【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 13【一般】

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1名無しさん@お腹いっぱい。
ここはローゼンメイデンの一般向けSS(小説)を投下するスレです。
SSを投下してくれる職人は神様です。文句があってもぐっとこらえ、笑顔でスルーしましょう。
18禁や虐待の要素のあるSSの投下は厳禁です。それらを投下したい場合は、エロパロ板なりの相応のスレに行きましょう。
次スレは>>950を踏んだ人が、またはスレ容量が500KBに近くなったら立てましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2013/03/29(金) 13:26:08.37 ID:Z0o8vION
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【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 11【一般】
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1287763738/
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 10【一般】
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1255756428/
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 9【一般】
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1222956916/
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 8【一般】
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1198461642/
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 7【一般】
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1191748088/
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 6【一般】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1184419565/
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 5【一般】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1178641673/
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 4【一般】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1171710619/
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 3【一般】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1156249254/
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 2【一般】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1146976611/
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ【一般】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1143018114/
3名無しさん@お腹いっぱい。:2013/03/29(金) 13:30:30.81 ID:Z0o8vION
保管庫
ttp://rozen.s151.xrea.com/
ttp://www.geocities.jp/rozenmaiden_hokanko/
ttp://rinrin.saiin.net/~library/cgi-bin/1106116340/
避難所(規制時投下先)
ローゼンメイデンのSSスレ 避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/14657/

3 :
■スーパーリンク
ttp://www.tbs.co.jp/rozen-maiden/
ttp://www.tbs.co.jp/anime/rozen/
↑ TBS公式 (下段が今夏放送開始の3期公式)
ttp://p-pit.ktplan.ne.jp/
↑ もものたね (原作PEACH-PITのHP)
ttp://www.gentosha-comics.net/birz/index.html
↑ コミックバーズ
ttp://kanaria.ddo.jp/rozen_upload2/
↑ アップローダー (画像関連)
ttp://i.cool.ne.jp/rozen-aa/
↑ ローゼンメイデンAA保管庫
ttp://futaba-info.sakura.ne.jp/cgi/dic/chara/ziten.cgi?action=aiu_i
↑ 虹裏キャラ辞典 (実装・赤提灯など)
ttp://rozen.sync2ch.cc/
↑ 2ch RozenMaiden過去ログ倉庫
4名無しさん@お腹いっぱい。:2013/03/29(金) 13:41:49.80 ID:Z0o8vION
以上テンプレでした。

では13スレ目開始です。
5名無しさん@お腹いっぱい。:2013/03/29(金) 14:00:00.06 ID:Z0o8vION
こっからトリつけます。TEGです。

47話が出来上がりましたので投下します。
日をまたぐことになりますがご了承ください。
12スレ目が容量ギリギリ+投下する際スレが落ちてたので
13スレ目を建てさせていただきました。あとアニメが
正式に決まったようなのでテンプレに微妙に追加してます。


ではいきます。
RozenMaiden Fortsetzung 47【雛苺と猫屋敷】
6RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/29(金) 14:13:48.32 ID:Z0o8vION
[2005/05/07 13:13]
[桜田家 風呂。]

雛苺「よいしょ……っと」

雛「……じゃあ、行ってくるのー!」

真紅「気を付けて行くのよ。何かあったらベリーベルを飛ばして
   頂戴。」

雛「うぃ!」


 5がつ7か、晴れ! きょうはね、3時のおやつの時間まで、
猫さんとお出かけするの! 翠星石は時計屋さんに行ってるの。
蒼星石がおやつを作るお手伝いをするんだって。

 真紅はくんくんタイム中なの。ヒナは前に見たお話だったし、
『2時間すぺしゃる』だから、ヒナはお外で遊んでくるの。

 今日は土曜日だから、ジュンはもうちょっとしたら、がっこう
から帰ってくるの。のりは、おしごとがおやすみでお昼寝中なの。
おやつの時間には起きるのよ!


雛「ねこさん、お待たせーなのー!」

猫「にゃあ。」
7RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/29(金) 14:19:11.49 ID:Z0o8vION
[13:28]
[道中、塀の上。]

 猫さんの背中に乗って、いざ出発なの! ヒナは、こうやって
猫さんの背中に乗りながら、ベリーベルと一緒に猫さんとお話し
するんだけど…… 今日は違ったの。


猫『…… ヒナ、しっかり捕まっとけ。』

雛「うゆ? ……いま、喋った?」

ベリーベル{……!}チカチカ


 ベリーベルはね、猫さんの気持ちを、ヒナに教えてくれるの。
でもね、この時は、ヒナにはほんとうに猫さんがおしゃべりして
いるように聞こえたのよ。


猫『オレと遊んでくれてるからな。……礼と言ってはなんだが、
  秘密の場所を教えてやる。』

雛「ひみつの……? どこなの?」

猫『なあに心配するな。大丈夫。乗せてってやるから、来い。』

雛「うん!」
8RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/29(金) 14:27:47.24 ID:Z0o8vION
[13:37]
[森の中。]

 いつもの道から森の中に入って、木と木のあいだをすり抜けて
ヒナたちはひみつのばしょに行ったの。猫さん、とっても速いの。
お昼寝していた鳥さんも、びっくりして起きちゃったみたい。

 しばらく猫さんと走っていたら、目の前がパッと明るくなった。
そこにあったのは……


猫『さあ、着いたぞ。』

雛「うゆ? ここは……」

猫『どうだ、すごいだろう。』

雛「……もしかして、猫さんのおうちなの!?」

猫『まあ、そんなところだな。』


 おっきな樹の下に、古いおうちがあったの。まるで樹のなかに
おうちがあるみたい。上のほうは、樹の葉っぱに隠れて全然見え
なかったのよ。
9RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/29(金) 14:37:53.54 ID:Z0o8vION
猫『……まあ、もっともここは、オレとダチが勝手に乗っ取った
  だけなんだけどな。』

雛「だち?」

猫『……トモダチ。……オレとオマエはダチ、ってな。』

雛「おともだち!? ここにいるの!?」

猫『……今はメシを探しに、その辺ふらついてるだろ……』


 おともだちの猫さんも、ここにいっしょに住んでるんだって。
さっそく、おうちに入ってみるの! おじゃましまーす、なの!
10RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/29(金) 14:51:09.79 ID:Z0o8vION
[13:39]
[猫屋敷。]

 おうちに入ると、お部屋の中にも森があったの。壁にはツタが
はえていて、緑色の壁になっていた。なんだかヘンな感じなの。


猫『……たぶんここも、昔はヒトが住んでたのかもな……。ま、
  少し前までホントにいたけどな。』

雛「そーなの? ……それって、お化け……?」

猫『いや、お化けじゃねえよ。アイツもココを綺麗にしてたけど、
  最近は全然来ないからな……』


 猫さんは、誰かを思い出してるみたい。そしたら、お部屋の中
の森から、黒猫さんがひょっこり出てきたの。この黒猫さんは、
水銀燈のおともだちなのよ。
11RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/29(金) 14:54:02.75 ID:Z0o8vION
雛「あっ! 黒猫さんなの!」

猫『ん? おお、戻ったか。』

マーキュリー『おっ、オマエのダチっていう子かい。』

猫『ああ。日頃の礼ってな感じで、連れてきてやったんだ。』

雛「だち…… うん、おともだちなの!」

マーキュリー『へえ。……あの子の、水銀燈の、妹なんだろう。
       たまに、見かけてたけどな。』

雛「うん! 雛苺っていうのよ!」

マーキュリー『雛苺、か。』

雛「うゆ! 黒猫さんもここに住んでるの?」

マーキュリー『まあな。乗っ取っただけだけどな。オレの名前は
       マーキュリーってんだ。』

雛『まーきゅりー? マーキュリーっていうのね!』

マーキュリー『ああ。いい名前だろう。あの子のマブダチって子
       に、つけてもらったんだ。』

雛「うん! とってもステキなの!」
12RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/29(金) 15:00:09.16 ID:Z0o8vION
 翠星石が、前にのりのまんがのご本を読んでて、ジュンとのり、
真紅にも、『マブダチってなんですか』ってきいてたの。

 ヒナが『どうしたの?』ってきいたら、翠星石は『そ、そんな
せりふがあっただけです』って言ってたの。ジュンは、『簡単に
言うとすごく仲のいい友達』って教えてくれたよ。

 水銀燈と、とっても仲のいいお友達…… 黒猫さんに、素敵な
お名前をつけたのは、めぐなのかな?


猫『惚れてたのになあ。アイツがここにいた頃からよ。』

マーキュリー『うるせえ。水銀燈が幸せならいいんだよ。』

雛「どうしたなの?」

猫『イイヤ、こっちの話だよ。……なあ、ヒナよ。』

雛「うゆ?」


 猫さんが、急にヒナを呼んだの。おめめが、なんだかキラキラ
してたの。
13RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/29(金) 15:07:40.73 ID:Z0o8vION
猫『オレにもよ、……名前を付けてくれないか。』

マーキュリー『そいつぁいいや。』

雛「うん、いいよー! えーと…… うーと……」


 どんなお名前がいいのかな。ヒナのおともだちだから、素敵な
お名前がいいの……


雛「! 『うにゅ』にするの!」

マーキュリー『うにゅ……!? ハハハ、うにゅ、だとよ。』

うにゅ(猫)『……なるほど。いいんじゃないか。ありがとよ。』

雛「どういたしましてーなのー♪」


 猫さん……『うにゅ』ってお名前、すごく喜んでくれたのよ!
だから、ヒナもうれしいの!
14RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/29(金) 15:10:46.65 ID:Z0o8vION
雛「ヒナのすきなものに、『うにゅー』っていうのがあるのよ!
  白くて黒くて赤くて、甘くて丸いの!」

マーキュリー『…… あれか、』

うにゅ『テッカじゃねえの? たまにメシ漁りに行ってる所によ、
    サカナがあるだろ、アレの……』

雛「ちがうの! おすしじゃないの。いちごが入ってるのよ!」

うにゅ『ん? いちごが入ってるのか?』

マーキュリー『ああ。オレには分かったぜ。甘くてイチゴのなら
       和菓子屋の裏で見た気がするぞ。……オレは食わ
       ないけど。』


 マーキュリーは、すぐに『うにゅー』のことが分かったみたい。
ヒナが帰ってこれてすぐのとき……水銀燈もすぐ分かってたの。
やっぱり、なんだか似てるの。
15RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/29(金) 15:11:59.80 ID:Z0o8vION
マーキュリー『ヒナの好きなものってんなら、よかったじゃんか。』

うにゅ『ああ、光栄だよ。ブチの奴にも自慢してやる。』

マーキュリー『ところでそのフワフワしてる奴は? 水銀燈も、
       なんかそういうやつを飼ってたような……』

雛「ベリーベルっていう精霊なの! 水銀燈のは、メイメイって
  いうのよ! ねっ、ベリーベル♪」

ベリーベル{!}チカチカ

マーキュリー『コイツにも名前あんのか。 ……その光の玉って、
       すげえのか?』

うにゅ『コイツは頼りねえように見えるけど、結構すげえんだ。
    オレたちの見えないところとか、見てくれるんだぜ。』

マーキュリー『へえ。やるじゃん。』

ベリーベル{……♪}フルフル

雛「あっ! ベリーベルも喜んでるのよ!」
16RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/29(金) 15:14:11.27 ID:Z0o8vION
[13:51]


 しばらくおしゃべりしていると、ベリーベルが何かを見つけて、
ぴかっと光って……それを、照らし出したの。


ベリーベル{!}ピカッ

雛「どうしたの!? ベリーベルっ」


 そしたら、ヒナたちのすぐ後ろから……、一匹のネズミさんが
ふらふらしながら出てきたの。


ネズミ「ウッ ウウーン……」

雛「ひっ!? びっくりしたの……!」

うにゅ『んんっ? オイ、ネズミだ! 久しぶりのご馳走ってか。
    ヘヘヘ……』

ネズミ「キェ!? キイー!!!」
17RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/29(金) 15:16:16.39 ID:Z0o8vION
マーキュリー『……イヤ、こいつは多分マズいネズミだぜ。おい、
       服まで着てやがる……』

うにゅ『なんだ、マズいのか。』

ネズミ「ソーダ! 俺ハ食ッテモ美味シクナイゾ!!」


 そのネズミさんは、黒い服を着ていたの。まるで……ラプラス
みたいな真っ黒い服だったなの。それに……


ネズミ「食ッタラ文字通リ、マズイ事ニナルゾー!!」

マーキュリー『ソレは、ウマいことを言ったつもりか……』

うにゅ『…… ヘンなネズミだなぁ。ピエロかっつうの。』

雛「ネズミさんも喋ってるの!?」

ベリーベル{……}チカチカ

雛「うゆっ!? そうなの。」
18RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/30(土) 02:57:37.62 ID:llMRyluZ
 このネズミさんは、本当に喋ってるのね。そういえば、真紅と
水銀燈から聞いたことがあるの。おしゃべりなネズミに会った、
って……そっか、このネズミさんなのね。

 
ネズミ「アア! 『名無しの森』カラ来テ アノ教会ニ潜リ込ミ
    黒薔薇ノオ姉サンヲ 探シニ来タハイイガ……迷ッタ!」

雛「きょうかい? このおうちの近くにあるの?」

ネズミ「イヤ…… 訳モ分カラズ走ッテタラ ココニ……」

マーキュリー『教会からか…… オイ、オマエもしかしてあの道
       を通ってきたんじゃねえか?』

ネズミ「……ア アア…… 通ッテキタガ ……マズカッタカ」

マーキュリー『けっこう、開けてなかったか?』

ネズミ「ヒイッ! タ、確カニ通リヤスカッタ……」

マーキュリー『なるほど…… 水銀燈、なかなかいい道を作って
       くれたみたいだ。』


 マーキュリーが、森の向こうがわを見てつぶやいた。そして、
ネズミさんを服ごとひょいっとつかんで、頭の上に乗せてから、
ヒナたちを見て言ったの。
19RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/30(土) 03:00:08.60 ID:llMRyluZ
ネズミ「ナナッ、ナニヲッ……!?」

マーキュリー『ヒナ、うにゅ、そこの道を通っていくぞ。ホラ、
       ネズミも。そのまま捕まってろよ。』

雛「うゆ!? ここから行けるの?」

うにゅ『あの教会に行くには一回、大きな通りまで出ねーと……』

マーキュリー『まあ着いてきなって。とびきり近道だ。』

マーキュリー『オレからも、日頃の礼って奴をさせておくれよ。
       ネズミ、オマエはオレにしっかり捕まってろ。』

ネズミ「キッ、キイー!」

うにゅ『よし、オレの背中に乗っていけ、ヒナ!』

雛「う、うぃ! ベリーベルっ、ついてきて!」

ベリーベル{!}フワフワ


 ヒナとうにゅ、ベリーベル、ネズミさんとマーキュリーとで、
おうちの中にあった森の中に入っていった。そしたら、その中に
ながい道ができていたの。お昼なのに、薄暗かったのよー。
20RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/30(土) 14:19:18.45 ID:llMRyluZ
[14:08]

 森の中のトンネルを、ぐんぐん走ってると……


うにゅ『……これ、どこまで走るんだ……?』ドドド

雛「すごいのー! まるで、ツバメさんみたいなのぉぉ!」

ネズミ「―― ――!!」


 とつぜん、目の前が真っ暗になって……
 

雛「!?」
ネズミ「!!」

マーキュリー『ストーップ』

うにゅ『おうっ って……うわあああ、止まれねえええ!!』

雛「わあ〜っ! ぶつかるの〜!!」


ドドンッ!

 なにかに、ぶつかったみたいなの……。


ベリーベル{……!?}ヘロヘロ

雛「うゆ〜っ…… あうっ、うにゅ、だいじょうぶ?」

うにゅ『あてて…… な、なんとかな……』

マーキュリー『雛苺、うにゅ、大丈夫かよ? ついたぞ。』

雛「ついたの……? ……ここは」
21RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/30(土) 14:23:38.61 ID:llMRyluZ
[14:09]
[旧礼拝堂。]


 あたりを見まわすと、ヒナたちは古い礼拝堂のすみっこのほう
にいたの。うにゅもネズミさんも、びっくりしてるみたい。


ネズミ「オオ! 帰ッテコレター!! ナンテコッタ!!」

雛「…… ここって、古い礼拝堂なの。水銀燈が住んでた……」

うにゅ『うおっ、本当だ。あのケモノ道から、行けたのか……』

マーキュリー『ああ。水銀燈から教えてもらってたんだ。』

マーキュリー『……ケモノ道を作ったの、あの子なんだぜ。自慢
       の剣で、壁をぶち破って、森を切り拓いたんだろ。』

雛「水銀燈、すごいの……」

ネズミ「…… 流石ダ」

マーキュリー『気分が変わったときはあの屋敷……、『はなれ』
       って建物にふらりと行ってたんだってよ。』

うにゅ『アイツ、それであの道を通ってあの屋敷に行ってたのか。』


 うにゅたちのお家にあった森とこの礼拝堂を、水銀燈が繋いで
いたのね!
22RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/30(土) 14:26:33.17 ID:llMRyluZ
[14:14]


ネズミ「フウッ、トッ、トニカク…… ココニハ、黒薔薇ノ……
    水銀燈ハ イナインダナ……」

雛「うん…… 水銀燈、ここにはいないの。」

ネズミ「ソーカ…… マアイイヤ。 ……ドウヤラ、イイ報告ガ
    デキルナ…… キズナハ、本当ニ広ク……ソシテ深ク。」

雛「……ネズミさん?」

うにゅ『ひたってんのかな』

マーキュリー『さあな……』

ネズミ「…… 契約ダケジャアナク…… 人間ヤ動物トノ友情。
    物ヘノ愛情…… 今マデモ見テキタガ」

ネズミ「アア 最高ノ、娘タチダ…… 夢ノヨウダ。」
23RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/30(土) 14:40:56.99 ID:llMRyluZ
雛「ねえ、ネズミさん。水銀燈に用事って、なんだったなの?」

ネズミ「ンン、アッ、ソウイエバ ……水銀燈ニ、逢イタイッテ
    イウ、ピエロノ人形ガ居テナ。」

マーキュリー『連れてきてないのか?』

ネズミ「アア…… 『無意識の海辺』デ待ッテル……」

雛「そっか。水銀燈に、逢いに来てほしいのね。」

うにゅ『…… どーやら、野良のオレには想像もつかない世界に
    生きてきたみたいだな……』


 ピエロさんの人形は、前に水銀燈の世界で見たことがあるの。
元気にしているみたいだけど、どうしたのかな……?
24RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/30(土) 14:42:55.56 ID:llMRyluZ
[14:22]

 みんなでおしゃべりしていると、礼拝堂の中にあったおっきな
鏡が、ぴかーっと光りだしたのよ。この鏡が、nのフィールドに
繋がってるのね。


ネズミ「サテ…… ソロソロ帰ルカ……」

雛「ネズミさーん! お名前、なんていうの?」

ネズミ「…… 『名無しの森』カラ来テイルカラナ…… 名前ハ」

雛「……なんだか、いつもお顔が寝てるときみたいだから……、
  『ユメミネズミ』ってお名前にするの!」

ユメミネズミ(ネズミ)「……!? 寝テルミタイッテ……」

マーキュリー『いいんじゃないか?』

うにゅ『ニャハハ、言われてみりゃあな…… そりゃマズそうだ。』

雛「ヒナね、むしむしQとか、どうぶつ図鑑で、生き物のお名前
  をいっぱい覚えたのよ!」

ユメミネズミ「……フフッ、ソレッポイナ……。 アリガトウヨ。」
25RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/30(土) 14:47:07.07 ID:llMRyluZ
[14:25]

ユメミネズミ「名前ナンテ…… ト思ッテイタガ、悪クナイナァ。
       ドーヤラ、イイ夢ヲ…… 見ラレソーダ……」


バシュウゥゥ……

 ユメミネズミさんは、フラフラしながら鏡の中に吸いこまれて
いったの。うにゅは、目をまんまるくしておどろいてたよ。


うにゅ『!? ……どうなってんだ、鏡の中に入っちまった!?』

雛「うゆ、鏡の中に帰っちゃったの。」

マーキュリー『眠くなったから、寝に帰ったんじゃないのかぁ?
       水銀燈の奴も、鏡から出たりしてたっけな。』

うにゅ『や、奴の寝床は、鏡の中なのか……?』

マーキュリー『オレも初めて見たときは、くわえてたマタタビを
       吹き出してしまったぜ……』

雛「……えへへ、なんだか……うにゅ、おもしろいの……♪」

うにゅ『え? ……そーか? ニャハハ……』

マーキュリー『ニハハ……』

ベリーベル{♪}フワフワ


 みんなで笑ってたら、おなかがすいてきたの。もうそろそろ、
おやつの時間なの。
26RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/30(土) 14:51:45.48 ID:llMRyluZ
[14:28]
[旧礼拝堂前。]


うにゅ『……明日寿司屋で、大トロ拾える日だろ。遅れんなよ。』

マーキュリー『まかせとけって。じゃ、元気でやれよ。……雛苺、
       水銀燈にもヨロシクな。』

雛「うん! 今日はほんとにありがとなの! また遊びにいくね、
  マーキュリー!」

うにゅ『さ、帰るとしよーぜ…… じゃ、また明日。』

マーキュリー「ぅにぃ〜!」


[14:32]
[帰り道。]


 うにゅの背中に乗りながら、ヒナはうにゅとおしゃべりしたの。
とちゅうで、お店の前をお掃除していた槐をみつけたの。ヒナと
うにゅ、ベリーベルがあいさつしたら、ふふって笑ってくれたよ!


うにゅ『あの日、オマエがビスケットをくれてから……』

うにゅ『たまーに、町の中でオマエを見かけては、遊んだよな。』

雛「うんっ、いっしょにお庭でゴロゴロもしたの!」
27RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/30(土) 14:57:49.82 ID:llMRyluZ
うにゅ『ポストから帰るときに、オマエが幸せそうな顔をしてた
    のもまだ覚えてるぞ。あの人間に抱かれてな。』

雛「あっ、トモエね! ヒナも覚えてるの!」

うにゅ『こないだもブチの奴と、オマエの姉ちゃん…… 翠星石
    だっけ。ポストまで走って行ったよな。楽しかったなぁ。』

雛「うん! 真紅も今度、うにゅたちと遊びたいって言ってたよ!」

うにゅ『そーか。それは楽しみだ。ブチに紹介してやるか……』


[14:38]
[塀の上。]


 小川の近くのお家にある柵を登ったら、うにゅがよく使ってる
塀の上にあがれるの。ジュンのお家まで、あと半分かな。


うにゅ『オレにも、友達が増えたもんだ。猫だけじゃなくってな、
    オマエとか、オマエの姉ちゃんや妹だな。契約者、って
    人間もだ。みっちゃんってのが、一番強烈だったな……』
28RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/30(土) 15:04:43.40 ID:llMRyluZ
雛「うゆ!? うにゅ、みっちゃんに会ったこと、あるの!?」

うにゅ『おお。金糸雀ってオマエの姉ちゃんも一緒にな。アイツ
    とはよく『せんにゅうさくせん』をやってるぞ。』

雛「そうなの! すごいでしょ、金糸雀! ヒナも『おとり調査
  ごっこ』で遊ぶのよ!」

うにゅ『おお。たまにだけど、腹が減ってると調子が悪いのか、
    迷子になったりするけどな。ニャハハハ…… いちばん
    寂しがりだった黒のアイツも、今じゃマブダチだ。』

雛「それって、マーキュリー?」

うにゅ『ああ。アイツ、最初はオレやブチの奴に襲い掛かってな。
    ハハ、まあずっと喧嘩だったよ。』

雛「うゆ…… けど、いまは仲良しなの。なにか、あったなの?」
29RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/30(土) 15:13:25.01 ID:llMRyluZ
うにゅ『いつだったかな…… ドロボーがよ、屋敷の中にしのび
    こんで荒らしてたもんで、その時居たオレとブチ、んで
    マーキュリーとあと何匹かで追い出してやったんだ。』

うにゅ『それからさ、アイツと同じカマのマタタビを食うように
    なったのは…… カマってのは冗談だけどな。』

雛「そうなの。その時から、おともだちになったのね!」

うにゅ『ああ。……よーし! しっかり捕まってろ。走るぞー!』

雛「わーい! 走るのー!」

ベリーベル{!?}

 うにゅは、塀の上もどんどん走れるの。ヒナ、最初はちょっと
怖かったけど、今ならだいじょうぶ! もうちょっとで、ジュン
のお家に着くのよ! ベリーベルも、がんばるのよ!
30RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/30(土) 15:31:36.33 ID:llMRyluZ
[14:45]
[桜田家そば。]


 ここまで来たら、ジュンのおうちが見えてきたの。……うゆっ、
のりと、真紅の声が聞こえてくるのよ。


のり「ねえ真紅ちゃん、翠星石ちゃんはお出かけしてるのよね?
   ヒナちゃんはー?」

真紅「もうじき、帰ってくる頃だわ。『おやつの時間』までには
   帰ると言っていたわ。あの子は、必ず時間は守るのだわ。
   それに今日はトモエも来るから……」

のり「そうだね! じゃ、用意して待ってましょう!」


うにゅ『……おっ、呼んでるみたいだぞ。』

雛「うん! じゃあ、また遊ぼうね!」

うにゅ『今日は本当にありがとうな。ヒナ。』

雛「ヒナこそ、ありがとなの! またね、うにゅ!」

うにゅ「……にゃぉー! にゃあー。」

雛「ばいばーいなのー!」

ベリーベル{♪}フワフワ
31RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/30(土) 15:51:50.89 ID:llMRyluZ
 それから、おやつの時間の前に、ジュンがトモエといっしょに
帰ってきたの。それでね、ジュンとトモエにきょうのおでかけの
ことを話したら、トモエは『今度は私も一緒に行きたいな』って
言ってくれたの。ジュンも『僕も行こうかな』って言ってたの!

 ……この時代で、ヒナたちのいちばんおおきな夢はかなった。
もうすぐ、ヒナたちがずうっと思ってきた、いちばんながい夢が
叶うのかな。

 けど、もしそうなったら、ジュンやのり、トモエたちとは……
……ううん、きっとだいじょうぶ。しあわせな答えを、ヒナたち
で見つけるの。かならず、見つけるのよ。

 おやつを食べたら、きょうのことをお話ししに水銀燈のところ
に行ってみるの。トモエもめぐとおべんきょうするって言ってた
から、いっしょなの!
32RozenMaiden Fortsetzung 47 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/30(土) 16:00:38.67 ID:llMRyluZ
[15:44]
[桜田家 玄関。]

巴「おじゃましましたー。それじゃあまた月曜、学校で!」

ジュン「おお。またなー。」

雛「いってきまーすなのー!」

紅「いってらっしゃい。夕ご飯までには帰ってくるのだわ。今日、
  花丸ハンバーグよ。」

雛「やったぁー! はなまるさんなのー! さあ、ベリーベルっ、
  もういっかいお出かけするのよ!」

ベリーベル{♪}フワフワ


[15:55]

巴「ねえ雛苺、めぐさんのお家でもおやつ作るけど、いっしょに
  作ろう?」

雛「作るー! あっ、ヒナもめぐとトモエとおべんきょうする!」

巴「そう! じゃあ、ノートを買ってあげる。苺の柄のね。」

雛「わーい!」

                      【第48話に続く】
33 ◆TEGjuIQ24E :2013/03/30(土) 16:03:30.25 ID:llMRyluZ
 ハイ、以上で第47話「雛苺と猫屋敷」は終了です。
この話は、第48話に続きます。それではまた次回。
34名無しさん@お腹いっぱい。:2013/04/05(金) 22:52:00.01 ID:cD99XDwa
復活乙
35名無しさん@お腹いっぱい。:2013/05/06(月) 08:53:46.04 ID:UVGX6kv8
36名無しさん@お腹いっぱい。:2013/05/07(火) 05:12:08.32 ID:WRt87+t7
を?
37名無しさん@お腹いっぱい。:2013/05/08(水) 08:53:44.18 ID:uh2S5GFm
ちょっと関係ない話になるけど、
「ローゼンメイデンが普通の女の子だったら」ってのはどうなったの?
38名無しさん@お腹いっぱい。:2013/05/09(木) 15:41:04.29 ID:t1lOJG/v
消滅した
したらばのまとめ掲示板では残った僅かな住民の間で合意ができてたよ
新作を投下したい人はしたらばの方に投下してほしいらしい
39名無しさん@お腹いっぱい。:2013/06/06(木) 12:00:58.94 ID:4DnEQrTq
【2013年】ニコ超パーティ / ボーカロイドライブ1
http://youtu.be/WepwzAGCRTU?t=3m37s

【2013年】ニコ超パーティ / ボーカロイドライブ2
http://youtu.be/KUw-W-sxcSM
40名無しさん@お腹いっぱい。:2013/06/10(月) 13:31:49.08 ID:3RBzp53j
>>38
SSまとめサイトは健在だべ?
41名無しさん@お腹いっぱい。:2013/06/10(月) 14:52:40.14 ID:E5MJYYAB
>>40
何処かにまとめwikiが……あった筈だよな?どうだっけか?
42名無しさん@お腹いっぱい。:2013/06/11(火) 02:10:52.43 ID:gFwvpY13
どうなんだよ?
43名無しさん@お腹いっぱい。:2013/06/11(火) 12:19:33.34 ID:dcUs5sz4
「ローゼンメイデンが普通の女の子だったら」
本スレは落ちて再建されず
Wikiとしたらば掲示板は健在
ttp://www9.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/7014/

再建するしないについては一応こんな感じ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/7014/1262307587/684-696

その後はぱらぱらと上のスレにレスがついてるが、再建しようって動きはない
44名無しさん@お腹いっぱい。:2013/06/14(金) 02:54:02.52 ID:/MG+bwPr
>>43
おおお!!サンクス!!
45名無しさん@お腹いっぱい。:2013/06/17(月) 20:39:57.81 ID:MYfntE1w
>>43
「ローゼンメイデンが普通の女の子だったら」のWikiには
かなりの良作、名作が揃ってるな!驚いた!

「一つ屋根の下」ってエタったの?
面白かったのに…
続きが読みたい…
46名無しさん@お腹いっぱい。:2013/06/19(水) 00:20:04.23 ID:P7lRSqNY
書けばいいさ
お前だけの薔薇乙女を……!
47名無しさん@お腹いっぱい。:2013/06/23(日) 04:38:14.60 ID:fe/5XqTJ
ローゼンメイデンのSSでお勧めある?
バトルでもシリアスでも感動でもギャグでもカオスでも下ネタでもマジキチでも
何でもいいから面白くて読み応えのあるSSを私に教えてくれ給え!!!
48名無しさん@お腹いっぱい。:2013/06/24(月) 13:24:07.34 ID:fFPUWx8Y
>>47
ぷん太のサイトへ池
49名無しさん@お腹いっぱい。:2013/06/26(水) 03:40:47.46 ID:mvBztyY/
あれ?誰も居ない?
50名無しさん@お腹いっぱい。:2013/06/26(水) 19:12:37.13 ID:CtNlTerx
ここにいるよ
51名無しさん@お腹いっぱい。:2013/06/28(金) 10:56:21.98 ID:9E05g46i
>>47
ぷん太以外なら

ローゼンメイデン・アパートメント
水銀燈……なんて綺麗なんだ……!

どっちもぷん太に収録されない理由がわからない良作
6月の薔薇乙女シリーズはまとめられてるのになあ
水銀燈はドール達の母になるようです、は風呂敷広げまくった挙句エタったらしい
最初の頃は面白かったのに

地の文ガッツリ系なら

読み専が書くローゼンメイデン二次創作 (完結)
ドールがうちにやってきた (エタったかも)
52名無しさん@お腹いっぱい。:2013/06/30(日) 12:14:35.39 ID:PGYQrSor
>>51
おお!ありがとう!!
53名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/02(火) NY:AN:NY.AN ID:LeC0MkhQ
>>51
全部読んだぞ!
新アニメが放送される前に読めて良かった!
どれも最高だったよ!
54名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/03(水) NY:AN:NY.AN ID:hLcVOEX8
またローゼンメイデンSSが隆盛を極める事を願う!!!
55名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/05(金) NY:AN:NY.AN ID:CoPf9EPT
いよいよだ…………!!!
数分後には一日千秋の思いで待ち続けた新アニメがいよいよ放送される!!!!
56名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/05(金) NY:AN:NY.AN ID:CoPf9EPT
バーズ版全8巻(新装版全7巻)が第一話にまとめられるってのは聞いてたが…
ちょっとこれは…う〜ん…大丈夫なのか…?
伏線とか皆無じゃん…
これはちょっと厳しい気がする…
まぁファンとして最後まで見届ける所存だが。

OP&EDは曲も映像も最高だった!
次回予告の山口店長と斎藤ちゃんの遣り取りも良かった!
57名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN ID:abLFeYIN
お〜い…誰も居ないの…?
58名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN ID:abLFeYIN
SSのスレのURLってどうやって調べりゃいいの?誰か教えて!
59名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN ID:36O7C0Aw
普通に
60名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN ID:PmOXn6Vm
もう党員とかねぎまは消えたかな?
61名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/08(月) NY:AN:NY.AN ID:GPwjLSgg
>>47
いいから面白いローゼンSS教えろよ

このスレに色々挙げられてるヨ
見て来給え
62名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/08(月) NY:AN:NY.AN ID:1js7bRpM
大分前に読んだ贋作の水銀灯と無職男の話はかなり良かったよ
あの本編への繋げ方は中々考えてると思ったし最後も綺麗にまとめてた
マジで涙目になったのはあのSSが最初で最後だったなあ…
63名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/09(火) NY:AN:NY.AN ID:W+adPH8W
ローゼンメイデンが普通の女の子だったらのまとめサイトにある「一つ屋根の下」って結局どうなったの?ちゃんと完結した?
64名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/12(金) NY:AN:NY.AN ID:cNPHg29S
65名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/16(火) NY:AN:NY.AN ID:gdACHV5q
新アニメも放送開始した事だし、新作SSでお勧めある?
66名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/16(火) NY:AN:NY.AN ID:uH7q0jaP
>>65
何故新しい物に拘る?
温故知新…古くても名作は名作、古き良き名作を読み直して来い!!!
67名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/17(水) NY:AN:NY.AN ID:4MtURjCv
SLPYってブログあんじゃん?
あそこのローゼンメイデンのSSって…ちょっと変じゃね?
ノリと勢いに付いていけないっつーか…
68名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/17(水) NY:AN:NY.AN ID:JfxDtqGD
別に
69名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/17(水) NY:AN:NY.AN ID:kwordEYr
更新早いし最新話のネタすぐに取り込むし伏線もあるし結構好き
このスレで話していいのか分からないから黙ってたけど
70名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/20(土) NY:AN:NY.AN ID:yDycpoTR
>>69
お勧めを是非教えて頂きたい!
71名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/20(土) NY:AN:NY.AN ID:+g3FS69h
前置きがいらないのは「バラトーーク!『ジョジョの奇妙なメイデン』」とか「薔薇乙女我慢大会」とか
SLPY 黒歴史 でぐぐると本人の書いたリストと解説が出るからそこで探しても良い
オリ設定の続き物も好き、ローゼンのフォロワーが作った人形を「野薔薇」って呼ぶとか
72名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/21(日) NY:AN:NY.AN ID:VEFLLmhe
>>71
あざっした!!!!
73名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/24(水) NY:AN:NY.AN ID:zS8tDgvT
>>62
ピクでそれっぽいの発見したけど、なんだあれふざけんなよ!











( つдT)目からなんか垂れてきたじゃねーか…
74名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/30(火) NY:AN:NY.AN ID:uJ9DSbLW
ジュンと蒼星石ので何か良いのありませんか?
75名無しさん@お腹いっぱい。:2013/08/07(水) NY:AN:NY.AN ID:xNZ6ZGVQ
私はローゼンメイデン第5ドールの真紅・・・・・・だった。
76名無しさん@お腹いっぱい。:2013/08/14(水) NY:AN:NY.AN ID:Uqq/oP1/
鳥居純吾
77名無しさん@お腹いっぱい。:2013/08/30(金) NY:AN:NY.AN ID:0Rn7pGce
何か面白いの無いの?
78名無しさん@お腹いっぱい。:2013/08/30(金) NY:AN:NY.AN ID:qo5Y6wYb
>>77
逆にきみ自身のおすすめを紹介するんだ
そうすれば何か反応が返るかもしれない
79名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/01(日) 16:24:59.67 ID:TQO0NmVe
>>77
参考までに
◆ネット小説情報局 - ◆二次小説サーチ@ネット小説情報局 検索結果(検索ワード:ローゼン / 検索条件:and)
http://chaopara.sakura.ne.jp/data1/main.cgi?mode=search&page=1&sort=id_new&word=%83%8D%81%5B%83%5B%83%93&method=and&engine=pre

NEWVEL2 キーワード検索 ローゼン
http://www.newvel2.jp/nv/re.cgi
80名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/05(木) 19:48:19.71 ID:S7kg4cHg
>>79
ホゥ……実に興味深い……!!
81 忍法帖【Lv=21,xxxPT】(6+0:8) :2013/09/05(木) 21:57:00.06 ID:uHAB/6wt
当然興味深いだろ
無論興味津々だろ
一応意味深長だろ
確かに魅力的だろ
82名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/05(木) 21:58:08.47 ID:WSyG5LLg
全部水銀党のじゃねーかwww
83名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/08(日) 01:29:32.92 ID:7YIxXzvq
一つ屋根の下は結局未完なのね…
そらさん…
84TEG24 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 00:36:37.62 ID:yKrtRLai
 どうも御無沙汰しておりました。
5か月間、お待たせしてしまい大変申し訳ございません。
スレが残っていてよかった。みなさん、ありがとうございます。

 この間に新アニメが放送開始され、雪華綺晶に7年越しに声が付き、
ラノベ第3弾ツヴィリンゲが発売され、超豪華なBD-BOXが発売され、
本編もまた重要な局面に近づきつつあり、今年末にはねんどろ真紅が
念願の発売と、ここ半年ほどでよりローゼンが熱くなってきています。

 さて明日、というか今日の夜21時ごろから、このスレに書いてきた
【RozenMaiden Fortsetzang】第48話を投稿しますよ。
もう少しだけお待ちいただければ幸いです。
85名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/09(月) 11:35:40.50 ID:77YLZBfF
>>84
マジでか!?
待ってンぜ!!!
86TEG24 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 20:56:41.20 ID:yKrtRLai
 お待たせいたしました、今から
RozenMaiden Fortsetzang 第48話を投稿します。


【RozenMaiden Fortsetzang】
※このSSは04年〜06年にアニメ化された「Rozen Maiden」
 「Rozen Maiden Traumend」及び「Rozen Maiden Overture」
 をベースにローゼン関連原作を混ぜ合わせたものです。
 ので、トロイメント12話の続きから始まっているという体で進んでいます。
 第47話現在、ジュンは高校2年生になっています。

※第1話は9スレ目から始まります。以後10スレ目に第8話から、
 11スレ目に第29話から、12スレ目に第33話から投稿しています。


では行きます。

48【水銀燈の霧幻譚】
87RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 20:59:22.97 ID:yKrtRLai
【水銀燈の霧幻譚】

[2005/05/07 15:45]
[上井戸谷ハイツ502号 柿崎家。]


めぐ「もうすぐ4時かぁ。水銀燈、起こしてあげなきゃ。」

めぐ「ふふっ、巴ちゃんと雛苺が来るの、楽しみにしてたもんね。
   さて、紅茶でも飲もうかな……」

めぐ「ゆーめはー、風ー……♪」


銀「すぅ…… すぅ……」

めぐ「嬉しそうな顔して寝てる。なんだか、起こすのも……」
88RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 21:23:15.53 ID:yKrtRLai
[15:47]


銀『お父様…… ふふっ』


 5月7日の昼下がり…… 私は、夢を見ていた。私が時々見る、
幸せな夢。舞踏会の会場で、お父様と踊る……そんな夢。

 突然、お父様が私の手を引いて歩き出した。


銀『…… お父様 どちらへ……?』


 導かれるまま歩き続けていると、なにか霧のようなものが私の
まわりを包んでいることに気づく。
89RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 21:32:07.65 ID:yKrtRLai
銀『これは……霧?』


 時間がたつにつれて、霧が晴れて、明るくなっていく。目の前
に広がったのは、静かな雰囲気の河原だった。川の水面は、日の
光を映していて、とてもまぶしかった。

 お父様は、そんな川をただじっと見つめていた。


銀『いつのまに、河原に…… さっきまで、屋敷の中にいたのに』

銀『それに屋敷の近くには、川なんて流れて……』


 記憶が正しければ、薔薇屋敷の周辺には川はなかったはず……
町並からして、日本ではないようだし…… 考えを巡らせている
と、川の上に小舟が浮いているのが見えた。
90RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 21:41:25.45 ID:yKrtRLai
 小舟には、男がひとりと、女の子が3人乗っていたわ。何やら、
楽しそうに話をしているみたい……


銀『…… いったい何なのかしら…… お父様、あれは……』

銀『……お父様!? …… !?』


 お父様の顔を見ようとしたとき、急に景色が歪みだし、それが
無数のあぶくに変わり、はじけて消えた。この虚無感に、どこか
覚えがあった。


銀『…… ……こ、これは……』

銀『……この、感じ…… 無意識の、海……』


 無意識の海に流される寸前の…… 久しく味わっていなかった、
もう体験することはないと思っていた、心が宙に浮くような感覚。
以前、蒼星石に、真紅に、薔薇水晶に倒された時のような……

 お父様の手を握っていたはずの手は、ドアノブを握っていた。
遠くの方から、ごうっと、水流の音が聞こえた。
91RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 21:44:23.61 ID:yKrtRLai
銀『……!』


 迷う暇はなかった。勢いのままに、ドアを開ける。開け放った
ドアには、『0』と書かれていた。


銀『ゼロ…… ってことは』


 昔の私なら……、 夢でも、確かにそばにいたはずのお父様が、
そこにいない孤独に打ち震えるだけ…… そんな選択肢を選んで、
このままあの鉄砲水に流されていたはず。

 そして私は水の音が聞こえる中で、ドアから差し込む強い光に
包まれて…… 夢から、覚めた。
92RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 21:50:57.48 ID:yKrtRLai
[16:12]
[めぐの部屋。]


銀「はッ……!? はあっ……、はあ……」

めぐ「水銀燈!? どうしたの、顔が真っ赤……」

銀「ち、ちょっと、ヘンな夢を見たのよぉ……」

めぐ「そっか。……でもさっき、笑ってたような……」

銀「……そうね、途中まではいい夢だったんだけど。」


 めぐったら、相変わらず私がお昼寝していると、こっそり鞄を
開けて私の寝顔を見るのが好きなようねぇ…… 別にいいけど。

 鞄から起き上がって、めぐの部屋からリビングに移ったとき、
インターホンの音がした。みつやオディールの家もそうだけど、
最近は画面に訪問者が映るのね。便利なものだわぁ……。
93RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 21:53:12.62 ID:yKrtRLai
ピーンポーン
めぐ「はぁい。」

[こんにちはー。柏葉です。]

めぐ「あっ、いらっしゃい! 上がって上がって!」


 画面に映っていたのは、雛苺を肩に乗せたトモエだった。


柏葉巴[ハイ、おじゃましまーす。]
雛苺[おじゃましまーすなのー!]


 そういえば、めぐ、4時ごろにトモエが来て、いっしょに勉強
とかおやつ作りをするんだ、って張り切っていたわねぇ。雛苺、
器用にトモエの肩に乗ったまま、両手を振って笑ってるわぁ。
94RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 21:55:04.17 ID:yKrtRLai
[16:40]
[柿崎家 リビング。]


めぐ「っと、最後の問44だけど……、 過去にあった事と反対
   のことを願っているから、カッコの中は仮定法の過去完了
   が入る……『had come』ね!」

巴「……すごい、全部合ってます。あっ、これで全問終わりだ。
  けっこう早かったですね! 私も宿題が片付いちゃった。」

めぐ「ほんとだ、30分も経ってない。……そろそろ、おやつに
   しない?」

巴「そうですね。ちょっと、お腹がすいたし……。」

めぐ「ふふっ。……雛苺は、イチゴ味のクッキーがいいかな?」

巴「はい、イチゴ味で。あの子、きっと喜ぶわ。」
95RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 21:57:19.02 ID:yKrtRLai
[16:44]
[めぐの部屋。]


雛「それでねっ、マーキュリーたちが抜け道を教えてくれたの!」

銀「そお。……あの獣道、役に立てたならよかったわぁ。」

雛「うん! それで、ユメミネズミさんだけど…… 水銀燈に、
  逢いたいって言ってたの。」

銀「私に?」

雛「うゆ。でも、なんで逢いたかったのかは、言ってなかったの。」

銀「……ということは、やろうと思えば、礼拝堂にも自由に行き
  来できるってことねぇ。」

ギイッ
めぐ「水銀燈ー、雛苺ー。クッキーを作るわよー。」

雛「うよ!? くっきぃ!? わーい!!」

巴「雛苺は、イチゴ味にしよっか。水銀燈は?」

銀「…… ふふっ、私もイチゴがいいわぁ。」

雛「いちごっくっきー♪ すいぎんとーと、ともえとめぐとー、
  いっぱいいっぱい作るのよー♪」

銀「もう、あんなにはしゃいじゃって……」
96RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 21:58:49.19 ID:yKrtRLai
 この後、4人でイチゴ味のクッキーをたくさん作って、穏やか
な時間を過ごしたわ。……2年前の夏、ジュンの家で真紅と私が
クッキーを作ったときの話をしたら、みんな笑ってたわぁ。

 あの日、ジュンの家でスコーンを作っていて、『真紅が砂糖と
塩を間違えた話』を聞いて……そしたら、今度は私の方が砂糖と
重曹とを間違えて手にしてた、……という話よ。


銀「私としたことが、アレは不覚だったわぁ…… 砂糖と塩なら
  まだしも、重曹と間違えるなんて、ねぇ……」

巴「そう、重曹とお砂糖をねぇ。ふふっ、私も小さいころにね、
  お砂糖とお塩を間違えて紅茶に入れちゃって。」

めぐ「そうなんだぁ。わりとよくあるのかなぁ。」

雛「おさとうと、おしお、そっくりだからまちがえちゃうのよ。
  このまえも、トモエのパパがコーヒーにおしおを入れてて、
  とってもしょっぱそうだったの……」
97RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 21:59:27.19 ID:yKrtRLai
雛「だから、ヒナがおさとうのケースのほうに、いっぱいシール
  を貼ったの!」

めぐ「あっ、かわいい♪ 雛苺のノートにも、たくさんシールが
   貼ってあるね。くんくんがいっぱい♪」

巴「さっき買ったノートなんですけど、くんくんのシールも一緒
  に買ってあげたら、『いっぱい貼るの!』って言って……」

巴「自販機でジュースを買うついでに、ちょっと公園に寄って、
  袋を開けて、ノートに二人でいっしょに貼ったんです。ねっ、
  雛苺♪」

雛「うん!」

めぐ「そうなんだ。ふふっ、かわいいね……♪」

雛「めぐも、くんくん好きなの!?」

銀「最近、めぐも第一期第一話から観始めたのよぉ。今度、真紅
  からDVDを借りようと思うから、よろしくねぇ。」

巴「ふふっ……」
98RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 22:02:59.94 ID:yKrtRLai
[18:43]
[めぐの部屋。]


 トモエたちが家路に就いた後、めぐのお父様が夕ご飯の買い物
から帰ってきた。私は、めぐと2人で部屋の中で寛いでいたわ。
今日の夕ご飯はカレーライスだそうよぉ。

 ふと、めぐが思い立って、押し入れを開けた。


めぐ「そうだ、押し入れの中に……絵本があったはず……」

銀「絵本?」

めぐ「巴ちゃんが、雛苺が絵本すきだよ、って言ってたからね。
   ここに遊びに来た時に、読んでもらえたらな、と思って。
   押し入れにしまいっぱなしも、寂しいしね。」

銀「そぉ。……けっこう、絵本持ってるのねぇ……。」

めぐ「うん、私が小さいころ、入院してる時に、おばあちゃんが
   よく持ってきてくれてたんだ。」
99RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 22:05:04.57 ID:yKrtRLai
 めぐが押し入れの中から取り出したのは、絵本だった。次々に
絵本が出てきて、全部で30冊ほどの絵本が部屋の真ん中に積み
上げられた。


めぐ「……パパがね、『ここに引っ越ししたときに、お前の物は
   全部持ってきたから』って言ってたのを思い出したんだ。」

銀「ふふっ、いいわねぇ。名前まで書いてもらって。」

めぐ「けっこう綺麗でしょう? ……あはは、絵本も、あんまり
   読まなかったんだよね。気が付いたら、もう、絵本を読む
   ような歳じゃなくなってたし。」

 めぐは今、19歳。全部の絵本の裏側に、油性ペンで書かれて
いた「かきざき めぐ」の名前は、全て残っている。絵本自体も、
そんなにくたびれていなかったわ。
100RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 22:07:49.12 ID:yKrtRLai
めぐ「……ねえ、水銀燈は、絵本とか読んだこと、ある?」

銀「……そうねぇ、……もうずっと昔……120年以上前かしら。
  真紅の契約者だった、サラっていう子の家に、真紅と一緒に
  いたことがあったけど」

銀「その時に、サラのを少し読んでいたわね。 まあ、絵本とは
  いっても、ほとんど文字ばっかりだったけど。」

めぐ「そうなんだぁ。やっぱり、ずっしりとした厚い絵本だった?」

銀「まあ、そんなところねぇ。」


 ……今となっては、思い出すことも苦しくない。そういえば、
あのサラって子、ジュンに雰囲気が似ていたような……

 あの時代の事を思い出しながら、私は無意識のうちに、絵本の
山の中から、一冊だけ手に取っていた。そのタイトルは――


銀「……『ふしぎのくにのアリス』」
101RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 22:10:03.89 ID:yKrtRLai
めぐ「読んでみる?」

銀「……ちょっと、読ませてもらうわね。」

めぐ「いいよ。……ふふっ」

銀「ありがと。……どうして笑ってるの?」

めぐ「水銀燈が絵本を読むところ、初めて見たから……」

銀「……なにそれぇ。」


 この国でも有名な、昔のおとぎ話。巴も、のりもこれを読んだ
ことがあるのかしら? 私は…… この話を読んだ憶えがない。
記憶をたどっていっても――

 ――そのはずなのに、懐かしさを感じずにはいられなかった。
遠い遠い時代に、とても近くで聴いていたような……。そして、
物語が進むたび、おぼろげな記憶や新しい記憶と結びつく。
102RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 22:12:48.93 ID:yKrtRLai
銀「時計…… 兎と穴…… 海老…… 海亀はいないけど、海。」

銀「無意識の海。 茶会…… 仲のいい姉妹……」

銀「そして、夢。 夢見るのは―― 姉妹の一人・アリス。」


 ……単なる、偶然なのかもしれない。けど、偶然だとしても、
今までの二百年以上……この巡りあわせ。『ヤツ』の仕業なら、
なおさらのこと。アイツも、読んだのかしら……?

 めぐのお父様に頼んで、パソコンを貸してもらい、アリス物語
について調べた。……最初に、L・キャロルによって、アリスの
物語ができたのは、1862年・英国。

 知人の娘3姉妹達とアイシス川にボートでピクニックに出かけ、
その時、その3姉妹のうち、特にお気に入りだったという次女。
――アリスのために、その名の少女の冒険を語ったというわ……。
103RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 22:16:00.16 ID:yKrtRLai
 そしてアリスにせがまれ、その夢物語を記して、やがてそれが
一冊の本になって、出版され、『夢のつづき』が書かれて、永い
永い時を経て、世に知れ渡って――。

 この物語の、今まで経験していないことが、これから起きると
いうの?

 もしそうなら、この物語の終わりは―― そんなことを考えて
いたせいか、この夜は午後9時を廻っても寝付けなかった……。
眠りに落ちたのは、たぶん午後11時を過ぎたあたりだったわ。


[23:55]
[めぐの部屋、鞄の中。]


 その日の夜中、みんな寝静まった頃だった。私の眠る鞄の中で、
メイメイが光り出した。だんだん強くなる濃い紫の光で、思わず
目を覚ます。


銀「う…… ん 何……メイメイ」

メイメイ{フウッ…… フワフワ……!}
104RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 22:17:37.92 ID:yKrtRLai
 強く光を放ち、窓際に飛んでいくメイメイ。私もついて行って、
窓を開けると、メイメイは何かを見つけたのか、窓の外に出る。
そこにはもう一つ、青い光――レンピカの姿があった。


レンピカ{ピカピカ…… ピカピカ……}

銀「あら、レンピカじゃない…… ということは。」

蒼星石「やあ。夜分遅くにすまないね。」


 開けた窓の外には、鞄に乗った蒼星石がいた。ひらりと帽子を
片手に取って、レンピカを呼び戻す。



銀「…… 蒼星石? よくここが分かったわねぇ。」

蒼「年賀状を書く時に、めぐさんにここの住所を聞いてたんだ。
  ……めぐさんには、また今度来た時に改めてご挨拶するよ。」
105RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 22:19:37.59 ID:yKrtRLai
 どこまでも義理堅いのが、蒼星石らしいわねぇ。けど、こんな
夜中にここに来るなんて…… どうしたのかしら。


銀「…… どうしたの、突然……。」

蒼「ついてきてほしい場所があるんだ。」

銀「…… いいわよ。案内しなさい。」

蒼「うん。 ……と思ったけど、まずはこの部屋の『入り口』を
  案内してくれないかな?」

銀「……そこに立てかけてる姿見から行けるわ。……ふふっ」

蒼「どうしたんだい?」

銀「なんだかおかしくってね…… 案内してと頼んだのに、逆に
  案内してやってるのが……」

蒼「それもそうだね。……今まで、ここ、めぐさんの家だけは、
  まだ行ったことがなくってさ。」

銀「そうだったわねぇ。こんど、貴女の自慢のほうじ茶を淹れて
  あげなさいな。 ……めぐもめぐのお父様も、眠ってるから
  静かにね…… メイメイ、そこの扉を照らして。」

メイメイ{フウゥ……}

蒼「…… ふふっ ありがとう。」


 ひとまず、めぐたちを起こさないようにして、姿見の中、nの
フィールドに向かう。そこから蒼星石の案内で、奥に進んでいく。
106RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 22:22:31.32 ID:yKrtRLai
[23:58]
[世界樹の生える場所。。]


蒼「さっ、見えてきたよ。」

銀「ここ、世界樹の…… 霧が深いわねぇ。」

銀「……霧……!? 蒼星石も……」

蒼「……そう、この霧なんだ…… 今日、おばあさんとお昼寝を
  しているとき、夢を見てね。 どうやら、水銀燈も夢の中で
  霧を見たようだね。」


 あの霧が、夢と夢とを繋ぐ世界樹にまで深くかかっていたわ。
蒼星石も夢の中で霧に包まれたようだし……只事じゃなさそうね。


蒼「夢の途中で、この霧に包まれたんだ。そしたら、『見ている
  夢が変わった』んだ……」

蒼「『誰かの記憶を見てる』ような…… そんな夢にね。」
107RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 22:27:39.54 ID:yKrtRLai
銀「『第2幕』……見たのねぇ。 どんな夢だった?」

蒼「ああ、暗がりの中で、くっきりとは見えなかったけど……、
  誰かの髪を梳いてやっている、というのは分かったよ。」

銀「そう……」


 夜が明けたら、他の妹にも訊いてみようかしら。ユメミネズミ
といい、あの古時計といい、この霧といい…… やはり、私達に
何かを伝えようとしているようだけど……


銀「蒼星石、夢の終わりは……」

蒼「景色がゆがんで、流れに変わって…… 記憶の濁流、かな。
  ――何もないところを、漂っていたよ。『白』くはなかった
  けどね。」
108RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 23:11:55.05 ID:yKrtRLai
銀「――それで…… たどり着いたのがここだったの?」

蒼「ううん、たどり着いたというより、たどり着けた……のかな。
  流れの中に、光が見えてね。無我夢中で、そこに飛び込んだ。」

蒼「夢の中で、無我夢中なんて、ちょっとおかしだね……」

銀「……きっとそうねぇ。」


 少し笑いながら、世界樹の上の方を見る。ここから、だいたい
5、6メートルの辺り…… そこから先が霧で見えない。いつも
なら、もっと上まで見えるのに。


蒼「あの霧…… 何が見えるのだろう。」

銀「行ってみましょぉ。なにか、分かるかもしれないわぁ。」

蒼「ああ、行ってみよう!」
109RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 23:15:47.65 ID:yKrtRLai
[2005/05/08 00:07]
[世界樹の霧の中。]


 霧の中に完全に入るころ、隣を飛ぶ蒼星石が私の方を向いて、
問いかける。


蒼「……野暮ったいことを訊くけれど…… 怖くは、ないかい。
  実は……少しだけ怖いんだ。このところ、色々起こりすぎて。」

銀「全く、と言ったらうそになるかもしれないわ。けど、」

銀「やんなきゃならない時って、あるでしょぉ?」

蒼「……ふふっ。 あっ、あの霧の向こう――」

銀「―― 『夢の扉』っ……!」


 そう、私は誇り高き薔薇乙女第1ドール……長女。 臆病さを
見せたがらない妹さえ、少しだけど恐怖している……。 ならば、
私がそれを癒してあげないとねぇ……。
110RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 23:19:26.04 ID:yKrtRLai
[00:09]
[霧の奥深く、扉の向こう側。]

銀「霧が、雨に変わったわ……」

ビウウゥゥ
銀「……ぐうっ、すごい風ぇ……」

ドオッ ザザァ……
蒼「……ひどい嵐だ。海も、荒れている……」


 ここが誰かの夢の中かしら…… 辺り一面が、海になっていた。
しかも嵐の中の船の上、海は大しけ…… 今にも、船が風と波で
転覆しかねない。なんて夢なの……!?

 その時、ギイッと船室のドアが開く。


蒼「……! 船室のドアが開くよ。」

銀「誰か出てきたわぁ。 何か、手に持っているわ。」
111RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 23:21:47.58 ID:yKrtRLai
 一人の男が、何かを片手に船室から出てきた。霧のせいでその
何かがすぐには分からなかった。蒼星石が、目を凝らして正体を
探る。そして、ほどなくしてその正体を暴いた。


蒼「! あれは鞄、鞄だ…… 僕たちの鞄に、よく似ている……」

銀「薔薇の紋様は、ないようね……」


 それは、鞄だった。私たちの眠る鞄に、色も形も似ているわ。
本当に、薔薇の紋様の有無ぐらいしか、違いが見受けられない。
それだけじゃなく、男の足元に何かが伸びているのも見えた。


銀「蒼星石……!? アイツの足元……」

蒼「……!」

銀「枯れた、茨の蔓じゃない……?」

蒼「……ああ、間違いない……! 枯れてるけど、あれは茨だ!
  薔薇の茨だよ!」

銀「!」
112RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 23:23:49.16 ID:yKrtRLai
 この夢の中で、枯れた薔薇の蔓が見える…… どうしてあの男
に、あんなものが…… あの男と薔薇乙女に、何か繋がりが――


『……ァァァ……』


蒼「!?」

銀「だ、誰……!?」


『……ゥゥゥ……』


 突然、低くて、重い声がした。だんだん、それが大きくなる。
さらに、声と共鳴する鈍い音も聞こえてくる……


『ァァァアアアア…… ……!!』
ゴゴゴゴ……
113RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 23:29:23.84 ID:yKrtRLai
蒼「……まずい! …… 水流もやってくる!!」

銀「何ですって!? 記憶の、濁流かしら……!?」

蒼「……無意識の海に、流される!」


 声に重なって響いた音は、夢の最後に現れた濁流がやってくる
音だった。聞こえ始めた時より、ますます大きな音になっていた。
もう、濁流は近い……!


『ウウウウ……ウウウウ…… ……!!』
ゴオッ……


銀「蒼星石っ! しっかり……捕まんなさい!」

蒼「ああ!」


 両足を蒼星石に掴ませて、飛ぶ。翼をはばたかせて、ひたすら
先を目指した。蒼星石の直後に水流が迫ったとき、また『0』と
書かれたドアが出現した。


『アアアアアア……!!』
ゴゴゴゴォォォ……
114RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 23:33:30.52 ID:yKrtRLai
銀「あのドアよぉ!」

蒼「よし!」


 あのドアさえ出れば、現実世界に戻られる。濁流の音……いや、
やっぱり何かの叫びに聞こえる。それが最高潮に達すると同時に、
2人でドアを出た。


『ィィィ…… ウウウウウ……!!!』
ドド…… ゴッポオオオ……!!


銀「…… ……」

蒼「…… ……」


 後ろを振り返って、最後にドアの向こう側に私たちが見た物。
――とめどない濁流と、それに乗って流れてくる、無数の枯れた
茨の蔓だった。そしてまた、景色は霧に包まれた……
115RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 23:35:14.48 ID:yKrtRLai
[00:19]
[めぐの部屋。]

ヒュィィーン!!
銀「っはあっ……!! も、戻れたわぁ……!」

蒼「ああ…… あの、茨は……」

めぐ「水銀燈っ! 蒼星石っ! だいじょうぶだった……!?」

蒼「わっ……! めっ、めぐ……さんっ……!?」

銀「めぐ!? 起きてたの……?」


 部屋に戻ると、めぐが駆け寄ってきて、私たちの手を握った。
その手は、とても温かかった……


めぐ「さっき、目が覚めたの。……胸騒ぎがしたから、鏡の方を
   見てたら、指輪が熱くなって、今までにないくらい、鏡が
   歪み出して……!」

めぐ「鞄が開いていたから、nのフィールドに出かけていったの
   かな、っていうのは分かったんだけど…… もう、大丈夫。」

銀「……めぐ……っ」


 思わず、めぐの胸に倒れこみ、もっと強く、手を握り返した。
116RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 23:37:55.52 ID:yKrtRLai
蒼「……ごめんね、勝手にお邪魔しちゃって……」

めぐ「ううん、いいよいいよ。いつでも遊びに来ていいからね。」

蒼「あはは……。」

めぐ「そうだ、紅茶淹れてあげよっか? だいぶ、疲れてるよう
   だから…… 甘いのがいいかな。」

蒼「いいのかい……?」

めぐ「もちろんっ。天使さんの妹さんだもの。」

蒼「ありがとう、めぐさん。」

銀「……ありがとぉ、めぐ。」
117RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/09(月) 23:40:27.15 ID:yKrtRLai
[00:34]
[めぐの部屋。]


 めぐの淹れてくれた紅茶で、夜遅くのティータイム。いくぶん、
さっきまでの緊張が和らいだわ。紅茶を飲み終わる頃、蒼星石が
テーブルの下にノートが落ちているのに気付いた。


蒼「あれっ このノートは…… これ、トモエさんのだ。」

銀「あら、ノートを忘れて帰っちゃったのねぇ。今日、この家に
  トモエと雛苺が遊びに来たのよぉ。ここでお勉強をしていた
  んだけど……」

蒼「ああ、それでかぁ。」

めぐ「いけない、せっかく宿題を終わらせてたのに……」

銀「任せなさい、朝、トモエの家に行って、届けてあげるわぁ。
  あの霧について話しとかないとだしぃ……」


 紅茶を飲み終え、蒼星石を見送って、私たちはまた眠りに就く。
こんどの夢は、めぐと二人で薔薇屋敷を訪れて、薔薇の園を歩く、
とても穏やかな夢だった。
118RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/10(火) 00:02:47.47 ID:o/w/HpNf
[06:44]
[めぐの部屋、窓辺。]

めぐ「すぅ…… すぅ…… すいぎんとう……♪」

銀「…… もう、聞こえてるわよぉ……。 じゃ、トモエの家に
  行ってくるわねぇ……。」


 そして朝、まだすやすやと眠っているめぐの寝顔を見てから、
トモエの家にノートを届けに出かける。朝の日差しに照らされた
町を眺めながら空を飛んでいると、気持ちがいいわぁ。


[06:47]
[柏葉家への道中、上空。]


 トモエの家までの道のりのうち、半分まで来たところで、偶然
ジャージ姿で道を走っているトモエを見つけた。


銀「ごきげんよう。お出かけかしら。」

巴「水銀燈。おはよう! どうしたの、こんな朝早く……」

銀「これを渡しに来たのよぉ。昨日、忘れていたでしょ?」

巴「ああっ、ありがとう! 持ってきてくれたんだね。朝ご飯の
  後にでも、めぐさんのお家にノートを取りに行こうと思って
  いた所だったの。」
119RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/10(火) 00:05:47.23 ID:o/w/HpNf
銀「そぉ。ちょうどよかったわ。……時間はあるかしら?」

巴「うん、いいよ。雛苺が起きるまで、少し時間があるし。」

銀「……雛苺が起きたら伝えてほしいんだけど…… もし、nの
  フィールドに行くことがあったら、霧に気を付けて、って。」

巴「……うん。霧って、どんな……?」

銀「その霧の向こう側に、誰かの記憶が見えるのよぉ。昨日は、
  私と蒼星石が見たわ……。」

巴「記憶、か。分かったわ。今日、桜田君のお家にも行くから、
  真紅達にも伝えるね。」

銀「ありがと、トモエ。」


 トモエは、朝に早起きできた日は、こうしてジョギングをして
いるみたい。本当にタイミングがよかったわぁ。ちょっと時間が
できたから、少しゆっくり町を眺めて帰ろうかしら。
120RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/10(火) 00:07:39.71 ID:o/w/HpNf
 あの霧……男の悲痛な叫び…… めぐが手をとってくれる寸前、
蒼星石と二人で息を切らせて部屋に戻ったとき……、あの光景に
悲しさと同時に、何故か懐かしさのようなものを覚えていたわ。

 霧が晴れた後には、何が待っているというの……?

 時が満ちた後には、何が待っているというの……?

 夢の後には、何が待っているの? ねえ、お父様…… あなた、
あの川辺で、一体、何を見ていたのですか……?


[06:55]
[同じころ、ジュンの家。]


翠星石「さーて、今日も一日はりきってやってやるですかねぇ。
    今朝のメニューはスコーンでいくです!」

蒼「やあ、翠星石。おはよう。」

翠星石「あれっ、蒼星石じゃないですか。おはようですぅ。突然
    どうしたんですか?」

蒼「……まだ、7時までは時間があるしね。ちょっと、いいかな。」

翠「ん? ……何か、あったですか……?」
121RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/10(火) 00:10:28.96 ID:o/w/HpNf
[06:59]
[桜田家の物置。]


翠「それで…… すごい量の、枯れた茨の蔓が、ですか……。」

蒼「うん。僕たちも、今まで見たことがないような……。多分、
  薔薇屋敷の……結菱さんのお屋敷の時よりも手ごわそうだ。」

翠「これは行ってみるしかなさそうですねぇ。蒼星石、どのへん
  だったか覚えてるですか?」

蒼「世界樹の上の方……霧がかかっていたあたりから、更に高く
  に登って行ったところだったよ。」

翠「合点承知ですぅ! 世界樹に何かあったら、本当にマズイ事
  になりかねんですからねぇ。 翠星石たちが夢を繋ぐ世界樹
  や心の樹たちを世話する庭師であるのなら……!」

蒼「僕たちがやらずに、誰がやるのか……」
122RozenMaiden Fortsetzang 48 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/10(火) 00:14:40.89 ID:o/w/HpNf
真紅『ジュン! 抱っこしてリビングに連れて行って頂戴。』

桜田ジュン『はいはい。』

紅『はい は1回よ。』


翠「その前に朝ごはんにするです。腹が減っては戦ができんです
  からねぇ。蒼星石も食べていくといいです。」

蒼「そうだね。翠星石のおすすめの一品だけでも、頂こうかな。」


                    【第49話につづく】
123TEG24 ◆TEGjuIQ24E :2013/09/10(火) 00:26:42.74 ID:o/w/HpNf
 ……ハイ、というわけで第48話「水銀燈の霧幻譚(むげんたん)」は
以上で終了です。読んでくださった皆さんありがとうございます。
次回第49話は、翠星石が主役を張ります。

 私は最後まで書ききりますので、生温く見守っていただければと
思います。それでは、また。
124名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/10(火) 23:54:37.68 ID:tMByzdVQ
乙でした!!!!!!!!!
125名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/12(木) 03:46:29.27 ID:u+6TJIVP
乙だゾ☆
126名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/13(金) 03:05:46.03 ID:re9qdMQx
「ローゼンメイデンが普通の女の子だったら」のSSまとめwikiには思わぬ良作が眠ってるな…
当たり外れの差は大きいが中にはかなり面白いのとかあるわ
127名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/13(金) 13:23:23.59 ID:Eb10xsLW
雪華綺晶的思考 が好き
128名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/13(金) 13:55:56.49 ID:re9qdMQx
>>127
アレ良かったよな
他にも「ひょひょいの憑依っ!」とか「怪盗乙女、ローゼンメイデン」とか思わず夢中になって読み耽っちまうのがあるよな!
あそこは本当に凄いな
まるで宝物庫だわ
最近は時間さえあればあそこで過去の良作を読み漁ってるよ
129名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/16(月) 19:22:58.91 ID:jHmIjAjs
「ローゼンメイデンが普通の女の子だったら」は知名度低いのか?あまり話題に上がらないよな。
中には物凄い良作とかもあるのに………
130名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/18(水) 11:48:56.16 ID:L54yvz8+
ぷん太のにゅーすに収められてるようなSSとはちょっと違うから
読んでいいなって思う人は多いだろうけど、読みたいって思う人は少ないんじゃないの
キャラの前提が違っちゃってる設定だからね

時間があったら脱読み専して書いてみてもいいのでは?
ないものは書くしかないのだから
もっとも読み専が好き勝手にローゼンSS書くとハルヒ全巻より長くなったりするらしいが
131名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/18(水) 17:53:45.86 ID:ZE/1DnDH
>>130
成程…それもそうさなァ…
132名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/18(水) 18:24:00.06 ID:5TvkAQwr
まずsageることを覚えろ
133名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/22(日) 11:33:48.51 ID:uhsOy/Hj
>>132
サーセンwwwwwwwww
134名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/25(水) 21:43:46.59 ID:/n9Dj/SE
何かないの?
135名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/26(木) 00:53:57.22 ID:lpH8yLZR
ドールがうちにやってきた が更新されたくらい
SS全然書かれなかったな今回は
136名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/26(木) 22:41:40.52 ID:JhpbI0t9
ぷん太のにゅーすにまとめられてるのも
ローゼンメイデンが普通の女の子だったらも
どっちも好み


昔は徹夜で読んだものだよ
137名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/27(金) 11:56:50.12 ID:5XH8H6G8
ローゼンメイデンは本当にもう終わってしまったのか……?(;;)
138名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/09(水) 13:03:57.96 ID:mYBhuJh/
やれやれだぜ…
139名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/15(火) 23:26:45.08 ID:teYBbK64
一度枯れた薔薇は再び咲く事は無いのだわ………
140名無しさん@お腹いっぱい。:2013/11/01(金) 15:54:09.77 ID:E3q/001B
今!再び!!ローゼンメイデンは輝く!!!
141名無しさん@お腹いっぱい。:2013/12/01(日) 08:27:27.33 ID:QUOPYkue
輝かなかったね
142名無しさん@お腹いっぱい。:2013/12/03(火) 12:39:23.61 ID:7k+xWJ34
>>141
か、輝いたやろ!!再アニメ化したやんけ!!!
143名無しさん@お腹いっぱい。:2014/01/06(月) 10:28:08.42 ID:l6XgvqQ0
ローゼンメイデン………
144名無しさん@お腹いっぱい。:2014/01/16(木) 23:14:17.43 ID:lABiyR1I
145名無しさん@お腹いっぱい。:2014/01/24(金) 09:13:59.53 ID:E5xfLe2N
原作「ローゼンメイデン」も遂に終わってしまったな…良い最終回だったけどやっぱり寂しいなぁ…
あと、薔薇乙女ハーレムを築いた巻いたジュン爆発しろ!羨ましいんじゃ畜生が!
146名無しさん@お腹いっぱい。:2014/01/24(金) 11:18:33.07 ID:wDRqe3//
でもトロイメントの真紅と相思相愛エンドも好きよ

もう続きは100%ないんですよねえ
147名無しさん@お腹いっぱい。:2014/01/26(日) 21:52:30.47 ID:kakK+yIE
もうローゼンの二次SSは増えないのか?折角ジュンがドールズハーレム創り上げて色んな意味で良い終わり方したのに…!
148名無しさん@お腹いっぱい。:2014/01/26(日) 22:00:33.33 ID:ijquZLLx
ドラえもん最終回的なSSとか、あまりにストレートすぎて却って書けないからなぁ…
ドールズがジュンの元から去って行くというのもありえなくなっちゃったし
探鉱話書いてもつまんなさそうだし
日常話は今更だし
ある意味二次は作りにくいかもね
149名無しさん@お腹いっぱい。:2014/01/26(日) 22:59:59.57 ID:kakK+yIE
>>148
そ、そんな………
じゃあローゼンメイデンの二次物はこのまま再び花開くことなく枯れていくだけなのか?
嫌だァァァああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
150名無しさん@お腹いっぱい。:2014/01/26(日) 23:06:10.11 ID:ijquZLLx
じゃあお前が書けよ
151名無しさん@お腹いっぱい。:2014/02/22(土) 11:47:41.41 ID:nKFPMvKd
そうか、アカンか…
152名無しさん@お腹いっぱい。:2014/02/25(火) 11:27:53.58 ID:duWxQISX
真紅ぅぅぅううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!
153名無しさん@お腹いっぱい。:2014/03/10(月) 16:16:31.20 ID:GyYbTOyO
今日から薔薇乙女!!
154名無しさん@お腹いっぱい。:2014/04/13(日) 02:03:00.72 ID:ijMTx0jM
155TEG24 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 19:03:02.24 ID:xyWBPrtH
【お詫びとお礼】
みなさん、毎度ながら大変遅くなってしまい申し訳ございません。
「原作の完結」という一大イベントがあった昨年度、
公私ともに多忙を極め、連載を続けてきた「RozenMaiden Fortsetzang」
の続きが思い浮かばずにいました。

今年度に入り、ようやく筆が進み、今日話が書き上がりました。
スレを保ってくれたみなさん、本当に本当にありがとうございます。
今日からここに第49話を投稿します。


それでは行きます。
RozenMaiden Fortsetzang
49【翠星石と荊棘船】
156RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 19:06:08.82 ID:xyWBPrtH
【翠星石と荊棘船】

[2005/05/08 07:30]
[桜田家 リビング。]


 5月8日、雲一つない、さわやかな日曜の朝です。ま、今から
向かう場所は、どうやら霧が立ち込めているらしいですけど……。

 朝ごはんに翠星石特製のスコーンをふるまって、体力は満タン、
精霊たちも気合が入ってるです。さーて、


翠「ちょいと世界樹の様子を見に行ってくるです。」

紅「そう。何かあったら、呼んで頂戴。」

翠「そんな時はスィドリームを寄越すですからね。」

雛「ヒナも『すけらちいたす』なの!」

蒼「『助太刀いたす』だね。ありがとう雛苺。」
157RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 19:07:53.14 ID:xyWBPrtH
ジュン「……こないだ時代劇観てたから、それで覚えたのかぁ?
    僕も行かなくて、大丈夫か。」

翠「ま、ちょちょいと見に行って、戻ってくるです。」

蒼「ジュン君の力が必要になったら、指輪が知らせてくれるよ。
  その時は鏡の前で、待っていて。」

ジュン「ああ。本当に気を付けてな。今日は日曜だし、僕は家に
    いるからさ。」

翠「がってんですぅ!」


 それじゃあいっちょ行きますか、蒼星石!
158RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 19:11:15.46 ID:xyWBPrtH
[07:32]
[世界樹の生える場所。]


 nのフィールドから、世界樹の幹に繋がる光の渦に飛び込むと、
いつもなら世界樹のぶっとい樹がすぐに見えるのです。けれど、
樹の影だけが辛うじて見える位、深く霧が立ち込めていたです。


蒼「また一段と霧が深くなった……」

翠「すごい霧ですぅ…… 蒼星石、しっかり手を掴んでろです。」

蒼「ありがとう。」

翠「世界樹自体には、とくに異状はないようですね……ですけど」

蒼「……分かるかい、この……ただならぬ気配。」

翠「こりゃあ、水銀燈もいつもより気合入れて臨むわけですぅ。
  とにかく、行ってみるですよ。」

蒼「……うん!」
159RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 19:16:13.50 ID:xyWBPrtH
[07:35]
[世界樹の霧の中。]


 いよいよ、何も見えなくなってきましたねえ……辺りは真っ白、
まるで『9秒前の白』にいるみたいですぅ……

 
翠「スィドリームっ…… 覚悟はキメてるですか……」

スィドリーム{スォォォ……}

翠「甘い水で、この混沌を晴らしてやるですよ。」

蒼「レンピカ、昨日よりも霧が濃くなってる。」

レンピカ{ピカピカ……ピカピカ}

蒼「茨が出てきたら、よろしく頼むよ。」

レンピカ{ピカ……ッ}
160RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 19:19:36.33 ID:xyWBPrtH
[07:37]

レンピカ{ピカピカッ……!!}

蒼「! ありがとう、レンピカ」

翠「枯れた茨が…… 蒼星石っ、あの夢の扉ですか!?」

蒼「ああ!」

翠「さあ、開けるです!」


[07:38]
[夢の扉の中。]


 枯れた茨が這い出していた扉を開けて、目的地に到着ですぅ。
この中も霧が濃くて、おまけに雨まで降ってやがるです。


蒼「!?」

翠「これ…… 船……ですか?」

蒼「まるで茨の塊だ…… まだ、船の形は残ってるけど……」
161RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 19:58:35.58 ID:xyWBPrtH
 目の前に漂っている、枯れた茨のカタマリ…… よーく見たら、
小さな船に見えるですね。ただ、蒼星石たちが昨日見たっていう
船とは少し形が変わってるらしいです……

 それにしても、とても淋しい所ですぅ。いったい、これは誰の
夢なんですかね……


蒼「昨日見た時より、茨が比べ物にならないくらい増えてる……」

翠「一葉おじじの時の、ざっと5倍はありそうですぅ。昨日は、
  どの位だったんですか?」

蒼「昨日は……船室から出てきた男の足元に、茨が這っている位
  だったんだ。その後だよ、今見えるくらいの量の茨が、水流
  とともに襲ってきたのは……」
162RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 19:59:27.06 ID:xyWBPrtH
翠「…… そういえば、その男は鞄を持っていたですよね?」

蒼「あれ、だよ」

翠「なん……ですと……」


 ジュンの家を発つ前に、蒼星石から『薔薇乙女(ぼくたち)の
鞄に似た鞄を見た』と聞いてはいましたが……


蒼「あれを見たんだ、僕と水銀燈は。」

翠「翠星石たちの鞄と、よく似てるですねぇ……」


 甲板にあたる所に、茨に埋もれるようにして、あの鞄が置いて
あったのです。もうちょっと近づいて、取りに行ってみるです。
163RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 20:03:53.71 ID:xyWBPrtH
翠「よし、取りに行ってみるですよ。」

蒼「そうだね、今ならまだ――」


 二人で船の上に降り立とうとしたとき、遠くから鈍い音がして
その瞬間……茨の波が襲ってきたのです。


ゴオオッ……!!
蒼「うわっ!!」

翠「ひええええええ! な、なんですかこの茨は!?」

蒼「これだよ、夢の終わりに襲ってきた『茨の波』は!」

蒼「ということは…… 翠星石! よく耳を澄ますんだ。」
164RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 20:06:13.88 ID:xyWBPrtH
翠「?! ……」


『…… …… ウゥゥゥ……』

『…… アァァァ……』


 流れて来る枯れた茨の波の音に乗せて、誰かの声がしたです。
とても低く、悲しい声でした。蒼星石たちも、この声が聴こえた
らしいですぅ。


『…… ウゥゥゥ …… ……ィィィィ……ィィィ……』

『……ウゥゥゥ……』


翠「こ、こ、これは誰の声なんですか……!?」

蒼「分からない…… このフィールドの主の声だとは思うんだ。」
165RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 20:10:13.29 ID:xyWBPrtH
『…… ……ゥゥ…… ゥゥ……』


翠「そう考えるのが自然ですけど…… 何かヤバいです、ここは
  いったん戻らねえですか?」

蒼「そうだね、……マスターがいたほうが……それに」

ゴオッ……
翠「!?」


 なんだかイヤな音です……、もしや、今からとてつもない量の
枯れた茨の蔓が――


ドゴゴゴ……
蒼「もっと強いのがくるッ!! あの扉から……戻ろう!」

翠「は、はいですぅ!」

ドド…… ゴッポオオオ……!!
166RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 20:14:08.98 ID:xyWBPrtH
[07:47]
[桜田家 物置。]

ヒュィィーン……!!
翠「ふぅーっ、危なかったですぅ……。」

蒼「はあっ、最後の波は、夜中に水銀燈と見たのより、強い……」


 すぐ近くにあった扉から、なんとかして物置に戻られたですぅ。
あの茨に飲まれてたら、どこまで連れていかれたですかね……


翠「とんだ悪夢ですね……いったい、誰の夢なんですかね。」

蒼「うーん…… けど、どことなく……、懐かしいような雰囲気
  も感じたよ。」

翠「蒼星石もですか? あんなものを蒼星石たちが見ていたとは
  思ってもみなかったですけど……、なんだか、懐かしい気は
  したんです。」
167RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 20:17:14.80 ID:xyWBPrtH
蒼「ともかく、いっしょに行ってくれてありがとう、翠星石。」

翠「いいってことですよぉ。マスターを連れて、また行ってみる
  です。」

蒼「うん! またよろしく頼むよ。」


 ざっと3時間ぐらいはnのフィールドに居た気分なのに、全然
時間が経ってなかったですぅ。色んなことがありすぎて、時間の
感覚がよくわからなくなってやがるです。

 懐かしい雰囲気の、悲しい声…… イマイチ見当がつかんです。
今までもジュンとかマツのおばばとか、一葉おじじの夢に入って
きたですけど、あれほど絶望感に満ちた夢はなかったですぅ……。

 それにあの鞄。持って帰って、何とかしてこじ開けてやらねば
ですね。何か重要なものが入っているに違いないですぅ。さて、
蒼星石を見送って、チビどもと遊んでやるですぅ。
168RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 20:19:22.01 ID:xyWBPrtH
[11:11]
[ジュンの部屋。]

翠「うお〜っ、待ちやがれですぅ!」

雛「きゃはははは♪ こっちなのよ〜!」

紅「二人とも、もう少し静かになさい……? 落ち着いて読書も
  できやしないのだわ……」

ジュン「……なんかもう慣れちゃって、全然うるさくねえや……」
169RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 21:01:59.13 ID:xyWBPrtH
翠「このぉ〜っ、チビ――」

雛「う、うわぁ〜っ!」


 チビチビを追い回してたら、何かを踏んづけたみたいで、突然
すっ転んだですぅ! うおぉ〜っ、翠星石も何か踏んだです!?
巻き込まれるですぅ!

ドドッターンッ……!!

ジュン「おい! 大丈夫か!?」

紅「!? ふ、ふたりとも……けがはなくて?」

雛「うゆ〜…… さっき何か踏んじゃって転んだなの……」

翠「ったく、翠星石は急に止まれないですぅ……」
170RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 21:15:14.88 ID:xyWBPrtH
ジュン「っかしーな、連休の前に部屋は綺麗に片付けといたはず
    なんだけどなー、お前らと一緒にさぁ。」

雛「なのー。ヒナもちゃんとおかたづけしたのよ。」


 いくらチビチビとは言え、なにもない所で突然転ぶはずはない
のですぅ。ちょっと床をあたってみるです。


翠「一体何が落ちてんですかねぇ――」

紅「……ここは名探偵・真紅の出番のようね……彼は言ったわ、
  『どんな些細なものも見逃すな』と……」
171RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 21:16:25.13 ID:xyWBPrtH
ジュン「あれ、コレって……」

紅「ああっ! くんくん、今こそ力を貸して頂戴! この真紅の
  忠実な家来の部屋で事件が……」


 ジュンが、何か見つけたみたいです。――鳥の羽が、1枚だけ
ベッドの下に落ちていたです。おそらく、踏んづけた拍子に入り
込んだですかねぇ。


雛「とりのはね?」

翠「んー…… 何の変哲もない羽ですねぇ…… ジュン、お前は
  羽毛布団で寝てたですか?」

ジュン「連休前までな。こないだの掃除のとき片付けちゃったよ。」


 となると、この部屋に自然に羽が落ちる可能性が、低くなった
ってわけですね……、こいつはヘンですぅ。
172RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 21:17:51.67 ID:xyWBPrtH
雛「これはー?」

ジュン「枕かぁ? それは違うと思うぞ、ビーズが入ってる。」

雛「びーず!? この中にビーズが入ってるの!?」

ジュン「ああ。見たことないんだっけ? 見てみるか?」

雛「うん!」


 なんでそーなるですか……。


ジュン「ぐっ、チャックが固いなコレ……」

雛「ヒナも手伝うの!」

ジュン「よし、引っ張ってくれー……」
173RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 21:25:30.57 ID:xyWBPrtH
ジャバッ
ジュン「うわっ」

雛「あっ」


 ファスナーを開ける勢いを間違えたのか、枕の中に入っていた
ビーズが全部ぶちまけられたですぅ!


翠「ぎゃあ〜っ、何やってるですかお前らはー!」

紅「あなたたち! 真相が掴めたわ、犯人はおそらく鳥――……
  なっ、何なのかしら、この惨状は……!?」

翠「なんか別の事件がおこっちまったですぅ。」

ジュン「あ〜っ、やっちまったよー……」

雛「色んな色のおっきなビーズがいっぱ〜い♪ 綺麗なのよ〜。」

翠「こないだのりが買ってきた、『パウダービーズクッション』
  じゃなくてよかったですねぇ……」
174RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 21:27:56.54 ID:xyWBPrtH
ジュン「スマンお前ら、コレ枕の中に戻すの手伝ってくれないか。」

雛「うぃー!」

紅「まったく、何をやっているんだか…… 翠星石、落ちていた
  羽は証拠として保管しておくから、必要なときは言いなさい。」

翠「わかったですぅ。……しかし盛大にぶちまけてくれましたね。」

紅「ええ……」


 とりあえずビーズの片付けがひと段落したところで、そろそろ
ティータイムの時間ってことで、ジュンと2人で紅茶などを淹れ
に行くです。いやぁ、いいもんですねぇ。

 けど、羽は1枚しか落ちてなかったです。翠星石も何かを踏ん
づけた感触があったですから……もう一つ何かあるはずです。
175RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 21:32:59.33 ID:xyWBPrtH
[11:25]
[ジュンの部屋。]

ジュン「ほい真紅、紅茶だ。雛苺はミルクティーだ。」

紅「ありがとう。」

雛「わーい! ありがとなのー!」

ジュン「しかしなんだって鳥の羽が…… 羽っつっても、水銀燈
    じゃあないもんなあ……」

翠「あいつの羽なら、すぐ分かるです。大方開いてた窓から鳥が
  迷い込んできたんです。」

ジュン「そっか。それか、雛苺が『冒険』してきた時にでも服に
    着いてたんじゃないか? アイツ、割といろんなところ
    行ってるみたいだからな……」

翠「そうかもですねぇ。猫の屋敷にまで行ってたくらいだから、
  どっかで鳥と遊んできたとか……」

ジュン「はは、アイツらしいな。」
176RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 21:37:48.51 ID:xyWBPrtH
雛「あっ、ジューン! コレで遊ぼう!」

ジュン「トランプ?」

翠「んん? ……なんで1枚だけなんですぅ?」

雛「ベッドの下に、1枚だけ落ちてたの。」

ジュン「気が付かなかった、ちょっと見せてみろ。」


 とくに、何の変哲もないトランプですぅ。なるほど、翠星石は
羽じゃあなくて、コレを踏んですっ転んだんですね。ちなみに、
『ダイヤの5』だったですぅ。


翠「ったく、チビ人間がこれを片付けとかないから……」

ジュン「僕じゃねーよ。」
177RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 21:41:09.41 ID:xyWBPrtH
ジュン「…… 最近はトランプなんてしてないしなぁ。お前らも
    トランプとかやらないだろ?」

紅「そうね、このところはね。 のりがこの前買ってきてくれた
  『くんくんのホシを探せボードゲーム』くらいなのだわ……」

翠「アレにはトランプなんぞついてこないですからねえ……」

ジュン「一応、全部あるか見とくか……。僕はスペードを集める
    から、お前らは別のマークを集めてくれ。ジョーカーは
    僕に渡して。」

雛「ヒナ、ハートにする!」

紅「なら、私はダイヤを……」

翠「じゃあ、クラブってことですね。12枚だったヤツは正直に
  申告するですよ。」


 意外と、この同じマークを集める作業というのが楽しいですぅ。
おっ、早くも5、6、7枚と……
178RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 21:43:37.33 ID:xyWBPrtH
ジュン「えーと……AからKまで、13枚だ。ババも2枚あった。」

雛「13枚あるの!」

翠「翠星石も13枚集めたですぅ。ということは真紅が……」

紅「……いえ、私も13枚……『ダイヤの5』も、ここにあるわ。」


 箱の中のカードが、全部揃っているです……さっき落ちていた
カードは、確かにジュンが別に置いておいたから……


翠「『ダイヤの5』が2枚あるですね……」

紅「この家にはトランプがもう1組あったのかしら……」

ジュン「どうだったかなぁ…… アレは父さんが持ってた奴で、
    僕が勝手に使ってるだけなんだ。確か、家にはこれしか
    なかったはず……」
179RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 22:27:31.03 ID:xyWBPrtH
雛「うゆゆ、いちまいだけのトランプは、どこから来たの……?
  もとのところにかえしてあげないとなの。」

翠「そうですねぇ。 とはいえ、元々コイツが入ってたセットが
  この家にないってことですからねぇ……」

紅「とりあえずは、このカードだけを別に取っておくといいわ。
  ……あら、もうお昼ね。ジュン、紅茶を淹れて頂戴。」

ジュン「そうだな、僕も昼飯にするかぁ。 姉ちゃんもいい加減
    起きてるだろ。」


 謎は深まるばかりですぅ。鳥の羽とトランプ…… くんくん、
お前ならこんな時どう推理するですか? 真紅じゃねーですけど。
180RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 22:30:01.61 ID:xyWBPrtH
[11:54]
[桜田家 2階廊下。]

翠「さーて、今日のお昼はなんですかねぇー♪」


 ジュンの部屋を出て階段に向かう途中で、廊下に何か落ちてる
のに気が付いたです。


翠「!? こ、これは……」


 『ダブったダイヤの5』以外は、全部箱にしまったはずです。
それなのに…… 鏡のある部屋の前に、トランプが1枚だけ裏を
向いて落ちていたです。
181RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 22:32:06.54 ID:xyWBPrtH
翠「『ハートの2』、ですか。」

ジュン「あれ? 翠星石ソレは……」

翠「ここに落ちてたですぅ。 ……誰もいじらないですよねぇ?
  全員、リビングにいたはずですから……」

ジュン「だよなあ…… 蒼星石も、あれから遊びに来てないし、
    金糸雀が侵入した形跡もなし。」

翠「アイツの場合は入ってきたらすぐ分かるですからね……」

ジュン「……とりあえず、お昼にしようか。」

翠「おぅ、ですぅ。」


 なんてこった、です……トランプがまた増えてしまったですぅ。
182RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 22:34:29.69 ID:xyWBPrtH
[12:44]
[桜田家 2階物置。]


 お昼ご飯を食べ終わって、またジュンの部屋に行こうとした時、
ふとさっき『ハートの2』が落ちていた場所が気になったです。
なんとなく鏡の部屋のドアを開けると……


翠「……こ、こいつは……」

翠「ジュ〜ン!! ちょっと来てくれですぅ!」

ジュン「どうした!?」

翠「鏡に、カードが貼り付いてやがるです!」

ジュン「ど、どうなってるんだ……!? ぐっ、剥がれない」
183RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 22:38:07.50 ID:xyWBPrtH
 nのフィールドの入り口の鏡面に、1枚のトランプのカードが
貼り付いていたです。ただ、これが鏡の表に貼り付いているわけ
ではなく、どうも『中』から貼り付けられているようですぅ……。


翠「! そうです、鏡の中に入れば読めるんじゃないですか?」

ジュン「おお! よっし、入ってみるか。」


[12:47]
[nのフィールド。]

翠「『スペードの7』だったです。」

ジュン「ここまで拾った3枚とも、全部ばらばらか。」

「……おーい! ジュンくん! 翠星石!」

翠「!? 蒼星石! 蒼星石もここに来てたですか!?」

蒼「お昼ご飯も食べたし、ここを通ってジュン君の所に行こうと
  したら、これが……」

ジュン「……お前も、トランプを……!?」
184RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 22:43:06.73 ID:xyWBPrtH
 息せき走ってきた蒼星石は、その手に1枚のカードを持ってた
のです。どうやら、裏面は翠星石たちが拾ったものと、同じ絵柄
のようですねぇ……。


翠「翠星石たちも、3枚拾ったですぅ。」

蒼「これで4枚か…… 水銀燈たちは?」

翠「今日はまだ会ってないですよ。」

蒼「そっか……」


ヒュンッ……

蒼「!? 鳥だ! カードを持ってる!!」

翠「追いかけるです!」
185RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 22:44:40.93 ID:xyWBPrtH
ジュン「鳥!? 鳥なんかもいるのかよ……」

翠「扉が出てきたです! アレは……」

ジュン「扉……『75025』……!」


 ということは、あの扉の向こうは『第75025世界』ですか。
翠星石は行ったことがないですけど…… 突入してみるですぅ。


[12:50]
[第75025世界]

蒼「うわっ!? これは……鳥の群れ!?」

翠「こんなところにどうやって突入しろっていうですか……!?
  わぷっ、奴ら羽を落とし過ぎですぅ。」

ジュン「…… あの羽……拾っとこう」
186RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 22:51:22.74 ID:xyWBPrtH
 第75025世界の扉を開けると、そこでは二、三十羽位の鳥
が、だいたい大きな円になってぐるぐる飛び回っていたのですぅ。


鷹『サァ レース モ 終盤 ダァ!』

ダチョウ『キェー!! クァー!!』
カラス『アァー!! アホァー!!』

鷹『ガンバレ!! ガンバレ!!』

ジュン「レース!?」

蒼「……にしては、色んなところを出鱈目に飛んでいる気が……。
  色んな鳥もいるし、一体なんなんだろう……?」


 鳥が喋り、よくわからないレースをしているなんて、どんだけ
カオスな状況なんですか…… まあ、何が起こってもおかしくは
ないんですけど……。
187RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 23:07:32.49 ID:xyWBPrtH
鳩『タカ! 賞品確保!!』

鷹『デカシタ!!』

蒼「あのカード……賞品だって!?」

翠「ぬぬぬっ、レースなんざ関係ねぇですぅ! スィドリーム、
  鳩の持ってるカードを取るです!」

スィドリーム{スゥッ……!}ピカッ!

蒼「レンピカ! 僕らも行こう!」

レンピカ{ピカピカ……!!}

ジュン「ちょっ、オイ待てっ、僕は……!?」
188RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 23:14:14.78 ID:xyWBPrtH
[12:52]


 まさかこんなところで大捕り物とは、思いもしなかったですぅ。
鳩は鳩で賞品になってるカードを持ったまま飛んでやがるですし、
他の鳥を避けつつ鳩を追うのは大変です…… 一体いつまで――


鷹『ハイストォォォーーップ!! 優勝ハ オマエダ!!』

蒼「はい!? ぼ、僕が!?」

鷹『ミゴトナ飛ビップリダッタゾー! 賞品ヲ 受ケ取レ!』

蒼「え、あ、ありがとう……。」


 なんだかよくわからないですが、カードが手に入ったですぅ。
でかしたです、蒼星石。……でかしたですかね?
189RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 23:21:33.64 ID:xyWBPrtH
蒼「よし、とにかく、カードを手に入れた。……これは」

翠「鳥たちにはこれをくれてやるです。」

ジュン「!? クッキー?」

翠「自信作ができたんで、あとで食べようと思って取っておいた
  やつなんですぅ。こんな所で使うとは思わなかったですけど。」

鶯{ホケキョ! ホケキョ!}
鳶{キェー!! キェー!!}


 さて、鳥に『エサ』をやっていると、鳥の群れがいた辺りに、
小さな台があったのです。


ジュン「台が現れたぞ!? 鳥の群れのかげに、隠れていたのか。」

蒼「……四角の枠が書いてあるね。」

ジュン「枠が、5個か。そこに、カードを置けってことか。」
190RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 23:25:05.08 ID:xyWBPrtH
翠「そうです、蒼星石の持ってるカードって……?」

蒼「そっか、急いでたから、まだ見せてなかったね。これだよ。」


 蒼星石が持っていたのは、1枚が『クラブの5』。もう1枚、
いま手に入れたカードは――


ジュン「……なんだ、コレは……!?」


 なんにも描かれてない、真っ白なカードだったのです。予備用
でもなさそうですけど……


蒼「元々持っていたほうは普通のカードだったんだけど、さっき
  貰ったもう1枚がいまいちよく分からない。何のために……」
191RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 23:29:33.27 ID:xyWBPrtH
ジュン「ただのカードじゃなさそうだな。」

翠「よし、ここはいっちょ炙ってみるです。」

蒼「あ、あぶるって…… ライターなんて持ってないよ?」

ジュン「じゃあ、透かしてみるか……?」

翠「ちょこっとだけ探偵気分を味わいたかったんですけどねぇ。
  しゃーないですね、それじゃいっちょ透かして……」


 強い光がなかったんで、スィドリームたちに光ってもらって、
真っ白なカードを透かしてみたです。すると……
192RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 23:32:00.64 ID:xyWBPrtH
蒼「おおっ、これは!」

ジュン「へー……」

翠「なるほど、ですぅ……」


 カードの左上と右下に、数字の『0』の文字が浮かび上がって
きやがったです! やるじゃねーですか、チビ人間!


翠「なんにも描かれてないということは、これすなわち『ゼロ』
  ということですか。」

蒼「しかし、これをどこに置けば……」

ジュン「いったん引き上げて調べてみるか? ついでにケータイ
    を取りに行きたい。どうも『カギ』が多いから、写真に
    撮っとこうと思ってな。」

蒼「そうだね、ここには、長居できそうにないだろうし。」

蒼「それに、ちょうどよかった。……携帯電話を取りに行った後、
  ジュンくんについてきてほしい場所があるんだ。」
193RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 23:36:05.45 ID:xyWBPrtH
ジュン「え?」

翠「おおっ、そうですよ。翠星石の下僕が、今まさにここにいる
  じゃあないですか。」

ジュン「下僕ってなあ、真紅かい……」

蒼「じゃあ、戻ろうか。僕もマスターを呼んでくるよ。」


 nのフィールドからジュンの家へ戻ろうとしたとき、さっきの
鳥の群れの中にいたカラスがついてきていたです。


カラス{…… ……オマエ ドッカデ…… マアイイヤ}

翠「な、なんですか、エサならあげたじゃ……」

カラス{5枚ノカード 持ッテキタノハ アイツ}ニヤリ

翠「あの鳩ですか?」

カラス{アア…… 次ハ勝ツ}
バサバサ……

翠「…… ありがとです。」


 最後までこの世界のことはよくわからないままでしたが、あの
カードをジュンの部屋に置いてった『犯人』が誰だったかだけは
分かったですぅ。
194RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 23:41:44.30 ID:xyWBPrtH
[13:49]
[世界樹の霧の中。]


 ジュンの携帯電話を取りに戻り、その後元治のおじじにも来て
もらって、本日2度目の世界樹探索ですぅ! 


ジュン「うわっ、先が見えないぞ。」

元治「これは霧……か?」

蒼「今朝よりも霧がさらに濃くなってる……」

翠「飛べば問題ないですぅ!」

ジュン「どっちへ行けば……!?」

蒼「こっちだ! ついてきて!」

ジュン「よ、よーし!」

翠「おじじ、こっちです!」

元治「うむ!」
195RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/06(火) 23:48:13.08 ID:xyWBPrtH
 やっぱり、契約者がいると百人力ですねぇ。本当にありがたい
です。さて、霧がますます濃くなってきたです……


蒼「レンピカ、スィドリーム! 今よりもっと強く光って、この
  霧の先を照らしてくれ!」

レンピカ{ピカッ!}

スィドリーム{スゥッ……!}

蒼「もうすぐあの扉です! さあ、入りますよ!」

ジュン「おお!」

元治「ぬうっ、あの扉じゃな!」

翠「手を放すんじゃねえですよぉ!」
196RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/07(水) 00:01:52.52 ID:LEKHEZF/
[13:02]
[夢の扉の中。]


 扉の中は、今朝以上に暗く、寂しい雰囲気になっていたです。
ジュンたちの姿がなんとか見えるってくらい暗いですぅ……。


ジュン「!? こ、これがお前らが見たっていう……船、か?」

元治「まるで幽霊船…… 枯れた茨に覆い尽くされておる。」

翠「一葉のおじじの時みたいに、夢を見てるヤツが、何かに縛ら
  れているということでしょうけど」

ジュン「……おい、あれって……」

翠「そうです、アレが翠星石たちが見た鞄なんですぅ。」

元治「蒼星石の鞄と、よく似ておるな……」

ジュン「というかほとんど同じじゃないか? 写真撮っとこう。」 
197RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/07(水) 00:16:32.16 ID:LEKHEZF/
翠「…… やばいです、来るですよ!」

蒼「! マスター、ジュンくん、下がって!」

元治「ん?」

ジュン「え?」
ドゴゴ……ゴオオオ……


 やはり来たですね、枯れた茨のビッグウェーブ……


ドゴゴオッ……ドバアッ!
元治「むむッ!?」

ジュン「おわっなんだこれッ!! 大丈夫か!? これも全部、
    茨か……!?」

翠「今朝よりも量が増してるです!」

蒼「どうやら鞄に近づけば、茨の波が瞬時に襲ってくるみたいだ。
  そして……」

蒼「よーく、耳を澄まして……。」
198RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/07(水) 00:26:41.33 ID:LEKHEZF/
『……ウウゥゥゥ……アアア…… ……』

ジュン「…… ……」

『…… ウウゥゥウウゥウ…… イイィィィ……』

元治「…… ……! 何の声じゃ……? ワシにも聴こえるぞい。」

『…… ウウゥウウ……』

ジュン「なんだ……」

翠「け、今朝よりも声が大きくなってるです!」

蒼「この声を聴くのは3回目だけど、だんだん大きくなってる!」


 茨の波が押し寄せるとともに、聴こえてくるヘンテコな声……
この2つはリンクしているみたいですね。ということは……!
199RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/07(水) 00:33:03.68 ID:LEKHEZF/
翠「……どうやら翠星石は、とんでもないことに気づいちまった
  みたいです。」

蒼「なにか、分かったのかい!?」

翠「こいつ…… たぶん茨は茨でも…… アレと同じなんですよ。
  これだけ、芽吹いてきたのなら……」

元治「……! もしや……あの時の!」

翠「そうです、これも一葉おじじの時と全く同じなんです……。
  あれは心の叫び声ですよね、さっき聞こえたヘンな声は……。」

蒼「そう、昨日も…… 叫ぶような、あの声の後に―― は!」

蒼「それじゃあもしかして、この茨が」

翠「――いや、それだけじゃなく船と波、それ自体が、あの声の
  主の『心の樹』のなれの果てなんですよ。」


 一葉おじじも、嘆き悲しんだとき、声を上げてそれをあらわに
していたです。そして、その時茨がゾゾゾッと一気に生えてきて
いたです。
200RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/07(水) 00:41:38.75 ID:LEKHEZF/
元治「だとすれば、どれだけ大きな……?!」

ジュン「ん……!? ちょっと待って、あの茨、動いてる……。
    船の形が、変わってきてないか!?」

蒼「ほ、本当だ…… 完全に塵になって消えていく茨もある……
  かなりの速さで変形してきている。」

ジュン「よし、連写モードだ!」

翠「トランスフォームですか。様子を見る時間は……」

蒼「……すぐ後ろに扉があるよ。僕たちは、気付かない間に扉の
  前まで移動していたんだ。」

元治「危なくなったら、そこから逃げるんじゃ。」

翠「! 鞄が……!!」

蒼「翠星石っ、危ない!」
201RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/07(水) 00:44:01.35 ID:LEKHEZF/
 茨が伸びたり縮んだり、消えたりしながら、船の形をうようよ
と変えていくです。あの鞄を、その中に取り込んだまま……。


翠「あの形…… 鳥かごですぅ!」

ジュン「鞄は、無事みたいだな。そうか、あの鞄が鳥かごの中に
    入っているんだ。」

元治「かごならば、扉が付いているはずじゃ。そこを……」

蒼「……ないんです……」

ジュン「え?」

蒼「あのかご、ひらく所が見当たらない……。」

翠「なるほど、この心の樹の主が作り出したかごだから……ふむ、
  かなり絶望してるとみたです。」
202RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/07(水) 00:48:22.92 ID:LEKHEZF/
元治「そんな……」

ジュン「なら、アレしかないな……」

翠「そうですね……心の樹の根本まで見に行って、心のしがらみ
  を取り除くことができれば……」


 この樹の根本……、かなり下の方にあるですね。無意識の海の
ように、潜っていくこともできるでしょうけど、もっと早く底に
たどりつけんですかね…… ……そうです!


翠「このあたりですかね。」

蒼「そうだね。船に気を取られて気づかなかったけど、ずっと下
  の方まで、茨が続いているな……」

翠「スィドリームッ!!」

ジュン「如雨露を真下に!」
203RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/07(水) 00:56:35.58 ID:LEKHEZF/
ズオドドドド……ッ!!
元治「!? 大きな樹がせり上がってきたぞ!!」

翠「よし来た、この中に入るです!」

ジュン「え!?」

蒼「なるほど、これを使って下へ!」

元治「おお、翠星石、やりおるな!」

翠「耐水性はまかせとけです! みんな乗り込んだですか!」
204RozenMaiden Fortsetzang 49 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/07(水) 00:59:56.10 ID:LEKHEZF/
ジュン「おう!」

元治「いいぞ!」

蒼「ああ!」

翠「じゃあ、下へまいりますですぅ!!」


 しかし、思ったよりも近くから、樹が生えてきたですね……。
とにかく、根元からどでかいしがらみを解きほぐしてやるです!
さあ蒼星石、夢の庭師の腕の見せ所ですぅ!


                     【第50話につづく】
205TEG24 ◆TEGjuIQ24E :2014/05/07(水) 01:07:43.26 ID:LEKHEZF/
 ……ハイ、というわけで第49話「翠星石と荊棘船(けいきょくせん)」は以上で終了です。
49レスと長くなりましたが読んでくださった皆様、まことにありがとうございます。
次回記念すべき第50話は、庭師コンビが謎に迫ります。


 >>155でも書きましたが、重ねて、投稿がかなり遅くなってしまい
まことにすみませんでした。それでは、また次回。
206名無しさん@お腹いっぱい。:2014/05/07(水) 01:08:34.41 ID:7PqweMYe
久々の乙
207名無しさん@お腹いっぱい。:2014/06/15(日) 10:08:37.86 ID:Y2eCfYOZ
おつ
208名無しさん@お腹いっぱい。:2014/06/18(水) 21:36:46.67 ID:ceF8mH6A
209名無しさん@お腹いっぱい。:2014/07/29(火) 05:47:25.83 ID:BwZyXErN
っしゃあ!乙ッ!!
210名無しさん@お腹いっぱい。:2014/07/29(火) 05:47:52.21 ID:BwZyXErN
sage忘れすまん
211名無しさん@お腹いっぱい。:2014/08/15(金) 19:59:55.90 ID:eno2awsh
続きは?
212名無しさん@お腹いっぱい。:2014/08/26(火) 00:46:54.81 ID:QK1XqLwU
ほうお。
213名無しさん@お腹いっぱい。:2014/09/10(水) 23:14:42.12 ID:5SjfrBKb
214名無しさん@お腹いっぱい。:2014/09/13(土) 23:33:46.19 ID:7tjea82j
へ〜え……
215TEG24 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 20:11:16.46 ID:+/BvEJMD
 大変長らくお待たせしました。
RozenMaiden Fortsetzung 第50話を投下しますよ。
読んでくださっている方々、いつもありがとうございます。

※今回から、投下が1日では終わらないかもしれません。
あらかじめご了承ください。

※第48話、第49話のタイトルが「RozenMaiden Fortsetzang」になってしまっていますが、
正しくは「RozenMaiden Fortsetzung」です。ここに訂正してお詫びいたします。
216RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 20:21:12.37 ID:+/BvEJMD
【蒼星石と世界樹】

[2005/05/08 13:07]
[世界樹の根本]

ガクンッ
蒼「!」

蒼「着いた……みたいだね。」

ジュン「よし、開けてくれ。」

翠「がってんですぅ。一体、どんなところに降り付いたですかね。」

元治「ふむ……」


 5月8日、13時07分。僕と翠星石、ジュン君とマスターの
4人は、翠星石の操る樹をリフト代わりに使い、世界樹の根本に
たどり着いた。無意識の海のさらに下。どういう場所なんだろう。


蒼「ここも、深い霧が立ち込めて…… みんな、いるかい?」

翠「こりゃあ、樹の上の方以上ですねぇ。周りが、全然見えない
  ですぅ。ジュンたちの姿すら、かすんで見えるですぅ。」

元治「この手を放すでないぞ! しっかり、捕まっておくれ!」
217RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 20:26:38.07 ID:+/BvEJMD
 またもや、あたりは深い霧に包まれていた。世界樹の幹の上で
見た、真っ白な霧よりももっと深い。マスターと手を取り合い、
なんとかはぐれないようにする。不思議と、恐怖心は感じない。

 初めて目にする、世界樹の根本だった。目の前にそびえたつ、
まっすぐ伸びた大きな世界樹の影を見て、真実に迫る勇気の方が
勝っていたのかもしれない。それは、翠星石も同じだっただろう。


翠「こ、こりゃあ…… もしかして、ですか……?」

ジュン「心の樹、って大きさじゃあ、ないよなぁ。」

蒼「僕も初めて見たよ……」

元治「これが、世界樹…… 今わしらが乗っていた枝のリフトが、
   この樹から伸び出ておる。」


 翠星石が、世界樹に駆け寄る。さっそく、何か見つけたようだ。
218RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 20:28:53.78 ID:+/BvEJMD
翠「蒼星石ッ、これを見るですぅ! この樹に巻き付いている、
  ぶってえ枯れた茨……、アレの茨じゃねえですか!?」

蒼「ああ…… 間違いなさそうだね。上に伸びて行っている……、
  これがぐんぐんと伸びて、あの船を形作ったり、波になって
  襲ってきたりしたものだろう。」


 枯れた荊に触れる。朽ちた枝葉から、感じ取ることができた。
この樹の主の心の状態、イメージだ。荊を断ち切ってくれ、と。
僕と翠星石は、静かにうなずいた。


元治「なるほど…… もしや、この茨こそが……」

ジュン「僕も……多分、同じことを思っている……」

ジュン「翠星石、この樹に、お前の如雨露で水をあげられないか?」

翠「世界樹には頼ってきたですけど、世界樹自体に、水を与える
  ってのは今までにないことですぅ。」
219RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 20:34:04.14 ID:+/BvEJMD
 今まで、多くの心の樹に水を与え、茨を斬ってきた。世界樹は、
何を示すんだろう……。そう思った時だった。僕らの人工精霊、
レンピカとスィドリームが、勢いよく飛び出した。


スィドリーム{スゥゥ……!!}
レンピカ{ピカッ……!! ピカッ……!!}

ジュン「おお、お前らも……」

元治「いつになく強く光っておるな。」

翠「どうしたです、スィドリーム。」

蒼「レンピカ?」


 レンピカたちが、こんなに強く光るのは、滅多にないことだ。
僕らがレンピカ達に問いかけると、すぐさま意思を伝えてくれた。
この樹を辿るイメージが、僕らの周りに映し出される。
220RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 20:39:28.04 ID:+/BvEJMD
 すると、ほどなく一人の男性の後ろ姿がイメージの中に現れた。
だんだん、姿が鮮明になっていく。


翠「……周りの景色も見えてきたです。何か作ってるみたいです。」


 男性は、自分のそばに何かを置いた。人形だ。人形を、作って
いるのか。……人形……!?


ジュン「!!」


 男性の傍に、翠星石の姿を認めた。その右に真紅、金糸雀の傘
も見える。僕の鋏も立てかけてあった。


元治「…… ふむ……」
221RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 20:45:14.25 ID:+/BvEJMD
 机の上に、桃色の大きなリボンが置いてある。男性は、だれか
小さな子どもの髪を梳かしているようだった。……間違いない。
この男性の、この樹の主の正体は――


ジュン「ま、まさか……」

翠「あの荊の船も、世界樹も……お父様の樹だったんですねぇ。」
 
蒼「翠星石」

翠「蒼星石」

蒼「――やってみよう。」

翠「がってんですぅ!」


 翠星石の持つ如雨露に水が宿り、静かに世界樹を潤し始めた。
翠色と蒼い光が、淡く霧の中を照らす。
222RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 20:47:50.88 ID:+/BvEJMD
 水をあげ始めて、1分くらい経ったころ。どこからともなく、
ジュン君たちと船上で聴いた『あの声』が響いた。


『ウウ…… アア……!!』

ジュン「あの声だ…… 上で聞いたのと同じ声だ。」

元治「蒼星石、聴こえておるか!?」

蒼「はい……」

『ウウウ……』

ジュン「これは、声の主が近づいてきてるってことか?」

蒼「枯れた茨に水を与えたことで、声が大きくなったのかも……。」


 上で聴いたときよりは、幾分はっきりと聞こえるようになった。
これが、お父様の声……?
223RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 21:07:08.95 ID:+/BvEJMD
槐『師匠……!! どうして……!!』

槐『こんなことを……!!』


ジュン「槐さん……!?」

翠「槐の声も聞こえてきたですね……」

蒼「…… ……」


 ゆっくり響く声とともに、槐さんの、悲痛な嘆きも聞こえた。
槐さんはお父様の弟子だったと聞く。本当にそうだったのだろう。

 ふと周りを見渡すと、あれだけ濃かった霧が晴れていっている
のが分かった。


ジュン「おおっ、霧が晴れていくぞ!」

元治「視界が良くなってきたのう。これも翠星石の、命の水の力
   なのか?」

翠「おじじ、ここからですよ! 蒼星石、柵になっている枝葉を
  断つのですぅ!」

蒼「ああ!」
224RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 21:09:50.47 ID:+/BvEJMD
 僕は庭師の鋏を取り出し、世界樹に絡みつく柵、枯れた枝葉を
断ち切っていく。一振りに、気を込める。力が、みなぎってくる。


蒼「はああ!!」ズバンッ

蒼「やああっ!!」ズバシャッ!!


翠「おおお…… すげえです蒼星石、どんどんシガラミを……」

ジュン「霧が、もうほとんど無くなった!」

元治「力は、足りておるか!? わしの力を!」

蒼「ありがとうございます! マスター!!」

蒼「これが、最後の一枝……ッ!」
225RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 21:17:49.45 ID:+/BvEJMD
 マスターたちの力添えもあって、無事に柵になっていた枝葉を
切り取ることができた。そのころには、霧も完全に晴れていた。
この場所は……


ジュン「ここは、森の中だったのか……」

蒼「綺麗な森だね。こんなところがあったなんて。」

元治「つくづく不思議なものじゃな。」

翠「……なんだか、懐かしい感じがするです。」

蒼「そうだね、こうやって歩いていると、遠い昔を思い出すよ。」

ジュン「ふふっ……」

元治「ほっほっほ……」
226RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 21:20:13.30 ID:+/BvEJMD
[13:22]
[林檎の並木道。]

 少しの懐かしさを感じながら、道を歩いていく。林檎の樹が、
道端に立ち並ぶ。いつか、僕と翠星石で、林檎の樹から実を取り、
ふたりで林檎狩りをしたっけ。


元治「ほお、林檎の木かい。」

ジュン「……!」

元治「ジュン君? どうしたのかね。」

ジュン「なぜか、僕にもアイツらが言う『懐かしい』って気持ち
    が、分かるんです。」

元治「ふむ……」
227RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 21:24:47.62 ID:+/BvEJMD
[13:27]
[『緑のじゅうたん』のような場所。]

 5分ほど歩き続けた頃、林檎の並木が途切れた。森が開けて、
広い野原に出てきた。まるで、病院の裏にある『緑のじゅうたん』
にいるみたいだ。

 その野原の奥の方に、大きな塔が聳え立っていた。尖った塔の
屋根の辺りに、大きな時計が付いていた。


翠「なんですか、あの塔は……」

蒼「時計が付いている…… 時計塔か!」

ジュン「……あの時計…… 動いてないぞ……?」

元治「本当じゃな。12時過ぎを指したまま、止まっておる。」

翠「むむむ、こいつはなんだかヘンですねぇ。ちょっと、行って
  確かめてみるですよ!」
228RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 21:26:40.36 ID:+/BvEJMD
[13:29]
[謎の時計塔。]

翠「おーい、この扉開いてるみたいですよー!」

蒼「えっ!? 鍵、とかは……」

翠「もう開いてるですぅ!」

ジュン「おお、本当だ。扉が開いたままだ。」


 時計塔の入り口へ、翠星石が走り出した時だった。


翠「わあっ!」

蒼「翠星石!?」


 翠星石が、突然何かにぶつかったみたいだ。僕らは急いで駆け
寄る。入り口に、何があったんだろう。そこには……
229RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 22:23:22.12 ID:+/BvEJMD
翠「いてて……な、なんですか……」

ジュン「だ、大丈夫か!?」

水銀燈「ちゃんと前を見て走らないと、危ないわよぉ。」

蒼「水銀燈!?」


 なんと、水銀燈が立っていた。水銀燈も、ここに来ていたのか。
けど、どうやってこんなところに……?


元治「おお、水銀燈かい! ここで会うとは……」

銀「この子たちに、連れてきてもらったのよぉ。」

ユメミネズミ「ヤア! シバラク!」

蒼「きみたちは……」

ピエロ「…… ……」

ジュン「! お前は、あの時の……」
230RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 22:33:50.44 ID:+/BvEJMD
 水銀燈の腕には、タキシードを着たネズミと、ピエロの人形が
抱きかかえられていた。ネズミのほうは、名前をユメミネズミと
言うらしい。

 ピエロの人形は、かつては水銀燈のフィールドにいたようで、
ジュン君と真紅も、3年前の春に見たことがあったみたいだ。


ユメミネズミ「サテ、自分ハ他ニ用事ガアルノデ、ココラデ失礼
       スル。サア、行クゾ」

ピエロ「…… ……」タタタ

銀「……ま、あのピエロさんとは、また逢うことになりそうね。
  ところで…… 何か、あったの?」
231RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 22:35:57.27 ID:+/BvEJMD
 林檎の並木道のほうに走り去るユメミネズミたちを見届けた後、
水銀燈に、無意識の海に再び乗り込んでからの経緯を話した。


銀「なんですって…… あの船が……お父様の、心の樹……?」

元治「……おそらくは、な。」

ジュン「……それに、これは確実じゃあないんだけど……」

ジュン「お前が蒼星石と聞いたっていう、叫び声。」

銀「ええ……」

ジュン「僕らも、聴いたんだよ。ここにいる全員、聴いた。」

銀「なにか、手掛かりは……!?」
232RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 22:39:38.83 ID:+/BvEJMD
翠「くんくん譲りのプロファイリングからすると、声色は男です。
  あの荊の船と、心の樹の根本の場所……、そこから察するに、
  お父様に近い人物の声だと推理するです。それに――」

銀「それに……?」

翠「――あの船を形作っていた茨は、みるみる変形して……、鳥の籠
  の形になったです、その中に鞄が閉じ込められたのです。」

銀「はぁ……?」

ジュン「……今翠星石が言ってるのは、全部本当なんだ。これを
    見てくれ。」


 ジュン君が、茨の船の上で、携帯電話で撮った写真を水銀燈に
見せる。船が籠に変化していく様子を見て、水銀燈は驚きを隠せ
はしなかった。
233RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 22:44:05.86 ID:+/BvEJMD
銀「……なんてこと……」

蒼「……さっき、心の樹の根本、つまり世界樹の根本でも、あの
  叫び声と同じが聞こえて……、槐さんの声も聞こえたんだ。」

蒼「世界樹を伝って、あの船があった所へ……鳥籠の所へ行こう。」

元治「百聞は一見にしかずじゃ。蒼星石たち庭師の力で、なにか
   変化が生まれておるかもしれん。」

銀「ええ…… 行って、見てみましょう。」


 5人となった僕ら一行は、再び林檎の木の道を通り、世界樹の
根元から翠星石の樹のリフトで一気に上昇し、今は鳥籠となった
茨の船に戻る。
234RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 22:48:28.70 ID:+/BvEJMD
[13:36]
[無意識の海辺。]


ガクンッ

 樹のリフトで昇り切って、全員で無意識の海辺に降り立った。
枯れた茨の鳥籠を見てみよう。


ジュン「籠が開いてる! ……行くぞっ」

蒼「ああ! ……けど、鞄をどうやって取り出せば……」

翠「見るです! 鞄に近づくにつれて、茨が解きほぐされていく
  ですぅ!」

元治「おお…… なんということじゃ。」

銀「ああ……」


 そう、僕らが鳥籠に近づくにつれて、どんどん茨が綻びていく。
まるで、この時を待っていたかのように。荊棘船のときは、鞄に
近づけば、僕たちを拒んでいたのに、今はその逆だ。
235RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 22:52:59.83 ID:+/BvEJMD
蒼「これで鞄を取り出せるね! 翠星石、水銀燈!」

銀「さあ、一気に乗り込みましょう! せえ、のおっ!!」

スウッ……
翠「よしっ、鞄を手に入れたです!」


 なんとか、目的の物を手に入れることができた。鞄を担ぎ上げ、
翠星石は大いに喜んだ。マスターとジュン君、水銀燈も、安堵の
表情を浮かべている。


銀「けどこの鞄…… 鍵がかかってるわねぇ……」

ジュン「やっぱり、鍵がいるのか。nのフィールドにあるのは、
    間違いなさそうだけど……」


 鍵のかかった開け口の部分は、錆もなくきれいなままだった。
鞄自体も傷みはなく、鞄だけ時が止まっているようだった。
236RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 23:29:59.31 ID:+/BvEJMD
元治「ふむ…… 蒼星石たちの話からして、かなり重要な場所に
   あると思うがのう。」

蒼「はい……。 お父様に関わるような、そんな場所をあたって
  みましょうか。」

翠「心の樹よりも近くなら、もう後はお父様に近づきに行くしか
  ないですねぇ。考えられるとすれば……」

銀「時を登って……遡ってみるぅ?」

蒼「時がnのフィールドを支配していると考えるなら、一番遠く、
  また一番近い場所だろう。真紅も、そこにお父様はいるって
  言ってたね。それを、掴めるかもしれない。」


 ただ、nのフィールドは、僕らでさえ全容を掴めていないほど
広大な精神の空間だ。それでも、これまで色々な場面で、僕らが
行くべき場所は示されてきた。時計の針が、時を示すように。


ジュン「真紅たちに、このかばんを持って行って見せてみよう。」

元治「姉妹たちの中に、何か知っている者がいるじゃろうて。」

銀「そうねぇ。……私も知らないことを知っているということに、
  何ら不思議はないわ。」


 水銀燈がふとつぶやくと、上空を見上げてこう言った。
237RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 23:34:02.07 ID:+/BvEJMD
銀「私がかつて真紅と『別れた』後…… この場所で目覚めたの。
  それから、私の戦いが始まったのよねぇ……」

銀「……あの戦いに決着がつくまで、文字通り本当にばらばらで
  生きてきた。ふと、めぐり合うこともあったけどねぇ……。」


 水銀燈には、自身が第1ドール――僕らの長姉でありながら、
永い間、置き去りにされてきた過去があった。四女である僕も、
初めて水銀燈を見たのは、僕が生まれたずっと後だった。

 むかし、真紅と僕が、僕のフィールドで戦っていた時だ。僕は
水銀燈に斬りかかった。もう争わない今でも、覚えている。いや、
忘れてはいけない気がしている。
238RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 23:38:28.32 ID:+/BvEJMD
銀「人間でいう、心もそうだった。……けど、今ならいっしょに
  真実に近づいていけるわ。ねえ、蒼星石。」

蒼「そうだね。僕ら双子ですら、一度は袂を分ってしまった事が
  あった。けど、もう離れないさ。結論に迫るときもね。」

翠「2年前に、この時代で決着をつけたですけど、今度は真実を
  見つけるです。」

ジュン「ああ。……お前らと、その瞬間を見られるんだな。」

元治「いったい、どのような人物なのじゃろうか。伝説となった
   人形師とやらは……」


 僕たちは、あの鞄を真紅たちに見せるため、水銀燈が来た道を
引き返して元の世界に戻ることにした。
239RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 23:42:13.41 ID:+/BvEJMD
[13:50]
[謎の時計塔。]

 再び世界樹の根本へ降り、時計塔へ戻る。この中の階段を昇り
切った先に、『0』と書かれた元の世界への扉がある。

 長い階段を昇る途中、右側の壁に、扉があることに気付いた。 


銀「あら、隠し扉……? こんなところにあったかしら。」

蒼「階段の途中にあるなんて…… ずいぶんと傷だらけの扉だ。」

翠「入ってみるです。」


 水銀燈も、来る途中はこの扉の存在に気付かなかったらしい。
僕たちは引き寄せられるように、扉を開けて部屋の中に入った。
240RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 23:43:53.30 ID:+/BvEJMD
[13:55]
[隠し扉の中。]


 部屋の中は暗くて、誰かが立ち入った形跡もないようだった。
ここは何の部屋だろうか、レンピカ、照らしてくれるかい。


銀「暗いわね…… メイメイ、辺りを照らしてくれるかしら?」

メイメイ{スゥッ……}
レンピカ{ピカッ ピカッ……}

蒼「……机がある。これはフラスコ?」

ジュン「フラスコと、瓶か…… 何か、実験をしていたのかな。」

元治「永い間使われていないようにも思えるが、そうも思えない
   気がしてならんのう。埃も積もっておらん……」

翠「さっきの森みたいに、懐かしい感じがするです。」

蒼「ジュン君の言うとおり、ここで何かの実験をして――」

ジュン「わあっ」
ガタッ
241RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 23:46:27.30 ID:+/BvEJMD
 突然、ジュン君が声を上げた。僕と水銀燈が慌てて駆け寄る。
ジュン君は棚の近くで何かに足をぶつけて、動けないみたいだ。


銀「ジュン? どうしたの。」

ジュン「っ……小指がッ…… いってえ、何だコレ……」

翠「ジュン! よけるですッ!」

ジュン「え」


 ジュン君が翠星石の叫びに、顔を上げた瞬間だった。鈍い音と
ともに、何かがジュン君の頭にぶつかった。

ガンッ

 ジュン君は、5秒ほど起き上がれなかったみたいで……


蒼「ジュン君!?」

ジュン「いってぇ〜…… なんだよ……」

翠「前にもこんな展開があったですねぇ。」


 その上、同じようなことが前にもあったらしい。
242RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/15(月) 23:49:29.04 ID:+/BvEJMD
銀「何をやってるのかしら…… 大丈夫?」

ジュン「いてて…… 足にも何かぶつかったような……」

元治「ずいぶん分厚い本じゃな。これは痛かろう。」


 マスターの手には、厚さ5センチほどの本があった。これが、
ジュン君の頭に落ちたんだね。本当に痛そうだったけど、幸い、
けがはなさそうだった。けど、この本、どこかで見たような……


ジュン「あっ この本……どっかで見たな。」

翠「見たことあるです…… たしか、真紅がこれを持ってるです。」

銀「真紅が……!?」

ジュン「ああ、これ、真紅が持ってるのと同じ奴だ。錬金術の本
    とか言ってたな。こんな所まで、前と同じか。」
243RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/16(火) 20:21:27.93 ID:fjBJyDHB
 そう、今落ちてきた本は、真紅がよく考え事をしているときに
読んでいる本と同じものだったんだ。マスターに抱えてもらって
棚の上を見ると、同じような本が何冊も並んでいる。

 部屋の隅には、何かを形作るための道具や、石の欠片が落ちて
いた。棚には、鍵が8本ぶら下がっている。


翠「……それにしても、女の子の絵が多すぎるですねぇ……」

銀「本当ねぇ。そこら中に、たくさん落ちてるわぁ。いったい、
  誰の絵なのかしら。」

元治「ふむ…… ずいぶんと幼い子供のようじゃが……」


 それに、少女の絵が何枚もある。それは床に散らばっていたり、
壁に貼ってあったりしていた。よく見ると、全部同じ少女のもの
みたいだ。
244RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/16(火) 20:49:34.54 ID:fjBJyDHB
 とりあえず、鞄と本を持って、元の世界に戻ろう。


蒼「……」

翠「どうしたですか蒼星石、早く戻るですよ。」

蒼「ああ。……ジュン君、この部屋への隠し扉と、部屋に落ちて
  いる絵を何枚か、写真に収めてくれないかい。」

ジュン「おお。……ちっと暗いかな、精霊たち、照らしてくれ。」


パシャッ!
245RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/16(火) 20:58:02.90 ID:fjBJyDHB
[14:12]
[桜田家 リビング。]


 『第0世界』への扉から、マスターの家の鏡に出た僕たちは、
お昼ご飯の買い物に出かけるマスターとおばあさんを見送って、
ジュン君の家に向かった。


ジュン「戻ったぞー。」

銀「ごきげんよぉ。真紅、ひとり?」

真紅「あら、お帰りなさい。雛苺なら、のりとお昼寝しているわ。」

蒼「真紅、重要な手がかりを、持って帰ったよ。」

翠「まずは、この本ですぅ。」

紅「……その本は……」

翠「真紅が持ってるのと同じ奴ですよね?」

紅「ええ…… ジュンの部屋に置いてあるのと、同じものだわ。」
246RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/16(火) 21:18:17.33 ID:fjBJyDHB
ジュン「それと、これなんだけどさ。」

紅「鞄は…… 一体どこで手に入れたの……?」

銀「無意識の海の上、と言ったらいいかしらね。ジュン、写真を。」

ジュン「おう。」


 ジュン君は真紅に、自分の携帯電話に収めた写真を見せていく。
真紅は、しばらく絶句していたけど……


紅「なんですって…… こんな所に……」

ジュン「その茨の船が鳥かごに変わって、かごが開いてる時に、
    僕たちが鞄を手に入れた、って感じだな。」
247RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/16(火) 21:35:50.15 ID:fjBJyDHB
蒼「僕たちの鞄と似ているんだけど、誰の物かもわからないし、
  真紅なら何か知らないかと思ってね。」

紅「……いいえ、私もこの鞄は知らないわ…… 文様のない鞄は、
  ……文様の、ない……?」

翠「どうしたですか!?」


 突然、真紅の表情が変わった。僕たち4人も、顔を見合わせる。


紅「……行ってみるのだわ。彼なら、何か知っているはず……」

銀「彼……?」
248RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/16(火) 21:39:45.19 ID:fjBJyDHB
ジュン「彼ってのは……」

紅「槐よ。」


 槐さん…… おそらくは、僕たちの次によくお父様を知る人だ。
世界樹の近くで聴こえた槐さんの声からして、お父様の身に何が
あったのか……近くで、目の当たりにしたのだろう。


紅「それじゃあ、槐の店に行くのだわ。みんな、先に行っていて
  頂戴。私は、雛苺たちを連れて行くわ。」

銀「ええ。頼んだわぁ。」

翠「ジュン、鞄は持ったですか!?」

ジュン「ああ!」
249RozenMaiden Fortsetzung 50 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/16(火) 21:52:14.95 ID:fjBJyDHB
 槐の店に全員が集まり、nのフィールドへ行く…… 3年前の
あの夏に、水たまりの向こうの世界で、人形劇を見せられた時を
思い出すな……


蒼「よし、行こう!」


 今度も、また何かが待っていようと…… 乗り越えなくては。
<結論>も、お父様もまた、僕たちを待っているから。マスター
たちが、僕たちを支えてくれているから……。


                     【第51話に続く】
250TEG24 ◆TEGjuIQ24E :2014/09/16(火) 22:55:59.37 ID:fjBJyDHB
というわけで第50話「蒼星石と世界樹」は以上です。
読んでくれた方ありがとうございました。

 父親の謎に迫る第4部「時告」は、あと4話で終了です。

※投稿し終わった後に気付いたのですが、49話の最後(13:02)から
50話の最後(14:12)まで、時計が1時間前にずれてしまっていますので、
ここに訂正するとともに、各自脳内補完にてお願いいたします。

それでは、また次回。
251名無しさん@お腹いっぱい。:2014/09/17(水) 03:18:09.51 ID:gB0TPeMl
>>250
乙!

オレもなにか書いてみたくなった
252名無しさん@お腹いっぱい。:2014/09/19(金) 21:59:29.72 ID:h9j/mC7y
おっつおっつ
253名無しさん@お腹いっぱい。:2014/09/21(日) 08:56:42.10 ID:CEy/jJb+
乙っした!!!!!!!!!
254名無しさん@お腹いっぱい。:2014/12/08(月) 23:23:15.16 ID:gw1FFwOt
255名無しさん@お腹いっぱい。:2014/12/09(火) 23:35:32.53 ID:CmvuxIDR
AA登場頻度調査(ローゼン)
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12368/1354360265/

ローゼン勢調子良いな、ほとんどランクインしてるじゃねーか
256名無しさん@そうだ選挙に行こう:2014/12/13(土) 18:04:26.43 ID:3/HgPSh7
257名無しさん@お腹いっぱい。:2014/12/14(日) 02:02:50.30 ID:4oiDyjEB
258名無しさん@お腹いっぱい。:2014/12/16(火) 01:55:18.86 ID:TKjqgJ4o
259名無しさん@お腹いっぱい。:2014/12/16(火) 02:00:23.99 ID:TKjqgJ4o
260名無しさん@お腹いっぱい。:2014/12/16(火) 02:53:12.35 ID:TKjqgJ4o
261名無しさん@お腹いっぱい。:2014/12/23(火) 11:15:46.05 ID:p01afFdT
262名無しさん@お腹いっぱい。:2014/12/23(火) 12:25:21.62 ID:p01afFdT
263名無しさん@お腹いっぱい。:2014/12/23(火) 12:30:20.01 ID:p01afFdT
264名無しさん@お腹いっぱい。:2014/12/26(金) 13:42:43.61 ID:QTk1bM7p
情けねえ
手前のだらしなさが心底怨めしいわ

今日という日を忘れないぞ
教訓として活かそう
265名無しさん@お腹いっぱい。:2014/12/27(土) 09:20:06.98 ID:748r6LlO
266名無しさん@お腹いっぱい。:2014/12/28(日) 07:22:54.63 ID:/wu/6oKi
届けッ!
267名無しさん@お腹いっぱい。:2015/01/01(木) 20:05:18.52 ID:NWLWfxMf
あけおメイデン
ことよローゼン
268名無しさん@お腹いっぱい。:2015/01/03(土) 02:11:03.71 ID:4rLV0lw3
去年はいくつかローゼンSS立ってたな
ここも頑張ってくれ
269名無しさん@お腹いっぱい。:2015/01/03(土) 05:23:31.59 ID:9/mWFmyD
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!
270名無しさん@お腹いっぱい。:2015/01/06(火) 23:07:19.79 ID:dA0Ws6HR
お?
271名無しさん@お腹いっぱい。:2015/01/11(日) 22:19:42.80 ID:DfXWtKMJ
ファッ!?
272名無しさん@お腹いっぱい。:2015/01/13(火) 20:06:23.79 ID:bej63G4t
http://ero-video.net/?all=1
http://moviadu18.blog.fc2.com/blog-category-44.html
http://aramame.doorblog.jp/archives/42709468.html
http://doujinsekai.com/comic/sailormoon/
http://pokesen.com/archives/42263689.html

準備完了なのだわ。
          _
        ,ィ/´  ',
      、_/ /  ̄`ヽ}
.      》fト、|,从_从))!
       ||ヽ|| ゚ -゚ノ| ||
        || ({ミノ介ミl) ||
     ≦ ノ,ノハヘ、 ≧
     テ ` -tッァ-' テ
273名無しさん@お腹いっぱい。:2015/01/14(水) 21:11:46.75 ID:OF3OCBq5
へ〜え………
274名無しさん@お腹いっぱい。:2015/01/15(木) 10:07:23.95 ID:XPaipeNz
http://d-upp.com/%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%82%bc%e3%83%b3%e3%83%a1%e3%82%a4%e3%83%87%e3%83%b3/

ローゼンメイデンの良い同人誌がまとめられてますよ〜
275名無しさん@お腹いっぱい。:2015/01/18(日) 22:54:37.41 ID:KMbam8QS
276名無しさん@お腹いっぱい。:2015/01/28(水) 23:20:54.08 ID:G/zeLgIa
277名無しさん@お腹いっぱい。:2015/01/30(金) 10:09:51.18 ID:gDqPpWqp
http://livedoor.blogimg.jp/niccorin/imgs/3/a/3aaea625.jpg

矢吹神の描いた薔薇乙女なのだわ。
278名無しさん@お腹いっぱい。:2015/02/04(水) 01:00:09.56 ID:W4MoMmrA
279名無しさん@お腹いっぱい。:2015/02/10(火) 13:29:03.49 ID:2OHl1kPI
280名無しさん@お腹いっぱい。:2015/02/18(水) 03:32:38.45 ID:UcP3I8fU
281名無しさん@お腹いっぱい。:2015/02/18(水) 03:50:31.92 ID:UcP3I8fU
282名無しさん@お腹いっぱい。:2015/02/18(水) 04:10:29.64 ID:UcP3I8fU
283名無しさん@お腹いっぱい。:2015/02/18(水) 04:42:07.08 ID:UcP3I8fU
284名無しさん@お腹いっぱい。:2015/02/18(水) 22:57:41.72 ID:UcP3I8fU
285名無しさん@お腹いっぱい。:2015/02/18(水) 23:05:59.81 ID:UcP3I8fU
286名無しさん@お腹いっぱい。:2015/02/21(土) 02:22:18.73 ID:W5DLiRCN
287名無しさん@お腹いっぱい。:2015/02/26(木) 20:14:44.90 ID:7LgA2WPz
288名無しさん@お腹いっぱい。:2015/02/26(木) 20:15:17.41 ID:7LgA2WPz
289名無しさん@お腹いっぱい。:2015/02/26(木) 20:16:11.27 ID:7LgA2WPz
290名無しさん@お腹いっぱい。:2015/02/26(木) 23:27:53.32 ID:7LgA2WPz
291名無しさん@お腹いっぱい。:2015/02/28(土) 23:42:15.64 ID:8yqY0yNK
ヒッヒ
292名無しさん@お腹いっぱい。:2015/03/01(日) 05:13:38.02 ID:PStaXaNx
293名無しさん@お腹いっぱい。:2015/03/01(日) 10:15:44.85 ID:PStaXaNx
294名無しさん@お腹いっぱい。:2015/03/01(日) 10:25:27.64 ID:PStaXaNx
295名無しさん@お腹いっぱい。:2015/03/01(日) 14:31:54.55 ID:PStaXaNx
296名無しさん@お腹いっぱい。:2015/03/01(日) 15:28:15.85 ID:PStaXaNx
はぁ………
297名無しさん@お腹いっぱい。:2015/03/02(月) 08:12:10.54 ID:RrLHD9i5
298名無しさん@お腹いっぱい。:2015/03/04(水) 18:32:04.90 ID:yUPQG+6f
299名無しさん@お腹いっぱい。:2015/03/05(木) 05:18:08.71 ID:zlN6f9zH
300名無しさん@お腹いっぱい。:2015/03/05(木) 05:19:07.97 ID:zlN6f9zH
由、と。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2015/03/08(日) 12:00:26.50 ID:25kroj8C
302名無しさん@お腹いっぱい。
フゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ〜………