銀河系の遥か彼方、地球から6万光年の距離に惑星Ziと呼ばれる星がある。
そこはうち続く戦乱と、荒ぶる自然の世界。
人々は、この星に棲む巨大なメカ生体-ZOIDS-を戦闘機械獣に改造し、今日も戦場へと赴く。
この戦いに勝利することが、永遠なる平和を勝ち取るための唯一つの方法と信じて…。
空前の大戦争を記録する為に作られたゾイドバトルストーリー。
しかし、そこには語られる事のなかった多くの物語がある。
歴史の狭間に消えた物語達が本当にあった事なのか、確かめる術はないに等しい。
されど語り部達はただ語るのみ。
故に、真実か否かはこれを読む貴方が決める事である。
過去に埋没した物語達や、ルールは
>>2-5辺りに記される。
ルール
ゾイドに関係する物語であるならば、アニメ、漫画、バトストなど何を題材にしても可。
舞台となる場所、時間などには、特に制約はありません。
ゾイド板ならではの自由で柔軟な作品をお待ちしております。
ただし、例外として18禁描写はご遠慮下さい。
鯖負担になるので、【
>>250に書き込んだ方】に次スレのスレ立てをお願いしましたが、
今後のスレ以降はスレの許容範囲の増大で【450〜460KB】で次スレを用意する事になりました。
よろしくお願いします。
投稿された物語の感想等も大歓迎です。
「とりあえず本編に入る前に前スレでやっていた前回までのあらすじ」
帝国軍は共和国軍の士気を下げるために、共和国軍の士気高揚の原因となっている
名のあるエースパイロット達を狙ったピンポイント作戦を実行した。
その第一のターゲットとなったのは緑の悪魔と帝国から恐れられている「マオ=スタンティレル少尉」
また、その部下である「ライン=バイス軍曹」もターゲットとされていた。
そんな帝国の陰謀も知らないマオはのんきに小学校の同窓会へ行く。
しかし、帝国の刺客は既に放たれており、マオに対しては超人兵団と呼ばれるスケルトン部隊が、
別の所で他の仲間と共にパトロール任務についていたラインには帝国の新型ゾイド、
「エナジーライガー」が迫ってきていた。
まあ早い話が前スレの前回までを見たほうが言いかと。
こちらとしては前スレが落ちる前に是非とも保存しておいてほしかったりする。
そんな頃、ラインが大変なことになっているとは夢にも思わないマオは同窓会で久々に集まった皆と、
雑談しながらバイキング料理を食べていた。まあ昔マオをいじめていたと言う奴も久しぶりに会った
事もあったりして、気楽に話し掛けてきていた。人間は変わっていくものである。そんな時だった。
「お客様!!土足で上がらないでください!!」
店員の慌てた声が部屋の外から聞こえてきた。さらにドタドタドタと床を物凄い勢いで走る音。
「ん?何だ?何だ?」
周りの者たちも異変に気づいて音のあった方を向いた。その直後、物凄い勢いでドアが開き、全身を
白いプロテクターで覆い、さらにガイコツをモチーフにした様なヘルメットをかぶった男たちが
一斉に部屋の中に入ってきたのだ。そう、彼らはマオ殺害任務をおびたスケルトン部隊である
そして、それを見た誰もが口をあんぐりあけて唖然としていた。
そして、男たちは部屋中をキョロキョロと見渡し、マオを目が合った所で動きを止めた。
「ハッハッハッハ!!見つけたぞマオ=スタンティレル!!」
スケルトン兵達の先頭に立つ男は手に持った、ゾイドの装甲も切り裂く斧「AZハイトマホーク」を
振りかざし、そう叫んだ。
「ほらあんた、呼んでるよ。」
「へ?」
マオは隣で麻婆豆腐を食べていた奴にそんな事を言っていた。隣の奴も分けがわからない。
「馬鹿野郎!!お前だお前!!そこの金髪緑目!!お前がマオ=スタンティレルだろうが!!」
と、その時だった。突然マオは自分のポケットの中からメガネを取り出してそれをかけた。
「違うよ。私はミオ=スタンティレル。」
「それはテメェの双子の姉だろうが!!今ごろメガネかけてごまかそうとしても遅いんだよ!!」
マオのボケに対してスケルトン兵士達は一斉に突っ込んだ。
「お…、おい…アイツ等あのネオゼネバス帝国軍の超人部隊って噂のスケルトン部隊だぜ。
アイツ等に狙われるなんて…。お前…一体何したんだよ…。」
他の者がマオの肩を掴んでそう言う。その顔には焦りが誰からにも見えた。
「分かった分かった。私がマオだよ。これでいいんでしょ?で、スケルトンさんが何の用よ。」
マオは特に何も動じずにそう言ってパイナップルを一切れ口に運ぶ。
「わぁぁぁぁぁぁ!!!お前何やってんだよ!!少しは危機感を持てよ!!スケルトン部隊だよスケルトン部隊!!」
「それがどうしたってのよ。私は私に何の用があるかが聞きたいのよ!」
他の者はそう焦りまくる。が、マオはこれといって何か変化があったわけではなかった。
「忘れたとは言わせんぞグリーンデビル・マオ=スタンティレル!!!」
「!!!!!!!!!!!?」
その場にいたマオとスケルトンの皆様以外の誰もが愕然とした。スケルトン兵の言葉はなおも続く。
「貴様のせいで何体の貴重なゾイドと兵士が失われたか…。しかし、それだけならまだいい!!
それが戦争なのだからな!!だが、!!貴様がさながら悪魔のごとき大暴れをするものだから、
そのおかげで前線兵士達の士気は落ちてしまう。故に貴様は今のウチに殺しておかなければならぬ!!」
「ちょ…、ちょっと待って下さいよ兵隊さん…。何かの間違いでは無いのですか?」
「そ…、そうですよ。あの弱虫だったマオがそんな事出来るわけ無いじゃないですか…。」
「貴方方が言っているのは、共和国軍のマオ=スタンティレルでしょ?ここにいるのはただの同姓同名…。」
先生をはじめとして、他の者は焦りながらスケルトン達にそう言う。が、マオは相変わらずメシを
食っていた。彼らの話を聞いて、スケルトン部隊は困った顔をしていた。
「お前らは新聞を読んで無いのか?目の前のコイツは、紛れもなく共和国軍でゴジュラスギガに
乗っていて、グリーンデビルの異名を持つマオ=スタンティレルだ!!」
「え〜?ウソでしょ〜?」
誰もがそう言う。昔の弱虫ないじめられっ子だったマオしか知らぬ彼らにはとても信じられ無い事なのだから。
「確かにお前達がウソだと言いたい気持ちは分かる。昔のコイツは弱虫で泣き虫ないじめられっ子
だったという話だからな。しかし、これは紛れも無き事実なのだ。故にコイツは殺さねばならぬ。」
しかし、そんな話が続いているのにも関わらず、マオはまるで他人事のようにみそ汁を飲んでいた。
「お…、おい…スタンティレル…。メシ食ってないで聞け。あの兵隊さんの言うことは本当なのか?」
先生が恐る恐るマオにそう問いかける。マオはみそ汁をテーブルに置き、口を開いた。
「うん。あの人達の言うことは正しいと思うよ。信じる信じないは皆様の勝手という事で…。」
「…………。」
皆は沈黙した。マオは今度はナイフを手にとってサーロインステーキを切り始めていた。
「それにしても、お前は噂通り美しいな。敵じゃなかったら彼女にしたいくらいだ。」
「た・・・確かにそう思ってみればかなりの美人だよな〜。その変のアイドル以上だぜ。」
スケルトン兵士のいきなり言い出した言葉に、他の者もそう言い出す。すると、マオは突然目を丸くした。
「へ〜、私って美人だったんだ〜・・・知らなかった〜・・・。」
ずげげげげ!!
マオの言葉に誰もがすっ転んだ。
「お・・・お前・・・、自分の顔を鏡で見たことが無いのか?」
一人の言葉に対して、マオは鏡で自分の顔を見る。
「ダメ・・・、さっぱり分かんない。」
「お・・・、お前の美的感覚はどうなってるんだ・・・。」
「そんなこと言われてもな〜・・・、私、女の顔に興味なんて無いし、それに自分の顔を自分で美しいとか言う人ってキモイじゃない。」
「た・・・確かにそうだけどさ〜・・・。」
「でも、俺はああいうのは嫌いだな。」
「え?」
突然の一人のスケルトン兵士の言葉に他のスケルトン兵士達が一斉に言った。
「だって、俺、劇画派だから・・・、ああいう世間一般様が言う「萌え」なタイプは嫌いだ。」
そんな事を言う一人のスケルトン兵士の顔はモロに劇画調であった。
>>1さんお疲れ様です。という事で、さっそく続きを書かせてもらいました。
話は変わるのですが、ゼロファルコンは凄く強いみたいですねー。
自分の作品では、まあ読めばわかるのですが、主人公のパートナーキャラが
ゼロフェニックスに乗ってるんで、近々ゼロファルコンにパワーアップする予定ですが、
このままさらにゼロがしつこくパワーアップし続けていけば、
そのうち主人公を超えてしまうのではないかと思ってガクガクブルブルしている今日この頃です・・・
まあとにかく皆さん。新スレになったワケで新しい気持ちでがんばっていきましょう。
西方大陸エウロペ、大陸中央部付近の砂漠。名も無い遺跡が砂に埋もれているこの地は、かつて伝説の戦いが繰り広げられた場所でもある。
ガイロス帝国が作り上げた脅威のゾイド、デススティンガーとある2人のゾイド乗りの死闘。
その戦いの現場であった遺跡に今、うごめく物が在った。いや、居た。
巨大な鋏の様な爪、大地を踏みしめる8本の足。刺すように突き出された尾。
そして何より、禍々しく輝く赤い目。
この砂漠は元々人通りは少ない。戦争による野良ゾイドの増加で今では軍以外は寄り付かない。
この異変に気付いた物は、誰も居なかった。最悪の事態は、密かに、そして確実に迫っていた。
ZAC2104年、西方大陸。記録に残らなかった「もう一つの戦争」から3年。本土を追われた共和国軍は東方大陸に逃げ去った者、
中央大陸で勢力圏を死守する者、そして、西方大陸で体勢を立て直そうとする者に別れていた。
「滅茶苦茶な戦い方は変わってませんね、ロイさん」任務を終え、ロブ基地に戻ってきたラガート・ノーティス大尉が
傍らの少年に言った。まだ子供なのに、耳についた赤いピアスがやけに似合う。
「別に…ねぇ?中隊の皆さんには被害出てないし、文句言われる事でも無いよ」答えた彼は、西方大陸の共和国軍なら
誰でも知っている。3年前の戦いで戦死したと思われていた所が、1ヶ月後ロブ基地に戻ってきたのだ。
彼の名はロイ・アーベル。黒いディアブロタイガーを駆る傭兵だ。とは言っても傭兵というのは肩書きだけで、
今では共和国の特務隊に所属している。窮地に陥った仲間を助けたりするのが主な仕事だ。
「そういえばラガート…最近変な噂を聞くな」ロイは大尉である彼にも敬語で話したりしない。というのも、まずロイが
そんな柄ではない事。そして、特務隊の隊員は階級に縛られる事は少ない。別に上官にタメ口で話しても良し、
他の任務の際は単独行動も良し。その代わり任務は必ず成功させる、という事だ。
「ええ、ネオゼネバスの謎の小隊…数機のゾイドで我が軍の一個大隊を全滅させた連中ですね。
ガイロスの方たちのデータによれば、彼らも我々と同じ特務隊だそうです」
ロイは不敵な笑みを浮かべた。「面白いじゃん…一度会ってみたいもんだな」
この言葉を、後にロイは思い出す。
「とにかくだ!!我々は貴様を殺すように言われているのだ。だが、民間人に危害を加えるなとも
言われている。故に、表に出て勝負を付けよう!!話はそれからだ!!」
話が変な方向にそれていた所を一人のスケルトン兵士が元の流れに修正した。しかし・・・。
「え〜?でもな〜、今食事中だし〜。」
スケルトン兵の言葉に対し、マオはサーロインステーキを一切れ口に運びながらそう言う。
「そうか…、しょうが無いな…。少し、血で汚れるかもしれんが、ここで直接殺るか…。」
スケルトン兵士の1人が斧を振りかざし、マオに対し走った。
「スタンティレル危ない!!!」
誰もが叫んだ。しかし、スケルトン兵士を恐れその場から動けない。
スケルトン兵士は振りかざした斧を振り下ろした。速く、そして重い横向きの振り。次の瞬間、
皆の脳裏には斧によって首を切り落とされたマオの姿が…あるはずだった。
キィン!!
部屋中に軽い金属音が鳴り響く。そこには片手で持ったステーキナイフで斧の一撃をまるで対して
重さを感じていないとすら思えるほどにまで軽々と受け止めていたマオの姿があった。対照的に、
スケルトン兵士は自分と手に持つ斧をプルプル振るわせながら必死に押していた。しかし、それだけだった。
「オイオイ!!遊んでるんじゃないぞ!!」
その光景に後ろにいた他のスケルトン兵士がそう茶化す。
「違う!!コイツ…、とんでもないバカ力なんだよ!!!」
「……え?…ウソ…。一体…どうなってるんだ?」
その場の誰もが唖然とした。スケルトン兵士は思わず後方に跳ぶ。
「ほら〜、テレビでタマにあるでしょ?気功使う人が体の一部に気を込めたらその部分が固くなって
刃物も通さないってヤツ。アレを応用したのよ。」
「馬鹿野郎!!そんな非科学的なことあるわけ無いだろ!!一体どんなトリックを使ったんだ!!」
スケルトン兵士は叫ぶ。と、その時、隊長と思われる一風変わったプロテクターをヘルメットを
かぶった大柄の男が前に出る。
「なるほどな…。報告にあった怪しげな術を使うというのは本当だったようだな。」
「勘違いしてもらっちゃあ困るわね。私が使ってるのは気功法つーてね。別に魔法でも何でもない。
気は誰もが持っている生命エネルギー。ただ、その使い方を知らないだけ。ちょっと修行してコツを
掴めば貴方達だって私と同じ事が出来るよ。」
隊長の言葉に対し、マオはそう言う。「気功法」遥か遠い星、地球の中国という国より発生した、
生命エネルギーである「気」を具現化する術である。当時それは格闘技は元より、医術にも
用いられ、場合によっては西洋医学を遥かに超える成果をあげる事もあったという。
ただ、マオの使う気功法は前者の格闘技に使う方であり、医療には使えない。まあマオ自身も
いずれはそう言うことも出来るようになりたいと訓練を積んでいるわけだが、全然上手く
いかなかったりする。完璧な人間などこの世に存在しないという事である。
「くそ!!ならばこれならどうだ!!!」
とかなんとかやっていたら今度は人間が使えるサイズにまで小型化した「AZマグネイズスピア」
を手に持った、別のスケルトン兵士がマオに向かって走った。しかし、マオは相変わらず動じずに
その場から動かずにステーキを口に運んでいた。
ドス!!
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
槍が何かに突き刺さる音が部屋中に響き渡った。思わず皆は悲鳴を上げた。
「やった!!手応えあった!!今度こそ確実に仕留めた………ってあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
スケルトン兵士は思わず叫んだ。彼が突き刺していたのはマオではなく、マオが着ていた服を着たマネキン人形だった。
「あ〜あ〜。ったくこれじゃあまともに食事も出来やしない。しゃあない。少し相手したげるよ。」
スケルトン兵士の直ぐ隣に現れたのは、和服と洋服の合体した様な緑の服装に、肘や膝、肩に
取り付けたプロテクター、ファッション重視にミニスカートとかはいていたりするが、その下には
さらに黒いスパッツをはいていてパンチラは無しといういつもの格好をしたマオだった。
そして、スケルトン部隊は唖然とする、先ほど槍で攻撃してきたスケルトン兵士の首もとに軽くチョップし、気絶させた。
「さあさあ、全員一度にかかってきても良いよ。」
マオはニッコリと笑顔そう言うが、スケルトン兵士はマオから発せられる気迫に押されて
攻撃できなかった。と、その時1人がマオに言った。
「ちょっと待て…お前の服が瞬時に変わったアレ。恐らく前着ていた服の下に今着ている服を
着ていたのだろうが、それだと無理がないか?例えば、肩や肘のプロテクター。そんな物は
前着ていた服には無かったぞ。物理的におかしい。そこをどうにか説明してくれないか?」
「う〜ん、そんな事を言われてもな〜。私は着やせするタイプだったって言い訳はダメ?」
一時の沈黙。とにかくマオから発せられる気迫にオされてスケルトンは攻撃出来ずにいた。
「し…信じられねえ…。アレが、昔俺等がよくいじめていたスタンティレルなのかよ…。べ…別人だ。」
「確かに、ちょっとこづいただけで泣きまくっていたのに…というか完璧に別人じゃねーのかよ…。」
「ああ…、もし今のアイツに…あの時の仕返しとかされたら……。」
「うわぁぁぁぁぁ!!ゴメンナサイ!!ゴメンナサイ!!」
まるでジャ○アンとスネ○みたいな何処にでもいそうな二人組がそんな事を叫びながらガタガタ震えていた。
「そんな〜、別に怖がらなくてもいいって〜。だって子供の頃の事じゃない。」
マオは優しく二人に対してそう言う。その言葉を聞き二人は少し安心してくる。
「でも、私がお金に困った時はすこーしお金貸してくれたらうれしいな〜。」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!コイツ金たかろうとしてるぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
「どうしたんだ、通信が使えない!!」西方大陸でテロリストの駆逐などを行う精鋭部隊、フォースシーカー隊は今
大混乱に陥っていた。「ジャミングですが、電波が未知の物で…パルスガードが効きません!!」そう言った副長のゴルドスが
吹き飛んだ。「クソッ…敵は何処から撃っている!?荷電粒子砲でこのレンジとなると…」ブレードライガーに乗る隊員が
警戒しながら隊長機に近づいた。「…ゼネバス砲、セイスモサウルスですね」隊員たちは皆怯えきってしまっている。
歴戦の精鋭部隊が、この様だ。「…こうなったら、一刻も早く勢力圏に戻るんだ。ゼネバス砲はそう何発も連射できないはず…」
その時だった。一機のゾイドが突然部隊の真っ只中に飛び込んできたかと思うと、圧倒的な戦闘力で部隊のゾイドを
破壊し始めたのだ。「何だ、あれは!?…そうか、奴の仲間だな…だが、たった一機で我々に勝とうなどとは愚の骨頂!!」
隊長のゴジュラスギガが謎のゾイドに向かって走る。敵が、砲塔をこちらに向けた。「何を馬鹿な…ギガの装甲がそう簡単に
破れると思うか!こちらにはこれもある!!」ギガが、HEシールドを展開した。しかし、謎のゾイドの背から放たれた砲弾は
HEシールドをやすやすと突き破り、ギガの装甲を粉砕し、ゾイドコアを打ち抜いた。
「何だ…この…威力は…!?」崩れ落ちるギガを尻目に、謎のゾイドはたった一体でフォースシーカー隊を殲滅して行った。
その光景を遠くから見ていたセイスモのパイロットはスコープを降ろした。「ほっほっほ、よくやりおるわい。やはり
超古代文明の力は並ではないということかの…おお、隊長さん、連中は全員あの坊主が串刺しにしましたぞ」
最後の一体の残骸を放り捨てながら、謎のゾイドのパイロットは呟いた。「何が『精鋭』だ…馴れ合いにしか生きられん
クズどもでは、ただの無駄な時間と言う物だ…」そう言って彼は、砂嵐の中に消えた。
「またやられたみたいですよ…今度はあのフォースシーカー隊が犠牲者です。敵は何者なんでしょうか?」
ラガートが基地の掲示板を見ている。ロブ基地には戦況の変化や被害を伝える「戦争掲示板」が在るのだ。
「ふーん…別に顔見知りは居ねえけどな…そんな腕の立つ連中が一体エウロペで何やってんだ?本土の残存勢力や
東方大陸の本隊を無視してわざわざこんな所に…」ラガートが掲示板から離れた。
「恐らく、我々がこちらで体勢を整えるのを防ぎたいのでしょう。他にも最近の基地襲撃事件やテロはネオゼネバスの仕業だと
言われていますしね…近く、あなたの所にお呼びが掛かるかもしれませんよ」
そう言うとラガートは、作戦会議室に入っていった。彼は今でも参謀代わりとして会議に呼ばれる事がある。
「…ゴジュラスギガを、一発でぶち抜く砲弾…未知のジャミング…俺達の邪魔だけに、果たしてこれ程の連中が必要なのか?」
謎の敵とは別に、得体の知れない不安が暗雲の様にロイを苛んでいた。
「…で、これが問題の写真」作戦会議室には妙な空気が張り詰めていた。不気味な沈黙の中、前に立った人物が淡々と
説明を続ける。「アーサー・ボーグマンとリッツ・ルンシュテッドがデススティンガーを撃破した遺跡です。
一週間前はこうでした」もう一枚の写真をモニターに映す。その写真は普通の遺跡だった。
「そして、現在はこう」再び、一枚目の写真が現れた。そこには跡形も無く消え去った遺跡の土台だけが残っていた。
「荷電粒子反応が出ています。そして現場に残された足跡はあるゾイドと一致します」ラガートは鳥肌が立った。「その…ゾイドは」
前の男が続けた。「紛れも無く、デススティンガー」
…と。前作のあらすじを説明してませんでしたが、「こんな話」というのは難しい
(というか自分の国語力では無理)なので前スレの「英雄の帰還」シリーズを読んで頂ければと。
>>14 「うわぁぁぁ(以下略)」に激しく笑ってしまいますた…
やぱーり貴方凄いですよ。他の作者さんももうすぐ降臨しますかね?
遂に2スレ跨いでしまいました…。サービス精神もへったくれも無い状況ですが何か?_| ̄|○
5日目に逝きます…。
ーーーーーーー
日が昇る頃…3機2小隊が並走している。その他幾つかの方位より5小隊の機体が有る地点を目指して移動していた。
この部隊はフリッケライドラグーン。アービン=クラフト大佐の率いる新兵器テストの為に結成された部隊である。
合計8小隊により幾つかの模擬戦場、テストフィールドでテストを繰り返しているが実戦を試験の場に使用する事も多い。
今回は施設制圧の為緊急に呼び集められた彼等の顔は寝不足や疲労の濃い者も居た…。
「ふわぁ〜…ねむ〜いですぅ〜…。」何時間寝れば眠気が取れるのだろうか?ルディア=カミルは略無駄と言っても良い時間に目を覚ましていた。
日は登り朝食時を過ぎた後昨日の取り分を取り返す勢いで睡眠時間を取った筈だが気付くとそんな時刻になっていたようだ…。
「あらっ?ルディアじゃない?」後方かなり上の方から彼女を呼ぶ声がする。「ふみゅ〜…。」寝ぼけた表情で左右を見回すが彼女には声の主が見える筈は無い。
「こら〜…上よ上!」呆れたと言う含みを篭もった声がルディアの後方から聞こえる。
「んにゃ〜?」やっと後ろから声がするのに気付いた様だ…。
「重役待遇ね相変わらず。」声の主の姿は鏡を合わせた様にルディアと同じ姿をしている。しかしその表情は彼女と違い軍人としての凛々しさと威厳が感じられた。
「リディア=カミル少佐!御久しぶりでありますね。」何処から見ていたのかファイン=アセンブレイスが彼女に敬礼をする。
「あら?また新しい玩具を見付けたみたいね?整備の人は大変そうね…。」寝ぼけた姉を脇に抱え頭をグリグリしながらリディアは答える。
「一体何をしに来たのでありますか?」との問いに「届け物よ。姉さんにね!」一際力強く姉を拳でグリグリしながら答えた。
彼女の後ろには見た事も無いシルエットの四足歩行ゾイドが朝日に照らされていた…。
「プロトY…。エナジーライガー計画のファーストブリットよ。最も初期ロールアウトタイプとは毛色が違うけどね。」
「ファーストブリットって結構やばい物でありますね…。」この部隊での”ファーストブリット”と言われる物は大抵普通の人員での運用が不可能な物を刺す。
要するに試作欠陥機を刺す言葉だった…。
その場の誰もがそう叫んだ。と、その時だった、さらに部屋の外からドタドタという音が聞こえて
来た。そして、さらにドアをバタンと開いて出てきたのは店長と思しき小太りなおじさんだった。
「お客さん!!ちょっと困りますよ!!ケンカなら外でやって下さい!!」
「すまぬが我々は特務をおびてきている。そうはいかんな。」
店長の言葉に対し、スケルトン兵士の1人がそう言う。
「店長さん!!この人達は帝国のスケルトン部隊ですよ!!下手に刃向かうと殺されますよ!!」
久しぶりにセリフの機会のやって来た先生が店長にそう叫ぶ。
「いいえ!!私はこの店の店長!!だからこそこの店と、店員とお客様を守る義務があるのです!!相手が何であろうとも…。」
店長はそう言い、さらに前に出る。彼の言葉と態度は下手な軍隊司令官よりも勇壮で偉大だった。
「しょうがないな…。誰かヤツを放り出せ。ただ、怪我は負わすなよ。」
隊長がそう言うと、1人が店長の前に出て彼にゆっくりとつかみかかった。
と、その時だった店長がかき消すように掴みかかってきたスケルトン兵士の前から姿を消したのだ。
「!!!!!!」
その光景を見ていた誰もが唖然とした。スケルトン兵士は焦って周りをキョロキョロを見渡す。
その直後、彼の背後に出現した店長が彼の首元にチョップを入れ、倒した。
「な!!!」
その場にいた誰もが叫んだ!!
「何!!?あの速さ…。この私も見切れなかった…。というか…気配すら感じられない…。」
マオは心の中でそう叫んでいた。その手はプルプルと震え上がり、額から一筋の汗が流れていた。
「この野郎!!」
他のスケルトン兵士はさらに店長に掴みかかるが店長は軽々とかわし、首もとにチョップを入れて次々に倒していく。
「て…店長強えぇー…。」
誰もがそう言葉を漏らした。スケルトン部隊は決して弱くはない。超人部隊と呼ばれるほどに強力な
強者達の集まりなのだ、そんな彼らはおろか、マオすらも恐れさせるその店長はさらに強い以外の何者でもなかった。
「ハッハッハ、脱サラしてバイキング料理店を開くまでは十年以上も長い間会社勤めでしたからな。
その間に、満員列車での通勤などによる人混みの中を通勤する。これによって私のフットワークは鍛えられたのですよ。まだまだ若い者には負けられません。」
「わー!!凄いぞ店長―!!」
店長の言葉に誰もが拍手喝采を送った。
「まあとにかく、ちょっと君たちそこに座りなさい!!おっと、そこの金髪のお嬢さん。貴女も同罪です!!貴女もこっちきて座りなさい!!」
「ええ!!?そんな!!?私は被害者ですよ!!そいつらが勝手に押し掛けてきただけなのに…。ご…、ゴメンナサイ!!!」
「あ!!マオが逃げた!!って速えぇぇ!!」
「ウソ!!昔は駆けっこはいつもビリだったのに。」
マオの逃げ足は速かった。瞬く間に部屋の外へ走り去り…
ゴン!!
次の瞬間部屋の外から鈍い音が響き渡った。
「ったく、逃げては困りますよ〜。」
「って…店長!!」
いつの間にかに追いかけていた店長が目を回して気絶したマオを引きずって部屋の中に入ってきた。
「ハッハッハ、バイキング料理店を開いて以来、食い逃げ犯との追いかけっこは日常茶飯事でしたからな〜。そう簡単に私の足からは逃げられませんよ。」
「わー!!やっぱりスゲエぞ店長―!!」
再び店長に皆から拍手喝采が送られた。
そして、スケルトン部隊全員とマオはその場に正座させられ、何十分もたっぷりと店長の説教を聞かされるのだった。
「いいですか?貴方達ももう大人でしょう?貴方達がしたことは…。」
「畜生…。このオッサンの説教はいつまで続くんだー…。」
「何で私までー…。」
「畜生!!あのガキ強いぞ!!」
マオとスケルトン部隊がバイキング料理店の店長の説教を受けている頃、エナジーライガーとの
戦闘状態に突入した高速部隊は大苦戦をしていた。
エナジーライガーはシュトゥルムフューラーをも超える速度で精鋭揃いの高速部隊の隙間をぬう様に
走り回り、さらにその速度からは考えられないような急激な旋回も行っていた。
ただスピードが速いだけではない。その速すぎる速度を維持した上で何の苦もなく操るその
パイロットは子供と言えども相当な達人なのは確かなのであった。
「お前ら逃げろ!!ヤツの狙いはオレだ!!」
ラインはそう叫んでジェネラルのビームランチャーでエナジーに攻撃するが楽にかわされる。
「まあ確かに、私は貴方、ライン=バイスさんを倒す事を命令されていますが…。」
エナジーに乗るクライトがそう呟いた直後、エナジーはもの凄い速度で上空へと跳び上がった。
その高さは数百メートルに及ぶ。さらにブースターの類は全く使っていない。それでもっても
それだけの跳躍力を持つエナジーの性能はもの凄いものだった。そしてクライトはさらに続けた。
「他の者には手を出すなとは言われていません。」
彼がそう言うと同時にエナジーの脚部側面に装備されたエナジーガトリングとエナジーキャノンが
火を噴いた。上空から矢継ぎ早に打ち出されるビームは滝のように地上に降り注ぎ、射線上にいた
レオブレイズやレオストライカーが慌てて張ったEシールドごと撃ち抜かれた。
「なんてこった!!コイツ…、火力も半端じゃねえ!!」
「下手をすればシールドライガーDCSのビームキャノン以上かもしれねえ!!」
高速野郎達の驚愕の声。
エナジーは背中のエナジーウィングを展開し、滑空しながら再び地上に向けてビームを連射する。
次の狙いはラインのジェネラル。ラインはジェネラルに向けて滝のように降り注ぐビームをどうにか
かわし、通り過ぎていったエナジーに向けて背中のビームランチャーと衝撃砲を連射する。
しかし、全くと言っていいほど当たらない。あちらが速すぎるのだ。
「で、ですが…ゴジュラスギガや凱龍輝の居る今、デススティンガーは大した脅威ではないのでは?」
参謀の内の一人が沈黙を破った。だが、エウロペ在中共和国軍の最高司令官、ウォルター・ランバードが
静かに前へ出た。「デススティンガーが脅威でない、と…?諸君、我々はまだ一度としてデススティンガーの
真の力を見たことは無いのだよ。アーサー・ボーグマンでさえな」
会議室にざわめきが起こった。「説明しよう。奴が『真オーガノイド』であると言う事は知っているな?」
もちろん知っている。コアの段階で完全なオーガノイドシステムを組み込まれたゾイドの完成形だ。
「OSがどれほどゾイドを変えてしまうかは、GTOを見れば解るだろう…あのコアは、元々惑星Ziの深海に住んでいたゾイドの
コアを媒体としている。元は極めて強力なゾイドであったらしいが、今はもう絶滅種だ。だが、そんな物を使ってもデスザウラー
より戦闘力で劣るとはどういう事なのか」数人の顔に冷汗が浮かび始めた。
「帝国が作ったデススティンガー試作機は、リミッターをつけていた」ラガートは背筋が寒くなった。限界以上の能力で
暴走していたと思われていたあの試作機が、リミッターで制御されていた――?
「技術陣はあのような事態も実は予測に入れてはいた。そこで連中は保険を掛けた訳だ。だが、今回見つかった奴は
試作機の子孫の生き残りと考えてまず間違いない。リミッターまで親から受け継ぐ事は無い…これがどういう事か解るかな?」
「今でさえネオゼネバスの連中はリミッターを付けた上に出力70%で使っている。だが、ここに来てあの化物は真の力を
解放された…ここに、シミュレーションの映像がある」モニターに映ったのは、デスザウラーとデススティンガーだった。
デスザウラーが荷電粒子砲をチャージし始めた。だが、デススティンガーが恐るべきスピードで接近すると、巨大な爪で
デスザウラーの首を吹っ飛ばした。崩れ落ちるデスザウラーと共に、映像が切れた。
「…これが、真の力」会議室は完全な沈黙に包まれた。
「妹なのにぃ〜呼び捨てしたりグリグリするなんてぇ〜酷いですよぉ〜。」やっと目が完全に覚めたルディア=カミルはリディア=カミルに言う。
「姉さんやっと起きたわね。後ろを見て…姉さんのラビィ連れてきたわよ。」そう言って自分の乗ってきたプロトYを指差す。
その姿は一回りライガーゼロより大きいが装備の7割がイクスからの流用品でがたがたした感が有る。と言うか外装が本当にがたがたしていた。
「長距離走行には不向きみたいね…流石我らが部隊って感じかしら?」リディアはあっさりと感想を述べるが…「可哀想なラビィちゃん…。」
その声の主はファイン=アセンブレイスだった。「それはぁ〜私の言葉ですよぉ〜…。」目に涙を浮かべて拳を握るルディアを見たファインは一目散に逃げて行った。
時間は5時間程前に戻るが第一小隊ファーストライズと第二小隊セカンドオービットはプロトYを駆り現地到達までのタイムトライアルを行っていた。
「450km/h到達…まだ伸びるかしら?」リディアはセカンドオービットの部下の機体を確認しながら呟く…。
よくやるものだと正直思っている。実験部隊創立にあたって3小隊を編成したが彼女の部隊の部下は間に合わせの人員であった為正直ここまで技術が育つとは思いもしなかったのだ。
「隊長。もうすぐ460km/hに到達します。そろそろ岩場ですので減速した方が良いと思われます。」クローム=ブランドルの事務的な声で我に返る。
「そうね。クローム、メイア、減速しましょう。減速力の計測を怠らないでね。」そう言うと空力抵抗の減少の為に解放されていたエアインテークを段階を踏んで閉めていく…。
「きゃっ!?機体に浮力が!?すいません隊長!跳びます…。」メイア=ハーディ曹長は急激にエアインテークを閉めてしまった為機体が浮き上がり一回転して地面に戻るがその頃には二人の機体は視界から消えてレーダーの点に成っていた。
「…減速力は400km/secって参考にならないよ〜。」着地地点が浮き上がった位置と同じで略2秒も経たずに停止したための異常な数値だった。
その後リディア=カミル、クローム=ブランドルの両機は岩場までに減速が出来ず逆に加速して岩場を飛び越したがその後ろの森に突っ込んだ為機体の外装ががたがたに成ってしまったそうだ。
「…と言う訳なの御免ね姉さん。」手を合わせて謝るリディアに対して「そうなんですかぁ〜ぐすっ…外装をぉ〜替えて貰いましょう〜。」
ルディア=カミルはそう言うと目に溜めていた涙を拭き思いっ切り姿の変わった愛機に近付いて行く…。
が振り返って「それってぇ〜長距離走行にぃ〜向いていない事とはぁ〜無関係ですよぉ〜。」と付け加えた。
コクピットに座ってルディアはラビィに外装の排除をさせる。イクスからのパーツが機体より脱落し大きな音を立てる。
「こらっ!うるさいぞ!」回りから非難の声があがるがそれをルディアは完全に無視して部隊専用の整備班が待機している場所に向かって行った。
「おいっ!特攻馬鹿!お前の小隊の隊長だろ!何とかしてくれ!」
機体を整備していた整備班長からひと仕切りの苦情を貰ったファイン=アセンブレイスはこう弁解する。
「すいませんであります。何度も言っているのでありますが何とも…。」「役立たずだな…。」あっさり切り捨てられ肩を落とす。
「所でコアの調子は如何で有りますか?」話を切り替え自分の機体の事を聞くがこう答えられた。
「それ所じゃない…お前コアに何を仕込んだ?何か大変な事になっているぞ…。」
と指差す先にはコアブロックから何かが漏れている愛機のロードゲイルが有った…。
「…」そのコアブロックからは良く見知った例の触手と蛍光色の体液が流れている。
何時の間に寄生されていたのだろうか?頭を抱えるファインの肩を慰める様に整備班長は手を置いた。
機体に飛び乗りファイン=アセンブレイスはパージを試みる。するとあっさりブロックは落ち転がる。
しかしそれは機体が恋しいのか触手を使い元の位置に収まる。
「おおっ!?何と器用な奴だ!」整備班員達から拍手があがる。特に危機感は持っていないようだ。
「なんと寂しがり屋なのでありましょうか…。」その執念?にあっさりと屈したファインはコアの現状を調べる事にする。
デスアナライザーFFのパイロットから下ろされたシュミット=エーアストはある場所に来ていた。
「これは一体?」そう言うのも無理は無い。目の前にある機体は明らかに二日前に自身が破壊した機体達のブロックスのパーツを組み合わせた物だった。
アービン=クラフトは自慢げに言う。「こいつを見てくれ!お前確かハンマーロックに乗っていたな。コング系に機体にして見たんだが如何思う?」
「如何思うって言われても見た事も無いパーツが沢山で珍しいとしか…。」「まあそうだな。ファインと違って共和国制の機体のパーツなんぞ知らないのは当たり前だな。」
そう言って先を続ける「こいつは更に新型のパーツも有る。頭部の牛顔なんかはその内戦場で見かけるかもしれんな。」
シュミットは「で如何しろと言うのですか?大佐?」その問いにアービンはこう答える。
「この機体…コードネーム”グレーターデーモン”のテストを行って貰う。欲しい装備が有ったら言ってくれ幾らでも付けてやるから。」
そう言うとアービンはシュミットを残して去って行く…。
牛顔のゴリラを極端にディフォルメし合計8枚の翼を持った悪魔と言った見た目をした裸の相棒に近付く。
「君は何をしたい?」そう言うとグレーターデーモンはその目を光らせた。「自我が強いみたいだね。」
そう言うと全てを解ったかの様に機体に乗り込みアービンの指示した場所に移動を開始させた。
その後シュミットとファインは予期せぬ事情により戦闘に巻き込まれる。この時から約8時間後の出来事だった…。
「思ったよりやりますね〜。流石はグリーンデビルの部下と言うべきでしょうか…。」
クライトはエナジーを着地させ、素早く反転して再び高速部隊へと襲いかかる。そして、次の瞬間、
高速部隊に正面から襲いかかると見せかけ、エナジーは冗談のような速度で高速部隊の側面に
回り込み、その速度からは考えられない速さで素早く停止し、再びビーム砲を連射したのだ。
共和国の誇る高速ゾイドもエナジーの圧倒的な速さの前には為す術がなかった。その上装甲の薄い
高速ゾイドは直撃を受けると脆い。エナジーのビームの連射を受けた高速ゾイドは次々に倒れていく。
「畜生!!オレを狙え!!オレを!!」
ラインはそう叫びながらさらにエナジーの側面に回り込んでジェネラルのレーザークローを
エナジーに向けて叩き付けようとする。しかし、エナジーは何の苦もなくかわし、さらに右前足を
地面に叩きつけ、軸とした上でもの凄い速度で反転し、逆にジェネラルにエナジークローを
叩き付けたのだ。どうにかジェネラルの右肩装甲は大きくえぐりとられ、その背中に広がる右フェニックスウィングは紙細工の様にちぎれとんだ。
「しまった!!ウィングが!!」
「だからさっきも言ったでしょう?確かに私は貴方を殺すことを命令されていますが、他の者に
手を出すなとは言われいないと。それに…要注意すべき凱龍輝も何機かいるようですしね…。
まあ確かにこんな一部隊を全滅させた所で戦争という大局の中では対して意味が無い事でしょうが、
ちりも積もれば山となるということわざもあります。こういう日々の小さな積み重ねが後々の進歩につながっていくのですよ。」
クライトは子供とは思えぬ知的な声でそう言い、再びジェネラルに向けてエナジーキャノンを
発射した。ジェネラルは残った左ウィングを強制排除し、横に跳んでどうにかかわす。
「おやおや、これでもう飛べませんね〜。」
クライトは遊んでいた。前にも言ったような気がするが、エナジーライガーの性能とと自分の腕が
そろえば目の前の敵を楽に全滅させられると考えていたのだ。天才と呼ばれているとは思えぬ行為で
あるが、どんな天才だって少しはハメを外したい時もあるのである。
そして、再びエナジーはジェネラルに向けてビームを発射しようとした。と、その時だ。エナジーに
向けてケーニッヒウルフが飛びかかってきたのだ。エナジーはジェネラルへの攻撃を中止し、
ケーニッヒの攻撃を後方に跳んでかわす。そして、ケーニッヒのパイロットは言った。」
「ヤツの言う通りだライン!!ここで逃げた所でヤツのあの速度じゃとてもじゃねえが
逃げられねえ!!ならば戦うまでだ。どうせやられるなら逃げてやられるより戦ってやられた方がいいだろうが!!」
「おう!!右に同じだぜ!!そして!!コイツを倒した後はマオちゃんを助けに行くんだ!!」
ケーニッヒの後方からシャドーフォックスが飛び出し、エナジーにレーザーバルカンをエナジーに向けて発射する。これもかわされるのだが…。
「お…、お前ら…。よ…よっしゃあ!!行くぞぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ラインは叫んだ。その目には涙が浮かんでいた。
「面白いですね〜!!存分に掛かってきて下さい!!」
エナジーに襲いかかる高速部隊に対し、クライトもそう叫んでいた。
高速部隊がピンチであるが、同時に熱い展開になっている頃、マオとスケルトン部隊はやっと店長の
説教から解放され、げっそりとした面もちで店の外に出てきた。
「いや〜…、長かった〜。」
「本当だね〜…。それにしてもあの店長さん強すぎ。世の中まだまだあんなに強い人がいたんだね〜。私も修行が足りん。」
マオとスケルトン達は互いにそう言い、店の外の前の道路に出た直後に体勢を立て直して互いに後方へと下がり跳んだ。
「というわけで戦闘再開だ!!今度こそ命もらうぜ!!」
「さあ…、取れるかな?取れるかな?取れるといいね?」
しかし、路上で戦っていては周りの住人にも迷惑が掛かると判断したスケルトン部隊隊長の判断に
より、場所を変えることになった。
「つーワケで、戦いに使える広い場所ということで、陸上競技場の一部を貸し切ることに成功した。」
「オイオイ…、向こうで普通に競技とかやってるんだけど…。」
バイキング料理店の近くに何故かあった陸上競技場…と行ってもだだっ広い運動場と行った方が
いい場所に移動し、その隅っこに場所をもらってその場所の中心部分に立って自信たっぷりに言う
スケルトン部隊隊長に対し、マオは唖然としながら遠くを指さしていた。マオの指さす方向には
何事もなかったかのように競技大会が開かれて、競技が進められていた。
「しかもこっちはこっちで変な旗とか立ってるし…。」
客席には同窓会に出席していた先生やかつての同級生ら、そしてなぜかやってきた通行人等が、
ギャラリーとして座っており、さらに「グリーンデビル・マオ=スタンティレル公開処刑!!」
などとデカデカと書かれた旗が立っていた。さらに、なぜか競技場の外にはその場で葬儀が
出来るように棺桶と葬式セットが置かれ、さらにお坊さんまで待機していた。はてにはすぐに
火葬場まで運べるように霊柩車までが駐車されていた。
「我々はこれからお前は殺すわけだが、いかにお前でも死ねば仏だ。我が軍に勇敢に立ち向かい、
そして恐れさせたという事実に敬意を評して盛大に弔ってやろう。ネオゼネバス国立霊園に立派な墓も建てて、さらに軍神として祭ってやるよ。」
「はあ〜、よけいなことしてくれちゃって〜。いい?私は死なないよ。この戦争を意地でも
生き残って、素敵な人を見つけたりして、戦後の人生を明るく楽しく生きていきたいの!!」
まるではじめからマオが死ぬことが決まっているかのように言うスケルトン隊長に対し、マオはあかんべーをしながらそう言った。
「まあいい…。いざ戦いという事になるが、その前に貴様に得物を選ぶ時間を与えよう。」
スケルトン隊長はそう言って手に持っていた武器を下ろした。情けをかけたのか、はたまた、
プロとしてのプライドか、それはマオも何か武器を使えという意思表示であった。
「ええ〜?得物っつってもな〜…。」
マオはその場で足踏みしながら周りをキョロキョロと見渡す。何しろ今日はいつも着ている軍服?を
持ってきたクセに、武器の類を持ってきていなかったのである。拳銃はおろか、趣味でいつも腰に
さしている木刀も何も無かった。まあ素手で戦ってもマオは強いのだが、相手が得物を使うように
言っている以上、注文通り何か得物を持って戦おうと思ったわけだが、肝心の得物がなかなか見つからないのである。
「どうしよどうしよどうしよ〜…。あ!!!」
足踏みを続けていたマオの目にある光景が飛び込んできた。それは競技場の近くの民家で、
どこにでもいそうな割烹着を着た主婦っぽい中年女性が物干し竿に洗濯物を干していたのであった。
「これだ!!!」
マオはその民家に向けて走り出した。
「おばさん!!これちょっと借ります!!」
「…………。」
その光景を見た誰もが唖然としていた。
「どうしたの!!?掛かってきなさいよ!!」
競技場に戻って来たマオはスケルトン部隊に対して言う。
「お前…。本当にそれでいいのか?」
唖然としながらスケルトン部隊の1人が言う…。マオが得物に選んだ物。それは何処にでもある長い竹製の物干し竿であった。
ラガートは会議室から出た。終始、重苦しい会議だった。
「よう、預言者!終わったみたいだな?」夕日の射し込む通路にロイが立っている。
「ロイさん…預言者って何ですか」ラガートの心配事などロイが知る由も無い。
「アンタがさっき(数時間前だけど)俺に言った事が本当になったって訳さ。特務隊に任務が課せられた…
『輸送部隊の護衛と謎の部隊の全滅』だとさ」ロイは笑っていった。だが、ラガートは黙っているしかなかった。
任務に向かう者に、不安な顔なんか見せてはいけない。「…お気をつけて、ロイさん」
「ああ、行ってくる!」ロイは待機していたホバーカーゴに走って行った。
「しっかしなぁ…これじゃ護衛が要る訳だ」輸送隊の一人が愚痴をこぼした。何しろ、輸送隊に戦闘可能なゾイドは
母艦のホバーカーゴと艦載機のカノントータスぐらいしか居なかったのだ。
「それに、最近とんでもねぇ奴らがエウロペをうろついてるらしいしな…護衛つけても、これじゃあ…」
そこに、護衛隊のホバーカーゴが到着した。「待たせたなー、もう行けるぞ?」通信を取っているのはロイである。
「おお!?誰が来るかと思えば、『戦場の黒天使』ロイ・アーベルじゃないか!!成る程なぁ、あんたが居れば大丈夫だ!!」
ロイは微かに苦笑した。「まあまあ、俺は無敵の戦士なんかじゃない。それにしても、一体何を運ぶんだ?」
「ニクシーへの補給物資らしいんですが…司令部から『開けるな』と言われてまして、中身は確認してません」
「ふーん…まあいいや、準備できてんならさっさと行こうぜ」
「このままだと、何も起きそうに無い…案外楽な任務だったか?」ニクシーまで後2500kmほどの距離。
ホバーカーゴなら、後2日もあれば到着する。「まぁ、敵さんも忙しいんだろ」特務隊の仲間がそんな事を言っていた。
しかし、ロイは何か殺気の様な物を感じ始めていた。「…見張られている…?一体、何処から…」
ロイの感覚は間違っていなかった。彼らは見張られていたのだ――空の上から。
「隊長、そろそろ予定のポイントに入るぞ」上空を飛んでいたゾイドのパイロットが味方に通信を入れた。
応答がある。「準備、してます…すいませんね、ジードさん。退屈でしたよね?」
ジードと呼ばれた男は、通信機越しに笑った。「なぁに、もうすぐ仕事もお終いだ。…他の連中は?」
通信機の向こうで、話す声が聞こえた。「バーシアス博士ー、そろそろ予定狙撃地点に降ろしますよ?」
「あー、解っとる。おい、ウインチェスターの小僧」老人の声が通信機に近付いてきた。
「一番暇なのは、ゼネバス砲なんぞで狙撃を繰り返すワシなんだと言う事を忘れるなよ!!」
ハッチが開く音がした。「そんじゃあな。落ちんなよ、若造ども!」大型ゾイドの足音がした。
「…ジードさん?2分後に通信を遮断します。彼らが予定地点に入ったらゼネバス砲を合図に降下して下さい」
ジードはシートベルトを締め直した。「アルベルトの奴は、またコックピットに引篭ってんのか?」
「そうなんです…いつもの事ですけどね。あ、通信切りますよ!」敵に電波をキャッチされない為に、回線がシャットダウン
された。「さてと…エウロペの地形は戦争に向いている。起伏に富み、戦局すら左右する」
ホバーカーゴが「目標地点」に入った。ジードが操縦桿を握る。
T
ZAC2108年10月。共和国軍開発基地に数十人のパイロットが集められた。
彼らは二つのタイプに分けることが出来る。一つはプテラス、サラマンダーを乗機とする空軍爆撃隊のパイロット。
そしてもう一つはゴルドス、ゴルヘックスに乗り込む陸軍偵察隊のパイロットだ。
どのパイロットも数々の戦果をあげ、且つ幾多の激戦を生き残ってきたエース級のパイロットばかり。
帝国を倒し、平和な時代を築くという志は同じでも、同じ姿形の者はいない。――ある二人を除いて。
「っそいわね。わざわざ呼んどいて、いつまで待たせる気?」
「静かにしなさい。去年ミューズで戦争捕虜になりかけたくせに」
リン・ジェンキンス中尉がそう囁くと、大声を出したり、近くの柱を叩いたりと騒がしかったラン・ジェンキンス少尉が急に大人しくなった。
同じ顔の二人が何かやり取りしている様子は実に珍妙であり、
何故呼ばれたのかも分からずに待たされ暇を持て余しているパイロットたちの視線を釘付けにした。
リンとランは双子の姉妹である。
六年前に姉妹揃って軍に入った時から、双子の兵士という前例が殆ど無かったので、軍の中で二人を知らない者はいなかった。
更に二人ともゾイド乗りとしての才能著しく、今となっては姉のリンは空軍でサラマンダーを、妹のランは陸軍でゴルヘックスを乗り回している。
パイロットたちの苛立ちもいよいよ高まってきた頃、ようやく共和国軍の幹部数人がやって来、パイロットたちを別の部屋に案内した。
ぶ厚い扉をいくつも通ったその部屋には二種類の新型ゾイドがあった。
だが、ただの二種類である訳ではないようだ。コクピット、銃器、装甲、あらゆるパーツが二種類のゾイドの間で共通している。
小型ゾイドに多い共通コクピットというレベルではない。それはまるで、
「レオゲーターと同じ――?」
新型ゾイドの名はディメトロプテラ。
思わずランが言葉を漏らした通り、先日の戦いで活躍した新型ゾイド、レオゲーターと同じTB8コアが使われたデュアルバトルゾイドである。
パイロットたちが集められたのも、このディメトロプテラに関することでだ。
空戦用のプテラノドン型と電子戦用のディメトロドン型という、全く違う種類のゾイドを融合するという一見不可能なことを可能にしたこのゾイドは、それ故の問題を抱えていた。
どちらの形態でも一つのゾイドとして通用する性能を持つ。
つまりこのゾイドの力を最大限に引き出すためには、一つの形態に応じた専門のパイロットが必要なのである。
集められたパイロットたちはこの先遣的なもので、これからディメトロプテラの実践テスト――パイロット同士の相性を見るためでもある――が行われるのだ。
勿論、どちらも一流のゾイド乗りであり、共通の遺伝子を持つリンとランが同じ組になることがテストをする前から決まっていたことは言うまでもない。
U
その夜、リンとランには同じ宿舎部屋が用意された。
入隊後すぐの適正審査で空軍と陸軍に別れた二人が同じ部屋で寝泊りするのは、六年ぶりのことだった。
「あたしはあんまり変わんないけど、姉ちゃんはサラマンダーからいきなりあの大きさでしょ。大丈夫?」
「四年前まではプテラスに乗ってたのよ。今はまだ違和感もあるけど、すぐに慣れるわ」
そんなもんかね、と最初に乗ったゾイドがゴルヘックスで、以来ゴルヘックスが愛機だったランにはその違和感というものは理解出来ないものだった。
「ともあれ、いいゾイドを開発してくれたものよね」
「うん。爆弾はプテラスの倍積めるし、レーダーも結構出力があるし」
「そういう意味じゃ無いわよ」と、ベッドに寝転がっているランの頭のある方にリンは腰掛け、恥ずかしいまでにランの顔を見つめて、
「顔、変わったわね」
寝泊りするのが六年ぶりであるなら、実際に顔を会わすのも六年ぶりだった。
その間二人を繋いでいたのは電話であり、それさえも最近は戦争が激しくなって途絶えていた。
「変わったって、姉ちゃんと同じ顔じゃない」
「雰囲気がよ。引き締まって、目なんて恐いくらい鋭いわ」
「まぁ、弾がバンバン飛んでくるところにずっといれば、自然とそうなるでしょ」
するとリンはふふっと笑った。軍に入る時、無理矢理演じていた強さが今は本物になっている。
戦いは人をこうも変えるのかと、今自分たちが行っていることの凄さ――恐ろしさを改めて実感した。
「生きてまたランに会えるなんて、思ってもみなかったわ」
「大袈裟ね」
「本当よ。音速で戦う飛行ゾイドのパイロットなんて、次の瞬間には死んでいるって言われてるのよ」と言うリンの表情に笑みはあっても嘘は無かった。
「さっきのって、こうして一緒にしてくれたディメトロプテラに感謝するってこと?」
だがそれにリンは答えず、立ち上がって電気を消し、自分のベッドに潜り込んだ。
「明日は変形の練習中心でいくわよ。ラン、操縦席移動するの遅いんだから」
そのまま眠ってしまったのか、その後はいくらランが話し掛けても返事は来なかった。
V
同年11月、ディメトロプテラに出撃命令が下った。場所はマウントアーサ。
ここに駐留する帝国軍防衛部隊を空爆し、共和国旧首都への道を一気に開こうというのだ。
この作戦には数百機ものディメトロプテラが使われるが、その大半は空軍パイロット一人しか乗せていない。
純粋な爆撃機として使用するのだ。リンとランを初めとする、爆撃隊と偵察隊の両方のパイロットが乗るのは全体の内の三十機。
彼らには小隊長的な役割と、ディメトロドンモードに変形しての電子活動という二つの役割が期待される。
マウントアーサの一角から太陽が顔を出したと同時に、帝国基地に目覚ましの代わりの緊急サイレンが鳴り響いた。
ディメトロプテラの一斉爆撃が始まったのだ。
日が昇っているとは言え、明らかに奇襲。帝国基地内はパニックに陥った。
だが敵ながらあっぱれ、空爆開始から数分後にはシュトルヒの大部隊が、自分たちの基地に好き放題に爆弾をばら撒くディメトロプテラに襲い掛かった。
一機のシュトルヒが、リンとランが操縦するディメトロプテラにバードミサイルを発射した。
マッハ2以上の超音速で発射され、一撃でレイノス、下手をすればサラマンダーをも墜とすという最強の対空兵器。
最高速度マッハ2.1のディメトロプテラに避けられる武器ではない……と、思われた。
リンが操縦桿を素早く目一杯押し倒すと、それに忠実に、ディメトロプテラは限りなく直角に近い形で降下した。
背中のコクピットに乗るランの目に、バードミサイルが標的を見失い、軌道上にある別のシュトルヒにぶつかる様がはっきりと映った。
「さっすが、姉ちゃん」
「この機体がすごいだけよ。私たち以外にも……」
リンの言う通り、バードミサイルをかわすことの出来たディメトロプテラは驚くほど多かった。
最高速度こそプテラスやサラマンダーと同じではあるが、ディメトロプテラの翼は、それらのような、ただのマグネッサーウイングではない。
ディメトロドンモード時には立派なレーダーとして機能する。
そのレーダーも兼ねた翼がバードミサイルの軌道を素早く分析し、機体がミサイルに反発して動くように磁力を調節すること
――そして最大の武器を失ったシュトルヒを破壊することは、ディメトロプテラにとってそう難しいことではない。
地上部隊も加わり、帝国軍への攻撃は一層激しさを増した。
ディメトロプテラの空爆でかなりの痛手を受けた帝国軍が、現在の防衛線を維持することは不可能。
一角が崩れた。そこからなだれ込むように、ディメトロプテラが共和国旧首都へ向かって前進を始めた。
W
ランが、ゾイドを操縦するリンを見るのは初めてだ。
これまでの訓練でも見ていることは見ているのだが、モニターに映る自らの姉の姿は、訓練時のそれとはやはり何もかもが違った。
感じたことの無いG。気が付けば通り過ぎている敵。また気が付けばリンが敵機を破壊している。
鈍重なゴルヘックスに乗ってきたランには、空戦のスピードはあまりにも衝撃的だった。
そしてそれを当然の如くやってのけるリンに対する思いは、あの夜、リンがランに感じたものとそう違いは無いだろう。
「やっぱり、訓練と実戦じゃスピードが違うでしょう。酔ったりしてない?」と、少しからかうようにリンが言った。
「まさか。それに電子戦だって凄いよ。レーダーの振動がビビビって伝わってくるんだから」
「ビビビ? それは――楽しみね。どんなものか、後でゆっくり感じさせてもらうわ」
だが、そのビビビという振動は感じられないかも知れないな、とリンは思っていた。
下を見ると、さっきよりも帝国軍のゾイドは増えている。対空砲火、それで撃ち落されるディメトロプテラも多くなってきた。
シュトルヒも全滅したわけではない。迎撃することはおろか、撃ち落されないように避けるだけで精一杯だった。
突然、帝国のゾイドたちが戦闘を止め、共和国軍に背を向け始めた。
すぐに追撃しようとするが、帝国のしんがり部隊の抵抗にあい、一瞬動きを止まった。
その一瞬の間に、帝国部隊の殆どは安全圏内に入っていた。
鮮やか過ぎる。誰もが思った。戦況は若干共和国が有利だろうが、わざわざ撤退するほどの差でもない。
まるで、ディメトロプテラが空爆したときから撤退することが決まっていたようにさえ見える。
共和国のゾイドだけが立つ戦場は、その場の兵士――特にリンを含めた空軍のパイロットたちの何人かも関わった“あの忌まわしい出来事”を思い出させた。
「全機、速やかに谷まで撤退せよ!」
不吉な予感を感じて、司令官が叫んだ。その予感は当たっていた。
地平線の彼方から飛んで来た、白とも赤とも言える閃光が、三機のディメトロプテラ撃ち抜いたのである。
しかも一発ではない。二発、三発。続けざまに来る閃光に、必ず何機かのゾイドが撃ち抜かれた。
「な、何なのあれ……」
「セイスモサウルスの、ゼネバス砲よ」
そう言った後、リンは強く歯軋りをした。発射時の音も聞こえないほど遠くからの攻撃。
これにかつて、共和国軍の飛行ゾイドが犠牲になった。
帝国軍が所有する内の半分以上の飛行ゾイドが囮となって、かなりの数の共和国軍の飛行ゾイドをおびき寄せ、形だけの戦いの後、帝国軍は撤退。
しんがり部隊に追撃を阻まれ、相手の意図が全くわからず、呆然とする共和国軍に向かって、ゼネバス砲の雨。
今回と殆ど同じだった。混乱した共和国軍は逃げ道を失い、面白いようにゼネバス砲の餌食となった。
損害を受けた飛行ゾイドは述べ五百機。全盛期より数が減った共和国空軍の戦力を弱らせるには充分すぎた。
大半は大型のストームソーダ―とサラマンダーだった。リンのサラマンダーは辛うじて無傷だった。
X
「偵察部隊兵の乗るディメトロプテラに告ぐ。次の砲撃の後、コアの出力を落としながら、出来る限り接近し地上へ降下し、妨害電波を発せよ。繰り返す……」
また、司令官の命令だった。
セイスモサウルスがあれだけ超長距離からあれだけの精密射撃が出来るのは、ディメトロドンなどの電子戦ゾイドが敵の位置を教えているからに違いない。
降下するのが次の砲撃の後なのは、撃墜されて地面に落ちたと思わせるため。普通に降りてしまえば間違いなく怪しまれる。
出来る限り接近するのは、ディメトロドンがこちらの位置は把握出来、ゴルヘックスの妨害電波を受けないギリギリの距離にいる可能性が高いため。
ただでさえゴルヘックスよりもレーダーの範囲が狭いディメトロプテラがディメトロドンに妨害電波を浴びせるには、危険でも近づくしかない。
成功率は高いとは言えない。だが成功すれば、例えディメトロドンと言えども、受けるはずのない妨害を受けて動揺する。
正体を解析し、カウンターの妨害電波を出すのに少なくとも一分。その間に、サラマンダーカーゴがゴルヘックスをレーダーの範囲内まで輸送する。
セイスモサウルスがディメトロドンの指示無しにゼネバス砲を狙い打つことは、不可能に等しい。
ディメトロプテラは、大損害を被った空軍戦力を穴埋めするためのブロックスであり、
また、セイスモサウルスとディメトロドンの、究極のコンビネーションプレイを打破できる唯一のブロックスなのだ。
未だ全ゾイドの避難が終わらない混乱の中、偵察部隊兵の乗ったディメトロプテラ二十数機が、一斉に縦横無尽に散った。
一撃は向こうからの砲撃を受けなければならない以上、ディメトロドンモードに変形できる貴重な機体が破壊される恐れは充分ある。
一ヶ所に固まるのが頭のいいこととは言えない。
「恐い……」
本当なら逃げられるのに、逃げられない。次の一撃が、自分に当たるかも知れない。
計り知れない恐怖が、ランを襲っていた。
その恐怖を、不意な機体の揺れが払拭した。風ではない。リンのせいだと気付いたランは、
「ちゃんと操縦してよ!」
「地面に降りたら、操縦するのはあなたなのよ?」
思わず出てしまった、さっきの泣き言を聞かれたのだろう。リンは少し怒っていた。
「大丈夫。ここで死ぬのなら、去年のミューズでとっくに捕虜になってるわよ」
「でも……」
「私、楽しみにしてるって言ったでしょ? こんな物騒な空から早く降りて、ビビビっていうレーダーの振動を、感じさせて頂戴」
そして笑った。昔から、ランを叱った後に見せるリンの笑顔。
それを見ると、ランは不思議と元気が出たものだった。勿論、今回も。
「うん。本当に、凄いんだからね」
来た。ゼネバス砲だ。数機のディメトロプテラを巻き込んだ。
その中に、リンとランの機体は入っていない。ランは大きくガッツポーズをした。
リンは目をつむり、破壊されていったディメトロプテラとそのパイロットの姿を思い浮かべた。
「降りるわよ」
リンも内心、喜んでいたのかも知れない。そして、もう成功したものと思っていたのかも知れない。
その安堵が、『コアの出力を落としつつ』という司令官の言葉を忘れさせていた。
出力を落としながら降下するのは、負傷しているものと思わせるため。撃墜したと思わせて降下するのだから、それは当然だ。
ディメトロドンのレーダーは、敵の位置だけでは無く、コアの出力や機体の種類まで、様々な情報をかき集める。
出力が下がりながら落ちていくものの中に、一機だけピンピンした出力で落ちていくものがいるのを、ディメトロドンが見逃すわけが無かった――
Y
ランの眼前を、一瞬眩い光が通り過ぎた。思わず目を手で覆った。
その手を下げた時、リンのコクピットに繋がるモニターが砂嵐になっているのに気付いた。
無線で呼びかけても返事が無い。身を乗り上げて前を見ても、キャノピーのオレンジ色は確認出来なかった。
ゼネバス砲が頭部コクピットにだけ当たって、消滅したと考えるのが適当だろう。
地面は目前に迫っている。ランは変形ボタンを押した。
ディメトロプテラの各パーツがちらばり、そして違う位置でまた合体した。
本来後部に来るはずのコクピットが頭部に来ていることが、オフィシャルと違う点だ。
ブロックスは元々変形、分離を前提にしたものである故、コクピットが破壊されたとしても、代わりのコクピットがあれば代用が利く。
ディメトロドンモードとなったランのディメトロプテラが、ゆっくりとレーダーを動かし始めた。
今はディメトロドンを妨害する電波であっても、いずれは帝国軍そのものを妨害するものになる。
「ほら、姉ちゃん、分かる? 振動が……ビビビって……」
声を震わせながら、砂嵐のモニターに向かって、ランは喋り続けた。
43 :
あとがき?:04/01/18 12:47 ID:F6yRTW/x
ディメプテのバトストEXを読んでいたら急に書きたくなって、手の向くまま書いたものです。
たまにこのスレに書いてたりするんですが、あんまり上手くなってないなぁ(汗
/ヾ∧
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人_../
U"U age
「バカめ!!頭がおかしくなったと見える!!」
スケルトン兵士の1人が斧を構えて走った。速い。誰もがそう思った。全身にプロテクターを
装備しているとはとても思えない軽快かつ俊敏な動き。だがマオはそれ以上に速い速度で物干し竿を
横にブンッと振り、スケルトン兵士の横っ腹に叩きつけた上でそのままブンとスケルトン兵士を
振り飛ばしたのだった。スケルトン兵士はそのままギャグ漫画のようにぴゅーんと遠くへ飛んでいった。
「貴様…、棒術も使えるのか…。」
皆が唖然とする中、隊長はそう呟いた。
「くそー!!アイツ強すぎる!!まるで孫○空だ!!俺達は超人兵団スケルトンなんだぞ!!」
「落ち着け、ヤツの方が超人度が高いという事だろう。それだけの事だ。」
慌てる他の隊員を隊長は冷静な口でそうなだめる。
「あの超人兵団も子供扱いか…、あの弱虫だったマオも強くなったな〜。だが、最強は店長だな。」
客席に座ってのんきに観戦している先生が、タバコを吸いながらそのような事を呟いた。
「おーい!もう終わりなのー?」
「おい!!ヤッコさんあんな事言ってますよ!!くそー!!」
距離を置いて陣を取るスケルトン部隊に対して言うマオ。しかし、彼らはなかなか動けないでいた。
「落ち着け!!いくらグリーンデビルと言えどもヤツは女だ!!そこに弱点を見いだせなくは無いか?」
「それならオレに任せてくれ!!」
「ジョニー!!」
皆からジョニーと呼ばれるスケルトン兵士。しかも妙にイケメンっぽい顔の男が前に出る。
「大丈夫なのか?」
「安心しろ!!「ハレンチ軍隊」がオレの少年時代からの愛読書だぜ!!」
ジョニーはそうワケの分からぬ事を言ってマオにゆっくりと歩きよった。
「お?少しは骨のありそうなヤツが…。」
マオがそう言った直後だった。マオから10メートルくらいの距離になった途端にジョニーが跳んだ。
それまでのゆっくりとした動きとはうわはらにもの凄い速度で突撃し、マオの物干し竿をもかわし、
マオに接近するジョニー。そして…。
「スカートめくりー!!!いよっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「…………。」
ジョニーの行為に誰もが唖然とした。ジョニーがやった行為は単なるスカートめくりだった。
「貴方…、空しくない?」
「え?でも…でも…、女の子にこういう事したら精神的ダメージあるかな〜って…。」
まるで哀れな物を見るような目でジョニーを見つめながら言うマオに対し、ジョニーは焦り半分で弁解する。
「でもね〜…、パンチラを期待してたのでしょうが、スカートの下はスパッツだからね〜。」
「そ…そうだったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
確かにマオは一見ミニスカートなんてはいちゃっていたりするが、さらにその下はスパッツをはいている。当然パンチラは無し。
「というわけで、次行ってみよー!!」
マオの蹴りでジョニーも空遠くへと飛んでいった。
「ジョニィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!」
跳んでいくジョニーに対しスケルトン兵士達は一斉に叫んだ。
「ジョニー…お前はエロだが良いヤツだった…。ルックスは良いがエロいせいで女に持てなかったが、
間違いなくお前は俺達の愛すべき仲間だった…。それを…それを…ふ…吹っ飛ばしやがって…。
俺達は怒ったぞ――――――――――!!!フリ―――――――○――――――――!!!!」
「いや!!私はフ○ーザじゃないぃぃぃ!!!」
スケルトン兵士達が勝手にエキサイトして叫んだ直後に競技場の外から歩兵部隊用の超小型ゾイド。
ダチョウ型の「ロードスキッパー」が数機現れた。そして、スケルトン兵士の何人かがそれぞれ
1人ずつロードスキッパーに乗り込み、斧を振り上げてマオへとロードスキッパーを走らせた。
ロードスキッパーはマオの周りをもの凄い速度で走り回る。マオはそこから動かず、頭を左右にキョロキョロと動かしていた。
「最高時速220キロを誇るロードスキッパーだ!!流石のお前もこの速度には歯が立ちまい!!」
スケルトン兵士達に自信がみなぎってきていた。スケルトン兵士達はロードスキッパーに乗った上
での機動力を生かした斧での攻撃で自分よりも遥かに巨大な敵ゾイドをいくつも葬ってきた。
凄いときには巨大ゾイドを仕留めたことすらもある。いかにグリーンデビルと言えども速度で
ロードスキッパーには敵わない。これなら簡単に勝てる。と、スケルトン兵士はそう思った時…。
ゴンッ
「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
次の瞬間スケルトン兵士の1人が宙を舞った。マオは手に持つ物干し竿でロードスキッパーの一機の
足を引っかけたのだ。スピードののっていたロードスキッパーはバランスを崩し、そのまま自らの
速度から発生した勢いによって吹っ飛んだのだった。
「こ…このアマ…。」
それを見た他の者は慌ててマオに対して斧を振り上げる。しかし、マオはその斧を楽にかわし、
さらにロードスキッパーの頭部に右拳を叩き込んだ。軽量かつ強固な素材で構成された
ロードスキッパーの頭部装甲が楽にへこみ、バランスを崩したロードスキッパーはそのまま
倒れ込んだ。さらに間髪入れずにマオは別のロードスキッパーに乗るスケルトン兵士を蹴り飛ばした。
マオの蹴りによってロードスキッパーから蹴り落とされたスケルトン兵士はそのまま気絶した。
その様子を見ていたロードスキッパーは慌てて逃げ出していた。
「何かよくわからんけどスゲ―――――!!!」
全てのロードスキッパーを倒した。または戦意喪失させたマオに対し観客席から歓声が上がっていた。
そして、マオは恥ずかし半分で観客に手を振っていた。
「これじゃあまるでスケルトン部隊公開処刑だな〜。でも、最強は店長…。!!?」
先生はタバコを吹かして言う。と、その時、マオの背後の空間からかすかに巨大な何かが見えた。
>twin・trance・form作者さんいらっしゃいませ。
とにかく。自分泣けました。
最初や途中の部分は普通だったのですが、そのラストシーンがもの凄く切なくて・・・
あと、ディメプテの翼とレーダーが両用になっているという設定をフルに活用して
ミサイル回避というのも、自分としては結構意外で面白かったと思います。
>>49 その新URLでも見れないというのは何かの嫌がらせだろうか。
(いずれ改善されると思うけど、少なくともこれを書き込んだ時点では見れなかった。)
52 :
49:04/01/18 17:17 ID:???
>>50とオナージ。
どうしたんでしょうねぇ?
原因わかりますか?>管理人さん。
「…!?荷電粒子反応?総員、衝撃に備え…」言う間もなく、ゼネバス砲の第一射がホバーカーゴを襲った。
ロイは、戦闘体制の命令が掛かる前にディアブロタイガーに乗り込んでいた。
「とうとう来たか…俺達が連中を引き留めるから、輸送隊はトップスピードでニクシーに向かえ!!」
ホバーカーゴのカタパルトが開き、次々とゾイドが飛び出した。「みんな、ゼネバス砲に注意しろ!!」
ロイはもちろん周りにも注意を向けていた。情報では、近距離用のゾイドも居るとの話だ。
一際高い岩山の上に、一つの影が現れた。ロイが最初に気付いた。「…!!あそこだ!!」
月光を背にしていて、よく見えない。その影が消えた。「何だ?光学迷彩か!?」
護衛隊は精鋭揃いである。しかし、誰一人としてその瞬間敵の動きを見切ることが出来なかった。
敵が何処にいるのか解らないまま、最初の犠牲者が出た。突然ロイの左に居たケーニッヒウルフが吹っ飛んだのだ。
ロイが見ると、頭部が跡形も無く砕けている。「これが…噂の武器か!?」
その時、ロイは再び殺気を感じた。隠そうともしていない。刹那、金属音が夜闇に響き渡った。
ロイは敵のゾイドを見た。見たことの無いタイプだ。背中に一門の砲塔、前面に長い角がある。
「何だ…?見た事無いゾイドなのに、知ってる気がする…」サイバーファングを展開し、敵機の角を弾く。
適当な間合いを取る。ジャミングで電波が悪いが、相手の通信が聞こえてきた。
「ほう…その辺の雑魚よりはできるのか?俺を楽しませて見せろ」ロイは驚きを禁じ得なかった。聞こえた声は自分と
大差ない少年の声だったのだ。「あいにくと、俺達の任務はあんたらの殲滅だ。言われなくてもやるさ」
対峙する二人が、同時に飛んだ。
他の者には、何が起きているのか解らなかった。ロイともう一人の少年の戦いはあまりにも次元の違う物だったのだ。
それに、時折襲い来るゼネバス砲にも注意を払わなければいけなかった。「来るぞ!!」
ライガーゼロパンツァーが飛び退いた場所に、閃光が迸った。
ロイは敵の機体に思いを馳せていた。「ディアブロタイガーは、この時代のゾイドではないと聞いた事がある…
もしかして、奴もそうなのか?」目の前に、鋭い角の一撃が繰り出される。
辛うじてかわしたが、肩口の装甲が串刺しになった。「…高速ゾイドでもないのに、何て速さだ!?」
「フン…逃げるだけでは今までの雑魚と変わらんな」背中の砲塔がロイに向けられる。
機体をひねって、これも紙一重でかわす。「ふざけるな…戦いはまだ、始まったばかりだ!!」
通信機越しに嘲笑う様な笑い声が聞こえた。「ククク…戦いはもう、終わっている」
ロイがCMCを相手に向ける。「何を!!」至近距離からの発射。それが、簡単に避けられた。
「共和国などに属する者は、全て殺す!!」敵の機体から煙幕が噴出した。ロイは一瞬敵を見失った。
いつ移動したのか、真横から金色の角が飛び出してきた。ロイは避けようとしたが―遅かった。
ディアブロタイガーの胴体を、輝く角が貫いた。機体がその場に崩れ落ちる。
「…だが、お前は今までの雑魚とは何かが違う…生き延びて見せろ。強くなって、俺を楽しませて見せろ」
動けないロイに背を向け、敵は去っていった。
えーと、昨日ファンブック4買って来たら重大な矛盾に気付きました…
ギガも凱龍輝もセイスモも、ZAC2104年には存在してないんです…
もう、正確な年数は脳内調整か無視かして下さい(激スマソ
twin・trance・form作者さんお疲れさまです。
本品を持っていないのでよく知りませんがやっぱり運用難しそうですよねディメトロプテラ。
Ziの焔書いてる物体さんへ。
その手の物は幾らでも調整、スルーが可能だと思います。
もともとゾイドの商品の(旧商品)箱裏には「自分だけのゾイドを作れ!」とか平気で書かれていたので気にしないでいいでしょう。
あれも無しこれも無しとか言っていると往年の格闘ゲームのハメワザ表を見ているような気分になって鬱。
自分でそう言うのを作る楽しみを肯定、推奨しているのがゾイドなのでそのままで良いのでは無いでしょうか?
只今脳内設定したブロックス制作中なのでもう少し再開に時間が掛かると思います。
イメージが今一湧かない姿だったのもので…。
吹くんじゃなかった…”グレーターデーモン”…。_| ̄|○
「スタンティレル!!後ろに何かいるぞ!!!」
「え…ええ!!?」
ガゴォォォォン!!!
「キャァァァァァァァァァァァ!!!」
次の瞬間、目に見えない何かがマオの後頭部を強打。鈍い金属音と共にマオが数十メートルに渡って
吹っ飛ばした。さらに客席から悲鳴が響き渡る。さらに吹っ飛ばされたマオはなぜか高く積み重ね
られていたコンクリート製ブロックに思い切り激突し、さらに崩れたブロックの下敷きとなった。
「うわ―――――!!」
その光景を見た誰もが目を覆った。その光景はあまりにもグロテクスであり、民間人にとっては刺激が強すぎる物だった。
「ハッハッハ!!…流石のグリーンデビルもこれで死んだな!!!」
何もない空間から突然現れた巨大な陰。それは光学迷彩装備を施された改造ゴーレム。
「ステルスゴーレム」であった。そして、ステルスゴーレムはその光学迷彩で姿を消したうえで、
勝利に浮かれていたマオの背後にゆっくりと近づき、一瞬のスキを突き、その太く、強靱な腕で
マオの後頭部を思い切り殴りつけ、そのまま吹っ飛ばしたのだ。だが、マオが油断していなければ、
こうはならなかっただろう。幸運の女神はステルスゴーレムのパイロットに味方していたのだ。
「よっしゃあ!!よくやったぁぁ!!」
隊長はステルスゴーレムに走り寄ってそう言う。
「しかし隊長、あれほどの一撃なら血が飛び散ってもおかしく無いのに、ゴーレムは返り血を一滴もあびていません。」
「確かにそうだが、ゴーレムのハンマーナックルをモロに受けて無事な人間などいるはずがない…。
しかもグリーンデビルはモロ後頭部にそのハンマーナックルの一撃を受けたのだ。その直後に
ヤツの頭蓋骨は粉砕され、当然中の脳味噌も血しぶきホラー映画も裸足で逃げ出すくらいにまで
ぐちゃぐちゃになり、さらにぶっ飛んでもの凄い勢いでそのまま頭からブロックに叩きつけられた
事によってさらにぐちゃぐちゃになり、さらに崩れ落ちたブロックの下敷きになることで、
全身の骨もボキボキに粉砕されてヤツの体はグチャグチャに…。」
「いぃぃぃぃぃぃだだだだだいだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ずげげげげげげ!!!
突然響き渡った声に誰もがすっ転んだ。それは先ほどステルスゴーレムに殴り飛ばされたマオが
もの凄い勢いで突っ込んだブロックの瓦礫の中からであった。誰もが青ざめた。
「ま…まさか…ヤツは…まだ死んでないの…?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!お願いだから迷わず成仏してくんなはれ――――――!!!」
「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏――――――!!!!」
スケルトン部隊は一斉に数珠を持ってマオが下敷きになったブロックの瓦礫に走り、さらに
競技場外に待機させていたお坊さんも連れてきて必死に拝みながら一斉にお経を唱え始めた。
「うお――――――!!!私はまだ死んでな―――――――――い!!!」
マオはそう叫んで合計数百キロは有にあるブロックの瓦礫を吹っ飛ばして飛び出してきた。
しかも、その体は埃や泥で若干汚れてはいたが、何故か傷一つ無く、当然血も流れていなかった。
「何てこった!!ゴーレムのハンマーナックルだけで無く、ブロック激突+瓦礫下敷きすらも効いて
ないなんて…コイツは不死身か…。というかゴーレムのハンマーナックルはさっきの店長のパンチに劣るってのか!!」
「効いてない!!?冗談じゃないわよ!!半端じゃなく痛かったのよ!!人を化け物扱いしないで!!」
「馬鹿野郎!!化け物扱いするなって…、ゴーレムの攻撃に生身で耐える時点で化け物なんだよ!!もしかしてお前化け物って自覚無いのかよ!!」
後頭部を必死に押さえ、涙をポロポロと流しながら言うマオにスケルトン部隊は一斉にそう反論した。
「だから私は化け物なんかじゃない!!私は何処にでもいる普通の女の子だよ!!!まあ少し鍛えてはいるけど…。」
「馬鹿野郎!!普通の女の子がゴーレムに殴られて無事でいられるワケが無いだろ!!!というか鍛えてるとかそう言う問題じゃねえ!!」
なぜか両者共に戦闘を中止し、単なる言い争いを始めていた。
「あのね!!私ごときを化け物扱いしてるようではまだまだ甘いよ!!世界は広い。私より強い奴なんて世の中にはいくらでもいる!!」
「ウソ付け!!お前より強い奴なんて…。あ…いたか…さっきの店長…。」
「あとウチのお姉ちゃんも…。」
「え!!?お前の姉貴…、ミオとか言ったか…ヤツはもっと強いだと…?」
「そうだよ。ハッキリ言ってお姉ちゃんは大して訓練してるわけでもないのに滅茶苦茶強いよ。
お姉ちゃんに比べれば私なんて…でも、そんなお姉ちゃんも、自分より強いヤツは沢山いるって
言ってたよ。それに、あの西方大陸戦争時代にはモルガの突進を生身でくい止めた歩兵がいたって話じゃない。そんな化け物達に比べたら私なんて…。」
「………………。」
超人兵団と呼ばれる自分たちですら歯が立たぬマオですらもさらに歯が立たぬ者がいるという、
上には上がいるという事実を知ったスケルトン部隊は一斉に青ざめ、そして沈黙した。
「あれ?そう言えばさっきの物干し竿…、ってあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
先ほどまで自らが武器として使っていた借り物の物干し竿がいつの間にかにポキリと折れていた事に気づいたマオは悲鳴を上げた。
「どうしよどうしよ!!と…とにかく謝ってくる!!!」
マオはそう言って折れた物干し竿を掴んで先ほどの民家へと向かった。それから数分後にマオは帰ってきた。
「イタタタタ〜。案の定怒られちゃったよ…。弁償する事でどうにか話を付けてもらったけど、
あのおばさんのゲンコツが痛いの何のって…。これならさっきのゴーレムの方がまだマシって感じ。」
「ってーことはゴーレムのハンマーナックルはあの民家のおばさんのゲンコツに劣ると言うのか…。」
スケルトン部隊や他の観客は一斉に沈黙した。しかし、現にマオの頭にはゴーレムに殴られた時には
無かったギャグマンガの様な大きなコブがあったのであった。
「ま、まさか…ロイがやられただと!?」部隊は一斉に浮き足立った。今までロイが負けた事は無かった。
金色の角を持った例のゾイドが、煙幕の中から出てくる。部隊のゾイドは動く事もできなかった。だが…
微動だにできぬ精鋭達の脇を彼はすり抜けていった。コックピットで不敵な笑みを浮かべながら。
「あれ?どうしたんだ、アルベルト…連中はもう全滅したのか?」青い髪の少年が整備中の愛機から話しかけてきた。
「…いや、ちょっと面白い奴が居てな…後はお前らで勝手にやってくれ」アルベルトと呼ばれた金髪の少年は
ハッチを開けた。降りてくると、科学者の様な白衣を着た若い女性が近くに居た。
「あ、あの…シュニッツァーさん、任務は一応最後までやってもらわないと…」
「あんたらでも用は足りるだろ?連中が逃げない間に何とかするんだな」アルベルトはさっさと格納庫から出て行った。
白衣を着た女性が通信機を取る。「あ、ジードさん…アルベルト君が何かやる気無くしちゃったみたいで、
私が出ますから彼らの足止めをお願いします。くれぐれも…」ジードが通信機越しに遮った。
「くれぐれも、無駄に死人を出すな…だろ?解ってるよ、隊長」通信が切れた。
白衣のまま、女性が愛機のコックピットに上る。女性と言うよりは、もしかして少女に近いかもしれない。
「ハッチ、開けて下さい…はい。行きますよ!!」大型の機体が、ドラグーンネストから飛び出した。
「ゼネバス砲も止まった!!今の内に戦闘区域を離脱する!!」残った部隊のゾイドは十数機。
ホバーカーゴが浮かび上がった。「総員、艦に乗り込み…」ホバーカーゴが隊員たちの目の前で大爆発した。
空中から何かが降下してくる。ゾイドだ。これまた見たことの無いドラゴン形ゾイド。
いつの間にか、ジャミングが消えている。バースト通信のモニターに、お互いの顔が映し出された。
共和国隊長のモニターに映ったのは、若いのか中年なのか微妙な男だった。渋い顔立ちに、チョビヒゲが威厳を
加えている。「共和国の兵士達よ…」声も渋い。正直、敵であってもカッコイイ。
「我々の任務は、輸送部隊の殲滅だ。貴君らが護衛であるなら、我々は貴君らを攻撃しなくとも良い。
どうだ、素直に投降して、引き下がってはくれまいか…?」ジードの要求に、これまた威厳のある声で答えたのは
精鋭部隊の隊長だった。「任務に忠実なのは結構。情けをかけてくれるのも人間として結構。だが、
我々は軍人だ。護衛の任がある以上、輸送隊を襲う者を見逃す訳にはいかん。よって貴公は遠慮無く我々を
殲滅してよろしい」部下達も覚悟は決めていた。これまでも危険な任務はあったのだ。
「そうか…とは言っても、なるべく死人を出さないのがうちの隊長の流儀だ。貴君らには捕虜として捕まって貰おう。
我が名はジード・ウインチェスター。いざ参るぞ、共和国の猛者達よ!!」
大きなドラゴン型ゾイドが、急降下してきた。
あんまり自分でバトストってのとは関係ないのですが、
パイロットスレで面白いのがありました。
パイロット名
愛機
攻撃/反撃
「(攻撃セリフ)」
「(反撃セリフ)」
HP400以下
「(略)」
「(略)」
撃破
「(撃破された時のセリフ)」
と言う感じで、このスレのマイバトストに登場したキャラを
上の項目に当てはめていったらどうなるかな〜?なんて考えてみたり・・・
スパロボっぽいのがちょっとアレですが・・・
>>62 それはパイロットスレでやると面白いかもね
シュミット達が装備を整えている間テントの中でミズホ=浅葱とフェイ=ル=セイフは交渉をしていた。
「このままだと戦闘に巻き込まれたら一溜まりも無いよね。」と言うミズホに「まあ大丈夫だろう…どうやらまた増援が来たらしいからな。」と答える。
「あの〜すいません?私の話を聞いていますか?」弱り顔で気の良さそうな男が尋ねる。
「すいません。聞いてませんでした!」と元気に答えるミズホにため息を付きながらその男は聞き返す。
「え〜っとこのままだと戦闘に巻き込まれた際に誰も助けれませんし共和国軍は居ませんし…。」咳払いをして更に続ける。
「要するに帝国軍に寝返って欲しい訳です。所属が此方になれば当方にとっても有益ですし…。」それを遮ってミズホは「私が何の役に立つって?御医者先生なら兎も角私って…役に立つ?」
「…ま、まあ落ち着いてください。貴方が戦闘員で更に生身で戦う方専門なのはごもっともですがシートぐらい幾らでも取り寄せれますし…。」
全く取り付くしまのないミズホに苦戦する彼はエリオット=マシウス中佐。一応捕虜との交渉を主にする人事再派遣部の交渉人をしている。
本来はこの様な部署は軍隊ではあり得無い物だがネオゼネバス帝国の軍事事情により特別に存在する即戦力の獲得用部隊である。
その主な任務は共和国軍捕虜の懐柔、退役軍人の訓練場の教官として招聘が仕事となっている。様は前者の仕事中と言う訳だ。
高圧的な態度を決して取らない事が彼のポリシーである。
「ミズホさん最後まで聞いてくださいよ〜。一応所属もある程度自由に選べますので食いっ逸れはありません。」更に続ける。ここが押し時と見たのだ。
「良ければ今ここに居るフリッケライ・ドラグーンに配属なども出来ます。あそこはエリートかはみ出し者しか居ませんから余り誹謗中傷も殆ど有りませんし…。」
少しミズホが興味を持ち始めたのをエリオットは見逃さない。後一押しだ…と思った所に横槍が入る。
彼にとっては大きな誤算だった…。
「エリオット=マシウス中佐でありますか?今日はどんな御用で此方に?」間の悪い所に直撃する様にファインがテントに入って来た。
「あ〜…もう一押しだったのに…。勘弁して下さいよファイン中尉…。」注意が彼に逸れた為結局エリオットは交渉を成功させるのに更に3時間掛かったのだ。
その後も邪魔は全てルディアが率いる部隊の汚点、掃き溜め第3小隊サードリローダーがしていた事も原因だった…。
決まり手はミズホが面倒だと交渉を切り上げた時に近くを通ったアービン=クラフトを捕まえて事情を説明無理矢理第3小隊に捻じ込む事になんとか成功する。
「何でこんなに疲れる羽目になったんだろう…?」エリオットは自分のテントに帰るとぼ〜っと天井を見詰めていた。
「まあ家の奴等も悪気が有った訳ではない…すまなかったな。」アービンが差し入れらしい物を持ってテントに入って来た。
「いえ…大佐こそまたあそこに放り込んでも大丈夫だったのですか?」とのエリオットの疑問にこう答える。
「あそこは特別だよ。あれだけの曲者揃いで全く部隊の間にいざこざが起こらない不思議な空間だ。私にも理由は解らんがな。」
そう言うアービンの横顔は遥か遠くを見ている様にエリオットには写った…。
「合う服が無い…。」ミズホは落ち込んでいた…面倒と言う理由とは言えない理由で身柄が帝国軍に移ったまでは良しとしてもこの事態までは予測の範囲に無かったのだろう。
最小のサイズでも彼女にとっては一回りは大きいダブダブも良い所だ。
「う〜…こんな目に遭うなんて。」無理も無い彼女は今年16になる少年兵の枠で入隊した為特別に誂えられた軍服を着ていたのだ。
何とか袖やズボンの先を4回まくってやっとの事で着替えを済ませテントを出ると回りには人集りが出来ていた。
「今度はおチビちゃんか。」「娘と歳は同じぐらいかな?」「華が来た〜!!!遂に春が来たか!?」
それぞれ反応は違うが取り敢えずは歓迎されている様だった。
所属する陣営こそ変わってしまったがやっとの事で”部隊編入”を正式に済ます事が出来たミズホだった…。
フェイもそのまま衛生兵として残る事になった為微小ではあるが戦力の増強に帝国軍合同調査部隊には明るいムードが広がりつつあった。
「ええい!!こうなったら火器の使用を許す!!射殺しろ!!だが…民間人には当てるなよ…。」
隊長が叫ぶと共に、ステルスゴーレムが光学迷彩を使用し、姿を消すと同時に肩に装備されたガトリング砲をマオに向けて発砲した。
「きゃああ!!あ…危ないじゃないの!!」
マオはガトリング砲の旋回以上の速度で横に走ってガトリング砲の連射をかわす。
先ほどは油断していたために背後からの接近を許してしまい、後頭部を思い切り殴られたりしたが
今のマオは違った、相手が光学迷彩で姿を消していても彼女にとっては余り関係の無い事だった。
確かに彼女とて、光学迷彩で姿を消した対象を見ることは出来ない。その頭部に付いた二つの目では。
だが、三つ目の目は例え姿を消していても、実体という物が存在する限り見ることが出来る。
といっても天○飯みたいに本当に三つ目の目が有るわけではない。三つ目の目とは俗に「心の目」と
呼ばれる物である。それは見るのではなく、対象から発せられる気や空気の流れなどを「感じる」
事によって実体を読むのである。まるで漫画のような話であるが、精神を鍛えた者ならば不可能な
話ではない。例えば、相手から発せられる気迫に追って押されたり、殺気を感じるとかそう言う事が
普通の人でも有ることであるが、心の目とはそれをさらに発展させた物として考えてもらった方が
良い。余談だが、マオの心の目は紙に書かれた普通の文字も読めるほどにまで研ぎ澄まされているという漫画のような事になっている。
とにかく、ステルスゴーレムの姿をパイロットとゾイドそのものの発する殺気を読む事でその姿を
関節の隙間にくっついた小さな砂埃までも鮮明に見えていたが、いかんせん反撃できなかった。
何しろ得物という物が全く無い素手の状態であるためである。まあ別に素手でも装甲をぶち抜ける
自信も彼女にはあるのだが、ゴーレムのような敵を一撃で仕留めるには背中に存在するエンジンを
殴りつける必要がある。エンジンを殴ってしまえば、例え破壊できても爆発に巻き込まれたり、
運が良くてもやけどしてしまう事も彼女には容易に予想できた。
「あ――――!!どうしよどうしよ――――!!!蜂の巣なんて無様な死に方は嫌――!!」
ガトリング砲の連射をかわしながらマオは半泣き状態そう叫んだ。そんな時であった、同じ競技場内
であるとは言えども、マオとスケルトン部隊の戦闘が行われている場所とは別の場所では何事も
無かったかのように陸上競技大会が開かれており、様々な競技が催されていた。そんな中、
マオの目に飛び込んできたのは砲丸投げ競技であった。
「こ…これだぁぁぁぁぁ!!!」
喜びの声を上げたマオは競技場の反対側にある砲丸投げ競技会場へと走った。
「な!!逃げた!!発砲中止だ!!ヤツを追え!!」
隊長がそう命令すると同時にステルスゴーレムは民間人への被害を防ぐため、光学迷彩を解除してマオの後を追いかけた。
一方その頃、やはりマオとスケルトン部隊の戦闘も何処吹く風といった感じで陸上競技大会は
何事もなかったかのように続いており、100メートル走の競技が始まろうとしていた。
「さあ!!前大会で金メダルを取った。アトラス=バートの登場です。」
アナっぽい人がそう叫ぶと同時に観客の拍手喝采をあびて長身の色黒男性が現れる。
「アトラス選手は前の大会では8秒を叩き出したのでありますが、今大会はどれほどの記録を見せてくれるのか!!今大会優勝候補であります!!」
アトラス選手、そしてその他の選手もスターティングポジションにつく。そして、スターターが
スタートの合図である空砲を発射した直後に一斉に走り出した。アトラスは皆の期待に答え、
ダントツでトップを走る。もう100メートル7秒台は出るかもしれない。新記録出るか。
と、そう誰もが思ったときであった。その背後をマオがさらにそれ以上のスピードで追い抜いていったのであった。
「ええ!!!?」
選手、審判、観客などなど、その場にいた誰もがその光景に目を丸くして唖然とするだけだった。
「君…あの娘のタイムは!!?」
「さ…、3秒です…。」
そこから半径数百メートルの空間にしばらくの沈黙が続いた。誰も唖然としながら立ちすくみ、
ただただ走り去るマオの姿を見つめるだけであった。
「ちょっと君!!競技中だよ!!」
「すみません!!直ぐに終わりますから!!とにかくちょっとお借りしますね。」
砲丸投げ競技ゾーンにたどり着いたマオに大会係委員が注意するが、そう言ってそこに置かれていた
砲丸を一つ握りしめた。そして、素早く反転し、マオ目がけて走ってくるゴーレムに向けて砲丸を思い切り投げつけた。
ドゴン!!
「え…?」
その光景を見た誰もが唖然とした。マオの投げた重い砲丸はまるで野球のボールのように弾丸の様な
とてつもない速度でまっすぐに直進し、ゴーレムの右肩関節を撃ち抜いたのであった。
「よ!!!ほ!!!は!!!」
さらにマオは次々に砲丸を掴んでゴーレムに向けて投げつける。投げつけた砲丸はそのまま弾丸の
様な速度でゴーレムの左肩や脚部の付け根などの関節を撃ち抜いてたちまち行動不能にした。
「……………。」
その場にいた選手、観客、審判など、全ての人間が凍り付いた。
それから数分後、マオは元いたところにトコトコとゆっくり歩いて戻ってきた。そして、同じくそこでも誰もが唖然としてマオを見つめていた。
「ちょっと聞いてよみんな〜。何故か大会係員のおじさん達が金メダルを二つくれたんだけど…。
でもさ、随分前の「トラビアの泉」であったよね。金メダルは実は銀で出来てるって…。」
マオの首には二つの金メダルが下げられていた。まあ無理もない話である。100メートルを3秒で
走ったり、重い砲丸を野球のボールのように投げる所を目の当たりにしては誰だって金メダルをやりたくなる気持ちは分かるのであった。
「対空砲火で弾幕!!奴を近づけるな!!」ガンスナイパーWWがビームを乱射する。パンツァーがミサイルを撃ちまくる。
だが、ジードはその全てをかわし、弾き、一体ずつ鋭い爪で切り裂いていく。しかも、パイロットには傷をつけずに。
護衛隊の隊長が乗っているのは凱龍輝。追加武装のない今、対空攻撃はできない。
だが、ジードのゾイドが口を開いた。光が口腔内に集束している。「しめた!!荷電粒子砲だ!!」
ジードも気付いてはいた。だが、今旋回したら隙だらけだ。「押し切る!!」
荷電粒子が放たれた。集光パネルが光を吸収していく。凱龍輝も口を開いた。
「自らの力を受けるがいい!!集光荷電粒子砲!!!」2つの粒子砲がぶつかった。互いのビームが干渉し合い、
空中で押し合っている。だが、やはりエネルギーを吸収した凱龍輝が押し始める。
「隊長を助けるぞ!!」他の隊員が空中のジードに襲い掛かる。「ちぃッ!!」ドラゴン型ゾイドの肩の砲口が傾いた。
ジードがトリガーを引く。静止したまま肩から大量の砲弾が放たれ、部隊の上に降り注ぐ。
「自動高速キャノン砲か!!何て威力だ!」砲口が前に向けられた。空を切る弾丸は、凱龍輝の集光パネルを破壊した。
「ぐっ…このままでは!!」隊長は荷電粒子砲の出力を上げようとした。が、できない。集光パネルが無くなった今、
本来のエネルギーだけで撃たなければいけない。今度はジードが押し返し始めた。
あと少しで隊長が塵となるという所で、凱龍輝が横に弾き飛ばされた。「何だ!?」
ジードはトリガーから指を離す。「む、隊長」荷電粒子砲が止まる。護衛隊は驚愕した。「あれが、隊長…」
モニターに通信が映った。「まだやってたんですか…投降して下さいよぅ…」映し出されたのは眼鏡をかけた女性だった。
「あのゾイドは…何だ…!?」またも見たことのない大型ゾイド。今度はカマキリ型の様だった。
「私は、ネオゼネバス帝国特務隊第7小隊隊長、シエル・バレンタインです…さっき見たとおり…あの…」
ジードが続けた。「悪いが、貴君らは我々には勝てん。投降して頂きたい…悪いようにはせん」
「何故、殺さない?これは戦争であり、どちらかが滅びるまで続く戦い…」隊長が苦々しく言った。
シエルは微笑んだ。「いいえ、違います。人は、解り合えるはずです…私達はただ戦っているのではなく、平和のために
戦っています。小さな事でも、この戦いを終わらせる助けになればそれでいいんです」
何だか気弱そうな話しかた。しかし、ロイはそこに信念を見て取った。決して枉げない意思がある。
「さっきの奴は、そうは見えなかったがな」ディアブロタイガーはコアこそ死んでいないものの、動く事もできない。
「アルベルト君ですか…彼は、戦争で家族も故郷も失っているんです。共和国を憎むようになってしまった…
また、彼はみんな殺してしまったんですか?」隊長が無線を確認する。
「確かに、あのガキにやられた連中はみんな死んでるよ…しかも、ご丁寧にコックピットをぶち抜いて、な」
ロイがシエルに厳しい視線を投げかける。「不殺を信条とするらしいあんたが、何故あんな復讐鬼気取りを連れている?」
「私達の部隊で、更生できるかもしれないと思ったから…本当は彼に復讐なんかさせたくない、人を殺して欲しくない…
でも、私達は軍人でもあるんです…できる範囲の事しかやれない自分には、彼の復習をやめさせる権利は無い…」
シエルは俯き、通信が切れた。「で、隊長…彼らをどうするんですか?」ジードが通信機越しに訊く。
しばらく間を置いて、シエルが言った。「じゃあ、全員死んだ事にして逃がしちゃいましょう☆」
全員がコックピットのどこかに頭をぶつけた。「ありゃりゃーっ!!?」
ジードも操縦桿で頭を打った。「た、隊長…そりゃ幾らなんでも!!」大型のカマキリ型ゾイドが
機首を転じた。「大丈夫ですよ…私達のドラグーンネスト・ゲルニカならロブ基地まで行くぐらい簡単ですから」
「しかし、我々の任務は…」ジードが言いかけたが、シエルは遮った。
「一回の失敗ぐらい見逃してくれますよ…今まで結構戦果を挙げてきましたし(無論、犠牲者は極力抑えて)」
いつの間にか回線に進入していたロイが話に入った。「だが、あの金髪殺人鬼も乗ってるんだろう?
俺達まで乗せていくのは無理だ…見逃してくれれば後は勝手に帰る」シエルは少し悩んだが、うなずいた。
「…解りました。あなた達は死亡報告出しておきますよ。それじゃあ私達はこれで…」
「ちょっと待った」ロイが引き止めた。ジードが怪訝そうな顔をする。
「あんたらと、乗ってるゾイドの名前を教えてくれ」シエルは一瞬驚いた様な顔をしたが、すぐに笑ってこう言った。
「私が、シエル・バレンタイン。このゾイドはデスマンティス…名前はピースメーカー」
ジードも名乗った。「俺は、ジード・ウインチェスター。コイツはレドラーMk2と呼ばれている。名はメギンギョルド」
「それから、最初に会ったのがアルベルト・シュニッツァー。ゾイドはサイクロプスで、名前は確か…デスエベンジ」
その後は何も言わず、シエルとジードは岩山の向こうへ消えた。「何で、あんなに簡単に教えたんだ?」
甘く見られている訳ではない。回線を繋げていたのがロイだけだったからだ。
ロイ以外の生存者は一息ついてこう言った。「一つ解った事がある…あのシエルとか言う少女」
全員が声を揃えた。「激 し く 可 愛 い 訳 だ が !!」
ムードが良くなっていたのは帝国軍だけでは無い。
ここは施設最下層から更に地下に有る採掘場の最深部巨大ゾイドのコアのある場所…。
「おお…!?分裂するとは思わなかったぞ!?」感嘆の声を上げるグラハム=レンバートン教授。
その顔には狂気が見え隠れしている。知的興味が倫理を破壊した人間の表情とはこの様な物なのだろうか?
「教授、分析が終了した。どうやらそれぞれのコアはある一定の要素を各々分配したようだ。」
此方もその顔には狂気が映る。それを最早隠し立てもしないザクサル=ベイナードだった。
そのコアの数5つそれぞれが特化した能力を持つ巨大ゾイドに成長する事が予測できる。
近くに居た数人の同胞達と共にこれを死守する構えを固めたのだ。「教授!私にゾイドを1機お与えください。時間稼ぎをして来ます。」
その声は昨日ファインに浴びせ蹴りを喰らった共和国兵だった。
「やってくれるかね?ローキス君?」「はいっ!昨日の借りも有ります。奴は私が戦闘を続行するものと思い情けない姿を見せました。」更に、
「あそこまで期待されて肩透かしをさせたまま放って置くのは本意ではありません。もう一度完全な形で手合わせをしたいのです。」
ローキス=ブルー少尉はその後グラハム教授とザクサルの手で完成されたブロックス”ピットフィーンド”で帝国軍に襲撃を掛けるのだった。
その姿はサイズこそピットフィーンドが二回り以上勝ってはいたが偶然か”グレーターデーモン”と全く同じ設計思想の機体だったのである…。
「はい!歩行訓練始め!であります。」ファインの掛け声と共に彼の手駒の一つキメラブロックスで再生されたイグアンヘビーガンナーが動き始める。
「1,2,1,2…」ミズホは殆どゾイドのコクピットで操縦した事が無い為こうして訓練を始めたいたのだった…。
「はい!次はその場で右90度旋回でありますよ。」機体のコアの調査が終わるまで時間が掛かるらしいので暇を持て余したのをアービンに発見され教官代わりをしていた次第だ。
「きゃっ!?倒れる!?」お世辞にもイグアンヘビーガンナーは安定性が良いとは言えずこの結果は当然だろう…。
「そこで左フットレバーを二回踏んで立て直すであります!」確かに不用品の再生理用品だが緊急時には立派な戦力になる。簡単に転倒するのは勘弁して欲しかった。
がタイミングがずれたらしく立ち直りが遅く左足がマグネッサーの限界を超え離解し転倒したのだった。
「あたたたた…再接続は如何するの?」何とか起き上がろうとミズホはファインに尋ねる。
「右側の追加コンソールの機体モデルの左足を押せば良いでありますよ。」画面の左足を押すとマグネッサーが起動し直立し直す機体。
「結構きついね…もっとましなバランスの機体は無いの?」「すいませんであります。自分の機体はこう言う特化機体が多くて俗に言う”普通”の機体は無いのでありますよ。」
と答え更に「将官が機体を選ぶのでは無くて機体が将官を選ぶのでありますよ特にゾイドはそう言った傾向が強いであります。」
その答えにミズホは「慣れろって事ね…もう一度やってみるからサポートお願い。」
実質編入時の階級は持続と言う条件だったのでファインは戦闘経験ゼロの上官を鍛えると言う不思議な任務が増えてしまったのである。
「機体のバランスを取る事が最低条件でありますよ。今日中に覚えて欲しいであります。」「は〜い。」
それにしても…上手い。わざわざ一番重量バランスの悪い機体を選んで良かったとファインは思う。
ミズホは順調に乗り熟し始めていたのでそろそろ別の機体で彼女を喜ばせてあげても良い頃か?と思い始めた矢先だった。
「エネルギーダウン!?接続が維持できないっ!」そう言うミズホの声が聞こえるとイグアンヘビーガンナーはゆっくりとバラバラに成って行ったのだった…。
「畜生…。」
スケルトン部隊の士気は下がっていた。
「こうなったら残存する戦力を結集して何としてもヤツを倒すんだ!!」
隊長の号令に合わせ、残ったスケルトン兵士は武器を構えてマオに向かって突撃した。
手に持つ斧を次々に矢継ぎ早に振って攻撃するスケルトン兵士達。しかし、例によってマオはかわす。
ピピピピピピ
「あ、携帯が鳴ってる。」
突然鳴り響いた機械音は携帯電話の着信音であった。マオはスケルトン兵士の斧攻撃をかわしながらポケットの中から携帯を取り出した。
「ハイハーイ!マオでーす。」
「こちらライン=バイス軍曹であります!!!」
「あ!!ライン!!元気?どうったの?そんなに慌てて。」
「どうもこうも有りませんよ!!何か少尉が敵に襲われたとか言う話なんですけど本当ですか?」
「ああ、確かに襲われているけど大したこと無い相手だよ。だから大丈夫…。」
などと、マオはスケルトン兵士の攻撃をかわしつつ、何事も無いかのように電話を続けていた。
「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
「わあ!!どったのライン!!」
「ただ今帝国軍の新型と交戦中!!至急救援求む――――!!!」
ラインの悲鳴に似た声と共に今度は別の男がそう叫んだ。
「わかった!!こっちが片づき次第そちらに向かうよ!!」
そう言ってマオは携帯をしまうと後方へと跳んで構えた。
「んじゃあ!!用事が出来たからさ!!本気で行かせてもらうよ!!」
「何!!!?じゃあまさか今までのは全然本気じゃなかったというのか!!?」
スケルトン部隊は青ざめた。と、その時、
「ちょっと待て!!アンタがさっき電話してた相手!!ラインつーたか!!?」
突然観客席で観戦していた、不良というかチーマーというかそんな感じのいかにも悪そうな男数人の
ウチの1人がマオに対してそう叫んだ。マオはそれに対して縦にうなずく。
「うん。そだよ。ラインって名前だよ。」
「名字はバイスで、右目に縦の傷とかついていたりしないか?」
「そうだよ。というか何で知ってるの?知り合い?」
「やっぱりそうだ!!ライン=バイス…。俺達アウトローの中では伝説になった最強の男。
その実力は泣く子も黙るヤクザすらもビビって道を開けるというほどの最強のアウトロー!!
俺達アウトローの中の最高の憧れと同時に目標でもあったライン=バイス!!突然行方不明になる
ものだから死んだと思っていたのだ…生きていたのか!!」
悪そうな男達はまるで感激の涙を流しながらそう叫んでいた。
「へ〜、暴走族のリーダーやってたってのは知ってるけど、ラインってそんな凄いヤツだったんだ〜。」
マオは腕を組み、感心しながらそう呟いた。確かに、そう考えてみればと思い当たる点がマオには
いくつもあった。例えばタマの休日(戦争中にそんなもんがあるのかいな)に町に繰り出したとき、
1人で行くときは悪そうなのが決まってナンパとか、カツアゲとかしてきたりするのだが、
ラインと一緒の時はなぜか悪そうなのは1人もそう言うことをしてくるどころか、逆に避けていた
のであった。と、マオがそんな事を考えていると、悪そうな男はさらに言う。
「で、さらに聞きたいのだが、アンタとそのラインはどういう関係なんだ?もしかしてあんたラインの彼女?」
「彼女〜?そんなワケないじゃない?ラインは私の部下よ。なんかさ〜、一度ボコボコにしたら
私を追って軍に入って来ちゃったみたいでさ〜。」
「……………。」
少し顔を赤くしながらマオはそう言うと、同時に皆が唖然とした。確かに、マオが士官学校を卒業し、
さらにゴジュラスギガパイロットになって間もない時のある日の深夜にマオがうるさいから眠れないという理由で近所で暴走行為をしていた暴走族を1人で全員ボコボコにしたことがあったのだが、
その時の暴走族のリーダーをしていたラインはその事をきっかけに暴走族をやめてマオを追って
軍に入ったとそういういきさつなのであった。
「さ…、最強の暴走族すらも軍門に下してしまうなんて…本当にバケモンだあんた…。」
「だから化け物扱いするなって!!!」
唖然としながら言う悪そうな男達に対してマオは右手をブンブン振りながらそう叫んだ。
「とにかく!!そのラインがピンチらしいからコイツら早い所ブッ倒して助けに行くの!」
「なんだと!!?俺達がそう簡単に倒されるかよ!!ハア!!ハア!!」
スケルトン部隊はそう強がってはいたが、息も絶え絶えであった。その直後、マオは左手で右の
肩プロテクターを外し、地面にぽいと捨てたのだった。
ドスン!!
「ええ?ドスン!?」
肩プロテクターはもの凄い音を立てて地面に落ちた。さらにその地面は大きくへこんでいる。
ドス!!ドス!!ドス!!ドス!!
さらにマオは左の肩ガード、両肘両膝のプロテクター、さらに両手両足首に装着していたリング状の
物体を外してそれも地面にすてた。それももの凄い音を立てて地面に落ち、さらに地面をへこませた。
「つかぬ事をお聞きしますが、お嬢さん…それは…一体…。」
「ああ、これは重りよ。これを普段から付けてれば普通に生活するだけでもかなりのトレーニングに
なるかな〜って思ってさ、最近始めたの。いや〜それにしてもやっぱりこれ外すと体が軽くなるよ。」
スケルトン兵士の1人が恐る恐るマオの捨てた肩ガードを拾い上げようとした。だが…。
「うわ!!!お…重っ!!!」
「ああ、それね、ざっと一つ100キロよ。」
「100キロ!!!?」
例によって誰もが唖然とした。すると、マオは突然笑い出した。
「ゴメン!!100キロってのは流石に冗談冗談!!そんなの沢山付けてたら重くて動けないって。本当は一つ10キロよ。」
「何だ〜、一つたったの10キロか〜…………。ってそれでも十分スゲエよ!!!」
「って〜事は…何か…?一つ10キロの重りが…両肩、両肘、両膝、両手首、両足首で…合計10個
だから…、合計100キロかぁぁぁぁぁ!!!?そんな物付けてあんな動きをしていたと
いうのか!!!?というかそんな重量でよくあの店の床が抜けなかったなぁ!!」
「でもさー、そんな事するより何とかかんとか養成ギブスとか言うのを付けた方が効果無いか?」
「あーダメダメ!あれは関節が悪くなるだけだし、何より肉が挟まれて痛いしね。」
「関節が悪くなるって…。その糞重いのはいいのかよ…。」
唖然としながらそんな事を言うスケルトン兵士達を尻目に、マオは攻撃態勢に入っていた。
「んじゃあ!!行くよ!!!」
それは一瞬の出来事だった。100キロの超重量から解放され、、さらに素早くなったマオは、
目にも留まらぬ速さで残るスケルトン兵士全員を瞬く間に気絶させたのだった。
「ハッハッハッハ…既に人間の戦いじゃねえ…。」
次々に倒れるスケルトン兵士達を見た観客の皆はそう言いながら唖然としてただただマオに対して拍手を送るのみだった。
「さーてーと…、それじゃあ行こうかな?」
マオは地面に捨てた肩ガードなどを拾い上げ、再び装着しながらそう言った。そんな時、
突然数機の共和国軍製歩兵用小型機、オルニトレステス型の「バトルローバー」が数機、
マオのいる競技場内へと進入してきたのだった。バトルローバーに乗っていた共和国兵士と
思われるゴツク大柄な男達がバトルローバーから降り、マオの前に整列して突然敬礼を送った。
マオも観客もワケがわからず唖然としている。
と、さらに、その中の隊長と思われる男が前に出てそう行った。
「貴方はマオ=スタンティレル少尉ですね?我々はこの近辺の歩兵大隊所属の第36小隊であり、
さらに私は小隊長を任せられているアラタル=マテル伍長であります。」
「あ、確かに私はマオ=スタンティレル少尉だけど…。」
アラテル達に対して、マオも慌てて敬礼を送った。
「しょ…少尉!!?スケルトン部隊の話から共和国軍ってのは分かっていたが、まさか将校だったとは…。」
観客席で唖然として事を見つめる中の1人がそう呟く…。
「現在に置いて貴女の所属する部隊より救援要請が入っています。さらに帝国軍の大部隊も
動き出したとの事。貴女も至急帰還せよとの命令です。なお、ここに倒れている帝国兵士は我々が処理いたします。」
「わかった!!じゃあみんな!!私はこれで帰るからね!!」
唖然とする皆にマオは手を振ってそう言い、そして走って競技場の外へ出た。その時、
ギャオ―――――――ン!!!
突然響き渡る何者かの咆哮音。それはカンウの物であった。町の出口に立ち。いつでも出撃可能と
行った感じでカンウは待機していたのだ。
満身創痍ながらも、ロイ達はロブ基地に帰還した。ロイのディアブロタイガーは味方に牽引されて帰ってきた。
「まさか、君達が失敗するとはねぇ〜…」特務隊の管理役となったアルティシア・フィールドが報告書を見ながら呟いた。
特務隊は全員会議室に呼び出しを喰らっていた。確かに輸送隊は何とかニクシーに到着した。だが部隊がボロボロでは
怒られても仕方が無い。まして敵に見逃してもらうなどありえないことだ。
アルティシアが静かに説教している時もロイは上の空だった。シエルが言った事と、アルベルトが言った事が頭から離れない。
〔私達は、平和の為に戦っているんです〕 〔もっと強くなって、俺を楽しませて見せろ〕
ロイは、自分が何の為に戦っているのか解らなかった。自問した時、真っ先に「この戦争を早く終わらせる為」
という言葉が脳裏に浮かんできた。だが、それはただの口実に過ぎない事に気が付いた。
「俺は…俺は……一体、何の為に戦っている?」頭が痛くなってきた。前に進み出る。
「大佐…頭が痛いので、そろそろ部屋に戻らせて下さい…」アルティシアは笑ってロイの肩を叩く。
「何言ってんのかな〜?いくら退屈だからって、仮病で逃げようなんて…」ロイの肩がアルティシアの手を離れた。
視界が傾いていく。仲間の驚愕した表情が見える。「戦う…理由…」ロイは床に倒れた。意識が遠のいていく。
アルティシアが通信機で医療班を呼んでいる。「俺が戦う…理由は…本当の理由は…?」
ロイは意識が飛び去る際に微かな声を聞いた様な気がした。
――テ イ コ ク ノ ヤ ツ ラ ニ フ ク シ ュ ウ ス ル タ メ――――
ロイは飛び起きた。周りを見ると基地内診療所のベッドの上だった。「…そうか、あのまま気絶したんだな…」
左を見ると、雨が窓を叩いている。外の荒野と遠くに見える森林が黒ずんだ不気味な影になっている。
ロイは自分が聞いた声を思い出した。「帝国の奴らに…復讐する為…」アーサーと始めて会った日の光景が
鮮明に浮かんでくる。故郷を焼き払い、家族も殺したゾイド達。機体に刻まれたガイロス帝国のマーク。
何故、今まで忘れていたのだろう。消え様の無い憎しみが湧き上がって来る。
「アーサーが俺と一緒に居たのも…アイリスを守るように頼んだのも……全て、俺に復讐を思い出させない
為だとしたら…?」ロイの脳裏にアーサーの笑顔が見える。だが、果たしてその笑顔の奥に何を思っていたのか?
知る術など何も無い。アーサーはもういない。
ロイの頭に復讐心が芽生えようとした時、アルティシアが入って来た。
「医者は過労だって言ってたよ…でも、ホントは何か悩んでるんだろう?違う?」
ロイはアルティシアの瞳を見た。深い蒼の瞳が不思議なほど美しい。「…なあ、大佐」
アルティシアがロイの横に座った。「もし、大佐の故郷を帝国軍が襲って、家族もみんな殺されたら…
大佐はどうする?やっぱり復讐しようと思うのか?」
アルティシアは目を閉じ、しばらく考えている様だったが、やがてロイに向き直った。
「私なら、復讐なんかしない。生き残った自分で戦争終結のために努力する」
「何故?それは建前で、本当は復讐のために戦っているんじゃないのか?綺麗事じゃないのか?」
アルティシアはロイの手を握った。「理想とするものを、全て綺麗事で片付けるのはどうかと思うな」
「自分の中の憎しみは一生消えないだろう…それでも、復讐をしないって言うのか」
アルティシアは驚いた様な顔をした。「だって、家族はきっとそれを望まないもの」
その一言でロイは自分の中の何かが吹っ切れた気がした。「本当に…そう思うか…?」
「ええ、そう思う!」アルティシアは笑った。その笑顔がまるで太陽の様に冷たい疑心を溶かしていく。
ロイは泣いた。故郷の消えた日以来初めて涙を流した。アルティシアがロイを引き寄せ、
細い腕で抱きしめた。「今は思いっきり泣けばいい…後で説教の続きなんだから」
ロイはアルティシアの胸の中で硬直した。「うっ…」
エウロペ北西部、エウロペ側ネオゼネバス帝国軍拠点・ダルガールド城塞。
格納庫のゲートに一機のドラグーンネストが入っていく。黄色と緑でペイントされた機体だ。
「やっと戻ってきました…総轄に怒られちゃいますね」シエルがスクリーンを見ながら呟いた。
ジードが横に並ぶ。「俺達、やばいかも知れないぞ。ちゃんと解ってるか、隊長?」
シエルは自信ありげに言った。「はい!大丈夫ですよ!!」いつもの気弱な彼女とは何か違う。
良い事があるといつもこうなのだ。「やっぱ、あの少年か…?」ジードは空を見上げた。
この城塞はいつも嵐に取り巻かれている。特有の地形のせいか、一年の内300日ぐらいは雨だ。
しかし今は、エウロペ全土が雨だった。超大型の台風のせいで。
捕捉がテンポを崩してる…とは言われましたが、どうしてもこれだけは。
・ジードは戦闘に入ると性格が変わる。侍っぽくなる。
・わざわざ敵に名を名乗るのは(ゾイドの名前まで)不自然かと思いましたが、
いつまでも「謎のゾイド」とか「相手のパイロット」と書きたくなかったもので…
訓練の最中だったミズホ達がイグアンヘビーガンナーを組み直していた頃レクス=アームズは浅い眠りから覚めた。
ここ何回かの戦闘で追加装備達は略全損背中のウェポンベイが物悲しく見える。
「そろそろ別の装備が欲しいな…。」機体も古代チタニウム合金以外の部分は傷だらけでキャノピーにも擦傷が有る為視認性が悪い。
第5層の工場区画に居る事も幸いとばかりに使えそうな物が無いかとギガに探させていると突然通信が入ってきた…。
「貴様!所属と階級を言え!黙っているなら此方にも手が有る…。」明らかに怒りが篭もる通信に答える。
「俺はレクス=アームズ大尉だ。所属部隊グランドストライクは俺を残して全滅だ…。」それを聞くと通信が入ってくる。
「そうか…悪かったな最近化け物ばかりが出てくるから苛立っていてな。済まないそこから2区画先のガレージに来てくれ。」
「了解した。」簡単に確認作業を終了させた事は監視カメラで此方を確認していたからだろう…指示に従いガレージに向かう事にした。
「そうか…ブルックリンは逝ってしまったか。」そう言うとサーベラス=ライエン中佐はゆっくりと椅子に座り直す。レクスはこれまでの約11ヶ月の経緯を説明し終え一息付く。
ブルックリン=ライエン少佐は彼の弟だったのだ。物悲しい空気を破って生き残りの将官が部屋に飛び込んで来る。
「来ました!奴です。アーマーイーターが出ました!」息を切らしながら報告を終えると彼は手渡されたコップの水を飲み干し更に詳細な報告を始める。
「現在3区画先にアーマーイーターが出現しそこの装甲板置き場を襲撃中です。あそこを突破されると大尉のギガの修理に必要な機材と装甲板が…。」
「わかった!すぐ行く!レクス大尉はギガに乗って待機してくれ。虎の子を出す!」
レクスの目の前に降りてきた虎の子は何処で仕入れたのかは定かでは無いが目の前に有るのは荷電粒子砲だった…。
アーマーイーター…ダブルアームリザードに付いた寄生体の最終形態で強酸性のイオンブレスを吐く厄介な存在である。
ブロックスに寄生した種としては非常にシンプルな外見をしている事が特徴と言えば特徴なのだろう…。
イオンブレスの前には人は論外であり小型〜中型のゾイドでは危険が多過ぎる代物だ。大型ゾイドですら長時間噴射されると非常に危険な代物である。
近付くこと事態が危険な生物なのだ。ギガの装甲でも隙間から侵入され内部機関を溶かされれば如何しようも無い。
「今までどう対処していたんだ?」レクスの質問は当然である。「今まではトラップで追い払っていたが最近になって潜伏期間が短くなり今や毎日の様に現れている。」
サーベラスは歯ぎしりをしながら言う。
「しかしそれも今日までだ。あいつは1体しか存在しない事は突き止めてある。多分自己増殖欲の発露か何かだろう…。これだけの存在の生物が増えてしまったのでは手も足も出ない。」
一息ついて「この荷電粒子砲で彼を仕留めてくれ。増殖は我々にとっても彼にとっても害悪以外の何物でもない。自らの生活圏の圧迫は拡散に繋がりやがて惑星その物が強酸性の霧に変わってしまう。」
「了解した!コントロールをこっちに回してくれ!」レクスには生物学等の知識は余り無いがサーベラスの言っている事は解る。
そもそも存在しては成らない生物なのだ。増えて悪事を働く前に仕留めるのが共和国軍の責任でもある。勝手に作り出した生物を投げっぱなししている訳にはいかない。
照準は広角で余り距離を置いて撃てる物でもなさそうだ…。ギガを追撃モードにし一気に間合いを詰める。
アーマーイーターは接近すると意外と大きく頭頂高がギガの格闘モードの半分程は有る。全長もギガより長い。
「ロックできない…。」この手の火器は危険な為ロックONしない限り使用は出来無くなっている。
サイズが微妙に大きい事で相対ターゲットから外れてしまったらしくプログラムの変更が必要に成ってしまった様だ。
「くそっ!?変更までにはどれくらい掛かる…?」オペレーションパネルには30秒の文字が少しづつ増えては減っている…。
「くそっ!?最適化に手間取っているのかっ。」実質この後3分程鬼ごっこする羽目に成ったのだった…。
「帝国製なら撃ちっぱなしに出来るんだろうなぁ〜…。」現実逃避をしながらレクスのギガはアーマーイーターを引き連れて工場区画を逃げ回る。
余り足が速くないのだろう…アーマーイーターも必死になって追い縋ってくるが追撃モードとMTS(マグネッサートリートメントシステム)で強化された足の速さには追い付けない。
其れ処かどんどん距離が開いてしまっている。自分に誘き寄せないと成らない以上は立ち止まり格闘モードで逃げ始める。
今度は相手の方が速くどんどん追い付いてくる…イオンブレスが飛び交う中必死になってレクスは格闘モードと追撃モードを使い分け死に物狂いで逃げ続けた。
もし当事者以外がこの光景を見たら彼等の必死さは全く実感できないだろう…そこまでの間抜けな光景だった。
「最適化…終わった!?」その表示に夢世界から現実に戻ってきたレクスは直に相対ターゲットロックシステムを削除する。これで発射が可能な筈だ。
今度はアーマーイーターを補足できる。追撃モードで距離を多少開けた所で急旋回停止し荷電粒子砲を使用する。
「はぁっ!?エネルギー切れ!?なんだって!?」今度はチャージ不足で発射出来ない…。
「もう一度か…。」更に逃げる羽目になったのだ。”二度ある事は三度ある”このことわざの如く更にこの後もう一回更に逃げる事にもなったのだ。
「やっと…攻撃できる…。」チャージに2分、奥に付いてしまった為更に目の前を命懸けで横切って距離を取るのに3分。
総合計8分間の逃避行に終止符が打たれる。荷電粒子砲には光が灯りアーマーイーターを補足する。
「発射あぁぁぁーっ!!!」鬱憤を晴らす如き怒声と共にトリガーを引く。
その光はアーマーイーターに吸い込まれその後頭部等の主要器官の消滅したアーマーイーターのなれの果てがそこに居た。
「せめて生まれ変われるのならもっとましな生き物になって来いよ…。」正午前なのに疲れきったレクスは感慨深く呟いた…。
「ご苦労だったな大尉…こっちでオーバーホールの準備が整っているぞ。頭数も居るから半日程で作業は終了するだろう。」
「先に武装を何とかしたいんだが何か有りそうですか?」あそこまで厄介な敵はもう居ないだろう…レクスはサーベラスに聞いてみると…
「これを使ってみるか?」そう言って手渡された資料にはパイルバンカーの機構と融合したマグネーザーを装備したフレキシブルアームとその他諸々だった。
「こっこれは…?」レクスの目にさっきまでとは違う光が灯る子供の如き妙に目を輝かせそれに見入っている。
「気に入った物が有ったら言ってくれ。こっちは略丸腰でゾイドも居ないから用立てが有ればそれ等を組み合わせる事も出来るぞ。」
その言葉がレクスの耳を通り抜けると「パイルマグネーザーとチャージショットキャノンをっ!」
思わず声が漏れてしまったらしい…。
少し経つと落ち着きを取り戻しレクスは武器の資料をじっくりと見始める。しかしパイルマグネーザーは外れる事は無いだろう…。
その状況を見ながらサーベラスは笑う。「ブルックリン…見ているか?お前の蒔いた種はしっかりと育っているぞ。」
そう言って部屋を出る。ギガのオーバーホールは既に始まっており待った無しの状況だった。
「よし!良く聞け。こいつには簡易MTSが付いているがこいつはエネルギー効率が全くと言って良い程悪い。」
更に「さっきの戦闘でもそうだ。こいつさえしっかりしていたならあんな無様な逃げを打つ必要も無かった。これを正真正銘のMTSに換装するぞ。気合いを入れろ!」
「おーっ!!!」一際大きな歓声が上がり作業に熱が篭もる。共和国軍の意地と言った所だった。
その後公式には発表されなかった幻のギガの形態の一つ通称”ディザスター”シリーズの初代となるツインツイスターが完成しようとしていたのだった…。
「ローキス少尉は若すぎるな…教授念の為に脱出用のサポートに私が出ましょう。」
そう言うともう1機作って有ったピットフィーンドに乗り込むとザクサルは最深部を後にする…。
「全くベイナード君は嘘が上手くないな…。」グラハムは笑う。味方同士の間では嘘を付けない。
それがザクサル=ベイナードの唯一の弱点だとグラハムは結論づけていた。
「しかしそれは味方にとってこれ程と無い貴重な人材だ。」5つのコアを眺めながら二人が戻ってくるのを待つ事にした。
操縦技術の差は大きくザクサルのピットフィーンドは程無くしてコントロールに戸惑うローキスの機体に追い付く。
「もっと出力を落せ。無駄なエネルギーが多いからバランスが取れないんだよ。」ザクサルの声にローキスははっとして後方確認用モニターを見る。
後ろには血の様に紅い機体色のピットフィーンドが居た。「ベイナード大佐!?如何してここに?」
その問いに「多分操縦に手間取っていると踏んでな助け船を出しに来たまでだ。」
目も当てられない操縦だったが少しづつこつを掴んでいく…。
ローキスは水中専用の機体を主に操縦していた為浮力を無くし自力で泳いでいると言う事をイメージしろと言われ無心になって操縦する。
もう一つ有る隠し出撃口から外に出る頃には完全に低空飛行のこつを掴んでいた。
「私はここで待っている。不利になったと見たら問答無用で合流するからそのつもりでな…。」
「解りました!ベイナード大佐!これよりネオゼネバス帝国軍臨時設営基地に襲撃を掛けます!」
そう通信を入れるとローキスのピットフィーンドは夜の闇に消えていった…。
久々に進んだ〜_| ̄|○一気に五つも書いたから後が不安です。
もうお気づきの方が多いと思いますが自分が話の大筋を骨にしてその場の思いつきで表現や状況を設定している事が…。
行き当たりばったりで表記の間違いも有るのでそれだけは気を付けている筈が…
×奥に付いてしまった 〇奥に着いてしまった(124の間違い)
と為ってました。カクナライマノウチ…なので新しく?出て来た人達の説明と一部の新設定を…
【人名】
リディア=カミル:フリッケライ・ドラグーン所属セカンドオービットの隊長で少佐
ルディア=カミルの妹だが姉と違いまったりとして居ないのが彼女二人揃うと小隊証と喋り方でしか二人の判断は着かない
クローム=ブランドル:上記の部隊所属階級は傭兵なので無い一応少尉待遇で扱われている冷静な男だが特別なこだわりがあるらしい…それは後程書こうと思います
メイア=ハーディ:同じく同部隊所属で曹長この部隊としては珍しく少尉以下の階級でパイロットを務めている
彼女も特別なこだわりが…(以下上項と同文)
エリオット=マシアス:人員不足の解消の為に中央大陸を駆け巡る人事雇用専門の部隊に所属する苦労人
階級は中佐
ローキス=ブルー:共和国軍所属で少尉熱い男であるがまだまだ新米の感が取れ無い新兵でザクサル=ベイナード等と共に帝国軍、共和国軍に戦いを挑む
サーベラス=ライエン:共和国所属で当施設の工場区画の責任者を務める階級は中佐事件の際迅速な判断で多数の味方を救助し工場区画に立て籠もっている
ブルックリン=ライエン:共和国軍所属グランドストライク中隊の指揮官で少佐この事件の前の時点で戦死しているサーベラスの弟
【ネタ】
フリッケライ・ドラグーン:帝国軍新兵器テスト部隊でアービン=クラフトが総指揮をしている
8つの小隊が存在しており各々の部隊には基本的に小隊レベルのパイロット数と多数の試験用ゾイドや兵器を保有する
その他部隊専用の整備部隊が随伴する為帝国の人員不足に一役かっている事には違いは無い
その人員、ゾイドの戦闘力、生存率は非常に高い緊急時にのみ非常に役立つ便利屋的な側面が非常に強い部隊
因みに常に人員募集中
「あ…あれが新型ゴジュラス…。生で見るのは初めてだ…でっけえ…。」
例によって唖然とする皆の中の1人がさらにそう呟いた。
「それでは皆さんお別れです。お互い生きていたらまた会いましょう!!!」
マオは笑顔でそう言ってカンウに向かってもの凄い速度で走り去った。
「マオは変わっちまったな。何もかも…。もうアイツをバカには出来ねえ…。」
誰もがそう言い、唖然としていた。
「だが…あえて言うなら、それでも最強は店長だ…。あと…何かもうすぐ降りそうだな…。」
だんだんと曇ってきた空を見上げながら、先生はそう一言言い残すのだった。
「スケルトンの野郎…しくじりやがったな…。結局オレの出番が回ってきやがった…。」
スケルトン部隊全滅の報告を聞いたサンダース=ヴォルト中佐はそう愚痴をこぼしながら
エナジーライガーに乗り込み、エナジーライガーのエンジンを入れた。エナジーライガーの背中に
装備されたエナジーチャージャーが怪しく起動した。
「待たせてゴメンね!じゃあ行こうか!!って…あれ?」
カンウの元へとやって来たマオが見た物は、カンウの後ろに転がる帝国ゾイドの残骸だった。
どうやらマオがスケルトンと戦っていた時、時を同じくして何処かの部隊が単身のカンウを襲って
いたようである。その結果は見ての通りであるが…。
「まあいい!!とにかく行きましょう!!」
マオはカンウに乗り込み、操縦桿を握ると同時にカンウが大きく吠え、そのまま猛スピードで走り去った。
追撃モードのまま猛スピードで広野を疾走するカンウ。その時、カンウのレーダーに多数の反応が
あった事にマオは気付いた。しかもその反応は帝国ゾイド。さらにカンウ目がけて走ってくるではないか。
「あ――っとそれどころじゃないのに!!!」
ざっと見た限り、帝国ゾイドの構成はアイアンコング・長距離砲装備のレッドホーン・無人キメラ等。カンウ自身も特に緊張はしていなかった事から、セイスモやデスザウラーの姿は無し。
マオとカンウにとっては特に恐れる事は無い相手であった。とはいえ、数はやたらと多く
そろえられていた。その時、帝国部隊は数キロの長距離からミサイルや長距離砲で有無を言わせずに
カンウにむけて攻撃を掛けてきたのだった。雨のように降り注ぐミサイルや砲弾はカンウの周りに
次々と着弾し、次々に爆発が起きる。直撃は無かったものの、流石に受け続けるワケにも行かなかった。
「わぁぁぁとっと!!私はゴジ○ですか!!とにかく今はそれどころじゃないのに!!」
急いで帰らねばならぬマオが取った手段はただ一つ。それは、逃げることだった。
目の前に展開する帝国部隊に高速ゾイドの姿は見られない。これならば逃げ切れる。とマオは内心そう思った。
「あーばよ、○っつあん!!」
「待て―――!!ル○―――――ン!!」
とはいえ、逃げるマオとカンウに対して帝国軍はやはり追いかけてくるのであった。
カンウへ向け、ミサイルや長距離砲で攻撃を繰り返しながら追撃してくるコングやレッドホーン。
マオの操縦とカンウの機動力と防御力ならば大部分を避けられるし、直撃を食らってもそうそう
やられることはない。とはいえ、いつまでも受け続けるのはやはりマズかった。背中に背負う
バスターキャノンでとりあえず砲撃しようと思っても、敵の数は多い上に、装弾数も限られている。
じゃあどうするかとマオが腕を組んで考えていると、カンウは丁度岩場を走っていた。
「これだぁ!!」
マオはポンと手を叩き、カンウの操縦桿を強く握りしめた。それと同時にカンウはその右手で
地面に転がっていた岩を握りしめ、それを後に走ってくるコング目がけ、サイドスローのフォームで
思い切り投げつけたのだ。プロ野球選手顔負けの超高速で岩は飛び、そのままコングに直撃した。
超高速で飛んで来た岩の直撃を受けたコングの装甲は大きくへこみ、そのまま倒れ込む。
コングとてその重装甲から、恐らくゾイド、パイロット共に生きているだろう。しかし、今のマオにとっては相手を行動不能にさせるだけで十分であった。
「何―――!!?今時投石だと!!?アイツは頭でも狂ったのか!!」
「はぁ!?あんたらバカじゃないの!!?飛び道具の歴史の始まりは投石なのよ。あまり投石をバカにしない方がいいよ!!」
マオの投石攻撃に焦りながら言う帝国兵士に対してマオはそう叫び、さらにその帝国兵士の乗る
レッドホーンにも投石をお見舞いした。確かに飛び道具の歴史は投石から始まった。まだ人間が
大した武器を持っていなかった頃は地面に転がる石こそが強力な武器であった。その後、弓矢、
銃、大砲、ミサイル、ビームと発達していくのであるが、そのような事はこの際どうでも良いのだ。
マオはこの投石攻撃で帝国ゾイドを逃げながら次々に行動不能にするだけでなく、飛んでくる砲弾や
ミサイルなどに対しても投石で撃ち落としたりと色々やっていたが、それでも帝国ゾイドの数は多く、なおも追いかけてきていた。
「ったくキリがないわね〜…。ん?」
マオがそう愚痴をこぼしていた時、前方より数キロの地点の地面に崖がある事に気付いた。さらにその崖の向こう側は恐らく数百メートルは楽にあるだろう。
「これだぁ!!ってさっきも言ったけど…、とにかくこれを利用してきゃつらをまいてやる!!」
マオはそう叫んでその崖へとカンウを走らせた。さらにスピードを上げて…。
「アイツ今度こそ頭が狂ったか!!?そこを走っても崖があるだけだぞ!!挟み撃ちにしてくれる!!」
帝国兵士達はそう叫んでカンウを追いかけた。しかし、マオには考えがあった。
「ホホホホ、おバカはそっちよ〜。というワケで、出力全開+ギガスパワー発動大ジャ――――ンプ!!!」
マオがそう叫ぶと同時にカンウが跳んだ。カンウは巨大ゾイドとは思えぬ想像を絶する跳躍力を
発揮し、数百メートルの崖を一気に飛び越えたのだ。ちなみにギガスパワーとは
ライガーゼロフェニックスのフェニックスシステムをギガ向けに応用したオーバーブースト機構で
ある。コアブロックスをギガのコアと共振させることで出力を増幅させ、ギガのコアに大した
負担を与えずに通常のギガを遥かに超える大出力を発揮することが出来るのであるが、ギガのコアが
元々高出力過ぎるために共振させるコアブロックの方が長時間の使用に耐えられいなどの欠点も
存在する。とにかくこれによってカンウは数百メートルの崖を飛び越えたのだ。飛び越えた直後、
マオは素早くギガスパワーを解除する。よけいなエネルギー消費は禁物だからである。
「そんな馬鹿な!!あれを飛び越えるだと!!?ってうわぁぁぁぁぁぁ!!!」
カンウを追いかけていた帝国部隊の先頭にいた数機はそう叫びながら崖へと転落していった。
「やっぱりおバカはそっちだったね〜。というわけでバイバ〜イ!」
マオはカンウごと崖の向こう側で唖然とする帝国ゾイド達に手を振ってさよならの挨拶をすると再び走り出したのであった。
「………………。」
帝国部隊はやはりただただ唖然とするだけだった。
デルポイ大陸、ネオゼネバス帝国首都。
この町のある場所で、軍の高官達が極秘の会議を開いていた。
「今が絶好の機会です…西方大陸の共和国軍は必ずや脅威となる存在、この嵐に乗じて計画を実行するのです!!」
「激しく同意する。このままでは挟み撃ちになりかねない…」
高官達の中でもトップにいると思われる男が、静かに口を開く。
「では、すぐにでも『西方大陸残存共和国軍殲滅作戦』を実行に移すという事でFAか、諸君?」
全員が頷いた。彼らが部屋から出て行く時に、一人が呟いた。「皮肉な物だな…数年前は共和国軍が西方大陸の帝国軍を
殲滅しようとしていたというのに、今度は立場がまるっきり逆だ」
その日の内に、ネオゼネバス帝国軍約30個師団が出撃の準備を整えた。恐るべき早さ。作業と情報伝達に
殆ど無駄が無いという事なのだろう。
約3万機のゾイドが輸送艦に搭載されていく。空はホエールキング、海はドラグーンネストにレヴィアタン。
西方大陸に残存する共和国の兵力は60個師団、戦闘ゾイド約7万機。数で見れば帝国が不利に見える。
だが、帝国軍とて何も考えていないはずも無い。指令を出した高官たちは実際自信満々の様子だった。
まるで、新しいおもちゃを手に入れた子供のような顔だった。
帝国は徹底的にこの作戦を隠していた。その為、共和国はこれ程の大規模攻撃を全く察知できなかったのだ。
大型台風の影響で、海は荒れている。だが、それは好都合でもあった。この天候ならストームソーダーやサラマンダーは
出撃できない。そうなれば、ザバットやキメラなどの無人ゾイドを有する帝国側が有利だ。
それが、狙いでもあったのだが。
無論、西方大陸のネオゼネバス軍にもこの作戦は伝えられていた。本隊が上陸次第、加勢する予定だ。
シエル達は、予想通りクビは免れた。やはりこっぴどく怒られたが、この作戦がある以上戦力を欠くわけにはいかない。
「殲滅戦…ですか…正直、嫌な役回りですね」雨が降り続く外壁を見下ろしながら、シエルが呟いた。
セイスモサウルスのパイロット、バーシアス・ソードが横に並んでいる。
「嫌な役回り、か…誰が喜んで戦争などするものか。おまいさん、ちと甘すぎると思うぞ。
確かに戦争を早く終わらせたいと思うのは間違いではない。できるだけ人を殺さないというのも間違っちゃいない…
だが、おまいさんは『目的の為の犠牲』という物を知らなければいかん。理想だけでは駄目なのだと、知らねばならん」
バーシアスはもう60歳を超える老兵だ。旧大戦の経験者という事もあってか、その言葉には重みがある。
シエルだって、何でも自分の理想通りにいくとは思っていない。犠牲、あるいは代償が必要な事ぐらい解っている…
「それでも、私は…とことん理想を追い求めたいと思うんです…」バーシアスが溜め息をついた。
「いいのお…若さゆえの無鉄砲さという奴か…ワシにもそんな時があった…」
シエルは戦場で会った少年に思いを馳せた。「また、彼に会えるでしょうか…」
もう一度時間はさかのぼり…帝国軍調査隊設営臨時基地。
「おい!まだ壁は破れないのか?それにこの瓦礫の山は何だ?」苛立ちを隠せない現場指揮官カイエン=ミシマ少尉は思いっ切り瓦礫の山を蹴る。
「うわっ!危ないじゃないです…わ〜…。」瓦礫の山が崩れ作業をしていた工兵が彼の真上に落ちて来る。
カイエンは素早く工兵を抱き留める…「すまん!このとうりだ!」両手を合わせて謝る。
「少尉!無茶は無しですよ…。」そう言うと工兵は作業に戻って行った。「少し現場を開けるから後を頼む。」そう言うとその場か立ち去って行った。
「おい!自爆王!あれは何だ!?作業の邪魔だし彼処には何が有った?」上官であろうと有無を言わせぬ勢いで素の巨体がファイン達に近付いて来る。
丁度イグアンヘビーガンナーを元に戻して別の機体にミズホを乗せようとしている所だった。
「う〜ん…どれが良いかなぁ?」そう言いながらミズホは機体選びに必死だったがカイエンの影に自分がすっぽりと収まっている事に気付き慌てて後ろを振り返る。
「お〜新入りさんのミズホ=浅葱特別中尉殿でありますか?私はカイエン=ミシマ少尉で有ります!」
今度は上官に接する態度で自己紹介している。「自分には無しでありますか…。」今更何を言っても無駄に終わりそうな雰囲気に流され何も言わない事にするファイン。
「あそこは殆どが人員用で入り口で24部隊のサイズのゾイドしか出入りできませんよ。」大きく息を吸ってミズホは更に説明する。
「おかしい事なんだけど…大型エレベーター以外ゾイドの出入りが出来無いんですこの施設。」
それを聞くとファインとカイエンは顔を合わせて?の文字を頭に浮かべる…しばらくして二人は同じ結論に至り、「それだ!」と同時に叫ぶ。
”それ”とは一体何の事かミズホには解らなかった。実戦経験の差から彼女にはまだ解らないので二人にミズホは”それ”の事を聞く事にした。
「”それ”って一体何?」質問をするミズホにカイエンは答える。
「出入り口がまだ何処かに有ると言う事であります。緊急用か特定の仕官のみに教えられた抜け道等種類は多いですが…。」
「あ〜〜〜!!!それってこの先2kmぐらいに有る穴じゃ…。」
「”それ”だぁ〜〜〜〜!!!」二人はもう一度叫ぶ。「耳元は勘弁して〜…。」ステレオ音声で二人の雄叫び?を聞いたミズホはへなへなと地面に座り込んでしまった…。
「うるさいぞ!貴様等!」血相を変えて走り寄ってくるアービンにこの事を報告すると…
「何だと!?急げ!敵襲が有るやもしれん!奇襲に備えろ。」この一言で基地は一気に臨戦態勢に入る。
しかしピットフィーンドの襲撃の前までは全く敵の気配は無い。「肩透かしで済んだか?」アービンの頭からは不安が離れる事は無かった…。
少しでも戦闘経験を積ませたいアービンはファインとシュミットに演習をさせる。
「全くなんで自分が…。」結局解析は終わらぬまま愛機”アナイアレイター”に乗り込む。
今回は装甲を外し元のロードゲイルにした後に左手にリニアマグネイズソード形態のマグネイズピアとソードレールキャノンを接続した状態で発進する。
「そう言わずに…付き合ってくださいよ中尉。」シュミットはグレーターデーモンに乗り込みやはり発進する。
硬度3000mで対峙しそのまま500m程間合いを開ける。
「いいか!あくまで演習だが敵襲に備えて弾薬の類はしっかり実弾が入っている。熱くなって”潰し合い”何て事はするなよ!」
「了解!」結局この演習は”バックスタック”で行う事に成り双方相手に背中を向けアービンの掛け声と共に演習は開始された。
2機の悪魔が青空を駆け巡る…その動きは捕らえる事はその当事者達にしか無理だろう。
そのぐらいに下で見ている者には二つの影が消えたり現れたりと見える様に飛び回っている。部隊恒例のギャンブルも始まり下の方も熱く成り始めていた。
「俺はシュミットに300!」「それなら私はファインに2000と行こう。」「大佐!それは無いですよぉ〜」
森を警戒しながらアービンもギャンブルに参加をし部隊が熱く成り過ぎない様に釘を刺してからその結果を待っていた…。
何だよ硬度3000mって?高度だよ…。その巨体も素のとか成ってるし_| ̄|○
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”バックスタック”は空戦を想定した演習でゾイドは戦闘機とは違い速度を一定にして有れば戦闘機とは比べ物にならない立体的且つ不規則な移動を空中で可能にしている。
それを利用して相手の後ろに回り込み格闘戦の距離でロックをすると1点、ここまでは戦闘機で行う訓練と同じ(実際はミサイルのロックらしいです)だがバックスタックはここからが本番なのだ。
その後ロックした機体が30秒ロックをする事が出来ればそのまま点数が手に入るが逆に30秒以内に相手に背中をロックされると”スタック”が乗りスタックをした者に1+スタック/点が手に入る。
つまり終了までに何度逃げきるか?スタックを載せ続けられるか?が勝利へ繋がるのだ。
先手をシュミットが取る。「始めましょう!中尉!」「了解!只今よりバックスタックの状況を開始するであります!」試合が始まりグレーターデーモンがアナイアレイターを捕らえる。
しかしロックも束の間10秒も経たない間にファインにスタックを乗せられる。「速い!何時の間に…。」残り30秒だ。その間にロックをし返さないと2点を取られる。
実力は兎も角キメラでの空戦経験は明らかにファインが上回る。このままだと2点のリードを残したまま張り付かれて終了に成り兼ねない。
「ふふふ…まだまだでありますねぇ〜シュミット君。」火に油を注がれるような挑発…シュミットは挑発に乗ってスタックを乗せ返す。しかしまたスタックを乗せ返されて4点の状態になった…。
下の計器ではスタックの回数と現在の点数が表示されている。「4対6か…シュミット!気合いを入れろぉ〜!」届く筈の無い応援をしている者も居る。
「そのまま乗せ続けろ!ファイン!」彼にも応援が送られる。実際には下馬評は圧倒的にファインが有利でありシュミットは穴、引き分けが大穴と為っている。
大抵倍率はこの形になるがその他にもダブルスコアや無効試合に掛けている者まで居る始末だった。
計器上4対6となっているが実際は30秒ごとに更新され自分の乗せたスタックの数が表示から消え実際の点に加算される事で始めて点を取った事に成る。
30秒が過ぎファインに6点が入る。シュミットはまた点の取り直しとなる。「やられた…。取り返して更に点を取ろうとしたけど欲を掻きすぎたか?」
今度はファインがロックを掛ける。「さあ!どんどん行きましょうであります!」第2ラウンドの開始である。
「よし!4点!」何とかファインから4点を取る事に成功するが突然アナイアレイターの動きががらっと変わる。
「これからは本気で行くでありますよ…くくくく…。」シュミットはその一瞬で何が起きたのか解らなかった。
次の瞬間自分がロックした状態になり直ぐさまファインがスタックを乗せた状態になったのだ。
「な…?そんな馬鹿な…。」シュミットは天才と呼ばれる程の才能を持つ。大抵の機体を平均以上の力で乗り熟し相性の良いゾイドならクラスが上の機体でも悠々勝利できる。
しかし今の一瞬に起きた出来事に反応できなかった事実だけが残る。「無敗の帝王を舐めて欲しくは無い…。」何時の間にかスイッチまで入っているファインに恐怖する。
「しかし!負けたくない!」意地になってスタックを乗せ返すがもうスタックは乗せ返されていた…。
「あ〜あ…意固地に成りやがってファインの奴。終わったな。」このトリックは格闘攻撃に置けるロック範囲の広さからぎりぎりでロックされる場所に移動しロックさせる。
直にブレーキを掛け相手の後ろに回り込みロックし返すこの技能は非常に有効でファインは偶然ストームソーダーと戦闘になった時もこの方法であっさりストームソーダーを撃墜している。
その際は更にえげつ無く進行方向にマグネイズスピアを切り離して置いたのだが…。
スタックを相手に乗せさせられて更に乗せ返される…既に点数は20点に届いていた。
「!」そのトリックにようやく気付いたシュミットは同じくブレーキを掛け減速。
高度が10000mから2000mになるまで必死にブレーキの調整をして21点をファインからもぎ取ったのである。
「無茶をする…でも楽しく成ってきたぞ!」完全に何かが降臨したファインと20分の激闘の末30対30の引き分けになり演習は終了する。
それからカンウは目的地へ向けて走り続けていた。先ほどの帝国部隊もあの崖のせいでこれ以上の
追撃は出来ないだろう。そうでなくても時間稼ぎくらいにはなるはず。とそう思った時だった。
自らの後方地平線の彼方から何かが近づいてきていた事にマオは気付いたのであった。
「な!!何この速度!!時速600キロを超えている…。600キロ…まさか…。」
マオはカンウを止め、後ろを向いた。その後方からはもの凄い速度で何かが自分に対し疾走してくる。
これだけの速度になればとても逃げ切れない。ならば倒すしかない。マオはそう考えたのだが…。
「ってあぁぁぁぁぁぁ!!!!何かと思えばこの間のドラムカンライガー―――――!!!」
ズガガガガガガ!!!
マオがそう叫ぶと同時にそれはもの凄い勢いですっ転んだ。
「な…何だと…エナジーライガーが…ど…ドラムカン!!?というか何で知ってるんだ!!?最近ロールアウトしたばかりだと言うのに…。」
後方からカンウを追撃してきたそのゾイド。エナジーライガーに乗るサンダース=ヴォルト中佐はそう叫んだ。
マオにとってエナジーライガーは初めてみるゾイドではない。エナジーライガーがロールアウトする
以前に、その昔、ゴジュラスがロールアウト前のサーベルタイガーを強行偵察したのと同じ要領で
エナジーライガーを強行偵察した事があったのだ。その時のマオの第一印象はその背中に装備された
ドラムカンだった。つまりエナジーチャージャーがドラムカンに見えたと言うことである。
「やーやー。そのドラムカンライガーが私に何のようかな?」
「これはエナジーライガーだ!!」
マオの煽りにサンダースが怒ってそう言う。あえて相手の悪口を言って冷静さを欠くのはマオの多用する作戦であった。強いクセにセコイ女なのである。
「あ!!誰かと思ったらあの時町で不良に絡まれてた時に突然やって来たおじさんじゃない。」
詳しくは前の方を読んでくれればいいが、同窓会に出席するために町にやって来たはじめの頃に
不良に絡まれていた所を謎の大男=サンダースに助けられていたという事があったのだ。
「何だ?礼でも言いたいのか?」
サンダースはゆっくりとした口調でそう言う。
「あんな余計なことしなくたって私ならもっとはやく全滅させれたのに…。」
ずげげげっ
サンダースはエナジーライガーのコックピット内部で思い切りすっ転んだ。
「もういい…。もうお前は死ぬのだから好きに言わせておいてやろう。」
「わ〜月並みなセリフ。」
そう言って冷静さを取り戻したサンダースは再びエナジーライガーごと構えた。マオの言葉は無視。
次の瞬間。エナジーライガーがカンウ目がけて大きく踏み込んだ。ドンという音を共に大量の砂埃を巻き上げながらエナジーガ跳んだ。速い。その速度はゼロに2倍以上だった。
「きゃぁぁぁぁぁ―――――――!!!!速すぎぃぃ――――――!!!」
マオは思わずそう叫んだ。それだけエナジーは速かったのだ。しかし、カンウはどうにか横に跳んで
エナジーの攻撃をかわした。これだけの速さと勢いならば方向転換に時間が掛かる。そのスキに
バスターキャノン後ろから撃ち込んでやろう。そうマオが思ってゆっくりとカンウの方向を
転換した直後、なんと間髪入れずにエナジーが再び突っ込んできたのだ。
「ってきゃあ―――!!速すぎ―――――!!」
次の瞬間。エナジーライガーの背中のエナジーウィングがきらめいた。マオは思わずカンウを
追撃モードへと変形させた上でしゃがみ込ませ、エナジーウィングの攻撃をかわしたが、
背中に装備された右側のバスターキャノンの砲身がスッパリとキレイに切断されていた。
「こ…怖ぁ〜…その羽…ブレードにもなるんだ〜。」
そう半分ビビリながら恐る恐る言うマオの目から涙がちょちょびれていた。
「どうしたどうした!!そんな泣き虫ちゃんでよくグリーンデビルなんて呼ばれてるなぁ!!」
サンダースが再びそう叫ぶと同時にエナジーライガーがカンウに向けて再び跳んだ。
それと同時に脚部側面に装備される2連チャージャーキャノン&チャージャーガトリングを連射した。
「わ!!わ!!わわわ!!!」
マオはそう叫び、カンウは両腕で顔面をガードした。それと同時にもの凄い数にも及ぶ
高出力エネルギー弾がカンウの直撃した。貫通はされていなかったが、カンウの装甲表面の所々が微妙に炭化していた。
「ええい!!痛いじゃないのよ!!」
間髪入れずに突撃しようとするエナジーライガーに対してカンウの背中の残る左側のバスターキャノンが火を噴いた。
「おっと危ねえ。流石にこれを食らってはタダではすまんからな。」
サンダースの余裕のあぶれる言葉から分かるとおり、エナジーは苦もなくその砲撃をかわしたので
あった。そして、かわすと同時に再びカンウへと突撃し、今度はカンウの左腕に噛みついたのだ。
エナジーの牙の強度、そして噛む力など、全てがゼロなど従来の高速ゾイドを上回る物だった。
「この!!!」
マオがそう叫ぶと共にカンウが吠えた。そして左腕に噛みつかれたままエナジーを強引に
投げ飛ばしたのだ。エナジーの牙はカンウの左腕から離れ、宙を舞った。しかし、エナジーは
空中で素早く体勢を立て直すと同時に楽々と着地したのだ。なんという身のこなしであろうか。
そして、カンウの左腕にはエナジーの牙の後が生々しく残っていた。
エナジーライガーはただスピードが速いだけのゾイドではない。直線的な速さだけでなく、
その旋回性能もゼロなど既存の高速ゾイドを遥かに超えている。さらにその速度を持ったゾイドを
苦もなく操るパイロットであるサンダースの腕は並ならぬ物があった。
「どうした?グリーンデビルってのはこの程度なのか?こんなヤツにスケルトンは何で負けたんだ?
それともこのエナジーライガーとオレのコンビがお前よりも強いのかな〜?」
サンダースはそう言って笑っていた。
「スピードもパワーも火力も何もかもがゼロの比じゃない…何でアンタのゾイドはそんなに強いのよドラムカンのクセに!!」
マオは半泣き状態でそう叫んだ。
帝国の艦隊が港を出た所で、共和国首脳陣は自分達の愚鈍さをありありと見せ付けられた。
「クッ…何故今の今まで気付かなかったんだ!!」すぐに、即興の防衛線が敷かれる。だが
圧倒的な数のキメラやザバットに加えこの悪天候でサラマンダーやストームソーダーが出撃できない。
初めから、共和国の敗北は目に見えていた。
大艦隊がロブ基地に迫る。当然帝国は本土から最も近い拠点であるロブ基地を最初に落とすつもりだったのだ。
ロブ基地では緊急会議が開かれていた。会議室には名だたる将達が集まっている。
「我々に勝ち目はありません…撤退し、戦力を立て直してから反撃に出るのです!!」
「しかしな…撤退するだけの時間も無いのだよ。もし撤退するなら時間稼ぎに残る者が必要になる」
「…撤退させた兵達はどうするのですか?ロブ基地と同等以上の大規模な基地はそうありませんぞ?」
「ならば、ニクシーが妥当かと」この結論に皆納得し、そういう事になった。
ロイはあの後回復していた。無論アルティシアの説教を小一時間受けたが。
そのアルティシアが、ロイと生き残った仲間を自室に呼び出した。いつに無く真剣なアルティシアの表情を見て
全員が「何か重大な事だ」と悟った。
「もう聞いてると思うけど…帝国軍の大艦隊がロブ基地に向かってるの」
ロイは具体的な規模は聞いていなかった。「で、連中の兵力は?」
「およそ30個師団…戦闘ゾイド約3万機」
アルティシア以外の全員が驚愕した。「30個師団!?基地攻略の兵力にしては大規模過ぎねえか!!?」
「いい勘ね。連中はロブ基地を落としたらそのまま西方大陸の共和国軍を殲滅する気よ」
「で、俺達をここに呼び出したのはなんか関係があるわけ?まさかしんがりで防衛しろとか言わないよな?」
アルティシアはごく自然に「ビンゴ。他の幾つかの部隊と共に最後尾を守って欲しいの。その後で
全員ニクシーに行って、体勢を整える」と言った。ロイは苦笑した。
「しんがりだって…?『自殺任務』と呼ばれるような事を俺達にやらせるのか?」
「安心しなさいって。私も同行するんだし、ニクシーまで大した時間は掛からないわよ」
この時全員が思っただろう。「どうしてこんなに楽観的になれるのか」と。
基地内に警報が鳴り響く。「さあ、もうそろそろやばいよ?…総員、ゾイドに乗り込んで表に出なさい」
部屋から出ると、慌しく共和国の兵士達が走り回っている。窓の外には既に発進しようとするホバーカーゴ、
ネオタートルシップが見えた。「…間に合うのか、こんなんで」
だがその時、格納庫から出てくるゾイド達が居るのに気付いた。輸送艦に収容される訳でもない。
「…ああ、基地に残って防衛する奴らか」確かに、上陸する際に引き止めておかなければならない。
海岸線に突貫工事の防衛線が張られている。ロイはそれを尻目にディアブロタイガーで基地を出た。
「じゃあな…あんたら、軍人の鑑だぜ…」
本隊が出て行った後のロブ基地に、約300機のゾイドが残っていた。
単純計算で敵の数は100倍。勝ち目があるかどうかなど言うまでも無い。
それでもなお残って戦う彼らは、何を思っていたのだろう。
やがて、帝国の大艦隊がロブ基地に近付いてきた。「来たか…!!みんな、我々は時間を稼ぐ事が目的だ!!
残弾を残すな…全力を以って、奴らを足止めするんだ!!」
最初に襲い掛かってきたのは、空を埋め尽さんばかりのキメラブロックスだった。
フライシザースが、ディプロガンズが、基地を守る共和国軍に襲い掛かる。
「キメラには必ず指令機が居るはずだ!!そいつを探して撃破しろ!!」防衛隊の隊長が叫ぶ。
彼が乗るゾイドはシャイアン。ゴルドスの改造型だ。キメラをコントロールする電波をキャッチできれば、
その場からバスターキャノンで攻撃できる。「早く…指令機はどこに居る!?」
レーダーが反応を示した。洋上艦隊の上に数機のディアントラーが密集している。
「そこだ!!長距離砲撃のできる者は艦隊を狙え!!」ゴジュラスMk2、シャイアン、ガンブラスターなどの
重砲が一斉に火を噴いた。輸送艦が丸々一隻沈没する。
だが、キメラには変化が見られなかった。「…まさか!!気をつけろ、奴はフェイク…」
その時彼は見た。ロードゲイルと、それを守るようにホエールキングから現れた白いデスザウラーを。
見た目は普通のデスザウラーと変わらない様に見える。だが、何かが違う。
「…とにかく!!あのロードゲイルを撃破しろ!!」共和国ゾイドの砲塔が空に向けられる。
キメラに加えザバットの爆撃も降り注いでいる。予想以上に早く全滅に追い込まれそうだ。
別にいい。元々生き残る望みは無い。ライガーゼロパンツァーのミサイルが、ゴジュラスMk2のバスターキャノンが、
続けざまに火を噴いた。だが…
目標のロードゲイルは数え切れない砲火を全て回避し、攻撃の届かない上空へと逃げた。
「くっ…信じられんスピードだ!!まるで通常の3倍(ry」共和国軍は空戦用ゾイドを配備していない。
もはやロードゲイルを撃破する術は無いかに思われた。確かに、彼らだけでは落せなかったであろう。
しかし、基地後方より飛来した12発のミサイルがロードゲイルを的確に仕留めた。驚き、振り返る共和国兵達。
ロブ基地の向こう側に、微かに赤いゾイドが見える。「ジェノブレイカーか…?いや、あんなミサイルは搭載していない…」
謎のゾイドから通信が入った。「私にはこのくらいしかできん…健闘を祈るぞ、共和国の勇者達よ」
機首を転じた赤いゾイドは、数秒で地平線に消えた。
「…予期せぬ事ではあったが、これでキメラはもう恐れる事は無い!!」
確かにそうだった。フライシザース等が空中で同士討ちを始めている。
「さあ、まだ時間は稼げ…」その瞬間彼のシャイアンは光の中に消えた。
結果は引き分け…殆どの者が外れを引いていた中大穴を占しめ隊員から掛け金を巻き上げている者が一人。
「う〜ん大漁ですぅ〜。」ルディアだった…。「少佐〜それは無いですよ〜!!!」回りから嘆きの声が聞こえてくる。
そんな者等を意にかいす事無く掛け金を徴収していく…その表情には至福の時と言わんばかりのほくほく顔だったと言う…。
「2000だ。そろそろ解散させろ少佐。」アービンは掛け金を払いながらルディアに命令する。「りょ〜かいしましたぁ〜。」
嬉しそうに集まった人集りを解散、元の持ち場に戻していくルディアであった。
まだ上空5000mの地点で旋回飛行している二人の機体。「シュミット君…よくあれの正体を短時間で見極めましたね。飛行訓練は成功であります。」
「えっ!?もしかして…?」シュミットは表情を曇らせる。「そうでありますよ。そのまさかであります!」担がれたのだ。
シュミットの訓練に託けて始めから賭け試合のバックスタックをする様にアービンはファインに命令していたのだ。
「時間を有効に使うという事でありますよ。実際あれを見破られるとは思いもしなかったのでありますが…。」
モニターに映るファインの顔は少し悔しそうだった。それもその筈本来は大差で勝ってアービンが一儲けすると言うシナリオの元勝てば1/10を報酬として受け取る筈だったのだ。
しかし結果は引き分けもうけは無しの上アービンの小言を貰うことも確定している。ルディアの冷やかしも加わってストレスが溜まるのもまた確定だった。
「ちょっと待って下さい…?中尉!森が動いています!何かが此方に向かって来ていますこれ以上の増援は無い筈です。」
「了解したであります。…聞こえますか?アービン大佐。このまま偵察飛行に入るであります。結果が解り次第報告するので後はよろしくお願いするであります。」
「解った。無茶はしない様にな!特に昨夜の様な事は絶対にな!」ドスの利いた声でファインに釘を刺す。
「…シュミット君!行くでありますよ。」2機の機影が森に阻まれ消える。空も赤みが増し夜のとばりが降りそうな時刻に成っていた…。
その場所に急行するファイン達。森は何か重たい物がうごいている時特有の揺れ方をしている。
「このサイズは…中尉?もしかして見逃したって言う…。」「マッドサンダーでありますね間違い無く。」
二日目の戦闘でコクピットと指令スペースを破壊した者に間違いは無いだろう…。
しかし二日という短期間で回復する訳が無い。となれば答えは一つ本能で動いているのだ。
「これはこれは厄介でありますね…。」「と言うより誰も回収しなかったみたいですね…。」シュミットは言う。
普通ならここまでのゾイドなら回収しているだろうと彼等はたかを括っていたのだがどうやら回収されていなかった様だ。
接近して森に降り立つ2機の目の前には既にマッドサンダーが居た…。「!?」「嘘だ…!?そんな筈…。」
マッドサンダーは驚く二人の機体を全く無視して一直線に基地に向かっている。慌てて踏み潰されそうになりながら足を避ける。
がやはり彼にとって2機のキメラはお呼びでは無い様だった。
速度を上げマグネーザーを回転させ始める。破壊した筈のハイパーローリングチャージャーは傷跡こそ有るが殆ど再生していた。
「アービン大佐!マッドサンダーです。連絡した筈なのに誰も回収していなかったのでありますかっ!!!」通信機に向かって叫ぶ。
「何だって!?そんな話は聞いていないぞ!?」「えっ?」「そんな筈は…中尉以外にも自分と少佐が定時連絡で報告した筈です!」
「…多分ジョークだと思っていたんだなそいつは。」アービンはそう言うとため息を付く。
「それに信じられない再生速度で破壊したハイパーローリングチャージャーを修復しています!危険です直に退避を…。」
その通信に割って入ってくる声が一つ「ならば私が迎え撃とう。デスザウラーSTを出す。」
「…その声は?もしかしてラインハルト=エーアスト少将閣下でありますか!?」驚きを隠せず裏替えった声で言うファイン。
「うっ家の爺さん!?道理で聞いた事の有る声だと思ったら…。」シュミットはとぼけた事を言う。何故かこう言う事には鈍感だと思っては居たがそこまで行くのか?
そうこのやり取りを聞いていた者は思っただろう…。
ラインハルト=エーアスト…彼こそがゼネバスの騎士と呼ばれた前大戦のエースその中でも伝説的なデスザウラー乗りとして語られた程の男だった。
「あの〜何処で合流したのでありますか?確か教官業務をしていたと聞いていたのでありますが?」
「爺さん…何時の間に…?」二人が言うのも無理は無い。「ははは…化け物が出ると聞いてなまさか昔発掘してからまた埋めた物かと思ってな。」
咳払いして「それでアービン君に頭を下げて頼んだのだよ。頭数合わせには成ると言ってな。」モニター越しの彼はウインクする。
「そう言う事だ。かつて果たせなかった悲願…今こそ叶えさせて貰おう!手出しは無しで頼む。」
「了解したであります!」ファインはそう言うとマッドサンダーと速度を合わせる様に後方上空にぴったりと張り付く。
「待って下さい!中尉!」シュミットも後に続く。「一人で大丈夫かな?」そう言うシュミットにファインはこう言う「たまには自分の家族ぐらい信用したらどうでありますか?」
「そっそうですね…。」シュミットは心配ながらもラインハルトにマッドサンダーを任せる事に同意した。
デスザウラーSTは一気に森に賭けていく…4本のバスタークローと2機のフリーラウンドシールドは新品に取り替えられている。
「やっと会えたな。我が宿敵よ…アルビオンの借りは返してもらうぞ。」かつての愛機の名を唱え精神を集中させる。
今回の対戦は大口径荷電粒子砲と反荷電シールドの出番は無い。双方共決め手の欠ける勝負。実力か闘争本能か?何方が上かが全ての決着になる。
マッドサンダーはデスザウラーSTを視認すると猛烈な勢いで突撃する…デスザウラーSTは自慢のフットワークで攻撃を躱すが間合いが大きく開き手を出せない。
今度はデスザウラーSTがバスタークローをマッドサンダーの背中に向けて突き刺すがこれも外れる。その巨体で急旋回と言う荒技をやってのけたのだった…。
「まあいい!!冥土の土産として教えておいてやろう。貴様がドラムカンと呼ぶ物は
エナジーチャジャーと言ってな。空気中に存在すると言われる未知の超エネルギーと呼ばれる
タキオン粒子を吸収しエネルギーへと変換させる。そのタキオン粒子から発生したエネルギーが
常識を超えたパワーを生み出す。それがこのエナジーライガーの力の秘密なのだ!!しかし、
それだけではない!!エナジーライガーの性能を100%引き出すこのオレ自身の腕と極限にまで
鍛え抜かれた動体視力!!このオレの動体視力が高速移動中であるのにも関わらずに正確な攻撃を
可能とするのだよ!!」
彼は自身を持ってそう言った。彼は自らのテクニックだけでなく、その動体視力においても優れた
物があった。その優れた動体視力が敵の動きを見切り、さらに自らが高速移動中であっても正確な
攻撃を可能にする。彼が雷神の異名をとった要因はそこにあった。
「へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜!!滝廉太郎がこのゾイドの力の秘密っと…。」
ずげげげげげ!!
先ほどまで泣いていたとはとても思えないほど平然とした表情に戻ったマオがメモ帳にメモを
取りながらそう言うと同時にサンダースはエナジーライガーごとすっ転んだ。
「滝廉太郎じゃねえ!!タキオンだ!!タ・キ・オ・ン!!お前が言っているのは地球の昔の作曲家の名前だろうが!!」
「そんなの知ってるわよ。わざと言ってるのに気付かないの?」
「な…………。」
先ほどとは打って代わって余裕の態度を示すマオの言葉に今度はサンダースが怒りだした。
「貴様…まだ自分の置かれている状況が分かっていないらしいな…。地獄へ強制送還してやろうか?」
エナジーがエナジーウィングをきらめかせ、再び跳んだ。狙うはカンウの首。エナジーチャージャー
から発せられるタキオンエネルギーをエナジーウィングに展開しブレード化させ、さらに時速
660キロを超える超高速でカンウに向けて突進した。この速度はいかなる高速ゾイドでも回避不可能なくらいにまで正格であった。
ガギィィィン!!
次の瞬間、広大な広野に重金属のちぎれる音が響き渡った。
「フ…決まった!!ヤツの首はエナジーチャージャーによってスッパリとキレイに切断され、
その首は体から命ごとバイバイだ。ハーッハッハッハッハッハ!!泣く子も黙る
この雷神のサンダースの恐ろしさを思い知った時は既に手遅れだったということだな!!」
勝利を確信したサンダースはそう叫んだ。それに呼応するかの様にエナジーライガーも咆哮した。
「ちょっとまってよ雷神のサンダースなんて聞いた事無いわよ!!」
ずげげげげげげ!!!
その声はマオの物だった。まるで何事もなかったかのようにマオがそう言ったのだ。それに対し
サンダースとエナジーはまたもやすっ転ぶ。
「わぁぁぁぁ!!!さては死んでも死にきれず、この世に残留しているんだな!!?迷わず成仏しろぉぉぉぉぉぉ!!!」
「何とぼけた事を言っているのよ!!私は生きているわよ!!」
マオがそう叫ぶと同時にサンダースがカンウの方を見るとカンウの首は何とごともなかったかの
ように普通に繋がっていた。
「そんな馬鹿な…。あの速攻の一撃をかわしたというのか…。」
サンダースの頭から一筋の汗が流れた。
「ハイハーイ!!そんな貴方に問題です!!今カンウが口にくわえている赤い物は何でしょう!!」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
カンウの口にはエナジーライガーのエナジーウィングがくわえられていた。そう、カンウは
エナジーウィングの一撃を口で受けると同時にエナジーライガーから引きちぎっていたのだ。
そして、次の瞬間エナジーウィングはカンウのギガクラッシャーファングによって噛み砕かれ、単なる金属片と化した。
「正解者には、「ダンテ神曲地獄編永遠の旅」をプレゼント!!!!」
マオがそう叫ぶと同時に今度はカンウが跳んだ。とてつもない速さ。カンウの右の爪がきらめく。
エナジーは横に跳んでどうにかかわすが、片方のウィングをやられたせいでバランスが悪くなり、若干スピードが落ちていた。
「そのプレゼントはお前に払い戻すぜ!!せいぜい楽しんでこい!!」
サンダースが叫ぶと同時にエナジーライガーに装備された火器が再び火を噴いた。超加速された
タキオン粒子からなるエネルギー弾丸が高速で速射され、カンウ目がけて飛んでいく。が、
そのエネルギー弾はカンウに届く前の一歩手前で突然消滅した。
「最近使ってなかったから忘れてたけどだ〜。Eシールド持ってるのよね〜。テヘッ。」
「畜生!!さっき泣いていたのは芝居だったのか!!しかし何と泣き真似の上手いヤツだ!!あそこまでリアルな泣き真似は見たことが無え!!」
「ゴメン、アレはマジで泣いてた。私って自分で言うのも何だけど涙もろいって言うかさ〜…。」
「まさか…素でお前は泣き虫だったと言うことか…というかそのクセにそこそこ強いってのは
問題のような気が…。まあいい。どっちみちお前はオレに倒されることに代わりはない。」
サンダースは再び体勢を立て直した。一時は動揺していた彼も冷静さを取り戻したようで、
その言葉は落ち着いていた。さらに、残った左側のエナジーウィングを強制排除した。
強制排除したのはバランスが崩れるためである。そしていつでも攻撃できる態勢へと移った。
「なら私も…。」
その時、マオも何かをし始めた。突然カンウの両目のハイブリットセンサー、そしてカメラアイの
スイッチを切り、自らもアイマスクを付け始めたのだ。カンウの両目はたちまち光を失う。
「さあ何処からでも来なさい!」
「お…おい…そ…それで本当にいいのか?」
わざとに目が見えない環境を作って戦おうとするマオに対し焦りながらサンダースがそう言った。
「大丈夫大丈夫!心の目はパッチリ貴方の姿を捉えていますよ〜。」
「心の目だと…。ハーッハッハッハッハ!!漫画じゃあるまいし!!そんな物が本当にあるならば
この戦場は目隠ししたゾイド乗りでいっぱいになってるよ!!だがな、貴様がどんな動きを
しようともこのオレから逃げ切る事は出来ん!!なぜなら貴様の動きは既にこの見切っているからだ!!」
とりあえず書き込んだ後で安心したのもつかの間。
ここでとんでもないミスを発見してしまいました・・・
>>109の1行目の「エナジーチャージャー」は「エナジーウィング」の間違いです。
すんませんでした。
シャイアンを跡形も無く消し去った光は、あの白いデスザウラーから放たれた荷電粒子砲だった。
ゴジュラスがバスターキャノンを向ける。「発射直後の隙を狙えば…!!」
デスザウラーは荷電粒子砲を発射した直後数秒の隙ができる。ファンが止まるまで次の行動に移れないのだ。
だが、動きが止まるはずの数秒の間にまた荷電粒子砲が閃いた。しかも歩きながら荷電粒子砲を撃ち続けている。
「ば…馬鹿な!?荷電粒子砲の連射などありえな…」言い終えぬうちに、ゴジュラスが蒸発した。
この恐るべき機体の正体は、デスザウラーの強化型である「メガ・デスザウラー」と呼ばれる物だった。
背中の16連ミサイルポッドの代わりに追加の荷電粒子強制吸入ファンを装備し、これによりエネルギー供給速度が
爆発的に上昇。結果、歩きながら荷電粒子砲を撃ち続けるという未曾有の超兵器となった。
更にエナジーチャージャーの技術を応用し、余った荷電粒子を動力や各種小型兵器に回す事で
基本スペックも向上した。
今回の作戦においてこのメガデスザウラー、通称メガザウラーは約100機投入されている。
この作戦のもう一つの目的は、この機体を含む新型機の実験であった。
その後3時間もの間、共和国の兵達は帝国軍の猛攻に耐え続けた。
共和国軍は311機のゾイドと500人の兵員の内ゾイドは全機破壊、兵は476人死亡。残りは投降か行方不明。
対し帝国の損害はゾイド752機大破、兵員1129人死亡。共和国軍の健闘振りが伺える結果となった。
ロブを出てから2日。まだ帝国の追撃は無い。
「残ってくれた奴らのおかげで再編成が遅れてるんだろう…今の内に、さっさと安全圏に入りたいもんだな」
しんがりに回されたのは5個中隊。数としては少なすぎるが、しんがりがあまり多くても意味が無いので
これぐらいが適当なのだとか。
ロイの部隊は本隊から見て右後方を守っている。約束通り(半ば強制的に)アルティシアも一緒に居た。
現在アルティシアはゴジュラスMk3と呼ばれる珍しいゾイドに乗っている。ゴジュラスの亜種とも言われているが、
戦闘力、生命力などはゴジュラスの比ではない。OS無しでジ・オーガと同等以上の能力を発揮する。
「…ニクシーまでの道程をまた辿るとはな…まあ、今度は奴らも来ないだろうけど」
「はいはい、いつまでもこの間の失敗を気にしない!…まだレーダー範囲に敵は居ないわね?」
アルティシアが上空を飛んでいる味方に確認した。その味方と言うのも、ラガート・ノーティスである。
「ええ…1300km以内には入ってきてませ…あ、ちょっと待ってください。レーダーマップの端っこに
帝国軍の反応…しかも大軍ですね」ラガートは本隊の共同回線に繋いだ。
「第1次サーチエリアに敵軍確認!!もう少し急がないとレッドラストのど真ん中で追い付かれます!!」
「これでも急いでるよ!!これ以上スピード上げたら燃料が持たん!!」
エナジーが跳んだ。背中に装備されたエナジーウィングが無くなった事によって機体が軽くなり、
さらにスピードが増したのだ。そしてさらに彼の超人的な動体視力は正格にカンウの姿を捉えている。
それに対しカンウとマオはそこから一歩も動かない。サンダースにとってカンウの動きなど止まって
見えるだろう。そして、目にも留まらぬ速度でエナジーは右から躍りかかり、タキオン粒子の力で
ライガーゼロのレーザークローの数倍の威力を持つエナジークローでカンウの頭部の右側面に
叩き込もうとした。が、その時サンダースは我が目を疑った。カンウがフッとかき消えるかのように
超高速エナジークローをかわしたのだ。
「な!!何ぃぃぃ!!?」
避けられるはずがない攻撃をかわされたために、サンダースとエナジーは共に精神的な動揺が起き、
体勢を崩したのだ。しかし、彼も一流である。直ぐさま体勢を立て直し、そのスピードを生かして
一時現在地から離脱し、距離をとった上で再び攻撃に掛かろうと考え、エナジーは超高速で踏み込み、
一気に跳んだ。いかなる高速ゾイドをも上回る速度と勢い。が、その時突然カンウが側面に現れたのだった。
「うわ!!!」
サンダースの体から大量の冷や汗が流れた。次の瞬間カンウの右爪がエナジーの左脚部に装備された
エナジーガトリングを思い切り掴んだのだ。エナジーの逃げようとする力とカンウの引っ張る力が
合わさったことによって、もの凄い金属音と共にチャージャーガトリングは根本から引きちぎられたのだった。
「わっとっとっと!!!」
チャージャーガトリングを引きちぎられたためにエナジーは再びバランスを崩したが、どうにか
逃げ切り、カンウより数百メートル先の地点で静止した。
「そんな馬鹿な…。何でヤツにあんな動きが出来るというのだ!!」
サンダースは焦っていた。コックピットには彼の体から飛んだ汗があちらこちらに飛び散っている。
しかし、カンウの目は光を失ったまま。つまりカメラアイ&ハイブリットセンサーはOFFに
されたままだと言うことである。そして、マオ自身もアイマスクを付けたままであった。
「だから言ったでしょう?心の目は見えてますって。」
「ウソだウソだ!!そんな物は信じねえ!!何か仕掛けがあるはずだ!!何か…。」
笑いながら言うマオに対し、サンダースは思い切り怒りを表に現して再びエナジーでカンウに向けて
突撃した。エナジーガトリングがロストした故に重量バランスが右にかたよった状態であり、
若干速度は落ちていたが、それでもいかなるゾイドにもかわしきれるとは思えぬほどの速度であった。
カンウもまるで凍り付いたかのようにピクリとも動かない。エナジーライガーのエナジークロー、
頭部に輝く鋭い角。グングニルホーンがきらめいた。しかし…、エナジーの攻撃がカンウに
直撃する直前、またもやかき消えるかのようにカンウがエナジーの攻撃をかわしたのだ。
その直後、突然現れたカンウが背中に残ったもう一門のバスターキャノンを発射したのだ。しかし、
エナジーはその攻撃を楽にかわす。が、その直後、バスターキャノンから放たれた砲弾がまばゆい
光を放ったのだ。この光量は並ではない。まるで照明弾である。
「うわ!!!目が!!」
至近距離でその光を受けたサンダースの目は半ば目潰し状態となり開けられなくなった。
そして、間髪入れずに今度は右脚部に装備された2連チャージャーキャノンを掴み、思い切り引きちぎったのだ。
「うおぉぉ!!目潰しとは考えたなぁぁ!!」
「スタングレネード砲弾。貴方のお仲間さんが以前私に使った戦法を真似させてもらったのよ。」
スタングレネード砲弾とは早い話が強い光による目潰し弾であり、さらに、マオは以前の戦いで
その攻撃を食らって目潰しを受けていた。
「貴方の欠点は目が良すぎること。自分の動体視力が優れているからその目に頼ろうとする。
動体視力には限界があるし、目から捉えた情報が脳に伝達される際の極一瞬の誤差というのもある。
これは超高速で動いている状態では致命的だよ。それに、今みたいに目潰しなどでその目を封じられてしまったら貴方はそれでおしまい。」
「な…なんだと…。」
突然のマオのうんちくにどうにか目が開けられるようになったサンダースはそう言葉をもらした。
「それにね…。人間の目って言うのは正確に見えて案外当てにならない物なのよね。蜃気楼や
幻覚とかがそれよ。実際にはありもしない物が見えてしまう。でもね、私は違う。はじめから目に
頼ってない。心の目を信じる信じないは貴方の自由だけど、私は気配や空気の流れなどを読んで
貴方の位置を読んでいる。見るのではなく、感じるという事かな。」
「あ……………。」
サンダースの開いた口が塞がらなかった。だが彼でなくても同じく開いた口が塞がらなかっただろう。
マオの言った事。それは非理論的なことに他ならなかった事だったからである。だが、この世には
まだまだ科学では解明出来ない事が存在すると言うことも事実である。
「うわぁぁぁぁぁ!!ウソだウソだ!!お前のその心の目が本当だと言うのならこの文字を読んで見ろぉ!!」
なおも焦って叫ぶサンダースはエナジーのグングニルーホーンで地面に文字を書き始めた。
サンダースは焦りながらも半分笑っていた。例え心の目が本当だったとしても、文字の類は読むことが出来ないはず。と、そう思っていたのだ。
「ったく、いい加減信じなさいよ。信じる物は救われるって言うでしょ。ちなみに地面に書かれた
文字は「ヴォルフ=ムーロア」。あんた達の総大将の名前ね〜。」
「あ……………。」
サンダースは硬直した。サンダースがエナジーのグングニルホーンで書いた文字はまさしくヴォルフ=ムーロアであった。
「とにかく、貴方は目に頼りすぎている。それが弱点その1…。」
「な…じゃ…弱点その1だと…。他にどんな弱点があるというのか!!」
「貴方の動きは無駄が多すぎ。ただひたすらに高速で走り回ればいいというワケでも無いでしょう?
そんなんじゃあ無駄に体力を消耗して直ぐにへたばっちゃうよ。大切なのは最低限の動作で最大限の
効果を発揮する的確な動き。まあこれはお師匠様の受け降りだけどね〜。とにかくこれが貴方の弱点その2。」
それから丁度1日が経過しようとした頃。遂に帝国の先鋒が共和国に追い付いた。
しんがりの第1、第2(単純に左から数えて)中隊が迎撃に出る。敵はタイガー系やジェノ系、
ライガーゼロにフューラーといった高速ゾイドがメインの部隊だ。
視界の端で激しい射撃戦が繰り広げられているのを見て、ロイがアルティシアに頼んだ。
「なあ、他に接近してる敵は居ないし、あっちの応援に行って来ても良いか?」
「う〜ん…でも、対電波コーティングとかレーダーを掻い潜る方法は結構あるから…
あなたも大事な戦力なんだし、念のためここに残って」
ラガートが通信に入って来た。「大丈夫ですよ、あれくらいの戦力なら返り討ちです」
確かに、強力なゾイドで編成されてはいるものの数が少ない。
「しかしなぁ…帝国の連中だってそれくらい解ってるだろう?何でやられると解ってて
先鋒隊を送り込んでくる?」ロイの率直な疑問に対し、ラガートが得意気に答えた。
「そりゃあ、そっちに目を向けさせて他から攻撃させる為、陽動作戦だと考えるのが…」
回線を繋げている全員が、数秒沈黙した。
「ほ、本隊に告ぐ!!これは罠だ!!別方向よりの敵襲に注意されよ!!」叫んだ時目の前
でホバーカーゴが傾き出した。中から味方が脱出する。その時、ホバーカーゴは爆発、炎上した。
「また会ったな、雑魚ども」爆炎の向こうから、凄まじい殺気と共にサイクロプスが
姿を現した。
以前と同じ殺気。間違いなく、アルベルトのデスエベンジだ。だが、以前と僅かに形状が異なる。
角の形が違うのだ。二股に広がった角になっている。「あれは一体…」
「ああ、角が違うのは換装したからだ。俗に『弐式』と呼ばれている形態だが…攻撃力が下がるのは
気に入らない(あの腑抜け隊長の命令で換装させられたが)しかし中々便利でもある…乱戦では特に」
アルベルトは全共和国兵に向け、通信機越しに挑発を繰り出した。「さあ、いくらでも掛かって来いよ共和国のチキン達!!」
ラガートが超高空から正確に狙いを付ける。「共和国への侮辱、許しませんよ!!」
頭上からバスターキャノンが飛んでくる。サイクロプスに命中した。いや、弾かれた。
「角でバスターキャノンを弾き飛ばしただと…!?」ロイはやっと合点がいき始めた。
「あの角は攻撃の為の角じゃない…」カノントータスBCがビームキャノンを打ち込む。だが、これも角に止められた。
今度は弾きもせず、無傷のままデスエベンジはその場に構えている。「如何なる攻撃も防ぐ、最強の盾…!!」
鹵獲されたジェノザウラーが荷電粒子砲を叩きつける。だが、通じない。荷電粒子砲を受けてもなお角が溶け出す様子はおろか
傷も焦げ後も見られない。無傷だ。「何なんだありゃ…まるでキングゴジュラスの装甲並じゃねえか!!」
「それに、防御しかできない訳じゃ無い」不敵に笑うアルベルト。同時に、背中の砲塔が火を噴いた。
超高速で射出された鉄球がジェノザウラーの頭部を粉砕した。崩れ落ちた機体に、アルベルトは再び砲を向けた。
「やめろ――ッ!!!」ジェノザウラーの残骸は、パイロットもろとも砕け散った。
ロイが砕け散ったジェノザウラーに近付いた瞬間、ディアブロタイガーが横に吹っ飛ばされた。
「どこを見ている!?」デスエベンジの突撃を喰らったらしい。充分な衝撃だったが、装備が壱式だったなら
今ので終わっている。ロイは冷や汗が流れるのを感じた。
「ええい、みんな退いてなさい!!」アルティシアが味方機を押しのけて前に出た。
アルベルトも今までとは違う相手だと解るらしく、ロイに向けていた砲塔をアルティシアに向ける。
数秒の静寂。戦場である事が嘘のようだ。だが、上空からラガートが放ったバスターキャノンが
合図となった。爆裂鉄球砲が火を噴く。「…ったく!!空気読みなさいよ馬鹿参謀!!」
その巨体からは想像できない速さで砲弾をかわし、素早く間合いを詰める。
「その角じゃあ格闘戦の攻撃力は足りないと見た…今のコイツになら勝てる!!」
ゴジュラスMk3の長大な尾が最初にアルベルトを襲った。角で受け止めるが、衝撃が伝わってくる。
「大佐ぁぁぁ!!離れてくださぁぁぁい!!!」まっ逆さまに急降下しながらラガートが叫んでいる。
指はもうバスターキャノンのトリガーに掛かっている。今撃てば当たるだろう。この速さでは弾けまい。
だが、アルティシアは敵と組み合ったまま叫び返した。「うっさい!!邪魔したら殺す!!」
アルティシアも相当踏ん張っていた。一瞬でも気を抜けば殺られるだろう。
爪で角を押さえ、牙で首を狙う。だが目の前に爆裂鉄球砲の砲門がある。駄目だ。
首を振って逃れた瞬間、一瞬前にG3の首があった所を鉄球が通り過ぎた。
アルティシアは訓練でもロイなどに負けた事は無かった。だが、今初めて真の極限戦闘状態にいる。
「あの少年…うちの大隊の誰よりも強い―――!!」
ロイは、ディアブロタイガーが興奮しているのを感じていた。目の前に追い求めた敵が再び現れたのだ。
ディアブロタイガーは闘争心が強いゾイドである。だが、それだけでは片付けられない何かがあった。
「…自分よりも強い者を探しているのか?戦うに値する強敵を求めているのか?」
やっと解った。出会ってから今まで理解できなかった愛機の心が。
ディアブロタイガーが吼えた。その頃、丁度アルティシアとアルベルトの戦いは終局を迎えようとしていた。
お互いに大きなダメージは無い。それぞれ機体側部に多少の損傷はあるものの大して差はない。
だが、アルティシアは疲れていた。次が最後になる。「何であいつはまだ余裕があるかな…」
アルベルトは呼吸こそ速くなっているが、その表情からはまだ歪んだ笑みが消えない。
「こうなりゃ!!」アルティシアはカバーに覆われたボタンを押した。G3の腹部装甲が開く。
アトミックプラズマキャノン。ゴジュラスMk3の最終、最強兵器であり一発の威力はデスバーンのそれをも
上回る。ただし連射はできず、一回の戦闘ではせいぜい3発が限界の上発射時に大きな隙ができる。
アルベルトは装甲が開いた腹部に砲口を向ける。アルティシアが通信機に呟く。
「…今こそ助けてよ、馬鹿参謀」
爆裂鉄球砲が撃ち出される前にデスエベンジが吹っ飛ばされた。側面にバスターキャノンの直撃を受けたのだ。
デスエベンジの装甲が一部分丸ごと吹き飛ばされている。側面装甲はアイアンコングレベルだ。
ぶっ飛んだデスエベンジが起き上がる。だが、その時にはもうAPCのチャージは終わっていた――
「いけぇぇ――ッ!!」ゴジュラスMk3の腹部から巨大な青白い光の弾が放たれた。大地を削り、
岩を吹き飛ばし、10mはあろうプラズマがアルベルトに迫る。
乱戦の続く砂漠に、一際目を引く大爆発が起きた。
サンダースは一瞬沈黙した。しかし、その直後に笑い始めた。
「フッフッフッ…ハーッハッハッハッハ!!どうやらお前はオレの想像を超えた相手らしい!!
お偉いさんがお前を緑の悪魔と呼ぶ理由も分かった気がするよ!!」
「でも私はその緑の悪魔って呼ばれ方嫌いなんだけどな〜。まるで化け物扱いされてるみたいで…。」
笑いながら叫ぶサンダースの言葉にマオは余り良くない感じでそう言った。しかし、サンダースの言葉は続く。
「だが、このオレとエナジーの実力をこの程度だと思って甘く見るのは大間違いだぜ。」
「ま〜月並みなセリフ。」
サンダースはマオの煽りを無視し、エナジーのエナジーチャージャーの出力を上げた。
エナジーチャージャーからもの凄い音が響きわたり、さらに強い光を放った。チャージャー内で
タキオン粒子がもの凄い速度で運動しているのだ。それによって発生したエネルギーは想像を絶する物があるだろう。
「しゃあ!!!!!」
次の瞬間、エナジーが跳んだ。そして、跳んだと思った直後にカンウに対して爪が叩き込まれていた。
想像を絶するスピードとパワーとその勢いによって想像を絶する破壊力を得たエナジークローを
叩きつけられたカンウは思わず後方へと吹っ飛び、そのまま倒れ込んだ。
一方エナジーはカンウより瞬時に数百メートル先に離脱し、そのまま静止していた。
「どうだ!!これでもまだまだ70%の力しか出してないんだぜ!!」
サンダースは笑っていた。しかし、同時にこれほどの力を出さなければならない相手と出会ったという恐怖も同時に存在した。
「いや〜、驚いた驚いた。流石は滝廉太郎の力って感じよね〜。」
「滝廉太郎じゃなくてタキオンだ!!」
ゆっくりと起きあがりながらいうマオに対してサンダースはそう叫んだ。マオはまだまだ余裕があった。
「もういい!!お前のバカにいつまでもつき合っていられるか!!一瞬で方を付けてやる!!」
怒りに燃えたサンダースがそう叫ぶと同時にエナジーが光となった。超高速を超えた超超高速で
カンウへと再び突撃をかけたのだ。今度も避けられない。そして…
グガガキィィィ!!!
次の瞬間、エナジーライガーの頭部のグングニルホーンがカンウの頭部に突き刺さっていた。
固く鋭いグングニルホーンはカンウのキャノピーを保護する分厚い装甲板を、そのキャノピーごと
ぶち抜いていた。カンウの頭部は貫通されていなかったが、コックピット内のパイロットはタダではすまないはずである。
「やった!!いかにヤツでもこの一撃を直接食らえば一溜まりもありまい!!ヤツさえ死ねば、
このギガもタダのギガに成り下がる!!これでオレの勝ちは決まった!!オレはこの時!!悪魔を倒した勇者になったのだ!!!」
サンダースは笑った。かつて無いほどの笑顔だった。そして、彼の目にはグングニルホーンによって
串刺しにされて無様な死に様をさらしたマオの姿が浮かんでいた。
「いよっしゃあぁぁぁぁぁ!!!今夜はお赤飯食うぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
サンダースは笑ってそう叫びながらカンウのコックピットに突き刺さったグングニルホーンを
ゆっくりと引き抜こうとした。が、その時だった。
「おっとそうはさせないよ。」
突然のマオの言葉と同時にカンウが両腕でエナジーを思い切りつかんだのだった。
「な!!!ウソォォォ!!そんなバカなぁ!!」
サンダースは青ざめた。
「グングニルホーンが突き刺さって生きている人間がいるはずがない!!そうだ!!アイツはきっと
自分が死んでいることに気付いていないんだ!!」
勝手にそう解釈したサンダースは急いで数珠と取り出して祈り始めたのだった。
「ナンマイダー!!ナンマイダー!!死人は早く成仏しておくれー!!」
「死んどらせん死んどらせん!!!」
連投規制解除カキコーヽ(゚∀゚)
ガガレー(゚ω゚)ノ
「うわぁぁぁぁ!!!やっぱりヤツの声が聞こえる!!お願いだからオレのお経で成仏してくれ!!」
「だから死んでないって言ってるでしょうがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
マオはマイクのボリュームを最大に上げて渾身の叫び声を上げた。彼女の言うとおり、マオは
死んではいなかった。コックピットに直接突き刺さってきたグングニルホーンの一撃を体ごと
左に反らしてどうにか避けていたのだ。とはいえ、右頬が微妙に切れて少し血が流れていた。
「あーあーもー。シートに穴が空いちゃったじゃない…。」
マオは指に付けた自分のツバを頬の傷にこすりつけながらなおものんきにそんな事を言っていた。
「畜生!!なめやがって!!」
サンダースは再びエナジーチャージャーの出力を上げ、どうにか逃げようとする。しかしカンウは
エナジーの体をガッチリと掴んでいるために逃げられない。パワーはカンウに分があるようである。
「逃がさないよ!!」
マオがそう叫ぶと同時にカンウの頭部側面に取り付けられている3つ並んでいるサーボモーターの内、
後ろの1つのサーボモーターに装備したレオストライカーのマルチプルランチャーを連射した。
所詮は小型機の武装であり、相手が高速機といえども通用はしにくいが、この距離ならば十分効果が
あった。エナジーの装甲が破壊とは行かない物の、へこむぐらいのことはしたのであった。
「さらにもう一発!!」
マオがそう叫ぶと共にカンウはエナジーのグングニルホーンを両腕でガッチリと掴んだ。
カンウの爪が硬いグングニルホーンに食い込み、その直後にそのままエナジーを投げ飛ばしたのだ。
グングニルホーンは根本から折れ、エナジーは宙を舞うと共に今度は地面に叩きつけられた。
「畜生!!!っとうおぉぉ!!!」
サンダースが叫ぶと同時にエナジーチャージャーが煙を噴いたのだ。エナジーは、先ほどのカンウの
マルチプルランチャー攻撃でエナジーチャージャーにも被弾していたのだった。
「ドラムカンは思ったより打たれ弱かったみたいだね。」
マオは頬を軽くかきながらそう言う。
見てる分には面白い罠
セイスモのバトストのラストとして読んでください
基地へと帰還したセイスモを待っていたのは、帝国兵たちの歓喜と賞賛の声だった。基地の全ての人間が、今日の勝利を祝福している。
しかしそんな歓喜の渦の中、一人だけ浮かない顔をする者がいた。セイスモのメインパイロットだ。
「セイスモが勝てたのは、紙一重の偶然に過ぎない。もしもあのまま、ギガが格闘戦を挑んでいたら…」セイスモのか細い首は、いともたやすく食いちぎられていただろう。
眼下に群がる兵士たちは、誰もが肩を抱き合って、今日の勝利に歓喜している。
もしこの歓喜が、帝国全体に広がってしまったら…帝国軍がセイスモの力を過信してしまったら…そこのは大きな落とし穴が待っているに違いない。
「急がなければ…」パイロットは機体を降りると、歓迎の挨拶もそこそこに、早速今日の戦闘の、報告書の作成に取り掛かった。
砂埃が立ち込めている。何も見えない。何も…
「ありゃ、まともに当たったわね…蒸発したかしら?」アルティシアは熱源探知を見る。アルベルトがいた場所には何も無い。
ラガートが上空で手を叩いた。「お見事です、大佐!!」アルティシアは苦笑いした。
「いや、正直殺されない様にすんのが精一杯だったんだけどね…」
隊員達は驚いていた。彼女は互角以上に戦っているように見えたのだ。
その時だった。聞こえるはずの無い通信が聞こえたのだ。
「これで…終わりか…」
煙が晴れる。先程は何も無かった場所に、再びデスエベンジが立っている。しかも――無傷で。
「この程度では…足りん…俺には……勝てん!!」
デスエベンジが消えた。いや、飛んだ。1秒と経たぬ内にゴジュラスMk3が吹っ飛んだ。
「どういう事だ!?さっきよりも速さが―速さが増している!!」
アルティシアは迎撃しようとするが、速過ぎる。ロックオンどころかカーソルにすら捉えられない。
プラズマキャノンすら通用しなかった強靭な角がG3を突き上げる。幾度と無く弾き飛ばされ、アルティシアも額から血が
流れている。「どうしたんだ…いつもの大佐の動きじゃない!!」
「さっきの戦いで疲れてる上に奴のスピードは逆に増しているんだからな…」
遂に大地に倒れたG3に、爆裂鉄球砲の砲口を向けるアルベルト。「ここまでだ」
だが、何かが凄いスピードで近付いてくる。350kmオーバー。共和国にこんなゾイドがいたか?
後ろに飛び退いたアルベルトの前に、黒いディアブロタイガーが立ちはだかった。
「らしくねえぞ…なーにやってんだ、大佐」ロイが笑った。思いに応えるように愛機も吼えた。
「うぬっ!?流石に出来る…。今や無人コントロールと闘争本能の融合はここまで来たか。」
彼の全盛期の頃は無人コントロール様のプログラムは緻密すぎた事と多くの事を遂行させようとした結果中途半端な物が多かった。
しかし今やキメラやスリーパーに使用される物を除くと特化したプログラムによりゾイドの性能を略100%使用出来る。その上闘争本能付き。
高次元で融合した両者は限界までのスペックを用いて攻撃を仕掛けてくる。
救いと言えば彼はデスザウラーSTにしか興味を持っていない為基地への攻撃をしようとしない事だろうか…?
「今回はアルビオンの時の様にはいかんぞ…。」伝説…それはかつて首都に進軍する共和国軍を足止めする為のデスザウラー戦隊。
その1機だった彼の機体は必死に数時間抵抗するも複数のマッドサンダーの攻撃を受け転倒し重量バランスの難から起き上がる事が出来ず敗北。
その記憶を引きずって生きてきたラインハルトは今度こそ彼等が望んで居たかもしれない”一騎討ち”をさせようとしていた。
「願わくばデスザウラーに完全な勝利を!」マグネーザーを4機のバスタークローで巧みに退ける。そしてエクスブレイカーで胴体を挟もうとする。
しかし体の向き少しを替え挟み込めない様にするマッドサンダー。ほんの少し切り傷が残るが当然致命傷にはならない。
突風を巻き起こしながら戦闘を続ける2体をただじーっと見ているだけのシュミットとファイン。
「何も出来ませんね…。」「そうでありますね…。」取り敢えず定時通信と戦闘データの転送を行っては居るがそれなら他の機体でも良いのではと疑問に思い始める。
その疑問に答えは与えられなかった。「上空に敵影!機数1タイプはブロックスです。この形態はデータにはありません!」シュミットからファインに通信が入る。
「!?サイズは想定範囲外無理矢理あてはめるとL3〜5…。」直に「L4であります!このサイズのコア出力は下の2体と同じかそれ以上の可能性が有るであります。」
そのデータが弾き出された直後「何が有ったファイン!?シュミット!?大型機影が1機増えているぞ!?」
その声に「敵であります!こんな時に攻撃されては下の機体にとっては奇襲になるので迎撃に出るであります!」
空と森…戦場は2つに分かれた…。
「クソ!!!こうなったら!!!さらに出力を上げるまでだ!!!」
「わあ!!待った待った!!そんな状態で出力を上げたら何が起こるかわかんないよ!!」
「うるさい!!」
サンダースはそう叫び、エナジーチャージャーの出力をさらに上げた。エナジーチャージャーは
さらに強い音と光を放った。その時、カンウは緊張していた。エナジーチャージャーから発せられる力に驚いていたのだ。
「何て力…こっちもビリビリくるだけでなく、地面も震えている…。これが滝廉太郎の力…?」
「タキオンだ!!タキオン!!!!」
サンダースがそう叫ぶと同時にエナジーライガーの出力は上がるところまで上がった。
エナジーチャージャーはまばゆい光を放つどころかエナジーライガー全身まで光を放っていた。
タキオン粒子が全身にくまなく回っているのだ。
「どうだ…。これがエナジーライガーの最大出力。100%。フルパワーだ…。」
サンダースは笑いながらそう言う。しかし、エナジーチャージャーの熱がコックピット内部にまで
とどいていたようで、彼は全身から汗をだらだらと流していた。その姿にマオとカンウは思わず後ずさりした。しかし…
「逃がさん!!」
サンダースの声が響くと同時にエナジーが光となってカンウを襲った。光となったエナジーは
目にも留まらぬ速さでカンウへ体当たりをかけた。とてつもなく速く、そして重い攻撃。
カンウの装甲がひしゃげる。だが、とてつもない速度で一撃離脱したエナジーは、さらにもの凄い
速度で反転し、カンウに対して再び攻撃した。カンウは思わず吹っ飛ぶ。常識を越えた力と速さに
よる圧倒的とも言える一撃離脱戦法をエナジーは繰り返していたのだ。そして、今度はエナジーが
カンウを正面から吹っ飛ばした。カンウは100メートル以上も吹っ飛び、そのまま背中から倒れた。
「ハア!!ハア!!どうだあぁ!!今のはこれから見せる最終攻撃に移る前の準備運動だぞ…。」
エナジーの動きを一時止めたサンダースは笑いながらそう言った。しかし、彼自身も相当に息が上がっていた。
「そ…そうだろうね〜…。そんな程度じゃあガッカリするところよ…。」
「な…。」
マオはそう言い、ゆっくりとカンウは起きあがった。マオは顔では笑っていたが、実際は大きなダメージを受けていた。
「ようし!!言い度胸だ!!ならば次の攻撃で本当にトドメを指してやる!!!」
サンダースがそう叫んで操縦桿を前に傾けようとしたときだった。
「ぐふぁぁ!!!」
サンダースが突然血を吐いたのだ。それだけではない。エナジーライガー自身も至る所から煙が吹き出し始めたのだ。
「思った通り…。貴方のゾイドの持つ強力過ぎる力にゾイド自身が耐えられないばかりか、そこから発生する強烈なGに貴方自身も耐えられなかった…。それが3つ目の欠点だよ…。」
「うるせえぇぇ!!オレはまだ…戦えるぞぉ!!!」
サンダースが息絶え絶えでそう言うと同時にエナジーがゆっくりとカンウへと歩を進めた。
「バカ!!そんな体と機体で戦えるわけ無いでしょ!!!もう降参しなさいよ!!!」
「うるせえぇ!!てめえは敵だろうが!!!それに…ボロボロなのはお前も一緒だ!!」
サンダースがそう叫んでマオの言葉を一蹴すると再びエナジーはタキオン粒子の光と化した。
「確かにオレはもう助からないだろう…。だがな!!そんな事は既に軍人となった時から
覚悟していた事だ!!それに、お前ほどのパイロットを倒して死ねるというのならば軍人として本望なんだよ!!」
サンダースが自らの死を覚悟した決意の言葉を叫んだ直後、光となったエナジーがカンウを襲った。
「…悪いけどさ…、私は貴方とは違う…。私は死ぬために軍人になったんじゃない。この戦乱を
勝ち抜いて…生き残るためになったんだよ…。死ぬなんて言葉を気楽に発する貴方に…………私は倒せない!!!!」
マオがそう叫んだと同時にそれに呼応してカンウも吠えた。そして、カンウのギガスパワーシステムが発動された。カンウのエネルギーが見る見るうちに上がっていく。
「貴方のゾイドが未知の超エネルギー、滝廉太郎で来るならば…、私はそれまで自らが学び、培ってきた技で対抗する!!!」
その時、カンウの上に高々と上げた右腕がかすかな光を放った。レーザークローやエレクトロン
クローの類ではない。それとは概念から言って根本的に違う何かである。その光はマオとカンウの生命エネルギー、「気」が具現化した物だった。
そして、マオは昔を思い出していた。中央大陸拳法総本山と呼ばれる竜王流の免許皆伝を受けた時の事だった。
「まったく…お前の様なヤツは初めてじゃ…。若い時は天才の名を欲しいままにしたワシですら
十数年という時を要したこの竜王流の修行ををわずか1年で全て終了するとはな〜。しかもお前のようなわずか13の女の子で…。」
竜王流の本堂にて行われた免許皆伝式の際、師匠と思われる老人がマオに対してそう言った。
「とにかく、これでお前の竜王流での修行は終了だ。」
「では、私はこれからどうすればいいのでしょう…。」
「それはお前が考えるのだ…。これからは自らの頭で考え、自らの技を生み出し、自らの考える道を進め。かつて、この竜王流を作った先人達の様に…。」
「そう、私はその後も西方大陸の神聖寺、東方大陸のカランの塔の修行をやったりしてたけど、
その中で、さらに自らのオリジナル技も色々と考えてきた…。そして…これが…。」
バシャァァァァン!!!!
その直後、両者の真上に広がっていた雨雲からカンウの右腕に向けて雷が落ちたのだった。
「ヘへ…雷に撃たれて死にやがった…。どうやら天はオレに味方していたようだな…。」
雷の直撃をモロに食らったカンウの姿を見たサンダースが笑ってそう言葉をもらした。
「いや…そうでもないよ…。天が味方したのは私の方なのかも…。」
「な!!!」
そう、マオとカンウは生きていた。それどころか、カンウの高々と上げた右腕の鋭い爪、
ハイパープレスマミュピレーターは雷が圧縮された電撃と強烈な光を放っていた。
「私が本来やろうとした技は竜王気功爪斬拳…。別名ギガクラッシャーエネルギークロー。
しかし…それにさらに雷が私に力を貸してくれた…。今のはしいて言うならば、ギガクラッシャーサンダーブレードとも言うべきかしら…。」
マオの言ったとおり、カンウの右腕に展開された生命エネルギーと雷の電気エネルギーの融合したエネルギーの塊は剣のような形を形成していた。
「笑わせるなあぁぁ!!そんなちゃちな物にタキオンの力を持つこのエナジーライガーとこの雷神のサンダースに勝てると思うか!!」
その直後、タキオンの光と化したエナジーが渾身の力を込め、カンウへ向けて突撃した。カンウもそれに対して構えた。
「貴方の滝廉太郎の力と…、この大自然の力をプラスした私の技…。どっちが強いか…勝負!!!」
「滝廉太郎じゃなくてタキオンだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
どぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!
カンウとエナジーがぶつかり合った直後、両者の全身ははまばゆい光によって包まれた。
「オレにもな…、お前くらいの年齢の娘がいてな…。」
「で…その娘さんは…?」
光が消えた後、そこには真っ二つに砕けたエナジーライガーと、右腕そのものが消滅したカンウ、
そして地面に倒れ込んだ血だらけのサンダースとその近くに歩み寄ったマオの姿があった。
「数年前…丁度俺達がネオゼネバス帝国を建国するために共和国首都を攻撃していた時だった…。
その頃オレはシュトゥルムフューラーのパイロット。共和国首都制圧戦も順調だった…。」
それは鉄竜騎兵団が中央大陸本土を攻撃した時の話だった。マオが他大陸に渡って修行していた頃である。
「共和国首都を制圧して…。ヴォルフ=ムーロア閣下が今ネオゼネバス帝国の建国宣言を出そうと
した…そんな時だった…。中央大陸に向かって移動中だったゼネバス系市民を乗せた船が…、
共和国海軍の残存兵力によって沈められたそうだ…。その中に…オレの娘がいたんだ…。」
「…………。」
息絶え絶えに言うサンダースの言葉をマオはその場で黙って聞いていた。
「娘には…恋人がいてな…。もしあの時死んだりしなかったら…、今頃オレは孫の顔を見ることが
出来たのかも知れないな…。ヘヘ…ガラにもねえ事を言っちまったな…。」
その時だ、サンダースは突然両手を振るわせながらゆっくりと空に向けて上げたのだった。
「娘よ…父ちゃんも…行くぞ………………。」
アク禁は解除されました、でも気力は起きません・・・
前スレ369名無し獣弐さまへ
自分が書いた分はそれでOKです。こちらで保存します。
でも当分の間続きは書く気が起こりません
このスレも8代目まで来て随分と雰囲気が変わったなと思う次第
それが悪いとは勿論思えませんが、
元々自分は停滞していたスレを動かそうとしていただけだからある意味満足です
今ではロイは信じている。奴と会ったのは宿命だったと。
一度は敗れた相手との、2度目の戦い。それは唐突に、激しく始まった。
対峙した2人の間に一瞬の閃光が走ったかと思うと、砂漠のど真ん中で爆発。その後はもはや目で追える戦いではない。
ロイが繰り出す攻撃を、巧みに角で捌くアルベルト。だがアルベルトも、ロイのラッシュに攻勢に出られない。
砂塵を巻き上げ、2体のゾイドが戦場で死闘を繰り広げる。「負けるのが解っていて
も挑んでくるとはな!!」
角と牙が交錯する。「いや、今回は俺が勝つ!!みんなの為にも!!」
「フッ!!その『みんな』が何だと言うんだ!?お前が俺に負けた時に助けてもくれな
かったお前の仲間など、何だと言うんだ!?」デスエベンジが押し切る。ロイはバランスを崩し、倒れた。
「違う!!みんなは俺を信頼してくれたからこそ俺一人に任せたんだ!!」
倒れた状態から、CMCを連射する。アルベルトは1発弾き、後は避けた。
「何が、『信頼』だ…いかにも雑魚が言いそうな言い訳だな?仲間とか言う物は、本来お互いに助け合う物なんだろう!?」
今度はアルベルトがお返しとばかりに爆裂鉄球砲を叩き込む。ディアブロタイガーは一跳ね、勢いで起き上がった。
「所詮仲間などそんな物だ!!本心では他人の窮地などどうでも良い!!」爆裂鉄球砲が
連射される。それらを避けながら、ロイはアルベルトに接近する。
「お前は間違っている…何があったんだ!?過去に何かあったんだろう!?」
「今のお前は、あの時の俺に似ている…現実を認めまいと、必死に戦っている!!…だ
が、お前は俺の様に生き延びる事はできない。何故なら、お前が相手にしているのは俺なのだから!!」
デスエベンジの角が閃く。ディアブロタイガーの体が宙を舞った
「これで終わりだ…貴様を倒し、俺は戦い続ける!!」爆裂鉄球砲が光り出す。あれもチャージが可能なのだ。
ロイは静かに立ち上がる。(「発射の瞬間…奴には隙ができている…」)
砲口が光る。「死ねぇー!!!」巨大なエネルギーに包まれた鉄球が砂塵を巻き上げ、ロイに迫る。
デスバーンと戦った時と同じだ。まるで時間にスローモーションが掛かったように全ての動きが遅く感じる。
迫り来る光が見えた。向こう側に反動で仰け反るデスエベンジ。
今しかない。ディアブロタイガーが飛ぶ。砲弾をギリギリでかわし、そのままアルベルトに突っ込む。
「行ける!!」ロイはその時確信した。だが、それは失敗した。
突然、真下の砂丘が爆発したのだ。再び巻き上がる砂塵に視界を塞がれ、敵も味方も見えない。
砂が落ちた。現れた光景を見て唐突にラガートが奇声を上げた――
無数の帝国ゾイド。セイスモサウルスに、デスザウラー、その改造型もいる。
いや、それだけなら驚かない。それらが襲われている。数え切れないほどのデススティンガーに。
ゼネバス砲をチャージし、薙ぎ払おうと試みるセイスモ。だが、2方からデススティンガーの爪を受けて斃れた。
ラガートはレーダーでサーチし、数を割り出そうとした。砂漠のせいか、数値がはっきりしない。
「100…いや、200機以上のデススティンガーがレッドラストを埋め尽くしている!!?」
ロイの真下からも一体出てきたのだ。すぐさま、周りにいた仲間が集中砲火を浴びせる。
「あいつは…アルベルトは!?」いない。さっきの爆風に紛れて逃げたのか。
リミッターが外されたデススティンガーは一号機ほどの戦闘力は無いにせよ、量産型を遥かに上回る
パワーを発揮していた。「クソッ!!これが200機だと!!?」
今にしてみれば装備も極めて強力なゾイドだ。並みの共和国ゾイドでは歯が立たない。
ラガートがバスターキャノンを叩き込む。だが、超重装甲に加え最強クラスのEシールドをもつこの機体には
全く効いていない。共和国の誇る強力兵器にして、この様だ。
ロイがサイバーファングでEシールドを破壊する。振り返りながらCMCを発射する。
デススティンガーは一瞬動きを止めた。「よし、動くな!!」
デスバーンの装甲すら破ったサイバーファングだ。デススティンガーの装甲を破るくらい造作も無い。
だが、危険を察知し、ロイが脇に飛ぶと同時に荷電粒子砲が火を噴いた。
光の奔流がすぐ脇を掠める。ジェノザウラーと違い、発射しながら移動も旋回もできる事が
この機体の利点でもある。安定性が高いのでアンカーが要らないのだ。
旋回するデススティンガー。ロイは動きに合わせて避けるが後ろにいた味方が次々と蒸発していく。
「まずい、何とかしなければ!!」DTが突然屈んだ。真上を荷電粒子砲が通過する。デススティンガーは
そのまま旋回を続けているのだ。「行けーッ!!」
デススティンガーは一瞬反応が遅れた。そして、サイバーファングはそのコアを貫いた。
「ふぅ…何とかこいつはやったが、まだ大量にいるし…」周りを見れば、共和国も帝国もデススティンガーを
撃退しようと必死だ。数m単位でゾイドの残骸が落ちている。
「お、良いこと思いついたぞ大佐。帝国にデススティンガー押し付けて逃げちまおう」
アルティシアは疲れていながらも笑った。「ロイ…グッジョブ!!」
ロイが戦場を走る。デススティンガーの前をわざと挑発するように走り、後ろに数機のデススティンガーを
引き連れて走っている。「そうだ、どんどん追いかけて来い!!」
そのうち、ロイの後ろに100機を越えるデススティンガーが追走していた。
「よし、この辺で…」
ロイが突然方向を変えた。帝国軍の方へ向かっていく。
帝国から見ればこの光景は異常だろう。大量のデススティンガーと戦っている所に、謎のゾイドが更に多くの
デススティンガーを連れて走ってくる。「さあ、餌の時間だ!!」
ロイの思惑通り、デススティンガーは帝国軍に襲い掛かった。
乱戦の中、こっそりと脱出するロイ。味方の本隊にも通信を入れる。
「オッケーだ。連中がデスステとバトってる間にとんずらしよう」
全速力、ホバーカーゴと周りの編隊が走り出した。「おいおい、俺達を置いて行くな!!」
一機のホバーカーゴが生き残りを収容し、再び走り出した。
表にこそ出さなかったものの、ロイは深い物思いに沈んでいた。
「あれが…アーサーが命を懸けて倒した敵…でも、アーサーの死は無駄だったと…そう言いたいのか……!?」
ホバーカーゴの連隊は砂漠を駆けていく。ニクシーまではもう1日と掛からない。
低気圧の影響か、砂漠には珍しい雨が降り出した。「ありゃりゃ…こりゃ帝国の連中…死んだな」
湿った砂は帝国のゾイド達には不利だろう。対し、デススティンガーは湿地などの戦闘も得意とする。
結局帝国軍はこの後、たった200機程のデススティンガーに撤退を余儀なくされる事となる。
「見付けたぞ。昨日と同じエンブレム。あのロードゲイルか!」ローキスは地上に居るマッドサンダーとデスザウラーSTには見向きもせずファインの機体に狙いを定める。
「!?」砲撃が下にでは無く自分に向かって来た事に驚いて大きく回避運動を取ってしまう。「張り付かれたでありますか!?」ピットフィーンドはアナイアレイターにピッタリと距離を合わせながら追撃してくる。
「こいつ…。」シュミットは正確に両機の間に砲撃をしてピットフィーンドの追撃を止める。「こいつは…面白い。躊躇無く味方と敵の間を撃ち抜く相当の腕の様だな。」今度はグレーターデーモンにその目標を移し攻撃を開始する。
砲撃後に上昇を開始していたグレーターデーモンに下から砲弾の群れが襲い掛かる。
しかしグレーターデーモンの空戦能力の一つベクタースライド機構の力で強引に左に避ける。
「何っ!?真横に逃げるだとっ!?」高さの感覚が掴めない夜の上空ではそう錯覚する事だろう…。一瞬隙がローキスに生れる。
「他所見は禁物でありますね。」接近を感知してピットフィーンドは自動的に腕部のテイルソーで迎え撃つが急降下からのアナイアレイターの攻撃を受け止めきれずその巨体は地表に向けて落下していく。
何とか地表との激突は避けられたが襲撃を掛けた筈があべこべの状態で奇襲されて調子が狂い始めていた。
地上ではぎりぎりの間合いの中で2機の巨獣の戦闘が続いている。バスタークローの砲身を改造して作られた荷電粒子ビームキャノンが一斉にマッドサンダーの胴体に向けて発射される。
マッドサンダーはその内1発を胴体に掠られながら残りの3発を反荷電粒子シールドで受け流す。
受け流した砲撃は上空で戦闘している3機の戦闘空域に達し回避を強要する。曲線を描く機動の荷電粒子付加のビームは直撃すれば間違い無く墜ちる。
回避を確認してラインハルトは「焦って砲撃したのが裏目に出たか…それ!これなら如何だ。」サンダーホーンを2機のエクスブレイカーで掴みマッドサンダーを後方に放り投げる。
大した距離は跳ばなかったがマッドサンダーは転倒し起き上がり始めている。胴体側面が剥き出しになっている。
もう一度荷電粒子ビームキャノンを打ち込む…が胴体側面より多数のミサイルが発射されビームに接触爆発を起こして粒子を拡散させる。
次の瞬間デスザウラーSTの両腕がマグネーザーに叩き落とされていた。
上へと上げられたサンダースの両手は力を失ってそのまま地面に落ち、サンダース自身もそれ以上動くことはなかった。
「……………。」
マオはサンダースに向けて無言の敬礼を送り、そのままカンウに乗り込んだ。そんな時だった。
「は!!」
後方の地平線の彼方に、帝国軍の大部隊の姿があった。その大部隊はまっすぐにこちら目がけて
進撃してくる。恐らく先ほど崖の所でまいた部隊が回り道をして追いついてきたのだろう。
「見ろ!!あれはサンダース中佐のエナジーライガー!!何と言うことだ!!あのサンダース中佐を持ってしても勝てなかったのか!!」
「うろたえるな!!ヤツの姿を見ろ!!ヤツはボロボロだ!!今なら勝てる!!」
帝国軍兵士はそう叫び、カンウへ向けて突撃してきたのだった。
「やばい!!!これは逃げんと!!」
マオはカンウの操縦桿を傾けてカンウを発進させた。エナジーとの戦いでダメージを受けた上に
あの大部隊とは戦えない。そう考えたのだ。なら逃げるしかない。だが、エナジーとの戦いでの
ダメージのせいでそのスピードは若干にぶっていた。
カンウが帝国の大部隊の有効射程距離に入ったようで、ミサイルが次々にカンウに向けて降り注いだ。
「わぁぁぁぁ!!」
ダメージを受けているとはいえ、多少の攻撃でカンウが落ちることはないのだが、コックピットに
大きな穴が空いているというのは致命的だった。頭部に食らえばカンウは無事でもマオの命が
危なかった。マオとカンウはひたすら大部隊から逃げた。
――――――――――――――また逃げるのか…?―――――――――――――――――――
突然、何処からともかく謎の声が聞こえた。疲れと極限状態による精神的に追いつめられている為に
起こった幻聴だろうか…だがそれはマオには分からなかった。しかし、間違いなくその声がマオには聞こえたのだ。
――――お前はまた逃げるというのか?またいじめられっ子だった昔に戻りたいのか?―――――
また聞こえた。それはどういうことだろうか。マオには分からない。しかし、これが幻聴かどうか
などという事はマオにとってはどうでも良かった。むしろその内容が気になったのだった。
そして、マオは考えた。自分について…。
確かに…、私は…私はどうして強くなったのだろうか…。強くなれば…皆から攻められたりは
しない…。皆から攻められなければ…心の平穏がやってくる…人生が楽しくなる…。
それだけではない…、強くなれば…それによって生まれた心と体の余裕によって、そのほかの事も
楽に過ごせるようになる…。就職して働くことになっても、強くなれば楽に過ごせるだろう…。
そう考えたのだ…。その為に、私は必死で強くなろうとした…。人間としての限界の壁を
1つも2つも超えさえもした。しかし…現実はどうだろう…、強くなっても周りから攻められなく
なるどころか、逆に昔以上に激しく攻められる。今日だけで考えても私1人を殺すために大勢の
人間が私の所に向かってきた。今だって私1人を殺すためだけに大部隊が向かってきている。
それ以前にも、私は様々な相手から攻められた。斬殺されそうになった事もあった。射殺されそうに
なった事もあった。爆殺されそうになったことや、毒殺されそうになったこともあった。
周りから攻められない為に強くなったというのに、逆にさらに激しく攻められる結果になったのだ。
かといって自分が強くなったことが間違いだったのかと言われるとそれも辛くなる。自分が強く
ならなかったら、恐らく自分は既に何年も前に戦争に巻き込まれて死んでいるかも知れない…。
私が強くなったのは正しかったのか間違いだったのか…それも分からない…。…そうだ…。
竜王流のお師匠様はこう言っていた…。武術は敵に勝つためにやるのではなく、己に負けないために
やるのだと…。そういう点で考えたのならば今の自分が強くなった理由にすら疑問を抱いている私は
完璧に負けている…。ならば今度は負けないように自分に勝てばいい。そうだ…そうなのだ…。
「フ…、私は強かろうが弱かろうが周りから攻められる。そんな運命の星に生まれてきたようだな。
ならば私の命有る限りその運命にとことん逆らい続けてやる!!」
マオがそう叫ぶと同時にカンウは反転、向かってくる大部隊に面と向かった。
「お前ら全員かかってこいやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ぎゃお――――――――――ん!!!
マオの叫び声にカンウの咆哮音が重なり、カンウは帝国軍大部隊に向けて走り出した。
>>134 サイトを持っておられるのに、これまでずっとここで
書きつづけてこられたことには敬意を表したいです。
このスレの硬軟入り混じったごった煮みたいな雰囲気が好きなので、
そのうち続きを書いてくださいね。
共和国軍は何とかニクシー基地に到着した。格納庫に収容され、整備を受けるゾイド達。
兵員もまた、治療を受けていた。ロイは診療所が混んでいたので治療は受けず、兵舎へと向かった。
とはいえ、突貫工事のプレハブ。とても環境は良くない。
「別に良いか。すぐ帝国の連中が来るだろうし」とにかくロイは眠かった。当然だ。眠りもせずに
4日間の行程をこなしたのだから。その上アルベルトやデススティンガーとも戦っている。
ロイが眠りに落ちようとした時、廊下で何か騒音がした。眠りを妨げられてロイが廊下に出ると
自分とあまり歳の違わない少年が2人、言い争いをしている。
「お前に何が解るって言うんだ!?」 「うるさい、黙ってろ!!」
一人はさらさらの金髪、黒いTシャツ。もう一人は細身で茶髪、白っぽい服。
「静かにしろよ…みんなここまでの長旅で疲れてるんだから」
手前に居た金髪の方が怒った様に振り返った。が、ロイを見た途端その怒りはどこかへ行った様だ。
「あーッ!!『戦場の黒天使』ロイ・アーベル!?」もう一人も近付いてきた。
「あ…『帰ってきた英雄(ヒーロー)』じゃないか!!」
ロイは地雷でも踏んだような気分になった。「何だそりゃ…俺を知ってるのか?」
「知ってるも何も、僕達傭兵の憧れであり、目標だよ!!」細身の少年の方は目を輝かせている。
「へぇ〜…そんなに有名人になってるとは知らなかったな。お前ら、名前は?」
金髪の方が名乗った。「俺は、エリック・ロウランド」
茶髪の方も名乗った。「僕は、ジャスティン・クライトン」
名乗った途端に、サイレンが鳴り響いた。「敵襲だ!!」
>>133 家族の復讐ネタ…壷に来ますた(TДT)
戦う理由が明確なのは見習いたい所。漏れのキャラは何だか戦う理由が
はっきりしない…後付セテーイで何とかしなければ(汗
雷で爪とは…似たようなアイデア練ってましたが先を越され(爆死
しかも使用の機会も逃した…(本当はメガザウラーが荷電粒子クローなる
新兵器を繰り出す予定だったのだがデスステ戦で駄目した…)
キルステにでも使わせますか。必殺として。
「敵の数は!?」疲れた体を引きずってロイが格納庫に向かう。
「デススティンガーが7体だ…レッドラストから付けて来やがったのか!!」
後からあの2人も付いて来た。「手伝うぜ、英雄!!」 「僕にもやれるよ!!」
3人は格納庫に入り、それぞれのゾイドに乗り込んだ。
「珍しいゾイドだな…エリックもジャスティンも、何に乗ってる?」
格納庫から表に飛び出しながらエリックが笑う。「俺の愛機は、トリニティライガーの『テンペスト』だ!!」
続いてジャスティンがカタパルトに乗る。「僕のゾイドは、ジェノハイドラ『アンダーテイカー』さ」
格納庫にカタパルトまで付いている基地も珍しい。だが、確かに便利だ。
ロイも飛び出し、着地する。予想以上に酷い有様だ。ロブ基地内部に密集したデススティンガーが
手当たり次第に味方ゾイドを破壊している。「連中を止めろ!!」
ロイが奇襲で一機破壊した。サイバーファングでコアを貫く。
エリックとジャスティンはそれぞれ一体ずつ相手にしている。善戦しているようだ。
「死ね、サソリ野郎!!」エリックはかなりエキサイトしている。だが腕は本物だ。
トリニティライガーのアーマークローはライガーゼロのレーザークローを凌ぐ威力を持つ。それで
デススティンガーに格闘戦を挑んでいるのだ。
デススティンガーがバルカンを乱射する。だが、エリックには当たらない。
「トリニティライガーはゼロの機動力も上回る!!量産型如きには負けねぇ!!」
前脚のブレードが横に展開した。「ストライクブレードクロー!!」
デススティンガーのシールドが弾け飛んだ。だがまだまともなダメージは受けていない。
これでやっと互角、といった所か。
一方のジャスティンは、火力でもデススティンガーに負けていない。
マイクロホーミングミサイルポッドの雨、クリスタルレーザー、ガトリングヘッド。
そして、集束荷電粒子砲。
デススティンガーにもしパイロットが乗っていたら恐怖しただろう。ジャスティンの強さは未知の物だった。
「アンダーテイカー」とはよく言ったものだ。意味は「葬儀屋」である。
「よーし、僕の勝ちだ」ガトリングヘッドが関節や装甲の隙間を撃ち抜く。デススティンガーが動きを止める。
三つある頭が回転し、入れ替わる。「荷電粒子砲、チャージ」
口腔内に光が集まる。だが、エネルギーの量がジェノザウラーとは比較にならない。
「発射!!」一点に集中された荷電粒子がデススティンガーに注がれる。10秒。15秒。
同時に、背中のクリスタルレーザーを発射する。それでEシールドが破れた。
デススティンガーが迫ってくる。「しつこいよ…当たらないって」
ジェノハイドラはブースターで大きくジャンプし、防壁の上に乗った。再び荷電粒子砲の発射体制に入る。
しかし、今回は先程と違う。頭部の固定が外され、頭が切り替えられるようになっている。
デススティンガーが再び近付いてきた。大丈夫だ。「この距離ならいける…ジェノサイドリボルバー!!」
3つの頭が回転し、それぞれが違う攻撃を連射した。まるでキングゴジュラスのSガトリング砲だ。
荷電粒子砲、ガトリング、ビームスマッシャーがデススティンガーの超重装甲を貫いた。
遠くから見ていたロイは少々びびった。「最近は傭兵のレベルも上がってきたな…戦争の影響か」
だが、デススティンガーはまだ5機残っていた。
一方その頃、高速部隊はクライトのエナジーライガーの前に大苦戦であった。その圧倒的な速度差に攻撃を一発も与えることが出来ないでいた。
またもや跳び上がったエナジーライガーが滑空しながらガトリング砲と2連キャノンを滝のように
地上へ向けて降り注がせる。その攻撃によって犠牲者は増え続けていた。
「くっそぉぉぉぉ!!何とかせんと!!!」
両方のウィングを破壊された為に、余分なパーツを排除し、丁度トレストリアルモードの状態に
していたジェネラルの中でラインがそう叫んだ。ラインとジェネラルは何とかエナジーの攻撃を
かわしていたが、反撃のめどが付かないでいた。
サリーナとガイガイガーも背中に装備した3連長距離砲と集光荷電粒子砲で迎撃するが、それもかわされていた。
「いやいや、ライン=バイスさん。流石はグリーンデビルの部下と言ったところでしょうか。
他の者とは動きから言って違うみたいですねえ。ですが…、まだまだ甘いですねぇ!!!」
次の瞬間だった。ジェネラルの左後足の装甲にエナジーライガーから発射されたビームが正確に撃ち抜いたのだった。
「うぉぉぉぉ!!!!」
ジェネラルはバランスを崩し、動きが若干にぶった。しかし、エナジーはそのまま畳みかけようと
再びビームを連射してきたのだ。万事休すか。そう思ったときだった。ガイガイガーがジェネラルの
前に出て自らの体を盾にしたのだ。ガイガイガーの集光パネルがエナジーのビームを吸収し、
集光荷電粒子砲を発射する。だが、またもやかわされた。
「大丈夫ですか!!!」
「ああ…何とかな…。このままではラチがあかねえ!!ヤツの動きには無駄がない…。…ん?無駄がない…無駄が…、そうだぁ!!!」
その時、ラインは数日前にマオから訓練を付けてもらっていたときのことを思い出したのだった。
移動要塞ジャイアントトータス内部。和風の畳ばりのまるで何かの道場の様な部屋での事だった。
格闘技訓練の為に、その部屋で二人、マオとラインがそれぞれ格闘技用の防具を身に包み、格闘技訓練を行っていた。
「やぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ラインがマオに殴りかかる。ライン自身軍に入る以前からも暴走族のリーダーとして様々な修羅場を
くぐり抜けてきた経験があり、相当に実戦慣れしていた。その突きはプロ顔負けの速さだった。
しかし、マオはそのパンチを楽々とかわすと同時に素早く後ろの回り込み、バランスを崩したラインの背中をポンと押した。ラインはそのまま倒れ込んだ。
「まだまだ甘い。これが実戦ならばあんたは今頃後ろから撃たれて即死亡だよ。それまではそれでも通用したかもしれないけど、ケンカ殺法がいつまでも通用するほど戦争は甘くないよ。」
「す…、すんません…。」
マオの言葉に対し、ラインはそう謝りながら起きあがる。すると、マオは防具を脱ぎ、そしてその場に座り込んだ。
「あんたも座りなさい。ちょっと言いたい事があるから…。」
マオの命令にラインもその場に正座する。
「あんたの動きはさあ…。何というか、無駄が多いのよね。これはあんた自身だけじゃなく、
ゾイドでの戦闘にも当てはまる。ただ素早く動き回れば良いというワケでも無いでしょ?
それにね、無駄の無い動きをすれば、その分体力の消耗も抑えられるし、動きのショートカットって
言うか、とにかくそんな感じでかえって素早く動けるでしょ?だから本当に大切なのは
相手の動きをよく見て、最低限の動きで最大限の効果をもたらす事だよ。」
「ハイ…しかし…口で言うほどそう上手くいかないもので…。」
「風林火山…。」
「ヘ?」
マオの突然の言葉にラインが首を傾げた。
「風林火山…。それは昔の人が考えた兵法…。素早きこと風のごとし、侵略すること火のごとし、
静かなること林のごとし、動かざること山のごとし…。つまり、動くときは風のように素早く動き、
攻撃するときは火のように激しく攻撃。かつそれらの事を林のように静かに行い、動かない時は
山の様にじっとしておく事…。無駄のない戦い方をしたければ、これを心得る事だね。」
「風林火山…。」
「ようし、それじゃあ訓練の再開!!」
早速訓練を再開した二人だった。ラインは早速マオに再び殴りかかった。
「おりゃあ!!!」
「おお!!さっきより動きが良くなったよ!!」
ラインの突きを上手にかわしながら、マオはそう言っていた。
「そうだ!!風林火山!!」
ラインはそう叫び、突然ジェネラルの動きを止めた。そしてゆっくりと目を瞑る。
「止まるなバカ!!!ねらい撃ちされるぞ!!!」
他の者は叫ぶが、ラインは目を瞑ったまま動かない。
「おやおや、覚悟を決めたのですか?」
クライトがゆっくりとした口調でそう言うと同時に、対照的にもの凄い速度でエナジーライガーが
ジェネラルにむけて突撃してきた。背中のエナジーウィングを展開し、両前足の爪も光る。
しかし、それでもラインは目をつむったまま動かない。そのままジェネラルの身体がエナジーの
毒牙に掛かる…とそう思った直後の事だった。ラインの目がバッと開かれた。
「風林火山!!!!」
ラインは思い切りそう叫んだ。しかし、エナジーはすぐそこまで来ていたのだ。両機の距離とスピードを考えれば回避は絶対不可能。な…はずだった…。
「素早きこと風のごとし!!」
ラインがそう叫ぶと同時にジェネラルがそのまま垂直に跳び上がり、エナジーライガーの突撃をかわしたのだった。
「侵略すること火のごとし!!」
今度は突撃をかわされてバランスを一瞬崩したエナジーライガーに向けて背中に装備されたショックカノンを連射したのだ。
「くう!!」
しかし、エナジーはどうにかその攻撃をかわしてその場から高速で離脱する。そして素早く反転した時のことだった。
「静かなること林のごとし!!」
ジェネラルがそれまでとは打って代わって静かな音で素早くサササと走り出す。それに対し、エナジーは再びジェネラルへと突撃する。
「動かざること山のごとし!!」
突然ジェネラルの動きがピタリと止まった。ジェネラルのスピードを計算した上で未来位置を予測し、
そこを狙って攻撃しようとしていた為に、高速機動中に突然止まった為にジェネラルを狙っていた
エナジーは自らの超高速も手伝ってそのまま思い切り攻撃を外したのだった。
「先ほどとは動きが違う…。なるほど…思ったよりやるようですねえ。」
クライトはそう言ってクスクスと笑っていた。ラインを楽しめそうな相手と認めた瞬間だった。
そんな、各方面で激しい戦いが繰り広げられていた頃、町ではマオのかつての同級生達が同窓会の
続きをやっていたのであるが、やはりマオとスケルトン部隊の凄い戦いを見たばかりであったために、
その話題がやたらと多かった。
「おい大変だ!!テレビで凄いのをやってるらしいぞ!!」
トイレに行っていた1人が突然そう叫んで部屋に入ってきた。そして、皆はなぜか部屋に備え付けられていたテレビの前に集まり、スイッチを押した。
「臨時ニュースです。タラトタウンより北西地点にて大規模戦闘が発生した模様です。現場のミヤハラさ〜ん?」
「ハイ!!現場のミヤハラです!!この通り、現場は激しい戦いが繰り広げられています。」
ミヤハラという名前のレポーターがマイクを片手にそう言っている場所から遠くには、確かに激しい戦いが繰り広げられている様であった。
「戦闘の模様としては、ネオゼネバス帝国軍の大部隊に囲まれた共和国軍の巨大ゾイド、ゴジュラスギガが孤軍奮闘している様子です。」
「おい!!あれはマオのゾイドじゃないのか!!?」
帝国軍の大部隊に対して孤軍奮闘するゴジュラスギガの映像が映し出されたとき、1人がそう叫んだ。
そう、そのゴジュラスギガはカンウであった。その右腕は消滅し、コックピットには大きな穴が空き、
全身の装甲も所々がへこみ、ひびが入っているのであるが、そのダメージをも感じさせない程素早く動き、巧みに敵の攻撃をかわして敵を次々に破壊していった。
>>144 どうもありがとうございます・・・。
それはそうと、貴方の作品も結構面白いと思いますよ。
メガザウラー200機やあたりを埋め尽くすデススティンガーとか・・・
スケールの大きさに驚かされますよ。
残り5体をどう捌くか。味方が多いので迂闊に射撃もできないし、格闘では流れ弾に当たる危険を伴う。
そうしている間にも味方が死んでいく。「畜生…何とかならねえのか!?」
その時、聞き覚えのある声がした。「ハッハッハ、何を迷っているアーベル?」
基地の屋上に、いつの間にか一機のバーサークフューラーが居た。
だが、赤い。深紅のバーサークフューラーだ。武装もアーマーも見たことの無いタイプ。
「イオ…マクスフェル!?」
イオといえば、以前デスバーンを作った張本人。確か鉄竜騎兵団の科学者だった筈だが――?
「アンタ、ネオゼネバスの科学者だろ!?何しに来た!!」ロイが怒鳴る。飛び交う荷電粒子砲のせいで
電波が悪い。「何を馬鹿な、私はガイロスのためだというから連中に協力していたのだ!!
それがネオゼネバス帝国だと…?ふざけおって、私が忠誠を誓うのはガイロス帝国のみだ!!」
騙されていたらしい。大体の事情は読めてきた。
「いやなに、ムカついたので機密設計図を盗んで逃げてきたまでだが(苦笑)
BFの新型CAS…皇帝と親衛隊の専用機、このバーサークフューラーゼネバスをな」
異形のBFであった。背中のブースターと頭部が通常と大きく異なる。
「こやつは凄いぞ…旧大戦のギルベイダー乗りでも充分満足できるからな」
イオが消えた。いや、飛んだ。一瞬後に目の前に居たデススティンガーが突如吹っ飛んだ。
「エナジーライガーにでも、負けはせんぞ」
「フハハ!!ムーロアの若造にコイツが乗りこなせる物か!!」
コックピットで高笑いするイオを呆然と見つめるロイ。「アンタ…今一体、何した?」
「何って、レーザークローを2発。一発目でシールドを破壊し、2発目でコアをぶち抜いたまでよ」
その時またも、聞き覚えのある声。
「おっと、何事かと思って来てみればロイじゃあないか!!」
振り返ると、基地の入り口にジェノブレイカーが立っている。「リッツ!?今日はやたらと賑やかだな!!」
リッツの方にデススティンガーが一機向かっていく。だが、リッツはまるで慣れているかのように
デススティンガーの鋏を叩き切った。「あれから何度、シミュレーションを繰り返した事か…」
リッツは遠くを見る人のように言った。「そして俺は、計算上は真オーガノイドを一人で圧倒する事が
出来るまでになった!!量産型など雑魚同然!!!」
瞬く間に各所の関節をエクスブレイカーで切断し、デススティンガーが動かなくなった。
結局ロイと、エリックにジャスティン、イオとリッツの5人だけで充分だった。その後は
1時間も掛からずに全機を仕留めたのであった。
「で、何でこんな所に?」確かにイオもリッツもここに来た理由は不明だ。
イオは面白い事でもあった様にニヤニヤしながらこう語った。
「ガイロス帝国軍はまだ編成に時間が掛かる…さっさと動ける共和国軍に加勢してやろうと思ってな」
成る程、痺れを切らした訳だ。リッツは本当に偶然近くに居たらしい。
「俺は、西方大陸を旅しているんだがな…ニクシーで何やら動きがあったというので来てみれば、
宿敵が大量発生。お前たちが苦戦しているではないか。これは何とかしなければとな…」
ロイには解る。アーサーが遺した形見とも言える自分を助けたのだ。
大活躍してくれた2人は、一緒にニクシーに留まる事となった。
「つっても、お前らもプレハブだけどな(爆笑」先程の5人は偶然か、部屋が5つ並んでいた。横に5つ。
5つの部屋があったにもかかわらず、5人はロイの部屋に集まっていた。「だーっ!!寝られねぇー!!」
「まるで子供の修学旅行だな…」大人であるイオとリッツは2人で視線を交わし、終始ニヤついていた。
もうすぐ帝国はニクシーに攻めてくるだろう。そうなればもうみんなで集まれるかどうか解らない。
「しかしな、私の友人は残念ながらネオゼネバスに付いた」イオが突然語りだした。酔っている。
「セイスモサウルスに乗っていてな…西方大陸で戦うのだと、笑って言っていた」
ロイが立ち上がった。「!?待て、そいつはもしかして特殊部隊系に所属してないか!?」
「ああ、ダルガールド城塞で今頃部下に説教している頃だろう」
「…そいつ、名前は?」ロイは半ば確信した。あの時のセイスモサウルスのパイロットだ。
「バーシアス…バーシアス・ソードだ」古い友人の事を思い出したら酔いが覚めたらしく、
イオは立って部屋を出て行った。「ネオゼネバスの事だ、何か企んでいるのかも知れんな」
「それでは、俺もそろそろ行こうか」リッツが上着を着直し、部屋を出た。
エリックとジャスティンもその後出て行った。部屋を出る時、ロイはジャスティンが自分を奇妙な顔で
見つめているのに気付いた。「な…何だ?」
ジャスティンは慌てたように出て行った。「え!?べ、別に何でも無いよ!!」
ベッドに倒れこみ、ロイは呟いた。「…変な奴ばっかり…」
>>151 しかし…スケールがでかいしか取柄が無いという罠?
しかもそうすると話が難しくなる。諸刃の剣。
一応3部作にしようと思ってるんですが、3部目なんかもう戦争の歴史が
変わってしまいそうな悪寒…
しかし、担当の「ミヤハラ」…?
まさか、某ニューs(ry
悲鳴を上げながらも仰け反る事無くマッドサンダーと対峙する…。
「良く耐えてくれた…そのチャンスは逃がさん!」反荷電粒子シールド目掛けて3機のバスタークローから荷電粒子ビームキャノンが放たれる。
それは装甲曲面を伝いマグネーザーに収束されていくがマグネーザー基部に到達した瞬間を逃すこと無く残りの1機のバスタークローから荷電粒子ビームキャノンが発射される。
次の瞬間左のマグネーザーが根元から脱落する。今度はマッドサンダーの悲鳴が辺りに響き渡る。
「まだまだ…勝負はこれからだ。」ラインハルトの目は手負いのマッドサンダーを見据えていた…。
「あいつは邪魔だ…。」ローキスはそう呟くとシュミットのグレーターデーモンに向かって突撃する。当然の事だろうと思いながらシュミットはレールガン2門、電磁砲4門、ミサイルランチャー4機で迎撃する。
しかしピットフィーンドは避ける事も無く突撃するばかりか頭部と翼を繋ぐ基部のEシールドで電磁砲を遮断その電磁波を利用してミサイルをジャミングする。
レールガンはそもそもシュミットが前の二つの武器で動きを封じて直撃させようとしていた為明後日の方向に逸れて行く…。
「しまった!?シールドが…!」ピットフィーンドの体当たりを受けグレーターデーモンは上昇後落下していく。
激突音と爆発等が無い事からただ下に降りただけだろう…しかし時間稼ぎにはなる。
「待たせたな!屍竜使い!」気合い十分の声でローキスが叫ぶ。それに呼応するかの様に頭部に角状に構成された装甲の群れが白熱し白く輝く。
「随分と律儀でありますね?昨日の方でありますか!」アナイアレイターの左腕のリニアマグネイズソードも輝きを増し振動回数が倍以上に跳ね上がる。
上空で二つの光が激突する…それを見上げてシュミットは急いで機体の状況を確認する。「くそっ!あの高度に到達出来無いなんて…。」
出力低下の為上空の戦闘空域まで上昇が出来無くなっていたのだ。「中尉!こっちはその高度まで上昇できません!援護に回ります!隙を突いて高度を少しづつ下げてください!」
「了解であります!荒事でありますがやってみるでありますか!」その巨体を睨みその手を実行に移す事にした…。
デスザウラーSTは両腕を失っているが攻防の鍵である4機のバスタークローと2機のフリーラウンドシールドは失われていない。
対するマッドサンダーはビームキャノン等の砲撃用兵装をミサイルランチャー以外失っている上左側のマグネーザーを失っている。
武装面では圧倒的に有利な状態だが不確定要素としてファインの報告では破壊されている筈のハイパーローリングチャージャーの異常回復。
その他MTS搭載が有るが最も警戒すべきは寄生体の存在だ。マッドサンダーの体内に反応がある…。下手に叩き過ぎると覚醒、更なる事態の悪化が容易に予測できる。
最悪倒す事も許されない状況だ。
「鬼がでるか蛇が出るか…?」まだ体勢の立て直しが終わっていないマッドサンダーの側面に素早く回り込みバスタークローでハイパーローリングチャージャーを貫く。
その瞬間バスタークローが押し戻された。「!?」ラインハルトには何が起きたか理解するのに数秒掛かる。その目の前にはもう一体マッドサンダーと思われる機影が見えたと思うと宙を浮かぶ感覚が襲う。
姿勢制御をし必死に立て直してもう一度目の前を見るとマッドサンダーを踏みつけて大地に立つ大型角竜に成長した寄生体が居た…。
「貴様!それを踏みつけるな!」バスタークローが閃き寄生体を弾き飛ばす。寄生体は角を前に翳し構えると角同士が放電現象を起こし辺り一面に電撃の雨を降らす。
エレクトロンドライバー等比較にならない程の電力量で地面が弾ける。バスタークローを1機頭上に翳し残りの3機を地面に突き刺し本体への感電を避ける。
その姿は戦闘用ゾイドに近くハイパーローリングチャージャー状の器官まで御大層に再現されている。
「何もかも本体以上と言いたいのか?」決着の水を差す行為を自身がした事に表情を歪めながら忌々しげにラインハルトは寄生体を睨み付けると呼応する様にデスザウラーSTも咆哮をあげた。
「…そんな馬鹿な!?」シュミットは目の前に立つ者が瞬時に姿を変えていく光景を目の当たりにし吐き気を覚える。
が寄生体の放電により運良く出力サイクルの一部が回復した事に気付き機体を砲撃形態に変形させ始めた…。
「つ…強ぇ〜…。」
その様子を見た1人が思わずこう言葉を漏らす。
「私は早速機体を撃破されたパイロットに突撃インタビューを試みる事にしました!!」
ミヤハラレポーターがそう叫ぶと同時に戦闘で撃破されたレッドホーンに走り寄った。そしてカメラマンもそれに追うように走る。
「今のご感想をどうぞ!!!」
「うう…、ゴジ○にやられた自○隊の気分ですね…。」
レッドホーンからゆっくりと這い出てきた帝国兵士は律儀にそう答えたのだった。その後も、
ミヤハラレポーターは様々な帝国兵士にインタビューを試みたのだが、帝国兵士達の反応は様々だった。
「ちくしょー!!あと一歩だったんだよ!!あと一歩!!」
「故郷のお袋―!!見てるー!!?」
「あのポッカリと穴が空いたキャノピーに一発でも当てられれば…。」
「みんなー!!父ちゃんは頑張ってるぞー!!」
などなど、真剣な人もいればテレビに映されているという事で喜んでいる人もいたのであった。
「それでは!!今度はあのゴジュラスギガに乗っている人にインタビューをしてみましょう!!」
ミヤハラレポーターがそう言うと、いったん戦場から離れ、放送局所有のゴルヘックスに乗りこんっでカンウの回線に強引に割り込んできたのだった。
「おい!!マオが映ってるぞ!!」
「そんなの見れば分かるだろ!!」
テレビに見入っていた皆の中の二人がそう叫ぶ。確かにそれはマオがカンウのコックピットに座っている映像であった。
「それでは!!何か感想をどうぞ!!」
「だぁぁぁぁぁぁぁ!!!うっさい!!!今取り込み中なんだからぁぁ!!!」
マオは泣きながらそう叫んで強引に回線をOFFにした。
「強くなっても泣き虫なのは変わらないのか…。」
テレビに見入っていた内の1人がそう呟いた。
そんなこんなでマオとカンウは帝国ゾイドを撃破し続けていたのだが、帝国ゾイドは後から後からやってくるのであった。
「ヤツは手負いだ!!決して倒せない相手ではないぞ!!!」
帝国軍部隊の司令官と思しき男が叫んだ。帝国軍の士気は高かった。対照的にマオの士気はがた落ちだった。
「うわぁぁぁぁぁぁん!!!やっぱり素直に逃げていればよかったぁぁぁぁぁぁ!!!!」
マオがそう叫んだときだった。地面に転がっていた帝国ゾイドの残骸にカンウがつまずき、
そのまま片膝を突いたのだった。そして、そのスキを突いて突撃してきたレッドホーンの角が
カンウの左膝関節に思い切り叩き込まれたのだった。
「うあぁぁぁぁぁ!!!このぉ!!何するのよ!!」
マオの涙がカンウのコックピット中に飛び散る。そしてカンウの左腕がレッドホーンに叩き込まれ、レッドホーンは豆腐のように潰れたのだった。しかし、先ほどの一撃でカンウの左膝は使い物に
ならなくなった。どんな装甲を持つゾイドも、装甲の無い関節部分は弱い物なのである。
「やった!!ヤツがグリーンデビルの左膝を破壊したぞ!!今ならヤツは動けない!!集中砲火だ!!」
「きゃぁぁぁぁぁ!!!」
帝国軍が動けなくなったカンウに向けて集中砲火を行った。砲弾、ミサイル、ビームの雨がカンウを
襲う。穴の空いたコックピットに攻撃が直接飛んでこないのがせめてもの幸運であったが、
いかにカンウと言えどもこのまま攻撃を受け続ければ破壊されるのは目に見えていた。
「ハハハ…もうダメかもしんない…。ライン…助けにいけなくてゴメンね…。」
砲弾の雨にサラされるカンウの中でマオは思った。よく考えれば目の前にいる人達にしてみれば、
自分は何度殺しても足りないくらいの事をしてきたのだ。敵を倒したと言うことは、その敵を
殺してきたと言うことだ。その殺した敵も当然人間だ。殺人だ…。そして自分が今まで倒してきた
帝国兵士達にも、当然家族がいただろう。その家族にとっても自分は何度殺しても足りないくらいの
ことを自分はしてきたのだ。人間だけじゃない。ゾイドも数多く殺してきた…。ならば自分は
死んで当然なのか…。死んで報いるべきなのか…。仮にここで死ななくても後々帝国兵士達の
怨念に呪い殺されるなんて事もあるかも知れない…。まあ死んだら確実に地獄行きだな〜。
しかし、それについて思ったことがある。そもそも地獄って本当にあるのだろうか?
地獄絵図というのは様々な国、様々な宗教に決まって存在する物であるが、責め苦を受けるのは
決まって人間に限定されている。人間以外の動物は死んだらどうなるの?それに、生物というのは
人間や動物だけじゃない。植物だって立派な生物だし、肉眼では見えない微生物や細菌も立派な
生物だ。それらが死んだらどうなるんだ?という以前に生物が生きているのはこの星だけじゃない。
他の星の生物。宇宙人などは死んだらどうなるんだ?一体どうなるのだろう…。
地獄の責め苦というのは大抵決まって永遠に続くとされているが、それもおかしい。そんなものが
永遠に続くのであれば、直ぐに地獄は亡者でいっぱいになるはずである。しかも、各時代から
よりすぐられたワルがそろっているわけだから、反乱や革命が起きてもおかしくはない。
地獄に堕ちる罪の基準というのも変だ。大抵どこの宗教も、自分たちの宗教以外を崇拝する者は
地獄に堕ちるとか言ってるし、何より、何か他の物を殺したら地獄に墜ちると言うこともおかしい。
殺す殺されるという事は自然界ではごく当たり前の行為である。俗に食物連鎖と呼ばれるそれに
よって、各生物は他の生き物を殺して生きているのである。それに、実は知らず知らずの内に
何かを殺しているという事もある。いかなる聖人君子も、地面を歩いている際に知らず知らずの内に
小さなムシを殺しているはずだし、自らの体内に入ってきた微生物を自らの免疫抗体によって
殺していると言うこともある。そう考えると地獄に堕ちない人など1人もいないという事にならないだろうかとも思えたりする。
などと、ガラにもなく哲学的なことを考えていたりしたマオだが、敵はそんなことはお構いなしに砲撃を繰り返していた。
「中央大陸の広野にマオ=スタンティレル死す…。なんてね〜…。独身のまま死ぬのが心残りだけど…。今思えばあながち悪い人生じゃなかったな〜。」
マオは晴れてきた空を眺めながらそう言葉を残した。マオの目には、孤児院での想い出、
いじめられたこと、各大陸を回って修行したこと、カンウとの出会い、ラインとの出会い、
ライバル、ハガネとの出会い、そして数々の激闘などなど、それまでの想い出の全てが走馬燈のように蘇ってきていたのだった。
>>155 「ミヤハラ」についてはそれほど気にしないで下さい。ただその場で思いついただけの名ですから・・・
ところで、ゲームや漫画のパクリはどこまで許されますか?
自分の場合アルベルトはフ○○○のまんまパクリですが(アウト
「気に喰わない…奴との決着はまだ付いていない!!」
アルベルトはシエルに愚痴を言ったが、上層部の決定だ。どうにもならない。
「仕方ないんでしょうか…これでまた何万人も共和国の人達が死んでしまうけど…」
自分で手を下すわけでもない。しかしシエルが自室に篭って泣き出すには充分な理由だった。
案の定、数秒後にシエルは自分の部屋に駆け込み、鍵を掛けてしまった。
「優しさが戦いの役に立つ物か…そんなものは自己弁護の口実に過ぎん」
アルベルトは雨が降り続く見慣れた光景を、いつまでも眺めていた。
帝国軍が全くニクシーへの攻撃を準備しない理由。計画名「ヘルジャッジメント」だ。
旧文明の衛星兵器「サテライトキャノン:エインシャント」を遠電磁波で操作し、味方に損害を出さずに
ニクシー基地ごと共和国軍を消し去る。たった一発で充分、全てが終わる。
西方大陸の戦力の内8割がニクシーと周辺に集まっている。これだけの戦力が失われれば東方大陸の共和国軍も
士気が下がり、戦況はネオゼネバスに傾くだろう。
アルベルトはロイとの決着を付けられなかった事が不服だった。隙があれば、一人でニクシーに突っ込んで
一騎打ちを仕掛けようとも思うのだがそんな事も出来ない(警備が固い)
シエルはこんな大量破壊兵器での終戦は望まなかった。しかし彼女に何が出来るというのか。
衛星が最適な位置に到着できるまであと一週間。7日後に共和国軍は壊滅する。
更にこの兵器は惑星のどこにでもピンポイントで攻撃が可能で、破壊も不可能。コントロールシステムは
巧妙に隠されている。やがてはこれが共和国を滅亡に導くだろう。
ロイ達がそんな事を知る由も無かった。
だが、情報は唐突にもたらされた。共和国軍のスパイによって。
諜報部でもかなりの切れ者と言われていたセレスティア・ブラウン少佐が、潜入していた敵基地で偶然
衛星兵器についての記述を発見したのだ。彼女の報告書は適確だった。
「この兵器は惑星のどこにでも攻撃が可能な戦略級兵器であり、ニクシーに直撃すれば我が軍は全滅します。
コントロールシステムを破壊する以外免れる方法はありません」
どうするべきか?直ちに会議が開かれた。
「全軍の半分ほどを送って、一気に攻め落としましょう!!」反論が上がる。
「だが、この嵐では大軍は意味を為さない。それに敵に察知されたら罠を仕掛けてくるかも知れん!!」
「じゃあどうすると言うんだ!?このまま全滅を待てと!!?」
ラガートが隣にいた最高司令官に呟いた。「あの、少数精鋭でこっそり破壊すれば良いんでは…」
この一言が決め手となった。
「ハァ!?俺たちが敵基地に潜入?この間失敗した俺達にそんな重要任務任せて良いのかよ!?」
アルティシアが作戦説明をしている。が、ロイはどうも合点がいかないらしい。
「でもね…私達以外にこんな任務できる奴もいないのよ。仕方なく…って感じ?」
ようするに、やらせたくは無かったが他にできる奴がいないからやれ、と。
「面白い…へタレ特務隊の根性見せてやるぜ…ただし、数人メンバーの追加を要請したい」
再編成した特務隊、加えてロイの要請により5人が新たに編入された。
コントロールシステムはとんでもない場所にあった。確かに、大軍を率いても落せないだろう。
識別コード「デア・リヒター」…ネオゼネバス帝国の空中要塞。西方大陸の上空に浮遊する幻の基地。
幻と言われてはいたが、それは実在した。恐らくネオゼネバス最強の要塞ではないだろうか。
空中要塞ゆえに共和国軍の侵入は容易ではない。サラマンダークラスのゾイドが大編隊を成してやってきても
基地の対空砲火だけで撃退が可能だ。浮いている割には超大規模な要塞であり、
端から端まで約1700m。高さ約400m。収容可能部隊は中型ゾイドなら一個師団に相当する。
基地底部の巨大なマグネッサーシステムが要塞を支え、側面のロケットエンジンで移動する。全方位に無数の
対空砲を完備し如何なる敵をも寄せ付けない。Eシールドも装備し、まさに難攻不落。
では、共和国軍は如何にしてこの要塞にロイ達を潜入させるのか?その鍵はディアブロタイガーの光学迷彩にあった。
未来の超技術を駆使して作られたこの光学迷彩は、処理速度や隠密性はイクスの3倍以上。さらに同時にレーダーを
妨害する対電波コーティングも発動するのでデア・リヒターと言えども察知できない。
後はサラマンダーカーゴで飛んで行けば良い。どんな基地でも内側は弱い物だ。
光学迷彩はどんなに急いでも必要な分の量産に4日は掛かる。準備も加えると6日と言った所か。
最後の日しか、チャンスは無かった。
「ホントの事言うと、書類が共和国のスパイに盗まれたとか…計画はもうばれているって事でしょうか?」
心配そうに言うシエルだが、顔はどこか嬉しそうだ。
「…上層部に、報告はしない気か?」ジードが笑いながらシエルに訊く。
「私は、まだ迷ってるんです…本当はあんな兵器使って欲しくないけど、命令に逆らう事も出来ないから。
どうせなら、共和国の人に持っていかれた方が良い…私を反逆者として告発しますか、ジードさん?」
「いいや。誰がアンタを告発なんかする物か。俺はアンタの優しさに惚れ込んでこの部隊に入ったんだ。
どこまででも、着いて行くさ」ジードの精悍な顔に、深い光を湛えた瞳が光る。
「私達は何故…何故、戦争などしているのでしょうか…」
アルベルトも自室に篭って精神統一に耽っていた。ある計画があったのだ。
計画がばれた事を口実に、デア・リヒターに警備として潜入する。奴らは必ずコントロールシステムを
破壊しに来る筈だ。あのディアブロタイガーとパイロットも、きっと来る。
部屋に誰か入ってきた。目を開けると、同じ部隊に所属し、同期で元テストパイロットのリオン・クリストファーが
ジュースの缶を持っている。「たまには何か飲んだらどうだ?お前食事もまともに食ってないしな」
一応、缶を受け取る。「…隊長には言わないだろうな。行くのは俺だけで充分だ。隊長が来ると余計な邪魔をしかねない」
「解ってる。デア・リヒターなんぞ俺は行きたくないしお前の私闘に横槍入れる気も無い」
リオンはある程度割り切った付き合いをしてくれる。アルベルトはそこが良いと思っていた。
「…俺は、あいつと…戦いたい」
「辞世の句…。」
「まだ死ぬのは早いのではないかな?」
「!!!?」
謎の声がマオの耳をささやいた直後、帝国軍部隊にミサイルの雨が降り注いだのだった。
突然の攻撃に帝国軍部隊、そしてマオは一斉にミサイルの飛んできた方向を向いた。そこには
太陽を背にして立っている一体のゾイドの姿だった。そして、そのゾイドはブースターを吹かし、
一気に跳び上がった。高い。たちまち帝国軍部隊を見下ろすほどの高さとなる。そして、その状態で
ミサイルを雨のように降り注いだのだった。ミサイルの雨によって次々に破壊される帝国ゾイド。
そしてそのゾイドは直ぐさまにカンウの直ぐ側に着地する。
「ったくお前も無茶するな〜。あんたの力は認めるけど、少しは自重しなさい。」
「は…ハナザワ少佐!!」
突然現れた助っ人こそ、バスターキャノンに加え、ミサイルポッドとエネルギータンクを装備した
白きゴジュラス「キオウ」に乗るサクラ=ハナザワ少佐であった。タカの様な鋭い目と長い黒髪が
特徴の女性。彼女はクールかつ冷静な性格とはうわはらに、愛機のゴジュラスに桜の花びらのマークを付ける少しファンシーな面もあった。
「うぁ!!!あれは要注意リストの内の一つ!!チェリーゴジュラス!!!」
「チェリーゴジュラス?何だそれは…。」
キオウの姿を見た帝国兵士の1人がそう叫ぶと、サクラは少し疑問そうにそう答えた。
どうやらサクラとキオウも帝国軍にとって要注意な存在になっているようであり、さらにカンウが
グリーンデビルと呼ばれるようにキオウもチェリーゴジュラスと呼ばれている様である。
「ええいうろたえるな!!数はこちらが上だ!!」
帝国兵士はそう叫び、キオウに向けて一気に突撃をかける。しかし、キオウは背中と足の裏に
装備されたブースタをふかして後方へと跳ぶと、今度は腹部に装備されたミサイルポッドから
ミサイルを再び発射する。地面と水平に飛び出されるミサイルの雨によって帝国ゾイドは次々に破壊されていく。
「なめるなぁぁぁぁ!!!」
爆煙をわって、一機のコングが躍り出た。あのミサイルの雨から助かったようである。
そしてコングは背中に装備されたマニューバスラスターを全開し、その勢いに乗ってキオウに向けて
その拳を振り上げた。だが、キオウはその重武装からは想像もできないほど軽やかにコングの
ハンマーナックルをかわすと、今度はカウンターでクラッシャークローで返した。次の瞬間、
鈍い金属音と共にコングの巨体が吹っ飛んだ。いかにゴジュラスが強力なパワーを持つと言えど、
アイアンコングを簡単に吹っ飛ばすなど、ここまで強力なパワーは持っていないはずである。
キオウはただのゴジュラスではなかった。それについては、ニクス戦役の頃にまでさかのぼる。
ヴァルハラにて、ネオゼネバス帝国初代皇帝、ギュンター=プロイツェン=ムーロアが自爆した際、
サクラとキオウは多くの仲間と共にその爆発に巻き込まれたのだった。その時、サクラは右腕を失い、
キオウも致命的とも言えるダメージを受けた。サクラ本人については義手を使う事で解決されたが、
キオウはそうはいかなかった。それだけ大きなダメージを受けていたのだ。そのキオウが助かる道は
一つだった。それはオーガノイドシステムを限定的に使用してオーガノイド化する事である。
たたでさえ元々凶暴なゴジュラスにオーガノイドシステムを使用すると言うことは、あの
ゴジュラス・ジ・オーガの様になることである。限定的にのみの使用と言えどもその影響は
かなり大きいはずである。しかし、死ぬよりはマシと、サクラはキオウのオーガノイドシステムの
使用を許した。キオウは見る見る内に回復したが、同時により強力かつ凶暴になり、最初は
サクラにすら牙をむいていたが、サクラは徐々に克服していき、今では普通に操縦出来るように
なった。本家オーガ亡き今、キオウこそがゴジュラス・ジ・オーガという事になる。それが
オーガノイドシステムの使用が限定的な物とは言え…。そして、通常ゴジュラスには
装備されなかったミサイルポッドとエネルギータンクの使用が許されたのもそれが理由であった。
「ええい!!撃て撃て!!!」
それでも数に置いて圧倒的な分があった帝国軍はキオウに向けて一斉砲撃を行った。しかし、サクラの表情は変わらなかった。
「来たのが私だけだと思ったら大間違いだぞ。」
キオウの右腕が上に上がり、そのまま前に振り下ろした。その時だった。共和国の大軍が現れたのだ。
ディバイソン、カノントータス、ベアファイター、ディスペロウなど、重武装ゾイドを中心に構成された大部隊であった。
「ななな何ぃぃぃぃ!!!?」
それはあっという間の出来事だった。カンウの相手に夢中になった為に共和国軍の大軍の接近に気付かなかった帝国軍はあっというまに駆逐されてしまったのだった。
「………。」
「これだけ派手に大部隊を動かしていたら誰だって気付くよ。それに奴ら頭に血が上ったかのように
アンタ1人を必死に狙ってる物だからこちらも楽に接近できたよ。帝国の大部隊を倒せて、アンタも助けられる。一石二鳥ってね…。」
その時、サクラが一瞬笑ったかのように見えた。しかし、マオの顔に笑顔はなかった。
「助けに行かなきゃ…。」
マオはそう言った後、カンウが残った左手で撃破したコングが肩に装備していたビームランチャーを
掴み、それを杖のように使ってゆっくりと立ち上がり、そのまま歩き始めたのだ。しかし、
それまでの戦いで受けたダメージは大きく、その動きはぎこちない。
「おい!!お前何処に行くんだ!!」
「ライン達を助けに行かなきゃ…。部下を守るのが上官の使命です!!」
呼び止めるサクラに対してマオはそう叫んだのだった。
マオにとって、初めて本当に仲間と呼べる者はラインが初めてだった。それだけではない、
自分が昔、いじめられていた時、自分を助けてくれた1人の少年がいた。その少年は強く、そして
かっこよかった。自分もその少年のように強くなりたかった。そして、一心不乱に努力を重ね、
今のようになった。その時の少年=ラインと知ったのはラインが自分の部下として働くことになった
大分後であった。当時はとても信じられなかった。子供の頃はとても強く見えていたのに、今見ると全然強くない。まあ他のみんなが言うには、「既に超えていたから」というのだが…、
とにかく、だからこそラインを殺させるわけにはいかなかった。
しかし、そんなマオの思いとはうわはらに、サクラは顔色一つ変えずにこう言った。
「おい…ヤツのギガをホバーカーゴに収容しろ。」
「ハナザワ少佐!!邪魔しないで下さい!!」
カンウに近づくホバーカーゴ、そしてそのホバーカーゴに連れていこうとする友軍ゾイドに対し抵抗しながらそう叫んだ。
「黙れ!!頭を冷やせバカ!!そんな事ではこの戦争は生き残れないぞ!!!」
普段から冷静かつ物静かなサクラが感情をむき出しにしてそう叫んだ。やはり普段からしょっちゅう
怒っている者が怒るより、あまり怒らない人が怒った方が怖い物である。思わずマオも黙り込み、
しゅんと顔を下げた。しかし、サクラは再び普段のような話し方になってそう言った。
「そんなぎこちない動きで行くより、ホバーカーゴで運んでもらった方が速いだろ?それに、応急処置くらいならしてやるよ…。」
「あ…ありがとうございます!!」
マオはサクラにおじぎをした。
マオとカンウを乗せ、ホバーカーゴは高速部隊とエナジーライガーが戦っている地点へと
向かっていた。そして、ホバーカーゴの中ではカンウの応急修理が進められていた。キャノピー、
キャノピー前部を覆う装甲、コックピット内のシート、背中のバスターキャノンなどなどは
新品に交換されていたが、他の部分の修理はまだまだであった。全身の装甲はベコベコなままであり、何より消滅した右腕はそのままであった。修理は主に損壊した左膝関節に集中していた。
カンウのコックピット内には、サンダースのエナジーライガーとの戦いで負った頬の傷を
バンソーコーで覆ったマオの姿があった。そして、コックピット内のディスプレイに、
ホバーカーゴのオペレーターがマオに状況の説明を行っていた。
6日目まで何も無く、ニクシーは不気味な静寂に包まれていた。
光学迷彩の生産が完了し、部隊のゾイドに取り付けられていく。いよいよ明日デア・リヒターに
突入するのだ。「空中要塞か…本当に大丈夫なのか?」
部隊の仲間は自信ありげだ。仲間同士が信頼しあっているからこそ、互いに生き延びようと思える。
ロイはアルベルトの言葉がずっと気になっていた。
〔本心では、他人の窮地などどうでも良い!!〕
「…違う。お前は何かが間違っている…」そこまでは言える。だが、何が間違っているのかと自分自身に聞いた時
ロイは答えに詰まった。アルベルトも自分も、結局は同じなのではないか、と。
だが今のロイは答えを知っていた。「アーサーが、部隊のみんなが、アイリスが、一緒にいてくれた。
俺を支えてくれる人が居た」アルベルトの瞳。モニター越しにしか見られなかったが、猛烈な怒りと憎しみが
燃え上がる瞳。その奥に、悲しみが隠されてはいなかっただろうか?
戦災孤児――確かに自分とアルベルトは同じだった。だがそれを否定したかった。
「俺なら…いや、俺にしかあいつは止められない」
アルベルトがあの後死んだとは思わない。奴とはまた、きっとどこかでまた出会う。
出会った事自体が、大きな運命の一つ。乗っているゾイドも境遇も、偶然とは思えない。否、思いたくない。
戦いは近かった。明日、共和国軍の――この戦争の運命が決する。
その時、ロイの部屋のドアを叩く音がした。
「ロイ、居るかい?ジャスティンだけど…入っても良いかな」
「ああ。どうしたんだ?」ジャスティンが部屋に入ってきた。いつ見ても戦争で活躍する男とは思えない位
華奢な身体。迂闊に触れたら壊れてしまいそうな、そんな感じがした。
「いやあの、明日の任務が危険だから、話せる事は話しておかなきゃと思ってさ」
「おいおい…まるで明日どっちかが死ぬような口ぶりだな?そんな事は無い。みんな、また会える」
ロイの小さな体に似合わない、力強い笑み。本人こそ気付かないが、周りの者はこの笑顔に何度勇気付けられた事か。
「…あのさ、時々自分が何の為に戦ってるのか解らなくなる時って無い?不安にならない?」
ロイは微かな笑いがこぼれ出すのを感じた。先程まで考えていた事ではないか。
「…もちろん、ある。だけど考えても明確な答えなんか出ない。ただ自らの信じるものの為に戦えば良い」
そうだ。これが、考え抜いて出した答え。
「そう、か…何かすっきりしたなぁ」ジャスティンが何故こんな事を訊いて来たのかなど問うつもりは無い。
戦い始めた動機も、戦う理由も大事な事だから。
「それじゃ、僕はそろそろ寝るね。…さっきのロイは結構カッコ良かったよ」
ロイは以前から思っていた事をここぞとばかりに言ってみた。
「お前ってさぁ…ホンットに男らしくねぇよな…」ジャスティンは一瞬驚いた様な顔をして、笑い出した。
「あっはっは…ロイ、僕が男だって言った事あったっけ?」
ジャスティンが出て行き、一人部屋に残されたロイは唖然としていた。
「……ハァ?(´Д`)」
夜中のニクシーから、カーゴタイプに改造されたサラマンダーが次々と飛び立って行く。
「現在デア・リヒターは、ニザム高地東部の上空約9000mを浮遊しています。
これよりサラマンダーにて接近、基地上部で各機投下し、基地内に潜入します!!」
ロイの要望で編入され(てしまっ)たラガートはマーキュリーに光学迷彩を装備し
自分で飛んでいく事になった。「ロイさん…どうして私を指名したりしたんですか…(半泣き)」
「どうしても何も、お前が信用できて腕の立つ奴だからだよ」
単純明快。しかし選ばれる方の心情をまるで考えていない。
無敵と呼ばれる要塞に潜入するなど、当然死の危険を伴う。むしろ死ぬ確率の方が高い。
それでもラガートが断らなかった理由も、やはりロイを放っておけないからでもあった。
1時間後。「ニザム高地東部…見えてきました。山の上の巨大な物体がデア・リヒターです」
高地の山脈の上空に、巨大な物体が浮かんでいる。雲と夜闇に隠れてよく見えないが、非常に
巨大であると言う事は解る。「…あれに、Eシールドやら対空砲やら装備されてるのかよ…」
確かに無敵の要塞だ。光学迷彩如きであれを騙せるのだろうか?
もし探知されたら…一巻の終わりである。5分もしない内に全機が落とされ、ニクシーも
消え去る。共和国軍は敗れ去るだろう。
だが、もし探知されていたらもうとっくに対空砲火が火を噴く距離まで行っても攻撃してくる気配は
無い。「これは…いける!!」
うまく騙せたのだろうか。違った。帝国はあえて彼らを近づけたのだった。
アルベルトがここに来る為に上層部に売った情報。計画がばれた、と――
その為に基地内部でも万全の構えで彼らを迎え撃とうとしていた。表の飛行ゾイド用滑走路には
びっしりと対空砲装備のイグアン、レッドホーンなどが。既に空中にはレドラーやグレイヴクアマが。
完璧な防御。万に一つも共和国に勝ち目は無い。
サラマンダーのパイロット達もこの光景を見て狼狽した。作戦は既に失敗が決まったような物だ。
ここで全員撃墜されて死ぬか、ニクシーに戻って死ぬか。逃げる事は出来ないだろう。
それなら、勝ち目の無い戦いをしてでも最後まで軍人であろう。そう思ってサラマンダーが全機
光学迷彩を解除した。砲塔が一斉に向けられる。
だが、対空砲火の雨が降り注ぐことは無かった。突如デア・リヒターが揺れたのだ。
下に閃光が見える。見下ろせば、真下の山頂にデススティンガーが集まってデア・リヒターを攻撃している。
荷電粒子砲がマグネッサーを破壊していく。対地ミサイルや各種砲塔で応戦するが、共和国の方に構っている暇は無い。
サラマンダーのパイロット達はこのチャンスを見逃しはしなかった。ブースターで加速し、基地の上に飛び上がる。
レッドホーンなどの対空砲が飛んできた。しかしそれらを巧みに避けながら、味方機を基地内に投下していく。
降り立った特務隊はすぐさま周りの護衛ゾイド達を蹴散らした。意外にも中のゾイドは貧弱だ。基地自体の防衛能力に
依存する所があったのだろう。それが間違いだった。
残らず味方を投下し、基地から遠ざかるサラマンダー隊の隊長は通じない無線機に呟いた。
「後は任せたぞ、諸君…」
「コントロールシステムは基地の中心部だ!!一気に防衛線を突破する!!」
ロイが先陣を切って突撃する。良くてもジェノザウラーかバーサークフューラー位しか
居ない防衛線では彼らを止めるのは不可能だった。
しかし、通路が入り組んでいる。防御壁が作動して敵の侵入を阻んでいるのだ。
このままでは閉じ込められる。「防御壁が全部閉まるまで後何分だ!?」
「5分…いや4分!!急げみんなぁぁ!!!」全員が全速力で通路を駆け抜ける。
いくつ角を曲がっただろうか。三叉路の右側に広いスペースが見える。
「あそこだ!!ブラストドアが閉まるぞ!!」
そこの通路の防御壁はもう半分近く閉じていた。全員が加速用のブースターを使う。
ロイが最初にその空間に飛び込んだ。その後からエリックが、ジャスティンが、イオと
リッツ、アルティシア、扉が閉まる刹那床すれすれを飛んでラガートが、
何とかこのスペースに入ることができた。
だが、そこには思いもよらぬ最後の障害があった。
巨大な部屋だ。部屋の中央に巨大なコンピュータがある。その前に、一機のゾイドが居た。
ロイは息を飲んだ。また装備を変えてはいるが、2度も見た機体だ。間違えはしない。
「クックック…待っていたぞ、雑魚共」
モニターには、不敵に笑うアルベルトの顔が映し出された。
「あっちの方にもあのドラムカンライガーがいたって事ね。」
「敵の新型ゾイドの性能はすざましく、現在ライン=バイス軍曹のライガーゼロフェニックスが
善戦していますが、それでも苦しい戦いとなっております。さらに、その近辺には救援部隊を
防ぐために別の帝国軍部隊が展開している模様。」
「その周りに展開する部隊は我々が相手をする。応急処置はしておいた。お前は現地に直行しろ。」
サクラがマオに対してそう命令した。
「あ!ですがその前に、バスターキャノン…あと2門ありませんか?」
「あるが…それがどうしたのだ?」
「応急処置をしていると言っても、やっぱり動きは悪いでしょ?なら動きが悪い分火力でカバーしようと思って…。」
「別に良いが、バスターキャノンを4門も乗せれば機体が重くなってさらに動きが悪くなるのでは
ないのか?まあお前のバスターキャノンは旧式のゴジュラスキャノンの半分以下の重量だから、4門乗せても問題は無いと思うが…。」
「私とカンウなら大丈夫です…。」
そして、出撃前に急遽武装の追加が行われた。カンウが背中に背負う2門のバスターキャノンに
それぞれブロックスを中継してさらにもう1門づつバスターキャノンを取り付けたのだ。
4門のバスターキャノンを装備したカンウの姿はまるでウルトラザウルスを思わせるほどの異様を放っていた。
「それでは総員出撃!!!」
ホバーカーゴのゲートが開き、共和国軍部隊は一斉に出撃していった。カノントータス隊の
支援砲撃の中、カンウは目的の場所に向けて一気に走り出した。
「や…やっぱり思った通り足が遅い!!」
どうにか走ることが出来たが、所詮は応急処置の域を出ることは出来ず、その速度は通常時の3分の2以下であり、動きもぎこちなかった。
「うおおお!!!」
ついにジェネラルの背中のショックカノンがエナジーのチャージャーキャノンによって破壊された。
その爆発はすざましく、ゾイド本体にまでダメージを与える。
「ライン先輩!!」
サリーナはそう叫び、ガイガイガーがエナジーに向けて集光荷電粒子砲を発射しようとした。
しかし、その前にエナジーライガーのエナジークローが叩き込まれ、吹き飛ばされた。
「貴方との勝負は楽しかったよ。私も久々に熱くなりましたし…。ですがそろそろここでお終いにしましょう!!」
クライトはそう叫ぶと同時にエナジーがエナジーウィングを展開、一気に跳び上がりそのまま超高速で滑空しながらジェネラルに襲いかかった。
「万事急須か…。」
ラインは観念するようにそう言ってゆっくりと目を瞑った。エナジーはそのまま超高速でジェネラル目がけて一気に迫る。と、その時だった。
ズゴン!!!
4条の光と共に突然飛んできた高熱の砲弾が轟音と共にエナジーライガーのエナジーウィングをうち砕いたのだ。
「な!!!この私に直撃を与えるのは誰だ!!!」
エナジーは空中でバランスを崩すが、どうにか着地する。そして砲弾の飛んできた方向を向いた。
そこには岩陰から上半身のみをヌッと出し、4門のバスターキャノンを装備したカンウの姿だった。
「何!!!?グリーンデビル!!何で…。」
「少尉!!!」
クライトは半ば浮き足立ち、ラインは喜んだ。そして、残存する友軍パイロットの士気も上がった。
「いやいや…やっぱり私って目が見えない方が調子いいわ。」
カンウのコックピット内、アイマスクで目隠しした状態でマオがそう呟いた。くどいようだが、
マオはエナジーライガーの姿を見るのではなく、エナジーライガーとクライトの発する気を感じ、
実体を捉える事でバスターキャノンを直撃させたのであった。本当に非理論的な事であるが、
世の中科学では解明できない事実があるという証明でもある。
「雷神のサンダース中佐も地に落ちたという事ですか…、ならば私がやりますよ!!!」
冷静なクライトが初めて感情をむき出しにした。そしてエンジン全開でカンウへと突撃した。
「わわわわわ!!!!」
マオは叫んだ。無理はない。相手の位置は特定出来てもその動きに身体がついていかないのである。
万全の状態なら問題はないが、今のカンウはどうにか戦えるという状態なのである。
4門のバスターキャノンを連射するが一発も当たらない。一方エナジーはそのまま
エナジーウィングでカンウ目がけて斬り掛かった。それは一瞬の出来事だった。エナジーは
すれ違い様にカンウの左腕の付け根の関節、応急処置でどうにか動いていた左膝関節、
そしてバスターキャノンの付け根を一気に破壊していたのだ。カンウはそのまま崩れ落ちるように倒れ込んだ。
「まあ生きていたと言ってもダメージは大きかったようですね〜。」
「いやいや、案外そうでもないよ…。」
「フン、強がりを…。」
「強がりじゃないって。これをご覧なさい。」
その時、カンウの口には何か棒のような物がくわえられていた。それはエナジーライガーのグングニルホーンだった。
「それだけじゃあないよ。」
マオがそう言うとカンウが尾を上に上げる。そこには尾に装備されたテイルスタビライザーに
突き刺さったチャージャーキャノンの姿だった。それを見たクライトは一瞬驚いた顔をしていた。
「な・・・なるほど・・・、天才と対等に戦えるのは天才だけ・・・。まさかとは思っていましたが・・・噂通り貴女も天才だと言う事ですか・・・。」
「チガウチガウ。ワタシ、テンサイナンカジャ、ナイアルヨ。」
クライトの言葉に突然カタコトでしゃべり始めたマオが右手を横に振りながらそう言った。
「嘘だ!!私をここまでさせる者が天才で無いはずはありません!!!」
「チガウチガウ、ワタシハテンサイナンカジャナイヨ。ナンドイッタラワカルノ?コウミエテモムカシハヨクイジメラレテタシネー。」
相も変わらずカタコトでしゃべり続けるマオに対し、クライトは怒りに満ちた顔になった。
「ウソだウソだ!!凡人なんかがこのワタシに勝てるはずが無いのだ!!!この私をコケにしましたね…。この天才を――――――!!!!!」
ついに切れたクライトがそう叫ぶと同時にエナジーライガーのエナジークローがカンウに
叩き込まれた。動けないカンウは当然避けられない。直撃を受けたカンウの装甲は瞬く間にひしゃげる。
「この天才をコケにした貴女にはむごい死に方をさせて上げますよ!!!!!」
Ziの焔書いてる物体さんへ
遂に来た!このネタ…先を越された。性別ネタ_| ̄|○
まあ良いか…このままだと使わない可能性が非常に高かったから。
あとパクリについてですがそれ程気にし無くても良いと思います。駄目だな〜と思ったら次からはそのレベルのパクリを使わないようにすれば良いのですから。
それに…大抵の文章は文章の書き方の基本からパクられていく物なので如何しようも無い場合もあるので。
緑の悪魔激殺指令の作者さんへ
ああ…こっちにも遣りたかったネタが…カタコトノコトバ。
ロボットゴトカ、ガイジンニッポンゴトカイワレタリスルこの言葉…シンバシ!シンバシ!シンバシ!!!(某お笑いコンビのネタより抜粋)
真面目な場面でやられると相手は怒るのは確実ですね…相手が若年だった為に異常な効果が出ていた様ですが…w
「あれは…壱式?いや違う、角と背中の砲塔が僅かに異なる…」
アルベルトが一歩ずつ、ロイに近付いてくる。その前にエリックとジャスティンが立ち塞がった。
「邪魔する気か!?さっさとあれを破壊しないとニクシーが…」
ロイが2人の前に出た。「下がっててくれ。こいつとは…俺が決着を付ける」
アルベルトが笑い出した。「ハハハ!!そうだ、俺は貴様と戦わなければ意味が無い!!」
サイクロプスの前面に装備された角が光る。大型のレーザーブレードだ。
「この形態は『零式』と呼ばれるサイクロプスの最強武装形態だ…これで貴様に、止めを刺す!!」
レーザーブレードと言うよりは、もはや巨大な日本刀に近い。デスエベンジが角を下げた。
出会った事も、戦った事も宿命だと信じている。そして最後の決着をつけるべく、対決は静かに始まった。
デスエベンジが角を振り上げ、斬りかかって来た。ロイは横に飛んでかわし、展開したサイバーファングを
叩き込む。アルベルトは返す刀でそれを弾く。
一瞬の攻防。これだけでロイの額に汗が浮かんできた。それほどにきわどかったのだ。
デスエベンジの背の爆裂鉄球砲が火を噴いた。速い。以前より弾丸の初速が上がっている。
「砲撃武装も強化された!!格闘でも射撃でも負けている貴様にはもはや勝ち目は――」
床を踏み抜くほどの跳躍。一瞬でデスエベンジがロイの目の前に現れた。
「――無いッ!!」僅かに機体を捻って致命傷は避ける。だが右肩の装甲が斬り飛ばされた。
装甲と同時に駆動機構も傷ついたらしい。若干動きが鈍る。だがこのレベルの戦いでは致命的だ。
突き、切り払い、太古の昔に存在したと言う「侍」の動きを元にして作り出されたと言われる
この動き。ブレード系武装を使う者には流派の1つとして知られているがアルベルトがやると
想像を絶する威力となる。それはゾイドの機体とパイロットの腕が生み出す神速の格闘。
ロイはギリギリでかわすのが精一杯で反撃に出られない。それでも装甲の一部などが確実に削られていく。
長刀角の突き上げる様な一撃を避け損ね、ロイは数十m吹っ飛ばされた。
アルベルトは起き上がろうとするディアブロタイガーに角を叩き付けた。再び倒れこむロイ。
「貴様は常に―他者に支えられ続けてきた」ディアブロタイガーの首に刃が突きつけられる。
あと少し動かせばディアブロタイガーは死ぬ。パイロットもすぐに殺せる。
「ロイ…それが貴様の弱さだ!!」
モニターに映るロイは、俯いて動かない。だが、やがて静かに口を開いた。
「…が…う……」アルベルトは通信機越しに顔を歪めた。「何?」
「それ…は…絶対に…違う……!!」
動揺か、アルベルトに一瞬の隙ができた。ロイはデスエベンジの角を弾き飛ばし、ステップで後ろに跳び退った。
額から血を流しながらも、ロイはニヤリと笑う。
「それが俺の…強さだ!!」
アルベルトは折れるほど奥歯を噛み締めた。「支えられる事が…強さだとッ!!?」
デスエベンジが飛ぶ。ロイにはもうその動きは捉えられない。
「ふざ…けるな…何が仲間だ…何が…絆だ……!!」
アルベルトの殺気は半端ではなかった。キングゴジュラスですらこれ程ではない。
「あの日以来俺は…誰も信じず…誰にも頼らず…今日まで生き抜いてきた」
ロイももはやレーダーは見ていない。見てから反応するのでは間に合わない。
「戦場を彷徨い…敵兵をひたすら殺し……たった一人で地獄を越えてきた!!!」
突然ファインの機体コンディションモニターに異状を知らせる表示と警報音が響き始める。
「これは…?そうでありますか。」丁度同じ時にコクピット真下のコアブロックが寄生体に完全に取り付かれた状態に成ったらしい…。
機体のエネルギーレベルが突然1,8倍程に跳ね上がる。「冗談がきついでありますねっ!」
コントロール性は極端に悪化しシステムに介入しようとする寄生体のハッキングで更に制御が難しくなる。
相手は目の前に居る構わずリニアマグネイズソードを振り払う。それはピットフィーンドが繰り出したエネルギーナックルと激突する…。
「うおっ!?」ピットフィーンドに乗るローキスは突然のパワー上昇で叩き付けられた攻撃に押し返される。
相手はそれに落下スピードによってピットフィーンドを越える力で攻撃してきたのだ。
「頭を…!」空中戦は基本的に頭を押える事と後ろを取る事が重要だ。今までは高速で擦れ違いざまに斬激、砲撃が戦闘の大半を占めていたが、
ブロックスの登場でその戦闘方法が相手に効き難くなってきたのだ。ブロックスは不用パーツの自動切り離しの能力が有る。
その為に一発の斬激では破壊が出来無くなったのだ。最良の方法は地面に叩き落としてバラバラにする事。
その為には頭を押さえる必要が在る。しかし現状はピットフィーンドにとっては非常に不利な位置に要るのだ。
「上昇しなければ!」出力を上げて必死に上昇しようとする。
しかしハッキングを受けながらも必死に上昇を防ぐ様に目の前を塞ぎ攻撃を繰り返すアナイアレイターの前に上昇を阻まれる。
「くそっ鬱陶しい!」ピットフィーンドに砲撃をさせると挙動が不審に成っているアナイアレイターに着弾しアナイアレイターは落下していく…。
やっとの事で相手の上空に上がる事に成功するが見回すと誰も居ない状況だった。
「一杯食わされたか…。」本当の狙いはピットフィーンドの消耗待ちそして極自然に戦場を離脱する事だったようだ…。
思惑通りに踊らされたと勘違いしたローキスは辺りを必死になって彼らを探したがもう地上に降りた2機を見付ける事は不可能に近かった。
ローキスが自分達を見失い、ラインハルトが寄生体と戦闘をしている最中…ファインはシュミットと合流しハッキングの対処に頭を悩ましていた。
「中尉…切り離しをした方が良いのでは?」「ところがシュミット少尉、離すと戻って来るのでありますよ…困った事に成ったでありますね。」
ハッキングは末期状態で使える手は限られていく…少し考えた後シュミットは口を開く。
「逆にハッキングを掛けましょう!」「そう来ましたか…取り敢えずやってみるでありますのでサポートを頼むであります。」「了解しました。」
プログラムのハッキングを掛けて居る寄生体に逆にハッキングを仕掛けるが…あっさりとハッキングに成功ししばし呆然とする。
「使用…だったみたいでありますね…。」目の前に表示されるデータをファインは見つめて呟く。「そうですね。元々寄生体自体がゾイドの強化パーツ扱いだった様です。」
データを即解析していたシュミットは言う。「それにブロックスやキメラの弱点である出力の単体強化は非常に有用です。」
「共和国の人は随分と思い切った物を作ってしまった様でありますね…。」と指差した先にはデスザウラーSTとマッドサンダーに寄生していた寄生体が戦闘を続けている。
「ついでに上の方は何を勘違いしたか自分達を探している様でありますので時間的には余裕が有るであります。」と言うとシュミットはこう答えた。
「解析を進めましょう。ハッキングは無視しても良さそうですから。」
ラインハルトは巨大寄生体と対峙している。それはハイパーローリングチャージャーの機構を内包し電撃を辺りにまき散らす…。正に親?の名前その物だった。
デスザウラーSTは荷電粒子ビームキャノンを乱射してみるが電撃の雨に阻まれ命中する物は無い。「ふん…自慢の電撃で完全防御と言った所か?だが甘い!」
デスザウラーSTを高速起動させる…脚部のジェットホバーの推力を上げ一気に詰め寄るとエクスブレイカーで角を切り飛ばそうとする。
それを阻まんとして電撃が放たれるがそれはバスタークローを伝って脚部に回り地面に流れていく…。
その数秒後角を全て切り落とされた寄生体は激しい悲鳴を上げながら放電を始める。
しかし放出口の角を失ったため体に逆流し激しい火花を散らしながら寄生体は倒れた…。
「あちらは終わったみたいでありますね…。」機体状況をチェックしながらファインは言う。
解析に夢中になって事の顛末を見ていなかったシュミットは「じいさんやるなあ…。」と意にかいさぬ様に解析を続けている…。
しかしそうそう時間は有る物ではない。上空を旋回飛行していたピットフィーンドが視界とレーダーから消えたのに気付き二人は作業のスピードを上げる事にした。
「居ないのならばやらせてもらうまで。」ローキスは基地施設に向けて攻撃を開始し始めた。
レーザーストームのクレセントレーザーが矢継ぎ早に飛んで来るがこの距離では直撃しても大したダメージには成らない。
「邪魔だ。」そう言うとミサイルポッドが展開し空対地、地対地対応ミサイルが発射される。それはある一定時間飛んだ後内部から加熱したベアリング弾を散蒔きながら炸裂する。
地上のレーザーストーム部隊はあっと言う間に行動不能に陥っていた…。
地上に降り立つと更にその巨体が目を引くピットフィーンドに対してロードゲイル3機が一斉に襲い掛かるが無造作にテイルソーを装備した右腕を振り抜くと3機とも真っ二つになっている。
残ったパーツを1機にチェンジマイズさせ攻撃を仕掛ける。さっきよりも強力な攻撃だ。だがそれもピットフィーンドには通用せず緊急離脱装置が作動したかと思うと彼らの機体は今度は盾に両断されていた。
「何て奴だ!」カイエンは歯ぎしりしながら言う。こう見えてもロードゲイルを操れる者はエース級の実力を持っている。
その彼と仲間を持ってしてもピットフィーンドを止める事は出来無いのだ。
その巨体は地獄から現れた炎の上級悪魔まさにピットフィーンドの名前その物に見えていた。
「其処までですよぉ〜。」間の脱けた声が辺りに響く…ローキスがその方向に機体を向けるとそこにはルディアの乗るプロトYが新たな武装を装備して立ち塞がっていた。
「面白い!そのエンブレムは奴の部隊か!先に貴様を片付けてやろう…。」自信に満ちた声で言いながらローキスは機体を一歩前に踏み出させた。
今のクライトに最初のような冷静さは既に失われていた。初めての挫折。しかもそれが天才で
無い者、凡人にやられたのだ。ショック以外の何者でもない。マオは凡人かと言うと微妙だが、
どちらかというと努力型なので才能型の天才の皆様にとっては凡人と変わらないのかもしれない。
その直後、エナジーライガーの右前足がそのままカンウのキャノピーに押しつけられた。
レーザーの光を帯びたエナジーの爪が思い切りカンウのキャノピーを押し込んでいく。
カンウのキャノピー前部を覆う装甲は溶けはじめ、キャノピーガラスも悲鳴を上げる。
「わ…わ〜!!アチチチチチ!!!ゴメンナサイゴメンナサイゴーメーンーナーサーイー!!」
中のマオは慌て、そして例によって泣いていた。一方キャノピーはヒビが入り始めていた。
キャノピーが中のマオごと潰されるのも時間の問題である。それだけではない、レーザークローの
まま押しつけられている為にコックピット内の温度も半端な物ではなかった。
「このまま潰れて肉片と化しなさい!!」
「そうはさせねえ!!!」
キャノピーが潰れそうになるその時、ラインのジェネラルがエナジーライガーの
エナジーチャージャーをレーザークローによって切り裂いていた。
「な!!!天才ともあろう者が…か…肝心のライン=バイスの存在を忘れていた…。」
エナジーライガーの身体は吹っ飛び、ジェネラルのレーザークローによって大きくえぐられた
エナジーチャージャーはそのままエナジーライガーごと大爆発を起こしたのであった。
しかし、爆発する直前、エナジーライガーの頭部からビーグルの様な物が飛び出していた。
脱出装置によって脱出されていたのだ。クライトは…。
「可愛そうな子・・・よくわかんないけどさ…貴方の欠点はそう自分を天才と言ってうぬぼれていた事だよ・・・。」
クライトの乗るビーグルを見つめながらマオはそうつぶやくのだった。
「少尉!!大丈夫ですか!!」
急いでジェネラルから降りてカンウのコックピットへ向かったラインはマオに対してそう叫んだ。
「ハハハ…助けに来たのに逆に助けられちゃった…。」
マオは笑いながらゆっくりとした口調でそう言う。
「でもまあ…お互い生きててよかった…。」
「バカ…男が泣くんじゃないよ…。」
その直後、マオはそのままガクっと倒れ込んだのだった。それを見たラインは青ざめた。
「しょ!!!少尉!!!少尉!!!!しっかりして下さい少尉!!!」
「グウ…。」
ずげげげげ!!!
「何だ…寝ただけですか…。まあ…いいか…。」
すっ転んだラインはゆっくりと起きあがりながらそう言った。他の戦線での戦闘も次第に収まりつつあった。
「え〜こちらライン=バイス軍曹。敵機を沈黙させました。収容を求む。」
ジェネラルに戻ったラインはそう通信を送った。よほど疲れたのか、マオはカンウの中で静かに眠っていた。
「ハイ、ハイ、そうです。そうなんですか…。」
その頃、同窓会が行われていたタラトタウンのバイキング料理店では先生が電話で誰かと話を
していた。そして、先生の周りに他のマオの同級生達が集まって心配そうな顔をしていた。
「あのね…みんな…、スタンティレル…無事だって。」
先生の一言に皆から歓声が上がった。
「ったくよー!!妹のヤツまたぶっ壊したのかよ!!これだからアイツはいつまでたってもザコキャラなんだよ!!」
中破したカンウを見たマオの双子の姉、ミオ=スタンティレル大佐はそう叫んだ。しかし、そう言いつつも、カンウの修理を部下に命じるのであった。
空は既に夜になっていた…。
語り〜継ぐ〜♪人も〜なく〜♪吹き〜♪すさぶ〜♪風の中へ〜♪紛れ〜散ら〜ばる♪星の名は〜♪
忘れ〜ら〜れて〜も〜♪
ヘ〜リック♪ゼ〜ネバス♪戦争は〜まだ終わら〜ない〜♪
ヘ〜リック♪ゼ〜ネバス♪戦争は〜まだ終わら〜ない〜♪
たった二人の人間を殺すために、大部隊はもとより、最新型ゾイドをも投入した、帝国軍の作戦は、
マオとライン、そして共和国軍の思わぬ奮闘により失敗に終わった。
しかし、そこに熱き漢達の熱き魂がある限り、彼らの熱き挑戦は終わらない。
終わり
とりあえず、ここで一旦完結です。
あと、以前に次はサイクロプス主役でやると言っていたのですが、
それはまた次の機会になりそうです。済みませんね。
なにしろジェットファルコンとか、色々ネタの起爆剤が色々投入されたのですから・・・。
>>緑の作者氏 GJ×3!! 続編待ってます!!
先にサイクロプスネタ使ってしまって申し訳ない。やっぱ主人公がディアブロ
ときたらライバルはサイクロプスっしょという数式が(轟沈
>>恐怖の亀裂作者氏 本当は性別判明時にジャスティンがロイにアレとかする
予定だったんですが「いかん!!このままではエロに走る危険を伴う!!!」
と言うわけで断念。結果的に印象の薄いイベントになってしまった罠(圧死
巨大なエネルギーを纏った鉄球がロイに迫る。だが、ロイはそれがはっきりと見えた。
鉄球砲をかわし、アルベルトとの距離を一気に詰めるロイ。
「そうか…これで解った。やっぱりお前は、俺には勝てない」
サイバークローを繰り出す。ロイは自然に撃った攻撃だが、アルベルトは衝撃に顔を歪めた。
「くッ…スピードもパワーも…増しているだと!?」
ロイは畳み掛ける様に連続攻撃を仕掛ける。「俺には支えてくれた仲間がいた。
俺を育ててくれた恩師が居た。…誰かに支えられて今日まで生きてきた」
サイバークローがデスエベンジの装甲を吹き飛ばす。
「だから例え間違った事をしても、怒ったり、正しい事を教えてくれる人が居た。
だけどお前は一人だった、復讐心と己の憎しみに囚われた!!一人で戦うお前には
自分が生き残る為の力しか使えない。だけど俺には支えてくれる人が、守るべき人が居るから!!」
サイバーファングがサイクロプスの角を捉えた。
「仲間達が居る限り、俺は何処まででも強くなれる!!!」
デスエベンジが吹っ飛んだ。柱に叩きつけられ、轟音と共に崩れ落ちた柱の下敷きになる。
すぐに瓦礫を吹き飛ばし、起き上がるデスエベンジ。しかしその時アルベルトは真実を掴みかけていた。
「信じる仲間に支えられ…その仲間の為に戦う……それが…絆の力…!!」
アルベルトはエネルギー残量を見た。もうまともに戦えるだけの余力は無い。
爆裂鉄球砲をパージする。「行くぞ、ロイ…これが最後の一撃だ」
全エネルギーを、最強斬撃長刀角に集中する。
ロイも、それに応える。残ったエネルギーの全てを、サイバーファングに流し込む。
2人が、同時に走り出した。デスエベンジの角が、激しい光を放つ。
「ブレードが光った!?」 「ロイーーッ!!」
サイバーファングも光り出す。「勝つ!!俺を信じてくれる全ての人の為に!!!」
2体のゾイドの角と牙が交錯する。閃光と爆風が巻き起こる。そして――
「不思議だ…」デスエベンジの角が根元から砕けた。何故か、今までに無く晴れやかな気分だ。
目の前にディアブロタイガーが見える。「俺を駆り立てていた物が…消えて行く……」
宙を舞うデスエベンジ。アルベルトは、遠のく意識の中で微笑った。
「消えて行く…」
「ハァ、ハァ……やったのか…?」
我に返ったロイが見た物は、朽ち果てた様に沈黙するデスエベンジだった。
回線は切れていて、モニターにもノイズしか映っていない。
ロイはディアブロタイガーを降りた。
動かないサイクロプスのコックピットに近付くロイ。レバーを引くと、ハッチが開いた。
アルベルトはシートに座ったまま動かなかったが、やがて目を開いた。こちらも顔から出血している。
「…何だ、とどめでも刺しに来たか?」
ロイはアルベルトの胸に機器の破片が突き刺さったままなのを見つけた。一瞬で理解した。
――アルベルトはもう、助からないと―――
アルベルトの皮肉に、首を横に振るロイ。言葉が出ない。最期まで、彼の性格は変わらない。
「何をシケた顔をしている…お前は勝ったんだ。もっと…喜べよ…」
アルベルトは自分が助からない事を知っていた。残酷なまでに解ってしまったのだ。
「今更だが…お前の言った事が少しは解った……仲間を…大事にするんだな…」
丁度イオがコントロールシステムを停止させた。「よし、これでニクシーは大丈夫だ!!」
ロイにはアルベルトの視線が何を言っているか解っていた。「一人にしてくれ」と言っている。
真理を悟ってもなお、最後の瞬間まで1人で――
「…できない」ロイがそう言った時だった。デア・リヒターが激しく振動したのだ。
「…どうやら外で…デススティンガーが暴れているようだ…この基地はもうすぐレッドラストのど真ん中に
墜落する。システムを止めたのならさっさと…逃げろ…」
だが、ロイは動かなかった。「…アルベルト、目を閉じろ」
何事かと思いつつも、アルベルトは目を閉じた。すると、昔聞いた事のある言葉が聞こえてきた――
「我ら、女神(イヴ)の申し子。1つの魂が今、御許に昇らんとす――」
西方大陸の風習の1つ、死に行く者への祈りの詩だ。たどたどしい物ではあるが、ロイがそれを唱えている。
「人の子よ、女神の与え賜いし人の子の栄光に、顔を背けた事を悔いているか」
アルベルトは微かに微笑み、答えた。「…はい」
ロイは驚いた。はいと言った、悔いていると言った――
「時に諍い、時に偽り…虚偽に踊り…愚蒙に…走り、人の子の罪を重ねた事を…悔いているか」
「…はい」ロイはもう耐えられなかった。涙が溢れてくる。声が掠れるが、まだ続きがある。
「憎しみに負け…悲しみに…操られ…自らを欺いてきた事を……悔いているか」
「……はい…」我慢のし様が無い。涙が止まらない。
「今ここに、貴方の地上の罪は赦された…安らぎなさい、人の子よ。永久の光と平穏が、貴方を包むだろう」
ロイは静かに締めくくった。「再び合見える日まで。人の子の生に限りはあれど、命は永遠なり」
アルベルトが口を開いた。「…人は…生まれ変われると言うな…」
涙が止まらないロイに、弱々しくも不敵な笑みを見せるアルベルト。
「もしも生まれ変われるのなら…次の世でも…お前と…戦いたいもの…だ……」
目を閉じるアルベルト。そして、彼が目を開ける事はもう無かった。
「また会おう、英雄(ヒーロー)……」
…史上最大級のパクリをやってしまった訳だが。
エ○○にブレ○○○○ー○ー…すいません。このスケールのパクリはこれが
最後ですから…見逃してSSとして読んで下さい…
次の瞬間ピットフィーンドはバランスを崩し立て膝を突く…。
「な…右脚部膝下全損だと!?」慌てて後方警戒モニターの映像を見るとプロトYの口に膝下が引きずられていた…。
一瞬で足一本を取られる…今までにこれまでの高出力を持ったライガータイプは見た事も聞いた事も無い。
「うふふふふ…初心者さんですねぇ〜。全高の高いゾイドを扱う時の基本が成ってないですよぉ〜。」ルディアは笑いながら言う。
「それに飛行すら出来るのにわざわざ降りて来てくれるなんて美味しすぎですぅ〜。」完全にローキスを小馬鹿にした発言だった。
「…!!!」返す言葉も無く怒りに震えるローキスを完全に見透かした様にわざと隙を作る…誘っているのだ。
「くっ!馬鹿にするなぁぁぁ!!!」誘いは完全に格闘狙いだ砲撃をして目の前からプロトYを遠ざけようとするがその場からプロトYは動こうともしない。
爆風巻き起こりそれが消えた後現れたのは陽炎に揺らめく光学投影映像…歪んだプロトYの姿だった。
「ディスプレイサー!?帝国は高速機動ゾイドにこれまでの機能を待たせたのか!?」
ディスプレイサー…光学迷彩とは逆の思想の装備でゾイドのレーダーに映る分身を作り出しそれに質量すら情報として送り込む事が出来る。
目の前ではその姿すら見る事が出来る物で要するに「ゾイド用影分身制作機」という事になる。小型化が非常に困難な為今まで誰しもが挑み失敗してきた装備なのだ。
隣からプロトYが現れると映像は少し前に移動し威嚇する様に吠える仕草をするが流石に音声までは正確に再現できず気不味い唸り声が漏れる…。
「ナァァァ〜〜〜…。」可愛い猫の声…煽りは最高潮になり相手の顔が見る見る内に真っ赤になる様子が手にとる様に解るルディアは止めの一言を言い放つ。
「戦況も理解出来無い、予測も出来無い人に使われるゾイドは可哀想ですぅ〜…。」
その一言は残っていたローキスの理性の殻を突き崩すのには充分すぎる一言だった…。
「お、お、お、おのれっ!帝国の女仕官如きが言いたい放題言いやがって!ぶっ殺す!」
「ふはははは…だから無理をするなと言ったのだ。」プロトYに激しい砲撃の雨が降り注ぐ…。
あっさりと躱せる無駄の多い弾幕「あらぁ〜?貴方はぁ〜。」「2日ぶりだな。しかし酷いじゃないか。確かに初心者だがこの授業料は高すぎる…貴様の部下もそうだ。」
ザクサルはそう言うとローキスのピットフィーンドを助け起こす。「申し訳ありません…。」彼の登場によって熱く成った頭が冷めるローキス。
真紅のピットフィーンドは助け起こしたローキスの機体に足を渡すと直ぐに上空に舞い上がる。
「来たか!待ちかねたぞ!」上空から降り立とうとする影…それはグレーターデーモンを合体させたロードゲイル。
アナイアレイターだった。
「ザクサル=ベイナードでありますかっ!」相変わらずややこしい時に現れては事態を更に混沌とした物にする男。
真紅のピットフィーンドは一気にアナイアレイターを擦り抜け上空に躍り出る。
「さあ!踊れ!私の手の中で!」ピットフィーンドより空対空ミサイルが発射される。それは一直線にアナイアレイターを目掛けて飛んで来る。
「はあっ!」気合いの篭った声と共にリニアマグネイズソードを振り払うと振動波と磁力による超小型磁気嵐が発生しミサイルは爆発する。
「ふっ…それでこそだ!」上昇するアナイアレイターをわざと見逃しその後を追う…。
その光景を目の当たりにしたローキスはコクピットの中で肩を落とす。「勝てる訳が…無いっ!!!」
唇を噛み血を滲ませながら彼は戦場を離脱した…。
そろそろ高度は20000mに差し掛かる…上昇を止めお互いに対峙する。「そうか…ここに決めたか!」
ルディアに仕掛けた物とは比べ物に成らないぐらいの精密射撃がアナイアレイターを襲う。
しかしそれはリニアマグネイズソードの磁力に引かれ軌道を修正され狙いを外れて通り抜けて行く…。
「あの武器といいこの装備といい面白い物を見せてくれる!」もう辛抱の限界と言った所だろうか?
ザクサルは地上でロードゲイルから奪ったマグネイズスピアを拳に接続するとピットフィーンドを突撃させる。
「さあ見せて見ろ!貴様の化けの皮を剥いでやろうっ!」その声には隠し立ての無い狂気が感じ取れる様だった…。
ピットフィーンドの装備したマグネイズスピアが赤熱する…。「カイエンスペシャル!?まさかカイエンは…?」
カイエンスペシャルと呼称されるマグネイズスピアはシリーズが有りその内の一つヒートブレイカーがその手に有る。
急いで機体温度の上昇を図るファイン。その甲斐あってか一撃目で機体温度の急上昇による各部機関の故障を防ぐ事に成功する。
「ほう…面白い物を作る奴が他にも居たようだな。」その後数分にも及ぶ斬激戦が空中で繰り広げられる…。
少しづつ戦闘高度は落ちていく…激しい頭の取り合いと熱い格闘戦と斬激戦。
休む事は許されず絶えずエネルギー残量と相手の位置確認に追われながら只管戦闘を続行し続ける消耗戦。寄生体の本質と利用法が解らなければ戦闘を続ける事もこの場に居る事も無かっただろう。
「ふっ誰も使い熟せなかったそいつを操るとは大した奴だ!」エネルギーナックルがアナイアレイターを襲う。それをグレーたデーモンの腕部のファングナックルで受け止め二刀流に再接続したリニアマグネイズソードで切り付ける。
それを難無くヒートブレイカーで防ぎ距離を取る…こんなやり取りが延々と繰り返される中息一つにも乱れの無いザクサルとは対照的にファインの疲労は相当濃い。
「ふはははは!やはり貴様ガイロスの暗殺技術を持っていたか!」以前の戦闘で見た動きで予想を付けていたらしくそれが当たっている事に満足そうな声を上げる。
「しかしこれまでだ!ゼネバスもガイロスも我らに立て突く者は生かして帰さん!」止めの一撃が繰り出されるその時だった…。
突然ピットフィーンドの右腕が爆発する。「何っ!?砲撃だと!?」折角の収穫のチャンスを邪魔され忌々しげに地上を見る…。
そこにはイグアンヘビーガンナーが派手に転倒していた。「いたたたた…でも!命中!」通信機からミズホの声が聞こえてくる。
「ねえ?間違ってそっちに当たっちゃった?」「だ…大丈夫でありますが良くこの距離で当たったでありますね…。」
その距離は8000mその位置で亜音速で飛行する者を撃ち抜くのは奇跡に近い。
偶然とは言え昼間にファインが言った「緊急時には役に立つ」事が証明された瞬間だった。
「イイ、イ、イグアン如きに直撃を受けるだとぉ!?」その一撃で少し興醒めしたのか動きが止まる。
「舐めた真似を…しかし貴重なデータだな。折角だから受け取っておこう!」そう言い残すとピットフィーンドは夜の闇に掻き消えて行った…。
赤い機体が夜の闇に瞬く間に消えて行くのを黙って見送る事しか出来無い帝国軍だった。
しかし帝国軍の受難は続く…「なんだって!?今度は例の穴から大部隊だと!?」アービンは大声を上げて言う。
「申し訳ありません!アービン大佐。隙を突かれて突破されてしまいました。」第4小隊フォースフォートレスの隊長ブレックス=カーマイン少将から報告が入る。
将官が左官に頭が上がらないのは単にこの部隊を編制時に同階級だった彼がその後将官に成っただけの事で実質は彼の方が偉い筈だがアービンのポストに居たくないだけで今の状況に成っているのだった。
「ブレックス!後退して砲撃をしてくれ!後はこっちで何とかする!」アービンはそう答えると着地したアナイアレイターに駆け寄る。
「もう一度行けるか?」そう聞くと「5分休憩を取らせて欲しいであります…。」そう言うと食事を取り始める…。
「全く随分と腹が減ったらしいな…。」携帯食料を貪る様に食べるファインを見てアービンはほっとした反面図太い奴だと再確認した。
「後退する!全機ツインリヴァイアサンに撤収しろ!」ブレックスは部下に命じるとそれを素早く熟す部下達。
収容が終わると上昇後退。その後砲撃用ハッチを開き4連装スパークキャノンを穴に打ち込む。
数秒後穴は崩れ更に外に出ようとしている寄生ゾイド群を生き埋めにする。「よし!残りを始末する。その後本営に合流敵を挟撃する!」
「了解しました!」ブリッジの各所から声が聞こえるその後双胴、双頭のホエールキング、ツインリヴァイアサンは敵機の各個撃破を開始した…。
ネオゼネバスの兵達が、パニックに陥って辺りを右往左往している。
「レーダーを見ろ…基地の外、砂漠に無数の熱源。デススティンガーの群れのど真ん中に
墜落する羽目になる」リッツは落ち着いている様に見えた。しかし内心かなりやばいとも思っていた。
サラマンダーも居ない今、墜落した基地から地上に出てニクシーまで戻るしかない。
しかしデススティンガーの大群に襲われて生き残る事は…この兵力では不可能。
「だが、それ以外に方法は無い…」モニター越しにリッツのレーダーを覗いていたロイが、
突然停止したコントロールシステムに向かって走り出した。「な、何をしている!?」
「サテライトキャノンを再起動する!!」ロイはもう一度コックピットを出て、システムの制御盤に
手を掛けた。何故かは知らないが、知らないシステムが理解できる。再起動も出来る。
「何だと!?ロイ、ニクシーを消し去る気か!!?」エリックがロイに駆け寄る。
「違う違う、スラスターで軌道修正して照準を変え、エインシャントでデススティンガーの群れを吹っ飛ばす!!」
イオは一瞬愕然としたが、すぐに合点が行った様だった。
「そうか!!ほんの少し向きを変えれば良いだけの話…注意しろよ、我々が塵とならんようにな!!」
ロイは赤いボタンを押した。ディスプレイに「SCES機動」と文字が出て、宇宙空間の図が映し出された。
「右の画面に地上の様子が出てる。この線が命中時の軌道…違う、もっと左下だ」
その時、基地が墜落した。激しい振動と共に床ごと基地が傾く。
ロイは必死に装置に?まった。手を離せば落ちる。「これで…発射すれば…!!」
ボタンに手が届くまでもう少し。届きそうで届かない。必死に手を伸ばす。「届け…ッ…!!」
ボタンが押された。基地の外に居た者には、雲を切り裂いて降って来る巨大な光が見えた。
再び、とてつもない衝撃。基地の中に轟音が響き渡る。
「早く!!ゾイドに乗れ!!」リッツとジャスティンが同時に叫ぶ。急き立てられる様にゾイドに乗り込んだ
ロイとエリックは、ハッチを閉じた瞬間強烈な衝撃波に仰け反った。「うおゎッ!!?」
基地の天井が崩れ始める。サテライトキャノンが炸裂した衝撃波で基地が崩壊し始めたのだ。
「下手に色んな機構を仕込んである分基地自体は脆いって事なのか…」
天井の破片が崩れ落ちてくる。「さっさと脱出しないと!!」その時、ここまで黙っていたアルティシアが
回線に割り込んできた。「さて、やっと私の見せ場のようね?」
ロイが見ると、ゴジュラスMk3の胸部装甲が開いて青白く光っている。プラズマキャノンだ。
「ブラストドアが閉まってて逃げらん無いから、壁ごとぶっ飛ばして脱出するわよ!!」
APCが放たれた。ものすごい閃光の後、瓦礫の山と壁に開いた大穴が見えた。
「ゲ…外壁までぶち抜いてやがる…」最初からこうすれば良かったのではないか?
崩れ落ちてくる天井や壁を避けながら外へ向かって走った。只管に、走り続けた。
そしてロイ達は外に出た。傾いた基地の飛行場、崩れ落ちた外壁の隙間から悪夢のような光景が見えた。
見渡す限り黒い大地が広がっている。砂漠の砂が焦げて黒く染まったのだ。その暗黒の砂漠を
ライトアップするのはあちこちで燃え盛る炎と無数のゾイドの残骸。
そして、地平線の向こうから何かがやってくる。イオが遠距離スコープを見る。
「いかん…デススティンガーの群れが、またこちらに向かってくる…」
「某映画の様だ…大地を埋め尽くす程のデススティンガーが、こちらに向かっている…」
後方には、ニクシーがある。まさにナ○シカのラストの如き光景だった。
以前は200機ほどだった。だが今はもう広域レーダーの上方が赤く染まるほどの数になっている。
「1000…1500……2000…!?」もはや数える事もできない。あまりにも多すぎる。
「これ程の数に増えるのに、何体のゾイドを餌食にしてきたんだ…!?」
デススティンガーは、他のゾイドのコアを養分として増殖する。これ程の数に膨れ上がるには
膨大な数のゾイドが餌になったと言う事だ。
そういえば、最初にレッドラストで襲われたとき。野良ゾイドが一体も襲って来なかった…何故か?
「レッドラストのゾイドを全て…喰い尽くしたってのか…!!」
そして今度はより多く、より質の良い餌を求めて移動を始めたのだ。数万機のゾイドが集まっている、
ニクシー基地に向かって。
ニクシーにいる兵力を活かすには、狭い基地に篭る戦いよりも敵勢を広い場所で包囲する戦法が望ましい。
ましてやデススティンガーの様な強敵を相手にするのだ。まともに動けない数万機のゾイドなど役に立たない。
――ニクシーに知らせなければ。そして、迎撃の準備をさせなければいけない。
だが、デススティンガーのスピードでは2日と経たぬ内にニクシーに攻め込むだろう。時間が足りない。
「何とかして、時間稼ぎができれば…」
無理だ。基地から脱出した味方で戦えるのは、僅か70人。戦闘ゾイドはロイ達を含めて約50機。
2000以上の凶戦士と50機の傷ついた味方。まるで話にならない。絶望すら通り越して、身体中から力が
抜けていく。どんな奇跡が起きようと、これ程の差は埋め様が無い。
ニクシーの共和国軍が敗れれば、デススティンガーは更に爆発的に増殖する。惑星Ziは滅びる。
彼らは今、歴史の分岐点に立っていた。
しかし砲撃力と運搬力等略全てに於いてホエールキングの倍以上のツインリヴァイアサンの力を持ってしてもそれ等の敵を駆逐するのに裕に30分は掛かった。
それはその分本営に負担を掛ける事になる。
「おい!機体を回してくれ!」カイエンは整備班に要請するが「ちょっと待って下さい機体補充は乗機が存在する兵員の出撃後にしか回せませんよ!」
「くそっ…あのデカブツめ!あいつさえ来なければ…。」唸るカイエンにルディアは「まあまあ…何方にしろぉ〜少尉は少し休んでください〜。怪我人ですからぁ〜。」
頭から多少の出血をしながら怒鳴り込むカイエンを宥めた後敵戦力の進行方向に目を向けると土煙が上がっているのが見える。
「すいませぇ〜〜ん装備を〜変更したいんですけどぉ〜。」そう言ってプロトYを格納庫に納めていた…。
シュミットは先のチェンジマイズ時に機体を降りデスザウラーSTの腹部銃座に乗り込んでいた。
「じいさん大丈夫?」「ああ…私は大丈夫だ。だがSTは両腕を失っている。情けない話だ。」ラインハルトは力なく答える。
しかしそれはレーダーに反応が有るまでの話だった。「!敵襲か…?」機体にエネルギーが巡り渡りデスザウラーSTは雄叫びを上げる。
「何!?あいつまだ動けるのか!?」シュミットは起き上がり再生強化を始めている大型寄生体見てパニックに陥りそうになる。
「こら!孫!そんな事で如何する!味方を守るのではないのか?仲間を守るのではないのか?」
その言葉で我に返るシュミット「じいさん!ありがとう。大切なことを忘れる所だった…。」
ほうを両手で叩き気合いを入れ直すと機銃座のプログラムの変更を掛ける。
「じいさん!バスタークロー以外の火器管制は任せてくれ!」「解った…それでは行くとしよう!二人三脚は何時か以来だな。」
ラインハルトの表情は緩む。これで最後になるかもしれない…孫と同じ機体に乗って戦う事等は最初で最後だ。
「さあ!行こうかっ!」立ち上がりその巨体が更に一回り大きく成った寄生体と対峙する。
「一気に行こうじいさん!」「了解だ。」両腕のハンデは重いが格闘にのみ集中できる分五分と言った所だろうか?
砂煙を上げながらデスザウラーSTは攻撃に移った…。
強化再生中の寄生体に攻撃が加えられる…しかしその度に強化されていくのを目の当たりにして一時攻撃を止める。
「予想されうる戦力の強化は…150%以上!?」弾き出されたスペックに一瞬その目を疑う。
「何を言っている!昨日は目の前で化け物共と生身でやりあったのだろう?ゾイドのサイズにしてみれば当然じゃないのか?」
ラインハルトは別に気にした様子も無くデスザウラーSTに攻撃態勢を取らせる。
時間が経てば相手が強力になる…しかも手を出せば余計に強くなるとあっては黙って指を咥えて見ているより他に方法は無い。
シュミットはその旨をアービンに報告する。「…解った。死ぬなよ!」彼にはこの他に言える言葉は無かった。
「おおっ!?大丈夫でありましたか!」ファインはカイエンを見付け頬張った食料を散らしながら言う。
「うわっ!?汚いぞ!静かに喰え!…それと無駄な心配をかけた様だな。」「いえいえ!無事だったら…。」「だから喋るな!」
食べ滓が飛んで来るのは御免だとばかり少し離れた所に座るカイエン。
食べ終わったファインに尋ねる「ガイロスの暗殺術ってなんだ?」そう聞かれるとファインは答える。
「ああ…あれはうちの家に伝わる由緒も糞も無い体術でありますよ。えげつない事この上ない軍隊式格闘術の一つの到達点であります。」
「由緒も糞も無いって…使えるだけましだろ。俺みたいにがたいがでかくてもそう言った物に対しては無知に等しい。知識の無い奴を相手にするにはもってこいじゃないか?」
「そうでありますが普通そう言う物は素人さんには使わないものでありますよ。」話を区切る。
「早速か?カイエン少尉?武術と為ると目の色が変わるな…。」アービンが会話に入って来た。
「ファイン!貴様の機体の再整備には後5分ほど掛かる。カイエン少尉!手が空いているのならヘビーゲイルが1機何とか成りそうだから使うか?」
「勿論喜んで使わせて頂きます!」そう言うとカイエンは敬礼をして走り去って行った。
「大丈夫でありましょうか?確か陸戦機系は余り得意では無いと聞いたでありますが?」
「そう言うな…慣れも必要だ。それにお前のブレイカーの任を解く。もうわざと敵に撃墜される必要は無いぞ…。」
「了解であります。これより通常任務に戻るであります。」そう言うと機体に戻ろうとする…。
そのファインを呼び止めてアービンは言う…。
「ああ…ちょっと待て以前お前がいった”アレ”一応準備して置いたから好きに使え。いや!使用して必ず仕留めろ!」
「了解であります!」そう言うとファインもその場から去って行った。
”アレ”がファインの目の前に有る。そうキメラ用の強化パーツの山…。普通の者が見れば何が如何なるか解る訳が無い。
しかしファインが機体に乗り込み幾つかのスイッチを操作するとそれは幾つかの装備になる。
ロードゲイルはキメラを指揮するために制作された通称第二世代キメラと呼ばれるものだ。多数のキメラを統率し有人機1体で複数の敵と戦闘できる。
それを活かしたこの装備は単体でキメラとして動き回る事が出来る他、命令系統を通常より更にシンプルにする事で手足の様に使用出来る。
「さあ!行くでありますよ!スレイブアームズ!」アナイアレイターに続いて5体のスレイブアームズが夜空へ飛び立っていった…。
「う〜ん格好良いですよぉ〜ラビィちゃん。」プロトYに呼びかけるルディア。この機体のコアは彼女のイクス、ラビィの物を使用しているため彼女が一番操縦に適している。
妹のリディアもそれを解ってかルディアに譲渡されたプロトYは新しい姿を目の前に晒す。
鬣の如く12枚のスタンブレードが頭部に装着され試験型のためCASの形態を取った6連小型エナジーチャージャーを背部に装備。
それを守るようにカウルガーダーを装備、その他下腹部に小型2連パルスキャノン。腰に4連マインディスチァージャーを装備した姿に変わっていた。
「それでは行って来ますよぉ〜!」と言って出撃する。が出撃方法がカタパルトからの射出だった為出撃後の回りは着いていた筈の火災の炎が消える程の勢いだったと言う。
風を巻いて着地すると略最高速度の460km/hに到達していたラビィはそのまま敵部隊に向かって走り出して行った。
「私がニクシーに情報を届けましょう…マーキュリーが一番速いですからね」
ラガートが機首を北へ向ける。「頼んだわよ、馬鹿参謀」
「くくぅ…何故馬鹿参謀なんて呼ばれなければいけないんですか…」半泣きながらも、マーキュリーは
夜明け前の空をニクシーに向かって飛び去った。
「どちらにしろ負けると言うのなら…絶望的でも、望みが無かろうと、俺達は戦う」
ロイは自分を奮い立たせるように言った。仲間に共同回線で呼びかける。
「みんな、逃げても良いんだぜ?元々勝てる戦いじゃないからな…逃げても、責めたりしない」
だが、リッツ達は勿論の事基地から脱出してきた部隊の仲間も異口同音に答えた。
「何言ってんだよ!共和国軍の誇りに掛けて逃げたりしないさ!!」
「そうだな。それに、私は奴らには借りがある」リッツが瞳に闘志を燃え上がらせる。
「みんなの為に戦ってくれたあんたを、置いていく訳無いでしょ?」アルティシアは得意気に微笑む。
「僕は…ロイと一緒にいるよ」ジャスティンが顔を赤らめる。
「さあ、傭兵の根性見せてやろうぜ!!」エリックもニヤリと、ロイに笑いかける。
「…我々の最後の戦いとなろう。レッドラストに奴らの残骸で山を築いてくれる!!」
イオが鋼のように堅く、冷たい笑みを見せる。
みんな、一緒に戦ってくれる。ここで死んでも、明日の平穏を、未来の平和を守れればそれで良い。
遥か遠く、巨大なうねりとなってデススティンガーの大群が迫ってくるのが見えた。その時――
「これは…任務どころではありませんね…」
全員が一斉に振り返った。いつの間にか、墜落したデア・リヒターの上に数機のゾイドが居る。
「お前ら…また来たか!!」山脈の間から昇る朝日を背に、4機のゾイドが姿を現す。
「もう基地は落ちちゃいましたけどね…任務失敗って事で」
基地の縁から飛び降りるデスマンティス。パイロットは間違え様も無い、シエル・バレンタインだ。
残り3機も下りてきた。レドラーMk2、セイスモサウルス、もう一機は…ジェノザウラーの改造型だろうか?
「どうすんだ隊長…今度は罰則とか注意じゃ済まないぜ。クビは確実、最悪の場合反逆者として処刑…」
ジェノザウラーらしき機体のコックピットから青い髪の少年が必死でシエルに状況を説明しているが、
シエルは聞いていなかった。彼女が見ていたのは、ざらついたモニターに映るロイの顔だった。
「アルベルト君が、あなたに倒されたのを見ました…でも、私達には手出しするなと釘を刺されていましたし、
彼の誇りを傷つける事になります…あなたは確か、最後の攻撃は急所を外していましたね?」
おっとりと言うか、マイペースに見えるシエルもやはり一流のゾイド乗り。ちゃんと見られている。
「ああ…でも、あいつは死んじまったよ。俺が…俺が、殺した……!!」
シエルは哀しげではあるが、ロイに微笑んだ。「あれで死んだのなら、事故としか言えません。
それに、あなたは彼にお祈りまでしてくれたじゃないですか…彼が真実を知る事ができて、私は満足しています」
〔やっぱり矛盾しているよ、シエル。敵を殺さないのに味方の死に「満足」だなんて〕
それでもロイは、彼女を責める事はできなかった。アルベルトを殺したのは自分だ――
一度、ゾイドを降りて話し合いたいと思った。だが無理だろう。もう視認できるほどの距離に
デススティンガーが迫っていたのだから。
その時だった。傾いたデア・リヒターから続々と帝国ゾイドが出てくる。基地の内部で警備をしていた者の
生き残りだ。ゾイド100体にもならないが今のロイ達には充分すぎる数。
しかし、聞こえてきたのは意外な通信だった。「俺達も戦わせてもらうぜ…やるんならあんたらも、
墜落した基地を最大限に利用すべきじゃないか?」
レッドホーンやイグアンなどの旧式ゾイドが主力の部隊だったが、助けとなればありがたい。
「ああ…あんたらも、任務失敗組か?」ロイが笑って皮肉った。いつもの明るい笑み。
「そうとも。お前らのせいでなぁ…フハハハ!!」
「まあ、それは置いといて。要塞なんだから守りも考えられてる。むしろコイツは守りしか考えちゃいない。
自分から攻める事は無いからな…だけど、基地の防衛システムをうまく使えば時間稼ぎぐらいはできる」
「どうする気だ?」デススティンガーが迫ってくる。
「デススティンガーに残った機銃や砲塔をマルチロックオンさせるんだよ…そうすれば味方が増えたも同然」
そう言った時、基地の対空砲や多くの機銃がデススティンガーの大群に向けて放たれた。
「もう既に味方がシステムを起動させた…急いで、防壁の中に入れ!!この中なら一気に膨大な数を
相手にすることも無い!!」
共和国の、帝国の、合わせて約160機のゾイド達。薄暗い夜明け、朝日の中空前の戦いが始まろうとしていた。
「…あった!!ニクシーが見えた!!」ラガートはニクシーの岬を遥か遠くに認めた。
急がなければいけない。そろそろ彼らの戦いが始まる頃だ…
ファインはルディアとカイエンに追い付く様にして戦場に到達する。
「さて…逝ってもらうであります!」スレイブアームズに砲撃を指令すると各々がストームガトリング等を使用し始める。
地上戦力はレオストライカーの強化機レオファントムと陸戦用にチェンジマイズされたマトリクスドラゴンと思われる物その他ジーニアスウルフの砲撃強化機。
一般機はスピノサパーの他…ハンマーロック、ディロフォース、ディマンティス。
「何処から仕入れてきたのか興味が尽きないでありますねえ…?」攻撃の結果は撃墜無し。やはり解析した機体同様にMTSを装備されている。
しかしバランスを崩した者も多くそれ等はヘビーゲイルやプロトY6機に撃破されていく。
「おい!サボるな!自爆王!」第1小隊ファーストライズの面々と第2小隊セカンドオービットの面々から一度に苦情が発生する…。
「うわっ!?全員で言わなくても解っているでありますよ〜。」汗を掻きながら照準補正のランクを最高にして攻撃を再開する。
高空戦力はやはりダブルソーダーが主力だがその影に見え隠れする黒い機体。ナイトワイズを確認すると表情が曇る。
「あの〜もしかしてあれ…自分一人で処分するのでありますか!?」「頼んだ!!!」また一斉に声が飛んで来る。
今高空戦力はファイン一人…確定した様だ。厄介事を任されて少々気分が優れない。ストレスも溜まっていた事も有り好きが出来る。
それを逃す事無くナイトワイズが後方よりアナイアレイターを襲うがその後頭部を噛み砕かれて墜落する…。
「残念証であります!キメラを甘く見るとそう成るのでありますよ。」背部にはデモンズヘッドの頭部が有ったのだ。
至近距離からミサイルを打ち込もうとしたのだろうがキメラの闘争本能と瞬発力の前には無力に等しい。
ストームソーダーやレイノスならば逆に真っ二つだったが上昇性重視のナイトワイズにはノーマルであってもロードゲイルが負ける事は無い。
ただし持ち前の夜間戦闘能力が非常に厄介な事この上ない…接近を許してしまうのもその所為である。
地上戦力は後続の切れ目が見えない…また後方に大型機が居ない事を信じてもいない神に祈ってみるファインだった。
ああ…またか。 〇隙×好き 〇残念賞×残念証ですね。
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「上はあいつで大丈夫そうだな…。」クロームは呟く。そう言いながらも鬱陶しいのか片っ端から近くを飛んでいるダブルソーダーを落していく。
その落下地点には敵の機体が大量に存在する。墜落の巻き添えで何機かの機体が破壊されているのをメイアは見逃さない。
「その手が有ったね!」そう言うとウェポンコンテナを解放し大量の地対空ミサイルが空に吸い込まれていく。
それらは途中でお互いが激突して空中で爆発する。頭の上で起きた爆風にダブルソーダー達は地上への落下を余儀なくされその結果は見事な地獄絵図となった。
「鬼か!?あいつは…。」第1小隊隊長レミントン=クライス中佐はその惨状を確認すると敵にしなくて良かったと思っていた。
プロトYは6機6様の装備外見をしているため見分けは簡単に付く。が、そう言う彼の機体はメイアの事が言え無い様な装備をしていた。
地上砲艦…下のライガータイプの体が小型戦艦を背負った様な姿。頭部にはEシールドを装備し後方への被弾を防ぎ背中のキャノン砲を曲射する。
少し離れた場所は火の海と化しておりこの機体もどれだけの敵を葬っているか既に計算は不能な状態だった。
「そ〜れぇ〜!」ルディアの機体が通り抜けた後は爆雷でバラバラに為った機体が散乱している。マトリクスドラゴンはテイルソーを構えて切り付けてくるがスタンブレードに接触し機能を停止する。
イクスの装備を色濃く受け継いだラビィは動きにボディの変更によるぎこちなさが全く無く近づく者を感電、切り刻んでいる。
「危ない!少佐!」そう言ってカイエンのヘビーゲイルは後方から奇襲を掛けようとしているジーニアスウルフを串刺しにする。
「ど〜もですぅ〜。」そう言って今度はヘビーゲイルの後方のレオファントムをラビィが撃ち抜く。
「どうやら囲まれてしまったみたいでありますね。」空中のナイトワイズを少しづつ撃墜しながら状況を確認するファイン。
少しづつ包囲網が完成しつつ有った…。
「クローム君宜しいでありますか?」突然の通信に眉を顰めるクローム。「何だ?戦闘中だぞ!」
「まあまあ…このままだと身動きが取れ無くなってしまうであります。そこであなたの出番と言う訳でありますよ!!!」
「そうか…ふふふ…ははは…あ〜はっはっは!遂に来たか!」突然口調と声のトーンが変わる。
「遂に部隊のヒーローの私の出番と言う訳か!?」彼のプロトYからタキオン粒子の輝きが漏れる…。
彼は戦闘にヒーロー性を求める傾向が有る。その時のクロームの戦闘能力は飛躍的に上昇し突撃戦では無敵と言う程の実力を発揮する。
次の瞬間クロームのプロトYはその場から消失していた…。
「ブライングソニックッ!!!」その声が聞こえた方向に目を覆いたくなる様な閃光が流れその通過地点に居た敵機はバラバラに砕け散っていた…。
その閃光で空中のナイトワイズを補足したファインはスレイブアームズで一気に撃墜に成功する。
「どうだ!閃光のクロームに出来無い事は無いっ!」略2kmに渡って幅20mの敵機の残骸の道が出来ている。
彼の機体は20枚以上ののレーザーブレードを装着した機体で全てのそれが輝く時必殺のブライングソニックを発生させる。
名前の通り眩しい閃光と共に最高速度で敵陣を突破する。その後には斬激に耐えた者は吹き飛ばしそうで無い者の残骸が残る必殺技と言って良い威力を持つ攻撃だ。
「急げ!一気に包囲を突破するぞ!」レミントンの号令のもと一気にクロームの開けた穴を駆け抜ける。
そこに残ったファインは足止めと言う様に後方の敵をスレイブアームズで牽制しながらゆっくりと彼等に合流した。
「エナジーチャージャーが逝ったか…。」クロームのプロトYの背部から煙を上げて機能を停止したエナジーチャージャーが見える。
「クリティカルブレード撤退する。」クロームはそう言うと彼のプロトY、クリティカルブレードを後退させる…。
「ご苦労様であります!クローム君。」やはり試験機息は長くは持ちそうに無いと判断しレミントンは撤退を指示する。
幾つかの小隊が合同で戦闘する場合は数字の早い小隊の隊長の指揮下で行動をする。
多少引きが早いが後の危険性を考えると妥当な判断だ。敵戦力の個々の能力が低くても数で押されれば何時か敗北する。
「足止めは自分がするでありますよ。」ファインが申し出ると「いや!俺も残る!残りの者は撤退しろ!足止めは慣れている者の方が良い。」
足止め要員2人を残して部隊は撤退を開始した。
「さてと…久しぶりにいくでありますか?中佐!」そう言うと「茶化すな!レッドラスト以来だな足止めを一緒にするのは…。」
レミントンは過去を振り返る。以前ファインが捕虜として連行される時彼は運良くその場でそれを免れた。
レミントンの機体は砂に深く埋もれ生存者無しとして見逃された事で帰還が出来たのだ。その結果が現在の階級差の一因でもある。
「今度は一緒に帰ろう…。」「大丈夫でありますよ!心配性でありますね本当に。」スレイブアームズを呼び戻しファインはその場の暗い空気をぶち壊す行動を起こす。
「〇〇!!!」その掛け声と共にスレイブアームズにチェンジマイズの指令を出す。
マグネッサーの出力を最大にして薄い磁力障壁を発生させながら一つの姿になる。
その光景を呆然として見つめるレミントン。「やっぱりお前はアホだよ…。」士官学校、OS装備機のテスト、実戦と付き合いが有ったが一つの疑問への確信を得てがっくりとする。
「キメラドラゴントライデストロイヤー完成!」チェンジマイズの途中から大量の火器を乱射しながらその姿を現す。
チェンジマイズの直後を攻撃しようとしたダブルソーダーの群れは予想外の砲弾の雨にさらされ大半が撃墜される。
「掴みはこんな感じでありましょうか?」取り敢えずの戦力強化は出来たがここからが正念場だった…。
「〇〇!!!」は適当な言葉を見繕って当てはめてください…_| ̄|○
台詞入れるとパクリ確定なもので…濃い人的には笑いを狙うなら〇〇ドア〜ップとかレ〜ッツなんたらとか…。
最近は〇〇の諸君!合身せよ!でしょうか?
緑の悪魔激殺指令作者さんへ
遅れましたが完結お疲れさまでした。最近はネタに出来る物が多くてネタの選別に困りそうですね…。
当方また人数が増えてしまったので設定保管が一段と面倒になってしまいました…。
そろそろメモ帳のコピーにまたどっさりと設定云々が増えそうです…_| ̄|○
デススティンガーの装甲は、基地の砲火や並の兵器では確かに破れない。その上Eシールドまで
装備されているのだから、効果は無きに等しい。
基地の周囲は、今や四方がデススティンガーの群れで埋め尽くされている。完全な包囲。
「どうする…!?基地の装甲だって、連中の荷電粒子砲にはいつまでも耐えられるモンでもないぞ!!」
エリックが叫ぶ間にも、基地は絶えず振動している。時折天井も落ちてくる。
リッツはある事を考えていた。以前デススティンガー1号機を葬った時の光景。
もしかして今回もできるかも知れない…いや、だが確証が無い。
もし失敗すれば、時間稼ぎすらできないだろう。それは防がなければいけない。
「なぁリッツ、何かいい案は無いか?」ロイの声でリッツは我に返った。
もう基地は長く持たない。どちらにしろあまり変わらないだろう。それならば―――
「デススティンガーには、必ず『母体(マザー)』が存在する…その一機を探し出し、
倒す事ができれば全てのデススティンガーは機能を停止するはずだ」
ロイはこんな話は聞いたことが無かった。アーサーの遺体が発見された遺跡の幼体は
全て死んでいたが、それはリッツが破壊して行ったからだと思っていたのだ。
「…無理だ」イオが首を振る。「この包囲を突破する事すら無理なのに、2000機の
デススティンガーの中から一機だけの母体を探し出すだと…?外に出た途端荷電粒子砲の集中砲火が来るだろうよ」
「…いや、見つけることは可能だ」
○○…「トラン○フォーム!!」とか叫びたくなり(真理勝者
漏れのメモ帳などもうぐちゃっつーかごちゃっつーか…だめぽ。
ネタの大量投下に戸惑うのは彼だけではないはず。むしろ得た情報を
無理に組み込もうとして失敗する香具師も居るのだから(゜∀゜)
「スカイフィッシュから星屑の街へ定時連絡。問題は無い。」
青い海と暗い宇宙空間の間で俺は地上への連絡をいれる。
俺は今宇宙用に改造シンカー、スカイフィッシュに乗っている。
超超高度での活動を想定したデータの収集らしい。
仲間の間では国力の磨り減ったギルベイダーの復活の為だとか噂されている。
「星屑の街よりスカイフィッシュへ。オムツの履き心地はどうだ?」
「もう慣れたさ。今から大気圏突入コースに入る。しっかり案内してくれよ。」
「了解。デブリなんかに当たるなよ。」
突入準備をしながら俺はまた宇宙と海と大地の景色を眺めた。
この景色を見たのはゾイド人では俺以外に何人いるだろうか。
ヘリック大統領も、ゼネバス皇帝も、ガイロス皇帝すら見れなかった光景だ。
下にある大地では今も争いが続いているが俺には関係ない。
その優越感に浸りながら輝かない月を眺める。
次の瞬間、視界に何かが映った。
その何かは恐ろしいスピードで向かってくる。
デブリじゃない。
俺は反射的にレバーを引きスカイフィッシュは身体を傾ける。
スッと何か細い線が機体の側面を通り過ぎボンっと何かが爆発した。
コントロールパネルを見ると速度がどんどん落ちている。
右側のブースターが無くなっていた。
「スカイフィッシュ、一体何があったんだ?!」
「未確認物体に攻撃を受けている! 右側のブースターをやられた!」
機体のバランスがとれなくなりスカイフィッシュはガタガタと揺れる。
機体の前に大気との摩擦によって起きる熱で視界は赤みがかり始めた。
「コースからずれてるぞ、このままじゃ燃え尽きる!」
「そんなこと言ってもこの状態じゃ逃げ切れない。何とかやつを堕とす。」
「デブリ用のビーム砲でどうするつもりだ? 最大出力でも小型ゾイドを倒せるかどうかだぞ!」
「ヤツもゾイドなら一部を吹き飛ばせばバランスを崩すはずだ。とにかくやるしかない。」
さっきの何かがまたこっちに来る。
光の線がスカイフィッシュの横を過ぎる。
ヤツの武器はレーザーのようだ。
今度は地球からの光ではっきり見える。
レドラーだ。
だがその外見は通常の物とは明らかに違っている。
むしろそれはギルベイダーに近い物だった。
以前レポートを提出するために資料室に篭っている時にそれを見た記憶がある。
確かギルベイダーの初期試験型のはずだ。
無人飛行中に行方不明になったと書いてあったがそれがヤツなのだろうか。
「聞こえるかスカイフィッシュ。お前が燃え尽きないで地上に降りる為には後58秒以内にこちらの指定するコースに戻るんだ。それまでにヤツを倒せなきゃお前はお陀仏だ。」
「俺だってレドラーでストームソーダーを落としたんだ。やってみせるさ。」
俺はとにかくグチャグチャに動いた。
ロックされたら負ける。
コクピット内の温度もグングン上がっている。
猛スピードでヤツが近寄ってきた。
今だ。
最大出力でビーム砲を撃つ。
次の瞬間左側のウイングの半分がスカイフィッシュから離れた。
ビームは外れた。
チャージ完了まで40秒かかる。
それまでに俺もスカイフィッシュの燃え尽きる。
全ては終わった。
とどめの一撃が来るのを待つ。
このまま蒸し焼きで死ぬよりマシだ。
しかし最後の一撃はこない。
ヤツが行った方向を見るとヤツの首は胴体から離れていた。
デブリに当たったのか、さっきの攻撃が当たっていたのかはわからない。
だが俺にはまだ生き残れるチャンスがある。
「こちらスカイフィッシュ、まだ俺が通る道はあるか?」
「まだ1つだけある。だが1度でも角度を間違えたら燃え尽きるか生き残ってもトライアングルダラスだ。」
「そうか。ならその道を案内してくれ。あと計画成功の宴会の容易もな。」
俺は星屑の街からの道案内を聞きながらレバーを握りなおした。
終
そうですね…人事じゃない気がしてきた…_| ̄|○
しかし「〇ー〇ーリンク!」って言われないかドキドキしてました…。
------
「近くの奴は任せる!こっちは中間距離以降の装備しか無いからな…。」レミントンはそう言うと砲撃を開始する。
可能な限りの近距離に砲弾を落し後続を寄せ付けない。しかし中距離以降の兵器では周辺の相手には手が出せない。
装備を排除しても今度はシールドと牙、爪のみになる扱い難い装備だった。
「それならば逝かせてもらうであります!」3つ目のデモンズヘッドの頭部を尻尾にして振り回し近くの敵を薙ぎ払う。
巻き添えは巻き添えを生みドミノ倒しの要領で敵が転倒していく…運悪く最後に残った機体はデモンズヘッドの頭部に噛み砕かれ機能を停止する。
「…どうやら同化が進んだ物は居ないみたいでありますね。」同化が進んだ物は外部からのショックや宿主の死によって覚醒、変異するので一目瞭然だ。
「そうか…近くに居ない事を祈るしかないか。」レミントンはそう言いながらも砲撃の手を休めない。そうであっても立て続けに砲弾を喰らい続ければこのサイズなら何とか成ると踏んだのだ。
そして…こちらは何とも成らなかったエーアスト家の相手をしている寄生体。
「ふん…力だけは一級品だな。」攻撃を難無く躱しながらラインハルトは正確に相手の力量を図っていた。
「じいさん!何で解るのっ!?」シュミットにはコンピューターより早く計測できるラインハルトに驚きを隠せない。
「その内解るさ…兎に角生き残って経験を積む事だ。中尉辺りはその辺がしっかりしている分お前よりも役に立つ事が多い。」
「そうだったのか…それで道筋を読んでいるかの様に戦闘できるのか。」感心するシュミットは寄生体の隙を見て腹部の改造機銃を発射する。
それは確実に寄生体の目に直撃し目を撃ち抜く。寄生体は突然視界が半分になった事でパニックに陥り暴れ出す…。
「よくやった!しかし威力が強すぎた様だな。暴れ回られて手が出し難い。」ラインハルトはそう言いながらもバスタークローで相手に確実なダメージを与えていく。
シュミットはその単調に見えて微妙な所で調整をしながら確実にダメージを稼いでいるその操縦技術に目を奪われていた…。
「こら!ぼ〜っとするな!手を休めると相手に付けいれられるぞ!」その言葉に促され今度は胴体に機銃の雨を降らせる。
胴体から派手に体液を散らしながら寄生体は更に暴れ出す。効果は薄いようだった。
「くそっ!火力が足りない!」そう言った瞬間デスザウラーSTは宙に舞っていた…。
「なんと!これは驚きだな…。」空中で姿勢を必死に制御しながらラインハルトは呟く。
この機体はデスザウラーよりも重い。それを頭2つ分空中に舞い上がらせたその一撃は物凄いパワーを誇っている証拠だった。
着地には成功するが本来この様な事態に対しての装備がされている訳等無く脚部に大きなダメージを負う。
「じいさん!もう今までの様な高速機動は無理だホバーもクロウラーも使えない。」
今まではこの機動力で何とか凌いで来たがそれに頼れないと言う事は敗北を意味する。
「ここまでなのかっ!?」シュミットがそう叫んだ瞬間だった…。
突然寄生体が光り輝いたと思うと寄生体を貫通し電撃竜巻が空中に消えて行く…その先には何時の間にか立ち上がり怒りの咆哮を上げるマッドサンダーが居た。
手負いであり更にハイパーローリングチャージャーの機能が停止している付け根から先の戦闘で落ちたマグネーザーもそのダメージが深刻な物で有る事を物語っている。
寄生体は胴体を撃ち抜かれていたがそれを気にする様子は無くただマッドサンダーを睨み付けると電撃を放出し攻撃を開始した…。
必死に電撃の雨に耐えるマッドサンダーとデスザウラーST。
しかし破損箇所から容赦なく流れてくる電流は確実に2機のダメージを深刻な物に替えていく。
「じっじいさん!手はもう無いのか!?」「弱気になるな!しかし後一歩前に出ることが出来さえすれば…。」
その一歩の距離は二日前の戦闘であっさりとケルベロスブレイドを葬ったバスタークロー4機とエクスブレイカー2機の同時攻撃の間合いである。
しかし現状では足を踏み出す事は不可能だった…。
マッドサンダーはデスザウラーSTより深刻な状況にある。ハイパーローリングチャージャーの破損。
マグネーザー脱落による電撃のクリーンヒット等上げれば幾らでもある。
しかしマッドサンダーは残ったマグネーザーを回転させ寄生体に突撃する。その攻撃は電撃を放っているため身動きの取れ無い寄生体のもう一つの目を貫いた。
放電を止めのた打ち回る寄生体が一歩の間合いに入るのをラインハルトは見逃すことは無かった。
主要器官と思われる場所を4機のバスタークローが一つづつ確実に貫通し江2機のエクスブレイカーはその巨体を3つのブロックに裁断する…。
どれだけ強靭な生命力を持とうと戦闘用ゾイドで無い寄生体はそのショックで一瞬のうちに生命活動を停止した。
マッドサンダーが目の前に居る…しかし両者は最早戦闘を続行できる状態ではない。
マッドサンダーに至ってはダメージが既に限界を超えていて力無くその場に倒れ込んでいる…。
シュミットは今度こそと連絡を取る「アービン大佐、戦闘が終了しました。こちらはもう戦闘行為を行う事が出来ません。回収をお願いします。」そして…
「今度はマッドサンダーもちゃんと回収して下さいよ…。」そう付け加えた。
>>「宇宙と空の間で」作者氏
乙。宇宙物イイ!!ギルベイダーに近いレドラーもカコ(・∀・)イイ!!!
漏れは今のシリーズが終わったらちょっととんでもないSSを計画しているん
ですが…宇宙が関わってきますし、参考にしたいでつ。
全員がロイを振り返った。「最初の一体…それはつまり、群れのリーダー。最強のデススティンガーだ。
このエナジーサーチャーを見てくれ」ロイが転送したレーダー画面を全員が覗き込む。
「固体ごとに熱量、内蔵エネルギー量の違いがあるだろう?そして、この辺りに高エネルギーの固体が集中している」
ロイが指差したのはレッドラストの南側だった。そこには周りの者とは違う反応が集中していた。
「つまり、子の中でも最も強力な者達が母体を守っていると考えるのが妥当だろう。桁違いの反応は見られない
が…大方、砂の中にでも隠れているんだろう」
確かに納得できる。だが、どうやって母体の所まで辿り着く?
強力な機体が守っているのなら尚更難しくなる。それに距離がありすぎる…
だが、その時だった。レーダーの右端に、ぽつぽつと別の反応が現れ始めた。
それらは見る間に数を増やし、デススティンガーの群れに突っ込んだ。
「この反応は…ネオゼネバス!?ニクシーを落そうとして大軍を送ってきたか…」
イオは次第に口元が緩んできた。
「…いける…連中が周りの注意を引き付けてくれれば何とかなるかも知れん!!」
全員が一斉に、操縦桿に力を込めた。
「あの、ロイさん…」喧騒の中、シエルがロイと単独回線を繋げた。
「…必ず、生き残りましょう。アルベルト君もきっとそれを望んでいます」
ロイはモニターのボタンに手を掛けながら笑った。
「ああ。あんたとも1度ゾイドを降りて話がしたい…敵同士ではなく、人として」
大型カタパルトから一斉に、ゾイドが射出され始めた。
はるか遠くに、荷電粒子が閃くのが見える。デススティンガーはそちらに気を取られているようで、
ロイ達の周りには数えるほどしかいない。「これなら充分だ!!」
数機の包囲を突破し、デススティンガーの群れの中を疾走する150機余りのゾイド達。
あちこちからショックガンが、レーザーが、荷電粒子砲が飛んでくる。
しかしいちいち構っている暇は無い。全力疾走あるのみ。可能性はそこにしかない。
味方が次々と鉄屑になっていく。それでも止まる事はできない。
「走れ…もっと速く!!!」
やがて、どれほど走っただろうか。彼らは問題の、違ったエネルギー反応が見られた地点に
辿り着いた。「何…だ、これは……!?」
約500機の反応がある。だが、見える姿も熱量も、デススティンガーの物とは違う。
そこに居た無数の悪魔。それはデススティンガーの異体であり、第2世代の進化形態である
「ヤクトスティンガー」だった。
既に一号機の真オーガノイド形態を越えるエネルギー。それが500機。
リッツはかつてこれ程の恐怖を感じた事は無かった。一号機と戦った時さえ、これ程の戦慄を
覚えはしなかった。だが今はあの時とも違う。決定的にして絶望的な終末が目の前にある。
その時だった。ヤクトスティンガーの群れが割れ始めたのだ。何事かと訝るロイ達の前で、砂丘が
盛り上がる。レーダーに異常な反応が映し出される。
そして、「真なる者」が姿を現した。
今、ゴジュラスとアイアンコングがおよそ
終わり
「さ〜て面倒な事になってきた様でありますね。」「そうだな…。」足止めをしている殿コンビはエーアスト一家の戦闘終了報告を受けて身が引き締まる。
「切り札は無くなったみたいだな。」レミントンは正直な感想を述べる。彼の算段なら寄生体をあっさり排除してこちらに合流するものだとばかり考えていた。
実際は戦闘不能…もう少しこの場で凌がなければ為らなくなった事に余裕は消える。
「寄生体…お前の報告書通りの厄介な奴の様だ。油断できんな…。」砲撃を止める事無く呟く。
「まあしょうがないでありますね…再生に自己強化をしたみたいでありますから。」こちらは全く砲撃をせず格闘攻撃のみで近づく者を片っ端から叩き伏せている。
今回の戦闘は相手の半数以上がブロックスの為電力不足は相手のブロックを接続、吸収、投棄の繰り返しで補っている。
日頃相手の機動コードの解析の集大成であり今の所この大陸に居るブロックスの制御コードは略一通り制覇し尽くしている。
今の相手は最新のバージョンでないため彼の割り込みを防ぐ手立ては無く随時バッテリーを補充出来る状態が続いているのだ。
その時ファインはモニターにある情報が流れて行くのを見て慌ててそのデータのバックアップを取る…。
その後も戦闘は長引き少しづつ追い詰められていく…レミントンのプロトYの弾切れは深刻な状況に追い打ちを掛ける。
「くそっ!弾切れか!?」背負っていた武装をパージし格闘形態を取る。しかし「ちょっと危ないでありますよ。」
その声が聞こえたかそうで無いかの内にファインの機体から大量のレーザーが発射される。「どわっ!?殺す気か!」
そう言いながらも全弾回避しレーザーは敵戦力に吸い込まれていく…数秒が経った後、後方から爆発の光が激しく明滅し始める。
それは徐々に目の前に向かって来た。
「なっ!?」「嘘でありましょう〜!!!」連鎖爆発を起こすなど考えもしなかった2人は逃げ腰モードに移行する。
「まっ前の時もこんな感じだった気がするが気のせいかっ!?」レミントンは叫ぶ。
「そうでありましたねっ!それよりこっちに捕まって来るであります!」プロトYが掴まるのを確認するとファインは機体を急速上昇させる…。
真下を爆発の光と爆風が通り抜けて行く…下に居たら一溜まりも無かっただろう。
「しかしおかしいでありますよ?着弾点から予測してもこれ程早く爆発が到達するのは異常であります。」
「そ、そうだな…何が下であったんだ!?」取り敢えず着地して状況の確認に入る。
レーダーに新たな機影が映る…「え〜っとこの反応は…って!?」「おい!何があった!?内容を聞かせろ!ファイン!」レミントンは叫ぶ。
「そんなに聞きたいでありますか?聞いたら聞かない方が良かったと思うでありますよ?」ファインは耳を押さえながら答える。
「そんな事は如何でも良い!早くしろ!」催促されてファインは良く聞こえる様に教える。
「この反応はケンタウロスでありますよ!4種の機体反応が一つのエネルギー反応で検出される機体はこれしか有得ないであります!」
ケンタウロス…かつてデスザウラーを倒すためのゾイドを開発中に生れたプランの一つ。しかし1機のみ実戦に投入されヘリック=ムーロワ初代大統領が駆ったと言われる幻のゾイド。
「機体データは有ったとは言え再開発されているなんて聞いてないぞ!」レミントンは切れる。
「だから言ったのでありますよ。目の前に現れてから言った方がパニックは少ないでありますし…。」ファインが言うと、
「そう言う問題じゃない!!!目の前に来た時は死ぬだろっ!」当然の答えが帰ってきた。
そうこう言い争いをしている間にもケンタウロスは接近してくる…救いと言えば無人機である為動きが目茶苦茶だった事だ。
4体のゾイドのコントロールを一つの制御機関で行うこの手のゾイドは非常に扱いが難しい。有人機でなければ真面な戦闘は出来無いだろう…。
それでも充分な脅威だった。
ふらふらしながら無差別攻撃をしているケンタウロス。
制御不能で其処彼処に砲弾を撃ち込まれては非常に困る。何時何刻自分に砲弾が飛んで来るかが予測出来ないのだ。
「それでは賭をしてみるでありますかっ!」そう言うと機体をチェンジマイズさせ始める。
近くに有る敵のブロックも使用する大掛かりなチェンジマイズが行われる…。しかしその規模が度を超えた物なので時間が掛かる。
1秒1秒が非常に遅く感じるレミントンとファインだった…。
「まだか?」「まだまだであります…後2分は掛かるでありますよ。」そう言った目の前を砲弾が通り抜ける…。
「…」「…」言葉を失う。360mmウルトラキャノンは風を捲いて2km程後ろに着弾する。
「ねっ狙いが荒くて助かったでありますね…。」「ああ…。」確実に味方の増援が期待出来ない今このチェンジマイズが全ての鍵を握る。
既に砲撃用のエネルギーチャージは開始されており完成次第チャージ完了、砲撃の算段は付いている。
しかし絶対的なパーツ不足とエネルギー不足で一撃で仕留める事は不可能だ。動きも目茶苦茶なため照準も難度が高い。
また砲弾が少し離れた所を通り過ぎて行く…直撃までのタイムリミットは刻一刻と迫って来ている。
「だああ〜まだかあああ!!!」レミントンは催促する。「まだであります!後10秒程で砲身が完成であります!」
しかしファインの機体に直撃コースで砲弾が飛んで来る。当たればレミントンのプロトYを巻き込んで派手に吹っ飛ぶこと請け合いだ。
しかしその砲弾は何物かに打ち払われ上空で爆発する…その先には何かが居る。しかし闇に紛れてその姿は確認出来無かった…。
大き過ぎる。形はデススティンガーに近いが、ライトニングサイクスが脚の間を潜れそうなほどの巨大さ。
武装も装甲も、外見も見たことの無い形になっている。自己進化でこれ程までに変貌するとは。
「…これが…アニメサイズって奴か…!?」
仲間のブレードライガーがアタックブースターキャノンを連射する。が、効果が無い。
何もかも、デススティンガーとは比較にならない。ただ大きいだけではないのだ。
「それ」が爪を振るった。ゴジュラスギガが一瞬で金属片になる。これは現実なのか?
「デススティンガー…いや、敵を殺し、吸収し、増殖するコイツはもうデススティンガーではない」
爪の間から巨大な砲塔がせり出す。本来ならリニアキャノンがあるはずの場所にバスターキャノン並の
大口径砲があった。その砲口が火を噴く。アイアンコングの上半身が丸ごと消える。
「これならばどうかっ!?」バーシアスがゼネバス砲をEシールドジェネレーターに叩き込む。
しかし、ゼネバス砲の貫通力を持ってしても巨大なシールドを破る事はできない。
それに加えて、周囲からもビームガンや荷電粒子砲が飛んでくる。ヤクトスティンガーが攻撃を開始したのだ。
絶体絶命。今度こそ終わるかとも思われた。
その時であった。上空に多数の飛行ゾイドが見えたのと、ヤクトスティンガーの群れを荷電粒子砲が薙ぎ払うのは
ほぼ同時だった。「…早い、もう来たのか!?」
上空の大部隊は共和国の空軍であり、荷電粒子砲を連射しているのはネオゼネバスのメガザウラーだ。
「助かった!!いくらこいつらが強力でも、共和国と帝国を同時に相手にはできまい!!」
イオは険しい表情になった。「いや…最悪の事態だ」
何故なら、共和国も帝国もデススティンガーなど眼中に無く、お互いを標的とした出撃だったからだ。
ラガートは格納庫のシャッターをバスターキャノンで吹き飛ばし、無理矢理外に出た。
「ロイさん達が…このままではまずい!!!」
1時間ほど前。
ラガートは基地の指揮を取っていた司令官に迫り来る危機を訴えていた。
「ですから!!デススティンガーの大群がニクシーに迫っているんです!!至急全部隊を編成して迎撃の準備を…」
「部隊の編成なら、もう終わっている」
ラガートは口が塞がらなかった。「…は?」
「帝国軍がニクシーを落しに掛かるようだ。作戦の失敗も考えてはいたのだろう。…ロブから大部隊が
ニクシーに向かっている。レッドラストで迎え撃ってくれよう」
「で、で、ですがあそこにはデススティンガーが…」
「それで?あの程度のゾイドが増えようと、数万を越す我が軍に勝てるはずが無かろう?」
ラガートは言葉に詰まった。どう言えば解ってくれるのだろう。デススティンガーはただのゾイドでは無いと。
「まあいい、ネオゼネバスの連中と共にその虫けらも葬ってやろう」
ロブ基地からまず、スクランブル可能な飛行ゾイドが発進していった。その後からホバーカーゴで数万のゾイドが
発進していく。これだけのホバーカーゴをどうやって揃えたのか。
「それに、レッドラストで派手にドンパチやられてはロイさん達が…」
ラガートはマーキュリーの操縦桿を握り締めた。関節が白くなるほど、強く。
「勝てれば犠牲を厭わない…そんなのは、間違っている」
「間に合った!大丈夫ですか?2人とも?」姿の見えない機体から通信が届く。
「何とか役立たずになる前に来れたようです。」その声は第2次調査隊員の駆る有人キメラドラゴン”ソードマスター”からだった。
「危ないでありますよ!ディオス大尉!相手が悪いであります!」ファインは搭乗者のディオス=ソーマ大尉に注意を促す…。
「助かった…ありがとう大尉。」レミントンも少し落ち着いたらしく礼を言う。
「でもまだ根本的な問題は解決していませんよ?」当然の意見が返ってくるのだった…。
ケンタウロスの巨体が少しづつ迫ってくるが行動がちぐはぐな為チャージが終了しても狙いが一向に定まらない。
そして最悪の一撃が放たれる…。
「ッ!?バスターボウガンッ!!!」3人揃って叫ぶ。最大の威力を誇る物理投射攻撃。
力任せに発射される大質量の矢は1200mmウルトラキャノンを除けば実態弾で最大の物だ。
直撃すればデスザウラーも一撃で倒れるだろう。風圧でも衝撃的な被害が予測される。
「レミントン中佐!ブレックス少将に砲撃を要請して貰って下さいであります!」更に、
「自分たちの居る地点の350m手前にしてもらってください!急ぐであります!!!」断末魔の絶叫に近い叫びが残りの2人に聞こえていた…。
その直後”ケンタウロスの槍”に何かが着弾し槍は地面を端って彼らの目の前で土煙を上げながら突き刺さっていた。
「無茶な事を言うな!貴様等そんなに正確な砲撃が出来る訳無いだろうっ!」偶然と言うには出来過ぎの砲撃を行ったブレックスは頭熟しにファインを叱りつける。
「え〜っと…?それ以上の精密射撃をしておいてそれは無いのではないでありますかっ!?」
レミントンとディオスは口には出さなかったが神の奇跡を見た…そんな余韻に浸りながら同じ様に思っていた…。
今や三つ巴の戦い。ヤクトスティンガーの爪が閃き、メガザウラーの荷電粒子砲が砂を巻き上げる。
ゴジュラスギガのバスターキャノンが火を噴き、ゾイドの残骸が宙を舞う。
ロイ達は目の前の危機こそ回避した物の、このままでは更にまずいことになる。
何としてもあの巨大な母体を倒さねばならなかった。
「いくらでかくても、関節なら貫ける!!」
リッツが母体の脚の関節に荷電粒子砲を叩き込む。左側の脚が2本落ちた。
「次は右を…」リッツは機体を上昇させた。だが、バルカンとレーザーが弾幕になって近づけない。
ジェノブレイカーの側面にミサイルが次々と命中した。「奴め、ミサイルまで持っていたか!!」
アイアンコングから吸収したと思われるTVM戦術ミサイルがフリーラウンドシールドを吹き飛ばす。
ジェノブレイカーも衝撃で墜落した。「くッ…これでは、あの時と同じ…!!」
リッツを守ろうと巨大な敵に突撃するロイの姿が、あの日のアーサーと被って見える。
エリックが脇に躍り出た。「Eシールドを破る為の裏技を知ってるか!?」
ロイはそんな物聞いた事も無い。「何だ!?そんなモンがあんのか!?」
「こうすんだよ!!!」エリックはトリニティライガーのシールドを展開し、母体のシールドジェネレーターに
体当りをかました。エネルギーが反発し、やがてお互いのシールドが消滅した。
「今だ、ロイ!!手柄は譲ってやる!!!」リニアキャノンで吹っ飛ばされるトリニティライガー。
ディアブロタイガーが飛んだ。
デスバーンの装甲でも破れたのだ。ディアブロタイガーに破れぬはずは無い。
完璧な間合い。ロイは正面装甲にサイバーファングを叩き込んだ。
だが、装甲が凹みはするものの破れない。デスバーン以上の装甲だと言うのか。
「クソッ…このままでは!!」母体は爪を振り上げた。ゴジュラスギガが一発で粉々にされた一撃だ。
喰らえばまず命は無い。だが避ける事もできない。
万事休す――そう思った瞬間だった。リッツがすぐ上に飛び上がり、残ったエクスブレイカーを振りかざして
母体に向かって急降下した。だが、ジェノブレイカーの武装では装甲が破れないはずだ。
「リッツ、駄目だ!!戻れ!!」コックピット内のショートによる火花に手の甲を焼かれながら、ロイが叫んだ。
だが、リッツは不敵に笑った。「あの時から俺は…ずっとこの瞬間を待ち望んでいたのかも知れない…」
エクスブレイカーの間に電流の様な物が流れ出す。間の空間が輝きだす。
「誰の犠牲も借りず…コイツにとどめを刺す瞬間を…!!」
荷電粒子砲のチャージと似ている。エクスブレイカーの間に光の球が現れる。
やがてその球がエクスブレイカーの間から伸び、剣の様な形を取った。ジェノブレイカーが急降下する。
「貫け…荷電粒子ブレード!!!」
巨大な光の剣が、母体の巨躯に隠されたコアを貫いた。
レッドラストに長く、尾を引くようなおぞましい絶叫が響き渡った。それが消えていくと同時に、
周囲のヤクトスティンガー、レーダー上のデススティンガーも生命活動を停止した。
「終わったん…でしょうか…」心なしかシエルの目には、昇りかけた日が微かに赤く染まって見えた。
154の訂正 ×確実に貫通し江2機 〇確実に貫通し2機
158も… ×実態弾 ○実体弾 でした…。
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しかしまた何かが飛んで来る…無駄に為った弓。もう躊躇せず弓に砲撃をするファイン。
「…結局作戦は失敗か。情けないな。」レミントンはため息を付く。「まあしょうがないであります。元々死んでいましたしさっきの奴で…。」
「そうですね。?あれまだ使えそうですよ!」ディオスは”ケンタウロスの槍”を見て言う。
どういう精製法と鍛造法を用いるとこんな物を作れるのだろうか?砲弾が直撃したのにも係わらずそれ自体は傷一つ無い。
「ディオス大尉!あれを拾って逃げて下さい。あれを拾われればもう後は無いであります!」「そうだ!急いでくれ大尉!」レミントンからも念を押されディオスの機体は槍を持ってこの場を離れた。
「結局またこうなったか。」「そうでありますね。」ファインは待たしてもチェンジマイズをさせているが今度は何になるのだろうとレミントンは考える。
この状況では砲撃など出来無い。となれば格闘タイプだろうと予想は付くが今までとはタイプが違う様だ…。「今度は何になるんだ?」レミントンは言うが、
「さあ?如何なるのでありましょうか?」と答えるファイン。「はぁ?じゃあ如何してチェンジマイズをしているんだ!?」
「ああ、さっき何かのデータを回収したので解析をしていたのでありますが…勝手にチェンジマイズを始めているのでありますよ。」
「例の物の所為か?」レミントンは聞く。「間違い無いでありますね。」その無駄話の間にもケンタウロスは2人に迫り来る。
ブレックスのツインリヴァイアサンの砲撃で足は遅くはなっているがいずれクロスレンジで接触する。
レミントンは6連小型エナジーチャージャーの機動準備をし目の前に来る相手に備える。
「何とか完成してくれよ!」1機づつでは歯が立たない。チェンジマイズした機体に期待するしかなかった。
「やっぱり無理でした…。」通信機にディオスの声が入ってくる。「はぁ?如何言う事でありますかぁっ!?」2人揃って思わず口走る…。
よくよくレーダーの反応と更新履歴を見ると…ディオスの機体はその場から一歩も動いていなかった。
”ケンタウロスの槍”を持ち帰れる程の運搬力が無かったのだ。幾ら瞬発的なパワーに優れたキメラドラゴンタイプであってもこの重量は無理らしい。
つまりアイアンコングやバーサークフューラーと言ったレベルの運搬力が必要なのだ。単純にそれ等と同等の出力はコアブロック8個とその他12個程は必要がある。
「もういいでありますよ…それより逃げる準備だけは忘れないで欲しいであります。」「そうします…。」ディオスは機体に槍を離させた。
「結局一人か…。」レミントンはプロトYを駆り足止めを敢行する。
目の前にケンタウロスが現れるが…その姿に更なる不安と絶望を覚える。「繭…?」飛行出来るの筈なのに飛行をしていない訳が一瞬で理解できたレミントン。
突然踏み潰そうとばかりにその足を蹴り上げるがその足はデータに有ったウルトラザウルスの足では無くゴジュラスの足だったのだ。
「改良型かっ!」その一撃を躱しストライクハーケンクローで足を切り付ける。大したダメージを与える事は無いが注意を自分に向けるのには充分だろう。
注意がファイン達から離れレミントンのプロトYに移る。足の速さならプロトYが遥かに勝る…筈だった。
「中佐!後ろ!後ろぉぉぉ〜っ!!!」言い回しは冗談だが語気は危機迫る声のファインの警告に対して後方モニターの映像を見ると…どういう訳かケンタウロスが追い縋って来ている。
「そんな馬鹿なっ!どう考えても無理だろぉ!?」踏みつけをなんとか避け逃走パターンを替えて左右に大きく移動しながら逃走する。
その間に何故追い縋る事が出来るのかその動きで探る。「こいつ!微妙に浮いているのか…。ついでに地面を蹴って距離を稼いでる!」
340km/hは平均速度が出るプロトYに追い付く事ができるのは相手がほんの少し地面より離れて浮游し蹴り足のパワーで速度を驚異的に高めている。
「化け物とは聞いていたがスペックが想定値より遥かに高いっ!掴まったら終わる…!」更に軌道に複雑なルートを取りながら全速力でレミントンは逃走した。
このケンタウロスは外見が以前の物とは異なる所が見受けられ脚部がゴジュラスの物になっている事。ゴルドスのレーダーの他にクリスタルレーダーフィンが装備されている事。
背中に繭状の物を装備している?事。飛行が出来無いと踏んでいたレミントンだが実際の所ただ飛行状態で移動できないだけだった。見かけだけで判断はできないと言う事が身に染みる思いだった。
しかし最も特異な点は報告を受けた寄生体がびっしりと全身に纏わり付いている事だった。
「やばいな…こいつも下手に叩くと…。」「化けるでありますよ。」次の言葉が解るかの様に通信が入る。「回線入れっぱなしでブツブツ言っていれば充分聞こえるでありますよ。」
「中尉!何時になったらチェンジマイズが終わるのですか?」ディオスは待ちきれないと気持ちが篭った声で聞いてくる。
「残念でありますがこれをしている彼?が混乱している様で上手く形を得られていないのでありますよ…。」
「!?」ディオスにはさっぱりの事だった。自力でチェンジマイズの形態を選ぶ事が出来るのはキメラの特徴だがこんな事は聞いた事も無い。
「それなら…助けてあげればいいじゃないですかっ!!!」そう言うとディオスはファインの機体のチェンジマイズの補助を始める…。
「こう言うのは本人?に任せるのが一番だと思うのでありますが…。」そう言いながらも、もう限界だろうとディオス同様助け船を機体に出す事にした。
どうやら…アクキン?みたいで書き込んでいるの自分しか居ない…。
宇宙と空の間で の作者さんかなり遅れていましたがお疲れさまでした。
今の所一番先進的かつ先の見えない宇宙開発。それを題材にした話でその手があったかと思いました。
ギルベイダーも開発までに時間が掛かって居そうですしそのプランで本文の様な機体も充分居そうです。
でもやっぱりシンカーって…打ち上げることが出来れば宇宙でヒレを動かして泳ぎそうですねw
これ以降全く出て来なくなるやもしれない人がいるので…ネタ整備を…。
【人名】
カイエン=ミシマ:第3小隊サードリローダー所属の戦闘要員で少尉、補助戦力としての所属だが基本的に戦闘行為に関わっている事が多い、
体の大きさに反して格闘能力が低い為ゾイドでの戦闘が主な任務、格闘技に対しての興味が旺盛で何時かは生身での作戦にも参加したいと訓練中
ブレックス=カーマイン:第4小隊フォースフォートレス小隊長の少将、この小隊のみ旗艦が存在する為実質の戦力は中隊以上の規模を持つ、それを切り盛りし艦隊戦を指揮できる有能な人物、
アービンより階級は高いがこの部隊全体の総指揮をしたくない為に小隊指揮官地位に居る
ディオス=ソーマ:第2次調査隊所属副隊長で大尉、セイスモサウルス破損のためキメラドラゴン”ソードマスター”を駆る、因みに女性で多少せっかちな所が有るが入隊から1年も経たずに今の階級に居る努力家型の才女
【技術・ネタ】
カイエンスペシャル:カイエンがカスタマイズしたマグネイズスピア等の格闘兵器の総称、今回の物はヒートブレイカーと言う高熱を発するマグネイズスピア、
続々新シリーズ展開予定?
「中尉っ!?このデータは…。」ディオスはそれが求めている姿に一瞬戸惑う。
「どうやらそうらしいでありますね。さすがは共和国製と言った所でありましょうか。」
チェンジマイズの誘導に成功しその姿を現した機体は一目見て帝国軍の人間には判別できる。
「ゴジュラスタイプでありますねぇ〜…。」キメラが作り出した理想の姿がゴジュラスと言うのは有る意味笑いが止まらない。
と言うよりは呆れ返るしかない。強さを求めたその先には敵軍の主戦力。コアブロックに寄生した寄生体が共和国製、回収データも共和国製…。
とは言えどキメラが強さを求めた結果が今の姿と言う事なのだ。
レミントンは必死に逃げているがそろそろ集中力が途切れてくる。「おい!?機体はっ!?…ってそれは洒落のつもりか?」
見る者は呆れ返る事請け合いのキメラゴジュラス…。「いやぁ〜敵さんの物を使用するとこう言う可能性が有るんでありますねぇ…。」頭を掻きながらファインは言う。
「…もういいからこいつを何とかしないとな。」後ろからケンタウロスが追い掛けて来ている。
「それではかなり不安でありますが…。」機体を動かす。
「ぬおっ!?」突然の急加速に不意を突かれる。善くも悪くもキメラである。マグネッサーの効果で見た目よりは遥かに素早い。
次の瞬間キメラゴジュラスはケンタウロスに打ち噛ましを喰らわせていた…。「何と!?」闘争本能も凄まじい。そのまま殴り始めたのだから始末に終えない。
「相当のじゃじゃ馬みたいでありますねっ!」ケンタウロスの反撃を確認して無理矢理機体を後ろに引かせる。
攻撃を回避したのを確認するとまた勝手にクロスレンジにキメラゴジュラスは切り込んで尾の一撃を喰らわせていた。「おい!コントロールできて無いぞ!」レミントンが援護をしながら叫ぶ。
「しょうがないでありますよ。何かデュエルシステムと言う物が勝手に攻撃命令を出しているであります。攻撃に関しては手を付けられない様であります!」
「それって暴走って言うんじゃ…。」この部隊は常識外れで知られてはいるがここまで無茶を平然とするとは思いもし無かったディオスは頭が痛くなる感覚に襲われるのだった…。
アク禁が解けた模様なのでそろそろ続きを投下しまッす…
しかし、戦いは続いていた。邪魔者が居なくなって、いよいよ共和国軍と帝国軍の戦闘が激化してきたのだ。
「何故だ!?目的はデススティンガーの迎撃じゃあ…!?」
その時、唐突に通信が入った。モニターに映ったのは苦しげな表情のラガート。
「違います!!…彼らは、ネオゼネバス軍を迎え撃つ為に出撃してきたんです…!!!」
「何だって!?デススティンガーの大軍を無視したってのか!!?」
「はい…司令官はデススティンガーなど妨げにはならないと全部隊の9割を出撃、ネオゼネバスは返り討ちです!!」
確かに総兵力では共和国が勝っている。だが、ネオゼネバスにはメガザウラーや膨大なキメラが居るのだ。
「…返り討ちって…ネオゼネバス軍を甘く見ていませんか?」
シエルの言い分も最もだ。しかし、ラガートはそれでも否定した。
「違うんです!!司令官の自信の理由は―――」
言いかけた瞬間、砂漠の空に閃光が走った。
「新兵器『戦略級反応弾ミサイル』ですッ!!!」
共和国技術陣は遂に、厳重に封印された古代遺跡のブラックボックスを解読する事に成功したのだ。
戦略級反応弾ミサイル――要約すると、「核ミサイル」である。
それが、ネオゼネバス軍の戦線からはるか後方に着弾したのだ。向こうにしてみれば、突然陣地内に閃光と爆風が
走り、次いで轟音と共に自分も消滅する訳だ。堪った物ではない。
「更にこの兵器には最悪の特徴があります…放射能による汚染。空気中に遮断できない毒ガスが散布される様な
ものだと思って下さい。1200mm砲を上回る威力と引き換えに、エウロペを死の大地に変えてしまうんです!!」
「テスト中止!!!」
共和国軍の新兵器テストが行われている演習場にて、教官の1人がマイクごしにそう叫んだ。
「なぜです!!まだ途中であるにもかかわらず、なぜ…。」
新兵器テストに参加していたテストパイロットの1人がそう叫んだ。
「時間が掛かりすぎるのだよ!!ターゲット用に改造した無人ブロックスを全て破壊するのに
何秒かけているのだ!!同じG計画の機体でもライガーギガとギガドラゴンは1分秒以下で
クリアしているというのに、ゴジュラスギガは2分も掛かっているではないか!!」
時はネオゼネバス帝国建国より1〜2年。中央大陸を奪われた共和国軍はネオゼネバス帝国との
戦いに備えて、低コストで数のそろえられるブロックスの量産。そして軍全体の士気を
向上させる為の一騎当千の新たなる決戦ゾイドの開発が進められていた。そして、
その決戦ゾイドの条件のひとつには帝国軍の旗艦ゾイド「デスザウラー」を倒す戦闘力があった。
そして、通称「ギガ計画」と呼ばれた決戦ゾイド開発計画から、3機の時期新型決戦ゾイド候補機が
開発された。1つは共和国が開発したライガー系ゾイド、そして帝国軍から奪い取った
ライガーゼロの技術をフィールドバックさせた決戦機クラスの性能を持つ「ライガーギガ」また、
これはライガー系という事もあり、共和国軍上層部にもっとも期待されている機体でもある。
2つ目はマトリクスドラゴンを決戦機級の規模にしたような、陸海空の運用が可能な
ドラゴン型ゾイド「ギガドラゴン」。そしてゴジュラスの後継機として開発された「ゴジュラスギガ」。
決戦ゾイドを何種類も量産する余裕の無い共和国軍は、3機のウチ1機を選ぶ必要があった。
故に、数々の競合テストが行われていた。
「やっぱり同じギガでもゴジュラスはダメだな。今時ゴジュラスなんて旧世代のロートルの新型機を作ったところで金の無駄だよ。」
ライガーギガとギガドラゴンのテストパイロットがゴジュラスギガのテストパイロットをしていた
「ガイズ=アックス中尉」の顔をあざ笑うような感じで見つめながらそう言っていた。
「とにかく…、ゴジュラスギガの失格は確実だな。」
テストに立ち会っていた教官が手に持つ資料を下に下げた状態で後ろに振り返りながらそう言った。
「お言葉ですが!!防御力、パワー、格闘性能の点ではゴジュラスギガがトップです!!
マッドサンダーが弱体化した今!!帝国のデスザウラーに勝てるのはゴジュラスギガだけです!!」
「そうかい…ならこのテストの結果はどう説明してくれるのかな?アックス中尉…。」
ガイズの言葉に対する教官の返答にガイズはうろたえた。
「そ…それは…この自分がゴジュラスギガの性能をフルに発揮できないからです…。」
「2週間後に再びテストを行う。その時までに1分の壁を破れなければゴジュラスギガの開発は打ち切りだ!!」
教官はそう言ってその場を後にした。
「まあせいぜいがんばりな!アックス中尉!」
その後から、ライガーギガとギガドラゴンのテストパイロットがガイズをあざ笑いながら歩き去った。
ガイズは思わずその場で殴りかかりたくなったが、どうにかこらえた。その全身は震えていた。
「うううう…。ジ…ジョーン…。」
その夜、ガイズはうなされていた。数年前の共和国首都奪還作戦の時の夢である。その時、彼は
ケーニッヒウルフのパイロットとして作戦に参加していた。その際、彼の一番の戦友であり、
ライバルでもあった「ジョーン=キルズ」を失った。彼はデスザウラーに殺されかけそうになった
ガイズを助けるために、愛機のライガーゼロシュナイダーでデスザウラーに突進したのだった。
しかし、そのレーザーブレードがデスザウラーを切り裂く前にデスザウラーの巨大な爪によって
ハエの様に叩き落とされ、そして踏みつぶされたのだった。その日からだった。ジョーンの
ライガーゼロシュナイダーがデスザウラーに破壊される夢を見るようになったのは…。
そして、彼はデスザウラーを倒す事を誓った。そのためにギガ計画のテストパイロットに志願した。
「あのデスザウラーをセコイ奇策ではなく実力で倒さぬ限り!!オレのこの夢は続くんだ!!
ジョーンも安心して眠れない!!ライガーギガやギガドラゴンではデスザウラーを取り逃がしてしまう!!ゴジュラスギガでなければダメなんだ!!」
飛び起きたガイズはそう叫んでゴジュラスギガに乗り込んだ。そして訓練を始めたのだ。
久しぶりの書き込みとなります。
今回の話、いわゆる旧バトストのトップハンターのパロディーです。
「トップハンターをギガでやったらどうなるか」と言うのをコンセプトに、
かつ自分なりにアレンジした短い話と言う事で、随分前に作り置きしていた話なんですが、
ファンブック4でギガ誕生の経緯がほぼ明確に書かれてしまった(?)為に、
ほぼ欠番状態になっていた話なのです。
しかし、現在書いている新作の制作が難航を極めているために急遽書き込む事になりました。
公式とかとかなり矛盾している点とかあると思いますが、まあギャグという事で
大目に見て下さい。
「残された時間は2週間!!これまでにゴジュラスギガの性能を100%引き出してみせる!!
コアジェネレーター出力全開!!ハイパーEシールド展開!!脚部バーニア点火!!
尾部バーニア点火!!クラッシャーテイル全開!!ハイパープレスマニュピレーター!!ギガクラッシャーファング!!!」
ターゲット用無人ブロックス相手にガイズの特訓は続いた。
「ダメだ…どうしても1分の壁を破ることが出来ない…。」
基地の近くの公園のベンチに座っていたガイズがそう自分に愚痴っていた。
「どうしたんですか?中尉さん。浮かない顔して…。」
突然、1人の女の子がガイズにそう話しかけてきた。年齢は16歳位、金髪に緑の瞳、和服と洋服の
混じり合ったような変わった服を来ており、さらに肘や膝にプロテクターなんか付け、そして腰には
何故か木刀を下げているという変わった女の子だった。ただ、ルックスという点ではかなりいい方であるが…。
「君は…。」
「私はマオ=スタンティレル士官学校生であります!!」
マオと名乗る女の子は敬礼をしながら勢いよくそう言った。
「そうか…。オレはガイズ=アックス中尉だ…。」
「あの…本当に元気なさそうですね…。」
気力も無さそうに力が思い切り抜けた状態で頭が下がったままベンチに座るガイズに対して困った顔をしながらマオはそう呟いた。
「オレはな…ちょっとした新型機のテストパイロットをしてるんだが…。まあどんな新型機かは
軍事機密って奴で教えられないがな…。オレのテストパイロットをしている機体が他の競合相手に
負けそうなんだよ…。どうにか勝とうと頑張ってはいるがどうも上手くいかなくてね…。」
「大変ですね…。」
同じくベンチに座ったマオがそう言った。
「君こそ大変なんじゃないかな?そんな小さく細っこい身体で士官学校は辛かろう…。」
「それなら大丈夫ですよ。私はそう言う事をよく言われますが、一応そこそこ鍛えてるんで…。むしろこっちの方が大変なんですよ…。」
ガイズの言葉にマオは自分の頭を指さしながら笑って答えた。
「へ〜。とてもそうは思えないがな〜。」
「疑り深いですね。なら、これならどうです?」
突然マオは地面に落ちている小枝と一枚の葉っぱを拾い上げた。
「そんな物を拾い上げて一体どうするんだ?」
「こうするんです。」
ガイズの言葉に対してマオはそう答えると同時に左手に持つ葉っぱを手から放した。葉っぱは
ヒラヒラと地面へと落ちていく。それをマオは右手に持つ小枝で真っ二つにしたのだった。
「え…?」
その光景を見ていたガイズは目を丸くした。刀で葉っぱを斬るというシーンならテレビの時代劇で
見慣れていたが、特に切れそうもない小枝で葉っぱを斬るという光景は初めてみる物であった。
しかも、構えて気合いを入れたとか、じっくり狙ったとかそう言う大げさな前置き動作など無い。
さらに葉っぱはヒラヒラと常に動き続けながら落下している。それをただ振り下ろしただけで
真っ二つにしたのだ。ただ、言えることはその振り下ろした速度が滅茶苦茶速かったという事である。
「とまあ、これくらいのことは出来ます。」
「お…オレにも貸して見ろ!!」
小枝を手に取ったガイズは葉っぱを拾い上げ、マオと同じように小枝で落ちる葉っぱを斬ろうとした。
しかし、何度やっても斬ることは出来なかった。
「いや〜、凄えな〜…。お前それ一体どうやったら出来るんだ?」
再びベンチに座り込んだガイズはマオに対してそう言った。彼の顔には笑顔が戻っていた。
「まあ集中力とか色々ありますけど、まあ単純に振り下ろす速度を速くする事ですね。
重さで斬るとかつぶすとか、そういう事をするのなら別に問題はないですけど、純粋に「斬る」と
いうのならやはり速度が大事です。例えば、同じパワーでも、速いパンチを打てる人の方が強いでしょ?」
「まあ確かにな〜。速いパンチを打てる奴の方が先制攻撃が出来るからな〜。」
「それもありますけど、やっぱり速いパンチを打てれば、やっぱりその速度から来る勢いとかで、
パンチの威力が上がったりするんですよ。これならパワーが互角でも速い方が有利というのはわかりますよね。」
「まあ、パワーが互角なら速い方が強いだろうな〜。」
マオの説明にガイズは空を見上げ、関心しながらそう答えるのであった。
「ですが、ただ速いと言っても足が速ければ強いとか言うワケでも無いんですよ。」
そして、そう言うとマオは突然その場から立ち上がったり座ったりを繰り返した。
「やっぱり同じ速さでも、走るのが速いとかよりも、今やった立ったり座ったりとかの、
こういう「行動の動作の速さ」が大切だと思うんですよ。例えば、最高速が滅茶苦茶速いゾイドが
いたとします。ですが、そのゾイドは加速が滅茶苦茶にとろくて、その最高速に乗るのに相当に
時間がかかってしまいます。そんなゾイドはいくら最高速度が速いと言っても役立たずでしょ?」
「ま・・・まあ・・・、それは極端な話だが、まあそういう事だろうな・・・。」
「でも、今のお偉いさんは最高速度だけでゾイドの性能を判断してる。そこが気に食わないんですよ。
別にカーレースやってるワケじゃないんですよ。加速性能や旋回性能も考えに入れなければならない。
それに走る場所にしても平地ばかりとは限らないんですから、そういう走破性も大事ですよ。」
「ま・・・まあ・・・、その通りだな・・・。あのライガーゼロパンツァーも最高速度は285キロ出ると
あるが、平地をじっくりと時間をかけて加速しつづけてようやく285キロに達するというだけの
事だし、帝国のデススティンガーもゴジュラス以上の重装甲、重武装だが、その素早さは高速ゾイドも驚くほど素早いしな・・・。」
ガイズは知らず知らずのうちにマオのペースに乗せられてしまっていた。
「あと、小学校の頃、同じクラスとかにいませんでした?50メートル走は遅いのに、反覆横跳びは妙に速い人って。」
「ああ居た居た。確かにそういう奴はクラスに必ず1人は居た気がする。」
「そういうのコソが行動の素早さと言う物なんですよ。実戦では足の速さよりもそういう行動の
速さが大事だと思うんです。まあ私は前線に出たというワケではありませんが、昔ちょっと
色々ありましてね・・・。あと、行動を素早くするにはやっぱり無駄な動作をしない事だと思います。
いくら速く動こうとしても大ぶりな動作では、素早い動作なんて出来ないでしょ?
やっぱり同じ速さでも、最低限の動作をする方が結果的には速いですし、体力の消耗も低く抑えることが出来ますよね。」
「アッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」
「な・・・な・・・何か変な事言いましたか?」
突然笑い出したガイズにマオは慌ててそのような事を言った。
キタ――――(゜∀゜)―――!!!!
「核…ミサイル…!?…確か、遥かな昔に地球で使用されたという究極の破壊兵器…」
シエルは絶句するほか無かった。地球とは関わりの無い古代ゾイド人が、何故そんな物を持っていたのか?
「…現代では解明できぬ、超古代のオーバーテクノロジーであろうな」
「ふ…ふざけんじゃねぇ…!!共和国がそんなモン量産してネオゼネバスに撃ちまくったら…」
ラガートの表情には焦りと、僅かな恐怖が見て取れる。
「…間違いなく、戦争はすぐにでも終わるでしょう。最悪の結果で…ネオゼネバスは全滅し、
へリックを支持する国民達も皆放射能によって永遠に苦しみ続ける事に…」
イオが続けた。「それならば、汚染された国土にはもはや戻れまい。中央大陸は、生物の住めぬ死の大地と
化すであろう…軍の連中は、その兵器の威力を知らんのか?」
「彼らも放射能の事は知っています。しかし、少し待てば消える物だと思い込んで量産を始めようとしています。
大きな間違いなのに…!!もしかして古代文明が滅びたのは、核兵器による戦争があったからではないでしょうか!?」
ロイがラガートに詰め寄った。「…何処だ」
「な、何がですか?」
「そのミサイルの工場は何処だ!!?」
「…に、砂漠の西に――」
最後まで聞かずに、ロイは機体を走らせていた。
「冗談じゃない…!!」
アーサーが、ザイファーが、命を賭して守った物が消えてしまう。
〔あのね…ロイってどことなくお父さんに似てる〕
「絶対に…そんな事…やらせねぇ…!!!」
戻ってきた〜〜〜。もしかして…その内あの人が…以下規制。
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「まあまあ…取り敢えずデコード作業をしているのでありますが…ね?」とファインは言うがディオスにはさっぱりだった。
コンソールではデコード作業の状況が表示されているが解析と同時のデコードを行っているためその作業スピードは目を見張るほど遅い。
「戦闘では役に立たなそうなのでデコードの手伝いをさせて貰います!解析に作業を絞ってこちらに回してください!」ディオスの申し出は非常に嬉しい。
「それではお願いするであります!」また迫る攻撃を躱した後嬉々として殴り掛かるキメラゴジュラスのコクピットでファインは答えた。
その間もケンタウロスを殴り続けるキメラゴジュラスのエネルギーは確実に消費されている。寄生体のエネルギーバンクが多少有ると言ってもたかが知れている。
確かに大型ゾイドに迫るエネルギーキャパシティとエネルギー生産量が有るが消費を上回る事など無い。
もう少し大人しくしてくれればそれも可能なのだが…とそこで考えを巡らせるのを止める。
近距離の360mmリニアキャノンの発砲でバランスを崩してしまったのだ。当たらないのを承知での発砲だが衝撃で姿勢制御を妨げる事はできる。
当然そこに付け込んでケンタウロスの足が機体を踏み潰さんと迫る。
横からのレミントン砲撃でケンタウロスの注意が逸れるのを見逃さず直撃予想範囲を分離させケンタウロスの後方にキメラゴジュラスを何とか逃がす。
がやはり直に攻撃を始めてしまうため間合いもへったくれも無いデュエルシステムに対して閉口するしかなかった…。
「全く援護の甲斐もない機体だよ…。」レミントンのぼやき声もデュエルシステムに対しての物だったのも言うまでも無い。
がふっ…のが名前に付いてるどこで書き間違えたんだ!?
竜王戦士の作者さんへ
ギガドラゴン…その内本当に商品で出て来そうで怖いのですが。
ライガーギガ辺りもその内…ガクガクブルブル。
「いやいや、別に変な事は言ってない。そのような考え方を持った奴と出会うのは初めてだったんでな。少し・・・。」
確かに、かつて高速ゾイド乗りであったガイズにとってマオの話した話の内容はある意味
カルチャーショックがあったのかも知れない。しかし、その反面勉強にもなった。
「何か吹っ切れた気がするよ。俺はそろそろ行く。お前も士官学校がんばれよ・・・。」
「がんばってくださいねー!」
そして、気の晴れたガイズはその場を後にした。しかし、先ほど会話した女の子=マオが数年後には、
「緑の悪魔」と呼ばれて帝国に恐れられる超エースパイロットになっていようとは知る由も無かった。
「だぁぁぁぁぁ!!クソ!!やっぱり駄目だ!!」
すぐさま特訓の続きを始めたガイズであったが、やはりなかなか1分の壁を破ることが出来なかった。
「すまん・・・ゴジュラスギガ・・・、お前の性能を引き出せない俺の不甲斐ないせいで、お前を駄目にしてしまいそうだ・・・。」
ガイズは頭を抱えながらそううなっていた。
―――――――――ハッハッハッハ!お前はその程度の男だったのか?ガイズよー―――――
「は!!!」
突然どこからか何者かの声が聞こえてきた。
「そ・・・その声はジョーン!!ジョーンなのか!!!」
―――ハッハッハッハッハ!ライバルのお前がそんなんでは俺のオチオチ眠っていられんぞ―――
また聞こえた。それは間違いなく友、ジョーンの声であった。
―――お前は優秀な高速ゾイド乗りではないか。ケーニッヒウルフで敵を追撃した時の事を思い出せ。
ゴジュラスギガを巨大ゾイドだと思うな。俺は祈っているぞ。お前の成功を――――――――
その言葉のあと、その声はピタリと途絶え、そしてそれ以上聞こえることは無かった。
それがただの幻聴だったのか、はたまた本当にジョーンの霊がガイズの前に現れたのか、それは
誰にもわからない。しかし、彼には確実にその言葉が聞こえたのだった。
「ゴジュラスギガを巨大ゾイドだと思うな・・・。ゴジュラスギガを高速ゾイドの様に
コントロールする!!反転運動や横滑りをやるというのか!!そうか、なぜこんな事に今まで気づかなかったのか!!」
そして、さらにガイズの脳裏に公園で聞いたマオの話もよみがえってきた。
「ようし!!高速ゾイドのような操縦をしつつ、あのマオとか言う娘の言う無駄な動きを省いた
素早い動きをする!!これだ!!いける!!いけるぞ!!」
そして、時は流れて約束の日がやってきた。泣いても笑ってもこの日の競合の結果でガイズとゴジュラスギガの運命が決まるのである。
「さあ約束の日だアックス中尉。約束通り今度こそ1分の壁を破れなければゴジュラスギガの開発は本当にうち切るからそのつもりで…。」
「それについて提案があります教官!!ターゲット用無人ブロックスではなく、そこにある
ライガーギガ、そしてギガドラゴンと戦わせて下さい!!」
ガイズがそう提案したとき、一瞬周りの空気が静かになった。
「アッハッハッハッハ!!何を言い出すと思ったら…そんな駄作機で俺達二人を相手にしようっていうのか!!」
「笑っちゃうよハッハッハッハッハ!!」
ライガーギガとギガドラゴンのテストパイロットは一斉に笑い出した。
「良いだろう。貴様のその勇気。買ったぞ!!」
「え!!?」
そして、競合試験はゴジュラスギガ対ライガーギガ&ギガドラゴンに変更となった。演習場に
数百メートルの間隔を置き、面と向かって対峙する3機。
「まあいい、徹底的にぶっつぶしてやろうぜ!!」
「ああ!!ゴジュラス無敵神話など所詮過去の幻想だという事をアイツに思い知らせてやる!!」
ライガーギガ、そしてギガドラゴンのテストパイロットはそう意気込んで操縦桿を握った。
「……………。」
意気揚々としている二人とは反対に、ガイズは操縦桿を軽く握ったまま、静かに目を瞑って
瞑想していた。そして、思い出していた。あのマオという女の子の話。そしてジョーンの言った言葉。
ゴジュラスギガと過ごした特訓の日々。その結果を出す。今はそれに集中する。彼はそう考えた。
「全員準備は良いか!!最終テスト開始!!!」
次の瞬間、ガイズの目がバっともの凄い勢いで開いた。それに呼応するかのようにゴジュラスギガの
目も強い光を放ち、咆哮と同時に跳んだ。
「な!!!は…速い!!!」
競合に立ち会っていた教官や他の人間が一斉に驚嘆の声を上げた。それだけゴジュラスギガは
速かったのだ。素早く追撃モードに変形してゴジュラスギガは走った。狙うはライガーギガ。
「確かに…少しは腕を上げたようだな…だが…まだまだ甘いぃぃぃぃ!!!」
ライガーギガのテストパイロットはそう叫び、ライガーギガは跳んだ。そのスピードに物を言わせ、
カウンターをかけつつ素早く離脱する。そうしようとした。ゴジュラスギガはライガーギガに
まっすぐに突っ込んでくる。そして…直ぐに眼前にまで迫ってきていた。
「力押しが通用すると思うなよ!!!」
ライガーギガの右爪が光った。ライガーギガの主力武器「ギガレーザークロー」である。
と、その時だった。突然彼の目からギガの姿が消えたのだ。
「な!!?何だ!!?」
予想外の出来事にライガーギガのバランスが崩れた。その直後、ゴジュラスギガは右側面から現れた。
そう、ライガーギガとぶつかる直前に、素早く右斜めに跳んでいたのだ。そして素早く反転し、
ライガーギガの右腹部にギガクラッシャーファングで噛み掛かった。
バッギィィィン!!!
それは一瞬だった。ライガーギガの身体は一瞬にして噛み砕かれ、上半身と下半身に分断された。
「なんだっつんだこの野郎!!!!」
今度は後方、かつ空中からギガドラゴンがゴジュラスギガに襲いかかった。
「テイルロケットブースター点火!!高速反転だ!!」
その直後、ゴジュラスギガの尾の中に装備されたロケットブースターの推力、そして
ゴジュラスギガ自身のパワーとスピードによって超高速で振られたクラッシャーテイルが、
ギガドラゴンの身体を横一線に叩き斬ったのだった。それは、さながら、あの時のマオが小枝で葉っぱを斬るシーンのようであった。
「あ……………。」
あっけない、あっけなさ過ぎる競合の結果に、誰もが唖然としていた。
「そ…そんな馬鹿な…。」
破壊されたライガーギガ、そしてギガドラゴンのコックピットから這い出てきたそれぞれのテストパイロットもあっけにとられながら思わずそう言葉をもらした。
演習場に一機たたずむゴジュラスギガ。それはさながら中央大陸の神話に伝わる伝説の戦士。「竜王」の様であった。
「ま…まさに竜王戦士だ…。」
思わず誰かがそう言葉を漏らした。
「ようし!!!しかし、俺達の戦いはこれから始まるんだ!!覚悟しろデスザウラー!!!」
その後、ガイズと正式採用されたゴジュラスギガが帝国軍のデスザウラーをことごとく破壊したのは言うまでもない。
終わり
「量産は順調に進んでいる…これでネオゼネバスの連中も終わりだ!!」
戦略級反応弾ミサイルの工場では次々とミサイルが作られて行く。
万が一事故でも起きよう物なら次々と核爆発が連鎖する羽目になる。作業には慎重さが求められた。
「まあ、一応『コア・アブソリューター』(核反応阻害波放射装置)は置いてあるがな…」
しかし、それを使うのは最後の手段だ。完成しているミサイルまで使えなくしてしまうのだから。
工場の指揮官は自室で一服している所だった。しかし――
「侵入者を確認!!!防衛線が突破されています!!」
警報を聞いた指揮官はコーヒーを吹き出した。
「な、な、何ィィ!?」
監視カメラのモニターを確認する。すると、基地の入り口で戦闘が起きている。
黒い機体だ。データベースに無い。
「ここに一人で乗り込んで来るとは…一体何者だ!?」
「退け!!!ミサイルは何処だ!!」
ロイは只管に防衛ゾイドたちを蹴散らし、工場の奥を目指した。
やがて、非常に広い空間に出た。そこら中でベルトコンベアに運ばれているのは、ミサイルの部品だ。
工場の奥には、完成したミサイルが大量に置いてある。
「だが、どうやって止めさせればいい!?爆発は防がなければ…!!」
防衛ゾイド達が追いすがってくる。ロイはミサイルに近付いた。
とりあえずこうすれば、敵は攻撃できない。「どうする…!?」
その時、通信機に聞き覚えのある、嫌な声が聞こえてきた。
「そのミサイルを破壊し、また英雄を気取るつもりか?」
モニターに映った顔は、数年前ロブ基地の司令官であったエンバー・リーデンベルト中将だ。
「君はまだ若い。目立ちたいのは解らんでもないが、これは戦争であって君の様なガキに
邪魔できるほど軽い物ではないのだよ」
「エンバー…!!そうか、この計画の責任者はお前だな?」
「ククク…口を慎みたまえ。君は今歴史の分岐点に立っているのだぞ?
もしおとなしく引き下がってくれれば戦争は終結し、ネオゼネバスの連中は滅びる。
君の反逆も無かった事にしてやろう。だが…」
エンバーは昔と寸分変わらぬ、計算し尽された笑みを浮かべた。
「…ここで引き下がらねば、君はやがて追い詰められて死ぬ。もしミサイルを爆発でもさせよう物なら
大変だ、かつての英雄が一瞬で極悪人に早変り…君はネオゼネバスのスパイだったという事にでもするさ」
ロイは何も言わなかった。
「どちらを選ぶのが賢明かは一目瞭然だろう、英雄殿?さあ、解ったらそこを退くんだ」
操縦桿を握るロイの手が動いた。
「俺はこっちを取る!!」
工場長の居た管制室に、一足飛びでディアブロタイガーが突っ込んだ。
強化ガラスを突き破りながらハッチを開き、大量のガラスの破片と共にロイが管制室に飛び込んだ。
「大体、事故に備える設備があんだろ?」
「馬鹿な…こんなガキが何故、これ程の運動能力を!?」
ロイはカバーに覆われたボタンを見つけた。「これか!!」
エンバーがモニター越しに大声で叫んでいる。
「それを起動し、ミサイルをすべてスクラップとするか?戦争終結のチャンスを、自ら
捨てることになるんだぞ?上層部から見ればお前は特A級の裏切り者だな!!」
ロイは共和国軍の仲間達の顔を思い浮かべた。そして次に、アーサーの顔が脳裏に浮かんだ。
「…構わないさ。確かに戦争は馬鹿げた事ではあるが、早く終われば良いってモンでもないだろう?」
ロイはプラスチックのカバーを叩き割り、ボタンを押した。
一瞬工場の内部が青白く光り、空気が抜けるような音がした。
エンバーは通信を切りながら呟いた。「馬鹿な奴だ…幼稚な正義感に目が眩んだか」
だが、内心ほくそえんでも居た。彼はネオゼネバスのスパイでもあったのだから。
どっちが勝っても自分は高い地位で上手く生きて行ける。それならば秘密が露見する前に
さっさと戦争を終わらせれば良いと思っていたが、ばれなければ急ぐ事も無い。
S4で工場を脱出しながら、遠距離回線で中央大陸のネオゼネバス軍に通信を入れた。
「…エンバー・リーデンベルト大佐だ。武器開発局のケイン・アーベル博士に伝言を頼む。
内容は…『西方大陸にて例の物を発見の可能性、詳しいデータを希望する』と伝えろ」
エンバーは一息つくと、回線を切った。
「これはもしかして…核なんぞ比較にならん素晴らしい物を見つけたかも知れんな…」
彼等が「繭」と呼んでいる物の中でその光景を楽しそうに見ている者が居る…。
「くくくくく…そうだもっと攻撃をしろ。その度に貴様等の戦闘技術、操作技術がこのコアに刻まれる。」
その声は外に漏れる事は無い。その声の主はコアの中に座っているのだ。
特別な加工でコアに開閉式ハッチとコクピットを内蔵させ更に爆発的な成長後も閉じ込められない様にコアの成長すらコントロールに成功している。
それを作り出した声の主はガリス=ヴェントス中尉。帝国軍に入隊した元共和国仕官の技術者でマッドマイスターの通り名で呼ばれる男だ。
戦闘は彼の予想通り盛大に長引いている。鬼門と思われたファインとレミントンの両者はファインのキメラゴジュラスが足を引っ張っているお陰でケンタウロスを倒す事は出来無い。
他の戦力は一時撤退している事も幸いし増援の第4小隊も長距離射撃の支援のみ。この戦闘が長引けば長引く程ガリスの計画は順調に進む事になる。
「しかしゴジュラスもどきがっ…イライラする。計画が無ければ一撃で粉砕してやるものを…全く世界は思惑通りに動かない事甚だしい。」
かつての愛機と似た姿をしているそれを見る目は多少血走ってはいるが以前平静は保たれている。
中尉という階級も彼を高い地位に置くと何をしでかすか解らないと言う不安要素からのものであながちその予想は間違っていなかったと言う事だ。
外ではまだ戦闘が続いている。
「そこはこっちでありますよっ!」威力も効率も考えないデュエルシステムと格闘しながらキメラゴジュラスを必死に操作するファイン。
攻撃を無理矢理中断させ一歩引かせるとその後の一撃に重みが生れ威力が増す。しかしその後はそれまでの通り無駄な攻撃を続ける。
「解析は…後半分でありますか!?」やはり行動そのものに影響するシステムとなると制御キーコードとは違い直にどうこうできる物ではない事を痛感する。
「まだ…みたいだな。」そろそろ弾薬が尽きそうな胸部荷重衝撃砲の弾薬のゲージ表示を見ながらレミントンは援護射撃をする。
気の滅入る戦闘はまだまだ続く筈だった…。
「っ!!!」突然地面が揺れ始めケンタウロス周辺より地割れが発生する。旧ゼネバス領には地盤が見た目よりも脆い場所が多い。
一説では「デスザウラー以前の機体が重装甲と軽量化と言う双反した設計思想で開発された経緯には自国の地盤が脆いから」と言う説を上げる技術者が居るくらいなのだ。
その為同型機や同系統の任務に使われる機体は概ね共和国よりも安定した高速機動戦闘が可能なゾイドが多い傾向が有る。
地盤が崩落を開始し中心に居たケンタウロスはゆっくりと穴に降りて行く…。
その落下速度は翼のマグネッサーの影響で非常にゆっくりとしているが「繭」状の物が翼に絡みついているため上昇はままならないと言った所だろう…。
必死になって辺り構わず360mmリニアキャノンを乱射し始めたのだから溜まったものでは無い。地上のレミントンとファインは必死になって逃げ回るしか無かった。
「おわぁ!?」「ひぃいぃ〜!!!」大の男2人が情けない声を上げながら踊る様に逃げ回るのを上空でディオスと第4小隊の面々は指を咥えて見ている事しか出来無い。
「あ〜…。」ディオスは何か声を掛けようとしたが取り止める。注意が下より離れた所を撃ち抜かれても寝覚めが悪いからで自分から比べれば操縦技術が段違いに高いこの2人を心配する事は無いと判断したのだ。
「ディオス大尉。賢明な判断だ。」ブレックスも崩れていく地面を見ながら隙有らばケンタウロスに砲撃をしようと気を狙っていた…。
「?終わっている…。」ディオスの機体はデコードを何時の間にか終了しておりシステムの無効化を行えるプログラム作成を開始していた。
後…2分程で完成らしい。どうやらシステムの半分は破損データの山だったらしくその所為で攻撃一辺倒に成っていたのだろうと容易な答えが導き出される。
下では相変わらず止まる事を許されず走り続けるしかないキメラゴジュラスとプロトYのある種の走行実験?の光景が目に映っていた。
「御愁傷様。」たまに飛んで来る砲弾を回避しながら飛行が出来るゾイドで良かったとディオスはほっとしていた。
「何か言ったかい?(でありますか?)」同時に返事が帰ってくるのにディオスは「ひっ!?」と珍しく情けない声を上げる。
通信回線は切ってあるしマイクに声を取られない位置で喋った筈なのだが…と疑問に思うがどうやら筒抜けらしい。
「そのコクピットの型番は…内装とユニット配置を此方でやっているので何処かのマイクが機能しているのでありますよ。そのまま使うなんてどこの誰が…。」
その言葉を遮ってディオスは「もうすぐシステムを無効化できるソフトが出来るのでそれまで頑張ってください!応援してますから…。」
最後の毒にも薬にもならない言葉に返す言葉を失ったファインだった。
「どうやらここまでの様だな。ケンタウロス…お疲れさま。」ガリスはそう言うと「繭」偽装を解く。
その直後翼への枷が無くなったケンタウロスは勢い良く地の底から飛び出す…。「中身は既に寄生体と融合が完了している。後はどんな姿になるか楽しみだな。くくくく…。」
「行けっケンタウロス!邪魔者達を捻り潰せ!」地下に到着しコアに体の作成を命じながら外の様子をケンタウロスに予め搭載して置いた複数のカメラの映像を楽しむ事にした。
「何!?浮上してくるだと!」ブレックスはその報告を受けると即座に砲撃を命じる。地面から頭を出したその瞬間に砲撃を開始する様に命令しレーダーとモニターの表示に目を向ける。
以外と地下は深かった様で5分は時間が掛かっていた。その間にキメラゴジュラスのデュエルシステムを無効化、データ破棄を終了し完全に手足の用に操作できる様になった機体に取り敢えず安堵しているファイン。
レミントンもほっとしている様だ。「やっと反撃体制が出来たか…遅い気もするがな。」
後が無い事には少しも変わりが無いのだった…。
その時が来る…やっとの事で空への上昇を開始しようとしているケンタウロスに砲弾の雨が降り注ぐ。
直撃を多数受けて墜落していくが直に目に見える変化を起こしてあっと言う間に上空にその姿を現す。
「これは…ピンチでありますね。最高レベルの物でありますよ…。」他の者は誰一人として声を漏らさずその巨体を息を飲んで見つめていた。
と言うより目が離せなかったのだ…幻想的なシルエットを纏ったその姿に…。
「おお、帰ってきたぞ」
砂嵐の中、歩いてくるディアブロタイガーを確認したリッツは安堵した。
ネオゼネバス軍は撤退していった。もう一度核が放たれるのを恐れたのだろう。
戦場の跡は戦場よりもなお悲惨だ。残されるのは悲しみだけなのだから。
見渡す限り広がる黒ずんだ砂漠。ゾイドの残骸が累々、地平線まで散らばっている。
レッドラストの北東部はもう放射能に汚染され、数年、数十年入れないだろう。
「どうしますか…これほどのモノです、司令部はまた量産しようとするでしょう」
ロイはこの問いに答えられない事に気付いた。何度も破壊工作を繰り返すのか?
だが、その時遠距離回線で通信が入ってきた。
「いいや、そんな馬鹿げた兵器はもう造らせん」
ざらついた画面に映し出された顔は、今や共和国軍の総指揮権を持つに至るロブ・ハーマンだった。
「先程判明した事だが、リーデンベルト中将はネオゼネバスのスパイだった様だ。どちらが勝っても
自分は有意義な戦後を送れると思っていた様だが…まあ、そんな男が総指揮を取っていた計画だ。
凍結させるには充分な理由だろう?」
ロイが何か言う前に、ハーマンはさっさと通信を切ってしまった。
「…ホントに…すげえ指揮官だな…」
イオも笑って頷いた。「確かにな。帝国の者から見ても賞賛に値するわい」
シエル達のドラグーンネストが戻ってきた。生存者を探していたのだ。
「それじゃ、一旦ここでお別れですね」
ネオゼネバス軍に背いたシエル達は、戻っても処刑されるだけだ。
「なあ…あんた達も共和国軍に来ないか?軍を抜けた今、補給もまともに受けられるか…」
シエルは途中で遮った。
「それはできません…私達は、あまりにも多く共和国軍に被害を出し、また兵を殺してきました。
それに、どちらか一方に加担して終わらせる戦争はいい結果ではないと思いますから…」
ジードが鼻を鳴らして笑った。
「補給云々は心配するな。それくらいどうにでもなる…それじゃあ、そろそろ行くぜ、隊長」
シエルの口調は穏やかではあったが、以前の弱気な話し方は消えていた。
「それではお元気で。また、どこかで会えると良いですね…」
「ああ。その時は敵同士で無いと良いな」
遠ざかるドラグーンネストを見つめ、一言だけロイが呟いた。
「…帰るか」
全員、無言で頷いた。
ロブ基地に帰還した彼らは、そこで驚くべき指令を聞いた。
帝国軍撤退の勢いを駆って、そのまま中央大陸の友軍の加勢に向かうと言うのだ。
「西方大陸でこれ以上警戒を続けている余裕はもはや無くなった、との事です。
いよいよ私達も本当の戦場に向かう日が来たんですね…」
リッツはロイに訊いた。「どうする気だ?お前には別に、中央大陸まで行って戦う義理などないぞ?」
ロイは頭を振った。「いや、俺も行くよ。最後まで見届けたいんだ。それに――」
言葉が切れた。穴の開いた天井から見える空を見上げながらロイは心の中で呟いた。
―もう一度、真実を話したい人が居る――
…じつは、第2部はここで終わりなんです(汗
もろ続いてしまう形で申し訳ないんですが、3部作で完結しまつ。
しばらく止まります…少ししたら、第3部を書き始めたいと思います。
…2の続きからですが。
今作、読み返してみて感じた事。
不味い。前作はまだ分かりやすいと言うか…馬鹿げてたけど、変な伏線も入れなかったし
話にはなってたと思います。しかし今回は余計な伏線を入れたおかげで大暴投(滝汗
作者の未熟さが浮き彫りになってしまったと思い…精進します_no
あと、あえて補足は1つしか入れてないんですが質問などありましたら訊いて下さい。
序章1:ある兵士の想い
「ただ今!!」
戦争中とは思えぬほど平和な夜。ネオゼネバス帝国首都のある一件の民家に、1人の男が帰ってきた。
彼の名は「ハートス=サラント」、ネオゼネバス帝国軍高速部隊に所属しており、ちょっとしたエースパイロットでもある。
「父ちゃんお帰り!!!」
ドタドタと音を立てながら現れた1人の少年はハートスの息子であった。
「父ちゃん!!どうだった?」
「ハッハッハ!快勝に決まっているだろう。」
ハートスは息子を抱え上げながら力強くそう言う。軍では、高速部隊のエースパイロットの1人
として、そこそこ有名である反面、家庭では良き父親ぶりを発揮しているという事でも有名であった。
「父ちゃん、その箱は何?」
「おおそうだった。これはお前のお土産だ。」
「わあ!!ありがとう!!中は何が入ってるの?」
息子はそう言って箱の包み紙を剥がす。その中にはゾイド72分の1サイズの模型の箱が入っていた。
「わあ!!凄い!!最新モデルだ!!エナジーライガーだって。最高時速が660キロも出るんだ!!凄い!!」
嬉しそうに箱を開ける息子。そしてその様子を笑顔で見つめるハートス。そして彼は胸を叩いてこう言った。
「息子よ。父ちゃんはなー、それと同じヤツに乗ってるんだぞー。」
「父ちゃんすごーい!!このゾイドなら共和国もあっという間にやっつけられるね!!」
「当たり前だろう!!ハッハッハッハッ!!」
「そ…そうも言えなくなっちまったな〜…。」
それから数週間後、戦線に戻ったハートスは、愛機であるエナジーライガーのコックピット内で
そう呟いた。セイスモサウルスやエナジーライガー、無人キメラブロックス軍団を始め、
圧倒的とも言える軍事力、技術力で共和国軍を圧倒的に引き離していながら、共和国軍は中央大陸に
おける領土をどんどんと拡大していった。そして、今まさに、旧共和国首都にまで迫りつつある。
そして、その旧共和国首都へと進軍する共和国軍を遠距離から狙い撃つ為に各部に配置された
セイスモサウルスを護衛するのがハートスの任務であった。エナジーライガーはライガーゼロと
同じライオン型野生体ゾイドをベースとしていながら、約2倍のスピード、旋回性、パワーを持つ
怪物ゾイドである反面、最大出力時は10分も持たないという程の燃費の悪さを持つという決定的な
弱点も持ち合わせていた。それ故に、皇帝親衛隊に配備される機体以外は、もっぱら接近戦の苦手な
セイスモサウルスの護衛機として運用される事がほとんどであった。それ故に現在の彼と愛機の
エナジーライガーはセイスモサウルスの周辺をキメラ部隊と共に警戒してた。とはいえ、
現時点でセイスモサウルスに接近できる機体などほとんどいるはずがない為、この任務は特に
何もすることなく終わる楽な任務のはず…であった。
「おかしい…。」
「どうしたんだ?」
セイスモサウルスの後方で待機していたディメトロドンのパイロットの言葉に、ハートスはそう言った。
「そろそろ別の場所で待機している他の部隊からの定時連絡の通信が来てもおかしくないのに、何の連絡もないんだ。」
「そ…そういえば…。」
「なーに。そんなに気にしなさんな。特に何も起こってないから何の連絡も無いだけじゃないのかい?」
セイスモサウルスのパイロットは楽観的にそう口を挟んだ。確かにディメトロドンや他のゾイドの
レーダーには何の反応も無いし。目視でも特に変わったことは起こっていない。周りに広がるのはいつもの平和な風景であった。
「しかし、もしもこれが共和国軍のジャミングによる物だとしたら…。」
「オイオイ、ハートス、神経質になりすぎだぜ。共和国軍の電子戦ゾイドで最強の性能を持つ
ゴルヘックスだって精々ダークスパイナーのジャミングウェーブをどうにか中和出来る程度の物なんだぜ。」
確かにそうである。電子戦という点では、ディエトロドンを広く配備している帝国軍が共和国の
それを遥かに優っている。そして、それ故に帝国軍は共和国軍の持つレーダーの索敵範囲外からの
セイスモサウルスのゼネバス砲による超遠距離精密射撃が可能となっているのである。
「しかし、もしも共和国軍がさらに強力な性能を持つ電子戦ゾイドを開発して、現在、他の部隊との
連絡が来ないのはコイツのジャミングのせいだとしたら…どうするんだ?特に、最前線で敵の位置を
計測するために放った電子戦ゾイド部隊からの連絡が遮断されていたら大変なことになる。それに、
今俺達がいる場所だって、このジャミングに紛れていつ敵が攻撃してくるかも分からない。」
そもそも、セイスモサウルスが共和国軍の索敵範囲の外から精密な射撃を可能としているのは、
最前線に配置した電子戦ゾイドが正確な射撃地点を測定し、そのデータをディメトロドンを中継して
セイスモサウルスに転送して初めて可能となる物なのである。もしも、ハートスの言ったとおり、
共和国軍が強力なジャミングを行って、その転送を妨害していたならば、いかにセイスモサウルスと
言えど、攻撃のしようが無い。射程距離という点では申し分なくとも、敵の位置が分からなければ意味がないのだ。
「た…確かにそう考えると…なあ…。かといってここを離れるわけにはいかないし…。」
どうすることもできないセイスモサウルスパイロットがそう呟いた。その時だった。
部隊を展開する前方部分で、突然爆発が起こり、部隊前方に配置していた無人キメラ部隊の一群が吹き飛んだのだった。
「何!!?今のは何処からの攻撃だ!!」
「レーダーに反応無し!!」
「なんだと!!?」
半ば混乱状態に陥る帝国軍部隊。そしてまたもや爆発が起こる。一体何処から攻撃しているのは謎であった。
「何と言うことだ…ゼネバス砲の餌食になった共和国軍も今の俺達と同じ気持ちだったんだろうか…。」
ハートスは周囲を見渡しながらそう呟いた。そして再び爆発が起こり、キメラ部隊の一群が吹き飛んだ。
その時だ、帝国部隊の前方の森の中から、木々の間を割って一体のゴジュラスギガが現れたのだ。
しかも、目の前のゴジュラスギガは背中に4門のバスターキャノン、両腕にもバスターキャノンを
1門づつ、合計6門のバスターキャノンを装備した、まるでウルトラザウルスを彷彿とさせる程の超砲撃型とも言える異様を誇っていた。
皆様お久しぶりです。
早速新作が出来上がったので書きました。
今回は長いです。本当に長いです。ワード100ページ分はゆうに超えてます!!
当然次スレまで持ち越されることは多分確実です。
あと、書いた後に気付いたのですが、
>>265の下から3行目のディメトロドンが
ディエトロドンになってました。すみませんね。
>Ziの焔作者さん
お疲れさまです。それにしても、デスステの群やら空中要塞やら核やら・・・
スケールの大きなストーリーで本当に楽しませてもらいましたよ。
第3部も頑張って下さい。
Ziの焔書いてる物体さんへ
お疲れさまです第2部終了で次が第3部。頑張ってください!
閻魔の策動作者さんへ
どうもです。新作と聞く度一つ目が終わってもいない自分にガクガクブルブル…_| ̄|○
タイトル分けで1日分事に分割すべきだったと今更ながらに思っています。
それはともかく頑張ってください。
ディメトロドンについては多分解るから問題無いのではないでしょうか?何処かのサイトでは伝説の「デョメトロドン」とかありましたし…。
夜空に半透明の巨大な翼をはためかすその姿はこれまで確認された寄生体型とは全く異なり機体表面を完全に覆い尽くしている。
下半身の変異は脅威として確認される…4本の足の後ろ2本はその姿を鰭と翼の融合体の様に変わりウルトラザウルスの胴体の大半は尾として変異していた。
その他にもゴルドスのGPS磁気探知機も同様に姿を変え風に靡くその姿は深海から空中に飛び出した未確認生物を思わせる物だった。
月や星の輝きで半透明の翼、鰭は虹色に輝きその異質感を際立たせる。その巨体から咆哮が発せられる事で全てを現実の物として刻み込む。それを合図に戦闘が再開された。
「距離を取れ!あの姿から予想される飛行速度は明らかに此方より上だ!近付かせるな!」ブレックスの号令とともに大量の砲撃がそれに吸い込まれようとしている。
しかしそれは優雅に力強く翼をその場で羽ばたかせるだけで実体弾の速度を奪い砲弾はレミントンとファインの居る地表に落下していく。「まさか…今日は厄日かっ!?」
砲弾は彼等に降り注ぐ形になり今度は爆撃の雨を避ける事になる。
エネルギー弾やビーム兵器等は着弾こそするが大したダメージを与えるに至っていない。やはり実体弾でないと効果が薄いようだった…。
砲弾を避け終わった2人は手の届かない敵を見上げて同じ言葉を呟く。「深き底より出でし恐怖”ディープフィアー”と言った所か(所でありますか)?」
「そうか。これより敵戦力をそう呼称する!2人揃って出来の悪い詩人と言った所か…。」そう言いながらこうも思っている「ストレート過ぎる。パニックを起こす者が居ない事を祈るしかないな…。」と。
ディープフィアーと呼称されたそれの眼前に移るのは地上で自らを見上げているだけの2匹の獲物だった…。
速度を上げ地表に降り立つ…その後直に彼らに向かって襲い掛かった。「ぬおぉぉう!?」衝撃波を纏った腕がプロトYを捕らえる。
プロトYは400m程吹き飛ばされてしまう。しかし身のこなしなら全ゾイド1と評価のあるライオン型だけあって姿勢制御をして何とか無茶な着地を成功させる。「しまった!?足を…。」
やはり無茶な着地と急速なブレーキングにより脚部旗艦がオーバーヒートを起こし煙が上がっていた…。
ありゃ?脚部機関ですね。脚部旗艦じゃなくて…。
---------
それを見て満足そうにプロトYに近付こうとするディープフィアーの後頭部に一撃が打ち込まれる。
怒りを露にして振り向いた顔にもう一発勢い良くキメラゴジュラスの肘より下の部分が叩き込まれディープフィアーはバランスを崩して派手に転倒する。
「これ以上邪魔者扱いだけは避けないといけませんから…覚悟してもらうでありますよ。」とファインは大見栄を張って見せた…。
ディープフィアーの視線はスレイブアームズの機構を活かしたいわゆる「ブースト〇〇〇〇」を終え肘関節に再接続される左腕に釘付けになっていた。
興味とともに警戒心を持ったのであろう攻撃の目標は完全にキメラゴジュラスに移っていた。
肩や胸部の一部に有る発光機関からエネルギー弾が発射される…。砲塔部分を待たない部位からの砲撃は一種の奇襲になる。
「どわっ!?危ないであります!」大したダメージを受ける物ではないがこの手のエネルギースプレッド弾は回避が非常に難しく重要部位や内部機関に侵入する可能性も非常に高い。
先の攻撃もディープフィアーに対してダメージを与えた感覚は無い。距離を置こうとマグネッサーと足をフル活用して逃げるが上手くいかない。
「ここに行け!」ブレックスからの命令で指定位置に移動する…。
陸上を逃げるキメラゴジュラスを追いディープフィアーは低空飛行で追尾する。エネルギースプレッド弾を発射しながらキメラゴジュラスを追いかけるが突然の衝撃を背に受け地面に墜落する。
ブレックスのツインリヴァイアサンからの砲撃が直撃したのだ。流石に地表に近くては先のように羽ばたく事は出来無い。
がエネルギー弾やビームは鰭や翼の半透明部分に吸収されていく。次の瞬間鰭と翼が輝き出し辺りの視界は光に遮られていった…。
「くぅぅぅ!!あの突然の攻撃の正体はコイツか!!」
「何という事だ!!レーダー反応無し!!ハートス!!もしかしたらお前の言う通り、共和国はジャミングしているかもしれん!!」
「何ぃぃぃ!!アレ程の物がレーダーに反応しないだと!!?」
彼らの言う通り、目の前のゴジュラスギガは姿は見えど、レーダーには一切反応していなかったのだ。見る限り、ステルス処理をされているとも思えない。
「ゴジュラスギガごとき恐れることは無い!!姿が見えていれば十分だ!!それに、あれ程の重装備なら動きも鈍そうだしな。ゼネバス砲で穴を開けてやるぜ!!」
セイスモパイロットは意気揚々にそう叫びながら、ゼネバス砲の発射ボタンを押した。目視による
直接照準発射での攻撃。セイスモサウルスは遠距離砲撃だけが能では無いのである。
セイスモサウルスの口から放たれた、細いが強い光を放つ粒子の塊が目の前のゴジュラスギガ
目がけて飛んでいく。帝国軍最強の兵器であるゼネバス砲。帝国軍はこの武器一本でゆうに何体もの
ゴジュラスギガを葬ってきた。そして、そのゼネバス砲はまっすぐにゴジュラスギガ目がけて
飛んでいく。そのまま目の前のギガは体を貫かれ、その場に倒れ込む。…と、誰もが思ったその直後であった。
しかし、そのゼネバス砲はギガに当たることはなかった。今度はギガが背中の4連バスターを発射する。またもやキメラの一群が吹き飛んだ。
「おい!!何をやってるんだ!!しっかりしろ!!」
「おっかしいな…確かに当たったと思ったんだが…。」
周りからのヤジをあびながらセイスモサウルスパイロットは再びゼネバス砲の発射ボタンを押した。
しかし、これも当たらなかった。
「な…、ま…マグレだよな…。」
そして再びゼネバス砲を発射する。これも当たらない。
「そ…そんなバカな!!!」
セイスモサウルスパイロットは慌てた。なぜなら今までこんな事はなかったからだ。今度は
ゼネバス砲だけでなく、背中のセイスモ八連砲もまとめて発射する。しかし、これも当たらなかった。
セイスモサウルスパイロットの射撃は正確であり、何の落ち度もなかった。それですら一発も
当たらなかったのだ。そう、ゴジュラスギガの方が攻撃をかわしたのだ。しかも、そのギガは、
まるで弾道を読んでいるかのように、少し体を左右に移動させるだけという簡単な動作で全ての攻撃をかわしていたのだ。
「ば…バカな…何でゴジュラスギガがここまでの回避力を……まさか…緑の悪魔…。」
「緑の悪魔!!?あの噂のグリーンデビルか!!?」
緑の悪魔。それはグリーンデビルとも呼ばれ、通常、ブルーの部分がメタリックグリーンで
塗装されたゴジュラスギガである。またグリーンデビルは、帝国軍の恐怖の対象でもなっており、
その戦闘力は他のゴジュラスギガの比較にならない。ゼネバス砲すらも楽々と回避し、たった一機で
五体以上のデスザウラーを数分で葬った事すらあるというまさに緑の悪魔の名に恥じない悪魔的
強さを持った、もはや帝国軍にとって悪鬼とも言うべき化け物なのである。
ディメトロドンパイロットはカメラを望遠モードに切り替え、目の前のゴジュラスギガを調べた。
「緑色…ほ…本当に緑の悪魔だ!!!!」
「何ぃぃぃぃぃぃ!!!!?」
目の前に存在するゴジュラスギガは紛れもなく緑の悪魔であった。その事を知った帝国軍部隊は半ばパニック状態に陥ったのだった。
「落ち着け!!みんな落ち着けぇぇぇぇ!!!」
パニック状態になる味方をハートスは必死になって押さえようとした。次の瞬間…
ギャオォォォォォォォン!!!
パニックに陥る帝国部隊をあざ笑うかのようにグリーンデビルが吠えたのだった。その巨大な
咆哮音が辺り一面に響き渡り、それがより帝国部隊のパニックを拡大させたのであった。
「ちっくしょぉぉぉぉ!!なめやがって!!!」
ハートスがそう叫んだ直後だった、突然地面がグラグラと揺れだしたのだ。しかし、地震とは違う。
そう思ったとき、地面から突き出てきた何かがディメトロドンを串刺しにしたのだった。
そして、ディメトロドンを真っ二つに引き裂きつつ地面から現れたのは、見たこともないアーマーに
身を包んだライガーゼロであった。その背中には2つの大きなバスタークローが装備されていた。
目の前のライガーゼロはこのバスタークローで地下を掘り進んできたのだろう。BFの物を捕獲して
使い回しているのか?いや違う。所々の形状がBFの物とは異なっている。ハートスはそう思った。
しかし、突然に眼前にゼロが現れたという事実は他の兵士達をさらにパニックにおとしいれると
いう結果になった。ゼロは浮き足立つ帝国軍ゾイドを各個撃破していく。
「少し奇襲が成功したくらいで調子に乗るなよ!」
ハートスが叫び、エナジーがゼロ目がけて跳んだ。ハートスは冷静であった。エナジーライガーと
ライガーゼロの戦闘力は歴然としている。現に、ハートスはエナジーライガーを駆って、今までに
数々のライガーゼロを仕留めてきたのだ。目の前のライガーゼロに必殺のエナジークローを叩き込む。
これでお終い。しかし、そのエナジークローが当たることはなかった。ゼロが彼の想像を遥かに超える速度で動いたのだ。
「なるほど…貴様もパワーアップしたのか…。」
そのゼロの性能はそれまでのゼロを遥かに超えていた。単純なスピードだけでも時速500キロは
ゆうに出ている。その上からバスタークローで格闘能力などを強化されているのだ。
その戦闘力はエナジーライガーにも匹敵できるだろう。そして、そのゾイドを手足のように操るゼロのパイロットもただ者ではなかった。
と、その直後だった、側面から突如、光の渦がまき起こり、キメラ部隊の一群を吹き飛ばしたのだ。
これはバスターキャノンの砲撃ではない。まさしく荷電粒子砲による攻撃だった。
「な!!まだ他にいるだと!!!?」
と、突然木々の陰から凱龍輝が高速で飛び出してきた。しかし、目の前のそれはただの凱龍輝では
無かった。3連長距離砲の他に、恐らく捕獲した物を、そのまま使用していると思われる
シュトゥルムユニットのアクティブシールド+エクスブレイカーを装備したそれはまさしく
シュトゥルム凱龍輝と呼ぶにふさわしい威容を誇っていた。そして、シュトゥルム凱龍輝は
エクスブレイカーで敵を切り裂きつつ、辺りに群がるキメラに荷電粒子砲を吐きかけていたのだ。
「凱龍輝の相手はオレに任せろ!!」
セイスモパイロットがそう叫ぶと同時にレーザーストームとシザーストームがセイスモと合体し、
アルティメットセイスモとなった。そして、巨大なストームガトリングを凱龍輝目がけて発射した。
凱龍輝相手には実弾兵器。帝国上層部はその命令を兵達に徹底させていた。集光パネルを持つ
凱龍輝はエネルギー兵器の類を吸収し、自らのエネルギーとしてしまう。それゆえに、凱龍輝を
攻撃する際は物理攻撃を行う。これが帝国軍の出した解答であった。
しかし、そのストームガトリングの砲弾は全て凱龍輝が装備したアクティブシールドによって防がれてしまった。
「ヤツがアレを装備したのはこの為か!!!」
共和国軍とてバカではない。凱龍輝の弱点は共和国自身がよくわかっているはずである。それ故に対物理攻撃対策としてアクティブシールドを装備したのであろう。
「この野郎!!」
ハートスは標的をシュトゥルム凱龍輝に切り替えた。しかし、間髪入れずに新型アーマーのゼロの
バスタークローがきらめいた。どうにかかわすもシュトゥルム凱龍輝への攻撃は失敗したと言っていい。
「畜生…なんだというんだ……。!!!?」
その直後、ハートスはある異変に気付いた。いなくなっているのだ。ヤツが…。
「大変だ!!グリーンデビルのヤツが消えた!!」
「何!!!?」
「気を付けろ…どこから攻撃してくるのかわからんぞ!!」
共和国軍の物と思われる強力なジャミングによってレーダーが使い物にならない帝国軍は、
目で直接探すしかなく、必死になって当たりを見回した。その時だった、またもや地面が揺れた。
そして、地面と、その周辺のキメラを吹き飛ばし、地面の下からグリーンデビルが飛び出してきたのだ。そう、先ほどのゼロと同じように…。
「コイツまで地面に潜れるのかよ!!!しかし何で…。!!!」
そこでハートスはある物を見た。グリーンデビルが両腕に装備しているバスターキャノンの砲身が
高速で回転している事を。そして、その回転が停止した時、彼は知る。一見バスターキャノンに
見えたそれはバスターキャノンではなく、マグネーザーだったのだ。そして、グリーンデビルは
すぐさまそのマグネーザーの先を密集陣形を敷く帝国部隊へ向けたのだ。その直後だった。
マグネーザーの先から、一条の光が放たれたのだ。このマグネーザーもただのマグネーザーでは
無かった。ビーム砲としても機能するマグネイズキャノンだったのだ。しかも、そのビームの出力も
半端な物ではなかった。両腕のマグネイズキャノンのビーム砲による横薙ぎ放射で帝国ゾイドは
次々に切り裂かれていく。その光景はまるで悪魔の戦い…。いや、まさに悪魔その物であった。
たった3体のゾイドに翻弄される帝国軍。そして、パニックがパニックを呼び、帝国部隊の士気は
見る見るウチに低下していった。もうこの部隊の中で正気な者と言えば、ハートスだけであった。
「畜生!!なめやがって!!」
エナジーが跳んだ。今度の標的は目の前のグリーンデビル。グリーンデビルさえ仕留めれば、
勢いを盛り返せる。そう考えたのだ。エナジーチャージャーの出力を最大まで上げる。
タイムリミットはたったの10分間。しかし、ハートスはその10分間以内にグリーンデビルを
倒せるだけの自身があった。それだけエナジーライガーの性能に自身があったのだ。
エナジーライガーの背中にきらめくエナジーウィングが赤い光を放つ。必殺のウィングスラッシュだ。
それのスピートはいかなる高速ゾイドも回避不可能な程であった。
「ドンピシャだ!!いけぇぇぇぇ!!!!」
その狙いは正確だった。あっという間に目と鼻の先まで接近する。グリーンデビルとて、ここまで
迫られれば回避できまい。そして、エナジーライガーはグリーンデビルの横腹を一気に切り裂いた。
が、しかし、斬ったのは斬ったのであるが、手応えという物が全くと言ってい程感じられなかった。
いかにエナジーウィングが重装甲も切り裂く代物であっても、斬る際に、その手応えが、
軽い衝撃という形で来るはずである。しかし、それがまったくと言っていいほど無かった。まるですり抜けたと言うにふさわしい感じであった。
「まさか!!コイツ…ギリギリでかわしたというのか!!ならもう一度!!!」
エナジーは直ぐさま反転し、再びグリーンデビルへと跳んだ。今度はエナジークローがきらめく。
ライガーゼロのストライクレーザークローの数倍の破壊力があるとすら呼ばれるエナジーの
必殺兵器の1つである。これをまともにくらえば、例えゴジュラスギガやマッドサンダーでもかなりのダメージを与えることが可能なはずである。
しかし…、その攻撃も手応えが感じられなかった。手応えが感じられないと言うことは、
つまり当たらなかったという事である。だが、グリーンデビルはその場から一切動かなかった。
斬ったはずなのに、すり抜けたかのように斬れない。それはまるで立体映像に斬りつけているかの
ような不思議な感覚であった。その直後、自らの背後に気配を感じた。それと同時にハートスは
背筋に悪寒を感じ、直ぐさまエナジーをそこから離れさせた。とその直後に自らがいた場所が
吹き飛んでいた。犯人はグリーンデビルだった。いつの間にかに背後に回り込んでいたのだ。
「この野郎!!!」
今度はチャージャーガトリングと2連チャージャーキャノンを発射した。高出力エネルギー弾の雨が
超高速かつまっすぐにグリーンデビル目がけて飛んでいく。が、しかしそれも当たらなかった。
しかし、それは避けられたと言うより、これまたすり抜けたと呼ぶにふさわしい不思議な現象であった。
「い…一体どうなっているんだ…。」
ハートスは愕然とした。自分でも思わず鼻水が流れていることも気付かない程にまで…。
「そ…そうか…わかったぞ!!みんな!!恐れることはない。目の前のコイツはタダの
立体映像だ!!共和国軍が俺達を威嚇するために何処かから映し出しているんだろう!!」
「な…何だ…ただの立体映像か…。」
セイスモサウルスパイロットの説明に皆のパニックも収まっていった。
と、その時、グリーンデビルが背中の4連バスターを帝国部隊の方へと向け、そのまま発射した。
「恐れることはない。ただの脅しにすぎん。何しろ立体映像なのだか…。」
その直後、もの凄い爆発音と共に、帝国ゾイドの一群が吹き飛んだのであった。
「本物!!!?そんな馬鹿な!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
帝国部隊は再びパニックに陥った。しかも、密集陣形を敷いていた事が災いし、ゾイドとゾイドの
接触と誘爆による同士討ちが多発したのであった。
「畜生!!!!」
エナジーが再びグリーンデビルへと突撃する。しかし、またもやその攻撃はすり抜けるだけだった。
「何ですり抜けるんだよ!!コイツ…まさか幽霊ゾイドじゃねえだろうな…。」
ハートスは真っ青になりながらそう呟いたとの直後だった。グリーンデビルの姿がハートスの
眼前からフッと消えたのだ。消えたと言っても光学迷彩で姿を消すのとは全然感じが違う物だった。
「な!!ど…どこだ!!」
辺りを見回すハートス。当然レーダーには何の反応も無し。
「うわぁぁぁぁ!!ハートスゥ!!こっちだぁ!!た…助けてくれぇぇぇ!!」
セイスモサウルスパイロットの叫び声に反応し、ハートスは急いで機体を反転させる。しかし、
その頃には遅かった。そこにはグリーンデビルが両腕に装備したマグネーザーで体を串刺しにされているセイスモサウルスの姿があるだけだった…。
「うぉぉぉぉぉ!!!!」
そして…グリーンデビルに気を取られていたハートスのエナジーライガーも、ライガーゼロの
バスタークローでその脚部を破壊されてしまった。エナジーはそのまま地面に叩きつけられた。
「こ…コイツら本当に…バケモンだ…。む…息子よ…すまん…。」
ハートスの意識はここで途絶えた。
「こちらマオ=スタンティレル少尉!!セイスモサウルス部隊3つ目撃破!!というワケで、次のターゲットの場所の転送をお願いします!!」
序章2:共和国首都奪還作戦前夜
時はさかのぼること数日前の事であった。
キマイラ要塞、そしてマウントアーサ要塞を落とした共和国軍のが次に選んだのは帝国軍の侵攻に
よって制圧された旧共和国首都。直ぐさま共和国軍本隊は旧共和国首都へ進軍。そして各方面からも
共和国軍の各部隊が集結しつつあった。
共和国軍移動要塞ジャイアントトータスも例外ではなく、本隊と合流するために首都へと移動していた。
ジャイアントトータス内部では、様々な人間が様々な事を行っていた。訓練をする者、ゾイドの
整備をする者、雑談をしている者、食事をしている者などなど、多種多様な人間がいたのだが、誰もが…
「決戦は近い」
と、そう直感していた。と、そんな時だった。
『アー、アー、ただ今マイクのテスト中。本日は晴天なり…。え?今曇ってるって?お前は黙ってろ!!』
突然艦内においてそんな放送が響き渡った。その声の主はジャイアントトータス艦長にして、
ジャイアントトータス隊の隊長でもあるミオ=スタンティレル大佐。若干18歳の若さで大佐にまで
なった超天才少女である。頭脳、体力、などなど全てに置いて天才の名をほしいままにし、さらには
人望も厚いという絵に描いたような天才である。あえて欠点をあげるとするなら、彼女の作る料理はゲロマズイという点であろうか…。
『諸君らも分かっている通り、これより我々は本隊と合流し、共和国首都奪還作戦に参加することになる。』
その直後、艦内の誰もがその表情を緊張させた。
『この戦いが共和国軍全軍の命運を決めると言っていい。諸君らには頑張ってもらいたい。』
「おうよ!!!」
「任せて置いて下さい!!!」
誰もが思わずそう叫ぶ。
『決戦に望む前に、この私から諸君らに言っておきたい大切な話がある。』
ミオのその言葉に誰もが思わず黙り込み、そして思わずゴクリとツバを飲んだ。
『おやつは1人300ガネーまでだ。』
ずげげげげげげげ!!!
艦内の誰もがすっ転び、艦内に人間の転ぶ音が響き渡った。ちなみにガネーとは中央大陸の通貨である。
『あと、バナナはおやつには入らないからそのつもりで…。』
ずげげげげげげげ!!!
何とか起きあがろうとした皆がさらにその言葉で再びすっ転んだ。
『とりあえず話はこれで終わるけど、ゴジュラスギガ、ライガーゼロ、凱龍輝パイロットの諸君は今すぐに格納庫に集合すること。いい?』
と、放送はそこで終わり、直ぐさまにゴジュラスギガ、ライガーゼロ、凱龍輝の各パイロット達は格納庫へと集合した。
「みんな遅いぞー。」
皆が格納庫に到着すると誰よりも早くミオ自身がそこに立っていた。そして、彼女の後ろには大きな布で隠されたこれまた大きな何かが3つ存在した。
「所で大佐、一体何の用でありますか?」
パイロットの1人がそうミオに問いかける。
「それに付いてはこれからやるのだよ。まあこれを見て欲しい。まずはゴジュラスギガパイロット向けの一品!!」
ミオがそう言うと、手に持った何かのリモコンのボタンを押した。すると格納庫内に接地された、
ゾイドなどのパーツ運搬用の巨大アームが布で隠された3つのウチ、1つの布を掴み、そのまま布をはがしたのだった。
「こ…これは!!!」
目の前にあったのは何でもないただのバスターキャノンであった。
「た…ただのバスターキャノンじゃないですか…。」
呆れた顔でミオにそう言うのは、ゴジュラスギガパイロットの1人である、マオ=スタンティレル
少尉(18)であった。ちなみに彼女はミオの双子の妹である。ミオとは一卵性の関係なのだが、
顔や外見以外は全くと言っていいほどミオと全然似ていない。学力もそういい方ではないし、
運動能力についても以下略。ミオに優っている点と言えば料理が滅茶苦茶美味いという点であろうか。
才能と言う物が無い分をマオは努力で補い、人の倍の努力をしてきた…らしい…。その結果、
帝国軍から緑の悪魔の異名で呼ばれて恐れられる程のエースパイロットになっているのであるが、
ミオいわく、「まだまだザコパイロット」らしい。それだけミオの実力はけた外れという事なのだが…。
「ハッハッハッ!!だからお前はザコパイロットなんだよ!!」
ミオが笑いながらそう言った。
「コイツはな!!プロトマグネイズバスターユニット!!略してPMBユニットだ!!これ一本で、
マグネーザーとビームバスターキャノン、両方の運用が出来るマグネイズキャノンの試作品だ!!」
「え?確かに砲身部分とかマグネーザーっぽく見えますけど、どう見てもただのバスターイーグルが
背負ってるバスターキャノンに少し手を加えた程度の物にしか見えないんですが…。」
「だからお前はザコパイロットだっつの!!確かに外見はバスターイーグルのヤツを改良した程度の
物にしか見えないかも知れない…。しかし!!素材が違う!!中身が違う!!構造が違う!!何もかもが違う!!」
そう言うとミオはPMBユニットを軽くポンと叩いた。
「これその物を構成している素材1つにしても、形状記憶超合金を使用し、超重装甲の相手も
貫き通せる程の破格の強度を持たせながら、形状記憶能力も持っているから、へこんだり、
曲がったりしても直ぐに元に戻るという柔軟性の高さも持ち合わせている。」
と、ミオがそう言うと今度はPMBユニットの先端部分に移動した。その先端部分には、大砲の砲口のような一本の穴が空いていた。
「先ほど述べた通りこのPMBユニットはマグネーザーとしてだけでなく、ビームキャノンとしても
運用可能だ。しかし、ただのビームキャノンではない!!超ハンデンシティビームバスターキャノンである!!」
かつて、ブレードライガーアタックブースター装備型が装備していたハンデンシティビームキャノン
という武器が存在した。これは、別名高密度ビームと呼ばれ、その名の通り、エネルギー密度の高い
ビームを発射することにより、ディバイソンの17連突撃砲の直撃にも耐えるジェノブレイカーの
フリーラウンドシールドにも大きなダメージを与えるほどの攻撃力を持つ共和国製ビーム兵器の
中でも最強の力を持つ武器である。そして、目の前にあるソレは、「超」と「バスター」という
単語が追加されている代物である。その威力は想像を絶する物だと誰もが容易に想像できた。
「そして、次にコイツ!!!今度はライガーゼロパイロット向けの一品!!」
ミオはそう叫びつつ、手に持つリモコンの2つ目のボタンを押した。またもやアームが動き、
もう一つの布をはがした。そこには一体の白き飛行ゾイドの姿があった。
「新型飛行ゾイド…でありますか?しかし…その背中に有る物は…。」
1人のライガーゼロパイロットがその新型飛行ゾイドの背中に装備された武装を指さしてそう呟いた。
確かに、その飛行ゾイドの背中には、帝国軍のBFに装備されているバスタークローに酷似した武装が装備されていた。
「ああ、アレはそのまんまバスタークローだ。BFのバスタークローを参考に、ゾイテック社が
さらに強力な物を作ったんだ。もちろんEシールドなどの展開も可能だ。」
「あの…このゾイドと我々とでどんな関係があるのでありますか?」
ミオがバスタークローの説明をした後、すぐさまに1人のゼロパイロットがそう問いかけた。
「コイツは、ジェットファルコンと言ってな。飛行ゾイドとしても超一級品の性能を持つが、
何よりその本分はライガーゼロのアーマーとして合体する事を前提としたブロックスゾイドだ。」
「と…言うと…フェニックスの様にコイツがゼロと合体するのでありますか?」
「ご名答。その名はライガーゼロファルコン。理論上の性能は帝国軍の新型ライガーにも負けないと思う。」
「思うって何ですか…。伺わしさ100%ですね。」
ガン!!
突然口を挟んだマオがミオの鉄拳制裁をくらった。重金属の塊がもの凄い勢いで激突するかのような
もの凄い音が響き渡った。そして格納庫の床に倒れ込んだマオの姿があった。
「少尉!!大丈夫ですか!!?」
マオの部下であり、ライガーゼロパイロットであるライン=バイス軍曹(20)がマオに駆け寄った。
そんな二人を無視して、ミオは話を続けた。
「そして次!!今度は凱龍輝パイロット向けの一品!!」
ミオはそう言って最後のボタンを押す。そしてアームが再び動き、3つ目の品を覆った布を
はがしていく。そして、その様子を凱龍輝パイロット達は緊張の面もちで見守っていた。
「捕獲したシュトゥルムフューラーからパクッたアクティブシールドとエクスブレイカーだ。以上!!」
「早!!!!」
一言であっという間に片づけられた凱龍輝パイロット達は思わずそう叫んだ。
「どうして俺達の分だけこうセコイんですかー!!?扱いが酷すぎます!!」
凱龍輝パイロット達は愚痴を零すが、ミオはそれを完全に無視し、話を続けた。
「と、こんな感じでゴジュラスギガ、ライガーゼロ、凱龍輝にそれぞれ強化パーツが用意されている
ワケなのだが、実はこれはそれぞれ1機分しかないのだ。と言うわけで、各パイロット達でジャンケンをして、誰の分に装備するかを決めて欲しい。」
「ジャンケン…?」
思わず誰もがそう呟いた。
「ジャ―――――ンケ――――――ン!!」
格納庫中に、屈強な猛者共がジャンケンする声が響き渡った。もちろんその中には復活したマオの姿もあった。
「いやったぁぁぁぁぁ!!!新型兵器ゲット――――――!!!!」
結局、ジャンケンでPMBユニットはマオの手に、そしてジェットファルコンはラインの手へ、そしてアクティブシールド+エクスブレイカーは凱龍輝パイロットにして、マオの部下でもある、
サリーナ=カラオス軍曹(19)であった。そして、早速その3人のゾイドにパーツの取り付け作業が行われていた。
「いいな〜、いいな〜、いいな〜…。」
マオ、ライン、サリーナ以外の他のギガ、ゼロ、凱龍輝パイロット達は指をくわえつつ、
うらやましそうにそんな事を言っていた。そんな時、ミオが口を開いた。
「と、言うわけでだ。新型兵器を装備してパワーアップした3人には、景気づけに特別任務を与えようと思う。」
「な…なんだって―――――――――!!?」
「コラコラ!!M○Rみたいなリアクションのしかたすんな!!しかも顔なんか某恐怖漫画家の描く絵みたいになってるし!!」
驚きおののく3人にミオが思わずそう叫ぶのであった。
「あ〜あ〜、やんなっちゃうわ〜…。姉ちゃんに殴られた頭まだ痛いし…。」
PMBユニットのマニュアルに目を通しながら、マオはそう呟くのであった。
「少尉はまだいい方ですよ。俺はアーマー丸ごと換装ですからね〜、マニュアルの厚さもホラ!」
マオの隣でジェットファルコンのマニュアルを読んでいたラインがマオにそう言った。確かに、
ラインの持っていたマニュアルはマオの持っているマニュアルの倍の厚みがあった。
「は〜…新型兵器をもらったのはいいけど…それでたった3人だけで特別任務…嬉しいんだか悲しいんだか…。」
「ハ〜…。」
二人はそうため息を付いた。と、そんな時だった。突然マオの前に再びミオが現れたのだ。
「妹よ。お前に聞きたいことがあるんだが…。」
「お姉ちゃ…じゃなかった大佐!!な…何でありますか!!!?」
「お前のギガ。本当に大砲4つも背負って戦ってるのかよ…。」
ミオはマオの愛機であるゴジュラスギガ「カンウ」を指さしてそう言った。彼女の言うとおり、
カンウの背中には4門ものバスターキャノンが装備されていた。
「ハイ、見たとおり4門背負っています。一見重そうですけど、実際使ってみると結構しっくりくる物ですよ。それが何か悪い事でもあるのですか?」
「いや、別に悪いというワケじゃないんだがな…。この間、お前のギガを見たお偉いさんが呆れていたぞ。大艦巨砲主義の精神が形になったような物だって…。」
「それは聞き捨てなりませんね…。」
マオは真剣な顔で立ち上がった。
「気にするな。前線の事を分かってない人間の言葉だ。」
「そ…そうですね…。」
マオは一息ついて再び座り込んだ。そして、用は済んだのか、ミオはすぐ様にその場を立ち去った。
その光が収まったとき空に居たディオスとブレックスは機体が受けたダメージを必死に確認しようとしていた。
「そんな…あの光量でこのダメージ!?信じられない。」ディオスのキメラドラゴン”ソードマスター”は重要機関のへのダメージこそ無いが装甲や武装の一部が融解、その端は蒸発していた。
システムの半分近くがダウンしたツインリヴァイアサンはもっと深刻で飛行システムの不調で地面に叩き付けられていた。
「くう…状況を報告しろ!飛行制御の方は良い。それ以外を確認急げ!」何とか腹を地面に付けて着地できた事が不幸中の幸いだったがもし頭部を下に墜落していたら内部のゾイドや弾薬が爆発し誰も生きては居なかっただろう…。
計測された威力は光量に対してエネルギーと熱量が非常に低いのにも関わらず機体周辺で突然発熱している事がデータにより確認された事が非常に悪い事になる。
ツインリヴァイアサンの艦内は一回の攻撃で墜落した事がきっかけで押えられていた恐怖心が煽られ艦内整備スペースや機関室等の外の状況が把握しにくい場所でパニックが起こっていた。
「おいっ!何処に行くんだ!?」と呼びかけるクルーに「逃げるんだよ!ここに居たらあいつに踏み潰されるぞ!」そう答えるもう一人のクルー。
そこに兵士が止めに駆け込む。「馬鹿を言うなっ!!!さっきの攻撃を見たろ!あれをもう一度撃たれたら消し炭になってしまうぞ!」「そんな…じゃあ俺達は踏み潰されるか炭になるか何方かしか無いのかよ…。」
パニックはブレックスの予想を裏切り素早く収拾されたがその後には言い様の無い絶望が漂い始めていた。「諦めるな!まだ戦力全てが失われた訳ではない!救援も来るだろ…大丈夫だ。」
止めに駆け込んだ兵士はそう言って何とかこの場を切り抜けることに成功した。
「ブレックス少将!ベルフ=スクラワル少佐より入電です。ワレイマツイタとの事です!」通信兵からの連絡を受けたブレックスはため込んだ息を吐く。
「奴等が来たか…それなら何とかなるやもしれんな。よし!アービンにも早く補給を終わらせて援軍を回せと通信を入れろ。」そう言うとゆっくりと目を閉じ思う。
「さあて…如何なることやら…?」あまり期待は出来無い。そう言う事はいやと言うほど解っている筈だった…。
そして、再びマオがマニュアルを読み直そうとした、そんな時だった。
「マオさ〜ん。」
「ハア!!?今度は誰よ…………ってキャ――――――――――――――――――――!!!」
「ギャ――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」
突然のマオの悲鳴をあげ、隣にいたラインに抱きついた。そして、超人的とも言える力を持つマオに
抱きつかれたラインは、体を思い切り締め付けられ、ボキボキという骨のきしむ音と共に絶叫を
あげた。二人の声がそのまま格納庫中に響き渡った。
「でででででで…出た―――――――――!!!」
「落ち着いて下さい!!何でそんなに驚いているんですか!!?」
ラインに抱きついたまま大声で泣くマオと、既に気絶したライン。そして、大慌てな謎の人物。
その謎の人物の名はミルト=キルティーヌ少尉(19)かつてゴルヘックスに乗り、マオ達と共に
修羅場を駆けめぐった電子戦ゾイドパイロットである。体力に関しては軍人失格レベルであるが、
頭の回転はそれを補ってあまりあるほどである。さらには、部下相手に対しても敬語を使ってしまう程の礼儀正しさも持っている。
「ご…ゴメンナサイ…私としたことが…つい取り乱しちゃったわ…。」
「お…俺なんか三途の川と死んだお袋の姿が見えたんですけど…。」
どうにか落ち着きを取り戻したマオとラインはそのような事を言っていた。
「は〜…何で私の顔を見る成り突然取り乱したんですか?何か変な物でも付いてるんですか?」
ミルトは鏡で自分の顔を見ながらそう愚痴をこぼしていた。
「いや〜ゴメンナサイゴメンナサイ…。最近めっきり姿を見せなかったからてっきり死んじゃったのかと思ってたのよ〜…。」
「スンマセン…俺も死んだと思ってました…。」
「……………。」
マオとラインの言葉にミルトは声も出なかった。
「いや、でも現に死亡説とか流れてたんだよ。別に冗談言ってるワケじゃないよ、本当の話。」
「そんな!!私生きてますよ〜…。」
「でも、タマにいるんだよね〜…。自分が既に死んでることに気付かずに現世を漂っているって霊が…。」
「うわぁぁぁぁぁぁん!!!マオさん酷いですぅぅぅぅぅ!!!」
「わぁぁぁ!!!ゴメンナサイゴメンナサイ!!私が悪かったぁぁ!!だから泣くのはやめて!!」
突然泣き出したミルトに対し、マオは必死に謝った。
「少尉の言う通りです!!泣くのはやめて下さいよ!!泣くのは少尉の専売特…フゴ!!」
「お前は一言多いんだよ!!」
マオに続いてラインもミルトに対し、言うが、最後の一言が余計だったため、マオの鉄拳制裁をくらうのであった。
「ったくおたくら相変わらず仲いいですね〜バカップルさん。」
「バカップル言うな!!」
「そこで反応するのがバカップルの証拠なんですよ。」
ミルトの背後から突然現れた1人の男がマオとラインの二人をそう茶化した。
この男はアイザック=バウロン軍曹(25)筋肉モリモリのゴツイ体格と右目の黒い眼帯が特徴。
その外見から、重格闘戦仕様のゾイドに乗ってそうなイメージを人に与えるが、実は射撃が得意な
男である。ちなみにミルトの部下でもある。
「あらあら誰かと思えばアイザックじゃないの。アンタも生きてたの…。」
そんな事を軽々しく言うマオもマオだった。
「あ!あの〜…。」
また誰かがやって来た。と、その姿は別に懐かしい顔というワケではなく、普通にサリーナであった。
「誰です?この方…。」
ミルトはサリーナの顔を見て思わずそう言葉を漏らした。
「ああ、ミルトちゃんとアイザックが死亡説流れる程にまで長い間行方をくらましていた時に、
私の部下に志願してきたサリーナ=カラオス軍曹よ。ちなみに凱龍輝に乗ってる。一見頼りないけど、結構ヤルときゃヤルよ。」
「マオ少尉にそう言っていただければ光栄です…。」
ミルトはマオを感激のまなざしで見つめつつそう言った。
「私はミルト=キルティーヌ少尉。そして後ろにいるのがアイザック=バウロン軍曹。」
「よ…よろしくお願いします!」
自己紹介するミルトにサリーナは緊張しながらおじぎをした。
「それにしても…うらやましいです。」
「え?何がですか…?」
突然のサリーナの言葉にミルトは顔を傾けた。そしてサリーナは言う。
「ミルト少尉とアイザックさんの二人も、やっぱりマオ少尉とライン先輩みたいな関係なんですよね?」
「まあ…確かに私とラインみたいに…上官と部下の関係にあるワケでもあるわな。」
マオは腕組みした状態でそう呟く。
「あ――――――――!!私もみんなみたいに素敵な人欲しいな―――――――!!!!」
ずげげげげげ!!!
サリーナのいかにもわざとらしい言葉に彼女を除く4人はすっ転んだ。
「関係ってそっちの意味かい!!私たちはそんな関係じゃないぃぃぃぃ!!!」
四人の中で一番先に起きあがったマオはサリーナに対してそう叫んだ。
「ええ!!?違うんですか!!?だっていつも夫婦漫才みたいな事やってるじゃないですか!!
この前の戦闘の時だって、戦う夫婦漫才コンビってみんなから好評でしたよ!!」
「わ…私らって…周りからそう言う風に見られてるんだ…。」
マオは顔を真っ赤にさせながらシュンと縮まった。と、そんな時、アイザックがサリーナの肩に軽くポンと手を置いた。
「俺とミルト少尉の関係…本当にそう見えるのかい?サリーナとか言ったな。君は良いヤツだ…。」
アイザックは大雑把そうな外見からは想像も付かないほど真っ白な歯をキラリと輝かせながら、
笑顔でそう言った。その後ろではミルトが困った顔をしながら笑顔を振りまいていた。
ハッキリ言って、アイザックはミルトにベタ惚れしている。そして、その事を誇りに思っている。
ミルト自身も困った顔をしてはいるが、別にまんざらでも無いらしい。
「まあいいや…所でお二人さん…アンタらが行方不明になっていた原因って何よ。」
半ば開き直り、少し復活したマオがそうミルトとアイザックに質問した。まずミルトが答える。
「その原因はアレです。」
そう言ってミルトはある方向を指さす。彼女の指さした先には一体のゾイドの姿があった。
「ディメトロプテラ…?」
ディメトロプテラ。低コストかつ高出力という矛盾した性能を持つ新型ブロックスコア「TB8」を
使用した新型中型ブロックス。さらには、ディメトロドン型とプテラノドン型という二つの形態に
チェンジ可能というデュアルバトルゾイドでもある。そして、そのディメトロドン形態にはゴルドス、
ゴルヘックスなどで培われた電子戦技術が、プテラノドン形態にはプテラスやサラマンダーなどで
培った飛行ゾイドの技術がそれぞれフィールドバックされ、低コストかつ高性能という矛盾した力を
持ったゾイドとして、現在において広く配備されつつある機体である。
「あんた今ディメトロプテラに乗ってんだ〜…で、それが何の関係があるの?」
「マオさん鈍すぎますよ〜!!ディメトロプテラですよ!!ディメトロプテラ!!実は、私、
ディメトロプテラに乗るために飛行ゾイド操縦の訓練を受けていたんです!!」
「そんな事わざわざ言わなくたってわかるわよ。私だってディメトロプテラが空飛べる事くらい知ってる!」
「うわぁぁぁぁん!!マオさんが私のことおちょくるよぉぉぉぉぉ!!!」
再びミルトは泣き出してしまった。
「わぁぁぁ!!泣くのはやめて下さい!!泣くのは少尉の専売特…ガフグォ!!!」
「ライン…アンタはまた一言多い…。」
また一言多いことを言ったラインはマオに殴られるのであった。
「まあいいや…所でアイザック。アンタも何か言いたげな顔してるんだけど、どうしてもと言うなら聞いてあげてもいいわよ。」
「別に良いですよ。俺は普通に別の所で戦ってただけですから…。」
「じゃあ、アイザックさんは今何に乗ってるっすか?」
今度はラインがアイザックに質問をした。と、アイザックもある方向を指さした。
そこには。ディスペロウをベースとしながらも、肩幅を広げたりと全体的に大型化させながら、
さらにバスターキャノンを4門も装備させたりと重砲撃型と仕上げたゾイドがあった。
「今の俺の愛機「キャリング」はアイツだ…。」
「かつてガンブラスターに乗ってたアンタにしては凄い退化ぶりね〜…。」
アイザックの言葉にマオがそう茶化した。確かに、かつて彼が乗っていたガンブラスターに比べれば
バスターキャノンを4門装備させていても力不足なのかも知れない。
ちなみに、キャリングとはアイザックが愛機に常に付けている名である。あと、話すタイミングを
逃してしまったが、ミルトも愛機に常に「ミルーン」と名前を付けている。
「だが、俺はコイツでトップスピードのシュトゥルムフューラーを落としたことありますよ…。」
「マジかよ…。」
アイザックの言葉にラインは思わずそう呟いた。
それから一時後、ミルトとアイザック、そしてサリーナが一時別の場所へと移動し、そこにはマオとラインの二人が残されていた。
「よし!!!後は実際に乗って動かしてみる!!!」
ラインはそう叫びながら立ち上がり、ジェットファルコンを装着し、ゼロファルコンとなった、
自らの愛機であるライガーゼロ「ジェネラル」へと歩を進めた。
「ライン!ちょっと待った!!今ジャイアントトータスは移動中だから今外に出たら取り残されちゃうよ!!」
「そ…そうだった…、じゃあ俺は一体どうすれば…。」
ラインはその場に立ち止まり、天井を眺めながら途方に暮れていた。
「フフフ、お困りのご様子ね。」
その声と共に、ジェネラルの右前足の裏にスーツ姿の1人の女性が立っていた。見た感じ、年齢は
23〜25歳くらい。若きキャリアウーマンという感じの女性であった。
「貴方は…?」
呆気にとられた感じでラインがそう問いかける。
「私はゾイテック社から派遣されてきた…。」
「ティルさん!!!」
女性がそう自己紹介しようとしていた時に、突然そう叫んだのはマオであった。
「そ…その声は…あぁぁぁぁぁ!!!いつぞやの拳法少女!!!」
「うっわぁぁぁぁぁ!!久しぶりぃぃぃ!!!!」
そして、マオと、マオがティルと呼んだその女性は互いに近づいた。
「え?え?二人とも…お知り合いで…?」
ラインはオロオロと首を左右に振りながらそう言った。
「は!!と…とりあえず、私はゾイテック社から派遣されてきた、ティル=ランゲージと申します。
ジェットファルコンを与えられたのは貴方ですよね?」
「は…ハイ…ライン=バイス軍曹です…。」
ティルの自己紹介に、ラインはそう答えた。
ゾイテック社。それは共和国軍に協力し、ブロックス開発、提供している東方大陸の企業である。
共和国軍が使用しているブロックス系ゾイドはもとより、凱龍輝やライガーゼロフェニックスなど、
B−CASを使用したゾイドは彼らの技術がなければ、今この世に存在しなかったであろう。
そしてティルはさらに言った。
「私が派遣されてきた理由はジェットファルコン、そしてそれを装着したライガーゼロファルコンの
パイロットの世話、またその実戦での戦闘データを計測して社に持ち帰ることです…。では、ラインさん、どうぞよろしく…。」
「よ…よろしくお願いします…。」
そう言って二人は握手をする。ティルと握手をするラインの顔が若干赤くなっていた。かつて、
最強の暴走族と、アウトロー連中から恐れられたラインもゾイテックのキャリアウーマンには
形無しであった。しかし、それを見ていたマオはあまりいい気のしない顔をしていた。
「ところで、ティルさんと少尉は一体どういう関係で?」
「あら!マオちゃんって今共和国軍少尉なの?」
ラインの言葉にティルは少し驚いた顔をしていた。
「ま…まあ…私とティルさんはお互い世話になった関係と言えば良いかな?」
「そうそう。この私が暴漢に襲われた時なんか、マオちゃんに助けられたりしましたし…。あ!!そうそう!!」
ティルはそう言うと、スーツの中から一枚のディスクを取りだした。
「それは…?」
「これはジェットファルコン、そしてライガーゼロファルコン用の操縦シミュレーターソフトよ。
これを使えば、とりあえず基本的な操縦くらいはある程度マスター出来るはずよ。」
「あ!!ありがとうございます!!それでは早速使わせてもらいます!!」
ディスクを受け取ったラインは早速ジェネラルに乗り込むのだった。
「良い子じゃない…。貴女の彼氏。」
「そんなんじゃないって!!」
マオは赤くなりながらそう叫ぶのであった。
>>閻魔の策動作者氏 …ファルコンとか来ましたか。
長い話と言うので期待しとります。
もう400KB越えてる…次スレはどの辺で立てますか?
序章3:共和国首都奪還作戦発動
ついにジャイアントトータスは共和国軍本隊と合流した。ついに決戦の時である。ジャイアントトータスに乗る全ての人間はそう緊張していた。
「これより、お前達3人への特別任務の内容を教える。」
ジャイアントトータスの出入り口近くの格納庫にそろって並ぶカンウ、ジェネラル、そしてサリーナの凱龍輝「ガイガイガー」の前に整列しているマオ、ライン、サリーナの3人に、その3人の前に立ったミオが、特別任務の説明を行っていた。
「お前達3人は本隊とは別行動を取ってもらう。その別行動の内容は、恐らく首都周辺の山岳部に
待機し、首都に近づこうとする我々を砲撃するであろうセイスモサウルス部隊を各個撃破する事だ。
こういう作戦の場合は下手に大部隊を送り込むより少数精鋭の方が向いているからな。」
「しかし…それでも接近する前に砲撃にさらされそうなんですが…。」
「ハッハッハッ!!言うと思った!安心しろ!!その辺はディメトロプテラ隊がお前達を守ってくれる。」
「ディメトロプテラ隊が…?」
ミオの言葉に3人の声がハモった。そして、ミオは言った。
「そもそもセイスモサウルスがこちらの索敵範囲外から精密に攻撃できるのは、現地や、途中の
中継場所などに電子戦ゾイドを多数配置して、その現地の電子戦ゾイドが測定した砲撃地点を
他の電子戦ゾイドを中継して遠く離れたセイスモに送信されるからこそなんだ。じゃあ、その送信を妨害すればどうなると思う…?」
「で…出来るんですか…?そんな事が…。」
「出来る!!ディメトロプテラのジャミング能力を甘く見るなよ…。」
ミオの熱弁に他の3人は思い切り圧倒されていた。そして、マオは恐る恐る言う。
「と…とりあえず…そのディメトロプテラがジャミングでセイスモの長距離砲撃を封じることが
出来るとして、我々はどうやってそのセイスモ部隊の場所を特定すれば良いんでしょうか…。
それだけ強力なジャミングなら我々のレーダーも使い物にならなくなるのでは?」
マオがそう言ったとき、ミオは再び笑った。
「バーカ、そんな時にお前のワケのわからん能力が役に立つんだろうが。」
「え?」
「いつも殺気を感じたからとか言いながらゼネバス砲回避しまくってるだろうが!!それを応用してセイスモ部隊を探せばいい!!」
「そ…そんな…私は魔法使いじゃないんですよ…。そんな都合良く行きませんよ!!」
ミオの気楽な言葉にマオはもの凄く戸惑った。確かにマオは殺気を感じたからなどと言う理由で
超遠距離からのゼネバス砲を回避出来るが、そもそもそれは敵が攻撃する際に発する殺気を
あらかじめ感じ取って、それを元に回避行動を行うという物なのである。相手が何もしない場合は
当然殺気も感じられないのであるから、何もして無い相手の位置特定というのは難しいのである。
「そ…そうなのか〜…。まあいい。安心しろ。その辺もディメトロプテラ隊になんとかさせよう。」
ミオは頭を左に傾け、腕組みした状態でそう言った。
そんなこんなで、マオ達3人に出撃の時が来たのであった。
「お互い頑張りましょうね。」
ミルトがカンウに乗り込む前のマオの所にやってきてそう言う。
「ハハ…次に合う時はあの世かもね…。」
マオは元気無さそうな声でそう言った。無茶すぎる作戦だと流石の彼女も考えているのだ。
「しっかりと生き残って下さいね。ジェットファルコンのデータ…よろしく頼みますよ…。」
「ハ…ハイ…。」
マオがジェネラルの方を見ると、ラインとティルがそんな会話をしていた。マオはますますいい気がしなくなった。
「ライン!!さっさと行くわよ!!」
「少尉!!す…すんません!!!」
ラインは焦りながら大急ぎでジェネラルに乗り込んだ。
「マオちゃん…やけにキリキリしてるわね〜。あんな事で大丈夫?」
出撃していくマオらの姿を見ながら、ティルはそのような事を言っていた。
「よ〜し!!お前ら遺書書いてきたかぁぁぁぁ!!!?」
「ええ!!?」
マオの言葉に二人は思わず叫んだ。
「それでは、セイスモ部隊の索敵など、情報処理は私がやらせてもらいます。」
そう、カンウのコックピットに通信を送ってきたのはミルトであった。
「とりあえず、現地の地形を標した地図と、敵部隊の配置位置を教えておきますね。」
ミルトがそう言うと、モニターに近辺の地図が表示される。
「とりあえず、この地図に表示されたこの赤い点が敵部隊です。」
「うっわ〜!いっぱいいるわね〜…。こんなに敵が沢山いて気付かれないかしら…。」
ミルトの説明にマオはそう呟いた。
「それなら大丈夫だと思いますよ。現に敵の砲撃は行われていませんから。私たちのジャミングが効いている証拠です。」
「た…確かに…。」
ミルトの言うとおり、ゼネバス砲の砲撃やその予兆すらも無かった。殺気も感じない。やはり敵がこちらの位置を特定出来ていない証明であった。
「とにかく、頑張って下さいね。それでは…。」
と、ミルトからの通信はそれまでであった。
「こんな無茶な作戦が成功するわけがない…。けど…やるところまでとことんやってみるわよ!!」
やる気が無いのか有るのか分からない事を言いながら、マオはカンウの歩を進めた。そしてジェネラルとガイガイガーがその後を追うのであった。
「うんうん!結構いけるじゃない!」
「出撃前はあんなに弱気だったのに…。」
そんなこんなでかれこれ、マオ達は既にセイスモ部隊を3つも潰していた。ディメトロプテラの
ジャミングが効いているおかげで楽に接近でき、また装備した新兵器の性能も高く、割と楽に攻略出来たのであった。
「ほんじゃまー!!次行くわよ次――――!!」
マオはそう言い、破壊された帝国軍ゾイドの残骸の山を後にして意気揚々と次の目的地へと向かった。
>Ziの焔書いてた物体さん
ちなみに
>>294を書いた時点では416KBまで来ています。
確か450〜460KBあたりで次スレというルールになってるはずですから、
本当にそろそろ次スレの準備しておいた方がいい気がしますね。
…では、倉庫管理人さんの為にも続編は次スレからにしようかと(チョと苦しいが)
ところで最近保管庫の作品の大多数が読めなくなってましたが…サーバーが逝ってしまったのでしょうか…
>296
ほんとだ、読めないの多いですね
いっそのこともう次スレ立てますか?
そうすると、現行の話を書いてる人達が困らない?
かつて、中央大陸を舞台にヘリック共和国とネオゼネバス帝国の戦争が繰り広げられていた。
そこで、互いの命を賭け、プライドを賭け、信念を賭けて戦う二人の男がいた。
一人はレオマスターと呼ばれた共和国軍中尉「レイ=グレック」
そして、もう1人はネオゼネバス帝国皇帝「ヴォルフ=ムーロア」
並はずれた運動神経と操縦技術を持つ二人は、数々の名勝負を繰り広げた。
「つ…ついに決着が付くことなくこの年になってしまったぁぁぁ!!」
レイはすっかり老人となっていた。今や孫はおろか曾孫までいる。そして、ヴォルフとの戦いも、
一勝一敗と、後数は本人も忘れてしまったが全て引き分けという状態であり、勝敗はの決着は付いていなかった。
「いや、恐らくあやつも歳を取ったはずじゃ!今度こそ決着を付けるんじゃ!」
「あらお爺ちゃん!何処に行くの?」
「ちょっと大切な用があってな。行ってくる。」
レイは直ぐさまヴォルフが隠居生活を送っているという屋敷を訪れた。
「たのも―――――――――!!」
「ハイハイ…何方ですか?」
そして、その玄関から、同じくすっかり老人となったヴォルフが出てきたのであった。
「ヴォルフ=ムーロア!!今こそ決着を付ける時じゃあ!!」
「王手じゃあ!」
「待った!!」
「待ったは無しじゃあ!!」
「じゃあ次はゲートボールで勝負じゃあ!!」
仲良くなっていた……
本当なら自分の作品の続き書くつもりだったのですが、もうすぐ次スレなので、
さらに話がキリの良いところまで来ていたので、スレを埋める事も兼ねて
その場で考えた短編を代わりに書きました。
第4小隊フォースフォートレスの実働戦力を率いるベルフ=スクラワル少佐。
横穴を埋めた後をまた掘り返しわざわざ誘い出した敵をあらかた片付ける。
と丁度ディープフィアーとの戦闘でツインリヴァイアサン沈むのを目の当たりにし風を捲いて戦闘空域に合流した所だった。
「何てこったい!僕のお家が沈んでるじゃないか!?よし!野郎共!僕に続け!あのデカ物を蜂の巣にしてやれ!」そう言うと愛機の指令室で機体の旋回砲塔部分を操作している部下に声を掛ける。
「取り敢えず撃て。状況が解らない以上は無駄を押えて最低限の出方を見るに限る。」「了解しました。威力偵察とは行きませんが砲撃を開始します。」その言葉と共に砲撃がされる。
彼の愛機の名はトライフォートレス。デスザウラーの胴体を中核とし四肢と3つの頭部をキメラで構成、その装甲にまたデスザウラーの物を流用した廃品流用のハイブリットキメラブロックスの機体だ。
ちなみにこの部隊の実働機体は全てトライフォートレスの装備違いで構成されている為小隊に名前を付ける際にフォートレスの名が与えられたと噂されている。その砲撃は狙いを違わずディープフィアーに吸い込まれ爆発する。
「どうも決定打にはならないようです。」部下の報告を聞き「距離が開いているからか?それとも?だがまあ良い。このまま接近してトライホーンを決めるぞ。僕の設計思想に抜かりは無い!」
デスザウラーのコアとキメラブロックスのコア複数の出力ならどうにかなるだろうとベルフは思う。しかしそれは攻撃力のみの話である事は彼も充分理解している。
距離は次第に詰まって来ている。見た目は太い4本の足だがサイズの関係でその速度は150km/hに達するその突撃力は充分な武器になるだろう…しかし不安材料は多々有る。
第一に相手がトライホーンを迎え撃つかどうか?第二に空中に逃げられた場合打ち上げる形になる砲撃は相手の巨体には威力を期待出来ない事。
第三に…とここでその第三の不安材料「敵からの砲撃」がきた事で作戦は頭からやり直しになった。
威力は大した事無いのだが地盤が不安なためあまり派手な進撃は出来無い。抜かりの無い設計思想は拠点制圧や掃討戦に於いての事であり迎撃戦には余り向いていない。
相手の砲撃、その後空中に逃げられた今は不利な対空迎撃戦に既に移行していた。
たまの休日に書き込もうとしたらアク禁でした。がっかり。
ようやく原稿が出来上がったので投稿しようかと思ったんですが、
この様子だと、次スレの方がいいのでしょうか?
今回もそれなりの量なので、一気に投下すると途中でスレ移行しないといけなくなるかも。
取り敢えず、今日は次回予告だけ。
「ギルガメスの試合に乱入したゾイドの目には、
憎しみの炎が宿っていたかも知れない。
気をつけろ、ギル!そいつの徒名は『吸血ゾイド』!
次回、『魔装竜 対 一角鬣獣 対 憑鷲機』 ギルガメス、覚悟!」
皆さんどうもです。次スレは立てても良いのでは?とか思っています。
多分もう新しく書く方はいらっしゃらない可能性もあるので…?
残り30KB程は小ネタと感想等で埋めるかどうかですね?
こちらは後5つ〜6つは区切りに必要なので15KB程拝借できないかな〜とか?_| ̄|○
駄目駄目だぁ〜〜〜〜っ!!!自分!!!
な…!?
鬱だ…タイトルが被った…(最終章のタイトル「失われし者への鎮魂歌」)
ちなみに、3作目はもう設定とか完全無視(藁 で「こんな戦力動かしたら歴史が変わっちまうだろうが!?」
ってぐらいのバトル勃発しちゃいます。その辺はご勘弁(汗
>>305 >残り30KB程は小ネタと感想等で埋めるかどうかですね?
賛成です。残り30KBってのが結構微妙な数なので、ここらで一息ついてみるのもいいかも知れないですね。
>>306 自分の経験上の話しなんですが、以前ゾイドネタで同人誌を作っていた時、
組んでいた絵師に幾つか挿し絵を描いてもらったんです。
「こんな感じの絵を」っていう指定を自分はしたわけですが、一つだけ「これは困る」と言われた指定がありました。
それがブレイカーの魔装剣発動シーン。こちらは全身を弓のように反り返るイメージを伝えたんですが、
「背中の箱に首が当たってしまう」と言われてしまいました。
それ以降、自分の原稿ではブレイカーには元々この部分はなく、背中から直接翼と鶏冠が生えていることにしています。
絵師にもそういう方針でアレンジしたものを描いてもらいました。
この例に限らず、トミーが提示してくる設定なりなんなりが、絵なりお話しなりを作る時に
そのまま使うと無理が生じることが結構あるので、ある程度距離をとって「何が使えるのか、何が使えないのか」
考え取捨選択するのが前向きだと思うんですよ。
お、久しぶりの方が。
>>304の予告読んで結構楽しみですよ。
新型のあれとあれが出てくるのでしょうね。
小ネタですが一応今書いてる物に関係有る話…。
ゾイド麻雀(すいませんやってみたかったんです)
「ロン!でありますよ。ガリス中尉。」「なっなんだと!?役はなんだ!?」とある基地の夜4〜8人程の将官が麻雀をしている所だった…。
その牌は全てゾイドの絵が刻まれ数字入りの物は1〜9と右下に刻まれている。
「大竜三極であります(大三元)。」「ファイン!貴様ぁ積み込みしてなかったか!?」ファインと呼ばれた男の役は役満である。
その手元にはキングゴジュラス、デスザウラー、ギルベイダーの三牌が三枚づつ確かに有った。
「ノーノーであります。これはグレッグ少将が前の局でがめていた物でありますよ。そう言う事は集めやすくした少将閣下に言って欲しいであります。」
「そう言うなファイン中尉。それよりもディオス大尉。君は全然ゲームに参加していないぞ?自慢の頭脳を持ってしても無理かね?」と正面の女性仕官に言う。
「いえ…実は…ご免なさいファイン中尉。頭跳ねですっ!」「!?」「!?」ファインとガリスは硬直する。
「ガリス中尉。統一軍(チンイツ)、3小隊(三暗項)、レオマスター、ドラ2です。」
ドラはゴジュラスギガ、レオマスターの乗機3種が並び1,2,3を現すゴジュラス、ウルトラザウルス、マッドサンダーが1枚づつ並んでいた。
「ちょっと待て!レオマスターってなんだ!?そんな役聞いたことないぞ!」ガリスは必死に講義する。
「あらら…地域特別ルールだよガリス中尉。シールドライガーDCS−J、ブレードライガー、ライガーゼロを3枚づつ揃えると2藩、2枚だと1藩だ。」
イカサマを警戒して壁際に居る将官がガリスに説明する。「ディオス大尉貴方は共和国の牌で勝って恥ずかしくないのかっ!?」
「いえ…これはゲームですから。」ばっさりとディオスにその言葉を否定される。
「それでは次に行こう!今度こそあがってみせるぞ!」大きな声でグレッグは言う。
「24000だ。ディオス大尉。」「どうも有り難うございます。ガリス中尉今度も宜しくお願いします。」
頭を下げるディオスに「二度とお願いされたくないわっ!」ガリスは叫んだ。
夜はまだ長い…その結果がどうであったかは定かでは無いがこの様に基地の中でもこう言う輩は幾らでも居るという話である。ー終ー
補足は必要でしょうか…?
>>304 吸血ゾイド・・・。やっぱりオイルとか吸い取っちゃうんですか?
>>306 まあそう気にすることでは無いのでは?
自分も歴史には影響しないと思いますが、違う意味で凄いことになってますから。
>>309 自分は麻雀のルールとか分からないのでどういう意味を指しているのかという点だけでも補足お願いします。
閻魔の策動の作者さんかしこまりました。
牌(はい):ドンジャラ等こう言うタイプのゲームに使われる絵を描かれたもしくは彫られた直方体のブロックを指す言葉で昔は占いに使われていたらしいです。
種類は字をあしらった字牌8種と1から9までの数字の牌が3通り27種。それぞれ4枚づつ140枚で構成されています。
あがり:手元に13枚の牌を持ち14枚目で基本構成の2枚の”あたま”4つの3枚一組の3枚同じ牌か3枚順送り(9から1には行けません)を揃えた人が勝ちになります。
ロン:対戦相手の捨てた牌であがりの時に言う言葉。これで当てられた相手は上がった相手に点数を支払う義務が出来ます。
積み込み:イカサマの一つで自分に良い役が来る様に山(裏向きに高さ2枚で列を作った物)を作る事。
役:これが無いとメンゼンツモと言う役でしか上がれません。複数の重ね掛けが可能で役毎にその価値”藩”の数が違います。
藩(はん):役の価値を決める数値で1藩2藩と数が増えていく。5藩で満貫(マンガン)と言う物になりここからは貰える点数が固定になります。
6〜7藩で跳満(ハネマン)8〜9藩で倍満(バイマン)10藩で三倍満(3バイマン)12以上で数え役満(かぞえヤクマン)になります。
役満:その役一つで最高点を貰える役の事。逆に役を重ねて最高点を取る事を上記の数え役満と言います。非常に成功率が低いです。
その理由は成立がばれ易く警戒されるからです。
文章オーバーになったので分かれてしまいました。
大三元(だいさんげん):役満の一つで字牌の三元牌と言う牌を3枚づつ揃えると成立し残りの2枚、3枚の組み合わせは自由です。
頭跳ね:基本ルールの一つで2人以上の人が1人の人からロンを宣言した時にロンを宣言された人の次の順番に近い人のみ点数を貰える制度。
このルールの代わりに2人とも点数を貰えるダブロンと言うルールを使用する事もあります。
チンイツ:同じ絵の種類の数字敗のみで14枚を揃えると成立する役で5藩、条件により6藩になります。
三暗項(さんあんこう):3枚同じ物の組み合わせを3つ手元で揃えると成立し2藩になる役。暗項と言う意味は相手に見えない状態の3枚同じ物がある状態を指します。
ドラ:ゲームの1セット毎(用語で1局と呼びます)スタート時に1枚選ばれそれは”あがり”の時にその牌が有ると枚数毎に1藩ボーナスになります。
特別ルール:都道府県、職種毎にそう言ったルールが有る物で知り合い同士で楽しむためのルール。公式大会等では適用されない物です。
24000:親と子のルールでこの場合子の三倍満の得点。親は子の1,5倍の点数を支払う必要と1,5倍の点数を貰える特典が有ります。
追加補足
鳴き(鳴く):相手の捨てた牌に必要な物が有った時に宣言する事でそれを自分の物とし手元から切り離し回りに見せる事。
チー、ポンの2種類あり、チーは一人前の人から順送りの牌を貰う事。ポンは2枚同じ牌にもう一つを他の人から貰い3枚同じ物として貰う事。
メンゼンツモ:13枚全てが鳴く事無く手元に有る状態で自分の順番で手に入れた牌で上がると成立する役。
説明の為に説明を書く悪循環…申し訳ないです_| ̄|○
どうも、お疲れ様です。
>>308 >新型のあれとあれが出てくるのでしょうね。
多分、半分は予想通りだと思います。もう半分は…さて。
ちょっともどかしい気分ですね。
>>310 >やっぱりオイルとか吸い取っちゃうんですか?
…その手があったか!(情けない)
まあもっと簡単なイメージです。正直、ありがちかなネタかなとは思っていたんですが、
意外とやっている人を見ないですね…。
>>311-312 ごめんなさい・・・やっぱりわかりません・・・・゚・(ノД`)・゚・。
とりあえず他に何か書きたい人はいますか?
無いならもう次スレ作業に入ろうと思ったりしますが・・・
こっちが埋まってなくても、先に次スレ立てちゃっていいんでは?
>>315 早速実行に移したのですが・・・立てられませんでした・゚・(ノД`)・゚・
閻魔の策動の作者さんへ。
すいません_| ̄|○説明下手で…。
-------
スレ立て出来なかった方お疲れさまです。こちらでこれから立ててみます…。
感想というか要望として、もっと
既存のゾイド世界にとらわれないゾイドストーリーが読みたいなり
と炊きつけてみる。
ゾイドVSiのストーリーが、わりと冒険していて面白かったんだよね。
(惜しむらくはシチュエーションブツ切り&電波ゆんゆんだったことだけど)
次スレの魔装竜シリーズ新作。一瞬メロディライモスの襲撃かと!
久し振りの投稿(次スレ)。結構びびってます。
>>321 それ、つい先程まで知らなかったですよ。検索してみてかなりびっくり。正直、欲しいな…とか思ったり。
ライモスは本当にいいゾイド。いつかネタにしたいですね。自分はメタル持ってます。
>>320 自分のシリーズはどう捉えられているのか、結構気になります。よろしければ御意見下さい。
書いてる側としては、冒険したい一方で「これを外すとゾイドネタに見えなくなっちゃうよ」という
要素が結構あるので、その辺にいつも苦心しています。
>>322 すみませぬ同一人物です。
しかも、この間お絵描き板画像掲示板にレスをした上の方の奴です。
こういう世界はアリだと思いますよ。
物語でやろうとしてることの為の舞台設定としてはとても良いですね。
戦争中の世界で「軍規の軛から解き放たれたゾイドとパイロット」をやろうとして、
無理が出たり都合の良い展開にするよりは、よっぽど効果的です
(↑具体的な作品が念頭にある訳じゃないです、毒のある文章でスマソ)。
自分も、ゾイドバトル物はまだまだ発展の余地があると思ってます。
いつか1つ書きたいですよ。
◆.X9.4WzziA 氏の世界では共和国政府が超大国として君臨してるんですよね?
そういう国って、往々にして在野のゾイド乗りに強力なゾイドを所有される事を
嫌うのではないかと思うのですが、やっぱりゾイドバトルを取り仕切る組織と
鍔迫り合いしてたりするんでしょうかね。
ジェノブレ以外にも凄いのが色々いますし。
次スレの投稿、途中で連投エラーが出てしまった…。再起動させてどうにか二章目、投下完了。
>>323 ああ、同じ方だったんですね…。
とにかく、レスありがとうございます。
>こういう世界はアリだと思いますよ。
一定の評価は得られているようなので、ひとまず安心しました…。
ゾイドバトルものはその背景の描き方次第でがらりと雰囲気が変わると思います。
書く側の個性も出し易いのではないかと。
>ゾイドバトルを取り仕切る組織と鍔迫り合い
当然、考えられるところです。スラゼロでも出てきた「ゾイドバトル連盟」はこちらでも存在します。
只、そもそも競技用ゾイドの所有は連盟に届け出ないといけません。その時点で相当なチェックが入ります。
例えばブレイカーは「荷電粒子砲使用停止プログラム」がインストールされています
(もっともこのゾイドはインストールされたふりをしていたりしますが…)。
なので、必然的に競技の枠を越えた能力を持つゾイドの使用は「暗躍」という形になり、
そういう輩を誅する「水の軍団」なる正体不明の組織が存在します(ゲリラの掃討作戦なども行なっている)。
チーム・ギルガメスも又彼らに目をつけられております…が、物語の本筋に当たる話しなので、
今しばらくはちょっと書けそうにないかな…。
たった十数行のレスに何時間掛けているんだ、俺は…(←チャットが絶対的にできない男)。
>>324 どうもありがとうございました。
ゾイドバトル連盟の生い立ちが気になってくるところです。
戦争のかわりに、Ziの人達のガス抜きのために必要だったのかなぁ。
そういえば人工知能改氏の書いてる話も好き。
オレストとしてはオーソドックスな味付けだと思いますが、
逆を言えば読みやすいし
最近、文章がめきめき上達してるのが見えるのが凄いですよ。
>>325 じ、人k(ry
…一応正体は伏せてる事にしてるんで…あの、解ってるともしかしてこのスレ荒らしに来る人が
居るかもしれないので(結局自分が悪いのだが)
いや、もうバレバレだと思うんで。
気に障ってたのならスマソ
気に障ったなんて事は無いですよ…そもそも自分が皆さんの気に障る様な事
してきたのが悪いんですし…_| ̄|○
償えぬ罪ってのが在るもんだなぁ、としみじみ思います。
多分死刑囚とかこんな気分(ry
すいません↑の奴、名前が何かおかしくなりました_| ̄|○
>>328 同じトリップ付けてたからそのへん全部了解済みだと思ったんだけど、
まぁ、あまり自分で騒いだり気にしたりしないのが一番。
皆も変なのが来てもスルーしてくれるよ。
>>330さんの言う通り基本的にはスルーが当たり前だと思います。
このスレはこんな話が有ったらいいな〜と言うのを書いているのでここでこいつ嫌いだからとか言うのは通用しないと思います。
それ以前に”釣り”も”無駄な煽り”も受け答えする暇と容量が勿体ないので。
レスを増やす度に書いている人は文字通り限界要領と強制的に向かい合わないといけないので感想を長々書くな!何て勝手な事を書く人も居るはずは無いと思います。
読んでくれた証と評価と言う報酬?が貰えるのですから…。
文章変ですね…_| ̄|○
うん、恐怖の亀裂の作者氏はちょっと主語に気をつけたほうがいいかもです。
>>331の1行目、主語は省略されていますが
この場合「我々は」が主語のハズだから
書き出しは「このスレは」でなく「このスレでは」が妥当かな?
まぁ、これからもがんがって。
どうも、お疲れ様です。次スレに投下した原稿について、ちょっとだけ…。
これに登場するエナジーライガーがキットとはかけ離れたデザインになりました。
自分は今までにも設定を弄ったものを結構書いてきたのですが、そういうレベルを越えちゃった、
明らかに別なデザインのゾイドを描写するに至りました。
理由は「従来のライガーとの差別化が上手くいかなかった」ことに尽きます。
エナジーは角とか羽根とか一見奇抜な意匠が多いゾイドなのですが、これらを普通に描写したら
結局は従来通りの「すれ違い様に斬り付ける」パターンの踏襲にしかならないことに気付き、頭を抱えた次第です…。
又、エナジーといえば「時速660キロ」という凄い設定がありますが、これの扱いも悩みました。
要は「今までの高速ゾイドの二倍の速度だから凄い」ということなのでしょうが、
別の言い方をすれば一々『今までの高速ゾイド』を引き合いに出さなければいけないってことですから。
下手をすると個性どころか弱点にすらなりかねないと執筆中は感じていたのです。
仕方ないから、「エナジーライガーの意匠を多数抱えているが、キットとは全く異なるデザイン」
…という代物をでっち上げることにしました。
それが完成稿に登場するエナジーです。チューブを触手に見立て、これを軸に戦わせることにより
「全く動かなくても強いゾイド」という印象を引き出そうと考えたのです。
キットの方も折角武装の付け替えギミックがあるのだから、これを生かせないかとも…。
只、たった二本だけでは威圧感が出なかったので、ここで初めて「触手を沢山つける」というアイディアに
至りました。
変型もチューブを生かすために思いついたアイディアです。
出来上がった原稿は如何にも自分らしい仕上がりになりました(密かに問題発言連発してるし)。
ですが執筆中は結構ノリノリだったもののやはりここまで原型を留めていないと反省が先に来ます。
しかし、ではどうすれは従来のライガーと差別化できたのか…。現時点では答えが出てこないのがくやしいところです。
機会があったらエナジーネタで(勿論、本来のデザインを極力尊重して)もう一度書いてみたいですね。
ネタもないので
≪大変だ、ジャン・ルイ!敵は全部緑色だ!≫
≪グリーン・デビルとて、人間だ。落とせんことはない。≫
≪緑のゴジュラスギガばかりだ!≫
生きた心地がしないでしょうね
>>334 ゴーレムに後頭部殴られても死ななかったヤツがはたして本当に人間と呼べるのだろうか。
勝手ながら、埋め立てついでに作者さん各位のバトスト製作時の思い出話や
キャラの誕生経緯、元ネタなどあれば少しでも書いていたただけるとより面白く
バトストが読めるのですが・・・もちろん、話せる範囲内で十分です(w
保守がてらに。
>>336 短いのを何本か書いてました。
元ネタやら考えた経緯は
霧にむせぶ谷
双子の魔女を見てあまりにも救いが無いと思ったので。
考える時間が長かっただけに一番気に入ってます。
人生最高の友
アロザウラーのファンブックEXが元ネタです。
グランチャーでギガの関節に一撃でダメージを与えるからにはかなりの手馴れだろうと思いついて書きました。
賭け
お絵かき板で見た画像があまりにも印象深く味わい深かったので。
砂嵐
何となくジェノが書きたくなって。
赤い雪
プロイツェンの反逆での決死隊がよかったので。
水の中からこんにちは
アートスタチューのバリゲーターを見て思いつきました。
豪雨の中で
元同士の戦いを書いて見たかったのですがいまいちでした。
凱龍輝のパイロットが元部下とかも考えてたのに。
宇宙と空の間で
Moon Light Mileという漫画を読んで宇宙での戦闘を書いてみたくなって。
電穂に出てた宇宙用シンカーを思い出してそれをメインにしてみました。
キャラに関してはほとんど適当です。
最近保管庫更新してなくてすいません。
Dat落ちしたスレがHTML化したら出来るだけ急いで更新します。
>>337 そっか、名無し獣弐氏もそんなに沢山書かれてたのですね。
ログに関しては、かちゅーしゃのでよければ全部保管してあるので
お渡しできますよ。
>>338 ありがとうございます。
4スレ目から保管庫にあるメールアドレスに送って頂けないでしょうか?
>>339 2回に分けてお送りしました。
>>336 あまり書いていませんでしたが、折角なので
・BLOX系その1
小さい頃から馴染んでいたゾイドが変わろうとしている、と気づいて思わず書きました。
ろくに読み返さずに勢いで書きこむボタンを押してしまったのが悔やまれます。
BLOXについては否定派ではなく、通常キットと共存していってもらいたいと思っています。
・ペガサスは空に
ユニアの裏設定のようなものを伝え聞いて軽い衝撃を受けたとき、一気に書きました。
戦いの動機が「そこに相棒(ゾイド)がいるから」というのは幸せなことばかりでは
ないんじゃないだろうかと思いました。
今は、書くにしてももっと他のやり方があったのかもしれないな、と思ってます。
>>336 まず「グラン=ティーガの憂鬱」
憂鬱という意味を全く勘違いしていた。非の打ち所のない凄い漢がロリっぽいのに恋をしたら?という話です。
「味方陣地まで何マイル?」
アロザウラー主役の話をやりたかった。さり気なく後の緑の悪魔シリーズへの複線も用意しました。
「忍者ハットリ中尉」
一人くらい忍者みたいなのがいた方が面白くなるかもと考えて書いてみた話です。
「がんばれアルミお嬢様」
良家の令嬢が軍人としても普通にやってたらという感じで考えた話です。
「ハングリー精神バンザイ」
一つ前の話とは対照的に貧乏な主人公をやってみたかったという事で考えました。
「白竜と黒獅子」
ゴジュラスとライガーのコンビというのは意外とやってそうで誰もやってなかったので書きました。
とりあえず。このあたりまで短編物(?)として書いていました。
当初はまず色々なキャラがそれぞれ主役を張ったストーリーをやってその次に
それぞれの話の主人公等が一同に会して・・・ってのをやりたかったのですが結局やってません・・・。
ただ、これらの作品の主人公の何人かは後の通称緑の悪魔シリーズのストーリーにも登場しています。
…じ、実は自分のシリーズは特にコンセプトとか無く、サイバードライブがコケて
活躍の機会を失ったディアブロタイガーなどを再利用したくて。
主人公とかは頭に浮かんできたのを即採用_| ̄|○
「英雄の帰還」キンゴジュとデスバーンのバトルが書きたかっただけ…
「Ziの焔」デススティンガーの群れを作ってみたかった訳で。
しかも、PSゾイドからキャラを無断借用w
失われし者への鎮魂歌の作者さんへ
そんなものだと思います。書き始める理由は…。
始めは書き渋っていたりしますが一レス分書いてしまえば後は流れに任せて書くのみ!
それが一番良いのではないでしょうか?
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そんな事を言う自身のコンセプトは…ブロックスを話の一つの売り?として書く際に”最小限の情報で機体を表現する”何て事を大事にしていたりします。
人によっては駄目だこりゃと言う事になりますがブロックスは組み替え遊びをコンセプトにしているのでその文によって人毎に”大まかな姿は一緒”でも実際に並んで組んでみると細部が人により違う。
ブロックスを語りつくせ!スレの初期の事例の様に楽しめるのではないか?と考えてみました。
その分戦闘描写やでっち上げ技術を書き込んでいる分相殺というより書き増しの状況に為っていますが…。
他には当初〇イオハザードなんかの様な設定をゾイドでやったら如何なるか?が書き始めた理由ですが…案外解決法に”ゾイドで踏む”と言う簡単な対処法がある事に気付きゾイドに寄生する存在に変わっていきました。
実際にもその表現を使いましたし…間延びした事態を収拾するには丁度良い方法でした。
最後に…タイトル自体をネタに使ってしまって申し訳ございません。興醒めしてしまった人も居る可能性が有るのでお詫び申し上げます。
「共和国の魔装竜」「格闘対格闘」「ガイア山の魔物」「超最新型の恐怖」「似ない一卵性双生児」
「魁!!無敵塾」「頑張れ僕らの一平卒」「悪の花道」「セイスモサウルスの逆襲」「私と竜王の出会い」
「可能性という名の一つの未来」「南海の怪魚」「可能性という名の一つの未来」
「新たな力」「ゴジュラスギガ秘密司令」「緑の悪魔激殺司令」「閻魔の策動」
緑の悪魔シリーズとしては一応これだけ書いてるんです。なんか一度やり出すと止まらないって感じです。
とりあえず、自分が目指したのは「普通の人が考えつかない物を作る事」です。
だから、「ゾイド戦に拳法を取り入れるパイロット」とか「オカルティックな存在」など
色々考えたりしました。これらを含め、ストーリーを全体的にギャグ色の強い物にしたのは
自分が先入観的に「他の人は渋い硬派な物を作っているだろう」と思っていたからです。
あと、「ガイア山の魔物」「南海の怪魚」にはいわゆる怪物と言うべき存在が登場するわけですが、
やはりそういう「我々が知りうる物とは異質の存在」という物を敵で登場させたかったという
これまた意外とやってる人が少なそうな事もやったりしました。
特に「ガイア山の魔物」は現代以上に科学が発達したあの時代になっても科学では解明できない
怪現象は存在するという、いわゆるゾイドで怪談というと言うのも意外と誰もやってなさそうな感じだったので、
それをやってみたという感じです。さらにその怪奇現象を体験するのが当時最新だったセイスモサウルス、
そして、人間ではなく科学の力で生み出された人間型ロボットと設定することで怪奇度を上げてみたりしました。
ロボットが怪奇現象に遭遇するというのも意外と誰もやってないような感じだったので。
と言うよりも、「人間型ロボット」という存在自体がマイバトストでは誰もやってませんね。
機会があったら次はキャラに付いて書こうと考えています。
>>344 >「他の人は渋い硬派な物を作っているだろう」
そういえば、ちょっと前は赤羽氏の作品とか硬派なのが結構あったからね。
>>342 自分が初めてゾイドネタで書いた時の動機なんか、ひどいものです。
「ジェノブレイカーが○○。○○に負けるわけないだろ!
ジェノブレマンセー!ジェノブレマンセー!!
ジ ェ ノ ブ レ マ ン セ ー !!!」
もう、こんな感じで。でも、そういう不純な動機で書き続けることは到底できないのであって、
すぐに「どうすれば面白い原稿が書けるのか?自分ならではの原稿に仕上がるのか?」考えるようになりました。
>>344 ちょっと変な質問なんですが、一番好きなウルトラマンシリーズって…タロウではありませんか?
見当違いだったら申し訳ないですが、通じる部分がかなりあると思います。怪談話しを組み込むアイディアなどは、特に。
そういう試みを繰り返してジャンルの幅を広げるのは本当に大事なことだと思います。
タロウはそれが実を結んだから未だに支持者が多いですし。
>>344 同じタイトルを二つ書いてた・・・。
>>346 済みませんが自分はウルトラマンシリーズ自体あまり見ていません。ゴジラ派な者で。
その代わりゲゲゲの鬼太郎とかは好きでした。あと、ロボットが妖怪とか悪魔とかのような
超常的な存在に立ち向かうという感じの物語をほとんど見たこと無かったので・・・というか
そんなの有るのかな?という感じだったのでああ言うのを書いてみました。
それに、何年前かのコミックボンボン増刊でガンダム漫画ばかり集めたのがあって、それに
「廃棄されたプロトサイコガンダムが霊に取り付かれて他のMSを襲う」という感じの物があったので
それにも少なからず影響を受けたのかも知れません。やはり科学の力で作られた物と超常的な物という
ミスマッチな組み合わせが面白くなるのでは?と考えたりしたのが始まりです。
あと、「可能性という名の一つの未来」二回書いてしまいましたが・・・・
これはいわゆる「このまま共和国が中央大陸戦争に勝って、そのまま平和な世界になったら・・・」という感じで
考えた物語です。直接的には緑の悪魔シリーズというワケではありませんが、一応その数十年後という設定です。
実は現在その続編と言える話も作っていたりしたのですが、最近全然進んでいません。
「頑張れ僕らの一平卒」と、「閻魔の策動(の最初の部分)」は帝国兵士の視点から見た緑の悪魔シリーズという感じです。
帝国兵士から見て、本筋のストーリーの主人公がどれだけ化け物扱いされているのかを演出したかったのです。
これはガンダムのサイドストーリーもので、ジオン兵が主役の話でガンダムが滅茶苦茶化け物みたいに描写されていたので
それに影響を受けたという感じです。今後もこういう路線はちょくちょくやりたいと考えています。
「頑張れ僕らの一平卒」はギャグでしたが・・・。
2番煎じで悪いのですが、自分のほうも「通常の3倍の速度で飛ぶ紅いロードゲイル」が
登場します。ついこの間GCのガンダムを買ってシャアが滅茶苦茶カッコ良かった物でついw
…しかし、本編は何か話が波状気味ですいません…
閻魔の策動の作者さん、◆.X9.4WzziAさん、 失われし者への鎮魂歌の作者さんへ
こっちは2番どころか此方3番目。遂に念願のパクリたかった〇者ロボシリーズのお約束の準備ができました_| ̄|○
最近は超〇神〇ラヴィオンツ〇ァイや〇ラ〇ス〇ォーマー等も観て居たのでその手のネタを大量入手。
この作品はその他大量のロボット物のパクリや全く関係無さそうな作品のパクリが混ざり合って構成されています。
自分でも何処で手に入れたネタか解らない物も有るので自分ですら元が何だか解らない羽目に…。
でもここで問題が…その間誰を中心にしようか?と言う事です。多分彼はこの流れだと一両日程自陣に返って来れないと思うので…。
閻魔の策動の作者さん持ちキャラ”マオ=スタンティレル少尉”なら壁走り、休憩の繰り返しで一時間掛からない高さだと思いますが。(勝手に妄想すいません)
一応候補に為りそうな方々…。
ルディア=カミル(帝)、レクス=アームズ(共)、ラフィーレ=アーヴェラー(ピース)、ベルフ=スクラワル(帝)
あたりでしょうか?書き込みレベルの問題でザクサル=ベイナード(無)は無理そうなんで…。
すいませんまた他の方の力を借りるような事を書いて。多分彼にスポットを当て続けていると詰まらなそうなんです_| ̄|○
誰がいいんでしょう…?
>>349 >誰がいいんでしょう…?
流石にそれは自分でも決めかねますね・・・・。
話は変わりますが、さらに元ネタを書いておくことにします。
拳法関係に関して、なぜ自分がゾイドに拳法を取り入れたかという話ですが、
ゴジュラスギガを主役にするにあたって、ギガはデスザウラーを打ちのめせるパワーを持ちながら
同時に素早い身のこなしや戦闘テクニックなども持ち合わせたオールラウンドファイター的な
イメージがあったので、ただ力でねじ伏せるだけでなく、もっとギガらしい、力だけでなく、
もっと素早さをアピール出来る戦い方は無いかなと考えた上で拳法にたどり着きました。
男塾やDBに影響を受けたという事もあるのですが・・・まあ今まで誰もやってない事でもあったので
思い切り挑戦させていただきました。惑星Ziにも当然地球とは違う拳法などもあると思うので・・・。
あと自分の作品で「○○書房」とかどこかの本の一部を注釈したかのような説明とか出てきますが、
それなんか思い切り男塾の民明書房が元ネタです。男塾の世界だとゴルフやホッピングなどが
中国発祥というとんでもない設定になっていたので、自分も「サウンドブラスターやソニックブラスターの起源は
実は昔から伝わる拳法の技にあった。」なんてとんでもない自分設定を作ってしまいました。
ゾイドに「気功」を取り入れたのも有る意味挑戦的な物でした。やっぱり誰も考えつかない事に
チャレンジしたかったので・・・。これについてはDBだけでなくターちゃんの影響も入ってるのかな〜・・・。
自分がやりたかった物として一応「リアルな(?)戦争の殺伐とした世界にいきなり
一人だけ常識はずれの力を持った者が現れたら・・・。」という感じでしょうか。
昔あったビデオ戦士レザリオンというロボットアニメは、ガンダム的ないわゆるリアルロボット的
世界観に主役メカだけ思い切りスーパーロボットを設定したことでスーパーロボットの強さを
印象づけたという話なので、それみたいな物と考えればいいです。
「無茶苦茶な強さを持つ主人公に敵がいかに挑んでいくか」というのも目指したりしてます。
ターちゃんに対するハンターみたいな感じで。ギャグが多いのは自分がギャグ物好きな理由もあります。
さらに書きますが、主人公を滅茶苦茶に強く設定しておきながらも、同時に
「絶対超えられない壁」も用意することでインフレを防いだりとか考えたりと聞けば
聞こえは良いんですが、ただのギャグのネタとして使う方が多いです。
訓練に訓練を重ねた屈強な兵士よりも強い料理店の店長をしているさえない叔父さんの方が強いとか、
民家のおばさんのゲンコツがゴーレムのハンマーナックルより強いとか・・・。
それにしても自分はいつになったらキャラについて書くのか・・・。
閻魔の策動の作者さんへ
どうもです。返事を貰えて。
もうちょっと知恵を絞ってみます。流れに任せる様に欠いて来た漬けですねこれは…_| ̄|○
頑張ってみます。
少々聞きたい事があるのですが…
「凄く極悪人な悪役」ってどういう風に演出すれば良いと思いますか?
自分のほうではエンバー=リーデンベルトをその極悪人にしようと思ったのですが
見直してみると単なる詰めが甘い馬鹿…
SS書く上での自分の信念は「悪役は悪に徹せよ」なんですが(有言不実)
>>353 読者が「こいつマジ許さねぇ」って思うほどの極悪人ってこと?
あんまりこってりさせすぎると、
「あ、こいつがシナリオ上の悪役を押し付けられてるのか」と思われるから
あくまでさりげなく悪を実行させるのがポイントだと思う。難しいけどね。
>>353 「一見いい人に見えて実は悪だった」とかどうですか?
あと、DBのフリーザなんかは「礼儀正しい反面超極悪」というキャラで、
悪役の新しい形を見いだしたとかで今でも根強い人気がありますし、
悪役関係のサイトとかでもフリーザは良く扱われているという話を聞きます。
やはり「普段から怒っている人より大人しい人が怒った方が怖い」の理論に似たような物で、
上に書いたような感じのキャラにすれば良いんじゃないかと思います。
>>353 折角ゾイドネタでお話し作るわけですから、
そのキャラが日頃ゾイドとどう接しているのかを考え、
そこからアイディアを膨らませていくのが面白いんじゃないかと思います。
例えば自分の持ちネタの場合、一本のお話しの中でギルガメスがブレイカーとスキンシップを行なう、
或いは戯れ合ったりブレイカーにからかわれたりする…といったシーンを
最低一回は挿入するよう努力しています。
又、ギルがブレイカーに何か指示を出す時も命令口調ではなく呼び掛ける口調で台詞を言わせる…とか。
そういうちょっとした描写の積み重ねがキャラの行動、ひいてはお話しに説得力を与えると信じているわけで。
「凄く極悪人な悪役」もまずこの辺に気をつけるだけで相当違ってくるのではないでしょうか。
例えば…右手にいつもゾイドの拷問用の機械を握っているがいつもは後ろ手に隠している奴、とか。
ゾイドがちょっとでも逆らおうとしたら機械のスイッチを押すだけで
緊箍児(きんこじ。孫悟空を懲らしめる頭の輪)のごとくゾイドに激痛を加えるため、
そのキャラが登場すると気性の荒いゾイドまでもがひれ伏してしまったり…なんて。
(機械を隠すのは、切り札としての説得力を持たせるため)
こういう描写を初登場時にしただけで、大抵の読者はこのキャラを善玉とは考えないでしょう。
書く側は書く側で、こういうロクでもない奴なら立てる作戦はこうなる…とか、戦い方はこうなる…とか、
方針を立て易くなると思うのですよ。
>>356 ・・・しかし、それは書き手と世界観次第かと思われます。
例えば、お話を戦争モノとして描くとした場合に
人間は金属外骨格生命体を戦闘兵器として改造し命令を与えて運用する、という
既にそれ(拷問)に近いことを行ってるわけであり
自分の場合はあんまりおかしな事とは思えないんですよね。
弱い立場である生身の人間を踏んづけるようなキャラの方が悪役っぽく感じます。
ゾイドの話であることにこだわるなら、人とゾイドの関係性を重視する書き方も
あるんでしょうけど、敢えてそこをサラリと流すのも全然アリだと思います。
難しいですね
保管庫、また更新始まったね。
折角ログ貰えたのにダウンロードしようとしたら何故凍るんだ_| ̄|○
そういう訳でまだ更新出来そうにありません。
罪滅ぼしと言うのも何ですがそろそろ作者ごとにまとめたいと思います。
投稿されている方はお手数ですが作者名と作品名を挙げて頂けませんか?
特に無ければこちらで分けます。
>>359 凍る・・・とは?
また同じ物送った方が良いのでしょうか。
>>361 あの、またメールボックスが一杯だそうですが。
>>362 数回に分けて送ってもらったらどうですか?
365 :
360:04/04/11 02:11 ID:???
>>364 jibunde.lzh用に(632 KB)を確保していただかないと
無理のようですね。
…何回目でしたっけ?
圧縮したので、流石に1度で受けとっていただきたいです。
よろしくお願いしますよ。
何度も申し訳ありません。
今度こそ大丈夫なはずです。
367 :
360:04/04/11 16:03 ID:???
>>366 空けていただいてありがとうございます。
無事に送信完了しました。
ものすごい事態が起きそうだな。
8・9・10が同時に存在するなんて。
369 :
360:04/04/24 17:42 ID:???
4567あたりも同時にあったはず。
何時の間にか過去スレは落ちてたけど。
あ、名前欄が残ってた。
・・・このスレの360じゃないし。
>>369 1000オーバーでもなく容量オーバーでもなかったので
倉庫格納へ依頼。
スレストおつ
↓
それがエゴだというのだよ
真・スレッドストッパー。。。( ̄ー ̄)ニヤリッ