「泉こなたを自殺させる方法」避難所

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1名無しさん@お腹いっぱい。
大生が落ち着かない人はこちらへどうぞ
大生がまた陥落した時の避難所にもどうぞ
本スレでアンチが暴れ出したら、誘導どうぞ

■前スレ
「泉こなたを自殺させる方法」を考える25
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1219842071/

■保管庫等
こなた自殺Wiki
http://www34.atwiki.jp/konataowata/

つかさビッチWiki
http://www10.atwiki.jp/tsukasa-bocchi-owata/

VIPのらきすたSSまとめ
http://www34.atwiki.jp/luckystar-ss/

らきすた呼称リスト
http://www.syu-ta.com/luckystar/luckystar-namecalled.shtm
2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 14:00:26 ID:MijX6kxj
「泉こなたを自殺させる方法」を考える26
http://ex24.2ch.net/test/read.cgi/campus/1221873913/
関連リンク
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 14:33:17 ID:ij8qnf63
        /二二ヽ
         |    |
         |  |||  |
         |..ε  |  >>1
         |  |||  |
         | ・  .|
       __|    |__
      / └──┘ \
     |´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ソ
     ソ::::::::::::::::::::::::::::::::ソソ
   / ソ ̄|;;;;;;;lll;;;;;;;| ̄ソ \
   |´ ̄ ̄ |. [廿] .|´ ̄ ̄.|
   |:::::::::::::::|      |::::::::::::::|
   |:::::::::::::::| ̄ ̄ ̄|::::::::::::::|
    . ̄ ̄ ̄|_______|´ ̄ ̄゛
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 14:55:29 ID:aYHRdl8J
避難所もうあるよ〜
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 21:30:19 ID:oJp2I7Y5
いや、JEDIさんや大阪さんが大生に気後れしたら損害大だ。
つーか大阪さん最近見ないしな。
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 23:51:03 ID:aYHRdl8J
無理に大生に戻るメリットってあるの?
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 00:28:39 ID:V7suLzE3
あんま無かったな。
特に書き込みが増えたわけでもなし。

それはそうと復帰おめ^^
そろそろWIKI未収録作品の登録作業でも開始しよっかな…
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 00:41:38 ID:WKq6oqV0
>>7
おつかれさまです
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 11:46:07 ID:gdLAF7Sr
大阪は何処…?
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 22:11:33 ID:YItM4IC9
本スレの空気は今叩きか。静観するとしよう。
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 01:28:25 ID:Rd9IZqqv
おっと、これが貼られてないぞ

         / /         |    ヽ   /      , ´
 楽 楽 は 弋´  /     ___| \  〉-/_,. -‐     /
 し  し  ぁ   .> /   /――-ヽ__Y^y      /
 い い は  (_ /   /-―- ./ /   爪     /
  l !! っ  (/   /´ // /`/  /://:::|`―< ヽ
 よ    は   \ /  //_∠__/  /://::::,' |l \〉 .ハ
  l     っ /⌒ 7 /ィ≠''''ニミヽ/:://::::/ /l l:| |‖ |
!!      |   //_イ/ /  ', }}::::::〃::::/./:/ヽl:| | l| |
         弋 //::::  /  / / ::::/::::::/厶〈 ハ | | ‖
         /⌒,/:::::::  l   /.::::::::::::::::/,イΞミ〈// 人_人||人_ノ
ヽ/⌒ヽ(⌒Y  /:::::::::::ヽ _ー::::::::::::::::::::::::: / } |l<
   | .|| | |l  |       ::::::::::::::::::::: / / / jj::::::} は は あ
   ヽ|| | |l ∧   ト⌒\   ::::::::: し _〃:<  は は っ
     ヽ从ハ | ヽ   |  \ ` 、 ′ ヽ..::::::::::/  ) ぁ. は は
   _ /ヘ| \ ヽ   `ヽ、__フ   :::::::/<   l   は は
         |   \   _)/      / / ヽ !! は は
            l:::>  __,   -‐ ´ /_ノ     は は
            l:/ =ニ二三≠イ //  `ヽ

12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 13:13:49 ID:14jqg+n7
こなた「ふふん、いよいよ私を自殺させるのも飽きたかな?」
13名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 19:45:15 ID:e9UMRQ6c
>>9

かがみ→良心
みゆき→ヘタレズ、黒幕
つかさ→黒キャラ

最近
かがみ→黒化
みゆき→ヘタレ
つかさ→白化
14名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 19:45:48 ID:e9UMRQ6c
>>9って何だ
レスアンカーは放置でよろ
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/30(火) 14:33:43 ID:JnyEDZk5
ここだけVIP
16名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/30(火) 15:48:28 ID:jLRBUSzS
伊賀市、昨年度までの「在日」の減免認める 市県民税を半額に

三重県伊賀市が数十年前から市内の一部の在日韓国人や在日朝鮮人を対象に市県民税を減額していた措置について市は12日、
「昨年度まで市県民税を半額にしていた」と認めた。同県内では桑名市で本年度も同様の減免措置を講じていることが判明。
四日市市に合併前の旧楠町でも減免していたことが分かった。
伊賀市の減額措置は、昭和30年代から40年代にかけ、当時の上野市(現伊賀市)が、地元の在日本大韓民国民団(民団)や
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との交渉を経て開始。市長が特例で認めたという。当時は納付しない人も多く、半額でも徴収したい、と始めたらしい。
35年ほど前は算定額を低くしていたり減額率が細分化していたりと方式は一定ではなかったが、最近10年は納付額を一律に半減。
市は2004年11月の合併前まで市市税条例にある減免条件「(市長が)特別な理由があると認める」場合に相当するとして
慣例として単年度の市長決裁を受けずに適用していた。
昨年度に半減措置を受けたのは市内の定住韓国・朝鮮人約400人のうち個人事業主を中心に在日韓国人35人と在日朝鮮人18人。
市が該当者分の納付書を民団と総連にまとめて送付。それぞれの団体が取りまとめて納税していた。
他町村との合併協議の中で「減免措置があるのはおかしい」との指摘を受け、民団、総連と協議。05年11月に翌06年度で全廃することで合意した。
民団三重県伊賀支部の申載三・支団長は「3年前に支団長になって措置を知った。参政権などを求めるのに日本人と違うのは不公平だと改善に応じた」と話す。
総連伊賀支部の金栄泰委員長は「過去の経緯は話せない」と語った。
伊賀市は市民税と合わせて徴収する県民税も半額にしていたが、伊賀県税事務所は「減額は市の裁量だが、半減措置は知らなかった」という。
県市町行財政室は「地方税上、条例の定めのない減免はできず、条例がないなら問題」、総務省市町村税課は「減免は各市町村が判断し条例で定めるが、
このような例は初耳」としている。

(中日新聞 )
ttp://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007111302063852.html
17名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/30(火) 23:27:18 ID:geM4p/Bn
コピペの人も復活したか
18名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/01(水) 02:38:06 ID:htuPLDzY
こなたは言いました。
「自殺は推奨されるべきものではないけれど、
非難されるべきものでもない」と。
19名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/01(水) 14:06:01 ID:uhsPepzD
大阪が復活するまで保守してやんよ
20名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/02(木) 00:40:58 ID:2kIb+df5
今更ながら筋肉氏のデビュー作追加。
つーか過去ログ見直したら、保存されてない作品多すぎワロタw
…誰かへるぷみ
21名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/02(木) 01:38:01 ID:3RwDAkSk
    |ii||iii;;;i;;;;ii;iill|
    |ii||iii;;;i;;;;ii;iill|
    |ii||iiii;;i((Oill|       
    |ii||iii;;;i;;;;|i:::li|
    |ii||iii;;;i;;;;;|/_⌒ヽ⌒ヽ
    |ii||iii;;;i;;;i:/` ゚` :.; "゚`ヽ
    |ii||iii;;;i;;;l/   ,_!.!、  ヽ   アイモ〜!アイモ〜!
    |ii||iii;;;i;;( __ .⊂⊃  , , )     
    |ii||iii;;;i;/  /⌒     i
   r^-、ii;;ii_/  ィ    / )
   ヾ.__,、____,,/    /'"
    |ii||iii;;;i|        ノ
   / ̄ ̄ヽ、     ノ
   (,           |
    ',  \     ,  i
    |ii',   ';;ヽ _,ノ_ノ
    |ii||',  ',;;ii;iill|/
    |ii||ii) ヽi;iill|
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    |(__/;i;;;;ii;iill|    
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    |ii||iii;;;i;;;;;|/_⌒ヽ⌒ヽ
    |ii||iii;;;i;;;i:/` ゚` :.; "゚`ヽ
    |ii||iii;;;i;;;l/   ,_!.!、  ヽ   アイモ〜!アイモ〜!
    |ii||iii;;;i;;( __ .⊂⊃  , , )     
    |ii||iii;;;i;/  /⌒     i
   r^-、ii;;ii_/  ィ    / )
   ヾ.__,、____,,/    /'"
    |ii||iii;;;i|        ノ
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    ',  \     ,  i
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    |ii||iii;;;i;;;;;|/_⌒ヽ⌒ヽ
    |ii||iii;;;i;;;i:/` ゚` :.; "゚`ヽ
    |ii||iii;;;i;;;l/   ,_!.!、  ヽ   キラッ☆
    |ii||iii;;;i;;( __ .⊂⊃  , , )     
    |ii||iii;;;i;/  /⌒     i
   r^-、ii;;ii_/  ィ    / )
22名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/02(木) 09:59:23 ID:2zLEv0Z6
板違い
23名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/02(木) 18:21:52 ID:MgkiubW8
マスゴミはこんにゃくゼリーの注意書き無視してガキに食わせて窒息死した場合は
製造禁止させようとするくせに
パチンコが原因で事件事故が繰り返されても
禁止のキの字も言わない

24名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/02(木) 22:01:59 ID:7Y1vtFaL
本スレ落ちちゃった
25名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/02(木) 22:40:05 ID:L3siS0Qh
俺がぼっちに浮気している間に…。
まぁこっちあるからいいか。
26名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/02(木) 22:47:55 ID:K6JM3V8t
ゴミスレいぇい!糞スレいぇい!
人生の敗北者が集まるスレいぇい!
27名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/03(金) 00:33:41 ID:3vLtbi4K
そーいや、デフォ北は句点使わないのな
普段のレスはともかく、SS内だと句点使ったほうが楽じゃね?
28名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/03(金) 00:49:06 ID:7F8hcwW/
>>27
お気づかいありがとうございます

昔は普通に使っていました
でも、最近は句点を使わないことで文章を明確に終わらせず
曖昧かつ不安定に展開していく演出と余韻を醸し出すために、敢えてつけていません
29名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/03(金) 00:52:25 ID:RXtGNMXV
デ・トマソ・パンテーラ
30名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/03(金) 10:45:05 ID:Dur25mQ0
スレ落ちてた
せっかく保守したのに
31名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/03(金) 12:05:56 ID:8H97X91O
最近沖縄見ないな
32名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/03(金) 16:32:22 ID:A0NYySao
最近容量オーバーで1000まで行かないことも多かった自殺スレも、
大生に戻ればdat落ちか orz

ぼっちスレが生き残ってるところに、大生らしさを感じた。
33名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 00:35:49 ID:gewDXh6w
またもや大生壊滅w
こなた自殺対策担当大臣、責任取って自殺してもらおうか。
34名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 01:07:43 ID:kgQqJjX8
ホラーって需要あるんですか?
自殺ならぬ自殺行為って感じで

いや、聞いてみただけ
35名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 12:27:00 ID:q80ac1Zt
ホラーっぽいのは過去にもあったかな?
個人的には俺に需要があります
36名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 13:17:54 ID:kgQqJjX8
需要ありますか

よしよし
37名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 17:56:37 ID:2gfptqVK
今読み返してたらC組不幸すぎ吹いたw
なぜか生存率の高いみゆきやつかさとエライ違いだ

かがみ:7割方死ぬ。妹に裏切られるわこなたに見限られるわで散々
生き残ってもこなた失って精神崩壊
黒キャラ化しても最期はヘタレキャラ化して死ぬ
こなた以外で死亡数トップ

みさお:出番がない。出てもバカキャラ扱い
死亡率(死亡数/出番)も異常に高い。周りの引き立て役
ヴァを言わせる為だけに出てくるのが大半
かっこよかったのは罪咎くらい

あやの:出番がない
出ても自分が死ぬか彼氏が死ぬか両方死ぬか
こなた以外で死亡率トップ
不幸にならなかったのは罪咎くらい
38名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 22:42:29 ID:kgQqJjX8
ホラーのSS製作中です
多分 一時から投下します
39名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 23:34:42 ID:JmG8qv9P
本スレ立てないの?
アニメ板に逆戻り
40ヤク中大分:2008/10/04(土) 23:46:59 ID:PMppgmjx
ttp://upload.jpn.ph/upload/upload.php?id=27386
サイケデリック4
皆様がやるようにためてから投下したほうがいいのかな?
4138:2008/10/05(日) 00:23:32 ID:scD2ud1Y
すいません やっぱ二時くらいになります
本スレたってからのがいいのかなあ?

>>40
峰岸が普通に可愛くて萌えました
42おいかけさん:2008/10/05(日) 01:48:51 ID:scD2ud1Y
投下します

【おいかけさん】

http://upload.jpn.ph/upload/img/u27400.jpg


草木も眠る丑三つ時・・・・今は深夜の三時だ
いつもなら家にいて各々の時間を過ごし
ある者は眠り、あるものは勉学に励み、あるものは遊戯に勤しむ
そんな時間である

でも・・・私達は今、学校に居る

どうしてかって?

それはね・・・・鬼ゴッコする為なの

暗がりの広がる無機質な空間
昼間は生徒でごった返している廊下も非常灯の光が頼りなく揺れるだけのお化け屋敷だ
その中に四人の少女が立っている

「流石に夜の学校ってのは・・不気味ね・・」
「あれぇ?かがみん怖気付いちゃった?」
「なわけないでしょ!アンタこそ謝るなら今のうちよ!?」
「む〜!」

「あはは・・・・」
「あ、皆さん・・・そろそろ時間ですよ?」

半分あきらめた様に笑うつかさの隣で、みゆきの凛とした声が暗がりに木霊した
こなたは「ふん!」と鼻息を荒げた後、眼光をかがみに向けたまま大きな声で吐き捨てた

「じゃあ、今からやり方を言うからね!誰かさんはしっかり聞いててね!」
「はいはい!はやくおっしゃってください!」

夜の三時とは思えないほど賑やかなこなたとかがみ
このお話は二人のささいな喧嘩から始まった

43おいかけさん:2008/10/05(日) 01:50:00 ID:scD2ud1Y
あ、ちょく失礼・・・

今から始まる鬼ゴッコ、これは勿論普通の鬼ゴッコなんかじゃない
それは、おいかけさんの鬼ゴッコ

『おいかけさん おいかけさん 次は貴方が鬼の番
 闇夜の晩に逃げ惑う 月夜 見返りの鬼ゴッコ
 追い掛けされど詠みの不知 丑三つ時に戯れよ
 おいかけさんと鬼ゴッコ おいかけさんと鬼ゴッコ』

 ・・・・・

「ええ?鬼ゴッコぉ?」

釣り目のツインテールが『馬鹿馬鹿しい』といった感じであきれた声を上げる
それを見てもなお嬉しそうに碧い髪の小柄な少女は笑った

「そうそう、深夜の学校で鬼ごっこしたら『おいかけさん』が出るらしいよ〜、どろどろ〜って」
「ひ〜・・・ブルブルするよ〜」
隣で両手を抱いて真っ青な顔でうずくまる様に座るのは黄色いリボンの少女だ
そして、礼儀正しく背筋を伸ばしてその話を聞く眼鏡で優等生風の令嬢が口を開く

「それは例え噂でも・・・少し怖いですねぇ・・」
「だから、みゆきさん〜噂じゃないってば〜」
「あ、すみません」
「こなた、だいたいあんた真に受けすぎなのよ!みゆきも謝らないの!」
「かがみんには愛がない上に夢がないんだよね〜、つかさとはえらい違いだよ」
「な!?どうせあたしは愛のない女だよ!」

両手を肩の辺りで開いてみせるこなたの挑発に、かがみは顔を真っ赤にして食って掛かる
しかし、その妹は未だに体を振るわせて「う〜」と唸っている
その佇まいは小動物のそれを思わせた
みゆきは二人の仲裁にかいがいしく立ち回る・・・いつもの風景、いつもの仲良しだ
44おいかけさん:2008/10/05(日) 01:51:53 ID:scD2ud1Y
卒業の記念に鬼ゴッコをしようという提案があがったのは
その日の放課後である

「絶対いないわよ!」
「絶対います〜」
「いない!」
「いる!」

放課後の鐘がなり、教室前で鉢合わせてから数分はこの会話が続いているのだ
いいかげんつかさもみゆきも困った表情を浮かべている
周囲の生徒も面白がって見ていたが、しだいにマジになる二人に恐怖を覚えたのか
そそくさと帰り始めた

「いないいないいないいない!!」
「いるいるいるいるいるもんね!!」
「いい加減、嘘だって認めなさいよアンタ!」
「いるったらいるもんね!かがみんのバカぁ!プニョ!」
「プ!!?・・・・こなたぁ!」

「こなちゃん・・・言いすぎだよ〜」
「かがみさんも・・・その抑えて・・・」

「「うるさい!」」

「およよ〜!」
「ひぃ、すみません!」
仲裁に入ろうにも取り付くしまも無いほどに、二人とも意固地になってしまっている
そう、このふたりは今にでも掴み合いそうな、そんな凄みが体から立ち込めているのだ
血が流れるのも時間の問題かもしれない
つかさとみゆきがそう思った矢先に
フリッカーで挑発するこなたに向かって
かがみがとんでもない事を口にする

ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1222491571/l50
45おいかけさん:2008/10/05(日) 01:53:06 ID:scD2ud1Y
http://upload.jpn.ph/upload/img/u27401.jpg

「じゃあ、実際やればいいじゃないの!」
「やるって何をさ!?」
「やるっていったら鬼ゴッコに決まってるでしょ!?」
「上等じゃん!やったろうじゃんか!!」

まさに売り言葉に買い言葉、話はどんどん進んでいく
小さな会話から始まった災害、その被害はやはり・・・

「もちろんアンタも来るわよね!?つかさ?」
「うう・・・お姉ちゃん〜・・」
「何よ、あんた誰の味方なのよ!?
「うう〜はいそれまでよ〜」

「みゆきさんは私の味方だもんね!ね!!」
「あ、あの・・・こなたさん・・少し落ち着いて」
「みゆきさんは私のこと嫌いなの?」
こなたはみゆきに詰め寄る形で目を瞬かせた
それは多分、泉家でそうじろうにおねだりする時の必勝法だろう
そして、その効果は・・・

「いえ、・・・・あの・・・ご一緒・・・します」

みゆきにも効果を発揮した訳である

かくして初めは嫌がっていたつかさも、こなたに挑発されたかがみに説得され
みゆきもこなたが行くなら、と仕方なくついて行く形になる

しかし、ただお互いに味方が欲しかった訳ではない
それはこの鬼ゴッコのルールにも関係が有るものなのだ
そう、この鬼ゴッコをするには『同じ学校の四人の生徒』が必要なのである
何にも変えられない絶対条件だ
したがって、多少強引ではあるが、お互いの意見が絶対正しいと主張する二人をなだめる為にはこの方法しかなく
つかさとみゆきにとっても自然な流れといってよかった

その結果、今に至るわけである
46おいかけさん:2008/10/05(日) 01:54:31 ID:scD2ud1Y
・・・・・・・・・

夜の不気味な学校で、こなたの説明を聞き終えた三人は大きくため息を付いた

「・・・・結構面倒なのねぇ」
かがみの第一声はそれだ
「別に私がきめたわけじゃないもん」
「あ〜、そうですねそうですね」

不機嫌そうなこなたに対してかがみも面倒そうに返した

「もう、ふたりとも・・・・」
つかさは少々膨れているが、みゆきの「コホン」という咳払いで皆はいっせいに静まり返った
「では、泉さんが仰った内容を簡単に整理しましょうか・・・・・」
三人は静かに頷く

「まず、夜の三時にこの学校の生徒が四人が制服で学校に集合、これは達成ですね
 次に学校の正面玄関で皆さんで手を繋いで『おいかけさん』の歌を歌う。
 その後で20秒数えて一人ずつ別の方向に逃げて行く事。
 この時は角を一つ曲がるまで絶対に振り向いてはいけない。
 始める時間は三時四十三分・・・・以上で良かったですか?」

みゆきの木霊が消えやらぬ暗闇で少女達は息を呑んだ
初めにその静寂を破ったのはつかさ

「なんか、怖いね〜」
「も、もう・・・つかさはだらしないんだから・・」
「そんな事いってぇ、かがみんは臆病だなぁ〜」
「そ、そんなんじゃ!ないわよ・・・ただ、少し寒いだけ・・・」
「世間では夏といっても夜は冷えますからね、私も少しだけ厚着をしてきました」
47おいかけさん:2008/10/05(日) 01:55:12 ID:scD2ud1Y
「かがみんは毛糸のパンツだもんね〜♪」
「ほ〜、それは喧嘩売ってるのか?」
「そうだよ?」
「くっ・・・・」

笑い袋の紐を解いた様に静寂を許さないかしましさも
刻一刻と時を刻む針の音で緊張を感じさせる物へと変わる

「あと、三分・・・・・ですね」

・・・ゴクリ
何故か異様な空気が流れ出した気配がして三人は唾を飲んだ
先ほどまでとは比べ物にならないほど肌寒さが刺し
鼓動は今にでも周囲に聞こえしまいそうだ・・・・・

「じゃ、じゃあそろそろ準備しようか」
「そうね・・・」

先ほどまで威勢が良かったこなたとかがみも何となく怖気ている様に見えた

「ほんと、二人とも意地っ張りなんだから・・」
「まあまあ、お二人とも少ししたら諦めますよ、お付き合いましょう♪」
「そだね・・・」

この時、つかさには何か胸騒ぎの様なものが感じられたのだが
まさか途中でやめようとも言い出せない
みゆきもそうだ、言い知れぬ恐怖を感じているのだが、まるでそれを押し殺している様だ
もしかしたら、ここに居る全員がそうだったかも知れない

四人は学校の正面玄関を背にして手を繋ぐ、背中には夜風を感じる
風は少女達の体を這うようにしてまるで内臓を通り抜けていくようだった
並んだ順番は こなた、みゆき、かがみ、つかさの順番だ
この順番で逃げ始める

「・・・・・はじめるよ、準備は良い?」
「・・・い、いいわよ」
「うん」
「どうぞ、始めましょう」

時計の針は丁度『三時四十三分』を刺している
鬼ゴッコの時間だ、秒針の針が一瞬止まって見えたが
それを気のせいだと言い聞かせ、藍髪の少女は口を開いた

『おいかけさん おいでませ
 おいかけさん おいでませ
 おいかけさん こんばんわ』
48おいかけさん:2008/10/05(日) 01:56:28 ID:scD2ud1Y

こなたはユックリとそしてしっかりと声を張り
おいかけさんの噂に従って童歌を口ずさむ
そして三人も先ほど練習した通りに続く

『おいかけさん おいかけさん 次は貴方が鬼の番
 闇夜の晩に逃げ惑う 月夜 見返りの鬼ゴッコ
 追い掛けされど詠みの不知 丑三つ時に戯れよ
 おいかけさんと鬼ゴッコ おいかけさんと鬼ゴッコ』

カツーン・・・・

「え?」
「今、何か聞こえなかった?」
「きき、気のせいだよ」
「そ、そうです・・・気のせいです・・・」

確かに足音のような音が聞こえたが、四人は決して後ろを振り向かない

「ねえ、こなちゃんもおねえちゃんももう辞めようよ・・・」

つかさは精一杯に訴える
しかし、時は既に遅かった
この鬼ゴッコは歌を歌った時点で始まっているのだ
もしも、途中でやめたら

「呪われるよ・・・・」
「ば、馬鹿馬鹿しい・・・・・」
「も、もし噂だとしても途中でやめるのは得策では無い気がします・・・・」
「・・・・・・」

つかさは黙り込んでしまった
その瞳には少し涙が滲んでいるが、硬く結んだ唇でなんとか泣言を飲み込み
大きく頷く
それを合図に、こなたは恐怖を振り切って数を踏み始めた
49おいかけさん:2008/10/05(日) 01:57:11 ID:scD2ud1Y
「20・・・19・・・18・・・」

こなたの手を握るみゆきはこなたの手が少し震えているのを感じる
汗も暖かな物ではなく、冷たく手を伝った

「3・・・2・・・1!」

こなたは勢い良く駆け始めた
そして、振り向く事無く職員室の方向へと向かう

タッタッタッタッタ・・・・・

やがて足音は聞こえなくなり、静寂がみゆきの喉を突き刺した
みゆきのすでに「16」まで数えている
その震える指先はかがみの手を強く握り、かがみもまたそれを握り返した
それを心強く感じたのだろう
残りの数字を数えるみゆきの声はいつもの凛としたものへと変わった

「3・・・2・・・1・・・!」

みゆきもまた闇の中に消えていく
次はかがみだ、数はすでに数え始めた・・・・だが、妹の様子がおかしい
まるで恐れているのではなく、すでに何かを見てしまった様な震え方
それでもかがみは『つかさはホント臆病だなぁ』と少し悪びれながら自分に言い聞かせ
数を重ねていく

「10・・・9・・・8・・・7・・・」

10を越えた辺りから、意識してつかさの手を強く握った
成り行きとは言え可愛い妹を巻き込んでしまったのだ
夜風で頭が冷えたかがみはせめて、と思いつかさを力付けている

「3・・・2・・・1・・・」

かがみの手が、するりとつかさから離れていく

「お姉ちゃん!」

つかさはハッとして声を上げるがかがみは振り向かなかった
50おいかけさん:2008/10/05(日) 01:57:59 ID:scD2ud1Y
妹の悲痛の叫びを背に音楽室を目指したかがみは
『帰ったらケーキでもご馳走してやるか・・・・』などと思いながら昇降口へと走っていった

「・・・・・・・・お姉ちゃん・・・・」

つかさはかがみが握っていた手の感覚を必死で思い出す
そして・・・・居るはずが無い反対の手を握る『何か』の感触に震える
冷たく、柔らかく、少し湿ったような感覚が手を取り巻いている

「・・・・20・・・・19・・・・・・・・・・・18・・・・・・」

つかさは恐る恐る数を数え始めた
暗闇から吐息が聞こえる、これは気のせいなどでない
きっと何かがいるのだ、何か得体の知れないものがつかさの後ろにいる

「・・・・12・・・・・・・11・・・・・・・・・・・10・」

カツン・・・・ガサガサ・・・・
また、あの足音だ・・・正面玄関のスノコの上を誰かが歩いている
つかさは震えながらも頑張って数を数えた

「・・・ひ!7・・・・・・6・・・・ひゃあ!?」

今度はつかさの足を何かがすり抜けてくる
それは・・・・・可愛い子猫だ

「ミー、ミー」
「ネコ・・ちゃん?」

つかさは驚いたが、その反面安堵感でその場にへたり込むと
子猫を抱き上げて「もう、脅かさないでよね・・・・」と優しく抱きしめた
すると背中にも子猫が擦り寄る様な感触がして「みゃ〜」と愛らしい声が聞こえた
恐らく母猫からはぐれたのだろう、つかさはそう思って体を捻り

 ・・・後ろを・・・・振り返った・・・・・
51名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 01:59:58 ID:xRUDBV/p
連投解除支援、と
>>40
情緒溢れる絵だ
gj!
好きなようにやったらいいと思いますよ
52おいかけさん:2008/10/05(日) 02:00:41 ID:scD2ud1Y
休憩
53おいかけさん:2008/10/05(日) 02:31:58 ID:scD2ud1Y
>>51
ありがとうございます

再開します  

・・・・・・・

闇だ、広がる闇に規則正しく足音が響く
夜の学校はやはり不気味だ、中庭も校庭も静まり返って
窓に映る風景は全てが異世界に通じているような錯覚に陥る
ツインテールの少女は釣り目をキョロキョロとさせながら廊下を進むが
その足取りは重く、酷くユックリだ

「まったく・・・馬鹿こなたのせいでとんだ災難だわ・・・・」

そんな事を思ってみてもあとの祭りだ
それに

「まあ、私も人の事いえないか・・・つかさを巻き込んじゃった訳だしね・・・」

昼間の大立ち回りを思い出し、かがみは少し自己嫌悪に浸る
どうして、こうも上手く行かないのだろうか
もう少し素直になれればこなたとも、もっと楽しく居てあげれるし
みゆきの手を煩わせることも無い
かがみは時々自分の性格が疎ましく思えた

「ふぅ・・・ま、こなたにも謝っとくか・・・・」

そんな独り言を呟きながら、何気に立ち止まった時だった

タッ・・・・タッ・・・・タッ・・・・タッ・・・・・・・・・タタン

「ん?」

かがみは何か違和感を感じた
足音が一つ多い・・・・・・・・?
背筋が凍り、後ろを振り向くが・・・・・・・そこには誰もいない
54おいかけさん:2008/10/05(日) 02:32:59 ID:scD2ud1Y
「・・・?気のせいか」
少女は息を呑み、再び歩き始めた

タッ・・・タッ・・・タッ・・・タッタッタッタ・・・タッ・・・タ

「え!?」

かがみは勢い良く振り返ると、少し離れた所で長い髪がなびいた気がする
何かが物陰に隠れているのだろうか?
そして、かがみは一番思い当たる名前を口にした

「こなたぁ!アンタねえ、悪戯にしちゃ性質が悪いわよ!!」
「・・・・・・」

しかし、返事は無い
変わりに『クスクス』と笑い声が聞こえてきた

かがみは釣り目をさらに吊り上げて、その場所までズカズカと歩み寄ると
怒気を発して物陰に向かってその眼光を向けた瞬間
真っ白で無機質な顔がそこに有った

「スケキヨです・・・・」
「ぎゃああああああああああああああああ!!」

かがみは恐怖で足をもつれさせて尻もちを付くと
廊下の壁に向かって思いっきり倒れ込む

「ひい!助けて!いやあ・・・・いやあああああ!!」
「・・・・・・・・・」

かがみは必死に助けを求め、半泣きの状態で両足を抱え込んだ
そこには、あの意地っ張りの柊かがみは既にいない
そして、震える少女に向かって忍び寄る影は信じられないほど垢抜けた声を発した

「やっぱ、毛糸のパンツじゃんか♪しかもピンク〜☆」
「へえ・・?」
55おいかけさん:2008/10/05(日) 02:35:16 ID:scD2ud1Y
良く見ればそれはこなた・・・・
お面は例の海水浴で使ったあの「スケキヨマスク」である

「こなた〜」
「ひわ!?」

かがみはこなたに思いっきり抱きつく
罵声と鉄拳制裁を覚悟していたこなたは拍子抜けして、かがみに押し倒される形になった
まるで今から夜の一線が越せてしまいそうなその体勢
他人が見たらどう思うだろうか?
しかし、かがみはそんな事お構いなしにこなたにしがみ付いた

「こなた〜怖かったよ〜!ばか〜、本当に怖かったんだから〜!」
「も〜かがみんは怖がりだなぁ〜、おーヨシヨシ〜」

普段は強気にしているかがみもやはり普通の女の子なのだ
つかさが居る分、強気を振舞っているのだろう
しかし、そこがかがみの可愛い所でも有る訳だ

「ごめんね、かがみんやり過ぎたよ・・・・ね?泣かないで?」
「ううえ〜ん・・私もごめんねぇ・・・・ごめん、意地っ張りでごめんね〜」

月夜の晩の出来事はかがみに何かを気付かせたのかもしれない
暗闇は原始の原点だというが、物事の本質は見えないところにこそ有るのだろう
それは例え人間でも例外なく、回帰の機会を与えてくれるのはないだろうか

月明かりが満ちた音楽室の前の廊下で、先ほどまでとは別人の様なかがみが
しおらしく座っている

「落ち着いた?」
「・・・うん、ありがとね・・こなた」

こなたはなんだかムズ痒い気持ちで、先ほど学内の自販機から買ったジュースを啜った
かがみは自分の影に指をなぞらせ、冷たい飲み物で落ち着いた心を確かめる
56おいかけさん:2008/10/05(日) 02:43:16 ID:scD2ud1Y

「あのね、こなた・・・」
「ん・・・・なぁに、かがみん?」

かがみは普段と違うこなたの声に柔らかを感じ、恐怖を紛らわせているのだろう

「あのね・・・・こなたは私と友達で良かったと思ったことある?」
「・・・・・そんな急に言われても・・・」

「私はね、アンタと友達で良かったと思ってるのよ・・・その・・・いつも・・・」
「へ?・・・・・そ、そうなんだ・・あ、あり・・がと」

「その、なんだ?アンタって私がツンケンしても、怒鳴っても・・・・いつも一緒に居て くれるじゃない・・・?」
「・・・・・・」

「私こんな性格だからさ、仲良くなったらその分・・・扱いが変わるって言うか・・・さ・・そー言う所あって・・・中学からの友達も日下部と峰岸だけだし」
「・・・うん・・・・」

「でも、こんなに喧嘩しても一緒に居てくれるのはアンタだけだった・・・・アンタだけはどんなに素直じゃなくても私と一緒に居てくれてさ・・・・あの、それで・・・・」
「・・・なぁに?」

「その、ありがと・・・・ね・・・感謝してるんだから・・・・さ」
「・・・かがみん・・・・」

かがみは顔を真っ赤にして目をキョロキョロとさせている
それに対してこなたは、優しく微笑み「ありがとう・・・」と呟くと
かがみの手にそっと自分の手を重ねた

「こなた・・・・?」
「暖かいね・・・かがみんの手・・・・」

かがみはそっとこなたの手を握った、その小さな手は夜風にさらされてか
少し冷たく、そして心地よかった
57おいかけさん:2008/10/05(日) 02:45:21 ID:scD2ud1Y
「かがみん・・・・」
「何・・・こなた?」

「私達・・・ずっと友達でいようね・・・・」
「こなた・・・」

かがみはこなたの頭を優しく抱きしめ、しっかりと頷く

「当たり前じゃないの・・・・そんなの」

何時の間にか月明かりは照らす方向を変え、その光は廊下にやや掛かる程度になっていた
そこに佇む、見知った少女が一人・・・

「お姉ちゃん・・・何やってるの?」
「つかさ・・?」

見ればつかさの顔は真っ青で、凄く怯えた表情をしていた

「あんた真っ青よ・・・・いったいどうしたの?」
「お姉ちゃんこそ・・・ソレ・・・・何?」

「え?ソレって・・・アンタこなたに対してソレ・・・」
「違うよ!ソレ・・・こなちゃんじゃないよ!!」

かがみは「なに、馬鹿言ってるのよ」と両手でしっかり抱きしめたこなたに目をやった時
背筋に氷柱が差し込まれた様な感覚に襲われた

かがみがこなただと思って抱いていたのは
上半身だけの・・・何か
そして、その表情はおぞましくかがみを見据えていた

ttp://upload.jpn.ph/upload/img/u27406.jpg

「ズット・・・友達デ居ヨウネ、カガミ・・・」
「ひぃ・・・・ひいいいやあああああああああああ!!」

かがみはその得体の知れないソレを廊下に放り投げるとつかさの方に駆け寄った
58おいかけさん:2008/10/05(日) 02:47:36 ID:scD2ud1Y
端に置かれたスケキヨ人形もカタカタと踊り
投げ出された上半身はペタペタと両腕で起き上がるとその視線をかがみに向ける

「痛イヨ。友達ヲ投ゲルナンテ・・・酷イヨ・・・」
「あ、あんたなんか友達じゃないわよ!こなたは何処なの!?」
「お姉ちゃん、逃げようよ!」

「友達ジャナイナンテ・・・サッキハアンナに仲良シダッタノニ・・・・・」

上半身のソレは先ほどまで穏やかだと思われたその表情をさらにおぞましい物へと変貌させた、そして・・・鋭い眼光を暗闇で光らせる

『嘘ツキ』

「ひいいい!」
「いやあ!?」

野太く、重い金切り声が頭にまで響き、かがみとつかさは耳を押さえてたじろぐ
しかし、その声はいっこうにおさまる気配は無い

『嘘ツキ  嘘ツキ 嘘ツキ    嘘ツキ  嘘ツキ 嘘ツキ 嘘ツキ   嘘ツキ
 嘘ツキ 嘘ツキ   嘘ツキ  嘘ツキ   嘘ツキ 嘘ツキ   嘘ツキ 嘘ツキ
 嘘ツキ  嘘ツキ   嘘ツキ嘘ツキ嘘ツキ   嘘ツキ 嘘ツキ     嘘ツキ
 嘘ツキ 嘘ツキ  嘘ツキ        嘘ツキ 嘘ツキ 嘘ツキ 嘘ツキ嘘ツキ』

かがみの頭は割れそうに痛み出し、かがみはその場に倒れてしまいそうになった
しかし、つかさがその手を掴み「お姉ちゃん、こっち!」と走り出す
我に返ったかがみはつかさに付いて走り始めた
追いかけてくる気配は無いが、それでもあの声は不快で、恐ろしい
10メートルほど離れた辺りだろうか?
一旦消えたその声は、静かに『逃ゲラレナイヨ』と言った気がした
遠退いていく暗闇からは
『ケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケ!!』と笑い声が響いていた

もっと、もっと遠くに・・・逃げなければ・・・
つかさとかがみは走った、息が切れても心臓が口から飛び出そうになるまで走った
59おいかけさん:2008/10/05(日) 02:49:49 ID:scD2ud1Y
気が付けばすでにここは一階の正面玄関
鬼ゴッコのスタート地点だ・・・我ながら良くここまで走ったものだ
とりあえず一安心と言う所だろうか、胸を撫で下ろすと
「お姉ちゃん、もう大丈夫みたいだね☆」「はあ・・はあ・・・そうね・・はあ」
二人はペースを落とした

ここで、かがみはある事に気が付く
『つかさはいつの間にこんなに足が速くなったのだろうか?』

かがみは自慢ではないが足の速さは男子にも引けを取らない
対してつかさは運動御地で通っているのだ
それなのに追い抜くどころか、追いつくことも出来ないなんて・・・・
これが『火事場の馬鹿力』というものなのだろうか?
でも、息も切れてなかったような・・・・

そう考えていたら、何かがかがみの足のぶつかる
かがみはそれに蹴躓いて廊下に大きく横転し、本日二度目の尻もちを付いた

「アイタタタタ・・・・まったく、なんなのよ・・・・」

かがみは振り返ると絶句した、かがみが躓いたそれは・・・

「つかさ!?」

動かなくなった妹の・・・・おそらく亡骸であろう・・・
その瞳は虚空を見つめて異様な体勢でうな垂れていた
そしてかがみが、先ほどまで前を走っていた『つかさだと思っていた物』に向き直った時
すでにソレは目の前にいて、かがみを凍りつかせた
人形のような目がかがみを睨む

ttp://upload.jpn.ph/upload/img/u27407.jpg

「ひいい、ひいいいい、こなた助けて・・・助けてぇ」

逃げたいが体が動かない、涙が溢れる、歯の根がなる
きっとだれかが来てくれる、誰かが助けてくれる、そうに決まってるんだ
しかし、そんな少女の期待も・・・・儚いものと消えた
60おいかけさん:2008/10/05(日) 02:53:21 ID:scD2ud1Y
「こなた・・助けて助けて・・助けてよ・・・・!・・・いい・・・ひいいいいいいいい!?」

 ・・・・・・

『ケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケ!!』

何時の間にか空には雲がかかり月はその顔を雲の中に隠してしまった
不吉な夜は、まだその時を終えることは無い

「かがみん!?かがみんの声・・・・・」

こなたはかがみの叫び声が聞こえたような気がして足を速めた
先ほどから胸騒ぎがするのだ・・・・・

と、目の前の廊下を何かが駆け抜けていくのが見えた
それは紫色の髪をなびかせてシタシタと走るまぎれもないかがみの後姿だ・・・

「かがみん!待ってよ、なんで逃げるの!?」

こなたはかがみを追いかけて走り出すが追いつかない
そのままかがみは曲がり角に姿を消し、足音だけが聞こえる
こなたはかがみの名を呼びながら足を速めた

 ・・・・・



休憩
61おいかけさん:2008/10/05(日) 03:41:35 ID:scD2ud1Y
「きゃあ!」

ドンと何かにぶつかると碧い髪が床に広がる
みゆきはズレた眼鏡を片手で正すと、恐る恐るそれに近づいた

「い、泉さん!?大丈夫ですか?」
「あいたたたた・・・・みゆきさん、無事だったんだぁ」

みゆきはニコリと笑いながらこなたの手を引いた
こなたは立ち上がるとスカートをはたいてホコリを払う

「こなたさんもご無事でなによりです、ところでつかささんを見ませんでしたか?」
「え?つかさは見てないかな・・・・」

「・・・・・本当ですか?」
「ホ、ホントだよぉ・・・」

みゆきは少し難しい顔をしてみせると、その聡明な瞳をスッと細めて口を開いた

「私、今の今までつかささんを追いかけて走ってたんですよ・・・」
「え?」

「それで、角を曲がったらこなたさんが居て・・」
「それ本当!?」

「ええ・・・ですから・・・」
「実は私も・・・・」

「・・?それはどういう・・・」
「私もかがみんを追いかけてたら・・・・みゆきさんに・・・」

「そ、そうですか・・・・・・・・」
「・・・・・」
62おいかけさん:2008/10/05(日) 03:43:33 ID:scD2ud1Y

二人の顔が難しいものへと変わり、やがて静寂が恐怖をさらに深いものへと変えていく
しかし、みゆきはこなたの不安そうな顔を見てグッと気を引き締める
『私が何とかしないと、こなたさんを守らないと・・・・』
その気持ちは表情にも滲み出て、いつもの凛としたみゆきがそこに居た

「こなたさん、大丈夫ですよ・・・私がついてますから!」
「み、みゆきさん」

普段は元気な少女も自分が言い出したことで親友達が何らかの事件に巻き込まれている事に自己嫌悪を感じているのだろう
体を震わせて、目を潤ませている
もゆきはとりあえず、こなたを落ち着ける為にどこか座れる場所に移動する
そこは三階の非常階段付近の椅子置き場だ
ここには余った椅子が何個か置いてあって、男子達が良くタムロしている場所だ

みゆきはそこの椅子を二つほど引っ張り出して、物陰に隠れるようにして
こなたと二人で息を潜めた

「みゆきさん、どうして隠れるの?」
「ええ、少し様子を見ようと思いまして・・・・」

「様子・・?」
「そう、様子です・・」

みゆきは考えていた、何かがおかしいのだ
それは予感とか違和感とかそんなレベルの話じゃない
明らかな異変なのだ
この学校の中に自分達以外の人間が居る、もしかしたら人間ではないかもしれない
みゆきはその考えをこなたに話す

「誰かって・・・?」
「それは・・・・・」

みゆきは一瞬、言葉に詰まった様に口を噤むが意を決してその言葉を口にした

「おいかけさん・・・・」
63おいかけさん:2008/10/05(日) 03:46:58 ID:scD2ud1Y
「・・・・・・」

周囲がざわめいた気がした
学校の庭にある木々が一斉に風で揺れ、ドアや窓が風圧で軋む
そして、この空気の変化も決して気のせいではない筈だ
みゆきは緊張感と恐怖で濡れた掌をハンカチで拭い、こなたに向き直った
こなたはみゆきのすぐ近く、吐息がかかり合う場所に座っている
そしてその瞳は潤み、視線はみゆきだけに向けられている
この緊急事態に・・・いや緊急事態だからこそだろうか?
令嬢の脳裏に良くない考えが過ぎる

『このまま、泉さんを自分のものにしてしまいたい・・・・』

それは普段は封印していた感覚だ
友人として、親友として振舞う為に閉じ込めていた感覚
それが、この極限と思われる今の状態で少しずつ漏れ始めたのだろう

「みゆきさん、どうしたの?」
「あ、いえ・・・・」

みゆきはハッと我に返るとこなたから目を逸らして、廊下に目をやった
もしかしたら、かがみとつかさがまた姿を現すかもしれないのだ
気は抜けない
何としても友人の無事を確認し、この謎を解き
愛しいこなたを無事につれて帰らなければならないのだ

「ねえ・・・みゆきさん・・・」

こなたの両手がみゆきの首に絡み付いてくる
みゆきは背中ごしに感じるこなたの暖かさと、その幼い胸の柔らかさに胸をときめかせるが、平静を装った

「い、泉さん?どう・・・なさいました?」
「みゆきさん・・・暖か〜い、ね」

「え、いえ・・・」
「それに、いい匂いだね♪」

こなたはそのままみゆきの頬に唇をあてがうと更に体を密着させる

「ねえ、不安なの・・・怖いよ〜、だからさ・・・みゆきさん」
「・・・こ、こなたさん・・・・い、いまは」
64おいかけさん:2008/10/05(日) 03:49:33 ID:scD2ud1Y
みゆきは体を強張らせて、その状況に打ち震える
今は緊急事態だ・・・それに・・・でも・・・
みゆきの葛藤は止まない、筈だった
こなたは自分の首のリボンを解き、その華奢な肩を覗かせると
そのままみゆきの体に覆いかぶさる

「ね、みゆきさん・・・・・しよ・・・」
「・・・こなたさん・・・」

暗闇の中、欲望に負けたみゆきはこなたを抱きしめキスをする
それは甘く、激しく、そして・・・・哀しいキス
みゆきに抱きしめられたこなたは・・・・いや、みゆきには愛しい者に見えるソレは
ニンマリと嗤った

 ・・・・・・・・・

ttp://upload.jpn.ph/upload/img/u27408.jpg
65おいかけさん:2008/10/05(日) 03:52:33 ID:scD2ud1Y
「はあ・・・はあ・・・・かがみん?かがみ〜ん!?」

あの曲がり角からずっと、かがみの足音だけが聞こえてくる
そしてその足音は明らかにこなたと同じ速さで進んでいるのだ
それは当たり前に見えて、おかしい事だ

「変だ・・・おかしいよ・・・」

もしも、かがみがこなたと同じ速さで走っているなら階段や曲がり角などで必ず鉢合わせする筈なのだ
なぜなら、こなたは上り下りや曲がる動作がスムーズに出来る様なスピードでは走っていないからだ
しかし、明らかにあの姿はかがみのものだ
だとしたら一体何の為に逃げているのだろうか?
こなたには解らないが、きっと何か理由があるのだろう
とにかく今はかがみを追いかけて、皆と合流するのが先決だろう

そう考えて勢い良く飛び込んだ次の角で、こなたは思わぬ光景を目にした

「泉さん、ご無事で何よりです♪」
「こなちゃん遅いよ〜☆」
「こなた、あんた足遅くなったんじゃないの?」

「みんな・・・・あれ?無事じゃんか〜」

「何言ってるのよ、まさかアンタ怖気づいたとか?」
「ちょっと、お姉ちゃん〜」
「まあまあ、こうして皆様ご無事なんですから」

「あはは・・・ちょっと怖かったかも・・・・なんて」

こなたは三人の笑顔を見るなり、先ほどまでの恐怖と緊張感を忘れて
廊下にへたり込んでしまった
66おいかけさん:2008/10/05(日) 03:55:49 ID:scD2ud1Y
「でも、みんな無事で安心したよ・・・・」

「まったく、言いだしっぺがそれじゃあしょうがないわね〜・・」
「まったくだよ、私なんかとんでもない目にあったんだからね〜」
「泉さんのお陰で大変だったんですよ?」

こなたはちょっとした異変に気付いた

「あれ?・・・・・みんな、影が・・・」

今は月明かりも薄く、確かに暗いがこなたの影はしっかり廊下に映っている
それなのに三人の影はまったく無いのだ
これは錯覚などではない

しかし、三人は相変わらずの笑顔でそこに立っているのだ
これは一体どういうことなのだろうか・・・
そこで、かがみが再び口を開く

「アンタ、何言ってんのよ・・・影ってのはね人間にはみんなあるのよ?」
「そうだよ、だから全然へんじゃないよ?」
「そうですよ。だって私達は貴女のせいで・・・・」

『死ンダンダモン』
『死ンダンダヨ』
『死ンダンデスモノ』

『ケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケ!!!』

「ひいえ!?」

次の瞬間、三人の姿は砂煙のように消えてしまった
残されたのは恐怖を呼び覚まさせる嗤い声だけ

「いや、いやあ、皆・・・・助けて!ごめん、いやあああ!」

きっとこの嗤い声の主がみんなのふりをしていたに違いない
そして・・・皆はすでに・・・
67おいかけさん:2008/10/05(日) 04:13:04 ID:scD2ud1Y
「あ、あああ、助け・・・助け・・・・!?」

こなたが体を起こして逃げようとしたほんの一瞬後
ソレはこなたの目の前に居た
こなたはガタガタと震えて、恐る恐るソレに目を合わせると
ソレは白く、無機質なその瞳でこなたを睨み、嗤った

『ツ・カ・マ・エ・タ』
「いやあああああああああああああああああああああ!」


今年、夏・・・・陵桜学園高校で
泉こなた・高良みゆき・柊かがみ・柊つかさの
四名の女子生徒が行方不明となった
いずれも深夜に学校に忍び込み、遊んでいたと考えられるが
それ以降の消息がまったく不明であり
事件の翌日にそれぞれの制服が、少女達の机の上にあった事から
事件が発覚した

警察は何かの事件に巻き込まれた可能性があると踏んで捜査しているが
未だ少女達は見つかっていない

ただ一つ解っている事は、その少女達が深夜学校で『鬼ゴッコ』をしていた事だけである



暗がりの学び舎で、いつもと違う鬼ゴッコ
丑三つ時の四三(よみ)の時  おいかけさんの鬼ゴッコ
68おいかけさん:2008/10/05(日) 04:14:49 ID:scD2ud1Y
『おいかけさん おいかけさん 次はアナタが鬼の番
 闇夜の晩に逃げ惑う 憑き黄泉返りの鬼ゴッコ
 追い掛けされど黄泉の淵 丑三つ時に戯れよ
 おいかけさんと鬼ゴッコ おいかけさんと鬼ゴッコ』

ねえ、知ってる?
深夜の学校で鬼ごっこしたら・・・『おいかけさん』が出るらしいよ・・・・・・

『ケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケ!!!』

ttp://upload.jpn.ph/upload/img/u27409.jpg

終焉

69名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 04:17:30 ID:MJF+jfYF
>>68
乙!怖かった。
中尉だったとは・・・。
70名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 10:55:40 ID:MGH3TA/s
>>40
やばい可愛い…

>>68
挿絵が…
71名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 11:38:47 ID:82MJgE9C
>>68
普通にアニメ絵で驚いた
72名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 11:45:58 ID:IIExKu8l
>>67
アニメOPの最後の絵はこれが真相だったのか…
73名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 12:29:55 ID:82MJgE9C
>>62
「もゆき」には思わず吹いた
74名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 18:42:37 ID:ZW0e+hRE
霊感商法:「摂理」元信者ら献金実態など報告

被害相談が相次いでいる世界基督教統一神霊協会(統一教会)と、韓国発祥の新興宗教「摂理」の
元信者計4人が13日、東京都内で開かれた全国霊感商法対策弁護士連絡会の集会で、献金など
の実態を報告した。

昨年まで5年間、統一教会の信者だったという30代女性は「合同結婚式で教会の決めた韓国人男
性と結婚させられ、韓国で体調を崩した。1000万円近い預金を献金しなければならなかった」と訴
えた。また都内の摂理の施設に2年間通い、1カ月前に脱会した20代女性は「早朝から教祖の『み
ことば』を聞かされたり、激しい運動をさせられ、寝不足とストレスで疲労困ぱいした。毎週献金させ
られた」と話した。【青島顕】
ソース:毎日新聞
ttp://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20061014k0000m040129000c.html
75名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 00:49:59 ID:KQXe9fTf
最近ガンガン氏見ないな。
彼のSS、構成力が半端ないんで好きだったんだが。
76名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 00:59:11 ID:V9DFDfmI
最近○○氏見ないな
って書き込みが多いな
77名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 13:28:29 ID:13Yom2nv
沖縄氏の連載キボンヌ
78名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 13:41:43 ID:jvC/fFrO
四面楚歌の続きキボンヌ
79名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 13:54:17 ID:jlVm7z9d
>>75
たぶんROMでいるよ
80名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 20:14:42 ID:S6gxWFRb
結局ここがパート27って扱いか?
81名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 21:02:03 ID:V9DFDfmI
アニメ板に27立てちゃいなよ
82名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 23:02:01 ID:hhfl95QS
”もう一つの赤い悪魔”

「ゆ・・た・・・・か・・・な、ん・・・・で・・・」

ドスッ!という鈍い音とともに、ゆいは動かなくなった
それを見ていたにも関わらず、大切な、そう・・・大事なたった一人の兄弟であるいも関わらず
妹であるゆたかは顔色一つ変えずに・・・
物言わぬゆいを冷たく見下していたのだ、コーヒーに入れたと思われる”隠し味”が入った瓶を持って

「これで・・・やっと解放される・・・この・・・うっとおしい女とも・・・」

ゆいは本当の姉ではなかった、髪の色や性格を見てもあきらかだった
小早川ゆたかは養女であった、幼い時に両親は事故で死に、父の兄である、小早川家に預けられた


やっぱりレイプとかゆたかの策略とか不自然ですよね
83名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 23:58:51 ID:ql0+qXQi
赤い悪魔はいつまでも人気だな
それはそうとwikiに色々追加してくれた人ありがとう
またHAPPY ENDが読めるとは思ってなかったですm(__)m
84名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 01:13:45 ID:R+xRIFN0
>>68
               ____
                ハ((.__\
.                |l _  _ l彡|        
.                |l ・〉. ・` .V^)     ひぐらしのパクリや!
                | (_,ヽ * i.J           
          ,、nfjfr.  ヽ`ニニ´  |
          `i Y`っ   i‐一'  ヽ-- ー--、 -
           ノ`-r'´-‐‐´               ヽ
           i  .i            ./---‐'´`\ \
           ヾ _ノ:_λ ・  人  ・ ノ.│      \ ヽ
                丶 ̄    ̄  │        ヽ __'
                 ヽ        }
                  ヽ      〃
         ,r――--、,,_ノ r、 三 η  L___,,-―‐-、
         (          〃ヽヽ //ヾヽ         )
         ヽ  `ヽ、  ⊂ニ;ミシミッニ⊃    ,r''  /
           ヽ   } ` ー-ヾヽ// ヽヽ〃ー‐''7    /
           ヽ  .{      ι' 三 ヽ)    {.  /
           〉  イ                〉  |
          /  )              (_ヽ \、
         (。mnノ                `ヽ、_nm

85名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 01:27:53 ID:ZmG9lXJg
>>81
むしろメンサロにですね…
86名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 12:48:22 ID:Bbu0vvd1
>>82
福岡本人?
次回作カモーン

みゆキチ、大阪、SF達の再降臨はまだだろうか
一発屋で終わってくれるなよ
87デフォ北:2008/10/07(火) 20:54:26 ID:tljUbreR
本日の0時過ぎに続きの投下を開始します
88名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 21:36:48 ID:i28lv3HD
>>87
待ってたぜ!!
89名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 23:42:35 ID:b5kIUyet
>>82
福岡は福岡だがガンガン氏ではない福岡ですが
90名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 23:43:06 ID:b5kIUyet
>>89
>>86
91デフォ北:2008/10/08(水) 00:07:39 ID:MPeDWPFv
では、予告通り前スレの続き投下します


「あらあら…吐き出してるの?
まあ、致死量は入れてないから少し眠くなるだけよ」

こなたは口から吐瀉物が垂れ下がったまま
唐突にトイレから飛び出し台所の包丁を持って、ゆきに飛び掛かる
こなたはゆきを廊下の壁に押し付け、鋭利な包丁の先をゆきの目の前に持って行く

「何するの…?」
「お前も…殺してやる!」
「あなた…既に前科があるんでしょ?」
「私に前科なんて無い!
でも私のみんなを奪った貴様を殺すためなら、何をしてでも殺してやるっ!」

こなたは包丁をゆきの胸元目掛けて一気に突き刺す
ゆきの悲鳴にすらならない声を聞きながら
こなたは包丁を離れないように握りしめる
ゆきの口から少しずつ血が零れ出し、こなたの腕に滴り落ちる
悲鳴が消えた時、こなたは包丁を一気に引き抜く
すると、ゆきは床に真紅の水溜まりを作って倒れ込んだ

こなたは、溜息をついて腰を落とす
これで、復讐が出来た
けれどもう、埼玉には居られない

こなたは人を殺してしまった
殺人で解決出来る事なんて無いと誓ったばかりなのに…
こなたはそのまま血渋きの付いた衣服の上からジャンパーを羽織り
遺骨を持ち、棚に入っていた通帳や財布を取って、そそくさと家を出た

埼玉を離れて何処へ行こうかと考えていると
こなたはそうじろうの言葉を思い出す
92デフォ北:2008/10/08(水) 00:08:28 ID:MPeDWPFv
『俺が死んだら、遺骨を石川の大学に埋めて欲しいんだ』

ここから石川まで相当距離があるが、そんな事は言ってられない
もう、それしかやることがない
お金は少しばかりならあるので公共機関を使うことも可能だが
今のこなたの立場から考えて不可能だ
こなたはフードを深く被り、雪の降る東京から北西へ向けて一歩一歩歩み始めた





あれからどれだけ歩いたか判らない
町外れの裏道を、独り孤独に踏み締めてもう7日
コンビニやスーパーがあればそこで食糧を購入し
公園があればトイレの中で睡眠を取る
髪は乱れ、服も汚れ、こなたは目を虚ろに鼻水を垂らしながら石川へと歩き続ける

その時、携帯が鳴り響く
こなたはポケットから携帯を取り出す
なんと、みゆきからだった

「もしもし…」
「あっ…もしもし、お久しぶりです…あの…携帯の方は大丈夫でしょうか…?
気になって仕方がないのでかけてしまいましたが…」
「…え?」
「いえ、警察署で携帯に出られるのは…」
「私、警察署にはもういないよ…」
「釈放されたということですか?」
「違うよ」
「まさか…脱獄ですか?」
「…うん。逃げ出した」
「車でですか?」
「ううん。歩き」
「…で、では、今何処に?」
「うーん…高山市だったかな…よく覚えてないや」
「高山市…岐阜県じゃないですか!どうしてそんな所に?」
「石川に…行くためだよ」
「そんな、危ないですよ!と言っても戻ることも出来ませんよね…
では、私今からそちらに向かいますから待っていて下さい!」
「駄目!来ないで!」
「ど、どうしてですか?」
「一人にさせて欲しいんだよ…」

こなたには何となく予想がついていた
私に近づけばみゆきも必ず何かに巻き込まれる

「泉さん…私は本当に心配してるんです…お願いします…引き返して下さい…」
「…それは出来ないよ。私は絶対に石川に行かなきゃならない…
それに、どちらにしても埼玉に帰る事は出来ない」
「泉さん…」

みゆきの啜り泣く声が電話越しに伝わってくる

「ごめん…あと、ありがとうみゆきさん。絶対忘れない」

こなたは最後にそう言って携帯電話の電源を切り、アドレス帳を全て消去した
大きく深呼吸し、こなたは再び歩き出す
もう足はくたくたなのに、勝手に石川へと動き続ける
一つの意志のために
93デフォ北:2008/10/08(水) 00:09:17 ID:MPeDWPFv
その夜、こなたは行く手を阻まれるような大雪に見舞われた
そうじろうの母校まで既に100kmを切っている
しかし、まだ市街に入るような気配はなく、周りは山である
こんな所にコンビニも無いし、仮設トイレも無い
次第に雪は風と相俟って、吹雪に近づいてきた

それはこなたの体力を急激に奪うと共に、こなたの眠気も増加してゆく
車も殆ど通らないこの山道で、とうとうこなたは腰を降ろしてしまった

「寒い…寒いよ…」

こなたは身体を縮こませてがくがくと凍える
唇は青くなり、鼻水すら固まりつつある
吹雪は依然その強さを維持したまま、岐阜県内を雪に埋めて行く
こなたはついに目を閉じ、ガードレールにもたれ掛かった

その時、強い光がこなたの周りを包んだ
恐らくお迎えが来たのだろう

ふわりと空中を浮く感覚が起こりつつ、こなたは意識がすうっと遠のいた





目を覚ますとそこは外ではなく、暖かい室内だった
見回すと、白衣の女性が一人座っている
その女性は清楚で、大人しい感じに見えた
顔のパーツが見事に整っていて、かなりの美人である

「…目が覚めた?」
「ここは…何処ですか?」
「大学よ。石川大学」

こなたは呆然としていた
何だ、まだ死んでないのか
でもまぁ、大学への棘道をスキップしてもらえたのは良かったが

「石川…大学なんですか?」
「そうよ。私ここの教授を勤めてるの
ちょっと忘れ物しちゃって取りに戻ったら…あなた、どうしてあんな山道で寝てたの?
死んだらどうするのよ」

こなたは「別に死んでもよかった」と思わず口に出しかけたのを噛み殺した
すると、女性は何かに気づいたように言う

「あっ…あなた…もしかして、泉君の娘さんだったりする?」
「えっ…どうして判ったんですか?」
「やっぱり…同じ学部で、結構仲良かったからね。流石親子ね…やっぱり似てるわ
その青い髪を見て思い出したの。懐かしいわね…」
「そ、そうですか…」
「でも、何で泉君は私を選ばなかったのかな…」

容姿からすれば、大概の男はかなたよりもこの女性を選ぶに違いない
それほどまでに美しい美女をどうしてそうじろうは捨てたのだろう
まあ、あらかた想像はつくが

「…単にロリコンだからじゃないですか?」

こなたは鼻で笑いながら言う
94デフォ北:2008/10/08(水) 00:11:25 ID:MPeDWPFv
「ふふ、確かに泉君は何かと小さい子を好んでたわね」
「そうですよ。あんなエロ親父……ってかあなたも好きだったんですね」
「ええ。でも私ね、泉君とかなたちゃんが
親に勘当されてまで石川を出て、埼玉で暮らすなんて…
あの時初めてその度胸に自分が負けたと思ったわ。臆病だったのよね、私…
あ、ごめんなさいね。私のことばかりで。今日あなたは何しにきたの?」
「今日は…お父さんの骨をここに埋めに来たんです」
「…泉君も…亡くなったの?」

肌寒い室内の温度が更に下がってゆく
こなたは女性に目を合わせることすら出来なかった

「お父さんは…お母さんの遺骨もここに埋めたらしくて…」
「…知ってるわ、私」

こなたは女性に振り向く
女性は悲しそうに微笑んでいた

「私がここを卒業して、この学校の教授になって間が無かったんだけど
泉君がいきなり校門から入って来たの」
「何処に埋めていたかも…ご存知ですか?」
「うん。あそこの中庭」

見ると、中庭の真ん中に大きな木の根元が残っていた

「あの木は…切られたんですか?」
「うん…私や泉君達が在学中に植えたんだけど…この中庭の工事が決まってね…
つい最近切られたの。あの根元に埋めてあると思うよ、多分」
「判りました…ありがとうございます」
「…私も行っていいかな?」
「いいですよ」

風は強く、白い雪が校舎の電灯に照らされている
雪の雲に隠されて月明かりもない
こなたは中庭の大木の根にたどり着いた
こなたは深く掘り返せそうな場所を掘っていく
それと共に、こなたの手は雪によって湿った土で泥だらけになっていく

10センチばかり掘ると、別の小箱に手が当たった

「これは…」

箱を振ると、カラコロと固体が転がる音がした
かなたの骨に違いない
すると、その女性は辺りを見回しながら言う

「…やっぱりここには埋めない方がいいと思うわ。
工事の時に掘り返されるかもしれないし…」
「いえ…ここにします。お父さんとお母さんの思い出の場所なんですし」

今やここはお父さんとお母さんにとって一番大切な場所
勝手に私が安全な何処かへ移し替えたとしても、それは二人にとって何の価値もない
この骨を葬るのはここしか無いのだ

こなたは、そうじろうの骨が入った小箱をかなたの骨の小箱の隣に埋める
土を被せ終えると、こなたは手を合わせて黙祷する
女性も倣って黙祷する

そうじろうの事を思い出す度に、楽しかった出来事を思い出す
そして、その度に今の現実が信じられない
95デフォ北:2008/10/08(水) 00:12:40 ID:MPeDWPFv
ほんの数日前の楽しさが嘘のように砕け、崩れ、消えていった
この世は本当に理不尽で不公平だ

今でも、親と楽しく談笑している家もあるだろうし
友達とはしゃぎ合ってる家もあるかもしれない
現にこなたはそんな生活をつい最近までしていたのだから

もう、笑い合う従姉妹もいない
困ったときに助けてくれる友達もいない
自分を愛情込めて育ててくれた私のお父さんもいない

黙祷を終えると、こなたは突然歩き出そうとした

「ね、ねぇ…どこ行くの?」
「どこでしょうね…でも私はあなたから離れなければならないんです
私はもう犯罪者の身…善意で私を助けていただいた恩を仇で返すわけにはいかないんです」
「でも…まだ雪は止まないし、これからまたどんどん強くなってくるわよ?」
「…じゃ、もう行きますので。ありがとうございました」

こなたは悴む手を息で温めながら、その女性に一礼して再び歩き出す
女性は呆然とこなたが雪の中に消えてゆくのを見つめていた



「柊…今日も来なかったな」
「つかさちゃんが亡くなったのが、よっぽどショックだったんだね…」

C組に二人、取り残されたかのように教室に佇むみさおとあやの
二人とも今回の事件には関与していないものの、友人を失った悲しみは大きい

「正直、あのちびっ子が元凶なんじゃねぇか?この事件」
「ううん、泉ちゃんのお父さんが病気になってからだと思う…
結構重い病気で、最終的には亡くなったみたいだけど」
「でも、そんなの従姉妹を殺す理由になんかならないぜ」
「…いくら従姉妹でも対立や固執はあると思うけど」
「じゃあ、親戚が実の伯父を殺そうとしたってのか?」
「えっ…?」
「なーんてな、冗談だってヴぁ」

みさおは頭の後ろで手を組んだ

ゆたかの親友であるみなみは普段の清楚さを完全に失い、ゆたかの話になると発狂してしまう
信じられないほどの絶叫を上げ、それはパティやひよりにも抑えられない
今や一年生の間でゆたかの話はタブーとされている

結果的に皆の日常も、大きく変わり果ててしまった
学校の人間がこなたの家庭事情なんて知る筈がない
全てこなたのせいにされてしまう
こなたの予想通り、埼玉にこなたの居場所など無かった





一人の女性が鉄壁で囲われた建物から出てくる
澄み渡る青空
それは正に彼女の心のように、永い歳月を経て牢獄から出る事を許された嬉しさと形容すべきであろう
すっかり変わってしまった外の世界
その女性は一つ深呼吸する
96デフォ北:2008/10/08(水) 00:16:04 ID:MPeDWPFv
目の前には高級車が止まっており、運転席からいつものピンク色のロングヘアを腰まで伸ばした女性が出てくる
それはみゆきだった

「初めまして。お待ちしてましたよ、どうぞお乗り下さい」

女性が無言で車に乗ると、早速車は逃げるように発進する

「貴女の事を…ずっとお待ちしていました。どうしても真相が知りたかったんです…」

みゆきは赤信号のため、車を止めて前を向きながら言う
その女性もほうけたように前だけを見つめている

「もう20年前の事ですね…
泉さんの白骨死体が見つかったのは、結局雪が解けてからのことでした
あなたの娘のゆいさんも、栃木県の山中で転落事故を起こして亡くなりました
私の友人であるかがみさんもあれからずっと精神病院に収容されています
ずっと私は真相を求めて探究し続けていました
覚えている範囲で結構ですから、全て話して下さい
貴女の過去と、泉さんをあんなまでにいたらしめた経緯を」

みゆきは一つ呼吸を置いて、最後に女性に向き直りながら言う

「…小早川ゆきさん」

依然ゆきは無言のままである
信号が青になり、みゆきは車のアクセルを踏む

「言えないんですか?早く教えて下さいよ
いくら何を話しても貴女を追放することはしません。もうこの事件は時効ですから
しかし、貴女が話して下さらないと心のしこりが取れません」
「ふっ…やれやれ…これで2回目よ…」

ゆきが久しぶりのように重い口を開いた

「1回目は…恐らく泉さんですね?」
「よく判るね、お嬢ちゃん」
「お嬢ちゃんと呼ぶのは止めて下さい。でも、名前で呼ばれるのも癪ですがね
泉さんが理由も聞かずに埼玉を離れる訳が無いでしょう
しかもあの日、あなたは泉さんを殺そうとして逆に反撃されたんですよね」
「何処からの情報よ、それ。まあ、一応計算通りだったけど
そうでなきゃここにはいないわよ
泉こなたに埼玉を離れてもらう手っ取り早い方法だったからね」
「どうしてそんなに泉さんの事を…?」
「私が本気で恨んでるのは兄さんだけだよ
こなたはのうのうと幸せに暮らす兄さんの娘だったから許せなかった
ただの腹いせだったのよね
…こなたは本当に運が悪い子だと思う」

みゆきはゆきの最後の一言に石を頭に当てられたかのようにカチンときたが
怒りの感情を表に出さずにいよいよ本題に入ってゆく

「では教えて下さい。真相を」
「それをあなたに話して何になるの?」
「私が知ったとして、社会的に影響はあまり無いとは思いますが
泉さんの汚名を晴らす証明にはなると思っています」
「…なるほどね。まあ話してもこっちに支障は無いから、話すよ」

女性はみゆきにとって信じ難い事実を淡々と語っていく
泉家と小早川家の対立、そしてそうじろうの殺害、その動機を
みゆきは時に憤り、時に涙を流した
97デフォ北:2008/10/08(水) 00:20:39 ID:MPeDWPFv
一通り話し終えると、既に空は赤らんでいた
二人の乗っている車は、町外れの田圃道の端に止まっている

「…こんなものね」
「判りました。今日はありがとうございました」
「さて…これからどうしようかな」
「そんな物欲しげな顔で見られても私の家は駄目ですよ?
夫も居ますし…あ、今日は帰りませんが」
「誰もお嬢ちゃんの家になんか行くつもりは無いよ。私ももうお婆さんだから」
「ゆきさん…貴女の犯した過ちはこれから返って来ると思います
でも、決して逃げずに立ち向かって下さいね。泉さんのように
最後の最後まで…諦めずに。それが貴女に出来る償いですから
今、貴女の話を聞いてよく判りました
泉さんは事実上自殺とされていますが、私は貴女が泉さんを殺した犯人だと思っています」
「そうね…私もバカだったわ。今ではそう思う」

みゆきとゆきはその後会話もせずに幸手駅まで走って車を止めた
みゆきは財布から五千円の資金を取り出し、ゆきに渡す

「これは?」
「一応、生活費です。貴女の家の場所が判らないので電車賃用も兼ねてます
貴女の場合は年齢的に年金もあることですし、これで十分でしょう。頑張って下さい」
「ありがとう、それじゃ」
「さよなら」

ゆきは車を降り、駅構内へと入って行った

みゆきは溜息をつき、再びハンドルを握って車を北西へと向けた
真っ暗になった高速道路を走り抜ける

夜中になって、漸く車は目的地に辿り着く
そこは石川県のとある山の中腹
みゆきは懐中電灯を持って車道を外れた険しい山道を草木掻き分けて進んで行く
雪は積もっていないが、寒いことに変わりは無い
暫く歩くと見えてくる平べったい大きな石の目印
去年その上に置いた花は既に灰のように枯れ、パラパラに崩れかけている

「泉さん…お久しぶりです。出来れば半年に一回のペースで来たいのですが
最近忙しくなりまして…」

みゆきは20年前にここで力尽きた親友に語りかける

「丁度20年になりますね…私も半年後に漸くお母さんになります
…漸くはっきり判りました。貴女がどれほど過酷な人生を乗り越えてきたか
私は謝らなければなりません。貴女を助ける事が出来なかった事に…
本当にすみません…」

みゆきは涙を流して言う
その声は真夜中の虫の声が小さく鳴り響く一角の空間に木霊した

すると、みゆきの身体を暖かい風がすり抜ける
その風はみゆきを慰めるかのように、優しく緩やかに包み込んだ

みゆきは吃驚の表情を見せたが、やがてクスリと微笑み、目を閉じて優しく呟いた

「泉さん…」



(終)
98デフォ北:2008/10/08(水) 00:24:46 ID:MPeDWPFv
そういえばこなたを確実に窮地に陥れるようなSS書いたのは初めてですね
書いてる自分もこなたが可哀相だと思ってしまいました
99名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/08(水) 00:31:01 ID:dMGfl/Z9
おつ!
かがみやみゆきはこなたの味方であってくれてほっとしました
100名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/08(水) 02:02:05 ID:uU+UWUNc
いやはや、たいした文才だよ
おもしろかった
この話を読んでると、なんともいえない閉塞感に見舞われたよ
本当にどうしようもない状況って怖いな
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/08(水) 12:28:35 ID:XeAax/vr
 お疲れ様でした。
こなたの口調がちょっと大人っぽすぎる感じがしましたが、
真相を解き明かそうとするみゆきの行動力に感動しました。
ゆきの陰のある残虐性、かがみのぎこちない優しさ、みゆきの包容力。
これらの対比がお見事でした。
102名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/10(金) 00:49:57 ID:vxUpP20P
だな
103名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/10(金) 08:42:26 ID:XB74o19r
大陸棚
104名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/10(金) 19:52:29 ID:Gvsqy7e7
ハルシャ=ヴァルダナ
105名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/10(金) 22:15:09 ID:f2uHeLKI
泉こだな
106名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 02:14:08 ID:eNq8Q3W/
こなた「執事欲しいな。虐める奴ら皆殺ししてくれるような黒い執事」
ななこ「お呼びですか?」
こなた「帰って」
107名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 04:16:51 ID:SKnKsjtX
このスレも小さく死んでいくのか
108名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 08:01:50 ID:76nAhRcT
また一つ〜 スレが消え〜るよ〜
109名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 09:57:00 ID:JkaWlOeQ
消させないぞ
110名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 14:36:44 ID:llCiAROK
ぼっちは盛況なんだけどね。
自殺未遂経験者が自分語りでも始めれば盛り上がるか?
…マジで書かれても反応に困るけどな。
111名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 20:53:30 ID:UYNw7kfc
○沢が総理大臣になったりと、民○党が政権を奪取。

そして日○組や同和利権を受ける連中が幅を利かすようになる。

小中高と同和教育を義務付けられ、陵桜高校学区内の同和地域もリスト化。

実は泉家は部落出身だったことが判明

いじめられる

自殺

という妄想が浮かんだのだが、実際埼玉県って同和地域とかどうなの?
112大阪府:2008/10/11(土) 22:01:27 ID:fT9lshbe
おひさです
アク禁+少し入院してました、点滴打たれてましたorz
SSですが、もう少しで完結できそうなので、まとめて来週中にうpします!
113名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 22:07:04 ID:DpUJnle2
おひさー!
114名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 00:55:40 ID:pUOipHBL
大阪とは…大物が復活したな
>>89
一つ、貴方に聞いてみたい事があるんだ
ぶっちゃけた話、赤い悪魔の続編どう思ってる?
115名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 01:10:26 ID:RpZH19Je
右翼を逮捕者したら在日朝鮮人でした 【動画】
http://www.youtube.com/watch?v=IaIjHDMpABA
116名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 09:55:15 ID:JhbcKQjg
このスレには何故にして西日本が多いのか
大阪氏が投下するまで議論しないか
117名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 10:54:58 ID:LqJz8Hnb
>>114
デスノートを持ち込んでいなければ・・・・

まあ、なんでもありなんですけどね
118名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 22:28:06 ID:j4Wqg1XX
名作映画があったとして
あまりにもの人気に、1の監督ノータッチで勝手に続編が作られて
1のラストの余韻も世界観も雰囲気もブチ壊しにされた

って気分に似てるな

CUBEとかSAWとか、死霊のえじきとか
119名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 22:52:27 ID:AAIwwEEa
>>116
神奈川一人で東は充分だから。
120名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 23:37:01 ID:ZSc0bxa1
神奈川と神奈川信者うぜえ
121名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/13(月) 00:42:31 ID:00vFVDFs
だが他に東の奴いたか?
122名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/13(月) 02:37:34 ID:F/+vaXNz
>>118
それ以前に赤い悪魔って名作か?
みゆきの想いやうつ☆すたは分かるんだが
赤い悪魔と操り人形はどうも
123名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/13(月) 07:24:29 ID:89Ua1wr0
赤い悪魔はインパクトやな
124名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/13(月) 18:28:39 ID:WetE3310
ゆたかは赤い悪魔でしたか?
125名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/13(月) 22:27:42 ID:Vacea9s3
悪魔ってほど残虐かって訊かれると
パンチが弱い気がしないでもない
残虐キャラ狂気キャラのオンパレードだからなぁ
126sf655:2008/10/14(火) 00:39:31 ID:9/CCjGwh
PCが復活したものの、初期化されていました。
というわけで来週あたりに書き直したのを投下したいと思います。
127名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 03:15:14 ID:quNSy5M3
つかアル…
128名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 16:07:54 ID:Nr8Ok7ln
きっと…
129名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 19:36:40 ID:3ZQYar6t
湿気てんなぁ。火薬持ち込んでやる。
人気投票すんぞ。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 19:44:37 ID:ctl0FiGl
らめえええええ
131名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 19:55:18 ID:uFMoUtG0
こなたのボランティアに一票
132名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 21:42:41 ID:mBiC1nwL
じゃあ俺もこなたのボランティアに一票
133名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 21:57:14 ID:k91K4Dgf
空気を読んでこなたのボランティアに一票www



>>127
知り合いにDVDの編集・製作を頼まれて、
SS書いてる余裕が無かとです。許して。
134名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/15(水) 01:00:18 ID:pHmSVaXZ
エールの意味も込めて、

こなたのボランティア
135名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/15(水) 13:52:05 ID:V121xV2b
読んだことないけどこなたのボランティア
136名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/15(水) 19:48:15 ID:0udSkQ/x
ゆたかがデスノート使う話が一番面白かったよ。ww
137名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/15(水) 21:56:53 ID:UCGx3TrR
24時間経ったので、集計結果発表

優勝 こなたのボランティア
準優勝 赤いK悪魔の終焉

数多くのSSの中から見事受賞されました
両者おめでとうございます
138名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 01:09:33 ID:5pc266Jv
「ふう、まさかコスプレ用に闇ルートで買った
真剣と銃がこんなところで役にたつとは思わなかったヨ。」
「じゃあねみんなγ(≡ω≡.)」
ttp://upload.jpn.ph/upload/img/u28154.jpg
139名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 01:13:30 ID:5pc266Jv
忘れてた↑グロ注意です
140名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 02:55:09 ID:Rn+bKYdT
GJ!
141名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 02:56:12 ID:Rn+bKYdT
つーかこなたボッチ過ぎて吹いたわw
切腹しても、介錯してくれる人さえ居ないんですね。
142名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 14:45:38 ID:PeqyE02a
>>138
血塗れこなたおつ
143名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 20:02:55 ID:gz/oMkgf
144名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 22:11:53 ID:6wUo3KSw
乙ー。
最近絵の投下増えたな、と。
145名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 23:10:01 ID:HmWbx4eI
>>143
俺、あんたの絵、好きだよ。
シュールさがたまんない。
146名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 01:52:44 ID:yRG5IfuR
>>126
ついてないなw
そういや、前にコテのPCが続々クラッシュする事があったっけな
147名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 15:26:34 ID:scpbTqzp
保守
148名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 18:36:03 ID:thsN4RkL
健康食品会社の顧客名簿を悪用、弁護士装い現金詐取 韓国籍の男ら5人を逮捕

健康食品会社の顧客名簿を悪用し、弁護士を装い、「金を払えば裁判を取り下げる」などと現金をだまし取ったとして、韓国籍の男ら5人が逮捕された。
詐欺の疑いで逮捕された韓国籍の金義明容疑者(24)ら5人は、2007年9月、弁護士を装い、偽の「訴訟提起通告書」を送りつけ、
青森県の男性(57)に対し、「通販会社が裁判を起こした。金を払えば裁判を取り下げる」などと言って、現金およそ25万円を振り込ませた疑いが持たれている。
金容疑者は容疑を否認しているが、ほかの4人は認めている。
金容疑者らは、健康食品会社の顧客名簿を悪用し、10万人以上にダイレクトメールを送りつけており、警視庁は、
全国のおよそ160人から2億円以上だまし取ったとみて調べている。
ソース:FNNニュース(動画あり)
ttp://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00140871.html

>詐欺の疑いで逮捕された韓国籍の金義明容疑者(24)

中京テレビ:News&Weather
ttp://www.ctv.co.jp/news/local/news_loc.html?id=26054

>東京都府中市白糸台、会社役員・金山義明容疑者(24)
149名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 21:38:37 ID:kEDLwP4K
>>112
うつ☆すたのIf After書いてもいいですか?
150名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 23:10:12 ID:MDXQdntH
>>149
またデスノートでも出すのか?
止めれ
151名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 23:37:54 ID:kEDLwP4K
それ別の人
152名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 00:33:24 ID:jRlohU2x
てか誰だよ、あの蛇足をwikiに乗せたの
153名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 01:22:45 ID:ZJJ+C8eN
wikiに掲載されてないSSを一気に上げてくれる人が現れたからだろう
154名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 02:42:59 ID:xWN3fPsl
>>122
みゆきの想いは作者不在なのだろうか?
もとの奴は秀作だったのに分岐は惜しかった
出来れば分岐をもっと練って欲しかった、むしろ今にでもお願いしたい
拷問ももっと過激にry
155名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 03:20:42 ID:iJakfSiy
>>152
準優勝を蛇足とか
156名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 20:34:53 ID:xoziYeJt
競争がないから、番組の質は落ちるし収益も他の媒体に圧迫されるわな
日本の産業で一番規制緩和が必要で既得権益だらけの業界が、放送業界
157名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 20:36:55 ID:Pe8AjgvI
ν速か
158名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 22:42:27 ID:uPYKRhul
そういや大阪今週中に…
いや、急かしてるわけぢゃないですよ?
159名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 12:01:10 ID:Ag7EmQaq
ここ最近のスレ過疎化にともない
自殺スレ会議と称してオフ会やらないか?
西日本人が多いということで、福岡あたりででも。

一晩中、こなた自殺について論じようじゃないか。
160名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 12:33:59 ID:sbU3Z07c
>>159
福岡は遠すぎるw
161名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 14:56:18 ID:DHVAxh/w
162名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 16:20:10 ID:sbU3Z07c
>>161
こなた大きいなw
163名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 19:53:41 ID:OXVhynIx
ちゃっかりみゆき埋まっててワロタw
164名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 19:54:34 ID:KSZndBZr
福岡でやるなら、参加人数にもよるがミニバンでもレンタルして
犬鳴、力丸などの自殺名所めぐりでもやるか?
その後、親不孝のメイドカフェで打ち上げとか。
165名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 20:04:49 ID:6Vq5sbQH
日本昔話のEDか?
166名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 23:51:55 ID:Tgu7vmlj
>>164
誰が参加すんだよwそんなのw
167名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 00:16:14 ID:GfVn3rGP
じゃあ、関東は関東大会を…
168名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 00:20:51 ID:KBo4e7ai
個人的に中尉がどんな方なのか気になるなぁ
169名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 11:36:02 ID:VmDlO0P3
170名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 11:38:17 ID:VmDlO0P3
>>165
そうです。
171名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 15:28:47 ID:XyiNT1vl
福岡大会のアイドルは間違いなくガンガン氏ですね
172名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 18:40:51 ID:bCvMVe6B
福岡は賑やかで羨ましいなぁ
173名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 22:20:59 ID:9st/6s2k
いったいどうしたの?
半月前は祭り状態だったのに…
やっぱりみんな大学始まったのか
174名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 23:32:44 ID:byO9/sAr
マジでオフやるのか?
だったら興味あるな、職人たちの素の姿も見てみたい。
175sage:2008/10/21(火) 10:00:20 ID:8684JtAV
福岡は良質な作品を手がけた職人たちの宝庫だし、サブカルの発信地を自負しオタクにも寛容な土地柄。うってつけの開催地では。それにオフ開催は鬱系スレでは初の快挙では?
176名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 12:49:01 ID:7YJ103Hd
関東住みだけど福岡行くわwww
177名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 12:53:31 ID:ray5WRzw
>>150 >>152
文句を言うなら自分で何か書いてみろ
過ぎ去った事をグダグダと、女々しいったらありゃしない
178名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 13:10:42 ID:iN9ddQEU
?是在??阿
我完全看不?
哇哈哈哈哈哈
179名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 16:40:47 ID:QUO6xqAO
そんなに多いかー??
あんまいないだろ
180名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 19:35:04 ID:F5b2rTph
>>177
何を言ってるんですか
赤い悪魔後日談も、後日談に関する話題もこのスレには存在しませんよ
メルヘンやファンタジーじゃあるまいし
181名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 21:05:01 ID:30o+vW5Z
>>175
オフ会で知り合いにあったら気まずいだろう・・・
特に職人は名乗らないといけないムードだし
182名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 23:34:31 ID:izSmXIib
証拠の品を持ち寄らないと、職人だと分からないかもしれない
183名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 00:02:49 ID:wQk0zLxO
おいおい本気なのか?
184名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 00:19:41 ID:aCoXk9b8
まとめのトップにオフ会スレ貼られてるな
本当に開催されるのかオフ会

つか行くヤツいるのか?w
185名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 01:20:31 ID:x4JoA+x8
186名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 05:27:05 ID:YcjOhGsR
つかさの整形手術でこなたが可愛くなったw
187名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 12:49:36 ID:KN+vXOko
ガンガンレオン ガンレオン
ガンガンレオン ガンレオン
ガンガンレオン ガンレオン
ガンガンレオン ガンレオン
188名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 20:02:57 ID:M3kKW03x
>>182
大分氏は例の薬
ガンガン氏はガンガンした証拠映像って事ですね、わかります
189名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 20:37:10 ID:MvrVHzyB
マルチ業界でさえ、あんだけ国会議員にとりこんでるんだから
パチンコ業界なんて日本をのっとるくらいの勢いなんだろうな。
190名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 20:53:17 ID:88JtgSLe
>>189
激しい誤爆
191名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 22:54:13 ID:nSSVz+GD
保守がてら
ある日の思いっきり生電話

みのさん「今日は、埼玉県にお住まいの女子高校生からのお悩みです、ではどうぞ!」
女子高生「はい、お願いします」

女子高生によれば、同居している家族の愚痴らしい

ガヤ  「え〜っ!!きもちわる〜い!!なんなのこの家族!?」
みのさん「なるほど、心中お察しします、早く独立した方がいいですよ」

  こなた「うわっ!この従姉キモッ!!きっと太ってふきでものだらけの眼鏡かけたブスだろうね」
そうじろう「この男最悪だな、仕事もろくにしないで・・・中年にもなってオタクとは駄目な人間の典型だ・・・」

しかしこなた達は気付かなかった、彼らの後ろで受話器を握り締めているゆたかがいることを・・・


昔作ったネタ失敬
192名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 18:18:03 ID:EGD1RrPZ
ほっしゅどぽてと
193名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 18:25:03 ID:kAjiwVUQ
 他人の不幸で今日も飯がうまい!!
    +        ____    +
      +   /⌒  ⌒\ +
   キタ━━━//・\ ./・\\━━━━!!!!
    +   /::::::⌒(__人__)⌒:::::\  +
        |  ┬   トェェェイ     | 
     +  \│   `ー'´     /    +
     _|\∧∧∧MMMM∧∧∧/|_
     >                  <
   /  ─ /  /_ ──┐ヽ|  |ヽ  ム ヒ | |
 \/  ─ / / ̄ /   /  | ̄| ̄ 月 ヒ | |
  ノ\ __ノ   _ノ   \   / | ノ \ ノ L_い o o
194ガンガン福岡:2008/10/23(木) 20:28:55 ID:+skl2gOs
何だ?福岡でオフやるのか?
んで、俺は生原稿持ってくればいいのか?
195名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 21:03:21 ID:EGD1RrPZ
おぉ
ガンガン氏もノリノリですな
196ヤク中大分:2008/10/23(木) 22:46:37 ID:FVnF1LQf
ttp://upload.jpn.ph/upload/upload.php?id=28573
サイケデリック5
みさお初描き?
197名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 23:43:30 ID:9p6Yozb0
しかしオフ会のネタだけでSSが一本書けそうだ

狂気のこなた信者が職人を殺してなり替わり参加するとか

アンチ「お、お前ら・・・見えないのか?こなたが泣いてるじゃないか!お前らのせいで・・・お前らのせいで・・・」

失敬
198名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 01:01:11 ID:0fm+TkOC
漏らすぞ!
199名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 16:49:06 ID:SHSIR4fD
このスレを見ている人はこんなスレも見ています。(ver 0.20)
【福岡】「泉こなたを自殺させる方法」【大会】 [定期OFF]
「泉こなたを自殺させる方法」を考える26 [大学生活]
pixivウォッチスレ108 [ネットwatch]
木冬かがみが大学でぼっちになっているようです20 [大学生活]
ジョージ・A・ロメロ 「ゾンビ映画」総合スレ 16 [映画作品・人]←

……最後だけやたら浮いてないか?
200名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 17:57:47 ID:6MzZU7UN
>>199
以前Wiiスレが載ったこともある
201名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 20:53:25 ID:RRSKqUc7
何でこんなネタを思い付くの?
らきすたが嫌いなの?こなたが嫌いなの?
ネタを思い付いた人って虐めっ子?苛められっ子?
202名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 21:19:30 ID:wIWmL0o5
>>201

高校まではいじめられっ子でした。
が、生い立ちと”こういうネタ”を思いつく事に因果関係はありませんよ。
殺人事件や警察・探偵に関わった経験がなくても推理小説は書けるし、
直接触ったことがなくてもイルカやクジラの絵は描けます。
これらは創作です。
らきすたやこなたに対する愛の表現方法のひとつとご理解を。
203名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 22:23:16 ID:RRSKqUc7
>>202
マジレスしたら叩かれるだけだと思ったけど良かった…
偶々ニコ動でこのネタを知ったんだけど、こなたが可哀相なのとつかさ達が余りに非道なんで観てられなかった
らきすたやこなたに対する愛があればこんなネタは絶対に思い付く筈が無いと思うんだけど、自分の只の思い込み?
こんなネタで盛り上がってる人達が沢山いるって知ってかなり悲しかった
出来ればニコ動の動画は全部削除して欲しいな…
幸福にさせるシリーズの続編作って欲しい
204名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 22:31:58 ID:u/D5mMjZ
>>203
愛の表現なんか人それぞれだろ
こなたが幸福なのが見たいならここの存在忘れて自分にあったところに行ったほうがいい
205名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 22:32:09 ID:CeWM/axD
世の中にはいろんなニーズがあるということを理解してください。
創作物である以上、表現の自由、思想の自由を誰も侵害できません。
このスレにはらきすたやこなたを本気で憎んでいる人もいますが
愛している人もいます。そういう人たちをすべからく受け入れるこの
スレの懐の深さはすばらしいと思います。
206名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 22:34:48 ID:+tvTp8o1
自分はギャグ系の話と欝系の話両方考えてる
まあ、所詮同人ってことであまり気にしないでください
207名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 22:39:21 ID:SZkBVL6y
柿崎「今度こそ無事に帰還してステーキを完食してyうわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
208名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 22:41:45 ID:wIWmL0o5
>>203
コナンや三毛猫シリーズを見る人は登場人物が死ぬ様が見たいのか?
それとも主人公の推理を楽しみにしているのか?
スターウォーズファンは戦争が好きなのか? 剣で人物が斬られるのを嗜むのか?
好きだからハッピーエンドを。
この考え、分からなくもありません。
しかし幸福が常に正しく、不幸が必ず間違っているとまでは言い切れないハズ。
前述の推理ものは事件が起こって誰かが死ぬからこそ、主役の推理が映えるのです。
SWにしてもシスという悪役がいるからこそ、ジェダイの正義が明確になるわけです。
幸福の裏には不幸が。不幸の背中には常に幸福があります。
つまるところバッドエンドがあるからこそ、僕たちはハッピーエンドを認識できるわけです。

もしあなたがこれら作品を鑑賞したことで悲しいと思うのならば、その悲しみを糧に、
自分の中でのらきすたをあなたが佳しとする幸せなものに変えてください。
数あるバッドエンドを踏み越えて、よりハッピーエンドの尊さを感じてください。
209名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 22:41:48 ID:RRSKqUc7
>>204
勿論そうするつもり
動画も自殺wikiも絶対観ない
只知りたかったの
何でこんなネタを思い付いたのかを

>>205
>愛している人もいます。
これが知りたかったの
愛してる人はこのネタで一体何を他の人というかファンに伝えたいのかが全然分からないの
あなたの主観で良いから教えて貰えないかな?

それと本気で憎んでる人とは、例えばどんな理由があって憎んでると思うの?
つまんなかったららきすたを観なきゃ良いだけなのに
210名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 22:47:52 ID:RRSKqUc7
>>208
なる程、そういう考えもあるんだね
けど、コナンとかスターウォーズとかって全然ジャンルが違うでしょ?
殺人事件や戦争が言ってみればテーマでそれが楽しいんでしょ?(これも思い込みかな?)
けどらきすたはほのぼのしてる所が楽しいんでしょ?(ってこれは只の自分の感想か…)
だからこなたが虐められたりつかさが虐めてたりする所なんか観たくないし想像したいとも思わないんだけど…
でもそういう考え方もあるって事分かったから良かった
答えてくれてありがとう
211名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 22:55:45 ID:wIWmL0o5
>>209

『愛犬家や愛猫家が犬猫を虐待するハズがない』

あなたの疑問の前提は極論を持ち出せばこういう事になるでしょうか。
この時点で僕のレスは詭弁に成り下がるかもしれませんが、とりあえず読んでみてください。

あなたが嫌いな作品・映画・アニメ・音楽・絵画は何ですか?
見る(聞く)だけで吐き気がしそうな作品はありますか?
それらを好きな人をどう思いますか?
中庸論でも構いません。
どうも思わない。これもひとつの答えでしょう。

あなたは生物の命を尊いと思いますか?
自殺や他殺など絶対にしてはならないと思いますか?
もし尊いなら、蚊やゴキブリなどの害虫を躊躇いなく殺せるのはなぜでしょう?
この問いに誰の異論も許さない答え方ができるなら、それこそがあなたの問いに対する答えです。

212名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 23:08:08 ID:RRSKqUc7
>>211
じゃ答えさせて貰うね
>あなたが嫌いな作品・映画・アニメ・音楽・絵画は何ですか?
勿論嫌いなアニメや音楽は沢山ある
けど別に他作品を中傷するつもりで質問した訳じゃないので回答は控えるよ

>見る(聞く)だけで吐き気がしそうな作品はありますか?
勿論ある
そんなの只観なきゃ良いだけだと思ってる

>それらを好きな人をどう思いますか?
趣味は人それぞれだからそういう話題は避ければ別に何とも思わない

>あなたは生物の命を尊いと思いますか?
うん

>自殺や他殺など絶対にしてはならないと思いますか
うん

>もし尊いなら、蚊やゴキブリなどの害虫を躊躇いなく殺せるのはなぜでしょう?
人の命と害虫の命は同格だと考えた事ないから分からない
自分が害虫として生まれてきたのなら害虫も殺せないと思う

つまる所、自分の質問はこれだけだったの
>らきすたって作品が好き名人はこのネタで一体何を他の人というかファンに伝えたいのか?
213名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 23:11:06 ID:CeWM/axD
>>209

一体何のメリットがあって、ハナから理解しようとも思ってない
らしき相手に説明しなければならないのか?
あなたが俺たちを理解する努力を惜しまないおつもりなら
>>1のリンク先にあるまとめwikiに向かうべし。
そして、作品を読んだという最低限の前提を作ってから再び来るべしw
214名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 23:15:57 ID:RRSKqUc7
>>213
ニコ動でちょっと観て気分が悪くなったから絶対観ない
らきすたとこのネタは別の作品だから嫌なら観なきゃ良いじゃんと言われればそれまでなんだけど、知りたかったの
ネタを作った人はらきすたって作品が嫌いなのか?
こなたが嫌いなのか?
このネタでらきすたファンの人に何を伝えたいのか?
215名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 23:22:59 ID:u/D5mMjZ
>>214
SMプレイする人の中には好きな人間を痛めつけるのが好きとか苦しんでる姿が好きとかいう人がいるじゃないか
個人的にはこなたというキャラが好きで、それが苦しんだり悩んだりしてる様子が好きだからこのスレ見てる

らきすたファンの人に何を伝えたいのか?って質問の意味がいまいちわからない
らきすたが好きな人の中で、こういう類のネタを好む人間同士で共有してるだけだろ
216名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 23:27:23 ID:wIzaWZfS
いきなり何だこりゃ?
こんな水かけ論をいつまで続けても互いに理解できるわきゃないのにな。

俺らには俺らの楽しみ方がある、ただそれだけのことだ。
217名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 23:36:35 ID:RRSKqUc7
>>215
>個人的にはこなたというキャラが好きで、それが苦しんだり悩んだりしてる様子が好きだからこのスレ見てる
こなたは好きなんだね
こういう人が沢山いるって事が信じられず(と言うかいると思わなかった)、らきすたやこなたが嫌いな人がらきすたファンを中傷してるとしか自分には取れなかった

>らきすたファンの人に何を伝えたいのか?って質問の意味がいまいちわからない
偶々動画でらきすたでググってこのネタを知ったので、それで知りたかった
動画のタイトルで内容を察しろ、と言われそうだけど、自分みたいに興味本位やらきすた好きだから取り敢えず観てみよう、と軽い気持ちで観てしまう人への配慮とかは考えなかったのだろうか?と
せめて動画の作者コメントにこの動画はこなたが散々虐められるネタだから本編の雰囲気を壊したくない人は注意すべし、とか注意書きを書いておいた方が良いのでは?
と思う
218名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 23:40:50 ID:3MdFycWi
なんかあれだな、昔のAA板の虐殺スレを思い出すなw
219名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 23:46:03 ID:CeWM/axD
本性をあらわしてきたな。結局、俺たちを罵倒したいだけできたんだろ?
ファンを中傷ってwそんなくだらない目的で作品を作るのに心血注ぐか?
注意書きも良く読まずに動画だからってすぐにクリックって
ワンクリック詐欺にすぐに引っかかりそうだな。ネットの世界は危険が
いっぱい。まあ、本当に注意書きもなにも書いてなかったんならお気の毒
でした。もう分かったから帰ってくれ
220名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 23:53:14 ID:RRSKqUc7
>>219
>結局、俺たちを罵倒したいだけできたんだろ?
酷い言い方…
分からないから純粋に質問しただけなのに…

>注意書きも良く読まずに動画だからってすぐにクリックって
だから注意書きがなかったて言ってるのに…

>ワンクリック詐欺にすぐに引っかかりそうだな。
余りにも偏見…

>>211さんとは知りたい事とかあってもう少し会話したかったけど、あんたみたいのが居たんじゃな…
もう来ないけど、動画をアップした人は注意書きを何とかして欲しい
以上です
221名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 23:57:18 ID:wIzaWZfS
>>219の言う通りだな。
ただの中傷や批判のためにわざわざ時間と労力割いてまで
作品作る訳がなかろう。無駄すぎる。
見たいやつがいる、だから需要に応じて作品を作る。
見たくないやつは見なくて結構、とっとと去れ。
そして二度と帰ってくるな。
222名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 00:00:37 ID:fp+bO+B3
>>219
ちょw言い方酷い過ぎw

ニコ動みれば注意書きないの分かるぞ。

>>220
運が悪かったと思って諦めてくれ。
らきすたとこのネタは別作品だと認識してればもう観る事も関わる事もあるまい。
さらばだ。
223名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 00:02:12 ID:jhbGi5p4
>>217

ではハッピーエンドやほのぼのとした作風なら、いちいち断りを入れなくてもいいのか?
ということになりはしないでしょうか?

あなたのような考え方の人が、ふらりと思いついたように訪れて意見することは度々あります。
(ここに来て日の浅い僕でも何度か見かけました)
そういう人の共通点は視野が狭いこと。
『作品のこういう愛しかたがある・こういう楽しみ方がある』
という可能性を全て排除してしまい、自己の信ずる”ファンとは何か?”に固着してしまうタイプです。
『こんなことして楽しいか?』
『なにがやりたいのか?』
この種の疑問も散見されます。
が、見た目は疑問文でも実は答えなど求めていない場合が多いです。
(究極的には既に”答えなどない”という前提の元の疑問形式の嘲りです)

>>210 では自分の矜持を保ちながらも柔軟性のある方か、と思っていましたが……。
そもそも最初の立ち位置からして違うので、僕たちが共感することも相容れることもないでしょう。
ですから説明してもおそらく拒絶されるでしょう。
その点では水掛け論と一蹴した方はその時点でこのやりとりの結末を見たのでしょう。

逆に問いたい。
なぜハッピーエンドにこだわる?
なぜ作風の負の側面から目をそむけようとするのか?
あなたの言う、”好き”と”嫌い”は何を包括し、何を定義し、何を前提とするのか?
あなたのらきすたの楽しみ方・愛しかたは実はあなたの独善ではないのか?

224名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 00:09:46 ID:fp+bO+B3
>>223
>ではハッピーエンドやほのぼのとした作風なら、いちいち断りを入れなくてもいいのか?

良いんじゃね?
原作がほのぼのなんだから。
>>220みたいな難民が又来そうだから動画アップしてる奴見てたら注意書きの訂正する事も検討してくれ。
225名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 00:34:08 ID:kJHJ8fqI
まあとりあえず俺は原作も好きだがこのスレが好きだ
226名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 03:29:22 ID:uq90hFCL
このスレには単にこなたが好き、というスレよりも良質な書き手さん達が多い
周りからは捻くれものの集まりみたいに見えるかもしれないが
何故良質な書き手さん達がここに集まってくるのかをまず考えてほしいね
227名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 08:13:52 ID:rl/0bU7O
>>224
>注意書きの訂正する事も検討してくれ
禿同。
動画を見れば分かるが、原作と只のネタを区別さえ出来ない220みたいな奴が沢山いる。
共感出来る仲間?を増やす為にうpしておくのは構わないが、注意書きを直さないと又220みたいな奴が来るであろう事は容易に想像出来る。
住人が迷惑する。
228名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 08:25:31 ID:rl/0bU7O
補足。特に幸福シリーズを観るとアンチがどれだけいるかが良く分かる。
229名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 09:59:30 ID:EW+wLlfo
なんかこんな流れのときこんな絵張ってすまんがこなたかわいいよこなた
http://isekotoba.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/src/mjd3697.png
230名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 10:54:46 ID:JPLKWEaS
>>229
絵貼るの構わないけど自殺関係ねぇじゃん
231名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 12:39:36 ID:1ivERIiZ
木梨の結婚式は建前上はプライベートだから
報道陣には公開しないというスタンスだったけど
安田がチョゴリを着てる姿を晒すわけにはいかないから
公開拒否をしたんだよな
更に万全を期して船上で式をあげるという徹底ぶり
マジ気色悪いわ
232名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 12:40:54 ID:rl/0bU7O
>>231
それとこのスレと何の関係が?
233名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 14:33:51 ID:uq90hFCL
ただの誤爆だろ
234名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 16:31:28 ID:nGZPEUR1
以前から朝鮮関係のニュースがよく誤爆されるな
235名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 00:58:49 ID:glfrlDj6
極東とハングルでチョン分は充分摂取しているのでここに誤爆していただかなくて結構です。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 11:07:39 ID:ViVlde/8
誘導

単体キャラのネタスレは↓に統合するか

【らき☆すた】泉こなた Part29
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1224043421/

メロン又はメロンexに移動願います。
237名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 11:33:48 ID:pn23gglW
>>236
向こうはこのネタのアンチが多いから避難所作ったんじゃなかったっけ?
238名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 11:47:39 ID:U5YfQYgg
>>236
絶対お互いのためにならないw
断固拒否する
239名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 12:09:57 ID:yQNDohZw
避難所というかもう本スレ化してるけどね
240名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 12:17:40 ID:ViVlde/8
それでは次スレはこちらへ移動願います。

アニメサロン
http://changi.2ch.net/asaloon/
アニメサロンex
http://changi.2ch.net/anime4vip/
241名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 13:40:13 ID:Kc0ca9OL
自治スレ見たが…
結局アニサロへの誘導の結論でてねーじゃねーか。
242名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 13:46:12 ID:IMxypuf3
死に関連するから誤解を受けやすいけど、性的なだけの同人よりも、ここの作品のほうが健全だと思う。
243名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 14:14:03 ID:pn23gglW
>>242
こなたスレはこなたが虐められる事を許さない奴ばっかだよ
アニメ2板の本スレは色んなキャラの信者がいるから論外
つかさやみゆきが虐めをするなんて絶対認めないって奴ばっか
かがこなとかもそうだけど趣味はそれぞれ違うんだから絶対に共存は無理
244名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 21:13:24 ID:34Vq2Q7M
>>196

確かにヤク中みさお初めて見たわ
245奇跡:2008/10/26(日) 22:19:03 ID:Qz4NN+EG
SS投下はここでいいのかな?
とりあえず新作を作ったので投下。

「奇跡」

「…ここ…は…」


眩しいくらいの白い世界が私の網膜を焼き、夢の世界から現実へと徐々に引き戻していく。
ぼんやりした思考の中で私は、ゆっくりと周りを見渡した。
白い壁に白いカーテン、それぞれがみな、清潔感を出していた。
そこは、私が居るべき自室のベッドの上ではなかった。
どうやら私は病院のベッドで寝ているらしい。


「あれ…ここ…は…何で私…病院なんかに…」

体に触れてみたが、別に痛いところもないし、怪我をしている風でもない。
とりあえず立ってみる。普通に体も動くようだ。

「どうなってるの…いや、それよりも…もっと大事なことがあったような…」
あれこれ考えてみるが別に思い当たることもない。
それよりも、何故かは分らないけど、早くここから出なければとの
私の第六感がそう告知していた。私の危機予知は結構鋭かったりする。
とりあえず、ゆっくりと病室のドアを開けた。

246奇跡:2008/10/26(日) 22:20:54 ID:Qz4NN+EG
>>245
今はまだ早朝のようだ。スタッフの影も見えない。
私は誰もいないことを確認するとすばやく、非常階段へ入った。
「そもそもこんなに元気なのに、何で病院なんかに居るんだろう、私…」
とか思いながら、私は病院の外に出て、外観を見上げた。
ttp://uproda11.2ch-library.com/src/11129806.jpg
市内でも有名な総合病院、家からもそう遠くない場所にある病院だ。
何でこんな所に…

「とりあえず、家に帰ろう」


家にたどり着いた私は、ドアに手をかけてはっとした。
「そういえば…カギ持って無いや。お父さん、起きてるかなぁ。」

ピンポーン

チャイムを押してみる。暫くすると人の足音が聞こえてきた。
どうやらもう起きていたらしい。

ガチャ…
「はい…どなた…」
「ただいま、ちょっと聞いてよお父さん。私病院で…」
247奇跡:2008/10/26(日) 22:22:51 ID:Qz4NN+EG
>>246
私が話しかけると、あからさまに慌てた様子で父は驚いた。
「ちょ、ちょっと待て!君は一体……誰だ?」

「…へっ?」



あまりの唐突な父の言葉に、暫く時間が止まったかのようだった。
が、すぐに私は思考を再始動させた。どうせいつもの冗談なんだろう。



「何そのギャグ?…まぁいいよ、話は後にして。歩いてお腹すいちゃった。何か食べ物でも…」
家に入ろうとする私の肩をガっと掴み、父は私を静止させる。
「こら!君はいきなりやってきて何なんだ!?」
248奇跡:2008/10/26(日) 22:24:41 ID:Qz4NN+EG
>>247
父が警戒の眼差しを私に向けながら、詰め寄っていた。
しかしこの訳の分からない行動に、さすがの私も腹を立てていた。
冗談にもほどがあるでしょ!笑えないよ!

「いいかげんにしてよ!何だよもうっ!」
と、激しく肩にかかった腕を振り払った。
「いいかげんにしてほしいのはこっちの方だ。これ以上ここで騒ぐと警察を呼ぶよ?いいね?」

「どうしたんですか…?」
ttp://uproda11.2ch-library.com/src/11129809.jpg

私たちの喧騒に、ゆーちゃんが起きたらしく、目を擦りながら部屋から出てきた。
「ううん…こんな朝早くから…おじさん?」
「聞いてよゆーちゃん!お父さんったら酷いんだよ!私の…」

しかしゆーちゃんは、私の顔を見るなりポカンとした表情で見ていた。
「え…?お父…さん…?えと…お姉さん、おじさんのお知り合い…ですか?」
ゆーちゃんまでもとぼけたような事を言う。
「ゆーちゃん何言って…そうか!二人して私をからかってるんだ!」
249奇跡:2008/10/26(日) 22:27:20 ID:ayo8JBhH
>>248
「もういい!二人とも大嫌いっ!」
私が憤慨しながら、家を飛び出していった。
何なんだよもう…

家に取り残されたそうじろうとゆたかは、嵐が去った後のような面持ちで
あっけにとられたまま、玄関に立ちすくんでいた。
「一体…何だったんです?今のは…」
「さぁ…俺にも訳がわからない。一体誰なんだあの女の子は…」

ttp://uproda11.2ch-library.com/src/11129810.jpg

家を飛び出してきた私は、鳴るお腹をさすりつつ、プラプラ歩いていた。
「…お腹すいた…つかさにでも、ご飯作ってもらお…」
250奇跡:2008/10/26(日) 22:29:05 ID:Qz4NN+EG
>>249
神社へ着いた私は、家に向かうため裏手に回っていった。
玄関先で、ちょうどかがみがほうきを手に、掃除をしていた。
「やほ〜。遊びに来たよ〜。」
私は手を振り振り、かがみに近づいていった。
が、当のかがみはきょとんとした表情で私を見ている。
かがみは自分に人差し指を向けながら
ttp://uproda11.2ch-library.com/src/11129812.jpg
「えと…私?というか…あなた、誰?」
「ちょ、かがみまで…もしかして、うちのお父さんに言われたの?あんなのほっといていいから。」
「あ、え?えーっと…」
明らかに困惑している。嫌な予感が私の頭の片隅をよぎった。
お父さん達ならまだしも、バカが付くほど正直な性格のかがみなのだ。
そんなかがみが私に感づかれることなく嘘を突き通せるはずが無い。
となると…本当に私のことを知らない…?

そんな…バカな…!?
251奇跡:2008/10/26(日) 22:30:58 ID:Qz4NN+EG
>>250
「か、かがみ…冗談よしてよ…」
私は恐くなった。声が震えてるのが分かる。
信じたくはない、信じたくはなかったが…
このかがみの様子を見る限りでは…

「陵桜学園3年C組!7月7日生まれの血液型はB型!身長は159cm!
好きなものはラノベとゲーム!性格はキツいけど実は寂しがりやのツンデレ娘!」

つい私はまくし立てていた。
それを聞いてかがみは困惑から徐々に警戒と疑惑の表情に変わっていった。
「ちょっと…どういうこと?何でそんなこと知ってるのよ…?」
明らかに警戒されている…そんなかがみの様子に耐え切れなくなった私は
逃げるようにその場を走り去っていた。
「ま、待ちなさい!」
かがみが追いかけようとしていたが、私の走力にかなうはずも無く
あっという間に引き離し、私はただひたすら走っていた。
嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!
252奇跡:2008/10/26(日) 22:34:03 ID:ayo8JBhH
>>251
一体どうなっているのか?
かがみが私のことを知らない?そんなバカな…
とすると…今朝のお父さんとゆーちゃんの反応も…あれは…本当に?
分からない…一体何が起きているのかが…
「そ、そうだ…みゆきさんだ。分からないことがあればみゆきさんに聞いてみるのが一番だ…」
私は、淡い希望を内に秘めて、ふらふらとみゆきの家へ向かった。
結果は一緒だった。
困ったように知らぬ存ぜぬと繰り返すばかり。

ttp://uproda11.2ch-library.com/src/11129818.jpg

有力な情報は得られなかったのだ。
向かいのみなみの家にも訪問してみたが、やはり結果は一緒。
誰も私のことを知らない…


あまりにも不可解な出来事のせいで私の精神は限界に達しており
ふらふらと足取りもおぼつかず、さまよい歩いていた。
何で…なんで皆私のことを知らないのよ…
「ねぇ…何で…?私、私のこと知ってる?」
「え?何ですあなたは?」
つい私は通行人に話しかけていた。やはり私を知らない…
「じゃあおじさんは?私を知ってる?」
「な、何だ君は?知るわけないだろう。」

「誰か…誰か私を知らないの…?ねぇ…答えてよ…答えてよおおおおおお!」

往来の真ん中で、私は叫んでいた。
253奇跡:2008/10/26(日) 22:36:03 ID:Qz4NN+EG
>>252
皆が私を奇異の目で遠巻きに眺めている。
おおかた精神異常かなにかだと思われてるに違いない。
そうなのかな…皆が異常じゃなく、私が異常なのかな…
いや、そんなはずはない。現に私の意識はしっかりしてるし、
かがみ達と過ごした日々も昨日のように思い出せる。
じゃあ一体何故…


私は、人の群れから逃げるように、ビルの合間に入り込んだ。
へたりと腰を下ろし、うなだれた。
精神的にも肉体的にも疲れてしまった。
誰も私のことを知らない。もはや私の帰るべき場所はなくなったのだ。
「私、どうなるのかな…何で…こんな事に…」


ペロッ

「…?」
腕に温かい感触がした。
気づくといつの間にやら一匹の犬が、そばに座っていた。
254奇跡:2008/10/26(日) 22:37:19 ID:Qz4NN+EG
>>253
「…ノラかな?私を慰めてくれるの…?」
私が頭をなでてやると、嬉しそうに体を摺り寄せてくる。
よく見ると、けっこう不細工な顔の犬で、毛はボサボサ。
眼は開いてるかどうか分らないような細目、おまけにアホ毛まで伸びている。
「アンタも一人ぼっちなの?私と一緒かな…?」

その時、アホ毛犬がぴくりと立ち上がり、往来のほうを見た。
「おーい、どこにいるの〜」
女性の声だ。その声に反応して、アホ毛犬がその方向に走って行った。
…が、すぐに立ち止まり、振り向きざまに私の顔をじっと見ていた。
「…いいよ、行きなよ。ご主人さまが待ってるよ。」
そういうと、アホ毛犬は名残惜しそうに走って行った。
見ると、女性が立っていた。嬉しそうに足にまとわりつきながら、犬は去って行った。

あんな犬でも、一緒にいてくれる人が居る…
私は…一人…
255奇跡:2008/10/26(日) 22:38:57 ID:Qz4NN+EG
>>254
一体どこをさ迷ったのだろうか…
魂の抜けたような状態の私は、ふらふらとあても無く歩いていた。
…気がつくと、私は再び鷲宮神社へ来ていた。
幾度となくかよい、幾度となく遊んだかがみとつかさの家。
間取りまで鮮明に出てくる。しかし…いくら私には思い出があっても
この家には、私の面影は全く残ってないのだ。

…行こう。もうここに私の居場所はないんだ…

きびすを返し、私が歩き出そうとした時…

「ちょっと!」

ttp://uproda11.2ch-library.com/src/11129826.jpg

声がした。振り向くと、かがみとつかさが居た。
心配そうな顔をして私に近寄ってくる。
あの表情をみるかぎり、きっとつかさも私のことは…
「気になって探してたけど、やっと見つけたわ。」
「お姉ちゃん、この子なの?さっき言ってた…」
もう…ダメ…我慢してきたけど…限界…

「うわああああああああああああ」
私はかがみにしがみ付いていた。
ただ子供のように、涙がせきを切って流れた。
かがみは、やさしく私の頭をなでてくれていた。
「どう、つかさ…?」
つかさは首をふりつつ
「私も…残念だけど…」
「そう…」
本気で私を知らないのだ。こんなにも私は二人のことを知ってるのに…
それが身を裂かれるほどに辛かった、悲しかった…
256奇跡:2008/10/26(日) 22:39:50 ID:Qz4NN+EG
>>255
ひとしきり泣いたあと、私は真っ赤になった目をこすりつつ
かがみの身体から離れ、深々とおじぎをした。
そして、振り向いたあと全速力でその場を去った。
背後で二人が何かを言っていたような気がしたが、私には届かなかった。
私がいても、本気でただ二人を困惑させるだけだ。
私なんていなくなった方がいい、消えた方がいいんだ…


走り去る私の背中を眺めながら、かがみとつかさは追いかけることが出来なかった。
まるでその走り去る姿が、付いて来るなと言っているようだった。
「あの子…とても嘘を付いているようには見えないのよ…」
「私も、そう思うよ。あの子、ものすごく寂しい目をしてた。嘘であんな表情出来ないよ。」
「でも…やっぱり会ったことないよね?私たち。」
「うん…」
257名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 22:42:26 ID:yQNDohZw
しえん
258奇跡:2008/10/26(日) 22:44:30 ID:ayo8JBhH
>>256
私は廃墟となったびマンションの屋上にいた。
吹き付ける風が心地よかった。が、私の心は癒されることはない。
いっそのこと、私の記憶も消えて無くなってしまえばいいのに…
それだとどんなに楽なことか…
しかし、どう願ってもこれだけは自分では消すことは出来ないのだ。
ただ一つの行為を除いては…つまり、死。

「お母さん…もう私、疲れたよ…結局、何が起きたのか分らないけど…もう、どうでもいいや…」
柵を越え、私は空を見上げた。ああ、空が青い。
この広大な空に比べたら、私の存在なんてちっぽけだよね…
私は…身体を空に身をゆだねた。


私の身体は地面に向かって進んでいる。
あと一秒も満たないうちに人生が終わるというのに、私の心は妙に落ち着いていた。
結局、何でこうなったんだろうね…
思い出すのは今までのいろんな出来事。
家での生活の事、学校での出来事。
かがみ達、私の正体を知らないままなんだろうな…
これからその謎を残してしまうとおもうと、ちょっと悪いことしたかなとも思う。
そういや、私。何か大事なことを行ってたような気がする…思い出せないけど…
何気なく、私はマンションのガラスに反射し、映し出された、落ちゆく自分の姿を見た。

ttp://uproda11.2ch-library.com/src/11129829.jpg



「………………誰っ!!?」
259奇跡:2008/10/26(日) 22:47:52 ID:ayo8JBhH
>>258
「…こなた」
「…えっ?」
謎の少女に会ってから数ヶ月後、かがみは少女のことを回想していた。
「いや…なんとなくだけど…あの時会ったあの子。こなたみたいな感じがした…」
「そうだったね。でも…こなちゃんは…もう…」
「もう一年になるのね…こなたが逝ってから…」
「あんなに元気だったこなちゃんが…病気で急死してしまうなんて…」
「もしかすると…こなたの生まれ変わりだったのかな…あの子…なんて事があるわけないか。」
かがみはそう言うと、リモコンを手に取り、TVのスイッチを入れた。


…次のニュースです。今日未明、不正な資金援助を受けたとして
○○市○○病院に県警の捜査が入りました。
資金元は大手企業の○○○とみられており、同会社の会長ら数名にも事情調査を行っているようです。
調べによりますと、当病院は国内でも禁止されている生体脳移植を行ったとして…


末期の患者を使い……遺族に病死を装い……移植を……


…なお、同社会長の孫が……



…以前行方不明……
260奇跡:2008/10/26(日) 22:49:39 ID:ayo8JBhH
>>259




「……」



「……何故だ…」



「…ドナーの意識は絶対に戻らない自信があったのに…もはや奇跡としか…]




261奇跡:2008/10/26(日) 22:52:36 ID:ayo8JBhH
>>257 支援乙

以上で終わりです。
ところで、オフの話はまだ続いてるのか?
262名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 23:18:56 ID:dow4yWbi
う〜む
相変らずの発想の面白さとどんでん返しで救いのない後味の悪さ
鬼才+奇才ですねGJ
263名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 00:14:41 ID:+ApjbIkA
虐め系に比べれば遥かに後味は悪くない
これならアンチもそうは騒がないだろ
220は恐らく相当な虐めに遭った経験でもあるんじゃね?
264名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 01:08:58 ID:1JqvW8Iz
ガンガン乙
鮮やかにまとめたな。
つーか色塗ると、随分印象変わるのなw
モノクロ絵見るまで、誰だか分からなかったわ。

オフに関しちゃ、こっちのスレなんじゃね?
まとめウィキに貼られるだけで、こっちに貼られてないのがもの悲しいが
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/offreg/1224595756/
265名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 11:55:58 ID:4k3v/BHa
色付きの絵、どう見てもガンガン作じゃないだろ。
266名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 12:19:14 ID:avmPqbQb
たまにグロめの絵をらきすた関連スレに投下してるグレゴリーとかいうやつか
267名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 15:27:58 ID:dXiZlKJm
ネタが尽きないな、ここまで続くとはスレ立てた人も思ってなかっただろう
268名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 15:43:25 ID:/IFsZdnk
思いつきで立てられたスレが、1の想像を超えてパート化しちゃうパターンか。
269名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 20:22:28 ID:QzEiFepv
もうそろそろ終わりにしても良いと思うけどな
270名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 22:07:49 ID:kWp5/JIg
蒟蒻畑を規制してパチンコは野放しというアホさ加減
271名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 00:28:22 ID:14KY4v3Z
          _,..-‐─- 、_
          /,','´`;; \r‐'`
     ,-、  〈',ニ二._`ヽ、〉
     rー‐{,、 }}'i`^' i)ヽ}      キング♪キング♪
  〃 }'フ´ V,ゝワr==ァ       キングゲイナ♪
    {{`ー‐‐` ̄`' ー-く
     ヽ、__        {ヽ
       / ゙77フ    `´\
   ヾ.  〈ヽ/,'(         \
.      ∨/  `ヽ        ゝ、
      / ,' 、_ ノ      //
      ,' i  ヽ、    _,. '",. '
      ⌒i__二二、-‐ '"
          jト`ー‐ヘ
          `'====='

       ,. -‐-、__
       ,'´/,','二ヽヽ、
       r'^Y´, -‐-,`ヽ}
       ;ヽ、Yム__ハ、`{_
      ,'゙ヽ._!= , =Y } i    キング♪キング♪
      ∧  .ト、"ワ".イ/j !     キングゲイナ♪
     { `ー'ト、`゙´/イく
      `、__,/\>'</ ∧
       ,'  〈 () / / |
       ,'  ,/`ー./ (__,, |
    ((  / /∧   {ニニニ二|、 ))
     / (_, ∧ ヽ__j⌒7-ーヘヽ.
      〈`ー / ヽ  `~´∧  )ノ〉
     ヽ./` ー-ニニニニ-‐へ´/
       `iー┬r‐r┬┬ ''"
.        レ' ⌒Y⌒ヽ.!
         `ー─'`‐─'
272(≡ω≡.)神奈川:2008/10/28(火) 00:32:05 ID:BpJLaG52
オフか……

東日本の私には関係ないか。
273名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 00:55:06 ID:h2zCINVc
橋本とか相模原とかあの辺なら、ほとんど即オフが成立する
274名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 01:56:12 ID:p4zupeNX
神奈川も広い
275名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 17:27:51 ID:jDruBUaO
生態脳移植…。これが実現できれば、脳死しない限り人の命は続くってわけか。
機械の身体さえ用意すれば、ね。
脳死に関しても万能細胞だっけ?あれ使えば、
ゆくゆくは脳の損傷さえ代替できるようになる。

死ねない社会になりつつあるね。
死ねる内に自殺しちゃうこなたは、ある意味幸せなのかもしれない。
死ぬことも許されず、幸福に生きる事も叶わない。
薄ら寒い社会。
276名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 22:58:34 ID:dNVpLGCU
神奈川の名前を見て、新作を期待して胸ときめいた俺涙目
277名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 23:46:42 ID:p4zupeNX
>>273
あてがあるの?
278名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 02:00:42 ID:9PXsKN41
復讐を果たすため、オフ会場を襲撃するこなた
しかしあっさりと返り討ちにされ、捕らえられてしまう
「泉こなたを自殺させる方法を考えるを実行する」コースへ
279名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 13:11:10 ID:H30G3zHA
がんばれ麻生

今度こそパチンコ潰そうぜ
280名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 15:43:56 ID:fCwPBYki
>>263
下手すると現在進行形じゃね?
虐め喰らったor喰らってるなら同情はするが。この手のダークな話を嫌う事について理解もできる。
共感まではできないけど。
281名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 21:40:46 ID:2tWmkiSw
>>280
いまさら蒸し返さなくていいから。
所詮かまってちゃんなんだから…
282名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 22:23:29 ID:hTNf/RBz
>>281
構ってちゃんなら毎日来るだろ。
叩かれたから来なくなっただけだと思う。
283名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/30(木) 00:06:38 ID:rzy72Ikh
精神が腐った人が集まるOFFを開催したのはこのスレですね
ホント、モニター越しに悪意に満ちた雰囲気が伝わってきます
ほしゅ(笑)
284名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/30(木) 01:20:05 ID:qbT34FkO
腐ってて上等じゃないかw
自分は潔癖で汚れ無いというやつほど偽善で信用出来ないものはないぜ?
多少腐ってたとしてもそっちの方が人間味あるだろうよ。

そういう意味では俺は腐りに腐りまくってる。
感情のある血の通った人間だからな。
285名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/30(木) 01:55:24 ID:KfzpiDE6
公務員全滅ほぼ確定
公務員のヌル倍率面接すら5連敗
Fラン既卒超短期職歴
雇用情勢マジ悪化

人生終了ガチでキタ━━━━━━\(^o^)/━━━━━━ !!!!!
こなたの自殺見て愉しんでる場合じゃねぇwwwwww
他人事じゃなくなってマジワロスwwwwwっうぇっうぇ
つーか面接会場去る時の面接官の顔がこなたに見えたwwwwwwww
あれかwwwwww復讐かwwwwwwwwww
他の住民も注意よろwwwwwwwww
負のオーラがwみwなwぎwっwてwきま☆すた

______
|←富士山|          
|   樹海 |
. ̄.|| ̄ ̄       ┗(^o^ )┓          三
  ||           ..┏┗            三

286名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/30(木) 02:17:20 ID:rzy72Ikh
>>284
犯罪者予備軍脊髄反射乙
287名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/30(木) 11:29:40 ID:M+KxylTv
つくり馬鹿クイズ番組をみて大笑いしてる気持ち悪い家族
288名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/30(木) 12:01:52 ID:RsGX2ZSN
>>286
犯罪者予備軍だと思うのなら、将来罪を犯さないように説得等してみては?
何もせずただ煽るだけなら、そこらの犯罪者よりよほど性質の悪い存在だよ。
と、マジレス
289名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/30(木) 14:06:28 ID:QX9XbndM
自分よがりの正義を他人に押しつけ、否定されると全く根拠のない人格攻撃。
290名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/30(木) 15:37:12 ID:zZ8KJ9G1
>>266
ガンガンとグレゴリーって人、繋がりあったん?
291グレゴリー:2008/10/30(木) 18:27:58 ID:0+l6H3JF
>>290
繋がりはあるかないかと問われたらあるとだけ言っておこう。
他人の作品に挿絵を数枚書いただけでここの職人面をするつもりは
毛頭ないが、このスレきっての大文豪である、とある方の一ファンとして
大会に参加したい。
292名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/30(木) 19:04:13 ID:0DrsMrgs
テンザン・ナカジマ
293名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/30(木) 19:18:23 ID:gqzoVa4P
>>285
よう、俺
294名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/30(木) 22:44:50 ID:7M/iHAxX
まんこーーーーーーー
ぴょっ ぴょっ
べーーーーーーqqwq
295名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/30(木) 23:15:33 ID:OSoUi2Sj
俺がいっぱいいるなぁ
296名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/31(金) 01:14:40 ID:WjZnXoiI
拾うも何も、頭下げて自殺スレ住人になって欲しいくらいだぜ>グレゴリー
よろしくな
297名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/31(金) 01:19:09 ID:H8DXAljs
自殺スレまだ終わらないよね?
298名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/31(金) 17:48:38 ID:aHvX7k0Z
まだまだこれからだ
299名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/31(金) 17:59:45 ID:VXjuZImH
整形って一回やりだすと歯止めがきかなくなるらしいからな
300名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/31(金) 18:38:47 ID:ISnOnpAQ
>>299
誤爆で吹いたのは久しぶりだ
301名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/31(金) 20:28:01 ID:Gd+5i6uR
人が減ったのは、住民が人生に絶望して命を絶ったから?
302名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/31(金) 20:39:30 ID:lK6ZIReA
放送終了から随分な時間が経過したからではないでしょうか
303名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/31(金) 23:14:14 ID:Ai4zDsPB
とりあえずwikiに奇跡追加。
挿絵保存してある方、補完よろ
304名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/31(金) 23:32:46 ID:fbDyZNsV
ガンガン氏
乙です!
相変わらずの構成力感服、発想がとっぴで面白いですよね!
しかも、かがみんやお父さんですらこなたの招待が解らない辺りに現実味が・・・

グレゴリー氏
自殺スレへようこそ〜
歓迎しますとも、次も楽しみにしてますね!
305名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/01(土) 01:25:28 ID:vb/CDTeI
>>303
挿絵、保存してたのだけ追加しました
306名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/01(土) 03:17:08 ID:zBmhQ60i
GJ!
307名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/01(土) 10:26:16 ID:/tJ1jR+Y
挿絵の足りないところ補充しておきました
308四つの気持ち:2008/11/01(土) 13:34:04 ID:QH0hykr+
物語の始まりはいつも突然、そう思っていませんか?
物語は常に必然の上に成り立ち
その必然は日常の中にある偶然によって確かな形を見せていくもの

そして、ここにもその日常にかくれた偶然に魅了された少女が一人

その少女の名は、高良みゆき
名門校である、この陵桜学園高校で常に上位の成績を保ち
なおも美貌と人徳をかね揃えるこの令嬢
3年B組の彼女の席の周りには常に穏やかな空気と暖かい日差しが輝いている
長い髪をなびかせて、うつろいの眼差しがある一点を焦がす

「こなたさん・・・・」
『大好きです、好きです、好き、大好き』

桜色を思わせるその唇は、何度このなを呟いても乾くことは無く
むしろ潤いを増して、その美しい肌を紅潮させていた

高良みゆきは泉こなたに恋心を抱いている
それが何故なのか、どうしてなのか
彼女にも解らないが彼女のみがその疑問に対する答えを持っている

それはあの青く長い髪が好きだから
それは優しく垂れたあの麗しい瞳が綺麗だから
それは形容しがたい柔らかそうな唇が自分の名を呼ぶことを惜しまないから

それは・・・・泉こなたが好きだから

「・・・・・こなたさん・・・」
『ああ、こなたさん こなたさん こなたさん こなたさん こなたさん』
「なあに?みゆきさん?」

「!?」

突然の返事にたいして動揺するみゆき
気が付けば目の前には愛しい愛しいこなたの顔が・・・・
みゆきは一瞬驚いた顔をするが、すぐに笑顔を繕ってこなたに視線を向けた

「ふふ・・・・いつもお元気ですね、泉さんは」
「みゆきさんも、今の顔可愛かったよ〜♪」

何の惜しげもなく、自分に向けられたその言葉に胸がキュンと高鳴る
いつもそうなのだ
いつも、彼女は素直で率直でそれでいて美しい

「ゆきちゃんは美人さんだからね☆」
「あら、つかささんまでそんな事仰って・・・・・」
309四つの気持ち:2008/11/01(土) 13:35:05 ID:QH0hykr+
『ゆきちゃんはいつもそう・・・・』

つかさは面白くなさそうに『友人』に向けられたその視線に不満を感じた
もちろんそんな想いは微塵も感じさせないその和やかさは
周囲に安堵をもたらし、柔らかな空気を終始振りまいている
さしずめ真冬の乾燥に潤いをもたらす加湿器の様なものだろうか

そんな加湿器も中の水がなくなれば、水蒸気が出なくなって
加湿器自体が乾燥してしまう

『私はこんなにゆきちゃんが好きなのに、ゆきちゃんはこなちゃんにばっかり優しくして・・』

交叉する思惑、とは良く言ったもので
感情があればその縺れがあるのは必至なのだ
何が言いたいかというと、柊つかさは高良みゆきに恋心を抱いており
その恋敵である泉こなたにあまり良くない感情を持っている

しかし、泉こなたは良き親友であり人間的には決して嫌いではない
それゆえ彼女を貶めることも出来ず、関係を壊してまでみゆきを得る気になれない
そんな優しいつかさだからこそこなたに対するヤキモチよりも
大好きなみゆきに対する小さな苛立ちが感じられた
こういったところは柊家特有の『素直でない』遺伝子の存在が感じられる

「何言ってるの〜つかさだって可愛いじゃんか♪」
「え、え、そうかな?そんな事無いよ〜」
「ふふ、つかささんたら照れてますね☆」

そう、こなたのこういう所が嫌いになれないのだ
むしろみゆきがこなたの事を好きなのが何故か、解ってしまう気がする
無邪気で明るくてマイペース、こなたは自分に無いものを持っているのだ
そんなこなたを嫌いになるなんて無理に決まっている

「しっかし、同じ双子なのに何故かがみんは・・・・・」
「なんだ?文句あるのか?」
「あら、かがみさんこんにちは」
「あ、おねえちゃん〜☆」
「オ〜ス★」
310四つの気持ち:2008/11/01(土) 13:36:10 ID:QH0hykr+
『本当はかがみんを好きだって言ってしまいたい、かがみんが大好きだって・・・伝えたい』

こなたはほんの少し、眼を細める
眩しいかがみをまとも見られなくなったのはいつからだろうか?
彼女の気丈さに隠された繊細さが見せる何かがこなたの心の中に入り込んでくる

「かがみんも可愛いよ〜、ほれほれヨシヨシ〜♪」
「や、やめれ!」
「あらあら、仲が宜しいですね〜」
「ホント、仲良しさんだね☆」

固く結ばれた唇と吊り上げられたその瞳
私はその解き方を知っている、私はその眼が本当はつぶらだと言うことを知っている
その瞳が恥じらいを帯びる度に私の心の中には暖かなものが流れて
その唇が綻ぶ度に私はそれに吸い寄せられていきたくなる
甘美なその感触を肌で感じたい、奪いたい、自分の物にしたい

「かがみんはホント恥ずかしがり屋さんだもんね〜♪」
「こ、こら!」

顔を真っ赤にして怒るかがみん
私はこんな関係でしかいられないのだ
だって、もしも気持ちを伝えてしまったらかがみんは私から離れてしまうかもしれない
それに私はみゆきさんやつかさとも一緒に居たいんだ
だから、この気持ちにはそっと鍵をかけて淡い時間を皆と・・・
かがみんと過ごしていきたい
たとえ、かがみんが他の誰かと幸せな家庭を築いてもそれを見守りたい

「まったく、アンタって奴はホントに・・・・」
311四つの気持ち:2008/11/01(土) 13:36:47 ID:QH0hykr+
『私がここに来る理由には・・・二つ有る』

かがみは自分の頭におかれたこなたの手を優しく払うと困ったように笑って見せた
それはもう一人の『妹』に対する『姉』としての素直な反応と
優しい、決して相手が感じ取る事の無い拒絶
こなたはつかさと違うもう一人の妹の理想系だ
可愛く、率直でそれでいて友達思い
きっと妹だったら抱きしめてしまいたくなるほどの存在だろう
そしてみゆきは自分にとって友人であり姉のような存在だ
自分の姉達に比べればこれほどしっかりした人間がいる事に不自然さを感じてしまうほどの人間
もしも姉であれば尊敬し、そして常に一緒に居たいと感じるだろう
つかさは私に無いものを持っていて、私はつかさに無いものを持っている
双子というのはまったく同じものを同じ分だけ分け合う者達と
私達の様に同じだけ用意されたものを違う形で受け継ぐタイプがある
そんな気がする
まるで、もう一つの家族のような、姉妹のようなこんな関係を私は気に入っている

それが理由の一つ
そして、もう一つの理由は・・・

「お、柊のお姉ちゃんやないか?Bクラスに編入か?w」
「あ、黒井先生〜♪」

『黒井先生・・・・』

「こ、こんにちは・・・」
「先生、お昼休みに教室なんて珍しいですね?」
「お姉ちゃんもB組だったら楽しそうだね〜」
「せやな〜、一度くらい担任もってみたかったわぁ、賑やかそうやし楽できたんと違うか?」

「みゆきさんとかがみんがいたら黒井先生の仕事なくなっちゃいますよ?」
「せやな〜・・・・ふん!」

ゴチンという音と共にこなたは机に突っ伏して動かなくなってしまった

「まあ、泉さんったら・・・・」
「こなちゃん・・・言いすぎだよ」
「体罰・・・・反・・・・対・・・・・・」
312四つの気持ち:2008/11/01(土) 13:37:32 ID:QH0hykr+
いつもにぎやかなBクラス
私は黒井先生のクラスに入りたかった
だけどそれは結局叶わず、私はずっとCクラスのままで3年間を過ごす
いつも遠巻きに眺めているだけの私
妹のつかさがBクラスだという理由でこのクラスの遊びに来ては
いつも黒井先生の姿を探して、想って、眺めている

「しっかし、高良に加えて優秀な柊かがみがこのクラスに入ればセンセは最高やったんやけどねぁ」
「え?」
「いっその事、センセのクラスに入らんか?センセは本気やでぇ?」
「い、いえ・・・そのあ、有難うございます」
「はっはっは、そかそか!」
「そんな事できるんですか?」

みゆきは馬鹿正直に少し驚いた感じで質問してみたが、ななこは「出来たらええねんけどなw」
と笑い飛ばしてしまった

いつも活気をまとって周囲を明るくする黒井ななこ
大人の女性としての魅力と
どこか母性本能をくすぐるななこのその魅力がかがみを釘付けにしている
おおらかに、声高らかに笑うその口もとに覗く八重歯も
大人しく着こなしたジャケットからはだけた肌も
艶やかな髪に隠されたうなじのエロスも
すべてがかがみにとっては美しく思えた

黒井ななこの様になりたい
そう思っていたかがみが抱いていた憧れの眼差しはいつの間にか昇華して
恋の花を実らせていた

『私は・・・・・黒井先生のものになりたい』

知らぬ間に鳴り終えたチャイム
交錯の時間は得てして終わりを告げ、時の流れは少しずつ変化を見せていく
313四つの気持ち:2008/11/01(土) 13:38:20 ID:QH0hykr+
その日の夕方、みゆきはかがみからある相談を受けていた
学校から少しはなれたカフェテリア
珍しく四人での行動ではなく、この秀才二人での夕暮れのひと時
委員会の集合も手伝って、無理に時間を作る必要も無かった
なにしろ子供のようなつかさとこなた
物分りの良いつかさと違ってこなたは『またまたぁ、私も混ぜてよ〜』と着いて来たに違いないのだ
かがみはコーヒーを啜りながらこなたのその姿を思い浮かべて困ったようにため息を付いた
みゆきは浮かない顔のかがみに心配そうな視線を送るが、決してその心情を口には出さない
変わりにかがみが話しやすいように笑顔を向ける
かがみはそんなみゆきの気遣いを察したかの様に口を開いた
コーヒーに映ったオレンジ色の証明がユックリと波打つ

「私ね、告白・・・・・しようと思ってるんだ・・・」
「・・・告白ですか?」

告白・・・それは何とも甘い響きでみゆきの目じりは少しだけ潤みを見せる
ソレを悟られないように一旦紅茶に手を伸ばし、カップを上げてみたものの
それからどうしていいか解らない

「好きだって・・・伝えようと思うの・・・」
「誰に・・ですか?」

気が付けばみゆきは手が震えていた
緊張しているのだろう、それはかがみも同じ事が言える
いや、告白の当事者であるかがみのほうが格段に緊張している
その証拠に『誰に?』という質問に対して答えがなかなか返ってこない
しかし、みゆきも焦らせるつもりもガッツク気も無い
ユックリと流れる時間にませて、かがみの声を待てばいいと思った

案の定、数分の間を経て
かがみの紅潮と震えが先ほどよりも落ち着いてきた時
俯いていた彼女の髪がゆれて、その唇がある見知った人間の名前を口にする

「・・黒井・・先生・・・」
「・・・・ええ!?」

一瞬の間とその後の驚きにみゆきは普段からは想像できないほど大きな声を上げてしまった
かがみは焦ってみゆきの口を塞ぐ

「ちょ、そんな大きな声出さないでよ・・・」
「あ・・・・もう、申し訳ありません・・・」

みゆきですらこれだけの驚きを見せるのだ
他の二人には相談なんて出来ないに決まっている

「私ね、先生が好きなのよ・・・」
「そ、それは結構なんじゃ・・・・ありませんか?」

「本当に・・・そう思ってる?」
314四つの気持ち:2008/11/01(土) 13:38:59 ID:QH0hykr+
恥じらいながらもかがみはみゆきに一度も向けた事の無い様な攻撃的な眼を向けた
みゆきが適当に話を聞いているとでも思っているのだろう
そして、女同士で何を言っているのだと馬鹿にしていると感じたのだ
みゆきはそれを察してか、かがみに向き直って口を開いた

「はい、人が人を好きになるのには理由なんて要りませんから・・・例えそれが同性であっても・・・」
「・・・・・・」
「私はそう信じています・・・・ただ・・」
「ただ、何よ?」

かがみは未だ変わらぬ視線をみゆきに向けていた

「かがみさんがそうだったとは、まったく気が付きませんでした・・・それで少し、動揺してしまいました・・・」
「・・・・そう、そうよね〜・・・」

かがみは一度眼を瞑ると、またいつもの笑顔に戻る
恐らくみゆきの言葉を真意と受け取ったのであろう
照れ隠しに、頭をかきながら困った顔を作っていた

「まさか自分がそうなるなんて思っても見なかったわ・・・・ほんと・・」

二人はお互いにカップに口をつけて乾いた喉を潤すと再び見詰め合う
次に口を開いたのはみゆきだ

「それで、どういった形で告白しようと思っているんですか?」

これに対してかがみは少し驚いた様な表情で返事をした

「いやにスンナリと話が進むわね・・?もっと質問してくるかと思ってたのに」
「ええ、聞きたい事は山ほど有りますけど・・・」

「けど?」
「それはかがみさんの気持ちが先生に届いてからでも遅くありませんので」

「・・・・まったく、あんたらしいわよね。だからみゆきに相談したんだけどね★」
「恐れ入ります♪」

二人は何時の間にか無くなったカップの中身を見て、店員を呼ぶ
おかわりのついでにアップルタルトを頼むことにした
まあ、前祝みたいなものだろうか?それとも栄誉会だろうか?
とにかく、二人は先ほどの緊張感から解放されてあれこれと作戦を練り始めた

「やっぱり、古風にラブレターかしら?」
「そうですね、まずは呼び出しが肝心なんですが・・・教員室に無断で入るわけにもいきませんし・・・」

「そうなのよね〜、教員用の下駄箱も蓋が無いから中は丸見えだし・・・・名前も無いから間違って入れちゃいそうだもんね」
「そうですね〜」

「体育のゴリ藤なんかの所に入れちゃったらと思うとゾッとするわ・・・」
「権藤先生も一生懸命なんですからそんな言い方は・・・」

「何よみゆき、あの毛むくじゃらのマンモスゴリラがタイプなの?」
「ち、違います!」
315四つの気持ち:2008/11/01(土) 13:40:46 ID:QH0hykr+
かがみがふざけてみると、みゆきは思った以上の拒絶を見せた
やはり優等生といえど女の子・・・

『みゆきにも生理的に無理なものがあるのね・・・』

少しふざけ過ぎたと反省したかがみは「まあまあ」とみゆきを制しながらある名案を思いつく

「こなたに先生を呼び出してもらうなんてどうかしら?」
「え?」

「だってほら、こなたって黒井先生と・・・何とかってネットゲームでパーティみたいだし・・」
「ええ・・・・しかし、そうなると泉さんの了解を得なければなりませんし、それに・・・」

「他にも問題が有るの?」
「呼び出すだけなら教員室に行って直接連れ出すとか、私がかがみさんの所に連れて行くとか・・・」

「何言ってるのよ、告白ってのは二人きりだから良いんじゃない・・・・」
「ええ・・・まあ・・・」

「それに直接呼び出して校庭とか裏庭なんて・・・決闘じゃあるまいし・・・」
「・・・・・・・・」

「とにかく、こなたにお願いしてみることにするわ★」
「そ、そうですね・・・・私からも言ってみます・・・・」

話がひと段落ついたところでアップルタルトが席に届く
美味しそうなそのタルトの放つ甘いりんごのにおいが
みゆきにとっては白雪姫の毒りんごを連想させる・・・・・

「う〜ん、美味しい★ みゆきも食べなよ〜♪」

愛らしくタルトを頬張る友人に物憂げな笑顔を向けたみゆきは心の中で小さく呟いた

『大変な事になってしまいました・・・』
316名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/01(土) 13:47:29 ID:/tJ1jR+Y
中尉かな
317四つの気持ち:2008/11/01(土) 14:53:22 ID:QH0hykr+
………


知らないと言う事はきっと罪だと思う
みゆきの案じた通り、翌日からのこなたの態度はいつもと違うものへとなった
原因?
そんなものは簡単だ
かがみがこなたに告白の協力をお願いした・・・・ただそれだけだ
みゆきは知っていたのだ、こなたがかがみの事を好きだという事を
そして、こうなる事も予測していた

みゆきは昨日の夜の電話を思い出す
夜の11時過ぎ、いつもこの時間に就寝するみゆきが何となく眠れないでいると
携帯電話が鳴る

着信は泉こなた、みゆきは一呼吸置いて電話にでる

「もしもし、みゆきさん?」
「泉さん、こんばんわ」

「・・・・・・・・」
「泉さん?」

こなたの声にしては抑揚の無いその声
みゆきの予感は的中したといっていいだろう

「聞かないの?どうして電話したか・・・・」
「・・・・・・・かがみさんの事ですか?」

「・・・・やっぱり、知ってたんだ・・・」
「はい、申し訳ありません・・・決して隠していた訳じゃ無いんですが」

何故か言い訳じみた言葉が口から飛び出す
みゆきが罪悪感を感じる事などないというのに

「いいよ、別に責めてる訳じゃないし・・・・その、私には関係無いしね」
「・・・・そうですか」

「ねえ、みゆきさん?」
「はい、なんでしょうか?」

「私は・・・私はかがみを応援するべきなのかなぁ?」
「泉さんはどう思っているんですか?」
318四つの気持ち:2008/11/01(土) 14:54:16 ID:QH0hykr+
一見、相手を気遣っているようなこの受け答えも今のみゆきにとって卑怯な言葉
みゆきは愛しいこなたと電話しているのにも関わらず、一刻も早く電話を切ってしまいたかった

「おかしいよね・・女の子同士なのに・・・・その、告白なんてさ・・・はは」
「おかしいですか?」

「だって、女の子だよ?百合だよ?そんなの変に決まってるよ・・・・」
「泉さん・・・・」

『本当にそう思っているんですか?』

みゆきはその言葉を口にしかけたが、やめた
こなたはそんな事、思っていない
ただ悔しいのだろう
きっと今、自分が口にした言葉を恥じているに違いない

「ごめん、嘘・・・・私ね・・かがみんを応援するよ」
「ええ・・・」

「こんな時間に電話しちゃってごめんね、おやすみ」
「泉さん、あの・・」

ツー ツー ツー ツー

「泉さん・・・・」


目の前のこなたは虚ろな眼でチョココを見つめている
きっと昨日の電話口にいた彼女もこんな顔をしていたのだろう
みゆきはいつもならかがみが座っているはずのその席を恨めしそうに眺めた
そして、柊かがみに対するほんの小さな苛立ちがみゆきのある感情に飛び火して
それまでなんとか封じてきたその感情が少しずつ滲み出る

『こなたさん・・・・あなたは私が守ってあげます』
319四つの気持ち:2008/11/01(土) 14:54:55 ID:QH0hykr+
「こなちゃん、大丈夫?」
「えあ?うん、大丈夫だよ・・・かが、つかさ」

つかさはこなたの元気の無い声に僅かながら心を傷める
それは自分の姉のせいで哀しい思いをこなたにさせてしまったというある種の責任感によるもの
つかさもまた、こなたの気持ちに気付いていた人間の一人であり
同時に姉の気持ちも知っていた
こうなる前は『早くかがみお姉ちゃんと黒井先生がくっつけば良いのに』と
そう思っていた
そうすればこなたは意欲を無くし、みゆきが自分の所に来ると信じていたのだ
しかし、実際このような状況に立たされると解る
友人の落胆ぶりは凄まじく、また自分もそれを素直に喜べるほど強靭な精神は持ち合わせていない
一瞬でも友人の不幸を祈った自分が情けなくなった
しかしそれは、同時に姉の幸せを願うことにもなる・・・・
つかさにはこの複雑な方程式が酷く残酷なものに思えてならない

「今日さ、みんなでカラオケにでもいかないかな?かな?」
「それは名案ですね、泉さんもご一緒しましょう」
「・・・・私は・・・パスかな・・」

「あうう・・・・」
「そ、そうですか・・・」

いつもは楽しい会話であっという間に終わってしまう昼休みも今日は酷く長く感じる
みゆきとつかさはこなたの明るさの大切さを心から感じていた
320四つの気持ち:2008/11/01(土) 14:56:35 ID:QH0hykr+
「オッス!元気ないな!」

終業の鐘もなり、空が青空から夕焼けに差し掛かる頃
みゆきとつかさの待つ教室へと現れたかがみはとても明るく、そして幸せそうだった
一緒に居るのは黒井ななこ・・・・どうやらかがみの告白は上手く行った様子で
恥じらいながらも笑うかがみに対してななこは「可愛いやつめ」と笑っている

こなたの事が無ければ実に微笑ましい光景である

「ウチら付き合うことになったから、以後よろしゅうな!」
「・・・え、えっと・・・・」
「お姉ちゃん、先生おめでとう☆」
「ふふ、お似合いですよ♪」

「しっかし、かがみがウチの事好きやったなんてなぁ。ウチもめっちゃ好きやで〜かがみ」
「あの、私もす・・す・・なんか・・・なんか恥ずかしい!」
「はは・・・お姉ちゃん・・・・キャラ変わってるよ・・・・」
「・・・・・・・・・・・それでは、私はこれで失礼しますね♪お二人ともお幸せに」

「ほなな!」
「みゆき、あの・・・ありがとう・・・ね」

みゆきの笑顔には少し影のようなものがある
しかしそれに気が付いたのはつかさだけだろう
色にぼけた人間にはたいていのものは見えないのだ
つかさはそのことに少しムッとしたが、幸せそうなかがみの顔を見ると責める気にもなれない
とりあえず、つかさはこの場を離れることにした
これ以上、姉の傍にいたら何かよからぬ事を考えてしまいそうだったから

「あの、・・・・・・私も帰るね!二人ともおめでとう☆」

挨拶もそこそこに、お熱の二人を残して足跡は教室を後にした
321四つの気持ち:2008/11/01(土) 14:57:23 ID:QH0hykr+
『お姉ちゃんは間違ってる』

帰り道でみゆきを見失ったつかさは心の中でそう思った
あの赤らめた頬も潤んだ瞳も確かに幸せそのものであるし
何ものにも変えがたい愛しい人が目の前にいる幸福感は大切だと思う
それでも、友人を傷付ける結果に終わることは有ってはいけないんだ

それが例え、知らなかった事だとしても
今までの関係を保つ為にそれぞれの想いを封じ込めていたつかさたちにとっては
許されない行為なのだ

「私だってゆきちゃんと一緒になりたいけど・・・・我慢してるのに」

未だ心のよりどころであるみゆきに想いを伝えていないつかさからすれば
疎ましくもあり、羨ましくもある姉の行為
ひょっとしたら自分が傷付くリスクを侵してまで告白に踏み切った姉の行動を賞賛するべきなのだろうか?
なのに自分は『我慢』という言葉を使ってさも友人の為の行動のように言っているだけなのでは?

色々考えているとつかさの頭の中はゴチャゴチャになってしまい
脳みそから煙が立ち込めてしまいそうになる
普段から難しい事を考えていない為、簡単にオーバーヒートしてしまうのだ
ここは失った糖分を補給する為にお菓子でも作って気晴らしをしなければならない

つかさは目の前にあったスーパーに足を向けた

何を作ろうか

『クッキーかな?ケーキかな?それともタルト?・・・・そうだ、アップルタルトにしようかな』

こなたとかがみは良く一緒に学校の近くのカフェでアップルタルトを食べていた
シナモンの沢山かかったシャンペンと粗糖に良く遣ったりんごに
ふんわりしたタルト生地が印象的なあの魔法のタルト
普通のタルト生地ではなく折り数も違う為、つかさもめったに作らないが
作って持っていけばきっとこなたも元気になってくれるに違いない
今日は材料を仕込んで、明後日の日曜日に焼いてもって行くことにしよう
きっと味が染みて一番いいできになるだろう

こういうことは早いほうがいいのだ
善は急げ、昔の言葉には真理を含むものが多い

そうと決まれば材料を準備しなければ
つかさは少しだけ、ほんの少しだけ軽やかな足取りで食品売り場に向かった
322四つの気持ち:2008/11/01(土) 14:57:58 ID:QH0hykr+
続く
323名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/01(土) 16:41:02 ID:2Fr0UklK
>>322
乙。
すごい、修羅場になりそうな予感が・・・
324名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/01(土) 21:52:07 ID:TBdHfD5I
まとめサイトのアクセス数が跳ね上がっててワロタw
325名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/01(土) 23:32:27 ID:AQfDEBn9
>>324
なんでだろうね?
326四つの気持ち:2008/11/01(土) 23:54:07 ID:QH0hykr+
少し投下します

『学校に行きたくない』

たった二日で人間は変化する
憔悴しきったこなたの顔が自室のパソコン画面に映る
日課のスレのROMもアニメのチェックもお気に入りのHPの閲覧も
なんとなくやってみるが気持ちの高揚は感じられない

ななことかがみの縁結びはとても喜ばしいことだと思う
大切な友であり、大好きな愛しい人であるかがみの幸せはこなたにとって良い事である筈
なのだが、やはり素直には喜べない
あれほど自分に誓ったはずなのに
かがみの幸せを見守っていくのだと、あれほど自分に言い聞かせた筈なのに
それでも心にポッカリと開いた穴は他のものが入り込む余地など見せてはくれない
それどころか二人のこれからを考えるだけで胸が痛くなってくる

「かがみんがいないのがこんなに苦しいことなんて・・・」

いっそのこと想いを伝えればよかった
何故あの時、かがみに想いを伝えなかったのか
それはきっと恐怖心にも似た何かがこなたの中にあったからだろう
もしも想いを伝えたら彼女が自分の前からいなくなるのでは無いかという恐怖心
もしも想いを伝えてしまったら四人の関係が無くなってしまうのではないかという思い

しかし、現実として四人の関係は変化しつつある
自分がそうしなかった代わりに、かがみが自分達の関係に変化をもたらしたのだ
そうだ、自分が何もしなくても周囲は変化していく
自分が動かなくてもかがみは自分から離れていくのが自然な流れだ

「違う・・・」

自分が何もしなかったから、かがみは自分から離れてしまったのだ
じゃあ、どうしたらいいのだろうか?
今からでも自分の気持ちをかがみに伝えれば、かがみは自分に振り向いてくれるだろうか?
何時の間にか真っ暗になった画面には答えのない悩みにくれる自分の顔が
今にも泣き出しそうに虚ろな瞳を向けていた

327四つの気持ち:2008/11/01(土) 23:55:13 ID:QH0hykr+
『今回の出来事を上手く使えるのでは?』

みゆきは考えていた
結果としてこなたが傷付いたのは気に入らないが
かがみがこなたから離れたのは自分にとって大きな収穫なのではないだろうか
かがみがフリーでいる限り、よっぽどの事がなければこなたは自分になびかない
もちろんそれなりの自信はあったが、万が一ということもある
それに無駄な労力を省くには、やはりこの流れが一番良かったとも言える

お気に入りのティーカップはロココ調の乾いた影に紅茶を満たす
ハンドクリームで良くマッサージした真っ白な手の
何処と無く高貴な指紋が光に反射して絡み合う

しかし、ここまでこなたが傷付くとは計算違いだった
それほどかがみに対する気持ちが大きかったのだろう

「・・・・・こなたさん」

みゆきはこなたの悲しそうなあの顔を思い出す
今にもこの世から消えてしまいそうなあの顔
小さく丸まってしまった背中には、もはや活気の様なものは感じられない
あんなに元気な少女が立った二日やそこらであれほどの変化を見せるなんて
あんなに消耗しきるなんて
どうしたらいいのだろう
みゆきは元気な、明るいこなたが好きなのに
それも失われつつあるのだ

何とかしてあげたい
しかし、かがみを元の状態にする事など出来ないし
そんな事するつもりも無い

ここでみゆきはある考えに達する

「私がかがみさんの代わりになればいいのでは?」

この手ならば自分の気持ちを尊重しつつ、こなたの元気な顔も見られる
まさに一石二鳥なのだ
しかし、みゆきにかがみの代わりが勤まるのだろうか?
いや、きっとかがみ以上の存在になれるはずだ
だってみゆきは、こんなにもこなたの事が好きなのだから

その為にはまず、何をしなければならないのだろうか……

既に夜の11時を回っているのにも関わらず
みゆきはあれこれと考えをめぐらせ始めた

「明日から忙しくなります」

みゆきの頭の中には、もはや愛しいこなたのあの笑顔しか無かった

328四つの気持ち:2008/11/01(土) 23:56:33 ID:QH0hykr+
チュンチュン、とすずめの歌声

眩しい日差しが少女の頬を照らす
カーテン越しに自分を見つめる太陽はいつもより少し嫌味に見えた

日曜日の朝、いつもなら朝方のアニメを見るためにテレビに噛り付いている時間だ
にも関わらずこなたは布団の中にうずくまっている
今日はそうじろうも取材の関係で家を開けており
ゆたかも友人のみなみの家にお邪魔しているのでこなた一人でのんびりと朝を迎えている訳だ

「・・・なんだろね、この気持ちは」

こなたの胸の中は二日前と変化していない
いや、むしろより一層悪化したのではないだろうか
今すぐにでも世界を破壊してしまいたいようなドス黒い何かが胸を包んでいる

日曜だというのにこんなに気持ちが優れないのは
親友が少しずつバラバラになってきてしまっているからだろうか?
みゆきは昨日学校を休んだし
つかさは一緒にゴハンを食べている間もまったく会話をせず
しきりにお菓子作りの本を眺めていた

昨日のその光景が頭を過ぎると同時に、ちょっとした空腹感がこなたを現実へと呼び戻す
こんな最悪な気分でもちゃんとお腹がすく自分が少し笑えた

誰もいないのでとりあえず自分で朝ごはんの準備をすることにする
いや、この時間では昼ごはんだろうか?

見慣れた階段を下りて
あまり一人になれていないこのキッチンを見回す
気持ちが落ちているときはいちいち寂しさを感じるのは何故だろうか?
おもむろに開いた冷蔵庫には残り物のカレーとサラダ
そういえばレンジのあたりに食パンがあった筈だ
日曜日のインド風ブランチと洒落込もうかなどとふざけてみたが面白くない

こなたはカレーの鍋をガスコンロの上にのせテーブルの上を片付ける
暫くして、火にかけたカレーからいい匂いがし始めたが
こなたの視線の先はコンロに注がれた

死んだら、楽になれるかも

こなたの小さな手はガスコンロへと伸びてゆく
329四つの気持ち:2008/11/01(土) 23:57:51 ID:QH0hykr+
またボチボチ投下します
330名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/02(日) 01:19:04 ID:u5cI1sq3
こなた「早く自殺させてみろよ」
331名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/02(日) 01:30:58 ID:z0vgCyDB
昨日増えたのは、なんでだろ。
F5連打の悪戯じゃないっぽいんだよな、
テキストやスケッチのアクセス数も増えてたし。

ただ、今増えてんのは悪戯っぽいけど。

>>329
乙。期待しております。
332四つの気持ち:2008/11/02(日) 02:10:36 ID:Z/oK4CUb
ありがとうございます

投下します


『こなちゃんの家まであと20分って所かな』

今日は頑張って早起きしたけど、やっぱり感覚は日曜日
思った時間よりも1時間も遅く起きてしまった上に
思ったよりも料理に手こずってしまった

パイ生地も位置から作るのは久しぶりで綺麗に引き伸ばしていたつもりが
中の線維が斜めに入り込んでしまった
織り込んだバターもお姉ちゃん達が上においた牛乳パックのせいで途中で切れてしまった
そのお陰で何処と無く不恰好なアップルパイが焼きあがってしまったのだ

しかし、味はそれほど悪くなく
りんごも良く味を吸っている
自分で言うのもなんだが、あのカフェテリアの魔法のタルトなんかよりずっと美味しい出来だと思う
はやくこれを届けて、友人の元気な笑顔を見たい
つかさはバスケットを大事そうに抱えて鼻歌交じりに駅を後にする

びっくりさせようと思って昨日もこなたにとは殆ど話していないし
携帯電話で連絡するような無粋な真似もしていない

ただ一つ気になるのは、昨日あのみゆきが学校を休んだことだ
電話をしてみても音沙汰はないし
休むという連絡も無かった
しっかりもののみゆきの事だから大丈夫だとは思うが
こなたの家に行った後でみゆきにもタルトを持っていこうと考えていた
きっとこのタルトの魔法にかかって自分に気持ちを向けてくれるに違いない

『つかささん、私の為に毎日アップルタルトを焼いてください!』
「あん☆ゆきちゃんったら〜」

知らない間に綻ぶ唇は見るからに幸せそうである
きっとあの美しいウェーブのかかった髪はシルクのように柔らかくて
それでいてラベンダーの香りがするんだ

つかさはこなたの家の前までくると、精一杯深呼吸してみる
すると胸いっぱいにラベンダーのような香りが・・・

違う・・・

つかさは急いで泉家のドアの叩いた
333四つの気持ち:2008/11/02(日) 02:13:42 ID:Z/oK4CUb
「こなちゃん!こなちゃん!!」

仲から返事は無い
ダメモトでドアノブんび手をかけてみるとガチャリという音と共にドアが開く
きっとだれかがドアを開けたままにしていったのだろうが
無用心さも時には役に立つこともある

ドアの向こうにはかぎなれたガスの匂いが広がっているが
密度的にはそれほど充満していない
もともと広い家の中だ、簡単には充満しないだろう
それに、どうやらガスの元栓を開けてそれほど立っていないようだ
つかさはとりえずキッチンに走りガスの栓を閉めにかかったあと
倒れているこなたを避けながら家中の窓を開けて回った

ハンカチを口に当てて走り回ったお陰でつかさは疲労困憊だが
そのお陰で、部屋の中のガス臭はあっという間に無くなった

つかさはこなたを抱き起こすと軽くゆすった

「こなちゃん?こなちゃん?大丈夫?」
「・・・あ・・・・誰?お母さん?」

どうやら、意識はあるらしい

「ちがうよ、つかさだよ・・解る?」
「・・・つかさ、どうしてココにいるの?」

「こなちゃんに会いに来たんだよ」
「・・・・私・・・・死ねなかった・・・んだね・・・」

つかさは少女の震える手を優しく握り
こなたの涙を拭った
まさかこんな事になるなんて想像もしていなかった
たった数日でこなたがこんな事になるなんて
ちょっとした人間関係のバランスで大きな悲劇が起こるところだった
つかさはこなたをぎゅっと抱きしめると大きな瞳に涙を溜めて
その柔らかな髪に頬をうずめる

「そ、死ねなかったんだよ・・・・こなちゃんは私が死なせないんだから・・・」
「・・・うん・・・・もう、死なないよ」

この数日間、忘れていた人の温もり
こんな身近にあったなんて、こなたは忘れていた
すぐ近くなのだ、はっきりと伝わる36度前後の体温
手を伸ばせばこの可愛らしい友人達がいた筈なのに
それを拒んでいたのは私のほうじゃないのか?

こなたはそのまま意識を失った
334四つの気持ち:2008/11/02(日) 02:18:01 ID:Z/oK4CUb
次に眼が覚めたのは真っ白な部屋、時間はあれから随分と経っている
少しボーっとする頭を振りながら体を起こしてみると
腕に点滴・・・ここは病院のようだ
ベットの端には私の手を握ったままシーツを涎で汚す大きなリボンの女の子
たぶん彼女が救急車を呼んでくれたのだろう
それで私は一命をとりとめた訳だ
そう思うと、つかさの無邪気な寝顔が酷く愛しいものに思えてくる
ふと端に置かれたバスケットを見てみると
つかさが作ったであろうアップルタルトが顔を覗かせている
タルトは中のりんごがはみ出して、多少不恰好になってしまっているが
きっとこなたを助けるために必死だったつかさが一生懸命もって来たものなのだろう

部屋の中に漂うタルトの香りはこなたの気持ちを穏やかなものへと変えていった

こなたは傍らで眠るつかさの頭を優しく撫でた

「・・・・つかさ・・・」

ッタッタッタッ!ガタン!

「こなた!!?」

静かな筈の病室に大きな声が響いた
ドアは壁に叩きつけられて硝子は小さく振動している
ツインテールの少女は釣り目イッパイに涙を溜めて友人のベットへと駆け寄った

「かがみん!?」

こなたは思わず自分の眼を疑った
自分を抱きしめ、わんわんと泣き喚くのは紛れも無く柊かがみ
こなたの大好きなかがみだった
多分、つかさがかがみに連絡したのだろう
そして大急ぎで走って来たに違いない
うっすらと肌は上気して、ほんのりかいた汗でうなじに髪がへばり付いている

「あんたガス使うときは注意しなさいよね!心配したんだから!!」
「ご、ごめん・・・なさい」
335四つの気持ち:2008/11/02(日) 02:19:00 ID:Z/oK4CUb
どうやらつかさはこれが自殺未遂であることを伏せておいてくれたようだ
さっきから眠った振りをしているつかさは
きっと、こなたが今まで抱いていたイメージなんかよりずっと大人なのだろう
そして、今私を抱きしめているかがみは
私思っていたよりずっと私の事を大切にしてくれているのだ

「かがみん、黒井先生はどうしたの?」
「ぐす・・・うう・・・」

かがみは泣き腫らした眼を擦りながらしっかりと私を見据えた
何時の間にか隣に立っているつかさもこなたがななこの名を口にした事にちょっと不思議そうだった

「ななこさんは・・ひっく、私をココまで送ってくれた後で、私の家に・・ひく・・事情を説明しに行ってくれてるわ」

いつもは凛と話すかがみも、泣き声交じりのしゃっくりだと迫力に欠ける
こなたは思わず笑顔をこぼした

「かがみんって、こんなに泣き虫だったんだね」
「・・・うるさいわね・・誰のせいよ」

336四つの気持ち:2008/11/02(日) 02:19:59 ID:Z/oK4CUb


次の日、症状の落ち着いたこなたは普通に学校に行く
どうやらガスの影響もさほど無く
嘔吐などの症状も見られなかったため、そのまま帰宅したこなたは
数日振りに安眠できた

ただ、帰ってきたゆたかに色々と説明するのにはてこずったが
まあ、よしとすることにしよう

この分だと数日後に帰ってくるそうじろうには
こっぴどく説教されそうだ

そんな事を考えながらも、今日もB組のいつものメンバーで楽しいおしゃべりを迎えられる幸せをかみ締めた
しかし、学校にはこなたが予想もしなかった展開が待ち構えていた

「こ、こなたさん・・・おはようございます」
「へ?・・誰?」

それは長い桃色の髪をツインに束ねた長身の女性
青い眼は何かを覚悟したかのような凛とした光を帯びている
スカートから伸びきった素足は真っ白でまるでモデルのよう
周囲の男…いや女生徒ですらその佇まいに眼を奪われていた

「わ、私です、みゆきです!」
「え!?みゆきさん!?眼鏡は?」

そう、この女性は高良みゆき
こなたと同じB組で3年間授業を受けていたあのみゆきなのだ

「コ・・コンタクトレンズに変えました!」
「え・・・」
337四つの気持ち:2008/11/02(日) 02:21:19 ID:Z/oK4CUb
みゆきはコンタクトレンズは苦手なはず
それにいつもは黒のタイツをはいているのに何故今日はこんな格好なのだろうか?
髪型もいつもと違うツインテール
こなたはハッと何かに気が付いた

「あの・・似合いませんか?」

みゆきはかがみの変わりになろうとしてくれているのだ
その為に苦手なコンタクトレンズまでつけて
この前休んだのも色々と準備をするためだったのだろう
自惚れかもしれないが
みゆきはきっと、自分のために出来ることを全部してくれようとしているのだ
こなたは思いっきりみゆきに抱きついた

「みゆきさん、ありがとう!」
「え!?・・・・」

こなたの咄嗟の行動に戸惑うみゆき
しかし、両目を潤ませて自分の体に顔をうずめる愛おしい人の抱擁を
みゆきは素直に受け止めた

「どういたしまして、ふふ」

「あら、みゆきイメチェン?」
「ゆきちゃん、どうしたの!?」

不意に背後から声がする
みゆきは少し険しい視線をかがみに向けたが
こなたの「かがみん、つかさおはよ!」という間の抜けた声に驚き
つかさの方を見たが
つかさも何やらウンウンと頷くだけで挨拶を交わしていた

どうやらみゆきは何かに取り残されてしまったようだ
しかし、出し抜かれたという感覚は無く
胸の内には不思議と安堵感が広がる
みゆきは、ひょっとしたらこれを一番望んでいたのかもしれない
と、自分の胸に聞いてみる
心の中のこなたを好きな自分が『そうですよ』と笑った気がした

338四つの気持ち:2008/11/02(日) 02:22:02 ID:Z/oK4CUb
もうちょっとでおしまいです
339四つの気持ち:2008/11/02(日) 02:48:19 ID:Z/oK4CUb
いつものカフェテリア
いつもの四人
皆でそれぞれの好物に舌鼓を打ちながら、久しぶりのように感じるこの団欒
しばらく元気のなかったこなたも
色々と思いをめぐらせていたみゆきも
天秤の持ち合わせていないつかさも
いつもとなんら変わらないかがみも
大好きなアップルタルトをつまんで頬を押さえる

「ホッペが落ちそう〜♪」
「ほんと、美味しいわね〜★」
「やっぱり叶わないかも〜☆」
「生きてる喜びを感じますね〜◇」

前と少しだけ変わった関係
こなたはつかさを見つめ、つかさはこなたとみゆきの間にゆれる
みゆきは相変わらずこなたを好き
かがみは終始、黒井ななこの事を心の片隅から離さない

これから少女達の未来がどのように変わっていくかなんて解らない
選択肢は一つではないのだ

大空に輝く太陽が
雲を照らし、眩しいほどに光を注ぐ
街行く人達は皆、この空の雄大さに気が付いているのだろうか?
もしかしたらこの中にも自分達と同じような問題を抱えた者達がいるかもしれない
そして、人知れず折り合いをつけて解決していくのだ
340四つの気持ち:2008/11/02(日) 03:18:45 ID:Z/oK4CUb
こなたは暖かな友人達に囲まれてそう思った
この街も
この建物も
この十字路も
どんなに人ごみに溢れたこの道も、今は全てが愛おしい

横断歩道の信号はこれからの未来を暗示する『青』
今まで道を閉ざしていた筈の一本道には新しい道しるべ

「さ、皆行こうよ!私達の明るい未来へ!!」
「まーたアンタはアニメみたいな事ばっかり・・・・」
「だけど、こなちゃんらしいよね♪」
「ええ、では明るい未来へ参りましょうか☆」

少女達は声高らかに歩き出す
その一歩一歩が軽やかで、それでいて生気に満ちていた

 ・・・・・・・・・

そんな少女達の物語も蓋を開ければ
ざわめく野次馬に囲まれて
悲惨な交通事故で終焉を迎えた悲劇でしかない

新しく始まった筈のこの道を一面の『赤』で染め上げた少女達は
幸せだったのだろうか

その答えはきっと、この血で染まった笑顔の奥にあるのだろう
それとも、少女達と共に粉々に砕け散ってしまったか

あの時、泉こなただけが自らの手によって命を落としていれば
あるいは・・・・これよりは幸せな終末があったのではないだろうか?


こうして、少女達の物語は何の前触れも無く突然に終わりを告げ

最良と思われた選択肢も、何の意味も無く赤に染まった



341名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/02(日) 03:33:48 ID:/O1C2/ZL
まじでww

とにかく乙!
よかった
342名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/02(日) 03:38:56 ID:y860Kph7
ちょwwww色々すげえ
343四つの気持ち:2008/11/02(日) 04:01:20 ID:Z/oK4CUb
最後に規制を受けました

読んでくださって有難うございます
このEND結構気に入ってます

>>316
なんで解るんですか?
そんなに癖ありますかねw
344名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/02(日) 04:16:08 ID:Sy0UcILK
>>343
やはりあなたでしたかw

誤字が相変わらずの御愛嬌
セリフと文章の間に改行がある
相変わらずの流暢な文章

これらの特徴から判断いたしました
ここ半年このスレに常駐し続けてきた自分の勘です
345名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/02(日) 04:16:40 ID:Sy0UcILK
ともあれ乙ですw
346名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/02(日) 10:57:39 ID:hI6UiN2f
女性信者死亡 長野の宗教法人を捜索 集団暴行の疑い

長野県小諸市に本部のある宗教法人「紀元会」で、教団内の集団暴行で信者の同市荒町、すし店経営、奥野元子さん(当時63歳)が死亡した疑いが強まり、
県警捜査1課と小諸署は15日朝、紀元会本部内の施設3カ所の家宅捜索を始めた。同時に幹部を含む教団関係者十数人を同署に任意同行しており、
容疑が固まり次第、午後にも傷害致死容疑で逮捕する方針。
調べでは、教団施設内では先月24日夜、信者の会合中に奥野さんが夫ですし店従業員の和宏(35)▽長女の森久里子(37)両容疑者=傷害容疑で逮捕、
容疑は傷害致死に切り替え=を含む複数の信者から暴行を受け、死亡した疑いが持たれている。
奥野さんは25日未明、小諸市内の病院に搬送され死亡が確認された。顔や腹などに殴られたような跡があり、病院が110番通報した。
同署が同居の家族に事情を聴いたところ暴行を認めたため、和宏、森両容疑者と次女のアルバイト、森美智子(26)
▽次女の夫で会社員の池勇治(30)の4容疑者を同容疑で逮捕した。
4人は当初「(奥野さんが)生活態度をうるさく言うので、不満に思っていた。自宅で暴行したら死んだ」などと供述していたが、
奧野さんと逮捕された家族4人がいずれも紀元会の信者だったことが判明。教団施設内で暴行を加えられて死亡した疑いが浮上し、
県警は慎重に裏付け捜査を進めていた。会合で奥野さんの家族が他の信者に家族のことを相談していてもめ事になり、
奥野さんへの暴行に発展した可能性があるとみて追及する。
文化庁の資料によると紀元会は70年10月に小諸市で設立。代表役員は舟橋元博氏となっている。
関係者によると、神道系の宗教団体で長野県に本部があり、長野、群馬、茨城、東京、静岡、愛知、京都など約400人の会員がいる。
すでに死亡した男性総代を大神様として崇拝。「不治の病を治す」とのふれこみで、お布施を募って「紀元水」という水を信者に配り、
「霊石」の販売も行っているという。

ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071015-00000006-maip-soci

>次女の夫で会社員の池勇治(30)
347名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/02(日) 17:09:16 ID:pU/rgZAf
>>343
なんという恋愛感情の絡み合いw
自分は紙にみんなの相関図を書きながら読ませて頂きました。
乙ですw
348名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/02(日) 21:33:32 ID:cqD3R5vt
真っ先にこのAAをはりたくなった 後悔はしていない

-‐―――-、   ミ゙;,    ::..   .::  `ヾ゙ヽ
          \   ゙:,  ヾ::'  ..:::::..  ミ  ',
  :  す   |ミ   ミ___゙ヾ\..::::::::::...  ミ:iヽ`i
  :        |ミミ/ ̄ ̄`ヽ;;_ゞ-ー―--、iノ i___
  :  ぎ  ..|ミ/ :   _,,-‐ ヾ彡   _,- \〃 `ヽ
  :        |li .::  /_.-―、ヽ;,ヾ /_... 、 ゙,  ,ヘ /
  :  る  .ノi:l:::.. i:::::::::ノノ:iノノ i i!ソ::::::ヽノ / ..:!::/
、      ヘ_|ヽヘ..:::::`ー'-''"" /i:彡`ー''" .i!..:::::iiノ
ヽ`ーr―'/ノ^ヽ、ヘ ヾ、_    /ミミ、;;"   _ハ彡_/
ゝ..-‐" ソく ⌒ヽ\`:::ー-'"、ヾ,ソ,こ..::-'" ___
゙゙'":::::::....., ゙r-‐r..-_ニー=,,ノ_ソ /7i!    /    \
 u::::::::/  ゞ:::;゙゙-"r'_..-   =,f-'/   r'       \
    ゙::|   '"   / u    ...::i:.,' __.ノ         |
   :::|  i ,       ...:::"`i ./ : あ に あ   /
i:. u :::|  U ゚           .゙V  .: っ も ま /
:i   :i 。     u  _..-―‐__.-'ゝ..: け : .り |
::\           ._`__,' ̄  <   な :    |
:::::..:\      -‐‐''"゙"ノ     i   .さ      .|
 ..:::::::...丶      `  ̄/       `ー、        .|
   ..:::::::::. `ー--   '         `ー――‐‐'
349グレゴリー:2008/11/02(日) 21:52:01 ID:g2Qy4E4h
文章の緻密さとしっかりとした構築力は中尉だと思っていたが
最後まで読んで確信したw さすがこのスレきっての大文豪。
自殺という主題についてのいろいろなアプローチを認めるこのスレは
やはり偉大だ。
俺がかつて総スカンを食らったとあるスレでは、俺は俺なりの
グレゴリーアプローチとも言うべきか、とにかく俺なりの方向から作品を
作っていたのだがそれは一切認められなかった。

350グレゴリー:2008/11/02(日) 21:57:27 ID:g2Qy4E4h
>>269,384
温かい歓迎ありがとうございます。
主にグロやカニバリズム、自己嫌悪を母体に膨れ上がった自己顕示欲
を作品に投影していく方向性でやっていきます。
ご期待に沿うべく
351名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/02(日) 22:17:21 ID:uinV3G0F
大阪さん、元気してるだろうか…
さて、SS投下します。
352プラグマティズム:2008/11/02(日) 22:18:15 ID:uinV3G0F
 泉こなたは、キャンパスを見やって溜息を一つつく。
キャンパス内は、多くの人々で溢れかえっていた。
その多くは、徒党を組んで行動している。
属すべきグループを持たないこなたは、彼等を羨むように溜息をつき、
妬むように舌打ちを一つすると、後門へと向かって歩き出した。
 まるで自分だけが孤独に取り残されたような感覚。
それが纏わり付いて、こなたは自分の存在意義をさえ疑い出していた。
勿論、キャンパス内を歩けば、一人で行動している人間にも少なからず出くわす。
だが、一人で行動している人間にこなたがシンパシーを抱く事は無かった。
どうせ彼等と交わる事はないのだ。孤独、という共通点を持っていても、
それは交流のきっかけとはならない。
いや、そもそも彼等彼女達は孤独ではないのかもしれない。
たまたま一人で行動しているだけで、属すべきグループを持っているのかもしれない。
 後門を潜りながら、こなたは考え続けた。
誰とも接点を持たないこの生活に、自分が存在している意義を見出せない。
誰も見ていない寂れた劇場で、一人で延々と踊っているような薄ら寒さを覚えて、
こなたは身震いした。
(でも…)
 こなたは少し、考え直した。
確かに今は孤独だ。誰とも接点を持たない大学生活。
だが、かつては孤独ではなかった。少なくとも、高校生活は楽しかった。
そこに居場所はあった。高校時代の親友と会えば、
もう一度存在意義を見出せるかもしれない。
孤独ではない、という事を再確認できる。
 こなたは携帯電話を開き、電話帳を開いた。
が、そこで躊躇する。誰に電話をかけようか、と。
何れも甲乙付けがたい友人たちだ。
今この中から一人を選んで、電話をかけるのも気が引けた。
(だったら、あの場所で…)
旧友達は、何れも自宅から通える範囲に通学していた。
そして、4人の通学路のうち、共通して通る場所が一つだけあった。
そこで待てばいい。そこで平日に昼頃から待ち続ければ、
誰かしらと出会うだろう。そこで、自分のかつての友人に再確認すればいい。
「いつまでも、友達で居てくれるよね?」と。
 こなたはそこまで考えると、自然と笑いがこみ上げてきた。
孤独に苛まれていたが、自分には甲乙付け難き友人が3人も居るじゃないか、と。
353プラグマティズム:2008/11/02(日) 22:19:18 ID:uinV3G0F

*

 大教室は雑多な学生で溢れかえっている。
後ろの席でお喋りに興じる学生、真ん中の方でぼんやりしている学生、
前の席に陣取り、黒板に書かれた字を丁寧に映し出す学生…。
 柊かがみは、真ん中の席に座っていた。
黒板に書かれた文字を適当に写しながら、
講義が終わるその瞬間を恐れていた。
 その恐れていた瞬間は、あっさりと訪れた。
講師が講義終了を告げると、途端に教室内は雑多な音に包まれた。
席を立つ音やテキストを仕舞う音だけではない。
お喋りに興じる学生達の声が、大教室内に響き渡った。
 その喋り声の中、かがみは憎々しげにテキストをバッグに仕舞うと、
足早に席を立った。
講義が終わった時はいつもこうだ。自分が孤独であるという事を、
嫌というほど再確認させられる。
 終わる時だけではなく、始まるまでの瞬間も嫌いだ。
席に着きながら、携帯電話を弄っている。
「私は一人ではありません。連絡を取る友人が居るのです」と、
アピールするかのように。
誰も自分には関心一つ払っていないのだと自覚しつつも、
そのポーズを止める事はできなかった。
 次の教室でも、講師が入ってくるまではそのポーズをとらなければならない。
その事を思うと、苛立ちが込み上げて来る。
かがみは乱暴な足取りで、教室の出口を目指して歩き出した。
「あの…」
 その時だった。かがみに対して話しかける声が聞こえたのは。
「え?私?」
 その女性は、明らかにかがみに視線を向けているのだが、
かがみは一応尋ねた。大学に入学してからというもの、
誰とも話してこなかったのだ。にも関わらず、
この場でいきなり話しかけられる事があるのだろうか、
と彼女は考えてしまった。
354プラグマティズム:2008/11/02(日) 22:20:01 ID:uinV3G0F
「はい。えーと、柊さん、で合ってますよね?
私分かります?必修で同じクラスの…」
「あー、そういえば分かるような…」
(そういえば、こんな人居たような気がするなぁ)
 記憶は曖昧だが、面と向かって「誰でしたっけ?」と答える訳にもいかず、
言葉を濁した。
「柊さんも確か、次は行政法を取っていましたよね?」
「うん、そうだけど。何で知ってるの?」
「必修の授業で柊さんを何回か見ているうちに、興味湧いちゃって。
あ、変な意味じゃないよ。なんか、私と似ている人だ、って思っちゃって。
それで、柊さんの事が印象に残ってるんだ」
「あーそう。私と似ているっていうのは?」
「私ね、昔、友達に手ひどく裏切られちゃって。
本人は面白半分のドッキリのつもりだったらしいけど、
私は許せなかった。それ以来、人を遠ざけるようになっちゃって、
大学に入ってからもずっと孤立してたんだ。
でも、それじゃいけないって最近思うようになって。
だから、私と似た雰囲気を持った、他人を近づけない柊さんと仲良くなりたいな、
って思ったんだ。迷惑、かな?」
(私の場合は、別に過去にトラウマがあるとかじゃなくて、
スタートダッシュに失敗して孤立しちゃってるだけなんだけど。
まぁいいか。これで孤独卒業できるんなら)
「そうね。これを期に仲良くなりましょ。
それに、丁度良かったわ。次の行政法、前回講義休んじゃってるのよね。
前回のこと、色々と教えてくれない?」
「偶然だね、実は私も前回講義休んじゃってるんだ。
ま、どうにかなるでしょ」
355プラグマティズム:2008/11/02(日) 22:20:47 ID:uinV3G0F
 その少女は楽しそうに笑うと、かがみの小指に自分の小指を絡めた。
「いつまでも、友達で居てくれるよね?」
 かがみはその仕草に、少し照れ臭さを覚えながらも、
笑い返しながら返答する。
「勿論」



 行政法の講義は、二人並んで受けた。
友人と一緒に大学の講義を受けるというのは、かがみにとって初めての体験だった。
講義が始まるまでの、あの気まずい時間を感じずに済んだのも、
これが初めてだった。
 講義中という事で、二人の間であまり言葉は交わされなかったが、
それでもかがみは心強かった。
 さて、講義もあと少しで終わろうかという時間帯になって、
講師が唐突に紙を配り始めた。
「前回の復習兼テストです。正しいと思う方に、丸をつけて教壇に提出してから
退室して下さい」
 寝耳に水、とはまさにこの事。二人とも前回の講義は受けていない。
一体どんな問題が出ているのであろうか。
二人は固唾を呑んで回答用紙が配られるのを待っていた。
「どうしよう、柊さん。私、前回出てないから分からないよ」
「私もよ。でも、行政法は行政書士試験の為に勉強してた時期あるから、
その時の貯金で乗り切れるかな」
「凄ーい。柊さん、勉強熱心だね」
「そうかしら」
 努めて冷静に返答したが、その実かがみの心は躍りだしたいくらいに高揚していた。
友人から褒められる。それは、大学に入ってから初めての体験だったのだ。
 回ってきた解答用紙に記述されている問題を見たとき、
かがみは心の中で勝どきを挙げた。これの答えを私は知っている、と。
 また、当然ではあるがこの解答用紙には氏名を書いて提出しなければならない。
友人の名前を知るチャンスでもあった。
356プラグマティズム:2008/11/02(日) 22:21:31 ID:uinV3G0F
 その問題文を、かがみは心の中で読み上げる。
(『地方自治体の行う土地区画整理事業は、その計画段階で取消訴訟の対象になる』
か。そして、『YES』か『NO』のどちらかに丸を付ければいいのね。
簡単じゃない、これ。基本中の基本、青写真判決ね)
「柊さん、分かる?」
 不安げな声に、かがみは自信を持って返答した。
「答えは『NO』よ。この段階ではまだ訴訟の対象にはならないわ」
「ありがとう、柊さん」
 かがみは自身の解答用紙に丸を付けながら、
友人の解答用紙に書かれた氏名を盗み見た。
(吉水渚さん、か。よかった、名前知らないまま付き合い続けるところだったわ)
 かがみは胸を撫で下ろすと、いそいそと立ち上がった。
「さ、提出してさっさと帰りましょ」
「そうだね」
 吉水も立ち上がり、教卓へと向かった。
かがみもバッグにテキストを詰め込むと、後を追った。
既に教卓前には列が出来ており、列が消化されるまで待たねばならないが、
最早待つことはかがみにとって苦痛ではなくなっていた。
今までは列が消えるまで席に座っていたが、
もうそんな事はしなくてもいい。
友人と雑談に興じることで時間を潰せるのだから。
「ねぇ、吉水さん。この後授業入ってる?」
「入ってないよ」
「この後、そこら辺ぶらつかない?」
「いいね、賛成」
 かがみは娯楽施設や飲食店に連れ立って入店していく学生達を
今まで羨望の眼差しで見つめていた。
だが、もう羨望の眼差しで見つめなくてもいい。
それは遠い世界の出来事ではなく、かがみ自身が体験できる事となったのだから。
 気が付けば、もう吉水の前まで列は消化されていた。
357プラグマティズム:2008/11/02(日) 22:22:16 ID:uinV3G0F
 吉水が提出したのに倣い、かがみも提出した。
が、この時にかがみは気付いた。
(しまった。間違えて『YES』に丸を付けちゃってる…)
 吉水の名前を盗み見たり、雑談に興じるのに夢中になる余り、
初歩的なミスを犯し、それに今の今まで気がつけなかったのだ。
だが、もう時既に遅し。
既に何人かの学生が、かがみの提出した答案の上に重ねて提出してしまっている。
今から答案をかき回すのも恥ずかしい。
できれば、人々の注目の的になるような事は避けたかった。
(まぁ、いいか。どうせこんな一問テスト一回間違えたくらいで、
単位落とすなんて事はないでしょう。それに、
これから吉水さんと遊ぶんだから、そんな小さい事どうでもいいわ)
 かがみは頭を切り替えると、足取り軽く教室の出入り口を目指して
吉水と共に歩いた。
これからの楽しいキャンパスライフを夢想しながら。

*

 吉水とかがみが出会ってから、丁度一週間が過ぎた。
日が増すごとに二人の仲は良くなっており、
日曜日にはカラオケにも出かけていた。
 吉水が並々ならぬ信頼を自分に寄せているのが、かがみには手に取るように分かった。
心地よかった。誰かに頼りにされるなど、高校以来の体験だったから。
 今日も二人並んで講義を受けた。行政法も、
二人並んで受けていた。
「はい、では前回やったテストの答案を返します。
名前を呼ぶので、取りに来てください」
 行政法の残り時間も半分を切った頃、講師はよく通る声で答案返却の旨を告げた。
この講義が少人数制だからこそ、このような事も出来るのだろう。
 かがみは間違えていると分かっている答案を受け取ると、席に着いた。
先に答案を受け取って席についていた吉水の顔を見ると、
何か言いたげな顔でかがみの顔を見つめていた。
358プラグマティズム:2008/11/02(日) 22:22:58 ID:uinV3G0F
「柊さん、なんか、間違えちゃってるみたい…」
「え?」
 かがみが吉水の答案に視線を走らせると、
赤いインクでバツ印が書き込まれていた。
慌てて自身の答案に目を走らせる。そこには、赤インクで
丸印が書き込まれている。
「どういう…こと?」
 吉水はかがみの答案を見ると、信じられない者を見るような目つきで
かがみを眺めた。
「これは…」
 何とか弁明しようとかがみは口を開きかけたが、
吉水は聞く耳持たずという風に顔を背けた。
その横顔に、はっきりとした拒絶の色を感じ取ったかがみは、
それ以上言葉を発することができなかった。
 答案を返し終わると、講師は解説を始めた。
聞けば、9月に青写真判決は変更され、
土地区画整理事業は計画段階でも取消訴訟の対象となった、という事だった。
(迂闊だったわ…。判例変更されてたなんて。
新司対策テキストに頼り切って、時事を軽視した報いね。
丸を付け間違えて点数は貰えたけど、友情にヒビが入っちゃった。
どうしよう…謝れば、許してくれるかな)
 授業が終わった直後にでも謝ろう、そう思うのだが
あの拒絶を訴える鉄のような冷たい吉水の横顔を思い出すと、
かがみの心は不安と恐怖に軋んだ。
 かがみの揺れる心などお構い無しに時計は針を動かし続け、
授業終了の時刻となった。周りは席を立ち、
出入り口へと向かうのだが、かがみは座ったまま動けなかった。
吉水も立ち上がる事無く、机の木目を眺めるように俯いていた。
359プラグマティズム:2008/11/02(日) 22:24:30 ID:uinV3G0F
 教室から誰も居なくなった時、唐突に吉水が口を開いた。
「柊さんも、私を裏切るんだね」
 思わず背筋の毛が逆立つような冷たい声に、かがみは凍りついた。
「そうやって、私だけ間違えさせて愉しんでるんだ。
柊さんも、私をピエロとしてしか認識してないんだ」
「違っ」
 かがみは慌てて弁明しようと思うのだが、
気持ちだけが空回りして言葉が上手く出てこなかった。
(何と言って弁明すればいい?丸つける位置を間違えました、
なんて本当の事を言っても、果たして信じてもらえるの?)
「もういいよ、さよなら」
 言いあぐねるかがみに取り合う素振りも見せず、
吉水は立ち上がるとそそくさと教室を出て行った。
「何よ、もう」
 かがみは苛立たしげに声を挙げると、乱暴にバッグを掴み教室を出た。
廊下で吉水と目が合ったが、すぐに目を背けて帰路へとついた。

*

 こなたは歩道橋の上でぼんやりと佇んでいた。
誰とも話せずにただ過ぎ去っていく日々。
この大学生活を後々思い返しても、『何もなかった』と悶々とせざるを得ないだろう。
記憶にも残らない、誰からも必要とされない日々を送っているこなたは、
せめて高校時代の友人からは必要とされていたかった。
 だから今、ここに居る。ここはこなたを含む高校時代の
親友4人の共通の通学路でもあった。
一週間前に決意したあの問い、「いつまでも、友達で居てくれるよね?」
それを確認する為に、この場所に居る。
 既に時計の時刻は16時半を過ぎていた。まだ、見知った顔は一人も通っていない。
心細さと秋の冷気に少しだけ体が震えたが、
みゆき・かがみ・つかさの3人とも今日講義を入れて居ないというのは
流石に考えづらいので、その内通るだろうとこなたは自分に言い聞かせた。
勿論、彼女達が下の横断歩道を歩く可能性もあった。
だが、下を歩く人間は上から見下ろせば分かるが、
歩道橋を歩いている人間は階下からは確認できない。
 確認の為、こなたは歩道橋から下を見下ろした。
歩道橋といってもデパートや駅ビルに直結している為かなり高く、
眼下の横断歩道を歩く人々が小さく見えた。
あの歩く人たちも、孤独に耐えながら日々の生活をこなしているのだろうか。
それとも、そろそろ耐え切れずに破裂しそうな人も居るのだろうか。
或いは、孤独ではないのか。
こなたはぼんやりと考えていたが、ネガティブな思考に嫌気が差し
視線を歩道橋の上へと戻した。
 と、一人の見知った少女が階段を上がり、
歩道橋の通路へと姿を現した。
角のようなツインテールが酷く懐かしい。吊りあがった瞳がとても頼もしい。
「かがみ…」
 こなたは安堵したように声をかけると、言葉を続けた。
自身の存在価値を信託するように。自分の存在理由を賭けるように。
「いつまでも、友達で居てくれるよね?」
360名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/02(日) 22:25:22 ID:uinV3G0F
>>352-359
そろそろ規制かかるんで、撤退します。
また
361名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/02(日) 22:55:19 ID:Sy0UcILK
>>360
wktk

段落スペースがあるから
if starの人かな
362名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/03(月) 00:11:31 ID:qiFS1cMi
>>345
これは厳しいながらも暖かい声がw
今後も誤字はご愛嬌ということで手を打っていただけると嬉しいです!

>>349
あいや、そんなに褒められて良いものかと少し動揺中です
とにかく有難うございます!
確かにこのスレは寛大かもしれませんね、いろんな意味で
ですから創作意欲も欠かずにいるわけですからグレゴリー氏もガツンとやっちゃって良いんじゃないでしょうか?
あんまり無責任なことは言えませんが、注意書きさえちゃんとしとけば他の住人さん方もOKくれると思います
楽しんでください!

>>348
そんなに熱心に読んで頂けるなんて光栄です
恋愛は絡んで何ぼ、縺れて何ぼですw

>>347
後味もほんのり苦くてカロリーゼロですw

>>360
お疲れ様です
内容が密で読んでいて色々考えさせられます
この物語にはどんな真理があるのか楽しみです
頑張ってください!
363名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/03(月) 00:58:46 ID:KLzo098a
>>352-359の続き投下します。
364プラグマティズム:2008/11/03(月) 00:59:41 ID:KLzo098a

*

 特徴的なツインテールの後を、数十メートルの距離を保ちながら吉水は追っていた。
あの後、直後に教室から出てきたかがみと目があった。
目が合ったのは一瞬だったが、それでも吉水には視認できた。
涙を堪えるように潤んでいた、かがみの瞳を。
 あの瞳を見たときから、吉水の心は罪悪感に軋んだ。
かがみに過剰反応した自分を、反省もした。
幾ら過去にトラウマがあったとはいえ、
あの程度の事でここまで怒ることもなかっただろう、と。
(何か、事情があって嘘を付いたんだよね?
いや、嘘のつもりじゃなかったのかもしれない。
何か事情があって、わざと間違えようとしたのかもしれないし。
それに最近の判例だし、柊さんが知らなくても無理もないよ…)
 吉水は謝ろう、と決心した。
 決心したまでは良かったが、中々言い出せずにストーカーのように
後をつけることしかできない。
(どうしよう…)
 かがみは黙々と歩いている。こちらに気付く素振りも無い。
やがてかがみが歩道橋に差し掛かった。
(歩道橋…。下の横断歩道を急いで歩いて、回り込もう。
そして、謝ろう。駅やデパートの中に入っちゃう前に間に合うといいけど)
 そう決心すると、吉水は歩調を速めた。

*

 暗い面持ちでかがみは歩道橋の階段を上がっていった。
また一人の時代に逆戻りしてしまった。
あの周囲の喧騒に怯える孤独な日々が脳裏をよぎり、
かがみは思わず顔を歪めた。
(本当に運が悪いわ。青写真判決が変更されてたなんて。
判例が変更されていなければ、今頃は…)
365プラグマティズム:2008/11/03(月) 01:01:06 ID:KLzo098a
 既に何度も何度も頭の中で繰り返された呪詛の言葉をもう一度繰り返すと、
呪うように青空を見上げた。青、という色にさえ今や嫌悪の念を抱く。
ここまで来る道中、青信号や青い看板を見るたびに、
青写真判決の変更のテロップが頭の中に流れ、かがみを苛立たせた。
青い空ですら、忘れたい記憶を惹起させる忌まわしい存在となり、
かがみの前に立ちはだかった。
 いつの間にか、階段は終わっていた。
「かがみ…」
 その時だった。懐かしい声が聞こえたのは。
かがみはゆっくりと、視線を空から地へと戻した。
その視界には、青空の代わりに青い髪をした少女が移された。
(こなた…。久しぶりに見るわ。
いや、それよりも、視線を転じてもまた青。青、青、青。
ウンザリよっ)
 かがみは心中叫び声を上げた。
 かがみの揺れる心に気付く風も無く、こなたは言葉を発した。
それは、かがみの心を抉る決定的な一言だった。
「いつまでも、友達で居てくれるよね?」
 その台詞は、一週間前にかがみを狂喜乱舞させた吉水の言葉と
一字一句違うことなく同じものだった。
だが、その台詞を放った友人は、一週間後に些細な事からかがみを拒絶した。
かがみの頭に、恐ろしい勢いで血が昇ってゆく。
(あの時は「勿論」なんて惚けた台詞を返した。
でも、もう騙されないわ)
「はぁ?そもそも友達でもなんでもないでしょ、アンタ。
何勘違いしてるの?」
「か…がみ?」
 こなたは何を言われたのか理解できないという風に、目を白黒させていたが、
すぐにその顔に笑みを浮かべた。傍から見ても分かるくらいに、
痛々しいほどの作り笑いを。
366プラグマティズム:2008/11/03(月) 01:02:08 ID:KLzo098a
「やだなぁ。冗談?それともツンデレ?
かがみんのその発言は、愛情の裏返しだよね?」
「冗談なんかじゃないわ。心底、アンタなんてどうでもいいの」
 努めて冷たく、かがみは言い放った。
「そんな…かがみにまで必要とされなくなったら、私…
もう誰も、信じられないよ。つかさやみゆきさんまで、
私の事必要としてないんじゃないかって…そう思えちゃうんだよ。
だから、かがみ。嘘だと言ってよ」
 こなたの顔は見る見る青ざめていった。
だが、かがみはなおも追い討ちをかけた。
八つ当たりなのか、こなたの甘えるような態度が許せないのか、
当のかがみにも最早判別はつかない。
「嘘じゃないわ。ていうかアンタ、私達の為に何かしたの?
何もしてないじゃない。それで必要としてくれ、なんて虫が良すぎるわ」
「そんな…。じゃあ、私の存在意義は…」
「断言する。無い」
「そんなのって、ないよ。私、一人じゃ生きていけないよ…」
「奇遇ね。私もよ」
 かがみの本心からの告白だった。
「でも、だからといってアンタと仲良くする気はないわ」
(「いつまでも、友達で居てくれるよね?」なんて台詞を吐く人間とは、
もう仲良くできない。まだ一人で生きていった方がマシだ)
「…。そっか。そうだよね。ごめんね、かがみ」
 こなたの瞳から、一筋の涙が流れた。
「でも、私、もう限界だよ。これ以上、生きていく価値を見出せないよ」
 こなたは暗い声で呟くと、歩道橋の欄干に足をかけた。
ゆっくりと、身体を欄干の上へと傾けていく。
自殺、その二文字を想起させる行動だった。
367プラグマティズム:2008/11/03(月) 01:03:07 ID:KLzo098a
 だが、かがみには見えていた。
ちらちらとかがみを盗み見ている、こなたの視線が。
 かがみは大仰に溜息をつくと、なおも緩慢な動作で
欄干に身体を傾け続けるこなたに言葉を投げた。
「あのさ、まさか止めて欲しいの?
鬱陶しいのよね、わざとゆっくり自殺する素振りだけ見せて、
こっちチラチラ見てんの。
止めもけしかけもしないわ。赤の他人だし、アンタ」
 こなたは大きく目を見開くと、自嘲気味に笑った。
「最後の賭け、だったんだけどね」
 こなたはかがみを見つめたまま、欄干から飛んだ。
視界から消えていくこなたを、かがみは無感動な面持ちで見つめた。
 かがみの視界からこなたが消えて数秒たった後、
階下から悲鳴が轟いた。
 かがみは欄干に近づくと、階下を見下ろした。
そこには、二人の少女が血に塗れて倒れていた。
(巻き添え…か)
 歩行者信号が青の時に飛んでしまったらしく、
こなたは横断歩道を渡っていた人に激突してしまったらしい。
あの出血量とこの歩道橋の高さを考えれば、二人とも即死だろう。
(それにしても、巻き添え食らった人の服、何処かで見たことが…。
って、あれ、まさか吉水…。間違いない、同じ服で、
同じ髪型だ…)
 かがみは茫然と階下で倒れている二人を見つめた。
その二人の周辺に人だかりができていたが、
歩道橋の上からならば視界を塞がれる事無く二つの遺体を視認できた。
368プラグマティズム:2008/11/03(月) 01:04:07 ID:KLzo098a
 見つめているうちに、かがみの顔に薄っすらと笑みが浮かんだ。
(青から、逃れる事ができたみたいね)
 血溜まりの鮮やかな赤色が、かがみの心から青色へのトラウマを追い出していた。
心が、真っ赤に染まっていくのがかがみにも自覚できた。
また、死というものを目の当たりにして、
今まで生きていた者がいきなり動かなくなるという場面を目の当たりにして、
かがみの心に一つの強さも生まれていた。
(人は死んだら終わりね。ああやって、動かなくなる。
でも逆に言えば、死ぬまでは終わらないのよ。例え一人っきりの人生でもね。
むしろ、孤独以外の人生なんてないのよ。周りの人間は所詮道具。
道具相手に友情求めるなんて、どうかしてたわ、私)
 周りの人間を道具だと思えば、孤独なんて問題にならない。
損得勘定を全ての価値基底に置けば、もう自分を孤独だとは思わない。
動かなくなった二人を見下ろしながら、
かがみはせめてもの餞にと、冷笑を手向けた。
(さようなら、お二人さん。私はもう、他人も孤独も恐れない。
だって、どんな人間でも死ねばただの肉塊。
使用されなくなったツールと何の違いがあるのかしらね)
「かがみさん?お久しぶりですね、あの、下が騒がしいようですが…
何かあったのですか?」
 唐突に声をかけられ、かがみは振り向いた。
そこには、心配そうに眉を顰めるみゆきの姿があった。
(もし、私より先にみゆきが来ていれば、こなたは死なずに済んだのかしらね)
 ぼんやりと考えながら、かがみは階下を指し示した。
怪訝そうな顔つきで、みゆきは欄干に寄り添うとかがみの指先に視線を向けた。
途端、みゆきの顔から色が失われ、蒼白になった唇から震える言葉が紡ぎ出された。
「あれは…泉さん?何で…泉さん…」
「そ、こなた。ここから飛び降りて自殺しちゃったみたい。
で、巻き添え食らったのが私の大学の知り合いね」
 冷静に説明するかがみに、みゆきは怒りを露にしながら詰め寄った。
「どうして…笑っていられるんですか。どうしてそんなに冷静なんですか。
泉さんが…死…うぇっ…」
 えづいたように言葉を詰まらせると、みゆきは嗚咽を漏らした。
369プラグマティズム:2008/11/03(月) 01:04:43 ID:KLzo098a
「そ、死んじゃったわね。まぁ悲しむこと無いわ。遅かれ早かれ人は死ぬんだし。
それより憂鬱よ。自殺する現場を見届けちゃったんだから、
私警察から色々と聞かれるんだろうな。はぁ、貴重な時間なのにね」
「…かがみさん、正気ですか?本心から、そんな事言うんですか?」
 嗚咽交じりに敵意を剥き出しにした声をみゆきは発すると、
涙に濡れた瞳でかがみを睨みつけた。
「私は正気。本心からの発言よ。
だって、これまでの人間より」
 かがみは一度こなたと吉水を指差すと、
その指を自分に向けて言葉を続けた。
「これからの人間の方が尊重されるべきじゃない」
 言葉を放った途端、かがみの頬に鈍い痛みが走り、
かがみは数歩後ろへよろめいた。
「…かがみさん、貴方って人は…」
 みゆきに殴られた、かがみがそう理解するまで、大して時間はかからなかった。
(こなたなんかの為に、ここまで熱くなれるなんて。
私よりアンタが先に来ていれば、こなたは死ななかったわよ。
どうでもいいけど)
「かがみさん、貴方を見損ないました」
「私もアンタを見損なったわ、みゆき」
(もうちょっと合理的な判断ができる人間だと思ってたけど。
駄目ね。下らない感情に突き動かされている。どうでもいい事に一喜一憂して、
ちょっと前までの私みたい)
「かがみさん、もう二度と貴方と話すことはないと思います」
「私も、アンタともう話すことなんて二つと無いわ」
(だって、アンタ、非合理的すぎるものね)
 動かなくなった機械を見るように、かがみはみゆきを見た。
動かなくなった機械は不要。使えない道具は不要。
(要らないわ、コレ)
 かがみはみゆきを捨てた。
 気が付かないうちに、人としての心も捨てていた。
本当に道具なのは、機械でしかないのは、
損得勘定でしか人と接することが出来なくなったかがみの方なのかもしれない。
 かがみより早くみゆきがこなたと会う事で救われたのは、
こなただけではなかったかもしれない。

<FIN>
370名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/03(月) 01:06:05 ID:KLzo098a
>>364-369
以上で終了です。
では、次の機会に。
371名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/03(月) 01:43:35 ID:5S6uqBSc
乙です!
みゆきぃー
372JEDI_tkms1984:2008/11/03(月) 01:44:47 ID:Sm7dnxTF
>>340
ボキャブラリーに富んだ地文。アイロニーに彩られた結末。
5人の心の機微とその変遷。
楽しませていただきました。
かがみが思いの外直情的で、それと対照的に均衡を保とうと奔走するつかさ。
この対比に加えてみゆきの歪んだ愛情と、こなたの自殺行為とがうまく絡まり、
陰鬱でしかし嘲笑を誘うような結末に感服しました。

>>370
一見すると”こなた自殺”にかがみの孤独はまるで違う世界の事のように感ぜられるのに、
吉水というキャラを介してこの2つが巧みに折り重なっていました。
自殺を最後の賭けだったとするこなたに、冷徹に突き放すかがみも印象的です。
僕は大学に行った事もなければ法律の知識もさっぱりですので、こういう話を
書ける人に憧憬の念を抱きます。
373名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/03(月) 14:17:50 ID:8G+p5NP/
最近名無しでSS落とす人増えたな
ガンガンにせよ中尉にせよ
374ヤク中大分:2008/11/03(月) 17:40:05 ID:NUQE82r7
>>340
中尉の書く人間関係が好きです
ttp://upload.jpn.ph/upload/upload.php?id=29133
ツインテみゆき
375グレゴリー:2008/11/03(月) 20:49:09 ID:DLmzReqY
うおお、並み居る文豪の中にあって自分の文章の稚拙さが身にしみる。

というわけでss投稿します。

題名「カニバリスト」
376カニバリスト:2008/11/03(月) 20:50:21 ID:DLmzReqY
カニバリスト


「ぇえっと、○×ビルはもうすぐですよ」

タクシーは細い一方通行の路地に入っていった。
かがみは電柱のそばに立っている少女を見つけた。
タクシーは少女をすこし通り過ぎたところで止まった。

「ぁりがとござした〜○×ビルでごぜやす。料金は...」

かがみが運転手に料金を支払っている間、少女は
そっと、タクシーの車体後部についているワイヤーフックに
細い金属線のワイヤーを結びつけていた。


かがみは車を降りると、少女のほうに向かって呼びかけた。

「こなた、あんたなんでこんなところに呼び出して...」


泉こなた。青い長髪と流し目、泣きホクロがまあ色っぽさを出してはいるが
頭頂の跳ね上がった癖毛と子供っぽい体格のアンバランスさが特徴的な
友人。そう、柊かがみの大事な友人。


だが、こなたは不気味な笑みを浮かべたまま、かがみの問いに答えようとはしなかった。

かがみの後ろでタクシーが発進した。金属製のワイヤーはこなたの後ろの電柱に結び付けられ、
そしてこなたの胴をぐるりと回ってそしてタクシーの車体にさきほど結ばれた。
一方通行の道路なのでタクシーはUターンすることなく前を進むしかない。
結果、引っ張られたワイヤーは泉こなたの胴を一瞬で寸断した。

むろん、そんなことを知らないかがみにとって、こなたの顔を注視していては
こなたがどんどんずれていっている理由も分かるはずがない。
こなたの上半身は視界からずれていき、そして地面に落ちた。

切断面から人体を構成するおぞましい部品ともいうべき贓物が一気にあふれ出てくる。
切断面のふちは意外と厚い皮膚と皮下脂肪の層のおかげでまるでゴムのようだ。
377カニバリスト:2008/11/03(月) 20:51:13 ID:DLmzReqY
かがみは急いでこなたの元に駆け寄っていき、地面に落ちたこなたの上半身を抱きかかえた。

「こなたー!!!なんで、なんで!死なないでよ!ダメだよ絶対に!!死んじゃあダメだってば」

こなたは力なく笑った。

「無理だよかがみん...」

「ばかああああああ!!!」

こなたの瞳から急速に生気が失われていく。こなたの唇がなにかを告げようとしているのに
気が付いたかがみは、こなたの口元に耳を持っていった。

こなたは最後の力を振り絞ってこう言った。

「呪われろ、この、薄汚いメス豚」

////////////////////////////////////////

葬式には泉こなたの友人たちが集まった。柊かがみとその妹のつかさ、そして高良みゆき。
かがみが特にこなたと親しかったことを知っているつかさとみゆきは、1人無言で立ちすくむ
かがみに声をかけられないでいた。 と、3人のそばに1人の若い男が歩み寄ってきた。
実直そうな若者だった。その若者の存在に気が付いたかがみは、みゆきとつかさを押しのけるようにして
彼の元に飛び込んでいった。

「祐二くん!」


つかさとみゆきは、この二人を遠巻きに見守るしかなかった。


そして年月は流れた。


ドスンッとテーブルの上に乱暴にウイスキーのボトルが置かれた。VAT69とラベルが打ってあるスコッチウィスキーだ。


はだけた衣服を気にもかけずに、かがみはグラスに注いだウイスキーをストレートで飲み干した。
空になったグラスにもう一杯継ぎ足そうと、テーブルのボトルに再び手を伸ばしてみるも、ビンは空っぽだった。
かがみは力なくテーブルに突っ伏した。うずめていた顔を少しあげる。その両目は恨めしげに宙をさまよっている。
こなたの死は、かがみを長い間苦しめていた。
こなたはかがみのように少女時代を脱する気が全く無かった。こなたにとってそれは
自分たちを取り巻く心地よい関係を破壊することでしかない。しかし人間は成長する。いままで遠い世界でまったく

無関係だと思っていた異性の存在。成長がその距離をどんどん縮めていくということをこなたは認めたくなかった
みたいだ。こなたはかがみに対して屈折した憎悪を抱き、終生、自分を苦しめるために
目の前で自殺した。 
378カニバリスト:2008/11/03(月) 20:52:18 ID:DLmzReqY
大学時代は勉学に励むことによって苦しみを忘れることができた。
大学卒業後、かがみは警察に就職した。殺人課に配属され、そして人間が持つ様々な苦しみを知った。
うつろな目で空を見上げる死体。それはあまりにも無力で無様だ。自殺死体も見てきた....


かがみはマンションを出て、近所の酒屋に向かっていた。
外はかなり冷える。あまりにも頻繁にウイスキーのボトルを買っているかがみを
酒屋のおかみは心配そうな目で見るのだろう。

すると、暗闇から1人の男がかがみのほうに歩み寄ってきた。
かがみは恐怖のまなざしでその男を見つめた。
なんという風体だ。髭は伸び放題、目はうつろで口元には黄色い粉がついている。

「あ、あのう。柊かがみさんですよね。私は泉そうじろうと申します。」

男が名乗った名前にかがみはぴくりと反応する。

「いきなりご自宅にうかがうのもびっくりされると思いまして、ずっと外で待っておりました」

泉そうじろう。高校時代に何回か会ったことはあるが、そこまで記憶にはない。
でも、こんなにひどい風体ではなかったはずだ。

「娘が...こなたが自殺してからというものの、私は抜け殻でした。でも、今になってやっと
あなたに謝罪ができます。私は恥ずかしい男です。娘を守ろうと、これをずっと隠しておりました。」



そうじろうは何かが入ったかばんをかがみに手渡すと、その場に泣き崩れ落ちた。

かがみはそうじろうを無視して、酒屋に向かっていった。

酒屋からの帰り道、そうじろうの姿は消えていた。
かがみは自室に戻ると、ウイスキーのボトルを開封してグラスに注ぎ、そしてかばんを開けた。
中には何十枚という写真が入っていた。そのひとつひとつが高校時代の自分の姿だった。
いつの間に撮られていたのだろう。そして、もうひとつ、こなたが書き残していた日記が見つかった。
379カニバリスト:2008/11/03(月) 20:52:59 ID:DLmzReqY
最初の数ページは、かがみに彼氏が出来たことに対する不満だった。

だが、かがみは震えが止まらなくなっていた。

.....愛するものを食することによってそのものは新しい存在へと生まれ変わる....
....いわば、愛するものの精神と力を我が物にすることができるのだ....

こなたは本気でかがみを食べようとしていた。その綿密な計画すら日記に記されていた。
そして、日記の最後はこう結ばれていた。


....「カニバリズムは人間を更なる高次元の存在へと昇華させる可能性を秘めている」.....

この一文を読んだかがみはウイスキーのボトルとグラスを壁に投げつけていた。



数日後、こなたの命日が訪れた。かつての友人たちであるつかさとみゆきは毎年、こなたの墓に
花を添えている。

「おねえちゃん、今年も来ないのかな?」

すっかりと母親が板についてきたつかさも、今日は子供たちを夫に預けて
1人だ。

「いつの日か、かがみさんがこなたさんを許せる日が来るといいですね」

成熟した大人の魅力を完璧に身に着けたみゆきは物憂げな表情を浮かべている。


「あ、おねえちゃん!!」

つかさの声に、みゆきも振り向く。


そこには、かがみがいた。


「かがみさん!お久しぶりです。お会いできるなんて」

かがみを見つめる二人の表情は
まるで長い年月の苦しみから解放された晴れやかなものになっていた。

だが、かがみはずかずかとこなたの墓の前までやってくると
その墓石に唾を吐きかけ、そのまま去っていった。


二人はまた、取り残された。
380カニバリスト:2008/11/03(月) 20:54:04 ID:DLmzReqY
///////////////////////////////////////////////////

VAT69と銘打たれたボトルからそのままウイスキーをのどに流し込み、かがみは自宅の一室にいた。

そこには1人暮らしの人間にとってはあまりにも豪華な冷蔵庫があった。

その巨大な冷蔵庫を開けると、そこにはぎっしりと何かの肉が詰め込まれていた。

冷蔵庫のドアを開けた衝撃で、詰め込まれていた肉片がボトボト落ちる。それはすっかり凍り付いていて
床に鈍い固形音を響かせた。そして、現れたのは凍りついた人間の生首。

頭の部分に大きな穴があいており、中にあるはずの脳はすっかり無くなっている。

これが祐二の結ういつ残った肉体だった。そして、切断された手足が何本か。
結局、冷蔵庫の中には数人の男の肉体が詰まっていたのだ。


かがみを捨てた男たちのなれの果てだった。警察の仕事をしているおかげで、うまく証拠は隠滅した。
だが、かがみは冷蔵庫のドアを再び閉めると、恐るべき馬鹿力で冷蔵庫を持ち上げ、
ベランダまで持っていった。


細い金属製のワイヤーを部屋の柱に結びつけ、そして自分の体に適当に巻いていく。最後に
ワイヤーの端を冷蔵庫に結びつけ、準備は終わった。

かがみは独り言を言った。


「こなた、結局あんたは実行できなかった。最後に残された人間性ゆえに、私を恨み、自らの命を絶つ道を選んだのね」


かがみはベランダに持っていった冷蔵庫をおもいっきり蹴飛ばした。ベランダの手すりを破壊し、
冷蔵庫はマンションの十数階の高さを勢いよく落ちていった。
残されたのは原形をとどめることなくいくつもの破片になってしまったかがみの肉体。


だが、その肉体の破片はほのかな輝きを発すると、再びひとつになった。
生まれたのは異形の怪物。ただ、人間の肉を求めるだけの存在。怪物は羽ばたきひとつで空へと舞い上がっていった。

後日、誰かが見つけるのだろう。机の上に置かれた一冊の本を。

グレゴリー著 「カニバリズムにおける新たなる誕生の可能性」

その本の有名な序文はこうだ。


.....「カニバリズムは人間を更なる高次元の存在へと昇華させる可能性を秘めている」.....
381カニバリスト:2008/11/03(月) 20:56:18 ID:DLmzReqY
 以上、終わりでございます。

ありがとうございました。
382名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/03(月) 20:56:55 ID:qiFS1cMi
支援
383名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/03(月) 21:25:52 ID:7UC3EKN2
>>340
乙!
誰一人黒化せずに終わる中尉を見るのは新鮮だ
次も期待
>>374
gj!
そうだよな、あの髪質でツインテやればこうなるよな
でも可愛い
384JEDI_tkms1984:2008/11/03(月) 21:40:18 ID:Sm7dnxTF
>>381
歪んだ愛情の一表現ですね。
こなたの死に方が新鮮でした。
カニバリズムを題材に他のSSも読んでみたいですね。
385名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/03(月) 21:55:38 ID:7UC3EKN2
JEDIさんみゆきの想い読んだ?
386JEDI_tkms1984:2008/11/03(月) 22:13:04 ID:Sm7dnxTF
>>385
お恥ずかしながら、SS全部はまだ読んでないんです。
”みゆきの想い”も未読でして……。
早い内に目を通すべきとは思ってるのですが。
387カニバリスト:2008/11/03(月) 23:05:06 ID:aPzCOpNK
>>386さん
中尉のみゆきの想いは必読ですよ。
ガンガン福岡が漫画化もしているのでそれと合わせてお楽しみください。
>>374
大分氏の繊細な絵はうらやましい限りです。髪質のせいでぜんぜん
かがみっぽくないところがまたそそられますわい。
>>352
スレたかがみんキター!!!
こういうかがみんにはほのかな色気を感じずにはいられない。

388名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/03(月) 23:13:39 ID:4h9aNV3+
(´・ω・`)「韓国人は品性下劣だから嫌われてるんだよ」
<丶`д´> 「‥。」

<丶`∀´>「それならチョッパリだと名乗ればいいニダ!」
389名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/04(火) 00:16:23 ID:7qrzn1Y8
以前から続編を書く書くといって3ヶ月前後放置したビッチSS、
時間が取れる様になったので、ようやく投下できそうです。

・・・とはいえ需要あるのかなぁ。
不快に感じられる方はNGID指定していただければ幸いです。
390名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/04(火) 00:17:57 ID:7qrzn1Y8
Pipipipipipipi・・・

物憂げな電子音が、私の耳を貫く。
カーテンの隙間から差し込む日の高さと
窓の外の騒々しい小鳥の鳴き声が春の盛りを感じさせ、
それが私の心を一層陰鬱なものにさせた。

人の声が聞きたくなり、手探りで枕元にテレビのリモコンをたぐり寄せる。
民放のワイドショーは朝っぱらから
ベテラン俳優とアイドル歌手の不倫ネタを垂れ流していた。
品性を欠く内容に反吐が出そうになり、
チャンネルを変えようとしたそのとき・・・。

「仕方ないんじゃないのかな?
 奥さんとのせっくすの相性、悪かったんだと思うし」

セクシー女優"mikako"、もとい 柊つかさ の音声がスピーカーから流れた。



『つかさのアルバイトV 〜プロローグ〜』

「私は、せっくすしてこその人間だと思うんだよ〜。
 せっくすしないなんて、そんなの人間として間違ってると思うんだ」

そうですか、私は人間として間違ってるんですか。別にいいですよ。

心の中でそう毒づきながら、私はマイルドセブンに火を灯す。
紫色の煙が殺風景な部屋と私の呼吸器を満たした。

チャンネルは、敢えて変えない。
腹が立つなら変えればいいのに、と自分でも不思議になるが、
今も尚、私は双子の妹が気になって仕方が無いらしい。
391名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/04(火) 00:19:41 ID:7qrzn1Y8
>>390
私の妹、柊つかさ は短大時代にmikakoという源氏名で
AV女優のアルバイトを始めた。
家族で最初に気付いた私は話が広がる前に彼女を引き戻そうとしたけれども、
高校卒業以降、修羅場を踏んで来た彼女に逆に手玉に取られてしまった。
その上、余計な気遣いから いのり姉さん の縁談を破談させてしまい、
帰省していた鷲宮の実家から半分追い出される形で飛び出して来てしまっていたのだ。
それが今年の成人式の前の日のこと。

以来、私は つかさ を含む家族とも、高校時代の友人とも、
一切の連絡をとることがなくなった。
砂を噛む様な孤独な毎日も、もうすぐ3ヶ月になる。

一方の つかさ はこの春の短大卒業を境に、
封じていたメディアへの露出を一気に解禁した。
それまでもインディーズでは相当有名になっていたらしい つかさ は、
一気に『セクシー女優』として表舞台へ躍り出た。
バラエティやワイドショーに引っ張りだこで、ドラマへの出演も決まっている。

そんな つかさ こと mikako は一部では『黒木香の再来』とまで言われているらしい。
姉の私からすれば、とんでもない過大評価だと思うし、
どうせ数ヶ月すればこけるんじゃないかと思うのだけれども、
それでも何故か彼女が出ているテレビ番組は見てしまっているあたり、
自分の中の『姉』が抜け切れてないことを自覚してしまう。

司会者からネタを振られ、天真爛漫な笑顔で下劣な話を吐き出す、私の妹。
けれども姉の私には、その笑顔のどこかに翳りを感じてしまう。
間違いないのは、彼女は私が知らない心の闇を持っていること。
そして、私がその闇を理解することができないこと。
それがもどかしい。

「まぁどうせ、もう会うことはないだろうな」

私はそう呟くと、短くなったマイルドセブンを灰皿に押し付けて火を消した。
392名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/04(火) 00:22:49 ID:7qrzn1Y8
以上、余りにも間が空いたので、プロローグ的な内容になりました。
明日から5〜7レス程度のペースで投下したいと思います。

宜しく哀愁。


p.s.黒木香が誰かはググれば出て来る筈です。
393名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/04(火) 00:27:15 ID:oMYs5QzI
>>392
ずっと待ってた!
やっぱり面白い
明日から楽しみだ
394名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/04(火) 00:27:33 ID:lRe9EOgo
やっときたw
話忘れかけてたごめん
しかし需要はありまくりですw
395名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/04(火) 01:18:58 ID:yHRF5Opw
つかアル懐かしいー
>>381
乙。かがみコワス
そーいう趣味、嫌いじゃないぜ
>>387
みゆきじゃね?
てかみゆきの想いって中尉か?
396名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/04(火) 05:49:20 ID:zEazxYNu
つかさうぜぇw
もっとやれw
397名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/04(火) 10:20:31 ID:JV4ApTNJ
>>392
俺はあんたの帰りを待ち続けてこのスレに張り付いてたんだぜ…
398名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/04(火) 15:10:37 ID:On8sPh4o
>>387
みゆキチハンニバルアラバマって、中尉の前ハンなん?
399名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/04(火) 16:35:00 ID:LDZUN6JH
>>398
違う
あれは中尉の文章じゃない
400名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/04(火) 20:58:07 ID:1S77k9WR
さっきコンビニに行ったら3人の客がいたんだけど3人ともピザハゲで笑えた
店員も1人いたんだけどピザハゲだった
5人もピザハゲがいるなんて笑えるよな
401sf655:2008/11/04(火) 22:38:00 ID:5ZbgAcMy
今投下ok?
402名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/04(火) 22:44:48 ID:LDZUN6JH
いいんじゃないかい
403名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/04(火) 23:07:34 ID:6eQkmagv
>>400
もう一人は君かいw
404名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/04(火) 23:07:49 ID:byvuMUwZ
あれ、つかさって親バレしたの?
405名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/05(水) 01:30:18 ID:pvYq1z+/
ビッチで思い出した。
顔芸何処行った?
406名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/05(水) 03:33:53 ID:R1AeH3jt
やけくそさんはお星様になりました
407名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/05(水) 14:43:03 ID:t/ocXym7
ていうか、ここって本当にボッチスレと兼ねてる人多いの?
住民の質違いすぎてね?
408名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/05(水) 15:44:43 ID:fOESSM5x
スレの在り方なんて、自然な流れに合わせればいいんじゃないの?
409名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/05(水) 23:20:39 ID:tIF60CvS
>>405
ROMってます
410名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/05(水) 23:25:49 ID:6CogfdQh
>>407
一応見てるよ
楽しみ方どうこうは置いといて、ね><
411名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/05(水) 23:49:50 ID:+BsgpgxX
原作こなたって、本当にふてぶてしいよな。
自殺から程遠そうに見える。
かなたとか、あっさり自殺しそうなほど弱弱しいんだけど。
412名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/06(木) 00:42:04 ID:UVvLEpGg
ふてぶてしいから弱ったところに止めを刺したいという愛が芽生えるんだ
普段態度のでかい幼児体型で世間知らずの可愛い女の子が助けて欲しいけど誰にも助けてもらえないで
絶望しながら涙を流してる辺りを想像してもらえるとどうだろう
不思議と誰でも抱きしめてあげたくなる筈
ここはそんなこなたを別の形で救う愛を備えたスレなんだ
かなたにはそうじろうの愛があるから別に弱弱しくても大丈夫
413名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/06(木) 20:51:47 ID:t2RWd7n7
みゆき「みなみちゃんの愛犬チェリーの匂いとそっくりですよね」
かがみ「みゆき〜上手い事言うじゃない」
つかさ「流石ゆきちゃんは頭がいいな〜」
みゆき「チェリーの耳の裏といい勝負ですよ、あの臭さは」
つかさ「ほんと、臭いんだよね〜」
かがみ「でも、どうしてあんなに臭いのかしら?」
みゆき「あのだらしなさを見れば分かります。お風呂に入ってないんですよ」
かがみ「でも、そんなレベルじゃない匂いの時もあるわよ」
つかさ「独特なんだよね。鼻にむわっとくるよね」
みゆき「確かにそれはありますね」
かがみ「ネトゲしてる暇があったら風呂入れって感じよね」
つかさ「おもうおもう」
みゆき「でもかがみさんはかわいそうですよね。一番のお気に入りみたいで」
つかさ「ぶっくまーくされてるもんね、お姉ちゃんは」
かがみ「やめてよ!マジで臭いんだから!」
みゆき「ご愁傷様です」
つかさ「お姉ちゃん、やさしすぎるんだよ。興味ない感じで受け流しとけばいいのに」
かがみ「どうしてもつっこんじゃうのよね・・・性格かな・・・」
つかさ「私なんて、こなちゃんと二人っきりの時なんか極力会話しないようにしてるからね」
みゆき「私も適度に天然を装って、会話がかみ合わない様にしてるのですが・・・」
つかさ「天然萌え〜とか言ってるよね。鈍感というか病気だよね」
かがみ「こなたそろそろ来るんじゃない?」
つかさ「来なきゃいいのにね。事故でもあって死ねばいいのに」
みゆき「今日もあの臭さに我慢しなければならないんでしょうか・・・」
かがみ「あ・・・来た・・・」
つかさ「こなちゃんおはよ〜」
こなた「やふーみんなおはよ〜」
みゆき「おはようございます泉さん」
かがみ「おーっす、こなた〜」

つかさ「ねぇねぇゆきちゃん。お姉ちゃんって、話合わせてるだけって感じしない?」
みゆき「私も思ってました。なんだかんだで泉さんと仲いいですからね」
つかさ「だって、すごく嬉しそうにつっこんでるもん」
みゆき「私達の前でだけ悪口を言ってるんじゃないでしょうか?」
つかさ「うわ、ありえる。だって家でよくこなちゃんに電話してるし・・・」
みゆき「電話ですか?学校以外であの人と関わるなんて理解できませんね」
つかさ「ね〜そだよね〜」
414名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/06(木) 21:52:29 ID:nNDdFSSv
      他人の不幸で今日も飯がうまい!!
        +        ____    +
          +   /⌒  ⌒\ +
       キタ━━━//・\ ./・\\━━━━!!!!
        +   /::::::⌒(__人__)⌒:::::\  +
            |  ┬   トェェェイ     |
         +  \│   `ー'´     /    +
         _|\∧∧∧MMMM∧∧∧/|_
         >                  <
       /  ─ /  /_ ──┐ヽ|  |ヽ  ム ヒ | |
     \/  ─ / / ̄ /   /  | ̄| ̄ 月 ヒ | |
      ノ\ __ノ   _ノ   \   / | ノ \ ノ L_い o o
415名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/06(木) 21:54:45 ID:nNDdFSSv


         ____  クチャ  クチャ   クッチャ
         /     \  クッチャ   クチャ
      /   ⌒  ⌒ \    クチャ
    /    (⌒)  (⌒) \ クチャ    ご冥福をお祈りします
     |   、" ゙)(__人__)" .)|   ___________
    \      。` ⌒゚:j´ ,/    | |             |
 __/          \   || | |             |
 | | /    ,  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|\n|| | |             |
 | | /   /   ヽ回回回回丿( こ)| |             |
 | | | ⌒ ーnnn.ヽ___/  (⊆ソ|_|___________|
  ̄ \__、("二) └─┘ ̄l二二l二二  _|_|__|_
416名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/06(木) 22:43:30 ID:hm3K7Q5/
今だから言える
兵庫は神絵師
417名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/06(木) 23:43:24 ID:oyVz/PoL
>>413
1レスで終わらせてるのが惜しいな
418名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/07(金) 00:26:24 ID:5mp95uFd
『いけない、何か喋らなければ押し潰されてしまう』
今の私の頭の中はそんな意味の解らない葛藤で一杯である
私は泉こなた,稜桜学園高校の3年生で黒井学級であるB組で勉学とオタク道に励む少女である
でも、最近多くの変化が私を襲った
まず、父である泉そうじろうが何故か海外へと逃亡した
しかもチリへ・・・・
なぜブラジルじゃないのだろうか?
それから私は何にも知らない一般人の古謝さんと
外国人のアウスデュビスさんと一緒に生活している
ここまでの経緯には色々有った筈なのだが、何故か覚えていない
ただ、記憶に鮮明なのは柊家は神社を偽った寺であった事と
高良みゆきがその偽装を見破る為に送られた女子高生探偵だったことくらいだろうか?
どっちにしても、今のこの状況にはあまり関係ない事だ
気にならない訳ではないが、どうしようもない
どうせ、つかさやかがみが存在したことすらも偽装なのだから・・・
イチゴ味のチョコレートの原材料がチェリーだった、みたいなものだ
チョコレートは勿論、口解けが甘いロッテである
そしてチェリーは単品でも美味しい
そんな事を頭の片隅で考えながら、私はなんとか口を開く
「あ、あの・・・好きなアニメとかありますか?」
「え・・、アニメ・・・ですか?・・・侍ジャイアンツですかね」
侍ジャイアンツ?確か昭和のど真ん中のアニメで野球の・・・・
必殺の魔球は・・えっと、だ、だ・・大・・・
「・・・あ、あの大回転魔きゅ・・・・」
「そうそう!あの大回転魔球の発想が当時斬新でしてねえ!大・回・転・魔球〜!!!」
「!!?」
「HAHAHAHAHAHAHAHA!!!w」
古謝は突然立ち上がると両手を大きくT字に開いてくるくる回転し始める
その眼は爛々と輝き、まるで少年の様に楽しそうだ
正直、気味が悪い・・・
少年の心のカケラを取り戻した中年おやじは3と4分の1回転した後で
周囲の気温差から目を覚ましす
一旦「コホン」と咳払いを下後、ネクタイと背広を正して
静かに、そして恥じらいの念を込めて頭を下げた
「・・あ、すみません、年甲斐も無く興奮しちゃって」
「い、いえ・・・」
「ドンマイネ〜、クージャw」
「古謝です」
誰か助けて・・・
419名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/07(金) 00:26:51 ID:5mp95uFd
私はけたたましく笑うアウスデュビスさんの方を観て心の中でそう思った
アウスデュビスさんは名古屋出身だと言い張るメキシコU世のロシア人だ
奥さんはサンビストだと自慢気に写真を見せてきたが、それはナタリー・ポートマンのブロマイドだった
ナタリーは『レオン』のマチルダ役の時が一番可愛かった
『スターウォース』で出た時は既に完成されてしまっていて、私は萌えることが出来ないでいたのを良く覚えている
「マイケルさん、そんなに壷にはまりましたか?」
「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!ww」
「・・・・・・・」
古謝さんは何故かアウスデュビスさんをマイケルと呼ぶ
私も一度呼んでみたが『ガッデム!』と汚い言葉を投げかけられた
あの時は正直言って、少し興奮した
仕方なく私は彼の指示通りに彼を『トム』と呼んでいる
トムは大笑いした後でかならず私の所に来てこう言うのだ
「コナータサン、イツモノお願いします」
「・・・・はい」
そして私は彼の後頭部を2回と左右のくるぶしを2回、そして鼻の頭を1回ずつ指で弾く
その時のトムの顔には感情はなく、まるで死んだ魚を触っている様な妙な気分になる
しかも、この行動の意味がまったく理解できないのが無性に悔しい
だから、理由を聞いてみるのだが
「ワタシノ、母が昔、ワタシガ病気の時ヨク御粥を作ってクレマシタ」
というだけで、謎ばかりが積もった
どういうことだろうか
というかメキシコのお粥は美味しいのだろうか?辛そうだ
それに私のお母さんはお粥なんか作ってくれなかった
いつも生のトウモロコシに砂糖をまぶした奴と豆腐に蜂蜜をかけた「アボチ」だけだった
聞いたことない名前だけど、これはお母さんのオリジナル料理だ
それに母といっても死んだ事になってない母だ
設定で死んでしまった「かなた」お母さんの記憶はあんまり残っていない
その代わり死んでないほうのお母さんはいつもアイロンでジャガイモを焼いていたのを思い出す
そして、私は呟いた
「ふうん・・・・いいお母さんですね」
トムは浮かない顔の私を観て、また感情の無い顔になる
そういえば、トムの目はパフュームのあっちゃんと小室哲也をたした感じだ
きっと近いうちに不人気になって犯罪を犯すに決まってる
そう思った瞬間に目の前が真っ白になる
これは現実じゃない?
そういえば、さっき飲んだ薬の副作用に妄想って書いてあったっけ
そうか、私死ぬんだな
死・・・

おしまい
420名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/07(金) 01:20:47 ID:m6XfsLHM
まとめサイトのコメ欄を頭沸いてそうな連中がジャックしてるんだが
>>413
懐かしい空気に吹いた
いいぞwwwwwwwもっとやれwwwwwwwwww
421sage:2008/11/07(金) 15:19:42 ID:BIOxzMEn
422名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/07(金) 15:31:06 ID:oJgUqEXR
こなたを虐める奴は死ね!!!!!!!!!
423名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/07(金) 18:41:16 ID:89uj4tNq
>>422
 こなたの不幸で今日も飯がうまい!!
    +        ____    +
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   キタ━━━//・\ ./・\\━━━━!!!!
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     >                  <
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  ノ\ __ノ   _ノ   \   / | ノ \ ノ L_い o o
424名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/07(金) 18:44:51 ID:89uj4tNq
>>419

          _____
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  ─┐||┌─┐ l ─  ‐┼‐   ‐┼‐ヽ l  ノ │ .|  |   ‐┼‐ ‐┼‐
        日  フ 口  メ   __|__  フ |┬   |  |   ‐┼‐  d
  (__   .六  ↑ .田  (___  (丿 ) ↑.ノ│  ノ  ヽ__ノ (丿\ ノ





425名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/07(金) 19:34:07 ID:ZKdoJjij
それがなんじゃい!!
426JEDI_tkms1984:2008/11/07(金) 20:37:14 ID:ibwibUr6
 皆さん、こんばんは。
特に何もなければ今夜9時過ぎに軽めのSSを投稿させていただきます。
427名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/07(金) 21:00:48 ID:BIOxzMEn
待ってました!
428憎悪、堆く1:2008/11/07(金) 21:15:19 ID:ibwibUr6
みゆき「みなさん揃いましたね」
つかさ「揃ったって言っても、いつものメンバーだけどね」
こなた「まあいいじゃん。ゆるゆる〜っとさ」
かがみ「あんたは年中、ゆるゆるしてるけどな」
こなた「そんなこと言って、本当は私に会いに来たんじゃないのカネ?」
かがみ「ば、そんなわけないでしょっ!」
みゆき「まあまあ、かがみさんもそんな反応なさるからツンデレだと言われるのですよ」
かがみ「ま、まさかみゆきからそんなこと言われるなんて思わなかったわ……」
つかさ「それでこれからどうするの?」
こなた「カラオケ〜ってのも芸がないしなあ……」
かがみ「だからってオタクショップ巡りも御免だけどな」
こなた「ぅおう! 言ってくれますな!」
かがみ「当たり前だ。毎日毎日、ネトゲに明け暮れてさ。あんたも受験生としての自覚持てよ」
こなた「ふーんだ。私は一夜漬けタイプだからいいんだよ〜」
かがみ「………………」
こなた「ん? どったの?」
かがみ「あ、いや……ちょっと厭なこと思い出して――」
つかさ「どんな話?」
かがみ「いやさ、ずっと前にこなたに宿題写させたことあったでしょ?」
つかさ「……いつ?」
かがみ(あ、そうか…こなたが宿題写すのはいつものことだもんな)
つかさ「…………?」
かがみ「それでさ、いざ新学期のテストになったら、こいつ、私と殆ど同じ点数だったのよ」(1・9)
こなた「あ〜、1年の時ね」
かがみ「なんかむちゃくちゃ悔しくってさ」
みゆき「それは分かりますね。努力に応じた結果がついてくるのが普通ですから」
こなた「私にとっては一夜漬けこそ努力なのだよ」
つかさ「う〜ん、それに関しては私も何も言えないよ〜」
かがみ「そんな事ないわよ。つかさは頑張ってるじゃない。夜遅くまで勉強してるの知ってるよ」(1・9)
つかさ「でも勉強してる割には頭良くないし……」
こなた「頭良くないといえばさ、バカは風邪ひかないっていうよね?」
かがみ「おまっ、このタイミングでそれかよ」
みゆき「よく聞きますけど、何の根拠もありませんよね。ひきやすいかどうかは体質や免疫によりますし」
かがみ「あ〜それで思い出した。一昨年のこと」
つかさ「今度は何?」
かがみ「私が風邪で寝込んでた時、こいつが見舞い……いや、家に来たのよ」
つかさ「そんな事もあったね」
かがみ「それがお見舞いかと思ったら、宿題見せてくれてなんて図々しいにも程があるわ」(1・19)
こなた「いんや〜あの時はかがみんの可愛い寝顔が見られて幸せだったよ」
みゆき「その後に私がお邪魔したんですね」(1・21)
かがみ「2回目はもっと酷かったけどね」
みゆき「どうかなさったんですか?」
かがみ「来るなり、私のことバカ呼ばわりしやがったのよ」(3・15)
みゆき「ぅ……そ、それは……」
かがみ「うん? どしたの?」
みゆき「あの、実は……かがみさんがよく夏風邪をひかれるという話題になった時に、
    ”夏風邪はバカがひく”と言ったのが私でして……その……」(3・14)
こなた「あ〜、そんな事あったよね〜。あの時のみゆきさん、可愛かったなあ」
かがみ「わざわざ言わなくても黙ってれば分からないのに。みゆきらしいわね」
みゆき「す、すみません。決してそんなつもりじゃ――」
かがみ「分かってるって。ってか、こなたにだけはバカ呼ばわりされたくないわ」
こなた「むぅ〜……さりげなくひどいこと言ってるよね?」
つかさ「ところで時々、括弧がついてるけど何?」
みゆき「これは原作の巻数とページ数ですね」
つかさ「ふーん、そうなんだ」
みゆき「たとえば(1・19)ですと1巻の19ページの出来事を示しているわけですね」
429憎悪、堆く2:2008/11/07(金) 21:16:29 ID:ibwibUr6
こなた「おお〜、さすが”みwiki”さん」
みゆき「い、いえ……そんな大したことありませんよ……」
かがみ「じゃあ、私がこなたに”友だちいないの?”って言われた話をした場合は?」
みゆき「(1・30)になりますね。本来でしたらかがみさんの発言の後に付きますが」
つかさ「ゆきちゃんってほんと頭良いよね。それって記憶力がいいから?」
みゆき「どうでしょう? 知識を蓄えるのは好きですが……」
こなた「それって記憶力いいってことじゃないの?」
みゆき「えっ? あ……まあいろいろ憶えてはいますよ」
かがみ「どんなこと?」
みゆき「ええ……特に忘れられないのはやはりあのことでしょうか……」
こなた「なになに?」
みゆき「体育祭のことですよ。泉さんはもうお忘れでしょうけど」
こなた「……? 体育祭? なんかあったっけ?」
かがみ「あっ!」
みゆき「流石、かがみさんは憶えてらっしゃるのですね」
かがみ「あれは鮮烈だったからね」
つかさ「うん? 何の話?」
みゆき「私、もともと障害物競走がやりたかったんですよ。やったことないので興味があったのですが」
つかさ「うん」
みゆき「ところが泉さんが、”私は体の凹凸が激しいから障害物は駄目だ”と仰って――」(1・118)
つかさ「あ、あったね……そんなこと」
みゆき「満座の場であれほど恥をかかされたことはありませんでしたよ……!!」
かがみ「それで結局、クラス対抗リレーになったのよね?」
みゆき「ええ……」
こなた「あ、あれは、ほら! みゆきさんが障害物に引っかかってケガしちゃわないかと――」
みゆき「どれほど恥ずかしかったか……」
こなた「…………ごめん」
かがみ「でもみゆきも立派よね。あの後、こなたが借り物競争で呼ばれた理由を考えてた時、
    こなたを気遣って無難な受け答えしてたもんね」(1・119)
みゆき「当然ですよ。泉さんが傷つかないようにとの精一杯の配慮のつもりでした」
こなた「う……」
つかさ「あ、なんだか私も思い出してきた」
かがみ「なに?」
つかさ「私、こなちゃんに何度か頭悪いって言われてたんだよね?」
こなた「そ、そうだっけ……?」
つかさ「こなちゃん、”私が同じ学校にいるのが不思議”とか言ってたよね?」(1・47)
こなた「いやぁ、覚えないなあ」
つかさ「”私とは頭悪い同士だと思ってた”とかも」(1・124)
かがみ「そういえば言ってたわね」
こなた「…………」
みゆき「そうやって古い記憶を辿れるということは、つかささんも優秀だということですよ」
つかさ「そ、そうかな……」
かがみ「そうよ。おかげで私もまた思い出したわ」
みゆき「かがみさんも何かありましたか?」
かがみ「いろいろあるわよ。私が体重気にしてるの知ってる癖に、”見せる相手もいない”とか」(1・48)
みゆき「そんなことありませんよ」
かがみ「たまたまつかさと一緒にクッキー作ったら、”美味しいのとそうでないのがありそう”
    なんてことも言われたわね」(1・54)
みゆき「それは酷いですね」
つかさ「そうだよ。お姉ちゃんだって下手なりに一生懸命作ったのに」
みゆき「つかささん、それはフォローになってないような……」
かがみ「いいわよいいわよ。どうせ私は料理苦手ですよ」
みゆき「得手不得手は誰にでもありますよ」
こなた「そ、そうだよ! かがみんにはツンデレがあるじゃん!」
かがみ「うっさい」
こなた「ほら、それがツンだっていうのさ」
430憎悪、堆く3:2008/11/07(金) 21:17:30 ID:ibwibUr6
かがみ「時々あんたと喋ってるとイライラするわ」
こなた「むっ! かがみだってヒドイこと言うじゃん」
かがみ「言われてるのは私だっつーの」
こなた「私が成人式で振袖着ても七五三にしか見えないって言ったり」(2・28)
かがみ「そんな事あったっけ?」
こなた「私のこと、精神不衛生だとかも言ったよね?」(2・8)
みゆき「あら、泉さんもよく憶えてらっしゃいますね」
かがみ「ほんとにね、記憶力いいのはゲームの時だけかと思った」(1・48)
こなた「またまた失礼なっ!」
ゆたか「あれ、お姉ちゃん? まだ帰ってなかったの?」
こなた「あ、ゆーちゃん。どしたの?」
ゆたか「みなみちゃんと帰ろうと思ってたんだけど、先生に用事頼まれてるみたいで」
かがみ「そんなとこいないでこっちおいでよ」
ゆたか「あ、はい。ところで何の話してたんですか?」
つかさ「こなちゃんが失礼か失礼じゃないかって話だよ」
みゆき「……そうでしたっけ?」
こなた「みんなヒドイよね。ゆーちゃんもそう思わない?」
ゆたか「う…う〜〜ん」
かがみ「どうかしたの?」
ゆたか「いえ、失礼だとかは思わないんですけど……」
つかさ「けど?」
ゆたか「時々、疲れるというのはあります」
こなた「えっ!?」
ゆたか「お姉ちゃんとおじさん、いつもその…マニアックな話してて……。
    いつも私だけ独りでいるような気がして……」
みゆき「それはお気の毒に……」
つかさ「そうだよね。ゆたかちゃんは同居してるんだから、いろいろ気も遣うよね。
    こういう時はやっぱりこなちゃんが気を利かせてあげないと駄目じゃないかな」
こなた「わ、私だっていろいろ考えてるよ」
かがみ「たとえば?」
こなた「えっと……一緒にゲームしたりとか」
つかさ「それってゆたかちゃんがやりたいって言ってるの?」
こなた「いや、そうは言ってないけど……」
かがみ「あんたは周囲に気を遣わなさすぎよ。もっと人のこと考えたら?」
こなた「なにさ。じゃあかがみはどうなの?」
かがみ「私は少なくともあんたに頼まれたら、渋々ながらも宿題見せたりしてるけどな」
みゆき「それは少し論点がずれているような気が……」
かがみ「いいのよ。こいつはいっつも自分の事しか考えてないんだから。
    たまにはガツンと言ってやらないと」
みゆき「…………」
かがみ「だいたいあんた、私に依存してるくせに、よく”寂しがり屋”なんて言えたわね」(2・109)
こなた「依存なんてしてないもん!」
ががみ「してるだろ。課題とか一度だって自分の力だけでやったことある?」
こなた「うっ……それは……」
つかさ「そういえば、こなちゃんがお姉ちゃんにお礼言ってるの、聞いたことないね」
みゆき「宿題のことでですか?」
かがみ「見せてるのは宿題だけじゃないけどな」
みゆき「なら尚更ですよ。お世話になっているのですから、お礼くらいは言うべきです」
つかさ「ゆきちゃん、それって他人に宿題見せること肯定してない?」
かがみ「あ〜、そんな風に聞こえるわ」
みゆき「いえっ! とんでもない! 駄目ですよ、そんなこと!」
こなた「可愛いなあ、みゆきさん」
かがみ「あんたはちょっと反省しろ。あと言葉も選べっての」
こなた「う、うるさいなっ! 私だって言葉には気をつけてるよ!」
みゆき「いいえ、そうは思えませんね」
つかさ「ゆきちゃん……?」
431憎悪、堆く4:2008/11/07(金) 21:18:34 ID:ibwibUr6
みゆき「まさかホームルームのあの一件をお忘れではないでしょうね?」
こなた「え? え?」
みゆき「私が司会を務めた時ですよ」
つかさ「あっ!」
みゆき「私語がひどくてなかなか進行しなかったので、静かにしてくださいと申し上げた時……。
    泉さん、あなたなんと言ったか覚えてますか?」
こなた「ごめん……憶えてないや」
みゆき「でしょうね」
つかさ「…………」
みゆき「”私たちは人の言う事を黙って聞くだけの枠にはまった大人になりたくない”」(4・9)
こなた「……言ったっけ?」
かがみ「うわっ、そんなこと言ったの?」
みゆき「ええ」
つかさ「…………」
みゆき「そう豪語しておきながら泉さん、あなたはその後、あの会で何か意見を出しましたか?」
こなた「出してない……たぶん出してないと思う」
みゆき「そうですよ」
かがみ「あんた…最低だわ……」
こなた「いやっ! あれは…うん……いま考えたら悪いことしちゃったな…とか……」
かがみ「みゆきにいろいろ教えてもらったりしてるんでしょうが。よくそんなこと言えたわね」
つかさ「うん、あれは私も言い過ぎだなって思ったよ」
ゆたか「そうですね〜」
こなた「うぅ、ゆーちゃんまで……」
つかさ「それにしょっちゅう待ち合わせに遅刻するし」(1・105)(4・76)
こなた「便乗するのやめてよ。今その話じゃないじゃん」
みゆき「いいえ、とても大切なことですよ。時間を守るのは最低限のルールではありませんか?」
みさお「お、柊じゃん? ま〜たチビッ子んとこ居たのかよ〜」
あやの「こらこらみさちゃん、邪魔しちゃ駄目でしょ」
かがみ「邪魔なんかじゃないわよ」
みさお「ん? どした? ケンカしてんのか?」
こなた「みさきち〜〜、かがみたちがヒドイんだよ〜」
つかさ「ヒドイのはこなちゃんだよぅ」
みさお「なんだなんだ?」
みゆき「大した事はありませんよ。ただ泉さんがどれほど失礼な人かと――」
みさお「あ〜、そういやかなり失礼な奴だよな〜」
あやの「そうだっけ?」
みさお「ちょっと前に自己紹介したのに、次会ったらもう忘れてるんだぜ?」(5・18)
かがみ「そういやそうだったわね」
みさお「挙句に私のことバカキャラだのガキっぽいだの言いやがってさ。ひでーよな」(5・46)
みゆき「いわゆるオタク業界でのお話かも知れませんが、会って日も浅い人に”バカ”とは……。
    いくら冗談でも許せませんね」
みさお「だろ? そん時はスルーしたけど、後でだんだん腹が立ってきてさ」
かがみ「否定できないだけにね」
みさお「な、なんだとー!?」
あやの「まぁまぁ……」
みさお「あやのはいいよな。なんも言われてねーんだからさ」
あやの「うーん……オデコとか絶対領域? とかは言われた気がするけど」(5・46)
みゆき「それは別に中傷ではありませんね」
あやの「そう…ね。だけどみさちゃんや柊ちゃんが悪く言われてるなら、私だって腹が立つわ」
みさお「やっぱりあやのだよな〜」
こなた「ちょ、ちょっと待ってよ。みさきちとは共感もしてたじゃん」
みさお「んあ? そうだったっけ?」
こなた「趣味が理解されないつらさを分かち合ったでしょ?」(5・58)
みさお「そうだっけ?」
こなた「忘れたの!? だからバカキャ――」
みゆき「泉さん、そこでまた仰るつもりですか?」
432憎悪、堆く5:2008/11/07(金) 21:19:38 ID:ibwibUr6
こなた「ぅ…………」
かがみ「こなたは後先考えない言動が問題なのよ」
こなた「…………」
かがみ「何でもかんでもズバズバ言い過ぎだし」
こなた「…………」
かがみ「だいたいね、他人の携帯勝手にいじくってどういうつもりよ?」
みゆき「そんなことまでしたんですか?」
かがみ「見るだけならまだしも設定変えられたこともあるわ」(1・86)(4・103)
みゆき「まぁ……」
みさお「って、チビッ子に携帯触らせたのかよ?」
かがみ「違うって。私がトイレに行ってる間にこいつが待ち受けと着信音、アニメのに変えやがったのよ。
    ちょうど失くした時だったから鳴らしながら探そうと思ってたんだけどね」
みさお「うわっ、ひっでーな」
あやの「それは許せないわ」
かがみ「そういう奴よ」
つかさ「ひどいよね」
ゆたか「お姉ちゃん、ひどいよ」
こなた「…………」
ゆたか「私が背低いの気にしてるのにあんなこと言うし」
つかさ「何を言われたの?」
ゆたか「私がよく眠るのに、その割には育ってないって―ー」(4・131)
つかさ「……こなちゃん、最低……」
あやの「そうよね。泉ちゃんだって人のこと言えないわ」
みさお「だよな」
みゆき「それに”よく眠る”という表現が、病弱な小早川さんに対して不適切な表現ですね」
あやの「うん、それは私も思ったわ」
つかさ「こなちゃんは年上なんだから、もっとゆたかちゃんのこと気遣ってあげなきゃ駄目だよ」
かがみ「卒業アルバム見せてもらった時も、ゆたかちゃん探すのに欠席者が載るところから見ただろ?
    あんたと違って繊細なんだから……」(2・59)
ゆたか「あ、ありがとうございます……」
ななこ「なんや自分ら、まだ残っとったんかいな?」
つかさ「あ、黒井先生」
ななこ「今日ははよ帰れ言うたやろ……にしても大勢でえらい盛り上がっとるな」
みゆき「盛り上がってるなんてとんでもないですよ。私たち、とても不愉快な想いをしているのですから」
ななこ「ん、なんや? なんか問題でもあったんか?」
みゆき「実はですね――」
ななこ「ふぅん。ま、分からんでもないわな。最近、特に図に乗っとる節もあるしな」
かがみ「先生もそう思うんですか?」
ななこ「そらそうや。先生が…ましてや担任がこんなん言うたらあかんけど、たまにウザい時あるわ」
みゆき「それは意外ですね。まあ私にも心当たりはありますが」
ななこ「五月病やいうて欠席した話やないで?」(1・34)
つかさ「そんなことしたんですか?」
ななこ「ああ。些細なことやけどな。高良、憶えとるか? ほら、文化祭の話やけど」
みゆき「…………?」
ななこ「こいつ、出し物考える時にいちいち否定ばっかしとったやろ?」(1・109)
みゆき「そういえばそうでしたね」
ななこ「挙句にウチが怖いからお化け屋敷にピッタリやと」(1・110)
かがみ「そんなこと言ったんですか?」
あやの「いくら親しくても言っちゃいけないこともあると思うわ」
ななこ「そやろ? こいつはそういうん平気で言いよんねん。あ、そや、柊」
つかさ「はい?」
ななこ「ちゃうちゃう。こっちの柊や」
かがみ「なんですか?」
ななこ「あん時はすまんかったな」
かがみ「?」
ななこ「ほら、自分が世界史の教科書忘れた時や。自分、落書きだらけの教科書使っとったやろ?」(2・131)
433憎悪、堆く6:2008/11/07(金) 21:22:18 ID:ibwibUr6
かがみ「はい……ああ、そういえば……」
ななこ「あれ、泉のやつやろ? 知らんかったとはいえ怒ってしもて悪かったな」
かがみ「い、いえ……教科書を忘れたのは事実ですから」
みさお「あ〜あれか。柊にしては珍しいなって思ってたんだよな」
ななこ「自分もどうせ借りるんやったら妹か高良に借りたらよかったんちゃうん?」
かがみ「……よく考えればそうですね」
あやの「柊ちゃんは勉強熱心だものね。おおかた予習して机に置きっぱなしだったんじゃないの?」
みさお「あやの〜、それは持ち上げすぎだぞ」
かがみ「うん、峰岸は私のこと、よく分かってくれてるみたいね」
みさお「そうかぁ〜」
みゆき「ところで皆さん、泉さんに対しては何かと不満をお持ちのようですね」
かがみ「まあね。付き合いが長いとそれなりにいろいろあるし」
つかさ「私も〜」
ゆたか「付き合いの長さで言えば、私も長いほうだと思います」
つかさ「ゆたかちゃんは家での時間が多いもんね」
ななこ「不満か……不満どころか怒りに近いかもしれんな」
あやの「私はさっきも言ったけど特には……」
かがみ「日下部もないんだろ?」
みさお「なんで?」
かがみ「バカキャラだからバカにされても気付かないとかじゃないのか?」
みさお「んなっ!? あやの〜〜、柊がいじめる〜〜」
あやの「はいはい。柊ちゃん、弱い者いじめは駄目よ」
みさお「弱い者…………」
ななこ「まあ、なんや。折角やしここらで鬱憤晴らしでもせえへんか?」
つかさ「鬱憤晴らし?」
ななこ「そや。ずっと不満やったこととか腹立ったこととかぶちまけるんや。高良も言うとったけど、
    ここにおるんはみんな泉に鬱憤が溜まっとうやろ? ちょうどええやないか」
みゆき「そうですね。お互い共感できるでしょうから、よいお話ができると思います」
みさお「なんか面白そうじゃん」
かがみ「じゃあ誰からにする?」
ななこ「そうやな……とりあえずジャンケンで決めよか。勝ったモンからってことで」
みゆき「漢字で書くと”両拳”ですね」
つかさ「さすが”wikiちゃん”」
ななこ「ほないくで。ジャーンケーン……ホイ……お、一発で決まったな」
ゆたか「は、はい……じゃあ私から……」
みさお「緊張しなくていいぞ〜」
ゆたか「え、えっと……一番腹が立ったのはやっぱり私がここに受からなかったらって言われたことです」
つかさ「どういうこと?」
ゆたか「試験の日に気分が悪くなってトイレに行ったんです。そしたらみなみちゃんがハンカチを貸してくれて」
みゆき「その話なら伺いましたね。みなみさんはクールで通ってますが、とても優しい方なので」
ゆたか「はい。それで借りたままだったからちゃんと返さないとって思ってたら、お姉ちゃんが……」
かがみ「ゆたかちゃんが不合格かもしれないって?」
ゆたか「そうなんです。後で取ってつけたように大丈夫とは言ってましたけど……」(2・49)
ななこ「冗談でも言うてええ事と悪いことがあるわな。特に受験生に対してはなおさらや」
みゆき「そうですね。心身ともに疲れているハズですから、ねぎらうべきですね」
かがみ「あ、そういえばさ。私たちのこと、こなたになんて教えられてたの?」(2・57)
ゆたか「え……あ……」
かがみ「乱暴で怒りっぽいとか?」
ゆたか「…………はい、そのとおりです」
みさお「あははは、やっぱ柊だとそうなるよなー!!」
かがみ「…………」
みさお「いたっ! 痛いって! あやの〜〜、乱暴で怒りっぽい柊が――」
あやの「柊ちゃん、弱い者いじめは駄目よ」
ゆたか「あの、続き話してもいいですか?」
あやの「あ、ごめんね。この2人は放っておいて」
みさお「あやのもひでーなー」
434憎悪、堆く7:2008/11/07(金) 21:23:43 ID:ibwibUr6
ゆたか「おじさんがディズニーランドに連れて行ってくれるって話があったんです」
かがみ「へぇ、優しいのね」
ゆたか「私は社会見学としてすでに学校で行ってたんです。で、お姉ちゃんが大丈夫だったか訊いたんですけど」
つかさ「どうかしたの?」
ゆたか「私の体調のことじゃなくて、乗り物の身長制限のことを訊いたんです」(2・63)
みさお「それはひでーな。チビッ子だって大差ないくせにさ」
あやの「そうよね。人によっては気にしてることなのにね」
ゆたか「あとこれは仕方ないことなんですけど……」
ななこ「うん? 遠慮せんとどんどん言いや。溜まってたもん、全部吐き出してまえ」
ゆたか「お姉ちゃんのお誕生日にパーティーの準備してたんです」
つかさ「ゆたかちゃんは優しいね。こなちゃにヒドイ事いっぱい言われてるのに」
ゆたか「い、いえ……それでごちそうもたくさん用意して待ってたのにお姉ちゃん、バイト先の人に
    お祝いしてもらうって言って、その日は遅くに帰ってきたんです」
つかさ「それじゃごちそうは?」
ゆたか「私たちだけで食べました」
ななこ「まあ、しょうがないっちゃあしょうがないわな」
みゆき「ですが、それならそれで一言断りを入れておくべきではないでしょうか?」
あやの「そうよね。家で待ってくれてる人がいるならそうしないと駄目よ」
ゆたか「………………」
みさお「うん? まだありそうな顔してんな。言っちゃえ言っちゃえ」
ゆたか「部屋で音楽聴きながら歌ってたら、こっそりお姉ちゃんが……」(3・63)
つかさ「プライバシーの侵害だね」
ゆたか「他にも私がお茶を飲んでる傍でお姉ちゃんが蝿を叩いて、それがお茶に……」(6・18)
つかさ「それもヒドイよね」
みゆき「そうですね。無益な殺生はいけません」
ゆたか「でもやっぱり一番堪えたのは、”ちび”って言われたことかな……」
かがみ「こなたに言われたの?」
ゆたか「あ、いえ、”言われたら傷つくこと”っていう話をしていて。それで私が、
    ”ちび”って言われるのは嫌かも知れないって言ったら、お姉ちゃんが……」
あやの「なんて言われたの?」
ゆたか「”時には諦めることも大事だ”って。”まだ諦めてなかったのか”って…………」(6・46)
みさお「ひでーな。そんなの体質っていうか個人差あって当たり前だよな?」
かがみ「そうよ。それに背の高い低いなんて長所にも短所にもならないわよ」
ななこ「たしかにな。自分もあんま気にせんほうがええで」
つかさ「でもゆたかちゃんも大変だね。こなちゃんの相手しなくちゃいけないもんね」
ゆたか「相手……ですか……」
かがみ「どしたの?」
ゆたか「いえ……相手にしないほうが楽なんですけど、そうじゃないこともあって」
ななこ「聞かせてみぃ」
ゆたか「同級生の田村さんとパトリシアさんがうちに来た時なんですけど」
かがみ「あ〜〜」
みさお「何だ、柊、知ってんのか?」
かがみ「いや、だいたい想像つくわ。そこにこなたが来て3人だけで盛り上がったんでしょ?」
ゆたか「そうなんです。私、すっかり居場所がなくなって……」(6・126)
みゆき「みなみさんはいらっしゃらなかったのですか?」
ゆたか「その時はたまたま用事で――」
みゆき「そうでしたか……」
あやの「住まわせてもらってる負い目はあると思うけど、そういうところは強く言ったほうがいいかも」
みさお「だよな。図に乗るかもしんねーし」
かがみ「でもゆたかちゃん、優しいよね。そこまでされてるのに、こなたの為にお守り買ってあげたでしょ?」(6・118)
ゆたか「はい。でもいま考えたら、勿体無かったかもしれません」
みさお「あー…………」
ゆたか「あ! いえ、そういう意味じゃなくて! あの――」
かがみ「いいっていいって。分かってるから」
ゆたか「す、すみません……あの、私はこれくらいで……」
ななこ「そうかそうか、自分もえらい苦労しとんやな。よっしゃ、ほな次は誰や?」
435憎悪、堆く8:2008/11/07(金) 21:25:53 ID:ibwibUr6
つかさ「じゃあ私が」
あやの「妹ちゃんはクラスが同じだからいろいろありそうよね」
つかさ「言われる事はいつもほとんど同じなんだけどね」
あやの「なんて言われてるの?」
つかさ「よくバカにされるんだ。成績はこなちゃんと大差ないのに」
ななこ「自分ら、仲良さそうに見えるけどな」
つかさ「私のこと、天然ボケだって言ったり――」(3・137)
みさお「でも天然ボケってチャームポイントみたいなもんじゃねーのか?
    ドジっ子萌え〜みたいにさ」
つかさ「こなちゃんみたいな言い方やめてよ……私、本当にバカにされてるんだもん」
みさお「あ、悪ぃ……」
つかさ「前だってこなちゃんの質問に私とゆきちゃんが違う答え出したら、ゆきちゃんの方を選んだんだよ?」
みゆき「そういえば……ありましたね」
つかさ「ゆきちゃんの方が正しいイメージがあるんだって」(4・10)
かがみ「まぁたしかにみゆきはいろいろ知ってるからね」
つかさ「でもそれって私は間違ってるイメージがあるってことだよね」
ななこ「そうなるわな」
みゆき「私が言うのもおかしいかも知れませんが、あの時の泉さんの発言は失礼ですね」
みさお「ふーん。いっつも一緒にいるからそんな感じなさそうに見えるけどな」
つかさ「我慢してただけだよ。アニメとかゲームとかの話ばっかりするくせに、私のことバカにして」
かがみ「ごめんね、つかさ。私がうまくフォローできたらよかったんだけど」
あやの「でもクラスが違うからフォローするっていっても限界があるわよね」
みさお「だから休み時間はいっつも隣に行ってたのか?」
かがみ「つかさは優しい子だからね。不満とかはあまり表に出さないのよ。
    だからこなたも調子に乗って好き放題言ってるんだろうけど……」
ななこ「ってことは他にもいろいろ言われてたんか?」
みゆき「ええ。詳しくは本文を遡っていただければ」
あやの「高良ちゃんも悪口言われたりするの?」
みゆき「私の場合はその……いわゆるセクハラ発言が多かったですね。
    これも先の発言を遡っていただければよろしいかと」
みさお「温和そうな眼鏡ちゃんが怒ってるなんて、相当なこと言われたんだな」
みゆき「人によって太りやすい場所が異なるというお話の際には、私がピーマン型だと――」(3・131)
かがみ「あー、あったわね。胸の大きさのこと言ってたのよね?」
あやの「デリカシーに欠けるわね。よく言われるの?」
みゆき「ええ、同じクラスですからどうしても会話の機会は多くなりますから。
    かがみさんがいらっしゃる時はそれとなく窘めて下さるので助かります」
かがみ「大したことしてないわよ。と、当然のことだし……」
みさお「照れて顔赤くする柊萌え〜」
かがみ「こなたみたいなこと言うな!」
みさお「痛っ!? あ〜や〜の〜」
あやの「はいはい。弱い者いじめは駄目よ」
つかさ「そういえばお姉ちゃんって、照れると髪触る癖あるよね?」
かがみ「……よく見てるわね」
みゆき「ところで先生はどうですか? 先ほど腹立たしいことがあると仰っていましたが?」
ななこ「ああ、ようさんあるわ。禁止されとんのに携帯ゲーム持ってきたりとかな」(3・95)
みゆき「あの時はすみませんでした。私までつい夢中になってしまって……」
ななこ「どうせ泉に無理やり付き合わされたんやろ。そやからデコピンで済ましたんや」
みゆき「いえ、お恥ずかしながらあれは私が……」
ななこ「そやったんか? でももう時効や。気にせんでええ」
つかさ「先生は優しいなぁ」
ななこ「それより泉の奴、ウチが送ったメール読まんと削除しよんねんで。信じられへんやろ?」
かがみ「どんなメールだったんですか?」
ななこ「アドレス変えたっちゅうお知らせや。それを読みもせんと消しおって」(4・104)
つかさ「ひどいですね」
ななこ「それに授業中もしょっちゅう寝とるしな」
みゆき「確かにそうですね。夜遅くまでゲームしているからでしょうか?」
436憎悪、堆く9:2008/11/07(金) 21:27:19 ID:ibwibUr6
かがみ「それとアニメね。やってる事が小学生並みだわ」
みさお「なー柊、深夜アニメって面白いん?」
かがみ「知らないわよ」
みさお「アニメの小説読んでんだろ?」
かがみ「ラノベのこと? まあ間違ってはないけど……」
つかさ「そういえば黒井先生ってよくゲンコツしたりしますよね?」
ななこ「ああいう奴やからな。昨今、体罰がどうのこうの言うとうけど、アホな議論やわ」
かがみ「問題になったりしないんですか?」
ななこ「ほんまはアカンねんけどな。でもそれくらいせな分からんやろ?」
かがみ「分かってないと思いますけど……」
ななこ「それ以上はウチもようせんわ。PTAとか教委とかが五月蝿いからな」
みゆき「ですね」
ななこ「ちゃんとしとったら叩かれることもないねん。分からん奴は体で教えたらんとな」
ゆたか「私もそう思います」
ななこ「そやろ?」
つかさ「あ! もうこんな時間だよ!」
かがみ「ほんとだ。いつの間に……?」
みさお「ずいぶん話し込んだからな」
かがみ「そういえばこなたは?」
あやの「あそこに……あら?」
みゆき「どうかしましたか?」
あやの「あれ…………」
かがみ「え、なに?」
つかさ「あ!」
かがみ「やけに静かだと思ったら――」
みゆき「ご自身で舌を噛んで自殺なさったようですね」
かがみ「罪悪感に耐えかねたのかしら?」
ななこ「さあな。そんな奴には見えんけどな」
つかさ「そうだよね。こなちゃんに限ってそれはないよね」
みゆき「それにしても舌を噛み切るとは……」
みさお「おいおい、感心してる場合かよー」
みゆき「実はですね、映画などではよくある手法ですが実際に舌を噛んで死ぬのは稀なんですよ」
ななこ「そうなんか?」
みさお「出血多量で死ぬんじゃないのか?」
みゆき「いえいえ。舌は筋肉でできていますから。噛み切ろうとすると痙攣して収縮するわけですね。
    それで喉の奥にまで引っ込んでしまい、気道を塞ぎ窒息死に至る……というのが正解なのですが」
あやの「そうじゃないの?」
みゆき「まず舌を噛み切る際の激痛に耐えられる人はいませんよ。それに直接の死因は窒息なんです。
    苦痛が伴えば反射的に気道を確保してしまうものなんです。収縮による巻き込みは緩やかですから、
    直接手で舌を掴んで隙間を作るだけで延命はできます」
かがみ「へえ、思ってたほど簡単じゃないのね」
みゆき「映画などの影響でそう刷り込まれてしまったのかもしれません。舌を噛むなど非現実的です。
    ですから今、私たちは非常に稀有な現場を目撃しているわけですね」
あやの「さすが高良ちゃん」
ななこ「そやろ? 高良は学年トップやからな」
つかさ「それよりどうするの? 警察とか呼んだほうがいいんじゃ……」
みさお「だよなー。このまま放っておくわけにもいかないし」
かがみ「とか言いながら、帰ろうとしただろ?」
みさお「バレてたか」
ななこ「しっかし、さすがに放置するわけにもいかんやろな。あとあと面倒やし」
みゆき「通報したらそれはそれで面倒かもしれませんよ?」
ななこ「せやな……ごちゃごちゃ追及されるやろな……ホンマ、生きとっても死んでもウザい奴やで」
437憎悪、堆く10:2008/11/07(金) 21:28:28 ID:ibwibUr6
かがみ「仕方ないですね。とりあえず警察に――」
みゆき「その前にやっておくべきことがありますよ」
あやの「なに?」
みゆき「折角の機会ですから、ここは――」
ななこ「ほ〜そらええな」
みさお「だな」
かがみ「じゃ決まりね」
みゆき「では皆さん、泉さんの近くに集まってください」
ななこ「よっしゃ」
かがみ「私はここね」
みさお「じゃあ私は柊の横」
つかさ「私はここでいいよ」
あやの「みさちゃん、もう少しそっち詰めて」
みさお「よし、これでいいか?」
みゆき「皆さん、準備はいいですか?」
かがみ「こっちはOKよ」
ななこ「ウチもええで」
みゆき「ではいきますよ」
全 員「せ〜〜のっ――!!」」



――――哄笑。







 終







438JEDI_tkms1984:2008/11/07(金) 22:05:18 ID:ibwibUr6
 以上です。
少し思うところがあり、投稿を控えていました。
本命のSSは来週あたりに投下させていただきます。
ありがとうございました。
439名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/07(金) 22:55:33 ID:oW4oy6TU
マンガもゲームもホイホイ規制されるけどパチョンコは死者を出しても、なかなか規制されないな
馬券、船券売場反対運動とかあるけど、なぜか自称市民団体はパチョンコはスルーなんだよな
440名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/07(金) 23:04:48 ID:uCIl5gpf
>>438
なるほど。これが前座ですね?
441名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/07(金) 23:17:57 ID:5mp95uFd
>>421
死ぬ前に一回だけ!!
442JEDI_tkms1984:2008/11/07(金) 23:21:22 ID:ibwibUr6
>>440
内容はこれとは全く関係ないんですけどね。
いろんな形式のSSを書いてみて、どれが合っているかの模索を兼ねてます。
今日は誕生日なので何か投稿しようと思い、急遽書きました。
443名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/07(金) 23:23:43 ID:uCIl5gpf
>>442
おめでとうございます
444名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/07(金) 23:30:06 ID:B41sS3ne
>>421
うんうん、その意気込み歓迎するよ^^
ようこそ
>>438
こういう形式のSSも書く人でしたか。
多芸ですな。
445お漏らし中尉:2008/11/08(土) 00:10:22 ID:cHFPWX5g
>>374
ヤク中大分氏
いつもいつも僕なんかのSSの絵を描いていただいてありがたいです
そして、SS褒めてくれて有難うございます!
ツインみゆき、可愛いなぁ〜

>>376
グレゴリー氏、発想が奇抜でこなたの死に方が壮絶でした
これがグレゴリーワールドですね!
実はカニバリズムは大好きだったり・・・
かがみはどのように昇華できたのでしょうか、気になります

>>392
つかアル、実は好きです
つかさが色っぽくてたまりません
続き楽しみにしてます!

>>419
なんだか深夜の馬鹿ヂカラの臭いが・・・
古謝のテンションにドン引きしました

>>438
JEDI_tkms1984氏
お誕生日おめでとうございます!
前回は丁寧な感想を頂きまして、嬉しい限りです!
このSS、短時間で書かれたと仰っていますが細かく本編にからめられてて
リアルでした・・・
こなたも災難ですね
本命はどんな悲惨な最期が待ってるのか、ドキドキしてます!
ところで、お恥ずかしい質問なんですが「アイロニー」ってなんでしょうか
宜しければ教えてくださいませんか?
446名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 03:27:29 ID:OvExzUNQ
朝起きたら私は人類最強になっていた
人類最強なのだからどんなこともできる
手始めに全裸でゆーちゃんの部屋にアンバサ、アンバサと叫びながら飛び込む
タンスをこじ開けブラジャーを腰に巻きパンティーを頭にかぶる
ゆーちゃんが呆然としながら見てくるが人類最強なので気にしない
ゆーちゃんのベッドに潜りこみ「赤い悪魔!赤い悪魔!」と絶叫
ゆーちゃんは無言で部屋から立ち去る
だがまだ最強には不十分
次はお父さんの部屋に「私はいつだって唐突だ」と呟きながら飛び込む
お父さんは着がえをしている最中だったが人類最強なので無視
半裸で逆立ちをしながら
「体育祭で盗撮してただろ!!体育祭で盗撮してただろ!!」と絶叫
お父さんを泣かせてしまった
確実に人類最強に近づく
スパイダーウォークでトイレに飛び込み便座を外し首に掛ける
ゾンビの真似をしながら今は亡きお母さんの部屋に突撃
タンスを開けると一枚の写真発見
死んだお母さんが私を抱いて微笑んでいる写真発見
もう死のうと思った
447JEDI_tkms1984:2008/11/08(土) 12:39:13 ID:SZg48VVt
>>443

ありがとうございます。干支が2周しました。

>>444

多芸というより、自分のスタイルがまだ定まっていないだけかもしれません。
いろいろと挑戦してみたい形式はあるのですが……。

>>445

ありがとうございます。
本命のほうは相変わらず無駄に長い文章量になってしまっています。
実は惨劇館の続きも書いたのですが、投稿するタイミングというかキッカケを失い放置してます。
中尉さんの地文の巧みさに惹かれましたね。
実は内容そっちのけで最初は地文を追いかけてました。
ちなみにアイロニーとは皮肉のことです。
448JEDI_tkms1984:2008/11/08(土) 12:41:49 ID:SZg48VVt
 追加。

早くもwikiに追加してくださった方、ありがとうございました。
449名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 13:11:02 ID:cHFPWX5g
【らき】あやののキャラソンを要望するスレ【すた】
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1226116734/
450名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 13:15:42 ID:cHFPWX5g
申し訳ないですがWIKIが荒れる前にコメントログの方々はこちらに移動して頂きたいです
純粋に楽しんでる人間もいる訳ですから
お互いに不利益な事は避けたいです
宮内氏の作ったオリジナルキャラソンも一応張っておきましたので
頑張ってあやののキャラソン出してくださいね
出たら買います
では、検討を祈ります!
451名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 13:32:29 ID:VelJ/ODM
少し前に、中学で色々あったこなたが高校入学の時にやけにビクビクしていて
かがみが力になろうとするSS・・のプロローグ書いてたのって
JEDIさんだっけ?

PCトラブルが起こったみたいであれっきりだったけど続き気になるw
452名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 13:33:04 ID:VelJ/ODM
ageミス
すいません・・
453名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 13:50:25 ID:P6g4Yx2w
芸能界は麻薬に汚染されすぎだろ
454名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 14:39:37 ID:+zPflQIi
455JEDI_tkms1984:2008/11/08(土) 15:01:46 ID:SZg48VVt
>>451

 違う方の作品ですね。
あれは僕も続きが気になっています。
456名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 16:41:32 ID:Z/eDr1WG
 最近、こなちゃん生意気よねぇ〜
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\| ̄ ̄ ̄ ̄
        ____,イ{、___                /`γ´ ̄}_____
      ,ィ´    〈   メ、              ∠,ィ´`ヽ、_,/: : : : : : :`ヽ、
.    /  ,  ,/| λ、  \           /: : :::,,: : :: : : : : : :: : : :: :.:ヽ
    /   ,什/ | メ ‐t- \`ヽ、         /: :. :;,ィ||´`\: ::i:: : : : : :: : : :.:ハ
   j/  メ |/  レ'   |/ヽ 丶ヘ>      ,イ: : ::/ リ ~`ヽヾi: : : : :i: : : : : : :|
  ,イ´  / ,|ィチテ }-{ ィ气ミ ハ  〉        /: : ::/::| ≠=z、 |:i: : : :.:|: :. : i: : ::|
   〈, /(| |:ゝ‐-‐'  `‐-‐´{ ヘ/        /: : ::/: :j     |:|: : i: .:|: : : : |: :.:|
    |/  | |、  rァ   ,ィ´| ト、       7: :,: : : :}     |:|: ::li: ::|): : :.:|. :リ
    〉 ソ | `≧‐-‐≦ |/| |λ       ∨|: : : :ヽ、  つ |:|: .:||: ::|、:: : :.:|:::|
    j | |: |   ヘ--/ `\| | 弋        |: :/|: :: ::>-‐t|リ|:.:||: :|:.:ヽ: : :|::;ゝ
    ノ | |: | \ ∨ //´i |  )       |;/ |:/∨ ノ"  レ''|;/   ∨ヽ|
_______________|\__
 そうですね
 わたくしも、そう思いますよ。
457名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 16:49:10 ID:36uqFEL/
>>454
ヤケクソwwwwwwww
久々に見たわ
458名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 17:19:44 ID:n1KhTkB5
>>454
誰得
459名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 17:33:46 ID:LLSt4BrT

          _____
        /        \
      / /・\  /・\ \
      |    ̄ ̄    ̄ ̄   |
      |    (_人_)     |
      |     \   |     |
      \     \_|    /

  ─┐||┌─┐ l ─  ‐┼‐   ‐┼‐ヽ l  ノ │ .|  |   ‐┼‐ ‐┼‐
        日  フ 口  メ   __|__  フ |┬   |  |   ‐┼‐  d
  (__   .六  ↑ .田  (___  (丿 ) ↑.ノ│  ノ  ヽ__ノ (丿\ ノ
460名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 21:01:13 ID:Y7D0gBvc
       ,:::-、       __
      ,,r::::::::::::〈:::::::::)    ィ::::::ヽ
      〃::::::::::::;r‐''´:::::::::::::::::::::ヽ::ノ
    ,'::;'::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::
     l::::::::::::::::::l::::::::::●::::::::::::::●:::::ji
    |::::::::::::::::::、::::::::::::::( _●_)::::::,j:l  クマー!
    }::::::::::::::::::::ゝ、::::::::::|∪|_ノ::;!
.    {::::::::::::::::::::::::::::`='=::ヽノ:::::/     
    ';::::::::::::ト、::::::::::::::i^i::::::::::::/
      `ー--' ヽ:::::::::::l l;;;;::::ノ
【ラッキーレス】
このレスを見た人はコピペでもいいので
10分以内に3つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後好きな人から告白されるわ宝くじは当たるわ
出世しまくるわ体の悪い所全部治るわでえらい事です
461名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/09(日) 00:16:55 ID:2zq7FadY
462名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/09(日) 01:00:51 ID:tkJ0Gh7q
あー、俺こういう絵好きだわ。
血、血、血、皿、血、血…
463名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/09(日) 03:31:56 ID:B1/TjQP7
昨日、2chのアニキャラ個別板行ったんです。アニキャラ個別板。
そしたらなんからき☆すたキャラがめちゃくちゃいっぱい居て騒いでるんです。
で、よく見たらなんか葬式やってて、こなたが自殺した、とか書いてあるんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
お前らな、こなた如きで普段来てない葬式に来てんじゃねーよ、ボケが。
こいつらが持ってきた香典、150円だよ、150円。
なんか姉妹連れとかもいるし。姉妹4人で葬式か。おめでてーな。
よーし私ビッチになっちゃうぞー、とか言ってるの。もう見てらんない。
お前らな、150円ってどんだけこなたの命軽んじてるんだよ。
自殺ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
Uの字テーブルの向かいに座ったピンクにいつ頭部をホルマリン漬けにされてもおかしくない、
食うか食われるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。白キャラは、すっこんでろ。
で、やっと少し静かになったと思ったら、さっきのビッチが、
こなたの心臓でお姉ちゃんが蘇生した、とか言ってるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、感動物なんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。
得意げな顔して何が、こなボラ、だ。
お前は本当に心臓移植が合法と思っているのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、白化したいだけちゃうんかと。
自殺通の俺から言わせてもらえば今、自殺通の間での最新流行はやっぱり、
カラオケボックスで放屁、これだね。
そしてこなたに罪を被せる。これがつかさの本性。
それと裏メニューってのがいきなりデスノートが登場する。
そん代わり描写量が少ない。これ。
で、それにひぐらしキャラ。これ最強。
しかしこれを書くと次からスレ住民にマークされるという危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まあお前らマジキチは、かがみでも食ってなさいってこった。
464名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/09(日) 09:30:54 ID:EhaqsJLA
>>464
フイタw
465名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/09(日) 14:01:14 ID:eXrgsU3X
>>454 >>461
gj!絵師が賑わってるな
466名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/09(日) 15:22:06 ID:3OY1JvQ3
SSでみゆきの名前を見るたびに「オリキャラかな?」と思ってしまう…
そうだよね、この娘一応メインキャラだよね
467名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/09(日) 17:59:04 ID:hW04jRSY
>>441
何をする気だ^^;
468名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/09(日) 18:55:20 ID:lqAhV+te
こなたのマンコに包丁を深々突き入れたら何秒で死ぬんだろ?
多分直後にショック死しそうだが
469名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/09(日) 19:33:32 ID:NYxidLFY
コンマ何秒かで
470名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/09(日) 19:36:36 ID:1oAq5b06
471名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/10(月) 01:48:52 ID:JffcmVRR
殺してどうするw
472名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/10(月) 13:54:29 ID:mwGHbDJ+
ウィキが…
473名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/10(月) 15:24:30 ID:O1WGOcWG
みゆきがどうしたって?
474名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/10(月) 22:48:08 ID:ShJ9Bvwx
オフレポ楽しみなオレガイル
475名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/10(月) 23:32:57 ID:lImZdSqF
こなたの自殺で今日も飯がうまい!!

               __,イ|__ ... .ィ
           , :<´ : : : |: : : : :ー<..
    +      ./: : :/: :/} :小: : : : : : : : ≧ー
    + __,/ /: : /: :/ ,| : | ∨| : : : : : 廴    +
      f´/ }:/.: :.ム :/' | /| ヘ}ヽ: : : : ヘく  +
      ∨  ,イ: : :{ :/ ⌒.j/ ⌒   V | : : ∨
       ヽ、{∧ 圷../・\ ./・\..ア:| ト、:ハ
.  キタ━━|:ヽ}ヘ:/::::⌒(__人__)⌒:::W |:「ヽ} ━━!!!!
    +.   |: :|:`ー.、    トェェェイ   {ム/:{   +
        |: :|: : :|:|> 、. `ー'´_. イ: : |: :|
     + |: :|: : :|:|  ,.≦厂 「x  |: : :|: :|    +
        | : ', : :',|/  {___7`ーl: : :|: :|
     _|\∧∧∧MMMM∧∧∧/|_
     >                  <
   /  ─ /  /_ ──┐ヽ|  |ヽ  ム ヒ | |
 \/  ─ / / ̄ /   /  | ̄| ̄ 月 ヒ | |
  ノ\ __ノ   _ノ   \   / | ノ \ ノ L_い o o
476名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/10(月) 23:46:23 ID:O1WGOcWG
こなちゃん自殺で変化無し!!
メシフツウ状態!!
477名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/11(火) 03:18:47 ID:IuU0k/hw
>>475
こんなAAあったのかw
478名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/11(火) 07:16:04 ID:3oF2j1x/
月光蝶であぁぁぁぁぁるっ!!!
479名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/11(火) 15:27:21 ID:QRFqgZoT
こなたはみさおと同じ大学か。
うつ☆すたを始めとする、こなた大学ぼっちネタ崩壊の瞬間
480名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/11(火) 17:02:55 ID:DnsLj2aV
>>479
あまり原作の設定気にしてると作品の範囲がどんどん狭くなっていくぞよ
481名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/11(火) 17:50:33 ID:QRFqgZoT
アラバマ最新作!
黒つかさ、こなたにデコピン→こなた、かがみに泣きつく
→かがみ、こなたの味方してつかさを叱る→つかさ、姉を無視
Koeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!!!!!!!!!
482名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/11(火) 18:03:39 ID:ocTfhirk
483名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/11(火) 19:07:40 ID:DnsLj2aV
>>481
アホ毛弾かれたくらいで泣くんじゃねぇよw
484名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/11(火) 20:45:53 ID:fW7ROIVO
>>482
絵師消える一方…
485名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/11(火) 22:22:41 ID:8wYeQa56
絵師は春頃に比べればそれほど減ってない
と思う
>>482
ぐっどじょぶ
てかそれ殺してね?w
486名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/11(火) 22:30:26 ID:jh9K+6X1
>>482
404

壱岐への甜菜を待つか・・・・・
487SF655:2008/11/11(火) 23:52:15 ID:9EFjgO2O
朝を向かえた私の部屋……。私の部屋は光輝いた色彩の彩りに包まれた……。息
づいた私に眩しい日差しが照らし出す。
頬に輝いた光は比較的適当に私を和らげる……。だけど光は苦手だ。
暗闇の中を裸足ですり抜ける私を光は嘲笑う……。一体何のために生きてる?
一体何のために存在する?
私を責める光の連鎖反応……。一体いつ戻れる?
この世界に私の居場所なんてない……?
誰もが皆、私を避けはじめた……。いつか殺される。ただ屈辱が奴等から味合わ
されていく……。
奴等を信じた私がバカだった……。もう耐えられないよ。傷つけられるのも、抵
抗できないこんな私自身にも……。
泣いてなんかいないよ……泣いてなんか……。

もう一年になるのか……。
もう私に救いなど…………。
488SF655:2008/11/11(火) 23:53:16 ID:9EFjgO2O
>>487
〔一日目〕

いつもと変わらない朝。
「そろそろ行こうかな。ほら、つかさ? 早くしなさいよ?」
「あ、待ってぇ〜。」
私は柊かがみ。神社の巫子姉妹の三番娘で結構楽しい暮らしをしてる、可愛らし
くておちゃめな優等生よ!
(そこ、突っ込まないように)
で、後からきたのは四番娘の柊つかさ。ドジっ子で私もみてらんないくらい。け
ど、とても可愛くて……。Σはっ!!べ、別にそっちに興味があるんじゃないか
らね?家族としてなんだからね!
そ、それからつかさは二重人格なの。つかさの感情が押さえきれなくなると入れ
替わるみたい。詳しくはまだよくわからないんだけどね。

「「行ってきまーす♪」」
家をでた私とつかさは、早々と学校へ向かった。
今日は陵桜学園の入学式なの。新しい高校生活が楽しみで仕方ないのよ。だから
、ちょっと寝不足だったり……。

高校の近くにまで差し掛かったとき、小さな女の子が目に止まった。青い髪の小
学校高学年くらいの……。
それだけなら何処にでも居そうで別に問題はない。……けれどその小さな女の子
は私と同じ制服を着ていた。
ということはつまり同じ高校生ということになる。その異様な光景は私の視線を
釘付けにしていた。
「お姉ちゃん………?」
そこでつかさが不思議に思い、かがみの視線を辿って同じ少女に視線が止まる。
……が、そこで青い髪の少女は視線に気付き、慌てて走って行ってしまった。
「行っちゃったね……」
「ぅん……」
「お姉ちゃん……?」
「え?あ、何でもないわよ?」
「ほんとに?」
「だ、大丈夫よ。ほら、行くわよ!」
いつもと違う私につかさは不信感を抱いていたが、そのときの私は気付きもしな
かった。
489SF655:2008/11/11(火) 23:54:25 ID:9EFjgO2O
>>488

「…………これから陵桜学園入学式を開会いたします…………」
学校に着き、体育館へ連れられてしばらくすると、入学式がはじまった。何気な
くふととなりの席に座っている生徒をみて、私はかなり驚いた。先程の青髪の小
さな少女がちょうどとなりにいたのだ。
そして、驚いた私を不審に思ったのかその少女もこちらを向く。
「……ぁ…………」
少女は小さく呟くと、頬を赤くしてうつ向いてしまった。
私は少し不思議に思いつつも、まぁ初対面だし入学式で緊張してるのだろうと、
あまり気にしてはいなかった。
その後しばらくすると、新入生の点呼を始め、一人ずつ名前を呼ばれていった。
「…………一年B組、柊かがみ!」
私は結構前の方に座っていたので呼ばれるのも早かった。
「はい!」
スッと立ち上がり一礼をし、また座った。
そして、私のとなりの少女が呼ばれる。
「…………一年B組、泉こなた!」
へぇ、こなたって言うんだ。同じクラスだし仲良くなれるかな………。
なんて考えている矢先だった。
「は、はい!……ぁ!」
ガタンッ
たぶん緊張していたんだとおもう。こなたは座っていた椅子に足裏を当てて大き
な音を立ててしまっていた。
「ぁ…………す、すいません。ょ、よろしくお願いします!」
顔を真っ赤にして慌てて座り、そのまままたうつ向いてしまった。
私はそんな彼女が気になって仕方がなかった。
490SF655:2008/11/11(火) 23:55:18 ID:9EFjgO2O
>>489

入学式も終わり、それぞれがそれぞれのクラスに入り、それぞれの席に名前の書
いてあるシールが貼られていたので、自分の名前の書いてある席へついた。
そして少しすると同じ出身中学らしき人達どうしで集まって話し始めていた。ど
うやらみんなこの周辺の中学から来てたらしくある程度話し相手には困らなかっ
たみたいだ。
私は少し孤独感を覚えた。が、私以外に一人だけ取り残されている生徒がいた。
それは、泉こなただった。彼女は先程の恥ずかしさが残っているのかうつ向いた
ままだった。
だから私は、彼女に話しかけることにした。
「泉さん、そんなうつ向いてたって何も変わらないわよ?」
「……ぇ……?」
急に話しかけられてわけがわからないといった表情でこちらをみる。
「泉さん、一緒にお話しましょ?」
私が彼女にそう告げると、泣きそうになる。
「……なん……で……?」
「なんでって……。話しかけられるの嫌だった?」
そっとしておいてあげた方がよかったのかと思い、聞いてみる。
「違う…………」
が、違うと言う。じゃあなんだろうと考え込む。
が、長くは続かなかった。
「…………見てたでしょ?」
「……?何を……?」
「私が呼ばれたとき……」
あぁそういうことかと頷く。
「あんな失敗したのに……」
「そんなこと気にすることないわよ。クラスメイトじゃない」
「クラスメイト……?」
「そうよ、同じクラスなんだから一緒にお話するのに理由なんかいるかしら?」
「ありがとう……ありがとう……」
そう言いながら彼女は泣き出す。その光景は彼女の過去に何かあったのだろうか
と思わせるほどに嬉しそうだった……。
491SF655:2008/11/12(水) 00:01:03 ID:i8MkSvba
>>490
とりあえずここまで。
以前書いていたssを書き直して復活したので、少しずつupしていきたいと思います。
念のため最初からup
492名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/12(水) 00:17:54 ID:lnop2zsy
復活おめ^^
>>486
転載されてんぜ
スケッチ3の一番下
493名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/12(水) 01:06:57 ID:rlBTlvMv
>>491
乙です。

つかアル、書き進めてるけど投下できる区切りまで筆が進まないorz
494名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/12(水) 04:44:27 ID:i42SwDU9
なりすまし詐欺で47歳女逮捕 京都市右京区 32歳差見破られず

高齢女性の医療受給者証を使って郵便貯金を引き出したとして、北署は27日、有印私文書偽造や詐欺などの疑いで、
京都市右京区花園鷹司町、アルバイト、崔智子容疑者(47)を逮捕した。
崔容疑者は親子ほど年齢が違う高齢女性になりすまし、区役所で医療受給者証を受け取っていたという。
調べでは、崔容疑者は昨年9月下旬、同市右京区の郵便局で、不正に入手した北区の無職女性(79)の老人医療受給者証を身分証として提示し、
郵便貯金の払戻請求書を偽造、翌月上旬に北区の郵便局で女性の郵便貯金を引き出し現金約150万円を詐取した疑い。
「生活費に困ってやった」と容疑を認めている。
崔容疑者と高齢女性は同じ寺の檀家(だんか)同士。崔容疑者は北区役所を訪れ、32歳も年が離れた女性になりすまし、
「受給者証をなくした」と申告。受給者証を入手していた。
受給者証に顔写真はなく、印鑑などがあれば代理人であっても発行されるという。

ttp://sankei.jp.msn.com/region/kinki/kyoto/080228/kyt0802280311002-n1.htm
495451:2008/11/12(水) 07:50:09 ID:piO3q7JH
>>491
おお、まさに自分が気になってた作品はこれだ。
続き楽しみにしてます
496名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/12(水) 11:43:54 ID:d++Fuu5y
賑わってきた!
497JEDI_tkms1984:2008/11/12(水) 12:22:40 ID:LRc2DP2h
 賑わい最中に申し訳ないですが、今夜あたりから僕もSSを投稿しようかと思います。
よろしくお願いします。
498名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/12(水) 14:42:50 ID:HqJ3aUCo
祭りの狼煙が上がったぞ
499SF655:2008/11/12(水) 19:54:27 ID:i8MkSvba
>>490

「あのね……私……」
ガララッ
「ほーら、席につけー」
彼女が何かをいいかけた。しかし、タイミング悪く担任の先生が入ってきた。そ
のまま話を聞くのも悪いと思い「また、後でね」と告げると私は自分の席へ向か
った。


「みんな揃っとるな?今日は入学式やからざっと自己紹介しておわるで!」
入ってきた先生は金髪で関西弁。見た目、いい感じのお姉さんと言った感じだっ
た。
「私は黒井ななこや。気軽に黒井先生っていってくれてええで♪よろしゅーな♪

そういって笑う先生を見ていると、クラスに恵まれたなと思わずにはいられなか
った。
「じゃ、みんな自己紹介してもらおか♪」
その黒井先生の一言に生徒一同急にざわめきだす。
自己紹介で何を言おうかと考え込む人、さっきまで平然としていたのに急に緊張
し始める人……。
いろいろだった。入学式ともなれば自己紹介することくらい簡単に予想できただ
ろうに。と、私は思った。
そんなこんなでざわめきつつも名前の若い順に自己紹介していくことになった。
「ほな泉、前にでて自己紹介しぃ?」
一番目は、泉さんだった。泉さんは頭文字が『い』だからその可能性は十分高か
った。
だが、泉さんが前に出る気配はなかった。
気になってそちらをみれば、泉さんは体をカタカタと震わせてうつ向いていた。
また緊張しているのだろうか……。
しかしそれにみかねた黒井先生が話しかける。
「クラスの自己紹介くらいでそんな緊張することないで?もっと気楽に。な?」
「……は、はい」
ふと、泉さんが不安そうにこちらをみる。
だから私は、頑張れ!という意味を込めてガッツポーズをした。
すると、泉さんは少しだけうなずいて前に出る。
500SF655:2008/11/12(水) 19:55:24 ID:i8MkSvba
>>499

スー……ハー……
と、深呼吸をする。
「……い、泉こなたです。特技は、昔空手を習っていたので、空手が出来ます。
これから一年間よろしくお願いします。」
「趣味とかはなんかないん?」
「趣味は…………」
黒井先生が質問する。
が、泉さんはそこで何故か声が少し小さくなる。
黒井先生は、それでもなにか聞き出そうと続ける。
「なんでもいいんやで?ゲームとか漫画とか。先生も好きやし」
「………ゲームは…少しやります」
「なるほどな。はい、ありがとう」
やっと終わったよとでも言うかのように息をつくと、泉さんは一礼してそそくさ
と席につくと、恥ずかしそうにうつ向いた。

泉さん頑張ったね……。お疲れ様……

それから数人の自己紹介が続き、いよいよ自分の番となった。
「初めまして、柊かがみといいます。家は神社で、時々手伝いをしています。趣
味は文庫小説を読むことです。よろしくお願いします」
よし、こんなものかな……。
あんまり喋りすぎてもイメージ悪いしね。
「ほい、よろしく……。じゃあ次、平塚雷鳥やな………」

それから少しして、一通り全員の自己紹介も終わり、今日することは終わった。
「一通り終わったな。ほな、今日は解散!」
501SF655:2008/11/12(水) 19:56:14 ID:i8MkSvba
>>500

放課後、生徒が皆帰っていったにもかかわらず、泉さんはうつ向いたまま座って
いた。
私は泉さんの席へむかった。先程言いかけた話を聞こうと思ったからだ。
「泉さん!」
「…………柊さん」
私の声に反応すると、顔をあげてこちらをみる。
「……かがみでいいわよ、その方が気が楽だわ」
「うん……。じゃあ私もこなたでいいよ、かがみ♪」
元気に反応するこなたをみて私も安心する。
「うん、じゃあこなた。さっき先生来る前に何か言いかけてたじゃない?それを
聞こうと思ったんだけど……」
だから私はすぐさま本題に入ろうとする。
けれど、こなたはまたうつ向き気味に言った。
「あ、うん……。それはまた今度でいいかな?」
「?……わかったわ」
頭上に疑問マークが浮かびつつもこなたの仕草をみる限りは、それ以上詮索しな
いほうがいいと判断し、そのまま私とこなたはしばらく他愛もない会話をしてい
た。
そのおかげでこなたのことが少しだけわかった気がする。
帰り道が途中まで同じこと、こなたは実は漫画やアニメやゲームが大好きなこと

それでいてオタクだって馬鹿にされるのが嫌で自己紹介ではいわなかったこと。
人見知りしやすくて他人の前では恥ずかしがりやなこと。
そのせいであまり友達がいなかったこと。
他にもいろいろあるが、ここで確実にひとついえることがある。
それはこなたが私を信頼してくれているということだ。それがとても嬉しくて、
私は上機嫌になる。

「それじゃあ、私はそろそろ帰るけど……」
「あ、じゃあ私も帰るわ。途中まで一緒に帰ろ?」
「うん♪」
嬉しそうに笑うこなたを見ていると、私も自然と笑みがこぼれる。
それから帰り支度をすると、私とこなたは教室を出た。

502SF655:2008/11/12(水) 19:58:19 ID:i8MkSvba
>>501

これで、前回途切れてしまったとこまでup完了です。

次回からはこの続きをupしていきたいと思います。
ではでは。
503名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/12(水) 20:09:29 ID:WZpwzCy4
>>502
楽しみにしています
504JEDI_tkms1984:2008/11/12(水) 21:11:50 ID:1FMvBI3X
 皆さん、こんばんは。
本日分の投稿をさせていただきます。
505死にいたる隘路1:2008/11/12(水) 21:13:16 ID:1FMvBI3X
「泉さん、大丈夫ですか?」
頬に手をつき、言葉通り心配そうな顔でみゆきが訊ねた。
「うん、平気だよ。慣れてるし」
こなたが無理に笑顔を作ってチョココロネを齧る。
だらりと垂れたチョコレートが彼女の心境を体現しているようだった。
「平気って……全然そうは見えないわよ?」
箸は絶えず動かしながら、しかし常にかがみはこなたの表情を窺っていた。
だから作り笑顔もすぐに見破る。
「さっきのやつ、ちょっと見せてみなさいよ」
かがみが箸を置いて催促する。
こなたが露骨に嫌そうな顔をした。
何も食べている最中に――と言いたげな明らかに不愉快そうな顔つきで。
こなたは机の中から一冊のノートを取り出した。
それをひったくるように受け取り、かがみはパラパラと中身をめくっていく。
「お、お姉ちゃん……!」
横でつかさが小声で叫んだ。
しかしかがみはそれを無視してノートを見続けた。
乱雑な字体で化学式やら実験器具のイラスト、その他文章が書かれてある。
宿題はほとんど自分でやらないが、こなたは板書だけは欠かさなかったようだ。
化学のノートなのに合間に国語や数学の教科をまとめたページもある。
(教科ごとにノート作れよ……)
内心、呆れ気味にさらにページを進めていく。

”ウザイ 死ね”
”学校くるな”
”きえろ”
”オタク”
”キモイ”

突然に字体は変わり、マジックで乱暴に書きなぐられたページが出てくる。
その次も、その次のページも。
似たような意味の罵詈讒謗が体裁の悪い寄せ書きのように、どこまで続いている。
「…………」
視線を感じてかがみが顔を上げた。
教室のあちこちから、敵意を含んだ視線が注がれている。
「お姉ちゃん、もういいよ。早くそれ、こなちゃんに返して」
居心地が悪くなってつかさが袖を引っ張って言った。
内容を一通り確認したかがみは、最後にノートの細部をよく見てからこなたに返した。
最初のページと最後のページの下端にセロテープを貼った跡がある。
カッターナイフの刃が仕込まれていた痕跡だ。
幸いにもこなたはすぐに気付いたため、指を切る前に処理することができた。
「今時、まだこんな事する奴がいるんだな」
かがみはわざと大きな声で言った。
何人かがちらりとこちらを見やる。
こなたは怯えたように俯いた。
(泉さん…………)
今にも泣き出しそうなこなたを見て、みゆきは可哀想になった。
ここまで苦痛を味わうなら、昼食をわざわざ教室でとるのではなく外に行くべきだ。
合理的にものを考えるみゆきは以前にそう提案したが、こなたとつかさが反対した。
連中はこなたがトイレに席を立つなどのわずかの時間に、こうやって私物を触っていくのだ。
もし昼休みの間、不在にしてしまったら――何をされるか分からない。
いじめをする人間は集まれば強大だが、1人ひとりはたいてい臆病なものだ。
だから私物にいたずらをする場合も、本人がいる前では絶対にやらない。
こなたもつかさもそういう性質を分かっているからこそ、敢えて教室に留まることにした。

506死にいたる隘路2:2008/11/12(水) 21:14:35 ID:1FMvBI3X
いじめはいつも突然に始まる。
突然変異種のように前触れなく発生したいじめる側が、勝手にいじめられる側を作り出す。
今回はこなたがその犠牲になった。
理由は分からない。
訊かれたことに正直に答えるいじめっ子がいたとして、その人物に理由を問うても”分からない”と答えるだろう。
いじめそのものに理由はない。
寄り集まった集団が、いつの間にか少数派を叩く現象をそう呼ぶだけで、明確な因果関係は存在しない。
仮に理由があっても、やはりいじめてよい理由にはならない。
というのが正論であるハズなのだが、現実は常に理想や正道を裏切り続ける。
”オタク叩き”
いじめる側は何となくそういう言葉を頭に入れて、こなたを虐げるようになった。
全ては先行したイメージと、先入観だけで物事を決めつけたがる思春期の為せる業である。
オタクは気持ちが悪いから。空気を読まないから。自分たちとは違うから。
こじつけに近い理由を独善的に作り上げて、それを無理やり刷り込んでは自分たちの行いを正当化する。
手始めにまずはこなたの持ち物から。
教科書やノートを破いたり、卑劣な落書きをしたり。
鉛筆を折る。シャーペンの芯を抜く。
ひどい時には先ほどかがみが見たノートのように、カッターの刃を仕込んだりする。
殴る蹴るなどの直接的な暴力はまだないから、ひとまず命の危険はないと言える。
が、何かを傷つけられる度に。何かを壊される度に。
こなたの心はぼろぼろになっていった。


このような陰湿ないじめが2週間ほど前に始まった。
最初に異変に気付いたのは、意外なことにつかさである。
消しゴムを忘れてしまった彼女はその日、予備を持っていたこなたに借りた。
こなたにしては珍しく、アニメ系のイラストではないコンビニで売っているごく普通の消しゴムだ。
それを2つ持っていることを確認し、放課後に返すという約束でひとつをつかさが受け取る。
ところが3時限目が終わってすぐ、こなたはみゆきから消しゴムを借りていた。
それを使ってノートの1ページをごしごしと力を入れて擦っているところをつかさは見ている。
こなたは震える手でノートをしまうと、慌てた様子でみゆきに消しゴムを返す。
それを見てつかさはおかしいと思った。
こなたは自分の消しゴムを持っているから、それで消せばいい。
失くしたのだとしても、一連の挙動があまりに不自然だった。
それが無性に気になり、それからつかさはしばらくこなたを観察するようになった。
こなたは――。
その日を境によく忘れ物をするようになった。
ペンや消しゴム、ノートなどの筆記具が主だ。
そういう時、彼女はつかさかみゆきのどちらかに借りる。
その借り方がまた妙だった。
頻繁に借りる、返すを繰り返すのだ。
1時限目が始まる時に借り、休み時間になったら返す。
また2時限目が始まる時に借り、休み時間になったら返す。
その方で、こなたはかがみに教科書を借りたり宿題を写させて欲しいと頼んだりする事もなくなった。
当初はかがみも、心を入れ替えて真面目に勉強するようになったと、こなたをしたり顔で褒めていた。
しかし彼女もこなたのどこか不自然な様子に気付くようになる。
ある日のことだ。
いつものように4人で帰ろうとした時、鞄を持ち上げたこなたの手が滑った。
口の開いた鞄からこぼれ落ちたのは、ボロボロになった教科書や落書きだらけのノート。
それを見た瞬間、かがみはこなたが最近になって自分を頼ってこない理由を知った。
たとえば教科書を借りればそれを傷つけられるかもしれない。
自分の物ならまだしも、他人から借りた物を汚されるわけにはいかない。
「あんた……もしかして……?」
訊くまでもなかった。
目の前の惨状と、泣きだしそうなこなたの顔を見れば何が起こっているのかはすぐに分かる。
507死にいたる隘路3:2008/11/12(水) 21:16:02 ID:1FMvBI3X
かがみもショックだったが、同じクラスにいながら今まで気付かなかったみゆきが受けた衝撃も大きかった。
つかさはと言えば、彼女は薄々感づいてはいたから、さほど大きな驚きはなかった。
「先生には相談されましたか……?」
いじめの実態を知らなかった罪を贖うように、みゆきがおずおずと訊ねた。
こなたはかぶりを振った。
先生に相談さえすれば済むような簡単な話ではない。
「でしたら……!!」
「ゆきちゃん」
ななこを呼ぼうとしたみゆきをつかさが制した。
「駄目だよ、そんなの」
「ですが――」
「こういう事は先生や親に相談しないほうがいいんだよ」
いつもおっとりとした口調のつかさは、この時だけは強く諌めるようにみゆきを諭した。
「どうしてですか? 第三者の介入があってこそ解決するのではないですか?」
一方でみゆきは、年長の者を絶対と捉えている節がある。
子の悩みは親が、生徒の問題は教師が解決するものと思っている。
「そんな事したら、告げ口したって言われてもっと酷いことされるよ」
ななこは頼りになる担任だが、彼女は直情的すぎる。
みゆきに任せて相談など持ちかければ、明日の朝、
『こん中で泉いじめた奴は正直に言え』
ホームルームでこう言いかねない。
もしそれでも誰も名乗り出なければ、
『泉、お前をいじめたんはどいつや? ウチがシメたるから、遠慮せんと言い』
ここまで言ってしまうかもしれない。
そうなったら何もかも手遅れになる。
「こなた……」
どう声をかけてやればいいか分からないかがみは、沈痛な面持ちのこなたを見下ろすしかできなかった。
重苦しい沈黙の後、誰からともなしに学校を出ようという声が出て4人は下校した。
カラオケに行くこともゲーセンに寄ることもしなかった。
誰もそんな気分にはなれない。
あんな物を見てしまった後では元気付けに繁華街に向かうこともできない。
結局その日はほとんど会話らしい会話もせず、4人は暗い表情のまま帰路についた。


 帰宅したつかさは自分の部屋ではなくかがみの部屋に入った。
遠慮がちに鞄を置く。
「どうしたらいいと思う?」
2人はほとんど同時に問いかけ、バツ悪そうに俯いた。
あんなこなたは今まで見たことがない。
落ち込むことはあっても、それは深夜アニメが野球の延長で潰された程度であって、決して深刻なものではなかった。
「お姉ちゃんはどう? やっぱり先生に相談したほうがいいと思う?」
つかさが消え入りそうな声で訊ねる。
少し前に同じ提案をしたみゆきを強く諌めたものの、かといって代案が思い浮かばないつかさは歯痒い想いをした。
このまま何も対策が出てこないようであれば、やはりみゆきの言うようにななこに相談するしかない。
「私は……」
かがみは返答に窮した。
いじめた経験もいじめられた経験もないかがみには、これが一番だと言い切れる案は浮かばない。
だが新聞等の報道やNHKの悩みを抱える学生たちの座談会を幾度となく観てきた彼女は、
親や教師に相談することがどれほど勇気の要る行為か、またどのような結果を伴うかもある程度知っている。
ななこが上手く対応してくれればいいが、もし失敗したら密告したとしてこなたはさらにいじめられる。
仮にななこの手腕云々を抜きにしても……。
かがみは自分とこなたを置き換えてみた。
もし自分がいじめに遭っていたら……やはり親や担任には相談しないだろう。
「先生に言うのはまだしないほうがいいと思う」
考えた末のかがみの答えに、つかさはパッと明るい顔になる。
自分と同じ意見だったことが嬉しいようだ。
508死にいたる隘路4:2008/11/12(水) 21:17:19 ID:1FMvBI3X
しかし”まだ”という付け足しがある以上、代案がなければいずれは教師に相談することになる。
「なんでこなたが……」
かがみは難しい顔で唸った。
普通、いじめは運動が苦手だったり学力が低かったり、あるいは性格の暗い生徒がよく標的にされる。
程度の差はあれ、何かしら劣っている点を持っている者が狙われるのはいじめの典型だ。
少なくともかがみが知っているこなたは、そのどれにも当てはまらない。
成績はどうあれ、社交性もあるし運動も得意だ。
「たぶん……」
つかさが申し訳なさそうに言った。
「その……こなちゃんの趣味のせい……だからじゃないかな?」
「趣味ってあれか? ゲームとかアニメとか?」
「う、うん。ほら、ちょっと前に同人誌持ってきたことあったでしょ?」
というつかさの言葉に、かがみは少し考えて、
「そういえばあったわね。あれは流石に私も恥ずかしかったわ」
あまり思い出したくない記憶の一部を引きずりだした。
「ああいうのが、その……いじめられる理由なんじゃないかなって――」
「じゃあこなたが悪いってこと?」
かがみはやや強い口調でつかさに問うた。
「そうじゃないけど……」
と答える声は弱々しい。
つかさにしても確信を持っての発言ではなかったが、思い当たる理由はそれくらいしかない。
「いじめが許される理由なんてあると思うか?」
かがみは拳を握った。
たしかに気に食わない人間というのは必ずいる。
性格が合わない、趣味が合わない。そうした相性の悪さが嫌悪や憎しみに変わることもある。
しかしそれはあくまで個人間の見解の相違だ。
集団がひとりを虐げるなど、どんな理由、どんなキッカケがあっても許されるものではない。
「私、できるだけこなちゃの近くにいるようにするよ」
今のところ、できるのはそれくらいしかない。
「ゆきちゃんとも。3人もいれば何もされないと思うし」
「つかさ――」
自然とかがみはつかさの手を握っていた。
不安はあった。
つかさが面倒に巻き込まれるのを嫌って、こなたと距離を置きたいなどと言い出さないか。
そこまで言わなくとも、いじめについて消極的にならないかという懸念。
「ありがとう」
何故かかがみが礼を言った。


509JEDI_tkms1984:2008/11/12(水) 21:19:54 ID:1FMvBI3X
 短いですがキリがよいので今日はここまでにします。
それではまた明日。
510名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/12(水) 22:19:41 ID:WZpwzCy4
>>509
明日も楽しみです
511名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/12(水) 22:47:32 ID:o0vGeqF1
最近JEDIさんのSSのタイトルが読めん
512名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/12(水) 23:45:52 ID:p3Y422Ax
キルケゴールか。
513名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/12(水) 23:53:34 ID:Bldyh7B4
>>509
おつかれさまです。続き楽しみにしてます。
514名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/13(木) 01:44:51 ID:MjzvBucM
>>509
乙ー
いじめ好き?
>>511
あいろ
くらい読もうぜ。
515名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/13(木) 11:05:09 ID:FsoMzpq7
追い詰められるこなた
516JEDI_tkms1984:2008/11/13(木) 21:32:47 ID:kaLEK5bc
 皆さん、こんばんは。
本日分の投下をいたします。
517死にいたる隘路5:2008/11/13(木) 21:34:01 ID:kaLEK5bc
 2週間続いたこなたいじめは、未だ収まる気配を見せない。
クラスメートは彼女を完全に無視していたし、私物への悪質ないたずらも続いていた。
教師に見えないように、陰でこそこそと。
折られた鉛筆の数、無くなった消しゴムの数、駄目にしたノートの数……。
数え上げればキリがない。
被害が比較的少額であることがこなたにとって不幸中の幸いである。
(…………!?)
黒板の見にくい字を写している途中、こなたは微弱な振動を感じた。
メールだ。
担当教師に見つからないように携帯を開く。

”良い方法思いついたよ”

つかさからだった。
授業中の送信だから文章も簡潔で素っ気ない。
(良い方法……?)
何に関することは分かっている。
こなたがいま置かれている状況を、少しでも好転させる発案なのだろう。
短い文章を見て、こなたは心が和らぐのを感じた。
(授業、早く終わらないかな)
その後、20分ほど続いた授業内容は、こなたの頭にほとんど入らなかった。

「こなちゃん、メール見た?」
チャイムが鳴ると、すぐにつかさが駆けてくる。
「何か良い方法を思いついたようで――」
つかさは同時にみゆきとかがみにも送信していたようだ。
やや遅れて隣のクラスからかがみもやって来る。
「うん、あのね……」
メンバーが揃ったところで円陣を組み、つかさはひそひそと話し始めた。
以前から気になっていたこと。
昼休みの過ごし方だ。
いわば敵だらけの教室の中、昼食をとるのに1時間も座っているこなたは苦痛だ。
できれば外に出たい。
しかし席を離れれば、私物に何をされるか分からない。
その不安があってこなたは教室を出ることをしなかった。
つかさやみゆき、わざわざかがみも来てくれるから気分的にはいくらか楽ではあったが――。
「だからね、交代でここにいたらどうかなって」
興奮気味につかさが言った。
彼女の案はつまり、2人がこの教室に残り、もう1人とこなたが外で食事をするというものだ。
これなら2人がこなたの荷物を見張れるし、彼女も息の詰まる教室から出ることができる。
言われてみれば単純だが大胆な作戦だ。
「でもそれですと、4人一緒にいることはできなくなりますね」
一度は顔をほころばせたみゆきだったが、別れ別れになる点に気づきふっと視線を落とす。
「私は名案だと思うわ。そりゃ一緒にいられないのは残念だけど、こなたにとってはそっちの方が――」
いいに決まってる、と言いかけてかがみは口を噤んだ。
最終的にどうするかはこなたが決めることだ。
「どうかな、こなちゃん?」
「…………」
つかさに問われてこなたは俯いた。
「泉さん?」
「…………みんな、ごめんね」
沈黙の後にこなたが発した言葉は、賛成でも反対でもなく謝罪だった。
つかさは困ったような顔をかがみに向ける。
518死にいたる隘路6:2008/11/13(木) 21:35:14 ID:kaLEK5bc
「私なんかのために……みんなに迷惑かけて……」
ぽろぽろと涙がこぼれる。
「な、なんで泣いてんのよ?」
かがみが慌ててこなたの顔を覗き込む。
嬉しいから流した涙なのか、悲しいから流した涙なのか分からなかった。
少なくともつかさの出した案は、こなたにとっては喜ばしい奇策だったハズだ。
泣くような場面ではない。
「迷惑なんて思ってないよ」
つかさが母親のような口調で言った。
彼女がそう言っても、こなたは俯いたままだった。
「で、ではつかささんの仰るとおりやってみましょうか。とりあえず1週間だけでも」
いつまでも落涙するこなたと、それを宥めるつかさとかがみ。
何となく居心地が悪くなったみゆきは、ひとまず場を収めることにした。
同時に彼女は、自分もつかさのようにこなたの為に何かをしたいと強く思うようになった。
いま必要なのは聞き手を感心させる知識ではない。
こなたを救うための知恵だ。


「今日は私たちが残るね」
初日は発案者であるつかさとみゆきが残ることにした。
2人なら自分の教室で食べることも何ら不自然ではない。
「じゃあお願い。明日は私とみゆきね。こなた、どこ行く?」
弁当箱を持ってかがみがこなたの手を引いた。
こなたは後ろ髪を引かれる想いでかがみについて行く。
その途中で、
「屋上」
ぼそりと呟いた。
それをちゃんと聞いていたかがみは、返事こそしなかったものの屋上へと廊下を進む。
扉を開けると強い日差しが飛び込んでくる。
2人は思わず目を閉じた。
普段、校舎の中にいては空や日光はあまり意識しない。
そもそも滅多に屋上には上がらないから、そこから広がる景色は新鮮に思えた。
「あのへんにしよっか」
かがみがベンチを指さす。
へりをぐるりと囲むように配置されたベンチには、先客が何人かいる。
かがみはそれらからできるだけ離れるように、周りに人がいないベンチに腰をおろした。
こなたもその横にちょこんと座る。
彼女は場所を変えても食べるものは同じだ。
布袋に入ったチョココロネ。今日は贅沢に大きめのコロネ2つだ。
「あんた、そんなんで栄養足りるのか?」
まともに食事しているのを見たことがないかがみは、呆れたように言った。
「糖分さえあれば人間は生きていけるからね」
解放感からか、こなたの口調に以前のような明るさが出てきた。
「糖分摂りすぎだろ」
今度は苦笑混じりにそう返し、卵焼きを頬張る。
晴天の下、わずかに湿り気を帯びた風が吹いてくる。
「そういえば、あんたさ……」
つかさが作った野菜炒めを味わいながら、
「最近アニメとか観てないのか?」
かがみが何気なく振った話題に、こなたの顔つきが変わった。
視線を落ち着きなく彷徨わせている。
その話に乗りたいが、なぜか躊躇われるような――。
困ったような表情を浮かべていた。
かがみがこう訊ねたのは、ここしばらくこなたがその手の話を全くしなくなったからだ。
以前は通じていないのもお構いなしにコアな話を振りまいていたものだ。
「うん、ここしばらく観てないかな」
「なんで?」
あんたからアニメを取ったら何もなくなるじゃないか、と言いたげにかがみが問うた。
「……あんまり面白くないから」
嘘だ、とかがみは思った。
519死にいたる隘路7:2008/11/13(木) 21:36:35 ID:kaLEK5bc
今のこなたは面白い作品を観ても面白いと思えないだけだ。
「そういう趣味のせいでいじめられてると思ってるんじゃないだろうな?」
言ってから、”いじめ”という言葉は出すべきではなかったとかがみは悔いた。
せめてもう少し婉曲な表現にしておけばよかった。
「…………」
こなたは何も答えない。
その反応こそが明確な答えだと感じたかがみは咳払いをひとつして、
「あのなあ……そんなわけないだろ? アニメやらゲームやらが好きなだけで普通、責められるか?」
口調こそ呆れたようではあるが、優しく諭すように語りかける。
「世の中にあんた以上のオタクがどれだけいるんだよ。その人たち全員がいじめに遭うのか?」
「…………」
「違うだろ? だからあんたは今までどおりのあんたでいいのよ。アニメばかり観てるこなたでいいのよ。
宿題もロクにやらない、徹夜でネトゲするグータラでどうしようもないあんたでいいわけよ」
「……なんかさりげなく酷いこと言ってない?」
励まされているのか貶されているのかよく分からないこなたは、曖昧な表情をかがみに向けた。
強引な論理だが、もちろんこれはこなたを鼓舞するためだ。
「ほんとはさ……」
不意にこなたが声を落として言った。
「前にもあったんだ。こういうこと」
「えっ――?」
「こんな感じじゃないけどね。クラス全員に無視されてた時期があったんだ」
コロネをちびちびと食べながら、こなたは過去の出来事を簡単に話した。





 小学生当時のこなたは、周囲に比べて幼すぎる体躯を理由にいじめられていた。
その頃は勉強もスポーツもそこそこにできており、社交性もきちんと備えていた。
仲の良い友だちは確かにいたのだが、いじめがキッカケでその友だちも次第に離れていく。
ただ、こなたが受けてきた苦痛はそれほど深刻なものではなかった。
背が低いことを執拗に揶揄(からか)われる程度のものだ。
暴力を受けたわけでもないし、物を隠されたり壊されたりもしていない。
悪ふざけの延長、と言ってもまだ許されるかもしれない。
その事実を知ったそうじろうは、こなたに護身術としての格闘技を習わせた。
片親だからと馬鹿にされないように、という父親のプライドもかけていたようだ。
事態が深刻になってきたのは中学に上がった時だった。
あちこちの校区から集まってくる生徒の中に、小学校低学年のようなこなた。
風紀の悪い小学校からやって来た、気の強い女子たちはさっそく彼女を標的にした。
やっている事は変わらない。低劣な揶揄だ。
こなたも必死に抗うが、その様が面白いのかいじめっ子はさらに集まってちょっかいを出すようになった。
それが徐々にエスカレートし、万引きを強要したり、金を持って来いと脅すようになってくる。
リーダー格の大柄な女子が、こなたの胸倉を掴んだ時。
それまで我慢していたこなたもついに堪えかね、その腕をとってひねり上げた。
「いい加減にしてよ! 小っちゃいからって馬鹿にしないで!」
いじめっ子が痛みに悲鳴を上げる。
「もうしないって約束して。そしたら離してあげる」
「わ、分かったから……!!」
その言葉を約束だと判断したこなたは、パッと手を離した。
いじめっ子が恨みがましい目で睨みつける。
敵意の視線をはねのけて、こなたは勝ったと思った。
初めていじめっ子に仕返しできたという感動もあった。
これで酷い目に遭わされずに済むという安心感も。
だが……現実はそこまで甘くはなかった。
次の日から、こなたは誰とも話せなくなった。
おそらくリーダー格のあの女子が手を回したのだろう。
クラスの全員がこなたを無視するようになった。
陰湿な女子だけでなく、性格的には女子に比べてさっぱりしている男子でさえ。
目を合わすと逸らされる。
そのくせ集団になるとヒソヒソと何かを話しながら、こなたを蔑むように見る。
520死にいたる隘路8:2008/11/13(木) 21:38:08 ID:kaLEK5bc
友だちらしい友だちもできず、1年生の中頃から卒業までずっとその調子だった。
こうなるとせっかく習った格闘技も何の役にも立たない。
唯一、学校で会話するとすればそれは担任か、逃げるように駆け込んだ保健室にいた校医くらいだ。
体育の授業も、校外学習も、3泊4日の修学旅行も。
こなたはずっと独りで過ごした。





「ま、まあ、直接何かされたわけじゃないし! そんなに苦じゃなかったよ?」
かがみが瞳を潤ませているのに気付き、こなたは慌てて取り繕うに笑った。
「知らなかった……っていうか、なんで黙ってたのよ?」
いつも勝気な割に、意外と涙もろいかがみが声を震わせた。
普段のこなたならこういう時、すぐにツンデレだと茶化すところだが、
「わざわざ言うような話じゃないし――」
彼女にしてはしおらしく、その後に”恥ずかしいから”と付け足した。
(………………)
恥ずかしい、という感覚はかがみにも理解できた。
いじめられた過去は言うまでもなく汚点だ。
もちろんこなたには何の非もないが、だからといって自慢できるようなことではない。
親や教師に打ち明けられないのと同じように、同い年の同性にもやはり話せない。
(たぶん私でもそうしただろうな)
今さらながら、こなたの強さに気付く。
そういう過去を微塵も感じさせず、底抜けに明るいオタクを演じていたのだと思うと。
一度は抑えた波がまた流れてくる。
「本当はさ――」
かがみの心境を悟っているのかいないのか、こなたは自分の趣味についても話した。
もともとはアニメにもゲームにもほとんど興味がなかったという。
暇つぶしに興じることはあっても、今のように生活の大部分を占めるほどのめり込んではいなかった。
いわゆるオタクと呼ばれるようになったのは、クラスから無視されるようになってからだ。
一部の教師と親くらいしか話し相手のいないこなたは、孤独感を紛らすためにアニメを観た。
等身大の主人公には彼女のような空虚な心の持ち主ならすぐに感情移入できる。
時には魔法少女に、時には恋愛アニメのヒロイン、時には国の威信を懸けて戦う兵士に。
作品ごとの色に合わせて、こなたは主人公と同化した。
次にハマッたのがテレビゲームだった。
戦略SLGやスポーツ系ではなく、人間味の溢れる恋愛ゲームを好んで遊んだ。
地の文は適当に流し、キャラの台詞にだけ耳を傾ける。
甘酸っぱい告白も、トゲのある言葉もこなたにとっては心地よかった。
常にこちらを向いている画面上のキャラが、あたかも自分に話しかけているような錯覚に陥る。
その錯覚を味わいたくて、こなたはゲームに没頭した。
格闘技の経験もあってか、格闘ゲームもそれなりに楽しめた。
自分のキャラが勝てばすっきりするし、負ければ悔しいから必死に練習する。
ゲームやアニメはこなたにとって生き甲斐でもあったし、生活を充実させる唯一の娯楽でもあった。
「つかさやみゆきさんには黙っててよ。なんか恥ずかしいからさ」
そう言われた瞬間、かがみは不思議な空間に投げ出されたような気分になった。
いつも4人一緒にいるのだから、できれば隠し事はしたくないというのがかがみの本音だ。
しかし内容が内容だけに軽々しく口外するべきではないことも分かる。
いじめの体験を打ち明けるのは、こなたにとっては勇気のいる行為であっただろう。
ましてや訊かれてもいないのに、自ら告白するには――。
どれほどの度胸と羞恥心が伴うだろうか。
(………………)
かがみは無意識のうちに目の前の少女を抱いていた。
「ぁ……かが……み……?」
突然の抱擁に息苦しさを覚えたこなたは、しかしそれから逃れようとはしない。
じかに伝わってくるかがみの体温が優しく、包み込むように自分を守ってくれているようだった。
「なんで……なんで言わないのよ……」
つかさにもみゆきにも黙っていて欲しいという辛辣な過去。
それを自分だけに打ち明けてくれたことが嬉しかった。
頼りにされているのだと実感できる。
521死にいたる隘路9:2008/11/13(木) 21:38:51 ID:kaLEK5bc
つかさといる時間が永すぎたかがみは、いつの間にか頼られることに喜びを感じるようになった。
口では突き放すようなことを言っても、べったりと甘えてくる妹を放ってはおけない。
つかさを守れるのは私だけだ。つかさには私がいないと駄目なんだ。
そう思うようになった。
だからこそ、友人である以外に何の関係もない他人――こなたに信頼されているのだと。
強く感じることができて嬉しいし、何としてでも彼女を救ってやりたいという使命感も生まれる。
「分かった。私が……じゃなくて私たちが何とかするから」
視線を感じる。
同じく屋上で昼食をとる他の生徒たちからの奇異の目だ。
こんな真昼から女子が抱き合っている姿を見れば、誰だってそういう想像をするに違いない。
かがみはそれでも構わなかった。
言いたい奴には言わせておけばいい。
こなたの受ける苦痛に比べれば、あらぬ疑いを持たれることなど軽いものだ。

 昼休みを5分残し、ほどよい満腹感と満足感で教室に戻る。
どうだった? というかがみの無言の問いかけに、つかさは指でマルを作った。
2人はわざわざこなたの席で弁当を食べたようだ。
こうすれば監視もできるし、連中もより近づきにくくなる。
それにつかさと向かい合わせに座ることで教室中を見渡すこともできる。
これを提案したのはみゆきだった。
「ありがとう」
消え入りそうな声でこなたがそう呟いた時、チャイムが鳴った。
後ろ髪を引かれるような想いでかがみが教室を出ていく。
「私たちがついてるから大丈夫」
その後ろ姿に向かって、つかさがかがみにだけ聞こえるように言った。

522JEDI_tkms1984:2008/11/13(木) 21:43:43 ID:kaLEK5bc
 今日の分は以上です。

>>514

特に好きというわけではないですが、これが題材だと描きやすいですね。
僕自身の投影もありますが、いじめられっ子の心理描写には多少の自信があります。
523名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/13(木) 21:48:52 ID:dIT0zaeR
>>522
GJ
人間誰しも苦い経験は持つものよ
524名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/13(木) 23:19:20 ID:4q06rSZA
>>522

確かにリアルだわ
525名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/14(金) 02:26:58 ID:eNrq0zcK
>>483
あの泣き顔最高すぎる。
アラバマ、このスレから完全に足を洗う事はできなかったみたいだなw
526名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/14(金) 04:26:53 ID:cg9XTDh3
10点献上しました^^
527名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/14(金) 13:47:12 ID:B4+OGwYs
>>525
このスレ嫌い発言してるがな
528名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/14(金) 14:36:33 ID:RmqUi51a
こなた×かがみ でグーグルトップページか
このまま行けば、間違いなくアラバマはらき☆すた二次界の頂点クラスに君臨する事になるよなぁ

頂点に君臨したところで、ここでの過去の所業晒してあげたい^^
今から楽しみだぜ
529名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/14(金) 15:00:48 ID:2JQSH2LR
>>527
うそだろ?
ソースがないことには信じられん
530名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/14(金) 16:08:50 ID:Q7Z2KH6T
こなた「何が一番痛みを感じない自殺方法かな」
531名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/14(金) 16:44:45 ID:YglxsoxA
>>527
ずっとあのブログROMってるが、そんなの見たことないぞ。
つかさの需要は無いと書いてたけど・・・。
532名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/14(金) 18:57:23 ID:qWJJPAc0
>>530
睡眠薬+リスカ
硫化水素によるキックダウン
533名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/14(金) 19:34:03 ID:hllqYnOh
ずっと疑問に思ってたが今ならpixivヲチスレがおすすめちゃんねるに入ってるのにも納得がいく
534JEDI_tkms1984:2008/11/14(金) 21:06:27 ID:E+mC+BY/
 皆さん、こんばんは。
早速ですが本日分を投稿します。
535死にいたる隘路10:2008/11/14(金) 21:08:14 ID:E+mC+BY/
 翌日。
つかさもみゆきも、教室に足を踏み入れた瞬間に感じた寒気。
クラス中の突き刺さるような視線。
「つ、つかささん……」
不安げにみゆきが声をかける。
彼女は何も答えずに自分の席に向かい――。
机の中に大量の紙屑が入っているのを見つけた。
(やっぱり…………)
青ざめた顔のみゆきや、少し元気を取り戻したもののまだ憔悴している様子のこなたと違って。
つかさはこうなることを覚悟していた。
これまで通りにこなたに話しかけたり、これまで以上にこなたを庇護するような態度をとればどうなるか。
つかさはよく知っている。
彼女が小学生だった頃にも同じことがあったからだ。
残念と言うべきか幸いと言うべきか、彼女自身は当事者ではなかった。
ある意味では最も卑怯な、傍観者の立場であった。
クラスのある男子がいじめられているのをずっと見ていた。
だんだんとエスカレートしていく陰湿な責め。
見かねた別の男子が彼を庇ったのだ。
内気でケンカなど到底できなさそうな大人しい子が、いじめっ子に掴みかかったのだ。
その瞬間だけはつかさも胸がすく想いだった。
しかし今度はその助けた側がいじめられる。
助けられた方はいじめられる苦痛を知っているから、恩を返そうとはしない。
結局、身代わりになった子は卒業を待たずに遠くへ転校してしまった。
いつも違うクラス割になるかがみはその事は知らない。
自分が最後まで傍観者だった後ろめたさもあって、何でも話す仲のかがみにすら何ひとつ話さなかった。
(あの時は何もできなかったけど)
つかさはぐっと拳を握った。
見て見ぬふりはもうしたくない。
姉もいるし、みゆきもいる。
団結して毅然と立ち向かえば、きっと救われる。
「ゆきちゃん、机、よく見ておいたほうがいいよ。あと椅子も」
言われてみゆきはよく分からない顔で確認する。
「……特に何も――」
と言いかけたところで、彼女も異変に気付いたようだ。
シュレッダーにかけられたような千切れた紙片が押し込まれている。
基本的にみゆきは私物を全て持ち帰るから、本来ならこうして何かが入っていること自体があり得ない。
すっかり怯えたようなみゆきと、何かを決意したように唇を噛むつかさを見て――。
こなたは胸を締めつけられるような息苦しさを覚えた。
「それってマジ?」
「間違いないって。だって私、見たんだもん」
ひそひそと、明らかに自分たちに意識を向けての話し声が聞こえる。
「うっそ! 抱き合ってたの!?」
「ほんとなんだってば。もうビックリしたわよ」
「やだ、それってレズじゃん? っていうか、キモくない?」
「やっぱり普通とは違うんじゃないの? ああいう連中って――」
侮蔑混じりの笑い声が高く低く響く。
心当たりのあるこなたは逃げ出したくなった。
(きっと昨日のだ。かがみと……)
あの時、屋上には何人かの姿があったが、その中にこのクラスの生徒がいたということになる。
「おら、いつまで喋っとんや。とっくにチャイム鳴ったで」
昨夜はネトゲにどっぷり漬かったのか、寝不足気味のななこが苛立たしげに教卓を叩いた。
「ん? なんや、泉。どないかしたんか?」
顔面蒼白のこなたを見て、ななこが訝る。
「いえ、なんでもないです――」
こなたは震えを必死に抑えて言った。

536死にいたる隘路11:2008/11/14(金) 21:09:21 ID:E+mC+BY/
 孤独という言葉にある”独”の字は、ひとりであることを表すが、ここには3人のひとりがいる。
一見すると賑やかでまとまりあるように感じるB組。
だが実際は圧倒的多数と特定の集まりが作る、殺気立った雰囲気があった。
つかさにしてもみゆきにしても、これまではクラスメートとの適度な付き合いがあった。
大半は4人で過ごしていたが、だからとっていつも同じメンバーというわけではない。
委員会、行事、その他ちょっとしたキッカケで誰とでも会話できていた。
今はそれもできなくなった。
「…………」
つかさの机の中に、ほとんど毎日のように放り込まれるゴミ。
みゆきの机の上に、消しても消しても書かれる罵詈讒謗。
こなたにはこの2人が味方についてくれたが、こなたの苦痛が3分の1になったわけではない。
痛みの程度は同じ――むしろつかさたちが巻き込まれる形となったために余計に心が痛む。
ズタズタにされた鞄よりも、使えなくなった筆記具よりも。
2人の心が蹂躙されていることのほうがずっとつらかった。
身の回りに何かある度に、つかさは自分を励ますように笑顔を作った。
みゆきは青くなった顔で俯き、しかし決して取り乱したりせずに耐えた。
「ね、ねえ、つかさ……」
こなたがすまなそうに声をかけようとしたところを、
「こなちゃんは何も気にしなくていいから」
精一杯の強がりを言ってみせる。
(そんなわけにはいかないよ……)
百歩譲ってつかさがそれで良かったとしても、みゆきはどうなのだろう。
みゆきは以前から先生に相談したがっていた。
当事者がどうこうできるレベルの問題ではない。大人の力を借りるべきだと。
みゆきがそう言うたびに、つかさがそのやり方では駄目だと窘めた。
そっと本人に気付かれないようにこなたはみゆきに目を向けた。
彼女は黙々と机いっぱいの落書きを消していた。
油性ペンで書かれた悪口雑言はなかなか落ちない。
俯いたみゆきからは感情どころか表情すら読み取れない。
クスクス、と厭らしい笑い声が四方から聞こえてきた。
嘲りに侮蔑に優越感に。
注がれる者の精神を粉々に打ち砕く負の感情を、笑い声に乗せて運んでくる。
「ほんっと、オタクってキモいよな〜」
「なんか四六時中アニメの話ばっかしてるしさ」
「こないだ電車待ってたら、よく分からない技の名前みたいなの叫んでた奴いたわよ」
「私も見たことある! 気持ち悪いポーズとってさ。ああいう奴って声デカイのよね」
「このクラスにもいるけどね。そういう奴が」
「あとそれにくっついてるのも」
聞こえよがしに数人が嘲笑う。
こうなると女子も男子も関係ない。
性別による性格の違いや偏りは統計的にまとめられただけであって、実際は画一的なデータに当てはめられない。
ネチネチといたぶるように囁かれる口撃は、誰が発しても同質のものだ。
(もういい……もういいよ……)
こなたの目にじわりと涙が浮かんだ。
が、それを必死に堪える。
泣いては駄目だ。
泣いたらあいつらがつけ上がる。
(なんでこんな事になるんだろ……アニメもゲームもやめたのに……)
生活の大半を占める趣味を、こなたはこの1週間でほぼ完全に断ち切った。
それがいじめられる原因だと分かっていたからだ。
つかさやみゆき、かがみに迷惑をかけている原因だと自覚していてからだ。
深夜アニメの録り溜めはまだ続けている。
密かに積みゲーの消化もしている。
だが――そのテの話題は学校ではしなくなった。
自分がオタクであることを外では隠すようになった。
かがみはあんたらしくないと怒ったが、その言葉を鵜呑みにしてはいけないと分かっている。
それでは逆戻りだ。
今はこうして……。
3人に迷惑をかけながら。
原因となったオタクと決別し、嵐が過ぎ去るのを待てばいい。
537死にいたる隘路12:2008/11/14(金) 21:11:03 ID:E+mC+BY/


「あんたたちさあ、どういうつもりよ?」
授業が終わり、こなたがたまたまトイレに席を立った瞬間を見計らって。
クラスの女子数名がつかさたちを取り囲んだ。
「私たちに逆らうなんて何様のつもり!?」
校則で禁止されているピアスを見せびらかすように、ひとりが髪をかきあげた。
7人近い取り巻きがみゆきに詰め寄る。
「あんたも! 委員長だからって調子に乗るんじゃないわよ!」
「わ、私は別に……!」
理不尽な責め立てにみゆきが思わず立ち上がる。
みゆきは何かにつけ”委員長だから”と昔から言われてきた。
なまじ品行方正で優等生だっただけに、中学の頃からそういう役を担ってきた。
が、それは立候補ではなく、他薦という名の押しつけでしかなかった。
”高良さんは優秀だから”
陳腐な接頭語にそう持って来て面倒な役柄を巧みになすりつける。
当初は頼りにされているという心地よさはあった。
クラスをまとめるために頑張ろうという意欲もあった。
今はもうない。
自分たちが面倒だから委員長を押しつけたくせに、今度は”委員長だからと調子に乗るな”?
ふざけすぎている。
「間違っているのはあなたたちですよ!?」
自分でも驚くほどの大声をあげていた。
「泉さんがあなたたちに何をしたんですか? どんな迷惑をかけたというんですか?」
「ゆきちゃん……」
いつになく強い調子のみゆきに励まされたように、
「そうだよ! こなちゃんに謝ってよ!」
つかさも立ち上がった。
多勢に無勢。
だが主張の正しさはつかさたちにある。
「はぁっ!? 図に乗ってんじゃねーよ!」
取り巻きの1人がつかさの襟首を掴んだ。
「ちょっと、あんたたち! 何やってんのよ!!」
「あ、お姉ちゃん――」
かがみが間に割って入り、つかさを背後に立ち塞がった。
「なんだよ? お前は関係ないだろ? どっか行けよ」
「関係あるわよ。つかさは私の妹なんだから。それよりさっき何しようとしてたのよ」
大勢を前にかがみは一歩も退かない。
大切な妹を守ろうと必死だ。
「何って、こいつらが泉の肩持つからちょっと教えてやろうと思ったのよ」
「教えるって何をよ?」
「私たちに逆らったらどーなるか、に決まってんじゃん」
数で有利なのを恃みにしてか、取り巻きがくすくすと笑いながら言った。
冷たいものを感じてみゆきが周囲を見回した。
教室のあちらこちらにできている小さな人の群れ。
いくつものグループが自分たちをじっと見ている。
成り行きを見守っているというより、自分たちの惨めさを嗤っているようだった。
(泉さんの味方は私たちしかいないのでしょうか……)
誰ひとり手を差し伸べてくれる者はいない。
そういう冷たすぎる状況がいじめを助長させると分かってはいても、みゆきにはどうすることもできない。
「こなたがあんたたちに何かしたのか? 仮にやったとしても、こんな卑怯なやり方が許されると思うか?」
かがみはみゆきと同じことを言った。
「ムカツクんだよ、あいつ見てると。変な本持ってきたり、キモい話ばっかりしたり。マジでウザいんだよ」
「そーそー、萌え〜とか言っちゃってさ。ほんっとキモいよね」
いじめっ子たちは揃って笑う。
「そんなの理由にならないよ!」
つかさが叫んだ。
「そんな理由でいじめるなんておかしいよ! みんないろんな趣味持ってるんだよ!?
なんでこなちゃんだけそんな風に言うの!?」
つかさは泣いていた。
538死にいたる隘路13:2008/11/14(金) 21:12:26 ID:E+mC+BY/
彼女の趣味は料理だが、そのことで揶揄(からか)われたことは一度もない。
同じようにアニメやゲームを趣味に持つこなたが、責められる理由なんてどこにもないのだ。
「なにこいつ……急に泣き出して馬鹿みたい」
つかさの涙に毒気を抜かれたか、女子たちは呆れたようにその場を離れて行った。
絶妙なタイミングだ。
休み時間はもうすぐ終わる。
こうして揉めているところを先生に見られないように、女子たちは引き際を見極めていた。
「つかささん、大丈夫ですか?」
呼吸を落ち着けてみゆきが声をかける。
ねぎらいにつかさは、
「う、うん、大丈夫。さっきのゆきちゃん、カッコ良かったよ」
ぎこちない笑顔で答えた。
「え、なに? みゆき、何て言ったの?」
後からやって来たかがみは、みゆきの勇姿を見ていない。
「いえ、別に大したことは――」
「ゆきちゃんね、お姉ちゃんと同じこと言ったんだよ。こなちゃんは何もしてないのにって」
(みゆきが……?)
普段のみゆきからは強い口調で主張する姿が想像できない。
ただ、間違ったことを嫌う真っ直ぐな性格であることは、この一件からもよく分かった。
「みゆき」
「……はい?」
微妙な間をおいてかがみは、
「ありがと。つかさのこと守ってくれて」
ちょっと頬を赤らめて言った。
その時の様子は見ていないが、想像はつく。
きっと彼女はこなただけでなく、つかさも守るために毅然とした態度で立ち向かったのだろうと。
いざとなったら一番強いのは、案外みゆきなのかも知れない。
かがみは思った。
「そんな……お友だちではありませんか」
かがみが恥ずかしいのを堪えてようやく出した感謝の言葉を、みゆきはいとも簡単に受け流した。
”友だちだから”
かがみにはそんな恥ずかしい言葉、数年かかっても吐けないに違いない。
(みゆきには敵わないわね)
物腰の柔らかい博学のお嬢様が、かがみには誰よりも頼もしく思えた。

539死にいたる隘路14:2008/11/14(金) 21:15:41 ID:E+mC+BY/
 今日はつかさの番だ。
教室にはかがみとみゆきが残っている。
いつも屋上で昼食をとっているこなたは、たまには中庭で食べたいと言い出した。
ここしばらくですっかり他人の目を気にするようになった彼女は、中庭の隅のベンチに腰をおろした。
「あ、今日はつかさが作ったんだね」
横に座るつかさの弁当の中は、かなり手の込んだ彩り豊かなおかずが並んでいる。
サラダから揚げ物まで内容は多岐に渡っていて、しかも栄養バランスもとれている。
とても朝が苦手な彼女が作ったものとは思えない。
「うん。前の晩から準備してたんだ」
ああ、なるほど。こなたは納得する。
冷凍物でない限り、フライの類は調理に時間がかかる。
きっとつかさの事だから、短時間で完成させる方法を心得ているのだろう。
「こなちゃんは相変わらずだね」
と、つかさが笑う。
こなたの食事はいつもこれ。
「残念。今日はチョコじゃないよ?」
だらりと垂れるカスタードクリームを舐めながらこなたが笑った。
中身は変わっても食べ方は変わらない。
(…………)
つかさは不意に目をそらした。
”チョコじゃないよ”と精一杯おどけて見せたこなたの笑顔。
石膏のように固まった表情を無理やり崩して作ったような笑顔。
その表情を見て、つかさは堪らなく悲しくなった。
こなたはこんな笑い方はしなかった。
文字通り人生を楽しんでいるような、底抜けの明るさと朗らかさがあった。
「ねぇ、こなちゃん――」
「…………?」
「もうアニメ観ないの?」
「………………」
ずっと気になっていたこと。
つかさの短い問いがこなたの心を抉る。
「なんで?」
こなたは質問に質問で返した。
「――えっと、最近そういう話しないから」
しどろもどろにつかさが答える。
そういう話をしないだけでこなたがアニメを観ていないと決め付けるのは早計だ。
「うん。なんかあんまり面白くなくなってさ」
こなたは少し嘘をついた。
今でも深夜アニメくらいはチェックしている。
ただその本数は一時期に比べて明らかに減った。
「それ、ほんと?」
「…………」
つかさが箸を置いてこなたを見つめる。
日本人という生き物は相手にじっと見つめられると、反射的に目をそらしてしまうらしい。
こなたもそうした。
「ウソなんでしょ?」
今日に限ってつかさは妙に鋭い。
だがこなたの一挙一動を見て、嘘だと見破ったわけではない。
こなたがいじめられる原因は彼女がオタクだからではないかと、つかさは以前から考えていた。
少し前、秋葉原あたりでアニメやゲームの熱狂的はファンが事件を起こした。
メイド喫茶に入り浸る男性が、勤めている1人の女性に恋をしたのが始まりだ。
女性は仕事で客に奉仕するが、その男性は自分だけに奉仕してくれているのだと勘違いしてしまう。
もちろん実際はそうではない。店員と客という関係は絶対に崩れないから、女性はどの客にも対等に接する。
しかし一度盲目になった男性は、その仕事ぶりを見て憤る。
自分だけのメイドが他の客の接待をしているのが我慢ならないらしい。
とんでもない勘違いだが、男性は自分が正しいと思い込んでいる。
やがて行われるストーキング行為。
女性は身の危険を感じて警察に助けを求めるが、事が起こらないと動かない警察の対応は遅い。
3日後、女性は自宅で殺された。
540死にいたる隘路15:2008/11/14(金) 21:16:34 ID:E+mC+BY/
妄想に妄想を重ねて攻撃的になった男性が、一向に振り向いてくれない女性を絞殺したのだ。
マスコミが早速騒ぎ出す。明らかに見る者が眉を顰めたくなるような、言動の過激なオタクを集めて。
これまた見る者に”気持ち悪い”と言わせるようなインタビューの受け答えをさせる。
こなたがいじめられるようになったのは、たしかその事件が報道された直後だ。
あの事件が一気にオタクに対するイメージを固めたのではないか。
つかさはそう思った。
それを当事者であるこなたも感じたからこそ、学校ではその種の話を一切しなくなったのではないか。
「別にいいじゃん、そんなの。それより早く食べようよ」
つかさの視線から逃れるように、こなたはコロネを口の中に押し込んだ。
自分を気遣ってくれているのだろうが、今はどうにも居心地が悪い。
つかさやみゆきには感謝してもし足りないが、せめてこういう形の質問はやめてほしいとこなたは思った。
「うん……」
無神経だったかな、とつかさは自分の軽率さを恥じた。
(………………)
何となく気まずい雰囲気になったが、数分後に鳴るチャイムによって2人は救われた。

541JEDI_tkms1984:2008/11/14(金) 21:18:18 ID:E+mC+BY/
 以上です。
だいたい3分の1が終わりました。
それではまた明日。
542名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/14(金) 21:28:53 ID:mGV3UHTn
>>541
…こなた(今回は他の3人も)が余りに可哀相だからハッピーエンドが見たいのだが…無理なんだろうなw
543名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/14(金) 23:04:50 ID:cF1CGT0u
>>541
乙です。
今までのだけでもかなりのボリュームがあるのにまだ3分の1w

つかさもみゆきも頑張ってる姿を見ていると応援したくなるけど
最後はやっぱり・・・
544名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/14(金) 23:17:34 ID:75F0BsVu
・・・・・どうせなら4人仲よく練炭自殺で綺麗に締めて頂きたい所。

苦痛の果てにあったのは希望ではなく絶望だった・・・・・って感じで。
545名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/15(土) 00:28:07 ID:2FzUyfc2
東京新聞 : キムチは最近、寄生虫卵騒ぎで不評だが、なあに、かえって免疫力がつく。
ttp://web.archive.org/web/20051127030938/http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20051124/col_____hissen__000.shtml

毎日新聞 : 寄生虫の卵 「キムチで感染したら、ラッキーかもしれない」
ttp://web.archive.org/web/20051129174618/http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/tokyo/column/news/20051119ddlk13070232000c.html

※キャッシュ 文字化けするときはエンコードをSift-JISに
546名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/15(土) 00:29:47 ID:txfnmYkY
そのつもりは無いんだろうが……
『何々してもらいたい』『多分こうなるだろうな』は程々にな

547名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/15(土) 04:12:17 ID:d3zyXzy8
>>541
548名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/15(土) 07:37:00 ID:P+RGTUUk
うわぁ駄目だ
絶対この話読んだら鬱になる…
完結して、調子がいい時にまとめで読みます
何にせよ、超乙
549JEDI_tkms1984:2008/11/15(土) 21:34:21 ID:CqN86k5h
 皆さん、こんばんは。
本日分の投下です。
550死にいたる隘路16:2008/11/15(土) 21:35:35 ID:CqN86k5h
 明くる日の昼休み。
いつものように弁当箱を持って教室を出ようとしたかがみを、
「なあ、柊」
珍しく真剣な口調でみさおが呼び止めた。
「……なに?」
B組に急ぎたいかがみは、つい突慳貪にそう答えてしまう。
投げやりな言い方にみさおはムッとしたがすぐに気を取り直し、
「今日もチビッ子んとこ行くのか?」
表情にやや怒気を含ませて問う。
その言葉にかがみは向きなおった。
「決まってるでしょ」
分かってることを訊くな、と言わんばかりにかがみもまた怒気を露わにする。
(柊はB組じゃなくてチビッ子のところに行くんだな)
みさおは一瞬だけ困った顔をすると、これから短距離走でもするかのような真剣な眼差しで、
「ちゃんと考えてんのかよ?」
まるでケンカを売るような口調で詰め寄る。
「…………!!」
馬鹿にされたような言葉にカチンときたかがみは、しかし言い争っても仕方ないと怒りを抑える。
何も知らないくせに。
こなたがどんな目に遭ってるかなんて全然知らないくせに。
偉そうな口を叩くな、と言ってやりたかった。
「違うのよ、柊ちゃん。みさちゃんは――」
かがみの表情から考えを読み取ったあやのが、おずおずと間に入ってきた。
「何が違うのよ?」
今度はみさおの肩を持つあやのにきつく当たってしまう。
ここで憤っても何もならない。
怒りをぶつけるならそれはこなたをいじめた者に対してすべきで、この2人は長年の友人だ。
わざわざ関係を壊すような真似はしたくない。
「みさちゃんは心配してるのよ。もちろん私も」
(心配? こなたの……?)
かがみはハッとなってみさおを見た。
彼女はやはり怒っているようだが、誰かを想っての怒りだとすぐに分かった。
「――妹のことだよ」
みさおが吐き捨てるように言った。
「つかさ……?」
かがみの呟きにあやのが頷く。
「柊の妹、いじめに遭ってんだろ?」
「…………」
「チビッ子の味方してるせいなんだよな?」
「………………」
何も言えなかった。
2つの短い問いかけにはここ数週間の事実が凝縮されている。
付け加えるならみゆきもそうなのだが、みさおの言っていることに間違いはない。
「柊さ、妹のことちゃんと考えてんのかよ?」
「…………ッ!!」
かがみは理解した。
先ほど、みさおが言ったのはこういう意味だったのか。
「お前がチビッ子のこと気にしてるのは分かってる。休み時間なんてずっと向こうに行ってたもんな」
「いや、別にそういうわけじゃ……」
「誤魔化すなって。柊見てりゃ分かるって。ウチら、何年の付き合いだと思ってんだよ」
かがみは胸にチクリと痛みを覚えた。
みさおやあやのとの付き合いは長い。
2人は自分たちがいつから同じクラスであったかを、ちゃんと憶えていてくれた。
なのに自分は――。
そんな2人を蔑(ないがし)ろにしてきた。
多少の交友関係は築いてきたが、素直になれない性格のせいか自分から踏み出そうとはしなかった。
踏み出したとしてもそれはこなたたちに向けてであって、みさおやあやのと向き合わなかった事実は変わらない。
それでも――。
それでもみさおは”長い付き合いだ”と言ってくれた。
堪らなく嬉しくもあったし、堪らなく悔しくもあった。
551死にいたる隘路17:2008/11/15(土) 21:37:16 ID:CqN86k5h
「でもな、チビッ子のことよりもまず妹じゃねーのか?」
「…………?」
「柊の気持ちも分かる……と思う。分かってやりてーよ。でももうちょっと妹のこと考えてやれよ」
「つかさの……?」
「チビッ子は柊たちに守られてるけど、じゃあ妹は誰が守ってやるんだよ?」
「それは……! だから私が……!!」
「授業中はどうすんだよ? 休み時間だって最初から最後までいられるわけじゃないだろ?」
「………………」
かがみは何か言おうとするが言葉が出てこない。
みさおの言い分は正しいが、それを認めてしまうと自分が無力だと言われているようで堪えられなかった。
「あのね、柊ちゃん」
2人の一方的な問答に隙間ができたのを見逃さず、あやのが声をすべり込ませる。
「柊ちゃんたちのやってる事は正しいと思う。ううん、正しいっていうより尊い事だと思うよ。
その…孤立してる人を助けるなんてすごく勇気が要ると思うから。だから尊敬はしてる。
でも……もちろん泉ちゃんも大事だけど、柊ちゃんや妹ちゃんも大事だから――」
あやのは敢えて”いじめ”という言葉を使わずに説こうとする。
「柊ちゃんにはまず自分たちのことを考えてほしいの」
「……どういうこと?」
「だから、ね……その……泉ちゃんを庇うことで柊ちゃんや妹ちゃんが犠牲になるなら――」
「こなたを見捨てるっていうの!?」
知らず、かがみは声を張り上げていた。
突然の怒声にあやのはビクリと体を震わせる。
「そうじゃない! そうじゃない……けど……」
「妹がどうなっても柊は平気なのか? って言いたいんだよ」
あやのが怯えたように口を閉ざしたため、みさおが代わって続きを述べた。
「チビッ子を助けて妹がそれに巻き込まれてさ。それでいいのかよ? 順番が違うんじゃないのか?」
(………………)
2人の言っている意味は分かっている。
こなたを庇ってそのために自分やつかさ、みゆきが標的にされたらどうするんだ。
そう言いたいのだろう。
特に自分はクラスが違うから、四六時中彼女たちを見ているわけにはいかない。
そういう隙を衝かれたらすぐに対応できるのか?
みさおもあやのも本気で心配してそう言ってくれているのだ。
だから少々キツイ口調になるし、冷淡で手厳しい発言もする。
「分かってるわよ…………」
いや、分かっていなかった。
つい最近まではそこまで頭が回らなかった。
こなたを助けたいという想いばかりが先走り、その傍にいるつかさやみゆきを見落としていた。
先日、2人が絡まれている現場に遭遇しなかったら、これに気づくのはもっと後になっていたかもしれない。
「………………」
肯綮に中った指摘をされ、かがみは反論する気さえ起こらなかった。
みさおの言っていることは正しいから。
「妹ちゃんと違って泉さんは他人なのよ? 柊ちゃんにとって守るべきはどっちだと思う?」
「そ、それは…………」
どっちもだ、という一言が出せない。
理想はそうだが、順位をつけるとなったら必ずつかさを選ぶ。
身内と他人の差は大きすぎる。
「でもだからって放っておけないだろ? こなたがあんな目に遭ってるのに」
必死に反論の糸口を見つけるかがみは、急に2人が冷たい人間のように思えてきた。
自分やつかさを思いやってくれるのはありがたい。
その気持ちは素直に受け取るべきだ。
だが、その一方でこなたに対してはあまりに冷淡すぎるのではないか?
みさおにしても仮にも”チビッ子””みさきち”と呼び合う仲だ。
何とかしてやろうという気持ちは一分も湧かないのだろうか。
「…………………」
2人は何か言いたげに互いに顔を見合わせた。
552死にいたる隘路18:2008/11/15(土) 21:38:38 ID:CqN86k5h
しかしかがみの目が葛藤と決意の間で揺れているのに気づき、発言が躊躇われた。
(きっと柊に言っても分かんねーよな……たぶん怒らせるだけだし……)
みさおは悔しそうに目を閉じた。
付き合いの長さが全く違うのだ。
彼女がこなたを知ったのはつい最近。かがみを通してである。
程なくして妙なあだ名で呼び合うことになったが、決して親しみを込めてではない。
少なくともみさおにとっては、こなたは今後昵懇の間柄になるべき存在ではない。
”チビッ子”という愛称はみさおのこなたに対する蔑称なのだ。
自分とかがみは5年来の友人なのに。
あやのも含めて強い絆で結ばれているハズなのに。
泉こなたという少女が、あっさりとかがみを拐(かどわ)かした。
女性が本質的に備えている猫撫で声と、眉を顰めたくなるほどの甘えた仕草で。
かがみの母性を巧みに擽り、自分のものにした。
それが許せなかった。
陵桜に入ってから、こなたの教室に足しげく通うかがみを見て――。
みさおは複雑な想いをずっと抱えていた。
あやのも表には出さないものの、どこかみさおと似たような気持ちでいたに違いない。
つかさを案じて――というのなら納得もできる。
それなら妹想いの優しいかがみをもっと好きになれるし、つかさも交えてさらに友好を深められる。
(言えないよな……柊にも妹にも……)
自分を冷たく突き放すかと思えば、本当に困った時には渋々ながらも助けてくれる。
そんなかがみの外面と内面を知っているみさおは、彼女に対して友だち以上の感情を抱いている。
恋愛感情ではない、しかし友情とも少し違う。
自分のほうが付き合いは長いのに…………。
甘え上手の泉こなたが許せなかった。
かがみを誑かす彼女が――。
だからみさおは”チビッ子”と呼ぶことにした。
身体的不利な特徴をあだ名という帳で覆い隠し、その裏では呼ぶ度に彼女を嘲笑っていた。
”お前と柊は釣り合わないんだ。その身長差と同じくらいに”
こういう意味の侮蔑を”チビッ子”に託していた。
「とにかく私、行くから」
自分の意思と2人の言葉の間に逡巡するかがみは、しかし行動を起こすことにした。
待たせるわけにはいかない。
今日はみゆきがこなたを連れ出す番だから。
つかさが教室に残って自分を待っているハズなのだ。


 あの一件以来、こなたは屋上に行くことを避けた。
かがみと抱き合ったあの日だ。
運悪く同じクラスの生徒に目撃されてしまっている。
ただでさえ自分のことで迷惑をかけているのだ。これ以上、面倒に巻き込むわけにはいかない。
「良いお天気ですね」
みゆきがほほ笑む。
中庭の隅なら行き交う生徒はまばらだ。
誰かに見られている、と意識しなくてすむ。
「うん」
いつもに比べて食欲が出てきたこなたはチョコとクリーム、2つのコロネを膝の上に並べた。
みゆきの言うように天気は良かった。
薄水色に控えめの雲。
都会のど真ん中でもそれなりに空は綺麗に見えている。
「ふぅ…………」
意識せず、こなたは小さくため息をついてしまった。
それを聞き逃さなかったみゆきが、
「お加減はいかがですか?」
風呂の温度を訊ねるように言った。
「泉さんさえよろしければ先生に……あ、いえ、黒い先生ではなくて天原先生ならどうかと――」
そう提案するみゆきは、今のやり方に限界を感じていた。
教室にはいたくないが、持ち物は守りたいというこなたにつかさが出したアイデア。
こうして交代で昼食をとるという方法は、こなたの苦痛を和らげる意味では成功している。
しかし所詮は一時しのぎの逃避でしかない。
553死にいたる隘路19:2008/11/15(土) 21:40:16 ID:CqN86k5h
結局は授業が始まれば戻らなければならないし、問題そのものが解決したわけではない。
自分たちで対応するにはいじめの根は深すぎる。
ここはやはり大人の力を借りるべきだ、というのがみゆきの考え方だった。
だが彼女も蒙昧ではないから、相談すべき先生を選ばなければならないという不安は抱いている。
対応を間違えればさらなる悲劇を招きかねない。
「そういえば泉さんはネットゲームをされているんでしたよね? 黒い先生とは何かお話をし――」
「もうやめたんだ」
言い切らないうちにこなたが遮った。
「なんかあんまり面白くなくってさ。それに目も疲れるし――」
「…そう……ですか……」
こう切り返されてはみゆきも何も言えない。
ネットゲームを通じてなら、こなたとななこ、1対1で会話ができる。
学校では言いにくいことでもそこでなら吐露できるのではないか。
――というみゆきの思惑は簡単にはずれてしまった。
(でも、でしたら黒い先生も泉さんのことが気になるハズですが……?)
休み時間でもしょっちゅうゲームの話をしている2人だ。
こなたがゲームをやめたとなれば、ななこも理由を訊きたがると思うのだが……。
(………………)
みゆきの頭に漠然とした不安が広がった。
ななこは当てにならないのではないか。
少なくとも校内で、ななこがこなたを気遣っている素振りはない。
互いに携帯の番号を交換し合っていれば、自宅でも連絡がとれるが、こなたからそのような話も聞かない。
「本当に黒井先生とは――」
「してないんだって」
怒っているような笑っているような微妙な顔つきでこなたが答える。
”してない”というのはゲームなのか、それとも相談なのか。
(親しそうに見えましたが、趣味を通じてだけ……なのかもしれませんね。
そうなるとやはり天原先生にお話ししたほうが…………)
みゆきが知っている人物の中で、学校内において頼れそうな大人はふゆきくらいしかいない。
おっとりとして物腰が柔らかくて。ケガ人や病人を通じて多くの生徒と関わっている彼女なら。
もしかしたらいい知恵を授けてくれるかもしれない。
「みゆきさん……先生には言わないで」
「えっ!?」
思っていた事を言い当てられ、みゆきは飛び上がりそうになった。
「きっとそのうち収まるから。だからそれまで――」
(泉さん…………)
こなたは積極的にどうこうしようという意思はないのだ、とみゆきは理解する。
解決を急いで波風を立てるより、風化するのを待ちたいようだ。
いじめは突然始まったのだから、突然に終わる可能性もある。
「ありがとう。私なんかのためにいろいろ考えてくれて」
「いえ、私は……つかささんのように良い考えも思い浮かばず、かがみさんのように体を張ることもしていません。
本当にお恥ずかしい限りです……」
みゆきはこんな時ですら慇懃に振る舞った。
傍にいてくれるだけで、こなたにとってどれほど心強いか。
「私、ずっと迷惑かけてるね」
チョコが垂れそうになるのを、こなたが慌てて舐めとる。
「泉さん、何を仰ってるんですか。私たちは友だちじゃありませんか。迷惑だなんて……」
自分の不甲斐なさを呪うようにみゆきはぎゅっと拳を握り締めた。
「寂しいことを言わないでください。私たちはずっと泉さんの味方ですから」
「みゆきさん――」
彼女が差し出した手を、こなたはとろうとして逡巡した。
(………………)
その手をとる資格は自分にはない。
(友だちって言ってくれるけど……友だちならなおさら迷惑かけられないよ…………)
みゆきの心遣いに胸を痛めながら、こなたは別のことも考えていた。
かがみのことだ。
いつも昼休みになったらすぐに来てくれる彼女が、今日は10分ほど遅れて来た。
心配するつかさに彼女は何でもないと笑っていたが、何かあったのだとこなたには分かる。
かがみは嘘をつくのが下手だから。
554死にいたる隘路20:2008/11/15(土) 21:44:19 ID:CqN86k5h
嘘をついたり誤魔化したりする時、かがみは顔を横に向けるか、右上に視線を持っていく癖がある。
自分でも気付くくらいだから、もちろんつかさも分かっているだろう。
(駄目だな、私…………)
自分に直接関係のないところでも誰かの手を煩わせているのだと。
そう考えるだけでこの場から逃げ出したくなる。
すぐ傍で不安げに見つめるみゆきを捨て置いても。
つかさやかがみの厚意を無駄にする結果となっても。
もうこれ以上、迷惑をかけたくなかった。
誰かの親切が今のこなたには痛かった。



 こなたがみゆきと昼食をとっている頃。
あやのが青い顔をしてみさおを前にしていた。
「………………」
みさおはあらゆる感情が入り混じった複雑な表情で、視線を下に向けている。
「それ、本当なのか?」
静かな問いにあやのがこくりと頷く。
衝撃的な報告だった。
お喋り好きなC組の女子が誰彼なしに撒き散らした噂。
それがたまたまあやのの耳に入ってしまった。
「なんで……! なんで柊がそんなこと……!!」
言葉が詰まる。
それほどショックが大きかった。
何日か前の昼休み。
屋上でかがみとこなたが抱き合っていた、という話だった。
実際に見たという者もおり、情報の確度はかなり高かった。
(……柊ちゃん…………)
根が情け深いかがみのことだ。
おそらくいじめに遭うこなたを放っておけなくて、やむなくとった行動なのだろう。
それ以外に慰める方法を知らなかったかがみが、何とか励まそうとして。
「みさちゃん、きっと柊ちゃんは――」
「分かってる!」
みさおの突然の怒声に、クラス中の視線が集まる。
しかし何事もないと分かると、生徒たちはまたそれぞれの輪の中で歓談を始めた。
「柊ちゃんはきっと優しすぎるのね……」
あやのがため息をついた。
かがみは優しい。慈悲深い。
5年以上一緒にいたから、それは嫌というほど分かっている。
ただ――。
その優しさを向ける先が間違ってはいないか?
あやのは思った。
彼女が少し前、本人に言ったようにこなたを助けることは尊い行為だ。
誰にでも真似できるものではない。
正義感を持っていたって実際に行動を起こすのは難しいだろう。
それをいとも簡単にやってのける。
そういう意味ではかがみは讃えられるべきだ。
だが、かがみ自身やつかさはどうなるのか?
あやのの思考はいつもここにぶち当たる。
かがみがそこまで身を窶す必要はないのに――。
(柊ちゃん…………)
こなたいじめの実態は人伝(ひとづて)ながらに2人も知っている。
現場を見たわけではないが、話から想像するに典型的ないじめらしい。
いじめなどあってはならない。
そう思う一方で、そのいじめられているのが泉こなたなら、それも仕方ないとも2人は思った。
眉を顰めたくなるような話題をところ嫌わず振りまく。
萌えだとかツンデレだとか、そういう世界でしか通用しないような単語を平気で吐く。
かがみが嫌がっているのに、その反応を面白がるように揶揄(からか)う。
こなたのそれら全てが不愉快だった。
555死にいたる隘路21:2008/11/15(土) 21:46:49 ID:CqN86k5h
みさおもあやのも、かがみの友人だということで表向きそれなりの付き合いはしてきた。
こなたを邪険に扱ったらかがみに悪いから……ただそれだけだ。
「いい加減にしなさいよ!」
「なにっ?」
隣の教室からかがみの声がした。
「なんだ!?」
弾かれたようにみさおが駆けだす。
あやのも数秒遅れてその後を追った。





「いい加減にしなさいよ! 自分が何やってるか分かってんの!?」
肩で息をしながらかがみが吼えた。
そのすぐ後ろに隠れるようにしてつかさが震えている。
「あんたたち最低よ! こんな……こんな事して……なんでこんな子供みたいなことするのよ!」
「お、お姉ちゃん……もういいよ……!」
「つかさは黙ってて!」
「で、でも――」
つかさが涙目でかがみの袖を握る。
その指先から赤い糸が垂れ落ち、袖口を薄く染めた。
「そいつが生意気だからだよ。キモオタの味方しやがってさ」
そう口走る相手は女子だというのに、まるで男のように汚い言葉を吐いた。
(キモオタ……こなたのこと……?)
こなたに対する蔑称はかがみの感情をさらに荒らげた。
「っていうか何? あんたたちもオタクなの? いっつもベタベタしてさ。あ、そっか。
あんたたち、レズだったのよね〜。すっかり忘れてたわ〜」
侮蔑混じりの哄笑の中、かがみが唇を噛んだ。
「私たち、キモオタでレズなの〜。だって誰も相手にしてくれないから〜。お互い慰め合ってるのよ〜」
取り巻きがおどけて笑う。
「……もう我慢できないッッ!!」
理性を失ったかがみが無意識のうちに飛びかかる。
「…………!?」
伸ばした手を誰かがぐいっと掴んだ。
「柊、やめろって!!」
みさおだった。
横から割って入ったみさおが、掴んだかがみの腕を自分の胸元に引き寄せる。
「く、日下部……? 離してよ! こいつらが……!」
「だからって殴っても何もならないだろ!」
「………………」
かがみが聞こえよがしにため息をつき、振り上げた拳を忌々しそうにおろす。
「保健室行こう」
その後ろであやのがつかさを引っ張って連れ出そうとする。
指先からは今もわずかに血がしたたっている。
つかさは何度もかがみたちを振り返り振り返り、後ろ髪を引かれる想いで教室を出て行く。
突然の闖入者に白けたか、かがみたちに食ってかかっていた女子たちが無言のまま離れていく。
かがみもまた、無言のまま連中を睥睨していた。
「何があったんだ?」
机の上に広げられたままの弁当箱。その端に小さくついた血。
包みに隠れてわずかに覗く銀色の刃。
問うてからそれらを認めたみさおは、訊くべきではなかったと後悔した。
「あいつらがつかさに――」
かがみが答えたのは数秒の沈黙の後だった。
弁当箱を広げた時、つかさが小さく悲鳴をあげた。
包みの結び目にカッターの刃が仕込まれていたのだ。
切り傷は負った時には気付きにくい。
つかさも結びを解いた時には分からなかった。
さっくりと皮膚が裂かれ、鮮血が流れたのを見て漸く理解したのだ。
556死にいたる隘路22:2008/11/15(土) 21:47:35 ID:CqN86k5h
「許さない…………!」
かがみが呪詛の念を込めて呟いた。
「つかさまで、こんな……」
「柊…………」
みさおにはかける言葉が見つからない。
彼女ならこういう時、何も考えずに延々とトラックを走り続けるだけでいい。
ただ走っているだけで悩みや不安のほとんどは飛んでいく。
もし立ち止まってもまだモヤモヤが晴れなければ、その時はまた走ればいい。
しかし、かがみは違う。
自分とは違って、鬱憤を紛らせる方法が分からない。
部活動に打ち込んでいるわけでもないし、といって勉強がストレス発散を手伝っているわけでもない。
(どうしたらいいんだよ……)
みさおはかがみの事を何も知らない自分を呪った。
こんな時、どう声をかけてやればいいのだろう。
どんな顔をして接してやればいいのだろう。
――何も分からなかった。
長い付き合いだと言っておきながら、今のようなかがみを見た事は一度もなかった。
「教室戻ろうぜ」
赤く染まったカッターの刃をティッシュにくるんで捨て、2人分の弁当箱を片づける。
「妹はあやのがついてるから、な?」
それだけ言ってかがみを強引に引っ張っていく。
その様を女子たちが蔑むように眺めていた。

557JEDI_tkms1984:2008/11/15(土) 21:49:49 ID:CqN86k5h
 本日分は以上です。
良い意味で読み手の期待を裏切る展開にしたいですね。
558名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/15(土) 21:57:46 ID:B5SUKI94
>>557
GJ
まだまだ結末の予測はできませんがねw
559JEDI_tkms1984:2008/11/15(土) 22:03:22 ID:CqN86k5h
 投稿してから黒井先生が”黒い先生”になっていることに気付き……。
一応読み返してはいるのですが、お恥ずかしい間違いです。
560名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/15(土) 22:31:35 ID:B5SUKI94
wikiがメンテナンス中か
561名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/15(土) 23:49:52 ID:2fwcdasw
>>557
閉塞感が凄まじい。
やっぱ天才だ。改めて再確認。
562名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/16(日) 00:35:38 ID:OSR0+E9q
すごいな・・いや、すごいわ・・
563名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/16(日) 00:59:56 ID:7X7qWEmd
いやあ、続きが楽しみです!
564名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/16(日) 01:48:19 ID:1SsJE+mf
マジパネェ
565名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/16(日) 19:06:57 ID:OwQmiW8M
前座でも努めるとしますか。
投下させて頂きます。
566disintegration:2008/11/16(日) 19:07:40 ID:OwQmiW8M
 目覚まし時計の音が、夢の世界から現実へと私を呼び起こした。
ゆっくりと身体を起こし、寝ぼけ眼を擦りながら立ち上がる。
カーテンを開けると、朝の日差しが眩しく私を差した。
窓も開け、新鮮な空気を大きく吸い込むと、
徐々に身体が覚醒していくのが分かる。
 既に朝の空気が冷気を帯びる季節になっていた。
この冷気のなか学校に行くのは、辛いというのが偽らざる私の本音だ。
けれども、その冷たさが私の脳の覚醒を早めてくれる。
 顔を洗い、朝食をかきこみ、歯を磨く。
既に数え切れないほど繰り返してきた朝の儀式だ。
ここまで終えると、着慣れた稜桜の制服の袖に腕を通し、
スカートを履いた。
 出発の準備をすっかり整えると、お父さんに声をかける。
「お父さん、行ってくるね。ゆーちゃんはもう学校に行っちゃったのかな」
「ああ、行ったぞ。……こなた、今日も高校、行くのか?」
「うん」
「大丈夫か?」
 心配そうに、お父さんは尋ねてきた。
私はその心配を払拭するように、胸を張って答える。
「勿論」
「そうか」
 それでもお父さんの顔から、心配の色は消えなかった。
幾ばくかの罪悪感を覚えながらも、私は玄関を開け外の冷気へと身体を晒した。
567disintegration:2008/11/16(日) 19:08:32 ID:OwQmiW8M


 学校に着くと、すぐさま3年B組を早歩きで目指す。
そこが、私のクラスだ。
ゆーちゃんに遅れたものの、まだホームルームまで時間はある。
別に急ぐ必要はない。けれども、私は急く足を咎めようとはしなかった。
 目指すB組の教室の扉を開け、私はできる限り明朗快活な声で
朝の挨拶を唱えた。
「おはよう」
 クラスメイト達は何処か戸惑ったように視線を交わしあいながらも、
すぐに挨拶を返してくれた。
「おはよう」
 飛び交う朝の定型文句の中、私はにこやかにクラス内を歩き回った。
けれども、そこに私が探してる物は無かったし探している者も居なかった。
この教室に、私の机はなかった。
つかさもみゆきさんも来て居なかった。
 所在無さに耐え切れず、私はB組の教室を飛び出す。
C組の教室を覗いてみるが、かがみの姿も無かった。
「皆、今日も欠席かー」
 現実に抗うかのように、独り言を呟く。
心の中で、楽しかった日々が波のように寄せては引き、引いては寄せていく。
「もう、戻れないのかな」
 投げやりに呟くと、ホームルームを欠席して私は図書室へと向かった。
568disintegration:2008/11/16(日) 19:09:08 ID:OwQmiW8M

* 

 昼休みを告げる予鈴が鳴り響く。
私は読んでいた本から顔を上げ、昼食を採るべく図書室を後にした。
結局、ホームルームはおろかその後の授業まで欠席してしまった。
でも、机が無いんじゃ授業なんて受けようもない。
「しょうがないよね」
 またまた独り言が、私の口を衝いて出た。
昔はここまで独り言が多い人間じゃなかった気がする。
少なくとも、かがみ達と楽しく騒ぎあっていた頃は、
ここまで独り言の多い人間じゃなかった。
「お、泉」
 黒井先生の声が、私の意識を思考の世界から現実の世界へと引き戻した。
「あ、先生」
 軽く会釈をしながら、私は足を止めた。
「泉、大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
 私は大丈夫。この笑顔が何よりの証拠だ。
「そうか…。でもな、戻ってけぇへんもんもある。
現実見据えるんも、人生では必要な事や」
 そんな台詞、何度も何度も何度も聞いた。
私にその台詞を繰り返し繰り返し言い聞かせ続けたのは、他ならぬ私自身だ。
でも、現実を見据えるだけじゃ何も意味が無いんだよ。
現実に対する対抗策を持つ事ができなければ、
直視しようが目を逸らそうが結果には大して影響を及ぼさない。
だったら、目を背けていた方が気が楽だ。
少なくとも、精神の崩壊を先に延ばせる。
「ですよね。大丈夫、分かってますって」
 先生、知っていますか?今見せている笑顔は、実は嘘の笑顔です。
本当は、泣け叫びたいです。
569disintegration:2008/11/16(日) 19:09:59 ID:OwQmiW8M
「ほうか、じゃあ、少し休んだら、また歩き出せや。
そんときゃ、ウチも応援させてもらうで」
「頼もしい〜」
 役立たず。口から発せられた言葉とは裏腹の声が、
心の中に木霊した。
でも、別に先生を責めてるわけじゃない。
役には立たないけど、その言葉は嬉しいから。
それに、先生にその義務もないから。
「ほんじゃ、泉、頑張れや」
「ほーい」
 おどけたような声を出しながら、演技の笑顔のままで先生を見送ると、
私はゆーちゃんのクラス目指して歩き出す。
ゆーちゃんもみなみちゃんも、箸の進みは遅いほうだ。
今からでも充分、一緒に昼食を摂れる。
 かがみやつかさ、みゆきさんが居てくれれば、
ゆーちゃん達の昼食に混ざる必要もないのだが、
欠席ならば仕方が無いだろう。
 私はゆーちゃん達のクラスの扉を潜った。


 ゆーちゃん、みなみちゃん、ひよりんの三人とも、
私を暖かく迎えてくれた。
もう、この三人と昼食を共にするのも慣れっこになっていた。
でも、ゆーちゃんの瞳に悲しそうな色が浮かんでいたのを、
私は見逃さなかった。ごめんね、ゆーちゃん。
 声には出さず心の中で謝罪の言葉を述べると、
私はチョココロネに齧りつく。
甘いチョコレートが包み込むように舌に絡んで、
私は思わず相好を崩した。
昔は、大好物のチョココロネでさえ砂を噛んでいるかのように味気なかった。
でもここでなら、ちゃんとチョコレートの甘さを感じる事ができる。
それは私の居場所が此処にしかないから?
──いやいや、此処は私の居場所じゃない
耳を塞ぎたくなる答えが返って来た。
570disintegration:2008/11/16(日) 19:10:49 ID:OwQmiW8M
「ひよりん、同人誌の製作はどう?冬コミにも新刊出すのかな?」
 耳を塞ぎたくなる答えから逃れるように、
私は無理矢理に話題を作って昼食仲間に振る。
「いや〜、出さないっすよ、流石に。ほら、今年は」
 みなみちゃんがひよりんに素早く目配せを送っているのが、視界の隅に映った。
その目配せの意味を悟ったのか、ひよりんは一瞬押し黙ると、
慎重に言葉を選ぶように、区切り区切りゆっくりと言葉を紡ぎ出す。
「今年は、色々と、立て込んじゃいまして。
まぁ、何も年末に毎年毎年、家を空ける必要もないですし」
 気を遣っているのが分かった。みなみちゃんの目配せの意味も知っている。
ひよりんが言い直す前に続けようとしていた言葉も、何となく分かる。
これらが分かってしまうという事は、
現実から逃れきってはいないという事だ。その事を、嫌という程自覚させられた。
「そっか。そうだよね。まぁ、次の機会、楽しみにしてるよ」
 口の中が酷く乾いて、上手くチョココロネを嚥下できない。
私は水と共に、口腔内に残っているチョココロネを胃へと無理矢理押し流した。
 私はチョココロネを一本だけ食べると、
それ以上パンの袋を開ける事はしなかった。
食欲がめっきりとなくなってしまっていた。
 だから昼休みの残り時間は、私はひたすら三人と話し続ける事で過ごした。
既に三人とも、昼食を食べ終わっていたのだ。
 そうして昼休みを乗り切ると、私は再び図書室へと行こうとした。
3年B組に戻っても、どうせ机はない。
571disintegration:2008/11/16(日) 19:11:50 ID:OwQmiW8M
 と、教室を出かけた私の袖を、誰かが強く引っ張った。
「ゆーちゃん」
 ひ弱な彼女からは想像もできないくらいに、強い力だ。
「お姉ちゃん…」
 そこで言葉を切ると、言葉を続けるのを逡巡するように俯いてしまった。
少し経って上げられたその顔には、並々ならぬ決意が漲っていた。
「放課後、話があるんだ。屋上に来てくれる?」
 顔だけではない。声にも、ある種の固い決意が漲っている。
「屋上?施錠されてるんじゃ」
 普段は、立ち入り禁止のはずだ。
「この時期は天文部の人の為に、開放されてるよ。
でも天文部の人が活動するのは日が暮れてからだから、
それまでは話ができるよ」
「天文部の人に鍵を貸し出す、
とかじゃなくて完全に開放されてるの?」
「うん、放課後になると先生の手で開放される。
天文部内で、屋上に人を閉じ込めるイジメを警戒しての事だと思うけど」
 ああ、言われてみれば納得できる。
ゆーちゃんも深い考えができるようになっている。
昔に比べて、確実に大人になってきている。
なのに私は…私は…私は…。
「来てくれる?お姉ちゃん」
 疑問系の言葉とは裏腹の、有無を言わさない瞳に気圧されるように私は答えた。
「うん。行くよ」
「約束だよ」
 私は重々しく頷くと、教室を後にした。
572名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/16(日) 19:13:15 ID:OwQmiW8M
>>566-571
今日のところは以上です。
また、明日。
573名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/16(日) 19:16:48 ID:fjHU2ZQf
リアルタイムGJでした!
職人さんの到来は結構同時期にかぶるものなんだなー
ちなみにこの話は今回の投下が第1話なのかな?
574JEDI_tkms1984:2008/11/16(日) 21:10:27 ID:IeAHNkIb
 皆さん、こんばんは。
早速ですが今夜分の投下をいたします。
575死にいたる隘路23:2008/11/16(日) 21:12:35 ID:IeAHNkIb
「ありがとうございます」
あやのがつかさに代わって礼を言った。
「傷が少し深いから、しばらくは動かさないようにしてくださいね。あと、お料理も控えてください」
薄めの包帯を巻き終えて、ふゆきがやんわりと言った。
保健室に来る生徒の多くは体調不良かケガが原因でやってくる。
前者の場合は主に風邪、後者は調理実習中の不手際が一番多い。
つかさの傷もその類だろうとふゆきは思っていた。
しかしだとしたら、このタイミングにやって来るのはおかしい。
包丁等で切ったのであれば調理実習中か、授業が終わってすぐ来るハズだ。
昼休みを半分過ぎたあたりで保健室を訪れるなど、まずあり得ないのだが……。
ふゆきはそこまで気付かなかった。
「はい、ありがとうございました……」
つかさは力なくうな垂れる。
「気をつけてくださいね」
去っていく二人の背中に向かって、ふゆきが微笑んで見送る。
つかさがぺこりと会釈した。
保健室のドアを閉じると、ただそれだけで別の世界に放り出されたような気になる。
「痛くない?」
あやのが訊いた。
「うん、大丈夫。あの……峰岸さん……ありがとう…………」
切り傷くらいなら1人でも保健室に行ける。
だが今は、こうして誰かに付き添ってもらう事の心強さが何より身に沁みた。
「気にしないで。私にはこれくらいしか……できないから」
”できない”という部分を強調する。
いつもに比べてずいぶん長く感じられる廊下を歩きながら、
「妹ちゃんはどう思ってるの?」
あやのが問うた。
「え? どうって何が――」
「泉ちゃんのこと」
「…………」
もしかしたらこの話題に触れるかもしれないと身構えていたつかさは、しかしすぐには返答できない。
こなたに対する様々な想いがぐるぐると頭を駆け巡り、問いかけに対する明確な答えが出せないでいた。
「うーん……よく分からない、かな」
だからつかさは曖昧に言った。
「よく分からないのに協力してるの?」
だがあやのはそこを鋭く突いてくる。
”協力”とは”かがみに”という意味だろう。
「私ね、こういう事は先生に相談したほうがいいと思うの」
「だ、駄目だよそんなの! 密告したってもっと酷い目に遭わされるよ!」
「妹ちゃんが? それとも柊ちゃんが?」
「えっ――? ち、違うよ。こなちゃんがだよ」
「そうかな…………」
あやのの中では言いたい事は全て出来上がっているのに、彼女はそれをまくし立てようとはしない。
ゆっくりと、つかさの頭に深く浸透させるように順序立てて話す。
「泉ちゃんを庇うのは友だちだからっていうのは分かるわ。みさちゃんが同じ立場なら私もそうしたと思う。
でもね、もっと他のことも考えなくちゃいけないと思うの」
つかさを思い遣っての言葉のハズが、なぜか妙に冷たく感じる。
「今みたいにしなくてもいいケガをすることもあるのよ?」
「そんな言い方――」
「よく考えて。そんな事してていじめが収まると思う?」
「…………」
「気持ちは分かるけど、柊ちゃんたちがやってるのはその場しのぎよ。根本的な解決になってない」
「じゃあ……どうすればいいの?」
「先生に相談するべきよ。こういう問題は大人の手を借りないと駄目」
「でも、それじゃ――」
「他に方法がある?」
あやのの言葉は深く、優しく、そして冷たい。
576死にいたる隘路24:2008/11/16(日) 21:14:02 ID:IeAHNkIb
「妹ちゃんは先生に相談したことが知れたら、もっと酷いことをされるって考えてるみたいだけど。
先生たちだってそんな下手なやり方はしないと思うわ」
「………………」
「試してもいないのに勝手に結果を想像するのは良くないんじゃないかな?」
つかさは返答に窮した。
あやのの言う通りだ。
踏み出すことで伴うリスクを恐れて、他の解決策を考えようとはしなかった。
対策を自分たちの中だけで完結させて、別の方法を試みるどころか考えようともしなかった。
今になってあやのの言葉が深く突き刺さる。
(ゆきちゃんもずっと前からそう言ってたよね……)
あの時は報復されるかもしれないから、と頑なにはねのけてきたが。
もはや先生に打ち明けるしか手はないのではないか。
「考えてみる……」
決断力に欠けるつかさはそれだけ答えた。
自分ひとりだけで決めていい問題ではない。
当事者であるこなたと、頼りになるかがみ、みゆきを交えてよく相談しよう。
つかさは思った。



 何も知らないこなたとみゆきは、教室に入った瞬間にひどく落魄したつかさを認めた。
目が合ったつかさはサッと包帯に巻かれた指を隠す。
「つかささん……?」
異変を悟ったたみゆきが怪訝そうに声をかけるが、彼女のケガにまでは気付かない。
「あ、ゆきちゃん。あのね……」
言いかけたところでチャイムが鳴る。
だが、つかさは救われた気がした。
いま言うべきことではない。
放課後、かがみと4人でよく話し合うべきだ。
(………………)
つかさの表情に翳りを見たこなたは小さく息を吐いた。
厭な予感がした。
何かあったのだろうか、とこなたは思考を巡らせてみるが想像だけではどうにもならない。
「よし、号令」
担当教師が入ってきた。
次は物理だ。
ところどころ刻まれた教科書と、ほとんど書き込めなくなったノートを開く。
教師が教科書を持って本文を読みながら、生徒の間を何往復かする。
ちらりと視線を落とす。
こなたやつかさ、みゆきのノートに明らかに悪戯された跡がある。
教師はそれを一応認識しながらも、視線をまた教科書に戻し、何事もなかったように音読を続けた。


 本日すべてのカリキュラムが終了した。
つかさにとっては待ちに待った放課後。
こなたにとっては恐怖から解放された瞬間でもある。
「あのね、ちょっと相談したいことがあるんだ」
やはりケガをした指を覆い隠してつかさが2人に声をかける。
「……? ええ、ではかがみさんを待ってからにしましょう」
つかさのその一言で重大事だと悟ったみゆきは、かがみを待つことにした。
先に教室を出ていく生徒の何人かは何事か囁きながら通り過ぎる。
厭らしい視線、わざと小声である点からして、こなたたちに対する攻撃であるのは間違いない。
「かがみん、遅いね」
こなたが言った。
「ホームルームが長引いているのでしょうか……あ、かがみさん」
かがみが俯き加減にやって来る。
まるで怒っているようにツリ目をさらに怒らせた表情で。
艶のなくなったツインテールを重そうに揺らしながら。
577死にいたる隘路25:2008/11/16(日) 21:15:56 ID:IeAHNkIb
「かがみ……?」
明らかに様子がおかしいかがみに、こなたがその顔を覗き込むように声をかける。
「…………」
しかしかがみはフイと顔をそらして、
「ごめんね、遅くなっちゃって」
と、下手な作り笑いを浮かべた。
ようやくメンバーが揃ったことにホッとしたつかさは、姉の変化に気づかない。
「相談なんだけど――」
おずおずと切り出した。





「――でね、それなら先生に全部話したほうがいいと思うんだ」
つかさはあやのの現実的で辛辣で、冷たく優しい言葉に心を折られた。
波風立てないように、嵐が過ぎるのを4人で待ってはいたが結局、状況は何も変わらなかった。
みゆきの顔が綻(ほころ)んだ。
「私もそうしたほうがいいと思います。私たちだけではやはり限界がありますし」
以前からななこか、それが無理ならふゆきに相談したいと思っていたみゆきだ。
つかさがこう言ってくれたことで万倍の力を得た気分になる。
「え、ちょ……ちょっと待ってよ!」
対して予想外の話の流れに当然のごとく狼狽するのはこなただ。
冗談にしても笑えない。
先生に密告したことがバレた場合、どんな目に遭わされるか……。
つかさもそう言っていたじゃないか、と批難の目を向ける。
「嫌だよ、そんなの! みんなに知られたら困るじゃん! つかさもそう言ってたのに――」
そのつかさから切り出された話題だということが、こなたの心をまた不安定にさせる。
「ねえ、かがみもそう思うでしょ!?」
「…………」
救いを求めたこなたの訴えは、しかしかがみには届かなかったのか彼女は何も言わない。
ほとんど無表情のまま視線だけをそらした彼女は、賛成しているようにも反対しているようにも見える。
「わ、私はいいから……! 先生には言わないでよっ! もう少しなんだからさ!」
このままつかさの案が通ってしまいそうな雰囲気に、こなたは気が気ではなかった。
何としてでもそれだけは阻止したい。
高校生活も残りわずか。無難に過ごしたい。
「何がもう少しなのよ?」
それまで沈黙を保っていたかがみが口を開いた。
「え――?」
あまりに小さく、覇気のないその声にこなたが思わず訊き返す。
「私もいろいろ考えたけど、つかさの言うことに賛成よ」
「そんな――」
かがみだけは分かってくれている、と思っていたこなたにとってこれはショックだった。
「そんなの困るよ! それじゃ――」
かがみはこなたを無視して、
「つかさ、ケガは平気なの?」
と、わざと通る声で言った。
「う、うん、大丈……お姉ちゃんっ!」
姉の問いに素直に返事をしつつ、つかさが慌てて言葉を切った。
だがもう遅い。
「どうかされたのですか?」
つかさの慌てぶりを訝ったみゆきが首を傾げた。
かがみが無言のままにつかさの手を掴み、包帯に巻かれた指を持ち上げた。
「昼休みにね、つかさのお弁当にカッターか何かの刃が仕込まれてたのよ」
「ええっ!?」
こなたが大仰に驚いた。
その様子がなぜか大袈裟に、白々しく見えてかがみは内心で舌打ちした。
注目を浴びたつかさは俯いた。
本来なら隠しておきたい出来事だった。
わざわざ言うほどの事でもないし、こなたにも要らない気を遣わせてしまう。
578死にいたる隘路26:2008/11/16(日) 21:17:22 ID:IeAHNkIb
それは姉も同じハズなのに、と彼女はモヤモヤとした気持ちを拭えないでいた。
なんでこの場で言うのだろう。
かがみはこなたに向きなおった。
「今までは何とかなってたけど、さすがにつかさがケガするようになったんじゃ黙ってられないわ。
放っておいたらもっと酷いことになるかもしれない。そうなる前に先生に相談するべきよ」
薄桃色に変色している包帯を目の当たりにしてからでは、この言葉にも強い説得力が生まれる。
みゆきにしてもこのケガのおかげで大きな後ろ盾を得たようなものだ。

”教師に頼る”
こなたを除く3人がこの意見で一致し始めているが、理由はそれぞれに異なる。

今のままでは何も変わらない。別の方法を試した方がうまくいくかも知れない。
ほとんどあやのに刷り込まれたようなものだが、これがつかさの考え方だ。

自分たちの力には限界がある。生徒よりも上の立場でその道のプロに助力を求めるべきだ。
つかさに近いがより冷静なみゆきの考え方だ。

そしてかがみ。
彼女は少し違う。
当初はこなたのためを想い、こなたにとって最善の道を模索し続けてきた彼女だが。
今はむしろつかさを一番に考えている。
こなたを庇うことでいじめっ子に言い寄られるのはまだ仕方がない。
が、実際にケガをしたのではこれはもう悠長なことは言っていられない。
愛しいつかさの流血を見て、かがみから理性や他人に対する慈愛は吹き飛んでしまったようだ。
だから彼女はつかさの意見を支持した。
こなたのため、と言いながらその実はつかさを守るためだ。


「そ、そんな……そんな事になってるなんて知らなかった! なんで言ってくれなかったの!?」
「………………」
つかさは下を向いたまま何も言わない。
「かがみが言わなかったらずっと黙ってたの? 私、そんなの堪えられないよ!」
「言えるわけないだろっ! あんたのせいでケガしたなん――――ッ!!」
つかさの代わりに答えたかがみだったが、勢いでそこまで言ってしまった。
時間が止まり、全ての音と光が失われたような感覚に襲われる。
みゆきは何とか取り繕おうと口を開くが、言葉が出てこない。
つかさは困ったようにこなたとかがみの間で視線を彷徨わせる。
「やっぱり……私のせいだよね――」
「ちっ、ちが……今のは……」
一度でも外に出てしまった言葉は、聞き手の耳に届いた時点で取り消すことはできない。
「い、泉さん…………」
厭な汗がみゆきの額に浮かぶ。
さすがの”みwiki”でも、こういう時に何を言えばよいかは膨大な知識の中には無いらしい。
謝ろう、かがみは思ったがしかし体が言う事を聞かない。
どう繕っても、”こなたのせいだ”という部分はどうにもできない。
下手に謝ったとしても陳腐な誤魔化しか、単なる責任逃れの保身にしか受け取られないだろう。
「ちがう! ちがうの、こなた! さっきのは――」
「もういいよ」
たった一言でかがみの狼狽を蹴ったこなたには、いくつもの諦めの色があった。
かがみの性格をある程度理解している彼女は分かっている。
先ほどの発言が弾みで出たものだと。
そして本心だとも。
「…………」
目にうっすらと涙を浮かべ、こなたは切り刻まれた鞄を手に取った。
「ごめん、私……帰るね……」
振り返ることも。立ち止まることもしないで。
「ちょっ、待ちなさいよ!」
かがみの制止を振り切って、こなたは教室を飛び出した。
「こなちゃん!!」
579死にいたる隘路27:2008/11/16(日) 21:19:25 ID:IeAHNkIb
叫びながらつかさはかがみを見ていた。
彼女は呼び止めこそしたが、追いかけようとはしなかった。
強い力で掴まれたみたいに足が動かない。
心根は今すぐにでも駆けてこなたを捕まえたかった。
彼女のほうがずっと足は速いから、きっと追いつけないだろう。
それでも――。
今、この時、追いかける行為それ自体に意味があったハズだ。
「――――ッ!?」
乾いた音がして、かがみの頬に痛みが走った。
(みゆ……き……?)
頬がを熱を帯びてくる。
かがみは漸く、みゆきに叩かれたのだと理解した。
「かがみさん…………」
批難がましい視線を向ける。
言葉の中には本音と建前がある。
思っていても決して口にしてはいけないものもある。
みゆきに次いで利発なハズのかがみはその弁えがありながら、不用意な発言でこなたを傷つけてしまった。
「私……なんであんなこと……」
かがみには悔悛の情がある。
頭の中ではつかさを一番に考えていたから出た言葉であって、こなたを追い詰めようという意思は全くない。
「お気持ちは分かります。いえ、分かっているつもりですが、先ほどのは――」
「分かってる……」
この上みゆきにまで嫌われたら堪えられない。
「分かってる……」
かがみはもう一度言った。
自分たちのそもそもの目的はこなたを救うことだ。
こんな理由で仲違いしている場合ではない。
「ちゃんと謝ろう? こなちゃんだってきっと分かってくれるよ」
教室の外を見ながらつかさが言った。
4人の付き合いは長いのだ。
かがみがこなたの性質を知っているように、こなただってかがみの性質をよく知っているハズだ。
「先生に相談するというお話ですが……保留にしませんか?」
「えっ――?」
みゆきの提案につかさが驚いたように声をあげる。
「泉さんにとって……私たちにとってどうするのが一番いいのか。もっとじっくり考えるべきだと思うんです」
「でも…………」
「私は泉さんの意思を尊重するべきだと思います。私たちが勝手にやったことでもっと酷い目に遭ったら――。
その責任を私たちがとれればいいですが、そういうわけにも……」
「………………」
「泉さんが望んでいないことを無理やり押し進めるようで……」
「でも今のままじゃ何も変わらないかもしれないんだよ? もっと早く手を打っていたらって思うかもしれない」
今やつかさとみゆきの考え方は逆転した。
難しい話だ。
誰もが、”こなたのため”と思って行動するが、それが本当に”こなたのため”になるのかどうか。
何が最善なのか。自分たちには何ができるのか。
2人が持論を戦わせている間、かがみだけはじっと俯いたままだった。


 勢いで教室を飛び出したこなたは、こめかみを濡らす涙も拭わずに走った。
あの場にはいられなかった。
かがみの言葉が痛い。
つかさの傷跡を見るのがつらかった。
取り繕おうとするみゆきにも申し訳ない想いでいっぱいだ。
自分が皆を不幸にする。
皆は自分を幸せにしてくれたのに。
空気が読めないオタクで、勉強もロクにしない、宿題だって他人任せの自分に――。
数えきれないほどの恩を受けながら、ツンデレだ何だとかがみを揶揄(からか)い続けた自分に――。
厭な顔ひとつせず今日まで付き合ってくれた。
だからつかさの受けた傷は自分の傷。
あのケガは本来なら自分が受けなければならなかったハズだ。
580死にいたる隘路28:2008/11/16(日) 21:20:59 ID:IeAHNkIb
(………………ッ!!)
そう思いながら。
そう自覚していながら、それでも今もってこうして泣いて逃げ出すことしかできない自分がいる。
(私って卑怯者だ! 弱虫だ!)
罵った。何度も何度も罵った。
自分を責めるだけでは償いにもならないと理解していながら。
「待てよっ!」
校門の近くまで走ってきた時、不意に声をかけられた。
正直、誰とも話したくなかったが、声の主を見たこなたは自然と足を止めていた。
「みさきち……」
フェンスに背をあずけ、腕を組んでこなたを見下ろしている。
「一緒じゃないのか?」
怒っているのか、みさおの質問にはいろいろと必要な単語が欠けていた。
”今日は柊たちと一緒に帰らないのか”という意味の問いだろう。
こなたはそれに沈黙を返した。
「柊たちはどうしたんだよ?」
焦れたみさおがようやく必要な部分を付け足す。
「…………」
「黙ってても分からねーだろ。何とか言えよ」
(…………ッ!!)
こなたはビクンと体を震わせた。
幼い頃、悪戯をしてそうじろうに叱られた時を思い出す。
なんでこんな事をしたんだと質されて、不貞腐れて黙っていた時に言われたのと同じだ。
「うん……」
射竦めるようなみさおの視線に、かろうじてそれだけ返す。
が、その態度が気に入らなかったようで、
「一緒じゃないならハッキリそう言えばいいだろ」
突き放すようにそう吐いた。
こなたは困ったように俯くしかできない。
もしここにかがみがいてくれたら、
『そんな言い方しなくてもいいじゃない』
と宥めてくれたかもしれない。
(みさきち……なんで怒ってるんだろ……?)
こなたには分からなかった。
みさおを怒らせた憶えはない。
何か気に障ることでもしただろうか。
それとも……みさおもまたいじめっ子の側に加担してしまったのだろうか。
「柊の妹がケガしたんだ」
ぶっきらぼうにみさおが言う。
冷たく棘のある口調だ。
明らかに自分を責めているような調子に、
「……知ってる」
弱々しく返す。
その後に”私のせいで……”と付け足すつもりだったが、なぜかその一言が出ない。
「お前のせいだぞ」
代わりにみさおが言った。
「お前のせいで妹がケガしたんだぞ!」
叩きつけるように。
厭というほど自覚させるようにみさおが怒鳴った。
滾る双眸はこなたに憤懣の念を押し当てていた。
「柊も妹もお前を守ろうとしたから巻き込まれたんだ!」
「分かってるよッ!」
改めて言われなくても分かっている。
つい先ほど、かがみに言われたばかりだ。
それをわざわざ蒸し返すように――。
こなたは無性に腹が立ってきた。
「…………っ!!」
誰かにぶつけてやりたい怒りを抑えて、こなたは嘆息すると校門に向かった。
だがその手をみさおがしっかりと掴む。
581死にいたる隘路29:2008/11/16(日) 21:22:22 ID:IeAHNkIb
「まだ話は終わってねーぞ」
「離してよ! もう帰るんだから!」
「柊たちに謝れよっ!」
「………………」
「何とも思わないのかよ? お前のせいでケガしたんだぞ?  悪いと思わないのかよ?」
「思ってるよ!! 全部私が悪いんだもん! みさきちには関係ないでしょ!?」
つい声を荒らげてしまう。
苛立っているハズなのに、それでもみさおを愛称で呼ぶ自分がこなたには分からなかった。
どうだ、と言わんばかりにこなたは精一杯恐い顔をしてみさおを見返した。
”全部自分が悪い”
早々とこう言ってしまえば、もうみさおには責める手はなくなる。
「だったら柊たちも関係ないよな?」
「えっ――?」
放たれたのは意外な言葉。
悔しそうに睥睨するしかできないみさおを想像していたこなたは、突然の切り返しに反応できなかった。
「私には関係ないって言ったよな? だったら柊たちも同じだろ?」
「………………」
「いじめられてるのはお前だけなんだ。柊たちは無関係なんだから、自分で何とかしろよ」
あまりにも冷たすぎる。
言葉の意味だけでなく、突き放すような冷たすぎる口調。
今でもどん底に叩き落とされているこなたの精神を、さらに沈めるどころか粉々に打ち砕く辛辣な台詞だ。
(………………)
小さな体躯を震わせてこなたは俯いた。
泣いちゃいけない。泣いちゃ駄目だ、と自分に言い聞かせる。
ここで涙を流したら負けだ。
こなたは耐えた。
普段やられていることに比べてら、みさおの一言なんて大したことないじゃないか。
つかさが自分の代わりにケガをしたことに比べれば……。
そう思う一方で。
”いじめられるのは自分に原因がある”
とも詰られているような気がした。
ある意味では最も残酷な責めだ。
殴られるよりも蹴られるよりも。
私物を傷つけられるよりもはるかに痛く、苦しい。
言い返す気力はもう無かった。
(みさきち…………)
怒りはもう過ぎ去っていた。
かがみたちが自分を想ってくれるように、みさおはかがみたちを想っているのだと。
遠いところで人の優しさに触れた気がしたこなたは。
その優しさが人から人へ、ぐるぐると廻(めぐ)っているのだと理解した。
ただそれが隅々にまで満遍なく行き渡っているわけではない。
廻る優しさはどこかで堰き止められたり、偏って流れたりしているのだ。
「責任はちゃんととるよ。全部……私のせいだもん……」
今度は感情的にならない。
感傷的にみさおに言って返す。
何の反応もないのを確かめて、こなたは再び歩き出した。
もはやみさおは呼び止めようともしない。
彼女にとっての”話”はもう終わったのだ。
責任をとる、と言ったことで決着がついたのだとこなたは理解した。
自分にとってもこれは決着だった。
受けた優しさは返さなければならない。
自分が受けた分と同じか、それ以上にして返さなければならない。
それができないのなら――。
これ以上、優しさを受け取らなければいい。
ボロボロの鞄をしっかりと持ち直し、こなたは家路を急いだ。

582JEDI_tkms1984:2008/11/16(日) 21:27:41 ID:IeAHNkIb
 本日分は以上です。
相変わらず長ったらしい文量で申し訳ないです。
583名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/16(日) 21:30:34 ID:XIE/sfih
GJ

いよいよクライマックスか…?
584名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/16(日) 21:33:08 ID:v20wPm3C
こなたの可哀想さがなんとも
585名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/16(日) 21:36:24 ID:GeFDMkhf
>>582
その分情景が確り把握できて
尚且つ迫力があるよ
586名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/16(日) 22:40:05 ID:fjHU2ZQf
>>582
乙です。
長い文章を気になさられてる様ですが、それらの文全てが緊迫感に包まれていて読み応えがあります。
587名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/16(日) 23:16:37 ID:fvZVl912
>>582乙。楽しみにしてます。
…読んでて涙が出た…。(そうじろうが気付かないのは可笑しいとか中学の時点で自殺してても可笑しくないとか言う突っ込みをしたら叩かれるんだろうな…)
明るいこなたが見たいから原作観て来る。
そして又続きを。
588名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/16(日) 23:45:43 ID:YkvbysE+
>>582
目から汗が
589名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/16(日) 23:51:04 ID:m1t4Rm9u
スレの容量あとどれくらい残ってる?
590名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/17(月) 00:01:47 ID:CJPk9pVH
>>589
今383kbだからあと110k前後だな。
591名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/17(月) 00:44:53 ID:Z1hEEatV
これは久々に鬱入る・・・
592名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/17(月) 01:50:57 ID:glDipelT
こなた、いよいよ味方0か。
かなり鬱になる話だ。

それにしてもJEDIさんの書くみさおは本当にかっこいい。
593名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/17(月) 17:45:58 ID:DA3ZEHKG
みさおはその勢いをこなたではなくいじめてる奴らに向かわせればいいのに・・・

あやのがつかさに、みさおがこなたに言い寄ったのをかがみが知ったら激怒しそうだな
594名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/17(月) 18:18:19 ID:zCCAz8x+
まるでSSが終わったかのようなレス数だなw
595名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/17(月) 20:01:13 ID:FzSLNjXr
こういうSS見てると、ホント虐めは集団殺人罪、あるいは未遂として扱われるべきだと思う今日このごろ
596名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/17(月) 20:12:35 ID:DA3ZEHKG
ふと思い立った両極端な案w

こなたの格闘技経験いかして大怪我させない程度に反撃。
同じ女子ならこなたの体格でもなんとかなるだろうし
相手にされなくなってもつかさ達がいれば独りになるわけじゃない。

犯人グループは既に目星ついてるからいっそ先生じゃなくて警察に届出出して
器物破損や傷害でパクってもらう。
センター目前に控えてイジメグループ涙目w
597名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/17(月) 21:39:04 ID:7P7bZ/Rs
       ─┐||┌─┐ l ─  ‐┼‐   ‐┼‐ヽ l  ノ │ .|  |   ‐┼‐ ‐┼‐
            日  フ 口  メ   __|__  フ |┬   |  |   ‐┼‐  d
      (__   .六  ↑ .田  (___  (丿 ) ↑.ノ│  ノ  ヽ__ノ (丿\ ノ
                -" ̄`丶
              /      .\
             //・\  /・\\ ご冥福!ご冥福!
           / ::::::  ̄(__人__) ̄::::\
           |     \  |    ノ
            r⌒ヽrヽ, \_|  /       +
          /  i/ |  __  ノヽ
         ./  /  /       )   +  -" ̄`丶  +
         ./ /  /      //ヽ_    /⌒  ⌒\
        /   ./     / ̄、⌒) ヽ/ /・\ ./・\\ メシウマ キタ━━!!!!
        .ヽ、__./     / ⌒ヽ ̄  / ::::::⌒(__人__)⌒::::: ヽ  +
            r    /     | /  | ┬   トェェェイ    ノ
          /          ノ    ヽ/⌒ヽ, `ー'´   ノ一ー--⌒)
         /      /    /     /     |./一ー-._      _ノ
        ./    //   /i,          ノ        ̄ ̄ ̄
        /.   ./ ./  /、/ ヽ、_ /     /
       i   / ./ / .| ./   //   /
       i  ./ .ノ.^/  .ヽ、_./ ./   / _|\∧∧∧MMMM∧∧∧/|_
       i  ./  |_/       /  /   >                  <
       i /           ノ.^ /    /  ─ /  /_ ──┐ヽ|  |ヽ  ム ヒ | |
      / /           |__/  \/  ─ / / ̄ /   /  | ̄| ̄ 月 ヒ | |
      (_/                 ノ\ __ノ   _ノ   \   / | ノ \ ノ L_い o o
598名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/17(月) 23:06:46 ID:x/ePgSSQ
>>556-571の続き投下します。
599disintegration:2008/11/17(月) 23:07:32 ID:x/ePgSSQ

*

 そろそろ時間だろうか。
携帯電話で時刻を確認すると、
ホームルームが終わっていてもおかしくない時間帯となっていた。
私は手早く読んでいた本を元の場所に戻すと、屋上へと向かう。
 ゆーちゃんの言う通り、屋上へと通じる扉は開錠されていた。
屋上へと出たが、まだゆーちゃんは来ていなかった。
 私は屋上のフェンスへと進むと、街を見下ろした。
何も変わりなく、街は此処に存在している。
多少の変化はあるのだろう。けれども、懐かしい景色をこの瞳に移してくれた。
視線を転ずると、グランドがこの瞳に移った。
あのグランドで、私はつかさやみゆきさん達と体育の授業に興じた。
体育は面倒くさかったけど、運動は得意だった。
あの日々はもう帰ってこない、それが痛いほど私には理解できる。
けれどもその痛みゆえに、私の中にはその現実を拒む弱さがあるのもまた事実だ。
「かがみん、つかさ、みゆきさん、峰岸さん、み…日下部さん…」
 懐かしむように、友の名を連呼する。
私を笑顔で包んでくれた、愛しき友の名を。
不意に、涙が零れた。
 その時、屋上に突風が吹いて、私の涙を飛ばした。
その強風は、私の髪とスカートを揺らした。
髪を押さえ、慌ててスカートを掴む。その行為の無意味さに、私は苦笑した。
スカートを掴む必要なんてないのに。誰も見てやしないのだから。
───いや、見ている人が居た。
 私の視線は、向かってくる一つの影に釘付けになった。
いつの間にか、風は凪いでいた。
「待たせたかな、おねーちゃん」
「大して待ってないよ」
 ゆーちゃんは私と3メートル程の距離で、その歩みを止めた。
「ごめんね、ホームルームが予定より伸びちゃって。
…お姉ちゃん、泣いてたの?」
「どうだろうね」
 私は目元を拭いながら、あやふやな表現で返した。
「お姉ちゃん、早速だけど、本題に入っちゃっていい?」
「いいよ」
 あの決然とした表情を思い返すに、
何となく何を言うのか分かってはいる。
けれども気弱だったゆーちゃんの事だ。
この期に及んで、思い返して適当な話題でお茶を濁すかもしれない。
そしてそれを望んでいる、更に気弱な私が居た。
600disintegration:2008/11/17(月) 23:08:47 ID:x/ePgSSQ
「お姉ちゃん、もう現実から逃げるの止めようよ。
大学に、戻りなよ。
ここにはもう、お姉ちゃんにとって価値あるものは何もないよ。」
 ゆーちゃんは言った。迷いも躊躇も淀みも逡巡も見せずに。
そこに居るのは、中学生や高校一年生の時のゆーちゃんではない。
しっかりと成長した、高校三年生の小早川ゆたかだった。
気弱な影は、もう見当たらない。
「お姉ちゃんは、もう去年稜桜を卒業したんだよ?
お姉ちゃんが卒業してから、もう一年半以上経っているんだよ」
 分かっていた。それが現実だって事。
かがみやみゆきさんが此処に居ないのも、当然だ。
でもそれを拒むかのように、
私は居るはずのない旧友達の影を探して稜桜高校を彷徨っていたのだ。
「うん、そうだよね」
 此処に私の居場所は無い。改めて突きつけられるまでもない。
理解していた事だ。現実から逃れようとしても、結局は逃げきれなかった。
 今日の昼食時に、ひよりんが本来何を言おうとしていたのか。
『いや〜、出さないっすよ、流石に。ほら、今年は』の後に、
みなみちゃんから目配せされなかったのならば、
何を言おうとしていたのか。恐らく、こう言いたかったのだろう。
『受験ですから』と。話の流れとして、また彼女の学年を考えれば、これが自然だ。
そしてみなみちゃんの目配せの意味は、
学年を悟られるような発言はするな、という意味だったのだろう。
みなみちゃんなりの気遣いなのだと思う。
多分みなみちゃんは、私が精神を病んで、
高校3年生の時に完全に戻った気分でいると思っていたのだろう。
だからこそ、学年を悟らせる発言を控えさせたのだと思う。
でもね、それは本当は、無用の気遣いだったんだ。
自分自身、気付いていたから。
気付きながらも、無理矢理にどうにか自分に嘘をつき続けていた。
騙しきれるわけなどない、虚偽だと分かりきっている嘘を。
「お姉ちゃん、またお姉ちゃんが大学に通えるように応援するから。
友達を作れるように応援するから」
 友達の有無が問題な訳じゃない。
友達が居なくてキャンパスに居たたまれないというのなら、
単にテストの時期以外大学に行かずに引きこもっていればいいだけの話だ。
なにも卒業した高校に来る必要はない。
「ゆーちゃん、友達が居ないから、って訳じゃないんだよ。
友達なんて今更欲しいとも思わないしね。
大学での日々が空虚過ぎたんだ。目的もなくただ生きるだけ、
っていうのに、私は嫌気が差したんだ。
というより、自由が怖かったのかな」
「自由が怖い?」
「そう。単位さえ取得できれば、今は何もやらなくていい自由もそこにはあったから。
つまりね、必修の講義以外、一切強制されないんだよ。
私のような人間にとって、それは最初天国だった。
ただひたすらネット巡回して、遊びまわっていればいいだけなんだから。
でも、一年生の夏休みの段階でそれは飽きた。
そしてね、高校と違ってイベントも用意されて無いんだ。
高校のイベントなんてだるいだけだったけど、
それでも目的を一つにして何かを成し遂げようという充実感はあったよ。
大学では、そのイベントすらもない」
「学園祭は?」
「学園祭?ああ、あのサークル同士の馴れ合いの場ね」
 私は顔の前で手を振った。
「サークルに所属していない限り、楽しいもんじゃないね、アレは。
何かを作る、っていう充実感はそこにはないんだから」
601disintegration:2008/11/17(月) 23:09:42 ID:x/ePgSSQ
「話を戻すけど」
 ゆーちゃんは言葉に力を込めて、続けた。
「つまり、目的意識があればいいんだよね?
お姉ちゃんが夢中になれる何かが見つかれば、いいんだよね?」
「見つからないよ。一切に対する興味をなくしちゃっているから。
あれ程熱を上げていたオタク趣味でさえ、今や飽きた」
 本当は飽きただけじゃない。
「これから、何か目的が見つかるかもしれないよ?」
「見つかったとして…」
 私は思わず天を仰いだ。見つかったとしてどうなる?
具体的に何かが劇的に変わるとでも?
やりたい事やってれば、人生万事丸く収まり全て解決、そうじゃない。
やりたい事がなくても、楽しく生きる方法を私は知っている。
私は本当は、本当は…本当は……本当はっ
「お姉ちゃん、実はそれは大した問題じゃないよね?
夢や目的が無い、それだけなら、大学に登校しない理由にはならない。
ましてや、既に卒業した高校に通い続ける事との間に、因果関係はないよね」
 全て見透かしているかのように、ゆーちゃんは断定するように言った。
「本当はお姉ちゃん、友達が欲しいんじゃないの?
周りは友達と一緒に行動しているのに、自分だけ一人。
それを突きつけられるのが嫌で、大学に行かなくなったんじゃないの?
その気持ち、分かるよ。私も中学時代、身体が弱くて友達とかあまり作れなかったから。
『組を作れ』っていう先生の指示が、苦痛でしょうがない時期があったから」
 そうだね、本当は友達が欲しかったよ。
友達がいれば、私は目的も何もなくても、退屈を紛らわせる事ができた。
いや、楽しく日々を送れたはずだ。
少なくとも、友人と行動している学生達を見て劣等感に苛まれる事はなかったと思う。
 それにオタク趣味に関しても、飽きた、というだけで終わったはずだ。
本当は、苦痛になっていた。アニメもゲームも学園物が多い。
そこに居る主人公は、同性異性問わず友達や仲間が居た。
架空の世界の設定ですら、棘となって私を刺した。
 でも本当に致命傷となったのは、友達が居ないという事じゃなかった。
「そうだね、欲しかったのかもしれない。
ゆーちゃん、何でもお見通しだね」 
 でも、これ以上は踏み込んで欲しくない。
そこから先には、気付かないでいて欲しい。
だから私は、ゆーちゃんが全て見抜いているという事にして、この話を打ち切りたかった。
 けれどもゆーちゃんは、容赦なく踏み込んできた。
「でも、それだけじゃないよね。
それだけなら、大学に行かない動機にはなっても、
高校に通い続ける動機にはならない。
何が、あったの?」
「何も無いよ」
 ぶっきらぼうに吐き捨てて、私は視線を逸らす。
この態度がそもそもゆーちゃんの話を肯定しているようなものだけど、
私はそうせずには居られなかった。
ゆーちゃんの、今にも涙が零れそうな潤んだ瞳を直視できなかったから。
「答えてよ、お姉ちゃん。私は、お姉ちゃんの力になりたいんだっ」
 考えたこともなかった。温厚なゆーちゃんが、絶叫するなんて事。
驚愕に目を見開かせ、思わず私はゆーちゃんを見やる。
私を見据えるその瞳からは、既に涙が頬の辺りまで川を作っていた。
「ゆーちゃん…」
 続いて、言葉が出そうになる。
ゆーちゃんが流した悲しみの滴に衝き動かされるように。
いっその事、全て言ってしまおうか。
私にとって致命傷となった事、全て晒してしまおうか。
それで軽蔑されたとして、もう構わないとさえ思える。
602disintegration:2008/11/17(月) 23:11:08 ID:x/ePgSSQ
 いや、軽蔑されたならされたで、それでいい。
ゆーちゃんの涙は、きっと私を慮ってのものだ。
軽蔑されれば、ゆーちゃんの悲しみを止める事ができる。
『こんな女の為に、涙まで流してやったのか。無駄だった』と。
「お姉ちゃん、私でよければ力になるから。
お姉ちゃんの事、心配なんだよ」
 ゆーちゃんの声が震えた。その声と、その気持ちに応えよう。
力を借りる事なんてできないけど、
洗いざらい全てぶちまけて、軽蔑されてしまえばいい。
 私は覚悟を決めると、ゆっくりと口を開いた。
「本当はね、私だけ、置いてけぼりにされてる事に耐えられなかったんだ」
 ゆーちゃんの反応を窺うと、涙を拭う事無く私を真っ直ぐ見つめていた。
その強烈な視線からは、一言も聞き漏らすまいという気迫が感じられる。
「高校時代仲が良かった皆は、既にやりたい事を見つけたり、
資格取得に励んだり、友達作って思い出作りに没頭してるんだ。
それだけじゃない、私以外、皆もう彼氏まで作ってる。
もう皆、過去を捨て去ったように新しい人間関係の中で、
コミュニティを作り上げちゃってる。
もうそこに私の居場所はなかった。気付けば、一人になってたよ」
「でも、連絡取ればきっと昔のように」
「昔のようにはいかないよ。私の友人としての価値は、もう既に落ちてる。
過去の友人より、今の友人の方が距離が近いんだから。
皆と会っても、私はもうかつての一番二番の友人ではなくなっちゃってるよ。
既に三下の友人だろうね。或いは過去の人」
 思わず、口元が自嘲的に歪んだ。
そういえば、私にも中学時代友人が居たんだっけ。
高校でかがみ達と出会ってからは、すっかり疎遠になった。
ああ、私にとっての中学時代の友人のように、
かがみもつかさもみゆきさんも峰岸さんも、私は既に思い出の中の人なんだろう。
「そんな事、ないよ。私は卒業しても、
みなみちゃんの事、友人だって思い続けるよ。
それにかがみさん達だって、お姉ちゃんの事友達だって思ってるはずだよ」
「それはどうだろうね。仮に友達だと思っていてくれたところで、
私には彼女達は眩しすぎるよ。
将来を見据えて、一つずつ確実にステップを踏んでるんだから。
かがみ達に会ったとしても、私は自己嫌悪に陥るだけだ。
友人にさえ、コンプレックスを抱いちゃうんだから」
 もしかしたら、勝手に距離を作っているのは私の方なのかもしれない。
「それで、卒業後も稜桜で生徒っぽく振舞うようになったの?」
 まだ、それだけじゃない。
「うん、あの頃の、何も考えてなかった頃に」
 いや、そうじゃない。何も考えてなかったのはきっと、私だけだ。
「戻りたかったんだよ。かがみやつかさやみゆきさんや峰岸さんと」
 違う、それで全員じゃない。
「仲良く無邪気にオトモダチやってた、あの時代に。
私とつかさがぼけて、かがみがツッコミ入れて、
みゆきさんがフォロー入れてくれた、あの時代に。
楽しかった日々に戻れるなんて、本気で思ってた訳じゃなかった。
でももう、そうするしかなかった。
乾いた日々に、耐え切れなくなっていたから。
どうにか、自分を騙そうと必死になって稜桜に来てたよ。
本当に狂ってしまって、私は高校時代に戻ったんだ、そう思えたら良かったのに」
 私がこんな生活を送るようになってから、既に二ヶ月近くになる。
二ヶ月もの間、ゆーちゃんにも黒井先生にもお父さんにも、心労を募らせてきた。
603disintegration:2008/11/17(月) 23:13:11 ID:x/ePgSSQ
 ああ、実は私は知っていた。既に、私は校内の有名人になっているって事。
それはそうだろう。卒業後も稜桜の制服着て普通に通い出したんだから。
よく、学校側から摘まみ出されなかったものだ。
もしかしたら、黒井先生が便宜を図ってくれていたのかもしれない。
本当に、方々に迷惑をかけた。
「なら、なおの事今の大学で友達作ろうよ。
彼氏だって、お姉ちゃんならすぐにできるよ。綺麗なんだから。
それに、もう、これ以上こんな生活続けたって、どうにもならないよ。
だって、私はあと数ヶ月で卒業する。
私達が卒業した後も、ここに通い続けるつもりはないんでしょ?」
 その通りだよ。
二ヶ月前、孤独と焦燥で狂いそうな心理状態の中、
救いを求めるように稜桜を訪れた。
稜桜の制服を着ている私を見て、ゆーちゃん達は最初驚いていた。
でも、生徒のように振舞う私を見て、
ゆーちゃん達はすぐに調子を合わせてくれた。
それで、少しだけ、あの頃に戻れたような気になれた。
それが癖になった。
『私は二年前に戻ったんだ』そう自分に言い聞かせながら、
私は現実から逃れるべく稜桜に通い続けた。
 でも、それもゆーちゃん達が卒業したらもう終わりだ。
協力者が居ないのに、生徒を演じ続けられるほどに私は器用じゃない。
いや、そもそもゆーちゃんが演技を止めた時点で、
今この時点で、もう私の現実逃避も終わりなんだ。
崩壊したんだ、夢のような生活は。
「そうだね、もう、ここに来るのは止めるよ。
でも、今更友達も作れないな」
「どうして?」
 ゆーちゃんは驚いたように目を瞠った。
 言え、言っちゃえよ。軽蔑されても構わないと決意したはずだ。
私が私に負わせた致命傷、それを晒せよ。
「ゆーちゃんさ、さっき言ったよね。卒業後もみなみちゃんは友達だ、って。
そして多分、みなみちゃんもゆーちゃんの事、そういう風に思ってるはずだよ。
だからさ、ゆーちゃんは、卒業後も身を案じてくれる友人の事、大事にしなよ」
「う、うん。勿論そうするけど」
 急に話が変わった事を訝しく思うように、ゆーちゃんは首を傾げながら返答した。
でも、話が変わったわけじゃない。
「私は、そういう友達のこと、冷たく拒絶しちゃったから」
「え?」
「大学入学して暫く経った後、友達もできずに一人で講義受け続ける私を案じて、
友達が作れるようにって、世話を焼こうとしてくれた人が居たんだ。
いや、正確には、私が講義を休む事が多くなった後だね」
「その人って…」
「そう、私と同じ大学同じ学部に進学した、日下部さんだよ」
 みさきち、と呼んでいた時代が懐かしい。
みさきち、と呼べていた頃に帰りたい。
604disintegration:2008/11/17(月) 23:15:23 ID:x/ePgSSQ
「カラオケに誘ってくれたり、合コンに誘ってくれたり、
彼女が友達と一緒に居る時でも積極的に話しかけてくれた。
サークルを作るから、初期メンバーとして加入しないか、ともね。
日下部さん、本当に私の事を気遣ってた。
そのサークルだって、私の為に…私が友達を作ったり
彼氏を作ったりしやすいようにという意図の下で作ろうとしていた事が分かったよ。
だって、日下部さんが作ろうとしていたサークルは、オタク系だったから。
その為に、アニメ見たりネットで検索したりとオタクカルチャーを日下部さんは
研究していたみたいだった。本当はオタクカルチャーに興味なんて無いくせにね。
でも、私はそんな日下部さんを冷たく拒絶した。
『いい加減鬱陶しいよ。古い女の事なんて忘れて、
新しい友達とよろしくやってなよ。
私はみさきち、いや、日下部さんと違って、友達なんて要らないよ。
頭の悪い日下部さんが弱者であると自覚して群れる分には構わないけど、
私までその傷の舐めあいグループに巻き込もうとしないでよ』ってね」
 私がそう言った後の日下部さんの表情を、今でも私は忘れる事ができない。
瞳にうっすらと涙を湛えて、寂しそうに笑っていたあの表情が、
鮮明な映像となって脳裏に焼きついている。
「どうして…そんな事を言っちゃったの?」
 どんな罵詈雑言だって覚悟していたけど、ゆーちゃんの声は優しかった。
「私は日下部さんの誘いが怖かった。
日下部さんの誘いに乗って、日下部さん達と行動を共にすれば、
日下部さんが新しい友人と仲良く接している場面を幾度も見ることになる。
既に私よりも仲良くなっているであろう、友人達と接している場面をね。
その映像は、私は日下部さんにとって二番手未満の友人だ、
って事を再確認させる事になりそうだった。
それが、怖かったから、私は日下部さんの誘いに乗って
合コンやカラオケに付き合う事ができなかった」
 環境が一新された友人達の生活の中で、
自分の価値が相対的に下がっていくのは仕方が無い事なのかもしれない。
けれども、私にとってそれは認めたくない事だった。
別に中学時代の友人達の中で、私の価値が落ちた所で気にも留めない。
冷たい事を言ってしまえば、
私の中で既に彼女達は高校時代の友人に比して価値は低いものとなっている。
でも、日下部さん達の、高校時代の友人の中で私の価値が
低くなってしまうのは耐え難い事だった。
それだけ、高校生活が輝いていた。
それだけ稜桜での日々が、彩と光と音で満ちていた。
「だから私は日下部さんの誘いを断り続けたんだよね。
でも、日下部さんは諦めなかったな。
本当は私が寂しいって事、見抜いていたのかもしれない。
それに、あれだけ私に誘いをかけてくれてたって事は、
少なくとも日下部さんは私を大切な友人だと思ってくれていたって事なんだと思う。
でも、あの時の私にはそんな事、考えられなかった。
逆に、事あるごとに誘ってくるようになった日下部さんが癪だった。
嫌味ったらしくさえ感じていた。交友関係の豊かさを私に見せ付ける事で、
私を見下して内心楽しんでいるんじゃないかとまで邪推していたよ。
そんな折だった、日下部さんがサークル立ち上げの話を私に持ちかけてきたのは。
疑心暗鬼に囚われていた私は、日下部さんに怒りを覚えた。
そこまでして、サークル立ち上げてまで私に対して優越感を得たいのかっ、てね。
その怒りを静める間もなく、私の口は矢継ぎ早に残虐な言葉を次々と放っていた。
私が、さっき言った、あの台詞をね」
 『どうして…そんな事を言っちゃったの?』というゆーちゃんの質問に対しては、
これで返答完了だ。
続いて、私が今更友達を作れない理由、それも答えよう。
それで全ての返答が完了する。
頭のいいゆーちゃんの事だから、改めて説明するまでもないだろうけど。
605disintegration:2008/11/17(月) 23:16:59 ID:x/ePgSSQ
「その後、日下部さんの顔を見て私はようやく分かったよ。
ああ、優越感を得たいんじゃない、私を見下しているのではない、
単純に私の事が心配だったから、色々と世話を焼いてくれたんだって分かった。
だってさ、いつもは太陽みたいに快活に笑ってるあの日下部さんが、
今にも雨が降り出しそうな曇天のような表情で笑ったんだ。
傍目にも分かるくらいに、悲しみを湛えた痛々しい作り笑いだった」
 いや、雨は降ったのかもしれない。
私が立ち去ったあの後で、雨が降ったのかもしれない。
思い返えば、去り際の私の背中に投げかけられた、
『ごめんな、ちびっ子』という台詞は震えていたような気がする。
「そこまでしてくれた日下部さんの誘いを私は拒絶したんだ。
『友達なんて要らないよ』ってね。
それなのに友達を作るなんて、日下部さんに対して失礼だよ」
 失礼どころではない。最早、それは罪だ。
「これが、私が友達を今更作れない理由だよ。
ゆーちゃんの申し出は有り難いけど、
受け入れる事はできないんだ」
 ゆーちゃんは言うべき言葉を捜しているように、顎に人差し指を置いて顔を顰めていた。
「ゆーちゃん、ごめんね。もう、これで終わり。
さっきも言ったけど、私はもう明日から稜桜には来ないから。
今まで迷惑かけちゃって、ごめんね。お昼ご飯の時にお邪魔までしちゃって」
「迷惑だなんて、そんな」
 ゆーちゃんは慌てたように顔の前で手を振った。
「迷惑だなんて、思ってなかったよ。このままじゃいけない、とは感じてたけど。
…それで、お姉ちゃん。大学には、明日からきちんと登校するの?」
 卒業後も生徒を装って稜桜に来ている事だけが問題なのではなく、
ここを離れても大学に登校しないのなら問題はまだ片付いていない。
ゆーちゃんの質問の意図は、そういう事なのだろう。
 けれども私にとって、もう稜桜に来ないという事は、
全ての問題解決を意味する。
606名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/17(月) 23:20:45 ID:aEMivosX
解除
607名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/18(火) 00:06:04 ID:2nN+cQzH
とうとうwiki荒らしが湧きだしたようだ
608disintegration:2008/11/18(火) 00:40:16 ID:9m2I9giR
「うん、行くよ。一人でも、勉強する事に何ら不都合はないからね」
 ゆーちゃんを安心させて話を早く切り上げる為、
私は努めて明るい笑顔を作りながら言った。
屋上には既に、冷たい風が吹き込んでいる。
身体の弱いゆーちゃんを、これ以上冷気に晒すのも忍びない。
「一人じゃ、ないよ。私が居る。叔父さんも居る。
だから、孤独に苛まれる事なんてないよ。
それに、日下部さんだって孤独なお姉ちゃんを望んではいないはずだよ。
今でもお姉ちゃんを心配してるんじゃないかな。
お姉ちゃんがこれから友達を作っても、日下部さんはきっと失礼だとか思わない。
むしろ喜ぶと思うよ。それが、友達、ってものだよ」
 それを友達というのであれば、私には友達として認識される権利はない。
だって、旧友達が新しい友人関係を作っていく事に対して、
私は肯定的な感情を抱けなかったから。
目標に向かっていく旧友達を見て、
私は一人取り残されたような寂寞とした思いに囚われたのだから。
相手の成功を喜べる人を友達と呼ぶのであれば、私にはその資格はない。
 だけど、この思考をゆーちゃんに伝える事はしなかった。
これ以上冷風吹き荒ぶ屋上に、ゆーちゃんを晒すわけにはいかない。
「そう、だね。明日から頑張るよ。
ところで、ゆーちゃん。そろそろ冷え込んできたから、
そろそろ帰った方がいいよ。風邪引くと、大変でしょ?」
「お姉ちゃんは?一緒に帰らないの?」
「もう少し、ここに居るよ。最後だから、見納めておきたくって」
 目を細めながら、私は校庭や町に視線を転じた。
ここから眺める光景は、今日で最後になる。
「そっか。でも、たまには高校に遊びに来てよ。
過去への逃避じゃなくって、OBとしてね。
黒井先生も喜んでくれると思うよ」
「うん、そうするよ。特にゆーちゃんの卒業式には、
是非とも行かないとね」
「約束、だよ」
 それだけ言うとゆーちゃんは、屋上から立ち去っていった。
「約束、ね」
 果たせないな、それ。
私はフェンスへ向かって歩を進めながら、
約束を破ることをゆーちゃんに謝った。
 これから先、生きていける気がしなかった。
二ヶ月前、私は縋る想いで稜桜へと戻ってきた。
孤独、焦燥、絶望、そして未来に対する閉塞感に覆われた私が最後に縋ったものは、
ここでの楽しい日々をもう一度取り戻したいという、最早叶わぬ願いだった。
609名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/18(火) 00:41:05 ID:9m2I9giR
やっと猿解除来た。
>>599-608
今日は以上です。
多分明日フィニッシュ。
610名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/18(火) 05:43:22 ID:3v1eIzEK
かがみ「ほら見なさいよ、やっぱりわt…kぁがみはぼっちなんかになってないじゃない」
611名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/18(火) 06:49:58 ID:Y4TN29hl
>>609
乙です
これから学校行かなきゃいけないのが憎い……
612名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/18(火) 09:33:27 ID:9SSWDQBC
>>607
あんなのいらん
613名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/18(火) 13:36:43 ID:W2nJnsrh
いいともって創価まみれの印象しかない
614名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/18(火) 14:38:39 ID:67wGNWmn
赤い悪魔の続編が消された件か
何の脈絡もなくデスノートが出てきて面白かったんだけどな
615JEDI_tkms1984:2008/11/18(火) 17:18:46 ID:WhEKpJIE
 毎週月曜の夜は投稿できないのですが日曜の投下でそれを追記するのを忘れていました。
本日夜、9時頃に投下しますのでよろしくお願いします。
616名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/18(火) 20:39:11 ID:hq04ZVs9
>>612
いるかいらないかは別として書いた人も上げてくれた人も可愛そうだよ
本人が消したなら別だけど
617JEDI_tkms1984:2008/11/18(火) 21:21:49 ID:d8svv/CI
 皆さん、こんばんは。
昨日は失礼しました。
本日分の投下をいたします。
618死にいたる隘路30:2008/11/18(火) 21:23:13 ID:d8svv/CI
 柊家。
家族揃っての夕餉のハズが、末の双子の顔には元気がなかった。
気がかりなのはもちろんこなたの事。
弾みとはいえつかさのケガを見せつけ、言ってはならない言葉を吐いてしまったのだ。
責任は悉くかがみにあるのだが、なぜかつかさまでもが罪悪感に駆られている。
彼女にしても傷を負ったのは自分の不注意によるものだと思っている。
気をつければカッターの刃で手を切らずに済んだのだ。
それが原因でここまで関係がこじれたとあって、かがみ以上に責任を感じているようである。
「2人ともどうしたの? さっきから全然食べてないじゃない」
向かいに座っているまつりが心配そうに覗き込む。
かがみの食欲はどちらかと言えば旺盛な方だ。
三食はきっちり食べ、時々誘惑に負けて間食にも手を伸ばす。
その割には充分スレンダーな体型を維持しているのだから、かがみのダイエットに関する悩みは贅沢だ。
「う、うん……ちょっと食欲なくて」
「へ〜、珍しいね。オトコノコ?」
まつりはそう言って茶化したが、これは彼女なりの配慮だった。
ここまで元気のないかがみは珍しい。
彼女は不機嫌な時にも無口になるが、今は明らかにそうとは違う。
「そんなんじゃないわよ」
返す言葉もどこか弱々しい。
つかさはといえばそのやりとりに加わることすらなく、俯き加減にお茶を飲んでいるだけだ。
「ごちそうさま」
結局、半分も食べないで2人は食卓を去った。
最低限の礼儀として食器類だけは片付ける。
つかさは自分の部屋ではなくかがみの部屋に入った。
不安だったのだ。
1人でいると厭でも昼間の出来事を考えてしまう。
かがみと一緒でもそれは変わらないのだが、どうせなら2人でいるほうが多少は苦痛も和らぐ。
「なんで出ないのよ……」
忌々しげに携帯を見つめてかがみが呟く。
帰宅してから何度もこなたに電話をかけた。
だが一向に繋がらない。
それならとメールも送ったが、数時間経った今でもやはり反応はなかった。
「こなちゃん、どうしたんだろ……」
つかさもしつこいくらいに電話をかけていた。
こなたにしてみれば迷惑この上ない話だ。
「どうしよう……?」
しっかり者のかがみでさえ、今は狼狽の色を濃く浮かせてつかさに意見を求める始末だ。
「どうしようって言われても……電話もメールも返してくれないんじゃ――」
どうにもならない、と返すしかない。
こんな事は初めてだ。
常に連絡を取り合えて便利な携帯だが、だからこそ連絡がとれない時は余計に不安になる。
(きっと忙しいんだ。そうに決まってる)
何しろ自分たちは3年生。
じきに受験を控えている身なのだ。
まずあり得ないが、こなただって勉強しているかもしれない。
そこを執拗に呼びかけ続ければ、彼女だって鬱陶しいと思うに違いない。
かがみは無理矢理にそう思うことにした。
明日。明日だ。
電話やメールが無理でも、いつもの場所で待ち合わせれば。
その時には必ず顔を合わせることになる。
そこで話せばいい。
自分の軽率さを詫びればいい。
文字や声だけよりも、直接顔を合わせてのほうが自分の想いもより伝わるハズだ。
(………………)
つかさが不意に壁の時計を見やった。
そして小さく言う。
「まだ迷惑な時間じゃないよね?」
時刻は午後9時を少し過ぎた頃。
みゆきならともかく、こなたならまだまだ宵の口だ。
619死にいたる隘路31:2008/11/18(火) 21:23:59 ID:d8svv/CI
「どうするの?」
問うよりも先につかさが再び携帯を取り出す。
こなたの家に直接かけるつもりだ。
これなら電波も何も関係ないし、こなたが無視してもそうじろうが取るに違いない。
「………………」
永い永い呼び出し音の後。
『はい、泉です』
思ったとおり、そうじろうが出てきた。
「あの、柊です。こんばんは……」
しかし言葉を用意していなかったつかさはしどろもどろに名乗る。
『その声はつかさちゃんか?』
「はい。夜遅くにすみません」
『いいよいいよ。それよりどうしたのかな?』
「はい。あの、すみませんがこなちゃんはいますか?」
『うん、こなたか?』
わずかの沈黙。
直接携帯にかければいいのに、とそうじろうも訝っているのかも知れない。
ヘンな緊張感が走り、つかさの額に汗が浮かぶ。
『ごめんな、つかさちゃん。こなたの奴、もう寝てるみたいなんだ』
「えっ…………?」
つかさは思わず時計を見た。
やはり午後9時過ぎ。
就寝にしては早すぎる時間帯だ。
「そう……ですか……」
『ほんとにごめんな。もし起きてきたら電話があったことを伝えておこうか?』
「は、はい、お願いします!」
ぺこぺこと滑稽なくらいにつかさが頭を下げる。
その様子をかがみが身を乗り出すように見ていた。
妹の表情に一筋の光明を見たような明るさが戻ったからだ。
「どうだった?」
電話を切り終えるのを確認してかがみが訊ねる。
「こなちゃん、もう寝てるみたい……」
「本当に? まだこんな時間なのに」
かがみは一瞬、時計の針が止まっているのかと思った。
何かおかしいと思いつつも、これ以上はどうしようもない。
望みがあるとすればこなたが目を覚まし、こちらにかけ直してくれる事に賭けるしかない。
それが無理でも明日がある。
「なんであんな事言っちゃったんだろ……」
紛れもなく自分の口から発せられた言葉をかがみは反芻した。
悪意があって言ったわけではない。
こなたを陥れる意図など全くなかった。
「でも私は嬉しかったよ?」
フォローのつもりかつかさが優しい口調で言った。
「あれって私を庇ってくれたからなんだよね?」
という問いにかがみは迷いなく頷く。
つかさの為を想って言ったのは確かだ。
こなたには申し訳ないが、やはり血を分けた双子を一番に思い遣るのは姉として当然の感情だ。
罪悪感に囚われていたかがみは、つかさの言葉に少しだけ救われた気がした。


620死にいたる隘路32:2008/11/18(火) 21:25:38 ID:d8svv/CI
 翌日。
学校に着くなり、かがみたちは衝撃の報告に打ち震えた。
朝のホームルームでそれぞれの担任が、泉こなたが自殺を図ったことを告げた。
生徒の間に動揺が広がるのを恐れて教師たちは状況などは詳しく述べていない。
だが多くの生徒は少なくともその理由くらいは分かっていた。
「そういうわけやから、今日の授業は中止や。ええか、お前ら。今日は寄り道せんとまっすぐ帰れ。
週明けには東館の多目的室に”心の相談窓口”を作って、カウンセラーに常駐してもらう。
うちらに相談できひんこともあるやろ。そういう時は遠慮なく行くんやで」
ななこがほとんど表情も変えずに言った。
「静かにせえ。ええか? 何があっても絶対に独りで悩んだらあかん。お前らは独りやないんや。
親でも友だちでもええから、頼れるもんはどんどん頼るんや。塞ぎ込むんは絶対にあかんからな。
うちからは以上や。もういっぺん言うとくけど、今日はまっすぐ帰れよ。号令」
憔悴しきったみゆきが力なく号令をかける。
こなたが自殺した、という報せを聞いたばかりだというのに、クラスの連中は顔色ひとつ変えない。
いつものようにお辞儀をしてそれぞれに鞄を持ち上げる。
流石にななこの目があるからか、談笑するような生徒はいない。
が、といって悲しみに暮れるような姿も見られなかった。
「高良、それから柊、ちょっとかまへんか?」
椅子に座ったまま呆然とする2人にななこが耳打ちした。
「ちょっと話があるんや。あ、ちょうどよかった。自分もこっち来てくれ」
血相を変えて飛び込んできたかがみを認め、ななこが手招きする。
「は、はい」
ひそひそと話していた生徒たちがちらりと自分たちに視線を向けたのが分かった。
かがみはその冷たい視線をはねのけるように3人の元へ急ぐ。
が、ななこは何も言わずに教室を出て行く。
ついて来い、という意味らしい。
みゆきたちは互いに顔を見合わせ、ななこの後を歩く。
「かがみさん」
ほとんど聞き取れない声でみゆきが呼ぶ。
声が沈んでいるのはただ俯いているからだけではなさそうだ。
「先日は申し訳ありませんでした……感情的になってしまったとはいえ、あんなことを――」
「……? あ、あの事ね。気にしてないわよ……っていうか、みゆきのお陰で目が覚めたっていうか……」
「いえ、お2人のお気持ちも考えずに軽率だったと反省しています」
そう言ってみゆきは目を伏せた。
「つかささんがケガをされた事、私も知りませんでしたから……ですから私も同罪です」
「いいから」
かがみが制した時、ななこが不意に歩みを止めた。
職員室横の小会議室まで来ていた。
すでに解錠してあったのか、戸は滑るように開いた。
普段はまず使うことのない部屋だ。
整頓された机とパイプ椅子。それ以外には何もない。
「適当に座ってくれ」
言いながらななこは勧めた席と机を挟んで向かい合うように腰をおろす。
入室した順につかさ、みゆき、かがみの順で席についた。
「すまんな、付き合わせてしもて」
「いえ、それより何かあったんですか?」
3人を代表してかがみが訊いた。
「………………」
自分から呼んでおきながら、ななこはその問いを無視して沈黙を返した。
「…………」
「…………」
「…………泉はまだ生きとる」
「…………ッ!?」
3人は目を見開いた。
体の中を熱い何かが駆け巡るような錯覚。
ホームルームではななこもひかるも、”こなたが自殺を図った”という表現で生徒に伝えている。
語彙に乏しい者ならそれを単なる自殺としか捉えないが、これは暗に未遂に終わったことを示しているのだ。
621死にいたる隘路33:2008/11/18(火) 21:28:29 ID:d8svv/CI
「ど、どうしてそう仰らなかったんですか? あれでは泉さんが亡くなったと思われても――」
「間違いやない。昨日の晩、部屋で手首を切っとったんを親御さんが見つけてな。病院に運ばれたんや」
「では助かるんですね! 急いで輸血をすれば失血は……」
医学に多少知識のあるみゆきが身を乗り出した。
今も生きているということは失血による即死を免れたということだ。
型さえ合えばこなたは助かる。みゆきはそれを期待していたが、
「いや、それがな……泉の奴、その前からいろいろ……その……薬物をやっとったらしいてな……。
ニュースで騒がれるような毒物やないんやけど、睡眠薬とか無茶な服用をしとったみたいなんや」
その期待は打ち砕かれた。
「………………」
「そういうのが重なって挙句に昨日や。ウチも詳しくは聞いてへんけど、長くは持たんらしいんや……」
「そんな……そんな……!」
つかさが両手で顔を覆った。
一瞬でも憔悴したこなたを思い浮かべ、耐えがたい苦しみに襲われる。
「何やってんのよ…………!」
悲しみに暮れる2人とは対照的に、かがみの中では怒りが勃然として湧いた。
「それでな、自分ら、泉と仲良かったやろ? 何か心当たりないかと思ってな」
ななこが沈痛な面持ちで搾り出す。
「あの泉がこんな事するとは思えへん。表面では明るく取り繕っとった、っていうんやったら話は別や。
何でもええ、気付いたことがあったら教えてくれへんか?」
ななこの口調は協力を迫るというより、むしろ嘆願に近かった。
3人は自然と顔を見合わせていた。
こうなったら隠し通す意味はない。
「先生――」
落ち着きを取り戻したみゆきが整然と経緯を打ち明けた。
つかさとかがみもそれぞれに抱えていた事実を吐露する。
いじめの事実。
教室と外と、交代で昼食をとっていたこと。
クラスの生徒に言い寄られたこと。
つかさがケガをしたこと。
3人が包み隠さず告白したことで、彼女たちが互いに空白だった時間も完全に埋まる。
全てを聞き終わったななこは悄然とした。
「なんで……なんでや…………」
肩をぶるぶると震わせ、
「なんでそんな大事なこと、今まで黙っとったんや…………!?」
静かに憤った。
「自分ら……友だちちゃうんか? 泉の友だちとちゃうかったんか!? なんで黙っとったんや!
泉がこうなるって誰も想像つかへんかったんかっ! どうなんや!!」
「………………」
3人はぎゅっと目を閉じた。
ななこの剣幕に押されたからではない。
自分たちのとった行動が、結果として取り返しのつかない事態を招いたことを悔やんでいるのだ。
「……いや、すまんかった。怒鳴ってもしゃあないわな。自分らも泉のこと考えていろいろやってくれたのに。
ほんまに悪かった。ついカッとなって酷いこと言うてしもた。ほんまにすまん……」
浮き沈みの激しいななこらしい、正直な想いが出てくる。
「そやけどひとつだけ聞かせてくれ。なんで誰にも言わんかったんや? 先生、そんなに頼りないか?」
かがみは困ったようにつかさを見た。
つかさも返答に窮してみゆきに視線を送ったが、ここは自分が答えなければならないと思い直し、
「騒ぎが大きくなるかも知れないと思って黙ってました……」
とても勇気の要る発言をする。
先生に相談しようという話が持ち上がった時、つかさは頑としてそれを拒んだ。
最後の最後までその方法を取りたくないと考えていたのも彼女だ。
その結果がこれだ。
胃に激しい痛みを感じながら、つかさは誰にも相談しなかった理由を子細に述べた。
聞き終えて数秒。
ななこは静かに目を閉じる。
「……そうか……自分らなりに考えてのことやったんやな…………」
そして再び、先ほど怒鳴った軽率さを恥じ入る。
同時に感じる虚脱感。
622死にいたる隘路34:2008/11/18(火) 21:29:25 ID:d8svv/CI
教師としての――担任としての自分が生徒に信頼されていないと分かった瞬間だった。
職業柄、学校が関わるニュースはななこもよく見ている。
明らかにいじめを苦に生徒が自殺しているのに、いじめの実態は無かったと嘯く学校長。
調べが進みいじめの様相が浮き彫りになってなお、自殺との因果関係は疑わしいと言い張る教頭。
その手の話題は厭というほど見聞きしてきた。
その度に自分は。
せめて自分のクラスだけはこんな陰惨な出来事に巻き込みたくないと。
生徒とのコミュニケーションも積極的にとってきたと自負していた。
しかし実際は――。
画面の向こうの不甲斐ない教育者を蔑視していたその自分もまた、ずっと蔑(なみ)してきたそれらと
同じ程度の存在でしかなかった。
40人いるC組の中で特に会話を交わしてきたのはこなただった。
それなのに――。
自分が最も多く接してきた生徒が抱える辛辣な悩みを、実は自分だけが知らなかったという皮肉。
大人が思っている以上に子供は賢く、外をよく見ている。
大人が甘く見ているところを子供は厳しく観察しているのだ。
ななこがポケットからメモ用紙を取り出し、机の上に置いた。
「泉が入院しとる病院や。ここからはちょっと距離があるけどな」
急いでペンを走らせたのだろう。乱雑な字の住所と区画だけの地図が書いてあった。
「ウチも今日の仕事は早めに切り上げて行くつもりや」
”ウチも”という言葉が出たあたり、かがみたちが見舞いに行く前提のようだ。
「ありがとうございます」
みゆきが深々と頭を下げた。
やめてくれ、とななこが首を振った。
「ウチは何もしてやれんかった。自分らみたいに行動するどころか、気付きもせんかった……教師失格や。
なあ、高良、柊……そんな顔せんでええ。責任は全部うちにある。自分らは……なあ…自分らは……。
泉のために一生懸命やってくれたやないか? そうやろ――?」
虚しい慰めだった。
いくらその種の言葉を囁かれても、3人の心が軽くなることはない。
「黒井先生」
つかさが顔を上げた。
「帰りに寄り道……してもいいですか?」
「かまへん。自分らは特別や。それより指のケガは平気なんか?」
「はい、大丈夫です。こなちゃんに比べたら……」
「………………」
思わすそう言ってしまい、つかさはがくりとうな垂れた。
「引き留めて悪かったな。ウチからの話はそれだけや。今後のことについてもよう考える。
心配すんな、自分らのことは先生が守ったる――って今さら言うても説得力ないわな……。
でもこれだけは信じてくれ。ウチはお前らの味方やからな」
その”お前ら”には自分たち以外のC組の生徒も含まれているのだろうか、とみゆきは思った。
(黒井先生……もう手遅れかもしれませんよ……泉さんがこうなっては…………)
手遅れにした一因は自分たちにある。
その意味では同罪だ。
何も知らなかったななこが悪いのであれば、知っていながら何もしなかった自分たちはもっと罪深い。
かがみがおもむろに席を立った。
それを合図につかさ、みゆきも立ち上がる。
「すみません、先生。少しでも早くこなたのところに行きたいんです」
「分かっとる。気持ちはうちも同じや。高良…柊……ほんますまんかったな……頼むで…………」
3人は会釈をすると先を争うように会議室を出た。
彼女たちがなかば強引に話し合いを切り上げられたのも、相手がななこだからだ。
(………………)
狭い部屋に取り残されたななこは、吐きそうになるのを必死に抑えた。
623死にいたる隘路35:2008/11/18(火) 21:30:27 ID:d8svv/CI
言うまでもなく考えるのはこなたのこと。
(もし泉が死んだら……いや、死なんでも騒ぎが大きなったらウチもあの連中と同じ目に遭うんやろな……)
休日、いつものネトゲがメンテナンスで参加できなくなった時、暇つぶしに観ていたテレビ番組を思い出す。
顔を隠した先生、生徒、芸能人の総勢100名が学校にまつわる問題を議論する特番だ。
随所に挟(さしはさ)まれる校長や教頭の謝罪会見。
表向きは謝罪だが、詭弁を弄して批難回避に終始する滑稽な記者会見だ。

『いじめの事実はありません』
『遅刻もせず優秀な生徒だったのに』
『当該生徒の自殺がいじめと直接的な関係があるとは言い難い』

フラッシュバックするそれら答弁にななこは強い眩暈を覚えた。
(ウチやったら……なんて答えたらええんや…………)
真実を述べるべきか。
泉こなたがいじめに遭っていたことを知らなかった。
(あかん、それやったら他の連中と同じや。言い逃れしとうように見える…………。
ほんまに知らんかったから正直に答えてることにはなるけど……)
では虚飾で覆うか。
知っていたが、自分の力が至らなかったと。
(それも……今度は自分が嘘ついてまう。それにそんなこと言うたら、周りからはうちが何もせんかったように
見えてまうやんか……どないしたらええんや…………)
壁一枚隔てた向こうの部屋からの話し声を聞くとはなしに聞きながら――。
ななこはこなたの無事を願った。
が、それは掛け値のないこなたへの慈愛からだけでなく、いくらかは自分の保身も含まれていた。
「最低や……ウチは最低や…………」
ななこの呟きはたちまち壁に吸い込まれて消えた。



624JEDI_tkms1984:2008/11/18(火) 21:33:53 ID:d8svv/CI
 本日分は以上です。
明後日か明々後日には完結します。
それではまた明日。
625名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/18(火) 21:37:54 ID:2nN+cQzH
>>624
とうとう自殺したかと思いきやとんだミスリード
流石ですね
626名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/18(火) 22:03:36 ID:ohPyjnFo
乙です。後でゆっくり読むのが楽しみ。
とりあえず>>599-608の続き投下します。
627名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/18(火) 22:04:29 ID:ohPyjnFo


───死。
日下部さんを拒絶したあの日から、それを考えない日はなかった。
日下部さんへの罪悪感から、だけではない。
差し伸べられた救いの手を跳ね除けた後で、私は気付いた。
最後のチャンスを私は台無しにしてしまったんだな、と。
その事は、毎日々々私を苛んだ。そしてこれからの大学生活や人生そのものを、
日課のように日々考え続けた。
友達なんて一人も居ない、
休みがちな大学生活だったから、不幸なことに考える時間は沢山あった。
その思考の中で、私は悟った。チェックメイトだ、と。
 残りの大学生活を耐え切った所で、
次に用意されたステージである社会が楽しいものになるとは思えなかった。
孤独なのは相変わらずだろう。
加えて、旧友達の中で私の価値がまた一段と低いものになるのも目に見えていた。
新しいステージに移行するというのは、古い持ち物の価値が下がるという事だ。
小学生になった段階で、シャンプーハットが用済みになったように。
そうして私は、死ぬまで閉塞感を抱えたまま、何らの楽しい思いを出来ずに過ごすことになる。
メルヘンめいた幸福もなく、ドラマめいた不幸もなく。
その人生は、太宰治の小説の中で人間失格を宣言した大場葉蔵の末期と
何処が違うというのだろう。
──ただ一切は過ぎてゆきます──
その通りの、人生となる。
628disintegration:2008/11/18(火) 22:05:23 ID:ohPyjnFo
 いや、そもそもだ。社会に出られるかさえ分からない。
出られたとして、労働者を人間として扱わないような企業からしか内定は取れないように思えた。
それはつまり、昨今の採用面接はコンピテンシー評価型方式が多数を占めている事に起因している。
採用試験応募者がアピールする長所を、過去の行動から語らせる方式の面接の事だ。
その行動について深く深く突っ込んだ質問がされていくので、捏造が非常に難しい。
何ら得ることの無い大学生活を送っている私に取って、この面接方式は鬼門に思えた。
アピールする行動経験など、一人ではおおよそ作れない。
アピールする要素を探せば探すほどに、
自身がいかに無駄な時間を過ごしたのかを再認識させられ、自己嫌悪に囚われるのがオチだろう。
 大学入学して初めてのオリエンテーションで、
このコンピテンシー評価型面接の説明と共に大学職員から言われたものだ。
『アピールできる要素を作れるように、意識して大学生活を送ったほうがいい』と。
 ああ、せめてあの時、日下部さんを拒絶していなければ。
私は一旦は踏み外しかけた道を、軌道修正できていた事だろう。
けれども、私は日下部さんを深く傷つけるとともに、
私自身の人生をすら狂わせてしまった。

 孤独な中でのこういった思考は、私の精神を音を立てて軋ませながら、
崩壊へと導いていった。
同時に私の生への執着をも、断ち切っていった。
稜桜に来た時には既に、私の精神は崩壊寸前だった。
けれども、ゆーちゃん達が演技に付き合ってくれたおかげで、
どうにか崩壊は免れていた。
生に、私の命を繋ぎとめていられた。
 それが終わった今、精神の崩壊を繋ぎとめるものはない。
生へと命を繋ぎとめる糸もない。

 私はフェンスを跨ぐと、精一杯跳躍した。
心地よい風が肌をくすぐり、鼓膜には風を切る音が轟いた。
けれどそれは一瞬で終わり、代わって骨が砕け肉が潰れる音が耳に届いた。
と、同時に身体に激痛が駆け巡り、徐々に視界が暗闇へとフェードアウトしていく。
629disintegration:2008/11/18(火) 22:06:25 ID:ohPyjnFo
 即死はできなかったが、死ぬ事はできそうだった。
五体を駆け巡る激痛と、肌に纏わり付く生暖かい血の感触がそれを教えてくれていた。
ただ、死ぬ前に見るという走馬灯、それは訪れなかった。
あれは都市伝説だったのだろうか。死ぬ前に過去の体験が脳裏を駆け巡るというあの話は、
都市伝説でしかなかったのだろうか。
 いや、そうじゃない。単に、何もない人生だったから、
再現される映像がないだけだ。
その事に思い至った時、私は気付いた。私は高校生活を、神聖視していただけだって。
今が辛いから、勝手に私の中で過去の高校生活を美化していただけだって。
確かに今よりか幾分も楽しく、何より日下部さんとも仲良くやれていたけど、
そこまで神聖視するほどのものでもなかった。
少なくとも、稜桜の制服着てまで通いなおすほどのものではなかった。
実際、死に直面している私に、走馬灯すら提供しちゃいない。
 だったら、日下部さん……いや、みさきちに謝ろう。
どうせ稜桜での日々など、大したことのない過去の生活だ。
だったら、稜桜時代の旧友関係になど固執せず、私も新しい一歩を踏み出そう。
みさきちに謝って、あのサークルに入れてもらおう。
みさきちの中での私の友人としての価値が、他の友人と比して低いものとなっているのなら、
これから仲良くしていく中で過去の地位を回復すればいいだけの話だ。
いや、前以上に、稜桜の時以上に仲良くなろう。
だって、ゆーちゃんの言うとおり、ここにはもう私に取って価値のあるものは何も無い。
過去の場所だ。過去の場所なんて、これからの生活で超えていける。
 それ以前に、だ。打算以前に、みさきちの心を深く抉ってしまった以上、
私には謝る義務がある。償う倫理的責任がある。
630disintegration:2008/11/18(火) 22:07:02 ID:ohPyjnFo
 私は立ち上がろうと、足に力を込めた。だって、みさきちの所へ行かないといけないから。
でも、立てなかった。どれだけ足に力を込めても、激痛が返ってくるだけで、
足は一行に直立する素振りを見せない。
 暗闇に閉ざされかけている瞳を、両足へと送ってみる。
私の目に、骨が突き出た右足と、あらぬ方向へと折れ曲がっている左足が辛うじて映された。
この足は使い者にならないと、一瞬で理解できる壊れ方だ。
 だったら、両手で這ってでも進もう。
比較的無事な左手と、骨が折れているのか痛みの走る右手を使って這うように私は動いた。
一つ、進むたびに私の口から泡のような血が吹き出た。
肋骨が折れて、肺を傷つけたのかもしれない。
 構わない、謝るんだ。そして私の人生を修復して、
みさきちの心に刺してしまった棘を抜くんだ。
そう自分を鼓舞するのだが、気持ちだけが空回りして一行に前に進んでいる気がしない。
 いや、実際にもう前に進んでは居なかった。
ただ左右の手が、交互にコンクリートの上を撫でているだけだ。
いよいよ目の前も暗くなってきた。意識も、途切れがちになってきた。
ちょっと前までは精神の崩壊を恐れていたが、今や身体の機能までも崩壊しつつある。
 左右の手も動かなくなった頃、私の耳に誰かの叫び声が響いた。
「大丈夫かっ?泉っ」
 黒井先生の声だろうか。大丈夫です、そう言いたかったが、声は出てこなかった。
「救急車呼んだから、もう少し辛抱せいよ。また、ウチとネトゲやろうや」
 ごめんなさい先生、無理そうです。
そう言いたかったが、やっぱり声は出てこなかった。
 みさきち、ごねんね。伝えたかったけど、これも伝える事は出来そうにない。
崩壊しつくしたこの身体は、もうネットゲームはおろか人に意思を伝えることすら適わないから。

 遠くに救急車のサイレンの音を聞きながら、私は意識に別れを告げた。

<FIN>
631名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/18(火) 22:08:44 ID:ohPyjnFo
>>627-630
以上で終了です。
お付き合いくださった方、有難うございました。では。
632JEDI_tkms1984:2008/11/18(火) 22:51:55 ID:d8svv/CI
>>631

 お疲れさまでした。
ラストの満身創痍の生々しい描写に惚れました。
こなたに献身的なみさお、というのは珍しいですね。
バカキャラではなく、彼女の健気さと一途さが死を望むこなたとの明暗を
浮き彫りにしている点が印象的でした。
633名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 00:34:36 ID:TBvZv8Bo
>>623
…ななこ最低だな。
634名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 01:32:53 ID:lB/Hk/D4
じゃあ俺はななこと結婚するわ
635名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 02:39:59 ID:rtMajcTx
ななこの葛藤がマジでリアルだ。
その境遇に同情すると共に、その葛藤を見事に書ききったJEDI氏の筆力に最敬礼。
それにしても辛い話だなぁ。
最後の一撃を放ったみさおはこの件をどう思うのか、
今から楽しみです。
636名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 06:49:32 ID:XvhwklO7
その事を知ったかがみもみさおにどんな態度で出るか楽しみw
637名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 06:50:37 ID:baM59lmD
>>392に"明日から"なんて書いたけど、
出来ない事は言うもんじゃないねorz

>>391の続きを投下します。
尚、今回は、ぼっちスレへのオマージュが含まれています。
不快に感じられた場合はNG指定で・・・。
638名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 06:51:42 ID:baM59lmD
200Y年4月某日

今日から新学期だ。
学生たちの流れに身を任せて、大学の校門に吸い込まれる。
頭の中を空っぽにして、下を向いて歩いて行く。
人と関わりたくなければ、下を向いて歩くに限る。

"ドスッ!"

「あっ!」
「いった〜い」

前言撤回、人と関わりたくなければ、ある程度は周囲に気を遣うべし。
横から歩いて来た女子大生にぶつかり、彼女は尻餅をついてしまった。
私もバランスを崩し、地面に倒れこむ。

「ったく、どこ見て歩いてんのよ!」
「す、すいません」

平謝りするが、彼女は納得しない。
いきなり突き飛ばされたのだから、当然の反応ではあると思うが。

「もう!ネイルが傷んじゃったよ!どうしてくれるの?」
「ゆきこ、どうかしたのか?」

男子学生が近寄って来た。
「あ、ひろし!ねぇ聞いて?私さ、こいつに突き飛ばされてさ・・・」
「・・・謝ってもらったんだろ?」
「でも、私のネイルが〜!!」
「そんな薄幸そうな女、放っとけよ。不幸が移るぞ!」
「そーだね。でもなんか損したなぁ」
「じゃあ、あとでパフェ奢ってやるからさ」
「ホント?ありがとう、ひろし!」
「ほら、行くぞ!」

そういうと"ひろし"と"ゆきこ"は手をつないで去って行った。

(へっ、どうぞお幸せに。どうせ私は不仕合せな女ですよ)

そう心の中で毒づいて立ち上がり、手についた砂埃を落とす。
見上げると大学のシンボルになっている時計台が目に入った。
年季の入ったの前でまだ寒い春の風に独り吹き晒される自分の存在が、
ひどくちっぽけなものに感じられる。
まるでこのまま小さくなって、自分が消えてしまいそうな錯覚に囚われる。
639名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 06:53:55 ID:baM59lmD
>>638
「・・・ヘグシュっ!」

ネガティブな思考にピリオドを打ったのは己のくしゃみだった。
こんなところで突っ立っていては風邪を引いてしまう。
生協で缶コーヒーでも買おうかと、
私はさっきまで自分を見下ろしていた時計台の中に入って行った。

この4月で無味乾燥な大学生活も折り返し地点を過ぎたことになる。
両親にお金を出してはるばる京都まで来たんだ、勉強に専念しよう、
そう思って何のサークルにも部活にも参加しなかったことが仇になり、
私の大学生活は常にひとりぼっちだった。
昔は意識したことがなかったが、私は元々人付き合いは下手だったらしい。
高校時代は随分と周囲に恵まれていたのだと思う。
そんなわけで去年の秋頃までは、自分に友達がいないことが辛くて仕方がなかった。

ただ、逆に今はひとりぼっちでいることが有り難い。
理由は言うまでもなく つかさ がAV女優としてメジャーになってしまったからだ。
Googleで『mikako 本名』と検索しても『柊つかさ』はまだヒットしないが、
けれどもいつか、バレる。必ず、バレる日が来る。それは明日かもしれない。
それに つかさ のことだ、いつ自分の本名を口走ってもおかしくない。
だいたい、mikakoも みゆき と私と こなた の頭文字を繋いだくらいだし。
まぁそのネーミングセンスはいかにも つかさ らしいのだけれども。

もしも、もしもだ。
mikakoの本名がバレて、私が彼女の双子の姉であることがバレたらどうなるだろう。
私は後ろ指を指されて、陰口を叩かれるかもしれない。

 ―柊さんって mikakoのお姉さんだったらしいよ・・・
  ―血を分けた双子の妹が身体売ってるってどんな気分なんだろ・・・

 ―アイツもビッチなんじゃないの?やらせてくれるかもよ?
  ―やめとけ、変な病気移されるぜ。それにどうせユルユルだろ。

 ―柊さん、申し訳ないけどもう私たちの隣に座るのやめてくれないかな?
  ―ごめんね、周りから変な目で見られたくないし・・・


幸いにして、私には大学に友人がいない。失うものは何もないのだ。
そもそも私を『柊かがみ』だと知っている人は、
この中にきっと誰もいない。多分1人の例外を除いては。

「柊ちゃん、久しぶりっ!」
「・・・ぬぁっ!!!」
「あ、ごめん。驚かせちゃった?」
「ま、まゆみ か・・・」

缶コーヒーと朝食代わりのアンパンをレジで清算しようと並んでいると、
その唯一の"例外"に声をかけられた。

まゆみ、だ。
640名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 06:55:59 ID:baM59lmD
>>639
彼女と知り合ったのは、大学1年の秋頃。
学食で読んでいたラノベを巡るちょっとしたいざこざがきっかけだった。
当時同じ講義を受講していたこともあって
その後しばらくは、頻繁に行動を共にしていた。

まゆみ は私に対して、とてもよくしてくれていた。
そして時には、彼女は自分の時間を犠牲にしてでも私に付き合ってくれた。
でも、それが逆に私にとっては負担になっていった。

私にとって彼女は大学で唯一の友人だったのに対し、
彼女にとっての私は、所詮膨大な人間関係の一人に過ぎない。
それなのに、彼女は私だけに対して時間を割いてくれる。
それが申し訳なくて仕方がなかった。
彼女のサークルの仲間が私に向けて来る、冷たい視線も痛かった。
少々天然なところがあった彼女はそんな状況に気付かなかったのだろうけれども、
私にとっては彼女との付き合いは徐々に負担になった。
数ヶ月が経ち、彼女との間に講義という接点が無くなってからは、
私は自分から彼女と距離を置いた。

本当はさっき、生協で棚から缶コーヒーをとった時に、
遠目に彼女の存在を認めてはいたのだけれども、
声をかけるのが躊躇われたのには、そんな経緯があったのだ。

「久しぶりだね。元気にしてた?」
「う、うん」
「法学部、忙しいんでしょ?」
「い、いや、まぁね」

別に忙しくは無いのだけれども、まさか

「妹がAVに出て、説得したのにやめてくれず、
 しかも何故か私が実家から追い出されてきました」

とも言うわけにはいかず、適当に相槌を打つ。
どうやら まゆみ は、私と彼女が疎遠になったのは、
私が忙しいせいだと思っているらしい。
お陰で、少し気まずさと後ろめたさが無くなった。
会計を済ませ、階段を昇って別れ際に、彼女は言った。

「ねぇ、柊ちゃん、久しぶりに一緒にお昼食べない?」
「いいわよ」
「決まりだね。じゃあ、昼休みになったら電話するから」

久しぶりに他人と食べる昼食。
新年度早々、昼食に声をかけられるなんて、
大学生活後半戦は、私にも追い風が吹いて来たのかもしれない。

すっかり舞い上がった私は、
『つかさ』という存在を、久しぶりに頭の片隅に追いやる事が出来ていた。

                   つづく
641名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 06:58:20 ID:baM59lmD
以上です。

ちなみに遅れた分の埋め合わせで挿絵を描こうと思うも、
美術2な自分には高望みで、挫折しました。精進せねば。
642名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 07:04:54 ID:/0XanKFS
アルバイトはリアリティがあってとてもいい
643名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 08:57:43 ID:aM6Z7ftZ
お、良かった。ちゃんと連載続いてた
頑張ってくださいな
>>624
これは皮肉な事になってきたな。
もし、つかさ達がこなたの味方をしていなければ、
みさおもこなたを攻撃せず、自殺はなかったか。
そういやこなた言ってるっけな。
卒業まで我慢すりゃいいだけ、と。
つかさ達3人のこなたを守るという行動は尊いけど、
それが逆に引け目となってこなたを襲うとは何たる悲劇。
尊い友情ゆえに卒業まで我慢という程度で済んだはずのいじめが、
こなた自身の死を絡めた責任問題にまで発展か。泣ける。
644名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 10:36:20 ID:Ac8MpN/G
俺はアルバイトの為にこのスレにいるよ
これってプレッシャーかなw
でもこれからも楽しみにしてます
645名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 17:08:01 ID:KbZBIq0v
>>624
(今回の件においては)間違った判断を一番支持してしまったつかさ
勢い余ってこなたを追い込んでしまったかがみ
双子を心配するあまり4人の結束を崩す切欠を作ってしまったあやの(と、みさお)
こなたにダメ押ししてしまったみさお

みんながみんな非があり、後日談がどうなるのか興味深いです。


>>631
最後の最後に前向きになれたけど時既に遅し・・・
自分も凄く仲の良かった友達と進学等を機に過疎ってしまった経験が何度もあるので
印象深い話でした。
「死にいたる隘路」のみさおとは対照的なのが救われるw

>>640
おお、待ってましたw
題名無かったから最初つかさアルバイトシリーズだと気づかずに
こなたが孤独大学生活送ってるのかと思ったw

所でこの話の過去作ってどこかで読めないのかな?
つかさびっちまとめWIKIには1話しか載ってない・・

646名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 18:41:22 ID:mhcycJpT
かがみんを困らせる悪い子はしまっちゃおうねぇ

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4062.jpg
647名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 19:57:34 ID:aM6Z7ftZ
ガンガンじゃないほうの福岡!久しぶりじゃないですか
648名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 20:05:34 ID:mhcycJpT
>>647
お久しぶりです
649名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 20:09:33 ID:fDCb4/FZ
>>648
そういえばあんたも福岡だったか
羨ましい
650JEDI_tkms1984:2008/11/19(水) 21:22:08 ID:K5e9OpKn
 みなさん、こんばんは。
本日分の投下をいたします。
651死にいたる隘路36:2008/11/19(水) 21:23:06 ID:K5e9OpKn
「泉こなたさんですね……東館3階の12号室になります」
受付でこなたのいる病室を聞いた3人は白壁の廊下を急いだ。
途中、すれ違う患者の顔色は暗い。
人通りはあるのにまるで世界から切り離されたような陰鬱さがある。
「ここですね」
部屋番号を確認してみゆきがノックする。
どうぞ、と中から小さな声が聞こえた。
「あ…れ…………?」
ドアを開けるなり、ベッドに臥していたこなたが素っ頓狂な声をあげる。
医者か看護師がやって来たものと思っていたらしい。
「こなちゃんッ!」
思わずつかさが駆け寄り、その小さな体躯に縋ろうとする。
だができなかった。
2本の透明な管がベッドの下と上、それぞれから這っている。
それが蛇のように絡まってこなたの両の腕に突き刺さっていた。
「来てくれたんだね…………」
青白い顔のこなたがぎこちない笑みを浮かべた。
表情には翳りがあるが、話をする分には不自由はないようだ。
「泉さん……どうしてこんな事を……」
3人の顔を見た瞬間からその質問が出るだろうと踏んでいたこなたは、わざとらしくならないように顔をそむけた。
死にたかったからに決まっているが、そんな事を言ったらどう切り返されるか分からない。
心神耗弱している状態で、いくらみゆきと雖(いえど)も高説をくどくどとされるのは厭だった。
「こなた……」
掛け布団からわずかに覗く傷跡が痛々しい。
それに加えて薬物による疲弊で、たった1日跨いだだけでこなたは別人のように憔悴していた。
「カッコ悪いよね……こんなとこ見せて……」
こなたはみゆきの問いには答えずに苦笑混じりで漏らした。
「ほんとよ……」
かがみが吐いた。
「なにやってんのよ……こんな事して……誰が喜ぶっていうのよ……」
泣いていた。
およそ彼女の知っている”こなた”からは想像もつかないほどの窶れぶりに涙が止まらない。
「……ごめん」
意味も考えずにこなたが謝った。
責められたことに対する条件反射であって、心からの言葉ではない。
「黒井先生に全てお話しました。すみません、勝手なことをしてしまって……ですが…………。
こうなった以上、隠し通すわけにもいきませんから…泉さん…………」
みゆきもまた落涙していた。
こなたを救えなかった自分の無力さが呪わしい。
つかさもその気持ちは強いらしく、凍りついたように生々しい傷跡を凝視していた。
「なんでこんな事したのよ?」
いつも以上に目をつり上げ、かがみが呪詛の念を叩きつけるように呟いた。
「…………」
「なんでこんな事したのかって訊いてんのよ!」
「お、お姉ちゃんっ!!」
つかさが慌てて止めに入る。
「バカじゃないの!? あんた……自分が何したか分かってんの!? 後先考えないで勝手な――」
「かがみさんッ!!」
「………………」
みゆきがかがみの肩を掴んだ。
「そうだよ……だって私、バカだもん……」
憤然として自分を見下ろすかがみに向かって、こなたが拗ねたように言い返す。
「バカだからいじめられるんだよ。空気も読めないしさ…それに……」
「そんなこと言ってるんじゃない!」
再びかがみの怒声。
傍にいたみゆきはビクンと体を震わせた。
652死にいたる隘路37:2008/11/19(水) 21:24:39 ID:K5e9OpKn
「私が言いたいのは、死んでどうなるかってことよ! あんたは死ねばそれで済むけど、私たちはどうなるのよ!
いじめてた奴はそれで反省するのか!? おじさんやゆたかちゃんの気持ちまで考えたことあるのか!?」
「………………」
「あんたの気持ち……私はあんたじゃないから分からないけど、でも分かろうって思ってたわよ。
3人で話し合ってどうしたらいいか、ずっと考えた。どうしたらこなたが救われるか……。
つかさだってみゆきだって真剣だったんだぞ? それをあんたは…………あんたは……」
言葉に詰まる。
こなたは続きを待った。
「あんたのやった事は裏切りなのよ……分かってんの?」
「…………ッ!?」
かがみの意外な一言にこなたは驚いた。
が、それ以上に驚いたのはつかさたちだった。
「か、かがみさん……」
冷や汗をかきながら、みゆきがかがみを制止しようとする。
この少女は勢いに任せて何を言い出すか分からない。
「裏切ったって……どういうこと…………?」
ひきつった顔でこなたが訊いた。
「あんたを助けたいと思ってる私たちに対する裏切りよ」
今度は感情的にならず静かに答える。
「死ぬなんて絶対に駄目よ、こなた。そんなの単なる逃げじゃない。現実から逃げてるだけ。
おじさんもゆたかちゃんも、それに私たちだってついてるだろ?」
怒っているような笑っているような表情で。
「あんたが死んで悲しむ人がひとりでもいるうちは……そんな事しちゃ駄目」
慈しみを注ぐように、ツンともデレとも違うかがみの声が、ゆっくりとこなたの中に浸透していく。
みゆきはその陰で俯き、またしても自分の考えの浅さを恥じた。
自分にはかがみのような、慈愛に満ちた言葉は思い浮かばない。
”死なないでください”とか”早くお元気に”のような、誰にでも言えそうな単語しか出てこない。
あまりに陳腐すぎてそれを口にすることすら憚っていた。
この瞬間、彼女はかがみを心から尊敬した。
同時にこなたが羨ましくもなり、そんなかがみと知り合えた自分が誇らしくもあった。
「――――わないでよ……」
そうやってしばし想いに耽っていたみゆきは、こなたが小さく放った言葉を聞き逃した。
「えっ……?」
みゆきだけでなく、かがみもつかさも聞き返していた。
「無責任なこと言わないでよ」
こなたはハッキリと言った。
「死ぬのは駄目とか……そんな無責任なこと言わないでよ」
「む、むせ…………?」
やりとりを見守っていたつかさが分からない顔をした。
「なんで死ぬのが駄目なのさ? 生きてるのがつらいから死ぬんじゃん。当たり前でしょ?
だって普通、楽したいって思うじゃん。死んだほうが楽なんだったら、そうしたいって思うでしょ?」
元気のない瞳で、覇気のない声で、しかしこなたは自分の考えをしっかりと主張した。
「勉強して良い大学入って、良い会社に就職して……でも、それって何のため?」
「………………?」
「将来、楽したいからでしょ? かがみやみゆきさんは、いま勉強しなくてどうするって言いそうだけど。
それって結局は後で楽するためでしょ? 楽することが悪いっていうんだったら、それだって同じでしょ」
つかさは思わずかがみを見た。
こなたが何を言おうとしているのかが理解できない。
大学? 就職?
今回の話と何も繋がらない。
「私は生きてるより死んだ方が楽だと思ったからそうしただけ。運悪く死ねなかっ――――」
最後まで言い終わらないうちに、かがみが力いっぱいこなたの頬を張った。
「…………ッ!?」
頬に走る痛みを抑えながら、こなたはキッとかがみを睨みつける。
「死ねなかったなんて言うなっ!」
「………………」
「自殺なんて絶対に許さない……私が許さない!!」
「こ、こなちゃん……」
紅潮した頬を見て、つかさが手を差し伸べる。
が、こなたはそれを迷惑そうに振り払った。
653死にいたる隘路38:2008/11/19(水) 21:26:45 ID:K5e9OpKn
「なんで自殺するのが悪いの? かがみは私が裏切ったって言ったけど、私からしたら…………。
かがみは私の邪魔をしてるんだよ? 死にたいって思ってるのに邪魔してるんだよ?」
「あんた、何言って――」
「私もね、最初はこんな事で死ぬなんてバカだなって思ってたよ。ニュースでもよくやってるでしょ。
なんで自殺するくらいなら仕返ししないのかなって、その時はそう思ってた」
「………………」
「でもさ、実際はそうなんだよ。そんな気力なんて出てこないんだ。ようやく分かったよ。
仕返ししようとか生きようとか、そんな風には思えないんだよ」
「馬鹿なこと言ってんじゃないわよ」
「かがみは神社の子だから、生きることが尊いって考えてるの?」
「そうじゃなくてもそう考えるわよ」
「そうですよ。どんな理由があろうと自ら死を選ぶなんて間違っています」
静観していたみゆきが加勢した。
「なんでそう思うの?」
こなたは拗ねたように言う。
「生きることが尊いんだったら、死ぬことだってそれと同じくらい尊いと思わない?」
哲学的な見解に聡明なみゆきもかがみも、否定肯定のどちらもできなかった。
「生きてるのがつらいっていうのに、それでも死ぬな、生きろって迫る人って残酷だと思わない?」
再び問い。
これにもまた答えを返すことができない。
「だってさ、つらくて苦しても生き続けろって言ってるのと同じなんだよ? それって酷いよね。
もっと苦しめって言ってるようなもんだよ。死ぬ自由を奪ってるんだよ?」
返事がないことにこなたが勢いづいた。
「一般的には自殺は良くないことってなってるから、みんなはそう言ってくれるんだよね。
それは素直に嬉しいしありがたいと思うけど……でも……今の私には苦痛なんだ」
かがみは困ったようにみゆきを見た。
(…………)
みゆきは唇を噛んで目を伏せた。
こなたの言っていることに間違いはない。
自棄になって発した詭弁ではない。
彼女が言うからこそ胸に響く説得力があった。
「……それは違うと思う」
それを真っ向から否定しようとしたのはつかさだった。
「なんでさ?」
まさかつかさから反論されるとは思っていなかったこなたは、射抜くような視線をつかさに向けた。
「無責任なのはこなちゃんだって同じだよ。何もかも放ったらかしにして死ぬんだよ?
こなちゃんはそれでいいと思ってるかもしれないけど。残された人のこと、全然考えてない」
「………………」
「私もお姉ちゃんもゆきちゃんも、こなちゃんに死なれたら悲しいよ。おじさんだってゆたかちゃんだって。
それは分かってるでしょ?」
こなたはこくんと頷く。
「分かってて自殺するんだったら、私たちを悲しませることになるんだよ?」
「……分かってる。分かってるよ、そんなこと!」
「こなちゃん……」
「でも…つらいんだもん! 私のせいでみんなが巻き込まれてるんだよ! そのケガだってそうだよ!
みんなに迷惑かけてまで生きていたいなんて思わないよ!」
「誰も迷惑だなんて思ってないよ」
声を荒げるこなたとは対照的に、つかさは包み込むような優しい声でそう言った。
「迷惑だと思ってるなら、こうしてみんなで来たりしないよ」
「あっ――――」
つかさが笑った。
みゆきも笑った。
かがみは頬を赤らめてよそを向いた。
「だからそんなこと言わないで。もう一度、みんなで一緒に考えようよ。私なんかじゃ力になれないけど。
お姉ちゃんもゆきちゃんも頭が良いから、きっといい方法が見つかると思う」
言ってからつかさは恥ずかしそうに下を向いた。
「………………」
ずいぶん永いこと沈黙が続いた。
先ほどまでとは違い、わずかに温かい空気が周囲を取り巻いているように感じられる。
654死にいたる隘路39:2008/11/19(水) 21:28:07 ID:K5e9OpKn
「――ごめん」
こなたがようやく口を開いた。
「みんな、ほんとにごめん……私、もう少し頑張ってみるよ」
そう言う彼女の顔は明るかった。
3人が来た時に見せた、全てを諦観していたあの暗さはもうどこにもない。
「一緒に頑張りましょう、泉さん」
みゆきがその手をとる。
「そうだよ、こなちゃん」
つかさが自分の手をその上に重ねた。
かがみだけはそれには倣わず、
「昨日言ったことはほんとにごめん。私が悪かった」
そう言って、じっとこなたを見つめた。
「でも本意じゃないからな。つかさのことで頭がいっぱいだったから、つい言っちゃったけど。
あ、いや……”つい”って言い方は違うかな……まあ、その……」
「分かってる」
こなたが遮る。
「分かってるよ、かがみん。かがみんは優しいもんね。つかさが心配だっただけだよね」
こなたは思った。
妹想いの優しいかがみ。その優しさを自分にも勿体ないくらいに向けてくれている。
それが堪らなく嬉しかった。





「これ以上いては泉さんのお体に障るかもしれませんので――」
みゆきがしずしずと立ち上がった。
心なしか彼女の表情には余裕が見られた。
かがみもつかさも漸く安堵する。
3人はもしこなたが心を開かず自棄を起こすようなら、説得に応じるまで居座るつもりでいた。
それぞれに硬軟のやり方はあったが、今はこうしてこなたの精神も持ち直している。
”もう少し頑張ってみる”
その言葉を3人は信じた。
頑張るのはこなただけではない。
つかさの言うように一丸となって行動すれば――。
必ず道は開けるハズだと。
誰もが信じていた。
「じゃあ、名残惜しいけど今日はこれで帰るわね」
「ごめんね、こなちゃん」
後ろ髪を引かれる想いでつかさがこなたから離れる。
「うん、来てくれてありがと。私、頑張るから」
あの眠そうな目で、しかし口調はハッキリとそう宣言する。
「それでこそ泉さんですよ。大丈夫です。一緒に戦いましょう」
みゆきの口から”戦う”という言葉が出たことに一同は驚いた。
それだけ彼女の意志が強いと感じられた瞬間だ。
「ゆっくりでいいからな」
かがみが言った。
「ゆっくりでいいから。まずは体調を整えなさいよね。あんたの事だからゲームでもしそうだけど。
まあそれはそれでいいと思うけどね。ってかそっちのほうがこなたらしいし」
そう言って屈託なく笑う。
「うん……ありがと……かがみ……」
こなたが顔を真っ赤にして俯く。
それを見て、かがみがふふんと鼻を鳴らした。
「普段、人のことツンデレとか言っといて今のあんたは何なのよ? それってデレってやつじゃないの?」
したり顔で覗き込む。
「う、うるさいな! こんなのデレじゃないよ! いつもツンツンしてないし!」
耳まで真っ赤にしてこなたが反論した。
その様を見てやや離れたところで笑う2人。
655死にいたる隘路40:2008/11/19(水) 21:31:04 ID:K5e9OpKn
「いつものこなちゃんに戻ったね」
「はい。かがみさんは本当にすごいです」
本人たちに聞こえないように囁き合う。
「ま、とにかく今は安静にしてなさい。また元気な顔見せてよ。約束だからな」
「また来るね」
「これで失礼します。ご養生なさってください」
三様の挨拶を述べて病室を後にする。
「うん、約束する。もう絶対こんなことしないから」
閉じられたドアをこなたはいつまでもいつまでも見つめていた。
(………………)
叩かれた頬がひりひりと痛んだ。
「かがみ…………」
呟きにドアは静寂を返した。
彼女は最後までみさおに詰め寄られたことを打ち明けなかった。
――打ち明けられなかった。
自分をここまで大切に想ってくれるかがみのこと。
もしみさおとの一件を知れば、彼女はきっと怒るに違いない。
みさおに迫るに違いない、と。
その様が容易に想像できるこなたには、どうしても告白することができなかった。
それは単なる告げ口でしかない。
わざわざそれをかがみに伝える意味がない。
かがみとみさおとの間に蟠りを残す結果しか生み出さない。
「みさきち…………」
みさおの言った事は正しいのだ、とこなたは改めて思った。
自分がいるから。こんな自分がいるから誰かに迷惑をかける。
つかさにも、みゆきにも、かがみにも。
みさおとのやり取りを話せば、またかがみの気を揉ませてしまう。
もうこれ以上、誰の手も煩わせたくない。
偽らざる泉こなたの本心だった。
かがみたちに励まされたことで、彼女の中で生への希望が生まれた。
だが同時に湧いた、かがみたちを巻き込みたくないという想いが死への誘いにもなった。
(私が言わなければいいんだ……それで済む話なんだ…………それ、で…………)
宙に浮いたような感覚がこなたを襲い、ほどなくして視界が暗転した。





656JEDI_tkms1984:2008/11/19(水) 21:33:24 ID:K5e9OpKn
 本日分は以上です。
明日ですが急遽、出向を命じられたので帰宅時間によっては投下が金曜夜になるかもしれません。
657名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 21:56:15 ID:DB20zTwY
どうなるんだ…
658名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 22:01:14 ID:KbZBIq0v
乙でした。
4人の絆は戻りつつあるようですが
みさおの件は拭い去る事が出来ない様子……

かがみはその件を知る事になるのだろうか……
659名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 22:41:22 ID:rl1bBon7
空気を読まない俺のここまで読んだ感想。
普通に転校すれば問題解決だと思うんだが。
逃げるとか言うが、これまで自分が誰からどんな虐めを受けて来たか実名で警察でもマスコミでも暴露し、転校するのが一番だろ。
転校したからってかがみ達が友達で無くなる訳じゃないんだし。
確かに自分が虐められていた、という事実を世間に公表するのは勇気が居るだろうし恥かしいと思う気持ちもあるかも知れんが、
暴露された奴等はそれなりに社会的制裁が待ってるだろうし、転校先でも今までみたいにオタクな言動を見せなければ同じ様に虐められると言う事も無いだろう。
虐めた奴等に仕返しする気がないなら普通に転校するだけでおk。
660名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/19(水) 23:37:51 ID:aM6Z7ftZ
はてさて…
こなたはどうするんだろう。
精神はある程度回復しかけたかに見えるが…。
更なる一撃が待ち受けているのだろうか。
661名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/20(木) 02:30:20 ID:xP7HvurX
初期のSSのつかさやみゆきだと、こなた転校後も家に押し寄せそうだから困るw
662名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/20(木) 09:25:48 ID:WOeMG/kT
一時期は、ホント実質のこなたアンチスレだったしなぁ
663名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/20(木) 14:57:28 ID:hADPwEEH
総連傘下団体元幹部 大麻所持で再逮捕へ 入手経路を追及

在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の傘下団体「在日本朝鮮京都府青年商工会」の元役員で、
京都市中京区の不動産会社社長、蔡潤逸容疑者(41)=児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で逮捕=が、
乗用車内に大麻を持っていたことがわかり、滋賀県警守山署は大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕状を取った。
29日午後に再逮捕する。

調べでは、蔡容疑者は今月9日、京都市右京区の会社の駐車場に止めた乗用車内に、
乾燥大麻約0・5グラムを保持していた疑い。容疑を認めているといい、同署は入手経路などを追及する。

同署は同日、蔡容疑者が滋賀県守山市内のホテルで今年2月に私立高校3年の女子生徒(17)に現金3万円を渡し、
わいせつな行為をしたとして逮捕した。その際に関係先を家宅捜索したところ、
乗用車のダッシュボードから封筒に入った乾燥大麻や吸引用のパイプ2本を発見した。
大麻は吸引した形跡があったという。
(2007/05/29 19:50)
ttp://www.sankei-kansai.com/01_syakai/sya052908.htm
>京都市中京区の不動産会社社長、蔡潤逸容疑者(41)

京都新聞:児童買春違反で容疑の社長逮捕 守山署
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070510-00000007-kyt-l25
>不動産会社社長中千潤逸容疑者(41)

毎日新聞:事件・事故:児童買春容疑で京都の男逮捕 /滋賀
ttp://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/shiga/archive/news/2007/05/10/20070510ddlk25040750000c.html
>不動産会社社長、中千潤逸容疑者(41)
664名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/20(木) 16:11:36 ID:So3i4ENi
JEDIさんの続きが気になるぜ。明日が待ち遠しい
しかし辛い話だ
神奈川氏の同情の余地のないこな虫SS見て癒されてくるわ

そういえば次スレはパート28か
665名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/20(木) 19:48:18 ID:n5Vo7plE
絵師は皆いなくなった?
666名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/20(木) 19:57:56 ID:ZOrSbnNQ
昨日来たじゃん
667名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/20(木) 20:03:03 ID:gNVLmHvu
>>665
ROM
668JEDI_tkms1984:2008/11/20(木) 22:16:04 ID:flBiGKIp
 みなさん、こんばんは。
出向先(姫路)から少し前に帰ってきました。
なんで本社勤務なのに小間使いみたいに……と愚痴っても仕方ありません。
遅くなりましたがラストまで投下します。
669死にいたる隘路41:2008/11/20(木) 22:17:27 ID:flBiGKIp
 こなたの死が告げられたのはその3日後のことだった。
その日は朝から教師たちが慌ただしく校内を走り回っていた。
特に担任のななこは電話対応から各教師への伝達など、休む暇もなかったほどだ。
そのため、彼女がC組に顔を出したのはいつもより20分ほど後のことだった。
「……お前ら、いつまで喋っとんや! さっさと席着けぇっ!」
高校3年生にもなって、ホームルーム開始時間になっても担任が姿を見せないのをいいことに、
だらだらと歓談に興じている生徒たちにななこは怒りに狂いそうになった。
こいつらには受験生――それ以前に人間としての自覚が欠けている。
おとなしく自習でもしているかと少しでも期待していたななこは、ここでもまた生徒たちに裏切られた。
自分の席で静かに待っていたのはつかさとみゆきだけだった。
ななこはちらっと、こなたの席に目をやった。
もちろん空席だ。
それからつかさ、続いてみゆきにも視線を向ける。
2人はななこと目が合うと小さく会釈し、それから気まずそうに目をそらした。
「まず言うとくけど、今日の授業は中止や」
途端に生徒たちがざわめく。
「静かにせえ! 今日は先生から残念な話がある」
つかさがびくりと体を震わせた。
「――泉が亡くなった」
その一言にみゆきの頭の中が真っ白になる。
必死に抑えていた感情の波が一気に押し寄せてきたような感覚に陥る。
「いちいち騒ぐなっ! 亡くなったんは今朝早くや」
怒声は苛立ちから。しかし担任として事実を伝えなければならないななこは、冷静になるよう努めた。
本音はこの場で怒鳴り散らしてやりたかった。
『お前らが泉を殺したんや!』
『人の顔した悪魔どもめ!』
『泉に謝れっ!』
そこまで言ってやりたかった。
しかしそれはできない。
彼女がC組の担任である間は決して不可能なことだ。
「お葬式はいつなんですか?」
後ろの方からそんな質問がぶつけられた。
(…………ッ!!)
その生徒の顔をななこはしっかりと見た。
こなたの死を悲しんでいるとは思えなかった。
どちらかというと興味本位。
心底から何かを想っての問いではないとすぐに分かった。
「……ご家族の希望でお通夜も葬儀も身内だけでするらしい。お前らに――」
ななこはそこで言葉を切った。
「……お前らに悼む気持ちがあるんやったら黙祷したったらええ」
これは彼女の、立場上言えるギリギリの皮肉だ。
つかさは言われる前に黙祷を捧げていた。
みゆきは歯を食いしばり、何かに耐えるように俯いたままだ。
「前にも言うたように東館に相談室がある。何か抱えとうことがあったらなんでもええ。
うちらかカウンセラーに遠慮なく相談せえ。どんな事でもかまへんから。
手遅れになる前に……自分らでちゃんと考えて行動するんや……分かったな……?」
最後のほうは泣いていた。
(お前らに相談室なんか必要ないわ。あれはお前らのためにあるんちゃう)
目尻をハンカチで押さえ、ななこはこの事柄に最も深く関わった2人を見た。
おそらく自分よりもはるかにショックを受けているだろう。
こなたの惨状を知りながらこんな結果を迎えてしまったのだ。
ななことは別の意味で後悔しているに違いない。
(自分らはようやってくれた。不甲斐ないウチに代わってな……。そうやで、柊、高良……。
相談室は自分らにこそ必要なんや。こんな優しい生徒――他にはおらん…おらんからな…………)
ななこは落涙した。
この教室で涙を流しているのは3人だけだった。


670死にいたる隘路42:2008/11/20(木) 22:18:22 ID:flBiGKIp
「よし、全員揃ったな」
同時刻。B組。
いつもローテンションのひかるが、今日だけはやけに厳しい顔つきで教壇に立った。
しかし表情のどこかに余裕が見て取れるのは、自分のクラスで起こった問題ではないからかも知れない。
「ああ、号令は今日はいいから。そのままで聞いてくれ」
日直が立ち上がりかけたのを留め、ひかるが教壇に両手をついた。
残念なお知らせがある、と前置きして彼女は事実を述べた。
「――C組の泉が亡くなった」
途端、ざわめき。
かがみは気を失いそうになった。
これは嘘だ。何かの冗談だと言い聞かせようとした。
が、できなかった。
死因には心当たりがあるし、そもそも教師がこんな悪趣味な嘘をつくハズがない。
(こなた…………)
落魄するかがみを難しい顔で見つめているのはあやのだ。
彼女はこなたとの付き合いが皆無に等しく、それ故に憐憫の情など湧かない。
これはあやのに限ったことではなく、B組の生徒の大半がそうだった。
「静かにしろ。先生も詳しくは聞いていないが、亡くなったのは未明らしい」
こなたが自殺を図ったという報せをすでに聞いている生徒たちは、いくらかその可能性を予想していたのか、
思いのほか冷静にひかるの言葉を聞いていた。
「高校生とはいえ、お前たちもまだまだ情緒が不安定な時期だ。受験も控えているからな。
親や先生に言えないような悩みがあったら、迷わず相談室を訪ねるように。
いいか、絶対にひとりで悩むんじゃないぞ。お前たちには親がいる、友だちがいる、先生だっているんだ。
困ったことがあったらとにかく人に頼れ。お前たちはひとりじゃない」
ひかるは淡々と教師らしいことを述べた。
件の事故は隣で起こったが、いつ自分のクラスでも同様の生徒が現れるか分からない。
見た目には分からなくとも、心の中に深い傷を負っている者がいるかもしれない。
ひかるはぐるりと教室中を見回した。
まず目に留まったのは柊かがみだ。
この少女は他の生徒と比べて明らかに落魄している。
続いて日下部みさおと峰岸あやの。
2人も落ち込んではいるのだが、彼女たちの視線はかがみに注がれている。
(無理もないか……仲が良かったみたいだからな……)
休み時間になるとかがみが隣のクラスに出かけているのを、ひかるは何度か見ている。
妹のつかさ、みゆき、こなたと談笑している姿も見た。
それを考えれば彼女の悲しみは察するに余りある。
「………………」
みさおは複雑な想いを胸にかがみを見た。
ひかるがまだ何か言っていたが、もはや彼女の耳には届かなかった。
(柊…………)
死んだこなたよりも、まずかがみを想う。
彼女は苦しんでいる。悲しんでいる。哭(な)いている。
自分には彼女を慰めることはできないが……。
――傍にいてやろう。
彼女の苦痛が少しでも和らぐように。
――傍にいてやろう。
(………………)
生徒たちが一斉に椅子を引く音でみさおは我に返った。


671死にいたる隘路43:2008/11/20(木) 22:19:42 ID:flBiGKIp
 3人は屋上にいた。
先生たちはすぐに帰れと言ったが、何となくそうしてはいけない気がした。
冷たい風が吹き、その後すぐに湿った生暖かい風が追い越すように吹き抜けた。
「泉さんのことは――」
拭ったばかりの涙がまた溢れてくる。
「……泉さんには…本当に申し訳ないことをしてしまいました……」
みゆきが拳を握り締めた。
”何かをした”わけではない。
”何もできなかった”ことが悔しかった。
「私たち……何ができたのかな……」
誰にともなく投げかけるつかさの問い。
かがみもみゆきも明確な答えは出せなかった。
だが結果を見れば、自分たちの行動が間違っていたことだけは確かに分かる。
正しければ――こなたは死なずに済んだのだ。
薬物を使うことも、手首を切ることもせずに済んだハズなのだ。
「生きてていいのかな――」
水色の空を見上げてかがみが呟く。
「生きてていいのかな、私たち……こなたをこんな目に遭わせて……」
「分かりません……」
流石のみゆきも、その呟きを一蹴する気にはなれなかった。
生は尊いという、今まで自分が当たり前だと思っていた考え方すら、今は当たり前に感じられなくなっている。
「これからどうなるんだろう」
つかさの問いだ。
このまま誰も何も言わなければ、いじめがあった事実も有耶無耶になるかもしれない。
責任転嫁が得意な教師たちが、受験ノイローゼだとか適当にでっち上げて片付けるかもしれない。
(黒井先生……どうなさるおつもりですか……?)
かがみの横に立ち、みゆきも天を仰いだ。
ななこは知っている。
今までこなたがどんな境遇に置かれていたのか、自分たちが告白している。
教師として、人として。
全てを明らかにする義務がある。
だが言うまでもなく、それはななこ自身の首を絞めることにもなる。
果たして彼女にそこまでの勇気と真摯さがあるかどうか。
処分を覚悟でいじめ問題に取り組むか。
それとも多くの薄汚い大人と同様に、保身に終始するか。
(お願いします、黒井先生)
みゆきは祈った。
(どうか、泉さんにとって最善の道をとってください)
たとえななこが後者を選んだとしても、みゆきは戦う覚悟でいた。
こなたが死んだからそれで終わり、ではない。
彼女を貶め、死に追いやりながらも尚、のうのうと生きている生徒たちがいる。
この不公平すぎる世界を変えたい、という大それた理由からではなく。
せめてこなたにとって報われる道を選択したいという、優しさを勇気が後押しした結果だ。
「ごめんね……ごめんなさい…………」
つかさが落涙した。
最もつらい目に遭わされたのはこなただが、こういう形で残されたつかさもまた、彼女に負けないくらいの傷を負っている。
自分が生きていることに対する悔恨。
先ほどかがみが呟いたように、生きていて良いのかと疑問が湧く。
こなたを見殺しにしておきながら――。
自分たちが殺したわけではないが、救えなかったのもまた事実だ。
頭では分かっていても、感情においてはこなたを死なせてしまった自分への怒りが強かった。
「つかさ……」
力なくかがみが呼ぶ。
自分がしっかりしなければ。
憔悴したつかさを守れるのは自分だけだ、と。
『あんたが悪いんじゃない』
こんな陳腐な慰め方をするつもりはなかった。
これで罪の意識が和らぐハズはないし、これでは逃げているも同然だ。
「ゆっくり考える時間が必要かもしれません」
涙を浮かべるつかさに、みゆきが優しく言った。
672死にいたる隘路44:2008/11/20(木) 22:21:09 ID:flBiGKIp
事が事だけに生徒には2日間の臨時休校が与えられている。
もちろん休みは生徒だけで、教師たちはその間も対応に追われることになる。
「今日はもうお休みになったほうが……」
表向きにはつかさを気遣うみゆきだが、本当は自分が休みたかった。
「そうね……」
かがみも頷く。
胸のあたりがざわめく。
罪悪感で押し潰されそうになる。
風が吹いた。
冷たく、容赦なく突き刺すような鋭い風だ。
「みゆき」
フェンスに手をかけてかがみが呼んだ。
「悪いけど、つかさを連れて先に帰っててくれない?」
「……お姉ちゃんは?」
「私はもう少しここにいるわ」
「だったら私も……」
「駄目よ。今日は寒いし風邪引いたら大変よ」
「………………」
「みゆき、お願い」
「…………はい」
つかさの肩を抱くようにして踵を返したみゆきは一瞬、とてつもない不安に駆られた。
ひとりで残ると言ったかがみ。
吹き抜ける冷たい風――。
こなたの死――。
屋上――。
まさか、とみゆきは思った。
「か、かがみさんっ!」
知らず彼女の声は大きくなっていた。
「大丈夫だって。そんな事しないから」
振り返ることもしないでかがみが笑う。
その声がなぜか自虐的な響きに聞こえ、みゆきはさらに不安を募らせる。
「………………」
しかしすぐに考えを改める。
自分が知っている柊かがみは利発で芯の強い少女だ。
「ではお先に失礼します。行きましょう」
後ろ髪を引かれる想いで2人は屋上を後にする。
つかさは途中、何度か振り返ったがなぜかかがみと一緒に残ることが憚られた。
こなたとの掛け合いを一番楽しんでいたのは彼女だから。
ひとりになりたいと思うのも当然かもしれない。
そう思いなおし、みゆきの支えに甘えないようにと自分の足で校舎を出て行く。
「ゆきちゃん、ごめんね」
屋上のかがみから死角になる位置まで来た時、つかさが覇気のない声で言った。
「先生に相談しようって言ってたのに、私が駄目だって言ったから……」
「そんな事ありませんよ。あの時は私のほうが間違っていたと思いますし」
「どうして……?」
「物事にはタイミングがありますから。こういう事を言うと結果論になってしまいますが……」
前置きをしたうえで、みゆきは諭すように言った。
「泉さんの事は先生に相談した方が良かったかもしれません。ですがそれは今になって分かったことです。
もし最初から相談していても……それが最善の道だったかどうかは誰にも……」
みゆきの言葉はつかさへの慰めだが、こなたにとっては残酷極まりない発言だ。
これでは何をやってもこなたは助からなかった、と言っているように聞こえる。
「どうしていたらよかったのかな……」
永遠に解けない問題を口にする。
彼女たちの記憶からこなたがいなくならない限り、彼女たちは永遠にこれに悩み苦しむだろう。
みゆきは静かにかぶりを振る。
誰にも分からない。
もしかしたら最善の道など最初からなかったのかもしれない。
(………………)
みゆきは思い返す。
673死にいたる隘路45:2008/11/20(木) 22:22:34 ID:flBiGKIp
こなたが助かる方法は――。
――あった。
環境を顧みず、こなたが死なずに済む結果だけを求めれば方法はいくらでもあったのだ。
たとえば転校すればどうか。
少なくとも学校には来なくて済む。
もし家の近くにいじめっ子がいるなら、引っ越すという手もあった。
それができなくてもフリースクールに通うという手段もなくはない。
「………………ッ!?」
とんでもない過ちを犯していたことに、みゆきはようやく気付いた。
視野が狭すぎたのだ。
いつもの4人でいられて、且つこなたがいじめられずに済む方法。
そればかりを考えていた。
だから永遠に答えにたどり着けなかったのだ。
自分たちがこなたを陵桜に縛り付けていたばかりに――。
死ぬ直前まで彼女に苦痛を与えていたのだと気づく。

『死んだほうが楽だから……』

あの日、かがみに詰め寄られてこなたはこう言った。
みゆきも確かに聞いている。
しかし本当は、

『陵桜に通い続けるくらいなら――』

の後に続く言葉だったのではないか?
もしかしたら…………。
こなたは自分たちといることが苦痛だったのかもしれない。
自分たちがやってきた事といえば――。
嫌がる彼女を無理やり陵桜に閉じ込めていたのではないか。
他にも逃げる術はあったのに、その選択肢を奪ったのは他ならぬ自分たちではなかったか。
こなたにプレッシャーを与え続けてきたのではないか。
だとしたら……これほど残酷な仕打ちはない。
こなたの為、こなたの為と言いながら、実際は全く正反対の行動をとってきたことになる。
(そうです…そうですよ……泉さんのことを一番に考えるなら、通学にこだわるべきではなかったんです。
泉さんを学校に来させる必要なんてなかったのに…………)
みゆきは目の前が真っ暗になるのを感じた。
「……ゆきちゃん…?」
自失したようなみゆきに、つかさが不安げに顔を覗き込む。
それに対してみゆきはぎこちない笑顔を返した。
つかさは恐らく気付いていないだろう。
考えようによっては自分たちこそがこなたをいじめ、死に追いやった張本人だと。
(………………)
言うわけにはいかない。
もしつかさがそれに気づいてしまったら……。
そう思うと、みゆきは頬を引き攣らせて複雑な笑みを浮かべるしかできなかった。


674死にいたる隘路46:2008/11/20(木) 22:23:42 ID:flBiGKIp
「こなた…………」
中空に向かってかがみが呼びかけた。
指に食い込むほど強くフェンスを掴んだ。
鈍い痛みがじわりと襲ってくるが、かがみはやめようとしない。
ひかるやななこの話によれば、こなたは治療の甲斐なく命を落としたらしい。
薬物か、それとも手首を切ったことが致命傷になったのかは分からない。
ただ、最期はこなたの意思で亡くなったのではない、という事実が唯一の救いだった。
「なんでよ……約束した…じゃない……。また元気な顔見せてくれるって約束したじゃない…………!!」
かがみは泣いた。
「こなたあああぁぁぁぁッッッッ!!」
誰もいないから。
かがみは声をあげて泣いた。
「……なんで死ぬのよっ!! 約束しただろっ!!」
なぶる風がかがみの慟哭を嗤うようにとぐろを巻いた。
「あんた……いっつも約束破るんだから……!! いつも…いつも…………ッ!!」
苦しかった。悲しかった。
最後に見た時、こなたは憔悴しながらも笑顔を見せてくれた。
元気になって戻ってくると約束してくれた。
「………………」
それが最後だった。
メールも電話もしていない。
記憶の中でさえ、こなたは淋しげだった。
「柊…………」
風に乗って自分を呼ぶ声が聞こえ、おもむろに振り返る。
自分と同じような顔をしたみさおがいた。
「……あんた…峰岸と帰ったんじゃないの?」
ほとんど聞き取れない声で訊ねた。
返答など初めから待っていない、単なる挨拶代わりの問いかけだ。
「うん、ああ…………」
曖昧に頷き、かがみの横に立つ。
「チビッ子のことか?」
分かりきったことを訊く。
かがみは何も答えない。
「………………」
居心地が悪い。
声をかけるのが憚られるような、独特の威圧感をかがみが放っているように見えた。
「私が言えたことじゃないけどさ」
みさおが沈黙を打ち破る。
「柊は頑張ってたと思う。妹もな。普通、他人のためになかなかそこまでできねーもんな」
さりげなく”他人”という言葉を忍ばせる。
「うん……」
「誰がなんて言ったって、いじめてた奴が一番悪いんだ。それを助けただけだろ?
だからさ……うまく言えないけど、柊たちが落ち込む理由はないと思うぜ?」
むしろ誇ってもいいくらいだ、とみさおは付け足した。
本当に罪悪感を味わうべきはこなたをいじめ、死に追いやった連中だ。
こなたの事が嫌いなみさおでも、この点だけはそう思っている。
675死にいたる隘路47:2008/11/20(木) 22:24:57 ID:flBiGKIp
「できるわけないじゃない……だって、こなたは…………!!」
こなたは死んだ。こなたを救えなかった。
彼女を助けるために自分たちが行動していたというのなら、目的は達成していない。
それどころか取り返しのつかない事態になってしまったのだ。
誰が誰に何を誇ればいいのだ。
結果が伴わなければ何もやらなかったのと同じだ。
「そんな顔するなよ。あいつだって柊にそんな顔してほしくないと思ってるだろうぜ」
こういう時のお決まりの慰めだ。
正直こなたの事などどうでもよかった。
同情するどころかある種の怒りさえ湧いてくる。
(お前は死んでもまだ柊をこんな目に遭わせるのかよ……!)
生きてはかがみに迷惑をかけ、死んではかがみを悲しませる。
みさおにとって、こなたはつくづく厄介者だった。
「柊――」
気がつくとみさおは親友を抱いていた。
感情を昂らせていたからか、胸の中で小さく震えるかがみの体は熱かった。
「ひいらぎ…………」
ぎゅっと強く抱きしめる。
悲しみを共有しようというのではない。
壊れそうな彼女を離さないようにするためだ。
「うっ……くさかべぇ…………!!」
普段、絶対に見せないような顔で。
一度も聞いたことのないような声で。
かがみは泣いていた。
「落ち着け……って言っても無理だろうけど、とにかく落ち着け。私もあやのもいるんだからな」
夢にまで見た状況に、思わずみさおの顔がにやける。
惜しむべきはかがみの心が自分ではなく、こなたに向いていることだが――。
今はそれでも構わなかった。
これから先、ゆっくりゆっくり時間をかけて――。
閉ざされた彼女の心を開いてあげよう。
「ごめん……ごめんね……こなた…………くさか…べ……」
最後はほとんど言葉になっていなかった。
自分とこなたの名前が同時に挙がったことにみさおは一瞬だけ厭そうな顔をしたが、
自分の名前が後に来ていることに気づき、わずかに笑みを浮かべる。
「私……あんたのこと、蔑ろにしてたのに…………!」
「んん? そうか?」
「こなたの事ばっかり考えてて、あんたとも峰岸ともちゃんと話さなかった……」
「あ、ああ……そういうことか」
みさおは苦笑した。
自分たちはしょせん背景だから。
そういう立場であることは十分に弁えていた。
しかし、だ。
自分たちを背景たらしめていたこなたはもういない。
これからは柊かがみの前にいるのは自分たちだ。
「柊らしくないぞ、そんなこと気にするなんて」
逞しいが儚げな背中を愛撫する。
「わたし……わたし…どうしていいか分からない…………!!」
みさおがふっと息を漏らした。
676死にいたる隘路48:2008/11/20(木) 22:25:51 ID:flBiGKIp
”どうしていいか”分からない?
(バカだな柊は。何もしなくていいのにさ)
真面目で努力家で頭のいいかがみが、こういう時に前後不覚になる様がみさおにはたまらなく愛おしい。
嗚呼、彼女にはこんな欠点があったのか。
弱みなど絶対に晒さないかがみが今、こうして惜しげもなく泣き声をあげている。
ひとえに自分が信頼されている証だ。
(チビッ子……柊のこんな一面、見たことないだろ?)
勝ち負けでいえば勝ち。
僅差だが最後の最後で戦いはみさおの不戦勝という形で幕を閉じた。
「泣いてすっきりするんなら泣いちまえ。胸貸してやるからよ。でも今日だけだぞ」
ちょっとだけ突き放すように言ってみる。
「柊は何も悪くないんだ。いずれそう思える日が来るさ」
そして優しく包み込む。
「ありがと……くさかべ……ありがとぅ…………」
恥も何もかも捨ててかがみがしがみつく。
「いいって。私たち、親友だろ?」
言ってからみさおの頬が紅潮する。
意識してはいても、まず口に出さない言葉。
今のかがみにはそれを言わせる圧倒的な存在感がある。
みさおにとっても、そしてかがみにとっても――。
互いになくてはならない存在だ。
それをかがみは今、強く意識している。
みさおもまた、かがみがそう意識していることを体温を通して感じ取った。



祝福の風が吹き乱れ、2人をやわらかく包み込む。


チャイムの音を聞きながら――。


みさおはたった一度だけ、こなたに感謝した――。






 終




677JEDI_tkms1984:2008/11/20(木) 22:30:20 ID:flBiGKIp
 長くなりましたが以上です。
お読み下さりありがとうございました。
おそらく多くの方が納得できないかと思いますが、今はこれで完結させます。

SSとは関係ありませんが、このスレに来ると癒されます。
僕にとってはオアシスです。
678名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/20(木) 22:34:20 ID:gNVLmHvu
>なんで本社勤務なのに小間使いみたいに……

本社とか…
だろうな、じゃないとこんなSS書けないわな
679名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/20(木) 22:43:31 ID:gNVLmHvu
>>677

凄いな…それぞれの人の心境が食い違ったり、重なりあったり
この世ってそんなものだよな…

マジでお疲れ様でした
680グレゴリー:2008/11/20(木) 22:46:58 ID:sxnZ9yFi
すばらしい。ブラボー!!

文章を書くということにたいする真摯さと本気ぶりに圧倒されっぱなしで
す。だからこそ、これほどの大作をモノにできるのかと。
とにかく長文作品をしっかりと形にできる文豪に共通なのは
作品に対する隙のない執着力というか執念というか。
勢いで作り上げてしまう私も見習わなければw

詳しい感想が思いつかないほど余韻に浸っている状態ですが、
是非とも大会(福岡オフ会)にお呼びしたいお方だ。ご一考をw
681名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/20(木) 23:19:25 ID:FtPk0x+5
なんでだろう。
読む前は真実をかがみが知らずじまいな展開なら、みさおや作者に対して激しい憤りを抱くと思ってたけど
予想以上のみさおの黒っぷりだったのにもかかわず何故か怒りが沸いて来ないで
ここまで黒いと逆に清々しさが沸いてくる……

考えて見ればこんな状況で「原因は私でした すいません」なんて態々言うのは
二次作品じゃよくあるかもしれないけど、現実にはあんまりいないんだろうな……

かくいう自分もこんな状況なら多分保守に走ると思うから
偉そうに批判する気が起きない……

(自分も含めて)人間なんてこんなもんか


何はともあれGJでしたー!
682konakona:2008/11/20(木) 23:38:43 ID:G7ZWUke3
お前ら死ねよ
683名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/20(木) 23:58:41 ID:n0OPiXSu
ふと思う。


こなたみたいな香具師は実際にいたらやはりDQN数名に目ェつけられて
それこそJEDI氏の小説状態になっちまうだろうな。
ヲタとDQNは水と油だから「あいつの存在自体が許せねー」「死ねよ」って感じで。

にしても虐めた当事者はななこ先生が去った後で
表には出さないにしても快哉を叫んだであろう事が容易に想像出来そうだな。

ってかこなたが死んだ後はつかさに虐めのターゲットが変更されるんじゃねーか?
それもあり得そうな展開が実に・・・・・・(その場合かがみとみさきち&あやのんがどう動くかだろうな)
684名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/21(金) 01:19:58 ID:w06pF00w
>>677
乙。
叩かれる事を覚悟で書くが自分としては納得出来なかった
みさおが幾ら黒かろうと良いんだが、一番肝心な描写が抜けているのが非常に残念だった
今日の最初でいきなり「死」と言う事実だけ告げ、それまでやっと生きる希望を僅かに持ったのに何故結局死を選んだのか?
みさおとのやり取りとを秤に掛け、こなたがどれだけ悩み苦しみ抜いた結果死を選んだのか?そして死の直前何を考えながら死んでいったのか?この辺りの描写が是非読みたかった
文才があるだけにもったいない
読者の想像に任せると言う事なんだろうけど…納得いかない
685名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/21(金) 01:23:00 ID:w06pF00w
…やっちゃった…sage忘れスマソ…orz
わざとじゃないっす
マジごめん
次回作に期待してます
686名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/21(金) 02:57:42 ID:CYve1p01
>>677
かがみさ好きな俺には、最高のラストですw

みさおを黒いとは思えない。みさおにとって、かがみがそれ程大切な存在なのなら、
こなたが悪者に映るのは仕方の無いこと…。
みさおのかがみに対する愛が、美しく映ります。

それにしても、それぞれのキャラの心理描写が見事です。
それぞれの立場での苦悩や悲しみ、そして怒りがリアリティと迫力を持って描写されている。

こういう話を読んで至る結論は、やはり罪悪感というものは不公平な感情だな、という事です。
かがみ、みゆき、つかさ、黒井と言ったこなたの死を悼む善い心を持った人間を苦しめる代わりに、
今回いじめを行った生徒達には作用しない。
こなたにしても、つかさ達に迷惑をかけてしまったという思いさえなければ、
みさおが突きつけた地獄を跳ね返すことが出来たのではないだろうか。
善人ほど罪悪感というものに苦しめられる、大審問官の章を読んで以来、
俺に付き纏っている倫理や道徳の矛盾です。
687名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/21(金) 12:09:11 ID:p/E883XK
>>486の感想を見て、JEDI氏の作品は単純な自殺SS以外の側面もあるんだなと思う俺

考えてみりゃ、罪咎のみゆきさんも深く考えるとあのラストは同情もんだよなぁ……
688JEDI_tkms1984:2008/11/21(金) 12:37:35 ID:kCUQCtTu
お読み下さりありがとうございます。

>>678

いろいろつらいです……。

>>679

人間の数だけ食い違いがあるんですよね。
それだけ重なる部分も多いのですが。

>>680

ありがとうございます。
文豪と言われると面映ゆいですが、地文はできるだけしっかり書こうと心がけています。

>是非とも大会(福岡オフ会)にお呼びしたいお方だ。

身に余るお誘いです。
残念ながら時間と資金の関係から、参加させていただくのは難しい状態です。
次に機会があれば是非に。

>>681

いろんな日下部みさおを書いてみたかったのです。
その結果、こうなりました。

>>683

昔ならいざ知らず、今日びのいじめっ子は罪悪なんて全く感じてないと思います。
悪い、と思いながら虐めたりはまずしないでしょうから。
集まると強くなるのが人間。

>>684

毀誉褒貶あるのが普通ですから、僕としては全ての感想が貴重です。
3人の見舞いの後のこなたが前向きだったのか、後ろ向きだったのか。
最期はこなたの意思なのか、心労がたたったからなのか。
この辺りは敢えて曖昧にしました。
全てのSSに一貫してどこかすっきりしない、後味の悪い終わらせ方を意識しているのですが、
今回はぼかしすぎたかも知れないという悔いはあります。
僕の中では「虚像と実像」を超えるSSを未だに書けないことがもどかしかったりします。

>>686

今回のみさおは「罪咎」との対照性を意識しています。
友情や恋慕の深さが付き合いの長さだけで決まるのであれば、みさおやあやのはこうなるだろうと。
悪人は罪悪感を持たないから強いのかもしれません。
善や白や正義はいつも、悪や黒に負けます。
悪は正義にできないことができるからです。
689名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/21(金) 14:44:11 ID:JNQhEsDA
兵庫から福岡は辛いわなw
690JEDI_tkms1984:2008/11/21(金) 15:05:03 ID:kCUQCtTu
>>687

「罪咎」は人間失格(ドラマのほう)を見て思いついた話です。
主人公があまりにも可哀そうな話でした。

>>689

時間もですが資金的にも投資に回してるので、やんぬるかな身動きできない状態に。
もう少し円安に動いてくれれば……と願っているのですが。
運用さえうまくいけばセミリタイアして何処彼処までも行けますが、まだまだ先の話です。
691ヤク中大分:2008/11/21(金) 19:55:41 ID:fDDcyrMd
ttp://upload.jpn.ph/upload/upload.php?id=30035
死にいたる隘路挿絵?
かがみとみさお
みさお難しい・・・
たまに漫画を投下するより、頻繁に一枚絵を投下するほうが需要があるんですかね?
692名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/21(金) 20:24:06 ID:nyDee2RB
↑ 神 顕 現

やっぱ綺麗だよなー
693名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/21(金) 20:50:52 ID:KfYI2U4l
良い顔だぜ
694名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/21(金) 22:04:02 ID:2n7G3F4m
>>688
「石が流れて木の葉が沈む」この世相ですから
文字通り「天の裁きを待ってはおれぬ、この世の正義も当てにはならぬ、闇に裁いて仕置する」
しかないのかな、この手の連中に対しては。

ってか最近のガキはうちらが思ってる以上に狡賢いみたいですから
表向きでは品行方性ぶってるけど実際は教師や親に隠れて
それこそ被害者にとっては筆舌に尽くし難い陰湿ないじめを
クラスぐるみでやってるであろう事は容易に想像出来得るわけで。

そんなクラス、ななこ先生みたいな正義感の強い人間にはおそらく我慢ならんでしょうな。

まあこんな事打ち込んでる時点で俺もまだ青いわけですが(もう30代なのに)。

あ、あとB組とC組が逆ですぜ・・・・・・
695名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/21(金) 22:18:01 ID:nyDee2RB
イジメが教師や親に隠れて行われているのは、別に最近に限ったことではないはず。
「みたい」「想像出来得る」など、想像で若者批判しないように。
まぁ、スレチではあるけれど。
696グレゴリー:2008/11/21(金) 23:53:20 ID:MGfXRe9L
後悔するかもしれない。だが、投稿しなかった後悔はもっと
ひどいかもしれない。
というわけで、SS投稿します
697「人肉食」1:2008/11/21(金) 23:56:47 ID:MGfXRe9L
作家、泉そうじろうはグラスに注いだVAT69を飲み干すと
しばしうつむいた。

スコッチウイスキーにしては辛口で攻撃的な刺激が口中に広がる。
愛飲している高価なシングルモルトではなく、この安酒を飲むときは
いつも決まって死にたくなるときだ。

そして、自分の中にうごめく闇をさらけ出すときでもある。

机の上に常に飾ってある、今は亡き妻の写真をいとおしそうに触れながら
彼は独り言をつぶやいていた。

「待たせたね。かなた..もうすぐ会えるよ。こなたは立派に育ってくれた。
俺はがむしゃらにこなたに残す遺産も作った。もう、心配ない。」

「こなたはだんだんと君に似てきている。俺はもう、衝動を抑えることができそうにない。
結局、コレが一番いい選択なんだ」


だが、そうじろうはグラスを持つ手をブルブル震わせながら、ついには
VAT69のボトルとグラスを机から叩き落していた。

棚の上に並んだ12年ものや17年もののラガヴーリン、ラフロイグなどの高価なシングルモルトの
ボトルがまるで自分たちをあざ笑っているかのように感じた。

そうじろうは気を取り直すと、床に落ちたVAT69を拾い、ティッシュでこぼれた染みをふき取る。
この安酒を飲みはじめたのはそう昔ではない。
おそらく、愛飲しているアイラモルトとは違う、スペイサイドモルト特有のナロウなピートフレーバーの
せいだろう。
飲んでいるうちにやけに気分が落ち込むこのボトルをうらめしそうに眺める。

「お父さん、大丈夫?」

書斎のドアを開けて娘のこなたが入ってきた。

そうじろうは急いで酔っ払っているフリをする。
698「人肉食」2:2008/11/21(金) 23:58:10 ID:MGfXRe9L
「いやあーもうぐでんぐでんでやんすー。あはははー」

「お父さん、安酒は体によくないってば!グラスも落っことしてしまうほど悪酔いしちゃあ」

ボトルとグラスを床に叩き落した音にびっくりして駆け寄ってきたのだろう。

「こなたぁ!お父さんはなあ!お前の進学費用のために!酒のランクをあえて落としているんだぞお」

性格は亡き妻とはまったく違うが、その身体は,,,
そうじろうは横目でこなたを舐めるように見つめた。

華奢なうなじ、細い手首、息をするたびになめらかな動きを見せる胸の線。
いつも家事を任せているせいか、手際よく床の染みをふき取っていく。

そうじろうの視線はいつのまにか愛おしいものになっていた。
「ごめんな、こなた。お父さんはもう大丈夫だ」

そうじろうは自分を恥じた。愛する娘に対して俺はなんてことを...
俺はこの子の幸せだけを願っているんじゃないのか!

一階の風呂場からゆうちゃんの声が聞こえてきた。

「おねーちゃーん、お風呂あがったよー」

こなたは風呂に入るために下に降りていった。

そうじろうは17年ラフロイグを棚から取り出し、ボトルに注ぎ
一息入れると、ズボンをずらし、股間をまさぐって安全に自分を慰めることにした。


///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


悪魔がブレンドしたとしか思えない、ブレンデッドウイスキー、VAT69。

ひたすら優しく繊細なシングルモルトとは違って、この安酒は自分の中の闇を暴いていく。


空っぽになったビンを傍らに置いて、そうじろうはライフル銃の遊底を操作し、弾丸を装填した。


銃口を口の中に突っ込み、引き金にかけた指に力をこめる....と、遠くで家の玄関の開く音がした。

「おとうさーーーん、今日は学校が早開きになったよーー」

2階をドスドスあがっていくこなたの足音が聞こえてきた。

そうじろうの怒りは頂点に達した。
699「人肉食」3:2008/11/21(金) 23:59:07 ID:MGfXRe9L
ライフルを投げ捨て、そうじろうは書斎のドアを開けた。

「いっつも、私だけインフルエンザを生き残るんだよねー。クラスも3分の1が休んでるのにだよー」

だが、こなたの表情は凍りついた。

目の前に居る怒り狂った男。

「なぜ、綺麗に終わらせてくれなかった...お前は..お前は悪い子だ」

そうじろうはこなたの頬を殴った。

「お前は悪い子だ」

よろけるこなたの今度は違う側の頬を殴る。

「お前は悪い子だ」

床に倒れた娘を今度は足で踏みつける。

「お前は悪い子だ」
「お前は悪い子だ」
「お前は悪い子だ」

.......

ぐったりと倒れたまま動かないこなたを置いて、そうじろうは書斎に戻った。

そして、足元はふらつき、無様に床にこけてしまった。

起き上がってふと上を向くと、棚に並んだ高価なシングルモルトウイスキーの
ボトルが自分をあざ笑っていた。

「俺を笑うんじゃねえ!!!」

床に転がっているVAT69のボトルを棚のガラスに向かって投げつける。

ガラスの破片が降り注ぎ、その破片の一つ一つが狂気に染まったそうじろうの顔を映し出していた。

/////////////////////////////////////////////////////////
700名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/21(金) 23:59:37 ID:nyDee2RB
ストップ!次スレはアニキャラ個別板でいい?
701名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/22(土) 00:01:13 ID:KfYI2U4l
いいんじゃね
702グレゴリー:2008/11/22(土) 00:03:03 ID:nV6hTcfI
俺はどうすればいい?
703名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/22(土) 00:07:55 ID:wDt2xnQq
>>702
次スレで続きを投下されるのが無難かと。
704名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/22(土) 00:10:39 ID:qpRyhDwH
立ててくるわ
705名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/22(土) 00:14:18 ID:qpRyhDwH
立ててきた

「泉こなたを自殺させる方法」を考える28
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1227280409/
706名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/22(土) 02:33:02 ID:jXGNC3vW
707名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/22(土) 11:36:30 ID:8QiRck3u
木梨の結婚式は建前上はプライベートだから
報道陣には公開しないというスタンスだったけど
安田がチョゴリを着てる姿を晒すわけにはいかないから
公開拒否をしたんだよな
更に万全を期して船上で式をあげるという徹底ぶり
マジ気色悪いわ
708名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/23(日) 04:34:21 ID:B6RAXCsO
(U≡ω≡.)アイゴー
709名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/23(日) 15:38:45 ID:RGKTJmTE
あと2kbしかないので埋めを・・・

機関車こなた

あるところに、機関車こなたがいました。
中央線で中央特快を引っ張ったりしていましたが、怠け者なので青梅線に回されました。
青梅線には東中神という駅があり、“東なかがみ”という、東欧共産思想にハマった怖い駅員がいました。
毎日トラバントに乗ってやってくるのです。

機関車こなたは、この現実から目をそむける為に、アニメの妄想をしながら走っていました。
少し先に、線路が陥没した場所があったのですが、機関車こなたは気づかずに落ちてしまいました。
「いたたたたた・・・」
機関車こなたは、線路から落ち、線路脇の窪地に嵌ってしまいました。客車は転覆しています。
「うう・・・どうしよう。これじゃ私は廃車だよう・・・」

機関車こなたが泣いていると、隣の線に、某私鉄の準特急がやってきました。
「こなちゃん、困っているみたいだね」
その運転士は、友達のつかさでした。
「東なかがみお姉ちゃんに見つかったら、間違いなく廃車だよ。土砂を持ってきたから、埋めて隠してあげる」
「ありがとう!私のために軌間の差も乗り越えて来てくれたんだね」
「後で掘り出すからね」

こうして、機関車こなたは埋められました。
そして、二度と掘り出してもらえませんでした。

めでたしめでたし

グロ注意
http://uproda11.2ch-library.com/src/11136756.jpg
710名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/23(日) 15:43:48 ID:NqmhJ/mR
京王線とか滅茶苦茶近所なんですが^^;
711名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/23(日) 16:58:18 ID:E9gp3xx6
軌間の差…
712名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/23(日) 22:08:49 ID:ZP2n9Vy1
こなたのGスポットを泡吹いてショック死か衰弱死するまで擦り続けてみたい
713名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/23(日) 22:16:29 ID:E9gp3xx6
擦り続ける方も衰弱死しそう
714名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/23(日) 22:32:02 ID:XxEpn9lZ
>>710
私とも近所ですね
715名無しさん@お腹いっぱい。
                __
       _,,ィ=、    ,ィ=ニ――`-、
     /'               `ヽ、
    ,/                    \
   /  __          ィニ===-、    \
    /:;;;;::::下        イ:::;ィニヽ:::::::ヽ
    /:::(●) ! i       !' ((●))  :i!
    :::::`ー' , _,-         ` ̄    !
    `ー '"          ヽ、__,,
        ハ  -、
          〉   `
       /
       /~⌒ヽ                クソスレ・・・・・
     ( r' ̄^ヽ、               
      く ̄ ̄ ̄`                     
      ` ー―-、