あの作品のキャラがルイズに召喚されました part83

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

あの作品のキャラがルイズに召喚されました part82
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1194859393/l50

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/


    _              ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
    l lf小从} l /   ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
   ヽ_/ィヘ_)〜′   ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
             ・議論や荒らしへの反応は、避難所でやりなさい!


    _
     〃  ^ヽ      ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
    J{  ハ从{_,      本スレへの投下で問題ないわ。
    ノルノー゚ノjし     ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
   /く{ {丈} }つ     本スレではなく避難所への投下をお願いね?
   l く/_jlム! |     ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   レ-ヘじフ〜l      ・スレタイと違う内容になったり、痛い展開になったりする場合も、避難所に投下した方が無難ね。
              ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。


   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。
    { {_jイ」/j」j〉      これ以上だと投下できないそうです。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
   ⊂j{不}lつ     ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   く7 {_}ハ>     ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
    ‘ーrtァー’      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 17:58:47 ID:LQwj2qpE
1乙!
3名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 17:59:08 ID:+qiYpvnO
新スレ乙
4名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 17:59:13 ID:HDy18I7j
1<< O2
5名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:09:00 ID:KD2TpqiU
乙ー
6名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:16:13 ID:Qky1eXCY
>>1
7名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:22:34 ID:Sze8nxCB
いちもつー
8わかりましたの人:2007/11/15(木) 18:24:50 ID:VA6x39RO
一乙
と言うことで投下します。

わかりました第二話 ボス「サイトーそいつをよこせーー」


突然のキスに、ボスは少し驚きました。
 ですが、次の瞬間そんなことはどうでも良くなりました。
 左手の甲が熱いのです
「あなた、何をしたの」
ボスの、一喝で周りの生徒は萎縮しました。
恐いです。何というか、怖いです。
「な、何って、使い魔のルーンが刻まれているだけよ。少しの間、我慢なさい」
その、声に使い魔の主は少し驚きましたが、それでも尊大に答えます。
 女性は、手袋を外しその左手を見ました。

「使い魔?ルーン?何の話だ」
痛みが治まったのか、自分の左手に刻まれたルーンを見ながら女性は聞きます。
使い魔の主である、ルイズは
{何処の田舎者のおばさんよ}
と、思いましたが口には出しませんでした。恐いからです
「あなた、そんなことも知らないの?」
そして、言葉を、やれ平民だからとか、あまりよろしくない言葉を続けました。
とりあえず、子供相手にあまり荒っぽい事をしたくないボスは、もう一度説明を頼もうかと、思いました。
9わかりましたの人:2007/11/15(木) 18:26:51 ID:VA6x39RO
ですが
「おや、珍しいルーンだね」
そう言って、近づいて来たソコロフ風の男が来たので、そちらに聞くことにしました。
「ルーン?」
「あなたの、左手に刻まれている文字ですよ」
そう言って、男はスケッチブックにルーンを書き写していました。

「あなたの方が話が分かりそうね。ここは何処なの?」
 ボスそう言いつつ、周りを見渡しました。
 昔話で出てくる魔法使いの格好をした少年少女達、そしてまるで見たことがない生き物。
子供に読み聞かせる昔話の挿絵の世界です。
ボスも指輪物語の名前くらい知っていましたし、その後腐る程作られた類似品もしっています。
「トリステイン魔法学院ですよ」
「魔法学院?聞いたことが無いわ。国名は?」
「トリステイン王国よ。あなた、そんなことも知らないって何処の生まれよ?」
今度は、ルイズが答えました。
「アメリカだ。アメリカ合衆国」
その言葉を聞いた生徒は、戸惑いました。
エルフかと誰かが言いましたが、耳が尖っていないと誰かが返しました。
中年の男は、ざわつく生徒を諫め
「残りは自習にします、皆さんは先に教室に戻っていて下さい。あとミス・ヴァリエールは少し残っていて下さい」
この男は教師なのか、ボスはそう思いました。
10名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:27:22 ID:y3hAKeIo
支援
11わかりましたの人:2007/11/15(木) 18:28:05 ID:VA6x39RO

ボスは教師の言葉を聞いた生徒達が、フライやレビテーションなどで飛んでいく姿を見ても、そんなに驚きませんでした。
魔法という言葉を聞いたのもありますし、彼女も体験しているからです。魂だけでですか。

空を飛んでいく生徒達は、何時もどおりの言葉をかけようとしましたが。辞めました。
禿頭はどうでも良いのです。ですが、彼女が召還した使い魔が睨んでいたのです。
恐い。何というか、独特の怖さ。ボスの顔にはそう言う物があります

ミス・ヴァリエールこと、ゼロのルイズは珍しく何も言われないのを疑問に思いましたが、そんなことより目の前の使い魔の事で頭が一杯でした。
 正直に言うと、彼女もボスが恐いのです。敵意は無いけれど、何故か恐い。そう言うしか有りませんでした。

「取り敢えず、色々と聞きたいのだが。そう、ミスター」
その使い魔が口を開きました。
「コンベールです」
コンべールは、正直どうしようか迷っていました。
ミス・ヴァリエールが召還した使い魔が何者か、この魔法学院は貴族御用達であり留学生も居ると言うことで、ある程度は他国にも知られています。
 それを知らないと言うことは、相当な田舎物かエルフか東の世界の住人か。
 まず、エルフとは思えませんでした。耳の形が違います。
 田舎者とも思えませんでした。着ている服装は、王都では見ませんし、こんな民俗衣装は無いでしょう。
となると、東の世界の住人なのか。
 それ以上は何とも言えません。
「ミスターコンベール、私は何故ここにいる」
 コンベールは思いました。
 もっと禿が進行しそうだと
12わかりましたの人:2007/11/15(木) 18:30:29 ID:VA6x39RO
わかりました第二話ボス「サイトーそいつをよこせーー」
はこれで終わりです。
四話の後半まで書けているので、残りはあとから投下しようかなと思います
ではでは
13名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:31:48 ID:Sze8nxCB
とりあえず乙。名前コルベールな。
後もうちょっと文章一回に入るよ。
14名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:33:42 ID:LQwj2qpE
コ「ン」ベールじゃないコ「ル」ベールだぁぁぁぁぁぁぁっっっッ!!
15ライオンがヒョウの:2007/11/15(木) 18:35:05 ID:ke3FwD7x
乙でやんした
キートンの2回目できあがったんだけど投下していい?
16名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:40:00 ID:EmTAkLa9
いちおつ
17わかりましたの人:2007/11/15(木) 18:40:34 ID:VA6x39RO
 >>14>>13
 あぁ、今まで素で間違えていました。次からは直します。
>>15
支援
18ライオンがヒョウの:2007/11/15(木) 18:41:04 ID:ke3FwD7x
あい、では投下しまーす
19ゼロのMASTER 2 1/4:2007/11/15(木) 18:43:52 ID:ke3FwD7x
「ああ、うん。一応、職業は保険調査員なんだけど・・・」
私は目の前の少女にとりあえず簡単な自己紹介をした。・・・理解は、出来ていないようだ。

「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」
また子供達がどっと笑う。目の前の少女は顔を真っ赤にしながら叫んだ。
「ちょ、ちょっと間違えただけよ!」
「間違いって、ルイズはいつも間違いだらけじゃん」
「よっ!さすがはゼロのルイズ!」
子供達はルイズ、ルイズという言葉を頻繁に出しながら笑っている。この少女の名前だろうか?
私はだんだんと腹が立ってきた。このルイズという少女がどんな過失をしたのかは知らないが、
あまりにも笑いすぎだし、からかいすぎというものだろう。
私は周りを見渡し、落ち着いて口を開く。

「君達、何がそんなにおかしいんだ?この子が何をしたのかは知らないが、少しからかいすぎなんじゃないか?」

子供達は一瞬、呆気に取られた表情をしたが、すぐにまた笑い始めた。
「だって、平民を召喚したんだぜ!聞いたこともないよな」
「ルイズにしか出来ない奇跡ってやつだろ」
またどっと笑い出す。いけない、どうやら逆効果だったようだ。目の前の少女は・・・
それこそ湯気が出そうなくらい顔を真っ赤にしている。彼女は肩をわなわなと震わせながら、大声で
「ミスタ・コルベール!」
と叫んだ。程なく、子供達の中から中年の男性が現れた。
なんというか・・・この男性もまた凄まじい。他の子達と同様、まさしく魔法使いの格好だった。
落ち着いた雰囲気の持ち主のようであり、この場をなんとかおさめてくれそうではあったが。
「なんだね、ミス・ヴァリエール」
「あの!もう一回召喚させてください!よりにもよって、使い魔がこんな平民のおじさんだなんて、あんまりです!」
私は少し傷ついた。確かにおじさんなんだろうけど、そこまでハッキリと言わなくても・・・。
「それは駄目だ。ミス・ヴァリエール」
「どうしてですか!」
「決まりだよ。二年生に進級する際、君達は〈使い魔〉を召喚する。今やっている通りだ。例外は認められない」
使い魔?召喚?それこそ童話や神話で聞いたような言葉が私の脳に響く。
「それによって現れた使い魔で今後の属性を固定し、それにより専門課程に進むんだ。
一度呼び出した使い魔は変更することが出来ない。何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ。
好むと好まざるに関わらず、彼を使い魔にするしかない」
コルベールという中年の男性はハッキリと、また有無を言わせない口調で話した。
落ち着いていながらも、やや厳格な人物のようだ。
20名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/15(木) 18:45:43 ID:1LL2v7Zt
sien
21ゼロのMASTER 2 2/4:2007/11/15(木) 18:46:31 ID:ke3FwD7x
「でも!平民を使い魔にするなんて、聞いたことがありません!」
それでもルイズという少女は食い下がる。彼女も彼女で勝気な性格のようだ。
「これは伝統なんだ、ミス・ヴァリエール。彼は・・・ただの平民のおじさんかも知れないが、
呼び出した以上は君の使い魔にならなければならない。古今東西、人を使い魔にした例はないが、
春の使い魔召喚の儀式のルールはあらゆるルールに優先する」
少女はがっくりと肩を落とした。どうやら余程残念なことらしい。

「さて、では儀式を続けなさい」
「え゛、この人とですか?」
彼女はあからさまに嫌な声を出した。何か私にするようだが。
「そうだ。早くしなさい。次の授業が始まってしまうじゃないか。君は召喚にどれだけ時間をかけたと思っているんだね。
何回も何回も失敗して、ようやく呼び出せたんだ。早く契約しなさい」
「あの・・・お取り込み中すみませんが、契約ってなんですか?」
私はコルベール氏に話しかける。が、彼はというと
「ああ、すぐすみますから」と言ったきりだった。
「ねえ」
今度は少女が口を開く。
「ちょっと、しゃがみなさいよ。届かないじゃない!」
「え?あ、ああ。はいはい。これでいいかな?」
私は言われた通り、少女の前にしゃがみこむ。何をするのだろうか?
「まったく・・・なんで私がこんなおじさんと!あなた、感謝しなさいよね。
貴族にこんなことをされるなんて、普通は一生ないんだから」
貴族?この子は貴族なのだろうか。なるほど、勝気な性格だが、確かに行動の端々に気品さが感じられる。
周りの子供達もどこか裕福な家庭の子息、令嬢のように思えた。
少女は目を瞑る。そして、手に持った小さな杖を私の目の前で振り始めた。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。5つの力を司るペンタゴン。
この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
幻想的な光景だった。かつての古代文明もこの子のような子供達が神に祈りを捧げていたのだろうか。
そう思うとつい油断してしまって
「んむっ!!??」
がしっと私の頭を掴んだ挙句、キスをされた。キスをされてしまった。こんな小さな子に。
なんということだろうか。過去の依頼で子供からお礼にキスをされたことぐらいはある。
だが、あれは頬だったし・・・。まさか、ここまでとは。

私が呆然していると、彼女は私から離れてこう言った。

「終わりました」
22ゼロのMASTER 2 3/4:2007/11/15(木) 18:48:23 ID:ke3FwD7x
           * * *

彼女は一言、こう言った。どうやら照れているらしい。この年頃の子は大胆なのだろうか?
百合子は・・・まさか。
いやいや、実の娘を疑うのは父親失格だ。それよりも、この行為の理由を聞かなければならない。
「あの」
「『サモン・サーヴァント』は何回も失敗したが、『コントラクト・サーヴァント』はきちんと出来たね」
またもや私の言葉を遮って、コルベール氏が嬉しそうに言った。
「相手がただの平民だから契約できたのさ」
「そいつが高位の幻獣だったら契約なんか出来ないって」
子供達が冷やかすように言う。ルイズは子供達を睨みつけながら
「馬鹿にしないで!わたしだってたまにはうまくいくわよ!」
「本当にたまによね。ゼロのルイズ」

見事な巻き髪を持つ少女が出てきた。
ひときわ目立つその姿。これは・・・なんというか。まさしく「貴族のお嬢さん」みたいな子だな。
いまどきこういった娘はそうはいないな。
一人でそう思っていると、ルイズと少女は言い争いを始めた。
巻き髪の子はモンモランシーというらしい。名前も素晴らしいな。
コルベール氏は二人をなだめている。両方勝気だから、さぞ大変だろう。ちょっと同情してしまった。
が、そのとき。
「ぐ、ぐああ!?あ、熱い!!」
私の身体が急に熱くなった。熱い!本当に熱い!まるで全身をオーブンにいれられているようだ。
私が転げまわっていると
「すぐ終わるわよ。待ってなさい。『使い魔』のルーンが刻まれているだけだから」
「つ、使い魔の、ルーンだって・・・?」
彼女が何を言ってるのかはわからないが、私の身に尋常ならざる事態が起きているのは確かだろう。
あまりの苦しさにもはやこれまでかと思いきや、一瞬にして熱さは無くなった。
身体をさする・・・。火傷はしていないようだ。
あれだけの熱だと全身火達磨になっているのではないかと思ったのだが。

「ふむ・・・」
コルベール氏が近付き、私の左手の甲を取った。何だろうか?
私もつられて見ると、そこにはみたことも無い文字が刻まれていた。
考古学を修めた以上、ある程度の古代文字は見慣れていたが、こんな文字はみたことがなかった。
それ以前に、なぜ私の手の甲にこんなものが?
まさか、さっきの熱―――

焼印のようなものなのかと思うと、ますます私の気は遠くなっていった。
23名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:49:35 ID:CNFafkXi
支援ぐ
24ゼロのMASTER 2 4/4:2007/11/15(木) 18:50:12 ID:ke3FwD7x
「珍しいルーンだな」

コルベール氏が首をかしげながら言う。彼等にとって珍しいのだろう。私にとっては災難だが。
「さてと、皆教室に戻るぞー」
コルベール氏は私の手の甲に刻まれた文字をじろじろと眺めた挙句、生徒達に声をかける。
いきなり宙に浮いた。浮いたのである。コルベール氏は生徒達と共に空中に浮き、
そのまま石造りの建造物に向けて飛んでいってしまった。
私はぽかんと口を開けて、それを見送った。電気ショック、キス、熱、そして宙に浮いたコルベール氏と生徒達。
私の頭脳はショート寸前になっていた。

子供達は飛び去っていくときでもルイズに向けてからかいの言葉を残していった。
どうやら、彼女は彼等のように飛ぶことは出来ないらしい。
ルイズはしばらく黙っていたが、急に振り返って私の方を見るなり
「あんた、なんなのよ!!」
と怒鳴った。なぜ私に怒るのか理由がわからない。
「あの・・・ルイズ、さん。正直、私には何が何だかわからないんだ。もし良かったら説明してくれると嬉しいんだけど。
彼等のこととか、この・・・文字のこととか」
私は手の甲に刻まれた文字を彼女に見せながら言った。
だが、彼女はよほど怒り心頭なのか、私の話に落ち着いて耳を傾けてくれそうにはなかった。
代わりに返って来た言葉は、物凄い文句の嵐だった。

ここはかの高名なトリステイン魔法学校だということ、彼等は全員本物の『魔法使い』だということ、
ヴァリエール家の三女が、由緒正しい古い家柄を誇る貴族のわたしが
なぜあんたのような平民のおじさんを使い魔にしなければならないのかということ、ファーストキスだったということ

全部聞き終わった私は気絶した。いや、むしろさせられたと言ったほうがいいかもしれない。
百合子・・・お父さんは・・・。


目が覚めた私はルイズと話していた。彼女の部屋らしい。気絶したあとに運び込まれたようだ。
上品さを体現したかのような部屋だった。私の部屋もこれぐらい・・・いや、似合わないか。
昼と比べ、やや落ち着いたのか、ルイズは私の話にも興奮せずに聞いてくれているようだ。

「私はイギリスという国のロンドンという街にいたんだ」
「信じられないわ」
「私だって信じられないよ。子供の頃に聞いた魔法使いが目の前にいるというんだからね」
「魔法使いはいて当たり前なのよ。だいたい、別世界から来たなんて、そんな御伽噺じゃあるまいし」

同感だよ・・・。
25ライオンがヒョウの:2007/11/15(木) 18:52:47 ID:ke3FwD7x
つづきます
うおお、キートンむずいいぃぃ
同じ平賀姓でもサイトとは180度性格違うもんだから

これから先、元SASの意地をみせていく予定だす(`・ω・´) シャキーン
26名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 19:15:21 ID:YNlOPEFb
乙ー。
27名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 19:30:53 ID:rZOZr5pi
キートンの人、乙です

キートンがガンダールヴの力を持つと、とんでもないことになりそうだ
ただのスリングが投石器みたいな威力になりそうな気がw
キートンの元SASの実力を最初に気づくのは誰かな?
28名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 19:38:11 ID:LQwj2qpE
槍投げ器とか壊れたお玉で投石器作ったときのエピソード思い出すな。
それに何より探偵ってとこがいろいろと。
古代文明ネタあるところに考古学者ってのもおいしい。
なんてクロス向けの逸材だキートン先生!
29名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 19:42:12 ID:zU0a2A37
>>1乙です
30名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 19:49:55 ID:neSWD7Ny
>>27
素で武器の性能を限界まで引き出してるからあまり変わらないかも?
後は場慣れしていて油断が少なく肉体の基礎スペック分強いぐらい?
31名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 19:54:41 ID:a5pNNKEW
参考資料「ザ・殺人術」「ザ・必殺術」
・・・パイナップルアーミー描いてたころのだけど。
32名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:46:27 ID:9dWAkQV6
ルイズがデビルマン不動明を召喚したらというのを考え付いたが破滅的にダークな話にしか
ならねーよなぁ。
まずルイズの言う事は聞かない。
それだけならまだしも貴族主義に反発してハルケギニア中のメイジを全員惨殺するかもしれない。
ルイズは不動明を呼び出した罪で狂った群衆に首チョンパされるかもしれない。
この世界の人間にも愛想を尽かした明はエルフと手を組もうとするも折り合いつかなそうだからエルフたちも
皆殺しだろう。

核兵器に匹敵するくらいの力を持つ悪魔だから手の付けようがない。
最後は誰もいなくなった大陸に一人で立ってるだけ。
33名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:50:47 ID:neSWD7Ny
>>32
そこはマジンガーZともクロスしたことがあるアニメ版準拠で…

マジンガーZより大きいフーケゴーレムに驚く
でもゲッターロボGよりは小さい…
34名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:57:16 ID:qYlJFDjb
ダイナミック系クロスは専用スレがあるので。
35名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:57:31 ID:+w0GJy/d
なあに、サイズ補正無視は東映祭り時代からのダイナミックプロのお家芸さ
36名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:58:58 ID:M57Xnk1/
そろそろガンダム+中の人は召喚されないかな
あの世界で飛び回るガンダムがみたいぜ
37名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:59:05 ID:QydTCRaJ
>>32
俺なんて凄ノ王とのクロス思いついたぜ。
主人公の覚醒はシエスタとモット伯がきっと手助けしてくれる…
38名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:59:52 ID:4Lu6lPxo
ザクとかグフとかゲルググJとかならあったけどな
ゲルググは違うスレだが。
39名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:16:15 ID:236gILAQ
ダイナミックもガンダムも専用スレが過疎っているのが寂しいぜ(´・ω・`)
40名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:17:06 ID:IRWAfWyn
マジンガーやらよりもキューティーハニーの方が色々となあ
空中元素固定装置にかかれば土メイジも形無し
あ、デルフ出番ねえや、簡単に自分で剣でも何でも作っちまうから
41名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:18:09 ID:o/zQ8Kqx
実写ハニー召喚の方が若い人にはわかりやすいかねえ
42名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:21:30 ID:vwHrC4SJ
前スレでメタルダーの話が上がってたが
あれって作られたの戦前なんだよな……
とんでもないテクノロジーの塊なのに戦前となると
コルベール一人でなんとか出来そうな感じがするから困る
>>32
永井繋がりでキューティハニー召喚とか
「あるときは異世界に飛ばされた不幸な少女!またあるときは少女の使い魔!
その実体は!愛の戦士キューティハニーさ!」
と敵と戦う度に高いところから太陽を背に参上
43名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:21:45 ID:iC8CYjj3
>>前スレ819氏
アイツを呼ぶよりはHeのほうがまだ扱いやすいかと個人的には思ったり
何せ時間も空間も無効化ジャマイカアイツはw
44名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:22:53 ID:vwHrC4SJ
って書いてる間に他の人が言ってらw
45名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:23:26 ID:0JkA7+nU
879 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:03:26 ID:kz4l90ko
肉彦召喚

前スレのラストがこれか^^;
ぜひとも「避難所」で連載してくれ
46名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:25:28 ID:o/zQ8Kqx
>42
ギーシュと決闘するときもなぜか高いところから来るんだな
47名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:29:44 ID:q1SswBbD
肉彦っていうと……ペルソナ3のタルンダマンだっけ?
48名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:32:46 ID:zYtZmDtW
主人公も死んでるのにおかあさんのことしか気にしてくれない薄情な人か
49名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:34:25 ID:lwPyYyf/
ゼロのキバヤシ

召還され、キバヤシは初めの内は異世界ということで興奮しているが
だんだんと慣れ、元の世界に返る方法も望み薄だと判ってからは暇を持て余すのであった。
同じように暇を持て余し下らない研究ばかりやって
アホだと思われているコルベールがまた何か発明を考えたのか
はぁはぁいいながらキバヤシに話しかける

「キバヤシくん、私の研究室に来てくれ 重大な事を発見してしまったんだ・・・私は命を狙われるかもしれない」
「コルベール・・・」

キバヤシがコルベール研究室に入ると体重計に乗ったタバサがくるくると回っていた

「そう・・・ごく最近わかった大発見なのだよ 今見た通り幼児体型の女子を高速で時計回りに回転させると」

「お っ ぱ い が 軽 く な る」
「そんな いったいどうして・・・?」

「原因はまだわかっていない・・・だがこの原理をルイズが応用していたとしたら」
「そう・・・回転を高めれば高めるほど重量は限りなく”ゼロ”に近づく、つまりおっぱいに掛かる重力が遮断される事になる」

「理論上・・・ルイズは虚乳なんだよ!!」

「虚乳!?」

この下らないネタが何人かを経由して虚無の魔法使いだと伝わり、魔法に開眼したのは歴史書にも載っていない大事件である。

おわり
50名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:35:32 ID:qYlJFDjb
肉彦が、『肉丸』に見えた。

マリコルヌが『さすがの猿飛』から猿飛肉丸召喚。

体型がそっくりだし、同じ風系統。これほど相性の良い使い魔は

ないだろう。
51名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:38:22 ID:L+zyv71P
>>27
キートンの恐ろしさはありとあらゆるモノが武器になる点だろう
それと同時にありとあらゆるモノを持ってるだけでガンダー補正を受けられる点だ
キートンにとっては道端に落ちてる石だろうがその辺に転がってる木の棒だろうが「武器」だからな
52名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:40:07 ID:q1SswBbD
というか実は丸2ヶ月ぶりくらいに来たんだが、小説×ゼロ魔のクロスは今は避難所でやってるのか?
それとも相変わらずこっちでなんでもごった煮状態?
53名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:41:38 ID:neSWD7Ny
>>51
でもレプリカの剣だと発動しないみたいだから
「武器として作られた」もしくは「過去に使われた」もので無いと
補正受けれないかも?
54名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:44:09 ID:aoRI55og
本人が武器として認識してれば……ってどっかになかったか?
55名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:48:43 ID:EmTAkLa9
そのへんは確定してないだろう
原作だと卿の剣でも発動してたし
56名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:48:49 ID:neSWD7Ny
>>54
レプリカの剣でも普通の人なら木刀のような「鈍器」として認識しそう…

ギーシュが作った錬金剣(未使用)…OK
飾り用のレプリカ剣(未使用?)…NG
(おそらく使われた事のある)ゼロ戦…OK
未使用(使い捨てだし)のロケラン…OK
57名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:50:46 ID:+KTZyod7
>>54
キートンか、面白そうだけど描くのはとても難しそうだな
なんせ世界中の文化、歴史に通じてるし、化学知識もある。もちろんサバイバルの専門家でもあるし、作者さんは大変だなぁ
……プレッシャーになったらすいません。何が言いたいのかというと、期待してます!
58名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:53:09 ID:+KTZyod7
>>57
安価ミスりました
>>25です
すみません、ちょっとSASに入隊してきますorz
59名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:54:59 ID:BjUZrYCj
使ったら相手を殺せる武器として認識するかしないかじゃない?
60名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:55:56 ID:EmTAkLa9
問題はサイトはレプリカの剣を
結構な業物でスゲーと思ってた事なんだよな
61名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:58:34 ID:L+zyv71P
>>52
エロ、グロ、大幅な設定改編は避難所
それ以外はジャンルに関係なくこっちのスレってことになってる。
まあ作者さんの気持ち次第だけど。
62名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:58:35 ID:DR0Jx6Dl
綾崎ハヤテか、GIANT KLLINGの達海猛ETU監督が召喚為たらと思う
63名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:00:32 ID:f2y0OX87
クロス側にとってすれば偽物とか使えない言われてるけど、
原作で一回はフーケのゴーレムの攻撃防いでるから、本物であることには変わらないけど
デルフに比べた場合、使えないとかそのぐらいの感覚だったんじゃね?>シュペー卿の剣
64名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:01:30 ID:DpmBxMHn
前スレで自分で言い出した雛森召喚、

後にSSとハルゲキニアが繋がっちゃって、トリステインでいう佐官〜将官クラス返せ!!
とかの外交問題になったり、
メイジの能力に興味をもった十二番隊の迷惑父娘が魔法学院にやってくるとか
やってみたくなった。
65名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:03:22 ID:PZ9bJAEu
>>52
保管庫で作品見るのがいいよ
66名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:04:56 ID:Qo/2PyTG
というか、デルフが特別だから

日々野晴矢が呼ばれたら金属バットやらフライパンやらを懐から持ち出すんだろうな
67名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:09:29 ID:8aaI1EFA
>考古学を修めた以上、ある程度の古代文字は見慣れていたが、こんな文字はみたことがなかった。
キートンなら素でルーン文字読めるぜ
ファンタジーに嵌ってただけの俺でもルーン→アルファベット対応くらい出来るし
68名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:11:54 ID:UdRzKDlP
何となくギュスターヴ召喚を妄想してたが
破壊の杖がプリム・スラーヴスになり、持ってきた人物がリッチ・ナイツになり
最悪なおまけとしてエッグが付いてきた
となった
69名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:17:42 ID:ke3FwD7x
Mr中村謹製毒楊枝ならワルドも一殺でござんすよ
70名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:19:17 ID:G+sAGB2W
>>68
エッグに呑まれる奴の候補が多すぎて困る。
ジョセフ辺りかなあ。
71名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:20:58 ID:9dWAkQV6
ギュスターヴって魔法素養がないのが凄いコンプレックスだからあの世界で有志を集めて
革命起こしそう

やべえ・・ちょっと読みたい
72名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:23:50 ID:aoRI55og
>>71
そこで『南の砦で』終了時のギュス様とフリンですよ
73名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:27:38 ID:G+sAGB2W
>>71
かーなーりうろ覚えなんだが、
「鳥が飛べるのは、アニマがあるからですか! 花が咲けるのは、アニマがあるからですか!」
みたいな説教喰らって修行→コンプレックス克服してなかったっけ? かなり若い頃に。

……自分が術を使わないことを前提にするなら、術を相手取るのに術を使う必要は無い、って世界観なんだよな。面白いバランスだ。
74名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:30:14 ID:T24s1+N6
>>72
ヨハンは駄目か?
75名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:32:25 ID:ke3FwD7x
>>67
し、しまった・・・
スンマセン、次から気を付けます(´・ω・`)
もっと見直ししなきゃ
76名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:40:31 ID:aoRI55og
>>74
しまった、忘れてたぜ…
77名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:41:47 ID:riI3wTOU
面倒見がどうみても良いと思えないキャラが
召喚されても、なんだかんだ言ってルイズの面倒見ているのは

ルーンの洗脳効果だっけ?
78風来のルイズ:2007/11/15(木) 22:41:51 ID:bnE4E2qt
タイトルが安直になってしまった・・・
元ネタ知らない人は楽しめないと思います。
知ってる人も楽しめるかどうか分かりませんが、投下いいですか?
79名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:42:30 ID:zYtZmDtW
待ってます。
80名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:43:06 ID:ludyCzUC
もしやあの編み笠の風来か! 支援するぜ。
81名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:43:39 ID:x/hS4Cz1
ギュスターヴ→ルイズの使い魔
フリン→ギュスの諜報工作員
ヨハン→水の秘薬でサソリの毒が抜ける、以後ギュス専属の暗殺者

こうなるか、その3人来たら
82名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:43:49 ID:GudE7xsv
わたしー まーつーわ いつまでもまーつーわ
83名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:44:16 ID:Q+0Y4VPb
子供に城作らせるとか無理な村人が出る
あのゲームか?支援
84風来のルイズ:2007/11/15(木) 22:45:33 ID:bnE4E2qt
「ゼロが、一発で・・・」
「嘘、何で・・・」
ルイズが使い魔を簡単に召喚できたのがまるで奇跡としかいいようがないような感じで他の貴族たちは彼女を見つめるのであった。召喚されたのは、丸っこく青い体に、白く美しい腹部、耳、しっぽを持った愛らしい小さな生物だった。
「きゃっ、何これ?かわいーい!」
その生物を抱き上げるルイズであったが、彼女はその期待をぼろぼろにされるのだった。
「い、息してない・・・」
もしかしたらぬいぐるみなのかもと、口の中を覗きこんでみたが、そこにはリアルな舌や歯があった。正真証明の生物だ。死体だが。
「呼んでも役に立たんとは・・これぞゼロクオリティwww」
「ルイズにゼッロゼロにされちゃった」

そのころ、この生物がいた世界、渓谷の宿場からテーブルマウンテンに続く道をいく一人の冒険者がいた。その名も、人呼んで、風来のシレン!
「なるほど、この杖は吹き飛ばしか。これならマムルなんて簡単に倒せ・・・ってちっがーう!何だよあの鏡!マムルぶつけたらヒュッと吸いこまれちまったぞ!罠か!?一種の罠なのか!?
落ち着け、こういうときは、風来の書、950条、罠について。何々、罠は利用できるものです。その効果をよく考えましょう。分からなかったときは、逃げろ!?つっても、このでけー鏡が道ふさいじまってるんだよー!かくなるうえは、この鏡を持っていく!」
マムルを吸い込んだ謎の鏡、これは一体何なのか!?危険なのは承知のうえ。しかし、この鏡がダンジョン攻略に役立つと、俺は信じる!!!
轟々と水が流れる山間渓流。ここは谷に釣り橋がかけてあるだけの危険な場所だ。そこに、あの男がいた。風来のシレン!ボウヤーの打つ矢もなんのこれしき!全部鏡が吸い込んでくれるのだ!

そのころルイズはというと・・・
「痛ーい・・・何で矢なんて飛んでくるのよ!」
生物すら召喚できないルイズ。しかし、そのような物はまだまだ序の口。次に来るものに比べたらずっと・・・次に来たのは鎧のような物を見に付けた骸骨。
「また、死体かよ・・・」
「ネタの使いまわしすんなよ〜」
その骸骨はよろよろと動き出す。
「あれ、動けるの?せ、成功!?」
しかし様子がおかしい。骸骨はルイズなど見向きもせず、キュルケの使い魔、サラマンダーのフレイムにゆっくりゆっくり近づいていった。頭からフレイムに吸い込まれるようにして消えていった。
「なんだったのよあれ・・・」
思わず涙ぐむルイズだったが、落ち込んでいるのもつかの間。フレイムは骸骨を吸い込んだ途端に狂ったように暴れだした。体も変色している。
「な、何!?フレイム、落ち着きなさい!」
主人のキュルケも同様を隠せない。
フレイムが元に戻ったときは、すでに一面焼けの原だった。他のみんなは被害にあいたくないといわんばかりにルイズから離れていった。結局そばにいるのは教師のコルベールだけであった。
85名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:45:56 ID:UPXM1q7v
ルイズ的にはこれから色々巻き込まれるだけにシレン、なんつって
支援
86風来のルイズ:2007/11/15(木) 22:47:14 ID:bnE4E2qt
次に召喚されたのは、泥のような生物だった。その生物と契約しようとキスをしようと思ったその瞬間、腐った液体をかけられてしまった。
もう契約なんてどうでもいい、この生物を殺す!お得意の爆発魔法でこっぱみじんにしてしまう。
今度は謎の布をかぶった緑色のトドが召喚された。そのトドは、あろうことかルイズの杖を布を使い奪っていった。
「そんな・・・杖がないと・・・」
いきなりたくさんの生物がわらわらと現れた。
「何で?!杖もないし呪文も唱えてないのに!」

その頃のシレンは、
「モンスターハウス?子供騙しだね!単に雑魚が集まっただけ!こんなやつら、この最強の鏡の敵ではないわ!」
マスターチキンもミノタウロスも、エーテルデビルでさえただただ鏡にに吸い込まれるだけ!誰か、この鏡男を止める奴はおらんのか!

しかしルイズは・・・
杖無し、呪文なしで現れた、鶏やら、牛やら、見えない何かやらにフルボッコにされる始末。ついに彼女は死んでしまった。
・・・と思ったら、
「・・・ここは?私の部屋・・・?」
彼女は自分の部屋のベッドで横になっていた。
「あーなんていやな夢なのかしら。現実はこうはいかないわ。エーと、杖杖」
ない。どこを探しても見つからない。彼女は探すのをあきらめコルベールに謝ろうと魔法学院の廊下をとぼとぼと歩いていた。しかし、杖はすぐ見つかった。廊下に落ちていたのだった。
なぜ廊下に落ちているのか分からぬまま、彼女は使い魔を召喚する。召喚されたのは巨大な虫の怪物だった。糸で絡められ、ルイズは洞窟の中に閉じ込められ、ついに彼女は死んでしまった。
・・・と思ったら、
「・・・ここは?私の部屋・・・?」
彼女は自分の部屋のベッドで横になっていた・・・の、繰り返し。

魔蝕虫もかたなしっ!byシレン
87名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:48:33 ID:zYtZmDtW
アヴァロン、アヴァロン、うるわしの〜
支援
88名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:48:43 ID:WF7dtJys
さすが落ちている物を躊躇無く食せる男、支援w
89名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:52:34 ID:neSWD7Ny
頑張れルイズ!いつか凶悪モンスター軍団を使い魔に出来るその日まで!

1〜2年ほど経ったらモンスターの大隊を組織していそう…
90風来のルイズ:2007/11/15(木) 22:54:20 ID:bnE4E2qt
終了です。確か才人って鏡に吸い込まれてハルケギニアに召喚されたと思ったんで。
91名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 22:55:30 ID:ZTaEycJE
ごめん、面白くない。
92名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:00:10 ID:35ta0qI2
そういや過去にサガフロのゲンさんが召喚された話しがあったけど
リュートとか召喚しても面白いんじゃないかな。
93名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:01:07 ID:80XMNnFw
ネコマジンこないかな
94名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:08:11 ID:HwGg0wOJ
なんか、無理にテンションを上げようとしている
普段は大人しめの高校生、
みたいな

地の文がですます調じゃないのはいいと思うな
95名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:08:36 ID:h2Tv3Igd
京極堂シリーズから中禅寺召喚。

「アンリエッタ姫。さても厭な物に憑かれている――――落として差し上げましょう」

とりあえずウェールズの妄執あたりから。
基本タバサ以上に図書室に篭ってそうだが。
96名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:10:55 ID:neSWD7Ny
>>92
英雄になっても
部屋でごろ寝したり楽器弾いてるのが一番

と成長したのかしてないのか良く判らないエンディングの人ですね…

そしてそれをほのぼの見守る母親ポジションになってしまうルイズ

>>93
携帯でベジータ呼び出したり
ノリマキ博士を呼んでコルベールを大喜びさせるネコマジン

ルイズ的にも韻獣で大当たり
97名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:12:19 ID:236gILAQ
ギュス様呼んだらシエスタはナイツ一族になりそうだ

>落ちている物を躊躇無く食せる男
どこぞのさすらいのナイスガイのくせにヒモになる商店街の助っ人を思い出したw
98わかりましたの人:2007/11/15(木) 23:24:31 ID:VA6x39RO
T260G呼んだら、すごく普通の話になると思う

と言うことで、三話投下して良いかな?
99名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:25:07 ID:xzV9iYN/
いいとも〜
100わかりましたの人:2007/11/15(木) 23:28:01 ID:VA6x39RO
それじゃあ。

わかりました第三話 オタコン「この作品、ツンデレ分が足りないよ」

 教室はざわついていました。
見回りの先生が居ない自習で、静かにしろと言うのが無理です。
その中で、真っ赤な髪の毛の少女は言いました。
「ねぇ、ルイズが召還した平民。なかなか良いと思わない?」
 プレイボーイの表紙を飾ることも出来るであろう身体付きの少女ですし、性格もそれに見合った物のようです。
 「…」
 真面目に読書をしていた青い髪の少女は、何とも言えない顔で真っ赤な髪の少女を見ました。
 「なによ。その顔」
 真っ赤な髪の少女は、その何か言いたげな顔を見て、不思議に思いました。
 真っ赤な髪の少女こと「微熱のキュルケ」は何か大変な勘違いしているようです。

「ソ連…アメリカ…」
先ほどから、コルベールと使い魔であるボスの後ろについて歩いているルイズは呟きました。
二人の会話を聞く限りこうです。
生前はザ、ボスと呼ばれていたこの使い魔は、「あめりか」と言う国の軍人で、詳しくは言えないが、とある任務で「そびえと」と言う国に行って居た。そして、ジャングルの中の花畑で仮眠をしていて、気づいたら彼処に呼ばれていた。
魔法が使えない分、知識を蓄えていたルイズも、この話はにわかには信じがたい物でしたが、どうもこの世界の住人で無いことだけは分かりました。
ゼロのルイズは、異世界人を使い魔にしてしまったようです。

「ハルケギニア、トリステイン…」
ソコロフを思い出す髪型の男との会話から、ボスはここは最低限地球では無いと言う結論に至りました。
 男曰く貴族御用達の学院であるトリステイン魔法学院で、進級をかけたサモン・サーヴァントの儀式を行った所、自分が呼ばれたこと。
 人間が呼ばれるなんて事は前例が無いこと。
 男に事情を聞かれたので、軍人と言うことや、ある程度話せることを話しました。
 当然、もしくは何故か、自らが殺された事を話すことはしませんでした。
THE BOSSは死んで異世界に来てしまったようです。
101名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:30:10 ID:xzV9iYN/
しえーん
102わかりましたの人:2007/11/15(木) 23:30:22 ID:VA6x39RO

「それで、ですね。お願いがあるのです。これは、ミス・ヴァリエールにも関係あるので聞いて下さい」
ミスター禿、失敬、コルベールはボスとルイズに一つの提案をしました。
サモン・サーヴァントの儀式は神聖な儀式であって、召還のしなおしはできないこと。
そして、サモン・サーヴァントを元の世界に元に戻す魔法はないこと
「…」
「…」
二人の女性は、何も言わず聞いていました。
ボスにしてみれば、戻った所で売国奴ですし、存在してはてはいけない存在です。
ルイズにしてみれば、平民のおばさんの使い魔か留年かを選ぶ必要があるのです。
「あなたは、軍人だったそうじゃないですか
そこでお願いなのですが、ミス・ヴァリエールの使い魔という名目で護衛をやって頂けないでしょうか?
ヴァリエール嬢に、危険が迫っているというわけではありませんし、学院も至って平和です。
ですので護衛といっても、ミス・ヴァリエールの下で働く程度の認識でいいです。もちろん、衣食住はヴァリエール嬢が提供します」
そこまで、聞いてルイズは、いきなり先生に突っかかりました
「え、先生!! 私が提供って!!」
当たり前です、幾ら金持ち貴族でも、勝手に使用人連れてこられて「明日から働かせてね」は困ります。
「当然でしょう? 使い魔の世話は主人の役目ではないですか?」
「う〜」
当たり前の反応に、当たり前の反論をされて、ルイズはうなりました。
「私が、あなたにお願いしたいのは{使い魔の名目でミス、ヴァリエールの下で働いて欲しい}と言うことです」
 コルベールは、言いたいことを最後まで言い切り二人の反応を見ました。
 彼は、いきなり連れてこられて自分の子供に当たるであろう年齢の下で働けといわれる、
それは流石に断られても仕方ないと思ってました。
103名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:31:16 ID:GudE7xsv
そういえばエレオノール嬢とボスの中が一緒な件について
私怨
104わかりましたの人:2007/11/15(木) 23:31:49 ID:VA6x39RO

コルベールは教師として、ルイズをしっかりと見ていました。
 魔法が一度も成功しないことも知っていましたし、それを補う努力をしていることも知っていました。
 そんな彼女を留年させる気にはどうしてもなれず、彼は彼なり提案でボスを学園に留めようとしたのでした。
 もし出来なかったら?その時は、「逃げられたといっても、使い魔召還の成功はした」とエロ親父、失敬校長に直談判しに行くつもりでした。

「…つまり、私に子守りをしろと」
ボスはそう認識しました。
ソコロフ似の男を見て、自分の主人になるであろう桃色の髪の少女を見て、そう呟きました
「こ、こ、こ、私は16歳よ!!!子供扱いするなんて!!」
子供扱いされたルイズは怒り、それをコンベール氏がなだめていましたが、ボスは気にしませんでした。
「私が、子守りを…」
ボスは、思い出していました。自分が殺した沢山の人々のことを
ボスは思い出していました。組織に取られた自分の子供のことを

「いいわ。受けましょう」
コンベールとルイズは、その声の主を見ました。
「あなた、名前は?」
声の主は笑っていました。穏やかに、とっても穏やかに
その声の主に聞かれた女性は答えます。
「ルイズ…ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。ルイズで良いわ」
ルイズは思いました。綺麗な人だなって、優しそうな人だなって、思いました。
「ルイズ、良い名前ね。あなたが良ければ、あなたの使い魔になっても良いわ」
ゼロのルイズが、名実共BOSSを使い魔にした瞬間でした。
105名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:33:28 ID:x5IKAv8Z
おいおいまたコンベールになっとるぞ
106名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:33:38 ID:2Lhx0+Ma
ボス・・・どうしてなんだ!?支援
107わかりましたの人:2007/11/15(木) 23:33:47 ID:VA6x39RO
これで第三話 オタコン「この作品、ツンデレ分が足りないよ」は終わりました。

と言うか、ツンデレする相手が居ないよ。どうしよう、ゼロ少佐
108名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:35:47 ID:neSWD7Ny
>>107
モット伯かギーシュを生贄に
ツン1デレ9ルイズを召喚!
109名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:36:11 ID:2Lhx0+Ma
>>107
ボス相手にツンデレさせればいいじゃん
110名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:41:55 ID:aoRI55og
THE・BOSSの人、乙です。

個人的には、もうちょっと一話を長めにしてくれるとうれしかったり。
111名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:42:35 ID:y3hAKeIo
コンベールじじゅう
112わかりましたの人:2007/11/15(木) 23:43:16 ID:VA6x39RO
>>105
 治したつもりなんですけど、すいません。
>>108
ギーシュはボスに締め上げられる予定なので…
>>109
何か普通に流されそうな…と言うかそれで良いのか?
113名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:46:53 ID:2Lhx0+Ma
>>112
母親代わりとしてルイズの態度を微笑ましく思うザ・ボスであった。

という感じでw
114名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:47:48 ID:DpmBxMHn
そういやボスは子供を取られちゃったんだよな……。
ボスはハルゲキニアの基準でも美人の部類だろうな。元々、顔立ちのモデルになった人物が女優さんだし。
115名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:49:57 ID:GudE7xsv
>>114
中の人もグラマスだそうだし
1162000の技を持つ使い魔:2007/11/16(金) 00:00:44 ID:K9CHDWB7
お久しぶりです。

2000の技を持つ使い魔 EPISODE03 服従 を投下します

……サブタイでこんなに悩むの、初めてorz
117名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:02:07 ID:wzfj/ZPK
上のナイツで思い出したけどNIGHTS@セガはどうだろう
新作出るし
もっとも、ルイズの夢にしか出てこないだろうけど
でも、クラリスやエリオットみたいに、夢の世界での冒険を通じて、こう、成長したら良いなあ、とか
118名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:03:33 ID:LHmWN4QW
支援
119名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:05:49 ID:TAgr0LlP
クウガ北ーーーーー
1202000の技を持つ使い魔:2007/11/16(金) 00:06:42 ID:K9CHDWB7
2000の技を持つ使い魔
 EPISODE03 服従

 トリステイン魔法学園の学生寮の一室、ルイズの部屋に腰を落ち着けた雄介は、ルイズと共に夜食のパンをほおばりながら、情報交換をしていたところだった。
「つまりここは、ハルケギニア大陸ってところのトリステイン王国って国にある、トリステイン魔法学院ってところで………。それで、二年生に進級した際行われる使い魔召喚の儀式で俺が召喚されちゃった、ということ?」
「そ、あなたの言うことがホントなら、ここはあなたの住んでいたところとは違う世界、ということになるわ。月が一つだけで魔法使いのいないところなんて、この世にあるわけないし。それに、『ばいく』っていうんだっけ、あの鉄の馬? あんなの見たら納得しちゃうし」
 なるほどと雄介がルイズの言葉に頷いて、窓から外を見やる。
 その空に浮かぶ二つの月を見ていなければ、雄介だって異世界に来ていることなど気にもとめてなかっただろう。
 ビートチェイサーはミスタ・コルベールの取り計らいで、彼の研究室に置かせてもらっていた。
 ビートチェイサーを一目見たコルベールが、是非にと願い出た事もあり、あまりビートチェイサーを目立つようなところに置く訳にもいかなかったので、雄介としては渡りに船だった。今ごろはコルベールが分解しないまでも、思う存分余すことなく細部まで見ていることだろう。
 ただ、ルイズはコルベールの元にビートチェイサーを預けるのは不本意だったらしく、ちょっとしたいざこざはあったものの、最終的にはコルベールと雄介にとりなされる形で、しぶしぶ引き下がっていた。

「で、元の世界に帰る方法って、あるのかな?」
 異世界にいるという事は、帰る方法だってあると踏んで雄介はルイズに聞いてみる。
「無理ね。元々サモン・サーヴァント自体が、この世界の生物を召還する魔法なのに、あなたが召還されたことそのものが、おかしなことなんだから」
「それじゃあ、もう一回その召還の呪文を唱えるって言うのはどうなの?」
 呼び出すことができるのなら、送り返すことだってできるはずだろうと雄介は簡単に考えていたのだが。
「無理、だめよ」
 ところが、にべもなくルイズが言い放つ。
「でもさ、やってみないと判らないじゃない」
 雄介が食い下がってくるのを見て、ため息をつきつつルイズが言った。
「サモン・サーヴァントはね、一度唱えて使い魔を呼び出したら、次に使い魔が死んだりしないと、もう一度唱えることはできないのよ」
「……え」
121名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:10:33 ID:loDM8RVP
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どうする、俺
1222000の技を持つ使い魔 2/4:2007/11/16(金) 00:10:35 ID:K9CHDWB7
「あなた、一度死んでみる?」
 そんな揶揄するルイズの問いに、雄介は一瞬頷きかけたが、大慌てで首を振って否定する。
「いや、その。死ぬってのはちょっと……」
「だから無理なの。わかった?」
 ルイズの言葉に、雄介はぐうの音も出なかった。
「というわけでユースケ、あなたは私の使い魔として動いてもらう以外ないわけ。おわかり?」
 ようやく本題に持って来たルイズが、余裕の表情で雄介に聞いてくる。
 そう、あくまでルイズにとっては、雄介はちょっと特殊な使い魔でしかないのだ。
 呼び出してみたものの、何の変哲もないただの平民かとおもいきや、すばらしい速度を出す鋼の馬を持っている。それだけでもめっけもんだ。
「ユースケは、他にどんな事が出来るの? あの、ばいくを操る以外に」
 ルイズにそう問われて、目を泳がす雄介。
「とりあえず、2000とちょっと技を持ってます。それじゃダメ?」
 努めて明るく言う雄介に駄目だしするルイズ。
「ダメ。もっと詳しく何が出来るとか言いなさいよ」
 ルイズに突っ込まれてちょっと困った顔をするものの、ならばと指を折って数え始める雄介。
「えっと、炊事洗濯なんかは一通り出来るとして、ジャグリングなんかの大道芸も一通り、彫金や刺繍もやれるし、バイクは…… あ、さっき乗ったっけ? 他には…… まぁいろいろと」
「誰がそんな事言えって言ったのよ!? そうじゃなくって、例えば、特定の魔法の発動に必要な触媒、秘石や薬草だとかを見つけることが出来るとか、何か特殊な力を持っているとか、なんかないの!?」
 一気にルイズにまくし立てられた雄介が、しばらく考えてからぽんと手を打ち合わせる。
「触媒、ってどんなものか見せてくれれば、多分見つけられるだろうし…… 何か特殊な力というと、いまはちょっと……」
「何? あんた何か特殊な能力持ってるの!?」
 特殊な力、といわれて言いよどんだ雄介を見て、ルイズがとたんに色めきたつ。
「もったいぶってないで言いなさい!」
「あ、うん。俺、戦士『クウガ』なんだ」
「くうが?」
 クウガと聞いて、ルイズがきょとんと首をかしげる。
「なに、その『くうが』って?」
 先を促されて続けようとした雄介であったが、なぜか雄介自身が今度は困った表情になって、あれこれ悩み始めたのだ。
「何で言ってるあんたが悩んでるのよ!?」
「いやその…… ちょっと一言で説明するのが難しいんだけど、そう言う名前の古の戦士になる事が出来るんだ」
「古の戦士? アンタが?」
 雄介の見かけ、ルイズよりも年上の、自分の一番上の姉くらいの年頃のひょろっとしたつかみ所のない感じのせいか、そんなに強そうには見えなかった。
 せいぜいちょっと腕っ節が強いかもしれないくらいだろうと、ルイズはこのときそう思っていた。もっとも、この想像は数日後に簡単に覆されてしまうわけだが、この時点では雄介がどんなに説明しても、大真面目にそんな程度の認識でしかなかったのだ。
123名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:11:18 ID:7ptQcMb8
支援
124名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:11:24 ID:y+QuaB5s
石ノ森章太郎萬画館付近から支援
1252000の技を持つ使い魔 3/4:2007/11/16(金) 00:12:49 ID:K9CHDWB7
「何か証明してみなさいよ、その証拠を」
 ルイズに促され、雄介はしぶしぶと立ち上がると、両手を腰の前にかざすのだが……
「……なにしてんのよ?」
「やっぱり、出てこないよなぁ」
 あれこれと気合を入れては見たものの、雄介の腰には何も出てこない。
「ホントはね、こう構えると、ベルトが出てきたんだけど…… やっぱ壊れちゃってるから無理か」
「はぁ?」
 呆れてこめかみがプルプルと震え始めてるルイズを宥めつつ、雄介は3年前の出来事をかいつまんで話し始めた。
 久しぶりに故郷に戻ってきた雄介が、訳あって古代の遺跡に封じられていたベルトを手に入れ、その所有者になった事から、約1年間ずっと戦いつづけてきた事、そんな中で彼を助けてきた仲間達の事、いろいろなことを説明した。
 その説明が終わる頃には、もはや胡散臭さ100倍と言った感じでジト目で見るルイズがいたわけだが。
「あのねえ、アンタ作り話を考えるならもっとマシな話を作ってみなさいよ!」
 脱線含みの話を半刻以上もされたルイズは、大層お怒りになられていた。
「何よその嘘みたいな話! まるでそこらの子供向けの御伽噺みたいな事を信じろって方が無理よ。もうちょっと根拠のあることを言いなさいよ!」
「根拠も何も、全部本当の事」
 と弁解する雄介を、さらに一喝して黙らせる。
「百歩譲っても、そんなに強いなら証明して見せなさい! まったく、こんなくだらない事のために遅くまで起きてる羽目になるなんて…… もう寝る!」
 そう捲し立てると、雄介の見ている前で制服を脱ぎだすルイズ。
「え、ちょ、ちょっとルイズ?」
 慌てふためく雄介をさておき、ルイズはブラウスのボタンを一つ一つ外すして脱ぐと、お構いなしにキャミソールに手をかけ、これも脱ぐ。
 次にルイズがスカートに手をかけたのを見て、慌てて雄介は回れ右してルイズを視界から外す。
 せめて人目くらいはばかったところで着替えてくださいルイズさん、と雄介が思う中、ルイズはスカートを脱ぎ、ショーツに手がけていく。
 まいったなぁ、何か中学くらいの時の、みのりの着替えに出くわしたみたいな感じだな、と懐かしくも場違いな記憶が雄介の頭の中でよぎる。
「何で後ろなんかむいてんのよユースケ」
 と、唐突にルイズが雄介の背に向かって声を投げかける。
「い、いや。だってルイズが急に着替えだすから。一応俺、成人男子だし、ねえ……」
 どぎまぎが止まらぬ雄介が、多少早口になって弁解するが、それを聞いたルイズの声のトーンが一段階下がった。
「はぁ? 何で平民が貴族の着替え覗いて欲情する気かしら、このバカ犬……」
 雄介でなくとも、今のルイズは声だけで怒りと恥辱のオーラで燃え盛っているのがやすやすと判るくらいだった。とどのつまり、怖くて雄介は後ろを振り返れなかった。
「い、犬ですか俺!?」
 さすがの雄介も、犬扱いされたとしてギョッとするが、ルイズの怒りは収まらない。
「うるさいうるさい! 普通の使い魔ですらないあんたなんか犬で十分! 大体、アンタには使い魔って意識すらないんだから、犬扱い当然!」
「ちょ、それは」
 さすがに犬扱いではあんまりだと雄介が抗議しようと後ろを振り向くと、雄介の目の前には既にネグリジェに着替え終わったルイズが、右手をズビシっと雄介の鼻っ面の前に突きつけていた。
「誰がアンタを養うと思ってるの? 誰がアンタの食事を用意すると思ってるの? それにここ、誰の部屋?」
 立て続けに告げられるきつーい事実に、雄介は声も言葉も出せなかった。
「……はい」
 もはや路は無しとあきらめもついたのか、たっぷり間を置いて雄介は頷かざるを得なかった。
「そう言うわけだから。アンタの寝床はそこの床。それと、そこの服は全部明日洗ってね」
 ルイズは、雄介からようやく満足の行く答えを採りつけてか、すっきりとした顔つきで、さらりとあれこれ言ってのける。というか、聞いてた雄介がこれまた恥ずかしくなりそうな事まで言っているが、当のルイズにはそんな意識は無い。
「え、え? 洗濯も俺? っていうか、洗濯はともかく下着まで俺がするの?」
 そんなんで良いんですかルイズさん!? というニュアンス含みまくりの雄介の質問にルイズはにっこりと笑顔で返す。もちろん、その笑顔に「あんたがやりなさい」との鉄板のニュアンスが混じっていた事は言うまでも無い。
「それじゃ、おやすみ。ちゃんと起こしなさいよ?」
 それだけ雄介に告げると、ルイズは指を鳴らして部屋のランプを落としたかと思うと、
早々にベッドの中で寝息を立て始めた。
126名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:14:17 ID:L9xz7Sit
一番目の技は笑顔支援
127名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:15:08 ID:loDM8RVP
シ・エーン
1282000の技を持つ使い魔 4/4:2007/11/16(金) 00:15:24 ID:K9CHDWB7
 さて、主人は早々に寝てしまったものの、ありとあらゆる事が自動的にかつ超特急で決定してしまった雄介は、ルイズの寝息の響く中で、ふと夜空に浮かぶ二つの月を見上げながら、深く溜息をつく。
「あー…… 何か勝手にどんどん決まっちゃったけど、しょうがないか」
 大体月が二つ見えている時点で、ここは雄介の知る場所ではないのだ。現状もよく判らないまま、冒険を続けるのは無謀すぎるし、もし世界が違うと言うなら、元いた世界とは生活習慣から何から違うだろうから、うかつに動き回らないほうがいい。
 しばらくはルイズの召使として働きながら、いろいろと必要な事を覚えていくのも悪くは無い。取り敢えずは食事も寝るところも確保できたようなものだから、すべてはそれからだ。
「……起きたら全部夢、だったら…… ま、そんなことないか」
 雄介が改めて部屋を見渡すと、部屋の隅っこのほうに、それなりにたたまれた古そうなぼろ布のような毛布があるのを見つけ出す。
 毛布一枚有るのと無いのでは、夜の過ごし方も変わってくるので、雄介は既に寝ている主人に向かってありがたそうに両手を合わせてから、その毛布を広げて荷物の入ったバッグを枕の替わりに置く。
「あー、ま、いっか…… 俺も何だか疲れちゃった……」
 気分は27時間動きっぱなしの鈴村組のようだなと、唐突に訳のわからないコメントが頭の中でよぎった雄介は、静かに床に座ると、毛布に包まって枕代わりのバッグに頭を乗せて目を瞑るった。
 これが全部夢だったら良いのに……
 ところが、そんなに簡単に夢で終わるわけは無かったわけである。
129名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:15:35 ID:wKBK3VMk
クウガで戦い続けたのは苦痛だったはず……(人死にも多いし、そもそも雄介は争いを好まないし)
再会祝い支援。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:17:26 ID:270qqHgH
泣きながら殴ってましたもんねぇ
1312000の技を持つ使い魔:2007/11/16(金) 00:18:31 ID:K9CHDWB7
投下完了です〜。
まず真っ先に、2話からの間隔があいて申し訳ありませんでした。
仕事が詰まりに詰まって、この1月ほど、まともに休んだの2日しかないと
言う状況orz

まだしばらくは鈍足進行ですが、よろしくですー
132名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:21:10 ID:loDM8RVP
おちゅー

がんがれw
133名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:22:14 ID:TAgr0LlP
おつ

頑張ってください
俺も社会人だけどなー
134名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:23:42 ID:7ptQcMb8
乙です〜 あらら、アダマムまだ壊れたままですか。
たしかに最終話の完全覚醒状態だとワルドやレコンキスタはおろか
エルフの大軍だろうと引けをとらないでしょうし良いパワーセーブですね。
修復具合に応じて金や黒の力を引き出していくかんじでしょうか。
続きをまったりと待ってま〜すw
135名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:25:48 ID:Zw9eZ5Z9
チャペルことニコラス・D・ウルフウッドを…
1362000の技を持つ使い魔:2007/11/16(金) 00:25:55 ID:K9CHDWB7
って、ラストに誤植1箇所発見orz

4/4
と、毛布に包まって枕代わりのバッグに頭を乗せて目を瞑るった。

>と、毛布に包まって枕代わりのバッグに頭を乗せて目を瞑った。

俺のバカorz
137名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:37:41 ID:8QLuuAGS
最終回の後のシビルかガビル連れてきたら楽しそうだ
「これぞまさしく洞察美!」とか言ってワルドを鼻高々に笑い飛ばすガビルとか
138名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:39:59 ID:NZbr/LLL
>>137
ルイズ「殺しちゃ駄目!」

スピリチュアを吸われるギーシュ
「殺さなかったぞ?」

そしてギーシュを元に戻すためにモンモンその他がバンドを…
139名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:47:48 ID:loDM8RVP
>>134
ワルドがライトニングクラウド撃ったお陰で金の力が覚醒、
ロリペド涙目wwwwwwwwとかね
140名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:55:23 ID:WTOkHb1T
電波・ゼロのルイズが今期アニメヒロインを四人ほど召喚しました

「アンタ達何者よ?」
「…………………………」
梶原空は困っている。
「…………………………」
安岡紫音は困惑している。
「…………………………」
川添珠姫は驚いている。
「…………………………」
緋室灯は無視している。
「…………………………」
「…………………………」
空と紫音はスケッチブックに名前を書いた。
しかし日本語なのでルイズは読めない!
「…………………………」
「…………………………」
たまちゃんとあかりんはボーッとしている。

ルイズは涙目になった!
141名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 01:01:03 ID:sCWv3uP/
>>140
一人当たりが居るような……しまった、弾丸問題がッ!?
142名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 01:02:25 ID:oftwIsPF
乙でした。
リントの戦士がガンダールヴとか来るのか!?

あー、雛森召喚だがな、
ルイズの彼女に対する扱いを考えているがいまいち決まらない………。
死神についても絶対に信じないだろうし、
見た目は自分と同じくらいの平民の娘が佐官〜準将相当だなんて認めないに決まってるし。
143名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 01:11:31 ID:CZpj5iKU
>>140
タマちゃんにガンダールヴは無敵すぐるww
144名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 01:20:50 ID:MiW6LekX
>>141
強化人間は魔剣使いと違って素手でも強い。
問題はむしろ「調整」のほう。
あと、魔法も結構使える。防御魔法中心で回復も習得してる。
145名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 01:20:55 ID:UcYRMqeO
デルフもったらタイタンフォームになるだろ
そこでルーンの力
つまり速い硬い強いの最強フォームに!
146松下:2007/11/16(金) 01:22:28 ID:vh7kL7IC
今晩は、松下です。お久し振りな気がするなあ。
このところ忙しくて、貴族Cも筆が進みませんわ。ゆっくりでも書き上げますんで、今年中にはなんとか。
さて、投下したいが、道は開いてますか?
147名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 01:24:28 ID:jgNaZ/uX
弾丸問題ねぇ。
その辺細かく問題(描写)にしてる奴今までいたかね?
148名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 01:27:48 ID:NZbr/LLL
>>141
毎日のように乱射しなければコッパゲ先生が手作りで作ってくれるよ!
日産5〜6発ぐらいのペースで丁寧に作って
検品して銃身が爆ぜたりしなそうな弾だけを選別して…
では、行きましょうか。


時刻は深夜。ラグドリアン湖へ続く街道を、一頭のグリフォンが駆けている。
乗っているのは、アルビオンのウェールズ皇太子と、トリステインのアンリエッタ女王。
女王は秘薬によって眠らされている。皇太子はフードを深く被り、夜陰に紛れて進む。
ところどころにある関所を避け、慎重に、時には大胆に。
「上手くいったわね、皇太子」
「お蔭でね、公爵。ラグドリアン湖までは、もうすぐだ」

グリフォンのすぐ傍らを、美しい女性の乗った馬が駆けている。
乗り手と馬には、鰓と水掻きと鱗がある。ともにこの世の存在ではない。
「この『海洋の公爵』ヴェパール、水に関しては地獄でも屈指のプロフェッショナルよ。
 お眠りになっている女王様も水の使い手らしいけど、私の足元にも及ばないわね」
彼女は、かつてソロモン王が召喚した72柱の魔神の一、ヴェパールだ。
クロムウェルと結託した悪魔ベリアルに助力するため、魔界から召喚された。乗っているのは『海馬』だ。

彼女が口から吐く息は、白い濃霧となって一帯を覆い、幻影を映し出して行方を晦ます。
また、その邪悪な視線は相手に触れずに傷を負わせ、その傷は忽ち化膿して蛆が湧き、三日もすれば死んでしまう。
海上にいればその力はいや増し、嵐を起こして艦隊を沈めるという。
二人の目的地は、まずガリア。女王と皇太子がガリア王に忠誠を誓えば、両王国の過半はガリアの手に落ちるだろう。
そうでなくとも、新しい女王という求心力を失えば、トリステイン王国は脆くなる。
「まあ、人間どもの争いが増えれば、地獄の収入も増える仕組みだからね。
 沈没船に積まれた財宝は、私が貰うよ。飛行船は沈めにくいけどねぇ」

ヴェパールの放った霧のお蔭で、女王捜索隊は道を見失い、各所で彼女と皇太子の手下に討ち取られた。
グリフォンは街道を真っ直ぐ疾走する。しかし、湖には松下たちがいるのだ。
「水の力で、死人を動かすとはねぇ。この世界の魔法も、面白いじゃないか」
「アンリエッタには内緒にしてくれ。再会できて、僕も嬉しいのだから」
150名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 01:28:32 ID:8QLuuAGS
>>138
なんというファイヤーボンバー
その頃、松下は村に戻り、モンモランシーとギーシュを元に戻す秘薬を調合していた。
「ヴォジャノーイ族から、いろいろ秘薬もせびり取れたからな。どうにか期限には間に合う。
 『東方』のカッパ族の分派らしい。なんでも始祖はストトントノス大王で、全世界の水界と月を支配していたのだとか」
「眉唾物ね。あんな気持ち悪い種族が、世界を支配していたなんて」
「カッパ文明もなかなか侮れない。『東方』の奇怪な地下都市遺跡・カッパドキアは、その都だったそうだ」

喋っているうちに、秘薬はできた。早速二匹、いや二人に飲ませる。
「こうやって一晩安静にしておけば、脳の中の触媒生物が殺され、徐々に元に戻るだろう。
 少々記憶障害や人格の改変はあるだろうが、大きな支障はない」
「全くもう、人騒がせよね。人体実験はこれっきりにして!
 ……ところで、あの『蛙男』も、こうやって作ったの? 私も時々、夢で会うのよ」
ルイズが質問する。キュルケとタバサは、奥で休んでいる。

「いいや、彼は古代の魔術師『蛙男』の魂を、秘術によって人間の肉体に戻した存在だ。
 ぼくの忠実な部下であり、十二使徒の筆頭でもある」
「……十二使徒って、何者なの? 私は『第一使徒』、モンモランシーは『第三使徒』って言ったわよね」
心配そうな顔のルイズに、松下は落ち着き払って答える。

「まあ、高等な使い魔と言っても、志を同じくする友人と言ってもよい。神の遣わしたメシアの代理人だ。
 人間は皆同じように見えるが、本人は気付かなくとも様々な本性を持っている。
 猫のような人、猿にそっくりな人、牛のような男、蛇のような女という風に。
 人間はその本性を掘り下げると、何らかの別の生物とも繋がりがあるものだよ」
「そうかしら……人は皆、ブリミルの子孫とされているのに」

「『東方』ではもはや、そう考えてはいない。猿に似た動物の子孫という説が有力だ。
 勿論、ブリミルのような優れたメイジの子孫は、メイジになるだろう。だが、生物の起源系統は皆一つなのだ。
 食物を摂取する事で、その遺伝情報……おっと、性質を我が物としているかも知れない。
 昔、『東方』のメイジたちは自分の本性を研究し、その本性を極限まで修業して、そのものに成りきった。
 本性が蜘蛛だとすれば、蜘蛛と共に生活し、蜘蛛と同じ物を食べ、蜘蛛の巣を張って虫を取るほどに修練する」
「きゃっ」
「そうした術の最も優れた十二人の者が『東方の神童』の下に集い、千年王国を樹立する手助けをするという。
 それが『十二使徒』だと伝説にはあるのさ」

ギーシュはモグラ、モンモランシーは蛙。では、松下を呼んだルイズはどうか。
「……じゃあ、ひょっとして私も、何かの動物だったりする? 猫とか」
「さあね、それは自分でないと分からない。前の十二使徒には、召喚した悪魔や、警官や召使い夫婦や幽霊、
 自分の父親や同級生の子供まで含めていたからなあ。別に二十四人の長老や14万4千人の選民でもいいのだが。
 おお、どれも十二の倍数だな。イスラエルの十二族長が元だからなあ」
「わりといい加減なのね……」
構わず、松下は続ける。
「うむ、ぼくを召喚したきみが第一使徒、忠実なる信者シエスタは第二使徒。
 モンモランシーが第三使徒で、ギーシュが第四使徒。ならばキュルケが第五、タバサが第六、マルトー親父は第七か」
「平民でもいいの?」
「人間は皆同じ生き物だ、差別は良くない。この『占い杖』も自分の意思を持つし、第八使徒にしよう。
 ミスタ・コルベールを使徒に加えるかは、保留だ。どうも宗教には距離を置くタイプらしいし」

と、その『占い杖』が動き出した。何か危険が迫っているらしい。
「ルイズ! 済まないが、キュルケとタバサを起こしてくれ!
 トリスタニアの方角から、何者かがこっちへ来るそうだぞ! 急げ!」
「敵!? なんで、こんなところまで? ていうか、何者よ」

白い霧が、ラグドリアン湖を覆い始めた。
重い風が吹き始め、あちこちに旋風が巻き起こる。冷たい雨も降り出した。
「むむむ、異様な妖気だ。これは、おそらく上位の『悪魔』だぞ!」
「悪魔ですって!?」
森から鳥たちが飛び立ち、獣たちも逃げ惑う。深い霧の彼方から、十騎ほどの馬群が来る。
彼らは生気なき亡者たち。そして、『海洋の公爵』ヴェパールに仕える悪鬼ども。

「おお、水だ! 我が麗しき故郷、水よ!」
女の声がする。彼女は異様な姿の馬から飛び降りると、銀に縁取られたエメラルド色の鱗を持つ人魚となり、
すっと波音も立てずに湖へ飛び込んだ。ウェールズたちは湖畔で待機する。
「今、渡し舟を作るから待ってなさい。湖底から引き上げて来る方が早いかねぇ」

松下とルイズ・キュルケ・タバサは、気配を隠しつつその近くへ向かう。
「……暗くて、よく見えないわ。こんな中を、よく馬で駆けてきたものね」
「ぼくは見える……いや、あの先頭に立つ金髪の男は見覚えがある。あのグリフォンも……。
 しかし、あり得ないか? いや、まさか……」
「見えるの? 勿体ぶってないで、教えなさいよマツシタ」

「あれは、アルビオンのウェールズ皇太子だ。乗っているのは、ワルドのグリフォン」
「皇太子さま!? 嘘、だって、あの時……」
「生きていた、いや『生き返らされた』のだろう。アルビオンの支配者となった、クロムウェルによって。
 でなければ、ワルドのグリフォンに乗っているはずはない。クロムウェルが盗んだ『アンドバリの指輪』は、
 死者に仮初の命を与えると言っていたな。ならば、それだ」

「湖に飛び込んだ女は、強い」
タバサが口を開いた。松下もそれに肯く。
「うむ、あれはこの霧を起こしている『悪魔』だろう。正体は掴めないが、水の中なら『水の精霊』がいる。
 ……ちょっとヴォジャノーイを呼んでみるか」
松下が湖面に呪文を呟くと、やがてざばりとヴォジャノーイが現れた。
「何か御用ですか、『東方の神童』よ」
「うむ。今、怪しい女が湖に飛び込んだだろう。奴は何者か、分かるかな。
 どうも恐ろしい悪魔らしいので、『水の精霊』に伝えてくれ」

「ひえっ、悪魔ですって! この間から災難続きだ! 分かりました、すぐ伝えます!
 おお偉大なるストトントノス大王よ、我らを守りたまえ……」
ヴォジャノーイは再び湖底へ去る。しかし、バチュッと水中で何かが爆ぜる音がした。
ぷかりと両断されたヴォジャノーイが浮かんでくる。

「しまった、水中を伝わる音を聞きつけたな! 判断ミスだったか!
 皆、岸辺からできるだけ離れろ! 悪魔が襲ってくるぞ!!」
水面が不気味なエメラルド色に輝き、気泡と波紋が広がる。『海洋の公爵』のお出ましだ。
それを合図に、馬群もざわつき出す。グリフォンに乗る皇太子らしき人物も、こっちへ駆けてきた。
「公爵よ、どうした! 伏兵か!」

「あの声は、確かにウェールズ皇太子のようだ。では、なぜここに……」
すると、グリフォンの上に横たわっていた女性も、よろよろと身を起こす。
「眠っていたまえ、きみは大事な人質だ」
皇太子が声をかける。それを見たルイズとキュルケは、あっと声をあげた。

「「あれは、アンリエッタ女王陛下!?」」

(つづく)
154名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 01:35:00 ID:vh7kL7IC
投下終了。敵は『磯女』の超上位種みたいな感じの悪魔、ヴェパール(セパール)です。
水域の侯爵フォルネウスやフォカロルでもよかったが、特殊能力が微妙なので。
足洗邸? テイルズ? 何の事やら。
それでは、また。
155名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 01:35:59 ID:NZbr/LLL
>>150
激しく死亡フラグだが
ギーシュが円満に二股を…


松下乙!
156名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 01:57:50 ID:Yi6HtUtI
ぶっちゃけまとめのグフを見て触発されて書いた短編ですが、投下しまー。
157誰がために1/2:2007/11/16(金) 01:59:59 ID:Yi6HtUtI
縦隊を組んで進むアルビオン軍、総勢七万。
その全容が見渡せる小高い丘の上に、二人の竜騎士がいた。

「醜いものだな」

ウェーブがかった髪の初老の竜騎士は、アルビオン軍を見つめてそう呟いた。

「見るがいい、奴らの瞳を。血に飢え殺戮の時を待ち望む狂人の瞳だ。
 もはや奴らは己が誰のために戦っているのかすら覚えてはいまい。
 戦争は人を狂わせる。しかし、戦士たるもの己がなにゆえに戦うのかを忘れてはならぬ。
 それまで犠牲にしてきた者たちのためにもな……」

その傍らに立つ金髪の竜騎士、ジュリオ・チェザーレは大軍勢を見つめたまま、静かに頷いた。
竜を駆るものならば今やこのハルキゲニアに知らぬ者はいない、この初老の竜騎士は憧れの存在であった。
何者にも頼らず、自らの才覚と努力のみで最強の竜騎士と呼ばれるようになっただけでなく、
欲や保身にとらわれぬ『真の貴族』のあり方を体現するこの男に、ジュリオは柄にもなく惚れ込んでいたのだ。
殿軍を命じられた『虚無』をかばい、死地へ赴かんとする彼についてここまでやって来たのも、
その行く末を最後まで見届けたいという思いがあったからである。

158誰がために2/2:2007/11/16(金) 02:00:47 ID:Yi6HtUtI
「やはり往かれるのですか?」
「うむ……ここはわしの国ではないし、目の前に苦しむ民がいるわけでもない。
 だがな、奴らを野放しにしておくわけにはいかん。
 奴らは民から食料を奪った。戦のために自ずから民を犠牲にせんとしたのだ。
 貴族どころか、人の風上にも置けぬ、下衆どもを許す道理はない」
「ですが! あなた一人が立ち向かったところで、アルビオンの首魁を打ち倒せるわけではありますまい!」
「己の槍で守れるものの中に、未来への可能性があるならば……そこに命を賭けるのもまた、騎士だ」

竜騎士はそう言うと、翼を休めている自分の竜の背から、ひとつの包みを取り出した。
布にくるまれたそれは、実にジュリオの身長ほどもある長槍であった。
竜に跨った状態でこそ真価を発揮するそれを振るって、この男は大陸一の竜騎士となったのだ。

「これをおまえに預けておく」

無造作に槍を突き出す。
不意に重量物を渡されたジュリオは、その重さに戸惑いながらも、次の瞬間には驚愕の表情を浮かべた。

「こ、これはグングニルの槍ではありませんか!
 これから出陣なされるというときに、どうしてこれを……まさか!」
「もういい、わしは疲れたのだ。あとはおまえたちの好きにせよ。
 ルイズを頼む。わしの願いはそれだけだ」

竜騎士はジュリオに背を向け、自分の竜へと歩み去っていく。
竜――老成した雌の飛竜も、主の戦意の高まりを受けて、その翼を大きく広げた。
アルテナ、と竜騎士は飛竜に呼びかける。その声は小さく、ジュリオには聞こえなかった。
竜騎士は携帯していたもう1つの槍を握り、飛竜の背に跳び乗った。

「行くぞ。……では、さらばだ、ジュリオよ!」

飛竜は翼を羽ばたかせて巨体を宙に浮かべると、風に乗ってぐんぐんと加速する。
アルビオン軍の外郭を構成する部隊がその姿を認めたが、一瞬の後にそれらの部隊は根こそぎ吹き飛ばされた。
飛竜と竜騎士が翼と槍を掲げ、己の存在を誇示するように飛び回る。
彼らが襲い掛かった部隊は次々と吹き飛び、大軍に虫食いのような穴が形成されていく。
七万の軍勢は瞬く間に大混乱に陥り、一刻も早く迎撃しようとするあまり、同士討ちを始める者たちまで現れている。
ジュリオはその光景をぎりぎりまで目に焼きつけようと、食い入るように見ていたが、固く握り締めた槍の感触に気づき、
何かに急かされているような気がして、慌ててアズーロに跨った。


竜騎士も飛竜も、すでに虫の息といってよかった。
空を覆わんばかりの無数の魔法を、矢を、時には体当たりまがいの攻撃を受け、腕も、翼も、血にまみれていた。
だが、それでも彼らは飛んでいた。そして戦っていた。
彼らと対峙していたアルビオン軍のとある兵士が、そのあまりの威容に恐怖を覚え、思わずある言葉を口走った。
おまえはいったい何者なのだ、と。
竜騎士は、もはや見えているのかも定かではない目を光らせ、口の端を獰猛にゆがめて、言った。


はっはっは……アルビオン軍のザコどもよ

わしがトラバントだ

冥土の土産に、よく覚えておけよ!


#ファイアーエムブレム聖戦の系譜より、トラバント王を召喚
159名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 02:03:51 ID:Yi6HtUtI
投下終了。
ジュリオはこんなキャラじゃないかな…?
160名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 02:19:56 ID:p5N/siWS
>>159乙です

今は投下よろしいでしょうか?
161名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 02:24:12 ID:N03mrWZZ
支援!
162アカイロマジカル:2007/11/16(金) 02:26:28 ID:p5N/siWS
投下しますね。


第三幕
御使い(お使い)





ご主人の後に様をつけなさいよ、様を。
ご主人、馬鹿か貴様。




「乾いたかな」
木に掛けておいた上着を取る。陽に当てて置いたおかげで、上着はカラカラに乾燥している。
「しかし、困ったなあ。ドジッ娘メイドだったのか、シエスタは」
実のところ。ぼくは、ある現実に直面していた。横目で水場に置いてある洗濯物を見る。そこには、パンツやらブラジャーやらメイド服やら制服やら赤やらetc……が置いている。
これ、このまま置いておいていいのか? もしも、ぼくが下着に欲情する様な人間だったらどうするんだ。まぁ、そりゃ、少しはするけどさ。主にメイド服とかメイド服とかに。
ぼくは考える。このまま放置すると《魔法学園制服見本市。ただし、出品者はマリコルヌ》みたいな状況になりそうで危険だ。
実際問題、今だって危険なんだけどね。だってさ、水場にある下着や服を見ながらうろうろしている人を見たら、誰だって変質者に見える。ぼくだってそう見る。
考えると、頭痛が痛くなってきた。と、誤法を使用する仕様。と、語法を試用してみよう。
そうか、ぼくは戦慄する。くそ、あのメイドめ。なんという周到な罠だ。まさか、ぼくを間接的に犯罪者にしようと、十重二重の伏線という罠を仕掛けていただなんて。そりゃぼくもワナワナと震えるわな。
そこで。
「どうかされましたか?」
はい、本日二回目。声の主は、子供の時に教わらなかったのだろうか。後ろから変質者に声をかけてはいけません、と。ぼくは教わっていません。くそっ……殺るか?
後ろを振り向くと。背が高く、緑色の髪の女性が冷たい眼でいた。確か、……ええと。学園長秘書のミス……ロング……そう! ロングライフルだ。
そしてぼくはミスロングライフルに終演を始める。いや、言い訳を始める。
163アカイロマジカル:2007/11/16(金) 02:31:27 ID:p5N/siWS
「違います! 怪しい者ではないのです。ぼくは決して貴女にメイド服を着せようとか、背の高い女性のメイド服は良いよね。だなんて思ってはいません。本当です、信じて下さい!!」
ギーシュ・グラモン、渾身の言い訳だった。
「……下着泥棒ではないようですね。」
と言い。「ただのメイドマニアですか」と付け加えた。
何故だか誤解されている。……何故だ。ぼくには解らない。
そこでミスロングライフルがぼくの思考を遮る。
「……で、本当にどうかしたんですか?」
すごく、面倒くさそうだ。ごめんなさい、生まれてきて。
そして、ぼくは説明したさ。そりゃあ、もう親切に丁寧に圧倒的に説明したさ。時には悲しい物語やジョークや激動の人生の話を含みながら説明したのさ。

「……と、まあ。こんな感じです」
「……なるほど。大体の事情はわかりました」
「解ってもらえれば幸いです」
「つまり。貴方はどうしようもないメイドマニアだ、と」
「ええ、そうですね。個人的には、おさげに眼鏡等もなかなか必須ですね……って何故に!」
乗り突っ込みさせられた。ロングライフル恐るべし。やはり、素性の違う人は面白いなぁ、と素直に思った。
そして。ミスロングライフルは、ぼくの乗り突っ込みに満足したのか。
「では、私がそのメイドまで洗濯物を届けましょう」と、言ってくれた。神だ。
ぼくは、ロングライフルの背後からでる後光に眼を細める。……愛してるよ、ロングライフル。嘘だけどね。

「しかし、私は今から用事があるのです。だから、貴方が私の用事をする。どうですか?」
どうですか。などと言われてもね。ぼくとしては、選択のしようもない提案である。
「ええ、まあ。こちらからすれば、願ったり叶ったりですけど。ぼくに出来る事ですか?」
「簡単な事ですよ」ミスロングライフルは微笑む。
「宝物庫に行って、ミスタコルベールに宝物のリストを作って下さい。と、伝えるだけです」
「それでいいのですか?」
ミスロングライフルは頷いた。
164アカイロマジカル:2007/11/16(金) 02:34:57 ID:p5N/siWS
なんとなく無理難題を言われる様な気がしていたぼくとしては、多少すかされた気がする。これを残念とみるか、良かったとするか。
「わかりました、宝物のリストですね」
「ええ、宜しくお願いします。では、私はこれを持って厨房に……」
ミスロングライフルはしゃがみこみ、洗濯物の入ったかごに手を掛け、動かなかった。
声を掛けてみる。
「どうかしたんですか?」
しゃがんだ姿勢のまま、首だけをぼくに向ける。
「……なかなかに、重い。一つ聞いていいかい?」ぼくは気にしない。
「はい」
「貴方は、か弱い女性にこんな重い荷物を持たせて平気なのですか?」
平気なのです、薔薇の茎は細いのだよ。とは言わない。
「……はあ。半分持ちます」
ぼくは置いてあった空のかごに、洗濯物を入れた。……結論。この赤い服が重い。何の糸で織ってんだよ。これは、ぼくの体力が無い。とか、お腹が空いて力がでない。という問題ではない。十キロくらいあるんじゃないか。
「ところで。さっきの用事は、昼食を済ませた後で良いですか?」
そういえば、朝から何も食べていないので、厨房に行ったついでに昼食を食べよう。という下劣な考え。
ぼく達は、厨房に向かい歩き出す。
「ええ、良いですよ。……しかし、貴方は変わった人ですね」
「そうですかね?」
「失礼ですが、あまり貴族らしくない」
ぼくは正直に答えた。
「まぁ、そうかもしれませんね。でも、ぼくの生活圏内では、結構貴族っぽくしてますよ。……まぁ処世術みたいな物ですけどね」
ぼくは、ぼくでは、あるが。ぼくでは、ないのかもね。ああ、くだらない。
「酷い……人ですね」
ロングライフルはぼくに言う。
ぼくは、仰々しく薔薇を持つ。
そして、髪をかき上げ。
「理解してるよ」
と言った。

165アカイロマジカル:2007/11/16(金) 02:38:14 ID:p5N/siWS




ぼくはミスロングライフルに礼を言って昼食の後で宝物庫に行きますと伝えた。
そして食堂で御飯を食べていると。
「ギィィィーシュゥゥァァァー!!」
呼ばれた気がする。叫ばれた気がする。求められている気がする。なにこの根底から間違った三段論法。
ぼくは、声の発された方向を見る。マリコルヌであった。全く、元気な奴だ。
「やあ、久しぶりだね。ざっと考えて、二日ぶり位かな?」
「そうだね。大体それ位だね……って何でだよ! 朝会ったよ! 今朝会ったよ! ステータス異常、忘却かよ!」
はて? ぼくにそんな記憶はないはず。失礼な奴だ。まあいいや。
「で、何の用だい? もしもくだらない用事で、ぼくの食事を邪魔すると言うのなら。ぼくは、君に糖尿病の恐怖を誠心誠意、親切丁寧に一から十まで教えてあげよう。もし君が望むならチェックリストを作ってもいい」
「……ひでぇ」
「ふむ。では、まず第一の恐怖……」ぼくは水泳の出走者紹介の様に言った。
「……止めてくれ。いや、やめてください」
もう少し続けたいが、止めておく。そして前からレイナール達が来た。
「やあギーシュ、久しぶり」(レイナールくん。視力2,0、しかし眼鏡。真面目。結構鋭い)「あんまりマリコルヌを苛めるなよ」と笑いながら言う。
「うん、ちょっとやりすぎたかな」
ぼくはマリコルヌを見る。未来への恐怖を感じているようだ。
「いや、マリコルヌは喜んでいるとみたな」これは(ギムリくん。凶悪な顔。漢。エロス)「ほら、良く見てくれ。あれは明らかに快楽中枢神経を、刺激された顔だ」
そう考えると。項垂れたマリコルヌが、快楽に呑まれたように見える不思議。
レイナール達はテーブルに着く。
「マリコルヌが恋をしたらしいんだ」「また幼女?」「いや、違う」「嘘だッ!」と、言いつつ祝福。ペドコルヌ卒業おめでとう。
「ふーん。恋といえば、ギーシュは彼女とかいるのか?」恋で何故ぼく。
「なあ、ギーシュ。お前、今は誰かとつきあっているのか?」
「そうだ、誰が恋人なんだ?」マリコルヌ復活。寝てろ。
なんだよ、この質問ラッシュは?
「つきあう? ぼくに特定の女性はいないよ。薔薇は多くの人を楽しませるのだよ」ぼくは適当に答えた。
166アカイロマジカル:2007/11/16(金) 02:40:55 ID:p5N/siWS

その時、昼食特有の喧騒に包まれた食堂は。まるで、聖堂に変異したかの様に、静寂に支配された。
全生徒の視線はただ一点の異常に注がれる。
そして。視線の先、壁になって見えなかった人の波が割れた。
そこには、ただ一人のメイドがいた。
生徒は口々にぼそぼそと何かを言っている。「……ンパイ…キラー」「翼…殺し」「人……強」よく聞こえないが、物騒な響きだ。
ぼくは、そのメイドを見た。肩まで届く長さの髪は、異様といっていいほどの艶がある。眼鏡を掛けた奥の瞳は見えない。背も高く、どこかの王女か何かを思わせるくらいプロポーションが良い。
間違いなく美人を思わせる風貌だった。しかし、なにやら近付きがたい雰囲気がある、万人に好かれるタイプではないだろう。
「へぇ」
素直に感嘆の声を漏らしてしまう。
ぼくは、歩き出したメイドと、目があってしまった。そして、目の前まで来てぼくの顔を凝視する。眼鏡の奥から発された圧倒的で暴力的な視線で威圧されたぼくは動けなくなってしまった。
「うむ、腐った眼だ」
この人はいきなりなんて事を言い出すんだ?
「ようっす、にいちゃん。はは、こんにちは」
「……こんにちは」
「馴れ馴れしく挨拶するな。はは、いやいや、驚きだ。……さて、っとう」
そして、ぼくは蹴られ。意識を失った。
167名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 02:43:56 ID:VJY8vswQ
支援
168アカイロマジカル:2007/11/16(金) 02:44:37 ID:p5N/siWS
投下終了です。
支援ありがとうございました。
169名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 04:55:15 ID:q5eHVbVR
GJ
ギーシュがどんどんいーちゃん化していくな
西尾維新の地の文ぽくていい感じ
170名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 05:11:14 ID:nV+D2kWW
哀川さんなにやってんすかw
そしてぎーちゃんはこのまま、戯言三巻の冒頭状態に突入か?
171名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 06:32:55 ID:a7z4ADx3
乙です。

避難所で、NARUTOの白をおにゃのことして召喚したいと書いた。
しかしどうやったものか……ルイズが彼女をどう扱うか、も含めて。
白も女だったら前スレにあったコンプレックス要因を全部持つことになるしな……。
172名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 06:48:49 ID:09sSk1UM
いちいち本スレでそんなこと言わなくても良いよ。
あとTSとかそう言うのはスレ違いだから、別の場所行ってやってくれ。
173名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 07:00:45 ID:LDqyRSys
脳内キャラは止めて欲しいなぁ
174名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 07:31:56 ID:jxMAK5/V
出かける前に来てみたけど
シレンの人原作知ってる?
175名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 07:41:27 ID:9koEM0gB
>>174
召還の鏡持ってたあたりか
あれは罠士の腕輪で罠士状態だったから持てたんじゃないかと推測している
176名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 08:00:03 ID:xOyBZQYr
>>171
スレタイ位読んだら?
書くなら他所行ってね、避難所でもアウトだからその脳内妄想。
177風来のルイズ:2007/11/16(金) 08:02:18 ID:DLcc0vWJ
>>174
あの鏡は本当は罠じゃなくて盾の一種だと思って下さい。
ゲームのシレンがどんな風に話すかどうか分からなくて、あんなキャラになってしまいました・・・コッパ出せばよかったかな・・・
178名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 08:03:48 ID:jxMAK5/V
>>177
ああ、そうでしたか。疑ってすいませんでした。
期待しておりますのでがんばってください。
179おねがい☆メイジっ!(1レスのネタ):2007/11/16(金) 08:52:06 ID:PmtMRgNQ

ルイズが召喚したのは平民の人間、背の高い赤い髪の女性だった

「あんた…何…?」

「…わたしは風見みづほ・・・・・・17歳♪」

その場が 凍りついた

遠くでミス・ロングビルが小さく「オイオイ」と呟く


他の並行世界の使い魔同様に、彼女もまたギーシュとの決闘をする事になった

「ゆけ!青銅のゴーレム!あの平民女をアレしてコレしてあーしちゃいなさい!」

ゴーレムに囲まれ攻撃を受ける寸前、使い魔は小さく「おねがい、マリエ」とと囁いた

突然、ギーシュの目の前に使い魔が現れた、ギーシュは薔薇の杖を構えるが
次の瞬間、彼はその使い魔の持つ武器、そしてその攻撃の恐ろしさを身をもって知ることになる


           ぽふっ

「…グラモンくん……女のコはね、とっても柔らかくて、強くて…でも…壊れやすいものなの…
男のコはね…青銅の剣じゃなくて、その手で、その優しさで女のコを包んであげなきゃいけないものなのよ」


その使い魔の腕に抱かれ、その豊かな胸に頬を埋めたギーシュは
使い魔の「最優先事項よ♪」という言葉に「…ふぁ〜い…」と杖を捨てる

ルイズが走り寄って、その不思議な使い魔に尋ねた

「……あなた……何者……?」

使い魔は眼鏡を指で押し上げ、優しく微笑みながら答える

「・・・・・わたしは風見みづほ・・・・・・17歳♪」

その場に集まっていた全校の生徒が 「 オ イ オ イ !」 とつっこんだ

風見みづほ先生はその後も数多くの活躍を見せ
ヴァリエール家長女のエレオノールは彼女に会いたがったが
その望みが叶うことはなかったという

180名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 09:28:09 ID:aRd5ry74
「これはいい17歳教祖対決」になるところだったのにw
181名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 09:54:21 ID:gR3G6cy6
>169>170
マジ?
戯言って「アカイロ〜」みたいに無駄に冗長な文で
しかもダジャレみたいなの連発するのか
元ネタ読む気失せた……
182名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 10:05:42 ID:wYjLJWyE
それは中の人が「時空を越えた17歳」と言ってるからなぁ…
183名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 10:07:13 ID:Q3k8ju52
エルドラン召喚

「トリステインの子供たちよ、これを預けよう」
メンテも補給も修理も不要
モノによっては壊れた建物すら直っちゃうぞ
184名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 10:08:06 ID:WoUYKoeN
永遠の17歳&赤き制裁(オーバーレッドキル)グッジョブ!!

>181
人によっては良いとも言うし、理解できないとも言う。まあ、知らずに居る方が幸せだったと言う事もある。
徹頭徹尾、人が死ぬ物語だからそういうのが嫌いなら読まない方が良いよ?
185名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 10:20:52 ID:K/oQ17MR
>>181
マジで毒吐き行けこのクズ
186ガンダールヴ伝説(小ネタ):2007/11/16(金) 10:28:50 ID:elvCVIzL
・召喚された直後契約しようとしたルイズが左手を見たらすでにルーンがしてあった
・決闘場に立つだけでギーシュが泣いて謝った、心臓発作を起こす学長も
・攻撃を受けたワルキューレと、それを受け止めようとした他6体のワルキューレともども壁に激突させた
・グッとガッツポーズしただけで辺りの女性の心を奪った
・超重量のウエイトを着けながら戦闘していたため戦闘後脱いだ服を机に投げたら机が真っ二つになった
・アルビオン内戦が始まったきっかけはガンダールヴの投げた石によるレコン・キスタ本拠の破壊
・ガンダールヴにとってのデルフリンガーは市販バットの代用品
・ガンダールヴは宝物庫の破壊の杖を物欲しそうにしているフーケにグローブを作ってあげたことがある
・ゴーレム撃破しても納得いかなければフーケを捕まえないで帰ってきてた
・メイジを一睨みしただけで杖が手から滑り落ちる
・眼がよすぎるせいか魔法の成分まで見える
・街でガンダールヴが歩くだけで物価が上がる
・ガンダールヴが寄る店は繁盛する
・ガンダールヴは本気を出した事がない
・まともな動きをすると周囲に怪我人が発生するので力をセーブしてた
・ガンダールヴの動きに竜族の感覚が反応してしまうので常に警戒されていた
・じつは剣にぎってるのは小指だけ
・ガンダールヴに杖を盗られたことにまだ気づいていないメイジも多い
・ガンダールヴに一度攻撃を当てればその決闘は相手の勝ちというルールはもはや伝説
・気絶させられれば即相手に全面降伏決定という破格のルールも達成できた人物はなし
・ハンデとして目を瞑って戦闘に入るルールも導入されたが全然ハンデにならなかった
・走って半日でラ・ロシェールまで行けた
・岩のゴーレムも余裕で撃破
・軽く投げた石で、飛行中に出没した空賊の船を轟沈した
・部屋の深い位置からウェールズを狙った魔法も処理してた
・一回の素振りでデルフリンガーが三本に見え、偏在を消し去った
・素振りでハリケーンが起きたことは有名
・戦争開始時は学園の中から投石をしていた
・やめた理由はガンダールヴの球が敵を通り越したから
・2騎連続撃墜は「今日はヨシェナヴェが食べたい」という暗号
・砲弾キャッチ後のレーザービームでレキシントン号撃沈したのはあまりにも有名
・ガンダールヴには「虚無」が見えていたらしい
・ガンダールヴが召喚された時点で虚無魔法全部使えていいだろ
・敵のレコン・キスタ軍の罵声に流暢なアルビオン語で反論しながら倒す
・7万人差、味方軍全員撤退の状況から1人で逆転
・ガンダールヴがケガしたら国の仕事中断
・ガンダールヴが行動すると固定化が弱まる
・病気のタバサママに内野安打を約束
・先住魔法を打ち返してエルフにぶつけた(虚無魔法でも問題ないとのこと)
・あまり戦いすぎるとこの星が傷付くから戦いたくないという名言
・「聖地」というのはガンダールヴが護っている場所の通称
・その気になれば、ガリアのジョセフ王にもホームランボールをぶつけることができる
・二つの月のひとつはガンダールヴの打った玉
・普段1cmほど浮いているらしい
・ガンダールヴはテンションがあがると分身する
・唯一、神と精霊、始祖すらを遥かに凌駕し超越した人類
187名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 10:28:54 ID:gR3G6cy6
>184
当たらずとも遠からずって事か、むしろ否定を期待していたんだがなー
読者を選ぶ文体なのかムムム
なんか美味しそうな毒を用意された気分だw
>181
誤解されたなら謝る
>169>170が持ち上げてるのか事実なのか知りたかっただけなんだ
188名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 10:44:03 ID:BmGeVZir
全盛期のイチローかいな
189名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 10:44:27 ID:oftwIsPF
戯言はねー。
熱狂的なファンと猛烈なアンチといるからな〜。


熱狂的なファンと猛烈なアンチといえば、リボーンのクローム髑髏を召喚してみたいと思っているが、
アンチがやってくるのが怖くて書けないorz
190名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 10:48:33 ID:qmYgyUZR
友達が髑髏ちゃん髑髏ちゃん言うけど撲殺天使の方ばっかり思い浮かんで仕方が無い
191名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 10:51:37 ID:fMYLJnTP
>>189

本編読む機会が何となくないままなんだが、思い切って書いちゃいなや。
あんまり荒れるのも何だが、そこそこ腹括ってやるのもいいと思うYO?
192名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 11:04:47 ID:gR3G6cy6
>189
なるほどね、変な文体(他にどう表現しろとw)でメガヒットなのが理解できた
>リボーン
小ネタならたぶん大丈夫
避難所ならきっと大丈夫
193名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 11:15:41 ID:02QmXSp2
>>186
フイタwwwwwwwガンダールブどんだけwwwwwwww
194名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 11:58:59 ID:AUZtEToG
ガンダールヴは神だと思っている。
7年ほど前の虚無の休日に友人とタルブの村のガンダールヴ実家(ヨシェナヴェ屋)に
食べに行った時の話。
友人と3人でヨシェナヴェを囲んで食事をしているといきなりガンダールヴが
玄関から入ってきた。ヨシェナヴェ屋に似合わないロマリアンないでたちで。
ガンダールヴが「俺いつもの〜」と言って二階へ上がろうとすると、
店内にいたレコン・キスタ集団が「ガンダールヴさん!」「ガンダールヴさんかっけー!」などと
騒ぎ出し、ガンダールヴが戻ってきてくれて即席サイン会になった。
店内に13、4人ほど居合わせた客全員に店内にあった色紙を使い
サインをしてくれた。
レコン・キスタたちがガンダールヴの母校静岡学園のサッカー部だとわかったカズは
いい笑顔で会話を交わしていた。
そしてガンダールヴは「またな〜」と二階に上がっていき、店内は静かになった。
私と友人はガンダールヴの気さくさとかっこよさに興奮しつつ
食事を終え、会計を済ませようとレジに向かうと、店員さん(デルフ)が
階段の上を指差しながら
「今日のお客さんの分は出してくれましたから。また来てくださいね」と。
あれには本当にびっくりした。
195名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 12:11:51 ID:xvR/Ox6q
>>194
とりあえず剣が指差すなwww
196名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 12:20:27 ID:o2aBvGIn
>>184

デルフwwwwwついに人になっちゃったwwwwwww
197名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 12:21:45 ID:o2aBvGIn
間違えた。>>194
198名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 12:28:45 ID:Vvcz7Sa1
いやまて、デルフが人間を操ってるのかもしれんぞ
つまり、中の人デルフだったんだよ!
199名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 12:29:35 ID:270qqHgH
カズ異世界でもがんばってねwwww
200名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 12:42:58 ID:DoKoaHzM
>194
おもれぇw

だが
> ガンダールヴの母校静岡学園のサッカー部だとわかったカズ
ここを「彼」とかに改変してあれば完璧だった
201名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 12:45:48 ID:yVKV1zhG
どんな改変をしようと一箇所はカズを残しておくのが、このネタのジャスティス
202名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 12:46:26 ID:aRd5ry74
コピペの改変ネタは改変し忘れると致命的だからなあ……。
203名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 13:06:39 ID:+swxueV8
って言うか、レコン・キスタがみんな日本出身なのかよ。
204名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 13:30:54 ID:Sk8SAWh1
改変し忘れも含めてネタだろ
205名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 13:31:06 ID:vng55kf6
自称17才と聞いて、どこぞの黒科学を扱うテロリストのボスで
教師な人を思い出した。
206名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 13:32:44 ID:EgjcSg0e
カズコピペの改変ネタが来ると
一カ所カズのまんまだよ、って言う奴が必ず一人は出るよな
まあその流れまで含めて一つのネタと考えることもできるが
207名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 13:32:46 ID:ikv90spl
いや改変し忘れるのがこのコピペの定番ですから
208名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 13:33:21 ID:5cHBj2d6
何の脈絡もなくアイシールド21からヒル魔が召喚されてハルケギニアにアメフトを広める電波を受信し損ねた
209名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 13:35:43 ID:oftwIsPF
>>205
舞死だと本当に17歳らしいぞ。
210爆炎の使い魔:2007/11/16(金) 13:36:16 ID:CfBtgTKL
誰もいないなら投下予約いいですか?
211名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 13:41:18 ID:nXahvY2O
自分は支援しますよー
212爆炎の使い魔:2007/11/16(金) 13:44:04 ID:CfBtgTKL
では投下します。

どんな世界でも朝というものはやってくる。
ここハルキゲニアとて例外ではない。
朝日が部屋に差込み、ヒロは眼を覚ました。
「朝か、・・・・そういえば召喚されたのだったな。」
どうやら夢ではなかったようだ。
ベッドのほうを見ればルイズが寝息を立てている。
見れば見るほど子供のようだ。10台、それも10代前半にしか見えない。まあ、見えないだけかもしれないが。
さて、まだ2日目だが、この世界がどんなものなのか、自分はまだ良くわかっていない。
ルイズは授業があるといっていた。ならばとりあえずは情報収集でもするか。と考えた。
「ん・・・」
ルイズが寝返りをうつ。
そろそろ起こしてやるか。別に小間使いになったわけではないが、まあこれくらいはいいだろう。
自分の甘さに疑問を浮かべつつもヒロはルイズを起こした。
「ルイズよ、起きろ。朝だぞ」
「んあ・・そう?・・・・って誰よあんた!」
「なんだ、昨日のことも忘れてしまったのか?」
「ああ、使い魔ね。そうか、昨日召喚したんだっけ」
「とりあえず、今日は授業とやらがあるのだろう?早く起きたほうがいい。私も道案内がてらこの建物の中を見て回りたいからな」
「服、着せ・・・」
着せて、と言おうとしてやめた。
昨日の夜、この使い魔は言ったではないか。使い魔にはなるが、小間使いになった憶えはない。と
服を着せて、など言おうものなら容赦なく蹴られるかされそうだ。
「使い魔のくせに・・・」
ルイズはぼそっともらす。
「何か言ったか?」
「な、なんでもないわよ!」
仕方なく、ルイズはいそいそとクローゼットから衣類を取り出し着替えた。
「あんたは着替えなくていいの?」
「何、とりあえず服の変えはいくつかある。あとで洗濯でもするさ」
「ふうん」
213名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 13:44:36 ID:nXahvY2O

214爆炎の使い魔:2007/11/16(金) 13:45:18 ID:CfBtgTKL
ルイズと部屋を出ると他にもドアが並んでいる。
どうやら全寮制の学園のようだ。つまり隣の部屋にもルイズと同じ生徒がいるということだろう。
するとそのドアの1つが開き、中から赤い髪の少女が現れた。ルイズよりも背が高く褐色の肌をしている。そして、
(無駄にでかい胸だな)
ヒロが受けた第一印象はそんなだった。
「おはよう。ルイズ」
ルイズは嫌そうな顔を隠しもせずに挨拶をする。
「おはよう。キュルケ」
「あなたの使い魔ってそれ?」
キュルケはヒロを指差して言った。
一方それ呼ばわりされたヒロは特に気にした風もなない。
「へぇ。本当に人間なのね。あたしほどじゃないけどまあまあの美人じゃない。でも平民じゃどうしようもないわね」
キュルケは珍しそうにヒロの顔をじろじろ見る。
昨日から良く聞く平民という言葉、この世界はそれだけ階級制度があるということだろうか。
だとすれば異種族はまだ見かけてないが、もしいたら大変そうだ、とヒロは思う。
もし、あの新生シンバ帝国のように人間至上主義だったとしたら。
(確実に追われる身だな。ルイズの使い魔ということで回避できるかもしれんが)
キュルケは視線をルイズに戻す。
「それにしても、サモンサーヴァントで平民を呼び出しちゃうなんて、貴方らしいわ、流石は『ゼロ』のルイズね!」
ルイズの顔が真っ赤になりだす。
「うるさいわね!」
「あたしも昨日使い魔を召喚したわ。誰かさんと違って一発で成功しちゃったわよ。」
「あっそ」
「どうせ使い魔にするなら、こういうのにしておきなさいよ。フレイム〜」
キュルケが得意げに呼び出すとキュルケの部屋から真っ赤で巨大なトカゲが姿を現した。
「ふむ、サラマンダーか」
「あら、あなたサラマンダーを見たことあるの?」
「まあな」
215名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 13:45:37 ID:nXahvY2O

216爆炎の使い魔:2007/11/16(金) 13:46:14 ID:CfBtgTKL
ヒロがサラマンダーを見る。サラマンダーはヒロと目が合った瞬間に驚愕の表情をする。
同じ火の属性同士だからだろうか、それとも野生動物の本能か。明らかに自分よりも格上のヒロを見て、自分が格下なのだと感じるフレイム。
それに対し、特に興味があるわけでもないヒロ。
それに気がついてないのかキュルケは自慢を始める。
「それなら話が早いわ!見て、この尻尾。ここまで大きくて鮮やかな炎の尻尾は間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ!
ブランドものなのよ〜。好事家に見せたらまず値段なんてつかないわね」
「そりゃよかったわね・・・」
表情に悔しさが出ているルイズ。
「素敵でしょ?あたしの属性である『火』にぴったりなの」
キュルケは得意げに胸を張り、ルイズも負けじと胸を張るが、サイズの違いというものは残酷であった。
そんな2人をヒロは冷めた目で見る。
(まったく、ルイズはルイズで負けず嫌い、キュルケとかいったかこのデカ胸は、こいつもこいつでルイズで遊んでいるな。・・・ハァ)
ヒロはやれやれと首を振る。
そこでキュルケはヒロのほうに向く。
「そういえば、あなた、お名前は?」
「ヒロだ」
「そう、ヒロね。憶えたわよ。じゃあお先に失礼〜」
そう言うとキュルケは髪をかきあげて去っていった、フレイムがその後をちょこちょこついていっている。時折こちらを振り返りながら。
キュルケが視界から消えるとルイズは拳を握り、悔しそうな声を上げる。
「キーー!何なのあの女!自分が火竜山脈のサラマンダーを召喚したからって!!」
「たかが火蜥蜴1匹、気にするほどのことでもなかろう」
「気にするわよ!メイジの実力をはかるには使い魔を見ろって言われるくらいなんだから!
何であの女がサラマンダーで、私があんたなのよ!」
「よかったではないか」
「何がよ!」
「たかが火蜥蜴1匹なら私のほうがはるかに上だ、私なら1秒もあれば17体に解体している(加速とサウザンドキルを使えばな)」
なんてことを言うのだろうかこの使い魔は。
「平民のあんたにそんなことできるわけないでしょ!もういいわよ!さっさと授業に行くわよ!」
ルイズはどすどすとわざと足音を立てて行ってしまった。
それを見ながら、ヒロはまたもやれやれと首を振る。
「別に嘘を言ったわけではないのだが」
ヒロはそう言うと、口に笑みを浮かべながら、ゆっくりとルイズの後ろを着いていくのだった。
217名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 13:46:38 ID:nXahvY2O

218名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 13:47:45 ID:nXahvY2O

219名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 13:49:06 ID:nXahvY2O

220名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 14:01:16 ID:nXahvY2O
終わったの……かな?
まだ支援します?
221爆炎の使い魔:2007/11/16(金) 14:01:50 ID:CfBtgTKL
規制がかかってしまいました
222爆炎の使い魔の代理:2007/11/16(金) 14:02:08 ID:0PP/C52V
810 名前:爆炎の使い魔[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 13:55:13 ID:W5XahE9U
ああ〜、一応お話は投下終わりましたが、規制がかかってしまいました。

4話目からはここで投下することになりそうです。

とりあえずコメントを

支援してくださった方ありがとうございます。
ようやく3話目、ぐだぐだ感がぬぐえない。
一応分けてはいるのですが、どうも他の作家さんに比べて1話ごとの文字数が少ないような気がしてなりません。
今日は、炊事洗濯をしながら4話目投入できるようにしたいと思います。
ではベッドメイクに行ってまいります。

もしよろしければ代理投下をお願いします。
223名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 14:02:12 ID:YZzmTAST
規制食らったってさ。

810 名前:爆炎の使い魔:2007/11/16(金) 13:55:13 ID:W5XahE9U
ああ〜、一応お話は投下終わりましたが、規制がかかってしまいました。

4話目からはここで投下することになりそうです。

とりあえずコメントを

支援してくださった方ありがとうございます。
ようやく3話目、ぐだぐだ感がぬぐえない。
一応分けてはいるのですが、どうも他の作家さんに比べて1話ごとの文字数が少ないような気がしてなりません。
今日は、炊事洗濯をしながら4話目投入できるようにしたいと思います。
ではベッドメイクに行ってまいります。

もしよろしければ代理投下をお願いします。
224爆炎の使い魔:2007/11/16(金) 14:03:09 ID:CfBtgTKL
と思ったら、書き込めた、びっくりです。代理の方ありがとうございました。
225名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 14:03:10 ID:mjGC4A/P
支援のついでに亀レス

>>183
そのネタ幾つか前の埋め立て時に出てたなぁ
226名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 14:05:23 ID:YZzmTAST
かぶった。すまんorz
227名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 16:11:11 ID:270qqHgH
爆炎の人乙
ルイズ、平民というがヒロの左腕みてなんともおもわんのかね・・・
228名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 16:14:26 ID:270qqHgH
とおもったが隠してたのね読み直してみたら

すまぬ
229名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 17:35:58 ID:Zw9eZ5Z9
>>228
師匠呼びたいのか…?
230ゼロのかじり虫:2007/11/16(金) 17:47:21 ID:DLcc0vWJ
投下してもいいですか?
もしかしたらとってもつまらんかもしれませんが、そのときは怒らないで下さい。
231名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 17:51:37 ID:5qrWzd6X
唐突に「まじしゃんず・あかでみぃ」からの召喚が浮かんだ

タナロット・・・・ダメだギャグにしかなんねえ、アラレちゃん状態だ
羽瀬川鈴穂・・・・・小ネタの哭踊とかぶりまくりか

誰呼んでもバランスブレイカーだなあ
232名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 17:53:05 ID:jxMAK5/V
お、お尻かじり虫?

かもんかもん。
233ゼロのかじり虫:2007/11/16(金) 17:53:49 ID:DLcc0vWJ
「なーに?この使い魔。虫?」
♪おしりかじり虫おしりかじり虫
ルイズのおしりをかじってナンボ
かじってナンボの使い魔だ
おしりかじり虫おしりかじり虫♪
「きゃっ、かじらないでよ!いたいじゃない!」
♪魔法使うにはかじられろ。でなけりゃ一生ゼロのまま♪
「早くはなしなさいよ!ファイヤーボール!」ぼわっ
「やった、炎が出た。ついに魔法が・・・これでゼロじゃない!」
♪おしりかじり虫おしりかじり虫。ちぢんだおしりをかじり虫
かじられちゃって形がよくなる。かじれば胸もでかくなる
シエスタキュルケも目じゃないぞ♪
「炎当ててもはなしてくれないの!?しぶといわね!・・・あれ、服が・・・きつい・・・胸とおしりの部分が・・・これって・・・スタイルかよくなったってこと!?魔法も使えるようになるし、最高の使い魔よ!」
♪おしりかじり虫。おしりかじり虫
香水のおしりと微熱のおしりと
風上のおしりとゼロのおしり
巨大なおしりをかじり虫。メイジのおしりは苦かった♪「・・・他のみんなのおしりまでかじるの?キュルケは余計胸が大きくなるじゃない・・・私の使い魔なのに・・・」
♪おしりかじったらおしりかじっても
おしりかじり虫ゼロゼロ
かじってる。おしりかじり虫
おしりかじるとき。おしりかじり虫
おしりかじりたい。おしりかじり虫
おしりかじり虫。ロマリアガリアトリステイン
あしたも異世界にまだいるぞ。おしりかじり虫
ゼロのかじり虫…♪
234ゼロのかじり虫:2007/11/16(金) 17:55:42 ID:DLcc0vWJ
終了
おしりかじり虫を見て、はまってその場しのぎで作ったのでクオリティは低いかもしれません。
235名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 18:18:11 ID:tjbQBF1V
ワロタw
236名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 18:19:09 ID:3LZmhKMi
>風上のおしり

そんな尻かじるくらいなら何故眼鏡っ娘とメイドさんと美人秘書のおしりをかじらんw
237名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 18:19:55 ID:NZbr/LLL
>>236
つ蓼食う虫も好き好き。

まあ虫だし…
238名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 18:53:01 ID:lX0TW3Bt
>>237
まさにそのとおりで吹いたw
239名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:08:49 ID:dcXtpsy3
>>231
そこでファルチェ召喚ですよ
240名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:17:25 ID:b6BxWAT3
ドラえもんを召喚
ルイズ=のび太
キュルケ=ジャイアン
タバサ=スネオ
なポジションに

241名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:33:32 ID:naQLsG0c
>>239
いや佐久間先輩召喚でしょw
あのウルトラマン的状態のオタク魔王が何しでかすか
見たくない?w
242名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:41:31 ID:KY9e1ejk
>>241
……ギーシュのワルキューレやフーケの巨大ゴーレムも萌え力がない以上
メガネウスやプチネウスの敵ではないな。
243名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:45:38 ID:ONs2dvwW
道は開いていらっしゃるでしょうか。
あいてるようならば投下したいのですが
244名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:47:58 ID:sR5ZSFYl
一言言っておこう。支援
245ダブルクロス ゼロ 1/9:2007/11/16(金) 19:48:35 ID:ONs2dvwW
空いているようなので投下させていただきます。

 空から無数の粒が世界に降りてくる。それはいつか見た――ハヤトの中に見た、何かだ。
 粒は無数にある。大きさは全部均等で、丸い。白くて雪のようにも見えるけど、冷たくはない。感じるのはただの重さだけ。
 でも不思議。粒は世界を覆うほどに振っているというのに、それでも世界はなお輝いて見える。
 今は夜なのに、変なの。
 そんなことよりも、粒は私を大地に縛りつけ、立たせまいとしている。酷い。見えないけど見えるそれは私の動きを阻害する。
 だけど私は立ち上がる。立ち上がれる。粒の流れに逆らって。
 二つの月がやたらと輝いて見えるのは何故かしら。その光を浴びると体がぽかぽかと暖かくなり、痛みなんて消えていく。
 今なら空だって飛べそうだ。でも、この粒が邪魔をする。――どうすればいいんだろう。
 そう考えただけで、どうすればいいのかわかった。体が、違う。”体の中の何かがそうしろと命じている”。
 飛びたい。飛びたいな。クルクルと空を舞って、風を切って光を浴びて音を感じて飛びたい――まるで魔法使いのように。
 でも飛ぶには魔法が必要。魔法には杖が必須。だから私は杖を上に振るう。

 そうすればほら。世界を――私を押さえつける粒なんて、止まってしまう。

 飛ぶには魔法が必要。私は魔法を使えない。なら羽が必要ね。
 上に振るった杖をゆっくりと真横に振るう。

 そうすれば――私の背には翅がある。

 ふわりと体が浮く感がある。空が近い。粒で世界は押しつぶれるというのに、私には関係ない。
 飛べる、飛べる――飛べる? 飛べる! 飛べる!!
 私は今、空を飛んでいる!
 喜びと同時に、私の中にあった光がふわりと外に飛び出てくる。四つの球体は私を祝福するようにくるくると踊る。可愛らしい。
 動いて、と思えばそれは動く。素敵、可愛い、それにとっても暖かい。
 ああ、月よ。月が見える。両の手を伸ばせば届くかもしれない。だって、私は空を飛んでいるんだもの!


「――あは」


  ・  ・


 その光景をフーケは見ていた。
 信じられないものをみる思いでそれを見ていた。
 鈴を鳴らしたような笑い声が聞こえ、それに振り向けばそこには光があった。
 光は――ルイズだった。

「……なんだい、それは」

 背筋が泡立つ感覚をフーケは覚えた。それはいつか、ダインスレイフと対峙した時。そしてハヤトの剣を見たときに似て――否、それは同種の悪寒。
 ルイズは浮いている。それだけならば問題はない。メイジなのだから、魔法の一つや二つ使えないわけがない。
 だが彼女はゼロなのだ。
 そして何よりも重要なことに、メイジは空を飛ぶ時に翼なんて使わない。
 だというのにフーケの目に映るルイズの背には確かに翼がある。淡く輝く、まるで月の光りのような翼が。
 その光はルイズを覆い、別てるように四つに分離した。その光は球のような形状をとり、ルイズの周りを旋回する。
 光球を纏い翼を生やしたルイズは焦点の合わぬ瞳で月を見上げている。秘かに洩らした吐息の音が冷たい夜の大気に溶ける。その情景を幻視したフーケは、自身が後ずさり汗を流していることを知った。
 ルイズの体に傷はない。光が彼女を包んだ瞬間、それは一瞬にして消え去った。まるで元がそうであったように。
 桃色の髪は光に当てられ幻想的な色を滲ませる。それも相まってルイズの姿はまるで、

「天使か――」

 ――悪魔の姿に、フーケは見えた。

 これが、悪魔の秘薬の力?
246ダブルクロス ゼロ 2/9:2007/11/16(金) 19:49:46 ID:ONs2dvwW
 ルイズの異常の原因を悟ったフーケは戦慄した。これが力、人の身を癒し、正体不明の何かを与える秘薬。
 理解してもフーケはそれを見ないようにした。
 死んでいたのだ、確実に。ルイズという少女の一生は、あの時点で終わっていたのだ。ならばこれは誰だ?
 誰だ? 違う、そうではない。これは、これは。

「あんたは、”何”?」

 表情を強張らせ、それでも杖をルイズだったものに向けて、フーケは問うた。
 反応するようにルイズの瞳の焦点が一瞬ぶれ、降りる。その視線の先にはフーケがいる。
 どこを見ているわけでもない、だがそれでも自身を見つめる不気味な瞳に、自然と杖を握る力が入る。
 これはルイズなのか? 悪魔の秘薬、というからには悪魔が宿ったとでも言うのか?無感動な、自分じゃない自分を見る瞳で、何故私を見る。
 頭の中の警鐘が鳴り響く。逃げろ? 戦え? 魔法を、放て?
 冗談じゃない。一歩も動く気にならない。口を開くだけで精一杯だ。
 不鮮明な恐怖がフーケを覆った。目の前にいるはずのルイズがまるで陽炎のように揺れる。まるでその場にいるのに、その場にいないような。
 ルイズの周りを飛んでいた四つの光球が動きを止める。ピタリ、と、ルイズを守るようにそれは止まった。
 何が来る。何をする。
 フーケは杖を握り締め――そしてルイズは口を開いた。


  ・  ・


 さぁ、月に向かって飛ぼう。そう思っていた、いたのに、何かに声をかけられた。
 視線をそちらに向けると、闇色のローブを羽織った誰かがいる――それを見た瞬間、ルイズの心は凍りついた。

 嫌だ。

 その誰かは杖を持っている。となれば、それはメイジだ。自分とは違う魔法を使えるメイジだ。
 杖を向ける、ということは、敵対を意味する。対象に魔法をかけるための前動作だ。

 嫌だ。

 ルイズの心に呼応するように光の球が動きをとめる。まるでルイズを守るように、そしてその誰かを威嚇するように。
 だというのにルイズは安心できなかった。
 それがルイズを守るための行為だとしても、それでもルイズは――

 嫌、だ。

 目の前にいる、誰かは。
 ルイズを蹴飛ばした、誰かだ。
 それでルイズは倒れ、意識を失ったのだ。ならば、それをやった誰かの正体は何?
 自分は何故ここにいる。そもそも自分は死んでいたのではないのか? 何故? それはゴーレムに殴られたからであり、目の前の誰かに蹴られたからであり、自分がメイジではなかったから。
 ゴーレムを操っていたのは目の前の誰か? ならゴーレムを使ったこの誰かは、何? 決まっている、フーケだ。
 フーケはどうしようとしていた?

 嫌。

 フーケは私を殺そうとした? 私の友達を殺そうとした? 私の使い魔を殺そうと、

 ――嫌。

 私を殺そうとして、殺して、そして私は、死んで――

「っ……や」

 高揚感が失せる。
247名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:50:26 ID:sR5ZSFYl
待ってたよ……とりあえず支援と一緒にコレを受け取ってくれ っ【堕ちる絶望】
248ダブルクロス ゼロ 3/9:2007/11/16(金) 19:50:56 ID:ONs2dvwW
 浮いていた体は不安定で、体が揺れる。

 嫌だ。嫌、イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤだ!!

 この誰かは。このメイジは。この――この、土くれのフーケは!!

「いや……や、めて……っ!」

 ――怖い!
 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!
 だから私の前からいなくなって全部怖い夜が怖い森が怖い何もかもが私を否定して私はメイジなのに私を見てくれなくてだから全部全部全部全部――――

 フーケの杖が、動いた。


「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーー!!!!」


  ・  ・


 一瞬、閃光が森の中を走った。
 衝撃を持って。破壊を持って。全てを消し去る浄化の炎と等しく。
 光はルイズの心に安定を与える。だが、それ以上に――

 ルイズの心は、恐怖に支配された。




    ダブルクロス ゼロ 13




「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 ギーシュは吼える。戦いの雄叫びを、自身を奮い立たせる戦場の音を吼える。
 それに答えるように鼻から血が漏れた、が、ギーシュはそれを完全に無視して、杖を振るった。

「ワルキューレ! 陣形を組め!」

 声に合わせてガシャリとワルキューレが動く。その陣形は戦うためのものではなく、寧ろ守るための形を成す。
 そうしてからギーシュはわざとらしく「おっと」と呟いた。同時に杖を振るい、ワルキューレの数を減らす。場に残ったのは二体のワルキューレと、ハヤトを抱えるギーシュのみ。
 総数、残り五体。
 しかし場に二体いれば、ギーシュとハヤトを守ることは可能だ。
 その光景を朦朧とする意識のハヤトは見ていた。そして驚愕した。何故なら、ギーシュはそれを否定していたからだ。
 そんなハヤトの様子に気づいたのか、ギーシュは照れたように、恥じるように笑った。

「僕に出来るのはこれくらいのようだからね、ハヤト。君が教えてくれた」

 ワルキューレは誰かを守るための力だと、そういったのはハヤトだった。


  ・  ・


 図書館に向かう道すがら、隼人はギーシュと出会った。というよりは出くわした、遭遇した、というほうが正しいのかもしれないが。
249ダブルクロス ゼロ 4/9:2007/11/16(金) 19:52:12 ID:ONs2dvwW

「やぁ」

 既に和解はしている。多少きざったいところがあるものの、ギーシュ自体は好感に値する人物だと隼人は知っている。答えるように手を挙げた。

「何処に行くんだい? ご主人様を放っておいて」
「ご主人様っていうか……まぁ、いいけどな。図書館に行くんだよ」

 情報収集は苦手である。しかし今それをサポートしてくれる仲間はおらず、隼人が孤軍奮闘しなければ道は開けないだろう。
 第一事件が起こるわけでもないし、敵対する勢力、更には自分が狙うべき対象がいるわけでもない。受身になっているだけでは、この膠着した状況を動かすことは出来ないだろう。
 元の世界に戻りたい、といったところでルイズは協力しないだろうし、いい顔もしないだろう。ならば、やはり自分で調べなければいけない。
 しかしそこで問題がある。話せはするが、この世界の文字を読めないことが発覚したのだ。

「そんなわけだから図書館で分かりやすい本とか探したりしてるんだ。ああ、あと青い髪の子に文字を教えてもらったりしてる」
「成る程。苦労しているようだね」
「そりゃな」

 苦労はしている。しかし緊張はない。その点、この世界での生活は悪くないと、隼人は心のどこかで思っていた。
 だからといって戻りたくないわけではない。元の世界では自分を待っている人間が――いるか? と首を傾げたくなるが、とりあえずやめる。
 それでもあの世界でやらなければならないことがあるし、隼人自身誓った思いがある。ポケットに入れた仲間との写真に自然と手をやりながら、やるしかないさと呟いた。
 隼人を見てギーシュも何か思うところがあったのか、顎に手を当てて唸る。

「どうかしたのか?」
「いや、その……少々聞きにくいんだけどね、ハヤト。君ってもしかして、軍隊にいたことがあったりしたかい?」
「あー……いや、そういった経験はないけど、それなりに戦った覚えはあるぞ」

 流石に「UGNという組織に所属し、化け物と戦ってきた」といっても信じてはもらえないだろう。軍隊とも違うし、微妙に言葉を濁しながらも戦ってきた、ということだけは伝える。

「君の剣捌きは見覚えがなかったからね。戦争で平民が剣を振るうのとも違う。なんといえばいいのか……そう、やはり慣れている、と思ったんだ」

 そういったギーシュの言葉に隼人は軽く目を見張った。メイジというのは剣なんぞ見ないだろうと思っていたからだし、そして素人目からそんなことを言われるとも思っていなかったからだ。
 思ったことを素直に話すと、ギーシュは苦笑いを浮かべながら答えた。

「これでも軍人の家系だからね。初陣はないけど、それなりに見るものは見るさ」

 それでも所詮は平民だ、と侮っていたけどね。という言葉で締めて、ギーシュは肩をすくめた。それからこれが本題だ、と言わんばかりにギーシュは隼人の目を見る。

「正直に言って、僕のワルキューレをどう思う? 七体以上召喚できないが、これでも精度にはそれなりの自信があるし、青銅だからね。殴れば痛い。
 だが殴っても君は倒れなかった……となれば、鍛えている人間や、強力な魔法を使うメイジに対して、無力かなぁと思ったりしたわけなんだが」

 いや、だが魔法に絶対の自信はあるんだよ? と悔しそうにギーシュは言う。
 メイジにとって魔法は矜持だ。その欠点をこうして言葉にするだけでも、ギーシュは不満なのだろう。
 しかし隼人から見ればギーシュの魔法である七体のワルキューレはやはり脅威だとも思う。
 オーヴァードの使うシンドロームの中に、ブラム=ストーカーという種類がある。
 それは血の従者といって自身の血を媒体とした第三者を生み出し、それを変化させることで戦う能力者だ。
 それを同時に七体も出せる、となれば脅威以外の何者でもない。
 とはいえその従者にあまり力がないのであれば、壁としか使えないが、それでも十分だ。
 だがここは異世界で、その常識がまともに通じるような場所でもない。七体の青銅ゴーレム、というのは、あまり脅威ではないのかもしれない。
 そう思いながら隼人は口を開いた。

「攻撃する、よりは守りの力だと思うな」
250名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:52:25 ID:sR5ZSFYl
エンハイ/バロで衝動:嫌悪かと思考しつつ支援
251ダブルクロス ゼロ 5/9:2007/11/16(金) 19:53:24 ID:ONs2dvwW
「守り?」

 訝しげにギーシュが首を捻る。頷きながら隼人は続けた。

「ああ。だって一体いればギーシュを守れるよな」
「……ふむ」

 考えるようにギーシュは再び顎元に手をやる。
 それを見ながら隼人は自身の考えを告げた。

「逃げ惑いながら、って言うのも変だけど、そうすりゃ最大でギーシュは七回くらいは攻撃を受けずにすむだろ? その間に別の魔法を唱えるとか」
「しかし……」
「あとはほら、動かせる精度が高いなら、攻撃をそらすことだって出来る。そうすりゃ、ギーシュ以外の人だって守れるさ」

 不満そうなギーシュの表情が見える。確かに、守るだけ、というのは性分に合わないのかもしれない。
 それでも隼人は口を開いた。

「だからさ――」


  ・  ・


「そう、魔法以外の手があれば、確かにワルキューレは守りの壁になる。動かせるからね。攻撃をそらすことも出来れば避けられるし、僕や、誰かを守るというのなら十分な魔法だろう」

 しかし「魔法以外の手」というのがメイジにとっては理解できない。だからあの時、ギーシュはその考えを否定した。

「だが今必要なのはその力だと、僕は思う。悔しいけど、僕のワルキューレはゴーレムに対して、無力だ」

 本当に悔しそうに、悔むようにギーシュは眼前に迫るゴーレムを睨みつける。
 強大なゴーレム。一体で戦局を作り変える恐ろしい存在。それをギーシュは作ることが出来ない。メイジとしての力量もあるだろうが、ギーシュにとっては関係のない話だ。


「今、僕は君を守れる。僕は自分を守れる」


 回数制限があるがね。ギーシュは笑い、決意の篭った瞳でゴーレムを睨みつける。

「……僕以上に力のないはずだったルイズは君を守るために戦った。それなのに誰かを守る力を持つ僕が、戦わないのは――卑怯だ」
「ギー……シュ…………っ」
「そんな事は許せない、許されない。卑怯だなんていうのは、最大の侮辱だ。
 僕は杖を取るぞ。そして魔法を唱え、君を守れる!」

 そのギーシュの表情を見て、ハヤトは自身のレネゲイドが沈静していくのを感じた。彼もまた、ルイズに何かを受けたのだ。
 ハヤトは怒ることしか出来なかった。しかしギーシュは怒り、悲しみ、そして決意したのだ。その姿は誇り高く、自身を恥じるギーシュは輝いて見えた。
 不意に大地が揺れる。そこまで距離は離れていなかったのか、ゴーレムは気づけばギーシュ達の下にたどり着き、月明かりを潰すように拳を振り下ろす。
 慌てる様子もなくギーシュは杖を振るった。

「ワルキューレ!」

 途端、一体のワルキューレは拳の進路上に飛び出し、もう一体はギーシュとハヤトを抱えて後ろに跳んだ。
 ゴーレムの拳にぶち当たったワルキューレは一瞬にて瓦解する。一瞬、それで十分だった。拳は僅かに軌道を逸らし、残ったワルキューレとそれに抱えられた二人に傷はない。
 土煙が立ち込める。その中、ギーシュはゴーレムの影を睨み続ける。

 残り、四体。ご苦労、とギーシュは言った。

「時間稼ぎに過ぎないけどね、ハヤト。こういうのはあれなんだが……僕は、君の力を信じているよ」
252名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:54:15 ID:sR5ZSFYl
って、恐怖だったよ……そしてどう考えても待ってる人間居るだろうに支援
253ダブルクロス ゼロ 6/9:2007/11/16(金) 19:54:45 ID:ONs2dvwW
「な……」

 そういってギーシュは杖を振るう。
 ゴーレムの拳が土煙を突き破るように迫る。だがその前に一体のワルキューレが現れ、それを止める。
 一瞬の停滞。その瞬間を利用して二人を抱えたワルキューレは横に飛ぶ。拳はスレスレのところを振りぬいていった。

 残り、三体。助かった、とギーシュは言った。

「ゴーレムの拳を切り裂いた君の剣を。僕のワルキューレを簡単に切り裂いた、君の力を。僕は信じている。今君に何が起こってるのかは知らないけどね。
 それでも僕は君を信じている。そして――僕には君を」

 ゴーレムの拳が再び迫る。だが喋りながらもギーシュは再び杖を振るう。
 薙ぎ払いの拳はギーシュ達を抱えていたワルキューレを砕いたが、一瞬の間もおかずに作られた新たなワルキューレがギーシュ達の背を掴み、その場から飛んでいた。

 残り、二体。もう殆ど後はない。自らを鼓舞するようにギーシュは叫んだ。

「友人である君を、守る力がある!!」

 ハヤトを抱えるギーシュの体には血が纏わりついている。
 それは、ハヤトの血だ。レネゲイドウィルスを宿したものだ。
 離せ、といってもギーシュは聞かないだろう。理由を説明しても、きっと震えながら、それでも守ろうとするだろう。
 ギーシュの瞳にルイズと似た光を見つけたハヤトは笑った。

「相棒」
「――ああ」

 掠れた声でデルフリンガーの声に答え、ハヤトは笑った。
 ゴーレムが迫る。だが、ハヤトは自身が砕かれるという恐怖から完全に抜け出していた。懸念はない。体内のレネゲイドを押さえつけることに集中する。
 何をしているのかはわからないが、その様子を見てギーシュは嬉しくなった。今、ハヤトはギーシュを信頼し、その身を委ねた。
 確かにギーシュにゴーレムを打破する力はない。だが、ハヤトにはある。
 魔法以外の力――ギーシュは笑って、杖をゴーレムに向けた。

「来い!!」

 ゴーレムの拳が迫る。大振り故にワルキューレに抱えられたままそれを避ける――が、拳を避けた先に、ゴーレムの巨大な足が迫っていた。
 ここまでの巨体ともなれば蹴られるだけでも致命傷か、一瞬の躊躇の後、ギーシュは叫ぶ。

「っワルキューレ!」

 つま先が迫る。その真下にワルキューレは現れた。土から這い出るその勢いのまま、ゴーレムの足裏を殴りつける。
 ゴゥ、と耳障りな音を残して、つま先はギリギリ、ギーシュ達の頭の上を振りぬけて行った。
 しかしその際に拳を打ちつけたワルキューレは砕けていく。錬度が甘かったのも理由の一つではあるが、ゴーレムの一撃をそらすほどの衝撃に耐えられなかったのだ。

 残り、一体。

 それでもギーシュはワルキューレに命令を下す。上空には振り上げられた拳がある。
 走っても避けられない、ならば。

「ワルキューレェェェェェェ!!」

 抱えていたギーシュを放り投げ、ワルキューレはその場に残る。刹那の間をおいて拳が振り下ろされた。
 潰れるか、と思われたワルキューレはその両腕でゴーレムの拳を受け止める。
 両足は拉げ、腕も砕けかける。だがワルキューレはその拳を受けた。その隙にギーシュは隼人を抱えその場から走り出す。
 一層の力を込めたのか、拳を押さえるワルキューレから異音が響く。直後ゴーレムの拳は完全に大地へと振り下ろされた。

 残り――零。
 最後によくやった、とギーシュは言った。

 ゴーレムの拳は健在。傷など残ってはいない。だがそれでも十分な時間を稼げた。
254名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:54:54 ID:5qrWzd6X
>いや佐久間先輩召喚でしょw
ミヤビもシンクラヴィアもエーネウスも付いてくるな
と言うよりいつの間にか引き込まれる事確実
下手するとそこからさらにタクト基点にメインキャラ芋蔓式に引き込みそうだ
確実に世界が乗っ取られる
255ダブルクロス ゼロ 7/9:2007/11/16(金) 19:55:56 ID:ONs2dvwW
 走るギーシュの背にゴーレムが迫る。ハヤトを抱えているという理由もあって、ゴーレムはすぐさまギーシュに追いついた。
 それでも彼は走る。走って、走って――
 ゴーレムが拳を振り上げるのを振り向いて確認し、立ち止まった。
 
 ワルキューレはもう既にない。
 だが、ギーシュの両足は、もう震えていなかった。

 拳が振るわれる。その軌跡は確実にギーシュを、そしてハヤトを貫くだろう。
 ギーシュはゴーレムを見る。その瞳に恐怖の色はない。
 何故ならばその視線は――


 ゴーレムの拳は、ギーシュ達に届くかと思われた寸前に逸れた。
 爆音が響く。業火がゴーレムの腕を焼いていた。

 ギーシュの瞳はゴーレム――その後ろを旋回するように飛ぶ、一匹のウィンドドラゴンを見ていた。


  ・  ・


「土くれが何っ! フーケが何! これがツェルプストーの底力よ!」

 見たか! といわんばかりにウィンドドラゴンの背にのったキュルケは杖を振り上げた。
 その横ではタバサが無表情ながらも呆れている様子が見える。結局、キュルケに押し切られる形でこの場に残ったのだ。
 ツェルプストーの名が廃る。
 そういってキュルケは魔法を唱えた。最高の集中力と、最高の錬度を持って、その魔法を唱えたのだ。

 土だろうとも燃やし尽くす。

 その威力は見ての通り。ゴーレムの右腕だけとはいえ、軌道を逸らし、更にはボロボロになるほどに焼き尽くしたのだ。
 タバサは呆れながらも感心した。錬度の高さ、そしてこの土壇場で一回しかないという状況において、魔法を成功させたキュルケに、だ。
 無論タバサの胆力も褒めるべきだろう。成功するかもわからない方法のためにシルフィードを駆ったのだ。
 魔法による加速、魔法による砲撃。阿吽の呼吸があるタバサとキュルケだからこそ出来たコンビネーションだ。

 しかしそれも連発できるものではない。一矢報いたとはいえ、ゴーレムは再生を始めている。
 ならば今のうちにギーシュを抱え逃げるべきかと、タバサはシルフィードをギーシュの元へと飛ばそうとした。

「……?」

 ギーシュを見る。彼は両腕を交差させ、不要の意思を示している。
 眉を顰めたタバサは、その後ギーシュが空を指差すのを見て理解した。

「タバサ、もう一回行くわよー。今度はあの左腕もってキャン!?」

 息巻いて杖を構えようとしていたキュルケは急激なシルフィードの上昇に合わせて尻餅をついた。存外に可愛らしい声をあげたキュルケを、タバサは珍しいものでも見るかのように見ていた。
 何するのよ、という抗議の声を無視して空にあがる。

 ちらりと視線を下に向けてれば、一人の青年がゴーレムと相対していた。

「ちょと、タバサ!?」
「終わり」
「え?」

 キュルケが眉根を寄せてタバサに詰め寄る。
256ダブルクロス ゼロ 8/9:2007/11/16(金) 19:57:19 ID:ONs2dvwW
 そうすると、タバサに珍しく口元に少しの笑みを浮かべながら彼女は言った。


「私達の出番はこれで終わり」


  ・  ・


 ゴーレムが右腕を再生する。
 その様を見ながら隼人は軽く下唇を舐めた。

 時間は――ない、といっても過言ではないだろう。いやな予感も止まらない。
 何故ならば先ほどの光景から既に時間がたっている。ルイズが今も完全に無事とは思えない。
 そして更に――一瞬ではあったが、ルイズが吹き飛ばされた方向から光が漏れたのを隼人は見た。
 それだけではない。オーヴァードのみが感じられるワーディングの気配も感じたのだ。
 フーケはオーヴァードだった? だとしたら、やはり自分がなんとかせねばいけない。理由の追求は後でいい。
 だからこそ。この目の前にいるゴーレムは邪魔なのだ。

「デルフ」

 呼べば、応と声がする。右手に握られたデルフリンガーはその金属片をただ一度鳴らした。
 それで十分。隼人はその場で剣を構えた。
 距離はある。太刀が届く距離ではない。振るったところで空を斬るだけだろう。そして隼人の力は至近で活きるものであり、この距離では意味がない。
 隼人は構える。核心を持って、斬れると知って。

 今、体内を巡るレネゲイドの力を。そして左手より溢れる謎の力を。暴走したときに掴んだ一瞬の制御を以ってして、隼人は叫んだ。

「――行くぞ! デルフリンガァァァァーーーー!!」


 瞬間、デルフリンガーの鍔が”開いた”。


 そのまま開いた鍔は隼人の右手を覆う。左手を柄尻に合わせれば、そこもまた覆われた。
 無機物であるはずのデルフリンガーが動いたのだ。
 ギシリ、と大気が歪む。正に異形の光景とも見えた。”剣が持ち主の腕を侵食していたからだ”。
 だがそれを見ていたギーシュに不安の色はない。
 そして侵食される隼人も然り。その目線はゴーレムに向いている。
 デルフリンガーを振り上げ、肩に担ぐ。
 ぎしり、とレネゲイドが唸りをあげた。体内にある血液は通常ありえない速度で循環し、体内の筋肉はありえぬほどの結束を見せる。
 ゴーレムの再生が終わる。再び隼人らを蹂躙せんと、その足を踏み出す。

 その、一歩。踏み込むと同時に、隼人は爆ぜた。


「う、おおオ、オオオオオオオオオオオオ――――!!」


 その一閃、正にマシラの如く。
 瞬閃の刃は振るわれた。

 そして届くはずのない刃は――”届いた”。
 振るわれたその直後、あわせるように、鞭刃の如くデルフリンガーが唸り、伸びたのだ。
 バランスが崩れると思われたそれの軌跡は、しかし一切の乱れもなくゴーレムを切り裂いていた。

 人の身に知覚できる速度ではない。
 ギーシュにしてみれば、気づけば隼人は剣を振り下ろした状態であり、タバサ等にとっては――気づけば、ゴーレムの身が縦に寸断されている。その事実のみが理解された。
257名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:57:29 ID:vh7kL7IC
よおし、支援だ! しかるのちに小ネタ予約。
258ダブルクロス ゼロ 9/9:2007/11/16(金) 19:58:30 ID:ONs2dvwW

「なん……っ」

 斬る。と、身を起こした隼人は一言のみ告げた。
 
 ギーシュはそれを信じたが、まさか一刀の元、しかもこの距離から届かせるとは思ってもいなかった。
 しかしただ斬っただけでは再生するのでは。
 ギーシュがそう口を開こうとした瞬間、それは起きた。


 ビシリ、と異音が響く。
 連鎖するように氷に罅が入るような音が、まるで津波のように流れ始める。
 音源はゴーレム、その寸断された切り口。

 ――それはまるで水晶のように。

「終わりだ」

 ゴーレムに背を向け隼人は言う。


 言葉通り、巨大、強靭といわれ、無限の再生力を誇ったゴーレムは砕け散った。




以上です。支援してくださった方、有難うございます。
そろそろ一巻編も決着です。次はもうちょっとはやk(ry
259名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:02:36 ID:sR5ZSFYl
GJ。けどこの後待ち構えているのはフーケさんじゃなくて目覚めたて暴走中のルイズな気が。隼人頑張れ超頑張れ。
そしてギーシュが男を上げた気がする。
260名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:03:28 ID:RoRlgBMH
福音を告げてしまう者なんてどうでしょう。
261Cheetah Men Zero 1/3:2007/11/16(金) 20:08:25 ID:vh7kL7IC
乙でしたー。では、ネタは熱いうちに作れ。


落ちこぼれメイジのルイズ・フランソワーズが、使い魔召喚に成功した。
なんと、筋骨隆々たる獣人だ。それも二体、兄弟らしい。名前は『アポロ』と『ヘラクレス』。
末弟『アリエス』は召喚出来なかったそうだが、ルイズは得意満面、大満足である。彼らの左手には謎のルーンが刻まれた。

頭は獣だが言葉は話せるし、屈強な肉体は豹のような、見事な毛皮に覆われている。
兄のアポロは、強力なボウガンを持っていた。弟のヘラクレスは、拳法の達人だそうだ。
ボディーガードとしてはかなりのものだ。食事も充分に与えられ、雑用もどうにかこなしている。

ある時、食堂で女子生徒とトラブルを起こしていたギーシュが、悔し紛れにか、居合わせたアポロに決闘を申し込んだ。
義侠心に篤いアポロは、ギーシュに問い詰められていたメイド・シエスタを救うため、これを受ける。
貧弱な身体のギーシュでも、魔法を使えば獣人に勝てると踏んだのだろう。決闘は、ヴェストリの広場で行われた。

だが、なぜかギーシュの調子が悪い。最大7体同時に作り出せる、自慢の青銅戦士『ワルキューレ』が、
今日に限って1体ずつしか作れない。アポロはボウガンを放ち、着実にワルキューレを粉砕していく。
全てのワルキューレが破壊され、ギーシュは渋々降参した。広場は歓声に包まれた。
262Cheetah Men Zero 2/3:2007/11/16(金) 20:10:09 ID:vh7kL7IC
トリステイン魔法学院に盗賊が侵入し、秘宝を盗み出した。犯人は土のメイジ、『土くれのフーケ』。
その場を目撃していたルイズは、フーケ捜索隊に立候補する。友人のキュルケとタバサもだ。
さらに各々の使い魔たちと、学院長秘書ロングビルも加わる。

しかし、ロングビルの正体はフーケだった。彼女は隠れ家に一行を誘い出し、巨大ゴーレムで始末しようとする。
その時、ヘラクレスが飛んだ。正確には、空中で跳躍を繰り返した。
ビィン、ビィンという音とともに、彼は忽ち30メイルも高さのあるゴーレムの上に降り立つ。

ゴーレムの肩に乗っていたフーケは、さらに跳躍したヘラクレスに頭上から踏まれ、気絶した。
秘宝は無事取り戻され、魔法学院の宝物庫に納められた。
ルイズたちは、功績を認められてシュヴァリエに叙勲されることになった。

それを聞いたアンリエッタ王女は、夜中密かにルイズの部屋を訪ね、密命を与える。
浮遊大陸アルビオンの皇太子、ウェールズ殿下から、ある手紙を取り返して欲しいというのだ。
なぜかギーシュと、魔法衛士隊の隊長・ワルド子爵も加わり、一行はアルビオンへ急ぐ。
263名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:11:42 ID:sR5ZSFYl
ちょっと待てそれは地雷g(ry
264Cheetah Men Zero 3/3:2007/11/16(金) 20:11:47 ID:vh7kL7IC
途中で加わるキュルケとタバサ、襲撃する盗賊や脱走したフーケ、そして謎の仮面の男。
様々な困難を潜り抜け、どうにかアルビオンのニューカッスル城に到達した一行。
だが、ワルドは敵軍『レコン・キスタ』のスパイだった。皇太子は殺され、手紙も奪われ、ルイズは攫われる。

アポロとヘラクレスは主人を救うため、果敢にワルドへ挑む。
ワルドは風のスクウェアメイジ、その魔力は尋常ではない。はずだった。
しかし、アポロとヘラクレスの前に立ったとき、その力は弱まったのだ。

風の上位魔法『遍在』による分身が、最大5体のところ1体ずつしか出せない。
放つ竜巻も弱々しくなり、アポロのボウガンに掻き消された。遍在の動きも遅い。
ワルドはあっさり撃退され、手紙とルイズは取り戻されたのだ。

その後の彼らの活躍は、まさに伝説的だった。タルブの村で眠っていた末弟アリエスを仲間に加え、
襲い来るアルビオン艦隊を迎撃する。続くアルビオンへの侵攻戦でも、7万の大軍を相手に一歩も引かず、殿軍をつとめた。
彼らの周囲には、敵が一度に二人ずつしか近寄れないのだ。ボウガンと拳と棍棒が唸り、ヘラクレスとアリエスは空を飛ぶ。

さらに、彼らによって後ろに回りこまれた敵は、目もくれず進軍し続けたが、途中でどこかへ消えてしまったという。
かくしてアルビオン軍は大敗し、トリステイン・ゲルマニア連合軍は大勝利をおさめた。
しかし、それ以後のルイズの使い魔たちの行方は、杳として知られていない……。

(未完・続きをプレイするにはゲームデータに改造を加える必要があります)
265名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:14:26 ID:sR5ZSFYl
乙。
266名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:14:29 ID:vh7kL7IC
投下終了。伝説のクソゲー『チーターマン2(Cheetah Men 2)』から、アポロとヘラクレスでした。
でも高いところから落ちると死にます。
267名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:15:56 ID:3wYRSZO2
音楽はいいがファッキンゲー乙。
未だにあのライフが減る条件が分かりませんでした!
268名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:16:04 ID:97f2BZVR
同時に2体までしか敵を表示できないw
269名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:16:31 ID:cn6Enhvc
ちょwwwチーターマンwwwwwGJ!
読んでる間あのBGMが頭の中に流れっぱなしだったんだぜ
270Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/11/16(金) 20:16:43 ID:T0Lzb124
ダブルクロスの人もその後に投下した人も乙。
で投下予約。
30分に投下させていただきます
271名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:20:18 ID:tjbQBF1V
チーターマン、下段攻撃が下手なんだぜ・・・
272薔薇乙女も使い魔:V−4:2007/11/16(金) 20:25:27 ID:wIavgseI
Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLsさん支援ー

私、その後を予約で
273名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:27:58 ID:hBvtcpoJ
274Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/11/16(金) 20:30:26 ID:T0Lzb124
夢……夢を見ていた。それはわたしが小さな頃の夢。
魔法の使えないわたしはいつものように母親に叱られていたのだ。いつもいつも出来のいい姉と比べられて……。
私は叱られる度に逃げ回っていた。わたしだけの秘密の隠れ家に……。
ここなら誰にも見つからない。お腹が空くまで隠れていよう。
でも誰かが呼ぶ声がする。ふと顔を上げればそこは見慣れぬ部屋だった。

そこではわたしはソファーに座って本を読んでいた。それは見たこともない文字の書かれた本だった。

「アンジェリーナ」

誰かが『わたし』の名前を呼んでいる。わたしはそれに対して返事をした。

…どこかで聞いたような声だった。

「市場へおつかいに行ってきて頂戴」

『わたし』に『わたし』の母親はおつかいを頼んでくる。『わたし』はうんと返事をすると立ち上がった。

「ペロ! おいで!」

心強い従者の名を呼んで家の中から外へと駆けて行く『わたし』。そこでようやく気付いた。これはわたしじゃない誰かの、少女の夢なんだと……。

夢の中の少女は楽しそうにわたしの知らない町を従者と共に歩いていく。そこに何かが唸るような音が聞こえた。少女が後ろを振り向くとそこには車輪の付いた青い箱が物凄い勢いで突っ込んでくる。
ドンという音と共に少女は宙を舞い地面に叩きつけられた。少女の視界が赤く染まっていく。従者のペロが心配そうに、悲しそうに鳴いている。

わたしは車輪の付いた青い箱から男が身を乗り出しているのを見てしまった。男は少女がどうなっているのか心配している。ちゃんと殺せたかどうか……。
少女はそれには気付いていないようだがわたしは直感的にそれが誰か分かってしまった。男は少女の父親なんだと……。


目を開ければそこは見慣れた天井。ルイズは身を起こし、隣で寝ているアンジェリカを見た。アンジェリカはまだ寝ていたがその目からは涙がこぼれていた。
いつものようにそっとアンジェリカの涙をその手で拭うと溜息をついた。

「変な夢を見ちゃったわ……」

ルイズはもう一度自分が見た夢を思い出そうとした。

「アンジェリーナって…誰?」

考えても仕方がない。日の出までまだ時間がある。ルイズは寝なおすことにした。
275Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/11/16(金) 20:33:04 ID:T0Lzb124
Zero ed una bambola   ゼロと人形



眠りに着いたわたしはまた夢を見た。今度は誰の夢かすぐにわかった。アンジェリカの見ている夢だ。
夢の中でアンジェリカは沢山の大人達に囲まれて過ごしていた。
眼鏡をかけた人のよさそうな男の人が御伽噺を聞かせてあげている。とても楽しそう。
でも……この人たちは何を考えているのだろう。
アンジェリカに鉄砲何か持たせて……。

暗転、視点が変わる。アンジェリカではない『誰か』の夢。
四角い箱に人が映っている。
するとそこにアンジェリカが映った。銃を持ってそこにいた数人の男達を射殺していく。
事が終わった後、アンジェリカは箱の中からこちらを見て……上手に殺せたと言わんばかりに微笑んだ。

わたしは理解した。あの優しそうな人たちがアンジェリカに人殺しをさせていたのだと……。

そして視点はまた変わる。
アンジェリカは鉄砲を持って走り回った。必死になって引き金を引いて引いて人を殺して殺していた。
時に銃で撃たれ苦しんでいた。そしてアンジェリカは喜んだ。あの眼鏡の男に「よくやった」と褒められて。

何故アンジェリカは何故人を殺すのか……少し分かる気がした。わたしもアンジェリカも同じなのだ。
認めてもらいたい。アンジェリカはあの眼鏡の男の人に……自分の必要性を。
認めてもらいたかった。わたしがメイジであることを周りの人間に。

でもそれも終わり。アンジェリカがわたしの魔法が成功した証。誰に認められなくてもそれでいい。
アンジェ? 人を殺さなくてもわたしは貴方が必要よ。だから……。



Episodio 28

Un sogno di Angelina
アンジェリーナの夢
276Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/11/16(金) 20:35:48 ID:T0Lzb124
Intermissione



「あなた方は正気ですか?」

ロングビルは呆れていた。
コルベールの説明によると破壊の杖が盗まれた時点でフーケの正体に目星がついていたと言うのだ。
それなのにフーケ捜索に行かせたのだ。正気を疑うのは当然である。

「わたくしが生徒達に危害を加えるとは思いませんでしたの?」
「うん。思わなんだ」
ロングビルの当然の疑問にオスマンはさらりと答えた。ロングビルは開いた口がふさがらない。

「伊達に長く生きておらんよ。お前さんがどういう人間かは目を見ればわかるわい」

威厳たっぷりに言うオスマンにロングビルは少し尊敬した。
だがコルベールがボソリと呟いた。

「よく言いますね。雇うときには分からなかったくせに…」

訂正、尊敬などしません。

「と、ともかく君が人を殺したりするような悪党じゃないってことぐらい分かるわい」
「他人の物を盗む盗人が悪党ではなくて?」

オスマンはロングビルが悪党ではないというがロングビルにはそれがおかしくて堪らない。他人の物を盗むような人間は悪党でなくて一体何だというのか。

「同じ悪党でも人は殺さんじゃろ?」
「ええ人は殺しませんとも」
「生徒を傷つけなかったのう?」
「当たり前です。彼女達には何の罪も恨みもありませんから」
「無関係な者は傷つけたくないと?」
「そのとおりですわ」

尚もオスマンは問答を続ける。

「では聞こう、何故宝物庫に押し入ったとき生徒達をかばったのじゃ? あのまま踏み潰しておったら全部盗めたのじゃろうに」
「見ておられたのですか?」
「遠見の鏡でな。コルベール君も一緒に見ておったぞ」
「……」
ロングビルは答えに窮した。何故とっさにあんな行動をとったのか上手く説明できない。

「それにフーケを捜索に行った生徒達に何も危害を加えなかった。それどころか怪我を負ってしまうとは…説明できますか? ミス・ロングビル」

コルベールが捲くし立てる。
277Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/11/16(金) 20:38:28 ID:T0Lzb124
それは…それは……」

説明などできない。理由を説明すれば…故郷のあの子のことまで話さなくてはならないのだ。

「説明できんようじゃな。ほれみろ、所詮君は悪党になりきれん半端者じゃよ」

オスマンが呆れている。だがそんなことは分かっている。でも悪党にならなければ養っていけないのだ。

「何か事情があるのでしょう。そう、例えば…家族を養うためとか……」

コルベールの言葉に衝撃を受ける。一体何処まで知っているというのだろうか。

「図星のようじゃな…」

どうやら顔に出てしまったようだ。オスマンはそれを見逃すはずも無い。

「よければ話してみんかね? もしかしたらわしらが力になれるかも知れんぞ」

オスマンの真意が分からない。盗賊である私の力になるかも知れないなんて信じられない。

「わしらを信じてくれんかのう?」

いつになく真剣な顔。信じられない。セクハラばっかりしていた人間なんか信じられない。

「そうです。僕達を信じてもらえませんか?」

コルベールの真剣な表情。こっちのほうがまだ信じられる。……ハゲだけどね。
278Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/11/16(金) 20:39:42 ID:T0Lzb124
投下完了です。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:40:07 ID:wQrnOpQp
支援ー
280薔薇乙女も使い魔:V−4:2007/11/16(金) 20:49:11 ID:wIavgseI
Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLsさん、乙でしたー

では、他に予約無いようですので、行きますね
281薔薇乙女も使い魔:V−4:2007/11/16(金) 20:50:16 ID:wIavgseI
第三部
        第四話     城が沈む時


 正午、ワルドの風魔法で『マリー・ガラント』号はスカボロー港へ到着した。しかし、
積み荷の硫黄を下ろす船員達の中に、ルイズ達一行はいなかった。
 レコン・キスタに制圧された港湾施設にノコノコと姿を現すわけにはいかない。船が残
していた風石で港に着く前に、グリフォンで飛び立ち、港から少し離れた森へ降り立って
いた。
 森に皆とグリフォンを残し、ワルドはスカボローの街へ向かった。

「諸君、まずいぞ。状況は最悪だ」
 スカボローの港町から戻ってきたワルドが、皆にパンを分けつつ、街で集めてきた情報
を語る。
  ニューカッスル城で王軍は完全包囲されている。
  ウェールズ皇太子は生死不明。
  反乱軍は明日正午に総攻撃開始。
  戦力は王軍数百に反乱軍5万。
  スカボローからニューカッスルまで馬なら一日かかる。
  道中、反乱軍に見つからないよう、主要な街道や街を避けて進まねばならない。
  グリフォンはワルドとルイズに加え使い魔達も乗るので、重い分足も遅い。
「つまり、今すぐ出発だ」

 周囲の警戒に人工精霊達を放ち、人形達をグリフォンの頭に乗せて、前にルイズ後ろに
ジュンを乗せたワルドは、ニューカッスル目指して駆け出した。
 反乱軍は大半がニューカッスル攻城戦に参加しているらしく、街道や街の警備は主要な
地点に必要最小限しか配置されてなかった。また、人工精霊達の索敵もあり、回り道なが
ら順調に進んでいた。
 獣道を走り抜け、川を飛び越え、街を迂回し、麦畑に分け入り、森を突っ切って、グリ
フォンは走り続ける。


「ねぇ、ワルド様。どうやって皇太子と連絡を取ればいいかしら」
「…もはや、陣中突破も難しいな。
 反乱軍も、公然とトリステイン貴族に手は出せないだろうが、いくらなんでも真っ昼間
に敵陣を破れん」
「後ろから突破されるとは考えてないでしょうし、あたし達の力ならなら不可能じゃない
わ」
「だが、突破する時間が問題なのだよ、ルイズ。
 恐らく、我々が到着できるのは、総攻撃直前だ。士気も高く功を焦った兵士達が『正体
不明の連中が、突然城に突っ込んでいった』のを見たらどうするか…。十中八九、なし崩
しに総攻撃開始だ。戦闘は間違いなく一方的虐殺で即座に終わる。もう手紙の回収どころ
じゃない」
「なんとか、大陸の端を飛んでいくとかできないかしら?」
「何人も乗せて、では長く飛べん。それに、城から攻撃を受ける事も前提なのだから。い
くらなんでも、単騎で飛んでいては、城壁から見ればタダの的だよ。当然反乱軍も、監視
は飛ばしているだろうし」
「ホーリエかスィドリームを使って、城内に予め連絡してはどうかしら?」
「信用してもらえるかどうか…その光玉に攻撃をかけられるのが関の山だろう。正攻法よ
り、搦め手を考えよう」

 ルイズとワルドがニューカッスル城へ入る方法を相談している間、真紅と翠星石は索敵
と安全なルート探しに忙しかった。
 ジュンは一言も口を聞いていなかった。ただじっと目を閉じ、グリフォンの背に揺られ
るままだ。
282名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:51:36 ID:3FG0br5u
sien
283薔薇乙女も使い魔:V−4:2007/11/16(金) 20:51:42 ID:wIavgseI
「ジュン、どうしたのさっきから。もしかして、さすがに疲れちゃった?」
 ルイズの心配げな声を聞いて、ようやくジュンはゆっくりと口を開いた。
「うん・・・そうでもないよ。けど、さすがにちょっと疲れたかも。少しでも余計な体力
を使わないたくないかな」
「そうだな、ジュン君。いくら腕利きの剣士でも、君はまだ子供だ。体力が劣るのは否め
ない。無理せず休んでいたまえ」
「分かりました。ミスタ・ワルド、お言葉に甘えさせて頂きます」

 ジュンは目も口も閉ざし、走るグリフォンに揺られて続けていた。だが、脳細胞はフル
稼働していた。
  どうすれば、安全にニューカッスル城に入れるのか。
  桟橋で戦った後、何をおかしいと思ったのか。
  フーケ脱獄を手引きしたのは誰か。
  レコン・キスタの目的は何か。
  ルイズが王女からもらった水のルビーを有効に使う方法はないか。
  アンリエッタ姫が一番望んでいるのは、何なのか。
  手紙を回収出来れば、出来なければ、影響はどこへどう広がるか。
 説明された事象を、目にした事実を、一つ一つ思い返し考え続けていた。
 そしてワルドの背中を見上げた。このパーティのリーダー的存在、トリステイン王国の
高級軍人、マザリーニの腹心、アンリエッタから一行の護衛を任ぜられた、腕利きのメイ
ジである頼もしい男の背中・・・。

「まさか…!?」
「…ん?どうしたね、ジュン君」
 ジュンのつぶやきに、ワルドが肩越しに振り返る。
「あ、いえ、すいません。独り言です」
 そういってジュンは再び目も口も閉ざし、ワルドの背に体を預けた。ワルドも、それ以
上詮索しなかった。
 ジュンは以後、口を開かなかった。



「諸君、こういう手はどうだろうか?」
 山の峰を越え、眼下に円形状の城壁と内面に作られた五芒星形の大通りが特徴的な街を
見下ろした頃、林を駆け抜けながらワルドは切り出した。

「反乱軍司令官に、『通してくれ』と頼む」
 全員、グリフォンからずり落ちそうなほど、ガクッときた。

「あ、あの、ワルド様…今は冗談を言ってる場合では」
「ははは!ルイズ、実は冗談じゃないんだよ」
「ワルドさんにはぁ秘策があるですかぁ?」
「うむ、まぁ聞いて欲しい。
 反乱軍司令官に正式な面会を求めるんだ。もちろん、公的な特使としてではなく、私的
なものとしてね。理由は『一方的な虐殺に過ぎないこの戦いを回避するため、ニューカッ
スル城へ降伏と投降を呼びかけたい』というものだ」
「うぬぬぅ!?な、なかなかの妙案かもですねぇ!」
 翠星石が感嘆の声を上げる。真紅もワルドに振り返る。
「良い案だとは思いますわ。ただ、何故我々がアルビオンの最前線に来たのか、と怪しま
れるんじゃなくって?」
「うむ、当然の疑問点だな。だが『トリステイン王家に仕える者として、始祖ブリミルが
授けし王権の一つが無為に潰える事態は、看過しえぬがゆえ』で良いだろう。トリステイ
ン王国近衛隊隊長という肩書きなら、信用も十分だ」
「そうね…少なくとも、強行突破よりはマシな策だわ。さすがグリフォン隊の隊長ですわ
ね」
「そうよねシンク!私もワルド様の案に賛成よ。他に良い案も無いし、これで行きましょ
う」

 かくして一行はワルドの案を胸に、ニューカッスルへ走り続けた。
284爆炎の使い魔:2007/11/16(金) 20:52:10 ID:CfBtgTKL
では、私も支援と共に薔薇乙女も使い魔さんの後がいらっしゃらないようなので
予約させていただきたいのですが大丈夫ですかね・・?
285名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:52:37 ID:3FG0br5u
sien
286薔薇乙女も使い魔:V−4:2007/11/16(金) 20:53:06 ID:wIavgseI




 アルビオンの夜。
 一行は森の中、泉のほとりで野宿する事になった。
 有力貴族出身のルイズも、さすがにこの状況では文句も言わなかった。もっとも、疲れ
果ててグリフォンから下りたら即座に熟睡してしまっただけだが。ルイズの指にはまる水
のルビーだけが、星明かりでも変わらずに輝いていた。
 人形達も人工精霊と共に、明日に備えて即トランクに入り込み、眠りに落ちた。
 ジュンは見張りとして、デルフリンガーを脇に置き、泉のほとりに腰をおろしてる。
 ぼんやりと、水面に映る星空を眺めていた。

「・・・なぁ、デル公」
「ん〜?」
「お前、この任務をどう思う?」
「どうって…おりゃぁただの剣だ。武器として、ただ振られるだけだ。何のために振るか
は、持ち主が考える事だぜ」
「そりゃそうだ」
「でもまぁ、あえて言わせてもらうなら、だが…いいか?これは嬢ちゃん達にゃぁ秘密だ
ぜ」
「分かってる。ハッキリ言ってくれていいぜ」
「おぅ、んじゃ…この任務は、バカげてる」
「…やっぱ、そうだよなぁ〜」

 ジュンは大きくのびぃ〜っとして、大の字に寝ころんだ。

「昔うっかりだしちゃったラブレターを取り返さないと、ゲルマニアとの政略結婚が、軍
事同盟が成立しない。
 その手紙は内乱の最前線にある。
 でも、頼める人が王宮内にいない。
 で、長い事会っていない幼なじみの女の子に、戦場ど真ん中に行ってくれと頼む。
 報酬として国の財産の指輪、水のルビーを勝手にあげちまう。
 兵士でもない、戦闘訓練も何もしてない女の子に、だぜ?
 でもやっぱ不安で、ワルドさんに護衛を頼む…秘密って言葉の意味、知ってるのか?
 あの王女…相当のバカだな」
「ああ、バカだよな」

 デルフリンガーもジュンも、はあぁ〜…と大きなため息をついた。

「なぁ、デル公。ハルケギニアでは、これが当たり前なのか?」
「まぁ、王族とか貴族とかは、だいたいこんなモンだ。下のモンが上のワガママに振り回
される。世の常だろうよ」
「そーゆーのは僕の国でもあるけど、でも、ここまでのバカは誰もやらねーよ。信頼出来
る部下はいない、任務を遂行出来る人物かどうかも考えない、一縷の望みを託して…と言
うか、ただの特攻だよ!
 頼まれたルイズさんも、怒るどころか感激してる有様だし。これが王家への忠誠ってヤ
ツなのかぁ?」
「そうだ。それが王家への忠誠だ」
  バシュッ!
 デルフリンガーを手にし、一瞬で泉の対岸へ飛び退いた。
 さっきまでジュンが寝ていた場所近くに、杖を手にしたワルドが立っていた。

 ジュンは、デルフリンガーを右手にダラリと下げている。
 ワルドも杖を手に、ただ立っている。
 泉を挟み、真顔で睨み合っていた。
287名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:53:51 ID:3FG0br5u
>284
多分大丈夫

sien
288薔薇乙女も使い魔:V−4:2007/11/16(金) 20:54:46 ID:wIavgseI
「ミスタ・ワルド、どの辺から聞いていました?」
 ワルドは、わざとらしく首をひねる。
「ふ〜む…昔うっかり、という辺りかな?」
「へへ…困ったなぁ、交代の時間には早いですよ」
 ジュンもわざとらしく、左手で頬を掻く。夜の闇に、包帯がルーンの光で淡く浮かび上
がっている。
「子供に負担をかけてはよくないからね」
「そうですか、気を使わせて申し訳ありません」
「気にする事はないよ。面白い話も聞けたしね」
「楽しんで頂けて嬉しいですね…」

  チャキッ
 表情はそのままに、デルフリンガーを握り直す。
「ジュン、油断するなよ。手強いぜ」
 ゆっくりと、切っ先がワルドに向く。

 だが、ワルドは微笑み、杖を納めた。
「ははははっ!そう怖がらなくて良いよ。君がこの国の人間でないのは知ってるからね。
王家への忠誠は期待してはいないよ。
 しかし君は『バカな任務』と思いながらも学院から駆けつけた。桟橋で敵を撃退した。
空賊船だって退けた。何故かな?」
「え?」

 あまりの態度の急変に、目が点になってしまう。
 相変わらずワルドはニコニコとしている

「な、何故って、そりゃ、ルイズさんのためですよ」
「そう!それでいいんだよ。
 学院でも君は『主が忠誠を誓う者に忠誠を誓う』と答え、姫殿下は満足していたろ?」
「はぁ・・・まぁそうですけど」
「なら、それでいいんだ。ルイズはこの任務に全力を尽くしてる。君は彼女を助けてくれ
る。そうだろう?」
「…もちろんです」
「では、お互い頑張ろう。君もそろそろ休みたまえ」
「あ、う…はい。分かりました…」
「おでれーたな。なんだか、怒られなくてよかったなぁ」
「そ、そだな」

 ジュンはルイズ達の所へ戻ろうと歩き出した。だが歩みを止め、ワルドを振り向く。
「ミスタ・ワルド、あなたはこの任務をどう思っているのですか?」
「『バカな任務』だ」

 あっさり言い放たれ、目が点になってしまった。

「ふふふ、驚くのも無理はない。だが、無茶と承知でもやらねばならない。それが王家へ
の忠誠というものだ」
「あなたは、それで良いと思っているのですか?」
「忠誠は、それなりの見返りがあるから成り立つのだよ。出世、領地、爵位、各自の都合
や打算だ。
 君にわかりやすく言うなら、自分の任務を、自分の都合で成功させたいと思ってる」
「…大人って、大変ですね」
「君にもいずれ分かる。守るもの、譲れないものを手に入れた時にな。
 …いや、確か君には既にあったね。シンクやスイセイセキに匹敵するガーゴイルを作る
んだって?ルイズから聞いたよ」
「えと、まぁ、ちょっと違うけど、そんなもんです」

 ちょっと頬を赤らめて、頭をポリポリかいてしまう。
289名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:55:51 ID:3FG0br5u
sien
290薔薇乙女も使い魔:V−4:2007/11/16(金) 20:56:25 ID:wIavgseI

「私にはよく分からないが、ルイズと一緒に魔法の勉強が出来るよう頑張りたまえよ。
 …ああ、ところで、ルイズと一緒であれば、他の国の学院でも良いのかな?」
「へ?」
 いきなりの質問に、敬語を忘れて聞き返してしまった。
「つまり、留学とかだよ。ガーゴイルならガリアが有名だ。このアルビオンにも良い魔法
学院がある」
「ああ、そういうことですか。そうですね、今の学院から離れるのは考えてません…でも
ガリアは興味があります」
「ほほう、なるほどね…うん、そうか」
 顎に手を当ててウンウン頷くワルドに、ジュンも怪訝な顔だ。
「あんの隊長さん、何か企んでるのかぁ?」
「デル公、失礼だぞ」
「ん?ああ、企んでるさ。ルイズと結婚するなら、君達の事も考えないとな」
「「なーる」」
 ジュンもデルフリンガーも、思わず声にだして納得してしまった。

「さて、話はこれくらいにしよう。明日は正念場だからな、早く休みなさい」
「はい、分かりました。後はお願いします」
 ジュンは踵を返して立ち去ろうとした。
「ああ、ジュン君。最後に確認したいんだが」
「はい、何でしょう?」
 ワルドに呼び止められ、ジュンは振り向く。
「君は結局、使い魔としてルイズの下についてくる、ということなんだね?」
「ええ、その点は間違いないです」
「そうか。いや失礼、それならいいんだ。おやすみ…ああ、私の事は、もう呼び捨てでい
いよ」
「?…いえ、そうもいかないですよ。それではおやすみなさい」
「ああ、ゆっくりやすみたまえよ」

 ほぅ…ほぅ…というフクロウの鳴き声が響く夜の森。
 ワルドは星空の下、泉を見つめていた。
 泉に映るその口の端は、禍々しく釣り上がっていた。


 ジュンはルイズの横で毛布にくるまる。そして、昼間に考えていた事や先ほどのワルド
とのやりとりを思い返していた。
  ・・・ワルドさんは、違う。でも、王女や枢機卿は多分・・・
 一抹の不安は抱きつつも、疲れ果てた肉体は、すぐに夢の世界へ彼を誘った。




 朝靄の中、朝日が森に光のカーテンを広げていく。
 朝露と緑の葉が、キラキラと白く輝く。
 鳥のさえずりに起こされ、毛布やトランクから全員もそもそと這い出してきた。

「おはよぅ…うぅ、腰痛いぃ」「んがぁ〜筋肉痛いてぇ〜」「おはよう諸君、さっそくだ
が朝食にしよう」「そうしましょう。ホーリエ、周りを見張っててね」「スィドリームも、
お願いですよぉ」
 赤と緑の光が、泉周囲へふわふわ飛んでいった。
291名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:56:58 ID:3FG0br5u
支援のついでに避難所運営スレからの連絡

10 :言い出しっぺ@wikiの人 ◆pLTNYd6DxQ:2007/11/16(金) 20:21:31 ID:GHwe3ECI

知ってる人は知ってるかもだが、
明日明後日と@wikiが大規模メンテナンスだそうだ。


俺んとこに来たメールの一部を抜粋

 ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
 ┃【重要】大規模メンテナンスのお知らせ
 ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
 ┃  明日17日に、以下の日程で大規模メンテナンスを行います。
 ┃ 大変ご迷惑をおかけしますが、ご理解の程宜しくお願い致します。
 ┃
 ┃ ▽ 日 程:11月17日(土) 22:00 〜 18日(日) 07:00 までの間
 ┃ ▽ 対 象: 全wikiサービス
 ┃ ▽ 影 響: 全wikiサービスの閲覧不可
 ┃
 ┃  ※ メンテナンス時間は、多少ずれる可能性がございます。
 ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
 ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋


・・・夜行性の人多いみたいだし、身構えといた方が吉かな
292薔薇乙女も使い魔:V−4:2007/11/16(金) 20:57:46 ID:wIavgseI
 泉で顔を洗い、朝食のパンと干し肉分け合う。
 ワルドがすっくと立ち上がる。
「さて諸君!昨日急いだおかげで、正午の総攻撃前にニューカッスルへ着けるだろう。反
乱軍司令官にお目通り願うのは難しくないだろうが、我らの密命について気付かれる事だ
けは避けねばならない
 そこでだ・・・」
 干し肉を頬張るルイズに視線を移す。
「反乱軍のトップ、『レコン・キスタ』総司令官オリヴァー=クロムウェルの下へは、私
が行くとしよう。ルイズはここで待っててくれ」
  ぶっ!
 言われたルイズは干し肉を吹き出してしまった。
「待って下さい!私も行きます!」
「いや、万一姫殿下からの手紙が見つかるとまずい。『降伏と投降を勧める』という話だ
けなら、私だけで出来るからね。そして何より…」
 ワルドは、全員を見渡した。
「もしダメだったら、私が司令部で大暴れして逃げる。そのスキに強行突破するんだ」
「「「「「なっ!?」」」」」
 絶句した一同を気にせず、ワルドはジュンの肩に手を置いた。
「君達ならやれるだろう。頼んだよ」
「…はい」
 ジュンは刺すように鋭い目つきで、ワルドを見上げていた。




 丘から見渡すだけで、王軍の敗北はよく分かった。遠くに見える、浮遊大陸の突端に位
置するニューカッスル城は、包囲されていた。
 上空には10隻近い戦艦。おそらく岬の向こうや雲の中にもいるだろう。
 さらに、総攻撃まで間があるのに、既に多くの竜が飛び回っている。
 城壁前には兵士の大集団がいる。万の単位でいるのは確実だ。
 兵には人だけでなく、巨大な亞人、見るからに獰猛な幻獣なども見える。
 巨人の近くには、巨大な弓らしきものもある。攻城兵器だろう。
 獣の咆哮、傭兵達の雄叫び、巨人が振り下ろすメイスの轟音。
 すでに、彼等は勝利の祝杯を上げているらしい。
 そして、その全てが正午を、総攻撃の瞬間を待ちわびていた。

 そしてルイズ達は丘の上の森に隠れ、グリフォンにまたがり反乱軍司令部へ向かうワル
ドを、不安げに見下ろしていた。


 ワルドが反乱軍に入っていったのを見届けると、ジュンは女性達に向き直った。
「みんな、よく聞いて欲しい。これは、あくまで僕の勝手な想像なんだけど・・・」

 ジュンの話を聞かされたルイズは、手を口で被い、次第にわなわなと肩を震わせた。
  バチィンッ!
 ルイズがジュンの頬を打つ。
「あんた・・・まさか、あんたがそんな事を言うなんて!見損なったわ!」
 憤慨して顔を歪ませるルイズを、それでもジュンは真剣に見据えていた
「僕も、そんな事は無いと信じたい。少なくとも、ワルドさんにそんな気は無いと思う。
でも、王宮の他の人、例えばマザリーニ枢機卿ならどうだろう?」
「!…ッ」
 問われたルイズは言葉を詰まらせた。真紅と翠星石も顔を曇らせる。
「ジュンの考えは当然よ。これは確かにあり得る事よ」
「それじゃ、どうするですかぁ?もう、ここまで来てしまいましたよぉ」
 ジュンは顔を伏せ、しばし思考を巡らせる。そして、キッと顔を上げ皆を見据えた。
「もう、後戻りするには遅すぎる。手紙を回収しよう。ただ、気をつけるのは・・・」
 ジュンの言葉に、女性達は何度も頷いた。
293名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:59:20 ID:3FG0br5u
支援
294薔薇乙女も使い魔:V−4:2007/11/16(金) 20:59:58 ID:wIavgseI



 酔ってからんでくる傭兵を無視し、牙を剥く火竜の脇を通り、杖を掲げる騎士隊の間を
案内された。何回もしつこくディティクト・マジックをかけられ、散々所持品をチェック
された後、会議という名の祝勝会を通り抜け、ワルドはクロムウェルに奥の天幕で拝謁し
ていた。

「やぁ子爵!ワルド君!久しぶりじゃないか!どうだね君の、その、なんだ、件のラブレ
ターだよ!んんんっ!?ゲルマニアとトリステインの婚姻を阻む救世主は、手に入りそう
かね!?」
「あと一歩、という所です。本日はその件で閣下の助力を得たく、ここに参りました」
「おぉ!素晴らしいっ!助力か?もちろんだとも!何でも言ってくれたまえ!すぐ手配し
ようじゃないか!」
「感謝致します。実は…」

 他の貴族や将軍は皆、宴会で酒をあおっている。お付きの小姓や警護の下級士官も人払
いされた。今この場にいるのは、ワルドとクロムウェル、そして20代半ばくらいの女性
だけだ。ピッタリとした黒いローブを身にまとい、妙に冷たい感じのする細身の女性が、
クロムウェルの横に控えている。

「なるほどなるほど!そういうことなら話は簡単だ、早速通すとしよう!ニューカッスル
にも手紙を投げ込むとしようか。なぁに!無駄な死人が出ずに済むなら結構な事だ。本当
に投降する者がいれば、王族以外は受け入れるとしよう!決して不利な扱いはしないと伝
えてくれ!」
「ありがとうございます」
 ワルドは恭しく礼をした。
「造作もないことだ!期待している!ところで、その王女からの密書は今持っているのか
ね?是非拝見させてくれないか!」
「いえ、私の共が所持しています」
「おやそうか、残念だね。だが、まあ良い!もう正午まで時間がない、急いで行ってくれ
たまえ!」
「ははっ!」
 ワルドが踵をかえして天幕を出ようとした時、女性がクロムウェルに耳打ちした。
「…ほほう!?ほうっ!それは面白い!
 あ、ワルド君!ちょっと待ってくれ!実は、こういうのはどうだろうか・・・」


 グリフォンに乗ったワルドは丘の上へ舞い戻って来た。
「諸君!話は通ったぞ、急いで城門へ!」
 一同は急いで丘を降りていった。


 丘の上から反乱軍の威容は見ていた。だが、やはり間近で見ると迫力が違う。
 凶悪な光を放つ攻城兵器、巨大な弓―バリスタが城壁を向いている。
 5メイルを超えるトロール鬼が、ふいごのような呼吸音を響かせている。
 荒くれ者の傭兵達が、子供達連れでニューカッスル城に向かうワルドを笑っている。
 彼等の装備、剣や鎧のほぼ全てが、どす黒い染みをつけていた。こびりついた血だ。

 グリフォンに乗ったワルドは、前にルイズを乗せている。
 ルイズは毅然とした態度で胸を張っていた。だが小刻みな震えが止まらない。
 ジュンは背にデルフリンガー、両手にトランクを抱えグリフォンの横を歩いている。
 真紅と翠星石は目立つのを避けるため、また切り札として、トランクに待機している。

 一行はレコン・キスタ軍を通り抜け、ニューカッスル城門へたどり着いた。
 城門は軋む音を響かせて、重々しく開けられた。
 彼等が城内に入ると同時に、再び軋む音を響かせて、厳重に門は閉じられた。
295名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 21:00:44 ID:3y+QTr2i
sienn
296名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 21:00:55 ID:3y+QTr2i
sien
297名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:00:57 ID:3FG0br5u
sien
298名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:01:58 ID:3FG0br5u
sien
299薔薇乙女も使い魔:V−4:2007/11/16(金) 21:02:12 ID:wIavgseI


 城門内では、数百人のメイジ達が一行を出迎えた。それだけのメイジがいれば、本来は
大戦力だ。旅団クラスの傭兵を相手に出来る。だが城外の敵は5万、メイジの数も桁が違
う。敗北は目に見えていた。
 にも関わらず、出迎えた者達に怖じ気づく様子は微塵も見られなかった。

 先頭に立つワルドの前に進み出たのは、凛々しい金髪の若者だ。
「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ。アルビオンへようこそ、大使よ」
 ワルド初め、一行は跪く。
「皇太子、お初にお目にかかります。私はトリステイン王国魔法衛士隊、グリフォン隊隊
長、ワルド子爵。
 ですが、私は大使ではなく、ただの護衛に過ぎません。真の大使は、こちらに」

 優雅に指し示されたルイズの前に、皇太子は歩み寄った。

「ヴァリエール家三女、ルイズにございます。閣下、アンリエッタ姫殿下より、密書を言
付かって参りました」
「密書と申すか?降伏勧告ではなかったのか?」
「いえ、その件は城内に入るための偽装にございます。真の任務は、この密書を渡す事に
ございます」

 密書を胸元から取り出したルイズは、受け取ろうとした皇太子の手を見て、一瞬躊躇し
てしまった。
「どうかされたか?」
「い、いえ、失礼ながら、この密書はウェールズ皇太子に直接手渡さねばなりません。ゆ
えに、証を示して頂きとうございます」
 それを聞いた長身の老メイジが「そなた!無礼であろう!」と怒声を上げた。だが皇太
子は手を振り部下を制した。
 自分の薬指に光る指輪を外すと、ルイズが姫から受け取った水のルビーに近づけた。
 二つの宝石は、共鳴し合い、虹色の光を振りまいた。
「水と風は虹を作る。王家の間にかかる橋さ」
 ルイズは頷いた。
「大変、失礼をばいたしました」

 ウェールズはルイズから受け取った手紙を愛しそうに見つめ、花押に接吻した。それか
ら慎重に封を開き、中の便箋を取り出して読み始めた。

「姫は結婚するのか?あの、愛らしいアンリエッタが。私のかわいい…、従妹は」
 ワルドは無言で頭を下げ、肯定の意を表した。再びウェールズは手紙に視線を落とす。
最後の一行まで読むと、微笑んだ。
「了解した。姫は、あの手紙を私に返して欲しいと告げている。何より大切な、姫からも
らった手紙だが、姫の望みは私の望みだ。そのようにしよう。
 それでは、ついてきたまえ」
 一行は立ち上がり皇太子の後を追う。

「お待ち下さい、閣下」
 ワルドが皇太子を呼び止める。
「反乱軍司令官クロムウェルは、王族以外の投降は受け入れる、との事です。もし城を去
る者や暇を与えられた者がいるなら、正午までに城を出て頂きたい。決して不利な扱いは
しない、との言伝です」
「おお!そうか、それは助かる。パリーよ!」
300名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:03:20 ID:3FG0br5u
sien
301薔薇乙女も使い魔:V−4:2007/11/16(金) 21:03:23 ID:wIavgseI

 ウェールズは先ほどの老メイジを呼び、何事か指示を出した。老メイジは数人を連れ、
城内へ駆けていった。
「実はニューカッスル城下の秘密港から脱出する船があるんだが、どうしても乗り切らな
くて困っていたんだ」
 老メイジ達は、ぞろぞろと疲れた様子の人々を、恐らくは城で働いていたであろう人々
を連れてきた。
「彼等はただの平民だ。反乱軍とて投降する彼等を害する理由はあるまい。感謝するよ。
さぁて、正午まで間がない。急ごう」

 皇太子に連れられて、一行はグリフォンまで伴い、城の奥へと駆けていった。



 ウェールズの居室は、天守の一角にあった。
 王子の部屋とは思えない、質素な部屋であった。木で出来た粗末なベッドに、一組の椅
子とテーブル。
 窓からは、投降した人々が反乱軍の横を通り抜けていくのが見える。

 王子は机の引き出しを開き、宝石のちりばめられた小箱を取り出す。首のネックレスに
付いた鍵で蓋を開けると、蓋の内側にアンリエッタの肖像が描かれていた。
「宝箱でね」
 王子は中から手紙を取り出した。何度も読まれたらしい手紙は、すでにボロボロであっ
た。ウェールズは手紙をたたみ、封筒に入れてルイズに手渡した。
「ありがとうございます」
 ルイズは深々と頭を下げ、その手紙を受け取り胸元に入れた。
「それでは皆、すぐに城の地下に行き『イーグル』号に乗って」
  ドゴゴゴゴンッッ!!
 王子の最後の言葉は、一同には聞こえなかった。大音響でかき消された。
 天守の窓から、城壁の大砲が火を噴くのが見える。そして上空からは、艦砲射撃が全方
位から城へ向けて撃ち込まれていた。

 城の天守は、いい的だ。
 黒い鉄の塊数十個が、放物線を描いて飛来。そして、着弾した。
 全員、衝撃で床に壁に叩き付けられた。

  ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
 城へかけられた強固な固定化魔法をもってしても、多量の大砲弾が着弾した衝撃をしの
ぎきれなかった。
 もうもうと巻き上がる煙とホコリの中、ウェールズとワルドのルーンのつぶやきが、も
し耳が聞こえるなら聞こえたろう。残念ながら全員、着弾時の衝撃で聴覚が一時的に麻痺
していた。
 二人の魔法で部屋の中に突風が吹き、視界をクリアにしていく。
 窓と、壁に開いた穴からは、飛来する火竜に跨る竜騎士が数騎見えていた。

「出番よっ!ホーリエ!!」
「行くですよっ!!スィドリーム!!」
 真紅と翠星石が、トランクから飛び出した。それぞれの人工精霊を火竜の前に放つ。

  カッ!
 二つの人工精霊達は突如激しく輝き、火竜と竜騎士の目をくらませた。
302名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:04:21 ID:3FG0br5u
sien
303薔薇乙女も使い魔:V−4:2007/11/16(金) 21:04:40 ID:wIavgseI
「薔薇の戒めを受けなさい!」
 真紅の薔薇が飛来する竜騎士の火竜達に、小さな針となって襲いかかる。火竜は突然の
痛みを翼一面に受け、怯んで天守から離れていった。
「さぁお前等!さっさと逃げるですっ!」
 叫びながら、翠星石は周囲に水をまき散らしていた。凄まじい勢いでわき出したツタが、
天守を覆い尽くし砲弾を防ぐ。
 ワルドはルイズを、ウェールズはジュンを助け起こし、階段へ飛び出した。目を回した
グリフォンも、主に蹴られて目を覚ます。
 ウェールズに先導され、一行は地下へと駆け下りていった。トランクに乗った人形達も
後ろを飛んでくる。

 ずずずず・・・
 階段を駆け下りる彼等を追うように、上から振動が響いてくる。

 グリフォンに乗せられたルイズが上を見ると、見たくないものが見えてしまった。
 崩壊した天守が、崩れ落ちてきていた!しかも、崩れた下の階と階段を、次々と潰し巻
き込みながら!!
 ワルドがルーンを叫び、杖を上に向けた。
   ドウンッ!
 それは『ウィンド・ブレイク』だった。ただし、彼が生み出せる最大最強の、だ。
 崩落してきていた瓦礫の山は、一気に吹き飛ばされ、噴火するが如く吹き上がる。
 もの凄い轟音が壁の向こうから聞こえる。城の外側へ吹き飛ばされた瓦礫が、外壁や屋
根に衝突する音だ。
「早く!もう城が保たないわ!」
 真紅の叫びは、彼等の未だ麻痺した耳では聞こえなかった。だからとて急がない者はい
ない。むき出しになった城の内部に向けて、天を覆い尽くすほどの竜と幻獣が降下してき
ていたからだ

 先頭のウェールズが1階に降り立った時、ホールで炎と氷の矢が飛び交っていた。襲来
した火竜のブレスと、迎撃するメイジの『氷の矢(ジャベリン)』だ。だが数十本の氷の
矢は、火竜が吐く煉獄の炎で瞬時に蒸発した。その炎がメイジに達した瞬間、メイジ自身
が大爆発した。
 メイジの自爆に巻き込まれ、ホールの竜騎士達が消し飛ばされる。ホールはもはや火の
海だ。
 皇太子に続いて降りてきた一行、特に女性達が悲鳴を上げ目を背ける。

 炎に炙られ熱気渦巻く1階ホールだが、一瞬だけ彼等の頭上に冷気が降りてきた。
「右ぃっ!」
 デルフリンガーの叫びに、ジュンは反射的に剣を掲げた。刹那、右から放たれた雷光が、
彼等の網膜を焼くほどに白く爆ぜる。その雷撃全てが、デルフリンガーの刀身に吸い込ま
れた。
 右に、マンティコアに乗った騎士がいた。必殺の雷を難なく受け止められ、慌てて次の
呪文を詠唱している。
「『エア・ハンマー』!」
 ウェールズが杖をふり、騎士は空気の塊に弾かれ後方の壁に激突した。
   ぐろおおおおっっ!!
 主を失ったマンティコアが咆哮を上げて襲い来る!
   どごんっ!
 いきなり、マンティコア近くで何かが爆発した。爆風で吹っ飛ばされた幻獣に杖を向け
ていたのは、グリフォンに跨ったルイズだ。

「急げ!こっちだっ!」
 走るウェールズに皆必死で追いすがる。
「そぉれそれそれですぅっ!これでも喰らいやがれですぅーっ!!」
 翠星石は、彼等が通った後の通路や階段に、無茶苦茶に水をまいていた。デタラメに生
えた植物が通路を塞ぎ、落ちてくる瓦礫や敵兵・幻獣の進路を閉ざしていく。
 皆、飛ぶような速さで地下へと駆け下りていった。
304名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:05:49 ID:3FG0br5u
sien
305薔薇乙女も使い魔:V−4:2007/11/16(金) 21:06:26 ID:wIavgseI



「くそ…すまない。」
 ウェールズは皆を城の地下、秘密の港まで案内した。真っ白い発光性のコケに覆われた
鍾乳洞だ。だが、岩壁に船の姿は無かった。
 既に『イーグル』号は出航した後だった。

  ずん…ずずぅん…
 頭上からは地響きが聞こえてくる。パラパラと天井から土が落ちてくる。
 入り口から、翠星石が飛んできた。
「ふぅ〜道はぜーんぶ塞いだですよぉ。これで、そう簡単にはここまで来れんですよ」
「うむ、ご苦労だった、スイセイセキ君」
 ワルドは皇太子に向き直り、優雅に頭を下げた。
「閣下、ご協力感謝致します。我らは、グリフォンにてトリステインへ帰還致します」
「地上まで行けるかね?」
「滑空するだけですので、問題ありません」
「そうか、それは良かった」

 ほっと胸をなで下ろしたウェールズは、ルイズに微笑む。

「可愛い大使よ、任務ご苦労であった。アンリエッタには、こう伝えてくれ。ウェールズ
は勇敢に戦い、勇敢に死んでいった、と」
 その言葉に、ルイズの顔は色を失った。
「まさか・・・まだ戦うおつもりですか!?」
「当然だ。本当は真っ先に死ぬつもりだったんだがね。最期に君たちの役に立てて、光栄
に思う」
 ウェールズの爽やかな笑顔に、迷いや恐怖は微塵も無かった。

 ルイズは、熱っぽい口調で叫んだ
「殿下!亡命なされませ!トリステインに亡命なされませ!」
「亡命?どうやってかな?」
「それは、グリフォンに乗れば」
「はははっ!それは無理だ。人間を四人も乗せては、いくらなんでもトリステインに着く
前に、海に落ちてしまうよ。そもそも翼が重量に耐えられないだろうね」
「そ、それは、ワルド様の魔法で補えます!ジュンは、人形達に掴まって飛ばしてもらえ
ばいいのですし」
「賭だな、危険すぎる。
 いずれにせよ、これは王家に生まれた者の義務なのだ。内憂を払えなかった王家に、最
後に課せられた義務なのだ」
「それに!姫殿下からの密書にも、亡命を勧める末文があったはずです!」

 興奮するルイズの肩に、ぽんっとワルドが手を置いた。

「ルイズ、無理を言うものじゃない。我らは姫殿下の命を果たしたのだ。今は早く王宮へ
戻るんだ」
「し、しかしワルド様!」
「ルイズ、ルイズ、よく考えるんだ。姫殿下は我らに何を命じたか、王家に仕える我らが
すべきは何なのか」
「ワルド様・・・」
 大粒の涙を流し、嗚咽するルイズを抱きしめる。
 そして、ワルドはウェールズの正面に立ち、深く礼をする。
「閣下、これにて我らは故国へ帰らせて頂きます。姫殿下よりの任を果たせ、我らも胸を
張って…胸を…うぅ…」

 ワルドは言葉を詰まらせ、肩を震わせていた。
「子爵殿・・・」
 ウェールズは、ワルドの肩に手をおいた。
306名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:07:20 ID:3FG0br5u
sien
307名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 21:07:35 ID:3y+QTr2i
支援
308名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:07:50 ID:uTavU925
ルイズ好きな人きてください!サークル作ろう!
http://mbga.jp/AFmbb.qrVQ8b15e9/
309薔薇乙女も使い魔:V−4:2007/11/16(金) 21:07:56 ID:wIavgseI

「御免っ!」どすっ!「ぐほぉっ!」

 ウェールズの鳩尾に、ワルドの杖の柄が、めり込んでいた。一瞬で皇太子は気絶し、地
に伏した。
 ルイズも、ジュンも、真紅も、翠星石も、グリフォンまでもが目を丸くして言葉を失っ
ていた。

 ワルドはゆっくりと、一同に振り向き、にんまりと笑いかけた。
「・・・王家に仕える者としては、何が姫殿下の一番の望みかを、常に考えねばならんの
だよ」
「ワルド様…」「ミスタ・ワルド!」「ワルドさん、やるですねぇ!」「全く、無茶をする
ものだわねぇ」
 ルイズが満面の笑みに輝く。ジュンも人形達も、最高の笑顔で手を取り合った。

  ずぅんっ!
 その時、後方から重低音が響いてきた。バラバラと土や石が吹き飛ぶ音も混じる。翠星
石が塞いだ通路を、爆薬で開けたのだろう。
「さぁみんな!逃げるですよ!」「ジュン!君は人形達と!」「真紅!翠星石!頼むぞ!」
「任せなさい!ルイズも急いで!」「わ、分かったわ!」
「はぁ〜い♪そろそろぉ、あたし達の出番かしらぁ?」

 突然、なんの緊張感もない女性の声が、岩壁から響いた。
 岩壁からひょっこり顔を出してるのは、シルフィードに乗ったキュルケとタバサとギー
シュだった。シルフィードは、でっかいモグラをくわえていた。
 あまりに唐突な登場に、ワルド達は唖然としていた。

「あ…あ…、あ!あんた達、なんでここにいぃー!?」
 ルイズの絶叫は、洞窟入り口から近づいてくる兵士達の喚声と重なった。
「話は後だ!諸君、急いで乗ってくれたまえっ!!」
 ギーシュの叫びに、グリフォンにはワルドとルイズ、シルフィードには乗ってきた三人
に加え、ジュンと気絶したままのウェールズが乗せられた。

 グリフォンとシルフィード、そしてトランクに乗った人形達は、岩壁に群がる兵士達を
尻目に、悠々と飛び去った。




 グリフォンとシルフィードは、学院へ飛んでいた。人形達もシルフィードの背に乗り、
休息を取っている。
 もはやアルビオンは遙か後方、遠い雲の彼方だ。前に遮るものは白い雲のみ。
 風が全員の頬に当たる。

 アルビオンを後にした一行は、シルフィードの上で大きな安堵のため息をついた。後は
陽気に、この数日間について語り合っていた。
 タバサは相変わらず、本を読んでいた。

「へぇ〜、そのモグラ、ヴェルダンデがルイズさんの水のルビーを」
「そうさ!僕の可愛い使い魔、ヴェルダンデはとびっきりの宝石が大好きだからね。水の
ルビーを追っていくヴェルダンデのおかげで、我々はあの隠し港についたのさ。すると、
どうだい!君たちが皇太子に亡命を勧めてる真っ最中じゃないか!
 どうやって声をかけたものかと、手に汗握っていたよ!」
 その巨大モグラは、シルフィードの口にくわえられ、抗議の鳴き声を上げていた。
「はぁ〜あ、せぇっかくフーケぶっ倒して、必死で追いかけてきたのにぃ…。到着したら
全部終わってましただなんてぇ〜」
「まだ、終わってませんよ」

 ジュンの沈んだ声に、シルフィードの上の一同は少年の顔を見た。
 彼は、未だ気絶したままのウェールズを見つめていた。
310名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 21:08:34 ID:3y+QTr2i
支援
311名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:08:42 ID:3FG0br5u
sien
312名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 21:09:26 ID:3y+QTr2i
支援
313薔薇乙女も使い魔:V−4:2007/11/16(金) 21:09:30 ID:wIavgseI

「目を覚ましたら、怒るでしょうね」
「そうだねぇ…貴族は名誉を重んじる。ましてやアルビオンの皇太子だ。君たちは皇太子
の最高の名誉、王族としての矜恃を胸に栄光ある戦死、を妨げたのだから、それはそれは
怒りを買うだろうね」
 ギーシュも腕組みしてウンウン唸る。キュルケが深くため息をついた。
「はあぁ〜…全く、男ってどうしてこう不器用なのかしらねぇ。女のために生きようって
考えないのかしら?
 というわけで、ここはその『女』に来て頂きましょう!」
「え・・・キュルケさん、もしかして?」
 尋ねるジュンに、キュルケは小悪魔っぽいウィンクをした。
「彼をぉ、こっそり学院で匿いましょう!んで、目が覚めたらお姫様と、感動のごたーい
めーんっ!」
「それだよっ!いやはや、さすが『微熱』の二つ名は伊達じゃないねぇ」「お〜!それは
良いアイデアですねぇ。チチオバケは頭冴えてるですよぉ!」「ち…ちちおばけって…あ
のねぇ」「じゃ、この王子様には、お姫様が来るまで眠って頂こうかしら」

 若い貴族と人形達は朗らかに、王族二人の恋を成就させる方法を語り合っていた。
 そんな中、ジュンだけは真顔だった。真剣な顔で、グリフォンの方を見つめていた。
 羽ばたくグリフォンの背には、ワルドとルイズがいる。ルイズは既に眠っている。
 彼は、任務終了の喜びもなく、ただワルドとルイズを見つめていた。

 そんなミーディアムの姿に、真紅と翠星石が気付いた。二人もグリフォンの方を見る。
 三人は頷きあった。これから起こるであろう、更なる波乱を乗り越えるため。

 アルビオンから帰還する彼等の前に、遙か遠くの草原の中、懐かしい学院がポツンと見
えていた。

     第四話   城が沈む時    END

第三部  終
314名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:09:42 ID:3FG0br5u
sien
315名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:10:01 ID:wQrnOpQp
支援
316薔薇乙女も使い魔:V−4:2007/11/16(金) 21:12:35 ID:wIavgseI
薔薇乙女も使い魔 第三部 第4話、終了です
これにて第三部終了

やった・・・やっとここまでこれたぞぉ
決して人気あるSSではありませんが、それでも暖かい支援の数々に感謝致します


第四部は、やっぱり書くかどうか、まだ迷ってます
では、もし続きを書く事がありましたら、またー
317爆炎の使い魔:2007/11/16(金) 21:17:34 ID:CfBtgTKL
薔薇乙女も使い魔さんGJでした。
4部も期待してます。
ああ、こんな大作の後に自分だなんて。
とにかく、投下します。
318名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:17:39 ID:fLROYvdv
乙ー。
ここで書くのを終わられたら生殺しにもほどがあるんだぜ。
319名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:19:06 ID:wQrnOpQp
ダブルクロスGJ!
ルイズどうなるルイズどうなる

チーターマンGJ!
ちょっと!続きが無いよ!?
これはもう仕様としか言い様のない終わり方だ、それにしてもこの二人、ゲーム内のルールで戦いを進めるなんて、ある意味虚無より凄い

人形GJ!
オスマンは凄い人として描かれる時と、そうでない時の差が激しすぎる。その差が良いんだけど。
おマチさんこれからどうするんだろ。

薔薇乙女GJ!
ワルドが!?マトモ!?
ますます目が離せねぇ…蒼星石がワルドの悪意の芽でもつみ取ったのか、それとも何かもっと裏を掻くつもりなのか…
320名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:20:17 ID:3FG0br5u
>薔薇乙女
まずはGJ!

取り敢えずゆっくり休まれてから続きを書いてください
待ってますよ〜
321爆炎の使い魔:2007/11/16(金) 21:20:24 ID:CfBtgTKL
教室に入るなり、ヒロはほう、と思わず声を出す。
学校といったものに行ったことがなかったヒロは、教室とはこういうものなのか。と部屋を見回した。
ヒロとルイズが入っていくと、先に教室にいた生徒が振り向くなり、くすくす笑い始める。
先ほどのキュルケもいた。男に囲まれている。
(まあ、ああやって色気を振りまいていれば男も寄ってくるだろうな)
そう思い、ネバーランドにいた頃の自分を思い出す。
思えば自分は戦いの日々だった。しかも単なる戦いではなく戦争レベルのものがほとんどだった。
そんな中で周りにいた男と言えば、サトー、チク、ザキフォン、大蛇丸、シンバ、ソルティ、アキラ、スカーフェイス。
ザキフォンは筋肉の自慢をよくしてたし、チクはよく変わった発明をしては私に見せていた。大蛇丸にはよく尻を触られた。
シンバとソルティは何時も2人一緒だった。きっとホモだったに違いない。アキラとスカーフェイスはすでに相手がいたし、
サトーはどうだろうか、よく自分を見つめてたりしてた。実は自分に好意を持っていてくれたのではなかろうか?
少し頬を染めるヒロ。しかし現実は残酷だ。
そう考えると、自分ははすでに色んなものを逃してしまったんじゃなかろうか・・・
しかし、伴侶を見つけてキャッキャウフフしてる自分を想像してちょっと嫌になった。
自分もすでに100近い年齢まで達している。種族的に長寿なので見た目は若いままだが、実は中身はおばあちゃんと言われてもおかしくない。
彼氏いない暦100年。ちょっぴり切なくなってため息をつくヒロであった。
322爆炎の使い魔:2007/11/16(金) 21:22:20 ID:CfBtgTKL
気を取り直して周りを見ると、なるほど、確かに周りの生徒は色々な使い魔を連れていた。
フクロウやカラス、ヘビといった普通の動物レベルのものからバジリスクやバグベアーといったモンスタークラスのものまでいた。
ルイズは1番後ろである自分の席に座る。椅子は1つしかなかったので、ヒロは立っていることを選んだ。といっても壁に背を預けて
いる状態だが。

扉が開いて中年の女性が入ってくる。紫色のローブに身を包んでいる。見る限りでは人の良さそうな女性だ。
彼女は教室を見回すと、満足そうに微笑んで言った。
「皆さん、春の使い魔召喚は大成功のようですね。このシュヴルーズはこうやって春の新学期に、様々な使い魔を見るのがとても楽
しみなのですよ。
ルイズはバツが悪そうに俯く。
「おやおや、変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」
シュヴルーズのその一声を皮切りに、教室がどっと笑いに包まれた。
「ゼロのルイズ!召喚できないからってその辺を歩いてた平民を連れてくるなよ!」
その声にルイズが立ち上がろうとするがヒロに肩をつかまれ立ち上がれない。
「ちょ、何するのよ!」
「わめくな。程度が知れるぞ。雑音など聞き流せばいいではないか」
「うぐ・・」
「ははは、使い魔に諭されるなんてとんだ主人だな」
そんな声もどこ吹く風か、なおも立ち上がろうとするルイズを押さえつけ、ヒロはシュヴルーズのほうを向く。
「おい、そこの女、ここは託児所か?たかだか小事ですぐ五月蝿くなる。私の知り合いの孤児院の子供たちのほ
うがよっぽど躾がなっているぞ。教師なら教師らしく、さっさと静めて授業に入れ」
少し、殺気が滲み出るヒロ。
「そ、そうですね。さあさ、皆さん静かにしてください。授業を始めますよ!」
シュヴルーズの一声で静かになる教室。ルイズももう立ち上がるのを諦めたようだ。
323名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:24:55 ID:Ak09gvcC
支援
324爆炎の使い魔:2007/11/16(金) 21:26:04 ID:CfBtgTKL
シュヴルーズの授業が始まる。ここでヒロは1つ学ぶ、この世界の魔法には系統があり「火」「水」「土」「風」の4つと失われた
「虚無」という系統の魔法があるということだった。
ヒロはネバーランドの魔法を思い浮かべる。「火」「水」「土」「風」「雷」「光」「闇」に分かれていた。
「雷」はおそらく「風」に「光」と「闇」が「虚無」に該当するのだろう。
また、この世界では建築や鋳造なども魔法によって行うという。魔法が発達している代わりに科学の発達は遅いようだ。この辺もネバーランドと
は違うようである。
(なるほど貴族だのメイジだのが、ここまで偉ぶっているのは技術のほとんどを握っているからか。それなら合点もいくな)

シュヴルーズが杖を振ると机の上に石ころが現れる。
「さてみなさんには『土』系統の魔法の基本である『錬金』をやっていただきます。1年生のときにできるようになった人もいるかもしれません
が、おさらいということでもう1度やってみましょう」
シュヴルーズは短くルーンを唱え、杖を振る。すると石ころは光りだした。
光が収まると石ころがピカピカの光る石に変わっていた。
「ゴ、ゴールドですか?ミセス・シュヴルーズ!」
「いえ、これはただの真鍮ですわ。ゴールドを錬金できるのは『スクウェア』クラスのメイジだけです。私はただの『トライアングル』ですから。
ゴールドを錬金できると聞いて呆れるヒロ。そんなことをすればこの世界のゴールドの価値や貨幣制度などは崩壊してしまうのではないか?と
思ったがどうやらゴールドを錬金するには相当の時間と技術が必要な上に大した量も作れないようだ。
「さっきからスクウェアやトライアングルとはなんのことだ?」
知らない単語が出てきたのでルイズに小声で聞くヒロ。
「系統を足せる数のことよ。それでメイジのレベルが決まるってわけ」
「なるほどな、『火』と『土』を足したりできる技術のことか」
ネバーランドではそこまで珍しい能力ではなかった。いや、単に自分の周りにそのクラスの連中ばかりがいただけなのかもしれない。
「ミス・ヴァリエール!授業中の私語は慎みなさい!」
「すいません」
「おしゃべりをする暇があるのなら、貴方にやっていただきましょう。この石ころを貴方の望む金属に変えて御覧なさい」
「わ、わたしが、ですか」
困ったようにもじもじするルイズ。
「ご指名だ」促すヒロ。
「あ、あんたのせいでしょうが!」
「ほら、ミス・ヴァリエール。早くしなさい」
シュヴルーズが呼びかけるとキュルケが手を上げる。
「先生、危険です」
「どうしてですか?」
「先生はルイズを教えるのは初めてですよね?」
「ええ、でも彼女が努力家だという話は聞いています。さあ、ミス・ヴァリエール。気にしないでやって御覧なさい。失敗を恐れていては
なにもできませんよ。」
「ルイズ。やめて」
キュルケは顔を蒼白にしている。
なんだこれは?ルイズは今から魔法を使うというだけだ。まるで良くないことが起きるかのような雰囲気である。例えば、彼女の魔法の威力が大きすぎて
周りにすごい被害でも起こしてしまうと言うのだろうか?だがそれならば恐れられることはあっても馬鹿にされることはないはずだ。
しかも、今から行うのは錬金、単に石ころを別の金属に変えるだけのはずだ。
「やります」
緊張した面持ちで石の前に立つルイズ、生徒のほとんどが机の下に隠れてしまった。
ルイズはシュヴルーズに教えられた通りに短くルーンを唱え、杖を振った。



すると石が光り、大爆発を起こした。
325名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 21:28:46 ID:3y+QTr2i
しえん
326爆炎の使い魔:2007/11/16(金) 21:30:25 ID:CfBtgTKL
光った瞬間ヒロは舌打ちし、一瞬のうちに術式を完成。『トルネード』を自分の周りに発動させ、爆風を防いだ。
一瞬のことだったので周りはヒロが魔法を使ったことに気がついていない

しかし、爆発の影響をモロに受けた教室は悲惨なものだった。
ルイズの1番近くにいたシュヴルーズは吹き飛ばされたのだろう、気絶していた。周りの使い魔たちもその爆発に驚き、暴れだす。
火を吹くトカゲ、窓ガラスをぶち破る怪鳥、他の使い魔に襲い掛かる使い魔、暴れる使い魔を抑えようとして逆に襲われてしまう生徒たち。
もはや教室は阿鼻叫喚の嵐と化していた。

そんな様子を見て、ヒロはため息をつく。
「者共、静まれ!!!!」
ヒロの怒鳴り声が教室に響き渡る。すると暴れていた使い魔たちだけでなく生徒たちもピタリと動きを止めヒロのほうを向いた。
ジロリとにらむと生徒たちは机に座りなおし、使い魔たちはのそのそ主人の下へ帰っていった。
シュヴルーズと同じように気絶していたルイズも目を覚ます。ルイズは起き上がると顔についた煤をハンカチで拭きながら淡々と言った。
「ちょっと、失敗したみたいね」
静かになっていた生徒たちもさすがに猛反撃をする。
「ちょっとじゃないだろ!なにしてくれるんだゼロのルイズ!」
「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないか!!」
(なるほどな。だから『ゼロ』のルイズか。)
特に気にしていたわけでもなかったが、どうしてルイズの前に『ゼロ』と付けられるのかヒロは理解したのだった。
327名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 21:31:54 ID:3y+QTr2i
支援
328名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 21:32:07 ID:3y+QTr2i
支援
329名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 21:33:39 ID:3y+QTr2i
支援
330名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 21:34:18 ID:3y+QTr2i
支援
331爆炎の使い魔:2007/11/16(金) 21:35:45 ID:CfBtgTKL
4話目終了です。
思えば3話と言って投下したお昼の分とあわせて3話でちょうどいいかもしれませんね。
ヒロを早く戦わせたいのですが、にんともかんとも
話数的にそろそろ戦いたいと思います。

ヒロはガンダールヴではなくミョズニトニルンなので、アイテム系が出てくるまでは能力もお預けです。
ぶっちゃけ十分強いので、GOCのヒロなら100対1でもゲージさえたまれば圧倒できそうで困る。
332名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:37:26 ID:270qqHgH
爆炎の人乙

そういや今ヒロはGOHもってたっけ?
333ゼロのgrandma:2007/11/16(金) 21:41:22 ID:gDH5Ro9p
こんばんわ。
予約します。空いてますか?

大丈夫でしたら21:45から行きます。
334名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:42:11 ID:nV+D2kWW
>彼氏いない暦100年。
ヒロ様、まだ慌てるような時間じゃない(AA略
スペフォ1〜愛邪までやってたが、1対1000でもやろうと思えば勝てたからなぁ。
1対70000のシーンはどうなることやら。
335ゼロのgrandma 1/8:2007/11/16(金) 21:45:08 ID:gDH5Ro9p
昼を少し回った時刻。
イーグル号の出港準備で慌ただしい中、ウェールズは客間を訪れていた。
二人を見送る為である。

「しかし――今更ですが良くお似合いです。是非とも舞踏会にてお会いしたかった」
「光栄ですわ」
お世辞でも嬉しいわねー、と隣のルイズに微笑む。
昨夜、湯浴みを終えたリンディに、ウェールズがドレスを贈ったのだ。
残して置いても落城の際に略奪されるだけだとの言葉に、遠慮無く頂く事にした。
折角だからと、帰還する直前にお披露目する事となり、この状況に至っている。
カクテル系が含まれたケープドレス。
透明感のある緑の、かなり上品な仕立ての一品。城に入れる程に名のある者が手掛けたのだろう。
装飾品は普段のブローチ一つのみだが、逆にそれが良く映える。
髪を解いた彼女には、実によく似合っていた。

実のところ、ルイズもワインレッドの一品を頂いているのだが、小柄な彼女にはサイズが少々合わなかった。
仕立て直さねば布が余る。主にどことは言わないが。
結局、艶やかなリンディの隣で、旅装の上にマントを羽織っただけだから、
「羨ましくは無いけど、なんか腹立つ」
と先程から少し拗ねていた。

そしてもう一つ。
その様子を楽しそうに見ているリンディの左手に、大きな指輪が光っている。
アルビオン王家の証、風のルビー。
昨晩、皇太子自ら譲った物だ。
それを渡す時、ウェールズは一言も発しなかったし、受け取った彼女も何一つ問う事は無く。
ただ黙って受け取り、目を合わせたのみである。


その夜リンディは、別の話題で夜食時の会話を盛り上げた。
特にウェールズが耳を傾けたのは、彼女の知る古今東西の戦記。
ルイズも聞いたことのない英雄の話、悪漢の話。そして興国と亡国の連綿たる大河の流れ。

一つ、彼女は詠う。

――さても義臣すぐつてこの城にこもり、功名一時のくさむらとなる。
国破れて山河あり、城春にして草青みたりと、笠うち敷きて時の移るまで涙を落としはべりぬ。

夏草や 兵どもが 夢の跡――そうリンディは締め括った。

「なるほど」
意味を説明されたウェールズは、随分と感銘を受けたようだった。
「元々はわたしの地元の文学ではないのですけど」
「どこで覚えられたのです?」
「実は、娘からなんです」
今でも耳に残る、必死に読み上げる声を思い出した。
門前の小僧で無くとも覚えもする。家のあちこちに貼られた、試験期間中の古典の数々を見れば。
実は芭蕉に限らず、著名な作者の作品はそれなりに知っている。

「娘は古典がちょっと苦手でしてね。試験間際には、有名な文学作品を大きな声で読んでいましたから」
通っていた中学校のレベルが高い上に、本来ミッドチルダの人間である娘の苦労は、計り知れなかった。
現代文学ならまだしも、古典に至っては暗号と変わらない。
しかも親友の一人がやたら試験で勝負を挑んでくるものだから、手を抜くことも不可能だ。
任務を終えて疲れ切った後、半泣きで古語辞典とにらめっこしていたり。
試験近くになれば、勉強会やら夜遅くの詰め込みやらで大変な有様だったのを覚えている。

336名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:45:15 ID:270qqHgH
>>334
ソウルズ2おわりぐらいなら80弱だったかなヒロの年齢
337名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:45:19 ID:NZbr/LLL
>>334
そういえばブレイジングソウルズでは
リーザは34歳の年齢を気にしてたな…

でも連携技「ロリータショック」に参加…
338爆炎の使い魔:2007/11/16(金) 21:45:58 ID:CfBtgTKL
>>332
GOHは持っています。ここではオリジナル設定でいつでも呼び出せる。
みたいな便利武器になってます。
339名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:46:50 ID:jxMAK5/V
具欄間支援!
340ゼロのgrandma 2/8:2007/11/16(金) 21:47:15 ID:gDH5Ro9p
様々な理由があったにせよ――執務官試験に二度落ちたりする娘は、幼少の頃から試験運が悪かった。
優秀なのに、たまに出る引っ込み思案のせいか、本番でよく苦労したものだ。

もちろん、苦労して通っただけの価値はあり、得られた経験も友人も素晴らしいものだったが。

「勉学とは、何事も大変なものですね」
「もちろんです」
同意するようにウェールズは頷いた。
「ヴァリエール嬢も学院で学べることが多いはずだ。今を大事にする事だね」
「はい、殿下」
「私とて、学ぶべき事は幾らでもあると思う。今の話もそうだな」
王家としての誇りを選ぶなら、正々堂々と正面から戦う以外の選択しかない。
が、一人の国民としての立場から見れば、未曾有の戦渦に巻き込まれようとしている国を見捨てる事になる。
人は死して名を残す。しかし国が滅べば伝える者も消え果てるだろう。
視点の問題だとしても。
正義と大義は、必ずしも両立しないのだ。
戦うことは決定済みだ。その意志が揺らぐことは微塵も無いが。

「……功名一時のくさむらとなる、か」
聞かされた無常観は、彼が以前考えた事を再び刺激する。

自分たちが矜持を示す事で、王家の義務を果たす事が本当に叶うのか?
行動の根源に触れる僅かな思索。
死に正対する誇りを軽視するのではなく、視点を移動させた故に発生する、新たな評価基準。

元々彼は、王族とはいえ観念に凝り固まった人間では無い。
――でなければ、空賊の頭領などに身をやつすなど、出来ようはずがないではないか。

考えるべきだ。
国を後世まで残すには?
戦禍の渦から、国民を一人でも守る為にはどうしたら良いのか。
リンディがこの話をした意味。
覚悟を確認した上で、敢えて新たな視点を定義したのは何故か。
(考えるまでも無いことかもしれんな)
戦い方においては、幾つかの選択肢が残されている事実を再認識する。
真に誇るべき事は?
ウェールズはその古典――平泉の一節――を書き留めると、真剣な眼差しで眺めていた。

   ◆  ◆  ◆

341名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:49:00 ID:zGDVBnpq
支援やで〜
342名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:49:29 ID:jxMAK5/V
具欄間ってなんだ暴走族かよorz

しぇん
343ゼロのgrandma 3/8:2007/11/16(金) 21:49:44 ID:gDH5Ro9p
昨晩のことを思い出していたウェールズは、その声で我に返る。

「それでは、そろそろお暇致します」
「道中ご無事で、ラ・ヴァリエール。そしてミセス・ハラオウン」
一瞬でドレスをバリアジャケットに変えたリンディを見ても、彼は動揺を見せなかった。
今更驚いても仕方がないと思ったのだ。

描いた魔法陣が一際輝いたかと思うと、会釈を残した二人は眼前から消えていた。
結界か瞬間移動なのかは判別出来ないが、誰の手も届かない方法で旅立ったのは間違いない。
「先住魔法とは、実に恐るべきものだが」
行使する者がああいう人間なら、さほど心配はいらないだろう。

呼びに来た老メイジが、使者がいつの間にか消えた事を問い詰めてきたが、
「トリステインの最高機密だと言っただろう? 私にも理解できないさ」
と言われれば黙るしかない。
「それよりもだ、パリー」
彼は、随分と朗らかな笑みを浮かべて言う。
「たった一人で国を盗った男の話を、聞いたことはあるか?」
「は? 御伽噺でならございますが」
「現実の話――だそうだ。もっとも、その者がどれほどの月日を費やしたかは知らぬ」
昨晩聞いた話。それは英雄譚ではない。
数多の謀略が渦巻く闘争劇だ。
「気の遠くなるような話ではある。が、一人ではないにしろ、身近に例もあるではないか」
そうだ――本来少数派だった叛徒共ですら、この短期間に可能とした事なのだ。
自分の能力を過信はしないが、卑下する必要も無い。

イーグル号が空賊として働くのは、今回が最後かもしれない。
「王は誠に聡明で立派な方だが、生憎と私は些か学が足りぬようでな」
「殿下?」
疑問を浮かべたまま動かなくなったパリーに、彼は意地の悪い笑みを見せる。
「最後の一兵まで戦う戦場を、どうにも選べないのだよ」

学ばねばなるまい。
国をひっくり返すというのは、どういう事なのかを。

   ◆  ◆  ◆

行きと同様、城の直上に転移してから降下したリンディは、ラ・ロシェールを迂回して平野部に入った。
聞いたところによると、スヴェルの月夜は今夜だから、船の出港は明日の朝。
それ以降なら、自分たちがトリステイン国内にいると思う者は少ないだろう。

「……おい、そろそろだぜ」
耳元で囁いたデルフに、彼女は黙って頷いた。
広域探索の魔法を併用して、鈍化した視覚を補いながら周囲を捜索する。
と――
「何かしら、あれ」
ルイズが先に、遠方に立ち上がる煙を見つけた。
薙ぎ倒された木々の一部が燃えている。

344名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:51:15 ID:zGDVBnpq
支援でござる
345ゼロのgrandma 4/8:2007/11/16(金) 21:52:09 ID:gDH5Ro9p
近付くにつれて分かったのは、どうやら戦の後らしいという事だ。
各所に残る、野営の痕跡。
野宿していた彼らを、おそらくは朝食の炊煙を目印に襲撃した者がいる。
理解し難いが、それは複数のメイジによるものだ。
焼け焦げた跡は火系統の魔法。
地面に衝撃痕を残すほどの強風は、風系統の魔法。
あちこちに堆積した土の塊は、稼働したゴーレムが崩れた跡ではないか。

ルイズが知るはずもないが――例の三人が、遠慮無く叩きのめした二つ目の集団である。

「凄いわね。これは……そっか、あの子たちにも頼んだわけね」
「何か知ってるの?」
「いいえ。見た目よりも律儀な人だなって思っただけ」
味方もそうだが『敵』もである。
(裏があると嫌だなー、なんて思った時は、大概そうなっちゃうのよね)
予想があっさり当たってしまった事を理解すると、リンディはロングビルに感謝した。
これだけ派手にやってくれているなら、ここから学院までの街道筋は安全だと思う。
場合によっては見つけてくれるかもしれないし。
馬で一日半ほどの距離。途中で休ませながらでも充分だ。
今からでも、明日の昼頃までには学院に辿り着けるなら――

「どうしたの?」
急速に高度を下げるリンディに、ルイズは尋ねた。
眼下に見えるのは、野営地に繋がれたままの馬が数頭。のんびり草を食んでいる。
側には食料を積んだままの荷車が一輛。
「あのね、ルイズさん。昨日言ってた事なんだけど」
「昨日って、体調のこと?」
「うん」
ふわり、と馬の側に舞い降りたリンディの背中から、ルイズが飛び降りる。
「ちょっともう、何て言ったらいいのか、その」
「……まさか」

バカじゃないの!? と怒鳴る彼女に、にっこりと笑顔を見せながら。
「ごめんなさい。もう限界♪」
と、リンディはそのまま崩れ落ちた。

   ◆  ◆  ◆

普段なら黄昏時の余韻を楽しむ事も悪くない。
だが、焦る気持ちが有る時、日の落ちた後の闇の到来は何と早いことか。

(だからって焦っても仕方がないわ)
ルイズは逸る気持ちを抑えながら、慎重に手綱を握っていた。
出来る限り揺れないように、道の変化を見逃すまいと目を細めている。

346名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 21:52:20 ID:3y+QTr2i
読むのが追いついいた支援
347名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 21:53:01 ID:3y+QTr2i
しえん
348名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:53:22 ID:jxMAK5/V
たおれた!?支援
349ゼロのgrandma 5/8:2007/11/16(金) 21:53:37 ID:gDH5Ro9p
馬二頭で引かせた荷車の簡易御者台は座り難く、もう腰がかなり痛い。
だからと言って、病人を背負って馬を飛ばせるほど自分の馬術に自信は無いし、何より馬が潰れかねない。
急ぎたいのは事実だが、今は確実に学院に戻らねばならないのだ。

だけど。
(わたしが水系統のメイジだったら、何か出来るかもしれないのに)
何故、魔法が上手く使えないんだろう。
繰り返し浮かぶ考えを、彼女は唇を噛むことで飲み込んでいる。
本当は、耳を塞いでしまいたいのだ。

後ろから聞こえる細く長い息遣いと。
――時折混ざる苦鳴が、自分の心を折ってしまいそうだから。


リンディを必死に荷台へ引き上げたルイズは、冷静なデルフの指示もあって手早く準備を整えた。
荷車の荷台に作られたのは、残された荷物から掻き集められた布と、干し草による簡易ベッド。
それと桶に入れられた――大量の水だ。

触れてみて感じた高熱に、ルイズは青くなった。
先程まで平然と会話していたのが嘘のようだ。そもそも、昨晩はこんな風じゃなかった。
記憶の中から、乏しい医療知識を引っ張り出す。
とにかく飲み水をしっかり確保して、あとは頭部を冷やせるだけ冷やす。
身体を温める為に、旅装の中でも軽い物を全て引っ張り出して被せた。最後に自分のマントを一番上に。

「……あんた、知ってたわよね?」
御者台に水桶を括り付け、手拭いを幾つか用意するルイズは、黙々と作業をしながら呟いた。
「お前さんだって、薄々は気付いてたじゃねえか」
側に突き立てられたデルフは、淡々とそれを肯定する。
「相棒はアルビオンに入る前からギリギリだったさ。ここまで戻れたのだって、奇跡みたいなもんさね」
「奇跡って……そんな。わたし、そこまでして欲しいなんて」
「――分かってんだろ。相棒は『使い魔』だぜ?」
冷たい響きが、ルイズの口を閉じさせた。

「使い魔っていやあ」
彼は話し続ける。
「一生主人と共にある存在だ。けどその『一生』ってなあ、主人の方じゃねえ」
主人の方からすれば、使い魔とは、失えば新たに得ることも可能なのだ。

主の目となり耳となり、
主の望む物を得るよう努め、
主の身を守る為に全てを尽くす。
それが、世間で言われる使い魔ではなかったか。

350名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:54:17 ID:zGDVBnpq
支援なの
351名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 21:54:35 ID:3y+QTr2i
自演
352ゼロのgrandma 6/8:2007/11/16(金) 21:56:00 ID:gDH5Ro9p
「主人の為に体を張るなんざ、当然のことだろ?」
今更言っても仕方ねえ――そう言ってデルフは沈黙した。
ルイズは無言で作業を続けた後、彼を無造作に引き抜いた。鞘に納めず、そのまま御者台に突き立てる。

念押しされるまでも無いのだ。
「分かってるわよ。そんな事は」
手綱を握ったルイズは、静かに荷車を出発させながら吐き捨てた。


手綱をデルフに引っ掛け、温くなった手拭いを水桶に浸した時。
「今、何か言った?」
ふっと何かに呼ばれたような気がして、ルイズは声を掛けた。
「いいや。今のは俺じゃなくて」
「――――――ズ」
再び耳に届いた微かな声に、彼女は手綱を引いた。
誰かが道の正面から駆け寄ってくる。随分と立派な服を纏った男だ。
しかも、親しげに手を振っているではないか。

訝しげに目を細めたルイズは、やがて幻でも見たかのように驚愕した。
「ま、まさか」
「ああ、やっと追いついた。まさかこんな所で会えるなんて思ってもみなかったが」
そう笑いながら近付いてきたのは、魔法衛士隊で隊長を務めるワルド子爵だった。
と言うよりも、彼女にとってはそれ以上の意味を持った人である。
子供の頃からの憧れの存在で――自分の婚約者。

久しぶり、という事を考える余裕も無く。
思いも掛けない出会いに顔を真っ赤にしたルイズは、御者台から転ぶように降りた。
「ど、どうしてワルド様が、ここ、こんな場所に?」
「実は姫殿下から、きみの護衛を頼まれたんだ」
詰め寄った彼女に苦笑を返すと、彼は両腕で抱え上げた。
「本当に久しぶりだ。僕のルイズ! きみはいつも変わらないよ」
まるで羽のようだ、と言われて、ルイズは頬を染めた。
「いや、苦労したよ」
ちら、と荷車の方に目をやってから、ワルドはルイズに語りかける。
「どこを捜しても見つからなくてね。明日の朝は出港だから、これから夜を徹して港町に向かおうかと思っていた」
「も、申し訳有りません」
俯いたルイズは、辺りを見回した。
少しだけ気になったのだが、彼は何故こんな所に一人で居たのだろう。
付近にはグリフォンどころか、馬すら見えない。

353名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:57:14 ID:jxMAK5/V
支援!
354名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 21:57:19 ID:3y+QTr2i
支援
355名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 21:57:50 ID:3y+QTr2i
支援
356ゼロのgrandma 7/8:2007/11/16(金) 21:58:08 ID:gDH5Ro9p
尋ねると、彼は少し顔を歪めた。
「きみの使い魔がやたらと警戒してくれたから、朝から捜し詰めでね。近くで休ませてるんだ」
「それは、でも」
「いや、会えたからいいんだ。気にしてないさ。――それにしても」
ワルドは、再び荷車を見ながら首を傾げた。
「まさか逆方向に向かっているとは思わなかった。何故だい? これでは間に合わないじゃないか」
「あ、う」
どう説明して良いか分からず、ルイズは口籠もった。
その様子を見た彼は、大きく頷いてみせる。
「もしかすると、そこに寝ている使い魔のせいかな? 慣れない旅で体調を崩したのかい?」

彼は、やれやれと頭を振った。
小さなルイズの事だ。自分の初めての使い魔が倒れたので、慌てて戻ってきたのだろう。
どうやら、思っていたよりも子供だったらしい。
「全く。たかだか数日の事じゃないか。頭が回るとは言っても、こんなにひ弱では、使い魔なんてとても」
「――降ろしてください」
胸に抱いていたルイズが、不意に強張った声を上げた。
戸惑う彼の胸を押すと、自分から地面に降りる。
「ルイズ?」
「ご迷惑をお掛けしたのは謝ります。ですが、わたしの使い魔を悪く言うのは止めてください」
「しかし」
現に、こうして任務の妨げになっているではないか。
「きみが彼女を大事に思う気持ちは分かるが、大切な任務を忘れるようではいけないよ?」
「忘れてなんかいません。使い魔――リンディのおかげで、どれだけ助かったか」

俯きながら出した、彼女の自分に言い聞かせるような声。
「……すまない。だが、とにかくここにいても意味がないんだ」
思いの外、強い口調で言うその様子に、ワルドは取り合えず話を収めようと試みる。
「時間も無いことだから、このまま港町に向かおう。彼女はそこで診て貰えば」

「いいえ。もう任務は果たしました」

「?」
唐突な――あまりにも唐突なその内容に、彼は反応出来なかった。
呆然となったその前で、ルイズは誇らしげに顔を上げる。
「姫殿下より頂いた任務、無事完遂致しました。皇太子殿下からお預かりした物は、ここにあります」
彼女は自分の胸に手を置いた。
シャツの胸ポケットに忍ばせた、一通の手紙。

「なん、だって?」
聞いた内容が、漸く頭に届いたのか。
驚愕の色を露わにしたワルドは、視線を忙しく往復させた。ルイズと――その使い魔に。
信じられない話だが、少女の自信に満ちた表情が真実を告げていた。
無論、方法など想像出来るわけがない。
だがそれでも、思い出さざるを得ない事実が一つある。
この使い魔は――先住種族だ。
「それは本当かい?」
「ええ。全てリンディのおかげです。わたしは、一緒に行ったに過ぎません」

数瞬の沈黙の後。
「なるほど、頭が回るだけではないようだね」
そう使い魔を褒めたワルドの笑顔は、ルイズが昔から知っているように清々しく。
――ぞっとする程、酷薄な視線を含んでいた。

357名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 22:00:02 ID:3y+QTr2i
支援
358名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 22:00:17 ID:AY9y7dJ9
ワルド涙目支援
359ゼロのgrandma 8/8:2007/11/16(金) 22:00:21 ID:gDH5Ro9p

   ◆  ◆  ◆

同刻。
タバサは篝火から闇夜へと視線を向けた。
杖を手に取ると、じっと周囲を観察する。
「タバサ?」
風竜が何か言ってきたのか? とキュルケが視線を向けたが、タバサの厳しい目つきは変わらない。

現在、彼女たちは学院からさほど離れていない位置で休みを取っていた。
本日はこのまま帰還する予定である。
今日一日周囲を偵察した結果――どうやら当面は、あれ以上の布陣は無いと判断したからだ。
定期巡回をする場合、一日で無理をしては後が続かない。

だからこそと言うわけで、一重になった月下でのお茶会を洒落込んでいたのだが。
「何か見えたのかい?」
手早く食器を片付けたロングビルが、火に土を被せて消した。
夜間の対応は、闇に目を慣らすのが基本だからだ。

だが――
「上!」
(一歩遅れたっ?!)
タバサの叫びに舌打ちをした。明暗順応が終えるのにはもう少し時間がかかる。
それでも、上空から凄まじい速度で落下してきた影が、杖らしき物を振るったのが見えた。
エア・ハンマー。
魔法で作り出された巨大な気塊が、三人の真ん中に着弾する。

その余波を食らう程、鈍い者は一人も居ない。
しかし、燻っていた残り火を加えた土煙で、一瞬視界が奪われたのは事実。
「――って言うか、どっから現れたのよ!」
キュルケは、三方に散った仲間と合流すべく走り出した。
いくら夜だからと言っても、障害物の無い平野部なのだ。
タバサの使い魔が見張っていたし、自分たちだってそこまで油断してたわけじゃない。
視界外から、遙か上空を魔法で飛んできたとでもいうのだろうか?
それとも、自分の知らないような使い魔を使役して、高空から飛び降りたとか?
(なんて考えてる暇無いか)
タバサの姿を認めると、そちらに向かおうとして――背筋を凍らせた。
背後から聞こえる、長い呪文の最後の一節。
一体いつから唱えていたのか?
向き直って見れば――闇に紛れるかのように屈み込んだ影が、黒塗りの杖を振るっていた。
ライトニング・クラウド。
その雷撃は、直撃すれば即死もあり得る。

(――間に合わない!)
思わず目を閉じたキュルケの耳に、バチッ、と大気の震える音が届いた。
360名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 22:00:26 ID:jxMAK5/V
タイミングわりいwww
支援
361名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 22:01:23 ID:3y+QTr2i
支援
362ゼロのgrandma:2007/11/16(金) 22:04:02 ID:gDH5Ro9p
投下完了です。
支援感謝ー。
次は来週末が目標です。
363名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 22:07:36 ID:neSW2YYO
乙!

るいずにげてー
364名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 22:08:17 ID:jxMAK5/V
乙&GJ!
いいとこで終わったwwwチクショーwww
ルイズ大ピンチだね。
365名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 22:09:45 ID:VWmAjd+1
>>274-278
Zero ed una bambola   ゼロと人形

今日の分読んで一番面白かった。
きれいな○○ってキャラに深みが出るから、良作の目安みたいに思える。
366名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 22:31:04 ID:3y+QTr2i
grandmaGJ!
続きが待ち遠しいです。
367名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 22:40:36 ID:c/obqyLI
GJだね
どうなるのか楽しみだね
368ゼロの機神 ギガンティック・ゼロ :2007/11/16(金) 22:42:10 ID:WiNZowfL
道があいたようであれば、行きます。
行けますでしょうか?
369名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 22:48:14 ID:qmYgyUZR
行けますよー
疑念を胸に秘めながら、オニクスは急降下する。それに追随するようにワルキューレ達が追尾してくる。この近距離、振り切るのは難しいだろう。
不意に正面に生成されたワルキューレに蹴りをかまし、二騎のワルキューレの剣を、ソードで受け止める。
ヨロケから復帰したワルキューレが、背後へと向かってくる。オニクスは正面二騎のワルキューレを弾き飛ばし、回転切りで3騎を巻き込んで胴から両断した。
「しつこいっ!!」
上昇。追いすがるワルキューレの一体をナーブケーブルで捕縛し、迫り来るワルキューレに対して投げつける。
ワルキューレの動きをまとめて止めたオニクスは、地上のギーシュを見据える。彼は笑っていた。
もう、手加減はすまい。
ためらいなくオニクスはソードをギーシュに投げつける。そして命中を確認もせず急加速、地表すれすれにギーシュへと迫る。一方のギーシュは護衛のうちの一騎を盾にしてソードを防いでいた。
ギーシュの護衛は三騎に増えている。この奇襲も、読まれていたということか。後方から迫る五騎を尻目に、左腕にライトニングソードを召還する。距離がつまる。
剣が刺さったワルキューレは灰と化し、その代わりにまた新たなワルキューレがオニクスの正面に召還される。落ちる剣。さらに詰まる距離。オニクスはライトニングソードで、複数のワルキューレの足首をまとめて切断した。
そのままギーシュの脇を通り過ぎ、地面に触れかけたムラクモソードを掴み、急反転する。彼は、二刀流になっていた。足首を斬られたワルキューレが、一斉に崩れ落ちる。
「終わりだ」
ライトニングソードをギーシュに向けると、雷光がほとばしり、ギーシュに向かって一条の光が飛ぶ。辛うじて起き上がったワルキューレがギーシュをかばい、雷光を数発受けて爆散した。
「まだっ!!」
ライトニングソードからはさらに雷が乱射される。近づくこともままならず、さらに追いすがってきた五騎がギーシュの盾になり砕け散った。そして、最後の一撃が、ギーシュを狙う。
ギーシュは正面に壁を生成するとこれを防御した。ワルキューレ以外の点に関しても、やはり腕前が上がっているようだ。
「っ!」
跳躍。空中で壁の裏を見据えると、既に壁の裏にギーシュはいない。壁の脇から駆け出すギーシュはさらにワルキューレを召還して、オニクスにしむけた。正面から来る敵数、四騎。
さらにオニクスは後方に気配を感じて振り向く。そこにも三騎のワルキューレがいた。挟み撃ち。オニクスは一瞬の判断を下す。正面のワルキューレ達に向けて突撃。
飛び蹴りで一騎のワルキューレを弾き飛ばし、それに追随して正面突破する。向かう先にはギーシュ一人、防御はない。
だが、ギーシュも馬鹿ではなかった。ギーシュが杖を振り、短い詠唱を行う。途端に、足先のワルキューレが液状に溶けた。
「な」
液状になったそれはオニクスを包むようにまとわりつき、再び固形となりオニクスを捕縛した。堕ちるオニクス。後方にはワルキューレ、前方にはギーシュ。堕ちたオニクスに、鴉のようにワルキューレが群がる。
「このっ…!!」
剣の切っ先が、群を組んで迫る。
「終わりだ、ゴーレムっ!!」
「こんなところでっ!!」
瞬間、オニクスは左腕を渾身の力で解放する。そして剣の切っ先を、天に向けた。
「ライトニングソード!!!」
叫びは天に届く。
371名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 22:55:23 ID:3y+QTr2i
沿い円
雷鳴が轟いた。
天から、雷が降ってくる。雷はオニクスを直撃し、その周囲のワルキューレを吹き飛ばした。これはギーシュも想定外だったのか、あっけにとられた顔をしている。
雷鳴の着弾による煙が晴れると、そこには黒く焼けこげたオニクスがいた。彼を拘束していた鉄の塊は既に存在しない。
「…さぁ、どうするか」
「ふふふ…ハハハハハハハッ!!」
「何がおかしい、小僧!」
「どうするかもこうするかもない!僕にはまだワルキューレを出せる余裕がたっぷりとあるんだ。君はそんな大技を駆使して、魔力の方は大丈夫なのかい?根負けしてしまわないのかい??」
ギーシュは嫌な笑いを浮かべている。
(この口調、どこかで)
「…貴様こそ、その余裕、命取りになるぞ」

一方観衆の輪の中では、先ほどギーシュの決闘の要因を作った1人・モンモランシーが戦いを見つめていた。彼女の顔は不安に満ちている。やはり自分の「元」愛していた男だ、不安にもなるだろう。
(あれは、いつものギーシュじゃない)
思えば、あの時から変だったのかもしれない。召還の儀式の二日前に会った時から彼の様子に違和感を感じていた。そのかすかな違和感をその時は気にも留めなかったが、今になってその違和感は、顕在化していた。
確かに彼はナルシスト気味ではある。だが、あそこまで人を見下した物言いをする男ではなかった。
少なくとも、彼女はギーシュを「わきまえている男」だと思っていた。
(彼はあんな高笑いはしない)
ギーシュはワルキューレを呼び寄せ、あのゼロのルイズの使い魔・オニクスはそれを片っ端から斬り捨てている。あんなことも、召還の儀式の二日前までは出来なかった。
とても自分と同じ年の魔術師とは思えない。あんな技、上級でも難しい。
「おかしいわ…ギーシュ」
その日のことを思い起こすモンモランシー。変わったことが、何かあったか。確か、石を拾ったとか、言っていたか……
「それ、どういうことだか、聞かせてもらえる?」
思わず声に出してしまっていたのか、不意に後ろから、モンモランシーに声をかけるものがいた。それは同学年のキュルケと、その親しき友人タバサである。彼女らもまた、この異様な事態に好奇心を動かされて観戦に来たらしい。
「やっぱり…気になる?」
「……調子に乗ってる」
タバサが冷静に感想を述べる。
「あれは確かにおかしいわね。態度も、力量も」
「そうよね」
「ということだから」
「…聞かせて」
「…うん、わかった」
彼女は全てを、2人に話した。

召還の儀の二日前のこと。
石のこと。
そしてその石を、右ポケットに入れたこと。

「じゃぁ、その石がギーシュをおかしくしたのかもしれないってこと?」
「うん、確証はないけど」
「…気になる」
話を終えた三人は、再び戦闘を見つめる。
二刀を駆るオニクスはワルキューレを叩き伏せていくが、次々召還されるそれに悪戦苦闘している。
一方のギーシュはワルキューレの操作に集中し、本体をがら空きにする余裕まで見せている。今の彼は無防備だ。
ふと、タバサがおかしな点に気付いた。
「…ふたりとも」
「どうしたの?」
「…右ポケット」
タバサに言われるがままにキュルケとモンモランシーは彼の右ポケットあたりを見つめる。
かすかに右ポケットが紫色に光っていた。

「…アレは確定ね」
「石だわ」
「…石」
三人の意見は合致した。

一方のルイズもその試合を眺めていた。オニクスは確かに強いが、数に押されている。それはルイズの素人目でもわかることだった。
ワルキューレをいくら切り裂いても相手の魔力の底は見えず、本体を叩こうにも鉄壁の防御がそうはさせてくれない。オニクスの不利は眼に見えていた。
(…負けちゃう)
ルイズは心配でならなかった。大口を叩いておきながら、あそこまで押されている自分の使い魔が、心配でならなかった。だが、自分ではオニクスを助けてやれないし、何よりこれは「決闘」だ。ルイズの手出しは許されない。
(…死んじゃう!)
いつしかルイズは本気で彼を心配していた。そのルイズの前に、スッ、と大きな人影が割り込み、視界を遮る。思わずルイズは叫んだ。
「ちょっと!見えないわよ」
「あら、そんな所にいたのおちびちゃん」
キュルケだった。しかも友人を2人連れている。ルイズはさらに大きな声で言った。
「今あんたとだべってる暇は無いのよ!」
「ギーシュの異変の正体、知りたくない?」
一転して、ルイズの表情が変わる。
「…どういうこと」
「今のギーシュは一時的に強化された状態なの。マジックアイテムだか何だか知らないけど、とにかくなんか拾ったらしいのよ。その代償かしら、あんなに性格が変わってるのは」
「それじゃ」
「その強化してるのを叩けばギーシュはジ・エンド。そしてありがたいことに、それは自分から位置を教えてくれてるわ」
ルイズの目が輝き、曇っていた心が晴れる。ルイズは詰め寄るようにキュルケに聞いた。
「どこ、どこにあるのっ!?」
374名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 22:58:06 ID:3y+QTr2i
支援
「焦んないの。右ポケットよ、見える?」
ルイズがキュルケの前に出て、ギーシュの右ポケットを確認する。ルイズにもそれはわずかだが見えた。
「道理で気付けないはずよ、ワルキューレに注視してる今の彼にはね」
キュルケはルイズに話しかけたつもりだったが、そのとき既にルイズはキュルケの前から消えていた。キュルケはタバサに尋ねる。
「ルイズは?」
「あそこ」
ルイズは人垣を割って輪の中に入り、両手をメガホンの形にして叫ぶ直前だった。

「オニクスーーっ!!」
ふと声が聞こえたと思ったら、自分の主人だった。
「あいにく返事出来る暇はないっ!!」
「右ポケット!!」
「ハッ!?」
「ギーシュの 右 ポ ケ ッ ト !!」
意味が分からないが、オニクスはとにかく今自分を囲んでいるワルキューレを排除しなければ、ギーシュの右ポケットは拝めない。オニクスは飛んだ。そして空中でライトニングソードを再構成し、杖へと変える。
したでは攻撃をし損ねたワルキューレ達が、今まさに飛び立とうと身構えている所だ。オニクスは迷わず杖を向けた。杖の先端が展開する。
「烈炎の鉄槌(ボルカノ・ハンマー)」
火炎の弾丸は、密集していたワルキューレを一気に焼いた。倒せなくていい、今の彼には時間さえ稼げればそれで良かった。そして空中からギーシュの右ポケットを拝む。
そこには、光る何かがあった。ルイズの言いたかったことを、数秒後にオニクスは理解する。そして自分の予感が正しかったことも、理解する。オニクスはギーシュに呼びかけた。
「小僧っ!!」
「なんだい」
「その右のポケット、どんなもんが入っていやがるっ!」
心当たりのないギーシュ(忘れている)は、右ポケットをまさぐる。
「ちり紙だけだ…あれ?」
ギーシュは手に触れた小石をつまみ上げた。それは光を放ち、ただの石でないことは一目で分かる。そしてギーシュもまた、それの正体を理解した。
「これがどうしたっ!!」
「そいつを寄越せっ!!」
「決闘の最中に何を言うかと思えば…くれてやるさ、どうせ死んだら意味がないしな!」
オニクスが叫び、何も知らないギーシュがそれを投げ渡そうとした、瞬間だった。
『小僧、やめろ!!』
ギーシュの体が固まった。その声はオニクスだけに聞こえた。
「…まさか、やっぱり」
「ぐっ…体がッ!!」
「潰すなら今しかないっ!!」
オニクスはギーシュにボルカノハンマーを放った。一方のギーシュはそれに向かい、腕を構える。
『遅かったなぁ!!』
「え、え、うわあっ!!」
ギーシュの腕に盾が生成され、盾はエフェクトを展開してそれを防いだ。ギーシュは既に訳が分からない。
「小僧っ!」
『予定より早いが仕方があるまい』
石の声は既に、周囲にも聞こえている。声の主であろう石はナーブケーブルを展開し、ケーブルはギーシュの腕に吸い込まれる。
「え、あ、何が、起こってっ……ああああああ゛あ゛あ゛あ゛!?」
悲鳴と共にギーシュの体は雷に打たれたかのように痙攣を始めた。まるでモンモランシーの時のようだ。悲鳴を上げるギーシュを、オニクスは見つめることしか出来ない。
「お前はッ」
そしてギーシュは、地に倒れ伏した。彼の背中から何本ものナーブケーブルが伸び、人の形を成していく。金色のナーブケーブルが成すのは、機神の肉体。
そしてナーブケーブルが一通り形を成した時、一瞬の閃光と共に、それは実体化した。

「…ヘルメス…『玄武神三号』ッ!!」
「やぁやぁ偽者君。お初にお目にかかる」
紫色の鎧を纏い、四枚の羽を持つそれは、かつて中央国が従えていたギガンティック。アルカイックスマイルを浮かべるそれは、聖獣の名を冠す。
玄武神三号。
アレスによって倒された、羊飼いの守り神。
「ウルカヌスの敵、討ちに参った」
「もっともらしい理由だな」
「フッ。別の理由が必要かい?」
「いらんさ」
ギーシュの召還していたワルキューレが次々と倒れ、灰となって舞い上がる。舞い上がる灰の中で変わらぬ笑みをたたえる玄武神。
「何故小僧を利用した」
「君みたいに上手く現界できなかったのさ。だからちょっと、彼の体で慣らしていた」
「お前もウルカヌスと同じ奴から送られてきたのか」
「ああ、あの偉大なお方から使わされた『死の先触れ』さ」
「あのお方ってのは誰だ」
「それを答える程僕も馬鹿じゃない」
「なら、意地でも吐かせるまで」
「君も戦うのが好きだねぇ。僕はこの子をいつでも殺せるんだよ」
「…そうだったか」
そう言って、オニクスは両手の武器を手から離した。確かに、今足下にいるギーシュを、玄武神が葬ることは簡単だろう。落ちた武器が音を立て、次の瞬間粒子化して消え去る。
「要求は?」
オニクスが尋ねる。
「死んで欲しいな。君のような劣化複製は邪魔だと、我らの偉大な主はおっしゃった。だから主も、このようにギガンティックを送りつけているわけさ」
「…その『主』とやらが、俺を?」
「君は事故さ。エラーパーツのひとつに過ぎない。だが君が生きているだけでも、主にとっては許しがたいことらしい。
それに、反乱分子のギガンティックもいるらしいしね。主の命に従わない愚かな人がねぇ」
玄武神がおどけた様子を見せる。その様子には余裕すら感じられ、まるでオニクスを相手にしていないようだ。
「さ、早いとこ逝ってくれ」
玄武神は左腕に杖を召還する。ウルカヌスと戦った際にオニクスが召還した蛇槌と同一のモノ…否、オリジナル。その銃口をオニクスに向け、玄武神は勝ち誇ったかのように笑った。
「やっぱり、人質はいい。そして、抵抗も出来ずに死んでいく敵の姿を見るのもね」
「そうかい」
「手を出せば、このギーシュってガキは死んじゃうもんねぇ、そりゃ攻撃出来ないよねぇ」
「そうだな」
そしてオニクスもまたおどけたように両手を腕に上げる。武装解除のポーズだ。
「…」
そして玄武神が、蛇槌を放った。量子ビームは最大加速で、オニクスの胸に吸い込まれる-------
「でもそんなの関係ねぇッ!!」
否。オニクスは動いていた。右手の甲に、新たな武器が召還される。それは手甲にナイフを合体させたような、複合型の武装。
剣盾(メエーチ・シート)。
そして身をひねりつつ量子ビームを切っ先で弾き返し、その勢いで一回転。さらに剣盾を射出し、勢いで加速した剣盾は弾く間も与えず玄武神に命中し爆発した。
オニクスは跳躍。空中で構えを取り、玄武神へと向かって蹴りを叩き込んだ。よろけた所に飛んできた一撃で、倒れ込む玄武神。
オニクスは足下の失神したギーシュの腕を掴み、遠心力に任せて観衆の方に適当に投げ込んだ。これで人質はおらず、対等の勝負が可能となる。
「なめるなよ、だから言ったはずだ。『その余裕、命取りになるぞ』と」
「ふっ、これは一本取られたよ。防御と攻撃を間断なく行うことによって、攻撃した瞬間のスキを捉えるとは」
立ち上がった玄武神の表情は笑みのまま。彼は頭像なのだから、表情など変えられようはずもない。だがその笑みは、きのせいか先ほどより曇っているように見えた。
相対する二機。殺気は濃くなり、人も使い魔も、危険を感じてその場を後にする。先ほどまで広場を埋め尽くしていた観衆はほとんどいなくなり、その光景は、さながら映画における、西武の決闘を連想させた。
「…再演だ」
「W.W.W.の」
「演者はちがえど」
「役は同じ」

瞬間、
戦いが
幕を開けた。

次 回 予 告

知略に長ける紫の戦士は
黒の機神を翻弄する
最強の盾を持つそれは
笑みを崩すことはない。

次回「捕縛」 神は、少女を見放さない。
379名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:05:49 ID:jgNaZ/uX
支援 そして投下予約
380名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:07:22 ID:lV0oCwCZ
>>378
乙! GJ!

>>379
誰かしらドキドキ
今回は終了です。
ついに玄武神見参。
ヘルメスのイメージを反映してちょっと残虐君になりました。

さて、次の方、どうぞ。
382名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 23:12:01 ID:3y+QTr2i
支援
383名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:12:49 ID:jgNaZ/uX
では15分頃から6レス程投下
384おかあさんのうた:2007/11/16(金) 23:16:01 ID:jgNaZ/uX

トリステイン有数の貴族、ラ・ヴァリエール公爵家の次女、
カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ 。

それぞれ彼女の姉と妹に当たる、長女と三女が母親譲りの少々高飛車気味な性格であるのに対し、
カトレアは、非常におっとりとした優しい性格の持ち主で、
しょっちゅう怪我した野生動物を保護し、甲斐甲斐しく世話してやる程である。
少々病に罹りやすい体ではあるが、誰にでも心を暖める笑顔を振舞、
高級食材を味わうだけの淡々としがちな貴族の食事に、歓談と笑顔を齎す存在でもあった。

そんなカトレアが、迂闊に外にさえ出られぬ程の虚弱体質に陥ったのは、
数年前彼女が、後に人々から‘悪魔の申し子’と称される使い魔を召喚して間も無くの事だった。

手弱女な彼女の使い魔が、悪魔の申し子などと呼ばれる由縁は、その恐ろしい姿を見れば明らかである。


常に空中を浮遊し、明らかに既存の生物とは遠くかけ離れた奇妙な体躯。
マンティコアやグリフォン等の幻獣のソレとも違う、見る者を不快にさせる容姿。
この世の者とは思えず、まるで生気の感じられない、青白くて冷たい体色。
指すら無く骨格の存在も悟れない、触手の様にうねうねと揺らす長い手足。
それらを繋ぐ、足よりも細く短い胴体は、長い尻尾も備え付けている。
そして、胴体の天辺には、頭と見受けられる小さな球体が細い首で支えられており、
そこには光が灯っていない2つの眼球があり、その目に沿って2本の角が生えている。
口が無いため、意思の疎通は使い主であるカトレアとのみ、所謂テレパシーで行う。


何かの間違いでハルケギニアに訪れた、魔界からの使者であると言っても過言では無い外見である。
しかし、それが召喚された当初は、不気味がられはしたものの、まだ悪魔の称号は与えられはしなかった。

先程も記したように、この使い魔を召喚して以来、元々病弱だったカトレアの体はさらに重い病に蝕まれた。
完治の見込みの無いその病の原因が、あの禍々しい使い魔に関係あると判断されたのは、極めて当然な話である。
さらにその使い魔は非常に気が荒く、魔法とも覚束無い不思議な能力で、連日様々な物を壊し、暴れ狂った。

その度に、使い主であるカトレアは命がけで、破壊の限りを尽す自身の使い魔を宥めた。
それがほぼ毎日繰り返され、医師の水魔法の医療をもってしても、
回復が追いつかない程に、彼女の疲労困憊の時は耐える事が無かった。

あの悪魔の申し子がカトレアの生命力を奪ってる、と長女のエレオノールが訴えたのは、ある日の事。
肉親であるラ・ヴァリエール公爵と公爵夫人も、エレオノールの言葉に賛同した。
ヴァリエール家の親族のみならず、カトレアを慕う友人達や、ヴァリエール家と親交のある王家の貴族達が、
事の状況を揃って深刻に捉え、ついに彼等は1つに集結した。
385おかあさんのうた:2007/11/16(金) 23:17:16 ID:jgNaZ/uX

誰もが、彼女の使い魔を心から怨み、報復を誓った。

誰もが、そんな醜い使い魔を召喚してしまったカトレアを不憫に思い、悲しみに暮れ、嘆いた。

そして誰もが、彼女と使い魔とを決別させようと目論み、果ては実力行使を決断した。

全ては、心優しきカトレアのために。

例え、彼女自身がそれを断固拒んだとしても。

使い主の意思に反し、故意に使い魔を葬る事が、始祖への冒涜と繋がるかは明白では無いが、検証の猶予は無い。

手遅れになる前に、カトレアには内密に、彼等は行動に出た。悪魔の申し子を処刑する為に。

系統魔法使いとしては最強クラスであるスクウェアの能力を持つヴァリエール公爵夫人・カリーヌが、
自ら封印していた『烈風カリン』の名を再び掲げた起因はそこにあった。

金で一時的にメイジを雇い、トリステイン王家とのコネで複数の兵士を集めた。何れ劣らぬ歴戦の戦士達である。
多少、いやかなり強引で莫大な金を投資した方法ではあるが、
公爵達からしてみれば、娘の為を思うと、ゲルマニアやガリアの協力も得たいほどであった。

悪魔の申し子は、カトレアにいつもぴったりとくっ付いて行動し、
無理に引き離そうとするとそれこそ暴れる為、両者を予め隔離してからの処刑は困難且つ危険である。

そこで、天候は晴天、穏やかな風が心地良い日あたりに、
気分転換だと勧めて、カトレアを馬車駕籠に乗せ敷地内を一回りする計画を立てた。
当然、悪魔の申し子もそれに同行するであろう。それが公爵達の狙いである。
処刑の決行場所は、ヴァリエール公爵家の領地内にある広大な草原に決定した。

そして、その日。
大きなワゴンタイプの馬車駕籠に、カトレアと彼女の飼う動物達、それにルイズと召使、付き添いの医師達が乗り、
悪魔の申し子はその駕籠の外で、草原に向かう馬車駕籠の後を浮遊飛行で追った。

発車して数十分、森を抜け、農村を越えた先に、広々とした草原が目の前に広がる。
草原の手前で馬車が停車した刹那、強烈な突風が、駕籠の外にいた悪魔の申し子を草原に吹き飛ばした。
自らが処刑の執行人として、鉄の鎧を身に纏い待機していたカリーヌが放った風魔法である。

草原に吹き飛ばされ転がった悪魔の申し子を、そこで待ち構えていた兵や雇メイジ達が取り囲んだ。
起き上がった悪魔の申し子が宙に浮くと、兵達は散開、陣を立て、
そこにカリーヌや、別の馬車に乗っていた公爵やエレオノールも合流する。

事の状況に、当然ながら駕籠の中のカトレアは外に出ようとしたが、ルイズ達が説得し、無理やり抑えた。

悪魔の申し子の逃亡を図らせないように、八方を雇メイジ達が堅く塞ぐ。
緊迫した空気の中、先手を取ったのは悪魔の申し子。メイジ達は焦る事無く防御体制に入り、
それがどのような攻撃を仕掛けて来るか見極めようとしたのだが―――

悪魔からの攻撃の正体が掴めなかった。

あくまからの こうげきのしょうたいが つかめなかった
386MtL:2007/11/16(金) 23:17:25 ID:S+lqjpKG
投下予約しますー。

支援しえん。
387おかあさんのうた:2007/11/16(金) 23:18:27 ID:jgNaZ/uX

雇メイジ達は全員、悪魔の申し子の攻撃により戦闘不能となってしまう。
一瞬、何が起こったのかすら判らなかったが、メイジ達が絶命はして無い処を察するに、
決して防げない攻撃でも無い。そう判断したカリーヌ達は、状況に怯まず連係を組んだ。

カリーヌが先鋒に躍り出、悪魔の申し子と対峙する。
公爵やエレオノール、兵士達が協力し合い魔法の結界をカリーヌの周囲に張らせ、
カリーヌは悪魔の申し子からの猛撃に耐えながら、攻撃魔法のスペルを詠唱、風魔法を放った。

その痩躯の身体の腹部にカリーヌのカッター・トルネードの一撃を受けた悪魔の申し子は、
直接なダメージこそ喰らわなかったものの、対峙するカリーヌが、
娘を苦しめた事への怨みと復讐の精神を魔法力に変換し、遠目から見る者にすらトラウマを植付ける程の、
巨大で且つ破壊力のある、最大出力のカッター・トルネードを発生させるのには十分な隙を与えた。

晴天だった天候を揺るがすまでに巨大となった風の渦は、迷う事無く、悪魔の申し子に襲い掛かった。
最早、竜巻を止めれる者は、誰もいない。
カリーヌ自身ですら、自らが生み出した竜巻のあまりにもの激しい轟々に、思わず舌を巻いたほどである。
だが、それを阻止する者が、1人。

――カトレアだった。

召使達の制止を振り切り駕籠から飛び出、杖を地面に振り、巨大な土ゴーレムを通常では考えられない早さで造形、
カッター・トルネードからの防御盾として、悪魔の申し子の前に仁王立ちさせたのだ。

スクウェアクラスが、それも最大級の怒りを籠めて放った魔法の竜巻を、土の体全体で受け止め、
ゴーレムは竜巻を道連れに、土くれすら残さずに大気中に消えうせた。

竜巻が空気を激しく切り裂く音と、ゴーレムの断末魔にも聞こえる最後の唸りが重なり合った結果、
両方の巨大な影が消滅した直後も、衝撃音がその場にいた者達の鼓膜を刺激した。

ようやく場に沈黙が取り戻された頃、カトレアとカリーヌはお互い全ての力を出し切った故か、
力なく膝を地面に付き、激しい息切れを起こした。

間髪を容れず、ヴァリエール公爵と召使達が、カリーヌの元に駆け寄り、
ルイズと医師達が、カトレアを介抱し、早急に容態確認及び治療にあたる。

怒りの形相のエレオノールと兵達が、平然と事の成り行きを傍観していた悪魔の申し子に、一斉に杖や銃を構えた。
それを見たカトレアは、焦った顔でルイズに肩を借りて力無く立ち上がり、
医師達の水魔法による応急治療を受けながら、エレオノール達に涙乍に訴えた。
388おかあさんのうた:2007/11/16(金) 23:19:45 ID:jgNaZ/uX

「エレオノールお姉さま! 杖を…杖をどうか! 彼に向けないで!」
「まだ寝惚けているのね、カトレア! 奴があなたの体をどれだけ蝕んだか解ってないの!?」
「私の病は元々よ! 彼の責任では無いわ!」
「仮にそうだとしても、少なくとも奴の力をこれ以上のさばらせる訳にはいかないわ! 
 誰かを犠牲にしてからでは遅いのよ!?」

不意に、カトレアはルイズ達から離れ、エレオノールに抱き付いた。
病弱な妹の想定外の行動に、エレオノールは思わず杖を落とす。

「彼には、お母さんが必要なの。心を寄せれる存在が」

涙の混じった声で、カトレアがゆっくり言葉を漏らす。
エレオノールや回りにいた兵士達は、カトレアの言っている意味が全く理解出来なかった。

「お母さんに甘えられないから、彼は暴れているの。だから――」

ルイズは、カトレアのその言葉を反芻し、姉の気持ちを悟った。

「私が、彼のお母さんになるわ。たとえ今は無理でも、きっとなってみせる」

公爵とカリーヌは、悪魔の申し子を身を呈してまで庇い、挙句母親になると狂乱の言葉まで放ったカトレアに、
涙を頬に伝たらせ、大切な娘がついに悪魔に魂を奪われたと嘆き、
死別れてこそいないが、愛別離苦の如く喚いた。


――結局、処刑は有耶無耶となり、それから1年と数ヶ月の歳月が経過した。

幸いにもその後、カトレアの思いが通じたかは定かではないが、悪魔の申し子が暴れ狂う事は無くなった。
だが、あの一件以来、ヴァリエール家の合間には大きな心の壁が聳え立ち、
カトレアは肩身が狭くなり、日常でも必要最低限の会話しか交わせないようになっていた。
唯一、現在もカトレアの事を心から心配し、慕ってくれているルイズも、今はトリステイン魔法学院の生徒として、
学院内で生活しており、ここには時折、彼女の使い魔と共に訪れるだけであった。

毎夜の晩餐は、それを見る給仕達にとっても非常に冷たい雰囲気が漂っている。
嘗ての、いつも会話や笑いの絶えなかったあの夕餉は、今はもうその名残も見せてはいない。
今宵の晩餐も、明日にはエレオノールがアカデミーに出向くのだが、そんな話題も交わされる事も無く、
ただ匙やフォークが食器と接触する微かな音だけが、広い食堂内に冷たく響くのみ。
デザートのフルーツを胃袋に収め、食後のワインで締めると、皆無言で一斉に席を立ち、各々自室へと戻った。

廊下を歩み、2人の武装した兵士が厳重に立ち番をしている扉の前に立つカトレア。
彼女は兵に労いの言葉を送り、今日の職務を終えるようにと告げると、その部屋へ入った。

寝心地の良いベッドが置かれ、動物達が忙しなく動き回り、そして、悪魔の申し子が潜む、彼女の自室に。
389おかあさんのうた:2007/11/16(金) 23:21:04 ID:jgNaZ/uX

ベッドに腰を降ろしたカトレアの下に、犬や猫、狐やら亀がわらわらと群がる。
兎が軽快に跳ねてカトレアに軽く体当たりして戯れ、九官鳥が肩に止まり、「ウタッテ」と嘴を動かす。
カトレアは慈悲に満ちた優しい微笑みを九官鳥に送った後、天井に向け顔を上げた。

彼女の視線の先には、部屋の天井擦れ擦れで、青白くて細い怪物が浮遊定置している姿がある。
悪魔の申し子だ。2本の角を持つその小さな頭が、無表情でカトレアを見下ろしている。
カトレアは、視線を再び床に屯する動物達に戻し、深呼吸すると、ゆっくり目を閉じた。
そして、穏やかな音程のハミングを口遊む。

3つの旋律で構成されたその歌は、カトレアが物心付いた頃から、
誰に教わったのか、何かで聞いて記憶に残したのかは判らないが、自然と口ずさんでいたものだった。
貴族同士の会合などの余興として、よく歌うようにせがまれたのも、今や過去の話。
今は専ら使い魔と動物達に聞かせているだけである。
とても1つの曲とは言えないほど短い歌ながらも、それは人々の心に、暖かい何かを込上げさせ、
動物達には眠気を誘う癒しを与え、そして悪魔の申し子には、カトレアへの信頼を生じさせていた。

本当に、それは短い歌だった。
歌の前奏にあたるハミングの方が、よっぽど長く感じられるほどである。

茶色い子犬が、もう終わりなの? と問うかの様にカトレアの足元に鼻をこすりつけ、歌の続きを催促する。
彼女は頭を横に振り、今日保護したばかりのその子犬を抱っこし膝の上に座らせ、頭を撫でながら優しく言った。

「ごめんね。これだけなの。あと5つの旋律が揃えば、この歌は完成するらしいんだけど…」

カトレアの3つの旋律で構成された短い歌に、加えてあと5つの旋律が存在する事を教えたのは、
他ならぬ悪魔の申し子である。それがどのような歌であったかまでは、記憶から喪失されているらしいが。

つまり、本来ならその歌は8つの旋律で構成されているのだ。
会合の時も、幼いルイズとアンリエッタに聞かせてやった時も、いつも半分も歌っていなかった事になる。

残る5つの旋律の行方だが、ハルケギニアの何処かに散ばっているのでは無いか、とカトレアは考えた。
8つ旋律の内の3つが、幼い頃の自分の脳内で、偶然作曲されたモノだとは到底思えないからだ。
悪魔の申し子も、その説に同意した。だが、彼女達にそれを探す術は無い。
病弱なカトレアは言うまでも無く、この部屋にほぼ監禁状態にされている悪魔の申し子が、
外に出てハルケギニアを旅するなど以ての外である。
だが、カトレアはこの歌をどうしても完成させなければならないと暗示していた。
理由は勿論、使い魔や動物達に聞かせてやるためでもあるが、もっと重要な何かがあるような気がするのだ。

彼女の妹だけが、話を聞き協力を約束し、今では使い魔として召喚した平民の少年と共に、
残る5つの旋律を、魔法学院の授業の合間や休日を利用して探索しているらしい。
その事実を、カトレアは動物達と悪魔の申し子に告げた。

「妹のルイズがね、頑張って探してくれてるの。残りの旋律を。あのリュカって使い魔の男の子達と一緒に」

――その後、夜も更け、カトレアは持病用の薬を飲み、消灯前の読書も程々に、ベッドの中で床に就いた。
あの茶色い子犬も、カトレアの胸元に潜り込み、彼女の体温を直に感じながら、深い眠りに旅立った。
ベッドにやって来たのは子犬だけでなく、狸や子豚、さらには大蛇や小熊までもが、
主人の眠るベッドを囲んで寄り添い、それぞれ寝床を確保し揃って眠りに就く。

ただ1体、あの悪魔の申し子だけが、
先程と変わらず天井付近で浮遊したまま、カトレアの安らかな寝顔を見詰めていた。

そして、悪魔の申し子は、思いに暮れた。
390おかあさんのうた:2007/11/16(金) 23:22:19 ID:jgNaZ/uX

うたは きらいだ

うたはいつも わたしをくるしめる

おかあさんのうた いがいのうたなんか ただのそうおんでしかない

にんげんなんか もっとだいきらいだ

ネスも ポーキーも みんなわたしをくるしめ りようすることしか あたまになかった

おかあさんのうたを きかせようとも してくれなかった

8つにわかれた おかあさんのうたを さがそうとも してくれなかった

わたしはもはや おおくをもとめない

ほんのすこしでもいい おかあさんにだかれていたときの あのきおくを とりもどしたいだけなのに

みんな わたしを くるしめる

みんな わたしを あくまとよび いみきらう

みんな わたしが にんげんなど いっそうにできるちからを ひめていることをしったとしても

みんな わたしを くるしめる たたかう はむかう

みんな わたしを みんな くるしめる わたしを みなごろし わたしが みんな みなごろし

みんな わたしが みなごろし はむかう たたかう みんな はむかう みなごろし くるしめる

にんげんは おかあさんじゃない ころしても だれも かなしまない わたしは なかない

なぜなら にんげんは わたしのおかあさんじゃない おかあさんじゃないから しんでも かまわない 


――――――――――――だけど 

このにんげんだけは ちがう ちがうのかもしれない

マザーシップと ちえのリンゴをうしない
 
くらやみに たったひとりで あてもなく さまよっていたわたしを よびだした このにんげん

このカトレアというにんげんは もしかすると わたしのおかあさん なのかもしれない

だって ほんのすこし ほんのすこしだけど 

おかあさんのうたを うたってくれるのだから


――――――――――――わたしのなは ギーグ

わたしは カトレアにであい にんげんのみなごろしを すこしだけ まつことをきめた

だから わたしは まつ

おかあさんのうたが あのうたが 8つのメロディーが わたしにとどく そのひまで
391名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:22:47 ID:3wYRSZO2
え、ギーグ?あれ、でもリュケイロム奴隷王?あれ?支援
392おかあさんのうた:2007/11/16(金) 23:23:51 ID:jgNaZ/uX
以上です。ルイズ視点は何れ投下するかもしれません。
393名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:27:16 ID:nAXXF/9C
MOTHERでしたっけ?出展は。やったことないけど、面白かったです。GJ
394名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:30:13 ID:wdYv7nd9
→うたう
支援
395MtL:2007/11/16(金) 23:30:55 ID:S+lqjpKG
次の方はいないようなので、5分後に投下しますー。
396名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:32:42 ID:uFXiOiop
途中でひらがなになった辺りからもしかしたらと思ったら、やっぱりギーグか。
397MtL:2007/11/16(金) 23:35:25 ID:S+lqjpKG
マジシャン ザ ルイズ (23)トリステインのアカデミー

王立魔法研究所、通称アカデミー。
王都トリステタニアに存在する、高度な魔法実験や新魔法の開発が進められている国の最高魔法研究機関。
今、その敷地内にはには一席のフネが停泊、……否、この場合着陸というう表現が正しいかもしれないが、停泊していた。
全長百七十メイル、その形はハルケギニアにあるどのような船にも似ていながら、一つとして同じものが無い。
船の象徴ともいうべきマストは無く、飛行を可能とする船の特徴ある船翼は船尾付近に配されている。
朝日を浴びて輝いている全体的に細身のシルエットは、川辺で流される笹船を連想させる。

強襲型飛翔艦ウェザーライトU。
プレインズウォーカーの知識と技術、そしてハルケギニアの魔法と資源によって生み出された空の落とし子。
その心臓部と言える機関室では、せわしなく動き回るものの姿があった。
それは人ではない。
金属の体を持ち、二本づつの手と足を持つ存在。
知らぬ人間が見たらならばガーゴイルと呼んだであろうそれは、ウルザによって作り出されたアーティファクト『組立作業員』であった。
何体もの組立作業員達が右へ左へと動き回り、工具を持って修理作業に追われている。

その前にはウェザーライトUが誇る、古代のスラン文明の技術の結晶スラン・エンジンが無残な姿を晒していた。
中枢のエンジン本体にこそ大きな損傷が認められないものの、それ以外の部分はこの場所で荒れ狂ったエネルギーの強大さを物語っていた。
周囲には切断された太いチューブ類や、熱と衝撃で元がどのようなものであったのか想像することもできない残骸、破壊され砕け散った様々な材質の破片等が散らばっていた。
土くれのフーケが使った異世界の兵器『破壊の杖』、それが巻き起こした力の残滓である。
あらゆる魔法に防御対応するように設計されていたスランエンジンは、魔法を解さない純粋な物理兵器の力の前に屈し、その屍を晒していた。

「作業の進捗状況はどうかね?」
朝の陽光も差し込まぬ機械の巣窟、そこに足を踏み入れたのは白髪白髭でありながら、見る者を圧倒する生命力に溢れた眼光を持つ男。
多次元世界『ドミニア』を渡り歩くプレインズウォーカーの一人であり、この船の生みの親であるウルザだった。
機関室を照らす弱々しいランプの光の中、杖を手にした禿上がった頭の男が振り返った。
「芳しく有りませんね。昨日から続けて、今だ回路のチェックと残骸の撤去に追われています」
そう答えたのはこの船のもう一人の開発者、今は無きトリステイン魔法学院の教師、ミスタ・コルベールであった。
一時は命に関わる重症を追った彼であったが、ルイズの放った『爆発』の後、ウェザーライトUは地上で救助を求めていたモット伯爵を助け、そのモット伯の水魔法の治療によって彼は一命を取り留めたのである。

ウェザーライトUの初飛翔となったあの夜の激戦から、既に三度目の朝を迎えていた。
全ての邪悪を退けた虚無の爆発の後、傷ついたウェザーライトUはオスマンの主導で一路王都へと舵をとった。
そうして王都上空へと到着した彼らは王立魔法研究所の敷地へと着陸したのである。
即座に研究所の研究員や王都の警備隊が駆けつけ、上へ下への大騒ぎとなったが、ここでも活躍を見せたのではオスマンであった。
彼は意外な政治力と交渉力を発揮し、その日の昼には船を王立研究所の敷地内に停泊させることの許可を取り付けてしまったのである。
怪我人や病人は即座に研究所の宿泊施設へと移され、トリステイン魔法学院という拠点を失った面々は、ここに至りようやく一息つくことのできる余裕を手に入れたのであった。

意識が戻らないルイズ、腰を痛めたギーシュ、風邪をひいたモンモランシーらは即座にアカデミーに用意されたベットへと放り込まれた。
また、最後にウェザーライトUとルイズの命を救ったミス・ロングビルこと、土くれのフーケも『破壊の杖』の爆発に巻き込まれひどい重症を負っていた。
コルベール同様に水のトライアングルメイジであるモット伯爵の治療魔法で命に別状は無かったが、彼女は今もベットの上で眠り続けている。

そしてもう二人の怪我人、ウルザとコルベール。
ウルザは酷い怪我を負っていたはずだったが、いつの間にやらそれは癒えてモット伯の治療も断っていた。
彼はコルベールに指示だけを言い残し、昏睡状態に陥っていたルイズに付き添うことを希望した。
一方のコルベールは治療もそこそこにウェザーライトUへと戻り、機関室の修理を続けていた。

398名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:38:05 ID:YqhbI9yB
>>392
久しぶりにいい小ネタ読めた
GJ!
399MtL:2007/11/16(金) 23:38:23 ID:S+lqjpKG
「ミス・ヴァリエールの容態はどうですか?」
「数時間前、日の出の前に目を覚ました。今は友人達が面会しているはずだ」
それを聞いたコルベールの顔がふっと和らいだ。
「そうですか。それは良かったです」
あの魔法の爆発の後、コルベールが意識を取り戻したときには既に昏倒状態にあったルイズを彼はは心の底から心配していたのである。
ルイズが寝ていた時間は実に四十八時間にも及んだ。
その間、コルベールは小時間の休息を挟みながらも、ほぼ休み無く働き続けていたのである。
「ミスタ・コルベール、いい加減に気負うのはやめることだ。君が責任を感じることではない」
「……」
対するコルベールは無言の返答、しかしその顔色は明らかに限界を超えたオーバーワークに限界を示していた。
「残りは私が組立作業員に指示を出しておく、君は休みなさい」
感情を滲ませない硬質な声色、何度も耳にしたこの老人の突き放した物言い。
けれどコルベールはその時、その声に自分を労わる色が混じっているように感じた。
「……分かりました。お言葉に甘えて休ませてもらいます」
「ああ」
出て行こうとするコルベール、そこで何かを思い出したようにふと足を止めて振り返った。
「休む前にミス・ヴァリエールに挨拶をしようかと思うのですが、彼女は今部屋にいますか?」
「今ならまだ他の生徒達が見舞っているはずだ、暫くはベットから体を離れさせて貰えんだろう」
それを聞いてコルベールは微笑する。
「どうもありがとうございます。ミスタ・ウルザ」


停泊するウェザーライトUの中でコルベールとオスマンが陰気に顔を突き合わせていた頃、ルイズの割り当てられたアカデミーの一室には賑やかな声が響いていた。
「全然目を覚まさないから何ごとかと思ったじゃないっ!」
「しょうがないじゃないモンモランシー、寝てる時間まで文句をつけられても仕方が無いわよ」
「ハハハ。丸二日はいくらなんでも寝坊しすぎだと僕は思うけどね」
それぞれモンモランシー、ルイズ、ギーシュが笑顔で笑い合う。
あの戦いを全員で無事生き残った喜びを噛み締めて。

「もう起きてるってことは動き回っても平気ってことかい?」
「ううん。今日一日はベットで寝てなさいって言いつけよ」
ギーシュの質問に、寝巻きのままベットから身を起こしたルイズが答える。
「言いつけって、施療師にかい?それとも使い魔の……」
そこまで口にして言いよどむギーシュ。
「いいえ、ミスタ・ウルザによ」
続きはルイズが自分の口から告げられた。
「そうか。でも本当に心配したんだよ。ミスタ・ウルザから君が絶対安静、面会謝絶だって聞かされたときには」
「? そうだったの?」
初耳である。
それもそのはず、ルイズが倒れてからのことを聞かされるのは、彼女にとってこれが初めてなのだった。
深夜に目を覚ましたルイズ、ウルザの口から彼女に告げられた事実。ルイズはそのあとの時間を、一刻も惜しいとばかりにウルザの語る過去の話を聞き続けていたのである。
「ああ、昨日もこうして二人で見舞いに来たんだけど、ミスタ・ウルザに帰されてしまってね。そうだったよね、モンモランシー?」
と、話を振られたモンモランシーは、あさっての方向に顔を向けて見事な金髪の縦巻きロールをくるくると指先で弄っているところだった。
「モンモランシー?」
ルイズの問いかけではっと我に返ったのか、モンモランシーは顔を真っ赤にさせて頷いた。
「そ、そうよ。折角着てあげたのに、あなたったら全然起きないんですもの!」
突然の剣幕にルイズもギーシュも呆気にとられる。
「モ、モンモランシー?具合でも悪いのかい?顔が真っ赤だよ?」
「ななな、なんでも無いったら何でもないのっ!」
「そ、そうなのかい?君がそう言うなら別にいいけど……ああ、そうだ忘れていた。ルイズ、外は凄いことになっているんだ。そのことは聞いてるかい?」
400名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 23:38:24 ID:3y+QTr2i
支援
401名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:38:53 ID:TKe4PETa
組立作業員支援
402名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:38:55 ID:AUCfO1uA
俺は>あくまからの こうげきのしょうたいが つかめなかった
の時点で大体見当着いたんだぜ。ともかくMOTHER GJ!

そして支援
403名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/16(金) 23:39:27 ID:3y+QTr2i
支援
404MtL:2007/11/16(金) 23:39:38 ID:S+lqjpKG
超常的な力を持つプレインズウォーカーなら兎も角、ただの人間である彼が今のように動き回り立って話しているのはまさに奇跡的であった。
心配するギーシュやモンモランシー、オスマンの声も振り切って作業を続けるコルベールの表情は鬼気迫るものがあった。
あるいはそれは……必死に逃げる、逃亡者の形相か。

あう、2レス目の最初にこの3行を入れ忘れました。
405MtL:2007/11/16(金) 23:41:24 ID:S+lqjpKG
持ち前の微妙な鈍感さを発揮して、再びルイズに話を振るギーシュ。
再び顔を背けて、口をアヒルっぽくして拗ねるモンモランシー。
流石のルイズもなんとなく事情が飲み込めてきたが、ギーシュの言ったことが気になって聞き返した。
「外?一体どうなっているの?こうしてのんびり話してるってことは、姫様はご無事なんでしょうけど」
「違う違う、もう姫様は姫様じゃないんだよ」
ギーシュの物言いに疑問符を浮かべるルイズに、ギーシュは深く息を吸って十分にためを作ってから続けた。
「アンリエッタ女王陛下の誕生さ!」

ぽかんと口を開けるルイズ、言ったギーシュは自分のことのように得意満面だ。
あまりな突然のギーシュの衝撃発言、喜びと驚きのあまりとっさに声が出ないルイズ。
持て余した混乱をとりあえず喉の奥に飲み込んで、ルイズは疑問を口に出してみた。
「じょ、女王って、そんなに簡単になれちゃうの?」
「んー、どうなんだろうねぇ。歴史の上ではこれまで何度も例はあるし、それに今はガリアの国王も女王だしね」
その時遠くから「ドーン」と言う音が鳴り響いた。
「ほら、聞こえただろう?今のはアンリエッタ女王陛下の即位宣言と戦勝パレードの開始を告げる空砲の音さ」
そこまで聞いてルイズにも、ようやく合点がいった。
ウェザーライトUと自分の虚無によって撃退されたアルビオン軍、それを国の功績として内外に大々的に喧伝するための女王即位、戦勝パレードなのだろうと。

きっと今、自分の信愛する姫殿下、いや、女王陛下は行進パレードの中にあって国民に笑顔を振りまいているだろう。
けれどその未来には様々な困難が山積みにされているのだろう。
外はアルビオン、ガリア、ゲルマニア。
内は貴族達の複雑に絡み合った思惑。
女王陛下はそれらと正面から立ち向かう決心をされたのだ。
そう思えば、自分達の功績が例え表に出ないであろうことなど吹き飛び、ルイズの心には喜びと奮起が満ち溢れた。

「こ、こうしちゃいられないわ!早く私も行って女王陛下にせめて一目でも」
「な、何を言ってるんだい君は!ミスタ・ウルザに今日一日は休んでいるように言われたんだろう!?」
今すぐベットから飛び出していきそうな勢いのルイズを、ギーシュが両手でつかんで抑えようとする。
「モンモランシー!君も見てないで手伝っておくれ!」
じたばたと暴れるルイズに抱きつくようにしてベットに留めているギーシュを、モンモランシーが氷雪の如き視線で見ている。
「モ、モンモランシー?」
ギーシュもここに至り、モンモランシーの様子が平静のそれではないことにやっと気づいた。
が、今この病人を放り出してモンモランシーに許しを請う、と言うのも人としてどうだろう?
という板ばさみにギーシュが陥りかけたたその時、控えめにドアがノックされた。
そうしてその後に音を立てて開かれた扉から現れたのは

「え、エレオノール姉さまっ!?」
ルイズの姉、エレオノール・ド・ラ・ヴァリエールであった。



406名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:43:03 ID:N+NKGMSA
MOMA支援
407名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:44:20 ID:TKe4PETa
支援
408MtL:2007/11/16(金) 23:44:27 ID:S+lqjpKG
「ちびルイズ。あなたがどうしてここにいて、しかも丸二日も眠りこけていたのか、一切合財全てを説明してもらうわよ」
そんな風に口を開いたのは、二十代後半の見事なブロンドの美女、エレオノールだった。
その眼光鋭く、言葉にはルイズを硬直させるだけの気迫が込められている。
「あ、あの、エレオノール姉さま」
「しかも、ここに運ばれた原因はあの得体の知れないフネに乗っていて、戦場で例の光に巻き込まれたからだって言うじゃない」
本当はその光自体ルイズによって放たれたものであるのだが、エレオノールはそのことを知らない様子だった。
「おちび。いいこと?ラ・ヴァリエール家はトリステインでも名門中の名門よ。それに連なる血筋のあなたがどうして戦場なんかにいたの。説明なさい」
長く一緒に生活した、しかも血を分けた姉妹のこと。
ルイズは直感する。 『今、目の前の姉は壮絶に怒っている』

「ね、姉さま?」
「言い訳なんて聞きたくないわ。私は説明しなさい、って言ったのよ」
ここに至りルイズにも、姉の怒りの原因が自分であり、その矛先が自分に向いていることが正しく把握できた。
助け舟を求めて視線を泳がせる。
……先ほどまでそこにいたはずのギーシュとモンモランシーはいつの間にやら姿を消していた。
孤立無援、そんな言葉を思い出しながらルイズは必死に考えをめぐらせる。
正直に話してみる?――火に油を注ぐようなものだろう。
誰かに助けを求めてみる?――薄情ものの二人は後で締めよう。
仮病を使って追い返す?――この姉にそんなものが通じるわけが無い。

閃き。
とりあえず話をそらしてみるというのは? ―― これよ!

根本解決には程遠い回答を手にしたルイズは、話をそらせそうな話題を記憶から掘り起こした。
「姉さま……」
「何よ、ちびルイズ」


「ご婚約、おめでとうございます」


はたかれた。


「あいだ!ほわだ!でえざば!どぼじで!あいだだっ!いだだだっ!」
更には頬をつねり上げるエレオノール、ルイズは本気で痛いのか手をバタバタと暴れさせている。
「あなた、知らないの?っていうか知ってるわね?知ってて言ったのね。やるじゃない、ちびルイズのくせに」
「わだじなんじぼじりばぜん!」
「婚約は解消よ! か・い・し・ょ・うしたの!」
「な、なにゆえ!」
寝耳に水だ。
当然知っていたらこんな話題口が裂けても振らなかったであろう。
「さあ?バーガンディ伯爵さまに聞いて頂戴。なんでも『もう限界』だそうよ。どうしてなのかしらねっ!」
そう強く言い捨ててから一際強くつねり、手を離すエレオノール。
ルイズは涙目になりながら「そりゃ『限界』もすぐに来るでしょうね。私は何があってもこうはならないわ」と心の中で思ったりもしたが、幸いそれがエレオノールに看破されることは無かった。



                       これも……壊れてる。
                        ―――炎蛇の魔道師 コルベール
409名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:46:10 ID:jxMAK5/V
地雷踏んだwww
GJ!コルベール先生ゴブリンみたいなこと言ってるwww
410MtL:2007/11/16(金) 23:48:02 ID:S+lqjpKG
投下終了です。
あふぅ、修正したつもりがされて無かったです……。

誤:あまりな突然のギーシュの衝撃発言、喜びと驚きのあまりとっさに声が出ないルイズ。

正:ギーシュの衝撃発言、喜びと驚きのあまりとっさに声が出ないルイズ。

ちょっと詰まって期間が開いてしまいましたが、次は来週の頭に投下したいなーと思います。
であー。
411名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:49:57 ID:sR5ZSFYl
乙。
412名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:52:45 ID:N+NKGMSA
乙!
今回のフレーバーテキスト元ネタは入念な研究?
フレーバーテキストが「これって、壊れてる」でセファリッドがマスティコアをいじくってるイラストだったのしか覚えてないや
413名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:55:54 ID:sR5ZSFYl
>>412
綿密な分析/Deep Analysisの方だと思われる。
414名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:56:02 ID:S+lqjpKG
>>412
その通りなのですよ  |彡サッ!
415名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:56:31 ID:mwDy/KMh
ギーグ召還……泣いたよ
みんなから悪魔と呼ばれ、恐れられ
幼いころからいじめらてたりしたからあんな風になってしまったんだろうか?

でもルイズが召還したのがリュカなのは意外
ギーグとの接点はなかったはず
てっきりネスかと思ってたのに
416名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:56:39 ID:jxMAK5/V
全然ごぶりんじゃないやorz
覚えてるようで覚えてないな。
417名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:56:51 ID:qmYgyUZR
双方乙
ギークかわいいよギーク
418名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:57:11 ID:S+lqjpKG
間違ったのですよ、>>413さんの言うとおりでした…… 吊ってきます
419名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 23:59:18 ID:N+NKGMSA
>>413
ああスマン間違えてた
カードが手元に無いとどうもいかんね
420名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:00:03 ID:sR5ZSFYl
>>418
ただ自決させるのは惜しいのでこちらへ(狂気の祭壇を指差しつつ)
421名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:38:54 ID:/pxKxwMx
北斗の拳のラオウ召喚

ハルケギニアの覇王を目指す
422名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:44:01 ID:xhntXwvW
喰いしん坊!!のハンター錠二を召喚

箸二刀流でガンダールヴ発動
423名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:44:45 ID:Q0mDPEEo
34 名前: マロン名無しさん [sage] 投稿日: 2007/11/16(金) 22:26:44 ID:???
まあ、インテグラだってアーカードに出会う前は、
心元無いただの少女だったんだし。
アーカードなり、改心ウォルターなり召喚して
契約した瞬間、確変起こす可能性はあると思う。

後、原作のルイズはあくまで召喚したサイトが
『自分と同い年の平民の男の子』だからああいった
我がまま(とゆーか素の自分)を出せたんであって、
自分と対等かそれ以上の非身内の他人(初期ワルドとか)
にはきちんとした態度が取れてたと思う。
つまり原作のわがままやツンな態度は、サイトに対する
一種の甘えのようなものに過ぎないんだよ。
それが理解できない職人が、往々にしてクロス元の
どんなキャラクターに対してもサイトに対するのと
同じ態度をするルイズしか描けていないという結果に陥るわけだ。
424名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:52:10 ID:7N11tEz7
>>422

ギーシュ「(負けられない!こうなったら)」
モンモンランシ「ギーシュ!邪道食いはよして!」
ハンター錠二「食べ物に対して敬意を払わないその食べ方では、俺には勝てん」

こんな内容か?
425名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:54:00 ID:7N11tEz7
モンモランシの名前間違えた……
426名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:03:15 ID:Nf8mVkGu
モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ

だぞ
だからファーストネームと家名から取って「モンモン」なんだからな
427名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:03:44 ID:WLyojYPN
ルイズがぬかはち ガロン塚本 ふとちんのケン あと一人忘れたを召喚
漫画家を目指す
428名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:18:07 ID:7N11tEz7
>>426

いや、単なる打ち間違い。
429名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:22:04 ID:h3ks/B0z
>>427
抜かずに八時間やり続けた男、抜か八!
一回の射精で1リットルの精液を流し込むガロン塚本!
亀頭が握り拳ほどもあるデカチンの龍!
長さが30センチある竿竹のケン!

……なんでこんなの覚えてるんだ俺は
430名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:22:18 ID:Jk3JKSJg
さて、一ヶ月以上ぶりに投下していいかにゃー?
自分は忘れていた。
431名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:23:41 ID:L+cbH92y
>>423
…それでも1巻は勇気と無謀を取り違えているし、2巻では物事を考えるって行為を放棄している。
その後も少しずつは成長しているが、売り言葉に買い言葉で自分の周囲の状況を悪化させて最終的には「サイト七万の敵に突撃」だし。
こう言う人物が見ず知らずの他人に対してまともな態度は取れないと思う。
大体、契約して間もない相手に対してあの扱いである以上、ほとんどの人間系に対してはこの扱いではないだろうか。
原作外伝2巻での使い魔達の評価が全てを物語っていると思う。
432名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:25:07 ID:+qbCjlv+
鉄鍋の醤Rより秋山 醤 召喚
「料理は勝負だ!!」
2代目 中華の覇王に挑むは

トリステイン料理学院からは
微熱のキュルケ
「料理はスパイス!!もっと熱くもっとホットに!!」
雪風のタバサ
「これが究極のはしばみ草のデザート」

料理革命集団レコンキスタからは
「料理はスピードだ!!」
宮廷料理人 閃光のワルド

審査員は
虚無(腹ぺこ)のルイズ
「もっとお変わり持ってきて!!」

なんて事を思いついた
433神聖マルコメ帝国AZ 第二話 1/5:2007/11/17(土) 01:27:21 ID:Jk3JKSJg
前回のことを忘れても、人生になんの支障もない作品。


ナオンと彼らだけの蜜あふるる約束の地、神聖マルコメ帝国。
これは、その理想郷の実現を目指す、彼ら二人の物語である。
ノーベルクロスオーバーSS賞ノミネート作品。

『神聖マルコメ帝国AZ(あのゼロ)』
 第二話 にこやかな白人男性の夢を見た

ある日。ハルケギニア大陸トリステイン王国の魔法学院にて。
太っちょの少年マリコルヌが召喚した使い魔は、我らが宇宙的英雄キャプテン・フォン・ファーザー国王でした。
ファーザーは調子に乗って苛酷な要求を51か条にまとめて提出しましたが、マリコルヌに破かれました。
仕方なく、ファーザーはMO(もてない男)であるマリコルヌを新たなオンナスキー(皇太子?)とし、
同君連合を組んで神聖マルコメ帝国の建国を宣言。人民の人民による民主主義的共和独裁立憲君主帝国連邦としました。
主権は唯一ファーザーに与えられ、その統帥権は神聖にして不可侵であり、
《このへんで毒吐きスレで叩かれた》

「そういうわけで、今日も一発ナオンでもひっかけて来るんじゃよー。ゲヘ」
「お前が血を流して死ぬだけだろうが。僕はいつになったらモテるんだ……」
かくして、二人の建国活動(ナンパ)は続くのであった。

「さあ、みんなもやってみよう!」(※ やらねー方がいい)
434神聖マルコメ帝国AZ 第二話 2/5:2007/11/17(土) 01:29:36 ID:Jk3JKSJg
貴族の子弟が集まる魔法学院では、食事もマナーを身につけるべき修業の場である。
マリコルヌ・ド・グランドプレは『アルヴィーズの食堂』で昼食をとっていた。一人で。
使い魔であるファーザーは、当然外である。何やら他の使い魔に噛み殺されているらしき音がしたが、無視した。
アレは数分もすれば何事もなく復活して、トンカツ定食を食べている。なんだっけトンカツって。

しかし、ファーザーの建国活動と称する変態的ナンパに付き合う事によって、彼の友人はほとんどいなくなった。
彼女? そんなのは脳内電流の産物じゃろ? そんな事より建国だ。五族協和、万邦一家だ。
ナオンを七人集めれば、天命が下って四海六合を併せ、八紘を一宇とし、以て世界の安寧をもたらさん。
斯様なファーザイズムに汚染されたマリコルヌは、もうかなり後戻りできなくなっていたのである。

そんな彼の目の前で、許しがたい状況が展開されていた。
同級生の軟弱男ギーシュが、ルイズの使い魔・サイトとメイド・シエスタのせいで二股発覚。ざまをみよ、天罰だ。
しかし、彼はサイトに決闘を申し込もうとしている。仮にもメイジの端くれ、平民のサイトぐらいには勝てるだろう。
そうすれば彼のモテモテ状態は回復。見よ、モンモランシーはすでにギーシュのセコンドにつこうという勢いだ。
これを看過してよいのか、マリコルヌ・ド・オンナスキー。ポッチャリスキー。

「黙って外で死んでいろ!!」
マリコルヌは、勝手に脳内へナレーションを吹き込んでいたファーザーを、風の魔法で吹き飛ばした。
しかしファーザーは空中で足の底からバーニア?を噴射し、軌道を変えてふわりと着地した。
ギーシュたちの目の前のテーブルへ、だ。

「天呼ぶ、地呼ぶ、わしが呼ぶ。その決闘、わしが買ったのじゃよ―――――――――!!」
435神聖マルコメ帝国AZ 第二話 3/5:2007/11/17(土) 01:31:07 ID:Jk3JKSJg
いきなり何を言い出すのだ、この変態中年は。
「さあ、嬢ちゃんたち、そいつから離れなされ。そいつはナオンのエキスを吸って生きているのですよ?
 夜な夜な触手をウネウネと伸ばして、よからぬことをするのです。じゃが、なあに、わしにかかれば赤子も同然。
 さあギーシュとやら、わしの喧嘩を買ってもらおうか。今なら分割払い可能!」
それを聞いて、ゆらりとギーシュが立ち上がる。

「やあ、誰かと思えばマリコルヌの使い魔、ファーザー君じゃないか。
 するというと、君はこう訴えているわけだ。もし自分が負ければ、あのルイズの使い魔も自動的に負けとなり、
 モンモランシーもケティもメイドもルイズも僕のもの、お買い得ですよ、と! 一発でーも妊娠、と」

ギーシュはフラフラとワインに酔っ払いながら、よく分からない事を口走る。
彼の二つ名は『青銅の偽善者』ギーシュ。いろいろと最低な男だが、なぜかナオンにはモテる。
こんな奴、さっさと包丁で刺し殺されてしまえ。然る後に解体されてしまえ。
「ええい、黙れこのにこやかな白人。わしが貴様を解体ショーして、不審船に乗ってナイスボートしながら、
 爆発に巻き込まれて大西洋の底に沈むヴィジョンが見えた。……わしはなにか、大変なものを見ているのか?」

ルイズとモンモランシーは、とりあえず状況を整理する。
「じゃあ、あんたがサイトとギーシュの決闘の前座で、ギーシュに挑戦するって事でいいのね」
「まあ、この変態なら殺されてもなんら害はないし……むしろ善行をする事になるわね。
 じゃあギーシュ、行くわよ。『ヴェストリの広場』で両方殺してあげましょう」

……主人を置いてきぼりのまま、ファーザーはギーシュと決闘する事になった……らしい。
436神聖マルコメ帝国AZ 第二話 4/5:2007/11/17(土) 01:32:56 ID:Jk3JKSJg
「さて諸君、決闘だ! この『青銅の正義』ギーシュ・ド・グラモンが、変態と犬を倒すのだ! 乞うご期待!」
ギーシュはまだ酔っ払っている。立っているのがやっとのくせに、態度がやたら大きい。
「うるせーっ、わしが貴様をサンドバッグのように、カネの埋まったリングに沈めてやる。
 この神聖モテモテ王国国王、ファーザー1世がな! はよう始めてんか、おっちゃーん」
誰がおっちゃんだ。大体、なんで僕が、このマリコルヌが巻き込まれているのだ。

「では始めよう、使い魔くん。この僕はメイジであるから、魔法を使うのが流儀!
 出でよ青銅の戦士『ワルキューレ』!!」
ギーシュがクルクル回転しながら、薔薇の造花の杖から花びらを飛ばす。それらは地面に落ち、青銅戦士を創造する。
……その造型は、どう贔屓目に見ても、ヤクザさんだったが。

『おうおう、誰に断ってギーシュちゃんに喧嘩売ってんだ』
『よーし、おめーのスペック確かめてやるよ』
『ポテンシャルまで!』

「並んだー!! 喋ったー!!」
ファーザーの頭上の赤色灯が、危険を感じてパリーンと割れた。
ナオンを感知しても、危険を感知しても光る謎のランプだそうだが、頭上にあるので自分では見えない。仕様だ。
まあ、今更光ろうが点滅しようが、数秒後にアレが死ぬ真実に、何ら変更はないだろう。
僕は体育座りで、ぼんやりと惨劇が始まるのを見ていた。

しかし、ファーザーはシュイイインと足裏からバーニアを噴出し、結構な勢いで逃げ惑っていた。
汗まみれ涙まみれで、あまり褒められた姿ではない。やがてワルキューレの一体に捕まり、フクロにされた。
「もうダメだ……投了だな」
437神聖マルコメ帝国AZ 第二話 5/5:2007/11/17(土) 01:35:05 ID:Jk3JKSJg
「でええい、フラワーチョップ!!」
意外なことに、ファーザーはチョップでワルキューレを吹き飛ばした。見た目はアレだが、案外強いのか。
というより、ワルキューレが見た目の割に弱っちいのか。紙のように薄い青銅で出来ているらしい。

「おおっ、すげえぜ!」
「不死鳥だぁ!」
ギャラリーは無駄に喜ぶ。ギーシュは厭らしい笑顔を浮かべたまま、次の作戦に移る。
「では、僕の使い魔を戦わせよう。来たまえ、僕のヴェルダンデ!」
ギーシュの呼びかけに答え、地面からギュルギュルと何かが回転しながら這い出してきた。

「やーっ、ギーシュさまに歯向かう奴は、許さんですターイ。
 このいなか人間ヘビトカゲ、この世界の救世主たるギーシュさまの、忠実な下僕ですターイ」
見るからに平民というか、産地直送のいきのいい田舎者の男が現れた。坊主頭ででっぷり太り、何も考えてない顔だ。
ギーシュはこんなのを使い魔にしていたのか。というか、強いのか?

「行け、ヴェルダンデ!」
「ヘビトカゲですターイ!」
ふらつくファーザーにヘビトカゲだかヴェルダンデだかいう使い魔が襲い掛かり、ゆっくりとパンチを放つ。
見るからに弱そうなパンチだったが、命中したファーザーはズガアアアアという轟音を立てて吹き飛んだ。
真っ直ぐ10メイルばかり垂直に飛び、落下してギーシュの顔面にゴーンと直撃する。
「わあ、大変ですタイ、ギーシュさま! しっかりするですターイ」

ヘビなんとかは慌ててギーシュに駆け寄り、その怪力でバシンバシンと頬を殴り続ける。
手加減できない力の持ち主らしい。忽ちギーシュは血まみれになり、気絶した。
「殺す気かぁ!! 誰かあいつを止めろ!」


やがて騒ぎを聞きつけた教師が、魔法でいなか者を眠らせ、その場はおさまる。
かくして、ファーザーとギーシュという悪はともに滅んだ。一日後生き返ったが。
なおルイズの使い魔のサイトは、特に活躍する事もないまま日常生活に戻ったという。

(続く?)
438名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:36:08 ID:Jk3JKSJg
投下終了。続きはまた来月?
439名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:37:34 ID:Nf8mVkGu
>モンモランシの名前間違えた……
>いや、単なる打ち間違い。

モンモランシ"ー"・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ
根本的に間違ってる事に気付けよ
「モンモランシ」は、ルイズのフルネームにおける「ヴァリエール」に相当する部分
ギーシュで言えば「グラモン」だ
440名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:38:40 ID:Jk3JKSJg
おお、MOはもてる男、MNOこそもてない男じゃった。
そういう些細なところに気付くか否かで、モテるものとモテざるものとの貧富格差が生ずる。
441名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:42:27 ID:IIY+z25W
>>431
だったらあなたはそういう解釈でSSを書けばよろしい。
>>423の解釈のSSの方が自分は好みだがね。
442名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:48:24 ID:ltCGxLmt
ついでにとんちんかんの間抜作を召喚
一緒に天地くんと抜ちゃんロボも召喚
443名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:51:30 ID:Nf8mVkGu
ルイズとキュルケとタバサあたりで
ハルケギニア版とんちんかん(名前は別途考える)結成でもするのか?
444名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:55:46 ID:6P9KMbCJ
すばらしい。
完璧なまでにながい空間じゃないか。ヘビトカゲ登場で茶を吹いた。
悪の秘密組織登場はまだかにゃー。
445ライオンがヒョウの:2007/11/17(土) 01:59:17 ID:rUbnMVpn
キートン第3話出来ました
投下していーい?
446名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 02:00:00 ID:xhntXwvW
ならば鷹の爪団でも召喚してみるかw

博士「オラッ!!オレハクマジャネェッ!!オラッッ!!
吉田くん「わー、博士がギーシュを襲ってます!
総統「博士はクマと呼ばれると襲い掛かるからのぅ
447ゼロのMASTER 3 1/5:2007/11/17(土) 02:04:07 ID:rUbnMVpn
投下、投下

窓の外は暗い――― 上を見上げる。なんと言うことか。月が二つもある。しかも、かなり大きい。
やはり、ここはイギリス・・・いや、地球ですらないのか。
キートンの心境は困惑していた。帰らなければならない。家族の所へ、親しい友人達の所へ。
とりあえず、この世界の詳しい情報を得なくては。そう思い、ルイズと話す。

「ルイズ君。彼等は僕のことを平民と言っていたようだけど・・・」
「それがどうかしたの?」
「いや・・・。なんで平民って呼ばれたのかなってね」
ルイズは首を傾げる。
「だって平民じゃない。冴えないし、魔法は使えないし、変な服着ているし」
・・・このスーツ、けっこうお気に入りなんだけどな。
「ま、私達『メイジ』には一生追いつけないわね」
彼女はえっへんと胸を張る。メイジ・・・魔法使いは、この世界では相当な権力を有しているようだ。
私は実にまずい所に放り込まれたのかもしれない。階級社会だとしたら―――
私の母もイギリスはコーンウォールの貴族だった。だが、この世界の貴族は・・・。

「この部屋・・・電気は通ってないんだね」
テーブルの真ん中に置かれているランプをぼうっと眺めながら、ぽつんと呟く。
高価なランプのようだ。火はゆらゆらと揺れている。揺れているのは私の心、か。
「デンキってなに?」
「・・・なんでもありません」
科学技術はあまり進歩していないのだろうか?

「僕は元の世界には帰れないのかい?」
単刀直入に訊いてみる。"召喚"されたということは、ひょっとしたら元の世界に戻すことも・・・。
だが、ルイズの口から出てきた言葉は私を絶望の底に叩き落すものだった。
「無理よ」
「ど、どうして?」
「だって、あんたはわたしの使い魔として契約しちゃったもの。あんたがどこの平民だろうが、別世界とやらから来た人間だろうが、一回使い魔として契約したからにはもう動かせないわ」
「そ、それは困るよ。私には待っている人達がいるんだ。それに、仕事もあるし・・・」
「とにかく無理。だいたい、わたしの方が不幸よ!やって成功したと思ったらあんたみたいな・・・」
不味い、逆鱗に触れてしまいかけているようだ。とにかく話題を変えなくては。
とっさにポケットに手を入れる。なにか、なにか・・・。
あった。

「ル、ルイズ君。これをどうぞ」
「なにこれ?」

レモンキャンデーだった。
448名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 02:05:13 ID:uZ7HuUSe
支援
449ゼロのMASTER 3 2/5:2007/11/17(土) 02:06:12 ID:rUbnMVpn
「そもそもあんたが別世界から来たってのが信じられないのよね」
ルイズはキャンデーをころころと口で転がしながら食べている。
安物ね、とか言ってたけど少しは満足したようだ。
「何か証拠見せなさいよ」
「あー・・・、うん」
もう片方のポケットをまさぐる。出てきたのは・・・財布とジッポーライターだった。
ダニエルがくれた奴だな。なんか聞いたことも無い格言と一緒にくれたけど。
「これはどうかな?」
「なにそれ?」
「ライターだよ。こうやって・・・」
シュボッという軽快な音と共に火が飛び出す。さすがはダニエル。なかなか高級なやつみたいだ。
「火の魔法ね」
「いや、魔法じゃなくて、機械だよ」
「キカイ?それは何系統なの?」
「うーん・・・」

その後も彼女といくつか話をした。この大陸はハルケギニアというらしい。
そして、今私がいる国はトリステイン王国。
最後に私を元の世界に戻すような魔法は無いということだった。
「『サモン・サーヴァント』は呼び出すだけ。使い魔を元に戻す呪文なんて存在しないもの。だいたい、サモン・サーヴァントはハルケギニアの生き物・・・つまり、動物や幻獣などが召喚されるのよ。
人間が召喚されるなんて初めて見たわ」
「そんな・・・」
私はがっくりとうなだれた。ふと、昼に刻まれた文字が目に付いた。左手の甲の―――。
落ち着いて、ようく見てみる。昼間は頭が混乱して忘れていたが、このルーン文字、どこかで・・・。
ああ、そうか。

「ガ、ン、ダール、ヴ・・・?」
私はぽつりと呟く。
「何か言った?」
ルイズが怪訝な顔をしている。なんでもないと言ったあと、手の甲を隠した。
「もうそろそろ寝るわ」
「ああ・・・、もうそんな時間か」
腕時計を見る。・・・壊れていた。恐らく、あの鏡に入ったときの電気ショックのせいだろう。
高かったのに・・・。
と、突然ルイズが服を脱ぎ始めた。私が慌てていると、キャミソール一枚になった彼女は私の方に下着を放り投げて
「じゃあ、これ、明日になったら洗濯しておいて」

私も寝たほうがいいだろう。・・・ところで、私のベッドはどこにあるのだろうか?
450名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 02:06:48 ID:RHKuhmuq
>>446
フィリップを忘れんでくれよw

デラックスファイターが居ない世界なら彼等ものびのびと馬鹿な事をするんだろうなぁ…w
451名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 02:08:25 ID:uZ7HuUSe
支援
452名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 02:10:32 ID:ltCGxLmt
月餅と孫文先生の話をアニメで見たな、とキートン支援
453ゼロのMASTER 3 3/5:2007/11/17(土) 02:10:35 ID:rUbnMVpn
「あんたは私の使い魔でしょ?洗濯、掃除、雑用、当然じゃないの」
毛布一枚を放り投げたルイズは床を指差す。そこで寝ろということらしい。
私が毛布にくるまうと、ルイズはパチンと指を鳴らした。同時にランプの火が消える。
これも魔法なのか・・・。
私は地面に倒れこむように寝転んだ。

百合子・・・父さん・・・太助・・・ダニエル・・・チャーリー・・・みんな・・・。
絶対に、元の世界に戻るからな・・・。


―――朝。
私は目を覚ました。疲労はまだ残っているが、文句は言えない。ふと隣に下着が落ちている。
・・・ああ、彼女の、か。ベッドの方に目をやるとスヤスヤを寝ている。普段の強気な少女の面影は無い。
「さて、と」
しまった、洗濯場の場所を聞き忘れたな。誰かに聞かないと。下着を洗濯籠に入れる。
こういうことは早めにやっておかないとな。私はスーツの袖をまくって廊下へと出た。ルイズは―まだ眠っている。

「あの、すみませーん」
「はい?」
廊下を歩いている少女に声をかける。カチューシャを付け、メイドの格好をしている。
そばかす、黒髪と・・・なんとなく風貌が日本人みたいな感じだな。
「ちょっとお聞きしたいんですけど、洗濯場って何処にありますか?」
「ああ、それならあそこです」
少女は指差した。なるほど、大きな洗い場がある。
「どうも、ありがとうございます」
「いえいえ」
少女は微笑みながら去った。純朴で大人しそうな子だったな・・・。

洗い場に着き、さっさと洗濯をすませたあと、洗濯物干し場でルイズの下着を干した。
あとは彼女を起こさないと。そう思い、ルイズの部屋をノックする。
「ルイズ君、起きているかい?」
「遅いわよ」
そう言うルイズは起きたばかりなのか、髪はボサボサだ。下着は自分で着替えたようだが。
「ごめんごめん。洗濯物を干してたら、少し遅くなってね」
「言い訳はいいから、そこのブラウスを着せてよ」
「はいはい」
「はいは一回。それとわたしのことは『ルイズ君』じゃなくて『ご主人様』と言いなさい」
「わかりました、ご主人様」
苦笑しつつ、彼女に服を着せる。ふと、百合子の子供の頃を思い出した。
454ゼロのMASTER 3 4/5:2007/11/17(土) 02:11:38 ID:rUbnMVpn
「ふふ・・・」
つい、笑みがこぼれてしまう。
「なによ、ニヤニヤして。気持ちが悪いわね」
「ああ、ごめんごめん。娘のことを思い出してね」
「あなた、子供がいるの?」
ルイズは心底驚いたような表情と声を出した。・・・私は子供がいるようには見えないのだろうか。
「もう高校生だけどね。小さかったときは、よくこうやって服を着せてあげていたから」
「コーコーセーってなに?」
そんな会話をしているうちに、身支度も終わった。
首輪を付ける?と言われたが、慌てて断った。いくらなんでも、そりゃないだろう・・・。
さて、ルイズの話だと朝食があるらしい。彼女に付いてくるように言われ、私は部屋から出た。

この学院の食堂は、まったく見事なものだった。まるで王宮の食堂みたいだな・・・。
食事に来た子供達は色とりどりのマントを付けている。学年別の区分けかなにかだろうか。
ルイズはさっさと前に行き、あるテーブルの前でぴたりと止まった。
椅子を引け、ということらしい。私が椅子を引いたら、どっかと座った。
・・・ところで、私の分の食事はどこだろうか。
「ル・・ご主人様、僕の分の食事はどこかな?」
ルイズは黙って地面を指差した。見ると皿が一枚。
いやいやいやいや!これは無いだろう!これならダニエル探偵事務所で自炊していた方がいい!
「あー、ああ。ちょっと散歩してくるよ。すぐに戻るから」
ルイズが何か言っていたが、構わず私は食堂から出た。
駄目だ・・・さすがに空腹だ。思えば、昨日の夜も食べていないのだ。
ポケットをまさぐると、レモンキャンデーが一粒・・・。悲しいが、仕方無いな。
それを口に放り込み、ウロウロしていると
「あの」
声をかけられ、振り向いた。ああ・・・。確か、昨日洗濯場を教えてくれたメイドの子だな。
「やあ、昨日はどうも」
そういって彼女に挨拶をしたら・・盛大に腹の虫がなった。
「あ・・・」
「お腹が空いてらっしゃるんですか?」
「あ、はい。実は昨日の夜から食べてなくて・・・」
「まあ!それは大変」
女の子は悲しそうな顔をすると、
「こちらにいらしてください」
私は彼女についていくことにした。さすがに、もう限界だったから・・・。

到着したのは厨房だった。彼女は親切にも私に食事をわけてくれたのである。
まかないものということだったが、私にとっては最高の料理のように思えた。
それらを一通り食べ終わると、私は彼女と話し始めた。
455ゼロのMASTER 3 5/5:2007/11/17(土) 02:12:52 ID:rUbnMVpn
「ありがとうございます、とても美味しかったですよ」

私がそう言うと、彼女はとても喜んだ。
「ああ、すみません。申し送れました。私は平賀・キートン・太一と申します」
「まあ!それでは、あなたがミス・ヴァリエールが召喚したという・・・」
「あー・・・、もう話題になってますか」
ルイズ本人にとっては不本意だろうけど。
「御飯がお皿一枚の料理だけらしくてね・・。さすがに飛び出してきてしまいまして」
「わたしはシエスタと申します。もし宜しければ、いつでも来てください。私たちが食べているものでよかったら、いつでもお出ししますから」
なんて素晴らしい娘なんだろう。この世界につれて来られてから、初めて優しくされたような気がする。
「ありがとうございます。でも、さすがに何回も厄介になるわけにはいきませんし、彼女の所に戻ったら相談してみますよ。
食事のお礼といってはなんですが、何か手伝えることはありませんか?」
シエスタは喜んだ顔をすると、デザートを運ぶのを手伝ってくださいと言ってきた。
そうして彼女と作業をこなした。ようやく、人間扱いされたような気がするな・・・。

「どこに行っていたの!!」
怒髪天を衝くというのだろうか。ルイズは小柄で可愛らしいが、怒ったときの迫力は凄まじい。
私はお説教をされたあと、彼女の教室に引き摺られていった。
周りの生徒達がクスクスと笑っている。・・・まあ、無理もないか。さながら参観日に来た親みたいだからなあ。
「あらあら。授業を受けるのにも付添い人がいるの?ルイズ」
後ろで声がした。ルイズが苦々しげに振り向く。私もつられて振り向く。
そこにいたのは・・・美人だった。美人なだけではない、スタイルも抜群だ。ダニエルやチャーリーの奴が見たら、口説くのが目に見えるな。隣には大きなトカゲらしき生き物もいる。
こんなトカゲ、みたこともないぞ。新種のトカゲだろうか?
「キュルケ、さっさと座りなさいよ。授業が始まるわよ」
「言われなくても座るわよ。あなた、名前は?」
「ああ、えー。平賀・キートン・太一です。職業は保険・・・」
「こいつは私の使い魔よ!馴れ馴れしくするのは止めてよね!」
使い魔じゃなくてオプなんだけど・・・。
「いいじゃない、減るもんじゃなし。でも、ま、あなたには平民の使い魔がお似合いかもね」
そういうと、彼女はほーっほっほと高笑いしながら自分の席についた。
頼むから、ルイズを刺激しないでくれ・・。私にとばっちりが・・。
そのとき、扉が開いて中年の女性がやって来た。どうやら教師らしい。
女性はシュヴルーズと名乗ると、生徒達の使い魔を見始めた。
当然、ルイズのほうも見たわけだが。
「おやおや、変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」
「ははは・・・」

私は照れ笑いをする。ルイズに足をつねられた・・・。
456ライオンがヒョウの:2007/11/17(土) 02:14:16 ID:rUbnMVpn
以上でふ
次ぐらいでギーシュとの決闘を書きたいなーと思ってます
どうとっちめようか本をペラペラめくってます(´・ω・`)
457名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 02:26:12 ID:RHKuhmuq
ゼロのMASTERの作者GJ!

ゼロ魔の世界が一瞬にして浦沢直樹の漫画風に脳内変換出来たぜ。
458名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 02:29:48 ID:xhntXwvW
>>45
そういや忘れてたw奴が死んで以降忘れ去ってたとも言うがw


総統「むむむ…若い子が人前で裸になるんじゃありません!
ルイズ「使い魔に裸を見られても気にしないわよ
吉田くん「う…うわーー!お、お、おかーさーーん!
フィリップ「…ウルァ!!

その頃レオナルド博士は…
博士「オラッ!!センタッキヲツクッテヤッタゾッ!!コレデセンタクガラクニナルゾオラッ!!
一緒に持ってきてたガラクタで洗濯機を勝手に作っていた
459名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 02:29:53 ID:uZ7HuUSe
投下乙
ギーシュは何気なくやられそうだなぁ
460名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 02:32:54 ID:xhntXwvW
忘れてた投下乙ノシ

>>458
>>45>>450
461名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 02:39:07 ID:JJ+iKCNO
>>421
7万相手に
ルイズ「これが誰よりも強かった我が使い魔ラオウの拳よ!「北斗剛掌破!」(殺傷設定エクスプロージョン!)」
なぜかモヒカンの雑兵「たわばっ!」*100


>>459
それなりの精度の投石とか投げナイフが使えてしまうと
視覚で相手を捕らえてワルキューレで攻撃するギーシュだと
ポカリとやられてしまう…

早撃ちの達人とか踏み込み距離の長い剣士とかは
盛り上げるのが難しそう…

陸奥の如く早撃ちで終わってしまう…
そういえば陸奥一族って代々ヒロインが
ツンデレ貧乳だから相性はバッチリ
髪とかの色は無関係っぽいし…

462名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 02:40:14 ID:ssOcmJSZ
>>456GJです
原作からそうだったけど人一人の人生狂わせておきながらルイズが理不尽すぎるw
これからどう仲良くなっていくか楽しみです
463名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 02:42:42 ID:WwVN6afz
中つ国から一つの指輪を召喚

冥王ヴァリエール誕生
464名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 02:56:30 ID:Nf8mVkGu
冥王と言えば天の・・・・ゲフンゲフン
465名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 03:01:26 ID:PJk3Y2Vu
>>464
急にリリカルルイズの将来が不安になってきたんだ、何故か。
466名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 03:33:09 ID:i2z6I3KU
夜天の使い魔やももえサイズなどの能力吸収系を見て思ったのだが、
究極的に空気の読めない男、九門克綺を召喚したらどうなるのだろう。

飯の描写が細かくなる事は確実だが。
467名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 03:35:38 ID:wqEX9Aao
>>446
総統と愉快な仲間達は脳内再生率高ぇな
プロの声優じゃない分親しみが湧くというか何というか
468名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 03:47:33 ID:aGCFLJSM
牧本さんと一緒に召喚なら考えたことあるけど。
九門克綺の思考のトレースの難易度は半端じゃなく高いぞ。

異種間の愛&継ぐものとしてのテーマとしてはいい作品なんだけどねえ。
469名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 03:53:50 ID:wR6mkb2n
>>465
おちつけ。その妄想は危険だ、いろんな意味で。
470名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 03:59:14 ID:uoja5t2i
冥王で話が通じちゃうってどういう事!って感じだよな
471名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 04:36:51 ID:PJk3Y2Vu
>>469-470
わかった、止めとく。天のナノライマーに対抗出来るのは雷のフェイザックだけ、とかまで行き着いてしまったけど踏みとどまるよ。
472名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 04:42:02 ID:TrabxEmk
エクスプロージョンはめいおーっぽいけどw
473名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 04:51:23 ID:uoja5t2i
>>471
いや、会話の流れ的には面白かったんだけどねw
474名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 04:56:52 ID:h/MIxCX4
>>456相手がキートンだと決闘自体が起きない。(原作ではサイトが馬鹿だから起きたイベントだし)
起こす為にはギーシュをキャラ改変して、キャラヘイトをするしかない
475名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 05:08:39 ID:h/MIxCX4
改変するなら主人公だけにしてくれって感じだよ。
主人公を持ち上げる為にミサトを牛とか呼んだり、ユリカをアキト狂いの無能にするとか、U1系の北村空気化とかと一緒だよ
476修正:2007/11/17(土) 05:12:44 ID:h/MIxCX4
>>745
北村→北川ね
477名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 06:42:57 ID:fL8Gh0J8
>>474
どうでもいいけど、それって本スレで3レスも使って言うことなのか?
毒吐きスレじゃ駄目なのかね?
478名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 07:27:44 ID:hwuX01WT
>>477
スルーしろ。どうせ何時もの奴だよ。
479名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 07:33:17 ID:7I0w2C01
北斗キャラ召喚するなら、山のフドウをティファのところに
子供達を守るために壮絶な最後を・・・
480名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 07:35:32 ID:EVaThw3W
この辺は初期から言われてるのに殆ど改善しないところだから同意してしまう。
毒吐きで言ってても誰も見ないし。
481名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 08:26:01 ID:Q0StJIrn
そんなことは毒吐きスレに置いといて、
ルイズにラティアスかすえぞうを召喚させようぜ。


最近読んだ【劫尽童女】から伊勢崎遥とか【クロスファイア】から青木淳子を召喚とか考えたが、
試験前で切羽詰まってる上にこのスレでは知名度など無いに等しい作品だから
はたしてやっていいのかどうか………
482名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 08:27:41 ID:w7c1KjRB
ダークシュナイダー召喚を書きたかった……

性格は書いてておもしろそうなのに強すぎてダメポ。
483名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 08:32:06 ID:WWQ7uuel
ラティアスとな
お兄ちゃんと離されるのはかわいそうだな
484名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 08:43:17 ID:Q0StJIrn
映画の最後に出てきたラティオスは別個体じゃなかったっけ?


ドラゴン系はきゅいきゅいとの絡みがやりやすいんだよな……。
すえぞう「ねーちゃん、はらへった!」
きゅいきゅい「これはシルフィのご飯なのね!」
とか。
485名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 08:46:32 ID:/kurw/r7
「天使の囀り」より、ブラジル脳線虫を召喚
486名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 08:48:14 ID:Xhaod5di
北斗キャラはトキだったらともかくケンシロウやラオウを召喚したらあの世界のメイジたちは皆殺しにされるぞ・・・
モットとかああいうタイプはまず殺される
ギーシュやワルドも決闘で殺される

ルイズは終始ビクビクしてるだろうなぁ
487名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 08:57:29 ID:t+iGLPG9
Fateの喋れないバーサーカー召喚した話書き上げていざ投下・・・って思ったら型月禁止ですか・・・
んー、どうすっかな
余分なコテとか持ちたくないんで名無しで投下できるとこが良かったんだが
まあいいか。色々探して見ます
488名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 08:58:15 ID:V9E9t7t4
スルー
489名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 08:58:33 ID:c43aI4e5
北斗キャラは改心?したり、基本的にいい人?なので、ガリア側に置く人が居ない罠。
490名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:00:34 ID:OShxJEFK
>>482
じゃあサイコダイバー毒島
タバサの母親助ける代わりに一発とか言いかねない
491名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:03:22 ID:f4OO0qGO
>489
人質を取られた門番コンビ
だめだ、メイジには勝てても北斗メインキャラには勝てないか

ジャギさまがいる!
492名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:07:11 ID:P/3nhLdv
タバサは北斗神拳に興味を持ちそうだ。
最強の暗殺拳法だから
493名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:07:59 ID:sj9fapVS
494罪深い使い魔:2007/11/17(土) 09:10:25 ID:ZIz7UyiR
こんな朝っぱらに投下予約
9:20頃から投下開始します
今回はちょっと長いのでその点、先に謝っておきます
495名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:16:07 ID:c43aI4e5
北斗神拳ならタバサママもちぃ姉様も救えるはず。

そしてウェールズを忘れられないアンリエッタのために、
『死環白』を打ってあげるカイオウ様。
496罪深い使い魔:2007/11/17(土) 09:20:50 ID:ZIz7UyiR
それでは投下開始します


奇妙な『存在』だった。
暗闇の中、ひときわ目立つ白いシルエットをしていながら、その存在感は酷く希薄なのだ。
まるで鏡越しに眺めているかのように、実体が感じられない。

「……どちら様?」

なんとか冷静さを保ったフーケの問いに、『それ』は芝居がかった口調で答えた。

「我が名はジョーカー。夢見る者の最後の切り札」
「へぇ……」

フーケは鼻で笑った。
ジョーカー(道化師)か。ふざけた名前だね。

ふざけてるのは名前だけじゃない。格好もだ。
白を基調とした、細身の体にぴったりとあった服。
袖口から覗く手はこれまた病的に白く、とても血が通っているようには見えない。多分化粧だろう。
しかし一番ふざけてるのはその『仮面』だ。

ジョーカーの頭部全体を覆っている仮面、顔には笑顔が描かれているが、かなり不気味だ。
大きく開いた半月型の口からは歯がむき出しになっており、おまけに目が笑っていない。
その笑っていない左目からは紫の隈取が広がっており、右目にいたっては存在すらしない。黒で塗り潰されている。
そして頭部と顎から張り出した、黄色と黒のコントラストからなる奇妙な飾り。
即頭部の飾りの先端にはなぜか花が飾られ、頭頂部にも花の模様らしきものが描かれている。

人を楽しませるのが道化師の仕事なのに、こいつの姿は人に恐怖を与える以外の役には立たない。
道化師失格だと、フーケは心の中でジョーカーを罵った。

「……そのジョーカーさんが、私に一体何の用かしら?」

話しかける一方で、フーケはジョーカーの隙をうかがう。
何者かはわからないが、姿を見られた以上、始末するしかない。
自分同様壁に張りついていることから、メイジと思われるのが辛いところだが、
この大きな口で自分の正体を言いふらされてはたまらない。
やるなら、今しかない。

「言葉を返すようだが、用があるのはお前の方なのではないか、魔術師?」
「あら、どういうこと?」
「私はお前の情念によってこの場に呼び寄せられたのだ。お前の望みはなんだ?」

情念? 望み?
ジョーカーの言ってることは支離滅裂だった。道化師だけに遊んでいるつもりなのか。
フーケは内心の苛立ちを隠しながら少しだけ考える素振りをする。

「そうねえ。なら……」

つま先で壁をコンコンと叩く。

「この壁を壊して頂戴」
「いいだろう」

……は?
497名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:22:18 ID:4D/jiQwb
毎回、楽しみにしてるよ支援。
498罪深い使い魔:2007/11/17(土) 09:23:06 ID:ZIz7UyiR
即答したジョーカーの言葉が意外で、フーケは思わず呆気にとられる。
そんなフーケを無視して、ジョーカーは笑みを深める。
仮面のはずの笑顔が、深まる。

「お前の望みは『この壁を壊したい』だな。クックッ、容易いことだ」

ぞわ……

「ッ!?」

ジョーカーの放つ気配がいきなり濃密になる。
次の瞬間、ジョーカーの足元から青白い光が立ち上り、ジョーカーの異形を妖しく照らした。

「下がっていろ」

突然のことに驚きつつも、フーケはすぐに後退する。
――ジョーカーが叫んだのはその直後だった。

「ペルソナァ!!」


ズン……

建物が、わずかに振動する。
それと同時に毛布に包まっていた達哉は、弾かれるようにして上体を起こした。
その目は驚愕に見開いている。

……間違いない。『共鳴』だ。
しかもこの感じは……!

「『あいつ』はもういないはずだ!」
「ふぇ? なになに?」

安眠を妨げられ、寝ぼけ眼のルイズが目にしたのは、
昼間買った剣を持って、窓から飛び降りる使い魔の姿だった。

「え!? あ、ちょっと……!」

急激に意識が覚醒したルイズは慌てて窓に駆け寄るが、窓の下に達哉の姿はない。
そして気がつけば、塔の中が妙に騒がしがった。

「な……なんなのよ、もう!」

よくわからないが、この学院で何かが起こっている。
ルイズは慌てて、自分の服とマントを引っかぶった。
499名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:24:07 ID:4D/jiQwb
支援
500罪深い使い魔:2007/11/17(土) 09:25:11 ID:ZIz7UyiR
「これでお前の願いは叶えられたな」
「……そうだね」

自分でも呆れるほど気の抜けた声で、フーケは同意した。
そして足元を見る。

壁には、大きな亀裂が走っていた。
頑健だったはずの石壁は『固定化』の魔法ごと抉り飛ばされ、
その向こう側に守っていた宝物庫の全容をさらけ出している。
たしかに願いは叶えられていた。釈然としないが。

……他人の手を借りたってのは気に食わないけど、まあ結果がすべてだね。
とっとと運び出すか。

すぐに気持ちを切り替え、フーケは杖を振った。
直後に塔付近の地面が隆起し、やがて人の形を成し始める。
『錬金』に並ぶフーケの得意技、ゴーレムの作成だった。

「面白い魔法だ」

ジョーカーの感嘆めいた声に、フーケは眉をひそめた。
ゴーレムなんて、さして珍しい魔法ではない。
一般に20メイルが相場の巨大ゴーレムを、フーケは30メイルのスケールで作り上げるので
そういう点では珍しいかもしれないが、ジョーカーの発言はまるで
ゴーレムそのものが珍しいと言っているように聞こえる。

……その意味するところはわからないが、しかしそれを聞くつもりもない。
この理解を超えた『存在』相手に何を聞いても仕方がない。そう思えるのだ。
それにジョーカーの正体など、フーケにはどうでもいいことだった。

フーケは目下の興味の対象、宝物庫の中に向かってその身を躍らせた。
ただ、ひとつだけ気になることがあったフーケは、自分に続いて宝物庫に入ってきた
ジョーカーに疑問をぶつける。

「ねえあんた……なんで私を助けようなんて考えたんだい?」

無償の善意ほど薄気味悪いものはない。
こんなことをして、ジョーカーには一体どんな得があるというのか。
こいつも宝物庫の宝が目的なのか。

ジョーカーは低く笑った。

「何故願いを叶えるのか、答えは簡単だ。それが私の『存在意義』だからだ」

冗談を言っているようには見えない。いや、仮面で素顔がわからないため口調のみを頼りにするなら、だが。
しかしそんな戯言で、現実主義者のフーケは納得できない。
「自分も宝物庫の宝を狙っていた」とでも言ってくれた方がまだ説得力がある。
『願いを叶える』のが目的だとして、なぜそれが『自分』なのか。

「……だが、今回はちょっとした私用も兼ねている」
「へぇ。どんな?」
「ここにはやつがいる」
501名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:26:20 ID:h3ks/B0z
支援
502名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:26:31 ID:4D/jiQwb
支援
503罪深い使い魔:2007/11/17(土) 09:27:41 ID:ZIz7UyiR
ジョーカーの、瞳孔のない目があらぬ空間を睨みつける。

「探したぞ、周防達哉。よもやこんな異空の果てに身を隠していたとはな。
『印』と『この姿』がなければ見つけられなかったやもしれん。
しかし、罪を犯した分際でよくもまあ、厚顔無恥な振る舞いをしてくれる……」

そう言ってジョーカーは身をかがめ、肩を震わせた。
どうにも読めないジョーカーの真意、その一端が垣間見えた瞬間だった。
今ジョーカーが抱えている感情が、フーケには手に取るようにわかる。
これだけあからさまにされれば嫌でも気づいてしまう。

ジョーカーの顔が上がる。

「クックック……アーハッハッハッ! お前に安息の日々などくれてやるものか!
運命に逆らった貴様には、たっぷりと罰を与えてやる!!」

楽しげに笑うジョーカーの内に渦巻くもの、それは深い憎悪と、底知れない悪意。
フーケは戦慄した。


「なんだこれは……!」

『共鳴』を頼りに達哉が向かった先には、見上げる程に大きな人影がいた。
高さはおよそ30メートル。よく見ればそれは、土でできた巨大な人形だった。

「おでれーた、ゴーレムか!」

ルイズと街で買った『しゃべる剣』の鍔がカチカチ鳴る。

「ゴーレム?」
「『土』のメイジが作る人形さ。見ろ、横の壁が壊れてる。
どっかのメイジがあのゴーレムで壊しやがったんだな」

たしかに、ゴーレムの傍にある塔の壁が破壊されていた。

しかし……あれをメイジが?
『共鳴』はメイジのものだと言うのか?

達哉は納得できない。


「ククク、早速お出ましか」

言いながら、ジョーカーは亀裂から離れる。
フーケはジョーカーを警戒しながら、入れ替わるように外を眺め、
そしてゴーレムの近くに人影がいることを確認する。

「あれは……噂の平民の使い魔? あんた、あいつに会いにきたのかい?」
「いや……今日は顔を拝みにきただけだ。感動の再会だからな。もっと劇的な舞台がふさわしい」
「……そう」

フーケはそれで言葉を切る。所詮フーケには関わりのないことだし、そもそも関わりたくない。
しかし何を思ったのか、今度はジョーカーの方から話しかけてくる。
504名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:28:30 ID:h3ks/B0z
支援
505名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:29:15 ID:Tp8MzqYX
Come back!
506罪深い使い魔:2007/11/17(土) 09:30:00 ID:ZIz7UyiR
「そうだ、魔術師。少し頼まれてくれないか? なに、大した用事ではない」
「……内容次第、とだけ言わせてもらうよ」

フーケの返答に、ジョーカーは軽く頷いて見せた。

「頼みごとというのは他でもない――やつと、お前が盗み出そうとしている『おもちゃ』についてだ」


とにかく、あのゴーレムを作ったメイジに会って、話を聞く必要がある。

「おい、こっちに気づいたみたいだぜ」
「らしいな」

ゴーレムは塔の壁からこちらへと向き直る。
できれば話だけで済ませたい。
そう思い声をかけようとするが、ゴーレムが右腕を振り上げたのを見てそれも諦める。
少なくとも、握手をしようと言っているわけではないだろう。

「潰されたらぺしゃんこになるぜ、注意しろよ!」
「……ああ!」

――やるしかないか!

ゴォ!!

空気を押し分けて、天からゴーレムの腕が振り下ろされる。
予測していたよりは遅い。達哉は余裕を持って回避した。

ズンッ!!

しかし、ゴーレムの拳が地面に叩きつけられた瞬間、大地が激しく振動し、たたらを踏んでしまう。

「ッ……たしかに、直撃を受けたらタダでは済まないな」

ゴーレムの拳が命中した地面はへこんでいた。
あの質量で潰された人間がどうなるかは、想像に難くない。

メイジの戦闘能力は想像以上だ。
こんなのがゴロゴロいるとなれば、平民が貴族に逆らえないという現状も頷ける。

ゴーレムは狙いを外したと見るやすぐに腕を持ち上げ、今度は足を大きく踏み出した。
達哉はこれも難なく回避するが、ゴーレムは足踏みするように両足で交互に大地を踏みしめた。
地面は揺れに揺れ、翻弄される達哉は苦し紛れにゴーレムの足を切りつける。
その衝撃で土の体がはじけ飛んだ。
脆い。
そう感じた達哉はさらにニ、三度剣を振るう。
その度に、ゴーレムの足はどんどん削れていく。
507名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:31:25 ID:4D/jiQwb
支援
508罪深い使い魔:2007/11/17(土) 09:32:15 ID:ZIz7UyiR
このゴーレム、見た目ほどの脅威はない?
その判断はしかし、ゴーレムの傷口が見る間に埋まっていく様を見て、間違いだと気づく。
達哉は舌打ちして剣に話しかける。

「どうなってる?」
「『再生』してんのさ。この辺土ばっかだからな。いくら俺でもこいつを直接仕留めんのは、無理」

剣はにべもなく言う。
達哉は再生したゴーレムの踏みつけをなんとか避けながら、ゴーレムとの距離を置く。

「……お前魔剣なんだろ。どうにかできないのか?」
「お前って言うなよ相棒。俺にはデルフリンガー様っていう、立派な名前があるんだからよ」
「そうか、悪かったなデルフリンガー。で、こいつを止めるにはどうすればいい?」

剣――デルフリンガーは変わらない軽口で答えた。

「そりゃ簡単さ。こいつを作ったメイジを倒せばいい」
「……メイジを倒せば、ゴーレムも消えるのか?」
「俺と違って意思を持たねー操り人形だからな。メイジの魔力供給がなくなりゃただの『土くれ』さ!」
「そうか……」

達哉はゴーレムを見上げた。宵闇に紛れて視認しにくいが遥か上方、
ゴーレムの肩辺りにローブを着た人間が立っている。
まず間違いなく、ゴーレムを操っているメイジだ。

「なら……話は早い!」


「『適当に相手しろ』、か」

ゴーレムの上で、フーケは先ほどジョーカーの言った言葉を思い出していた。
その言葉と、『ある情報』を残してジョーカーは忽然と姿を消した。
まるで、最初から存在しなかったかのように。

「変なやつだったけど、一応恩はあるからね。でも、それももう十分か。
あいつの言うようなことは起こらなかったし……」

宝物庫の壁に穴を開けてから、数分が経とうとしている。
もうそろそろ、この平民以外の誰かが駆けつけてきてもおかしくない。
ここはメイジの巣窟。時間が経てば経つほど脱出は困難になっていく。

「ここいらでトンズラ――」

ズドン!

フーケの言葉は轟音で遮られる。
ゴーレムの体が揺れ、次いでその巨体が一気に沈み込んだ。

「何事!?」

慌てて『レビテーション』を使い、宙に浮いたフーケが見たものは
破壊され、自重を支えられなくなったゴーレムの足首だった。
ゴーレムが再生すると言っても、それが瞬時に行われるわけではない。
先ほどの落下は一時的に足首を失い、バランスを崩したゴーレムが膝をついたために起こったものだった。

あいつ、平民のくせに……いや、『あの』ジョーカーの知り合いなら、これくらいはできて当然か!
509名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:33:41 ID:4D/jiQwb
支援
510罪深い使い魔:2007/11/17(土) 09:34:29 ID:ZIz7UyiR
未だゴーレムの足に張りついて攻撃を続けている平民を、フーケは怒りの形相で睨みつける。

「小うるさいハエだね!」

フーケは降り立ったゴーレムの上半身をさらに下げ、平民目がけてゴーレムの腕を横薙ぎに払った。
平民はすぐに気づいて逃げ出したが、判断を誤る。
ゴーレムの腕が振るわれる向きと、同じ方向に走り出したのだ。
地を抉り、木を薙ぎ倒しながら、ゴーレムの腕がぐんぐんと平民に迫っていく。
やがて平民をその圧倒的な暴力に飲み込んでもなお止まらず、ゴーレムの腕は最後まで勢いよく振り抜かれた。
それによって、途中で巻き込まれた草木や土が舞い飛び、各々が重力に従って落下し地面に無残な姿を晒す。

「さーて、どこまで飛んでったかねえ」

上手く命中して気を良くしたフーケは、吹き飛んだ残骸を見渡した。
仮に死んでいたらジョーカーは怒るかもしれないが、そもそも相手しろと言ったのは当のジョーカーだ。
責められはしないだろう。もっとも、今後会うことがあるかどうかも微妙だが。
そう思い平民を探すが、しかしどこにもそれらしき人影は見つからない。
フーケはいぶかしむ。

見えないくらい遠くまで飛んでった?
いや、いかにゴーレムと言えど、さすがにそれはないだろう。
なら、どこに?

一瞬の沈黙。

どこにも飛んでいない。ならどこに行ったのか。
……そんなこと、決まってる!

「チィ!!」

フーケはゴーレムの腕を凝視した。
そこには――


「無茶すんなー、相棒!」

そう言うデルフリンガーの声はどこか楽しげに聞こえる。
久方ぶりの戦いに興奮しているのだろうか。
しかし達哉にしてみれば、

「これくらい、無茶でもなんでもないさ!」

達哉はゴーレムの手の甲に乗っていた。
こちらを目がけてゴーレムの腕が払われた時、タイミングを合わせて飛び乗ったのだ。
その際、落ちないようにデルフリンガーを根元深くまでゴーレムの手に差込み、
遠心力で飛ばされるのを防いでいた。
511名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:34:49 ID:4D/jiQwb
支援
512罪深い使い魔:2007/11/17(土) 09:36:45 ID:ZIz7UyiR
ゴーレムの腕が止まったのを確認した達哉はデルフリンガーを引き抜き、
そのまま腕を足場にして一気に駆け出す。目的地は言うまでもなくゴーレムの主、メイジだ。
達哉はゴーレムの肩を見据える。ここまで来ればメイジの姿もよく見えた。
ローブのせいで顔が判然としないが、その口元は苛立たしげに歯をむいている。

と、そこでメイジの持つ杖が振るわれる。
達哉は直感的に危機を察知し、肘まで上っていた腕から跳躍した。
直後に、達哉が今しがたまで走っていたゴーレムの腕が崩れ落ちる。
腕を『土くれ』に戻し、達哉を下へ落とそうとしたメイジの目論見は失敗に終わった。

十分な助走があったため、達哉の体はメイジ目がけて一直線に飛んでいく。
メイジは残ったゴーレムの片腕で迎撃を開始していたが、間に合わない。
ここまで来て、達哉は確信した。

こいつから『共鳴』は感じない。
ただのメイジだ。
つまり――こいつは『目撃者』だ。

達哉の体から青白い光が放たれる。

「何を見たか、話してもらうぞ! 『行――」
「まさか本当に役に立つとはね」

苛立っていたはずのメイジは、不気味なほど淡々とした口調で呟く。
そして、いつのまにやら手に持っていた、長い得物を達哉にかざす。

なんだあれは?
……杖?
いや違う……あれは――

「それじゃ坊や――Gute Nacht(おやすみなさい)!」

フーケの放つ言霊に従い、『槍』はその秘められた力を発揮した。


「なんだか騒がしいわねぇ……」

あふ、とあくびをかみ殺す、そんな仕草まで扇情的なキュルケは
自室でまどろみ、漫然と今の状況を静観していた。
部屋の外から聞こえてくる情報では賊が侵入したらしいが、彼女にはなんの関わりもない。
学院には衛兵だっているし、いざとなれば教師連中が事態解決に乗り出すはず。
もっとも、教師達はこぞって夜の非常勤をサボっているので初動は遅れるだろうが。

そんなことを考えながら何気なく外を眺めると、そこに妙なものを発見する。
夜闇の中でも目立つ桃色のブロンド。キュルケもよく知るその人物は、
賊がいるという、宝物庫のある塔に向かって走り去っていった。
キュルケの顔が歪む。

「……あの子、なにやってるのよ!」

キュルケは杖とマントだけを手に取り、急いで部屋を飛び出した。
513名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:37:50 ID:TqAl25ex
コピーきちゃった!? 支援
514名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:38:01 ID:4D/jiQwb
支援
515名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:38:19 ID:h3ks/B0z
支援
516罪深い使い魔:2007/11/17(土) 09:39:30 ID:ZIz7UyiR
生徒達が騒ぐ原因はすぐにわかった。
賊が宝物庫に侵入したのを、誰かが使い魔で覗いたらしい。
ルイズは、自分の使い魔がそこに向かったのだと、確信に近い思いを胸に駆けた。
こんな時『フライ』が使えない自分が恨めしいが、泣き言は言ってられない。
というか、泣くのはあいつだ。ってか泣かす。
主人にこんな労力を強いたあの使い魔は、百叩きでもまだ温い。
ルイズは使い魔に会った時、なんと恨みの言葉をかけてやるか、それだけを考えてその場所に到着した。

だからその光景を見た時、ルイズは何も言えずただ呆然と立ち尽くしてしまった。


ルイズがこの場に駆けつけて、最初に見たものは巨大なゴーレムだった。

あれは……賊?
なら衛兵は? 先生方は?
タツヤはどこ!?

それらの問いに答えてくれる者はいない。ルイズはただゴーレムを見つめた。

なぜかゴーレムは膝をつき、暴れていた。
そのすぐ後にはゴーレムの片腕が崩れ、次いで肩の部分が発光した。
光はすぐに収まり、ゴーレムがなにかを狙って拳を振るう。
直後にルイズの耳に、嫌な音が聞こえ、そして――

彼女の目の前に、探していた使い魔が落着した。
地面の上を何度もはねて、ようやく停止する体。
使い魔は身動きひとつしないくせに、剣だけはしっかりと握っていた。

「よー、娘っ子。こんな所で会うなんて奇遇だなあ」

そんなルイズに、デルフリンガーが明るく声をかける。

「後少しってところまで行ったんだがな。いや、ホント惜しかった」

デルフリンガーの軽口は、ルイズの耳に入らない。

「なぁ娘っ子、いきなりで悪いけど、相棒連れて逃げちゃくれねーか?」

しゃべっているのは喧しいインテリジェンスソードだけ。
地に臥す使い魔はうめき声ひとつ漏らさない。

「相棒、気絶しちまってるんだよ。なにせゴーレムの一撃をもろに食らっちまったからな。
まあこの場合生きてるだけでも運がい――」
「……よ」
「へ?」

デルフリンガーはルイズの様子がおかしいことに気づく。
ショックから立ち直ったのかと思えば、なにやら俯いてブツブツと呟いている。

「……いでよ」

次第に、声が大きくなっていく。
そして――

「ふざけないでよッ!!」

ルイズの怒声が夜の空間を震わせた。
517名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:40:22 ID:4D/jiQwb
支援
518罪深い使い魔:2007/11/17(土) 09:42:00 ID:ZIz7UyiR
「勝手に飛び出して! 勝手に戦って! 勝手に負けて! なんで倒れてるのよ!?」

ボロボロと、ルイズの目から涙が零れ落ちた。
それを拭いもせずに、力強く杖を構える。

「役立たずのバカ使い魔!! すぐに起き上がって、後ろに下がってなさい! こんなやつ……!」

きっと、ゴーレムを見上げる。

「私が倒してやるんだから!!」

ゴーレムも新たな闖入者に気づいたのか、悠然とルイズ達に向かって近づいてくる。
落ちた腕もあっという間に再生し、五体満足になったゴーレム目がけてルイズは魔法を放つ。
本人は『ファイヤーボール』を唱えたつもりだったが、結果はゴーレムの足で軽い爆発が起こっただけだった。

「娘っ子、お前じゃあいつの相手は無理だぜ」
「うるさい!」

ルイズはさらに魔法を唱える。その度にゴーレムのどこかでパン、という軽い音が響くが、
しかし爆発でできた傷は、生じた端から再生が終わっていく。
それでもルイズは呪文の詠唱を止めない。

「おい、ヤバイって!」
「――ッ!」

やがてゴーレムは射程に入り、その腕をゆっくりとルイズに近づけ――

「『ファイヤーボール』!」
「『エアハンマー』」

――ようとしたところで止められた。


「あー、駄目だわ。失敗!」
「…………」

親友のタバサに協力を仰いだキュルケは、タバサと共に彼女の使い魔である風竜に乗って、ルイズを追った。
そうして見えたのはルイズとその使い魔、そして二人に近づくゴーレム。
なんともわかりやすい図式にキュルケは状況も忘れて微笑んだ。
そこでキュルケとタバサは、ゴーレムの肩にいるメイジを魔法で奇襲することで合意したが、
ゴーレムがルイズに手を伸ばしたのを見て、慌てて対象をゴーレムの腕に変えた。
結果、ゴーレムの動きは一時的に止まったが、メイジにこちらの存在を気づかれてしまった。

……さて、どう動くのかしら?

キュルケはゴーレムの動向を見守った。
519名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:42:22 ID:4D/jiQwb
支援
520罪深い使い魔:2007/11/17(土) 09:44:18 ID:ZIz7UyiR
「また邪魔かい!?」

つい調子に乗って、平民とメイジを相手にしてしまったことをフーケは悔やんだ。
今度の相手は竜に乗ったメイジ二人。下のメイジも健在で、状況は悪くなる一方だ。

「本格的に潮時だね……!」

これ以上は留まれない。
顔を見られるどころか、捕縛される危険性すらある。
フーケは即座に杖を振るい、ゴーレムに指示を飛ばした。
その一方で、先ほど宝物庫から盗み出した『お宝』に目を向ける。

「……それにしても、本当に面白い『おもちゃ』だったね」

先ほど見れた『槍』の力を思い出しながら、フーケは一人ごちる。
『槍』にあれだけの力があったのだ。セットになっていた『鎧』にもかなり期待できる。

「……フフ」

フーケは無意識のうちに、ジョーカーと同じ半月型の笑みを浮かべていた。


「行ったわね」

ゴーレムが学院の外に向かって歩いて行くのを見て、キュルケはほっと胸をなでおろす。
ようやく面倒ごとは去った。まさか休日の終わりにこんなことが起こるとは思っていなかったが、
終わってみれば、これはこれで貴重な経験だったかもしれない。そんな風にキュルケは考えた。
しかしそんなキュルケに、タバサは常の抑揚のない声で嗜める。

「まだ終わってない」
「え?」

キュルケはタバサの視線の先を見つめ、そしてすぐに納得した。

「ああ……そうみたいね」

キュルケは嘆息し、タバサは風竜に着地を命じる。
眼下では、倒れた使い魔を抱きしめて何事かを叫んでる級友の姿があった。


誰もいなくなった、それまでに比べて大分風通しの良くなった学院の宝物庫。
その壁には、ハルケギニアの言語でこんな文章が刻まれていた。

『風車の鎧、たしかに領収いたしました。土くれのフーケ』



投下は以上です
支援ありがとうございました
次の話まで宝の正体は隠しておきたかったんですが、
展開上無理だと悟って、むしろ前面に押し出す方向で行きました
521名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:48:38 ID:4D/jiQwb
GJ!

…『風車の鎧』が何だか思い出せない。
522名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:51:17 ID:h3ks/B0z
乙!
大丈夫ペルソナを買おうかどうしようか迷ってる段階のオイラにゃ風車の鎧なんて言われようがさっぱりわからないんで何が出るのか楽しみに待ってる。
523名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 09:55:40 ID:qL4jL+gK
乙っしたー。
ココでシュピーゲルシリーズってことはないだろうが…。
あと、ペルソナ1作目はエンカウント率が異常に高いので覚悟してプレイすること。
一歩歩くごとに敵が出てくると思った方がいい。
罪・罰は普通に面白いのでお勧めだけど。
524名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 10:13:45 ID:EKaEOaUN
乙ですって……よりにもよってラストバタリオンの
マリオネッテ・イェーガー、ヒンメル・フォイアーですかー!?
フーケたん、仮面党幹部でなくロンギヌス13化!? ナンバーはどれ?
てっきりフーケ、ワルド、クロムウェル、ジョセフが仮面党四天王になると思ってたので盲点でした。
とするとラストバタリオンの降臨も時間の問題ですね。
向こう側の産物、しかも最悪の部類に属するものがあるんですからこれだけでは済まないはず。
個人的にラストバタリオン登場時に出てきた空中艦隊がゼロ世界を爆撃で蹂躙するのを見てみたいです。
525名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 10:17:24 ID:s3aMwq1a
乙でした!

ルイズ、怒るのは解るが相変わらずの高慢的な思考で怒ってるだけみたい
下手したらフーケ討伐に「罰として1人で行ってきなさい!」ぐらい言いそう
526名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 10:17:51 ID:32K6xUMg
乙でした!
槍が明らかにロンギヌスコピーだから……そうか、風車の鎧はロンギヌス13かッ!?
あいつらの登場、戦闘音楽はっこいいんだよなーw
すでに微妙に燃え気味w

>>522
1作目は、言っとくがマゾゲーだぞ?
そのバックアタックで全滅っぷりもさることながら、フリーズがマジで多い
何回それで泣かされたことか……
買うんなら2の罪、罰からのほうがいい
527名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 10:22:49 ID:NoezyZDN
シュピーゲルシリーズは、ロボット物同様、人工臓器含めた
メンテナンスが必須だからね。あと、転送用の施設がないと
義手義足が調達できないし、かなり困難かもしれない。

まあ、確かに見たいけどね。五万人相手にスライスチーズの歌
歌う夕霧とか、「殺さないで殺さないで」言いながらフーケゴーレムに
チェーンマインまき付けて爆殺する雛とか。

例えば、学院の宝物庫にあっちから流れてきた転送施設があれば、
限定的に活躍できるかもしれないけれど。

あと、当然ガリアにはトラクルおじさんが来ると言う事で。
528名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 10:24:11 ID:NoezyZDN
うわ!勘違いした。
そっちのシュピーゲルか!(赤恥)
529名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 10:26:37 ID:w7c1KjRB
支援できなかったorz
たっちゃんの人GJ!です。
ロンギヌスかね。
530異世界BASARA:2007/11/17(土) 10:32:10 ID:vxUcTSjm
GJでしたぁ!!
ところで道は空いていますか?
531名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 10:58:33 ID:3ZXgbzuK
進路クリア
532名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 10:58:58 ID:ZIz7UyiR
大丈夫だと思います
533異世界BASARA 1/4:2007/11/17(土) 11:00:47 ID:vxUcTSjm
では投下します。


トリステイン魔法学院の寮のある塔。
そこはもう夜も更けたというのにまだ明かりが点いている部屋があった。
部屋の主はタバサ、彼女はいつも夜遅くまで本を読むのが日課となっている。
しかし、今日のタバサはいつもと何か違う。
少しページを進める度に窓をチラチラ見るなど、集中力が無かった。
「もう、そんなに気になるなら探しに行くなりすればいいじゃない」
部屋を訪れていた級友のキュルケが言った。

しばらくそんなやりとりが続いていたが、不意にタバサが本を閉じ、窓に近づいていて行く。
どうしたのかと聞こうとするキュルケを余所に、タバサは窓を開けた。
すると、聞きなれた音が聞こえてくる。
音はさらに大きくなり、さらに2つの月明かりに照らされて巨大な影が浮かび上がった。
「…タダカツ…」
タバサが呟いた頃にはその影は窓に到着しており、応えるかのように機械的な音を体から発した。
「……!…」プシュ!
「……………」
忠勝は体から蒸気を1回噴き出すと、タバサは短くコクリと頷く。
それを見た忠勝はバーニアを噴射させ、空の彼方へと飛んで行った。
「あら?折角会えたのに、もういいの?」
キュルケが不思議そうに問い掛けると、タバサは振り返ってこう言った。

「…自分の不注意のせいである店の屋根を破壊してしまった。今、その責任を取る為に働いている。
しばらく戻って来られないかもしれないが心配は無用………と言っていた」
「ちょ、ちょっと待って。あの子そんなに喋ってた?」
534異世界BASARA 2/4:2007/11/17(土) 11:03:13 ID:vxUcTSjm
タバサに伝える事を伝えた忠勝は急いで『魅惑の妖精亭』に戻った。
仕事を残しているからというのもあるが…一番気がかりな事が他にあったからである。
学院から約1時間、店に到着した忠勝が最初に耳にしたのは客の怒声だった。

「畜生!何すんだこの小娘!!」
「わわわ私に向かって無礼な事をするあんたが悪いのよ!!」

忠勝の想定通り、ルイズが騒ぎを起こしていた。
「ごめんなさいねぇ〜、この子まだ新人さんなのよぉ♪」
今にも殴りかかりそうなルイズをスカロンが止める。
騒ぎを起こしたルイズは代わりのワインを取りに行き、男性客にはスカロンの熱い接吻が(無理矢理)プレゼントされた。

かと思えば奥の厨房でも問題が起きている。
「うおおおおおおぉぉぉぉーー!!??」
幸村の叫び声と一緒に、ガシャンガシャンと何かが割れる音が聞こえてきた。
窓から中を覗いてみると、床には皿の破片が散乱しており、幸村が怒られていた。
確かこれで4回目である。
「………」ヴォン、キュルルル…
忠勝は店に戻って早々、幸村が割った皿を片付けて残った洗い物を洗う事となった。。
働く者が増えた筈なのに、仕事も倍に増えたような気がする…忠勝はそう思っていたのかもしれない。


そしてその予想は現実となった。
535異世界BASARA 3/4:2007/11/17(土) 11:05:30 ID:vxUcTSjm
「何だね?ここはいつから子供を雇うようになったのだ?」
「誰が子供ですってぇーー!!」
「へあぁぁ〜目が目があぁぁぁ〜!!」
ある者は頭からワインを掛けられ…

「フヒヒヒ、ぼぼぼ僕はきき君みたいなコケティッシュな娘が好きなのですよ…」
「近 寄 ら な い で !」
「ひでぶぅっ!!」
またある者は強烈な平手を喰らった。

一方幸村も負けていない。
皿を割るだけでなく、ジェシカが野菜を切れと言ったらまな板ごと叩き切ったり、床を磨いておいてと言ったら小火が起きたりした。
そして、その後片付けはジェシカと忠勝がやる事となった。


「くそぉ!何か…ルイズ殿の力になる事は出来ないのか…!」
その夜、幸村は連日に及ぶ失敗から頭を抱えていた。
(ルイズ殿の代わりに…拙者が出来る事…)
そういえば今日もルイズ殿は客を怒らせていたな…幸村は今日の出来事を思い出していた。
「…待てよ、客……?」


場所は変わって、ここはスカロンの寝室。
「Zzz…うーんトレビア〜ン♪」
部屋ではネグリジェを着たスカロンが気持ちよさそうに眠っている。
「スカロン殿おぉぉぉーーーーっ!!!!」
「ノオオオォォォォーーーーーッ!!??」
そこへ鬼気迫る顔の幸村がドアを蹴破って入ってきた。
「な、何?どうしたのユキムラちゃん!?」
「スカロン殿、貴殿に頼みがありまする!!」
536名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 11:08:44 ID:ZIz7UyiR
支援
537異世界BASARA 4/4:2007/11/17(土) 11:11:46 ID:vxUcTSjm
「この野郎!訴えてやる!」
「むむむ胸がないって馬鹿にしたあんたが悪いのよ!」

その日もルイズは客に喧嘩を売っていた。
…タタタタ…
「けっ!こっちはボインを目当てに店に来たんだぞ!それなのにこんなちんくしゃ…」
「な!?ちちちちんくしゃですって!?」
タタタタタ…
「こんな事ならなぁ…男に酌された方がマシだぜ!」
ダダダダダ、ダンッ!
「おおっと、新しい娘が来たみたいだ…」
客はにんまりしながら後ろを振り向いた。


「うぅおかえりなさいませご主人さむぁ!!!!」


なんかミニスカートを穿いた筋肉質の男が立っていた。


以上で投下終了です。
幸村の源氏名は幸姫に決定。
538名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 11:13:57 ID:qL4jL+gK
>>527
くじけるな。
自分もそっちのシュピーゲルで妄想したことあるから。

そして忠勝支援。
539名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 11:14:13 ID:ZIz7UyiR
想像して吹いたw
投下GJです
540名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 11:22:23 ID:x8/nzHSJ
乙乙
声優から想像するとまるで圭一だなww
541名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 11:32:07 ID:P++rQZmw
>「うぅおかえりなさいませご主人さむぁ!!!!」
>
>
>なんかミニスカートを穿いた筋肉質の男が立っていた。
ここんとこが蝶最高w
542名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 11:36:17 ID:+aCeUZy0
とりあえず纏めサイトのをいろいろ読んでみたんだが、ルイズが(精神的に)成長している奴は
原作とはぜんぜん別物だけど面白いな。
アトリエとかガンパレードとか。


あと、これだけは言わせてくれ。

>夜明けの大惨事
ハッタリ自重しろw
543名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 11:48:01 ID:Q0StJIrn
幸村wwwww


魅惑の妖精亭の話を読むたびに、
ファイブスター物語のアイシャを召喚したらどうだろうと思ってしまう。
544名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 11:54:48 ID:h3ks/B0z
親方サムァ自重
GJ!

あとなんだ、ペルソナはそんなに難しいのか
メガテン真3で人修羅独り旅くらいに死ぬ? 死んじゃう?
545名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 12:02:17 ID:qL4jL+gK
>>544
一人旅よりはマシだけど…
まあごく普通にバックアタック>くちさけ(ギリメカラ並みにたち悪い雑魚敵)×6
>マハムド×6>パーティほぼ全滅>性格悪いから交渉で逃げられない

これが10歩歩くごとに5セット、というマゾバランスだ。
546名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 12:05:05 ID:x8/nzHSJ
>>545
破魔呪殺やめてやめて破魔呪殺

そういえばマニアクスなんて限定版出てたな、メガテン3は
547名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 12:33:21 ID:qL4jL+gK
マニアクスも敵が強くなってて死ねる。
ただ、ノーマル版であったバックアタックされたときに物理攻撃喰らうと必ずクリティカル
>行動回数増加のコンボが無くなってるので一方的に袋叩き、というのは少なくなった。

それでも魔人の強さがえげつないから楽になったとはぜんぜん思えないんだがナー。
548名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 12:38:03 ID:32K6xUMg
>>547
それはeasyモードだけであって、hard選択したら無印より地獄の冒険が待ち受けてますが。
あれは、バインドボイス抜きの初期SFC真1並に狂ったバランス
549名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 12:48:57 ID:x8/nzHSJ
>>547
NORMALとHARDに分かれてるけどHARDはヤバイぞ

初っ端からノクターン2週目と同じダメージ受けるし、
(NORMALはノクターン1週目の75%)アイテムの価格が通常の3倍、
オマケに通常の逃亡コマンドでは絶対に逃げられない。
昔友人に借りたことがあるが、最初のガキにすら殺されるまさに死の恐怖。
550名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 12:54:01 ID:qL4jL+gK
あれ、ハードでもバックアタックからの「君が死ぬまで殴るのをやめない」コンボはなくなってたんじゃ…?
勘違いだったかな、すまん。
真面目な話、ダメージ増加も怖いがアイテム価格3倍のほうが痛かった。
いつまでたってもマガタマ(主人公の装備品)買えなくて新しいスキルが覚えられなくて…orz
551名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 13:03:05 ID:6rfJdpKN
流石悪魔の世界。
血も涙もない。
552名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 13:03:07 ID:x8/nzHSJ
マガタマは全部集めると将門様のところにいけるから
主人公のレベル上げがてら金集めして買いあさってったなぁ
FULLリベラマでひたすら戦闘おいしいです
553名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 13:10:53 ID:32K6xUMg
>>550
あるよ。しかも、無印と同じ確率なのに、気持ちクリティカルが出やすく感じるくらい。
最後の勾玉45万マッカ(一回の戦闘じゃせいぜい最高2000マッカ、カジノとかこのゲームない)
は鬼だったな。嫌がらせとしか思えなかった。
554名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 13:33:00 ID:wcx5aQHT
そういえば、近所でメガテン3マニアクスが12000で売っているのを一昨日見つけたんだが、
これは相場と比べてどうなんだ?
ずっと探していたので、買ってもいいかな、とは思っているんだが。
555名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 13:37:57 ID:+aCeUZy0
ちょっと待て、そんなに脱線しすぎだとパトるぞw
真メガテン3のパトりっぷりは家ゲーRPGのパトスレ参照でいいかと。


何かあることにパトってその度に契約をやり直すルイズとか想像したじゃないかw
556名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 13:38:39 ID:h3ks/B0z
>>554
俺も探してるがそのくらいならギリギリじゃないか?
一万ポッキリでラッキー、一万下回ると安いと見ていいんじゃない?
流石にどこぞで見た一万八千はどうかと思ったが。
一番の問題は値段云々の前にそもそも次に行った時に残ってるかわからないってとこだが。(銀行で金を下ろしてもう一度来たら売れてた事がある)
557名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 13:39:49 ID:w7c1KjRB
>>554
スレ違いだから俺のレスで最後にしてぇぇぇッ!!

俺は9千円で買った。かなり安い部類らしい。一万は超えるの普通っぽいからどうなんだろ。
558名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 13:45:25 ID:h3ks/B0z
よし話を切り替えよう
やわらか忍者召喚希望
559名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 13:46:26 ID:wcx5aQHT
>>556
大体このぐらいが相場なのか。
了解、買ってくることにするよ。
560名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 13:54:22 ID:P1b29iFx
>>558
希望するぐらいなら自分で書いてみようぜ!

ヒーロー戦記のギリアム召喚考えているんだが
一向に筆が進まない俺が言うべき事じゃないけどな
561名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 13:57:16 ID:GNsVhgVB
やわらかと聞いてやわらか戦車を思い出した。

あいつら召喚するならほぼギャグにしないと無理だなwwww
562名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:01:14 ID:OfVAnELp
                         ⊂⊃         (´∀` ) //)
                         ∧∧        ⊂  ⊂)/
              ⊂⊃    (\\(´∀`)//)     U U
              ∧∧      ⊂(   )⊃
          (\\( ´∀`)       U U
    ⊂⊃
    ∧∧  死 の 安 ら ぎ は 、 等 し く 訪 れ よ う 。
(\\( ´∀)
  \\  ⊃     ⊂⊃
     UU      ∧∧
          (\\  ´)        ⊂⊃
            \\ )        ∧∧
              U.U    (\\(   )//)  ⊂⊃
                      \\ハ//    ∧∧
                                         ⊂⊃
  メ イ ジ に 非 ず と も 、 貴 族 に 非 ず と も 、 ∧∧
                                         (∀` )//)
                               ⊂⊃      ⊂  .//
                          .      ∧∧       UU
                      ⊂⊃      (´∀` )//)
                      ∧∧     ⊂  ⊂)/
              ⊂⊃ (\\(´∀`)//)  U U
              ∧∧    ⊂(   )⊃
          (\\( ´∀`)      U U
           ` ⊂⊃  ⊃
            ∧∧ U
        (\\( ´∀)      ,、,     ,、,
         \\  ⊃   (( (⊂(。Д。⊂>>ルイズ⊃)) )
                 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
            大 い な る 虚 無 の 導 き に て
563名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:04:49 ID:f4OO0qGO
そういえばバロネス・オルツィとか500kで書いてる人がいたなぁ。
契約した精霊の類を召還するキャラだけど、ゼロ魔の世界って人間の居住圏にはさっぱり幻獣がいないよね。
他の生徒の使い魔をかっぱらうか?
564名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:06:00 ID:y+V9x7Y4
遅ればせながら罪の人乙です
たっちゃんいいとこねえ・・・はやいとこ挽回してほしいっす

565名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:14:37 ID:xQ3XhIcJ
ベルセルクのガッツを召喚したら…

ガンダールヴ抜きでも大抵のメイジは屠れそうだ。
566名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:15:07 ID:lx55ZEsI
やばい・・・
SS投下したいんだけど
メガテン物でかぶってる
567名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:17:01 ID:wcx5aQHT
かぶっている作品は結構多い、気にせず投下しろ。
568名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:17:20 ID:h3ks/B0z
>>566
かぶって悪い事は何も無い
むしろ違いを楽しみ切磋琢磨すればいいと思うんだぜ
投下するなら支援の用意があるが?
569名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:18:10 ID:lx55ZEsI
じゃあ、行かせていただきます
570ゼロの悪魔召喚師:2007/11/17(土) 14:19:42 ID:lx55ZEsI
り返させてもらう!!・・・



・・・魔神皇様に勝てる科学的根拠はないのだ!!・・・



・・・まさかこちらにくる人間がいようとはな・・・



・・・流星君、起きたら?もう放課後だよ・・・



・・・もう何十年も昔に感じる学校の思い出・・・
571名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:19:45 ID:h3ks/B0z
支援
572名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:21:10 ID:h3ks/B0z
(wikiに格納する際・・・だと別の意味になるらしいから…を推奨)
支援
573ゼロの悪魔召喚師:2007/11/17(土) 14:22:44 ID:lx55ZEsI
草の匂い・・・
まぶしい太陽の光・・・
意識がハッキリしてくる・・・ここは何処だ?

目の前に可愛いといえる少女に、周りにはアニメや映画で見た魔法使いの格好をした集団
空と太陽があるから魔界ではない?
少女が話しかけてくるが、日本語や英語少なくとも聞いたことはないな

コンタクトが取れないなら取れるようにするまでさ
左腕につけたCOMPを叩き出し、ヘッドアップディスプレイを装着する
慣れ親しんだ感覚
周りは平和そうな雰囲気だ、少なくともコイツの真価を発揮させる機会はなさそうだ

COMPにセルフチェックを走らせながら仲魔、武器、防具、アイテムと順に確認していく
特に問題は無いな・・・
最後に魔界にいたときと変わりはないようだ

・・・・・チェック終了・・・・・

さて、うまく会話できるかな?

・・・・・TALKモード起動・・・・・

「こんにちはお嬢さん、ここは一体何処なのかな?」

・・・だめか、流石に人間相手では無理があるか
アキラ、お前と別れて魔界を見て回ろうとしていきなりピンチだ
平和に暮らしていたら魔界に、魔界で生きようとしたら現実に、うまくいかないもんだな
笑うしかないな
とはいえ、どうやって切り抜けようか?

この感じは・・・魔力!?
人間が魔法を使えるほどの魔力を持っているとは・・・ますます魔界でも現実でもないな
ん、泣きながらさっきの少女が近づいてくる、どうかしたのか?

いきなり飛びついてキスしてきた!
なんなんだ?
突然、左手に激痛が走る!
右手で左手を抑えながら地面を転げまわる
しかし、左手の痛みは嘘の様に消えてしまう
一体何なんだ?不思議に思いながらも息を整える

とりあえず悪魔召喚プログラムを気づかれないように走らせる

・・・・・SUMMONモード・・・・・
・・・・・ケルベロス・・・・・

・・・とんずらだな、これ以上かかわると何されるか・・・
574名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:24:25 ID:h3ks/B0z
支援
575ゼロの悪魔召喚師:2007/11/17(土) 14:25:38 ID:lx55ZEsI
「大丈夫かね?少年」
言葉が理解できる!?
「一体何なんだ?これは?ここは?」
直ぐに召喚できることは隠しつつ、詰問する
「なぜ会話ができるようになった?全員魔力を持っているが一体何者なんだ?」
こちらの質問には丁寧に答えてくる
敵意はないようだが、まさかこっちが召喚されるとは・・・
使い魔・・・ね、要は仲魔ということだろう
とりあえずどう動くにせよ情報がいるな
こっちに友好的な人間も必要か
人間相手の交渉ならどうにかなるだろう、こっちは魔界で命を懸けて磨いてきたのだ

「しかし、珍しいルーンだな・・・もっとよく見せてもらえるかな?」
「ああ・・・かまいませんけど少し待ってもらえませんか?」
とりあえず携帯でアキラに連絡をとろう、無駄だろうが
やはり圏外だな、メールでも送っておくか
魔界でもメールは送受信できたから、もしかしたら届くかもしれないな

「そ、それは何なのですか?ここでは見たことがありませんよ!」
興奮を隠せない中年男
「これは携帯電話というものですよ」
笑顔で返す
救援要請メールを打ち終える
「これでいいか・・・頼むぞ」
携帯をカメラモードにして左手の使い魔の印を写す

やたら携帯に関して質問してくるな
技術力はそんなに高くないのだろうか?
しばらく中年男と会話を交わしつつ、携帯の機能を実演する。

「ちょっと!アンタ!」
いきなり怒鳴られたね、まあほっとかれたのだからしょうがないか
優しい主だといいんだけどね

    「君がワタシのご主人様か・・・私の名前は流星・・・コンゴトモ、ヨロシク・・・」
576ゼロの悪魔召喚師:2007/11/17(土) 14:28:22 ID:lx55ZEsI
以上で終了です
前の板のとき(82のやつ)が第一話になります
572様知りませんでした、今後は気をつけます
最後に支援してくれたかにお礼申し上げます
577名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:28:42 ID:h3ks/B0z
支援
578名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:32:21 ID:w7c1KjRB
乙。後余計な世話かもしれないけど三点リーダ使ったほうがいいよ。
579名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:33:21 ID:DhvB9isU
乙でしたー。

そういえば、マジレン書いていらっしゃる方の作業状況は順調だろうか。
580名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:33:43 ID:AsBNR2vc
>>481
「クロスファイア」是非見てぇ!ガンガってくれ!!

かく言うオレも、「音速雷撃隊」の野上少尉召還を考えたが、ほぼオリキャラになるので
セルフダメ出しして次のネタ考え中・・・orz
581名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:34:08 ID:/99XMUwn
あ〜それ自分も楽しみ。
582名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:34:09 ID:KW/Q8ciR
ガッツの場合は、下手をすると二日目、最悪初日でルイズが上半身と下半身が永遠の別れをしそうで困ると思うんだ。
583名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:36:18 ID:8yBfp0vR
>>582
時期と場合によるな。女子供相手だから殴り飛ばすで済ますかも知れん。
むしろ仲良くしてせ(ry
584使い魔初心者:2007/11/17(土) 14:41:15 ID:H+mVAGSl
投下してもよろしいですか?
585名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:42:24 ID:y+V9x7Y4
サムライディーパーKYOの狂とか召喚されたら?と妄想してみた

ゆやみたく意外とうまくいくのかもしれんね
しょっぱなひんむかれてチンクシャと罵倒される程度かも
メイジの魔法みても驚かんでしょう
本人の持ってる技も魔法みたいなもんだしwwww
586名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:43:13 ID:DhvB9isU
>>481
クロスファイア、ワルドが木戸ポジションか?
ヘイズのようにカモフラージュの杖持たせればとりあえず誤魔化せるかも。
まずは試験を頑張ってな。
587名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:49:43 ID:OShxJEFK
>>579
「あたしはマジよー!!」の一言で初めての魔法に成功だな

特撮ネタなら
凱:「人の愛を力ずくで奪おうなんざ、もてねえ野郎のすることだぜ!」
メタルダー:コルベールでも修理できるかもしれん
理央様:ゼロのルイズが臨獣ツンデレ拳使いのルイズに
>>584
どうぞどうぞ
588使い魔初心者:2007/11/17(土) 14:51:01 ID:H+mVAGSl
ACECOMBAT ZEROの使い魔

―燃えている。眼下の街が、炎の海と化している。
市街地にはまだ避難の終わってない民間人もいただろうに。
操縦桿とエンジン・スロットルレバーを握る手に自然と力が入る。
彼は無差別爆撃を続行するオーシア空軍所属のB-52を睨み付ける。
だが彼にはどうすることも出来ない。ここで怒りに任せてB-52を撃墜すれば今度はウスティオが眼下の街のようになる可能性があった。
キャノピーの外に目をやると、味方の発射した巡航ミサイル―正直こんな性質の悪い味方は初めてだった―がまっすぐ突っ込んできた。
巡航ミサイルの群れはまだわずかに抵抗を続けるベルカ軍の対空砲には目もくれず、都市部に直撃していく。
くそ、と彼は呪詛の言葉を吐き捨てた。
その時、ロックオン警報がコクピットに鳴り響く。レーダーには何も映らなかったのに、いつの間にかロックオンされていた。
―今は、集中した方がいいな。
操縦桿を左に倒して、愛機であるF-15Cイーグル―右翼を赤に染めた彼の専用機―をロールさせる。次いで上昇。
ロックオン警報は途絶えた。振り返ってみるとベルカ空軍のF-35が追いかけてきた。
ステルスか。通りでレーダーには映らない訳だ―だが!
エンジン・スロットルレバーを叩き込んでアフターバーナーを点火。彼のF-15Cは一気に加速し、F-35を突き放す。
距離が開いたところでラダーを踏み込み、機首を左に向ける。F-35は右後方に位置、距離を詰めようと追いかけてくる。
かかった―エンジン・スロットルレバーを下げて、操縦桿を左に倒す。たちまちF-15CはロールしながらF-35をオーバーシュートさせ、
後方下位に潜り込む。
―ステルス機でドックファイトを挑んだのが間違いだったな。
AIM-9サイドワインダーの弾頭がF-35のエンジン熱を捉える―ロックオン。操縦桿のミサイル発射スイッチを押す。
白煙を吹きながらサイドワインダーが発射される。F-35はフレアをばら撒きながら回避機動―間に合わず、被弾。
尾翼を食いちぎられたF-35はパイロットを射出し、落ちていった。
しかし彼は敵機を撃墜した喜びを味わう気分になれない。
いったい何のために俺は戦ってきたんだ?
いつの間にこの戦争は解放から侵略になったんだ?
何故このホフヌングの街は焼き払われたんだ?
「―くだらない」
かろうじて言葉に出来るのはその一言のみ。
戦う理由なんて誰にも分からなくなっていた。
ただ世界が悲しかった。
だから、俺は―。
589幕間:2007/11/17(土) 14:52:37 ID:1DYJpkIy
ゼロのMMR

「あ、アルビオンが壊滅?」

アンリエッタにルイズが報告を行っていると突然キバヤシが
話し出した。
いつもの事なので誰もつっこみを入れない

「・・・こういう話をしっているか」
「時として国内問題や外交問題から政府の人間が誤情報を流す事がある」
「せ、政府が・・・」
「たしかにありえない話とはいえませんね」
「そう、シエスタのいうように・・・」
「歴史に節目において情報操作は必ず行われているんだよ!!」
「そういう間違った情報でパニックを引き起こせるのなら・・・」
「逆にアルビオン大陸が地表に衝突するはずなのにわざと間違った情報を流して故意にあんしんさせることもできるんじゃないか・・・」
「ま・・まさかそんな・・・ もしそうだとしたら大変な事じゃないか!! 衝突を黙っていることは「おれたちに死んでくささい」って言っているようなもんだ!!」
「一体 誰が何のために情報操作をやっているというんだ!!」
「そ れ は わ か ら な い」
「ただ嫌な予感がするんだ・・・そのことを究明しなければ人類が重大なミスを犯すような・・・」

「シエスタ!!お前は村人を尋ねて浮遊大陸について何か言い伝えがされていないかしらべてくれないか・・・」

「私たちは?」
「アンリエッタから受け取った未解読の始祖の祈祷書を調べるんだ!! もし浮遊大陸が落下するとしたらその事がなんらかの形で予言されているはずだからな・・」

こうして我われは独自の調査を開始した
590使い魔初心者:2007/11/17(土) 14:53:32 ID:H+mVAGSl
目が覚めた。ラリー・フォルクは跳ね起き、ここが戦場ではなくトリステイン魔法学院のルイズ―ラリーを召喚した貴族の少女―の部屋
だと言うことに気づく。
「・・・・」
いやな夢だった。よりにもよってホフヌングの戦いを思い出すとは。
額に浮かぶ汗をぬぐい、ラリーは立ち上がる。
そういえば昨日、この世界に召喚されたのだった。そしてちょうど今ベッドですやすやと寝てるルイズの使い魔となり、この状況である。
窓から見える外は薄暗く、まだ夜は明けていない。
窓を開け、夜空を見上げる。月が2つ、ラリーには奇妙な光景だった。
加えてこの腕のルーン―召喚されてから突然激痛がしたと思えばいつの間にやら刻まれていた。
今頃元の世界はどうなったのだろう。V2は自爆しただろうが、相棒はどうしているのだろう。
夜空に向け、ラリーは自身のTACネームを思い出し、つぶやく。
「こちらピクシー・・・よう相棒、まだ生きてるか?」

今日は朝からルイズの機嫌は悪かった。昨日平民を召喚すると言う前代未聞の事例を立ち上げてしまったのもあるし、それ以上に―。
「あぁらルイズ、おはよう・・・ホントに平民を使い魔にしちゃったのね」
朝食を摂るためラリーも連れて食堂に行く途中、キュルケとばったり出くわした。
"微熱"のふたつ名を持ち火の魔法を得意とする彼女は魔法の成績でも(真の意味での)肉体的にもルイズと対照的である。
「おはようキュルケ・・・何よ、うるさいわね」
「あなたがルイズの使い魔?」
ルイズを無視してキュルケはラリーに声をかけた。
「使い魔・・・まぁそういうことになるな」
「ふぅん・・・」
キュルケはまじまじとラリーを見つめる。
「いい男ね・・・ルイズに飽きたらいつでも部屋にいらっしゃい。うふふ・・・」
そう言って「じゃあお先に」と色気たっぷりに微笑みながら自身の使い魔である巨大トカゲ―サラマンダーを連れて立ち去った。
「・・・・・・くやしー!なんなのよ、あの女!」
しばらくしてルイズがいきなり地団駄踏んで怒り出した。
「どうした、彼女とは仲悪いのか」
怪訝な表情を浮かべ、ラリーは問いかける。
「ええそりゃもう。何よサラマンダーを召喚できたからってえらそーに・・・!」
わなわなと身を震わせてルイズは怒り続けるが、ラリーが他人事のように無表情を浮かべていると、むなしくなってきてやめた。
「・・・もういいわ。さっさと食堂に行きましょう」
591使い魔初心者:2007/11/17(土) 14:56:00 ID:H+mVAGSl
食堂に入ってラリーはその豪華さに驚いた。豪華さとは無縁の傭兵生活を長く続けてきたので尚更である。
「トリステイン魔法学院で教えるのは魔法だけじゃないのよ、メイジ全員貴族だから貴族足るべき教育を・・・」
ルイズが何か説明してくれているがラリーにはどうでもいいことなので適当に相槌打って流す。
ところが、ラリーはルイズが席に座ってから気付いた。自分の席が無い。
「なぁ・・・ルイズ、俺の席はどこに?」
「席?ある訳ないでしょう、ホントは使い魔は外よ。私の計らいで床で食事を取るのを許可してもらったのよ」
「・・・・・」
窓の外に目をやれば、なるほど確かに先ほどのキュルケのサラマンダーなどの使い魔たちは外で待機していた。
別に傭兵生活を考えると床で食うのは構わない。過去の戦場でまずいレーションを食い続けたのを思えば。
しかし自身に出された料理を見るとラリーはさすがに首を捻った。スープに黒パンの欠片が申し訳程度。
一方、ルイズたち貴族は朝だと言うのにずいぶん豪勢な食事だった。
「やはり国境は無くすべきだったのかもしれん・・・いや国境と言うかこの場合格差か」
「ラリー、何ぶつぶつ言ってんのよ」
「何でもない」
ズルズルとスープを飲みながら、ラリーは無愛想に答えた。
592使い魔初心者:2007/11/17(土) 14:58:06 ID:H+mVAGSl
投下終了です。
空戦シーンは書いてて楽しいなぁ・・・。
593幕間2:2007/11/17(土) 15:00:00 ID:1DYJpkIy
ゼロのMMR

「キバヤシさん!!一応いろんな酒場や店などに今度の浮遊大陸落下について知らないか尋ねてみたんですが・・・
やはりトリステインに衝突する危険性はないという情報ばかりです
浮遊大陸にかんする大本の情報を流した出所についても聞いてみたんですが政府が運営している機関のひとつとしか教えてもらえませんでした・・・」
「政府・・・」
「・・・」
「しかしこうなると残る手がかりは始祖の祈祷書だけだが
本当に大陸落下に関する記述なんてあるのか・・・!?」

「しかし、このブリミルって一体誰のことを指すんだ・・・」
「やはり始祖というぐらいだからぼくたちとは違うメイジじゃないでしょうか・・・」
「それとこの始祖っていうのは元祖ってことですかね・・・」

(ま、まさか・・・)

「どうした?キバヤシ何がわかったのか」

「も・・・もし・・・もしもオレの予想が当たっていたとしたら・・この祈祷書には人類に対する恐るべき計画がしるされているのかもしれん!!」

「「「!!」」」
594名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 15:09:45 ID:6rfJdpKN
初心者氏おちゅ

>>593
投下予告くらいはしようぜ!
595ゼロの悪魔召喚師:2007/11/17(土) 15:16:56 ID:lx55ZEsI
ゼロの悪魔召喚師   第二話


…俺は魔界に残る…

…魔神皇!!あのときの借り返させてもらう!!…

…魔神皇様に勝てる科学的根拠はないのだ!!…

…まさかこちらにくる人間がいようとはな…

…流星君、起きたら?もう放課後だよ…

…もう何十年も昔に感じる学校の思い出…



ごめんなさい、一番最初が切れてました。
上がその部分です
<m(__)m>
596名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 15:31:27 ID:CC1p/N+j
使い魔初心者の人、ゼロの悪魔召喚師の人乙
そういえば使い魔初心者の人はADFX-02を召喚してないほうでFA?
597使い魔初心者:2007/11/17(土) 15:32:31 ID:H+mVAGSl
>>596
FAです
598名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 15:39:00 ID:CC1p/N+j
サンクス
次回作楽しみにしてます。
599名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 16:23:58 ID:32K6xUMg
すいません、今空いてますか?
4時40分から投下していいでしょうか?
600名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 16:25:44 ID:6rfJdpKN
きゃもん
601力を求める使い魔:2007/11/17(土) 16:40:14 ID:32K6xUMg
森の中、少し拓けた場所に、見るからにみすぼらしい小屋がぽつんと立っている。
なるほど、人も来そうない森の中のこの小屋は、隠れ家としてはちょうどいいのかもしれない。
「……先、行くぞ」
そう言うと、彼は一人小屋へと悠然と歩いていく。
後ろで何か策を立てようとしていたルイズたちの制止の声を無視し、正面からまっすぐと。

―――何か、罠を張っているなら、それごと叩き壊す。絶対に殺す。

そういう気分だった。
なんでもよかった。この気持ちをぶつける矛先がほしかった。
彼のCOMPを奪ったフーケに対する怒りは確かにある。
だが、怒りそのものより内から湧き上がる虚無感と、それをかき消す感情の高ぶりが体に渦巻いている。
「なぁ、相棒」
森の茂みと小屋の中間あたり、距離にして約10メイルほど進んだ時だろうか。
デルフリンガーが、彼に話しかけた。
「相棒は、力がほしかったんだろ?」
何を急にぶしつけに、と顔をしかめる彼を無視し、言葉を続けるデルフ。
「力がほしかったのは、自分が好き勝手出来るためなんだろ、だから……その、ガイア教団だったかに入った。 違うか?」
「……それがどうした」
たいして耳を傾けず、適当に流すように答える彼。
意識は、完全に小屋のほうに向いており、しゃべる剣に気など割いていなかった。
故に、無防備だった心に、剣の言葉は文字通り胸に突き刺さった。

「――――でも相棒は、そのダチと戦いたくはなったのに、戦ったんだよな。 どうして戦ったんだ? 
いやならその教団なんかに従わないで、ダチと一緒にまた旅すりゃよかったんじゃねぇか」

「それは――……」
とっさに答えようとした。しかし、答えられない。なぜか、焦る。
どもるように、はっきりしない言葉が2,3洩れるばかり。
ただ、一言。
なんでもいい、「別にいやなわけじゃなかった」なり「力の教義こそが元も重要だ」なり、言えば済むはずなのに。
さらに、剣は続ける。

「俺は、剣だ。力がほしいと思うやつが、握るもんだ。だからよく分からねぇが……
力ってのは、何かやりたいことがあるから欲しいものだろ?
相棒は、自分が好きに生きるために力が欲しかった。
なのに、力を手に入れるために、やりたくもないことやるっておかしくないか?」

「……はッ」
吐き捨てるように、息を吐く彼。
「剣には分からねぇよ。 力がないってのは、それだけで罪なんだ」
602力を求める使い魔:2007/11/17(土) 16:41:27 ID:32K6xUMg
そう。
力がなければ、何もできない。守ってくれる者もない。
何をしようにも、力は絶対的に必要なのだ。だから、力こそが唯一無二のものとして存在する。
力がない自分は、どうだった?
誰からも軽んじられ、相手にされず、ただチンピラどもに殴られる日々。
思い出すのも疎ましい記憶だった。だが、あの時自分は強くなると、力を手に入れると誓った。
そのあと、あいつらに出会って―――
初めて、親友と呼べるものができて―――
3人とも故郷も知人もすべて失い、一緒に戦って、励ましあって―――

あいつらより大事なもの?

力こそ、すべて。それを超えるものなどない。
あの親友達と引き換えにしてまで欲しいもの? そんなもの、思い浮かばない。
二律背反。己が根本に関しての、大きな矛盾。どちらが一体正しいのか?

「分からねぇ。分かるはずがねぇ」

ポツリとつぶやく。彼は、気づいた。ある意味、目をそむけていた自分の側面に。
デルフはその言葉を、先ほどの会話の続きと思ったのか、
「まぁ、力がどうだなんて剣にゃ分かるわけがねぇか。
終わったことだしとやかく言う義理もねぇ。それより、もう着くぜ?」
気付けば、小屋のドアはもう目の前だった。
彼は、手荒にドアを蹴る。蝶つがいが錆びていたのか、ドアは外れて、小屋の中に倒れた。
その衝撃で、積っていた埃がまった。光のない小屋は、夜だということもあり、うっすらと家具の輪郭が見えるだけだ。
彼は目を細め、小屋を見回す。どうも、人の気配はない。
というより、この埃の量と、生活臭のなさは、人のいたとは思えなかった。
カビっぽいベッドに、アギを打ち当てる。
湿気を吸っているとはいえ、中はワラか何かだったらしく、大きく燃え上がる。
その炎が部屋を照らし、輪郭しか見えなかった家具たちの姿があらわになった。
「……あれじゃねぇか?」
デルフがやや怪訝な声で言った。
COMPが、あった。それも、これ見よがしに、中央の傾いたテーブルの上にあるのだ。
……あまりにも呆気なさすぎる。そうデルフが感じるのも無理はなかった。
彼は、COMPを持ち上げ、手にとってマジマジと眺める。
「……これだよ。間違いねぇ、あいつの……COMPだ」
見覚えのある傷が刻まれたCOMPを震える手で抱える。
「本当に、死んじまったんだな……大馬鹿野郎……ッ!」
力いっぱい腕を壁にたたきつける。
老朽化していた小屋の壁は、あっさりと壊れ、ささくれ立った折れた断面を露出する。
そこで切ったのか、拳からは、赤い……『人間』の血が流れていた。
「……行くぞ」
さっきまでの怒気はどこにいったのやら、疲れたような声で彼は小屋を出ていく。
603力を求める使い魔:2007/11/17(土) 16:42:29 ID:32K6xUMg
そこには、3人が待っていた。
「ちょっと炎が見えたけど……って手どうしたの!?」
どうやら、さっき燃やしたベッドの火を見て、であわてて走ってきたらしい。
「暗かったから、燃やした。手は……少し切っただけだ」
いつも通りぶっきらぼうに答える彼を見て、なんともないと判断したのか、3人は次の話題に移った。
「COMPは?」
タバサの言葉に、彼は手にもったCOMPを気だるげにも持ち上げ、答えて見せた。
「フーケは?」
「見てない、中にはいなかった」
「てことは、あっさりお宝を手放したってこと?」
なぜか少し残念そうなキュルケの声。

「いや……そういうわけじゃないみてぇだぜ?」

デルフが、まっ先にそれを見つけた。
続いて、その声で空を見上げた彼が気付いた。
引き上げようと後ろを向き、3人も気付く。

―――30メイルを超す巨大なゴーレムが、森の中から姿を現すのを。

いの一番に、タバサが動いた。
こちらにゴーレムがたどり着くよりも早く、呪文を詠唱し杖を振る。
呪文により発生した竜巻がゴーレムにぶつかり………あっさりと風はほどけ、そよ風に戻った。
次いで、キュルケのフレイム・ボールがゴーレムにぶつかる。
しかし、これもわずか一歩その衝撃でゴーレムを下がらせるだけで、ダメージにはならない。
圧倒的に質量をもった土相手に、火炎や風はあまりにも相性が悪かった。
「一旦、撤退」
僅かその数手の間に戦況を読んだタバサは、シルフィードを呼び寄せようとした。
何しろ、盗まれたCOMPはこちらの手にあるのだ。無理をする条件はない。
そうするのが妥当な判断だ。
しかし、それに意を反する人間が二人いた。

「お前らだけで帰れ。俺は、戦う」
「いやよ、絶対にフーケを捕まえてやるわ」

ルイズと、その使い魔はタバサの提案を拒否。既にシルフィードの背に乗っていたキュルケは、目を丸くした。
「ちょっと何を考えてるの、勝て―――」
「行くぞ、泥人形」
彼はCOMPを足元に置く。
キュルケの声を遮り、剣を構えた。
全速で彼が突っ切る。疾い。『使い手』として強化された身体能力が、驚異的なスピードを与えていた。
ゴーレムが拳を打ち下ろすよりも早く、彼が翔ける。
意図域でゴーレムの股下まで彼は駆け込むと、足首に向けて剣を振るった。
剣の軌跡が横に走る。
604マニアクス買ってきた:2007/11/17(土) 16:42:42 ID:wcx5aQHT
メガテン、メガテン、メガテン、支援
605力を求める使い魔:2007/11/17(土) 16:43:32 ID:32K6xUMg
やはり泥でできた人形であったためか、強度そのものは決してそれほどではない。
剣が奔った後に開いた断面に、さらにアギを打ち込む。
―――とった!
半ば彼は確信した。この巨体といえど、支えているのは両足である。
片足の片方を中ほどまで吹き飛ばされれば、あとは重心の都合、勝手に自滅するはず――!
予想通り、前のめりにゴーレムが膝をつく。
彼は、後方に跳躍し股下から出る。
首を垂れる格好になっているゴーレムの頭に、立てた片膝を中継地点にして、頭に飛び乗った。
「おおおぉぉッッ!!」
頭に思い切り剣を突き立て、引き抜く。
穿たれるようにあいた穴に、火球を続けて叩き込む。
ひとえに衝撃に強いのは、ぶつかった熱量やエネルギーが反射され拡散、反対方向に放射されるからだ。
地面が地雷などでも、そこまで抉れないのと原理は同じ。
しかし、それも穴など窪みをあけ、周囲に熱量が逃げないようにしてしまえば、話は変わる。
逃げ場のない衝撃と熱量は、確実にゴーレムの頭を破壊していく。

足場が、急に揺らいだ。

「なに……ッ!?」
ゴーレムが、立ち上がろうとしていた。
足を切り飛ばしたはずなのに!?視界を足元に向ける。
ほぼ立ちあがっていたゴーレムの首付近からは、足元がよく見えた。
そこには、傷口に泥を埋め、再生していく足がある。
「再生するのか!?」
先ほど壊した頭に視線を戻す。そこも、うぞりと土くれが盛り上がり始めていた。
「おい、相棒!」
自分の足元も、危ない。
土に埋もれる前に、デルフリンガーを抱え、飛び降りる。
30メイルからのダイブ。その途中で、ゴーレムに剣を突き立て勢いを殺す。
同時に、胸から足のすねまで、一筋の溝が刻まれた。
どうにか垂直状態ながら、足を踏ん張り、剣を泥から引き抜く。
だが、甘かった。
ゴーレムの足が、彼の全身を強く叩く!
ゴーレムは、自分のもう片方の足ごと、足をけりこんだのだ。
結果、何tか知れぬ質量が、彼の内臓を破壊した。

「がッ……あぁ……!」

さらに、足を失い倒れる勢いを利用しゴーレムの拳が―――!

空中で、自在に体を動かせるような物理法則に反した真似は、彼は出来ない。
しびれる体に鞭打ち、腕を交差させ、受けとめようとする。
そのとき、突然拳の色が変わった。泥の茶灰色から、鉄の黒へ。
606力を求める使い魔:2007/11/17(土) 16:44:53 ID:32K6xUMg

やばい!

彼も直感するが、やりようがない。
身体能力が上がっているとはいえ、悪魔ほど体が頑丈になっていないと先ほど思い知った。

あれを受ければ間違いなく絶命する……!

しかし、目の前で、そのゴーレムの拳が、爆ぜた。よく見た爆発だった。
ゴーレムのいる場所から少し離れた小屋の側で、ルイズが呪文を詠唱するのが見えた。
そもそも彼女の爆発は、スクウェアクラスのメイジのかけた『固定化』のかかる壁にひびを入れるほどの威力なのだ。
単純な錬金で、一時的に金属に代わっただけの拳を砕くのは当然だ。
続けて、彼がやったのを見た故か、ゴーレムの足に向けて詠唱。
何を唱えた結果失敗し、爆発したか分からないが、確実にゴーレムの足を止める。
連日連夜の彼との戦いが、魔法を成功させるには至らずとも、方向を定める程度はできるまでになっていた。
一人で戦うことに慣れていた彼からすれば、意外な助っ人にわずかに呆け顔になった。
ルイズが、彼を見た。その様子をみて、どうだと言わんばかりにニヤッと彼女は笑った。
また再生し、起き上がろうとするゴーレム。しかし、その足に魔法が立て続けに打ち込まれた。
空からの魔法の砲撃。シルフィードに乗った二人だ。
彼は、地面に着地――いや墜落すると、ルイズの側に血を吐きながら走る。
打ち所が悪かったらしく、足がうまく動かない。折れたような気配がした。
「ちょっと、あんた大丈夫なの! 魔法も撃てそうにないの!?」
急にこちらに向かってきた彼の意図を読めず、ルイズが言った。
今は、時間が惜しい。いつまで、彼女たちの砲撃が持つかもわからない。
断言しよう。
今の彼らは、ゴーレムを打ち倒すことはできない。
火力が足らない。再生力を上回る火力がなければ、いずれジリ貧で確実に負ける。
元々相性という点では最悪なのだ。勝てるはずがない。
彼は、それを内心感じていた。
だから、彼はある行動をとった。
607名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 16:45:52 ID:NJOiEvrV
うんだばほんだば支援
608力を求める使い魔:2007/11/17(土) 16:45:59 ID:32K6xUMg

これはしたくなかったんだけどな……!

COMPを拾い上げ、腕を差し込む。
プログラムを起動する。COMPに入った、たったひとつのプログラム。

―――  悪魔召喚プログラム ―――

起動の際のメッセージが表示される。

―――機動中、悪魔に体を乗っ取られぬようお気をつけて―――

不慣れな手つきで、キーをタッチ。モードを選択。

――― SUMMON MODE ―――

中には、たった一体の悪魔しか記録されていなかった。
でも、かまわない。これ以外喚ぶ気もない。
彼は、悪魔を選択する。そこに表示される種族名。

――― Κ?ρβερο?, ―――

しかし、そんな無粋な名を彼は呼ばない。
これは、ただの悪魔ではない。ただ、その種族を表す名では足りない。
万感の思いで、彼はその名を叫ぶ。

「来い………!   
パ ス カ ル  ッ ッ ! ! 」

夜気を切り裂き、光の六芒星が大地に刻まれる。光の柱が空へと立ち上る。
光を割り、中か月光を浴び、白銀に輝く巨躯が顕れた。
コルベールの描いた絵とはまるで違う。
ただ、姿を模写しただけの絵と違い、誰もの目を奪うような荘厳な雰囲気を纏うケモノ。
絶対の強者としての威厳が、燐光のように全身から迸る。

「……久シイナ」

彼を向き、パスカルが重々しく口を開いた。

「魔人デハナイヨウダナ。アノ、『ドウマン』ト戦ッタ日ノ姿ダガ、覚エテイルゾ」

息も絶え絶えといった様子だが、満足げにうなずく彼を見て、隻眼のケモノが目を細めた。
609力を求める使い魔:2007/11/17(土) 16:47:06 ID:32K6xUMg

「ツモル話ハ……アレヲ片付ケテカラニシヨウ」

シルフィードのほうを向き、パスカルが言った。

「後ロニサガレ。近クニイルト巻キ込マレルゾ」

ゴーレムが再生を始めるのを見て、わずかにタバサは躊躇した。
しかし、その言葉に従いシルフィードをパスカルの後ろ、ルイズの側に下ろす。

走らず、ゆっくりゆっくりとゴーレムに近寄るパスカル。
ゴーレムは、その時間をたっぷりと使って完全に再生し、立ち上がる。

「……来イ」

その言葉を受けて、ゴーレムが足を振り上げた。もちろん、その足は鉄に変わっている。
その質量と、硬度と、重力を利用した、考え付く限り最高の破壊力を秘めたゴーレムの一撃。

   「「「「「「                  」」」」」」

パスカルが、咆哮した。ただ、それだけ。それだけだった。
しかし、たったそれだけでゴーレムは、頭まで砕け散った。塵も残らなかった。
その『それだけ』は………もはや音という枠を超え、なんという音か何も認識できない衝撃波となり、
周囲の生命の炎を根こそぎ吹き飛ばした。ゴーレムは、そのあおりで物理的な力を受けただけ。

根本的に、何かが違う一撃を受け、ガラクタの玩具のようにゴーレムは消滅した。

610力を求める使い魔:2007/11/17(土) 16:48:08 ID:32K6xUMg


「すごい……」
ルイズは、それだけ絞り出すのが精一杯だった。
あまりにも格が違う。正直、わすかではあるが、彼の話を真実かどうか疑っていた。
あまりにも突拍子のない、想像もつかない、神と悪魔の最終戦争なんて話。
しかし、それを一瞬で吹き飛ばす咆哮だった。
『想像もつかないような話』から現れたどれだけ力の差があるかも『想像もつかないケモノ』。
小屋にもたれ、気を失っている彼を見る。
どう見ても、ガラの悪いひねくれた平民にしか見えない青年。
しかし、彼は本当に世界の命運をかけて争ったらしい。
そっと近寄る。横に座って、彼の顔を覗き込んだ。
ギーシュの時のように、ボロボロだが、その顔は、奇麗なように見えた。
「あれ!」
キュルケが何かを指差した。
見れば、『白銀の獅子』……いや『パスカル』が、気絶している黒ローブの女性をくわえてこちらに歩いてくる。
おそらくは、あれがフーケなのだろう。器用に、衣服だけを噛んでいるようだ。
ふう、と息を吐く。これで、今日の一件も終わりだろう。

考えさせられるような出来事が多い夜だった。

ひとまずは………

彼の肩を担ごうとしてみる。
しかし、細い体型とはいえ、男の彼は重い。
彼女が持ち上げるには、過ぎたものだった。ほとんど、引きずる形で運んでいる。
「あら、どうしたの? あの『白銀の獅子』に運んでもらいなさいよ」
先を行くキュルケの声に、ルイズは大きな声で答えた。

「いいじゃない! 使い魔の面倒を見るのは貴族として当然の義務だもの!」
611力を求める使い魔:2007/11/17(土) 16:49:56 ID:32K6xUMg
投下終了です
いや、リアルが忙しくなって抹消してほしいなと言ってたんですが……
久しぶりに見たらまだ消されてないようでしたので、それでは、と思い続きを書いてみました。
正直月1回ペースになると思いますが、なにとぞご容赦いただけると幸いです
612名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 16:53:47 ID:pb6JXUtq
乙。
613名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 17:00:15 ID:Z39iTy7j
GJ
月一ペースでも期待して待ってるから頑張ってくれ
614名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 17:06:54 ID:wcx5aQHT
というか、月一ってSSとしてはそれなりに速いペースだがな。
615名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 17:15:02 ID:GNsVhgVB
お疲れさまでした!
月一になろうが期待しているのでガンガレ。
616名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 17:15:29 ID:IyORTana
GJ

普通、月1回のペースでも十分だよなぁ ここが早すぎなんだなぁ
617名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 17:33:03 ID:Mou6368T
パスカルも真Uで……だったからなぁ
一人と一匹には安住の地を見つけてほしい
618名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 17:53:17 ID:maRSUu1B
伊藤誠がルイズに召喚されたようです
619名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 17:55:22 ID:y+V9x7Y4
やつの血族がヒロインにいないから大丈夫だろ?
620名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:00:51 ID:J1jwufgl
ところがどっこい既に止が召喚されていた
621名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:01:30 ID:A2Gr6EDj
実はブリミルが大昔に召喚された誠の血族とかにしとけば問題ない
622名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:04:18 ID:DhvB9isU
GJ。

そういや、以前FSSネタでシエスタの祖母がヒュートランで〜→ふぁちまと人間の混血無理
というのがあったけど、遺伝子がちょっと違うからファティマとも地球人とも問題なく混血可能
とか理由つければ…と思うんだが。
つかラフィール召喚ネタでもシエスタのおじいちゃんアーヴだしな……。
623名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:06:53 ID:DhvB9isU
ごめん、補足
遺伝子がちょっと違うから→ハルゲキニア人の遺伝子はちょっと違うから
に訂正。
624名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:09:53 ID:QlSp4Bpz
メガテンの人GJ
ケルベロスは魔獣最高のレベル46の悪魔だからこれぐらいできそうだなぁ
625名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:22:26 ID:JJ+iKCNO
>>486
ケンシロウだったらギーシュはビンタで「ヘブッ」とかで済むと思うんだ…

フーケは目に温もりを見たとかで見逃されそう…

>>495
毒は無理っぽい…

トキなら何とかなるのか?

ナギッビシバシセッサッコー! 

>>624
スクウェアでも一蹴出来そう…
レベル40を超えるとロケラン以上のダメージを叩き出すのは珍しくないし…
626名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:27:57 ID:Tp8MzqYX
ガンバッテネ
627名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:31:48 ID:4iGLxBZ8
>>625
いっそアミバさま召喚しようぜ!
タイトルは「天才な使い魔」で決定だな。
天才だからなぜかメイジの素質が有って、短期間で魔法を覚えるんだよ。
さらに平民をデクにして、様々な水魔法を実験しまくる。
指が無くてはメイジの杖を持てないがな!
628名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:33:18 ID:1DYJpkIy
二分後くらいにゼロのMMR続き投下するよ
629名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:38:02 ID:Z7NlY1oq
\Ω ΩΩ/な なんだってー!!
630名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:40:45 ID:6P9KMbCJ
どういうことだ>>628!!
二分なんかとうに経ってるぜ!?
631名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:41:47 ID:wcx5aQHT
>>630
つまり俺たちは>>628に釣られたんだよ。
632名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:42:02 ID:Nf8mVkGu
>ふぁちまと人間の混血無理
「生殖細胞が減数分裂起こしません」とかレベルの遺伝子操作入ってるから
物理的に混血不可能だし
ちなみに人工子宮代わり(いわゆる貸し腹)出産は2例存在する事が本編でも確認されてるが
子孫が残せると言う話にはならない
ちなみにラキシスは「ファティマにカモフラージュされたダブルイプシオンヒューマノイド」だから
子供は相手次第では産めるわけだ
633名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:42:22 ID:JJ+iKCNO
>>627
ギーシュとの決闘イベント
アミバ様「お前の集中力を飛躍的に高める秘孔をついてやろう」
ギーシュ「たわばっ」
アミバ様「ん〜ん間違えたかな?」

モット箔の所には木偶狩りに…
634名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:42:26 ID:PUS48iej
まさかレジデントオブサンに・・・?

あれ誰か来た?
635名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:45:00 ID:4D/jiQwb
>力を求める使い魔
はっきり言っても言わなくても、大ファンです。
ある程度文章がまとまったら投下お願いします GJ。
636名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:47:03 ID:P++rQZmw
>>631
シィット!!
また奴にやられたワケか!?
637名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:50:53 ID:XqGGT2K/
力を求める使い魔の人gj!!!!
レベル46のケルちゃんでここまですごいなら
12枚羽のあのお方はどのくらい強いのか・・・
ハルマゲ一人で起こせそう・・・
638名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:54:00 ID:/aWKYi10
違う、セプテリオンの仕業にちが(ry
639名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:55:00 ID:QlSp4Bpz
>>637
まあ・・・悪魔と堕天使の帝王だしねぇ
召喚させてぇ
640名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:56:17 ID:1DYJpkIy
ゼロのMMR 参回

「まず、ブリミルを守護したという三人の僕の特徴を思い出すんだ」
「えーと、ガンダールフにヴィンダールフにミョズニルトンだったかな?」

「そう、ガンダールフは生体強化された兵士 ヴィンダールフは鼠やゴキブリや蚊などの生物を操る・・・遺伝子組み換え技術だと考えられる」
「「!」」
「そしてミョズニルトン・・・禁断の知識・・・これから連想されるものは何かわからないか?」
「物凄い破壊の魔法じゃないかしら」
「・・・はじめこの世界に召還された時、使い魔と呼ばれる多様な原生動物に驚いた・・・しかしあのような生物郡は自然の進化からは生まれない」
「「?」」
「禁断の知識・・・それは古代の核兵器だったんだよ!」
「「核兵器って何?」」

「・・・ごほん、つまりブリミルとは生体強化された兵士と生物化学兵器と核兵器 BC兵器の事だったんだよ!!!!」

「クククさすがだねミスターキバヤシ」
「!!」

部屋の窓から外を見ると怪しい仮面を被った男が浮遊している

「フフ・・・忘れたのかね私の声を・・・」
「ま・・・まさか・・・」

「resident of sun(太陽の住人)」
!?
「どうやら今回の君たちの調査も水泡に帰すことになりそうだな」

「これは陽動だ!アンリエッタ王女が危ない!」

キバヤシは叫ぶと王宮に向けて走り出したが、衛兵に静止され
その間に王女は誘拐されてしまったのだ。

「・・・俺たちは遅かったのかもしれない」
「でもな・・・たとえアンリエッタが浚われたとしてもこの戦いに負けるわけじゃあない」
「おぼえているだろう!!ルイズの爆裂魔法」
「ルイズは昔から困難に立ち向かい続けてきたんだよ!!」
「そうか・・・」
「アルビオンがレコンキスタニ負けてしまった・・・もうどうする事も出来ないと僕たちは思い込んでいたんだ」
「でも違うんだ!!本当の負けはあきらめてしまうことだったんだ!!」
「その事を始祖が・・・この祈祷書が教えてくれたんだ!!」
「あきらめない!!それが俺たちに出来る唯一の戦い方なんだよ!!」

よーし!!

「僕はアンチマジックアイテムのようなものがないか調べるために宝物庫を調べようと思います」
「じゃあ私はデルフリンガーを売っていた店にもっとすごい剣が無いか探してくるわね」
「ゲルマニアのチャーリーに連絡して最先端の刀剣技術を知ろうと思います!!」

「みんな!!人間の力を信じよう!!」
「そしてこれからは一人一人で闘っていくんだ!!」

ひとりひとりが世界のことを考え
ひとりひとりが人類の未来のことを考え続け
ひとりひとりが同じ志をもっていればいつかはそれが大きな力になるんだ!!
人間はどんな危機だって乗り越えられる

人間の可能性は無限なんだ

----------------完----------------------
641名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:02:46 ID:XqGGT2K/
>>639
いや、あの人召還したらいろんな意味でカオスだぞw
てか、ワルド戦後普通にあの大軍を一蹴しちゃうだろうし
642名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:04:59 ID:1DYJpkIy
補足

「うわっ!死んだはずのウェールズ王子が生きてるぞ!」
「!」
「キバヤシ、何か知っているのか?」
「クローン人間だよ!」
「クローン?」
「レコンキスタの兵は操られているのは服従遺伝子が組み込まれていると前回の調査で判明したな?」
「遺伝子を組みかえられるのならば、生物自体をコピーすることも可能なんだよ!!!」

「そしてレコンキスタの最終目標はブリミルの遺伝子を手に入れ、世界を支配する事だったんだよ!!!!」
「聖地にはピラミッドがある」
「「ピラミッド!!」」
「ピラミッドを作らせたブリミルは既にクローンによる復活を知っていたのではないだろうか」
「そして復活したブリミルによる世界支配が始まるんだ」

「そ・・・そんな・・・私たちには何も出来ないの?」
「キバヤシ!なんとかしてくれよ!」

ダーン
無言でデルフを机に叩きつけるキバヤシ
「俺にだって出来ないことがある・・・」
643名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:11:12 ID:/aWKYi10
凄く混沌です
644名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:25:13 ID:JJ+iKCNO
>>641
ぶっちゃけ大軍蹴散らすだけなら
レベル50前後あれば十分なような…

軍神とかもそういうレベルだし…
(59ハヌマーン 56セイテンタイセイ(孫悟空) 43クーフーリン 57ヨシツネ 54ジャンヌダルク)

高レベルでダークだとCP高いからルイズがマグネタイト吸い尽くされて
フーケ戦辺りで死にそう…
ご立派さまではCP96のご立派さまでも城に到着した辺りでルイズのマグネタイトがピンチ
121のルシファー様だと…

指輪による蘇生兵士ってハマで昇天するんだろうか?
645名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:28:59 ID:Mou6368T
流石キバヤシ。会話が混沌すぎて突っ込みどころ満載だ!

正直、格が違いすぎて閣下召喚は無理だと思う。仮にも唯一神に匹敵するお方だぜ
なにより性格的に興味を持った関係ない人間を自分の代わりに放り込んで楽しみそうだ
646名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:32:53 ID:RHKuhmuq
初心者&力を求めるの作者GJ!

次回を楽しみにしてるよ!
647名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:45:10 ID:WWQ7uuel
>>645
唯一神ときいてエンテイを思い出したけどあの性能だったらルイズでもコントロールできるな
648名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:48:03 ID:3W23TBt8
>>647
図鑑通りの能力なら無理だろ
649名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:51:03 ID:Q0StJIrn
>>632
シエスタのおばあちゃん「ブリミルが一晩でやってくれました」
650名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:53:02 ID:dCaymA8A
>>647
ゲーム通りの能力でも無理だろ(戦略的な意味で)
651名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:54:54 ID:Q0StJIrn
>>647
奇遇だな、自分もエンテイ様を思い出した。
映画だと中の人竹中直人なんだよなー。


SPのエンテイならコッパゲのパートナーっぽいんだが。
ライコウ&ワルド、スイクン&アンリエッタと一緒にオスマンに突撃で。
652名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:57:30 ID:od+ZwyMR
卑しい仕事の人達は?
653名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 20:00:44 ID:PIYEBOye
ベトナムのカオダイ教の神様カオダイは一人で
仏教、キリスト教、イスラム教、儒教、道教の頂点に立てる神様だそうだ・・・
いくらなんでも豪快すぎるぜw
654名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 20:03:28 ID:3W23TBt8
映画でもスマブラでも扱いの悪いレックウザを召喚
655名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 20:11:30 ID:x8/nzHSJ
>>654
龍だけにルイズの虚栄心を大いに満足させそうだな。
火力だけはあるし。
656名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 20:14:36 ID:iu3X9MGY
ガンダールブ:ソル・アンバー
ミョズニトニルン:ソル・コンバー
ヴィンダールブ:ソロシップ
語る事すら憚られる:ソル・バニアー


を召喚とか考えたがどう考えても四人目が死亡フラグバリバリで全滅エンドですありがとうございました
657名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 20:15:39 ID:3W23TBt8
よく考えたらポケモン召喚はどういう能力にするかで迷わないか?
図鑑の説明通りの怪物なのかアニメみたいなファンタジーな生き物なのかポケスペや電ピカみたいなリアルな生き物なのかで
まあすでに何匹か召喚されてるけど
658名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 20:26:30 ID:QlSp4Bpz
考えたらメイジの魔法って効率悪い気がする。
杖を構える→呪文唱える→杖を振るう
の3アクション必要だから0.何秒の速さで連続攻撃できる奴とか
召喚したらスクウェアでも歯が立たないような・・・
659名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 20:33:20 ID:EVaThw3W
>>658
だからゼロ戦一機にボロ負けなんだよ。
660名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 20:35:24 ID:eibZnLMv
>>658
そればっかりは戦術次第だと思うが…。
まぁ、ガチ勝負だったら無理くさいけど、不意打ち闇討ち上等なら、僅かながらスクウェアレベルなら可能性はあると思う。
661名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 20:37:49 ID:9Wd4mA8u
いや、あれは風竜とゼロ戦の速度の違いと、機銃の威力による差だから。
上の魔法に対する考察も、効率っていうより発動時のタイムラグの話だし。
効率ってのは、投入される力に対して、返ってくる得られる結果の大きさ
って意味だからね。
662名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 20:37:56 ID:Q0StJIrn
ルイズがオスメス姉弟のラルトス召喚。ガンダールヴとミョズに……とか考えた。
663名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 20:39:25 ID:Nf8mVkGu
>全滅エンドですありがとうございました
その時「  」が発動した
664名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 20:41:10 ID:9Wd4mA8u
その前にルイズたちのいる惑星が、まっ二つに割れるよ〜。

そしてドウモウたちが吠える。
665名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:03:58 ID:JJ+iKCNO
>>658
正面から決闘したら全てのメイジは拳銃持ったノビタに負けます。

すでに呼ばれた中だとクーガーの兄貴と陸奥雷が当てはまる…


>>663
エイジを追い詰めた結果萌えが発動してしまうわけですね?
判ります。


666名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:12:51 ID:WLUPoB6t
>>658
まあ逆に言えば詠唱中に攻撃できなければフルボッコなわけで。
真っ当な人間だと近接しかける前に攻撃もらうし、銃などの飛び道具はいろいろ制約があるし・・・
667名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:20:34 ID:Q8fZR82u
>>658
だからワルドみたいに攻撃しながら詠唱できるような訓練つんでるヤツもいる
まあ、0,何秒で連続攻撃してくるようなヤツにはそれでも歯が立たないと思うが
そもそもそんな相手、普通の戦士でも歯が立たないような……
668名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:23:04 ID:Tp8MzqYX
そのための使い魔だって説明されてるだろ。
いまさら何言ってんだ?
669名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:23:41 ID:0Jzp+6Th
今ふと思ったけど東方の森近霖之助ってミョズニトニルンに近いことしてるな
670名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:25:46 ID:RRzWXWsI
>>669
思ったらすぐに書くんだ、兄弟!
671名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:28:13 ID:tHI+nzHF
このスレ的にはあんまり強いのはのは禁止の方向?
672名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:31:00 ID:3vIF522V
小ネタや、強過ぎても長編を書ける自信があればその限りではない。
673名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:31:48 ID:cryo9z1R
>>671
好きにすりゃいいさ。それが面白いかどうかは書き手の腕次第だ。
674名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:33:52 ID:QaLECnia
>>671
むしろ書き手の自重だな。
強いキャラクターってのは、其れだけ動かすのが難しいから。
675名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:34:52 ID:Jk3JKSJg
初めて書いてみたんだけど投下していい?
ネタは仮面ライダーブレイドだけど
676名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:39:22 ID:6rfJdpKN
>>675
あんさんマルコメ帝国書いてるじゃないかw
677名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:40:10 ID:C8fc4iAF
ハガレンから召喚された話がないのが不思議…。
それとも別スレでも立っているの?
678名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:40:30 ID:pGSdEL4M
>>671
ハルケギニアの人間が全て敵に回っても余裕で生き残りそうな奴が召喚されて、まともに続いてる作品もある。個人的には好き。
要は作者の動かし方次第だと思うよ。
679名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:40:31 ID:oOXfhGro
>>632
いや、ファティマと人間との間に子供は出来る

カイエンとバランシェの会話で、
バランシェがいくつか実例があると言っているが?
680675:2007/11/17(土) 21:43:24 ID:Jk3JKSJg
ほんとだIDが一緒だw
681名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:47:53 ID:k3/tnEcD
>>678
どんなのあったったけ?
オレの覚えている限りだと悟空とリインフォースくらいなんだが。
682名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:48:13 ID:3W23TBt8
>>677
荒らし乙
683名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:51:39 ID:iJ2j4Lyl
>>681
ドモンもだろ
負けて戦死するシーンが思い浮かばない
684名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:52:24 ID:pGSdEL4M
>>681
『円環少女(サークリットガール)』のグレン・アザレイ召喚。やはり原作がマイナーか……
本人の人格から来る、物語的扱い易さもあるとは思うけど。ケイツ君だったら流れが全く変わっていたに違いないw
685名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:56:29 ID:CTm6ARGB
>>668
だが一般メイジのは微妙なの多いし・・・
686名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:01:49 ID:dXqvsxWo
>>668
さて、君の知ってる使い魔の中で、その条件を満たすものはどれだけいるかな?

ルイズが挙げた使い魔の仕事は3つ。
この3つを全て満たせる使い魔なんて殆どいないだろう。
1つか2つが精々。
687名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:04:13 ID:MuvMN41g
佐藤十兵衛召喚でギーシュ涙目
688名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:05:11 ID:JJ+iKCNO
>>686
レベルを要求しなければ犬でも出来るよ!

1身の回りの世話…介護犬
2探し物…犬の本領発揮
3護衛…敵の気を引くだけでも護衛にはなる

バランス良く全てをこなすと考えると
きゅいきゅいとモグラが12フィニッシュな感じだけど
689名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:07:34 ID:Q0StJIrn
ゴーマ3ちゃんズとかヤツデンワニとかの落ちこぼれ怪人召喚。
強そうな亜人を召喚したと大喜びするも、数日後には期待外れだったと落ち込むルイズが目に見えるw

何げにドラゴンボールからブラとかパンとかマーロンとか召喚したら面白そうだなーと思ったり。
マーロンはGTでの言動から、舞空術は出来るみたいだし、
ブラに至ってはお嬢様な上に世が世なら王女様。
ルイズに言わせてみれば、猿の亜人の混血の癖に何が王女だ。だろうけど。
690名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:10:16 ID:xm/JoW/r
「DARKER THAN BLACK 黒の契約者」の黒(ヘイ)の召喚!
とかだったら面白そうだと思わないか?
使い魔の契約をするときに「すでに自分契約者なんだが・・・。」みたいなつっこみ入れられそうな気が・・・。
結構強いし。
691名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:10:52 ID:c43aI4e5
身の回りの世話は使い魔の仕事じゃないよね。
692名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:11:27 ID:UFNjzP/R
真1のザ・ヒーローを召喚してみようと思ったが挫折…
喋ってないキャラは何を言わせて良いのか解らなくなる…
693名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:12:14 ID:CTm6ARGB
むしろ身の回りの世話できる使い待ってレアだよね。

少なくとも器用な手先がないと難しい
694名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:14:45 ID:Q0StJIrn
>>580
暇ができたらちまちまと書き溜めていく。期待しないで待っててくれ

>>586
木戸ポジションにワルドを配置したらルイズとの関係がややこしくなるが、
タルブでの決戦を原作ラストに絡めて綺麗(後味ではない)に終わらせられそうだな………。
つか淳子自体、レコンキスタ向きのキャラか?orz
695名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:14:56 ID:U9G7saQ+
坂本ジュリエッタ召喚
書けないけど!
696名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:15:19 ID:l59OvORu
てーか身の回りの世話までさせてるのルイズくらいだろ
697名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:15:21 ID:o5YrUHSY
プロゴルファー祈子から神島祈子を召喚。
ハルケギニアにゴルフブームが巻き起こる。

近接戦闘、遠距離戦共に戦闘能力が高いし、サバイバルも慣れてるし使い魔としてけっこうお得。


”5番アイアンのおレイ”の戦闘力は1:30辺りから
http://www.youtube.com/watch?v=Pgiq4FilAcY
698名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:17:08 ID:QlSp4Bpz
幽白の飛影を召喚
使い魔になれって言った時点でルイズの首は胴体から離れてるな
699名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:17:39 ID:ZmPLRcS0
>>692
ぶっちゃけオリキャラ主人公で書いてる様な物ですしなぁ。
世界観が近い真女神転生カーンのノブ位個性あったらいけるかも。
700名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:17:54 ID:wcx5aQHT
貴族主義万歳なお方を召喚したら面白そうだと思ったが、
そういうタイプで、言うことを聞いてくれそうなやつってあまりいないんだよな。
701名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:20:13 ID:3W23TBt8
あえてルイズの要求通りの使い魔召喚は無理だろうか?
強くて美しくて神聖で珍しくて言うこと素直に聞いて(ry
702名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:20:39 ID:k3/tnEcD
クロスボーンのザビーネは?
703名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:22:51 ID:pGSdEL4M
>>701
……何かとんでもない欠陥を抱えてる気がするな。

『パラサイトムーン』の籤方とか……知ってる奴いないなあ。
704名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:23:32 ID:Q0StJIrn
>>700
ジーク、朽木白哉、オレンジ、コーネリア様(KF付き)、トモエ・マルグリット

確かにろくな奴が居ないな。
白哉がややマシな程度か。
705名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:23:34 ID:wcKssRz1
>>689
ヤツデンワニは本編後に恐竜屋のオーナーになって大企業に育て上げたんだぜ
無能だなんていわせないZE
706名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:23:38 ID:xQ3XhIcJ
攻殻機動隊SACから少佐を召喚するのはあった?
707名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:23:47 ID:QlSp4Bpz
>>701
ああっ女神さまのベルダンディしか思い浮かばない
708名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:26:13 ID:dXqvsxWo
>>707
守って守護月天のシャオが既に召喚済み。


ん、誰だ? ああっ女神さまのパクリとか言ってるのは。
709名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:26:59 ID:Q0StJIrn
>>701
スピリット・オブ・ファイア。
モンモンが下腹部貫かれ一撃死で死体も残らず、ギーシュが復讐に出る。
710名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:27:42 ID:L+cbH92y
>>701
ルイズの八つ当たり発言で死人の山が出来そうだ。
最初の犠牲者は…ルイズ本人になりそうな気もするが。
711名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:27:42 ID:at12n17+
>>706
確か無い
712名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:29:32 ID:L+cbH92y
>>710
アンカーミス
>>701>>703
713ディセプティコン・ゼロ:2007/11/17(土) 22:32:43 ID:uLb76bIz
ギトー! マルコメ! ルイズ!
終わったよ……(書き直しが)



投下、いいですか?
714名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:34:14 ID:Ef6M08QO
>>701
つピスケスのアルバフィカ、アフロディーテを黄金聖衣付きで。
強くて美しくて(聖衣着れば)神聖で珍しくて…は満たしてる。
最後のはルーン次第?
715名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:34:19 ID:hwuX01WT
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
716ディセプティコン・ゼロ:2007/11/17(土) 22:36:47 ID:uLb76bIz
では38分から投下します。
今回は規制喰らわないといいな……
717名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:38:08 ID:hwuX01WT
この寒空に全裸でずっと待ってたぜ支援
718ディセプティコン・ゼロ:2007/11/17(土) 22:38:35 ID:uLb76bIz

厚い雲の垂れ込める、アルビオン空軍工廠、ロサイス。
先日の戦闘によって多大な被害を被ったこの町は、未だその衝撃から立ち直ってはいない。
町は蹂躙の傷痕もそのままに、喪に服す人々の嘆きの声に満ちている。
しかし一方で、奇跡の様に原形を留めていた2本の巨大な煙突からは、連日の様に灰色の煙が立ち上っていた。
そして―――――



熱で折れ曲がり、桟橋としての機能を失いつつある建造物の根元には、満身創痍としか言い様の無い、巨大な空中帆走戦艦の姿。
吹き飛ばされたマスト、折り取られた左翼、抉られ消し飛んだ後部甲板。
未だ修繕の済まぬそれらの箇所には足場が構築され、その上では無数の作業員により修復作業が行われている。
そして艦体の傍らには、それを見上げる1人の男性の姿。



サー・ヘンリ・ボーウッド。
彼の眼前に座する巨艦『レキシントン』の艤装主任であり、次期艦長である。



「此処に居たか、ミスタ・ボーウッド」

背後から響く済んだ声に振り返れば、其処には緑のローブを纏った金髪の男性。
『レコン・キスタ』総司令官、オリヴァー・クロムウェルの姿が在った。

「経過はどうかね、主任」

供の者を背後に引き連れ、ボーウッドの横に並んで艤装中の『レキシントン』を見上げるクロムウェル。
彼の問い掛けに対し、ボーウッドは素っ気無く答えを返す。

「新型砲の搭載は完了しました。運が良かった。襲撃の2日前には全基完成していた」
「ふむ、保管庫も奇跡的に無事だった事だしな。始祖は我々に微笑んでいるぞ、主任」

そう言って微笑むクロムウェルを、ボーウッドは姿勢を戻す際にちらりと横目に見遣り、再び視線を『レキシントン』へと移す。

「しかし、左舷砲甲板が使い物になりません。右舷の損傷は軽微ですが、此方に砲を集中させれば主軸が傾いてしまう」
「その為に、君がこの案を出したのではないかね? 尤も、どの様な意図在っての事か、私にはさっぱりだが」

その言葉に答える事無く、ボーウッドは艦首を見遣る。
クロムウェルもそれに倣った。



艦首に増設された、計8門の砲座。
破壊された部位を改修、半ば強引に設置されたそれらは、通常の単縦陣戦法から考えても異常な配置だった。
このハルケギニアの砲戦形態に於いて、艦首及び艦尾の火力を強化する事により得られる利などほぼ皆無であるにも拘らず、未だ見ぬ敵を打ち砕かんとばかりに艦首に突き出した、8門の新型カノン砲。
優雅な曲線を描く輪郭から歪に飛び出したそれらの影は、見る者に薄ら寒いものを感じさせる。



「……搭載が可能なのは計16門。余剰の122門は『ミルウォーキー』及び『チャールストン』に搭載する事となります」
「成程。それで君は、この僅か16門の砲で『何』を相手にするつもりなのかね?」



沈黙。
ボーウッドは答えず、クロムウェルもまた、しつこく問い質そうとはしなかった。
彼等の背後、其処に控えた黒髪の女性が、訝しげに2人を見遣る。
しかしクロムウェルは咳払いをひとつ、ボーウッドへと向き直ると、表情を引き締めて告げた。
719ディセプティコン・ゼロ:2007/11/17(土) 22:40:34 ID:uLb76bIz

「君も知っての通り、『あの敵』には『ウインザー』の『積荷』を充てる。当初の予定とは少々異なるが、それが最も妥当だ。『毒を以って毒を制す』だよ」

そう告げると身を翻し、軽く手を振ってその場を後にする。
返答など期待していない、ボーウッドの行動を読んでの行動だった。
供の者達もそれに続き、黒髪の女性も戸惑いながら追従する。
ボーウッドはそれらを見送る事もなく、只々、奇妙な艤装を施されつつある巨艦の艦体を見上げていた。



「閣下、あの男は何を考えているのです?」

クロムウェルに付き従う従者の1人、黒髪の女性は仮初めの主従関係を演じつつ、そう問うた。
彼女にとって、目前の男は自身の駒であり、また彼女本来の主にとっても暇潰しの玩具に過ぎなかった。
気弱で、権威に弱く、俗物的で、聖職者という化けの皮の下には惨めなまでにみすぼらしい、ごくつまらない人間性が潜んでいる事を知っている。
しかし先程、何を考えているのか窺い知れないあの軍人と話しているその瞬間、彼は気弱な独裁者でも、聖人の仮面を貼り付けた盗人でもなく、ある事柄を確信した1人の人間であった。
彼女には、其処が解らない。



あの男は『積荷』が何かを知っていながら、ニューカッスルとこの町を襲ったあの『化け物』を、自らの手で仕留めるつもりなのだ。
それは間違い無い。
しかし、この男が何故それを容認するのか、其処が解らない。
正直なところ、主の関心を根こそぎ奪って行った、あの『ゴーレムもどき』は憎くて仕方が無い。
だが、その力は認めざるを得ない事も事実。
『あれ』一体で、一国を制圧する事すら出来よう。
然るべき地へと解き放った後、ただ敵が滅び行く様を眺めていれば良い。
否、敵の戦意を挫く為にも、そうすべきだ。
だというのに―――――



「ミス・シェフィールド」

暫しの後、クロムウェルは足を止め、背後を振り返らぬままに口を開いた。
偽りの主従、偽りの口調。
しかし続く言葉には、紛う事無き確信が込められていた。



「アルビオン空軍将兵は、他者の手を以って敵を屠るを良しとしない」



そう言い放ち、再び歩を進めるクロムウェル。
その言葉が意識に浸透するや否や、彼女―――――シェフィールドは背後へと振り返り、あの男の姿を見遣る。
そして、凍り付いた。



何故だろう。
実に恐ろしきはあの『化け物ども』だろうに、自分は別の存在を警戒している。
あの男は危険だと、意識の深淵、本能の何処かが警告している。
否、あの男だけではない。
あの船に乗り組む全ての将兵、頭上を舞う幾隻もの艦の乗組員達。
彼等が自身とは異質の存在であると、全身全霊が声高に叫んでいる。
彼等の本質を見誤ってはならないと。
720名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:41:39 ID:JJ+iKCNO
>>701
サムスピのパピィ(零の犬)

化け物とも戦えるぐらいに強い
見た目も結構美しい犬
神聖かどうかは不明
忍術が使えるので珍しい 狼っぽい見た目の犬で犬としても珍しそう
言うことは良く効くしガルフォードを追い抜かないように走る気遣いもある

エンディングで子犬を救ったガルフォードを助けてやばそうな空間の穴に吸い込まれてるから召喚されても後腐れなし

ちなみに飼い主に対する半蔵の台詞
「生半なことで 忍の道 極めること適わず。」
犬に対する半蔵の台詞
「すばらしき忍犬 惜しむべきは他流」
721ディセプティコン・ゼロ:2007/11/17(土) 22:41:56 ID:uLb76bIz

私達は、この国を理解したつもりだった。
その上で計画を練り、実行した。
しかし、例え国家としての在り方を理解した所で、其処に暮らす者、その全てを理解した事にはならない。
その考えは、正しく今の状況に当て嵌まる。
そう。



私達は『アルビオン空軍』という組織の本質を、完全に理解してはいなかった―――――



『レキシントン』より外され、何時の間にかシェフィールドを捉えていた、一対の眼。
彼女の意識に映り込んだボーウッドの視線は、獲物を狙う猛禽の目、氷よりなお凍て付く鋼の目だった。





「『竜の羽衣』……ですか?」

恐る恐る返された言葉に、ルイズは頷く。
厨房の片隅で交わされるその会話を、他のメイド達や料理人達が首を傾げつつ見守っていた。

「貴女がタルブの出身だと、オールド・オスマンから聞いたのだけれど。『竜の羽衣』がどんなものか、知っている範囲で教えてくれないかしら?」



事の起こりはキュルケが提案した、トリステイン国内に散在する『地球』製異物の捜索―――――と銘打った、要するに『宝探し』だった。
何処から手に入れてきたのか、大量の『宝の地図』と称された紙切れを基に、虱潰しに各地を視て回ろうと言い出したのだ。



真っ先に難色を示したのはギーシュ。
彼は、そんな何時まで掛かるか解らない事には付き合えない、アルビオンへの数日間だけでもモンモランシーの機嫌を損ねるには十分だったのに、と突っぱねた。
キュルケは不機嫌になった。

次にルイズ。
そう何日も授業を休める訳が無い、大体そう何日も姿が無ければ更に怪しまれる、只でさえアルビオンの件で色々と勘繰る者が居るというのに等々、否定的。
キュルケは涙目になった。

続いてタバサ。
面倒くさい、と一刀両断。
キュルケは幼児退行を起こした。

最後にデルフ。
全て回るというのは非効率的であり時間的損失の点からも容認出来ないが、情報を収集した上で調査地点を絞るのであれば良い提案だ、と比較的好意的。
キュルケはデルフに抱き付き口付けの雨を降らせ、自室へと持ち帰ろうとした所で気絶させられた。



そんな経緯を踏みオスマンに話を通したところ、彼は数枚の地図を見た後、学院に勤める者の中からその地の出身者をリストアップし、ルイズ達へと伝えたのである。
その情報を基にルイズ達は学院各所を巡り、『宝』に関する情報を現地出身者の口から収集し始めた。
そして彼女―――――何時だったかギーシュに絡まれ、上級生2人によって決して軽からぬ傷を負わされたメイドの少女もまた、その情報源の1人だった。


722ディセプティコン・ゼロ:2007/11/17(土) 22:43:00 ID:uLb76bIz

「『竜の羽衣』なんて言っても、大したものじゃありません。鉄で出来た、大きな何かの模型みたいなものなんです。それを身に纏った者は空を飛べる、って言われてたけど……」

其処でメイドの少女―――――シエスタは口を噤み、続いてはっとした様にルイズを見詰め、何事か呟き始めた。

「でも……ミス・ヴァリエールの……そんな……」
「何? どうしたの?」

そんな彼女の様子を訝しく思い、ルイズはその顔を間近から覗き込む。
すると、シエスタは慌てたのか、両の掌を振りながら早口で捲くし立てた。

「い、いえ! あの、ミス・ヴァリエールの使い魔も空を飛んでますよね? しかも鉄で出来てるし……なんか『竜の羽衣』と似てるなぁ、って……」
「シエスタ」

唐突に割り込んだルイズの声に、シエスタは身を竦ませる。

嗚呼、やはり気に障ってしまった。
貴族の使い魔と『竜の羽衣』を比べるなんて、どうしてそんな事をしてしまったのか。

己の失態を恨み、襲い来るであろう叱責の言葉に身構えるシエスタ。
しかしその直後、彼女は突如その手を包んだ温もりに目を瞬かせる。
見ればルイズが、彼女の両の掌を握り締め、真剣な表情でその目を見詰めていた。

そして、熱意の篭った言葉が発せられる。



「その話、もっと詳しく聞かせて貰えるかしら?」





「何で俺達まで……」
『まだ言ってるのか、サイト』

ルイズらによる情報収集の翌日、才人とテファは車上の人となっていた。
フロントガラスから覗く空は快晴の青、雲ひとつ無い。
これが『地球』であれば絶好のドライブ日和であったろうが、今の才人の機嫌は正しく最悪だった。

「当ったり前だ。何で俺らがあいつらの宝探しに付き合わなきゃならねーんだ」
『仕方無いだろう、それが交換条件なんだから。俺としては、学院に残るよりは安全だと思うが』
「解ってるよ。でもやっぱり気に入らねーんだッ」

そう言って、苛立たしげに拳を握る才人。
衝動のままにそれを振り上げ―――――

『プレーヤーを壊したら、俺は怒るぞ』

止めた。
ゆっくりと手を開き、膝の上に置く。

「ははは、当然じゃないか。誰もムシャクシャしてプレーヤーに八つ当たりしようなんて考えてないですよ? ギャングじゃあるまいし」
『ギャングかどうかは知らないが、折角のお気に入りなんだから丁重に扱ってくれよ』

乾いた笑いを零す才人と、何処か冷たさを含んだ音声を返すジャズ。
そんな2人の遣り取りを前に沈黙を保っていたテファだったが、意を決したかの様にジャズへと問い掛けた。
723ディセプティコン・ゼロ:2007/11/17(土) 22:44:30 ID:uLb76bIz

「ねぇ、ジャズ」
『何だ?』
「本当に何も、何ひとつ思い出せないの?」

その問いに、ジャズは黙り込んだ。
才人もまた、表情を引き締めてジャズの返答を待つ。

「あの剣の言った事が本当だとすればだけど……ジャズには目的が在ったんじゃないの? それに仲間も」
『……駄目だな、思い出せない』

漸く返された答えは、苦渋に満ちたものだった。

「あいつ、ジャズは『オートボッツ』だって言ってたな。『ディセプティコンズ』……だっけ。あのヘリの敵だって」

沈黙。
ジャズは答えを返さず、才人とテファもまた口を閉ざした。
ふと前方の空を見遣れば、其処には蒼穹を往く青い風竜の姿。
悠々と飛ぶその背には5つの人影。

「……まさか『竜の羽衣』ってのも『ディセプティコンズ』じゃないよな?」

またもや、車内に沈黙が降りる。
先程よりも更に重い、不安と緊張に満ちた沈黙。
しかしそれは、突如としてスピーカーから響き出したロックによって打ち破られた。
驚き、ステアリング・ホイールを見詰める才人、テファ。
そして、ジャズの陽気な音声が響いた。



『考えても仕方の無い事は考えるな。これ、俺の持論。もう少し気楽にいこうぜ』



続く笑い声に車内の2人は互いの顔を見合わせ、次いで溜息を吐いた。

「はぁ……」
「何だかなぁ……」
『何だ、その失礼な反応は』

不満げなジャズ。
それに対し、才人は頭痛を堪えるかの様に眉を寄せつつ、呆れを滲ませて呟く。

「慎重になるに越した事は無いだろ」
『俺こそは慎重さの王様ですよ?』

ウソこけ、本当だって、と言い争う2人。
助手席からその様を眺めながら、テファは物憂げだった顔に優しい笑みを浮かべた。





ハーフエルフの少女の抗議によってソルスティス車内にリラクゼーション・ミュージックが流れ始めた頃、空を往く風竜の背では1人を除く女性陣一同が盛り上がっていた。
ブラックアウトは速いが乗っていて疲れる、との事で採用されたタバサの使い魔、シルフィード。
シエスタを含め、すっかり意気投合した彼女らが盛り上がる一方で、デルフとギーシュの男性陣は、その背面前方の隅へと追い遣られていた。
吹き付ける風に髪を靡かせながら、ギーシュはぽつりと呟く。
724ディセプティコン・ゼロ:2007/11/17(土) 22:46:01 ID:uLb76bIz

「僕は何故此処に居るんだろう」
「突っ込まねーぞ、俺は」

きゅい、と続いた鳴き声に、ギーシュは己の目に熱い水分が浮かぶのを自覚した。
自分に味方は居ないのか、どうして地表数十メイル上空を飛ぶ風竜の背で孤独を味わわねばならんのだ等々、恨み言が脳裏を過ぎる。
背後から笑い声。
『地球』のとある国家限定の格言だが、正しく『女三人寄れば姦しい』、である。

「孤独だ……」
「だったらあの娘っ子も連れてくりゃ良かったじゃねーか。恋人なんだろ?」
「馬鹿を言わないでくれ。こんな危険な事に彼女を巻き込める訳無いじゃないか」

デルフの言葉に、ギーシュは目を剥いて食って掛かる。
彼女、とはモンモランシーの事であろうが、ギーシュに彼女をこの事態に巻き込む気は更々無かった。
しかしデルフは冷徹に、そんなギーシュの希望を打ち砕く。

「何時までも誤魔化す事は出来ないぜ。どっちみちバレるなら、まだ修正の効く内が良いと思うがね」
「修正?」

首を傾げるギーシュ。
デルフは剣の状態から片方のマニピュレーターを展開、立てた1本の指で鍔の辺りを横になぞる、高速で。

「別れ話になる前に、って事だ」
「帰ったら彼女に全てを打ち明けようと思う。どうかな?」
「了承した」

再び、きゅいぃ、とシルフィードが鳴く。
それは男同士の馬鹿話に対し、着いていけないとばかりに上げられた、乙女の嘆きだった。



一方で、ルイズ達の会話内容は『竜の羽衣』についてへと移り変わっていた。
一応の確認として始められた会話だったが、しかし当初の予想に反し、その内容は徐々に深刻なものとなってゆく。
切っ掛けは、ルイズが確認の為に発した言葉だった。

「『竜の羽衣』が安置されてる寺院は、立ち入りが禁じられているのよね。理由は何なの?」

その言葉に、キュルケとタバサが目を瞠った。
2人の反応に驚いたのか、ルイズが僅かにたじろぐ。
次の瞬間、彼女は2人の拳によって頭を小突かれていた。

「いったぁーいっ!」
「このお馬鹿! 普通そういう事は前日の内に訊いておくべきでしょ!」
「常識」

叱責の言葉を吐く2人に対し、頭を押さえて涙目になっていたルイズが、猛然と食って掛かる。

「大した事無いと思ってたのよ! それに、こっちにはデルフが居るんだし、下の2人も居るんだから十分じゃない! ブラックアウトだって、呼べば1時間以内に来るわ!」
「それでも軽率な事には変わり無いでしょ! ああもう、しっかりした様で何処か抜けてるんだから、この娘は!」

喧々諤々と、言い争いを始めるルイズとキュルケ。
その様を呆然と見詰めていたシエスタであったが、その服の裾を引く手に意識を引き寄せられる。
見ればタバサが、質問の答えを促す様に彼女を見上げていた。

「それで、どうして?」
725名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:48:35 ID:+aCeUZy0
まとめwiki見れなくて寂しいと言いつつ支援
726名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:48:42 ID:4BiCK5qX
呉越同舟支援
727名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:49:03 ID:TqAl25ex
ギーシュ、それ死亡フラグだってば!支援
728名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:50:13 ID:JJ+iKCNO
>>714
見た目は人だし
しばらくしたらシャカとかムウが迎えにきそう…


支援!
729名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:53:25 ID:hwuX01WT
避難所がメンテちゅうだな支援
730ディセプティコン・ゼロ 代理:2007/11/17(土) 22:59:32 ID:Nf8mVkGu
改めて紡がれる、問い掛けの言葉。
シエスタは一度、深く息を吸い込み、答えた。



「……殺されたんです、人が」



瞬間、喧騒が止む。
ルイズらは驚いた様にシエスタを見詰め、ギーシュまでもが背後へと振り返っていた。
そんな中、タバサだけが冷静に質問を重ねる。

「いつ?」
「8年前の、夏の中頃です。夕暮れ時に寺院の方から、雷みたいな音が聴こえてきたんです。村の人が見に行ったら、一帯の地面が焼け焦げていて……寺院の扉が壊されていたんです」

風切り音の中、誰かが唾を飲み込む音が一同の耳に届く。
言葉を発する者は無く、誰もがシエスタの話に聞き入っていた。

「メイジ崩れの盗賊かも、って皆は家に篭って……その、夜中です。夕暮れの時とは違う、重い音が響いて……次の朝、トム爺さんが居ないって分かって……」
「トム爺さん?」

キュルケが問う。
シエスタが頷き、答えた。

「皆、そう呼んでました。私のひいおじいちゃんと仲が良かったんです。いろんな事を知ってて、ひいおじいちゃんと一緒に村の人達に色々教えてくれたって」
「殺されたのは、その人なのかい?」

ギーシュの問い。
シエスタは躊躇う様に一拍の間を置き、頷く。

「……はい。寺院から少し離れた草原で……『流れ星』の近くで、遺体が見つかりました。といっても、多分トム爺さんだ、としか解らなかったらしいです」
「……多分?」
731ディセプティコン・ゼロ 代理:2007/11/17(土) 23:01:30 ID:Nf8mVkGu
一同の脳裏に、嫌な予感が走る。
そして続くシエスタの言葉は、その予感の的中を裏付けるものだった。

「バラバラだったって……胴体の一部と、右の足首しか見つからなかったって、父は言ってました。火傷の痕が在るから、多分トム爺さんだって」

誰も口を開かない。
皆、予想外の事態に凍り付いている。
そんな中、デルフだけが平然と言葉を紡いだ。

「よう娘っ子、『流れ星』ってのは何だ?」

突然割り込んだ声。
その発生源近くに居たギーシュは身を竦ませたが、既にデルフがインテリジェンスソードと聞かされていたシエスタは、驚く事も無く的確に答えを返す。

「40年くらい前に、タルブの草原に落ちてきたんです。大きな火の玉で、落ちた瞬間には物凄い音と振動が起こったそうですよ。
当時はゲルマニアとの小競り合いが起こっていたし、特に被害も無いという事で、領主の貴族様からは無視されました。トム爺さんは、その時に助け出されたんです」
「助け出された……って」

シエスタは頷き、続ける。

「多分『流れ星』が落ちた辺りに居たんだと思います。頭と腕の一部以外の全身に火傷を負っていて、殆ど瀕死の状態だったそうです。ひいおじいちゃんが先頭に立って、皆で助け出して介抱したって聞きました。記憶が混乱してて、そのままタルブに住む事になったって」

其処でシエスタは言葉を区切り、何処か悲しげな笑みを浮かべる。
そして、何かを思い出すかの様に、ゆっくりと話を再開した。
732名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:01:37 ID:kCVY2irD
支援
733名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:03:02 ID:xt79tAV/
えい 支援
734名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:03:44 ID:xt79tAV/
支援
735ディセプティコン・ゼロ 代理:2007/11/17(土) 23:05:15 ID:Nf8mVkGu
要中座になったので誰か代理引継ぎヨロ
736名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:08:14 ID:2VPvg6H6
支援支援しええええええん

ディセプティコン、敬礼っ!!
737名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:16:35 ID:xt79tAV/
支援
738名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:17:06 ID:hA9C1cwq
スタースクリーム支援
739ディセプティコン・ゼロ 代理その2:2007/11/17(土) 23:19:10 ID:s3aMwq1a
「小さい頃、色んな御伽噺を聞かされました。竜より大きい鉄の鳥が居るとか、馬よりずっと速く走る鉄の乗り物が在るとか。他にも、空のずっと上には不思議な場所が在って、其処では上も下も無いとか」

段々と熱が篭り、声が大きくなる。
悲しげな表情はそのままに、しかし口調は楽しげなものとなっていた。

「ひいおじいちゃん以外ではただ1人、『竜の羽衣』が飛ぶって信じてる人でした。自分も、似た様なものを飛ばしてたって。木で作った模型を飛ばして、どうやって飛ぶのか説明してくれた事も在ります。でも、鉄で出来たものが飛ぶなんて、誰も信じなかったけど……」

其処でシエスタは、爆音と共に地表を走るソルスティスへと目を落とす。
釣られて、他の4人もジャズへと視線を向けた。
そして何処か嬉しそうに、シエスタが声を発する。

「でも、本当だったんですね。ミス・ヴァリエールの使い魔や、あの鉄の乗り物が在るんですから。トム爺さんや、ひいおじいちゃんの言ってた事は、きっと本当だったんですね」

薄らと涙さえ浮かべ、本当に嬉しそうに言葉を紡ぐシエスタ。
その様子に胸が詰まる様な感覚を覚えた4人だったが、其処に無粋な横槍が入る。
デルフだ。

「娘っ子、そのトム爺さんとやらの本名は分かるか?」

その瞬間、4対の視線が非難するかの様にデルフへと向けられる。
しかし、彼に堪える様子は無い
シエスタは数度、目を瞬かせていたが、やがて頷き、答えた。
740名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:20:14 ID:4iGLxBZ8
しかしウィキは22時からメンテナンスなのであった!
いやマジ残念。
741ディセプティコン・ゼロ 代理その2:2007/11/17(土) 23:20:21 ID:s3aMwq1a
「『ジェイコブ・トンプソン』です」
「爺さんは『流れ星』について、何か言ってなかったか」



シエスタは小首を傾げ、暫し思案した後―――――小さく手を叩き、その名を口にした。
歴史の陰に葬られた、呪われし名を。



「『亡霊』―――――トム爺さんは、そう呼んでいました。『ゴースト1号』、と」





アルビオン空軍工廠の町、ロサイス。
その宿の一室で、フーケと男は酒を酌み交わしていた。
しかし、2人の間には張り詰めた空気が漂い、その様子は逢瀬からは程遠い。
やがて、フーケが痺れを切らした様に口を開いた。

「わざわざ戦場くんだりまで行って、どうしようってんだい。あの化け物が仕留められる様を見学しようとでも?」
「そのつもりだ」
「はん、御苦労なこったね。それで、何の用が在って此処に? 言っとくけどね、私は―――――」
「共に来い、マチルダ」

フーケの声を遮り、男の言葉が部屋に響く。
瞬間、フーケは予備の杖を抜き、男へと向けた。
男は反応しない。

「……」
「ふざけんじゃないよ……私はあの娘等を取り戻しに行く。邪魔するのなら……」
「邪魔などしない」

つと、男は重力を感じさせない動きで立ち上がり、フーケの杖を押さえ込む。
流れる様な動き。
フーケは反応出来ない。
思わず舌打ちするが、杖を抑え込む力は驚くほど緩やかだった。
男は言葉を続ける。
742名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:21:12 ID:xt79tAV/
しえん
743ディセプティコン・ゼロ 代理その2:2007/11/17(土) 23:21:27 ID:s3aMwq1a
「お前は気にならないのか? あの化け物が何なのか。あれだけの存在を従えるルイズは何者なのか」
「そんな事が私に何の―――――」
「ウエストウッドを護っていたゴーレムは、間違い無くその同類だ」
「―――――!」

杖が放される。
フーケの手に杖の重みが戻るが、その先端が男へと向けられる事は無かった。

「……」
「共に来い。あれらが何なのか、見極める必要が在る……違うな。俺は、知りたい。あれが何なのか、何故ルイズの使い魔なのか。それを知りたい」

その言葉に、フーケはまじまじと相手の顔を見遣る。
男は真剣な表情でフーケを見詰め、返答を待っていた。

「何で? 何であんたは、そんな事を?」

フーケから男への問い。
男は軽く目を伏せ、首を振った。

「あれは、二万もの兵を殺めた。民間人さえ巻き込んで。躊躇無く、いとも容易くだ。彼女が、そんな命令を下す筈が無い。あれは自身の意思で、あの殺戮を行ったのだ」

そして窓の外、発令所の先に在る、船着場へと視線を向ける。
其処には『レキシントン』には及ばないものの、巨大な船が停泊していた。

クロムウェル直属の兵が乗り組んだ、1隻の空中帆船。
輸送艦『ウインザー』号。



「……クロムウェルも、同じ力を手にしている」
「……!」



今度こそ、驚愕を露にするフーケ。
そんな彼女を見遣り、男は更に続ける。


744名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:21:38 ID:xt79tAV/
しえん
745名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:22:23 ID:6rOxugYI
おおお前日譚の試作型宇宙船か!
746名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:22:37 ID:LxWY+6Dw
よんえん
747名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:22:56 ID:xt79tAV/
支援
748名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:23:23 ID:xt79tAV/
支援
749ディセプティコン・ゼロ 代理その2:2007/11/17(土) 23:23:46 ID:s3aMwq1a
「あの船が何処から来たのか? 知る者は居ない。『積荷』を何処で手に入れたのかについても同様だ。クロムウェルが召喚した? それも違う。恐らく、他国が絡んでいる」
「他国?」
「ガリアか、ロマリア」

沈黙。
フーケには、男が言った事を理解する為に、時間が必要だった。

余りにも危険な力を秘めた使い魔。
暴走。
同じ力を用いようとするクロムウェル。
ガリア、若しくはロマリアの介入。

其処で、フーケは気付いた。
余りにも単純な事実に。
そして若干の呆れを声に滲ませ、それを言葉に乗せた。



「要するにあんた、あの娘の事が心配なんじゃないか」



後にフーケは、笑いと共に語る。
己の言葉を聞いた、その瞬間の男の顔を忘れる事は、生涯無いだろう、と。



男―――――ワルドは一瞬にして赤面し、椅子に掛けられていた羽帽子を被るや否や、鍔を深く下ろして顔を隠したのだった。
750ディセプティコン・ゼロ 代理その2:2007/11/17(土) 23:25:31 ID:s3aMwq1a
捻れ潰れた鉄塊の前で、ルイズ達は呆然と佇んでいた。
大地に刻まれた、長大な爪跡。
巨大な質量を持つ物体の落着痕の中、微かに原形を留めるだけのその物体は、それでもなおその威容を失う事は無かった。
その側でシエスタが、自ら知り得る限りの情報を並べ立ててゆく。

「これ、鉄のようですけど、どんな事をしても表面を削るのがやっとなんです。よっぽど強力な固定化が掛けられているんでしょうか」

次いで、少し離れた落着痕の一画を指し、言葉を繋げる。

「あそこに建っているのは、トム爺さんが立てたお墓です。一緒に巻き込まれた人達のものらしいですけど、見た事も無い字で、誰も読めないんです」

その言葉が終わるや否や、ギーシュがデルフを持って歩み寄り、墓の前に翳す。
シエスタは訝しげにその様子を見詰めていたが、直後にデルフから発せられた声に驚愕した。



「『サム・ウォーカー、ゴースト1号船長』」



ギーシュが、次の墓へと歩み寄る。
すぐさま、新たな名が読み上げられた。



「『マリア・ゴンザレス、通信士』」



その後、残る2つの墓の名も、同様にして読み上げられる。
どちらもやはり、このハルケギニアでは馴染みの無い響きだった。



「『マイケル・エイヴリー、科学主任』、『クレイグ・クラークソン、システム・エンジニア』」



そして最後に、4つの墓標の下、半ば地面に埋もれる様にして据えられた石碑に刻まれた文面を前に、デルフは僅かな昂りさえ滲ませて音声を発する。
751名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:25:35 ID:xt79tAV/
しえn
752ディセプティコン・ゼロ 代理その2:2007/11/17(土) 23:26:46 ID:s3aMwq1a

「『我がクルー、我が戦友達の魂の安らぎの為。卑劣なる敵と戦い、誇りと共に死した英雄達、その故郷に遺されし家族の為。我、此処に友の名を記し、その偉業を讃えん。合衆国特務機関《セクター7》アルファ基地所属ゴースト1号副操縦士、ジェイコブ・トンプソン』」



読み上げるや否や、デルフは亜人型へと変形。
突然の事に驚き、唖然とするシエスタを余所に、ジャズまでもが変形する。
彼等は『流れ星』へと歩み寄り、その全体をスキャン。
次の瞬間、今度こそ昂りを隠そうともせず、デルフは叫んだ。



「おでれーた! こいつは『宇宙船』だぜ! 『セイバートロン』の技術を流用した、『地球』製の船だ!」



その叫びに、一同の思考が目まぐるしく動き出す。
懸命に状況の把握を行おうとする彼等を尻目に、デルフはシエスタへと呼び掛けた。

「娘っ子、寺院ってのに案内してくれ。ほれ、急げ! 『竜の羽衣』が何なのか、見てみようじゃねぇか!」
753名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:27:04 ID:xt79tAV/
支援
754名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:27:06 ID:4iGLxBZ8
と、思ったら代理の人きてるー!?
じゃあ支援! 全力で支援!
755名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:28:17 ID:xt79tAV/
支援
756ディセプティコン・ゼロ 代理その2:2007/11/17(土) 23:28:30 ID:s3aMwq1a

『それ』は落胆の内に在った。
僅か8年の歳月で、宇宙を彷徨った数千年と同程度の忍耐を要求され、しかし現状の打開には時間の経過を待つ以外の手段が存在しないと知り、酷く憔悴―――――比喩的な意味で―――――していた。

恒星系の探索は無為に終わり、解った事といえば、かつてこの惑星には『地球』とほぼ同程度の機械文明が存在していた事、それらが既に何らかの要因で滅び、現在では一部地域を除いてエレクトロニクスが存在しない事、その程度。
復讐の完遂に対する感慨は既に薄れ、今や如何に時間を潰し、この惑星の各所で僅かに稼動する電子システムの成熟を待つか、それだけが感心事となっていた。

いっその事、短絡回路に切り替えて状況の変化を待つか?
いや、それでは詳細な判断が要求される局面に対応出来ない。
では積極的に知性体郡とコンタクトを取り、エレクトロニクスの発達を促すか?

其処まで思考し、憤りと共にその案を却下する。
思考中枢を過ぎるのは、7年前の忌々しい記憶。
757名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:28:44 ID:xt79tAV/
支援
758名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:28:53 ID:xt79tAV/
支援
759名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:29:44 ID:xt79tAV/
支援
760名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:32:12 ID:xt79tAV/
しえん
761名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:33:57 ID:kS+aKJp2
今回はここまでかな?
762名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:37:26 ID:hA9C1cwq
まだある! 支援
763ディセプティコン・ゼロ:2007/11/17(土) 23:37:55 ID:uLb76bIz
テスト。
764名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:38:24 ID:xt79tAV/
支援
765名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:38:30 ID:hA9C1cwq
代理投下支援、何時でもいけますぜ?
766名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:39:03 ID:xt79tAV/
支援
767代理人その2:2007/11/17(土) 23:39:17 ID:KFR+36Cl
規制くらいました
続きがまだありますので、どなたかお願いします
768ディセプティコン・ゼロ:2007/11/17(土) 23:40:01 ID:uLb76bIz
自分で書き込めた……何で?
とりあえず続き投下します。
769名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:40:48 ID:FId5Zr4F
支援
770ディセプティコン・ゼロ:2007/11/17(土) 23:41:06 ID:uLb76bIz

各種センサーを妨害しようと間断無く放たれる、出所不明のジャミング波を調査する為に赴いた砂漠地帯。
そのほぼ中央で『それ』は、巧妙にカモフラージュされた対空迎撃システムにより損害を被った。
科学技術文明の崩壊したこの惑星に於いて、高度な機械的迎撃システムを有する存在が在った事には驚かされたが、それに対する学術的好奇心よりも、コンタクトの試みひとつ無く迎撃手段を行使した知性体に対する警戒心が上回り、即座に撤退を選択したのだ。
『それ』は自身の能力の絶対性を確信してはいたが、同時に慎重さをも持ち合わせており、何より現実を捉えていた。

あれだけ厳重に構築された迎撃エリアに踏み込んで、五体満足で生還出来ると考えるほど、自惚れている訳ではない。
例え原始的な兵器であろうとも、それよりも遥かに進化した機械生命体を打倒出来るという事実は、8年前に確認済みだ。
正確には、更にその三十数年前に一度、その事実を嫌と言う程この身体に刻み込まれているのだが。
兎も角、あの危険な連中を相手取るには、単独では心許無い。
かといって、戦力として用いる事の出来る機械知性体がこの地域に発生するまで、どれ程の時間を要する事か。
『魔法』という未知の技術体系が科学技術の発達を阻害している以上、1世紀や2世紀では済むまい。
八方塞とはこの事か―――――



そんな事を延々と思考していた、その時。
『それ』は己の根城としている建造物に歩み寄る、複数の有機生命体の存在を探知した。
即座にマスターアーム・コントロール・システムを起動し、破壊された入り口の隙間から覗く、外部の空間を探る。



―――――此処には、8年前のあの日からというものの、来訪の足は途絶えた筈だが。
有機生命体の幼生が、遊戯の延長として踏み入ったのか?
それともオークとかいう、あの醜悪にして下等な知性体が迷い込んだのか?

まあ、良い。
どちらにせよ、やるべき事は一緒だ。
推進装置を少々稼動させて脅かし、追い払う。
それでも立ち去らないのなら、面倒だが数発ばかり、20mmを撃ち込んでやれば良い。
すぐに静かになるだろう。



そうして、透過スキャンを開始し―――――




771ディセプティコン・ゼロ:2007/11/17(土) 23:42:12 ID:uLb76bIz

『……!』





―――――次いで『それ』は驚愕し、その発達したシステムからは考えられない程の間を置いた後―――――歓喜した。



有機体の側を歩く、自身と同じく高度に発達した機械知性体、その姿。
それを擬似視界に収め、理解した。



『機』は訪れた。
行動の時がきたのだ。



ゆっくりと抉じ開けられる壊れた扉を見遣りつつ、『それ』は閉鎖されたシステム内で電子の嗤いを上げる。



『オールスパーク』よ、これは天啓か?
俺にこの世界を支配せよと、新たなる段階への進化を促せと、そういう事なのか?
良いだろう。
俺がこの『ハルケギニア』の支配者となってやる。
時間など、幾ら掛かろうと関係無い。
当て所無く宇宙を彷徨った数千年に比べれば、積極的且つ建設的な行動を伴った数万年など、取るに足らない労苦なのだから。





そして遂に、開かれた扉を潜り、5つの有機生命体と1つの機械生命体が建造物内へと踏み入った。
『それ』は直ちに、過去幾度と無く用いた手法を選択。
実に四十数年振りに、他知性体との欺瞞に満ちたコンタクトを開始する。



楽しかった。
実に楽しかった。
この世界に来て、初めてともいえる享楽的な感覚だった。
そして、自身が常に意識しておくべき事柄を確認しつつ、『それ』は最初のフェイズへと移行する。


772名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:42:26 ID:xt79tAV/
支援
773名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:42:34 ID:xt79tAV/
支援
774名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:42:59 ID:hwuX01WT
しえん
775名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:43:08 ID:xt79tAV/
しえん
776名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:43:17 ID:6rOxugYI
彼が!ついに彼が!
航空参謀のお出ましか! 支援
777ディセプティコン・ゼロ:2007/11/17(土) 23:43:26 ID:uLb76bIz

無知と恐怖こそは、他者を操る為の最適な餌である。
情報は自身のみが秘めるべきものである。
そして、最も肝心な事。
『この宇宙は望みを捨てぬ者を助ける』―――――否。



『それ』は嘲笑と共に、その認識を修正する。
四十数年前、名も無き宇宙の片隅でそうしたように。
憐れな遭難者達を、下等な有機生命体郡を貶めた時のように。



『この宇宙は自らの為に捻じ曲げんと慎重に配慮する者をこそ助ける』、だったな。



嘗て『欺瞞の民』を率いた存在は、陰謀に彩られたその銃口を覆い隠すべく、擬装の言葉を紡ぎ出した。





『始めまして―――――君達はトムの友人かな? 紳士淑女諸君』
778名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:43:44 ID:UVcUSqUX
ラプター!
最悪の援軍だwww
779名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:45:02 ID:xt79tAV/
しえん
780名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:45:11 ID:xt79tAV/
しえん
781名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:45:45 ID:kS+aKJp2
対面したブラ公がどんな顔をするか、支援!
782名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:46:22 ID:xt79tAV/
しえん
783名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/17(土) 23:46:36 ID:xt79tAV/
しえん
784ディセプティコン・ゼロ:2007/11/17(土) 23:47:28 ID:uLb76bIz
投下終了。

規制されたと思ったのですが……勘違いか?
代理投下なさってくれた>>730>>739の方々、お手数をお掛けして申し訳在りません。
そして本当にありがとうございました。
更に、投下の為に長い事、場を占有してしまった事をお詫びします。
785名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:48:10 ID:4YGRAVAu
航空参謀!他作品で主役を張ってる航空参謀じゃないか!
786ディセプティコン・ゼロ 代理:2007/11/17(土) 23:48:32 ID:Nf8mVkGu
中座より復帰
本分は完了のようだ
>自分で書き込めた……何で?
代理やった時1行文字数制限で弾かれたから改行足したのがある
おそらくそれだ
787名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:48:57 ID:EVaThw3W
ああ、あのぶっ細工になっちゃった参謀か。
788名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:50:35 ID:PUS48iej
らぷたんktkr
789名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:51:46 ID:X3DTBHfQ
股間をミサイルで撃たれて撤退した航空参謀ktkr
GJでした!続きが怖いです!
790名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:52:32 ID:GW+iyZq9
ゴースト1と言う事は頭良いけど甲斐性無しの大嘘吐きスタスクの方かwwww(いつもと変わらん)
791ディセプティコン・ゼロ:2007/11/17(土) 23:54:22 ID:uLb76bIz
>>789
改行でしたか、成る程。
多分それで弾かれたときに、前回の規制を思い出して勘違いしたんだと思います。
どれだけビビリだよ、自分……orz

代理投下に指摘、重ね重ね有難うございます。
792名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:54:30 ID:Ef6M08QO
誰かと思ったらいざとなればルイズが間接の隙間に棒でも突っ込めばおkな人!
いざとなればルイズが間接の隙間に棒でも突っ込めばおkな人じゃないか!
793名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:55:41 ID:GW+iyZq9
お許し下さいメガトロン様支援
794名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:56:02 ID:6rfJdpKN
ルイズの隙間に棒でも突っ込めばおkに見えた俺は間違いなく病んでる。
795名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:56:07 ID:nYVyvBZh
正直、元ネタはなんなの<ゴースト1号?
796名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:56:44 ID:Nf8mVkGu
>間接
ヒジだのヒザだのにある方は「関節」な
797ディセプティコン・ゼロ:2007/11/17(土) 23:57:11 ID:uLb76bIz
>>786でした。
いかん、いかんよ、何かおかしいぞ俺……





やはり冬に全裸はマズかっただろうか?
798名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:58:27 ID:x8/nzHSJ
ルイズの股間にって見えたおれは間違いなく脳みそ膿んでる
799名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:59:10 ID:FId5Zr4F
>>797
最低限くつしたは履くのが大人のマナー

とはいえGJです
800名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:59:34 ID:GW+iyZq9
>>795
小説トランスフォーマー「ゴーストオブイエスタディ」
デストロンの面々が凄くデストロンしてる話
801名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:01:33 ID:x8/nzHSJ
>>799
そこはあの男にならって萌え業界の鉄則というべき。
802魔法少女リリカルルイズ:2007/11/18(日) 00:01:58 ID:Wi6kEM9d
投下してよろしいでしょうか。
803名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:02:29 ID:P1b29iFx
>>797
流石GJ、続きが気になって仕方ない

だが全裸はいただけないな
ネクタイを忘れるとは英国紳士としての嗜みが足りない
804名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:02:55 ID:RPr/eR1+
何故かWikiに繋がらないわけだが、規制でもされてるんだろうか、俺は
805名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:03:20 ID:7whg8AYF
<<進路クリアー、投下、どうぞ!!>>
806名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:03:52 ID:2K6cWo5b
>>804
メンテ中らしい
明日か明後日の七時までって聞いた
807名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:04:20 ID:s/JdOtfA
>>803
メンテ中。

雑談などどうでもいい、支援だ。支援に徹しろ!
808名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:05:20 ID:wrnT0G1e
週末は
投下いっぱい
うれしいな

支援
809名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:05:31 ID:3jMW9Yv5
よろしい、ならば支援だ!
810名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:06:03 ID:g53LnuIr
Wikiどころか明日の朝七時までメンテだ
811名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:06:13 ID:5pdvgW4l
全裸か……貴様、(アムロスレを)見ているなッ!?
そしてリリカルで将来めい☆おーにならないか心配なルイズ支援
812名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:07:09 ID:ScdDmorq
支援じゃー
813名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:08:04 ID:Tv6+NiNe
支援&情報thx
814名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:08:08 ID:xWYVusOU
>>784
デストロンのニューリーダー(自称)乙
815魔法少女リリカルルイズ:2007/11/18(日) 00:08:49 ID:+gUKvhst
砲撃魔法ディバインバスターはいつまでも撃ち続けられるような魔法ではない。
短距離走にも似て、砲撃時間はルイズの能力に依存する。
その限界時間まで撃ち終えたルイズは、レイジングハートを上に向けて顔をしかめる。
「ルイズ?」
「駄目。届いてない」
暴走したギーシュのゴーレムを撃破したとき、城下町で暴れる木を撃ち抜いたとき、どちらもジュエルシードをつかんだ、という手応えがあった。
だが、今は限界まで撃ち続けてもその手応えがない。
魔力がジュエルシードまで届いてないのだ。
「なら、もう一回!」
再び魔力を溜め直せばディバインバスターは撃てる。
ルイズは今度こそと再びレイジングハートを構える。
そのとき、またルイズは閃光を感じた。
ジュエルシードの力が高まっているのだ。
その証拠にむき出しのジュエルシードが輝き、その中でゴーレムが急速に復元していく。
復元が簡単な土のゴーレムであっても、あの速度は異常だ。
「その前に撃ち抜いてやるわ」
ルイズの呪文に応じて作られた光球──ディバインバスターの発射台となるそれは、ディバインスフィアと呼ばれる──が徐々に大きくなっていく。
その間もゴーレムは急速に回復していき、ついにはルイズの魔法が完成する前に復元を終えた。
そして、ルイズに右腕を向ける。
ルイズは呪文を止めない。この距離ならゴーレムには手を出せるはずがないからだ。
それに砲撃魔法以外にルイズには選択肢がない。
「リリカル・マジカル」
魔法の完成まであと一回というときにゴーレムが突き出した手がぼろりと崩れた。
崩れた腕の中からは黒い筒が現れる。
それを見たユーノが顔色を青くして、なおも力ある言葉を唱え続けるルイズの前に出る。
ディバインスフィアの前にだ。
「ルイズ!駄目だよ!よけて」
ゴーレムが突き出す黒い筒から爆発音がする。
同時に、ユーノが右手に作り出したシールドと何かがぶつかって爆音をあげる。
「早く、ルイズ逃げて!」
ルイズは訳がわからない。
あのゴーレムが何をしたのか、何が爆発したのかさっぱりわからない。
魔法を使ったのと言うのもおかしい。即席のゴーレムがそこまで高度なことをするはずもない。
それでもユーノの言うことはわかる。
光るフライアーフィンで宙を滑り、下がる。
さらに、ゴーレムの黒い筒から3回音がする。
高速で飛ぶルイズには、ゴーレムが黒い筒から、火を噴くおかしな形の火矢を射出したのがわかった。
それは、本当におかしな形の火矢という他はない。
鏃の代わりに口を貼り合わせた黒いカップみたいなものがついている。
いくら火矢でもあんな尖ってない鏃では意味がないだろうとは思うが、ユーノが警戒しているのなら、きっと危険なものなのだろう。
その火を噴く矢が三つ、ルイズめがけて飛んで来る。
「な、何よ!あれ」
このままでは火矢に当たってしまう。
ルイズはただ後ろに飛ぶのをやめ、右に滑る。
どんな矢でも横に避けてしまえば当たりはしない。
「えっ?」
ルイズは驚きとともに速度を上げる。
矢は普通、直線にしか飛ばない。
だが、この火を噴く矢はルイズが避ける方向に向きを変えて追ってくる。
「何よ、こいつ」
ルイズは自分より少しだけ速い矢を振り切るべく、今度は地面に向けて加速した。

学院の品評会場であわてていたコルベールもゴーレムとそれと戦うメイジに気づいていた。
会場にいる他の生徒や教師と同様にコルベールも空を見上げる。
「あれは……」
コルベールはメイジを追跡する火矢は考えたことがあった。が、今はその研究は止まっている。
「ほう」
コルベールはほんの少しの間、危険を忘れて感嘆の声を上げた。
816名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:10:15 ID:5pdvgW4l
アクセル支援
817名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:11:27 ID:1AhLeyVq
支援
818魔法少女リリカルルイズ:2007/11/18(日) 00:12:43 ID:+gUKvhst
火矢はルイズを追い、地面に向きを変える。
肩越しにそれを見たルイズは、地面にぶつかる寸前で反転。地面を蹴って今度は急上昇する。
ルイズを追っている火矢も向きを変えてルイズ追い、上昇に転じようとするが、1本は間に合わなかった。
地面に激突し、そして

かぜっぴきのではなく、北風のマリコルヌは人混みを外れて少し休んでいた。
そろそろ会場に戻ろうとしたところで、空気を切る鋭い音が聞こえてきた。
振り返ると何か白いものが落ちて、すぐに上に飛んでいく。
顔はわからないがスカートをはいた女の子にも見えた。
上に飛んでいく少女にマリコルヌはしばし注目する。
スカートはどんどん高く飛んでいき、マリコルヌは首をどんどん上に傾けていく。
「もうちょっと。ああっ、おしい」
しまいには、体をのけぞらせてまで上を見る。
そして、マリコルヌは仰向けに倒れてしまった。
同時に爆発が起こり、土砂がマリコルヌの上に落ちてくる。
「うわ。ぺっ、ぺっ」
顔の落ちた泥をはたいたマリコルヌは、見失ったスカートの代わりに足元を見た。
「ひぃっ」
そこにできていた大穴に腰を抜かしてしまう。
──もし、あのまま立っていたら……。
マリコルヌは歯をがちがち鳴らせた。

空にまで及ぶ爆風の圧力にあおられ、ルイズはわずかに上昇した。
その下をルイズほどにはあおられない火矢が二本、ルイズを追い越して走っていく。
ルイズはレイジングハートを前に向ける。
二本の火矢は方向を変えるために速度を落としている。
そして、ルイズにはディバインバスターを撃つために溜めていた魔力がまだ残っていた。
「シュートっ」
一瞬の魔力光が火矢の一本を貫き爆発を起こす。
バリアジャケットで防ぎきれない熱い風になぶられ、顔を赤くしたルイズが後ろに飛ぶ。
次に襲ってきたのは爆煙を突き破り飛んでくる最後の火矢。
あわてて速度を上げようとするが近すぎる。逃げられない。
「!!!」
ルイズは目をきつく閉じた。
爆発。
闇の中で予感した衝撃は届くことはなかった。
「ユーノ……」
彼女の使い魔が、また火矢をシールドで防いでいた。
衝撃も熱風も届かない。
ルイズはもし直撃したときのことを想像した。
地面にできた穴。バリアジャケットでも防ぎきれない炎。
「あんなのを、防いでいたのね」
──ユーノが来てくれなかったら
背中が少し寒くなる。ルイズの体が少し震えた。


地上のゴーレムは空を見上げて動かない。
ルイズも少し休みたかった。
爆発のおかげで変な耳鳴りがするし。

ばっさばっさ。
きゅるきゅる。
819名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:12:46 ID:S7qXyEoY
支援の準備は整っている
820名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:14:21 ID:5pdvgW4l
エクセリオン支援
821名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:15:57 ID:2K6cWo5b
支援
822名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:16:53 ID:N2tDIjf6
タバ&シルフィー援軍支援ー!!
823魔法少女リリカルルイズ:2007/11/18(日) 00:17:04 ID:+gUKvhst
訂正。耳鳴りではなかった。
いつかと同じように後ろに何かいる。
「ねえ、ルイズ」
空でもすっかり聞き慣れたキュルケの声。
「リリカルイズ」
訂正するタバサ。今日も真顔だ。
「わかってるわよ!で、リリカルイズ。なにやってるのよ」
ルイズはくるり振り向く。
「なにやってるのよ。じゃないでしょ。キュルケ。ここは危ないよの。タバサまで連れてきて。早く逃げなさい!」
「大丈夫よ。魔法少女リリカルイズがぱぱっとやっつけてくれるんでしょ。あのときみたいに」
「できるくらいなら、ぱぱっとやってるわよ」
「なんで。あのときみたいに、あなたの魔法でどーんと行けばいいじゃない」
「なんでって、あのね……えーと」
説明しようとするが詰まってしまう。
ルイズも感覚ではわかっているが、うまくは説明できない。
「それはね」
目が明後日の方向を向くルイズに変わってユーノが説明を始める。
「あのゴーレムを倒すには、ル……」
「ユーノ!」
「あ、うん」
あわてて言い直すユーノ。
「リリカルイズが十分な魔力をジュエルシードに当てないと行けないんだ」
「ジュエルシードって?」
キュルケが首をかしげる。
「あのゴーレムの中にある青い宝石だよ」
「あ、ユーノ!教えちゃっだめ!」
「あっ」
口を押さえるユーノを見て、キュルケがにやにや笑う。
──ふーん、ジュエルシード。
言われてみれば、城下町のお化け大木にもそんなのがあった。
「ささ、言っちゃいなさいよ。手伝ってあげるから」
キュルケに促されて、決まり悪そうなユーノが説明を再開する。
ルイズは止めたかったが、いい方法が見つからないのでキュルケに教えることにした。
「リリカルイズの魔法だったら、一回の砲撃だとジュエルシードに十分な魔力が届かないんだ」
「だったら、2回撃てばいいじゃない」
「2回目を撃つには、魔力を溜めないと行けないんだ。でも、その間にゴーレムは復元してしまう。そしたら、またやり直しになるんだ」
「近づいて撃ったら?」
「あの質量兵器にやられると思うんだ。僕もあれを防ぎ続けるのは難しいと思うし」
「質量兵器って?」
「質量兵器というのはね、えーと」
本を何冊か読んだが、この世界には質量兵器という分類はない。
ユーノはとりあえずのわかりやすい説明を考える。
「大砲みたいな武器のことだよ」
「あれって、大砲なの?」
ルイズが問いただす。爆発でとばしているみたいだから、そうといえないこともないかもしれない。
「うん。でも、あのタイプは誘導の機能はないはないはずなのに。ジュエルシードの影響かな」
ユーノはそう言って考え込む。
キュルケも手伝うといってしまったので、考えてみるがどうもいい方法が思い浮かばない。
遠ければ魔力が届かない。近ければ魔力を溜める間に大砲の的になる。
キュルケは自分の火の魔法でゴーレムを爆破するというのも考えたが、とてもではないが十分な威力はありそうにない。
「私に考えがある」
タバサが唐突につぶいた。

********************************
今回はここまでです。
ゴーレム戦はやっぱ、ロケランですよね。
使っているのがなんか違うような気がしますが。
824名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:21:30 ID:KqzCyQHy
こりゃ、朝になったら次スレだな
825名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:24:54 ID:MQUTzqHB
訂正。耳鳴りではなかった。
いつかと同じように後ろに何かいる。
「ねえ、ルイズ」
空でもすっかり聞き慣れたキュルケの声。
「リリカルイズ」
訂正するタバサ。今日も真顔だ。
「わかってるわよ!で、リリカルイズ。なにやってるのよ」
ルイズはくるり振り向く。
「なにやってるのよ。じゃないでしょ。キュルケ。ここは危ないよの。タバサまで連れてきて。早く逃げなさい!」
「大丈夫よ。魔法少女リリカルイズがぱぱっとやっつけてくれるんでしょ。あのときみたいに」
「できるくらいなら、ぱぱっとやってるわよ」
「なんで。あのときみたいに、あなたの魔法でどーんと行けばいいじゃない」
「なんでって、あのね……えーと」
説明しようとするが詰まってしまう。
ルイズも感覚ではわかっているが、うまくは説明できない。
「それはね」
目が明後日の方向を向くルイズに変わってユーノが説明を始める。
「あのゴーレムを倒すには、ル……」
「ユーノ!」
「あ、うん」
あわてて言い直すユーノ。
「リリカルイズが十分な魔力をジュエルシードに当てないと行けないんだ」
「ジュエルシードって?」
キュルケが首をかしげる。
「あのゴーレムの中にある青い宝石だよ」
「あ、ユーノ!教えちゃっだめ!」
「あっ」
口を押さえるユーノを見て、キュルケがにやにや笑う。
──ふーん、ジュエルシード。
言われてみれば、城下町のお化け大木にもそんなのがあった。
「ささ、言っちゃいなさいよ。手伝ってあげるから」
キュルケに促されて、決まり悪そうなユーノが説明を再開する。
ルイズは止めたかったが、いい方法が見つからないのでキュルケに教えることにした。
「リリカルイズの魔法だったら、一回の砲撃だとジュエルシードに十分な魔力が届かないんだ」
「だったら、2回撃てばいいじゃない」
「2回目を撃つには、魔力を溜めないと行けないんだ。でも、その間にゴーレムは復元してしまう。そしたら、またやり直しになるんだ」
「近づいて撃ったら?」
「あの質量兵器にやられると思うんだ。僕もあれを防ぎ続けるのは難しいと思うし」
「質量兵器って?」
「質量兵器というのはね、えーと」
本を何冊か読んだが、この世界には質量兵器という分類はない。
ユーノはとりあえずのわかりやすい説明を考える。
「大砲みたいな武器のことだよ」
「あれって、大砲なの?」
ルイズが問いただす。爆発でとばしているみたいだから、そうといえないこともないかもしれない。
「うん。でも、あのタイプは誘導の機能はないはないはずなのに。ジュエルシードの影響かな」
ユーノはそう言って考え込む。
キュルケも手伝うといってしまったので、考えてみるがどうもいい方法が思い浮かばない。
遠ければ魔力が届かない。近ければ魔力を溜める間に大砲の的になる。
キュルケは自分の火の魔法でゴーレムを爆破するというのも考えたが、とてもではないが十分な威力はありそうにない。
「私に考えがある」
タバサが唐突につぶいた。

********************************
今回はここまでです。
ゴーレム戦はやっぱ、ロケランですよね。
使っているのがなんか違うような気がしますが。
826名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:25:04 ID:5pdvgW4l
乙。タバサはバ(検閲削除)使えないからなぁ……そしてその台詞は危ない、超危ない。
さっき投下されたディセの影響かもしれないが「私に良い考えがある」としか聞こえないw
827名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:27:51 ID:CZJzbYPB
某サイバトロン軍総司令官の事かー
828名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:29:26 ID:S7qXyEoY
>>826
バ……バンカーバスターとか?
829名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:30:12 ID:ocx2YV2o
つまりタバサ(CV 玄田哲章)と言う事か
830名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:30:36 ID:HOc/vob1
>>827
この場合はオートボッツ総司令官オプティマスと言うべきじゃね?

それはそうと、短編を書いてる。
前半部分ができあがったのでちぃと投下してみたい。
マイナー&アンチ大勢いる作品とのだけとOK?
831名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:32:15 ID:3jMW9Yv5
リリカル乙
しかし同じ文が二度投下されている気が……

>>827
そいつは不味いな、100%失敗するぞ
832名無しさん@お腹いっぱい。
OK