スレタイ:ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.8

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1作者の都合により名無しです
このスレは週刊少年ジャンプのキャラクターで所謂バトルロワイアルのパロディをしようという企画スレです。
これはあくまで二次創作企画であり、集英社や各作品の作者等とは一切関係ありません。
それを踏まえて、みんなで盛り上げていきましょう。

※ここはSS投下専用スレになります。感想、議論は下のスレでお願いします。
ジャンプキャラ・バトルロワイアル感想議論スレ PART.17
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1142180669/
2作者の都合により名無しです:2006/03/30(木) 22:02:02 ID:9t9LcSTi0
前スレ
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.7
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1141575538/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.6
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1139506098/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.5
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1137897651/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.4
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1132239130/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.3
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1123891185/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.2
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1121088002/
ジャンプキャラ主人公&ヒロインバトルロワイアル
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1115216913/
ジャンプキャラ・バトルロワイアルSS投下専用スレ PART.1
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1119971124/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル準備スレ PART.2
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1116767239/
ジャンプキャラバトルロワイアル準備スレ PART.3
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1117638620/
3作者の都合により名無しです:2006/03/30(木) 22:02:33 ID:9t9LcSTi0
4作者の都合により名無しです:2006/03/30(木) 22:11:09 ID:RR72d+e+0
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
 勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
 開催場所は作られた「ミニ日本」であり現実世界ではない。海上に逃れようと閉鎖空間の壁にぶつかり脱出は不可。

【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランダムアイテム」

 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。
 「地図」 → 白紙、禁止エリアを判別するための境界線と座標のみ記されている。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。 (デスノートへの記入含む)
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前がのっている。 (ただし写真なし。デスノート対策)
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが一つ入っている。内容はランダム。

※「ランダムアイテム」は作者が「エントリー作品中のアイテム」と「現実の日常品」の中から自由に選んでください。 
 必ずしもデイパックに入るサイズである必要はありません。
 また、イベントのバランスを著しく崩してしまうようなトンデモアイテムはやめましょう。
5作者の都合により名無しです:2006/03/30(木) 22:11:48 ID:RR72d+e+0
【「首輪」と禁止エリアについて】
 ゲーム開始前からプレイヤーは全員、「首輪」を填められている。
 首輪が爆発すると、そのプレイヤーは死ぬ。(例外はない)
 開催者側はいつでも自由に首輪を爆発させることができる。
 この首輪はプレイヤーの生死を常に判断し、開催者側へプレイヤーの生死と現在位置のデータを送っている。
 24時間死者が出ない場合は全員の首輪が発動し、全員が死ぬ。
 「首輪」を外すことは専門的な知識がないと難しい。
 下手に無理やり取り去ろうとすると首輪が自動的に爆発し死ぬことになる。 
 プレイヤーには説明はされないが、実は盗聴機能があり音声は開催者側に筒抜けである。
 開催者側が一定時間毎に指定する禁止エリア内にいると首輪が自動的に爆発する。

【放送について】
 放送は6時間ごとに行われる。放送は魔法により頭に直接伝達される。
 放送内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」「過去6時間に死んだキャラ名」「残りの人数」
 「管理者(黒幕の場合も?)の気まぐれなお話」等となっています。

【能力の制限について】
 超人的なプレイヤーは能力を制限される。 また、超技術の武器についても同様である。

 ・攻撃制限例(ドラゴンボール)
  エネルギー弾の威力→普通の拳銃レベル
  かめはめ波の威力→マグナムよりは強い。大木が1本倒れるくらい。
  元気玉の威力→……使えるのか?使えたとして、半径50m位のクレーターが出来る。

 ・耐久度制限例
  一般人の強さを1として
  一般人→1
  超人→3(普通の銃では致命傷にならない。ショットガンクラスが必要)
  人外→5 (拳銃程度なら怯むだけ。マグナムクラスで気絶)
6作者の都合により名無しです:2006/03/30(木) 22:13:24 ID:RR72d+e+0
・超人的な再生、回復能力を持つキャラの制限(※一般人には適用されません)
  軽度の銃創…安静にしていれば数十分で癒える。
  骨折…安静にしていれば数時間で癒える。
  重度(目や肺)の銃創…安静にしていれば1日で癒えるが体力消耗
  切断(腕や脚)…切られた部分をくっつけて置いて、安静にして丸1日を要する。
  再生…瞬時に再生できるが体力を相当消耗する。 体力回復は1日や2日では無理
  切断(胴や首)、銃弾心臓or脳貫通…シボンヌ
 
・魔法や気などの威力制限案
  エネルギー弾の威力→普通の拳銃レベル。連発も可能。
  必殺技の威力→木が1本倒れるくらい。けっこう消耗する。
  超必殺技の威力→一般家屋破壊。消費も凄まじい。1日1発が限度。

【舞台】
主催者3キャラの作った仮想空間が舞台で
面積は東京23区の半分程度(80u)
地形は日本列島(沖縄県、他島は除く)
   季節は北海道 冬   日本海側 秋
      太平洋側 秋  九州、四国 夏 

乗り物は列島の端と端をつなぐ無人蒸気機関車が定期的に走っている。

都市部はあるが無人。主催者側が人間の世界を模して作成したものなので
実際に生活できるようには作られていない。人の痕跡なし。ガス、水道、電気
食料なし。建物が密集しており隠れるのに最適……かもしれない。

海は移動禁止区域。入ると脱出者とみなされて首輪爆発。
7作者の都合により名無しです:2006/03/30(木) 22:14:20 ID:RR72d+e+0
【NGについて】
・ssが投下された後、
 @48時間以内に正当な理由あるNG審議要請が出され、
 Aその要請に基づいて皆で議論し、NGが妥当とされた場合、
作者は48時間以内に意思表明をする。
そして修正する意思があるならそこから48時間以内に修正ss投下。
規定時間内に意思表示がなされなかった場合、該当ssをNG認定する。
・ただしNG認定後、当該SS登場キャラに
新しい動きがないうちに修正SSを書き上げたなら自由に投下可能
・スレの意志の大半に支持されて修正要請がされて48時間以内なら何回でも修正は可
8作者の都合により名無しです:2006/03/30(木) 22:15:26 ID:+s5nmJWH0
2/4【こち亀】○両津勘吉 /○秋本麗子 /●中川圭一 /●大原大次郎
2/4【NARUTO】○うずまきナルト /○春野サクラ /●大蛇丸 /●奈良シカマル
2/4【DEATHNOTE】●夜神月 /○L(竜崎) /○弥海砂 /●火口卿介
3/4【BLEACH】●黒崎一護 /○藍染惣右介 /○更木剣八 /○朽木ルキア
3/4【ONE PIECE】○モンキー・D・ルフィ /○ニコ・ロビン /○ウソップ /●道化のバギー
1/4【銀魂】●坂田銀時 /●神楽 /●沖田総悟 /○志村新八
2/4【いちご100%】●真中淳平 /○西野つかさ /○東城綾 /●北大路さつき
2/4【テニスの王子様】○越前リョーマ /●竜崎桜乃 /●跡部景吾 /○乾貞治
3/4【アイシールド21】○小早川瀬那 /○蛭魔妖一 /○姉崎まもり /●進清十郎
0/4【HUNTER×HUNTER 】●ゴン・フリークス /●ヒソカ /●キルア・ゾルディック /●クロロ・ルシルフル
2/5【武装錬金】●武藤カズキ /○津村斗貴子 /●防人衛(C・ブラボー) /●ルナール・ニコラエフ /○蝶野攻爵(パピヨン)
1/5【SLAM DUNK】●桜木花道 /●流川楓 /●赤木晴子 /●三井寿 /○仙道彰
3/4【北斗の拳】○ケンシロウ /○ラオウ /○アミバ /●リン
2/4【キャプテン翼】○大空翼 /●日向小次郎 /●石崎了 /○若島津健
3/4【キン肉マン】○キン肉スグル /○ウォーズマン /○ラーメンマン /●バッファローマン
4/4【ジョジョの奇妙な冒険】○空条承太郎 /○ディオ・ブランドー /○エリザベス・ジョースター(リサリサ) /○ブローノ・ブチャラティ
2/4【幽遊白書】●浦飯幽助 /○飛影 /○桑原和馬 /●戸愚呂兄
1/4【遊戯王】●武藤遊戯 /●海馬瀬人 /●城之内克也 /○真崎杏子
1/4【CITY HUNTER】●冴羽リョウ /●伊集院隼人(海坊主) /○槇村香 /●野上冴子
3/4【ダイの大冒険】○ダイ /○ポップ /●マァム /○フレイザード
2/5【魁!!男塾】●剣桃太郎 /●伊達臣人 /●富樫源次 /○江田島平八 /○雷電
2/4【聖闘士星矢】○星矢 /●サガ /●一輝 /○デスマスク
2/4【るろうに剣心】○緋村剣心 /○志々雄真実 /●神谷薫 /●斎藤一
5/6【DRAGON BALL】○孫悟空 /○クリリン /●ブルマ /○桃白白 /○ピッコロ大魔王 /○ヤムチャ
4/4【封神演義】○太公望 /○蘇妲己 /○竜吉公主 /○趙公明
1/4【地獄先生ぬ〜べ〜】○鵺野鳴介 /●玉藻京介 /●ゆきめ /●稲葉郷子
4/4【BLACK CAT】○トレイン・ハートネット /○イヴ /○スヴェン・ボルフィード /○リンスレット・ウォーカー
1/4【BASTARD!! -暗黒の破壊神-】●ダーク・シュナイダー /○アビゲイル /●ガラ /●ティア・ノート・ヨーコ
1/5【ジャングルの王者ターちゃん】○ターちゃん /●ヂェーン /●アナベベ /●ペドロ・カズマイヤー /●エテ吉
3/4【とっても!ラッキーマン】○ラッキーマン(追手内洋一) /●勝利マン /○友情マン /○世直しマン
3/4【世紀末リーダー伝たけし!】○たけし /○ボンチュー /●ゴン蔵 /○マミー
70/130 (○生存/●死亡)
9あかるいゲーム終了計画 ◆saLB77XmnM :2006/03/30(木) 23:07:15 ID:huWWz4Pp0
「ヤムチャさ〜ん…今何時かわかってますよね?」
「ん? ああ、もうすぐ放送だな」
長野を目指し、夜には到着する予定だったヤムチャとお守り(サクラ)。
二人は今、長野の一歩手前、岐阜県の山道を歩いていた。
「そう! もうすぐ放送ですよ! 長野で強い反応があってもう半日以上! これじゃあ悟空さんがまだ長野にいるかわかりませんよ!?」
「いまさら言ったってしょうがないだろ? こちとら隠密行動をとりながらここまで来たんだ。夜までにつければ万々歳じゃないか」
正直、この計画には無理があったのかもしれない。
長野県で大きな反応があったといっても、それは午前中のことだ。
両津からスカウターを託され、隠密行動をとりながらここまで来たが、ここまで時間が経過してしまっては、もはやそこに反応の主がいるかは疑わしい。
「まあ嘆くんなら着いてからにしようぜ。ひょっとしたら、まだそこに留まってくれてる可能性もあるんだから」
「悠長ですね……え?」
ヤムチャの楽天的な態度にサクラが呆れていると、スカウターに新たな反応が。
「どうしたサクラ?」
「誰かが物凄いスピードで走っています。結構強い反応みたいですけど……」
「なっ!?おいおい、まさかこっちに向かってきてるなんてことはないだろうな?」
「それは大丈夫みたいです。距離はだいぶあるみたいだし、私達に気づくことも…」
ないでしょう――サクラがそう言おうとした、正にその時だった。
「な「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
サクラの声は、その脳を揺さぶるほどの叫び声によって掻き消された。
突然の絶叫を耳にし、心臓が跳ね上がる。どこに殺人者が潜んでいるとも知れない山の中、急に驚かされればそうなるのも当然。
だがヤムチャは、サクラとは違う理由で心拍数を上げていた。
「おい、まさか、今の声は、ごく――
               ――いまだ生を謳歌しているという幸運に恵まれた者たちよ、


第三放送が、歓喜しようとしたヤムチャを制した。
10あかるいゲーム終了計画 ◆saLB77XmnM :2006/03/30(木) 23:07:59 ID:huWWz4Pp0
「ブルマが…………クソッ!」
「そんな……シカマルが…………?」
第三放送の内容は、これまでなんの被害もなかった二人にとって初めての衝撃だった。
死者を告げるバーンの言葉の中には、ヤムチャの恋人であったブルマの名と、サクラと同じ里の仲間であるシカマルの名が。
二人して知り合いを失ってしまった。悲劇だ。
愕然と項垂れるヤムチャとサクラは、しばらくその場を動けなかった。
互いに口もきかず、ひたすら仲間の死を知ってしまった悲しみに耐える。
やがて、先に立ち直り声をかけたのは、サクラの方だった。
「……あの、ヤムチャさん。そういえばさっきの叫び声、何か言いかけてましたけど……誰か知っている人のモノだったんですか?」
「……ああ、たぶんあれは悟空の声だ」
「えぇ!? じゃ、じゃあ早く追わないと!」
「ああ、そうだな……」
口ではそういっても、ヤムチャは身体を動かそうとはしない。
よっぽどブルマが死んだという現実が堪えたようだ。
「ブルマ……ちくしょうっ……!」
いつまで経っても立ち上がらず、それどころか座り込んだまま顔も上げず、ヤムチャは乱暴に地面を殴る。
「ヤムチャさん! 大切な人が死んで辛いのはわかります。でも、探し人がすぐ近くにいるんですよ! 立ち上がって、悟空さんを追いましょう」
ヤムチャの気持ちは痛いほどわかる。
サクラとて仲間の死を知ってショックを受けているし、もし愛しのサスケが死んでしまったりなどしたら…サクラは一生立ち直れないかもしれない。
だが今は現実を見るべきだ。
ヤムチャにもサクラにも、まだ死なせたくない人はいる。
自分たちが生き残るためにも、悟空の力は絶対に必要だ。
だったら、こんなところでくよくよしている場合ではない。
――と、まだ年端もいかない少女であるサクラが感じているのに、ヤムチャはやはり動こうとしない。ひたすらに地面を殴り続けている。
サクラは、そんなヤムチャにだんだんイラつき始めていた。
11あかるいゲーム終了計画 ◆saLB77XmnM :2006/03/30(木) 23:08:35 ID:huWWz4Pp0
ヤムチャを見ていると――そう、あの少年を思い出す。
いつも自分の周りをうろうろして、勝手なことを言って先走って、それで失敗すれば酷い落ち込みようを見せる。はっきり言って、そのころの『アイツ』といったらウザイことこのうえなかった。
だが……そんな『アイツ』も三年の間に変わっていた。少なくとも、今はもう昔の『アイツ』じゃない。
ヤムチャを見ていると、あの頃の『アイツ』――かつてのうずまきナルトを思い出してしまうのだ。
「ヤムチャさん」
「え?」
何を思ったかサクラはヤムチャの正面に立つと、いきなり拳を振りかぶり、
「しゃーーーーーんなろぉーーーーー!!!」
顔面めがけてパンチッ!
「ぎゃふんっ!?」
情けない声と共に、顔面を強打されるヤムチャ。殴られた意味が分からず、目を白黒させてサクラの方を向く。
「さ、サクラ!? いきなりなにするんだっ」
「あーもう、うるさい! いつまで経ってもウジウジウジウジウジウジウジウジ、このウジウジ君が!! はっきり言ってキモイ、ウザイ、うっとうしいのよ!!」
「え、え、えぇ!?」
サクラからの思いもよらない罵倒の嵐に、ヤムチャの心は深く沈みこむ。
だが、なにもサクラはヤムチャを余計に落ち込ませようとして殴り飛ばしたわけではない。
「あんた見てるとイライラしてくんのよ! 男だったらもっとしゃきっとしなさい! 今やらなきゃいけないことくらいわかるでしょ!?」
「サク……ラ……」
そう、いわばこれは愛の鞭。
いくら言葉で言っても通じぬというのなら、拳で分からせてやればいい。
なんとも男らしい、サクラなりのヤムチャへの救済処置だった。
もちろんこの拳の意味が分からぬほど、ヤムチャは馬鹿な男ではない。
「……すまないサクラ。そうだよ……なに弱気になってるんだ俺」
決意の意を示し、ヤムチャが立ち上がる。
その瞳は、もはやウジウジ君のものではなかった。
「悟空を、追おう」
「……はい!」
12あかるいゲーム終了計画 ◆saLB77XmnM :2006/03/30(木) 23:09:34 ID:huWWz4Pp0
悟空過ぎ去りし後、その場に残っていたのは二人の戦士。
「ドラゴンボール……か。俄かには信じがたい話だが……」
「そうかもしれない。でも俺はそのドラゴンボールで確かに生き返ったことがあるんだ」
クリリンが斗貴子にした話はこうだ。
クリリンの住む世界には、七つ集めるとどんな願いも叶えることができるという『ドラゴンボール』なる不思議な玉が存在する。
それを使えば、人を生き返らせることも容易く、このゲーム自体も最初からなかったことにできるらしい。
だがそのドラゴンボールは、このゲームに参加しているピッコロという人物が死んでしまうと効力を失ってしまうらしい。
だからクリリンはピッコロを優勝させ、元の世界に戻ってからドラゴンボールでゲームをなかったことにしてもらうつもりでいるそうだ。
そのために、既に何人かの参加者を手にかけたことも、全て包み隠さず斗貴子に話していた。
「私たちを尾行していたのも、機を窺っていたというわけか」
「……その通りだよ。俺はあんたたちを殺そうとしてた。本当に……ごめん」
「…………」
罪もない弱者を殺して回る殺人者。
ホムンクルスとなんら変わりない悪。
本来の斗貴子なら、許せるような心は持ち合わせないだろう。
しかしその裏では、あまりにも重い使命が潜んでいることにも気づいていた。
その使命に一人苦しみ、全員の生存を望んでいるこの青年を……だれが責めることができようか。
「お願いだ、斗貴子さん。ピッコロを優勝させるために……俺に協力して欲しい!」
「……それは、私に罪もなき参加者を殺せということか」
そんな悪態、錬金の戦士の風上にも置けない行為だ。
その影にどんな思惑が潜んでいようとも、戦士としての誇りを持つ斗貴子が安々と協力できるはずもなかった。
だが……
(もしこの計画がうまくいけば、カズキや戦士長……ケンシロウが言っていたリンという少女……月君の仲間……桑原君の仲間も……みんな生き返る)
脱出や主催者打倒などよりも、よっぽど平和的な解決方法。
この計画がうまくいけば、結果的に誰一人死傷者を出さずに終わらせられるのだ。
「戦士として、より多くの人々を救うため」
「え?」
斗貴子の言葉に迷いはなかった。むしろ決意に満ちた瞳をしている。
「私は、あえて汚名を被ろう」
「それじゃあ――」
「おーい!」
クリリンの言葉を遮るように、遠くから声が聞こえた。
13作者の都合により名無しです:2006/03/30(木) 23:09:50 ID:kF+gxmD30
ヤムチャ、ワロス
14作者の都合により名無しです:2006/03/30(木) 23:11:26 ID:kF+gxmD30
ヤムチャじゃクリリンには適わんだろ
15あかるいゲーム終了計画 ◆saLB77XmnM :2006/03/30(木) 23:12:15 ID:huWWz4Pp0


「まさか……ヤムチャさんに会えるなんてね」
「俺もまさか、悟空を探している途中にクリリンに会えるとは思わなかったぜ」
懐かしい戦友との会話の最中、クリリンと斗貴子はサクラによる怪我の治療を受けている。
最初はいきなり声を荒げたヤムチャに怒り心頭のサクラだったが、それがヤムチャの仲間であると知って安心した。だから、なんの心配もせずに治療を続ける。
傍らに焼け焦げた死体があったのが気になって、ここで起こった一連の騒動も説明された。
やはり悟空はここを通ったそうだ。その際に、一人の男を殺していって。それが、鵺野の探していた伊達臣人であるとは露とも思わず。
「君も……クリリンの仲間なのか。だったら、君たちもピッコロという者を優勝させるために動いているのか」
「は? ピッコロを優勝させる? なんで?」
斗貴子の質問に、ヤムチャは顔をしかめる。
ヤムチャには、クリリンのような妙案は考え付かなかったのだ。
「そうだな……この際、ヤムチャさんにも協力してもらおうかな」
「協力? いったい何の話だ?」
疑問符を浮かべるヤムチャに、クリリンは斗貴子と同様にドラゴンボールのことを話すことにした。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

数秒前まで悲しみにくれていたヤムチャは、今は不謹慎なほどに浮かれていた。
「――そうか! その手があった! なんでもっと早く思いつかなかったんだろう!? やっほう!!」
「そんな、そんなことが、本当に……?」
クリリンが話したのは、ドラゴンボールを使ってこのゲームをなかったことにする計画。
ピッコロと言う参加者を優勝させれば、死んだものも全員生き返るという嘘のような話。
その話にヤムチャは「なるほど」、サクラは「そんな馬鹿な」と、一方は信じ、一方は信じることができなかった。
「本当に可能なんだよ。実際、俺はそのドラゴンボールで生き返ったことがある。それに俺はそのために、ここで何人かの参加者を殺した……」
自分がやってきた所業も包み隠さず、ヤムチャにいらぬ誤解を与えぬようブルマのことだけは伏せて、ヤムチャとサクラを納得させようとした。
(ドラゴンボール……もし本当なら、シカマルも生き返る。大蛇丸だけ死んだままってことは出来ないのかな……?)
魅力的な話だが、やはりその存在を知らないサクラは、安易に信用することが出来なかった。
『忍は裏の裏を読め』
彼女の班の上忍、はたけカカシが口をすっぱくして言っていた教え。
この青年、ヤムチャの仲間であることは確かなようだが、はたして安易に信用していいものか……?
16あかるいゲーム終了計画 ◆saLB77XmnM :2006/03/30(木) 23:13:48 ID:huWWz4Pp0
難しい顔をするサクラに、ヤムチャは陽気に話しかけた。
「心配すんなよサクラ! ドラゴンボールさえあれば、おまえの仲間も生き返る。よっしゃあ、そうと決まればまず悟空だな! あいつも探して協力してもらおう!」
当初は悟空の力を主催者、つまりフリーザとの戦いにのために求めていたのだが、ドラゴンボールさえあればそんな必要もない。
ゲーム脱出より安全で確実な方法をとり、フリーザはそれから倒せばいい。
目の前に飛び込んできた奇策に、ヤムチャは浮かれまくっていた。
「で、でもヤムチャさん、それだとみんな一度は死ななきゃいけないんですよ!?」
「それくらいどうした。大丈夫、悟空のかめはめ波なら苦しまず一発で終わらせてくれるさ」
ヤムチャは、このゲームに悟空以上の実力者が潜んでいるという心配など微塵もしていなかった。
悟空さえ見つかれば、あとはピッコロを優勝させるだけ。そして、悟空の居場所はもうわかっている。
「じゃあ、もし先にピッコロって人が死んじゃったらどうするんですか!?」
「それはないと思うよ。ピッコロはあれで悟空と同じくらい強いし。少なくとも、あいつが悟空以外の人間に負けるなんて考えられないなぁ」
今度はクリリンが答える。
確かに、クリリンが知るピッコロは悟空と同じくらい強い。
自分が今まで戦ってきた参加者たち――キャプテン・ブラボーにファルコン、どちらも強かったが、ピッコロの足元には及ばない。
だから、ピッコロの脱落はありえないのだ。
えらく自信満々な二人だったが、サクラはそれでも不信感を拭えなかった。
「それとヤムチャさん、悟空だったらちょっと前までここにいたんだけど、なんか様子が変だったんだ。えらく錯乱していたっていうか……なんかいつもの雰囲気じゃなかった」
「腹が減って気が立ってたんじゃないか? それかもしかしたら悟空もクリリンと同じことを考えていて、積極的に参加者を減らしているのかもしれないぜ」
「そうなのかなぁ……」
「まあそんなことは悟空に直接会って聞けばわかるだろ。まだこの近くにいるってんなら、俺たちにはスカウターがあるしな。大急ぎで追えば悟空にも会えるだろ」
ヤムチャとクリリンの会話の中、サクラは必死に今後どうするべきかを考えていた。
ヤムチャはすでにクリリンに協力する気満々のようだが……もし協力するにしても、両津たちにも連絡を取っておく必要がある。
第一に成し遂げるべきなのは、本来の目的である悟空捜索だろうか。その場合、クリリンや斗貴子たちとも行動を共にすることになるのだろうか。
17あかるいゲーム終了計画 ◆saLB77XmnM :2006/03/30(木) 23:14:35 ID:huWWz4Pp0

ヤムチャとクリリンがこれからのことを話し合っている中、サクラがどうするべきか悩んでいる最中、斗貴子は、一つの死体と対面していた。
「そんな……どうして……!?」
その死体とは、クリリンの話のせいで忘れかけていた、仲間のもの。
木片に背中を貫かれ死亡している……夜神月の死体だった。
この木片は悟空のかめはめ波によって飛び散ったものだろうか。
確かにあたりには半壊した木が転がっているが……こうも運悪く背中を貫いたりするものだろうか。
もしや、あの戦闘に乗じて誰かに襲われたのではないか、とも考えたが、月の荷物にはまったく手がつけられていない。彼のポケットに納まっていたパンツも健在だった。
やはり不幸な事故か……その結論にたどり着こうとした斗貴子は、あることに気づいた。
友情マンの姿がない。
どこを探しても、あの不審な動きを見せていたホムンクルスもどきがいない。
いったいどこに消えたのか――なぜ姿を見せなかったのか――なぜ月が死んだのか――
「まさか……!」
巡ってきたのは一つの仮定。
姿のない友情マン。不自然な月の死体。手付かずの荷物。
もしかしたら……これは友情マンの仕掛けた罠ではないか。
最初から参加者を減らすことを企て、そのために行動をともにして、チャンスが巡ってくれば躊躇なく殺す。月の荷物も、事故に見せかけるために放置していったのだとしたら。
そう考えれば不自然ではないが……だが、気になる点が一つ。
もしゲームに乗ったステルスマーダーであったというのなら、なぜあの場で自分とクリリンを殺していかなかったのか。
二人とも手負いの身、あの混乱に乗じれば十分勝機はあったはずだ。
それでもそうしなかった理由。考えられることといったら、それより優先すべきことができた、ということ。
あの時点でそんな要素があったとしたら……
「孫悟空か」
もしかしたら、友情マンは彼と接触を図ろうとしたのかもしれない。
自分たちに見切りつけ、新たな仲間の下で暗躍を図ろうとしているのだとしたら……
「……生かしてはおけないな」
それは、とんでもない悪だ。
この考えはすべて家庭でしかないが、真実である可能性も十分にある。
もし再度友情マンと出会うことになったら、心してかからねば、と斗貴子は心に決めた。
18あかるいゲーム終了計画 ◆saLB77XmnM :2006/03/30(木) 23:16:49 ID:huWWz4Pp0
斗貴子たちは月と伊達の死体を埋葬し、これからの行動を練っていた。
「で、これからどうする? やっぱり悟空を追うのか?」
「それが私達の当初の目的ですけど、ピッコロって人を優勝させるつもりなら一度両津さん達と合流した方がいいと思うんですけど」
「私は名古屋城でケンシロウという仲間を待たせている。六時に落ち合う約束をしていたから、今すぐにでもそこに向かいたいのだが」
「でも悟空も放っておいたらどこにいくか分からないしなぁ。追いかけるなら早い方がいいよな」
最も優先すべきはなにか。
こうやって話をしている時間も惜しいところ、四人は一番効率的な方法をとることにした。
「――じゃあ、俺とサクラはこのまま悟空の捜索を続ける。クリリン達は名古屋城で待機、集合は次の放送ってことでいいな?」
「了解だ。おそらく悟空の傍には友情マンがいるはずだ。十分に気をつけてくれ」
「もし私達が次の放送までに戻ってこなかったら、そのまま兵庫に向かってください。明後日の朝になれば、そこに私達の仲間がいるはずですから」
「斗貴子さんはそのケンシロウって人と落ち合えなかったら、東京に行くんだよね? だったらその場合兵庫に行くのは俺一人か」
彼らが決断した行動方針はこうだ。
まずヤムチャとサクラは、今までどおりスカウターを駆使して悟空の捜索。
途中斗貴子から聞いた友情マンという妙な姿の輩に出会ったら、十分に警戒してあたること。
友情マンはヤムチャ達の素性を知らないので、その面でも都合がいい。
悟空との接触が成功してもしなくても、次の放送、深夜零時までには名古屋城に戻る。
斗貴子とクリリンは、名古屋城でケンシロウと合流。
ドラゴンボールのことを伝え、協力してもらうように交渉。
そして、そのままヤムチャ達が帰るまで待機。
二人はまだ完全に傷も癒えたわけではないので、これも無難な人選といえる。
19作者の都合により名無しです:2006/03/30(木) 23:19:34 ID:kF+gxmD30
よくそんなに書けるね。
本でも出したら?
20あかるいゲーム終了計画 ◆saLB77XmnM :2006/03/30(木) 23:19:52 ID:huWWz4Pp0
「それじゃあ、次に会うのは放送だな。おっしゃ! 行くぜサクラ!」
「あ、待って下さいよヤムチャさん」
次の行動が決まると、早々に立ち去るヤムチャ。スカウターの反応を頼りに、狼我と忍の二人は悟空捜索へと戻っていった。
「じゃあ、斗貴子さん。俺達も名古屋城に急ごうか」
「ああ」
そこに、初見の時のような警戒心はない。
斗貴子とクリリンはゲームを『最善の方法』で終わらせるため、志を同じくする同志となったのだ。最も、それが本当に『最善』であるかは、闇の中。
それでも今だけは……真実を知らない間だけは、戦士としての使命を全うする。
(戦士長……月君……カズキ。みんな……必ず私が生き返らせてみせる!)
ポケットにしまい込んだ月の遺品……イヴのパンツを握る手に、力が込められた。

【岐阜県南部/森/夜】
【錬金Z戦士同盟】
【津村斗貴子@武装練金】
[状態]:軽度の疲労。左肋骨二本破砕(サクラの治療により、痛みは引きました)
[装備]:ダイの剣@ダイの大冒険、ワルサーP38、リーダーバッチ@世紀末リーダー伝たけし!、首さすまた@地獄先生ぬ〜べ〜
[道具]:荷物一式(食料と水を四人分、一食分消費)、ショットガン、真空の斧@ダイの大冒険、子供用の下着
[思考]1.名古屋城に戻り、ケンシロウと合流。協力を仰ぐ。
   2.零時まで名古屋城で待機、ヤムチャたちの帰りを待つ。その後、兵庫で両津たちと合流。ケンシロウが現れない場合は、単身東京タワー南東にある芝公園へ。
   3.クリリンの計画に協力。参加者を減らす(ゲームに乗っている者を優先)。
   4.人を探す(カズキ・ブラボー・ダイの情報を持つ者を優先)。
   5.友情マンを警戒。

【クリリン@ドラゴンボール】
[状態]:中度の疲労、気は空、わき腹、右手中央、左腕、右足全体に軽度の怪我(サクラの治療により、痛みは引きました)
[装備]悟飯の道着@ドラゴンボール
[道具]:荷物一式×3(4食分を消費・月のもの)
[思考]1:斗貴子と共に名古屋城に戻り、ケンシロウと合流。協力を仰ぐ。
   2:零時まで名古屋城で待機、ヤムチャたちの帰りを待つ。その後、四国で両津たちと合流。
   3:できるだけ人数を減らす(一般人を優先)。
   4:ピッコロを優勝させる。
   5:友情マンを警戒。
21あかるいゲーム終了計画 ◆saLB77XmnM :2006/03/30(木) 23:20:51 ID:huWWz4Pp0
【ヤムチャとお守り】
【春野サクラ@ナルト】
[状態]:若干の疲労
[装備]:スカウター@ドラゴンボール
[道具]:荷物一式(一食分の食料を消費、半日分をヤムチャに譲る)
[思考]:1.スカウターを使って隠密行動をしながら、ヤムチャと共に悟空を探し仲間を増やす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの話は信じきれていない(人数減らしには消極的)。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。
    7.ナルトと合流する。

【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.悟空を探す。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。
[備考]:かなり気が緩んでいる。

※伊達と月の死体は埋葬しました。
22あぼーん:あぼーん
あぼーん
23あぼーん:あぼーん
あぼーん
24あぼーん:あぼーん
あぼーん
25あぼーん:あぼーん
あぼーん
26あぼーん:あぼーん
あぼーん
27あぼーん:あぼーん
あぼーん
28作者の都合により名無しです:2006/03/31(金) 12:16:36 ID:eLeM04Ba0
なんか可哀想になってくる
よっぽど実りのない人生を歩んでるんだろうな・・・
29あぼーん:あぼーん
あぼーん
30あぼーん:あぼーん
あぼーん
31あぼーん:あぼーん
あぼーん
32あぼーん:あぼーん
あぼーん
33あぼーん:あぼーん
あぼーん
34ヤムチャの世界〜閃武学園激動伝〜:2006/03/31(金) 13:20:19 ID:JtGdTUC40
ヤムチャ達は九州に着ていた。
適当に歩いていると前方に3人の人影が見えた。

「ターゲット発見 躁気弾!!」

離たれた閃光は、ターゲットの一人、パピヨンの胸部を貫く。
さらに、2人目のポップの股間をグロテスクに貫通した。
そして、それは最後のターゲットウソップに襲いかかろうとするが、

ドン!!!

突然、左側面に激しい衝撃。

「誰ですか?あなた」
「おれの名はタカヤ。お前を殺しに来た」
35ヤムチャの世界〜閃武学園激動伝〜:2006/03/31(金) 13:24:10 ID:JtGdTUC40
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.全員をころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。

【パピヨン@死亡確認】
【ポップ@死亡確認】
【ウソップ@死亡確認】
残り53.5人
36作者の都合により名無しです:2006/03/31(金) 15:02:23 ID:dUlYXbC2O
掲示板という名前も顔も匿名な場所でしか事故表現ができない可哀想なやつだ
きっと友達もいないからコミュニケーション能力も異常に低いんだろうな…
社会復帰ができるよう心から祈ってるよキモオタニート君
37作者の都合により名無しです:2006/03/31(金) 15:06:34 ID:dUlYXbC2O
事故表現…×
自己表現…○
38作者の都合により名無しです:2006/03/31(金) 21:35:04 ID:eLeM04Ba0
967 :作者の都合により名無しです :2006/03/31(金) 18:55:39 ID:TXnbJslF0
>>965 本人が5回目の警告無視+5名の要請で実行だけど・・・
あんまりよくないいじゃない?マジでアク禁されると平均350万とか金払うんだろ?
伝家の宝刀なんだし、3,4回警告だしゃ止まるだろうから、本気でかけないほうがいいんじゃ?
本人も荒らしで300〜400万払わされて人生半分棒に振るうなんてしたくないだろうし
蔓延する血の臭い。四つの死体が放つ、生々しい悪臭。
通常なら無視することのできないそれも、一人の男の強烈過ぎる存在感のせいで気にならなかった。
「わしが男塾塾長、江田島平八である!!」

「――む!」
聞き違えようのない大声を耳にし、雷電は江田島の居場所を察知した。
塾長が名乗りを上げたということは、そこに他の誰かがいるというこに相違ないはず。

「塾長!」

速めた歩みで駆けつけたそこには、雷電の読み通り見知らぬ男性が二人、江田島と対峙している姿があった。
そして二人のすぐ傍には、死体入りの血の海が広がっている。
これは一体どういう図式なのか。雷電が困惑する中、江田島が再び口を開く。

「わしが男塾塾長、江田島平八である!!!」

全てを飲み込む洞穴のような大口から放たれたのは、江田島平八という男を称える上で欠かせない名言だった。
今さら説明する必要もないと思うが、大空翼は無類のサッカー大好き少年である。
年齢はもはや青年と称しても問題ないが、彼の蹴球に懸ける直向なまでの情熱は、少年の頃のものとなんら変わりない。
純粋なまでに、サッカーに貪欲で。
殺し合いのゲームに参加させられても、サッカーに飢えていて。
目の前に和服の巨漢が現れても、まずはその屈強な肉体に目がいってしまった。
そして、彼は思うのだ。
今まで会う人物会う人物に、ついには今さっき死体にまで感じていた、感想を。
(…………この人なら、きっといい選手になれる!)
承太郎に会った時も、悟空に会った時も、翼は真っ先にその出会いをサッカーと結びつけた。
もう、翼に死体を目の当たりにしたショックは残っていない。
代わりに翼の心を満たしたのは、未知の人物との遭遇による恐怖でもなく。
サッカーに懸ける、情熱ただ一つ。

――わしが男塾塾長、江田島平八である!!!――

目の前の巨漢は、この互いが何者かも分からない状況で、二度も自分の名前を名乗った。
その意図はなんなのか。簡単なことだ。思考がサッカー全開となっている今の翼には、すぐに理解できた。

――如何なるスポーツにおいても、『声を出す』ということは大事なことだ。それがチームワークを重要視するサッカーなら、尚更のこと。

だから、翼はそれに応えた。
臆することはない。相手はスポーツマンらしく自己紹介をしているに過ぎない。ならば自分もスポーツマンらしく接するだけだ。

「――僕の名前は、大空翼です!!!」

江田島に負けないくらい、自分が出せる精一杯の声で、翼は名乗りを上げた。
ここに到着して、江田島は探していた二人の人物を発見した。
しかしその二人は既に亡き人。再会は、血の海に沈む死体という姿で行われた。
その場には、さらに死者が二人、生者が二人。
どちらも顔に見覚えがない。この二人が四体の死体を作り上げたのだろうか?
結論は出ない。だから、一番手っ取り早い方法で確認を取ることにした。
それこそが、二度に渡って名乗りを上げた真実。

翼が江田島に応えて名乗った後、雷電は江田島の後方からそっと声を掛ける。
「塾長……この二人は? 彼らの傍にある死体はまさか……」
雷電は、翼と承太郎の二人がゲームに乗った者なのではという危惧をしていた。
駆けつけたその場で江田島と睨みあい、牽制し合っている(ように見えた)状態から察するに、

「喝ッッッッッッッーーーーーーーツ!!!!」

「「「――――!!?」」」
江田島の突然の一喝により、その場にいる全員が動きを止められる。
雷電に至っては思考を無理やり中断され、近距離からの怒声に耳を震わせていた。
江田島はそんな雷電に向き直り、穏やかながらも厳格な声で言う。
「雷電よ。お前はこの二人がゲームに乗った参加者なのでは、と危惧していたのであろう」
「は? はい」
考えていたことを簡単に言い当てられ、雷電は不思議がる。それが分かっているのなら、なぜ塾長は自分の言葉を止めたのか、と。
そして江田島は、今度は仲間の――黒崎一護と真中淳平の死体に顔を向ける。
「あの二人がわしが言っていた若者達じゃ。他の二人は知らんが、この中のいずれかがあの二人と戦り合ったと見て間違いないであろう」
四体の死体は、どれもがハッキリと戦闘をしたという形跡を残していた。
「死闘おおいに結構! 真の男とは、命を懸けた戦いを通して成長していくものだ」
そう、誰であろうと、それこそが男の本懐。戦いに成長を見い出し、戦って生きていく。
その結果が例えが死であろうとも、男としては立派な最後だ。
桃や富樫も、さぞ見事な散り様を見せたのであろうと心の片隅に留めながら、江田島は言葉を続ける。
「だが、あの二人が戦いを望んでいなかったこともまた事実。もし誰かが姑息な手であの二人を殺したというのであれば、わしが二人に代わって無念を晴らすべきところだ」
江田島の言葉に出た存在として、最も怪しいのが翼と承太郎。
しかし、江田島はそれは絶対にないと固く信じていた。
「雷電よ、お前は何も感じぬか。あの翼という『男』から感じる魂を」
「魂……」
雷電は翼の眼に視線をやる。
翼の瞳に宿るもの。
それは、サッカーに懸ける情熱を具現化したかのような、熱い炎。
「こ、この者は…………!!」
雷電も、直感で感じ取っていた。この大空翼という青年に依存する、『男』を。
それには、どこか男塾塾生の中で一目置かれていたあの男を思い出させるところがあった。

    “キャプテン”

 直接的な意味は、運動団体に於ける主将を意味する言葉として使われる。だがこの称号は誰もが軽々しく
 持てるものではなく、その資格を得るには幾つかの素質が求められる。第一に、人を惹き付ける人格。
 第二に、団体を統率する力。第三に、皆の団結力を高める言語能力。そして何より、皆に慕われるような
 存在感。その全てを持ち合わせて、初めてこの言葉の真の意味を託せるのである。また、航海船の船長など
 にも同様の言葉が用いられるが、これも例外なく資格を持つ条件は同じであると言われる。ちなみに、
 同意義の言葉に「リーダー」などがある。

               民明書房刊『愛・スポーツ〜運動至上極論』より

     “翼”

 その字は鳥類の生物が持つ移動手段である羽、そして「異なる」という意味合いを持つ異、この二文字から
 形成されている。「異」という文字が刻まれたそれは、ここより異なる世界の象徴とされ、一部の地域では
 翼を持つ生物、つまりは鳥類を、異世界から来た侵略者として蔑んでいた。だがその一方で別の見解を求める
 者も出てきていた。「翼は羽と違い、空だけではなくこことは全く違った世界へと飛び立てるのではないか」と。
 その後、翼は単なる大空への移動手段ではなく、いつか異世界をも越える可能性を秘めた大いなる生態パーツ
 の名称として崇められてきた。某国では、空だけではなくどこか遠い彼方まで、果てなく飛躍していってほしい
 という期待を込めて、この文字が子供の名前として扱われることが一般的になったらしい。

               民明書房刊『万国名前事典〜その由来〜』より
「…………むぅ、彼こそ世に聞く“キャプテン翼”!」
いつの間にか、そのノリに取り残されたのは承太郎一人きりとなっていた。



黒崎一護と真中淳平が、どんな思いで死んでいったのかは、誰にも分からない。
それでもせめて、僅かだが行動を共にした仲間として、江田島は自らの手で二人を埋葬してやることにした。
それこそが、死闘を繰り広げて散っていったのであろう男達に対して、何よりの手向けとなるから。
「僕は、十一人の仲間を集めてるんだ」
二人の埋葬を終え、江田島は翼とお互いのことを話していた。傍らでは、雷電と承太郎が残りの二人の死体を埋葬するために穴を掘っている。
(ほう……あの主催者を相手に、あくまでも自分の誇れる志を持って立ち向かおうというのか)
普通に考えれば、サッカーで主催者を打倒するなど馬鹿げているにもほどがある。
しかし江田島は、翼の考えを否定したり嘲笑ったりはしなかった。
サッカーこそが、翼にとっての『戦い』であり『信念』だから。
「その心意気や良し! この男塾塾長江田島平八、翼に協力することを約束しよう」
「本当!?」
「男に二言はない!」
江田島は、素直に感動していたのだ。
大空翼という男の、器のでかさに。
翼は男塾の塾生に比べれば軟弱な身体をしているが、それでも男としての器は計り知れないものがある。
このゲームが終わったら、是非とも男塾を紹介したいほど逸材だ。
そう思うほどに、江田島は翼を『男』として認めていたのである。
「あ、でも……」
仲間が出来ててっきり喜ぶかと思いきや、翼は少し迷うような素振りを見せた。
「ん? どうした」
「えっと……気持ちは嬉しいんだけど、塾長は十一人の中には入れられないんだ」
「何故じゃ」
「その、塾長には……『選手』っていうより『監督』の方が向いていると思うから」
それは、なんてことのない理由。こっちの方が、江田島平八という男には適役だから。
思い切って頼み込んだ翼に、江田島は大笑いしながら応えてやった。
こうして、翼のチームに『江田島平八監督』が誕生したのである。
計四人の死体埋葬を終え、翼たちは改めてお互いの情報を交換し合っていた。
翼と承太郎は、孫悟空という参加者を追っている最中だということ。
江田島は先程埋葬した一護と真中を、雷電は別れたまま何処かで死んでしまったシカマルを探しているということ。
それぞれの組が人探し、仲間集めを目的に動いているということを確認し、改めて協力をする運びと成った。
最も翼と江田島は既に意気投合しているようで、まるで長年連れ添った親友同士のように打ち解けあっている。
(あくまでもサッカーに対して)熱いハートを持った翼は、どこか男塾魂を持った彼らと通じるところがあったのかもしれない。
(ふぅ……ひょっとしてこのゲームに参加しているのは、こいつらみたいなアツイ連中がほとんどなのか?)
夜空を見上げながら、承太郎が思う。
気づけば夜もかなり深くなってきている。
雲ひとつない夜空に浮かぶのは、月光を照らす球体のみ。それが、逆に不気味にも感じられる。
(翼を散々探し回って……気づけばもう夜か)
その間にかなりの参加者が死んだ。
貴重な時間で俺は何をやっているんだ、と承太郎は自分を不甲斐なく思う。
『ヤツ』の情報を握る悟空を取り逃がしたこと、闇夜から連想される『ヤツ』を思えば、尚更のことだった。
(……やれやれだぜ)
ちなみに、翼の荷物は承太郎の危惧したとおり承太郎のものと入れ替わっていた。つまり、翼の荷物は悟空の手元に。
禁鞭がないこと以外は大して変わらないが、もし悟空があれを悪用するようなことがあれば……
(…………本当に、やれやれだ)

「本当に行っちゃうのかい、JOJO君?」
互いに協力することを約束した四人は、とある民家を基点に行動を再会することにした。
と言ってももう夜も深い。これからも生き続けなければならないことを考えると、今のうちに休息を取っておく必要がある。
しかし、雷電はどこぞで散ってしまったのであろうシカマルの捜索を強く願った。あのシカマルなら、もしかしたら何か有益になるものを残しているのではないかと。
承太郎は、それに同行することにしたのだ。
「心配するな翼。もし悟空を見つけるようなことがあれば、俺が必ず連れてくる。それに……」
「チームメイトになってくれるような人がいたら、ぜひスカウトしてきてよね。運動神経がいいのはもちろんで、個人プレーに走らない人がいいな。サッカーはみんなで楽しくやるスポーツだからね。欲を言うならサッカーに詳しくて、僕と語り合えるような人がいたら……」
「…………わかった。心配しないで俺に任せておけ、翼」
翼はやっぱりクレイジーだ。
そう心の奥底で感じる承太郎は、実は彼に付き合うのもそろそろ疲れてきているところだった。
しかし今さら翼の気持ちを裏切る(翼のチームから抜ける)わけにもいかず、だったらせめてこの中では一番まともそうな雷電と共にいようと思い近隣の捜索に躍り出た――というのも理由の一部だったりする。
それに……やはり夜になると『ヤツ』の存在が気にかかる。まだ一日目の内、もし悟空が『ヤツ』と遭遇していたのだとしたら。
『ヤツ』がこの近隣にいるという可能性も十分に考えられる。
「では参ろうか、JOJO殿」
「ああ(JOJO…………殿?)」
「お土産はいいから、選手のスカウト頑張ってねー!」
手を振って見送る翼を後ろに、承太郎と雷電は夜へと消えていった。
次に仲間になるのは、もっとクールな奴であってほしいと願いながら。


夜が光を侵食していく。
あと数時間もすれば、舞台は完全に闇に支配される。
闇に支配された世界で、光を掴もうとする者は何を見るのか。
【栃木県・民家/夜】
【大空翼@キャプテン翼】
 [状態]疲労中〜大 精神的にやはりやや壊れ気味
 [装備]拾った石ころ一つ
 [道具]荷物一式(水・食料一食分消費)、クロロの荷物一式、ボールペン数本 
 [思考]1:承太郎と雷電の帰りを待つ(しばらく休息)。
    2:悟空を見つけ、日向の情報を得る。そしてチームに迎える。
    3:仲間を11人集める。
    4:主催者を倒す。

【江田島平八@魁!!男塾】
[状態]:健康、監督
[装備]:無し
[道具]:荷物一式・支給品不明、一護の荷物一式
[思考]:1、「わしが男塾塾長、江田島平八である!!!」
      (翼と共にしばらく休息)
   2、「日本男児の生き様は色無し恋無し情けあり」
【栃木県/夜】
【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]疲労 肩、胸部に打撲、左腕骨折(以上応急処置済み)
 [装備]シャハルの鏡@ダイの大冒険
 [道具]荷物一式(食料二食分 水少量消費) 双子座の黄金聖衣@聖闘士星矢
    らっきょ(二つ消費)@とっても!ラッキーマン
 [思考]1:雷電と共にシカマルの亡骸を捜す。
    2:悟空の捜索、翼の仲間になれるような人物の捜索(できればクールな奴がいい)。
    3:バーンの情報を得るべくダイを捜す。
    4:主催者を倒す。

【雷電@魁!!男塾】
[状態]:健康
[装備]:木刀(洞爺湖と刻んである)@銀魂 斬魄刀@BLEACH(一護の衣服の一部+幽助の頭髪が結び付けられている)
[道具]:荷物一式
[思考]:1、承太郎と共にシカマルの亡骸を捜す。
   2、知り合いとの合流。
48 ◆kOZX7S8gY. :2006/03/32(土) 11:04:30 ID:/pMHNsCl0
>>47
追記:
一護、真中、クロロ、幽助の死体は埋葬しました。
49作者の都合により名無しです:2006/04/02(日) 00:03:40 ID:OgJeklf30
うんこ
50作者の都合により名無しです:2006/04/02(日) 00:52:58 ID:XqeE00Jm0
>>49
自己紹介乙
51ヤムチャの世界〜閃武学園激動伝〜:2006/04/02(日) 01:44:20 ID:lfapWfKi0
ヤムチャ、タカヤ、両者向き合う。

「渇!!!」

先に仕掛けたのはヤムチャ。

「遅いわ!!!ヴォケが!!!」

タカヤは一瞬の間に背後を取る。

『奥義―鋼翔』

辺りは、混沌に包まれた。

52ヤムチャの世界〜閃武学園激動伝〜:2006/04/02(日) 01:46:19 ID:lfapWfKi0
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.全員をころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。
    
@タカヤと闘っています
53作者の都合により名無しです:2006/04/02(日) 13:54:05 ID:bzzAPBcmO
54作者の都合により名無しです:2006/04/02(日) 13:55:38 ID:bzzAPBcmO
55作者の都合により名無しです:2006/04/03(月) 09:08:01 ID:d4rwh8AV0
荒らす方はここを一読ください
965 作者の都合により名無しです sage 2006/03/31(金) 18:29:06 ID:/JfqAU950
あの荒らしに対して、アク禁要請だしといたけど、何回警告でで実行→何百万もの賠償金だっけ?
とりあえず、これ一回目として状況提出しとくけど、よかったら協力してくれ。

967 作者の都合により名無しです sage 2006/03/31(金) 18:55:39 ID:TXnbJslF0
>>965 本人が5回目の警告無視+5名の要請で実行だけど・・・
あんまりよくないいじゃない?マジでアク禁されると平均350万とか金払うんだろ?
伝家の宝刀なんだし、3,4回警告だしゃ止まるだろうから、本気でかけないほうがいいんじゃ?
本人も荒らしで300〜400万払わされて人生半分棒に振るうなんてしたくないだろうし

>>984
そういう言い方やめろよ・・・いざアク禁かけられたら、ご近所も一切PC使えなくなって、マジ村八分or引越し
に加えて賠償金の追い討ちだぜ?誰だってやめるわ…というよりやめるよう心が働くようになってんだから。



まぁそれを踏み込んでアク禁食らった奴も星の数ほどいるが。あいつらどうなってんだろうねぇ・・・

アク禁食らう時点でアレな奴と思ってたが、実際アレだったわ。
うちの近所の奴なんだが知らぬ存ぜぬで押し通してた。
巻き添え食らった人が問い合わせれば、どこの誰のせいなのか一発で分かるっつーの。
56狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:35:00 ID:x1B+2Jug0
岡山の住宅街。
調度も何もない民家の2階に、一人の青年がいる。
青年は目を閉じている。
眠っているのだろうか。
いや、今眼を開けた。起きている。
中空を何の気なしに眺めて、再び眼を閉じる。
外は暗い。
内も暗い。
時間は過ぎる。
青年は何を考えているのだろうか。
57狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:35:40 ID:x1B+2Jug0
(フム………)
山口から広島を抜け、岡山に至る強行軍は流石に人間の体には応えた。精神自体はほぼ疲弊していないが。
九尾は瞼の裏を視ながら、体内に流れる力の源………チャクラを循環させている。
そのチャクラとは今現在うずまきナルトの体と精神を支配している九尾のものではなく、「前」に支配していた者のモノ。
(脆弱。いや、貧弱じゃ)
質量共に遥かに自分のそれを下回る。とはいっても現状では貴重なエネルギー源。あの同属のような上玉の餌はそうそう得られまい。
忌々しいが、使ってやるとするか。
(さて―――あの同属の仲間、どうするか)
先の放送で自分の探していた奈良シカマルの死亡が確認された。
手駒として使えるかは微妙だし、死体が完全に消滅していなければ喰らって腹を満たすことも出来るから別に構わない。チャクラは消えているだろうが。
(それより問題は大蛇丸………)
木の葉の里を侵攻し、その後うずまきナルトの同僚であったうちはサスケを誑かしてその手の内に入れた男。
うずまきナルトの中でかなりのウェイトを占めていた「敵」だ。
(何度か眼にしたが、かなりの強さだった。………【三忍】の一人、だったか?)
その大蛇丸が死したとなれば、思っていたより骨のある連中が揃っているらしい。
(とくれば―――。もし、同属の仲間がその"骨のある"相手だった場合)
58狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:36:19 ID:x1B+2Jug0
問題1:素直に言うことを聞くか?

(聞かぬ………とは思うが、あの同属はわざわざ弱っていた小僧を見かねてワシを呼び起こそうとするようなヤツ。最も危険を悟ってすぐ封印したが)
(ならば、その仲間もお人よしである可能性がある。―――ふん。ワシと同じく人に有らざる者が、斯様な人間臭い思考を持つなど、虫唾が走るわ)

問題2:仲間がいるとすればどうやって探すか?

(こちらはもう解決済み………ここから見える離島から、妖気を感じる。徐々に動いているな………)
同属は狐の姿をした妖怪。となれば、その仲間がいるとすれば同じく妖怪であろう。同属が人間に飼い慣らされていたという線もあるが。
(しかしこの妖気の質………素晴らしい。まるで【尾獣】のようじゃ)
喰いたい。妖気を、血を、人ならざる臓物を。
だが、同属の仲間だとしたらいきなり襲うわけにはいかない。この封印を解かせてからでなければ。
(チッ。外界に出てまで忍耐を強いられるとはの)

問題3:では、接触はどうするか?

(山中には清水は無かった。自給の道は殆ど無いということか。動物がいたのは何故か分からぬが)
(このように血に塗れた姿では怪しまれる………いっそ全て脱ぎ捨てるか?)
野獣である九尾には羞恥心など無い。その行動に出ようとしたが、そこは頭のいい狐。
人間の内で長らく過ごしてきた経験から流石に全裸も血塗れも(むしろ全裸のほうが)怪しまれると言うことに気づき、踏みとどまった。
(同属の仲間に同属の臭いで気付かれることを懸念し、野兎と戯れて臭いを消してはいるが、どうする?)
血塗れで怪しまれない方法。それを考える内に、何かが近づいてくる音と、話し声をその耳が捉えた。
(1つ、2つ、3つか。―――妙案を思いついたぞ)
59狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:36:58 ID:x1B+2Jug0
九尾はうずまきナルトの手を組み合わせると、言葉を発した。
「影分身の術―――変化の術」
その姿は二つに分かれ、片一方が、金色の体毛を持つ妖弧―――玉藻の姿に変化した。しかし。
「ムウ・・・あまり出来が良くないのう。人間の術は使いづらいわ」
本来圧倒的なパワーで暴れる戦闘スタイルの九尾にとって、忍術は使い方を知っていても使うのは難しい。
影分身は幾度と無く器が使用する得意忍術なのでそつなくこなせたが、変化の術は変化した対象を知っている者には一目瞭然で他人だとばれる程度の出来。
ちなみに分身の変化体は顔がひょっとこのようになっていた(あえて詳しい説明は避けるが)。

左手の窓から下を覗くと、頬に十字傷のある小柄な男と、それより小さい小僧、そして長身の髪を逆立てた男。
「・・・一匹ぐらいは減らしても良いか」
そう呟くと、九尾の本体は駆け出して正面の窓をぶち破り、地上へと落下していった。
60狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:39:40 ID:x1B+2Jug0

(―――馬鹿な)
岡山と兵庫の境界線で、緋村剣心、小早川瀬那、蛭魔妖一の三人は第三回の放送を聞き取った。
剣心は、薫の死を聴いたときとは別の驚きを隠せなかった。
幕末で、新撰組三番隊隊長として幾度と無く自分の前に立ちふさがった男。
幕末のことを思い出すと、必然、自分の幕末での姿も脳裏に浮かぶ。
人斬り抜刀斎。
「ク………」
疼く。自分の中で、人斬りの血が、疼く。

(………駄目でござる、拙者はもう人斬りではない!)
「あの、剣心さん、大丈夫ですか?」
小早川瀬那が心配そうに話しかけてくる。
「ああ………大丈夫でござる」
実際には大丈夫とは言い難かったが、護るべき人達を心配させるわけにはいかない。
「―――緋村さん、誰か知り合いはいたかい?」
蛭魔妖一が尋ねる。
剣心は歩きながら、今しがた名を呼ばれた男、斎藤一の人となりを話し始めた。
61狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:40:48 ID:x1B+2Jug0
「斎藤一、ねえ。まさかとは思ってたが、マジで新撰組の斎藤一だったとはな」
蛭魔はそう言うと、剣心と幕末の話をし始めた。

(ヒル魔さん、歴史とか興味あったっけ?)
数時間前現代のことを緋村に教えていた時は特にそんなそぶりを見せなかったが。
セナはちょっと会話を聴いてみることにした。

「ほうほう成程、維新志士は表に出ては困るようなことをやっていたと」

「うむ、たとえば―――を暗殺したり、おっと、口を滑らせたでござる」

「いやいや、こんな状況なんだから気にしなくても良いと思うぜ?」

「そうでござるか?………うむぅ………やはりそれは」

「で、他にはどんな事を?」

「むう………―――とか………ってやっぱり駄目でござる!」

「駄目か。まあいいかこれだけ知れれば」

「………こんなことを聞いてどうするでござる?」

「いや………別にィ〜?」

紙に鉛筆でなにやらメモっているヒル魔さん。その表情は悪魔のようだ。
(ひいぃぃぃ脅す気だ………!日本政府を脅す気だ………!)
ヒル魔の人となりを知っているセナにとって、その位の想像は容易に出来た。
62狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:41:46 ID:x1B+2Jug0
そんなこんなで歩いていると、辺りがだんだん暗くなってきた。
「チッ、メンドクセェな。今………この辺だな、糞チビ?」
地図を見ながら、ヒル魔はセナに同意を促した。指を差しているのは兵庫と岡山の県境。
「たぶんそうですね。ゆっくり歩いてたからか、あまり進んでませんね」
「この………高知や徳島には行かなくていいんでござるか?」
剣心も地図を指差し、意見する。
「確かにここに糞マネがいたとしたら大分楽だが………こんな場所に長時間留まる奴はいねぇと思うぜ?」
このような離島は、万が一本州につながる香川などが閉鎖されたらもう脱出不可能だ。
「だが、あの糞マネならあるいは、そういう考えの裏をついて封鎖が宣言されたらすぐ本州に渡れる、香川にでも隠れてやがるかもな」
推測はいくらでも出来る。だが、推測はあくまで推測でしかない。現実に確かめるには―――行動するしかない。
「どうする?このまま東京を目指すか、一旦四国に渡るか。三人じゃ二手に分かれるわけにもいかねえしな。お前等はどうしたい?」
セナは暫らく逡巡していたが、やがて顔を挙げると、言った。
「少しでも可能性があるなら、近いところから調べたほうがいいと思います」
剣心も、
「それが無難でござるな。拙者の経験上、殺人者は夜こそ活発に動くでござるよ。特に京都などの人が集まる場所は、戦乱時に気を休められる場所ではござらん。ならば、夜のうちは人が少ない場所にいるのが最も安全でござる」
二人の意見を聞いて、ヒル魔も「まあ、どう転んでもそうする気だったけどな!」と同意し、三人は岡山から香川に渡る―――下津井瀬戸大橋を目指し、岡山に歩を進めた。
63狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:42:58 ID:x1B+2Jug0
それから一時間ほどで一行は市街地に辿りつき、30分ほど休んだ後、その街の探索を開始した。
無論、目標は姉崎まもり。(剣心はずっと彼女のことをセナの実姉だと思っていたことがここで判明した)
殺人者が潜んでいる危険性を考慮して、殺気の察知に長ける剣心が先頭に立って捜索を行っていた。
20分ほど経っただろうか。
突然先頭を歩いていた剣心が立ち止まり、道の曲がり角を睨み付けた。
「………何かいるでござる」
その言葉を聴くと、セナもヒル魔も身を強張らせる。
「まもり姉ちゃんでしょうか………?」
セナが小さい声で剣心に聞く。
「わからんでござる。今の所殺気は感じんが………」
言いつつ、じりじりと曲がり角に近づいていく。
自分達の隣から伸び、曲がり角と同時に曲がっているガードレールには、曲がり角の先が写っている………。
人の姿は見えない。
剣心たちは曲がり角に到着し、一呼吸ついて―――飛び出した!

………誰もいない。

セナは一息つき、剣心とヒル魔は注意深く周囲を見回す。
やはり何も無い。だが、次の瞬間!

ガシャアアアアン!

「「「―――!?」」」

何かが割れるような音がしたかと思うと、上から男が落下してきた。

3人は咄嗟に男のほうを振り向く。突然の事態に驚きと警戒を隠せない表情で。

だが、次の瞬間、男の放った言葉で、彼らの混乱はより高まる。

「逃………げろってばよ!」
64狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:43:43 ID:x1B+2Jug0
「え?」

間抜けな声を上げるセナ。

男は血塗れだ。何故?

緋村さんとヒル魔さんが僕の方を見ている―――ヒル魔さんが走ってくる。何故?

足元に影が―――僕の影じゃない!ゾクリ、と背筋が震える。これは、この悪寒はまるで―――あの人のような。

「避けろォォォッ!ファッキンチビィィィッ!」

ヒル魔さんが突っ込んできて、固まっている僕を突き飛ばす。タックル。

吹き飛ばされる。視界がぐらつき、だが元の自分のいた位置に『何か』が降りてくるのは見えた。

人間じゃない。金色の体毛、尖った耳、冷たい眼、火男のような間抜けな口が逆に恐怖を引き立てる。

『不良』などと言う生易しいものではない、純粋な『悪』。あの―――金剛阿含さんのような。それをさらに濃くしたような。

『悪』は一歩一歩、近づいてくる………。
65狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:47:14 ID:x1B+2Jug0
(ちぃ………またやべえことになったな。さて、どう切り抜けるか………)
ヒル魔はその頭脳をフル回転させ、状況を確認しようとする。
だが、そんな余裕は全く無かった。確実に迫る【死】。
一つでも判断をミスれば、即永遠のゲームオーバー。
さらに大事なランニングバックの命も同時にベットされている。
「ケッ。糞喰らえ、だ。ヤハー…ハハ…ハ」
喉が乾き、いつもの笑い声にも精彩が無い。
右肩の骨折による痛みは脳に響き、思考を阻害する。
化物が目の前まで迫った。
鋭い爪を見せ付けるかのように構え、ゆっくりと攻撃の動作に入る。
(ああ、死ぬな)
案外冷静な自分を当然冷静に見つめながら、ヒル魔は栗田や武蔵のこと、姉崎まもりのことを思い出し。

≪終わりだ――――≫

化物の掠れた声を聞いて、昼間の妙な髪形の殺人狂を思い出す。そういえばあの時は―――。

「飛天御剣流―――――」

―――――――この男に、助けられたんだったな。
66狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:48:18 ID:x1B+2Jug0
剣心は、建物の窓から男が飛び降りてきたとき、咄嗟に刀の鞘を構えていた。
だが、男の放った言葉からして、どうやら男は敵ではなく、何者かに襲われているらしい。
そして、今目の前に飛び降りてきたのは―――夷腕坊に負けじ劣らぬ化物然とした者。
ヒル魔とセナが窮地に立たされている。攻撃をかけるにも、あまりの異形にどう攻めればいいかわからない。
(鞘では………そういえば)
自分のデイパックの中を漁り、目当ての物を取り出す。
日本刀の、折れた際にしまっておいた片割れ。本来の長さの4分の1程だが、殺傷力は鞘よりは上だろう。
顔を化物の方にむけると、今にもその鋭い爪で二人の命を奪おうとしている。

コロセ―――オマエガコロサナクテハ―――奴は二人を殺す。

何かが聞こえたような気がし、同時に脳裏に縁によって偽造殺害された神谷薫の姿が浮かぶ。
そして、何処かで今度こそ本当に殺されてしまった彼女の、目映い笑顔が。

(もう―――殺させん!『俺』が殺す!)

剣心は、『屠る』という意思を明確に持って、天高く舞い上がった。
67狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:51:38 ID:x1B+2Jug0
「飛天御剣流―――――龍槌閃・惨」
強大な殺気に化物が振り向く一瞬前に、折られた刀は化物の目蓋に突き刺さり、ズルズルと眼球を抉り刺しながら顔に埋まっていく。
刹那、化物はこの世の物とは思えないようなけたたましい絶叫を上げ、昏倒する。

「死ね」

冷たく言い放つと、剣心は空中でぐるり、と縦回転し、
「龍巻閃・嵐」
上段から化物の頭に全力で刀の鞘を叩きおろし。

その勢いで化物を地面に叩きつけた後、顔に刺さっている刀を力づくで引き剥がし、
「龍巻閃・旋」
引き剥がした刀で通常とは逆回転の軌道で化物の首を裂き。

「双龍閃―――?」
鞘を顔面に叩きつけようとしたところで、化物はかき消すように消え去った。

セナもヒル魔も、狐にでもつままれたかのような表情で、その化物が消え去っていく様子を見ていた。
68狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:52:48 ID:x1B+2Jug0
「なるほど、あの化物に襲われて、そのように血塗れに………大変でござったな」
剣心達は先ほど戦闘が行われた場所から少し離れた建物の中で、青年―――うずまきナルトに話を聞いていた。
彼の話によると、あの化物は自分の分身を創れ、先ほど倒したのはその内の一体らしい。
「どうりで手ごたえが無かったわけでござるな」
うずまきナルトは頷くと、自分には仲間がいて、その仲間が目の前であの化物に殺されたと話した。服の血はそのとき付いたらしい。
「おまえら、何処を目指してるんだ?」
そう聞かれ、三人が香川を目指していると答えると、自分も連れて行ってくれと言い出した。
剣心は苦笑すると、ヒル魔とセナに意見を聞いた。
セナはあっさりOKしたが、ヒル魔は別な意見を口にした。

「剣心さん、俺らはあんたに今日二度も命を救われた。最初は実を言うとあまり信用してなかったんだが、今じゃ信頼できると思ってる」
ズケズケとした物言いだが、彼にとってはこれが地。
「で、あんたに頼みがあるんだ」
彼が話した頼みとはセナを護ってやってほしいという事、つまり彼とナルトそしてセナと自分に一旦別れ、捜索する場所を拡げようという意見だった。
ナルトはそれなりに体術は出来、チャクラという不思議な力を操れるため、それなりの戦力にはなりそうだった。
剣心は最初あまり離れないほうがいいと渋っていたが、22時までにここに再び集まるという条件と、人探しの効率の良さで結局その意見を受け入れた。
ヒル魔とナルトは香川へ。
剣心とセナは兵庫へ。
「じゃ、ヒル魔さん、気を付けて下さいね」
「ケッ!誰に物言ってやがる、糞チビ」
「ナルト殿、ヒル魔殿をよろしく頼むでござる」
「任せとけってばよ!なんせ俺ってば火影になる男だからよ!」
意見は纏まり、剣心とセナは出発する。それぞれにそれぞれの思いを持ちながら。

(拙者は………護る為、相手が化物であったとはいえ、相手を殺す気で斬りかかった………拙者は………)

(まもり姉ちゃん………待っててね、必ず助けに行くから!)
69狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:54:02 ID:x1B+2Jug0
「―――俺等も行くか」
ヒル魔は二人が街を出たのを見送ると、新しい相方に声を掛け、下津井瀬戸大橋に向かって歩を進める。ナルトが先行する形で。
(………さて、こいつは信用できるか?どうも妙なところがいくつかあるが)
ヒル魔はナルトの背中を見ながら考える。
例えば、あの化物に襲われていたといっていたのに、一流の剣客である剣心が接触直前まで殺気を感じていなかったこと。
(―――糞ゴザルにも感じ取れねえ程、気配を消せていたのか………もしくは隠れていて、あの瞬間咄嗟に逃げたのか)
聞けば簡単にわかることだが、それは危険だ。
こうして二人きりになっても相手が何も行動を起こさない以上、現状を保つのが最善だろう。
二手に分かれようと提案した理由は二つ。

一つは剣心に話したよう捜索領域を広げるため。
そしてもう一つの理由は。
(………こいつがもし何か企んでた場合、三人でいるとヤベエ。糞チビは逃げ足は速いが逃げる必要を判断する為の頭はちと鈍い)
かといって仲間にするのを断り、もしこいつが何か企んでいれば、あの化物とグルの可能性が高い。
あの化物の本体も同時に襲ってきただろう。

剣心にはセナを守ってもらわないといけない。ならば、自分が一人でこいつを監視するのが最善手。
相手が少しでも妙な動きをすれば、即座に逃げないと。
(………まぁ、今襲ってこねえんだから、何も企んでないか、香川に目的があって、俺等を利用しようとしてたかだろうが)
「なにやってんだってばよ!置いてくぞ!お!?ラーメン屋だ!」
(………………………)

「何   で   ラ   ー   メ   ン   が   ね   え   ん   だ   っ   て   ば   よ!」

(………何も企んでねえか?)
70狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:54:56 ID:x1B+2Jug0
九尾は大声で叫んだ後、蛭魔妖一に背を向け、歩き出した。
(妙案は六割方成功。だが、結果としては十分)
九尾の【妙案】とは、至極単純、人間を利用することだった。
まず、変化させた分身に人間共を襲わせる。そして人間を一匹殺害し(念のため一番弱そうな相手を)、その後自分で分身を倒す。
そうすることによって人間共に自分を信用させ、同時に服が血塗れな理由も創れる。そしてどうにかして進路を離島に向かわせる。
そして、同属の仲間に接触して、人間共の自分への信用を利用し、封印を解かせる。
(失敗点は人間の内一匹が思ったより強かったこと………だが、嬉しい誤算もあった。進路を変えさせる必要が無かったからな)
欲を言えば連れはあのチビが良かったが、自分から見れば後ろのツンツンも餓鬼。取り損ねた信頼を得るのは簡単だろう。
(ここまで策を練って、同属の仲間が封印を解く術を持っていなかったら笑い種よのぉ………クァハハハ)
だが、その時は。
(―――喰らいて、糧にするだけよ)

内を喰らい。
外も喰らい。
それでも、九尾の理、弱肉強食は満足せず。
新たな糧を求め、九尾は四国へと渡る。
まだ見ぬ―――鬼の妖気を求めて。
71狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:55:34 ID:x1B+2Jug0
【岡山県/(1日目)夜】

【緋村剣心@るろうに剣心】
【状態】身体の至る所に軽度の裂傷、胸元に傷、精神中度の不安定
【装備】刀の鞘
【道具】荷物一式
【思考】1.姉崎まもりを護る(神谷薫を殺害した存在を屠る)
      2.小早川瀬那を護る(襲撃者は屠る)
      3.力なき弱き人々を護る(殺人者は屠る)
      4.人は斬らない(敵は屠る)
5.抜刀斎になったことでかなり自己嫌悪
    6.兵庫で姉崎まもりの捜索
   (括弧内は、抜刀斎としての思考ですが、今はそれほど強制力はありません)

備考:折れた日本刀の片割れは廃棄

【小早川瀬那@アイシールド21】
 [状態]:健康
 [装備]:特になし
 [道具]:支給品一式 野営用具一式(支給品に含まれる食糧、2/3消費) 特記:ランタンを持っています
 [思考]:1.姉崎との合流
     2.これ以上、誰も欠けさせない
     3. 兵庫で姉崎まもりの捜索
72狐の婿入り(惨い理) ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 00:56:58 ID:x1B+2Jug0
【岡山県/(1日目)夜】

【蛭魔妖一@アイシールド21】
 [状態]:右肩骨折、疲労はほぼ回復
 [装備]:無し
 [道具]:支給品一式
 [思考]:1.姉崎との合流
     2.ナルトを警戒
     3. 香川で姉崎まもりの捜索

【うずまきナルト@NARUTO】
 [状態]:九尾の意思 やや疲労
 [装備]:無し
 [道具]:支給品一式(食料と水を消費済み)
     ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険
     フォーク5本、ソーイングセット、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
 [思考] 1、四国から感じた強大な妖気の源(鵺野)と接触し、可能なら利用。不可能なら殺害後捕食。
     2、サクラを探し、可能なら利用。不可能なら殺害。
     3、術者に能力制限を解かせる。
     4、優勝後、主催者を殺害する
     5、蛭魔妖一に自分を信用させる。
[備考] (ナルトの精神は九尾の部屋で眠っています。肉体的に瀕死、
またはナルトが外部から精神的に最大級の衝撃を受けると一時的に九尾と人格が入れ替わります)

*玉藻の封印は、玉藻の死亡と、九尾のチャクラの一部によって解除されたと言う見解です。
 そのため、今のナルト(九尾)はナルトのチャクラ+九尾のチャクラ15%程度のチャクラが上限です。
 ただし、九尾のチャクラも使いこなせます。
 あと、九尾は基本的にナルトの口調で喋ります。
73 ◆2XEqsKa.CM :2006/04/04(火) 15:59:20 ID:DFaj9Gw20
備考:ナルト以外の共通思考(22時までに岡山市街地に戻る)
74ヤムチャの世界〜閃武学園激動伝〜:2006/04/04(火) 19:46:07 ID:pBq5BWx40
煙が晴れていく。
そこには、無傷のヤムチャが。
「あなたの実力はこんなものですか?」

!!

タカヤが気づいた時には、腹に手痛い攻撃を浴びていた。
更に、右肩、左足首、右わき腹に、激しい痛みが。
しかし―

「温 い わ!!!」

タカヤのカウンターが、ヤムチャを捉えた。
75ヤムチャの世界〜閃武学園激動伝〜:2006/04/04(火) 19:47:08 ID:pBq5BWx40
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.タカヤをころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。
    
@タカヤと闘っています

日は落ちて、フレイザードは山麓に開いた小さな洞窟の中で傷ついた体を横たえていた。
この中にいる限り、まず発見されることは無いだろう。入り口には背丈ほどもある雑草が覆い茂っている。

如何にしてこの洞窟に辿り着いたのか。ただ放送だけが記憶にあった。まだピッコロはくたばっていないらしい。
今は合流を急ぐ気はなかった。『お互いが逸れた時』の『集合場所』は事前に決めてある。

意識を取り戻して半刻程になるか。彼は何かに取り憑かれたように同じことを繰り返していた。

「クソッ!うまくいかねえ!」

悪態をつくフレイザード。これは宿命なのか。再三に渡り挑戦しているが、どうしても炎と冷気を同時に出すことが出来ない。

(チッ、もう一度だ・・・、今度はゆっくりと・・・!)

明らかな過信。そして完膚なきまでの敗北。おかげで目が覚めるような気持ちになった。
ここは極限の修羅場であり、弱点も克服せず勝利の栄光がつかみ取れるような甘い世界ではなかった。

「火炎呪文【メラ】ッ・・・」

小さな炎が左手に灯る。これで何回目だ。ぼんやりと炎を眺めてフレイザードは思う。
傷ついた体が照らし出される。体中から溢れんばかりに吹き出ていた凍気と炎は見る影も無く、今は本来の身体、ごつごつとした岩石が剥き出しになっている。

嘲笑が聞こえる。
眼球だけになって命乞いする自分を踏み潰したミストバーン。勝利に勝ち誇る麦わら帽子のガキ。無様な姿を酒の肴にでもしているのだろう我が主。
屈辱感に、敗北感に身が震えそうになる。

(クソッ・・・今に見てやがれ!・・・・今度こそ・・・)

いつの間に炎に見入っていたのか。我に返りフレイザードは特訓を再開した。

「・・・氷結呪文『ヒャド』ッ!」

右手から徐々に湧き上がる冷気。するとその冷気に反比例するように、左手の炎は揺らめいて消えそうになる。

(消えるな・・・!
燃えあがれ・・・!)

力が欲しいと、フレイザードはただ願った。自分は何の為に生まれてきたのか。
氷と炎、相反する属性を持つこのボディも結局、片方ずつしか機能しないのならそこらの魔法使いと変わりは無いではないか。
誰もが恐れたこの異形の体は、地獄の業火と血も凍る冷気で、この世界を破壊し尽くす為のものではなかったのか。

願い続けた。そしてどれ程の時が流れたのか。
両手からは炎と冷気が小さく、それでも確かにそれぞれの手の上に立ち昇っていた。

―――出来た。

沸々と喜びが込み上げてきた。

(・・・ク、クカカカカカ・・・今はこれでいい。最後に笑うのはこのオレ様だからな・・・)

冷気と炎の同時攻撃。新たな何かが掴めそうなこの気分はなんなのだろうか。戦術の幅も大いに広がることだろう。
そしてとりあえず最初のハードルは越えた。次はよりスムーズに出せるようにすること。
後は単純に魔法力の大きさの問題だ。だがそれはもう少し回復してからでもいいだろう。

「成長しろフレイザード。成長しなきゃあ栄光を掴めねえ・・・ククク」

生き残るのはただ一人。このような修羅場に放り込んでくれた主に対して、理不尽だという思いは既にない。
戦いが全て。いや、勝つことが全てだった。失うものなど何も無い。
吹き込む風。こぼれる忍び笑い。フレイザードは暗闇に揺らめく炎を握り潰した。


【山形県南部・山のふもとの洞窟(東側)夜中】

【フレイザード@ダイの大冒険】
 [状態]気腹部を中心に身体全体にダメージ大。重度の疲労。成長期。傷は核鉄で常時ヒーリング。
とりあえず氷炎魔法を両立させることには成功。しかし実戦で使うにはまだ経験値不足。
 [装備]霧露乾坤網@封神演義 火竜ヒョウ@封神演義 核鉄LXI@武装錬金、パンツァーファウスト(100mm弾×4)@ドラゴンボール
 [道具]支給品一式 ・遊戯王カード1枚(詳細は不明)@遊戯王 
 [思考]1、体力を回復させる。
    2、氷炎同時攻撃を完全に自分の物にする。
    3、その後にピッコロと集合場所にて合流
    4、優勝してバーン様から勝利の栄光を
79混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 00:23:18 ID:S8Etk1WWO
――男はただ黙ってずっと傍らに佇んでいた。

三度目の放送が終わってすでにかなりの時間が経ってる。

しかしその男は――ブローノ・ブチャラティは静かに目を伏せたまま壁に背を預けて佇んでいた――


「…ブチャラティ…」
「………」
「…あいつはな…馬鹿なんだよ」
「………」
「超絶馬鹿だ。それにいつも周りの事も何一つ考えちゃいねえ迷惑野郎だ」
「………」
「…俺も馬鹿だが…あいつは比じゃねぇ。救いようがねえ」
「………」

男はただ無言で夜風を受ける。
相手の言葉の一つ一つを肯定も否定もする事なく…。

「…ブチャラティ。こんなざまの俺なんかほっといて…なんでさっさと行っちまわなかったんだ…」
「………」
80混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 00:25:23 ID:S8Etk1WWO

「お前も馬鹿だ。馬鹿野郎だ…!」
「………」
「……馬鹿野郎だ…どいつもこいつもッ!」

――罵倒し続けるその男、桑原和真はブチャラティを睨みつけて声を荒げる。
もはや誰を…何を罵倒していいのかも頭では整理できていない。
あの放送が流されてから今までずっと…いや、今の時点でもそれは同じく。桑原は思考能力を完全に遮断させられてしまっているその空白の頭から初めて絞り出した言葉は、死したる者・そばにいる者両者を罵倒する物だった。

「…なんで先に逝きやがるッ!なんで周りの事考えねえッ!てめぇにゃあ…悲しませちまうモンが多すぎる事も知らねえのかよ!大バカ野郎ッッ!!!」

歯が折れてしまうかと思われるほどの歯ぎしりを鳴らしながら、ブチャラティにその叫びを向ける。

「………」

男の様子は依然変わらず。
視線を返すこともなく、ただ静かに“それ”を受け止め…受け入れる。

「バカ野郎……てめぇにゃあ…貸しも借りも山ほどあるんだってのに…!!」
「………」
「俺とのケンカも……勝ち逃げのまんまじゃねえか…」
81混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 00:28:38 ID:S8Etk1WWO

「…敗者だな」
「……あ…?」

帰ってきたその返事にピクと眉を上げてその男――ブチャラティの顔を強く睨む。
ブチャラティはゆっくりと瞳を開き、じっと顔を向け続ける桑原の方に感情を特に込めるでもない静かな視線を返す。

「そいつは負けた。お前の…カズマの失ったその大切な者はまぎれもない“敗者”だ」
「…なん…だと?」
「“敗者”とは…目的を果たせずに死した者。運命にあらがえず、それを解き放てなかった者の事ッ!」
「ブチャラティ…てめえ…ふざけた事ぬかしやがると…ぶっ殺すぞ…っ!」
「ふざけた事?そうだ、ふざけた事だ。だが“敗ける”とはそういう事なんだ」

それは死者への――大切な仲間への冒涜の言葉。
桑原にとってそれは今、最も耐えがたい言葉であり…
己を侮辱される以上の怒りをその面に露骨に現してブチャラティの元へと詰め寄る。

「許さねえ…!それ以上あいつを馬鹿にしやがったら…今この場で…っ!」
「……乗り越えればいい。その“敗者”が成す事が出来なかった事をカズマが受け継ぐ、遺志を継ぐ。そして生き延びる。それを成し遂げられれば、君もその者も“勝者”となる…!」
「…!?」
82混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 00:32:45 ID:S8Etk1WWO


ブチャラティの胸元を掴んでいた手が僅かに緩む。
桑原の怒りと悲しみに染まる空白の心に淀みが生じる。

「あの主催者たちの思惑の外へと到達することが勝利だ。ならばその者の“魂”を君がそこへ連れて行けッ!」
「たましい…だと?」
「俺はハルコの勇気有る魂を勝利へと導くために動く。たとえオレがそれを成し遂げられなくとも……」
「……」
「魂を受け継ぐ者が『そこ』へ到達すれば、それが“勝利”だッ!!」
「…!」

ブチャラティの覚悟を表明したともいえるその言葉は桑原の胸を鋭いナイフのように強く刺す。

「…ブチャ…ラティ、てめえは…」
「……!!?待てカズマ、静かに…!」
「んな…!?」

複雑な表情と何かを言いたげな目でブチャラティを見つめる桑原の頭を突如押さえつけて共に身を隠す。

「誰かが……いや、複数か?近付いてくる…!」
83混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 00:34:39 ID:S8Etk1WWO

「なに…?」

息を潜めて後方へと注意を促すブチャラティ。
沈黙が続く中、桑原の額から汗が一筋流れ落ちる――

「……(二人か。学ランの男と強面の変なオッサンか)」
「…カズマ、君はこのまま隠れていろ。オレが接触してみよう」
「…ち、勝手にしろ…!」

ブチャラティから視線を逸らしてぶっきらぼうに返す桑原。
そんな彼の様子を一瞥した後、身を隠したまま桑原から離れ横へと慎重に移動していく。



「……そこの二人!オレの質問に答えろ」
「ぬう!?誰だ!!」
「…!!?」

突如前方から聞こえてきた姿無き男の声に足を止め周囲を警戒する雷電と承太郎の二人。
84混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 00:36:22 ID:S8Etk1WWO


「……(やれやれ…いきなり襲ってこねーって事は、ゲームには乗ってない奴か?…いや、そうとも限らないか)」

相手の次の言葉を待つ二人は互いに一瞬目を合わせた後、声の出元と思われる前方の『工事中』を示す大きめの立て看板へと視線を移す。

「…一つ目の質問だ。お前たちはゲームに乗っているのか?」
「……(JOJO殿、相手はゲームに乗っていない可能性が高いようだが…?)」
「……(待ちな雷電、まずは相手の出方を伺う。俺に任せな)」
「…答えは“乗っていない”だ。てめーはどうなんだ?」
「………二つ目の質問だ」
「………(やれやれ…うさんくせー奴だ)」

双方とも様子見の姿勢を崩さない。
承太郎はいつでもスタンドを発動できるように360゜周囲に警戒を強めたまま看板を見つめ続ける。

「…首輪を解体出来る可能性を持つような『科学者』や『能力者』の知り合いはいるか?お前たちのどちらかがそうであるなら話は早いが」
「……。答えは“いない”だ…(解体?俺の星の白金‘スタープラチナ’の精密な動きなら出来ない事はないかもしれねーが、100%爆発は免れないだろうしな。まだ手の内は明かせねえ)」
「……なら最後の質問だ。お前たちは今何を指針にして動いている?」
「……人探しだ」
85混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 00:40:49 ID:S8Etk1WWO


雷電は亡きシカマルを、承太郎はDIOを。(翼には悪いがサッカーメンバーを探す気は無い)。
さらには仲間にできそうな人物も探している。
そこは真実を答えた承太郎。

「…今度はこっちから質問だ。てめーはゲームに乗っているのか?」
「………」
「………?やれやれ…自分は答えないつもりか?」

謎の相手から返事が一向に帰ってこないまま、承太郎が突然無防備にも看板の方へと歩みを進め始める。

「JOJO殿!?待たれよ!!」

突然のその行動に驚き、制止の声を上げる雷電だが承太郎の足は止まらない。

「……(ブチャラティ…どういうつもりだ?相手はゲームに乗ってない奴らなんだろ…?)」

隠れて様子を伺っているままの桑原もブチャラティの意図が読めず、ただ黙って成り行きを見守る。

「そこで止まれ。オレに近付く事を許可した覚えは無いが?」
86混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 00:42:22 ID:S8Etk1WWO

「許可?そんな物必要ねーぜ。俺が許可した」

ブチャラティの言葉に臆する事も無く、ズカズカと躊躇無く歩み寄る承太郎。
もちろん本人は無警戒ではない。
はたからは無防備にしか見えないが、もし小さなハエが飛んで近寄ろうともそれを一瞬で把握してスタンドで摘み取れるほどの注意力を発しながらの接近である。

「……てめーにゲームに乗る気がねえってんなら…ちゃんと姿を現しな!」

ズサッ!と最後の一歩を踏み込んで看板の横に身を乗り出す承太郎。

ド ン !!

「な…?いないッ!!?」

そこに声の主の姿は無かった。
周りには何も身を隠しながら移動できるようなスペースは無い。
承太郎たちが存在に気付く前ならともかく、会話をしながらその場所をずっと注視していた今の段階では移動は100%不可能。
しかし現に相手の姿はまるで幽霊のようにそこから消えていた…!

「雷電!奴を見たか!?いなくなっているッ!!」
87混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 00:44:23 ID:S8Etk1WWO

「………」
「……?雷電ッ!」

承太郎は意見を求めるために雷電に向けて声を荒げる。
しかし…

ド ン !!

「な…に!!?」

本来すぐ後方に居たはずの雷電の姿が忽然と消えていた…!

「雷電!どうした!?どこに居る!?」
「…彼なら、少し離れてもらったよ。あんたと二人で話がしたくてな…」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ…

「てめーは…!?」

承太郎の背にいつの間にかピタリと背を合わせたまま穏やかな声で話しかけるブチャラティ。
88混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 00:45:42 ID:S8Etk1WWO


「…何が目的だ?」
「彼の事なら心配しなくていい。怪我一つしていないからな」
「……(なんだこいつは…!?いや。このやり口、違和感、おそらく間違いない…こいつは…スタンド使いッ!!!)」




「く……一体何が!?JOJO殿!!?」

一方の雷電。
突然足元の地面が失われたかのような浮遊感に襲われ落下し、気がつけば一瞬の内に暗闇の中に居た。

「ここはどこだ!?…声が反響している…下水道か…?」

僅かに聞こえてくる水の流れる音と、狭いトンネルに居るような声の響き方からこの暗闇に包まれた場所がそうである事に気付く。

「少しすれば目が慣れるか。とにかく出口を探さねば!」

周りが暗く見えない中も、壁を頼りに恐る恐る進み始める――
89混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 00:50:30 ID:S8Etk1WWO





「…さて。あんたに質問が一つ増えた…」
「………」

依然二人は背を合わせたまま、この異様な状況での会話が続く。
ブチャラティはまるで友人に話しかけるようなゆったりとした口調で…承太郎は冷静を保とうとはしているが、尋常でないこの状況下に冷や汗を浮かべた緊迫の顔つきで。

「ブチャラティッ!!てめえ…どういうつもりだっ!!!」
「!!?」

そこへ突然の横やりが入る。更なる予想外の状況に承太郎は…

「オラアッ!!!」

ブンッ!!

今がチャンスとばかりにスタープラチナの拳を背後に躊躇無く打ち込むが、しかしそれは空を切る。
90混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 00:53:10 ID:S8Etk1WWO


「そうか…あんた“も”スタンド使いか…」
「やはりてめえもか…!」

すでにブチャラティは間合いを離しており、スティッキィ・フィンガーズを自分の隣に発現している。

「ブチャラティ!」
「カズマ…これは俺の“目的”のための行動だ。そのためなら、手段は選ばない…ッ!」
「てめえ…!!」
「……(奴の仲間か?)」

いきなり姿を現してその男をブチャラティと呼び、多少の困惑の色を浮かべた眼差しで怒号を浴びせる新たな乱入者桑原。

「目的、だと?」
「そうだ。だから質問をするッ!何故『第二の質問』で嘘をついた!?」
「何…!?」

スタンドは右手で、本人は左手で左右対称に同時に承太郎を真っ直ぐに指さして強く問う。
ガラの右腕はすでに埋葬したため本人の右腕は今も無いままだが、スタンドはいわば精神力の現実化。
強い“覚悟”を胸に根付かせて力強い精神力を得た現在、スタンドは五体満足の姿で発現されていた。
91混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 00:54:48 ID:S8Etk1WWO


「お前は第二の質問の時だけ『汗』をかいた!よってそれは嘘!そう俺は見たッ!」
「…!」
「ならば真実を話させる!たとえ…どんな手段を使おうともだ!」
「てめえ…ふざけんなブチャラティ!」
「……(嘘が見抜かれた…か。やれやれ、ややこしい事になってきたぜ)」

もはや激突必死。
ブチャラティを制止しようと桑原も二人の元へと足早に歩み寄る。

「おいあんた!ブチャラティの野郎は俺が何とかする!あんたはあのオッサンを!」
「いや…雷電はあんたに任せていいか?」
「ああ!?何言ってやがる!こいつは…」
「こいつは、どうやら俺を逃がしてくれそうにないんでな。こいつよりは話が通じそうなあんたに任せるぜ…」
「そんな訳にいくかよ!こいつのやるこたぁ俺の責任だ!俺が…!」
「どくんだカズマッ!!スティッキィフィンガァーズッッ!!!」

二人の意見が合わぬまま、猶予を与える間もなく間合いを詰めてスタンドを繰り出し承太郎に向けて拳を放つブチャラティ!
92混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 00:59:01 ID:S8Etk1WWO


「……って訳みたいだ。理解したか?」
「「!!!?」」

スタンドの拳は承太郎に当たる事無く空を切るが…承太郎は腕を桑原の肩に回した姿でブチャラティの背後後方にワープしたかのように移動していた。

「これは…!!?(まさか…ボスと同種のスタンド能力なのか!?)」
「あんた…いってー何したんだよ…!?」
「…さあな」

驚きを隠せない二人を尻目に、承太郎はあくまでクールにそう言い放つ。

「安心しな。こいつは『殺さずに』『ほどほどに』ぶちのめす」
「ほ、ほどほどにって何だよ!?…ち…っ!あのオッサンの事も俺のせいでもあるんだからな…畜生!おいブチャラティッ!逃げんじゃねえぞ!こいつにボコボコにされた後に俺もお前をボコボコにしてやるからなッ!!」
「………」

承太郎の不殺発言を聞き、その不思議な力を垣間見て『こいつならおそらくブチャラティを止められるし一泡吹かせられる』と直感し…
もはや自分が入り込む隙間は無いほどの緊迫感を放つ二人の様子に渋々といった感じに桑原はその場を離れる。

(あのオッサンの周りにはなんも無かった!見えはしなかったがあいつは多分オッサンを地面の下に落としたんだ!…ブチャラティはぜってぇ問答無用で地中に引きずり込んで殺すような奴じゃねえ!なら『地下鉄』だか『下水』だかの地下があるはずだ!)
93混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 01:00:52 ID:S8Etk1WWO


自分なりの推理をしつつ息を乱して走りながら桑原は考え続ける。

(あの馬鹿にゃあ一発…いや百発ぶち込んでやらにゃあ気がすまねぇ!ぜってぇぶん殴ってやる!!畜生ぉっ!!畜生……!!!)

一しずく、二しずく…頬を伝う涙しずく。
重なる馬鹿二人の姿。
それは…もう殴りたくても殴ることが永遠に叶わない、あの男の分までも…。

「畜生!幽助ッ!!ブチャラティッ!!ちっくしょおおおッッ!!!!」

響きわたる大きな悲壮――




「…さて…じゃあ始めようか」
「………」
「本当ならすでにお前を戦闘不能にするチャンスはいくらでもあった。しかしそれはしなかった。…何故か分かるか?“日本人(Giapponese)”?」
94混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 01:02:24 ID:S8Etk1WWO

「…興味ないな」

二人の距離は約10歩分。
穏やかな夜風が二人の間を吹き抜ける。

「…それが最低限の“礼儀”だからだ。礼儀を重んじる職業柄…無抵抗者への不意打ちは礼儀に反する」
「ずいぶん身勝手な礼儀のようだがな」
「フ…」

僅かに微笑む二人。

しばらくしてピタリと夜風が止む。
合図としてはそれで十分。

本来ならば出会うはずの無かった二人。
混沌の運命に引かれ合い、対峙してしまったのが戦いを逃れられない定めだったのか…。
運命に翻弄された二人の戦いが今、始まる――

95混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 01:03:37 ID:S8Etk1WWO
【栃木県/夜】
【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]やや疲労・肩、胸部に打撲、左腕骨折(以上応急処置済み)
[装備]シャハルの鏡@ダイの大冒険
[道具]:荷物一式(食料二食分・水少量消費)
:双子座の黄金聖衣@聖闘士星矢
:らっきょ(二つ消費)@とっても!ラッキーマン
[思考]1:ブチャラティをぶちのめす
2:シカマルの亡骸・悟空・仲間にできるような人物(できればクールな奴がいい)・ダイを捜す
3:主催者を倒す

【雷電@魁!!男塾】
[状態]:健康
[装備]:木刀(洞爺湖と刻んである)@銀魂
:斬魄刀@BLEACH(一護の衣服の一部+幽助の頭髪が結び付けられている)
[道具]荷物一式
[思考]1:下水道から脱出して承太郎と合流する
2:シカマルの亡骸を捜す
3:知り合いとの合流

96混沌体験//〜序章〜 ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/06(木) 01:05:32 ID:S8Etk1WWO
【ブローノ・ブチャラティ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]右腕喪失・全身に無数の裂傷(応急処置済み)
[道具]:荷物一式
:スーパー・エイジャ@ジョジョの奇妙な冒険
[思考]1:承太郎から真実を引き出す
2:首輪解除手段を探す
3:主催者を倒す

【桑原和真@幽遊白書】
[状態]やや疲労
[装備]斬魄刀@BLEACH
[道具]荷物一式
[思考]1:雷電を急いで探しだしてブチャラティたちの元へすぐ帰る
2:ブチャラティを監視
3:ピッコロを倒す仲間を集める(飛影を優先)
4:ゲームの脱出
97ヤムチャの世界〜閃武学園激動伝〜:2006/04/06(木) 18:38:27 ID:2j7NUM7z0
「ごっぐばぁぁ」
タカヤの攻撃をモロにくらうヤムチャ。
さらに、タカヤは右に3発、左に4発お見舞いする。
「ト ド メ!!」

ビュン

「がへっ、がへっ」
タカヤが、気づいた時には既に大量の血を吐いて、天高く打ち上げられていた。
真上には、冷徹な目つきで見下ろすヤムチャが。

「ウォーミングアップは終わりです」
タカヤは奈落の底に叩き落された。
98ヤムチャの世界〜閃武学園激動伝〜:2006/04/06(木) 18:39:37 ID:2j7NUM7z0
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.タカヤをころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。
    
@タカヤと闘っています
99白夜特急青森行き ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/08(土) 07:13:00 ID:Wnj0odW5O
「……どうやらわらわの貸し切りみたいねん、VIP待遇嬉しいわん!」


会話する相手などいないにも関わらず必要以上の声量で一人言を話し、一人悩ましげに身をクネクネよじらせる妲己。

ガタンゴトン……ガタンゴトン……

規則的な揺れを起こしながら流れ行く夜景。

そう、妲己がいる場所は闇夜の中走行し続けている蒸気機関車の中である。

「ふう、まあ…しばらくはくつろがせて頂こうかしらねん」
フワリと上半身を回転させて優雅に椅子に腰を落とす。
向かいの座席には先ほど並べたデイパックが二つ。

「…やっぱりわらわには、放っておいても自然と向こうから幸運が幾つも勝手に転がり込んでくる…これも日頃の行いの賜物ねん(はぁと)」

妲己はクスクスと笑みをこぼしながら目の前のデイパックをじっくりと眺め、すこぶる上機嫌だった。

遡る事約一時間前。
滋賀のログハウスで三度目の放送を聞き太公望の生存を確認でき、さてこれからどうしようかと思案しかけた時にもたらされた“機関車”の存在。
100白夜特急青森行き ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/08(土) 07:15:16 ID:Wnj0odW5O

新たな仲間や太公望を探すにはやはり人の集まりやすい大都市へ向かうのが定石。そう考えていた矢先に聞かされた新たな情報である。

当初予定していた名古屋でも良かったのだが、やはりできればなるべく大きい都市の方が人が集まる可能性も高い。
カズキたちから聞いていた首都『東京』へ楽に行く手段があり、さらには可能性は低いかもしれないが手付かずのデイパックが手に入るかもしれないというラッキーなおまけ付き。
六時間ごとの運行と言っていたのでもしかしたら望むタイミングでは乗れないかもしれないが、
線路沿いに駅を目指していればもしかしたら同じように機関車目的の人物に遭遇できるかもしれないし、最悪でも駅に着けば機関車待ちの者がいる可能性も十分に考えられる。
放送で機関車の存在を知った他の誰かと機関車内で遭遇する可能性もある。
太公望や仲間候補なら願ったり叶ったり、万が一危険人物に遭遇してしまっても飛び降りて逃げればよい。

…ようするにメリットだらけなのだ。

「ウフフ……走ってる機関車に飛び乗るのは少し面倒だったけど、こうして“当たり”を引き当てたのだから大黒字ねん」

まるでサンタから貰ったプレゼントの中身を確かめようとする無邪気な子供のようにウキウキとしながらデイパックを開く。
その中身は本人がサンタに願ったような望みの物なのか、はたまた予想外の素敵なオモチャなのか――


101白夜特急青森行き ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/08(土) 07:19:09 ID:Wnj0odW5O
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「……良かった、無事だったのね。つかさ…!」
「…リサリサ…さん…」

つかさが綾と別れてすぐ後、半ば呆然と立ち尽くしていたつかさの後ろから話しかけたのはマァムと別れてつかさを追っていたリサリサだった。

「あの吸血…いえ、あのあなたの友人は…?」
「………」
辺りを見回しながらつかさに歩み寄るリサリサだが、つかさは無言のまま俯いて立ち尽くすのみ。
その表情もなにやら苦渋に満ちた顔立ちである事から、リサリサはつかさがあの吸血鬼を見失ったか…それともあの吸血鬼との間に何かがあったのかと一人思案する。

「…つかさ?あの子は…」
「…綾さんは…私…に…『生き残れ』って…」
「え…?」

俯いたままたどたどしく唇から呟かれる言葉。

「…わたし…私を……淳平君に会わせたくない…って…」
「………」
「私……私に……ッ!」
102白夜特急青森行き ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/08(土) 07:20:25 ID:Wnj0odW5O


苦渋に満ちた顔のまま、ゆっくり地面に膝をつく。
小刻みにフルフルと身を震わせながら固まっているつかさの姿に困惑のまましばし呆然と立ち尽くすも、つかさの前でそっと身を屈めて肩に手を添える。

「…何があったのかわからないけれど、今はそうしていても仕方ないわ。それにそんな猶予も無い。マァムが戦っているの…私たちもすぐに戻りましょう…!」
「………」

固まったままのつかさ。
肩に感じるリサリサの手の温もりは少し心地良かったが、凍てついてヒビの入った心の氷を溶かすには至らない。

「……つかさ…」

しばらくの静寂…。

つかさを無理に立たせようとはしない。
肩に手を置いたまま、じっとつかさのその顔を眺め続ける。

――ポッポ〜…――

「…?あれは…機関車の…?バーンの言っていた…」
103白夜特急青森行き ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/08(土) 07:38:33 ID:Wnj0odW5O


遠くから聞こえた小さな聞き慣れない音。
林の向こう、距離がかなり離れているのか姿も見えず…ただ微かに線路をこするような音が西から東に向けて通り過ぎていく。

「………」

その方角をぼんやりと眺めていたリサリサ。それにも反応を見せず固まったままのつかさ。

機関車らしき音は闇夜に小さく消えていき…林に静寂が戻る。

リサリサはつかさに視線を戻し、いきなりギュ!とつかさの顔を己の胸に引き寄せて両腕で包み込む。

「…え…?」
「つかさ…あなたにはこの状況はつらい事ばかりかもしれない。けど、駄目よ」
「………」
「そんなザマでは駄目。私は……私は、あなた達を実の娘のように大切に思っているから…」
「…むす…め…?」
「息子には…息子なら、決して甘くはしないけれど。フフ…」
「…リサリサ…さん…」
104白夜特急青森行き ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/08(土) 07:40:49 ID:Wnj0odW5O


初めてリサリサを見上げる。
そこにあったのは一度も見たことの無かったとても穏やかなリサリサの…いや、“優しい母”の微笑みであった。

「行きましょう。“もう一人の娘”を放っておくわけには行かないから」
「………」

ゆっくり、ゆっくりとだがつかさが立ち上がる。
その動きを邪魔しないようにリサリサも体を離す。

「…はい…」

そのつかさのようやく少し光の戻った瞳と返事を確認すると、すでにリサリサの顔は“母”から“戦士”の物へと戻っていた。

顔にわずかに残る母の温もりにそっと指を添え、再び顔を上げて足を踏み出す。
胸の奥底に強く打ち込まれた深い悲しみと黒い言霊はとりあえず今は押さえつけたまま、見えない終着駅を目指して――

105白夜特急青森行き ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/08(土) 07:43:56 ID:Wnj0odW5O
【青森行き蒸気機関車内/愛知県通過中/夜】
【蘇妲己@封神演義】
[状態]健康・満腹
[装備]:打神鞭@封神演義
:魔甲拳@ダイの大冒険
[道具]:荷物一式(食料・水三人分から一食消費)
:荷物一式(機関車内で入手。支給品はまだ未確認)
:黒い核鉄III@武装練金
:ドラゴンキラー@ダイの大冒険
:黒の章&霊界テレビ@幽遊白書
:千年パズル(ピース状態)@遊戯王
[思考]1:東京へ向かう
2:仲間と武器を集める。太公望を探す
3:必要無い参加者・邪魔な参加者は殺す(?)
4:ゲームを脱出

106白夜特急青森行き ◆Oz/IrSKs9w :2006/04/08(土) 07:45:12 ID:Wnj0odW5O
【愛知県/夜】
【西野つかさ@いちご100%】
[状態]:ショック状態(やや軽減)
:移動による疲労
[装備]天候棒(クリマタクト)@ワンピース
[道具]:荷物一式
:核鉄@武装練金(ナンバー不明)
[思考]1:マァムと合流
2:精神不安定(今は少し収まっている)
3:生き残る…?

【リサリサ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]健康
[装備]三味線糸
[道具]荷物一式
[思考]1:マァムと合流
2:吸血鬼を根絶する
3:協力者との合流
107ピッコロ大魔王の世界〜相×剋〜 ◆PN..QihBhI :2006/04/08(土) 21:29:57 ID:ufS39R9m0

秋田県仙北市田沢湖の畔にピッコロはいた。湖面の先に高々と聳えるのは駒ヶ岳であるという。
フレイザードとの合流地点であったが、動くものの気配は微塵も感じられなかった。

「フレイザードめ・・・来ておらんのか」

今宵は満月。辺りは静寂に包まれて、時折水の撥ねる音が響くのみである。
ピッコロは湖畔のベンチに腰を下ろした。この大魔王の玉座としてはいささか物足りぬ。

「・・・まあよいわ」

きっかり二十四時間。それがフレイザードに与える猶予であるとピッコロは定めた。
仮にフレイザードが深手を負っているとしても、かの治癒の効力を持つ妙な金属体(核金のこと)を考慮すれば十分過ぎる時間である。
また、ピッコロ自身も浅からぬ傷を負っていた。元来高い再生能力を持つ身であったが、万全の状態に戻るまでは、まだまだ時を要するであろう。

(それにしても世直しマンめ・・・このピッコロ大魔王のプライドを此処まで傷つけるとはな。彼奴だけは決して許せぬ。如何なる手段を用いても・・・ぬ!!?)

その時、不意に感じた視線にピッコロは立ち上がった。

バサバサバサッ

殺気に反応したのか、静寂の田沢湖に飛び立つ野鳥達の声が響き渡る。
一方、ピッコロは視線の正体に釘付けになっていた。




――― 『 ネ申 』 め ・ ・ ・  

波一つ立たぬ湖面は、只、己の姿を映し出すのみであった。
108ピッコロ大魔王の世界〜相×剋〜 ◆PN..QihBhI :2006/04/08(土) 21:31:31 ID:ufS39R9m0
【秋田県・田代湖の湖畔/1日目・真夜中】

【ピッコロ@ドラゴンボール】
状態:中度の疲労・身体全体にダメージ大
装備:なし
道具:荷物一式・前世の実@幽遊白書
思考:1.休息をとりながらフレイザードを待つ。リミットは24時間。
    2.世直しマン、イヴを殺す。
    3.フレイザードを利用してゲームに乗る。とりあえず南下。
    4.残り人数が10人以下になったら同盟解除。悟空を優先して殺す。
    5.最終的に主催者を殺す。(フレイザードには秘密)

※ピッコロ、フレイザードは、ルキアとボンチューの存在に気づいていません。
109ヤムチャの世界〜閃武学園激動伝〜:2006/04/09(日) 16:39:15 ID:5YJNVBJX0
ドッグォォーン
タカヤの周りに物凄い衝撃が走る。
タカヤの怒り―それは、熊本県全土を海に沈めた。

「ユルサンゾォ!!!キサマノスベテウォメッサイシテヤルゥゥ!!!」

そんなタカヤをヤムチャは空中から眺めていた。
「ふふふ・・・わたしもそろそろ本気を出しましょうか、
 界 王 拳 3 0 0 倍」
ヤムチャの周りが赤いオーラに包まれた。
110ヤムチャの世界〜閃武学園激動伝〜:2006/04/09(日) 16:40:08 ID:5YJNVBJX0
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.タカヤをころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。
    
@タカヤと闘っています
111死神交響曲第十一番『戦求者』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/09(日) 18:02:04 ID:z1D7VxBu0
死神の脚が、砂地を駆ける。
死神の脚が、ビルの横を駆ける。
死神の脚が、コンクリートの地面を駆ける。

――いまだ生を謳歌しているという幸運に恵まれた者たちよ――

死神の脚は、森を駆けている最中に停止した。

「一護が死にやがっただと――!?」
三回目の放送で告げられた名の中には、更木剣八のよく知る者の名があった。
黒崎一護。かつて、瀞霊廷に旅過として侵入してきた死神代行の少年。
剣八はそこで一度、一護と剣を交えたことがある。
剣を交えたと言っても、先程のキン肉マンとの『試合』などではなく、生死を懸けた『死合い』のこと。
生きるか死ぬか、殺すか殺されるかの極限状態に置かれた中での戦闘は、実に心地のいいものだった。
更木剣八が経験した死合いは数あれど、あそこまで興奮した死合いは中々ない。
さらに殺されはしなかったものの、一護は剣八に土を付けたことのあるほどの強者なのだ。

――いずれ、再戦するつもりだった――

一護がルキアを救い出した後、尸魂界(ソウルソサエティ)に留まっていた数日間も、剣八は一護を付け狙っていた。
瀞霊廷内で一護を見つけては剣を抜き、追いやり、逃げられる。今を思えば間抜けな数日間。
しかし、結局再戦は阻まれ続けて一護は現世へと帰っていってしまった。
なぜ、あの時再戦を果たせなかったのか。
一護が拒み続けたから?
藍染の騒動でごたごたしていたから?
どちらも理由としては当てはまるだろう。
戦いは、相手も死ぬ気でこなければおもしろくない。
そして尚且つ、万全の状態でなくてはおもしろくない。
だから、あの時は機を窺っていたのだ。そう解釈してみよう。
112死神交響曲第十一番『戦求者』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/09(日) 18:03:38 ID:z1D7VxBu0
――だが、一護は死んだ――

思えば、この世界で出会った志々雄もそうだ。
相手が万全の状態――自分の獲物を手に入れるまでを待っていたら、機を逃してしまった。
志々雄はまだ生きているが、次に会うのはいつのことか。
再会することなく、死んでしまうようなこともあるかもしれない。一護のように。
「俺は……」
更木剣八は戦いに飢えている。
そのはずなのに、いつも戦いのチャンスを掴めないでいる。
考えてみれば、殺し合いのゲームという絶好のこの場でも、未だに満足のいく戦いはできていない。
単に運がないだけなのか。なぜ好敵手に恵まれないのか。
キン肉マンと分かれた今でも、まだ他の参加者には出会えていない。
気づけば参加者の数も、既に当初の半数近く。
それだけ強者との戦いのチャンスを逃した。

「胸糞ワリィ……」

近くには、怒りをぶちまけられるような奴もいない。
ただただ自分の運のなさに、嫌気がさしてくる。

ふいに、手にしていたムラサメブレードに目をやる。
それは死神更木剣八が所有する“名無しの斬魄刀”ととは違うが、武器としては十分に高性能なものだ。
しかしこの武器に足りないものが、一つだけ。
113死神交響曲第十一番『戦求者』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/09(日) 18:04:23 ID:z1D7VxBu0
血の臭い、である。
この武器が本来誰の所有物で、どんな人間を斬ってきたかなどは知らない。
ひょっとしたら、剣八の持つ“名無しの斬魄刀”よりも多くの者の血を吸ってきたのかもしれない。
だが、剣八が倒してきた数々の強敵達の血が染み付いていないことだけは確かだった。
例えば、かつての十一番隊隊長。
例えば、黒崎一護。
激戦の記憶はあるものの、この刀にはその記憶がない。
ただそれは特に重要でもなく、どうでもいいことでもある。
血など、これから吸わせればいい。
問題なのは、未だにそれができていないということなのだ。

ムラサメブレードから目線を外し、ふと目の前を見る。
大木が聳えていた。ここは森なので、なんてことのない当たり前の光景なのであるが。
少し想像してみよう。
もしも、この大木が殺意を持っていたら。
ありえない話だが、もしそうなったらこの大木は剣八にとって敵ということになる。

「――ケッ!」

大木を敵と想定して、剣八は徐に刀を振るってみる。
大木は、簡単に上下両断された。
崩れ落ちる架空の敵からは、血も吹かなければ断末魔の叫びもあがらない。
当たり前だ。大木はあくまで大木。
殺意など持ち合わせておらず、どう足掻いても敵には昇華できない。
114死神交響曲第十一番『戦求者』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/09(日) 18:05:33 ID:z1D7VxBu0

「……つまらねぇ」

――なんでこの場に敵がいねぇ?
――俺は殺し合いをさせられてるんじゃねぇのか?
――だったらなんで俺に殺させねぇ?
――なんで俺の前に敵が現れねぇ?
――胸糞ワリィ……胸糞ワリィったらありゃしねーよ。

荒れていた。
ここが剣八のいる世界なら、いつも肩に付いている小柄な副隊長や、丸坊主や小奇麗な部下達が諭してくれるのだろうが。
あいにくここには誰もいない。敵も味方も、誰もかも。

「――誰か俺と戦いやがれッ!!!」

誰でもいい。
虚とつるんでいたいけ好かない死神でも、名門貴族ヤローの妹でも、誰でも。
この際弱者でもいい。弱者は弱者なりに、死に抗ってくれるだろう。

 誰か――俺を満たしてみろ。

静寂の支配する森で、哀れな死神の嘆きの声が轟いた。
115死神交響曲第十一番『戦求者』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/09(日) 18:14:27 ID:z1D7VxBu0
放送終了後、剣八はさらに歩みを速め、中国地方を爆走し続けた。
たった一つの悲願、好敵手を求めて。
『試合』ではなく『死合い』としての好敵手を。

戦いを求める死神の脚は、加速。
戦いを求める死神の眼は、望遠。
戦いを求める死神の心は、激荒。

動きを見せるものを見つけたら、それが猫だろうが恐竜だろうがすぐさま飛びつかん勢いだった。
この殺し合いのゲーム。
一人でいれば誰でも人恋しくなるのが当然というもの。
戦いを望まない者にとっては、『一人』は恐怖に他ならない。
それは剣八も例外ではない。
彼は他の参加者となんら変わりなく――人恋しい――という感情を抱いていた。
もっとも、対面したいのは『味方』ではなく『敵』だったが。

いた。
周囲に磯の香がする。夢中で走っていて気がつかなかったが、剣八はいつの間にか海岸線沿いに出ていたようだ。
そして前方、遠くには陸と陸とを結ぶ通路、橋が見える。
橋には、人影が見える。一人か二人か。
遠すぎて体格や見た目の性別は分からない。だが人型なのは間違いない。
それだけで、剣八の求める敵としての資格は十分だった。

「……居やがった!」

唐突に、標的発見。
116死神交響曲第十一番『戦求者』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/09(日) 18:18:59 ID:z1D7VxBu0
確認したのは一瞬で、剣八は再び脚の動きを加速させる。
確かに人が存在している、前方の橋を目指して。
距離はかなりあるが、橋を越えるのが目的なら、万が一見失ってもその先をくまなく探せばなんとかなる。
そこにいるのは強者か弱者か。ゲームに乗っているのかいないのか。キン肉マンのように生温い奴ではないだろうか。
それら考えられる心配は一切カット。
今の剣八には、走る、追いつく、戦うの思考しかない。
剣八が発見した人物が何者で、正確には何人居て、橋を渡ってどこに向かおうとしているのか。
そんなことは全てどうでもいいのだ。
死神が求めるのは一に『戦い』であり、二に『勝利』なのである。
命知らずな戦闘狂は、最初から生への安っぽい執着など持ち合わせていなかった。

疾走する彼が今考えていることを、お見せしよう――
117死神交響曲第十一番『戦求者』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/09(日) 18:20:01 ID:z1D7VxBu0
――戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!
俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と戦え!俺と―――
118死神交響曲第十一番『戦求者』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/09(日) 18:20:38 ID:z1D7VxBu0

【架空伝聞:第十一番隊副隊長より】

 剣ちゃんはいつだってああなんです。

 いっちーと戦うときもああでした。

 おかしくなんてありません。

 あれが剣ちゃんなんです。

 だから、どうかだれか――

119死神交響曲第十一番『戦求者』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/09(日) 18:21:18 ID:z1D7VxBu0




     剣ちゃんと、戦ってあげてください。





【岡山/夜】
【更木剣八@BLEACH】
 [状態]:軽度の疲労。股関節、両肩の軽い炎症、全身に軽度の列傷
 [装備]:ムラサメブレード@BASTARD!
 [道具]:荷物一式、サッカーボール@キャプテン翼
 [思考]:1、橋を通過中の何者か(ヒル魔、ナルト)を追う。
     2、誰かと戦いたい。
     3、志々雄、キン肉マン、ヒソカらと決着をつける。
     4、キン肉マンの仲間になる気はない。
120死神交響曲第十一番『戦求者』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/09(日) 18:21:59 ID:z1D7VxBu0
【岡山/下津井瀬戸大橋・通過中/夜】
【蛭魔妖一@アイシールド21】
 [状態]:右肩骨折、疲労はほぼ回復
 [装備]:無し
 [道具]:支給品一式
 [思考]:1.姉崎との合流
     2.ナルトを警戒
     3.香川で姉崎まもりの捜索
     4.22時までに岡山市街地に戻る

【うずまきナルト@NARUTO】
 [状態]:九尾の意思 やや疲労
 [装備]:無し
 [道具]:支給品一式(食料と水を消費済み)
     ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険
     フォーク5本、ソーイングセット、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
 [思考]1、四国から感じた強大な妖気の源(鵺野)と接触し、可能なら利用。不可能なら殺害後捕食。
    2、サクラを探し、可能なら利用。不可能なら殺害。
    3、術者に能力制限を解かせる。
    4、優勝後、主催者を殺害する
    5、蛭魔妖一に自分を信用させる。
[備考] (ナルトの精神は九尾の部屋で眠っています。肉体的に瀕死、
またはナルトが外部から精神的に最大級の衝撃を受けると一時的に九尾と人格が入れ替わります)
ナルト以外の共通思考(22時までに岡山市街地に戻る)

*玉藻の封印は、玉藻の死亡と、九尾のチャクラの一部によって解除されたと言う見解です。
 そのため、今のナルト(九尾)はナルトのチャクラ+九尾のチャクラ15%程度のチャクラが上限です。
 ただし、九尾のチャクラも使いこなせます。
 あと、九尾は基本的にナルトの口調で喋ります。
121蛾刃〜始マリ ◆YTVLxrde4Q :2006/04/13(木) 13:53:05 ID:adyV9g4w0
「極・火 砕 砲!」
タカヤの腕から放たれた炎がヤムチャを焦がす。
さらにタカヤの追撃は続く。

「激・地 衝 撃!」
ヤムチャの着地を狙っての攻撃。

タカヤの2つの新技がヤムチャに炸裂した。

122蛾刃〜始マリ ◆YTVLxrde4Q :2006/04/13(木) 13:55:11 ID:adyV9g4w0
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.タカヤをころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。

【タカヤ@生存確認】
123コンタクト ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/14(金) 19:09:27 ID:YvPMSBBa0
「あらぁん?」

妲己が開けたデイパックの中には支給品の入ったカプセルはなく、
一枚のカードと説明書のウラを使ったメモが残されていた。

そのメモ―――――Lの残したメモにはこう書かれていた。

『はじめまして、私はLという者です。
ゲーム脱出のために人材が必要です。
あなたがゲームを脱出したいと願うなら、連絡をお願いします』

「・・・Lといえば最初のときに世界最高の頭脳と呼ばれていたコねぇん」

主催者がそう呼ぶ程の者なら少なくともバカではないだろう。
そう、少なくとも先程喰らった少年のように無謀なマネはしないだろう。

何者かがLの名を騙っている可能性も考えられたが、連絡をとるだけなら危険はないし、
メリットが思いつかない。
そして何より連絡手段が偽りを許さないだろう。

「『交信』ねぇん・・・」

GIのスペルカード『交信(コンタクト)』
他参加者一名と通話できる(最大三分間)。
使用方法はスペル名と相手の名前を呼ぶこと。
いくらLを騙ろうとも、名前が違えば通話が繋がるはずはない。

「それに『ゲーム脱出』ってのも興味あるしぃん」

しかしそこで妲己は考え込む。
124コンタクト ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/14(金) 19:12:20 ID:YvPMSBBa0
現在自分は一人だ。仲間は一人もいない。
女性である自分が一人で連絡すればLはどう思うだろうか。
この殺人ゲームにおいて一人で行動している自分はマーダーだと疑われるのではないか。

実際に人を殺しているし、Lは切れ者である。
騙し通せる自信がないわけではないが、危ない橋は渡らないに越したことはない。
それにLが求める人材も自分一人しかいない。

「それにこの『交信』・・・使えるわぁん。
太公望ちゃんと連絡がとれるわねぇん」

しかし太公望もまた自分を信用していないだろう。
自分一人だけで仲間がいないなら尚更だ。

「どちらにしても仲間が必要ねぇん。信用を得るのってメンドイわぁん。
あせらない、あせらないぃん」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

その頃、Lは大阪駅にいた。

第三放送の後、Lはしばらく考え込んだ。

(第二放送の二倍近くの死者、か)

どうやら殺し合いのペースは加速してきているようだ。
趙公明のような存在が他にもいて、暴れまわっているならば納得の数字だ。

(ムーンフェイス・・・あなたの犠牲は無駄にしない)

放送で呼ばれた月顔の男に改めてゲームを終了させることを誓った。
125コンタクト ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/14(金) 19:14:49 ID:YvPMSBBa0
(さて、あちらの月は健在のようだ、流石だな)

夜神月は生き残っているようだった。

放送を聞き終えた後、Lは列車の中に置かれているというナッパのデイパックを探した。
デイパックはすぐに見つかり、Lは支給品を確かめた。

「これは・・・!」

ナッパの支給品はGIスペルカードだった。
その中の一枚『同行』がLの目をひいた。

『同行(アカンパニー)』
スペルを使用したプレイヤーを含め、半径20m以内にいる参加者を
指定した県、もしくは指定した参加者のいる場所へ飛ばす。

(これがあれば九州まで一瞬でいける・・・!)

しかし一つ問題点があった。それは『一度行った県しか行けない』というルールだ。
Lはこのミニチュア日本の九州に行ったことがない。
誰か九州に行ったことのある人物を探さなければならない。

(どちらにせよ戦力は必要だ)

趙公明を思い出す。強力な敵に対抗できる仲間が必要だ。
それに『同行』は多人数を一気に運べる。仲間を運ぶのには好都合。

(仲間探しが必要だな・・・となると、人が集まりそうなのは大阪か。
危険だが仕方がない)

126コンタクト ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/14(金) 19:16:06 ID:YvPMSBBa0
次にLは『交信』のカードに目を向けた。

(これはなかなか難しいカードだ)

一見すると、どこからでも誰とでも連絡がとれる便利なカードに見える。
しかし、
何も知らない人間がいきなり声をかけられたら?
そこに人の姿がなかったら?
それが知らない声だったら?
そこが殺人ゲームの舞台だったら?

奇しくも第三放送の後、親しい者を失った人間の混乱、悲愴は計り知れない。
『交信』を使えば間違いなく混乱、警戒、疑惑に陥り、
まともな情報交換ができないまま制限時間の三分が終了する可能性が高い。

となれば見ず知らずの人間に『交信』を使うことは愚策。
といってもそれは知り合いにもいえること。

生き残っている知り合いの月とミサも自分と同じ一般人だ。
ムーンフェイスや趙公明のような超人ではない。それが生き残っているということは、
自分のように仲間を作っていた可能性が高い。
その仲間に騒がれれば同じことだ。

(月君ならうまくやるかも知れないが・・・)
127コンタクト ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/14(金) 19:19:06 ID:YvPMSBBa0
そこで、相手が話す準備が出来てから通信をするため、
Lは『交信』とメモを使った仕掛けを設置することにした。

第三放送を聞いて列車に乗る人間は多いはず。
そこにデイパックをおき、その中にメモを入れれば、
必ず誰かが見るはずである。

しかもこの状況で列車に乗るという行為を行うということは、
腕に余程の自信がなければ出来ないだろう。
なぜなら、列車は現在最も人が集まりやすいスポットだからである。
つまり、マーダーも集まりやすいということだ。

列車に乗り込んでくる人間は実力者の可能性が高い。
是非とも接触したいところだった。

しかし、この仕掛けも一つの賭けだ。
取った人物が自分の用事に使うかもしれないし、マーダーが取る可能性もある。
カードを通してなら危険はないものの、カードを無駄にすることになる。
128コンタクト ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/14(金) 19:20:43 ID:YvPMSBBa0
(月君と連絡をとるべきか、デイパックの仕掛けを設置するべきか・・・)

Lは迷い、そして結論に至った。

(デイパックの仕掛けを置くべきだ。マーダーが連絡してきても、
情報は手に入るし、騙されない自信もある)

月に対する『キラではないか』という思いが不信感となり、
この結論に至らせたのだ。

大阪駅で降りたLは自分が乗っていた下り列車ではなく、
もう向かうことがないだろう関東方面へ向かう上り列車の中にデイパックを置いた。

九州方面に向かう者とはこれから会うかもしれないが、
関東に向かう者とはこの機会を逃せば、もう連絡がつかないだろうとの判断だった。

そして現在、未だ連絡はない。

(まあ、気長に待つとしよう)

そう思い、Lは夜の大阪に消えた。
129コンタクト ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/14(金) 19:28:19 ID:YvPMSBBa0
【愛知県・上り列車の中/夜】
【蘇妲己@封神演義】
状態:少し精神的に消耗・満腹・上機嫌
装備:打神鞭@封神演義・魔甲拳@ダイの大冒険
道具:荷物一式×4(一食分消費)・黒い核鉄V@武装錬金・ドラゴンキラー@ダイの大冒険・黒の章&霊界テレビ@幽遊白書・千年パズル(ピース状態)・GIスペルカード『交信』@ハンターハンター
思考:1.仲間と武器を集める
    2.仲間が集まったらLか太公望と連絡をとる。
    3.本性発覚を防ぎたいが、バレたとしても可能なら説得して協力を求める
    4.ゲームを脱出。可能なら仲間も脱出させるが不可能なら見捨てる
    

【大阪府・大阪駅周辺/夜】
【L(竜崎)@デスノート】
[状態]:右肩銃創(止血済み)
[道具]:デスノートの切れ端@デスノート・GIスペルカード(『同行』・もう一枚は不明)@ハンターハンター ・コンパス、地図、時計、水(ペットボトル一本)、名簿、筆記用具(ナッパのデイパックから抜いたもの)
[思考]:1・沖縄を目指し、途中で参加者のグループを探索。合流し、ステルスマーダーが居れば其れを排除
    2・出来るだけ人材とアイテムを引き込む (九州に行ったことがある者優先)
    3・沖縄の存在の確認
    4・ゲームの出来るだけ早い中断
130コンタクト ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/15(土) 02:27:17 ID:xG9yAo2q0
修正

妲己の思考を、

4.ゲームを脱出。可能なら仲間も脱出させるが不可能なら見捨てる
                ↓
4.ゲームを脱出。可能なら太公望も脱出させるが不可能なら見捨てる

に変更します。
131自演遊戯 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/15(土) 23:50:10 ID:xG9yAo2q0
(なんて足の速さだ・・・)

友情マンもヒーローの一人だ。
常人よりもはるかに速く走ることができる。
その友情マンが全力で走っているのに、ついていくのが精一杯。

しかも相手は障害物を破壊しながら進んでいるため、本来のスピードを出せていない。
それなのに、である。

(やはり僕の目に狂いはなかった。早く彼と友達にならなければ)

しかし、なかなか距離は縮まらない。
遂には海が見えてきた。

(仕方がない。少しベタな手を使うとするか)

友情マンは懐から三枚のカードを取り出した。
132自演遊戯 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/16(日) 00:09:41 ID:cGPbPesD0
悟空は走っていた。
止まってしまうと自分が自分でなくなりそうで、とにかく走っていたのだ。

走り続けていると、前方に海が見えてきたので、海に突っ込まないよう
方向転換しようとして、スピードを緩めた。

その時だった。

「黒魔法(ブラックマジック)!」

悟空の足元で爆発が起こった。
反射のみで身をかわし、臨戦態勢に入る。
攻撃をしてきたのは、黒装束の男だった。
杖を持ったその姿は、まるで魔術師のようである。

「なんだ・・・おめえ、オラと戦うっていうのか?」

悟空が魔術師の男に集中しようとしたとき、いきなり横から攻撃が来た。
即座に拳で叩き落し、横を向くと、魔術師の男と同じような姿をした女がいた。

「新手かっ!」

魔術師の男と魔術師の女はまるで師弟のようなコンビネーションで悟空に攻撃を仕掛ける。
その動きはスピーディにしてトリッキー、人間にはまず対応できない動きである。

しかし、孫悟空の敵ではない。


133自演遊戯 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/16(日) 00:25:43 ID:cGPbPesD0
「おめえらっ・・・邪魔だっ!」

一瞬で魔術師の男との間合いを詰め、
地面を踏みしめて一撃を食らわそうとしたその時

踏みしめるべき地面が消失した。

「落とし穴、発動」

茂みに隠れた友情マンが罠カードを発動したのだ。

落とし穴に落ちる悟空。
慌てて上を見上げると、二人の魔術師が今まさに魔術を放とうとしている瞬間だった。

絶体絶命に思われたが―――――乱入者が登場した。
その乱入者は魔術師達に飛び蹴りを食らわせ、
二人の魔術師と乱入者は、落とし穴のそこから見上げる悟空の視界からフェードアウトした。

しばらく争う音が聞こえた後に静かになり、
そして落とし穴の入り口からその乱入者―――――
さわやかな笑みを顔に貼り付かせた友情マンが悟空に手を伸ばした。
そのもう片方の手に、回収した「ブラック・マジシャン」「ブラック・マジシャン・ガール」のカードを握り締めて。
134自演遊戯 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/16(日) 00:42:42 ID:cGPbPesD0
「大丈夫かい?今の奴らは僕が追い払ったよ」

落とし穴から引き上げられた悟空は、とりあえず友情マンに礼を言った。

「礼はいいよ、僕が勝手にやったことだし。それよりもどうしたんだい?
何やら追い詰められたような顔をしているけど」
「そ、そうだ・・・オラは・・・オラは人を・・・」
「人を?」
「殺しちまった・・・いや、地球人は殺さなきゃいけなくて・・・
でもそんなことオラは・・・したく・・・ない・・・?」

(混乱しているな。精神分裂病の一種だろうか?)

話を聞いていると、どうやら彼には二つの人格があるようだ。
戦士の人格と殺人者の人格。
友情マンにとっては殺人者の人格のほうが都合がいいようだった。
ターゲットは地球人のみのようなので、異星人である自分には関係ない。

「どうして地球人を殺さなきゃならないんだい?」
「それは・・・地球を売るのに邪魔だから・・・」
「なら何を迷うことがあるんだい?
殺しちゃえばいいじゃないか。全滅させればいいじゃないか」
「でもオラは・・・」
「それが母星の命令なんだろう?親には従うものさ」
「オラは・・・」
「僕も君と同じで地球人じゃないんだ、協力しよう。何、僕らはもう友達じゃないか!」
「・・・」
「さあ、共に戦おう!」
135自演遊戯 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/16(日) 00:57:30 ID:cGPbPesD0
「そうだ・・・オラは何を迷っていたんだ?」

そこにもう、孫悟空はいなかった。

「地球人を全滅させることがオラの役割じゃないか・・・」
「よし、そうと決まれば早速出発しよう。そうだ、まだ名前を聞いていなかったね。
僕としたことが友達の名前を聞き忘れるとは、何と言うことだ!
僕は友情マン、ヒーローさ。君の名前は?」
「オラは・・・オラの名前はカカロット」

(カカロット?確かクリリン君は悟空と言っていた筈。
別人格の名前だろうか?だとしたら下手に突っ込まないほうがいいな)

せっかく友達になれたのだ。波風を立てることはない。

(それに・・・カカロット君はさっきまでとは完全に違う。
さっきまでのカカロット君は自分自身に怯えていて、本当の実力を発揮できていなかった。
だけど今のカカロット君は目的を持っていて安定している。
つまり実力を十二分に発揮できるということさ!)

目に見える程のオーラを纏い、大地に立つ孫悟空。
かくして最強最悪のマーダーがここに誕生したのであった。
136自演遊戯 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/16(日) 01:14:30 ID:cGPbPesD0
(カカロット君なら確実に他の参加者を全滅させるだろう。
地球人以外の参加者については、カカロット君に攻撃させるよう仕向ければいい。
カカロット君も攻撃されれば反撃せざるを得ないだろう。

何か危険なアイテムを持つ者がいたら、「光の封殺剣」で封じればいい。
「ブラック・マジシャン」「ブラック・マジシャン・ガール」はもうカカロット君の前では使えないな。
まあ、どうせ24時間は使えないんだけどね。

どうしても戦いを挑んでこない地球人以外の参加者がいたら、僕が始末すればいい。
そうして最後に二人になった後、
「お疲れ様」と言って青酸カリ入りの食料を渡す。
最後に残るのは、この僕だ)

しかし、その最強最悪のマーダーのヒザが折れる。

「ハラ減った・・・」

友情マンはすかさず食料セットを取り出す。

「食べ物なら、ほら、こんなにあるよ。僕が料理してあげよう」
「ホ、ホントかっ!わ、悪いなー何から何まで」
「気にしないでくれ、何せ僕達は友達、いや
親友じゃないか!
好きなだけ食べてくれ!」

数十分後、友情マンはこの言葉を大いに後悔することになった。
137自演遊戯 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/16(日) 01:26:37 ID:cGPbPesD0
【友情マン@とっても!ラッキーマン】
[状態]:健康
[装備]:遊戯王カード(千本ナイフ、光の封札剣) (ブラックマジシャン、ブラックマジシャンガール、落とし穴、は24時間後まで使用不能)
[道具]:荷物一式(一食分消費)、ペドロの荷物一式、青酸カリ。(食料セットはなくなりました)
[思考]:1.茫然自失(悟空の食いっぷりを見て)。
    2.悟空をサポート、参加者を全滅させる。
    3.最後の一人になる。

【孫悟空(カカロット)@ドラゴンボール】
 [状態]腹八分目 顎骨を負傷(ヒビは入っていない) 出血多量 各部位裂傷(以上応急処置済・戦闘に支障なし)
    全身に軽度の裂傷 カカロットの思考。 
 [装備]フリーザ軍の戦闘スーツ@ドラゴンボール
 [道具] 荷物一式(水・食料一食分消費) ボールペン数本 禁鞭@封神演義
 [思考] 地球人を全滅させる。    
      
 
138自演遊戯 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/18(火) 00:02:31 ID:FfhObaC90
修正

【石川県・海岸沿いの公園/夜】
【チーム名/異星人連合】

を状態表に追加
139蛾刃〜中絶 ◆fUsOAZi/U2 :2006/04/18(火) 16:00:14 ID:UBSfvAS80
煙の中からヤムチャが出てくる。
その目には怒りを宿して。

『最終』 狼 牙 風 風 拳!!

―閃光が走る―

タカヤは凄まじい量の血を吐き、忘却の彼方へ飛ばされていった。
140蛾刃〜中絶 ◆fUsOAZi/U2 :2006/04/18(火) 16:01:01 ID:UBSfvAS80
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.タカヤをころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。

【タカヤ@生存確認】
141アトランティスの浮遊金属 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/18(火) 17:21:11 ID:FfhObaC90
ドゥンーーーーー

「なっ、ななな何っ!?」

リンスレットが寝ていると、突然隣の部屋からくぐもった爆発音が聞こえてきた。
慌てて隣の部屋の前へ行き、ドアを勢いよくノックする。

「アビゲイルッ!何かあったの!?」
「うーむ・・・あ、お嬢さん、起こしてしまったようですね。どうぞ、入ってください」

リンスレットが部屋の中に入ると、何かが焦げたような臭いが鼻をついた。

「うっ・・・一体どうしたの?」
「いえ、首輪を雷神剣でこじ開けようとしたら爆発しましてね」
「首輪が!?・・・それにしては部屋が綺麗ね。思ったより爆発力が小さいのかしら?」
「いえ、それはおそらくこの貝の効果でしょう。
この貝が外側への爆発を無効化したため、爆発力が全て内側に向かったのです。
首輪は跡形もありません。人一人殺すのには十分過ぎるほどの威力です」

アビゲイルが手に握っているのは排撃貝だった。

「この貝は衝撃を吸収する性質を持っているようです。さきほどかなり強い打撃を加えても無効化しました。
この貝を接触させれば、首輪の爆発をキャンセルできるかと思ったのですが、そう簡単にはいかないようです。
外側への爆発は抑えられても、内側ーーーつまり首側への爆発は無効化できないようです。これでは意味がありません。
やはり無理矢理開けるのは無理ですか。他のスマートな開け方を考えないといけませんね」
「内部構造が見れないんじゃ解体の糸口も見つけられないじゃない!一体どうすればいいってのよ・・・」

悩むリンスレットはつい部屋をぐるりと見回しーーーあるものを発見した。
142アトランティスの浮遊金属 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/18(火) 17:23:08 ID:FfhObaC90
「アビゲイル・・・あれはブルマのドラゴンレーダー?何で分解してあるの?」
「ああ、あれはですね、何か有効活用できないものかと改造していたのですよ。
お嬢さんが気絶している間、時間がありましたからね。
ブルマさんが亡くなる前に一通り説明は受けていたので構造は把握しています」
「ふーん、どんなふうに活用するの?」
「フフフ・・・これを使います」

アビゲイルが取り出したのは漆黒のトンファー。

「あーっ!それってナイザーのディオスクロイじゃない!」
「おや、このトンファーはお嬢さんの世界のものなのですか?」
「そうよ。そのトンファーはクロノ・ナンバーズのナイザー=ブラッカイマーって奴が使ってた、
私の世界で最も硬い金属であるオリハルコン製の武器よ」
「そう!それです!オリハルコンですよ!
私の世界にも同名の金属がありましてね。まあ、色は違いますが。
かの英雄ラーズ・ウル・メタ=リカーナの愛剣、超絶聖剣ヘヴィ・メタルもオリハルコンで出来ているのです!」
「いや、そんな奴知らないんだけど・・・ところで、そっちの世界のオリハルコンってどんな色なの?」
「透明です」
「全然違うじゃない!黒と透明って真逆の色よ?それって本当に同じ金属なの?」
「いえいえお嬢さん。確かにこの黒いオリハルコンと私の世界の透明なオリハルコンは違う金属ですが、
この閉鎖空間内においては”同じ”なのですよ」

「?」と首を傾げるリンスレット。
143アトランティスの浮遊金属 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/18(火) 17:24:53 ID:FfhObaC90
「私の見る限り、この黒いオリハルコンは、本来は違うはずである私の世界のものと”同じ”なのです。
前々から思っていましたが、この閉鎖空間内では『名前』という概念が重要な意味を持っているようですね。言霊というやつです。
名前を呼ばないと発動しないスペルカード然り、定期的に流される死亡者の名前然り・・・
これは推測なのですが、その世界の魔法名を記した”教本”などの特殊なアイテムがあれば、
違う世界の魔法も使えるようになるのではないでしょうか。素質がある者が行えば、の話ですが。
大体、違う世界に住む私達が普通にコミュニケーションがとれていること自体が異常なことなのです。
私達は何らかの力によって同じ土俵に立たされています。戦闘力の制限もその延長線上でしょうね。
まあ、その辺りは今は置いておくとして、
この閉鎖空間内で”オリハルコン”と名づけられた物は全て”オリハルコン”なのですよ」

一方的にまくし立てるアビゲイル。
ややうんざりした顔のリンスレットは質問を続ける。

「・・・で?そのオリハルコンをどうする気よ?」
「ブルマさんによると、ドラゴンレーダーはドラゴンボールの発する特殊な波動を感知することで、
ドラゴンボールの場所を調べる装置だそうです。
しかし、この閉鎖空間内にはドラゴンボールがない。故にドラゴンボールを感知できない。
故に役に立たない。三段論法ですね」
「そんなことはいいから!だからどうするのよ」
「お嬢さん、慌ててもいいことはありませんよ?
つまり『ドラゴンボールを感知する』機構を『オリハルコンを感知する』機構に変えてしまうのです。
オリハルコンは魔法金属ですので、その魔力を探知できるようにします。
これにより、他のオリハルコンの武器の有無、もしあったとしたらその数、位置、
そして所有者の同行を知ることが可能になるのです」
144アトランティスの浮遊金属 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/18(火) 17:26:22 ID:FfhObaC90
そうしてバラバラだったドラゴンレーダーを組み立てていくアビゲイル。

「だけど、そんなことが本当にできるの?」
「フッフッフ、このアビゲイル、伊達に『冥界の預言者』と呼ばれておりませんよ」
「預言者ってあんまり関係な」
「ハイ!出来ました!
名付けて『アビゲイル・レーダー「目指せオリハルコン!巨人の星君グレート」』です!」
「普通にオリハルコンレーダーでいいと思」
「でわ!スゥイィィィイッッッチィONッ!」

レーダーに表示されたのは、奇しくもドラゴンボールと同じ数の7つの光点だった。

一つはアビゲイルの持つディオスクロイ
一つはまもりの持つハーディス
一つはキルアの死体横に放置されているクライスト
一つはトレインの持つウルスラグナ
一つは飛影の持つマルス
一つは承太郎の持つシャハルの鏡
一つは斗貴子の持つダイの剣
145アトランティスの浮遊金属 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/18(火) 17:40:44 ID:FfhObaC90
「ほう、結構ありますね」
「この中にはトレイン君のハーディスもありそうね、あの銃もオリハルコン製だから。
・・・そうだ!トレイン君はあの銃じゃないと実力が発揮できないんだったわ。
まだ見つけていないかも知れないから探すべきかしら・・・?
もう見つけているなら、この中の点のどれかがトレイン君かもしれないわね」
「はて?銃という武器はオリハルコンだと威力が変わるのですか?」
「トレイン君の早撃ちは、あまりにも速過ぎて普通の銃じゃ耐えられないのよ。
でもハーディスの真の威力は接近戦で発揮されるわ。
オリハルコンの銃身を使った打撃は真空状態をも生み出す程の威力よ」
「ううむ、遠距離用の武器を鈍器としてメインで使うとは・・・何とファンタスティックな・・・
まあ、それはともかくお嬢さんはこれを持っていてください」

アビゲイルがリンスレットに渡したのはディオスクロイの片方だった。

「これを持っていればレーダーで感知できます。『漂流』などを使って私と離れ離れになったとしても再会が可能です。
私とはぐれた場合、できるだけじっとしていてください。迎えに行きますので。
もし私の名が放送で呼ばれたときはーーー」
「わかってるわよ。一人になっても必ず主催者を倒す!」
「・・・いい返事です。ではこれも渡しておきましょう」
146アトランティスの浮遊金属 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/18(火) 17:41:52 ID:FfhObaC90
次に取り出したのはヒル魔のマシンガン。

「私のクラスは暗黒僧侶です。銃は得意武器ではありません。
私の戦闘スタイルは魔法と魔法アイテムを使ったものでしてね。
それにお嬢さんの銃弾が切れたとき、他の武器がないと不便でしょう。
この貝と怪しい水は私が預かっておくということでよろしいですね?」
「うん、それは問題ないけど・・・何か貰ってばっかで悪いわね。
そうだ、アビゲイルにもカードを渡しておくわ。緊急の脱出手段は必要でしょう」
「ええ、それはありがたいですね。それなら『衝突』を貰っておきましょう」
「どうして『衝突』なの?」
「『漂流』と比べて『衝突』は確実に他参加者とぶつかり危険です。
お嬢さんを危険な目にあわせる訳にはいきませんからね」

(おおっ、ちょっと格好良いかも)

「まあ、このアビちゃんはそう簡単にはやられませんからね。イイ〜ッヒッヒッヒ!」

(うん、やっぱり気のせいね)

奇声を発する怪人を見て、リンスレットはアビゲイルへの評価を元に戻した。

147アトランティスの浮遊金属 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/18(火) 17:43:13 ID:FfhObaC90
【福井県・民家の中/夜】
【リンスレット・ウォーカー@BLACK CAT】
[状態]少々の精神的疲労
[装備]ベレッタM92(残弾数、予備含め31発)
[道具]荷物一式 、ディオスクロイ(片方)@BLACK CAT、ヒル魔のマシンガン@アイシールド21(残弾数は不明)
【グリードアイランドのスペルカード@HUNTER×HUNTER 】
    漂流(ドリフト) :使用者を行ったことのない場所(このゲームでは県単位で区切る)に飛ばす ×1
    左遷(レルゲイト):対象者を舞台上のランダムな位置に飛ばす                ×1
[思考]1、いいかげん休息したい。
   2、トレイン達、協力者を探す。
   3、ハーディスを探す。
   4、ゲームを脱出。

【アビゲイル@BASTAD!!】
[状態]健康
[装備]雷神剣@BASTAD!!
[道具]荷物一式、ドラゴンレーダー(オリハルコンを探知可能)@DRAGON BALL、
   ブルマの荷物一式、クリリンの荷物一式(食料・水、四日分)、ディオスクロイ(片方)@BLACK CAT
   海坊主の荷物一式(食料・水、九日分)、超神水@ドラゴンボール、排撃貝(リジェクトダイアル)@ワンピース
   【グリードアイランドのスペルカード@HUNTER×HUNTER 】
   衝突(コリジョン):使用者をこのゲーム中で会ったことのない参加者の元へ飛ばす       ×1
   
[思考]1、首輪を解体するのに役に立つ道具、人材を探す。
   2、ヨーコ達、協力者を探す。
   3、ゲームを脱出。
148『嘘』つきな『真実』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/18(火) 22:08:11 ID:lw+wj07Q0
森の中で、誰かが戦っていた。
夜、梟の瞳に映るのは、額に漢字を記した細目の男。
夜、梟の瞳に映るのは、全身を包帯で纏った木乃伊のような男。

――やべぇって旦那ァ! ここは一旦退こうぜ!

そして、喋る刀。

「黙っていろ飛刀! 正義超人として、私はこの男を野放しにすることはできん!」
「ハッ、刀と会話するたぁ、随分と可笑しな野郎だな!」
額に漢字を記した男――ラーメンマン。
木乃伊風の男――志々雄真実。
この二人が、暗闇の広がる森で死闘を繰り広げていた。

両者の闘争の原因は、ラーメンマンの肩に下げられた喋る刀、飛刀にある。
刻は放送終了直後。四国へ向かうために森を移動していたラーメンマンは、いきなり志々雄に襲われたのだ。
その時掛けられた第一声がこうだ。「よう、いいもんぶら下げてるじゃねぇか」
志々雄がラーメンマンを襲ったのは、飛刀を入手するため。
自分に見合った獲物を探す志々雄にとって、刀剣類の武器を持つ者は格好の標的だったのだ。
「ハァ!」
「――ぐっ!?」
志々雄の振るうそれには、刃など付いてはいない。
何しろ彼の武器は、単なる『そこらで拾った丈夫な木片』なのだから。
殺傷能力は著しく低いが、釣竿で妖狐と渡り合った時のように、簡易木刀を撓らせる姿には狂気が満ちていた。
これで正義超人であるラーメンマンと互角に戦える理由とはなんなのか。
それは、志々雄よりもラーメンマンの方に問題があった。
149『嘘』つきな『真実』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/18(火) 22:09:06 ID:lw+wj07Q0
――旦那! 無理をすると傷が……!

全ての原因は、趙公明との戦いで負った傷、そしてそれを放置したまま走り続けたことにある。
ろくに治療もせずに太公望を探し回り、彼が四国にいるという情報を得てからは、さらに脚に負担を掛けた。
そして、第三放送を聞いた頃には、周囲を警戒することすら忘れて走り続けた。
……ラーメンマンの知る、三人の名前が呼ばれたから。

「黙っていろと言ったはずだ、飛刀よ。趙公明を倒すため……私には、もはや一刻の猶予も残されていないのだ!」

焦っている。
飛刀は、今のラーメンマンに対してそう感じていた。
もちろん飛刀は、ラーメンマンの焦りの理由を理解しているつもりだ。
趙公明との戦い、そして敗北。
太公望の捜索を急がなければならぬという、重圧。
放送で告げられた、キルアとゴン、そして同じ正義超人であるバッファローマンの死。
さらには未だ健在の趙公明。
仲間は減る一方で、ラーメンマンが敵対している輩は殺戮を続けている。
犠牲者が、増え続けている。
ラーメンマンは、未だ誰一人として守れていない。
それでも正義超人か。

(……嘆かわしい!)

誰もラーメンマンを咎めたりはしないだろう。
だが、咎められなければそれでいいのか。
いいわけがない。正義超人という称号を掲げる彼に、弱き者の守護を怠るという考えは適用されない。
それは、プライドなんてものじゃない。
ラーメンマンという人物が背負う、『使命』。
弱者放置、殺戮者放置、どちらも正義にあるまじき行為だ。
だから、ラーメンマンは力を求める。
趙公明を倒すため、太公望という『力』を。
その力を求める道中に、趙公明と変わらぬ悪が現れた。
150『嘘』つきな『真実』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/18(火) 22:09:51 ID:lw+wj07Q0
――旦那! ここで旦那が無理したら、誰が太公望を探すんだよ! 誰が趙公明を倒すんだよ!

飛刀の叫びも、ラーメンマンの耳には届かない。
例えここで趙公明戦と同じ結末を迎えようとも、彼に逃走の二文字はないのだ。

ラーメンマンと志々雄が戦いを繰り広げてそろそろ十分。
頃合を見計らったかのように、志々雄は腕を止め、代わりに口を開いた。
「……とんだ正義感だな。正義超人ってのは、こういう奴ばっかなのかね」
「……なに?」
その一言で、ラーメンマンも動きを止めた。
理由は、志々雄の言葉の中に聞きなれた単語を見つけたからである。
「貴様、正義超人を知っているのか!?」
正義超人――このゲーム内でその肩書きを持つ者は四人。
ラーメンマン、キン肉マンにウォーズマン……そして今は亡きバッファローマン。
「ああ、見てくれからして可笑しな野郎だったな……スグル、とか言ったか。あのブタ鼻は」
キン肉スグル。キン肉マンの本名である。
「まさか貴様……キン肉マンと会ったのか!?」
志々雄は自らの探し人の一人、キン肉マンと接触していた。
この事実に、ラーメンマンも一時だけ闘争心を収める。
目の前の敵は単なる悪ではなく、大切な情報を握るキーパーソンと変わっていた。
「くくく……やはりてめぇも奴の仲間か。正義超人てのは、皆そういう変な格好をしているのか?」
「そんなことはどうでもいい! もとより包帯男などに見てくれをとやかく言われる筋合いはない!」
闘争心は抑えたものの、荒ぶる感情は未だ収まらぬラーメンマン。
傷だらけの身体で迫りながら、志々雄を問い詰める。
この男は、キン肉マンとどこで会ったのか。何時会ったのか。何をしたのか。それらの情報を洗いざらい訊き出すため。
「焦らなねぇでも教えてやるよ。……奴と会ったのは、俺がまだ九州をうろついていた頃のことだ……」
151『嘘』つきな『真実』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/18(火) 22:10:52 ID:lw+wj07Q0


それから、志々雄は驚くほど素直にこれまでの経緯を白状した。
志々雄には、一人だけ仲間がいたということ。
キン肉マンとは、九州で出会ったということ。
その際、志々雄の仲間とキン肉マンが試合を行ったということ。
志々雄は、二人の試合を見終えぬ内に逸早く本州上陸を果たし、今に至るということ。
全て、口から出任せには聞こえなかった。
志々雄の包帯で覆われた顔面からは顔色を窺うことが出来ないが、ただ一点、真っ直ぐながらもどこか途方もない果てを見つめていそうな瞳からは、偽りは感じられなかった。

しかしこの話、真実なら一つの疑問が残る。
「……貴様の話によれば、二人の試合は昼頃には終了していたはずであろう? だが先程の放送、キン肉マンの名は呼ばれておらず、貴様の連れという『玉藻』という男の名は呼ばれた。これはどういうことだ?」
話の中のキン肉マンが提案したのは、正式なルールに乗っ取った『試合』。
勝敗は三秒間フォールかギブアップで決し、生死は懸けない。キン肉マンが負ければ話は別だったようだが、彼に限ってリング上での敗北はありえないだろう。それは、先の放送でも証明されている。
では、なぜキン肉マンは生き残り、玉藻は死んだのか。
「さてね。俺はその試合を見届けてはいないから、どちらが勝ったかはなんとも言えねぇ。だが、玉藻が死んだ理由は簡単に想像がつくぜ」
志々雄の吐き出す言葉から、一瞬寒気がした。

「――キン肉マンに殺されたんだろ」
「馬鹿な!!!」
嘲笑うかのように言った志々雄を、ラーメンマンは即行で否定した。
あのキン肉マンが人殺しを行うなど――あの敵にさえ情けをかけるお調子者が人を殺すなど、あり得るはずがない。
自分のような元残虐超人の過去を持つならともかく、彼はキン肉星の大王。根っからの正義超人だ。
こんな人殺しのゲームに乗るなど、言語道断。
152『嘘』つきな『真実』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/18(火) 22:14:44 ID:lw+wj07Q0
「だがなラーメンマン。キン肉マンと玉藻は確かに戦い、玉藻は確かに死んだ。これはどう説明する?」
「第三者が介入したという考え方もある。それに、貴様の言葉が全て真実である証拠などない」
それでなくともいきなり襲い掛かってきたような輩だ。
あの瞳に偽りは感じられないが、だからといってその言葉が全てが真実である確立などゼロに等しい。
「俺が信じられないか。まぁ当たり前だろうな」
志々雄の言葉には、不思議な重みがある。
例えば、「俺は実は女だ!」とここで言われても、すぐには疑いきることが出来ないかもしれない。
信じることは出来ないが、疑いきることも出来なかった。
これは志々雄の話術がなせる業なのか。それとも自分の精神の弱さのせいなのか。
「一ついいことを教えてやる。キン肉マンは本州へ渡るといっていた。ひょっとしたら、今も西からこっちへ移動中かもしれないぜ」
「なんだと?」
今ラーメンマンがいるのは、四国へ渡るための橋を目前にした兵庫県と岡山県の境目。
キン肉マンが西から東――本州へやってきているというのなら、この辺で網を張っておけば合流できるかもしれない。
なんとも有益な情報だったが、やはり罠の臭いが消え去らなかった。
「待て。なぜお前がそのような情報を私に与える? お前にとっては何の得にもならんだろう」
「そうだな。強いて言うなら、交換材料ってやつだ。俺はお前に有益な情報を提供した。その情報量として……てめぇの刀を貰おうか」

――なななな何だとォ!!?

この言葉には、ラーメンマンよりも飛刀の方が先に驚いた。
「最初に言っただろう? 俺は獲物が欲しい。てめぇを狙ったのも、それが理由さ」

――ざけんじゃねぇ! 何が交換材料だ! どうせ嘘並べただけなんだろうが!? 旦那、騙されちゃいけない……
153『嘘』つきな『真実』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/18(火) 22:15:22 ID:lw+wj07Q0

「黙っていろ、飛刀」
――旦那ァ!

興奮する飛刀に、ラーメンマンはいつもの調子で制した。
あまりの落ち着きように、よもや志々雄の交換に応じる気では、と不安が押し寄せてくる。

「……ひとつ訊きたい。貴様はこの飛刀を手にした後、何を望む? 闘争か? 自衛か? それとも、殺戮か?」
一体何を考えてそんな質問をしているのか。
ラーメンマンが一言一言喋るごとに、飛刀の心中は荒々しく揉まれていく。
「そんなもの今さら説明する必要もねぇだろ。もちろん、頂点に立つことさ」
「頂点、だと?」
「ああ。まずは他の参加者共を全員血祭りに上げ、それからあの主催者共を葬る。国盗りってなぁその国の頂点に立つってことだからな」
つまり志々雄の最終目的は、優勝+主催者打倒ということか。
そのためには、当然弱者を甚振ることも気に留めないのだろう。
やはり、危険人物には変わりない。
「お前はどうなんだ? ラーメンマン」
「は?」
「お前の目的はどうなんだ、と訊いている。さっき言っていた――趙公明とかいう奴を倒そうとする目的はなんだ? 復讐か?」
抜け目のないことに、志々雄はラーメンマンが一度だけ口にした名をしっかりと記憶していた。
「……正義のためだ。趙公明は己の欲望のままに闘争を望む危険な輩。放っておけば、罪もなき参加者達が犠牲になる。私には、それを阻止する義務がある」
ラーメンマンと志々雄。二人の行動方針は完全に対極に位置していた。
片や自分のため、片や他人のため。目的は完全に食い違っている。共通しているところといえば、目的のためには戦いを拒まないという点か。
「それが正義超人の使命ってわけか……くくく」
「……何が可笑しい!」
人をコケにしたかのような志々雄の嘲笑は、ラーメンマンを再び高ぶらせた。
154『嘘』つきな『真実』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/18(火) 22:16:14 ID:lw+wj07Q0
「なに、あまりにも立派な志なんでな。ちょっと吐き気がしただけだ」
「貴様……!」
もはや志々雄に敵意を背ける必要はない。
こいつは完全に敵。倒すべき悪。正義を掲げる自分とは、相容れぬ存在。
そう確定し、ラーメンマンは再度構えるが、
「馬鹿馬鹿しく思ったことはねぇか? ラーメンマン」
「なに?」
ラーメンマンが構えなおしても、志々雄は木材を握った腕を下げたままだった。
それどころか、まるでもう自分に闘争の意思はないと言わんばかりに話を続ける。
「その正義超人の使命ってのがどれだけ重いものかは知らないが、正義なんかのためになぜてめぇが奮闘する必要がある? これは殺し合いのゲームで、誰もお前に弱者を守れなんてことは言ってないんだろう?」
「だからどうだというのだ! ここがどこだろうと、私は己の正義を貫く。如何なる状況下でも弱者を守り、悪を砕くのが正義というものだ!」
「――だが、キン肉マンはゲームに乗ったようだぜ」
「……!」
疑う気などなかった。
しかし一瞬、ラーメンマンの心は確かにどよめいてしまった。
「まだ、そのようなことを……」
そう言いつつも、思考の端では放送で告げられた『玉藻』の名が気にかかる。
放送の直前、玉藻とキン肉マンが戦っていたという事実も混ぜ合わせられ、ラーメンマンの心中はもはや穏やかではなかった。
(……いや、キン肉マンに限ってそんなことは絶対にありえない! やはりこやつの言うことは全て嘘! 術中に嵌められては負けだ!)
そう思いながらも、ラーメンマンの額からは汗が流れ落ちていた。
この汗が戦いの疲労によるものなのか、それとも揺れる精神が流したものなのかは、誰にも分からない。

精神的疲労も溜まってきたラーメンマンに、志々雄はさらなる言葉を投げかける。
155『嘘』つきな『真実』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/18(火) 22:17:25 ID:lw+wj07Q0
「どうだラーメンマン、俺の下に付つかねーか?」
「なん……だと?」
それは、あまりにも唐突な和解への進言だった。
「俺の最終的な目的は主催者を倒すことだ。それが叶えば、別に参加者全員を皆殺しにする必要もねぇと思っている。てめぇが俺に協力するってんなら、俺がその趙公明とか言う奴を倒してやってもいい」
「ふざけたことを……弱者を平気で殺せる心を持った奴に、私が靡くとでも思ったのか!? 例え貴様が主催者打倒を目指していようが、私は悪と協力する気はない!」
もとより志々雄の言葉がどこまで本当かもわからぬ現状、こんなことを言うのはどう考えてもおかしい。罠がめぐらされているのは、目に見えている。
「利口になろうぜラーメンマン。そんな傷ついた身体で、何が守れる? この広い日本、どうせ全ての参加者を守ることなんてできやしねぇ。だったら、死んでいった奴らの無念を晴らしてやることの方が大切なんじゃねぇのか」

――そんな傷ついた身体で、何が守れる?――

今のラーメンマンには、キン肉マンのマーダー疑惑などよりも重い言葉だった。
ゲーム開始からもう間もなく二十四時間。既に参加者は半分近くまで減り、ラーメンマンはその中の誰一人として守れていない。
無力な正義。それを誇示してどうなるか。
「私は……」

――旦那……
悩むように俯くラーメンマンには、さすがの飛刀も口を挟めなかった。
彼とは出会ってまだ一日と経っていないが、それでも彼の正義に対する思いは理解してきたつもりだ。
そんな彼が、悩んでいる。

「決断しろラーメンマン。その傷だらけの身体で、正義として抗うか。一時だけ悪に染まり、新たな正義を志すか」
正義超人として、いや、ラーメンマンとして、正しいのはどちらなのか。
このまま一人奮闘するか、志々雄と共に正義に背きながらも主催者打倒を目指すか。

「私の、答えは……」
ラーメンマンは、顔に苦悩の色を浮かべたまま志々雄に歩み寄った。

156『嘘』つきな『真実』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/18(火) 22:20:08 ID:lw+wj07Q0


気絶して眠っていたはずなのに、鼾をかきながら鼻ちょうちんを作っていたのは、たけしならではの芸当と言えよう。
「う〜ん……あれ? ここはどこさぁ? 俺は確か……」
覚醒した後、気絶する直前の状況が思い出せないのも、たけしならではだろうか。
志々雄と共に逸早く本州へ向かったところまでは覚えているのだが、どうもその辺の記憶がハッキリしない。
「……って、気づけばもう夜まっさかりじゃないかぁー! うーむ、俺ってばどれくらい寝てたんだ? これが今流行のプチ記憶喪失ってやつか……?」
あたりを見渡すと、そこは森の中だった。
地面には所狭しと雑草が生い茂り、まるでベッドのようにフカフカな状態を維持している。
「ああ、これじゃあ記憶がぶっ飛ぶまで眠っていても仕方ないさぁ。あと五千時間くらいはいけたんじゃないか?」
雑草地帯に寝転がりながら空を眺めていると、近くにいるべき人間がいないことに気づいた。
志々雄がいない。彼はどこに行ったのだろうか。
立ち上がって捜しに行こうとした矢先、その場にたけし以外の足跡が鳴った。
「よう、やっと起きたかたけし」
「志々雄ぉ〜、どこに行ってたさぁ。ウンコかぁ?」
と、たけしお決まりの冗談を言ってみるも、志々雄からした臭いは大便による異臭などではなく、もっと酷い……血の、臭いだった。
「志々雄……? その傷はどうしたさぁ?」
よく見ると、志々雄は所々怪我をしているようだった。どれも軽傷だったが、子供ながらに見たら随分と痛そうである。
「なに、ちょいと野犬に襲われてな。気にすることはねぇ。ほんのかすり傷だ」
「野犬!? それはなにか!? 車種は小次郎的ななにかか!?」
「小次郎……? どこの剣客の名前だそりゃあ」
まだ年齢が一桁の子供であるたけしは、人を疑うということを知らない。

157『嘘』つきな『真実』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/18(火) 22:21:28 ID:lw+wj07Q0


「じゃあ俺はもう寝るさぁ。志々雄も夜更かしはほどほどにしないといけないぞ」
「分かったよ。いいからさっさと寝ろ」
夜も完全に更け、適当な民家を就寝場所に決めた二人は、そこで休息を取ることにした。
「お休みさぁ……」
たけしは先程まで爆睡していたにも限らず、床につくと三秒でもう鼾をかいていた。
寝る子は育つ。なんだかんだ言っても、顔さえ除けばたけしはまだ子供だ。
「まったく……こいつは大した大物かもな」
そんなたけしの寝顔を見ながら、志々雄はたけしよりも多めの食事を取っていた。
そして傍らには、本州入りした時には所持していなかった、一本の刀がある。
「どうだ、お前もやらねぇか」
――…………
不自然にも、刀に話しかける志々雄。当然の如く、返答は返ってこない。
「くくく……だんまりか」
何が可笑しいのか、その刀を知らぬ者には理解し難いだろう。
なにせこの刀は元来お喋りであり、つまらぬ与太話にも積極的に口を挟むような奴なのだから。
だが、今は軽口を挟むような素振りは見せない。
あくまでも一本の刀として、志々雄に付き従っていた。
そうさせる感情とは一体なんなのか。
怯えか、嘆きか、それとも哀しみか。

158『嘘』つきな『真実』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/18(火) 22:22:29 ID:lw+wj07Q0


全ての作業を終え、ラーメンマンはその場に腰を下ろした。
背中には、一本の巨大な桜の木。この町のシンボルなのだろうか、季節のせいもあって桜の花は咲いていなかったが、目印としては十分な存在感を放っている。
西を向けば、この町が高地にあるせいか海の輝きが見えた。
東を向けば、都会を思わせる建物の山々が連なっている。
そして何の因果か、すぐ前方には牛丼屋が聳えていた。
「惜しいな……四国はもう目と鼻の先だというのに」
北西の方角には、ここ岡山と四国を結ぶ下津井瀬戸大橋があるのだろう。
ラーメンマンは、そこまで辿り付く事が出来なかった。
「志々雄真実……よもやあのような切り札を隠し持っていたとは」
時間にして数十分前。
志々雄が突き出してきた要求に対するラーメンマンの答えは…………拒否、だった。
もし志々雄の下に付いていれば、このような傷を負うこともなかったかもしれない。
だがもし志々雄の下に付いていれば、自らの手で弱者を手にかけることになってしまうかもしれない。
主催者や趙公明を倒すための強力な戦力を手に入れることが出来たかもしれないが、志々雄に協力して己の正義に背くような……残虐超人だった頃の自分に戻るようなことは、絶対にしたくなかった。
我ながら不器用な生き方だとは思う。笑いたければ笑えばいい。
しかし、正義超人としてはこれで正解のはずだ。少なくとも、友だったらそう言ってくれるだろう。
「友……か」
結局、志々雄の話はどこまでが本当でどこまでが嘘だったのか。
キン肉マンが東に向かってきているということ。
キン肉マンが玉藻なる参加者を殺したということ。
志々雄はキン肉マンの本名とブタ鼻という特徴、そして正義超人の名を知っていた。
ならば前者は真実である可能性が高い。期待も持てる。
後者は嘘であってほしい。いや、嘘でなければならない。
正義超人の中核として戦ってきた彼に、牛丼好きなムードメーカーに、殺戮は似合わない。
159『嘘』つきな『真実』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/18(火) 22:23:15 ID:lw+wj07Q0


ラーメンマンは知る由もなかったが、志々雄がついた嘘は二つ。
一つは、志々雄の仲間は死んだ玉藻ではなく、今も健在の更木剣八だということ。
もう一つは、主催者打倒のためなら全員を皆殺しにする気はないといいったこと。
どちらもラーメンマンの心を乱し、自分の手駒になるよう仕向けるための嘘だった。
まだ気絶状態から覚めていなかったたけしを、一旦そこら辺の草むらに放置しておいたのもそのため。
しかし、計画は志々雄の思い通りにはならず。
志々雄は一点、重大な見落としをしていたのだ。
それは、正義超人が掲げる『正義』の重さ。
何よりも友を信じ、何よりも弱者を守ることを優先し、何よりも正義を貫く。
それがたとえ自分の身を傷つけることになろうとも――そこまでの正義馬鹿だとは、志々雄も思わなかったのだろう。

だから、志々雄は諦めた。
正義超人は利用することが不可能な絶対正義であるという教訓を身につけて、その場を後にしたのだ。
ただ一つ、一本の刀という戦利品を持ち去って。

160『嘘』つきな『真実』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/18(火) 22:24:14 ID:lw+wj07Q0
「思えば、飛刀には悪いことをしたな」
今さらになって、ラーメンマンは悔やむ。
あの時飛刀の言うように無茶をしなければ――素直に傷の治療をしておけば――飛刀はいつも正論ばかり言っていたことに気づいた。
だが正論過ぎるゆえに、正義超人の使命とはそりが合わなかったのが残念でならない。
行動を共にしたのはほんの数時間だったが、今は長年連れ添った盟友のようにも思える。
自分が飛刀のためにしてやれることといったら、せめて殺戮の道具にならぬよう祈ることしか出来ない。今はもう――

「本当に……すまなかったなぁ……飛刀よ…………」

ラーメンマンの眼から、涙が流れ落ちる。
それは次第に雫から滝へと変わり、いっそう悲壮感を漂わせる。
その涙は、本来出会うことはなかったであろう『友』へ向けて。
涙の横で、抉り取られたように風穴を空けられた腹部が痛む。
志々雄の隠し玉、衝撃貝によって付けられたこの傷が、致命傷となった。


悔いがないといえば嘘になる。
だが、悔いているばかりでは仕方がない。
残された時間でやるべきことはやった。
あとは、頼れる友に全てを託すだけだ。
ラーメンマンが佇むこの場所は、巨大な桜の木が目に付く、海岸線沿いの町。
友がここを通るかどうかは分からない。雨でも降れば全てが台無しになる。
しかし志々雄の話が真実ならば、可能性はある。
今は、それに懸けたい。
腹部から流れ出る血は、桜の木の根元、地面に複数の文字を形成していた。


          『四国にいる太公望と協力し、趙公明と志々雄を倒せ』


今はただ、このメッセージを友が受け取ってくれることばかりを願う。
161『嘘』つきな『真実』 ◆kOZX7S8gY. :2006/04/18(火) 22:28:35 ID:lw+wj07Q0
【兵庫県・民家/夜】
【志々雄真実@るろうに剣心】
 [状態]:全身に軽度の列傷  戦闘による疲労中
 [装備]:衝撃貝の仕込まれた篭手(右腕)@ワンピース、飛刀@封神演義
 [道具]:荷物一式 三人分(食料、水一日分消費)
 [思考]:1:朝まで休息。
     2:長時間戦える東北へ向かう。
     3:無限刃、その他武器を手に入れる (刀が好ましい)。
     4:少しでも多く参加者が減るように利用する。
     5:全員殺し生き残る。

【たけし@世紀末リーダー伝たけし!!】
 [状態]:爆睡中
 [装備]:パチンコ@ONE PIECE(鉛星、卵星)、キメラの翼@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式(食料、水一日分消費)
 [思考]:1:ゴン蔵の仇を殺した犯人を倒す(ただし大体の位置が分かるものの犯人はわかっていない)。
     2:主催者を倒す。
     3:志々雄について行く。
     4:仲間を探す(ボンチュー、マミー、ウォーズ)。

【岡山県/海岸沿いの町・桜の木の根元/夜】
【ラーメンマン@キン肉マン 死亡確認】
【残り69人】

※荷物一式、神楽の髪飾りの欠片はラーメンマンの死体の傍に置かれています。
※神楽の髪飾りの欠片を持っている理由は以下の通り。
  ・形見として少女の仲間、家族に届けるため
  ・殺人犯を見つける手がかりにするため
162アトランティスの浮遊金属 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/19(水) 00:14:53 ID:gby3D8qg0
修正

レーダーに表示されたのは、奇しくもドラゴンボールと同じ数の7つの光点だった。
              ↓
レーダーに表示されたのは、画面上に散らばる10の光点だった。

一つは承太郎の持つシャハルの鏡
       ↓
一つは承太郎の持つシャハルの鏡と双子座の聖衣

一つはケンシロウの持つフェニックスの聖衣
一つはボンチューの持つ蟹座の聖衣
一つはダイの持つペガサスの聖衣

を追加
163数多の感情が一人歩き ◆saLB77XmnM :2006/04/20(木) 02:08:41 ID:7u9tUu9F0
時は放送前。
その男は、激しい怒りによって支配されていた。
荒ぶる心は熱を生み、また熱気は外部へと放出される。
怒りが生み出す、殺気にも似たオーラ。
それは、自らの意思では制御できない『感情』という名の衣だった。

感情に支配され、突き動くその男――名をケンシロウ。
殺人鬼ダーク・シュナイダーを追跡途中、大阪までやって来た今でも、その感情は収まることがなかった。
今の彼は、触れれば即爆発してもおかしくはない危険対象。
今の今まで誰にも遭遇しなかったことは、彼にとっても幸運なことだったと言えよう。
もし、今の彼に牙を向けるようなことがあれば…………その者の末路は保障できない。

ケンシロウがそれを発見したのは、日の落ち始めた夕方ごろ。
大阪にて、二つの死体を発見。一つは男性の、一つは女性のものだった。
どちらもまだ若い。外傷はないようだが、死因は毒物かなにかか。
荷物が奪われていることから、何者かによって殺されたことが窺える。
しかしただ一つだけ、男性の死体の手には、武器と思わしきメリケンサックがはめられていた。
殺害犯が必要ないと判断したのかは定かではないが、これだけが手付かず。
放置されたメリケンサックに血の痕跡はない。抵抗する間もなく殺されたのか。

ケンシロウは、その二人の死体を手厚く葬ってやりたかった。
が、自分にはダーク・シュナイダー追撃という使命がある。
あの殺人鬼を放置したままでは、いつまたあの少女のような被害者が出るか分からない。
残念だが、ケンシロウは時間を考慮して、二人の死体に背を向けた。
今は、他の参加者の死を悔やむ時間も惜しい。
164数多の感情が一人歩き ◆saLB77XmnM :2006/04/20(木) 02:09:36 ID:7u9tUu9F0


ケンシロウが去ってから、数分後。
「……行ったみたいよ、星矢ちゃん」
「……ああ」
物陰に隠れていた二人の人間が、姿を現した。

「……ひどい。二人とも、もう死んでるわ」
「あの男が……殺したのか?」
星矢と麗子。
四国へ向かう道中、二人は一人の巨漢を見つけた。
それがケンシロウ。しかも、その場には二つの死体付き。
声を掛けようとも思ったが、ケンシロウから漂う並々ならぬオーラに圧倒され、凶悪な殺人鬼であるかもしれないという疑惑も重なり、影から様子を見ていたのだった。
「あの男の凶悪な顔つき……ひょっとしたら、とんでもなく危険な奴だったのかもしれない」
「そうね。私も今までいろんな犯罪者を見てきたけど……あれほど凶悪な形相の人間は見たことがないわ」
手を出さなくて正解だったか、と二人は肝を冷やす。
そして、次に問題となったのは眼下に置かれた二つの死体。
出来ることなら埋葬してあげたいが……
「…………今は先を急ごう、麗子さん。この二人には悪いけど、俺達は一刻も早く四国へ向かわなければならない」
「…………ええ、そうね」
二人は軽く手を合わせ、その場を後にした。
胸には、ただただやり切れない気持ちが残る。
165数多の感情が一人歩き ◆saLB77XmnM :2006/04/20(木) 02:10:12 ID:7u9tUu9F0

時は流れ。
ケンシロウが名古屋へ舞い戻ることを決意したのは、第三放送が流れてからだった。
「…………ダーク・シュナイダーは死んだか」
第三放送では、自らが追っていた凶悪な殺人者の死、そして斗貴子の仲間という武藤カズキの死が知らされた。

(24名……その中には、あの少女もいたのだろうか)
ケンシロウは、ダーク・シュナイダーに殺された少女の顔を思い出す。
恐怖に支配され、泣き叫んでいた名も知らぬ少女。
リンのような、殺人ゲームの被害者。

(これで錬金の戦士は全滅……彼女は全ての仲間を失ったのか)
名も知らぬ少女の次は、斗貴子のことが気にかかった。
六時までに名古屋城で合流という約束をし、別れた女戦士。
この放送で、彼女も悲しんでいるのだろうか。

(しかし……一体誰がダーク・シュナイダーを殺したんだ?)
一番気がかりだったのは、そのことだった。
ダーク・シュナイダーを追い始めたまだ二、三時間たらず。
あれほどの力を秘めた輩を、こんな短時間で倒せるような奴が付近にいるのだろうか。

第三放送で考えられることは多いが、まずは斗貴子との約束を果たさなければ。
ケンシロウは脚を東に向け、そこで、
166数多の感情が一人歩き ◆saLB77XmnM :2006/04/20(木) 02:11:59 ID:7u9tUu9F0

「………………ッ!!」

また、死体を見つけた。

胸に風穴をあけ、心臓を失った少年だった。
そのあまりにも無残な死に様は、殺人鬼の死によって収まりかけていたケンシロウの血を、再び滾らせる。

「また……力なき者が殺されていくのか……」

その嘆きは、誰にも聞こえることはなく。
慟哭を胸に押しとどめ、ケンシロウはそれでも歩き出す。
その死体が捜し求めていた錬金の戦士のものであるとも知らず、斗貴子の下へと。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

第三放送で衝撃を受けた人間が、ここにも一人。
「……大丈夫、星矢ちゃん?」
「…………ああ、大丈夫だよ麗子さん。俺達は、立ち止まっている暇なんてないんだ……」
再び星矢と麗子。

第三放送で呼ばれたのは、星矢の仲間である一輝、そして琵琶湖で別れたキルア。
さらには太公望と行動を共にしていたはずの富樫。数多くの知り合いが死んでいった。
だが、彼らに立ち止まっている暇はない。
「急ごう。早く太公望と合流して、藍染の計画を阻止しないと」
「…………ええ!」

放送を聞き、一人の男は怒りを覚えた。
放送を聞いても、二人の男女は希望を捨てなかった。
167数多の感情が一人歩き ◆saLB77XmnM :2006/04/20(木) 02:18:11 ID:7u9tUu9F0
【滋賀、三重の境にある小山/夜】
【ケンシロウ@北斗の拳】
 [状態]:健康、激しい怒り
 [装備]:マグナムスチール製のメリケンサック@魁!!男塾
 [道具]:荷物一式、フェニックスの聖衣@聖闘士星矢
 [思考]:1.大急ぎで名古屋城へ戻り、斗貴子と合流する。
     2.核鉄を探す。
     3.ダイという少年の情報を得る。
     4.名古屋城で合流不能の場合、東京タワー南東にある芝公園の寺へ行く。

【兵庫県/夜】
【星矢@聖闘士星矢】
【状態】健康  
【装備】なし
【道具】食料8分の1消費した支給品一式
【思考】1、麗子と共に四国へ行き、太公望達と合流。 藍染の計画を阻止
    2、藍染、ハーデス達を倒す。

【秋本・カトリーヌ・麗子@こち亀】
【状態】健康
【装備】サブマシンガン
【道具】食料8分の1消費した支給品一式
【思考】1、四国へいき、太公望達と合流
    2、藍染の計画を阻止
    3、主催者の打倒。
168数多の感情が一人歩き ◆saLB77XmnM :2006/04/20(木) 11:51:13 ID:7u9tUu9F0
>>163->>167は無効です。
169その遭遇、幸か不幸か ◆saLB77XmnM :2006/04/20(木) 17:13:25 ID:7u9tUu9F0
時は放送前。
その男は、激しい怒りによって支配されていた。
荒ぶる心は熱を生み、また熱気は外部へと放出される。
怒りが生み出す、殺気にも似たオーラ。
それは、自らの意思では制御できない『感情』という名の衣だった。

感情に支配され、突き動くその男――名をケンシロウ。
殺人鬼ダーク・シュナイダーを追跡途中、大阪までやって来た今でも、その感情は収まることがなかった。
今の彼は、触れれば即爆発してもおかしくはない危険対象。
今の今まで誰にも遭遇しなかったことは、彼にとっても幸運なことだったと言えよう。
もし、今の彼に牙を向けるようなことがあれば…………その者の末路は保障できない。

ケンシロウがそれを発見したのは、日の落ち始めた夕方ごろ。
大阪にて、二つの死体を発見。一つは男性の、一つは女性のものだった。
どちらもまだ若い。外傷はないようだが、死因は毒物かなにかか。
荷物が奪われていることから、何者かによって殺されたことが窺える。
しかしただ一つだけ、男性の死体の手には、武器と思わしきメリケンサックがはめられていた。
殺害犯が必要ないと判断したのかは定かではないが、これだけが手付かず。
放置されたメリケンサックに血の痕跡はない。抵抗する間もなく殺されたのか。

ケンシロウは、その二人の死体を手厚く葬ってやりたかった。
が、自分にはダーク・シュナイダー追撃という使命がある。
あの殺人鬼を放置したままでは、いつまたあの少女のような被害者が出るか分からない。
残念だが、ケンシロウは時間を考慮して、二人の死体に背を向けた。
今は、他の参加者の死を悔やむ時間も惜しい。
170その遭遇、幸か不幸か ◆saLB77XmnM :2006/04/20(木) 17:13:57 ID:7u9tUu9F0
時は流れ。
ケンシロウが名古屋へ舞い戻ることを決意したのは、第三放送が流れてからだった。
「…………ダーク・シュナイダーは死んだか」
第三放送では、自らが追っていた凶悪な殺人者の死、そして斗貴子の仲間という武藤カズキの死が知らされた。

(24名……その中には、あの少女もいたのだろうか)
ケンシロウは、ダーク・シュナイダーに殺された少女の顔を思い出す。
恐怖に支配され、泣き叫んでいた名も知らぬ少女。
リンのような、殺人ゲームの被害者。

(これで錬金の戦士は全滅……彼女は全ての仲間を失ったのか)
名も知らぬ少女の次は、斗貴子のことが気にかかった。
六時までに名古屋城で合流という約束をし、別れた女戦士。
この放送で、彼女も悲しんでいるのだろうか。

(しかし……一体誰がダーク・シュナイダーを殺したんだ?)
一番気がかりだったのは、そのことだった。
ダーク・シュナイダーを追い始めたまだ二、三時間たらず。
あれほどの力を秘めた輩を、こんな短時間で倒せるような奴が付近にいるのだろうか。

第三放送で考えられることは多いが、まずは斗貴子との約束を果たさなければ。
ケンシロウは脚を東に向け、そこで、
171その遭遇、幸か不幸か ◆saLB77XmnM :2006/04/20(木) 17:15:09 ID:7u9tUu9F0

「はぁ……俺ってついてねー」

とぼとぼと歩いてくる少年を発見し、

「ん?」「ん?」

 …………

 ………

 ……

 …

 ………世界一ついてない少年に遭遇した!

立ったまま互いに視線を交じ合わせる二人。

ケンシロウの眼には、その少年が酷く衰弱しているように見えた。
まるで希望を持たない少年の人相は、顔全体に『絶望』あるいは『不幸』と書かれているようで、救いようがない弱々しさを放っている。
さらには傷だらけのその身体。一体どんな目に遭えばこうも甚振られながら生きていられるのか。

追手内洋一の眼には、その男が鬼のように……いや、そのまんま『鬼』に見えた。
滲み出る負のオーラ、恐ろしい形相と凶悪な筋肉は、少年の世界とはあまりにかけ離れたものだった。
その男が、自分を見下ろしている。世界一不幸な自分を。
いいかげんパターンも読めてきた。この接触は、必ずや不幸に繋がるに違いない。
172その遭遇、幸か不幸か ◆saLB77XmnM :2006/04/20(木) 17:16:02 ID:7u9tUu9F0
「――お」

「俺ってついてねー!!!」
ケンシロウが何か言い出す前に、洋一はその場に倒れこんでしまった。
よほどケンシロウの存在が怖かったのか、口からは泡、股間には失禁、手足はピクピク状態。
なんとも見るに耐えない…………なさけない気絶の仕方だった。

ケンシロウからしてみれば、少年と眼が合っていきなり気を失ってしまったという訳のわからない状態に置かれたことになる。
「……なんなんだ」
名前も分からない少年は、なぜこんな傷を負っているのだろうか。
そもそも、なぜいきなり気を失ってしまったのだろうか。
いくら考えても答えは出ぬ中、このままにしておく訳にもいかず、ケンシロウはその少年を抱えた。

とりあえず、危険人物ではないだろう。絶対に。間違いなく。
ならば介抱してやるのが人の心。ケンシロウは、洋一を抱えたまま名古屋城を目指した。


ケンシロウは知らない。彼がマーダーとはまた違った意味での危険人物であることを。
洋一は知らない。彼の行き着く先が、「全員殺害」の思想を持った集団の合流地点だということを。
173その遭遇、幸か不幸か ◆saLB77XmnM :2006/04/20(木) 17:22:24 ID:7u9tUu9F0
【滋賀県/夜】
【追手内洋一@とっても!ラッキーマン】
 [状態]:気絶 右腕骨折 左ふくらはぎ火傷と銃創 背中打撲 疲労
 [道具]:荷物一式×2(食料少し消費) 護送車(ガソリン無し、バッテリー切れ、ドアロック故障) @DEATHNOTE
     双眼鏡
 [思考]:1・ケンシロウに恐怖
    2・死にたくない


【ケンシロウ@北斗の拳】
 [状態]:健康、激しい怒り
 [装備]:マグナムスチール製のメリケンサック@魁!!男塾 追手内洋一@とっても!ラッキーマン
 [道具]:荷物一式、フェニックスの聖衣@聖闘士星矢
 [思考]:1.大急ぎで名古屋城へ戻り、斗貴子と合流する。
     2.核鉄を探す。
     3.ダイという少年の情報を得る。
     4.名古屋城で合流不能の場合、東京タワー南東にある芝公園の寺へ行く。
174蛾刃〜終幕 ◆WsM3K98Fv. :2006/04/20(木) 20:13:22 ID:g//SutuQ0
「さぁ、殺戮ショーを再開しましょうか」
ヤムチャが踵を返して、後ろを向いた時―

ボボボボボボボ・・・

体が炎上した。
ヤムチャは、そのまま海に沈没して行く。

「あの技か・・・シブトイ人だ」
悟ったように笑ったヤムチャは、海を浮上して行った。
「その殺された仲間ってのはどんな奴だったんだ?」
「跡部は偉そうで説教臭くて、一輝は真面目で正義感が強くて・・・でも二人とも本当にいい奴だったってばよ」
「襲ってきたヤロウはひょっとこみたいな顔してやがったが、本体もあんな顔なのか?」
「影分身の術は自分そのままの姿しか作れないってばよ」
「殺した奴には仲間がいたんだって?」
「そうだってばよ。ピエロみたいな奴で、変な手品を使ってたってばよ」
「俺から見りゃあ、お前の使う技も手品みたいなもんだぜ?」
「これは忍術だってばよ!」

四国へ渡る橋の上で、ヒル魔とナルトが話していた。
ヒル魔はさりげなくナルトに探りを入れていたのだが、ナルトの身体を乗っ取った九尾は嘘を交えながら質問に完璧に答えていた。

(この小僧、ワシのことを疑っておるな?フン、百年早いわ)
(チッ、なかなか尻尾を出しやがらねぇな・・・別の角度から攻めてみるか)

「ラーメンが好きって言ってやがったな。何ラーメンが好きなんだ?味噌か?塩か?」
「一楽のラーメンなんだってばよ!」

                 ・
                 ・
                 ・

「ほうほう、それでどうしたって?」
「火影のじいちゃんってば、俺のおいろけの術で鼻血出してぶっ倒れて・・・ん?」

話が逸れまくり、何故か木の葉の里の最高権力者の弱みを握る話をしていたヒル魔とナルトは、
後方から来る人影に気付いた。二人とも警戒体勢をとる。
「誰か来るってばよ。俺の敵じゃなさそうだけど・・・」
「あの頭・・・ゲッ!あいつはファッキンウニ頭!」
「ファッキン・・・?変な名前だってばよ」
「アホか、そんな可哀相な名前の奴はいねぇ。あとお前人のこと言えねえ」
「蛭魔妖一も十分変な名前だと思うってばよ」

そんなことを話している間にその男ーーー更木剣八が近づいてきた。

「よう、また会ったな小僧」
「ハッ、俺はもう二度とテメーの面なんざ見たくなかったけどな。あのファッキン手巻きミイラはどうしやがったんだ?」
「またファッキン・・・ハッ、もしかして名字!?だとしたら家族で参加してるってことになるってばよ」
「だから違うって言ってるじゃねーか!それはもう置いとけ!」

言い争う二人を見て、剣八はニヤリと笑う。

「元気いいじゃねーか。・・・見たところそっちの初顔の小僧はかなり出来るみてぇだな。ひとつ手合わせ願うぜ」

その言葉で、一気に場を緊張感が支配する。

(こやつの狙いはワシか。しかし、ここで戦闘狂と戦ってチャクラを消費するのは避けたいところだな。
だとしたら取るべき行動はひとつ。それはーーー)

「逃げるってばよ!」

忍の瞬発力で駆け出そうとするナルト。
しかし、剣八は一瞬のうちに回りこんでいた。

「逃がさねえぜ」
死神特有の移動法「瞬歩」でナルトの逃走経路を妨げたのだ。
ここは橋の上。他に逃げ場はない。

(これは・・・瞬身の術!こやつも忍者か!)

「観念しな、なあに負けても死ぬだけだ。死後の世界もそう悪い所じゃねえぜ、何せまだまだ戦えるからな」
「どうやらやるしかねーみたいだってばよ」

ナルトは持っていたデイパックをヒル魔に投げ渡した。

「下がっていろってばよ」
「言われなくてもそうするつもりだ」

ヒル魔が後ろに下がり、ナルトが印を組み、剣八がムラサメブレードを構えた。

「そうだ、それでいい・・・さあ始めようぜ、死合いをよぉッ!」

剣八が突進した。ナルトは術を発動する。

「影分身の術!」

何人ものナルトが剣八に襲い掛かる。その全てを剣八は叩き斬った。

「藍染の奴のようなチンケな幻術とは違うみてえだな、実体のある幻ってところか。
面白えッ!さあ、本体はどいつだぁッ!」

影分身が何体も襲い掛かるが、剣八には傷一つ付けられない。

(かなりの剣捌きだな、ここはセオリー通り背後から強力な術で片付けるとするかの)
ナルトは影分身に紛れて剣八の後ろに回りこみ、攻撃をしようとした

が、

「こいつかァッ!」

歴戦の経験を持つ剣八は瞬時にその気配に気付き、剣を振るった。
間一髪で後ろに下がったナルトの服に横一線の傷が走る。

「ハァッ!当たりみたいだなあッ!」
そのまま剣八は連撃を加える。ナルトはなんとか捌き続けるが、徐々に裂傷が増えていく。

「どうした!この程度かぁ!?」
そのまま剣八の圧勝に思われたがーーー遂に九尾がキレた。

「嘗めるなよ若僧がアアアァッ!!」
「うおッ!?」

全身から黒いチャクラを噴出させたナルトから、剣八は思わず後ろに下がる。
ナルトの尻からは尻尾状にチャクラが具現化されている。

「虚化か?いや違うな、仮面がねぇ」

既に人外の様相を呈してきたナルトの口から黒い塊が生まれる。
それはチャクラを高密度で固めたものだった。大蛇丸も恐れたものである。

「・・・面白え。面白え面白え全く全体面白過ぎるぜこの世界はよおぉっ!」

剣八は眼帯を剥ぎ取った。抑えられていた霊力が噴出する。

「さあ、来いよ!俺か手前か!生き残るのはどっちか決めようじゃねえか!」
ナルトから拳大のチャクラの塊が放出される。
剣八のムラサメブレードがこれを迎え撃つ。

両者が接触するとき、凄まじい圧力が発生した。
その圧力は大気をたわませ、空気を歪める。
その圧力に耐え切れず、
ムラサメブレードが、

根元から折れた。


同時、大爆発が巻き起こる。

「ぐううっ!」

後ろで見ていたヒル魔はその風圧に飛ばされないよう、必死で身をかがめた。
そしてナルトの変異はそのころにはもう治まっていた。

(くうッ・・・チャクラを大分消費したな。しかし、制限とはここまで激しいものなのか。
チャクラの枯渇を恐れて使用するチャクラの量をかなり抑えたが、
それでも本来の威力の10分の1にもはるかに届かないとは・・・!)

「ふん、だがあの男はもう生きてはいまい。このワシに戦いを挑んだこと、
その『そこまで悪くない死後の世界』で後悔するがいいわ」

しかし、煙の中から声が聞こえた。
「勝ち名乗りを揚げるのは・・・まだ早えェぜ」

更木剣八は生存していた。
身体はあちこち傷だらけで、出血も激しいが、五体満足で存在していた。
ナルトが技の威力を抑えたこと、
眼帯を外して身体を守る霊力を強化したこと、
ムラサメブレードが威力の大部分を削ってくれたこと、
これらの複合要因が剣八を生かしたのだ。

「バカな・・・」
「さあ、続けようぜ・・・って刀が折れちまったな。しょうがねえ」

剣八は荷物からサッカーボールを取り出し、手で握りつぶす。
そしてその丈夫なゴムを、折れたムラサメブレードの刀身に巻きつける。
それは、即興の刀の握りになった。

「これでよし、まあ多少持ちにくいがその辺りは我慢しようじゃねぇか」
「クッ・・・」

(残ったチャクラでこの男を倒せるか・・・!?否!危険過ぎる!こうなったら四国にいる同族がお人好しなのを願うしかないわ!
本当はあの餓鬼を使って安全に接触しようと思っておったが已むを得ん!
この男に襲われていることにして・・・いや、今回は本当に襲われているかの。同族にこの男を倒させる!
もし同族がこの男に勝てなかった場合は妖力を喰らい、回復したチャクラでワシが今度こそ全力でこの男を殺す!)
「どうした、来ねえのか?来ねえならこっちから行くぜ」
「フン、ワシ・・・俺はお前なんかにかまってるヒマはないんだっ」

足の裏にチャクラを集中させる。

「てばよ!」

全速離脱。ナルトは剣八の視界から消えた。
さきほど剣八に回り込まれたのは普通に逃げようとしたからで、最初から全速力で逃げれば回り込まれることはない。

「オイ・・・オイオイオイオイ!?手前はまだ戦えるだろうがあ!俺と・・・戦えええェッ!」

ナルトを追って剣八も全速移動する。
そうして橋の上にはただ一人、ヒル魔だけが残された。

(クッソ、何だあの化け物どもは!?あれが人間か?少なくとも危険過ぎる奴らだってことは分かるぜクソッタレ!
一度糞チビ達の所に戻るか?いや、今の目的をよく考えろ!糞マネを探すことだ!
もし糞マネが四国にいて、あの二人の戦いに巻き込まれて死んだら後悔してもしきれねェ!・・・見届けるしかねぇな)

ヒル魔は自分とナルトのデイパックを担ぎ、二人の後を追う。

こうして二匹の飢えた獣が四国に入った。
比較的平穏だった四国でも、狂乱の嵐が吹き荒れようとしていた。
【岡山/下津井瀬戸大橋・通過中/夜】
【更木剣八@BLEACH】
 [状態]:軽度の疲労。股関節、両肩の軽い炎症、全身に軽度の裂傷、火傷、出血(出血は治まりかけ) 眼帯を外したため霊力上昇
 [装備]:折れたムラサメブレードの刀身(サッカーボールの握りが巻いてある)@BASTARD!
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1、ナルトを追う。
     2、誰かと戦いたい。
     3、志々雄、キン肉マンらと決着をつける。
     4、キン肉マンの仲間になる気はない。


【蛭魔妖一@アイシールド21】
 [状態]:右肩骨折、疲労はほぼ回復
 [装備]:無し
 [道具]:支給品一式 ×2(一つは食料と水を消費済み)
     ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険
     ソーイングセット、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
 [思考]:1.ナルト、剣八を追う
     2.姉崎との合流
     3.香川で姉崎まもりの捜索
     4.22時までに岡山市街地に戻る
【うずまきナルト@NARUTO】
 [状態]:九尾の意思 かなり疲労 全身に軽度の裂傷 チャクラ中消費
 [装備]:無し
 [道具]:フォーク5本(すぐ使えるようポケットに入れてある)    
 [思考]1、四国から感じた強大な妖気の源(鵺野)と接触し、可能なら利用。不可能なら殺害後捕食
    2、剣八を殺す
    3、サクラを探し、可能なら利用。不可能なら殺害
    4、術者に能力制限を解かせる
    5、優勝後、主催者を殺害する
[備考] (ナルトの精神は九尾の部屋で眠っています。肉体的に瀕死、
またはナルトが外部から精神的に最大級の衝撃を受けると一時的に九尾と人格が入れ替わります)
ナルト以外の共通思考(22時までに岡山市街地に戻る)

*玉藻の封印は、玉藻の死亡と、九尾のチャクラの一部によって解除されたと言う見解です。
 そのため、今のナルト(九尾)はナルトのチャクラ+九尾のチャクラ15%程度のチャクラが上限です。
 ただし、九尾のチャクラも使いこなせます。
 あと、九尾は基本的にナルトの口調で喋ります。
【サッカーボール 死亡確認】

185分裂〜序章 ◆WsM3K98Fv. :2006/04/23(日) 01:42:17 ID:0aRq6ijR0
ガヤ ガヤ ガヤ
いつの間にか、ヤムチャとタカヤの周りには多数の参加者が集まっていた。

「殺しに行く手間が省けました。3分ください。すぐ掃除しますから」
「いや、いい俺が片付ける」

そう言うとタカヤは、右手を翳した。
「無に帰れ!!ゴミ共が!!」

 『水・陸・空 次 元 斬』

186分裂〜序章 ◆WsM3K98Fv. :2006/04/23(日) 01:43:25 ID:0aRq6ijR0
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.タカヤをころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。

【タカヤ@生存確認】
187作者の都合により名無しです:2006/04/23(日) 14:26:13 ID:bq4y3kuo0
保守age
夜の海。日本海特有の荒波が絶壁を打ち付け、凄まじい音を響き渡らせている。
富山県の海岸沿いに切り立った斜面。そこより伸びた木の上で飛影は小休止をとっていた。
連戦、それに加えて断崖絶壁である。新潟県が禁止エリアになり、海岸線沿いに南下するもこの絶壁に阻まれた。
時間との戦いだった。道なき道を越え、隣県である富山県に到達した頃には、禁止エリア発動の僅か十分前であった。
だが、依然として周囲は絶壁。そして崖を一歩踏み違えば、遙か下に闇の海が広がるのみである。

「(放送まで半程か)・・・頃合だな」

呟くと、飛影は音も無く足元の木の枝を蹴った。

〜〜リンスレット・ウォーカーの脳内手記3〜〜

・十九時過ぎ
あの後アビゲイルのおっさん、観光地図とレーダーを交互に見て次の目的地を探し始める。なんでもゆっくり首輪を研究できるような、そんな拠点を造りたいらしい。
えー、また移動ぉーって思ったけどさ。まーここもあのクリリンとかいう坊主頭に場所が割れてるし、しょーがないか。
・二十時過ぎ
石川県を通過。おい、アビゲイルのおっさん、アンタどこまで行くつもりなのよぉ。
聞いたら、ちょーど拠点を造ろうと思っていた辺りにオリハルコンの反応もあるらしい。おーこれは一石二鳥じゃない!動いてないっぽいし、放置されてるなら取りに行かないとね。
・二十一時頃
富山県に到着、さらに北上する。ちょっとぉ!このまま行ったら新潟(禁止エリア)まで行っちゃうじゃない!
でも目的地と反応の場所は、ちょーど新潟県と富山県の境目あたりらしい。ううっ・・・恐ろしい。
・二十一時半頃
富山県の『親不知』とかいう海岸線に到着。めちゃめちゃスゴイ崖よ。狭い坂道を岩にかじりつく思いで必死に登った。
そりゃそうよ。一歩でも足を踏み外せば海、つまりドカンよ?死ぬかと思ったわマジで!
・二十二時頃
登りきると崖の上は小広い丘になっていた。スッゴイ高さから海が見える。なるほどぉ、拠点にしたいって言ってた意味が分かったわ。
なぜなら背後は禁止エリア。こんなトコに来る人なんかまずいない。見晴らしもいいし、万が一誰か来てもすぐに分かる。
しかもよ、あの崖すれすれの桟道を登ってくるしかないから、狙いやすいったらありゃしない。
・二十二時半頃
とか高をくくってたらイキナリよ!新潟と富山の境目にあったドラゴンレーダーの反応がこっちに動き出したらしい。
何それ聞いてないよーっ!急遽アビゲイルのおっさんと作戦会議を始める。
・二十三時頃
そして今に至る。

―――んで!

そーなの、今マジやばいのーっ。ヤバイヤバイヤバイって!
断崖絶壁に銃撃音が木霊している。発砲は戦いの狼煙、私は木陰に隠れ、しまってあったベレッタM92を取り出した。
何でこんなことになったのかって?決まってるじゃない!敵よ、敵!アビゲイルのおっさんの交渉は決裂したみたいね。

今はアビゲイルがマシンガンで弾幕を張ってくれている。やっぱりこの地形を選んで正解だったみたいね。襲撃者は狭い桟道に釘付け。一歩でも出たら蜂の巣よ!

(でもこのままじゃ埒が明かないわ、どーすんのよアビゲイル・・・!)

作戦は決まっていた。アビゲイルはズバリ陽動で、私は木陰に身を隠し、誘い出された相手にこのベレッタM92で止めを刺す。そういう筋書き。
多少ベタだけど、さすがの私もこれ以上の策は思い浮かばないわ。一応、第二第三の策もあるけど、ここでケリを付けとくにこしたことはない。
後はアビゲイルが相手を誘き出すのを待つのみ。私は木陰から銃の照準を、桟道が最も狭くなるポイントに合わせた。

(道は一本、空でも飛べない限り必ずあそこを通るはず。その時を逃さない!)

じっとりと汗ばむ手。逃げ出したくなるような衝動に襲われる。ううん、こんなんじゃダメ!これでも泥棒一筋8年よ、銃器の扱いなんてお手の物じゃない。シゴト中に大の男を二人いっぺんに薙倒したこともある。
それになにより、もう逃げないってあの時ブルマに誓ったんだから。

ブルマ、私に、も っ と 勇 気 を !
突如、アビゲイルが急斜面に足を取られて体勢を崩した。もちろんフェイク!
しかしそれに釣られて襲撃者が飛び出した。桟道を一気に駆け上る影。襲撃者は私の構える銃口の前に、完全にその姿を晒していた。(もちろん私には気付いていない。)
絶好のチャンスだった。狙うのは足、なるべく殺したくはなかった。私は銃の引き金に力を込めた。

(いまよ!)

―――でも、
そこから先の記憶はない。
なぜか引き金を引けなかったことだけは確かだ。あと、お嬢さん、と叫ぶ声が耳に残って・・・

私は、なにもできなかった・・・。

〜〜リンスレット・ウォーカーの脳内手記3 完〜〜

駈けながら飛影は再度相手を確認する。手応えはあった。

「下らん真似を」

邪眼の力をもってすれば、伏兵を察知することなど容易いこと。誘い寄せられた振りをして出て行き、短刀(マルス)を投げてやった。
当然、敵も満を持していただろう。こちらも多少のダメージは覚悟したが、邪眼の呪縛が効く相手で救われたということか。

「女か・・・」

短刀(マルス)はほぼ狙い通り女の胸部に突き刺さっていた。女は仰向けに倒れ動かないが、その胸が微かに上下するのを邪眼が捕らえた。
それにしても、本来ならば必殺のタイミングだった。やはり邪眼の力が弱くなっている。どうやら実際に束縛できるのは、一瞬程度が関の山のようだ。女は短刀が命中する直前に、かろうじて急所を避けたのだろう。

「・・・」

桟道を駆け上ると、ちょっとした丘になっていた。男は崖側、女は山側。飛影は迷わず木陰に倒れる女の下へ急行した。
機関銃を乱射していた男の方は斜面に体勢を崩している。ここは女を確実に始末しておいた方がいい。右手に妖気を集中させる。殺った、と飛影は思った。
「死ね・・・なっ!?」

手刀が女に届くその刹那、飛影の前に巨大な影が立ちはだかった。
交錯。飛影の右手に肉を抉る感触が伝わってきた。

「やってくれましたね・・・」

襲撃者の手刀はアビゲイルの左肩を貫いていた。咄嗟の判断で空中浮遊の魔術『黒鳥嵐鳥』により高低差を一気に飛び越え、両者の間に割って入ったのである。
リンスを巻き添えにせずに襲撃者の攻撃を止めるにはこれ以外に方法がなかった。

「『赤 斬 光 波 (トール)』!」
「ちっ」
「・・・!(やはり、疾いですね。)」

魔術『赤斬光波』、破壊と混沌を司る暗黒の神の加護によって、赤熱する光線を眼前より放出する呪文(光属性)<BASTARDデータブックP102参照>。
しかし至近距離にも関わらず、この赤熱する高速の刃を襲撃者は驚異的な反射神経と速度でもって回避し、後方に飛び退いていた。微かに脇腹を抉ったようだが、致命傷には程遠い。
既に襲撃者は間合いを取り直し、円状の奇妙な武器を構えていた。襲撃者の口が開く。

「まさか飛んでくるとはな・・・」
「こちらこそ、作戦が見破られるとは思いませんでした。中々に『良い目』を持っていらっしゃる」

加えてこのスピード、アビゲイルの背筋に冷たいものが流れた。目の端でリンスを捉えると、ナイフの様な物が胸の辺りに突き立っていた。まだ息があるようだが、一刻も早く回復魔法による処置を施さねば手遅れになる。
しかし、この襲撃者がそれを許す気が無いことは明白だった。

「仕方ありませんね・・・」

アビゲイルは雷人剣を抜き放った。策に溺れたということか、結局接近戦になってしまった。せめて愛用の『テンタクルズ・ブレスト(触手の胸当て)』でもあればと思ったが考えても仕方の無いことだった。
「時間が有りませんので、勝負を急ぎます。」
「・・・・」
「我が名は冥界の預言者アビゲイル。最後に名をお聞きしたい。」
「・・・飛影」

月夜の下、富山県親不知の絶壁の丘に、大きさの異なる二つの影が舞い始めた。


剣戟が響く。依然として激しい攻防が続いていた。お互いの体には無数の切り傷が刻まれている。
既に飛影は使い慣れぬ燐火円レキ刀を捨て、邪王炎殺剣(己の妖気を具現化させた剣)を武器としていた。
そして素早さで翻弄することによりアビゲイルに大呪文を使う隙を与えない。戦いの趨勢は飛影側に傾きつつあった。

「どうした、もう終いか」「くっ、『赤斬光波』!!」

放たれた赤熱の刃が脇を掠める。確かに疾い。しかし直線的な攻撃だった。そして放つまでの僅かなタイムラグ。タネが分かれば紙一重で避けることも、そう難しくはなかった。
飛影は刃を交えながら冷静にアビゲイルを観ていた。邪眼の力は通用しなかった。剣術も素人ではない。目も、反応も悪くない。なにより剣が素晴らしい。しかし距離を詰めた時点で勝負は決まったようなものだった。
やがて息をもつかせぬ攻撃の前にアビゲイルの動きは鈍くなっていった。次第に炎殺剣が身体を捉え始める。

「フン」「ああっ、しまった!」

飛影は炎殺剣を突き上げた。金属音と共に、アビゲイルの雷人剣が弧を描きながら舞い上がる。
間髪入れず、がら空きになった顔面に強烈な膝蹴りをぶち込んでやった。奇妙な悲鳴を上げて吹っ飛ぶアビゲイル。これまでだな、と飛影は思った。
「ぶっ!!いっ、痛ええええ!!」

アビゲイルは鼻血を噴出させ吹き飛んだ。背後は崖、その下は海である。転げながらも辛うじてアビゲイルは崖際で踏み留まった。

「かっ顔を、てめぇえええ・・・」

地を這い、激痛に絶えながら思う。これまで誤算の連続であった。禁止エリア方向からの予期せぬ刺客。この襲撃者の予想以上のスピード。さらに何故か絶好機をみすみす逃したリンス。
そして妖気の剣を構えながら尚も迫り来る飛影。岸壁を背に負い、最早一歩たりとも退くことは許されない。

(ちくしょおぉぉ、もーこーなったら『コレ』を使うしか・・・)

最後の策である。さらに飛影が距離を詰めて来る。アビゲイルは懐の『排撃貝』を握り締めた。後は引き付けることが全て。
背水の陣。舞い上がった雷人剣が脇に落ちて、乾いた音が響き渡った。

「今だぁああ!『 地 縛 根 手(ヘテレイカ)!!』」
「―――!!」

『地縛根手』対象を地中から出現させた触手で捕縛、攻撃する呪文(地属性)<BASTARDデータブックP107参照>。
魔術により大地より唐突に湧き出した無数の触手があっという間に飛影に絡みついた。

「な・・・!?」「うわはははははぁ、引っかかりましたねぇ!!」

既にアビゲイルは起き上がり、触手に絡まれ動けぬ飛影に迫っていた。右手には排撃貝、後はこれを飛影に押し当て、撃つのみ。
いまだ動けぬ目前の飛影。アビゲイルは勝利を確信した。

「終わりです・・・なにぃぃぃ!!?」

アビゲイルは己の目を疑った。排撃貝を握る手が飛影の身体をすり抜けていたのだ。その勢いのまま、アビゲイルは頭から地面に突っ伏していた。

「残像だ」「しっ、しまったぁぁぁぁぁぁ!!?」

――――完全に死角を取った。
飛影は勝利を疑わなかった。このアビゲイルが体勢を整えるより先に、胴体から首を切り落としてやる。
思ったより梃子摺った。しかし最後に勝敗を分けたのは、やはり剣と共に踏んだ場数だった。零歳で魔界に落とされ、殺すことと奪うことで生き延びてきたのだ。

これで終わりだ。飛影は妖気の剣を振り下ろした。








その時、大地が地響きを上げた。何だ、と思う前に全身の血が引いた。

【富山県宇奈月市(親不知)の岸壁/1日目・真夜中】

【飛影@幽遊白書】
状態:若干疲労。全身に無数の裂傷。
装備:なし(邪王炎殺剣)
道具:荷物一式
思考:1.二人を倒す(殺害予定)
    2、強いやつを倒す
    3.氷泪石を探す

【リンスレット・ウォーカー@ブラックキャット】
状態:胸にマルスが刺さっている。
装備:ベレッタM92(残弾数、予備含め31発)
道具:荷物一式・漂流、左遷×各一枚@ハンター×ハンター。ディオスクロイ(片方)@BLACK CAT
思考:不明
    
【アビゲイル@バスタード】
状態:精神力疲労半分ほど、左肩貫通。 全身に無数の裂傷。
装備:
道具:荷物一式・ドラゴンレーダー@ドラゴンボール・首輪・ブルマの荷物一式・クリリンの荷物一式(食料・水、四日分)・ディオスクロイ(片方)@ブラックキャット・海坊主の荷物一式(食料・水、九日分)
超神水@ドラゴンボール・排撃貝@ワンピース・ヒル魔のマシンガン@アイシールド21(残弾数は不明)、衝突@ハンター×ハンター。
思考:
1、一刻も早く飛影を倒し、リンスに治療をする。
2.首輪を調べる
3.ヨーコ達、協力者を探す。
4.ゲームを脱出

備考:燐火円レキ刀@幽遊白書と雷神剣@バスタードは二人の傍らに落ちてます。
故人曰く、『親不知 子はこの浦の波まくら 越路の磯の あわと消えゆく』
現、西日本旅客鉄道(JR西日本)北陸本線親不知駅周辺。通称『親不知・子不知』。
北アルプスから飛騨山脈の北端が日本海に没する断崖絶壁と海浜が織りなす雄大な景観である。
その古来から北陸街道最大の難所として数多の旅人を阻んできたこの巨大な断崖絶壁が今、大音響を轟かせ崩壊していた。

「ふっ、ふふふ・・・排撃貝は貴方に当てるためのものではありませんでした」
「な・・・なんだと・・・!?」

瓦解する岩石と共に、岸壁を落ちゆく飛影。
それを尻目に魔術『黒鳥嵐鳥』により空中に浮かぶアビゲイル。

「し、しかしまさか・・・排撃貝の反動が、これ程までとは・・・グふッ」
「罠か・・・!!」

これこそアビゲイルの最後の切札。即ち、<排撃貝で崖を崩し相手を海側に落とす作戦>。こんなこともあろうかと、この場所に到着してよりすぐに、魔術『赤斬光波』で地盤に幾筋かの亀裂を入れておいたのだ。
そして策は成り、飛影は崩壊する絶壁に飲み込まれ、瓦礫と共に遥か下、闇の海に消えようとしていた。

「くっ」

嵌められた。無数の岩石と共に落下しながら飛影は歯軋りをした。
崩壊を免れた地点に向かい試みた最後の跳躍も、掴もうとした手は指一寸の差で虚しく空を切った。

それにしてもアビゲイル、恐らく戦いの前から周到に準備をしていたのだろう。予めあと一押しで崖が崩壊するよう仕込んでいたということか。
遙か下は海面。いくら身軽な飛影でもこれほどの高さから落ちれば唯では済まない。
いや、その前に海へ侵入したと見做され首輪が爆発するか。考えてから飛影は愕然とした。

(こんなものか・・・)

最早、どうにもならなかった。
首輪の爆発まであと数秒とあるまい。諦念の念が飛影を包み込んだ。
結局は幽助との再戦も叶わず、探していた氷涙石も見つからなかった。成した事といえば感情任せに氷女を殺したことくらいだ。
戦いが人生だった。そして戦いに死ぬ。だがそれは悪くない。

「邪王炎殺拳最大最強奥義・・・・」

せめて、派手に散ってやるか。飛影はありったけの妖気をその手に集めた。


時を同じくして既に、アビゲイルの魔法も完成しようとしていた。最後の足掻も想定の範囲内である。
あと数秒。このまま飛影が海側に落ち続ければ自ずと首輪が爆発するはずだった。
だがその時を黙して待つような相手でないことは明白であり、なにより一刻も早くリンスに治療を施さねばならなかった。瞬きの時間すら惜しい。

「トゥイ・ステッド・イントゥホーム 血の聖餐杯よ 還らざる怨霊の罪で満ちよ」 

排撃貝の反動は予想以上であった。身体が悲鳴を上げている。
そして飛影の身体にも凄まじい程のオーラが漲っていた。恐らく最強の技が放たれるのだろう。まさに正念場、だが防ぎきれば勝つ。

「 『 封 獄 死 霊 砲(フォ・ビ・ドゥーン)』 」
「 『 炎 殺 黒 龍 波 』 」

黒龍と邪霊。解き放たれし暗黒の力が親不知の夜空に激突した。
以下の事は全てが一瞬の出来事であった。
『封獄死霊砲』、邪悪な死霊の怨念を集約して攻撃する呪文。その威力は物理的・霊的両方に及び、対象を滅ぼすまでその攻撃は続くこととなる(闇属性)<BASTARDデータブックP104参照>。
一方、凄まじい速度で邪霊を蹴散らしながら進撃する飛影の黒龍波であったが、やはり『格』という点においてアビゲイルの魔力は数段も上であった。『封獄死霊砲』は本来、都市規模の破壊をもたらす呪文なのである。
やがて黒龍は、邪霊群の執拗な波状攻撃の前にのた打ち回り、遂には断末魔の咆哮を上げ、飛影もろとも崖下に墜落していった。

凌ぎきった。岸壁に着地してアビゲイルは膝を着いた。とりあえず飛影の生存確認は次の放送まで持越しである。だが万が一爆発を免れてもこの高さなら良くて戦闘不能だろう。

「ふう・・・後はお嬢さん、貴方を・・・」

一刻も早く、リンスの元へ急がなければ。だが気持ちとは裏腹に両足が言うことを利かない。左肩は飛影の手刀に貫かれ、排撃貝の反動に右半身が軋む。魔力の消耗も限界に近かった。
朦朧とする意識。その中で、アビゲイルは声を聞いた。

―――立て、アビ公!このヘチマ野郎!―――

        「―――?・・・おやおや、こんな非理論的幻聴が私にも聞けるとはねえ・・・」

長生きはするものだ。四百年生きて始めての経験である。不思議なもので、足は前へと動かされていた。リンスの元まであと少し。
だが、アビゲイルはそれ以上進むことが出来なかった。

「どこへ行く。見せたいものはこれからだぞ」
「!!!」

声、振り返ると岸壁に、立つ影があった。馬鹿な、そんなはずはない。

「見えるか、これが黒龍波を極めた者の妖気だ」「お、おお・・・」

ゆっくりと間合いを詰める飛影。アビゲイルには、はっきりと見えた。
黒の炎を、かつてない程の強大な暗黒の妖気を、身に纏う飛影の姿が。からからの喉を震わせて、なぜ、と問う。

「フン、黒龍波は単なる飛び道具じゃない」
黒龍波を、食ったのだ。そんな事は解っていた。それより何故海に落下していた筈の飛影が目の前にいる。
周囲に視線を走らせて気が付いた。先の攻防で弾き飛ばされた筈の雷人剣、それが見当たらない。まさか飛影と共に落下したのか。

「まさか・・・!!」「いい剣だったぜ、足場には勿体なかったがな」

そこまで言われアビゲイルは全てを悟った。
落下しながら偶然飛影は雷人剣を手にしたのだ。それを崖に突き刺し楔代わりにして墜落を免れ、さらに足場代わりにしてここまで跳躍した。
そんな偶然があるのか、だが実際に飛影はここにいる。

「さて、そろそろ死ぬか」
「くっ、(お嬢さん申し訳ありません)『衝・・・」

止むを得ずGIカード『衝突』を発動させようとした刹那、身体が浮き上がった。一瞬で距離を詰めた飛影の掌呈によって、空中に舞い上げられたのだ。

「死ね、アビゲイル」

アビゲイルは思った。恐らく次の攻撃で終わりだろう。苦痛と絶望の中で、己の死を確信して瞼を閉じた。

―――追撃が来ることはなかった。
何があったのか、目を開いてアビゲイルは信じられないものを見た。
彼の視界に飛び込んできたのは、驚愕の表情のまま、光と共に消え行く飛影の姿であった。

「まさか・・・」

その後、なんとか空中で体勢を立て直し、アビゲイルは着地に成功した。
突如消えた飛影。何が起こったのか、それはすぐに理解できた。
アビゲイルは痛みを忘れて駆け寄った。仰向けに倒れているリンス。その手に握られていた一枚のカードが、蒸発するように虚空に消えた。

結局のところ、作戦は全てが裏目。リンスを守ることも出来ず、止むを得なかったとはいえ、最後には見捨てて逃げようとすらした。
だが、リンスが私を救ったというのか。胸を撫で下ろすような安堵も束の間、アビゲイルは暗澹とした気持ちに包まれた。
〜〜リンスレット・ウォーカーの脳内手記・最終回〜

静かな夜、波の音だけがはっきりと聞こえる。できたら朝日に輝く大海原を、この親不知の断崖から見てみたかった。

「どうやらお嬢さんに、礼を言わなければならないようですね・・・」

アビゲイルが血塗れの顔を近づけてきた。とうとうこの顔に、慣れることはなかった。私は心の中で自嘲気味に笑う。

「始めに名乗らせておいて正解でしたよ」

何か言おうとしたがもう声が出ない。血を流し過ぎてしまったようだ。寒くて堪らない。
やるだけの事はやったんだ。死ぬのは仕方が無い。これでもプロの泥棒である。最低限の覚悟はしていたつもりだった。

「申し訳ありません。最早、私の癒しの呪文でも、お嬢さんを救うことは出来ないようです。」

そうだろう、と思う。私の胸に深々と突き刺ささる短剣。何処から見ても致命傷。GIカード『左遷』を発動できたことさえ、今となっては不思議だった。
それでも大分楽になった。暖かな光が私を包み込んでいる。きっとアビゲイルの力なのだろう。

沈痛の面持ちのアビゲイル。そんな表情(カオ)はして欲しくなかった。
精一杯守ろうとしてくれたじゃない。そして今も助けようとしてくれている。それで充分だよ。

「・・・手を」

残された力を振り絞って、出てきた言葉はそれだった。アビゲイルは驚いた顔をしたが、何も言わずに私の手を取ってくれた。想いを込める。
絶え間なく響く波の音。どれだけの時をそうしていたのか、やがてアビゲイルの口が開いた。今度はうって変わって明るい声で。

「お嬢さんもついてない。最後の時を、こんなおじさんの腕の中で迎えることになるとはねえ・・・」

全くだわ。返事の変わりに私はぎこちない笑顔で応えた。アビゲイルも笑っている。
気持ちが、どれだけ伝わったのかはわからない。でもあなたが微笑ってくれたから、私は胸を張って、ブルマのトコに行けるわ。
視界が暗くなる。さようなら、アビちゃん。ちょっとヘンだけど愉快で優しいおじサマ。
どうか振り返らないでほしい。あなたはこんなところで立ち止まってはいけない人。
この狂った世界から、みんなを解き放つ希望なのだから。

P,S 短い付き合いだったけど、なかなか(?)楽しかったわ。

――――リンスレット・ウォーカーの脳内手記・終―――

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「男の赤子、忌み子、忌み子じゃ」
「百年周期の分裂期にあわせ、男と密通しおったのだ」
「なんという汚らわしい、おそろしい娘じゃ」

氷女の寿命は限りなく長い。百年ごとの分裂期に一人の子を産む、誰の力も借りずに。子供はまさに分身でありすべて女である。ただ一つ、男と交わらない限りは。

「男と女の双子など氷河始まって以来のこと」
「長老、いかがなされましょう」
「女児は同胞じゃ、しかし男児は忌み子、必ず災いをもたらし氷河を蝕む」

耳元で騒ぐババア共を丸焼きにする力くらいならあったかもしれない。

「泪、そなたと氷菜が懇意であったことは知っている。だが情けは無用、忌み子によって何人の同胞が殺されたことか、お前も知っておろう」
「情けは無用じゃ」

生きのびる自信はあった。生まれてすぐ生きる目的ができたことが嬉しかった。氷河の女を皆殺しにしてやる。

「またあの夢か」
木々の狭間から僅かに覗く山岳と月。微かな風に揺られる木葉に差し込む月光が瞬きをする。
標識によるとここは、『奈良県』という場所らしい。妙な力でここに飛ばされた後、飛影は手近な広葉樹に登り、木の幹に背中を預け眠りについた。
そして目覚めの後、まず負傷の手当を施して、今はただおもむろに樹の上で時を過ごしていた。

―――幽助が、死んでいた。
考えられぬ事は無い。現実に自分を軽くあしらう程の実力者も存在したのだ。
所詮は弱肉強食の世界、と理屈では解る。だが目的を削がれた様な虚無に飛影は襲われていた。

願わくばもう一度、戦いたかった。しかし過ぎてしまった事は巡り会わせと思うしかなかった。
共に戦えなかったのが巡り会わせなら、氷女をこの手で殺したことも巡り会わせだ。

不思議な衝動に駆られ、飛影は眼前の枝を切り飛ばした。遮る物が無くなり、雲ひとつない夜空に浮かぶ満月が、臆面も無く飛影を照らす。
一陣の風、木々のざわめき、舞い上げられた木の葉が頬を撫でる。

月と向き合う飛影。不意に既視感に襲われた。
儚く静かな光。いつの間にかこの満月に、氷泪石を重ねていたことに気付く。
自覚すると同時に、さながら渚に打ち寄せる波の如く、かつて忘却の彼方に葬り去られた筈の想いが飛影の心をさらった。

「故郷は、あれより遠いのか・・・」

隠密の帰郷。追憶に浮かぶのは、氷女共のいじけた眼差し。城の裏角、母親の朽ちた墓標。
厚い雲に覆われた流浪の城は、今も魔界の何処かを彷徨っているのだろう。

「―――フッ、くだらんな」

笑わせるぜ、今更何を考える。最早あの場所に求める物など無かろうに。

過ぎ去りし日々、戦うことだけが残された。力尽くまで闘って、そして散るのもいいだろう。
心の空。どうせ死に逝く運命ならば、暗い夜空のままでいい、と飛影は思った。




     『牀前月光を看る 疑うらくは是れ地上の霜かと
       頭を挙げては山月を望み 頭を低たれては故郷を思う』
                                  ― 李白 ―

【富山県宇奈月市(親不知)の岸壁/1日目・真夜中】

【アビゲイル@バスタード】
状態:精神力体力疲労大、左肩貫通。全身、特に右半身に排撃貝の反動大。無数の裂傷。
装備:なし
道具:荷物一式・ドラゴンレーダー@ドラゴンボール・首輪・ブルマの荷物一式・クリリンの荷物一式(食料・水、四日分)・ディオスクロイ@ブラックキャット・海坊主の荷物一式(食料・水、九日分)・超神水@ドラゴンボール
排撃貝@ワンピース・ヒル魔のマシンガン@アイシールド21(残弾数は不明)。ベレッタM92(残弾数、予備含め31発)。衝突、漂流×各一枚@ハンター×ハンター。マルス@ブラックキャット
思考:1.リンスを埋葬する。呵責?
2、体力回復
3.首輪をさらに調べる
4.この場所を拠点とし、ヨーコ達、協力者を探す。
5.ゲームを脱出
【奈良県/2日目・黎明】

【飛影@幽遊白書】

状態:GIカード『左遷』により京都に飛ばされた。その後黒竜波の副作用で眠り、そして目が覚めた。全身に無数の裂傷(応急処置ずみ)。
装備:なし
道具:荷物一式
思考:1、未定
    2、強いやつを倒す
    3.氷泪石を探す(まず見つかるまいし、なくてもかまわない)

備考:雷人剣は親不知の崖に突き刺さっている。燐火円レキ刀@幽遊白書は崖の崩壊に巻き込まれ海の藻屑と化した。

【リンスレット・ウォーカー@ブラックキャット 死亡確認】
【残り68人】
PM17:50――

ダイが、三人の男性を連れてきた。
一人は、日本の教師という職業に就く男、名を鵺野鳴介。
一人は、日本の警察官という職業に就く男、名を両津勘吉。
一人は、日本の中学校テニス部に在籍するという男、名を乾貞治。

三人とも仲間を増やすという目的で、この四国にやってきたという。
話を聞けば、彼らにはあと二人の仲間がいて、それぞれ別の場所で仲間を集めているという。
自分達の他にも、計五人の脱出派がいる。その事実に、ダイ、ターちゃん、竜吉公主の三人は、大いに喜びあった。


PM18:00――

だが、そんな矢先に第三の放送が流れた。
今度の死者は24名。今まで最多の死者数だ。
その中には、いくつか決して無視することの出来ない名があった。
特に富樫源次の名が呼ばれたことは大きい。
彼は数時間前に袂を分かった盟友、太公望と行動を共にしていたはず。
太公望自身の名は呼ばれていなかったが、彼ともまたトランシーバーによる連絡不能という事態に陥っていた。
一体彼らに何があったのか。せっかく仲間が増えたというのに、素直に喜んでいられる状況ではなくなってしまった。
太公望との連絡が不可能と分かったのは、PM16:00のこと。
太公望がよこすと言っていた定期連絡はいっこうに訪れることはなく、ターちゃんはそんな場合の処置として、手筈どおり鳥を飛ばすこととなった。
しかし伝書鳩というものは中々に不便なもので、早々動く標的に辿りつけるものでもない。
大体の位置は見当がつくと思うが、果たして太公望まで無事に辿り着いているかどうか。
少なくとも、まだお互いの連絡は取れていない。

この事態に、一番不安を感じているのはダイだった。
富樫の死、太公望の音信不通。常の彼ならば、今すぐにでも飛び出して探しにいくところだ。
それでも、ダイは堪えた。ここで「太公望を探しにいこう!」などと言っても、公主やターちゃんに止められるのは目に見えていたから。
何より、他の二人が何も言わないのだ。二人とも太公望に命ぜられた「四国死守」を厳守しようとしているのだろう。
仲間の無事を知りたい、という心境は、自分と同じはずなのに。
ダイは二人の気持ちを理解して、あえて何も言い出さなかった。
何も言い出さない三人の代わりに、新たに仲間に加わった乾が言葉を発した。
「よろしければ、俺達がその太公望という人を探してきましょうか?」
それは、三人にとってなんともありがたい提案だった。
元より、彼らが考える脱出は太公望が無くては成立しない。
本当なら人員を割いても彼を捜索したいところ。
幸運なことに、今の人員は三名から六名となった。
四国に留まるよう言われたダイ達ならともかく、新たに仲間になった乾たちなら、活動も制限されることじはない。
「そのためには、あなた方の中から一人、太公望さんを知る方に同行してもらう必要があります。それに、残りの二人にも協力をしてもらわないと……」
乾の言う残り二人は、今はこの場にいない。
理由は、第三の放送。
24名の死者は、数々の人間に悲しみを齎したのだ――
ダイ達がベースとしている香川県のダムから、少し離れた地点。暗闇の広がる森の中。
そこで、鵺野鳴介ことぬ〜べ〜は一人佇んでいた。
思うことは、このゲームについて。
突然理由分からず連れてこられ、殺し合いを強制されるという危険極まりない外道の遊戯。
連れてこられたメンバーの内、ぬ〜べ〜が知る人物は三人。
一人は、稲葉卿子。童守小学校五年三組に在籍する、ちょっと不器用で活発な女の子。
――だが死んだ。
一人は、ゆきめ。ぬ〜べ〜とは幼い頃に出会い、雪女でありながら人間の男性を愛した女。
――だが死んだ。
一人は、玉藻京介。普段は外科医として振舞う、齢400年の妖狐。
――だが死んだ。

全員死んだ。
守りたかった女二人と、決して死ぬことはないと信じていた男。
その事実を知ったぬ〜べ〜は、「一人になりたい」と言いダイ達の下を離れた。
その胸には、何を浮かべているのか。

「………………」
草陰からそっと見守る両津には、それが分からなかった。
なんとなく予想はつくが、考えられる答えは二択。
怒りか、悲しみか。
(……!…………鵺野先生……)
不意に、ぬ〜べ〜の顔を覗いてしまった。
浮かんでいた形相は、怒りと悲しみ、両方。
涙を流しながら歯を噛み締め、必死に何かに耐えようとしている。
闘っているのだ。自分の中の「鬼」と。込み上げてくる復讐心と。
普段の両津なら、バンッと背中を叩いて一喝してやるところだが、この状況ではそうはいかない。
何しろぬ〜べ〜は自分の世界の仲間を、愛する女性と愛する生徒、親友とも言えるライバルを全員失ったのだから。
「――助けてくれってばよ!」
唐突に、助けを呼ぶ声がした。声と共に姿も見せる。
森を駆け抜けてきたその少年は、怒りながら涙するぬ〜べ〜の眼前に飛び出す。

「…………君は?」
今にも消え入りそうな声で、ぬ〜べ〜が問う。
目の前の少年、背丈から察するに学年はまだ中学生かそこらか。とりあえず少年と言って問題はない。
そして少年が何者か答える前に、ぬ〜べ〜は気づいた。
(この少年…………中に『何か』いる?)
教師と同時に霊能力者でもあるぬ〜べ〜は、それを一見しただけで見抜いた。
『何か』の正体を断定することはできないが、どこか彼には妖気に似たようなものを感じる。
そう……それはまるで、あの玉藻を思わせるような気配だった。
(まさか……妖狐?)
微かにそう感じた、次の一瞬。

 「――――ッ!!?」

周囲に纏わり着く、絶大な妖気――いや、正しくは『霊圧』。
まるでそこだけ重力が倍化したかのように、身体が重くなる。
何が原因か――この少年ではない――そういえば少年は助けてくれと言っていなかったか?――
「よう、鬼ごっこはもう仕舞いか?」
ぬ〜べ〜が思案する中、
原因が、姿を現した。
少年の名は、うずまきナルト。
もっともそれは入れ物の名前に過ぎない。
実態は九尾。ぬ〜べ〜が想像する妖狐などとは比べ物にならぬほどの化け物である。
九尾の意思を持つナルトの目的は一つ。
四国にいる同族を利用し、橋で出会った戦闘狂を殺す。
その第一段階として、同族との接触には成功した。
外見は玉藻のと同じような優男だったが、その内に秘められた強大な妖気は紛れもなく人外のもの。
どうやら同族と称すには些か複雑な作りをしているようだが、問題はない。
喰らえば――力に出来る。
計画通りにことが進む様を見て、化け狐は微笑む。あくまでも表には出さず、内に留めて置きながら。

襲撃者は、剣士だった。
刀を武器に和風の装束を当てはめた姿は、騎士と言うよりは侍に近い。少なくとも、ぬ〜べ〜や両津のいた現代ではありえない風貌だ。
そして何より、その外見は狂気を醸し出している。そこから窺えるこの人物の特徴は――危険。
そう悟り、ぬ〜べ〜は瞬時にその剣士――更木剣八と向かい合った。
「君は何者だ? そしてお前は、何故この少年を追い回す?」
ナルトと剣八、それぞれにぬ〜べ〜が問いかける。
「俺の名前はうずまきナルト! ここに来る途中、こいつに襲われたんだってばよ!」
あくまで弱者を装いながら、ナルトは剣八を明確に敵であるように示す。
ぬ〜べ〜がゲームに乗っているかどうかは不明だが、質問から察するに利用できる要素は十分にありそうである。
「……ナルト? 君がうずまきナルト君か!?」
驚いた表情でナルトの顔を見るぬ〜べ〜。何を驚いているのかとナルトが不思議に思うと、
「俺は君の仲間の、春野サクラという女の子の仲間だ!」
「えぇ、サクラちゃんの!?(ほう……おもしろい偶然もあるものだ。利用しようとしていた人間が仲間同士だったとは。実に都合がいい)」
近くにサクラはいないようだが、やはりこの場は本性を潜めておくべきか。あとはこの男と剣八を潰し合わせるよう仕向けるだけだが……

「おいおいどうした? まさかこの期に及んで助けを求めてるわきゃあねぇよな」
剣八は、ナルトに剣を向ける。
これで確信できた。ナルトはこの男に襲われ、ここまで逃げてきた。ナルトはサクラの仲間で、信用に足る人物。よって、この剣客は――敵。
「南無大慈大悲救苦救難……」
子供に刃を向けること。それだけでも許せぬというのに、この男はそれだけに飽き足らず命まで奪おうとしている。
そう解釈したぬ〜べ〜は、自らの意思で左手の皮手袋を取り去った。
「貴様は……この俺が殺す!」
ぬ〜べ〜が持つ一撃必殺の武器、鬼の手の発現だった。
「……おもしれぇじゃねぇか!」
(ほう……これは予想以上かも知れぬ)
初めて見る鬼の手に、ナルトと剣八の両者は歓喜した。その、想像を絶する邪気に。
(あれが鵺野先生の鬼の手……? あれは……あれはいかん!)
唯一、草陰にいた両津だけはこの鬼の手を「よくないもの」という認識で見ていた。
霊感などというものとは無縁の両津だったが、鬼の手の禍々しさはだけはハッキリと感じ取ることが出来る。
「両津さん……ナルト君を頼む」
不意に、ぬ〜べ〜は両津に声を掛けた。おそらく最初からここにいることに気づいていたのだろう。
正直止めるべきかとも思ったが、目の前の剣客は見逃してくれるような奴ではないだろう。ナルトの安全も考えたら、ぬ〜べ〜を止めることはできない。
「鵺野先生……気をつけろよ!」
「ああ!」
もはや戦いは避けられない。
ぬ〜べ〜は鬼の手を、剣八はムラサメブレードを構え、対峙する。
(ハッ、心地いい殺気を出しやがる。どうやらこいつはキン肉マンなんかとは違うようだ)
守りたかった人間を皆殺しにされ、もはやぬ〜べ〜は殺人者に対する容赦を捨て去っていた。そこから発せられる殺気は、剣八も十分に満足できる質である。
「俺の名前は更木剣八。手前の名は?」
「……鵺野鳴介。生徒達は皆俺のことをぬ〜べ〜と呼んでいた」
「ぬ〜べ〜か。おもしれぇ。ひとつ手合わせ願うぜ」
ぬ〜べ〜こそ、戦求者が求めていた本気で闘える敵。この遭遇は、このゲームでの一番の当たりだ。
そう確信した剣八は、この戦いに全力をかけることにした。相手の力量は分からないが、発せられる殺気、邪気、威圧感はかなりのものである。
勝負は一瞬。おそらく一瞬で決着がつく。
ぬ〜べ〜の武器は左手一本。防御法も持たぬ彼では、戦闘が長引けば不利になることは間違いない。
一撃でしとめなければ負け――負けは、ナルトや両津の危険にも繋がる。
守らなければ。絶対に、命を懸けてでも。
左手に力がこもる。禍々しい邪気を放つ鬼の手は、穏やかに滾っている。制御しているのは、ぬ〜べ〜の持つ御鬼輪と、彼の「仲間を守る」という絶対的な精神力。
妖気と霊圧がぶつかり、交差する。言葉はなかった。そこにいる誰もがその戦いの行く末を見守り、結果を待った。
戦いに置かれた当人達は、片や怒り、片や楽しみ、視線を合わせる。
(鬼の手よ……今こそ我にその力を、示せぇぇ!!)
そして、動いた。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

突。
叫び声と共に両者が飛び出し、叫び声が止んだ頃には両者の位置が入れ替わっていた。
一秒待つ。結果が表れる。
「ぐは……」
胸元から血が飛び出し、倒れた。…………両者共に。
「鵺野先生!」
(相打ちか……?)
夥しい血に塗れた両者は、血に転がったまま起きようとしない。剣八もぬ〜べ〜も、胸元に深い裂傷を負ったようだった。
「鵺野先生! おい、しっかりせんか!」
「大丈夫か!? 死んじゃ駄目だってばよ!」
両津とナルト、二人がぬ〜べ〜の下に駆け寄り、その身を抱き起こす。
視界に映された傷は、見るも無残だった。おそらくあと数センチ深かったならば両断されてもおかしくはなかっただろう。
これでは、ぬ〜べ〜の命は――
「アホウ! あれほど気をつけろ言っただろ! あんたが死んだら、誰が乾を、誰がダイを守るんだ!」
「両津……さん」
ぬ〜べ〜はもはや、虫の息だった。
「鵺野先生!……死んじゃ、死んじゃ嫌だってばよ!」
泣きながら悲しむ両津を遮り、ナルトがぬ〜べ〜の眼前に躍り出る。

(ああ……両津さん……ナルト君……)
沈み行く意識の中で、ナルトと両津の顔が白くぼけた視界に映る。
二人とも自分に向けて何か喋っているようだが、明確に聞き取ることは出来ない。
だが、二人を守りきることが出来た。本望だ。
主催者やゆきめ達を殺した奴に復讐することは出来なかったが、ぬ〜べ〜は教師としてかけがいのない者を守ることが出来た。
次第に閉ざされていくぬ〜べ〜の眼は、最後に二人の仲間の顔を刻み、この世から――


グシャ


「……な!?」
潰された。
それがどういうことなのか、両津はすぐには理解できなかった。
いや、おそらく時間の問題などではないだろう。数秒たった今でも、この状況を飲み込めずにいる。
ぬ〜べ〜の顔が、潰された。
ナルトの手によって。
「ナル、ト……? お前……いったい何を?」
震える声を絞り出し、両津が問う。返ってきた声は、サクラが仲間と言っていた少年のものではなかった。
「く……くくく。ここまで計画がうまくいくとわな。笑いが止まらんわ」
ナルトは、笑っていた。
それはあの両津が不気味と思えるほどで、少年が放つ笑顔とはかけ離れていた。
混乱する両津を尻目に、ナルトはぬ〜べ〜の左手を握る。
「さて、食事の時間だ」
狂気に満ちたその声は、本当に少年……いや、人間のものなのだろうか。
両津はどうするべきか分からず、流れるままにナルトの手の行く末を見ていた。
それは、口元へ――――




                                       ――うが


声がした。
ナルトでも両津のものでもない、低い、重い声。

人間は、死んだ。
封印が、解かれる。
次の瞬間。
両津は「鬼」を見た。
これは比喩などではない。
昔話や御伽話に出てくるような、人間に悪さをすることで有名な本当の意味での「鬼」。それが今、両津の目の前に。

「馬鹿な……まさかこれほどに強力な輩を飼っていたとは」
ナルトは、この不足の事態にどう対処するかを考えていた。
喰らおうと思っていた鬼の手は、ぬ〜べ〜の内に潜む鬼、鬼三兄弟の長兄、覇鬼の一部分に過ぎなかった。
その本体はナルトの予想を遥かに凌ぐ強大さ。巨体から発せられる妖気は、玉藻の比ではない。
チャクラの制限されたこの場で、真っ向から戦えば結果は明白。かといって小手先の張ったりが通じるような相手にも見えない。
「うが……? ここは……どこうが?」
鬼が、喋った。
その図太い声は聞くものに恐怖を与えるには十分な質感だったが、発せられた言葉はどこか間抜けなものだった。
ふと、鬼の眼に一人の人間の死体が映った。
それは、自分の身体を封印していた霊能力者――鵺野鳴介のもの。
なぜ、この男が死んでいる?
考えてみる。すると、今までぬ〜べ〜の眼を通して見えてきた光景が、津波のように押し寄せてきた。
突然連れてこられた殺人ゲーム――ぬ〜べ〜はそこで生徒と妻、同僚を失った――そして、ついさっき仲間を守るために戦った――なのに、守るべき仲間に止めをさされた――それが、ナルト。
「うが……」
このとき覇鬼は何を思ったのだろうか。
それは誰にも分からない。ただ、
「うがぁぁぁぁ!!!」
覇鬼は、その場で悲痛な雄叫びを上げた。
「……もうついていけねー」
ぼやいたのは、森の影に身を潜めていたヒル魔だった。
彼がこの場に到着したのは、ぬ〜べ〜と剣八が対峙している時のこと。
どういう状況か確認しようと影から様子を見ていたが、結論が出る前にぬ〜べ〜と剣八の衝突は終わってしまった。
その後、ぬ〜べ〜に駆け寄ったのは警官姿の男とナルト。ここからぬ〜べ〜がナルト達の味方であったことが窺える。
だが次の瞬間、ナルトはぬ〜べ〜の顔面を捻り潰した。その瞬間に確信したのだ。ナルトはやはり――ゲームに乗った危険人物。
そしてその本性を確かめるや否や、次に現れたのは巨大な鬼。ついに人外のものまで現れてしまった。
今、その鬼はここにはいない。先程の雄叫びから一転、怒り狂ったようにナルトを襲いだした。
そのままナルトは警官と共に逃亡、鬼はそれを追っていった。
(……やっぱ一度本州に戻るか?)
これではまもりを探すどころではない。
今は、一刻も早くこの情報をセナたちに伝えることが重要か――と、その時。
背後に、嫌な風が吹いた。
「――――!?」
振り向くと、そこには死神がいた。
胸元を切り裂かれ、夥しい血を流す死神――更木剣八。
(な!? こいつ死んでなかったのか!?)
そんな馬鹿な。どう見ても死んでいる傷だ。だが、剣八は実際にこうして生存している。
「……あのヤローはどこにいった?」
剣八が訊いてきた。
おそらくはナルトのことだろうか。確かめることは出来なかったが、ヒル魔は無言で彼が去っていった方角を示す。すると、剣八も無言のまま歩き出していくではないか。
「お、おいアンタ! まさかその傷でナルトを追う気か!?」
ヒル魔が必死の思いで声をかけるも、剣八は振り返らなかった。だが、ただ一言。
「……俺はまだ戦える」
そんな馬鹿な。ヒル魔は思うも、剣八にはそれが全てだったのだ。
戦い。剣八が死ぬほどの傷を負いながらも突き進む理由にして原動力。
先のことは問題ではない。身体が動くのであれば、まだ戦える。
それが、死神更木剣八という男。
ヒル魔は、そんな男の背中を見送りながら呆然と立ち尽くしていた。
鬼は、少年と警官を追う。
何が鬼をそうさせるのか。人の心など知らぬはずなのに。
だが、鬼にはただひとつ、大事なものがあった。
それは、兄弟。弟の絶鬼と妹の眠鬼。これは彼らに感じていたものと同じ感情だろうか。
分からない。だが、鵺野の死は素直に悲しかった。
せっかく、人間と和解できたと思ったのに――

逃げる二人、ナルトと両津。
ナルトはこの強大な鬼に対してどうするべきか、ただそればかりを考えながら走っていた。
両津は止まない混乱の中、この鬼に身の危険を感じ、ひたすらに逃げる。
近くにはダイや乾がいるが……この鬼を近づけることだけはできない。
鵺野先生の意思を継ぐ意味でも、こんな危険要素を奴らに近づけることなどできるはずがない。
解決策など思いつかないが、それでも逃げることだけは得意だ。
(鵺野先生……わしは、あんたの死を無駄にはしないぞ!)


【香川県と徳島県の県境/真夜中】
【うずまきナルト@NARUTO】
 [状態]:九尾の意思 かなり疲労 全身に軽度の裂傷 チャクラ中消費 覇鬼に追われている
 [装備]:無し
 [道具]:フォーク5本(すぐ使えるようポケットに入れてある)    
 [思考]1、覇鬼から逃げる。可能ならば捕食。
    2、サクラを探し、可能なら利用。不可能なら殺害
    3、術者に能力制限を解かせる
    4、優勝後、主催者を殺害する
[備考] (ナルトの精神は九尾の部屋で眠っています。肉体的に瀕死、
またはナルトが外部から精神的に最大級の衝撃を受けると一時的に九尾と人格が入れ替わります)

*玉藻の封印は、玉藻の死亡と、九尾のチャクラの一部によって解除されたと言う見解です。
 そのため、今のナルト(九尾)はナルトのチャクラ+九尾のチャクラ15%程度のチャクラが上限です。
 ただし、九尾のチャクラも使いこなせます。 あと、九尾は基本的にナルトの口調で喋ります。
【両津勘吉@こち亀】
 [状態]健康、覇鬼に追われている
 [装備]マグナムリボルバー(残弾50)
 [道具]支給品一式(一食分の水、食料を消費。)
 [思考]1、覇鬼から逃げる(なるべくダイ達のもとから遠ざける)。
    2、伊達と合流。
    3、主催者を倒す。

【香川県・西の森/真夜中】
【更木剣八@BLEACH】
 [状態]:重度の疲労。股関節、両肩の軽い炎症、全身に軽度の裂傷、火傷、出血(出血は治まりかけ)、胸元に重傷(致命傷だが、闘争心で保っている)、 眼帯を外したため霊力上昇
 [装備]:折れたムラサメブレードの刀身(サッカーボールの握りが巻いてある)@BASTARD!
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1、ナルトを追う。
     2、誰かと戦いたい。
     3、志々雄、キン肉マンらと決着をつける。
     4、キン肉マンの仲間になる気はない。

【蛭魔妖一@アイシールド21】
 [状態]:右肩骨折
 [装備]:無し
 [道具]:支給品一式 ×2(一つは食料と水を消費済み)
     ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険
     ソーイングセット、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
 [思考]:1.どうするか思案中(セナ達と再合流or剣八を追う?)
     2.姉崎との合流
     3.香川で姉崎まもりの捜索
     4.22時までに岡山市街地に戻る
【香川県のダム/真夜中】
【乾貞治@テニスの王子様】
【状態】健康
【装備】コルトローマンMKV@シティーハンター(ただし照準はメチャクチャ)(残弾30)
【道具】支給品一式。(ただし一食分の水、食料を消費。半日分をヤムチャに譲る。)手帳、 弾丸各種(マグナムリボルバーの分は両津に渡してある)
【思考】1、ダイ、公主、ターちゃんの誰かと太公望捜索を提案。
    2、越前と合流し、脱出を目指す。
    3、脱出、首輪について考察中

【ダイ@ダイの大冒険】
【状態】健康・MP微消費
【装備】出刃包丁
【道具】荷物一式(一食消費)、トランシーバー、ペガサスの聖衣@聖闘士星矢
【思考】1、太公望を探しにいきたい
    2、四国を死守
    3、公主を守る
    4、ポップ、マァムを探す
【竜吉公主@封神演義】
 [状態]:疲労進行中、お香焚きこめ中
 [装備]:青雲剣@封神演義
 [道具]:荷物一式(一食消費)、アバンの書@ダイの大冒険、お香(残り9回)
 [思考]:1.四国を死守
     2.呪文の取得(『フバーハ』か『マホカンタ』が候補)
 [備考]:キアリーを習得

【ターちゃん@ジャングルの王者ターちゃん】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式、恥ずかしい染みのついた本@ジャングルの王者ターちゃん
 [思考]:太公望からの頼みごとの実行のため、四国に留まる
 [備考]:全国の動物達に伝わるのは少々時間がかかります。

【鵺野鳴介@地獄先生ぬ〜べ〜 死亡確認】
【残り67人】
220 ◆h6iuM9S5n6 :2006/04/25(火) 02:36:28 ID:EWG3mhR50
>>205>>219「死神交響曲第十一番第三楽章『守護者』」は無効です。
221分裂〜リターン ◆xogVqQ6upo :2006/04/25(火) 21:52:32 ID:oxAzJsyb0
タカヤの指から殺意の波動が迸る。
それは、陸、海、そして空まで達した。
そこには、ブラックホールができる。
その悪夢の渦に参加者達は次々と飲み込まれる。

「わっはっは!!!見ろよヤムチャ!!!人がゴミのようだ!!!」

そして、辺りは静寂に包まれる。
「ちっ、全ては吸い込めなかったか。まだ俺達の他に3人ほど気配がある」

―再び、タカヤとヤムチャは激突する―
222分裂〜リターン ◆xogVqQ6upo :2006/04/25(火) 21:55:05 ID:oxAzJsyb0
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.タカヤをころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。

【タカヤ@生存確認】
223作者の都合により名無しです:2006/04/26(水) 18:12:00 ID:mqWTW6yn0
糞スレ
224掃除屋達の挽歌 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/27(木) 21:32:30 ID:enX684Ps0
「お前は相変わらず無茶ばっかしやがって!腕が千切れたのもこれで二度目だろうが!」
「あーもう、うるせえってスヴェン。いーじゃねえか済んじまったことなんだしさー」
「なんでそんなお気楽なんだ!?お前は両利きだが、片腕じゃまともに戦えねえじゃねえか!」
「そこが問題なんだよなー。どーしたモンかな、今回はドクターもいないしなー」
「やれやれ。武器がウルスラグナしかないのも問題だな、アタッシュウエポンケースは壊れちまったし・・・」
「そうカッカすんなって、イヴもリンスも無事みたいだしな」
「だが、またあいつと会ったときにこの武装じゃ・・・正直勝てないな」
「・・・あいつだけは、絶対に倒す。それが、幽助に対するせめてもの手向けだからな」

ここは茨城県の診療所の中。
ラオウとの戦闘の後、傷の手当てをするために医療施設を探して南西に向かっていたトレイン達は、古ぼけた診療所を発見した。
薬などはほとんどなくなっていたが、それでも一般家屋よりは設備が整っているということで一時の拠点としたのだ。
トレインとスヴェンは応急処置をした後、食料を食べながらこれからの方針を話し合っていた。

「ロビン、杏子の様子はどうだ?」
「ええ、今は眠ってるみたい。時々うなされてるわね・・・余程さっきの放送がショックだったのね」
「こんなか弱い女性が知り合いを全て失ったとは・・・惨い。紳士として主催者は絶対に許せん!」

杏子は今はベッドの上で横になっていたが、その顔は安眠からは程遠い。
そんな杏子の顔をじっと見つめーーーロビンは立ち上がった。
225掃除屋達の挽歌 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/27(木) 21:36:06 ID:enX684Ps0
「ロビン、外へ行くのか?もう夜だ、よしたほうがいい。女性の一人歩きは危険だ」
「トイレよ。ここの診療所にはトイレがないから」
「そ、それは失礼。ならせめてトイレの前まで送って・・・」
「あら、女性が用を足すのについてくる気?そんなんじゃ紳士失格よ」
「いや、しかし・・・」
「あなたも傷が酷いんでしょう?今はゆっくり休んで。心配しなくても自分の身は自分で守れるわ」
「じゃあ私がついていきます」

いつのまにか目を覚ましていた杏子がそう答えた。

「私なら同じ女性だし、ケガもしてないわ。問題ないでしょう?」
「・・・ええ、わかったわ」
「ちょ、ちょっと待った!それならせめて護身用の武器を・・・」
「スヴェン〜、ウルスラグナなんか持ったら逆に重くて邪魔なだけだと思うぜ〜」
「クスッ、心配性ね紳士さん。ちょっとすぐそこの民家のトイレを借りるだけよ」
「・・・わかった、ただし何かあったらすぐに大声をあげてくれ。俺は診療所の外に出ているから」
「・・・わかったわ」
「杏子、十分気をつけろよ。あのデカブツが来たら今度こそウルスラグナを叩き込んでやるぜ」
「うん、頼りにしてるね」

杏子が護身用に千年ロッドの仕込刀を持ってから、二人は診療所から外に出た。
心配そうなスヴェンに見送られ、少し歩く。
226掃除屋達の挽歌 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/27(木) 21:37:43 ID:enX684Ps0
「・・・泥棒さん」
「ロビンでいいわ」
「・・・ロビンの仲間は無事だったの?」
「ええ、船長さんに長鼻さん、知り合いは二人とも無事だったわ。・・・あなたも、酷なようだけど今は自分が生き残ることに集中したほうがいいわ」
「・・・うん、それはわかってる。わかってるけど・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・うぅ・・・遊戯ぃ・・・」
「・・・」

両者ともしばらく無言。
そうして診療所から少し離れた一軒の民家に入る。
トイレのドアを開けつつ、ロビンは言った。
「そのあたりの部屋で待ってて、すぐに済むわ」

そうしてドアを閉め、トイレの前から人の気配がなくなるのを待ってからーーー
トイレの窓を開け、外に出た。

音を立てないように裏庭に着地し、息を殺す。
そのまま柵を乗り越え、森の中に入る。そしてロビンが走り出そうとしたとき、



「やっぱり・・・一人になる気だったんだね」



杏子が、いた。
227掃除屋達の挽歌 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/27(木) 21:39:10 ID:enX684Ps0
「・・・お見通しだったみたいね。回り込まれるとは迂闊だったわ」
「ねぇ・・・どうして?どうして仲間から離れようとするの?」
「・・・私には、仲間を作る権利なんて、ないのよ」

ロビンはゆっくりと歩きながら独白を続ける。
「だって、そうでしょう?私はあなたたちにたくさん酷いことをしたんですもの。
あなたからはアイテムを奪ったし・・・それに紳士さんにはもっと酷いことをしたわ。
紳士さんは優しいから詳しくは聞いてこないけど・・・私は紳士さんを操ったのよ。
操って戦わせようとした。いえ、殺し合わせようとしたんだわ」

ロビンが歩いていく先、そこには勝利マンの死体があった。
ロビンはそっと死体の傍にかがみこみ、その腕からミクロバンドを外す。
「この腕輪はね、小さくなることが出来るの。そうしてこの腕輪を使わせて奇襲させて・・・
結果、勝利マンは死んだわ。
決して裏切らない仲間?御笑い種だわ。そんなものは本当の仲間じゃない。
そんなものは・・・傀儡人形と、それを操る哀れな道化だわ。そんな道化に、仲間を作る権利なんか・・・あるわけないじゃない」
「そんなわけない!」

杏子が叫んだ。力強い叫びだった。
228掃除屋達の挽歌 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/27(木) 21:40:00 ID:enX684Ps0
「そんなわけないよ!だってあの時、トレイン君達があの化け物に殺されそうになった時、
ロビンは一緒になって立ち塞がってくれたじゃない!自分が死ぬかもしれないのに!
本当の仲間じゃなきゃあんなこと出来ないよ!だからあの時、ロビンも私達の仲間になったんだよ!」
「あなた・・・」
「・・・だから、一緒に戻ろう?」
「・・・」
「・・・」
「・・・私は」




しかし、ロビンの答えを杏子が聞くことはなかった。



銃声が、響き渡る。


229掃除屋達の挽歌 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/27(木) 21:42:16 ID:enX684Ps0
女性の身体がゆっくりと倒れる。
その胸に赤い、赤い穴を開けて。
血を撒き散らし、地面に落ちる。
その目に既に、まばたきはなく。
彼女の呼吸音は、止まっていた。


「これでまた一人・・・軽いものだな」
そこにはジャギのショットガンを構えた桃白白。

「お前もそう心配するな。すぐに同じ所に送ってやる」
そう言って、もう一人の女性に照準を定める。
と、突然ショットガンがはたき落とされた。

「何!」
「”三輪咲き”」

桃白白の背中から生えた手がショットガンをはたき落とし、更に両腕、首を拘束する。
「死になさい」
そのまま首をヘシ折るべく力が入る。
「うおおおおおおお!?」
桃白白はとっさにカプセル化しておいた脇差を出現させる。
それは背中に生えた手に刺さり、手が反射で一瞬ひるむ。
その隙を逃さず桃白白は全力で手を振り払うと、全速力で逃げ出した。
230掃除屋達の挽歌 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/27(木) 21:43:07 ID:enX684Ps0
(何だ?何だあれは!)
格闘家の防御というものは、敵の攻撃をどのように避けるか、受けるか、捌くかが焦点である。
そしてそのどれもが見切りを必要としている。
よって相手の動作がなく、いきなり来る攻撃には対処できないのだ。
ラオウなど一部の規格外を除けば、の話だが。
まして桃白白は今現在貧血気味、力づくで振りほどくことなど出来るはずもない。
食料も食べるには食べたが、すぐに血液に変わるわけではない。
(血だ!血が足りんわ!)





「せめて、苦しまなかったら良かったのだけれど」
桃白白を追おうとしたロビンは、その前に杏子の死体に黙祷する。
「私を、こんな私を仲間と呼んでくれたあなたには感謝してる。・・・だから、あなたの仇は絶対にとるわ。
このナイフは・・・形見に貰っていくわね。このナイフでトドメは刺すわ」
そう言った後荷物からメモ用紙を取り出し、スヴェンへの伝言を一瞬で書き上げる。
「そして紳士さん。・・・ごめんなさい、やっぱり私はあなたの仲間になる資格はないわ」
231掃除屋達の挽歌 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/27(木) 21:44:29 ID:enX684Ps0
「くそっ、敵襲か!」
「ロビン、杏子、無事かっ!」
銃声を聞きつけたスヴェン達がやってきたのは、早かった。
しかし、その頃には全てが終わっていた。
「杏・・・子? チクショオッ!どこのどいつだぁっ!」
「く・・・そ・・・やはりあの時俺が無理矢理ついていけば・・・」

スヴェンは未だ硝煙をあげているショットガンを手に取る。
「銃・・・?少なくとも犯人はあのデカブツじゃなさそうだな」
「スヴェン!ロビンからの手紙だ!」

杏子の胸の上にあったロビンからの手紙にはこう書いてあった。
『敵を追う これは私の責任 さようなら紳士さん』

「ロビン・・・あのバカッ!一人で背負い込みやがって!」
「いや、これは俺の責任だ。・・・本当に紳士失格だ、自分が情けない」
「とにかく後を追うぜ!」
「ああ!これ以上女性を危険な目に遭わせるわけにはいかない!」

二人の掃除屋は仲間を拒絶し続ける女性を追う。
果たしてその心が伝わることはあるのだろうか。
232掃除屋達の挽歌 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/27(木) 21:48:45 ID:enX684Ps0
【茨城県と群馬県の県境付近/一日目・夜】
【スヴェン・ボルフィード@BLACK CAT】
 [状態]:肋骨数本を骨折、胸部から腹部にかけて打撲(全て応急処置済み)
 [装備]:ジャギのショットガン(残弾19)@北斗の拳
 [道具]:荷物一式(支給品不明) (食料一食分消費)
 [思考]1:ロビンを追う
    2:イヴ・リンスと合流

【トレイン・ハートネット@BLACK CAT】
 [状態]:左腕、左半身に打撲、右腕肘から先を切断。行動に支障あり (全て応急処置済み)
 [装備]:ディオスクロイ@BLACK CAT(バズーカ砲。残弾1)
 [道具]:荷物一式 (食料一食分消費)
 [思考]1:杏子を殺した犯人を追う
    2:ラオウを倒す
    3:主催者を倒す

【ニコ・ロビン@ONE PIECE】
 [状態]:右腕に刀傷
 [装備]:千年ロッドの仕込み刃
 [道具]:荷物一式(二人分) 、ミクロバンド@ドラゴンボール
 [思考]:1:桃白白を追い、殺す
     2:アイテム・食料の収集
     3:死にたくない
233掃除屋達の挽歌 ◆UJ2a0/5YGE :2006/04/27(木) 21:49:41 ID:enX684Ps0
【桃白白@ドラゴンボール】
[状態]:気の消費は中程度・血が足りない、傷は白銀の癒し手によりふさがった。
    が、安静にしてないと開く
[装備]:脇差し
[道具]:支給品一式(食料二人分、二食分消費)
[思考]:1 ロビンから逃げる
    2 参加者や孫悟空を殺して優勝し、主催者から褒美をもらう


【真崎杏子 死亡確認】
【残り67人】
234鮮血ミルクカレー ◆rjn7Rafzps :2006/04/28(金) 20:49:45 ID:93VTQ9LZ0
ヤムチャの腕から一塊の閃光が放たれる。

「躁気弾か!!!残念だったな、その技は効かーん!!!」
タカヤはそう言い、体をひねった。

「極技!! 春 風 乃 防 御」
タカヤの周りに現れた旋風は、躁気弾をかき消す。
しかし―

「なっ、影からもう一つ!!!?」

「わたしが3年掛けて編み出した新技・・・
 喰らいなさい!!!二 乗 躁 気 弾」
235鮮血ミルクカレー ◆rjn7Rafzps :2006/04/28(金) 20:50:39 ID:93VTQ9LZ0
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.タカヤをころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。

【タカヤ@生存確認】
236作者の都合により名無しです:2006/04/30(日) 02:11:33 ID:CgKbGkPRO
追手内洋一にらっきょうが渡る、それだけは阻止せねば。焦る藍染はらっきょうを持つ翼に襲いかかる。
しかしドライブシュートによる予想外の軌跡を描き、仙道へパスが渡る。
藍染、照準を変えてパスコースを先読みし、仙道の視線の先へ回り込む。
が、ノールックパスによりターちゃんに華麗なパスが通る。
藍染、瞬歩でターちゃんに近づき腰巻きをまさぐり、らっきょうをゲット!
「それは私のおいなりさんだ」
その隙に、年下の若島津に手渡し。手刀で二つに割り、藍染を撹乱、成功。空へらっきょう投げる
「影があるのが本体」の法則に従い、藍染追い掛ける。
クリリンの太陽拳、キン肉マンのでサン・マッスルにより影が消える。
その場にいた全員がらっきょうを見失う。
しかし、視覚に頼らず相手の気を感じる事が出来るヤムチャが、らっきょうの場所を察知。見事に割れたふたつをキャッチ、ひとつを試食。
繰気弾により、らっきょうを追手内洋一の元へエスコート。
ついにラッキーマン誕生である。

変更1
>>190 >>191
を無効にし>>237>>238に差し替えます。

変更2
>>195状態表の備考に
『無限刃@るろうに剣心はリンスの近くの地面に突き刺さっている。』を追加

変更3
>>203 アビの状態表の道具に
『無限刃@るろうに剣心』を追加
突如、アビゲイルが急斜面に足を取られて体勢を崩した。もちろんフェイク!
しかしそれに釣られて襲撃者が飛び出した。桟道を一気に駆け上る影。襲撃者は私の構える銃口の前に、完全にその姿を晒していた。(もちろん私には気付いていない。)
絶好のチャンスだった。狙うのは足、なるべく殺したくはなかった。私は銃の引き金に力を込めた。

(いまよ!)

―――でも、
そこから先の記憶はない。
なぜか引き金を引けなかったことだけは確かだ。あと、お嬢さん、と叫ぶ声が耳に残って・・・

私は、なにもできなかった・・・。

〜〜リンスレット・ウォーカーの脳内手記3 完〜〜

駈けながら日本刀(無限刃のこと)を抜き放ち飛影は再度相手を確認する。手応えはあった。

「下らん真似を」

邪眼の力をもってすれば、伏兵を察知することなど容易いこと。誘い寄せられた振りをして出て行き、短刀(マルス)を投げてやった。
当然、敵も満を持していただろう。こちらも多少のダメージは覚悟したが、邪眼の呪縛が効く相手で救われたということか。

「女か・・・」

短刀(マルス)はほぼ狙い通り女の胸部に突き刺さっていた。女は仰向けに倒れ動かないが、その胸が微かに上下するのを邪眼が捕らえた。
それにしても、本来ならば必殺のタイミングだった。やはり邪眼の力が弱くなっている。どうやら実際に束縛できるのは、一瞬程度が関の山のようだ。女は短刀が命中する直前に、かろうじて急所を避けたのだろう。

「・・・」

桟道を駆け上ると、ちょっとした丘になっていた。男は崖側、女は山側。飛影は迷わず木陰に倒れる女の下へ急行した。
機関銃を乱射していた男の方は斜面に体勢を崩している。ここは女を確実に始末しておいた方がいい。刀に妖気を集中させる。殺った、と飛影は思った。
「死ね・・・なっ!?」

刃が女に届くその刹那、飛影の前に巨大な影が立ちはだかった。
交錯。刀越しに肉を貫く感触が伝わってきた。

「やってくれましたね・・・」

襲撃者の刀はアビゲイルの左肩を貫いていた。咄嗟の判断で空中浮遊の魔術『黒鳥嵐鳥』により高低差を一気に飛び越え、両者の間に割って入ったのである。
リンスを巻き添えにせずに襲撃者の攻撃を止めるにはこれ以外に方法がなかった。

「『赤 斬 光 波 (トール)』!」
「ちっ」
「・・・!(やはり、疾いですね。)」

魔術『赤斬光波』、破壊と混沌を司る暗黒の神の加護によって、赤熱する光線を眼前より放出する呪文(光属性)<BASTARDデータブックP102参照>。
しかし至近距離にも関わらず、この赤熱する高速の刃を襲撃者は驚異的な反射神経と速度でもって回避し、後方に飛び退いていた。微かに脇腹を抉ったようだが、致命傷には程遠い。
既に襲撃者は間合いを取り直し、円状の奇妙な武器を構えていた。襲撃者の口が開く。

「まさか飛んでくるとはな・・・」
「こちらこそ、作戦が見破られるとは思いませんでした。中々に『良い目』を持っていらっしゃる」

加えてこのスピード、アビゲイルの背筋に冷たいものが流れた。目の端でリンスを捉えると、ナイフの様な物が胸の辺りに突き立っていた。まだ息があるようだが、一刻も早く回復魔法による処置を施さねば手遅れになる。
しかし、この襲撃者がそれを許す気が無いことは明白だった。

「仕方ありませんね・・・」

そう呟くと、アビゲイルは右肩に突き刺さったままの刀を左手で抜き、傍らの地面に突き刺した。
結局接近戦になってしまった。せめて愛用の『テンタクルズ・ブレスト(触手の胸当て)』でもあればと思ったが考えても仕方の無いことだった。
一刻も早くこの襲撃者を倒し、リンスを救う。今はそれだけである。アビゲイルは雷人剣を抜き放った。
240unbalanced of fierce attacker ◆2XEqsKa.CM :2006/05/01(月) 03:03:52 ID:I+NJTkwV0
ポップは頭に響く声に眼を覚まさせられた。


―――――以上だ。
順調にゲームが進行している現状、大変喜ばしい。
今回の放送が諸君の助けとならん事を余も切に願っておるぞ。

フ…それではまた六時間後。諸君たちの更なる幸運を祈る――


(………肝心なところを聞き逃しちまった)
舌打ちしながら、自分が置かれている状況を整理する。
周囲は民家のようだ。
異世界に連れて来られて殺し合いをやらされていた事を思い出す。
ウソップと蝶々覆面の変態のことを思い出す。
そして自分が気絶した経緯も思い出した。

「ウソッ…「眼を覚ましたか?」

いきなり後ろから声を掛けられた。
振り向くと、そこには。

「―――放送は聴いたか?」

変態がいた。
241unbalanced of fierce attacker ◆2XEqsKa.CM :2006/05/01(月) 03:04:54 ID:I+NJTkwV0
「聴いてねぇ………ウソップは?」
心臓が激しく鼓動しているのを悟られないように静かに聴く。さっきの放送でウソップの名も呼ばれたんじゃないのか?
目の前の男は危険だ。
ただのマーダーではない、戦闘における駆け引きから推測すると参加者の中でも頭脳派に分類されるだろう。
弱みは見せられない。
自分を何故殺さなかったのか、何故民家まで運んできたのかなど疑問はあるが、それでもこの男には気は許せない。

蝶々覆面は黙って自分を見据え、言った。
「放送の内容は。
禁止エリアは『愛知県』と『高知県』。青森から鹿児島までを結ぶ電車の存在。
死者は24人。名前はここに書き記してある」

そういうと蝶々覆面は自分に参加者リストを投げつけた。
「24人ね………生き返らしたり殺したり、バーンの野郎は何考えてんだか」
軽口を叩く。まだ内容は見ない。返されなかった質問を再度ぶつける。
「ウソップは何処だ?」

しばしの沈黙、そして。

「殺した」
242unbalanced of fierce attacker ◆2XEqsKa.CM :2006/05/01(月) 03:07:09 ID:I+NJTkwV0

「………な、んだと?」
「殺した」
蝶々覆面は、何も感じ取れない、虚ろな表情で此方を見据え。

即座に杖を構え―――杖が無い。

「いたぶり殺してえって訳かい………!」

武器を奪い、目覚めるまで起こしておいたのはそのためか。
だが、杖がなくとも魔法は撃てる。一泡吹かせてやる!

ガラッ


「ウソップ様参上〜!おっポップ、やっと起きやがったか!?」

「………」
「………」
「え………何この空気?」
243unbalanced of fierce attacker ◆2XEqsKa.CM :2006/05/01(月) 03:08:07 ID:I+NJTkwV0
「冗談かよ………」
一気に脱力する。
「いや、冗談ではない」
その隙をつかれ、首輪の上、喉を掴まれる。
蝶々覆面は、無表情。
「武藤カズキが死んだ」
「………!?」
いきなり知らない名前が出てきた。喉を掴まれているので、言葉は出せない。
「パピヨン!?な、何してんだお前ぇ」
ウソップの声が聞こえる。

「………俺の名を呼ぶ男はもういない。生かす術もない。ならば―――世界に興味など、無い」

ここで初めて蝶々覆面の表情が崩れた。

手に力が込められる。気道が閉まる。

そして、手は放された。
244unbalanced of fierce attacker ◆2XEqsKa.CM :2006/05/01(月) 03:12:46 ID:I+NJTkwV0
「な―――?」
呪文も唱えられず、死を覚悟していた。だが―――またも、生かされた。
こいつは何がしたいんだ?

「だが―――貴様は今言ったな。『生き返らせたり殺したり』と。詳しく話せ」

「………俺が元いた世界に、このゲームに参加してる、フレイザードって奴がいた」

ポップは何時でも攻撃できるよう、蝶々覆面からある程度距離をとり、話した。

その残虐な性格。
その炎と氷で出来た容貌。
そして、その死に様。

「死んだ人間が参加してるのかぁ!?」
ウソップが素っ頓狂な声を上げる。
「人間じゃねえ。怪物だ」
「ふん………ホムンクルスとも違うようだな。完全に無がベースか」
蝶々覆面は特に興味もないように言うと、考え込む。

「そいつは、禁呪法とやらで生み出されたのだろう?一度死んだそいつを主催者…バーンが再び生成した可能性は?」
蝶々覆面の質問を受け、ポップは即答する。
「ある。だが、その時は性格も変わってるだろうがな」
あの時はかなり焦っていたから何も考えずに『生き返らせたり』という表現を使ったが、バーンがこのゲームの為に再び造った可能性もあるのだ。
245unbalanced of fierce attacker ◆2XEqsKa.CM :2006/05/01(月) 03:15:23 ID:I+NJTkwV0
「そうか…残念だな。ならばやはり」
「ハッ!待てよ、そういや俺の支給品に………」
蝶々覆面の言葉を遮り、ごそごそとバックを漁るウソップ。
「あ、ポケットに入れてた…これだ!」
ポップと蝶々覆面の方に一枚のカードを向け、声を張り上げるウソップ。

「ウソ〜ップレターカード!」

【死者への往復葉書】
『亡くなった人の名前を書いて手紙を街にあるポストにしたためておくと次の日の午前0時にはポストに返事が届く。
同じポストには一日一枚までしか入れられない。また、複数の名前を書いても最初に書かれた人の名前だけが適応される。10枚セット』

「これは………本当なのか?試させろ」
目の色を変えてウソップに詰め寄る蝶々覆面。
「わ、分かったよ。一枚だけだぞ!」
ウソップがなにやら呪文らしきものを唱えると、手紙の束が出現した。
外見上は唯の手紙だ。蝶々覆面は立ったまま何事かを一枚の手紙に書き込み、ウソップに渡す。
「投函して来い。プライバシーの尊重を忘れずにな」
「んな!?何で俺が………うおっ行くからそんな表情で見ないでくれ!」
こちらからは見えなかったが、どうにかして脅されたウソップは慌てて民家を出て行った。
「さて、俺はこのゲームで成す事を決めた…貴様と、ウソップのおかげでな」
両手を広げ、天を仰ぎながら言い放つ姿は、主催者達に戦線布告しているかのようで。
「俺は武藤を甦らせる。手段は選ばない!」

そして何より、純粋だった。

〜〜〜ここまでの冒険を記録しますか? 〜〜〜

>はい
 いいえ

【冒険の書1】ポップセーブ
246unbalanced of fierce attacker ◆2XEqsKa.CM :2006/05/01(月) 03:16:28 ID:I+NJTkwV0

冒険を再開しますか?


>はい
 いいえ

【冒険の書3】パピヨン ロード


(………)
パピヨンは思考を止めない。
否、止められないのだ。
周囲には人影はなく、薄暗い闇だけが在り。
リビングしかない旧式の民家の前に佇むパピヨンは、思考を止められない。
(武藤…武藤…武藤…武藤…武藤…武藤、カズキ)
自分がまだ人間のときに出会い、初対面から敵だった男。
親すらも呼ばなかった自分の本当の名前を呼び、そして自分を殺した男。
偽善者。錬金の戦士。人間でもホムンクルスでもない第三の存在、ヴィクター。
その男が、死んだ。
自分が死亡を確認したヒソカの名も呼ばれたのだ、もう疑う根拠は無い。
武藤カズキは―――死んだ。
「………嬉しくないぞ、武藤カズキ…」

何故、自分は何よりも先に武藤カズキを探さなかった?
何故、自分はこんな舞台の端で留まっていた?

後悔などというには強すぎる、怨念にも似た感情がパピヨンの内に渦巻く。
247unbalanced of fierce attacker ◆2XEqsKa.CM :2006/05/01(月) 03:18:41 ID:I+NJTkwV0
お前とはいずれ必ず決着をつける。そうしないと俺の心が羽撃(はばた)けない

「………羽撃け、ない」

空高く舞う鳥のように、蝶が舞う事はもう出来ない。

「勝ち逃げか、武藤!貴様は死んではいけなかった、俺と―――」

言葉は誰にも届かず、唯々反響する。空間ではなく、パピヨンの精神を。

「俺と―――決着を…」

闘う力の持ち主なら、武藤カズキに匹敵、或いは上回る者も大勢ここには居るだろう。
しかし、パピヨンにとってはそれは問題ではない。

「貴様の代わりなど………いない」

『蝶野攻爵』の名と自分に対する意味を捨て去るために、武藤カズキとこそ、戦う意義があったのだ。
他の者では『臨死の恍惚』は味わえても、決してそれは達成できない。
自分を『蝶野攻爵』として見てくれた、武藤カズキとの決着以外では。

どうする?自分は、どうする?
目標を失った。死んでしまおうか。
「NON!」
ならば、臨死の恍惚を全身に受けながら、ゲームに乗って暴れまわろうか。
「だがNON!」
どうする?自分は、どうする?
248unbalanced of fierce attacker ◆2XEqsKa.CM :2006/05/01(月) 03:21:56 ID:I+NJTkwV0
「"蝶野攻爵"ではなく、"パピヨン"としての俺さえ、もはや世界の誰からも必要とされていない」

「どうせ俺を必要としなかった世界だ。全て燃やして―――焼き尽くしてやる!」

自分と世界の最後の繋がりを失い、既に人間への未練もない男は―――今一度、世界の破壊を、決意した。

世界への興味などないが、感情はある。徹底的な―――疎外感。

殺戮を。快感も怒りも悲しみも恐怖もない、劫火の殺戮を以て。
動物も植物も鉱物も大地も空気も海も、一つ残さず破壊して。

せめて、疎外感を和らげよう。

ウソップは「材料集め」などと言って村を探索しに行った(電柱もポストも知らなかったのには驚かされた)。
奴は後回しだ。

民家の敷居を跨ぐ。魔法使いは、起きていた。

精神も肉体も、壊すとしよう。


〜〜〜ここまでの冒険を記録しますか? 〜〜〜

>はい
 いいえ

【冒険の書3】パピヨン セーブ
249unbalanced of fierce attacker ◆2XEqsKa.CM :2006/05/01(月) 03:24:27 ID:I+NJTkwV0
「で、これからどうするんだ?」
ウソップはガラクタを弄りながら二人に話しかけた。
パピヨンは黒死の蝶を弄びながら話す。
「日付が変わり次第電車で本州に向かう」
「な、なんだってーー!冗談だろ?だってここは…」
「待て、ウソップ」
ウソップは言いかけてポップに止められる。
「………何か考えがあるのか?」
パピヨンが黒死の蝶を変形させて文字を作る。
「ああ、俺達だけの力では首輪を外すのは難しそうだからな」
"それもあるが、電車の中なら禁止エリアに這入っても首輪が爆発しないということに興味がある"
「で、でもよ………」
なるべく鹿児島から離れたくないウソップは言葉を濁すが。
"万一鹿児島が禁止エリアになっても、首輪さえ外せれば関係ない。
それより、首輪を外せる可能性のある人間が知らないうちにいなくなる方が厄介だ"
この言葉に心を動かされたのか、渋々首を縦に振った。
「その意見には同感だ。だが、アンタの都合に合わせてるようでどうも気にいらねえな」
ポップはいかにも信用してなさそうな目でパピヨンを睨みつける。
「フン…安心しろ、首輪を外すまでは付き合ってやる。あの手紙の礼代わりにな」
パピヨンはそういうと立ち上がり、玄関に向かいながら言った。
「貴様等は寝ておけ。見張りをしておいてやる」

パピヨンが去った後、ポップはウソップに声をひそめて話しかけた。
「信用できるのか?あいつ」
ウソップはガラクタとガラクタを組み合わせながら答える。
「大丈夫だと思うぜ?そこまで悪い奴じゃなさそうだし」
いきなり襲ってきた奴がか?と首をすくめてポップは横になり、部屋の隅に置いてあった杖を油断なく持ち、同じく部屋の隅に置いてあったおしゃぶりをしゃぶりながら浅い眠りについた。
250unbalanced of fierce attacker ◆2XEqsKa.CM :2006/05/01(月) 03:26:32 ID:I+NJTkwV0
パピヨンは冷たい風に吹かれながら考える。

(死後の世界…か)

不治の病に侵されていた人間時代(現在も病には侵されているが)、幾度となく夢想した。
死への恐怖を紛らわせるために。
だが、頭のいい自分は、すぐに(そんなものはない)と結論付けてしまった。
そしてホムンクルスになる道を選んだのだ。

それが今、現実に存在を試されている。まだ(在る)と決まったわけではないが。
(もしそんなものが現実にあるのなら―――そこで武藤と決着をつけるのも悪くは無い)
しかし、やはり臨死の恍惚を伴った最高の戦闘は味わえないだろう。なにせ"死んで"いるのだから。
やはり武藤を此方にどうにかして引き釣り出したい。
「ククッ…」
あれだけ忌避していた死を、覆そうとしている。愚かな行為だと分かってはいるが―――。

「だが俺はパピ☆ヨン!不可能など無いッ!」

高らかに叫び、ポーズをとるその姿は


…どう見ても変態だった。


〜〜〜ここまでの冒険を記録しますか? 〜〜〜

>はい
 いいえ

【冒険の書2】共用   セーブ
251unbalanced of fierce attacker ◆2XEqsKa.CM :2006/05/01(月) 03:28:48 ID:I+NJTkwV0
【鹿児島県南部/夕方】

【ウソップ@ワンピース】
[状態]健康
[装備]:賢者のアクアマリン@ハンター×ハンター
:いびつなパチンコ(特製チクチク星×5、石数個)
:大量の輪ゴム
[道具]:荷物一式(食料・水、残り3/4)
:死者への往復葉書@ハンター×ハンター (カード化解除。残り九枚)
:手作りの作品や集めたガラクタなどの数々
[思考]1:午前0時になったら電車で本州へ
2:ガラクタで何かを作る
3:ルフィ・ロビン・ポップの仲間との合流
4:アイテムを信じて仲間を探す
【ポップ@ダイの大冒険】
[状態]健康 (MP中量消費)
[装備]:魔封環@幽遊白書
:ウソップ作の仕込み杖(投げナイフを使用)
[道具]荷物一式(食料・水、残り3/4)
[思考]1:脱出の鍵を探す。午前0時になったら電車で本州へ
2:ダイ・マァム・ウソップの仲間との合流
3:フレイザードを早めに倒す
4:パピヨンはあまり信用していない
252unbalanced of fierce attacker ◆2XEqsKa.CM :2006/05/01(月) 03:29:31 ID:I+NJTkwV0
【鹿児島県南部/夕方】

【パピヨン@武装錬金】
 [状態]:中程度の疲労
 [装備]:核鉄LXX@武装錬金(ニアデスハピネス大〜中量消費)
 [道具]:荷物一式(食糧二食分消費) ×2
 [思考]:1、武藤カズキを生きかえらせる
     2、首輪を調べる
 3、午前0時になったら電車で本州へ
 4、死後の世界の存在を信じる(もし無ければ……)
 5、午前0時になったらポストに手紙を取りに行く
♯手紙の内容は、原作で『パピヨンとカズキしか知らないこと』を質問した形の内容です。詳細は次の書き手さんに任せます。
253 ◆2XEqsKa.CM :2006/05/01(月) 21:59:44 ID:I+NJTkwV0
タイトルにミス発見

unbalanced of fierce attacker

      ↓
ポップ・ウソップ冒険記〜unbalanced of fierce attacker〜

CGI氏すまそ
254鮮血ミルクカレーU ◆78ZgTEOUNw :2006/05/02(火) 15:31:36 ID:rPzwMNgl0
つぇぃぃ!!
タカヤはなんとかもう一つの躁気弾をはじき返した。
しかし、背後に嫌な気配がする。

ドガァーン
背中に衝突したのは、最初に受けた躁気弾。

グチョリ・・・
タカヤの胸部は抉れ、

「ぐがぁぁぁぁぁぁぁー」

発狂した。
255鮮血ミルクカレーU ◆78ZgTEOUNw :2006/05/02(火) 15:32:13 ID:rPzwMNgl0
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.タカヤをころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。

【タカヤ@生存確認】
256悪夢の泡 ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/02(火) 20:37:10 ID:jlR/F3xC0
「ハーハハハハッ!さあっ、戦おうじゃないか太公望君!せっかくこのエレガントな舞台で出会えたんだ!
何故逃げるんだい?トレビア〜ンな戦いを繰り広げようじゃないか!」
「うるさいわいダアホッ!わしにおぬしの相手をしておる暇はないわっ!」


約数時間前
(キルア、沖田、斉藤・・・あの三人まで死んでいたとは・・・。ダイ達や星矢達が無事なのは不幸中の幸いだのう)
(カズキ君が死んだか、妲己がついているはずなのに死ぬとは、余程ゴージャスな戦いをしたんだね!)

放送を聞いた後、富士山を目指していた太公望と趙公明は長野県でばったり遭遇してしまった。
ちなみにそのときの会話
「おお、そこにいるのは太公望君!マーベラス!これでラーメンマン君をディズニーランドで待つ必要がなくなったね!
やはり僕と君とは戦う運命に(ry」
勿論太公望はウェイバーを加速させ、無論趙公明は後を追う。
そして今現在、追いかけっこはずっと続いている。
普通ならウェイバーという乗り物に乗っている太公望が趙公明を引き離すことになるだろうが、
ここは何の障害物もない海や雲の上とは違い、木や家など様々な障害物が存在する。
その障害物にぶつかる度にウェイバーはスピードを落とし、避けたり方向転換しなければならない。
そのため、太公望と趙公明との距離は未だ一定を保っていた。

「いつまでも逃げられると思っているのかい太公望君!それっ!」
「ぬおおおおっ!」

趙公明の如意棒が伸び、太公望の脇を掠める。
太公望は危ういところで避け、ウェイバーを加速させる。

「何すんじゃいボケーッ!」
「ハハハハッ!アン・ドゥ・トロワッ!」
257悪夢の泡 ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/02(火) 20:39:28 ID:jlR/F3xC0
再び趙公明の如意棒が襲い掛かる。
しかしその棒は伸びきる前に飛んできた鉄球によって弾かれた。

「ハッ・・・この構図じゃどっからどう見てもキサマが悪人だな」
アイアンボールボーガンを構えたデスマスクが、テレポートで鉄球を手の中に収めながら言った。

「何だねキミは?僕と太公望君の戦いを邪魔しないでもらいたい!」
「黄金聖闘士、蟹座のデスマスク。相手に不足はねえと思うぜ?」
アイアンボールボーガンをカプセルに戻し、デスマスクは構えをとる。


「こっちです!」
「そこのアナタ!早くここに隠れて!」
太公望は仙道と香の言葉に従い、近くの茂みの中に隠れた。

「助かったわい、おぬしらは?」
「私は槇村香、こっちは仙道彰くん、そして今あなたを助けたのがデスマスクさんよ」
「わしを助けたことから見て、ゲームにはのっておらぬようじゃのう」
「もちろんよ!」
「香さん、俺はデスマスクさんに加勢してきます」
「おぬしが?見たところ戦えるようには見えんが・・・」
「大丈夫ですよ、俺にはこれがあります」
そう言って仙道が掲げたのはマジック&ウィザードのカードだった。

「真紅眼の黒竜、召喚!」
現れ出ずるは、真っ赤な眼を持った漆黒のドラゴン。
「デスマスクさん、手伝います!」
「ひっこんでろ小僧!俺一人で十分だ!」

258悪夢の泡 ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/02(火) 20:42:17 ID:jlR/F3xC0
「ぬう、心配じゃのう・・・」
「大丈夫よ。仙道君なら、きっと何とかしてくれるわ。海坊主さん、冴子さん、リョウ・・・どうか見守ってて・・・」
「しかし、趙公明は並の相手ではないしのう。そうだ、おぬし何か武器を持っておらぬか?」
「・・・残念だけど、このハリボテしかないわ」
「うむ、これは丁度いい。少し貸してもらうぞ」
「ちょっと、どうするつもり?」


趙公明の如意棒とデスマスクの拳が交差する。
これで数度目の打ち合いになるが、両者ともほぼ互角。それに加えて、
「デスマスクさん、いきます!黒炎弾!」
趙公明を狙った黒い炎が迫る。趙公明は寸前で炎を避けるが、熱波が襲う。
熱波を防ぐために神楽の仕込み傘を広げて身体への直接の影響を避けるが、
「スキだらけだぜ!」
背後に回ったデスマスクの回し蹴りがクリーンヒットした。
吹っ飛ばされる趙公明だが、そこはさすが金ゴン島の三強。くるりと空中で回転し着地、家との激突を回避する。
「フフ・・・なかなかやるね。これは面白くなってきたよ!」
「いや、おぬしはここで終わりじゃ趙公明!」

岩の上に立った太公望がポーズを決める。
「わしの風でおぬしを成敗してくれるわっ!」
「風?太公望君、得意のハッタリは通じないよ。君の打神鞭は妲己が持っていた、つまり君は風は起こせない」
「妲己がわしの打神鞭を?ううむそれは取り戻さなければならぬな・・・
しかしのう趙公明、今のわしは打神鞭がなくても風が起こせるのじゃよ、ぬうう・・・」
259悪夢の泡 ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/02(火) 20:46:46 ID:jlR/F3xC0
(風のイメージだ。流動、流転、流れ行く風をイメージする。アバンの書はもう見た。
ダイに教えも請うた、呪文のイメージはもうある、後はわしが集中するだけであろう)
太公望は掌に全神経を集中させ、呪文を唱える。
「疾ッ、バギ!」
真空の刃が作り出され、趙公明の頬を掠める。皮膚が裂け、頬から血が垂れる。
「何故、宝貝がないのに風が・・・?」
「ニョホホホホ、驚いておるようじゃの趙公明。まあ仕方あるまい。
このゲームには実力制限がかけられていることは知っておるのう?わしはその制限の抜け道を探し出すことに成功したのだ。
しかもそれだけではなく、制限を利用してパワーアップする裏技も発見したのだ!その裏技を使えばこーんなことも可能だわい!」
太公望は5tと書かれたハンマーを軽々と振り回す。
「そんなわしに比べておぬしはどうかのう?制限は思いのほかキツイのではないかのう?
おぬしのことだ、この一日の間に何度も戦って疲労が溜まっておるのではないかのう?ケケケケケ」
「フフ・・・太公望君、今わかったよ。君が何故僕と追いかけっこしていたか・・・その理由がね。
君の目的は僕を疲れさせることだったんだね。思えばもっと早く気付くべきだったね、君と会えて興奮しすぎていたようだ。
君が本気で逃げようと思えば僕から逃げ切ることも可能だっただろう、しかし君はあえてそれをしなかったね?
僕が疲れているのを見切った上で、乗り物に乗っているというアドバンテージを持った上で、
ギリギリ僕に追いつかれない距離を保って僕を疲弊させる・・・それが君の目的だね?道理でこの僕がここまで苦戦をするわけだ」
「本当はもっと疲れさせるつもりだったのだがな。思わぬ援軍が来たのは僥倖だったわい。
しかしおぬしも成長しないのう、このパターンで追い詰められるのは、原始天尊様のときと、クイーン・ジョーカーU世号のときと・・・
これで三回目だのう。少しは進歩したらどうかのう」
260悪夢の泡 ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/02(火) 20:48:32 ID:jlR/F3xC0
二人が話している間にもデスマスクと仙道の真紅眼の黒竜は包囲網を狭める。
「絶体絶命ってやつだな」
「観念しやがれ」
「・・・・・・・・・・・」

趙公明は如意棒と仕込み傘をーーー投げ捨てた。
「フン・・・・!なめないでもらいたい!」




       ズン




地鳴りと共に趙公明の身体からニューニューと枝が伸び始める。
「このデジャビュ・・・来るぞ!皆の者退がれ!」

趙公明の身体が変質する。枝が地面に刺さり、その勢力を拡大する。
地面から巨大な植物が何本も生え、趙公明を包み込む。
全てが終わった後、趙公明がいた場所には巨大な植物が生えていた。


妖怪仙人の原型(アーキタイプ)である。
261悪夢の泡 ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/02(火) 20:50:11 ID:jlR/F3xC0
【長野県と山梨県の県境付近/一日目夜中】
【太公望@封神演義】
 [状態]:やや疲労。 完全催眠(大阪の交差点に藍染の死体) バギ習得
 [装備]:ウソップパウンド@ONE PIECE
 [道具]:荷物一式(食料1/8消費)・五光石@封神演義・鼻栓 ウェイバー@ワンピース
    トランシーバー×3(故障のため使用不可)
 [思考]:1、趙公明に対処する
     2、新たな伝達手段を見つける
     3、妲己から打神鞭を取り戻す
    (趙公明を追い詰めて原型化させたのは魔家四将の対策と同じ理屈です)
    
【仙道彰@スラムダンク】
 [状態]:健康
 [装備]:遊戯王カード
     「真紅眼の黒竜」…現在使用中
     「光の護封剣」「闇の護風壁」「ホーリーエルフの祝福」…未使用
     「六芒星の呪縛」…二日目の午前まで使用不可能
 [道具]:支給品一式
 [思考]:1、趙公明に対処する
     2、首輪を解除できる人を探す
     3、ゲームから脱出。

【デスマスク@聖闘士星矢 】
 [状態]:少しのダメージ(ほとんど回復、戦闘に支障なし)
 [道具]:支給品一式 、アイアンボールボーガン(大)@ジョジョの奇妙な冒険
     アイアンボール×2
 [思考]:1、趙公明に対処する
     2、仙道に付き合う
262悪夢の泡 ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/02(火) 20:51:37 ID:jlR/F3xC0
【槇村香@CITY HUNTER】
 [状態]:海坊主、冴子の死に若干の精神的ショック
 [道具]:荷物一式(食料二人分)
 [思考]:1、太公望達の無事を祈る
     2、追手内洋一を探す

【趙公明@封神演義】
 [状態]:原型化(伝説の巨大花) 重度の疲労
 [思考]:1、戦いを楽しむ
     2、脱出派の抹殺
     

 ※荷物一式×2(一食分消費)如意棒@DRAGON BALL 神楽の仕込み傘(弾切れ)@銀魂、は地面に落ちています

 ※制限による趙公明の原型の変更点
 1、弱点の存在・・・趙公明の顔がついた花が「核」であり、そこを破壊されると趙公明は死亡する
           首輪もその花についており、爆発すれば趙公明は死亡する
           「核」は趙公明の植物が制圧している場所なら移動可能
 2、増殖力の制限・・原作程の増殖力はない
           趙公明の体調が万全の場合、一日で県一つ制圧できる程度
           ただし、増殖力は趙公明の状態に大いに依存する
 3、大きさの制限・・最初の大きさは家と同じくらい
263鮮血ミルクカレーV ◆IzTadiTZZ. :2006/05/04(木) 13:46:08 ID:DQGd9F2Q0
タカヤはキレていた。
「ゆ、許さんぞぉ・・・
 あの技で終わらせてやる・・・
 地獄で後悔するんだぁなあ・・・」

ヤムチャはタカヤの異変に気づいた。
タカヤの体の回りに八匹の竜が纏わりついている。

「この技は、『鋼翔』のような未完成奥義ではない。
 正真正銘の奥義だ。
 受けてみるがいい、
 そして死ねィィィィィ―

 八 闘 神 滅 殺 乱 打!!!」
264鮮血ミルクカレーV ◆IzTadiTZZ. :2006/05/04(木) 13:47:04 ID:DQGd9F2Q0
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.タカヤをころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。

【タカヤ@生存確認】
265出発 ◆XksB4AwhxU :2006/05/04(木) 21:52:46 ID:ty5Q7g5f0
美しい黒髪がゆれて、竜吉公主はその場に立ちすくんだ。
顔の血の気は失せ、魂を奪われたかのようにゆっくりと崩れ落ちる公主を
寸でのところで逞しい腕が抱きとめる。

「しっかりするのだ、公主さん、・・・公主さん!」

ターちゃんの両の腕が彼女を支えるも、密着した小さな背中越しに、仲間を失った動揺が伝わる。
放送が終わった。聞き終えた今も、主催者の呪いの言葉が、身体の中に渦巻き
公主の弱った心身を蛇のような力で締めつけていた。

(・・・・・・富樫)
彼女のいる小部屋に香る、白檀の御香。
崑崙では嗅ぎ慣れぬ、しかし、どこか懐かしい香りは彼が苦心して探してくれたものだと、聞いた。

(・・・斎藤、・・・沖田)
強き瞳の狼達はに大蛇に追いつき、己の正義に殉じたのだろうか。

(あの時・・・私が大蛇丸を斬っておれば・・・)

瀬戸大橋での攻防戦。強敵とはいえ5対1である。勝敗は決したと読み、ダイ達は大蛇丸を逃がしてしまった。
あの時点で違う決断をしていれば犠牲者の数も少なくて済んだのではないか。
しかし、公主は首を振る。闇雲に戦いに走ることが正しいことではない、また、それで殺し合いを
助長させてしまうのもよくないことだ。それでも、こうしておけば、と考えずにはいられなかった。
後悔に涙を流す公主を、ターちゃんは何も言わずしっかりと抱いていた。

ターちゃんは―――――自分の家族も仲間も失ってしまった。
だが、いまは1人ではないから、悲しみに嘆くのは後回しだ。支えてやらなければならない人がいる。
(探しにいけなくてすまなかった、)と心の中で何度も育ての親に謝った。

そして、窓越しの闇を見つめながら、太公望の無事を祈ろうとした時、
男の絶叫が聞こえた。
266出発 ◆XksB4AwhxU :2006/05/04(木) 21:55:14 ID:ty5Q7g5f0
施設内の響く声は公主たちの知るものではなかった。
おそらくは、先ほど偵察に行ったダイが招待した者たちだろう。
建物の中にいるということは、ダイ自らが信用に足ると判断したのであろうが、
突然の敵の侵入という事も考えられる。肌に感じる禍々しい妖気に、公主は激しく警戒した。
「公主さんはここにいてくれ。私が見てくる」
「いや、私もいく。ダイが心配じゃ」
力の入らぬ身体を懸命に動かし、必死に立とうとする公主を、ターちゃんが抱き抱えて畳に座らせた。
「大丈夫だ・・・私もダイも、危険なことはしない。何かあればすぐに知らせるのだ。
 少しの間だけ、ここで待っていてほしい」
「ターちゃん、しかし」
ターちゃんは子供のように、にっこりと笑った。人を安心させる不思議な笑みだ。
「大丈夫だ。いってくるよ、公主さん」
何かを言いたげな瞳が、立ち上がったターちゃんに向けられている。
ターちゃんはドアを閉め、全速力で声の場所に走った。敵襲ならダイが応戦しているはずである。
陽が落ちて暗くなった廊下を駆け、途中、パリンと乾いた音が聞こえた。
(どんな敵だろうと指1本彼女に触れさせたりしない!)

「ダイ、無事か!!?」
「ターちゃん!」
駆けつけた助っ人に、困惑顔のダイが返事する。「どうしよう、鵺野先生が・・・」
「なに・・・?」ダイの示す方向には割れたガラスの扉と、取っ組み合う2人の男の姿が会った。
1人はターちゃんと同じ位の歳の青年。人間とは思えない異形の左手をしている。
もう1人は小柄だがガッチリした体格の中年で青年に掴みかかっていた。
その横では、2人の喧嘩に手を出そうとしては、何度も吹っ飛ばされている長身の男がいる。
争っているというより、出て行こうとする青年を中年(と長身の男が)が力づくで
引き戻している感じである。

267出発 ◆XksB4AwhxU :2006/05/04(木) 22:02:19 ID:ty5Q7g5f0

「離せーーっ!離してくれ!両津さん!!」
「馬鹿野郎!!離せるか!今いったって死にに行くようなもんだ!!」

男の怒号が、辺りに響く。
「あいつが死んだのは、兵庫から離れた俺の責任だ!俺が約束を破ったからだ!
 俺が、俺が兵庫を離れなければこんなことには・・・!!」
「馬鹿をいうな、あれだけ探して見つからなかったんだぞ!?玉藻も伊達もすでに別の土地に移動していたんだ、
 あんたのせいじゃないだろ」
「そうです、鵺野先生のせいじゃない!」

会話に出てきた、放送で聞き終えたばかりの名に、ダイは思わず戦慄を覚えた。
出会った時の不安定な鵺野の態度は仲間を失った痛みからくるものだったのだ。
そして今も、行き場のない怒りに翻弄されている。

「俺を兵庫に戻らせてくれ!あいつを襲った奴がまだいるかもしれない!!」
「鵺野先生・・・、許せよ」

言うが早いか、両津は鵺野を力任せに投げ飛ばし、すかさず柔道の絞め技で失神させた。
警察官というだけあって鮮やかである。

「ダイ」
両津の声に、ダイは我に帰る。
揉み合った際に切れて出血した頬を、乱暴に擦り、男が言う。

「すまんが空き部屋を貸してくれ。鵺野先生を休ませてやりたい」
「あ・・・うん、わかったよ。こっちに来て」

両津は鵺野を背負い、乾も後に続く。散乱したガラスの破片が散らばる入り口付近を通リ抜けた。
と、そこで初めて、裸足の、ターちゃんの存在に2人は気が付いた。重苦しい雰囲気の中
互いに名乗り、歩きながら簡単な挨拶を交わした。
268出発 ◆XksB4AwhxU :2006/05/04(木) 22:09:28 ID:ty5Q7g5f0
まず、一階の宿直室に案内される。線香の匂いが漂い、両津と乾はなんとも懐かしい気分になった。
「公主さん、入るよ。新しく仲間になってくれた人たちを連れてきたんだ」

ノックの後に、キィとドアを開くと、3畳ほどの空間の和室に長い髪の女性が座っていた。
憂いを秘めた面差しに、透けるような白い肌。両津と乾は不謹慎ながら、一瞬、心を奪われた。
彼女は竜吉公主と名乗り、古代中国の崑崙の仙人だと言った。

次に隣りの『会議室』と書かれた部屋へ通された。こちらは六畳ほどの和室で長机と座布団が所狭しと並んでいる。

「休めそうな部屋はさっきの公主さんのいたところと、ここしかないんだ。 
 余計な物を運び出せば、ゆっくり眠れると思うよ」
「ありがたいぜ。さあ、乾、引越し開始だ」

4人は中の物を猛烈な勢いで運び出し、座布団を引いて鵺野を寝かせた。
ダイの薦めで、話し合いは広い管制室で行う事になった。窓があり、風通しがよく
暗い夜でも月明かりがはいるのだ。

両津は、自分が話を聞いておくからと、乾にも休むように言った。
放送で呼ばれた乾の知り合い、「跡部」の名を気にしているのだ。しかし乾は休息を断る。
確かに疲れていたが、鵺野の無念さを思うと、とても休む気にはなれなかった。
一刻も早く情報を共有し、解決の糸口を見つけるつもりでいる。
「お前の言いたいこともわかるが、目が覚めた時に周りに誰も居なかったら混乱するだろう」
「ああ、」
それは・・・そうだ。
焦る余り当たり前のことを失念していた。
「目が覚めたら教えてくれ。ま、別にお前も眠って構わんけどな」
両津は自分の上着を鵺野にかぶせ、心配そうに見ていたダイたちと共に
部屋の外に出て行った。
269出発 ◆XksB4AwhxU :2006/05/04(木) 22:16:14 ID:ty5Q7g5f0
薄暗い部屋に2人きり。乾は(本音を言えば)話し合いに参加したかったが
疲弊しているのも事実である。両津の言葉に甘えて、休息に専念することにした。
暗闇だと却って頭が冴えるな、と考えながら。

腰を下ろしてしばらくすると、乾はある異変に気付いた。
闇に目が慣れたせいもあるが、何か、悪寒がする。
嫌な予感がして、鵺野を見ると、鬼の手と呼ばれる左手が大きく腫れている。

「・・・郷子、玉藻・・・」
聞き取れるか聞き取れないか、そんな小さな声が乾の耳に聞こえた。
鵺野の閉じた目から涙が流れている。

「・・・・・ゆきめ」
「鵺野先生?」
禍々しいデザインの腕輪が、脈打つ肉に食いこみ始めていた。
まるで別個の、寄生した生物が、人間である部分を侵食しているかのようだ。
(これはいくらなんでも、危ないんじゃないか?)乾は慌てて、両津を呼びに行こうとドアを開けた。

殺風景な廊下に出ると。乾はふと、気配を感じた。
薄暗い回廊の片隅に、一際濃い影がある。そこには先ほどの女性、竜吉公主が立っていた。
てっきり会合に参加しているものとばかり思っていた乾は少々面食らった。
「・・・驚かせてしまったようじゃな、先刻からおぬしらの部屋から妙な妖気を感じ・・・
 どうしても気になってしまってな、様子を見に来たのじゃ」
「それは、どうも・・・わざわざありがとうございます」
(妖気?この妙な胸騒ぎのする感覚のことだろうか。なんにせよ、鵺野先生の鬼の手が関係してる事は間違いないな)
乾は、自分を仙人と名乗るこの女性ならば、こういった不可思議な問題に詳しいかもしれない、と
期待をもった。

270出発 ◆XksB4AwhxU :2006/05/04(木) 22:28:51 ID:ty5Q7g5f0
部屋に入ると、公主は邪悪なまでの激しい妖気を感じ、気配の先に居る男をみる。
「鵺野先生・・・、竜吉公主さんが身体を診てくれるそうです」
隅に寝かされた男は答えない。代わりに苦しそうに呼吸するのみである。
乾が公主を招き、鵺野の傍に腰を下ろした。これが妖気の発生源か、と公主は思う。
腕だけを見れば完全な妖怪だが、他の部分は人間に見える。

「乾、この者は一体・・・」
乾は四国に辿り着くまでの道中に聞いた、鵺野の能力、鬼の手についてを話した。
にわかには信じられない話だが、この仙女ならば理解してくれるだろうと思って。
「・・・鬼を身のうちに宿らせて戦うのか」
なるほど、言われてみれば、鬼の部分と生身の部分。妖気と霊気の両方を感じる。
おそらく戦闘時は双方の気を練り合わせ、上手く利用しているのだろう。
「どうですか、鵺野先生は治るんでしょうか」

すでに異形の肉の侵食は肘の辺りまで進行し、乾が外に出る前よりも症状は悪化していた。
苦悶の表情で眠る鵺野を、公主は痛ましい目で見つめ、乾を落ち着かせるよう答えた。

「心配はいらぬ、この者の妖気は、腕に着けた封印具が制御しておる。
 よほど、悪い夢を見ておるのじゃな」

「鵺野先生は・・・仲間を失っているんです、そのうえ、夢の中でまで苦しみを受けるなんて」

あんまりだ、と静かに吐き出す乾。 
「・・・・・・乾よ。案ずるな。時間が来れば落ち着きを取り戻そう。
 騒ぎ立てて下手に不安を煽る事もあるまい。
 彼は私が看る、おぬしはダイたちの会話に加わるが良い」
271出発 ◆XksB4AwhxU :2006/05/04(木) 22:36:57 ID:ty5Q7g5f0
「でも、公主さんは」
「体質でな・・・あまり人の多いところは苦手なのじゃ」
会合には参加したかったが、人が多ければ空気が濁る。朝とは違い、今夜は密室である。
発作を起こし、話を中断させてしまっては申し訳無い。詳細は後で誰かに聞けばいいと、辞退したことを
乾に話した。
「なら、なおさら2人きりにするわけにはいきませんよ」
「乾、先ほどの騒ぎ、聞こえておったよ。彼の力になりたいのなら、行って彼の代わりに話してくると良い」
公主は乾を諭し、会合に参加するよう促した。

〜〜〜

ダムの管理施設の一室でダイ、ターちゃん、両津、の3人は車座になって話し合っていた。
月明かりが、すっかり薄暗くなった部屋をぼんやり照らしている。
そこに乾が加わり、話が続く。お互いの経緯と情報、そして、これからの予定。

「・・・では、その太公望という方は和歌山に向かったきり、連絡が途絶えてしまったんですね」
「そうなんだよ・・・一緒にいた、富樫さんも死んじゃって・・・何かあったとしか思えないんだ。
 すぐにでも助けに行きたいけど・・・どの辺にいるのかわからないんだ」

困り果てた顔で(実際のところ、暗すぎて表情は伺えないのだが)ダイが話す。
本当なら飛んでいきたい。けれど、それはできないのだ。自分が出て行けばターちゃんと公主は
たった2人きりになってしまう。敵が襲ってきたら取り返しがつかない。

あの時、放送を聞いた瞬間、みな言葉を失い立ち尽くした。
あの場で鵺野が叫ばなければ、取り乱していたのは自分だと、誰もがそう思っていた。
(もう二度と、あんな思いはしたくないよ・・・)
不幸の中にも、救いはある。味方が増えたことで、守備は厚くなった。
「だから、(オレが太公望さんを探しに・・・!)」
272出発 ◆XksB4AwhxU :2006/05/04(木) 22:40:09 ID:ty5Q7g5f0
ダイが言い終わる前に両津が発言した。
「あんた達の事情はわかった。わしが太公望とやらを探しに和歌山に向かおう」
「ええ!?」

「何を驚いとるんだ、お前たちが動けないんじゃわしらが動くしかないだろ。
 なぁに、人探しは得意だ。なんたって本職だからな、大船に乗ったつもりでいろ!」 
「無茶ですよ、両津さん。本人の顔も知らないのに。それなら俺達がここを警備して
 ダイ君かターちゃんさんに捜索に行ってもらった方がいいですよ」
「顔など話で聞けばわかる。ガキみたいな顔(ツラ)した仙人のジジイだろ。
 まったく、歳をとらんなんて漫画みたいな奴だな」

江戸っ子気質のせっかちな両津である。
いきなり肩にデイパックを引っ掛けた彼に、乾までもが驚きの声を上げる。

「い、今から行く気ですか!?」
到着してまだ2時間と経っていないし、その間はお互いの情報交換で
ひっきりなしに喋りっぱなし。一応、座れはしたが食事すらとっていない現状である。
「ああ。飯を食って、お前の銃のメンテナンスをしてからな。動作も教えておくから
 わしがいないあいだ、死んでもあの美女を守れよ」

「ちょっと待って、会ったばかりの両津さんにそこまでしてもらうわけにはいかないよ!
 オレが行くよ!太公望さんはオレが探すよ!」
彼を探したい気持ちは自分の方が強い。
なにより、普通の人間が単独で動くには危険が大きすぎる。
273出発 ◆XksB4AwhxU :2006/05/04(木) 22:46:09 ID:ty5Q7g5f0
「子供(ガキ)は黙ってろ」
「なんだと・・・わっ!!」
いきなり両津の太い腕が首に回されたかと思うとがっちりホールドされた。
毛むくじゃらの太い指がダイの頭を鷲掴み、髪をぐりぐりかき回す。
「痛い痛い、何するんだよぉっ!」
「ははは、ガキには負けんぞ。おっ、けっこう力があるな」
普通の人間にしては怪力の持ち主だ。モンスター並かもしれない。
けれど、勇者ダイの敵では・・・
「このっ・・・・・・う、わ、ああっ!!」
いい加減、頭にきたダイが首に絡んだ厄介な腕を外そうと、力を入れる。
その瞬間、軽く腕を捻られたと同時に足を掬われて、あっけなく尻餅をついた。

「わしで決まりだな、小僧。お前はここでしっかり寝てろ、でないと背が伸びんぞ」
「何言ってんだよ、背は関係ないだろ!」
「子供を行かせるわけにはいかん、絶対に駄目だ」
両津とて、ダイがただの少年ではないことを重々承知していた。何しろ、ただ1人主催者に突っ込んでいった
勇者である。戦いなら間違いなく少年が上だろう。しかし、目的は捜索であって戦闘ではない。
サバイバルなら両津の独壇場だ。たとえ太公望が動けなくとも人1人背負って生き残る自信はある。
そして、曲がりなりにも警官である。子供に危険な仕事を譲る気は絶対にない。

そこにスッと男の声が割り込んだ。

「両津さん、すまないのだ。ここは、ダイに行かせてやってほしい」 
それまで黙っていたターちゃんが静かに口を開いている。
274出発 ◆XksB4AwhxU :2006/05/04(木) 22:49:59 ID:ty5Q7g5f0
「わしは反対だ!たしかにコイツは勇敢で度胸もある。だがな、外は闇で敵もどこにいるかわからん。
 誰が行っても危険は同じなんだ。わしが行くしかあるまい。
 ・・・ただ、あんたが行くとなれば話は別だがな。ガキに荒事を任せるような臆病者には見えんが、
 あんたは何故、自分が行くと言わんのだ?」

両津は青年に突っかかる。引き締まった強靭な筋肉は、ここにいる誰よりも強そうに見える。
その彼の態度が、子供を戦地に放り込む発言が、どうしても気に入らなかった。

ターちゃんは、険しい形相で睨む両津をまっすぐに見た。

「私には、ここで守らなければならない約束がある」 
「・・・人が死ぬか生きるかって時に、そんなことを気にしてる場合か!
 太公望を探しに行くのは、あんたかわしかのどちらかだ!お使いじゃねぇんだぞ!」

「ダイは子供ではない!!・・・・・・立派な男なのだ」

両津は男の迫力に思わず息を飲んだ。
ターちゃんはダイに向き直ると、しっかりと目を合わせた。
四国の死守は太公望の意思である。主催者打倒を目指し、仲間を集める大切な本拠地だ。
そして、公主。健気にこそ振舞っているが、依然として体調はすぐれず、今も苦しんでいる。
彼女を守ることが太公望と、死んでいった富樫の強い願いだ。

飛んでいきたい気持ちはダイと同じ。だが、守らねばならない約束もある。
275出発 ◆XksB4AwhxU :2006/05/04(木) 22:52:58 ID:ty5Q7g5f0

「ターちゃん・・・」

ターちゃんは自分が正しいと思うことをするだけだ。
ダイはここにいる誰より、太公望を助けたいと願っている。だから、答えは出ている。

「私は命に代えても、公主さんと、この四国を守るのだ。
 だから、ダイも無事に帰ってくると約束してくれ。太公望さんを頼んだぞ」

「ターちゃん!・・・わかった。必ず探してここに戻ってくるよ」
強い決意の光がダイの瞳に輝いていた。




【初日香川県瀬戸大橋@夜】

【ダイ@ダイの大冒険】
【状態】健康・MP微消費
【装備】出刃包丁
【道具】荷物一式(2食分消費) トランシーバー ペガサスの聖衣@聖闘士星矢
【思考】1、太公望捜索 東へ
    2、四国を死守
    3、公主を守る
    4、ポップ、マァムを探す
276出発 ◆XksB4AwhxU :2006/05/04(木) 22:54:04 ID:ty5Q7g5f0
【竜吉公主@封神演義】
 [状態]:疲労進行中、お香焚きこめ中
 [装備]:青雲剣@封神演義
 [道具]:荷物一式(2食分消費)、アバンの書@ダイの大冒険、お香(残り7回)
 [思考]:1.太公望の心配
     2.鵺野の看病
     3. 四国を死守
     4.呪文の取得(『フバーハ』か『マホカンタ』が候補)
 [備考]:キアリーを習得



【ターちゃん@ジャングルの王者ターちゃん】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式(2食分消費)、恥ずかしい染みのついた本@ジャングルの王者ターちゃん
 [思考]:1.四国の死守
     2.公主を守る。
     3.仲間を守る。 
 [備考]:太公望の計画が全国の動物達に伝わるのは少々時間がかかります。
277出発 ◆XksB4AwhxU :2006/05/04(木) 22:55:00 ID:ty5Q7g5f0
チーム【公務員+α】
【共通思考】1、仲間を増やす。
      2、三日目の朝には兵庫県へ戻る。ダメなら琵琶湖へ。
     
【両津勘吉@こち亀】
【状態】健康 頬に軽い傷
【装備】マグナムリボルバー(残弾50)
【道具】支給品一式(一食分の水、食料を消費。)
【思考】1、太公望捜索。 鵺野先生が心配。
    2、可能なら麗子と合流。
    3、主催者を倒す。

【乾貞治@テニスの王子様】
【状態】健康
【装備】コルトローマンMKV@シティーハンター(ただし照準はメチャクチャ)(残弾30)
【道具】支給品一式。(ただし一食分の水、食料を消費。半日分をヤムチャに譲る。)手帳、
    弾丸各種(マグナムリボルバーの分は両津に渡してある)
【思考】1、これからのことを話し合う
    2、越前と合流し、脱出を目指す。
    3、脱出、首輪について考察中

【鵺野鳴介@地獄先生ぬ〜べ〜】
【状態】気絶 
【装備】御鬼輪@地獄先生ぬ〜べ〜
【道具】支給品一式(水を7分の1消費。)
【思考】1、気絶
278鮮血ミルクカレーW ◆IzTadiTZZ. :2006/05/06(土) 01:01:39 ID:lnwYFVFQ0
「『最 終』 狼 牙 風 風 拳!!」
ヤムチャも負けじと必殺技を返す。

両者の技が激突する。

ぺしゃ
制したのはタカヤ。
ヤムチャの右腕をへし折る。
竜を象った拳は、更に右足、左足の骨を粉砕する。

「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ%$#%&’」

辺りに絶叫がこだました。

279鮮血ミルクカレーW ◆IzTadiTZZ. :2006/05/06(土) 01:02:45 ID:lnwYFVFQ0
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.タカヤをころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。

【タカヤ@生存確認】
280鮮血ミルクカレーX ◆drwetRDQqY :2006/05/06(土) 17:58:05 ID:mt5qxQEvO
「嘗めるな小僧ぅうぅ!!!!
貴様にこれが防げるか!?
 
轟雷・狼 牙 風 風 拳 !!!
 
まさに鬼神の如き形相でヤムチャが襲いかかった。
ズガーーン
ぐぎゃあぁあああバキボキバキバキbabg
タカヤの四肢が人形のように弾け飛び、
辺りにまばゆい閃光が走った。
あまりの力にヤムチャを中心に半径500メートルが無に帰した。
281アミバ快進撃〜前兆〜 ◆JoH9cSAfZ. :2006/05/07(日) 21:37:54 ID:NcQU7pbf0
栃木県。
これは、一日目を終えようとしていたある二人の雑談……

「これがワシの支給品である!」

高らかに差し出したそれは、江田島の支給品である一体のこけしのような人形。
とこか惚けた表情のそれは、小学生の工作とも見て取れるような不恰好な出来だった。
「これが監督の支給品かぁ……なんだかおもしろい形だけど、なんなのこれ?」
「ふむ、こんな形をしておるが、どうやらかなり高性能な爆弾らしいの」
「へぇ〜こけし型の爆弾かぁ……」
翼は、そのこけし爆弾を興味深げに見ていた。
本心では江田島の支給品がサッカーボールなら……と期待していたのだが、江田島の支給品はサッカーとは無縁の人を殺す道具だった。
このこけしの名はジャスタウェイ。
見た目はデキの悪いこけしだが、その中身はテロリスト御用達の高性能爆弾。
その見た目ゆえ、誰も爆弾とは思わないだろうが、そこがこの支給品を役立たせるポイントでもある。
もっとも、たとえ高性能だろうが相手を騙すことに適していようが、江田島平八にはまったく無用の長物だった。
「いいか翼、これは紛れもなく『人殺しの道具』だ。ワシはこんなものを支給した主催者どもが許せん。その気持ちはお前も同じであろう?」
「もちろんだよ! 日本中からサッカーボール消すなんて……絶対に許せることじゃないよ!」
気づけば、翼はもう一日近くサッカーボールに触れていない。
あの毎日のように接していた、友達とも言えるサッカーボールに。
翼は、そのことに激怒していた。
282アミバ快進撃〜前兆〜 ◆JoH9cSAfZ. :2006/05/07(日) 21:38:58 ID:NcQU7pbf0
同じく栃木県。
アミバは快調だった。

「ふふふ……はははぁ! 次の獲物はどこだぁ!」
体調だけではなく、機嫌も絶好調だ。
理由は夕方ごろに殺したゴンから奪取した仙豆。
時刻はもう夜。一般人ならそろそろ体を休める頃だろう。
だが、仙豆を食べたアミバは違う。
傷は癒え、腹は満たされ、睡眠も昼間江田島にぶっ飛ばされたせいで十分にとった。
だから、皆が寝静まる夜でもアミバは活動することができる。
この、誰もが身を休めたがる夜に。
暗闇を利用した闇討ち、寝込みを襲う、次はどんな手法で誰を殺そうか。
「そうだ……今ならば、この天才絶好調期ならば、あの江田島にも復讐できる!」
この天才に泥を塗った憎き男、江田島平八。
今ならば体調も万全、昼間のような間違いは起こらない。
「今度こそ、この天才に死角はない……江田島平八はどこだァァァ!!!」
アミバの笑い声は、江田島と翼が身を置く民家の近くで木霊する。
偶然は、再戦を引き寄せるか否か。
283アミバ快進撃〜前兆〜 ◆JoH9cSAfZ. :2006/05/07(日) 21:40:28 ID:NcQU7pbf0
【栃木県・民家/真夜中】
【大空翼@キャプテン翼】
 [状態]疲労中 精神的にやはりやや壊れ気味
 [装備]拾った石ころ一つ
 [道具]荷物一式(水・食料一食分消費)、クロロの荷物一式、ボールペン数本 
 [思考]1:承太郎と雷電の帰りを待つ(しばらく休息)。
    2:悟空を見つけ、日向の情報を得る。そしてチームに迎える。
    3:仲間を11人集める。
    4:主催者を倒す。

【江田島平八@魁!!男塾】
[状態]:健康、監督
[装備]:無し
[道具]:荷物一式、一護の荷物一式、ジャスタウェイ@銀魂
[思考]:1、「わしが男塾塾長、江田島平八である!!!」
      (翼と共にしばらく休息)
   2、「日本男児の生き様は色無し恋無し情けあり」


【栃木県・江田島と翼が身を潜める町/真夜中】
【アミバ@北斗の拳】
 [状態]:絶好調
 [装備]:ニューナンブ@こちら葛飾区亀有公園前派出所
 [道具]:支給品一式(食料1日分消費)、ゴンの荷物一式(食料一食分消費) 、シカマルの荷物一式(食料一食分消費)
    :テニスボール@テニスの王子様(残り2球)
 [思考]:1、夜を生かして殺しまくる
     2、皆殺し
     3、(可能なら)江田島にも復讐する
284ヴァンパイアハンターはかく語りき ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/07(日) 22:06:43 ID:sK5nfVDC0
ヤムチャチームと別れた斗貴子とクリリンは名古屋城に到着していた。
二人は夜闇に不気味にライトアップされている名古屋城の前に立つ。

「とりあえず名古屋城に来たけど、これからどうする?」
「まずは周辺の見回りをしよう。ケンシロウが来ているかもしれないし、ゲームに乗った者が潜んでいる可能性もある。
地形の把握もしておきたいところだな。北と南の二手に分かれよう、何かあったら大声を出してくれ」
「OK,わかった。斗貴子さんも気をつけて」
「ケンシロウと会ったら、私のことを伝えてくれ、胸に七つの傷のある男だからすぐにわかると思う。
探し人の少女が死んで自暴自棄になっている可能性も・・・ないな、彼に限って。私じゃあるまいし、な」
「わかった、伝えるよ。お互いあんまり城から離れすぎないように」

斗貴子とクリリンは二手に分かれて名古屋城周辺の散策をすることに決めた。斗貴子は南、クリリンは北へと向かう。
斗貴子は近くにある家、ビル、公園、森などをくまなく調べる。
ふと、その動きが止まった。

「何者だ、姿を現せ」

茂みを凝視しながら言葉を投げかける。
臨戦体制に入り、すぐにワルサーP38を抜けるように身構える。

「どうやら、見つかってしまったみたいね」

茂みがガサガサ蠢き、中から黒髪の女性が現れた。
その女性は両手を挙げた体勢のまま尋ねる。
「あなたは、ゲームに乗っているのかしら?」

285ヴァンパイアハンターはかく語りき ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/07(日) 22:08:48 ID:sK5nfVDC0
斗貴子は警戒を解かないまま返答する。
「少なくとも私は無闇矢鱈に殺し合うつもりはない、そちらがどうかは知らないが」
「奇遇ね、私も同じよ」
そう言ってリサリサはその手を下ろした。

「つかさ、もう出てきていいわよ」
リサリサは後ろを向きながら呼びかける。斗貴子はまだ完全に安心した訳ではないが、いささか緊張を緩めた。

「・・・これだけ隙を見せても攻撃してこないなんて、本当にゲームには乗っていないみたいね」
「だからさっきそう言ったはずだが?」
「いえ、憂いの為の備えが必要なかったなと、それだけのことよ」
そのとき初めて斗貴子は気がついた、自分の周りに三味線糸が張り巡らされていることに。

「これは・・・!?」
「あなたがこの辺りを調査しているのが見えたから、失礼だけど罠を張らせてもらったわ。
まあ、あなたがゲームに乗っていないならいいわ。攻撃されない限り、私は人間と戦うつもりはない。人間とは、ね」

斗貴子は自分の迂闊さを呪った。全国行脚と戦闘で疲労が溜まっているらしい、休息が必要かもしれない。
そうしている間に、もう一人の女性が現れた。こちらは斗貴子と同年代くらいの少女である。
ただ、その物腰から斗貴子と違って戦えそうには見えない。

「リサリサさん、うまくいきましたか?」
「ええ、問題ないわ。情報交換が出来そうよ」
「情報交換?それは・・・」
「人探し」
286ヴァンパイアハンターはかく語りき ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/07(日) 22:10:29 ID:sK5nfVDC0
リサリサが言うには、彼女達は逸れてしまったマァムという仲間を探しているらしい。
斗貴子は心当たりがなかったので知らないと答えた。
逆にカズキやケンシロウ、ブラボーやダイのことを尋ねたが、リサリサ達も知らないようだった。

「それじゃ、ディオ・ブランドーという男とその配下の機械人間、それに東城綾という女子高生を知らないかしら?」
「いや、そちらも心当たりはないな」
「そう・・・時間を取ったわね、ありがとう」
「・・・ひとつ、伝えておきたい話がある」

斗貴子が話したのはドラゴンボールの話だった。
それを使えば死んだ人間を蘇らせることも可能だということ、それどころかこのゲームをなかったことにできるということ。
その話を聞いたリサリサの第一声は「とても信じられないわ」というものだった。

「確かに俄かには信じられない話だろうが、その話をしてくれた人物はとても嘘をついているようには見えなかった」
「死んだ人を・・・じゃあ真中君も?」
「つかさ、人間は死ぬものよ。生き返ったそれはもはや人間ではないわ」
「だが、このゲームには様々な世界の住人が参加している。世界によっては死者を生き返らせることもできるかもしれない」
「否定はしないわ、でも証拠がない」
「それは認める。だから頭の隅にでも置いておいてくれればいい」

(リサリサさん、本当でしょうか?)
(そんな都合のいい力があるわけないわ、玉を七つ集めればどんな願いでもかなうなんて・・・出来すぎてる。
彼女も証拠を見せられた訳でもないのにそれを信じてることから見て、まともな判断ができなくなってる可能性が高いわ。
ディオ達を始末するのに協力してもらおうと思っていたけど、やめておいたほうがよさそうね)
リサリサと西野は小声で囁き合い、とりあえず二人でマァムを探すことに決めた。
287ヴァンパイアハンターはかく語りき ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/07(日) 22:12:05 ID:sK5nfVDC0
情報交換を終え、目的は済んだとばかりに出発しようとするリサリサ達を斗貴子は呼び止めた。
「すまない、もうひとつだけ。つかささん、だったか?」
「私ですか?何でしょうか」
「君は戦えそうには見えない、リサリサさんは心配いらないだろうが、君は心配だ。
君が杖がわりにしているその棒一本では役に立たないだろう、護身用にこれを持っていくといい」
斗貴子はつかさにワルサーP38を渡す。
「えっ、でも・・・」
「いいんだ、持っていってくれ、これも戦士の務めだ。本当は私自ら守ってあげたいが、やるべき事があるからな。
それにリサリサさんといたほうが安全だろうし、第一その銃はあまり私には必要ない。
私の本来の戦闘スタイルは核鉄を使った・・・そうだ、知らなければいいんだが、核鉄というものを知らないか?」
「核鉄・・・ですか?そういえば流川君の荷物の中にそんなようなものが・・・」

つかさはゴソゴソと荷物をあさり、鉄の塊を引っ張り出す。
「それだ!ちょっと貸してくれないか?」
「いいですよ、どうぞ」
「すまない。これは・・・シリアルナンバーCか、戦士長、お借りします」

斗貴子は核鉄を構える。
「武装錬金!」
核鉄が変化し、斗貴子の脚に装着される。瞬く間に四本のアームが形成される。
「わっ、すごい!」
「へぇ・・・」
つかさとリサリサは感嘆の声をあげる。
288ヴァンパイアハンターはかく語りき ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/07(日) 22:13:14 ID:sK5nfVDC0
「・・・つかささん、悪いがこれを譲ってもらえないだろうか」
「えっ・・・」

つかさはしばし考え込む。核鉄は流川の形見だ、簡単に渡したくはない。
けれども斗貴子は自分に銃を譲ってくれた、断るのは図々しくはないだろうか。
そしてつかさは答えを出した。

「ひとつ、お願いがあります」
「何だ?出来る限りのことはしよう」
「東城綾さん・・・黒髪の、酷い火傷がある女子高生を見つけたら、殺さないで欲しいんです」
「つかさ、彼女はもう元には戻らないわ。あれはもう人外よ」
「ごめんなさいリサリサさん。それでも、私は、もう一度話がしたいんです」
「わかった、最大限努力しよう。ただ、私も死ぬわけにはいかない、やるべきことがあるからな。
説得できるようなら、捕獲できるようならそうしよう。他の仲間にも伝えておく」
「よろしく、お願いします」
「・・・好きにしなさい。ただし斗貴子さん、あなたにひとつ忠告をしておくわ」




「吸血鬼には気をつけなさい」




289ヴァンパイアハンターはかく語りき ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/07(日) 22:15:15 ID:sK5nfVDC0
名古屋城では既にクリリンが待っていた。
「斗貴子さん、遅かったね。こっちは特に異常なし、そっちは?」
「他の参加者と会った。ドラゴンボールのことを話したが、信じては貰えなかったよ」
「ドラゴンボールのことを!?あっちゃあ・・・マズイなあ」
「何がマズイんだ?」
「いいかい?ドラゴンボールってのは望みをかなえる玉なんだ、絶対に悪用しようとする奴が出てくるし、
そんな奴等に計画を邪魔されたら面倒臭いことになる。俺は斗貴子さんを信用したけど、本当はひとりで計画を実行しようとしてたんだぜ?」

「そんな人達には見えなかったがな・・・そうだクリリン君、吸血鬼って知っているか?
どうやらこの辺りにはその吸血鬼がウヨウヨしているらしい、注意が必要だ」
「吸血鬼?それならそんなに怖がることはないさ。俺は一度戦ったことがあるからね。
そのときはそいつ、子供とムササビに負けちまったんだぜ?笑っちまうよなあ」
「君は勝ったのか?」
「・・・・・・・・・・・コホン、とにかくドラゴンボールのことはあまり言わないほうがいい。
俺達の役割はあくまで人数減らしだ、仲間集めじゃない。ヤムチャさん達の仲間が加われば戦力的にはもう十分だしね。
そいつらも始末しなくちゃ・・・クソッ、この身体がもうちょっとまともに動けば・・・仙豆さえあればなあ」
290ヴァンパイアハンターはかく語りき ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/07(日) 22:16:46 ID:sK5nfVDC0
「待ってくれクリリン君!彼女達はきちんと話せば説得できると思う、他に倒すべき敵もいるはずだ。
それに私達はこの名古屋城でケンシロウやヤムチャ達を待たなければいけない。
サクラさんに治療してもらったが、まだ傷も癒えておらず戦うのは無理だ!」
「ドラゴンボールのことを知られたなら、殺すしかない。斗貴子さんはここで待っててくれ。
大丈夫だよ、悟空とピッコロさえいれば吸血鬼なんか相手にならないんだから。それよりも今は危険な芽を摘み取っておくべきだよ」
「だが、一般人を手に掛けるというのも・・・」
「甘いよ、斗貴子さん。そんなんじゃいつまでたっても終わらない。どうせ全部やり直せるんだ。
・・・・そう、やり直せるんだよ・・・・」


クリリンの呟きは、夜の闇に溶けて、消えた。

そしてクリリンは斗貴子が止める間もなく駆け出した。
魔の文字を背負った戦士が走る。
『魔』が闇を駆けるーーーーーーーーー

291ヴァンパイアハンターはかく語りき ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/07(日) 22:17:42 ID:sK5nfVDC0
【愛知県/名古屋城周辺/夜中】
【津村斗貴子@武装練金】
[状態]:軽度の疲労。左肋骨二本破砕(サクラの治療により、痛みは引きました) 核鉄により常時ヒーリング
[装備]:核鉄C@武装練金、リーダーバッチ@世紀末リーダー伝たけし!、首さすまた@地獄先生ぬ〜べ〜
[道具]:荷物一式(食料と水を四人分、一食分消費)、ダイの剣@ダイの大冒険、ショットガン、真空の斧@ダイの大冒険、子供用の下着
[思考]1:ケンシロウと合流。協力を仰ぐ。orクリリンを追う。
   2:零時まで名古屋城で待機、ヤムチャたちの帰りを待つ。その後、兵庫で両津たちと合流。ケンシロウが現れない場合は、単身東京タワー南東にある芝公園へ。
   3:綾を発見した場合、可能な限り捕獲する。
   4:クリリンの計画に協力。参加者を減らす(ゲームに乗っている者を優先、できれば一般人は殺したくない)。
   5:人を探す(カズキ・ブラボー・ダイの情報を持つ者を優先)。
   6:友情マン、吸血鬼を警戒。

【クリリン@ドラゴンボール】
[状態]:軽度の疲労、気は少し回復、わき腹、右手中央、左腕、右足全体に軽度の怪我(サクラの治療により、痛みは引きました)
[装備]:悟飯の道着@ドラゴンボール
[道具]:荷物一式×3(4食分を消費・月のもの)
[思考]1:リサリサ、西野を探し出して殺す。見つからなかった場合は名古屋城に戻る。
   2:ケンシロウと合流。協力を仰ぐ。
   3:零時まで名古屋城で待機、ヤムチャたちの帰りを待つ。その後、四国で両津たちと合流。
   4:できるだけ人数を減らす(一般人を優先)。
   5:ピッコロを優勝させる。
   6:友情マンを警戒。
292ヴァンパイアハンターはかく語りき ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/07(日) 22:19:53 ID:sK5nfVDC0
【愛知県/夜中】
【西野つかさ@いちご100%】
[状態]:移動による疲労
[装備]:ワルサーP38、天候棒(クリマタクト)@ワンピース
[道具]:荷物一式
[思考]1:マァムと合流
   2:綾と話し合う
   3:生き残る…?

【リサリサ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]健康
[装備]三味線糸
[道具]荷物一式
[思考]1:マァムと合流
   2:吸血鬼を根絶する
   3:協力者との合流
293 ◆ASMcehritk :2006/05/08(月) 01:56:32 ID:vaGViFd60
フリーザ「目が覚めましたか?」
????「ここは・・・?」
フリーザ「ここは私の作った仮想世界。あなたにはここにいる人間を皆殺しにしていただきたいのです」
????「なんだと?」
294 ◆ASMcehritk :2006/05/08(月) 01:57:54 ID:vaGViFd60
【東京都】
【マモル@キックボクサーマモル】
[状態]:健康
295 ◆ASMcehritk :2006/05/08(月) 02:03:13 ID:vaGViFd60
マモル「なるほど、殺し合いのゲームか」
フリーザ「はい、みなさんどうもやる気が無いようで、進行が滞っているのです」
マモル「そこで俺の出番という訳か」
フリーザ「はい、少しゲームを盛り上げてもらえませんかねえ?」
マモル「ならばまずはお前からだ!」
フリーザ「ぎゃー!」

フリーザはマモルのローリングソバットで消し炭となった・・・
296 ◆ASMcehritk :2006/05/08(月) 02:04:24 ID:vaGViFd60
【東京都】
【マモル@キックボクサーマモル】
[状態]:健康

【フリーザ死亡確認】
297 ◆ASMcehritk :2006/05/08(月) 02:14:21 ID:vaGViFd60
マモル「さて、これからどこに・・・む、あれは・・・」

マモルが獲物を探していると前方に大男を発見した。

ラオウ「何者だ!」

ラオウが気配に気付いたとき、すでにマモルはラオウの左側面に組み付いていた。

マモル「遅いな!」
ラオウ「ぎゃー」

ラオウはマモルの首相撲からの膝蹴りを脇腹に受けて両断された・・・
298 ◆ASMcehritk :2006/05/08(月) 02:15:45 ID:vaGViFd60
【埼玉県】
【マモル@キックボクサーマモル】
[状態]:健康

【ラオウ死亡確認】
299 ◆ASMcehritk :2006/05/08(月) 02:24:21 ID:vaGViFd60
マモル「少しは楽しませてくれよ、オッサン」
アビゲイル「ゲームに乗っているようですね・・・ならば容赦はしません」

アビゲイルが呪文の詠唱に入ろうとした時、
すでにマモルのハイキックによってアビゲイルの頭部は切断されていた・・・
300 ◆ASMcehritk :2006/05/08(月) 02:24:56 ID:vaGViFd60
【群馬県】
【マモル@キックボクサーマモル】
[状態]:健康

【アビゲイル死亡確認】
301 ◆f2whFJqK3c :2006/05/08(月) 02:38:00 ID:vaGViFd60
トレイン「いきなり何しやがる!」

間一髪でマモルの襲撃をかわしたトレインとスヴェンはそれぞれ武器を取り身構える。

スヴェン「どうやらやる気満々のようだな、いくぞトレイン!」

トレインとスヴェンは巧妙な連携で左右からマモルに襲いかかる。が・・・

マモル「ケッ、こんなものかよ」

マモルのローキックがトレインの左足を砕く。
すぐさま反転しスヴェンの頭部を肘で粉砕する。
足を失って転げ回るトレインの頭部を踏み潰すと、

マモル「ククク、これが強者の愉悦か・・・」
302 ◆ASMcehritk :2006/05/08(月) 02:38:51 ID:vaGViFd60
【栃木県】
【マモル@キックボクサーマモル】
[状態]:健康

【トレイン、スヴェン死亡確認】
303作者の都合により名無しです:2006/05/08(月) 03:09:44 ID:f+sfOj+NO
>293ー302と鮮血ミルクカレーは全て無効です
304ヴァンパイアハンターはかく語りき ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/08(月) 18:01:24 ID:NDBGcH/a0
改めて見直してみると、繰り返しで見苦しいので、

「わかった、最大限努力しよう。ただ、私も死ぬわけにはいかない、やるべきことがあるからな。
説得できるようなら、捕獲できるようならそうしよう。他の仲間にも伝えておく」

              ↓

「わかった、最大限努力しよう。ただ、私も死ぬわけにはいかない。
説得できるようなら、捕獲できるようならそうしよう。他の仲間にも伝えておく」

に修正します。
305空条承太郎はクールな仲間が欲しい ◆2XEqsKa.CM :2006/05/10(水) 03:10:29 ID:n91DGejD0
『星の白金(スタープラチナ)』。本体、空条承太郎。
一瞬の内にピストルの弾丸を掴み取れる精密な動作と、ダイヤモンドすら砕く豪快なパワーの二面性を持つスタンド。
『スティッキィ・フィンガーズ』。本体、ブローノ・ブチャラティ。
殴ったものに‘ジッパー’をくっつけ、それを開けるとどんな物にでも空間をつくることが出来る。空間を作らずただ開けることもできる。

二つのスタンドは使役者の側に立ち、使役者は十歩分程の間合いをとって睨みあっている。

一歩。一歩。一歩。承太郎が進む。

一歩。一歩。一歩。ブチャラティが進む。

間合いは4歩分、約2m。
306空条承太郎はクールな仲間が欲しい ◆2XEqsKa.CM :2006/05/10(水) 03:11:41 ID:n91DGejD0

「“日本人(Giapponese)”。お前もスタンドを使えると言うことは」
ブチャラティが言葉を発した瞬間、その眼前にスタープラチナが迫る。
「お喋りはお預けだ。『手早く』決めさせてもらうぜ。雷電が心配なんでな」
(!こいつのスタンド!このスピードッ…)
S・フィンガーズがガードを上げる。
しかし、スタープラチナのパンチは委細構わず―――打ち込まれた。
「オラァ!」
「ッ………!?」
S・フィンガーズでもブチャラティでもなく!地面に!
土埃が上がり、即興の煙幕となり―――二人を覆う。
(来る…カウンターを…!)
「スティッ…「オラァッ!」

ドゴッ!

(………このパワー!)
スタープラチナはパンチ一発でS・フィンガーズを数メートル吹っ飛ばした。
当然ブチャラティも吹き飛ばされ、看板に激突する。

「近距離パワー型…しかも、あの"地中を自由に動ける"男より更に強いッ!」

コロッセオで会ったスタンド使いを思い浮かべながら、今尚煙幕に包まれている承太郎の方向に首を向ける。
静かに土埃を払い、承太郎はその姿を現した。
「ブチャラティ…といったな」
「………」
答えず、ブチャラティは立ち上がる。
「『これ』がてめえのスタンドの能力か?」
自分の腹を指し、問う。その表情は硬い。
ブチャラティは腹に横一線に『ジッパー』がついている承太郎を見据え、言い放った。 
「さあな。答える義務は無い」
307空条承太郎はクールな仲間が欲しい ◆2XEqsKa.CM :2006/05/10(水) 03:13:50 ID:n91DGejD0
(カウンターを入れ切れなかった。上手くいけば今ので終わっていたんだが…)
表面上は余裕を装っているが、ブチャラティは焦燥していた。
敵はパワーもスピードも自分より上、ボスの『キング・クリムゾン』にも似た謎の能力。
(さて、どうするか………奴に付けたジッパーは不完全)
本来なら体を完全に分断させるはずのS・フィンガーズの攻撃。
だが予想外のパワーとスピードによる拳打によって照準をずらされ、軽く撫でた程度にしか当たらなかった。
あのパンチが一発でなく十発、或いは百発飛んでくるのを想像する―――まず間違いなく自分は"死ぬ"。

(だが、"パンチ"を"喰らわ"ずに近づければッ!勝機は十分ある!)


既に間合いを五歩分程に詰め、帽子に手をやりながら承太郎はブチャラティを見る。
「答える義務が無いって?てめーはゲームに乗っているのかって俺の質問にも答えなかったよな?」
「………」
「都合が悪くなるとだんまりか…やれやれだぜ」
承太郎は何を思ったかいきなり鉛筆と紙を取り出し、書き込み始めた。
「…貴様、何を書き込んでいる?」
「答える義務は無い…が、答えてやるよ。あんたに貸してる"ツケ"さ。必ず払ってもらうが―――忘れっぽいんでね、メモしてるのさ」
なおもカリカリと書き込み続ける承太郎。
『スティッキィ・フィンガーズ!』
ブチャラティはS・フィンガーズに看板を引き抜かせ、スタープラチナに振り下ろす。
スタープラチナは迎撃すべく拳を振るう。
看板と拳が激突する瞬間、看板が拳を避けるかのように二つに分かれる。
「!」
「先程の質問に"答え"よう…これが『スティッキィ・フィンガーズ』の能力だ。そしてお前はもう"負けて"いる」
『ジッパー』が付いた看板はスタープラチナを跨いで地面に刺さる。
そして急速にジッパーを閉じさせてスタープラチナを押し倒し、その動きを封じた。
「おっと!看板を壊したりはしないほうがいい…俺を本体のお前が殴ろうとするのもな。それより一瞬早くこの『ジッパー』を引ききる」
308空条承太郎はクールな仲間が欲しい ◆2XEqsKa.CM :2006/05/10(水) 03:15:14 ID:n91DGejD0
ブチャラティは既に承太郎の懐に入り込み、腹のジッパーに手をかけていた。

「このジッパー…心臓の大きさにも満たないが…あんたを殺すには十分だ。開くのに1秒もかからない…さあ、答えてもらおうか?」

「何故『第二の質問』で嘘をついた?」

質問は死の警告を持って飛び、承太郎に届く。

「スタープラチナ………」

ブチャラティがジッパーに力を込める。

「………ザワールド」

             ド                 ン               !

スタープラチナがジッパーが閉まりかけている看板を引きちぎる。
承太郎がブチャラティの手をジッパーから離す。
しかしブチャラティは反応すらしない。

――――――時は止まっている。

「やれやれ………大した野郎だ、二度も時を止めさせるとはな」
感心したように言うと、承太郎はスタープラチナを呼び寄せる。

「『殺さずに』『ほどほどに』」


――――――そして時は動き出す。

「ぶちのめすっ!」
動き出したブチャラティに拳を向ける。
309空条承太郎はクールな仲間が欲しい ◆2XEqsKa.CM :2006/05/10(水) 03:23:03 ID:n91DGejD0
「―――やはりボスと同種の"時を認識させない"能力か」
意外にもブチャラティは涼しい顔をしている。
「………ボス?」
承太郎が言い終えないうちにブチャラティは眼前に迫る拳を意にも介せず叫ぶ。
「"こう"なることを読んでいた!故にッ!"対抗策"も練ってある!『スティッキィ・フィンガーズ!』」
地面が裂ける。承太郎の足元から飛び出す異形のスタンド。
「ッ!」
承太郎はバランスを崩し、スタープラチナの拳がブチャラティの顔面に届く一瞬前に逸れる。
脇腹から肩を目指してS・フィンガーズの攻撃は進む。触れた部分をジッパーにしながら。
「言っただろう?お前はもう"負けて"いると…お前のスタンドを封じた後、地面に潜らせておいた。射程圏内ギリギリまでな」
スタープラチナから一歩はなれ、ブチャラティは淡々と語る。
「安心しろ。"殺し"はしない。今からやるのは"拷問"だ」

「やれやれ………"諦めた"。あんたすげー"クレバー"だ。一本とられたぜ」
承太郎は諦観たっぷりに呟く。
「………"負け"を認めたなら話は早い」
ブチャラティは三度質問を繰り返そうとする。だが。
「おいおい、勘違いするなよ。"諦めた"ってのは………"無傷で済ますことを諦めた"って事だ!」
既に胸まで上がってきていたジッパーが急に止まる。
「な………貴様ッ………!?」
「『流星指刺(スターフィンガー)』。やりたくなかったんだがな。連続で時を止める事は出来ないからな」
本体と同じく胸までジッパーで分断されたスタープラチナの右手の人差し指と中指が数十cm程伸び、承太郎の肩を貫き、S・フィンガーズの腕を止めていた。
「コンマ一秒の差…そして隙あり、だ」
スタープラチナが右手でS・フィンガーズの首根っこを掴む。
スタープラチナが左手を握る。
「さて、貸しを返してもらおうか。俺の質問を無視すること3回…いや、一回返したか?それと雷電の分もやっておくか…裁くのはオレの スタンドだッ!」

(こいつ…今度は"ウソ"は言ってない皮膚と汗だ…やるといったらやる…"スゴ味"があるッ!)


「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァ!」
310空条承太郎はクールな仲間が欲しい ◆2XEqsKa.CM :2006/05/10(水) 03:24:36 ID:n91DGejD0
スタープラチナの左拳が高速で稼動する。

「"安心"しな…殺しはしねぇ」

(急所を…外してッ!関節のみを…こいつのスタンドは…"精密動作性"にも優れて…意識が………)

「ガッハァァッ!!」

「そしてこの感触………吸血鬼じゃねえようだな。DIOの部下の残党がいるなんて情報はスピードワゴン財団からもなかったが…」

「DIO………?」

参加者名簿に載っていた名前を聞き、息も絶え絶えに呟くブチャラティ。

「お前が言っていた"ボス"の名前じゃないのか?俺とそいつ以外に時間を止められる奴はいねえ」

承太郎はやや不機嫌そうに言うと、「まあ、そうだったらあの"カズマ"とやらとの約束は守れないが」と続けた。

ブチャラティは激しく息を切らしながら答える。

「ハアッ…ガッハ…違う…"ボス"は…誰にも名前を知られていない…ギャング"の"ボスだ…」
311空条承太郎はクールな仲間が欲しい ◆2XEqsKa.CM :2006/05/10(水) 03:25:44 ID:n91DGejD0
承太郎はその答えに納得したのかどうかよくわからない表情をし、徐々に消えていく"ジッパー"に気付いて言った。

「意識を失いかけているようだな。一つ聞こう。お前はかなり頭が回るようだが、あの頭の悪そうな"カズマ"を利用しているようには見  えなかった………何故だ?」

「………」

ブチャラティは答えず、承太郎はやれやれと首を振る。するとブチャラティは突然語気を強めて話し出した。

「取り消せ…!カズマへの侮辱をッ!この世で最も大切な事は"信頼"だ…ならば、最も忌むべきことは"侮辱"………"信頼"を"侮辱"する… とは…その人物の名誉だけでなく…その者の人生すら狂わすッ!」

その眼には全身の関節を外され、動くことすら出来ない者のそれとは思えない強烈な光が燈っている。

「………ああ、取り消そう」

「ならば答えようッ!何も知らぬ者を利用することは…!!自分の利益だけのために利用することは…!!吐き気を催すッ!『邪悪』だッ!故 にッ!オレはそれを許さないし、『邪悪』に染まることもよしとはしないッ!」

言い終わった瞬間、ブチャラティは力を使い果たしたようにぐったりと地に伏した。

「………同感だ」

承太郎は手にしていた紙を破り捨て、気絶したブチャラティを肩に担ぐ。

「精神的にはブチャラティ、あんたは俺に勝っていたぞ。熱いようだが精神は"クール"だ」

小声で言って、承太郎は桑原が向かった方向に歩き出した。

同じ世界の異なる時間にいた、本来会うはずのなかった二人の男。
混沌に巻き込まれた二人が持っていたのは紛れもない、黄金の精神。
運命を紡ぐ正義の意思は混ざり合い、混沌の体験を経て二人を繋げた。
312空条承太郎はクールな仲間が欲しい ◆2XEqsKa.CM :2006/05/10(水) 03:26:48 ID:n91DGejD0

【栃木県/夜】
【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]そこそこ疲労・肩、胸部に打撲、左腕骨折(以上応急処置済み)・肩に貫通傷
[装備]シャハルの鏡@ダイの大冒険
[道具]:荷物一式(食料二食分・水少量消費)
:双子座の黄金聖衣@聖闘士星矢
:らっきょ(二つ消費)@とっても!ラッキーマン
[思考]1:ブチャラティを桑原に送り届ける。話が折り合えば仲間にしてもいいと思っている。
2:シカマルの亡骸・悟空・仲間にできるような人物(できればクールな奴がいい)・ダイを捜す
3:主催者を倒す

【ブローノ・ブチャラティ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]右腕喪失・全身に無数の裂傷(応急処置済み)・気絶・全身の関節が外れている
[道具]:荷物一式
:スーパー・エイジャ@ジョジョの奇妙な冒険
[思考]
1:気絶
2:首輪解除手段を探す
3:主催者を倒す
313人肉バーガー製造工場 ◆IzTadiTZZ. :2006/05/10(水) 11:40:08 ID:6BrLU9tF0
『終わったか・・・』
ヤムチャがそう思った時、信じられないことが起こった。

ジュルジュルジュルジュル・・・
原型を留めていないタカヤの体から、黒い物体が放出されたのだ。
それは、あっという間にヤムチャの周りを取り囲んだ。

タカヤは勝ち誇ったように笑う。
「どぅわははははははははははーーーーーー
 これで最後だぁーーーーーーーーーーーー
 究 極 奥 義 絶 対 死 壊 陣 !」

314人肉バーガー製造工場 ◆IzTadiTZZ. :2006/05/10(水) 11:41:23 ID:6BrLU9tF0
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.タカヤをころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。

【タカヤ@生存確認】
315 ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 02:34:13 ID:iygHOF4T0
 半炎半氷の怪人が放った焔は、あらゆる存在を無慈悲に焼き尽くしていく。
 草木を。大地を。造られた存在とはいえ、現実の世界においては、悠久に続いていく筈だったその自然を。
 火炎地獄。この状況には、そんな言葉が相応しい。
 思ったよりも火の手が早い。世直しマンがそれに気付いたのは、下山を始めてすぐの事だった。
 燃焼を加速させるものが、余りにも多過ぎる。
 生い茂る雑草、咲き誇る花の群れ。
 状況が状況でなければ愛らしさの一つでも覚えたのだろうが、今はその一つ一つが疎ましい。
 足場を悪くする要因であることも、辛い。
 ヒーローである自分はまだいい。ピッコロとの闘いで受けたダメージは当然癒え切っていないが、
 小柄な少女一人を背負って歩く分には何の支障もない。
 前方を行く麦藁の少年――ルフィも、その足取りは見たところ軽快である。
 大柄なバッファローマンの身体の重みなど、まるで感じていないかの如く。
 ルキアに関しても、熱さに顔を顰めてこそいるもののまだまだ大丈夫そうだ。
 問題は――
(……ボンチュー、気落ちするな。今は足を動かすことに専念するんだ……)
 毒にも薬にもならない、否、今の状況では逆効果にもなりかねないその激励は、胸中で消えていく。
 無残にも焼き爛れてしまった猿を背負い、下り坂を行く少年。
 その表情は沈みきっていて、デイパックの中へと纏めて仕舞い込んだ読心マシーンに頼るまでもなく、
 闘いを見ていることしか出来なかった自分への無力感に打ちひしがれているのがありありと見て取れた。
 彼の視線の先にあるのは、ルフィの背中でぐったりとしたまま動かない、勇猛果敢な正義超人。
 自分と同じ、強い『正義』の志を持った、どこまでも熱く、頼れる男。
 ……彼が傷付いたことで叱責を受けるべきなのは、寧ろ私の方だ。
 奴と闘う前、自分は浅はかな判断から、読心マシーンを持たずにピッコロへと挑んだ。
 ピッコロが取り出した、正体不明の小瓶の中に入っていた木の実。あの木の実を口にする前に、奴の心が読めていたなら。
 奴は確実に倒せていたし、バッファローマンが傷付くこともなかった。
 非情な殺し合いの舞台において、最初に出会ったかけがえのない、仲間。
 失うわけには、いかない。
 ――だから、頼む。もう少しで麓へと辿り着く。そこから先に行けば、安全な場所もきっと見つかるだろう。
 死ぬな、バッファローマン。早く目を覚まして、ボンチューを安心させてやれ――

「――いまだ生を謳歌しているという、幸運に恵まれた者たちよ――」
 思いは、無残にも打ち砕かれた。
316"仲間"ということ ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 02:34:54 ID:iygHOF4T0
 呼ばれる筈のない名前が挙げられたことに足を止めてしまってから、とうとう頭までイカれちまったか、そう思った。
 最初に疑ったのは聴覚の方だったが、主催者達のこの"声"を感じ取っている箇所は耳ではないということにすぐ気付いたので。
 脱落した者。
 脱落。
 もう、いないということ。
 死んだと、いうこと。
 ――バッファローマン。
 死んだ?
「――バカな」
 鎧のヒーローが、見事なまでに自分の心境を代弁してくれた。
 ああ、そうだよ。バカなこと言ってんじゃねえよ。
 だって、いるじゃねえかよ、目の前に。
 背負われて、寝てんじゃねえか。なあ、おい。
「おい――」
 呼びかけた背中からは、声一つ無く。
 それどころか、何故か――遠ざかっていく。
 ルフィが、歩いていた。
「おい――待てよ」
 ルフィは、答えない。
 顔を向ける訳でもなく、足を止める訳でもなく、ただ、先へ先へと進んでいく。
 そうしてまた、距離が離れる。
 麦藁帽子の後姿は、その場にいる誰もを置き去りにしたまま下っていく。
「聞いてんのかよ、おい。――待てよ!」
「待たねェ」
 荒げた声に対して、その返答はやけに淡々として聞こえた。
 それに続く、言葉も。
「角のおっさん、息、してねェ。死んじまった」
「ふざけんな」
「……ボンチュー、止めろ」
 世直しマンがこちらへと振り返って静止の言葉を投げかけてくるが、聞こえなかった。
 聞こえないフリをしていた、という方が正しかったかもしれない。
317"仲間"ということ ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 02:35:39 ID:iygHOF4T0
「死ぬ訳ねえ、だろ」
「死んだ」
「死んでねえよ!」
「死んだ」
「ふざけんなって言ってんだろうが!」
「ふざけてこんなこと言えるワケねェだろ!!」
 それまで静かな口調でいたルフィが、突然そうやって怒鳴った。
 相変わらず背中は向けたままだったが、顔を見るまでもなく彼が激情に狩られていることは分かった。
 そして、その怒りの奥に、深い悲しみを湛えていることも。
 当たり前だ。
 バッファローマンは、死んだ。
 受け止めろ。
 オレがやっていることは、単なる八つ当たりだ。
「……何だよ、それはよ……!」
 気付いていたのに、ボンチューは叫ぶことを止めなかった。
 止められなかった。
「お前、さっきオレ達に言ったばっかじゃねえか! 諦めんなって! 絶対に助けるって!
 だから――だからそうやって背負ってんだろ! お前の言ったこともやったことも、全部――全部ウソだったのかよッ!」
 オレは一体、何を言っているんだろうか。
 弱いくせに。何も、守れないくせに。
 "絶対に助ける"なんて、言えもしなかったくせに。
 またオレは、あの時と同じことを繰り返したんだ。
 ――あの時?
 気が付けば、火の手がかなり近くまで回ってきていた。
 燃える。
 焼け死ぬ。
 ――誰が?

 重なり合う風景。燃え上がる炎は、自分の大切なものを悉く奪っていく。全ては焼け爛れて、この手を離れていく。
 オレは弱くて。何も守れなくて。誰も助けることなんて出来ない。――誰も救えないんだ――

 ……メグ――!
318"仲間"ということ ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 02:36:19 ID:iygHOF4T0
 その音は燃え盛る山中においてやたらと浮いて響いたが、だからこそ誰もの耳に強烈に届いた。
 聞いた者が気持ちよさを覚えるほど、はっきりとした――
 頬を、張る音。


「――おま、え」
「……この……大たわけがぁっ!!」
 自分よりもずっと、年上であろう少女。
 自分よりもずっと、小さな身体をした少女。
 ――から飛んでくる罵声。
 それを認識した途端、ひりひりとした痛みが左顔面を覆い尽くしていく。見るまでもなく、その箇所は赤く腫れ上がっているだろう。
 要するに、自分は一体何をやられてどうなったのか。
 ――単純明快。
 ビンタされた。
「今度という今度はつくづく愛想が尽きた! 助平の上に性根まで腐り切っておったとはな、付き合いきれぬわ!」
「――んなッ、まだオメーはオレをスケベ呼ばわッ――あ」
「貴様のような莫迦者など、文字通り煮るなり焼くなり好きにされてしまえっ! 世直しマン殿、ルフィ殿、往くぞ!」
 自ら『死神』を名乗った少女は、ある意味その呼び名に似合った通りの死の宣告を一方的に言い捨てると、
 呆気に取られた様子の二人を差し置いてずんずん山道を下りていった。
 ……無茶苦茶に早い。
 あっという間に、小柄な背中が更に小さくなっていく。
 数秒間が空いた後、麦藁帽子と鎧のヒーローがお互いに顔を見合わせて、おずおずといった様子でその背中を追いかけ始める。
 取り残されたのは、息絶えし猿を背負って呆然としている身長178cmの七歳児。
 迫り来る熱波が彼を覚醒させた。
 振り返ると、ほとんど目と鼻の先の距離まで炎が近づいてきている。
「うおおおおおおおすげえ熱ッ!?」
 『飛び上がった』という表現がよく似合う姿だった。そう、彼は予想外の熱量に押されて、飛び上がった。
 自分でも何処に残っていたのかサッパリな早足で、ボンチューは遠くなる仲間達の背中を追いかけて下り道を駆けた。

 ……さすがに、アレだけ言われて引っぱたかれて、立ち直らないワケにもいかねえだろ。男として。
 それは、傲慢不遜な少女に対するささやかな反抗心でもあり、また同時に、申し訳ない気持ちを隠すための建前でもあった。
 あの大粒の涙を湛えた瞳は、暫く忘れられそうにない。
319"仲間"ということ ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 02:56:15 ID:iygHOF4T0
「これから完全に陽が落ちて夜になるが、そんな時にあの山火事は悪目立ちし過ぎる。皆、疲れているだろうがもう少し移動しよう」
 という世直しマンの判断の下、一行は下山後更に関東方面を目指し歩を進め、福島県入りを果たした。
 その頃にはすっかり世界を照らす天体は入れ替わっていて、鈍く輝く満月の下、彼らは民家にてようやくの休息を迎えることが出来た。
 着いた直後に、バッファローマンとエテ吉を埋めてやろうと言い出したのは、ルフィ。
 反対する者など、誰もいなかった。
 ただし、グループの中で一番傷が深かったイヴだけは、世直しマンの判断により、一台だけあったベッドに今は寝かされている。
 5人の選んだ家は、他と比べて然程外見が派手ということもなく、とりわけ平凡な雰囲気の漂う、
 けれど清潔感の保たれた――造られた世界なのだから、当然の話だけれども――ところで、庭の土も比較的平らにされていた。
 武器にあたると主催者側から判断されたか、スコップの類は見つからなかったので、結局全員がかりで素手によって掘り起こした。
 ルキアには男三人で充分だと言ったのだが、頑として聞かなかった。
 そして今、二人――もとい、一人と一匹の物言わぬ身体は、穴の中に仰向けに寝かされている。
 世直しマンは、二度と覚めない眠りにつきながらも、満足気な笑みを浮かべているバッファローマンの顔を眺めた。
 ――共にリングへと上がる夢は、叶わなかったな。
 だが、この世界において、お前と共に悪へと立ち向かうことが出来たことを、私は誇りに思う。
 後のことは、心配するな。
 お前が我々に見せてくれた正義超人の魂は、確かに受け継いだぞ――。
 続いて、その横に眠る、無残な姿と成り果てたチンパンジーの亡骸を見つめる。
 もう少し早く辿り着くことが出来ていれば、お前も救うことが出来たのだろうか。――すまない。
 お前の無念も、我々は背負うと、誓おう――。
「お別れだ。――我々の闘いを、どうか、見守っていてほしい」
 土を被せていく間は、誰もが無言だった。
 俯くルフィの目元は、麦藁帽子の唾に隠れて確かめることが出来ず。
 ルキアは、唇をきつく引き結んでいて。
 ボンチューも、無表情を保ったまま黙々と手を動かして。
 死者との別れは、そうして、終わった。
320"仲間"ということ ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 02:57:12 ID:iygHOF4T0
 かすかに感じた人の気配に、イヴは重たい身体を起こした。
 ドアへと向けて鋭い視線を飛ばしたが、気配の正体がすっかり見慣れた麦藁帽子であることに気付いて、すぐさま安堵の笑みを浮かべる。
「ルフィさん……」
「わりィ。起こしちまった」
「ううん、起きていたから。……見に来て、くれたの?」
「ああ。ケガ、もういいのか」
「一人で歩くくらいなら、多分、もう大丈夫。――いつまでも、お荷物のままじゃいられないもの」
 最後の一言は決意表明も兼ねていたが、実際その程度にはもう回復出来ていた。
 整った環境で身体を休めることが出来たため、若干ではあるもののナノマシンの回復速度が増したということらしい。
 世間一般的に見ればまだまだ大怪我の部類に入るのだろうが、そうも言っていられないのが現状であろう。
 ルフィにしろ、世直しマンにしろ、自分を背負っている間はほとんど無防備の状態になってしまう。負担もかかる。
 自分が足手まといになっては、ならないのだ。
 ――私のせいで、これ以上、誰かに死んでほしくない。
「……私も、みんなの役に立たないと……強く、ならないと、いけないから……」
「強くなりてェのは、誰だって同じだ」
「――え?」
 半ば独り言に近かった自分の声に対し、当たり前のようにルフィがそう答えたので、イヴは彼の顔へと視線を向けた。
 声を荒げる訳でもなく、ただ静かに、ルフィが続ける。
「おれはウソをつけねェ。ウソにする気なんかなかった。角のおっさんを助けられるって思ったから、おれは絶対に助けるって言ったんだ。
 でも、角のおっさんは死んじまった。あのウォンチューってやつが言ってたみたいに、おれが言ったことはウソになっちまった。
 ウソになっちまったのは、おれが弱かったからだ」
「それは――違うわ。あのヒーローの人が、死んだのは――」
 ウォンチューではなくボンチューだ、という指摘はともかくとして。
 ――『誰』の、せいだ?
 その思考に至ってしまったことを、イヴは自分で恐ろしいと思った。これでは、単なる責任の擦り付け合いだ。
 お前のせいだ。お前が悪い。お前が罪を償え――そんな愚かな念が、この場において一体何になるというのだろう。
 ましてやルフィは、焼き殺されたあのチンパンジーの分も、精一杯にあの氷と炎の化物と闘い、そして撃退してみせた。
 そんなルフィが弱いというなら、自分は、一体何だというのか。
 ――そう。本当に、弱いのは。
「本当に、弱いのは――あの人が、死んだのは、私のせいよ」
 苦しみを交えて吐き出したその言葉に、やはりルフィは顔色を微塵も変えないままで、答えた。
「そう。お前のせい」
321"仲間"ということ ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 02:58:02 ID:iygHOF4T0
 暫定的に割り振られた自分の部屋で、ボンチューは畳の上に横になった。
 その途端、急激な睡魔に襲われる。
 疲労困憊した身体が、すっかり根を上げていた。
 瞼が、重い。ともすれば、あっさりと意識を手放してしまいそうだ。
 ――寝る前に、やる事があるだろ、オレは。
 緩慢な動作で、部屋の脇へと放り投げたデイパックへと手を伸ばす。
 取り出したペットボトルの蓋を開け、寝転がったままでそれを口に付けた。
 渇ききった喉が、その一口で潤っていく――そのイメージは、見事なまでに打ち砕かれた。
 ……ヌルい。
 直にという訳ではなかったにせよ、火に炙られていたようなものなのだから、当然と言えば当然の話なのだけれど。
 支給されてから、時間も経っていることだし。
 ――そう、時間が経った。
 このゲームが始まってまだ初日だというのに、ボンチューには今日という日が余りにも長く感じられた。
 僅かな時間に、様々なことが起こり過ぎていた。
 頭の潰れた青年の死体。緑色の怪物。自分を助けてくれた二人のヒーロー。自らを死神と呼んだ黒髪の少女。
 険しい山道。炎と氷の化物。麦藁帽子の少年。金髪の少女。
 貫かれる、超人の身体。
 『あきらめんな』という、その一言。
 燃え広がる、全て。
 麦藁の少年が、怒っていた。
 黒髪の少女が、怒っていた。
 ――泣いていた。
「……」
 蓋をし直したペットボトルを無造作にデイパックへと突っ込んで、ボンチューは立ち上がった。
 部屋を踏み出すその一歩は、思ったよりもずっとずっと、重い。
 託された思いの分の、重みだろうか。
 弱い自分と袂を分かつために必要な、覚悟の重みだろうか。
 ただ一つ、分かっていることと言えば。
 それら全部を背負うことが出来なければ、今度こそオレは何も護れないだろうという事だけだった。
322"仲間"ということ ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 02:58:52 ID:iygHOF4T0
 ――私の、せい。
 胸中で繰り返した言葉が、酷く、重く、心に圧し掛かる。
 自ら認めた事実に、何の迷いもなく肯定された。にも拘らず、ショックを受けている自分がいる。
 何処かで、『まさか』と高を括っていたのかもしれない。
 『お前のせいじゃない』なんて言葉を聞いて、安心したかったのかもしれない。
 けれど、これで、はっきりとした。
 潤み始める瞳を、許さない。
 ――涙を流す権利なんて、私にはない。
 私のせいで、あの人は死んだのだから。
 私が、弱いから――。
「それから、ウォンチューってやつのせい」
 そう、ウォンチュー――

 ……え?

 盛大に名前を間違えたままのルフィに対して突っ込もうという気持ちよりも先に、戸惑いが全身を支配していて、言葉にならない。
 一体、何を言っているのだろうか。
「ルギアってやつもいたっけか」
 また微妙なところで間違っていたが、そんな事はもはやどうでもよかった。
 ――ルフィの、様子が、おかしい。
 自分以外の二人の名前が挙げられたことで、イヴは客観的な思考を取り戻すことが出来た。
 何かが、間違っている。こんなことを、言う筈がない。
 この少年は――『ついでなんだ。気にすんな!』――そんな一言で自分を救ってくれた、この麦藁の少年は――
「あと、鎧のおっさん――」
「――やめてッ!」
 平坦な調子で続いていた言葉の刃を、イヴは叫んで断ち切った。
 もう、限界だった。
 耐えられ、なかった。
 "仲間"への非難を止めようとしない、ルフィの残酷さと。
 ――"仲間"だと思っていたルフィの、その変貌に。
323"仲間"ということ ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 02:59:50 ID:iygHOF4T0
「……それ以上は、許さないわ」
「おれが、あいつらのせいだって言ったからか」
「……そう」
「あいつらのこと、弱いって思ってるからか」
「……あの人達は、強いわ」
「角のおっさんは死んだぞ」
「それは――」
 ――『クク、ククク……ハァァーーーーハッッハァァァァァ!!!』――
「……あの、緑色の男が――」
「角のおっさんは、あいつより弱かった。だから殺されちまったんだ」
「――違、う……」
「違わねェよ。ていうか、ルギアってやつにおっさんが自分で言ってたろ。俺よりあいつが強かったって」
「……違う……!」

 毅然とした態度で言い負かすつもりだったのに、気が付けばこっちが駄々を捏ねているような格好になってしまっている。
 自分でも、何故こうもムキになっているのかよく分からなくなっていた。
 そもそも、ルフィの方こそ何故こうも変わってしまったのか。
 深い傷を負い、放っておけばそのまま死んでしまっていただろう自分を、あの屈託のない笑みで背負ってくれた少年が。
 弱い自分を見捨てないでくれた、強い少年が――。

 ――『ウソになっちまったのは、おれが弱かったからだ』――。


 ……あれ?
 ……『おれ』が?


 ――『強くなりてェのは、誰だって同じだ』――。

 そうだった。

 この口論も、全てはその一言から始まったのではなかったか。
324最強のマーダーちゃんねらー君の侵略!!:2006/05/11(木) 04:31:54 ID:xoe/WbduO
「さてと今日も何か書き込むかな…」
と仕事とから家に帰ってきたごく普通のサラリーマンである。
ただ普通の人と違うのは彼が2ちゃんネラーで漫画オタクであること。
そんなある日彼はジャンプバトルロワイヤルというスレを見つけた。ネラー歴が長い彼は大筋の話はわかった。



その瞬間彼はわけのわからぬ力によってパソコンに吸い込まれた…。
目の前にはどこかで見たような男が3人立っていた。
彼はまだ知らない……
お互いの知識がないロアイヤルのメンバーの本質を暴かせるために彼自身がロワイヤルに参加させられる事になろうとは…。



【2ちゃんネラー@サクラテツ対話編のアイデアより引用】

状態…まだよく理解しておらず。
325 ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 16:53:12 ID:iygHOF4T0
>>946
おkごめん

ちょっと早く帰って来れたんで、間に小話が入ってしまったようだけど今から続き投下します。
326"仲間"ということ ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 16:55:53 ID:iygHOF4T0
 いかにも一般家庭という雰囲気を漂わせている灰色のソファに、ルキアは腰掛けた。柔らかな綿に、軽く身体が沈み込む。
 何の気もなしにリビングへと出てきたのはいいが、結局、成すべき事がないという事実に変わりはなかった。
 他の者達と同じように、部屋で疲れを癒すという選択肢もあったのだろうが、その拍子に、眠りについてしまうことが怖かった。
 この殺し合いの中で、命を散らしてまでルキアを守り通してくれた、二人の男。
 彼らが、黄泉で、待っている。
 ――私を、待っている。

 ――そして、次に闇を垣間見る時には、あやつもその中にいるのだろう。
 あやつの手に、私はきっと、抗うことが出来ない。
 それが、夢幻だと分かりきっていても。
 私がその手を掴むことで、本物のあやつがどんな思いをするのか、分かり切っていても。
 らしくない考えだと思った。
 自分の意思の力とは、こんなにも脆いものだっただろうか。
 どれだけ現実が辛く苦しいものであっても、決して逃避などせず、立ち向かえる心を自分は持っていたような気がする。
 その強さは、仮初のものだったのだろうか。
 次々と失われていく命の束と共に、見せ掛けだけの自分の強さも、この現実に奪われていってしまったのだろうか。

 ――ならば、今の私には何が残されている?

 分からない。

 私には、何があった?

 教えてくれ。

 答えなど、私にはまるで見つけ出すことが出来ぬ。

 闇の中からでも、構わない。私も、傍へと往くから。だから。

 答えて、くれ。

 一護――。
327"仲間"ということ ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 16:57:30 ID:iygHOF4T0
 気が付けば、視界はあの時と同じ闇に覆われていて。
「……ア」
 歩を進めればきっと、彼らはその先にいるのだろう。
「……ルキア、おい」
 そうして、あの時と同じように、黒へと飲み込まれようとする私を繋ぎ止めるのは。
「……ルキア、ルキアッ! 聞こえてねえのかよ、返事しろッ、ルキアッ!!」
 ――あの時と同じ力強さを持った、現実の"仲間"が伸ばした手だった。

「……あ……」
 滲んだ視界のその先に、男の顔があった。
 歪んで見える表情は何故か、泣き出しそうな印象をルキアへと与えたが、手の甲で拭った水のカーテンの向こう側にいる男の顔は、
 思い出せる姿と何ら変わらない、無愛想な感じの無表情を浮かべたままだった。
「――助平」
「……やっとの第一声がそれかよ」
 心配して損したぜ、そう言って吐息を漏らすボンチューの振る舞いには、何処となく余裕というか、堂々とした調子が感じられる。
 何があったというのだろう。
 何となく驚きで二の句が告げないルキアを前に、ボンチューはルキアの肩を掴んでいた両手を離して、それから一言、
「悪かったな」
 それだけ言った。
「――は?」
 思わず、そう聞き返してしまった。
 まさかこの男から、侘びの言葉などというものを聞くことになるとは――というか、そもそも、何に対しての?
「いや――だからよ、その……何ていうか」
 向こうも予想外の反応だったのか、困った様子で頭を掻いている。
 前から気付いていたことだが、どうもこの少年は『言葉で何かを説明する』ということが実に苦手な質らしい。
 ただ、以前は自分からその事を面倒臭がって会話を断ち切ってしまっていたが――今度はどうも様子が違う。
 不器用ながらも、ルキアと向き合うその両目には、一生懸命に思いを伝えようとする光が確かに込められていた。
「オレ――散々、滅茶苦茶なことばっか言って。勝手に逆ギレして、当り散らして。お前のこと、怒らせたろ。
 ルフィにも言うけど、先に、お前に謝っときたかった。
 ――泣いてたから、お前」

 ――こいつ。
328"仲間"ということ ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 16:59:08 ID:iygHOF4T0
 思い返すのは、心の底まで直接響く、皺枯れた老人の愉快そうな声。
 葬列に加わりし者達の名の中で、早々に読み上げられたその名前。
 戯言を弄する――その一言で切って捨てることが出来れば、どんなに楽だっただろうか。
 同時に呼ばれた、正義超人を名乗る角の生えた大男。彼が生きてさえいれば、本気でルキアは一護の死を信じなかったかもしれない。
 しかし――
『角のおっさん、息、してねェ。死んじまった』
 誰にも気付かれることはなかったが、本当はその一言が頬を濡らすきっかけだったのだ。
 彼の死が真実であろうと、一護の死だけは偽りに違いない。
 そう思えるほどルキアは弱くもなかったし、強くもなかった。
 そうして、様々な思いが頭の中で混ざり合い、訳が分からなくなっていた時に、怒鳴り声が届いてきて。
 聞いてみれば、目の前のたわけがたわけた事をほざいていて。
 だから頬を張った。
 それが、あの山で起こったことの顛末。
 ――とどのつまり、ボンチューがルキアの怒りの琴線に触れてしまったのは確かなのだが、
 涙の直接の原因は彼という訳ではないので、その事に関しては謝られてもルキアには返す言葉が無いのであって。
 ――しかし、まあ。

「もう一度言う。――悪かった」


 不器用ながらも――その声は、とても、とても真剣に響いて。

 だから、野暮な指摘を告げるのは、止めておくことにした。


 ――なあ、一護。私は"仲間"に出会えたぞ。
 貴様と同じ、酷く不器用でいながら、酷く一生懸命な大莫迦者だ。
 莫迦だから立ち直るのも早いが、その分落ち込むのも早いときている。
 そんな危なっかしい奴を、放っておく訳にもいくまい――?

 顔を上げたボンチューに向け、ルキアはふっと唇の端を軽く吊り上げ、不敵な笑みを浮かべてみせた。
 それが、不器用な謝罪の言葉に対する答えだった。
329"仲間"ということ ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 17:08:05 ID:iygHOF4T0
「イヴ」
 飄々としたその口調は、今までと何ら変わりない。
 何ら変わらないその声を、まるで聞き入れようとしなかった、さっきまでの自分。
 何故だろう。今は――耳を傾けることが出来ている。
「角のおっさんが死んだのは、自分が弱いからだって言ったよな」
「……うん」
「弱いお前が、おっさんの死んじまったワケを、ずっと背負って生きてくのか」
「……」
「重てェだろ、そんなの」
「……!」
 確信を突かれたというのは、こういう時のことを言うのだろうと思った。

 ――『そう。お前のせい』――。

 本当に、ついさっきの出来事。
 思慮も覚悟も足りなかった自分は、その一言だけで潰されそうになってしまって。
 何から何まで、ルフィの言うとおりだった。
 命の重みなんてものは、勢いだけで生まれたような、半端な気持ちで背負いきれるものではなかったのだ。
 ――それを彼は、最初から、分かっていたんだ。
 だから、ボンチューを。
 ルキアを。
 世直しマンを。
 そして――

 ――『ウソになっちまったのは、おれが弱かったからだ』――。


 一人では、背負いきれない重荷であっても。

 その重荷を分け合える、"仲間"がいるなら。

 決して、押し潰されることなどないのだ――。
330"仲間"ということ ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 17:09:36 ID:iygHOF4T0
「イヴ」
 飄々としたその口調は、今までと何ら変わりない。
 だというのに、たった一言名前を呼んだだけのその声が、自分を優しく諭そうとしているかのように響くのは何故だろうか。
 それが気の持ち様による変化だというのなら、自分はどれだけ愚かなのだろう。
 彼は、何一つ変わっていなかったということだ。
 『海賊王』になるという、偉大な夢を持った麦藁の少年の、"仲間"に対する目一杯の思いやりと、優しさは。
「言ったろ? 強くなりてェのは誰だって同じなんだ。
 おれだってそうだし、鎧のおっさんも、ウォンチューも、ルギアだってきっとそう思ってる。
 ――だから、イヴも強くなりゃいい! 鎧のおっさんもウォンチューもルギアも、おれだってもっと強くなる!
 それで、角のおっさんを殺したあいつらも、他のわりィやつらも、 『みんな』で倒すんだ!
 それが! "仲間"ってことだろ!!」
 そう言って、満面の笑みを浮かべるルフィ。
 あっけらかんとした調子で、語られた信念。
 当たり前のことを、当たり前のように言える強さが。
 とても――眩しい。
 ――ああ、まただ。
 彼の笑顔とその言葉は、ちっとも悲しくなんかないのに、私の心を強く揺さぶるのだ。
 悲しくないときに流れるそれの正体を、私は知っている。
 もう、堪える理由なんて何処にもなかった。

「……うん……!」

 『強くなろう』と、何の足枷もなくそう言える。
 自分のために。仲間の、ために。
 私はもっと、強くなろう――。

 頬を撫でるように伝わる雫が、今は冷たく心地良い。
 だから、水滴の通う跡を拭いもせずに、イヴはルフィへと微笑みを返した。

 ぎゅるるるるる
「うおぉぉぉ腹減ったぁーっ! イヴ、わりィけどなんか食いモン持ってねェか?」
「……ルフィさん……」
331"仲間"ということ ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 17:12:13 ID:iygHOF4T0
 その直後、タイミング悪くルフィに対しても侘びを入れに来たボンチューの食料が、
 ものの数分で跡形もなくなってしまったことは言うまでもない。
「わりィ。全部食っちまった」
「アホかテメーはぁッ!!」
「喧しいぞたわけめ。果物の一つや二つ如きで卑しいとは思わんのか」
「一つや二つじゃなくて丸ごと全部食われたんだよッ!!」
「……痩せの大食い……」

「――状況が分からん」
 騒がしさのあまり部屋の様子を見に来た世直しマンは、室内を見回してそれだけ呟いた。

 悪夢の一日目が終わるまで、残された時間は後僅か。
 与えられた平和な一時を、彼らは有意義に――一人を除いて、過ごすことが出来たという。



【福島県北部・民家/夜

【世直しマン@とってもラッキーマン】
[状態]中程度のダメージ、中度の疲労
[装備]:世直しマンの鎧@ラッキーマン、読心マシーン@ラッキーマン
[道具]荷物一式
[思考]:1、関東方面へと移動。
     2、ラッキーマンを探す。
     3、ゲームから脱出し主催者を倒す。

【朽木ルキア@BLEACH】
[状態]:右腕に軽度の火傷
[装備]:コルトパイソン357マグナム 残弾21発@City Hunter
[道具]:荷物一式、バッファローマンの荷物一式、遊戯王カード(青眼の白龍・次の0時まで使用不可)@遊戯王
[思考]:1、関東方面へと移動。
     2、ゲームから脱出。
332"仲間"ということ ◆7euNFXayzo :2006/05/11(木) 17:13:19 ID:iygHOF4T0
【ボンチュー@世紀末リーダー伝たけし】
[状態]ダメージ中、中度の疲労
[装備]なし
[道具]荷物一式(食料ゼロ)、蟹座の黄金聖衣(元の形態)@聖闘士星矢
[思考]:1、ルキアを守る。
    2、関東方面へと移動。
    3、もっと強くなる。
    4、これ以上、誰にも負けない。
    5、ゲームから脱出。

【モンキー・D・ルフィ@ONE PIECE】
[状態]:わき腹、他数箇所に軽いダメージ、両腕を初め、全身数箇所に火傷
[装備]無し
[道具]荷物一式(食料ゼロ)
[思考]1、"仲間"とともに生き残る。
2、関東方面へと移動。
3、悟空・自分とイヴの仲間を探す。
4、悟空を一発ぶん殴る。

【イヴ@BLACK CAT】
[状態]:胸に刺し傷(応急処置済み。血は止まっている)、中度の疲労(走るとなると若干苦しい)
[装備]いちご柄のパンツ@いちご100%
[道具]無し
[思考]1、"仲間"とともに生き残る。
2、もっと強くなる。
3、関東方面へと移動。
4、トレイン・スヴェン・月との合流。
5、ゲームの破壊。
333弱肉強食/DIOが私を呼んでいる ◆kOZX7S8gY. :2006/05/11(木) 21:07:05 ID:OfPsLZ0e0
 その街には、明かりが灯っていた。
 居酒屋、コンビニ、ファミレス、ゲームセンター、数多の看板がライトアップされている。
 赤や青や黄色、色だけでいえばなんとも賑やかな市街に思えるが、現実のそこには賑わいなど皆無。
 なにせ、人がいない。仕事帰りのサラリーマンや、夜まで遊び通す若者。居てもよさそうな人間がまったく居ない。
 時刻が夜――というのは理由にはならないだろう。どんな時間帯だろうと、人にはそれぞれの活動時間というものが存在する。
 それは職業や人種、体質や交友関係など色々な要素で変わってくるが――彼の場合はどうだろう?

 人気のない夜の街を徘徊していたのは、マミーという名の一人の少年。
 具体的な場所は分からない。ここが何県で、どんな名前の街なのかも。
 だが、ここが「殺し合いの舞台」だということだけは理解している。人が人を殺し、人が人に殺される。それが当たり前の世界。マミー自身は、殺しも殺されもしていなかったが。
 ……これからは、どうだろう?
 殺られる前に殺る。これだけは心に決めていたはずだ。殺すことはあっても殺されることは絶対にない。それがマミーの今後だ。

  『――マミークン』

 誰がどう思うが、知ったことか。
 敵が来れば倒す……違う、殺す。
 殺す……? 殺せば死ぬ……あいつのように、人が。

「………………」

 無言で、あてもなく歩き続ける少年の心は、複雑だった。
334弱肉強食/DIOが私を呼んでいる ◆kOZX7S8gY. :2006/05/11(木) 21:07:58 ID:OfPsLZ0e0
「前を見て歩かないと危ないぞ?」
「――あ?」
 マミーに声を掛けたのは、人間――この場合その者が本当に"ヒト"かどうかは問題ではない――初対面ながら、殺す殺されるの関係を持った生物。
「なにしろ夜道は暗い。いくら街灯が灯っているとはいえ、目の慣れぬ内では不便だろう? 例えば、こういう状況の場合などに」
「……」
 マミーに会話をする意思はなかった。が、それでも声を掛けてきた男は喋り続ける。マミーに向かって。
「見たところまだ若いようだが、どうやって今まで生き延びてきたんだ? 興味があるのだが、よければ話してくれないかな? ん?」
「……るせぇ」
 まどろっこしい。マミーが男に対して抱いた印象は、それだけだった。
 男の目的は自分を殺すこと。それなのにこんな意味のない会話を持ちかけてくるなど、まどろっこしいと言う以外になにか適切な言葉があるだろうか。
 同じような意味の、もっと難しい言葉があるかもしれないが、少なくともマミーはそんなものは知らない。というよりも、どうでもいい。
 重要なのは、男が「殺る気」だということ。人を小ばかにしたような言動と、不敵な笑み。武器こそ確認できないが、ほぼ間違いない。
 ならば、こちらは「殺られる前に殺る」だけだ。そのためにはこちらも「殺る気」になる必要がある。

(…………今さらそんな確認はいらねー)

 既に決めたことだ。ここは殺し合いの舞台で、殺すか殺されるかで、生きるか死ぬか。
 ――弱肉強食。そんなもの、今までマミーが暮らしてきた世界となんら変わりないではないか。
 
「ッおらぁ!」
 気に入らない奴は、いつだって己の拳で黙らせてきた。

「――――!?」
 しかし、それはそいつが弱者だったから。

(…………いねぇ!?)
 マミーよりも高位に位置する――強者の場合。それが今。
335弱肉強食/DIOが私を呼んでいる ◆kOZX7S8gY. :2006/05/11(木) 21:08:32 ID:OfPsLZ0e0
「いいパンチだ。だがもっと殺傷能力の高い武器は持っていないのか? 拳だけで全員を殺して回ることなど不可能だと思うぞ」
 マミーが男に向けて放った拳は、敵を捉えることなく空を切った。
 これは「殺る気」の問題ではない。簡単には覆せない、実力の問題。
(こいつ……一体いつの間に!?)
 男は、マミーの後方で笑みを浮かべていた。マミーの拳を避け、反撃をするでもなく、ただ笑っている。
「それと……どこか拳の軌道が曲がっているぞ。何か心理的に辛いことでもあったんじゃないか? 例えば」
 男は何者なのか。殺すか殺されるかのこの状況で、マミーは突然そんなことを考え始めた。ひょっとしたら、この時点で既に興味を持ち始めていたのかもしれない。
「――知り合いが死んだ……いや、殺されたか」
「…………!!!」
 マミーが拳を振るう。荒々しく、乱暴に。威力もキレもあったものじゃない、怒りに任せたチンピラのパンチを。
 しかし、そんなものがこの男に通用するはずもなく。男が持つ"能力"を使うまでもなく、マミーは圧倒されていた。
 それでも、男は決して攻撃は行わない。ひたすらにマミーの攻撃をかわし、微笑み、話しかける。 
「無駄の多い攻撃だな。感情というものは、攻撃を行う際では邪魔にしかならない。それが悲しみのような負の感情の場合、尚更だ」
「……いちいちうるせぇんだよっ!!」
 マミーは執拗に拳を繰り出すが、
「なんなら、私が攻撃の仕方というものを教えてやろうか?」
「!」
 その腕は、いとも容易く男の手に掴み取られた。
 ――殺られる!
 弱気というものを知らないマミーでも、この一瞬ばかりは死を覚悟した。
 恐怖はしなかったが、代わりに脳内に流れ込んできたのは、ある少女の死に様。
 この殺し合いの舞台で死んでいった……弱者の姿だった。
(俺は…………!)
 マミーは、強者だった。元の世界では。
 だがこの世界ではどうだ。昼間出合った泥棒と紳士、少女を殺した人物、そして目の前の男。彼らと同じ世界に存在していても、マミーは強者に分類されているのだろうか。
 弱肉強食の意味は、"強き者が生き弱き者が死ぬ"ということ。
(俺は…………強い"はず"だ!)
 最後まで、マミーは自分の強さを信じた。
336弱肉強食/DIOが私を呼んでいる ◆kOZX7S8gY. :2006/05/11(木) 21:13:06 ID:OfPsLZ0e0
「…………夜ももう遅い。良ければ寝床を紹介しよう」
「は?」
 死を覚悟した……はすだったが、世界はまだマミーを生かしていた。
「寝床……だと?」
「そうだ。夜といえば誰しもが身を休める時間。それでなくてもこの世界では常に緊張を張り巡らせなければならない。安全に休息が出来る場所というのは必須だろう?」
 生きるか死ぬか、それしかない殺し合いの現実を悟ったマミーには、信じられないような提案だった。
 この言葉の真意はなんだ? 既に力の上下関係はハッキリした。なのになぜ自分は殺されない――?
 混乱するマミーを尻目に、男は笑いながら歩き続ける。完全に背を向けて状態で、無防備な隙を見せながら。
「おもしれぇ……」
 マミーは、これを男の挑発ととった。わざと隙を見せ、自分をコケにしているのだと。
 だから、乗ってやった。男の真意がどこにあろうとも、行き着く先は生と死。それは揺ぎ無い――だからあいつも死んだんだ――はずだ。
 男の後ろをマミーが歩く。機を窺いながら、強者になり得る時を待ち望む。





 数時間歩き、男は山の中の廃屋へとやって来た。
 先程まで居た街よりも、さらに人気のないそこは、おおよそ身を休める場所としては相応しくない。
 男は何を企んでいるのか、マミーは必死に考える。男の真意を掴み取ることに遅れれば、死が近づく。
(……俺は絶対に死なねぇぞ……)
 マミーは強者であり、弱者ではない。高らかに勝どきを上げることはあっても、惨めに苦汁を飲むことは決してない。
 そうでなければ、いけない。
 張り詰めた緊張を解かないマミーは、男が薄汚れた小屋に入っても睨みを利かせ続ける。
 そして、男が一声。
「そこに布団と毛布がある。君はそこで寝るといい」
 男は、目的地に着いて未だなお殺し合いの姿勢を見せなかった。
「ここで俺に休めだと……はっ、やなこった」
 元よりマミーは身を休めることなど考えてはいない。マミーが考えているのは、男の行動の真意、殺されない術、殺す術、この三つだけ。
337弱肉強食/DIOが私を呼んでいる ◆kOZX7S8gY. :2006/05/11(木) 21:20:11 ID:OfPsLZ0e0
 敵を目の前にして寝るなど、弱者以下の馬鹿のすることだ。マミーは決して男の言葉には乗らない。
「心配する必要はない。私もこの部屋の隅で休息を取る。分かるか、この意味が?」
 一瞬考えるが、マミーには理解できなかった。遠まわしに親睦を深めたいとでも言っているのだろうか。
 しかし、出てきた言葉はこの世界の理に叶っている内容だった。
「お互いが、寝首をかける位置にいるということだ」
「……なんだと?」
 小屋の中は人二人くらいでも窮屈に思えるような狭さ。一瞬でも隙を見せれば、逃れる場所など存在しない。
 そこで、二人の男が寝る。ここで注意しなければならないのは、二人とも殺し合いの真っ最中だということ。そして、二人とも死ぬ気はない。
 これらの状況から、彼らが取る行動は一つ。それは、安易に睡眠をとることではない。
「それともう一つ。君にこれを渡しておこう」
 そう言って男が差し出したのは、一枚の手裏剣。マミーは訝しげにそれを睨みながら、黙って受け取る。
「それには"刃"がついている。人の皮膚に近づければ傷がつき、血を体外に放出させることが可能な道具だ」
 当たり前の説明にも、マミーは耳を背けなかった。男が喋る一文字一文字、そこにどんな意味が隠されているのかを掴み取ろうと。
「それを人体のどこに近づけるか……首、眼、額、口内、血管、どこが一番有効か、よく考えて身を休めるといい。なに、深く考えることはない。このつまらない世界での一興、ゲームだとでも思ってもらえればいい」
 男は、決して"殺し合い"と言う言葉を口には出さなかった。最後まで自分にその気はないと思わせたいのだろうか?
「そして寝る前にもう一つ、良ければ名前を聞かせてもらえないか?」
「マミーだ」
 迷うことなく、マミーは自分の名前を即答した。ここで臆病風に吹かれて名前を明かさないなど、マミーと言う男の度胸では考えられない。
「そうか。ではマミー、君はしばらくゆっくり休むといい。ちなみに私の名前は……」
「いらねぇよ。どうせ名前で呼び合うことなんてねぇんだからな」
 どうせ、朝までにはどちらかの名前がなくなる――そう思っていたのは、マミーだけなのだろうか。
「ククク……それもそう、なのかな? まあいい。とにかく、背後には気をつけて休息を取ることだ。お互いに、な」
 男は、それ以上喋らなかった。マミーも同様に、互いが背を向けて休息をとる。
 もっともそれは形だけ。二人とも、本心はまったく別のことを考えていた。
338弱肉強食/DIOが私を呼んでいる ◆kOZX7S8gY. :2006/05/11(木) 21:21:22 ID:OfPsLZ0e0

(私以外の吸血鬼に波紋使い……私の方では接触することが出来なかったが、思わぬ収穫はあった)

 形だけの睡眠をとりながら、男は考える。

(一日目も終了に近づき、参加者の人数は最早半数ほど。その参加者の何人かは、徒党を組んでいるものも多いだろう)

 波紋使い……正義超人……道着や麦わらの男など、厄介な参加者もまだ多い。

(これらを一掃するのに一番有効な手は、"数"だ。実力があるかどうかは問題ではない。大切なのは使えるか使えないか。人を殺せる精神を持っているかいないか)

 男は背を向けたまま、眠っているように見えるマミーに目を向ける。

(その点では、彼は優秀だ。彼が背負う"悲しみ"がなんなのかは知らぬが、今の彼の精神は限りなく不安定。今はまだ緊張を張り続けているが、崩壊の日は近い)

 その時こそが、男の待ち望む時。

(フフフ……喜ぶがいいマミー。君は選ばれたのだよ、この"DIO"に!)

 傷ついた少年の精神は、最早その男の手の平の上にあった。
 そこで踊り続けるか、はたまた必死に暴れまわるかは、少年しだい。
339弱肉強食/DIOが私を呼んでいる ◆kOZX7S8gY. :2006/05/11(木) 21:22:22 ID:OfPsLZ0e0

 一方、DIOと行動を共にしていたはずのウォーズマンは、ある一人の女性と接触していた。
「――キュウケツキ! キュウケツキ!」
 DIOの捜し求めている存在――吸血鬼と波紋使い。
 数時間前、DIOはその二つの存在を確かめるべく、山小屋を出た。
 その際ウォーズマンには西を重点的に捜索するよう指示しておき、DIO本人は東で捜索を展開していた。
 西にウォーズマンを放ったのは、吸血鬼や波紋使いが休息を取っているとするならば、まだそこに留まっている可能性が高いから。もちろん既に移動しているという場合もある。だからこそ、DIOは二手に分かれたのだ。
 そして、ウォーズマンは見つけた。発見したのは――吸血鬼の方。
「そんな……この人、人間じゃないの!?」
 不気味な笑顔を浮かべる黒ずくめの襲撃者に、吸血鬼となった東城綾は困惑していた。
 西野つかさを優勝させるため、他の参加者を皆殺しにすると誓った矢先、早速現れた獲物。
 しかし、綾の持つ殺傷手段である"吸血"は、ロボット超人であるウォーズマンにはまったく通用しなかった。
 血が吸えなければ、綾の能力は無に等しい。少なくとも、無情な氷の精神を展開したファイティングコンピュータに対抗する術はない。
 だが、ウォーズマンの目的では綾の殺害ではない。
「キュウケツキ! ツレテク――"DIO"ノトコロ!」
 笑いながら叫んだその名に、綾は耳を疑った。
「――DIO?」
 聞き覚えがある名前だった。

 ―――"DIO"の他にも"仮面"を被った人間が、このゲームに参加しているとは思わなかったわ―――

 たしか、西野つかさと行動を共にしていた女性が口にしていた名前。綾と同じ境遇に置かれている、男性の名前だった。
(この人は……DIOの仲間?)
340弱肉強食/DIOが私を呼んでいる ◆kOZX7S8gY. :2006/05/11(木) 21:27:00 ID:OfPsLZ0e0
「コイ! DIOノトコロニ!」
(この人についていけば……DIOに会える?)
 DIOという人物が、どんな人間なのかどうかは分からない。しかし、興味はあった。
 DIOも吸血鬼なのだろうか? このゲームには乗っているのだろうか? ひょっとしたら、私の知らない吸血鬼の秘密を知っているのではないか?
 綾のDIOに対する興味は、徐々に膨れ上がっていく。
「…………いいわ。ついて行ってあげる。私をDIOのところに連れて行って、ロボットさん」
「――マカセロ! DIO、ヨロコブ!」
 綾が出した結論は、DIOとの接触。
 ウォーズマンや波紋使いの女性など、自分の力が通用しない参加者もいると知った以上、利用できるものは全て利用しなければ。
(生き残るは西野さん、あっちの世界で真中君と再会するのは……私)
 狂気の吸血鬼は、愛しき男のことを忘れたりはしない。
 恋敵と思い人を会わせないため――綾はこの殺し合いの舞台を立ち回らなければならない。


 ―――"DIO"が私を呼んでいる―――



【愛知県と長野県の境・山中の廃屋/真夜中】

【マミー@世紀末リーダー伝たけし】
 [状態]:健康
 [装備]:フリーザ軍戦闘スーツ@ドラゴンボール、手裏剣@ナルト
 [道具]:荷物一式(食料と水、一食分消費)
 [思考]:1 寝るフリしながら、隙を見てDIOを殺す。自分自身は絶対に隙を見せない。
     2 現実を悟る。誰が相手でも殺られる前に殺る。
     3 とりあえずヨーコを殺したヤツは優先で殺す・・・?(複雑)
     4 消えない傷が心に出来た。
341弱肉強食/DIOが私を呼んでいる ◆kOZX7S8gY. :2006/05/11(木) 21:28:08 ID:OfPsLZ0e0
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]:体力90%
 [装備]:忍具セット(手裏剣×8)@ナルト
 [道具]:荷物一式(食料の果物を少し消費)
 [思考]:1.マミーの精神を掌握、利用する。
    2.ウォーズマンの帰りを待つ。
    3.吸血鬼と波紋使いとの接触。
    4.悪のカリスマ。ウォーズマンを利用する。
    5.(・・・・・・・・。)


【岐阜県/真夜中】
【ウォーズマン@キン肉マン】
 [状態]:精神不安定・体力微消耗
 [装備]:燃焼砲@ワンピース
 [道具]:荷物一式(マァムのもの)
 [思考]1.次の放送までには、綾をDIOの下に連れて行く。
    2.可能ならば波紋使いも見つけ出し、DIOの下に連れて行く
    3.DIOに対する恐怖/氷の精神
    4.DIOに従う。

【東城綾@いちご100%】
 [状態]:吸血鬼化。右腕なし。波紋を受けたため半身がドロドロに溶けた。最高にハイな気分。
 [装備]:特になし
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1.ウォーズマンについて行き、DIOと接触する。
     2.西野以外の全ての参加者の殺害。
     3.DIOに興味。
     4.真中くんと二人で………。
    ※綾は血を吸うこと以外の吸血鬼の能力をまだ知りません。
342カメレオン八つ裂きシチュー ◆IzTadiTZZ. :2006/05/11(木) 22:06:05 ID:FhIm7WJX0
ヤムチャの周りには、黒い陣が張られている。
これに触れれば即死だろう。
ヤムチャは、悟ったように何かを語り始めた。

「かめはめ波は4つの種類があるのを知っていますか?
 一つは、通常のかめはめ波。
 二つは、対空用。三つは、真上から打ち落とすかめはめ波。
 そしてこれが・・・」

ヤムチャは体を後ろに捻る。

『か め は め 波 ―零式― !!!!』

 
343カメレオン八つ裂きシチュー ◆IzTadiTZZ. :2006/05/11(木) 22:07:18 ID:FhIm7WJX0
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.タカヤをころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。

【タカヤ@生存確認】
「おーい!悟空、どこだー!返事しろー!」
「ちょ、ヤムチャさん!何やってるんですか!?」
「何って、悟空を捜してるんだよ」
「大声出したら危険な参加者に見つかるかもしれないじゃないですか!」
「あ、そうか、悪い悪い。何せブルマが生き返るってのがわかったからハイになっててなー」
「全くもう・・・」

ヤムチャとサクラは悟空を捜して北に向かっていた。
その間ヤムチャの気は緩みっぱなしで、スカウターを使って慎重に行動しようとしているサクラをイライラさせた。
サクラはクリリンの話を信用しておらず、ヤムチャのように楽観的にはなれなかったのである。
クリリン達と別れてからしばらくして、スカウターに二つの反応が現れた。

「ヤムチャさん、大きな反応が二つ出ました!」
「何っ!どの方角だ?」
「地図で見ると・・・一つは富山県、一つは石川県で停止していますね。石川県の反応は二人分、富山県の反応は一人分です」
「・・・フフン。サクラ、悟空の居場所がわかったぜ」
「本当ですか?」
「まあ、俺の名推理を聞いてくれ。悟空には友情マンとかいう奴がついていったんだろ?」
「なるほど、つまり悟空さんは石川県に・・・」
「チッチッチ、甘いなサクラ、それは素人考えってもんだ。ズバリ悟空は富山県にいる!」
「な、何でですか?」
「悟空がそんな怪しい奴に負けるはずないからだ!友情マンが悟空を追いかけて襲おうとしたとしても、必ず返り討ちにするだろう。
つまり、二人で仲良く一箇所に留まっている石川県の反応が悟空だということは有り得ない!」
「・・・それはちょっと安直すぎじゃ・・・」
「さあ、そうと決まれば急ぐぜサクラ!」
ヤムチャは勝手に結論づけて駆け出す。

「・・・もう・・・」
サクラのウンザリした溜息が漏れた。


数十分後、富山県にて

茂みに身を隠して、傷だらけの人物を眺めるヤムチャとサクラ。
「あの人が悟空さんですか?」
「・・・違う。何故だ、おかしい、俺の推理は完璧だった筈だ!」
「でも違うんでしょう?」
「ぐ・・・。そうだ!悟空はもっと東のほうに行ったんだ!なんだ、俺としたことがこんな初歩的なトリックに・・・」
「声が大きい!」
「そこにいるのは誰です?」
リンスレットの墓に黙祷を捧げていたその男――――――アビゲイルが茂みに向かって問いかけた。

「ほら!バレちゃったでしょーが!」
「まあ待てサクラ、これはひょっとしたらチャンスかもしれないぞ」
「ハァ!?」
「悟空といえども大勢の参加者を殺すのは骨が折れるかもしれない、計画に逆らう奴もいるだろうしな。
そんな奴らを倒すのが俺達の目的だろ?つまり俺があいつを殺せばひとつゲーム終了に近づくってわけだ!グッジョブ俺!」
「さっき『大きな反応』って言ったでしょ!?あの人強いですよ!それにまだドラゴンボールのことも話してないのに・・・」
「俺にまかせとけ!何せ俺は超神水の試練を克服した男だぜ?そこのお前!俺が相手だ!」
「待っ・・・」

茂みの中からヤムチャが飛び出し、アビゲイルに向かって叫ぶ。
「やいお前!後で復活させてやるからおとなしく死ぬんだな!」
「・・・?言っている意味がよくわかりませんが、あなたはゲームに乗っているという解釈でよろしいのでしょうか?」
「食らえ、狼牙風風拳!」

ヤムチャが狼のような動きでアビゲイルの懐に潜り込み、その胸に拳を叩き込む。
「フッ・・・決まった」
「決まってませんよ」
「な!?」
ヤムチャの拳を喰らっても微動だにしないアビゲイルが、ディオスクロイを振り上げる。
「ぐぎゃあっ!」
ヤムチャは無様な叫び声をあげて吹っ飛んだ。
アビゲイルの胸に仕込まれた排撃貝が拳撃の威力を吸収したのだ。
「く、くそ・・・狼牙風風拳が効かないなんて・・・だが、俺の技は狼牙風風拳だけじゃない!行くぜ!操気弾!」
しかし何故か操気弾をうまく作ることが出来ない。
「な、何故だ・・・俺は超神水でパワーアップしている筈なのに・・・」
サクラのツッコミが飛ぶ。
「大蛇丸の五行封印でチャクラがうまく練れなくなってるでしょー!もう忘れたの!?」
「しまった!そういえばそうだった!・・・だが!それでもこんなボロボロの奴には負け」
「赤斬光波!」

アビゲイルの眼前から赤熱する光線が発射され、近くの細木を切り倒す。
焼け焦げ、切断された木の断面を見て、ヤムチャは、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フッ、悟空がいればお前なんか瞬殺だ!覚えてろよー!」
そう言って負け犬の如く逃げ出した。サクラを置いて。
「ちょっ、逃げるの!?」
(すまんサクラ、悟空とピッコロがいればこのゲームは終わるんだ。きっと生き返らせてやるからな・・・)
脳内で勝手にサクラを殺し、ヤムチャは悟空が向かったと(自分で)断定した東へと逃げ出した。

「し、信じらんない!私を置いて一人で逃げ出すなんて!」
「さて・・・お嬢さん」
「ま、待ってください!私は別にゲームに乗っているわけじゃ・・・」
「それは茂みの中のあなたがたの会話を聞いていれば大体察しはつきましたが・・・
一体何故彼がああなったのか、詳しく話を聞かせてはもらえないでしょうか?」
「え、あ、はい、わかりました。実は・・・」
サクラはクリリンのこととドラゴンボールのことをアビゲイルに話した。
話が終わった後、アビゲイルの顔は難しく歪んでいた。

「クリリンに、ドラゴンボールですか・・・」
「どうかしたんですか?」
「実はクリリンという男は、私の仲間を殺した殺人者なんですよ」
「え!?」
「それだけならいいのですが・・・いえ、よくはないのですが、まだマシでしたね。
クリリンが殺した私の仲間の、ブルマという女性はクリリンの昔からの知り合いだったのですよ」
「ちょ、ちょっと待ってください!ブルマって・・・ヤムチャの恋人ですよ!その女性を殺した!?」
「ええ、つまり知り合いでも殺すほど危険な存在であるわけです」
「そんな・・・」
「もう一つ、彼の計画の要であるドラゴンボールですが・・・使えない可能性があります」
「なんで!?」
「私の支給品はドラゴンレーダーというドラゴンボールを感知するレーダーだったのですが、私が改造する前は全くの役立たずのハズレアイテムでした。
この世界にドラゴンボールがないということがわかっただけです。主催者は何故こんなアイテムを支給品に混ぜたと思いますか?
私は『ドラゴンボールなど使えないから、それに縋るのは無駄だ』という皮肉だと推測します。
ブルマさんによると、主催者の一人のフリーザという男はドラゴンボールの存在を知っている。
そんな男が、自分達が開催したゲームを『なかったこと』にできる存在を見逃すはずがありません。
何らかの対策を打っていると考えるのが自然でしょう。私はそう思います」
「じゃあ・・・ドラゴンボールは・・・?」
「封じられている可能性がありますね。このことは、ある程度鋭い人物には容易に想像できることです。
そうでなくても、そんなご都合主義的なものに疑問を持つ者も出てくるでしょう。あなたもそうなのではないですか?」
「・・・」
「ここで問題になるのはクリリンの存在です。もし彼がドラゴンボールのことを信じようとしない人と出会ったら?
元の世界の知り合いでも躊躇なく殺すような人物です。その場合・・・」
「両津さんや乾君が危ない!」
0時になると、クリリンは両津達に会いに四国へ行くことになっている。
乾は、このアビゲイルのように長々と薀蓄を垂れるのが好きな人種だ。
クリリンに反論した場合・・・その先は想像に難くない。


「でも、その点ではヤムチャも危ないんじゃ・・・」
「まあ大丈夫でしょう。思い込みで突き進む点では同じですが、彼に脅威は感じません。
正直言って今の私はとても戦える状態ではないのですが、それすら判らず脅しただけで逃げるようなら問題ありません」
「でもアイツ、実力はありますし・・・」
「注意力や観察力も含めて実力ですよ」
そこまで会話が進んだところで、サクラはアビゲイルのケガに気付いた。

「そのケガは・・・」
「ああ、今の戦いでついたケガではないですよ」
「ちょっと動かないでください」
サクラは手にチャクラを集中させ、治癒の術を発動させる。
「・・・これで痛みは引いたはずです」
「なぜ私に治療を・・・?」
「こちらのバカのせいで迷惑をかけたんですから当然です、本当にすみませんでした。私はこれで失礼します」
そう言ってサクラはクリリンを止めるために名古屋城へと向かう。

「フフ・・・面白い、いいでしょう。今度は見捨てるわけにはいきませんね」
アビゲイルは名古屋城へと向かうサクラに並走する。
「このアビゲイル、協力させてもらいますよ!」



【富山県/1日目・真夜中】

【アビゲイル@バスタード】
[状態]:精神力体力疲労大、左肩貫通。全身、特に右半身に排撃貝の反動大。無数の裂傷 (傷はサクラによって治療済み)
[装備]:雷神剣@バスタード、ディオスクロイ@ブラックキャット、排撃貝@ワンピース、ベレッタM92(残弾数、予備含め31発)
[道具]:荷物一式×4(食料・水、十七日分)、ドラゴンレーダー(オリハルコン探知可能)@ドラゴンボール、超神水@ドラゴンボール、無限刃@るろうに剣心
    ヒル魔のマシンガン@アイシールド21(残弾数は不明)、『衝突』『漂流』×各一枚@ハンター×ハンター、マルス@ブラックキャット
[思考]:1.サクラを護り、協力する
    2.体力回復しつつ、レーダーを使ってアイテム回収
    3.首輪を手に入れ、更に調べる
    4.ヨーコ達、協力者を探す
    5.ゲームを脱出
【春野サクラ@ナルト】
[状態]:若干の疲労 チャクラ小消費
[装備]:スカウター@ドラゴンボール
[道具]:荷物一式(一食分の食料を消費、半日分をヤムチャに譲る)
[思考]:1.スカウターを使って隠密行動をしながら、名古屋城に向かいクリリンを止める
    2.四国で両津達と合流
    3.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖
    4.ナルトと合流する

【長野県/1日目・真夜中】

【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.何としても悟空を探す
    2.クリリンの計画に協力、人数を減らす
    3.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)
352頼れる存在 ◆saLB77XmnM :2006/05/12(金) 23:31:22 ID:bA1z2YDq0
「そん、な……? キルアちゃんが……?」
第三放送を聞いた麗子は、思わず自分の耳を呪った。
キルアに富樫源次……この世界で出会った人間が、二人も死んだ。
その衝撃に、ついに彼女の足は折れてしまった。
「うっ……うっ……」
嗚咽を漏らし、悲しみに耐える。
痛々しく、危なっかしく。そんな麗子を見下ろす星矢は、何も声をかけることが出来なかった。
星矢自身、放送から受けた衝撃は麗子と同程度のものだ。キルアや富樫のこともそうだが、無視できない名前がもう一つ。
フェニックス一輝。サガに続きまた一人、聖闘士が死んだ。
「…………クソ」
殺戮を止めることはできず、藍染もまだ野放しにしている現状。こんなことで本当にハーデスを倒すことが出来るのだろうか。
さすがの星矢でも、不安を感じずに入られなかった。

「……そうだ。リョーマちゃん……リョーマちゃんは……?」
涙を堪え、麗子が数時間前に分かれた少年の名を口にした。
一人きりで大阪に向かっていってしまった少年。歳はキルアとそう変わらないだろう。
思えば、キルアもリョーマも同じような分かれ方をした。麗子は、二度も少年を一人きりで野に放ってしまったのだ。
「ひょっとしたら……リョーマちゃんも!?」
悪い予感がよぎる。
「リョーマちゃん、リョーマちゃん、リョーマちゃん、リョーマちゃん、リョーマちゃん、リョーマちゃん、リョーマちゃん、リョーマちゃん……」
錯乱したかのようにリョーマの名前を呟く麗子。星矢はもう見ていられなかった。
「麗子さん……立って。少し休もう」
これでは四国に向かうどころではない。
星矢は、麗子を連れて適当なところで一時休憩することにした。
353頼れる存在 ◆saLB77XmnM :2006/05/12(金) 23:32:59 ID:bA1z2YDq0
どこかの山小屋。
麗子は、放心したかのような虚ろな眼をしながら椅子に座っていた。
考えるのは、死なせてしまった少年のこと。
何故あの時少年を引き止められなかったのか。
彼がどんなに強かろうと、キルアは子供だ。どうして、大人である自分が付いてやれなかったのか。
警察官として、大人として、自分は誤った選択をしてしまったのではないだろうか。
リョーマは……今頃どうしているのだろう?
ひょっとしたら……既に……。

「あ……」

また悪い想像をしてしまった。
だが決して考えられないことではない。

「リョーマちゃん……」

少年の無事が知りたい。
麗子は、ただそれだけが望みだった。
354頼れる存在 ◆saLB77XmnM :2006/05/12(金) 23:33:31 ID:bA1z2YDq0
山小屋の外で、星矢は周囲の警戒をしていた。
薄暗い山の中にひっそりと明かりを灯す小屋。もし誰かがよってきたら厄介だ。
その場合、星矢は麗子を守りきらなければならない。命を懸けてでも――いや、自分が死ぬわけにはいかない。これ以上麗子を悲しませるわけにはいかないのだ。

「あいつは……どうしてるのかな」

思うは、やはり数時間前に別れた小生意気な少年のこと。
リョーマが死ぬ姿なんて想像できないが……死ぬことはないと思っていた仲間の聖闘士が二人も死んだのだ。何が起こってもおかしくはない。
おそらく、麗子の本心はリョーマを探しに行きたいはずだ。星矢自身もリョーマのことは心配だし、それで麗子の精神が安らぐならばそうしてやりたい。
だが、頭にはどうしても藍染のことがよぎる。一刻も早くあの男を止めなければ、更なる被害者が出ることは必至。そのためには太公望とも合流しなければ。

「……どうするのが、正解なんだろうな」

星矢は決めかねていた。
四国まで最早目と鼻の先だと言うのに。
こんな時にもっと人手があればいいのだが……

「……!? そこにいるのは誰だ!?」

考えていた矢先、草陰から人の気配を感じ取った。
355作者の都合により名無しです:2006/05/12(金) 23:34:11 ID:cSs6une7O
アナル大拡張!
356頼れる存在 ◆saLB77XmnM :2006/05/12(金) 23:34:18 ID:bA1z2YDq0
「どうやら気づかれちまったみたいだな」
出てきたのは熊……のようにも見えたが、れっきとした人間だった。
やたらと毛深くてがっしりした体系の男。その服装は……
「あんた……警察官か?」
星矢が質問すると、男はハキハキした態度で答える。
「そうだ。わしの名前は両津勘吉。実はだな……」
「両津……両津さんだって!?」
両津が話を切り出す前に、星矢は叫んだ。
その名を、知っていたから。
「両津さん……? あの、大丈夫?」
両津の後ろから出てきた新たな影は、小柄な少年。両津の仲間だろうか。
しかし今の星矢はそんなことは深く考えなかった。
目の前の男が本当に両津勘吉だというのであれば、なによりもまず、やらなければいけないことがある。
「あんたに会わせたい人がいるんだ!」
「あ!お、おい」
星矢は、半ば強引に両津を山小屋に連れ込んだ。


扉が開いても、麗子は眼を向けることが出来なかった。
頭の中は越前リョーマという少年のことで一杯だったから。
「…………子…………麗子!」
しかし、その声は耳に入ってくる。
聞きなれた、ヤケに音量の高い声。ところ構わず叫び散らかし、いつも豪快に笑っていた声。
そう、あの亀有公園前派出所でいつも聞いていた――

「麗子! おい、麗子!」

「――――両ちゃん?」

覚醒した麗子の瞳に映っていたのは、同僚の両津勘吉その人だった。
357頼れる存在 ◆saLB77XmnM :2006/05/12(金) 23:35:47 ID:bA1z2YDq0

「――なんだって!? 太公望が行方不明!?」
星矢麗子組、そして両津ダイ組がこの遭遇で得たものは、実に大きなものだった。
第一に情報。
てっきり四国にいるだろうとばかり思っていた太公望だったが、昼ごろには既に関西に舞い戻り、今は行方知らずという。
これは四国で太公望と仲間になったというダイからの情報。このダイなる少年はゲーム開始時、主催者の一人であるバーンに向かっていった少年。十分信用に足る人物だ。
そのパートナーを務めるのは両津勘吉。紛れもない麗子の同僚である。彼はつい数時間ほど前にダイと仲間になったばかりで、太公望との直接的な面識はないという。
この二人の情報から、このまま四国に行っても太公望とは会えないと言うことがわかった。ならば……
「今はどこにいるか分からんが……とりあえずわしらは太公望が向かったと言う和歌山を捜索してみようと思う」
「和歌山っていったら大阪の近く……」
「リョーマちゃんに会えるかもしれない!」
さっきまで放心状態だった麗子も、両津との再会でどうにか持ち直すことが出来た。さらに両津達が成そうとしている目的に歓喜する。
「麗子さん……」
「ええ。お願い両ちゃん、私達にも太公望さんの捜索を手伝わせて。私達の尋ね人も同じ人だし……それに他にも探してあげなきゃいけない子がいるの!」
麗子は両津に懇願した。四国に渡る必要がなくなった以上、今は一刻も早くリョーマを探してあげたい。太公望が向かった場所とリョーマが向かった場所がすぐ近くなのも都合が良かった。
「わしはもちろん構わん。せっかく麗子に会えたんだし、仲間は大いに越したことはないからな。ダイ、お前ももちろんいいよな?」
「うん。それはいいんだけど……大丈夫?麗子さん、随分疲れているように見えるけど……」
ダイが心配しているのは、麗子の心労。第二第三と立て続けに知らされた知り合いの死に、受けた精神ダメージは大きい。
「心配要らないわ!まだ小さい星矢ちゃんやダイちゃんが頑張ってるのに……私だけ休んでるわけにはいかないもの!」
それでも、麗子は強かった。


「――これは、ペガサスの聖衣じゃないか!」
第二に齎された幸運は、ダイの持っていた荷物。
それこそが星矢の捜し求めていた物、ハーデス打倒になくてはならない物、聖闘士御用達のペガサスの聖衣だった。
「これさえあれば――藍染にもハーデスにも対抗できる!」
麗子もより安全になる――若き聖闘士は、取り戻された力に歓喜した。
358頼れる存在 ◆saLB77XmnM :2006/05/12(金) 23:36:45 ID:bA1z2YDq0

しばらくの休息を取り、それぞれの組は再び動き出すことにした。
歩を進める先は全員一緒。
目的は太公望と越前リョーマの捜索。
人手は四人、その内本職とも言える人間が二人。
星矢はダイからペガサスの聖衣を譲り受け、本来の力を取り戻した。
しかし関西には藍染の影。注意を怠ることはできない。
それでも希望は出来た。聖衣を入手した聖闘士に、勇者の称号を持つ少年。
そしてそれらを守る、心強い大人たち。
「もうすぐ夜も深くなる。できることなら朝までには合流しちまいたいが……お前らは大丈夫か?」

「僕は大丈夫だよ、両津さん。早く太公望を見つけ出して……ターちゃんや公主さんも安心させてあげないと」
ダイは心配ない。こいつはまだ子供だが、勇者を名乗るだけのことはある。
「俺もだ。藍染もまだ生きてるんだし、休んでる暇なんてない。それに……一応あいつのことも心配だからな」
この星矢とかいう奴も大丈夫だな。こいつもまだ子供だが、ダイ並みにたくましい。ここまで麗子を守り通してきただけのことはあるぜ。
「麗子は……」
「何度も言わせないで、両ちゃん。私は大丈夫。早く――リョーマちゃんと太公望さんを探してあげないと」
……さすが麗子。わしらの派出所に、これくらいでへこたれる奴はおらんか。
「……よし、分かった! いざとなったらわしがお前ら全員、担いででも太公望を探し回ってやる! だから安心して歩け!」
なんともたくましく、なんとも頼りになる両津の大声が響いた。

【兵庫県山中/夜中】
【太公望+越前リョーマ捜索隊】
【星矢@聖闘士星矢】
【状態】健康  
【装備】なし
【道具】食料8分の1消費した支給品一式 ペガサスの聖衣@聖闘士星矢
【思考】1、太公望と越前リョーマの捜索。藍染の計画を阻止
    2、藍染、ハーデス達を倒す。
359頼れる存在 ◆saLB77XmnM :2006/05/12(金) 23:39:56 ID:bA1z2YDq0
【秋本・カトリーヌ・麗子@こち亀】
【状態】精神的疲労大
【装備】サブマシンガン
【道具】食料8分の1消費した支給品一式
【思考】1、太公望と越前リョーマの捜索。
    2、藍染の計画を阻止
    3、主催者の打倒。


【ダイ@ダイの大冒険】
【状態】健康・MP微消費
【装備】出刃包丁
【道具】荷物一式(2食分消費) トランシーバー
【思考】1、太公望と越前リョーマの捜索
    2、四国を死守
    3、公主を守る
    4、ポップ、マァムを探す


【両津勘吉@こち亀】
【状態】健康 頬に軽い傷
【装備】マグナムリボルバー(残弾50)
【道具】支給品一式(一食分の水、食料を消費。)
【思考】1、太公望と越前リョーマの捜索。 鵺野先生が心配。
    2、仲間を増やす。
    3、三日目の朝には兵庫県へ戻る。ダメなら琵琶湖へ。
    4、主催者を倒す。
360Final? ◆egUcPL3H0. :2006/05/13(土) 11:19:56 ID:mJraZsBm0
ヤムチャの両手から放たれた究極のかめはめ波は、絶対死壊陣をブチ破る。

「な、何ィ!!!バカなぁぁぁ」

そしてタカヤに直撃する。
「ぐぎゃぁぁぁぁぁー!!!こ、このオレがぁぁぁ・・・」

タカヤは断末魔と共に粉々になる。
かめはめ波は、そんなタカヤを包み派手に大地を抉る。

・・・
残ったのは、原型を留めていない日本列島だけだった。
361Final? ◆egUcPL3H0. :2006/05/13(土) 11:21:15 ID:mJraZsBm0
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.タカヤをころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。

【タカヤ@死亡確認】
362オナヌーは鉄の香り ◆drwetRDQqY :2006/05/14(日) 02:26:10 ID:lk0E+6Qz0
「ふ・・・ふふ。やっとタカヤを倒したぜ・・」
そのとき辺りが急に薄暗くなり雨が降り始めた。
まるでタカヤの死を悼むかのような雨。
そして雷鳴が木霊したそのとき、遺体よなったタカヤに神からもたらされた雷撃が下された。

ズゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

そこには黄金の髪を立たせた戦士、
スーパータカヤが立っていた。

「勝負はまだまだこれからだぜ」
363集う男達 ◆kOZX7S8gY. :2006/05/15(月) 00:45:11 ID:itsKquUi0
 その男――男塾一号生三面拳雷電。
 額に刻みし"大往生"の三文字を掲げつつも、この殺人ゲームでは誰一人往生させるつもりはなかった。
 運よく再会できた我らの塾長江田島平八、新たに仲間になった大空翼、空条承太郎らと共に必ずこのゲームから脱出する――そう誓っていた。
 その、三人の仲間。数時間前には、もう一人いた。
 名を奈良シカマル。雷電とは異なる世界に住む、木の葉の里の忍。
 若いながらも、任務のためならば己の命を捨てることを厭わない、立派な男だった。
 シカマルは雷電がこの世界で初めて出合った仲間――だが、午後六時の第三放送で彼の死が知らされた。
 あの時別行動を取らなければ、自分がもう一足先に不吉に気づいていれば。

「シカマル殿……」
 
 涙は自然と出るものだと、思い知らされる。
 共に行く先を見つめ合った仲間――その死――それを立証するもの。
 雷電は骸を前に、ただただ怒った。
 この立派な男を殺した殺人者に、彼を殺したこの世界に。
 流れる涙はその地に捨て、シカマルの遺体と共に埋葬する。
 そして向かう先は、新たなる仲間の下。
 もう同じ思いはしたくない。塾長も、翼殿も、JOJO殿も――誰も死なせない。
 決意を胸に、"大往生"を掲げる男は走り出す。
 

 ――下水道から脱出し、運よく再会できた"仲間"に別れを告げて。
364集う男達 ◆kOZX7S8gY. :2006/05/15(月) 00:46:34 ID:itsKquUi0

「――クソッ! どこだぁー!! 隠れてねぇで出てきやがれぇ!!」
 地が流れ出る左肩を抑えながら、桑原和真が叫ぶ。
 現在彼が探している人物は、ブチャラティによって地中に落とされた雷電ではない。
 雷電を探し回る途中、立ち寄ったこの街で襲来した――見えない敵。
 
 ――ダン!
「ぐあっ!!?」
 急激に背中が熱くなる。その次に押し寄せてきたのは痛み。そして血。
 桑原の左肩と背中は、影からの襲撃者の手によって赤く染まっていた。
 おそらく敵の武器は銃。威力はそれほどでもないようだが、さすがにこれ以上くらい続けるのはまずい。
(ちくしょう! 敵の位置が掴めねぇ!! ヤローこの暗闇に乗じて俺を嬲り殺しにしやがるつもりか!!)
 街は闇一色。明かりといえば、空から照らされる月光とわずかな街灯しかない。
 そんな中での奇襲。敵が姿を見せないのは、夜という時間帯を有効活用した戦術だった。

(ククク……焦ろ焦ろ。所詮は天才と凡人、貴様にこのアミバ様の位置は掴めまい)
 影から桑原を狙うスナイパーの正体は、絶好調アミバ。
 仙豆を食べて頗る快調だった彼も、ようやくゴンに続く獲物を発見できた。
 取った手段は闇討ち。本当なら一撃で仕留めたかったが、相手も戦闘のノウハウというものは積んでいるようだった。寸でのところで急所を避け、動き回りながらこちらの居場所を索敵している。
 加えてアミバの持つ銃、警察官用のニューナンブでは、どうしても威力が足りない。ただでさえタフな桑原だ。一発二発どころでは倒れさえしなかった。
 しかしアミバは焦らない。この暗闇に紛れての襲撃、絶対に感づかれることはないからだ。
 夜と闇は、天才に味方している。
 

「そこで何をしておられるのかな?」
365集う男達 ◆kOZX7S8gY. :2006/05/15(月) 00:47:14 ID:itsKquUi0

「うわらば!!?」
 敵はどこかと周囲を警戒していた桑原の頭上から、突如奇怪な声が発せられた。
「――な!?」
 見ると、一人の男が民家の屋根からぶっ飛ばされていた。その手には銃が握られ、先程までの銃撃はコイツの仕業だったことが窺える。
 つまりは、桑原の敵。そいつが見事なまでに宙を待っていた。
 そして、地に着く。
「ぐへっ!」
 華麗に着地――とはならなかった。桑原を狙っていたスナイパー、アミバはこの世界に来て二度目の日本列島の味を感じた。要するに頭から落下したのである。
「危ないところであったな、"和真"殿」
 桑原が空から降ってきたアミバに気を取られていると、後方から自分の名前を呼ぶ声が。
 振り返ってみると、そこには探し人であった強面のおっさん――承太郎の仲間、雷電の姿があった。
「あんたは……なんで俺の名前を?」
 あの時桑原は物陰から雷電の顔を見ていたが、雷電は桑原の正体には気づいていなかったはずだ。なのになぜ名前を知っているのか。
「話は後だ。まずは和真殿を狙っていたこの外道……拙者が成敗いたす!!」
 疑問符を浮かべて詰め寄ろうとする桑原を制し、雷電は情けなく地につっふすアミバを見る。
 民家の屋根から桑原を狙撃し、殺そうとしていた殺人未遂者。弁解の余地はない、この男はゲームに乗った者だ。

「ぐぐぐ……貴様ぁ……よくも、よくもこのアミバ様にこんな屈辱を……!!!」
 起き上がり、アミバは再度ニューナンブの銃口を構える。それは、天才に逆らった愚かな凡才を狙っていた。
「引き下がる気はないか……生憎今の拙者は虫の居所が悪い。手加減はできぬぞ!」
 一度だけ忠告すると、雷電は電光石火の勢いでアミバに詰め寄る。相手が銃を構えているにも関わらず、真正面から。
「ふん、馬鹿めがァ!!!」
 アミバは問答無用で引き金を引くが、三面拳随一の体さばきを誇る雷電には通用しなかった。
 相手の指の動きを捉え、発砲の瞬間を推測、回避。なおも直進。
「うおっ!?」
 アミバが驚いたのは、一瞬だった――
366集う男達 ◆kOZX7S8gY. :2006/05/15(月) 00:48:22 ID:itsKquUi0
「大往生ーーーーーっ!!!」
 その形相は、猛虎の如し。その軽やかさは、燕の如し。
 あらゆる拳法に精通した雷電の繰り出す跳び蹴りは――完璧にアミバの顎を砕いた。
「――――!!?」
 もはやそこに声はなかった。断末魔の叫びを上げることもなく、自信過剰な天才、アミバの身体は吹き飛ばされた。
 蹴りが決まり、一瞬の静寂が訪れる。攻撃を繰り出した者は無様な天才を見下ろし、天才は再び地に伏し、傍観していた者は静寂を破った。
「……すげぇ」
 全ては一瞬で片付いた。そう、突如現れた雷電の神速の技は、正に一瞬。
 この怒りに燃える男の戦いに、桑原は目を奪われていた。

「……ば、馬鹿なぁ……この天才が……?」
 一瞬でのされたアミバが唸る。
 自分は天才だったはずだ。仙豆を食べて、体力も全快だったはずだ。なのに、なのに……。
 天才は気づかない。天才であるが故に。
 己の愚かさに。慢心と過剰な自信が齎した結果に。

「……オレは天才だァァァ!!!」
 アミバはまだ諦めていなかった。
 未だ手に握られていたニューナンブを構えなおし、雷電を狙う。
 片は付いたと思われた今、この発砲は奇襲としては絶大なタイミングだ。三面拳だろうとなんだろうと、逃れることは――
「!」
 引き金を引いて、驚愕した。
 銃声が鳴らない。弾丸が出てこない。
 ……弾切れだった。
「馬鹿な……天がこの天才を見放しただと……?」
 アミバの顔が陰りを見せた。
367集う男達 ◆kOZX7S8gY. :2006/05/15(月) 00:49:29 ID:itsKquUi0
「馬鹿な、馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!」
 何度も何度も引き金を引くアミバだが、やはり弾丸は出てこない。
 哀れな天才は――本当に見放されたのだろうか。
「……万策尽きたようだな。拙者、無駄な殺生は好まん。気が変わらぬ内にどこへなりとも消え失せろ!」
「なっ!?」
 見逃してやる。雷電の言っていることは、つまりそういうことだった。
(天が天才を見逃した……? くくく……馬鹿な)
 アミバは心の中で笑った。この男は同じだ。あの江田島平八と。
 この天才に匹敵する強さを持ち合わせておきながら、殺し合いには不要な"甘さ"を持っている。
 どうやら雷電はアミバの武器が銃一丁とばかり思っているようだが、アミバには今まで習得してきた数々の拳法がある。
 むしろアミバの本力はそちらにあると言ってもいい。弾が切れたのであれば自慢のアミバ流北斗神拳を行使すればいいだけのこと。
「おい! 何あめぇこと言ってやがるんだ!! こいつは俺達を殺そうとしたんだぞ!!」
 雷電の言葉に対し不敵な笑みをするアミバを見て、桑原は危機感を感じた。
 この男は何か企んでいる。ここで仕留めておかねば、何か良くないことが起きると。

「――そういう男なのさ、男塾三面拳、雷電ってのは」
 桑原に向かって、新たな声が発せられた。
「もっとも、出会ったばかりの俺が言うのもなんだがな」
 振り向くと、そこには新たな人物が二人、到来していた。
 おかっぱの男を背負う学ランの男と、学ランの男に背負われるおかっぱの男。
「あんた…………! っブチャラティ!?」
 数時間前に別れた、空条承太郎とブチャラティだった。
 まず目に付いたのは、気絶しているブチャラティ。別れる前、この二人は戦闘中だったはずだ。ということは、
「おっと、早まるなよカズマ。こいつは約束どおり"殺さずに""ほどほどに"痛めつけただけだ」
 承太郎は詰め寄ろうとした桑原を冷静に宥める。
368集う男達 ◆kOZX7S8gY. :2006/05/15(月) 00:50:37 ID:itsKquUi0
「おい、そこの奴」
 新たな敵の到来に焦り始めたアミバは、汗を流しながら承太郎の言葉を受け取る。
「俺達は基本的にゲームには乗っていない。だが、テメーが殺る気で来るというならこちらもそれなりの対処をするだけだ。それを承知でまだやるってんなら……」
 承太郎は睨みを利かせてアミバを牽制する。

「"殺さずに"でもなく、"ほどほどに"でもなく、テメーを"完膚なきまでに"叩きのめす」
 もちろん本気だ。それはアミバにも伝わっているだろう。
 だからこそ、冷や汗が止まらなかった。状況は三対一。これではいくら絶好調の天才といえども……。
「ぐ……ぐぐ……」
 怒りを堪えるような顔で、アミバは苦悶する。ここで引き下がるべきか否か。
 プライドを考えれば、そんな選択はありえない。だが、現実問題一人で三人を相手にするのは難しいだろう。そんなことは凡才でもわかる。
(なにか……なにか策はないのか!?)
 こんな境遇に置かれても、アミバはここにいる全員を皆殺しにすることを諦めていない。
 必死に逆転の一手を模索する。

 そんな時だった。
「――おーい、JOJOく〜ん、雷電さ〜ん!」
 夜の街に、少年のような元気な声が響いた。
「――!? っ翼!?」
 その声は、この街で休息していた大空翼のもの。
 おそらくは先程の銃声を聞きつけてやってきたのだろう。
 そしてその翼の姿は――誰よりもアミバに近かった。
369集う男達 ◆kOZX7S8gY. :2006/05/15(月) 00:53:54 ID:itsKquUi0
 これは天が齎したラストチャンス!
 アミバは瞬時に起き上がると、元気に手を振る翼の下へ走った。
 見たところ武器は確認できない。顔つきも温和そうで、とても戦いに精通しているようには見えない。
 こいつを人質に取れば――
「くっ、逃げろ翼ァァァ!!!」
 叫ぶ承太郎だったが、翼とアミバの距離はもう間近。
 ここからでは、例え『スタープラチナ』を発動させても間に合うかどうか。
 だが、すぐにそんな心配はいらないことに気づいた。
 翼が現れても微動だにしなかった雷電と、何より翼の横から現れた大きな影が見えたから。
 
「わしが男塾塾長江田島平八である!!!」

 アミバの魔の手が翼に伸びようとしていた正にその時、横合いから遮るように巨体が君臨した。
 もはや説明は必要ないであろうその男、江田島平八。アミバの行く手を遮ったのは、またしてもこの男だった。
「え、江田島!?」
「ほう、久方ぶりじゃのお。まだ生きておったのか。結構結構」
 捜し求めていた仇敵、江田島平八の登場。しかし、なんという悪いタイミングでの登場か。
 回りは敵だらけ。ここで江田島との再戦を果たす余裕はない。

「ぐ……くそおおおお!!! 覚えていろよ貴様らぁぁぁぁ!!!」
 人生最大の屈辱を背負い、アミバは逃げ出していった。
 追う者は誰もいない。天才の去ったそこに、ゲームに乗った者はいなかった。
370集う男達 ◆kOZX7S8gY. :2006/05/15(月) 00:54:36 ID:itsKquUi0

 天才過ぎ去りし後、一軒の民家には、六人の男が集っていた。
 サッカー選手、学ラン、ギャング、ヤンキー、男塾塾生、男塾塾長。
 外見的なメンツだけで言えば、なんとも濃いメンバーだった。
「なるほど、あんたは俺が雷電のおっさんを探し当てるより早く、おっさんと合流してたってわけか」
 雷電が桑原の名前を知っていた理由、そして絶妙なタイミングで承太郎が現れた理由は、そこにあった。
 下水道を移動している内にどこともわからない場所に出た雷電は、所在地を確かめるべく移動していたところ、シカマルの死体を発見した。
 その後そこが茨城県であることを知り、栃木まで戻る内に戦闘を終えた承太郎に遭遇した。
 その間雷電を探し回っていた桑原は、偶然にも承太郎たちの仲間である翼と江田島の潜伏先の街にて、襲撃者に襲われた。という具合だった。
「まあそういうことだ。まったく、ブチャラティのせいで余計な時間を取らされたが……」
「でもこうやって仲間を増やすことは出来たよ! さすがJOJO君!」
 仮定はどうあれ、結果的に増えた新たな二人のメンバーに、翼は大いに喜んでいた。
「……拙者も偶然とはいえ、目的を果たすことが出来た。ブチャラティ殿には感謝したいところだ」
 雷電もブチャラティの所業には不満がないようで、深々と頭を下げた。当の本人であるブチャラティはまだ気絶していたが。
「それで? さっきも言ったとおり俺たちは仲間を求めている。カズマ、お前の答えを聞きたいんだが」
「答えも何も、俺は仲間になることにはなんの不満もねぇ。だが……」
「こいつはどうかわからない、か」
 一同の視線がブチャラティに向く。この不器用な男は、いったいどんな答えを返すだろうか……?
「ふむ、どうやらあとはこのブチャラティとかいう男の返答待ちというところか。ならば夜ももう深い。この男が目を覚ますまで、皆は休むがよかろう」
 時刻は真夜中――放送も近い。
 その日は江田島の号令の下、就寝と相成った。
 ただ一人……桑原和真だけは、気絶したままのブチャラティが気になって寝付けなかったが。
371集う男達 ◆kOZX7S8gY. :2006/05/15(月) 00:55:10 ID:itsKquUi0
 放送間近――結局、この六時間の間にアミバの快進撃は始まらなかった。

(おのれ……おのれおのれおのれおのれおのれェェェ!!!)

 邪魔をしたのはまたもや江田島平八、そして江田島と同じく男塾というところに属する雷電。

(憎きは男塾! この天才をコケにした罪……たっぷりと味あわせてやる!)

 今まさに栃木県を出ようとしていたアミバは、顎の痛みと耳に焼きついた江田島の大声に悩まされていた。
 だが身体はまだ健在――アミバの夜は、まだ終わらない。


【栃木県/真夜中】
【アミバ@北斗の拳】
 [状態]:顎骨破砕
 [装備]:ニューナンブ(弾切れ)@こちら葛飾区亀有公園前派出所
 [道具]:支給品一式(食料1日分消費)、ゴンの荷物一式(食料一食分消費) 、シカマルの荷物一式(食料一食分消費)
    :テニスボール@テニスの王子様(残り2球)
 [思考]:1、夜を生かして殺しまくる。
     2、皆殺し。
     3、男塾(江田島・雷電)に復讐する。
372集う男達 ◆kOZX7S8gY. :2006/05/15(月) 00:55:47 ID:itsKquUi0
【栃木県・民家/真夜中】
【大空翼@キャプテン翼】
 [状態]疲労小 精神的にやはりやや壊れ気味
 [装備]拾った石ころ一つ
 [道具]荷物一式(水・食料一日分消費)、クロロの荷物一式、ボールペン数本 
 [思考]1:しばらく休息。
    2:悟空を見つけ、日向の情報を得る。そしてチームに迎える。
    3:仲間を11人集める。
    4:主催者を倒す。

【江田島平八@魁!!男塾】
 [状態]:健康、監督
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式(水・食料一日分消費)、一護の荷物一式、ジャスタウェイ@銀魂
 [思考]:1、「わしが男塾塾長、江田島平八である!!!」
      (しばらく休息)
   2、「日本男児の生き様は色無し恋無し情けあり」

【雷電@魁!!男塾】
 [状態]:健康
 [装備]:木刀(洞爺湖と刻んである)@銀魂
    :斬魄刀@BLEACH(一護の衣服の一部+幽助の頭髪が結び付けられている)
 [道具]荷物一式(水・食料一日分消費)
 [思考]1:しばらく休息。
    2:知り合いとの合流。
    3:何があっても仲間を守る。
373集う男達 ◆kOZX7S8gY. :2006/05/15(月) 00:56:17 ID:itsKquUi0
【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]そこそこ疲労・肩、胸部に打撲、左腕骨折(以上応急処置済み)・肩に貫通傷
 [装備]シャハルの鏡@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式(食料二食分・水少量消費)
    :双子座の黄金聖衣@聖闘士星矢
    :らっきょ(二つ消費)@とっても!ラッキーマン
 [思考]1:しばらく休息。ブチャラティが目覚め次第仲間になるよう交渉する。
    2:シカマルの亡骸・悟空・仲間にできるような人物(できればクールな奴がいい)・ダイを捜す
    3:主催者を倒す

【ブローノ・ブチャラティ@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]右腕喪失・全身に無数の裂傷(応急処置済み)・気絶・全身の関節が外れている
 [道具]:荷物一式
    :スーパー・エイジャ@ジョジョの奇妙な冒険
 [思考]1:気絶
    2:首輪解除手段を探す
    3:主催者を倒す


【桑原和真@幽遊白書】
 [状態]やや疲労、左肩、背中に銃創(処置済み。戦闘には支障なし)
 [装備]斬魄刀@BLEACH
 [道具]荷物一式(水・食料一日分消費)
 [思考]1:しばらく休息。が、ブチャラティのことが気になる。
    2:ブチャラティを監視
    3:ピッコロを倒す仲間を集める(飛影を優先)
    4:ゲームの脱出

※シカマルの死体は埋葬しました。
374東京交差点〜男と女〜 ◆saLB77XmnM :2006/05/16(火) 03:55:32 ID:HYT8o91Y0
東京にて、妖艶な溜息を吐き捨てる美女が一人。
「はぁん……なんでだぁれもいないのよぉん」
美女の名は蘇妲己。彼女は日本列島を行き来する列車の旅をここ東京で中断し、仲間を求めていた。
東京といえば日本の首都。参加者名簿から見るに、このゲームには日本人が多い。
つまり、ここを目指そうという考えを持つ者が何人かはいるはず。そう考えてこの大都市にやって来たというのに……
無人。普段人が所狭しと賑わうそこは、誰もいなかった。
「さて……これからどうしようかしらぁん」
仲間を集めたかったのに、当てが外れてしまった。このままさらに当てなき旅を続けるか、それともいっそLか太公望と交信(コンタクト)を取るか。
先を考えれば後者の選択はない。だが、ならばどこへ向かえばいいというのか。
「う〜ん、悩むわぁん……あら?」
次の行動を思案する妲己の目が、動く物体を捉えた。
屈強な肉体に強面を揃えた男。一見した印象は、『歴戦の勇士』という感じだった。
「あらあら、いたじゃな〜い! イ・イ・オ・ト・コ!」
軽やかな足取りで対象に歩み寄る妲己。そこに恐れはない。

妲己が捉えた男の名はラオウ。肩書きは世紀末覇者。
誰もが恐れる拳王であり、強者であり、悪鬼。
この殺人ゲーム、中には恐れなく歩み寄ってきた変わり者もいたが、基本的に遭遇した者とは闘争が生まれていた。
それが拳王の生きる道。例えどんな傷を負っていようとも、例えどんな強力な武器を授かっていようとも、己の拳を頼りに戦い通す。
そんな男に声を掛けたのは、世界を手にすることを企んだ女狐。女性でありながら、高みを目指すその欲望は、ラオウと同種のものだった。
「ねぇねぇ、そこのあ・な・た・ぁ・ん」
「……失せろ」
声を掛けた妲己を、ラオウは一蹴した。
カズキや遊戯とはあまりに違う態度にカチンときた妲己だったが、それもそのはず。
拳王の称号を持つこの男が、たかが美女ごときに靡くはずもない。
妲己を無視したままその場を去っていこうとするラオウに、妲己はしつこく食いさがった。
「ちょっと待ってよぉん。こ〜んなか弱いわらわを見捨てるのぉん? 女が夜遅くにこんなところにいたら、襲われてしまうわぁん」
妲己がやたら大げさなアクションを取りながら話しかけるも、ラオウは全く耳を貸そうとしない。
威風堂々悠々自適。ラオウの歩みは、色仕掛けなどでは止まらない。
「…………ムカ」
これには、さすがの妲己も我慢できなかった。
375東京交差点〜男と女〜 ◆saLB77XmnM :2006/05/16(火) 03:56:11 ID:HYT8o91Y0
色仕掛けが効かないにしても、無視はないだろう。
あまりの扱いをされた妲己は、思わず戦闘態勢を取った。と言っても、取っただけ。本当の狙いはここで戦闘を起こすことではない。
妲己が一瞬だけ殺気を放つと、ラオウは僅かだがピクリと反応を見せた。やはり。

男には、二種類の人種がいる。
女好きな男と、女以上に好きなものが存在する男。
随分と偏った分け方だが、この場合はこの二通りで考えてみる。
この男、ラオウは間違いなく後者だ。そして女より大事にしているそれは、おそらく『戦い』。先程妲己が放った殺気に反応したのが、その証拠だ。
要するに、戦闘馬鹿。この時点で妲己の仲間としては相応しくないことが明白である。ならばどうするか。相手は一人で行動しているようだし、このまま人数減らしの一環として始末するのもいいが……
「この拳王、女を殺す拳は持たぬ」
一言そういい捨てると、ラオウは再び歩き去ってしまった。
応戦するかと思いきや、こちらが女であるという理由だけで交戦を拒否。
女から逃げると言うのはどうなのか。プライドと言うものはないのか。色々言ってやりたかったが、ラオウがあまりにも堂々としていたせいだろうか。
「……なによあれ。変な奴」
妲己は、それしか口にしなかった。
そして同時に、それ以上ラオウを追おうともせず、別方向へ向けて歩を進める。
やはり、まずは新たな仲間を探そう。


奇妙な二人の出会いは、特に何事もなく終了した。
戦果といえば、妲己の持つ交信の対象者が一人増えたくらい。もっとも、この時点では妲己はラオウの名前すら知らなかったのだが。
再び会うことがあるかどうかは、誰にも分からない。
376東京交差点〜男と女〜 ◆saLB77XmnM :2006/05/16(火) 03:56:45 ID:HYT8o91Y0
【東京/夜中】
【ラオウ@北斗の拳】
 [状態]:胸元を負傷。出血は止まった。大きく傷跡が残る。右腕にダメージ。右手ただれ薬指小指喪失
 [道具]:荷物一式 不明
 [思考]:1.新たな強者を求めていく
     2.いずれ江田島平八と決着をつける
     3.主催者を含む、すべての存在を打倒する(ケンシロウ優先)

【蘇妲己@封神演義】
 [状態]:少し精神的に消耗・満腹・上機嫌
 [装備]:打神鞭@封神演義・魔甲拳@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式×4(一食分消費)・黒い核鉄V@武装錬金・ドラゴンキラー@ダイの大冒険・黒の章&霊界テレビ@幽遊白書・千年パズル(ピース状態)・GIスペルカード『交信』@ハンターハンター
 [思考]:1.仲間と武器を集める
     2.仲間が集まったらLか太公望と連絡をとる。
     3.本性発覚を防ぎたいが、バレたとしても可能なら説得して協力を求める
     4.ゲームを脱出。可能なら太公望も脱出させるが不可能なら見捨てる
377新生のDEAD ◆gv0yD7E.uE :2006/05/17(水) 00:21:07 ID:QKkXEoWo0
超タカヤは、一瞬の内にヤムチャを肉縛する。

「変身しろ」
タカヤは、ヤムチャにそう告げる。

「知ってたんですか?
 けどあの形態になると、自分でパワーを抑えきれないからなぁ」
ヤムチャはそう言い、タカヤから距離を置く。

「まぁ、いいでしょう。特別サービスですよ。
 わたしの4段階の内の一つをお見せしましょう」
ヤムチャから大量のオーラが溢れ出す。

S P モ ー ド 『ス ー パ ー ウ ル フ』 発 動
378新生のDEAD ◆gv0yD7E.uE :2006/05/17(水) 00:22:41 ID:QKkXEoWo0
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.タカヤをころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。

【タカヤ@生存確認】
379悪夢の泡(修正) ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/17(水) 17:12:09 ID:XdznoCuL0
駆ける、駆ける、伸縮自在の棒を持った男が駆ける。
逃げる、逃げる、珍妙な乗り物に乗った男が逃げる。

「ハーハハハハッ!さあっ、戦おうじゃないか太公望君!せっかくこのエレガントな舞台で出会えたんだ!
何故逃げるんだい?トレビア〜ンな戦いを繰り広げようじゃないか!」
駆ける男が得物を振り回しながらとても嬉しそうに叫ぶ。その声に表れているのは、好敵手と出会えた心の底からの喜び。
逃げる男は間一髪でその棒を避けるが、頭に掠り髪が幾本か空に舞う。

「うるさいわいダアホッ!わしにおぬしの相手をしておる暇はないわっ!」
その男――太公望はただ逃げる。
無様に、格好悪く、ただ逃げる。


約数時間前

太公望はウェイバーに揺られながら放送で呼ばれた仲間の名を思い返す。
(キルア、沖田、斉藤・・・あの三人まで死んでいたとは・・・。ダイ達や星矢達が無事なのは不幸中の幸いだわい。
しかし、富樫の死も知られてしまったしのう・・・さて、四国に戻るか否か・・・)
仲間の死に悲しみを感じながら、それでも思考を巡らせる。

趙公明は森の中を駆けながら、決着が付けられなかった好敵手の名を思い返す。
(カズキ君が死んだか、妲己がついているはずなのに死ぬとは、余程ゴージャスな戦いをしたんだね!)
無論、その思考は悲しみとは程遠い。

そして、時が訪れる――
それはどんな運命の交差路か――

二人の男が、とある十字路で出会うことになったのは放送後数十分。
「お、おぬしはっ!?」
「おお、そこにいるのは太公望君!マーベラス!やはり僕と君とは戦う運命に(ry」
「じ、冗談じゃないわいっ!」
380悪夢の泡(修正) ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/17(水) 17:13:06 ID:XdznoCuL0
太公望はウェイバーを加速させ逃げ出す。『三十六計逃げるに如かず』立派な兵法である。
「待ちたまえっ!」
まあ、生粋のバトルマニアがおとなしく見逃してくれるはずはないのだが。


そして今現在、追いかけっこはずっと続いている。
普通ならウェイバーという乗り物に乗っている太公望が趙公明を引き離すことになるだろうが、
ここは何の障害物もない海や雲の上とは違い、木や家など様々な障害物が存在する。
その障害物にぶつかる度にウェイバーはスピードを落とし、避けたり方向転換しなければならない。
そのため、太公望と趙公明との距離は未だ一定を保っていた。

追いかけっこに飽いた追撃者が、何度目かの攻撃を仕掛ける。
「いつまでも逃げられると思っているのかい太公望君!それっ!」
手に持った棒が勢い良くその体積を増やす。

「ぬおおおおっ!」
伸びた如意棒が太公望の脇を掠める。
太公望は危ういところで避け、ウェイバーを加速させる。

「何すんじゃいボケーッ!」
その口から発せられるのは罵詈雑言、情けない男である。
しかし、狩人はその手を休めず――
「ハハハハッ!アン・ドゥ・トロワッ!」

再び獲物に襲い掛かった如意棒は、伸びきる前に飛んできた鉄球によって弾かれた。

家の屋根の上で鉄球を撃ち放ったデスマスクが、人相の悪い顔を更に歪めて――哂った。
「ハッ・・・この構図じゃどっからどう見てもキサマが悪人だな」
戦いの予感に胸を躍らせるアテナの戦士が、テレポートで鉄球を手の中に収めながら呟く。
381悪夢の泡(修正) ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/17(水) 17:14:07 ID:XdznoCuL0
攻撃を邪魔された趙公明は不機嫌な顔を隠さずに、乱入者にクレームをつけることにした。
獲物の横取りは最低である。僕と戦いたいなら順番を守ってもらいたい、と。
「何だねキミは?僕と太公望君の戦いを邪魔しないでもらいたい!」

対する乱入者は獰猛な笑みを浮かべたまま、返答した。
「黄金聖闘士、蟹座のデスマスク。相手に不足はねえと思うぜ?」
そう、自分は強い。故に勝つのは当然。
アイアンボールボーガンをカプセルに戻し、デスマスクは構えをとる。

突然のことに次の行動を決めかねていた太公望は、自分を呼ぶ声を聞いた。
周りを見渡すと男と女が手招きをしている。
「こっちです!」
「そこのアナタ!早くここに隠れて!」
太公望はその二人――仙道と香の言葉に従い、近くの茂みの中にウェイバーを突っ込ませた。
ガリガリと茂みを削りながらウェイバーは速度を落とし、停止。

一息ついた太公望は、取り敢えず助力に対する礼を言う。
「助かったわい、おぬしらは?」
「私は槇村香、こっちは仙道彰くん、そして今あなたを助けたのがデスマスクさんよ」
二人の自己紹介の結果わかったことは、二人は先程太公望を助けたデスマスクという男を含めた三人で行動しているということ。
追手内洋一という少年を探して山梨県を歩き回っている途中で偶然太公望と趙公明を発見したということ。
そして三人ともゲームには乗っていないということだった。

しかし、話し合う間も時間は止まってくれない。
夜空に二つの武器が打ち合わされる撃音が響く。
デスマスクの武器は――鍛え抜いたその身体。
趙公明の武器は――伸縮自在の如意棒。

本来聖闘士の肉体は並の武器や使い手など相手にならない力を秘めている。
だがしかし、あらゆる武器を使いこなす仙人と射程を自由に変える武器が相手では苦戦は免れない。
攻めあぐねているデスマスクを見かねて、仙道が飛び出した。
「香さん、俺はデスマスクさんに加勢してきます!」
382悪夢の泡(修正) ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/17(水) 17:15:31 ID:XdznoCuL0
しかし、仙道の体つきはスポーツマンだけあって常人よりは鍛えられているが、とても戦闘用の身体ではない。
それを見抜いた太公望が戸惑いの表情を見せる。

その視線に気付いて振り向いた仙道の顔には決意と――自信が張り付いていた。
「大丈夫ですよ、俺にはこれがあります」
そう言って仙道が掲げたのはマジック&ウィザードのカードだった。
その絵柄は『真紅眼の黒竜』、『色付き』の竜の一角である。

戦いの場に進み出た仙道は、召喚のための祝詞を叫ぶ。
「真紅眼の黒竜、召喚!」
途端、カードに描かれた竜が実体化してその身体を巨大化させる。
現れ出ずるは、真っ赤な眼を持った漆黒のドラゴン。
仙道は真紅眼の黒竜に命令を出すため、戦闘が良く見える場所で陣取る。

趙公明が新たな乱入者に更に不快感を強める。
戦いの場はあのような一般人が来るようなところではない、もっと高貴な場だ。
ならば場にそぐわぬ異物を排除しよう。如意棒が伸びる。

仙道は迫り来る如意棒をギリギリまで引き付ける。
「まだだ・・・まだ慌てるような距離じゃない・・・!」
そして攻撃が届く瞬間、バスケで培った反射神経を駆使して回避する。

仙道に攻撃を加えた隙をついて趙公明を攻めつつ、デスマスクは悪態をつく。
「ひっこんでろ小僧!俺一人で十分だ!」
やるじゃねえか。内心では賞賛しつつ、自分が認めた男の参戦にその笑みはますます強くなる。


二対一の戦いを観戦しつつ、それでも太公望は不安を捨てきれなかった。
そんな太公望を香は笑顔で元気付ける。しかし、その笑顔は本来の彼女と比べると――あまりにも虚ろ。
「大丈夫よ。仙道君なら、きっと何とかしてくれるわ。海坊主さん、冴子さん、リョウ・・・どうか見守ってて・・・」
383悪夢の泡(修正) ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/17(水) 17:16:20 ID:XdznoCuL0
第三放送――もう、自分の知り合いは誰もいなくなった。
余りの寂しさに、放送を聞いた直後はもう死んでしまおうかと思った程だ。
しかし、彼女は強かった。自暴自棄には陥らなかった。
冴羽リョウが死んだとき、まだ生きると決めたから。

しかし彼女の言葉でも太公望の不安は拭えない。
彼は、趙公明の恐ろしさを知っているから。
趙公明は――『妖怪仙人』は『死んだ時』が最も危険であるということを――

「ひとつ、賭けに出るとするか。しかしちょいと迫力不足だのう・・・おぬし何か武器を持っておらぬか?」
「・・・残念だけど、このハリボテしかないわ」
香が取り出したのは、ウソップパウンド。
5tと書かれているが、本当はフライパンとゴムで出来た5kgのハッタリ品――自称天才・ウソップ作。
あきらかに殺し合いのゲームには役に立たないハリボテを見て、太公望はニヤリと微笑んだ。


趙公明の如意棒とデスマスクの拳が交差する。
これで数度目の打ち合いになるが、両者ともほぼ互角。それに加えて、
「デスマスクさん、いきます!黒炎弾!」
趙公明を狙った黒い炎が迫る。趙公明は寸前で炎を避けるが、熱波が襲う。
熱波を防ぐために神楽の仕込み傘を広げて身体への直接の影響を避けるが、
「スキだらけだぜ!」
背後に回ったデスマスクの回し蹴りがクリーンヒット。
吹っ飛ばされる趙公明だが、そこはさすが金鰲島の三強。くるりと空中で回転し着地、家との激突を回避する。

予想外の実力者、予想外の苦戦に趙公明は焦るどころか――何気なく買った宝くじが当たった者のように笑った。
「フフ・・・なかなかやるね。これは面白くなってきたよ!」

「いや、おぬしはここで終わりじゃ趙公明!わしの風でおぬしを成敗してくれるわっ!」
戦闘を続けようとする趙公明を止める声。
岩の上に立った太公望がポーズをとり、指を明後日の方向にビシィッと決める。
384悪夢の泡(修正) ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/17(水) 17:30:00 ID:XdznoCuL0
趙公明はその言葉に余裕の笑みを返す。それは自分の絶対的有利を知っている者の、他人を哀れむ笑み。
「風?太公望君、得意のハッタリは通じないよ。君の打神鞭は妲己が持っていた、つまり君は風は起こせない」
そう、趙公明は、太公望の愛用の宝貝を妲己が持っていることを知っている。だから太公望の言葉が嘘だということもすぐに判る。
ハッタリを見抜かれた太公望は――それでも強気の態度を崩さなかった。

「妲己がわしの打神鞭を?ううむそれは取り戻さなければならぬな・・・
しかしのう趙公明、今のわしは打神鞭がなくても風が起こせるのじゃよ、ぬうう・・・」
掌を敵に向けて翳す。仙力、いや『魔力』が一箇所に集中する。

太公望は思い出す。異世界の術を学ぶ為の教本を――その世界で育った身体に竜の力を宿した少年の言葉を――
(風のイメージだ。流動、流転、流れ行く風をイメージする。アバンの書はもう見た。
ダイに教えも請うた、呪文のイメージはもうある、後はわしが集中するだけであろう・・・)
風。自分が幾度となく使ってきた自然の力、その流れは完全に身体に染み込んでいる。
太公望は掌に全神経を集中させ、呪文を唱える。
「疾ッ、バギ!」

真空の刃が作り出され、趙公明の頬を掠める。皮膚が裂け、頬から血が垂れる。
「何故、宝貝がないのに風が・・・?」
趙公明の顔が驚愕に歪む。もちろん不可思議な現象を起こす武器は宝貝だけではない。今自分が使っている如意棒もその一つだ。
しかし今、太公望は明らかに『自分自身の力』のみで真空波を起こした。
自力で変身能力を使う天才道士も知っているが、太公望にその手の能力はなかったはずだ。
宝貝を使わずに太公望が風を操ることはありえない、ありえない、ありえない――

驚きに痛みすら忘れて立ち尽くす者を嘲笑うように――実際に嘲笑いつつ、驚きの原因は言い放つ。
「ニョホホホホ、驚いておるようじゃのう趙公明。まあ仕方あるまい」

太公望は自信たっぷりに、蔑むように――真実自分の言っていることが世の真理であるように自分が使った『力』を説明した。
「このゲームには実力制限がかけられていることは知っておるのう?わしはその制限の抜け道を探し出すことに成功したのだ。
しかもそれだけではなく、制限を利用してパワーアップする裏技も発見したのだ!その裏技を使えばこーんなことも可能だわい!」
太公望は5tと書かれたハンマーを軽々と振り回す。『こんな重い武器を楽に振れる』ことを示す行為。
385悪夢の泡(修正) ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/17(水) 17:33:42 ID:XdznoCuL0
その様子に警戒を強める趙公明に更に畳み掛ける。
「そんなわしに比べておぬしはどうかのう?制限は思いのほかキツイのではないかのう?
おぬしのことだ、この一日の間に何度も戦って疲労が溜まっておるのではないかのう?ケケケケケ」

その言葉で身体の異常に気付く。おかしい、確かに戦っている二人は強敵だが、自分がここまで苦戦する相手ではない。
そういえば身体がだるい、膝が笑う、息が荒い。
今までの太公望の行動を思い出す。無様に逃げる太公望、格好悪く逃げる太公望。
ただ逃げるだけの『策士』太公望。まさか――

「フフ・・・太公望君、今わかったよ。君が何故僕と追いかけっこしていたか・・・その理由がね」
趙公明は悟った。自分が『ハメられた』ことに。もっと早く気付くべきだった、興奮しすぎていたようだ。
ただ逃げ続けていた太公望の目的は趙公明を疲れさせることだった。
本気で逃げようと思えば趙公明から逃げ切ることも可能だっただろう、しかし太公望はあえてそれをしなかった。
趙公明が疲れているのを見切った上で、乗り物に乗っているというアドバンテージを持った上で、
ギリギリ追いつかれない距離を保って疲弊させる・・・それが目的――セコい。

「本当はもっと疲れさせるつもりだったのだがな。思わぬ援軍が来たのは僥倖だったわい。 しかしおぬしも成長しないのう、
このパターンで追い詰められるのは、原始天尊様のときと、クイーン・ジョーカーU世号のときと・・・これで三回目だのう。少しは進歩したらどうかのう」
策略に気付いた趙公明に追い討ちをかける言葉を吐く。
趙公明に違和感を抱く暇を与えないように。自分が『制限を解除した』方法を問われ、追求される前に。
全て嘘なら気付かれる。嘘に真実を混ぜるのは定石。

策士、太公望。勿論この会話もハッタリを言うためだけが目的ではない。
相手を逃がさない包囲網を作るための、時間稼ぎ。デスマスクと仙道の真紅眼の黒竜が包囲網を狭める。

「絶体絶命ってやつだな」
仙道が緊張を含んだ声で告げる。
「観念しやがれ」
デスマスクが己の絶対的優位に哂う。
「・・・・・・・・・・・」
趙公明は――無言。
386悪夢の泡(修正) ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/17(水) 17:34:53 ID:XdznoCuL0
降伏?
戦いに?
この僕が?

そんなことは絶対に許せない、戦いは『華』だ。そう、歴史を戦争が美しく彩るように。
その『華』である戦いの最後を、貴公子であるこの自分が『降伏』などという無様で汚すわけにはいかない。
しかし、自分の身体はもう限界だ。
武藤カズキ、ラーメンマン、ムーンフェイス――数々の強敵と戦った疲労が重い。
今日、自分は殆ど休んでいない。それに太公望との追いかけっこが追い討ちをかけた。
更に先程の男の回し蹴りが相当なダメージとなって身体に襲い掛かる。
もはやこのまま戦ってもエレガントな戦いは出来そうにない。それは不本意極まりないこと。

ならば、『華』を咲かせよう。
戦いの最後を美しく飾る、ゴージャスな『華』を――

趙公明は悟ったように壮絶に笑うと、
如意棒と仕込み傘を――投げ捨てた。
「フン・・・・!なめないでもらいたい!」




       ズン




大気が揺れ、大地が震える。
地鳴りと共に趙公明の身体からニューニューと枝が伸び始める。
「このデジャビュ・・・来るぞ!皆の者退がれ!」
387悪夢の泡(修正) ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/17(水) 17:35:54 ID:XdznoCuL0
趙公明の身体が変質する。枝が地面に刺さり、その勢力を拡大する。
皮膚が植物の表面に変わり、服と融合して更に肥大化。
脚だったものは地面に突き刺さり、地中で何本もの根に分かれる。
地面から巨大な植物が何本も生え、趙公明を包み込む。
全てが終わった後、趙公明がいた場所には巨大な植物が生えていた。


そこにあったのは、巨大な『華』。
妖怪仙人の原型(アーキタイプ)である。


【長野県と山梨県の県境付近/一日目夜中】
【太公望@封神演義】
 [状態]:やや疲労。 完全催眠(大阪の交差点に藍染の死体) バギ習得
 [装備]:ウソップパウンド@ONE PIECE
 [道具]:荷物一式(食料1/8消費)・五光石@封神演義・鼻栓 ウェイバー@ワンピース
    トランシーバー×3(故障のため使用不可)
 [思考]:1、趙公明に対処する
     2、新たな伝達手段を見つける
     3、妲己から打神鞭を取り戻す
    (趙公明を追い詰めて原型化させたのは魔家四将の対策と同じ理屈です)
    
【仙道彰@スラムダンク】
 [状態]:健康
 [装備]:遊戯王カード
     「真紅眼の黒竜」…現在使用中
     「光の護封剣」「闇の護風壁」「ホーリーエルフの祝福」…未使用
     「六芒星の呪縛」…二日目の午前まで使用不可能
 [道具]:支給品一式
 [思考]:1、趙公明に対処する
     2、首輪を解除できる人を探す
     3、ゲームから脱出。
388悪夢の泡(修正) ◆UJ2a0/5YGE :2006/05/17(水) 17:36:39 ID:XdznoCuL0
【デスマスク@聖闘士星矢 】
 [状態]:少しのダメージ(ほとんど回復、戦闘に支障なし)
 [道具]:支給品一式 、アイアンボールボーガン(大)@ジョジョの奇妙な冒険
     アイアンボール×2
 [思考]:1、趙公明に対処する
     2、仙道に付き合う

【槇村香@CITY HUNTER】
 [状態]:海坊主、冴子の死に若干の精神的ショック
 [道具]:荷物一式(食料二人分)
 [思考]:1、太公望達の無事を祈る
     2、追手内洋一を探す

【趙公明@封神演義】
 [状態]:原型化(伝説の巨大花) 重度の疲労
 [思考]:1、戦いを楽しむ
     2、脱出派の抹殺
     

 ※荷物一式×2(一食分消費)如意棒@DRAGON BALL 神楽の仕込み傘(弾切れ)@銀魂、は地面に落ちています

 ※制限による趙公明の原型の変更点
 1、弱点の存在・・・趙公明の顔がついた花が「核」であり、そこを破壊されると趙公明は死亡する
           首輪もその花についており、爆発すれば趙公明は死亡する
           「核」は趙公明の植物が制圧している場所なら移動可能
 2、増殖力の制限・・原作程の増殖力はない
           趙公明の体調が万全の場合、一日で県一つ制圧できる程度
           ただし、増殖力は趙公明の状態に大いに依存する
 3、大きさの制限・・最初の大きさは家と同じくらい
389作者の都合により名無しです:2006/05/18(木) 19:58:33 ID:JjMRPYN60
★ュ
 ビル群。
 そこは、四国の中でも都会に属する街なのだろう。オフィス街とも呼べようか、無機質な建物の集合地帯は、夜の暗闇によって奇妙な怪しさを漂わせていた。
(――しつこい!)
 ビルとビルの間を、冷たい風が吹き荒れる。余計な雑音がない分、何気ない風の音でも不思議と耳に止まった。
「――おらおら待ちやがれェ!!」
 ビル群を舞台にした、化け狐と死神の鬼ごっこ。
 二人の接触は数時間前。下津井瀬戸大橋を基点に、ここ、四国は愛媛県まで逃走劇を繰り広げてきた。
 追う者の名は、更木剣八。死神。欲するは、闘争。
 追われる者の名は、うずまきナルト。人の皮を被った九尾の化け狐。欲するは、力。
 共に常人離れした身体能力を持つ二人。ナルトに同行していたヒル魔を既に大きく引き離し、愛媛の街を駆け回る。
(………………くそっ、忌々しい小僧が!)
 封印される前、その膨大な力で木ノ葉の忍を追い回してきた九尾が、今は追われる立場。呪うは、おかしな制約を付けられたこの身体。
 うずまきナルトという入れ物に入れられ、その本来の力を発揮できずにいる。自分をこんな状況に陥れた木ノ葉の忍と、制約をつけた主催者共が憎い。
 そしてそれ以上に憎悪の炎を燃え上がらせる対象が、九尾を追い回す死神の男。奴さえいなければ、計画はもっとスムーズに進んでいたはずだ。あの目付きの悪い小僧を利用し、四国にいるであろう同族を喰らい、さらなる力を手に入れる。
 その計画が、この男のせいで全て狂った。チャクラも無駄に消費してしまい、いいことなし。
 この男さえいなければ――九尾の意思を持ったナルトは、死神への殺意を沸々と湧き上がらせていた。
 
 誰もが見上げるであろう高所を易々と走り回る二人は、未だ追いかけっこをやめない。ビルを蹴り、夜空を翔る。月光に照らされた汗は、そろそろ訪れるであろう限界を物語っていた。
 汗をかいたのは、九尾の方。消費したチャクラに仮初の入れ物では、死神を凌駕することは不可能だったのか。考えられない未来に絶望することはなかったが、さすがに不安は覚えてしまう。
「待ちやがれ――」
 死神との距離がさらに縮まろうかというその時、
 ビル群に一迅の風が吹いた――
「四国の平和を乱す輩は、この私が許さん!」
 風と共に現れたのは、乱入者だった。
 腰みの一丁の半裸という大よそ都会には似合わない風貌に、獅子のような気高い雰囲気を醸し出す男。本来はジャングルの平和を守る彼こそ――四国の平和を守る、守り神だった。
「少年、私が来たからにはもう大丈夫なのだ」
 ビルの屋上で立ち止まり、現れた男に視線を促す九尾と死神。男はその二人の間に割って入り、追われていた九尾を"守るべき者"として認識した。
「あ、あんた誰だってばよ?」
「私の名前はターちゃん。四国で悪さをする奴は……私が許さない!」
 それだけ言って、ターちゃんと名乗る男は死神に向き直る。戦わなければいけない相手に、敵意の視線を向けて。
「ああん? またおかしな野郎が邪魔に入ったか」
 溢れる戦闘意欲を押さえつけ、その場はなんとか会話を整えようとする死神――更木剣八。
 この男、自分と九尾の戦いの邪魔をするつもりらしいが、どうやら代わりに自分と戦うつもりでもあるらしい。
 ならば文句はない。風貌はふざけているが、この男はかなりの実力者に見える。ひょっとしたら、九尾以上の"当たり"かもしれない。
「……まぁいい。俺は相手が誰だろうと構わないぜ……真剣に死合ってくれるってんならよォ!!!」
 数秒だけ足を止めた剣八は、獲物を狩るため、再び足裏を爆発させる。その標的を、九尾の意思が宿った小柄な少年から、ジャングルの王者に変えて。
 強大な威圧感――正体は"霊圧"というものだが、ターちゃんがそれを知る由はない――を伴う剣八の突撃は、王者の風格を持つターちゃんでも圧倒されるほどだった。
 相手の武器は刃物。こちらの武器は拳。正面からぶつかってはどうしても不利になる。ならば、
「おらぁ!!」
 落ち着いて、見切る。
 剣八が繰り出す斬撃は、パワー、スピード共に驚異のものだ。だが、ターちゃんとて歴戦の勇者。さすがに死神との交戦記録はないが、剣を武器に使う者への対処法くらいは熟知している。
 まずは、相手の武器を無効化する。そうすることで相手の攻撃力は格段に下がり、運がよければそれだけで相手の攻撃手段を無にできるかもしれない。
 見たところ剣八の武器は、折れた刀に布か何かを巻きつけて握りとしたもの。剣と呼ぶにはあまりにも不恰好で、刀身も短くなっている。
(――まだ!)
 相手のリーチをギリギリまで見極め、極限で交わす。その一瞬の動作のために、ターちゃんは全神経を振り絞った。少しでも狂いが出れば――死。
 結果は――

「っ!?」
 剣を振り下ろした次の瞬間、剣八の身体は宙に舞っていた。
 今の一瞬。ターちゃんは剣八の斬撃を寸でのところでかわし、咄嗟に剣八の衣服を掴み取り、投げ飛ばしていた。
 しかし、さしものターちゃんでも十分な余裕は作れなかったのか。剣八はムラサメブレードを手放すことなく、宙に舞った身体も易々と制御し、着地する。
 今の一連の攻防。これにより、お互いの身体能力の差は把握できた。
 感想は共に『強い』。王者と死神、この二人の身体能力にそれほどの差はないだろう。ならば、勝敗を決めるのはそれ以外の要素が重要になってくる。
 一つは、武器。剣八は折れているとはいえ得意な刀を。対してターちゃんは、刃物も持っていなければ拳銃も所持していない。頼れるものは、鍛え上げられた己の肉体のみ。しかし、決して不利ではない。
 拳こそ、ターちゃん愛用の武器。己の肉体一つで戦うターちゃんに、刀剣類や銃の類は必要ない。
 しかし、だからといって刀を持った死神に対抗できるか否か。相手の手の内がまだ完全には分からぬ現状、正面から戦うのはまだ危険か。
「……ククク、やるじゃねぇか。思ったより楽しめそうだ」
(……いや、この男を相手に小手先の手段は通用しない。正面からぶつかるしかないのだ)
 剣八本人も、子供騙しや手加減などを好む人種ではない。戦う時は常に全力で、常に正面から。会ったばかりだが、ターちゃんも剣八の戦闘スタイルだけは感じ取ることが出来た。

「ターちゃんパンチ!」
 今度はターちゃんから仕掛ける。
 数多の密猟者共を下してきた王者の鉄拳が、死神に伸びる――が、
「おせぇよ」
 剣八は『瞬歩』でこれを容易く回避。スピードでは、剣八がターちゃんの上をいった。
 速度で上をいく――ということは、戦闘において致命的なこと。スピードで勝っていれば相手の攻撃を避けることも容易であり、相手より先に攻撃することも容易い。
 回避と攻撃。これを同時に行えば、反撃となって相手にダメージが下る。
「……が!?」
 斬られた。
 『瞬歩』により背後に回られ、ターちゃんの背中が一刀で斬りつけられる。その刀の軌跡からは鮮血が吹き飛び、笑いながら戦う死神の頬を塗らした。
 僅かな嗚咽と共に地に足を着くターちゃん。背中が熱い。無視することの出来ない痛みに、王者は劣勢を感じた。
 だが、
(これしきの……ことで!)
 致命傷でなければ、身体は動く。振り返りざまに拳を繰り出すが、そこにはもう死神の姿はなく。
「だから、おせぇんだよ」
 死神は常に背後にいる――ターちゃんは背後に強烈な寒気を感じ、咄嗟に身を引いた。
 案の定、背後には剣八が。先程までターちゃんがいた場所は、振り下ろされた一撃によって無残に大破する。コンクリートの床が抜け、下の階層に崩れ落ちる光景が目に映った。
「いい反射神経じゃねぇか。いいぜ……もっと俺を楽しませてくれ」
(この男……!)
 戦闘狂。
 戦うことに喜びを感じ、闘争を求めて生きる者。好物は強者、そして勝利。殺し合いのゲームなどでは、もっとも危険な人種だ。
 こいつをここで取り逃せば――公主や乾にも危険が及ぶかもしれない。

(……それだけはいけない!)

 四国の平和を守る。現在ターちゃんが抱える使命。危険因子は、殺してでも止めなければいけない。

(エテ吉……アナベベ……ペドロ……ヂェーン!)
 
 ターちゃんは、もう家族を失いたくはない!

(私に……力を貸してくれ!!!)

 
(……なんだ? 霊圧が上がった……?)
 決死の覚悟で立ち上がったターちゃんに、剣八は違和感を感じた。
 この腰みのの男、とても霊圧のコントロールが出来るような人種には見えないが……今の一瞬、確かに威圧感が増した。
(……おもしれぇ!!)
 その正体がなんであれ、これは喜ばしいことだ。敵が強くなる。もっと楽しい戦いができる。望むところだ。
 たとえその先に敗北が待っていようが、そんなことは関係ない。今が楽しめれば――

「うおおおおおおおおおおおおお!!!」
 ターちゃんの雄雄しく、勇敢な雄叫びが木霊する。
 四国を、家族を守るため、死神を下さんとする渾身の拳は、先程の比ではない。威力も、速度も。
「っぐ!?」
 こればかりは、『瞬歩』でも避けきれなかった。脇腹に命中したターちゃんの拳は、剣八の身体を宙へと持ち上げ――
「!?」
 違った。宙に舞ったのは――ターちゃんの方。
 一撃目の攻防の時のように、剣八は拳のカウンターとしてターちゃんの身体を投げ飛ばしていた。それも飛距離はターちゃん以上。
 投げ飛ばされた先に見えるのは、向かいのビル。そして、地上。
 ――そうだった。ここは階層数十階はあるであろう高層ビルの屋上だったのだ。そこから宙に投げ飛ばされたターちゃんは、遥か地上を眼下に手足をばたつかせる。いくらジャングルの王者とはいえ、鳥のような翼は持ちあわせていない。
 落ちれば――死。

「――まだなのだ!」
 ターちゃんの眼は、まだ死んでいなかった。
 それは、ジャングルの王者だからこそ――いや、"ターちゃん"だからこそ出来る芸当。
 何を思ったかターちゃんは自分の股間に手を伸ばし、陰嚢をゴムで出来ているかのように大きく広げてしまったではないか。
 陰嚢を広げたその姿は、まるでムササビの如く。そして信じられないことに、本当にムササビのようにそのまま滑空してしまった。
 浮力を得たターちゃんは、ビル屋上から落下した衝撃を和らげ、降下態勢を取る。が、

「――ったく、えらく滅茶苦茶な野郎がいたもんだ」

 死神の魔手は、執拗にターちゃんを付け狙う。
「ゲ! な、なにぃぃ〜!?」
 ムササビの要領で滑空する上方に目をやると、なんと剣八までもが降りてくるではないか。
 "降りてくる"と言っても、剣八も翼などは持ち合わせておらず、ましてやターちゃんのような常人離れした飛行手段も持ち合わせていない。降りてきたと言うよりは、落下してきたのだった。
 それこそ"死"は覚悟しているのだろうか。あの高さからの降下がどんな事態を招くのかを、分かっているのか。
 そんなこと、もとより考えてはいない。剣八の頭を過ぎったのはそんなつまらないことではなく、"ここでターちゃんを逃がすわけにはいかない"という一心のみ。
 今度こそ、完全な形で決着のつく勝負をする。そのために、剣八はターちゃんに止めを刺すことを選択したのだ。自らの身の危険も顧みず。
 こいつの方がよっぽど滅茶苦茶――ターちゃんがそう思った頃には、死神は頭上まで迫っていた。
「これで……終わりだァァァ!!!」
 振り下ろされるムラサメブレード。ターちゃんは已む無くムササビモードを解き、これを回避しようとするが、ここは空中。回避は不可能だった。
 回避が無理なら防御しかない。ターちゃんは何とか剣八の斬撃を受け止めるよう体制を整える。
 しかし、やはりここは空中。満足に動けず、加えて剣八の繰り出す剣には、重力の落下スピードが加算されている。
 打つ手はなく――剣は――ターちゃんの身体にめり込んだ。
「が…………」
 ターちゃんの顔が、あのどんな時でも優しく微笑んでいた顔が、苦悶で歪む。
 斬り付けられた箇所は左肩。そこから刀は腹部までめり込み、今まさにターちゃんを両断しようとしている。いや、ここは空中――それよりも、地上に落下する方が先だろうか。
 どちらにせよターちゃんに待っているのは死。もう成す術はない。できることはやった。公主や乾も、きっと分かってくれる。

(……それじゃあ……駄目なのだ)

 薄れゆく意識の中、ターちゃんは心中で呟いた。
 ここで死んで、なんになる。結果的になにが守れる。

 ヂェーン、エテ吉、アナベベ、ペドロ。
 守ることが出来ず、死んでいった家族達。
 公主、乾、鵺野、ダイ、両津、太公望。
 まだ生きている、守るべき家族達。

 ターちゃんは死ねない。死ぬわけにはいかない。
(そう……なのだ)
 家族を守る。あの儚げな美女を。あの利口な少年を。あの悲しみにくれる青年を。
(私には……守るべき"家族"と大切な"使命"があるのだ)
 頼りになる仙人と、無垢な少年と、たくましい男性の帰りを待つ。それまでは四国の平和を保つ。これは、ターちゃんにしか出来ないことだ。
(死んじゃ……駄目なのだ)
 何よりも、"家族"のため。
 めり込む刃と、それを握る手。そして、その手を握るもう一本の腕。
「なっ……!?」
 それは、ターちゃんの腕だった。
 自分の身体につながる剣八の腕をがっしり掴み、決して離そうとしない力強い腕。そして、振りかぶられるもう片方の腕。
「ターちゃん……」
 空中で振り絞る、最後の力。片方の腕は剣八を逃さぬため、片方の腕は剣八を倒すため。
 全てをこの一瞬にかけた。空中、加えて片腕を封じられたこの状態ならば、『瞬歩』も反撃も行えない。
 チャンスは、この瞬間にしかない――
「…………パンチ!」
 家族を守る――その思いが、ターちゃんに力を与えた。


 落下の衝撃音は、耳を貫くほどの轟音だった。
 下にあったコンクリートの地面は衝撃で大破し、粉々に崩れ散る。その中心にあったのは、二人の男の姿。
 左肩から腹部にかけて、刃の軌跡が走るターちゃん。落下の際のダメージも合わせて、夥しい出血をしていた。
 外見ではターちゃんほどの傷は見られないが、その中身はボロボロな剣八。骨もほとんど折れているのだろう。ところどころ外に突き出し、血を流していた。
 男達の戦いの跡――見るも無残だったが、不思議なことに、二人ともまだ意識だけは保っていた。

「……獲物がなくなっちまったな」
 呟く剣八の傍には、粉々に砕け散ったムラサメブレードが転がっていた。おそらく先程の落下の際、衝撃に耐え切れず破砕したのだろう。
 あれだけの戦闘をしたのだ、無理もない。戦いを楽しむための獲物をなくしたことに、剣八の士気は消沈していた。
「……家族は、私が……守るのだ」
 倒れながらも戦意を失っていなかったのが、ターちゃん。剣八の意識がまだあることから、自分もかろうじて意識を保っているのだろう。
 崩れたコンクリートに這い蹲る姿は情けないが、その顔が見せる雄雄しさは、誰も馬鹿にすることが出来なかった。
「心配しねぇでも、俺はもう獲物を持ってねぇ。当分戦わねぇよ」
 そう言うと剣八は立ち上がり、歩を進めた。
 この男は、あの傷でどうして歩いていられるのだろうか。ターちゃんが不思議そうに見つめるも、死神の背中は徐々に小さくなっていく。

「――この勝負は、次に会う時まで預けておくぜ。お互い、しばらく戦える状態じゃなさそうだからな。それまでは」
 ここからでは剣八の顔は見えない。この死神は何を考え、何を企んでいるのか。
「死ぬんじゃ、ねぇぞ」
 危機は、去ったのだろうか――?

 更木剣八の心は、今までにないほど満たされていた。
 ターちゃん……最初に対面した時はキン肉マンと同じような甘ちゃんかと思ったが、"敵"として十分な素質を持った男だった。
 あの豪腕から繰り出される拳、何かを守ろうとする力が生み出す、驚異の闘争心。
 この戦いが、今までの戦いで一番楽しめた。
 ただ一つ惜しいのは、決着をつけることが出来なかったこと。
 だが、同時に楽しみも増えた。お互いまだ生きているのだから、いつか再戦が廻りこんでくる。 
 その時を思えば、震えが止まらない。
 キン肉マン、志々雄、ターちゃん、まだ見ぬ参加者。
 死神の次なる相手は、誰だろうか――?

「……ごはっ」

 絶頂に浸っていると、急に身体が軋みだした。血を吐き、思わずその場に倒れそうになる。
 常人なら即死でもおかしくないダメージ。枯れることなき闘争心を原動力に動く死神は、生きている方が不思議なくらいだった。
 だが、ここで死んでいるわけにはいかない。明日にはまだ見ぬ強者が待っている。そのことを思えば、これしきの傷など。

「俺は……まだ戦える……」

 吐き捨てる死神の足は、重い。



 その足取りを、一人嘲笑う者がいた。


「――おい! 大丈夫かあんた!」
「……君は、誰……なのだ?」
 薄れゆく意識の中、ターちゃんに話しかける声が聞こえた。
 やたら尖っている金髪に、宇宙人のような耳をした目つきの悪い少年。ダイや乾ではない。自分の知らない人間……?
「んなことはどうでもいい! 早く治療しないと死ぬぞ、この糞腰みのがッ!!」
 乱暴な言葉を吐きながらも、自らの衣服を破きターちゃんの止血を試みる少年。
 その傷の面積と止まらない出血に四苦八苦していたが、一つ一つ冷静に対処していく。随分と大人びた少年だ。
「……名前を、教えて欲しいのだ」
「あん!? ヒル魔だ! 蛭魔妖一だ! 分かったら少し黙ってろ!!」
 ターちゃんは知る由もないが、このヒル魔という少年は先程助けたナルトに同行していた人物。四国に入ってからは離れ離れになってしまったが、所々で見つけた戦闘の跡を辿りながら、どうにかここまで来ることができた。
 そしてその矢先で見つけたのが、この半裸の重傷人。
(……ックソ! ひでぇ傷だ、まったく血が止まらねぇ!! いったい誰がやった……糞ウニ頭か? それともまさか……)
 ヒル魔が思い浮かべたのは、一人の少年の姿。
 だがそれは最悪のパターンだ。絶対にあってはならない。それでも、考えてしまう。試合中であっても普段であっても、"司令塔"という存在は最悪のパターンを無視することは出来ない。

 ――――ズドン

「――!?」
 思案しながらターちゃんに止血を施すヒル魔の後方で、突如鈍く、重い轟音が鳴った。
 振り返ると、そこには崩れたビルの壁の残骸が広がっていた。さらに、蔓延した埃と共に人影の姿も。
「ファ、糞ウニ頭!?」
 それは、ナルトとヒル魔を襲った死神――更木剣八のものだった。
 といっても、その姿は先程遭遇した状態からかけ離れている。所々に骨が飛び出し、夥しい量の血を流し、剣を握っていたはずの右腕がなくなっていた。
 あの化け物じみた実力を持った男が、こうも無残な姿に。いったい誰が――
 ヒル魔は数秒だけ考え、すぐにその真相を知ることになる。


「ククク……死神だと? 笑わせおって」
 埃が舞う中、新たに姿を現したのは――死神の右腕を口に銜えた、九尾の化け狐だった。
「な、ナルト……!?」
 目を引いたのは木ノ葉マークの額あて。間違いない。木ノ葉の忍を名乗った、うずまきナルトだ。
 その雰囲気、初遭遇した時とは随分とイメージが違う。姿形は自分と変わらぬ少年でありながら、少年では絶対に持ちえぬ狂気が滲み出ていた。
 そして、これは夢か幻か。ナルトの周囲から、禍々しい光のようなものが溢れているように見える。
 視覚化できるほどの膨大なチャクラは、ヒル魔に確かな"恐怖"を植えつけていた。
「ナル……ト?」
「ん……? ……おぉ、ヒル魔! いったいどこ行ってたんだってばよ!」
 疑いの眼差しを向けるヒル魔に対して、ナルトは何食わぬ顔で対応した。いつもどおり、元気な"表"の顔を装って。
「いやぁ、こいつったらしつこくてしつこくて。そこの腰みののおっさんに助けてもらわなきゃ、今頃死んでるところだってばよ」
 あくまでも、"表"の顔で。ここで本性を曝け出すわけにはいかない。

「……今さら何ふざけたこと言ってやがる。その糞ウニ頭……殺したのはテメーだな?」
 だが、狐の化かし合いは既に猿芝居と化していた。
 元々ナルトを疑っていたヒル魔である。さっきの不自然な登場を目の当たりにして、今さらこの九尾の言動を信じるほど、馬鹿でも道化でもなかった。
 もちろん九尾もそれは理解している。この少年、決して馬鹿ではない。
「……ほう、やはり分かるか。まぁ、当然と言えば当然じゃがな」
 馬鹿ではない。知能的には。しかし、やはり"馬鹿"だ。
「このまま知らぬ振りをしていればもう少し長生きは出来たであろうに」
「うるせぇ。俺はテメーみたいな奴に踊らされるつもりはねぇんだよ」
「ククク……なるほどのぉ」
 やはり、馬鹿は馬鹿。九尾の嘲笑は、しっかりとヒル魔の耳に届いた。

(……ヤベェな)
 この瞬間、ヒル魔は逃れられない危機を感じ取った。
 ナルトは、自分を殺す気だ。
 何か目的を持って自分達に接触したという推測が立証された今、ナルトが邪魔者になるであろう自分を生かしておく理由はない。ただでさえこのウニ頭の死神を殺めるほどの戦闘能力を持った輩、とても一高校生の手に負えるレベルではなかった。
(逃げるか……? いや、こいつの素早さは異常、あの糞チビよりも上だ! 俺が逃げ通せるワケがねぇ。なら戦うか……? もっと無理だ! コイツは素早さ以上に戦闘能力が化け物じみてる。役立つ手駒がなにもねぇ今じゃ、打つ手はねぇ!)
 その知略で泥門デビルバッツの危機を幾度なく救ってきた策士も、今回ばかりはお手上げだった。
 せめて愛用のマシンガンがあれば少しはマシなのだが……今この場には武器はもちろん、頼りになるチームメイトも存在しない。
 どうする? どうする? どうする――

「あ――」
 思考を廻らす間も、時は進む。
 その一瞬、何が起こったのかはすぐに理解できなかったが……次に訪れた一瞬で、自分は攻撃されたのだと言うことに気づいた。
 右肩に、フォークが一本。九尾がクナイの要領で投げたそれが、ヒル魔の右肩に深々と突き刺さっていた。
「グ――!?」
 気づいた時にはもう遅い。忍の技は、アメフトの試合展開などよりも高速で展開する。
 右肩に続き、左肩、右膝、左膝、ちょうど人間の四肢を狙って、計三本のフォークが投げ込まれた。その全ては、九尾の狙った箇所に命中する。
 四肢より鮮血を噴出しながら倒れるヒル魔。そのあっという間の出来事に、一般的な身体能力しか持ち合わせていない少年は、何もすることが出来なかった。
 感じるのは、痛みと怒り。嘲笑いながら近づいてくる九尾を睨みつけながら、その眼に怒りの炎を宿す。
 そして、決して苦悶の表情は見せない。どんな危機的状況でも、弱みを見せたら終わりだ。それを心得ていたヒル魔は、まだ勝負を捨てていなかった。
「……ふん。まだ何か言いたそうな顔をしておるの。こんな状況に陥ってなお諦めぬとは。真性の馬鹿か貴様は?」
 ナルト声で発せられる九尾の挑発にも、今は耐える。勝負を捨てなければ、必ずあるはずだ。
 どこかに――逆転の一手が。

「……俺は死なねぇ」
「なに?」
 眼前に迫った九尾を前にしても、ヒル魔の表情は崩れない。
 その眼には、怒りと共に希望が宿っていた。
(――希望?)
 彼は今もなお、勝機を模索している。
(――勝機?)
 どこかに、どこかに逆転の一手が――
(――逆転の一手?)
 あるはず――
(……ねぇよそんなもん)
 ヒル魔という少年は、決して馬鹿ではない。それどころか、天才と呼べるほどの知能を誇っている。
 そんなヒル魔が冷静に戦況を分析して、判断したのだ。
 ここに逆転の一手は存在しない。どう考えても、この先の展開は自分の敗北、ナルトの勝利で終わる。
 もし本当に逆転の一手が存在するというならば……それはここには存在しない、別の要因だろう。

「……もう一度言うぜ、俺は死なねぇ」
 例えば、アイシールド21のような救世主――
「死ぬのはテメーだ。この糞ギツネ」
 例えば、常人離れした剣技を持つ剣客――

「テメーは五体バラバラにされて、テメーの腕と足と胴体を見つめながら無残に死ぬ」
 もちろん、今現れる確立はゼロに等しい。
「もしくは、地獄みてぇに熱い劫火に焼かれて熱さに悶えながら無様に死ぬ」
 だが、この九尾が生き残ることは不可能。その時こそが、ヒル魔の逆転の時。
「もしくは、極寒の水中に投げ込まれて寒さに凍え苦しみながら死ぬ」
 これは、その時の想像話。もしくは予言の言葉。

「……それ以上このわしを愚弄することは許さん!!」
 九尾も黙ってい聞いているほど温厚ではなかった。残った一本のフォークを握り締め、ヒル魔の眼前に突きつける。
「ハッ、なんなら俺様が今すぐ呪殺してやろうか? ケケケ」
 小悪魔の笑いは、九尾の怒りを頂点へと押し上げた。
 フォークが、振り下ろされる。その切っ先を、死と直結している脳へと向けて。
(ケッ、どうやら俺もここまでか……)
 心中ではそんな諦めを見せつつも、実際の言動では最後の"負け惜しみ"をやめない。
 せめて舌戦では、この九尾に勝りたかったから。
「俺は死なねぇ……死ぬのはテメーだ」
 最後まで黙らず、ヒル魔は九尾を睨み続けた。

「YAーーーーーーーーーーーHAーーーーーーーーーーー!!!」


 目の前で、少年が死んだ。
 だというのに、自分はいったい何をしていたのか。
 自問自答してみるも、答えは一つ、初めから分かりきっていたこと。
 動けなかったのだ。動かなかったのではなく。
 剣戟による裂傷と出血。落下による骨折と脳震盪。
 意識を保っているのもやっとなこの現状、身体を動かすことなど不可能だった。
 それでも、意識だけは動かせたのだ。少年を救いたい、と。
 しかし、身体がついてこれなかった。鍛え上げられて肉体も、人間の限界を超えることはできなかった。
「さて、先程は世話になったな。一応感謝はしておくぞ」
 少年を殺した少年が何か喋っている。何かはどうでもいい。考えたくもない。
 頭の中は殺人への怒りと動かない身体への憤りで溢れていた。
「礼は……そうだな、せめて苦しまぬよう、わしの手で楽にしてやろう」
 少年が迫る。こんどは自分の身が危機だ。
 だというのに、やはり身体は動かなかった。それどころか、瞼も閉じかけてきている。
「……家族、を…………」
 守る。
 その意思だけは、死んでも捨てない。
 いや、その意思を全うするためにも、ジャングルの王者に死は許されないのだ。
 なのに、
「では、さらばだ――」
 身体は、動かなかった。

 ターちゃんの帰りが遅い。
 数時間前、近隣で起こった戦闘音を聞きつけたターちゃんは、様子を見てくると言って出て行ってしまった。今はそれっきり、連絡もない。
 戦闘音が起こったということは、そこで誰かが戦っていたということだ。ゲームに乗った者か、はたまた脱出派同士のいざこざか。
 どう考えても前者の方が可能性が高い。ならば、ターちゃんもその戦いに巻き込まれたと考えるのが普通か。
 最悪、死亡という可能性も考えられる。考えたくはないが、否定できない可能性なのだ。
 ターちゃんは強いが、その実力がこの世界でトップという保証はどこにもない。だからこそ、不安が拭えない。
 ここに来るまで、数々の戦闘跡を見かけてきた。壊れた民家、拉げた電柱、割れた道路。
 香川からここ愛媛まで、戦渦を広げながら移動してきたのだろう。進めば進むほど、辺りの被害は大きくなっていった。
「!」
 そして、乾はついに見つけた。
 戦禍の終着点を。

 数多のコンクリート片に、鼻が壊れそうなほどの血の臭い。
 乾は戦場などというものを直視したことはなかったが、ここが明らかに戦闘跡だということだけは分かった。
 そして、それをさらに決定付ける存在に触れることになる。
「…………!!?」
 声も出なかった。
 乾が見つけたのは、一人の少年の死体。
 四肢から赤い液体を垂れ流し、頭部からはピンク色の異物がはみ出ている――
「うっ……」
 この世に生を受けて十数年、初めて見る生の脳漿だった。
 それは人体模型や医学の本で見るものよりもリアルで生々しく、問答無用で吐き気を誘うとんでもない代物である。
 普通の男子中学生にとってはあまりにも大きな衝撃――口元を押さえても、込み上げてくる衝動は抑えられそうにない。
「……おぇ」
 一頻り胃液を吐き捨て、再び周囲を捜索する乾。なるべくさっきの死体を目にしないように、気をつけながら視線を回すと、
「…………ター、ちゃん?」
 今度は、ターちゃんを見つけてしまった。
 脳漿をぶちまけている訳ではなかったが、胸元に裂傷を刻み、心臓の辺りが潰されている。……死体だった。
 まさか、ターちゃんが死ぬなんて。
 数時間前に仲間になったばかりの頼りがいのある人物、そんなターちゃんが、もう死んでしまった。
 これが、殺し合いの世界。乾は、今立たされている現実というものを思い知らされる。
「……あ……うぁ……」
 少年とターちゃんの死体を発見後、今度は呻き声が聞こえた。
 それは紛れもない生者の声。乾は急いでその声の発信源を探し回り、やがて倒れ付した少年を発見した。
「助けて……くれってばよ……」
 少年はそれだけ言い、気を失ってしまった。無数の裂傷に疲弊しきった顔、まさかこの少年が殺害犯であるということはないだろう。それに、どうやら生存者はこの少年だけのようである。
 ターちゃん死亡。乾はこの最悪の情報と傷ついた少年を土産に、公主の下へ舞い戻ることにした。
 その胸中を、早くこの場から離れたいという思いで一杯にしながら。


 
「うう……すまねぇってばよ」
「今は礼はいい。それよりも、辛いだろうが早く気持ちを落ち着かせてくれ。俺はあの惨状の真相が知りたいんだ……」
 乾が助けた少年、ナルトが目を覚ましたのは、ベースにしている施設内に入ってからだった。
 が、あの惨劇の舞台に立ち会った上にこの怪我、すぐには会話することなどできないだろうと踏んだ乾は、ナルトの名前を聞くだけでその場はとどまった。
 本当は逸早くターちゃん死亡の真相が知りたい……そう思いながらも、この少年を無視することは出来ない。なにせ、自分自身も計り知れない精神ショックを負っているのだから。

(近い……近いぞ!)

 乾は知らない。ナルトの実態を、その本性を。
 
 乾がまずナルトをつれて来たのは、『会議室』というプレートが掛かった一室。
 中に入ると、一人の男が魘されているような寝顔で眠っていた。
「公主さんは……宿直室かな? すまないが、少しここで待っていてくれないか。もう一人の仲間を呼んでくる」
「その前に……この男の人は誰なんだってばよ?」
「ああ、この人は鵺野鳴介先生。詳しいことは後で説明するが……どうかこのまま眠らせてあげて欲しい」
「……ん、分かったってばよ」
 そう言うと、ナルトは再び視線を横たわる男――鵺野に促す。

(この妖気……見つけたぞ、我が同族!)

 乾に気づかれぬよう、九尾はそっと微笑む。いや、もう気づかれても問題はないか。
 標的を発見した以上、あとは喰らうだけ。見たところこの少年は自分に対抗できるような手段は持ち合わせてはいないようだ。邪魔者は、いない。

「乾、戻ったのか? その者は……」
 あとは行動あるのみ――そう思い立った矢先、室内に新たな声が。
「公主さん……ただ今戻りました」
(チッ、邪魔が入ったか)
 現れたのは、見事な黒髪と美貌を兼ね揃えた仙道、竜吉公主。
 おそらくは寝ないでターちゃんと乾の帰りを待っていたのだろう。それを察した乾は、現実を伝えていいものかと少々戸惑った。
 だが、沈み気味の乾の声に公主は薄々気づいてしまったようである。乾が何を見てきたのかを。


「そんな……ターちゃんが……!?」
 公主が身を休める宿直室。
 そこでは、乾が愛媛で見てきた惨劇を語っていた。一部始終包み隠さず、ターちゃんが死んだということまで全て。
「公主さん……辛いのはわかりますが、今は気を確かに持ってください。あなたまで倒れてしまっては、両津さんやダイ君にあわせる顔がない」
 愕然とする公主に、乾はそんな言葉しかかけてやれなかった。
 自分だって辛い。この悲しみが和らげられる者がいるなら、参考までにぜひ会ってみたいものだ。
 太公望の計画、四国死守の要たる存在だったターちゃんの死――太公望やダイになんと言えばいいのか。
 公主と乾は、ただただ悲しみにくれた。今なら鵺野の気持ちが良く理解できる。仲間を亡くすというのは、こんな感情を生むのか。

 その後、竜吉公主と乾の二人はなんとか気持ちを落ち着かせ、ナルトの話を聞くことにした。
 ターちゃんと金髪の少年を殺したのは、ウニ頭をした名前知らずの剣客らしい。剣客は少年を殺害後、ターちゃんと交戦。結果は、相打ちだったそうだ。
「俺はそのウニ頭に殺された、ヒル魔って奴の仲間だったんだ。俺、頑張って戦ったんだけど……まったく歯が立たなかった。あの腰みのおっさんが助けてくれなかったら、俺も今頃……」
 悲しげに物語るナルトを見て、二人は居た堪れない気持ちになる。この少年も仲間を失い、辛い目をしたのだ。
「最初に襲われたのは俺らだったんだ……! 俺らがここにこなけりゃ……あのおっさんも死ななかったのに……!!」
 ナルトは話しながら畳を殴りつけ、怒りをあらわにする。
 仲間を失った悲しみ、関係のない人を巻き込んでしまった自分への怒り、全てが見事な"演技"だった。
「……事情は理解した。ナルト、お前は何も悪くない。今宵ばかりは全て忘れて……どうかゆっくり休んでくれ」
 この少年の悲しみは計り知れない。だからこそ、公主はそれ以上ナルトを咎めようとはしなかった。元凶は、全てその剣客にある。
「では、ナルト君は会議室へ……」
「待て乾」
 ナルトを連れて自室へ帰ろうとした乾を、公主が呼び止めた。
「乾には、鵺野先生の看病に尽くしてほしい。ナルトはこの部屋で休めばよかろう」
「公主さん? いや、しかし……」
「分かってくれ乾。鵺野先生がいつ目覚めるかも分からぬ。それに、私も辛いのだ……できることなら一人にはなりたくない」
「公主さん……」
 公主は、第三放送でも数人の知り合いを亡くしたと聞く。それに加えてダイ、両津離脱直後に訪れたターちゃんの死。
 外見的な気高さは保っているが、内心は想像以上に疲弊しているのだろう。それを察した乾は、それ以上口にしようとは思わなかった。
「分かりました。ナルト君、すまないが公主さんをよろしく頼む」
「オッケーだってばよ!」
 かくして乾は鵺野の待つ会議室へ。ナルトと竜吉公主はこのまま宿直室で就寝となった。



 乾去りし後、快く公主との相部屋を承諾したはずのナルトの胸中では、どす黒い感情が渦巻いていた。
(ええい、おのれ! あのままあわよくば食事に取り掛かれると思ったところを……仙人だかなんだか知らんが、忌々しい女め!)
 それは、思わぬ女の言動により計画を狂わされた、九尾の憤慨だった。

(あの乾とかいう小僧だけならともかく……この女からは何か計り知れない力を感じる。うかつに手を出すのは危険じゃな。それに、あの同族が目を覚ますのも厄介じゃ)
 今はまだ眠ったままの、鵺野鳴介とか言う名の男。正体は分からないが、その妖気は昼に喰らった妖狐以上のものだ。
 利用できるものならしたいが……チャクラの少ない今では、返り討ち似合う可能性すらある。

(それに、あのヒル魔とかいういけ好かん小僧の仲間二人……集合時間はとっくに過ぎているが、やつらと顔を合わせるのマズイ。それまでにはなんとか食事を済ませたいが……)
 それにはこの女、竜吉公主が邪魔だ。始末してもいいが、チャクラと体力を消耗した現状、底の見えない相手に手を出すのは危険か。

(食事は可能な限り迅速に。今は出ていると言う他の仲間が戻ってくる前に済ませたい。どうにかして隙を作らねば……)
 休息を取りながらも、九尾は企みをやめない。邪魔者を殺し、同族を喰らう。その目的のために。
 化け狐の企みは、仙人の裏をかけるかどうか――
 企む九尾と同室に置かれながら、竜吉公主は一人先のことを思案していた。
 ターちゃん死亡による脱出計画への支障、早急に取らなければいけないダイ達との連絡。
 そして何より、この新たな仲間への対処。
(うずまきナルト……か)
 歳はダイや乾とそう変わりない少年だ。しかしながら、その奥底から感じる脅威は、明らかに異質なもの。

(要らぬ不安を与えぬため、乾には黙っていたが……この少年、内に何かを潜めている。鵺野先生の『鬼』に似たような……妖気のようなものを感じる)
 公主は、鵺野と接触した時にも逸早くその正体に気づいていた。そしてこの少年、ナルトと対面した時にも、同じような気配を感じた。

(よもやとは思うが……もしもこの少年が、何かに憑かれているのだとしたら。悪霊や妖怪の類には、子供の身体を利用する輩がごまんといる)
 それを考えれば、この不審な気配の理由もつく。そして最悪の場合、

(もしくは、この少年が既に乗っ取られている場合。私達に見せた自我は全て仮初のもので、本性は別にあるのだとしたら。とんだ役者だな)
 それは最悪のケースだ。その場合、公主はもっとも危険な輩と寝床を共有していることになる。

(確証もなしに少年を疑うことなどしたくはないが……あのターちゃんが死んだのじゃ。その場にたった一人生き残った生存者に、奥底から感じる禍々しい気配。どう考えても不自然)
 これこそさらに最悪なのだが――もしもターちゃんを殺したのが、話に出てきた剣客ではなく、ナルトの中に潜む何かだとしたら。

(鵺野先生は確か霊能力者だとか。目が覚めたら、一度見てもらったほうがいいかもしれん。……もしも既に乗っ取られているのであれば、その前に一騒動起こすかもしれぬが)
 その場合、唯一異変に気づいている自分がなんとかせねば。
 公主は疲れた身体に鞭を入れ、ナルトを見張り続ける。せめて鵺野先生が目覚めるまで――この怪しい気を感じる少年から、目を放すことはできない。

(ターちゃん……あなたの守りたかった家族は、きっと私が守り通す。だから、安心して逝ってくれ――)
 既に亡き仲間への手向けは、こんな言葉一つじゃ修まらない。
 それでも、せめてもう少し気が休まる時までは――供養も何もないことを許して欲しい。
【香川県/ダム施設内・会議室/真夜中】
【乾貞治@テニスの王子様】
【状態】ターちゃんの死、ヒル魔の死体直視による精神的ショック大
【装備】コルトローマンMKV@シティーハンター(ただし照準はメチャクチャ)(残弾30)
【道具】支給品一式。(ただし一食分の水、食料を消費。半日分をヤムチャに譲る。)手帳、
    弾丸各種(マグナムリボルバーの分は両津に渡してある)
【思考】1、しばらく休息、鵺野の看病。
    2、越前と合流し、脱出を目指す。
    3、脱出、首輪について考察中。

【鵺野鳴介@地獄先生ぬ〜べ〜】
【状態】気絶 
【装備】御鬼輪@地獄先生ぬ〜べ〜
【道具】支給品一式(水を7分の1消費。)
【思考】1、気絶


【香川県/ダム施設内・宿直室/真夜中】
【竜吉公主@封神演義】
 [状態]:疲労進行中、お香焚きこめ中
 [装備]:青雲剣@封神演義
 [道具]:荷物一式(2食分消費)、アバンの書@ダイの大冒険、お香(残り5回)
 [思考]:1.ナルトを警戒。正体には薄々気づいている。
     2.太公望の心配。
     3.鵺野の看病。
     4.四国を死守。
     5.呪文の取得(『フバーハ』か『マホカンタ』が候補)
 [備考]:キアリーを習得
【うずまきナルト@NARUTO】
 [状態]:九尾の意思 重度の疲労 全身に軽度の裂傷 チャクラ消費大
 [装備]:無し
 [道具]:支給品一式×2(一つは食料と水を消費済み、ヒル魔から奪取) ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険
    :ソーイングセット、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
 [思考]1、鵺野と接触し、可能なら利用。不可能なら殺害後捕食。
    2、隙を見て竜吉公主を殺す。
    3、しばらく休息。
    4、剣心、セナとの接触は避けたい。
    5、サクラを探し、可能なら利用。不可能なら殺害
    6、術者に能力制限を解かせる
    7、優勝後、主催者を殺害する
[備考] (ナルトの精神は九尾の部屋で眠っています。肉体的に瀕死、
またはナルトが外部から精神的に最大級の衝撃を受けると一時的に九尾と人格が入れ替わります)

*玉藻の封印は、玉藻の死亡と、九尾のチャクラの一部によって解除されたと言う見解です。
 そのため、今のナルト(九尾)はナルトのチャクラ+九尾のチャクラ15%程度のチャクラが上限です。
 ただし、九尾のチャクラも使いこなせます。
 あと、九尾は基本的にナルトの口調で喋ります。

※更木剣八、ターちゃんの荷物一式は愛媛県の市街地に放置されています。

【更木剣八@BLEACH 死亡確認】
【蛭魔妖一@アイシールド21 死亡確認】
【ターちゃん@ジャングルの王者ターちゃん 死亡確認】
【残り64人】
410作者の都合により名無しです:2006/05/24(水) 01:20:55 ID:H1RGdY/D0
               r'゚'=、
               / ̄`''''"'x、
          ,-=''"`i, ,x'''''''v'" ̄`x,__,,,_
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  __x-='"    |   /ヽ      /・l, l,   \ ヽ
 /(        1  i・ ノ       く、ノ |    i  i,
 | i,        {,      ニ  ,    .|    |  i,   http://www.youtube.com/watch?v=R-fjqo3dNhg
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  `"            `ー'"          iiJi_,ノ
411作者の都合により名無しです:2006/05/24(水) 22:12:33 ID:9RxPMphFO
ギガスプーはよせ
412作者の都合により名無しです:2006/06/01(木) 20:57:21 ID:gh8hre4v0
保守
413作者の都合により名無しです:2006/06/03(土) 08:14:06 ID:HwVCrfpu0
               r'゚'=、
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  `"            `ー'"          iiJi_,ノ


414アーノルド:2006/06/07(水) 17:35:23 ID:UL/VkC5G0
保守
415作者の都合により名無しです:2006/06/10(土) 18:58:04 ID:TmdoZmA10
もうパート9に移ってんだな
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1148223162/l100
416作者の都合により名無しです:2006/10/16(月) 05:19:45 ID:v2/25UP/0
a
417作者の都合により名無しです:2006/10/27(金) 01:40:32 ID:6QcpixHY0
廃スレ支援
418作者の都合により名無しです:2006/10/27(金) 01:42:10 ID:6QcpixHY0
支援
419作者の都合により名無しです:2006/10/27(金) 01:43:49 ID:6QcpixHY0
支援
420作者の都合により名無しです:2006/10/27(金) 01:44:27 ID:6QcpixHY0
支援
421作者の都合により名無しです:2006/10/27(金) 01:46:40 ID:6QcpixHY0
支援
422作者の都合により名無しです:2006/10/27(金) 01:47:26 ID:6QcpixHY0
支援
423作者の都合により名無しです:2006/10/27(金) 01:53:38 ID:6QcpixHY0
支援
424作者の都合により名無しです:2006/10/30(月) 01:27:45 ID:RFD6WBcn0
支援
425作者の都合により名無しです:2006/10/30(月) 01:28:17 ID:RFD6WBcn0
支援
426作者の都合により名無しです:2006/10/30(月) 01:28:59 ID:RFD6WBcn0
支援
427作者の都合により名無しです:2006/10/30(月) 01:29:51 ID:RFD6WBcn0
支援
428作者の都合により名無しです:2006/10/30(月) 01:30:23 ID:RFD6WBcn0
支援
429作者の都合により名無しです:2006/10/30(月) 01:36:07 ID:RFD6WBcn0
支援
430作者の都合により名無しです:2006/10/31(火) 20:23:21 ID:EoQRzQhM0
しえん
431作者の都合により名無しです:2006/11/01(水) 17:30:27 ID:kE985hCB0
ゴクウぶち切れ全てを壊す
ラッキーマンがなぜかラッキーで優勝
432無神経タフマン宮脇:2006/11/07(火) 00:19:51 ID:1a/YZcYy0
ラッキー!
433作者の都合により名無しです:2006/11/13(月) 00:04:58 ID:mDDGNjAA0
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434作者の都合により名無しです:2006/11/13(月) 00:06:52 ID:mDDGNjAA0
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435作者の都合により名無しです:2006/11/13(月) 00:09:20 ID:mDDGNjAA0
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436作者の都合により名無しです:2007/02/11(日) 13:09:50 ID:fkUYiG8x0
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