【2次】漫画SS総合スレへようこそpart46【創作】

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473作者の都合により名無しです:2007/03/11(日) 09:20:15 ID:mZrnx/t00
長く続くかどうかはわかりませんが、書き始めたのでこっそり投下。
世界観はNARUTO+αで、時系列は『疾風伝』前、第一部アニメオリジナルあたりでしょうか。
ジャンルは、このままシリアスになるやら脱線するやら、まだ未定です。
474作者の都合により名無しです:2007/03/11(日) 13:00:35 ID:mnvm01Lu0
お疲れですー
ナルト物は初めてなので期待してます。
正統なサイドストーリーっぽい出だしですね
文章も上手いし、ぜひ完結させてほしい

次回はコテハンをつけてほしいな
475作者の都合により名無しです:2007/03/11(日) 13:06:42 ID:/pdyuj1LO
あぶ
ふ。
476作者の都合により名無しです:2007/03/11(日) 13:07:39 ID:/pdyuj1LO
あぼ。。
477作者の都合により名無しです:2007/03/11(日) 13:20:17 ID:/pdyuj1LO
あべし?
478作者の都合により名無しです:2007/03/11(日) 20:58:54 ID:9CxLexJ40
>狂った世界で
こういう暗い過去物のSSは大好きです。
過去が舞台になるのか、序章だけ過去で主舞台は現在になるのか?
どうなるかわかりませんが、ワクワクしながら期待してます。

でも、ナルトあんまり詳しくないから、どのキャラが主役なのかわからないな。
サスケかな?
「私」が一人称だから女かな?
479ヴィクティム・レッド:2007/03/11(日) 21:38:11 ID:WlrmIUkQ0
 どこか釈然としない気持ちで、ドクター・ティリングハーストの待つ医務室へ戻ったレッドだったが、
「なんだよ、いねえじゃねーか」
 もぬけの空となっていた部屋のデスクに一枚の紙片を見つける。
 それはレッドへと宛てられたもので、文末にはドクターのサインが記されてあった。
『急な用事のため、わしは戻らなくてはならない。簡潔ながら、先のクエスチョンに対するヒントを与えておく』
 一瞬なんのことか分からず首をひねるが、すぐに思い当たった。
 キース・セピアのARMS『モックタートル』についてレッドが見解を述べたところ、ドクターはそれを「半分の答」と評した。
 そのレッドのアンサーには欠けていた、もう半分の答について、ここで触れているのだろう。
「つーか、ヒントってことは素直に教える気はねえのかよ」
 などと文句を垂れながら、レッドはメモを読み進める。その先はたった一つの言葉しか書かれていなかった。
『Semantic Contact(セマンティック・コンタクト)』
「……は?」
 思わず素っ頓狂な声を上げる。まるで意味不明だった。
 意味論的接触。
 意味論。すなわち、言葉の意味を研究する学問であり、意味の構造や歴史的変移をフォローする部門。
 それは分かる。だが、それとセピアとにどういう関係があるのだろうか。
 眉根を寄せてメモを睨んでみるが、それがなにかの足しになる道理もない。
 しまいにメモを握りつぶし、ゴミ箱に放り投げた。
「ったく、どいつもこいつも」
 苛立たしげにデスクを蹴り、レッドはドアへと向かう。
 器質的精神的を問わず、レッドには、セピアに関するあらゆる事柄が理解不能に思えた。
 ドクターのありがたい言葉どおり意味論的に接することができたなら、この不機嫌も収まるのだろうか。
 自分と彼女とが出会ったことに、何がしかの意味を見出せるのだろうか。
 それが出来ない現状、キース・レッドにとってキース・セピアとは、理解とは程遠い存在であることは間違いなかった。
480ヴィクティム・レッド:2007/03/11(日) 21:39:15 ID:WlrmIUkQ0
 しかしドクターがいないならどうしたものか、セピアと合流するのは自分から頭を下げに行くようで気が進まないな、
と手持ち無沙汰になったレッドの背後から声が掛かった。
「ねえ」
 振り向くと、簡素な検査衣を着た少年がいた。
 レッドよりもやや幼い年頃で、どこか癇に触る微笑を浮かべてレッドを見上げていた。
「なんだ、ガキ」
 そう乱暴に返すと、少年の顔が見る見るうちに怒りに歪む。だがすぐにのっぺりとした無表情に変わり、
その異様な百面相にレッドは呆気に取られた。
(なんだこいつは……)
「心外だな、僕はもうガキじゃないよ。だって──まあいいや。こんなことでムキになるもの馬鹿らしい。
そんなことより、さ。僕の妹を知らないかい?」
 知るか、と言いかけ、だがある少女の姿がレッドの脳裏に浮かぶ。
 その少女は目の前の少年に少し似ているような気がした。
「あー、もしかして暗そうっつーか大人しそうな、金髪でこんくらいの背のいい子ちゃん丸出しのやつか?」
 胸の辺りで平手を振って背丈を示しながら、そう問い返すと、少年は力強く頷いた。
「ああ、きっとその子だ。どこにいるか分かるかな?」
「……案内してやるよ」
 我ながら柄にもない申し出だと思う。だが、セピアに会いに行く口実くらいにはなるだろう。
「いいのかい? いやあ助かったよ。君って意外といいやつだね。殺すのは止めておくよ」
 クソ面白くもない冗談だった。なので聞かなかった振りをする。
「ごちゃごちゃ言ってねーで付いて来い」
 足を踏み出しかけて、ふと気づく。少年の検査衣に、ひとつふたつ赤黒い染みがついていた。
 よくみると、それは血液の染みだと分かる。
「その血はどうした? 怪我か?」
「いや、大したことないさ。これは代償なんだ。ある種の大きな力の影には、常に血が流されている。そうだろう?」
 などとよく分からない答が返ってきたので、やはり無視した。
 最後に、もう一つだけ思い出す。
「お前、名前は?」
481ヴィクティム・レッド:2007/03/11(日) 21:40:26 ID:WlrmIUkQ0

 キース・セピアは後悔していた。
 それはもちろん、キース・レッドと口論をしたことについてである。
 あんなふうに強い言い方をするつもりではなかった。ただ、自分のことを分かって欲しかっただけなのだ。
 セピアにとってレッドとは、兄であり、自分を暗い檻から連れ出してくれた恩人そのものなのだ。
そんな人が、人の気持ちを傷つけるようなことを平気で言うところを見るのが、なにより辛かったのだ。
 そう思うのは間違いだったのだろうか。レッドの意志を無視して、自分の理想を押し付けているだけなのかもしれない。
 でも、それでも、セピアにとってレッドは──。
「泣かないで」
 いきなりそう言われ、セピアは我に返った。反射的に手を目元にやるが、涙は出ていない。
 セピアは手を繋いで隣を歩く少女に笑みを見せる。
「泣いてないわ。どうして?」
「うそ」
「……え?」
「それはうそ。泣いています、心の中で。自分で気が付かないんですか? 大人ってみんなそうなんですか?
大人になると、自分が泣いているかどうかも分からなくなっちゃうんですか」
 正直、なにを言っているのか本気で理解できなかった。だがセピアには、少女の言葉を否定することがどうしても出来なかった。
 理屈ではなく感情で、少女が正しいことを言っていると、そんな気がした。
 瞬間、セピアの記憶にある事柄が思い出される。それが答だった。
 あの時、この少女はレッドに向かって確かにこう言った。「あなたには、ほんとうに、人の心が分からないんですか」 、と。
 それは裏を返せば、つまり──。
「ねえ、もしかしてあなた……人の心が分かるの?」
 その質問に対し、少女はこっくりと肯定する。
「それってつまり……テレパシーってやつなのかな。ええっと──」
 そう言えばこの子の名前を聞いていなかったな、と途中で詰まったセピアの言葉を、少女は正確に引き取った。
「ユーゴー・ギルバート」
482ハロイ ◆3XUJ8OFcKo :2007/03/11(日) 21:41:24 ID:WlrmIUkQ0
二ヶ月ぶりにすんまそん。近いうち、もうちょっとだけ進める予定であります。
483作者の都合により名無しです:2007/03/11(日) 22:34:14 ID:Qce/b0kx0
>狂った世界作者さん
新連載おめでとうございます!
ナルトはファンの多い作品ですから大変でしょうが
書き甲斐もある作品だと思うので頑張って下さい!
ちょっとミステリ気味なオープニング期待大です!

>ハロイさん
お久しぶりです!期待してた作品なので、復活嬉しいです。
人気キャラノ「天使」ユーゴーが出ましたね。
原作ではバイオレット姉さんの次に好きなキャラです。
プライベート忙しいでしょうが、のんびり完結させて下さい!
484永遠の扉:2007/03/11(日) 23:47:49 ID:Uq9oH5EE0
第013話 「分岐の先の、その向こう」 

……雨はどこまでも激しく降りしきり身を濡らす。
冷たい水が傷口に染みる。ナイフよりも冷たく染み渡る。
手についた傷は指標そのものへの無残な傷。
晴れて戦士になった自分。
けれど、再会した斗貴子の眼中に、自分はいなかった。
砂浜で彼女が見据え、生死を共にすると誓ったのは、いずれ怪物へと変貌する敵。
ヴィクターIII。人間だった頃の名前は武藤カズキ。
彼の右手の傷口──岩を叩いた程度の軽微な──にその人はすぐ気付き、手当てを申し
出た。
斗貴子に右手を刺された自分が、すぐ傍にいるにも関わらず。

雨中での彷徨の末、剛太は遭ってはならぬ者たちと遭遇してしまった……
目の前にいた戦士は6人。

火渡赤馬。
根来忍。
円山円。
犬飼倫太郎。
戦部厳至。
毒島華花。

破綻しきった性格性質ゆえに奇兵と呼ばれる者たちだ。
火渡はヴィクターIIIに与する斗貴子を敵と見なした。
再殺部隊はみな、異を唱えなかった。
脅威を知り、なお脅威に与するのであれば敵。
無情なる断定と曲げがたき真実が彼らにあった。
進軍を許せば、斗貴子は粛清されるだろう。

氷雨の中、剛太は1つの言葉を胸に抱いていた。
それが導く結論は──…
485永遠の扉:2007/03/11(日) 23:48:40 ID:Uq9oH5EE0

映像はそこで途切れ、もやもやとした半覚醒の感覚に移り変わった。
頭が痛い。
目を開けるのも億劫だ。
体がじんわりと湿っているが、拭く気にはまだなれない。
(夢、か。ったく、あまり思い出したくねェのに……ところで俺、何してたんだっけ)
剛太はやっとの思いでぼんやり薄目を開けた。
視界もはっきりしない。
それは意識が判然とせぬゆえの、認識不足か。
ひとまず少しずつ伝わってくる感覚を元に、自分の状態を探ってみる。
仰向けに寝ているようだ。
背中や半そでからむき出しの肘が土に濡れ、体温が奪われつつある。
にも関わらず、頭の辺りはやけに暖かく、そして柔らかい。
だが剛太はそれを追求するどころではない。
嗅覚で外界の情報を得るのに忙しいのだ。
幸い、呼吸に支障はなく、新鮮な空気と共に草や木の匂いが流れ込んでくる。
(外、だよな。……アレ? なんでこんな所で寝てるんだ? 確か先輩とネコ型ホムンクルス
と戦ってて、それから、それから──…)
「あ゛───!!」
「ふぎゃ!!」
「痛っ!!」
跳ね起きた剛太は何か硬いものに額を打ち付けて、頭を元の位置に沈めた。
先ほどの、正体不明の「やけに暖かく」「そして柔らかい」場所へ。
「うぅ゛〜〜! や、やっとおきたと思ったら痛いじゃん!! 大丈夫そうなのはいいけどっ」
甘い匂いがした。頭の先では、大きなふくらみがぷるぷると揺れる気配がした。
で。
頭を打った衝撃が幸福方面に作用して、剛太をまっとうに再起動。
判断力が戻ってきた。
額を押さえて涙目の香美が、上下さかさで自分を覗き込んでいるのを見て、剛太は。
気付いた。
香美の太ももに頭を埋めて寝ていたと。
そして周りの風景から、ここが山だとも。
486永遠の扉:2007/03/11(日) 23:50:20 ID:Uq9oH5EE0
「う、うるせェ! というか何で膝枕してるんだッ!」
慌てて跳ね起きる距離を取り、踵を返し、戦闘体勢を整える。
(ちくしょう。俺のファースト膝枕は先輩だと決めていたのに!)
さらば俺のファースト膝枕。
剛太は血涙を流す心持ちでだばだば滝涙である。
(って、待て! 核鉄取られたりは──)
慌ただしくボディチェックを繰り返すと、ポケットに硬い手応えがあった。
引き出し、確認する。辺りは暗いが、仄かな月光で見えた。
LV(55)の核鉄。
支給されてそれほど間はないが、すっかり掌に馴染んだ核鉄だ。
(良かったぁ)
結び目を解かれて空気が抜ける風船のようにゆるりと剛太は笑った。
剛太にとってコレはようやく戦士になれたという証。一種の宝物なのだ。
そんな彼のささやかな喜悦を吹き飛ばすように、香美は叫ぶ。
「だってだってだって! あんた吹き飛ばされて頭うって仮ぎゃーしたのっ! 寝てなきゃ、
寝てなきゃ、危ないでしょーがああああ!!!」
のどちんこが見えるぐらい大口開けて、八重歯むき出しで香美は叫ぶ。
「るせぇ! いちいち叫ぶな!! てかなんだよ仮ぎゃーって!!」
「き、気ぜなんとか!」
「気絶か!」
「それ!」
もふもふしたネコハンドから爪をちょっぴり覗かせて、香美は剛太を指差した。
指先はかすかに震えている。
どうも落ち着きがない。
会話の合間合間に、辺りを怯えたようにきょろきょろ見回している。
「だ、だから起きるまで待ってたってワケ! 寝てる奴をいじめるのってやなの!」
「嘘つけ。お前ホムンクルスだろ。何か企んでるのに決まってる」
剛太がジト目で指摘すると、香美はびくりと瞳孔を見開いて、ネコ耳やしっぽをしゅんとさせた。
「……ぶ、ぶっちゃけるとさ、ね?」
「はぁ?」
487永遠の扉:2007/03/11(日) 23:52:18 ID:Uq9oH5EE0
「実はご主人も気絶中! 飛ばされてるさいちゅうにさ、ハイテンションワイヤーで手近な木に
ひっかけてにげよーとしたんだけど、暴発して、ご主人頭うって…… でさ、その…… あた
し……」
剛太は鬱陶しそうな目を香美に向けると、武装錬金を発動した。
(コイツが何考えてようが関係ねェ! さっさと倒して先輩と合流──…)
「暗いところがニガテなのっ! せまいところも高いところも、1人じゃダメなの──っ!!」
香美は怯えとやけの表情でやけに可愛く絶叫した。
シャギーの入ったツンツンセミロングが、声の反動で舞い上がるんじゃないかと思えるほどだ。
「はぁ!?」
剛太は思わずモーターギアを取り落とした。
人差し指を軸にぎゅるぎゅる回っていた戦輪が、地面でネズミ花火のように旋回する。
「な、何いってんだ!! お前、ネコ型ホムンクルスだろ!!」
ネコは暗いところとせまいところと高いところが大好きな生物である。
「ネコでもさっきいろいろあんのっっ! 暗いとこじゃ1人じゃやなの。だからあんたが起きる
まで待ってたってワケで…… う゛ぅ〜! あたし、あたし、どーすりゃいいかわかんないっ!
あんた倒さなきゃなんないけどさ、倒したらひとりで暗いとこ歩かなきゃなんないから、すごく
恐いの!!」
おかしなコトになってきた。

おかしなコトになってきた。
鳩尾無銘の一撃で飛ばされた千歳。
真暗(まっくら。真っ赤が真赤なので)な辺りを見渡し、ため息をついた。
(どうやらさっきの敵は、武装錬金に干渉する術を持っているようね)
ヘルメスドライブの画面には砂嵐。
青白い光で千歳の顔を闇に浮きぼるだけである。
(操作不能。しばらく瞬間移動は無理。とりあえずここがどこか調べておかないと……)
とりあえず軽く片足で地面を蹴ってみる。
カツッ、と硬い音がして、遠くに響いた。
(反響がある。そして空気も奇麗。というコトは廃墟ではない建物の中ね)
あいにくライトの持ち合わせておらず、遠くをはっきり視認できないが夜目を頼りに千歳は進む。
どうやら廊下らしい。
両側には等間隔で大きな扉がいくつか設置されている。
488永遠の扉:2007/03/11(日) 23:53:25 ID:Uq9oH5EE0
開けてみようと試みたが、施錠されており入れない。
ドアの上にはプレートがあるが、辺りの真暗(まっくら。しつこいようだが真っ赤が真赤なので!)
に呑まれているので分からない。
ためらう瞬間のようにその闇に呑まれてるので、自分の可能性を疑うより信じてみても、目
醒めてゆく未来の世界を諦めなくても、分からない。
ただその茫洋とした影が千歳の記憶に符合する。
(……? なんだか見覚えが。ひょっとしたら)
ヘルメスドライブは千歳の行ったコトのある場所へのみ瞬間移動を実行する。
ならば先ほどの強制転移も、見知った場所なのかも知れない。
ただ、と千歳はそうでない可能性も描く。
見覚えというのはあやふやなもので、旅先の路地とかで「近所に似てる!」と珍しがって写真
を撮り、帰郷後に見比べて「うわ。全然違う」とか笑うのも良くあるコト。
まして周りが暗ければなお当てにならない。
おばあちゃんが言っていた。
嫁と反物は明るいところで選べ。
光がなければ美醜などは分からない。
(それに、大手のショッピングセンターだったりしたら、必然的に内装が同じ。現に婦人警官
の制服を売ってるお店だって、東京と大阪でまったく同じだったから)
どうやら趣味で東京大阪を渡り歩いたらしい千歳は冷静に分析する。
引き合いがアレだが、表情は真剣そのものだ。
(でも、この匂い。もしかし)
もしかしたら。
思索半ばでヘルメスドライブの画面を見た千歳は。
気付いた。
砂嵐が掻き消え、別の映像が割り込むのを。
「はーるかとおくのぉー」
千歳の聞き覚えのある声ともに。
和太鼓みたいな紋様を刻んだ丸が回転しながら、画面の中心に移動した。
で、同じような丸が左上と右下に出た。
異常異質。本来ならば人と景色しか映らぬヘルメスドライブが別なモノを映している!
呆然とし、いい知れぬ悪寒に浸る千歳。
草原らしい景色が覗いている丸は回転しながら中心へ重なり、ズームイン。
489永遠の扉:2007/03/11(日) 23:56:01 ID:IUt9f4EY0
「ちへいせんからぁ〜♪」
すると草原を歩く1人の青年を引きで映した。鬼とかじゃなく、青年だ。
中肉中背、髪は短くやや童顔。どちらかといえば整っているが、美形というほどでもない。
彼はバストアップで移った。スーツ姿だ。
腰には太鼓と音叉をぶら下げている。
千歳は息を呑んだ。
「ひかりあふれて〜くるよぉに〜!」
青年は……画面に触れた!
本来、『対象を映す』だけのヘルメスドライブ。
だがまるで水槽の中で泳いでいるリュウキンやらランチュウやら黒デメキン2匹のように!
ヘルメスドライブの中にいるように!
青年は画面に触れたのだ!
手の平はガラスに押し付けられたように薄く黄ばんで、じきじきと幾何学的な雑音と波紋を
軽く撒き散らし!!
「きーみのみーらいはぁぁぁ〜♪ はじまったばかりぃー!」
影が猛然と画面を突き破り、千歳の頬を掠めた!
(そ、そんなコトがある筈……。だってあの時、確かに彼は死んだはず──…!)
「お久しぶりです」
影はそのまま天井に向かって逆さに立つと、
「ところで、以前お会いした時っていろいろ忙しかったですよね」
のんびりとした口調で千歳に話しかけた。
「忙しいって嫌じゃないですか? 俺は嫌ですね。すごく。他の人の惰性に飲まれてしまって、
大事なコトがちっとも伝えられない。部長を殺す前も色々ありましたし。おっとそうそう。本題」
なんといえばいいのか。
再殺部隊の制服の下で、恐ろしい汗が流れるのを感じた。
「名前って社会じゃ大事ですよね? 悪魔とかそーいう名前だと、面接の時に落とされて、
おもちゃ買うお金が稼げなくなる…… だから俺は偽名を名乗っていたんですよ。あの時
名乗ってた名前は、えぇと。えぇと。なんでしたっけ?」
千歳はやや掠れた声で、その名を告げた。
「そう。そうそれ。けれどありゃ偽名なんですよ。俺の本名は」
右手に真赤な筒を現出させると、青年は逆さづりのまま微笑しつつ
490永遠の扉:2007/03/11(日) 23:57:14 ID:IUt9f4EY0
「久世夜襲。姓が久世で名が夜襲。コウモリな俺にぴったりでしょ? 久世屋秀ってのは社会
生活を便利にするための偽名にすぎません」
人差し指と中指を立て、しゅっと息を吹いた。

千歳は今回の割符争奪戦に参加する前、別の地で根来ともども任務に就いていた。
その時倒したホムンクルスこそ。
いま目の前にいる久世屋秀こと、久世夜襲である。
「月並みな質問だけど」
顎を毅然と上に向け、千歳は夜襲を見据えた。
あくまで現状把握が第一。狼狽しては勝てる物も勝てないと踏んだのだろう。
「ハイハイ。ご疑問ももっとも。俺は確かに死にました。千歳さんには好感持っているので、
ちょっとだけヒントあげましょうか? 笑顔可愛かったですしね。で、ヒント。俺は、別に生き返
ったワケではありません。しかしこれ以上は企業秘密。ま、死んで退職してますけど」
ボトボトと床に真赤な筒を落としながら、夜襲は楽しそうだ。
「ふー。この感触。やっぱおもちゃはいいですね。手からダイレクトに抽出できるのがもう」
(百雷銃の武装錬金・トイズフェスティバル……核鉄がないのにどうして……?)
「ふっふっふ。といっても再生怪人は弱いのがお約束ですがね。まったくどう思われます。
俺はおもちゃが好きなんです。あと、何か抽出するのかとね。人間っぽい奴じゃないですか。
ならモグラ獣人とかみたいにヒーロー側についたっていいというのに、再生怪人に甘んじてます。
だいたい、俺は奇麗に散ったんですよ? ならそこで終わっておけばいいって話ですよ。で
も再登場。はぁ。これも惰性ですかね。死してなお惰性に縛られるってちょっと癪ですが……
諸事情により逆らえませんので、行きますよ!」
真赤な(誤変換で真っ赤にしたらどうしよう……)筒がヘビのように連結し、千歳に躍りかかった!
491スターダスト ◆C.B5VSJlKU :2007/03/11(日) 23:58:25 ID:IUt9f4EY0
ジョジョを読んで考えるに、新能力を見せる時に必要なのはインパクト。
そー思ったので、自分でも意外な展開にしてみました。
あぁ。二度と日の目が見れないと思ってた名前と形態が描けて楽しい。
で、キャラ紹介に続き、ビジュアルをば。
ttp://ranobe.com/up/src/up178941.jpg
画面左から1番目 上から 浜崎、佐藤、鈴木震洋※1
画面左から2番目 若宮千里、河合沙織
画面左から4番目 ムーンフェイス、蝶野爆爵(Dr.バタフライ)
画面左から5番目 早坂秋水、早坂桜花、書記※2

※1 逆向凱はこれのメガネなしverです。体を乗っ取ってますので。
※2 小札のビジュアルイメージとなっております。
このコにシルクハットとつけてタキシード着せて、小柄にしたら小札です。

>>434さん
変換は「こふだ」ですよw 鳩尾だって「みぞおち」ですし。総角だけです。辞書登録してるの。
斗貴子さんは暴れている方が実に楽しい。カズキは偉い。こんな人を抑えていたとは。
殺しまくりーの嬲りまくりーの、ブチ撒けまくりーのの斗貴子さんも魅力的ですけどねw

>>435さん
戦闘編はあらかじめ用意してたネタを徹底投入しますよ!
しかし戦闘になるとまひろの出る幕がまるでないw 秋水も。
仮にも主人公な彼なのに、本筋への影響力がないというのが……彼らしい。

>>436さん
上記の通りです。意識したワケではなく、「ぱっ」と浮かんだのを採用したら上記の書記さん
だったという。総角は比古師匠と相楽総三足したような感じ。鳩尾は柘植の飛猿! 巨椀燃えなんです。

>>437さん
はい。途中でそう決めちゃったので、ネゴロ前半読むとちょっと矛盾ありますがw
492スターダスト ◆C.B5VSJlKU :2007/03/12(月) 00:00:48 ID:DphEyWFt0
>>439さん
この割合が最終的に2対1.5になるかも…… 立っていると言って頂けると嬉しいです。
やっぱオリキャラは扱いが恐いものでして…… 香美は剛太と絡むと予想以上に楽しいですがw
なお、人物紹介は展開に応じて徐々に変えてきます。なにせまだまだキャラ設定はあるのです。

ふら〜りさん
>修羅と鬼女の刻
義貞さん、頭のネジが飛んでるアホもといナイスガイじゃないですかw
修羅の刻の武蔵編だけ拝読しましたが、大和も陸奥の一族だなーと。腕っ節だけじゃないの
が良いです。そしていよいよ終盤、でしょうか? それとも舞台を移し一騎打ち? 

対照的な千歳と斗貴子。この2人の関係も描き甲斐がありそうです。
戦闘で組んだら無敵かも。ヘルメスドライブで2人ワープ → バルスカで不意打ち が出来ますから。
ともかく結論としては、冷静の奥に秘めた女性らしさは良い! 家事得意ってのがまた! >千歳

>銀杏丸さん
100年前は現時点ではまったく分かってないので、想像しがいがありますよねw
あのロシア人というのはムーンですよね! とすればヴィクターと敵対するのかも。
日露戦争好きとしてはウラジオストクにニヤリと。ここに艦隊逃げ込ませないために日本海海戦が(ry

ネタかぶりは大丈夫。お気になさらず! 話の原則性をつきつめていけば、けっして全く同じにならないと
いうのが持論なので! より永遠の扉にナイズドして作劇的エネルギーをしなる定規のように内包した
話をただただ自分は描くのみであります。ただ/zで100年前の話だけは勘弁! 総ての序章が破綻してしまう……
493作者の都合により名無しです:2007/03/12(月) 00:18:46 ID:/r/gzTZ30
>ハロイ氏
お久しぶりです。ユーゴーとセピアの絡みがどうなるか楽しみです
正月の鬼ペースとまでは行かないにしろ、ちょくちょく楽しませて下さい

>スターダスト氏
香美も小札にまけず劣らず良いキャラですな。剛太の戸惑いもわかる
千歳は前作から活躍してますが、今回もクールビューティな感じですなあ

494作者の都合により名無しです:2007/03/12(月) 00:49:52 ID:os4OygxJO
>>452さん
どうもです。
覗かせて頂きます!
495作者の都合により名無しです:2007/03/12(月) 01:22:36 ID:bPTISkPG0
>ハロイさん
復活おめです。
原作の隙間を上手く縫っていくような感覚がとてもいいですね。
凄く楽しみにしているので最後までいけることを願ってます。

>スターダストさん
久世屋秀と久世夜襲の言葉遊びが好きです。
そういえばネーミング規則に乗ってなかったっぽいですからね。
ところでふと思いついたのですが、ちから=パワーですけど深読みでしょうか?
496作者の都合により名無しです:2007/03/12(月) 10:12:05 ID:83ZSGBfU0
新人さんも着たしハロイさんは戻ってきたし
スターダストさんは好調だし。
半年は大丈夫だねバキスレ。

・ナルト作者さん
ナルトに付き物の暗い過去ですがw文章化されると
内面がより書けてぞくぞくしますね。完結目差して頑張って下さい

・ハロイさん
これでほぼオールキャスト出揃ったのかな?
ユーゴーはテレパシストだから、内面の葛藤が激しそうだなあ。

・スターダストさん
剛太と香美の戦闘中とは思えないやり取りが面白いですね
小札ってこういうビジュアルだったのか。言動から幼女をイメージしてたw
497ヴィクティム・レッド:2007/03/12(月) 11:26:53 ID:VOomuzi+0

 医療セクションに到達したキース・シルバーは、頭上から降り注ぐけたたましいアラートを聞いた。
「ふん、やっと発令したか……」
 腕時計をちらと見、自分がその命令を下してからのタイムラグに軽い不満を覚える。
エグリゴリの危機管理体制について若干の修正が必要かもしれない、と。
 だがそれも全てが終わってからの話であり、今はその元凶を取り除くことが最優先だ。
 そう判断したシルバーは思考を打ち切ってさらに歩みを早めた。
『アラート42。アラート42。現在、当施設内において深刻なサイコハザードが発生しています。
危険レベル3。現時刻より、当施設に第三次警報が発令されます。
職員は所定のマニュアルに従って各自避難してください。ルートは19、103、330を推奨。
これより210秒後に施設内の全隔壁を封鎖、ロックコードをシャッフルします。
災害発生源は動性のため、接近遭遇は可能な限り回避してください。
発生源は人間。外見的特徴、ヨーロピアン系の少年。金髪、碧眼、身長5フィート2/8、やや痩躯。グリーンの検査衣を着用。
被験者名──』

『──クリフ・ギルバート』
「ああ、これだよ」
 スピーカーから流れる無機質な声に耳を傾けていたレッドは、その声に少年の方を見た。
「……なんだと?」
 聞くまでもなかった。この警告が伝える『動性発生源』の特徴は、今目の前にいる少年と完璧に合致していた。
「だから、これが僕の名前さ」
 少年──クリフ・ギルバートはいともあっさりと言った。
それはまるで銀行窓口の順番待ちをしている主婦が「あら、わたしの番だわ」とでも言うような気安さで。
「そう言えば、僕は君の名前を知らないね。教えてくれないか?」
「……キース・レッド」
「そうか、じゃあレッド。早く僕を妹のところに案内してくれないか?」
 耳を劈くような警報が鳴り響くなか、クリフのまとう雰囲気が、とてつもなく凶暴なものへと変化していた。
逆らえば殺す、そういった感じの有無を言わせぬ殺気が彼の身体全体から発散されていた。
 だが、天邪鬼なレッドにとってそれはまったくの逆効果であり、口の端を歪めて吐き捨てる。
「『やっぱ気が変わった』って言ったらどうする気だ?」
498ヴィクティム・レッド:2007/03/12(月) 11:27:54 ID:VOomuzi+0
 その言葉にクリフは目を丸くし、そして、
「へえ……」
 これ以上ないくらいに晴れやかに、にっこりと笑った。
 次の瞬間には不可視の圧力が怒涛のようにレッドを襲い、気味の悪い音を立てて両腕があらぬ方向へ捻じ曲がった。
「がっ……!」
 思わず膝を落としたレッドの頭上から、家臣に下知を垂れる王者のように傲慢な声が降ってくる。
「いけないなあ……そんなわがままを言うもんじゃないよ。
一度案内してくれると言ったものを、そんな簡単に引っくり返すなんて不親切が過ぎるんじゃないかい? え?」
「てめえ……サイコキノか……」
「そんなことはどうでもいいだろう? 君は僕を案内してくれればそれでいいんだ。そうすれば命だけは助けてあげるよ」
 だらりと垂れ下がったレッドの腕を見下ろしながら、どこか嬉しそうにクリフがうそぶく。
 己の力を他者に見せつけるのが、たまらなく楽しいとでも言いたげであった。
 腕を苛む激痛に耐え、脂汗をだらだら流しながらも、レッドはやっとのことで言葉を搾り出す。
「──なよ」
「え? なんだって?」
「ふざけんなよ、バァカ」
「おいおい、それはないだろう」
 今度は背中から強大な圧力を加えられ、地面に押しつぶされる。床に亀裂が蜘蛛の巣のように走った。
 彼の念動力は圧倒的だった。この空間全てが彼の暴力的な意思に満たされていた。
 その気になれば、きっと目に見える範囲全てを吹き飛ばすこともできるだろう。
 レッドはその力の差を感じながらも、その一方で、彼の態度に激しい嫌悪感を抱いていた。
 その嫌な感じは、誰かに似ているような気がした。
「がっかりだよ。君も他の大人たちのように、上っ面でしか物事を見てくれないのかい?
あんなチャチな放送一つで、妹に会いたいという僕の気持ちを踏みにじるのかい?
なあ、僕はなにかおかしいことを言っているかな」
「ズレてるよな……てめえはよ」
「なんだって?」
 不思議そうに聞き返すクリフの表情が、さぁっと蒼ざめる。
499ヴィクティム・レッド:2007/03/12(月) 11:28:49 ID:VOomuzi+0
「お、お前……僕の力に……」
 レッドは立ち上がろうとしていた。
 今この空間を支配するクリフの意志に逆らい、他者を抑圧する残酷な力を捻じ曲げ、己の意志を貫こうとしていた。
「倒れろよ!」
 クリフの収斂された意識が叩きつけられ、今度こそレッドの全身が致命的なまでに捻り曲げられる。
 だが、それ以上の復元力でもってレッドの骨格が、筋肉が、元の姿を取り戻そうとしていた。
 今さらながらクリフは気が付く。
 レッドの顔面、体表面に、奇怪な幾何学的紋様が浮かび上がっていることを。
 彼の体組織が、人間のそれとは思えない奇妙な感触のものに変質していることを。
「てめえ、よ──」
 あえぎ、レッドがつぶやく。
「人にモノを頼むのにその態度はないんじゃねーのか?」
 クリフの視界が怒りで真っ赤に染まる。
「ふざっ、けるなぁ!」

 なんの前触れもなく発令されたアラートに、セピアは驚いてスピーカーを見上げた。
 ARMS『モックタートル』を発動させ、周囲を警戒する。
 そこにはなんの異常も──いや。
 今まで感じたことのない異様なエネルギーを、ここから直線距離でわずか数十メートルの位置で検出した。
 何枚も壁を隔てた向こうのことなので、その詳細は把握できない。
「きゃ……」
 セピアは強烈なARMS共振波をその肌に感じる。誰かが、いや、まず間違いなくレッドが、ARMSを戦闘状態で解放したのだ。
 体中を駆け巡る、びりびりとくる振動に耐え切れず、セピアは床にへたり込む。
 こっちのARMSの状態を制御して共振を押さえ込むが、まだむずがゆい感じが身体の表面を這いずり回っていた。
「なんなのよ、もう……」
 さっきからやかましい放送と併せて考えるに、レッドは今その『発生源』とやらと戦っているのだろう。
 レッドの元に駆けつけることを即座に思いつくが、それより先にこの子を非難させなければ──と思い直し、
「とにかく、どこか安全な場所まで避難しましょう……ってユーゴー? どうしたの!?」
 セピアのすぐ横で、ユーゴー・ギルバートも同じように床にうずくまっていた。
 だがそれはセピアのそれとは比べ物にならないくらいに深刻そうなもので、頭を抱えてがたがたと震えていた。
500ハロイ ◆3XUJ8OFcKo :2007/03/12(月) 11:54:31 ID:VOomuzi+0
書いては消し、消しては書いての変なループにはまってしまい、結局二ヶ月以上も放置してしまいました。面目ない。
つってもここ一ヶ月はなにも思いつかないで諦めてたのですが、
ふと立ち寄ったジョジョスレでSS書いてみたら意外とキーパンチが軽かったので、
「このテンションならいける!」と今度はそっち放り投げてこっちに戻ってきた次第です。
なんか我ながら不安定ですが、自分なりのペースでゆっくりと進めたいです。

>スターダスト氏
剛太がなんか可愛くて羨ましくて妬ましいです。ネコミミに膝枕とかもう……。

>銀杏丸氏
愛憎入り混じった話は大好きです。
そーか、俺のヴィクトリアたんをホムンクルスにしたのはこいつですか。けしからんですね。
俺は匹夫の勇、というか馬鹿丸出しの英雄とかは好きです。

>狂った世界で
ナルトっすね。文章が上手いなあと思いました。
大蛇丸の元に走った主人公の今後が気になります。素晴らしいツカミです。
501ハロイ ◆3XUJ8OFcKo :2007/03/12(月) 12:09:42 ID:VOomuzi+0
>ふら〜り氏
読んでいて色々勉強になります。
こういう重厚な書き方は真似できそうにない……真似したいですけど。
最近の大和が可愛くてしょうがないです。


えー、と。
前スレで「ママ・マリアは出ないのか?」と質問された方がいましたが、彼女は登場させる予定です。
それまで続けばの話ですが。無責任。

クリフ&ユーゴーはここだけのゲストキャラです。
ちゃんと書ききれるか心配ですが。
なんつーかこう、レギュラー的に登場するのはキースシリーズとドクター・ティリングハーストくらいなもので、
出来るだけ色んなキャラの前日談を書いてみたいと思ってます。
502作者の都合により名無しです:2007/03/12(月) 16:15:50 ID:7FxEhsAP0
ハロイさんは書き始めるとペースがすごいなあw
たとえゲストキャラでもクリフとユーゴーが出たのは嬉しい
ママ・マリアとバイオレット姉さんの対面は楽しみだな
503作者の都合により名無しです:2007/03/12(月) 17:11:39 ID:VOomuzi+0
近づくサイレンの音はどんどん大きくなり、わたしたちの背後で何台も車の止まる気配がしました。
それと同時に、周りから「警察が来た」とかそういったささやきが聞こえてきました。
「来るな警察!! このガキがどうなってもいいのかッッ!!」
さらに興奮を増した男によって見境なく振り回される包丁が、二度三度と赤ん坊の衣服を掠め、
「やめてください!」
閉まりきる直前の自動ドアから飛び出してきた女の人が、男の足元にすがりつきました。
「その子は私の子供です! 私が人質になりますから、その子は放してください!」
ですが、警察の登場で前後を失ったのか、それともすでに「アッパー系でドンキメ」だから正常な判断力が失われているのか、
「じゃあテメーから死ねよぉぉぉッッ!!」
男は包丁を振り上げ、
「警察だ! そこを通してくれッ!」
赤ん坊が火のついたように泣き叫び、
「なにをする気!? やめなさい、静・ジョースター!」
刃の切っ先がきらめき、
野次馬がどよめき、そして──。
わたしは男の背後に立っていました。男から奪った包丁をその手に持って。
「お、お前……なんだあ……?」
男は驚いたように、わたしと、わたしの手の中の包丁を見比べていました。
どうしてここまでの接近を許したのか、いつ包丁を取り上げられたのか、まるで分かっていないようでした。
ここにいる誰の目にも、わたしがなにかをしたのかは分からなかったでしょう。
実のところ、大したことはしていません。ただ男に駆け寄って、その手から包丁を奪い取っただけです。
……『アクトン・ベイビー』によって自分の姿を透明化しながら、ですが。
504作者の都合により名無しです:2007/03/12(月) 17:13:36 ID:VOomuzi+0
誤爆orz
505作者の都合により名無しです:2007/03/12(月) 17:22:44 ID:7FxEhsAP0
【2次】漫画SS総合スレへようこそpart47【創作】

元ネタはバキ・男塾・JOJOなどの熱い漢系漫画から
ドラえもんやドラゴンボールなど国民的有名漫画まで
「なんでもあり」です。

元々は「バキ死刑囚編」ネタから始まったこのスレですが、
現在は漫画ネタ全般を扱うSS総合スレになっています。
色々なキャラクターの新しい話を、みんなで創り上げていきませんか?

◇◇◇新しいネタ・SS職人は随時募集中!!◇◇◇

SS職人さんは常時、大歓迎です。
普段想像しているものを、思う存分表現してください。

過去スレはまとめサイト、現在の連載作品は>>2以降テンプレで。

前スレ  
 http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1168683721/
まとめサイト  (バレ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/index.htm
WIKIまとめ (ゴート氏)
 http://www25.atwiki.jp/bakiss
506作者の都合により名無しです:2007/03/12(月) 17:23:32 ID:7FxEhsAP0
オムニバスSSの広場 (バレ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/bare/16.htm
AnotherAttraction BC (NB氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/aabc/1-1.htm
聖少女風流記 (ハイデッカ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/seisyoujyo/01.htm
鬼と人とのワルツ 下・よつばと虎眼流 (鬼平氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/waltz/01.htm
Der Freischuts〜狩人達の宴〜 (ハシ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/hasi/03-01.htm
戦闘神話 (銀杏丸氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/sento/1/01.htm
フルメタル・ウルフズ! (名無し氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/fullmetal/01.htm
永遠の扉 (スターダスト氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/eien/001/1.htm
WHEN THE MAN COMES AROUND (さい氏)
 http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/105.html
507作者の都合により名無しです:2007/03/12(月) 17:25:58 ID:7FxEhsAP0
508作者の都合により名無しです:2007/03/12(月) 17:29:17 ID:7FxEhsAP0
今回は今年、まだ連絡のない方についてテンプレより外しました。
復帰を心からお待ちしております。
(バレさんは一月初めにサイト更新していたのでギリギリ残しました。
 復帰もしくはご連絡を心から待ってます)
ミドリさん、しぇきさん、17さん、一真さん、そしてサナダムシさん。
復帰とご連絡をお待ちしております・・。

ゴートさんお疲れ様です。助かりました。
でも、妙にアドレスながいのが2つw

立てれるなら次スレ立ててみます。
509作者の都合により名無しです:2007/03/12(月) 17:35:40 ID:7FxEhsAP0
510ヴィクティム・レッド:2007/03/13(火) 01:26:51 ID:Bwb449pn0
「くそ……なんで死なないんだ、レッド」
 レッドは超能力者ではない。なので、サイコキネシスを振るうことが術者にとってどれほどの負担になるか想像もつかない。
 だが素人目にもクリフは疲弊しきっていた。汗をだらだら流し、息は荒く、こめかみがぴくぴくとチック症を引き起こしていた。
 わずか数分の戦闘ですら、彼の意識に多大な精神的負荷を及ぼすらしい。
 限界が近い。小刻みに動き回って攻撃を避け続ながらそう判断したレッドは、
勝負を決めるべく両腕の刃に振動波を流し込んだ。
 先のクラーク・ノイマン少佐との死闘で獲得した、分子結合を破壊するバイブレーションであった。
 果たして、がくりとクリフの身体が崩れ、周囲に渦巻いていたサイコキネシスが消失する。
「もらった!」
 交差する両腕をスライドさせながらクリフに飛び掛り、その時、
「ユーゴー……」
 虚脱状態にあるクリフがつぶやく。
 その一言はどんな念動力よりも強くレッドを揺さ振った。
 「人の心が分からないんですか」とレッドに言った少女、
 「わたしはレッドを理解しようとしている」と寂しそうにつぶやくセピア、
 寄り添って泣く二人。
 そんな意味のない光景がレッドの脳裏に蘇り、その切っ先が鈍る。
 ──それが正しかったのか、間違っていたのか、それは誰に分からないだろう。
 だが、その鈍った一瞬こそは、両者にとって取り返しのつかない時間だった。
 クリフの内部から、強大な力が突如として爆発的に膨れ上がる。
 床を叩き割り、壁に穴を開け、周囲のありとあらゆるものを飲み込んで肥大してゆく。
 その奔流に為すすべなく吹き飛ばされながら、レッドは己の思い違いに気づく。
 限界が近い。
 そう、それは間違っていない。
 だがその限界とはあくまで「能力を制御できる限界」であり、その一線を見失ってしまったクリフ・ギルバートは、
ひたすらに破壊を振りまくだけの、暴走する怪物と成り果てたのだ。
 それはさながら、知性も気高さもなく、妄念のみでこの世の暗黒から這い出る──魔王のように。
511作者の都合により名無しです:2007/03/13(火) 21:11:59 ID:U9hB7aue0
これ誤爆?w
512作者の都合により名無しです:2007/03/14(水) 20:49:47 ID:vcWNqwck0
支援
513作者の都合により名無しです:2007/03/14(水) 21:04:52 ID:vcWNqwck0
ハロイさんどうしたんだろ?
規制?
514作者の都合により名無しです:2007/03/15(木) 13:48:53 ID:x2iAJ6JF0
なんとなく保守
515作者の都合により名無しです:2007/03/21(水) 22:52:18 ID:bNeJspYz0
保守
516作者の都合により名無しです:2007/03/23(金) 00:17:55 ID:LLxVG98N0
支援
517作者の都合により名無しです:2007/03/23(金) 23:14:11 ID:LLxVG98N0
支援
518作者の都合により名無しです:2007/03/23(金) 23:14:59 ID:LLxVG98N0
支援
519作者の都合により名無しです:2007/03/24(土) 03:41:13 ID:zPcVBKyj0
次スレ

【2次】漫画SS総合スレへようこそpart47【創作】
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1173688295/
520作者の都合により名無しです:2007/03/25(日) 15:39:54 ID:5ml1gH1a0
ごめんなさいorz
リロード忘れてました
521作者の都合により名無しです:2007/03/25(日) 15:56:50 ID:FTIGdGLwO
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522作者の都合により名無しです
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