拓斗は頭を掻いた。充電器のプラグをコ
ンセントから抜き取り携帯電話から外してバッグに入れ、携帯電話はまた枕元に戻した。
さっきの音の正体を確かめるべく拓斗はベットの奥にあるカーテンを空けた。空には灰色の雲が低く垂れ下がっており、そこ
からは粒の小さい雨が降り続いている。その雨粒が窓を叩いていた。拓斗はそれを見た後、深い溜息を一つ吐きだらしなくベッ
ドに座った。
「雨か……面倒だな」
そう呟き、今度はベッドに横になる。このまま連泊をしてしまったらどれだけ楽だろうか。拓斗は心底そう思った。
「けれど行かなきゃな」
ムクリと状態を起こし、膝を叩いて立ち上がる。長くなる事を見越した旅だが、こんな観光客用のビジネスホテルに連泊するよ
うな時間は無い。立ち上がった後、バッグから歯ブラシと洗顔石鹸を取り出すと部屋の中の洗面台へと向った。
顔をつめたい水で洗った後、歯を磨く。さっきまでのまどろんだ意識がサラリと排水溝へと流れていくのが分かった。
それらを終える頃には、気だるいインドア派の顔つきから雨にも果敢に立ち向かうライダーのそれへと変貌していた。
歯ブラシと洗顔石鹸をバッグに戻し、今度は着替えを取り出す。ジーパンにシャツ、そしてフリースを羽織りその上からライダ
ースジャケットを着る。少し動きにくいが暖かい。着替え終わった寝巻きをバッグに詰め込んだ後、レインウエアを取り出す。袋
から取り出し皺を伸ばした後、バッグの上に広げる。
そうして、窓際に置いておいた部屋の鍵を持ってモーニングに向った。
一階の食処ではもう既に何人かのビジネスマンと見られる男性や数人集まって食事をしている学生旅行者風のグループが有
った。拓斗は空いた席に座りパンと珈琲とゆで卵を食べた。全てが及第点であり、飛び抜けて旨い物は無かったが食欲の無
い朝の空きっ腹を満たすに十分な朝食だった。
朝食を済まし、また部屋に戻る。レインウエアを着てバッグを小脇に抱えてカウンターへと向う。受付の男性はレインウエアを
着た拓斗に驚いたが、チェックアウトで鍵を渡す拓斗にすぐに笑顔を作り深々とお辞儀をした。
拓斗も軽く会釈をし、ホテルを出ようとしたときある事に気付いた。
scoopyのメットインにバッグを入れるから良いが、テントや寝袋はキャリアの上に置いてある。このまま雨の中走り出したので
は濡れてしまう。
拓斗はまたカウンターに戻り「大きいゴミ袋あったら一枚貰えませんか? 」と言った。
受付は一瞬怪訝な顔をしたので拓斗がテントと寝袋を包む事に使う事を告げると笑顔でホテルの奥に入りゴミ袋を二つ持っ
てきてくれた。
拓斗は深々と頭を下げ、お礼を言った後
「一枚で良いですよ」
と言うと受付の男性は
「破れた時の予備としてでもお使いください」
と笑顔で答えた。拓斗は再びお礼を行ってホテルを後にした。
たまにはホテルに泊まるのも悪くない。拓斗はそう思のだった。
駐輪場に行き、ゴミ袋で寝袋とテントを包みメットインにはバッグを入れ徳島へ向って出発した。
雨の中で走ると、いつも聞こえてくるヘルメットの隙間風の音だけでなく雨粒があたる音まで聞こえてくる。ヘルメットに当たる
と硬くて高い音、レインウエアに当たると低くて曇った音がする。
それらの楽器はどれも一定のリズムを刻まずにただ流れてく。その中でscoopyのエンジンのエギゾーストノートが主旋律を奏
でて一つの音楽となる。
拓斗は今まであまり雨の日にバイクに乗らなかった。たとえ乗ったとしても雨の日はバイクに乗る事が億劫になっていた。しか
し、今はこの音楽の渦の中でスロットルを回す快感に酔いしれている。
二時間ほど走ると左手に小さな喫茶店が見えた。
その喫茶店は何処にでもあるような物で屋根が平ぺったいコンクリート作り、全体が茶色っぽいウッド調、入り口は木製のドア
で上には喫茶一服と書いてある。
俊の友人が経営しているログハウスの喫茶店とは違って、周りは整えているが大事な本質が欠けている喫茶店だ。しかし、雨
の日はゆっくり走るに限る。そのような喫茶店でも雨の日の落ち着いた気分を演出する今朝二度目の珈琲を淹れるくらいは出
来るだろうと考えその喫茶店に入った。
その喫茶店には駐輪場が無く仕方なく屋根がある建物近くに停め、そこでレインコートを脱いだ。
脱いだレインコートは内側はもう既に少し湿気っており、外側がびしょ濡れだったので内側を上にしてscoopyのサイドミラーに
架けた。そうしていると、入り口から一台の緑色のバイクが入ってきた。
そのバイクは駐輪場を探して喫茶店の駐車場辺りをグルグルと回ったあと、拓斗を見つけるとscoopyの後ろに走り寄って停ま
った。その緑色のバイクはkawasaki:KLX250であった。
オフロード用のヘルメットを脱いだKLXのライダーは長身で三十代前半と言ったところだろうか、ヘルメットをサイドミラーに架
け、反対側のミラーで確認しながら指を髪にいれ平たくなった髪を持ち上げた。それを何度かすると満足したのか、レインウエ
アを脱ぎシートの上に乗っけて、乾きやすいように広げている。
その時、拓斗は彼に話しかけた。
「お互い雨の中大変ですね」
そういうとKLXの男はレインウエアに手をやりながら
「本当にそうですねぇ。昨日までは凄く晴れていたのに、急にこんなに雨に降られちゃ大変ですよね」
と言いながら笑った。
口では大変だとか言っているが、満更でも無い様子が伺える。
「そういえば、一人ですか? 」
KLXの男が聞いてきた。拓斗は頷く。
「俺も一人なんですよ。気楽で良い物ですよね」
拓斗は笑って
「確かにそうですね、一人だと出会いも多いですしね」
と言うと、KLXの男は頷いて
「今みたいに」
と言い、お互いに笑い合った。
KLXの男のレインウエアがKLXの上に綺麗に広げられ、二人は喫茶店の入り口へと向った。その途中で拓斗は
「あ、俺tactって言います。よろしく」
と遅れた挨拶をした。
KLXの男も
「俺は隆人。よろしく」
と返した。
喫茶店に入るとレジ台に立っていた高校を卒業したばかりかという位の美しいウエイトレスが寄ってきて
「いらっしゃいませ、お二人様ですね。奥の席へどうぞ」
と言って案内する。
席には小さい立方体の氷が沢山入った御冷が置かれた。
「ご注文が決まりましたら、お呼びください」
と言って、ウエイトレスはまたさっきのレジ台へと戻った。
拓斗と隆人、お互いに旅の話をする。隆人は二日前つまり水曜日に大阪から四国入りした事、高速を使って香川から徳島へ
入った事がわかった。
「やっぱりKLXで高速は辛かったよ」
隆人はそういったが、フィフティの拓斗にとって二百五十ccも有るのに辛いという意味が分からなかった。
拓斗も自分の旅の話をする。
「始めフェリーに乗るときに、カブに乗った爺さんが話しかけてきて……」
拓斗がそういうと、隆人はハッとして話を遮って拓斗に尋ねた。
「その爺さん、日本を何周してるって言ってた? 」
隆人が余りに真剣に聞くので拓斗は少し困惑しながらも
「二周目って言ってたよ」
拓斗のその言葉を聞くと隆人はおでこに手をやり
「すげぇ! それ絶対アラウンドだ」
と言った。拓斗は頷いて
「ええ、自分でアラウンドって名乗ってたよ。でも、それ誰? 」
拓斗が聞くと隆人は良くぞ聞いてくれましたとばかりに話を始めた。
「俺がオフロードバイクが好きになったのもアラウンドの影響なんだ」
拓斗は「へぇ、凄い人?」と聞くと隆人は頷いて説明を続けた。
「本名、土方銀二。キャンパーネーム、アラウンド。彼は兎に角自然とバイクを愛するアウトドア専門のフリーのライターでアウトド
アライフの本もいくつも出している。その本は無骨だけれども自然を破壊せず自然とアウトドアライフが共生するための方法が
びっしりと書いていあるんだ。それにそれだけじゃなく彼には小説家の一面もある」
拓斗はただ頷いていた。しかし、そろそろ珈琲が飲みたくなったのでテーブルの横に立ててあるメニューを出した。
「隆人、珈琲飲まない? 」
拓斗がそういうと、隆人は「そうだな」と言う。拓斗はレジ台の前に立っているウエイトレス呼び寄せブレンド珈琲を注文した。
「話を遮ってごめん。それで、そのアラウンドはどんな小説を書くんだ? 」
拓斗が聞くと隆人は「良いさ」と言い話を続けた。
「勿論バイク小説を書くよ。但し、普通のバイク小説ではない。バイクに乗っている人だけじゃなくバイクに乗っているときの浮遊
感まで再現してある小説を書くんだ」
拓斗は「それはすごそうだ」と言うと隆人は頷いて
「ああ、凄い。読んだらこの面白さと凄さが分かるよ。今度探してみるといい」
拓斗は「そうだな。今度本屋で探して見るよ」と答えた。
「じゃあ、そんなに詳しいならやっぱり隆人はアラウンドのファンなの? 」
拓斗が聞くと隆人は首を振った。
「ファンなんて物じゃない。本は全部持っているし、アラウンドが書いた記事も全部持ってる。俺はアラウンドオタクだろ思うね。
でも……」
拓斗は隆人の「でも」の後が気になり聞いた。
「でも? 何? 」
そういうと、隆人は
「会った事は無いんだ。だから、会ったtactが死ぬほど羨ましい」
と言って拓斗を指差した。拓斗は
「でも、アラウンドもまだ四国にいるんだからツーリングしてたら合えるかもしれないよ」
と言うと隆人は首を振った。
「俺はもう明日四国を発つんだ」
その言葉に拓斗は言う。
「残念だなぁ」
しかし、隆人は笑って
「いやいや、アラウンドに会った奴。しかもキャンパーネームまでつけてもらった奴に会えただけでもラッキーさ」
そういった。
その時に、ウエイトレスが茶色くて丸いプラスチック製の御盆に珈琲を二つ載せて持ってきた。
「ブレンド珈琲でございます」
ウエイトレスはそういって二杯の珈琲をテーブルの上に置いた。
珈琲の香りが立ち込め、拓斗はその中に砂糖とミルクを入れた。隆人はブラックのまま口へと運ぶ。
「今日は何も無いわけだよな? 」
拓斗は砂糖とミルクを入れた珈琲カップをマドラーで掻き混ぜながら隆人に切り出した。
「まあ一応ね」
隆人は珈琲カップを受け皿に置きながら言った。
「じゃあ、アラウンドを探しに行かないか? 」
身を乗り出して拓斗は言う。隆人はカップに目を遣り、珈琲を一口飲んだ。
一般的な苦味だけが強い珈琲が隆人の喉を伝う。
「アラウンドと会ったのは月曜だろ?」
隆人が言うと拓斗は頷いた。
「そして、今日は金曜日。月曜日も入れて五日間も経っているんだ。この広い四国でアラウンドを探すのは不可能だ」
そういって隆人はお手上げのポーズをとった。
「でも、一緒に探そう。万が一と言うこともあるさ」
しかし、拓斗は食い下がる。それに対して隆人は
「いや、万が一どころじゃないよ。それ以上だ」
そういった。拓斗は
「じゃあ、探しはしなくても一緒にツーリングをしながらキャンプ場を見て回るとか……」
とまだ諦めず言った。隆人はそんな拓斗を見て首を傾げながら
「なんで、そんなにアラウンド探しに拘るのか分からない。良いじゃないか、tactはもう会っているんだし」
と言ったが、拓斗は首を横に降った。
「そうじゃなくて、アラウンドのファン……いや、それ以上でしかもそのアラウンドが同じ四国の上にいるなら探したい。と言うか、
隆人を是非会わせたい」
そういうと隆人は噴出し「何だそりゃ」と言い
「まあアラウンドを探したい事はわかった。一緒に探してくれ。でもその前に、何でそんなに拘るのかを教えてくれないか?」
と続けた。拓斗は珈琲をもう一度マドラーで混ぜ、それを受け皿に置き珈琲を一口飲む。そして、少し考えてから
「俺はこの旅をするまで出来る事しかしなかった。でも、この旅でやって見る事の素晴らしさを学んだんだ。だから、それを実践
する為にもアラウンドを探したい! 」
真剣な顔つきで隆人に言った。当の隆人は真剣な顔つきで拓斗を見たが、すぐにプッと噴出した。それに拓斗はムッとすると
、隆人はフォローするかのように
「何かtactは青春だな。若いよ。……でも、そういうの嫌いじゃないぜ」
と言い、珈琲を飲み干した。拓斗も冷めかけた珈琲を飲み干す。
隆人と拓斗はレジに向った。朝の中途半端な時間な為か客は彼らだけで、手持ち無沙汰なウエイトレスはレジ台を机にして
暇潰しにメモ用紙に雨が降っている向かいの山をボールペンで書いていた。
二人がレジの前に立ったことに漸く気付くと、そのメモ用紙をすぐに丸めて
「あ……ありがとうございます」
と慌てて言った。隆人はそれを見て笑い
「君は絵がすきなの? 」
とウエイトレスに聞いた。ウエイトレスは恥かしそうに頬を掻きながら「ええ」と答えた。ウエイトレスは美しい女性で、栗毛色の髪
が揺れた。
「じゃあ、また君の絵を見に来るよ」
と隆人が言うとウエイトレスは照れて俯いてしまった。隆人はハッとした様に
「あ、御代はいくらだったっけ? 」
と言うとウエイトレスは、一瞬混乱して「ええっと……、なにを飲食されたんでしたっけ? 」と言ったが、すぐに
「あッ、珈琲二杯だ! 」
と自分で納得し「八百円です」とニッコリと営業スマイルに戻った。
隆人は千円札を渡しウエイトレスから二百円を貰った。
「珈琲美味しかったよ。ご馳走様」
そういって隆人は喫茶店を後にした。拓斗もウエイトレスに軽く会釈をして隆人の後に続く。
喫茶店を出て隆人は
「よし、真っ直ぐ行ってキャンプ場と道の駅を探すか」
と言い、拓斗は「そうだな」とかえした。
「ところで、隆人はカッコいいな。俺はあんな風に喋れないよ。一杯四百円の珈琲にしては普通だったから旨かったとも言えな
いし」
と拓斗が続けて言うと、隆人は大きく笑い
「それが若ささ。逆に俺はtactみたいに損得勘定無しのあんな強引な説得は出来ないさ」
と言ってKLXの元へ戻った。
雨は未だ止んでいない。まだまだ、雨音とエンジン音のジャムセッションは続きそうだ。
864 :
774RR:2008/06/01(日) 22:41:33 ID:FCyuCzGT
つC
865 :
774RR:2008/06/01(日) 22:44:19 ID:osBKfoAT
866 :
774RR:2008/06/02(月) 07:26:29 ID:BiStsjAI
つC
毎週楽しみっす
867 :
774RR:2008/06/02(月) 08:49:42 ID:4K2OCpJh
つC
やっぱり良いね。
雨の日にバイクに乗りたくなってきたよ
868 :
774RR:2008/06/02(月) 18:42:47 ID:qvATsFDr
俺の名はサブwww
居酒屋でバイトしてんだけどさw
ぶっちゃけあんなボロ酒屋なんかに就職する気ないしwつーかオレはもっとBIGになんだよw
夢?もつろんあるよwオレ仕事柄バイク乗ってんだけどさwスーパーカブwwwwwwwいずれはZ2とか欲しいな〜なんてw
けど今の収入じゃ無理だからさww高校ん時のツレ呼んでさww店の金横領しようって話になったんだよww
869 :
774RR:2008/06/02(月) 22:13:17 ID:MVCXXhGH
>>868 このスレの連中相手に、その稚拙な釣り程度で、期待通りの罵詈雑言レスを貰って、「釣れた!」と声高々に宣言しようと
企てるとは、まことに未熟であるのう。
色々勉強して、出直していらっしゃい。
870 :
774RR:2008/06/03(火) 06:26:15 ID:WZ/rDl/p
871 :
774RR:2008/06/03(火) 06:47:46 ID:QEkxC9lc
サザエさんの時代なら、酒屋で立ち呑みもできたんじゃね?
872 :
774RR:2008/06/03(火) 08:49:00 ID:pQbJvXp4
福岡時代なら角打(カクウチ:酒屋の店先で量り売りをしてもらうこと、博多弁という説アリ)もあったろうな。
東京のような屋台じゃ波平もさぞかしさびしかろう・・・
おそらく、中洲あたりじゃ名の通った男だったんじゃないか?
873 :
774RR:2008/06/03(火) 21:51:12 ID:N6p/3Ufd
さすがに量り売りの酒屋はもう無いが立ち飲みおkな酒屋ならまだあるよ。
874 :
774RR:2008/06/03(火) 23:54:13 ID:NJFOl8W2
女は軽自動車と原付しか似合わない。
875 :
774RR:2008/06/03(火) 23:55:25 ID:6J6XIvZ+
無駄にデカいの乗りたがるよね
876 :
191:2008/06/04(水) 01:16:12 ID:MDAYlxRs
877 :
774RR:2008/06/04(水) 09:05:49 ID:LXnfFhy4
あくまで批判ではないんだが、今回になって年上にもタメ口使う拓斗にいかんせん違和感があった…
ライダーとして成長したってこと?
878 :
774RR:2008/06/04(水) 14:20:08 ID:t5usX/X7
>>705 以前スズキさんに助けてもらったように今度はポルシェがパトカーを引きつけて(結果的に)助かるんだと思う
んでその速度差が悔しくてたまらなくて改造に目覚めてゆくマスヲ
879 :
191:2008/06/04(水) 23:59:53 ID:MDAYlxRs
>>877 そう考えて書いて居るつもりですね。
しかし、目上の人に対してのタメ口なので若干不快に感じるかもしれません。
880 :
774RR:2008/06/05(木) 01:50:11 ID:mRLpsgwo
>>874 カオリちゃんはTZRに乗って首都高の女王って呼ばれてるらしいよ。
で、カツオはNSRで首都高最速。90年代初頭の話だけどな。
881 :
774RR:2008/06/05(木) 22:09:35 ID:qh9Jeoi6
環状線の話ですよね!?
882 :
774RR:2008/06/06(金) 12:31:32 ID:weizoRXl
二十話くらいで完結しちゃうのかな?
883 :
191:2008/06/08(日) 15:35:48 ID:j6A1an+7
>>882 そうですね、大体それくらいで完結です。
884 :
774RR:2008/06/08(日) 20:32:04 ID:tiO/x8j6
ええい!今週のアップはまだか!
885 :
774RR:2008/06/08(日) 20:51:18 ID:/QxF7RAF
作者さんあっぷあっぷです。
では、アップさせて貰います!
喫茶店を出て徳島方面へと拓斗と隆人はて鉄馬を走らせる。隆人は拓斗の後ろを走っていた。
弥生の空に分厚い雲が敷き詰められていて、朝から降り続いている雨は降り止む様子も無い。雨の日のバイクも悪くは無いが
、バイクに乗って風と雨に曝されると、やはり気分も滅入ってくる。
拓斗は身を屈めてscoopyのスロットルを捻った。速度メーターはすぐに時速四十キロメートルくらいから六十キロメートル位
まで跳ね上がる。そして、後ろをサイドミラーで確認する。当然のことながら、何も無かったように隆人は後ろにぴったりとくっ付
いていた。
それをみて、拓斗は早く走るのを諦めスロットルを戻した。隆人もスロットルを緩め常に一定の間隔を置いている。そして、拓
斗は道路の左。隆人は道路の真ん中を走っている。それだから、隆人の後ろには少しずつ車が溜まってきていた。片側一車
線の為追い越しも出来ないのだ。
走っていて道路が広くなった途端に隆人は拓斗の少し右後ろにピッタリと付け右手を横に出し前後に振る。
そのサインで溜まった車はドンドン追い越していく。道がカーブになり追い越しが危険に成るとまた真ん中を走り追い越そうと
する車を制した。
峠でのハングオンやダートでのドリフト。そんな派手なテクニックは見せ無かったが、隆人にはしっかりとしたカッコいいバイク
乗りとしての気品ある乗り方をしていた。
そのお陰で、拓斗は車に追い越される恐怖を感じる事無く走る事ができた。
暫く走ると右手に道の駅・美良布の看板が出てきた。拓斗は右手を上げてその看板を指差すと後ろを走る隆人も“了解”と手
を上げてサインを送る。
二人は道の駅の駐輪場に入り、ヘルメットを取った。
「アラウンドは道の駅のリポートもよくするんだ。運がよければここで会えたりしてな」
隆人が笑う。拓斗も
「意外にすんなりいくかもよ」
と言って道の駅全体を見渡した。生憎この雨の中。車で来ている客ばかりでアラウンドどころかバイク乗りさえも居ないよう状
況だった。
拓斗は軽く溜息をついて
「まだ、一軒目だ。そう簡単に見つかったら逆に面白くないよ」
そういうと、隆人も頷き
「そうだな。見つかったら俺の旅も終ってしまうからな」
そう言って腰に手をやった。
「なぁ、tact。煙草吸っていいか? 」
隆人はそう言いながらポケットからタバコを取り出した。拓斗は「勿論」と答える。
煙草に火をつけ、吸った煙を空に向って吐き出す。煙は揺れ動きながら雨の中に消えていった。隆人が煙草を咥え、煙草
の箱の取り出し口を拓斗に向け“要るか? "とジェスチャーする。拓斗は首を振った。それを見て隆人は煙草の箱をポケット
に仕舞った。
「すまん、煙草嫌いだったか? 」
隆人が言うと拓斗首を振り
「いや、人が吸うのは全く構わないんだ。でも、自分が吸うと咽て駄目だ」
という。それを聞いて隆人は笑う。
吸っていた煙草がフィルター近くになってくると隆人は水溜りに赤々とした煙草の先端を着け火を消す。それをゴミ箱に入れた。
「よしっ、行くか! 」
隆人が言い、拓斗が「おう! 」とそれに答える。
二人はまた走り始める。
高知県から徳島県にかけてキャンプ場を巡った。ライダースイン億物部、べふ峡、あいあいランド……それら全てを探したが
何処にもアラウンドの姿は無かった。二人は道の駅:わじきに停まる事にした。
道の駅の六面マルチヴィジョンに映し出された時間を見るともう午後二時半を廻っている。
「隆人、腹減らない? 」
拓斗が聞くと隆人は「確かに、探すのと走るのに夢中で空腹に気付かなかったよ」と言った。
二人は道の駅わじきに併設してあるのぎくの里で飯を食べる事にした。
レインウェアの裏地は汗と浸みてきた雨水とで濡れていたので、それぞれのバイクに掛けて乾かした。のぎくの里に入りそれ
ぞれ定食を注文し、御冷を飲むとドッと疲れてきた。
拓斗は疲れの為か深い溜息を吐く。それを見て隆人は
「おっ? 疲れたか? 」
と聞くと、拓斗は「ああ、いつもはコレくらい余裕なのに今日はなんだか疲れるよ」
と答えた。隆人はそれを聞いて頷き
「雨の日は体温も奪われるし路面も滑りやすいからライディングの緊張感も増す。疲れはいつもより増すはずさ」
といって笑った。拓斗はそれを聞いて「そうだな」と答えた後続けて言った。
「でも、それだけじゃない。アラウンドが見つからないのは残念だよ」
そういうと、隆人は首を振った。
「そう簡単には見つからないさ」
そんな事を話しているうちに定食が運ばれ、温かいご飯が体全体を暖めていく。胃袋にそれらを全てしまった後、二人はまた
駐輪場に戻った。
レインウェアの内側の濡れはまだ乾いておらず、それを着ると冷たくて気持ちが悪い。拓斗が「冷てぇ」と言いながら着ると、隆
人は笑いながら「コレは何度バイクで雨の中乗っても慣れねぇな」と笑って言う。
レインウェアを着た後拓斗が言う。
「アラウンドは右回りに四国を走ってる。だから、ここで徳島へ向うよりも南下したほうが見つかるかもしれない」
そういうと、隆人は顎に手を当て考えた後
「そうだな。それに、このツーリングもアラウンド抜きにしても面白い。行こうか」
そう言い、二人は道の駅:わじきを出て県道五十五号線に乗った後南下した。
走り出して三十分ほど経った後途中の路側帯で拓斗が停まった。サイドスタンドを出して後ろに停まった隆人の下へ駆け寄
った。
「どうした? 」
隆人が聞くと拓斗が
「何処まで南下しようか? 明日には大阪に帰れる距離までが良いよね」
と話す。隆人は「うーん」と考えた後
「暗くなるまでで良いんじゃないか? 」
と言い、拓斗は「それ良いな」と笑いscoopyに戻っていった。
雨の中だったが二人が走る大きいアップダウンの有る土佐浜街道の楽しさで疲れを忘れさせてくれた。
二人は途中寄り道をしながら走った。潮吹展望台からみえる荒々しい波飛沫や山座峠からの海の展望を見、殆ど雨による靄
ではっきりと見る事はできなかったが十分に楽しんだ。
あんまり寄り道をしたせいで道の駅:日和佐に着くのに四時間もかかってしまった。
時間は既に六時で辺りは暗くなっていた。
走る拓斗を隆人が抜き去り、日和佐に入った。それを見て拓斗も道の駅に入る。
駐輪場に入り、ヘルメットを脱ぐと隆人は拓斗に
「もう、今日はここまでにしよう」
と言う。拓斗は太陽が沈んでしまった西の空を見て「そうだな」と答えた。
「で、何処に泊まるかが問題だな」
隆人がそう言いながらバッグからツーリングマップルを取り出し、それを拓斗が携帯電話で照らす。
「お! この辺にキャンプ場有るな! 」
そういって隆人がツーリングマップルのキャンプ場のマークを指差す。
「それいいね。もしかして、そこにアラウンドも居たりしてな」
そういって拓斗が笑うと、隆人も「たしかに」と言って笑った。
二人は既に六時で閉店して暗くなった道の駅の駐車場を出て海老須浜キャンプ場へと向った。
キャンプ場に着くと、テントサイトは今日の長雨で酷く泥濘でいた。テントを広げている人も殆ど居なかった。
「これはきついな」
隆人が言うと、拓斗は強く頷いた。
「今日は屋根があるところで寝たいな」
拓斗が言うと隆人が強く頷いた。
二人の意見が一致した為、入り口からUターンした。
たまたまあったコンビニに停まり再び地図を広げると拓斗があるものを見つけた。
「あ、ライダースハウスがある! 」
隆人もそこを良く見るとそこにはライダースハウスの文字が書かれていた。
二人はそこで泊まることにした。
ライダースハウスはで拓斗と隆人は一緒に晩酌をした。平日のせいか客は居らず、今日の走りの感想や隆人のアラウンドに
対する情熱などを話した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(朝焼けのハングオン:第十九話・おわり)ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
うp終わりです!
892 :
774RR:2008/06/08(日) 23:06:17 ID:+Fslb/sZ
乙
今から読む
893 :
774RR:2008/06/09(月) 00:31:09 ID:kySlMdNr
乙ー
つC
894 :
774RR:2008/06/09(月) 14:48:24 ID:YtBT6JOl
乙
もうすぐ終わっちゃうの??
895 :
774RR:2008/06/10(火) 01:26:28 ID:KGflLY1u
つC
言うまでもないと思うが、何話で終わらすとかじゃなくて、ちゃんと自分と読者が納得する形で完結させてよ。
まだ読みたいし。
>>892 >>893 乙!
>>894 もう拓斗は徳島県に着いていますからね。旅ももう終盤です。
>>895 ええ、頑張りたいと思います。
>>まだ読みたいし。
その言葉で力が沸きます!ありがとうございます!
897 :
774RR:2008/06/10(火) 08:20:02 ID:oPfzaqwL
つC
終わったら寂しいぜ
898 :
774RR:2008/06/10(火) 17:54:38 ID:sv7WWBH8
ていうか魔棲雄はいつ帰ってくるの?
あの臨場感をもう一度
899 :
774RR:2008/06/11(水) 10:11:37 ID:FqXUJjwS
つC
もうすぐ終わってしまうのか…
900 :
774RR:2008/06/11(水) 10:26:27 ID:6hJnVnj3
携帯小説は苦手なオレだから…魔棲男カムバーック!!
901 :
774RR:2008/06/11(水) 17:07:31 ID:F40JdDti
華沢さんもカムバーック!!
902 :
774RR:2008/06/11(水) 18:47:26 ID:iQTwm94A
>>900 携帯小説は駄目だがここの小説は読めてしまうな
903 :
774RR:2008/06/11(水) 19:08:05 ID:7Z/SSlWk
あんなゴミ小説と比べること自体間違ってる
904 :
774RR:2008/06/11(水) 21:34:15 ID:2AQHrcIn
>>191 つC
ハルヒのツーリング物を執筆してた者ですが、話がまとまらないので
ガンダムSEEDをベースにして大幅に書き直しをしてます。
こちらはやたらと筆の進みがいいです。
905 :
191:2008/06/11(水) 23:47:31 ID:TyyL+/if
>>904 支援サンクス!
俺としてはハルヒの方が見たいですww
でも、SEEDの方が筆の進みがいいということはそっちに期待ですね!
906 :
774RR:2008/06/12(木) 00:01:25 ID:ADsvsXsj
ハルヒ…
907 :
774RR:2008/06/12(木) 00:08:50 ID:rps3DDkP
SEEDでバイク?
シン「また免停になりたいのか!アンタ達は!!」
って感じ?
908 :
774RR:2008/06/12(木) 00:42:16 ID:L/9v8zJQ
エロ有りのハルヒがいい
909 :
774RR:2008/06/12(木) 17:50:59 ID:cpJrV0Kk
じゃあ俺はギアスで書かせてもらうよ。スレ違いだけどなー
910 :
774RR:2008/06/13(金) 01:46:26 ID:5WEjYpOp
911 :
ドキュソ:2008/06/13(金) 22:49:01 ID:cT6lkFFP
なぜバイクでなくてはならないのだろうか。
地下鉄がある、バスがある、車だってある。
なぜ俺達バイク乗りはバイクでなくては駄目なのだろう。
乗り始めるまではそんなこと考えもしなかった。乗り始めてすぐはただただ楽しかった。
俺達は何故バイクに乗り続けるのだろう。答えは出ない。
その答えを探すため、また愛車に跨り走り始める。
『どこか遠くの夕焼け』
第0話 「憧れ」
高校の頃、バイクや原付を乗り回す友達が羨ましくてたまらなかった。
自分とは似ても似つかない輝かしい青春時代を過ごす同級生達。
良い大学に行くためにそれまでの人生を費やしてきた自分、比べると惨めでたまらなかった。
親の見栄のために良い大学に行くために、塾に行き、良い成績を取り続けた。自分の時間なんかなかった。
中学時代は鬱憤を晴らすため学校と塾の合間を縫って数少ない友達と下らない悪さをして遊んだ。当然しばらくすると捕まった。親にこっぴどく叱られ、携帯を持たされ監視されるようになり、ますます自分の時間は持てなくなった。
だからこそ、なおさら、高校生になり、原付やバイクなど自分の力で飛び回る生活に憧れた。
だが教育熱心な親がそんなことを許す訳がない、「バイクは不良の乗り物」と言い出す始末、当然免許すら手に入らない。
思いは募った、俺は実家から出て遠くの大学に行くことを決意する。
苦節の末に遠方の大学に合格、どうしてもこの大学が良いと親を説き伏せ念願の一人暮らしを実現させた。学生寮だったが今までの生活に比べると天と地の差だ。
高校卒業から大学の入学式までの間、親に勧められるまま4輪の免許を取得した。俺はこれで原付に乗れると内心ほくそ笑んでいた。
そして念願の免許が交付された。
長い時間をかけ、俺はやっと自分の翼を手に入れるための一歩を踏み出したのだった。
第一話「憧れ」了
912 :
774RR:2008/06/13(金) 22:50:27 ID:cT6lkFFP
勢いでやった。
後悔してる。
913 :
191:2008/06/13(金) 23:52:21 ID:uytHjigI
>>911 いいですねぇ。
まだ続くんですよね?
つC
914 :
ドキュソ:2008/06/14(土) 00:33:02 ID:3yZdis1y
やっちまったなぁ。
0話なのに最後に1話って書いちまってる。
一応あと2話ほど書きたいなーと思っております。
915 :
774RR:2008/06/14(土) 01:53:17 ID:K3ipph+u
そろそろ次スレ立てなきゃな
916 :
774RR:2008/06/15(日) 00:05:52 ID:3wYXc9Id
過疎ってるから950まで待ってもいいんじゃないか?
917 :
774RR:2008/06/15(日) 12:03:12 ID:eP6CKUih
918 :
774RR:2008/06/15(日) 14:55:56 ID:W4Zmipkh
191氏まだー?
919 :
774RR:2008/06/15(日) 18:51:28 ID:Ajos0kV0
191氏の長さ次第だが
980くらいで十分だろう
920 :
191:2008/06/15(日) 21:41:38 ID:3UzHWRM0
そろそろ第二十話うpしてもいいでしょうか?
921 :
774RR:2008/06/15(日) 21:43:13 ID:sL3RL5Un
午前一時間。オーナーも自室に戻り、客の居ないライダースハウスの大広間に拓斗と隆人は居た。今日一日走
ってばかりでじっくり話が出来なかったという事で二人で飲む事にしたのだ。酒は酎ハイと日本酒のワンカップ
、肴はスナック菓子とするめ位しかない。しかし、二人はオーナーの手作りパンや美味しい料理を楽しんだ後の
ためか不思議と満足そうな顔をしている。
静かな部屋に、酎ハイのプルタブを開ける音がする。二人はそのまま缶で乾杯をした。
スナックを摘みながら今日のツーリングの話や好きなアイドルの話。そんな他愛も無い話をして盛り上がった
が不思議とそう時間は経っていなかった。
半時ほどして、二人は話題が尽きてしまい黙ってしまった。隆人はワンカップ瓶の上を持ってクルクルを回し
ている。少し酔っているのか、それから出るチャプチャプという音をまどろみながら聞いているようだった。
拓斗は一人でチビチビと酎ハイとスナックとを口に運んでいる。
少しすると、隆人から話し始めた。
「なぁ、tact。ちょっと俺の話していいか? 」
拓斗は口にスナック菓子が入っていたので無言で頷いた。
「俺さ。実は会社サボってこのツーリングをしているんだ。・・・・・・いや、正確には会社から逃げて・・・・・・かな」
拓斗は口に入ったスナック菓子を酎ハイで流し込み
「逃げて? どういうこと? 」
と首を傾げた。それに対して隆人はワンカップを座っている床において話し始めた。
それは二ヶ月以上前の話だった。
一月の終わり。少しだけ雪がちらつく夜だった。
会社から帰ったサラリーマンと飲みから帰った酔っ払い達が乗った電車が停まった。分解されかけのアセトア
ルデヒドの匂いとオフィス内に広がるコピー紙の匂いとが混じった空間から隆人は力なく出てきた。
駅の出口では若者達が集まって話している。今年もやはりフェイク・ファーが流行っているようで皆制服のようだ。
そんな彼らをうつろな目で見ながら駅から隆人の住むアパートまで歩く。途中のコンビニエンスストアに入り35
0tの恵比寿ビールを一本とビーフ・ジャーキーを買った。
アパートの自室に入ると、赤外線センサーで反応する玄関の裸電球が光った。その明かりを頼りにリビングの
電気を点ける。朝会社に出たままの状態の部屋がそこにはあった。隆人は手に持っていたコンビニエンスストア
の袋をテーブルの上に置く。そして、洗面所に行って嗽・手洗いを済ますとまたリビングに戻る。
そしてスーツの胸ポケットに入れてあるボールペンでリビングの壁にかけてあるカレンダーの赤い文字で書か
れた日にちに斜線を引いた。
「休みが無い」
隆人はそう呟いてコタツに向けてある座椅子に座った。
彼は半年ほど休みを貰っていなかった。しかし、特にキツイとも思わなかった。
座椅子に座ったまま、コタツの電源を入れる。暫くして足先に温かさを感じる。コタツ布団を捲るとその中は
真っ暗だった。
それを見て無性に寂しくなった。
「実家のコタツは明るかったのになぁ」
そう呟く。いつも通勤しているオフィス、通勤で乗る電車、会社以外で付き合いが少ない同僚。それら全てが
無駄が無く、効率的だ。そしてこのコタツも無駄な可視光ではなく赤外線のみを使っている。
それらが隆人は酷く嫌だった。このままこの無機質な空間に居るだけで自分自身さえも効率的で無駄の無い人
間に堕ちてしまいそうだったからだ。
隆人は毎週日曜日に気分だけでも休みになろうとして晩酌をする。その時に買うのは絶対に一番高い恵比寿ビ
ールにしようと決めている。そうでもしないと本当に自分の中の何か大切な物が失われていく気がした。
缶ビールを開け一口飲む。その後、口いっぱいにビールを含みごくりと飲み
「いやぁ、旨い! 生き返るなぁ! 」
と叫んだ。しかし、その声はすぐに拡散して消えてしまった。
隆人は深い溜息をつき、缶ビールを持ってベランダに出た。ベランダのコンクリート床の冷たさが足を伝い、
まだ寒い一月の風が頬を撫でた。
そして、彼はベランダの手すりに身を乗り出した。
彼はぼんやりと下を眺める。
そこには、学生時代に乗っていたバイクKLXが停めてあった。彼はそれを見て、缶ビールを持ったまま駐車
場に向った。
KLXの隣で胡坐をかく。缶ビールを一口飲んで、地面に置いた。
人差し指の横でチェーンを持ち上げた。弛みは数センチで許容範囲だったが、チェーンの駒の間からは赤い錆
びが見えていた。ステップを上に動かすとキィキィと金属の擦れる音がした。隆人は驚いた表情を見せながら、
立ち上がりバイクの前に行く。フロントフォークを見ると色を塗ったように茶色くなっていた。
「バッテリーは大丈夫か? 」
焦りながらそう言い、左手で腰辺りを探る。
「あ・・・・・・。部屋にあるか・・・・・・」
そういって、がっくりと肩を落とした。隆人は学生時代いつも鍵カラヴィナ・フックにまとめてくくりつけて
いた。先生から必要の無いものを持ってくるなと怒られたが、バイクの鍵を持つ事でいつでもバイクと繋がって
いられる気がしてそれは離さなかった。
社会人になり、バイクに乗らない日が増え知らず知らずの内に鍵も身につけなくなっていった。
隆人はKLXに抱きついて泣いた。
その日は数時間かけて真夜中にバイクを磨いた。
次の日の月曜日は、昨日のせいで眠く仕事も思うように進まなかった。そのせいで遅くまで残業をした。
その日は家に帰ってすぐ寝て、次の日に備えた。
そうして、またバイクのことは忘れていった。
それから一ヵ月半が経ちまたバイクを見ると錆びだらけで、しかも部屋から持ってきたキーでエンジンをかけ
てもかからなかった。バッテリーは完全に上がっていた。
隆人はKLXのKawasakiのロゴを触ると、力をこめて
「俺もKawasaki乗りの漢だ」
そういうと、すぐに部屋に戻った。
次の日会社に行き、すぐに上司に掛け合った。
「有給休暇を取らせてください! 」
隆人が上司に言う。上司は呆れた様子で溜息をつき何も言わずに仕事に戻った。
隆人も席に戻った。その日は早々に仕事を終らせ、すぐに会社を出た。途中の部品店でバッテリーを買い、家
に帰るとすぐにKLXの物と取り替えた。そのままKLXのグリスアップとメッキパーツを磨いた。
部屋に戻り押入れを開ける。
押入れには学生時代のバイク用品一式が片付けられている。それを全て引っ張り出し、数日分の下着と歯ブラ
シとサンダル、そしてテントと寝袋を詰めてKLXに積み込んだ。
キーを挿し、押し掛けする。中々エンジンはかからない。
「機嫌直してくれよ、相棒! 」
そう叫び、思い切り押しクラッチを話す。威勢の良いエンジン音が夜のアパートの駐車場に響き渡る。
隆人は四国に向けて走り出した。
話し終わった後、隆人は
「というわけなんだ」
と言い、少しだけ気分が晴れたようだった。
「じゃあ、会社ズル休みじゃないか! 」
拓斗は驚いた顔で言う。
「まあね」
澄ました顔で隆人は答える。
「でも、会社は大丈夫なの? 」
拓斗が言うと、隆人は
「まあ、風邪って言ってあるからな」
と言う。
「風邪って……、三日も休んだら不味くないか? 」
拓斗がそう聞くと、隆人は首を振り
「多分解雇だろうな。でもいいんだ。バイクに乗れない人生なんて駄目なんだ。それに会社は一つじゃあ無いしな」
隆人はそういう。
拓斗は「なるほど」と頷いた。
そして、隆人は続けた。
「tactみたいな変な奴にも会えたしな」
と言って笑った。拓斗は「変って言うな」と言い笑った。
拓斗も、隆人にこの旅の始まりを話した。隆人は真剣に聞いていた。
話し終わったと、隆人は
「そっか、辛かったろう? 」
と言って、拓斗の頭をポンポンと叩いた。拓斗は「でも、旅のお陰で乗り越えられたよ」と言うと、隆人は笑
って「それは良い」と笑った。
その時、拓斗の携帯電話が鳴った。
バックディスプレイには大紀先輩と書かれている。
拓斗はそれを隆人に見せ「どうしよう」と聞く。隆人は深く頷いて「頑張れ! ケジメ付けて来い」と背中を
叩いた。
拓斗は携帯の通話ボタンを押した。
-----------------------------------(朝焼けのハングオン:第二十話・終わり)--------------------------------------------------
927 :
774RR:2008/06/15(日) 22:10:18 ID:sL3RL5Un
乙!
C
928 :
774RR:2008/06/16(月) 01:24:20 ID:aC+4/Gko
191氏お疲れさま〜
つC
929 :
774RR:2008/06/16(月) 03:58:01 ID:2dpDtl3S
乙!完結!??
930 :
774RR:2008/06/16(月) 05:02:23 ID:HhGJHHpM
先輩時間考えましょうよ
931 :
774RR:2008/06/16(月) 11:00:09 ID:XdbcSjec
>191
そろそろ終わりそうな雰囲気だけど俺が死ぬまで続けてくれ
つC
932 :
774RR:2008/06/17(火) 09:21:41 ID:aDhl/33u
終わって欲しくないなぁ
つC
933 :
774RR:2008/06/17(火) 12:42:14 ID:n6SonRC2
C
朝グオンはクオリティ高いな…
投下しづらいw
934 :
774RR:2008/06/17(火) 19:52:03 ID:J76XuwJh
キニスンナ。演習だと思って投下しる
935 :
191:2008/06/18(水) 00:03:21 ID:kvNGKpFN
>>933 そんな事無いですよ!
俺なんてスレチですからww
期待してます!
936 :
774RR:2008/06/18(水) 07:24:37 ID:ODZfZA64
なんというヌクモリティwww
937 :
774RR:2008/06/19(木) 08:21:57 ID:QE/KzZmY
もう次スレはサザエさんの名前要らないな
938 :
774RR:2008/06/19(木) 13:01:52 ID:l0EtGxES
他の書き手もいるしね。
早くうp来ないかな〜
939 :
774RR:2008/06/19(木) 14:07:25 ID:THurDDNc
940 :
774RR:2008/06/19(木) 22:15:16 ID:vlFa7WX+
【魔棲雄】サブちゃんに似合いそうなバイク11【191】
941 :
774RR:2008/06/19(木) 22:39:16 ID:UxeC4R0r
↑ 真面目に検索かけた俺って・・・・
942 :
191:2008/06/20(金) 00:24:44 ID:Xlblrakm
>>941 ちょっwww
突然ですが、パソコンがクラッシュしましたorz
今は携帯から書き込んでます
だから今週のアップは厳しいかもしれませんm(_ _)m
943 :
ドキュソ:2008/06/20(金) 17:00:42 ID:8u81oesx
なんと!
パソコンの復帰に集中なさって下さい。
待つのには慣れてますから。
変わりといってはなんですが911の続きを投下します。
ヌクモリティに感謝ノ
944 :
774RR:2008/06/20(金) 19:43:52 ID:HXApBSDm
945 :
774RR:2008/06/20(金) 20:39:43 ID:sqAWwelj
>>944 これはイイwwwwwとてもイイwwwww
946 :
774RR:2008/06/20(金) 21:16:37 ID:Svqs6KvY
アゴナシwwwwwwwww
947 :
774RR:2008/06/21(土) 01:12:12 ID:sFApMy66
948 :
774RR:2008/06/21(土) 11:20:06 ID:nGVJeiwW
ふう、、
今日も雨か
949 :
774RR:2008/06/21(土) 13:10:50 ID:73R9O2p5
950 :
191:2008/06/21(土) 22:21:00 ID:C9oEV05I
951 :
774RR:2008/06/21(土) 23:29:49 ID:U844sTET
952 :
774RR:2008/06/22(日) 00:16:10 ID:9noStt15
953 :
774RR:2008/06/22(日) 00:48:20 ID:uRCmirh8
954 :
774RR:2008/06/22(日) 13:01:49 ID:f/ar+jCc
今日は191氏のうpの日だけど…
955 :
191:2008/06/22(日) 14:04:44 ID:WYq4c6T6
パソコン買いました!
来週の土曜までに来るらしいので来週朝グオンアップします!
>>954 パソコンぶっ壊れたからアップ無理なんです(´・ω・`)
956 :
774RR:2008/06/23(月) 09:39:11 ID:aFcSSgSX
>>850 SEEDよりもハルヒのほうを読んでみたいです。
なんかいまいちSEEDキャラがバイクに乗ってるところは想像できないなぁw
957 :
774RR:2008/06/23(月) 13:17:06 ID:J31KJ2LV
朝グオンの続きが気になって仕方ないぜ
958 :
774RR:2008/06/23(月) 20:09:43 ID:U1nldxQS
1000kmの旅を愛車と終えた夜 ――
一杯の熱い珈琲が 次の旅へと 想いを走らせる。
。, .゚。 + ☆。,゚. o 。+ 。゚.,
゚. o * 。 ゚。 ゚.。 ゚。 +゚ 。 ゚
゚ ` .゚ . . ゚. . ゚ . ゚ . ,
. . 。 . , 。
゚
。゚ 日
(*'∀`)ノ ∫ ○ ∠〆〜_-ワ
人_',ヘヘ へ.aノ人 《*)ゞ≦0《*)
‐''"´''""゛'"`''"´'''"″"''"`''""''"`''"`'"`"'``'‐
959 :
774RR:2008/06/23(月) 20:12:31 ID:r71fWcrB
>>956 キョンがバイクに乗ってるところも想像できないなぁw
960 :
774RR:2008/06/23(月) 22:50:36 ID:jj5xggnk
>>956 バイクが出てきたのはDESTINYの21話だけかな?
間違ってたらスマソ
961 :
774RR:2008/06/23(月) 22:55:26 ID:DAlMPjzm
シンが海沿いを走るシーンだっけ?
そんでステラに出会うと。
962 :
774RR:2008/06/23(月) 23:34:37 ID:SDl33Wky
963 :
774RR:2008/06/24(火) 01:01:25 ID:Qy8jEKDt
964 :
774RR:2008/06/24(火) 01:30:36 ID:fz5OpiJx
Y2K
965 :
774RR:2008/06/24(火) 02:06:09 ID:ksIo04fs
966 :
774RR:2008/06/25(水) 01:35:22 ID:jeWJRaCP
191氏まだかな?
967 :
774RR:2008/06/25(水) 01:54:32 ID:aUIUBMT1
968 :
774RR:2008/06/25(水) 03:15:26 ID:z7SEpWvl
俺はツッコミの方が良い仕事したと思ったがw
969 :
774RR:2008/06/26(木) 09:14:00 ID:6Oq2wqQp
あと32レスで1000。悪いが1000は貰うぜ!
970 :
191:2008/06/27(金) 00:40:04 ID:LDCcZlOz
新しいパソコン来ました!!!
ようやく、朝グオンを更新することができます!!
971 :
774RR:2008/06/27(金) 09:44:25 ID:6NeCtc4b
>>969 1000は俺のもんだ。君には997くらいをあげるよ
972 :
774RR:2008/06/27(金) 11:04:24 ID:0LfShgWj
いや 意外と191氏がとるんじゃないかとww
973 :
774RR:2008/06/27(金) 11:16:45 ID:639OF2/5
新しいパソコン
キタ━(・∀・)━!!!!
974 :
774RR:2008/06/28(土) 00:48:24 ID:yUDgOOOK
974!
何としても1000取るぜ!
975 :
191:2008/06/28(土) 02:13:17 ID:CW/D5dgf
このスレではまだ朝グオン21話はうpしないつもりです。
とりあえず、次スレで!
976 :
774RR:2008/06/28(土) 13:32:15 ID:6jFpRxXK
じゃ埋めるか
977 :
774RR:2008/06/28(土) 13:40:21 ID:yUDgOOOK
じゃあ埋めよう
978 :
774RR:2008/06/28(土) 18:59:15 ID:fFLrIHTC
埋めよ埋めよ
979 :
774RR:2008/06/28(土) 19:07:49 ID:lXyBmX7Y
ポップギャル
980 :
774RR:2008/06/28(土) 19:24:03 ID:qYoFyZJy
ラッタッタ
981 :
774RR:2008/06/28(土) 19:29:47 ID:6jFpRxXK
ギャース!!
さぁ何の鳴き声でしょうか?
982 :
774RR:2008/06/28(土) 19:41:05 ID:ei84jZz+
ウメコ
983 :
774RR:2008/06/28(土) 20:42:00 ID:dZDp0GRT
ウ〜ウ〜ウメウメ!
984 :
774RR:2008/06/28(土) 21:42:57 ID:yUDgOOOK
984!
985 :
774RR:2008/06/28(土) 21:48:58 ID:fFLrIHTC
梅梅〜
986 :
774RR:2008/06/28(土) 21:49:41 ID:fFLrIHTC
もう一度梅ておきますね
987 :
774RR:2008/06/28(土) 23:33:38 ID:yUDgOOOK
987!
今日中に埋めてやるぜ!
988 :
774RR:2008/06/28(土) 23:47:28 ID:XLSVllIp
もうちょいか
989 :
774RR:2008/06/29(日) 00:02:47 ID:gSEgecLF
記念に
990 :
774RR:2008/06/29(日) 00:18:38 ID:lKtNyFgO
記念真紀子
991 :
191:2008/06/29(日) 00:43:57 ID:SCiMtJRP
ああ、あと10レス。
992 :
774RR:2008/06/29(日) 00:49:17 ID:yu/wCbbQ
次スレまだ〜?
993 :
191:2008/06/29(日) 00:56:37 ID:SCiMtJRP
あと8レスですね!
994 :
774RR:2008/06/29(日) 01:44:31 ID:V2D5A91F
魔棲雄氏も待ってるぜ
995 :
774RR:2008/06/29(日) 02:11:04 ID:gSEgecLF
華もな
996 :
774RR:2008/06/29(日) 02:13:46 ID:d3cqxfES
埋め
997 :
774RR:2008/06/29(日) 02:23:10 ID:mjdldRSH
サブチャソに似合いそうなバイク=やっぱハヤブサだな
998 :
774RR:2008/06/29(日) 02:43:55 ID:yu/wCbbQ
999 :
774RR:2008/06/29(日) 02:48:27 ID:d3cqxfES
やっぱ、このスレのハイライトはそれだなWWW
1000 :
774RR:2008/06/29(日) 02:49:20 ID:1VqprQoe
げとお
1001 :
1001:
1000kmの旅を愛車と終えた夜 ――
一杯の熱い珈琲が 次の旅へと 想いを走らせる。
。, .゚。 + ☆。,゚. o 。+ 。゚.,
゚. o * 。 ゚。 ゚.。 ゚。 +゚ 。 ゚
゚ ` .゚ . . ゚. . ゚ . ゚ . ,
. . 。 . , 。
゚
。゚ 日
(*'∀`)ノ ∫ ○ ∠〆〜_-ワ
人_',ヘヘ へ.aノ人 《*)ゞ≦0《*)
‐''"´''""゛'"`''"´'''"″"''"`''""''"`''"`'"`"'``'‐