銀河系の遥か彼方、地球から6万光年の距離に惑星Ziと呼ばれる星がある。
長い戦いの歴史を持つこの星であったが、その戦乱も終わり、
平和な時代が訪れた。しかし、その星に住む人と、巨大なメカ生体ゾイドの
おりなすドラマはまだまだ続く。
平和な時代を記した物語。過去の戦争の時代を記した物語。そして未来の物語。
そこには数々のバトルストーリーが確かに存在した。
歴史の狭間に消えた物語達が本当にあった事なのか、確かめる術はないに等しい。
されど語り部達はただ語るのみ。
故に、真実か否かはこれを読む貴方が決める事である。
過去に埋没した物語達や、ルールは
>>2-5辺りに記される。
ルール
ゾイドに関係する物語なら、アニメや漫画、バトスト等何を題材にしても良いです。
舞台となる場所、時間等は制約無しでバトストと書いて有りますが平和ても問題無いです。
自由で柔軟な発想の作品をお待ちしています。
例外的に18禁描写はご遠慮下さい。
鯖負担の軽減として【450〜470Kb】で次のスレを用意する事。
投稿された物語の感想等も大歓迎です。
「そういえばよ〜・・・。さっき変な奴が獣王教がどうとか言っていたが、最近そういうの流行ってるのか?」
「えええ!!?今何と!!?」
タイガスの何気ない一言に、死にそうにしていたはずのマリンとルナリスが急に復活し、タイガスに詰め寄ってきたのだった。それにはタイガスも思わず退いた。
「お前!!今何と言った!!?何と言ったんだ!!?」
「じ・・・獣王教と・・・。」
「じゃ・・・じゃあ・・・聞くけどさ!その獣王教をどうとか言っていた変な奴ってカッパみたいな頭をしていなかった!!?」
「あ・・・ああ・・・確かにそうだった。あと、牧師だか神父だかわからん格好もしてたし・・・。」
と、問い詰めるマリンとルナリスにタイガスが唖然としながら答えていると、ラッキーも割り込んできた。
「そういえば名前も言っていたよね・・・確か・・・ザビ・・・何だっけ?」
「ザビエルか!!?」
「そうそれ!!」
と、途端にマリンとルナリスが青ざめながら顔を見合わせていた。
「あの・・・二人ともどうしたんですか?」
恐る恐るラッキーは二人に問い掛けていた。
「間違いない!!奴は・・・奴はこの街にいる!!」
「ええ?もしかしてあの人ってそんなに恐ろしい人なんですか?というか貴女方もお会いしたの?」
「ああ!!昼に別の街でな!恐ろしい男だったよ。何か別の意味で危なそうな感じだったし、逃げるとしつこく追いかけてきたし・・・。」
「そうだよ!もうあいつの足の速い事速い事!」
「そ・・・そんなに恐ろしいんですか?一見そうは見えませんでしたが・・・?」
マリンとルナリスの説明を聞いていたラッキーの顔も次第に青ざめていくのだった。しかし、タイガスはそんな話も聞かずにいつのまにか寝入っていた。
「何処だ何処だ何処だぁぁぁ!!」
ドラゴスは今だに血眼になってマリンとルナリスの二人を探していた。近所迷惑をかれりみずに大声を張り上げ、ごみ箱の中を覗いたり、穴を掘ったりといたる所を探し回る。と、そこにリューコが走りよってきた、
「ドラゴスさん!もういい加減にして下さい!一応宿はとって置きましたから早く戻りましょうよ!本社にレポートを送らなくちゃならないんですよ!」
「うるさい!!そんな事はお前がやれ!!」
物凄い形相のドラゴスの言葉に、リューコも思わずカチンと来た。そして彼女にも怒りが込み上げてきた。
「貴方いい加減にしなさいよね!!貴方が探している人がどれほどの者かはしりませんが!!お仕事はきっちりこなしてから探してください!!」
いつにも増して押しの強いリューコに、ドラゴスは思わずうろたえた。
「うう・・・うるさいうるさい!!あいつ等のために俺がどんな仕打ちを受けたか分かってるだろうが!!あいつ等のせいで・・・俺は・・・俺は・・・。」
とその時だった、突然二人へ向けて色々な物が投げ付けられてきたのだった。
「うるさぁぁい!!今何時だと思ってるんだ!!?痴話喧嘩はよそでやれぇぇ!!」
ついに地域住民の怒りは爆発した。家の窓から怒りに満ちた住民から二人へ様々な物が投げつけられていった。
「うわああ!!ゴメンナサイゴメンナサイ!!」
二人は喧嘩をやめ、逃げ惑うしかなかった。
翌日、会計を済ませたマリン等は宿の出入り口へと歩いていた。と、その時、マリンとルナリスの
二人が出入り口の両端に寄りかかるように立ち、恐る恐る顔を覗かせて外をキョロキョロと見回していた。
「あの〜二人とも何やってるんですか?」
「何って・・・またアイツが出て来るかもしれないでしょ?」
「アイツって・・・。」
「勝手にやらせとけよ。」
二人の異様な行動にラッキーは唖然とするばかりだった。タイガスは気にも止めてない様子であくびをしていたが。
「大丈夫か?そっちにはいないか?」
「うん!大丈夫こっちにはいないよ!」
「よし・・・行くか・・・。」
ザビエルの姿が無い事を確認すると、マリンとルナリスはほっと一息つきながら胸をなで下ろし、
ゆっくりと宿から出るのだった。と、やはりそんな二人の異様な行動が気になったのか、ラッキーは二人の下へと歩きよった。
「それにしても、二人とも少し極端すぎやしませんか?確かに怪しい宗教やってる感じはしましたが・・・、そこまでする程にはとても思えないですよ。」
「しかしね・・・貴女だってアイツに追いかけられれば私達の気持ちもわかるよ。」
と、そうして駐機獣場へと歩こうとした時だった。
「皆さんは〜獣王神を〜信じますか〜?」
「うわああ!!!出たぁぁぁ!!!」
突如として耳に入ってきたザビエルの声にマリンとルナリスは思わず叫び出し、民家の影や電柱の
影など、手近な物に飛び込むように隠れた。そして、顔だけをかすかに覗かせてキョロキョロと辺りを見回す。
「た・・・確かに今の声は・・・。」
「そうだよ・・・それにあのミュージカル風の口調・・・。間違いないよ!」
「だが・・・奴は一体何処に・・・。」
深刻な表情で辺りを見回すマリンとルナリスにラッキーは唖然とするだけだった。やはりタイガスは気にもとめていなかったが・・・。
「あの〜・・・、二人とも?」
「だから勝手にやらせとけよ!・・・ん?」
と、タイガスが何気なく横を振り向いた時だった。街の広場らしい場所でザビエルが演説をしていたのだった。しかも街の人々も興味本位でかなり集まってきている。
「オイ・・・アレ・・・。」
「あ・・・。」
恐らく獣王教の何たるかを熱弁しているであろうザビエルを指差したタイガスに合わせ、3人がその方向を向いて唖然としていた。
「みなさ〜ん!いいで〜すか〜?私〜ザビエル〜は〜!獣王教を〜世界に〜広める為に〜日夜頑張って〜いるので〜すよ!」
「・・・・・・・・・・・。」
「な・・・なんだ・・・ただ他の人相手に演説してたのね・・・。なら逃げるなら今の内・・・。」
ザビエルに気付かれない内にその場から逃げ出そうと、マリンとルナリスはそろりそろりと音を立てずに後ずさろうとしていた。と、その時だった。
「いたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「え!!?」
突然響き渡った叫び声に二人は思わず立ち止まり、タイガスとラッキーもその叫び声の来た方向を向いた。
「ハア・・・ハア・・・見つけたぞ・・・ついに見つけたぞお前ら・・・。」
そこには血走った目と物凄い形相をしたドラゴスが息を切らしながらマリンとルナリスを睨み付けて
立っていたのだった。ちなみに、少し離れた場所でリューコが他人のフリをしながら別の場所を向いていた。
8 :
鉄獣28号:04/08/11 23:38 ID:???
前スレにも書きましたが>>1さん乙です。
とりあえず新スレになった事で、一応登場人物紹介とかしとこうと思いますが、
時間が無いので数日後とかになりそうです。
「何か嫌な予感がしやがる…警備を強化しろ。共和国の奴等とんでもない物を掘り出しやがって!」
施設周辺を閉鎖している演習部隊に扮した治安維持部隊の第1中隊指揮官ハリソン=アーヴァンクは毒吐く。
愛機のセントゲイルのクロスキャバリアーに乗り込み敵襲に備える。「良いか!良く聞け!共和国のバカ面共は嘗ての我々の親同様の過ちを犯した!しかしこれは誰の所為でもない!言うなれば…。」
一息付いて更に大きな声で言い放つ「これは我々人の業だ!今度は封じた後に完全にそいつを破壊せよと命令が奴等に下りた!ここから出て来る奴は味方以外逃すな!特に化け物共は何が有っても止めろ!」
その指令に「ヤーッ!!!」と一斉に声が返ってくる。ズレ等微塵も無い。「良し!来たぞ!空間の裂け目だ!出て来た奴を叩き潰してやれ!」
何も無い空間に罅が入り小さな綻びが生じる。それがゾイドのサイズに成ると同時に本来歴史の否進化の闇に消えていった古き者共が現代に蘇る。
進化の行き止まりと言わんばかりの歪みと恐怖を持ってそれの姿が現れる。「ムルドアデーモンッ!?」同名のキメラのチェンジマイズ体では無い。”本物”だ。空間の裂け目を掴み全身が現れる。
更に後続にも昔話や民話を知る者が悲鳴を上げる程の狂気が現実に割り込んで来る。誰かが叫ぶ「現実の厳しさを教えてやるさっ!」それと共に数条の光がムルドアデーモンに突き刺さる。
ジェノザウラーの収束荷電粒子砲、セイスモサウルスのゼネバス砲、その他諸々の光学兵器。爆発が起き悪魔の残骸が空間の裂け目の内と外に散蒔かれる。
その肉片一つをクロスキャバリアーは焼き払った。「破片を残すな!そこから数が増えるぞ!」ハリソンは叫んだ。
周辺の封鎖網で次々に戦闘の光が産まれる。何処かからか真しやかに噂が流れる共和国軍のデルポイ奪還作戦。それを差し置いてもこれをやらない訳にはいかない。
敗北は…歴史の終焉。敗北が許されない総力戦の第1幕が火蓋を切って落とされる。侵攻からこの方ずっとこの周辺の地磁気やら何やらが全て異常な数値を計測していた。
その答えは空間をこじ開ける為の下準備と言った所なのだろう。如何やって?と考えるだけ無駄な事だろう。彼等は”非常識”なのだ。
世界の法則に対して喧嘩を売れる程の圧倒的な力を持ち全てに非常識を強要する軍勢…世界が存在を否定した絶滅種達である。
「うきゃ〜っ!?何々!?変なのが一杯出て来る〜〜!」サーラは目の前のランプバイアンから目を逸らさない様に辺りのカメラ映像を見ると。一杯変な奴等が居る。
殆どは人と同じ大きさかその2〜3倍までと散つきが有るが全部化け物である。「サーラちゃん?降ろして下さいであります!彼奴等は自分に任せてデカ物を頼むであります!」
「うっうん!」直に化け物共の先頭から少し離れた場所にファインを降ろすと直にランプバイアンに狙いを定めて行動を開始する。
「さて…ここから先は通りたければ命を置いて行くでありますよ…。」ヒュージスターからの去り際に渡された物騒な物を右手に構える。
グリップの持ち方によって防御的、攻撃的に簡単に使い分ける事の出来る少し短めの片刃の偃月刀。そして彼の姿は下半身こそ軍服だか上半身は黒いタンクトップ。
そこに給弾ベルトと5本程の棒手手裏剣を刺した防御兼用のベルト。右腕には先の傷口が十文字に残る。フレキシブルウェポンドライバーにニードルガン。完全武装の1歩手前の状態だ。
人サイズの化け物が一斉にファインに襲い掛かる。
「う〜見た目より器用!」ビームくないでランプバイアンに斬り掛かるサーラのストームラプター。しかし4本の手で巧みに致命傷を避けている。
腕には切り傷ができそこから赤黒い血が流れている。先の通信で第5層にもそれに準ずる化け物共だ出現したらしく其方も派手にドンパチを繰り広げているらしい。
見た目より器用…これはしょうがない事で今回現れた存在の殆どは”人になり損ねた種”で知能は高くその行動も巧みだ。しかし後方を見やるとそっちは相手が悪いらしく子供の教育にとても宜しくない状況になっている。
一方的な状況。既に化け物共は戦意を失い蜘蛛の子を散らす様に逃走を始めている。1対100を超える頭数の差が、戦力の総合計があっさりと覆されている。
しかも逃げる相手を追い立てる姿は何方が邪悪だかと思わせる。その表情はとても嬉しそうで心底楽しんでいるのかと錯覚を覚える程だった。
ランプバイアンの攻撃がストームラプターを掠る。その腕は見た目よりリーチが長いだけで無く鰭付きなので幅もスケールに対して広い。ついでに4本も有ると厄介過ぎる。
多分大きさに準じて頭も良いのだろう。ビーム手裏剣ランチャーで胸部と融合している巨大な頭部を狙うがそれも鰭を駆使して避ける。
実際の所1対100以上の戦況を覆した種明かしは非常に簡単だった。
先ず群がる輩を切り伏せる。その時に張り付く様な、亀裂の様な微笑みを見せる。唯これだけで良い。
ある程度の知能が有れば感情が豊かにそして想像力が豊かに成っていく。しかも本能に準じて投影される物が増えていくと言う感じなのかもしれない。
この時のファインの行動に化け物は最大級の違和感を恐怖を覚えたのだ。その後は恐慌状態が発生して逃走する者が出る。
今度はそれを追い立てて1体後ろからばっさりやれば完璧だ。恐怖は心理に対する最大のスパイスの一つ。それを活用したのだった。
「うぇ〜へっへっへ!うわ〜はははははぁ〜!」とても邪悪な笑い声で更なる恐怖を植え付ける。如何見てもファインは悪の権化にしか見えなかった。
「嵌まり過ぎですよ!」突然後頭部に痛みが走りファインは後ろを振り向く。そこにはエリオットが居る。「〜〜折角調子に乗って来たのに残念であります。」
その間にも化け物達は何処かに逃げ去ってしまっていた。エリオットは腕組みをしてファインに説教を始める。
「良いですか?将官という者は(中略凄く長い説教)なんですよ!解りましたか?中尉?」「は…はい。」折角作った場の雰囲気は崩れ去る。
しかしここに戻って来る勇気ある化け物は存在しなかった…。
「せ〜い!」ビームくないがランプバイアンの提灯を掠める。その後の行動に違いを見てサーラは気付く弱点はあれだと。となれば話は早い集中して提灯を攻める。
それを守る為に防戦を強いられるランプバイアンだが一矢報いる一撃をまだ隠し持っていた。提灯が輝くと突然ストームラプターの方に軽い爆発が起こる。
「!?」直にその場を離れると提灯の光が接触した物に断続的に衝撃波や何やらの複合効果で極小規模の爆発を起させている。それが何であるか解らない為気を付けるにこした事は無い。
流石に正確に狙う事はできない様で照射が終わる度にまた照射と効率の悪い事この上無い。その流れ閃光は…「うわっ!?中佐!逃げるであります!」「了解です中尉!さっさと行きましょう!」
これ以上は邪魔でしかない。エリオットの乗ってきたディロフォースに2人で跨りその場を逃げる。視界から離れて行くランプバイアンの提灯を狙撃するファイン。それは狙いを違わず提灯に当たり硬質の透過金属に罅を入れる事に成功した。
鉄獣28号さんへ
ザビエルの魔の手は直ぐ其処に!逃げて!地の果てまでもw
前スレがageに成られました。何時も沈んで居るのでageて感想を募集する模様ですが…。
どれくらいの方が読んでいらっしゃるのでしょう?
その亀裂の底は見えない。だが、縁から下へ降りていく通路があった。
「以前は地下基地があった…というのも、本当らしいな」
マッドサンダーの巨体が、壁を削りながら地下へ降りていく。100mほど降りると、上からは見えなかった横穴が存在した。
先の見えない暗がり。それはまるで、地獄へとルガールを誘っているようにも見える。
「コントロールシステムの位置も、まるで解らんが…衛星兵器など操作するのだ、巨大な装置が必要になるはず」
ルガールはその横穴へと機体を進めた。
と、巨大な洞窟の影に入った瞬間殺気を感じ、機体を急旋回させる。直後、マグネーザーに弾かれた「それ」が
壁に叩き付けられて唸り声を出した。
「ほう…強力な野良ゾイドとは、こいつらの事か」
起き上がり、彼を睨みつけているのは“ジェノフレイム”――大戦中、ジェノザウラーと同じ素体を使って
開発された新型量産機であり、戦闘力はゆうにバーサークフューラーを越える。
「確かに、普通のゾイドで来れば強敵であろうな…だが」
甲高い音を立て、マグネーザーの回転が始まった。
「コイツの相手としては、少々役不足だ」
周囲の暗闇から、続々とジェノフレイムが現れる。その背中から強烈なビームが放たれ、マッドサンダーに直撃した。
だが、それらのビームがマッドサンダーに傷を負わせる事は無かった。
「…流石だな、マサシ…」
動揺し、今度は荷電粒子砲の雨を浴びせようとするジェノフレイム。しかし、チャージを始める前にルガールの手は動いていた。
「貴様らは…甘いッ!!」
衝撃砲とビームキャノンを乱れ撃ちしながら、360°旋回する。マグネーザーと旋回砲塔の餌食になったジェノフレイムが
次々と吹っ飛び、僅かに放たれた荷電粒子砲も反荷電粒子シールドとレイディバイダーに無効化される。
混乱する敵の群れを尻目に、ルガールは包囲網を突破した。
「やはり、コレを使おうとするか」
オレーグ・カーティスは“シギュン”のコントロールシステムを背に、味気の無い携帯食料を齧っていた。
「…だが、“ギルド”の戦力を削る為にも野良ゾイドどもを止めさせる訳には行かない」
オレーグの前には、3人の仲間が並んでいた。
彼らも“ギルド”の実験材料として使われた能力者達である。それ故に、元の名前は忘れられている。
彼らは仲間からコードネームで呼ばれていた。身長の高い、オレンジ色の髪をした少年は「イフリート」、
ゾイド乗りに似つかわしくないワンピースの少女が「シヴァ」、そして土色のジャンパーを無造作に羽織った少年が「ラムゥ」
彼らは「リバース・ガーディアンズ」の中で最もオレーグに近い存在だった。だからこそ、オレーグは全幅の信頼を置いて
彼らをここに連れて来た。仲間の運命を握る、“ギルド”との戦いに終止符を打つための切り札がここにある。
――何としても、“シギュン”を“ギルド”の手に渡す訳には行かない。
「俺は…“ギルド”に復讐するまで、絶対に死なない」
3人の仲間は、無言で頷いた。
「だから、お前達も…死ぬな」
3機のゾイドは一瞬で姿を消し、オレーグは一人コントロールパネルに指を乗せた。
――なんだろう、この締め付ける様な殺気…濃密な敵意の、視線を感じる。
下に下りていくに連れ、ジェノフレイムだけでなくデスザウラーなどの絶滅種まで現れるようになっていた。
だが、野良ゾイドの闘争本能から来る敵意とは明らかに違う――そう、「殺意」を感じる。
「近くに誰かが居るのか? あるいは、何か…」
殺意は感じる。だが、それだけで相手はまだ仕掛けてこない。
レーダーにゾイドとは違うエネルギーの反応が映った。恐らく、これがコントロールシステムなのだろう。
それは亀裂の対岸にあり、もう空が一本の線に見える程の深さの地点に巨大な橋が架かっていた。
正確には「地下通路」だったものが亀裂の間に挟まり、橋の様になっただけである。
「橋として作られてないのならば、崩壊してもおかしくないが…」
ここしか道は無い。ルガールは慎重に機体を歩ませた――その時、彼は「殺意」の接近を感じた。
レーダーには何も映っていない。だが、迷ったら殺られる。
やがて、第一弾が放たれた。真上から叩きつけられた荷電粒子砲はレイディバイダーに逸らされ、橋の一部を抉る。
「クッ…こんな所で戦っては、橋が持たん!!」
対岸に走り抜けようとするルガールの前に、3機のジェノブレイカーが立ち塞がった。
最後の方で一気にネタを纏めるのも難しい物で。
>>1氏
乙ナイト!
>>恐怖の亀裂作者氏
ハマっちゃってるファインさん怖えぇ〜…潜在能力?
下手に知能があってもイカンと言う事ですね…
>>鉄獣28号氏
何か…身近に「ザビエル」と言うあだ名の人が居るモンで笑ってしまうのですが…
それはそうと、虎コンビ&竜コンビ&ゾイキュアで三つ巴?目が離せない展開です。
「オイオイ!誰だコイツ・・・。」
タイガスは腕を組んだ状態で目を細めていたが、ドラゴスの姿を見たマリンとルナリスは深刻な顔になっていた。
「お・・・お前・・・。」
マリンとルナリスが体中を震わせ、顔から汗が流れ出る。そして、ドラゴスはニヤリと笑みを浮かべた。そして、マリンとルナリスは共にドラゴスを指差した。
「誰だっけ?」
ずげげげげっ
殺伐とした空気を吹き飛ばした二人の反応に、ドラゴスは思わずすっ転んでしまった。さりげなくタイガスとラッキーまですっ転んでいる。
「ええ!!!ちょっと待ってよ!!知ってる人じゃないの!!?」
「そんな事言われてもな〜・・・。」
慌て顔で二人に駆け寄るラッキーに対して二人は困った顔をしていた。と、その時、ドラゴスがさらにもの凄い形相になり、目からは血涙を流しながら二人に迫ってきたのだった。
「俺だよ俺!!ドラゴス=チュウニッチだよ!!この間戦っただろうが!!」
「あ〜何かいたな〜そう言うの…。」
「って血の涙を流しながら言う事か?」
必死になってるドラゴスとは対照的に、マリンとルナリスにはあまり緊張感という物が感じられ
なかった。と言うより、むしろ二人はザビエルの方を気にしていたと言う点が強いのかも知れない。
「畜生!!のんきに言いやがって…。お前らのせいで俺は…俺は…。」
「クビにならなかっただけまだマシだと思いますよ!ドラゴスさん?」
ようやく会話に入ってきたリューコが血涙を流すドラゴスをなだめようとしていた。しかし、ドラゴスはリューコを振り払うと、マリンとルナリスの方へと迫ったのだった。
「とにかくここで会ったが100年目だ!!覚悟しろ!!殿中でござる殿中でござる!!」
「ちょっと待て!!"殿中でござる"の使い方間違ってるよ!!!」
「ドラゴスさん、実はこの間テレビで見た忠臣蔵って時代劇にハマっちゃったみたいで〜…。」
「オイ!!」
もう何がなんだかワケのわからん事になっていた。ちなみに"忠臣蔵"とは、その昔の地球で本当に
起こったとされる上司の敵討ちを題材にした話である。地球人が惑星Ziにたどり着いた際に高度な
技術力と共にもたらされた文化の一つとも言える。と、それはともかくとして、ドラゴスは一気に
マリンとルナリス目掛けて踊りかかっていた。と、その時二人から半径3メートル位の場所にまで
到達したと思った矢先、急にドラゴスは後ろに跳んだのだった。そして、その手は彼の鼻を摘んでいた。
「うぉぉ!!納豆くせえ!!貴様等!!今朝納豆食ったなぁぁ!!?」
「た、確かに納豆食ったが・・・。」
「いくら何でもくさいってのは失礼じゃないの?」
「うるせえ!!!俺は納豆が死ぬほど嫌いなんだよぉぉぉ!!!」
ドラゴスはまたも血涙を流しながら号泣していた。その異様には思わず誰もが後ずさりする。
「ドラゴスさん落ち着いて・・・ん?」
ドラゴスをなだめようとしていたリューコがマリンの顔を見た時にある事に気付いたのだった。
「数日前にあの本に載ってた人にやっぱり似てるような似てないような・・・。」
と、そのような感じでもう何がなんだかワケがわからぬ状況になっていた時、さらに分けの分からぬ状況になった。
「お〜!お嬢さん方もこの町に来ていた〜んで〜すね〜!」
「うぁぁぁぁ!!気付かれたぁぁぁ!!!」
「キャァァァ!!怖いよママーン!!」
この大騒ぎを聞きつけたのか、ザビエルが彼女等のもとへと駆け寄っていたのだ。それには思わず二人は絶叫を上げたのだった。
「お〜!良く見れば〜昨日会った〜人達も〜いるようですね〜!皆さんも〜獣王教に〜入信して〜みませんか〜?」
「嫌だぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「うぉぉぉぉぉぉ!!!!」
早速布教活動を始めてしまったザビエルに、マリンとルナリスは絶叫を上げ、全速力で逃げ出したのだった。
「お〜!待って下さ〜い!」
逃げ出した二人に対してそうザビエルが二人の後を追おうとした時だった。
「こうら待てやぁぁぁぁ!!!!」
「あ!ドラゴスさん待って下さいよー!」
マリンとルナリスの後を、ドラゴスがもの凄い形相で追い駆けていったのだ。そしてその後を遅れてリューコが走る。
「あ!待って待って〜!」
「俺も行くのかよ…。」
と、言う風に、ラッキーと半信半疑ながらもタイガスが後を追った。こうして、一人取り残されたザビエルはただただ呆然と彼女等を見送るしかなかった。
「お〜…また逃げられて〜しまいました〜。しかし…。」
「逃げろ逃げろぉぉぉぉ!!逃げなきゃ殺されるぅぅぅぅ!!!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
なおも絶叫を上げながら駐機獣場へと走ってきたマリンとルナリスは、そのままギャグと言うしか
無い程の跳躍力でそれぞれのゾイドの頭部まで駆け上がると、大急ぎでコックピットに乗り込み、
起動させた後、さらに大急ぎで街の外へと出ていった。と、カンウとハーデスが街から大分離れた時だった。
「待てぃ!!」
突然背後から響き渡ったその声に反応し、二人と二機が後ろを向いた時、そこにはドラゴスの乗る
デスレイザーと、その背後に隠れるように立っている、リューコの乗るパラブレードの姿だった。
「逃がさんぞ!!ゾイキュアァァ!!この間の復讐だぁ!!!!」
「だからそれどういう意味だよ!!」
お決まりのセリフにお決まりの突っ込みが入っていたが、ドラゴスの顔は怒りにゆがみ、デスレイザー
から恐ろしいまでの殺気が放出されていた。それはドラゴスだけの殺気ではない。デスレイザー自身
からも恐ろしいまでの殺気が放出されていたのだ。そう、それはカンウとハーデスに機体をボロボロに
された事によって、減俸処分+Ziファイターとしてのプライドを傷付けられたドラゴスの怒りと
そのデスレイザー自身の怒り。その双方の怒りが共振し合う事により、より強力な殺気が放たれていたのだ。
「ドラゴスさん!!もうやめて下さいよ!!私達の目的はあくまでテストなんですよ!!これでまたデスレイザー壊して帰ってきたら減俸処分じゃ済みませんよ!!」
「うるさい!!お前は黙っていろ!!!」
今のドラゴスはリューコでも止められない程頭に血が上っていた。そしてそのままデスレイザーは
ゆっくりとカンウとハーデスへ向けて歩を進める。そんなデスレイザーの姿に、マリンとルナリスも戸惑いを隠せ無いでいた。
登場人物紹介はもう少し時間がかかりそうです。
>>恐怖の亀裂作者さん
次元(?)を超えて現れた敵はもはや妖怪や悪魔の領域に達してますね。
一応恐怖心なんかはあるみたいですが・・・。
>>Inocent World作者さん
通路から出てくる野良ゾイドや三人組。物語の核心に迫ってきているという感じでしょうか?
「!&%’(”#$”%!?(多分化け物の言葉)」聞き取る事のできない悲鳴を上げて提灯に手を当て周辺を転げ回るランプバイアン。
哀れ道を間違え逃走した化け物を巻き込み大惨事となる。その最中提灯が剥き出しになった瞬間をサーラは見逃さない。「て〜い!」
一閃。その後宙に跳ぶ提灯更に激しく暴れてまた本質的には罪も無い化け物達を巻き込み絶命する。余りの凄絶さに目を背け「ご愁傷様です。」
そう言ってサーラはその場を逃げ出した。逃げる途中に見付けた提灯はしっかりストームラプターに践み潰させる。身に染みた事なので忘れない。
”再生”の可能性は捨てきれないからだ。
ディロフォースに乗って施設内の別の場所に移動しているエリオット達。「すいません中佐。医療区画は手薄な筈であります!自分はここから侵入しますので別の入り口から侵入してくださいであります。」
それを聞き「言うようになったね〜了解。判断は間違っていないから了解だ!それでは正反対の方に行ってくるよ!気を付けなさい中尉!」「はいであります!」
ディロフォースから飛び降りて医療区画に侵入するファイン。それを見送るとエリオットも素早く行動を再開する。もし”裂け目”から出現していたとしても裂け目の長時間の維持には世界を支える程のエネルギーが要る。
ついぞ戦況報告を受けて話では対称は侵入の際わざわざ裂け目の端に手等を掛け広げてから出現したそうだ。そして遂に化け物が外に出る事の無かった裂け目はあっと言う間に閉じてしまったと言う。
つまりは「人サイズの物ならとっくに閉まっている事でしょう…しかし2人で出来ますかな?中尉期待していますよ?」エリオットはもう少しで”反対側”に到着する所だった。
「!?」突然横からの衝撃波を受けて数m先の壁に打つかるファイン。「おっ?面白い奴発見!来いよ?ベレディケン?」「応!此奴ガ獲物カ?ラスキドール。」言葉の方向に目をやるファインは非常時でなければ喜び飛び回りそうな光景を見る。
人だ。異形ではあるが…公用語を操り見た目の全く違った者同士が話している。「初めまして〜!僕はラスキドールだ。こんばんは未来の人!」背中の体から独立している羽状の物をパタパタさせながら髪の毛の生えた猫科の顔で答える。
全身も服を着ているが体毛びっしりだ。「フン…我はベレディケン。貴公ノ命ヲ貰イ受ケニ参上シタ者ダ。」
ベレディケンと名乗った方は頭部に固い外骨格。その体躯はラスキドールと名乗った人猫の倍以上。
筋骨隆々の腕に筋肉の動きを阻害しないような殻を纏う。その頭部を見てディプロガンズを思わず思い出すファイン。
「参ルッ!!!」その体格からは想像できない素早い動きで拳が迫る。慌てて身を捩りその拳を躱すととても嫌な音と共に拳が重金属合金の壁にめり込んでいた。
「どわぁぁぁぁっ!?」見た目等恥も外聞も捨て去って慌てて情けない格好で距離を取るファイン。
「忘れてないかい?僕のこ・と?」後ろの気配に今度は身を屈めてラスキドールの蹴りを躱すとその尻の尻尾を掴みジャイアントスイングでベレディケンに投げ付ける。
「お〜お〜?やるね?」ベレディケンに激突寸前でラスキドールは体を回転させベレディケンの背中を上り床に降り立つ。「ベレディケン?張り切り過ぎだって…僕1人でワイズマンとやらせる気?」
拳を壁から抜くのを手伝いやっとの事で拳を引き抜く。フレキシブルウェポンドライバーをロケットランチャーに代えて構えファインは今の言葉の意味を聞いてみる。「ワイズマン?誰の事でありますか?」
それを耳にすると駄目だこりゃなポーズを取りラスキドールは答える。「だからインスタント君は困るのよ…良いかい?インスタント君?君には僕たちと同じ才能が有るの。わっかるかな〜?」
「デンデンワカランデスタイ。」何処の方言で何処の訛だか解らない言葉でファインは否定する。ベレディケンには通用しなかったらしいがサービス精神旺盛なのかラスキドールはわざとコケて見せた。
「だ・か・ら!君はね僕達と同類なの!そうだね…サイモン=ベルカッセの機械科魔学!そう言う大掛かりな手品を使える才能があ・る・の!」
それなら聞いた事が有る。オカルトに少しでも明るければ目を通している筈の本。古代ゾイド人の科学には2系統が有りその一つがそれだと言う荒唐無稽の説を唱えた偉人である。
しかしそれを裏付けるかの如く彼の行く先々でのトラブルに彼は一度も巻き込まれた事が無い。其れ処か彼の生前に3回有った恐慌の時も彼の所持した物だけが値崩れを起こさなかった。
それを元手に共和国の国力回復の手助けになったと言う人物だ。その人が提唱した物がそれである。機械により辺りから力を集めそれを別の力として行使する。
機械を根源とする魔術と言うちんぷんかんぷんな物だ。
「まあ実際はそんな大した力じゃないけどね。で・も!中には変に相性の良い奴が居る事が或るの!」
そう言うと手から掻爪をだしてラスキドールは襲い掛かって来る。「ベレディケン!合せてよ!」「応!」
後から攻撃を繰り出してきたのにも関わらずベレディケンの拳はラスキドールの引っ掻きと同じタイミングで遅い来る。
しかし…「ぶはっ!?汚ね〜手!」少し先の天井にロケット弾が炸裂し天井が落ちる。それに巻き込まれ2人は生き埋め状態に成った。
「付き合っては居られ無いであります!」如何見ても旗色が悪過ぎる上に相手は殺る気満々。その上とても電波な事を平然と言い放ってくる。
それに幾らその荒唐無稽な技術の才能が借りに有ったとしてもその発動条件たる”魔導機”が無ければ意味は全く無い。つまりは…勝ち目無しと言う事である。
しかもそれを知って襲って来てくれるので迷惑千万だ。だが不審な点が或る「奴等はそれ無しで如何やってあんな無茶をできるの有りましょうか?」
嫌な予感がして直に調べ上げていた隠し部屋に逃げ込み其処から更に排気口に潜入して移動する。丁度真下に彼らが居る。
「何処に行った?くそっ…奴魔導機持ってないから気配察知出来ないよ!」ラスキドールがブーブー言う。「落チ着ケ。ソウソウ遠クニハ移動デキン。マダ近クニ居ルゾ。」
ご名答。実は貴方達の真上に居ます。「しかしヴィゾールの野郎…ろくな準備も無しでこんな事するから被害の方が甚大じゃないか…ぶつぶつ…。」
こうして2人を見てみると非常に楽しい光景だ。意思決定権はラスキドールにあるが実の所ベレディケンの存在によって事が上手くいっている事が明白だ。
そこで…この排気口は非常に大きく走ったりも出来る。「あ〜〜〜っ!?」わざと自分の存在をアピールして見せるファイン。
「居た〜〜!全部聞いてたな?」ぎろりと猫を思わせる目がファインを睨む。「何も聞いておりませんが何か?」「くぅ〜〜っ!」乗った。ラスキドールが渋い顔をして天井に飛び付く。
「えい。」猫なで声でラスキドールが天井に掛けた手を蹴り落とす。見え透いた挑発の連続。耐えきれないと見たかベレディケンは天井に頭突きをする。
「ヌオウ!?」上手い事頭が少し出た所でベレディケンは天井に引っ掛かる。目の前にはファインがペンを持って居る。無意味では有るがちょっとした抵抗として落書きをする。
「はいはいすいませーん。ちょっとお聞きしたい事があるでありますが?お答え願えませんでありますか?」
ベレディケンに質問をしてみるファイン。「敵ニ答エル義理ハ無イ!」そう言って取り付くしまも無いので彼の頭部に黒を塗る。
「そうでありますか…それなら良いのでありますよ?落書きの口実になるだありますから…。」ペンで輪郭を書く。
「コノ程度ノ屈辱!耐エテミセルワ!」相手が止めを刺す気が無いので強気に答えるベレディケン。「それではもう一筆。」
ラスキドールは侵入口を探して今は居ない。そして…「良し!完成であります!」額に汗して何かを描き終えたファインは一息付く。
「貴公ニ尋ネタイ!何ヲ描イタ?」それを聞き「其方が答えて貰えれば此方からも説明するでありますよ?」「グヌウ…仕方アルマイ。」
以外と物解りが良くてファインはめを白黒させた。
「ベレディケン!大丈夫だった?」やっとの事でラスキドールはベレディケンの元に到着するが…「ぷ〜〜〜〜っ!?」
突然吹き出してしまう。「済マヌ。顔ニ”泥ヲ塗ラレテ”シマッタ。」ベレディケンの頭部には大きく”泥”と塗られていたのは言うまでもない。
ファインはホクホク顔で通路を直走る。非常に有用な情報を知る事が出来たからだ。実質的には軍事等には全く関係無い話なのだが。
それを天上から見ながらラスキドールは呟く。「今回は僕達が引いて置くよ。その代わり口煩いヴィゾールの始末は任せるからね。行こうベレディケン。」
「応。」ベレディケンは頭部を天井から引き抜き床に降り立つ。口では如何言おうと彼を殺す気など無かったらしい。
「もっと広い場所で…ゾイドを使った勝負がしたくなったな。」施設から2人は出て行く。「止まれ!手を上げてこっちに…!?鬼ぐるみーズ!?」
警備の兵隊は彼らを見てそう言う。「残念!本物だよ〜ん!」そう言いながらもあっさりと拘束される2人。
「ねえ?ご飯まだ〜?」珍しく箸をを持ち食器を成らすラスキドールを見てベレディケンははしたないと思うのだ。
「もうちょっと待ってくださいよ…こっちも忙しいんですから…。」兵士は思う。何故こんな得体の知れない存在に食事を作らなければならないのかと?
逃げてくれればいいのにと。しかしどっかりと腰を落ち着けて「めっし〜飯飯めしぃ〜!」そう言って箸を鳴らすラスキドールには関係のない話だった。
Inocent Woridの作者さんへ
ジェノフレイムとかまで出て来る場所。世界は野良ゾイドに溢れ返っているらしいですね。
恐るべし…。如何しても町を野良ゾイドに破壊させたい人も居るようで…。
鉄獣28号さんへ
やっぱりザビエルさんは怖いです。しかもタイミングの良い所に良い人が出て来る始末。
そろそろ〇獣大戦争じみた戦闘が始まるのでしょうか?
「ルナリスちゃん…どうしよう…。」
「私としても奴は余り相手にしたくない…というか今のアイツはかなり危ないぞ…。というかちゃん付けするな!!!」
殺伐とした空気の中でも二人はささやかなパターンを忘れる事は無く、ハーデスはカンウの頭を軽く小突いていた。
「わ〜何かいつの間にかに凄い事になってるな〜…ヤレヤレ〜!」
「タイガス君…あんまりやる気無いでしょ…。」
いつの間にかに四人と四機に追いついていたトランサーとティニィであったが、タイガスとラッキーの二人は戦いの観戦を決め込んでいる様子だった。
「逃がさんぞゾイキュア…特に“緑の悪魔”は俺が必ず殺す。なぜ貴様の様な過去の亡霊が今だに健在で居れるのかはわからんが…。絶対に殺してやる!!!」
もの凄い形相でカンウへと迫っていくドラゴスとデスレイザー。そして、彼がその時に吐いたセリフに、マリンは一瞬青ざめた。
「あんた…何で曾お婆ちゃんの異名を知ってるのよ…。」
「え!?って言う事は貴女!もしかしてマオ=スタンティレルの血縁者か何か!!?」
「へ?」
殺伐とした空気を吹き飛ばすように会話に割り込んできたのはリューコだった。そしてそのままパラブレードがカンウへと走り寄ってきた。そんな事態にマリンはやはり戸惑うしかなかった。
「た…確かにそうだけどさ…。ねえ…ど…どうしてカンウや曾お婆ちゃんの事知ってるの?」
「やっぱりそうなんですね!!?うわ〜よく見れば本当にあの本に載っていたマオ=スタンティレルにそっくりでキレイな人ですね〜!」
「キレイ?」
リューコは妙にマリンをおだてていたが、マリン自身は拍子抜けするだけだった。そして、袖口から鏡を取りだして自分の顔を目を細めながらじ〜っと見つめ始めた。
「ねえ…ルナリスちゃん…。私ってキレイなのかな〜…。私にはどうも分かんないよ。ただ顔に大きな傷が二つも付いた顔にしか見えないよ…。」
「え…?自分で分からないんですか?」
「でも私、女の顔に興味なんて無いし〜…。」
「そ…そりゃそうだけどさ…。」
マリンの反応に、リューコ、さらにラッキーまでが呆然としていた。と、そんな時、彼女等の前にハーデスが割り込んできてカンウの頭を軽く小突いたのだった。
「お前いい加減ちゃん付けするなよ!!まあとにかくだ!コイツはこういう奴なんだ!だから気にするな!」
ルナリスが説明する通り、マリンは顔に付いた二つの傷を補って余りある程、かなり美人の部類に
入るのではあるが、マリン自身がそれを全く自覚していなかったりするのである。まあそれは彼女の
曾祖母であるマオも同様の事だった。やはり血は争えないと言う事だろうか…。
「そ…それはとにかく、貴女のそのゴジュラスギガ!多少武装の変更こそあるものの、あの時の本に載ってた緑の悪魔そのままですね!」
リューコは唖然としていたが、どうにか立ち直った後、そう会話の話題を変えてきていた。
「確かにカンウは昔、曾お婆ちゃんと一緒に緑の悪魔と呼ばれていたらしいけど…何て貴女達がそれを知ってるの?」
「そりゃ緑の悪魔と言やぁ100年前の大戦時代に大暴れした怪物だからな〜…それに関する様々な記録が数多く残ってるんだよ…。」
久々に会話に戻ってきたドラゴスが、やはりカンウをにらみ付けながらマリンの疑問に答えていた。
「それは分かった…けど何でそこまで私とカンウを固執するの?」
「そうだぞ!第一あの時の戦いでお前にトドメを刺したのは私じゃないか!」
一応マリンをフォローするつもりなのか、ルナリスも会話に加わって来ていた。しかし、ドラゴスは…。
「昔…俺がまだガキだった頃…親父がよく言っていたぜ…。帝国軍の兵士だった爺ちゃんは緑の悪魔に殺されたってな…。」
「!!!!!!」
衝撃の事実に周囲に沈黙が走った。そして、リューコのパラブレードがデスレイザーに歩み寄る。
「ドラゴスさん!それ…本当なんですか?私今初めて聞きました…。」
「いや、俺も今さっき思い出したんだ…。」
ずげげげげっ!!!!!
その時、周囲にいた誰もが度派手なすっ転びを見せたのだった。
「今さっき思い出したって…。」
「何か後付け設定臭いな〜…。」
倒れたカンウとハーデスを起こしながら、マリンとルナリスは目を細め、半ば本気にしてないという感じで愚痴っていた。とは言え、ドラゴス自身は本気だった。
「帝国出身の俺からすれば緑の悪魔は本当に悪魔そのもの何だよ!!あの大戦中!緑の悪魔は数多く
の帝国兵士の命を奪った。そのくせ緑の悪魔本人は何事もなく生き延びて、戦後ものほほんと暮らし
やがったと言うじゃないか!!というか貴様の存在自体がその証明!!!それが俺は許せないんだよ!!」
ドラゴスの形相、そしてもっともらしい理屈にマリンはうろたえた。
「そ…そうだよね…。あんなに優しかった曾お婆ちゃんも…、人を沢山殺してきたんだよね…。緑の悪魔と呼ばれていた程だから…。」
「そうだよ!!だからその緑の悪魔の半身であり!!大戦時代の亡霊であるそのゴジュラスギガは破棄しなくちゃならないんだよ!!あの惨劇を繰り返さない様に…。」
「ちょっと待てよ!!!」
突然話に割り込んできたのはルナリスだった。そして彼女はさらに言う。
「お前なんかもっともらしい事言ってるがなー!!所詮は100年も昔の話じゃねーかよ!言っておく
がこの私だって帝国系の人間だぞ!!しかもウチの爺ちゃんは元帝国の将官だったりするらしい
んだよ!!だが、この私は共和国将校の曾孫のコイツとこうして旅をしているぞ!!大戦時代が
どうだとか言うけどな!!所詮は100年も昔の話だ!!ヘリックがどーしたゼネバスがどーしたって
時代は終わったんだよ!!つーかコイツの曾婆ちゃんである初代緑の悪魔だって、もうこの世の
人間では無いらしいし…。コイツのカンウもマリンのゾイドとして新たな道を進んでいるんだ!!
第一戦争時代に兵士が殺されたとかどーとかでそんな事言っていたら、あの戦争に参加した全ての
兵士が命を狙われなくちゃならなくなるぞ!!だからお前の言ってる事は逆恨みでしかないし!!その程度の事で恨むのはお門違いなんだよ!!」
「おぉぉぉぉ!!!何か良い事言ったよこの人―!!!」
なぜかタイガスやラッキーがルナリスへ向けて拍手を浴びせていた。そんな拍手喝采に戸惑うルナリスとハーデスに、今度はカンウが顔を近づけてきたのだった。
「ルナリスちゃん…さっき“初代緑の悪魔”って言ったよね…。って事は何?もしかして私は“二代目緑の悪魔”になっちゃうとでも?」
「え?違うの!?つーかちゃん付けするな!!」
「……………。」
またもや殺伐になりかけていた空気が、このようになす術もなく破壊されてしまった。
>>恐怖の亀裂作者さん
おもしろ怪人キタァァァ!!
それと、機械科魔学って響きは良いですね〜。やっぱり世の中現代科学とは
根本的というか、概念的に違う様な技術も存在するという事を実感させてくれます。
「やはり彼奴等を出すのは早過ぎたか…。」何処かも解らない空間でヴィゾールの剣は呟く。
しかし計画実行には対称の空間全体の”歪み”を払う必要が有る。無謀ではあるが必要な事なのだ。
仕掛人?であるヴィゾールの剣にすら認知は出来ても観測する事の出来ない物は世界に数多くある。
人の心、自分の心、ゾイドの心等些細かつ不可視な物。それに準ずるのが世界の壁を護る強固な”歪み”である。
これは実現されてはならない世界同士の接触を避ける物と言う概念であるが実際に歪みは存在し実質有ってはならない事象から世界を強固に隔離している。
しかし空間に穴が開けられるとそれを補填する為に歪みが消費される。それが繰り返されるとその周辺に歪みの少ない世界の壁が生まれると言う寸法だ。
そこには衝突や接触を押さえようとする膨大なエネルギーが集まりそれを利用する事で”奇跡”を起すことが出来る。それがヴィゾールの剣の最終的な目標である。
「もう少し…後もう少しで…”巻き直し”を起す事ができる。”巻き戻し”では駄目なのだ。」そう呟き外に視線を向ける…。
「ん?僕達が何者かって?ちょっと待ってよ…もぐもぐ。」催促されようとそれを無視する様に自分の都合で食事にがっついているラスキドール。その隣りには節度を持って食事を済ませたベレディケンが居る。
「汝等?直グニデモ答エガ欲シイカ?」ベレディケンの言葉に「ええ。出来れば早急に…。」余り刺激しない方が宜しいと解り切っているので下手で兵士は聞く。「ベレディケン。説明宜しく。むぐむぐ。」全てを丸投げしてラスキドールは食事を続ける。
「ウム。ソレデハ…。」その口から齎された言葉はさっぱりで録音と速記で覚える事で処理する。解る所は取り敢えず…彼等が昔噺等で悪魔と呼ばれた存在と相違ない事。
彼等はサイモン=ベルカッセの機械科魔学を証明する存在で有る事。彼等は古代ゾイド人の大量死滅の時期に産まれた事。そして…ヴィゾールの剣の目的を知っている事だった。
そんな中アービン達がラミューズを連れてテントに入ってくる。すると…「お〜!?久しぶり!元気してた?はぐはぐ…。」ラスキドールがラミューズに手を振る。それを見て「本当ですね…。」手を振り返すラミューズ。
極小規模で知り合いやらが登場する時点で何かが収束しつつ有る事を当事者達は再認識する事になった。
「ふむ…それで君達を”捨て駒”にしたと。やはりさっぱりだな。聞けば先には家のうつけ者と殺り合ったそうじゃないか?」
「殺り合ったって言ってもあっちの1人勝ち。しかも逃げ勝ちと来たもんだ。見てよ可哀想なベレディケンの顔を…プッ。」
そう言ってベレディケンを指差すラスキドール。アービンは…顔を片手押さえあの馬鹿がと言う様な素振りをする。
相変わらず”泥”塗られたその顔は悪戯レベルの物で恥ずかしくて溜まらないアービンだった。
「ぜえ…ぜえ…。大丈夫でありますか?」医務室に飛び込んだファインの目の前には物悲しい風景が映る。
患者の数が多い。それだけならまだ良いのだが…ベットに横になっている者の大半が…自分が痛めつけた化け物達だった事だ。
「…駄目じゃない。突然襲い掛かっちゃ?大惨事よ?全く。」エキドナは患者を気にする訳でも無くファインを叱りつける。
こっちが聞きたいですと言う様な顔のファインを見てエキドナは笑う。「来る者は拒まずよ。これでも医者ですもの。」一言で片付けられてしまった…。
状況を確認すると外に出た者は明らかな敵意を持って居たらしいが施設内に出て来た者の大半は無理矢理ここに放り出されてしまったらしい。
殆どの者が世の闇に隠れ生き長らえてきた地底の種族らしく聞いてみればかなり知性の高い生命だった様だ。「それで…あんな風になったのでありますか。」
上手く行き過ぎた作戦の答えはそれだったらしい。明らかに古き種族も居たがここには居ない。「何処に行ったのでありましょう?」そんな訝しげな表情を察してか老人らしき者が前に出てくる。
「おまいさん。殺しは無しにしといてくれよ。ほっほっほ。」「お爺さん。お伺いしたいであります。古き者共は此処には居ない様でありますが?何処へ行ったのでありましょうか?」
すると老人は「奴等は儂等とは違うよ。何処かに一斉に移動しおったな。確か水の中じゃよ。」それを聞きファインの顔は蒼白になる。「おや?お主も心当たりが有るのじゃな?ならば急ぐとよかろう。」
会釈をして去ろうとする背中に「ありがとうございますであります!お爺さんのお陰で被害が少なくて済みそうであります!それとさっきは申し訳有りませんであります。」
そう言って振り向こうとするファインに「気になさるな。所詮偏見は簡単に払う事はできんよ。」老人は杖を振り答えた。
「如何やら空振りに終わって良かったですね。いや良かった。」エリオットはファインと合流してそう言う。
「確かにここは大丈夫でありましたが…実は…。」「何ですと?それはいけませんね。それでは急いでください!今ここで自由に動く戦力は中尉のお持ち帰りだけですからね。」
エリオットは素早くディロフォースを下りるとファインを乗せて送り出す。医務室に入り内線を経由してアービンにそれを伝えた。
「修復状況は?」アービンが聞くと「大丈夫だぜ。直にでもいける。後は奴が…と来た来た!」大きく手を振り整備班長がファインにGOサインを出す。
「了解であります!」ファインはディロフォースをコクピット周辺まで昇らせるとベルゼンラーヴェのコクピットに滑り込む。ディロフォースはそのまま走り去り20m程の所で停止した。
「システムチェックその他省ける所は省略!出撃準備良しであります!」コンディションモニターは全て良好オールグリーンだ。「おい!立ち上がるぞ!直に避難だ。急げ!」
陸上である為寝かし付けられていたベルゼンラーヴェがゆっくりと起き上がる。周辺を揺らしながら膝を突きそして直立する。
「反応?奴か〜どれどれ…魔導機は…っておい!ゾイドじゃん!?これじゃあ解る筈無いよ!」ラスキドールは愚痴を零す。「ソウ言ウ事モ或ル。諦メロ。」ベレディケンは何か悔しそうなラスキドールを見て言った。
続いて武装の確認を取るファイン。使ってはいなかったがレーザーウィップの存在を再確認して「今回は活躍しそうでありますね。」そう言って他の武装を見やる。
全領域耐圧バルカン砲4門。腕部ショックガンランチャー。各部バスタークロー等々。一般装備はどれも良好だ。今回は2丁の拳銃とフレキシブルウェポンドライバー(ゾイドサイズ)は戦闘領域の関係上NGだ。
後者は推進器オンリーとして活用できるが銃は流石に使えない。その威力と内包物の関係上水の中で使うとこっちだけに甚大な被害が出る。同様に内蔵火器の弾薬でグレネードも使用できない。
機体の全備重が8%程軽減されている状況である。「それでは!出撃するであります!」目指すは中腹より少し上の地下水脈入り口。古き者共の殲滅が目的である。
最悪の状況ならこの機体同様の下級獣神級ゾイドとの戦闘も有り得るので急ぎたい所だ。何時の間に勇者の使命を帯びてしまったのやらと失笑が零れる。
鉄獣28号さんへ
遂に二代目就任?本人からすれば大変不名誉な事にも成りかねない冠名ですね…。
やっぱり悪魔と呼ばれてしまうのか!?
最悪の事態と成って参りましたので
【人名】
ラスキドール:謎の猫男、背中に小さな羽状の魔導機を持つ精神年齢は外見同様低く傍若無人な子供その物
出自はラミューズと同年代で種族はメイジアニマリオン、人造生物の一種
ベレディケン:同謎の爬虫類男、魔導機は体に内包されていて判別不能、頭部がディプロガンズ似で有るが本人曰く爬虫類
やはりラスキドールと同じ時期に制作された様であるが年齢が高くそう言った類の初期タイプなのかもしれない
種族はマギウスレプリカルタイト、強力な腕力は重金属合金の壁をも破る
サイモン=ベルカッセ:共和国偉人伝の人気の一角を担う人、荒唐無稽の機械科魔学の存在を提唱した人物でそれに則り無茶を楽々熟したという
その幸運は後に彼を神とした新興宗教を作り出す程の影響力だった
【技術】
機械科魔学:サイモン=ベルカッセが提唱した古代の科学技術の一つの系統、機械を根源にして周りより力を取り入れ力を行使する技術
その使用には魔導機を要しそれにより物理学では説明できない不条理を引き起こす、実際には証拠が曖昧で与太話と思われ相手にされなかった
サイモン=ベルカッセ曰く全て同じ目のサイコロを振る様なインチキを世界に対して行う技術
魔導機:これにより生命体は機械科魔学の力を手にする事が出来る、逆に言えばこれが無いと機械科魔学は始まらない重要な物
生命体毎個々に魔導機となる物は違い身近な物で発動できたりするとポルターガイスト現象等をあっさり起してしまうと言う実は傍迷惑な存在
と、カンウがハーデスの方を軽く叩き、マリンはルナリスの顔を見つめながら笑みを浮かべた。
「でもまあ貴女のおかげで少し吹っ切れる事が出来たよ…。確かにあの優しかった曾お婆ちゃんが
沢山の人を殺してきたなんて今だに信じられないけど…。それが戦争と言う物なんだろうからね…仕方が無いと言う物と言う事でしょ?」
「ふ…そう言う事だ…。」
と、互いに二人は納得し合っていたが…。
「俺は認めんぞぉぉぉぉぉぉ!!!!緑の悪魔は…。その血縁もろともこの世から消滅させてやるぅぅぅぅ!!!」
ドラゴスだけはなおも納得できない様子であり、もの凄い形相でマリンをにらみ付けていた。
「もう止めて下さいドラゴスさん!!第一ここでデスレイザーを壊したら…。」
「お〜…そろそろ戦闘開始か〜?ヤレヤレ〜…!」
と、ドラゴスと止めようとするリューコややる気無さそうにしていたタイガスなど、他の者も色々やっていた。と、そんな時だった…。
「ん!!!?」
突然マリンが悪寒を感じ、レーダーを覗いた。そのレーダーには、画面を覆い尽くす程の数の反応がキャッチされていたのだ。
「こ…これは…。」
マリンが嫌な予感という物を感じ、青くなっていた時だった。そのスキを突く様にデスレイザーがカンウに跳びかかった。
「スキアリぃぃぃぃ!!!うおぉぉぉ!!!覚悟ぉぉぉぉ!!!!」
「ちょっと待って!!みんな!!レーダーを見てよ!!」
「え?」
マリンの声に、誰もがレーダーを覗いた。もちろんこの反応はただ事では無いと感じたドラゴスも
攻撃を中止してレーダーを覗いていた。そして、マグネッサー3Dレーダーの搭載によって、
索敵能力において最も優れていると言えるカンウからキャッチした情報が彼等のゾイドそれぞれに
転送され、それの転送された情報を見たルナリス、そしてタイガスとラッキーはが青くなった。
「お…オイ…。」
「これって…。まさか…。」
「多分…そのまさかだと思う…。」
「え?え?」
彼女等は悪寒を感じ、青ざめていた。しかし、ドラゴスとリューコだけはワケが分かっていない様子
だった。と、その時だった。地平線の彼方から何かの大軍団が砂煙を吹き上げながら彼等のゾイド目がけて、迫ってきていたのは…。
「うあぁぁぁぁぁぁ!!!出たぁぁぁ!!レオゲーター軍団!!!」
「で!!また出やがったぁぁぁぁ!!!」
「え!?って事はもしかして貴女達も!!!?」
「おい!一体どうなってるのかさっぱりわからんぞ!!」
もう何がなんだかワケの分からない程混乱状態となっていた、とにかく、マリンとルナリス、そして
タイガスとラッキーはレオゲーター軍団に追われた事があった故にわかるとして、ドラゴスと
リューコはレオゲーター軍団に追われてはいなかった故に全くワケが分からないという状況だった。
「と…とにかく逃げろぉぉぉぉ!!!!」
「おい!!一体どうなってるんだぁぁぁ!!!?」
皆は一斉に逃げ出した。無論ドラゴスとリューコも怖くなって彼女等の後を追い、共に逃げた。問答無用で襲ってくるレオゲーター軍団から…。
「ハア…ハア…ハア…ハア…。」
「ゼエ…ゼエ…ゼエ…ゼエ…ゼエ…。」
それから、大きな岩山の陰に隠れ、息を切らしながら事をやり過ごしているマリン等の姿があった。
さらに言うと、カンウのジャマーが功を奏し、レオゲーター軍団は皆が岩陰に隠れている事など気付く
はずもなくそのまま走り去り、事無きを得ており、皆はゾイドから降りて互いに胸をなでおろしていた。
「ハア…。もう大丈夫だな…。」
「それにしても…昨日に続いて今日も襲ってくるとは…。一体何が目的なんだ?」
「つーか!アイツ等一体何なんだよ!俺にはさっぱり状況が理解できないぞ!」
一度レオゲーター軍団に襲われた事のある、マリン、ルナリス、タイガス、ラッキーの四人と違い、
ドラゴスとリューコは今日初めてレオゲーター軍団と遭遇した為、さっぱり状況が理解できずにいた。
「それはこっちも聞きたいぜ!」
「そうそう!何かいきなり襲ってくるのよ!」
タイガスとラッキーはそのように返答していたが、今度はルナリスが口を開いた。
「それについてだが、最近Ziファイターとか、とにかくゾイド持ってる連中とかが、ライオン型ゾイドの大軍に襲撃される事件が多発しているらしいんだ。」
「ライオン型ゾイドだと…?」
ドラゴスは目を細めた。そして、今度はマリンが口を開く。
「とにかく、噂が真実なら連中はライオン型ゾイド以外の全てのゾイドを無差別で襲っているらしいの。
しかも、あのレオゲーターは無人で、かつ遠隔コントロールを受けているワケでも無かったわ。」
「無人なのに遠隔操作されていないだと?」
マリンは軽く頷いた。
「実際ジャマーをかけても連中には何の変化も見られなかったよ。連中が遠距離から遠隔操作されているならジャマーで電波が阻害されて、何か変化が起こるはずでしょ?」
「た…確かに…。」
皆が納得していた時、今度はルナリスが言った。
「恐らく連中は“スリーパータイプ”なんだろう。しかし、問題なのは何処があれ程の数のレオゲーターを所有しているかの…。」
「あとはなぜ…ライオン型ゾイド以外を狙うか…。だな?」
「一体何がどうなってるのかさっぱりわかんねー!!」
その不可解な事件に皆は腕を組んで考え込んでいた。つい先程まで敵対していたと言う事などすっかり忘れて…。
「一度ならず二度までもレオゲーター隊の追撃をかわすとは…。これは私が直接動かなくてはなりませんね〜…。」
マリン等のいる場所より遥か遠くから、双眼鏡で彼女等の姿を見ながら、一人の男がそう呟いていた。
と、彼女等は悩み続けていたが、いい加減ラチが空かない故にマリンが一人立ち上がった。
「で・・・これからどうするよ・・・。私達はもうそろそろ行こうと思う。もうやり過ごしたしね・・・。」
「確かに、いつまでもここにいるワケにもいかんしな・・・。」
マリンに続くように、ルナリスも立ち上がった。
「んじゃあ俺等も行くかな〜・・・。」
「そうだね・・・。」
そして、二人に続いてタイガスとラッキーも立ち上がっていた。と、そんな時だった。ドラゴスが弱気な表情で四人を呼び止めたのだった。
「ちょっと待ってくれよ!俺達を二人ぼっちにしないでくれよ。またアイツ等が襲ってきたら怖いじゃねーか!!」
「あの時と違ってなんかえらく弱気になってるね・・・。」
マリンは困った顔をしていた。
「あのね〜・・・あんただって以前あのレオゲーター軍団と同じ事やってたでしょーが!いきなりZiファイター襲ったりしてさ〜!」
「そ・・・それとこれとは話は別だろ!!?第一俺はアイツ等と違って無差別じゃなかった!!ちゃんと
デスレイザーの実戦テストする上で都合の良い相手をしっかりと選んで・・・。」
「いずれにせよいけない事してたのは事実でしょうが!!」
「う・・・。」
マリンに怒鳴られたドラゴスはたちまち縮こまった。
「け・・・けどよ〜・・・ありゃ上の命令だったんだよ・・・。」
「でもそれを直接やったのはアンタでしょ!!」
「うううううるさい!!俺はお前等に機体をボロボロにされて減俸処分食らったんだぞ!!」
「それはアンタがいきなり襲ってきたからでしょうが!!!!逆恨みも良い所よ!!最初に攻撃してきたのはアンタなんだから返り討ちにされても文句は言えないでしょ!!?」
その時、ドラゴスの中で何かが切れた・・・。
「うがぁぁぁぁ!!!緑の悪魔は地獄へ帰れぇぇぇ!!!」
「また緑の悪魔ゆーたなテメー!!」
「きゃあぁぁぁ!!ドラゴスさんやめてぇぇぇ!!!」
物凄い形相になり、マリンに襲い掛かろうとしていたドラゴスをリューコが必死に後ろから抑えていた。
と、そんな大騒ぎをどこ吹く風という風に他人事としか見てなかったタイガスはルナリスに一言問いかけていた。
登場人物紹介についてもう少し待ってもらえると嬉しいです。
>>恐怖の亀裂作者さん
>本人からすれば大変不名誉な事にも成りかねない冠名ですね…。
確かにそう言う事になりますね。実際緑の悪魔という呼び名自体、他人が勝手に付けた物ですからね。
本人はただ必死に戦っていただけなのに気付いたら悪魔呼ばわり。普通に考えたら嫌でしょう。
それはそうと、不思議怪物が色々出てきてますね。最初の頃に良く搭乗していた寄生体が
全然大した事無い存在に見えてしまうほどです。
とりあえず出来た分の登場人物紹介を少しだけ書いておきます。
マリン=バイス
本作の主人公で年齢は15。前作の主人公であるマオの曾孫にあたる人物で、小柄な外見とは
うわはらに大男も力でねじ伏せる程の馬鹿力と、巧みなテクニックを併せ持つ。格闘技の流派は
マオ流格闘術で、ファイトスタイルはオールラウンドなのだが、特に関節技を好む。一応Zi
ファイター兼賞金稼ぎをやっており、そこそこ稼いでいる。最初はエヴォフライヤーに乗っていたが、
後に曾祖母の形見とも言えるゴジュラスギガ“カンウ”に乗り換える事になる。が、実力的には
マオの足元にも及ばないので、強い事には変わりないが、マオ程無茶苦茶な強さにはなっていないの
であるが、食らっても大してダメージにならないような攻撃に対しても悲鳴をあげて避けようと
したり、ピンチになると泣き出したり、強いクセにセコイ所があったり、料理の腕前は神童級など、
妙な所でマオの血を引いている事を思わせる面がチラホラと存在する。その容貌も誰もが認める程の
美人なのであるが、本人は全くと言っていい程自覚してはいない。その一方で右目と左頬の二箇所に
大きな傷跡が残っており、可愛い顔して結構凄みなんかもあるという事になっているが、美貌の
印象の方が強いのか、あまり誰にも気にされていない所がある。また、彼女が来ている服の大きな
袖口には日用品から火器凶器まで、大小様々な物が入っている。
ルナリス=バッハード
世界に名だたる大財閥であるバッハードコンツェルンの社長令嬢であり、年齢は17。幼少の頃より、
次期社長となるべく両親から数々の英才教育を施されてきたがその縛られ過ぎた生活に嫌気がさして
家出、そのままグレて街の不良グループのリーダー、いわゆる登場当初は最強の敵として登場したが、
マリンとうち解けてからは共に賞金稼ぎを始めるのだがスケ番になる。実戦経験その物は豊富とは
言い難い所があるが、その運動能力はマリンと同等。何故かドツキ漫才もやっている。格闘技の
流派は死竜流で、ファイトスタイルは打撃系。ただ、その突きは拳による物では無く、指を立てた
状態で放ついわゆる指拳突き。マリンに比べて大人っぽい所があり、性格はクールかつ知的であり、
マリンによく博学と感心させられる所があるが、その一方でマリンに“ちゃん”付けで呼ばれると
感情をむき出しにして怒る。また、本人は悪を気取っているつもりなのだが、悪になりきれない所が
あったり、マリンの方が腹黒かったりする所がチラホラとあるためか、元不良の割に結構常識人な所
がある。また、履いている靴のつま先には刃が仕込まれている。愛機はデスザウラー“ハーデス”
タイガス=ハンシーン
伝説の古代虎を手に入れる旅をする青年であり、年齢は20ワイツウルフ“トランサー”に搭乗する。
無論彼はワイツウルフがワイツタイガーという事に気付いていない。その実力は高く、マリンと
カンウを終始圧倒した程。ちなみに名前の由来は阪神タイガース。
ラッキー=トルワート
タイガスの幼なじみであり、共に旅をしている。年齢は19。サビンガ“ティニィ”に搭乗する。
マリンの料理を口にした時、その余りの美味さに感激して彼女を師と仰ぐ(?)様になる。ちなみに
名前の由来は阪神タイガースのマスコットのトラッキー。(名字のトルワートに関しては特に意味は無い。)
和尚(本名はまだ秘密)
とある街の寺の和尚をやっており、同時に墓地の管理人も兼業している。年齢は百歳以上。マリンに
格闘技を教えた師であり、マオの弟子でもある。その外見は一見ただの老僧であるが、その実力は
年老いてもなおマリンが逆立ちしても全く敵わぬ強さを持っている。
ルーガス=バッハード
バッハードコンツェルンを一代で立ち上げた事業家であり、現会長。年齢は百歳以上。ルナリスの
祖父に当たる人物でもある。若い頃は若くしてネオゼネバス帝国の少将に上り詰める程の活躍を見せ、
容姿、頭脳、人望のどれをとっても言う事無しという完璧に近い人間だった。その当時、マリンの
曾祖母であるマオが好きだった様子で、敵対しながらも、彼女を味方に引き込む、と言うより、
自らの妻にするために様々な知略策略をめぐらせていたが、結局どれも失敗に終わっている。
かと言って無能と言うワケでは無く、マオさえいない状況ならば破竹の大成功をおさめている。
また、ゾイド乗りとしての腕前も超一流であり、マオとカンウのコンビを破壊寸前にまで追いつめた
事がある。戦後は大幅軍縮の煽りを受けて退役せざる得なくなり、当時そのせいですっかり無気力に
なり、酒浸りの生活を送っていたのだが、戦後飲食店を開いていたマオの料理を口にした時、
その余りの美味さに感激し、同時にやる気を取り戻して破竹の勢いでバッハードコンツェルンの基盤を立ち上げてしまった。
ドラゴス=チュウニッチ
ズィーアームズ社のテストパイロットであり、デスレイザーに搭乗する。年齢は25。デスレイザー
の実戦テストの為、凄腕と評判のZiファイターを狙った襲撃事件を起こしていた。その実力は
カンウとハーデスを圧倒した程。デスレイザーをカンウとハーデスにボロボロにされ、減某処分を
受けた上に、100年前の大戦中、帝国の兵士だったという彼の祖父がマオに殺されていたという
事実から、マオの曾孫であるマリンを憎むようになる。名前の由来は中日ドラゴンズ。
リューコ=カリトン(ここでようやく名字が判明w)
ズィーアームズ社員でドラゴスの後輩。年齢は22。頭脳労働を担当し、ドラゴスの監視役でもある。
全然少しじゃありませんね・・・と、ここでかなり訂正したい部分があります。
>>39についてルナリスの項とタイガスの項にミスがあったので訂正させて下さい。
ルナリス=バッハード
世界に名だたる大財閥であるバッハードコンツェルンの社長令嬢であり、年齢は17。幼少の頃より、
次期社長となるべく両親から数々の英才教育を施されてきたがその縛られ過ぎた生活に嫌気がさして
家出、そのままグレて街の不良グループのリーダー、いわゆるスケ番となる。登場当初は最強の敵と
して登場したが、マリンとうち解けてからは共に賞金稼ぎを始めると言えば聞こえは良いが、実際は
単なるドツキ漫才やってるだけ。実戦経験その物は豊富とは言い難い所があるが、その運動能力は
マリンと同等。格闘技の流派は死竜流で、ファイトスタイルは打撃系。ただ、その突きは拳による物
では無く、指を立てた状態で放ついわゆる指拳突き。マリンに比べて大人っぽい所があり、性格は
クールかつ知的であり、マリンによく博学と感心させられる所があるが、その一方でマリンに
“ちゃん”付けで呼ばれると感情をむき出しにして怒る。また、本人は悪を気取っているつもり
なのだが、悪になりきれない所があったり、マリンの方が腹黒かったりする所がチラホラとある為か、
元不良の割に結構常識人な所がある。また、履いている靴のつま先には刃が仕込まれている。愛機はデスザウラー“ハーデス”
タイガス=ハンシーン
伝説の古代虎を手に入れる旅をする青年であり、年齢は20。ワイツウルフ“トランサー”に
搭乗する。無論彼はワイツウルフがワイツタイガーという事に気付いていない。その実力は高く、
マリンとカンウを終始圧倒した程。ちなみに名前の由来は阪神タイガース。
レスの無駄使いしてしまって済みません。色々付け加えているウチに、気付いたら書く場所間
違ってたなんて事もちらほらとあったりした物で・・・。
「そろそろか…期待しているぞ。古き者共。」彼等とヴィゾールは古くからの主従関係にある。
当然外部意思端末のヴィゾールの剣の意向に従い近水脈に有る彼等の聖域で祈りを捧げている。
”いるなやふ! あぐらめてと! ばでぃーる! えせぐめんと!”その祝詞は聖域中に響き渡り周囲の洞窟に反射し山彦が更なる怪異を呼び寄せる。
非常に知能が高く公用語すら操れる彼等。しかし彼等の神の言葉は別の言語で有りそれを一心不乱に聖域に捧げる…。
その内幾人かの眷属は自らを引き裂きその命を供物とする。それにより祈りは高まり最高潮を見せる。そこに偶々飛び込んでしまったベルゼンラーヴェ。
そして…神は物言わぬ岩より形を伴って顕現する。「…同型!?こいつは不味いでありますね!」姿を表したのは機械の体持たぬ偽りのベルゼンラーヴェ。
そして古き神は事も在ろうに祈りを捧げた忠実なる下僕を喰い散らかす。「何とも大食漢な御方で…。」引きつる笑い。足りない命を補う様に神は信徒を喰らい尽くした。
地底の洞窟で対峙する同じシルエット2体。まだ命を貪り足らないと不機嫌そうな雄叫びを上げる。それを合図に一斉に行動に移る2体。
邪神の喉が膨らみ口中に破滅の輝きが灯る。次の瞬間轟音と共に巨大な火球を吐き出す。「これがカラミティシャドウの力!?」ESBストライクを地面に向けて解放。天井に張り付き火球を躱す。
そのままの状態から上半身から落下しながらショックガンランチャーを発砲する。直に回転して地に足を突きそのまま着弾して仰け反った邪神に拳を振るう。
どす黒い地が飛び散り耳では判読出来ない悍ましい悲鳴を上げながら邪神は何とか反撃の拳を見舞う。「おっと…。」肘打ちでそれを捌きそのまま拳を叩き付ける。
殴る。殴る。殴る。捌く。殴る。火球を避ける。蹴る。殴る。肘打ち。頭突き。殴る。全くと言って良い程相手の動きは様になっていない。しかし手応えも全く無い。まるで潰れたサンドバックの様な感覚だ。
尾で足を掛け邪神を転倒させると右手でライトニングスクライドを放つ。そこで邪神に新たな動きが有る。「洞窟内で津波!?」ここは地下水脈内部の洞窟である。しかし目の前に迫る現象は鉄砲水では無く津波だ。
腐っても鯛成らぬ神。この程度の天変地異ならお安い御用なのだろうか?直撃を避けるために地下水脈に飛び込み広い空間にでる。
間一髪と言った所だろうか?空気中から津波を受ければ唯では済まないが水中のうねりなら流される事こそ在れ衝撃等で機体を破損する心配が無い。
水脈の壁程度なら打つかったとしてもベルゼンラーヴェの機体の剛性が遙に勝る為大した被害もまず無い。
「見失ったでありますね…レーダーに反応?影は…二つ!?」レーダー等には特に気を使っているので誤作動は有り得ない。つまり…神はもう一体居る事になる。
水中で警戒しながら迎撃態勢を取る鉄屑…許せない!下級であれど神である我に牙を剥くばかりではなくこの体を傷付けた。それ程我の体が模した者は強壮である。
怒り半分歓喜半分…まあ良い。我は眷属を呼び寄せた。古き昔より我の伴侶たる存在。寄り添い甘える影を諭し目的を果たさんが為に共に参ろう。二手に分かれ挟撃せん。
「素早い!うわっ?ととっ?ひょええ〜!?」二つの影の一つは機体と同じ姿を模した神。そして新たに現れた影はワニ顔にトビウオの胸鰭。体は顔に合わないサイズの巨大なワニ。
見た目エリマキワニと言った所だろう。「襟持つワニ?ウェイブレイダーでありますか!?」予想はしていた真逆つがいの神と戦闘になるとは思いもしなかったファインに焦りが芽生える。
絶対的な不利確か言い伝えでは…と思う所で答えが現実になっている。「お約束!?やっぱりそうなるのでありますかっ!?」お互いの体の一部を繋ぎ合わせながら更なる巨体がそこに現れる。
一つの存在になった神はその両の口より輝く炎を吐き出す。水中で勢いを失わないそれを見て初めてそれは炎の形を取った別の存在である事に気付く。うねりも収まり動きに支障が無くなった為何とか避ける。
しかしそれはベルゼンラーヴェの回避した方向へとその向きを変えて追撃してくる。「嘘ぉ!?曲がってるでありますよ〜!?」今度は蛇行しながら水脈の入り口に逃げる。何とか水脈から飛び出ると今度は水脈を飛び出した途端に激しい炎になり周辺を解かす。
「余り他人事には思えませんが反則ではないでありますか…?」答えは返ってこない代わりにその張本人が水脈入り口から姿を現す。それに合せる様にレーザーウィップを放ったのだが口からの炎に焼かれて誘導糸が蒸発する。
「パワフルな火力でありますね…。」しかしそれと平行してフレキシブルウェポンドライバーから発射されたミサイルの雨が合体邪神の頭上に降り注いだ。
ミサイルが炸裂して視界は光に掻き消される。それに合せてもう一方の手に有るレーザーウィップで横薙ぎに振り払うがこれも手応えが無い。
次の瞬間には二つの衝撃がベルゼンラーヴェを襲い。水脈入り口周辺の中腹の岩場から叩き跳ばされる。何時の間にか合体邪神はその合体を解き2体で体当たりを喰らわせて来ていたのだ。
「ぐうううぅぅぅっ!?」空中に吹っ飛ばされ元の足場から100m以上も突き上げられ落差300m以上の位置で山肌に激突すれば流石にアウトだ。機体は兎も角ファイン自体の命はまず無い。
しかし衝突のショックで当人の意識は現実から引き剥がされていた。
意識は闇に墜ちて行く。重たくぶら下がった目蓋は幾ら開こうとしても言う事は聞かない。その目蓋の下では少し前に見た映像が再生される。
今度は視点が違い今まで確認した物とは違う。内容は良く解らない。徹底的にもやが掛かっている。だが今度は声が聞こえて来る。それは泣いている子供の声。
無駄かもしれないのにその声に手を差し伸べるファイン。無意識の行動だった。
しかし手は届く。その声の主の頭に手は添えられ優しく撫でる。するとその誰かはその手をしっかりと握り返してこう言う。「ありがとう。」と。
手に篭もる暖かい温もりは偽りだったのかもしれない。しかしその暖かさは意識が現実に戻る為には充分な物であった。
意識が現実に戻りその手で何かをしっかり掴む。するとベルゼンラーヴェの手には何時の間にか置いて来ていた筈の銃が握られている。態勢を立て直し地表との接触寸前にESBストライクを発動。
空中に再び弾き飛ばされる。今度は自身の意思で。「バーミリオンクレイモア!エンディミオンフルーレ!」2丁の銃を構えてベルゼンラーヴェはまた合体している合体邪神に銃口を向ける。
二つの口から炎が再び吐き出される。しかし2丁の銃を一気に全弾撃ち尽くす。計12発の銃弾はそれぞれの軌道を描き炎を切り裂きまたはそれを回避する。直進するのはバーミリオンクレイモアの銃弾。
Eシールドを纏い炎を引き裂く。回避する軌道を執ったのはエンディミオンフルーレの銃弾。こちらは発射時の銃身を通る際に与えられる回転力が高い為少し曲線上に銃弾が飛行する仕組みである。
全ての銃弾は合体邪神に着弾して派手な血飛沫を発生させている。しかしそれでも邪神は健在。ショック死等は無いらしい…。
鉄獣28号さんへ
スリーパーシステムって中央大陸戦争期から使われていた技術らしいので実は以外と厄介な気がします。
それにしてもドラゴスさんは血が上りやすい正確なようで。
人物の設定は書き出してみると本文でこう言う風に書いた物を自分はこう捕らえていると言う事が解ったりして以外と面白かったりします。
ほかの人には別に見えても自分はこうだ!と言う感じで。お疲れさまです。
何か何処かのC級ホラー物な感じの物が出来上がってしまいました。邪神。
「ちょっと説明してくれんかね?俺には何が何だかワケがわからん。あの変な男は以前何かやってたのか?」
「あ?アイツか?あんた等も以前聞いたこと無いか?Ziファイターがいきなり“赤い怪物”に襲われるって事件。」
「あ〜・・・何か聞いた事あったな〜そういうの。凄腕のZiファイターばかりを狙うって奴だろ?そのくせ俺が狙われなかったんだから何かの冗談とばかり思ってたんだが・・・。」
「タイガス君自信過剰!」
タイガスの言葉にさりげなくラッキーがそう小声で突っ込みを入れていた。とはいえ、タイガスは言葉を続ける。
「で?それが一体何なんだ?」
ルナリスはドラゴスを背に向けた状態で親指で指差した。
「いや、だからあの事件の犯人はアイツなんだよ。なんかアイツが乗ってるゾイドの実戦テストが目的だったらしい・・・。」
「なんと・・・。」
それを聞いたタイガスとラッキーはいがみ合うマリンとドラゴスの前にやってきて、ドラゴスを指差した。
「いーけないんだーいけないんだー!先生にゆーてやろー!」
「んだとこらぁぁぁ!!!お前等も殺されたいかぁ!!?つーかお前等子供かよ!!」
タイガスとラッキーの煽りによってドラゴスはますます怒り狂った。と、それに驚いた二人は一斉にマリンの後ろに回りこむ。
「キャー!先生!!この人がいじめるぅ〜!」
「誰が先生よ!」
「うぉぉぉ!!!お前等全員皆殺しじゃあぁぁ!!!」
「ドラゴスさんやめてぇぇぇ!!」
ドラゴスを煽っておいて、危なくなったらマリンを盾にしようとするタイガスとラッキー。怒り狂って
無差別虐殺しようとするドラゴスと、それを抑えようとするリューコ。他人事のようにそれを見ている
ルナリスなどなど、かなりもうワケの分からん事になっていたのであるが、そんな時、彼女等の近くにあった茂みからガサゴソという音が聞こえてきたのだった。
「ん?何だ?」
「誰かいるのか?」
突然の出来事に、皆はそれまでやっていた事を中止して茂みに注目した。やはりその茂みはガサゴソという音を立てている。そして皆は緊張した。
「気を付けろ・・・またあのレオゲーター軍団の時の様なワケの分からん事が起きるかもしれんぞ・・・。」
ルナリスがそう言い、全員がゆっくりと後ずさりした。と、その時、その茂みを書き分けて何者かが現れたのだった。
「いや〜皆さ〜んこんな〜所に〜いらっしゃったんで〜すね〜?」
「うぉわぁぁぁぁ!!!!こんな時にザビエル出て来るなぁぁぁぁ!!!!」
突如として現れたザビエルにマリンとルナリスは真っ青になって抱き合い、そのまま超高速で後退りしたのだった。それには誰もが唖然とした。
「お〜!な〜んでお嬢さ〜ん方は〜私の顔を〜見るな〜り逃げ〜るんで〜すか〜?」
「その変なミュージカル口調なんとかならんの?」
皆が唖然とする中、タイガスが一人そう突っ込みを入れたが、ザビエルはにこやかに微笑んで答えた。
「お〜!そうい〜うのは〜あまり気にする〜ものでは〜あ〜りませんよ〜!」
「そ・・・そうなの?」
なおもミュージカル口調なザビエルの言葉に皆は唖然としていた。
「で?目的は何なんだ?また布教が目的か?」
「お〜そうで〜した!皆さん獣王教には〜いりませんか〜?」
やはりザビエルの目的は布教活動にあった。そして彼は服の中から分厚い聖書というか教典というか、そんな感じの本を取り出していた。
「しつこぉぉぉぉい!!」
「もういい加減にしてくれぇぇぇ!!!」
突然そう叫んだのはマリンとルナリスだった。二人はそれだけ嫌だったのだ。それにはザビエルも困った顔をした。
「お〜・・・何でで〜すか〜?獣王神様の〜教え〜は素晴らし〜いで〜すよ〜・・・。」
「嫌な物は嫌なの!!つーかウチ仏教だし!!」
「そんな危なっかしい宗教入れるかぁぁ!!!」
ザビエルは必死に獣王教を薦めるも、マリンとルナリスも必死であり、涙目になりながらそう叫んでいた。と、ザビエルの目が今度はタイガス等に向けられた。
「で〜は皆さんはどうで〜すか〜?」
「いや・・・遠慮しとくわ・・・。」
「面倒くさい・・・。」
「そんな事するよりもっとやりたい事がある!」
「仕事が忙しいの!」
やはり誰もザビエルの言葉に賛同するものはいなかった。それにはザビエルの目も真っ白になり、ガックリと肩を落としていた。
「わかった?私達はそんなのには入らないの!人間なら他にも沢山いるんだから気を落とさずにそっちに行ってよ!」
「なら〜ば皆さ〜んには死〜んでもら〜うしかあり〜ませんね〜・・・。」
「!!!!!」
ザビエルの言葉に誰もが凍りついた。そして誰もが思わず身構えた。
「お・・・オイオイ!冗談は抜きだぜ・・・。」
「そうそう・・・何も殺すなんて・・・。」
「獣王教〜信者〜以外は〜人にあらずで〜す!故に貴女方には〜死んでも〜らいま〜す!」
「!!!!!」
その時、先程までにこやかな笑みを浮かべていたザビエルの顔が物凄い形相へと豹変した。それには誰もが思わず後ずさりした。しかし、それだけでは無かった。
「皆!!う・・・上!!」
上空に殺気を感じたマリンが上を見上げた時、そこにはこちらを威嚇するように飛び回るライガーゼロフェニックスの群れの姿があったのだ。
「ゼロフェニックスだと!!?いつの間に!!!」
皆は一斉にそれぞれのゾイドへ走り、起動させた。その後で一気にその場から逃げ様としたのだった。しかし・・・。
「うああ!!さっきのレオゲーター軍団!!!」
「囲まれてる!!!!」
そう、いつの間にかにマリン等はレオゲーターの大軍に囲まれていたのだ。
「地にレオゲーター・・・。空にゼロフェニックス・・・完全に囲まれたな・・・。」
「って事はまさか・・・。」
その時、ザビエルの高笑いが響き渡った。
そう言えば公式バトストの方の伝説虎編がやけにあっさり終了しましたね。
という事で少し今後の予告ですが、後々(と言ってもかなり後になるでしょうが)
伝説虎にまつわるストーリーを自分なりにアレンジしたストーリーで自分なりに完結させたいと思ってます。
>>恐怖の亀裂作者さん
やっぱり初めてやると登場人物紹介のやりかた何かかなり大変ですね。
ついつい長くなってしまいます。
それにしてもいわゆる生け贄のシーン・・・想像してみるとかなりグロイです。
その手の生け贄は現実世界でも昔は結構あったみたいですが、
やっぱり神も食べなきゃやっていけないって事なんでしょうかね〜。
裂けたとは言え炎の勢いは留まる事は無くベルゼンラーヴェの肩の装甲兼追加弾倉を焼く。
「ぐあっ!?」弾倉の予備弾薬が引火し爆発。肩アーマーは限界を超えて脱落、吹き飛ぶ。装甲材自体にはダメージが無い様だが胴体から支えていたアームは爆砕している。
弾倉ラック内側は通常合金部分が融解。一部が蒸発している。熱量以外の化学反応も伴っていたらしい。右肩が破裂し奇跡に近い状態で駆動部のみは被害を避けていた状態だった。
空間の歪みはこの一連の事象で薄くなり続けている。夜だというのに未だ夕焼けが空に染み付き正常な時間を刻んでいない。
実際に時間自体は正常に流れているがこの周辺の空だけが時を止めている。その現象を知る者は多分この後の空模様を知っているのだろう。
だが今は夕焼けの空に映えない醜い炎が激しく空に舞っている。口の一つを銃弾で潰されはして居たがその口からは断続的に息継ぎ、炎と繰り返し邪神はベルゼンラーヴェを狙い続けていた。
左肩の弾倉から弾薬を引っ張り出してみると案の定2丁の銃の弾が収まって居る。肩が爆発するのは当たり前だ。この狭い領域は非常識に既に侵略されていた。
炎を必死に避けながら銃に弾を手動で装填する。何時も通りの行動。唯サイズが異常なのだが…。装填を終えるともう一度銃撃といきたいのだが何やら状況は明後日の方向に急速に流れていた。
邪神を取り囲むのはついぞ逃がしたエルダー5。しかも体を失った者は更なる姿となって居る。常識はこの世の法則は何処へ行ったのやら?兎に角完全無欠と言う様に再生、強化が見て取れる。
この流れなら味方が合流。こちらはあっと言う間に窮地に立たされるといった事に成る筈だがエルダー5は邪神に用が有るらしかった。
何故この場から逃げられん!?我を縛るのは何者ぞ!?我はここまで憔悴している。疲労で倒れかけている。なのに何故?
邪神は自らを縛る枷に苛立ちの唸り声を上げる。我が伴侶は既に死に掛け我も力が足りない。鉄屑の接近を阻むので精一杯だというのにこの場を離れられない。
捕縛される枷は更に厳しくなり身動きすら既に執れない。真逆?貴様は我すらを?神すらを屠ろうとするのか?貪ろうとするのか?
「所詮神等純粋な力でしか無い。それがただ今存在としての意思を纏っているだけに過ぎん。」枷より忌まわしきヴィゾール…嘗ての従者の嘲笑が邪神の耳に届く。
何か宜しくない事が起こる気がして成らない。兼ねてより緊急時には山肌に誘き出し味方の支援を受ける予定であったがそれも時間的な余裕が無い。
何方かしか相手に出来ないので目標をエルダー5に変更する。片手に残ったレーザーウィップを構え一気に突撃を開始するベルゼンラーヴェ。
エルダー5は邪神を攻撃している。流石に生命力が凄まじくそう簡単には止めとはいかない様だがあの行動を見る限り体調は万全とは言い難い。
信徒を喰らい尚ベルゼンラーヴェに噛みつこうとしていた辺りはそれを匂わせる。幾ら何でもその内倒れてしまうだろう。
倒れてくれるのは結構だが襲っている輩の都合通りになるのはいただけない。そこで間に割って入りエルダー5にミサイル。邪神に蹴りを喰らわせる。
エルダー5にヴィゾールの剣にとっては予想だにしない奇襲で行動に不備が起こる。その隙に邪神を掴むと地下水脈に叩き落とす。
しかし腕に噛みつかれそのまま一緒に地下水脈へダイブしてしまう羽目に遇うファインとベルゼンラーヴェ。そのまま邪神は噛みついた腕を離さぬまま聖域へと帰還した。
そこで噛みついた腕を離すとついて来いとゼスチャーを取る。ベルゼンラーヴェを模していた事が功を奏した邪神だった。
ふん…貴様がそうなら我にも考えが或る。貴様は此奴と果てる事無く争い続けるが良かろう。それを我は覗き嘲笑ってやるのだ。貴様が我を嘲笑った様に…。
ファインは壁に有る壁画を見るが直に目を逸らす。これはやばいと判断したのである。大体書いて有る字が読める事が気に食わない。見た事も無い文字なのにも拘わらずだ。
そう言う物は最悪の知識である事に間違いは無いだろう。知識と経験によって産み出されてしまった狂気は何時でも何処でもろくでもない事を引き起こす。
以前の有る事件はいかれた思想に基づいて夜な夜な破壊、殺人を繰り返すOS搭載のゴルドスとコマンドウルフの小隊パイロットの捕獲何て事をさせられた記憶が呼び起こされる。
普通はリミッターとして?そう言う知識等は行動原理に結び付かない様に脳が頑張っているらしいがそれが思想なんかと結び付くといとも簡単に良識等が崩壊する。
まあそれは兎も角邪神は歩みを止めない。銃は腰部装甲裏にしまいレーザーウィップを構えて後に付いて行く。何処かに連れ込こまれて美味しく頂かれる可能性も充分警戒をしながら。
洞窟の最深部が目の前に有る。しかし邪神は気に止める事も無く壁に激突…しなかった。
邪神の手が壁に触れると壁が消失する。周りを見てみる限りは偽装の様だ。水の流れた跡なども有るので津波はこちら側から発生したのだろう。
後ろから忙しそうに追い縋るエルダー5の機影が見えたがベルゼンラーヴェを境界線から奥に移動させると壁が出現し後ろの視界が消滅する。
その後轟音と共に激しい衝突音が5つ連続で発生する。玉突き事故を起こしたらしかった。
如何やら完全に不思議空間に囚われている様だ。邪神は歩みを止めずに更に奥へと足を進める。空間の見た目は謎の光源に照らされた回廊。
ベルゼンラーヴェはおろか更に全高が高い邪神を以てしてもその天井の半分にすら届かない。何か致命的な歪みを内包した柱。多数の映像が重なり何かを判別できない景色。
それを回廊内に侵入するのを防ぐかの様な一見意味の全く無さそうな目のばらばらな網目の壁。その造形センスは理解の範疇を超えて居る。
機体の状況を見ると何と脱落、紛失した右肩装甲が破損した事が記録上の出来事でしか無かったかの様に定位置に有る。
何処かからか声がする。「ここでの時間の流れは対称毎に違う。忘れぬ事だ。自分の居た時間を。」声を発した存在は気配や場の雰囲気から察するに邪神からだろう。
何をしたいか全く解らない行動。所詮は矮小な人の身に彼等の思考や思惑など知る由は無い。今の所解るのは取り敢えず捕食対称から外れた事ぐらいしか理解は出来なかった。
真っ直ぐなのか曲っているのか?それとも捻じれているのか解らない回廊を先に行く邪神の色は周りの景色に溶け込み輪郭だけの存在に転じている。
回廊の途中一つの大扉が横に有る。如何やら終点はここらしい。更に先が有るがそこからは色が違う。大体見当が付く所によるとこれ以上先には更に”格”の高い存在が居ないと進めないのだろう。
と言うより進まれては困る。唯でさえ存在自体が曖昧な場所で更にそれが不確定になればそれ程精神力の強くないファイン等人間などたちまち不確定存在の靄に成ってしまうに違いない。
人と言う形を持って入る限界点だと本能的にファインは理解した。そして目の前の邪神もまたこの先では同じく確立の靄と化すのだろう。まあ先の領域の事はこの際如何でも良い。
今は御誘いのままに開いた扉の中に踏み込む。
幾重もの声が聞こえる。何処からの声かは距離感が曖昧な為解らない。しかし少なくとも怨嗟や罵倒の類ではない事は確かだ。
「其処等の声に耳を傾けているとそいつ等同様に成る羽目に合うぞ。」この声の主は邪神では無い。邪神の声でこう言い放たれる。
我の旧知の者だ。名をサイモン=ベルカッセと言う。貴様のゾイドに用が有るらしい。
「如何行った御用で?幾ら彼のサイモン=ベルカッセと言えど余計な手出しは無用でありますよ。」精一杯の虚勢を張って相手の出方を見る。
しかし姿の無い者に対して虚勢を張った所で…「わっ!」「ひぃい〜!?」とこう言う結果に終わる。相手の位置が知覚できない以上大抵の行為は無駄に終わるのだろう。
とてもフレンドリーな声で後ろから脅かされる。しかしこんな所で脅かすと如何成るかというと…「やばっ自我と意識の境界線が曖昧に成っている。やり過ぎたか!?」
ここは生き物がその生き物としての存在を護る物が自身の他に存在し無い場所。何とか確立の靄に帰ってしまう事は避けられたが自己防衛反応でファインの意識はシャットダウン状態に陥っていた。
「あちゃ〜彼が起きない事には接触が執れないのだがなぁ?」サイモンの意識体は困ったという顔をしたのかもしれない。何とかして起きて貰おうと意識に接触しない様に事象を起こし揺すってみる。
この辺は流石は希代の大魔導士と呼ばれた男の実力である。体が無いので力を起こす為に基礎となる魔導機が必要無いのが大きい。魔導機は物理的な存在である生物に不可視の確立の靄を接触させる為の物。
つまり行使する者が確立の靄に近い存在なら魔導機を必要としない。これが機械科魔学の根底に有る確立統計の靄に関する定義。世界と事象に対して”いかさまのサイコロ”を振るメカニズムである。
何度か目でファインの意識は回復する。邪神が何故か声を上げて嗤っていたので何の事だろうと訝しげな表情をする。良く見れば邪神は体が殆ど回復していて潰れてしまった口も元通りに成っている。
しかしそれも今度は少し離れた前より聞こえて来るサイモンの声に意識が集中する事で自然と表情は厳しい物に成る。「…これで知りたくも無い事を余計に知る羽目になりましたが?」
随分と冷たい言葉が自然と口から出る。相手のペースに乗るのは得策では無いと判断したためだ。「何時まで待つつもりなんだい?」サイモンは問う。
鉄獣28号さんへ
あっさりと終了な虎伝説。何も考えていなかったのでは?とか思ったり。
如何見ても彼奴等は何処かからの委託販売の商品の”伝説の3匹(2作目)”っぽくて如何成るのかな?と思っていましたが…。
ザビエルさん目が光っていそうですね…本性を見せる直前の状況の時に。まさか人にあらずとまで言ってしまわれるとは。
「〇家でなければ人にあらず」昔の偉い人が要職に就く為には其処の家の人と所縁の者に成らないと成れないとかよりも酷い状況ですね。
もうそろそろ機械科魔学初級”世界は歪んでいるのよ〜”編?が終わり先に進めそうです。これ以降は全部これで無理矢理説明出来る内容に成る筈なので。
説明の内容が何かっぽくなってショボーンとしている今日この頃…。
3機のジェノブレイカーは、それぞれ機体色が異なっていた。
通信回線は不調の為か開きっぱなしだ。そのため、3機のパイロットの会話が聞こえてくる。
「戦闘レベル、ターゲット確認…殲滅する!」
「あの人が私達の敵なのぉ? 一人でこんな所まで来たのかしらぁ」
「フフヘへへ…何でもいい、さっさと殺ろう!」
操縦桿を握るルガールの手に汗が滲む。そして、3機のジェノブレイカーは激しく発光した。
「発動の光…全員が、能力者か!!」
能力者戦では、まず相手がどんな能力の持ち主なのか見極めなければ勝ち目は無い。ルガールは神経を研ぎ澄まし、
一瞬のタイミングを待った。
やがて、中央に居た黒と赤のジェノブレイカーが飛び出してきた。速い。明らかに強力な改造を受けた機体であり、
そのスピードは“増速”の能力を使っているのではないかと思うほどだ。
だが、セディールの攻撃をも見切るルガールにスピードだけでは勝てない。
「貴様の力…見せてもらう!」
マグネーザーを突き上げる。ツートンの機体は横滑りしてそれをかわし、エクスブレイカーを振り上げた。
鋭い衝撃。ルガールがマッドサンダーの状態を確認すると、左方側面の装甲に裂傷が入っている。
ありえない事だ。ジェノブレイカーの攻撃力を持ってしても、マッドサンダーの装甲を破ることはできない筈である。
「つまり、アレが奴の能力…」
開かれた回線の向こうから、呟きに対する答えが返ってくる。
「これが俺の能力、“アーマーディセクト”…如何なる装甲をも無意味とする格闘攻撃力を持たせる力だ。
“シギュン”は渡さん。お前が引かないのなら、我々は…お前を、殺す」
格闘強化。それも、マッドサンダーの装甲を破るとなると、“ギルド”の分類ではAクラスの能力者になる。
だが、ルガールはここで引く訳には行かない。彼の帰りを、任務の完了を待っている人々が居るのだから。
それに――彼はまだ、親友から受けた任務も完遂していない。
「邪魔をするのなら、無理にでも通らせてもらう!」
残り2機のジェノブレイカーも、一斉に襲い掛かってきた。
赤の機体が下がり、代わりに黄色の機体と青の機体が左右から飛び掛ってきた。
ルガールは正面の赤い機体から目を離さず、衝撃砲で青の機体を、ビームキャノンで黄色の機体を撃つ。青の機体は吹っ飛ばされ、
壁に叩き付けられた。だが、黄色の機体はビームキャノンの直撃を全く意に介さず向かってくる。
仕方なく回頭し、黄色の機体をマグネーザーで迎撃する。そのドリルは機体の中心を捉え、黄色の機体は
フリーラウンドシールドを突き出した。
「フリーラウンドシールド如きで、マグネーザーが防げると思うな!」
しかし、ジェノブレイカーを貫く筈だったマグネーザーは弾かれた。驚愕するルガールに、
通信機の向こうから不気味な笑い声が浴びせられる。
「クッフフフフフゥ……僕の“スーパーアーマー”は、どんな攻撃も通さないぃ」
振り払うようにその機体を弾き飛ばしたルガールだが、今度は後ろからの衝撃がコックピットを揺らす。
振り返ると、大口径衝撃砲の直撃を受けた筈の青い機体が立ち上がり、荷電粒子砲を撃ち掛けてきていた。それも、無傷だ。
「どういう事だ…奴も、装甲強化能力か!?」
赤と黄の機体がいつまでも動かずに居てくれるとは思えない。ルガールは狙いを付け、ショットガンを青い機体に連射した。
その時、ルガールは自分の目とモニター画面を疑った。
ショットガンがジェノブレイカーの右腕を吹き飛ばす。と、次の瞬間には右腕が何事も無かったかのように存在しているのだ。
次々と、弾丸は敵機に穴を開けて行く。そして、それらの傷がルガールの目の前で再生していく。
「私の能力はねぇ…コアさえ死ななければどんな重傷でも瞬時に回復する“リジェネレート”よぉ」
これでようやく、3体の敵全ての能力を知る事ができた。全員がAクラス能力者とあっては笑い事でない。
「さあ、どうする? お前がこれでもまだ闘ると言うのなら、本当に殺す必要がある」
情けか方針か、赤の機体を駆る少年はルガールに退却の機会を与えている。だが、ルガールは低く笑い始めた。
「クックックックッ……Aクラス能力者が3人か…」
「!? ――何を…!?」
「…燃えてくんだろうが、久し振りに」
甲高い金属音と揺れるような唸りを上げ、マグネーザーが回り始める。
「あくまでも、退かないつもりか」
「…当然。掛かって来い」
本文が長すぎますって…もっとデカイAAとかは良いのかよ?_| ̄|○
>>鉄獣28号氏
3人組は、意外と活躍の場が少ない能力者たちへの手向けと言うか…まあ、華ですね。
ザビエルやばいですYO。容易に想像できてしまう自分が悲しいw
>>恐怖の亀裂作者氏
ある意味でゾイドから最も遠い所に来てしまった、という感じですね。
スクラ○ドとかス○リガン入ってる自分に言えた事ではないのですが。
「は〜はっはっは〜!そうで〜すよ〜!今世間を賑わせているライオン型ゾイドによるゾイド襲撃事件は皆私の差し金で〜す!」
「あら・・・やけにあっさり事件の真相を教えてくれるのね?」
「問題あ〜りませ〜ん!何故なら貴女方はここ〜で死んでもら〜うからで〜す!」
と、ザビエルがレオゲーターやゼロフェニックス軍団に攻撃命令をしようと手を上げようとした時だった。マリンが彼に問いかけてきたのだった。
「ちょっと一つ聞かせて!!?」
「な〜んで〜すか〜?」
「何であんたはレオゲーターとかで他のゾイドを襲うの!!?それと、何でライオン型ゾイドだけは襲わないの!!?」
「もち〜ろんそ〜れが獣王神様の〜お〜しえだからで〜す!この世で〜最も強く〜偉い〜ライオン型ゾ〜イドがゾ〜イドの頂点に立〜つのは当然の〜事で〜す!」
「そ・・・そんな事の為に?」
「なんつー狂信的なライガーバカ…。」
「バカだ・・・。」
ザビエルの説いたその馬鹿げた目的に皆は唖然としていた。しかし、ザビエルは笑った。
「バカ〜は貴女達で〜す!ラ〜イガーの・・・ライオン型ゾ〜イドの素晴らしさを理〜解出来ず〜に
そんな下〜等で下〜劣なゾ〜イドに乗って〜る貴女〜達〜に獣王神様〜の崇高な教え〜は理解出来ませ〜ん!」
「下等だと!!?我が社の最新型ゾイドのデスレイザーが!!?」
「曾お婆ちゃんのカンウが!!?」
「つーか私のハーデスはデスザウラー最新モデルなんだぞ!!?」
ザビエルの言葉はマリン等の神経を逆なでした様子で、皆そう怒っていた。
「は〜はっはっは〜!私さっき〜も言ったで〜す!ライオン型ゾ〜イドがこの世で最も強〜く偉〜く
無くて〜はな〜らないので〜す!だか〜ら貴女方の〜ゾ〜イドは〜獣王神様の〜教えのも〜と!破壊させ〜ていだだ〜きま〜す!」
今度こそザビエルが手を上げた。そして、レオゲーターとゼロフェニックスの軍団が一斉に彼女等に攻撃を仕掛けたのだった。
「うわぁぁ!!来るぅぅぅ!!」
「つーか獣王神って何なんだぁぁぁ!!!?」
「それ以前に何で連中これだけのゾイド持ってるの!!?」
「とにかく逃げろぉぉぉ!!!!」
周囲を埋め尽くすレオゲーターの大軍の一角にハーデスの大口径荷電粒子砲が撃ち込まれた。
大口径荷電粒子砲の高エネルギー粒子の渦が照射面に展開していたレオゲーターを次々に消し飛ばし、道を作った。
「それ行けぇ!!もう色々考えてる暇は無いぞ!!」
ハーデスの荷電粒子砲によって出来た道へ向け、カンウとハーデスを先頭に皆が一気に逃走を始める。
無論カンウとハーデスを先頭にした理由について、進路を阻んでくるレオゲーターを踏み潰すためであると言えば聞こえはいいが、実は単なる弾除けだったりする。
「やっぱり強行突破をするなら頑丈な機体の後ろに回るのが一番だな。つーかもっと速く走れんのか!!?」
「うるさい!!これでも全速力なんだ!!」
後ろから愚痴られていたハーデスの中でルナリスはそう叫んでいた。確かにカンウとハーデスは、
運動性や瞬発的なスピードという点では高速ゾイドにも肩を並べられる程の実力を持っている。
しかし、単純な走行速度という点で言えば、やはり劣っていると言わざる得なかった。
ましてや相手はレオゲーターである。レオゲーターは低コストであり、数のそろえられる機体であるが、
その性能は高い。特に最高速度は約300キロに達する。それだけの性能のゾイドが大量に沸いて出て来るのはハッキリ言って怖い。
「もっと速く走ってくれ!!これじゃあこっちが敵とあんた等に挟まれてサンドイッチになっちまう!!」
「これじゃ弾除けの意味無いじゃない!!」
「た・・・弾除けぇ!!?何よその言い方!!まるでカンウが頑丈さしか取り柄が無いって言ってるみたいじゃない!!」
「え?違うの?」
その時、マリンがカチンと来た。
「ぬぁんですってぇぇぇぇ!!!!!」
と、その時だった。上空を飛んでいたゼロフェニックス軍団がカンウ等めがけて急降下し、高度100
メートル位の高度に達すると同時に搭載していた爆弾をばら撒きながら再び急上昇していったのだった。
「きゃぁぁぁ!!」
「うあぁぁぁぁ!!!」
直撃こそ免れたものの、空から猛スピードの空襲に大騒ぎだった。しかし、爆弾の雨はなおも降り注ぎ続けている。
「つーか何だよあの攻撃はよー!!あの急降下の仕方はまるで自分が死ぬのが怖くないと思ってる様な無茶な攻撃だぜ!!」
「大方あのゼロフェニックスも無人のスリーパータイプなんだろうよ!!無人だからパイロットを心配したり遠慮したりする必要が無いから無茶な事も平気で出来る!!」
「の割には味方のレオゲーターも平然と巻き添えにしてる・・・搭載してるAIはよっぽどバカなんだろうね〜・・・。」
確かに彼女等の言う通りであり、ゼロフェニックスの爆撃の巻き添えを食らっているレオゲーターも
少なくは無かった。が、それでもゼロフェニックス、レオゲーターはひたすら攻撃を続けているのである。
「ええい!!うざってぇ!!」
その時、デスレイザーが急降下してきたゼロフェニックスへ向けて跳んだ。そして、両機が空中で
すれ違い、そのままデスレイザーは着地した。と、思ったその直後、上昇しようとしていたその
ゼロフェニックスが空中分解を起こし、爆発四散したのだった。まことに信じ難い事であるが、
デスレイザーはゼロフェニックスとすれ違った際にその爪で切り裂いていたのである。
「また・・・つまらぬ物を斬ってしまった・・・ってうぉぉぉ!!」
デスレイザーの中でカッコ付けてたドラゴスであったが、間髪入れずに別のゼロフェニックスが襲ってきたため慌てて逃げ出していた。
「ええい!!もうこうなったらやるしかないかも!!」
「右に同じ・・・。つーか連中の足の速さから考えると逃げる事の方が至難の業だ・・・。」
「しかも見た感じ連中のAIはバカっぽい!そこを突けば勝てる・・・かも・・・。」
ドラゴスの行動に決心が付いたのか、マリン等も逃走を止めて攻撃を開始したのだった。」
「うっりゃあ!!」
迫りくるレオゲーターをカンウとハーデスが尾で次々に打ち返し、その時に吹っ飛ばしたレオゲーター
を空中のゼロフェニックスにぶち当てる事で両方を破壊していた。トランサーは高速走行のまま
エレクトロンハイパーキャノンを連射して敵を次々に打ち抜き、ティニィはゼロフェニックスの倍
以上の飛行速度と高い旋回性を利用し、空中をたくみに飛び回りながらウィングスラッシャーで
切り裂き、デスレイザーはその鋭い爪とプラズマブレード、全身凶器とも言える多面体装甲をフルに活用してレオゲーターを蹴散らしているという風に、皆意外と結構がんばっていた。ただ・・・。
「こうらリューコ!!しがみ付くな!!ジャマだ!!」
「うあぁぁん!!ドラゴスさん怖いですぅぅ!!」
リューコは泣きながらパラブレードをデスレイザーの背中にしがみ付かせていた。無理も無い。彼女は他の皆と違って戦闘などした事無いのだから・・・。
「みんな結構やるなぁ!」
「AIがバカなおかげだよ!!パターンさえ読めれば楽勝!!」
レオゲーターとゼロフェニックスは決して弱いゾイドではない。であるにも関わらず、こう次々に
破壊されているのは無人機であり、また、それぞれに搭載されているAIの性能が低いという事も
あげられた。まあ、遠隔操作式ならば、カンウのジャマーで一掃出来るのでもっと楽なのであったが・・・。
「ほ〜う!皆〜さん意〜外とやり〜ますね〜!それ〜では私〜も行きま〜しょうか〜?」
岩山の上から双眼鏡を使って戦いの様子を見守っていたザビエルがそう呟き、そのまま後ろに下がった。
そして、ザビエルの下がった先には一体の巨大なライオン型ゾイドの姿があった。
「もういい加減疲れてきたな〜・・・。」
「ああどうしよう・・・。」
レオゲーター&ゼロフェニックス軍団を次々に蹴散らしていたとは言え、相手の数はなおも多く残って
おり、その物量に皆押されていた。と、そんな時、マリンがルナリスへ通信を送った。
>>恐怖の亀裂作者さん
>「〇家でなければ人にあらず」昔の偉い人が要職に就く為には其処の家の人と所縁の者に成らないと成れないとかよりも酷い状況ですね。
これについては家がどうとかと言うより、宗教観の話になります。
日本は神道とか仏教とか色々な宗教の風習を取り入れたりしてますから
良くわからないでしょうけど、キリスト教圏とか、イスラム教圏とかは違いますからね。
双方共に昔から宗教戦争とかしてますし。強いて言うと、彼等にとって自分達の宗教以外は
全部邪教になってしまうという事です。ダンテ神曲なんかキリスト教徒じゃない=即地獄行き
なんて事になってますよ。そういう事実を元に、このような獣王教を考えたのです。
彼等の脳内ではライオン好きじゃない=邪悪な者=殺してOKみたいな事になっています。
これはライオン型ばかりが妙に偏重させられがちになってるゾイドのストーリーそのものに
対する風刺でもあったりするわけです。ライオンを好むのが悪い事では無いけれど、
それもあまりやりすぎると獣王教みたいに、他種のゾイドを好む者を弾圧するようになるかも
なんて勝手な被害妄想を膨らませて・・・ゴメンナサイ!
それはそうとして、不思議空間が登場しましたね。生物の概念とは違う存在と言うのも何か面白いと思います。
>>Inocent World作者さん
3人組の能力はどれも凄いですね。何かどうやったら勝てるのか?と考えさせられる程です。
鉄獣28号さんへ
宗教は愛と一緒で盲目…。でも一番困るのは…神様な気がします。
別にそんな事望んでいないのに別の宗教の信者の人と勝手に争う信者の人達。
最近の〇ス〇ム教の〇ラーの神様は過激な信者の人達の行動に困っているのでしょうか?
モチーフは飽きられるのを防ぐ為に2年に一度同じモチーフのゾイドぐらいが良い感じかも?
半年に一回とか三ヶ月に一回とか出されてもはて?と言う事になるので。
今回の三匹の虎伝説はこの冠名が無ければ叩かれた事間違い無しでしょう。ついでにトイザらス限定で流れにあやかる様にホロテックが居ますし。
Inocent Worldの作者さんへ
どうも。わざと話をそっち方面に持って行ってもう一ネタやってみたい事が有りまして。
三人組の御一人は実は自分で弱点を曝け出してしまっている様な気がして成りませんが…?
とっても危ない気がします。
「君は何時まで待つつもりだい?解っているだろう?君の機体のコアは眠ったままだ。今の状況だと彼の思い通りだよ。如何しても起きて貰う必要が有る。」
何方かと言うとサイモンはファインにと言うより他の第三者に語り掛けている節が或る。ここに来てまた蚊帳の外とは践んだり蹴ったりなファイン。
「全く…用が無いのなら帰りたいものですが如何でしょうか?」憮然とした含みと嫌味をたっぷり込めてファインはここの何処かに居るサイモンに言い放つ。
「いや。君にも用が有る。中途半端な所で君が鍵を握っているんだ。ここで帰す訳にはいかない。」
突然今度は金縛り状態になる。良く蹴るぞとか言っていると動けるなんて言う話が有るがどうもそうではないらしい。それは意思の薄弱な幽霊等の場合なのだろう。
サイモンがそれを行っているのだろうか?はっきり言って意識を持って抵抗しないと息すら出来そうにも無い。そんな噂を流した人間に会えたら殴ってやりたいと思うファイン。
現に息する事にさえ困窮している状況だ。全く死んだと言う話に疑いが有った人物が真逆こんな所で確立の靄と生き物の中間みたいな者に成っているとは誰も思いはしないだろう。
その上こんな馬鹿げた所に居る等と…。
「さっきは兎も角今は強いな…朱に交われば赤くなる。随分と状況に流されるのが早い。その癖ただ流されるのでは無く次に流される流れを常に探し選んでいる。」
サイモンは何とかファインに取り憑くしまを見付けその記憶の中から探している物を見つけ出す。「強制介入!障壁強制排除!」サイモンの声と共に何かが砕ける感覚を覚える。
砕けた物は焼き付けられた刻印。現実と言う常識と言う教育の枷。自然に押さえ付けられ享受する理。子供の頃の夢だったと記憶の外に追いやったもう一つの”現実”。
無理矢理それ等の概念を打ち砕かれ二つの現実が一つに重なる。「これで良しもう大丈夫だよ。結局私ではコアを起す事は無理だったから君に頼むよ。余り時間は無いから急いでくれ。」
勝手に話を進めるサイモンに「それは其方の都合では?」と切り返すと「そうだ。君達が自身から目を覚ましてくれるのを待っているのは解る。しかし…。」
其処で言葉を遮るファイン。「違いますよ。起きていないのでは無く…殻に篭もっているのでありますよ。」今なら解る。既にその事実を探り当て今確証を取れた所だ。
回廊の外。現実の流れでは邪神がエルダー5にその体を貪られている最中だった。実の所ファインが壁と認識した物は邪神の体内でそこから回廊に侵入していたのだ。
「くくくく…遂に!遂に手に入れたぞ!神の肉体を!究極の力の結晶。これで五月蠅い帝国軍も共和国軍も私を止める事はできん!」ご満悦なヴィゾールの剣。
それと共に周辺ではまた新たに裂け目が発生する。今度は外だけに。外の奴等を葬れば後は挟み撃ちにすれば良い。簡単な理屈だった。
「またか!気合いを入れろよ野郎共。今度は先に裂け目にきついのを喰らわせてやれ!」今夜3回目の裂け目の出現。
内1回の最初の物は何も出現しなかったが今回を含め2回は中に化け物達が居る。今度はハリソンの号令の元裂け目に先制の砲撃が注ぎ込まれ此方への侵入を防ぐ。
すると他の治安部隊の証言の通り裂け目は直に消え失せる。他の所では戦闘の光が上がるがそれを気にする訳にもいかないのが現状だ。
「ちっ!裂け目の発生の兆候さえ掴めれば防衛網の流動的な展開も出来るだろうに…。」幸い今の所致命的な存在の侵攻は無いがそれも何時まで来ないかは正直解らない。
その為持ち場を離れる訳にはいかなかった。
「随分とやられた様だな。」アービンはその戦況報告を受けて珍しく焦りを表情に出す。ついさっきは邪神降臨なんて非常識極まりない物を拝んでいるのでそれ以上の事を予測すると胃が痛む。
此方も戦闘が発生している。戦闘は断続的に続き通常戦力はベルフの第4小隊実働戦力とラミューズのテールディザスターで何とか凌いでいる状態だ。
武器等なら幾らでも有るがそれを使える者が少ないこの部隊では正直何時まで持つか解らない。そんな時に突然空中に新たな裂け目が発生する。
今までの物とは違い正6角形の枠取りの光る模様付きの裂け目。「竜巻と共に来れ!ロードサーベリオン!」アービンは横でラスキドールがそう言う風に叫んでいるのを見る。
その声につられる様に裂け目から逆ベクトルの竜巻が発生し別の裂け目より発生した敵戦力を切り刻む。切り刻まれた敵影が消滅しその代わりに狂風を纏う白銀の虎が其処に居る。
それにラスキドールは飛び乗ると敵陣へ踊り込む。白銀が走る事に忌まれし者が切り刻まれる。その少し後ろでは突然垂直に水柱が発生し同じく敵戦力を飲み込む。そしてその上に何とベレディケンが立って居た。
「汚レシ地ヲ悼ム涙ヨリ出デヨ!パラスパラサウロン!」水柱が裂けパラサウロロフス型の巨体が姿を現す。
ロードサーベリオンと同じく戦闘用ゾイドだ。頭部のコクピットにベレディケンは乗り込み行動を開始する。
「ねっねえ?彼奴等何者なんだい?」ベルフは肝を潰した声でラミューズに聞くと「彼等は魔術師ですよ?解りませんか?」とあっさり答える。
「い…いやそう言う事じゃないんだけどね〜。」目の前の現実を否定する気は無いがあの暴力がゾイドの姿を取っている様な存在を簡単に操る。
そんな彼等を畏怖の目で見るベルフが居た。
陸戦では敵わないと見たか飛行を出来る古代戦闘ゾイド達は一斉に空高く…夜半を回ったと言うのに夕焼けの空に舞い上がる。
「フン…空ニ逃ゲレバ済ムト思ッテイタカ!」パラスパラサウロンの両の腕が動く。機体サイズはデスザウラー程だがそれを逸脱するサイズの腕が伸びた。
獲物を狙う蛇の様にのた打ちながら空に一気に伸び相手を掴むと地面に引き摺り落とす。更には膝の装甲が開き其処から無理の有る数のミサイルを発射する。
それは古代戦闘ゾイドお中に紛れ込んで居る司令塔らしき化け物を爆砕する。それと共に残りのゾイドも墜落した。
「へん。結局見かけ倒しかつまんねーの。」ラスキドールはロードサーベリオンのコクピットでブーブー言っている。結局飛び道具を持たないロードサーベリオンでは空高くの敵には攻撃できない。
逆にベレディケンのパラスパラサウロンは中距離から遠距離に対してその場を動かず攻撃できるので大半の敵を地に討ち伏せる事になる。その間敵からの攻撃に晒されているがダメージを受けている様子は無い。
「くっ…貴様等…。」悔しそうなヴィゾールの剣の声が聞こえる。「フン。所詮貴様モ我等ト同ジク地ヲ這ウ者。何処マデ行ッテモソレハ変ワラン!」ベレディケンの言葉は核心を突いていたらしい。
「おのれ…ならばこいつの相手でもしてもらおうか?」新しい裂け目が産まれるそれは今までとは違い規則性の有る形とラスキドールやベレディケンの作り出した物と同様に光を伴う模様が被さる。
適当に引き裂いたものでは無く明確な存在を呼び出す為の規則を持つ物。本来の目的とは関係無い存在を呼び出すヴィゾールの剣。
「貪れ!空を食み地を食み生を食む!飢えし暴君!最も古き黒山羊の王!レガシーオブオールドワンズ!」
「ルナリスちゃん!荷電粒子砲の広域放射って出来る!!?」
「ああ?出来ない事も無いが・・・それでも連中を全滅させるには程遠いぞ?と言うかちゃん付けするな!!」
「まあまあ!別に全滅させるんじゃないよ!その荷電粒子砲を目くらましに出来ないかな?って事!昨日みたいにさ!あとはこっちがジャマーするからさ!」
「ん〜・・・だからと言って連中の数は多いしな〜・・・。うまくごまかせるかな〜・・・。」
マリンの提案に対し、ルナリスは腕を組んで悩んでいたが、今度はタイガス等が通信を送ってきたのだった。
「何か良いアイディアがあるみたいだが何でもいい!!早くやってくれ!!」
「はっきり言ってこの状態は苦しくてかなわん!!」
「この状態を打破出来るなら何でもいいよー!!早くやってぇ!!」
「わ!!わかったよ!!お前等全員ハーデスの後ろに集まれ!!」
その後、皆は一斉にハーデスの背後へと走り集まった。そしてハーデスが荷電粒子砲発射の為のチャージングを開始し、今放たんとしていた時だった。
「そ〜うはやら〜せませ〜ん!!」
その独特のミュージカル口調のセリフと共に、空中からゼロフェニックスに混じる様に一体の巨大なライオン型ゾイドがハーデス目掛けて突っ込んできたのだった。
「うああ!!!!」
その突然の出来事、その速度に思わず誰もが一斉に散り散りになって、その攻撃をかわした。
「な!!何だ!!?」
「何あれ・・・。」
「見たことの無いゾイドだぞ!!?」
突如として襲ってきた巨大なライオン型ゾイドは皆の見たことの無い機体だった。ただ一つ言える事が
あるならば、それは従来のライガー系ゾイドよりも一回りも二回りも巨大だったという事である。
「私〜貴女〜方を侮〜ってい〜ました〜!今度〜はこの私〜が!我が〜獣王〜教団の誇〜る
“マーライガー”で〜勝負を付け〜させてもらいま〜す!全て〜は獣王神様の〜為!獣王神様に代〜わって愚か〜者に天〜誅を与えま〜す!」
なおも独特のミュージカル紛いな口調でザビエルがそう言った後、彼の乗る巨大ライオン型ゾイド、
“マーライガー”がマリン等に襲いかかったのだった。
「って速い!!」
「きゃあ!!」
マーライガーのスピードはその巨体からは想像もできないほど俊敏だった。一跳びで数百メートルの距離を跳び、瞬く間に皆の背後に回り込んでいた。
「あの巨体で何というスピード…。」
「お前等も人の事言えないけどな…。」
「つーかあれ程のゾイド持ってるって事はただの宗教団体じゃないよ連中!!」
誰もがマーライガーのスピードに唖然としていた。しかし、ザビエルもマーライガーも攻撃の手をゆるめる事は無く、なおも攻撃を仕掛けてきたのだった。
「ま〜ずは貴〜女で〜す!」
「きゃあ!!!」
マーライガーの標的はカンウだった。カンウと同等、いやそれ以上の巨体にも関わらずライガーゼロを
遥かに凌ぐスピードを持つマーライガーの突撃は恐怖以外の何者でもなく、マリンは思わず悲鳴を上げた。
「もう!!なめんじゃないわよ!!」
しかし、マリンもただ悲鳴を上げるだけの女ではない。彼女は悲鳴を上げながらもカンウの左腕に装備されたアームハンマーを振り上げていたのだ。
「そうらカウンタァァ!!!」
その直後、カンウへ向けて超高速巨大レーザークローを叩き込もうとしていたマーライガーに対して
カンウのギガクラッシャーアームハンマーによるカウンター迎撃が行われた。重金属同士がぶつかり合い、さらに何かが砕ける様な甲高い金属音が響き渡った。
「無駄無駄無〜駄で〜す!」
「きゃあああ!!!」
なんと、カンウが押し負け、マーライガーに吹っ飛ばされていたのだ。それだけでは無い。カンウの左腕のアームナンマーも粉々に砕け散っていた。
「マリン!!!」
倒れ込んだカンウを一気にたたみかけようとするマーライガー目がけてハーデスが助けに入った。
「この野郎!!死竜速射指拳!!!」
マーライガー目がけてハーデスの超高速の指拳突きが放たれた。その技の名前の通り、速射砲の様に
高速で打ち出される指拳突きは、さながらハーデスの腕が増えているかのように錯覚させる程の物だった。
「無駄だ〜と言っていま〜す!」
「うあ!!!」
マーライガーはその指拳突きをかわし、さらにその爪をハーデスに叩き込んでいた。そのパワーは
とてつもない物であり、装甲そのものはどうにか耐えたものの、ハーデス自身は吹っ飛ばされてしまった。
「くう!!スピードだけじゃなく巨大なだけにパワーも強力なのかよ!!」
どうにかマニューバスラスター噴射で体勢を立て直し、着地したハーデスの中でルナリスはそう愚痴った。
「ふっふっふ〜…。特にゾイキュアの貴女方〜二人は絶〜対逃がし〜ませんよ〜!何し〜ろ、その
昔〜の大戦でデスザウラーによ〜って数多くのライガーが破壊さ〜れ、ゴジュラスギガはラ〜イガーの活躍の場〜を奪ったんですからね〜。」
「そりゃ逆恨みってもんでしょ!!?」
「つーかゾイキュアってどういう意味だよ!!」
「問答無〜用で〜す!!」
「うっあああ!!」
その直後、カンウとハーデスがまとめて吹っ飛ばされた。しかし、カンウは直ぐさま着地し、その場に踏ん張った後、マーライガーへ向かって跳んだのだった。
「組み付くことが出来れば!!関節技で…。」
「無駄で〜す!」
「きゃあ!!」
今度はマーライガーがカウンターを叩き込んできた。とっさに右腕の盾を兼ねるツインブレードで
受け止めてダメージを最小限に食い止めたものの、ツインブレードは粉々に砕けてしまった。
「まだまだ!!超灼熱火炎放射砲!!ギガファイヤ−!!」
大きく開かれたカンウの口から灼熱の火炎がマーライガー目がけて放たれた。
「うわぁぁ!!火を吐いたよ火を吐いたよ!!あの記録映像と一緒だよ!!うわぁぁぁ!!!」
その様子を見て、リューコは驚きと感激の声をあげていた。しかしその炎も結局かわされていた。
「くうう…。」
「火を吐〜くゴジュ〜ラスギガなん〜て面白いで〜すね〜そろそ〜ろ終わ〜りで〜す!」
今度こそたたみかけると言わんばかりにマーライガーがカンウへ向けて突っ込みを掛けた。と、その時だった。
「俺の事を忘れるなぁ!!!!」
マーライガーの側面からトランサーがエレクトロンハイパーキャノンを連射しながら突っ込んできた。
「ジャ〜マをしな〜いで下さ〜い!」
マーライガーが直ぐさま進行方向を変えてその攻撃をかわした。とその時、間髪入れずにデスレイザーが突っ込みを掛けてきたのだった。
「エレクトリックディスチャージャーで感電しろ!!」
デスレイザーからデレクトリックディスチャージャーが撃ち出された。高圧電流ビームがマーライガー目がけて飛んでいく。
「だから〜ジャマで〜す!」
なんとマーライガーはその一撃をもかわしていた。さらにその長い尾をデスレイザーに巻き付け、そのまま振り飛ばし、トランサーにぶち当てていたのだった。
「ああ!!ドラゴスさーん!!」
「タイガス君大丈夫!!?」
ティニィとパラブレードが互いにトランサーとデスレイザーへ走り寄り、中のラッキーとリューコはタイガスとドラゴスの身を案じていた。
「いつつつつ…。なんちゅーパワーとスピードだ…。」
「それだけじゃねえ…。ふざけている様に見えてアイツ自身の腕も相当なもんだぜ…。」
互いの機体を起こしながら、タイガスとドラゴスはマーライガーの性能とそれを手足のように操るザビエルの実力に愕然としていた。
「はっはっは〜!何をや〜っても無駄無〜駄で〜す!獣王神〜様のご加護を得〜たマーライガーは
絶〜対無〜敵!マーライガーの力の前には、そ〜の昔の大戦で名をは〜せたと言うあの"緑の悪魔"です〜らも足下にも及びま〜せん!」
「ふざけるな…。」
「!」
なおもミュージカル風口調で笑うザビエルに対し聞こえて来たセリフはマリンの物だった。
そして、ザビエルがマーライガーごとカンウの方向を向くと、もの凄い殺気がマーライガー目がけて放たれていた。
「あんた…。ふざけるなよ…。私が相手ならいざ知らず…。あんたごときに曾お婆ちゃんを倒せるわけが無いじゃない…。」
「曾お婆ちゃ〜ん?ま〜さか貴女は緑の悪〜魔の…?」
「そうだよ!!私の名はマリン!!亡くなった曾お婆ちゃんからカンウを…、そして緑の悪魔の名を受け継いだ二代目の緑の悪魔さ!!!」
その直後、カンウがマーライガーへ跳んだ。が、そのまま掴みかかろうとするもまたもやマーライガーにかわされてしまう。やはり気合いだけではダメだと言う事なのか…。
「こ〜れは驚きま〜した!緑の〜悪魔に子〜孫がい〜たんですね〜!しかし、その程〜度で悪魔を
名〜乗るのは片腹痛いで〜す!とはい〜え!私も獣〜王神様に使え〜る者!貴女の様〜な魔〜女は獣王神に代〜わって本当〜に討たせても〜らいま〜す!」
マーライガーがカンウへ突っ込んできた。しかしカンウは動かない。あえて攻撃を食らう事で相手を捕まえようと考えていたのだ。
「(確かに私は曾お婆ちゃんに比べれば全然大したこと無いかもしれない…。けど、それでも私をパイロットとして認めてくれたカンウの為にも…こんな所で負けられない!!)」
カンウの中でマリンはそう考えていた。しかし、ここで終われない事を考えていたのは彼女だけでは無かった。
マーライガー・・・安直な名前で済みません。コイツの名前どうしようとか考えていた時に
ふとマーライオンが頭に浮かんだ物で・・・。
>>恐怖の亀裂作者さん
神なのに食われるとは災難ですね。古代ゾイドというのも色々登場してますし。
ここまで来るとゾイドが喋るってのも違和感無く受け入れられたり・・・。
鉄獣28号さんへ
マーライガー。何か混ぜ物の境地みたいな感じですね。シンガポールか何処かの港のシンボルのあれでしょうか?
船首像とかにすると嵐にあわなそうな縁起の良いあの姿。
あれみたいなのに襲われたと考えると…コワーーーーーーーーーーー!!!
>神なのに食われるとは災難ですね。
これは神様が偉いという定義に何処にも居なくても実は皆の事をミテタヨ…。と言うのが偉大な事なのではないかと思いまして。
体を持って居たら余っ程の超規格外生物じゃないと強い筈がないと言う定義です。その代わりに洞窟で津波を起こすいかつい能力も有りますが…。
生命体的な強さに神の偉大さは無いと言う設定です。ご容赦を。
「あらま。羊ちゃんが出て来たじゃな〜い?如何すんのかしら?家の凶王は?」コアとコクピットのみで跳ぶベルゼブブの中でアヴィターラは言う。
丁度ここは最終防衛線の一角。運の悪い事にここに配備された部隊は傍受した通信によると半壊して撤退しているらしい。
アヴィターラはその隙をを突いて新しいパーツに成りそうなジャンクを探している最中だった。「ふ〜ん?あんた達邪魔すると死んじゃうわよ〜ん?それが化け物でも邪神でもね〜ん!」ベルゼブブが咆哮する。
幾ら古き者であろうと邪神の眷属であろうと飽食の化身であるベルゼブブが相手では如何にも成らない。その他この周辺に存在するエルダーコア搭載ゾイドの中で最も覚醒状況の良い彼の前では唯の獲物に過ぎない。
サイズの差が著しい相手に喰らい付きそのまま頭からバリバリと捕食する。口から獲物の体液を垂らしながらうっとりとした様な声を上げるベルゼブブ。
数十分を掛けてゆっくりと獲物を選びながらの食事だった…。便宜上地球伝来の神話等から引用した”バールの半身”の片割れの名を持って居るがその実古代に実在した邪神に匹敵する。それがエルダーコアを持つゾイド達である。
「斬!邪神と聞いたがその程度か…所詮肉体を持つ身では神とて枷を付けられた野生の獣。やはり肉体を持つ者での至高の存在は肉体を枷とせず動ける現在する生物のみか…つまらん余興だったな。」ソウエンは邪神の亡骸に唾棄の言葉を投げ付ける。
タイラントタイガーの双頭の口に牙を支えに咥えられたレーザーブレードには邪神の体液と運良く切断を免れた邪神の首がチューブのような髪でぶら下がっている。その数4つ鬼人と呼ばれるに相応しい戦果だった…。
「あら〜ん?ソウエンちゃんじゃな〜い?こんな所で神殺しなんてらしくないじゃない?」如何やら邪神の体が目当てらしい。「喰らわせたいのなら勝手にしろ。その代わり後でその力試させてもらうぞ?アヴィターラ。」そう言って戦場に背を向けるタイラントタイガー。
「りょ〜か〜い。じゃあまた後でね?ソウエンちゃん。」折角全滅させた相手だったがベルゼブブのお気に召す物が少なかったので渡りに舟と言う様な感じのアヴィターラ。
「さあ!お食べなさいなベルゼブブちゃん。多分これ以上美味しい物は早々食べられないわよ〜ん?」その心配を他所にベルゼブブは邪神の亡骸を貪り始めていた。
ヒュージスター襲撃の後は自由に動いて良いとベルゲンに予め言われていた為ソウエンは暇潰しに、アヴィターラは新しい体のネタ探しに来ていた。
ソウエンは邪神との暇潰しに興じアヴィターラはベルゼブブにその後始末を美味しくさせている状況だ。「羊ちゃんは何をするつもりなのかしらん?所詮目的には関係無い筈だからね〜ん…?」
「ちっ出やがった!無駄飯喰らいの呆け羊が!」ラスキドールは毒吐く。天の裂け目よりその足が現れる?確かに足なのだが爪先が有るだろう所には羊の顔。
4本全てに羊の顔が有る。そして黒い重金属の羊毛に包まれた体にも到る所から雄羊の顔が無秩序に伸びている。その数は10本以上。そしてその体のサイズに丁度合う大きさの頭部が姿を現す。
黒山羊の頭部。しかも豪勢をを通り越して最早見るに耐えない角の群。中には近い種類という事でと言いそうな鹿やトナカイの角まで有る。
「付き合ってられるかよ!」ロードサーベリオンが風を巻いてレガシーオブオールドワンズに襲い掛かる。しかし15の頭部の40を越す角それぞれからの放電に近付く事が出来ない。
4つの羊が地を口で掴む。そしてそのまま地面を喰らい始める。「悪食メ!」パラスパラサウロンの砲撃で4つの足の顔を攻撃する。しかしそれすらも他の頭部が喰らい付き食べ尽くす。
「ベレディケン!やばいよ。そろそろこっちも本気でいかないとね。」その言葉の示す物はまだ本気ではない事。2機の機影が交差すると装備がの一部が入れ替わりシルエットが変わる。
ロードサーベリオンの姿は俗に言う”虎に翼”と縁起の良い姿。パラスパラサウロンには巨大な砲塔が体内より出でそれを支えるのはロードサーベリオンの無駄っぽかった過剰な装甲パーツ。
「パラスパラサウロン!参ル!」砲塔はそれだけの仕事では無くロケットブースターも付属している様で素早い前進と共に無差別に辺りを喰らうはしたない黒山羊に強力なエネルギー砲を直撃させる。
重金属の羊毛がそれを阻もうとするが絶対量のまさるエネルギー弾が羊毛の鎧を貫通し胴体に攻撃を命中させる。かなりの距離を吹き飛ばされるレガシーオブオールドワンズだがダメージ自体はそれ程与えていない。
正確にはダメージが少ないのでは無くそれを超える復元力がジワジワと損傷部位を再生させている。間髪入れずにロードサーベリオンが攻撃を仕掛ける。
「さあ!急ぐんだ!これを見ても解るだろう…殻に篭もっているのならやり方が違うのだろう?」
サイモンはそう語り掛けると外の状況が一目瞭然となりその情報がファインの脳内に流れ込む。「!?」少し暗い表情をするが直に首を振り意識を持ち直す。
「全く忙しい人でありますね…それなら!」その戦況の中三度見た裂け目。それの情報を詳しく分析する。「…もう何が何だか?ゲートを作り出すなんて無理でありましょうね。」
端から成功する訳ねーよと言わんばかりに面倒そうに召喚のロジックを適当にやってみる。「うわっ!?何をやっているんだ!?そんな事をしたら!」サイモンは酷く慌てた声を上げている。
「どわぁぁぁぁ!?」ロードサーベリオンで突撃。その後翼状の物からレーザーを刃の様に出してレガシーオブオールドワンズを攻撃して更に追い打ちを掛けようとしていた時だ。
丁度レガシーオブオールドワンズの上空に裂け目が出来たかと思うと其処からエルダー5が揃って落下してくる。「はて?戻らないでありますね?実空間に?」
有る意味奇襲になったのでレガシーオブオールドワンズとエルダー5が共倒れ状態で団子になっている。
「…随分と適当にやった割には大惨事だな。」サイモンの声には驚愕の含みが有る。如何やらファインが適当にやった召喚の裂け目が上手く行き過ぎた事に疑問を持ったようだ。
少しして「ここまで境界線が薄くなっているとは…不味いなこのままこれが広がると各地で大災害が起こる。」「いっ!?如何言う事でっ!?」これにはファインも超反応で叫ぶ。
「君は素人だ。幾ら相性やらが良いと言っても彼処まで図った様に事を起こすのは無理。つまり世界的に力の行使に必要な技術難度が下がって来ている。これで君にも意味が解るな?」
「あ〜〜〜!」つまりそう言う事。行使難度が下がれば誰も知らない内に力が発生し事象等に影響を与え大小荒唐無稽な災害が発生するという事だ。
「兎に角そっちの方は頼むよ。余り時間が無い!何とかして殻から出してやってくれ。今から実空間に戻す!出現場所は彼処だから気を付けてくれよ?」サイモンは移転の式を作り出しベルゼンラーヴェに行使する。
その瞬間視界が消え息苦しさが消える。どうやら通常の空間に帰還したらしい。しかしこの数十分の間にファインの世界に対する認識はがらりと変わるがそれでも世界自体は姿を変える訳では無い。
「今度ハソウ来タカ!?」ベレディケンは攻撃を中止する。はてと思う一同もそれに習い攻撃を中止する。
その中1機のエルダー5が軋み胴体が引き裂かれる。そこから現れる体液やオイルと燃料溶液に塗れた影。
それに驚愕の声を上げたのはヴィゾールの剣。「ベルゼンラーヴェ!?一体如何言う事だっ!?」何を言うかとファインは思う。
残骸を踏み付けその場で銃を真下に構えて撃とうとするがレガシーオブオールドワンズの首の二つがグリップ以外の部分をパクリと食べてしまう。
「何とぉ!?」急いでESBストライクでエルダー5毎レガシーオブオールドワンズを蹴りその場を離れる。その直後銃に詰められた銃弾の炸薬が爆発。
エネルギーガンとしても使用できる為そのエネルギーサイクルの予備電力が結び付き更なる爆発の連鎖が起きる。
「ぽかーん。」その場の空気が凍る。突然常識を打ち破る斬新な登場から攻撃をしようとして失敗。しかもそれが決定打で相手に致命的に近いダメージを与える。
格好悪いに輪を掛けて金を返せと観客を怒らせるヒーロー映画の一幕的な映像だった。
「よう!お帰り!あんたの飯旨かったよ。」始めに声を掛けてきたのはラスキドール。しかも如何やらファインの分の食料を食べてしまったらしい。「君にお帰りと言われる筋合いは無い気がする訳でありますが?」
「本当ニ旨カッタゾ!貴様ノ朝食ハ!」更に追い打ち。如何やら朝食は抜きらしい。何か無性に腹が立つ言葉だった。やけにフレンドリーな2人は置いておいてグリップしかない銃を何とかする事にする。ベルゼンラーヴェの周辺にほのかな光が集まり出す。
「カラミティシャドウ!」その声と共に右手のグリップが輝き新たなる破壊の象徴に転化する。その手には更に一回り大きくなった同口径の大型拳銃の輪郭が現れそれに色と質量が付く。
「ウェイブレイダー!」その声と共に左手のグリップが輝き新たなる略奪の象徴に転化する。その手には砲身は倍近くに伸びた同口径の大型拳銃の姿が現れそれに輪郭と質量が発生する。
世界の技術行使レベルが低くなった為に行えるようになった最上級錬金の法則。その対価はエルダー5に食い散らかされた2体の邪神の力。「何だと!?邪神を何時の間に支配下に置いたのだ!?」
ヴィゾールの剣が発する声等は放っておき我儘大将の黒山羊に銃口を構え早速その力を披露する。開戦の狼煙を上げるのだ。
ミサイルとビームキャノンを連射し、弾幕を張りつつルガールは距離を詰めていく。
「貴様らは何者だ、何故私の行く手を塞ぐ?」
ルガールの問いに、マグネーザーを避けながら赤い機体が答える。
「“シギュン”は“ギルド”のゾイドを停止させる為に使う。お前が“ギルド”の手の者だという事は既に解っている」
「“ギルド”のゾイドを停止? そんな事をすれば、市街を守る者は居なくなる――住民の犠牲が大きすぎではないか?」
ルガールは別段、「命は力なんだ! 宇宙を作っているものなんだよ!!」などと叫ぶ性格ではない。
しかし、“ギルド”のゾイドを停止させると言うのは、市街の住民を虐殺するに等しい。彼はヒューマニストでも無かったが、
戦争の中で虐殺の悲惨さを見てきた。だからこそアレックスの依頼を受けたのだ。
だが――少年は声色を変えることも無く答えた。
「能力者を化物扱いし、実験道具に利用する事に何の抵抗も示さない市街の連中など幾ら死のうが構わない。
我々は、仲間であるスラム街の者達と共に“ギルド”を倒す…それだけだ」
ルガールは戦慄を覚えた。少年の冷徹さにではない。彼の言う事が、あまりにもセディールの語った思想に
似通っていたせいだ。
能力者と非能力者――それらは、必ずしも相容れない物なのだろうか? そんな疑問を抱かずには居られない。
「そして我々は、“シギュン”によって力を失った“ギルド”を一気に打ち倒す。その暁には、囚われている我が同胞を
“ギルド”の呪縛から解き放ち、能力者の自由を手にするのだ」
「…同じだな」
ルガールが小さく呟いた言葉に、3機の動きが止まった。
「何?」
「いや…貴様の言う事が、私の知っているクレイジー能力者にそっくりだった物でな」
赤い機体がマッドサンダーに飛び掛る。レーザーブレードが反荷電粒子シールドを貫き、パイロットの少年が叫ぶ。
「我らの理想を侮辱するかッ!!」
「理想? 冗談ではない…貴様らの理想は、単なる自己中心思考の成れの果てだ」
残る2機も、同時に襲い来る。
「私達が、どれだけ虐げられてきたかも知らないで!!」
「ぉお前はぁぁ!! 僕達のぉ恨みぃをぉ知ぃらないんだあぁぁぁ!!!」
「そうか」
ただの一言。ルガールはそれだけでマグネーザーを振りかざし、3機のジェノブレイカーを同時に吹っ飛ばした。
「だから、何だというんだ?」
冷たい言葉。赤い機体が、なおも突撃してくる。
「我々の復讐は大儀だ!! “ギルド”の犬となったお前には、理解できま…」
激しい衝撃と共に、赤い機体は床に叩きつけられた。轟音と共に床にめり込むジェノブレイカー。
信じられない、といった顔でマッドサンダーを見上げる少年に、ルガールの声が届いた。
「復讐…それは一見、正当性を帯びている様に思える。だが、貴様らはそれを為し終えた時に何を得るのだ?」
「…勝利、そして怨恨の消滅だ」
「違うな、貴様らは何も得られない。後に残るのは虚しさと、屍の山――罪の意識を過去への憎しみで覆い隠しても、
その本心が消える訳ではないのだ。…命尽き果てるまで、虐殺の十字架を背負って生きるのが貴様らの理想なのか?」
青い機体が動きを止めた。パイロットの少女が、すがる様に呟く。
「私達は…私達のやろうとしている事は…」
ルガールは彼女の声を聞きながら、黄色い機体の攻撃を弾き続ける。
「…ただの人殺しなの…? 悪い事なの……?」
黄色の機体を天井にぶち込み、ルガールは少女の機体に向き直った。
「さあな。どんな理由があろうと、君がやろうとした事は人殺しに変わりない。
だが、善悪については誰にも答えなど見出せないのだ」
片方のエクスブレイカーを失いながらも、赤い機体はまだ向かって来た。
残りの刃を振りかざし、絶叫と共にマッドサンダーに襲い掛かる。
「虚しさなど無いッ!! 正義は…正義は、我らと共にある!!!」
ルガールは全霊の一撃を真っ向から受け止めた。そして、激突の衝撃に耐えかねてエクスブレイカーが砕け散る。
「否、人の為す事に正義などありはしない…主観と都合で作り出した正義を、妄信的に追い続ける――それが、人間だ」
マグネーザーに貫かれ、弾け飛んでいくジェノブレイカー。ルガールは最後に付け加えた。
「しかし私は…そんな人間の一人である自分が、嫌いではない」
改めて読み返すと、ルガールが変な思想家に見える…(∀・UJ)
>>鉄獣28号氏
ザビエルがdでもない強さに…
教主と言うか、もう本人が神レベルに見えますよ?
>>恐怖の亀裂作者氏
生体を持つ者は神になり得ない、てことですか?
個人的にガ○ーみたいな侍キャラ好きなのでソウエンカコ(・∀・)イイ!!
「マリンは私が倒すんだよぉぉ!!!!お前などにやらせるかぁぁ!!」
「爺ちゃんの敵は俺が討つ!!!」
その時、ハーデスとデスレイザーがほぼ同時にマーライガー目がけて跳んでいた。ルナリスはマリンの
仲間として共に戦ってきた。しかし、それでも彼女はマリンに勝つという目標を持っているのである。
そしてドラゴスも、ネオゼネバス帝国軍人であり、大戦時代にマリンの曾祖母であった初代緑の悪魔に
殺された祖父の敵はこの手で討ちたいと考えており、他の者にそれをやらせるのは耐えられなかったの
だ。二人が互いにそう思っていたときに、それに呼応したハーデスとデスレイザーはマーライガー目がけて跳んでいたのである。
「ジャマし〜ないで下〜さい!貴女〜方の相手はま〜だで〜す!」
マーライガーはやはりハーデスとデスレイザーの攻撃をかわした。しかし、ルナリスとドラゴスもその
事は予測していた様子であり、かわされた後も戸惑う様子など無く、直ぐさま体勢を立て直していた。
「ならこれならどうだっての!!」
ハーデスが大口径荷電粒子砲、デスレイザーからエレクトリックディスチャージャーは発射された。
数多くのレオゲーターやゼロフェニックスを巻き込みながら突き進む高エネルギー、高電圧の渦がマーライガー目がけて飛んでいく。
「貴〜女達し〜つこいで〜す!」
その時、マーライガーの周囲の空間に歪みが生じた。と、思った矢先、その空間の歪みに大口径荷電粒子砲とエレクトリックディスチャージャーが弾かれていた。
「なんと…シールドまで持ってるってのかよ…。」
「しかも何という防御力…。」
マーライガーの性能の高さに誰もが驚くしかなかった。
「こりゃ一体どうすりゃ良いんだ?」
「打つ手無しか…。」
と、その時だった。突如として彼等に向けて空から爆弾の雨が降り注いだのだった。
「そうだったぁぁ!!ゼロフェニックスとかもまだ腐るほどいたのすっかり忘れてたよ!!」
カンウ等は慌てて爆弾の雨から逃げ回っていた。それとは対照的に、ザビエルは笑っていた。
「ハッハッハ〜!獣王〜神様〜を信じ〜ないからバ〜チが当たったんで〜す!」
「くそう!!万事休すかよ!!」
圧倒的な戦闘力を誇るマーライガー、そして無尽蔵にも思える物量を誇るレオゲーター&ゼロフェニックス軍団。その強大な力に挟まれた皆は半ば絶望し掛けていた。
「畜生!!こんな所で終われるかよ!!」
「タイガス君!!?」
その時だった。突如トランサーがマーライガー目がけて突撃を掛けたのだった。前方に展開する
レオゲーターの間を縫い、ゼロフェニックスの爆弾をかわしながらトランサーは突き進む。
「ほ〜!な〜かなかやるで〜す!」
タイガスの操縦技術とトランサーの機動性、運動性にザビエルも感心していた。一方トランサーから
はエレクトロンハイパーキャノンが撃ち出され、速射砲のように超高速連射された高圧電流弾がマーライガー目がけて突き進んでいた。
「し〜かし!まだま〜だ甘いで〜す!」
マーライガーが再度シールドを展開し、高圧電流弾は空間の歪みに衝突して消滅した。さらにその直後トランサー目がけて跳んだ。
「うおわ!!!」
マーライガーの巨体と、相反するかのようなスピードはタイガスとトランサーを持ってしても
回避するのが精一杯だった。が、マーライガーの突撃を回避したのもつかの間、マーライガーの長い尾がトランサーを襲い、そのまま弾き飛ばされてしまった。
「うあああ!!!」
「タイガス君!!」
吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられたトランサーへ、ラッキーとティニィは慌てて駆け寄った。しかし、トランサーはダメージが大きいにも関わらず起きあがってきたのだ。
「ほ〜!まだ〜まだ起きあ〜がって〜きますか〜!こ〜れは少〜し驚きで〜…。」
「スキあり!!!」
ザビエルがトランサーに気を取られていたスキを突き、カンウがマーライガーへ掴みかかっていた。
しかし、マーライガーはそれをかわし、逆にカンウを吹っ飛ばしたのだった。
「きゃあ!!」
「大丈夫かマリン!!」
吹っ飛ばされ、宙を舞ったカンウをハーデスがキャッチして受け止めて、なんとか事なきを得ていた。
「ったくやっぱりもの凄いパワー…。」
「先〜程は貴女方を最初に〜天誅を下すと言いま〜したが、気が変〜わりました。まずあ〜の白い狼をやらせ〜て戴き〜ます。よってジャ〜マはしな〜いで下さい!」
「く…。」
ザビエルはなおもミュージカル口調であり、ふざけている様ですらあったが、その威圧感と言う物は本物であり、マリンとルナリスは共に押されていた。
「タイガス君!!やめて!!もう無理だよ!!トランサーのダメージも大きいし…アイツには勝てっこないよ!!」
ラッキーは必死にタイガスを止めようとする。しかし、それでもタイガスはトランサーと共にマーライガーへ向かおうとしていた。
「ラッキー…。男ってのはな…。無理だと分かっていてもやらなきゃならない時だってあるんだぜ…。」
「そ…そんなの…分かんないよ…。」
「とにかくだ…。俺はここで終わるつもりはねえ…。伝説の古代虎を手に入れるまでは!!終わるわけにはいかねーんだよ!!!」
『あの程度の相手に我が力を出すのはやや不本意であるが…お前のその心意気が気に入った。よってわずかながらではあるが…我が“白の神”の力を貸そうではないか。』
「ん!!?何だ今の声は!!!」
突然タイガスの耳に今まで聞いた事のない低い声が飛び込んで来た。それには彼も一瞬錯乱するの
あったが、その時、さらに不思議な事が起こった。なんとトランサーが白い光を放ったのだ。
「な!!何だ!!?」
「う!まぶし!!」
突如としてトランサーから放出された白き閃光に思わず誰もが目をふさいだ。とその時だった。
「きゃあ!!何!!?何!!?引き寄せられるぅぅ!!!」
ティニィがトランサーにもの凄い勢いで引き寄せられていたのだ。ラッキーは錯乱しながら操縦桿を前後に倒すがなおもティニィはスピードを上げて引き寄せられていった。
「ぶ…ぶつかる!!きゃぁぁぁ!!!」
ティニィがトランサーと衝突すると思われた瞬間だった。ティニィのボディーがバラバラに
分解したのだった。トランサーとの衝突の衝撃による物ではない。ティニィが自分で分解したのだ。
さらにその分解されたティニィの各部がトランサーに装着されていったのだ。
「え?一体…。」
「何が起こっているんだ…。」
その不可解な現象にタイガスもラッキーも困惑していた。
「いいい〜一体何が〜起こってい〜ますか〜!!?」
「まぶしくてわからん!!」
タイガスとラッキー以外の皆はその強烈な閃光のせいで状況が把握できずにいた。そして、その閃光が徐々に弱まり、元通り見えるようになった時、誰もが呆然とした。
「な…何…あれ…。」
「何で〜すかあれは〜見たことありま〜せん!」
皆が困惑するのも無理はなかった。それまでトランサーのいた地点に今まで見たことの無い虎型
ゾイドがたたずんでいたからである。しかし、困惑しているのはタイガスとラッキーも一緒だった。
「い…一体どうなってるんだ?」
「わ…私にも分からないよ…。」
「ってラッキー!!いつの間に後ろに!!?」
「そんなに私に言われたって分からないよ!!気が付いたらここにいたんだから!」
なんと、ティニィと合体し、虎型となったトランサーのコックピットは複座型になっており、
その後部座席にラッキーが座っていたのである。と、その時タイガスの正面に配置されているコンピューターディスプレイにある文字が表示されたのだった。
『My name is WHITZ TIGER.』
「わ…ワイツタイガー!!?つーか狼型から虎型になるなんて聞いたことねーぞ!!」
「た…タイガス君!!前!!」
タイガスが前を向いた時、マーライガーがトランサー目がけて突っ込んできていた。
「虎にな〜ろうと何になろ〜うともライ〜オンで無い限〜り破壊させ〜ていただき〜ます!」
「(よ…避けないと…。)」
タイガスが慌てて避けようとした時だ。なんとトランサーはマーライガーの突撃を軽やかに回避していたのだった。
>>恐怖の亀裂作者さん
神に関する解釈は色々ありますからね。古事記やギリシャ神話に登場する様な
人間的な形を持ち、さらに人間的な感情を持っている神がいたりする一方で
イスラム教の神みたいにどんな奴なの?と突っ込みたくなるような神もいますし。
それはそうと、「金返せと観客を(以下略)」の下りは笑いました。
>>Inocent World作者さん
人と人の関わりとか、命は何なのかとか、正義とは?とか色々考えさせられる部分が
あったりしましたね。冷静に3人を諭そうとしてる(?)ラガールさんの姿も結構印象的です。
本来なら限られた軌道でしか弾丸は飛行しない。しかし今は虚と実の境界線が次第に曖昧になっている状況。
インスタントで初心者君のファインでも高レベルの事象干渉ができる。ウェイブレイダーの銃弾は不規則に軌道を変えながら偽りの炎を巻き飛び出す。
そしてカラミティシャドウの銃弾は以前よりも強力なシールドに包まれ更にその上を数倍の規模で炎が逆巻いている。
それが12発一斉にエルダー5とレガシーオブオールドワンズに飛来する。
黒山羊の全ての角が発光し中央の頭部の口から高圧噴霧器の様に霧を吐き出す。その霧は空気に触れると帯電し何とも幻想的だ。
霧が銃弾に襲い掛かる。ウェイブレイダーの弾丸は図った様にそれを回避しそのままレガシーオブオールドワンズに向かう。カラミティシャドウの弾丸は2発目までが消滅。
やはりお約束の高温の溶解性液だったらしい。しかし3発目が途中で爆砕し霧を化学反応で中性に中和。残り3発はそのまま直進しレガシーオブオールドワンズを襲う。
しかしその弾丸を受けたのはエルダー5。またトーテムポール?と思行きや今度は何処かの国で世界の形を示す様なまたもや意味不明な姿。
その上またしても一番下に居る1体が可哀想な状態で重力に必死に抵抗している。「う〜ん動物虐待的なのは止めた方が宜しいのでは?」無残に爆風に包まれて元の5体に戻っていった。
その隙にレガシーオブオールドワンズは色々と食事をして元の状態に戻っている。しかも羊毛が更にゴワゴワとしている上に一回り大きくなった様な気がしないでもない。
しかし現在気に掛かるのはその名前。最後に”ズ”が付くのである。如何見ても1体なのに複数形。とても引っ掛かる名前だ。しかしその疑問を掻き消す様に残ったウェイブレイダーの弾丸がそれぞれ丁度死角になる部分から直撃する。
気味の悪い悲鳴を上げて倒れるレガシーオブオールドワンズ。「あ〜〜っ!!!やっちまった!如何すんだよ!奴分裂するじゃないか!」「ほへ?」「”ほへ”じゃねーよ!増えるぞ数が〜〜!」
錯乱する様にラスキドールは怒る。その言葉通り”ポンッ”とファンシーな音と共に本体が弾け中から如何しようも無い致命的な数の黒山羊の群が飛び出して来る。サイズは普通の羊サイズだ。
「メ”〜〜〜〜〜ッ!」一斉に鳴き出す黒い羊の群れ。それは…強烈な衝撃波を伴って辺りに響き渡った。
「どおおお!?」「きゃあああ!?」「ぐぐぐぐ…!」「にゃああ〜!?」「フヌヌヌウ!」「あひぃぃぃ!?」衝撃波のみならず聞くに耐えない言うならば音痴の大合唱の3重奏。耐えるので精一杯だ。
戦闘に参加せずゾイド等の中に居ない者はきつい攻撃で最悪の被害は心臓マヒにまで達したと言う。近くのエルダー5に到っては機体表面がブスブスと焦げている。
しかもその後合唱を終えた羊は思い思いに散り散りに成ってしまう。複数形の真骨頂だった。
その頃第5層では…。
「どうもすいませんですぅ〜ご迷惑を掛けたみたいでぇ〜…。」ルディア達はサーベラス達共和国軍残党とお茶を啜っていた。
その周辺には現れた化け物や古代戦闘ゾイドの残骸が散らばっている。「いやあ大したものだ!流石昨日の彼を顎で扱き使えるだけは或る。関心関心。」
この周辺の敵は全てルディア1人が始末した戦力である。狭い所に寿司詰めで数百体も登場すればエレクトロンドライバーを撃って下さいと言わんばかりの状況だ。
勿論そんなに美味しい状況を逃すルディアでは無く全てをこんがりと言う様な焼き物に変えていた。
「すいません〜電力が足りなくて生焼けの物も有りますが〜ご容赦をぉ〜。」
その他の戦力も自由に動ける様に成った部隊の敵では無い。ブラックオニキスは裂け目毎敵を荷電粒子砲で焼き払う。出て来た戦力をサンダースマッシュで消し炭にするデスサンダー。
ニードルガッシュは光子融合弾で極小規模の一斉昇華。飛んで逃げてもツイステッドゲイルとラビットホーンに阻まれ下からセイスモのレーザー機銃に串刺しにされる。
直線上に居なくてもクリティカルブレードは巧みに直線上に並びその斬檄で切り裂かれ、メイアのボンバードスレッジに補足されればミサイルの雨に爆散する。
それらから逃げ果せてもリディアの乗るナイトウォーカーの魔の手からは逃れる事は出来ない。光学迷彩で姿を消しディスプレイサーで虚像を見せるデスザウラーに奇襲を受ければ早々生き残れる物は存在しない。
プロトYから乗り換えた成果が早くも出た様だった。更に卑怯な事にこの施設で発見した幻のツインゼネバスユニットとその他諸々を装着しているので連続砲撃力も部隊一に輝いている。
更にはサーベラスのダブルアームリザードも健在であり構造状迷路付きの要塞の風体を持つ第5層は正に無敵要塞の様相を見せていた。
「上は騒々しいわよ〜!周りは敵だらけよ〜!最終面は間近?」エルザはそう言いながらスイッチを押す。
「また何かやるらしいな。逃げよっと…。」突然出現した敵戦力に囲まれレクスとエルザは足止め状態になっている。
レクスはサイクロンドライバーで器用に敵を仕留めて回っている。もうエルザの行動に慣れたので余り気に留めず行動する。
近寄らない様にして…。
グロウエイムの2本の超巨大ドラム缶が開き中身が出て来る。「はぁ?」いまいちレクスにはそこに有る物体が何か解らない。「アルティメットォォォォ!モォォォォド!」
そう叫んでいるエルザを置いてけぼりにして物体はグロウエイムに装着される。胴体から首が外れ装着された物体が長い首となり頭部を再結合させる。
その他の物体も四肢や尾になり数秒が過ぎて其処には…「うん!舐めてる…。」レクスは呆然として呟く。
「逝くわよぉぉぉぉ!」文字が違うのは勘弁しようとレクスは思う。が「すいませ〜ん。エルザさん?それは…何?」
その問いに「これがグロウエイムのアールティメッートーモード!その名も高きカイザーザウルスよ〜!文句ある?」「いえ…滅相もないです。はい。」
科学の力は何時の間にゴジュラス系の頭を持ってしてバランスの良く見える雷竜型の機体を作り上げるに到ったのか?疑問が沸々と沸いてくる。
その能力は更に今まで決戦兵器に苦しんでいた共和国軍のレクスの前で恐るべき力を発揮している。首を振れば化け物達を吹き飛ばし角付きに成った頭部を振り下ろすと数機が真っ二つになる。
更には尾の一撃で壁に敵を押し込め潰し足は正に相手を践み潰す。暫くは忘れ去られていたかの様な”大きい事は良い事”を体現している。「敵前逃亡は士道不覚悟ですよ〜!そ・ん・な方には!お仕置きです〜!」
如何見ても1200tに近付く程の機体が…マグネッサーでホバリングしている。その上ジェノ系列の機体を思わせる様に素晴らしい速度で敵を碾いて逝く…。
更にはジャンプして腹部からドリルが数本。腹で数機を押し潰しドリルが運悪く真下に来てしまった存在を粉砕する。「わ〜い!本当にカイザーだ〜…。」かなり投げやり気味にレクスは言う。
「如何ですか〜?格闘形態の力は〜?す・ご・い・でしょう?」その凄惨な状況は今までの戦争がのどかにすら見える程壮絶で悪逆でルール無用の悪党っぽかった…。
Inocent Worldの作者さんへ
良いんじゃ無いですか?思想云々は。自分なりに戦う理由が無いと戦闘なんて出来ませんし思想を持たなければ唯の人殺し。
1人で悪人100人で英雄な世界ですからね戦争って奴は。それを生き残ってきたのですから何か含む物が有っても?
鉄獣28号さんへ
キタキタキターーーー!ワイツタイガー!白き虎。賢き虎。伝説のゾイド。
虎伝説の奴よりも強そうですし。魔人ザビエルのマーライガーすらこの程度と言う本人の力は如何に?
--------
ちょっと今週は用事で23日ぐらいまで書き込みが無いと思います。
ついでに一度制作に失敗して断念した改造ゾイドを出場させてみました…_| ̄|○
2万円以上を一瞬でジャンクにした思い出を供養してみる様に…_| ̄|●
完成間近だったのに…。因みにスペックは御話の方では正真正銘の超規格外にしてみました…。
「な!」
「え?」
その鮮やかすぎる回避に誰もが唖然としていた。しかし、その中でも最も驚いていたのはタイガス自身だった。
「(俺が避けようと考えた時には既に回避していた…。よくわからんが…このワイツタイガーってのはこういう機体なのか…?)」
ワイツタイガーとなったトランサーは操縦桿を使った操作ではなく、タイガスの精神に反応していた
のだ。と言っても、ゾイドがパイロットの精神とリンクして…という事自体はそれほど珍しい物では
ない。しかし、今トランサーが行ったそれは尋常ではない反応速度だったのだ。
「い…今のはまぐ〜れで〜す!今度こそ吹っ飛ば〜しま〜す!」
体勢を立て直したマーライガーが再びトランサーへ向けて超高速で突っ込んできた。
「(ここは避けて反撃を…。)」
タイガスがそう考えた時、トランサーは既に反応していた。マーライガーの突撃を、あたかもその
動きが手に取るように分かっているかのように軽々回避したかと思うと、その右前足の爪をマーライガーの左肩装甲に叩きつけていたのだった。
「のぉぉぉ〜!!!」
その瞬間、誰もが唖然とした。なんとマーライガーの分厚い装甲がひしゃげ、あろうことか機体
そのものまで吹っ飛んでいたのである。トランサーはただスピードや反応速度が上がっただけでは無かった。そのパワーも格段に跳ね上がっていたのである。
「す…すげえ…すげえぜコイツは!!」
唖然とする皆を尻目に、トランサー=ワイツタイガーの力にタイガスは興奮していた。
一方、リューコは特にトランサーの姿を興味深く観察していた。
「(もしかしたら…あれは伝説の古代虎の一体かもしれないわね…。ならば…抗止力としてこちらも力を出すべきでしょうね…。)」
内心そう思っていたリューコは直ぐさまドラゴスへと通信を送った。
「ドラゴスさん!こちらもそろそろ本気で行きましょう!」
突然そのような事を言われたドラゴスは驚き、拍子抜けし、困った顔をした。
「ハア!?本気!?何行ってるんだ!今までだって充分本気だったんだぜ!!これ以上どうすると…。」
「ドラゴスさんが…ではありません。そのデスレイザーの本気ですよ。」
「デスレイザーの…本気?」
リューコの言葉にドラゴスはさっぱりワケが分からないでいたが、リューコはパラブレードの搭載コンピューターのキーボードを叩き、何かのプログラムを入れていた。
「おい!リューコ!こんな時に何やってるんだ?」
「パスワードは“D・E・C・A・L・T・O・D・L・A・G・O・N”ドラゴスさん準備良い!?」
「ハ?準備って…うお!!」
その時だった。デスレイザーとパラブレードにも異変が起こったのだ。先程のティニィの様にパラブレードが分解し、デスレイザーの各部と合体していった。
「お…お〜?こ〜っちも何〜か起こるので〜すか〜?」
「また変な事が起こるの?」
「もう何が起こっても驚かんぞ…。」
皆が呆然としながら見守る中、パラブレードと合体したデスレイザーは一体のドラゴン型ゾイドとなったのだった。
「ドドドドラゴン型ゾイドに化けやがった…。」
「虎の次は龍かよ…。」
皆はやはり唖然としていたが、リューコだけはなぜか自身たっぷりに座席に腰掛けていた。
ちなみに、なぜかこちらもトランサーの時のようにコックピットが複座式になっている。
「合体完了デカルトドラゴン!」
「ちょ…ちょっと待てぇぇ!!リューコ!!俺は知らんぞ!!デスレイザーにこんな機能があるなどとは…。」
「だって教えてないから仕方ないですよ。」
「じゃあ何で教えてくれなかった!!?」
「教える必要が無かったからです!」
「お前…。」
「ドラゴスさん?今はそんな事言ってる場合じゃないと思いますが…前見てくれます?」
「前…?ってうお!!」
ドラゴスが正面を向いた時、二人の乗るデカルトドラゴン目がけて何機ものゼロフェニックスが突っ込んで来ていたのだった。
「あ〜のド〜ラゴン型をや〜ってし〜まいなさ〜い!!」
ザビエルの命令の元、多数のゼロフェニックスがデカルトドラゴンへ突撃を掛けていた。
それには戸惑ったドラゴスが慌てて操縦桿を前に倒した時、デカルトドラゴンの巨大な
翼がきらめき、デカルトドラゴンがもの凄い速度で大空へと飛び上がったのだった。
「うおおおお!!!!!」
デカルトドラゴンの余りの速度に思わずドラゴスは絶叫を上げてしまった。それだけではない。
飛び上がった後、その翼で数機のゼロフェニックスをすれ違い様に切り裂いていたのだった。
たちまち真っ二つとなったゼロフェニックスは全身の至る所からスパークを起こし、大爆発を起こした。
「す…すご…。」
「ドラゴスさん!次はこっちが指示する方向へエレクトリックディスチャージャーをお願いします!」
「何だと?こ…こうか?」
その直後、デカルトドラゴンの胸部から超高圧電流ビーム砲、エレクトリックディスチャージャーが
放射された。その破壊力、放射範囲の広さはデスレイザーの時の比ではなかった。たちまち多数のレオゲーターやゼロフェニックスが破壊されていく。
「何かよくわからんが!こっとも負けてられないぜ!」
デカルトドラゴンが空で大暴れしていた時、トランサーは地上で大暴れをしていた。
群がるレオゲーターやゼロフェニックスを次々に叩きつぶしていく。そして、トランサーの
エレクトロンハイパーキャノンも一発で数機のゾイドをまとめて撃ち抜くなど、ワイツウルフの状態とは比にならぬ程パワーアップされていた。
「の…の〜…な〜んとい〜う事で〜すか〜?」
それ以前にも増してもの凄い勢いで破壊されていくレオゲーターとゼロフェニックスの姿を見て
ザビエルは頭を抱えて叫んでいた。そして、その時彼にスキが出来た。なんとマーライガーの背後にカンウが回り込み、目にも留まらぬ速度で跳びかかっていたのだ。
「な〜にするで〜すか〜!?」
ザビエルは慌ててかわそうとするが、今度はカンウの方が速かった。避けられない。
「食らえ!!マオ流格闘術奥義!!」
「何!!?お…奥義だと!!?」
誰もがマリンの使った“奥義”と言う言葉に反応し、カンウの方を注目していた。ちなみに
“マオ流格闘術”とはマリンの使う格闘技の流派であり、その名に付いている通り彼女の曾祖母が
起こした格闘流派である。と、説明している間にも、マリンとカンウの奥義がマーライガーへと放たれようとしていた。
>>恐怖の亀裂作者さん
今回は久方ぶりの人達も結構いましたね。それどころかカイザーザウルスって言う
凄そうな新登場ゾイドなんかも出てきてますし。
その一方で戦い終わって茶を飲むシーンは想像すると殺伐とした雰囲気の中にも
かすかに残るささやかな和みと言う物が感じられました。
「一体どんな奥義だ!!?」
「膝カックン!!」
「膝カックン?」
カンウはマーライガーの左後ろ足の膝に当たる部分の裏側に軽く膝蹴りを当て、マーライガーの
左後ろ足がガクっと曲がったのだった。これは膝の裏側を軽く蹴ってガクッと曲げると言う、俗に言う
“膝カックン”と言う、多分多くの人がやった事あると思ういたずらを技として昇華させた物であった。
マリンとカンウが行ったのはまさにそれだったのだが、奥義と聞いて凄い技を期待していた皆は拍子抜けしていた。
「の…の〜!」
一見ふざけた技であったが、意外と効果はてきめんだった。マーライガーの左後ろ足の膝がガクッと
折れ曲がった為にマーライガーは大きくバランスを崩したのだ。そしてそこにさらに大きなスキが出来た。今度こそカンウがマーライガーをガッチリと掴んだのだ。
「さあさあ!!ここからが本番だよ!!」
「の…の〜!放しな〜さい!!」
マーライガーは必死にカンウを振り払おうとする。しかしカンウは放さない。
「ようし!!ここでギガスパワーオーン!!!」
カンウのギガスパワーシステムが開放された。背中に装備された4つのゾイドコアブロックとカンウ
のゾイドコアが共振し、短時間という時間制限こそあれど、その出力は数倍にまで跳ね上がる。
そして、数倍のパワーのままカンウはマーライガーをもの凄い勢いで振り回し始めたのだった。
「それは天高くそびえる天導山から吹き下ろす風のごとく!!天・導・山おろぉぉぉし!!!」
「の…の〜〜〜〜〜〜!!!!」
マリンとカンウの得意技、天導山おろしが炸裂し、マーライガーは高速回転したまま天高く吹っ飛ばされていった。
「ようし!!次は私だ!!」
宙を舞ったマーライガーの上空にはマニューバスラスター噴射で飛び上がっていたハーデスが待機していた。
「食らえ!!死竜昇天蹴りぃぃ!!!!」
「待った待ったぁ!!俺も加わらせてもらうぜ!!」
「俺も――――!!!!」
「コラコラ!」
マーライガー目がけて蹴りを放とうとしていたハーデスの所に、トランサーとデカルトドラゴンが割り
込んできており、もうワケのわからん事になっていた。ちなみにトランサーはティニィが元々持って
いた、マグネッサーウィングとしての効果も持つウィングスラッシャーを横向きに展開する事で飛行を可能としていたのである。
「の…の〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
とはいえ、三機のトリプル攻撃はマーライガーの巨体をいともたやすく粉砕したのだった。たちまち
大爆発を起こすマーライガー。しかし、その爆風の中から何かの小型ビークルの様な物が飛びだしていたのだった。
「獣王〜神様の為に〜もこ〜こで死ぬわ〜けには行きま〜せん!!」
「げ!アイツまだ生きてる!」
小型ビークルにはザビエルが乗っていた。つまり脱出していたと言う事である。そして、そのまま
ビークルが飛去った後を追って、残存するレオゲーターとゼロフェニックスも慌てて撤退していった。
「やったな!!!」
「苦しい戦いだった…。」
勝利を確信した皆は喜び、生きている事にほっとして胸をなで下ろしていた。
「しかし…連中またくると思うぜ…。」
「だろうな…。だが、これだけ破壊したんだ。連中がまた動けるようになるのはまだしばらく先なんじゃねーかな?」
「そうだと良いが…。」
まだ完全に安心できない事を言い合っていた時だった。なぜかタイガスだけはエキサイトしていたのだ。
「うっおおおおおお!!!それにしてもスゲーぜ!!トランサー!!お前がそんなに凄い奴だったなんてなー!!これなら天下を取る事も…。」
と、その時だった。突然トランサーが元のワイツウルフとサビンガに分離したのだった。
「あ…あれ…?」
「天下を取るのはまだまだ先みたいね!タイガス君?」
タイガスは慌てて色々な操作を行ったが、先程のような合体は出来なかった。すると彼は先程とは打って代わってションボリした。
「じゃあ…もう私達は行きます。」
「うん!目的はわかんないけど気を付けてね!」
「勝負は次の機会にお預けだ!覚悟しとけ!」
戦いは終わり、マリン達はドラゴス、リューコと別れを告げ、それぞれの道を進んでいった。そして…。
「んじゃあ俺等もそろそろ行くかね?」
「貴方達も行くの?」
「次も何処かで会えるといいな。」
と、今度はタイガスとラッキーが別れ、二人の道を進んでいくのだった。マリン等が見送る中、皆はそれぞれの道へ向けて立ち去っていった。
「それじゃあ私達も…と言いたい所だけど…。あ〜あ〜派手に壊れちゃったな〜…。カンウそのものは大したダメージじゃないけど…。」
マリンは改めてカンウの損傷箇所を見つめつつそう呟いていた。先程の戦闘でアームハンマーとツインブレードは修復不可能な程まで破壊されていたのだ。
「でもまあ…アレは元々対セイスモ用だったワケだし…。充分元は取ったからいいか…。」
結構前向きだったマリンは特に色々考えずに再びカンウに乗り込むのだった。
「んじゃ!私たちも行こう!ルナリスちゃん!」
「ちゃん付けするな!」
お決まりのセリフにハーデスはカンウの頭を小突くのだった。
「痛い痛い…。もう〜…。」
「お前がちゃん付けするからだろう?行くぞ!」
「とっとまってルナリスちゃん!」
「まだちゃん付けするか!!」
カンウはまたもハーデスに小突かれ、マリンはカンウ共々頭を抱えた。
「痛い痛い…。とにかくちょっと待って…。」
「ん?何だよ。用があるなら早く言え!」
「この周囲を見てよ。」
「周囲?」
ルナリスは周囲を見渡した、そこには先の戦いで破壊したレオゲーターやゼロフェニックスの夥しい数の残骸が転がっている。
「この残骸のまだ使えそうな奴をお持ち帰りして、ジャンク屋に売ったら少しはお金になるんじゃない?」
「あ!な〜るほど!」
ルナリスはハーデスごとポンと手を叩き、カンウとハーデスは残骸を拾い集め始めるのであった。
一方、再び本来の目的であるテストに戻っていたドラゴスとリューコはデスレイザーとパラブレード
を歩かせていた。と、そんな中、リューコはパラブレードのコンピューターのキーボードを叩いていた。
「(まさかあんな所で伝説の古代虎の戦いを見る事が出来るなんて…思っても見ない収穫だったわ。
フフフ…あの虎に乗っていたパイロット…よくは分からないけど興味深いデータをありがとう…。
それと…あのマリンちゃんて娘…。あの娘とゴジュラスギガ…。あれが本当に大戦時代に大暴れ
したっていう“緑の悪魔”なのなら…。あちらもいいデータ対象になりそうね…。」
リューコは内心そう考えながら一人笑みを浮かべていた。
「あ…ああああ!!!」
「どうした!?ラッキー!」
突然叫びだしたラッキーに、タイガスは思わず反応して彼女の方を向いた。
「マリンさんに料理について教わるの忘れてた…。」
ずげげげげっ
タイガスはトランサーごとすっ転んでしまった。
「お…おいおい…。ま…まあ次会った時でもいいんじゃねーのか?アイツ等も旅してんだ!また会ったって不思議じゃない。」
「まあ…それもそうね…。」
一方、獣王教団本部の教祖室において、布で全身を覆い隠した教祖が立っていた。そして、幹部の一人と思われる男が彼も前に立った。
「報告します。獣王教の布教活動、また反教団への攻撃を担当していたザビエルが何者かに敗れたもようです。」
「なんと…あやつのマーライガーを倒した奴がいるというのか?」
「ハイ…。報告によりますとゴジュラスギガにデスザウラー、それとあの伝説の古代虎の一体がいたとの事です…。」
「なるほど…。伝説の古代虎が相手ならば仕方がないだろう…。」
「それでは…ザビエルの処分は?」
「特に何もせんでいい。今まで通りの任に付かせろ。それと…“あれ”の調査は進んでおるかね?」
「“あれ”に付いてはまだまだ調査中です。」
「そうか…。出来ればいそがせろ。“あれ”は我が教団にとって是非とも手に入れておきたい代物…。超古代ライガー文明の遺産を…。」
「うるさいうるさいぃぃ!! 僕はねぇッ、僕はァァ!!!」
黄色の機体が凄まじい機動でルガールに迫る。赤い機体を屠った直後のマッドサンダーは反応が遅れ、側面に体当りが
直撃した。ルガールの喉から空気が漏れる。
「“ギルド”の犬なんかにィ、負ける訳には行かないんだぁァァ!!」
なおもエクスブレイカーを振りかぶるジェノブレイカー。だが、その機体を何かが押し留めた。
「……もう良いからぁ…もう止めて、ラムゥ…」
青い機体が、黄色の機体のエクスブレイカーを受け止めている。少女の声は掠れていたが、それでも強固な意志が
籠められている事が感じられた。
「何でだよぉ!? 何でこんな奴…コイツはァ僕達の――敵なのにィ!!」
「でも! この人の言っている事は本当だと思う…何もしてない人まで巻き込むなんて、やっぱりできないよ…」
少女がその言葉を口にした瞬間――端の対岸から、超高速で何かが飛来した。それは反応する間もなく青い機体に襲い掛かり、
唯一の弱点であったゾイドコアを吹き飛ばした。
砕け散り、四散するジェノブレイカー。パイロットの少女の悲鳴が途絶えると同時に、通信機から低い声が聞こえてくる。
<愚かな…目的の為の犠牲を理解できない者など、足手まといだ。お前はもう少し頭の良い奴だと思っていたのだがな、シヴァ>
ルガールは記憶の糸を辿った。この声は以前聞いた事がある――
「貴様、マフィアの首領…オレーグ・カーティスか!?」
忘れはしない、ルガールが初めて敗れた敵。先程の一撃も、バスターキャノンの威力なら可能だ。更には
オレーグの力――弾道を曲げると言う能力があれば、砲弾を通路に沿って飛ばす事ができるのだろう。
<フン…誰が来たかと思えば、いつぞやのディバイソンの男か。非能力者のロートルがよくやる>
ルガールの予測どおり、橋の向こうにゴジュラスギガは居ない。
<だが1つ言っておこう。我々を『マフィア』などと呼ぶな…我がレジスタンス『リバース・ガーディアンズ』
は使命の元に動いているのだ。全ての能力者を“ギルド”の悪政から救うと言う使命によってな…>
黄色の機体を駆る少年――ラムゥが、通信機に飛びつく。
「ボス! ボスぅぅ!! 助けてよォ、こ、こコイツ強いんだよォ!!」
時間無くて中途半端に切れます…つーかゾ板ってシャア板の半分くらいしか書けない希ガス。
>>鉄獣28号氏
冷静に鉄拳制裁で諭してる様な気がしますがねw
しかし、ワイツタイガーがここまで強く見えたのは初めてです。気分的に非常に新鮮。
>>恐怖の亀裂作者氏
「うん。舐めてる…」以降数行笑いっ放しでした。
帝王の名に恥じぬヤヴァい決戦級ゾイド…ラスボスでもおかしくない気が?
第10章:蒼の神
世界に名だたる大企業ゾイテック社。その本社の一室にて、社員である二人が話し込んでいた。
「あのRTの試作品…、PRTと言ったか…。あれをあんな何処の馬の骨ともわからん奴に渡して大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。それに、あの人しかまともに動かせなかったんですから仕方がないと言う事も出来ますし…。」
「"人"だと?アイツが?まあ別にそう言う事はさほど問題では無いのだろうが…。本命のRTの方は大丈夫なのか?」
「その辺に付いてはぬかりなく。あの人にPRTを無償で差し上げる見返りに、その稼働データ等を
送るように言っておきましたからね。そのデータを元にPRTの欠点だった操縦性等の問題を解消しつつ、より強力な機体として開発を進めるつもりですよ。」
「それなら良いんだが…。それと、情報部の話によるとWTとズィーアームズの新型ドラゴン型の
接触があったらしいぞ。その時は別勢力との戦いがあった様子で特に両者が激突する事無く終わったそうだが…。」
「ズィーアームズも強力な機体を作っている…。という事ですね?ならばこちらもRTの開発を急ぐ事にしますよ。」
「それと…UTGもな…。」
時を同じくして、とある森林地帯ではカンウとハーデスがレオストライカーの大軍から逃げ回っていた。
「わーったくアイツ等また来やがった!!」
「ぶっちゃけありえなーい!!」
機種こそ違えど、無人のライオン型ゾイドの大軍による有無を言わせぬ襲撃。その手口は紛れも無く
獣王教団の襲撃だった。今回はレオゲーターの姿は無く、レオストライカーの大軍団による攻撃。
ライオン型ゾイドの中でも鈍足の部類に入るレオストライカーならば、カンウとハーデスの機動性を
持ってすれば逃げ切る事は容易いと思えるが、レオストライカーには小型機の中でもトップレベルの
火力を持っているという側面も持っている。そんなレオストライカーが火器を撃ちまくりながら追い
駆けてくるのである。まあ、カンウとハーデスの装甲はそんな攻撃が通用する程ヤワでは無いのだが、
おびただしい数に追われる+休む間もなく撃ちまくられるという状況における精神的な動揺等は無視
できない物があった。ましてやここは森林地帯であり、大型機には動きにくい状態である。
「うあああ!!ルナリスちゃん!!もうこうなったら一気に荷電粒子砲で吹き飛ばして…。」
「それはダメだ!!あとちゃん付けもするな!!」
「な!!何でよ!!」
マリンの提案に対するルナリスの意外な返答に彼女は思わずそう叫んでいた。
「連中は問答無用で追い掛けて来てるのよ!!ここは荷電粒子砲で一気に…。」
「だからダメだと言っている!!」
「何で!!」
二人は真剣な眼差しで見合わせていた。なぜ荷電粒子砲を撃たないのかと怒っているマリンと、
それをかたくなに拒否するルナリス。もうレオストライカーに追われてると言う状況を無視して
一触即発になってもおかしくない雰囲気であった。と、そんな時にルナリスは口を開いた。
「ここが以前連中と戦った時の様な広野ならば、普通に連中を荷電粒子砲で吹き飛ばしているだろう。だが、ここではダメなんだよ!」
「だから何で!?」
その時、ルナリスの顔はますます深刻な顔になった。それにはマリンも思わずゴクリと息を呑んだ。
「森林地帯で荷電粒子砲を撃ったら…。自然が破壊されてしまうじゃないか…。言っておくがマリン!!お前も口から火吐くアレは絶対に使うなよ!!」
ずげげげっ
その時、カンウはど派手なすっ転びを見せた。が、直ぐさま起きあがってハーデスに駆け寄った。
「自然が破壊されるって…そんな事言ってる場合!!?つーかあんた不良のクセに自然を気にするなんて似合わないっつーの!!」
「んだとー!!?」
またもや両者は一触即発になりかねない事態となっていた。と、その時、両者に向けてミサイルの雨が降り注いできたのだった。
「ってうおわぁ!!」
「きゃああ!!!」
カンウとハーデスはとっさにその場から跳んでミサイルの直撃を受けずに済んだが、ミサイルの爆風を受けた森林が炎に包まれた。
「わわわわ!!火を消せ火を消せ!!山火事が起こるぞ!!」
ルナリスは慌てて、ハーデスで炎を踏みつけて消していた。と、そんな時にマリンが遠くに一体のライガーゼロパンツァーの姿があった事に気付くのだった。
「よお!!そこのゾイキュアよー!!お前等ザビエルが世話になったってなー!!」
「!!」
突如としてゼロパンツァーから響き渡った声に二人はとっさにゼロパンツァーの方を向いた。
「まさかアンタ等やっぱりアイツ等の仲間か!!?」
「つーかゾイキュアってどういう意味よ!!」
さり気なくツッコミも忘れていない二人だったが、ゼロパンツァーに乗っていた男は笑っていた。
「ハッハッハッ!元気で結構結構!そうだぜ!俺は獣王教団員の一人!反教団勢力討伐部所属のミカエルだぁぁぁ!!!!」
「ミカエルって名前の割には下品な人ね…。」
「ひ…人が気にしてる事言ったな!!!?」
ミカエルと名乗るその男は格好良く自己紹介したつもりであろうが、その名前に似合わない下品な
言葉使いを突っ込まれて怒っていた。と、今度はルナリスが怒り顔でミカエルを怒鳴りつけるのだった。
「こうら!!ミカエルだかメカエルだか知らんがこんな所でミサイルなんて撃つな!!森林が燃えて自然が破壊されるだろうが!!」
「自然愛護って奴かぁ!?ハ!獣王神様の教えに比べればそんな物は取るに足らん犠牲だぜ!」
「な…何だとぉ!!?貴様ふざけるなぁ!!この世の至宝である大自然がそんな伺わしい宗教に劣るってのか!!?ええ!!?」
自然か、宗教かという話から、いつの間にかルナリスとミカエルの罵倒し合いが始まっていた。それにはマリンも困った顔をしている。
「アラアラ…ルナリスちゃんいつに無く熱くなっちゃって…。」
「聞こえたよ。ちゃん付けするな!!」
と、お約束のセリフと共にハーデスがカンウの頭を小突くのだった。
「ったくよー!!こうなったらこれでも食らえ!!」
ハーデスの尾の上の装甲が開き、内蔵されたミサイルポッドから大量のミサイルが発射された。
数十という数のミサイルが天高く昇っていく。と、それを見たミカエルは笑い始めたのだった。
「はっはっはっ!!バカが!!自然愛護な事言っといて結局ミサイル撃ってちゃあざまあねえなあ!!」
「それはどうかな?」
「ん!!?」
その時だった。天高く昇っていたミサイルが反転し、さらに地面に着弾した後、燃えさかっていた炎が一気に消火されたのだ。
「どうだ?こんな時の為に消火ミサイルも搭載してるんだよ…。」
「う…。」
これからまたも新章に突入です。いや、それだけなんですけどね。
>>Inocent World作者さん
何か久しぶりの人が出てきましたね。確か荷電粒子砲を持った紫色のギガの人でしたよね?
>しかし、ワイツタイガーがここまで強く見えたのは初めてです。気分的に非常に新鮮。
古代からの伝説ゾイドですから、ただ強いだけのゾイドとして扱うのは面白く無いと思ったので
伝説らしい神秘性と言うか、なんと言うか、そういうオカルティックな点を入れたりしました。
逆にそう言うオカルティックな点が、メカものなゾイドとのギャップによってさらに
神秘性を増すとか色々考えてみたり・・・。
「で・も!でもでも〜!3分5秒しかも〜ち〜ま〜せんっ!」きっかり3分5秒。カイザーザウルスは…崩れた。安全を充分すぎる程確保した後に。
崩れたパーツは元の機体に戻り始める。そこにタイミング良く奇襲を掛ける様に出現する3つの裂け目。物理的に安全でも常識を外れた観点からではさほど安全ではない。
其れ処か裂け目を操る主の膝元に近い地域では既に手駒が自由に裂け目を抜け出る事が出来る程の空間汚染が広がっている。
裂け目より出でようとする3つの影だが彼等はとても重要な事に気付いていなかったのである。
次の瞬間不用意にも頭から出て来た彼等は後ろから中央の者はギガクラッシャーファング。左右の者はサイクロンドライバーの手に掛かり物言わぬ重金属の肉塊に変わっていた。
事象として裂け目は出現位置その場に有り一定の方向にのみ裂けているのだ。つまりは出口は一つ入り口も一つ。その代わり別の空間に対称が居る以上裂け目の真後ろには厳密に言えば何も無いと言う事だ。
突然目の前に出て来た頭をモグラ叩きの要領で攻撃したと言う事になる。後ろを振り向こうにもそこには別の空間の自分の背後。襲い来るギガの姿等解ろう筈も無かった。
「おおっ!?新・発・見!?私は見た!”空間の背後から襲う暴君の大顎”を〜!」レクスの何気ない攻撃でエルザはとても奇妙で貴重な事象を拝むのであった。
「只今!只今!冷・却・中〜!」如何やらカイザーザウルスの状態は膨大な熱量を発生させる為その限界が今の所3分5秒であるらしい。ここら辺は流石のエルザでも試行錯誤の段階だった様だ。
相手が鬱陶しくて使用したのだろう。現に残骸には前暗黒大陸戦争の頃の機体が複数混じっている。悪夢の如き重力の邪竜デッドボーダー。技術的な問題で開発不能だったダークホーン。枚挙に暇が無い。
果てには奇襲暴君竜ゴッドカイザーや何故か翼を待たない天馬オルディオスまでもが居た状況だった。それにヴィゾールの眷属が合わさり藁々していれば不快感は一級品。
手を煩わされるのを嫌うエルザのおつむは切れていたらしい。結果こそ見た通りだがやはり非戦闘員寄りなエルザの限界点がそこには有った。「警戒しながら休憩か…世の中は旨く行かない事ばかりだな。」
レクスは呟く。そう言えば誰かが”人生は不条理との命を掛けた闘争である”ととんでもない事を言った人が居たな〜とか思った。
「そ・ん・な・の・迷信!その気にな〜ればぁ〜…すやすや…。」寝てる。そしてレクスの心を読み取ったかの様な寝言で反論。
更には…「喰らいなさい…何か発動したらやばっぽい物発動〜。すやすや…遠い星の彼方からやって来た光る何か…むみゅう…。」
一体如何言う寝言だ!?とレクスは思った。
走り去る黒山羊の群。それを必死に捕まえ様とする者達。そこで何か致命的な予感を持つベルフ。「ちょっと良いかい?マイブラザー?」「了解であります。何でありますか?」
ベルフの言葉にファインは耳を傾ける。「ちょっとね…今から悪い予感を確かめてみる。マイブラザーも気付いているんじゃないかな?」それに「羊…もしかして…アレでありますか?」「そう!」
そう言い終わるとベルフは…黒山羊の数を数え始める。「え〜っと羊が1匹羊が2匹(中略)ZZZZ…。」「…真逆大当たりとは思いもしないでありましたね。」
と言ってファインは辺りを見回すと…皆寝ていた。「遅かったでありますかぁ〜っ!?」まあ深くは言及しないがつまりアレである。彼等には彼等の数を数えた者を眠らせる力が備わっているのだ。
全く難儀な事だ。数が多いと本能的に状況把握をしようとする。基本的には悪くない習慣なのだが今回ばかりは相手が悪かったという事だろう。現に色々な所で人の起きている気配が爆発的に減っている。
「?妙でありますね。」ここで不満点が一つ。寝ている相手なら一撃で仕留めれる事も在ろう。
しかし黒山羊達はどの固体とてそれをしなかったのだ。そろそろ全容が見えて来る。元々相手を傷付ける目的でこの形態は執らないものだと…。
機体を起き上がらせて周囲を見ると案の定裂け目が発生している。「面倒なのでやってしまいましょう!」ベルゼンラーヴェの機体から緑色の光が漏れる。
両の手を合せ開くとそこには核熱存在を内包したリバースEシールドが発生する。それを今度は指を開いた手で引き裂く様に引っ掻く。
すると指の間にスケールの小さいそれが発生していた。そしてそれを裂け目に投げ込む。すると裂け目より細い火柱が立ちそれも次第に細くなり消滅する。
相手が出て来ない内に叩けば一方的に勝利できる。しかしそこにレガシーオブオールドワンズの抜け殻が強力な体当たりをベルゼンラーヴェに見舞う。
重金属に薄さを持って更に重みを重ねられた機体が木の葉の様に舞う。
鉄獣28号さんへ
獣王教の野望!構成員がまだまだ居た見たいですね。
その上森林破壊(以下略)のくだりが何か未来を感じさせられました。自然を守るデスザウラー。何かアンバランスで良い感じですね。
Inocent Worldの作者さんへ
荷電粒子ギガ再臨!怨恨は果てる事無く…。激戦が更に激しくなっていきますね。
町は滅びてしまうのか!?
ミカエルは一瞬うろたえた。しかし、直ぐさま体勢を立て直し、叫び返してきたのだった。
「それがどうした!!いくら炎が消えたと言ってもお前らの不利には代わりないんだぞ!!」
「た…確かに…。」
既にレオストライカーの大軍がカンウとハーデスの周囲を取り囲んでおり、二人はうろたえた。
「はっはっは〜!!獣王神様に代わって天誅だ!!地獄へ逝けぇぇぇ!!!!」
『何が起きてるのかはわかんないけど、その娘達はやらせないよ!!!』
「た!!誰だ!!?」
突然回線に割り込んできた謎の声に、ミカエルは周囲を見渡した。しかし、何処を見渡しても怪しい
物は見あたらなかった。ただ一つ言える事は、その回線に割り込んできた謎の声は、女性の物だったと言う事である。
「こ…この声は…。」
「まさか…。」
謎の声の存在にうろたえていたのはミカエルだけではなかった。マリンとルナリスも半ばうろたえて
いる様子だった。ただ違う点は、この二人はその声の主を知っている様子であるという事である。
「畜生何処だ!!出てこい!!」
『んじゃあ出てきてあげようじゃない!!』
その時だった、ミカエルの正面にそびえる山の頂上に一体の虎型ゾイドが現れたのだ。
「な!!何!?あれは!!」
「セイバータイガーでも…ガンタイガーでも…ガルタイガーでも無い…。ましてやあの時出て来たワイツタイガーでも無い…。」
山の上に現れた虎型ゾイドは、マリンとルナリスの二人にとっても初めて見る型だった。
青、黒、銀の三色を基調としたカラーリングの上、所々に輝く謎の物体があり、さらに背中には
三つ連結されたブロックスがあり、さらにそれの両側面にマグネイズスピア、そしてマグネイズスピア
の付け根部分を保護するようにディスペロウの脚部装甲が取り付けられ、その上にさらにディスペロウ
の小型ミサイルポッドが装着されており、ブロックス上部にはバイキングランスユニットの物を流用したと思われるレドームが装着されていた。
「ええい!!ライオン型ゾイドで無いのならば我らの敵だ!!奴もやってしまえ!!」
ミカエルの指令のもと、レオストライカーが次々に正体不明の虎型ゾイドの方を向いた。と、その時だった。
「電磁砲発射!!」
謎の虎型ゾイドの背中に装備された二本のマグネイズスピアの先端から電撃の様な物が放たれ、
レオストライカーを次々に破壊していったのだ。そもそも、“電磁砲”とは大きく分けて二種類
存在する。電磁力の力で加速された弾丸を発射する物。もう一つは電磁力その物を発射する物。
今、謎の虎型ゾイドが使用した電磁砲は後者の方だった。外見のイメージとしてはライガーゼロイクス
のエレクトロンドライバーの電撃線がもっと細くなっている物と思ってもらえれば良い。さらに謎の
虎型ゾイドの背中に装備されたそれは旋回砲塔式だったようで、そのマグネイズスピアを旋回させながらの横薙ぎ放射攻撃で次々にレオストライカーを破壊していったのだった。
「な…なかなかやるじゃん…。」
「つーかそんな事言ってる場合かよ!!つーかまた火の手が上がってるし!!」
マリンは謎の虎型ゾイドの強さに感心していたが、ルナリスはレオストライカーが破壊されるたびに
上がる火の手に慌てながら消火作業に勤しんでいた。とか何とかやってるウチも、レオストライカーは次々破壊されているのであるが、やはりレオストライカーの数は多かった。
「このままではラチが空かないわね…。んじゃあちょっと手伝って!!」
「ハイ…。」
その時、謎の虎型ゾイドの背後からさらに一体の小型ゾイドが飛び上がってきたのだった。
「あ!あの翼!はプテラス!!?」
「ち…違う!!プテラスの翼を装備したイグアンだ!!」
増援で出てきた小型ゾイドはイグアンだった。しかも二人の会話の通り、背中にはプテラスの翼が装備されていたのだ。
「空を飛んでいるとは言えたかがイクアンじゃねーか!!お前等やってしまえぇ!!」
ミカエルの指令の元、イグアンに標的を変えたレオストライカーの砲撃が矢継ぎ早に撃ち出された。
しかし、イグアンはもの凄いアクロバット飛行を見せ、砲弾、ミサイルの雨と次々にかわし、
低空飛行に移りながらレオストライカーに接近したかと思うと、一体を蹴り飛ばして隣の
レオストライカーへぶつけ、さらに右腕に装備したビームガンで別のレオストライカーを倒していた。
「ほ〜…結構強いじゃん。」
「いや!!だから火の手が上がってるって!!」
マリンは感心していたが、やはりルナリスは燃え上がる火の手に慌てていた。
「ようし!んじゃあそろそろ勝負を付けようじゃない!」
謎の虎型ゾイドが動き出した。もの凄い速度で山を駆け下りてくる。目標はミカエルのゼロパンツァーだった。
「お前等何をやっている!!撃て!!撃ち落とせ!!」
レオストライカーは謎の虎型ゾイドへ向けて砲撃を加えた。しかし、マルチプルランチャーは
かわされ、ミサイルはまるで虎型ゾイドを避けているかのように弾道が反れ、一発も当たらなかったのだ。
「な!!?何でだ!!」
レオストライカーの群を飛び越え、立ちはだかる者は吹き飛ばしながらゼロパンツァーへ迫る虎型ゾイドの驚異にミカエルは戸惑いを隠せないでいた。
「そうだ!!あのレーダーのせいだ!!あのレーダーのジャマーがミサイルの誘導を狂わせているんだ!!」
自身も同じ手を使った事があるマリンはミサイルが虎型ゾイドを避けていった原因に気付いていた。
先程彼女が言った通り、虎型ゾイドの背中に装備されたレドームから発せられるジャミング波がミサイルの誘導を狂わせていたのだ。
「くっそぉぉぉ!!!うおおおお!!!」
ミカエルは雄叫びを上げながらゼロパンツァーの全火器を撃ちまくった。しかし虎型ゾイドには当たらない。そしてついに至近距離まで肉薄されたのだ。
「食らえ!!エクスプロォォォォドッ!!バイトォ!!」
虎型ゾイドの牙がゼロパンツァーの装甲に食い込んだ。しかし、それ以上の事は起きない。しかも、
ダメージもさほど大きい物では無い様子で、虎型ゾイドも噛みついたら噛みついたで、直ぐさま口を放してそそくさと下がっていったのだ。
「へ?」
「必殺技っぽいの叫んでおいてそれだけ?」
それにはマリンとルナリスも拍子抜けしていた。そして、先程まで恐怖に打ち震えていたミカエルは笑い出したのだ。
「ハッハッハッハッ!!ご大層な名前叫んでおいてこれだけかよ!!所詮見かけ倒しか!」
ゼロパンツァーのハイブリットキャノンが虎型ゾイドへと向けられ、ミカエルが引き金を引こうとした、その時だった。
「お前はもう…破壊されている!」
「へ?」
突然虎型ゾイドから聞こえたその言葉にミカエルは唖然とした。それまで若い女性の物だった声が
突然渋い男の声に代わっていたのだ。と、その時、ゼロパンツァーの全身がスパークを起こし始めた。
「ひっ!ひでぶぅ!!」
なんとゼロパンツァーは大爆発を起こしたのだ。しかし、その爆発の仕方は外部からの破壊ではなく、
まるでゼロパンツァー自身が自爆したかのように内部から破裂したのだ。
「エクスプロードバイトは外部の破壊では無く内部の破壊を極意とした兵器。」
やはり虎型ゾイドから発せられたパイロットの物と思しき声は渋い男の声だった。
「おおおお覚えてろぉぉぉぉ!!!!」
と、何故かミカエル自身はあの爆発の中でも生きていた様子で、ギャグマンガの様に山の向こうの空遠くへ向かって飛んでいったのだった。そして、残存するレオストライカーも彼の後を追って撤退していった。
「あ〜らら〜!こりゃまた来るかもね〜!」
星となったミカエルの姿を見つめながら、そう言う虎型ゾイドパイロット。しかし、今度のそれは元の女性の声となっていた。
「…………。」
「つーか誰か消火手伝ってくれぇぇ!!」
その光景にマリンは唖然としていたが、やはりルナリスは消火活動に躍起になっていた。
それから一時後、謎の虎型ゾイドとイグアンがカンウとハーデスへ近寄ってきたのだった。
と、そんな虎型ゾイドからカンウとハーデスへ通信が送られてきたのだった。
「いやいや!マリンちゃんにルナリスちゃん!二人とも大きくなったね〜!見違えたよ!」
「やっぱりその声はハガネさん!ってあれぇ!!」
通信に対する返答の時、マリンとルナリスの声はハモっていた。虎型ゾイドの乗っていた者は
二人の知っている人物であり、そして二人は互いにその"ハガネ"と呼ばれた人物と知り合いという事を知らない為、驚いていたのだ。
「まあまあ!二人とも落ち着きなよ!」
虎型ゾイドのコックピットが開き、中からハガネと呼ばれた女性が現れたのだった。
その女性は年齢で言えば18か19歳位、髪はピンク色で頭にはヘルメット状の物を被りっている。
が、なぜか服装は白と紺のフリルの付いた、一般的に"メイド服"と呼ばれる服を着ていたのだった。
まあ動き安さを考慮してか、スカートのたけは短くされていたが…。
次回!突然現れた謎のパイロットの謎に迫るw
>>恐怖の亀裂作者さん
カイザーザウルスの欠点は3分たらずしか活動出来ない事・・・これはかなり問題ですね。
羊型の敵の数を数えて眠ってしまうなんてシーンも面白かったですよ。
>自然を守るデスザウラー。何かアンバランスで良い感じですね。
まあこれは使う人間の問題ですね。良いも悪いも・・・って奴です。
ター○Aも、かつて地球の文明を滅ぼした悪魔の機体であるにも関わらず
パイロットのロ○ンは良い方向に使おうとしていましたしね。
やっぱりデスザウラーと言えばアニメのアレの印象が強すぎた為か、
破壊大魔王みたいなイメージが付きまといますが、それでも使い方次第では
良い方向にも使える事は可能と言う事を見せたかったんですよ。
逆を言えばチビッコ達のヒーロー(?)なライガー系だって本作中の描写にあるように
悪い人間に使われれば悪魔の手先になってしまうわけです。
くしゃくしゃに顔を歪ませ、ラムゥは通信機に縋り付く。
<よしよし。すぐに、俺の所に戻って来い>
ラムゥは何度も頷き、黄色の機体は橋の向こうへと飛び去って行った。
直後、無数の閃光が対岸から飛来した。雨の様に降り注ぐバスターキャノンの合間から、オレーグの声が聞こえる。
<まあ、イフリートもシヴァも貴様の足止めには充分だったと言う事だな。“シギュン”を使いたければこの先へ来い。
…尤も、多分お前はここで死ぬ…!>
バスターキャノンがマッドサンダーに当たる事は無かった。だが、その弾丸が破壊していた物に
気付いた時は既に手遅れだった。
「ピシッ」――老朽化し、ルガールと3人の戦闘で崩落寸前だった橋が、バスターキャノンの連射に耐え切れず崩壊を始めた。
走り出そうとマッドサンダーが踏み出した一歩に床も崩れ、巻き上げた埃と地の底へ通じる谷に
響き渡る轟音は誰も知らない一大カタストロフを映し出した。
「ちぃ、考える事がせこいな!!」
ルガールはジェノブレイカー2機の残骸をサンダーホーンに引っ掛け、本来ならば最終兵器であるロケッティアマグネーザーを
射出した。つまりは、マッドサンダーの隠された武装…「マグネーザーがミサイルの様に飛んで行く奴」である。
しかし、今彼が使ったのは遥か昔のそれとは違う。撃ち出されたマグネーザーの根元からは巨大な鎖が伸び、
「撃ったら終わり」の武器ではなくなっていた。
そしてマグネーザーは対岸の壁に深く突き刺さり、巨大な鎖を介してマッドサンダーの巨体を支える。鎖を徐々に巻き取り、
その力でルガールは機体を引き上げていく。
ゆっくりと時間を掛け、マッドサンダーと2機の残骸は対岸に辿り着いた。
「…どう、して?」
溜め息をついたルガールに発せられた問いは、少女の――シヴァの声だった。
「目は覚めていたか。どうして…とは?」
「だって、私達はあなたを殺そうとした! 私達はあなたの……敵なのに…!」
「確かに、君達は私の敵だった。だが、私は殺されてもいないし戦いには勝った。
起こらなかった現実を心配しても現在が変わるわけではない――第一」
ルガールの視線は暖かく、その言葉は憎しみに凍り付いたシヴァの心を解かして行く。
「理由が必要だと思うのかね、君は? …強いて言うならば、私が助けようと思ったから助けた。それで充分だ」
――ボスは、この人に勝てない。 何故かシヴァはそんな気持ちになった。
善悪の概念、他人の価値観を否定せず、それでいて強固な意志を持った男。それは自らの意思に矛盾を
孕みながらもそれを認め、受け入れる空の如く広い心。そして、何者にも縛られる事無き自由な魂。
だからこそ、この人は強いのだ。外見は怪しいオッサンでも、内に秘めた精神は測り難い力なのだから。
「…ボスは、“シギュン”でギルドのゾイド部隊を一掃し、野良ゾイドに市街を破壊させようとしています…
誰も居なくなった市街に、地下スラムの仲間達を連れて新たな町を作る…それが、彼の戦略です」
静かに語るシヴァの話を、ルガールは相槌も打たずに聞いている。彼女が話しているのは強制されたからでもなく、
ただ自分の行為に負い目を感じた事、そして自分の意思で償おうと思ったからだ。
「でも、非能力者も冷たい人ばかりじゃないって事、あなたが証明してくれた…だから、ボスを…止めてください」
その言葉がどんな意味なのか、彼女は理解していた。もうオレーグの憎しみは、取り返しのつかない領域に到達し
彼の心を病原体の様に侵食している。彼を止める方法はただ一つ――
それでも、そう言わずには居られなかった。私達は間違った――それが彼女の導き出した結論だ。
「OK、君の依頼確かに…引き受けた」
「そろそろ、頃合かな…」
近付く野良ゾイドを片っ端から殲滅し、今しも一機のデススティンガーを真っ二つに切り裂いたセディールが小さく呟いた。
自分を信用しているマクドガルは、既に崖の縁に立っている。後はほんの少し、背中を押してやれば良い。
「…社長、例の機体は解凍さえすればすぐにでも稼動できる状態にあるのでしょう?」
コレを書く自分こそが崖っぷちな悪寒…
>>鉄獣28号氏
キタキタキタ――(∀゚=゚∀)―――!!!!
100年の時を経てなお現れるのか美少女ロボットメイドッ!! しかも北斗の者ですかw
全身火薬庫のパンツァーがアレを喰らった日には大爆発間違いなし。
>>恐怖の亀裂作者氏
「にゅっ」と出るギガの頭。そして奇妙な寝言に羊。しかしその裏でグロい敵さんが大量死。
もはやジャンル分け不可能な大作となり始めてますが…ところで、何スレ跨いでます?
「どうわぁっ!?」突然視界が逆さまから正常位置を独楽の様に繰り返す。如何やら空に打ち上げられたらしい。
こう見えても実はデスザウラーより軽い程度の350tの重量が有るベルゼンラーヴェ。それを推定500mも打ち上げる力を持つレガシーオブオールドワンズ。
いや今はワンだろうか?そんな事は如何でも良い。今は独楽の様に回転している機体を止めるのが一番重要だ。
虚空を回っていた独楽が動きを止める。今まで略全く使用していなかった黒翼を勢い良く広げるベルゼンラーヴェ。それは一番外側から虫の一対次に翼竜の二対の翼を開いて回転力を遠心力を奪って静止する。
そこから状況をレーダー以外で確認する。如何しようも無い死へ直走らされる眠りを誘う様な黒い波が或る。
それを見てもう一度真下を見ると親玉と煙を上げながらのエルダー5が動いている者の全て。パラスパラサウロンのベレディケンは眠りを退けている。
だが機体の特徴の関係で全く動かないので実は忘れ去っていたのだった。
手に握る銃に今一度弾丸を装填する。エネルギーガンとしても使用できるが事実弾丸を依代にする方が遙に威力が有る為エネルギーだけで撃った事はまだ無い。
更には二つの属性を持つ為Eシールドや実体弾専用装甲版等の防御に対して無制限に撃てるのが強みと言う事も有り考える暇が余り無い今は何方かだけで試し撃ちする暇も無い。
今度こそカラミティシャドウの直撃を狙いたい物なのだがエルダー5が邪魔だ。「もしもし?何方かを引き付けて貰えないでありましょうか?」その声に「良イダロウ!任セロ!」
それを確認したのか猛烈な砲撃をパラスパラサウロンは行い相手を二分させる。その後はレガシーオブオールドワンズに砲撃を集中する。
「それなら!」ウェイブレイダーを無造作に発砲する。その弾丸は意志が在るかの様にエルダー5にそれぞれ襲い掛かる。実質意思が篭もっている。特権乱用ではあるが。
現実と曖昧の間を縫う様に作り出された法律と法則。”この銃より放たれる弾丸は追尾をする”と言う法則は曖昧が特に多くなった空間で完全に重力の法則、運動の法則を無視した軌道で飛ぶ。
口煩く言うがこれはファインの力では無くベルゼンラーヴェの力と銃に変換された邪神の力である。ただその方向性をファインが決めただけだ。それが彼の才能という奴で巫山戯た事を平然と宣う彼らしい物だった。
砲撃の雨の中視界と動く空間を奪われ立ち往生で嬲られるレガシーオブオールドワンズ。凶暴な追跡者に襲われるエルダー5。
巨大クラゲは必死に弾丸を弾き返すがそれの勢いを奪う事ができず別の方向に回り込まれて無防備の傘を貫かれる。レイバークラブは蟹の爪で弾くので手一杯。
ミルメコレオは虫とライオンの分け目を貫かれダウンし再生の真っ最中。翼を湛えた蛇も翼を撃ち抜かれ墜落。最後の1機は華麗に回避し続ける。
がそれだけに御執心でその他の事には目も向けない。落ちまで付けてくれる別の方向に親切な直立した狐。尾が5本と中途半端なのもご愛敬と言う事だろう。
やがて弾筋を見きり狐だけが一気に上昇ベルゼンラーヴェに挑み掛かる。尾を向けてその尾の先端のチェーンガンを乱射する。その後ろを追尾するウェイブレイダーの弾丸。
誘導するのは良いが当然の弱点も持っている為急いで狐の直進軌道から外れる。それが間に合いベルゼンラーヴェの鼻先を弾丸が通り抜ける。「もう少し融通を利かせて欲しいでありますね。」がっくりとした顔になるファイン。
通り抜けた狐の尾を旨く掴み振り回す。すると確り弾丸が追ってくるそれに狙いを定めて投げ付ける。その際フレームに狐の爪が掛かり嫌な音を立てて傷を残す。しかし狐自体は胴体ど真ん中に弾丸が突き刺さり地表に落下していく。
それを確認して改めてカラミティシャドウを発砲しようとするが「おわっ!?」機体のステータスモニターに百を超えるエラーが表示される。始めの方は上に流れ消え何処のエラーだか全く解らない激しいシステムエラーだった。
それと共に機能が麻痺して機体が落下する。しかも「操縦系エラーも併発!?くそっ!?こっくりさんの呪いでありますか!?」そんな筈は無いがそんな感じでレガシーオブオールドワンズの真上に墜落。
派手な音と土煙を上げて激突し大地を震撼させる。「エラーが増量!?時間と共に増える…不味いでありますよ。」既にシステムエラーは二百を超え更に増量中。数千数万の物が有るとは言え大小様々なシステムが少しづつ犯されれば何時か機能が停止する。
幾つかのエラーは解消されているが発生するエラーの数と解消される数の差が開いている分じりじりと機能停止に追い込まれて行く。既に手動でのエラーの処理を始めても居るがまだエラーは発生し続ける。
「ダミーまでありますか!」巧妙な偽装まである。
そんな状況の中1人目覚めたアービン。眠りが浅かった為にエラーの処理に四苦八苦して悲鳴を上げるファインの声で目が覚めたようだ。
「しょうが在るまい…アレを使うぞ!」そこらの士官を叩き起こしアービンは戦闘指揮をするゾイドに移動を開始する。「解っているな?羊は無視しろ!」
この歳になって戦場で羊を数えて寝たと言うとんでもない経験をしたアービンは恐怖に震えている。一瞬で状況が暗転する戦場で寝る等正気の沙汰では無い。
しかし目の前で黒山羊の群がこちらに向かって殺到してくる。その先を見たアービンはまたかと頭を抱える。
異形の襲撃に合わさり寄生体の襲撃が始まったのだ。何方もゾイドだが戦力と対処法が違う。
寄生体は奇珍な状況や行動原理は兎も角急速進化等の特殊状況も有る為異形タイプより戦い難い。異形の方は良く相手をしなくては成らないファイン等に確かな知識が有る。
その他口伝やらのフォークロアで大概の能力や対処法が明確な物も多い。驚異の戦闘力が要注意ではあるが寄生体よりは多少楽に戦略を立てる事ができる。
寄生体はパッケージと中身が一緒でない事が有る為慎重な対策が必要になるのである。だが今は一刻も早く機体に乗る事が重要だ。
銃を構え目の前に来た寄生体を撃ち抜くアービン。油断無く倒れた相手には確実に止めを刺しゆっくりとだが機体に近付く。後方では未だにエラー処理に明け暮れる部下の悲鳴と罠に嵌まり眠り続ける他の者。
機体までの距離が50mを切った瞬間脇目も振らずにアービンは走り出す。それに気付き寄生体が攻撃を仕掛けるがそうそう当たる物でもない。付いてきた兵員はその場で援護を開始し道を塞がれる事を防ぐ。
機体に辿り着き乗り込むと機体を起動させる。その瞬間4つの凶暴な目に灯火が灯る。
2本の首が大地を離れ天を仰ぐ。その全貌が巧妙な偽装を解かれて明らかになり寄生は兎も角ベルゼンラーヴェを押し退けたレガシーオブオールドワンズすらその行動を止めその姿に魅入る。
二回り程体躯の大きいセイスモサウルス。首が2本に成って居るが本当の頭部はこの機体には存在しない。多頭の存在は頭に脳が無く胴体に或る事が多いらしい。何処の与太話かは知らないが…。
それは良いとして何処で手に入れたかは秘密のコアで稀に発生する希少な多頭種を使用している為唯首を増やしただけの改造ゾイドとは一味違う機体だ。
鉄獣28号さんへ
メイドで北斗なハガネさん。機体がレイズタイガーでひでぶなエクスプロードバイト。
あれってやっぱり爆散してしまうのでしょうか?それだとゾイドバトルに使えない気がちらほらと…。
Inocent Worldの作者さんへ
じきに10スレまたぎます。どうも幾つか前のスレで火が付いてしまったらしく時間軸は進みながらもレスが多くなる現状。
実は良く読むとものの数分の事を3レス6KB使っていたりして絶句した時もありました…。
実は何時の間にか区切り無しで七日目突入済み。あるお約束をそ〜っと実現!
何故か最終日は前の日から繋がって最後まで寝ずに始末を付ける羽目になると言うお約束を…。
遂に禁断の秘技マグネーザー飛ばしが炸裂!新たな依頼を受け渋い叔父さん爆走中!良いな〜…。
「二人も降りてきなよ!あと、チョコちゃんも!」
ハガネの呼び掛けに、マリンとルナリスはゾイドから降りてきた、そして、イグアンからもハガネからチョコと呼ばれた10歳くらいの金髪の女の子が降りてきたのだった。
「それにしてもこんな所で二人に会えるなんて思っても見なかったよ。二人とも大きくなったね〜。
マリンちゃんは5年前のマオちゃんの葬式以来…ルナリスちゃんは4年ぶりかな?本当に
見違えたよ!マリンちゃんなんかマオちゃんの若い頃そっくりで胸もそんなに大きくなって…。」
「そ…それほどでも無いですよ!」
マリンは赤くなりながら思わず両手で胸を隠していた。一方ルナリスは、マリンより大人っぽい風貌
をしていながらなぜか胸だけは負けてるという事をひそかにコンプレックスを持っている為、額に青筋を立てながらやや目を細めていた。そして、次にハガネはカンウを見上げる。
「ルーちゃんから話は聞いてたけど、今更になってカンウが発見されるとはね〜…。マオちゃんが生きていたら大層喜んだだろうに…。」
その時のハガネの顔はどこか悲しげだった。ちなみにルーちゃんとはルーガスの事を意味している。
「とはいえ、ゴジュラスギガとデスザウラーのコンビなんて大戦時代では考えられないシチュエーションだよこれは。白と黒、正しくふたりはゾイキュアだね。」
「いや、だからそれどういう事よ。」
やっぱりお約束は忘れていなかったが、ハガネがマリンの顔を見た時、やや困った顔をしたのだった。
「それにしてもマリンちゃん…。その顔の傷はいかんね!それがかなり減点だよ!というか一体何やってそんな傷が付いたのかい?」
「傷のことはどうでもいいでしょ!ハガネさんにしてもそのメイド服は一体…。」
「ああ!これ?イメチェンだよイメチェン!最近のメイドブームにちょっと便乗させてもらったのよ!どう?可愛いでしょ?」
ハガネはその場で軽く一回転してみせるが、マリンとルナリスは唖然とするだけだった。
「何だい?マリンちゃんもルナリスちゃんもその白けた反応はさ〜!」
「ハガネさん!あんまり私等を子供扱いしないでちょうだい!」
と、その時だった。突然ハガネが笑い出しながらマリンとルナリスの頭をガッチリと掴むのだった。
「何を言うかと思えばアッハッハッハッ!言うけどねえ!!私からすればアンタ等二人はいくつに
なってもガキだよ!何せ私はアンタ等の家系をそれぞれ100年前から見守ってきたんだからねー!」
実はハガネはこう見えても100歳超えているのである。いくら地球人に比べて長寿の傾向にある
惑星Zi人でも100歳にもなればすっかり老人(?)であるが、ハガネの外見は前述の通り
18歳か19歳くらいにしか見えない。それが何故かというと、彼女は人間では無い。
正式名称を“SBHI−03 HAGANE”と言い、彼女は100年前の大戦時代、
ネオゼネバス帝国軍がデススティンガーの様な、生身の人間が操縦する上では危険なゾイドを
人間の代わりに操縦させるという人工知能をさらに発展させた、人型インターフェースを
コンセプトに作り上げられた人造人間、いわばロボットなのである。
現に彼女の手や足など、服で隠れていない部分がモロにメカだったりするのである。絵で見せられ
ないのが残念なのだが、そのくせ顔や体型、そして声色は思い切り美少女型だったりする。それは
あえて可愛らしい風貌にさせることで相手を油断させるという視覚的効果を狙っているのであるが、
それは単なる建前で、本当は開発者の趣味だったりする。とはいえ、その戦闘力は高く、外見からは
想像もできない程の重装甲と重武装を誇り、また、ゾイドの制御やリンク能力まで兼ね備えている。
その上に100年経った今でも普通に稼働しているという耐用年数の長さは称賛に値する代物である。
そして、彼女は大戦時代、マリンの曾祖母のライバルとして数々の名勝負を残し、また、ルナリスの
祖父であるルーガスとも面識を持っていたという過去を持っているのである。
「はあ…もういいや…。で、そっちのずーっと無表情で黙り込んでる娘は?」
「ああ、この娘は今私が面倒見てる娘でね!チョコ=レートって言うんだ!可愛いでしょ?でもこう見えても中々やる娘だよ。この娘は。」
ハガネはチョコと呼ばれたその少女の頭に左手を優しく添えるが、マリンとルナリスは拍子抜けした顔をしていた。
「チョコレート?」
「違う!チョコ=レート!」
二人の返答にハガネは反論していた。そんなやりとりの中でも、チョコと呼ばれる少女は何の反応も見せずに無表情のまま黙り込んでいる。
「まあいいや…。チョコちゃん!二人に挨拶して!」
ハガネにそう言われたチョコはゆっくりと二人に頭を下げた。しかし、相変わらず無口無表情。
「何か無愛想な娘だね…。」
「けど、その娘の頭のネコミミリボンはハガネさんが付けたのか?」
確かにチョコは正面から見たらネコミミっぽく見えるリボンを頭に着けていた、さらに言うと服装は
ややストリートカジュアル入ってる(?)服装だったりする。と、そんな時、ハガネはチョコの頭に優しく手を置いて言った。
「このリボンは私が付けたんだよ!可愛いでしょ?」
「可愛いって…。」
ハガネは一人にこやかにしているが、マリンとルナリスは唖然とし、チョコはやはり無口無表情だった。そして、マリンは再びチョコの顔を見つめた。
「それにしてもまあ本当に無口な娘ね〜…。」
「まあね!でも、チョコちゃんは実は…ゲフンゲフン!!いやっ!何でもない何でもない!」
「な…何でも無いって…。」
謎の多き言葉に二人はやはり唖然としていたが、ルナリスは口を開いた。
「それにしてもその娘…あのイグアンでよくやるね〜。プテラスの翼まで付けて…。その昔の
大戦時代に存在したフロスト中佐の空挺仕様のイグアンを彷彿とさせるね!」
「ドラグネス…。」
「え…?」
先程まで何も言わなかったチョコが突然口を開いた為、マリンとルナリスは一瞬驚いた。
「今何と?」
「ドラグネス…。」
チョコがまたも先程と同じ言葉を呟いていた。と、ハガネがチョコの前に出てきた。
「ドラグネスってのはこの娘のイグアンの名前だよ!」
「ドラグネス…。」
やはりチョコは無表情のまま同じ言葉を呟いていた。
「じゃあ話を変えるけど、さっきの戦闘中にあった事だけどさ、渋い男の声は一体…。」
「ああ!それはボイスチェンジ機能を使ったんだよ。」
「なるほどね、ハガネさんはロボットだから驚く程の事でも無いか…。」
ハガネの言葉通り、彼女にはボイスチェンジ機能が搭載している。説明すると、様々な声色を使い
こなすことが出来るという事である。通常は、ハガネが開発された時代の人気女性声優の声色を
コピーした物が使われているが、ボイスチェンジ機能の併用によって状況次第で様々な声を使用出来るのである。
「で、次だけど、貴女が乗ってたあの虎型ゾイドって…。何?今まで見たこと無い型だけど…。」
マリンは先程ハガネが乗っていた虎型ゾイドを指差していた。
「まあそれについてだけど、立ち話も何だからどう?近くに街があるんだけど、そこで食事でもしながら!」
「まあ、別に良いけど…。」
と、言う風に皆その街へ移動することになった。
それから一時、とある街の飲食店、“康野屋”にて、四人の姿があった。そこで四人は豚丼を食べて
いたのである。ちなみに“康野屋”とは牛丼専門店として世界中にチェーン店を持つ大手飲食店
なのであるが、最近は狂牛病などの問題で牛肉を使えず、やむおえ無く豚肉を使った豚丼を出していた。
「ったく康野屋名物の牛丼はいつになったら復活するのかね〜。これも全ては狂牛病のせいだよ!」
豚丼をがっつきながらハガネはそう愚痴っていた。彼女はロボットであるが、人間と同じ食物から
でもエネルギーを抽出できるという機能が備わっている。ぶっちゃけた話、食物だけでなく、
ガソリンや石炭など、いわゆる“燃料”からエネルギーを抽出する事が出来るのである。
「ハガネさん…。こんな時くらいその頭のヘルメット外したらどうよ。」
ルナリスが少し困ったような顔でハガネにそう話しかけた時、ハガネも困った顔をした。
「そんな事言われても困るな〜…。これはヘルメットじゃなくて立派な身体の一部なんだよ。」
「え?」
衝撃という程の事では無いが、意表を突かれたという意味では衝撃とも言えなく無い事実を
聞かされたマリンとルナリスは開いた口が塞がらない状態になってしまった。
「とにかくこれも立派な身体の一部だから外すことは出来ないの!仮に外したとしても中身の
電子頭脳、つまりあんた達人間で言う脳味噌にあたる機械がむき出しになるだけでそれほど驚くような物は入ってないよ!」
「いや、驚くとかそう言う問題では…。」
二人はやはり唖然としていた。が、チョコは一人無表情のまま黙々と豚丼を口に運んでいた。
「で、ハガネさん!あのゾイドは一体何なのか教えて欲しいんだけど…。」
「ああ!そうだった!すっかり忘れてたよ!それに付いてちょっと長くなるんだけどいいかな?実は…。」
次回からハガネの視点に移り、彼女が何故レイズタイガーを手に入れたのかという事柄に付いてのストーリーが展開されます。
>>恐怖の亀裂作者さん
夥しい数のエラー・・・戦闘中と言う状況下でそれは想像してみるとかなり怖いような・・・
しかも久々に貴方の作品の名物(?)である寄生体も参戦してますし・・・。
>>Inocent World作者さん
次は直接対決でしょうか?ディバイソン時代に負けたリベンジは果たせるのでしょうか?
一方別所ではまたも久々の人が出ましたね。そちらも何か陰謀膨らませてますし。
<あの機体を使えと――そう言うのか、君は!?>
「そうです。この状況を打開する為にはあの機体の力が必要…そもそも、こんな時の為に保存しておいた
ゾイドでしょう?高い金を掛けて秘密裏に維持し続けたのは抑止力としてではなく、完璧な武器とする為です」
犀は投げられた。セディールの言葉に、マクドガルは決断を下す。
<むう…解った。技術部に解凍の命令を出す。だが、時間が掛かるのでな。それまで時間を稼いでくれ>
「お安い御用」
通信が切られ、一人になったセディールはコックピット内で高笑いを始めた。
――やっと、僕の計画はここまで来た! 最後の扉が開かれる時が…来た!
「やはり、社長を裏で操っていたのはあなただったんですね」
セディールは突然の声に驚いた。見れば、いつの間にか通信回線が繋がっている。
近付いていたのは、一機のエナジーライガー。そしてモニターに映った人物は――
「アレックス・ハル=スミス…人事部長殿が、僕に何の用かな?」
「とぼけるのは止めましょう、実験体PX-3セディール・レインフォード。…そうやってあなたは、忠実な部下を装って
社長を間違った方向に導き続けてきたんですね」
アレックスの眼鏡の下にいつもの爽やかな笑みは無く、その目に宿る光は冷たい。
「人聞きが悪いね。あの男があんまり僕の思惑通り動いてくれるモンで、実際僕がやる事は少なかったんだよ。
それに、僕のやる事が間違っているかどうかはあなたに判断できる事じゃないな…どのみち
人の信じる正義なんてのは脆くて、安っぽくて壊れやすいものさ」
奇しくもそれは、ルガールが言った言葉とあまりに似通った意味を持つ言葉だった。だが、それを語った二人の追う
正義は全く異質の物だ。
「…私は、あなたと正義についての議論をするために来たのではありません。あの機体は絶対に、人類が触れてはならない
ものです――あなたがアレをどう利用したいのかは知りませんが…私は、あなたを止める」
睨み合う獅子と黒竜。絶え間無く振動する隔壁の前で、2機のゾイドが激突した。
「自らゾイドを駆って野良ゾイドの駆逐に出るとか、中々の手練だとか聞くけど…
それでも、僕に勝つつもりなら玉砕覚悟で来るんだね!」
“サタンジャッジメント”が放たれた。四方に散ったビーム砲がアレックスを取り囲み、鳥籠の様に射線が交錯する。
アレックスはエナジーライガーの機動力でそれを振り切る様にかわし、グングニルホーンを振りかぶって
セディールに突撃した。ビームブレードと角が激突し、火花と閃光が広がる。
「あの機体を何に使うのか、聞かせてもらいましょうか!」
「フッ…戦闘中に会話しようなんて、本当なら馬鹿のやる事だよ。でも特別に教えてあげよう……
…僕は、あんた達のエゴと妄想で作り出された人工能力者だ。それは知ってるね?」
無論、計画自体は知っていた。だが、ルガールから話を聞くまでは実験体が生き残っているなどとは知らなかった。
「人体実験までして、生み出される能力者ってのは一体何なのか? それを考えた時、僕は答えに辿り着いたのさ。
『能力者は、次代を担うべくして運命の必然のもと生まれた新たな種』なのだと…僕は選ばれた人間を率い、
あの機体の力で旧世界を浄化する。そして、能力者が支配する新たな世界を作るのさ」
ルガールから聞いた話の真実が、今明らかになった。
確かに、『あの機体』は一週間で世界を滅ぼす事もできるだろう。そうでなければ、こんな大計画が成功する筈が無い。
――何としても、この男を…止めなくてはいけない。
「そうですか。ですが、実はもう私はあなたの目的も知っていました」
「ふーん…じゃあ、何で訊いたのさ?」
「それは…口実が欲しかったから、です。本気を出す理由」
エナジーライガーの機体が、激しく発光した。目も眩む様な閃光が天へと伸び、歪んだエナジーの影は異界の生物にも見える。
「まさか…これはッ!? …発動の光!? 馬鹿な、奴は24歳だったはず…」
「いえ、それは詐称ですよ。 僕の本当の年齢は、18歳です」
愕然とするセディール。モニターには既に、アレックスの顔は無い。
それでも聞こえてくるややエコーの掛かった声は、彼が愛機と融合した事を物語っていた。
「あなたは世界最強の能力者との事ですが…私は、『世界最初の能力者』なんですよ」
コレだ! 最初VS最強、コレがやりたかった!!(藁
>>鉄獣28号氏
ドラえもんに匹敵する謎ジェネレーター搭載してますね>ハガネ
そして康野屋。U字テーブルの向かいに座った奴といつゾイドバトルが始まってもおかしくないw
>>恐怖の亀裂作者氏
双頭ゾイドネタが再び。以前もツインリヴァイアサンでビビりましたがCGで想像して(゚Д゚)ウマー
もしかして歴代最長記録更新中…なのだろうか?
インフィニティにてCPUのビットにバーニングビックバン3発でぬっ殺された自ゴジュ…_| ̄|○そんな馬鹿な!?あんな弾けたCPUが在ったなんて。
鉄獣28号さんへ
なんてこったい!狂牛病が惑星Ziにまで拡大していたなんて…。何世紀遅れた物やら。
Inosent Worldの作者さんへ
何故か漫画版〇クライドの某隊長さんを思い出してシリアスなシーンなのに吹いてしまった自分。
年齢設定が隊長さんに似ていたので…。
”〇〇座の18歳!〇ーティン=〇〇マール”って…。
開発コンセプトに多頭型が古くから在るのは虚仮威しが第一であるがそれは次第に残る頭部の使用方法を考慮する様になってやっとスタートラインに着く。
それで産まれた機体達は扱いが難しく乗り熟せる物は殆ど居なかったという。しかし予めそう言う姿をしていた野生体をベースにすれば通常の機体同様安定した操縦性を得る事が出来る。
この機体もそうでその上サイズまで大きかった者を使用していた為同じセイスモサウルスの野生体でもそれだけの巨体に成ってしまったと言う事だ。
首は左右に並びそれを支える為か前足周辺の胴体がこんもりと盛り上がった姿に成っている。まあ近い所を言えばディバイソンの17文突撃砲の設置部分の様にだ。
その巨体に相応しくその肩からは共和国軍施設から押収したのだろうハイブリットキャノン2文を連結した物を二つ。その他にもパンツァーユニットを巧みに装着したその巨体。
更には共和国軍の機体強化用カスタムパーツをゴテゴテ付けた武骨が雷竜に纏わり付いているかの様な姿。その体にはまだまだ武装が施されている。
細かい所では2連小口径レーザー砲が四倍の数付いている事だろうか?それらが寄生体とレガシーオブオールドワンズ、エルダー5をロックする。
「一斉砲撃!」その声と共に巨体は光に消える。光の中からミサイル、レーザー、ビーム、徹甲弾等が飛び出し敵対者を襲う。光が納まる頃には二つの頭部の口腔から破滅の光が練り上げられている。
何時の間にか定位置に士官が乗り込んでおり状況を報告している。「よし!状況確認。ツインゼネバス砲照準合せ!総員対閃光防御!目標レガシーオブオールドワンズ!撃てぇい!」
練り上げられた2条の光はお互いを結び付かせ極太超収束荷電粒子砲に融合成長する。既にベルゼンラーヴェはパラスパラサウロンの手に掴まれ射線状から避難している。
光を阻む物は何も無いそれは確実に速やかに対称を撃ち抜く光。撃破を確信する一同。砲撃を指示したアービンそしてベレディケンとファインを除き。
「刻印障壁カッ!」強力な障壁は光の洪水を受け止めきれず貫通し消滅こそするが奪われた力の方が大きかった為に致命傷は避けられている。胸を大きく抉られて尚ゆらりと立ち上がる巨大な黒山羊。
再生を止めようとベレディケンは砲撃を再開するがやはり効き目は薄い様だ。ゆっくりと1歩踏み出す巨大な黒山羊。
「寄生体を殲滅しろ!アレは後回しだ!おい!誰かエラーの処理を手伝ってやれ!」アービンは素早く指示を飛ばし状況を確認する。
60%もの威力を打ち消した刻印障壁なるEシールド。間違い無くEシールドだが発生の為の手順が物理法則に当て嵌まらない。
「神の眷属は法則すら無視するのか…。」そう言いながらブリッジを降りベルゼンラーヴェのエラー処理を手伝い始める。焦る前に行動を!
状況が悪化するのなら更なる悪化を防げば良いだけだ。それが如何なる困難だろうと…。
巨竜ツヴァイザーシュライエントは赤き巨体を唸らせて尾を振り寄生体を弾き飛ばす。冗談の様な軌道を描き寄生体はその途中で風圧に喰い殺される。
唯の鉄屑と溶液の飛沫と化し赤い空…今は歪みすら肉眼で見える不快な空に不快な花火となって咲き乱れる。運良く飛散を免れて生き残った者はやはり強化変異を開始する。
ウェイブレイダーの弾丸も遂に力を失い地表に落下する。それにより枷が外れた獣の群の様にエルダー5がベルゼンラーヴェに殺到する。指示を出している者の戦略は明確である。
”魔術師若しくはそれに準ずる者”を仕留める。初心者で或るが為何にも縛られない法則を産み出す存在は厄介だと判断した為であろう。ついでに魔銃を奪えば簡単に力を行使出来る為一挙両得+1。
最後の+1は後の状況を考えると価値が更に高く成る可能性も有る。総合評価が低位術士(マイナー・ユーザー)なら魔導機の関係で高位導師(ハイ・ウィザード)の戦力を持つファイン。
「奴は邪魔だ…行け!エルダー5!レガシーオブオールドワンズ!」ヴィゾールの剣は明確な目標を声を出し指示する。
「うわあああぁぁ〜!?エラーが!エラーがぁあああ!?」処理の限界を超えパニック状態で尚も必死に処理を続けるファイン。外からの支援も在り少しづつエラーの発生と処理の間の差が縮まる。
しかしそれまでに相手6体にボコられるのは確実。「操縦系に集中して下さいであります〜!」「解った!操縦系を最優先!急げ!」悲鳴に近い嘆願に近い部下の声を聞き直にそれを実行する。
ただ操縦技術が高かっただけで採用した問題士官。しかしこんな所で主力の一翼を1人で賄う存在に成長したのは少し嬉しい。自分の目も捨てた物じゃないと思うからこそ急ぎ作業を進める。
くだらない過去の亡霊の生け贄にくれてやるには勿体無さ過ぎるのだ。
その努力の甲斐が有り操縦系のエラーは解消される。立ち上がるベルゼンラーヴェ。フレームが擦り傷だらけに成っているが致命的な物は無い。
目の前から6体の敵機が迫り来る。そこでベルゼンラーヴェはノーガードの体勢を執る。「カウンターだと!?気にするな!付け焼き刃等へし折ってしまえ!」
成功…相手は完全に付け焼き刃だと思い込んでいる。戦場に鋼鉄の拳が6回振るわれる。
問答無用のクロスレンジ。エルダー5もレガシーオブオールドワンズもそれを理解する機会は無い。機体は真っ直ぐに進行方向と逆に跳ぶ。
がたいの大きい巨大クラゲが先に地表に激突し撥ねる。回転する。地面を擦り山肌に激突するまで速度は落ちない。
他の者も同様にタイミングこそ違え同じ様相を呈している。「な…認めん!健全な精神は健全な精神に宿る等と!」支離滅裂なヴィゾールの剣の御言葉。
「正確には”健全な精神は健全な体に宿れ”の間違いでありますよ。」論理飛躍が甚だしい。何処が如何成ればその言葉が出るのか?よっぽど悔しいらしい。
そうやっている内にエラーが全て解消されて全ての行動に制限が無くなる。パラスパラサウロンの砲撃は追い打ちを掛けついでに寄生体も攻撃している。
「秘技ゾイド返し。」ロードサーベリオンとトライフォートレス、テールディザスターを一斉に軽く引っ繰り返す。「うにゃ!?」「ほへ!?」「きゃん!?」それで一斉に3人は目を覚ます。
「あ〜あ。折角無駄骨折らずに済むと思っていたのに…。」「ヘイブラザー。今日のご飯はまだかい?」「あ〜夕日が歪んでいます…。」人が死にそうだった時に安全に寝ていた腹いせの行動。
簡単に起きるから細やかな復讐はたった一回で終了。本当はもっと転がしたかったファイン。しかも思い思いの台詞付き。
山肌に貼り付け状態の6機にカラミティシャドウの銃口を向ける。そこにアービンの指示が飛ぶ。とても爽やかな声で「取り敢えず処刑。」6発の発砲音が未だに赤い夜空に響く。
山肌とエネルギーを纏う銃弾に押し潰されて地盤が滑落エルダー5は地下に落下していく。レガシーオブオールドワンズは着弾前に少し地を蹴り着弾の衝撃で上空へ退避。
黒山羊はこの場に留まり続ける。分裂した固体もまだ一杯居る。が分裂した固体の様子がおかしく何かをしきりに警戒している。それはじきに起こる出来事で明かされる反吐が出る行為だった。
それは今から一週間くらい前にさかのぼる。その当時、ハガネは虎型ゾイドには乗っておらず、
ディスペロウの装甲で装甲を強化し、レドームで索敵能力を強化したロードゲイル“ゼノン”に
乗っており、イグアン=ドラグネスに乗るチョコを連れ、各地を回ってゾイドバトルをこなしながら
趣味の超常現象研究などを行っていた。そんな毎日の中、とある街を歩いていた二人はとある求人広告を発見するわけである。
「強いZiファイターを求む?新型ゾイドテストパイロットの短期アルバイト?」
妙にシンプルなその要件にハガネは少し拍子抜けしていたが、短期である上に、暇だからやってみようかなと思った彼女は受けてみる事にした。
「ええと?場所はブルーシティのゾイテック本社か…。まあそれほど遠いワケでも無いし…。行ってみようか?チョコちゃん!」
チョコは無表情のままゆっくりと頷くと、ハガネと共に移動を始めるのだった。
それから翌日、二人はブルーシティーのゾイテック本社に到着していた。無論ハガネは早速窓口で
短期アルバイトの受付での手続きを行っていた。そうして大体の手続きを済ませた後、係の人がハガネに一枚の紙を渡した。
「では採用テストを行いますので、この証書を持って戦闘課へお越し下さい。」
「ハイ!」
そうして、ハガネはチョコを連れて戦闘課へと移動したのであった。
「何だ?さっきのメイド服…。」
「さあ…。でも一応Ziファイター登録されてますし…実力さえあれば格好は二の次だと思うのですが…。」
「まあ確かに中には悪役レスラーみたいな凄いカッコした奴もいたりするからな。じゃああの人が連れていた小さい娘は?妹さん?」
「あの娘はただの付き添いだそうです。」
ハガネが立ち去った後、受付の係員は小声でそう言い合っていた。
「おー!いるいる!何か色々ゴツイのがいっぱい!」
戦闘課に到着したハガネは、彼女と同じように採用テストを受けに来たと思われるZiファイター達
の姿を見てその様な事を言っていた。短期アルバイトとは言え、流石はゾイテック本社の採用テスト
を受けに来た者達である。そのZiファイター達は誰もが相当な腕を持っていると思しき漢達ばかりで埋め尽くされていた。
「汗くさい…。」
そのZiファイター達から発せられる熱気に、思わずチョコは退いていた。しかし、それでも彼女は無表情であるため、イマイチ危機感という物が感じられなかった。
「んん?何だ?おいそこのメイドの姉ちゃんよお!まさかあんたも採用テスト受けるのかぁ!?」
突然一人の大柄なZiファイターがハガネに近寄りながらそう茶化して来た。まあ、このように
誰かまわず喧嘩を売ってくる奴って言うのは何処にでもいる物である。そして、その大柄のZiファイターはチョコの姿を見るなり、鼻で笑い始めたのだった。
「ハン!何だそのガキは!ここは託児所じゃねーっての!」
その時だった、彼の眼前にハガネの右拳が飛んできたかと思うと、その右手がガトリング砲に変形したのだった。
「うお!!」
「言いたい事はそれだけ?」
ガトリング砲を突きつけられた大柄のZiファイターは、先程とは打って代わって黙り込み、
体中から朝を吹き出しながらプルプルと震えだしていた。さらに、その周囲にいた他のZiファイターまでもが思わず黙り込んでいたのだ。
「え〜…静かになった所で、そろそろ採用テストを行いたいのですがよろしいですか?」
静かになった所を見計らって彼等の前に現れた係員が皆に向かってそう言い、採用方法などの説明が行われる事となった。
「現在253名の採用希望者がここに集まっているワケですが、これから行われるテストによってこの中から10名を選出したいと思います。」
「10名…こりゃ競争率高いぞ…。」
「俺…この中に残れるかな…。」
係員の説明に、その説明を聞いていたZiファイター達の中にざわめきが起こっていた。
「え〜いいですか?それではその採用テストに付いて説明しますが、これより奥の演習場へと移って
もらいます。その後でこちらが用意した何種類かのブロックスゾイドの中から1体を選んでもらって、
さらにこちらが用意したターゲットウォーカーと3分間の模擬戦闘を行ってもらいます。そして、
その3分間で10機以上を倒した人の中から、さらに上位10名をアルバイトテストパイロットとして採用するという事です。」
「3分で10機以上…。」
「しかも自前のゾイドが持ち込めないってのは痛いな…。」
「こりゃかなりレベル高いぞ…。」
「流石はゾイテックだ…。採用レベルは高いぜ…。」
やはりその採用条件レベルの高さに、多くの者が驚くばかりであるが100年前の大戦から数々の戦いを経験して来たハガネにとっては生ぬるい物であったりする。
こうして、ゾイテック社私有演習場にて採用テストは行われた。ゾイテック社側が用意したゾイドは
レオブレイズやウネンラギアなどの小型ブロックスタイプであり、それを使用した上での
ターゲットウォーカーを相手とした3分間の模擬戦が行われていた。Ziファイター等が持参した
ゾイドではなく、ゾイテック側が用意したゾイドを使用するという事は、純粋に操縦技術の勝負となる
わけであるが、やはりそう言う点はZiファイター達にとって痛い所であった様子で、さらに
ターゲットウォーカーの動きもかなり俊敏な物となっており、数多くの者が最低合格ラインの3分間に10体撃破を達成できずに落ちていた。
「あ〜らあ〜ら…意外とみんなだらしないね〜…。これだから最近の若い者は…。」
演習場からやや離れた場所にある待機所にて、テレビカメラから映し出された模擬戦の様子を見つめ
ながらハガネはため息混じりにそのような事を言っていた。確かに戦争の時代を知る彼女にとっては生ぬるいと言うしか無い代物なのかもしれない。
「さ〜てと…まだ自分の番が来るのには時間があるし…ゆっくりしてようかな〜…。」
その周囲の者達はガチガチに緊張しているのにも関わらず、ハガネだけは空気を読めて無い様に
緊張感の欠片も無くリラックスしていた。そんな彼女の様子が逆に他の者達をさらに緊張させるワケである。
「(あのメイド服女〜…やる気あんのか〜?)」
周囲のZiファイター達は口には出さぬとも、誰もがそう思っており、さらに…
「やる気のない奴は帰れ!!」
とか、叫びたい気持ちを誰もが持っていたのであるが、またガトリング砲を突きつけられそうで
誰もが口に言い出せずにいたのだった。と、そんな時、待機所にアナウンスが響き渡ったのである。
『ハガネさんの番です!ハガネさんは準備をお願いします!』
「ハイハ〜イ!んじゃあチョコちゃん!少し待っててね!」
ようやく出番が来たとばかりにハガネは立ち上がり、チョコの頭を優しくなでると直ぐさま待機所を後にした。
「それでは行ってみよー!」
複数の裂け目が一斉に現れたかと思うとそこから出てきた存在がそれらを掴み取り捕食する。
「寄せ餌!」これが目的だったのだろうか?もしそうだとすれば捨て駒よりも酷い扱いだ。古くから羊は捧げ物として裁断に捧げられる。
この光景は無作法に捧げられた生け贄を貪りに火事場泥棒に他の存在が現れたような気さえする。
「おい…邪魔だ。」裂け目から現れて黒山羊を追い掛け回す化け物目掛けてベルゼンラーヴェの鉄拳が飛ぶ。矮小な存在は貪られるのみならば次は彼等の番と言う事だ。
赦せない。赦せる筈が無い。其処に居る戦力全てが黒山羊に集る化け物を処分する。強大な存在に対して悲しいまでに抵抗する術を持たない黒山羊に無慈悲に伸びる搾取の手。
それを見過ごせる程上品な生まれでも無い。ネオゼネバスの精神と言うのも有る。高潔で潔癖である事を良しとしそれを目標とする随分と敷居の高い精神。それに彼等も充分毒されているのだろう。
そしてこの機体は降り掛かる災難を不条理に鉄槌を下す願いを名に刻まれたベルゼンラーヴェ。猫の額程でもロマンに浸る感情があればこんな状況を赦す筈が無い。
黒山羊達は1箇所に集まり襲撃に備える。それに伴い包囲状態に追い込まれるアービン達の戦力。その輪を崩して突撃するのはロードサーベリオン。
それに対して化け物達はその隙間を突こうとする。しかしその数秒後にはレーザーの雨に蜂の巣にされる。その先ではロードサーベリオンが一方的な1人勝ち状態。
そもそも元の存在の格が違うのだ。それはベルゼンラーヴェやパラスパラサウロンにも同じ事が言える。肘から先を飛ばし化け物を握り潰すパラスパラサウロン。砲撃も勿論忘れない。
ベルゼンラーヴェは円状の防衛線の少し前で迎撃に勤しんでいる。鉄拳。蹴り。頭突きと弾の無駄使いを避けて戦闘している。溶解液や毒霧を浴びるが今度は何とも無い。
「ベノムカウンター展開。」先の出来事に肝を潰して産み出した装甲秘術。酸や毒、ウィルスに対して抵抗力を極限まで高める技術。生憎タイムリミットが短い為使用者の反射神経に頼る所も有るが大抵は回避してしまうので問題は無い。
無知の極み。限界を知らない手前突拍子も無い事を平然と作り出す状況に今の所抗える異形は居ない。非常識を更なる非常識で押し潰す。常識を真っ向から否定する愚者達(魔術師)には流石の異形もお手上げだった…。
ハガネが選択したのはウネンラギアであった。彼女がウネンラギアのコックピットに搭乗すると同時
にハガネのコンピューターとウネンラギアのコアのリンクが開始され、脳からダイレクトでの操縦が
可能となる。これこそが彼女がただのロボットでは無い部分なのである。そうして、彼女の乗る
ウネンラギアが演習場の真ん中の指定位置に立つと、その周囲に多数のターゲットウォーカーが現れた。
『それではテストスタートです!』
係員のアナウンスと同時にテスト開始のブザーが鳴り、同時にカウントダウンもスタートした。
「ほらさ!」
開始早々ハガネの乗るウネンラギアのハンドガンがターゲットウォーカーを二機同時に撃破していた。
それだけではない、ハガネの乗るウネンラギアは冗談のような速攻と正確な攻撃でターゲット
ウォーカーを次々に叩き落とし、合格ラインの3分に10体はおろか全機落としていたのだ。
「………。」
その光景は誰もが唖然とする物であり、皆は目が飛びださんかのように目を見開き、開いた口が塞がらない状態となっていた。
「合格合格〜っと!それじゃあチョコちゃん!後はゆっくりして社内見学でもしてようよ!」
皆が唖然とする中、採用が決まったが故に意気揚々と帰ってきたハガネはチョコを連れて再び待機所を後にした。
「あのメイド服…意外と強いでやんの…。」
やはり他のZiファイターは唖然としながらそう言うしかなかった。
「流石はゾイテック本社!中々凄い設備よねん!」
無事採用が決まったハガネは、仕事が開始されるまでの自由時間を社内見学に使っていた。
企業秘密という名目で見学できない部分が無いと言えなくも無いが、一般の人間用に見学出来る場所と
いう所も用意されており、ゾイテック社の技術力の高さにハガネは感心していた。が、それでもチョコ
はやはり無口無表情。と、そんな時、廊下を移動している何かがハガネの目に付いたのだった。
「何?あれ・・・。」
二本の手と、車輪の様な物が付いたドラム缶の様な不思議な物体が廊下を進んでいた。
>>恐怖の亀裂作者さん
まだ書いていた途中だったのですね?済みませんでした。
話は変わりますが多頭型セイスモも凄い物でした。エラー続出の方は何とかクリア出来たみたいですね。
一応現時点で一番恐ろしい敵は魔術師軍団と言う事でしょうか?
>インフィニティにてCPUのビットにバーニングビックバン3発でぬっ殺された自ゴジュ…_| ̄|○そんな馬鹿な!?あんな弾けたCPUが在ったなんて。
自分は今だに1面のデススティンガーZSに勝てませぬ・・・
>>Inocent World作者さん
凄い・・・凄いよ人事部長・・・。意外な所に凄い人がいましたね〜・・・。
それにこの人は元祖と言う事ですが、他の能力者が能力者以外皆殺しを計画してるのに対して
元祖の人はそうでは無いみたいですね。
鉄獣28号さんへ
まあまあ…別に気にする事でも無いと思います。
>一応現時点で(以下略)
は一応そう言う事です。機械科魔学の設定上誰が力を使えるかが不明なので目に見える奴等から始末した方が良いと言う事です。
それとデスステZSは鉄獣28号さんがゴジュだとすればマシンガン散蒔きが有効です。跳ね出して居ればその内に近付いて右格闘連射で大抵済みます。
途中で1発は貰うはずの格闘ガードを忘れずに。レバー締めてする空手のさんちんの構えみたいなポーズを執ってw
開始早々の荷電粒子砲やら衝撃砲やらを躱せればかなりの確立で勝てる様な気がします。その他の機体ならステップ連続で荷電粒子砲を誘って射線から離脱。
その後全力射撃以降ループ。ハメッぽい倒し方でも1面の奴は倒した方が良いです。あの場所は広いから逃げ切られる事も在るので。ゴジュやらコングだと…。
寄生体の動きも何かおかしい。しきりに体を震わせている。アービンは直に指示を出す「寄生体に攻撃を集中!”何か”が降りる前に撃破しろ!」
この程度ならアービンにも解る。生け贄を器に別の者を呼び出す行為。そこらの本屋にでも行けば一冊ぐらいならそう言う話を書いて有る物が有る。
その表現も一般的な事でそのうちに内部を突き破って別の者が出て来る筈だ。早々に一体に別の存在が降臨する。祭壇の黒山羊を狙う新たな敵。
出現する物が次第に強力な存在に擦り代わっていく。始めは文字通り雑魚だったのだが少しづつ強力な固体が出現し始め数が減り難くなって来ている。
「おわぁ!?」化け物の体液に滑ってベルゼンラーヴェが転倒した。その足に蛸を思わせる触腕が絡み付く。そのまま戦場の中央に引きずり込まれるベルゼンラーヴェ。
上空を見上げればとりわけ大きな裂け目を触腕が掴み裂け目より巨大な生き物がせり出そうと必死にもがいている。「?!$%&’”&()”!$!?」余りにも酷い生理的嫌悪を呼ぶ存在に声が上手く出ない。
やがて血では無い体液を傷口から垂らしながらそれが全容を現す。
ツヴァイザーシュライエントすらを超える超巨大物体。重力の法則を無視して大地に降り立つ醜悪な小山。「くはははは…来たぞ!来たぞ!ガ■ナ■の■■■Mya■sが!」固有名詞が聞き取れない言葉でヴィゾールの剣が叫ぶ。
端からこの醜悪な小山を呼び出すのが目的だったようだ。無理矢理言葉にするとこれはガフナルのミミャウスと言う生き物でも構造物でも無い謎の存在。全ての属性を持ちそれでいて全ての属性を否定する世界に存在できない存在。
次第に膨れ上がったそれは急速に萎み姿を消し別の者が現れる。入れ替わる者。中身無き甲羅の鳥。目の有るべき場所の瞳空がベルゼンラーヴェを睨むと突撃を開始する。
「うひゃああああ〜!?」急いで逃げ出すベルゼンラーヴェに追突する空っぽの鳥。中身が無いのが嘘であるかの様にベルゼンラーヴェを吹き飛ばす。またしても冗談の様に山の頂上付近に飛んでいってしまう。「何で自分だけぇ〜!?」
悲痛な叫びは天に届かず代わりに機体と自分が天に舞う状況。この約一週間飛ばされたり落ちたりと随分酷い目に遭っている。更に最悪な事に翼はホロテックルーン装甲で作られていたのにも拘わらず飴細工の様に鳥に叩き割られてしまっている。
しかしそんな状況でも新しく現れる戦力を相手にするので手一杯の他の者。「おかしいです!あの時にはこんな大事には…。」
素早く尾の黄金砲で近寄る化け物を間引きしながらラミューズは言う。その時もかなり目覚めていたらしい模様だがこんな状況には遇わなかったらしい。
周りには眠って動けない人員や誰も乗っていないゾイドが多数有る状況に於いて尚黒山羊に集る異形と寄生体の複合軍。余程彼等に御執心の様だ。
かなり嫌な予感が全ての者によぎる。とんでもない寄せ餌を掴まされてしまった事に…。
地下水脈水底。
「ふん…やはりこの程度だったか。」細やかな襲撃を軽く蹴散らすルナルティアマットとグウェイン。相手はまだまだ居るが凍りついた様に動けないでいる。
無理も無い事だ。水棲種と言う者は地上と水中を自由に行き来し水中に獲物を引きずり込んで仕留める存在。端から水中に存在してしかも彼等よりも強いとなれば手の出しようが無い。
「運が悪かったな…消えてもらう。」ルナルティアマットの目が輝く。荒くれる水の奔流に引き裂かれる様に化け物達は倒れていった。
更に施設最深部。
「くくくく…はははははは…ひゃ〜はっはっはっはぁ!」隠し立てない狂気を孕み紅き狂風が吹き荒れる。ザクサルのディアボロスウィングはヴィゾールの直営らしき化け物共を切り刻みあるいは粉砕する。
これ程までの相手を一方的に虐殺するその力は何処から来るのだろうか?「ロイヤルガード12体が…一分も持たないっ!?」ヴィゾールの剣の驚愕の声。ソウエンが鬼人ならザクサルは魔人と言った所だろう。
洞窟内には12の骸が転がっている。嘗てロイヤルガードと呼ばれた選りすぐりの低級邪神。魔術師でもないザクサルがそれを1ダース一分で仕留める。極限まで鍛えられた人はそこまでのものなのか?
「暇潰しには最適だったぞ?んん?目的を果たすのは誰だろうな?愉しみじゃないか。ははははは…。」心の底から愉しそうに嘲笑うザクサル。それ以降ヴィゾールの剣は彼等にちょっかいを出すのを完全に止めた。
相手をするだけ無駄だと判断したのだ。あの魔人には自身の力以外では引き分けすら叶わないと認識する。苦渋に充ちながらヴィゾールの剣は新たな策謀を練る。
地表の奴等など取るに足らない。彼等は倒せて当然の相手でなければ成らない。重い重圧が彼に伸し掛かりそれは重大なミスになる。
「マグネッサーウイング全損!?」落ちたら今度こそまた終わりだ。何時まで同じ事を繰り返しているのだろうか?
何とかできないかと周囲を見回すファイン。下はまだ大丈夫だろう…ツヴァイザースライエントはこの部隊が誇る旗艦ゾイド。
資源の再利用で作られた関係上共和国軍からの接収物が3割以上使用されている。その為不本意ながら安定性が格段に高い。
従来の技術の積み重ねの繰り返しが地味だが確実な性能を発揮する。それに安定性に重視しながらも徹底的に極小規模に破壊力を収束させる技術。
経戦能力と防衛能力はデスザウラーは元よりセイスモサウルスやホエールキングをも超える傑作機だ。124機の2連レーザー機銃が雨の様に敵戦力に降り注いでいる。
その内何文かが此方を支援してくれていて空っぽ鳥は既にベルゼンラーヴェから離れている。もう一度状況を確認して或る行動を試みる。
あれだけの数の者を一元指揮しているヴィゾールの剣。その指揮に介入できないか?と言う事だ。丁度良い所に今空っぽ鳥と黒山羊の群が居る。彼等のコントロールを奪えれば戦況は有利になる筈だ。
だが実力の方が伴わない。取り敢えずは山頂が近いのでESBストライクで強引に移動ベクトルを替えて山頂に墜落する。「うごおおおお!?」山頂を破壊して強引に地に収まるベルゼンラーヴェ。
空っぽ鳥が立ち上がる途中のベルゼンラーヴェに迫る。しかしそれを狙っていた影が一つ。「アスピトルテの翼は僕の物だよ?」宙を飛ぶ見覚えの有る腕。
忌まわしい冷気と電撃を纏い今しがた名を聞いたアスピトルテの翼を掴む。「ノ〜〜っ!?テレマ・スクラフトスでありますか!?」振り向くとベルゼンラーヴェの盾と成る様に胴体に大穴を開けたままの機体が立っている。
「やっほ〜。そうそう!兵員登録ID番号を聞きに来たんだ。そうしないと領収書が切れないし〜。」颯爽と現れた割には情けない理由だ。その上修理もしてないので開いた穴が素晴らしくシュールな姿のテレマ・スクラフトス。
「さっさと終わらせよう。介入を頼むよ。僕の欲しいのはこれの一部。アスピトルテの翼だけだから。残りの殻と翼は要らないよ〜。」悪くない条件だ。ファインは動けない空っぽ鳥の頭部をベルゼンラーヴェに掴ませる。
感電と冷気で行動を完全に封じられている。「使役術式強制介入!」多くを指揮する為に略式契約であったのが幸いする。
「しまった!?」ヴィゾールの剣は隙を突かれ使役術式を破壊されて焦るがもう遅い。そのままファインは使役術式では無く別の法則を編み上げる。
ベルゼンラーヴェの手が輝きその輝きが空っぽ鳥に流れ込む。「盟主たる我に祝印の洗礼を!其は鳥!其は天!其は故無き無垢の翼!」言葉は勝手に口より流れる。動き出した法則には作った者でも逆らえない。
砕けたマグネッサーウイングの付け根が輝き出す。「刻め!我が名を!新たなる主ファイン=アセンブレイスの名を!」介入術式と契約術式の融合式。
ニュークリアインフェルノと同じ要領で相手の式を焼却。その後の爆発は実在する物を対称にしていない為に不発。無い物を爆発させるのは無理とかなり無茶な方法だが…。
「そんじゃアスピトルテの翼は貰い!」物理的なものでは無いらしく何か光る物を引き抜くとそれは形を失い消え失せる。
それが終わると「んじゃまったね〜!」と高速で戦場を飛びさるベルゲンとテレマ・スクラフトス。「IDは良かったので?」随分と物忘れが激しいベルゲンを見送る。
次第に消滅していく空っぽ鳥。遂には完全に実体を失う。その後砕けたマグネッサーウイングの有る場所に空っぽ鳥の翼がマントの様に生える。きっかり3対と数を揃えて。
「強奪完了でありますね…。」しかし推力の制御が難しいらしくまたしても空に真っ逆さまに落ちる様に飛び出す。「あひぃぃぃ〜!?またでありますかぁぁぁ〜…。」悲鳴は空に消えた。
「相変わらず元気な様だな…相手の数は如何だ?」アービンは状況を報告させる。数こそ減ってきているものの残っている者は強力な存在ばかり。包囲網は次第に狭まる。
「上空より落下物!ベルゼンラーヴェです!」「早いな…落ちてくるのが。」「えっ?降りて来ているんじゃ?」「いやあれは落ちて来ている。間違い無い!」報告してくる士官に答えるアービン。
「こんなのばっかりだ〜うわぁ〜ん!!!」着地体制を執ってはいるものの如何見ても墜落な速度で地表に新しい穴を開け地下に落下していくベルゼンラーヴェ。それに巻き込まれ何体かの異形や寄生体が墜ちて行く。
「ナイスだ!ブラザー!」ベルフは敬礼をする。そして「切り札発動!トライフォーメーションγ!」人員を別の所に割いている為承認を拒否する者は居ない。
普段なら部下から非難を浴びる攻撃形態にトライフォートレスはチェンジマイズする。
「これは・・・何?」
「これは我が社が開発を進めている最新型AI搭載型の多目的自律稼動ロボット“Z−12”ですよ。」
「へ?」
突然声が聞こえてきた方向を向くと、ゾイテック技術者の一人と思われる白衣+メガネの若い女性の姿があった。
「ろ・・・ロボット・・・?これがですか?」
「そうです!人間に代わってゾイドを操縦するという事も想定されていますがまだ研究中の代物ですよ。
ところで貴女は、先程のテストパイロット採用テストでターゲットウォーカーを全機落としていた人ですよね!」
「ま・・・まあ・・・そうですけど・・・。」
やや拍子抜けしていたハガネとは対照的に、白衣の女性は笑顔を絶やさず、かつ自身ありげに対応して
いた。そして彼女はさらに言った。
「私はゾイテック技術部門のタリス=クライムと申します。貴女の名前をお聞かせ下さい。」
「わ・・・私は・・・は・・・ハガネと言います。で、こっちが連れのチョコです。」
白衣の女性=タリスの礼儀正しさに、ハガネも思わず戸惑いながらも敬語になっていた。と、その時、Z−12がハガネへ向けて手を伸ばしてきたのだった。
『ワタシハZ−12デス。ヨロシクオネガイシマス。』
「あら〜この子喋れるんだ〜!」
「当然です!ゾイテック社の最新型AIを搭載しているんですよ。」
カタコトな感が拭えない様子であるが、Z−12は確かに言葉を喋っていた。
「さっきも言ったけど、私の名前はハガネ!どうぞよろしく。」
ハガネはZ−12と握手をした。ただ、ハガネのマニュピレーターが人間と同じ5本指なのに対し、
Z−12の腕に搭載されていたマニュピレーターは2本指だった。と、ハガネとZ−12の握手を見ていたタリスがある事に気付いたのだった。
「ハガネさん・・・貴女の手って・・・それは義手ですか?」
「へ?」
突然予想外な事を言われたハガネの目は丸くなった。それに対し、タリスの目はキラキラと輝いていた
のだ。そして、唖然としているハガネをヨソに、タリスは一冊の薄いカタログをハガネに渡すのである。
「我がゾイテック社は義手義足の開発も行ってるんですよ!どうです?ここで一つ買い換えてみては・・・。」
「いや・・・私は・・・。」
「恥ずかしがる事はありませんよ!お安くしておきますよ〜!」
ハガネは自分がロボットだと言う事を説明しようとしたが、嬉しそうに口を進めるタリスに対して中々言い出せずにいた。
「ま・・・まあ・・・その辺に関しては考えておきますよ!それじゃあ!」
ラチが空かなくなったので、ハガネは笑いながらそう別れの挨拶を送ると、チョコと共にその場を立ち去った。
「ハガネさ〜ん!テストパイロットの仕事ぶり!楽しみにしてますよ〜!」
立ち去るハガネとチョコへ、タリスは手を振りながらそう言っていたが、その時、Z−12がタリスの服を引っ張ったのだった。
「どうしたの?Z−12。」
『アノはがねトイウヒト、ワタシトオナジニオイガシマス。』
「へ?匂いって・・・。」
『アノヒトハ・・・ワタシトオナジニオイガシマス。』
Z−12の言葉の意味はタリスには理解できない様子だった。
その後も、ハガネはチョコと共に一般向け用の見学コースを見て回っていた。そこでは様々なタイプの
ゾイドやそれに関する説明を記した資料や写真などが展示されており、見学者達は感心しながら見入っていた。
「にしても伊達に100年たってないって実感するね〜・・・耕作用ガイサック一つにしても昔とは大違いだよ・・・。まあ、さっきのアレはちっとアレだったけど・・・。」
ゾイドに付いてはその技術力の進歩に感心していたが、先程のZ−12の様に“ロボット”に関しての
技術はイマイチ進んでいないという矛盾にハガネは複雑な心境になっていた。確かにタリスとZ−12
の一人と一機の前では失礼なので口には出さずにいたが、ハガネは心の底で本当に最新型?とか叫び
たい気持ちがあったのである。と、そんな間も、ハガネはさらに見学コースを進んでいった分けだが、その時にサングラスをかけ、手にはアタッシュケースを持った黒いスーツ姿の男とすれ違った。
「ん?あの人ここの社員?にしては少し様子が違うような・・・。」
周囲の人間は特に気にも止めていない様子だったが、他の人間とはやや異なったその黒服の男にハガネ
はやや違和感を感じていた。そして、そんな矢先にチョコがハガネの服を軽く引っ張ったのだった。
「どうしたの?チョコちゃん?」
「あの人・・・血の匂いがする・・・。」
「血の匂いって・・・?」
珍しく口を開いたチョコの言葉に、ハガネは不思議がりながらやや戸惑っていた。
それから翌日、ゾイテック社内の演習場に他の採用者9人と共にハガネの姿があった。ちなみに
チョコはそこにはおらず、バイト期間中の間、ゾイテック社側から貸し与えられた寮にいた。
そして、ハガネ等の前に立っていたゾイテック社員の一人が仕事内容についての説明を行い、さらにある方向を指差した。
「それでは、これより諸君らにテストパイロットとして操縦テストを行ってもらう機体を紹介する。」
社員が指差した方向を見た時、そこには今まで見た事の無い虎型ゾイドの姿があった。
「始めて見る型だ・・・。新型ゾイドか?」
「く〜!腕が鳴るぜ!」
新型ゾイドを操縦できる言うこともあり、皆は半ば興奮していた。そして、社員はさらに言った。
「これは我が社が開発を進めていた新型ゾイド。"レイズタイガー"である!!もっとも、これは完成
したばかりの代物であり、テストもまだ故にその性能は未知数である!そこであの大勢の中から
選ばれた腕に覚えのある凄腕の諸君らの力が必要になるのだ!わかったかな!」
「肩書きは良いから!早く乗せてくれ!もう腕がうずうずしてるんだ!!」
新型ゾイドにいち早く乗れるという事態に興奮しているのか、テストパイロットの一人がそのような
事を叫んでおり、他の物達も興奮状態にあった。が、ハガネだけは不思議と興奮しておらず、逆に違和感を感じていた。
「(解せん・・・。いくら新型ゾイドのテストパイロットを・・・と言った所であれ程の数の中から10人を
選ぶ程の事をやる物なのだろうか・・・。これは何かある・・・。それともあのゾイドには何かが積まれているのか?)」
などと、今更になってそのような事を考え込んでいたのであった。
「ようし!ではまず君に乗ってもらおう!」
「やったぜヒャッホウ!!」
「ち!俺も乗りたかったぜ・・・。」
社員が一人のテストパイロットを指名し、一番乗りを奪われて落ち込む他の物を尻目に指名された男は意気込んでレイズタイガーへ走っていこうとした。
「ちょっと待って!!」
突然呼び止められた男は立ち止まり、皆は一斉に声の来た方向を向いた。そこにはハガネの姿があった。
「おい!いきなりどういう事だ!!?そこのメイド服!!」
「ちょっと待って!一体どんな仕掛けがされてるとも分からないのにいきなり乗るのは危ないんじゃないの?ここは少し落ち着いて・・・。」
「何だぁ!?お前もしかして怖気づいたのかぁ?それとも採用テストでターゲットウォーカーを全機落としたのはマグレだったのかなぁ?」
男はハガネをあざ笑うかのようににらみ付けた。
「こんな奴かまう事はねえよ!!さっさと乗っちまえ!!後がつかえるんだよ!!」
「俺も早く乗りてぇ!!」
「わかったわかった!」
他の者もハガネをにらみ付けていた。そして、男はレイズタイガーへと走っていく。
「あ!待って!!」
「待たねーよ!」
他の者達に押され、結局ハガネの主張は却下され、男はレイズタイガーへ乗り込んで行った。
「イィィィヤッホォォォォ!!!」
レイズタイガーを起動させた男は興奮のあまり奇声を上げた。そして男が操縦桿を前に倒すとレイズタイガーは物凄い速度で走り出した。
「お!やはり速いな!」
「流石はゾイテックの新型ゾイド!」
「俺も早く乗りてぇ!!」
レイズタイガーのスピードに皆驚くばかりだった。しかし、それでもハガネ一人は何か疑問に思う所があった。
「(確かに速い・・・けど、何か嫌な予感がするのはなぜ?)」
ハガネ以外の者はやはり興奮していたが、そのレイズタイガーの走行を感心して見守るのはゾイテック社員も同様だった。
「今度は大丈夫みたいだな・・・。」
「今はまだ・・・ですがね・・・。」
「(今度は大丈夫?今はまだ?)」
社員等は他の物に聞こえない様に何かを言い合っている様子であったが、ロボットなだけに人間を
超越した聴覚を持つハガネにはまる聞こえであり、ハガネはその会話の内容に違和感を感じていた。
レイズタイガーはなおも凄い速度で演習場を駆け回っている。そんな時に、一つのアナウンスが響き渡ったのだった。
『これより戦闘力テストを開始します!ターゲットウォーカーを出撃させますが、準備はいいですか?』
「ああ!!いいぜ!!」
『分かりました!それではターゲットウォーカーを・・・。』
と、オペレーターがターゲットウォーカーの発進ボタンを押そうとしたその時だった。
「ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
>>143に訂正
肩書き→能書き
これもちょっとちがうかな?
>>恐怖の亀裂作者さん
ドンドン怪物が怖く強くなっていくってのはやっぱり想像してみると怖いですね。
文字だけなんでどんな姿なのかはちとイメージしにくいのですが、
バイ○ハ○ードとかのゾンビゲーとかに登場する様なリアルっぽくてグロイ怪物みたいな
物として考えた方が良いのでしょうかやっぱり?
割と懐かしい人達も他の場所で頑張っている様子みたいですし。
あとインフィニティーの話ですが、自機はゴジュラスです。
バスターキャノンとかも既に装備させたりしたのですが、やっぱりデスステZSには勝てません。
しかし、その一方で確かに右格闘で上手くハメたら良い線行くのは本当見たいですね。
自分もかつて一度それで勝利目前の所まで行けた時がありました。結局負けましたが・・・。
それにしても1回200円は痛いです。お金はあるんだけどついつい使い渋ってしまいます。
鉄獣28号さんへ
やっぱり裏が在るのですね。テスト。それに勘の鋭いロボット。Z−12さん。
何かOSレベルのやばさがレイズタイガーに…。
化け物と寄生体はイメージがほんのちょっぴり変わります。
寄生体の方は正にそれのイメージです。機体に取り付いている奴はこれまた古いゲームですが〇ィロ〇マ(STG)の奴等が妥当な気がします。
因みに続編は宇宙船内での〇イオハ〇ード的な物に成っていましたが…フェーズ〇〇ドックス。
異形系は何方かというとフルメタルな〇〇ゥルフ神話の神々とか悪魔みたいな真面目にイメージすると…オエップエロエロトシャー_| ̄|○な感じです。
あんまり無理にリアルにイメージすると精神衛生上良くなさそうな輩です。
逆に邪神系はシンプルな姿。文字以上の存在ではない感じです。意味合い的には純粋な力が何かの形をしている者なので。
1面でバスター…うらやましぃ。自分なんかはエンカウントモードまで大型火器は手に入らなかったのでかなりCPUに苦戦しました。
手に入ったのはセイバーとかの背中のビーム砲一つのみ。8連ミサイルポッドは男のロマンを地で行く人以外ゴジュでは使いません。
デスステZSの時に他の機体と違ってゴジュとかは高くジャンプが出来ないので相手の地震攻撃が防げません。あれを連発されると死ぬる。
後は奴等にダウンは無いのでバスター撃ってその間にが出来ません。その為右連打が決まります。後開幕バスターは荷電粒子砲喰らったりするのでとても危険です。
それは怒るだろう…猛反対するであろう姿。砲撃スペースやレーダー手のスペースは機体の外側近くに移動する。
三つの頭部に守られては居るが直撃を喰らうと多分…死ぬ位置だ。かく言うベルフ本人の場所は頭部に付けられたコクピットなので更に悪い。
死すら予感させる位置に来るコクピット群。その姿はデスザウラー等の恐竜型に分類される物で胴体胸部より上がターレットスコープの様に回転する。
随分と斬新な姿だった。反対される本当の理由…それは”乗り物酔いしやすい”と言う事だったのである。
「トライフォートレスアサルトインベーダー(TFAI)チャンスと見て突貫しま〜〜す!」かなりおかしい名前の突撃侵略者。
こう見ると揃いも揃って無茶な機体に乗る者ばかり。しかしこの侵略は的を獲ていて今まで全くノーマークの機体の奇襲は彼等の度肝を抜くには充分だった。
長大な3振りのブレードホーンが白熱して寄生体や化け物を襲う。しかも胴体の胸部より上は肩や背中等を除き勇ましく漢らしく回転している。
更には超大型のビームガトリングと化す3つの頭部。余りにも無駄な凄絶さに味方は固まり敵はパニックに陥る。強力なビームを受け怯んだ目標を貫き直立失踪する超大型ドリル。
科学の力でも充分過ぎる程非常識な一幕だった。「アイムナンバーワンドリィィィィル!漢の魂此処に在りってね。」
「何だありゃ?おもしろいの〜。」ラスキドールは視界の端でそれを見て笑う。そして彼も縁起の良い翼の刃で敵を切り刻んでいる最中である。どんどん切り応えの或る者が増えていく。
「100体切りまで後26体!」此方も調子が頗る良い。しかし100体切りを阻む影が一つ。「またお前か!暴れん坊黒山羊!」毎回人により呼ばれ方が違うレガシーオブオールドワンズ。
15の首が雄叫びを上げ突撃してくる。「にゃにお〜!負けるか!どっせ〜いっ!」此方は地を蹴り襲い掛かる。だが…「ありっ?」目標が無く派手につんのめって顔から地面にダイブするロードサーベリオン。
良く見ればレガシーオブオールドワンズの動きも妙である。しきりに黒山羊達と寄生体や化け物共を見回して落ち着きが無い。彼も彼で何か事情が在るらしい。
落ち着き無く彼方に行ったりこっちに行ったり…行ったり来たりで挙動不審甚だしい。如何やら何方の味方をしたら良いか?本気で迷っている様だった。
戦場は地下に移る。地盤を撃ち抜いて数体の敵と共に落下しているベルゼンラーヴェ。
その地下空洞は更に曲りくねり大型エレベーターシャフト”ドールの胃袋”に繋がる。勢い良く放り出される者達。
上手い事壁面の構造物を掴み落下を逃れるベルゼンラーヴェだがそこにはやっぱり彼らが居る。エルダー5。
いい加減鬱陶しい相手だ。その上叩いても意味が無いから不毛な事この上無い。少し前から確認できていた事だが彼等には厳密な意味でコアが無い。
ヴィゾールの剣同様離れた所にコアが在りその行動をコアブロックが受信して動いているのが解るからだ。
そこで今回は末端である体を処分する事に決める。自身を防衛すると言う概念が無い端末型なら攻撃に支障の無い攻撃を回避する事は無いだろう。
それに一緒に落ちてきた者は運良く飛行能力を持つタイプだった様で数が増える。彼我戦力批1:13。流石に今度ばかりは真面目に相手をしないと勝ち目が無い。
エレベーターシャフトで空中戦が始まる。如何やら空っぽ鳥の翼は瞬発性に優れ加速力がお馬鹿らしいので少しの動きでかなりの移動が出来る様だ。
「そう言えば…どんどん原型が無くなって行く気がして気になるのでありますが?」ファインはそんな事を思いながら牽制のミサイルをフレキシブルウェポンドライバーから発射する。
流石に素早いものでミサイルに当たる物等居ない。しかし行動が束縛される為さながら蜘蛛の糸に捕まらない様に必死に飛ぶ虫達に見える。「そこっ!」ショックガンランチャーが1体を捕らえる。
回避が間に合わず羽に穴を開けバランスを崩す。「まず1体!」ボルカニックストライクを決め1体目を黒焼きに変える。続きバルカン4門でもう1体を地下に沈める。ここでその他の者から一斉に攻撃が行われる。
翼の向きを軽く変えると重力を無視するかの様に急速後退と上昇を同時に行う。丁度化け物真上に来るのでカラミティシャドウの薬莢を寄生体の頭に落とす。まだ熱を持つ薬莢は相当熱かったのだろう。必死に振り払う。
しかしその間に彼を盾にしていたベルゼンラーヴェに攻撃を仕掛けた者が居る為その攻撃に当たって墜落する。エルダー5以外はそれぞれも敵であるらしい。
巧みに潰し合いを誘い1:7まで戦力差を縮める。逃げ腰の戦法が功を奏したのであろう。しかし残りの者は包囲をやめ一方向に集まる。
「そろそろ真面目にいかないと…ん?」エレベーターの壁面に何処で如何したら其処に居るのか解らないレーザーストームが居る。
素早く7体の攻撃を掻い潜りレーザーストームを左腕にそのまま装着する。エネルギーが流れ込み機体が起動すると績を切ったかの様にクレセントレーザーを発射する。
「のおおおっ!?」その威力は壁の構造材をガラスや溶けた金属に変える程の物で付けてみたファインの方がビックリする始末だった。やっと役に立つブロックスの接続能力。
戦況は不利なものから少しづつ互角に近付きつつある。今度は体の向きを反対にして貰いストームガトリングを使用する。
「何と〜!?」こっちも洒落にならない。エルダー5の1機である狐に直撃するやあっさり穴だらけになる。弾速も見違える様に速い。墜落していく狐にカラミティシャドウの追い打ち。これでこの場に彼の出る幕は無くなる。
そのまま振り抜く様に左腕を回すとその他に大クラゲと化け物の1体がそれを喰らい落ちて行く。その他3連ショックキャノンを適当に散蒔いてみるとこれも無駄に元気な威力を発揮する。
しかしコンディションモニターには超高発熱の表示が在り緊急冷却をベルゼンラーヴェ側で行う程の深刻な状況になっている。「うわあ〜…これはびっくりな状態でありますね。」
冷却には最低でも2分必要でそれでも武器一つを数秒程しか使えないようだった。
またも防戦に回る羽目になるが残りは4体。それ程酷い攻撃は受けない。レイバークラブが時折砲撃の合間を塗って格闘戦を挑んで来るがザクサルの操縦時とは格段にランク落ちする為に余裕で逃げ切れる。
牽制にバルカンを散蒔いてみるがここまで残っただけあり掠りもしない。ミルメコレオが壁面にへばり付き獅子の口から濃縮300%っぽい蟻酸を吐き出す。空気に反応して紫煙を上げる程の酸性物質が宙を舞う。
翼のベクトルを入れ違いにして回転しながら上昇して躱すとそこに向かって肩のアーマー下部の爪っぽい物を掴み投げ付ける。それは三日月を描き飛翔してまたしても獅子と蟻の分け目を切り裂く。
今の戦力の中で一番厄介な相手を退場させる事に成功しレーザーストームの冷却状況を確認する。「まだまだでありますね…なら!」突然敵に背を向けエレベーターシャフトから地上に飛び去るヴベルゼンラーヴェ。
当然相手は追い掛けてくる。そこが狙い目であった。
落下する最中に非常に狭い空間が幾つか有ったのを確認しているファインはその内の一番狭い所の陰に隠れてニュークリアインフェルノの準備をする。
この場を通り過ぎようとする相手を一気に仕留める為だ。機械科魔学の力で無駄な方向にパワーアップしている機体だが未だにこれを超える攻撃方法は無い。
それだけ計算されて開発された武器なのだろう。誰の開発した物かは解らないが素晴らしい威力の武器である事は間違い無い。その上爆発が上方にしか発生しないと陸戦では文句の付け様が無い。
その上その場に固定して発生する為跳ね返される心配が無いとなれば頼り甲斐のある兵器だ。
「しかし残念なのは今回はこれで打ち止めという事でありましょうか?」使用制限が確りと有り3発撃つとチャージが必要になるのだ。裂け目に撃った1回。
空っぽ鳥の使役術式に1回。そして今回で3回目になる。これを外すと先が面倒臭い事になる。上で頑張っているアービン達の為に多少強引でも決める必要が有るのだ。
タイミングを待つ。1分…2分…3分と胃がきりきり言う様な時間が過ぎる。そしてその時が来る。
この場を通り抜けようとしたエルダー5の1体がベルゼンラーヴェを見付け急制動を掛けようとする。しかし玉突き事故の様相を呈して団子状の一塊になる。それを逃す訳が無い。
「清浄な時流れる世界に貴様等は居場所無し!浄火の火球に焼べられるべし!ニュークリアインフェルノ!」取って付けた台詞と共にニュークリアインフェルノを4体一塊に叩き込む。
リバースEシールドの膨張を確認すると素早く落ちてきた穴より外に逃げる。
大地に穿った穴より飛び出し穴に背を向け腕組みをして地上に降り立つベルゼンラーヴェ。着地と同時に穿った穴より超高熱の火柱が渦を巻いて天に昇る。視覚効果は抜群で相手に背を向けて余裕の機体の前に火柱が昇る。
虚仮威しには充分過ぎる物で更には失踪するドリルの前に固まっていたアービン達が我に帰るのにも一役買う。「おおっ!?それが本来の威力か!?」アービンは目を見開く。そして「おい?何かの上に乗っているぞ?」素早い状況確認でそれを指摘する。
「おおっ!?何と!?」これにはファインも驚きを隠せない。ベルゼンラーヴェはレガシーオブオールドワンズの背中に着地していたのだ。しかし攻撃は無く全てを統率する頭部が真っ直ぐにベルゼンラーヴェを見詰めている。
「…。」「…。」「……。」「……。」「………。」「………。」
見詰めたまま動かないレガシーオブオールドワンズ。見詰められて動けないファインとベルゼンラーヴェ。
「……………………ぽっ。」「何ですとぉ〜〜!?」予想を斜め上に行ったりZ軸レベルまで出て来た所為でヴィゾールの剣の声には余裕が無い。
レガシーオブオールドワンズから降りるベルゼンラーヴェ。レガシーオブオールドワンズが何をしたいか粗方理解してファインは引き攣った笑いを浮かべる。
「如何言う訳かは知りませんが取り敢えず羊を守らない羊飼いには愛想が尽きたみたいでありますねぇ〜?」更に冷笑を浮かべてわざとらしくそこに居る全ての物に聞こえる様に言う。
「ぬぐぐぐぐ…おっおのれ!一度ならず二度までも我を辱めるか!」この時点で読み取れるヴィゾールの剣の性格は尊大で居て策を労する者だがかなり穴が多い。更に相手を常に見下しているらしくその為状況判断に疎い。
嘗て余程の才覚と知識の類を持っていたのだろう。しかし過去の研鑚は現在を持たずしては真価を得られないらしい。宝の持ち腐れと言うやつである。
頬をベルゼンラーヴェに寄せすりすりするレガシーオブオールドワンズ。彼は新しい羊飼いにベルゼンラーヴェを選んだようだ。「ちぇっ…折角面白く成ってきてたのにあっさり終わってやんの。情けねぇ〜な〜ヴィゾールちゃんよ〜。」
ラスキドールの易い挑発。それにすら乗る始末のヴィゾールの剣。「行け!此奴等を叩き潰…。」状況をやっと理解したらしい。
既に彼の戦力は消滅しているのである。エルダー5は消滅しコアのみが手元に有る。呼び出した者は撃破されるか飼い慣らされるかの何方か。新たに手駒を呼ぶにも速攻で潰されるであろう状況。そう。彼は敗北したのだ。
「ちっ…この次はそうはいかんぞ。貴様等に構い過ぎて本来の目的を達した事に気付きもしなかったわ!覚えておれよ。」負け惜しみの台詞だが言葉の含みから本来の目的は本当に果たしているらしかった。
「め〜め〜。」さて困った。これだけの黒山羊を如何すれば良いのか?ボスは相変わらず転倒しない様に気遣いながらベルゼンラーヴェにすりすりしている。
手下共は寿司詰め状態でツヴァイザーシュライエントやベルゼンラーヴェの近くを埋め尽くして居る。何故ベルゼンラーヴェを選んだのかは少し経ってから解るのだった…。
突如として巻き起こった断末魔にも似たパイロットの絶叫。そしてその絶叫に合わせる様にレイズ
タイガーが突然大音量の咆哮を見せたかと思うと、先程にも増してスピードを上げ出したのだ。
しかもそれだけではない、まるで狂ったかのように自らの体を何度も周囲の岩山や建物にぶつけているのだ。自らが壊れる事もかえりみず。
「今の叫び声は何だ!?」
「な!!?一体どうしたんだ!!?」
「ええ!!?」
「(や・・・やっぱり何かが起こった!)」
突然の事態に皆は戸惑っていた。そして、演習上近くの管制室にいたオペレーターはレイズタイガーへ通信を送った。
『一体どうしたのです!!?応答してください!!応答してください!!』
しかし、レイズタイガーからの応答は返ってこなかった。それどころかさらにレイズタイガーは走り
回り、物凄い勢いで体を周囲の建物などに体当たりを続けている。そして、慌てたオペレーターが
テレビの画像をレイズタイガーのコックピット内の映像に切り替えた。と、そのコックピット内部映像を見たオペレーターは愕然とした。
「ま・・・また気絶しています!!」
オペレーターの連絡は、ハガネや他のテストパイロットが待機している場所にいた社員にも届いており、彼等もまた戸惑っていた。
「何!!?また気絶したというのか!!」
「くそお!!一体どうなっているんだ!!」
「(また?以前にも同じ事があったの?)」
やはり社員等の会話を聞き取れていたハガネは疑問に思うしかなかった。
それから数分後、体当たりを続けていた際のダメージが蓄積したのか、レイズタイガーは機能を停止し、
ボロボロになった演習場の真ん中でゆっくりとストップした。無論すぐさま救護班が駆けつけ、
レイズタイガーのコックピット内で気絶していた男をタンカに乗せて病院に運んでいった。
「う・・・。」
「お・・・俺が乗らなくてよかった・・・。」
その光景に、先程までレイズタイガーに乗りたくて乗りたくて興奮していたはずのテストパイロット達の誰もが先程とは打って変わって恐怖におののいていた。
「一体どうなっているんだ!!一体・・・。」
「(そんなのこっちが聞きたいわよ!!)」
レイズタイガーの惨状に頭を抱える社員等に対し、ハガネは一人腕を組んで心の中で突っ込みを入れていた。
テスト中のレイズタイガーの暴走という不可解な事件から翌日、先日の事故を見て以来すっかり怖じ気
付いてしまった様子で、ハガネと、テスト中に気絶して病院に運ばれた一人を除いた他の8人が辞表を
提出していた。無論一度に大勢が辞表を提出してきたという事実にゾイテック社員は大慌てだった。
「君たち!!もう少し考え直す事は出来ないのかね!!?」
「短期とはいえ、これ以上はもう出来ません。」
「正直命あっての物ダネですから…。」
「あ…。」
社員は必死に説得し、呼び止めようとするも恐怖におののいた8人を止められずはずも無く、彼等は
社を去っていった。無論その光景を見ながら社員は呆然と立ちつくすしか無かった。
「これからどうすれば良いんだ…。これでは…。」
「まずはあのゾイドの暴走の原因を探すのが大切なんじゃないの?」
「ん!!?」
社員の背後にはハガネの姿があった。前述の通り、ハガネだけはその場に残っていたのだ。
「き!!君だけは残ってくれたんだね!!?」
「ああ…。少し気になる所があってね…。」
と、助かったとばかりに社員が涙目でハガネの手を掴んだのだった。
「あ!!ありがとう!!もうこうなったら君だけが頼りだよ!!メイド服の人!」
「分かった分かった!だからあのゾイドが一体何なのか説明して欲しいのようね!私は今までにも
色々な暴走ゾイドを見た事があるけど、あの暴走の仕方は異常だよ。暴走したゾイドってのは
デススティンガーみたいに周囲を無差別破壊する事はあれど、あのなんとかタイガーみたいに
自分の体が壊れるのも顧みない暴れかたはしなかったよ!だからアレは絶対異常!」
「しかし…私は技術部の者では無いですから私の口からは何とも…。」
「ま…まあ…そうだろうけどさ…。」
ハガネに問いつめられた社員だが、専門外な説明に彼も彼で困っていた。と、そんな時だった。
「それについては私が説明しますよ。ハガネさん。」
「?」
背後から聞こえた女性の声にハガネが振り向いた時、そこにはタリス=クライムと、Z−12の姿があった。
「貴女は…。」
「私はレイズタイガーの開発にも関わっているので、ある程度までなら説明出来るかと…。」
『イイノデスカ?アレハマダキギョウキミツニカカワルモノデス…。』
「もうこの際説明するしか無いでしょう?ではハガネさん、こちらへ…。」
そうして、タリスに連れられ、ハガネは移動するのだった。
それから、ハガネはラボ内に案内され、さらにタリスから少し待つよう言われた後、その部屋の中の
椅子に座っていた。ラボ内では先程暴走事故を起こし、破損したレイズタイガーの修理が進められて
おり、タリスもレイズタイガー修理を進めている技術者等と色々と言い合っていた。
「ハア…。何か長くなりそうだな…。」
口で言う程簡単には済みそうに無い問題に、ハガネはため息を付いていた。と、その時彼女に、ジュースが入ったグラスを乗せた盆を持ったZ−12が近寄って来た。
『オノミモノヲドウゾ。』
「あ!ありがと!」
ハガネは早速そのジュースをもらって飲み始めた。そうして軽く一杯飲んだ後、彼女はZ−12に話しかけた。
「あんた…。本当に最新型のロボット?」
『トツゼンナニヲイイダスノデスカ?』
ハガネの質問に、立ち去ろうとしていたZ−12が立ち止まった。
「まだ言うけどさ…。あんた本当に最新型のロボットなんだよね?」
『ソウデス。ワタシハゾイテックシャガカイハツシタサイシンガタノロボットデス。』
「そ…そう…。」
『ホカニヨウガナイノナラ、ワタシハモウイキマス。』
Z−12はそのまま去っていった。しかし、ハガネは半ば俯いた様子で自分の手を見つめていた。
「あの程度の代物で最新型…。じゃあ…私は一体…何?」
ハガネはZ−12と自分を重ね合わせ、自らの存在に疑問を持っていたのだ。最新型人工知能を
搭載し、人間のような対話を可能としたZ−12ですらカタコトでしか喋れないというのに、
100年以上前に開発された旧式機であるはずの自分はなぜ人間と違わぬ会話が可能であり、感情を
持っているのか、頭脳面だけの話だけではなく、ロボットとしても最新型であるZ−12の方が不思議
と旧式機に見えるのはなぜだろうかなど、ハガネは疑問に思うしかなかった。
「私は…一体…。何者なの…?」
それまで全く気にもとめなかった事であったのに、Z−12と重ね合わせた途端に彼女はそう疑問に思ってしまうのだ。が、そんな彼女にタリスが近寄ってきた。
「待たせて済みません。ではお話の続きを…。」
「ねえ、タリスさん…。あのZ−12って本当に最新型なんですか?」
「え?」
突然ハガネから問いかけられたタリスは一瞬黙り込んだ。しかし、直ぐさまタリスは笑って答えるのである。
「何を言っているんですかハガネさん!Z−12は間違い無く我が社の最新型ロボットですよ!」
「じゃあ何故その最新型がカタコトでしか喋れないんですか!!?マニュピレーターが2本指なんですか!!?身体がドラムカンなんですか!!?」
「な…。」
ハガネのツッコミにタリスは痛い所を突かれた様な顔をして、再び黙り込んでしまった。と、その時
突然タリスの携帯電話が鳴ったのであった。無論タリスは携帯電話を手に取る。
「ハイ、タリスです。え?ハイ。分かりました。」
通話が終わった後、タリスは携帯電話をしまい、ハガネの方を向いた。
「ハガネさん。もう少し待ってもらえるかしら?」
「ハイ…。別に良いですけど…。」
ハガネはやや拍子抜けしていた様子であったが、呼ばれたのなら仕方がないと言う事で待つ事にし、タリスはそのまま去っていった。
「用とは一体何ですか?」
タリスが移動した先の一室には彼女の上司と思われる一人の中年の社員がいた。そして、その中年の社員は彼女に数枚の紙を机の上に置く。
「短期アルバイトで雇ったあのメイド服のテストパイロットがいただろ?ほら、さっき君と一緒にいた人。」
「ハガネさんの事ですか?」
タリスの返答に上司は頷いた。
「そうだ。実は彼女の経歴に少し不審な所があってな…。」
「ふ…不審って!!?まさかハガネさんは…。」
タリスはたちまち深刻な顔になったが、上司は手を振った。
「違う違う!別に彼女が何か我が社に害を及ぼすというワケでは無い!」
「え?そういう意味じゃないんですか?では一体…。」
と、疑問深そうな顔をしていたタリスに上司が一枚の紙を渡した。その紙にはハガネの写真やプロフィールが書かれていた。
前作シリーズでは描かれる事の無かったハガネの秘密についてもそこそこ取り上げたりします。
と言うより、前作シリーズで書きたかったけど書けなかった事や書かなかった事を
今シリーズでやるなんて事を考えていたりします。
>>恐怖の亀裂作者さん
結構長い間出張っていたエルダー5がついに倒されたんですよね?消滅したって・・・。
それと、異形系が凄いグロくて、邪神系がシンプルな姿・・・やっぱり文字だけでイメージするのは難しいですね。
あと、インフィニティーのバスターキャノンはゴジュラスを倒した時に手に入りました。
自分的にはナイトミサイルが欲しいと思ったり・・・
「…どんな能力だろうと、僕には勝てないさ!」
シャドーエッジが背負った9枚のビームブレードが開く。ブースターを吹かし、セディールは前傾姿勢でアレックスに突撃した。
「堕天使光翼刃(ルシファーブレード)!!!」
渾身の斬撃は、エナジーライガーの僅かな動きによっていとも容易くかわされた。
「…!? あの一瞬で、ルシファーブレードを見切った?」
“サタンジャッジメント”で十字砲火を狙うが、これも避けられる。
と、次の瞬間にはエナジーがセディールの目の前に迫っていた。とっさに機体を捻るが、グングニルホーンが装甲を掠める。
「私の能力…『ヴィジョン・ザ・メビウス』は、時間の概念を越えて未来を見る事ができる」
その言葉を裏付けるように、振り下ろしたビームブレードは虚しく空を斬った。
「ちっ…世界最初の能力者が、こんな形で身を潜めていたとはな! それもSランク能力者か!!」
あらゆる方向から撃ち掛けられるビーム。アレックスはそれらを全て見切り、余裕を持って射線をかわしていく。
「見えてしまうんですよ…」
660km/hという凄まじいスピードと、それを更に際立たせる運動性能。攻撃を当てる事もできずに、
セディールは追い詰められて行った。
「ゾイドに乗らなくても、近々死ぬ人の余命や地震が起きる時間、そして後ろから飛んでくるビーム」
真後ろから放たれたビームを見もせずに避け、エナジーが翼を開く。
「動きが先読みされているのでは、いくら最強の能力者とて戦い様がないでしょう?」
アレックスの目には、迎撃しようとビームブレードを振り下ろすシャドーエッジの姿が見えていた。だが、実際はまだ
シャドーエッジの刃は動いても居ない。
それでも、彼の見た幻像通りセディールは動いた。そこには致命的な隙ができている。
「あなたの、負け…」
しかし、彼はその瞬間見た。ありえないビームに貫かれる自分の姿を。
「!? 馬鹿な!!」
とっさに飛び退き、攻撃を中断したアレックス。一瞬前までエナジーが居た空間を、一条のビームが薙いだ。
「予知していなければ死んでいた…だが、今のビームは!?」
次の瞬間、シャドーエッジの機体が激しく発光した。網膜が焦げ付きそうな閃光が、光の柱となって空を貫く。
「僕は確かに、融合しなくてもある程度能力は使えるけど…」
閃光が収まり、シャドーエッジの目に凶悪な赤い光が宿る。アレックスの脳裏に、降り注ぐビームの雨が見えた。
「――何だ、この攻撃はッ!?」
「やっぱ本気を出すなら、融合しなくちゃいけないんだ」
エナジーチャージャー全開。一瞬で最高速度まで加速し、先程までとは比較にならない本数が絡み合う
ビームの網から脱け出したアレックスの額に汗の玉が吹き出す。
「これが…最強の能力なのか!?」
「そう、そしてこんな事もできる」
セディールが何も無い空間にビームブレードを突き出した。と同時に、エナジーの真横の何も無い空間から
突然ビームブレードの切先が飛び出してきた。アレックスはそれを予知しかわすが、更にいくつもの刃が目の前に現れる。
「『次元乱舞斬(ディメンション・ストームブレイド)』…予知ができても、反応が追いつかなきゃ戦い様が無いだろ?」
セディールはアレックスの口調を真似て嘲るが、アレックス自身にはそんな事を気にしている余裕は無い。普段から
未来と現実を同時に認識する特訓を積んでいるとは言え、あまりに苛烈なラッシュに未来と現実の区別が付かなくなりかける。
朦朧とする意識。不意に、周囲を包んでいた刃の森が消えた。ハッとして未来の幻像に意識を集中したアレックスだったが、
時既に遅し。彼の「目の前」、コックピット内に空間の裂け目が生じていた。
「さよならだ、人事部長」
バシュッ――コックピット内に直接ワープしたビームの閃光が、装甲の隙間から漏れる。一瞬の静寂の後、
エナジーライガーは爆発も無く沈黙し、崩れ落ちた。
「惜しい男だったな。これほどの能力がありながら、どうして旧人類を庇って死ぬ必要があった?」
セディールは結局答えを見つけられず、コックピットの中から本社ビルへと瞬間移動した。
「…見えるか、お前がこれから掃除する世界が……」
セディールの能力解説…
・「次元乱舞斬(ディメンション・ストームブレイド)」
繋がった空間の歪みを目の前と敵の周囲に作り出し、9本のビームブレードによる斬撃を敵の周りに
出現させる。何も無い空間から現れるブレードをかわすのは至難。
・「次元十字砲火(ディメンション・インターセクト)」
“サタンジャッジメント”(ファン○ルもどき)の射線を空間の歪みで繰り返し敵に向かわせる。これにより
ただでさえ回避が難しいオールレンジ攻撃が殆ど回避不可能となる。
・「不可避なる死の矢(インアヴォイデンス・アロー)」
ビームの一撃を直接敵機のコックピット(コアや内部機関も可)にワープさせる究極の必殺技。
如何なる装甲でさえもこの技の前には無意味となる。
よくよく考えると凄い無敵能力だ…主人公勝てるのか?
>>恐怖の亀裂作者氏
「――美形だッ!!!」なんて言わないです。むしろジ○マールの人間ワープに近いことをやっているのは
セディールの方だったり。そして彼は16歳…無念!
>>鉄獣28号氏
非能力者皆殺しを画策するのはむしろ一部のヤヴァイ人達だけなのですがね。しかし
企んでいなかろうとそういった一部について行くヤツは結構いるのでまあ、予備軍?
それはそうと、数行だけ出てきた血の匂いがする黒い男は何者だー!? と変な所を気にする自分。
鉄獣28号さんへ
ハガネさんなにやら自分の存在に疑問を持ったみたいですね。
しかし暴走原因はなんなのでしょうか?
Inocent Worldの作者さんへ
そう言うタイプの攻撃って躱し難い物ですが…自力でやっているとなればもしかして…?
此処には何も無い。此処には光は届かない。此処には時間が存在しない。この場所は無限の牢獄。
その囚人であるこの世界の主ヴィゾールの剣。機は熟した。この場に歪みは無い。今にもこの場所シュバルツシルトの悪魔の空間は一つの現実に侵食する。
これにより彼の所持する世界は広がりを見せる。新しい謀に執心しよう…愚かなる時に犯された存在達に知らしめるのだ。
絶望と新たな希望を孕む逆転する時の果てに今度こそ自らが君臨し全ての歴史を書き換え全ての理を望むがままにするのだ。
「さあ…始まりだ。時は巻き直される。我が望むままに…。」
「上手くいくかな?重要なピースはこっちに有るよ?」修理を終えたテレマ・スクラフトスの前に立ちベルゲンは手を翳す。
先程の戦利品”アスピトルテの翼”を手に握る。実の伴っていない物だが彼は確かにそれを握りそして…握り潰す。「こんな物はこの世界に必要は無い。神の翼は必要無いんだ。」
残る残光をテレマ・スクラフトスに吹き付ける。神気を失った光は腰部にどす黒く染まった鋼鉄の翼を作り始める。「あ…ID聞いてなかった…。」
今更思いだし格納庫の隅でがっくりと肩を落とすベルゲンだった。「高かったのに…あの御菓子…。」女々しい事この上無い男である。
「…ん…んん?」全ての厄介事を命の危険と交換したローキス=ブルー。やっとの事で目を覚ます。「何かとても長い間寝ていたような…?」
後方より蛇を思わせる素早く近付く気配。「お〜お〜…君は厄介事を全て私に押しつけて眠っていたよな?」「ひぃっ!?」この声は忘れる筈が無い。しかも本気ではない癖に妙にねちねちした言動を吐く人物。
「た…大佐っ!?」そう言って振り向くと新しい玩具を観る様な目で彼を見るザクサルの姿が有る。「付き合え!眠気覚ましに機体の整備に行くぞ!はははは…。」起床早々重労働に付き合わされるローキスだった。
「後どれくらいで整備が終わりますか?」「3時間だ!」「…。」重度疲労で倒れない事を祈るしか無い様だ。
「空間からディストーションウォールが焼失したわ!最終決戦は近いわ〜〜!」少し寝ていたので元気一杯のエルザ。逆に「後…宜しく…ガクッ。」
寝ている間の護衛としてしなくても良い防衛行動を強いられたレクスは相棒共々床に転がる。「御苦労さまっ!後はど〜んとお任せあれ〜〜!」泥船で無い様祈るレクスだった。
「あの〜…もっとコンパクトには成れないのでありますか?」機体が揺れてしょうがない。その為30分立った今でもベルゼンラーヴェに乗ったままのファイン。
そろそろ下の処理をしないと情けない事になる。心底困っているのを解ってくれたのかレガシーオブオールドワンズは光になり消える。そして…「全く情けないな。」
コクピットの後方から突然気配が発生しそこから声が聞こえて来るから溜まったものでは無い。またしてもダイブ確定だった…。
「しょうの無い主だ事で…。」光が納まり本来の姿同様の角を生やした浅黒い肌に金の髪。勢力に合せた女性士官用の軍服を着た女性がコクピットから飛び出す。
レガシーオブオールドワンズの精霊は自由落下の法則を無視して落下中のファインに追い付くと手を掴みもう片方の手で膝装甲を掴むとそれを軸に宙返りをする。
その後ファインをお嬢様だっこして兼ねてより地表を開けた黒山羊達の間に降り立つ。「降りたぞ?主?」そっと降ろして貰うが周りの視線が痛い。絶対零度の冷たい視線が身を白く凍えさせる。
「どっどうも…それじゃあ失礼するであります!」恥ずかしくて矢の如き速さでその場を離れる。
「あ〜…助かった。何方の意味でも…。」用を足し振り向くとおかしな状況を確認する。先程まで厄介で溜まらなかった翼と腰部に有る筈の2挺の銃が見当たらないのだ。「はて?如何した事でありましょうか?」
そう言って機体を眺めていると「そんな事も知らずに力を行使していたのか?」またしても後ろから声がする「あひぃ!?」飛び退く手を掴み止める精霊。「その癖は止めるべきだ。死ぬぞ?それからこれから世話になる。」
そう言うと精霊は一息付き「ついでに我が名は長いだろう。特別に略す事を許そう。レオルとでも呼ぶが良い。」何かに妙に親切な精霊レオル。
レオルを連れてツヴァイザーシュライエントのブリッジに入り込みアービン達に合流する。「今度は羊娘か…。随分とバリエーション豊かな事だ。」アービンは最早挨拶と変わらないレベルで極自然にそう言う。
「済まぬな。迷惑を掛けた。」随分と威勢の良いレオル。と言うより大上段で偉いんだぞ!と言わんばかりだ。元の主同様尊大な性格なご様子。「魔素が濃い。歪みも無い。もう直ぐ”侵食”が始まるな。」
いきなりその一言で状況把握が終了する。「その”侵食”に付いて聞きたい。」
「そうだな…世界の壁を隔てる歪み。それが無くなった場所は隣りやらちょっと離れた所やらの世界と混じり合うそう言う現象だ。」
レオルは全てを知るかの様に語る。「あれっ?もしかして…?」ベルフが口を挟むと「その通りだ。その勘ぐりの通り我が世界は暗き森と共に別の世に溶け消えた。」
「暗き森〜っ!?」一斉に声が上がる。「そうであったな。主等は暗き森の主の記憶を垣間見たのであったな。その通りあの場は奴の手に落ちこの世のこの星より消え失せた場所だ。」
その後の説明によればそれ以外の場所も幾つかがこの星より切り取られていたらしい事を知る。しかしとても如何わしい話だ。
「その点も説明できる。無くなった物の記憶と言う物は何処かに記されて居ない限りその場所や存在と共に掻き消える。知る者等居はしないのだから当然だ。」
妥当な答えだ。ついでに目の前のレオル等黒山羊達と化け物を見れば流石に事実を拒否できる程巫山戯た奴は居ない。「そう言う事ならもう一つ良いかな?」
アービンはレオルに質問をする。「何だ?隊長殿?」「此奴を強くする事が出来るか?出来るだけ短時間で可能な限りに?」ファインの首根っこを掴みアービンは問う。
「少なくとも我と正式な契約を結べばそれだけで下位導師(マイナーウィザード)までは確実ぞ?それとも時間が止まったアイギルの断層に突き落として鍛えるか?それならば歳を重ねずに大魔導士(グランソーサラー)にも出来るぞ?」
「あの〜…それはぁ…気が狂わなかったらの話では?」真に迫った突っ込みで身を守ろうとするファイン。「うぬ?ばれたか。そんな知識を持っていたとは侮り難し主め。」
「本気だったでありますかぁ〜!?」話が見事に逸れる。「まあ今は良い。無理をした所で戦力ダウンが確実だからな。契約にデメリットが無ければそれで良い。」アービンはそこでその話を切り上げた。
少なくとも今の時点でも邪神クラスが儀式で現臨する状況。これ以上の状態に成ると儀式等なくても其れ等が沸いて出て来る様な事態に成り得る。限られた時間は尚も消費されて行く。
行動計画の見直しがされた後アービンとファイン、ベルフは必死にデータバンクの資料を漁る。可能な限り今後出てきそうな輩の対処法を調べ上げるつもりだ。「良し今の内に契約を済ませて置くとするぞ。」
簡単な言葉のやり取りとレオルの言葉で締め括られる。
「汝が真の名!それと名乗りし名の元に契約の儀を執り行う!我黒山羊の王の名の下に!…終わったぞ。」
良くあるお供え物やら魔方陣やらは必要無いらしい。「ちょっと残念でありますが酷い目に遭うよりはましでありましょうか?」ほっと胸を撫で下ろす。
「ほほう…主。とんでもない手間を掛けなければならないと誤認していたようだな?羊相手に羊の生き血を捧げても喜ぶ訳なかろうに。」やれやれと言った表情でレオルは言う。
そして「これを受け取れ。」何かを手渡される。「我等の母を頼む。」そう言うとレオルは掻き消える様に姿を消す。
それと共にあれだけ五月蠅かった羊の鳴き声が一斉に消え失せる。彼女の立ち去った事で黒山羊達が居た事も無かった事になった様だ。
良く見るとそれは小さな角。受け取った右腕にはソウエンとの戦闘で付いた傷を隠す様に契約の証が記されている。更には自身の銃のホルスターに荷重が加わる。
「ぬおっ!?」そして銃を抜くと自らの手のサイズに収まる大きさに成ったカラミティシャドウとウェイブレイダーが握られている。それは漲る力を封じ込めた人の手に握れる最高の武器。
作業をしながらそれを見やる。早速ベルフが手に取って遊んではいるが…。作業を進めながら考える。銃が此処に在ると言う事はもしかしてあの恐怖の翼も?
そう思って背中を見て青くなる。「やっぱり。」確りと背中から少し離れた場所に何処にも繋がっていないその翼が或る。
触ってみようとするが擦り抜けてしまう。とりあえずは突然死への直滑降だけは無い様でほっとする。あの推力で生身で飛べば空中分解する事間違い無いだろう。しかしとんでもない爆弾を抱えている気がして成らない。
作業を再開するがそこで有る事に気付いてしまう。「気付いたか?お前にしては気付くのか遅かったがな。」アービンがそう言う。「母という存在は間違い無くベルゼンラーヴェだ。」そう断言する。
「レオルは暗き森に居たと言った。つまりそう言う事だ。それ以上でもそれ以下でもない。森の子等は主の子と言う事だな。」感心したような声でアービンは言う。「責任重大だぞ?覚悟は良いな?」
「了解であります。前にもこう言われた記憶が在りますが今度は決めてみせます。泥船にでも乗ってご覧あれであります。」「大船じゃ無いのか?相変わらず馬鹿を言う。」シニカル過ぎるやり取りに何時もの空気が戻る。
「履歴書?」
「そうだ。この履歴書に書かれた彼女の生年月日を見て欲しい。」
「え?」
ハガネの履歴書を見たタリスはその内容に愕然とした。
「ZAC2104年生まれ…。年齢なんか思いっきり100歳超えてるし…。これは一体…。」
「そうだよ。彼女は…。」
「実はお婆さんだったのね!」
ずげげげげっ
その時、上司はもの凄い前転を見せ、そのまま背中から地面にぶっ倒れたのだった。
「あの…。いきなり転んでどうしたんですか?」
「あ…あのなあ…。イタタタタ…。」
上司は背中をさすりながら起きあがり、再びタリスに言った。
「第一おかしいとは思わないか?あの外見はどう見ても10代後半。なのに履歴書には100歳以上と書いている…。」
「それは一体…。」
落ち着きを取り戻した上司は再び椅子に座り、さらに言った。
「そこで私は彼女について色々調べさせれもらったよ。そうした上でようやくその謎が解けた。
いやいや、本当に驚かされたよ。しかし、分かってみると彼女がなぜ100年以上も平気で若さを保っている理由にも納得がいったな。」
上司の言葉にタリスは思わず息を呑んだ。
「ま…まさか不老不死の薬を飲んだとか?」
「ブワッハッハッハッハッハッハッ!!!!」
タリスの言葉に上司は笑い出したのだった。
「ハッハッハッ…。違うよ。第一不老不死の薬なんて物がこの世にあると思うか?あるなら飲んでみたいよ。」
「じゃあ…違うんですか?」
「ああ…違う。だが…。これを聞いたら多分タリス君はショックを受けると思うが…。それでも聞くか?」
タリスの顔にかすかな笑みが浮かんだ。
「私を呼んでおいて…。初めから教えるつもりだったんでしょ?一体彼女が何故100年以上も若いままなのか教えて下さいよ。」
「そうか…。ならば教えよう…。」
「………。」
タリスは思わず息を呑んだ。その空気に巻き込まれたのか、上司自身も一瞬沈黙し、そして口をゆっくりと開いた。
「彼女は人間じゃない…。」
「に…人間じゃない!!?まさかハガネさんは幽霊!?妖怪!?」
タリスの過剰反応に、思わず上司は笑い出した。
「ハッハッハッ!そんな物の怪の類じゃないよ彼女は。むしろその逆だ。」
「逆?」
「そう…。逆だ。物の怪の逆とも言える存在…。彼女は…ロボットだったんだよ。」
「ろ…ロボ…!?」
タリスは驚嘆の声をあげ、愕然とした。
「なあ、また同じ事聞いて悪いけどさ、あんた本当に最新型なんだよねぇ?」
『ソウデス。スクナクトモタリスサンハソウイッテイマス。』
「とか、言ってるけど本当?」
「へ?」
ハガネはたまたまそこを通りかかった技術者に問いかけていた。そしてその技術者は答えた。
「ハイそうですよ。Z−12は我が社の最新モデルです。特に内臓している人工知能は人間との会話による対話を可能とした画期的な物ですからね。」
「そ…そうなの…。」
技術者が立ち去った後、ハガネはため息を付いた。
『ドウシタノデスカ?ゲンキガアリマセンヨ?』
「ああ…。ちょっとね…。自分の事を考えてたんだ…。あんたが最新型のロボットなら私は一体何なんだろうな〜って…。」
『ソレハワタシモオモッテイマシタ。アナタハナゼソコマデニンゲンソックリニデキテイルノデスカ?
ワタシノサーチセンサーデナイブヲミタトキハ、ワタシヨリハルカニキュウシキダッタトイウノニ。』
「何かそうハッキリ言われると逆にカチンとくるな〜…。というかあんたのやってることはセクハラよ!セクハラ!」
ハガネは顔を真っ赤にしてZ−12の頭を軽く小突いた。
『ナゼナグルノデスカ?セクハラトハナンデスカ?ナゼアカクナッタノデスカ?』
「やっぱり分からない…。」
ハガネの悩みはまだまだ続く…かな?
「ろ…ロボットって…、彼女が?そんな…。」
「君はあれだけ彼女に近くにいておいて気付かなかったのか?彼女からかすかな機械音が聞こえるのを…。」
「いや…確かに彼女から機械音が聞こえましたが…あれはてっきり義手からの音かと…。」
「ま…まあそう勘違いしても不思議はないか…。」
上司はため息混じりにそう言っていたが、タリスは再び口を開いた。
「しかしいくら何でも彼女がロボットなんて今だに信じられません!だってあれはどう見ても人間にしか…。」
と、その時、上司がさらに一枚の紙をタリスに差し出したのだった。
「まあ、君がそう思うのも不思議では無い。私だって最初はそうだった。しかし、これを見て欲しい。
この紙は採用後に行われた健康診断の診断結果だ。それのレントゲン写真の部分を見て欲しい。
「こ…これは…。」
その紙を見たタリスはまたも愕然としてしまった。そのハガネのレントゲン写真には確かに至る所に機械が内蔵されている、というよりロボットそのものだったのだ。
「ま…まさかあの時Z−12が言っていた意味はこれだったの?」
タリスはハガネと初めて出会った時にZ−12がハガネに対して言った言葉の意味をようやく理解した
のだ。Z−12はハガネは自分と同じ匂いがすると言った。つまり、Z−12はハガネも自分と同じロボットだと言いたかったのである。
「ほ…本当に…ロボットだったなんて…。そんな…。」
「だからショックを受けるだろうと言ったんだ。我が社が開発を進めている人工知能と、その指令に
合わせて稼働するロボットの最新型であるZ−12のそれの上を行くロボットがすでに100年前に
作られていたんだからな…。いやいやまったく驚いたよ。人工知能とロボットとしての身体のリンクが
今だ上手く行かないが故にZ−12の身体はあのように単純な構造になっているというのに、彼女は我々の問題すらも軽々とクリアしている…。」
タリスは健康診断結果について書かれた紙を机におき、上司の方を向いた。
「彼女がロボットだったという事については百歩ゆずって認める事にして、やっぱり納得が
いきません!第一今まであれ程のロボットを開発しているなんて話は聞いたことがありませんし…。」
「そりゃそうだろうな…。確かに自分も最初は納得が行かなかった。しかし、調べる内に明らかに
なったその謎も納得がいく物となった…。そう、彼女の名前が“ハガネ”と聞いた時から気付くべき
だった。タリス君…。君はあのネオゼネバス帝国が人造人間の開発を進めていたという噂を聞いた事は無いかね?」
「じ…人造人間?そんな計画が?まさかハガネさんは…。」
「そうだ。あの100年前の大戦時代、ネオゼネバス帝国がデススティンガーの様な、生身の人間が
操縦する上では危険が伴う様なゾイドが開発された際に人間に代わって操作するという目的で、
ゾイド制御AIを発展させた人型インターフェース、つまり人造人間の開発を進めていたらしいんだ。
通称“HAGANE計画”と呼ばれており、その噂を初めて聞いた自分はあまりにも幻想的過ぎるその
計画に笑った物だ。そもそも実際に戦争中に開発された兵器という物は、一部の傑作機と大多数の
お笑い兵器の二種類に分けられる事が多い。故に自分は人造人間など完成するはずも無いお笑い兵器の内の一つだろうと思っていた。しかし…。」
「その“HAGANE計画”によって開発された人造人間が…ハガネさん?」
タリスの言葉に上司は頷いた。
「恐らくそうだろう。いや、それ以外には考えられない。彼女は…ハガネは“HAGANE計画”に
よって開発された人造人間なんだ。もっとも、こちらで調べた結果によると“HAGANE計画”は
相対コストが高すぎた為に、量産を前提としたHAGANE3号機、つまりあのハガネの完成を
最後に凍結されることになった。が、“HAGANE計画”は凍結されてもハガネは今も
生き続けている。もっとも、1号機と2号機の方は完全に記録が抹消されていたがな…。」
「そう…なんですか…。」
「いずれにせよ…あのハガネを作った科学者は凄い天才だったという事だ。」
タリスは顔を下に俯いていた。
「やはり…。ショックか?タリス君…。」
「調べたい…。」
「ん?」
「是非調べてみたいですよ!何とか彼女に許可を取って、その内部構造を調べることが出来ればZ−12の進歩にも繋がりますよ!そうは思いませんか?」
「オイオイ…。」
先程までとは打って代わってテンションが高くなったタリスに上司は拍子抜けしていた。
>>恐怖の亀裂作者さん
精霊まで登場しましたか・・・。
さらに2つの世界が1つになろうとしているとか、色々さらに幻想的な雰囲気が・・・。
あと、邪神とか魔物とか色々出てますけど、神とか天使とかはいるんでしょうかね?
>>Inocent World作者さん
あ〜あ〜・・・良い人だったのに惜しい人を亡くしましたよ。
確かにコックピット内に直接・・・って言うのは反則過ぎますね。
何かパイロットがZ戦士でも無い限り耐えるのは不可能に思えますw
しかし、逆を言えば、そんな凄い技に主人公がどう対処していくか?と言う点にも
興味があったりもします。
“星の傷”深部――そこに穿たれた巨大な空間には“シギュン”のコントロールシステムと、向かい合う2体のゾイドが居た。
「来てしまったか。あそこで死んでおけば良かったと、後悔するんだな」
オレーグ・カーティスの駆るゴジュラスギガと、ルガールが駆るマッドサンダー。両者の間には
以前のような圧倒的な性能差は無い。
オレーグは何の前触れもなく能力を発動した。ゴジュラスギガが輝き、ルガールは一瞬目を細める。
だが、目を逸らす事は一瞬たりとも無かった。
「既に“シギュン”は発動した。標的は“ギルド”の識別信号を持つゾイドのみ…もし止めたいのなら、
俺を倒してプログラムを修正する以外に道は無い。だが、お前は俺に勝てん――」
バスターキャノンの砲身が僅かに動いた。その瞬間、操縦桿を握り締めたルガールの腕が動く。
「――絶対にな!!」
横に動いてかわしても、また砲弾が曲がって当てられてしまうだろう。それを避ける為には叩き落とすしかない。
ルガールはマグネーザーを横に振り、飛んできたバスターキャノンの砲弾を粉砕した。
「俺の能力はお前も見ただろう! “ジェノサイドゾーン”…一定範囲内で、砲弾やビームを自由に曲げる力だ!!」
あさっての方向に乱射されたバスターキャノン。それらが全て空中で射線を曲げ、マッドサンダーに襲い掛かる。
「能力者至上主義…ある意味では、時代の流れと言えなくも無い」
マッドサンダーの火器が凄まじい勢いで連射され、爆発した砲弾が地下の闇に爆発の光芒を投げかけた。
「…だが、勝手に備わった能力だけに頼り、技術を磨こうともしない貴様に、この俺は倒せない」
「――劉邦かッ!!?」
誰かの決め台詞を言ってのけたルガールに、オレーグは接近戦を挑んだ。
「ほざけ…俺に技術が伴っていないだと? 笑わせるなッ!!」
マグネーザーの一撃を爪で弾き飛ばし、ギガの巨大な牙がコックピットに迫る。しかしその前に
ギガの巨体はサンダーホーンに突き上げられ、200tの重金属が宙を舞った。
「伴っていないさ。それに、さっきの言葉を鵜呑みにするな…俺が本当に言いたかった事は」
凄まじい音と共に、床に激突するゴジュラスギガ。起き上がるその機体に、ルガールは呟いた。
「お前の戦う理由が、所詮はエゴから出た物でしかないという事だ」
最近、自分の第一作を読み返して_| ̄|○ナンダコレハ
あそこまで凄まじい文章をこのスレに投下していたなんて!
>>鉄獣28号氏
そう、主人公がどう対抗するかのアイデアが今さっき浮かんだので大丈夫!
Z戦士って一瞬サイヤ人の類かと思った自分は…
>>恐怖の亀裂作者氏
もう、剣と魔法のRPGだといっても信じられそうですね…
邪神クラスが普通に沸いてくる状況って、幽々○書の最後の方に近い破壊力のインフレかもw
>最近、自分の第一作を読み返して_| ̄|○ナンダコレハ
>あそこまで凄まじい文章をこのスレに投下していたなんて!
そう思えるのは上達した証拠だと思います。これからも頑張って下さい。
自分も、そろそろ次の原稿を書きたいです。ネタは幾つかあるんだけど…。
鉄獣28号さんへ
げにもおそろしや”HAGANE計画”インターフェースの人工製造。しかも調整も万全だったらしいですね。
ハガネさんは作動状況や稼働状況やらはともかく自分と正反対のベクトルの物に興味を持つ程高性能ですし。
Inocent Worldの作者さんへ
チョイと違った観点からの話なので邪神様自体はそれ程戦闘力は無い設定ですので心配は無いです。多分。
邪神=ジェノ系列程度の戦闘力。戦力以外の所が危ない存在って感じです。それが合さってやっと災害レベルの戦力に…。
やっぱりやばいじゃん_| ̄|○
「それではベルゲン様行って参ります。くれぐれも留守の間お茶目はお止め下さいね。私の体は私が居なければ無作法極まりないですから…。」
壮麗な甲冑に身を包み猛禽の翼を纏う者。知る者が居ればそれを指す言葉は”天使”に間違い無い。
「気を付けてね〜アールマティ〜。その間は1人寂しくゲームブックでも遊んで居るから〜。お使い宜しく〜。」その存在にお使いを平然と頼む男。
敬虔を司る天使を使い魔として支配下に置くベルゲン。「くれぐれもアスピトルテの翼の封印は厳重にお願いしますよ?本当に…?」目茶苦茶心配そうな顔で主人を見る天使。
「だぁぁぁぁ〜!そんなに信用無い!?僕はっ!?」「はい!勿論ですっ!」ベルゲン完全敗北。またしても自室の隅でいじけ始める。
それを見て少し安心したのか猛禽の翼を広げて部屋を飛び出して行く。壁や天井など彼女には意味の無い隔たり。素早く空に舞い上がると異形の祭典の始まる場所へ飛び去った。
激震。しかしそれは地震の類では無い。何故ならここの地盤はゼネバス領は幾つかの地盤が緩く空洞や洞窟が多い地形がある。ここは正にその場所の一つ。
しかしこの揺れは地盤の崩壊や滑落を発生させない。普通ならここに在る全ての存在が地下に分け隔てなく引きずり込まれている震度だからだ。「如何やら来た見たいでありますね!?」
「そのようだな。レーダー手!異常を感知したか!?」アービンが叫ぶ。「この一帯が同じ振幅で同時振動!間違い在りません。異常です!」正に訳の解らない回答。
しかしこれが今この場の現実。儚くユークリッド幾何学やらニュートン力学から隔絶されつつあるこの場。山の中腹に亀裂が走りそこから岩盤を突き破り如何見てもやばそうな緑色が伸びている。
「大佐!デスアナライザーFFを使えませんでありますかっ!?」涙目でファインは叫ぶ。「わっ解った…しかし二人乗りだ誰を乗せる?」それを聞き顔が青くなるファイン。一緒に行動していたのに重要な所を見落としていた。
「どどどどど如何すれば良いのでありますか〜っ!?」完全に悲鳴を上げている。状況確認を怠ればあっと言う間に奈落の底に叩き込まれ兼ねない状況。
「え〜っと…私で如何ですか?」大の大人の慌てふためき振りにおどおどしながらラミューズが申し出る。「居た〜っ!」振り向いてステレオ音声で聞かされる声に座り込んでしまうラミューズ。
急いでデスアナライザーFFに走る影が二つ整備はされているだがそれを阻む影が現れる。
多数の影が現れたと思うと思い思いの姿と人の中間の様な存在に形成される。「ちぃっ!?」思わず反射的に銃を引き抜く。
左腕に握られた銃より発せられたのはつい先頃の物を縮小した物。重力を無視して暴れ回る暴風の衝撃の激光の弾丸。
唯の1発の銃弾で片が付く。其処には倒れ影に戻って行く何者かの群れ。それを後目にファインとラミューズはもう一度駈け出す。
追撃。それは実体を持たなかったらしく遂に実体を結び彼等に立ち塞がる。腐汁を滴らせて人で無くゾイドで無くましてや動物でも植物でも無い。
そんな何かが現れる。その数十数体。体内から絞り出された触腕を振り襲い掛かって来る先頭の存在。「臭いんだよ!ロトンシングがぁ!」
こう見えてもこれらは一つの存在。現世の邪に塗れ姿を変えた神。邪神である。清廉な神気を汚されるのを防ぐ為神は汚れた外套を纏う。
その為見るも醜怪な何かの固まりに成る者も多い。本来は腐っても居ないし形も無い。と言う事で問答無用の攻撃に邪神は晒される。その姿を受け容れて貰えなかった愛する人間に。
伸ばした触腕はファインの右手の偃月刀に裂かれ汚穢な体液を垂らす。
その隙に1体を通り抜けまた別のそれを攻撃して無理矢理隙を作りその間に擦り抜ける。その背にはフレキシブルウェポンドライバーでは無くラミューズが居る。ラフファイトは厳禁だった。
「…今は折角会えた神様と話す暇すら無い!こんなに凄い状況なのに〜ドドチクショ〜ウ!!!」ここまで来て更にその神様に切り付けておいてその台詞を吐きやがりますか?と言われそうな捨て台詞を吐き逃げる。
しかし目の前を3体に塞がれる。その上偃月刀を一斉に攻撃され哀れ偃月刀は甲高い金属質の悲鳴を上げて絶命する。「おっ折れた〜〜っ!?」如何言う力を込めればベルゼンラーヴェのフレーム同様の材質と構造の刀身を折れるのか?
遂に非常識は目の前にまで来ている。ニュートン力学の崩壊の音が聞こえて来る様だ。
完全に旧成る神に囲まれてしまう。銃弾はこの姿には効果が無いだろう。幾らカラミティシャドウの高熱でも彼等を焼き尽くす事は出来そうもないし多分その前に自分達が消し炭になる。
その時契約の時に渡された小さな角が光る。「忘れるな!現世は偽りを孕む!その裏を突け!」声が響く。
角を右手に掴み世界を超えて聞こえてきたレオルの言葉の通り”世界の裏”を描く。否。描き変える。
偃月刀は消滅し契約の証が武器となり発生する。「黒の尖角刀!」異形の黒山羊の角が黒一色の刃となり現れる。
「破っ!」その一撃は神の包囲網の一角を薙ぎ払い道を開く。「!」一番近い場所に居た邪神は真っ二つに避け上半分が撥ね飛ぶ。
間髪入れずにそれを飛び越えてまた逃げる。人の力程度で如何にか出来るのなら神等では無い。そう言わんばかりにもう再生を済ませて追撃してくる。
ゲル状の癖に物凄く足が速い。「でえええ〜!?もう追い付いてくる〜〜!?」その内数体が飛び上がり伸し掛かり攻撃を敢行する。
「もう駄目かぁ〜〜〜っ!?」「きゃあ〜〜っ!?」完全に射程圏内。回避できる筈など無かった。
が何時までたってもそれは来なかった。「っ!?」2人は空を見上げる。其処には手を翳しついぞ伸し掛かりを敢行した神の肉片を貫く槍を握る人影。
その姿は間違い無い”天使”。ただ違うのはその身に纏う甲冑。それはゾイドが装備している装甲その物で背より伸びる猛禽の翼もコマンドゾイドの物にも見える金属質。
何より浮き世離れ甚だしい美しい女性の顔に長い黒髪。人で在ろう筈が無い。「またお会いしましたねファイン様?」
「?」知らない。こんな人に会った記憶は無い。開口一番電波な事を言う美女等知り合いに居る筈が無い。「そうでした…この姿でお目に掛かるのは初めてでしたね。申し訳御座いません。」
女性は何故かこっちに謝る。「私はテレマ・スクラフトスが意思の精霊。アールマティに御座います。今後ともよしなに。」これで”また会った”が解決される。しかし何の為に来た事やら?
しかしそんな考えも神様のまた行うボディプレスの予備動作に掻き消される。「また来るっ!?」しかしその神様を光が撃ち抜く。しかも…「凍ってる。」流石はテレマ・スクラフトスの精霊である。
槍を神の肉片から引き抜きアールマティは地に降り立つ。「ここは私目にお任せを。お急ぎ下さい。」事務的な言葉で言う。「そっそれではお頼みします〜〜!」
しかし丁度乗り込み用に用意された梯子やら野外エレベーターは反対側。
「何時まで恐れています?それはもう貴方の物。それにランクを6つ上昇させた貴方なら充分使える筈です。行程を考えず結果だけを求めて下さい。」その言葉は背の翼の使い道だ。
「結果だけを求める。」半信半疑で望む結果を描く。複座式の頭部コクピットに飛び映る自分達の姿。
「きゃあっ!?」ラミューズの声に現実に引き戻されるとコクピットの真上1m程の場所に居る。目も確かに移動する風景を捕らえていた。
機械科魔学と言う奴の真価は結果を強く認識する事。ようやくスタートラインに立ったらしい。これまでの奇跡的な行為の数々にほっとしながら…。
コクピットに乗り込みキャノピーを閉める。これで取り敢えず熱烈に求愛してくる神様に押し潰される事は無いだろう…と油断した矢先だった。
「嘘〜〜ん!?」頭上を埋め尽くす神様のお姿。如何しても求愛を諦めて貰えないらしい。機体を起動させてデスアナライザーFFを素早くその場を離れさせる。
轟音と共にフライングゴッドプレス(勝手に命名)は外れる。その後直にフライヤーユニットを起動機体を空中に押し上げる。空中に出れば問題は少し解決される。
空中をVTOL機構で480km/hの速度で移動できるなら地上よりも素早くあの攻撃を躱す事が出来る。何故そんな心配をするかと言えば…「また来た〜〜〜っ!?」
地表から300mも離れているのに元気にフライングゴッドプレスを仕掛けて来る神様がいらっしゃるからだ。
「如何やら大丈夫そうですね。」アールマティは地上に居た神のロトンシングを全て凍らせる。そして…「お帰り下さいませ。神様。」もう一つの看板である強力な電撃を見舞う。
神の肉は蒸発し邪神は神へと還元される。それが終わると更に上空に居る特大サイズのそれに必殺の一撃を振るう為それを産み出す。
「我の手は氷。全てを凍て付かせ全てを現在へ縛り固める白き炎。マーブルサクションゼロクラッシュ。」多少今までよりも感情の篭もった言葉。
両の腕に白い冷気が宿り白く燃える光球を縞模様の真球状の光の球を産み出す。そしてそれを投げる。
外す事無い一撃。金切り声を上げる光球。実際は冷気により空気中の粉塵が超電導状態になり地磁気が静電気となりスパークしている音。
それは無茶な軌道を取りながら神に向かう。物理法則から言えば雷の通り道の選び方と同じく抵抗の少ない場所を縫って進んでいるだけではあるが。
神に接触し巨大な光球に成長し神の肉体を駆け巡る冷気。それが消失すると落下する凍結した神は風圧で粉々に砕け散る。更にそれに電撃を浴びせ蒸発させる。
徹底的な攻撃。そこまでしないと退ける事が出来ない存在。恐ろしい存在だ。生物の理を持たない者が実を結ぶ事がどれだけ凄いのかが解る。
焼却し消滅させるそこまでの行動が必要なのが神を払う方法。特にちゃんとした形を持たなかった不定形の者なら尚更と言う感じだった。
それを済ませたアールマティは素早くデスアナライザーFFのコクピットに並ぶ高さに飛翔する。
「申し訳御座いません。少し宜しいですか?」「は…はあ。ど…どうぞ。」あっけに取られて頭部のキャノピーを開くファイン達。
その手には突然刃物らしき物が現れる。「如何しても代わりの物が見付からなかったそうでこれを渡してくれと仰せつかりました。」代わりにしては随分と凄い物を渡された気がする。
「あの〜IDとかは?」そう聞くと「それは結構です。ちゃんと自分で聞かなかったのに責任がありますから。それに形式的にお使いは1回一用事と決めていますので…それでは失礼いたします。」
「そりゃどうも〜。」使い魔的な存在の癖に随分と融通の聞く御方らしい。その上主人を窘める事まで。無言でベルゲンに敬礼を送る「頑張れよ。」と…。
アールマティの表情は暗い。その理由はベルゲンにある。「あ〜御免!約束守れなかった。」格納庫の惨状を見てアールマティは項垂れる。
アスピトルテの翼の力を使ったらしい。床は羽に塗れ壁には羽の群が突き刺さっている。「ベ・ル・ゲ・ン・さ・ま!あれ程駄目だと言って置いたのに〜!!!」
その表情は眉間に偉い勢いで皺が寄っており端正な容姿も恐怖の化身と化している。その後お仕置きと称されて高圧電流の一撃を貰ったらしい。
「…何だ?あれは?」上空から見下ろした筈の緑の物体。今は既に頭の上を通り越し途中の緑色の部分は木を思わせる茶色に成っている。樹皮も確認できた。
これは巨大な木。上部では枝が産まれて歪んだ紅い空を被い隠す。光源が少なくなりやっと夜らしくなる周りの風景。そして枝からは葉が生え始めていた。
幹から攻撃がデスアナライザーFFを襲う。樹液だが速度が異常すぎる。矢の如く迫り来る樹液を避ける。良く見れば樹液を発した部分には竜の顔が有る。樹木で編まれた若しくは内部からせり出した竜の顔。
樹液での対空砲火は徐々に激しさを増す。「撤退しましょう!」ラミューズは叫ぶ。「了解!状況確認!尻尾を巻いて逃げ帰るであります!」
「まあ、許可が取れれば構わんのでは無いかな?と言っても、彼女はレイズタイガーのテストパイロットだ。その辺の時間はどうするのかな?」
「大丈夫ですよ。レイズタイガーの修理にはまだ時間が掛かると思いますから!」
「あ…そう…。まあ、がんばって…。」
時を同じくして、ラボではハガネとZ−12の会話は続いていた。
『アナタハロボットナノニナゼソコマデニンゲンニソックリナノデスカ?』
「そんな事言われたって正直困る。今まではそれが普通だと思っていたのに、アンタという存在を見たら…。」
『ミタラナンナノデスカ?』
「あんた…やっぱり鈍いね…。」
ハガネはやはりZ−12のAIがまだまだ不十分な物だという事を実感し、それとは違う自分に驚いて
いた。Z−12は確かに人間との会話による対話が可能となっている。しかし、悪く言えばそれだけの
話である。恐らく会話に使っている言葉も所詮はプログラムされた物を音声として出しているだけ
だろうし、何より後の展開を考えるという事が出来ていないのである。
「所詮はまだまだコンピューターか…。では、私は一体何なのだ?」
やはりハガネは自分の存在を不思議に思っていた。たしかにハガネも人工知能によって思考している。
しかし、彼女はZ−12とは違って感情を持っているし、自分で物を考える事も出来る。何故自分がそう出来るのかが分からずにいたのである。
「ハガネさ〜ん!お待たせしました〜!」
「ああ!タリスさん!用は終わったの?」
ハガネのもとにタリスが戻ってきていた。そして、タリスはハガネの前に立ったのである。
「それにしても、レイズタイガーの修理はまだ時間かかりそうだね〜タリスさん。その間、私はどうすればいいかな?」
「それについてですが…。ハガネさん…。失礼かと存じますが、一つ聞いてもよろしいですか?」
「へ?何?突然改まって…。」
何か言いたげなタリスに、ハガネも思わず黙り込んだ。
「貴女…ロボットだったんですね…。」
「ああ!そうだけど?」
「そ…そうだけどって…。」
ハガネの別に何とも思わない返答にタリスは逆に拍子抜けしてしまっていた。それにはハガネはハガネで困った顔をした。
「何か驚く程の事なの?そこのZ−12だってロボットでしょ?」
「た…確かにそうですけど…。しかし聞くところによると貴女は100年も昔に作られたそうですね…?」
「そうだよ。私はあの100年前の戦争の時代から今まで生きてきたんだ。」
「そ…そうだよって…。」
あまりにも正直に答えるハガネに、タリスはまたもや拍子抜けしてしまった。が、ハガネはニヤリと笑みを浮かべたのだ。
「どうせ貴女の事だ…。私が100年前に作られたロボットなのにZ−12より人間に近く出来ているのか…。と、そう言いたいのでしょ?」
「な…。」
「やっぱり図星でしょ?」
ハガネに図星を突かれたタリスは思わず黙り込んでしまった。
『ハガネサンハ100ネンマエニツクラエタノデスカ?ドウリデナイブキコウガフルクサイトオモイマシタ!』
「あ!あんたまたサーチとか言って内部を覗いたね!だからそう言うのはセクハラだっつってんでしょが!」
『ナゼナグルノデスカ?セクハラトハナンデスカ?』
ハガネは顔を真っ赤にしてZ−12の頭を軽く小突いた。その光景を見たタリスはやはり驚いていた。
「(ロボットなのに人間のような喜怒哀楽がある…。抑揚のない計算的な言葉しか喋れないZ−12とは偉い違いだわ…。)」
と、その時だった。タリスが突然その場に跪き、ハガネに向かって土下座をしたのだった。
「わあ!タリスさんいきなりどうしたの!?」
「ハガネさんお願いします!貴女の身体を調べさせて下さい!」
「ええ!?」
先程までタリスの質問をことごとく即答してきたハガネであったが、今度ばかりは驚きを隠せずに一歩後ずさった。
「や…やっぱりダメですか?」
「いや、別にダメと言うワケでもないけど…。」
「え?」
ハガネの言葉にタリスは思わず顔を上げた。と、その時タリスの眼前で左手の人差し指と親指で円を描く様にくっつけ合わせていた。
「給料…割り増しでお願い!」
「は…ハイ…。」
「は〜い!チョコちゃ〜ん!元気にしてたかな〜!」
この日の仕事を終え、ハガネが寮に戻ってきた時、部屋の中でチョコが本を読んでいた。その姿を見てハガネに笑みが浮かぶ。
「それじゃあ!何か食べに行きましょ!」
ハガネはチョコの手を掴んで、二人は共に部屋を後にするのだった。
「……………。」
ゾイテック社内の一室、ハガネの調査結果を見ながらタリスは黙り込んでいた。つい先程タリスは
ハガネの内部構造について調べていたのであるが、別にハガネの身体を分解したワケでは無い、
伊達にあの大戦から100年経っていないと言わんばかりに、ゾイテックの誇る最新型スキャナー装置
が使用されたのである。これでレントゲンと同じようにハガネの内部を映すのであるが、レントゲンと
違い、かなり細かい部分も細部に渡って調査することが出来るのであったが…。
「で、どうだった?」
ずっと黙り込んでいるタリスに上司が心配そうに声をかけた時、タリスは手に持っていた調査結果を記した紙を机においた。
「わ…分かりません!」
「分かりませんって?一体どうしたんだ?」
「分からない物は分からないんです!!」
タリスは思わず頭を抱えて叫んでいた。それには流石の上司も戸惑う。
「落ち着きたまえタリス君!落ち着くんだ!とにかく!一体どうなっていたんだ!?」
「は…はい…。調査結果…ですね?」
上司になだめられて落ち着きを取り戻したタリスは再び調査結果を記した紙を手に取った。
「彼女は本当に旧式でした。コンピューターとしても、ロボットとしてもです。一部ブラックボックス
になっている場所がありましたが、それ以外は何世代も前の旧式機械ですよ。」
「ま…まあ、確かに100年前に作られたロボットだからな。別に不思議に思う事でも無いと思うが?」
「だからそこが納得出来ないんですよ!!機体構造は旧式なのになぜあそこまで人間に近い動きが
出来るのか…。特に頭脳のAI部分なんかそれですよ!彼女の…ハガネさんはロボットでありながら
人格や感情がありましたからAIはさぞかし凄いと思っていたら…、これも旧式に過ぎない代物
だったんですよ!!情報処理速度も演算速度もメモリ容量も何から何までZ−12に搭載された物より
遥かに劣っている旧式コンピューターなんですよ!!なのに…なぜ…。」
>>恐怖の亀裂作者さん
あら〜・・・神様って意外と弱かったのかしら〜・・・w
まあ自然を操る事が出来るからその点も踏まえれば強いんでしょうけど・・・
それはそうとして、神の意志が人間になかなか伝わらないって事は
親の心子知らず(ってことわざでしたっけ?)に似たものがある様に思えます。
>>Inocent World作者さん
ついに因縁の対決が始まったワケですね。今後はどんな説教が出るのか?
なんてのも少し気になったりします。
>「――劉邦かッ!!?」
には笑いました。何の決め台詞かは分かりませんが・・・。もしかして項羽?
>>◆.X9.4WzziAさん
おお!新ネタ来ますかー!?どんなのか楽しみにしてますよ。
>>182 いや、劉「邦」はあんなかっこいいこと言わないと思います
スクライドの人のセリフだろうから、劉「鳳」ですね。
>>183 ああ、昔の中国の話じゃなくて、スク○イドの話ですか。
自分はスク○イドにはうといので分かりませんでした。
御指摘ありがとうございます。
「エゴによる戦いねぇ…大いに結構じゃないか、何が足りない?」
「その答えを俺に求めるというのか?」
ゴジュラスギガが前傾姿勢を取った。その足が床を蹴り、一足飛びで100m以上の距離を飛んでくる。
「俺の理想…俺の夢…能力者の自由! 俺が戦う理由に、何が足りないッ!!」
オレーグの顔が歪む。ギガの身体が空中で一回転し、長大な尾がマッドサンダーに叩き付けられた。
ルガールは逃げもせず、ただその一撃を3本の角で受け止めていた。
「お前の理想とは、自身の復讐心を包み隠す為の口実でしかない。故にお前の戦いはエゴだ…だが」
古代チタニウムの装甲が、マグネーザーの回転に耐え切れず破片を撒き散らして削れて行く。
「今現にこうして、俺はお前を圧倒している。何故だか解るか?」
「圧倒されてなど――いないッ!!!」
バスターキャノンの砲身が180°旋回し、ルガールはまともに乱れ撃ちを受ける形となった。
反荷電粒子シールドが傷つき、一瞬の隙を突いてギガが脱出する。
「その状態では、荷電粒子砲を受けきる事など出来ないな!」
ギガの身体が再び前傾し、一直線に伸びた尾から口までが一つの粒子加速器と化した。ルガールの全身を駆け抜ける感触。
ゴジュラス系特有の、身体に不釣合いな口に青白い光が集束していく。ルガールは機体を動かしもせず、ただ一瞬の時を待った。
「さらばだ、“ギルド”の犬」
勝ち誇ったようなオレーグの台詞。同時に、巨大な荷電粒子の渦が放たれる。
反荷電粒子シールドが傷ついた今、マッドサンダーに荷電粒子砲を防ぐ術は無い。
だが、融け出す筈のマッドサンダーは光の奔流を掻き分けて、ゆっくりとオレーグに迫ってくる。彼の顔に恐怖が浮かんだ。
「どうなっている? シールドはおろか、マグネーザーすら融けていない!!」
「俺がお前を圧倒している理由――」
粒子砲発射中は、身動きが取れない。しかし、今照射を止めてもマグネーザーに貫かれるのは明白だ。
逃げ場が無い――追い詰められたオレーグに、ルガールはとどめの一言を放った。
「――それを、教えてやる」
マグネーザーとサンダーホーンが、ギガの喉に突きつけられた。
「まず、エゴで戦うという事は『自分のためだけに戦う』という事だ。そこに理想の入り込む余地など存在しない」
ルガールの語調が変わり、オレーグは操縦桿を握る手に力が入らないのを感じた。
「…つまりお前は、組織に仲間が居ようとも自分一人で戦っているのだ。自分のための力しか使えない、自分の
為の力しか引き出せない――それがお前の、弱さだ」
今度こそオレーグは切れた。荷電粒子砲を撃ち止め、バスターキャノンを天井に向けて連射する。
「違う、能力者を救う事こそが、俺の本心だ! 復讐心を隠す為の口実などでは…!!」
天井付近で急旋回した砲弾の雨が降って来る。ルガールはそれを気にもせず、角をギガの喉に喰い込ませた。
「そうやって、お前は自分自身を騙し続けてここまで来たのか……弱さを見せないのは立派な事だが、
自分さえも騙し通してしまうようではいずれお前は身を滅ぼす」
降り注ぐ砲弾。巻き起こる爆発も、マッドサンダーの装甲に傷を付けることは出来ない。
「…ならば、お前は何の為に戦っている!? お前の言う強さとは何だ!?」
「俺は便利屋の常として、依頼主の側に立って任務を遂行する。自分のためだけでなく、他人の為に命を懸けるのだ。
自分以外の者の為に命を懸けて戦い、それが俺を強くする…俺は、そういう人間だ」
突然、マッドサンダーが大きく旋回した。マグネーザーの間に挟まれ、サンダーホーンで固定されたギガは
逃れる事も出来ずに床に叩き付けられる。受身を取る暇を与えない、「殺し」の投げだ。
一瞬にしてギガのコンバットシステムはフリーズしたが、オレーグの意識は不思議とはっきりしていた。
「…そして、それがお前の強さ……そういう事か」
「その通り。幸いにも、お前は若いし――仲間が居る。復讐などと過去の亡霊に囚われず、能力者の自由を願うその意思を
プラスの方向に活かせれば…お前にも、俺と同じ強さが持てるかも知れん」
戦況を見守っていたシヴァとラムゥが、コックピットをこじ開けてオレーグを助け出した。
「それに…俺には、大事な親友も力を貸してくれたからな…」
キズ一つ無いマグネーザーをちらりと見て、ルガールは笑った。
>>183 ぁあああ、トンデモナイ間違いを…わざわざ修正させて済みませんでしたorz
>>魔装竜シリーズ作者氏(以後これで呼ばせてもらっても構いませんか?)
上達…してるのでしょうけど、最近の文章でも「あぁ_| ̄|...○」な所が多数ありまして。
それはそうと、新作も楽しみに待っとります。恒例の予告編も。
>>鉄獣28号氏
何と言うか、自分の作品はいつも戦闘シーンが短杉とよく言われるんです…
しかし、戦闘のスピード感を出そうとするとどうしても短い文章に纏まってしまって
表現力無かー、なんて。悟空VSブウの様に数週間(数ヶ月?)続く戦闘は絶対無理だw
>>恐怖の亀裂作者氏
レトロなソフトですが、GBの「邪神復活!ジェノブレイカー編」を思い出しました。
アレは画質こそ初代ポケモン並みでしたが、内容は非常に面白くて今でも時々やってますw
しかしジェノブレイカーの戦闘力は「邪神」などと呼べるような代物ではなく
あまつさえラスボスが弱い! それ以来、ラスボスが弱いゲームは萎える体質に…
鉄獣28号さんへ
ブラックボックス!怪しい…謎は全てこの中かぁ!?
それはそうと神様達は以前のソウエンの言葉通り必要の無い器を作るのに力の大半を使用しているから弱い。
と言う事です。一応殻を始めから持っている者はその分力をロスしないで出現するので実戦力は文章であっさり始末されたロイヤルガードより格の高い神様が弱かったりする訳です。
Inocent Worldの作者さんへ
実は何方でも変わらない罠。ほうの字に関しては。歴史では何の能力も無い劉邦に項羽は追い詰められ同じ国出身の兵士に最後自分の首で幸せになれと言う意味で死んでしまったり。
〇〇〇イドのでも色々な人が劉鳳に追い詰められていますし…気分的には漫画版の「ビバはイタリア語。ノウレッジは英語だ!」が心にときめいた台詞だったり。
◆.X9.4WzziAさんへ
夏は地獄に落ちました。実際コミケの日は高熱で体がシステムダウンして動けなかったり_| ̄|○
次の御話は如何成るのか?楽しみです。
>>187 >Inocent Worldの方
戦闘シーンが短いという事ですが、別にそうも思わないけどな・・・。
それに、実力のある者とそうでない者の対決で、
あっという間に勝敗が決するなんて良くあると思うし。
個人的に冗長な戦闘場面が嫌いなだけなのかもしれないですけど。
>>188 >恐怖の亀裂の方
部下に恵まれるのも劉邦の能力ですから…
連投ですが如何なってんだ!?ええっ!?的な物を書いてしまったので。
【人名】
ハリソン=アーヴァンク:ネオゼネバス軍治安維持部隊所属、第1中隊指揮官で大尉、柔軟な頭で状況把握や判断力に優れる
名前に凝るタイプの人で格好が良いからと扱いにくいセントゲイルを乗機に選ぶ有る意味凄い人
レオル:レガシーオブオールドワンズの精霊、略すとレオオと成るため自分でこう呼ぶように念を押す悲しい定めを負ってしまった方
本質はヴィゾールの剣同様コアの外部意思端末である、暗き森の出身で相当機械科魔学に詳しい存在
それが魔術と呼ばれた頃より生きて来ただけ有り知識も豊富で契約の儀を持って黒山羊の王の力を現臨させる暗き森の主の娘の1人
アールマティ:元ネタは有る宗教の天使、意思の化身テレマ・スクラフトスの精霊で本体から離れながらもその力を振るえる邪を狩る天使
躾やマナーに五月蠅い模様
【ネタ】
クラス(階位):ここでは機械科魔学を行使する魔術師のランクを示す言葉で実評価は魔導機と術者の能力の平均値となる以下はそのランク
最高位:賢者の王(ロード・オブ・ワイズマン)
1位:大魔導士(グランソーサラー)
2位:大賢者(メジャー・セージ)
3位:賢者(セージ)
4位:達人(アデプト)
5位:魔導士(ソーサラー)
6位:高位導師(ハイ・ウィザード)
7位:導師(ウィザード)
8位:下位導師(マイナー・ウィザード)
9位:高位魔術師(アーク・メイジ)
10位:魔術師(メイジ)
11位:下級魔術師(マイナー・メイジ)
12位:高位術師(メジャー・ユーザー)
13位:術師(マジック・ユーザー)
14位:低位術師(マイナー・ユーザー)
の全15階位カッコ内外共にかなり適当なので鵜呑みは厳禁、最高位のみは大魔導士で且つ魔導機のランクも同等だった場合の評価(この話では出て来ません)
「所で大佐?あの角付きの女性が言っていた階位って何ですか?」オペレーターの1人が緊急時というのにそんな事を聞いてくる。
「ああ…あれは機械科魔学の嘗て魔術と呼ばれた頃に有った術者の評価だ。術者には知識と認識力、対術抵抗力でそれの最低ラインがランクになるそうだ。」
以外とアービンはすんなり答えを出す。その理由は秘かにそれを正当な形として学術体系と技術体系に出来ないかと其れ等の書物を漁っていた折にこの状況に成ったからだ。
科学オンリーでは解明できない古い技術。それを解明するには機械科魔学が必要なのでは?と思っていたのだ。
「そう言う状況か?よし対空砲火!樹液を迎撃せよ!」ファイン等の報告を受けアービンは直に迎撃を指示する。124門のレーザー機銃が樹液の雨を蒸発させる。
「ベルゼンラーヴェ及びテールディザスターの出撃準備は出来ているかっ!?」その声に「おう!こっちは一応万全だ!しかしベルゼンラーヴェの銃の弾丸がきつい状況だ!加工に手間が掛かっている!」
やっぱりと帽子を深く被り直すアービン。確かにそこら辺に転がっている鉱石が原材料だが加工に手間が掛かる。その為利用する者はまず居ない鉱物の弾丸だったのだ。
「デスアナライザーFF帰還します!」報告を受け「了解した!直に機体を乗り換えさせろ!テールディザスターの護衛はベルフとファインに付かせろ!」
機体に飛び乗った時と同じ要領でテールディザスターに移動する。「それでは!」その後ラミューズを降ろして自分はベルゼンラーヴェに同じ要領で移動する。
「すまねえ!弾が無い!今有るのが全部だから無駄撃ちするなよ!」整備班長の声が聞こえて来る。「了解であります!あの萬頭竜樹に全弾叩き込んで叩き切って来るでありますよ!」
「だから!大切に使えって言ってるだろ!」冗談とは解っているが実際銃撃で叩き折るにはそれぐらい必要な気もする。「背中のレールガンも使ってやれよ!そっちは万全だ!」
機体を見るとまた少し装備の位置が変わっている。羽が自由に動く様に調整や取り憑け位置の変更が行われている。一度とて同じ姿で出撃していない相棒を見やり親指を立てて「それでは参りましょう!母上様!」
そう言って機体に乗り込む。機体の機器に光が灯り出撃の準備が完了する。「ベルゼンラーヴェ!只今より化け物大木を伐採に参る!」そう言って出撃した。
機体を起動させた拍子に銃と羽、尖角刀が手元や背より消える。「そう言う物であったのでありますか…ふぅ。」
ベルゼンラーヴェのコンディションモニターに空っぽ鳥の翼であるアスピトルテの外套が表示される。しかも…「大きくなっていませんか?」
明らかにスケールが違う。前は背中に今の1/2程の大きさで今の状態から見れば可愛く決まっていた筈なのだが今は機体を被うその名の通りの外套状態。
軽くはばたかせてみると土埃が舞い上がり整備班長から非難の声が上がる「くぉら!弾丸の制作の邪魔をするな!さっさと行け〜!」「りょりょっ了解であります!」
慌ててベルフやラミューズに合流すべく飛び立った。
「今度は前より多少楽に飛べるみたいでありますね…しかし尖角刀は何処に行ったのでありましょうか?」そう言って機体を見ると…尾に付いていた。「某怪獣みたいでありますね。」
尾をぶんぶん振ってみると風を巻く音が聞こえ何と飛行バランスが派手に崩れる程気流を変える。「おおっ!?何と恐ろしや。」そんな事をやっている内にベルフ達に追い付く。
「やっと来たね。遅いぞ!もう!」もう戦闘が始まっているらしく瓦礫が大量に増えている。重砲撃タイプの機体に無理に近付こうとした結果だろう。
中にはまた起き上がり襲い掛かろうとする者が居たが合流初仕事としてベルゼンラーヴェの尾の黒の尖角刀の試し切りの露と消える。威力は上々鋭いながらも鋸刃の様な刀身は修復が非常に難しい形に対称を切断する。
再生能力が強くともそれが発現不全になれば無駄な部分の膨張等を起こし破れてしまう。かなり痛々しい状況だがしょうがないだろう。
しかも如何やら尾から切り離して更に二つに分かれ手にも握れるらしく両手に持って先陣を切って突撃するベルゼンラーヴェ。烈昂の気合いと共に振り抜かれた角はそれぞれ数体の寄生体や異形、それの率いるゾイドを薄紙の様に引き裂く。
「ひょ〜う!良い切れ味だね!流石トレースフィードバックタイプは違うねぇ〜。惚れ惚れしちゃう〜!」「おだてても何も出ないでありますよ?少佐殿?」緊張感に著しく欠けるやり取りにラミューズはコクピットに忘れ去って居たレビオスに話しかける。
「大丈夫かな?」その問いに答えられる訳も無くレビオスは首を傾げた後嬉しそうに唸る。「そんな事解る筈無いよね。」頑張るしか無いと思う。答えは無いから。
見上げる竜木は既に葉を茂らせており竜の口やら葉やらから何かを大気に吹き出している。それが何か非常に危険な物に感じられる当事者。
それを遠く特別追加装備をした光学迷彩を行い空に居るテレマ・スクラフトス。「エボルシオンバロックは一応これで終了だね。後は賢き者の復活だけだ。」
そう言って歪んだ神樹を眺めている。「タイムアップと同時に対称を破壊します。宜しいですか?」アールマティの問いに「大丈夫だよ多分。その時の為に待機してるんだから…。」
遠く空の上から戦場を見下ろしベルゲンは思いを馳せる。これから先に起こるだろう怪異の祭典とその終幕。その先に在る新たな混沌と秩序を見越して舌舐りをする。
それを見てアールマティはまた始まったと思う。遊びが過ぎるご主人様。また何か仕出かさないか監視するのもその役目「嗚呼…不安です。」心配で溜まらない様だった。
「疾ィィィ!」尖角刀を奔らせる。これで二百数十体目。幹に近付く程にその数が増えている様な気がする。実際にも数は多いが近付く度に戦力が増強されている様な気がして成らない。
「良し!突撃!」直立疾走ドリル状態でTFAIを侵攻させるベルフ。「後もう少しです!もう少し近付ければ結界果を使用できます!そうすれば増援は無くなる筈です!」ラミューズがそれを2人に伝える。
「「仰せつかりました!お姫(ひい)様!」」同時にそれに答えるファインとベルフ。「何処の誰の事でしょうか?」乗って来ずにネタ振りを引っ張られ空回りし空気がしらける。
「「うわぁぁぁん!おねえちゃんがいぢめるぅぅぅ!」」そう言って八つ当りの様相を見せる2機の攻撃。しかし更に数が多く鬱陶しくなった為面倒くさがりな2人は…「「ドリルスマッシャー!」」
突然ベルフのTFAIを抱えて胴体に接続するベルゼンラーヴェ。そのまま出力が上昇したドリル形態のトライホーンを誘導砲身として強力な高収束渦旋ビーム砲を使用する。
「合体攻撃…。」上空で見ているアールマティは美しくないと目を覆う。それだけ野蛮極まりないビームの竜巻が敵戦力に襲い掛かる。このパターンのお約束の大惨事の爪痕を残し敵戦力の中央を叩き割り幹に激突する。
その結果幹は倒れなかったが深刻なダメージを与えたらしく吹き出していた何かの発生が止まる。「「良し!今度こそ止め!」」もう一度ドリルスマッシャーを放とうとする。
しかしそれを阻まんとボスらしき存在が登場する。地面から出来た影より姿が浮き上がり接続部分を乾坤一擲の一撃で接続部品を破壊する。
「「あれ〜っ!?」」情けない声を上げて2機は分離転倒。素早く立ち上がりそれの追撃を躱す。そしてそれを見て「「「…。」」」今度はラミューズも混じってじっとそれを見詰める。
如何見てもドリルだった。嫌と言う程ドリルな頭部だった。更に手や足まで問答無用にドリルだった。体も見たままのドリルだった。モグラらしいのだがドリルだった。
投げやりにまでドリルで完全武装のドリルモグラだった。「「「そこまでやらなくても…。それにそんなにやる気満々に猛り狂われても…。」」」思わず目を背けてしまう。
猛り狂った頭部のドリルより強力な熱量を感知する。素早くベルゼンラーヴェを前に出しアスピトルテの外套を盾代りに防御体勢を執る。
しかしそれの一撃はベルゼンラーヴェ、TFAI、テールディザスターを紙吹雪の様に吹き飛ばす。ドリルより発せられた超特大の熱風の嵐が吹き荒れる。
テールディザスターは兎も角トライフォートレスの機構には飛行能力が無い。落ちれば全損間違い無しだ。「おーい!ベルフちゃ〜ん?大丈夫でありますか〜?」飛び散るパーツ群に問う。
「こっちは大丈夫でちゅよ〜!マイブラザ〜!」まだ投げやりムードが取れていない。しかしそれもそこまでだった。
「「飛んで来た〜っ!?」」何とドリルモグラは華麗に背中のロケットブースターを使用して高速回転して突っ込んで来る。背部にしまっていたフレキシブルウェポンドライバーをレールガンにして構える。
モードはフルオート。「ディスチャージ!」強力な推力とEシールドを纏い発射される炸裂弾の数5つ。それらが狙いを違わずドリルモグラに殺到する。だがその高熱が炸裂弾を犯し着弾前に爆裂してしまう。
Eシールドでは熱伝導を防ぐ事はできない。その為位相を発生させた弾塊が破裂する際に起こった空間位相の修正作用で衝撃波を起こして空間が元に戻る。その流れで軌道がずれる。
更にベルゼンラーヴェ周辺にまで引っ張られた体は明後日の方向に移動方向を修正され難を逃れる。その間にパーツ群を拾い集めるベルゼンラーヴェ。「これで最後!」ごっちゃりしたパーツの山に最後のピースのコクピット。
「助かったよマイブラザー!」ベルフの顔は一連の出来事で青く成っていた。
「元に戻れそうでありますか?」「無理無理!そんなに速くできないよ!」「とっ取り敢えずこの場から離れないとってま〜た来た〜っ!」
「今度は私が!」黄金砲で彼の自慢のドリルを砲撃するがそれもドリルに弾かれてしまう。パーツの山を抱えて逃げるベルゼンラーヴェ。
それを追い掛けるドリルモグラ。恐怖の鬼ごっこが始まる。
もう何処でも構わず逃げるトライフォートレスのパーツの山を抱えるベルゼンラーヴェ。敵陣の真っただ中を突っ切る。それを追い味方を抉り散らすドリルモグラ。
更に戦場には凄惨を極める状況が出来上がる。何時までも追い縋るドリルモグラ。この力は間違い無く邪神レベルの物。しかも体を鎧う姿は別の力で作られた物。
外殻と言う制限こそ有るがそれ以外は全ての力を破壊力に還元できる強敵の中の凶敵。誰が作った物なのかは最早如何でも良い。しかしこの巫山戯たドリルモグラ。
それが今彼等を脅かす驚異で有る事には間違い無い。
少しづつ再構成を続けるトライフォートレスだが余り激しく作業を続ける事は出来ない。何より抱えて逃げてくれているファインのベルゼンラーヴェに過剰な負担となるからだ。
「お〜いおい。すまないねぇ?」何かを切り出す為にわざとらしい台詞で注意を引くベルフ。「何か良い手でも?」その言葉に「勿論!後少し敵陣の中を…ブロックスの中を逃げてプリーズ!」
「了解であります!ウィムシュー!」アホな会話をしながら算段を付ける。
逃げる場所を探す。居た。ブロックス系統の敵戦力。「はははっ。それ〜い!」更に投げやりな台詞と共にそれらに分け入るベルゼンラーヴェ。それを追い襲い来るドリルモグラ。
当然大分解祭が始まる。破損非破損お構い無しに最小構成単位のパーツに分解される敵戦力。しかしこれが起死回生の手立ての初手である。それに紛れさせてベルフの機体のパーツを小出しに投棄する。
その内ベルゼンラーヴェの手の中よりパーツの山が消失して身軽になる。そして次の手。ベルゼンラーヴェを空に逃げさせる。それを追うドリルモグラ。後はベルフの腕次第。残りの手を委ねる。
その間空中でドリルモグラの邪神を迎え撃つ。下からはラミューズの支援砲撃がドリルモグラの動きを制限する。その間にショックガンランチャーやグレネードランチャーで攻撃を仕掛ける。
しかし追撃は執拗で遂に右前脚のドリルが機体を抉る…。
「そ…そんなに不明な部分が多いのか?」
またもや狼狽したタリスに、流石の上司も心配そうな顔になっていた。
「と…とにかく、彼女の構造は旧式そのものです。であるにも関わらずにあれほどの動きと思考が可能になっている原因は今の所は分かりません…。」
「というと…もし仮に我々が彼女と全く同じロボットを作ったとしても…。」
「ハガネさんのようにはならないでしょうね…。」
タリスはゆっくりと頷きながらそう言う。と、再び彼女は口を開いた。
「ただ、彼女の事を旧式と言いましたが、その一方で特筆するべき場所があるんですよ。」
「特筆するべき場所?」
タリスはまたもゆっくりと頷いた。
「ハイ。私も感心したハガネさんの特筆するべき場所は、あの外見からは想像も出来ない程数々の
武装を満載しているとか色々ありますが、特に“装甲”と“オートリペア機能”があげられます。」
「装甲とオートリペア機能?」
「ハイ。まず装甲についてですが、これはかなり強固な物になっています。」
「強固とは?一体どれくらいだ?」
「ハイ。ハガネさんの装甲に使用されている素材は“D型特殊超鋼材”と“ハイセラミックス005”
の二つの素材を使用した複合装甲、つまりスーパーサーメット構造になっているわけです。」
「専門外な自分には…な…何かよくわからんが…そんなに凄い素材なのか?」
タリスはまたもゆっくりと頷いた。
「その通り、かなり強固な素材です。特に“D型特殊超鋼材”は一般的に超重装甲と呼ばれるそれに使用されている素材ですからね。」
「そ!それはかなり固いって事じゃないか!?」
「そうです。さらにその上からのサーメット構造になっているので、素材強度という点だけなら
デスザウラーのそれをも上回っているでしょう。実際彼女の体型から装甲の厚みという点では
かなり薄めと言えるのですが、その素材のおかげで防御力という点ではかなり高くなっています。」
「う…。」
その凄さに上司は黙り込んでしまった。しかし、タリスのうんちくはまだ続く。
「次にオートリペア機能です。これはこちらでも解析不可能な技術が使われている様子で、詳しくは
まだ分かっていませんが、機体そのものを随時修復するシステムだと思われます。」
「と、言う事は…ハガネが100年経った今でも金属疲労などを起こしてない理由は…。」
「ハイ。おそらくはこのオートリペア機能によって随時修復され続けてきていた事が理由になるかと…。
もちろんオートリペア機能そのものも随時修復され続けていますから理論上は反永久的に稼働し続ける事が出来ると思われます。」
上司は唖然としながらゆっくりと椅子に腰掛けた。
「フウ…、凄いのか凄くないのか良くわからん奴だなアイツは…。」
「いずれにせよハガネさんが旧式のAIであるにも関わらず、なぜ人間と違わぬ人格を持つのか?
という点は今だ持って分かりません…。本当にハガネさんは一体何者なのでしょうか…。」
分からない事づくじの事実に上司は思わず腰掛けていた椅子に深く寄りかかった。
「ハア…。まるで心霊現象みたいな奴だなアイツは…。というか本当に誰かの霊が乗り移ってんじゃねーのか?」
「心霊現象か…。技術屋の私としては否定すべき物なのですがここまで不可解な事が続くと…。」
「世の中科学では解明出来ない事もあるとはよく言った物だな…。」
二人は互いにため息を付いた。
「さ〜て!何を食べる?チョコちゃん?」
夜の街に繰り出したハガネとチョコの二人は飲食店街を歩きながら夕食を食べる場所を探していた。
と、そんな時、人混みに紛れてアタッシュケースを持った黒服+サングラスの男が歩いているのが見えたのだった。
「(あの人…この間の社内見学してた時にもいたよね…。)」
他の人間は気にも止めていない様子であったが、ハガネは違和感という物を感じずにいられなかった。
そして、その時にチョコが黒服の男を指差しながらハガネの服を掴み引っ張ったのだ。
「あの人…。やっぱり血の匂いがする…。」
「…………。」
黒服の男は特に何をするワケでも無く去っていったが、やはりチョコが気になっている様子もあり、ハガネも違和感を感じずにいられなかった。
「(何だろう…。何か嫌な予感がするのは何故だろうか…。)」
とは考えてみた物の、やはりそんな事考えても仕方がないので二人は夕食をする場所を探す事を再会した。
ハガネとチョコが怪しがっていた黒服の男は路地裏の細い道に入っていた。そして、彼はそのまま
さらに地下室のような物にへと入っていった。その地下室には、彼と同じように黒服+サングラスをしている男が数人いた。
「で、首尾はどうだったか?」
「ああ!万事OKだ!ゾイテック社の下見もした上で、社内の見取り図も手に入れた。」
「ならば…いつでも作戦は決行出来るという事だな?」
「それじゃあチョコちゃん!言ってくるね!」
それから翌日、ハガネは寮を出て再びゾイテック社へ出勤して行こうとし、ドアの前まで来た時だった。チョコが突然ハガネの服を掴んだのだ。
「どうしたの?チョコちゃん?」
「気を…付けて…。」
「気を付けて?って…まあとにかく!行ってくるよ!」
そうして、チョコに見送られながらハガネは出勤していった。
「(普段からあまり喋らないチョコちゃんが自分から話しかけてくるなんて…これは何かあるのかもね…。)」
ハガネは内心そう思いながら社へ歩いて行った。
「到着〜っと!」
そうしてハガネはゾイテック本社の門の前までやって来ていた。と、その時、社の入り口から一人の男が出てきた。
「ん?あの男は…。」
その男はハガネが何度も見かけた黒服の男だった。また、その手にはアタッシュケースが握られている。
が、男は何かするでも無く、そのままハガネとすれ違う形で社の外へと出ていった。
「あの男…やっぱり社員か何かなのかな?かと言っても何か他の社員と雰囲気が違うような…。」
ハガネは去っていく男の方を見ながら、彼から発せられる空気に違和感を感じていたが、すぐに向きを戻した。
「まあ考えても仕方がないからいい加減チェックインしよう!って…ん?」
社の方へ向いたハガネの目にある物が飛び込んできた。本社ビルからやや離れた場所にあるゾイテック
私有演習場に、何かのゾイドが沢山並べられているのが見えたのだ。やはりそれに気になったのか、
ハガネは自らのメインカメラ、つまり人間で言うところの目にあたる部分をズームした。
「あれは…ゴジュラス…。何であんなに沢山?」
彼女の言葉通り、演習場に並べられているのはゴジュラスだった。しかし、1体2体では無い。
もはや10体以上のゴジュラスがそこに並べられていたのである。
「(あんな数のゴジュラスならべて一体何をするつもりなんだろう…。)」
ハガネはやはり気になっていたが、ずっと考えていても仕方が無いのでそのまま本社ビルへ直行し、チェックインするのであった。
「おっはようございま〜す!」
「お…おはよう…。」
社内のラボに入ったハガネは勢い良くそう挨拶をし、他の社員も少し戸惑いながら挨拶していた。と、その後でハガネのもとへタリスがやって来たのであった。
「ハガネさんおはようございます!」
「タリスさん!昨日私の身体調べた結果はどうだったの?」
「う…。」
朝一番で尋ねられたその言葉にタリスは沈黙してしまった。何しろ結局調べ損だったのだから…。
「どうしたの?タリスさん…。」
「ま!まあ…結果は上々ですよ!我が社としても参考になります!」
焦り顔で返答するタリスに、ハガネはニッコリと微笑んだ。
「そう…ならお役に立てて良かったよ!」
「そ…そうです…ね…。」
タリスはやはりその顔に焦りが浮かび、冷や汗を必死にハンカチで拭いていた。と、その時ハガネがタリスに問いかけた。
「そうそう!さっき社の近くにゴジュラスがぎょーさん並べられてたけどあれは何?」
「それは社をガードする為ですよ。最近物騒でしょ?テロとかあって…。」
「そんな物かな〜…。」
と、ハガネは腕を組んで周囲を見渡した。その時、ラボにレイズタイガーの姿が無い事に気付いたのである。
「そういえば…レイズタイガーはどうしたの?」
「え?レイズタイガーですか?それならこちらへ…。」
ハガネはタリスに連れられて演習場まで来ていた。そこでは演習場を疾走しているレイズタイガーの姿があった。
「うわ〜修理終わったんだ〜!でも…何か動きがぎこちない様な…。」
確かにレイズタイガーは疾走しているが、ハガネはその動きに違和感が感じた。何というか、動きがぎこちなく感じられ、ただなんとか走っているという感じがしたのである。
「(何というか…死んでるような感じ…。確かに動いているんだけど…けど死んでる…そんな感じがする…。)」
ハガネが内心そう思った時、レイズタイガーがこちらへ戻ってきていた。
>>恐怖の亀裂作者さん
久々に植物系(?)みたいな敵が登場しましたね。
ドリルモルガならぬドリルモグラと言う結構シンプルなのも出てますし。
それにしても術者にも色々ランクがあったんですね。何においてもピンからキリまで色々いる事を再認識させられます。
>>Inocent World作者さん
何の為に戦うか・・・について結構考えさせられる話でしたね。
それを読んだ後、”大戦を生き延び、戦後を楽しく愉快に生きる為”に戦っていた、
自分の話の前作主人公は一体なんだったんだろうとか色々考えてみたり・・・orz
まあ、別にたった1人で戦ってたワケじゃ無いんですけどね。
それはそうとして、悟○対ブ○はそれほど長期戦にはなっていませんよ。
むしろ対フリー○とかの方が結構長かったりします。
自分の話は戦闘シーンも人間ドラマもつい長々とやってしまうのですが、どう思われてるんだろう?とか思ってみたり・・・。
鉄獣28号さんへ
レイズタイガーの謎。如何してぎこちない動きなのか?本能を無理矢理に押さえ付けられているのか?
まるでウェブコミックのイクスみたい。
戦う理由は良いんじゃないですか?家の作品の輩共は多分殆どの人が戦争が終わるなんて思っても居なさそうですし…。
その上終わってもだらだら軍でのんべんだらりと生きてそうです。定期収入ヤホーイ!な感じで。
軍属ライフを面白可笑しく生きてそう…_| ̄|○
「だああっ!?」右肩装甲の上部を削りながらドリルが通り過ぎる。それだけならまだ良いのだが当然熱風のおまけが付く。
更に上空に飛ばされ状況確認が困難になるベルゼンラーヴェ内のファイン。「え〜…レーダーレンジ圏外?また飛ばされたでありますか。ううっ…。」
しかしレーダー圏内にはドリルモグラがドリルをるんるん回して止めを刺そうとする。そろそろ準備は整っているのだろうかと思っていると「準備完了したよ〜!」
通信が入る。通信機能だけレンジが長くてもと言う不満は多々有るがそれを頭の中から揉み消しオペレーション”ドリルブレイカー”を発令する閃光弾を真下に撃つ。
「おっ来た来た〜!ラミューズちゃん?準備は?」「大丈夫です!あんな馬鹿っぽい相手は早く殺ってしまいましょう!」何か余っ程ドリルモグラが嫌いらしい。
妙に気合いの入ったラミューズから行動を開始する。ドリルモグラを引き連れてベルゼンラーヴェが戻ってくる。地表に激突寸前にESBストライクで後方に飛び退く。
ドリルモグラはそのまま地面を掘り進みやがてベルゼンラーヴェの足元に戻ってくる。
飛び出すドリルモグラとは回転方向と逆にマグネッサーを起動させて更にマグネッサーの磁力発生機を回転させる。ベルゼブブ戦の再現だ。しかし今度は機体全体がドリル。
そう簡単に動きは止まらないだろう…しかしそれで良いのだ。回転数を押さえる事さえ出来れば良い。元々そう言う作戦だ。
テールディザスターの黄金砲が虚空に放たれる。可能な限りの連射。ドリルモグラは狙いをベルゼンラーヴェに絞っていた為がっちりとマグネッサーの抵抗に遭う。
その上更にアスピトルテの外套を被せて同じ方向に干渉されるマグネッサーで全てのドリルの回転数が急激に低下していく。
それでもドリルの回転が収まらないのはマグネッサー機構のみで制作されていないからと中身の邪神の力の賜物である。ドリルの先端に有るレーザー砲やビーム砲が熱限界で機能を停止したホロテックルーン装甲を焼く。
消滅や爆発こそし無いがゆっくりと溶解していく。「まだまだ!」更にマグネッサーの出力を上げる。遂にはドリルモグラとベルゼンラーヴェに地表やら割れ砕けた岩盤から磁力に引かれて金属片などが2機に纏わり付き始める。
その頃ベルフは戦場に余りに余ったブロックを円状に設置して強力な磁力線発生機を作り上げていた。
「超大型電磁誘導シールドドームバージョン!始動!」にやけ顔でスイッチを押すベルフ。
ブロックの真円形に沿って強力な半球状の電磁誘導シールドが発生する。それは黄金砲からの砲撃の軌道を半球の頂点に集めていく。
頂点にあるのは本来有るべき磁力線の”帰り道”の集合体。それにバッティングマシンの要領で収束したエネルギーや弾丸を打ち出す射出口。
そこにエネルギーと弾丸が収束されるのを待ってドリルモグラを押さえ付けているベルゼンラーヴェ。勿論その円のその半球の中心部に居る。
「砲撃来るよ〜!」ベルフの声が通信機から雑音混じりで聞こえて来る。「了解!寝てろ!ESBストラーイク!」吐き出す様な気合いと共にそれを放つ。
その勢いでこびり付いてる金属粉やら金属分旺盛な鉱石をまき散らしながらドリルモグラから高速で離脱する。その眼下に直視するのが危ぶまれる程の閃光の柱が降り立つ。
鉄槌を下すかの様に…。「「「っ!?」」」
それまでしてもまだドリルモグラはそこに居る。確かにボロボロになり溶けたホロテックルーン装甲の金属と周囲の鉱石やら金属粉と癒着しドリルが回らなくなり銃身が蓋をされている。
それでもまだドリルを使えないドリルモグラとして生き残っている。初めて聞くドリルの駆動音とロケットブースター以外の音。「ぐあっ!?」「きゃあ〜!?」「うぐぐぐぐ…。」声という領域に収まらない声。
しかしそこにレールガンの弾丸が叩き込まれ爆発を纏い転げ回るドリルモグラ。「対衝撃及び対音波防御!ソニックスクリーン展開!」ベルフの機体から対衝撃、対音波防御用障壁が彼等の3機を護る。
レールガンもベルフのトライフォートレスから発射されている。
しかも良く見れば何時の間にかベルゼンラーヴェのフレキシブルウェポンドライバーを背負って居た。「「秘技!スティールアームズ!」」戦場なので深くは突っ込まないがとても姑息な秘技だった。
意表を突く事が重要な局面の為に秘かに練習していたパーツ摩り替えの妙技。これ程華麗に決まるとは思いもしなかった2人の気分は間違い無く上機嫌だった。それも冷め止まぬままに真面目に砲撃で応戦しているラミューズの前を通り抜ける2機。
「1人足りないでありますが…。」「逝って見よ〜!」「「ランページドラグーン!ツヴァイト!」」2匹の機獣が戦場を稲妻の如く駆け抜ける。
馬鹿は祭が好き。とは言うがこれを見ているヴィゾールの剣は少々気分が悪い。「早過ぎる!対応が間に合わん!1人では限界だというのか!?」
素早く戦力を集中させて止めを刺そうとする2機の行く手を阻まんとするがすぐ近くに居る機体や異形ではサイズ差で吹き飛ばされるのが関の山だ。
「やっと儂等の出番と言う所だなヴィゾールよ。」その声に振り向くヴィゾール。姿が無い為その仕草は全く無いが…。「フューチャーズリベリオン…行くのか?」
「その為の儂等だ。」声の主と幾つかの影が消え失せる。
トライフォートレスのトライホーンがドリルモグラを突き上げ空中に放り出す。それをベルゼンラーヴェが地上に叩き落とす。落下地点でトライフォートレスの一斉射撃の後それを践みまくる。
そこにベルゼンラーヴェが合流し一緒になって踏み続ける。だんだん原型を留めなくなるドリルモグラ。もう一度宙に投げ飛ばす。
何時の間にか黒の尖角刀を右足の踵に装着したベルゼンラーヴェが後ろ向きに飛翔しドリルモグラの上半身と下半身の丁度中間の位置に来る。
「ディスラッシュサークル!」右足のESBストライクが起動し機体に後ろ回し蹴りを強引にさせる。円の軌道で放たれた踵の尖角刀は横一文字にドリルモグラを両断する。
それが分れる前に止めは地上からトライフォートレスの大口径ビーム砲の一撃。両断されビームに貫かれたドリルモグラは間を置いて爆裂。鉄塊に変わる。
撃破の余韻を噛み締める寸前レーダーに無数の機影が発生する。敵の増援だ。しかしこれまでとは毛色の違う敵にとんでもない挨拶を貰う事になる。
空中に幾つもの偃月刀が舞いヘベルゼンラーヴェに迫る。「うわたぁっ!?」それを素早く回避するが更に第二波が飛び込んで来る。避けられない位置への投擲。
甲高い金属音が幾つも上がる。その後そこには2枚の翼の外套を切り落とされ三振り程偃月刀が装甲を貫通し残り直撃の場所で真剣白刃取りの要領でそれを手で挟んでいるベルゼンラーヴェ。
一気に機体損傷度が上昇している。「AZエクスブレードっ!?一体如何言う事でありますかっ。」地上の機影のアナライズデータが送られて来る。
「アンノウンブロックス!?しかもこのタイプは…帝国系列の物!?」眼下に機影が見えて来る。小型の機体。背に2挺のいや2振りだろうか?何方とも付かぬ武装を背負いその頭部には機体に刺さっている刃。
「修理完了したレイズタイガーの調子を見るためにZ−12に操縦させて見たんですが…
やっぱり学習中のZ−12ではまだまだ上手く行きませんね。暴走はしませんが、性能は上手く引き出せてませんから…。」
レイズタイガーのコックピットから降りてきたZ−12をこちらへ呼び寄せたタリスはやや困った顔でそう言っていたが、ハガネはある事に気付いた。
「そうだよ!!すっかり忘れてた!!一昨日、テストパイロットが乗った時にレイズタイガーが暴走したでしょ!!?その原因とかまだ教えてもらって無かったのよ!!」
「そ…それは…。」
痛い所を突かれたのか、タリスはまたも黙り込んでしまった。
「それにさあ!その暴走して、中のパイロットが気絶した時に他の社員が言っていたのよ!
また気絶したのか!?ってね…。もしかして、それと同じ事が過去にもあったって事じゃない?」
「それは…。」
タリスの額から汗が流れ落ちていた。
「やっぱり図星でしょ?前にも同じ事があった…と…。それに…あのゾイドも何か普通のゾイドとは違う何かが積まれている見たいだし…。」
「そ…そうですよ…。もうここまで来たらごまかしも利きませんしね…。」
すっかり観念してしまった様子で、タリスは素直に事の真相を話し始めた。
「それについてはまずレイズタイガーが何なのかという事をお話しする必要があります。
レイズタイガーには…実は3体存在する伝説の古代虎の1体…"蒼のコア"を持つ虎型ゾイドのコアが使用されているのです…。」
「ほお…。」
「って驚かないんですか?」
素直に納得して頷いていたハガネに、タリスが戸惑っていた。彼女は伝説のコアを使用していると聞けば誰もが驚くと思っていたのだ。いや、思わなくても大抵驚くけど…。
「まあ、何というかさ…。今までにもまあ色々いわく付きのゾイドとか見てきたからね…。ぶっちゃけ霊体験なんかもあるんだよ…私は!」
「ロボットが霊体験なんて…ウソでしょ?第一そんな非科学的な事…。フフフ…。」
タリスが冗談交じりでそう言った時だった。ハガネの顔に怒りが満ちあふれてきたのだ。
「0111011010100010110111001110101011110!!!!!」
「ハガネさん!!落ち着いて!!言葉が二進法になってる二進法になってる!!!」
ハガネはよっぽど怒っていたのか、思わず言葉が二進法になっていた。彼女ははこう見えても超常現象
の類に興味を持つロボットという不思議な奴であり、大戦中も、暇さえあれば戦いのどさくさに紛れて
その手の調査を趣味で行ってきた。さらに、大戦が終わり、平和な時代がやって来た後はさらにその
行動にも拍車が掛かり、"機田 葉芽音"というペンネームで本まで度々出した事があるのである。
そんな彼女の自慢は霊体験があるという事であり、それこそが彼女が超常現象に目覚める原因にも
なっている。その時の体験談に関しては、「ガイア山の魔物」を参照してくれるとありがたい。
とにかく、ハガネは超常現象をバカにされた時に言葉が思わず二進法になってしまう程の怒りを見せたのである。
「ハガネさん!落ち着いて下さいよ!!謝りますから!!」
「ったく〜…。これだから技術屋は…。世の中科学では解明出来ない事もある事がなぜわからんの?」
「科学の力で生み出されたロボットの言うセリフではないと思いますが…。」
「0100111001010110011001100!!!!」
「また二進法になってる二進法になってる!!!!」
その後、どうにかハガネを落ち着かせたタリスは再び本題に入っていった。
「前述の通り、レイズタイガーは伝説の古代虎のひとつである"蒼のコア"が使用されているのですが、
その"蒼のコア"に問題があるのです。やはり伝説の名は伊達ではなかった様子で、まだまだ我々には制御しかねる要素がいくつも存在しているワケです。」
「制御しかねる要素?」
ハガネの言葉にタリスはゆっくりと頷いた。
「ハイ…。伝説の古代虎のコアは未知の部分が多い上にハッキリ言って強大すぎるのです。
そのあまりの出力の高さから来る高発熱に身体そのものが耐えられないという問題があったのですが、
レイズタイガーは体中に放熱チューブを張り巡らせることでその問題はクリアしました。我々はこれでレイズタイガーを完全に制御することが出来たと思ったのです。しかし…。」
「あの暴走事故か?」
またもタリスはゆっくりと頷く。
「そうです…。何度やっても突然中のパイロットが原因不明の絶叫を上げたかと思うと気絶し、
レイズタイガーは暴走をしてしまうのです。これだけは今だに原因が分かりません…。
Z−12に操縦させた時や、人工知能を搭載した自動操縦や遠隔操作ならば暴走こそはしませんが
そのポテンシャルは全くと言っていいほど発揮できませんし…。本当に分からない事づくしなんです。
やはり古代虎には我々にも及び付かぬ力があるのでしょうか…。それとも…これが伝説に手を出したむくいなのか…。」
悲しげな目になるタリス。が、対照的にハガネは真剣な目になった。
「で、それで今まで何人のZiファイターが犠牲になって死んだんだ?」
「べ!!別に一人も殺してはいませんよ!!コックピット内で気絶したパイロット達だって
別に死んだワケではありませんし、彼等の入院費などもこちらが負担しました!!」
「そ…そう…ならいいんだけど…。本当ならね…。」
「本当ですよ…。」
タリスは一度深呼吸し、再び口を開いた。
「ここまで不可解な点が続くと本当に私達は自信を失ってしまいそうです…。原因不明の暴走を起こす
レイズタイガー…。構造は明らかに旧式のロボットなのに不思議と人間に違わぬ動きをするどこかの誰かさん…。」
「ちょっと待て…さり気なく私に対する愚痴言ってるんじゃない!」
「あ…バレました?」
ハガネに睨まれたタリスは苦笑いをしながら青くなった。が、ハガネはレイズタイガーを見上げた。
「とにかくだ。私はあのレイズタイガーに乗る事にするよ。じゃなきゃ何の為にわざわざテストパイロットのバイトに応募したのか分かんないじゃない?」
「確かにそう言ってくれると嬉しいです…。しかし、その一方でまたレイズタイガーが暴走してハガネさんに危害が及んだらと思うと…罪悪感で…。」
タリスは悲しげな表情で胸を押さえていた。しかし、ハガネは対照的に笑って言った。
「大丈夫大丈夫!私を舐めてはいかんよ!これでも昔はOS未調整どころか、OSを上げられるだけ
上げて生身の人間じゃあコックピットシートに座った途端に即死する程のデススティンガーを乗りこなした事があるんだよ。その位なんとかしてみせるよ!」
「……………。」
ハガネの言葉にタリスは一瞬唖然としていたが、すぐに我に帰って言った。
「そうですか…。で、ですが、もう少し待っていただけませんか?こちらとしても改めて
もう一度レイズタイガーを調べてみたいですし、各部の調整なども行いたいですから…。」
「ま…まあいいよ。のんびり待ってあげるから。」
「ありがとうございます。」
そうして、ラボに運ばれたレイズタイガーはタリスを初めとする技術者達によって色々と調整などが
行われ始め、ハガネはラボのスミにある休憩場所のベンチでそれを見守りながらジュースを飲んでいた。
「ふふ…。どこの誰かは知らんが…伝説古代虎はデススティンガーごときとはワケがちがうぜ…。」
どこからかラボの様子を監視していた何者かがそう呟いた。それは、ハガネが何度も見た黒服の男だった。
「ふ〜…。休憩時間が来たわね。とりあえず10分間の休憩をしましょう。」
「ハイ!」
タリスの一言によってレイズタイガーの各部で作業を行っていた技術者達は作業を中止し、
その場に座り込んだり、ジュースを買いに行ったり、トイレに行ったりと、それぞれの休憩に入った。
見た感じタリスは技術部の中でもそこそこの地位にある様子である。
そうして、タリスは自動販売機でジュースを買い、ベンチに歩み寄ってきた。と、そんなベンチではハガネが何やらノミで木を削っていたのだ。
「ハガネさん…何をしていらっしゃるの?」
「え?ああ…。暇だからこうして木を削って仏像でも作ろうかな〜って思ってね…。」
「仏像…仏教なのですか?」
「悪い?」
ハガネににらみ付けられたタリスはやや青くなった。
「い!いえ!そう言うワケではありませんが…。でもやっぱりロボットが宗教ってのはちょっと似合わないかな〜なんて思ったりして…。」
「010011100101100110010010010110101!!!!!!」
「わぁぁぁ!!済みません済みません!!というか二進法になってる二進法になってる!!」
タリスは再び怒りの余り言葉が二進法になったハガネをどうにかなだめ、彼女の隣のベンチに
ゆっくりと腰掛け、ジュースのふたを開けた。一方ハガネは黙々と木を削っている。
>>恐怖の亀裂作者さん
結構重要そうな感じで出てきたドリルモグラが思ったより随分と早くやられてしまいましたね。
>その上終わってもだらだら軍でのんべんだらりと生きてそうです。定期収入ヤホーイ!な感じで。
この文章を読んだ時、とあるガン○ムのサイドストーリー物のセリフを思い出しました。
「戦争さえ起きなければ軍隊は気楽な稼業だ。毎日訓練さえしていれば食うには困らないのだから。」
と言う感じのセリフです。まあ軍隊にいれば色々な技術も覚えられて再就職もしやすそうですし、
フォ○ス○ガン○も軍隊は結構居心地良さそうにしていた感じでしたし・・・。
考え方を変えてみればそうかもしれませんね。自分はゴメンですが・・・。
ルガールの指は適確に、“シギュン”のコントロールプログラムを書き換えていった。
「お前、これからどうする?」
振り返らず、彼はオレーグに問い掛けた。後ろから低い声が返ってくる。
「解らん…ただ、皆殺しは止しておく事にするさ」
「もっとまともな方法で同胞の為に戦えるのなら、私はお前らをレジスタンスと認めてやっても良いがな」
“シギュン”の標的が入れ替わった。目標は、市街を取り囲む野良ゾイドの群れだ。
ルガールの指が、静かに赤いスイッチを押す。“シギュン”のジェネレーターが臨界を示し、
電気信号化されたウイルスの見えない波動が成層圏を貫いて地上へと伸びて行った。
「ええい、セディール…まだ、起動できんのか!?」
膠着した戦況に苛立つマクドガル。セディールは意を得たりといった調子で答えた。
「ゾイドコア解凍完了。起動は可能です…とうとう、この機体を使う日が来たのですね」
「感慨に浸っている暇は無いぞ。すぐに出て野良ゾイドどもを――待て、何だ?」
マクドガルが今まさに命令を下さんとしたとき、“シギュン”から放たれた目に見えない波動が地上で炸裂した。
まるで突風に薙ぎ倒される雑草の如く、放射状に広がる一陣の風が駆け抜けた後は野良ゾイドが動きを止めている。
「おお…!? 見たか、セディール? どういう訳かは知らんが、野良ゾイドが攻撃活動を止めた! これなら
わざわざその機体を出さずとも、始末は付けられ――」
「何を言ってるんです?」
セディールの口元は奇妙に歪んでいた。もはや、後戻りなど許されない――いや、許さない。
「予想外の展開だなぁ…まあ、この機体の力を見せ付けるのに充分な戦力はまだあるか――“ギルド”の方に」
「セディール、何を…その機体を止めろ!」
「止めないよ。僕は今まで、こいつを動かすこの日の為だけに生きてきたんだ…それにもう、『生体ユニット』も
組み込んじゃったしね」
マクドガルが何か叫んでいたが、セディールは気にせず通信を切った。
――やっと、全てが終わるのだ! 自らの欲望が作り出した僕と言う存在を認めない、この狂った世界が!
「ナノマシン起動…アンチエナジーフィールドスタンバイ…」
“ギルド”本社ビルを中心として、市街全体が大地の底から揺れた。
その振動は、地の底にいるルガールたちの元にも届いた。
「市街の方からか…? だが、一体何があったと言うのだ?」
“シギュン”を発射した以上、任務は完了だ。もうここに居る理由は無い。
ルガールは機首を転じ、元来た道を戻ろうとして橋が無い事を思い出した。
「…どうしたものか」
見計らったかのように、シヴァが打電してきた。
「コントロールシステムの後ろに、地上まで直通のエレベーターがあります…それを使えば、すぐに脱出できます」
タイミングが良すぎる。つーか、いつからそんなモンがあった?――などと小一時間問い詰めたいのを彼は我慢した。
「解った…恐らく、市街はまだ混乱しているだろう。だから君達は戻らない方が良い」
機体をエレベーターに乗り込ませ、シヴァ達が乗ったところで上昇が始まった。
「そうですね…まあ、私達の本拠は以前も言ったように市街の地下スラムですから」
来る時はあれほど長かった道のり。エレベーターで昇ってしまえば、ものの数分だった。
しかし、久方ぶりに出た地上でルガールは目を疑った。
「市街が…燃えている!? 確かに“シギュン”は発動した筈だ!」
疾走するマッドサンダー。その後姿を目で追い、オレーグが呟いた。
「…フン、せいぜい頑張る事だ…」
突如として“ギルド”本社ビルの下から現れたのは、黒い装甲に身を包んだ巨大なゾイドだった。
「あのゾイドは何だ? …味方の増援か?」
その機体を中心として、何か虹色に明滅する霧のような物が広がっていく。その霧は瞬く間に色を失い、空気に溶け込んだ。
「…ククク…何も、知らない顔だね。挙句の果てに『味方の増援』だなんて」
セディールの指がモニターの上を滑る。次の瞬間、黒いゾイドの付近にあった構造物やゾイドが全て消滅した。
デスザウラーに酷似した巨大な機体。それを見上げながら、ワン=ジンキは恐怖に打ち震える事しかできなかった。
「あれは…デスザウラーでは、ない……『Ignorance catastroph』の元凶、デルポイを焼き尽くした悪魔――」
黒い機体が吼えた。世界の終末を告げるかのごとく、惑星全域の空を駆け抜ける咆哮。
ワンの口が、掠れた声でその名を紡いだ。
「……デス…メテオ…」
今日なんか字数規制緩いなw
>>鉄獣28号氏
「考えるな! 感じろ!(w」な心境? 自分の話は深く考えると矛盾が出てくるので
表面を舐めて楽しむ話かと。それで足りないのならばやはり脳内(ry
不覚にも二進法クソワラタw
>>恐怖の亀裂作者氏
ぜひともプロイツェンに言いたい。
「何が無敵だ、プロイツェン…貴様は甚だしい勘違いをしている。
ダークは英語で、カイザーはドイツ語だ!」_| ̄|○
鉄獣28号さんへ
ここからが見せ場です。ドリルモグラ編。神で勝て無い者が神より強い普通?の奴を倒すには如何するべきか?
遂に神を握って振り回すイカす方が参戦予定。
2進法でまくし立てるハガネさんwちょっとステキ。タリスさんはもしかしてハガネさんの言っている事が解っているとか!?
Inocent Worldの作者さんへ
デスメテオー!デスメテオー!サーガUで微妙な強さだった御大が凄い事に!?
レベル上げ制限しても勝てた御方が〜〜!?
「全く情けない。神とも在ろう身がその程度では信じる者は哀しみにくれるぞ。」鉄塊と変わりこの場を去ろうとする神の肉を掴み取る者からの声。
突然現れる一際大きな機体。しかしそのシルエットに戦慄しない者は帝国軍に居ない。たった1機の参戦で勢力図を塗り替えた恐怖の格闘王。
「「ゴジュラスギガ…。」」ファインとベルフの視線は黒い影に釘付けになる。
神の肉片たる鉄塊を掴んだギガはそこから依代を引き抜く。黄金色に輝く見た事も無いコアブロック。「やはりな…彼奴の固い頭ではこれが限界という所だな。」
ラミューズを含む3人を置き去りにして男はそれを背に装備されていた何かを取り外しそれに神をセットする。唸りを上げる新たなドリル。「「「またドリルだよ…。」」」
折角のオペレーション”ドリルブレイカー”はドリルの見た目と持ち主を変えるだけだった様だ。しかも今度の方が凄く鋭そうだ。
地表に降り立ち未確認の小型ブロックスを薙ぎ倒すベルゼンラーヴェ。「お返しでありますよ!」その後厄介な偃月刀を全ての者から引っこ抜き手元に集める。
「これでブーメランはもう使えないでありましょうね…。」何かを必死に操作する音が聞こえるがAZエクスブレードはうんともすんとも言わない。「馬鹿者共め!あれ程油断するなと言っただろう!」
「申し訳在りません!パラブレード後退します!」「良し後は儂に任せておけば良い。無駄死には無しだ。」そんなやり取りが小型の機体”パラブレード”と黒一色に染め上げられたギガの間で行われている。
その間に装甲に刺さったままの偃月刀を引き抜き全てを1箇所に集める。「勝手の解らない物を使うのは少々気が引けるでありますが…。」機体の修復を試みて見る。
「何!?置換行為まで行えると言うかっ!?」黒のギガから驚きの声が上がる。12枚のAZエクスブレードは消滅し切断された外套が変わりに新調される。その外套の縁には刃の煌めきが幾つかの場所より発生している。
「アスピトルテの外套。エッジオンスタイルでありますっ!」刃の煌めきと言うより残った刃を見た目に合う形に再構成し貼り付けただけの物。それでも意表を突く事は出来たらしい「一撃必っうがはぁ!?」
飛び出して黒いギガに切り付けようとした矢先に砲撃の雨プラズマレールキャノンの支援砲撃。溜まらずウェイブレイダーを構えて銃撃。その後砲撃は止む。
「甘いな!何故コクピットを狙わん!」黒いギガが恐るべきスピードでベルゼンラーヴェに迫る。手にはドリル。
しかも掘削機を思わせるシールド掘削機型ドリル棍棒と来たものだ。野蛮極まりない怒号を上げて神気に包まれた棍棒がベルゼンラーヴェの回避した後の地面に炸裂する。
「でえええ!?」大地が裂けた。更に破壊の衝撃は地面を罅で覆いその後砕け散らせる。その厚さは最少で1mも有る。
「ふむ…流石は神器。この程度当然か…気に入った!」男の声はご満悦と言った感じである。
馬鹿げた威力に戦慄する。土煙が濛々と上がりギガの姿が掻き消える。ギガの方からも敵機を見失うが何故か正確無比且つ執拗にベルゼンラーヴェのみを付け狙う。
空を切るシールド掘削機型ドリル棍棒。またも不発。しかし状況は明らかにギガに傾いている。状況によってはデスザウラーすら投げ飛ばすパワーに付け入る隙が見当たらない。
機体も機体なら乗っているパイロットは間違い無く最高ランクの腕前。何処の誰だか知らないが恐るべき3身一体の力。今度は埒が明かないとベルゼンラーヴェの方から両手をバスタークローとして起動させる。
そして新たに上がった土煙に飛び込む。しかし数秒もしない内にベルゼンラーヴェと土煙を伴い熱風の嵐が吹き荒れる。「あ…甘かったであります!」
そのまま空中にに打ち上げられるベルゼンラーヴェ。がギガにはこの距離に対する格闘攻撃を持ち合わせていない。空中でアスピトルテの外套を機体から取り外し巨大なブーメランとして投擲する。「これなら?いけそうでは有りませんが何か解るかも…?」
その答えは直に出る。それを見越していたギガの動き。しかも脚部に輝く光は…「ESBストライクッ!?いや違う!」それは純粋な弦状空間跳躍機構。矢の如く外套のブーメランを擦り抜け空中に弾き出される黒いギガ。「速い!間に合え!」
回避不能なら飛び込むしかない。後手後手になるが一度ESBストライクで後方に弾かれた後もう一度ESBストライクを起動し別侵入角でギガに突撃する。「ストライクサークル!」ギガの眼前で回れ左と背を向け左足で踵での回し蹴りを敢行する。
「その意気は良し!だが未熟だ!そうれ!」ロケットブースター加速式クラッシャーテイルが放たれ悠々とベルゼンラーヴェの後ろ回し蹴りを相打ちにする。「まだまだぁ!」その体勢から尾を振るい攻撃する。
しかしそれも外れる。黒いギガはまた上空に跳び次の手に取っておいた手刀のバスタークローの攻撃を既に見切っていた様だ。
連続攻撃として放たれた手刀が虚しく宙を抉る。投擲した外套が戻ってくる。しかしそれを背に戻さずゲリラカイトの尾の様にぶら下がり滑空するベルゼンラーヴェ。
重量級機体の無茶な空中戦は第2ラウンドに差し掛かろうとしている。
時刻は多少遡る。とある海岸にドラグーンネストが静かに上陸する。しかしそこから出現したのは共和国軍の機体。反抗の切り札の一枚である凱龍輝とそれを中核とする機動小隊。
「もう一度揺さぶりを掛けろだとさ…全くめんどくせぇ〜。」更に後方より音も無く上陸を果たす3機のゴジュラスギガ。「はいはいクロス君荒れない荒れないっ!」ドラグーンネストの最深部より現れる砲身。
それを牽引するのは…いや違う。牽引しているので無くその巨大な砲身を胴体の一部として力強い足取りで立ち上がる巨体。それに伴いその為に改造されたのだろうドラグーンネストは更に格納庫を広げるように外装が剥ける。
立ち上がった機体はゴジュラスタイプにしては巨大過ぎる物。腹部にコネクターらしき物。胸部左に3連巨大砲身ガトリングキャノン。右にはカウンターウェイトとしてアンカーが2機。無駄に長い爪を持つ腕。
太く力強い足。そして頭部の有るべき場所には不釣り合いな狼の顔一つ。その位置にコネクターで繋がれている桜吹雪を化粧に纏う装甲のケーニッヒウルフ。
「リエット隊長さんよ〜。何だそりゃ?何時もの残り二つの頭は何処よ?今度はこの馬鹿な歩行要塞が首の代わりってか?」「そう言う事。さっさと目的地に行くわよ?初任務なんだから頑張る頑張る!」「へいへい…りょーかい!」
リエット=ラブルマン少佐。つい二日前に少佐に任じられキマイラ要塞襲撃の為の陽動を任務としている。が実際の任務はそれでは無く今起こっている帝国領内のごたごたに介入する事が目的である。生徒のクロス3兄弟がそのまま部下として同行している。
「こっちは大丈夫です少佐。」リック=ルート伍長が連絡を入れる。「こっちも終わりました少佐!」マックス=ルート伍長も同じく報告する。「あ〜面倒くせっこっちも大丈夫だぜ隊長さん。」
最後にクロス=ルート伍長が連絡を入れる。「凱龍輝小隊はこっちに確り付いてきて!離れ離れになったらアウトよ!」
「僕達は無視みたいだね〜。今の内に幹に行っちゃう?」ベルフに尋ねられ「そうした方が宜しいみたいですね…。ここに居ると邪魔に成りかねない気がします。」
それを聞き「多分そう思う。それ処か流れ弾とか飛んで来たら間違い無く犬死確定っぽい。」善は急げ。その事をファインに連絡して幹に走る。
「あ〜〜…また置いてけぼりでありますか…そうでありますか…。」あのギガに対して支援無し。これはしんどい事に成りそうだと腹を括る事にした。
戦闘が続く中その場を離れて幹に疾走するトライフォートレスとそれに付いて浮遊しているテールディザスター。
「そろそろっと!?来た来た!」地面より現れる敵。しかしこれもまた…「前門のギガ部隊後門の黒ギガ!?」何か物凄く安っぽそうなギガが6体出現する。
「アナライズ…やっぱり量産型か。装甲がオリジナルと同じでない。それなら充分相手にできる!」トライフォートレスが地を蹴り跳ぶ。
機構に著しい簡略化が行われておりそれで尚機体の機動性が上がっている事は取り敢えず無視し襲い掛かる。量産機と量産の為に簡略化された機構を積み重ねた機体。
面白い様に戦力は拮抗し子供の喧嘩状態で乱戦が行われている。手数の差は圧倒的に量産ギガの方が上だが密集状態と単機としての手数。獲物の長さで充分捌いている。
これは長期戦確定の戦況だ。砲撃で手出しできない以上テールディザスターはまたしても戦力として溢れてしまう。
「私の…存在意義は?」納得できない状況に遂にラミューズは戦場の真っただ中で拗ねて泣き出してしまった。
甲高い金属音が響く。尖角刀とドリル棍棒が打つかり合い火花を散らす。「ほう…受け止めるか。ならば次のステップだ!」棍棒を振り払い尖角刀共々ベルゼンラーヴェを弾き飛ばす。
今度は攻め手が入れ替わりベルゼンラーヴェが攻める。背部ユニットや機体内部に必要以上の警戒心が或る為深く踏み込め無い。そして背部ユニットが遂に牙を剥く。
手に握り直した尖角刀で弾いた物はレーザーシザース。もう一方の物は弾けずに尖角刀と力比べの状況となる。「っ!」悪寒に襲われファインは機体を碾き下がらせるとその場をドリル棍棒が通っている。
「勘が良い!相当の術者か…しかしそれではいかんよ?ファイン=アセンブレイス君。」「何っ!?名まうがぁ!?」黒ギガの脚部が肩装甲を蹴り地表に墜落するベルゼンラーヴェ。
「これは失礼な事をした。儂としたことが自己紹介が遅れて済まんな。儂等はフューチャーズリベリオン。今後とも宜しく。」
わざとらしい杓子定規な挨拶「そして儂が指揮官をしているベンハルト=フォーザーだ。同じ帝国軍同士仲良く土突き合おうじゃないか!」
これではっきりする。あの機体はギガ等では無くそれよりももっと異質で致命的な戦闘力を持つ機体だ。機体のカメラの駆動音を聞きベンハルトは言う。
「早速機体の再調査かな?しかし調べても無駄だ。だから君に教えて上げよう。この機体は…イグアンだよ。解るだろう?」
その言葉に目の前が真っ暗になる気がしたファイン。イグアンに付いて知る者ならイグアンの指す隠語を理解できるであろう筈である。
イグアンはゴドスに対抗する為に開発されたゾイドである。しかも開発経緯を見れば結局ゴドスに勝つにはゴドスしかないと言う屈辱的な珍事を引き起こした事でも有名な話である。
つまりそれの示す所は…あれは帝国製ゴジュラスギガと言う事になる。この事実はセイスモサウルスが封じられたら帝国軍は成す術が無いと言う事でもある。
「ペイルバイター!貴様の本能に任せるぞ。やって見せろ!魔術師の竜を仕留めるが良い!」
機体を起こしペイルバイターの踏み付けを躱すベルゼンラーヴェ。ここで押し流される訳にはいかない。しかし帝国製と言う事を象徴する攻撃が機体を掠める事になる。
ペイルバイターは疾走しながら背部よりバスタークローを持ち出す。その際アームからレーザーシザースが取り外される。無意味に近い格闘兵器の交換。しかしバスタークローはその為の物では無かったらしい。
「この光量と射角!拡散荷電粒子砲!」可能な限り扇形のそして円錐型の射線から機体を逃げさせる。発動する超火力は地表と空気中に炸裂する。その爪痕は大口径荷電粒子砲に匹敵する威力を広範囲に刻み込んでいる。
しかしおかしい事だ。共和国軍の兵士の証言では格闘戦を好むギガがこれを簡単に使用するとは思えない。しかも今回は本能に任せた自動操縦だ。
気付いた矛盾。それは単にギガに近接用火器がなかっただけだからではないかと?その証拠にそれ以外の火器は揃いも揃って近接戦用火器ばかり。
格闘戦に持ち込む際に無駄になる物を使用しないギガの癖を付いた隙の無い武装。そしてベンハルトの言葉の意味。信じたくない事実が明かされる…。
「それにしても上手ですね…。」
「そう?でもさ、昔の諺で"仏作って魂入れず"ってのがあったよね。」
タリスはその言葉に一瞬首を傾げた。
「それは…どういう意味ですか?」
「まあなんと言うかさ、見かけは立派でも魂がこもってないとダメって事だよ。」
「分かるような分からないような…。」
まだタリスは首を傾げている。そんな彼女にハガネは黙々と木を削りながら答えた。
「とにかく!何事も心を込めてやらないとダメって事だよ。逆を言えば、私が今作ってる木彫りの
仏像みたいに見かけは粗末でも、魂がこもっていれば充分神々しい物になるのよ…。」
「そういう物ですかね?」
やはり首を傾げるタリスに対し、ハガネはゆっくり頷いた。
「そう言う物だよ。これは何をするにしても大切な事だと思うよ。まあ、タリスさんが思ってる通り、ロボットである私がそんな事言うのは似合わないとは思うけどね…。」
その時のハガネの顔はどこか悲しげだった。それに気付いたタリスは立ち上がって言う。
「そんな事無いですよ!ハガネさんには立派な心があるじゃないですか!今までもそれで100年以上も生きてきたんでしょう!?」
「心…か…。でも、私のこれももしかしたらプログラムに過ぎないのかも知れないよ。確かに私はこれで今まで100年以上の時を生きてきたけど…。」
「ハガネさん?」
一方そのころ、ブルーシティーの外れに何台ものグスタフが到着していた。そして、そのグスタフの引いている荷台には幌で隠された何か大きな物が幾つも存在した。そして、一台のグスタフから
黒服の男が降りてきて、周囲を見渡しながら何やら携帯電話をかけていた。
「ようし…。こっちの準備はOKだ!いつでも行けるぜ。」
『その言葉を待っていたぜ。では、こちらも行かせてもらう!』
「ああ…頼むぜ…。」
通話は終了し、黒服の男は携帯電話をしまった後、後ろにいた部下と思しき男達の方を向いた。
「ようし!早速だが仕事だぜ!!"D・D"の準備はいいかぁ!!?」
「了解!!いつでも行けます!!ゾイテックの奴等に目に物見せてやりましょう!!」
「ようし!外の部隊の準備は完了したそうだ。こちらもやる事はやってさっさと脱出するぞ!」
「了解!」
黒服の男が携帯電話で話していた仲間はゾイテック社内に潜入していた。そして、通話が終わった後、
隊長と思しき一人の黒服が、他の部下の黒服に問いかけていた。
「"あれ"はしっかりと仕掛けてきたか?」
「ハイ!何しろ丁度言い具合に本社ビルの近くにゴジュラスが沢山並べられてましたからね〜!」
「ゴジュラスか…。確かにあれだけのゴジュラスがいれば"D・D"の出番は無いかもしれんな…。
よし!"あれ"の作動を確認し次第、我々は社を脱出するぞ!」
「了解!」
そうして、黒服の男達は一斉に走り出した。
「では、そろそろ休憩時間も終わりなので、作業に戻らせてもらいます。ハガネさん、その話の続きはまた後という事で…。」
タリスがそう言いながら先程飲んだジュースの空き缶をゴミ箱に捨てていたその時だった。突如として爆発音が響き渡ったのである。
「な!!何!!?」
「ど…どうしたの!!?」
突然の爆発音に、ラボにいた誰もが戸惑った。
『タイヘンタイヘン!ガードノタメノゴジュラスガトツゼンアバレダシタ!』
「暴れ出したって!!?ええ!?ガード用ゴジュラスが!!?」
「まさか暴走!!?」
社内の監視カメラとネットを経由してリンクしたZ−12からの報告に、タリスや他の技術者達は慌て、さらに続いた報告が彼等をさらに混乱させる事になった。
『ボウソウシタゴジュラスハマッスグニコチラヘムカッテイマス!!?』
「こ…こっちにくるぅぅぅぅ!!?」
それには誰もが唖然とした。
「オイオイ…冗談だろ…?」
一人の技術者が唖然としながらも、確認のために他のカメラ映像を見た時彼は一瞬声を失った。
「ま…ま…ま…ま…。」
「おい!どうした!?ってうお!!!」
声を失った技術者を心配して詰め寄ったもう1人の技術者もが思わず驚きの声をあげた。
確かにカメラからの映像ではラボへ向けて進撃する夥しい数のゴジュラスの姿があったのだ。
太陽の日差しの反射で銀色に輝くその巨体を持つゴジュラスの軍団がゆっくりとラボへと迫る。
確かに本社ビルとラボとでは距離が離れており、ゴジュラスの進撃速度から考えて逃げる時間が
無いとも言えなくも無いが、かと言って安心するワケにも行かなかった。
「うわぁぁぁ!!!どうしよどうしよ!!」
「母ちゃんオラァまだ死にたく無いだぁぁ!!」
「やっぱり都会は怖い所じゃぁ!!やっぱ技術者なんかにならずに大人しく田舎で畑耕してるんじゃったぁぁ!!」
混乱し、我を失う技術者が続出し、ラボはパニック状態に陥った。と、その時、彼等の前にハガネが立ったのである。
「落ち着いてみんな!!ここは私がなんとかくい止めてみせるから!!みんなは速い所ここから逃げて!!?」
「くい止めるって…一体どうやって…?それに…くい止めるにしても相手はあれほどの数のゴジュラスなんですよ…。」
心配そうな顔でタリスはハガネに詰め寄った。しかし、ハガネの顔に恐怖心は無かった。
「大丈夫だよ。今までだってこれくらいの危機は何度もあった。と、言う事でそろそろ来るころかな?」
「そろそろって…。!?」
その時だった。ラボの上空に一体のゾイドが現れたのだった。それはハガネの愛機であるロードゲイル"ゼノン"であった。
「みんな!!私が時間を稼いでる間に少しでも遠くに逃げるのよ!!いいね!!?」
ハガネは皆に向かってそう叫ぶと、ゼノンに飛び乗る様に乗り込み、ゴジュラス軍団へ向けて飛んでいった。
「ハガネ…さん…。」
「タリスさん!とにかく彼女の言う事にしたがって今は逃げましょう!!」
ゴジュラス軍団へ向かって飛び去るゼノンを見つめ、タリスは心配そうな目をしていた。
一方そのころ、ゼノンは割と高い位置を飛行しながらゴジュラス軍団へと迫ってきていた。
「とにかく時間稼がないとね〜…それにしてもなんつー数でしょ…。」
上空からゴジュラスの数を数えたハガネはその余りの数に途方に暮れていた。何しろもう30機以上
は平然といたのである。それだけの数のゴジュラスが一斉にラボへと向かっているのだ。もはや
これほどにまで来るといかなる物もあっという間に潰されてしまうのでは?という迫力があった。
次からやっと戦闘シーンに入ります。しかもこの戦闘シーンもやたらと長々やってしまいます。
>>恐怖の亀裂作者さん
神が鉄塊に変わるシーンで、一瞬「神が鉄魂になった!!?」とか思ったりしましたorz
帝国の黒ギガ・・・基本能力の高さ以外にもかなりの武装が施されているみたいですが
今後戦いはどう展開していくのでしょうか?
>>Inocent World作者さん
デスメテオ来ましたね〜!自分はゾイドサーガ2でそれを見た時、
「顔しか変わってないやん!!どうせなら昔の改造デスザウラーみたいにバンバン変えたれ!!」
とか思った物です。さあ一体どんな強さを見せてくれるのでしょうかとか思った矢先に
自分の周りの物を消滅させると言う力が・・・どうやって勝てば良いのでしょうか?
話は変わりますが、今後の予定として、ネタ次第ではフューザーズのキャラを登場させる
可能性もあるのですがどうでしょうか?
例えばガミー(あのギガに乗る人)が、
「一応仕事はきっちりこなせてるんだが、俺のギガがイマイチ強くないのは何でだろう?」
と、悩んでいた時にテレビのゾイドバトル中継で凄い大立ち回りを演じるギガを見て、
そのギガのパイロットの所にどうすれば強くなれるのかと聞きに行く話とか・・・
やっぱダメかな?あんなキャラでも少なからずファンが付きそうだし、
そのファンが怒るような話になりそうな気がするから・・・orz
「素晴らしい力じゃないか…もっとだ、もっと僕に見せてくれ」
虹色の霧は更に広がり、市街全体を覆いつくした。
「愚かなる世界の終末を告げる、禁じられた力を」
コンバットシステムを停止させられた筈の野良ゾイドが、自らの意思でデス・メテオに砲撃を加え始めた。
だが、実弾もビームもデス・メテオに届く事は無い。何も無いはずの空間で、細かな粒子となって消えてしまうのだ。
「元の装甲でも充分だけど、これはまた…圧倒的だね」
セディールが方舟から持ち帰った小さなカプセル。その中身は、先史文明究極の遺産“ナノマシン”であった。
それは十億分の一メートルと言う原子より小さい機械。小さなカプセルに入れられていたナノマシンは自己増殖機能を
有し、その量は瞬く間に市街を覆うほどの物となった。
そして、空気中に展開されたナノマシンで砲弾やビームを分解――如何なる射撃攻撃をも無効化してしまう。
「それに、攻撃面にしても…」
セディールの意思がデス・メテオの意思とシンクロし、その伝播がナノマシンを動かす。
デス・メテオに砲撃を仕掛けていた野良ゾイド達が一瞬でナノマシンに分解され、残骸すら残さず塵と化した。
「何故…何故! あの機体を甦らせたのだ!」
ワンのサイクスがレーザーライフルを連射する。が、波長の揃った光であるレーザーさえもナノマシンの前では無力だった。
「やあ、試験官の爺さん…アンタもう引退した方が良いよ。もっとも…そんな日は来ないだろうけどね」
デス・メテオの凶悪な爪が振られた。届かない筈の爪が空間の裂け目を介してサイクスを切り裂き、
コックピットにいたワン自身も強力な衝撃を受けた。
「貴様…“堕天使”の小僧…!!」
「ふふ、“悪魔”を駆る“堕天使”…素敵じゃないか。僕とコイツは似た者同士さ」
未だ数の衰えない野良ゾイドが砲撃を続けるが、一発たりともセディールには届かない。
「共に旧人類のエゴで作り出され、化物の烙印を押されてその存在を認められない…まあ、僕は“ギルド”内での
地位は手にしたさ。でもそんな物はどうでも良い…僕が壊すんだから、“ギルド”も世界も」
全周波で宣言された言葉。この時、“ギルド”の兵達は初めてあの恐るべきゾイドが敵であることを認識した。
「このっ…化物が!!」
“ギルド”のシールドライガーが一機、デス・メテオに飛び掛った。Eシールドは強力な磁場が発生するので、
磁力の影響を強く受けるナノマシンはシールドに触れる事が出来ない。
レーザーサーベルがデス・メテオを捉えた。高い金属音――そして、サーベルが根元から折れた。
愕然とするシールドのパイロット。誇張表現でもなく、デス・メテオの装甲は本当に「無傷」だったのだ。
「馬鹿な、レーザー格闘兵器で無傷などと…」
「コイツの能力その一、装甲表面を覆ったナノマシンが敵の攻撃手段に応じて装甲構造を変化させ、ナノマシンの霧を
潜り抜けてきた相手に対しても絶対的な防御力を誇る…」
恐怖に震えるシールドの前で、デス・メテオの右腕が大きく変形を始めた。
「そのニ、ナノマシンで機体の一部を分解、再構築する事で自在に変形が可能…勿論、強度も変えられる」
粘土細工を早送りで見ている様な変形の後、デス・メテオの右腕は巨大な剣になった。飛んで逃げようとする
シールドの前に、突然巨大な金属の柱が幾本も現れその行く手を塞ぐ。
「その三、ナノマシン同士の連結により、マシンの効果範囲内ならば何処にでも擬似物質を作り出せる」
逃げ道を塞がれたシールド。パイロットが振り返ると、巨大な剣が自分に向けて振り下ろされる所だった。
いとも容易く両断されたシールドライガーを見て、“ギルド”の兵達は散り散りに逃げようとした。だが
開いているゲートは少なく、狭い。セディールの高笑いの中、市街はこれまで以上の大混乱に包まれた。
その時、セディールは彼らが予想しなかった事を口にした。
「“ギルド”に囚われし能力者諸君、僕は戦うくらいしか生きる道が無い能力者の、自由を手にすべく立ち上がった!
…能力者は人とゾイドの共存における、人類の新たな可能性だ! だが、見ろ!!」
セディールの演説に、市街の全てが動きを止めた。
「愚かにも、非能力者は僕達を恐れ、妬み、挙句商売道具としている! …同胞よ、これ以上旧人類の暴威を許すな!!
僕達能力者こそが、新しい世界を担う新人類――」
「やはり、貴様は救い難い阿呆だ」
回線に割り込んできた声。セディールはその声に聞き覚えがあった。
ナノマシンなどに関しては滅茶苦茶な矛盾があるかと思いますが、そこは古代文明の超技術w
一応捕捉しとくと
・「擬似物質」と書いたのは何故かと言うと、原子より小さい機械の集合体では
何の物質になるのか判断しかねた為
・あぼんされたシールドのパイロットは一般兵。能力者ではない
>>恐怖の亀裂作者氏
サーガ2では弱かったものの、サイドラでは実際に世界を焼き尽くし(またはそれに近い事)てるし
方舟のとっておき土産ナノマシンが追加されてまさしくター○X状態w
というより、ター○X(∀かも)をイメージして作りましたんで…
>>鉄獣28号氏
勝てないくらいがラスボスには丁度良いw ある種の信条でもあったりして。
フュザのキャラ使用についてですが、時代が同じならば桶だと思います。
心配なら本編と矛盾しない程度にするとか、裏話的で良いのでは。
鉄獣28号さんへ
”鉄塊”と”鉄魂”略一緒だから間違えて読むと楽しいかもw
「やべぇよ 鉄魂が壊れちまった…」「大丈夫こんな事もあろうかと…これだ!鉄魂Ver2,1mk−2カスタム”コアバトルよ永遠に”がある!コアを交換するんだ!」
とか?突っ込み所満載なのはお約束と言う事で…。
今度の”ゼノン”はロードゲイルなんですね。やっぱりセイスモやらデスステでは目立ちすぎるのとメンテナンスが大変だったからでしょうか?
ブロックス系統が交換オッケーと言う驚異のメンテナンス性を持っているのと比較するとランク落ちは如何しようもないのでしょうか?
ゴジュラスの暴走が何処に行き着くか?そして無理して町に来た技術者は本当に田舎に帰ってしまうのかw
あれのキャラが出てきても全く問題無い気がします?アイアンコングに手古摺る方ですし…と言うよりあれの中身はエヴォルツォーネ!?
Inocent Worldの作者さんへ
そう言えばそうだった…。でもサイドラはやり込んでいないので覚えていない事が多いです。
真逆御大が…「月〇〇である」とか言い出して笑った時の様に何か起こるのでしょうか?
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前のネタが大き過ぎて今回のネタは空振り気味ですがこれをすんなり出すのが狙いだったので良いのかな〜?とか思っていたり。
「何だありゃ?空中で何かがチャンバラしてんぞ?如何する隊長さんよ〜。」クロスのギガよりリエットの謎機体に通信が入る。
それを聞き周辺の情報を集めてみる。上手い事何かの通信が引っ掛かるがノイズが激しい。ノイズキャンセラーに掛けると直にそれの内容が解る。
「…離脱…各部隊は散開…気付かれるな…我…が…来から来た事…。」それを確認して更に歪み夕焼けの空が残る地域に目をやる。
「如何言う事ですか?」クロスや凱龍輝小隊の士官が質問を投げ掛ける。「落ち着いて聞きなさい…帝国軍と戦闘しているゾイド達は…現在の技術でできる者では無いわ。」
「…。」押し黙る外野。更に続ける。「それに過去の物でもない。つまりは遠いもしくは近かりし未来からの侵攻と言う事になるわ。」
重い沈黙が伸し掛かる。次に情報に対しての再解析をしながら別の事では無いかと調べ直す者軽いパニックに陥っている。
「黙りなさい!聞こえてきた声の解析はとっくに終わっているわ。それに”来(ライ)”の前に消えてしまった場所に入る言葉は感覚の短さからそれしかないわ。地球の”日本語”の発音…間違い無いわ。」
全ての抵抗を押し流して断言する。「事実を認めなさい。それに対応しないと成らないのだから…。各機警戒を厳重に!」
そしてリエットは更に奥に霞む巨木に目標を定め機体を固定する。砲撃用に機体各部が定位置に固定長距離狙撃形態に移行する。
「クロス。索敵をお願い!マックスは弾頭装填を。リックはマックスと一緒に砲台の固定を!あの大きさなら距離さえ解れば釣瓶打ちで充分よ!駄目でもその傷さえあれば彼方で何とかするだろうから。」
「敵影3!てっ敵襲です。そんな…ギガだとっぐわぁ〜!?」ドラグーンネストから通信が途絶える。「やられた!あれだけ早く帰れって言ったのに何をまごついて居たの!?」リエットはノイズを発する専用通信機を投げる。
「敵襲よ!3人ともそっちに回って!相手は…ギガよ。」「んだぁ〜!?馬鹿言ってんじゃねーよ!」クロスは急いで機体を回頭。それに合せて2機も合流。
目の前に迫る物凄く安っぽいギガを肉眼で捕らえる。「彼奴等馬鹿にしてるね…そんな簡易量産機で本物を相手にしようなんて。」リックは速攻で1機に飛び掛かりその首をギガクラッシャーファングで噛み千切る。
「脆いなぁ。準備運度にもならない。」簡単に沈めるマックス。
「全く潰しゃ良いってもんじゃねえだろ…そらよっ!」クロスは器用に手足をバラし戦闘システムをフリーズさせる。
「お見事!やっぱりクロスは僕達とは違うね。頭良いし無理もしない。」リックはコクピットで拍手しながら言う。「これで約2機分パーツがそろったわね。コクピットを開いてみて。」
リエットはそう言うと照準を確りと靄に見え隠れする巨木に定めた。
「自動操縦か。如何りで弱い筈だ。覇気が全く無かったからな。」マックスがうんうんと頷いて言う。「でもこの機体古代チタニウムとかアレとか付いていないね…もしかして?」
リックが懸念している事をクロスはきっぱりと答える。「ゼネバス製だろ。コクピットやら装甲の付け方見れば一発じゃねーか。ついでに…こいつ等荷電粒子砲まで持ってるぜ。」おいおい本気かよ?と言う様なクロスの言葉。
「すまない。そう言うのは全部お前に任せてるし…要は雑魚って事だろ?」楽観的なマックスの言葉。「それも本気かよ!?雑魚扱い出来るのはギガぐらいだっつーの!ギガと同レベルのパワーと機動性か機動性と強力な火器が無いと相手なんか出来るかっ!」
ご立腹のクロスの言葉。「それなら…凱龍輝なら充分勝てるね。」「それも違う!あんたは自分の腕を普通に見るな!」二人の兄の超絶なボケの前に切れそうなクロスだった。
「これで最後っ!」6機目の量産型帝国ギガを屠りベルフは一息付く。「全く偽装だと思ったら本当にうち等の技術で作ってあるよ…縁起でも無い事をする物だね。」
熱いクロスファイトに勝利して気分は上々。だがラミューズの啜り泣きの声を聞いて急いでテールディザスターに近寄る。「な…何か悪い事したかな?僕?」そう言うベルフにカメラの前のラミューズは首を振って必死に違うとアピールする。
「大丈夫だよ。だれもお荷物とか役立たずなんて思ってないから。誰もが何時でも役に立つ事なんて無い。僕だって役に立たない事が殆どだ。特にこう言う状況ではね。一歩先に行くレミントンやファイン、ルディア達に任せっきりだよ前線は。」
そう言うと飛び切りの笑顔をラミューズに見せる。その顔にはコクピットの機械の類が破損した際の何かが刺さった様で額と右頬から血が流れている。
「急いで止…。」「大丈夫。それより幹に行こう!彼奴を切り倒して証明するんだ!」頷くラミューズ。流れ続けた涙はもう止まっていた。
その時突然質量弾が幹に向かい飛翔する。それは護衛を勤める空中戦力に阻まれるがそこで大爆発を起こす。
「うそ〜ん!?」ベルフはトライフォートレスをテールディザスターの前に出し盾代りにする。その間に顔の怪我を応急処置し止血と包帯を巻き頬に絆創膏を張る。
機体が爆風の強烈な風で揺れるがこの程度なら問題無い。仕留めた量産帝国ギガは木の葉の様に舞う者が出る始末だ。
「マグネッサー最大出力!接続の維持に全力で行け!」その甲斐あって分解は免れ空中の護衛はごっそり数を減らしている。
「あ〜!彼奴等〜邪魔するなんて。もう一発行くわよ!装填を!」「へいへい。」海岸線からの砲撃。しかし上手くいった物だ。
威力こそ1/8以下の物だが1200mmウルトラキャノンの機構を小型化と更なる飛距離の延長に成功した3連砲身超々長距離キャノン砲”グラウルノルン”の始動が成功したのだ。
これの飛距離は放物線を描きそれを持っても推定飛距離でゼネバス砲を上回る。特殊な滑空砲の弾頭を通常の砲で撃てる様にした特殊滑空弾は予想以上の効果を上げる。
連続して2発。その後3発と6発を打ち終えるとリエットは場所の移動を命令する。「だから面倒臭いって言ってんだろ〜よ〜!」周りの非難等気にせず作戦を続行する。
「ちゃっちゃと行くわよ!」そう。まだ作戦はこれからと言った所だった。
「でぇえええ〜!?」「何と!これだけの物を連射とはっ!?」流石のベンハルトとファインも肝を潰し地表に逃げ出す。上空を通り抜ける合計5発の砲弾。それはまた幹に向かって正確に飛んでいる。
「させん!」拡散荷電粒子砲をマニュアルで砲弾に向けて照射しようとするベンハルトのペイルバイター。「させないでありますよっ!」覚悟を決めて両腕の火器と2挺の銃を無駄っぽいが一斉に撃つ。
「それで隙を突いたつもりかな?」その言葉通りウェイブレイダーの弾丸のみドリル棍棒で叩き落としその他を躱す。だがタイミングがずれ後方の3発を消すのみに留まる。「…移動中に照射。やば過ぎでありますね。」
残りの2発の処理を諦めベルゼンラーヴェに向かい合うペイルバイター。バスタークローをしまいそのアームの片方にドリル棍棒。そしてもう一つのアームに近接火器満載のウェポンバインダーを掴む。
銃撃を躱し棍棒の一撃を受け流し…本当に手の開いている爪の連激を真面に浴びるベルゼンラーヴェ。
ここまでの顛末は或るルートを通ってマリエラの元に届いている。「あちゃ〜何やあのギガもときは!うち等のベルゼンラーヴェに何しよんねん!」
「まあ落ち着け。しかし…彼奴は何を迷っておるのか?さっさと呼べば良いものを…妾を。」その声はその言葉不相応の年齢の声。「あんの〜まあ見せてくれんのはありがたいんやけどねぇ?」
マリエラの言葉に「うぬ?何か妾は悪い事をしておるのか?」さも何故だ?と言う様な顔でマリエラを見詰める顔。「あんね〜ベ・ル・ウッ・ド・ちゃん?」マリエラは一息付くとベルウッドにまくし立てる様に言う。
「自分の体が傷ついとんのに何でこないな所でお茶しよるって言ってんねんっ!!!」茶請けのせんべいを噛りながらその行く末を観戦している12〜4歳程の少女に非難を打つける。
「何を訳の解らん事を言う?妾は確かに彼奴等に会っておるぞ?」止めの一言にマリエラも同じく最終決戦用の言葉放つ。
「なあ?ベルちゃんが会ってるって言ってもな〜?その姿は見せたん?あの様子やと見せて無いんとちゃう?」その言葉に一撃でせんべいは噛み砕かれそれを一気に飲み込む。
「…忘れた。なら急ぐとしよう。うわっはっはっは。」白々しい笑い声だったと言う。
幹への砲弾の着弾音と同時にベルゼンラーヴェは吹き飛ばされる。爪を握り込んでの拳の弾幕の一斉砲撃。それは連激と言うには余りにも手数が多過ぎる。
マシンガンの如き数の拳の攻撃は胸部装甲を易々と砕き周辺フレームを歪ませる。コクピットを紫電が迸り少し前と同様に今度は実際の問題としてシステムエラーが続発する。
ESBストライクで強引に伸し掛かろうとするペイルバイターを吹き飛ばしその間に立ち上がる。驚く程ゆっくりとベルゼンラーヴェは立ち上がる。胸部周辺からコクピット内同様に放電を起こしながら何とか立っている状況だ。
「こっこれはおかしいでありますね?何か不条理ですが…何かを行った形跡は無い。」
何か致命的な感覚が有ったのはこの事なのだろうか?それが証明される。振り上げたドリル棍棒が異常発熱する。「そろそろ終わりだ。ペイルバイター!止めを刺してやれ。」ここで気付く。
あの機体は機械科魔学を素で使用している。しかもそれの発動者がペイルバイター自身なのだ。「眠れ!地の底で!」
必滅の一撃が振り落される。それは確実に目標を捕らえて外す事は有り得ない。
「これだけの数を相手にやれってか〜?ロードゲイルで…。は〜…。目眩がするよ。まあ別に
キャノン砲とか背負ってないノーマルタイプで、さらに無人ってのがせめてもの救いだけどね…。」
ハガネは虚ろな目でため息を付いた。が、その後で操縦桿を握りしめ、ハガネのAIとゼノンのコアがリンクし始めた。
「でも!とにかくそれでもみんなが避難する為の時間を稼がなきゃ!!」
ゼノンは一気にゴジュラス軍団へ向けて急降下を開始した。生身の人間ならごく一部の例外を覗いて
その強烈なGでまいってしまう程の速度をハガネはもろともせずにゼノンと共に真っ逆様に降下する。
そして先頭のゴジュラスの近くまでくると一気に方向を変え、右方向への横滑りを行いながら左腕の2本のマグネイズスピアをゴジュラスの一体に向けたのだった。
「電磁砲発射!!」
マグネイズスピアの先端から電磁ビーム砲が発射され、そのまま横薙ぎ放射で1体、また1体と、
多数のゴジュラスに電撃を当てていく。とはいえ、いかにゴジュラスが旧式と言っても装甲防御力と
いう点では今だに高いレベルを持ち、ダメージそのものは特に大きいと言える物では無かった。
しかし、ハガネにとってはゴジュラス軍団の目をこちらに惹きつける事が出来ればそれでよかったのである。しかし…。
「さあこいこい!!って…あれ?」
ハガネはゴジュラスに攻撃を仕掛け、わざと怒らせ、こちらに向かって来た所を振り切らない程度の
速度で逃げて安全な所まで誘い出すという作戦を考えていたのであるが、ゴジュラス軍団はこちらを
無視しているかのようにゼノンには全く目もくれず、元通りラボへと向けて進撃を再開したのだ。
「え!!?そ…そんな…。ってこらぁ!!ちゃんとこっちに来てくれないと困るじゃない!!」
ハガネは戸惑い顔で再度ゴジュラスへ向けて電磁砲を発射した。しかし、何発当ててもゴジュラスは
こちらの方へ向く気配すら無く、ただひたすらラボへと突き進んでいたのだ。
「一体どうなってんのよ…このままじゃラボが…。」
ハガネは急いでラボへと通信を送った。
「タリスさん!!皆の避難誘導はどれほど進んでる?」
『ハガネさん!!避難はまだ半分しか進んでません!!それに…レイズタイガーの輸送もまだ…。
とにかく今はハガネさんに頼むしかありません!今ゾイテック保安部隊に救援を求めました!彼等が到着するまでしのいで下さい!!』
「わかった!そっちもとにかく急いで!!私もなんとかしてみせるから!!」
通信を切ったハガネは操縦桿を前に倒し、ゼノンをゴジュラスへ向けて突っ込ませたのだった。
「みんなが避難するまでラボには近づけさせないよぉ!!」
「ゴジュラスに取り付けたコントロール装置はは上手く作動しているようだな。」
「そりゃそうですよ!何てったって我がズィーアームズの最新式なんですからねぇ!!」
「ふ…そうだな…。」
ブルーシティーの外れにおいて止められたグスタフの一機の荷台に積まれた管制室の様な物の中で
黒服の男達がラボに向かうゴジュラスの様子を監視しながらそのような事を言い合っていた。
と、その時、管制を行っていた黒服の男が司令官っぽい黒服に対して言ったのでした。
「隊長!どこからか現れたロードゲイルがゴジュラスに攻撃を仕掛けていますよ!」
「何?」
隊長はロードゲイルがゴジュラスを攻撃しているという映像を見た。そこには何とかゴジュラス軍団を止めようと四苦八苦しているゼノンの姿が映し出されていた。
「ほう…ロードゲイルか…それにしても報告ではゾイテック保安部隊にロードゲイルは配備されて
いなかったはずだが…一体何者だ?まあそんな事はどうでも良いか…。とはいえ…このままでは
予定に狂いが生じる事は明白か…。ようし!予定を若干繰り上げる!D・D隊出撃せよ!!」
『D・D隊出撃します!!』
隊長の指令に合わせ、各グスタフの荷台に積まれ、幌に隠された何かがその幌を突き破って一斉に
上空へと舞い上がった。それはズィーアームズ社の誇る最新型ゾイド。紅き飛竜“デカルトドラゴン”
であった。それが総勢5機も存在するのである。そうして、グスタフの上空100メートルの位置に
ホバーリングしているデカルトドラゴンに対し、管制室の中で隊長がマイクを直接握り、通信を送った。
「いいか!!目的はゾイテックの新型ゾイドの奪取、またはその破壊だ!邪魔する奴は殺してもかまわんぞ!!」
『了解!それでは、出撃します!!』
デカルトドラゴンは機首をゾイテック本社へ向け、一斉に飛んだのであった。
「10機目ぇぇぇ!!!!」
黒服の男達が何やら陰謀企んでる間にも、ハガネとゼノンは戦っており、どうにかゴジュラスを
10機仕留めていた。彼女も伊達に100年前の大戦を乗りきってはいない。ましてや彼女は
ゴジュラスをも遥かに超える相手と戦ってきたのである。なんだかんだ言っても結構強かった。
また、ゴジュラスの攻略法を既に知っていたという点も大きいと言えるかもしれない。
その攻略法とはマグネイズスピアを脚部関節等に突き刺し、内部をショートさせるというシンプル
な戦法であったが、シンプルだからこそ効果があると言う事も出来た。が、それだけやっても
ゴジュラスは全くハガネとゼノンに見向きもせずにラボへと突き進んでいたのである。
「ああああ!!ったくこれだけやっても無視かい!!」
ハガネは目を細め、愚痴りながら正面のコントロールパネルを軽く殴りつけようとした、
と、その時だった。ゼノンのレーダーが新たに接近する5機の機影をキャッチしたのである。
「こ!これは!!」
ハガネが上空を見上げた時、ゼノンの周囲を先程レーダーがキャッチした5機のゾイドが飛び回って
いたのだ。そのゾイドはハガネにとっては初めて見る機体であったが、それは確かにデカルトドラゴンであった。
「該当データ無し!!どこぞの新型機か!!?このドラゴンタイプは!!」
「ロードゲイルごときでゴジュラスを10機も倒すとはご苦労なこった!!」
その時だった。デカルトドラゴンの一機が急降下をかけてきたのだ。
「うわ!!速い!!」
背後から突如として急降下突撃をかけてきたデカルトドラゴンの突っ込みをゼノンはどうにか
かわした。しかし、安心したのもつかの間、2機目のデカルトドラゴンの体当たりを受けて大きく吹っ飛んでしまった。
「きゃぁぁぁぁ!!!!」
ハガネは悲鳴を上げ、そのままゼノンは地面に叩きつけられた。その姿にデカルトドラゴンのパイロット達は笑っていた。
「ハッハッハッハッ!!聞いたか!!?今の声!!」
「女が乗ってるのかぁ!!?」
デカルトドラゴン隊の嘲笑をあびながらも、ハガネはどうにかゼノンを起こしていた。と、その時、ハガネはある事に気付いたのだ。
「こ!!これは!!何で…。」
ハガネは驚いていた。なぜならゼノンの身体の各部がズタズタにされていたからである。
普通に考えて体当たりを受けた位でこれほどズタズタにされるワケでは無いのであるが…。
「ま…まさかあれのせい!!?」
デカルトドラゴンを見たハガネははっとなった。デカルトドラゴンは全身にトゲトゲなどが存在し、まさに全身が凶器とも言える異様を誇っていたのだ。
「当たっただけでこっちが傷つく…ま…まるでドラ○エのやい○のよろいね…。」
ハガネは目を細めながらそう愚痴っていたが、デカルトドラゴンは再び突っ込んできたのだった。
「きゃあ!!危ない!!」
ゼノンはとっさに飛んでその攻撃をかわしていたのたが、その間にもゴジュラス軍団はジリジリとラボへ迫っていた。
「ああ!!ラボが!!」
「ヒャッハハー!!どこを見ていやがる!!」
ハガネがラボへ迫るゴジュラスに気を取られたのが悪かった。デカルトドラゴンの胸部から
高電圧ビーム砲、“エレクトリックディスチャージャー”がゼノン目がけて放射されたのだ。
「え?き…きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
エレクトリックディスチャージャーの直撃を受けたゼノンは全身がスパークし、機体はたちまち炎に包まれるのだった。
「ああ!!ハガネさん!!」
「畜生!!保安部隊はまだかぁ!!?」
今だ全員の避難が完了せぬラボで、タリスは涙を浮かべながら叫び、別の技術者は今だに到着せぬ保安部隊に歯がゆい気持ちになっていた。
「ヒャッハッハー!!やったぜぇぇ!!丸焼けだ〜!!」
炎に包まれながら倒れるゼノンをあざ笑うかのようにデカルトドラゴンパイロットの一人は歓喜の声をあげていた。
「おい!そろそろ遊びはやめてさっさと仕事に取り掛かるぞ!」
「ああ!わかったわかった!」
他のデカルトドラゴンパイロットに諭され、先程笑っていたデカルトパイロットは気を取り直して正面を向いた。その時だった。
「どっへぇぇぇぇ!!!!?」
デカルトドラゴンパイロットは突然何かに驚いた様子で間の抜けた表情と声をあげた。なんとデカルトドラゴンの頭部にハガネがへばり付いていたのだ。
>>恐怖の亀裂作者さん
>やっぱりセイスモやらデスステでは目立ちすぎるのとメンテナンスが大変だったからでしょうか?
そっちの方は昔の大戦の最後の戦いで破棄されたと言う事にしています。
ハガネはその後も色々なゾイドに乗っていくのですが、そのつどゼノンと言う愛称を付けています。
話は変わりますが、貴方の話で帝国ギガが一瞬弱く見えたのはやっぱり相手のパイロットが
強かったからと言う事になるのでしょうか?荷電粒子砲を持っているなら凱龍輝でも
何とかなりそうな気もしますが・・・。
>>Inocent World作者さん
昔懐かしの試験官サイクスおじさんキター!!とか、Eシールドを張ればナノマシンのアレ
突破できるじゃん?とか思った矢先にどうやったら勝てるのかわからん無茶パワーで
もう何がなんだか・・・何か本当に絶望的と言う感じですね。」
>というより、ター○X(∀かも)をイメージして作りましたんで…
と言う事は、デスメテオもター○Xの様に、実は大量に量産されている・・・?ガクガクブルブル
鉄獣28号さんへ
デカルトドラゴン5機…コワーーーーーーーーーーー!?
幾ら速度等が機体の軽いロードゲイルの方が有利でも速度が出る前に押えられてしまったり。囲まれたりしたら…アワワワワワワ!?
もうちょっと書いてから寝るべきだった_| ̄|○
一応凱龍輝で勝て無い理由も用意はされています。ネタとして…。
後は荷電粒子砲を撃たなかった訳等も一緒に。
狙いは外れなかった…だがその一撃は目標を擦り抜け地面に大穴を穿つ。当然ペイルバイターは地下に落下する。
「これはディスプレイサー。この一瞬で如何やって!?」その流石に驚いたと言う様な言葉に答える傲慢不遜な女性の声。
「ふん!所詮はコアの無いゾイドと戦っておっただけの事よ!有るべき場所に有るべき物がそしてそれに相応する物あれば主等程度相手にもならんわっ!」
虚像が消えその場所に実体のベルゼンラーヴェが現れる。破損状況をものともせず力強くはばたくアスピトルテの外套。
「すまんすまん…姿を見せるのを忘れておった。妾は主の機体のコアの移し身。偉大なる母にして暗き森の主なり!うわっはっはっはっ…うぬ?反応がいまいちだな?」
「…遂にお迎えが来たでありますか。こう見るとつまらない一生でありまし…おぶっ!?」そう言って目蓋を閉じようとするファインの顔面に少女の32文ロケット砲が突き刺さる。
「うぬは妾をヴァルハラの戦乙女等と一緒くたにする気か?その口がそう言うのか?その口かその口かそのそのそのそのぉ〜っ!?」倒れたファインに乗りかかり口を引っ張る。
気付けや戦闘で受けた傷の止血を忘れずに。しかし奇妙な光景でメディカルキットは誰の手を介する事無く的確な治療を施している。しかし蹴った跡と口はそのままだったりする。
殴られたり治療されたりと忙しい目に遇う体。少女はふと手を口から放すと真顔でこう言う。「汝。ここまで来てもまだ早いと言うか?来世よりの放浪者すら居るこの場を見てまだ言うのか?」
その黒曜石を想わせる目からは今初めて有った筈なのに何故か知っている様な気がする。更に責める様に言葉は続く。「何故頼らん!今回は妾に責任もあるがそれでも!」
何か変な言葉だ。”今回は”と言ったのだ。つまり何処かに前から居たのだろうか?そうだとしてもまだ”今回は”はおかしい。何か人知れず自分の事を知っているベルゼンラーヴェの精霊。
何かその裏に或る意味を知ろうと疑問符が脳内を舞う。「早まらんでも良い!兎に角今は主が如何言おうと居座らさせて貰う!そもそも娘の契約の時点で妾にもそれは適応されておる!」
「何ですとぉ〜!?」それにはびっくりで素っ頓狂な声を上げる。「連帯保証人にでも成ったと観念するが良い!それに主にはまだして貰う事が有るからな。」問答無用らしくいまいち状況が読めない。
「取り敢えずは…あの猪武者がこれだけやった為に散った力を貰おうではないか。置換再生!」
そこら辺に有る砕けた岩盤の欠片等が一気に砂になり風に舞う。それが治まった後には無傷の状態のベルゼンラーヴェ。
融け爛れたホロテックルーン装甲が元に戻り先の戦闘で修復が完全でなかったフレームも元通りに成っている。
「悪鬼呪法機関も順調に動いておる様だな。結構結構!」ご満悦らしい。しかし少女のその姿は今まで会った誰よりも珍妙な装束をしている。
現存する存在とは全く違う箇所もちらほらと有る格好だ。更には…人じゃない。見た目が。とても類似しているので遠くから見れば解らない程度だが目の前に居るので違いは一目瞭然。
髪の毛以外に頭部には機体同様の孔雀っぽい尾羽根。良く見るとパタパタ動いているし結構な数が或る。他に体であろう部分は腰辺りに巻いている極端に薄い蝙蝠みたいな羽の重ね合わせ。
段差の数を数えるのも眩暈がする程。それは分厚い資料の切れ端の山を想わせる。それに何処でも販売してなさそうな奇抜なドレス?の様な服。思い当たる所が有るとすれば童話の絵本のアレだ。
同名の存在が仕立てたと言うもの。真紅に虹の糸の刺繍。童話とは違い白い生地がアクセントになっている他儀礼用というよりは戦装束に近い。更には首に7色7本の虹を想わせるマフラー。
「何を見ておる…妾だってしたくてしているのでは無い!こう見えても72柱の悪魔アドラメレクも兼任していたからしょうがないのだ!」何故か怒っている。「ん?あれは無人か?」サブシートの1つを見る。
目の前に居ても邪魔そうだと呟きながら勝手に座る。ファインの意思の有無は元から無いようだ。「クーリングオフ期間は無いのでありますかっ!?」思わず無茶な方向に突っ込む。
「無い!だが命をよこせとは言わんから安心するが良い!」と無駄に確り答える精霊。状況が明後日の方向に流れつつ在るが地下に落下したペイルバイターの動向を探りつつその一挙一動に注意を払う。
「警戒せんでも良い。それに妾のこの姿にはベルウッドと言う名が有る。気兼ね無く呼び捨てで呼ぶが良い!略したら…死なす。」最後の辺が凄く空気の温度が下がった気がするが気にしない事にする。
地響きがする。どうやら地下から地上へ戻ってくるらしい。多分余程の事が無い限りはこれが最終ラウンドに成るだろうと身構える…。
「あっちはまたチャンバラを始めたぜ。片方はさっきのえせギガの親玉だな。」クロスは空中で鋼鉄の円舞曲を舞う2機を見ながら言う。
「やっぱり気になるよクロス。荷電粒子砲が有ったなら何で使わないのさ?」リックがそう言う。それに合せて何と一番頭の良さそうなリエットまでも一緒に頷く。
「だぁ〜!だ・か・ら!俺達のギガの背中を見ろ!何が付いてんだよ?」今回3機のギガは海中を侵攻した。単にギガだけでも遠泳程度なら出来るが水中に専用装備無しで沈んで移動する事は流石に出来ない。
その答えは背に装備されている2機の月光。ついでにその2機の月光の間にはバスターキャノンが繋がれておりこのエネルギー兵器に改装されたバスターキャノンレーザーカスタムの肥しとなる。
「そうだった。御免。忘れていたよ。」リックが言う。「それにこれだけ集光パネル持ちが居るから撃たなかったんだよ。相手が未来から来たならそう言う風にプログラムを組んでいてもおかしくないだろ。」
「腐ってもギガ。荷電粒子砲は飾りと言う事か。」知ったような口でマックスが閉める。「それに奴の腹HEシールドの他に指向性地雷まで持ってやがった。凱龍輝とか相手ならそれで対応するだろうし。」
最後に「行動ルーチンが4系統ぐらいしか無いんだろうよ。ギガと凱龍輝が同時に居てギガの方が多いなんて状況有り得ないからな。混乱したんだろう?」
「ベルフさん良く無事でしたね?」「無事じゃなかったんだけどね〜。」更に頭数が多い量産ギガと戦闘していたベルフ。
「彼奴等3機1セットみたいでね。3機づつしか攻撃してこなかったのよ。それに同士討ちを怖がって折角有る近接火器と荷電粒子砲を全く使わなかった。使われたら危なかったよ。無駄に高性能な自動操縦機だね。」
結局幹に届いた砲撃は1発のみ。それでも別方向に抉られているのでもう一つ別の方向から傷付ければ切り倒せそうだ。「3時の方向に行こう。手薄だしさっきの砲撃の真裏だ。」
2機は巨木に止めを刺す為に行動を再開する。
ベルゼンラーヴェの頭部の目に力を感じる光が灯る。「今更何が出来るというのだね?先の様な奇策は通用せんぞ?」地上から空中と素早く移動し隙を見せないペイルバイター。
「さて…如何したものでありましょうか?」機体の不安要素の一つ出力の不安定さが解消され行動に余裕が出来ると逆に迷ってしまう。
「ならばそれを使え。」少し前にアールマティに手渡された物を見てベルウッドはにやけ顔で言う。何か有るらしい。
しかし錬金や置換ではこれをうんともすんとも出来なかったので訝しげに見ていると「今度は大丈夫だ。出力のタイミングなど取る必要は無い!それは妾に任せておけ。」
それを握りもう一度それを試みる。その間にも尖角刀とドリル棍棒のチャンバラは続いており隙が相変わらず無い。
しかも通じないと知って逆に目眩まし代りに拡散荷電粒子砲を撃ってくる執拗さ。圧倒的な経験を以てして実現する実質剛健、絢爛豪華な戦技の数々。
捌くので手一杯では足りない。「弦状空間跳躍機1号から6号まで全起動!」ベルウッドの介入で如何にか凌ぐ状況。
それが完成する。目の前に突然現れる炎。「手に取れ!」その言葉に従い炎を握り込むそれを振り払うとその手に長い棒が握られている。「?」随分と豪華な棒だが一体何に使うのかさっぱりだ。
「尖角刀を前へ!」その棒で迫るドリル棍棒を弾き距離を置き尖角刀を前にだすと棒の先端部に放り投げる。棒を振るい尖角刀を棒に有る穴に差し込む。
するとまた棒と尖角刀が炎となり一つに成る「これぞ幻変の法!黒山羊の槍杖!振るえこの力を!」杖を振り払う。
「ぬお!?」ペイルバイターに何かが着弾して爆発を起す。「主が叩き砕いた大地の力よ。因果応報よのう?」打ち出されたのはエネルギーを負荷された砂や土。たった今そこら中で立ち上っている土煙である。
「それで如何にかなると思っているのかっ!」レーザーシザースを掴んだアームが攻撃を仕掛けて来る。軽い金属音と共に槍杖に弾き返されるレーザーシザース。「こう言う物を振り回すのは得意でありましてね!」
杖の中間部で受け止める。レーザークローで挟まれる形になるが一向に気にする事無く杖を回転させるファイン。軽々と超握力の鋏を引っぺがす。「面白い!だがここまでだ。」
距離を置こうとするペイルバイターに追撃を掛けるベルゼンラーヴェだが振り下ろされた槍杖の先の機体は叩いた瞬間甲高い音と共に砕け散る。「鏡!?」しかも破片が意志を持った様に襲い掛かって来る。
槍杖で何とか弾くがその間にペイルバイターを完全に見失ってしまう。あれだけ蔓延していた突き刺さる様な殺気も全く感じられない。「「なぁっ!?」」後方からの不意の一撃に杖を突き地表への直撃を避ける。
「う・・・うああああ!!!メイド服の女がぁぁぁ!!!」
「ああ!!?メイド服ぅ!!?どうした!!?ってうお!!D・D1番機の頭部に何かがへばり付いてるぅぅ!!」
それには他のデカルトドラゴンパイロット達にとっても驚くべき事であった。一体いつの間に
へばり付いたのか、どうやって音速で飛行するデカルトドラゴンにへばり付く事ができたのか、まったく理解不能であった。
「ふっふっふ〜・・・よくもゼノンをやってくれたわね〜・・・。」
「は・・・はは・・・。」
メインカメラからの映像を介したハガネの怒りのこもったにこやか笑顔にデカルトドラゴンパイロットは笑うしかなかった。
「うっりゃあぁ!!!」
「うわぁ!!」
その時だ。なんとハガネの右腕の鉄拳がデカルトドラゴンの分厚いコックピットハッチをぶち抜き、そのままハッチをこじ開けたのだ。
「うあああ!!!お助けぇ〜!!」
「ふっふっふ〜・・・一体何処の誰かはわかんないけどさ・・・。こんな事なら家で野球中継でも見てるんだったわね〜・・・。ねえ坊や?」
コックピット内に侵入したハガネは笑顔のままパイロット正面のコンピューターを蹴り潰した。
無論デカルトドラゴンはコントロールを失って失速、そのまま墜落して行った。しかし、ハガネは
さりげなく脚部のブースターを吹かして脱出、そのまま高速で飛行していた。彼女も伊達にロボットでは無い。
「うああ!!メイド服の女にD・D1番機が落とされたぁ!!」
「というか空飛んでるぞアイツ!!一体何者だぁぁ!!?」
華麗に中を舞うハガネの姿に誰もが唖然としていた。そして、飛行したハガネはそのままゴジュラスの1体に向けて急降下した。
「やぁぁぁぁ!!!!」
ハガネはそのままゴジュラスの頭部キャノピーをぶち抜き、コックピットに突っ込んだ。その際の
衝撃でゴジュラスは黒服の男達が仕掛けたコントロール装置が解除され、機能を停止する。
「は・・・はは・・・あいつ・・・ゴジュラスに突っ込みやがった・・・。」
「そうだな・・・。あれだけの勢いで突っ込んでたら即死は確実だよな・・・。」
デカルトドラゴンパイロット達はやや焦った状態で苦笑いしていた。と、その時だ。なんとハガネが何事も無かったかの様な表情でヒョッコリと顔を出したのだ。
「死んでない死んでない!」
「うっそぉぉぉ!!!」
唖然とする皆を尻目に、デカルトドラゴンパイロット達に向けてハガネは手を横に振っていた。
と、思ったら今度はハガネの両手の平から直径5センチくらいのレンズの様な物体が現れ、
ハガネ自身も両手を開いた状態で両手首をくっつけ合わせ、深く何かを溜めるような何やら怪しげはポーズをし始めたのだ。
「な・・・なんだ・・・?何をするんだ・・・?」
ハガネの怪しげな行動に誰もが思わず息を呑んだ。と、その時、デカルトドラゴンパイロットの一人がある事に気付いたのだ。
「大変だ!!あ!あの女の両手から高エネルギー反応が!!」
「ええ!!?それって一体どういう・・・。」
その時だった。今度はハガネ自身が強い光を放ち始めたのだ。そして・・・
「メ・・・カ・・・は・・・め・・・。」
「メカはめ?」
突然ハガネが口ずさんだ言葉に誰もが首をかしげた。と、それはその時に起こった。
「波ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「!!!!」
その瞬間誰もが我が目を疑った。ハガネの開かれた両手から極太の高エネルギー光線が放たれ、
ゴジュラス1体の胸部をまるごとぶち抜いていたのだ。その様相はその昔地球で大ヒットしたと言う
とある格闘漫画に登場する必殺技に酷似した物であったが、その本質はハガネ自身に装備されている
武器の一つ、“腕部光子砲”を、その格闘漫画の必殺技っぽく使用しただけの事に過ぎなかった。が、それでも他の者にとっては衝撃が大きかった様子である。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
それから、10秒くらいの沈黙が続いた。避難を続けていたタリス等もそれには避難を忘れて見入っていた。
「ハガネさん・・・。」
「あいつ・・・ゾイドに乗らない方が強いんじゃねーの?」
「確かにそうだな・・・。」
技術者達は唖然としながらもその様な事を口走っていた。
「これだけやっても無視かい…。」
ハガネはやや目を細めていた。確かにパイロットが乗っているデカルトドラゴンはパイロットの感情が
影響されて戸惑いを隠せないでいる様子であったが、無人機であるゴジュラス軍団はラボへの進撃に集中しているのか、まったくハガネの事を無視していた。
「ったくこれじゃあラボを守れないかもしんないよ!!」
ハガネは別のゴジュラスへ跳んでキャノピーをぶち破り、同時にコックピット内部のコンピューターを
破壊して機能を停止させたが、残存するゴジュラスの数も多く、ラボへの進撃を続けていた。
「このままじゃあ〜…ああ!!」
その時ハガネの目に飛び込んできたのはラボの外に運び出そうとグスタフの荷台に乗せられた
レイズタイガーの姿だった。と、その時だった。レイズタイガーの姿を見た途端にゴジュラス軍団が
一斉に甲高い咆哮をあげ、レイズタイガーへ向けてスピードを上げて突き進み始めたのである。
「ああ!!やっぱりアイツ等の目的はレイズタイガーかぁ!!?」
グスタフのコックピットにはタリスとZ−12が乗っており、グスタフは最高速度で逃げる。
しかし、それでもゴジュラス軍団から逃げるのは難しい物があった。ましてや空にはデカルトドラゴンがいるのだ。まさに絶体絶命と言うしかない状態だった。
『ゴジュラスガハッポウシテキマシタ!!キケンキケン!!』
「そんな事は分かってるわよ!!とにかくもっとスピード出して!!」
ゴジュラス軍団からのビームガン攻撃に煽られながらもタリスは必死にグスタフのアクセルを置まで
踏み込み、スピードを出そうとしていたが、グスタフの速度はそれ以上上がる事は無かった。
「うっわぁぁぁ!!もうこのままじゃやばいよやばいって!!」
ハガネは左手の腕部光子砲をゴジュラスのコックピットに撃ち込んで倒しながらも、右手で頭を抱えて
そう叫んでいた。ゾイテック保安部隊の到着はまだ。というか出動してるのか?と思わせてしまう程
一向に来る気配が無い。デカルトドラゴンは高みの見物を決め込んだ様子で空中で待機した状態で
ゴジュラス軍団の動きを見守っていたというのがせめてもの救いであったが、不利という事には変わりなかった。
「うああ!!このままレイズタイガーのテストパイロットという本懐を果たさずに破壊されてしまうのぉぉぉ!!!?」
ハガネも思わず錯乱しかけていたその時だ。突然デカルトドラゴンの飛んでいた地点よりさらに
上空から垂直に落下してきた何かがゴジュラスの一機のコックピットを打ち砕いたのだ。
「!!!」
「何だあれは!!」
デカルトドラゴンに乗っていた者、ブルーシティーの外れから指揮していた黒服の男達、そしてゾイテック社員達も突然の事に驚きを隠せない様子で思わず上空を見上げた。
『ショウゴウケッカデマシタ!!プテラスノマグネッサーウィングヲソウビシタイグアンデス!!』
「い!!イグアン!!?」
Z−12からの報告通り、ゴジュラスのコックピットを打ち砕いたのはイグアンだった。
しかし、ただのイグアンでは無い。このイグアンはチョコ=レートの乗るドラグネスだったのだ。
「チョコちゃん!!」
「今のウチに…。蒼の神を呼び起こして…。」
「蒼の神?」
チョコの発した“蒼の神”という意味不明な言葉にハガネは一瞬首を傾げた。しかし、今はそんな事を
気にしている場合では無い。なんとしてもレイズタイガーをゴジュラス軍団+デカルトドラゴン軍団の魔の手から守らねばならないのである。
「こうなったら!!!」
何を思ったのか、ハガネは脚部ブースターを全開し、タリスの乗るグスタフへと飛び、グスタフのキャノピーの上に付いたのだ。
「ハガネさん!!?」
「タリスさん!!もうこのままじゃあレイズタイガーがやられるのは時間の問題だよ!!私が
レイズタイガーに乗って戦う!!これなら相手の目を惹きつける事も出来ると思うよ!!」
「レイズタイガーに乗るって…。ぶっつけ本番でですか!!それに、暴走する危険性だってあるんですよ!!」
ハガネの突拍子も無い提案にタリスは驚いていた。しかし、ハガネは続ける。
「でも!!このままじゃレイズタイガーは何も出来ずに奴等の餌食だよ!!それでも良いの!!?」
「しかしまた暴走するような事があれば…。」
『レイズタイガーボウソウニヨルハソンノカノウセイハ99.99%デス!』
タリスはハガネを心配していた、しかしハガネはニッコリと微笑み、右手を握りしめた状態で親指だけを上に立てる。
「大丈夫!!前にも言わなかった!!?私はデススティンガーに乗った事もあるって!!」
「…………。」
タリスは数秒間目を閉じて黙り込んだ。そして目を開き、ハガネの目を見つめた。
次回からやっとレイズタイガーに乗り込むわけですが・・・
>>恐怖の亀裂作者さん
なるほどね。ちょっとアプローチの仕方が違う様ですが、ギガの対荷電粒子処理は
以前に自分が行った強化法と似た様な物ですね。
それはそうとして、別所では時代がかった言葉を使う少女とか出てますね。
「!? お前は僕が殺したはず…」
ルガールのマッドサンダーはゆっくりとゲートをこじ開け、数kmの距離を取ってデス・メテオと向かい合った。
「残念だったな、俺を誰だと思っている? 大戦中、燃料気化爆弾の直撃を受けても死ななかった私に貴様如きの衝撃波は効かぬ」
彼の言葉は誇張だ。本当は滅茶苦茶効いているし、折れた骨も直してはいない。
だが、彼はここで退く訳には行かない。親友の依頼を実行するならば、今だ。
「ルガールさん、“シギュン”を起動してくださったようで何より」
セディールは大きく舌打ちした。アレックス・ハル=スミス――どうしてコックピット内にビームを受けて生きているのだ?
「報酬はこの機体、と言う事で結構だ」
「そうですか。ところで、僕は既にコックピットが破壊されてしまっているので戦闘不能です…
“ギルド”の皆さんと協力して、あの男を…止めてください」
セディールの演説を聴いた能力者たちは、困惑したようにルガールの方を見ている。
「ふ…今更私に何を求めるのだ? 道を選ぶのはお前達自身だ――さあ、選べ」
ルガールの言葉は感情を殺していたが、そこには形容し難い重みがあった。
「奴に続き、非能力者全てを皆殺しにするか……奴と戦い、非能力者を守るか」
彼は何も強制しなかった。人の戦いには理由がある――それは、他人に強要された物であってはならないのだ。
長い沈黙。ナノマシンの渦に飲まれ、塵と化す野良ゾイドの断末魔さえその音を失ったように静かだ。
そして、第一声が聞こえた。
「…ルガールさん、聞こえますか?」
ルガールは記憶の糸を辿り、その声がエメット・ノーブルの物であると気付いた。
「僕は確かに、非能力者を憎んだ事もありました…でも、僕達は能力者である以前に…同じ人間です」
そう、能力者か否かと言う問題の前に、この町の人々が忘れていた事。
「非能力者全てを殺したら、ほんの一握りの人間しか残らない。僕はそんな寂しい世界――望まない」
「 寂 し い 世 界 ? 僕の理想が、能力者の自由が寂しいって?」
セディールは愕然とした。同胞の誰もが、自分に続くと思っていたのだ。それ以外の意思がある事など、想像もしなかった。
「僕は、あなたと戦います。セディール・レインフォード…守りたい物の為に」
エメットに続き、能力者達が次々とルガールの周りに集まってきた。
「俺達は、非能力者を殺したい訳じゃない!」
「非能力者には、私達の肉親も含まれてるのよ!?」
やがて、ルガールを中心にして全てのゾイドがデス・メテオと向き合った。
「どうかな? ご自分の幼稚なエゴに、いい加減気付いたか?」
デス・メテオを中心として放射状に大地が割れた。
「何故だ…貴様らッ!! 僕は…能力者の…自由を…」
「非能力者を抹殺すれば自由になれるなどと、やはりRPGのラスボス並に頭が悪いな…セディール」
セディールが信じてきた全てが、この時崩壊した。能力者の軍を引き連れ、非能力者の屍の山に新時代の旗を
打ち立てるビジョンが脆くも崩れ去ったのだ。セディールは一人、孤独に叫んでいる。
後に残ったのは一瞬の絶望と、燃え滾る狂気。そして、絶望と悲しみを焼き尽くして広がる怒り。
「そうか、そうか…誰も僕を認めない…同胞さえも。世界中の全てが、僕を否定するのか…」
セディールは低く笑い始めた。その笑い声はぞっとする様な戦慄を孕み、デス・メテオの目が紅く輝いた。
「ならば…この世界の全てを、消してしまえばいいんだ…僕を否定するものの居ない、理想の世界を作ろう…リニア」
その時、ルガールは後頭部をハンマーナックルで殴られた様な気分になった。リニアは何処だ?
デス・メテオが怪しく明滅するナノマシンを纏い、一歩を踏み出そうとしたその時、市街の北に影が刺した。
「…まずいですね…すっかり、接近してくる方舟の事を忘れてましたよ…」
方舟の落とす影が、大地を覆っていく。そして下部の岩肌が開き、砲口の直径100mはあろうかと言う砲塔がせり出してきた。
「“ノアの矢”だ…この一撃でも、この街くらいなら吹き飛ばせる…山一つ消えるんだからね…!!」
エネルギーが集束する。だが、巨大なエネルギー砲が放たれる事は無かった。
突如、方舟が頭頂部から下部まで一気に大爆発したのだ。空一面を覆った閃光の後、降り注ぐ破片の中一機のゾイドが降りてくる。
「セフィロトの守護天使、]の“サンダルフォン”…今更何の用かな?」
サンダルフォンは本社ビルの上で静止した――そして、地下で何かが鳴動を始めた。
400突破ですよー(・ω・)ノシ
>>鉄獣28号氏
>どうやったら勝てるかわからん無茶パワー
最 高 の 褒 め 言 葉 で す (本当に)
「世界の半分をくれてやる」で一人も受け入れない悲しい魔王の話か?w
それはそうと、レイズもワイツと同じく自我を持っているのでしょうか?
>>恐怖の亀裂作者氏
近いことはやりますよ? パイロットが狂いましたし。
しかし…「おぶっ」とか、毎回読むたびに笑いが止まらないあなたの作品w
いまや大長編奇想天外ゾイドバトルストーリー?
鉄獣28号さんへ
ハガネさんの活躍が〇腕■ト■やら鉄〇2〇号やらを思い出してしまいました。
やっぱり理解できない事の前には声を出して驚くしか出来ないでしょうね…。
Inocent Worldの作者さんへ
サンダルフォンキターーーー!でもサンダルフォンと聞くと某ゲームの暴走撲殺武装復讐鬼黒天使弟君が頭に浮かんでもうダメポ。
インパクトが強すぎて…ビームを拳で打ち砕くとか。ビームサーベルの刀身を握り潰したりとか。空飛ぶバイクに跨って巨大ロボに奇声を上げて突っ込んだりとか。
お姉ちゃんの名前を恥ずかしげも無く叫びながらお姉ちゃん殺そうとしたりとか…。声が勇者王だとか突っ込み所満載で如何しようも無いです_| ̄|○
まあそれは置いといて…本社ビルの地下今度はどんな物が出て来るのか?三すくみ状態に成ってしまった中で一番厳しい状態のルガールさんの活躍は如何に!?
「隠れ蓑か!格闘王が聞いて呆れるわ!」ベルウッドが毒吐く。しかしベンハルトは気に病む様子は無い。「コクピット内の会話は漏れているぞ?」
そして「悪徳業者の様に契約を無理矢理受諾させた者の言う言葉ではないな!はっはっはっは!」その言葉に切れたベルウッド。「やれい!あんな奴等叩き切ってしまえいぃっ!」
そのやり取りに「何方が悪党だか…へぶぅ!」「聞こえておるぞ?」「聞こえる様に行ったのでありま…うわぁぁぁ!?ギブッギブッギブッ!!!」口答えしたファインに容赦の無いスリーパーホールド。
「落されたくなければ…やれい〜!!!」「やっヤーッ!!!」槍杖を振り回し周囲の土煙を払う。
「その槍杖の力見せてやれ!」と怒り心頭で言うが良く見れば尖角刀と棒をくっ付けただけの物だ。特にこれと言った変化は無い。
「だああああ!じれったい奴よ!それは周囲の存在を利用してそれを問答無用で打ち出す力が有る。主等の言うレールガンだ!他にも杖や尖角刀自体にもその力を付加させる事が出来る。」
レールガンって物はレールが有ってこその物だとは思うが今は突っ込むのは止めにする。スリーパーホールドの状態で耳元で怒鳴っているので逆らえば落されるだろう…。
尖角刀の部分を地に奔らせ意識を刃に集中する。すると何処から発生したか精錬された鉱石の固まりが槍杖の周りに幾つも発生する。「ほう?ラウンドミーティアか?面白い物を出すものよ。」
そこに今度は3体のペイルバイターが現れる。
「全部偽物!てあぁぁぁ〜!」ファインは槍杖を振り回し迎撃する。鉱石は杖の軌道に沿って移動し攻撃範囲の狭さを補う。即座に3枚の鏡は粉砕され破片は鉱石に突き刺さる。「やりおるのう?攻撃より防衛重視か。」
ベルウッドはスリーパーホールドの格好で状況を見て愉しんでいる。随分と負け戦に恵まれて?いるのか最小限の動きや行動で状況を打破しようとしている。しかし経戦重視の戦闘方法はベンハルトの様な攻撃一辺倒の相手に脆い。
「次が来るぞ!この場を離れろ!」ベルウッドは指示を出す。「よっと…。」それに従いその場を素早く離れるとそこにはドリル棍棒を深々と地面に突き刺した状態のペイルバイターが居る。「仕掛けろ!今が好機!」
隙が生まれたペイルバイターにベルゼンラーヴェが迫る。「ふん!甘いわ!」突然バスタークローを掴み拡散荷電粒子砲を放つ。
反射的に飛び退くがその砲口は空に向けられている。「っ!?」猛烈に嫌な予感がよぎる。ペイルバイターはドリル棍棒を引き抜き天に翳す。
それまで順調に発射方向に進んでいた荷電粒子がベクトルを変えドリル棍棒に向かって飛来する。「やっぱり〜〜〜っ!?」急いでその場から更に遠くに逃げ出す。
「ふはははは!逃げても無駄だぞ?それに逃げれば別の目標に向けるまでの話だ。」周りに目を向けるペイルバイター。周りには当然帝国軍しか居ない状況。
逃げれば別の誰かがこれから起こるだろう攻撃に晒される事になる。ベルゼンラーヴェ移動を止めそれに備える。ここから遠くにまで届く攻撃ならそれを知らない味方に向けられれば一溜まりも無い。
「止めるというのか?面白い奴よ。逃れて隙を突けば如何とでも成ろうに…だがそれは妾も望む所!地王の力をその程度でしか示せぬ者に負けるわけにはいかん!」
ドリル棍棒に大量の荷電粒子が吸い込まれる。神器だけありそのエネルギーに融けたり蒸発したりしない。消滅しなかった荷電粒子が全てドリル棍棒に吸収され終わる。更にそれ以前に増して狂気を孕む破壊の鉄槌。
「荷電粒子の激流に消えよ!後の事等考える必要は無い。消えよ!」それを突き刺さんとベルゼンラーヴェに迫るペイルバイター。しかしそれより早くベルゼンラーヴェもペイルバイターに向かい疾走している。
全身の装甲等の隙間や縁より緑に煌めく光が漏れている。「ニュークリアインフェルノか!?ならば!」突撃を止めその場でドリル棍棒より渦巻く激流となった荷電粒子が放たれる。
だがファインやベルウッドの顔にはいやらしい薄ら笑いが張り付いていた。「「甘いのはお主だっ!(貴方でありますっ!)」」
黒山羊の槍杖の力が今一度振るわれる。その対称は目の前に迫り来る荷電粒子の渦。ベンハルトも黙って見ている訳では無くペイルバイターに更にバスタークローの誘導範囲を狭め収束荷電粒子砲を発射させる。
新たに2条の光が渦に加わる。だがそれも問題ではない。収束だろうが渦状だろうが結局荷電粒子砲の荷電粒子なのだ。左手に握られた槍杖が振り抜かれると荷電粒子はベクトルを自然に修正し上空に流れ行く。
それすらも見抜き突撃してくるペイルバイター。しかし今度はそれを見抜かれている。圧倒的な手数を以て完成される押しの戦法は手数が不十分なら恐れるに値しない。
一撃必殺の牙が閃く。しかしそこにベルゼンラーヴェは居ない。変わりにポイ捨てされたリバースEシールドが有る。
とっさにペイルバイターの左のアームからレーザーシザースを投げてそれに打つけると素早くその場から退避するペイルバイター。
レーザーシザースが高熱に還元され消滅する。上空ではベルゼンラーヴェが何かを行っている。
仕掛けは全て作動し今は発動中。槍杖を元の状態に戻し今度はその対称をニュークリアインフェルノの火柱に定める。槍杖より2匹の火竜が現れる。
槍杖を背に刺し火竜を撫でる。これぞ機械科魔学の真骨頂。いかさまサイコロを振った結果の成せる事。火竜の火はベルゼンラーヴェを焼く事無く更には機体温度も上昇させない。むしろ下がっている。
「早く言霊を吐かんか!形式に五月蠅い火竜を使っておるのだ!何でも良いから適当に言え!」ベルウッドがファインの頭を小突く。「…しょうがないでありますねぇ〜。」
息を大きく吸い適当に言う。「今生きる者に未来の鉄槌振るう事!それを悪と知れ!悪に降り注ぐは極炎の抱擁!バーニングドライブ!」実は言っている本人が反吐を吐きそうな台詞。
火竜の体が大きくなりベルゼンラーヴェを渦に包む。それを纏い一気にペイルバイターに突撃する。これが最後の一撃に成る筈だ。
「ふん!正義を語るか!良く耐えたなその恥ずかしさと傲慢な言葉に!」相手も既に最後の一撃に成ると判断し必殺の一撃を構える。別の力に頼らない本来の力。
背のウェポンバインダーが展開しドリル棍棒を中心に据え固定。それを腕に装着し全ての力を結集する。ドリル棍棒から咆哮が放たれる。この時点で再び神が目覚めたのだ。
業火のドレスを纏うベルゼンラーヴェと地を薙ぐ烈風を纏うペイルバイターが空中で激突する。一撃目接触のみ。二撃目。三激目も同様。四、五、六、七、八、と全て不発お互いが掠り交差する。
空中で炎と竜巻が踊り狂う。無茶な軌道を描きそれでも尚炎と竜巻は勢いを増す上に速度自体も速くなる。
「「「おおぉぉ〜っ!!!」」」やはり息が合うのだろう。何処かが似た者同士の意地の張り合いが空中で最高潮に達している。一瞬早くベルゼンラーヴェの間合いから自らの間合いに持ち込むペイルバイター。
しかし「ESBストライク!」突然の蹴りに竜巻が打ち破られる。それと同時に火竜の抱擁がペイルバイターを包み込んだ。
「分かりました。貴女の持つ“心を持つ人工知能”に賭けてみたいと思います。ただし、必ず生きて帰って来て下さいよ…。」
「わかった!!」
ハガネは笑みを浮かべると、そのまま荷台のレイズタイガーへ跳び、コックピットを開いた後で内部に乗り込んだ。
「後は頼みますよ…。」
タリスは祈る想い出両手を握りしめた。
「何だぁ!!?イグアンのくせにぃぃ!!」
一方、ドラグネスはチョコのコンピューターの様にクールな感情とは対照的とも言える豪快かつ優雅な
戦いを見せ付け、無言のままでゴジュラスのコックピットだけを正確に蹴り砕き、ひとたび空を飛び、
ドッグファイトになればそのアクロバッティングな飛行でデカルトドラゴンを翻弄するという破竹の
勢いを見せ付けていた。まあ確かにデカルトドラゴンが飛行能力を有すると言っても、プテラスの翼を
装備し、かつ軽量なイグアンの方が飛行速度や旋回性という意味では有利とも言えなく無いが、
どんな状況になっても表情一つ崩さないチョコの、とても10歳とは思えぬ実力も侮れない物があった。
と言うよりも、デカルトドラゴンに乗っている者達も、自分を苦戦させているドラグネスに10歳の少女が乗っていると知ったら発狂して卒倒するであろう。
一方、レイズタイガーに乗り込んだハガネは大急ぎで起動準備に取りかかっていた。
「ようし!ちゃんと動いて頂戴よ!レイズタイガーちゃん!」
コアの起動に伴い、エンジンが始動した事を確認し、ハガネのコンピューターがコアリンクを開始した。
「んあ!!」
その時、ハガネはそれまで感じたことの無い感覚に襲われた。レイズタイガーのコアとのコアリンクを
開始した直後に突然ハガネのコンピューターにコアの方からパルスの様な物が逆流してきたのだ。
『我を呼び起こさんとする者は誰だ…。』
「!!?」
ハガネの耳に今まで聞いたことの無い、地の底から響いてくるような低い声が飛び込んで来た。
「だ!!誰だ!!?」
『我は蒼の神ぞ…。今度はお前が愚かにも私を呼び起こしたと言うのか?』
「(まさか…これはレイズタイガーの“意志”?)」
謎の声にハガネが内心そう考えたその時だった。再び謎の声が彼女の耳に入ってきたのだ。
『貴様が思う通りの事だ。我は蒼の神。貴様等がレイズタイガーと呼ぶ"身体"を持つ者…。』
「って人の心の中まで読めるのか!!?というよりコンピューターの思考まで読むなんて…あながち
神って名乗るのもハッタリじゃない?って…ハ!!蒼の神って…チョコちゃんが言っていたのはこの事?」
ハガネはレイズタイガーの内に潜む"蒼の神"と名乗る謎の存在に驚きを隠せ無いでいた。
特に、コンピューターの思考まで読みとるという力はなおさらな様子であった。何故なら、ハガネは
過去の戦いの中で修行によって人の心を読む力を身に付けた者と会った事があり、その者も、
人間など、"生物"の心の中を読む事は出来てもコンピューターで思考するハガネの心を読む事は
出来なかったのである。故に、それをやってのけた蒼の神の力に驚いていたのだ。と、その時、またも蒼の神はハガネに問い掛けてきたのだ。
『女よ…汝は何故我を呼び起こした?』
「そりゃ決まってるでしょが!!このレイズタイガーを操縦して敵を倒すのさ!!」
『愚かな…。』
「うあ!!!!」
その時だった。突然ハガネは自らの頭が割れるような苦痛を感じたのだ。
「うう!!ぐあ!!うがあ!!!」
『我は我をこのような悪しき身体に封じ込めた人間を許さぬ。ましてや人形ごときが私を動かそうなどと…笑止!!』
「うあああ!!!!」
さらにハガネの頭に掛かる苦痛は強まり、ハガネは苦痛の声をあげた。
「(な…何…?一体どうなってんのよこれ…。デススティンガーの精神圧力にも何とも無かった私が…、
こうも一方的に…。というより…まさかパイロットが突然気絶して暴走した原因はこれ!!?)」
『デススティンガーか…。確かそれは"幻魔蠍"に対して今の世の人間達が付けた名前だったな…。しかし、幻魔蠍ごときと我を一緒にするのは安易すぎたな…。』
「(幻魔蠍!!?まさか古代の時代の人間達にはデススティンガーはそう呼ばれていたの!!?というかごときって…。)」
苦痛に耐えながらも様々な事を考えていたハガネに対し、蒼の神はそう言葉を返していたのだ。
『分かったか?我の力を…。お前ごときが我を動かそうなどと無理な話なのだ…。』
「うああ!!!まだまだぁぁぁ!!!!」
さらに蒼の神はさらにハガネの頭脳に与える苦痛を強くするにも関わらず、ハガネはそれに耐えていたのだ。
『ほお…。やはり今までの奴等とは違う様だな…。なぜそこまでして苦しむ道を選ぶ?』
「ったく!!神だか何だか知らないけどさ!!そんな事言ってる場合!!?今にもアンタを破壊しようとする連中が今にも襲いかかろうとしているのに…。」
『知らないな…。我は浮き世に興味は無い。』
「な!!!」
「レイズタイガー…全く動かない…。ハガネさんは…?」
『レイズタイガーカラノオウトウハナシデス!』
ハガネがレイズタイガーに乗り込んで以来、全く作動しようとしないレイズタイガーにタリスは
心配していた。それだけでは無い。チョコとドラグネスもどうにか時間を稼いでいたが、
それでも苦しい所があった。パンチ力が弱すぎるのである。ゴジュラス相手ならば相手が無人機で
あり、キャノピー式コックピットという事を利用してコックピット蹴り砕けばそれでOKなのだが、
コックピット部分の装甲も厚いデカルトドゴン相手には通用しがたい物があった。無論火力面において
もドラグネスの火力ではデカルトドラゴンにはほとんど通用しないと言って良い物があった。
「蒼の神は…まだ…?」
一方レイズタイガーのコックピット内でハガネと蒼の神の戦いが今だに続けられていた。
「ちょっと!!そんな事で良いの!!?自分が死んでしまうかも知れないのよ!!?」
『知らんな…。そんな事は私にとっては興味の無い事だ…。』
「自分が死ぬかも知れないってのに、それにも無関心なんてあんたそれでも神様なの!!?」
『人間ごときが神の教えに背いて作り出した自動人形である貴様に言われる筋合いは無いな…。』
何度言い聞かせても聞かない蒼の神に、正直ハガネにも怒りがこみ上げてきたのだった。
「だああ!!もう怒った!!こうなったら力づくでもアンタを動かして見せるから!!」
ハガネは苦痛に耐えながらも力一杯操縦桿を握りしめた。しかし、その直後にさらなる苦痛がハガネの頭脳を襲ったのだ。
「うあああ!!あ…頭が割れそうだぁぁぁ!!!」
『無駄だ…お前ごときが我を動かせるはずがない…。今までの者達同様にな…。』
「私を…舐めるなぁぁぁぁぁぁ!!!!」
>>恐怖の亀裂作者さん
どうせならメカはめ波に突っ込んでほしかったとですorz
今回はドリル祭り的な話でしたね。
スリーパーホールドは本当に地味に苦しそう・・・。
>>Inocent World作者さん
みんなで力を合わせて・・・って言うのは凄い燃えるシーンですね。
その一方で、超巨大大砲を破壊したサンダルフォンとか言うのは・・・
敵か味方か・・・?
鉄獣28号さんへ
〇ロシです…ストレートすぎるから敢えて別の所に突っ込んだとです。
結果は…失敗だったとですorz
レイズタイガーが怒っているとです。怒りに任せてパイロットを苛めるとです。乗れる訳ないとです。
この先如何成るか解らんとです。この先が楽しみだとです。
ヒ〇シ風でお送りしたたとです。
「やったか!?」ベルウッドは状況を確認する。「うぬう!焼き切れんかったか!しぶとい奴よ!」心底悔しそうな顔をする。
ペイルバイターは確かに炎に包まれている。しかも各部が焼け爛れているにも関わらずそこから感じ取れるペイルバイターのエネルギーはむしろ上昇している。
槍杖をもう一度手に取り構え止めの一撃を放とうとするがベルゼンラーヴェは突然動きを止める。
それは止めたのでは無く止められたと言う方が正しい。ベルゼンラーヴェ周辺が急激にへこみ更にギリギリと圧縮されて行く。
「重力結界でありますかっ!?」流石に術式対抗力の有るベルゼンラーヴェ自体には傷も歪みも出来ないがその代わりに中のファインとベルウッドや機外の結界に縛られた物は身動きできない。
「くっ首が…おっもっ…。」「ええい!猪口才な!リバースグラビトン1!」人体に掛かる荷重を相殺するベルウッド。そして素早くファインの首周りから降りサブシートに座り込む。
「動かんのか!?おのれ〜…黙って神性変異を見ておるしかないのか!口惜しいっ!」機体状況を確認しながら歯軋りをするベルウッドだった。
「神性変異って!?真逆…あれが化けるって事でありますかぁ!?」「左様だ!火で焼き切れんかったのが痛い。火は地に力を与える存在。火は金を溶かし地に金の力を授ける。五行昇華の暴発よ。」
燃え盛る炎の中立ち上がったペイルバイターの装甲が融け落ちる。その中よりコアの輝き。それに呼応しドリル棍棒が激しく輝く。「礼を言わねばならんようだな!ふははははは!」勝ち誇ったベンハルトの声。
ドリル棍棒が深くペイルバイターに沈み始める。その後閃光に包まれながらその姿は蛹から羽化する様に炎の中より生まれ出でる機を纏う歪みし地の竜王。
コアの鼓動が完全に動悸し立ち上がる神。「こいつはでかいでありますね〜脱げばダイナマイト何げぼはぁっ!?」最後まで言葉は出ない。「わざわざ突っ込みを求める様な言動はやめんか!」手を翳し衝撃波で突っ込むベルウッド。
「どつき夫婦漫才はそこまでで良いかな?」余りに小気味が良い流れに有る意味尊敬を持って止めに入るベンハルト。殻を脱ぎ捨てた姿はベルゼンラーヴェをも凌ぐ巨体。「デスエイリアン?」何処で資料を見ていたのかファインはそう言う。
「そんな訳有るか!だが良く見れば確かに…。」しばし敵味方の枠を超えて鑑賞する。
黒光りする姿。元の機体とモグラを足して割ってそれについぞ振るっていたシールド掘削機型ドリル棍棒の如き装甲。
実際それを装甲板にしているようだ。触るな危険の部類に入る厄介な装甲。そしてデスエイリアンなフォルム。しかもクィーンっぽい。
最大の特徴は腰で無く背に有る不当な程に長い尾の先端に厄介物のドリル棍棒と来たものだ。装甲の裏には幾つかハイドウェポンの類が或る。
「嗜好からは外れるがいいだろう!」機体が動き出す。猛然と膝蹴りをベルゼンラーヴェに喰らわせる。
しかもそれは自らが張った重力結界”グラビトンスポット”を破砕し圧倒的な力でベルゼンラーヴェを吹き飛ばす。自由が戻った事で逆に上手く着地する。
だがまたしてもフレームが拉げる程の一撃を喰らっている。悪鬼呪法機関(オーガスペルシステムリペア)が働き少しづつ修復が始まる。
この機体もこの機体で如何やらベルウッドが搭乗する事を前提にした機関が多い。はっきり言って量産不能の試作機な上にパイロット限定物…寒気がファインを襲う。
「そんな事を心配して如何する?今は奴を如何にかする事を考えたらどうだ?」冷たい声でベルウッドが言う。「もしかして…この機体が壊れたら…?」
それに「安心せい!その時は確り主を道連れにしてやるぞ。修理費が国の財政を圧迫するとか見た目がグロい素体とか見る心配は無い!」如何聞いても脅し文句の言葉に身も凍る気分のファイン。
尾の一撃が地を抉り迫る。先端には更に強力なドリル棍棒。「どわぁ!?」四つんばいで高速で逃げるベルゼンラーヴェ。しかもその逃げ道に予測発射の荷電粒子砲。「でえぇ!?」今度は空中に飛び上がりそれを避ける。
槍杖を手に持ち直し今度は追撃の銃撃を必死に防ぐ。器用に杖が旋回し銃弾を叩き落とす。「重い!こんな豆鉄砲がここまでの威力になるでありますかっ!?」傷こそ機体や杖に付く事は無いが上がる火花は威力の強さを示す。
地上を見ると両腕から何かが飛び出し飛んで来る「不味い!避けろ!捕まると引き摺り落されるぞ!体格差が逆転しておる。勝ち目は無いぞ!」1発目を打ち払いその場を素早く離れる。
2発目は後方から迫るがこれは軌道その物から外れている為に問題無く回避できる筈だった。両腕より飛び出したアンカーはそれ自体にも推進器が有ったのである。「うおっ!?」蛇の様に襲ってくるアンカーに焦る。
アンカーがベルゼンラーヴェを追い越し鎖で機体を絡め取ろうとする。アンカーを打つけるのを断念したらしい。
「それなら…ていっ!」鎖に思いっ切り杖を叩き込む。これによりアンカーの移動方向が変化。縛り上げられるのを何とか逃れる。
こんな長期戦を続けている間に幹周辺の戦況はこうなっていた。
「結界実発射!」結界頂点としての10個の果実が幹周辺に所為10角形の配置される。そこから粘着性の有る光り輝く網が発生し幹周辺の敵を縛り上げる。
「作戦終了です。ガンホー!ガンホー!」ラミューズはそう言いながらテールディザスターの黄金砲で空中地上お構い無しに敵戦力を砲撃する。敵戦力には量産型ギガ等も居るが関係無い。
ベルフのトライディザスターと共に無差別発砲で全ての目標を破壊する。反撃も有るが所詮固定砲台でしか無い。目標が自分達のみなので回避行動も楽に行える。
その上ミサイルは個別識別を行うタイプでないので敵機との間に別の敵機を挟めばそれで同士討ちを起こす。空に異形等が存在するがそれの攻撃も散発的で何かに襲われているようだ。
幹の途中の空中にはそーっと様子を伺いながら付いて来て居たサーラのストームラプターが居る。「やっほー!お邪魔に来たよ〜!」そう言いながら捕縛出来なかった異形と空中戦を繰り広げている。
「あっサーラちゃんだ。」ラミューズはコクピットで手を振る。するとその位置から見えたのだろうか?手を振り返しているのがカメラに写る。「視力が良いのね…。」推定視力4,5以上の様だ。
地下施設では天井等の制限が厳しかった為いまいち活躍できなかったが広い空の下なら問題は無い。普通に見てしまったら回避できないと諦めてしまう様な攻撃を突撃しながら無傷で掻い潜り必殺の一撃を浴びせている。
空からは異形や古代戦闘ゾイド、寄生体等が降ってくる。「うきゃ!?」突然横切る相手にビックリしながらも確実に空中の戦力を減らす。
同刻海岸線。
「シュート!」荷電粒子砲を月光が吸収しバスターキャノンレーザーカスタムが吼える。相手もHEシールドで防ぐがその間に残り2機のギガに袋叩きに遭う。
「お〜?何処かに有人機が居るぜ!思考パターンが変更されてるぞ。」その言葉に怯えてしまったか森が揺れる。凱龍輝がスピードモードで退路を塞ぐ。
勝つ必要は無い逃げ道を塞ぎ時間稼ぎをすれば良いだけだ。
「逃げ場は無いよ?」行動が一足遅かったのかギガにまで囲まれている。その機体は唸りを上げて凱龍輝に襲い掛かる。
しかし「遊び相手はこっちだろ?」マックスのギガに行く手を阻まれ格闘戦が始まる。有人機らしく戦闘は先の無人タイプよりは手強い。
だが生まれた時代の差が勝敗を決する。敵わないと見て量産ギガのコクピットが爆発する。「自爆…なんて奴等だ。」正直に引くマックス達。
「しょうがないわよ…接触は最小限にしないとこの先に食い違いとかが出来ちゃうから。機体は見る限り鋳物技術でも充分再現できる機体よ。」
がっしゃがっしゃ歩きながらリエットが言う。「くれぐれも凱龍輝を落されないように!集光パネルの起動管理は凱龍輝がやってるからね。」
ここでマックスとリックは背の月光2機を切り離し凱龍輝の指揮範囲に戻す。これで身軽になり行動の制限が無くなる。距離を保ちながら次の砲撃ポイントを目指す一行。
「体勢が決したか…続きは次の機会にだ。また会おう近いうちにな。」優勢でありながらベンハルトは弦状空間跳躍機構で地下の穴に消える。最後にこの捨て台詞を残して。
「神だけが目的だったが機体強化まで出来るとは思いもしなかったぞ?ふはははは…。」その台詞が頭に来たのかファインはウェイブレイダーで相手の消えた地下に向かい6発全てを撃ち尽くす。
「ぬおっ!?おのれ!やりおったな。次はけりを付けようではないか?覚えておけ!」慌て様からして重大な故障に繋がったらしい。「やるではないか?主も抜け目が無いよのう?」ベルウッドが言うが気にしない。
「無視を決め込むか!おのれ〜…ん?」ファインの視線の映像を見てベルウッドの表情は見る見る赤くなる。
「おっおのれい!ヴィゾールめが!我等が森を消しただけで無くその力を命の坩堝と化した力をあの様な物にしおって!!!」ベルウッドの視線は巨木にむけられている。
「あれって!?もしかして?」その言葉に「そうだ!あれは暗き森その物の姿を歪めた物!森全体の命その物だ!急げ!手遅れに成らん内に!」「了解であります!」6機の弦状空間跳躍機構を使い矢の様に幹に向かい跳ぶ。
途中に2・3体異形を弾くがこの際気にしない事にする。「おっ?お疲れさんマイブラザー!彼奴は如何成った?」「逃げられたであります!それよりもアレを早く伐採した方が…。」ここで激しい着弾音と閃光が奔る。
幹に正確に着弾する6発の砲弾。この位置では爆発に巻き込まれる。「虹の結糸は万災を防ぐ壁と成らん!主等!速くこの傘の後ろへ!」
とんでもない密度で描かれた光の文様。Eシールドの上に書かれている文字と描かれた模様が強烈な反発力を産み爆風を退ける。
爆発自体はここに届かないがそれによる爆風は嵐となって周辺を襲う。味方が少なかったのでこれで済ます事が出来たがもしこれの威力がもっと強ければ消し飛んでいたことだろう。
それでも数十秒もの間その場でEシールドと結界で必死に耐える。ベルウッドの額には汗が浮かびファインの手には指から地が滴り落ちている。明らかに無理をしている状態だ。
暴風が去り視界が確保される。生き残った敵戦力はもう居ないがその代わり偶々代謝機能を奪っていた結界実の陣も消滅しており急速な回復を見せている。
「直に動けるでありますか?」機体の方は何とか成るが肝心の伐採方法を知るベルウッドの調子がおかしい。「くぅ…またしても今ので力を失ったか!まだ虹はあるか?」
その言葉に周囲を見回すと虹色の光が舞っている。逆にベルウッドの服より虹の刺繍糸が無くなっている。「アレを集めろ!アレさえ戻れば何とか成る!急げ!」ベルウッドは必死に言う。
「了解!集めればいいんだね?コアエレメンタルのお嬢様?」ベルフがそう言うと直に虹の糸を回収に走る。「こちらも参りま…。」そこで後ろから何かに掴まれる。「持って来たよ〜。糸を。」サーラの方は気になって既に広い集め始めていた様だ。
「済まぬ。コクピットまで来てくれぬか?」「りょうか〜い。」コクピットを開くと熱風が土やら混じりで飛び込んで来る。しかしこれは如何しようも無い。
糸はベルウッドを近くにすると自動的に元の刺繍模様に戻って行く。「うわあ〜綺麗〜。」サーラの口から自然と言葉が漏れる。「そうか…それは良かった。実はな妾はこの虹の糸が全て戻っておらん。その所為で高位術式が殆ど発動できん。情けない話だ。」
「え〜っ!?あれで高位術式じゃ無かったのでありますか!?」思わず驚くファイン。「当たり前だ!あの程度は初歩の初歩!付加術(エンチャント)でもまだ初級レベルだ!お主は操術がなっとらんから階位相応の物が使えん。その内修行をきっちり付けてやるわ。」
でも今はそれ所ではないらしい。何とか糸は回収でき模様だった。
ここらでもう一度。
【人名】
ベンハルト=フォーザー:フューチャーズリベリオンの総指揮を務める男、組織の名の通り未来から来た人
設定上未来では軍の訓練は余り厳しくないらしく彼の様な操縦技術や戦法を使う者は居ない、
実力は最悪でファインやらは兎も角ザクサルやグウェインをも上回りかねない最高レベルのゾイド乗りである、因みに帝国軍の人
ベルウッド:何故かこう名乗っているベルゼンラーヴェの精霊で暗き森の主、先の童話ネタと同じ装束を纏う少女の姿をしている
更にソロモンの72柱の悪魔”アドラメレク”の代理をしていたらしく服装が派手である、虹の糸が足りないとかその他の原因で実力は封印状態
更にはその姿も本来の姿ではないらしい
【技術】
弦状空間跳躍機構:対称の空間を弓なりにしならせその反発力で弾かれるもしくは引っ張って貰う事で重力を無視した高速移動を行う機構
本体の存在を出し惜しみしていた為ファインは必ずESBストライクと念入りに叫んでいた、この機構を使えば理論上物理的に侵入可能な場所であれば推力を得る事が出来る
【ネタ】
神性変異:神器を使用して対称と神器を融合させ新たな神の器が生まれる現象、今回のケースは下記の五行昇華が発動の鍵になっている
それにより生まれた神の器はそれ以前の物より力を多く使う事が出来るようになる
五行昇華:元ネタは風水の陰陽五行、木火土金水の組み合わせから成る上位の元素が下位の元素に力を与える逆転の行為
並びの通りに順に力を与え一足飛びの属性を排除する、
この場合火(火竜)が金(金属装甲)を溶かし掘り出された土(ドリル棍棒)に戻した事で地の力を持つドリルモグラの神器が力を得て神性変異を起したという事になる
虹の糸:ベルウッドが単体で強力な術式を使用する際に使用する依まし、紛失が多く本来1本のループになる筈の物がループを作れない為使用後散らばってしまう事が有る
使用する物が大掛かりな物程その傾向が強い他使用に糸が足りないも物は使用できない
その時だった。ハガネの全身がスパークを起こしたのだ。そしてそのスパークによる電撃がレイズタイガーのコアに対して刺激を与えていく。
『な…。なぜそこまで貴様は抗おうとする?なぜ…。』
「そんなの決まってるでしょうが!!私はアンタの為を思ってやってるんだよ!!どうせ死ぬなら
何もせずに死ぬより戦って死んだ方が楽に死ねるとは思わないの!!?それだけじゃない!!
私達の周囲には何の関係も無い人達だっているんだから…。その人を見殺しにするワケにも行かない
の!!…って我ながら臭いセリフ吐いてすまんけど…とにかく…言う事聞いてよぉぉぉぉ!!!」
その時、ハガネから発せられた電流で一瞬レイズタイガーその物がスパークした。
『ふ…ふっふっふっふ…。』
「何が可笑しい!!こっちは必死なんだよ!!」
『お前の様な奴は初めてだ…。この蒼の神に対しても臆せず命令してくるとはな…。しかもそれが単なる人形なのだからな…。だが…気に入った。』
「へ!?」
蒼の神の変わり様にハガネは一瞬目が丸くなった。
「気に入ったって…。それは一体どういう…。」
『力を貸してやると言っているのだ…。この蒼の神の力を…。』
「保安部隊はまだなのかぁ!!?このままじゃ…。」
「あのどこからかやって来たイグアンが頑張っている様子だが…あれじゃあ…。」
避難していく技術者達は口々にそのような愚痴を叩いていた。と、その時だ。一人の技術者がある咆哮を指さしたのだ。
「おい!!あ!アレを見ろ!!」
「ん!!?」
その直後、周囲に強烈な閃光が走った。
「な!!?何だあれは!!」
「まぶし!!」
この閃光にはデカルトドラゴンパイロット達も驚きの声をあげており、ゴジュラス軍団ですら一瞬動きを止めていた。
「この光は…?」
『レイズタイガーノイタチテンヨリコウエネルギーハンノウガアリマス!』
「え!!?」
Z−12の報告に対し、思わずタリスは右手で目を隠し、薄目の状態で後方のレイズタイガーを見た。
その閃光はなんとレイズタイガーから発せられた物だったのだ。そしてその閃光が弱くなり、
レイズタイガーの姿がようやく確認できたと思ったその時、レイズタイガーが天まで届くかのような甲高い咆哮をあげたのだ。
「ようし!!何か良く分からんけど…蒼の神の力…見せてもらおうじゃないのさ!!」
レイズタイガーの咆哮の後に続き、周囲に響き渡ったのはそのようなハガネの声だった。
「何!!?ターゲットが起動しただと!!?」
ブルーシティー外れの黒服達の仮設指令部にて、前線部隊の報告を聞いた隊長がそのような叫び声をあげていた。
「ええい!!もうこうなったら構わん!!総力を挙げて破壊するのだ!!」
『了解!!』
通信を切った後、隊長は怒りをあらわにしたまま力任せに壁を殴りつけた。
「畜生…。あれはまだ不完全な代物では無かったのか…?」
「つぁぁぁ!!!!」
グスタフの荷台から跳び出したレイズタイガーはゴジュラス軍団へと跳びかかった。
「いくら何でも相手はゴジュラスだ…。このまま機動力を生かして…。」
ハガネがそう考え、相手を削る目的でレーザークローをゴジュラスの一体に叩き込んだ。それは
その直後に起こった。なんと230トンを誇るゴジュラスの巨体が宙を舞ったのだ。
「え?えええええ!!!?」
その光景には誰もが唖然とした。ただ、チョコだけは顔色一つ変えずに無表情であったが、
とにかく、ハガネはゴジュラスの装甲表面を斬る目的でレーザークローを使用した。しかし、
レイズタイガーは彼女の予想を遥かに上回るパワーでゴジュラスそのものを丸ごと吹っ飛ばしてしまったのだ。
「は…はは…伊達に神様名乗っちゃいねーやこりゃ…。」
レイズタイガー自身を操るハガネもやはり唖然としていた。
「くそお!!ゴジュラスども!!さっさと奴を押さえ込めぇ!!」
デカルトドラゴンパイロットがそう叫び、ゴジュラスのコントロール装置を操作した。
それに従ってゴジュラスは再びレイズタイガーへ向けて突進していったのだ。
「うあ!!とにかく今は細かい事考えてる場合じゃなかった!!」
ハガネが思わず操縦桿を横に倒した時、レイズタイガーは跳んだのだ。ハガネの想像を超える速度で…。
そして目にも留まらぬ速度の横滑りでゴジュラス軍団の背後を取ったと思うとそのままレーザークローでまたゴジュラスの1体を倒したのだ。
「凄い!!ハガネさんがレイズタイガーを操ってる!!暴走もしてない!!」
『レイズタイガーノシュツリョクハアンテイシテイマス!』
レイズタイガーの強さにタリスは文字通り手に汗握る思いであった。
「くそ!!何だあの強さは!!我々の予想を遥かに超えているぞ!!」
無人機とは言え、またゴジュラスを一発で殴り倒したレイズタイガーの戦闘力にデカルトドラゴン
パイロット達はなおも驚いていた。しかし、その際に一人のデカルトパイロットがさらに言った。
「お前等落ち着け!!奴がいかに強いと言ってもこちらは空を飛んでいるんだぞ!!それに対して奴は飛べない!!」
「そ…そうだった!!奴の強さに驚きの余り大切な事を忘れていた。」
「そうだ!だからこそこちらが高度を維持すれば安心なのだよ!」
そうして冷静さを取り戻したデカルトドラゴンパイロットはレイズタイガーへ向けて一斉に空中からの
エレクトリックディスチャジャー攻撃を敢行したのだ。デカルトドラゴンの胸部から放たれた
高電圧ビームの雨が落雷の様にレイズタイガーの周囲に降り注いだ。
「うっひゃぁぁぁ!!!」
レイズタイガーはそれにはたまらんと言う様子で慌てて回避行動に移っていた。レイズタイガーは
その機動力とハガネの操縦技術のおかげで直撃はまぬがれたが、その近辺にいたゴジュラスは巻き添えをモロに食らってそのまま全機機能を停止した。
「うっわぁぁ!!ゴジュラスが全滅したのは良いけどこのままじゃ大変だぁぁぁ!!」
なおも降り注ぐ高電圧ビーム砲の雨にレイズタイガーは逃げ回るしか無かった。このままデカルト
ドラゴンのエネルギー切れを待つという手もあったが、それまで全部避けきるという自信は彼女には無かった。
「させない…。」
ハガネをフォローするためにドラゴネスはデカルトドラゴンへ攻撃を行っていたがやはりパンチ力が
無さ過ぎた。ドラグネスの武装ではデカルトの重装甲には大したダメージが与えられないのである。
「武器武器武器〜!!何か空中に攻撃出来る武器は〜!!?」
ハガネはレイズタイガーとコアリンクした頭脳であるコンピューターでレイズタイガーの武装で空中に
攻撃できそうな武装を検索していたが、レイズタイガーの射撃武器は胸部の3連衝撃砲と肩部の3連
ピンポイントレーザー砲。出来ない事も無いとは思うが、流石に空中に攻撃を仕掛けるには難しい武器であった。
「うっわぁぁぁ!!いけると思ったがまたピンチだぁぁぁ!!」
「おいおい!!まだかよ保安部隊!!」
エレクトリックディスチャージャーから逃げ回るレイズタイガーの姿を遠くから見守っていた技術者達
は誰もが歯がゆい気持ちでそう愚痴を零していた。一方、ハガネはレイズタイガーで逃げ回りながらも何か考えている様子だった。
「こんな時…マオちゃんならどうしただろう…。こんな時…マオちゃんなら…。」
ハガネは思い出していた、かつての好敵手の存在を…。彼女が大戦時代に出会った強敵、生身でハガネ
と対等に渡り合った超人とも言える様な存在であり、ハガネが認めた人間でもあった。
そして、大戦が終わった後、二人は良き友となった。そんな好敵手ならば今の状況をどう対処するだろうか?という事をハガネは考えていたのだ。
「やっぱりマオちゃんの事だからまず先に泣いちゃうんだろうな〜…。というワケで泣く!うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
何を思ったがハガネは急に泣き出してしまった。実を言うとマオと呼ばれたハガネの好敵手は確かに
強かったのだが同時に泣き虫の気があるという所もあった。故にピンチになったりするとすぐに泣き
出していた。が、そこで終わるワケは無かった。なぜなら彼女はそれでもしっかり敵を倒していたからである。
「ん!!?」
急に泣きやんだハガネの目にある物が飛び込んできた。それは先程のデカルトドラゴンの攻撃で大破炎上したゼノンである。
「そうだぁぁぁ!!」
ハガネは何かひらめいた様子で、自身のブロックスコントロールシステムを起動した。
"ブロックスコントロールシステム"とはロードゲイル等のキメラ指令機に搭載されたブロックスを
コントロールするという技術を応用し、小型化した代物であり、ハガネはそれによってある程度までの簡単な操作なら外部からでも可能になっていた。
>>恐怖の亀裂作者さん
ヒロシネタお見それしましたorz
古代ネタの次は未来ネタが来ましたかー!
過去と未来からの侵略に同立ち向かうのか!?って少し違う?
装甲にドリルが付きまくった刃の鎧みたいなデスエイリアンもどきもコワ!
と言うか、旧バトストで見たデスエイリアンはあの頭の形が気持ち悪く見えた物です。
みんながどう思うかはともかくとして、小さい頃の自分なら確実にトラウマになってそう・・・。
鉄獣28号さんへ
御話のレイズを見ていると何か世捨て虎ですね。もう如何でも良いやって。力を貸すのが嫌な時は嫌。
機嫌が良ければ力を貸してみたり…。元々ゾイドはこう言う者なのでしょうか?パイロット選びとか当然の如くする者も居ますし。
一応徒党を組んで居ますがフューチャーズリベリオンとヴィゾールの剣では目的が違います。
結局は未来と過去からの挟み撃ちになりますが…。
「お目当てよりも高価な物を手に入れたようだな?」ヴィゾールの剣は呟く。それに「大した事では無い。それよりもこれからが重要だ。」
ベンハルトはその声に答える。「…そうだったな。奴等が”森”に手を焼いている内に次に手を講じるとしよう。」
「して…主よ。確か主単体でアスピトルテの骸烏とヴィゾールの元の崇拝者カラミティシャドウとウェイブレイダーと契約している様だな?妾の所に来い。」
ベルウッドが神妙な面持ちでそう言うので釣られる様にファインはベルウッドに近付く。すると…「うむぅっ!?ふむぅ!?ふうっ!?」突然ベルウッドに抱き閉められる。
その上血迷ったのか唇を奪っている…。「うむ。これで良し!」それを放してベルウッドは一仕事終えた様な顔で言う。「何が”これで良し!”でありますかぁ〜!?一体何を考え…。」
そこで何か気付いたらしい。機体を起動して居ない為背に有った筈のアスピトルテの外套が自身に無く代わりにベルウッドがそれを背負って居る。
「そう言う事だ。形式的な契約だけでは無く物理的な方でもそうさせて貰った。これで多少は主も妾も無理が利くように成る…って聞いておるのかーっ!!!」
聞いて居る筈も無かった。
「真逆…お主…こう言うのは”初めて”か?全く変な事に拘る奴よ。高々キス如きで喚くのか?それともお家のしきたりやら何やらで何か吹き込まれでもしておるの…うわっ!?泣くな!何が悲しいのだ!それは侮辱だぞ!」
コクピットの隅で膝を抱えてシクシク泣いている…情けないを通り越し見るも見苦しい姿だ。「まさかマイブラザー…泣くなんて…。」ベルフの正直な感想。
「何か困る事でも有ったのでしょうか?」怪訝な顔をして首を傾げるラミューズ。「ね〜何泣いてるの?怖い事でも有ったの?」慰めるサーラ。そして非常に気不味い状態のベルウッド。
そもそもそう言う行為に儀式的な事が有るのは充分承知はして居るがそれに対する知識に明るく事情が解るだろうこの男が泣く理由等ベルウッドには解る筈も無い。
「おっ落ち着け!話せば解る!こっちを向けいぃ!」かなり慌てふためいてベルウッドはファインに近付く。その時怨嗟の様に呟く言葉を聞き取る。「…そう言う事か。全くしょうの無い奴だ。」
落ち着き払って背中に手を置きこう言う「大丈夫だ。もうその様な輩は居らん。少なくとも妾には其奴等の様な事はできん。」
「「「?」」」一斉に疑問符が上がる。その声の内容が解らない為論理飛躍甚だしいその行動は周囲のベルフ、ラミューズ、サーラの頭の中に疑問符に埋まる宇宙を脳に産み出している。
辛うじてベルウッドの表情を伺えるカメラはその親が子供を慰める様な表情を映し出す。「そう言う事か。」これでベルフは気付いたらしいがまだ他の2人にはさっぱりの事だ。
「2人ともちょっとこっちに行こう。邪魔するのは悪い。」機体毎移動を促す。
「如何言う事?」サーラが聞くとベルフは答える。「ちょっとね…マイブラザーは昔家が武装強盗団に襲われてね。その強盗ってのが女性ばっかりで…(以下略)。」
かなりショッキングな内容でラミューズとサーラは息を飲んでしまう。「そう言う事さ。だから少しそっとしておこう。それを思い出させてしまった本人が何とかしてくれるだろうから…。」
そうこう言っている内に何とか立ち直ったらしく2人が合流してくる。
「兎に角だ!これを分断する必要が有る!それを任せても良いな?」ベルウッドはベルフ達にそれを伝える。幹には数カ所形の違う竜の顔が有る。それを全て潰すのが彼等の仕事だ。
「散開!」一斉に散る機体。ベルゼンラーヴェとストームラプターは空中。トライフォートレスとテールディザスターは陸を進む。「良いな…今は集中するのだ。無理にとは言わん。最低限で良い。」
その声に「…大丈夫でありますよ。何時かは向き合わなければ成らない問題でありましたし。それに今後それが有った場合は一溜まりも無かったでありましょうから!」可能な限り気合いを込めて意識を集中する。
「!」機体が独りでに右に避ける。伸びてきた木竜の顔の噛み砕きを回避したのだ。「なっ?お主何時の間にそんな事を!?」ベルウッドの言葉に「これは一種の御家芸でありますよ。”陰極呼百目き”って奴であります。」
その顔を見て驚くベルウッド。目を閉じたまま操縦している。しかも揺るぎは一切無い。目を開きこう言う。「まだまだ未熟者で目を閉じてないと出来ませんし十数秒しか持ちませんがね…。」
「怪態な技よの…しかし…。」ベルウッドは考える。今はその様な事態は無いがこの先が有るならば確実に魔術師同士の戦闘が起こるだろう。
その際にこの技術は打って付けの物だ。「くくく…如何やら掘り出し物を手に入れる事に成功したらしいな妾は。僥倖だ。」
「次が来るぞ!」別の首が襲ってくる。今度は回避不能な位置だ。「アローウェイブ!」空中で槍杖を振り抜く。
すると圧縮衝撃波が発生し首を吹き飛ばす。「その調子だ!その槍杖は”魔術師の杖”その物魔導機の究極の形の一つで扱える力を数倍に出来る!」
更に「口で言霊を紡ぐ事で複数有る可能性から確実に一つを取り出せる!迷った時は叫べっ!」「了解であります!」
そうこうやっている内に定位置に全ての機体が到着する。その間攻撃を受けたのはベルゼンラーヴェのみである。「術者のみを攻撃するか…愚かな…。」
ベルウッドは呟く。その意味を幹は思い知る。周囲の特別な頭部が一斉に消滅する。トライフォートレスとテールディザスターの砲撃。
空中ではビーム手裏剣ランチャーで頭部が1つ失われる。更に「カラミティシャドウ!」ベルゼンラーヴェの右手に握られた邪神の力が悪鬼の如き極炎の銃弾を吐き出す。
この時点で既に半分以上の竜の顔が失われている。「後は頼むぞ!妾達は頂点を叩く!」
6機の弦状空間跳躍機構を起動させ一気に木の最上部の歪んだ葉を掻き分け頂上を突っ切る。上空から禍々しく力強い命の鼓動をする巨木を見下ろす。
「エントロピー制御…何て言葉は馬鹿馬鹿しいのでありましょうね…。」下はあれだけ抉られた箇所が有るのに下より大きいこの場所が立っている事事態既におかしい。
「そう!熊蜂だって高空力学上は飛べん!しかし実際は別の事情と噛み合わせれば飛べる。似たような事よ!」実質は似て非なる事象ではあるが…。
それを思わせなければ気が狂いそうな程巨大な木の浮遊島といった物がそこには有る。
「来るぞ!あれは…わが森一番のならず者の銀針鳳仙花だ!草の癖に飛ぶのは勘弁しろ!」如何聞いてもやばそうな花。案の定名前の通りの銀針を撃ってくる。「ひえええ〜!?」
杖を旋回され銀針を叩き落とす。「うつけ!直ぐこの場を離れよ!」声の通りにその場を離れると弾かれた銀針が爆裂する。「貴方の森って一体!?」それにベルウッドはこう答える。
「全ての生き物がまだ方向性を待たなかった頃の話だ!動物も植物も無い!見た目に惑わされると死ぬぞ!」「アイアイサァァァァッ!」かなり投げやりに返事をして銀針を別の物で防ぐ。
葉と空気に干渉すると「忍法!木の葉隠れ!大判舞い!」「…忍法!?」言霊がかなり如何でも良い為の言葉遊びでの使用。
諦めが付いたのかこの力を使用するのに躊躇は無い様だ。「それで良い!不条理に対抗しうるのはそれ以上の理不尽しか無い!それが基本だ!」
巨大な木の葉を率いて旋風が銀針鳳仙花を襲う。種の銀針は接触信管的な機構らしく葉に接触した銀針鳳仙花は爆裂し焼け焦げ落ちて行く。
「次が来ぬ内に降りるぞ!1号から6号まで弦状空間跳躍機構発動!」下手をすれば激突とまで言い兼ねない速度で浮遊島っぽい場所に降りる。
着地は成功し辺りを粉々に打ち砕きその後立ち上がる。「銀針鳳仙花はっ!?」余りにもインパクトが強くファインは辺りを見回しそれが居ないかを確認する。
「大丈夫だ奴等は地に足を付けん。それよりもここからが本番だ。気を抜くと木に喰われるぞ?」「嫌な駄洒落でありますね…。」実際そうなりそうに成ってから言われても困る。
「ESBストライク!」喰らい付く木を粉砕する。「この頂点に最後の頭部が有る筈だ!ヴィゾールの術式がそのままであればな…。」苦々しく言うベルウッド。
「経験有りと言う事でありますか…。」まあ無駄だがそれが何であったかを考えて見ながら周囲から遅い来る動物とも植物とも昆虫とも解らない存在を撃破しながら移動する。
第5層でもこの頃動きが有る。上の状況を聞いてルディアは率直な感想を言う。「やっぱりぃ〜魔法使いだったみたいですねぇ〜。」それに一斉に「知ってたのかいっ!!!」と突っ込みが奔る。
「だってぇ〜胡散臭いですしぃ〜何処か危ない目をしていましたからぁ〜。」「…。」最早言う言葉が見付からない。外見で既に”奴は魔術師だ”とたかを括っていたらしい。
「恐るべし…。とまあそれは良しとして上であいつ等がやばい奴等に襲われたそうだ。」レミントンが言う。「ここから最下層と行きたかったが如何やらそいつ等がここに来るらしいと報告が有った。」
そこで言葉を切るとルディアが次を言う「敵戦力はぁ〜帝国製量産型のぉ〜ゴジュラスギガだそうですぅ〜?おかしいですねぇ〜?」突っ込み所満載の言葉だが第5層を管理しているサーベラスの手の者が状況を報告する。
「敵襲!間違い有りません!今言ったとおりの機体が34機!迫って来て居ます!背には荷電粒子砲。間違い有りません!」それを聞き「行きましょう。さっさと片付けて。」シュミットが言う。
そう言わなくてもここでの戦闘は回避不能の位置にまで敵は達している。
それぞれの機体に乗り込み迎撃準備が整う。そこでルディアはミズホにこう言う。「ミズホちゃんはぁ〜外に戻って下さい〜。」
「えっ!?大丈夫ですか!?」それに「昨日今日の初心者にギガを相手にしろ何て言えないって!それより多分上の方でそいつの力が必要になる筈だ!」
レミントンもそう言う。「大丈夫ですよ?ここにはセイスモが3機居ます。それに古代チタニウム装甲でないならシールドさえ落せば楽に終わりますから。」
ディオスの言葉。「それよりも中尉に宜しくお願いします。」シュミットの声までを聞いてミズホは大型エレベーターホールに飛び込んで行く。
結果はやはり彼らの敵ではない。ジョーカー的な存在であるリディアのナイトウォーカーの存在が非常に大きい。隠れデスザウラー…敵とっては溜まったものでは無い。
突然何も無い場所から大口径荷電粒子砲。しかも矢継ぎ早に撃ってくる。HEシールドはたちまちシステムダウンし荷電粒子の前に消えて行く量産ギガ。
今までの活躍の無かったのを取り返すかの様に活躍する。前方にぬぼーっと立っている機体に荷電粒子砲を量産ギガが撃っても左腕のマッドサンダーの顔に阻まれる。
デスサンダーの存在も大きい。そのまま返された荷電粒子砲を避けた次の瞬間にはゼネバス砲やデスサンダーの必殺のサンダースマッシュに倒れるのみ。
そうこうしている間にメイアのボンバードスレッジのミサイルの雨。クロームのクリティカルエッジの斬檄等ありとあらゆるタイプの攻撃の前にろくな攻撃をしないまま全滅する。
「自動操縦って言ってもな…狭い所じゃ駄目だろうに。」レミントンは残骸を見て頭の痛くなる惨状に溜め息を吐いた。
外に出たミズホが見た物は「何?あれ?」天を貫こうとする巨木。「あそこに奴が居るらしい急ぐぞ?」「了解!」ラビットホーンは補給もそこそこに飛び出して行く。
途中何かに見られている様な感覚がするが気にせず飛ぶ。それが気の所為でなくても合流しないと1人では勝てそうもないと判断したのだ。「味噌っ滓には辛い相手。三十六計逃げるに如かず。」
もし臆病者と罵られようが一向に気にしない。勇敢である事が正しいとは言えないのを知っているから。ベルフ達と合流し背後を見ると巨大な目玉がそこに居る。
「うきゃぁ〜!?」驚き飛び退くがここまで振り向かなくて良かったと本心から思うミズホだった…。
「んんんんん!!!!」
ハガネは目を瞑って唸る。その際にハガネの頭部から発せられた電波がゼノンの身体の中で辛うじて残っていた部品に照射され、その残っていた部品が動き出したのだ。
「あれは!!?」
急に宙に浮いたゼノンのパーツに思わずタリスは驚きの声をあげた。
『レイズタイガーカラユウドウデンパノヨウナモノガハッセラレテイマス!!』
「ええ!!?レイズタイガーから!!?」
その後だった。宙に浮いたゼノンの部品が空中で合体したのだ。それは3つのブロックを中心として
その側面にマグネイズスピア、ディスペロウの肩アーマーとミサイルポッド、そしてブロックの上部に
レドームが付いているという形であり、それがレイズタイガーの背中に装着されたのだ。
「いよっしゃこれで何とかなるっしょ!!電磁砲発射ぁぁぁ!!」
直ぐさま二本のマグネイズスピアが空中のデカルトドラゴンへ向けられ、その先端部から電磁ビームがデカルトドラゴンへ放たれたのだ。
「うぁぁ!!何だぁぁ!!?」
それを翼部に受けたデカルトドラゴンは大爆発を起こし、そのまま墜落した。
「へ?」
ハガネは電磁砲の威力に目が丸くなっていた。レイズタイガーに装着されたそれはゼノンに装備されていた時とは比べ物にならぬ程パワーアップしていたのだ。
「やっぱり蒼の神の名は伊達では無かったってか〜!!?」
「うああああ!!!」
気を取り直したハガネはさらに別のデカルトに向けて電磁砲を撃ち込み、それも落としていった。
「す…凄い…。」
電磁砲でデカルトを次々に落とすレイズタイガーの戦いぶりに誰もが驚きを隠せない様子であった。
「次々!!ってうおわ!!」
三機目のデカルトを落とし、ハガネがさらに次の標的の方へ向いた時だった。その時一体のデカルトがレイズタイガー目がけて突っ込んできたのだ。
「この至近距離なら避けられまい!!食らえぇぇぇ!!!」
「ええ!!?」
デカルトの胸部からエレクトリックディスチャージャーが放たれた。至近距離。レイズタイガーは
回避行動に移る間もなく直撃を食らってしまった。レイズタイガーがたちまち光に包まれる。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!…って…あれ?」
ハガネは驚きの余り絶叫していたのであるが、何も起こらない事実に疑問を感じていた。なんとレイズ
タイガーに装備された集光パネルはエレクトリックディスチャージャーの電気エネルギーすらも吸収していたのだ。
「うっそぉぉぉぉ!!!」
「何かよく分からんけど反撃反撃ぃぃぃ!!!」
驚きの声をあげたデカルトパイロットのスキを突き、ハガネは一気に勝負を付けようとした。
と、その時レイズタイガーのコアからハガネのコンピューターへ向けてある文字が送信されたのだ。
『エクスプロードバイト』
と…。
「これは…?」
ハガネは一瞬首を傾げた、と同時に今度はそのエクスプロードバイトの使用方法までもが送信されてきたのだ。
「何かよく分からんけどいっちょやってみますか!!エクスプロォォォド!!バイトォォォ!!」
ハガネは気合い一発のかけ声のもと、そのエクスプロードバイトを眼前のデカルトドラゴンへと
叩き込んだ。レイズタイガーの鋭い牙がデカルトの分厚い装甲を貫き、そのまま噛み砕く。しかし、
本当の恐怖はこれからだった。なんとレイズタイガーの牙から高エネルギーがデカルトドラゴン内部にそそぎ込まれていたのだ。
「な…何だ!!?うわぁぁぁぁ!!」
なんとデカルトドラゴンはそのまま内部から破裂するような形で大爆発を起こしたのである。
「あっら〜…。まるで北○○拳だわこれは…。」
エクスプロードバイトの破壊力にハガネは心底驚いていた。
「う…うわぁぁぁぁぁ!!!!」
残った最後の一機のデカルトドラゴンはパイロット共々恐怖し、逃げ出した。
「あ!こら逃げるな!!」
ハガネは追おうとするがやはりデカルトドラゴンとレイズタイガーではスピードに差がありすぎた。
デカルトドラゴンの飛行速度は音速を超えるのだ。両者にはたちまち差が開いていく。
しかし、レイズタイガーに変わってドラグネスがデカルトの後を追ったのだ。ドラグネスの方が速い故、ドラグネスならばデカルトの後を追うことが出来た。
「チョコちゃん気を付けてね!」
ハガネがそう声をかけたとき、チョコは無言のままゆっくりと頷き、ドラグネスはデカルトの後を追った。
「ひ!ひぃぃぃぃ!!!!」
デカルトはブルーシティー外れの味方の仮設司令所へ向けてひたすら逃げていた。無論その後をドラグネスが追った。
「よっしゃ!!味方が見えてきた!!ここまでくれば…。んん!!?」
味方の仮設司令所が目視出来る距離まで近付いた時、デカルトパイロットは安心しかけた。しかし、
そうは簡単に問屋は卸さなかった。なんとその仮設司令所にいた味方の黒服達がゾイテック保安部隊に包囲されていたのだ。
「え?ええええ!!!!?」
デカルトパイロットは驚愕の声をあげた。と、その時に出来たスキを突き、ドラグネスがデカルトの
真下に潜り込んできた。そしてドラグネスはデカルトの首部分の下部にあるむき出しになっているブロックスに向けてビームガンを発射したのだ。
「ああ!!うわぁぁぁぁ!!!」
最後に残ったデカルトドラゴンも結局落とされてしまい、辛くも脱出したパイロットも他の黒服達と共に逮捕、そのまま警察へと連行されていった。
全ての戦いが終わった後、ハガネはレイズタイガーを停止させ、そのまま降りてきた。と、その時避難していた技術者達が一斉にレイズタイガーへ向けて走ってきたのだ。
「やった!!レイズタイガーが暴走せずに無事起動した!!」
「長かった!!やっと成功だ!!」
「これで犠牲になった人達も浮かばれる!!」
技術者達は涙を流し、手を取り合って喜んでいた。
「オイオイ…。戦ったのは私だぞ…。」
技術者達の余りの喜び様はハガネも思わず目を細めていた。と、その時彼女にタリスが近寄ってきたのだ。
「どうもありがとうございますハガネさん。ところで、どうでしたか?レイズタイガーは…。」
タリスのその言葉に、ハガネはゆっくりとレイズタイガーの方を見つめた。
諸事情により、もしかしたらこれから3日間くらい書き込みが無いかもしれません。
ただ、何事も無く続けられる可能性もありますが・・・。
>>恐怖の亀裂作者さん
主人公の狼狽ぶり(?)を見ていると、彼は女性に関して何か嫌な想い出がある様子ですね・・・。
デスサンダーとか懐かしい機体も登場してますし。
あと、レイズの性格とかに関してですが、一応”神”と言う扱いをしているので、
ただ凶暴でどうこうとか、そう言う点とはまた違ったパイロット拒否の仕方を
色々と模索していたんですよ。って何か説明の仕方が変な気がする・・・orz
“ギルド”本社ビル、地下研究施設内。
そこにはこれまで捕らえたセフィロトが集められていた。捕まっていたのはザフキエル、カマエル、ザドキエル、
ハミエル、ラツィエル、ガブリエル、ミカエルの7体。更にルガールが有するラファエルのエレメントを加えて8体。
残りはTのメタトロンと、]のサンダルフォンのみだった。だが、サンダルフォンが“ギルド”上空に現れた瞬間
地下7体のセフィロトがエネルギーの安定を失い、拘束具を振り切ろうとしていた。
ルガールがアレックスに預けたラファエルのエレメントが、アレックスの自宅の屋根を吹き飛ばして“ギルド”へ向かって行く。
同時に、本社ビルの下からも大地を割って7体のセフィロトが現れる。サンダルフォンと合流した8体のセフィロトは
“ギルド”上空で輪を描く様に旋回し、曇り始めた空とは対照的な光を投げ掛けていた。
「聞こえるか、セディール!!」
セディールは面倒そうに「聞こえてるよ」と答えた。相手の声は、マクドガルのものだ。
「セフィロトの融合にはまだ早いんじゃないのかい? まだ“メタトロン”が居ないだろう」
「甘いぞ…融合を始めたのは私ではない。こいつらが星の危機を感じ取り、自分からここへ集結したのだ」
星の危機とは、言うまでも無くデス・メテオの事だった。セディールはとっさに空を見上げる。
「…と、言う事は…」
彼が見上げた南の空、中天を突いて何か巨大な物体が飛来する。右肩のみの巨大な片翼、背中には
金色のリングのような物を背負っている。
リングの頂点には「T」と刻まれ、それがセフィロトの守護天使――Tのメタトロンである事を示していた。
「グロテスクだな…せめてミカエルくらいまともな奴かと思っていたが?」
メタトロンがセフィロトの輪に加わった。互いが光の線で繋がれ、10体のセフィロトが光に包まれていく。
セフィロトを繋いだ22本の光線はやがて溶け合い、本社ビルをも巨大な光の渦に巻き込んだ。
「これこそが…世の悪を裁き、星の歪みを正す惑星Ziの防衛兵器…」
光は消え、10体のセフィロトが居た場所にはデス・メテオをも越える巨大なゾイドが滞空していた。
「…名を“ゾーハル”、『燃える剣を携え、闇を断つ熾天使』…貴様の陰謀もそこまでだ、セディール」
「クックックックッ…」
マクドガルの叫び。そして、静寂の中でセディールの笑い声が響き始めた。
「クックックッ…ハッハハハハハハ!!! …『そこまで』?何がそこまでだって?」
デス・メテオの口が開いた。側面に装備された2枚の荷電粒子安定板と合わせて、まるで頭部が4つに割れたかのような
不気味さを見せている。――そして、口腔内に青白い光が満ち始めた。
「デス・メテオ本来の能力である、真荷電粒子砲だ…チャージ時間はデスザウラーの半分以下、威力は20%上昇…
そして、安定板が発する磁界で拡散率を極限まで低下させている。これだけでもデルポイを焼き尽くすのには充分だった」
セディールは遠くを見るように話していた。彼の意識とデス・メテオの意識の境界が曖昧になり、デス・メテオがかつて
破壊の限りを尽くした大戦時の記憶がセディールの脳に流れ込んでいるのだ。
――そして、それが堪らなく気持ち良い。
セディールの頭には、確かに人間としてのコミュニケーションや、戦術を練る事が可能なだけの知能は残されていた。
だがその深奥に残っていたのは、自分を認めない世界への復讐心と、次第に快感へと変わる破壊衝動だけだった。
「でも僕は、この大陸を焼き払うだけじゃ物足りない。もっとだ…この星の人間、ゾイド、全てを焼き尽くすまで…
僕は止まらない。この機体の力さえあれば、何も惑星Ziに居る必要など無いのだから」
ゾーハルが左手の盾を上げる。ビームの様な光で形成された盾の間から、輝く剣が現れた。
「そうそう思い通りになる物でも無いぞ…ゾーハルが10大セフィロト全ての能力を持っているという事、忘れたか?」
一瞬にして、ゾーハルの周囲に青白いゾイドの幻影が無数に出現した。ガブリエルの能力――アストラル体の召喚である。
「そんなもの…生の形骸でコイツを足止めできるものか!」
一瞬で現れたアストラル体が、また一瞬で消え去った。驚愕するマクドガルに、セディールは不敵な笑みを向ける。
「アストラル体とは言え、質量を持っている以上ナノマシンに分解できない事は無いんだよ…古代文明が生んだ
究極の科学の前には、超常現象だろうが天使だろうが――無力だ!」
とっくに臨界を迎えていた荷電粒子ジェネレーターが解放され、極大の荷電粒子砲がゾーハルを呑み込んだ。
あーーっと、容量がヤバイ!
>>鉄獣28号氏
敵の敵は味方…てな感じで、戦い続けてきたセフィロトも星を守るべく大奮戦。
今回は主人公に全く出番なし!
レイズの性格は良かったと思いますが、虎ごとに性格が全然違う設定でも面白かったかも…
「神」名乗るくらいですから、あまりファンキーでも困りますがw
>>恐怖の亀裂作者氏
>某ゲームのサンダルフォン
ど ち ら さ ん !? と訊こうかと思いましたが止めときますね。
自分には全く解らないゲームの解説が出ても_| ̄|○ですので…
何故か「グラビトンスポット」に目が逝き、そこから妙な方向に妄想が…g(ry
あっ本当だw
鉄獣28号さんへ
>主人公の狼狽ぶり(?)
は完全にご想像にお任せします状態です。克明に書いてしまったりすると…うわあああああな状況にも成りかねないので。
やっぱり神様は良い意味でも悪い意味でも”自分勝手”と言う感じでしょうか?レイズタイガーにしろワイツタイガーにしろそんな感じがプンプン匂います。
Inocent Worldの作者さんへ
登場早々退場!?ゾーハルの運命は?曖昧なのよ〜なセディールさんの暴走は止まらない!?
妙な妄想は無駄知識同様心の栄養!?余り気にしない方が身の為です。-それを引き摺って失敗を犯した者の忠告-
目玉は何をする訳でも無い。唯ずっと見つめ続けているだけだ。しかし何か非常に怖い気分になる。
その目玉は彼等の周囲を周り見詰めている。試しにベルフが目玉を撃ってみるが…擦り抜ける。「あ…通り抜けた。」
打つ手無し。破壊できないとなれば後はあの目に見詰められるのみ。光彩が動きその視線が彼等を犯す。良い気分な訳が無い。
「如何するか…。っ!?」何かに気づくベルフ達。何故か羽音がするのだ。遠くだったり近かったり中々に素早い動きだ。
その姿が見えない何かが目玉を使ってるとしてそれも何かおかしい。そんな事を考えている内に目玉が凄い事になっていた。
「「「「だあああああ〜っ!?さっ裂けてる〜!?」」」」目玉が血を吹き真っ二つに裂け始めている。見た目はグロテスクで痛々しい。
裂けた目玉よりそれより明らかに大きい手が4本飛んで来る。彼らの機体を掴むと目玉の奥に引きずり込もうとする。
「「「「!”%’え%$*P‘#$W!?」」」」声にならない悲鳴と共に全てが消え失せた。
「「のあ〜〜〜っ!?」」ここは浮遊島の上。突然頭上より4機の機体が降ってきて焦るファインとベルウッド。避ける事はかなわず下敷きになる。
しかも落ちてきた4機の中では思い思いに悲鳴を上げている4人。余りの鬱陶しさにベルウッドは拡声スピーカー迄も使い「う・る・さ・い・わ〜〜〜っ!!!だ・ま・っ・と・れ〜〜〜っ!!!」と叫ぶ。
騒音公害級の大声で気付けがなされたのか悲鳴が止む。「ったく!何故に遠足の引率役の教師の様な事を妾が為ねば成らん!しかも禍鳥の目に捕まりおったな…やれやれ。」やっていられるかと言うゼスチャーをしながら言う。
「禍鳥の目?扉の鳥の事でありますか?」「そうだ。適当に対称を見繕っては別の場所に運んでしまう悪戯者よ。しかも実が無いから物理方法では回避も撃破もできん。しかし攻撃性を全く持たないし悪戯の帳尻は付ける。」
そこで何かに気づいたベルウッド。「ほほう…そう言う事か。此奴目自分の遊び場が荒らされたから協力している様だな。賢い奴よ。」突然コクピットにその鳥が入って来る。「何故に入ってこられるのでありますかっ!?」
「うつけめ!そもそも結界という物は敵意や害意を退ける物。それらを持たぬ此奴は擦り抜けてきて当然だ!ん?何々?ふんふん?ほ〜?なる程なる程…。」
ベルウッド達は何か話し込んでいるらしい…。
「喜べ!此奴は貴様等をいたく気に入っている様だ。手を貸してくれるらしいぞ。」「「「「「…いやいやそんな事言われたって。」」」」」
そんな事言われても非常に困る。取り敢えず機体は散開少し距離を置いて警戒中だが突然そんな爆弾発言をされると思わず振り向いてしまう。
「特に!主よお主は大層気に入られておる。良かったな。はっはっはっはっは…。」最後通告を1人にのみ送るベルウッド。「いや!だから何故に自分だけでありますかぁ!?」
語尾は当然上擦り裏声にまで達している。「諦めろ!運命と言うやつだ!主はそもそもこう言う輩に好かれておる。力を持った今では尚更好かれるであろうな?今まで目にも見えなかった輩がたんと居るからな。」
「そう言う貴方は?」それを聞くと胸を張って「当然!随分前から唾を付けておったぞ!」その言葉に「…ほう?と言う事は?今まで酷い目に遭って死にそうに成っていた時も見ていたと?」
「うぬ!?失言か…まあ広い心で許せ!」元から許さないと言っても無駄っぽい上に緊急時という事で泣き寝入るする事にする。何と言っても相手はああ見えて海千山千の本当の化け物。
その上最上級の存在と来る。しがない一介の人間が敵う相手ではない。そこで精一杯の抵抗をする。「まあその辺は”広い心”で許しますとも!ベ・ル・ちゃ・んっ!!!」
「しまった!?うぬぬぬぬ…。」何をそこまで気にするか解らないがベルウッドの歯軋りがコクピットに響く。「まあ…こ・れ・も・運命でありますよ!」
木の浮遊島。如何しようも無い歪みに覆われているこの場に唯ならぬ気配が漂う。「来るぞ!此奴は冬に冬眠しておるが冬眠に失敗した奴に出会せば一溜まりも無い!気を付けろ!」
そして一行の前に現れるその存在…「百獣の王!アサガオだ!語弊が有るがそう言う時期の存在だ!多少の理不尽は諦めろ!」確かに目の前に居るのはアサガオ。しかし唯ならぬ殺気を発し花びらとがくの間に凶悪な乱杭歯が光り輝く。
サイズも花1つがベルゼンラーヴェよりも大きい。「「あ〜これは随分と御立派な事で…。」」ベルフとファインは同時に言う。蔓も非常に太い。葉も刃の如き鋭さ。
訳も分からない巨大な叫び声が木霊する…が「カラミティシャドウ…。」発砲。その後火だるまになるアサガオ。「その手が有ったか!?」そのベルウッドの言葉に中途半端な盛り上がりはあっさり冷めた?
「そうだ!気を付けろ。首は1本だけではない。」突然そう言うベルウッド。「のはわぁ!?」直後にベルゼンラーヴェは打撃用に花が閉じた状態のアサガオに叩き倒される。
「なんだぁ〜!?そんなの反則じゃ無いのでありますか〜っ!?」連続で複数のアサガオの花に叩かれまくる。地面が木である為ダメージは殆ど無いが木に埋まる。
「あ〜マイブラザーがベルちゃんと一緒に生き埋めに!」ベルフの悲鳴が聞こえる。ラミューズの方は茎を狙い黄金砲で攻撃し花を落す。ミズホとサーラのコンビは相手を2方向から攻めて目標を定めさせない。
ベルフも悲鳴こそ上げているが必殺の直立疾走ドリル形態でアサガオを切り裂いて抉っている。結局ファインとベルウッドは最初の1つ以外全く働かずに木の大地に生き埋めになっていただけであった。
「うぬぬ…奴等舐め居ってからに〜!!!」生き埋め状態から脱したベルゼンラーヴェの中でベルウッドは突然何かをし始める。それに応じて禍鳥の目が開き手をベルウッドとファインに伸ばす。
「えっでっでえええぇぇ〜っ!?何処に連れていこうとしているのでありますかぁ!?」「奴の種だ!それを直接焼き払ってやるわ!」そしてベルゼンラーヴェからは誰も居なく成った。
それを見ていた一同は「良かった〜一緒に連れて行かれなくて…。」ほっと胸をなで下ろしていたという。
根の中。百獣とか言っている割には見事に植物な訳だが…「気になるか?此奴が百獣の王と言われる由縁が?」「勿論であります!こんな所まで連れ込んで…って真逆!?」顔が蒼白になるファインを見て。「アホか?お主?」
付き合いきれんと言う様な声が戻って来る。これで少し安心してファインは周囲を見渡す…「え〜っと確かここは根っこの筈では?」周りの壁には色々な動物の顔が有る。不快なディフォルメを成され飢えに悶える顔達。
「これで解ったであろう?此奴が百獣の王である事が。」確かに百を優に超える種類の顔、顔、顔。実は足元にも居るので遂先にブーツの爪先に噛みつかれたのはベルウッドに内緒にしてある。気付けば無駄な小言が飛んで来るだろうと。
「主。唾液を速く落とさんと溶けるぞ?」「うっひゃ〜っ!?」急いで唾液を振り落とす。ブーツの爪先が少しだけ唾液の化学反応で溶けていた。
そろそろ最深部に着く。そこには顔が沢山有る。どれも見るに耐えない顔の群だった。
顔達が一斉に叫ぶ。「!?」聞くに耐えない騒音の嵐に耳を塞ぐファイン。その最中で平然とベルウッドは立っている。
「ふん!無駄飯喰らい目!良くも妾を釘にしおったな!覚悟するが良い…カラミティシャドウ!」ベルウッドの右手に爆炎を吐き出す魔銃が握られる。
先の一件で使用権が彼女にも有る為当然の様に使用できる。明らかにその手で撃てば骨折はおろか骨が腕から飛び出すであろう銃を片手で躊躇無く撃つ。
爆炎の弾丸が顔達を包む。雄叫びは一瞬で悲鳴へと変わり更に激しい余りの五月蠅さにファインはとち狂った事を始める。
「我と契約を欲さんは誰ぞ!」その言葉を聞きベルウッドは驚く。「なっ何ぃ〜!?この大喰らいの化け物を使い魔に指定するだと!?」
その問いにアサガオは絶叫を以て答える。「如何やら相手は受諾するようでありますね…我成さん!制約を以て我が二つの名を刻み込め!新たな主として!」
その瞬間炎は消えそれ所かアサガオ自体も消える。ファインの肩には儚いという形容が良く似合う新種っぽいアサガオが乗っている。4速歩行だが。
それは根をそこら辺に溜まっていた水に刺すと一気に吸い上げる。「なる程…肉食を禁じ植物としての特徴を増進させたか…って何!?」水を吸い終えたアサガオはそれを抱えた超小型エナジーライガーになる。
「如何でありますか?余り殺生は宜しくないでありますよ?」それに「ぬぬぬ…速くも説教される立場に転落とは!しかしまだ妾の優位は変わっては居らん!」何故か非常に悔しそうだ。
「そんなに肩肘張らなくても…そもそも上下関係なんて端から無い筈でありますが?」更に一撃「ぬおっおのれ!さては気付いておったな!?妾に一人相撲を取らせるとは不届き千万!跳べぃ!!!」
到着場所はベルゼンラーヴェのコクピット。それを行う為の力の量、衝撃波の発動角度、タイミングを一気に脳内で算出したベルウッドは必殺の突っ込みを入れる。「ぶげらぼあげへぇ〜!?」
潰れた蟇蛙でも発っせない様な声を上げてファインは使い魔になったアサガオを抱えて吹き飛んで行く。
それを見てベルウッドは呟く。「全く抵抗力だけは最上位か…で無ければこんな遊びが許される事は有るまいて。」ついでに着地時の衝撃も計算ずくであの声以外はダメージは無い様にして有る。
「では妾も戻るか。」背に外套を出現させて跳ぶ。目標はコクピット。
「正直な話、高速ゾイドの操縦はあまり好きじゃなかったんだけどね、レイズタイガーは良い機体だと思うよ。ただ…蒼の神の奴がわがままで困ったけど…。」
「蒼の神?」
「あ!いや!何でも無い!!こっちの話!!」
ハガネはレイズタイガーの内に秘められた蒼の神の存在に関する事は心の中に閉まっておく事にした。どうせこんな事を話した所で信じてもらえそうにないから…。
「(それにしても…あれから蒼の神はどうなったんだろう…。)」
ハガネが内心そう思っていた通り、レイズタイガーが自由に動かせる様になった後、まったく蒼の神
からの応答などは全く無かった。恐らく蒼の神はレイズタイガーを完全にハガネに任せたのであろう。
「ハガネさん?」
「は!ハイ!」
物思いに耽っていたハガネをタリスが現実に引き戻した。そして彼女はさらに言った。
「よろしければ差し上げましょうか?レイズタイガー…。」
「ええええええ!!!!?」
タリスの突然の爆弾発言に、ハガネはもとより他の技術者達も驚愕の声をあげた。そしてその他の技術者達がタリスに駆け寄る。
「たたたタリスさん!!いくらなんでもそれは…。」
「大丈夫ですって!新型機のテストと言う名義ならば上に対しても理由付けは出来ますよ。」
「しかし…。」
技術者を言いくるめるとタリスは再びハガネを向いた。
「どうですか?ハガネさん…。」
「まあ、ゼノンはぶっ壊れちゃったしね…。タダでもらえるならもらわなきゃ損だし…。」
「じゃあ決まり!このレイズタイガーは今日からハガネさんの物です!」
「タリスさん!」
技術者達はもう知らないという顔をしていた。しかし、それを尻目にタリスはさらにハガネに言った。
「ハガネさん、あと一つ頼みたい事があるのですが?聞いてもらえませんでしょうか?」
「頼み…ですか?」
「そうです。そのレイズタイガーに関する動作等のデータ…。それを定期的にこちらに送ってもらいたいのです…。」
「まあ、タダでもらえるならその位はしないとね!いいよ!別に…。」
そうして、ハガネのゾイテックでの仕事は終わり継げ、チョコとドラグネス、そして新たな愛機と
なったレイズタイガーと共に彼女はブルーシティーの外れに立っていた。
「ようし!レイズタイガー…。あんたは今日から25代目の“ゼノン”だ。」
ハガネの呼び掛けに、ゼノンと命名されたレイズタイガーはゆっくりと頷いた。どうやら了解した様子である。
「それじゃあ!行こうか?」
こうして新たな道へと旅立つハガネとゼノンと命名されたレイズタイガー、そしてチョコとドラグネス
であったが、その一方でそれを遠くから見つめるタリスとその上司の姿があった。
「なるほど…ああやって“連中”の目をそらせようと言うのか。考えたな…。」
「確かにそれもありますね…。ハガネさんには申し訳ない事ですが…。しかし、ハガネさんなら負けないでしょう…。」
「だからそれを見越してデータを送ってくれ…と頼んだのか?」
「あのレイズタイガーも所詮は試作機に過ぎませんしね…。ハガネさんから送られたデータを元に本命の正式版レイズタイガーを完成させる予定です。」
「正式版って…。蒼のコアのオリジナルはあのレイズタイガーに搭載されて無かったか?」
「……………。」
タリスは唖然とし、一瞬黙り込んだ。しかし、すぐに開き直り、口を開いた。
「ま…まあ良いでしょう!!既に蒼のコアのデータはこちらにありますから!複製品はいくらでも
作る事が出来ますしね!それに、複製品と言っても性能はオリジナルと変化はありませんよ!」
「どうでも良いけど頑張れよ…。」
「と、こういう話があったのよ〜!」
「な〜んかウソくせ〜な〜…。」
マリンとルナリスはハガネの話をあまり信じてない様子だった。
「とにかくその蒼の神って何よ…バカバカしい!」
「そんな事言うな!!」
あざ笑うマリンとルナリスにハガネは駄々をこねる様に怒っていた。と、その時だった。
「あれ?マリンちゃんにハガネさんじゃないか!」
「え?」
マリンとハガネが声のあった方向を向いた時、メガネを掛けた金髪の男性が立っていた。
先日申した様に、諸事情・・・つまり旅行で何日か書き込みが無い予定だったのですが、
台風のせいで物の見事に中止になったのでいつも通り書き込んでいますorz
取りあえず容量の関係もありますし、自分の話も一段落し、次から新章に突入するワケなので
早速次スレ立てたいと思っています。しかし、立てられなかった時は誰か頼めませんか?
>>恐怖の亀裂作者さん
見つめるだけの目玉・・・裂ける目玉・・・これかなり怖そう・・・
最近流行(?)のゾンビ系ゲームとかに登場しそうな感じですね・・・。
一方舞台の方は植物大地(?)みたいな場所に移った様子ですし、
動物としての特長も持った(?)植物な敵も登場しましたね。
それと、虎に関しては、作中の描写通り、一度認めたパイロットに対しては
完全に自らの身体をパイロットに委ね、神本人はよほど大切な時以外は自分の体に対しても
放置状態と言う感じになっています。いずれにせよ自分勝手と言う感じでしょうか。
>>Inocent World作者さん
ゾーハル対デスメテオの戦いはいかにー!?
デスメテオの真荷電粒子砲は本当に20%しか増して無いんですか?
酷な言い方かもしれませんが、かなり拍子抜けしたのですが・・・。
まあ、虎の性格をそれぞれ違う物に・・・って言うのは流石にあまり考えていなかったので
参考にはと考えています。
鉄獣28号さんへ
スレ立て乙です。
タリスさんの大ボケ具合が何とも溜まらないです。本物あっちじゃん!って。
最近あの手のゲームが増えて居ますが老舗のバ〇オはゲームキューブの4が楽しみだったりします。
0のノーマル以上の難度が厳しすぎるので。何か操作方法が一新されるとかで普通のアクションゲームのように動けるみたいです。
敵の固さは相変わらずみたいらしいですが…。
植物大地は一応山から飛び出してきた木のてっぺんと言う設定ですが…妙ちきりんな奴等が居るのは作者の気紛れです。
たんに「百獣の王!アサガオ!」と書きたかっただけなので…_| ̄|○
ところで、天プレの
>舞台となる場所、時間等は制約無しでバトストと書いて有りますが平和ても問題無いです。
「平和ても」てナニ?
>>292さんへ
本来はもう必要無いのかも。因みにアレを書いた頃は(書いた張本人)バトストが何方にシフトするか良く解らなかった時期です。
それでZAC2121年?位で戦争終結後の話になると解ったのでそう書いた記憶が有ります。
それに要領削減が前提に有ったので寸足らずになったみたいで…。
うわっは〜い”でも”じゃなくて”ても”だ〜w
またやってしまっていたかorz
■ZAC2106年春、フロレシオ海・地図にない島
ステルン・ベルガー中尉の眼前で、自らの属する <パペーダ> 小隊機が次々と
堕とされていく。彼の小隊6機編隊に対して数十機で襲いかかってくるのは、帝国軍
空戦用無人機・通称 <ゴースト> 。
『帝国蜂起軍は実戦レベルの無人ゾイドを多数配備したらしい』
山中の空軍地下基地でも噂には聞こえていたが、ベルガーも実際に目のあたりに
するのは初めてであった。ふざけた事に、橙色の試験用塗装のまま肉弾戦を仕掛け
てくる。お返しにスパイククローを叩きこんでやる度、動体視力の優れた彼には引き
裂かれてゆくシリアルナンバーまでが見えた。レイノス <パペーダ5> こと、鳥族の
名家リヒトホーフェン家傍流の血を引くベルガー中尉は、生まれながらの飛行ゾイド
乗りと言えるパイロットであった。
<ゴースト> 編隊に天井を取られた小隊の飛行高度は、いつしか2700フィートを
切っていた。この高度では名機レイノスの性能もロクに発揮することができない。
本来が30000フィート以上の高々度でベストの性能を発揮できるように設計されて
いるのである。本来は、この状況に追い込まれた時点でレイノス小隊は“負け”で
あった。加えて、おそらく編隊僚機の対空ミサイル弾倉はことごとくカラであること
が推測できた。
<ゴースト> たちは、5000フィート程の上空にいる管制機に操られているようだった。
2機の鳥型ゾイドが円を描いて旋回していた。機種は旧式のシュトルヒ。いつの間に
再配備されていたのか。ベルガーと同じく、その事実に気付いた僚機がいた。
<<なめられたものだ!>>
それだけ言って、親玉のいる上空に突っ込んでゆく2番機。たちまち7〜8機の
<ゴースト> が頭上に展開し、行く手を塞ぐ。これだけの物量差、これだけの統率。
圧倒的に不利な状況を前にして、味方の反応は分かれた。かすれた声で6番機の悲鳴が聞こえる。
<<か、数が多すぎる! だめだぁ>>
<<パペーダ2、編隊を崩すな。パペーダ6は5から離れるな>>
そう言って編隊を立て直そうとする小隊長のレイノスに、立て続けに4機の <ゴースト>
が殺到する。上と左を押さえられ、右旋回して逃れようとする編隊長パペーダ1。ベル
ガーは、そこに反対側から突っ込んでくる1機を見た。機首を向けてビームの照準を
合わせるが、間に合わない。一瞬後、衝突。2機は炎上、四散した。そこへ間髪入れず、
自機を狙って2機ずつの編隊がやって来る。
「ちっ」
舌打ちが漏れる。さきほど編隊長機が引っ掛かった死のトラップから逃れるための、
急激な機動。血液が頭から逃げてゆく。上空には、なお数十機の敵機が群れていた。
(俺たちは、エサか)
低下していく思考力と裏腹に、ベルガーは気付いた。
今回のスクランブルについては、小型戦闘ゾイドの領空への侵入に対し中型6機
もの編隊を出撃させる事自体が自然ではなかった。そもそも数日前から頻繁な領空
侵犯が続いていたのである。これに対し、余力を持たない現在の共和国空軍は追撃
を差し控えていた。そこに来て本日、彼の <パペーダ> 小隊は徹底的な追跡を命じ
られた。
おそらくシュトルヒのいる上空よりも遥かな高空では、この負け戦の記録が克明に
取られているに違いない、と思えた。数日前にホームグラウンドである基地で見かけ
た改造サラマンダーが脳裏に浮かぶ。腹部にゴルヘックスを抱えこみ、下方向を走査
できるクリスタルレーダーを装備した高々度偵察仕様の珍しい機体。愕然とした。
たとえ敵の新型ゾイドが無人機、しかも小型とはいえ、未知の脅威であることに変わ
りはないのだ。いや。むしろ、だからこそ噂の <ゴースト> は恐るべき存在なのかもし
れない。司令部は、詳細なデータを入手する為に払う犠牲がレイノス6機程度の損害
ならば惜しく無いと踏んだのだ。高空の偵察機がこのジャミングを相殺できているのか
どうかはわからないが、山中の基地に大戦前のECCM機器が保存されていたら、
ひょっとしたら……。
<<警告、ロックオン信号>>
コクピットにコンピュータの警告音声が鳴り響き、諦観の海を漂っていたベルガーは
たちまち現実に引き戻された。一瞬注意を怠ったスキに、1機がズーム上昇中の自機
をぴったり追尾してくる。海面方向を見渡すと、他の <ゴースト> たちの動きが鈍く
なっているのがわかった。どうやら、敵の管制機どちらか1機が誘導対象を絞って、
その代わりに誘導精度を上げているようだった。すると、このロックオン信号は……
( <ゴースト> はミサイルを装備していないハズだ)
翼下にもパイロンは無い。小柄な胴体にもスペースなど無いハズだ。今まで1発も
撃ってきていない。ふと、明瞭な事実に思い至る。
(奴自身がミサイルなのか)
だとしたら、上昇速度において勝るレイノスを押さえるには。
簡単なことだった。上方で小隊の2番機を追いまわしていた1機がこちらへ方向を
転じ、挟み打ちのコースへ入るのが見えた。ベルガーはこちらへ向かってきた上の
<ゴースト> へ急速接近し、翼のシュツルムクローで右片翼を引っつかむ。もう残り
少ない燃料を消費してアフターバーナーを全開し、そのまま急旋回。下から接近する
最初の追尾機に向かって獲物を「放り投げた」。錐揉みしながら落ちていった獲物は
追尾機のハサミに引っ掛かり、見事に切断される。恐ろしい程の切れ味に背筋が寒
くなるが、不意にベルガーの目の前に光明が開けた。今の機動をもって、 <ゴースト>
による包囲網を脱したのだ。このまま敵機を振り切れば、そのまま減速することなく
帰還コースへ乗れる。が、余韻に浸っている時間は無かった。3機まとまった編隊が
迎撃コースに乗ってやってくる。
今の荒技で、翼の付け根は損傷してしまっていた。残りの攻撃手段は、3連装
ビーム砲のみ。それも出力の関係上あと1〜2射が限度であるらしい。ベルガーは
高度を下げた。こうなった以上、海面が残された武器だった。敵に飛び道具が無い
のが幸いした。高度1000フィート以下へ。レイノスも間近まで迫った敵の息吹を感じ
ていた。そこで一気に急減速する。翼端が波を叩きそうな高度で、ベルガーのレイノス
は左旋回に成功した。後続の <ゴースト> が次々に海面に呑まれていくのが感じられ
た。1機、2機……。と、ベルガーの真正面に、失速した <ゴースト> が出現した。残る
エネルギーを節約し、ビームのトリガーを引く。 <ゴースト> のオレンジ色の外装に
3つの光点が現われ、バラバラに分解していった。
ベルガーは完璧に敵集団を振り切る事に成功した。
もはやベルガーの属する <パペーダ> 小隊は見る影もなかった。まず、 <ゴースト>
は狙った相手に対し執拗に一騎打ちを誘う。すると敵の「ゾイド乗り」は誇りを賭けて、
編隊を崩してまで誘いに乗ってくる。そこにもう2〜3機をぶつけて力任せに叩き落とす。
そういうセオリーがあるようだった。そして、この戦法は要撃戦闘機ゾイド部隊に対して
は大変な効果があるった。爆撃機部隊ならいざ知らず、誇り高い空のゾイド乗りは
一個の部隊である前に一人の戦士なのである。これは変わらない鳥族の伝統だった。
一機打ちでみごと敵を撃ち落し、帰還した戦士はその栄誉を称えられる。今日の戦いは、
そのような「ゾイド乗りの戦い」ではない。
名家の血を引く鳥族の男でありながら、ベルガー自身にそのようなこだわりはまるで
無かったと言ってよい。彼としては、むしろこの世界にそういった伝統が色濃く残って
いる事が気がかりであった。格闘戦闘機ストームソーダーの正式採用により、飛行
ゾイド乗りに要求される素質・練度は益々高いものになっている。稼動機数は減って
いた。国土の大半を奪われた今の共和国軍は、その領空を守り切れない。それでも、
敵が物量に拠った戦いを仕掛けてきた以上はこちらも変わらなければ生き残れない。
司令部では既にこれに気付いたらしい。この戦闘は、旧来の戦闘方法にこだわった
挙句の悲惨な結果として後のパイロット達の教訓となるのだ。多くのパイロット達に、
対無人機戦では今までのやり方が通用しない事を気付かせる必要があるだろうから。
理屈ではわかった。が、これでよいのか。俺は命からがら生還し、司令部へ新型飛行
ゾイド部隊の脅威を報告するべきなのか。ベルガーが腹を決めかねていた理由は、
彼の後方で30機以上の <ゴースト> に囲まれ逃げ回っている6番機だった。まさに
風前の灯火である。
(ユウキ少尉か)
共和国軍が中央山脈に追い詰められる以前、空軍の適性検査に合格していた若者
だった。新政府の施行した法律によって以前の入隊切符は効力を失っていたが、
わざわざ今年の春に山を越えてやってきていた新米の小隊員。
ベルガー個人としては、あくまでデータの収集という司令部の考えが判った以上
<ゴースト> に対して出来る限りの死闘を繰り広げたつもりだった。自分の犠牲で、
後に続く兵士何百人の命が助かるのならこれ以上のパペーダ(勝利)はないだろう、
と思ったからだ。
そうだ。ならば、あと一人くらい助けるために戦おう。
ベルガーは再び <ゴースト> の群れに機首を向けた。管制機を墜とせるかどうかに
賭けてみるしかない。こちらが逆に、敵を甘美なる一騎打ちへと誘うのだ。誘いに乗って
きた場合、この速度なら勝機はある、と思った。
案の定。
(降りてきやがった)
マッハ2と言ったところか。ベルガーはシュトルヒの主に対して、自分が戦闘できるの
が嬉しくてたまらないといった印象を受けた。飛行ゾイド乗りとしてそこそこの腕前らし
かった。勝機はある、と思った。俺とこいつだけの世界へ引きずり込めさえすれば、勝
てる。こいつは忘れているかも知れないが、 <パペーダ> 小隊機はまだ1機いるのだ。
俺のビーム砲の射界へ捉えなくても、行動を牽制するだけでよい。持てる限りの技術
を駆使しての操縦。レッドアウト寸前の脳味噌で、それを思う。そうだ、このままパペー
ダ6の射線上へ。ただ、ベルガー自身も判ってはいたが、この計略には一つだけ穴が
あった。
もう1機のシュトルヒのパイロットがいわゆる「ゾイド乗り」と正反対の人間だったら、
状況は絶望的ってことだ。
<了>
以上、自分でバトルストーリーを書いてみようVol.12スレの最後に現われた
共和国軍パイロット氏に影響されて書き上げました。
バトストやファンブックのエピソードを再構成してみるのも面白いかもしれませんね。
・誤字
>>295 2行目
× 堕とされていく。
○墜とされていく。
パトライジャー ◆q4EHI09Nw2さんへ
お疲れさまです。本編で保管されない物語なら良い感じがしますね。
12の方には書き込みにくかったのでここなら!と言う感じ感想を。共和国軍サイドからのシュトルヒのエピソード。
良いですねぇ。味方が刻一刻と減っていく。普通の人には耐えられ無いそれを耐え味方を助けるために飛ぶ。
格好良いです。
そう言えばセイスモ以降何か中立的な事実を並べる物がジェットファルコンまで続きましたが…あれは両サイドからすると面白そうですね。
>>パトライジャー ◆q4EHI09Nw2さんへ
良いですね。本当に良かったと思います。
自分はシュトルヒ買ってませんし、そのバトストも読んでないので、
ファンブックスレなどで書かれた断片的な内容しか知りませんが、
その描写というか、何というか、とにかく格好良いと感じました。
漏れも再描写?とかスキよ。そんなんばっか。
オリジナルの端のほうで消えた奴のちょっと過去、敵さんの話とかも。
部族の概念とかも好き。とくに蟲族が好き。いやいや感想じゃないし。
いよいよ自分の文章・表現能力の低さには驚かされる。ようするに面白いと伝えたかった。
ところで中尉の名前をみた途端シュタインベルガーを連想したけど関係ない。
>>パトライジャー氏
おお、生作品は初めてかもしれない!?
どーしてもRPG風味になってしまう自分はこういった話を見習いたいです。
おぉ……皆さんレスありがとうございます。見ていてくださったんですね。
もっと推敲すれば良かったかも。
>>304 「ファンブックEX」が主観的な話。「○○バトルストーリー」が戦場を俯瞰した話なのでしょうね
シュトルヒバトスト、<美しいゾイド乗り同士の決闘>で締めるのも
それはそれで一つの物語ですが、せっかくなのであえて少量の毒を入れてみました。
>>305 シュトルヒ、値上がった割にボリューム無いですが
あんな話が付いてきたこと自体に感動しましたよ。あれで180円分はあったと思います
たまに投売りされてたりするので (ノД`) 是非一度手にとってみてください。
>>306 ありがとうございます。蟲族の話、読んでみたいですよ
パイロット名ヒント:プテラノドンの学名 ということで。
>>307 自分は逆にRPG的な道中を描いた話とか書けたらいいな、と思ってますよ。
新スレで大好評連載中の作者さん達が作り出す生き生きとしたキャラクター描写を
見習いたいと思っていたり。
求む:更なる戦史研究家!
残り16KBですが…
次スレに求むの!
ちょっとした短編なら書けるな。
投下するかどうか迷ってたのがあったら
白日のもとに晒してみたらどうよ