【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 8【一般】
中には人形がゐた。
見るからに西洋人の顔立ちだ。
私は異人を見た事はないが明らかに日本人ではない。第一髪の毛が銀色をしてゐる。
手を伸ばす。
抱き上げる。
良く出来てゐる。
曇り一つない肌
漆黒のドレス
頭にはカチウシアを着けてゐる。鞄をもう一度みる。
中には大層豪華に装飾された螺があつた。
手にとるがずつしり重い。
何の螺だらうか。
昔見たことがある。薇式の人形用だらう。となるとこの人形は動くのか。
螺穴を探すが見つからない。
大抵は背中に在る筈…
あつた。
小さな孔があつた。
がちあ…
刺さつた。
きり…きり…きり…
薇の音が響く。
時計の薇を巻く様に。
時計の薇を巻けば時計は息を吹き替へす。
人形も又息を吹き替へした。
顔が此方を向く。良く出来てゐる。
「やあ お人形さん」
私は人形に喋り掛けた。
別段私は人形愛者では無い。
人形は此方を向いた。
カラクリだらう。
陶器の様な肌。
さらりとした髪の毛。
美の集大成だ。
「貴方が私を目覚めさせたのかしら」
体に雷が落ちた。
人形が話したのだ。
きつと カラクリだ
きつと 蓄音機だ
きつと…
私は様々な思惑を巡らせる。
しかし其の蓄音機は間髪入れずに私に電流を流す。
「汚い部屋ね。」
確かに話してゐる。
「お前、名は。」
名前を尋ねて来た。
私は名前を答へた。
全く…人形相手に…
「不本意だけど仕方ないわね。
早くこの薔薇の指輪に誓いなさい」
さう云ふとそれ(彼女と云ふべきか)は手をさしのべて来た。
白い細い指には大層な装飾が施された指輪が填められてゐた。
無意識に体が動く。
こうして私の非日常的な受難の日々が幕を開けた。
注意:ウルトラファイトを知ってないと全然理解出来ないネタです
ローゼンファイト!! 「早すぎた葬送曲」
翠星石と蒼星石の二人が物陰に隠れて何かやっております。
「翠星石の言う通り、挟み撃ちで一網打尽にするですよ。」
「うん。分かったよ。」
そこで現れましたはローゼンメイデン第五ドール真紅。二人が待ち構えている事も
知らず、のん気に歩いております。
「それ! 今です!」
真紅へ一気に前後から襲い掛かる翠星石と蒼星石。袋叩きであります。
さしもの真紅も一溜まりも無く倒れる。
「やった。真紅を倒したですよ。」
「それじゃあ葬式をしよう。」
真紅の葬式を始めた翠星石と蒼星石。両手を合わせ、念仏を唱え始める蒼星石ですが、
そこで翠星石が突き飛ばした。
「翠星石はクリスチャンですから十字を切るです。」
「ダメだよ。念仏を唱えて。」
「蒼星石こそ十字を切るです。」
二人は双子とは言え、それぞれ宗教観が違う様であります。双方一向に引くつもりはありません。
そして、今度は二人の殴り合いが始まってしまいました。
「姉妹で争うなんて醜いわ。」
そこで真紅が立ち上がり、二人を一網打尽。真紅の勝利であります。
562 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 05:42:47 ID:PI16leAd
書き手のレベルが高すぎるうぅぅ…
これじゃ俺のSSなんて投下できない……
さあはやく勇気を出して投稿するんだ
「ああん?餡掛炒飯?」
ラヂヲから人の声がする。
「最近だらしねエな。最近だらしねエつて…」
之が今流行りの「歹笞」とか云ふ番組らしい。
友人が薦めて来たのでつひつひ聞いて仕舞つたのが運の尽き。私は虜になつて仕舞つた。
物書きの日常は暇だ。仕方ないのでかうして時間を潰してゐる。
そして奇妙な同居人も。
「一寸つと…そろそろ『くんくん』だわ。代わつて頂戴」
確り溶け込んでゐる。
あの邂逅と云ふべき出会いの後、彼女から話を聞いた。
『私達は《ロヲザミステイカ》と云ふ物…詰まり解り易く云ひ換へると《命》の様な物だけど、其を姉妹で取り合ふ《アリスゲヱム》を闘ひ抜くの。だから私達は《ミヰデイアム》詰まり《媒介》を必要とするの』
彼女はさふ云つた。
今私の指には指輪が有る。
契約の証ださうだ。
「水銀燈、頼むからラヂヲをいじらないで呉れ。断末魔の叫び声が聞こへる。」
水銀燈はラヂヲをいじる手を休めない。
「もう直ぐ『くんくん』が始まるわ。早く調整して」
ハア 又今日も水銀燈に酷使される。
今日は暇なので庭いじりをしやうと思つた。久しく手入れをしてゐない。
日差しは強い、真夏日だ。
麦藁帽子を被り軍手をはめる。
「おい、水銀燈。草むしりを手伝つて呉れ。」
縁側に座つてゐる水銀燈に話しかけた。
「いやあよ。汚れるし不潔だわぁ」
予想通りの答が返つて来た。
仕方ないので一人ですることにした。
「良くもまア此処まで伸びるものだ。」 最早悪態をつくを通り越して感嘆して仕舞ふ。
水銀燈は矢張り空を見てゐる。
まだ心が通つてゐないのか。
『魍魎の匣』に出てくる「匣の中の娘」を人形バージョンにしてるんだよね これ
手が草臭くなつて仕舞つた。
余り好ましくない臭ひだ。
汗もかいたし風呂にでも入らう。しかし風呂を沸かすのは大層手間だ。歪みねえから銭湯にするか。
箪笥から下着とタヲルを取り出して石鹸も用意した。
あ
水銀燈は銭湯には入られないな。留守番してもらふか。
私は水銀燈に留守番する様に伝えた後、銭湯に向かつた。
誰も居ない。
彼も居ない。
私だけ。
孤独には馴れてゐる積りだつたが何故か寂しい。
彼との出会いが私を変へた様だ。
空を見る。
夕日は沈んで仕舞ふ。
夜の帳が降りやうとしてゐる。
庭に出てみる。
彼の手入れは完璧とは云へないがそれなりに整つてゐる。
ああ目眩がする。
良い湯だつた。
思ひの外空いてゐた。
家に早く帰らう。
時計は7時を指してゐた。
何か焦る気持ちがする。
自然と速足になる。
雲行きが怪しくなつて来た。
一雨来さうだ。
案の定降つて来た。
急な雨だ。スコヲルとか云ふ南方の雨のやうだ。
雷も響く。
早く帰らねば…
家に到着した。戸を空ける。
「水銀燈。水銀燈。」
ずぶ濡れのまま水銀燈の名を呼び乍ら駆け上がつた。
床には水溜まりが出来た。
何処だ
何処なんだ
目には開ききつた縁側の障子が写つた。
まさか…
居た。
水銀燈は庭に倒れてゐた。
泥まみれ雨まみれになつてゐる。動かない。
はつとした。
顔が青ざめる。
水銀燈を抱き抱えた。
だらりと四肢は反応が無い。
家に入れた。
タヲルにくるみ汚れを拭つてやる。矢張動かない。
どうしたことなのか。
私は仰向けになり電灯を見た。
大の字になつた。
何故だらう。
自然と目から涙が溢れた。
あの水銀燈との生活は幻想だつたのか。唯の夢だつたのか。
このシリーズ嫌いじゃないがどうコメントすりゃいいんだw
結構堅いみたいだね。仕方ないね。
歪みねえコメントまってます。
これは縦書きで読みたいね・・・
体が重い。
服は泥まみれだ。
何かにくるまれてゐるやうだ。
隣には彼が寝てゐた。
何故私は彼と寝てゐるのだらう。彼の顔の辺りの畳が濡れてゐた。
泣いてゐたの
鉛のやうに重たい手を上げて
彼の顔に手を添へた。
彼は眠つたままだ。
自然と私の唇が動いた。
そして微かな声が口を出た。
「ありがたう…」
すつかり辺りは明るくなつた。
私は未だ寝てゐた。
昨日の騒動で参つて仕舞つた。
嗚呼さふだ 水銀燈の泥を落としてやらないと
昨日から動かない水銀燈。
そもそも人形が動く訳が無い。
幻想だつたのだ。
さふ自分に云ひ聞かせ水銀燈のスカアトに手をかけた。
バチン
閃光が走つた。
「全く。油断の隙も有つた物ぢやないわ。下劣ね。」
水銀燈が立つてゐた。
まるで嘘のやうに立つてゐる水銀燈。何故だ。
「一寸くらつとしただけだわ。大した事ないわ。」
何が大した事ないだ。肝を冷やしたぞ。
「水銀燈、僕が下劣なのは解つたから君の姿を何とかしろ。」
凡そ人形には見へない彼女がゐた。
「解つてるわ。だから何か着替へを持つて来なさい。」
まるで私は召し使ひのやうだ。
云はれるまま私は箪笥に向かつた。
578 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/13(水) 02:56:15 ID:FjSMRNVl
>>264 今更だが乙。
水銀灯をプリキュアのルミナス声で脳内再生して読んでると、涙が止まらなくなった…
男も幸せだったんだろうな、きっと。
他の職人もいい作品を書いてくれている。
これからも頑張ってくれ。
ポツプコヲンと大戦略が有れば
他には何も要らぬ。
-久保竣公の中の人-
探しては見るが水銀燈に丁度良い大きさの服が無い。
手ぶらで帰つても鉄拳制裁間違い無しであらう。
一番下の箪笥を開けると懐かしい浴衣が在つた。母が作つて呉れた浴衣だ。未だ子供の時代の物だから水銀燈には適当だらい。
幸ひに虫食いは無かつた。私は浴衣を取り出して居間に向かつた。
「丁度良いのが在つたぞ。着替えなよ。」
水銀燈を手招きする。
彼女は不満げな顔をして此方に向かつて来た。
開口一番
「なによこれ」
と御言葉を頂戴した。
「まあいいから着てみなよ」
別に変ぢや無いと思ふ。
彼女は浴衣を両手で持ち上げるとツカツカと浴場の方に向かつた。
畳には矢張泥が付いてゐた。
とりもあへず雑巾を取り出して拭いた。汚いのは許せない性格が出る。
浴場から水銀燈が浴衣を着て手にはドレヱスを。
「これ洗つて頂戴。」
ドンと手渡される。後で洗つて置こう。
「如何かしら。」
私は似合つてゐると返事した。
心持ち彼女が紅くなつたやうな気がした。
「べ…別に貴方の考えなんかだふでも良いンだからね」
世に云ふツンデレつて奴だ。
珠には仕事をする。
今は小説の仕事が一つ有る。
細々と生計を建ててゐる訳だ。
サテ…だうしやうか。
ドン
確か題名も決めてゐなかつたなァ
ドン
珠には推理小説も良いな
ドン
筋肉質の外人が下着を取り合ふなんてだうだらう。
「うるさい」
台所からの騒音に対して怒鳴る。気が短い性格では無いが。
犯人は目星が付いてゐる。
台所に向かふと、矢張彼女がゐた。ラムネと格闘してゐた。
「もしかして飲み方を知らないのか。」
彼女は恥ずかしさうに目をラムネに逸らした。
可愛い仕草も見せるものだ。
彼女の手からラムネを取り上げると私はビヰ玉を押した。
はぜる音がした。
彼女は電撃を喰らつたやうに飛び上がつた。
彼女は此方を見やうとしない。
負けず嫌いなのだらう。
「ほれ。こうするのだ。」
彼女の手にラムネを渡した。
ラムネの香りが鼻を刺す。
私は仕事に戻る。
足が敷居を跨いだ時
彼女が呟いた。
「ありがたう」
499 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 14:06:59 ID:5uHzk3Re
ローゼンメイデン ハリウッドで実写映画化
ワーナーブラザースは15日、『ローゼンメイデン』の実写映画化を正式に発表した。
同作品はPEACH-PIT原作の人気漫画及びアニメ作品で、一部のファンからは熱狂的な支持を得ている。
大ヒットとなった「マトリックス」シリーズを手掛けたウォシャフスキー兄弟が、今回は何とも意表をつく作品に手を出した。
日本のアニメの大ファンで知られる彼らだが、まさかこの作品を手掛けるとは意外に感じるファンも多いのではないだろうか。
『実は2年前からこの作品にハマってしまって、自分の手で実写映画にしてみたいと思っていたんだ』
堰を切ったように、アンディ・ウォシャフスキーは興奮気味に熱く語り出した
『オタク・アニメのカテゴリに分類されて、一般受けしなさそうだという意見もたくさんあったよ。でも僕はそうは思わないんだ。
魂を持つドール達が、愛する父に会うために悲しい運命を辿っていく、これはもう誇るべきストーリーなんだ。
実写にすればこの作品が本来持っている素晴らしさが存分に表現できると確信しているんだ。
だからこそ今回、周囲の反対を押し切り踏み切ったのさ。期待は絶対に裏切らない。
哀しくて儚い、でも美しいアリスゲーム(作中でドール達が戦う行為)をお見せできると思うよ。』
物語の“主役”ともいえる“ドール”は子役にCG加工を加え人形と人間の中間のような雰囲気を出す手法を取るという。
製作の中心となるのは日本製アニメの海外配給を多数手がけてきた米国のADV Filmsで、
製作費は6億ドル、公開は再来年夏になる見通し。
【ジュンが】ローゼンメイデン実写映画化 part6【ジョセフに】
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/comicnews/1182689647/l50
yippee ki yay , mother f*cker
もしもタイでローゼンメイデンが実写化されたら…
タイでローゼンメイデンが実写化に世界は震撼した。そしてそのタイトルは…
『ローゼン7姉妹 対 人形軍団』
余りにも衝撃的過ぎるタイトルに世界はやはり震撼した。
OPが始まると、第一ドールの水銀燈から第七ドールの雪華綺晶までのローゼンメイデンのドールズが
横に揃って並んでそれぞれのポーズを取っているシーンがある。しかし、良く見ると真ん中に
何やら見覚えの無い珍妙なキャラクターがいる。実はそれが本作の主人公だったのである!
主人公はタイに住む御仏を敬う信心深いタイ人の少女。今日も朝早くから最寄の寺の仏像に祈りを捧げようと
寺へ向かっていた時、その寺に泥棒が入り、仏像が盗まれる。泥棒は仏像を海外のアンティークマニアに
売って儲けようという魂胆だった。仏像を取り戻すべく奮戦する主人公だが、あえなく銃で脳天を撃ち抜かれて
殺されてしまった。
御仏を愛し、敬い、御仏に殉じた主人公に感激したローゼンとラプラスは、主人公をドールとして再生させる。
タイ神話に登場する女神を思わせるドールとして再生した主人公は、再び仏像泥棒と対峙する。
「仏様を大切にしない奴は死ぬべきよ!」
そう言って、ドールとして再生した際に身に付けた超能力を駆使して仏像泥棒を惨殺。
取り返した仏像を寺へ返してめでたしめでたし…とは行かなかった。
今度は恐怖の呪い人形軍団がタイを襲った。人間の恨みつらみが凝り固まって誕生した
純粋な悪意の塊である呪い人形軍団はタイの人々を無差別に呪い殺して行く。
タイ存亡の危機に主人公が御仏の力で立ち向かうが、多勢に無勢。忽ち窮地に陥る。
そこで突然主人公の救援に現れるのがローゼンメイデンのドールズ。
本編においてアリスゲームのライバル同士なのが嘘の様な連係プレーで主人公の窮地を救い、
それぞれの能力を生かして主人公と共に呪い人形軍団を各個撃破して行く。
最後に残った呪い人形軍団の総大将を主人公とドールズが総攻撃するシーンは、後に
「ローゼンメイデン集団リンチ」
と語り継がれる程の伝説的神シーンとなる。
呪い人形軍団を全滅させた後、主人公が御仏の力を使って呪い人形軍団に呪い殺された人々を
蘇らせ、タイに平和が戻り、ローゼンメイデンのドールズも帰って行く。
最後は主人公が元の人間に戻って、今までの様に仏様に祈りを捧げる所でEND
…と、この衝撃的な内容に世界はやはり震撼した。
映画を見た人の声
「ローゼンメイデンと仏様の絶妙なコラボレーションに感激した。もう二度とやらないで欲しい。」
日本国 桜田ジュン
「雛苺の活躍が見れただけでも嬉しかった。続編の類は絶対に作らないで欲しい。」
日本国 柏葉巴
「タイ映画と聞いて心配だったけど、中々良かった。もう二度と見たくない。」
日本国 桜田のり
「タイの人が演じる雛苺も中々素敵だった。続編は期待したく無い。」
フランス オディール=フォッセー
「新しい水銀燈像を開拓してくれたのに感激した。もう絶対にやらないで。」
日本国 柿崎めぐ
「日本とタイの文化の違いを思い知らされた。もう二度とローゼンメイデンの実写化はさせない。」
日本国 PEACHI−PIT
等々、映画の内容を絶賛する声が多数を占めた。
586 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/25(月) 12:42:58 ID:4ILlfTTx
大決戦!超薔薇乙女8姉妹
銀→ゾフィ 燃える(銀はアニメで、ゾフィはバードン戦で)
金→初代 ドジ(初代は逃がしたベムラーを追ってハヤタと衝突した)
翠→セブン 人格が変わる(レオに出演した際、人格がかなり変わってて批判があったらしい)
蒼→帰マン 地味
紅→エース 上から目線
雛→タロウ 未熟設定、末っ子イメージ
雪→レオ 下のと同じ感じ
薔薇→アストラ 上のと同じ感じ
ローゼンとウルトラマンは似ている!
「ヤンジヤンを買いそびれた。」 -久保竣公の中の人-
快晴だ。
夏も終はりに近づいた。
過ごし易い日々だ。
たまには外出するのも必要だろう。仕事も一段落ついてゐるからキヤンプなんかも良いかも知れない。よし決定だ。
彼女は相変はらず空を眺めてゐた。
「水銀燈、キヤンプに行かないか。」
彼女は無反応のまま別にどつちでも構わないと云つた。
もしかしたら彼女の態度が変はる契機に成るかもしれない。
直ぐ準備にかからう。
押し入れから道具やらを引き出す。飯ごう 水道 寝袋 云々
案外揃つてゐるものである。
彼女は腰を屈め不思議そうに見てゐる。初めて見たのだらう。
案外大荷物にはならなかつた。彼是全て詰め込む性格は遺伝しなかつたやうだ。必要最低限と云うやつだ。
明日の朝が待ち遠ほしい。
目が覚めた。
外は晴れてゐた。
私は神に感謝しながら寝床をでた。時間は6時過ぎ。早起きの方だ。
箪笥からシヤツとズボンを出して着替へる。あ、顔を洗わなければ。
洗面所に向かう。
しかし先客がゐた。
「人形が鏡を見てはいけないかしら」
怒られて仕舞つた。
荷物の確認は済んだ。
さてと、後は水銀燈をだうするかだ。流石にそのままでは奇妙どころか下手をすれば警官とデヱトだ。
「私は鞄の中に入つて行くわ」
水銀燈がいきなり提案してきた。さふいへば彼女と私の心は繋がつてゐるとか云つてゐたな。
「済まないが頼む」
結構な荷物だ。
背中に荷物
右手には鞄
左手には袋
運動不足気味の体にこたへる。
目的地は近所の山。だいたい4キロくらいだらうか。
詰まり1時間は歩くと云ふ事だ。
まだまだ日差しが強い。汗が滲みでる。
着いた。
予想より矢張時間がかかつたみたいだ。
鞄から水銀燈が出てきた。
開口一番
「全く…もう少し丁寧に運べないのかしら。お前は雑なのよ。」
お叱りのお言葉を頂戴した。
「ああ解つた解つた。」
生返事で返す。
水銀燈は ふん と云ふとまたあつちを向いて仕舞つた。扱い辛いものだ。珠には可愛い仕草でも見せれば良いのに。
ああさうだ。
アレを最近てにいれたのだつた。私が鞄を探ると出てきた。
水銀燈の大好きなくんくん人形。仕事の関係で出版社から貰つた物だ。
「ほら水銀燈、くんくんだぞ」
くんくんを水銀燈の頬に押し付けた。彼女の頬が紅ゐに染まつた。矢張目を合わせまいと頑張り乍ら手からくんくん人形を奪い取つた。まるで小動物。予想通りの反応。
591 :
所謂普通のニート:2008/09/01(月) 06:01:26 ID:h+0fDUEZ
パソいじってたら昔書いたやつを見つけたので投下します。
話的にはトロイメントのその後です。サブタイトルまで付けて痛い限りですが、よろしければ御覧下さい。
カチッ…ボーンッボーンッボーンッ……
「ジュン君、今日は遅いわね」
「幾らなんでも遅すぎるです!」
「そうね、いつも夕飯までに帰ってきていたのに…」
時計の針はたった今、午後の八時を過ぎた。だがジュンはまだ帰っていなかった。
彼が対人恐怖症により登校拒否をして引き篭もっていたのはもう過去の事だ。今は休んだ分の遅れを取り戻す為、そしてより良く勉強をする為に町の図書館に通い詰めている。彼女たちもそれは理解しているつもりだ。しかし……
「これならまだ夜中にシコシコ勉強されている方がマシですぅ!」
「それは私も同感ね。本来私たちドールズとミーディアムは離れるべきではない存在よ。……ジュンにはもう一度その辺の事を再認識させる必要があるわね」
「そ〜です、その通りです真紅、帰ってきたら二人でチビ人間を調教するですぅ!!」
変わりやすく、そして揺れやすい乙女心はそう簡単に制御できるモノではない。しかもジュンに対して素直になれない真紅と翠星石に心の制御など不可能の注文だろう。
「さぁ早く帰って来るですチビ人間。お仕置きの時間です、ひっひっひっ…」
「待ちなさい翠星石。その前に邪魔者を排除する必要がありそうね」
エキサイトしつつある翠星石にそう言った真紅の表情が厳しいモノに変わった。そして睨む先にはのりがいる。
「えっ? わ、私??」
「のり、今すぐ自分の部屋に戻りなさい」
「で、でもぉ…」
「いいから急ぎなさい」
いつになく強い口調で真紅が声を出した。のりは慌ててドアを開き自室へと向かう。そしてのりが階段を上がる音が聞こえなくなると、真紅は再びさっきまでのりがいた方向を睨んだ。
「? どうしたです真紅?」
「それで隠れてるつもりなの? いい加減出て来なさい」
「いやはや鋭いですね。お二人の日常をもう少し見物したかったのですが…」
聞き覚えの声と共に、ニュース番組をしていたテレビの画面が真っ白に光る。
「Nのフィールド…それにこの声は…」
予想通りテレビの画面から姿を現したのはタキシードを着た兎、ラプラスの魔だった。
「暫く振りですね、お嬢様方」
「また現れやがったですか、この性悪兎!」
「あれだけの事をしておいて……よく私たちの前に顔を出せたわね!」
「これは酷い言われよう、あれはローゼン殿が待ち望むアリス誕生の為、致し方無い事です。……まぁ、手段は選びませんでしたがね」
笑いを抑え込むようにラプラスの魔は口元に手を当てた。しかし真紅たちにはその仕種、その言動の全てが一々癇に触る。
「スィドリーム!」
自分の人工精霊に呼びかけ、翠星石は如雨露の取っ手を握る。そして家の中にいる事も忘れてラプラスに向かって突撃した。
「お前さえ…お前さえ余計な事をしなければ、誰もあんな辛い戦いをせずに済んだのです! 蒼星石も…雛苺も…ローザミスティカを失う事無く、今も笑っていられたのです!!」
左右で色の違う瞳に涙を浮かべながら翠星石が庭師の如雨露を振るう。しかし、ラプラスはまるで攻撃が来る場所を知っているかのように、いとも簡単にそれを避けた。
「短気は損気、急いては事を仕損じると申しますよお嬢様方」
「余計なお世話よ。今度は何を企んでいるの」
「私に企みなど御座いませんよ。私はただ頼まれただけなのですから…」
「どう言う意味です!」
「私の言葉の意味を知りたければ後ろをご覧ください」
目を離した隙に逃げるのではと疑いながら二人は後ろを見た。
丁度その時、別の世界へ通じるNのフィールドが静かに開き、誰かが出てきた。
592 :
所謂普通のニート:2008/09/01(月) 06:12:54 ID:h+0fDUEZ
「ば、薔薇水晶!!」
「…違うわ翠星石、あれは薔薇水晶じゃない……貴女は誰なの?」
「うふふ、初めましてお姉様方」
「彼女の名は雪華綺晶(きらきしょう)、正真正銘本物の第七ドールです。その証拠に彼女からローザミスティカの波動を感じるでしょう?」
静かに目を閉じて、真紅は気配だけを感じてみる。
すると自分や翠星石と同じ波動を真の第七ドール雪華綺晶を名乗る者から感じとれる。
「本物…みたいね。目的はなんなの?」
「私の望みは自分の身体を持ち、アリスゲームに勝ってアリスになる事」
「身体を持つ?」
「実は彼女は自分の身体を持っていないのです。あの身体は貴方たちが以前出会った
薔薇水晶の成れの果てにローザミスティカを入れただけの仮初めの器でしてね」
「私はローザミスティカだけの存在のまま、今までNのフィールドを彷徨っていたの。だから自分の身体が欲しい。本物のローゼンメイデンの身体が! アリスの器が!!」
そう言って雪華綺晶は近くにいた翠星石に飛び掛った。
「こ、この身体は翠星石だけの物じゃないです。絶対に渡さんです!」
「その通りよ」
雪華綺晶に向けた真紅の左手から植物の蔓が伸び、雪華綺晶の動きを封じた。
「…これは?」
「苺わだち…思い出と一緒に雛苺が私の中に残してくれた絆と言う名の能力(ちから)よ。ホーリエ!」
右手を雪華綺晶に向けて、真紅は自分の人工精霊の名を叫ぶ。
そして呼び出されたホーリエは体当たりをするが、雪華綺晶は大したダメージを受けていなかった。
「…弱い」
「それなら翠星石のも喰らうです、スィドリーム!」
「…無駄!」
まだ自由の残っていた手を翳した雪華綺晶が、二人の人工精霊を弾き飛ばした。そして雪華綺晶は二人の気が逸れた隙に絡みついた蔓を引きちぎり身体の自由を取り戻した。
「…どうやら本気で戦う必要がありそうね。行くわよ翠星石!」
「合点承知です!」
真紅は右手に愛用のステッキを握り、左手から出した花びらが雪華綺晶を囲んだ。その隙に翠星石が庭師の如雨露を振るおうとした時、ラプラスが間に割り込んだ。
「また邪魔をする気なの?」
「本日は彼女の顔見せが目的でしてね。少々名残惜しいのですが…今夜の所はこれにて終幕といたします」
「随分勝手な言い分ね。それで私が納得するとでも思ってるの?」
「お前みたいな性悪兎は二度と悪さが出来ないようにここで消えてもらうです!」
「あなた方二人のマスターの居場所を知っていると言ってもですか?」
「何ですって?」
ラプラスが指を鳴らすと窓に公園と二人の人間が映し出された。どうやら以前雨が降ってきた時、翠星石が雨宿りしていた公園のようだ。
最初は誰かと思ったが、目に映るシルエットで二人の謎はすぐに解けた。
「…ジュンと巴?」
「ほほぅ…これは中々良い雰囲気ではないですか。彼も隅には置けませんね」
「あ、あの二人は学校のクラスメイトよ。一緒にいても不思議はないわ」
「分かりませんよ? 例外もありますが男女とは本来互いに惹かれ合う存在なのですから。それにしてもこれは赴き深い。こんな時間の逢引は、まるでロミオとジュリエットを思わせる」
「ち、ち、ち、チビ人間めぇぇぇ!!!」
映像を理解した瞬間、ついに溜まっていた翠星石の怒りが大爆発した。
勉強には辞書が必要だし人に慣れる必要もあるから、と言ってジュンは連日家を空けていた。だから彼の未来を考えた二人は引き止める事をしなかったのだ。
しかし、それを口実に家を出て勉強もせずに遊ぶなら話は別である。
「も、もう許さんです! 今日こそあの浮気者のチビ人間を血祭りにあげてやるです!!」
「落ち着きなさい翠星石。今はこっちの二人を…」
しかし振り向いた時には、既にラプラスと雪華綺晶の姿はなかった。
593 :
所謂普通のニート:2008/09/01(月) 06:21:56 ID:h+0fDUEZ
時は少し遡り、午後八時前―――
「柏葉、ミルクティーとポタージュ、どっちがいい?」
「ありがとう、じゃあポタージュ」
公園のブランコに座っている巴にポタージュを渡し、ジュンは隣のブランコに座った。
「悪いな、こんな時間までつき合わせて」
「ううん、気にしないで。私もこの前あった事を詳しく聞きたかったから」
「…聞いてて気分の良い話じゃないぞ」
「それでも教えて欲しいの、雛苺や他のローゼンメイデンの子たちがどうなったのか……雛苺のミーディアムだった私には知る権利があるはずよ」
ジュンは視線を月に向けたまま、自分が見た事をありのまま話した。第七ドールを語った偽者、薔薇水晶の事。その裏にいた槐と白崎の事。
そして雛苺と蒼星石の二人は元に戻らず、ただの人形のままになっている事。
「残った二人は…どうしてるの?」
「…二人共平気そうにしてたけどな。たまに真紅は泣きそうな顔してるし……翠星石なんて夜に鞄の中で声を殺して…結局僕はあいつらに何もしてやれないんだ」
「…悲しいね。私だったら多分…」
ふと、巴の言葉が途切れた。不審に思ってジュンが視線を戻すと、巴の頬を涙が伝っていた。
「お、お前まで泣く事ないだろ…」
「…ごめんね、桜田君も辛いのに…」
「べ、別に僕はなんとも……そ、それより頼んでた本、翻訳出来そうか?」
「まだもう少し掛かりそうなの。私には良く分からなかったけど何に使うの?」
「……それは…」
少しの間、ジュンは言おうか言うまいか悩んだ。しかし手を貸して貰っている以上、話しておいた方が良いと判断した。
「…前に真紅の腕が水銀燈に千切られた時の事は話したよな」
「うん、教えてもらった。確か桜田君が腕を直したって…」
「その時水銀燈が言ったんだ。在り得ないって。それで気が付いたんだ。ローゼンがどれだけ凄い人形を作っても、やっぱり人間なんだって…」
「それって…どう言う事?」
「ローゼンが人間である以上、絶対に越えられない壁じゃ無いんだ。あの時はただの偶然だったけど、この先努力すればあの時と同じ事が出来る筈だ。余計なお世話って言われるだろうけど…僕は雛苺や蒼星石を元に戻してやりたい…」
巴はいつになく強く決意を語るジュンに昔の面影を見た気がした。
「強いね、桜田君は…」
「…べ、別に強くなんてないよ。ただあいつらの泣き顔を見たくないだけなんだから…」
ジュンは少し顔を赤くして照れていた。彼は褒められる事にあまり慣れていなかったのだ。さらに…
「また今度、桜田君の家に遊びに行ってもいいかな」
「え? あぁ、最近柏葉と会うのずっと図書館だったから随分会って無いもんな」
(…そんな意味で言ったんじゃなかったんだけどね)
「雛苺の奴、喜ぶだろうな」
「そ、そうだね…」
そう、彼はやたらと鈍かった……
「きぃ〜ッ、ちびちびの元ミーディアムめ〜! 真紅、どうするです?」
「そうね、放っておくわ」
「そうです、放っておくで…ええぇ〜! 一体どうしたです真紅」
「ジュンが先を見ている以上、私たちはジュンの人生に介入すべきではないわ」
「し、しかしそれではジュンをあの女に取られてしまうですよ」
「私は家来としての本分さえ弁えればそれで良いわ。帰るわよ、翠星石」
「帰るって…あっ、ちょっと待つです真紅」
公園の隅に見えるカーブミラーが眩しく輝いて、Nのフィールドへの扉が開いた。
(ジュン、私は貴方に会えてよかった。私はマスターに恵まれたわ)
静かに目を閉じて、真紅はうろ覚えのローゼンの面影に想いを馳せた。
おまけの次回予告 (次回予告の音楽を聞きながら脳内変換してください)
「本当に…成長したわねジュン。それでこそ私のミーディアムよ」
「ちょっと待つです。ジュンは翠星石のミーディアムです」
「後から来た貴女は黙ってなさい。こう言うのは早い者勝ちなのよ」
「きぃー、こうなったらジュンに決めてもらうです。さぁ、どっちを選ぶです」
「い、いきなりそんな話を振るなよ。急に言われたってこんな事決められるわけが…」
「やっぱりチビ人間は優柔不断です」
「成長したと思ったのは私の勘違いだったみたいね」
「お、お前らなぁ……」
「次回、ローゼンメイデン ラストワルツ…『決意』。薔薇乙女の誇りに掛けて…」
ラストワルツ第1話「日常」 糸冬
594 :
所謂普通のニート:2008/09/01(月) 06:27:28 ID:h+0fDUEZ
とりあえず第一話を投下です。
残りはまだ書きかけのまま放ったらかしなので、完成したらまた投下します。
読んだ人が不快に思わないのであればの話ですが……
予告でニヤついてる俺きめえwww乙
だからこのスレから離れられないんだって。良作の予感。
完成してから就職してくれ。頼む!
非日常の生活は新鮮である。
空気が違へば気分も違ふ。
真に快活である。
荷物を放り出し、服を緩めて草の布団に横たわつた。
春眠暁を覚へずと誰かが云つてゐたが
秋眠暁を覚へずと書き直すべきだらう。
まだお昼であるからシヱスタといかうではないか。
そして私は秋のそよ風に眠りを誘はれて夢の世界に足を踏み入れた。
私は今何をしてゐる?
私は今何をすべき?
自問の日々を送る。
真紅のこと
アリスゲヱムのこと
お父さまのこと
私はその為に今まで闘つて来たが今はだうだらう。
三文文士のミヰデヰアムと無駄な日々を過ごしてゐる。
このままではだめだ
そうなのだけど…
最近は彼と居るのが楽しくなつて仕舞つた。初めて満たされる感覚を味わつた。
そして彼は私の隣で寝てゐる。
何故か私までも眠たくなつた。
いつもは鞄でしか寝ないと思うのだが
今日は彼と一緒に寝てみたくなつた。
結構続いて仕舞ったですね…
SSスレッドが沢山有り過ぎて困惑気味です。
住人さん読者さんは居られるでしょうか。個人的には読者さんの感想励まし等々を頂けたら創作の励みになると思います。
全体だうコメントしろと云はれるのですか
602 :
384:2008/09/03(水) 02:22:18 ID:aHm4oMue
こんばんは。
数ヶ月ほど前に、書きたいSSの協力者がほしいということで書き込みした、
384です。
今書いてるSSは「アリスゲームが終わったら」というタイトルですが、
今回は前作のRozenMaidenLatztRegierenに加え、別スレで創作を書かれている
「水晶の星空」というタイトルのSSのお人に協力をもらって、
二人でSSを(メールでやりくりなどしながら)創作してます。
SSの完成はまだだいぶ先になっちゃいそうですが、どういう話になるかは
ちょっとまとまってきた感じなので、今回本編投下に先駆けてだいたいの
話の流れだけ紹介するプロモーション短編SSをつくってみました…!
よかったら読んでみてくださいね。
まあ、実を言うと完成そのものが疑わしいからせめて先にプロモだけでも…!
という気持ちで書いたのですが。
ところがスレの残り容量が7kbしかない……!これじゃ投下しきれん!
ということで、SS総合スレのほうを借りました。
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1164813753/l50 >223あたりからはじまってます。
603 :
384:2008/09/03(水) 02:40:43 ID:aHm4oMue
あっ。それから、>390さん、メール一通送りました。
604 :
所謂普通のニート:2008/09/03(水) 23:29:57 ID:Uu6eYUQM
>595様
私自身、読み返してニヤリとしてしまいました
>596様
就職の予定は無いのでご安心を(ダメニンゲンWWW
ただ完結まで書けずに終わる可能性があるので、その時は平にご容赦を
>597様
ありがとうございます。
自分はスレの立て方を知らないので助かりました。
第二話以降はそちらのスレに投下させていただきます。
>>600 住人であり、読者です。総合から来ました。
多分ROMが多いのではないかと。
終わりまで期待しておりますので頑張って下さい。
やっぱりここが一番かしら。
辺りはすつかり日が暮れた。
意外に気温が低くて目が覚めた。起き上がる気はせず空を眺めてゐる。夜の帳が降りやうとしてゐる空に夕星を求めたが見つけず仕舞ひだ。
矢張起き上がる事にした。
手が何かに触れた。
水銀燈だつた。
彼女は未だ寝てゐた。
嬉しいやら恥ずかしいやらで複雑な気持だ。
荷物の中からタヲルを取り出して水銀燈に被せてあげた。
風邪をひくぞと小声で囁き乍ら。
さて、飯でも作るか。