【貴志祐介/及川徹】新世界より 神栖3町【別冊少年マガジン

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321消え失せろ、神栖66町崇拝者。
>>320
あの場でハッキリと答えずに「ご質問の点に関しては不明です」って煙に巻いただけだろ。

というか俺がミノシロモドキが瞬に対して言った内容は「バケネズミの正体は奴隷王朝&狩猟民の方々です」って
言うとでも思ったか?wwwwww
322スクィーラの復讐:2014/07/02(水) 01:24:02.63 ID:6eYkG42h0
 スクィーラはたった一言、詠唱した。

 『形成
  Yetzirah』

 するとスクィーラの手から無数の目に見えない程に細い糸が伸び、そしてそれは女裁判長の身体を絡めとる。

 「な!? これは!?

 「ああ、これは辺獄舎の絞殺縄と言いましてねぇ……。私が持っている力の中では特に取るに足らない力ですよ。ですが貴方程度を殺すのなら
これで十分でしょう」

 「や! やめて!? ぐぇぇぇぇえええええ!!??」

 スクィーラは糸を操作すると、女裁判長の身体を締め上げ始めた。

 この辺獄舎の絞殺縄は鉄すらも両断する鋭利さを誇る強度の糸であるが、本来は絞殺用の代物だ。

 じっくりと数時間かけて女裁判長の全身の骨を砕いていく。

 自分が味わった地獄の苦しみを存分に味わって貰いたいのがスクィーラの考えだ。

 そしてスクィーラは自分の目の前に佇む一人の女を目にする。

 「渡辺様……」

 「スクィーラ……、これは貴方がやったの?」

 狼狽した様子で尋ねる渡辺早季。

 スクィーラが生きていた中で最も馴染みのある人間だった少女だ。

 夏季キャンプでの出会いが始まりであり、それを機にこの女と縁を持った。

 「私が生きていたことが驚きですか?」

 「ええ……。貴方達バケネズミが一年前にしたことを覚えてる? 何の罪もない町の人々を大勢殺したのよ!?
あんなに酷いことをしてまだこんなことをするの? 姿形に違わず心もケダモノね!」

 スクィーラに向かって吼える早季。
323スクィーラの復讐:2014/07/02(水) 01:25:43.49 ID:6eYkG42h0
 
 「貴方達だとて我等バケネズミの命を虫ケラ同然に消してきました!! それで我等が何の疑問も恐怖も抱かないと思っているのですか!?
我等を踏みつけにしておいて被害者気取りのつもりですか!?」

 「当然でしょ!! 呪力も持たない貴方達バケネズミは使い捨てにされるのは当たり前よ!! ええ、そうよ。呪力がある私達と貴方達とじゃ
格が違うわ!! 先祖のしてきたことを反省も後悔もしていない被害者気取りの貴方達バケネズミが思い上がらないで!!」

 所詮こんなものだろう。自分達バケネズミの境遇など端からこの女に理解できる筈もない。バケネズミの命を消費することに関して何の疑問も躊躇も
持たない。

 「ええ、確かに私達は貴方達バケネズミを役に立たなければ始末するわよ。だけどだからどうしたの? 最初からバケネズミと人間が対等になれるわけがないし、
貴方は単に支配者になりたい一心で町に反乱を起こしただけでしょう!? 身の程をわきまえずに身勝手な欲望で町の人たちを殺してきたケダモノの癖に!!」

 「貴方は町の委員会に命を狙われたでしょう……? 自分の命を狙った者達にそこまで肩入れする理由は何ですか?」
 
 「決まってるじゃない。あんな委員会でも薄汚いバケネズミよりはマシって意味よ」

 「そうでしょうね……。元は人間であった我等の過去の歴史を見ても貴方は眉一つ動かさないでしょう。所詮は呪力を持っているだけの神様気取りでいる女には
バケネズミの何たるかなど分かる筈もないですからね! 渡辺様、いや渡辺早季!! 貴様と貴様等呪力使いは本日を持って日本列島から滅びる!! 新人類という
癌細胞をこの国から私が残らず消し去ってくれるわ!!」

 
 そう、これは自分独自の創造であり、黄金の男から渡された能力の中で最大の力を持つ。

 これこそが神栖66町、並びに呪力使いである新人類をこの国から一掃する絶対的切り札。

 スクィーラはかつてない程に気力と魂をこの詠唱に込める。
324スクィーラの復讐:2014/07/02(水) 01:29:43.53 ID:6eYkG42h0
 『神を埋葬する墓掘り人たちの叫び声を、まだ我々は聞いていないのか?
  Horen wir noch Nichts von dem Larm der Todtengraber, welche Gott begraben ?

  神の死骸が腐敗している臭いを、まだ我々は嗅いでいないのか?
  Riechen wir noch Nichts von der gottlichen Verwesung ?

  あらゆる殺害者中の殺害者である我々は、どうやって自分を慰めたらよいのか?
  Wie trosten wir uns, die Morder aller Morder ?

  世界がこれまで所有してきた最も聖なるもの、最も力強いもの、それが我々の小刀によって血を流しているのだ。――誰がこの血を我々から洗い流してくれよう?
  Das Heiligste und Machtigste, was die Welt bisher besass, es ist unter unseren Messern verblutet, --- wer wischt diess Blut von uns ab ?

  どのような水によって、我々は自分を洗い清めることができよう?
  Mit welchem Wasser konnten wir uns reinigen ?

  創造
  Briah―

  神は死んだ
  Gott ist todt 』

 
 自分の有する最も強力かつ激烈、凄烈、絶大な創造が瞬時にして日本列島を覆い尽くした。

 それは神を称する者達へ贈る最大級の呪いだった。

 この創造の中にいるだけで呪力を消失する。元の人間に戻るのだ。

 呪力を持つ人間達の存在そのものを根絶やしにしたいというスクィーラの渇望が国全体を飲み込む程に広がったのだ。

 「え……? な、何!!??」

 「渡辺早季、これで貴様も単なる人間の女になったわけだ」

 「そ! そんな馬鹿な!?」

 スクィーラは同様する早季を尻目に、黄金の男から受け取った能力の一つである拷問器具を形成する。

 「鉄の処女、アイアンメイデンです」

 「な!? 何をするの!? 離しなさい!!」

 スクィーラは地面にへたりこんだ早季を強引に立たせると、大きく扉を開いたアイアンメイデンの中に放り込む。

 アイアンメイデンはその名の通り、入れた者の血を残らず吸い尽くす目的で作られた中世時代の拷問器具だ。

 扉にびっしりとついた鉄の棘が入った者の身体中に突き刺さる。

 「嫌!? 開けて!! お願い!!」

 「我等を軽んじた罰です。地獄の業火に焼かれながら後悔しなさい!!」