2次】漫画SS総合スレへようこそpart33【創作】
1 :
作者の都合により名無しです:
4 :
作者の都合により名無しです:2006/01/06(金) 14:34:33 ID:ElGq/oHr0
>>1さん、スレ立て乙です!
新年に入っても衰える気配がなくて結構ですね。
>ゲロさん
明るい雰囲気の作品と、おどろおどろしい雰囲気の作品の
2つに分かれてますな、今のバキスレは。
ゲロさんは一人で2種類書けるから凄いな。(魔女、茄子)
今回は「血」がテーマですか。魔女に相応しい題材ですなあ。
>銀杏丸さん
仙人の域に達しているシャカと、未だ未熟さの残るシヴァ。
対比がいいですね。ある意味、シャカはアテナよりも真理に近い存在。
しかし、この頃のシャカは僅かな迷いも垣間見えます。
新社会人ですか。厳しい事も多いでしょうが、頑張って下さい。
>>1さん乙。
>銀杏丸さん
バルゴのシャカ好きだな。セイントの中で一番。
最強なのに知的なのがいい。彼の主役作をまたお願いします。
scene11 『誰か』の見た悪夢
暗闇の中に、私は一人立ち尽くしていた。私は、何故ここにいるのだろうか。
そもそも、ここはどこなのだろうか。私は……誰なのだろうか。
『どうして……』
闇の向こう側から、少女の声がした。恨みがましい声。誰かを責めるような口調。
『どうして……』
声が、段々と近づいて来るのを感じる。
闇の中に、少女のシルエットがぼうっと浮かび上がった。
両手で顔を覆い……泣いているのだろうか?
少女はそのまま――両手で顔を覆ったまま、近付いてくる。
緩慢な動作で、地面を踏みしめるように。一歩。また一歩と。
「……あなたは、誰?」
私は勇気を振り絞って、顔の見えない少女に質問を投げた。
『知ってるくせに――卑怯者』
少女は両手を覆っていた手を下ろした。
少女の顔は――私の顔だった。
少女は私の顔でにいっと笑い、口許から一筋の血を流した。
首が、がくんと折れて九十度に曲がった。
『私……死んじゃったの』
言葉が、頭の中でリフレインする。
目の前にいるのは、私。私が私に「死んじゃった」って言ってる。
『それなのに。ねえ、どうして……?』
私が、折れ曲がった首を振りながら、私に詰め寄る。
知らない、私は生きている! あなたこそ、誰?
私の振りをする、あなたは誰なの!?
『まだわからない振りするの? 私はねえ……』
私は私に向かって、壮絶な笑みを浮かべた。
scene12 『テラー』
俺はオーナー控え室のロッキング・チェアーに背を預け、宙に視線を彷徨わせていた。
『悪い条件ではあるまい……ここにいてもどうせ、粉塵で肺をやられ……そう長くは持たぬだろう?』
クソッ、クソッ、クソッ……! あのクソ爺ッ……何が、慈悲だ。何が、救済だ!
『もし、犯人を返り討ちにできたなら――地下からの脱出を、約束しよう』
そうやって甘い言葉で騙くらかして……結局は……放り込むんじゃないか……死地にっ……!
俺は死なない、絶対に生き残ってやる……! 俺は、こんな場所で死ぬべき人間じゃないんだ……!
そうだ。案ずることは無い。俺には明らかなアドバンテージがある。
参加者の中に一人、犯人が、いや……殺人鬼が紛れていることを知っている。
このゲームを大金のかかった、ただのイベントだとしか認識しておらず――
犯人もまた、悪戯坊主か何かだと勘違いしているような、心構えのなっていない探偵連中とは違う。
そう簡単には殺されない。殺されてたまるものか。
そっと、スーツの中を探る。ひんやりとした感触が、指に伝わってくる。
いつ犯人に襲われてもいいようにと、調理場にあった出刃包丁を失敬して、懐に忍ばせていた。
プロの殺人鬼を相手にするには心許ない武器だが……ないよりは、ぐっと勝率が増すだろう。
それにしても、と俺は思う。伊藤カイジ。あいつは、どうしようもない大馬鹿者だ。
あいつは、帝愛裏カジノの『沼』を制し、七億を越える収入を得たはず。
それでも未だ懲りることなく、知ってか知らずか、こんなデスゲームの渦中に身を置いている。
(救えねぇ……!)
それでも、わざわざあいつの姿を探し、ルール違反を覚悟で、遠回しながら余計な忠告までした。
素直に認めたくはないのだが、あいつなら、何とか生き残り、兵藤に一矢報いてくれるのではないか――
俺の中で、そんな密かな期待が芽吹きつつある。今なら、黒崎の言葉が理解できる気がした。過大評価なんかじゃない。
あいつは――追い詰められれば追い詰められるほど、その力を発揮する。
言うならば『窮鼠、猫を噛む』を体現したような男なのだ。
確かに鼠。ちっぽけな鼠には違いない。しかし、ただの鼠ではない。
決して諦めず、猫を罠へと誘い込み、致命傷を与える鼠……!
視線を、元の位置に戻す。オーナー室のドアが、視界に入った。
(……え?)
目の前の光景。その現実を認識するのに、数秒の時間を要した。
(閉めた。確かに閉めたはずなのに――)
オーナー室の、ドアが、僅かに、開いて、いる。
犯人は既に、この部屋に侵入している……!?
「うぐっ……!」
立ち上がろうと足に力を入れた瞬間、背中に強い衝撃を受けた。視界の隅で、今まで座っていた椅子が転がるのが見えた。
頭を押さえつけられ、床に叩きつけられる。俺はあっというまに犯人に組み敷かれ、身動き一つできなくなっていた。
誰だ……誰なんだ……!? 犯人の姿を一目見ようと首を捻った直後、耳の奥に熱い何かが――当たる。
叫ぼうとするが、絶妙のタイミングで口を塞がれた。声が……出ない。針状の凶器が、俺の右耳を、鼓膜を貫いていた。
犯人はそれでも満足することなく、さらに深く……深く……凶器を押し込む。
ずぶ……ずぶ……くちゅっ。ぐじゅっ。
脳を弄られる不快感……圧倒的不快感……!
しかし、俺にはもう抗うすべはなかった。ただ、芋虫のように身を捩るだけ……!
(やめろっ……やめろっ……やめろおっ……! いやだあぁぁ! あ、あああっ)
沈んでゆく。意識が――沈んでゆく。ペンキで塗りつぶしたような黒の海。二度と戻れぬ深淵へと……
スレ立てお疲れ様です。前回投稿は前スレ415になります。
ようやく殺人事件が起きました。
・イヴシリーズ
イヴはですね、最高傑作と名高いバーストエラーは未プレイなのです。
PSのロストワンだけはプレイしたことがあるのですが……前評判通り、微妙でした。
それでも、爆弾魔スネークと脅迫者アドニスの正体が割れる直前は、かなりハラハラさせられました。
ミスリード(イルカから画像抽出)とかにも、ちゃっかり引っかかったりして。
今調べた所、テラーというのはどうやら作中に登場する暗殺者の通り名みたいですね。
このSSでは、単に彼の偽名(?)というだけの役割しか果たしておりませんが……
・ジャンル
何でしょう。サスペンスでしょうか。
それほど大層なものでもありませんけれども。
10 :
作者の都合により名無しです:2006/01/06(金) 21:35:10 ID:WkmLZhhd0
>>1さんお疲れです。またSSが沢山来るといいですね。
>見てた人氏
うわ、続きが早く読みたい・・。今回は2つの転機が訪れましたね。
多分、今後の鍵となるであろう「少女の夢」。そしてついに殺人事件。
あの意味ありげな(勿論重大な意味があるんでしょうが)夢を誰が見てたのか、
殺害の方法は何か。耳に針状?あのEカードの?様々な糸が凄く絡まって面白いです。
※バーストエラーはロストワンの数倍よく出来てますよ。ラストは少し強引ですけど。
>殺人黙示録カマイタチ
まさかテラーはあそこの人だったとは…。そして犯人強し。
単独スレ立てても問題ないくらい面白いですね。
夢は単なる悪夢か、はたまた予知夢か?スゲェ気になります。
張り巡らされた伏線、個性的なキャラ、所々の恐怖。そして遂に始まった殺人事件。
まだ序盤だろうにこの緊張感、末恐ろしいですな。
少し失礼ながら願わくば竜頭蛇尾にならないように。更なるハラハラを期待してます。
13 :
ふら〜り:2006/01/06(金) 23:44:02 ID:BUNy9jNG0
>>1さん
おつ華麗様にございます。これで33かぁ……さんざんいろんなことを乗り越えて、
ここまで成長し辿り着いたバキスレ。この調子でゆきましょうぞ、各々方!
>>サナダムシさん
この加藤、今どれぐらい強いんでしょう? もう、末期の死刑囚たちなら充分勝てそうな
気がするんですけど。考えてみれば、少し前のNBさんの、デュラム戦におけるトレイン
と同じことやってますよね……でも一向に動揺しないリーダー。何を考えているのやら?
>>ゲロさん
タイトルからして怖いです今回。で冒頭から、いかにも何か異常な風習がありそうな村、
同じ顔がぞろぞろ、誰一人名前が明かされない不気味さ、と来るわ来るわ。顔ぞろぞろの
謎は解けましたが、やっぱり異常な風習があったってことですか。まだ何かありそう……
>>銀杏丸さん
シャカの弟子っていうと、弟子になること自体が困難で、なったら修行が大変で、師匠は
常時謎めいてて、周囲の期待も高くプレッシャー甚大、というイメージ。確かにシヴァも
苦労してそうですね。神話の神々は結構人間臭いけど、神に近い男は神より神っぽいから。
>>見てた人さん
待ってました! の殺人事件。しかも予想外に克明な描写でこれがまた。黒天使を筆頭に
よくある殺し方ですけど、大抵の場合は即死。なのにじわじわと……読んでて怖いという
より、頭ん中が痒くなりました。彼の期待を受け、見事犯人を見つけ出せるかカイジっ!
やばい、カマイタチ面白杉
第四十一話「無垢なる刃」
「くっくっくっく・・・言葉もないか。まあ心配するでない。この<ゼオライマー>にかかれば、苦痛すら感じる間もなく
楽に死ねるぞ?」
「ゼオライマー・・・っっ!?」
「ふ・・・何も知る必要はない。貴様らはここで死ぬ。それだけだ・・・!」
破壊の悪魔は―――<ゼオライマー>は、その腕を掲げる。
「―――<次元連結砲>!」
その瞬間、ザンダクロスに激しい衝撃が走った。
「うわっ!?」
ザンダクロスだけではない。サイバスターもアヌビスも、何かに打ち据えられている。まるで、見えない弾丸の嵐が辺り
一面に吹き荒れているかのようだ。
<く・・・くそっ!何をされてるんだかすら分からねえ・・・!>
マサキが翻弄されるままの状況を悔しがってうめく。その間にも不可視の弾丸は容赦なく三機を打ちのめしていく。
「これでは埒があかない・・・ここはぼくが!」
ペコがアヌビスを駆り、ラムダ・ドライバに干渉して周囲にバリアを張り巡らせて弾丸から身を守りつつ、ゼオライマー
へ突撃する。
「貫けえっ!<ハウンドスピア>!」
勢いをつけて繰り出される、長槍の一撃。ラムダ・ドライバの影響によって絶大な破壊力を得たそれは、ゼオライマーの
肩に当たって、そのまま片腕を持っていった。
「やった!」
のび太が歓声を上げる。だが―――その返答は、すぐさまゼオライマーの反撃によって地面に打ち据えられたアヌビスの
姿だった。驚くべきことに、その反撃は落とされたはずの方の腕で―――いや。
「そんな・・・あいつの腕が、直ってる!?」
<自己修復か!?バカな・・・本当にそうなら、サイバスターのそれと比べ物にもならねえ!>
「くく・・・これがゼオライマーの力だ。どんな損傷であろうが、たちどころに修復し、元通りにするのだ。一瞬で何も
かも消し去りでもせぬ限りな・・・」
オドロームの愉悦の声が響き渡る。それはのび太たちの胸に、絶望の波紋を投げかけるには十分すぎた。
「嘆くことはない。さあ、もう終わりにしてやろう」
ゼオライマーがその腕を胸の前で合わせる。そこから生み出される、凄まじいまでのエネルギーが、世界そのものを震わ
せて収束していく。ゼオライマーの身体を中心に、激しい光が渦巻く―――!
「―――<メイオウ攻撃>!」
光が全てを飲み込む。光が全てを消し去る。光が全てを闇へと誘う―――!
光が収まった時、もはやサイバスターもアヌビスも動けなかった。機体が大破するまではいかなかったが、とても動ける
状態ではない。
「あ・・・アヌビス・・・動けるか・・・?」
何とか意識だけは保ったペコが、朦朧とする中で尋ねる。アヌビスはダメージのせいか、ノイズの混じった声で、
<機体損傷状況、90%・・・アヌビスは、行動、不能・・・>と、そう告げるだけだった。
「な、何という破壊力だ・・・稟さんや、のび太さんは・・・」
「ペコ・・・俺たちなら、無事、だ・・・サイバスターは、ちょっとすぐに動けそうにはないけどな・・・」
通信機から漏れ出た稟の声に、ペコは少しだけ安堵する。少なくとも、一方の無事は確認できたのだ。では―――のび太
とリルル、そして、ザンダクロスは―――?
濛々と巻き上がった土煙のせいで、よく見えない。やがてその姿が明らかになった。もしそこに、跡形もなくなった残骸
だけが転がっていたら―――そんな恐怖は、ひとまず杞憂に終わった。
ザンダクロスは、奇跡的にほとんど無傷だったのだ。
「のび太さん!よかった―――」
そう言おうとして、ザンダクロスが握り締めている白銀の剣に目がいって―――凍りついた。
「そん・・・な・・・」
白銀の剣は―――オドロームを倒せる、唯一の聖剣は―――
「くっく・・・どうやら白銀の剣を構えていたおかげで無事ですんだようだが・・・その代償がそれか」
オドロームもそれに気付き、嗤う。彼にとって唯一の恐れるべきその剣は―――
「あ・・・ああ・・・」
のび太はそれを目にして、絶望の淵に叩き落される。白銀の剣が―――その美しく輝く剣身が―――なかった。
根元から、完全に折られていた―――
「さあ・・・もうよかろう、白銀の剣士よ・・・」
「・・・・・・」
「白銀の剣は折れた―――もはや貴様に勝ち目はない。大人しくしていれば、楽に死なせてやろう」
「・・・・・・だ」
「ん?何か言ったか?」
「・・・まだだ!」
のび太は叫んだ。折れた白銀の剣を手にしたまま、叫んだ。剣は折れても、まだ―――
その心までは、折られていない。
「白銀の剣がなくたって―――それでもお前なんかに負けるわけにはいかないんだ!お前を倒さなきゃ・・・いや、お前
だけじゃない。他の十三階段も全員倒して、<狐>に勝たなくちゃ―――町のみんなが、パパとママだって消えたまんま
だ!剣が折れた―――だからどうした!折れた剣を腕にくくりつけてだって―――お前を倒してみせる!」
「・・・・・・言いたいことはそれだけか、白銀の剣士よ・・・」
もはや嘲りも込めず、オドロームは言い放つ。ゼオライマーがゆっくりと、ザンダクロスに近づく―――
ザンダクロスは折れた白銀の剣を力強く握り締め―――
<・・・剣士よ・・・>
のび太の耳に、小さな声が聞こえた。
「・・・?リルル、何か言った?」
「え?何も言ってないけれど・・・」
リルルの声が遠くなる。どうしたんだろう・・・と思う間もなく、目の前が暗くなっていく。
(おいおい・・・いくらぼくが居眠り屋だからって、こんな時に居眠りなんて―――)
のび太の意識は、そのまま遠ざかっていった―――
「う・・・ん・・・ここは・・・?」
のび太は自分が知らない場所にいるのに気付いた。もやがかかったような風景で、何も見えない。そして―――
<白銀の剣士よ・・・>
「あ・・・」
聞き覚えのある声―――そう、自らを白銀の剣の意志と名乗った、あの声だ。
「あなたが、ぼくをここに?」
<そう・・・剣士よ、あなたの勇気、見せていただきました。あなたは白銀の剣を失ってなお、勇気を失わなかった。戦う
力を失わなかった。私が求めるのは、その勇気なのです・・・>
「・・・けれど、白銀の剣は、もう折れて・・・」
ちょっとしょぼんとしているのび太に、声が笑いを含んだ声で語りかけた。
<白銀の剣は確かに折れた―――けれど、まだその魂は消えていない。真の力はまだ残されているのです>
「真の・・・力・・・」
<そう・・・それはあなたの呼ぶ声を待っているのです。白銀の剣士よ・・・今こそ真の<魔を断つ剣>の目覚めの時。さあ、
私の言霊を心に刻んで下さい・・・>
「う、うん・・・」
頷くのび太。そして、声は紡ぐ。祈りを込めた言葉を。想いを込めた言葉を―――そして、それはのび太の心に深く刻まれた。
<私の役目はこれで終わり―――白銀の剣士よ・・・どうか、この世界に光を―――>
それを最後に、何も聞こえなくなった。そのまま、意識が再び消えていく―――
「・・・はっ!?」
気付くと、そこはザンダクロスのコクピットの中だった。白昼夢でも見たのか―――いや、それは夢などではない。理屈では
なく、そうと分かっていた。
「のび太くん?どうしたの、しっかりして!」
のび太の様子を心配してか、リルルが叫ぶ。のび太は彼女にゆっくりと答えた。
「リルル・・・大丈夫だよ」
「けど・・・」
「ぼくを・・・信じて!」
その時ののび太の声の、何と力強いことか。リルルはそれに対し、何も言えなくなってしまう。圧倒され―――少しだけ、
見とれていた。
「ザンダクロス・・・もう少しだけ、踏ん張ってくれよ・・・」
それに応えるように、折れた剣をザンダクロスは高々と掲げる。のび太はすうっと深く息を吸い込んだ。
「憎悪の空より来たりて―――」
そして、のび太は言霊を紡ぐ。
「正しき怒りを胸に―――」
それは、祈りの言葉。無垢なる想いの込められた言葉―――
「我等は魔を断つ剣を取る!」
その瞬間、白銀の剣がより一層強く光り輝く。そして、その光の中で、新たな剣身が生まれる。
それは、鋼。何を持ってしても折れることなき、強き鋼。
それは、力。暴力を打ち砕くために生まれた、超暴力。
それは、剣。魔を断ち、神を断ち、全てを断つ剣―――
光が消えた。ザンダクロスは、穢れなき光を放つ真なる白銀の剣を力強く握り締めた。
「―――汝、無垢なる刃―――<デモンベイン>!」
投下完了。前回は前スレ430より。
白銀の剣、ついにパワーアップ。凄まじく強引なパワーアップ。伏線は張ってたけどいいのか、これで。
デモンベインは某ロボットゲー主役機体より、名前と肩書きと登場時のセリフを拝借しました。
PS2で出てますが、パソコン版もあります*18禁ですが。
PS2版は<機神咆哮デモンベイン>、パソ版は<斬魔大聖デモンベイン>です。
>>433 >>438 イエオンですかw勝てるかなあ・・・
>>434 マジで、原作通りならどうやって勝つんだって感じですが、まあヘボSSですので、普通に
勝つと思います(汗)原作通りの強さなら、シュウが気まぐれを起こしてネオグラで助けてくれる
くらいしか解決策がないと思うので。
>>435 スパロボJのフューリーの機体とか(時を止められる)
>>436 すいませんw彼女を出しゃばらせすぎると僕の力では収集が付けられそうにありません・・・
>>ふら〜りさん
どうかペコを応援してあげてください。彼は原作でもこのSSでも実に苦労人なので・・・
来るべきUSDマンとの決着では、熱い彼をお見せできると思います(多分)。
つーかまさか、ふら〜りさんの言ってるゼオライマーは漫画版!?僕はOVA版のつもりだったんですが・・・
そういや、漫画版が原作だった・・・。
アニメSHUFFLE!がついに終わった・・・え、感想?プリムラが可愛かった。でも脚本がアレだった。
亜沙先輩がSHUFFLE!スレでウザ女扱いされるのには心が痛んだ・・・
あ、レス番は全て前スレの方です、悪しからず・・・
サマサ乙
デモベって今度アニメ化するから、ジャストなタイミングだな
ちなみにデモンベインの由来は、ある剣の名前
知っててやったんなら、なかなか上手い
23 :
作者の都合により名無しです:2006/01/07(土) 08:28:00 ID:WdtvFpEQ0
サマサさんお疲れです
デモンベインってゲームは知りませんが、ついにパワーアップですね。
ゼオライマーやたら強いですが、のび太が久しぶりに主人公らしくかっこよかったです
次回はいよいよ反撃ですね
>>9 カマイタチ乙です。
色んな視点で物語が進んでいくのは今までの作品でもあったけど、
こんなに心理描写が深いSSはなかったのではなかろうか。
夕凪といい、テラーといい、カイジ視点では只者ではなさそうだった人間が
なんだかんだ色んな事情を抱えた「普通の人間」ってのはすげぇ面白い。
25 :
作者の都合により名無しです:2006/01/07(土) 17:01:26 ID:FxCgDyWj0
サマサ氏お疲れです。
正直、どんどん知らない作品のキャラばかりになっていきますが
ここまで思い切りのいいインフレだと逆に楽しくなります。
新キャラやたら強いですが、ドラチームもどんどんパワーアップしますね。
それでも小池さんには最強であってほしい。
見てた人さんもサマサさんも絶好調だな。
かたやハイテンションな快作、
かたや暗く深い心理戦の傑作。
2つともすっごく面白いわ。
今年もバキスレは豊作そうだ。
バレさん大変だろうけどw
>サマサ氏
西博士マダー?
28 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 09:54:02 ID:xkitinLJ0
<一日目・その5-(1):思考>
時刻:PM12:15 場所:学校裏
勇次郎が、焼却炉の中から焼死体が発見して10分弱。
クラスの学級委員がちゃんと職員室に先生方を呼びに行っていたようで、
12:10分過ぎには全ての教員がこの場所に集まっていた。
「う・・・、この臭い・・。」
この場に集まった教師全員は、集まるや否や一斉にハンカチを取り出し鼻を摘む。
「ど、どうします・・・?」
「ど、どうしようにも・・・。そうだ!!電話だ!!」
女性教師の言葉に、男性教師が閃いた様な声を上げる。
死体を見つけてすぐに通報なんて普通の考えだが、この臭いが思考を鈍らしているのだろう。
人が焼けた臭い・・・。
つまり同族が焼けた臭い・・。
自我や理性、そして知性がある人間は他の動物と違って、様々な種類の肉を食べる。
それでも唯一と言っていいほど食べないのが人肉。
やはり人間も他の動物と同様、同族の肉には食欲が注がないのだろう。
そして、なまじ知性が発達している分、こういう死という概念を真っ向から突きつけられた時、
他の本能で生きている動物と違い判断が遅れる。
人によるだろうが、このような平和な村で事件が起こると、普段から小さな事件が起きている都会の人間とは違い、
事件に対する現実性と、それを認識・判断する反応速度はおそらく低いだろう。
今回はそれに付け加え”臭い”というアビリティーがついた為、余計に思考がまわらないようだ。
それを証明するかのように「電話だ!」という声から誰もこの場を動こうとはしない。
遅れているのだ・・。
脳神経を飛び交うシナプスの伝達速度が・・。
この臭いと同族が焼死体という中々見る事の無い光景に・・・。
29 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 09:55:18 ID:xkitinLJ0
だが、この中でこの猟奇的な状況を、唯一といって良いほど冷静でまともにモノを考えられる人物がいる。
そう、地上最強の生物・範馬勇次郎――その人である。
彼は苛立ちを込めた顔で教師達に話しかける。
恐らく彼は、この場に居るのに飽きてしまったのだろう。
どうやら彼にとって、一度用を足したらどんなものでも興味の対象外になるようだ。
「で、どうするんだい?先生様方は?警察に電話でもしないのかい?」
「あ、ああ・・。じゃ、じゃあ、松下先生?職員室の方に行って、警察に電話してくれますか?」
勇次郎の声に我に返った男教師―――斉藤は、この学校で唯一の女教師である松下に警察へ電話をするよう頼む。
携帯電話をこの場で使えば済むものを、わざわざ職員室まで行かせるのは、きっと女性への配慮があるのだろう。
もちろん松下は彼の提案に首を縦に振り、足早にこの場から立ち去る。
「ふう・・。と、ともかく警察来るまでどうします?」
松下が警察へ電話しに行った後、斉藤は他の教師達にそう話しかける。
「え・・。う〜ん・・。校長がまだ来ていないから最終的なことは決定できないでしょうけど、
警察が来たら、集団下校させるという方針で良いんじゃないかと・・。」
「そうですね。私もそう考えていました。では、他の先生方は何かありますか?」
「別に・・、それで良いと思いますよ。生徒達もこの臭いで大騒ぎでしょうし。」
――――あれやこれやと、焼死体の前で議論を始める先生達。
田舎の男性はたくましい者なのか、それとも勇次郎効果なのかは知らないが、
少なくとも女性である松下のように臭いで咽る人もいないようだ。
そして数分後・・・。
結局、最初の意見からこれといった具体案が出ることがなかったので、
勇次郎と教師陣は事の次第を生徒達に説明する為に各々の担当の教室に戻ることになるのだった。
――――――――――――――――――――――――――
30 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 09:56:21 ID:xkitinLJ0
<一日目・その5-(2):校長登場!>
時刻:PM12:25 場所:学校裏
教師陣がこの場からいなくなって数分後・・。
還暦近い容姿をした男性が、この焼却炉がある学校裏に姿を現す。
「すま〜ん!臭いは気になってたけど、”笑ってメルとも!!”見てたから無理だったよ!!
あれ・・・?ここに来るよう言われたのだが・・・。
って死体じゃん!!何!?この臭い!!お前は人間ドリアンかよ!!」
還暦近い容姿をした男性は楽観的な声と共に、三村調で焼死体にツッコむ。
「お〜っと!これは新手の校長イジメですか?つったく・・。
とりあえず、仏様でも拝んでおきますか。なむ〜。」
どうやらこの変な男性は、この学校の校長らしい・・・。
校長は”とりあえず死体があるから拝んどけ!”みたいな乗りで、
その場に膝まついて両手を合わせる。
「今年もこの学校が平和でありますように・・・。」
そして何故か願い事を言い始める。
”痴呆で・・・、いらっしゃるのでしょうか?”
そう取られてもおかしくない行動と言動。
しかし、勇次郎を廊下で注意した人物(第二話参照)と同じ容姿と声である事から
同一人物は間違いないだろう。
「はいっ!願い事終了!!それでは”ごきげんよう ver:マリみて”でも見に戻りますか!!」
そして願い事が終わった校長は、焼死体に近場に在ったビニールシートを掛けると、
スキップをしながら校長室へ帰るのだった。
・・・・・・・・。
・・・・、再三申し訳ないが、どうやらこのとぼけている男が、”この学校の校長”のようだ・・。
―――――――――――――――――――――――
31 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 09:57:54 ID:xkitinLJ0
<一日目・その5-(3):ゴシゴシ・・・・。>
時刻:PM12:10 場所:女子トイレ
教師陣が学校裏に集まり始めている頃、レナと友人は無事にトイレに着いていた。
「ふう〜☆無事着いたね〜。」
「そうね。生きてるって素敵。」
レナと友人は何事もなく女子トイレに着いたことに胸をなでおろす。
しかし二人は、勇次郎が帰ってくる前に教室に戻らなくてはいけないので、
休む暇もなく急いでトイレの中に入る。
――――数分後・・。
「はう〜〜〜☆出た出た!!千沙ちゃん?まだあ〜。遅いと見つかるよ〜。」
先に出たレナは、すっきり感と共に友人――― 千沙に話し掛ける。
「うん〜。もう少しだから、ちょっと待ってて〜。」
「う〜い!!!手でも洗ってるよ〜。」
中々出ない千沙を待つため、レナは手を洗いながら待つ事に。
「手を洗って綺麗に〜☆しましょー。え〜い!!」
レナは洗面所の前に着くと、蛇口を盛大に捻る。
”ジャアアアアアーーーー!!!”
決壊したダムの如く、物凄い勢いで大量の水が一斉に蛇口から流れ出る。
この勢いよく出続ける水を、音的以外の言葉で表現するならば、
”周りの音が聞こえなくなってしまう程の勢いで出続ける水”
といった表現が一番適切だろう。
「ルンルンルンルン〜♪」
そしてレナは、手を洗おうと大量に流れ出てる水の中へ手を突っ込む。
32 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 09:58:28 ID:xkitinLJ0
―――が・・・・。
「うわ!!濡れっちゃった・・・。」
勢い良く出ている水の中へ手を突っ込めば、自分が濡れるのは道理だろう。
レナはびしょ濡れになった制服をハンカチで拭き始める。
それにしても、あの量の水の中に手を突っ込むなんて・・・。
どうやら、自分が濡れるとは毛の先も考えていなかったようだ。
「・・・。またやっちゃったな・・・。昔からこういう所は全く治らないな・・・。」
少し悲しげな顔で独り言を言いながら、レナは制服のスカート部分を拭き始める。
「そういえば幼稚園の時も同じ事をして、お母さんにスカートを拭いてもらったけな〜☆
あははは・・。今と本当に変わってないや・・。私・・。何してるんだろう・・。」
スカートを拭く度に思い出す自分の母との思い出。
家族との思い出・・。
そう、レナ自身が忘れかけていた記憶がスカートを拭く音によって、
呼び戻されているようだ・・・。
――――ゴシゴシ・・・。
――――――――――――――――――――――――――
33 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 09:58:56 ID:Dh80aiw+0
〜11年前・レナの自宅にて(レナ5歳)〜
『おかあさ〜〜ん!!レナのお洋服また濡れちゃったよ〜☆』
レナはびっしょりになった洋服を身に纏って、洗面所から母の元に行く。
『あらあら・・。またやっちゃったの!!!しょうがない子ね・・。
ほら!!拭いてあげるからちょっといらっしゃい。』
『えへへへ・・・・。』
母の元まで来たレナは、何故かテレながら”ちょこん”とその場に座る。
『全く・・。いつも言ってるでしょ?蛇口はそんなにいっぱい捻らなくていいのよ?』
濡れた洋服を拭きながら、困った顔で・・・、でもどこか嬉しそうにレナの目を見て話す母。
――――ゴシゴシ・・・。
『はい!!終わった!!後は外で遊んでいるうちに乾くでしょ!ほらっ!!外で遊んでおいで!!』
『うん!!それじゃあ、行って来ます〜〜〜☆』
『いってらっしゃい、気をつけてね。』
――――――――――――――――――――――――――
34 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 09:59:45 ID:Dh80aiw+0
「はう・・・。お母さん・・。レナは全然成長していないよ・・。ゴメンね・・。ゴメンね・・・。」
もう意味の無い後悔・・、なのだろうか?
今の口ぶりだと、レナの母親は・・・。
――――ゴシゴシ・・・。
―――――――――――――――――――――
35 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 10:00:29 ID:Dh80aiw+0
〜8年前・デパートにて(レナ8歳)〜
『あ〜〜〜ん。パクッ!!ふにゅふにゅ・・・。ん?お父さんも食べる?』
そう言って、試食の一部を父に手渡すレナ。
『おっ、いいねえ〜。それじゃあ貰おうかな。ん、んん?これは上手いな〜。
レナが渡してくれたから、さらに美味しいぞ!!』
『ほんと?本当に、レナが渡したら美味しくなった?』
レナは満面の笑顔で父に問う。
当然、レナの父も満面の笑顔で、「当たり前だよ。」とすぐさま言い返す。
そして、その言葉に完全にテンションが上がったレナは、もう一度、父に試食を手渡そうとして・・。
ごっち〜〜〜ん!!!
レナの頭に突如飛んでくる大きな拳骨。
『はうううう・・・。』
『レナ!!一人だけ試食をそんなに取るんじゃありません!!他の人に迷惑がかかるでしょう?
それにお父さん?貴方も少しはそういうところも見てくださいな。
そりゃあ・・、私だって、レナが手渡した試食を食べたいですけど・・。』
どうやら拳骨の主は、レナの母のようだ。
きっと彼女は”ほころびそうになる笑顔”を我慢しながら、”親という役割”を精一杯こなそうとしているのだろう。
怒っていても、どこか楽しげであるように見える。
『ううう・・。ご、ごめんなさい・・・。』
頭を抱えながら素直に謝るレナ。
36 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 10:01:50 ID:Dh80aiw+0
その言葉を母は待っていたのだろう。
我慢していた笑顔を、レナの台詞が終わると同時に一気に解放する!!
『分かってくれたのね・・。嬉しいわ。』
レナの母はヒマワリの様な笑顔でレナに微笑む。
するとレナの父も、それに乗じて親らしいことを・・・。
『そうだぞ、レナ。”人の迷惑を掛けるといずれは自分に帰って来る”もんだ。
これからは気をつけるんだぞ。』
『全くアナタったら・・・。そういえば、あの子は?シュンはどこへ行ったんです?』
幸せそうに少々呆れながら、今度は息子である”シュン(5歳)”の居場所を聞く母。
『ん?シュンは・・、ほら!!あそこの試食コーナーに・・。』
そう言って、父はレナが先程までいた試食コーナーを指差すと・・・・。
『このステーキ肉・・・。筋が多いな・・。塩加減もいまいち・・。』
『『 『・・・・・・・・・。』』』
レナの弟(5歳)は、物静かな態度で試食を批評していた。
――――――――――――――――――――――――――
37 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 10:02:31 ID:Dh80aiw+0
スカートを拭く音を聞くたびに、湯水のようにあふれ出てくる家族との思い出。
しかし今のレナにとって、この思い出達はとても辛いようだ。
その証拠に、レナは・・・・・・・・。
「・・・。たの・・、楽しかったな〜。お父さん・・。お母さん・・シュン・・。
でも・・・。何で!!何でみんな死んじゃったの?」
先程の捻りすぎた蛇口よりも、大量の水が流れ出てくるレナの瞳。
最早、彼女の瞳からは何も見えなくなる位・・。
それにしても、やはり亡くなっていた様だ。彼女の家族は・・・。
(うう・・。何で私は泣いているの?楽しい思い出を思い出したのに・・。
嬉しいのに・・・。もう会えないけど、幸せだったのに!!)
しかし彼女の思いと裏腹に、自分の瞳は言うことを聞いてはくれない。
亡くなった家族の事を思い出せば思い出すほど・・・。
「はう・・・。このままじゃ、千沙に泣いているところを見つかっちゃうよ・・。」
レナはそう言いながら、制服の袖で涙を拭くと、
先程から大量に流れ出ている水をすくって自分の顔を洗い始める。
38 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 10:03:07 ID:NCh1wtYs0
バシャ!!バシャ!!
スカートを拭いてたのが全く無駄になる位、豪快に自分の顔を洗い始めるレナ。
これが唯一、自分の涙を洗い流してくれる方法だと信じて・・・。
そしてレナは顔を洗い終わった後、不意に鏡を見る。
涙で見えなくなっていた視界が水で洗い流されて、あたりに広がる・・。
「へへへ・・。酷い顔になっちゃった・・。ん?えっ・・・?う、うそ・・・。」
レナは今まで生きて来た中で、初めて”絶句”という言葉を覚える。
それもそのはず、彼女が涙から取り戻した視界に写ったのは、
鏡に映る涙でくちゃくちゃになった鏡に映った自分の顔と・・・・、
――――――家族の顔だったからだ・・。
39 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 10:04:00 ID:NCh1wtYs0
<一日目・その5-(4):鏡でもいいから・・。>
涙を目の前の洗面所で洗い流すレナ。
洗い終わって、不意に洗面所に付属されている鏡を見ると、
なんとそこには、レナの思い出の中にしか生きていないはずの家族の顔が見えるのだった!
「はう〜。な、なんで?」
レナは鏡に映った家族を見るや否や、後ろを振り返る!!
当然、鏡に映っているなら幽霊でも無い限り後ろに・・・。
「い、いない・・・。あ・・・。ははは・・。レナの妄想かな・・・。」
”一瞬でも信じた自分が馬鹿だった。”
そんな表情になりながらレナは下を向く。
そう、居なかったのだレナの家族は・・。
「あ〜あ・・。また濡らしちゃった・・。髪の毛まで・・。
でも・・、いっか!!お日様が乾かしてくれそうだし・・。とりあえず、整えなくっちゃ。」
レナは思い出してしまった寂しさに打ちひしがれながら、
顔を洗う際に濡らしてしまった髪を整えるために再度鏡を見る。
すると、なぜか其処には・・。
40 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 10:04:39 ID:NCh1wtYs0
「えっ?ま、また・・・。」
彼女が目にしたのは、先程と同じく鏡に映った家族の顔。
そしてレナはもう一度後ろに振り返るが、やはりそこには誰も居ない。
「へ・・。な、なんで?」
現状を理解できないレナ。
夢か・・。幻か・・。それとも幽霊か・・。
選択肢は幾つもある。
この現象がなんであるかをきちんと考えるとするならば。
(あ・・・。あ・・。夢でも幻でも・・・!!)
しかし、レナはそんなことは考えなかった。
そう、彼女が真っ先に考え付いたのは、”家族の顔に触れたい”という純粋な願いだけだった・・・・。
41 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 10:07:51 ID:NCh1wtYs0
<一日目・その5-(5):鏡でもいいから・・。その2>
鏡に映った家族に触れるため、レナは必死に両手を鏡につける。
「はう〜☆何で?何で届かないの?レナもお母さん達もこんなに近くにいるのに!!!」
だが、決して家族の下へ届くことが無いレナの両腕。
限りなくそばに居るのに、手を伸ばせば届きそうな距離なのに・・・。
お互い、何て遠い世界に存在しているのだろうか!!
「お父さん・・・。お母さん・・・。シュン・・・・。」
今度は今にも消え入りそうな声で、レナは鏡に写っている家族をゆっくりと人差し指で撫でようとする。
きっと自分の指先が鏡の中にいる家族の肌に触れられると信じて・・・。
一回・・。
二回・・・。
三回・・・・。
撫でるたびにだんだん薄くなっていく家族の顔。
もちろん、彼女の人差し指は彼らの顔を触れることなく、鏡を撫でるだけで止まる。
42 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 10:12:58 ID:NCh1wtYs0
「あ・・・、ああ・・。まだ・・。」
しかし、レナはまだ諦めきれないのか、さらに数回鏡を撫でる。
いくら撫でても、家族の顔に触れる事は決して出来ないのを知っていて・・・。
「あ・・・。きえ・・・た・・。」
そして遂に鏡から消える、家族の顔。
「みんなの温かい顔・・。後、一回でいいから・・、一瞬でも良いから・・・。
撫でたかったなあ〜。」
レナは最後にもう一度だけ撫でると、小声でそう呟きながらその場にうずくまる。
辺りに彼女のすすり泣く声が響く・・。
”ジャアアアアアーーーーー!!!。”
だが、彼女の泣き声が誰かに届くことは決してない。
―――――なぜなら、先程から聞こえる水のソナタが、彼女の泣き声を全て打ち消しているから・・・・・・。
43 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 10:28:55 ID:NCh1wtYs0
どうもしぇきです。
今回はほとんどレナの話です。
普段、「あははは〜!」とか言うのはこの反動とでも思っていただければ。
にしても、ちょっと目を放した隙にもう、次スレですか。
早いですね。
>サナダムシさん
神の中にも出世があるんですね。
でも、そういう出世欲が強い奴はあっさり主人公にやられちゃうわけで。
それにしても、今の加藤の強さなら夜叉Jrは勝てそうな・・。
>ゲロさん
ある意味、ドロドロしそうな展開になりそうですね。
近視相関だと奇形が生まれやすいと良く聞きますが、今回は如何に?
>銀杏丸さん
内定オメデトウございます。
シャカとて人間。いくら黄金セイントでも人間。
そしてハーデスへ・・。になるのでしょうか?
楽しみです。
お疲れ様ですしぇきさん。リアルタイムで読んでました。
なんか急にレナサイドも話の感じ変わりましたねー。
過去話とあいまって、ようやく話の佳境に突入かな?
毎度こんなに沢山書いてくれて大変だと思いますが、
楽しみにしてるので頑張って下さい。
45 :
オーガの鳴く頃に:2006/01/08(日) 10:39:41 ID:NCh1wtYs0
>見てた人さん
ついに殺人事件が。にしても、脳の中を弄り回されるのって
どんな感覚なんだろう。夢の中の話も重要そうで続きが気になりますね。
>サマサさん
ゼオライマーのマサキはツンデレなんだよ!と言ってみるテスト。
某スレの影響もあって、ギャグ担当に見えてしまいますが、
普通に敵役をしているのを見てなんだか安心しました。
そして遂に白銀の剣が!!もう、オドロームもメイオウも倒したも同然?
う〜ん殺人黙示録カマイタチ良いわ。
まだ序盤らしくあんま期待すんのも作者さんにいらんプレッシャーかけてしまうかもしれんけど。
推理漫画にありがちなシチュエーションとカイジの醜いギャンブル性が上手くマッチしている。
火事場カイジがどう切り抜けるか楽しく読ませていただきます。
(カイジ死ぬかもしれんけど)
47 :
作者の都合により名無しです:2006/01/08(日) 13:25:38 ID:iYoRhaKk0
しぇきさん乙です。
女子トイレというリラックス出来る場所から
話が少しずつ仄悲しくなってきましたね。
当初、学園ドラマ風のギャグだと思っていただけに意外です。
レナの過去のトラウマがこれからの話のキーかな?
48 :
作者の都合により名無しです:2006/01/08(日) 18:04:34 ID:FyNA0cq20
>殺人黙示録カマイタチ
黒崎様の過大評価云々でもしかしてテラーの正体は1050年地下送りの彼か……!?
もしかしてカイジと共闘とかって可能性も……!とwktkしたらさっそくあぼーんですかorz
妙に具体的な殺人描写にひぃ〜……となりました。先が読めなくて面白いです。
カイジ早く追い詰められて覚醒モード入んないかな。
第二章「密室」
scene13 伊藤開司【六】
ゆっくりと、意識が覚醒してゆく。
気付けば、朝を迎えていた。窓から差し込む陽光が目に眩しい。
昨日は考え事に耽るうち、何時の間にか眠り込んでしまったらしい。
腕時計を見た。現在時刻は七時十八分。まだ朝食には幾分か早い。
カイジは半ば寝惚けながらも、ホールへ向かおうと自室のドアを開ける。と、廊下が何やら騒がしい。
丁度、カイジのすぐ隣の部屋――三号室、香坂まどかの部屋の前で、二人の人間が緊迫した面持ちで話をしていた。
「あ、あ、ああ! 伊藤……カイジさん? 大変なんです。
中でドアが閉まって、倒れているんですが、香坂さん、まどかさんです!」
ドアノブをガチャガチャと忙しなく動かしながら
いきなり日本語になっていない言葉をまくしたてた男は『NO9.只野文男』だ。
何があったかは知らないが、かなり気が動転してしまっているらしい。
(何だか雰囲気が、45組の三好に似ているな……)
カイジは、そんなどうでもいいことを考えてしまう。
そして、その隣に立っているのは『NO.10 黒川時子』だった。
年齢は十代後半〜二十代前半くらいだろうか。ユニセックスな顔立ちに、肩まで伸ばした長髪。
抱けば折れてしまいそうな華奢な身体。女性のような名前と容姿だが、れっきとした男性である。
「彼――只野さんが朝、中庭を散歩している時に窓を見て、気付いたようなのですが……
どうも三号室の中で……香坂さんが倒れているみたいなんです。
ホールや調理場をざっと見てきたのですが、ハネダさんの姿は見当たりませんし。
そもそも昨日、マスター、スペアキーの類はないと言っていたのですよね」
要領を得ない只野に代わって、黒川が説明する。
「そうなんです! ど、どうしましょうかっ……!?」
そう言って、ドアノブを掴んだまま、只野はカイジに縋るような視線を向ける。
「どうしましょうかって……そんなこと……いきなり言われても困る……!」
カイジは困惑した。寝起きで呆けている所に
隣室の住人が倒れていて鍵が開かない、どうにかしてくれ――などと言われても
直ぐにはいい方策など思い浮かぶはずもなかった。
「三人いるんです、体当たりでドアを破ってしまいましょうか? 仮にも、人命に関わるかもしれないことですし……」
黒川が、顔に似合わない大胆な提案をする。
「そう、そうしましょう! 意識がないっていうのはただごとじゃあない」
動転していた只野も、ここぞとばかりに同調する。
「よし……わかった。『いち、にい、さん』で一斉にいくぞ……!」
『いーち、にーい、さんっ!』
掛け声を合図に、三人が一斉に身体をぶつける。
ドスンという鈍い音と共に、ドアが大きく軋んだ。
『もう一度! いーち、にーい、さんっ!』
男性三人がかり、二度目の体当たりで、ようやくドアは開いた。
外から見ただけでは気付かなかったが、どうやらご丁寧に、内側の掛け金まで下ろされていたらしい。
閂と、それを支えていたであろうネジが派手な音を立てて弾け、床に飛び散る。
カイジ、黒川、只野の三人は、倒れこむような格好で部屋になだれこんだ。
体勢を立て直し、部屋を見回す。窓に面した内線用の電話台に、突っ伏すようにして……香坂は倒れていた。
電話から受話器が、垂れ下がったままになっていた。まるで死ぬ直前まで、誰かと電話していたかのように。
すぐに黒川が駆け寄り、声をかける。
「香坂さん、大丈夫ですか! 香坂さん!?」
黒川は香坂の肩に手を伸ばすが、触れた途端びくりと震わせ、すぐに引っ込める。
そして、ぼそりと呟くように言った。
「冷たい……」
「な、なにっ……!」「ひぃっ……!」
黒川の言葉に、二人同時にリアクションを返す。
カイジは大きく目を見開き、只野は怯えたように縮こまった。
黒川は、おそるおそる、といった手つきで、香坂の首筋に手を当てる。そして、沈痛な面持ちで首を振った。
「やっぱり……か……?」
カイジが問う。血の気を失い、すっかり『モノ』に成り果ててしまった
香坂の横顔を見る限り、返ってくる答えは容易に予想できた。
「ええ。脈がない。亡くなっているみたいです」
「な、なんで、こんな……」
只野は恐怖からか、歯をガチガチと鳴らしながら言う。
「特に外傷はないみたいだ……何か持病があったとか……心臓麻痺とか……そんなところだろうな……」
カイジはそう口にしながらも、心の内から沸きあがってくる白々しさを隠せなかった。
(何を言っているっ……! 本当に、これが自然死……事故だと……そう思っているのか……!?)
無論、そんなことはない。これは自分を安心させるための戯言……根拠の無い楽観……!
ただ、眼前に突きつけられた『死』という現実が
誰かの悪意の結果ではあってほしくないとの切なる願い。その願いだけは本物だった。
ふと、カイジは異変に気が付いた。黒川も、只野も、ある一点を凝視したまま、微動だにしないのだ。
“午前零時、事件のあった時刻――誰もかけていないのに、内線電話が鳴るんだ”
「二人とも、何を――」
言って、遅ればせながらカイジも、二人の視線の先を目で追う。
“被害者――南の亡霊が現れて、魂を持っていってしまう……!”
電話機のスクリーンポップアップに映し出された表示を見て、三人は暫し、言葉を失った。
チャクシン AM0:00
毎度ありがとうございます。前回投稿は
>>8です。
ようやっと二章突入。いつぞやのふら〜りさんのコメント通り
見立て殺人発生とあいなりました。
・バーストエラー
概要を確認した所、最後の最後で犯人編へと視点が移動するようなので期待大ですね。
特に、正体不明の暗殺者による連続殺人というのが非常に魅力的……
このSSを読めばお分かりの通り、こういう題材は大好きなのですよ。
PS2で追加要素有のリメイクも出ているようなのでやってみるとしたらそちらかな。
・普通の人間
そうですね。カイジ(覚醒)と犯人以外は、結構小市民かもしれません。
・竜頭蛇尾
何だか身に余る期待を受けている予感もしますが、精一杯がんばります。
下手な展開にはできませんな……。
・覚醒モード
カイジが覚醒するのはおそらく、事件解決の時ですね……
その時は、今までの鬱憤を晴らす大活躍になるかと思います。
・テラーの正体
ご想像の通りだと思われます。
彼、会長にはかなり嫌われてたみたいですからね。合掌。
お〜、カマイタチさん乙。
一晩で二人も…そして恐怖の着信…ぎゃあああああっ!!
サイコーです!ええ、期待してますとも。ふふふ
・しぇきさん
レナ健気ですな。普段、能天気なまでに明るいのは過去の傷の反動ですか。
しかし、レナと勇次郎がこれからどう関わるのか分からない。楽しみです。
・見てた人さん
ええ、テラーだけだと思っていたら香坂まで!展開がまったく読めませんな。
夢の中の少女、そして謎の着信。最後はロジカルな筋で謎が氷解して欲しい。
>殺人黙示録カマイタチ
アンタ凄いよ。
読んででブルッときた。久々の感触。
もっと脇役が殺されると思ったら、いきなり香坂とわ。
見てた人氏乙。
なんかどいつもこいつも怪しく見えるな。
しかも伏線がこれでもかと次々に張られていく。
こりゃ・・・久々に楽しめそうだ。
57 :
作者の都合により名無しです:2006/01/09(月) 19:25:31 ID:Nyo6oG820
どれもが怪しいけど、一人ずつ消えていく気もするな。
58 :
作者の都合により名無しです:2006/01/09(月) 20:20:28 ID:Nbu3XP0HO
あ゙〜〜!続きが気になるお━━(^ω^)━━(・ω・;)(つд`)(`皿´)⊂二二(^ω^)二⊃
もう年が明けたから早く全ての職人さんが顔を揃えないかな。
新年になってまだ来てない方は、
うみにんさん、スターダストさん、邪神さん、ハイデッカさん、
ミドリさん、NBさん、名無しさんなどまだ結構いらっしゃるな
パオ氏VS氏の御大2人は、いつもの事だがw
>>カマイタチ氏
ついに本格的に殺人ゲームが始まりましたね!
カイジは?夕凪は?ドーナツ作戦の人は?兵頭は?ジンは?
ミステリー系SSは肌に合わないことが多いけど、これは好きです。
61 :
聖少女風流記:2006/01/10(火) 01:55:35 ID:iCrxcGiJ0
第四話 人馬一心
前田 慶次という男は、その傾いた姿形と戦場での鬼神のような働きぶりで
誤解されがちであるが、教養豊かな男である。
古今の典礼を身に付け、歴史にも造詣が深い。無論、中国の古典にも通じている。
慶次は目の前の巨躯の男を凝視し、その名を思い出した。呂布。呂布奉先。
中国史上、最強の武将と言われる、三国志演義中の怪物。一騎打ちでの敗北は皆無。
方天画戟(ほうてんがげき)の達人にして、言葉通りの意味の一騎当千の男。
そしてその愛馬、赤兎(せきと)馬。
一日千里を走ると呼ばれ、決して追い付かれる事の無い伝説の名馬。
人中の呂布、馬中の赤兎と、当時の中国の武人たちは恐れ、崇拝した人馬一体の軍神。
それが呂布奉先。それが赤兎馬。
武人も馬も、慶次と松風と互角以上の強者である。いや、遥かに上かも知れない。
慶次の右手が未だに痺れている。先程の呂布の方天画戟との鍔迫り合いの為である。
完全なる力負け。膂力の差が痺れとなって右腕を伝っている。
が、慶次は爽やかに、そして大らかに笑った。
「まさか、伝説上の豪傑と合間見える事が出来るとは。いやあ、ここに来て良かった。
なあ、松風」
ブルルル、と松風が大きく鼻息を噴いた。慶次と松風の呼吸は完全に一致している。
慶次の思考は松風の意思であり、また松風の意思は慶次の思考なのである。
松風と赤兎馬が互いに示し合わせたかのように駆け出した。
馬上の慶次と呂布が獣の咆哮を上げる。砂埃を撒き散らしながら、怪物同士が跳ねた。
ギン、と大きく金属音が鳴り響くと、間を開けずに何度も音が鳴り響いた。
慶次と朱槍と呂布の方天画戟が、蛇のように互いの間を行き来した。
その様子を、離れた場所で見据えるものが一人。
呂布と同じくこの地に呼び招かれた男。日本が誇る稀代の兵法者にして武芸者。
宮本 武蔵玄信である。
62 :
聖少女風流記:2006/01/10(火) 01:56:06 ID:iCrxcGiJ0
武蔵は見ていた。前田 慶次と呂布奉先の戦い振りを。
その戦いは見ようによっては野生の獣の噛み合いのような野蛮さがあり、
そして見ようによっては天上の神々の戦いのような神々しさがある。
不思議で凄惨なものであった。
幾条もの光が両者の間を飛び交い、信じられない反射でそれを避けていく。
武蔵の背に冷たいものが走る。歓喜とも、恐怖とも思える戦慄が。
(あれが前田 慶次か。噂に違わぬ、剛の者。戦場以外に生きられぬいくさ人か)
ゴクリと唾を飲み込む武蔵。最上の敵と出逢えた喜びを感じている。
武蔵と慶次は、お互いの全盛期がずれている。
戦国末期に華々しく活躍した慶次に対し、武蔵はやや時代が落ち着き始めた頃に
その武が絶頂していた。
正当な歴史なら、決して刀を交えるはずの無い両者。だが、その激突の時は近い。
(だが、倒せるかな前田 慶次。その呂布という男を。その男は…恐ろしく強い)
松風と赤兎馬が疾風となって駆けている。まるで瞬脚を競い合うかのように。
馬上では、慶次の槍と呂布の矛が激しく火花を散らしている。
互いに必殺の一撃を連続で繰り出し、互いに掠らせもせずそれを捌く。
神業のような防御と、怪物のような斬撃が絶え間なく続いていく。
何時の間にか、戦場は森の中からジャンヌたちのいる平地まで迫っていた。
イギリス兵からジャンヌを死守していたベルトランが慶次たちに気付いた。
まるで凶悪な竜巻同士のぶつかり合いを見て、思わず叫んだ。
「貴様ら、本当に人かッ!!」
63 :
聖少女風流記:2006/01/10(火) 01:56:44 ID:iCrxcGiJ0
ベルトランは目の前の激闘を見、歯噛みしながら思った。
武才には自信があった。無ければ騎士など目指しはしない。
鍛錬に鍛錬を重ね、技巧を磨き、己の強さに確信が持てるほどの力を身に付けた。
だが、今自分が目にしているこの2人は違い過ぎる。
自分のささやかな誇りを吹き飛ばしてしまうほど、根本的に何かが違い過ぎる。
これが、聖なる御子を護る者。そして、神子を襲うもの。
「おおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
「がああああああああああ!!!!!!!!」
魔人の咆哮が再び耳を劈いた。慶次の、呂布の気合がイギリス兵の動きを止める。
呂布の矛が無造作に振るった。イギリス兵の上半身が爆ぜて無くなった。
「じ、邪魔を、す、するな雑兵ども!!」
呂布がイラついた面持ちでイギリス兵たちに吼える。
20数名いた兵たちは怯えて震え、やがて蜘蛛の子を散らしたように逃走を始めた。
呂布はたった一声で兵を蹴散らしたのだ。勿論、最初から呂布は兵など眼中に無かったが。
「ま、前田 慶次、う、嬉しいぞぉ」
「お、俺は、り、龍だ。ひ、人ではない」
「だ、だが、お、お前も人ではない。お、お前は、と、虎だ」
「り、龍と、と、虎。こ、こんな楽しい、た、戦いは、無いっ!」
初めて自分と打ち合える相手と巡り合えた喜びだろうか。呂布は興奮気味に捲くし立てた。
が、慶次は逆に醒めて来ていた。呂布の矛を捌きながら、哀れむような目で、呂布を見る。
「だ、だが、所詮、と、虎でも、り、龍には、か、勝てん!!」
こおお、と胸の空気を全て外に出す。同時、呂布最大の打撃が慶次を襲った。
64 :
聖少女風流記:2006/01/10(火) 01:57:19 ID:iCrxcGiJ0
死の一撃が慶次の脳天を目指し、一直線に飛んでくる。即座に分かった。
この矛は、受けられない。受けた途端、朱槍ごと叩き斬られる。
瞬間の出来事である。が、その瞬間を慶次と松風は共有した。濃密な時間として。
(分かるかね、松風。あいつらは、俺より、お前より、強い)
(だが、それは哀しい強さだ。やつらは、その強さゆえに何物も信じられぬ)
(松風。お前は俺だ。そして、俺もまたお前だ)
(思い切り、駆けてくれるかね、松風)
松風の瞬脚が更に速度を増した。まるで慶次の思いが注ぎ込まれたかのように。
呂布と赤兎馬の呼吸の一致は素晴らしい。正に人馬一体であろう。
だが、この一人と一頭は主従関係である。同じものを同じように見る事は無い。
しかし、慶次と松風は友である。慶次と松風は同じ時を過ごして来た。
同じ時を過ごし、同じ風を受け、同じ物を見、同じ思いで、同じ者を愛する。
それは人馬一体ではなく、人馬一心。
慶次と松風の意思は一瞬のズレも迷いも無く同調し、ひとつと化した。
呂布は驚愕した。その一瞬、自分と赤兎馬の動きより速い。
呂布の必殺の豪矛を神速で掻い潜り、更に慶次と松風は踏み込んできた。
確かに、敵と認めた。だがそれでも自分の方が上という確固たる自信があった。
だが、この動きは……。呂布の逡巡を突くように、慶次の朱槍が舞った。
65 :
聖少女風流記:2006/01/10(火) 02:02:23 ID:iCrxcGiJ0
「ぬ、ぬ、ぬ、ぬうううううう……」
呂布の頬から血が止め処なく溢れる。生まれて初めて、一対一の勝負で味わう屈辱である。
ぎょろり、と目の色が変わった。その時である。
「け、慶次、さん」
場に似つかぬ透き通るような美しい声が、血生臭い戦場を清浄に包んでいく。
ジャンヌである。
慶次が振り返って離れるよう言おうとした。が、しばし決闘の場から動きが止まる。
「こ、これが、う、運命の、み、神子」
呂布の目から殺気が消えている。代わりに、その目に少年のような光が灯っている。
「う、美しい」
ジャンヌがきょとんとして呂布を見据えた。呂布はジャンヌから視線を外さぬまま言う。
「き、決めた。み、神子よ。お、お前は、り、龍のものと、な、なるのだ」
「ち、近いうちに、か、必ず、う、奪いに来る」
慶次を振り返る呂布。その目には、また凶暴な光が戻っていた。
「ま、前田 慶次。そ、それまで、し、勝負を預けておく」
カカッと赤兎馬の蹄の音が響く。呂布が踵を返し、悠然と去って行った。
「だ、大丈夫でしたか、慶次さん」
ジャンヌがうっすら涙を浮かべながら慶次の近くに寄って来た。慶次は陽気に言った。
「流石に鬼神呂布とは言えど、ジャンヌ殿の美しさには勝てぬらしいですなあ」
ジャンヌは顔を真っ赤にしている。その顔を、松風がペロリと優しく舐めた。
「呂布を凌いだか、前田 慶次」
武蔵が呟いた。そして呂布と同じようにその場から去っていく。殺気を残して。
「戦国最後の、そして最強のいくさ人。ワシが命を賭けるに相応しい男よ」
66 :
ハイデッカ:2006/01/10(火) 02:09:34 ID:iCrxcGiJ0
遅いですけど、あけましておめでとうございます。
高望みせず、完結できるよう頑張ります。
最終レス、1行消えました。
ま、意味通るからいっか。
乙です。そして明けましておめでとうです>ハイデッカさん
呂布との勝負はお預けですか。三国志では裏切りの人だけに、今回も
ジャンヌ欲しさに裏切ったりするのかな。
68 :
作者の都合により名無しです:2006/01/10(火) 10:54:27 ID:lJEGw17k0
お疲れ様ですハイデッカ氏。
呂布、武蔵、そして慶次といずれ劣らぬ強豪の三すくみですね。
個人的に一番すきなのはやっぱり慶次だけど、強そうなのは呂布かなあ。
続きを期待しておりますぜ。
>>見てた人氏
犯人の目的は皆殺しですよね???
全員が警戒する中、どうやって犯人が殺人を実行に移すのか期待しています。
>>ハイデッカ氏
ついに呂布ですか。すごい三つ巴ですね。
凄まじい死闘でした。
ハイデッカさん乙。
ジャンヌは可愛いですね。慶次や呂不がメロメロになるのもわかる。
でも、映画のジャンヌダルクでは不細工の上にDQNだったんだよなw
武蔵はなんか慶次や呂布より力が劣るイメージなんですけど。
どの漫画の武蔵基準にしても、蒼天呂布や慶次に比べるとなー
71 :
作者の都合により名無しです:2006/01/10(火) 17:12:05 ID:yGz4rQl70
結局、VSさんは去年ほとんど書かなかったなあ。
こっちのバキスレでも、あっちのバキスレでも。
大ファンだけに残念だ。ま、全150話の大作はあったがw
今年は期待しております。
>>70 外人の美的感覚は日本人と違うからね。
スターウォーズのレイア姫やスパイダーマンのヒロインがいい例だ。
73 :
作者の都合により名無しです:2006/01/11(水) 12:11:59 ID:4g2eqJMH0
快進撃も一休みか。
74 :
うみにん:2006/01/11(水) 16:32:02 ID:/eyvvADW0
遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。
天聖道士の執筆があまりにも進まないため、代わりにというわけでも
ありませんが、ワンピースの短編SSを一本書いてみました。
75 :
託される夢1:2006/01/11(水) 16:33:00 ID:/eyvvADW0
ここは、とある小さな町の、やっぱり小さな剣術道場。
小さいなりに、今日も多くの門下生たちが厳しい鍛錬を積んでいる。
その大半はまだ幼い子供たちではあるが。そんな中―――――――
「くっそぉおおおおおおおおおおっ!!」
道場中に響き渡る、半ばヤケクソじみた怒声。
怒りに打ち震える怒声の主は少年だった。逆ハの字の凛々しい眉毛。
歌舞伎役者のような鋭い眼光。やや形の悪い赤い鼻はご愛嬌か。
少年は門下生の一人である。この道場では比較的古参のうちに入る。
これは小さな町の小さな剣術道場で大きな夢を抱いた小さな少年のお話―――――――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
オレは今まさに、目の前の一人の男“宿敵”との戦いに向き合っていた。
向かい合うその相手は、やっぱり同い年のひょろりと長身の少年だった。
長髪を後ろでまとめた、一見頼りないやさ男風のいけすかねえ軟弱野郎だ。
二人はお互い一本の竹刀だけを持って、ジリジリと間合いをはかっている。
先に動いたのはオレの方だった。自身、最速で放ったつもりの初撃。が。
あっさりとかわされる。と同時にやさ男の出した足払いに足元をすくわれ、
盛大に転ぶ。慌てて起き上がると悠然と見下ろすやさ男の姿があった。
絶好のチャンスにも、トドメをさしにこない相手の余裕に頭に血が上る。
「くっそぉおおおおおおおおおおっ!!」
先の怒りの絶叫とともに振り下ろされた少年、つまりオレの渾身の打ち込みは
飄々とした、ひょろ長いそのやさ男の竹刀にあっさりと力を逸らされ床を叩いた。
まだ腕にしびれが残ったまま、やさ男めがけて必死に竹刀を振り上げた。
やさ男の体はユラリとゆらぎ、オレの視界から消えた。首筋に軽い衝撃が走る。
フワリ――――まるで赤子を撫でるかのように優しい剣が振り下ろされたのだ。
あまりにも優しいその一撃に、しかし、オレの意識はフツリと途絶えた―――――――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
76 :
託される夢2:2006/01/11(水) 16:34:40 ID:/eyvvADW0
―――――目覚める。そこは、道場備え付けの医務室のベッドの上だった。
いや、備え付けの医務室と言っても専属医がいるというわけでもないのだが。
ベッドの傍らで呑気に本を読んでいたいがぐり頭の友が笑顔で話しかけてきた。
いつものように、オレが目覚めるのを待ってくれていたらしい。
「はっはっは、今日も完敗だな。」
「ちきしょう!なんで!?なんで勝てねえんだよ!?」
今日“も”負けた。そう。ひょろ長いやさ男に負けたのはこれが初めてではない。
毎日、毎日勝負を挑んではオレは負け続けていたのだ。悔しくてしょうがない。
「しょうがねえよ。あきらめろ。どう見たって、あいつぁ天才だぜ?
あんなに優しい剣はオレァ、他所のでっかい道場でも見たことねえよ。」
「認められるか!あんな!剣に、怒りも野心もこめられねえ軟弱野郎に!」
男の怒りは止まらない。それは、ふがいない自分に向けてのものなのか。
「そんなこと言ったってお前・・・」
「オレは!世界一の剣士になるんだ!こんなとこで、あんな軟弱野郎に負けてちゃ
話にならねえんだよ!」
「いや、それ以前にお前、あいつ以外にも勝てないやついっぱいるじゃねーか。
あいつは道場内無敗だぜ?あいつにはもう、大人の門下生だって相手にならねえ。
いや、下手したら師範だって・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・ぅるせえ!」
77 :
託される夢2続:2006/01/11(水) 16:35:35 ID:/eyvvADW0
「わかってるよ。オレに才能がねえことくらい。毎日毎日、天才の剣と打ち合って
きたんだ。嫌でも思い知らされる。だけど・・・・!だけどな!」
オレの目からはこらえてもこらえきれない大粒の涙が、せきをきったように溢れ出した。
「夢見てえんだよ!挑みたいんだよ!そうさ。オレの夢、剣の道を極めてえんだ!
オレは!世界一の大剣豪になりてえんだよ!!」
オレはあふれる涙をぬぐおうともせずに叫び続けた。やがて、ギロリと天を睨む。
「1ヶ月後だ!1ヶ月後にオレはやつに決闘を挑む!」
「は?決闘なら毎日やってるじゃねーか。いっつもお前がのされて終わりだけどよ。」
オレの目はきっと、さぞや血走ってたんだろうな。全く狂気の沙汰だ。
「それは決闘じゃねえ!試合だ!1ヶ月後――――今度は竹刀でも木刀でもねえ!
真剣での殺し合いだ!真剣なら!あんなへらへらした軟弱野郎に負ける道理がねえ!」
「バカ言うな!たった1ヶ月で何がどうなるってんだ!?」
「うるせえ!もう決めたんだ!特訓だ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
78 :
託される夢3:2006/01/11(水) 16:38:35 ID:/eyvvADW0
その日からオレの特訓は始まった。
やつは天才だ。少なくともオレとは比較になんねえくらいのな。
今までさんざ負けっぱなしのオレが、たった1ヶ月でその差を埋めるにゃ
生半可な特訓じゃどうにもなんねえ。
山にこもろう。野生の動物たちを狩り、滝に打たれながら修行しよう。
時には猛獣に出会うかもしんねえ。生きるか死ぬか。実戦に勝る修行は
ねえはずだ。
朝昼晩と滝に打たれ、心を鎮める。昼は黙々と打ち込みを繰り返し、夜は
真剣をもって野ウサギを狩りに1日中走りまわる。これがなかなか難しい。
野生の動物ってやつは人間の非じゃねえくらい俊敏で、臆病で、用心深い。
罠を駆使して週に1匹捕まればいい方で、後は木の実草の根を食らい、
命からがら生き延びた。うっそうと茂る木々を切り払い、真剣の使い方を
体に馴染ませる。
研鑚する相手はいない。ゆえに上達しているのかどうかもわからない。
こんな程度の修行では、たった1ヶ月じゃ何も変われないかもしれない。
迷うたびに滝に打たれた。走った。獣どもを追い求めて走り続けた。
意味はない。ただ、ガムシャラになにかしら行動を起こしたかったんだ。
そりゃあ今思えば、ホントにガキくさい、幼稚な特訓だったと思うぜ?
でもあんときはなぁ。それでも必死だったんだ。
79 :
託される夢4:2006/01/11(水) 16:45:16 ID:/eyvvADW0
山篭りをはじめて2週間後、急ごしらえの簡素な山小屋に初めての来客が訪れた。
この場所は友にも告げてきていない。にも関わらず探し当てて訪れてくれたのは、
それは美しい一人の少女だった。
短期間に痩せこけ、変わり果てたオレの姿に眉根を寄せて問いただしてくる。
「どうしたの?最近道場に顔見せないから、お父さん心配してたわよ?」
「なんでもない。ただ強くなりたかっただけだ。だから、山に篭った。」
この美しい少女は、剣術道場の道場主の一人娘である。どうやらオレを心配して
探しに来てくれたらしい。心優しい子だ。思わず口元が緩む。オレは久しぶりに
人間らしい笑顔を浮かべることができた気がする。
「あと2週間で戻ります。だから心配しないで。」
「2週間・・・わかったわ。でも、もしも2週間たっても戻らなかったら、
みんなといっしょに無理やり連れ戻しにくるわよ。」
少女はまだ心配そうではあったが、力強く微笑んで、そして帰っていった。
80 :
託される夢4続:2006/01/11(水) 16:46:11 ID:/eyvvADW0
帰っていく少女の後ろ姿に一抹の寂しさも覚える。そうさ。オレは実は、
ひそかにこの子に恋心を抱いていたんだ。だけど言えねえ。それだけは、穣さんに
知られちゃなんねえ。知ってるんだ。お穣さんが、あいつに惚れてるのは知っていた。
あれは、いつかの祭りの日の夜だったか。祭りの中心から外れたとこで偶然、
やつがお穣さんと二人っきりで己の剣を語るのを立ち聞きしたことがある。
優しい剣、何も斬らない剣、何も斬ることのできない剣士。大切な人を守れる剣。
やつの目指す剣はオレとは対極にある。そんな話を、お穣さんは嬉しそうに
目を輝かせて聞いていたっけ。
女ってやつあ、優しい男に惚れるもんだ。嬢さんの判断は間違っちゃあいねえ。
ましてや、こんな短気で不器用な人間、相手にされるはずもねえ。そう。
「オレには、剣しかねえんだ!だから!負けられねえ!」
嬢さんはあいつに譲ってやる。だけど、剣に命を捧げたオレは剣でだけは
負けちゃいけねえんだ。みっともないけど、それが男の意地ってやつだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
81 :
託される夢5:2006/01/11(水) 16:46:57 ID:/eyvvADW0
1ヶ月後――――――
お嬢さんに戻ってきた報告をすませる前に、オレは一人、決戦の場へと向かった。
“やつ”は、オレの友と共に道場にいた。オレはやつに、果たし状を突きつけた。
「“はたし犬”?ひょっとして“果たし状”のことですか?」
やさ男。いや、もの静かな天才は、少し困ったような顔で果たし状を読み終えた。
「そうだ!ここに師範の部屋から拝借してきた真剣が2本ある!好きな方を選べ!
これは命をかけた決闘だ!」
友がオレと天才の間を必死にとりなそうと試みる。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!こいつちょっと熱くなってるだけなんだ。お前は、
この道場じゃいまだ無敗だ。いわば王者なんだ。王者は挑戦者を選ぶ権利がある。
な?だから、こんなバカな決闘受ける必要なんてない、そうだろ?」
「てめぇは黙ってろ!男と男の勝負だ!受けるか受けないのか、どっちだ!?」
「・・・・・・・・・」
短期間にずいぶんと変貌したであろうオレの形相を見つめながら、目の前の天才は、
しばし黙して考えていた。が、やがて――――――鋭いまなざしでコクリと頷いた。
「わかりました。お受け致しましょう。」
一方的な果たし状。しかもオレだけが1ヶ月も前からそれに備えて特訓してるっ
てんだ。そんなもん受けてもらえなくて当然だ。だが・・・やつは挑戦を受けた!
頬を緊張の汗が伝う。オレの心臓は爆発しそうなほどに昂ぶった。
ゴクリと唾を飲み込む音。傍らでことの成り行きを見守っていた我が友だ。友が
血相を変えて、どこかへ走っていくのが見えた。師範でも呼びにいったんだろう。
だけど、友よ。もう・・・この決闘は・・・・誰にも止められねえんだ―――――!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
82 :
託される夢6:2006/01/11(水) 16:47:51 ID:/eyvvADW0
―――――勝負は一瞬だった。
オレの刀は、弾かれ、力なく宙を舞った。
惨めな完敗だった。山篭りを前に真剣を手にして以来、初めて人間と向かい合った。
そんな状況に立ってみてようやく、その蒼く美しく輝く直刃が、あまりにも簡単に
人を殺めることができる殺戮の武器であることを知った。山の中で木々や獣を相手に
振りまわしていたときとは、わけが違う。目の前の刃は、この1ヶ月見たことがないほどに、
ギラギラと危うい魔性の輝きを放っていた。オレの体は刃に魅入られたように硬直し、
一歩も動けなかった。情けねえことに、真剣に怯え、ブルったのは、剣に野心も覇気も
もたねえ軟弱野郎なはずのあいつじゃなく、オレの方だったんだ。
真剣をもった“やつ”は、高くそびえる山のようにでかく見えた。天才と凡才。
途方もない力の差が、真剣を握った瞬間、残酷なほどに際限なく広がっちまったんだ。
刀を弾かれたオレは、その場にへたりこんで、やつの剣先を凝視していた。
突き付けられた刃はその気になれば、いつでもオレの命を貫ける状態にあった。
優しいあいつはきっと貫く気はなかったんだろう。だけどオレは怖かった。
恐怖のあまり、声さえでなかった。ただ涙と鼻水だけがみっともなく溢れ出て、
そのとき、オレはようやく悟ったんだ。いや、悟ったんじゃねえ―――――
とっくに気付いてた認めたくない事実を、ようやく認めることができた。ただ、
それだけなんだ。そう。オレに夢を現実に変える力はないって現実に―――――
涙があふれる。そっとその涙をぬぐう柔らかな手。オレは目を見開いた。なんで・・・?
なんでここに?お穣さんだ。お嬢さんが目にうっすらと涙を浮かべながら見下ろしている。
「バカね・・・」
そう言って、お嬢さんは微笑んでみせた。
83 :
託される夢7:2006/01/11(水) 16:59:03 ID:/eyvvADW0
いつのまにか戻ってきていた友が駆け寄ってくる。涙ながらにまくしたてる。
「お嬢さんはオレが呼んできたんだ。バカヤロウ!お穣さんはずっと、お前の
ことが好きだったんだぞ。心配かけさせやがって!お前、ホントに生きてて・・・
生きててよかったなあ!もう二度とバカなマネはするんじゃねぇぞ!」
お穣さんが・・・オレを・・・?
お嬢さんを見る。お嬢さんは頬を赤くそめて恥ずかしそうにうつむいてみせた。
夢みてえだ。ずっと、お嬢さんはあいつのことを好きなんだとばかり思ってた。
「ふふ・・・ははは・・・あはははははははははは」
いつのまにかオレは笑い出していた。剣の才能に劣るコンプレックスが、
それ以外の全てのことがらに対しても、オレを頑なに卑屈にさせていたんだ。
ああ、オレはなんてちっぽけな男だったんだろう。
友とお穣さんは、オレのバカ笑いにキョトンと顔を見合せて戸惑っている。
天才はいつのまにかその場を去っていた。あいつはオレの気持ちもお嬢さんの
気持ちもみんな知っていたのかな・・・?
オレは自分の力のなさを素直に認めた。今は不思議なほど穏やかな気分だ。
だから―――――――
だからオレは、オレじゃ果たせないその夢を誰かに託そうと思ったんだ。
数年後、オレは道場を辞め、刀を扱う店を始めた。いわゆる武器屋ってぇやつだ。
開く場所はここしか考えられなかった。“始まりと終わりの町”――――――!
きっと、この町には夢と野望を抱いたギラギラした男たちがやってくるはず。
その中から、いつかこの店に訪れるかもしれない、オレの夢を託せる男。
いつの日か、そんなやつが現れたときには、わずかでも力になってやりたいんだ。
ちっぽけな店だが、“夢を形に変えて託すこと”それがオレの新しい夢。
これからは、その素晴らしい夢のためにオレは努力を惜しまないつもりだ。
こんなオレを好きになってくれたお穣さんと共に、な。
84 :
託される夢E1:2006/01/11(水) 17:08:56 ID:/eyvvADW0
さぁて、それからどのくらいの年月が経ったんだろうな。最近はすっかり
平和になっちまって、でっけえ野望を持った、ちったぁ見所のある野郎どころか、
普通の客すら滅多に来やしねえ。
カミさんも、ブクブクに太っちまって昔の面影のカケラもありゃしねえや。まっ、
それはお互い様ってやつか。でももうちょっと優しくしてくれてもいんじゃねえか?
ん?誰か入ってきたか?おっ!?おいおい、客なんて久しぶりじゃねえか。
まだ若ぇな。ま、ガキでも客は客だ。せいぜい愛想良く接客してやろうじゃねぇか。
「刀が欲しいんだが。」
「はーい!はいはいはいはい!いらっしゃいましね。好きなだけご覧ンなって
くださいね。古刀、新刀、新々刀。うちは創業2百年の老舗ですからね―――」
「10万ベリーあるんだ。刀を2本売ってくれ。」
「ハッ!10万で2本!?1本5万じゃナマクラしか買えねぇぞ、お!?」
チッ、なんだよ。金なしか。てんで素人だな、こいつ・・・
・・・・・なんて一瞬思ったオレも、まだまだ見る目が甘いね。
ま、言い訳するわけじゃねえが、パッと見はそこらの若造とあんま変わんなかったんだ。
そこらへんは大目に見てやってくれ。え?そいつはそこらの若造じゃなかったのかって?
・・・そうだな。久しぶりにいい剣士の目を見た。心からオレは、そう思ったぜ。
その日は、この街に突然の嵐がやってきた日。嵐の前の静けさたぁよく言ったもんさ。
本日は晴天なり。あんまり、いい陽気に誰も彼も嵐が来るなんて考えてもいなかった。
そんなときに、一足先にオレの店にやってきやがった、とんでもない大嵐。
小粋な詩人様にゃあ程遠い、一介の無粋な武器屋の陳腐な表現かもしれねえが、
“あいつ”をなにかに例えるなら、そんなとこかね。
我がライバルよ。あいつを見て以来、なぜかお前のことを思い出すことが増えたよ。
“始まりと終わりの町”この町からまた新しい伝説が始まりそうな予感がするんだ。
なあ、コウシロウよ―――――――――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
86 :
託される夢E2:2006/01/11(水) 17:11:20 ID:/eyvvADW0
ある日の朝刊―――――
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
新聞の間に挟まっていたそれを見たオレは、近所迷惑も顧みず、絶叫してしまっていた。
「うるっさいねえ、あんた!何時だと思ってんだい!?」
カミさんが、眠そうな目をこすりながら文句をたれてくる。
「なんじゃあ、この懸賞額はあああああああああああああああああああああああ!?」
手配書に刻まれたその顔は間違いなく、あの時の“大嵐のあいつ”だった。
あいつはあっという間に頭角を顕わし、今や6000万もの賞金首になっていたんだが、
今度の手配書の額は正気の沙汰じゃねぇ!全く、いったい何をしでかしやがったのやら。
「見ろ、俺の目は正しかった。こいつは歴史に名を残す大剣豪になるぞ!?」
おっと、興奮して思わず声が上ずっちまった。
「ふふっ・・・全く・・・悪党に家宝あげて喜んでんだから、世話ぁないね。なんだい?
この店は、ロロノア・ゾロのファンクラブなのかい?」
む?確かにいつのまにか店中ロロノア・ゾロの6000万の手配書だらけだな。
「全くこの店には海軍の連中だってやってくるってのに・・・危険思想だかなんだかで、
やつらに目ェつけられても知らないからね!」
「そうだな。よし!こうなったら全部・・・・・・新しい手配書に貼り直すか。」
「あんたは、アホもんかい!」
「うごっ!?」
痛えっ!?クラクラするぜ。まーたゲンコツくらっちまったい。だけど、まぁ、なんだ。
こんな悪態をつきなからも、かみさんは笑ってくれてる。全く、こんな情けない亭主にゃ
もったいねえカミさんだぜ。・・・ありがとよ。こんなオレを選んでついてきてくれて。
チッ、感傷的になっちまったぜ。なんだか照れ臭くなっちまったオレは大声で叫んだよ。
この町に生まれし、偉大なる海賊王はかつて言った。“時代のうねり”と、そして・・・
「“受け継がれる意志”と“人の夢”は止まらねえ!」
ドンッ!!と、むやみにオレは胸をはったね。
「男が男に夢を託して何が悪い!!!!」 終わり
87 :
託される夢 :2006/01/11(水) 17:14:18 ID:/eyvvADW0
これにて終わりです。いっぽんマツです。
自己満足で修行、戦闘、恋愛模様をもっと細かく丹念に描いて、
主役いっぽんマツで長編カテゴリ突入という暴挙に出ることも
頭をよぎったのですが、かろうじて思いとどまりました。
ずっと登場人物の名前伏せて書くのは、ちょっとつらいし。
読むのも、いろんな意味できっついだろうし。
補足:
コウシロウはゾロの先生で、たぶん、いっぽんマツがゾロを
騙して安価で買い取ろうとしてた大業物21工「和道一文字」の
くいなの前の持ち主と思います。
もちろん原作にはコウシロウといっぽんマツの繋がりどころか、
いっぽんマツが剣士を目指してたなんて設定もありません。
それでは良いお年を・・・
第四十二話「悪夢の終焉」
「デモン・・・ベイン・・・!」
ペコは自分たちの窮地すらも忘れて、その輝きに目を奪われる。
「す・・・すげえ・・・。とんでもない力を持ってるのが、俺にも分かるぞ」
稟も驚嘆と共にデモンベインを見つめる。そして―――
「バカな・・・デモンベイン・・・だと・・・!知らぬ・・・そのようなもの、ワシは知らぬ!」
オドロームは見るからにうろたえていた。無理もないだろう。完全に打ち滅ぼしたはずの白銀の剣が、更なる力をもって
甦ったのだから―――
「オドローム・・・この<デモンベイン>で、今こそお前を倒す!」
「何を!もう一度―――もう一度、へし折ってやるまで!」
オドロームは絶叫しながら、ゼオライマーから再び不可視の弾丸―――<次元連結砲>を放つ。
「のび太くん・・・!」
「大丈夫だよ、リルル。なーに、もうあんなの怖くないよ!」
のび太はそれに慌てることなくデモンベインを掲げて、言霊を紡ぐ。
「旧神の印―――<エルダー・サイン>!」
デモンベインが輝き、瞬時にザンダクロスの周囲に五芒星を象った障壁が現れ、不可視の弾丸を全て弾く。
「今のは・・・バリア?」
「うん。何だかこうやったらこう出来るって思って―――いや、分かったんだ」
そう―――誰に教えられるまでもなく、のび太はデモンベインに秘められた力の全てを理解していた。それもまた、白銀
の剣―――デモンベインの意志なのか。
そしてのび太は障壁を発動したまま、ザンダクロスでゼオライマーに飛び掛る。デモンベインの影響か、機動性が明らか
に上がっている。そのまま流れるような動きで懐に飛び込み、中心目掛けてデモンベインを突きたてる。強固な装甲が、
まるでゼリーのように容易く突き通され―――
「ぐううううっ!」
ゼオライマーがそれに抗って腕を振り回す。苦し紛れの反撃だったが、元々ザンダクロスの数倍の自重があるのだ。障壁
があるとはいえ、衝撃を完全に吸収することは出来ない。態勢を崩さず着地するので精一杯だ。
「はあっ・・・はあっ・・・許さぬ・・・許さぬぞ、白銀の剣士!」
ゼオライマーがその腕を胸の前で合わせた。
「あれは・・・<メイオウ攻撃>ってやつか!?」
「くっくっく・・・先程とは少し違うぞ。先程は威力を広範囲に拡散させて撃った―――だが、今度は一点に集中させて
放つ!その力を持ってすれば、もはや耐えられるものなど存在しない!」
それはハッタリなどではない。凄まじいプレッシャーは、先程のそれよりも更に強大だった。
「ダメ・・・のび太、よけて!」
「のび太・・・あれは・・・あれは、ダメ・・・逃げて!」
フー子とプリムラが動かぬサイバスターから、泣きそうな声で叫ぶ。
「のび太くん!ここは退くんだ!」
ペコも目を見開いて警告する。だが―――ザンダクロスは、デモンベインを構えなおし、ゼオライマーを真正面から、
その機械の瞳で睨み付けた。それはすなわち―――迎撃の意志。
<あのバカ―――あれを、正面から迎え撃つ気か!?>
「やめろ!やめるんだ!のび太―――!」
「のびちゃん、やめて―――!」
「大丈夫・・・」
のび太はみんなの声に、そっと答えた。
「ぼくは―――リルルは―――ザンダクロスは、絶対に負けない!」
「のび太・・・」
その言葉に秘められた強い力に、その場の誰も、もう何も言えなくなった。
「バカめが―――消し飛ぶがいいわ!」
ゼオライマーの前面に、眩く輝く光球が渦巻くように現れる。ゼオライマーの全てのエネルギーを込めて放つ、最大最強
の<メイオウ攻撃>―――それに耐えられねば、待つのは死すらも生温い―――虚無への旅。
「リルル・・・」
のび太は傍らの少女に、そっと語りかける。
「リルル・・・君にもザンダクロスにも、こんな無茶させてごめん・・・けれど・・・ここで逃げたらダメなんだ。ここであいつ
を倒さないと―――みんな、元の世界に戻れないんだ!」
リルルはそれを受けて、ふっと微笑んだ。
「分かってるわ、のび太くん。わたしも・・・それに、ザンダクロス―――ジュドも、きっと・・・」
のび太はその言葉を受けて、力強く笑った。そして、正面に向き直る。
「うわあああああああーーーーーーっっ!」
のび太はゼオライマーに向けて、真っ向から飛び込んだ。<旧神の印>を最大出力で発生させ、光の中へと
ザンダクロスを特攻させる。
「もはや貴様は、塵一つ残さぬ―――<メイオウ攻撃>!」
ゼオライマーが光球を放つ。それは、ザンダクロスの巨体を軽々と飲み込み、全てを白い闇に塗り替える―――!
「く・・・くっくっく・・・はーーーーーはっはっは!愚かな!本当に飛び込みおるとは!ついに終わった!もはや、
ワシの邪魔をする者は―――っ!」
勝ち誇った哄笑が、途切れる。オドロームはその目に、あるはずのないものを見た。
「・・・・おおおおおおおおーーーーーーーっっっ!」
ザンダクロスは―――消滅してはいなかった。そして、その中にいるのび太とリルルも―――とはいえ、ザンダクロスは
無残と言う他ない姿だった。左腕と両足は完全に消し飛び、頭部もほとんど原型を留めていない。
だが、それでも―――それでも、デモンベインは離さない。
残された右腕で、しっかりと構えたままだ。
右腕だけでも残ったのは奇跡だった。だがそれは、ゼオライマーに恐れることなく立ち向かったのび太の勇気が生んだ
もの―――言わば、必然の奇跡だった。
「な・・・な・・・ぜ・・・・」
オドロームはこの瞬間―――敗北した。ただ冷静に次の攻撃を放てば、もはやザンダクロスはとても耐えられる状態では
ないというのに、それも忘れて、ただ呆然と見つめるだけ―――それが、勝負の分かれ目だった。
そして―――ゼオライマーに、デモンベインが突き立てられた。そのままのび太は、言霊を放つ。それは、デモンベイン
最強の攻撃を解き放つための言葉―――
「光差す世界に、汝等暗黒、住まう場所なし!」
デモンベインが、激しく光を放つ。それは膨大な熱量を伴い、ゼオライマーを溶かしていく―――。
「渇かず、飢(かつ)えず、無に還れ!」
光はもはや、灼熱の地獄すら越える温度に達した。それに飽き足らず、更に強く輝く。
「―――<レムリアァァァァァッ・インパクトォォォォォォッッ!!>」
全てを閃光が包み込んだ。その中心となったデモンベインの熱量は―――無限。全てを消し去る、無限の熱量。
「―――昇華!」
そして―――ゼオライマーは、オドロームもろとも、その光の中へと消えていった―――。
「は・・・はは・・・のび太の奴・・・やりやがった・・・はは・・・全く・・・すげえ!すげえぞ、のび太!」
稟が呆れたような、それでいて感心したような声で祝福する。
「のび太くん・・・やりましたね!」
「すっごいよ、のびちゃん!惚れはしないレベルで滅茶苦茶かっこいいよ!」
ペコも、亜沙も―――みんなが、祝福してくれるのが、何ともくすぐったい。
「のび太くん・・・やったわね」
リルルが微笑みながら声をかけてくる。
「うん・・・でも、ザンダクロスには、悪いことしちゃったね・・・」
「・・・そうね。こんなボロボロになるまで、戦って・・・」
リルルはザンダクロスのコクピットの中を撫でる。そこも歪んでいたり、亀裂が走っていたりと、散々だ。
「ありがとう―――ジュド・・・」
さっきから、リルルは再びザンダクロスのことをジュドと呼ぶようになっていたのにのび太は気付く。
「やっぱさあ・・・リルルは<ジュド>って呼ぶ方が、好きなんじゃないのかな。そうやって呼ぶ時、凄く優しい顔
だもの」
「そうかもね。みんながそう呼んでるからって思ってたけど―――やっぱり、わたしにとって、彼は<ジュド>だわ」
「じゃあ、そう呼べばいいじゃない。ザンダクロスだって、きっとその方が喜ぶよ」
「ふふ・・・じゃあ、そうするわね」
リルルは花開くような微笑を浮かべる。のび太はそれに、しばし見とれた―――。
「うーん、ほどよく甘い会話だよねえ・・・通信装置、入りっぱなしなのに」
亜沙が冷やかすように笑う。
「え?い、いや、別にそんなんじゃ・・・!」
のび太は慌てて弁明するのだが・・・。
「わーい、リルルお姉ちゃんとのび太、仲良しー」
フー子は楽しそうだ。男女の独占欲や嫉妬心に目覚めるには、まだ早いということか。
「うー・・・」
プリムラは複雑な表情で唸るばかり。
<何か・・・男は口を挟みづらい雰囲気だな、稟・・・>
「確かに―――気まずい状況だな」
稟とマサキは、ため息をつき合った。
「ふむ・・・のび太くん、今のうちから女性関係が派手では、将来苦労しますよ」
<ふっ・・・全く、だ・・・>
ペコとアヌビスもそんなことを言う。
「いや、だからねえ・・・」
どう言えばいいのか、のび太は口ごもる。
「・・・ふふっ・・・」
リルルはその有様を見て、楽しそうに微笑む。この中で一番余裕なのは、彼女かもしれない。
―――と、その瞬間。のび太たちの身体が、光に包まれた。
「え・・・これは・・・!?」
「見て!みんなの身体が―――!」
その声に自分の手を見てみると、なんと、薄っすらと透けているではないか。慌てる一同の元に、声が響く。
<オドロームを倒したからです・・・>
「あ・・・」
それは、のび太にはもはやお馴染みになった、あの謎の声―――
<オドロームを倒した事で、あなたたちをこの世界に縛るものはなくなった―――あなたたちは、現実へと帰るのです>
「本当!?元の世界に帰れるんだ!」
一同は大はしゃぎする。そして声は告げた。
<白銀の剣士よ―――デモンベインは、あなたが持っていて下さい>
「え・・・それはありがたいけど、いいの?」
<はい。もはやこの世界に恐るべき魔王はいない。デモンベインは魔を絶つ剣。今のあなたには、必要なはずです>
「・・・うん。ありがとう!」
返礼した瞬間―――のび太たちの姿は静かに消えていった・・・。
そして、魔城<ガッデム>の中で魔物たちと戦っていたドラえもんたちにも、同じ現象が起こっていた―――
「これは・・・なに?この光は・・・」
「え・・・身体が、透ける―――?」
そして―――夢世界から、彼らの姿は消えた。
悪夢は終わり、更なる戦いの待ち受ける現実世界へと―――
投下完了。前回は
>>19より。
ついに夢世界編、完。約10回の投下と、そこまで長いわけではないですが、主役のパワーアップやら
なにやらで割と濃い話にできたかな、と思います。
次回は夢世界の後日談。そしてその後は、銀河を駆ける馬鹿共の登場です。
>>22 鋼屋氏が昔作ったTRPGに出てくる剣の名前でしたっけ?アイデアはそこから得ました。
>>23 やっと大長編モード覚醒のび太が書けて、満足です。
>>25 小池さんももうあとちょっとしたら出ます。ペコとの決着の後も、もしかしたら?
>>26 ハイテンションな快作・・・になっているといいんですが(笑)
>>27 西博士は・・・出ないと思います(すいません)。
>>しぇきさん
はい、ツンデレです。このSSでもツンデレ台詞を言わせるほどにツンデレです。
某スレか・・・あそこの三人組(ユーゼス・シュウ・木原マサキ)、このSSには全部出てますね(笑)
オーガ〜はなんかシリアスなかんじに・・・しかし、勇次郎が彼女の心を溶かすことはできそうにないですが、
どうなるのか?野球もこれも楽しみなんで、頑張ってください。
トリップ入れ忘れw
失礼しましたー。
超機神乙です
レムリア・インパクトまで出てくるとはw
もしかして最終決戦時には、さらに進化してシャイニング(r
いっぽん松てw
なんでもありだな。バキスレ
すげぇ
のびたがカッコイイ!
>うみにんさま(おめでとうございます!)
最初、ゾロとくいなの物語かと思ってましたけど、一本松とコウシロウですか!
渋い選択ですねえwでもいい話ですね。破れた夢を次代に託していくというか。
コウシロウがミホークのかつてのライバルだった、と妄想した事がありますw
>サマサさん
ザンダクロスって作中のロボットの中ではダントツで弱いイメージなんですが
えらいパワーアップしましたねえ。インフレを楽しむSS、みたいな事を前に
サマサさん仰ってた気がしますが、ここまで行くとすごく爽快です。
100 :
ふら〜り:2006/01/11(水) 21:48:30 ID:Ygh4oCon0
>>サマサさん
おぉ……何だか、のび太が神々しい。凄く頼もしく見える。そんなヒーローっぽさの中で、
>暴力を打ち砕くために生まれた、超暴力。
「暴力」と違う言葉を使わず、あえて「超暴力」なのに好感。力の否定でなく、力愛不二。
とか言ってたらギャルゲ空間も展開で。ロボに燃え少女たちに萌え、ほんと魅力多彩です。
>>しぇきさん
レ、レナが普通だ。いやむしろ普通より弱々しいというか、支えてあげたくなるというか、
要するに可愛い。あの子にそんな過去があったとは……普段のアレは、悲しみを乗り越え
ようと健気に明るく振舞っていた、と。ぅわ何だか思いっきり古典的正統派に萌えるっ。
>>見てた人さん
かなりの修羅場をくぐってるカイジですけど、モロにナマの死体を見たのって初めてです
よね。しかも、まず間違いなく殺人というシチュ。胸中、ざわざわしてるんでしょうなぁ。
>その時は、今までの鬱憤を晴らす大活躍になるかと思います。
まだまだ先でしょうけど、これ期待! 「みんなを集めてくれ。犯人が解った」とかっ?
>>ハイデッカさん
技もちゃんとあるんでしょうけど、やはり力が人間レベルではない二人の打ち合い、迫力
ありました。武蔵もこれほどのレベルで、まだ後も控えている……大丈夫か慶次? あと
今回、「ジャンヌを護る」って言葉の意味が一歩深まりましたね。そっちの展開にも期待。
>>うみにんさん
がむしゃらに強さを求めて不合理な修行に打ち込み、高嶺の花な少女に淡い恋心を寄せ、
負ければ負けたで相手の器を素直に認め、夢破れても卑屈にはならず、新しい道へと一歩
を踏み出す……いい男の子ですねぇ。「漢」未満の、未熟な男っぷりが良い感じでしたっ。
いい話だけど一本松とコウシロウってワンピキャラ?
>>101 そう。両方ともゾロ絡み。
コウシロウはゾロの先生で、
一本松はゾロの男気に打たれて
雪走りと鬼徹って刀を譲ったおっさん。
まさか一話限りの端役が主役になるとはw
>>101 一本松は最近出たばっかのワンピの総集編に載ってるから
今ならコンビニで立ち読みできると思うよ。
104 :
作者の都合により名無しです:2006/01/11(水) 23:53:11 ID:JrD0JdBI0
うみにんさん、あけおめです。
天聖の続きが読めないのは残念ですけど、今回の読切りは良い出来で満足しました。
男の夢とロマンが引き継がれていく感じがいいですね。でも次はやっぱり天聖が読みたいな。
サマサさん、年が明けても好調ですね。
のび太がいよいよ主役モードですね。いままでちょっと脇役っぽかったけど
やはりドラ長編はのび太が活躍しないと!戦いはこれから白熱していく一方ですね。
scene14 伊藤開司【七】
我に返った三人が、電話台の一番上の段、僅かに開いた引き出しの中から
金色に光る鍵と『NO.3 香坂まどか』と刻印された封筒を見つけたのは、ほぼ同時だった。
(鍵と、ロールカードの入った封筒……!)
カイジは封筒を手に取る。間違いなく、それは香坂まどかのものだった。
実際に使用して確認した所、金色の鍵も確かに、今しがた無理矢理抉じ開けた三号室扉の鍵であると判明した。
「窓にも、鍵が掛かっています……
この部屋は、人の入りこめる余地のない、密室状況だった。そういうことになりますね」
部屋の窓を見つめながら、黒川は言う。その言葉通り、確かに窓も施錠されていた。
「そんなことより、どうしましょうこれ……! どうなるんですか、このゲームは……!」
只野は今にも泣き出しそうな顔をしながら、黒川の袖口を引っ張る。
「とにかくっ……このままぼうっとしてても仕方ない……
参加者から死人が出たんだ……これは明らかに、そう、緊急事態……!
全員、ホールに集めよう……黒川さん、あんたはオーナー控え室へ行って
あの、気味悪い仮面……テラーを呼んで来てくれっ……俺と只野さんは、みんなを探してホールへ集める……!」
カイジが、矢継ぎ早に指示を出す。
「……そうですね、わかりました」
答えるが早いか、黒川が駆け出す。カイジ、只野も、それを追うようにして部屋を出た。
時刻は七時二十六分。朝食の時間が近いこともあり、もう数人はホールに姿を見せ始めていた。
元々、そう広くはないペンションである。
カイジと只野の呼びかけも功を奏し、そう時間がかかることもなく、ホールには八名が揃った。
オーナー控え室にいるであろう仮面の男、テラー。そのテラーを呼びに行った黒川時子。
姿の見えないハネダユカリ。そして、三号室で冷たくなっている香坂まどか――以上の四名を除いたメンバーである。
カイジは順を追って、詳しく事情を説明した。
香坂まどかが、密室状態となった三号室で、不可解な死を遂げていたこと。
今、黒川にテラーを呼びに行ってもらっていること。
「まどかが死んでいる? それも、僕が昨夜話した
雑誌の受け売り……ふざけた怪談通りに? それ、何の冗談かな?」
話の途中――香坂まどかの死について触れた時、笠間潤が横槍を入れた。
「冗談でもなんでもないっ……! 嘘だと思うなら、三号室へ行って自分の目で見てくればいい……」
「……本当、なのか?」
半信半疑、といった表情を浮かべ、笠間が中央廊下に向かおうと足を踏み出したその時。
「カイジさんっ……! みなさん……! 大変……大変ですっ……!」
黒川が、自慢の長髪を連獅子のように振り乱し、血相を変えて走ってきた。
(今度は……今度は一体何なんだっ……!?)
黒川の狼狽えた表情を一目見れば、読心術を学んだものでなくとも、悪い知らせであることはすぐにわかってしまう。
「みなさんっ……どうか落ち着いて……落ち着いて聞いてください……!」
周囲を見回し、そう念押しする。それは、黒川が自分自身に言い聞かせているようでもあった。
「仮面の男……テラーがっ……オーナー、控え室で、死んでいます……!!」
激しい動揺の為か、最後の方は、半ば叫ぶような口調になってしまっている。
ホールにいる八名も、皆一様に、どうしていいかわからないといった表情だ。
「死んでいる、それだけではなくてですね……明らかに他殺っ……!
殺されているんです……! メッセージ付きでっ……! 殺されて……!」
黒川の声は、最早絶叫に近かった。
「おい、落ち着けっ……! 大丈夫か……?」
カイジが、黒川の背に手を置いて宥める。
「ハァ、ハァ。すみません……私としたことが……取り乱し、ました……」
「……これから、どうします?」
双葉夕実が誰にとも無く、言葉を投げた。
ともすれば、外から微かに聞こえてくる吹雪の音にかき消されてしまいそうな、小さな声だった。
「ここで震えてたって何の解決にもならねぇ。
現場検証も兼ねて、見に行くしかないだろ。そしたら、そこの――笠間も冗談だなんて言えなくなる」
小此木がちら、と笠間を一瞥してそう言う。
笠間からはもう、先ほどまでの軽さは微塵も感じられず、ただ神妙な顔で俯いていた。
血相を変えた黒川の登場で、流石の笠間も、事態の深刻さを理解せざるを得なかったのだろう。
(この状況……冗談で済ませられるなら……俺だってそうしたいっ……!
だけど……前に進む他ないんだ……現実に立ち向かう他ないんだっ……!)
「わかってる……気は進まないが、みんなで行こう……オーナー控え室……現場にっ……!」
毎度ありがとうございます。前回投稿は
>>51です。
・ロジック
とりあえず、明らかにこれはおかしい、という
致命的な破綻は(現時点では)ないかと思います。
このまま行けますように……
・全員が警戒する中
必要以上に被害者を馬鹿にはしないよう気をつけます。
十分警戒はしているものの、殺されてしまう。
そんな形が理想ですね。なかなか難しいですけど。
うーむ、次から次へと怒涛の展開ですな。
まだ10人生き残っている、と言えばいいのか、
もう10人しかいない、と言えばいいのか。
密室殺人推理ものとサスペンス、そしてホラー。
いくつもの要素が重なって読み応えありますよ。
カマイタチさん早朝から乙です。
テラーの死体には、一体どんなメッセージが残されているのか。
カマイタチ相変わらず黒い、暗い。光が見えない。
一縷の光明を見出すのはやはり確変したカイジでしょうね。
テラーの死んだ場所に、物語を解くカギがあるのでしょうか?
それともまた、より深く迷走へと?
うみにんさんお久しぶりです。あかめしておめでとう。
男の純情と熱情の話ですね。
動きは少ないけど、詰まっている感情は豊かというか。
見てた人さん、後書きから察するにもう最後まで出来てるんだな。
これから何人被害者が出るのか、ラストがどうなるか分からないけど
「予想を裏切り期待は裏切らない」展開を熱望いたします。
今のところは大満足。
114 :
十一話「死の星」:2006/01/12(木) 23:15:03 ID:S4ECgb+A0
「ふぅ・・・」
サンゴ海の勇者、キャプテンホークも陸に上がればカッパも同然。
女に振られ、懐かしい船での日常を思い返し、感傷に浸っていた。
まぁ船が戻った所でパイレーツコーストには戻れはしない、海賊達はこちらの話を聞きはしないだろう。
ブッチャーを縛り上げて突き出さない限りは裏切り者の汚名を着せられたままだ。
しかし今のキャプテンではブッチャー所か一般の魔物にすら打ちのめされても可笑しくは無い。
そんなキャプテンを慰めるため、相棒のゲラ=ハが声をかける。
「キャプテン、まだシェラハさんに振られたのを気にしているんですか?
パイレーツコーストに戻れば、また女性が近寄ってきますよ。」
実はキャプテン、年齢が30そこらだというのにそのルックス、渋さ、強さでモテモテであり、
女性に不自由することなど無かったのだ。
にも関わらず、独身である理由は自分が「海賊」だからであった。
彼のロマンを本当に理解してくれる人に巡り会えなかったせいか、彼は「愛」を知らない。
正義も悪も理解している、海賊なのだから人の命だって奪うし物だって盗る。
ブッチャーとは違うのは好き好んで命を奪う訳ではない、ということだ。
困っている人を面倒の一言で見捨てるような白状者でもない、かといって無償で助けることは少ないが。
海賊だからといって悪行だけに身を費やす事はない。
自分のやりたい様に、自分の生きたい様に生きればいい。
そんなホークが彼女に見た物、それは「闇」。
真っ暗で、身震いする程の闇を心の奥底に秘めていたのが何となく感じられた。
だが、同時に何故か「安心」もしたのだ。
彼女の「闇」の中で、もしかしたら本当の「愛」を知る事が出来るかもしれない。
ホークは自分でも気付かない心の奥でそう考えていたのだ。
115 :
十一話「死の星」:2006/01/12(木) 23:16:11 ID:S4ECgb+A0
「そんな事はどうでもいい、連れ去られたゲッコ族の消息はまだ分かんねぇのか?」
いつもの威勢を感じさせない弱々しい声、普段のホークを知っていれば誰が聞いても疲れているのが分かるであろう。
期待しては無かったが冗談も気休めにはならない事が分かると素直に手に入れた情報を伝える事にした。
「それが酒場の人が武器屋の裏でトカゲの鳴き声を聞いた、との事です。」
ホークは気だるそうに立ち上がり憂鬱そうな顔を見せながら答えた。
「まぁ、他にアテもねぇしな。いって見るか。」
早速、武器屋の裏に回って壁に耳をつけてみた。
何やら叫び声が聞こえる、だが・・・
「おいゲラ=ハ、トカゲってなんて鳴くんだ?」
良く考えればトカゲの鳴き声を聞く機会ないてそうは無い。
そんなのを知ってる奴は余程の爬虫類マニアだ。
ホークに変わり、ゲラ=ハが耳をつけてみる。
「間違いありません、ゲッコ族の遠吠えです。」
犬でも無いのになんのために遠吠えなんて習慣があるのか少し気になったが、今は助けてやる方が優先だ。
「よし、入るぞ。」
ドアを開け、店主の前に立つ。
「いらっしゃいませ。どんな武器をお探しでしょう?」
愛想良く話しかけてくる店主、ホークは睨みつけて言った。
「ゲッコ族を出せ。」
動揺しているのか冷や汗を隠せない店主。
少し後ずさりながら答える。
「生憎・・・そんな商品はうちでは扱っておりませんが?」
間髪入れずに問い詰めるホーク。
「つまらん冗談だな。大方ブッチャーの差し金で誘拐したゲッコ族を売り飛ばしてたんだろうが。」
図星だったのか、店主が態度を豹変させる。
「うるせぇ野郎だ!知らねぇ物は知らねぇんだよ!お前達、こいつ等をつまみ出せ!」
116 :
十一話「死の星」:2006/01/12(木) 23:17:11 ID:S4ECgb+A0
店主の言葉に反応して奥から犬の様な魔物を引き連れた海賊が出てくる。
衣装からしてもパイレーツコーストの海賊であるのが分かる。
狭い店内に緊迫した空気が張り詰める。
感傷に浸っていても実戦の場に立てばそんな暇は無い、冷静に手を打つキャプテン・ホーク、
狭い場所で守りに入っては数で押し切られてしまう。
数を減らすには先手を取って少し余裕のある2,3メートルの位置からの遠距離での波状攻撃でのかく乱を狙う。
ホークが腕に力を籠め、斧を手にしたまま腕を回す。
「おおおおりゃぁ!」
怒号と共に遠距離に複数の斬撃を飛ばす斧技、「車輪撃」を放つ。
素早い獣型の魔物は辛うじて避ける、しかし下っ端の海賊風情では避けられない。
巨大な車輪の様に重く、カミソリの様な切れ味を廻りに纏った斬撃を受けて吹き飛ぶ海賊達。
避けた魔物と奥に居た店主が助かる、だがゲラ=ハの槍が着地の硬直の解けない魔物を貫き、絶命させる。
二人の息のあった立ち回りによって早々に店主一人になってしまった。
「役立たずが、クソッ!」
そういうと店主は裏口から逃げ出そうとする。
ゲッコ族をゲラ=ハに任せて逃げた店主を追う。
パブへと逃げ込んだ店主、もう逃げ道は無い筈。
勢い良くパブのドアを開き、奥の部屋に逃げ込む店主を追う。
「先生、後は任せましたよ!」
そういい残すと店主は隠し階段らしき物を降りていった。
先生と呼ばれた一人の男を残して。
その男は一見、ただの筋肉質な男に見えなくも無かった。
だがその胸に刻まれた傷と溢れ出す闘気が、戦士であることを感じさせた。
「悪いがテメェに様はねぇんだ、どかないなら力ずくでいくぜ。」
怯まず果敢に挑むホーク、傷の男はゆっくりと構えを取りフットワークを始める。
ホークは足取りの軽さから見て連続的な攻撃を中心としたコンビネーションを狙っているのを見抜く。
ステップに勢いを付けさせると厄介なので出鼻を挫く事にする。
「せいっ!」
勢い良く斧を振る、避ける男、そこでもう一撃振る。
最初の一撃を囮に二段目を狙う「一人時間差」。
シュッと空を斬る音に続けて少量の血が飛び散る。
117 :
十一話「死の星」:2006/01/12(木) 23:18:32 ID:S4ECgb+A0
掠っただけの様だが様子を見ながら連続的に叩き込めば確実に削っていける。
微々たる油断も無く次の構えに移ろうとするホーク。
「浅かったか・・・」
男が不意に呟く。
何の事か少しの間考える、いきなり襲い掛かる肩への激痛。
間接の繋ぎ目が音を立てて軋む。
「ぐおぉ!?」
思わず悲鳴をあげる、何が起きたのか分からずに悶えるホーク。
男がまたステップを踏み始める。
「止めておけ・・・お前では俺には勝てん。」
ステップを続けながら男が喋る。
肩を抑えながらも男を見据えるホーク。
こんな武術を使う相手は始めてみた。
攻撃には大まかに分けてアタック、ディフェンス、トリックの3種類に分かれている。
ゲラ=ハが基本として使う「二段突き」は連続攻撃で一気に体力を奪いに掛かる技。
このタイプの技をアタックモードと言う。
ホークの得意とする「トマホーク」は盾で自分を守りながらも遠距離で攻撃できる守りに特化した技。
つまりディフェンスモードである。
この男の使う技は体術の一つ、「流体拳」に似ている。
流れるように体内に拳を打ち込むトリックタイプの技。
だが威力は桁外れ、喰らった感覚も無かった。
「テメェ・・・一体何しやがった・・・」
肩を抑えながら正体不明の武術の謎を聞く。
すると男は以外にも隠す事無く答えた。
「・・・一拳に全エネルギーを集中し肉体の経絡秘孔に衝撃を与え内部からの破壊を極意とした死を呼ぶ拳。」
問いに答えた男は構えを一度解き、再び気を練り始める。
「その名を北斗神拳、俺はその伝承者ケンシロウ。」
男が名乗りを挙げた時、微かに胸の七つの傷が光った。
118 :
十一話「死の星」:2006/01/12(木) 23:22:13 ID:S4ECgb+A0
長い間サボってましてすいませぬ。(0w0;)
いや忙しかったんですよ。
学校の先生に冬休みだったのに某市内のシャッターに絵を描けって言われたり。
ジアビスやったりモンスターハンタ(ry
めんどくなったりもする、だがあえて投げ出しはしない、それが猪狩イズム。
え?猪狩シコルから逃げてガイアにパスした?
あれは試合の予約とかそんなんだよ、きっと。
ようやく漫画から抜擢。
でも出したきっかけはパチスロ北斗のCM見てたから。
北斗のCMやらなかったらきっとまたゲームのキャラが出ていたのであろう・・・。
〜明けましておめでとうサガ講座〜
アタックモード ミンサガで追加された技の系統の一つ、主に攻撃力の高いゴリ押しタイプの技が基本。
一部にステータスの低下を起こす技もある。
ディフェンスモード こちらもミンサガで追加された。防御力が上がるらしいが大きい変化は感じられない。
「骨砕き」なんて如何にも攻撃的な技もディフェンスモードになる技。
ちなみに回復術と「骨砕き」「脳削り」があれば大抵の敵はなんとかなる。
ドラゴンのブレスみたいにステータスに関係しない攻撃とかやられるとまぁ死ぬけど。
トリックモード これもミンサガで追加。このモードになると早く行動出来る様になるらしい。
心なしか連携が繋ぎ易い気がする。状態異常を引き起こす技が結構あったりする。
119 :
作者の都合により名無しです:2006/01/12(木) 23:51:39 ID:C567eVZH0
おお、邪神さんもあけおめー
海の男キャプテンホーク、女も強いし男も強い。
でも、やたら強い男でたなーと思ったらケンシロウかよ!
唐突過ぎるだろ!と思いましたw
男塾のスロットのCM見てたら塾長が出たのかなw
ケンシロウってw
ロマサガ世界で異彩を放ってますな。
でも、バキもいるし勇次郎あたりと
一騎打ちして頂きたい
今気づいたけど、スレタイ【】ぬけてるやんw
>見てた人氏
まだバックボーンが明らかになっていない登場人物もいるけど
やはり殺人があれば流石に取り乱すかw
んでカイジはテラーの正体に気づくだろうが、どう反応するのだろうか・・・
>邪神氏
乙です
すごい展開になってきましたね
これからキャラ達がどう動いていくか、期待します
邪心さん、新年おめでとう。随分遅れてますがw
ホークの男臭さが際立った今回ですけど、ケンシロウの登場は驚きました。
ていうか予想は絶対に出来ませんね。しかし、どう倒すんだろうw
こっちでも連載した方がいいかな?
第一羽 ヤリマン刑事対ケンシロウ
ヤリマン刑事(デカ)!
警視庁きっての凄腕の女刑事でどんな何事件もおまんこで
解決する警視庁きっての凄腕の女刑事だ!
ヤリマン刑事「あなたが連続殺人鬼容疑者のケンシロウね!
白状なさい!」
ケンシロウ「アタタタタ。やってないウワチャー」
いきなりの密室殺人事件!
どう謎を解くヤリマンデカ!!
ヤリマンデカはケンシロウの11センチのペニスを
優しく撫でると、強烈なバキュームフェラを開始した!
ケ「あ、ああああたたた、あ、あたー」
ヤ「ほらほらほら、気持ちよくなってきたでしょう?自白しなさい」
ケ「イヤチャー」
拒否したケンシロウに対し、イク寸前で寸止めするヤリマンデカ!
完全犯罪はここに崩れた!
22 :ヤリマン ◆b//7DauIhs :2006/01/13(金) 11:14:07 ID:hMk0CWvP0
ケ「なんでも言うから入れさせてくれほわちゃー」
ヤ「よしよしいい子ね、ご褒美にこの小さくて薄汚いチンポを
私の美しいおまんこに入れてあげるわ、感謝しなさい!」
ケンシロウにまたがり騎乗位で激しく腰を振るヤリマンデカ!
おまんこはゆうゆるだが腰使いがすごい!三段グラインドだ!
ケ「アタタタタ阿多ああたったたたたtったあたあああ、アッ」
ヤ「イクイクイクイクイクイクイク、あううう!」
2人仲良くイッタヤリマンデカとケンシロウ、ケンシロウは自首をした。
ヤリマンデカ「空しいわ。なんて人の世は悲しいの…」
ヤリマンデカはこの世の悪を裁くため、今日も凶悪犯にまたがり腰を振る。
がんばれ、僕らのヤリマンデカ!!!!!!!!!!!
第二羽 「ヤリマン刑事対ブロッケンジュニア」に続く
ヤリマン刑事 第二羽 悟空対ヤリマンデカ
ヤリマンデカ「悟空さんのチンpがほしいのー」
御供「おっそオラ悟空!ワクワクするぞー」
37 名前:作者の都合により名無しです :2006/01/13(金) 12:22:52 ID:hMk0CWvP0
ヤ「おまんこー」
ゴ「のびろ如意棒ー」
38 名前:作者の都合により名無しです :2006/01/13(金) 12:23:52 ID:hMk0CWvP0
ヤ「あんあん」
ゴ「オラと地球の元気タマをくらわしてやる!」
39 名前:作者の都合により名無しです :2006/01/13(金) 12:26:24 ID:hMk0CWvP0
ヤ「あ、あああーん」
ゴ「はー!」
ヤ「いくー!」
ゴ「勝ったー、かったぞー!」
なんと敗北したヤリマンデカ!
恐るべし悟る空!次回、ヤリマンデカの反撃が始まる!
「第八羽 ヤリマンデカ対ブロッケンジュニア」に続く
ヤリマンさん、頼むから自分の住処かエロパロ板だけでやってくれ
とりあえず、今まで書いてきたのを載せます。
行間を無くして極力圧縮したので読みにくいかもしれません。
タイトル:デジモンワールドA
第1章 〜異世界へのアドレス〜
東京のとある町に住む少年、斧崎大地(おのざきだいち)は
明日、五年生を迎えるための始業式を目前にしていた。
しかし、大地は半年前からイジメがキッカケで不登校になっていた。
そんな大地はインターネットを通じて趣味のデジモンを語り合う
チャットに明け暮れていた。
今日も、チャットでデジモンの話で盛り上がっている。
(アース:明日はいよいよデジモンカードの新しいのが発売しますね!)
アースとは大地のHN(ハンドルネーム)。
由来は見ての通り自分の名前を英語にしたものである。
(ドラモン:そうですね!僕は明日、始業式があるので、
買いに行くのは午後になると思います。楽しみだなぁ♪ )
「・・・」
大地のキーボードを叩く指が止まった。
どうも始業式という言葉に敏感になっているようだ。
明日の朝、親にまた“今日は学校どうするの?”と聞かれ
それを断るのがいい加減ウンザリで、辛かった。
(ドラモン:あっ!そろそろオチですね。さようなら〜 )
ドラモンはチャットを止めて、大地のいるチャット部屋は一人になった。
話す相手も居ないから落ちよう。
そう思った時、誰かが入ってきた。
アナログマン:こんにちは
この名前を大地は見たことが無い。
ここに来るのは初めてなのだと理解した。
アース:始めまして、こんにちは
すぐにアナログマンから返事が返ってきた。
(アナログマン:デジモンは好きですか? )
このチャット部屋はデジモンを中心とした雑談部屋で
そんなのは当たり前のことであった。
(アース:かなりハマってますね。デジモンの名前、全部言えるくらいかな?)
(アナログマン:そうですか・・・。かなり好きなんですね! )
その後、二人はデジモンのことから普段の日常までいろいろと話した。
その会話の中には自分が引きこもりであることも打ち明けていた。
アナログマンの文体が大地に親近感を覚えさせたのかもしれない。
気がついたら、1時間も話していた。
(アナログマン:そんなにデジモンが好きなら、デジモンの世界に行ってみたいと
思ったことあるんじゃないかな? )
(二人の仲は短期間のうちに、タメ語で離すほど縮まっていた。)
(アース:そうですね〜もし、そんな世界があるならぜひ行ってみたいですよ!)
(アナログマン:行けたらいいよね)
その時ふと大地は気づいた。
チャットの参加者人数の表示が1人になっていたのだ。
確実に、2人いるのに。
(アナログマン:そろそろ時間なので、今日はここで・・・。)
(アース:そっか・・・。また明日にでも一緒に話そう!)
(アナログマン:じゃあ、さようなら。)
アナログマンはチャット部屋を出て行った。
その後すぐ大地も部屋を出て行って、そのままパソコンの電源を切った。
後はデジモンカードの整理や、アニメ鑑賞などで夜まで時間を潰し
その日は普段よりも早く布団に入った。
(・・・明日も休もう・・・クラスが変わるって言ったって
どうせまたイジめられるに違いない・・・)
大地がパソコンの電源を切る直前のことであった。
大地がいたチャットに書き込まれたアナログマンの発言が全て消されていたのは。
同時に、大地のアナログマンとの会話に関する発言も消されていた。
朝、大地はカーテンの隙間から射す太陽の光に目を覚ました。
時計は7:30をさしている。
「・・・・・・眠」
大地はあくびをしながら洗面台へと向かった。
蛇口をひねり、でてくる水をすくいあげて顔へ当てた。
シャキっと目を覚ました後は歯を磨いて、冷蔵庫にあった
冷えた菓子パンをかじりながらまた部屋へ戻った。
そして、パソコンの電源を入れた。
パソコンが立ち上がると、デスクトップに一つの告知があった。
“一通のメールが届いています”
普段、ケータイもパソコンもメールなどしないので珍しく思い
クリックし、メールを開いた。
そこにはアドレスが貼られていた。
「なんだ?こんな文字みたことない・・・」
そのアドレスはキーボード上には存在しない記号の集まりであった。
大地はそれを不気味には思わなかった。
むしろ、それをクリックしてその先を見たくて仕方が無かった。
ブラウザクラッシャーかもしれない、ウイルスかもしれない。
それ以外の危険な何か、あるいは別にどうでもいいような何か。
ほんの出来心だった。
ひょっとしたら危ないかも?
そう思い直した時にはもう手はマウスを握り、右手の人差し指は
アドレスをクリックしていた。
「・・・・・・・・」
しばらく待ったが反応が無い。
メールを閉じようと思った時、一つの警告画面が現れた。
その警告画面は白い光を放ち、台地を包み込んだ。
「ウワッ!?・・・アア・・・ア・・・・――――――」
眩しさに両腕を交差させるように目を塞いだ。
その光はまぶしい光を放っている以外、特に何も無い。
(あの画面にもあの変な文字が書かれてた・・・なんなんだ・・・)
光が止んだ。
腕と腕の隙間から見えるのはパソコンの画面ではなく、木製の何か。
両腕をのけて、その光景に目を見開いた。
目の前には木製の小屋。
目の前には身の丈50cm程度の長いヒゲをはやし、茶色い杖を持った老人。
その周りには見覚えのある、現実には存在しない生き物が囲んでいた。
心臓の鼓動は高鳴りつつも。冷静になっていく心。
口は自然と笑っていた。
「コイツも、コイツも、コイツもコイツみんな見たことある・・・」
大地は生唾を飲み込んで、歓喜の声を上げた。
「デジモンだ!!」
これで終わりかな?それとも投稿規制かな?
>邪神様
お疲れ様です。今年も頑張って下さい。
うーん、ケンシロウですか。これから何が飛び出るかわかりませんねw
でも、サルーインとかデスとかを相手にしていくとなるとケンシロウクラスで
無いと、人間側は不利ですねえ。敵のままかな?味方になるのかな?
>チロルさま
いらっしゃいませ。色々と不安かとも思いますけど、思いっきり書いて下さい。
アドバイス出来る立場ではないですけど、もう少し描写に膨らみを持たせた方が
いいかな、とは思います。少し文体が箇条書きっぽいかな?
まとめサイトで他職人さんの過去作などを見ると描写の勉強になるかも。
あまり書き込みすぎると却って見辛くなるから、難しいですけどね。
個人的にはサナダムシさんやNBさんの描写が参考になりやすいかな?
>>135 アドバイスありがとうございます。
今の内容でも十分参考になりました!
次の話は出来上がってるんですが、他作品を読んでから
にしようと思います。
>>136 チロルさま
ここは確かにレベルが高い人が多いですけど、
最初からうまかった人はそんなにいないですよ。
ほぼこのスレ初めから見てるけど、今人気の職人さんだって
最初は文章かなり読み辛かった人は多かった。
そういう人が腕を上げていって、それ見て腕自慢の人が集まって・・
みたいな感じでスレ全体のレベルが上がっていったんです。
最初から上手かったNBさんやカマイタチさんのような
強豪の作品を読むのは楽しみですけど、
あなたのようなやる気のある人が成長していくのを
見ていくのもまた凄く楽しみです。頑張って下さい。
あと、バキスレでは作品をあげ終ったら、
最後に後書きを書くという伝統があります。
SSに関係あることでもない事でも、お気楽に書いて下さい。
ある意味、職人さんの後書きは本のしおりみたいなものですから。
のんびりと、自分のペースで完結目指して頑張って下さいね。
長編になると、バレさんが自分の作品だけで一欄作って下さるんで。
15 :オオクワ専門 ◆4Xpr5jXA2A :2006/01/12(木) 11:12:28 ID:???
のび太「この程度か?魔法力と体力を奪う量もたかがしれているようだな。
安心しろ、貴様に超魔爆炎覇は使わない。アバンストラッシュでかたづける。」
のび太はアバンストラッシュのかまえをした。ガルダンディーは動揺する。
ガルダンディー「この俺をかたづけるだと?まさかそんな事あるはずがない。
こい!!!!!のび太。俺の剣とどっちが強いかな。」
ガルダンディーはかまえた。
のび太「アバンストラッシュ」
ガルダンディーの体から血が吹き出す。すごい威力だ。ガルダンディーはもう助からない。
のび太のアバンストラッシュが決まった。ガルダンディーの断末魔。
ガルダンディー「ギャーーーーーー!!!!」
ガルダンディーは死亡した。勝ち誇るのび太。
ハドラー「やったな、のび太。」
ソンゴクウ「やるな、おめえ。」
それを見ていた、ボラホーンは戦闘体勢になった。
ボラホーン「なかなかやるようだな。だが実力でガルダンディーを倒したと
思っているんじゃないだろうな?油断したガルダンディーと偶然が重なった
だけだ。今度はこの天下無双とうたわれたパワーを持つボラホーン様が
相手をしてやるぜ!!!」
22 :オオクワ専門 ◆4Xpr5jXA2A :2006/01/12(木) 11:37:10 ID:???
のび太「貴様では僕に勝てない。降伏するなら助けてやるぞ。」
ボラホーンは笑いながら答える。
ボラホーン「フッフッフッハーッハッハッハッ人間ごときが偉そうなこと言うな!!!ボケ!!」
ボラホーンが話し終わると、ハドラーがのび太に近づいて話す。
ハドラー「のび太。今度は俺に闘わせろ!!!」
のびたは快くハドラーに闘いを譲ってあげた。
ボラホーン「貴様が相手か、まあ良い。人間より魔族の方が強いから面白い。
かかってこい!!魔族なのに人間に寝返った貴様はこの天下無双のパワーを持つ
ボラホーン様が叩き潰してやる。」
ハドラーは戦闘体勢に、そしてボラホーンに真正面から突っ込んだ。そして
ヘルズクローでボラホーンを攻撃する。ボラホーンはその巨体からかハドラーの
ヘルズクローをよけられなかった。ヘルズクローがボラホーンの右腕に
突き刺さった。血が吹き出す。痛がるボラホーン。
ボラホーン「俺の右腕に傷が!!なかなかやるようだ。プハー!!コールドブレス」
ハドラーはボラホーンのコールドブレスでガチガチに凍った。
ハドラー「グアアー!!体が固まる!!!」
ボラホーン「ワシのコールドブレスはマヒャド級の威力がある。武器は使わないで
貴様を倒してみせる。ガチガチに凍ったところを砕けばどんな敵でも終わりだ。
これがワシの必勝戦法よ!!!」
ガチガチに凍った。ハドラーを殴る、しかし凍ったハドラーは砕けない。
まだあまり凍ってないようだ。
ハドラー「ベギラマ」
ハドラーはベギラマで凍った体を溶かす。
ボラホーン「なんだと!!!しまった。」
53 :オオクワ専門 ◆4Xpr5jXA2A :2006/01/12(木) 13:39:24 ID:???
ボラホーンは感じ取った、ハドラーの信じられない実力を。
ボラホーン(こいつ信じられない実力がある。悔しいがとてもじゃないが勝てない。
ここは逃げるしかない。)
ボラホーン「ここはいったん引いてやる!!!じゃあな。」
ボラホーンは逃げ出した。しかし巨体のためすぐハドラーに追いつかれた。
あせるボラホーン。
ハドラー「逃げる気か?今まで人間達を苦しめてきて、自分が危なくなったら
逃げるのは許さん!!!!くらえ!!超魔爆炎覇!!!」
ハドラーの超魔爆炎覇がボラホーンに炸裂、ボラホーンは倒れた。
ひどいダメージを負ったボラホーン。
ボラホーン「ギョエエエーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
ボラホーンとガルダンディーを倒した、のび太達はついにサイキョウ王国の
城下町にたどり着いた。なんとなく妖気が漂っている。いるのは魔族だけだ、
人間は奴隷にされている。
76 :オオクワ専門 ◆4Xpr5jXA2A :2006/01/12(木) 14:05:54 ID:???
のび太達は驚愕した。魔族が平然と生活しているためである。
城下町の家
魔族の男「おい。人間!!!働け、後でドックフード食わせてやるから。
まじめにやらなかったらただじゃおかねえぞ………。」
人間の男「はいわかりました………すぐ働きます。」
人間の男は泣きながら家の中を掃除した。震えながら………。
しかし人間の男は水が入ったバケツをこぼしてしまった。家の中が水浸しに
なった。魔族の男が怒り狂った。ものすごい形相だ。人間の男は
震えておびえている。魔族の男が人間の男に近づく。
魔族の男「なんて事してくれるんだ!!!この役立たずが、家の中を水浸しに
しやがって………。下等生物め!!!貴様など要らん!!メラゾーマ!!!」
魔族の男は人間の男に向かってメラゾーマで攻撃………。
人間の男「ギャーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
人間の男は断末魔を上げて死んだ。魔族の男は笑う。
魔族の男「フッフッフッハーハッハッハ!!人間など、我々魔族に比べれば下等生物だ………。」
88 :オオクワ専門 ◆4Xpr5jXA2A :2006/01/12(木) 14:44:29 ID:???
「のび太の怒り!!!」
のび太は怒り狂った。人間が不当なひどい扱いを受けているからです………。
のび太は怒りの表情で話す。
のび太「許さん………。許さんぞぉ!!皆は手を出すな………。僕一人で
城下町にいる魔族を全滅させてやる!!!」
ハドラー達はのび太に任せる事にした。今ののび太には何を言っても聞かないと
思ったからである。魔族が数人のび太の前に来た。どうやら闘う気だ………。
魔族の男A「何だ貴様ら………。」
魔族の男B「人間共!!!かかって来い!!俺達があいてしてやるよ。」
魔族の男C「たかが人間が、魔族と闘おうって言うんじゃないだろうな………。」
魔族が話し終わるとのび太は怒りでいきなり攻撃をしかけた。魔族の男Bに
パンチをあびせる。魔族の男Bはひるむ!!それを見ていた魔族の男Aと
魔族の男Cは二人がかりでのびたに殴り掛かる。しかしのび太にはたいして
効いていない。のび太は空中に、空中から攻撃を仕掛ける気だ。
のび太「その程度か?どうやら僕は強くなりすぎてしまった………。
僕の極大呪文をくらうが良い。ベギラゴン」
のび太のベギラゴンが魔族の男三人に直撃!!魔族の男三人は焼け死んだ。
後方に控えていた魔族は驚いている。
147 :オオクワ専門 ◆4Xpr5jXA2A :2006/01/12(木) 19:58:13 ID:???
[セルの影武者!!!!]
数時間が経過した。城下町にいた魔族はのび太によって虐殺された。
恐ろしい光景だ。女、子供、老人の魔族も一人残らず全員虐殺された。
カラスが魔族の死肉をむさぼっている。奴隷にされていた人間は
まきぞえで死んだ。ついにのび太達は、バーンが住む城までやってきた。
のび太は興奮している、まさに戦闘狂だ。そして城の中に入ると
早速敵が出てきた。その敵はと言うと……。セルの影武者だ。前に
ジャイアンが倒した、セルの超魔力で生み出した、影武者と同じようなのだ。
セルの影武者は強さだけはセルよりはるかに弱いが姿と使う技はセルと
同じのやっかいな敵である、セルが遠隔操作しているのである。
セルの影武者「ようこそ。皆さん……。私はこの影武者をダークパレスから
遠隔操作している。かかってこい!!!愚か者共……。」
のび太が興奮しながら話す。その顔は狂人のようだ。
のび太「面白い!!!いくぞ!!セルの影武者……。」
ハドラーが話す。落ち着いている。
ハドラー「待てのび太……。今度は他の仲間に戦わせないか?おまえは闘いすぎだ。
次はダイの番だ……。」
快くのび太はダイに譲った。のび太は城下町にいた魔族達との戦いで疲れている。
ダイ「やっと私の番が回ってきたか……。一瞬でかたづけてやる!!!!」
セルは笑いながら話す。セルは影武者を遠隔操作しているので安心している。
セルの影武者「ハーハッハッハッ私の影武者でおまえ達がどこまで成長したか、
見届けてやる。」
セルの影武者VSドラゴンの騎士ダイの戦いが始まる!!!
17 :オオクワ専門 ◆4Xpr5jXA2A :2006/01/13(金) 09:00:20 ID:X36vx3N10
セルの影武者は自信満々だ、自信に満ち溢れている。セルは構えた、それを見た
ダイも構えた。ダイは冷静だ……。
セルの影武者「いくってばよ!!!影分身の術……。」
セルの影武者は影分身で三体になった。どれが本物のセルの影武者なのか
わからない……。ダイはあせりを感じると同時に驚いた。
ダイ(落ち着け……。落ち着くんだ!!どれが本物のセルの影武者なんだ?)
ダイは真ん中にいるセルの影武者に剣で斬りかかった。しかし影分身だった。
それを見ていた、両側にいたセルの影武者は二人同時にダイに攻撃をした。
ダイは傷ついた……。そしてセルの影武者から少し離れた。
ダイ「こう言う敵にには、グループ攻撃が良い。ベギラマ!!!」
ダイのベギラマでセルの影武者は一人になった。本物のセルの影武者は、
ベギラマを直撃!!傷つくセルの影武者……。ちなみに影分身は一度攻撃
くらうと消えてしまう……。
セルの影武者「ここまでやるとはな……。影分身は一度攻撃くらうと消えて
しまうからな。全体攻撃またはグループ攻撃が一番良い……。良くそこに気がついた。貴様の
ベギラマで多少のダメージはくらってしまった……。」
事情を知らないバキスレ住人の皆様へ
「オオクワ専門 ◆4Xpr5jXA2A」と「ヤリマン ◆b//7DauIhs」は
他スレから流れてきた荒らしであり、出来ればNGワード推奨です。
勿論、バレ様が保管の手間を掛けられる事はありません。
レスの性質、おそらく削除依頼をしても通らない可能性が高いので、
今後一切相手にしないという方向でお願いします。
では、何事もなかったようにリスタートで。
↓ ↓ ↓
44 :オオクワ専門 ◆4Xpr5jXA2A :2006/01/13(金) 13:56:21 ID:LQLJobJX0
セルの影武者が極大呪文のベギラゴンのかまえをした……。驚くダイ!!!
ダイ「まさか!!!あのかまえは……。」
ダイ(しまった!!あのかまえは極大呪文のベギラゴンだ。いかん、あんなすごい呪文を使われては!!)
セルの影武者「そのとおりだ。私が今やる呪文はベギラゴンだ!!一瞬で葬り去ってくれる……。
ベギラゴン!!!」
セルの影武者のベギラゴンが炸裂!!信じられないほどの威力だ。ダイはドラゴニックオーラで
防御していたので、致命傷にはならない……。
ダイ「この程度か?やはりな、いくら極大呪文でもドラゴンの騎士のドラゴニックオーラで
防御すれば、難無くさばける!!!今度はこちらからいくぞ……。」
ダイはセルの影武者にものすごいスピードで接近……。そしてアバンストラッシュの
かまえをした。セルの影武者は動揺する。
セルの影武者「なんてスピードだ。私は遠隔操作しているのであまりスピードが
でないのに!!!おのれ……。」
ダイ「終わりだ!!!セルの影武者……。アバンストラッシュ!!!!」
セルの影武者「ギャーーーーーーー!!!おのれ!!!この私がここまでのダメージを……。」
ダイのアバンストラッシュがセルの影武者に命中……。セルの体はアバンストラッシュで
切り刻まれて、血が吹き出した。しかしセルの影武者は意外と丈夫で、まだ
生きている……。そしてセルの影武者はダイから少し離れる。
セルの影武者「なかなかやるようだ。やはり影武者では無理か……。これからが
本当の地獄だ!!!カトンゴウカキュウの術!!」
セルの口から炎が出てきて、ダイに大ダメージ。セルの突然の忍術で
驚いたダイはまともにくらってしまった……。苦しむダイ!!!思ったよりダメージは
大きいようだ。ダイには大きな痛手だ……。
ダイ「そうだった、セルはいろいろな世界の技使えるんだった……。
セルが使えるってことは、セルが遠隔操作している、影武者も使えると言うことじゃないか。」
これはこれで面白い。
もっとやってくれ。
俺は応援するぞ?
[怒りのハドラー!!!]
セルの影武者「ここまでのようだな勇者ダイ……。なかなか面白い戦いだったぞ。
もろい奴だな。とどめだ!!!カメハメハ!!!!」
セルの影武者のカメハメハで城が少し破壊された。ダイはカメハメハを直撃!!
ダイはひどいダメージを負い。倒れた。ハドラーが心配そうにダイの元に
駆け寄った。
ハドラー「大丈夫だ…生きている…!」
ハドラーはそういうと、ダイを持って、離れた……!!そしてハドラーは
ダイを床に置き。剣を出した。闘うつもりだ……。そしてハドラーはセルの
近くまで来た。
ハドラー「許さんぞ!!!セルの影武者……。貴様は俺が倒す。
超魔爆炎覇!!!!!!!!!」
ハドラーの怒りの超魔爆炎覇が一瞬でセルの影武者をまっぷたつにした。
セルの影武者「ギョアアアーーーーーーッ!!!ガアアァァッーーーー!!!!」
セルの影武者の断末魔だ。セルの影武者は当然死んだ……。笑うハドラー。
ハドラー「フッフッフッハーッハッハッハッ!!!!影武者ごときで俺を
倒せると思ったか!!!セル……」
のび太達は喜んだ。しかし、ダイの戦線離脱は大きな痛手だ。
のび太「ダイが戦線離脱したのは、残念だが……。しかし、セルの影武者も
倒せたことだし、良しとするか……。二階に上がろう次の敵が待っている。」
のび太達は二階に上がった、二階には更に強大な敵が待ち受けている……。
第四十三話「後始末」
妖霊大帝オドロームが倒れた―――
その噂はユミルメ中を駆け巡り、真偽が確認されると同時に、国中が喜びに包まれた。
そして、のび太たちが立ち寄った町の酒場では、日夜大宴会が繰り広げられた。結局の所酒場は酒好きの集まる場所なので、
平和になっても結局飲むのだ。
「へへっ・・・しかしよお、俺は思うんだよ、あの連中がオドロームを倒してくれたんだって、よお」
中年の男が上機嫌でぶち上げる。彼はムウと話したあの男だ。
「おいおい、おっさん。またその話かい?いい加減聞き飽きたって」
「そう言うなよ。なあ、ラクスちゃん。君はどう思う?」
「え?わたくしですか?」
ステージで歌っていた一人の少女が微笑む。名前はラクス・クライン。ピンクのふわふわした髪をした、愛らしい少女だ。
彼女は魔城<ガッデム>跡地で、名前以外の全ての記憶を失った状態で発見された。
「可哀想に・・・きっと恐ろしい目にあったんだろうな」と、同情した酒場のマスターは、彼女を連れ帰って部屋を与えた。
ある日、彼女はステージに上がって歌い始めた。実に素晴らしい歌だった。
「何と言いますか、わたくし、こうしていつも歌っていた気がしますわ」
それを聞いたマスターは、優しく微笑んだ。
「ほう・・・きっと名のある歌姫だったんだろう。よし、じゃあここでも歌姫をやるといい」
そして彼女はこの酒場の看板娘になったのだ。彼女目当てで飲みに来る客も増えているという―――
それはともかく、ラクスはにっこり笑って返答した。
「そうだったら素敵だと思いますわ。偶然出会った一行が、平和をもたらす勇者様たちだなんて。わたくしもその方たちに
お会いしたいですわね」
「はは・・・そうだな。あいつら、今頃どうしてるのやら・・・」
中年の男は、どこか懐かしげな顔をして、ぬるくなったビールをぐいっと飲み干した。
―――そして・・・魔城<ガッデム>跡地。
その最深部で、影が蠢く。
「ぐ・・・ううう・・・」
見る影もなくボロボロになったオドロームが、息も絶え絶えに這いずっている。奇跡的にゼオライマーからの脱出は叶った
ものの、もはやまともに魔力を行使することも出来ないほどのダメージを受けてしまった。
「くっ・・・くそっ・・・だが、まだワシは死んだ訳ではない・・・もう一度、力を蓄え・・・」
「それはどうかな?」
その前に、小さな人影が現れた。
「いいザマだなあ、大帝・・・」
「・・・め・・・<冥王>・・・!」
そう―――それは暗黒の世界から来た、あの少年だった。
「ゼオライマーを使って負けるとは・・・どうやら貴様はとんだ間抜けだったらしい」
「くっ・・・」
「さて、どうしてくれる?ゼオライマーは跡形もなくなってしまった。もはや俺には必要ないものとはいえ、あれはあれで
俺の最高傑作だったのだ・・・」
「ちっ・・・」
オドロームは歯噛みする。罵声に対して、反論出来ない。少年は冷たい笑みを浮かべる。
「ふん・・・まあよかろう。約束の報酬と、そして、ゼオライマーを失った対価は、きっちり支払ってもらう」
少年が指をパチン、と鳴らした。その瞬間、オドロームの背後に、闇が大きく口を開く―――!
「な・・・こ・・・これは―――!?」
オドロームはそれがどういうものであるか気付いた。その醜悪な顔が、絶対なる恐怖に歪む。
少年が開けたゲート―――その先に通じる世界は、阿鼻叫喚の地獄すら極楽に思えるほどの、絶対狂気の世界。
「くく・・・この先には、貴様など虫けらのように嬲り者に出来る邪神共がウヨウヨしているぞ・・・だが、喜ばしい事に
貴様は<白銀の剣でしか死なない、不死身の身体>―――」
「ぐ・・・ぐうっ・・・や・・・やめろ!それは・・・それだけはああっ・・・!」
「折角の不死身だ。あちらでも、存分にその素晴らしさを味わうのだな・・・そう、永遠にな」
少年の冷徹な声と共に、ゲートが大きく開き、オドロームを飲み込む―――!
「うわあああああーーーーーーーーっっっ!!!やめろ!やめてくれ!た・・・助け・・・!」
断末魔の声は、閉じゆくゲートによって遮られた。少年はもはやそれに一瞥もしない。
「報酬は、貴様の命そのもの・・・ゼオライマーを失った分も、しっかり払ってくるのだな」
そして―――少年の姿も、闇の中に消えた。彼もまた、己のいるべき世界―――冥界へと。
闇は闇へ、全てはあるべき所へ―――
投下完了。前回は
>>93より。
夢世界編の後始末的な話。
>>96 それはその場のノリでw
>>98 大長編のお約束ですからね
>>99 元は作業用ロボットですしね。今後、ザンダクロス自体もパワーアップします。
それこそ強大な敵にも比肩するほどに。
ただ、敵は敵でさらにパワーアップしますが・・・
>>ふら〜りさん
「超暴力」はデモンベイン原作で使われた表現です。原作は他にも熱いセリフが満載です。
ギャルゲ空間・・・このSSののび太は大人になったらどうなるのか。
>>104 今までが扱い悪すぎましたからねwこれからは必殺技も手に入れたので、ばりばり活躍します。
これからの展望としては
○かつての強敵が味方に
○死んだと思われていたある人物の生存が発覚
など、少年漫画でありがちな展開で書きたいものがたくさんあります。頑張らなくては。
おそるべし、ジャンアンソング…
歌姫として平穏に生涯を閉じるのなら、それはそれでラクスには幸せかもw
いつもサマサさんの作品は大好きですが、今日は特に輝いて見えますw
ラクス様って本来はこんなお嬢様キャラなのですか。
容貌は確かにそうですね。もう出ないのかなあ?
冥王ってのはなんかラスボス級のキャラみたいですね。ダークのび太?
>チロルさん
参考にするなら、あなたのタイプ的にゲロさんの蟲師か魔女がいいかも。
ゲロさんも割合描写はあっさりしてますが、一行の濃さは凄い。
SSのタイプ的に心理描写が多いというのもありますけどね。
二階に上がったのび太達を待ち受けていたのは、ラーハルトだ。
ラーハルトは魔王軍に寝返っていたのだ……。
ラーハルト「良くここまで来たな愚か者共……。俺は他の奴とは違うぞ……。」
のび太は怒りながら話す…。
のび太「貴様!!!魔王軍に寝返るとはどう言うことだ!!!裏切り者め……。」
のび太の怒りは頂点に達するのも近い……。いつも冷静なミストバーンが話す。
ミストバーン「今度は私に戦わせてくれ……。」
ソンゴクウ「おめえなら必ず勝てる。油断はするなミストバーン。」
ハドラー「そうだな……。今度はミストバーンの番だ。頑張れミストバーン!!」
皆は快くミストバーンに譲ってあげた。皆はミストバーンにも手柄を
立てさせてあげたいと思った。ミストバーンは良い仲間を持って良かったと思った。
ミストバーン(皆……良い仲間だ。仲間達のためにもここは勝たなければならない。)
ラーハルトが鎧の魔槍を装備した。戦いを始めるつもりだ。
ラーハルト「貴様が相手か?なら早くかかってこい!!!ミストバーン。」
ラーハルトが構える。それを見たミストバーンも戦闘体勢に……。
ミストバーン「いくぞ……。ビュートデストリンガー!!!」
ミストバーンの指が伸びて、ラーハルトを襲う!!しかしラーハルトは余裕で
よけてしまった。信じられないほど早いスピードだ。ミストバーンもまったく
見えなかった。動揺する、ミストバーン……。
ラーハルト「そんなスピードの攻撃では、俺にかすりもしないぞ?」
超スピードを誇るラーハルトにミストバーンは勝機はあるのか!!
ラーハルト「今度はこちらから攻める!!!」
ラーハルトはミストバーンに正面から突っ込んだ。ミストバーンはラーハルトの
槍を何とかかわす。しかしラーハルトはその超スピードでついにミストバーンの
腹に槍の一撃を与えた。今のミストバーンは第一部でギニューにボディチェンジ
されてしまったので生身の体だ。腹を貫かれた、ミストバーン……。
血が流れ出る。ラーハルトの槍が深くミストバーンの腹に突き刺さっている。
当然ながら痛がるミストバーン。
ミストバーン「……。」
ミストバーンは声には出さないが、内心すごい痛がっているのに我慢している。
のび太達に心配かけたくないからである。
ラーハルト「どうだ、痛いか?もっと深く突き刺してやろうか?」
ラーハルトは更に深くミストバーンの腹に槍を突き刺す。苦しむミストバーン……。
ミストバーン(痛い!!!しかしここで叫んではいけない……。のび太達が不安に
なる。仲間に助けを求めてはいけない!!!のび太達のためにラーハルトは
刺し違えても必ず倒してみせる……。)
ミストバーンは何とかラーハルトの槍を腹からはずした。そして少し離れた……。
接近戦では不利と感じたからである。
チロルです。
今回から、第2章〜でジモンワールド冒険記〜に変わります。
「なんじゃ、お主・・・ワシらを知っとるのか?」
正面の小さな老人の姿をしたデジモンが歩み寄りながら大地に尋ねた。
その姿は多量の髪、眉毛、鼻毛、髭で顔が覆われ、額の一部と鼻先だけが
そっと覗いていた。
首から下は茶色いローブにネコの足のような靴を履いている。
「え・・・?あ、いや、よくはわかんないんですけど・・・何となく」
大地の心の中では間違いないと思いつつも、いざ実際に聞かれると
デジモンと決め付けるのにためらいを持ってしまった。
ずいぶんとロクに人と話してないから、ついつい弱気で混乱しがちになった
のかもしれない。
大地は一度立ち上がって、ゆっくりの今の状況を噛み砕いて理解していった。
同時に今更ながら、自分の服装が変わってることにも気づいた。
黒のニット帽、赤のジャケット、中は薄紫のシャツ、ズボンは黒っぽい迷彩のズボン。
ジャケットやズボンに至ってはポケットが多くついている。
まず、パソコンに届いたメールに添付されていたアドレスをクリックしたらここに来た。
理由は分からないけど、あのアドレスをクリックしたことが原因であるに違いない。
で、光に飲み込まれて、周りには自分の大好きなゲーム“デジタルモンスター”
に登場するキャラクター囲んでいる。
そのデジモンは日本語を喋り、自分の言葉も理解している。
「ジジ様!コイツもデジモンなーの!?」
周りを囲むデジモンの一体。
大地が知っているデジモン、ツノモンが老人のデジモンに聞いた。
名前どおり、額に大きなツノを生やしている、幼いデジモンだ。
「うーむ・・・それは本人に聞いたほうが早いかもしれんのぉ」
「お・・・俺は人間、です。人間の住む地球って所から来ました!!
・・・来たのかな?どーなんだろ?なんで自分がここに居るのか
そもそもよく分かんですよ・・・」
「外でするのもヤボじゃ。ワシの小屋に入れ」
老人のデジモンは黙って背を向けて、奥にある木製の小さな小屋に入っていった。
周りの小さなデジモン達も後を追った。
(あの、黒くて丸いのがボタモン、緑色の耳の大きいのはグミモン。
隣の青くて小さな竜みたいなのがチビモン、左端の半透明で浮いてるのがポヨモン・・・)
大地は今居るデジモンの名前を確認しながら、小屋へと入っていった。
中はテーブルにアイヌ民族が使って良そうな独特の模様をした壁。
木製テーブル、椅子、タンス、冷蔵庫が置いてある。
冷蔵庫に至っては配線らしきものは見当たらない。
奥に一つのドアがポツンとある。
興味津々で辺りを見回す大地の目は少女漫画並みに光り輝いていた。
「自己紹介が遅れたな。ワシはヒイジジモン、レベルY(シックス)じゃ」
大地のゲームではデジモンとは幼年期1、2、成長期、成熟期、完全体
そして究極体の進化系図があった。
デジモンでは数字で自分のランクは表記するのだと理解した。
数字から数えると究極体、最強ランクに値するデジモンだ。
大地はコクコクと顔を縦に振った。
「お主、名は?」
「はい!斧崎大地です!大地って呼んでください!」
「そうかい・・・ところでお主はワシらをデジモンと言ったの?」
「あー・・・アレは聞かなかったことにしてください。
俺、アナタ達が誰かとか、ここがどことかさっぱりなんですよ」
大地の内心は多少違っていた。
デジモンのことは知ってる。
しかし、ここはデジモンの世界なのか?それとも日本、あるいは世界の
どこなのか?
それと自分から見たデジモンという存在と、デジモン達からみたデジモンの存在
自己をどういう存在として認識しているのかが気になったのだ。
「ワシ等はデジタルモンスター。通称、デジモンと呼ばれる生命体じゃ」
「・・・はい!」
「デジモンと言ってもコヤツらのようなレベルT〜Uの幼いデジモンから
ワシのようなY、てっぺんまで進化を成したデジモンまでいる」
大地はある程度の知識はあったのでその辺は共通する部分は黙って流した。
「この世界は砂漠や森林、氷の城や、高原、さらには洞窟や海といった
様々な場所があり、それぞれにとって住みよい環境で生活を送っている」
「へぇ〜・・・そうなんですかぁ」
「ちなみにここはダウンタウンという場所で、全てのデジモンにとって
はじまりの街ともいえるのぉ」
その時、小屋の置くにあるドアの隙間から光が漏れ出した。
大地は何が起こったのか理解できず、ワッと声を洩らした。
しかし、周りに居る小さなデジモン達はこれを待ち望んでいたかのような
期待に満ち溢れた表情をしながら、その光のほうを振り向いていた。
そして、ヒイジジモンは表情が険しくなったように見えた。
顔のほとんどが毛であるため、喜怒哀楽が判断しにくいが
オーラとでもいうのだろうか?
目に見えない、相手に直感的に判らせるような雰囲気が大地に教えたのだろう。
「なんだ!?」
「お主、名は?」
「はい!斧崎大地です!大地って呼んでください!」
「そうかい・・・ところでお主はワシらをデジモンと言ったの?」
「あー・・・アレは聞かなかったことにしてください。
俺、アナタ達が誰かとか、ここがどことかさっぱりなんですよ」
大地の内心は多少違っていた。
デジモンのことは知ってる。
しかし、ここはデジモンの世界なのか?それとも日本、あるいは世界の
どこなのか?
それと自分から見たデジモンという存在と、デジモン達からみたデジモンの存在
自己をどういう存在として認識しているのかが気になったのだ。
「ワシ等はデジタルモンスター。通称、デジモンと呼ばれる生命体じゃ」
「・・・はい!」
「デジモンと言ってもコヤツらのようなレベルT〜Uの幼いデジモンから
ワシのようなY、てっぺんまで進化を成したデジモンまでいる」
大地はある程度の知識はあったのでその辺は共通する部分は黙って流した。
「この世界は砂漠や森林、氷の城や、高原、さらには洞窟や海といった
様々な場所があり、それぞれにとって住みよい環境で生活を送っている」
「へぇ〜・・・そうなんですかぁ」
「ちなみにここはダウンタウンという場所で、全てのデジモンにとって
はじまりの街ともいえるのぉ」
その時、小屋の置くにあるドアの隙間から光が漏れ出した。
大地は何が起こったのか理解できず、ワッと声を洩らした。
しかし、周りに居る小さなデジモン達はこれを待ち望んでいたかのような
期待に満ち溢れた表情をしながら、その光のほうを振り向いていた。
そして、ヒイジジモンは表情が険しくなったように見えた。
顔のほとんどが毛であるため、喜怒哀楽が判断しにくいが
オーラとでもいうのだろうか?
目に見えない、相手に直感的に判らせるような雰囲気が大地に教えたのだろう。
「なんだ!?」
「ジジ様!また生まれたノー?」
隣にちょこんと座っていたチビモンが尋ねた。
「うむ、そうじゃ。お前たちは危ないからここまで待ってなさい。
それと、ガードロモンを呼んできてくれ」
「はーい!」
するとポヨモンが小屋を出て行って、どこかへ行ってしまった。
行き先が気になるが、今はあの光の方が気になる、
ヒイジジモンはタンスにしまってあった手袋をとりだし、はめると
奥へとつながるドアノブを握った。
「あ、あの!・・・何が起こってるんですか?」
ヒイジジモンは握ったドアノブをそっとはなし、大地のほうを向いた。
その振り向く様、ゆっくりと背を後ろにしていきながら、顔をこちらに向ける
しぐさにまたオーラのようなものを感じ、緊張が走った。
「あの光は新たなデジモンが生まれる合図。
ワシはこれからデジタマを保護しに行くんじゃ・・・」
「デジタマ?」
ヒイジジモンがドアを開けた。
光がめいっぱい漏れて、思わず目を塞いだ。
この時、大地はあの警告画面から放たれた光と似ていたのを
ふいに思い出した。
光が静かに、奥の部屋に吸い込まれるように無くなっていった。
もちろん、目を開けた時にまた見知らぬ場所に居た、なんてことは無かった。
あっては、あまりにも困る。
「お前さんにも見せてやるわい。デジモンの誕生というのを・・・」
>>161は見なかったことにしてください・・・。
あと、ちょっと気合入れすぎて長くなってしまってすいません
次回からはもうちょっと短くまとめるよう努めます。
どうか長い目で見てもらいたいです、本当に。
>>155 とりあず、二人とも読みましたが
やはり全てにおいて上なので、ただただ関心するばかりです。
今更だけど、知名度の高くない作品を題材にしたことの不安・・・
>>137 早速、あとがきを書いてみました。
こんなもんでよろしいでしょうか?
>>156 ラーハルトが敵と言う展開にして見ましたがどうでしょうか?
ミストバーンはのび太の仲間になった事によって性格が良くなりました。
>>157 ミストバーンとラーハルトの激しい戦いです。
今のところラーハルトが優勢ですが、これからが本当の
戦いです。ミストバーンが大活躍します。
>サマサさん
だんだん、敵の全貌が見えたというか、敵キャラが絞られてきましたねえ。
残りのやつらはUSDマンなど強豪ばかり。しかし、のび太たちも強くなってますし。
ラクス様、収まるところに収まったという感じですな。お幸せに。
>チロルさん
おお、前回よりも確実に成長されていますよ。デジモンは名前だけは聞いた事ありますが
キャラの口調とかかわいいですな。バトルとかも出てくるのかな?
知名度の問題は大丈夫ですよ。某ふら〜りさんとか、もっとマイナーな作品扱ってるしw
166 :
ふら〜り:2006/01/13(金) 23:42:31 ID:dxmjn4pP0
>>見てた人さん
最初の殺人の後、もうちょっと右往左往の試行錯誤するかと思ってたら、何もできない
内に第二の殺人。しかもテラーとは。今、とっかかりになりそうなのはテラーが顔も声も
隠してたことですが、でもscene7で……もっと人数が減れば、何か見えてくるかも?←鬼
>>邪神? さん(おひさです!)
ホークはアレですね。TRPGとかでいうところの悪漢(ローグ)。軟派ならルパン三世
みたいなタイプ。でも彼は硬派で腕っぷしも立つ、とそこに立ちはだかるのがケンシロウ
ですか!? これはヤバそう。勝負の行方もですが、決着ついた後もタダでは済まなさそう。
>>サマサさん
天国と地獄というかそれぞれの末路の対比が、何というか鮮やかですな。オドロームの
哀れディアボロ状態に合掌。でもそれより何より凄まじきジャイアンソング。いいのか
悪いのか記憶喪失つきの強制改心。まぁ彼女も幸せそうですし、良しとしましょ。うん。
>>チロルさん(この展開はラムネ&40を思い出します。……って何年前の作品だ私っ)
おいでませっ。例によって(汗)、原作は存じませんがこのパターンは好きですよ。門を
開いたアナログマンの正体と思惑や如何に……ああいうのは大抵味方ですけど、何だか
不気味でしたしねぇ。で王道ならそろそろ勝気or控えめヒロインが来る頃ですが、さて?
それと、もひとつ↓
>>題材の知名度
私なんか、特撮ヒーローに一般推理小説にマイナーアーケードゲームにと。
漫画キャラを絡めてるとはいえ、よくも許してもらってるものだとつくづくしみじみ。
なのでチロルさん。焦らず気楽に、気負わず楽しく、お書き下されぃ。
167 :
SOS:2006/01/13(金) 23:59:29 ID:JOkWsAPN0
「ドラえもぉ〜ん!」
かん高く情けない悲鳴が、家中に撒き散らかされる。
ところが、どうも今回はいつもとは様子がちがう。力任せに戸を叩く音まで、耳に飛び
込んでくる。
「なんだなんだ」
読んでいた漫画雑誌を放り出し、ドラえもんが二階から駆けつける。どうやら、のび太
はトイレの中から叫んでいたようだ。
「どうしたんだよ、一体」
「あっ、ドラえもん。トイレに紙がないんだよぉ〜」
「紙?」
「トイレットペーパーだよ!」
「あぁ、そういえばママが切らしてるから買ってくるっていってたっけ……」
状況を冷静に読み解くドラえもんを、のび太が急かす。
「早く、なにか拭くものを出してってば!」
「ん〜……分かったよ。はいこれ」
ドラえもんは四次元ポケットから適当な布を取り出し、少しだけ戸を開けたのび太へと
手渡した。
「ありがとう!」
さっそく、のび太は受け取った布を肛門に捧げる。
はっきりとは見ていないが、かなり派手な柄をした布だった。だが、かまってはいられ
ない。これ以上便を放置しておけば、乾燥してさらに厄介なことになってしまう。
しかし、のび太はふと体に異変を覚える。
「あれ……?」
拭けば拭くほど、尻にずっしりとした感触が増加していく。正体はすぐに判明した。
──大便。
さっき全て出し終わったはずなのに、何故。パニックに陥るのび太。
「え、え、え……? ど、どうして?!」
理由はドラえもんがドアの外から教えてくれた。
「ごめんごめん、タイムふろしき渡してた」
お わ り
冬季うんこSSです。
フェザー級。
>>サナダムシさん
ああ、このくらいなら安心して読めますね。
ところで質問ですが、このタイムふろしきの使い方だと、便は元の食べ物に
戻りそうな気がするのですが・・・・
隅ツツキでスマソ
ムシさんキタ―――――――――――(゚∀゚)――――――――――!!
やばい、のび太のカタストロフ想像したらワロタw
171 :
聖少女風流記:2006/01/14(土) 00:16:47 ID:rJRdN4nF0
第五話 死相と敦盛
「神子(ジャンヌ)と、慶次殿はどうした?」
やや緊張の面持ちで、準騎士のベルトランは護衛の男たちに聞いた。
緊張の理由は分かっている。この10日程の旅の目的地へ、明日到着することが出来る。
即ち、フランス国の最高権力者王太子一族が住まう町、シノンである。
その中心地の城の中に、ジャンヌが会わなければならない男がいる。
フランス王太子、シャルル。
先代の王、シャルル6世が無くなった為、じき国王となる事を約束された男である。
現時点で王位は空位のままである。シャルルは王太子のまま、国王には就いてはいない。
イギリスとの戦争はこの時点で、フランス側が圧倒的な不利の状況であった。
敗勢といってもいい。実際、フランス領地の3分の1以上はイギリスの手に落ちている。
王太子には良くない噂が多い。まず、覇気が無い。
既にこの戦争を諦めている。彼自身敗走を繰り返し、シノンには逃げ延びて来たのだ。
本来なら、とっくに王位を継承していて良い頃合である。だが未だ王太子のまま。
各地を敗走し転々として来た為、戴冠式を行えなかったという理由もあるが、
一番の理由はこの王太子自身が、上位継承者である兄たちが次々と死去し、
第一継承権が転がり込んできたということである。それが本人はそれが嫌で嫌で仕方ない。
「自分は能無しで、運だけで王になった男」
そう余人がいうに決まっている。まあ無能は自覚もしてはいる。それはまだいい。
だが、王になったら真っ先にイギリス軍に命を狙われるじゃないか。そんなのはごめんだ。
いざとなったら、国民を犠牲にしてもスコットランドにでも逃げてやる。
だがその前に、少しでも王位継承を、先延ばしに……。
この程度の男が当時のフランスの第一権力者であった。ベルトランは頭を抱える。
(確かに愚物。が、それでも王太子は王太子。ジャンヌ殿は聖なる神子とはいえ、
元は農民の娘。果たしてうまく謁見など出来るものか)
172 :
聖少女風流記:2006/01/14(土) 00:17:43 ID:rJRdN4nF0
護衛の男たちがわいわい騒ぎ始める。
元は、ジャンヌを強姦したいが為に護衛に志願した男たちである。しかし、今は違う。
「ジャンヌさんなら、慶次の旦那と二人っきりでどっかへ行ったぜ」
護衛の一人が赤ら顔でそう言った。酒が入っている。別の男が言った。
「かー、うらやましい。あんないい女と逢引かよ。今頃、2人で天国にいるのかねえ」
下品な笑いを浮かべて男が喚く。が、本心からそう言っている訳ではない。
この男たちはもう知っている。ジャンヌの聖性を、慶次の爽やかさを。
「だったらおめえ、慶次さんから奪い取ってみろよ」
「バカ言ええ、俺が1000人いても無理だあな」
「あれは凄かったねえ。良くあんな化け物と渡り合えるもんだ、あの旦那」
言葉が途切れた。不意にポツリとトエンが言った。
「神子ってのは、本当かも知れないな。あの娘、本当にフランスを救うかも知れん」
誰彼と無くその言葉に頷く。この一団は、完全にジャンヌを護る為に一つになっている。
ベルトランに微笑が浮かぶ。自分も、ジャンヌの奇跡を、慶次の武を心から信じられる。
フランスを救う、神に選ばれし少女。
たかだか王太子くらい、会えない訳は無い。根拠無く、だが確信を持ってそう思った。
(明日は、シノンか。聖少女の奇跡が、明日より始まる)
ベルトランも皆と同じく地に座り、酒をすすり込む。美味い。久し振りに心から美味い。
騎士として、男として滾る何かが、彼の心と体を心地よく酔わせた。
そして、慶次とジャンヌ・ダルク。冷風そよぐ丘の上で、隣同士で腰を下ろしていた。
さっきから、ずっと、もう二時間ほど。それだけで充分な気が慶次にはしていた。
が、やがてジャンヌが静かに口を開いた。
173 :
聖少女風流記:2006/01/14(土) 00:18:49 ID:rJRdN4nF0
「本当は、私は聖女なんかじゃありません。醜くて、ずるくて、薄汚い女です」
月がポッカリと出ている。慶次はそれを見上げながら、ジャンヌの言葉に耳を傾けている。
「私の村は子供の頃イギリス軍に蹂躙されました。姉はイギリス軍に殺され、
ずっと憎しみで生きてきました。醜い、心のまま」
慶次は何も言わない。ただ、優しげな微笑を浮かべているだけである。
「大天使様のお声が聞こえた時、私の心は2つに分かれました。
ひとつは、フランスの人たちを救うことが出来る、と。そしてもう一つは…」
目を瞑り、息を大きく飲み込む。ジャンヌの声ではないような、冷然とした声が響く。
「……イギリス軍に、復讐が出来る」
時が気配を絶つ。冷たい風が頬を撫でる中、2人は月を見ている。
「私の心は、あの夜空のような物かも知れません。暗い憎しみの闇の中、大儀という
月だけがどうにか心を照らしている」
ジャンヌは泣いていた。聖女ではない、ただ美しいだけの若い田舎娘がそこにいた。
「怖い、です。憎しみを神の声と誤魔化している、自分の醜さが。
醜い心のまま、明日、死んでしまうかも知れない、自分の運命が」
声を殺して泣いている。慶次は大きな、だがどこか哀しみを帯びた声で言った。
「月は良い。月が無ければ、どれだけの男が闇夜で迷い、消えて行ったか」
ジャンヌを見て笑う。子供をあやすような優しい声で、慶次は続ける。
「ジャンヌ殿が月ならば、俺は雲になるな。何時でも寄り添い、月を守る雲に」
ジャンヌは顔を赤らめた。聖女でも神子でもない、無垢で清純な娘の顔である。
174 :
聖少女風流記:2006/01/14(土) 00:20:41 ID:rJRdN4nF0
慶次はその美しい横顔にしばし釘付けになる。
細やかな白肌に麗しい睫毛、曇りの無い碧眼。艶やかな金髪が少女の色気を匂い立たせる。
が、次の瞬間、慶次は自分の目を疑った。
(死相……?)
目を見開いた。が、もう不吉な兆しはジャンヌの横顔から消えている。
綺羅らかな、美しい目が慶次の顔をじっと覗いているだけだ。凶事はもう何も感じない。
だが、慶次は戦場の男である。人の生死を数限りなく見てきた。
悲劇の運命の行く末を感じた事も多々ある。……それが、ジャンヌの身に。
(馬鹿な、そんな事があってたまるか)
慶次は奥歯を噛み締める。守ってみせる。俺が、俺の全てで守ってみせる。
「どうしたのですか? 怖い顔ですよ、慶次さん」
祝福されたような微笑でジャンヌがそう言った。ある訳は無い。そんな事がある訳は無い。
「いや、はっはっはっは。ジャンヌ殿に思わず見惚れておりました」
「もうっ。慶次さんってばいつも私をからかって」
照れながら慶次の胸板を叩くジャンヌ。慶次の心に、僅かながら痛みが走る。
「慶次さん、慶次さんの国の歌を教えて下さい。私、昔から歌った事が無いんです」
「歌、ですか」
「ええ、歌。心を、奮い立たせるような歌。楽しい歌。何でも良いです。
私は慶次さんの歌が聞きたいです。私の心の弱さを追い出してくれそうだから」
175 :
聖少女風流記:2006/01/14(土) 00:21:48 ID:rJRdN4nF0
慶次は博学にして風流な男である。
この場で朗じろと言われれば、風雅な古典民謡でも陽気な流行り歌でも
なんでも歌えたはずである。が、何故か口をついたのは、相応しくないものであった。
思えばこの世は常の住処にあらず。
草葉に置く白露、水に宿る月よりなほあやし。
きんこくに花を詠じ、栄花は先つて無常の風に誘はるる。
南楼の月を弄ぶ輩も月に先つて有為の雲にかくれり。
人間五十年、下天のうちを比ぶれば夢幻の如くなり。
一度生を享け、滅せぬもののあるべきか。
「敦盛」であった。一度生を享けたものの無常を歌う曲。吉事の曲とは言えない曲。
慶次の声は朗々と響き、大いにジャンヌを喜ばせたが、彼女はこの詞の意味は分からない。
(何故、俺はこんな相応しくない歌を)
慶次の不安が大きくなる。それを振り払うのにしばらくかかった。
何があっても、俺はただジャンヌを守ればいい。ただそれだけの事。
戦場で男は死に、女は生きて子を宿す。
俺の役目はジャンヌを命の限り守り、神子としての役目が終えさせ、普通の娘に戻すこと。
ただそれだけだ。
その為なら、鬼に逢っては鬼を斬り、神に逢っては神を斬る。
慶次は豪快に笑った。そうだ、ただそれだけの事だ。自分の命は構う事ではない。
夜がゆっくりと深けていく。明けて二月二十三日。王太子の謁見の日。
176 :
ハイデッカ:2006/01/14(土) 00:26:14 ID:rJRdN4nF0
サナダムシさん、投下からあまり時間たってなくてすみません。
うんこSS最高です!でもフェザー級なんてまだまだ。
ヘビー級をリクエストします。雄山を超えるものを!
チロルさん、お互い頑張って完結させましょうね。
仲間が増えたみたいで嬉しいです。応援してます。
今回、まったく動きが無いです。
最初の3レスは読み飛ばしてもらってもあまり影響ないかも。
>>164 がんばって下さい!
ミストが性格いいとか、面白い試みだと思います!!
常に氷の如く在れ。
カミュの信念であり、行動理念であり、そして弟子に伝えたかった事である。
「氷河よ…」
その呟きは外には漏らさず、カミュ自身の胸の内に留めた。
カミュにとって、この五年という月日は非常に濃密であった。
サガの失踪とアイオロスの背信を経て、
どっしりとのしかかる黄金聖闘士という地位の重さ、
それを自覚しなかった日はカミュには無い。
アテナのおわす聖域本丸の守護の要であり、
全世界に散らばり、日夜人々の安寧と平穏を護る聖闘士、
その頂点の一人の当然の責務として、カミュは五年前の春の日、二人目の弟子を取った。
永久凍土に抱かれ眠る氷原の白鳥。
北十字星をその星座に孕む青銅の聖闘士、白鳥星座キグナスの聖闘士を育てることは、
カミュに新鮮な感動をもたらした。
黄金聖闘士とは、小宇宙そのものを感覚の域にまでに極めた超越者である。
鳥が空を飛ぶように、魚が水を泳ぐように、獣が地を駆けるように、
黄金聖闘士は秘められた第七の感覚・セブンセンシズを発現させる。
故に、物事を教えるという事については長けている者は少ない。
天才なのである。
理論云々の以前に、感覚的に理解が出来てしまうのである。
勿論、太陽が巡る十二の軌跡・黄道を司る黄金の聖闘士の一画、理論もまた聖域に居る間に学んで居る。
しかし、自分の思った事、伝えたい事をそのままに伝えるというのは実に難解なのである。
カミュ最初の弟子であるアイザックとでは、その事でずいぶんともどかしい思いをしたのである。
カミュは、弟子に隠れて人知れず頭を抱えた。
「いかん、このままでは聖闘士を育てるどころではない」と
体系だて、理論に基づいて物事を教える。
教師という職を選んだ人間に対し、カミュは心のそこから畏敬を抱いたと同時に、
約二世紀半もの間、それを繰り返してきた教皇の底知れなさに畏怖したのだった。
そして、五年。
アイザックが氷海に飲まれるという不慮を遂げてしまった、
自分の不在中に弟子を一人喪ってしまったことは、カミュの心を酷く苛んだ。
だが氷河は、そのアイザックの遺志を受け継ぐかのように、キグナスの聖闘士となってくれた。
初任務は日本へと赴き、ショー紛いの私闘でいたずらに聖衣を傷つけ破壊する、グラード財団に鉄槌を下す事。
だが、それは失敗に終わる。
氷河とて、聖闘士である以前に熱い血が流れる漢であったのだ。
それが今、師弟対決という悲劇を生みだすとは、運命とはなんと皮肉を好むのだろうか。
老師・童虎が本来の主であるはずの天秤宮へと愛弟子を呼び寄せたのは、カミュの漢がさせたことである。
手塩にかけて育て上げた、同じ釜の飯を食った、鍛錬をつませた愛弟子である。
他の同志の手にかかって果てるのならば、
他の黄金聖闘士の手にかかってしまうのならば、師である己が手折るのがせめてもの情け。
カミュのその想いが、氷河を永久氷壁の棺へと閉じ込めるという愚挙へと誘った。
闘うからには必殺殲滅を信条とするのが黄金聖闘士。
小宇宙を燃やして戦い、闘う、聖闘士の頂点である。
その黄金聖闘士が、例え弟子であろうとも、命を奪うことに躊躇するとは未熟の極み。
今は、偽のアテナを掲げる青銅聖闘士五人と、
正統のアテナを鎮護する黄金聖闘士九人との戦である。
戦において、敵に情けをかける事は更なる死を産むのだ。
一人の兵を殺すことを躊躇うのならば百人が死ぬ。
一人の将を殺すことを躊躇うのならば千人が死ぬ。
一人の王を殺すことを躊躇うのならば万人が死ぬ。
天秤宮にて一人の兵を殺すことに躊躇ったが為に、
難攻不落を謳った十二宮は、今や、この宝瓶宮と双魚宮のみを残して陥落した。
ムウはあろう事か青銅聖闘士に組し、素通りさせてしまった。
アルデバランは何とあのペガサスにほだされ、通してしまった。
デスマスクは、俄かには信じられないが、散った。
アイオリアはアイオロスの様に聖域を裏切った。
シャカは、信じられないことに、鳳凰座・フェニックスの一輝と相打ちとなった。
シュラもまた、天へと駆け上っていった龍と共に散った。
こうも明確な結果を見せ付けられてしまっては、カミュは己の未熟に気が付かざるを得なかった。
彼ら五人の奉戴するアテナこそ、真のアテナであり、
教皇は我ら黄金聖闘士はじめ、聖域と聖闘士全てを偽っていたのだと。
いや、あの教皇すら真実の教皇ではないのかもしれない。
「氷河よ……。
何故蘇ってきた…、何故…
いや、最早、何も言うまい…ッ!」
踵を返して宮の中心へと進む、氷河も遅れまいと続く。
互い、無言。
氷壁の如く冷たい闘気が、カミュと氷河の両者から立ち上る。
「わが師、カミュよ…
この氷河は貴方に礼を言わなくてはなりません」
戦士の貌(かお)になった、ふとカミュは思った。
今までは、甘さの残る年相応の小僧の顔でしかなかったはずだ。
それがどうしてどうして、今や戦士の貌になっているのだ。
「貴方から授かった技、
また天秤宮で直接あなたと拳を交えたことによって得たものは、計り知れません」
決意が、闘志が、氷河の相貌に刻まれていた。
漢の貌である。
「その礼は、聖闘士としての行動で示したいッ!」
氷河は一喝すると、構え、撃つ。
ダイヤモンドダスト!氷の闘技。
凍りついた大気が煌く様は畏怖を込めてそう呼ばれる。
だが、カミュには通じない、通じるはずが無いのだ。
ただカミュが掌をかざす事により、その凍気は遮られる。
「無駄だ!氷河!
ダイヤモンドダストは、この私がお前に授けた技
どうして師である私に通用するものか!」
一喝するなり、掌をひるがえすだけでその凍気を跳ね返す。
圧倒的なのだ。
満天に輝く月が星の光をかき消すように、
太陽が決して夜には輝かないように、
聖衣の差ではない、小宇宙の差が師弟の間には横たわっていた。
だが、諦めない。
決して勝利を諦めない、カミュの訓えだ。
黄金の凍気に打ちのめされても、なお、氷河は立ち上がった。
彼の炯眼には、立ち向かうあらゆる全てをなぎ払わんとする闘志が燃え上がっている。
再び構え、闘技を放つ。
「無駄だというのが、わからんのかぁあああああああああ!」
氷河最大の必殺技・ホールドロニースメルチすら、カミュの左手で受け止められていた。
そして、威力をそのまま返される、だがそれでも氷河は諦めず、立ち上がる。
桁が違う。以前の氷河ならばここで諦めもしただろう。
だが、その相貌に諦めはない。もはや、満身創痍、無事な場所など何処にもない。
氷河の髪の毛は霜がおり、四肢は凍傷を負い、聖衣すら凍結が始まっている。
氷河は今や、氷を纏っているに等しいのだ。
「嬲る様な真似は望まん、我が最大闘技をもって再び葬ってやる」
カミュは、両腕を頭上に高く重ねると、両の掌を重ね合わせた。
オーロラエクスキューション、氷の聖闘士の最大闘技の構えである。
つい数時間前、氷河はこの技によって黄泉平坂を亡者に混じって歩く事を強いられていた。
並みの者なら、技を喰らうなり氷の彫像を化す闘技である。
それをまともにくらい、尚且つ原型を留めたのは、流石はカミュの弟子と言った所だろうか。
今また、氷の最大闘技を受けた氷河は、中空高く吹き上げられ、
叩きつけられ、大理石の床石を破砕しながら転がっていた。
「今、再び、フリージング・コフィンによって眠りにつくが良い、氷河…
黄金聖闘士数名をもってしても破壊は出来ぬし、ライブラの聖衣を使う者はもう居ない…
さらばだ、氷河…」
カミュが一人、呟く間に、氷の棺は再び出来上がっていた。
急場しのぎの為か、天秤宮にて作り出したときは異なり、歪な岩のような形状となっていた。
だがしかし、氷河の命は、氷河の小宇宙は消えては居なかったのだ。
幽かな呻きのような音、カミュは振り返ると、信じられない光景が存在していた。
フリージング・コフィンが震えていた。
否、氷河が、聖闘士の等級では最下級のはずの青銅聖闘士である氷河が、
氷の棺をその中から破壊しようとしているのである。
「雄お雄ォ御オぉ雄おおおおぉオぉオぉオあああぁあァあぁアぁあぁッ!」
闘志みなぎる氷河の叫びと共に、氷の棺は内側からはぜ割れたのである!
その爆裂によって、初めてカミュは地に膝をつき、マスクを吹き飛ばされていた。
「信じられん…」
呻くようなカミュの呟きは、氷の棺を割った事だけではない、
なんと黄金聖衣の肩パーツが薄く凍り付いていたのだ!
黄金聖衣を凍りつかせるには絶対零度、つまりは究極の凍気でなければ不可能ある。
歴代の氷の聖闘士のなかでも、その領域に到達した者は極僅かであり、
カミュの知る限りでは、前聖戦に参戦したアクエリアスの聖闘士が到達していただけである。
「聖闘士に…ッ
聖闘士にッ、同じ技はッ!二度通じないッ!」
フリージング・コフィンを割るとき、ついに限界を迎えたのか、氷河の聖衣は砕け散っていた。
裸同然の状態で、それでもなお、闘志を失わないその姿に、カミュは感じ入った。
「よかろう、氷河…」
再び、カミュはオーロラエクスキューションの構えを取る。
すると、氷河もまた、オーロラエクスキューションの構えを取ったのだ。
冷気が、闘気が、凍気が、氷の闘志が、宝瓶宮を白く染め上げる。
ついに大気中の水が彼らの闘志に屈したのだ!
カミュは、氷河は、知る由も無いが、これこそ最高クラスの、
それでいて実力伯仲の氷の聖闘士が相対した時にのみ起こる現象なのだ!
「わが最大闘技、一度や二度くらっただけで会得できるほど易くは無いッ!
それは身をもってわかるはずだ!
受けてみろ氷河!我が最大奥義の真髄を!」
両者は鏡映しのように、まったく同じスピード、まったく同じタイミングで氷の最大闘技を撃ちはなった!
「オーロラァ!エクスキューショォオぉ雄ぉおぉオぉオぉ雄オあぁオぉンッ!!」
「オーロラッ!エクスッ!キューショおぉオぉオぉンンンンンンンン!!!」
白く、白く、白く、遠く、暗く、明るく、切なく、悲しく、虚しく、小宇宙の爆裂が起こる!
「…何という事だ、氷河!
この漢…、この漢!私の凍気と拮抗したまま意識を喪っている!」
オーロラエクスキューションの構えのまま、氷河は意識を喪っていた。
それでも尚、師弟の凍気は拮抗したままなのだ。
カミュは猛った。
こんな決着など、認めない!
「氷河!しっかりしろ氷河ァ!
このままではお前は、我が凍気だけでなく、お前自身の凍気をも喰らってしまうぞ!
しっかりしろ!氷河ッ!氷河ッ!氷河ァ!」
もはや均衡は崩れた。
万物全てを凍りつかすオーロラエクスキューションの暴威が、氷河に襲い掛かる。
だが、いかなる奇跡か。
斃れた戦友の小宇宙か、己の信念か、アテナの加護か、蒼い瞳に再び闘志が蘇ったのである!
「うぉおおおおおおおおぁあぁぁぁぁあああ!」
セブンセンシズ、小宇宙そのものを感覚の域にまでに極める聖闘士の極致に、氷河はこの土壇場で覚醒したのだ。
再び絶対零度の暴威は拮抗する事は無く、両者の間に燻ぶり続けた闘気は、
氷河の復活と共にカミュに向かって爆発したのだ。
爆裂はもはや宝瓶宮内部だけでは済むはずがなかった。
凍気の極光は宝瓶宮そのものどころか、宝瓶宮の敷地すらをも白く染め上げたのである。
魂すらも、小宇宙すらも凍りつかせるその凄絶な攻防の爆心地では、
最大奥義の構えのまま、二人の白い聖闘士が佇んでいた。
「見事だ…、氷河」
カミュは、小宇宙が砕け散ったのを感じていた。
「お前が信じたものは、真実の…、アテナだったのだな…
願わくは、お前を、この先へと進ませてやりたかった…
…今、お前は、この私を、師を、越えたのだ」
カミュは、自分の小宇宙が砕け散ったのを感じていた。
「見事だ、氷河…
お前は我が最大奥義を死に瀕しながらに会得したのだ…
この私の全てを、会得したのだ!」
ああ、何という事だ。
氷河は、カミュの愛弟子は、数々の試練を乗り越えついに、
ついにセブンセンシズへと目覚めたというのに…。
「許せ氷河、この私にもお前をどうしてやりようもないのだ…ッ」
氷河もまた、限界を迎えていたのだ。
「その力を、お前が信じた正義(もの)の為に使わせてやりたかった…」
純白の宮殿に斃れ、沈む、師弟。
彼らは、漢の貌をして斃れていた。
黄金時代第十二回をお送りしました
黄金時代も12回を迎え、後半へ差し掛かってまいりました
聖闘士聖衣神話の黄金聖闘士勢ぞろいするまでには
12人描き終わりたいなぁと思ってます
シャカに負けず劣らず難産でした、今回
氷河もカミュも妙に熱血な感じになってしまってるのは、まぁ、ご愛嬌でw
では、またお会いしましょう
残りは、ムウ、カノン、ミロ、老師版童虎、教皇版シオン、といったところですが
若いころのシオンと童虎の物語もまだ描きたいなぁ…
>ハイデッカさん
清らかなジャンヌの裏側にある悲劇が辛いですね。確かギロチン刑でしたっけ?
慶次がどこまで過酷な運命からジャンヌを守り抜けるか、楽しみです。
少し、文体を隆慶一郎さんを意識してますか?文節のきり方とか似ていますね。
>銀杏丸さん
黄金は大人の苦悩が付きまといますから、青銅に比べて書きにくいのかな?
最後の氷河との対決に至るまでの苦悩を書ききっていて良い感じ。
天才は思考で技を体現するわけでないから、技術継承は難しいですねえ。
【アンケートに答えてください】
特に何があるわけじゃありませんが…
1:貴方が次回書きたい作品は?その理由は?
2:書いてるor書いてた作品で読者に伝えたいことは?
3:貴方が書いた作品の中でもっとも好きなキャラは?
4:貴方にとって小説とは?
>189
水を差すようで悪いが、今はやめとこうよ。
191 :
作者の都合により名無しです:2006/01/14(土) 11:39:24 ID:ZufnXmmp0
>サマサ氏
ラクスもいい感じで落ち着いて(良いキャラなのでまた出て欲しいですが)
次のシリーズへの橋渡しって感じですね。最後の少年強そう。
>チロル氏
文体も読み易いし、十分面白いと思います。デジモンは知りませんが、
他の作品でも元ねた知らないのは沢山あるので大丈夫ですよ。
>サナサムシ氏
「怖いものみたさ」の代表みたいなSSですな。ある意味恐怖物SSw
もっと重いウエイトの作品見たいような、見たくないような
>ハイデッカ氏
重い運命背負ってますからね、ジャンヌダルクは。最後は魔女裁判で…
慶次が姫を守るナイトになって運命を変えられるのか?
>銀杏丸氏
ゴールドはそれぞれ悲しみを背負ってますね。蟹とかは別として。
強さゆえの悩みというか。シャカにも、今回のカミュにも感じました。
>>189 まあ、そういうのは語ろうぜスレでやりましょう。
ヒイジジモンは部屋の奥へと入っていった。
大地もその後を小走りで追う。
「・・・すげぇ〜」
その部屋は畳五畳半と言ったところであろう。
一面にビッシリとワラが敷き詰められていて、その中心に
ワラで編んだ丸いゆりかごがポツンと置いてあった。
ゆりかごには微光を放つ、直系30cm強の真っ白な卵が一つ。
ヒイジジモンはその卵に近づいて、そっと微光をなで始めた。
その手がなぞる微光は徐々に形を変え始め、徐々に模様のようになっていった。
その手が成す動きは、陶芸家がその器用な手で作品の形を成していく
ようにも見えた。
デジタマがなんの凹凸のない平らな土器だとすれば
微光はそれに加えるに陶芸家のプライド、夢、個性といった模様であろうか。
「本来デジタマは手を加えずとも自然と模様を作っていく。
しかし、そこから自然の法則を壊しかねない凶暴なデジモンが生まれる場合がある」
喋りながらも手はしっかりと作業を続けている。
模様がハッキリしていけばいくほど、光が弱くなっていく。
作業が終わるのは光が無くなった時であろう。
「ワシは模様でどんなデジモンが生まれるか、大体把握しておる。
模様に関しては極力、自然の成り行きにまかせておるが
万が一、危険の可能性が出た場合のみイジることにしておるんじゃよ」
大地はヒイジジモンの後ろからデジタマを覗き込んだ。
光はもう、ほとんど無く模様もハッキリしてきている。
青と黒の混ざった鋭いラインのような模様が自由に飛び交ってる感じだ。
そして数分後、光は消えた。
「生まれるぞい!」
デジタマはグラグラと揺れだし、てっぺんにヒビを入れた。
揺れが激しくなるのと平行してヒビもどんどん広がり、深くなっていく。
と、同時に大地の鼓動の高鳴りもどんどん大きくなっていった。
人生にこれほど興奮したことはあっただろうか?
大地は自分に問いかけた。
1年生の時のクリスマスにもらったバスケットボール?
3年生の時にとある雑誌で知ったデジタルモンスターの存在?
どっちも違う。
(この瞬間だ―――――)
(この瞬間が人生で一番興奮してる!―――――)
(誰に大げさと言われようが、くだらないと言われようが関係ない――――)
(今、心臓が破裂しそうなくらい興奮してるんだッ―――――)
デジタマのヒビが半分くらい入り、揺れも振り子時計のように大きく揺れだした
その瞬間だった―――
中から出てきたデジモンは一言で言うなら、丸かった。
ポヨモンやボタモンもそうだが、幼年期、レベルT〜Uのデジモンは皆、丸いのが基本。
このデジモンもそうだ。
肌の色はターコイズブルーで頭にツノと呼ぶには幼い、
さきっちょが丸い角が生えている。
目はまん丸として大きく、口は小動物などにありがちは“ω”の口。
そいつは元気よくうれしそうに飛び跳ねていた。
ふいにヒイジジモンがそいつを抱き上げた。
「お主、名前は?」
そいつは愛くるしい笑顔で答えた。
「チィ〜!チィ〜!」
「う、生まれたてってやっぱ喋れないもんなんですね!
名前とかってヒイジジモンが決めるの!?」
ヒイジジモンはそいつを下ろした。
「この子は“チノモン”。そう名乗っておるぞ」
これからのことなんですが、実は自分は受験生でして
合間の休憩時間にサッと書いてたんですが、そろそろ受験が近いので
そうもいかなくなってきました。
1月中は更新します(不定期)が、2月は中旬までお休みさせていただきます。
まっこと申し訳ないです・・・。
>>191さん
始めたばかりなのに、良い評価が貰えるのは本当に嬉しいです。
>>ふら〜りさん
アナログマンは今回の冒険のキッカケなんですが
次登場するのはいつになるやら・・・?
>>ハイデッカさん
初めまして、よろしくお願いします。
今、長編にしようか、短編にしようか悩んでます・・・。
元ネタに関してはあまり気にしないで書いていこうと思います。
>>165さん
今のところ、幼いデジモンばっかですがこれからはいろんな
タイプのデジモンを出していきます。
上達してるか言われるとどうも照れくさいですw
しかし、この言葉を励みに日々精進していきます!
チロルさん乙です!
他のも言われてますが最初に比べて随分と読みやすくわかりやすくなってますね。
時々表現が?なところがありますが(畳五畳とか)書き続ければそういったところも減ってくると思いますし、
内容はとても面白いと思うので頑張ってください。
後、大地ってデジモンのキャラなんですか?
デジモンについても少し説明してくださると嬉しいです。
受験頑張ってくださいね。
最初は短編で始めた方がいいと思いますよ>チロルさん
長編はかなり大変だから。
197 :
荘厳なる龍:2006/01/14(土) 19:07:38 ID:d4qnZB+AO
空の上の、半球上の閉鎖空間。そこにいる人間は二人きりだった。
空の上から地上を見る。世は事も無し。
肉体の鍛練をしてみる。この閉鎖空間で一人で出来る鍛練など、とうの昔にやり尽した。
食事をしてみる。粉と水で味気が無い。
暇だ。詰まるところ、暇だ。
その空の上の住人は暇だった。
もう一人の住人を呼びつけて何かをする?
言語道断。
そのもう一人の住人は、きっと嫌な顔一つせずに応じてくれるだろう。
しかし、彼は偉い。自分より偉い。
その彼を自分の都合で利用しようなど、我ながら鼻持ちならない事だ。
「暇…」
ぼそりと一言つぶやいて、彼はトイレに向かった。
198 :
荘厳なる龍:2006/01/14(土) 19:12:09 ID:d4qnZB+AO
意外と身近に新しい事はあった。彼は思考に耽る。
この、我が身からでた贈り物。
立派だ。長さ、形、太さ、その全てに文句の付けようがない逸品だ。
ただ、どうしてか汚らしい。何故か?
文化を知る人としての先入感だろうか?
それとも、人間としての本能がそれを拒むのだろうか?
しかし、自分は今それに惹かれている。
汚らしいのは分かっている。流してしまった方が良いであろうことは知っている。
だが、流したくない。これを逃したらもう二度とお目にかかれないのではないか?
そう感じる程の傑作だった。
───どうせ、ここから出たとて変わらぬ日々に暇を嘆くだけだ───
もう一人の住人は水しか飲まないため、ここには入ってこない。
彼は暇だった。幸か不幸か時間だけはあった。
それに思考を巡らして、それに自由に手を加えるだけなら充分すぎる時間だ。
───それは、何がいけないのか───
まず最初に気が付いたのは臭いだった。
自らに沈み、考察に耽る彼にすら到達する独特の臭み。
酷い。本当に我が身から産まれたのかが疑わしい程に酷い。
おそらくは先日、あまりの暇さに地上に降りて久しぶりに食べた生臭が原因なのだろう。
しかし、これは間違いない。この身がそれに対して抱く嫌悪の原因の一つに間違いない。
彼の努力は始まった。この空間にある、ありとあらゆる物で消臭を試みる。
意外に、それはあっさりと消えた。
棚にあった臭い消しの粉を片っ端から振りかけただけで。
199 :
荘厳なる龍:2006/01/14(土) 19:13:47 ID:d4qnZB+AO
しかし、汚らしさは薄れない。むしろ在る筈の物が無いため、不気味さが増した感がある。
もっとも、思考に割り込んでくる臭いが消えたため、次の考察には移りやすくはなっていたが。
思考に耽る。何がいけないのか。
次に気が付いたのは、色だった。
ドス黒い茶色。泥にしろ、ゴキブリにしろ、茶色にはあまり清潔感を感じさせるイメージがない。
これは改善せねばなるまい。
彼は考えた。何色ならば清潔感を感じさせる色になろうか?
浮かんだのは、彼の尊敬するもう一人のこの空間の住人。
彼は基本は緑色で、服飾には白、という様相を呈している。
故に緑を基にし、白のラインを入れる着色、というか変色を試みた。
結果、成功。いかん。これはいかん。何がいかんって、気味が悪い。
その独特のディティールが表す不気味さを、緑色と白のラインははより一層引き立てていた。
故に、最後に気が付き手を加えたのは他でもない、その独特のディティールだった。
なるべく本来の形状を失わないように表面を加工し、装飾していく。
そして、それは完成した。
元の臭みを感じさせず、色は爽やかな緑。
その形状は不気味さを残さず、尚且つその素材の持つ迫力を充分に引き立てている。
彼は満足した。自らの産み出した芸術品に。
もはやそれは全くの別物になってしまった感があるが関係ない。
彼はそれを台座に入れ、飾って保管しようと思った。
200 :
荘厳なる龍:2006/01/14(土) 19:15:52 ID:d4qnZB+AO
「こ、こんなのが神龍なのか?」
少年は、目を丸くして驚いた。
「神様のもの、ポポがつくる。ポポがつくったもの、神様が命をふきこむ」
男は言った。そう、これは彼が産み出した芸術品。あの日、彼から産まれた………
201 :
荘厳なる龍:2006/01/14(土) 19:17:32 ID:d4qnZB+AO
サナダムシさんに影響を受け、書いてみました。
書いてみて、サナダムシさんの偉大さが身に染みました。
サナダ氏本人かと思ったw
ひでえ・・・神龍の正体ってアレかよw
>デジモンワールド
もう少し展開がサクサク進むとより面白いかな?文体は凄く読み易くなりました。
この作品は短編にして、受験済んでから長編に挑戦した方がチロルさんも気楽かもね
>荘厳なる龍
まさかこの分野に挑戦する強者がまた出るとはwネタに対する過剰な書き込みがいいw
しかし神竜の正体がアレとは、何のありがたみもないなw>ドラゴンボール
204 :
作者の都合により名無しです:2006/01/14(土) 21:15:39 ID:Ih4dFHeQ0
うんこSSは確実にバキスレで新分野として認知されましたな。
荘厳なる龍作者氏GJ。全て最後のレスに集約されてるオチが秀逸です。
うんこSSに手を出す者がまた一人・・・w
後書き見るまで普通にサナダさんだと思ってた。
ところでサナダ氏の「新天地開拓」って、何故保管されてないの?
27スレ目の、うんこ味カレーの話。
>>195さん
大地は設定段階でボツになったキャラクターなんですが・・・
そういうのってダメなんでしょーか?
あと、デジモンに冠する簡単な説明はしてあるので眼を通してみてください。
>>196さん
そうですね。最初のうちは短編を書いていきます。
>>203 自分でも展開の遅さは気になってました。余計な描写が多いのでしょう。
次回からはテンポよく進めていきます。
あれは21禁指定につき・・
じゃなく、ただ単にバレさんが保管し忘れちゃっただけでしょうね。
>>206 がんがれ。でもここの作品よりも受験をずっと頑張ってね。
SSに注力して受験がダメだったなんて洒落にならないから…
あと、自分の作品に対するレスへの返答は、
作品を上げた後の後書きとかでまとめるほうが良いかも。
scene15 伊藤開司【八】
カイジが先頭に立ち、扉を開く。オーナー控え室は、地獄の様相を呈していた。
床。壁。椅子。テレビ。ありとあらゆる場所に多量の血痕が飛び散っており、否が応でも血の臭いが鼻腔を刺激する。
そして。テーブルの上に横たえられたテラーの死体……
両腕は、万歳をするように大きく上に伸ばされ、テーブルの端から手首が垂れ下がっている。
刃物で身体中を切り裂かれたようで、黒いスーツは所々裂け、赤黒く染まっていた。
その素顔を隠していた白い仮面も、今は真っ二つに割られ、無造作に床に打ち捨てられている。
カイジは躊躇しながらも、死体の顔を覗き込んだ。
「あ……!」
カイジは思わず声を上げた。テラーの、目を大きく見開いた、恐ろしい形相に驚いたからではない。
仮面の下の素顔――初めて見る筈のその素顔に、見覚えがあったからだ。
「一条……なんで、こんな場所に……!?」
その顔は以前と比べてかなりやつれ、頬もこけてしまってこそいるが、見紛うはずもない。
確かにその死体は、元帝愛裏カジノのオーナーであり
カイジ達とパチンコ台『沼』を巡って死闘を繰り広げた男……一条のものだった。
「どういうことだっ……! これっ……! 地下から這い上がって……
俺を、俺を倒すんじゃなかったのかよっ……! 馬鹿野郎……!」
「し、知っている人なんですかっ!?」
勇敢にも、カイジのすぐ後ろ――二番手で現場へと踏み込んだ
夕凪は、夥しい血痕や死体から必死に目を背けながらそう聞いた。
「ああ……知っているというか……浅からぬ因縁のある……そう、ライバルだった……」
言いながら、恐怖に見開いたままのその目を、カイジはそっと閉じてやった。
「なんてことだろう……この分じゃ、確かめるまでもなく……本当なんだろうね。
まどかが、死んだって言うのも。てっきり、まどかが昨日の腹いせも兼ねて、僕にドッキリでも仕掛けているのかと……」
開け放たれた扉の外から、惨状を遠巻きに見ていた笠間が、独り言のように言う。
「そう言えば、メッセージカードが……とか言っていたみたいだが、どこにあるんだ?」
カイジは、もう二度と見たくないとばかりに扉の前でこちらに背を向けている黒川に質問を投げた。
「被害者……テラーが……手に持っていました」
その言葉に促されるように、カイジは、大きく上へと伸ばされた一条の手に注目した。
確かに、プラスティックで出来た一枚のカードが握られている。
(メッセージカード……これの事か……!)
オーナー控え室でテラーの死体を確認した九名は
今後の方策を話し合うという名目で、再びホールに集まっていた。
全員でテーブルを囲み、椅子に座る。
十八の目が、カイジがテーブルに投げ出したメッセージカードを凝視していた。
テラーこと、一条殺害現場に残されていたこのカード。まず間違いなく、犯人の置き土産だと思っていいだろう。
『ゲームは開始された 探偵諸君の健闘を祈る
警告――自発的な投了は死を意味する くれぐれも注意されたし』
全員、このメッセージカードが何を言わんとしているかは理解していた。
しかし……誰も、喋ろうとはしなかった。誰かの口から、真実を聞いてしまうのが怖かった。
聞いてしまったが最後、世界がその色を変えてしまうような……
そんな不吉な感覚に、誰もが囚われていた。
けれど、誰かが聞かなければいけなかった。
そして、誰かが答えなければいけなかった。
過酷な現実を正面から見据え、戦い……打ち勝つ為に……!
「このカード……どういう意味っすかね?」
話を切り出したのは、玉崎真吾だった。それは勇気なのか、ただの呑気なのか。
どちらにせよ、膠着状態にあった場に一石を投じたことは間違いない。
「これも……この『殺人事件』でさえも……! 主催者の予定通りってことだろう……!」
カイジが、怒気の篭った声で、吐き捨てるように言う。
くそっ……! 狂っている……狂っているっ……! あの、鉄骨渡りの時だってそう……!
幼い子供が、無邪気な笑みを湛えながら、蟻の手足をもぐように……蝶の翅を毟るように……!
奴等は……人が死に直面し、苦しみもがく様を見て、心の底から楽しんでいる……!
太田……佐原……石田さん……電流鉄骨渡りで散っていった人たちの顔が、カイジの頭に浮かんでは消えていった。
「それって……あんまり考えたくないですけど……つまりはそういうこと、ですよね?」
唇を噛み締めて、俯くカイジに視線を送りながら、夕凪がしどろもどろといった感じで言葉を紡ぐ。
無理矢理作り笑いを浮かべてはいるものの、心の内から漣のように寄せては返す不安が、表情に影を落としていた。
「そうだっ……! 俺たちの与り知らぬ所で
このゲームに賭けられていたチップは……命……! 犯人を見つけなければ、殺される……!」
毎度ありがとうございます。前回投稿は
>>107です。
いよいよ、殺人ゲームがカイジたちの知る所となりました。
どんな戦いになりますやら。
・長編
本SS、長編カテゴリに移行しておりますね……
ロゴも背景もダークで素敵。感謝です。
・最後まで構想が出来ている
いやいや、滅相もありません。
大枠がない事はありませんが、大体こんな流れ〜みたいな、ぼんやりとしたイメージです。
例によって後半戦は大枠すらも白紙でございます。これから何かしら考えます。
殺人ゲームの幕開けは惨劇からですか。恐ろしい。
既に2人死者が出ている。これからまた、更にきっと…
そして誰もいなくなった、とならないように祈ってます。
後半戦は白紙ですかw
でも、さすがに犯人は決まってますよね?
ゾクゾクさせてくれるなあ、毎回。
ちょっと文章量が減った?以外は大満足>カマイタチ
一条死すっ・・・!
いよいよ本格的な推理ゲームの始まりですね。
一晩に二人を殺ったプロ相手にカイジはどう動く?
オオクワ専門さんの続きが早く読みたいです・・・
超機神大戦・主な登場ロボット紹介( )内は搭乗者 ・〜〜は搭載した兵装 ○は必殺技系の武器
四十三話終了時点。
かなり適当なのであくまで参考程度に考えてください。
味方サイド
ザンダクロス―(ドラ、のび太、リルル)
「のび太の鉄人兵団」に登場。元は作業用なので、そこまで高い戦闘能力はない。
巨大な四次元ポケットがついており、ドラえもんによる音声入力で道具を使える。
・レーザー砲―腹部に搭載された強力なレーザー。ビルを木っ端微塵にできる。
・ミサイル―肩に搭載されている。劇中では使われていない。
・ビームサーベル、ビームライフル―特に説明の必要のない、ロボアニメでは一般的な武器そのまま。
○デモンベイン
白銀の剣の真の姿。名前は某ロボットゲームより。強力なバリア<旧神の印>や、敵に無限の熱量を叩き込む一撃必殺技
<レムリア・インパクト>など、様々な力を秘めている。
巨神像・アヌビス―(ペコ)
巨神像は「のび太の大魔境」に登場。アヌビスは有名なゲームから名前や一部兵器名を拝借。
巨神像の中にアヌビスが封じられていたという無茶な設定。巨神像はでかいが、このSSにおいてはあまり強くない。
アヌビスには高性能なAIが搭載されており、会話も可能。このSSにおいては<機神獣>の異名を持つ。
以下はアヌビスの武装。
・ハウンドスピア―長い槍の形状をした武器。
・V.G.カノン―口から吐き出すレーザー。
○ラムダ・ドライバ
出典「フルメタル・パニック!」操縦者の精神に感応する兵装。バリアを発生させたり、攻撃力を上げたり、色々出来る
便利なもの・・・としか言いようのない、謎の多い兵器。
サイバスター―(稟、プリムラ、亜沙、フー子、マサキ)
「スーパーロボット大戦」「魔装機神サイバスター」より。このSSにおける異名は<機神王>。
フー子とマサキが加入するまでは真の力を発揮できない状態であったため、精々剣を振り回すくらいできなかったが、本来は
かなり多彩な兵器を持っている強力なロボット。
鳥型に変形することも可能。
・ディスカッター―サイバスターが持っている剣。基本的に普通の剣である。
○サイフラッシュ
広範囲の敵を一気に殲滅できるサイバスターの代表的な技。敵だけに効果が及び、味方を傷つけることがない。
○アカシック・バスター
炎の鳥を召還し、敵にぶつけてダメージを与える。自分と鳥が合体して体当たりするバージョンもある。
○コスモノヴァ
サイバスター最強の攻撃。元気玉っぽい四つの光球を作り出し、敵にぶつける。威力は非常に高いが、エネルギー消費も
激しいので乱発は出来ない。
フリーダム―(キラ)
「ガンダムSEED」主役機体。運動性と射撃武器に重点を置いた性能。
核動力を使っているので、ほぼ無限に活動出来る・・・らしい。
ビームサーベルやビームライフル、レールガンなど、多くの武器を持つ。
○ハイマット・フルバースト
敵機を無数にロックオンし、フリーダムの全射撃武器を一斉に放つ。キラの技量があっての技。
原作では更に、無数の敵機の手足、メインカメラだけを狙い、コクピットには絶対に当てないという神業も見せた。
○SEED(種割れ)
キラ、アスランなど、一部の者だけが持つ謎の力。超人的な反射速度や身体能力を発揮する。
∞(インフィニット)ジャスティス―(アスラン)
「ガンダムSEEDデスティニー」に登場した、アスランの機体。
本作ではまだギャグでの登場しかないが、果たしてその真の力は?
敵サイド
ネオグランゾン―(シュウ=シラカワ)
「スーパーロボット大戦」「魔装機神サイバスター」より。かつてのスパロボにおいては、最強の名を欲しいままに
していた恐ろしいロボット。グランゾンの発展系なのだが、性能は文字通り比較にもならない。
武装のほぼ全てが必殺技と言えるほどの凄まじい威力を誇る。
ちなみに原作では魔術・錬金術・そして邪神の力(?)によって生まれたロボットであるが、このSSでは魔術と
未来科学によって造られたものである。
・グランワームソード―ネオグランゾンが持つ大剣。
○ワームスマッシャー
本気で撃てば一度に65356体の目標を撃ち抜ける(らしい)兵器。
○グラビトロンカノン
重力場を発生させて、多くの敵を一網打尽にする。
○ブラックホールクラスター
胸部の前で重力球を発生、圧縮して敵に放つ。
○縮退砲(未登場)
あらゆる敵の存在をこの宇宙から完全に抹消するほどの威力。スーファミ時代、サマサが初めてやったスパロボで
この武器の威力数値を見たときは思わず大笑いした。
プロヴィデンス―(ラウ・ル・クルーゼ)
「ガンダムSEED」ラスボス機体。ビームサーベル、ビームライフル等基本的な兵器もあるが、最大の特徴は十一基搭載された
兵装<ドラグーン・システム>。
核動力を積んであるので、理論上半永久的に活動可能・・・らしい。
○ドラグーン・システム
十一基の攻撃用ポッドを自在に操り、搭載されたビーム砲で敵を殲滅する。非常に強力だが、十一基ものポッドを操る
ためには超人的な技量と空間認識能力が必要。
USDマン―(USDマン)
ロボットではなく、生身である。しかし、その力はもはや生物の域を超え、現時点で作中最強との声も高い。
特に必殺技のようなものはないが、空を飛ぶなどの超能力を持ち、繰り出す攻撃の一つ一つが既に必殺、本人の耐久力も
小型の核を食らった程度ではビクともしないほどである。
ネオラピュタ―(ムスカ)
ロボットというか、空中に浮かぶ要塞。原作の「天空の城ラピュタ」において、空へと飛んでいった・・・のだが、生きて
いたムスカが狐面の男の助力を得て回収し、未来科学によって改造した。
その全貌は未知数。
マジで適当だし、出番の少なかった奴については省いたりもしたので、さらに適当なものに・・・
しかしこれでも一生懸命書いたので勘弁して下さい(汗)
>>154 まあ、ラクス様の末路は色々考えましたが、そこまで酷い扱いにすることもなかろうと
こんな形にw
>>155 冥王様は残念ながらもう出ない予定・・・元々個人的に出したかっただけのキャラを無理に引っ張ると
ロクなことにならなさそうでw
>>165 残る敵は確かに強いですが、今までみたいに負け続きとはならないと思います。
味方サイドにも近々新戦力(例の馬鹿共)がお目見えですし・・・
>>ふら〜りさん
ジャイアンソングはマジで便利wとりあえず困ったらジャイアンに歌わせろ!・・・冗談ですよ。
>>191 まあ、実を言うとラクス様はもうちょい悲惨な末路を辿る予定だったのですが・・・
う○こSSシリーズ・・・実は大好きです(爆)
是非もっとハードな(ヘビー級は勘弁ですが、ミドル級くらいの)ものを期待してます。
サマサさん乙!今回はロボ紹介だけでしたか。
正直言うと知らないロボばかりなんで助かりますw
あとまとめサイトの掲示板にうみにんさんからイラストが届いてますよ。
「ドラえもーん! はやく大企業の社長になりたいよー!」
「だったらもっとペダルを漕げー!」
ドラえもんは後ろを振り向いてのび太にどなった。二人の乗ったタンデムの
エアロバイクからはコードが延びてコタツに繋がっており、大企業の社長がコ
タツに潜って書類にハンコをついている。壁も床も天井もない、原っぱのど真
ん中である。のび太はペダルを漕ぐ足を休めて泣き言を言った。
「ペダルと社長就任になんの関係があるのさー!」
「さっきも言っただろ! ペダルを漕がないとコタツの電気が消えるんだよ!」
「電気が消えるとどうなるのさー!」
「ちぇい!」
ドラえもんが答える前に冷凍ミカンが飛んできて、二人の後頭部を直撃した。
社長が次のミカンを手に持って、厳しい顔でこちらを睨んでいる。コタツの電
気は消えていた。
「休むな少年! そんなことでは大企業の社長にはなれんぞ!」
のび太とドラえもんはしぶしぶペダルを漕ぎ始めた。コタツ布団からほんの
りと赤い光が透けて、社長もハンコ押しを再開した。
「ねえねえドラえもん。ボクいいこと考えちゃったんだけどさ」
「なんだいのび太くん。またジャイアンに腸を引きずりだされたのかい?」
ドラえもんは怒っているらしく、のび太の話をまともに聞こうとしない。し
かしのび太だって怒っている。
「この世で一番エラいのは社長じゃなくて王様だろ? 王様のところに行って、
ボクを社長にしてくれるように頼もうよ」
「うん、そうしよう。それじゃああそこのクソ生意気な社長はどうしよう?」
「お仕置きしちゃって下さいよドラえもん!」
「はい! 地上最強の生物ー!」
ドラえもんはポケットから地上最強の生物を取り出した。颯爽と決めポーズ
をとる地上最強の生物に、ドラえもんは命令した。
「生物くん、ボクらの代わりにペダルを漕いでくれよ」
「ふん」
地上最強の生物がペダルを軽く一漕ぎすると、エネルギーの塊がコードの中
を駆け抜けた。コタツは赤黒い光を一瞬放って、そして社長ごと燃え上がった。
「ファイアー!」
社長はスーツの上着を脱いでハンコをつき続けている。ドラえもんとのび太
は仕事の鬼と化した社長をほったらかして王様の城に向かった。
「ワシが王様じゃー!」
王様の城は信号の先の路地に入って突き当たりにあった。三和土の奥の居間
に豪奢な玉座がしつらえてあって、王様が玉座にふんぞりかえって笑っていた。
「王様ー! ボクを大企業の社長にしておくれー!」
のび太は王様に抱きついて首筋をなめまわした。王様はのび太をやんわりと
引き剥がして、優しい声で語りかけた。
「心優しき少年よ。大企業の社長になりたくば、この先の霊峰に棲みし伝説の
龍を倒して龍のペニ」
「コラ」
のび太は王様の襟首をつかんで持ち上げた。目には怒りのアフガンがメラメ
ラと燃え上がっている。
「ボクを子供だと思ってなめてんだろ。龍のペニスが社長と関係あんのか?」
「か、かんぽー!」
王様は怯えた子猫のような声で返事をした。龍のペニスは漢方薬として珍重
されている幻の品であったが、そんな事のび太には心底どうでもよかった。
「そこの本棚に社長リストがあるじゃねーか。ごたくはいいからチャチャっと
ボクの名前を書けよ」
「ひゃ、ひゃい!」
王様は徹夜明けの漫画家みたいな声を出して、社長リストにのび太の名前を
書き込んだ。
「いえー! ボク大企業の社長になっちゃったー!」
のび太は大はしゃぎで王様の城を飛び出した。さっきの原っぱに戻ってみる
と、地上最強の生物がまだペダルを漕いでいた。社長も燃えながら仕事を続け
ている。
「社長ー! ボクも社長になったよー! もういくら残業しても残業手当はつ
かないよー!」
「そうか少年! キミもコタツに入りたまえ!」
「はーい!」
のび太は燃えるコタツに潜り込んで、社長と一緒に火だるまになった。
「社長ー! 熱いよー!」
「いーや、まだまだ燃料が足りん! もっとペダルを漕ぎたまえ!」
「はい、地上最強の生物の息子ー!」
ドラえもんはポケットから地上最強の生物の息子を取り出した。息子はエア
ロバイクの後部ペダルにまたがって、父親と一緒にペダルを漕いだ。鼻の下の
スケベボクロが金色に光って、コタツの炎も倍になった。
「社長ー! すんごく熱いよー!」
「そうか! 社長の責任の重さを感じているか!」
社長は焼きミカンを食いながら満足そうに言った。地上最強の生物は冷凍ミ
カンの皮を向いて、後ろの息子に食わせてやっている。とても仲がいい。
「社長ー! ボクもミカンが食べたいー! 愛人に食べさせてほしいー!」
「愛人が欲しかったら仕事をしたまえ! お前らもっとペダルを漕げー!」
「ボク帰るね」
ドラえもんが帰った後も、四人はずっと原っぱにいた。夕日が沈んで世界が
色を失っても、そこだけは紅に染まったままだった。こんなパワーが腐った世
の中を変えてくれると思うんですよ。
完
二月になったらもう新年会じゃないですよね。昨日やれよマジでマジでマジで。
アヌビスAIって男性格?原作ゲーム通りだとADAと同型のDELPHI=女性格
だと思っていたけど、作中描写を見ているとノウマン役の江原正士の声が
脳内再生される。(むしろアラストール?)
>>カマイタチ
カイジは主催者の意図に気づいた模様。流石鋭い。
「犯人はこの中にいる」をやるなら「ほぼ全滅」はなさそうだけど、
半数くらいは確実に死にそうですね。
次回は現場検証からかな?
>>超機神大戦
すごい数のロボット、まさに群雄割拠。
Z戦士も真っ青なような技もありますねw
>>新年会
最近はニューフェイスが増えてありがたい限りです。
正直意味分かんなかったけど、これからに期待。
ぎゃあああああ!
うみにんさんありがとう!!
しかもプリムラ!!!
お忙しい中ほんとうに感謝です!
>>227 新年会さんはたぶんVSさんっていうバキスレの大御所職人さんで、
超人気職人さんのうちの一人だよ。ニューフェイスじゃないと思う。
231 :
作者の都合により名無しです:2006/01/15(日) 21:25:13 ID:x2FbvaU/0
VSさんの作品は受ける人は極端に受けるし
毛嫌いする人はまったくスルーだからなあ。
俺は大好き。心の師匠と思っている。
今回、久しぶりに読んだけどまだ書いてくれるのが
わかって安心しました。だって全然作品来なかったんだもん。
サイトの日記、9月で停止してるし。
【V】ばーさすわしお こうへん
千歳が広場と森の境目に到達すると、彼女は背後から異様な気配が肉迫するのを感じた。
応戦すべく振り向いた瞬間。
既に鷲のような顔が、千歳の鼻先近くにあった。
とっさに後方へ飛びのいた千歳だが、その姿勢は大きく崩れるコトになる。
それは皮肉にも男の武力割くべく取り上げた、鞭のせい。
長さゆえ男に掴まれ、荒々しく引き寄せられた。
もとより、凹凸に富んだ森の地面である。千歳はなす術もなくつんのめった。
そして男は容赦なく殺到し、みぞおちに痛烈な一打を叩き込む。
文章に起こせば長いが、男が鞭を掴んでから離すまで、瞬き一つの時間である。
膂力も敏捷性も先ほどの比ではない。
バールを取り落とし、強烈な呼吸困難に硬直した千歳を、男は容赦なく突き飛ばす。
声をあげる暇もあらばこそ。細い肢体が地面で弾む。
苦悶の千歳に男はのっしと近づくと、楓のごときたおやかな手のひらを割り開き、握ら
れていた鞭を奪い取った。次いで、地面に落ちたバールも回収した。
先ほどの戦闘で、千歳に使われたコトを警戒しているらしい。
バールは捨てず、腰の後ろにかかるスーツを巻くし上げると、ズボンとベルトの間に無理や
り突っ込んだ。そこに再びスーツが掛けられ、バールは外見からは分からなくなった。
そして、鞭を頭上で大きく振り上げると、目を嗜虐の光にぎらつかせた。
2分後。
木に何かが衝突する大きな音が、広場に響いた。
「クエ……」
青々とした葉が舞い落ちる中、男が満足げに笑みを浮かべた。
目の前には、木に背中を打ち付けて、苦悶に引きつる千歳。
厚手のツナギが所々破られていて、鞭による痛打の凄まじさを物語っている。
肩、二の腕、脇腹、大腿部……ナメクジ型に裂けた布地から覗く白い肌は、いずれも
紅く傷付いている。
それが暗い森の中、木漏れる月光にちろりちろりと照らされ、幻想的とも幻惑的ともいえる
異様な艶かしさを醸し出している。
密やかでいて激しい喘ぎが、夏の夜特有の粘っこい暑気にとろとろ溶けて入り混じり、男
の潰されたワシ鼻を香しく刺激する。
嗅ぎ慣れた木や落ち葉の匂いに比べ、鼻傷に染みる吐息のなんと甘美なるコトか。
月下で光も虚ろげに瞬き、苦痛が体に走るたびにびくりと閉じる瞳の、なんと美しいコトか。
男が一瞬、それまでの怒りとは全く質の違う情念を催したのもむべなるかな。
だが首を振り、「巣」の中心にあるビルのような直方体のゴミの山めがけて踵を返した。
それを目で追いながらも、千歳は立つコトままならず、背中に走る疼痛に顔を歪ませるのみ。
ややあって、その前に立った男の手にはナイフが握られていた。
ゴミの山から取り出したらしい。千歳が何かを感じたあのゴミ山から。
だらりと下げられた男の手に握られたナイフは、ちょうど、千歳の視線と垂直の位置にあった。
いつもの癖で、そのナイフを見える範囲で観察した千歳は。
珍しく気色ばんだ。
ナイフは、標準的な果物ナイフ。
千歳めがけて突きつけられているから、刃の部分はどうか分からないが、柄の部分に、赤黒
い染みが付着していた。
瞬間、千歳の心はそれまでにない動きを見せた。
客観的に見れば突飛な発想をしたといえるだろう。千歳自身も自分の心の動きに戸惑った。
男の手にあるナイフについている血と。
麻生部長が消失した現場に流れていたという血を。
とっさに頭の中で結びつけていたからだ。
これは突飛という他ない。
そうであろう。
ホムンクルスが犯人であるというなら、現場に流れていた血は、爪や牙、その他攻撃に特化
した器官による可能性だってある。
しかし千歳は、そのナイフを断じて調べるべきだという執念にも似た思惑を胸に描いて、必
死に体を動かそうとしていた。
その衝動は、死から逃れるようとする本能を押しのけるほど強烈だった。
だが、体は動かない。
鞭で打たれた箇所は、鉛をつめたように重く、息をするたび腹部に鈍痛が走り、背中はぎり
ぎりと軋んでいる。
頭上で凶悪な光を放つナイフを、千歳はただ見つめた。
動けるなら、その瞬間を回避に費やすために。
避けて、男を倒して、証拠になりそうなナイフを調べるために。
だが、体は動かない。
男は憎悪と恍惚入り混じる顔で、ナイフを千歳めがけて逆(さかしま)に振り下ろし。
刃物が肉を侵食する独特の気配が、男の腕に走った。
美貌に生暖かい鮮血が飛び散り、凄惨な死の気配に彩られたのは次の事。
(……え?)
その状況にまず驚いたのは、千歳だった。
ナイフは……彼女の体のどこにも当たっていない。
高々と突き上げられた男の手に握られて、先ほどのまま、月明かりを反射していた。
では千歳の顔に飛び散った血はどこから。そして誰のものか。
千歳がナイフから視線を降ろそうとした瞬間。
安易な比喩ではあるが、一時停止を解かれたビデオテープのごとく、光景に音と動きが蘇る。
男は絶叫した。
千歳が考えている間に男は首を回して腕を見て、そこに起こった異変を理解したらしい。
目を腕に釘付けたまま、声涸れしそうな喚きをひっきりなしに上げ続け、錯乱したのか腕
をやたらめったらに振り回している。
大玉の脂汗と鮮血が大地に降り注ぐ。
このような事が、あるのか。
男のナイフを持った方の手。正確には肘に。
ある筈のない物が貫通しているのを千歳は認識し、硬直した。
それは忍者刀だった。
ただし、実在の物とは異なる点が2つあった。
まず、ひどく幾何学的な形状をしているコトと、──その色。
鍔は金。刀身や柄も深緑。青サビにでも覆われたと見まごうばかりの深緑。
男が腕を振り回しているせいで千歳が窺い知れた、これらの形状および色彩は。
武装錬金の特色だ。
そして武装錬金は使い手固有の形状を成し、一人として同じモノを持たない。
すなわち。
今、男の肘を貫いている物は。
(シークレットトレイル!?)
千歳は話に聞く、一振り限りの忍者刀の出現に目を見張った。
その耳へくぐもった声が届いた。
具体的に例示するなら、映画館で扉越しに聞く音声を引き合いに出すのが適当か。
響いているが、何か決定的な遮蔽物のせいであまり大きく聞こえぬ特殊な声。
『……思わぬ騒ぎに出くわしたか』
だが間違いなく根来の声だ。
しかし彼がどうしてこの山中にいるのか。
単純に考えれば、尾行対象のホムンクルスがこの山に来ていたとなるが……
千歳が考えかけた時、シークレットトレイルが刺さった腕の下で、一条の稲妻がばちりと爆ぜ
た。
広場は雷鳴を浴びたごとく緑の光に満ち満ちて、三つの影を地面に走らせた。
一つは千歳の。一つは男の。そして最後の一つは、怪奇極まるありえぬ物の。
その正体は、腕。
地面より、男に刺さったシークレットトレイルめがけて、猛然と伸び──
『私は奴を追わねばならない。手短にすませるぞ』
音もなく抜き取った。
異物を除かれた男の腕から一気に血があふれ出て、薄汚れた白いスーツが朱に染まる。
腕はシークレットトレイルもろとも森の土くれに没し、稲光と共に血の霧をけぶらせる。
そしてその現象に、千歳は物理学者のような冷静な回答を見出していた。
シークレットトレイルの特性は
”物体に斬りつけるコトで、亜空間への入り口を開きそこへ潜む”
”現空間で接触している物体同士の間は、亜空間において行き来自在”
だが、制約もある。
”潜めるのは、シークレットトレイルの創造主たる根来本人か、もしくはそのDNAを含んだ物のみ”
この日の朝、根来が自らの着衣に髪の毛を縫いこんでいたのも、それによる。
そして血の霧がけぶったのは、刀身に付着した男の血が、亜空間侵入の際に弾かれたから。
千歳が分析している間にも、状況は動いていく。
「ク……ッ クゥエエエエ!!」
自らの血でぐしゃぐしゃになった泥を踏みしめ、男が叫ぶ。
千歳に対する溜飲が収まりかけた所への不意打ちは、許しがたいコトこの上なし!
甘美なる充足へ昇華し損ねた情念が! たちこめる湿った鉄サビの匂いが!
ある意味で澱みなき純粋可燃物の心を焚きつけ、黒のかがり火へ変じて燃え盛る!
もはや血と呼ぶのもおぞましいダークレッドの灼熱液が、全身くまなく、駆け巡る!
遅れに遅れてしまいましたが、新年あけましておめでとうございます。
今年に入って発見したことは、餃子の王将の餃子のタレがやたら豆腐に合うコトですな。
アレはうまい。カゼで弱った体には、野菜スープと同じぐらいありがたい。
お正月といえば、昔、年賀状を配っていて放し飼いのドーベルマン6匹に追いかけられたり
もしましたが、それはさておき、今年もよろしくお願い致します。
前スレ374さん
クールっぽい戦いを考えた結果、ああなりました。地の利を活かした戦い方とかは燃えです。
実はこの戦い、千歳だけで切り抜ける予定だったのですが「やべぇ根来影薄い」という理由で
彼も参戦です。これが吉と出るか凶と出るか。よく考えてみると、真剣なバトルって描くの初めて。
前スレ380さん
こと精神力で見れば、ネウロの犯人ほど侮れない人種はいないんじゃないかと。
もっともそれは対人限定で、ネウロ相手じゃみんなやられちゃいますが……
ふら〜りさん
ありがとうございます。色っぽさは描きたい要素なのですが、どうもセーブの仕方が難しいです。
まろび出るとかそういうフレーズは駄目でしょうか。まろび出た場合とまろび出なかった場合は、
果たしてどちらが喜ぶ人が多いのか。難しい所です。あまり過剰に描くと下品ですし。
「中心に」のくだりは、ネウロ2巻からですね。ネウロの犯人は欲望に忠実で、しかし人間臭いので好きです。
バレさん
遅ればせながら、長編カテゴリへの移動ありがとうございます。
最近、北極からぶわーって冷たい風が流れてきて、例年より冷え込むコトが予想されますの
で、くれぐれもお体の方にはお気をつけ下さい。
そしてヤムチャは哀愁が漂っておりますね。超サイヤ人になる夢を見るなんて……w
しぇきさん
そう! 鷲尾です。錬金の鷲尾と苗字が同じ鷲尾でしたので、原作の鷲尾戦のサブタイ「vs鷲尾」と掛けてます。
しかし同じ鷲尾でも、鷲尾は鷲尾と全く正反対の行動原理ですよね…… しかしそこが鷲尾らしく、鷲尾が好
きな理由ですので、いっちょ鷲尾を鷲尾らしい理由で千歳と戦わせるコトに。鷲尾と犯人と関係は、少しだけあります。
そして、焼却炉など意に介さず、己の意を、ワガママを押し通すオーガは流石。
校長は、何かあるような気配があります。以前焼却炉の前から立ち去った謎の少年との関係を勘ぐったほど。
しかし少年の持ってたのは「初老の人の頭」で、校長の顔は「還暦近い」からやっぱり無関係なんでしょうか?
鏡に映る亡き家族もミステリアスです。
スターダストさんあけましておめでとう。今年も頑張って下さい。
うーん鷲尾とは嗜虐的な性格が合いそうだwまあ俺は妄想だけですがw
冷静で勝気な女が気色ばむ姿はそそりますが、それでも千歳の観察眼は凄いですな
この状況で生存本能より先に、任務を遂行させようという本能が働くとは。
状況は少しずつ、核心へと動いておりますね。
妄想だけじゃなかったら大変だw
カイジマダー?
[ミストバーンの壮絶なる最後!!!]
ラーハルトはとてつもなく強い。超スピードに加えて、槍の攻撃があるために
身体能力だけでは大魔王セルより強いかもしれない……。
ミストバーン(なんて強さだ!!身体能力だけではセルより強いラーハルトを倒すには、メガンテしかない。これからものび太達の力に
なりたいが…。私にはラーハルトを確実に倒すにはメガンテしかないのだ。)
ミストバーンは覚悟を決めた。のび太達のために捨て石になる気だ……。
ミストバーンは右手を静かにラーハルトに向けた。
ラーハルト「何をする気だ!!小賢しい!!!」
ミストバーン「闘魔クグツショウ……。」
闘魔クグツショウだ。暗黒闘気力で敵の動きを止める技だ。ラーハルトは
身動きが出来ない。そしてゆっくりとミストバーンはラーハルトに接近する。
ラーハルト「グヌウーッ!!身動きがとれん…。」
そしてミストバーンはメガンテをしようとする…。その動きを見ていた。
ハドラーは話す。
ハドラー「ミストバーン!!やめるんだぁ!!!!メガンテはやめろ…。」
ミストバ−ン「今までありがとう……ハドラー…のび太…出木杉…ソンゴクウ
…ジャイアン…ダイ…そしてドラえもん……。おまえ達と会えてとても
嬉しかった!!ハドラーよ……。おまえはのび太達のために捨て石になろうと
しているのならやめておけ!!!捨て石は私だけで十分だ……おまえは
これからものび太達を導いてやってくれ……。のびた…強く、強く生きるんだぞ
…。ではさらばだ……。」
ラーハルト「やめろ!!!やめるんだぁ!!!!!」
ものすごい爆発音が鳴り響き・・・・・ミストバーンとラーハルトは砕け散った。
これだけバラバラになったら、もうミストバーンはのび太のザオリクでも
生き返ることが出来ない。のび太達は泣いた。しかしのび太達の心の中では
今もミストバーンは生き続けている。
消えろ
>242
失 せ ろ
バ キ ス レ を 荒 ら す な ク ズ
のび太「ミストバーンが、死ぬなんて。うわわわぁぁーーーー!!!」
いつまでも泣いている、のび太……。無理もない、のび太とミストバーンは
親友である。誰よりものび太は、悲しんでいる……。
ハドラー「泣くのは、もうやめろ!!そろそろいくぞ、上の階にはおそらく
魔軍司令バーンがいるだろう……ミストバーンの弔い合戦だ。」
ジャイアン「そのとおりだぜ!!次闘うのは俺だからな。」
ドラえもんが、ジャイアンに向かって話す。
ドラえもん「次闘うのは僕だよ。ジャイアンはその次。」
ジャイアンはドラえもんに次に闘うのを譲った。ジャイアンはドラえもんの
強さを信頼している……。のび太達は三階に上がった。魔軍司令バーンが
玉座に座っている……。その左横に魔軍司令補佐デスピサロがたっていた…。
魔軍司令バーン「良く来たな、愚か者…。この余がみずから闘うまでもない……。
デスピサロよ、ここまで来た…愚か者に相手をしてやれ……。」
デスピサロが構える。いきなり戦闘が始まった!!闘うのはもちろんドラえもん。
デスピサロはこれまでとは違う…ものすごい威圧感がある。
ドラえもん「いくよ!!ジャンボガン。」
ドラえもんはジャンボガンでデスピサロに撃つ、しかしなぞの結界に跳ね返された。
デスピサロ「この程度で俺の結界を打ち破られると思ったか?今までの俺とは
違う!!大魔王セル様からいただいた、この体は結界で守られているのだ……。
半端な攻撃は、はねかえすのだ!!!それが限界のようだな……。ハアアー!!」
デスピサロはドラえもんに接近し、殴り掛かった…たったの一発殴っただけ
なのに、ドラえもんは意識を失った……。のび太が意識を失って倒れた
ドラえもんに駆け寄った。
のび太「大丈夫、意識を失っただけだ。」
のび太はドラえもんを持って、後方に控えた。やはりドラえもんでは無理の
ようだ……。デスピサロはこれまでにないすさまじいパワーを身につけた事を
ハドラーは感じ取った。
>>244、
>>243 応援してくれてありがとうございます。これからも
一生懸命死にもの狂いで書いていきたいと思います。
デスピサロ「クズ共め!!やはり人間と魔族の違いだな。我々魔族に
刃向かおうとする奴はこうなるのだ……。フッフッフッハーハッハッハッ!!!」
デスピサロは限界を超えたパワーアップで浮かれている。
ハドラー「この俺に闘わせろ!!!」
ジャイアン「今度は俺の番だよ……。」
ハドラーが真剣な顔で言う。
ハドラー「愚か者め!!!敵の実力もわからんのか?俺でなければ
倒せん!!!」
ジャイアンはいやいやながらもハドラーに闘いを譲った。ジャイアンも
少しではあるが敵の実力を感じ取っているを。ハドラーは構えた…。
剣を出すハドラー。
デスピサロ「やはり貴様か…。魔族でありながら人間共に寝返った、貴様は
処刑する!!!ハアアアァァーッ!!!!!」
デスピサロは最終形態に変身した。
バーン(これがデスピサロの最終形態か…。」
ハドラー「メラゾーマ!!」
ハドラーはメラゾーマでデスピサロに攻撃する。
デスピサロ「学習しろ。これがマホカンタだ…。」
ハドラーのメラゾーマはデスピサロのマホカンタで跳ね返された。
メラゾーマのダメージをくらうハドラー……。
ハドラー「クッ!!おのれ……。やはりこれまでのデスピサロではない。」
>スターダスト様
お久しぶりです。かなり遅いですけど、新年明けましておめでとうございます。
今回は「らしさ」が出た回ですね。鷲尾のサディスティックな敵らしさ、
千歳の可愛い女らしさ、そしてそれでも毅然としたヒロインらしさ。
最後に、ネゴロの主人公らしいかっこいいところも見られて、次回が楽しみです。
>>243-244 もう一切相手にしない方がいいよ。
どうせどんなに書いたところでサイトには保管されないし、
さっき削除依頼も出しておいたしね。
レズピサロ「クズ共め!!やはりノンケとモーホーの違いだな。我々ブサイコに
性感マッサージをするとこうなるのだ……。フッフッフッハーハッハッハッ!!!」
レズピサロは限界を超えたエクスタシーで浮かれている。
ハドラー「この俺にヤらせろ!!!ビンビン!!」
ジャイアン「今度は俺の番だよ……。まともにくらいたい!!」
ハドラーが卑猥な顔で一物を突き出して言う。
「愚か者め!!!ブスのGスポットも舐められんのか?俺でなければ
イかせられん!!!真の実力!!!」
ジャイアンはホッとしながらもハドラーに前戯を譲った。ジャイアンも
鼻が曲がるほどブスの悪臭を感じ取っている。ハドラーは萎えた…。
男根を出すハドラー。「油断した!!!」
レズピサロ「やはりモーホーか…。変態でありながらノンケ共に寝盗られた、ニオイフェチは
手淫する!!!ハアアアァァーッ!!お口のニオイ、良しっ!!!」
レズピサロは亀甲縛りに挑戦した。
脳みそバーン(これがレズピサロのヤケクソ形態か…。」
ハドラー「イッツ、ビューリホー!!」
ハドラーはフニャフニャの男根でレズピサロに愛撫する。
レズピサロ「勃起しろ。かなり失礼だ…。」
ハドラーの男根愛撫はレズピサロの冷たい態度で全否定された。
心のダメージをもともにくらうハドラー……。
ハドラー「クッ!!おれの男根半立ち……。このままイったら不能になるってホント!?
くわえてよレズピサロ!!!ギョエエーーーー!!!!」
[オルゴデミーラの乱入]
デスピサロ「ここまでの差があるとは……。所詮貴様はその程度だったな…。
何だ……!!!誰だ……!!!!、ギャーーーッ!!」
デスピサロが話し終わると、後ろから何者かがデスピサロの心臓を貫いた。
デスピサロは倒れた。驚くのび太達とバーン……。
バーン「貴様は、オルゴデミーラ…セル様に処刑された奴だな……。」
デスピサロを倒したのは、セルに処刑されたオルゴデミーラであった。
オルゴデミーラ「クックックッ!!俺はセルに処刑されたが何とか
死の縁からよみがえることが出来た……俺はまえからセルは気に入らなかったんだ……。
世界を支配するのは俺だ!!!!バーン……。貴様も倒す!!ハアアァァ!!」
オルゴデミーラは変身した。紳士的な姿だが異様なオーラをはなつ……。
バーン「それが変身した貴様か!?」
オルゴデミーラ「そのとおりだわ!!散るがいい。イオナズン!!!」
オルゴデミーラはイオナズンでバーンに攻撃、ものすごい爆発音。
バーン「ウギャーーーーー!!!ギョエエエエーーーーー!!!!!」
バーンは倒れた、あっけなく。セルに逆らうだけあって強い……。
オルゴデミーラ「さてと、あなたたちも消そうかしら!!!」
ハドラー「このオカマめ!!!かかってこい……。」
ハドラーは戦闘体勢になったが、ハドラーには自信がなかった。あのデスピサロや
バーンがあっけなく殺されたからです。
バーン(まずいぞ……ここまですごい敵は始めてだ。どうすれば良いか……。
ここは一度引くしかないな、それが一番だ……。)
鷲尾って最初見事にパピヨンの部下のあいつか?と思ってました。
それにしちゃ描写が違うよな・・・と思ってたらネウロのあいつもそういえば
鷲尾だったな・・・う〜ん見事にだまされた(w`
[のび太がいた世界に]
ハドラー「のび太…ここはいったん逃げるぞ!!バーンが死んだ今は
結界がなくなってルーラで逃げれるはずだ……どこに逃げるかだが
もちろんアンゼン王国だ。」
のび太「よしわかった。」
のび太達はルーラでアンゼン王国に引き返した。皆、オルゴデミーラに
かなわないことはわかっている……アンゼン王国ののび太の家
のび太「僕は元の世界にいったん戻ってみるよ……。ストレスもたまったし。」
ハドラー「わかった、俺達はオルゴデミーラ打倒に向けて作戦を立てなければ
いけない……。」
のび太「ルーラ」
のび太はルーラで元の世界に戻った。のび太の家の前に来た。
のび太「脳みそバーンで、股間が熱い、イキそう。うわわわぁぁーーーー!!!」
いつまでも肛門をイヂっているのび太……。無理もない、のび太と同性愛は
同義語である。誰よりものび太は肛門の喜びを知っている……。
ハドラー「手淫は、もうやめろ!!そろそろイクぞ、肛門の取り合い合戦だ。」
ジャイアン「禁断のお尻はどんなかな!!次ヤルのは俺だからな。」
ドラえもん「一番勃起してるのは僕だよ。ジャイアンはその次。」
ジャイアンはドラえもんに次にまぐわうのを譲った。ジャイアンはドラえもんの
性器を舐め舐めしている……。のび太達は三階に上がった。ホモホモ司令脳みそバーンが
三角木馬に座っている……。「レズピサロよここまで来たインポテンツに超絶技巧で奉仕してやれ。」
レズピサロが悶える。いきなり交尾が始まった!!ヤルのはもちろんセックスマシーンドラえもん。
レズピサロはこれまでとは違う…ものすごい色気がある。ドラえもん「イクよ!!スパンスパン。」
ドラえもんは自慢の性器をレズピサロに挿入、しかしなぞの処女膜に跳ね返された。
レズピサロ「この程度で俺のバージンを打ち破られると思ったか?今までの俺とは
ちょっとだけ違う!!エロ魔王セル様からいただいた、このオモチャは電動で振動するのだ……。
半端なピストンより、すっごいのだ!!!それが限界のようだな……。ちょっと感じたハアアーン!!」
レズピサロはドラえもんに接吻し、むさぼり舐めた…たったの一発ヤっただけ
なのに、ドラえもんは理性を失った……。のび太が理性を失って腰を振る
ドラえもんにむしゃぶりついた。「大丈夫、性器を嬲っただけだ。」
のび太はドラえもんをもてあそんで、後方から挿れた。やはりドラえもんでは物足りないようだ。
255 :
ハイデッカ:2006/01/16(月) 19:46:59 ID:MlhP8PaZ0
>>175の続きから投下します。
ジャンヌのビジュアルイメージは、ほぼ私の欧米女性の理想からw
「王妃マルゴ」の頃のイザベル・アジャーニ(フランス女優)と、
20歳前後のウィノナ・ライダーを足して2で割ったような感じです。
あと、コテハンの「ハイデッカ」はあるゲームのキャラから頂きました
スターダスト様お疲れ様です。今年も宜しくお願いします。
私は文章の表現の語彙が少ないんで、スターダストさんとか上手い人の読むと
少しコンプレックスを感じてしまいます…。
千歳が主人公みたいでかっこいいですねw。ネゴロ、今の所千歳の前に影が薄いw
聡明且つ可愛らしい女性キャラは好きだなあ。いつかそんな女性私も書きたい。
256 :
聖少女風流記:2006/01/16(月) 19:48:25 ID:MlhP8PaZ0
第六話 シノンへ参上、聖少女と傾奇者
(何が、最高権力者なものか。ただ燻って酒と色に埋もれているだけの男が)
無気力な目を薄暗く曇らせ、ワイングラスを乱暴に叩きつけると男はそう自嘲した。
男の名はシャルル。フランス国の王太子、即ち次の王となる男である。
が、この男にその資格はない。治世者の資質がない。何より、王者の覇気が無い。
日がな酒に溺れ、それに飽きると売春婦との情事に耽るだけの小心な男である。
ルーブル美術館に、この男の肖像画が残っている。
時の権力者がこのような後世に残る自画像を書かせる場合、実物よりも少し脚色して…、
平たく言えば良く修整して残すものである。だが、この男が描かれている肖像画の場合は違う。
だぶだぶの服に風采の上がらぬ顔色。青い帽子を被り、ワインの呑み過ぎで鼻が赤い。
一国の王とは思えぬ、奇妙な風体の男が描かれている。
ようするに実物に忠実に、この男がどうしようもない愚物である事を後世に伝えている。
ほんの少しだけこの男を擁護する。無気力になる原因は確かにあった。
まず、イギリスとの戦争の状況。悲劇、いや喜劇的なほどに追い込まれている。
戦力差は圧倒的であり、既にイギリス軍にフランス領地の4割は落ちている。
90年も続いている戦争が、自分の代で敗北して終わろうとしている。反撃の光明は見えない。
そして、この男の血筋もまた呪われている。
父親はシャルル6世。正当な王であるが、6世は「狂人王」と呼ばれるほどの暗愚であった。
母親のイザボウは淫乱で、しかもシャルルとは折り合いが悪かった。
なんと王妃は常々、「王太子は私が不義密通して出来た子供。王の一族ではありません」と
王の死後、社交界で公言していたのである。
自分の不倫の結果出来た子供で、王の血は引いていない、と。実の息子に対してである。
こんな状況下で、まともな王として育つわけが無い。
実際、シャルルが王太子になれたのは、上の4人の兄弟が次々と夭折したからである。
頂点がこんな有り様で戦争に勝てるわけは無い。
この頃のフランスの悲劇は、この王太子と先代の王の暗愚により引き起こされたといって良い。
そして、後のジャンヌ・ダルクの運命も、である。
257 :
聖少女風流記:2006/01/16(月) 19:49:12 ID:MlhP8PaZ0
「ジャンヌか。噂には聞いている。神の声を聞いた、と言っているようだな」
シャルルは部下のジャンヌ一行到着の報告を聞き、そう言った。
既にこの頃、ジャンヌの名はかなり知れ渡っていた。
ベルトランたちをジャンヌの護衛につけてくれた老公から噂は広まり、国民にも名は知れている。
その聖少女が、このシノンの城にやってくる。シャルルの顔は薄汚く欲望に歪んだ。
(淫売相手の色事は飽きた。聖女とやらの味、試させてもらう。が、その前に)
シャルルは部下にパーティの準備を命じた。貴族たちに収集を掛ける。
シノン城でもっとも広い部屋に豪奢な料理と上等なワインを用意させた。
そして王装束を取り寄せ、臣下の中で見目立派な男に、それを着させて王に仕立て上げる。
そして自分はいつものみすぼらしい服のまま、ジャンヌを待った。
(この余興は見破れまい。聖女の声は地に落ちる。ペテン師として私の愛人として飼うも良し)
「うー、緊張します。王太子様との謁見なんて。私、元々田舎の農民の娘ですし」
ジャンヌが今日何度目かのその言葉を発した。ベルトランは頭を掻いて苦笑する。
(こうしてみると、本当にただの美しい娘だな、ジャンヌ殿は)
みすぼらしい鎧装束に身を包んでいるが、花のような美しさは隠し通せない。ため息を何度もつく。
「はっはっは。とって食われるわけで無し、ただ貴人見物としゃれ込めばいい」
慶次に緊張は見られない。彼にとって王太子も自分もただの人である。変わりは無い。
ただ彼にあるのは、相手が男ならいくさ人かどうか、女なら惚れているかどうかだけである。
「もう、慶次さんはのん気過ぎます。私たちは、フランスを救うという目的があるんですよっ。
その為には是非、王太子様にお許し頂いて沢山の兵をお借りしないと」
そこまで言ってジャンヌは黙り込む。前から考えていた不安が頭をもたげたのだ。
兵を借りれば、当然兵を率いる事になる。即ち、数百数千の命を背負い込むことになるのだ。
もうすぐ、シオンの町へ到着する。が、ジャンヌの顔は暗い。
慶次は何を思ったか、突然松風から飛び降り、馬上のジャンヌを抱きかかえた。
258 :
聖少女風流記:2006/01/16(月) 19:50:40 ID:MlhP8PaZ0
「ひゃんっ! な、何をするんですか、慶次さん!」
ジャンヌの尻が鞍から浮いている。慶次に抱きかかえられ、バタバタ手足を振り回すジャンヌ。
その様子を見てベルトランたちが腹を抱えて笑う。
「わ、笑い事じゃないですう! け、慶次さん、下ろして」
慶次は笑いながらも離さず、ジャンヌの馬から彼女を完全に引き剥がした。空中で暴れるジャンヌ。
松風が前脚を折り、体勢を低くした。慶次はジャンヌをすとん、と松風の背に下ろし、豪快に笑った。
「せっかく都へと入るんだ。堂々と傾いて城へと向かおう、ジャンヌ殿」
松風がブルルン、と嘶いた。松風が立ち上がる。この馬の馬高は、ジャンヌの馬より遥かに高い。
慶次は朱槍を高く抱えて、松風の横を歩く。まるでジャンヌの槍持ちのように。ベルトランたちが騒いだ。
「おお、見事な女振りですぞ、ジャンヌ殿」
「まったくだ、どんな騎士にも負けないほど強そうだぜ」
259 :
聖少女風流記:2006/01/16(月) 19:51:35 ID:MlhP8PaZ0
ジャンヌは照れながらも誇らしげな顔をする。
この世のどこに、こんな立派な馬に跨り、屈強な男に守られる女がいるだろうか。慶次は言った。
「ジャンヌ殿。松風も貴女を背に乗せられ嬉しそうだ」
ペロン、と松風がジャンヌの雪のような頬を舐めた。ジャンヌは先程の緊張が嘘のように微笑んだ。
「本当に、私たちの言葉がわかるんですね、松風さんは」
「友ですからね、松風は」
「そうですか。では、私も松風さんのお友達。これからも宜しくお願いします、松風さん」
シノンの町の門が見えた。町民たちがジャンヌ達を見てざわめき始める。
慶次はニッコリと笑い、大声で、しかし涼やかなる声で唄うように口上を始めた。
「さあ、近くによって顔を見よ、耳を澄ませて声を聞け。いくさの女神のジャンヌ公の光臨だ。
辛気臭い顔は今日までにして、明日の勝どきの声を聞け…!!」
象のような巨馬の上で、鎧に身を包んだ美少女が町の人々の声援に応えながら現れた。
しかも屈強な男たちを何人も率いている。そしてその中の一人が極めて目立つ。
周りの男たちより二回りも大柄で、黒い艶やかな髪に異風の華美な装束。
その男が陽気に歌い上げ、器用な舞を披露しながら堂々と表通りを歩いて城に向かっている。
その一団のあまりに見事な町入りの噂は瞬く間に城へ届いた。
かりそめのパーティに興じているシャルル王太子の耳へも、当然に。
シャルルは聖少女の裸体を想像しながら淫猥に笑う。股間が既に熱くなってきている。
「よかろう、謁見を許す。ジャンヌを、ここへ連れてまいれ」
260 :
ハイデッカ:2006/01/16(月) 19:58:09 ID:MlhP8PaZ0
本当は王太子との謁見まで書きたかったんですけど、時間の都合で。
2話連続で説明っぽい内容ですね。説明部分は読み飛ばして下さい。
でも息子を「浮気の失敗で出来た子」と言い触らす母親は凄いと思いますw
次々回くらいからバトルですね。敵はもう一匹出る予定です。
武蔵、呂布の後だと、実在した人物だと厳しいんですけど、歴史上の人です。
ワード入りのパソコンが壊れてしまったんで
ワードパットしか無いパソコンで書いたら、やっぱり1行が長いですね。
バランスが難しい。
慶次カッコイイ…
ハイデッカさんの描く慶次は原作の雰囲気を損なわず昇華しててカッコイイ
262 :
ふら〜り:2006/01/16(月) 22:24:17 ID:nQHdgtSo0
こっちもあっちも、盛り上がってますねぇ……一時、ちびっと荒れ気味だった
ような気もしないでもないんですが、全くもって気のせいでしたな。
>>サナダムシさん
そんなギリギリの状態になるまでトイレットペーパーを補充しておかないとは、主婦失格
だぞ玉子。にしてもこの時、ドラは間違わなかったら何を渡すつもりだったのやら……
モノによってはかなりシャレにならん悲劇になってたかと。
>>169もなかなかのものですが。
>>ハイデッカさん
前にも言いましたが、ハイデッカさんの慶次はそこにいて喋ってるだけで魅力的です。で、
>その為なら、鬼に逢っては鬼を斬り、神に逢っては神を斬る。
それほどの漢にこれほどまで想われ護られる……なんつーか女冥利に尽きますな。松風に
跨り慶次たち従えて誇らしげな彼女、次回はその地位(?)に見合う奇跡を見せてくれそう。
>>銀杏丸さん
氷と氷、凍気と凍気の戦いなのに、どうしてこんなに熱いんだッ。強さ議論スレとかでは
さんざんなカミュ(私も実は同意してます)ですが、本作品では威厳も強さも充分に感じ
られましたよ〜。あと残りメンツの中では、老師版童虎とミロが楽しみ。待ってますよっ。
>>チロルさん
今回のキーワードは「万が一の危険の可能性」か。後々「万が一のそいつ」が出てきそう。
他には大地の過去の興奮が、少年っぽくて可愛い。説明っぽくないけど細かいそんな描写
が、作品全体の空気作りに役立ってますね。まだまだ先の長そうな本作、期待してます!
>>龍さん
この作品を読み進め、サナダムシさんだと思わなかった人類がいただろうか……? 最初は
世直しマンと全とっかえマンかと思いましたが、よもやポポ氏とは意表でした。謎めかした
書き方も、繊細かつ匂うような描写もなかなかのもの。願わくば他ジャンルにも挑戦をば。
263 :
ふら〜り:2006/01/16(月) 22:24:51 ID:nQHdgtSo0
>>見てた人さん
一条っっっっ!? これは完全に予想外でした! 『沼』の決着時、カイジから一条への叫び
は心底本心からだったと解釈してますので、今回のカイジの心情を思うとかなり胸が痛んで
きて……腐な妄想も駆け巡ってますごめんなさい。いよいよ本番、疑心暗鬼開幕! ですね。
>>VSさん(ですよね?)
お久しぶりのVSさんワールド、焼きミカンがおいしそうで食べてみたいです。自転車漕ぎ
発電力計測ってやったことありますが、メチャクチャ報われませんねあれは。なので本作の
のび太とドラはなかなかの体力です。生物親子は地球外生物だから当然なので褒めません。
>>スターダストさん
いやぁ来ると思ってましたよそりゃあもう。つーかこれで来なかったら男失格ですってば。
という最高王道シチュなのに、歓声の一つも上げない姫様ってどうかと。でも、そんなとこ
も彼女の魅力の一つだってのがまた楽し。とか言いつつもこの戦い、もう一波乱ありそう?
オオクワ専門がんばれ!
お前の小説が一番読みやすい
カマイタチ時代到来か。
他のみんなもがんばれ!
『シークレットトレイル必勝の型──…』
男は、早鐘に逸る胸をギリギリと掻きむしりつつ、声がした方を睨みすえた。
その正面……広場の彼方に佇む木の、とある一点が奇怪に変じたのは次のコト。
乾いた木肌が、例えるなら水面のように波紋を広げ、忍者刀が男めがけて射出された。
「ク……エエエッ!」
男は迷うことなく弾いた。驚きよりも怒り、攻撃本能が勝ったらしい。
彼にまだ言葉があれば、唯一の武器を投げた根来の浅はかさを罵っただろう。
だがそれは無知が導く感情だ。
弾かれた刀は木に当たるとずぶりと沈み────
間髪いれず刃先を男に向けて飛び出した。
勢いたるやバネ仕掛けのナイフのごとく。
全くの意識外の攻撃に、男はただ背中を斬られるのみだった。
破れたスーツから醜い垢まみれの皮膚が覗き、朱線から血の雫が垂れる。
『真・鶉隠れ(まこと・うずらがくれ)。速度を上げるぞ』
冷たく、そして乾いた根来の声に操られるように。
木から。地面から。木の根から。
奇怪や奇怪。忍者刀が意思あるごとく縦横無尽に飛びすさる。
翼で暴風雨をしのぐ猛禽のように、男は防御の姿勢をとり必死に耐える。
だが暗い緑の斬線は容赦なく、腕を裂き、腿を斬り、肩口をかすめ髪をそぎ落とす。
千歳はその様を固唾呑みつつ、静かに観察していた。
耳に響くは空裂く刀の不気味な音。周りで吹き荒ぶは剣風乱刃。
しかし千歳はみじろぎもせず状況を観察している。
安全圏というワケではない。
なぜならば、男は千歳のすぐ前にいる。
ナイフを刺そうとした時から一切場所を動いていないのだ。
自然、千歳も真・鶉隠れの射程内にいる。若干回復し、動こうと思えば動けるが……
腕を横に伸ばせば、絹のような手触りの細腕は容赦なく切断されるだろう。
立ち上がれば頭を貫かれ、身をわずかによじるだけでも死の傷が肢体に降り注ぐ。
ともすれば次の瞬間、刀が千歳に刺さる可能性もある。
だが現在の千歳は無事でいる。
単なる偶然がもたらしたのか、はたまた何らかの必然によるのか。
実は千歳、それにすら明確な回答を描いていた。
そして剣風乱刃の煌きを見て、わずかに表情を変えた。
(ペースが変わった? 速度が上がったとかそういうのじゃなくて、まるで増えたような──)
胸中の呟きにハっと視線を切り替えて、思い当たる場所を見た。
すると果たして、彼女の予想は当たっていた。あるべきものが、そこになかった。
千歳は頬を撫でる冷ややかな風を感じながら、根来の周到さに舌を巻いた。
その瞬間、男に劇的な変化が訪れた。
防戦一方では勝てぬと踏んだか、凄まじい叫び声を上げ、前に向かって駆け出した。
全身の出血や右肘の深手を考えれば、一見理に叶っている。
だが現状から逃れればすべてが好転すると考えるのは、浅ましい犯罪者の思考法でしかない。
苦境を与える人間が、安易に逃げを許す筈がないのだ。
むしろ逃げを予期して十重二十重の罠を仕掛けるのが常であり──…
男の背中で例の緑色の稲妻が巻き起こり、スーツとマフラーをまとった上半身がむくむくと出
現した。
顔の半分を、首まで届く前髪で覆い、それ以外の髪を流線形に逆立てた愛想のない風貌は
根来以外の誰であろうか。
亜空間より男の体へと、気づかぬうちに移動していたのだ。
「背中は死角の代名詞! ましてそこより「生えた」者の攻撃は、身をよじろうと回避は不能!」
叫ぶ根来は、逆手で最上段に構えたシークレットトレイルを一気に振り下ろした!
だが!
「クゥゥゥゥゥェエエエエ!!
男は瞬時にナイフを背中へ回し、強引に切り返した!
ただの偶然か怒りに身を焦がす男が生んだ超集中力のたまものか。
根来の額近くを、ナイフの銀閃が猛然と通過する。
皮膚こそ傷つけなかったが、かなりの量の髪が斬られ宙を舞う。
「予想以上に粘る。だが次に仕留めればいいだけのコト────」
根来は軽やかに背中から飛び上がり、男の前へ着地した。そして刀が静かに動いた。
呼応するように男はひきつった苦鳴を上げて、右肘を押さえた。
忍者刀が貫通したそこを無理に捻じ曲げ、根来を攻撃したのが祟っているらしい。
そして男はしばらく震えると、なぜか、腰に向けて左手を軽く動かすのを千歳は見た。
一体どういう意味を持つ行動なのか。
それを見た千歳は、何か自分が大きな見落としをしているように思えた。
千歳が知っていて根来が知らぬ事実を、男が利用しようとしている悪い予感も過ぎる。
根来に加勢したくもあるが、ようやく立ち上がれる程度の千歳ではかえって足手まといにな
るだろう。
(考えるのよ。加勢できなくても考えるコトはできる筈。彼に助言ぐらいは──)
対決の様子を見守る千歳の頭は、再び思考に占められた。
「……行くぞ」
根来が取ったのは刺突(つき)の構え。
忍者刀の切っ先を男に向け、柄を握った右手を脇の後ろに引きつけている。
そして左手を胸の前から回して、柄に添え、右足を軸に左足を大きく前に伸ばしている。
忍者然とした所作だが、まとった着衣がごく普通のスーツである所が面白いといえば面白い。
そして一陣の風が吹き、長いマフラーが首の後ろで、はためいた。
一瞬、広場に冷たい空気が流れた。
張り詰めた緊張の糸。永遠とも思えるにらみ合い。
それを破ったのは怪鳥の叫び声だった。
「クエエェエエ!」
男はナイフを腰溜めに構えて突っ込んだ。
痛んだ腕を攻撃の要とする暴挙にも似た行為、果たして執念がさせているのか。
否。
千歳の頭を走った電撃的な「気付き」が激しく告げた。叫ばせた。
「戦士・根来! ナイフは恐らく囮! その男はまだ武器を隠し持って──…」
千歳の叫びが森に響いたのと、男が予期せぬ行動に出たのはほぼ同時!
まず男はナイフを根来の右肩に投げつけ、電光石火の勢いで左手を腰に伸ばすやいなや
垂れるスーツの下からバールを抜き取った。
むろん、先ほど千歳から奪い取ったものである。先の動きはこの予行。
対する根来の身は、あまりに隙がありすぎた。
ナイフを刺突の構えから無理やり大きく弾き上げ、腕が伸びきる頃には既に、男が目前まで
肉迫していたのだ。
ダメ押しとばかりに男は地を蹴り、無防備なる根来の懐に飛び込んだ。
ナイフを投げたせいで、肘を痛みが支配しているが、男にとってそれは些細なコトだった。
巣の中心に戻れるならば安いコト。まして相手はただの人。
かつて見た魔人に比ぶれば、人間も右腕の痛みも恐るるにまるで足らない障害だ。
だからこそ排す!
執念が溢れに溢れ、目は鳥というより、化けダコのように爛々と光っている。
しかし根来は、顔色一つ変えずに呟いた。
「正気を失いながらも囮を使うとは大した物だ。だが囮に関しては私の方が一枚上手。順序
は入れ替わったが支障はない。でなくば刺突でナイフを弾くまい──…」
一体何の話を彼はしているのか。
「クエエエエエエエ!!」
男は構わず、聞く耳持たず。
ただ満身の力を込めて、横殴りの一撃を叩き込む!!
だが! その足元より更なる伏兵が男を狙い撃った!
千歳の仕業ではない。だがあながち千歳と無関係でもないその伏兵は!
地面に波紋を広げると、既に初速より最高速で飛閃し、そして!
男の右わき腹から肺のすぐ下にかけて一気に貫いた!
「ク…エ?」
不意の激痛に男の肉体が反射的に強張り、攻撃の速度と威力が奪われる。
種々の内臓を貫かれたが故の物悲しき生理反応を、執念が超えられなかった。
「私は行くといったが、正面からとは一切予告していない」
冷ややかに告げる根来の鼻先を、バールが軽く仰いだ。
男は、一歩、二歩と後ずさると、右胸を見た。
現実味のない光景だった。
血の網をまとった薄緑の刀身が天を高々と仰いでいる。
「シークレットトレイル 嵌殺の型。重・竹箆仕置き(かんさつのかた かさね・しっぺいしおき)」
冷然と呟く声に、男は現実に引き戻された。
「由来は古き大竹箆仕置法(※)。とくと、味わえ」
目の前にいるのは、横に向けた忍者刀を、今まさに振りかぶらんとしている根来。
男は再度バールを構えようとしたが、遅かった。
あわれ忍者刀は、既に刺さったそれと重なるがごとく。
男の腹に深々とめりこみ、体内を貫く忍者刀をぐちゃりと動かし、再び激痛をもたらした。
男はそのまま力なく、片膝をついた。
「だが一応峰打ちに留めてある。傷から鑑みるに貴様はホムンクルスでないからな……」
「クエエエェ……?」
男はわき腹から生える刀身と、根来の手にしているシークレットトレイルを交互に見比べて、
訳が分からないという顔をした。
その二つの形状はまるで同じ。一振りだと思っていた忍者刀が二振りもある。
むろん、シークレットトレイルはもとより一振りの武装錬金である。
どこぞの御頭の愛刀のごとく、一つの鞘に二つ納まっているような代物ではない。
ではなぜ、この場において二振りも存在しているのか。
「使わせて貰ったぞ。貴殿の核鉄」
千歳は根来に呼びかけられると、軽く頷いた。
例の「真・鶉隠れ」の時より承知のコトだ。
あの時、千歳が見たのは広場中央だった。
そしてそこに弾き飛ばされた千歳の核鉄は既になかった。
だから確証を得た。
真・鶉隠れで飛び交う刀の数が増えたように見えたのは錯覚ではなく、千歳の核鉄を根来が
発動し、もう一振りのシークレットトレイルを紛らせていたせいだと。
そして根来は男の背中から出現した際に、片方だけを手にして、もう片方を地中に潜めてい
たのだろう。
背中からの一撃の際に使わなかったのは、ごく単純な理由だ。
男の体内に根来が潜んでいる時に、刀を投げては自滅する。
よって、背中から仕留め損ねた場合の保険として潜ませておいたのだろう。
根来の台詞から考えると、地中からの一撃を囮に決定打を入れる手筈だったのだが、それ
が入れ替わったのは、男の予想外の攻撃のせいだったのだろう。
ひょっとすると、千歳の叫びに応じて順序を入れ替えたのかも知れないが、根来はそういう
話題を口に上らせないから、分からない。
ともかく根来はわざと隙を作り、それを囮にしたのだ。
攻撃の意思が根来に向ききり、確実に地中から狙い撃てるその一瞬を作るべく。
男だが、腹に刺さったシークレットトレイルは既に解除され、今は地面で仰向けに寝転がっ
ている。出血は酷いが、命に別状はないというのが根来の見立てだ。
だから彼は、懐から取り出した髪の縄で男を縛り上げた。
シークレットトレイルで作った亜空間に潜り込んでいた所を見ると、根来の髪でできているの
だろう。何とも忍者チックなアイテムを持っているものである。
【解説】もとべ
(※)大竹箆仕置法…
忍者が居住地への侵入者を撃退する為に用いたトラップ。
「箆」とは一般に「ヘラ」と読み、大竹箆とはそのまま、「巨大な竹ヘラ」を指す。
また竹箆については鎌倉時代、禅宗と共に日本に伝来した同名の道具がある。
こちらは座禅に用いる細長い漆塗りの板であり、大寺院においては僧が交代でこれを打つ
役目を務めた。
僧達はこれを竹箆返しと呼び、やがて人々に広まるうちに『やられた事をすぐさまやり返す』
という意味を持つようになり、いつしか「しっぺ返し」に形を変えたと言う。
また、人差し指と中指を揃えて腕を叩くのを「しっぺ」というが、これは揃えた指先を「竹箆」に
見立てているのは言うまでもない。
民明書房刊 「竹箆 〜その脅威のメカニズム〜」より。
書き上げるときはいくつになるか考えずに一気にガーっといきますので、「やべっ今回書き
すぎちまった!」て時は、キリいい所で一拍置くんですが、そのせいで前回ラストが4行という
のはどうにも半端な…… ラストとコメントをまとめた方が1つ浮いたんじゃあないかと。
いえね、浮いたとしてもバキスレの性質上あまり意味ないって分かってるんですが、どうにも。
今回はラストとコメント合わせるとどうしても3つになるのでこういう形になりました。
レス数の話です……
ピリオド読了。紆余曲折はあったけど、綺麗に完結して良かった良かった。
しかし千歳のセーラー服姿はなんだったんだろうか。
>>239さん
ありがとうございます。頑張りますよ。東海大地震が起きない限り。
千歳は描くたび、構想にない言動がホイホイ浮かびますね。森の中で死体を観察する所な
んかがそうです。ただ、頭脳明晰に描こうとすると、自分の頭のレベルがもろに出てしまう訳で……
>>240さん
確かに。実際、千歳が鞭打たれる場面は色々やばかったので、割愛してます。
>>248さん
ありがとうございます。根来はどうにか面目躍如できたかも。
鷲尾はもうちょい暴れた方が良かったんですが、千歳相手だと色々やばく、根来相手だと、
この状況で圧倒するのは無理そうで、バランスが難しいですね。けど、鷲尾のおかげで
構想を無理なく描けそうです。それとですね、彼が原作通りの武器を使えば、根来を圧倒できるとも思ってます。
>>252さん
それに関しては、ちょっとした遊びですねw あと、ネウロキャラを登場させたかったんですが、
犯人の中で掴まらず壊れず逃げおおせたのって鷲尾とXIぐらいだけど、後者はあまりに強すぎて
中ボスには不向き、という理由で鷲尾になりました。しかし、ピリオドでパピヨンの部下の方が復活するとは……
ハイデッカさん
こちらこそ、よろしくお願い致しします。
ええと、語彙は絵でいうなら色のようなもので、たくさんある=いい絵 ではないと自分では
思ってます。水墨画なんかでも、白黒二色で景色に漂う情感をきっちり表現した「いい絵」がありますし。
つまり語彙を尽くせばいい訳じゃないんですが、描くとノってきてああなります。
それがいいかどうかは、読まれる方の判断に委ねる他ないですが。
それはさておき、慶次の包容力には心惹かれています。
ジャンヌに対する自然でいて、格好よい接し方。お見事です。
花の慶次は未読ですが、慶次の言動や所作を見ると、「これなら男が惚れても当然!」と思います。
魔界転生においては、十兵衛のみならず柳生の門人たちも活躍していましたが、性少女風流記では
ベルトランやジヤン、トエンといった護衛の騎士達が柳生の門人にあたるのでしょうか?
千歳に関しては、元ネタの「ネウロの内面描写をほとんど描かず、弥子の目線で話を展開する」
ていう姿勢に沿った結果……落ち着いた性格のせいで、根来より主人公ぽくなってしまってます。
かかる羽目に陥った以上、うしとらみたく、二人が主人公って形式でもいいです。
無理に根来をテコ入れして、からくりみたくなるのもアレですから……
余談ですが、魔界転生での根来忍者の扱いはあまりにひどく、読み進めるたびに
「ああっ! 根来! 根来ぉー! 根来、もういい休め……っ 根来……っ!」と焦り散らしていました。
ふら〜りさん
>最高王道シチュなのに、歓声の一つも上げない姫様ってどうかと
あ。しまった。まったく頭になかったです。せめて、「どうしてここに」ぐらいは言うべきですよね。
なんかもう千歳には。「姫様へ扮したら、ハンマー投げてるクッパの背後に忍び寄り、マリオ
が助かる絶妙のタイミングで例の物体に触ってクッパを溶岩に叩き落しそうな」印象があります。
タダじゃ囚われないですね。きっと。
第四十四話「馬鹿が戦艦でやってくる!」
のび太たちが目を覚ました時、そこは例の島だった。共に帰還した仲間たちと無事を喜び合い、改めてボロボロになった
ロボットたちを眺める。
「夢の中とはいえ、やっぱり受けたダメージは戻ってないか・・・」
「そうだね。でも大丈夫だよ、ぼくの道具があれば、すぐに直せる」
<けどよ・・・ちょっとばかし、不安だな>
マサキがぽつりと漏らした。
<戦いの度にこんだけやられちまって、今まで誰も死んでねえってのははっきり言って奇跡だぜ。もっとこう、パーッと
全員のパワーアップが欲しいところだな。まだまだ敵も残ってるんだしよ>
「確かに・・・えーっと、じゃあ整理してみようか。今まで倒したのと、残ってるのは・・・」
というわけで整理してみたのが↓である。
一段目 ? 二段目 ラウ・ル・クルーゼ 三段目 フェニキア―――済
四段目 アンゴルモア 五段目 ? 六段目 オドローム―――済
七段目 ラクス・クライン―――済 八段目 ムスカ 九段目 キバヤシ―――済
十段目 ヤムチャ―――済 十一段目 ウルトラ・スーパー・デラックスマン
十二段目 ?(アミバだがのび太たちは知らない) 十三段目 シュウ=シラカワ
「うっわあ・・・何て言うか、まだ半分以上残ってるってのが、気が滅入るよね・・・大体十三人って多すぎだよ。精々
四天王くらいに収めればいいのにさ」
亜沙が呆れた声を出す。
「しかも残ってるのは、分かってるだけでシュウやらUSDマンやら・・・手強い奴ばかりですよ」
「確かに、今の戦力だとかなり辛いものがあるね・・・」
ペコもキラも顔を引き締めている。これからの前途多難さを感じ取っているのだ。
―――と。
「おい―――何だ、ありゃあ!?」
ムウが空の方に声を上げる。それにつられて空中を見上げると―――
「な・・・あれは・・・!」
―――この島に向けて、一直線に降りてくる巨大な影。その形は、まるで・・・。
「せ・・・戦艦・・・!?」
「まさか、敵!?くそっ、こんな時に!」
慌てふためく一行―――しかし、その戦艦の様子がおかしいことに気付いた。戦艦は、こちらに向かって進んでいるという
よりも、こちらに向かって落ちてくるような―――そう、分かりやすく言えば墜落しているのだ。
ちなみに、その戦艦の真下に、ドラ一行はいる。
「に・・・逃げろーーーーーーっ!」
誰の声かも分からないが、とにかく全速で艦の落下地点から離れる。ややあって―――轟音と地響きと共に、戦艦が不時着した。
「ひ・・・ひええ・・・危うく死ぬところだったよ・・・」
のび太は呟きながら冷や汗を拭う。
「それにしても―――この戦艦は、一体・・・」
その時だった。戦艦から声が聞こえてきたのだ。どうやら外部スピーカーが入りっぱなしだったらしい。
『ふむ。僕としたことが、ちょっと大気圏突入角度を間違えたようだな』
『嘘をつくな!ちゃんと聞こえてたぞ!<ちょっと角度を2〜3度ずらしたらどうなるかな・・・試してみたいな・・・>とか
何とか言ってたのが!わざとだろ!?わざとやったんだろ!?ええ、このバカが!』
『クラフト隊長、落ち着いてください!今あなたが平静を失ったら終わりです!ここは耐えてください!』
―――どうやら向こうは向こうで複雑らしかった。
「・・・敵・・・かなあ?」
「そうは見えないよね・・・」
と、その時、更にもう一人の声が聞こえた。
『・・・キラ!お前・・・キラじゃないのか!?それに・・・リルルも!』
「え・・・!」
「そんな・・・この声って・・・!」
突然声をかけられたキラとリルルは困惑する。何故この戦艦の組員であろう人間が、自分たちのことを知っているのか―――
いや、そうではない。聞こえてきた声は、自分たちのよく知る男の声だったのだ。そう、その声は―――
『俺だ!アスランだ!ちょっと待ってろ、すぐに出て行く!』
「アスラン・・・本当に、アスラン、なの・・・?」
キラはふらふらと戦艦に近づく。それをのび太たちは慌てて止めた。
「ちょ、ちょっと待ってよ、キラ!罠かもしれないのに・・・」
「のび太・・・けど、あれは・・・あれは、確かにアスランの声だ!聞き間違うはずがない!」
温和なキラが、珍しく声を荒げているのにのび太たちはびっくりした。それだけで、キラにとってアスランがどれだけ
大切な存在なのか分かった。
「けど、せめて相手の正体が分かるまでは・・・」
そうこう言い争っていると、戦艦の入り口が開き、一人の男が姿を見せた。
端整で精悍な顔立ち。強く引き結ばれた口元。ちょっとヤバイ生え際。
それは―――紛れもなく―――
「アス・・・ラン・・・」
キラは搾り出すような声で、やっとそれだけ言った。メカトピアで自分たちをかばって、生死すら分からなかった親友。
片時も忘れることなどなかった。その彼が、手を伸ばせば届くくらい、近くにいる―――
とん、と背中を押された。リルルだ。<行きなさい>と、その優しい瞳が語っていた。それをきっかけに、ゆっくりと
歩を進めていく。アスランも表情を緩めて、キラに近づいていく。
そして、二人は向かい合った。
「アスラン・・・無事だったんだね」
アスランはそれに、ふっと笑って答える。
「何て言ったらいいのか・・・また、こうして会えるなんて・・・!」
言葉が上手く出てこない。もっとたくさん、話さなければならないことがあるのに―――
そんなキラに対して、アスランは―――
「いいい・・・いやっほーい!」
喜びを表すためか、上品とは言いかねる歓声を上げた。両手は高々と天に掲げられている。
「ついに読者が待ち望んだ感動のアスキラ再会!腐女子の皆さんも大喜びじゃないか!」
「・・・へ?」
―――これまでの感動をぶち壊す発言がなされちまったのであった・・・。
「ア・・・アスラン・・・?」
いきなりハイテンションなアスランに、キラは呆然とする。同じく彼をよく知るリルルも、愕然としていた。
「おいおいどうしたキラ。折角の親友との再会というのに、そんなつれない態度じゃ寂しいじゃないか!・・・ん?」
アスランはそこで、周りでポカーンと見ているのび太たちに気付いた。
「キラ。あそこにいるBOYS&GIRLSは仲間なのか?」
「う、うん、随分助けられたんだ・・・」
「おお、そうか!キラとリルルが世話になったようだな!」
そしてアスランはビシッ!と指を立てた。
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ビシッ {ハ::::::::::::::ト、゙、,゙ _ ノ"´ _ ク'ノ::::ノ:::::::|
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./ -─'''''''‐く |/ |:::::::::::r`i`ヽ、 \__/ , ィ"i、::::|゙i:::! '
| _,,,,,__ノ ` !.ハ:/ ゙.| `ヽ、.__,. '´l`ー、|ヽ::! !,!'
| ) '´ / ヽ l ヽ`!' リ
'、 ─--r' ̄ ̄ ̄/ ,.-、i | ,r-、ヽ__
. \,,__,,ノ,| / / ヾ, ,!/ ヽ.ヽ`` ー-、 _
「俺はアスラン"ハンサムボーイ"ザラどぇーーーっす!みんな、ヨロピクゥ!
GO・KI・GE・N・YO!」
「・・・・・・・・・・・・」
恐ろしく寒い風が駆け抜けた。それを察したのか、アスランは慌ててフォローした。
「やー、すまないすまない。番外編以来久々のようやくの出番だからザラちょっと興奮しちゃったのね。いかんいかん。
テヘッ!こんなお茶目なアスラン"ミラクルくん"ザラをこれからもよろしく!」
―――更に墓穴を掘るアスランだった。
「キ・・・キラ、本当にこの人がアスランなの?何だか、聞いてた話と大分印象が違うんだけど・・・」
「そ・・・そうだ!一体どうしちゃったの、アスラン!何でそんな可哀想な人に・・・」
キラも明らかに動揺してアスランの肩を揺すって尋ねる。そりゃあ自分の親友が安否不明で、やっと会えたと思ったら、
こんなバカキャラに成り果てていたら、誰だって動揺するだろう。しかし、アスランは
「おいおいマイブラザー・キラ!あまり乱暴なスキンシップは困るじゃないか!」
と、全く要領を得ない―――と。
「そこからは僕が説明しよう」
アスランの背後から声が聞こえた。そこには、一人の青年が立っている。
―――そう、宇宙最高の頭脳の持ち主にして宇宙最悪の人格の持ち主、バカ王子であった・・・。
投下完了。前回は
>>152より。
感動の再会シーンを台無しにしてしまったアスランの明日はどっちだ!?
>>221 かなり適当な紹介なんで・・・w 間違ってる部分もあるかもしれません(多分ある)
>>226 >>229に書いた通り。原作と違う部分は、オリジナル要素と見てください。
>>227 さすがにZ戦士には勝てない気もしますが・・・
やはり、このアスランは糞笑えるw
種は徹底的にギャグとして使い潰そうという姿勢が好きだ
原作は大嫌いだけど、こっちのアスキラは好感が持てる
はいはいサマササマサ
scene16 兵藤和尊【ニ】
「ホッホッ、ホッ……!」
モニターの前。兵藤が、膝を叩いて笑い転げる。
「ようやく気付きおったか……この『殺人ゲーム』に……!」
「殺人、ゲーム……ですか?」
右に控える黒服が、引き攣った愛想笑いを顔に貼り付かせながら問う。
「そうっ……それも、ただの殺人ゲームではないっ……」
悪趣味な微笑を浮かべながら、兵藤は顎鬚を撫でさする。
「帝愛内部に巣食う癌細胞……それらへの制裁も兼ねたゲーム……!
それは例えば、多額の横領であったり……謀反であったり……
中には、公安……『チヨダ』部隊と接触し……情報をリークしておる裏切り者までおるっ……!
本ゲームでは、それらの……多大な損失を伴う、帝愛への反逆行為に関係した者たちを厳選し……集めた……!
直接関わっておる不届き者から……ただ、その家族、関係者だというだけの理由で招待した者……
更には、ワシの趣味で選んだ人間など……色々ではあるが……!
毎回、地下送りにばかりするのも……利益はあるが、芸はない……
たまには、こんな凝った趣向もよかろう……ククク!」
兵藤の趣味による人選……それこそが、帝愛グループと
組織的な繋がりはまったくの皆無である伊藤開司や
一度地下送りとなった一条の参加理由なのだろう。そう黒服は思った。
「し、しかし、これはあまりにも、大規模な……」
左の黒服が言葉を濁す。彼の憂慮も、無理からぬことではあった。
今回は、参加者に無駄な不安を抱かせぬようにとの配慮もあり
帝愛グループの名前をそのまま使い、堂々と招待状まで出している。
そして、参加者たちも、エスポワールのケースのように
行方不明となっても何ら不自然でない立場に置かれている……所謂、多重債務者という訳ではない。
彼ら、莫大な借金を背負っている人間は、大抵何処にも身寄りがないか、絶縁状態。
姿を消したとしても、捜索願いを出す者などまずいないし
仮に出されたとしても、警察の捜査は書類上だけのものだけに留まる。
そういった類の人間は、借金取りから逃げる内、身も心も擦り切れてしまい
どこかの街の片隅で、襤褸切れのように生き長らえているか……
とっくに、富士の樹海で首でも括り、無縁仏として埋葬されている……
そのあたりは、警察としても百も承知の上なのだ。
しかし、今回『消える』のは、表向き平和な日常を営む一般市民だ。
いかに、被害者やその親族に帝愛との裏の繋がり――後ろ暗い事情があったにせよ
連続殺人をプロデュースするような、常軌を逸した今回の企画……
合法、非合法問わず、各方面に太いパイプを持つ帝愛グループとて、隠蔽工作は至難の業……!
「心配は無用だ。その為に我々がいる。このゲームのゴミ掃除役としてな」
黒服の心を読んだかのように、黙っていたジンが言葉を発した。
彼の言うゴミとは即ち、血と肉がたっぷりと詰まった袋――死体を指しているのだろう。
その、何の迷いも無い眼差しに、黒服は心臓を射抜かれるような恐怖を覚えた。
「お手並み拝見と行くとしよう。この場に雁首揃えておる凡愚共の中では、君に一番期待しておるのだから……」
兵藤はモニタに映るカイジを見つめ、心底嬉しそうに目を細めた。
「さあカイジくん、早く犯人を告発し、身柄を確保せんと大変だぞ……?
そのまま安穏としておれば……待っているのは破滅……全員死亡……!!」
scene17 伊藤開司【九】
「そ、そんなバカなこと……許される道理がないっ……!
即刻中止……! 警察に通報すべきです……!」
只野が、興奮気味に腕を振り回しながら力説する。
「おい、待てよ。この催し自体、刑法に触れる……非合法の賭博行為だろうが。
警察に通報なんかしてみろ、賞金そのものが流れちまう……!」
そう言ったのは『NO.7 旗元太』だった。
三十代前半くらいだろうか。ヤクザ紛いの乱暴な口調とは裏腹に
中肉中背で、特に目立った特徴も無い、見た目温和そうな普通の男である。
修羅場慣れしているようにはとても見えないのだが
その目つきからは、狂気の沙汰とも思える気迫が感じられた。
「刑法第百八十五条。賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する……だな」
まるで他人事のような口調で、小此木が言う。
「お金なんて……お金なんてもういらない! 死んだら全部おしまいなんですっ、死んだら……!」
「ちょ……! 待てコラッ……!!」
旗元の静止を無視して、只野はホールに置かれた電話機に噛り付くようにして駆け寄った。
震える指でボタンをプッシュし、受話器を耳にあてる。
「駄目……駄目だっ……応答が無い……!」
只野は、がっくりと肩を落とした――かと思うとすぐに
「あっ!」と大声をあげ、懐から携帯電話を取り出して
先ほどと同じようにボタンをプッシュする。しかし――
「なんでっ……! なんでっ……! エリア内のはずなのに、通じないっ……!?」
親に玩具をねだる駄々っ子のように、どんどんと床を踏み鳴らす。
「多分、SILENTか何かによるジャミングだと思います。私の携帯も昨日から……ほら、この通り」
そう言って、夕凪は小さなマスコットが沢山ついた携帯電話を取り出し、液晶画面を開いて見せた。
「ふん、ざまあない。そもそも、こんなに手間暇かけて、殺人ゲームを主催するような奴等が
外部との連絡手段を残しておくなんて手落ちをやらかすなど、あるわけがない。わかりきったことだ」
取り乱す只野を、旗元が嘲る。
『わかりきっていた』のなら、電話をかけようとする只野を止めなくてもよかったのではないか……?
カイジはそう思ったが、あえて口には出さなかった。
この緊迫した状況下では、油の中に火種を投げつけるようなものだ。
「それより――」
そんなカイジの気遣いを知ってか知らずか、旗元がカイジに話を振ってきた。
「死んでいた香坂まどかが持っていた封筒は……? 今、どこにある!?」
噛み付きそうな剣幕で、旗元がカイジに詰め寄る。
「あ、ああ……それなら、俺が持ってるが……」
カイジが、ポケットから封筒を取り出し、旗元に見せる。
香坂まどかの死体を目撃してすぐに人集めに奔走したため、持ったままになっていたものだ。
「よこせっ……! 念の為、ロールを確認したい……!」
旗元はカイジから封筒をひったくるようにして奪うと、封を破いた。
「おいおい、アウツだぜ、おっさん……!
頭に血が上って、案内人が解説してた、ゲームのルール忘れちまったのか?
他人の封筒を勝手に開けた奴は、即刻失格……ゲームオーバー……!」
小此木が、にやにや笑いながら言う。と、旗元が即座に反論を返した。
「バカ……! バカを言うな……!
何かに使えるんじゃないかと、そう思って……
俺はあの演説……小型レコーダーに録音してとっておいた……!
故に……一字一句違わず、記憶している……
『賞金を獲得する権利のある他人の封筒を勝手に開封した方も、即刻失格となります。くれぐれもご注意を』
わかるか……!? 死人に、賞金を獲得する権利はないっ……!
セーフだ……この開封……セーフッ……!」
「ふん、そうかい。殺されずして一人脱落かと思ったのに……つまんねーの」
小此木はチッ、と舌打ちして、そっぽを向いた。
旗元は見向きもせず、封筒の中身をテーブルに落とす。
太陽光で透かしたり、特殊な薬液で中を覗き見られる事を避ける為なのだろう。
まるでマトリョーシカのように、破いた封筒の中に、また封筒が入っていた。
それも破ってしまうと、ようやく、プラスティック製の簡素なカードが姿を見せる。
カードにはシャーロック・ホームズを模したと思われる、帽子にパイプを咥えたシルエットが印刷されていた。
「やはり、detective――探偵ですね」
黒川が、シルエットの下に書かれた文字を読み上げる。
「そうだ!」
突然、テーブルを叩き、只野が叫んだ。
「まったく……今度は何なのかな」
笠間は、やや呆れ気味の視線を向ける。
「今から全員で、封筒を開封、カードを公開しましょう……! そうすれば、助かる……!」
「冗談じゃない! 俺は降りないぞ、絶対に!」
旗元が怒鳴る。黒川が、両者を諌めるように両手を広げた。
「只野さん、少し落ち着きましょう。メッセージカードに『投了は死を意味する』と書いてあったでしょう?
全員がカードを開封して、犯人を炙り出すことに成功した……だからと言って、どうなりますか」
「ま、まさか……」
只野は、言葉に詰まる。黒川もまた、その先を語るのを躊躇っているようだった。
「メッセージカードの文面を見るに……
投了が、自分で自分の封筒を開封する行為を指す事は明白……!
全員で協力して、犯人を炙り出した所で
犯人に殺されるか、ゲーム終了後に帝愛の手の者に殺されるか……!
残念ながら、それだけの差しかないだろう……
結局、投了は、ゲーム終了時刻まで犯人から逃げ切り
助かる可能性すら潰してしまう……!」
カイジが黒川の代わりに、結論を口にした。
拒否権なし……! それは、あまりに残酷な現実……!
「そんなっ、そんなああ!」
只野は頭を掻き毟り、テーブルにガンガンと頭をぶつける。
「……ひどい」
呟くように言って、双葉は瞳を潤ませた。
「生き残るには、奴等の仕掛けたデスゲームに乗るしかない。癪に障るが、それしかないんだ……!」
「カイジさんの言う通りです。こうなってしまった以上、この状況を受け入れて……
ゲームのルールが許す範囲内で、前向きな対処法を検討して行く方がいいでしょうね」
カイジが纏め、黒川も、それに同意するように頷いた。
毎度ありがとうございます。前回投稿は
>>210です。
・犯人
犯人は決まっております。
流石に後付けだと意味のわからない事になってしまいますので。
・ゲームへの姿勢
もしかすると皆、予想よりも逃げ腰かもしれません……
推理バトル、みたいなノリも熱くて好きなのですが。
>287
見てた人乙です。
描写うまいっすねー!少しずつキャラわけがされてきていい感じです
今後の展開に期待しております!
289 :
作者の都合により名無しです:2006/01/17(火) 20:16:08 ID:FgH2YNIn0
なんか今日やたら来てますなw
>ネゴロ
千歳、自分を客観的に見ることの掛けては本当に天才的ですな
しかし根来は主人公だけあって流石に強く、また冷静ですね。
憎々しくもあるような余裕です。隙そのものが罠ですか。
>超機神
アスランと馬鹿王子ですか。考えうる最悪の組み合わせですなw
しかし前回からまた変わりましたね作調が。
しばらくはコメディー路線かな?馬鹿王子でシリアスは厳しいかw
>カマイタチ
『チヨダ』部隊?あの兵藤すら一目置いてそうな公安の連中、
今後絡んでくるんでしょうか。伏線たっぷりですな。
電話が繋がらない所がいよいよ外界との遮断を感じさせますなあ。
一行感想でスマン
>ハイデッカ氏
ジャンヌ完全に萌えキャラですね。姫を守る騎士っぽい慶次が素敵
>スターダスト氏
根来、やはり只者じゃないですね。千歳も忍みたいに冷静でかっこいい
>サマサ氏
アスラン、見事な笑顔ですねwバカ王子とのコンビは敵より怖いかもw
>見てた人氏
犯人に襲われるだけでなく、キャラ同士の諍いからの殺人もあるかも…。
感想書くのは難しい。ふら〜りさんは凄いな。
いつもIQ低そうなのは演技で、実は頭良いのかも。
ネゴロの解説と、スターダストさんの無駄に凝った後書きが好きだw
もちろん本文も。
ようやくカイジがゲームに乗る覚悟決めたみたいで、確変モードも近いか?
その内、チームが出来たり、その仲間内で醜い争いが起きたりと色々考えられますな。
私の予想と期待を上回る展開を待っております。
翌朝、加藤はとある洞穴で目を覚ます。
「ここは……?」
体を起こすと、ドッポが横で眠っている。
「あっ、ドッポが連れてきてくれたのか。ったく、また世話をかけたか……」
ドッポに対して後ろめたさを覚えながら、髪をかき回す加藤。辺りを見まわすと、若干、
光が差し込む出口があった。顔を出してみる。
すると、この洞穴は木の根元にあることが分かった。地中にあった根が奇妙な成長をし、
上手い具合に空洞ができているのだ。
「へぇ〜すげぇな、こりゃ」加藤は感心しながら、ちょうど洞穴を支える柱の役割を担っ
ている根を、ぽんぽんと叩く。
その時、不意に立ちくらみが生じた。膝と手とが、地に衝突する。
「や、やっぱ血が足りねぇ……」心なしか、視界が昨日よりもぼやける。「あとタンパク
質か。肉が食いてぇ……」
浜辺にも、同様に朝は訪れる。小型戦艦から砂浜へと降り立ったリーダー。サブマシン
ガンを小脇に抱え、ジャングルを見据える。
「一晩経っても音沙汰がなかった。やはり、あいつらは全滅させられたようだな」
朝一番となる煙草を吸い、さして短くなっていないうちに投げ捨てる。
「よし行くか。軍神に恥をかかせることは、あってはならぬ」
ついにリーダーが始動する。
一方、まだリーダーが控えているなどとは知らぬ加藤は、朝食を調達に出ていた。
足がいちいち命令に逆らう。景色は幾度も、断続的に暗転する。加藤は失神寸前であっ
た。
「くそっ、くらくらしやがる」
膝が急にガクッと抜ける。よろよろと、そばにある木に寄りかかる加藤。
「くっそぉ、こんなとこで死ねっかよッ!」
平手で己を打ちつけるが、けだるさが取れない。
悔しかった。力及ばず、命を落とそうとしていることが悔しいわけではない。少なくと
も彼が知っている武者──独歩や刃牙らトップファイターは、どんなに傷ついても戦って
死ぬはずだ。しかし今、加藤は戦わずして朽ち果てようとしている。
「はぁっ、はぁっ。ちくしょう……!」
いくら心を奮い立たせても、肉体までは届かない。
「──まだだ。俺は、なんとしても強くならなきゃならねぇんだよッ!」
「いや、君はここまでだ」
突然の、新たな危機をもたらす声。はっと振り返ると、十メートルほど先にサブマシン
ガンをこちらに向けた大男が立っていた。
「てめぇは……?」
迷彩色に染まった服装からして、昨日倒した一味の残党だということは分かりきってい
る。が、加藤はあえて尋ねた。どうせならば、少しでも疑問を取り除いてから死にたかっ
たからだ。
また、加藤はほっとしてもいた。十中八九、これから自分はサブマシンガンによって殺
害される。あのまま安らかに息を引き取るよりも、ずっと良い。
「先日、君が倒した者たちの親玉だ」
非常に分かりやすい答えが戻ってきた。
そういえば、昨日倒した青年は「報告すれば」といっていた。思えばあの時、報告すべ
き相手、すなわち彼らの上に君臨する人間がいると気づくべきであった。気づいていれば、
もう少し(ダメージを抑える)利口な戦い方もできていたかもしれないのに。もっとも今
さら悔いたところで、体が元に戻るはずもない。投げやりに加藤が呟く。
「ちっ。殺してくれや、もう突きひとつ出せやしねぇ」
「……もう少し、手応えある戦を期待していたのだがな」リーダーはため息をつく。「だ
が、任務は絶対。今すぐ死んでもらう」
一切のためらいすらなく、リーダーは引き金を指で押す。
──が、弾丸は加藤には一発も命中しなかった。
当たらなかったのは何故か、この疑問を晴らすことはたやすい。リーダーとターゲット
との間に割って入った、たった一匹の虎。原因はそれだけであった。
「ド、ドッポォオォォッ!」
目の前で熱き血に塗れて無残に崩れ落ちた相棒に、瞬時に駆け寄る加藤。
一方、リーダー。彼にとっても意外な展開だったのか、目を丸くしている。が、むろん
加藤に照準を合わせることは忘れない。
「てめぇ、なにやってやがんだッ! しっかりしろッ!」
しっかりしろ、とはいうものの加藤には冷酷なほど正確に分かりきっていた。もう助か
らない。命を賭した相棒に対面してなお、平常心を失わぬ自らの心に潜む中核を、加藤は
憎んだ。
「待てよ、死ぬんじゃねぇぞ。死ぬなァッ!」
この悲痛な叫びに応えるよう、ドッポが口を開く。
「ガ……、アア、ウ……」
「おぉっ、ドッポ! 大丈夫だったか?!」
分析に反して実際は傷が浅かったのだろうか──内心、ほっとする加藤。
「ウ、オオウ……」
ドッポは呻きながら、前脚を動かす。
「え……?」
前脚が加藤の顔面を、ドッポの肉体に押しつける。獣にある独特の臭いが鼻につく。
「な、なにがしたいんだ。おまえ」
加藤が戸惑っていると、次にドッポは牙を噛み合わせてカチカチと鳴らし始めた。初め
は訝しげに見つめるだけだった加藤だが、突如脳内に雷光が瞬く。
「まさか──」加藤は全てを察した。「おめぇを……喰えってことか?」
牙を鳴らしながら、自らの肉をほじくり出す仕草をするドッポ。慌てて加藤が制止する。
「冗談だよな、おい」
笑いという単語から、ネジを一本取り除いたような屈折した笑みをこぼす加藤。
もう声も動作も返ってこない。ドッポは息絶えていた。
「ドッポ」
「ウォオォオオォオォォォオォッ!」
大粒の涙を頬に走らせながら、加藤は吼えた。吼えて、吼えて、吼えまくった。
慟哭とともに、ドッポを喰らった。喰らって、喰らって、喰らいまくった。
不味い。撃たれたといっても、ほとんどが生肉。噛むたびに生ぬるい血が、口中に染み
渡る。血管と神経が複雑に絡み合った肉が、三十二本ある永久歯と差し歯によってズタズ
タに砕かれ、胃袋へと運び込まれる。
三分後、彼の体内はドッポで満たされていた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ。……ドッポ」
地面にはドッポが散乱していた。
体皮は乱暴に手術(オペ)をすればこうなるのではないか、といった具合にこじ開けら
れている。飛び散った肉と内臓は、土をも変色させるほど。
体中に力がみなぎる。
ドッポを喰らったといっても、彼に含まれた栄養価が効力を発揮するにはいささか早す
ぎる。ならば何故、こうも心身が充実しているのか。
「あァ……これが“友情”ってやつなのかもしれねぇな」と、半ば悟ったように呟く加藤。
ずっと彼から目を離していなかったリーダーにも、異変は嫌でも感じ取れた。相対する
敵は、明らかに格(ランク)が上がっている。
「おまえ、なにをした……?」
敵が持つ射程外から、銃を構えるリーダー。絶対的優位に立っているはずの彼から発せ
られる声は、心なしか震えていた。
「友の肉を、食った、だけだ」
加藤は答えた。恐ろしいほどに淡々とした口調で、かつ確固たる執念がこもった語調で。
九日目開始。
うんこSSに感想くれた方、ありがとうございました。
いずれヘビー級も書きます。
>>荘厳なる龍氏
ポポがアレの考察に耽る姿と、アレを弄ぶ姿を想像してやられてしまいました。
おー、久々のやさぐれ獅子だ。
肉を喰らうのは究極の愛情表現だと聞いた事があリますが、まさにそんなシーンですな。
てか加藤が食事している3分間、ずっとリーダーは待ってたのか。。いい奴だ。
>いずれヘビー級も書きます。
ヘビーは壊されそうなのでちと勘弁願いたいな、と。
301 :
作者の都合により名無しです:2006/01/18(水) 13:43:30 ID:0mt8kz4p0
加藤、野生化しながらも人間味溢れる奴になってますな。
手段は友を食べるという方法ですが、心身ともに激レベルアップしてる気が。
ヘビー級ですか!ミドル級くらいで勘弁してw
>カマイタチ
前回はちょっと少なめでしたが今回は量も多く、内容はいつも通り濃く満足しております。
色々な側面を持ったSSですな。クライム、ホラー、サバイバル、推理…。
そろそろ恐怖も本番といったところですね。誰が犯人で誰が生き延びれるのか?
>やさぐれ獅子
久し振りの本業ですね。サナダさんの場合、副業のうんこに力入れすぎだからw
加藤のパワーアップイベントですね。悲しい別れ。男は困難を乗り越える度に
強くなりますね。うんこともどもw期待してます。
チノモンは大地の存在に気づくと飛び跳ねながらこっちへ寄って来た。
大地はチロモンをかかえ、抱きしめた。なんとも無邪気な笑顔だ。
スベスベしていて、柔らかい。多分、フカフカの枕くらい。
「ヒイジジモンはこの子の言葉分かるの?」
「うむ、ワシに限らずデジモンは誰でも理解できるのじゃよ」
大地はチロモンを見てこの出会いに運命的なものを感じていた。
大地の世界で放送されていたデジモンのアニメと出会いのシーンが
見事にかぶっているからである。
もう一度チノモンの顔を見て、ヒイジジモンに言った。
「あの・・・俺がこの子を育ててもいいですか?」
「別に構わんが、お主にできるのか?」
予想以上にアッサリと返ってきた返事をすぐに理解できなかった。
「お〜い、できるのか?と聞いておるんじゃ」
「―――!でっできます!絶対ちゃんと育てます!!」
すると、玄関のほうから慌しい、機械音が聞こえてきた。
ガシャン、ウィン。ガシャン、ウィンと。
その音はどんどん近づいて、この部屋へと入ってきた。
それはヒイジジモンが呼んだガードロモン。レベルWだ。と、一緒にチビのデジモン達も。
全身を茶色の分厚い鉄板でおおった、ロボット型のデジモンで、手には一つの鍋が。
「オ待タセイタシマシタ。離乳食ノ準備ニ手間取ッテシマッテ・・・」
日本語に慣れない外人が話すようなカタコト言葉で礼儀正しいな感じが伺える。
ガードロモンは小さく切った肉が入った乳白色のスープをチノモンに飲ませた。
「オヤ、コノ方ハ・・・?」
ヒイジジモンは簡単に大地のことを説明した。いきなりここに現れた他世界の生き物、と。
「大地よ、お主どうせ帰るアテがないのじゃろ?見つかるまでの間ここに住んでもええぞ」
「いいんですか?」
大地も住む場所などまだ考えてなかったが、
雰囲気的にここに泊めてもらえそうな感じはしていた。結局、その通りになった。
その後は、チノモンも混ぜてチビデジモン達とサッカーのようなボール遊びをした。
ゴールは無く、ただボールの奪い合い。球技が苦手なので、実力はほぼ均衡していた。
ガードロモンは小屋の裏で畑仕事をしている。
デジモンの食糧は肉とキノコと草、そして水しか無いらしい。
ちなみに、畑で採れるのは肉。どうやら食用骨を埋めておくと、育って肉がつくらしい。
キノコは鉄板からしか生えないらしいし、草は毒性のものは無い。実に不思議だ。
デジモンの世界に来た大地の記念すべき初日は笑顔の絶えない、最高の一日になった。
翌日の早朝のことだった。チノモンは眩い光に包まれ、テュオモンへと進化した。
同時にボタモンはピンク色のコロモンへ、ポヨモンは耳が翼のパタモンへ、
ツノモンは、ガルルモンの毛皮を被ったガブモンへ、チビモンはその姿をそのまま大きくしたブイモンへと進化した。幼年期、レベルの低いデジモンほど進化スピードは速いらしい。
さらに3日後、大地がここの生活に慣れ始めた時
レベルVの小型恐竜タイプ、足の発達が目立つグルモンへと進化した。
デジモンはこの段階に来て初めてまともに戦える状態になる。
グルモンは大地は前々から言葉を教え続けたせいか、達者に喋る。
性格が十分わかるくらい。ヤンチャで前向きな性格だ。
そして、大地はこの数日間考え続けていた事を打ち明けた。
「ヒイジジモン、俺・・・グルモンとこの世界を一緒に冒険したい」
ヒイジジモンは一瞬、繭をピクッと動いた。
前々から外に出るのは危険だと言われていたが、それでも知りたかった。
もっと、もっとデジモンについて知りたかった。
無言で背を向け、部屋にある絵画を眺めている。
大地はもどかしい気持ちを抑え、ジッと返事を待った。
「・・・ワシはここで育ったデジモン達が巣立つのを泊めたことは無い。
お前も例外じゃあない。出て行きたいと思うなら、そうすればいい」
「ありがとうございます!」
グルモンと大地は互いに手をとって、喜びを分かち合った。
ヒイジジモンは傍にあったノートを開いた。
そこには今まで生まれたデジモンの名前がズラリと書いてある。
もう、白紙は数ページしかない。
ヒイジジモンはペンをとってグルモンと大地の名前を書いた。
大地は人間では無いが、ここで生活を共にした家族であると認めた証拠だ。
翌朝、大地は一番に目を覚ましガードロモンに用意してもらったリュックを背負った。
中には食糧、救急セット、地図、コンパスが入っている。
一同は外に集まり、大地とグルモンを暖かく見送る。
その光景は初めて大地がこの世界に時のように、彼を囲んで。
たった、数日間一緒に過ごしたのに家族以上の暖かさを感じることが不思議だった。
10年間の人生よりも密度の濃い生活――――
大地はみんなに軽く会釈をして町を出る通路へ向かおうとした時、
ヒイジジモンが声をかけた。
「辛くなったり、寂しくなったらいつでもここに返ってこい」
その言葉を笑顔で返すと、改めて別れの挨拶として大きく手を振った。
みんな、手を振り替えしてくれた。
見えなくなるまで、ずっと、ずっと手を振り続けてくれた。大地も振り続けた。
大地が門を潜った先、そこに広がる世界を飲み込むように大きく息を吸い、吐いた。
「グルモン、行こう!」
「おうよ!」
二人は門を潜り、走り出した。
最近、電車内で痴漢の場面に出くわしました。
驚いている合間に捕まっちゃったんですが、身近にそういう人がいるのは
驚きですね・・・。痴漢を捕まえた人、カッコよかったです。
あと、コタツに入ると受験勉強が捗らないのでやめました。机が一番。
>>208さん
そうですね。ここで小説書いてて落ちた、なんてことは嫌なんで・・・
2月中旬までは更新は控えます。(ひょっとしたら書くかも)
>>262さん
ストーリーは書き始めから完成しているんですが、
長編と短編の境目くらいの際どい長さになりそうです・・・。
描写のお褒めの言葉もうれしい限りです。
次回から戦闘開始です。テンポよく進んで行きたいです。
307 :
作者の都合により名無しです:2006/01/18(水) 20:13:04 ID:wR0M6UNa0
お疲れ様ですチロルさん。
展開が少し遅い、とえらそうに書きましたけどw
旅立ちの前のプロローグだったんですね。
これからの大冒険期待してます。バトルもね。
受験勉強の息抜き程度にしてね、書くのは。受かるまで。
308 :
ふら〜り:2006/01/18(水) 23:52:06 ID:6aYdlPTc0
>>スターダストさん
張り巡らせた策に見事相手をハメ、これだけ一方的に勝利したのに、全く全然「ニヤリ」
としないところが根来って男ですな。千歳、参戦はしないけど根来の役に立ったのが絶妙。
ここは大人しく護られヒロインすべき、でもそれだけでは千歳らしくなく……お見事っ!
>>サマサさん
気持ちいいくらいにはっちゃけてますアスラン。でも敵の強大さを再確認して眉間にシワ
寄せてた一行の重い空気を、一気に吹き飛ばしてくれて。ムードメーカーってやつですな
これは。こういう男が終盤、ちらっとシリアス顔見せてくれるともぉ燃え萌えなんですが。
>>見てた人さん
今のところ、「明らかに殺されそうな、臆病で思慮の足りないザコ」が見当たりませんね。
私だったらルール説明を録音するという発想も、あの文面から「死人のならOK」という
解釈を導き出すのも絶対無理です。敵に回すと恐ろしい連中たちの中、どうなるカイジ?
>>サナダムシさん
今回分の冒頭を読み進めていた時から、もしや? まさか? と思ってはいましたが的中。
逆に外れたのは、加藤が殆ど躊躇わなかったこと……これが彼なりの友情表現でしょうか。
唇や顎を筆頭に、ドッポの血に塗れている今の加藤の姿、形相も含めて真剣に怖いです。
>>チロルさん
大地、発想や言動がいかにも冒険に憧れる少年っぽくて可愛いなぁ。直前が↑だったから、
デジモンが肉を食べると聞き「むっ」となったんですが、畑で採れるってオイ。そこまで
メルヘンかこの世界っ。層の厚い当スレでも、なかなか稀有なこの雰囲気、心地よいです。
>>最近ずっとそうですが、今回は特に実感
パズルで頭を使い、アスレチックで汗をかき、甘いお菓子を食べ、渋い茶を啜る。
なんだかそんな気分です。作風がいろんな方向に豊かだから、飽きないことこの上なし。
しかもみんなレベル高くて……こんなに隅々まで楽しく読み込める雑誌は珍しいですぞ。
ドッポ・・・・゜・(ノД`)・゜・
>>やさぐれ獅子
最近、読みだしたんですけど加藤カッコいいです!
しかし、ドッポ食っちゃうのは驚きました。
コレで独歩ともタメはれるか!?
今後とも期待してます。
>>デジモンワールドA
新人さんようこそ。
描写の成長が書く度によく現れています。
ここからが本番。
盛り上がり所なので期待してます。
あと、受験も頑張ってほしいですね
311 :
作者の都合により名無しです:2006/01/19(木) 12:22:21 ID:PhfuYvWU0
受験、頑張ってね。
ここは過剰にSSにのめりこむ人が多いからw
やさぐれ獅子、ラスボスはきっともっと強い奴だよね、傭兵部隊の隊長より
個人的には独歩かカツミがいいなあ
ラスボスはもう登場してるだろ。自分の嗜好を押しつけてないでよく読め
あの武神?
いやだ、独歩がいい!
なんだ、オオクワか
第四十五話「真なる邪悪」
「・・・というわけで、アスランはアホになってしまったんだ。具体的には第十一話を参照してくれ」
バカ王子は説明を終える。聞き終わった一同は唖然としていた・・・。
「そんな・・・やっぱり、僕らを逃がすために・・・!」
キラは自噴に駆られて拳を震わせる。
「ごめん・・・アスラン!」
だが、アスランは―――
「はっはっは、キラよ、嘆くことはない。俺はバカになったおかげで、ヒトを超えた力を手に入れたのだから。そう、俺こそ
がまさにジャスティス!キング!エンペラー!ゴッド!地球皇帝!ひゃっほー!」
こんな調子であった。
「あはは、なんかこのお兄ちゃん面白いぞ!」
フー子だけは何故か喜んでいるのだが、他の面々は微妙な表情だ。
「・・・さて、バカはほっといて、本題に入ろうか」
バカ王子が切り出す。お前が言うな、と、クラフトはそっと突っ込んだ。
「君たちからも話を聞いたから、大体の事情は分かった。どうやら僕が思う以上に、敵は強大なようだ」
「はあ・・・」
「そこで、だ。僕も君たちに協力しようじゃないか!」
「え!?」
思わぬ申し出に、一同は驚く。
「本当に<狐>が世界を滅ぼそうというのなら、僕だって放ってはおけない。それと戦おうというのなら、僕も手伝いたい
―――ダメかな?」
その顔は真剣そのものだ。それを見て、のび太たちは思った。この人は、信じてもいいと―――
ドラえもんは、手を差し出す。
「分かりました・・・一緒に戦いましょう!」
「ああ、よろしく!これからは、僕たちも君たちの仲間だ!」
バカ王子は、ドラえもんの手を力強く握るのだった。
「さて―――では早速だが見せたいものがある。みんな、ついてきてくれ」
―――アークエンジェル・格納庫。
そこに鎮座するモノを見て、キラは呆然とする。
「これは―――フリーダム?」
「正確には<S(ストライク)フリーダム>。フリーダムを参考にして僕が造ったものさ。姿は似ていても、性能はフリーダム
とは比べ物にならないぞ。これに乗るのはキラ・ヤマト―――君だ」
「僕が・・・」
「すっげえ!キラ、超パワーアップじゃんか!羨ましいぜ」
ジャイアンがはしゃぐ。バカ王子はそんなジャイアンの肩を叩く。
「君は確かジャイアンだったかい?それにしずかちゃんに、スネ夫くん、か」
「え?そうだけど・・・」
「君たち三人にもいいものを用意してある。あれを見てくれ」
バカ王子につられて視線を移すと、そこには黒色のロボットが三体並んでいる。揃えたように全く同一の機体だ。
「これは<ドムトルーパー>という。三機での連携に重点を置いた機体だ。是非君たちにと思ってね」
「これを!?おれたちがもらえるのか!?やったぜ、ついにおれたち三人もロボット乗りデビューだ!よーし、頑張ろうぜ、
スネ夫、しずかちゃん!」
「え、ええ・・・」
「なんか、ジャイアンがこんなにはしゃいでると不安だよ・・・」
スネ夫がぼやくが、当然ジャイアンは聞いちゃいない。
その時、これまで黙っていたムウが口を開いた。
「ところで・・・それだと、キラが乗ってた<フリーダム>が余ることになっちまうな」
「あ、そうか。僕がSフリーダムに乗り換えたら、確かに余っちゃいますね・・・」
「そこで、だ・・・キラ。どうせなら―――俺が使っても構わないか?」
「え?ムウさんが、ですか?」
「ああ。エグザスはぶっ壊れちまったし、替わりを要求するにしても、時間がかかるしな」
その提案に、キラはしばし考えて―――頷いた。
「分かりました・・・フリーダムを、これからお願いします」
「ああ、任されたぜ!操縦の方は、サイコントローラーでどうにかするとして・・・」
そこでムウはバカ王子に向き直った。
「あ、あとな、バカ王子。どうせならフリーダムに取り付けてほしいものがあるんだが・・・」
「いいとも。聞こう」
「そりゃあありがたい。ちょっと耳貸してくれ」
ごにょごにょと、二人は何やら相談する。
「ふむ?ふむふむ・・・いいだろう、それくらいならそんなに手がかかるものでもないしね。それじゃあそのついでだ、フリー
ダム自体にも多少手を入れて性能を上げておこう」
「そりゃあ助かる」
ムウは満足げに頷いた。それからバカ王子は、のび太たちに向き直った。
「さて、後は君たちの乗っていたザンダクロスやら何やらだな。ちょっと見てみたいんだが・・・」
「あ、確かまだ外に置いてあるままだったね・・・じゃ、そっちに行ってみる?」
「ああ、それじゃあ頼む」
そして一同は外へと―――
「ふーむ・・・これが<アヌビス>に<サイバスター>それに・・・<ザンダクロス>か」
バカ王子はそれを、やや無遠慮に眺め回す。ちなみに、まだ損傷は直っていない。宇宙戦艦・アークエンジェルが墜落した
ドタバタで、直す暇がなかったのだ。
「ふむふむ・・・なるほど」
<おい、バカ王子さん。まさかサイバスターに妙なことするつもりじゃないだろうな?>
「アヌビスにも、くれぐれも変なことはしないでくださいね?」
マサキとペコが釘をさす。
「いやいや。見たところサイバスターとアヌビスは、僕が手を加えるまでもなく、素晴らしい性能を持っている。強いて何か
するとしたら―――新しい武器を取り付けるくらいか」
「新しい武器・・・ですか?」
「ああ。下手に機体そのものを弄るより、武装を強化した方がいいだろう。その案も既にある」
やたら自信満々なバカ王子。しかし、更にパワーアップするというのなら、大歓迎だ。
<けど、絶対変なことだけはするなよ・・・>
「分かってるよ。全く、信用ないなあ・・・さて、次にザンダクロスだが―――これについては、人工知能だけ取り出して、
ボディは一から作り直した方がよかろう」
「え?どうして?このまま直してもいいんじゃないの?」
のび太の疑問に、バカ王子は首を振った。
「元々これは戦闘用の造りじゃあない。それなりのボディにしてやるべきだと思う。このままでは、戦闘の度にボロボロ
になってしまうぞ」
「そっか・・・リルルは、それでもいい?」
「そうね。ジュドは、いつもいつもボロボロになってしまうから―――丈夫な身体になるのなら、そっちの方がいいかも
しれないわ」
それを受けて、バカ王子は頷いた。
「まあ、楽しみにしてくれ・・・ん?」
バカ王子はザンダクロスの周囲に散らばった残骸―――その中の一つに目を留めた。
「これは・・・何故、こんなものが?」
それは、のび太たちの目には何の変哲もない機器にしか見えなかった。だが、リルルだけは違う反応を示す。
「それは、違う・・・ジュドの身体のパーツじゃないわ!」
「えっ・・・ザンダクロスのパーツじゃないんなら、何の・・・あっ!」
のび太には思い当たることがあった。夢世界で戦った、あの恐ろしいロボット―――ゼオライマー・・・!
「ひょっとして、あいつが残したパーツじゃあ・・・!」
「ふむ。思い当たる節があるのなら、話してくれないか?」
「え、ええ・・・実は・・・」
のび太は夢世界での出来事を話した。オドロームのこと、ゼオライマーのこと―――
それを聞き終わったバカ王子は、合点がいったとばかりに指を鳴らす。
「成るほど成るほど―――思った通りだ。これはすごいパーツだぞ!」
「そ・・・そんなに・・・?」
「ああ、これをザンダクロスの新しいパーツとすれば―――新型ザンダクロスは、まさに最強のロボットになるぞ!」
バカ王子も珍しく興奮している。どうやら、よっぽどとんでもないシロモノらしい。
「よし・・・<おもしろザンダクロス大改造計画>に則り、これを宇宙最強のロボットにしてやろう!」
「何ていい加減なネーミング・・・」
のび太もそう言うしかなかった・・・。
―――そして・・・夜も更けて・・・
みんなが寝静まってからも、バカ王子は格納庫にこもって作業していた。そこに、人影が現れる。
「なんだ、クラフトじゃないか。どうした?」
「どうした、じゃない!貴様・・・一体、何を企んでいる!」
「企む?はて・・・」
「とぼけるな!貴様が慈善事業でこんなことをするはずがないだろうが!さあ吐け!何をやらかす気だ!?」
凄まじいクラフトの剣幕に、バカ王子はやれやれ、とばかりに話す。恐るべき陰謀を―――!
「人というのはね―――強力な兵器を持てば持つほど、破壊欲は増大する。ダイナマイトだの核兵器だのがいい例だ」
「何・・・?」
いまいち飲み込めないクラフトに、バカ王子はにやりと笑う。
「あの純真な少年たちが、強大な力を手にしてどのように変わっていくのか・・・僕は人間が醜く歪んでいく様をじっくり
観察してみたいんだ。最近ヒマで仕方なかったしね。正直、<狐>だの<十三階段>だの、どうでもいいんだ」
「なっ・・・!き、貴様・・・っ!みんなの前ではあんなに真剣な顔をしてみせたくせに!」
「ああ、あれは真剣に大嘘をぶっこいただけだよ」
バカ王子はこともなげに言い放った。
「さーて、果たして僕の望む通りの結果になるかどうか。個人的には全員が更木剣八級の戦闘狂になれば大成功といった
ところなんだが・・・ふふふ、これからももっともっと強力な兵器を造って彼らに与えよう。楽しみだなあ・・・」
「くっ・・・何という悪趣味な・・・!」
怒りに身を震わせるクラフト。だがその程度で怯む様では、もはやそれはバカ王子ではない。
「ありがとうクラフト。最高の褒め言葉だ・・・そうそう、みんなにはこの事を言わない方がいい。もしも僕の計画を知ら
れたら、彼らは僕の協力を拒んでしまうかもしれないからね。そうなれば、今の彼らの戦力ではみすみす死ぬだけだよ?
そうなったらぜぇ〜〜〜〜〜〜んぶ君のせいだね☆」
バカ王子は、これこそがムカつく笑顔の見本だとばかりにニカッと微笑む。
「ぐ・・・ぐうううううっ・・・!この・・・腐れ外道がっ・・・!!」
「だから、そういうことを言っても僕を喜ばせるだけなんだっていい加減気付くんだな、クラフト。君は何年僕の護衛隊長
をやってるんだ?そろそろ僕の性格と嗜好くらい完全に把握してると思ってたんだが」
「くそっ・・・もういい!勝手にしろ!」
クラフトは乱暴にドアを開けて外に出て行き―――そのままへたり込む。そして、ただ祈った・・・。
(少年たちよ・・・頼む!どうか、あのバカの思い通りにだけは行動しないでくれ・・・!)
それは、あまりにも純粋なる祈りだった・・・。
投下完了。前回は
>>278より。
大幅なパワーアップと引き換えに、恐るべき邪悪を懐に抱えてしまった一行。どうなる!?
↓はちょっと思いついたネタ(サナダムシさんごめんなさい)。
「・・・・・・」
「おや、プリムラさん。パソコンの前で何を?・・・ふむ、ネット小説ですか。<やさぐれ獅子>・・・?なんと、
友の肉を喰らってパワーアップですか!」
「ペコ・・・」
「何ですか?」
「私たちのパワーアップのため、あなたも肉を提きょ」
「お断りします」
>>280 うーん、このアスキラに好感が持てると言われて、喜んでいいのかw
>>289 確かに。二人揃えばもはや敵なしな二人ですね。
>>290 そう。真なる邪悪はヤツです(笑)
>>ふら〜りさん
終盤でのシリアス展開・・・用意してますよ。キラとアスランの友情に期待してください。
最近トリップ付け忘れが多い・・気をつけねばw
323 :
作者の都合により名無しです:2006/01/19(木) 23:07:10 ID:qvUYsrQh0
>>サマサさん
まさかドム・トルーパーが出るとは・・・しかもちょうど3人。ピッタリですね。
それにザンダクロスの大改造・・・ザンダクロス+ゼオライマー=???
楽しみにしています。
324 :
オナガイン:2006/01/19(木) 23:34:07 ID:WLhBJBzS0
魔界編の更新が去年で止まったままですね。僕が2つめの最終回を番外に
創りましょうか。
もしくは、江田島とかが逆に世界征服のために動き出す物語とかも欲しいですね。
はいはいサマササマサ
>>324 ここで言うのもいいが、その発言はまとめサイトのBBSでした方がいいんでないかい?
>全員が更木剣八級の戦闘狂に
ここが一番ツボに嵌った(w`
NBさん、忙しいんだろうな。
いつまでも待ってます!
329 :
聖少女風流記:2006/01/20(金) 16:18:43 ID:sVGQCKhl0
第七話 伝説と悲劇の始まり・上
(なんと奇異な、しかし見事なる一団よ)
シャルル王太子よりの使いは嘆息した。使いの彼もまた騎士である。
数多の戦場を駆け、今は王太子一族の近衛として使えている猛者である。
その騎士の勘が叫んでいた。この一団はとてつもなく強い。
まず、この聖少女の跨っている馬が凄い。巨大な体躯、だがそれ以上に風格がある。
鮮やかな黒毛はすらりと尾まで輝き、まるで刺すような眼差しで自分を射ている。
そして、槍を持って聖少女の近くに使えている騎士。
我々とは全く違う華麗な鎧装束を纏う、堂々とした見上げるような体格の男。
何やら長い金属状の筒みたいなものでタバコを吹かしている。見るも涼やかな男である。
「ああ、これはキセルというんだよ。珍しいかね」
大柄の男がニコリ、と笑いながら大きく煙を吐いた。男はビクリ、とする。
(俺の考えている事がわかるのか?)
確かに、視線がこの大男のキセルとやらを見ていた。だがそれは一瞬である。
ほんの少しの眼球の動きで、ここまで的確に心を読めるものなのか?
「同じもののふの考えは良くわかるんだよ。異国でも、男の心はそうは変わらんからね」
大柄の男が悪戯っぽく笑った。痺れるような良い笑顔である。
風のように爽やかで、だがどこか儚い哀しさも含んだ男の笑みである。
使いの男からも釣られるように自然に笑みが零れた。
「挨拶が遅れて失礼。私は王太子の近衛兵のマルスと申します。ジャンヌ様ご一行様を、
シノン城にご案内すべく使わされました」
慶次はニコニコと笑っている。マルスはその笑いに戸惑った。
こんな、隙だらけの笑いは久しく見た事が無い。まるで子供のそれではないか。
が、同時に底知れない力も感じる。戦えば俺は殺されるだろう。それも一撃で。
330 :
聖少女風流記:2006/01/20(金) 16:19:37 ID:sVGQCKhl0
「ハイ。わかりました。すぐに、お城へ参ります」
巨馬の上の少女が清清しい声で言った。立ち居振る舞いが美しい。が、どう見ても小娘だ。
聖少女たちが馬を動かし始めた。するとマルスは目を疑った。
この見事にして苛烈な一団を、この美少女がなんの不自然さも無く率いている。
大柄の朱槍の男を始め、どうみても歴戦の強者たちである。
マルスはハッとした。少女の顔付が変わっている。
まるで戦争前の将軍のように、凛々しさと厳しさをその美しい尊顔に潜ませている。
「これは謁見というよりいくさですな。ジャンヌ殿と、帝(みかど)との」
大柄の武士が楽しげに笑う。だが、その笑いの中に、マルスはある種の覚悟を感じ取った。
(本当に本物かも知れん。フランスを救う聖女とやらは)
ジャンヌたちが道を進むたびに。町のそこかしこから歓声が沸く。
期待しているのだ。この小娘と得体の知れない一団に、フランスと自分たちの未来を。
人が人を呼び、歓声が嬌声となってかまびすしくジャンヌたちを包んでいく。
まるで戦勝パレード。その只中を、ジャンヌたちが堂々と進んでいく。
「これは、シャルル公の負けだな。あの愚図に手に負える娘ではないわ」
マルスは独り言を言った。そして久しぶりに愉快に、爽快に大笑いした。
シノンの城へ到着するジャンヌたち。城、とは言っても城壁などがある訳でない。
ただこの町で一番堅固な建物を、城として利用しているだけの事だ。
おそらくはイギリス軍に全軍襲撃されたら一溜まりも無い防塞能力である。
こんなみすぼらしい建物が、現在のフランスの貴人を守る最後の一線となっている。
ベルトランたちは暗澹たる気分になった。慶次も一瞬目が厳しくなる。
とても、帝を守るべき城壁ではない。そもそも篭城すら不可能な造りである。
はあ、とキセルから大きく煙を吹き出した。
しかしジャンヌだけは、ただ静かに微笑んでいる。使命の時の近づきを感じて。
松風たちを馬番に預け、石扉を開け、建物の中に入る一行。すぐに慶次たちは目を疑った。
まるでイギリスとの戦争から目を背けるように、怠惰な香りのする宴が行われていた。
男も女もパーティ衣装に身を包み、酒肴に舌鼓を打ち、下らない話で盛り上がっていた。
331 :
聖少女風流記:2006/01/20(金) 16:21:16 ID:sVGQCKhl0
「無様だな。帝も、逃亡生活ともなれば民と変わらぬ。滅びに酔っているとしか思えん」
慶次が首を振りながら大きな声で言った。貴族たちの視線が一斉に集まる。
王太子の使いのマルスや、仲間のベルトランたちがぎょっとした顔で慶次を見る。
「滑稽で、哀れで、その上見苦しい事この上ない。こんな王に使われる民は救われんな」
貴族たちが非難の声を上げる。だが、所詮は遠巻きからだ。
とても慶次に太刀打ち出来る性根の人間はこの中にはいない。慶次は再度首を振った。
ジャンヌの凛とした声が響いた。威圧からは程遠い声である。が、一同は静まった。
「シャルル王太子公に謁見して頂きに参りました。私はジャンヌ。
オレリアンの砦を開放し、フランスを救う使命を与えられた娘です。
シャルル様、どこにおられますか?」
シンと沈黙が場を支配する。貴族たちはワインを傾ける手を思わず休めた。
先程までの享楽を、ジャンヌの小さな体から発する聖性がかき消していく。
が、それでもなお、ここにいる王族関係者や貴族、上位騎士たちは彼女を信じない。
「神の御使いなんだろ? だったら、王が誰だか分かるはずだろうが、聖少女様よ」
嘲るような声が飛んだ。そしてそれを切っ掛けに貴族たち全員が爆笑した。
慶次の目つきが変わる。いくさ場の顔になった。殺気が放たれる。
わざわざ死地を潜り抜け、命懸けでこの国を救おうとする少女を晒し者にするか。
慶次は辺りを見回し、貴族たちの顔を一人ずつ見据える。吐き気が出そうなツラの連中だ。
いくさから逃げ惑い、民から財産を搾取し、自分たちは一時の快楽に耽っていやがる。
こんなクソのような連中に、ジャンヌを笑わせられるか……。
慶次は一暴れしてやろうと本気で思った。王だろうが貴族だろうか知ったことか。
上から見下ろしながら人を笑うような連中に、我慢する気は無い……。
332 :
聖少女風流記:2006/01/20(金) 16:22:50 ID:sVGQCKhl0
慶次がのそり、と前に出ようとする。が、ジャンヌが慶次を左手で制した。
「大丈夫。ここは、私に任せてください」
そういってジャンヌは胸を張ってパーティ会場の中央に歩き進んだ。
上座の一番奥には簡易な玉座があり、立派な王族衣装をまとった偉丈夫が座っている。
ジャンヌは迷わずその男の下に歩いていく。それを見て慶次が眉をひそめた。
ベルトランがその慶次の顔の異常に気付き、慶次に思わず聞く。
「慶次殿、どうした? 顔付きが厳しいが」
「違う。おそらくこの国の王は、あの男ではない」
慶次の言葉に驚くベルトラン。どう見ても、あの玉座の男がこの中で一番の貴人である。
が、ベルトランも気付いた。パーティの貴族たちの顔が嘲りで歪んでいる。
愚かさを見下すような、下卑た嫌な顔だ。まさか、罠? ベルトランの顔も厳しくなる。
慶次とベルトランの心配をよそに、ジャンヌは迷い無く玉座の男へと進む。
ジャンヌが玉座から手の届く距離まで歩き進み、ニッコリと笑った。
「そこは、この国の王となる方が座られる玉座です。貴方の座る場所ではありません」
少女の声が響くと、貴族たちから驚きの声が上がった。ジャンヌは辺りを見回した。
ジャンヌの視線が一点に釘付けになった。
その視線は、部屋の片隅の、まるで使用人のようなみすぼらしい為りの男に注がれていた。
慶次の顔から緊張が去った。それと同時、ジャンヌが男のいる場所へと歩き出した。
男の目の前に立つと、右片膝と左拳を床につく形の、騎士の正式な平伏の礼を取った。
その様子を見てざわめく場。逆に慶次の顔には、涼やかな微笑が浮かんだ。
「フランスの王太子シャルル公。ドムレミ村のジャンヌと申します。
見ての通りの小娘ですが、神よりオレリアンを開放し、フランスを救えとの
啓示を受けました。私はそれに命を賭す為に生まれてきた女です。
付きましてはシャルル公、フランスを救う為に、私に兵を授けて頂ければ」
333 :
聖少女風流記:2006/01/20(金) 16:25:44 ID:sVGQCKhl0
その言葉に一点の淀みも緩みも無い。流れるように言葉を紡いでいる。
一瞬、聞き惚れてしまい呆然とするみすぼらしい為りの男。我に返ると慌てて聞いた。
「何故、私がシャルルとわかった? こんな姿で、しかもパーティの片隅にいるのに」
「一目でわかりましたわ。あなたは、フランスの王となられる方ですから
そして私は、あなたを王の座に座らせる為に、神より使わされた者です」
どよめく場内。何故、この娘は数十人の中から偽装した王を見抜いたのだ?
そしてこの能無しの王太子を、この娘がフランスの王にするだと?
場は完全にジャンヌのものとなっていた。数十秒で、ジャンヌを笑うものは消えている。
ベルトランはハッと思い出したように隣の慶次に聞いた。
「あんたもわかったのか? 玉座の男は罠だと? あの冴えない男が、シャルル公だと?」
慶次はのんびりと事も無げに応えた。
「ああ、ジャンヌ殿が謁見に来た、と言った時に、周りの気配と視線が
あの男に集まったからね。ジャンヌ殿は、俺とは違う形で見抜いたようだが」
ベルトランは舌を巻いた。俺は気付かなかった。自分の視線は全てジャンヌに向いていた。
この男、強いだけでは無い…。そしてこの男以上に、あの少女は底知れない……。
酒の酔いは貴族たちから吹き飛んでいた。固唾を呑んで目の前の成り行きを見守っている。
聖少女、選ばれし神子、フランスを救うもの。そんな言葉が彼らの口より飛び交っている。
が、中には不吉な言葉を口にするものもいる。「魔女」、と。
慶次の耳に魔女という言葉が飛び込む。まるで、言葉そのものが意志を持つかのように。
その魔女という言葉に、自分でも驚くほど動揺していた。限りなく不吉な響きを感じる。
334 :
聖少女風流記:2006/01/20(金) 16:38:59 ID:sVGQCKhl0
自分の事は生死ですら動揺する男ではない。常に常駐戦場の男だからだ。
が、その言葉には悲劇的な何かを感じる。自分ではなく、ジャンヌに、絶望的な何かが。
ジャンヌの言葉に黙り込んでいたシャルルが、おもむろに口を開いた。
「ジャンヌ。私と二人きりになってもらおうか。お前の言葉が嘘か本物か、私が判断する」
ジャンヌの顔に一瞬恥じらいが浮かんだが、すぐに頷いた。
「わかりました。ご一緒します。どこでお話すれば宜しいのでしょうか?」
「私の部屋だ。この城の二階にある。 ……一晩は、覚悟してもらうぞ」
335 :
聖少女風流記:2006/01/20(金) 16:40:47 ID:sVGQCKhl0
シャルルが人払いを命じた後、城の二階へ向け歩き出した。ジャンヌも着いていく。
ベルトランたちが気色ばんで飛び出そうとした。聖少女を愚物に汚されてたまるか。
が、慶次の大きな手が皆の肩を掴んで止めた。非難の声が上がる。
「慶次殿、あの男にジャンヌ殿を犯させる気かっ!!」
慶次は大きく笑った。呆気に取られる一堂。
「心配しなくてもいい。ジャンヌ殿とあの男では器が違いすぎる。どうにも出来んよ」
それより、あの「魔女」という言葉の響きが、慶次の心に暗いものを落としていた。
近い将来、その言葉に苦しむことになる。必ず、あの少女は。
いや、命すら落としかねないほどの凶すら感じる……。
慶次は思わず拳に力を込めた。俺はただ守るだけだ。どんな魔から鬼からも、この娘を。
シャルルの部屋は、王太子のものとは思えぬほど質素なものであった。
粗野な石造りの壁に、装飾の無いベッド。小物がいくつか目を引く程度の質素な部屋。
「笑ってしまうだろう? これが、お前が後のフランス王といった男の住処だ」
ジャンヌは黙っている。入り口の辺りで立ち尽くしている。シャルルが冷然といった。
「王太子の前だ。鎧姿のままは、無粋だろう」
慣れない手付きで鎧を外していくジャンヌ。やがて薄絹の上にボロを羽織った姿になる。
ジロジロとジャンヌを舐めるように見るシャルル。淫猥を口元に口元に浮かべている。
「聖少女は穢れ無き処女で無ければならぬそうな。……私自ら調べてやろう」
彼の心には劣等感しかない。それ劣等感を色と酒で誤魔化して生きている。
その程度の男が、王太子であることがフランスの悲劇であり、ジャンヌの悲劇であった。
シャルルは、ジャンヌの小さな体を汗臭いベッドに強引に押し倒した。
336 :
ハイデッカ:2006/01/20(金) 16:43:37 ID:sVGQCKhl0
長いんで上下に分けます。
このシャルルとの謁見は有名な話ですね。
ボロまとった王子をジャンヌが見抜くという。
ま、はっきり言って後世の創作ですが。
「魔女」と出ていますが、ゲロさんの作品とは一切関係ありませんw
下衆っぷりがまた原哲夫作品のキャラクターっぽくてキャラ立ちしてますね、シャルル
てっきり慶次に叩かれて改心するとばかり思ってましたので驚きました
たしかに主君の主(になる男)を叩くほど空気を読まない男じゃないですし、
自重もまた慶次、説得力あります
シャルルは千道安(でしたっけ?)をイメージしてよんでます
当のジャンヌは貞操の危機ですが、
YJコミックスの傭兵ピエールみたいな切り抜け方を期待してます
凄絶な光景であった。
友であった虎を喰らい、全身を赤黒く染め上げた空手家。歴戦をくぐり抜けてきたリー
ダーでさえ呑まれていた。初めての体験だった。
「そうか、さっき殺した虎はおまえの友だったのか。悪いことをしたな」
これから殺すべき相手にも正々堂々と礼節を示すリーダー。角刈りに、いかにも大親分
といった造形を持つ彼に似つかわしくない慈悲深い表情を浮かべる。
「殺してねぇよ」獅子の如き鋭利な眼光が、彼を射抜く。
「てめぇは殺してねぇさ……。まだ、奴ァ生きてる。俺の中でなッ!」
下腹部を拳で強く打ちつけ、少々芝居がかった台詞で一喝する加藤。
「なかなか粋なことをいうな。だが、もうチェックメイトだということを教えておこう。
私には君を殺そうと思えば、いくらでも殺すチャンスが──」
「でも、殺してねぇじゃねぇか」
「え?」
「俺は生きてるぜ。まさか、喧嘩に“もしも”を持ち込む気かよ。軍人さんよォ」
「ぬ……」
あまりにふてぶてしいこの態度に、リーダーはいささか苛立ちを覚えた。
先ほどまで命を諦めかけていた男が一転、図に乗り始めている。たかが死別ひとつを味
わっただけで。なるほど、たしかにこいつは強くなったようだ。だが、どうということも
ない。十メートルという格闘技ではありえぬ間合いと、腕に抱えられたサブマシンガンと
いう条件さえあれば、恐るるに足らぬ敵にはちがいない。
「ならば、決着をつけよう。仮定でなく、現実の中で殺してやろう」
再度、引き金を引く。が直後、銃口めがけてとてつもないものが飛び込んできた。
──投げつけられる、ズタズタになった死骸。
「こ、こいつ……! 死んだ虎をッ!」
ついさっき“友”と形容したばかりの虎を、舌の根の乾かぬうちに“道具”として利用
した。
とんでもない男だ。リーダーは心底から驚愕した。
地を這う弾丸。低空タックルにて、加藤が迫る。
すばらしい速度だった。“道具”に気を取られたリーダーに、次の行動を許さぬほどに。
「──しゃりあァッ!」
左ハイでサブマシンガンを弾く。返す右ローで両脚をへし折った。
両の支えを失ったリーダーは地面に崩れ去った。悲鳴を上げるでも、反撃に転ずるでも
なく、ただ唖然としている。
空手は止まらない。貫き手が口に叩き込まれ、前歯と舌を根こそぎ粉砕された。手刀が
頭を割り、足刀が四肢を砕く。肘は眼窩にめり込んだ。
硬く鍛え抜かれた部位は、柔らかく鍛えようがない部位を容赦なく攻め立てた。
地獄だった。ミスに次ぐミスが、この無残な結果を招いた。もう、逆転はない。
「ひゃが……ひゃだではやらへんぞ……」
挽肉となった舌で、不気味にリーダーがささやく。
軍神に祈りを捧げつつ、リーダーは懐にしまっておいた手榴弾のピンを抜いた。
──炸裂。
余談だが、この戦いが終わったあと、浜辺にあった戦艦はまるで泥船と化したかのよう
に海に溶け沈んでいったという。
真夜中。密林の奥深くで、大の字にて寝そべる加藤。
手榴弾を至近距離で受けたが、ぎりぎりで反応し、かろうじて致命傷には至らなかった。
密林で無防備など本来許されないことだが、かつてドッポを倒した彼を襲おうなどとい
う野生生物は、もはやこのジャングルに存在しない。
「いなくなっちまったなァ……。ハハハ」
敵は倒した。しかし、ドッポはもういない。
初めはドッポとて敵だった。彼にやられ、他界したことすらあった。が、戦いを通じて
二人は絆を結び、ともに数日間を歩んだ。短かったけれども、充実した日々がそこにはあ
った。
「ドッポォ……すまねぇ」
こうなれば、絶対に生き残ってやる。いかなる試練であろうとも、打ち破ってみせる。
あいつがくれたこの命、無駄にはしない。たとえ首だけになっても、武神に「生き残った
ぜ」と勝ち誇ってやる。
決意こそ新たにしたが、なかなか眠るには至らない。
悲しみ、歯がゆさ、悔しさ、怒り、ありとあらゆる感情がいつまでも心の中でぐるぐる
と踊っていた。
九日目終了。
たしかに三分は長すぎましたね。
カップメン一個、ボクシング1Rができる時間。
343 :
作者の都合により名無しです:2006/01/21(土) 05:33:13 ID:CmPIB3vP0
>ハイデッカ様
慶次が爆発する前に止めたジャンヌ。慶次はあくまでジャンヌの補佐で
主人公はジャンヌなのかな、タイトル通り。美味しいところは彼女が持ってくし。
最後が18禁みたいな雰囲気になりそうですが、慶次のお墨付きだから大丈夫なはず。
>サナダムシ様
うわ、リーダー弱いっすw俺はガイア級の強さだと期待してたのですがw
しかし、それだけ加藤がパワーアップしたって事ですかね。一人寝そべる加藤が哀れですが。
最後に残った加藤が、どう乗り越えてどう物語に決着をつけるのか楽しみです。
―――その日の夜。
其処は、その町の中では比較的建築の珍しい部類の家だった。
中古の平屋一戸建てとは言え、パニックルーム(篭城部屋)やセキュリティも完備され、地下には防災シェルターまでわざわざ造ってある。
其処までならまだいい。まだ常識の範疇だろう…………辛うじて。
此処からが違う。
窓は全てが防弾ガラス。壁は内壁に何らかの装甲でも入れてあるのだろう、通常の家屋の一.五倍は厚い。
更に、公共施設を凌駕する消火設備を目立たぬ様配し、壁の中は随所に銃器や金も隠せそうな隠しスペースがある。
…はっきり言って交通事故もろくろく起こらないこの町では余りな重装だが、どうやら前家主は余程他人を信じられなかったらしい。
その気になれば、この家は明日にでも外装を変える事無く小型の要塞へと変ずる。
…………だが、この剣呑は本日今宵のダイニングルームにはまるで無縁だった。
「んぐんぐんぐ…ゴクン。ぷはぁ〜……あ、奥さんおかわり」
さも当然と言わんばかりに、トレインは空のシチュー皿を突き出した。
「おい、トレイン! お前もう八杯目だぞ、少しは遠慮ってものを…!」
「あら、いいのよスヴェン。
トレインさん、今日は沢山作ったからお腹一杯食べてくださいね」
笑顔で皿を受け取ると、ダイニングキッチンに鎮座する大きな寸胴へと席を立った。
「食事は美味しいし、お風呂も完備。しかも宿代はタダ。
いやー、これはここにしばらく居ても良いかもねぇ」
テーブルの一角のリンスの満足げな呟きに、トレインが同意する。
「ああ、そりゃいい。
美味いモン気兼ね無く腹一杯食えるってのが大きいよな」
「お前ら………出てけ」
スヴェンは触れるだけで切れそうなほど鋭い眼で、二人にガンを飛ばす。
「駄目だよおじちゃん。お客さんはてーちょーにもてなさないとドロボーが入るんだよ」
「いいんだシンディ。こいつら二人はこそ泥と似た様な物だし……と言うか一人はもう手遅れだ」
「ちょっと! 聞き捨てならないわよそれ!!」
「ハズレてねーじゃん」
「トレイン!! アンタどっちの味方なのよ!!!」
今回の一行の宿は、家主の提案と金喰い虫二匹の賛同でマリアの家と相成った。
勿論スヴェンは何処までも反対したが、流石は観光地。宿は何処も彼処も満室だった。
なので渋るスヴェンを押し切る形で、現在彼らは同じ卓を囲むと言う訳だ。
半ば諦念の溜息をスヴェンがついたその時、ふと、右手に座って押し黙るイヴが目に入った。
また例の情緒不安定か、と思ったが、一口大に千切ったバゲットを頬張る彼女の横顔に見慣れた不安は見当たらない。
寧ろ彼女は、緩やかに穏やかに騒ぐトレイン達を眺めていた。
更によく見れば無表情と言う訳でもなく、目には確かに安堵が有った。
「…どうしたイヴ、さっきから黙ってて」
大丈夫だとは思うが、よもやを慮って当り障りなく問い掛ける。
「……ん、うん…。何かこういうの、初めてだから……」
それを聞いてスヴェンも得心する。
確かに今まで、此処まで暖かい食事風景は彼らに無かった。それなりに明るい時が無くも無かったが、仕事が仕事だけに
時間を無駄にしない為、大抵打ち合わせに流れるのが通例だった。
成る程、最終的に何処か物騒でなくてはならないこれまでと違い、此処にはただただ明るさと暖かさだけがある。
それはまるで、別世界の有り様だった。そしてそれこそが、家庭という物の有り難味かも知れない。
スヴェンも倣って見渡せば、嗅ぎ慣れてしまった血や硝煙の匂いも無く、当たり前に存在していた謀略も姦計も無く、
すっかり耳慣れてしまった銃声も悲鳴も其処には欠片一つ無い。有るのはただ、人の温かさ一つきり。
……それは、何と得難い宝だろうか。
大枚はたこうが力ずくで奪おうが、そんな物では絶対手に入れる事は出来ない儚くも美しい聖域に、彼の胸にも覚えず
心地良い疼きが去来する。
(…馬鹿な野郎だ……今ごろ気付くなんてな…)
自嘲を腹に押し隠し、シチューを口に運んだその時、
「なあスヴェン。そう言えばお前とあの奥さん、どう言う仲だ?」
トレインが突然提示した答え辛い質問に、危うく吹き出してしまう所だった。
激しくむせるスヴェンを他所に、トレインは一層追求を重ねる。
「いや――何つうか、誘われるままに来たけどな、やっぱ一応は知っときたくてな。
……ひょっとして、昔のコレとか?」
何とは無しに小指を示す。それを見たイヴの柳眉が一瞬攣り上がったが、取り敢えずは誰も気付かなかった。
と、其処にリンスが嘲笑雑じりに割り入った。
「あー、無い無い。このロリペド紳士に女盛りとイイ仲なんて有る訳無いって」
「あ、そっか」
意外にあっさり納得したトレインの言に、思わずスヴェンは席を立つ。
「いや、お前! そのタイミングで納得するか普通!」
「…え? 違うのか?」
素直に返すトレインに、苛立ちはますます募っていく。
「違うに決まってるだろうが! お前等俺をそんな目で見てたのか!?」
「アンタがイヴちゃんをそんな♀痰ナ見てるからじゃない。この犯罪者予備軍。
…はっ!? そうかアンタ、序でにシンディちゃんも頂戴しようと…!!」
「あらスヴェン、何時の間に女の趣味変えたのかしら?」
トレインの分をよそって来たマリアが、最悪の方向から話に便乗する。笑みは柔らかいが、間違い無く状況を愉しんでいた。
「な…マリア! お前まで……!!」
「ねえおじちゃん。ろりぺど≠チてなあに?」
「駄目よシンディちゃん! この男に近寄っては!!
マリアさん、急いで二人をパニックルームに入れないと一生モノの傷を…!!」
形ばかりの必死の形相でイヴとシンディをマリアに押し付ける。
「ええ、判ったわ。
…二人共、今からスヴェンが鬼だそうよ。ほぉら、早く逃げないと食べちゃうって」
「ここはオレが時間を稼ぐ! さ、早く!!」
ここぞとばかりにトレインが二人を守る形で前に立つ………悪戯小僧の笑顔で。
「…お前等、昼間に殺すべきだった!!!」
………普段静かな筈のその家に、普段冷静な筈の男の魂の怒号が響き渡った。
「マリア……お前がこんなおふざけに交ざるとは思わなかったぜ」
はしゃぎ疲れて居間の絨毯の上に眠るイヴとシンディを見やりつつ、スヴェンは毒づいた。
そしてその向こうには、年少組二人が眠った後に鶏よろしく締め上げられた泥棒女とマッチポンプ男がまるで動かず横たわる。
「御免なさい。でも、楽しそうだったんだもの」
優しい笑顔にまるで悪びれる様子は無い。
「……それに、あんなにはしゃぐ貴方を見るのは久しぶりだから」
突然切り出された、何処か噛み締める様な音調。それによってだろうか、スヴェンの貌から遊びが失せる。
そして今度は、哀しさと侘しさが取って代わる。勿論、トレイン達は見た事が無い。見せない様にしていたから。
「そんな顔しないで」
マリアの手が労わりの手並みでスヴェンの頬を這う。
「アレは貴方の所為じゃない。仕方なかったのよ」
だがその手を、スヴェンは優しく押し戻す。
「…心配するな、もう吹っ切れてるさ。それにな…」
彼女から離れ、テーブル上のフルーツバスケットからオレンジを二つ掴み取る。そして、
「痛っ!」
「あにゃッ!!」
放たれたオレンジは、首だけを廻らしてこっそり傍観するリンスとトレインの額に命中した。
「…覗いてんじゃない、趣味悪いぞ」
「…私達はね、国際治安局(ISPO)の捜査官だったの」
二人の少女を一緒のベッドに寝かせた後、マリアはそう語った。
―――このISPOとは、言ってみるなら表のクロノス≠セ。
本局をサージュランに構え、各国にブランチ(支局の事。本来の意味は枝)を有し、通常の警察機構の力外事件の解決や
国防機関への協力を専門とする国際的公安組織団体だ。
知能犯の検挙に始まり、巨大犯罪組織の壊滅や国際犯罪の解決、または悪徳政治家の逮捕や暴動鎮圧への助力等も手掛ける。
中でも、対テロ専門部隊を世界で初めて結成した組織としても有名だ。
そして何より、上層部は実際にクロノスと繋がっている。
掲げる物と目指す物が同じなら、苦々しい間柄だろうと蜜月関係は成立するが、彼等の行動理念と活動方針は間違い無く
クロノスとは対極――――彼等が白ならクロノスが黒、と言った所か。
暗殺や殲滅戦等の破壊活動、捏造を含む情報戦と言ったイリーガルな形でパワーバランスの維持に努めるクロノスとは
一見水と油かの様だが…水も油も結局は液体、と言う事だ。
「成る程ねえ、道理でオマワリ臭い訳だ」
同じくテーブルを三方から囲むソファに腰を下ろすスヴェンに、トレインは目を送る。
当の本人は珍しく一言も発さない。ただグラスに注がれた自分の分のウイスキーに目を落とす。
「あの頃は私達三人、いいチームだったわ」
「? 三人?」
「ええ。ほら、そこに写真があるでしょう?」
マリアが指し示した暖炉の上に写真立てが置かれていた。
写っていたのは――――前面に出る年若い二人。この頃まだスヴェンは眼帯をしていなかった。
そしてもう一人。優しそうな眼鏡の青年が二人に主張を譲る形でやや後ろに居た。
「誰よ、あの後ろの冴えなさそうなのは?」
リンスの言葉は何とも不躾だったが、恐らくこの写真を見た人間の多くがそう感じるだろう。良く言った所で人畜無害、
悪く言おうものなら二人の腰巾着と言った具合か。荒事よりも幼稚園の保父でもやった方が似合いそうな優男だ。
「…ロイド=ボールドウィン。私の夫よ」
その言葉にリンスは慌てて取り繕おうとするが、マリアは気にせず続ける。
「そう感じるのも仕方ないかもね。
射撃も格闘も今一つ、盗聴さえ嫌う潔癖症で、その理由を聞いたら『相手に悪い』なんて言う人だもの。
その癖、『何時か住みたい』なんて理由でこんな所に家を買ってるし…本当、荒っぽい仕事が向かない様な優しい人だったわ」
「……だった=H」
言葉の違和感にトレインが眉を顰めたその時、スヴェンが予期せぬ形で沈黙を破る。
「…ああ。六年前、俺が殺した」
スヴェンとは思えないほど抑揚を欠いた声だった。
「またそんな事を言って。リンスさん、トレインさん、違うのよ。
…もし、仮にあの人を殺したのが何かと言うなら……組織によ」
―――かつて、スヴェン達は本局に属する優秀な捜査官だった。
完全完璧の情報収集を己の基とするマリア。何故かは判らないが即座に犯人に当たりを付けるロイド。
そして、それらを元に作戦立案、陣頭指揮、並びに制圧まで手掛ける指揮官にして優秀な前衛のスヴェン。
この三人で挙げた犯罪者は数知れず、ISPO内は勿論、一般警察機構にまで偉名が轟くチームだった。
「…その所為かしらね。私達は、長官派と副長官派の派閥争いに巻き込まれたのよ」
…何時の世も良くある権力抗争。組織と名の付く物には有る意味公然と存在する不可避のトラブル。
当時のISPOでもその例外に成りえる事は無く、旧体制派の長官派と極左のタカ派たる副長官派に真っ二つに分断され、
無血の鎬を削り合っていた。
「滑稽でしょう?
目指す物は同じ筈なのに、主張が違うだけで犯罪者と同じ位憎み合うなんてね」
マリアは疲れた様に笑う。それほど当時の内情は最悪だった。
情報の未提供や動員の不備と言った捜査妨害は言うに及ばず、酷い時は犯罪組織にガサ入れの情報をリークされる事も有るほど
お互いの間は荒み、冷え切り……何と戦っているのか判らなくなると嘆く若い捜査官も出る始末。
その渦中で、事も有ろうにスヴェンは若手最先鋒の長官派だった。
「…仕方なかったのよ。私達三人は長官に多大な恩が有ったから、そうせざるを得なかった。
でもスヴェンはね、私達家族を直接巻き込ませない様に敢えて中立を破ったわ」
既にマリアは結婚を理由に退職したとは言え、彼等三人にとって切っても切れない友人と言うコネクションは残っている。
彼等の持つ功績に裏打ちされた発言力は、派閥が利用するには持って来いの金看板と言えよう。
故に、どちらの派閥も彼等を引き込みたかったわけだが……スヴェン一人が三人を代表する形で長官派に下った。
当然それにはマリアもロイドも必死で止めた。
今の今まで中立を守ってきたのは、派閥連中の愚行に嫌気が差していたからだ。
たかが権力、たかが方法論、そんな物の為に打破するべき敵さえ見失う老人どもやその予備軍の我道。
その為だけに若い連中の信頼をも失墜させ、ばかりか無理矢理に従わせる傲慢さ。
何より、抗争の無意味を説く連中全てを、最悪退職にまで追い込む過剰な職権乱用。
あげつらうだけで切りの無い厚顔無恥渦巻く伏魔殿に、彼等の兄貴分とも言えるスヴェンを行かせたくは無かった。
だがその当時、彼は笑顔で言った。「大丈夫、悪い様にはしない」と。
そして実際彼の言った通り、長官派は見る見るうちに副長官派を制圧しつつあった。
「だけど、それがスヴェンの手による物だと知った副長官派は、とうとう最悪の暴挙に出たわ」
マリアとスヴェンの空気が明らかに変わる。恐らくはそれが三人を分かちたる最大の理由だろう。
―――幾ら派閥抗争をしていようと、通常捜査を行わない訳には行かない。
その日もスヴェンは、他所の州で地元警察と合同の捜査に任じていた。
彼にしてみればいつも通りの半端仕事。地元マフィアの麻薬取引現場を押さえるだけの些末事だった。
そして夜半。現場の廃工場に警察官数人と共に踏み入ったスヴェンが見た物は―――――…
「……その組織の戦闘部隊、総出だったそうよ」
武装は最低でもサブマシンガンやショットガン、中には軍からの横流し品と思しき軽機関銃まで携えた屈強が二十数人、
拳銃とレベルUグレードの防弾ベストしか持っていないスヴェンと警察官達を出迎えた。
…次々と薙ぎ倒される警官達を見ながら、彼は確信する。嵌められた、と。
「副長官派はね……スヴェンに関する情報を大部分その組織に流したわ。
当時の捜査状況は言うに及ばず、彼がどんな経歴を持つ捜査官なのか、どれだけの犯罪者を逮捕したのか、彼等の怒りを煽りそうな
部分を取り分け細かに―――――殺害に及ぶ様に」
加うるに、細心のスヴェンを欺く為、地元の警察にも情報操作を施して。
かくしてそれは最大限の功を奏し、最少人数だった警官隊は全滅。スヴェンも奮した物の残る半数以上のマフィア達に囲まれた上、
体中に弾丸が食い込んでいた。
―――死ぬな、これは―――
確信がやがて現実になろうとしたその時………完全武装の警官隊とISPOの特殊部隊が、あっという間に彼等を取り囲んだ。
そして半死半生のスヴェンの元に息を切らせて駆け寄ったのは、誰あろう無二の親友にして相棒のロイドだった。
彼が何故副長官派の企みとスヴェンの窮地に気付いたのかは判らない。しかし、現に彼は絶好のタイミングで助けに来たのだ。
そうして全ては無事丸く収まり、後は副長官派の勇み足を掬うだけ――――…の筈だったが、
「誰も予想出来なかったわ。
まさか其処で、自棄になったマフィアの一人が銃を撃つなんて」
当然そいつも射殺覚悟の銃撃なのだろうが、悪い事に最大火力の軽機関銃の乱射だった。
特殊部隊と警官隊の過剰射殺を受けて止まるまで僅か二秒。だが放たれた弾丸は約三十発―――…その、たった一発が、
ロイドの頭を、後頭部から貫いた。
「……スヴェン。お前、それでヘコむのは間違ってると思うぜ」
「同感だわ、アンタに落ち度は何も無いじゃない。
何もかも成るべくして成った事にしか見えないんだけど」
呆れた様にトレインとリンスは言い放つ。しかし彼は無言でグラスの琥珀から眼を逸らさない。
「スヴェン、もう自分を責めるのは止めて。
貴方は全然悪くない、あの人だってきっとそう思って…」
突然彼は、グラスの中身を一息に呷った。そして飲み干すと、ゆっくりとテーブルの上に置き、立ち上がる。
「…もう寝る。部屋……借りるぞ」
そのまま彼は三人に背を向ける形で部屋を出ようとドアノブに手を掛ける。
「スヴェン!!」
声調は詰問のそれだが、言霊は彼への労わりでマリアが言葉を発する。スヴェンの方も、雷に打たれた様に止まった。
「…あの人はいつも言っていたわ、貴方は自分にとってのヒーローなんだって。
私にも、シンディにも、そう。……ううん、貴方は何時だって誰かの…」
「止めろ」
無慈悲な氷の断頭台が、容赦無く言葉を断ち切った。
「生きてるヒーローなんて居ない。
死なないヒーローなんて物は、大抵どうしようもない悪党だ」
それを最後に、彼は場から立ち去った。テーブルの上に残る空のグラスだけが、唯一彼の存在の残滓の様に電灯に煌めいていた。
「……珍しいよな」
それを拾い上げてかざしながら、トレインは呟く。
「何がよ?」
「…あの二枚舌が逃げる所なんて、始めて見た」
スヴェンは、まだ封も解かれていない荷物の積まれた物置の、うっすら埃の被ったベッドに仰向けになりながらまんじりともせず
夜の虚に目を向けていた。
しかしその有り様とは裏腹に、彼の脳裏にはまるで別の華々しさが明滅する。
歓呼に笑いさざめく人々。舞い散る白い花びら。そしてその中心で人生最高の笑みを振り撒く一組の男女。
それは言わずもがな、彼の親友二人だった。
あの華々しく幸せに満ちた結婚式の、祝福する側にスヴェンは居た。
だがその少し前、スヴェンは新郎に教会の裏手に呼び出されていた。
「―――聞かせて欲しいんだ。何故君は、マリアから身を引いたんだい?」
「? 何の話だ?」
日頃優しいロイドの貌は、真剣そのものの鋭ささえ窺える。対するスヴェンは、笑顔の余韻が抜け切っていない風だ。
「僕だって馬鹿じゃない。マリアは君に想いを寄せてた」
それを聞くや、スヴェンの貌もまた引き締まる。
「僕が彼女を愛していたからかい?」
「……そう言う事を、仮にも恋敵に言うかよ」
そう言うと彼は失笑めいた笑いを漏らす。
「別にそんな事じゃないさ。俺はただあいつを部屋に呼んだ時、後三人ほど呼んでたのを忘れてただけだ」
改めてスヴェンは悪意に満ちた含笑を余さず表に出した。
次の瞬間――――ロイドの渾身の右拳がスヴェンの頬にめり込んだ。だが本人をそのまま殴り倒すには、彼の力はやや足らなかった。
「……結構キツイ打ちが出来るじゃないか」
拳を受けたまま、スヴェンは笑う。
「…その娘達が商売女だと言うのは判ってる。マリアが出て行った後何もせず帰したのも判ってる。
でも、彼女を泣かせたのは許せない!」
彼もまた、怒りを拳のみならず視線でスヴェンに浴びせた。しかし、その拳はすぐに下ろされる。
「いやはや便利なモンだ。マリアには教えたのか? お前のソレ」
鼻血を拭うスヴェンの笑みに、もう悪意は消失していた。
「…まずいのかい? 例の長官派に付く話」
質問には答えず、ロイドの怒りは心配一色に染め上がる。
「まあ―――、副長官派はちっと過激だからなぁ。
正直どんな妨害されるか判ったモンじゃないしな」
事も無げに言うスヴェンの肩を、ロイドは突然両手で捕まえる。
「別にいいだろ、老人達の権力争いなんて!! そんなの奴等が勝手にやってればいいのに、何で君が混ざらなきゃいけないんだ!?
大体長官だって、昔は兎も角今はただの権力の狗じゃないか!! そんなの…!!!」
皆まで言わさず、スヴェンは手を優しく払う。
「お前なぁ、そんな考え方じゃ出世出来ないぜ」
まるで頼れる兄の様に、彼は笑った。
ロイドの顔が歪む。悲憤と、恥辱で。
「済まない、スヴェン……僕は弱虫だ。
こんな能力(ちから)が有るのに、この状況で僕は、君の力になれない。
せめて君みたいに、人の心でも何でも見通す力が有れば、僕は……」
はらはらと涙が零れ落ちる。すると今度は、スヴェンの手がロイドの肩を掴む。
「いいさ。お前に出来る事を最大限やればそれでいい。
だから……マリアを、守ってやってくれ」
一言一句を刻み込む様な力強い言葉。それは励ます為に。次への力とする為に。
事実ロイドの眼には、忍耐と勇気が静かに確実に漲っていく。
それを証明する様に、彼はスヴェンの手を取って固く握り締めた。
「――――有り難うスヴェン。
君は、あの時からずっと…僕の最高のヒーローだ」
「……馬鹿野郎が」
スヴェンはかび臭い闇の中でロイドに悪罵を呟いた。
「お前も……マリアも…どうしようもない大馬鹿だ。俺ってモノをまるで判ってない」
…追憶に懐かしさが無い訳では無い。本当は別に彼等に悪意を抱いている訳でもない。しかし言わずには居られなかった。
「……俺は………人間のクズだ」
恒例の――――…待ってた皆さん済みません!!
パソ不調だの、インフルエンザだの、スランプだの、フロントミッション5だの、
メタルギアソリッド3だの、どうしようもない理由が目白押しだった年末年始を過ごしたNBです!(後半関係無い)
いやー、お陰で今俺のオツムは軍事色著しいですよ、ええ。
CTスキャンとかで見たら迷彩柄だったりして。………な訳無えか。
しかし………良いものはとっくの昔に凄い人にやられてる物なんですね。
MGS3を見て、俺の銃知識その他なんぞハナクソ並みだと言う事をつくづく思い知らされました。
ハナタレ小僧に大人のドラマはやっぱ難しい! 今回はそれを再認しました。
あと、ラストバトルで泣かすのは反則だと思います。
それと、アニメ版ブラックキャット、ついに見ました。
内容はさすがプロ! の仕上がりで大変楽しませて頂きましたが…………
――――あのエンディングはどうよ!!
ちょっと、その、あれ…何!? 叫んだよ、叫んじゃったよ!!
オープニングは良かったのに……2クール、有るよね!?
ああも内容と相反するエンディングにした理由が……俺にはさっぱり判りません。
………ま、いいか。どうせレンタルなんだから…飛ばせば。(諦め加減に)
最後に、いや本当に待たせて申し訳有りませんでした。
なのでここら辺で今回はここまで、ではまた。
「あの……みなさん。私から、一つ提案があるんですけど」
おずおずといった感じで、夕凪が挙手した。
「今は、どうやって犯人から身を守るのか……が最重要課題だと思うんです。
こういう時こそ『あの作戦』の運用を、本気で考えてみませんか?」
そう言って、夕凪はちら、と笠間の方を見る。
「どんな作戦かは知らんが、俺は乗らない。好きにやらせてもらう」
言ったそばから内容も聞かず、旗元は取り付く島も無く拒否する。
「あっ、ああ。あれか……『ドーナッツ作戦』か」
笠間が、思い出したように言う。誰からも、作戦内容についての質問はなかった。
夕凪の予想通り、笠間は休憩の時間、参加者全員に『ドーナッツ作戦』を話して回っていたらしい。
「なるほど……一箇所に集まった上で、全員が輪になるようにしてお互いを監視……
犯人の動きを封じるという、アレっすか。やってみる価値はあるかもしれないっすね」
玉崎がそう言った直後。
「待ってください……! 私に、一つ考えがあります……!」
意外にも、異議を差し挟んだのは黒川だった。
「確かにこういう時は、全員で一箇所に固まっているのが定石……
一見安全のようですが――その作戦には、デメリットが、二つほどあります」
「デメリット……っすか?」
玉崎は、黒川に聞き返す。
「そうです。まず一つ。それは、探偵が全員その場に釘付けになってしまうこと……
これでは、犯人だけでなく、探偵も身動きが取れない……
今まで……確認しただけで、もう二人もの人が
犯人の手にかかり、命を落としていますから……
このまま犠牲者が出なかったとしても
犯人は逃げ切り……勝利します……!
なんだか……そんなの、悔しくないですか……!?
犯人に先手を打たれた上、みすみす逃げ切りを許してしまうなんて……」
黒川は残る全員を見回し、言葉を続ける。
「もう一つ……これはあまり想像したくはないのですが……
ゲーム終了時刻まで、あと丸二日間もあります……
全員が揃っているということは、裏を返せば……
この中に潜んでいる犯人も
常に、全員の状況を把握していられるということです……!
集中力が途切れた時……仮眠を取っている時……
気を配ってはいても、隙が出来る瞬間というのは、どうしても訪れてしまいます……
そんな時に、犯人が自棄になって行動を起こした場合
全員が一緒にいると、一網打尽にされる危険もあります」
「うーん……まあ、言いたいことはわからないじゃないよ。
確かにドーナッツ作戦は、メリットばかりではないかもしれないね。
黒川くんには、積極的に犯人を探しつつ、身の安全も確保できる……そんな妙案があると?」
笠間が黒川に問う。答えは直ぐに返って来た。
「ええ。簡単な方法です……それぞれ、二人一組のペアを組んだ上で
あえてシュプール各所に散り、バラバラに捜査を行います……!」
「ハッ、何考えてんだよ。ペアだか何だか知らないが……
バラバラに行動なんかしたら、それこそ犯人の思う壺……!
一網打尽にはされないかもしれないが、各個撃破を許すだけだぜ?」
小此木は、話にならないとでも言いたそうに肩を竦める。
「そうでもないですよ……最後まで話を聞いてください。
この『ペア作戦』には、決して破ってはいけない、鉄の掟が一つだけあります。
ペアを組んだ二人は、いついかなる状況でも、絶対に離れてはいけない……!
捜査の時は勿論、起床時も、就寝時も、手洗いに立つ時も、いつでも一緒に行動……
お互いを庇い合い……それと同時に、不審な行動がないか監視するんです。
そうすれば、ある程度は自由に行動できますし――犯人も迂闊には行動を起こせません。
パートナーを置いて単独行動したり、パートナーを手にかけたりすれば
残る全員に犯人であると自白しているようなものですからね」
「なるほど。探偵の武器である捜査を封じることなく
犯人にパートナーという枷をつける……確かに、攻撃と防御を兼ね備えた布陣、ですね」
夕凪が納得したように頷き
「ま、大差はないような気もするが、犯人の影に怯えて縮こまってるよりは幾らかマシか」
続いて小此木も賛同の意を示した。
「おい、何度でも言うが俺は……」
「参加しない……でしょう? わかっています。この提案をした時点で、もうそれが前提でした」
睨み付ける旗元を、黒川は軽くいなす。
現在ホールにいる人数は九名で奇数。『ペア作戦』は偶数でなければ意味を成さない。
「旗元さん以外……残る全員の同意が得られれば
この作戦を実行に移したいと思うのですが……如何でしょう?」
特に異論は出なかった。沈黙を肯定と受け止め、黒川は話を進める。
「それはいいけど、ペアの組み合わせは、どうやって決めるんだい。
学校遠足の班決めじゃないんだから、各自の自由……って訳にはいかないよね?」
笠間が疑問を口にした。
「そうですね……公正に、籤引きで決めましょうか」
そう言うと、黒川はおもむろに立ち上がり
受付に置いてあったシュプールのゲストブックを持ち出し、ページを一枚破る。
それを何回か折りたたんで癖をつけた上で、器用に手で切り分けていく。
あっという間に、八枚の紙の切れ端がテーブルに並べられた。
「それでは、何かこの籤を入れる物を――」
言いながら、黒川はホールを見回す。
「……あれが、いいのではないでしょうか」
双葉が指差したのは、キャスターテーブルに置かれた開封済みのティッシュボックスだった。
「ああ、そうですね、それにしましょう」
黒川はティッシュボックスを皆が座っているテーブルへと持ってくると、箱の側面を開き、中身を出した。
(おいおいっ……何で、そうよりによって、嫌な思い出の詰まったものを持ち出すんだ……!)
カイジの指が、もう切り落とされるのはごめんだ、とでも言いたそうに、条件反射でぴくぴくと震えた。
「カイジさん……顔が真っ青です……大丈夫でしょうか?」
青い顔をしたカイジの様子に気付いたのか、双葉が声をかける。
「ほ、ほっといてくれっ……!」
そんなやり取りを背に、黒川はきょろきょろとホールを見回す。
「えーっと、何か書くものは……と」
「こ、これでいいでしょうか」
只野が、服の胸ポケットに挿してあったボールペンを差し出す。
「あ、どうも」
黒川はボールペンを受け取ると、紙にマークを記してゆく。
全て書き終えると、それを空になったティッシュボックスに入れ、軽くシェイクする。
「さて。この中には『○』『△』『□』『×』四つのマークを記した紙片が、それぞれ二枚ずつ入っています。
同じマークの書かれた紙を引いた方同士が、運命共同体……ということになります。
籤を作った私は、最後に残ったものを引きますから……みなさん、どうぞ」
黒川が、ティッシュボックスを差し出した。
籤入りティッシュボックスは黒川を始点に、時計回りでリレーされてゆく。
その時、その瞬間――犯人を除く全員が、同じ想いに支配されていた。
黒川の案に拒否反応を示した旗元が犯人だとすれば、それはそれで安心なのだが……
もし犯人が、このメンバーの中にいると仮定したら――
誰が犯人……ジョーカーを引き当ててしまうのか……と。
そして、そのジョーカーは、一体誰なのだろうか……とも。
不安渦巻く中……運命の分岐点……! 生死を分かつペア、決まるっ……!
毎度ありがとうございます。前回投稿は
>>286です。
ペア作戦実施……で次回へ続きます。
・台詞
前回投稿でようやく、ゲーム参加者全員が台詞を喋りました。
あとは、各人の絡みをまったり書くだけですね。
・公安の方々
絡んでくるかどうかは微妙な感じです。
出演の機会があるとすれば後半になるかなあと思います。
・ルールとその解釈
限定ジャンケンではないですが
気付きのゲーム……としたかったのもあります。
多少、無理矢理な気もしないでもないですが。
>サナダムシ様
加藤に男の哀愁を感じます。ひとつの山を越えたって感じですね。
いよいよラスボスとの戦い?それとも、まだ刺客がいるのかな?
>NBさま(お久しぶりです。今年もよろしくお願いします)
トレインやリンスのドタバタはいつもの事ですが、イブにとっては
家庭というのは未知の味ですね。それをフォローするスヴェンも渋い。
ああ、スヴェンの原作で語られなかった過去がついに!
>見てた人様
おお、ドーナッツ作戦の伏線がここに生きるとは!却下されたけどw
しかし、ペア作戦で2人一組は恐ろしいですね。犯人と一緒だと。
女っけの無いカイジに夕凪と組んでほしいですがw
>殺人黙示録カマイタチ
いよいよ話が面白くなってきたけど、この手の複数登場人物が出てくる
小説で、キャラの説明と絵の無いものだとどうしても名前とキャラが
一致しない小説読みなれていないヘタレな俺orz
もしよければ各キャラの外観的特徴、おおよその性格を簡単に纏めたものを
作成してくれると・・・非常にありがたいっ・・・!
363 :
作者の都合により名無しです:2006/01/21(土) 22:24:10 ID:7kbakvwn0
圧倒的な描写力のNBさんと、緻密な構成力の見てた人さんが
連続してくると壮観ですな。
特にNBさん、しばらくです。あけましておめでとう。
後書きから新年早々飛ばして増すなw
>黒猫
前半、ホームドラマ→後半、ハードボイルドっぽい引き、というのが見事です。
「大人の男」スヴェンの過去の傷を感じさせる情景ですな。
マリアとの恋物語、三角関係、友に好きな女を譲って身を引く・・しぶい。
この3人の過去の話が、これからの展開にリンクしていくのかな?
>カマイタチ
ペア作戦ですか。確かに有効な戦術かも。3組の安全度を保障し、
犯人のいる残りの一組も、犯人は不穏な動きを出来ない。
でも、その良策が逆に不吉さを感じさせますなー。何かが起きそうな。
とりあえず、カイジと夕凪以外は全員怪しいですねえ。
364 :
ふら〜り:2006/01/21(土) 23:44:59 ID:2PcQIAIz0
>>サマサさん(可愛いなぁ……彼女と彼の漫才短編希望! もぉ大好きですこのコンビ)
ふぅむ。バカ王子の計画及び嗜好が興味深い。のび太たちに対し、洗脳っぽいことは何も
せず、ただ強大な力を与えただけ。それが一行にどんな影響を及ぼすか? 彼が敵側に
与してる可能性はないってのがまた面白い。ある意味では一気に作品の中心人物へ昇格?
>>ハイデッカさん
待ってましたこのエピ。慶次が見抜いた理由、ジャンヌとは違っててきっちり慶次らしい
ところが見事です。それと今までもそうでしたが、次から次に男たちを魅了していく様が
正に涼やか。私にしては珍しく腐な妄想が沸きません。次はジャンヌの女っぷり如何に。
>>サナダムシさん
リーダーはきっと強かったのでしょう。多分、本来なら銃器を飛ばされた後も充分戦える
ぐらいに。ただ、今の加藤はそれを凌駕する強さだったと。あえて無粋な言い方をすると、
「補正がかかってた」状態でしたね。今回の加藤は。これでまだ続く試練って一体……
>>NBさん
前半。こういうノリになると、この四人の布陣って完璧ですね。それぞれのポジションが
きっちりはまってて、爽快にテンポ良く、楽しく可愛い。で後半……痛み傷つきを知って
いるからこそ生まれる優しさ、大人の貫禄、男の渋さ。つーかもぉ他三人、もっと敬えっ。
>>見てた人さん
やはりこのゲームの参加者は、みんな頭いい。私は原作「かまいたちの夜」でもドーナツ
作戦を考えてましたが、黒川さんに言われた今この時まで、短所に気づかなかった……
原作のカイジがあんな状況だけに、相方不信になれば地獄なこの展開。どうなりますやら?
NBさんお久しぶりだなあ
相変わらず神域の筆致、お見事です。真似してえ
スヴェンの過去バナと現在の絡み楽しみにしてます。
後書きもNBさんらしくていいやw
うわあーい、NBさんの続きが!!
待っておりました。
NBさんの話から黒猫にはまってスヴェンに転んで、もう坂道を転げるごとき状態になっております。
てかスヴェン、完全にトレインを喰ってますね。
感涙です。描写の確かさに惚れています。
お忙しいとは思いますが、続き、気長に待っておりますので。
お体どうぞご自愛ください。
いつも作品読ませていただいて感謝です。
ぐにゃりと、景色が歪む。
目を開くと突然、ずっと以前に追っていたはずの怪人が眼前に姿を現した。
「な、なんでてめぇが……」
辺りを注意深く見渡すと、周囲も無人島ではなくなっていた。四方をひび割れたコンク
リートで囲まれた、荒涼とした広い一室。
「催眠術だ。現実ではない」
「さ、いみん……じゅつ……?」
「おそらくは孤島に閉じ込められ、武神と出会い、試練を打ち破ってきたのだろうが、全
ては君の脳が造り出した架空の映像──かりそめのものだ」
一体どういうことだ。加藤にはまだ、怪人が教授している内容を上手く読み解くことが
できない。
「分からぬかね? 君は十日ほど頑張ったはずだが、実のところ未だ一分も経っていない
のだ」
「え、え、え……?」
自らを支える基盤が丸ごと崩壊していくような、絶望的な喪失感。錯乱する思考。
「──バカな。んな話、ありえるかよッ!」
「ありえるのだよ。脳というのは、解明されていないメカニズムも数多い。効率的に運用
すれば、一分以内に十日以上を味わうこともできる。たとえば、催眠術などによってな」
汗が止まらない。島も、武神も、試練も、ドッポさえも、全てが虚構だったというのか。
普段は眠っている脳の一部分が覚醒し、組み立てられた極めてリアルな箱庭だったとでも
いうのか。
そういえば昔、館長のように虎を倒してみたいと空想に耽った時期も──。
「ちがう、ちがう、ちがうッ!」
「諦めなさい」
幼児をあやすような声で、歩み寄る怪人。すでにこの時、加藤の首にはアラミド繊維が
絡められていた。
「ち、ちが……ッ!」
バッサリと頚動脈は断ち切られた。打ち上げ花火のように血飛沫を撒き散らし、加藤は
床に倒れ伏した。
結局手も足も出ず、完敗した。
独歩が受けた屈辱どころか、奪われた左拳ほどのダメージも与えられずに。
現世か、黄泉か。いずこかも知れぬ暗闇にひとり佇んでいると、不意に独歩らしき声が
耳に伝わってきた。
「いいかァ、おめぇら」
いや、紛れもなく独歩の声だ。だれよりも自分を叱り、だれよりも自分を褒めてくれた
大恩人の声質に他ならない。
今すぐにでも会いたい。ところが、独歩より出でた言葉は冷酷なものだった。
「この中に、加藤のヤロウが入ってやがる。死刑囚如きに不覚を取った恥さらしだ。よっ
て今日は黒帯研究会で、こいつの処刑を決行する。手加減すんじゃねぇぞ」
「オォオオォオスッ!」
ちょっと待て──処刑?
考えをまとめる暇も与えられず、打撃が突き刺さった。全方位から岩をも穿つ衝撃がめ
り込む。
「死ねやぁ、加藤ォッ!」肝臓(レバー)にクリーンヒット。
「くたばれッ!」水月にクリーンヒット。
「せいやァッ!」胸板にクリーンヒット。
懐かしい声たちが順序良く、恨みつらみを吐き出しながら攻撃してくる。加えて、独歩
の命令通り、手加減など一切含まれていない。本当に処刑されてしまう。
ひとまず加藤も防御に入ろうとするが、それは不可能だった。全身をごわごわした刻ま
れた布に包まれ、身動きひとつ取れない。殴られるたび、大小左右に己が揺れる。
「もしかして」ふと直感が働いた。「サンドバッグか」
推理は的中していた。怪人に敗北した彼はサンドバッグに詰め込まれ、神心会本部で制
裁されている最中であった。
「へっへっへ、次は俺だぜ。ぶっ殺してやる」と、末堂厚。
「親父、俺にもやらせてくれ」と、愚地克己。
「奴は中国拳法を嘗めた」と、烈海王。
トップファイター三名が参戦し、激化する私刑(リンチ)。
ミノムシも同然である加藤に、日頃のうっぷんでも晴らすが如く攻撃は加速する。
「くそっ。てめぇら、恥ずかしくねぇのかよ。神心会が誇る黒帯どもが、こんなクソみて
ぇな真似してよォッ! 俺の妄想ん中にいた虎の方が、よっぽどイカしてたぜッ!」
両手足を伸ばし、加藤は力ずくでぶ厚いサンドバッグを内から引き裂いた。
外で待っていたのは黒帯連中でも、怪人でも、師匠でもなかった。なにひとつ異変のな
い、平和なジャングルが昨日までのように広がっていた。
「あれ……元に戻りやがった」
むくりと起き上がると、傍らで奇怪な化粧と衣装をしたピエロが腰を抜かしていた。
「ヒ、ヒィッ! バカなッ!」
「あァ?」
「私が生み出した悪夢から、こんな短時間で逃れられるわけがないっ!」
しばしの思考ののち、ようやく加藤の中で全ての辻褄が重なった。つまり今までの妙な
物語は、ピエロが造り上げた夢でしかなかった。
安堵と怒りを同時に覚えた加藤は、ピエロを詰問する。したたかにも逃げられぬよう、
片足を踏みつけながら。
「なるほどな、てめぇの仕業かい。もしかして、おめぇも試練ってやつか? 正直に話せ
ば、なにもしねぇよ」
「え……あ、はいっ! どうも私、武神に派遣された幻術師でして。業界では“ナイトメ
ア”って呼ばれてます。いやはや、さすがですなぁ。常人ならば精神疾患は免れぬはずな
のですが、特に後遺症は見当たらない……。で、では、私はこれで」
肘が脳天に落とされた。ピエロはあっさり溶けてなくなった。
たっぷり睡眠を取ったはずなのに、どんよりと疲れきってしまった。
「──ったく、わけ分からねぇ夢だったぜ」
起き抜けだというのに、まったく気力が湧かない。
だが、刺激的すぎた夢がかえって荒療治となり、ドッポを失って生じた心の損傷が少し
だけ快復できた。
「明日にでも、墓を建てて弔ってやらねぇとな……」
もう一晩ほど安静にすれば、傷ついた肉体も整うはず。
試練はおよそ一ヶ月──とりあえず、ひとつ峠を越えた。明日からも立ち並ぶであろう
過酷な試練を想像しつつ、獅子は一日を終えた。
十日目終了。
と同時に、第一部終了です。
第二部は別になにかが特別変わるというわけではありませんが、
多少雰囲気くらいは変わるかもしれません。
では、またお会いしましょう。
372 :
作者の都合により名無しです:2006/01/22(日) 07:57:01 ID:GjSZpTvO0
サナダムシさん、いつも深夜にお疲れ様です。体壊さないでね。
やたら壮大な夢オチですな!ドリアンすげえ…と思ったら、
また外に出たら悪夢の続きですか。何が夢で現実やら。
ジョジョのスタンド攻撃を受けたのか、加藤?w
しかし第一部終わりですか。
今までのサナダさんの作品は第一部がギャグで、
第二部がシリアスでしたが、これから先はどうなるのかな?
何にせよ、ファンとしては待つばかり。
お時間がある時で構わないので、出来れば間を空けず書いてほしいな・・
>>殺人黙示録カマイタチ
各人の特徴がおおよそ分かってきました。
話が進めば進むほど、どいつこいつも胡散臭く見えてくるのはやはり貴方の技量か。
でも、殺人鬼はペア作戦をも打ち破るんでしょうね。
あと、ティッシュくじがトラウマになってるカイジワロス
374 :
作者の都合により名無しです:2006/01/22(日) 19:56:33 ID:dbN8cO3L0
サナダムシさんお疲れ様です。
終わらない悪夢という感じですな。
唯一の見方であるドッポも食っちゃったし、
孤島に置き去りのまま。
加藤、精神的におかしくならんかな?
あの、すみません。大長編ドラえもんのSSを投下したいのですが、
敵キャラ(ちなみに1人)と作品のジャンルが他の作品と被っても大丈夫なのでしょうか?
当たり前ですがストーリーは完全に別物となってます・・・
全然構わないですよ。ストーリーが現行のSSとかぶってるってのならまずいが。
>>375 ストーリーが別物なら全然OKだと思う。
登場人物が被ってるとか言い出したらSSは書けないよ。頑張れ。
>>376-377 回答ありがとうございます。少しホッとしました。
それでは、投稿に向けて小説の最終調整をします。
379 :
作者の都合により名無しです:2006/01/22(日) 21:24:54 ID:Pz59HYCR0
>375さん
ドラえもん大好きですよー。嬉しい。長編ドラえもんはSSの花形のひとつです。
楽しみにしてるので頑張って下さい。気楽に、楽しみながら書けばいいと思いますよ。
真摯な姿勢で嬉しいですけど、あんまり最初から考え過ぎると疲れちゃうんで、
物語の大枠だけ決めて、連載しながら工夫していく、というのもアリですよ!
>サナダムシ様
実は、私も職人の端くれです。ちょっと名前は恥ずかしいので出せませんけど。
それにサナダムシさんに向かって、自分の事を「職人」なんて恥ずかしいw
私がSSを書き始めたのは、実はサナダムシさんのSSの影響です。
あなたの作品は全て好きですが、「しけい荘」と「犬と猫」が特に大好きで。
「やさぐれ獅子」、加藤のもがいて足掻いて這い上がろうとする姿が素敵です。
なんか最近、お疲れ気味の後書きが多くて心配してしまいますが、頑張って下さい。
私のような下っ端職人の目標でい続けて欲しいな…、と思います。
それでは、大長編ドラえもんの小説を投稿しようと思います。
小説に関しては初心者なので暖かい目で見守ってくだい。
(もちろん指摘してもいいです)
第1話 悪の生命体
この物語は今から数ヶ月前にさかのぼる。ドラえもんたちが銀河漂流船団や宇宙少年騎士団と共に
協力し、アンゴル・モアの脅威に立ち向かった日に・・・
「フレイヤ!ガラクタは全部運び出してって言ったろ!!」
怒鳴ったのは宇宙少年騎士団のリーダー、リアン。銀河漂流船団の司令官を父に持つのか、リーダー
シップに長けている少年だ。そして怒鳴られたのはフレイヤという妖精のように小さく、
妖精のように美しい少女である。
「ガラクタじゃないわ、みんな地球の思い出よ・・・」
フレイヤはそのガラクタと呼ばれた物がギッシリ詰め込まれているケースの上に立った。その中
には使われていないテレビや自転車、スポーツ器具、捨てられた人形など、本当にガラクタと呼ぶに
ふさわしい物しか入っていない。しかし、それらを“地球の研究材料”として必死に回収してきた
フレイヤにとってそのガラクタは新しくできた地球の親友の大切な思い出の品になる。
「だってもう・・・お別れするんでしょ・・・」
誰が帰るのかというとそれはもちろんドラえもんたち5人である。フレイヤは別れを惜しんでいるが、
ドラえもんたちには帰るべきところがある。仕方がないことだ。
突然、ケースから大量の研究材料が不自然に飛び出した。その勢いにフレイヤも一緒に吹き飛ばさ
れてしまった。その正体は・・・
「モアだ!!」
ドラえもんが叫んだ。直後、吹き飛ばされたフレイヤは悲鳴をあげながら全速力でモアから逃げた。
あらゆるものを無理やり合体しすぎたのか、モアの動きはかなりぎこちない。走ることでさえやっとな状態だ。
一同は急いで格納庫から隣の部屋に逃げ込んだ。もちろんモアも後を追うが、無駄に大きくなってしまい
ドラえもんたちが非難した部屋に入ることは不可能だった。だがモアは融合しているガラクタから抜け出そうと
している。しかし・・・
「あらら、体にいっぱいつけすぎて出られないんだ」
ドラえもんは身動きが取れなくなったモアを封じ込もうとカチンカチンライトを出した。
「カチンカチンにしちゃうぞ!」
モアにライトが照射され、モアの本体らしきのもが固い球体となって現れた。
「これがモアなの!?」
恐怖の大王アンゴル・モアの意外な正体に驚く一同。
「そう、モアは自分の形を持ってないんだ。こいつがロボットの中に入ってたんだろう」
「これどうするの?」
のび太が固まったモアを指しながら言った。
「5分で元に戻る」
『ええーーーーーー!!』
予想外の答えに一同は叫ぶ。しかし、ドラえもんには秘策があった。
「だから・・・“空とぶ荷札宇宙用”」
この道具は、札に届け先を描くだけで自動的にその届け先に荷物を届けてくれる便利な道具である。
ドラえもんは札にマジックペンで届け先を書き始めた。
「お届け先は・・・っと」
『お届け先は・・・どこ?』
みんながドラえもんにお届け先を聞いた。
「ブラックホール!!」
ドラえもんは微笑みながら荷札を動けないモアに貼り付けた。荷札はタケコプターのように回り始
め、浮遊した。宇宙船の後部ハッチを開け、モアはそのまま宇宙空間に飛ばされ、肉眼でも確認で
きる距離にあるブラックホールまで行ってしまった・・・
ドラえもんたち一同が乗る宇宙船は母船ガイアに帰還した。
「モアって一体何だったの?」
「たぶん、みんなの心の中に潜む“悪”の塊かな?」
のび太の素朴な質問にドラえもんは予想だが答えた。しかし、その予想は間違ではないのかもしれない・・・
ブラックホール内部。
元に戻っていたモアは暗黒の地獄を味わっていた。ブラックホール内部に生じる高物質エネルギー
がモアを襲う。
「うわああああああああああ!!おのれ!!おのれ!!たかが人間ごときにこの私が負ける
とは!!!許さん・・・許さんぞ!!!」
モアの怒りは頂点に達していた。
「憎しみの心よ・・・怒りの心よ・・・悪の心よ・・・この私に集え!!!!!」
呪文を唱えるかのように叫んだその時、ブラックホールに無数の赤い光が集まり、モアに入ってい
く。宇宙や星々に住む生命体の “憎しみ”“怒り” “悪”などのエネルギーがモアを強化していく。
「いいぞ・・・さぁ・・もっとだ!もっと私に力を!!!」
スライム体のモアが赤く光り始めた。その光はどんどん広がり、ついには巨大なブラックホールを
飲み込もうとしている。
数時間後。
あのブラックホールは、宇宙空間から完全に消え去ってしまった。さらに、アンゴル・モアの姿も消
えてしまった。モアは自ら拡大させた力を抑えきれずに消滅してしまったのだろうか?生きている
としたら、モアは地球人に執念を燃やし恐ろしい計画を立てて再び戻って来るだろう。
そして、この物語は数日後・・・
銀河漂流船団が新天地となる惑星を発見した日と天上連邦が植物星への移民を完了させた日に移る・・・
とりあえず第1話の投稿はこれで終了です。
この小説を簡単に説明すると、「宇宙漂流記」「雲の王国」「宇宙開拓史」
のキャラクター+完全オリジナルキャラクター(約3人)がドラえもんたちと
協力して敵を倒すという話です。ちなみに超マイナーなロボットにのび太たちが
乗って戦います。
一応、ストーリーのほうは完成させているので完結させる気は十分あります。
みなさん、どうかよろしくお願いします。
1つ言い忘れてました。タイトルは
「ドラえもん のび太の惑星大戦記」
ですが、これは第1部「開戦編」だと言うことを覚えておいてください。
いや、SSなんて書いている内に上達するよ。
ただ、一行の長さは簡潔に。↓句読点無しで一行まとめはつらい
>銀河漂流船団が新天地となる惑星を発見した日と
>天上連邦が植物星への移民を完了させた日に移る
あと、改行も少し増やして欲しいな
>388
ヒント:語ろうぜスレ
>見てた人氏
期待の星がキタ━━━━━━━━ッ!!!
いよいよ探偵軍団も本格的に動き出しましたね
『ペア作戦』とはこれまた展開を期待されてくれます
流石にみんな頭が良い。標準以下の奴はいないだろうな
んでもって、次に誰が殺されるのか楽しみでしょうがないwww
>サナダムシ氏
乙です
第二部ですか、まだ続くんですね
>サンダル氏
乙です
すごい大長編になりそうですね
満天の夜空。
この地球が生まれる前から、輝き続けてきた星たち。
その満天の星空の下、獅子宮の脇に設けられた簡素なカシオスの墓前で、
アイオリアは一人、手酌で呑(の)んでいた。
「兄さんが死んだ夜も、こんな星空だったな…」
昔、アイオリアはよく独り言を言った。
お節介な奴らがいたおかげで、ひねくれずにここまで来れた。
サガの造反の露呈(ろてい)、青銅聖闘士五人による聖域の浄化、アテナの帰還、
そして、空前絶後の十二宮踏破(とうは)という、聖域史上かつてない長い一日の日は落ちた。
とはいえ、事後処理に追われる人々は、深夜になってもまだあちこちを歩き回り、時に走り回っていた。
九人居た黄金聖闘士は、五人にまでその数を減らしていた。
斃(たお)れた四人、
死神デスマスク、聖剣のシュラ、水と氷の魔術師カミュ、茨の魔人アフロディーテ、そしてサガ。
彼らは決して弱かったわけではない。
青銅聖闘士が、白銀どころか黄金聖闘士を制した事実は、奇跡としか、言いようがないだけなのだ。
何せ、情け容赦ないライトニングプラズマの、拳の暴雨の中を潜り抜け、
黄金聖闘士のアイオリアに、一撃食らわすような真似をしてのける連中なのだから。
瀕死、どころか実際に心停止し、死亡状態にあった青銅聖闘士五人を収容し、
蘇生措置等の応急の手当てをした後、アテネ市内にある聖域の息のかかった病院に担ぎ込まれたのを機に、
聖域は一応の事態の収拾をとった。
それが約四時間前、日が暮れ、サガの自決の衝撃が過ぎ去らない時のころだった。
教皇代行を天秤座・ライブラの童虎に勤めてもらうという方向で、
教皇の間の職員と黄金聖闘士たちの意見が纏まり、緊急会議が終わったのが二時間ほど前。
現状では、通知、連絡、現状把握など、聖闘士以外の人間がすべきことは多いという、
なんとも妙な状況になっていた。
だから、獅子宮に人がくるのは想定して居た事だ。
「アイオリア、起きているか?」
その訪問者までは想定しては居なかったが。
「珍しいな、ミロ」
この十三年間、まともに顔を合わせたことが無い相手だ。
悪態に似た言葉が出ても仕方ないというものだろう。
座るように促すと、酒と肴(さかな)を彼のほうへとやる。
「呑むだろ?」
素面(しらふ)で応対できるほど、彼らのわだかまりは抜けては居ない。
しばらく、男二人が無言で杯を酌み交わしていた。
停滞した状況を打ち破るのは、賢者にそそのかされた愚か者だと決まっている。
酒という賢者は、ミロという愚者を先ほどからそそのかし続けていた。
言わなければならないことがある。
「アイオリア、聞け
いや、聞いてくれ」
ミロの顔に渋いものがあるのは、ギリシアワイン独特の渋味のせいだけではない。
「……なんだ?」
一瞬というにはやや長い間をおいて、アイオリアは答えた。
「俺は…、貴様に謝らねばならん」
何のことだと、アイオリアに思い至る節が無かったのは、酔いのせいではない。
アイオリアは常々、謝られる事も、謝る事も無いように振舞ってきた。
常に公平に、常に己を抑えふるまってきた評価は、星矢をして、
仁智勇を兼ね備えた聖闘士随一の勇者と言わしめたことで分かるだろう。
「…十三年前の夜のことだ」
ミロが苦渋の告白をするのと、彼が言わんとする事にアイオリアが思い至ったのは、同時だった。
「…そうか」
ぽつりと、呻くような生返事しかアイオリアは出来なかった。
ミロは、常に胸を張って前を向いている漢である。
断言してもいい。
ミロがこのような、煮え切らない表情をするような事は、ありえない。
「俺は、貴様に…。貴様もショックだっただろうに
何と申し訳の無いことを言ったのか…」
あの夜は、あの沙汰の下された夜のことは、実を言うと事の衝撃の余韻のせいか、あまり覚えていない。
泣きそうな顔で罵倒するミロと、仲間たちのなんともいえない空気だけを僅かに覚えているだけだ。
内容や細かい状況まで覚えては居ない。
だが、ミロは覚えていたのだろう。
ミロもまた、被害者だったのだ。
殴られた柔い心も痛かったが、殴った幼い拳も痛かったのだ。
「許してくれなどとは言えん
だからアイオリア」
居ずまいを正し、いつに無く真剣な表情でミロは続ける。
「アイオリア、俺を殴れ
殴ってもらったところで、この俺の罪が消えるわけではない
だが、俺にはこれ以外に方法が見つからんのだ!」
だから殴ってくれ、叫ぶように言うと、ミロはなんと土下座をした。
「おいミロ!そこまで…」
この誇り高い漢が土下座など、常ならば酔いのせいかと思っただろうが、
これは真実の事、今この目の前の出来事だ。
ミロは、サガの暴露によって知った事実をアイオリアと同じく、
いや、それ以上に重く受け止めていたのだ。
「これからどの面下げて俺は!
俺は!貴様の前に立てばいい!?
貴様が気にしないを幸いに、友達面して肩を並べろとでも言うのか?
俺に、そんな事はできん!」
潔い。アイオリアはこんな状況ながら、いやこんな状況だからこそ思った。
状況が逆だったなら、俺はこんな風に潔く謝ることができただろうか?
「土下座はやめてくれ、ミロ!」
「駄目だ!貴様が俺を殴るというまで土下座は辞めん」
その妙な頑なさに、ふっと、アイオリアは張り詰めていたものが切れるのを感じた。
「俺たち黄金聖闘士は皆同格、皆仲間じゃないか」
だから顔を上げてくれ。
ミロの肩に手を置き、アイオリアは言う。
すると、渋々といった風でミロは顔を上げる。
「アイオリア、頼む、思いきり殴ってくれ」
だが、その主張は下げない。
「…わかった、立て、ミロ」
たっぷり十秒は間をあけ、アイオリアは決断した。
小宇宙をこめず、アイオリアは、ただ、鍛えぬいた己の鉄拳でミロの頬桁(ほおげた)を叩くと、
乾いてはいるが、あらゆる情のこもった音がカシオスの墓前に響く。
みるみる腫れ上がるミロの頬を見、何とも言えない顔色でアイオロスは言う。
396 :
作者の都合により名無しです:2006/01/23(月) 02:26:46 ID:+AoBW5HuO
安芸
ミロってのはメロスのことだから
さしずめアイオリアはセリヌンティウスか。
「これで、良いか?」
「ああ…」
座りなおし、杯を干すと、ミロは顔をしかめた。
「沁みたか?」
「…ああ」
その顔は、アイオリアに何の気も篭っていない、からっとした笑いを誘発させた。
ひとしきり笑うと、憮然(ぶぜん)としたミロの顔が目に入ったアイオリアは、
笑いの残滓(ざんし)をにじませながら、
「なぁ、ミロ
気負いすぎだったんだな、俺たちは」
そう、言った。
「背負っていかなきゃならないものが多いが、気負いすぎることはないだろ」
何を言っているのか、そんな表情でミロは返す。
「そうだな、友よ」
アイオリアの返事に、ミロは一瞬驚き、そして、からっとしたミロらしい笑い声を上げた。
黄金時代第十三回をお送りしました、銀杏丸です
九回でミロと喧嘩させたので、その絡みでミロが主人公の回なんですが、
どうみてもアイオリア主人公です、ありがとうございました
和解は酒と共にありです
校正ミスすみません、
×斃(たお)れた四人
○斃(たお)れた五人
です、失敬
では、またお会いしましょう
わーい、リアルタイムで初めて見れた!
所で
>>395最後の行はアイオロスではなくアイオリアですよね?
しかし非常にミロらしいやりとり、GJ!
>>400 そうです、アイオリアが正しいです
度重なる校正ミスすみません…
だいちょうへんドラえもん
ドラえもんのび太の秘境探索記
空は抜けるように青く、太陽はギラギラとアスファルトを睨みつけている。
流れる雲は洗い立てのシーツのように白く、手を伸ばせば届きそうな程にハッキリと輪郭を表している。
街は今日も変わらず平和。
日常は変わらず回り続けていた。
「ハァッ、ヒィッ…」
少年が一人、道を駆ける。
年頃は十といったところの、ややふっくらとした輪郭に大きな丸眼鏡を掛けた、運動の苦手そうな少年だ。
黄色い半袖のシャツに、紺の半ズボンを穿いたこの少年こそ、漫画<ドラえもん>の主人公、野比のび太だ。
時は少し前に遡る。
三方が木の板を連ねた塀に囲まれ、道路に面した位置に入り口がある、とある空き地。
程良く広く、サッカーの練習くらいなら問題無く行えるそこは、近所の小学生の絶好の
溜り場となっている。
そこにある、入り口とは反対の塀の近くに積み重ねられた三本の土管。
そのすぐ近くで、のび太は仲間の少年達と言い争っていた。
「えーっ!そんなのムリムリ、ムリだって!」
言いながらのび太は、手を振り、首を振り、及び腰で後退る。
体全体の部位を駆使し、全力を以て事の無理さを訴える。
情けない、小学生と色眼鏡を掛けて見ても実に情けない姿である。
そんなのび太の姿を見て発奮したのか、その場にいる少年達の一人が、
体の大きな子は腕を振り上げながらずい、と前に出た。
オレンジに白のラインの入ったTシャツと、紺の長ズボンという服装の、
のび太と同い年とは思えない立派な体格のこの少年。
<ドラえもん>のガキ大将、ジャイアンこと剛田タケシである。
「なんだと、コノヤロウ!」
タケシは激怒した。
必ず、この意思薄弱の王を鍛えねばならぬと決意した。
タケシには勉学が分からぬ。
タケシは町の少年である。
歌を歌い、皆と遊んで暮して来た。
けれども弱虫に対しては、人一倍に敏感であった。
「だってジャイアン!ボク…」
「オマエはそうやっていつもいつもにげるんだ!
今日という今日は、オレがテッテイテキにきたえ直してやる!」
がなりながら、ジャイアンは鼻息を荒くしのび太に迫っていく。
のび太はビクッと肩を震わせ後退る。
まさに蛇に睨まれた蛙状態。
「そうだぞ、のび太!オマエだって、やればできるはずだ!」
横から、別の少年が無責任にジャイアンを煽る言葉が投げ掛ける。
薄緑の半袖シャツに、黄色の半ズボン。
背はのび太よりやや小さく、特徴的な前にツンツンと伸びた髪型をしている。
骨川スネ夫だ。
「ジャイアンがきたえてやるって言ってるんだ!おとなしくしたがえ!」
「そ、そんなぁ…」
一丸となって迫るジャイアン達に、のび太はただ困るしかなかった。
のび太達のコミュニティは大将がジャイアンと決まっており、
はっきり言ってその中で彼は好き勝手に振る舞っている。
当然、被害はジャイアン以外の全ての少年達に及ぶ訳だが、
彼らも何も考えずに水辺にぽやんと生えている芦ではない、それなりの対処法を考える。
ある子は全く関わろうとせず、ある子は距離を置いて接する事で被害を軽減する。
このスネ夫という少年の対処法は、敢えて近付き、
一緒になって別の対象を攻撃するという方法だった。
近付く、ということは時に多大な被害を生むが、
一緒になって他人を馬鹿にすれば気も紛れる。
優越感にも浸れる。
「おら、のび太!」
「やい、のび太!」
一対一でさえ力の差は歴然だというのに、その上に一対二。
「う、うわぁぁぁん!」
迫り来る重圧に押され、遂にのび太は逃げ出した。
「あ、コラ!待てえ!」
「のび太のクセにぃ!」
こうして、照り付ける太陽の中、いつものおいかけっこが始まった。
はっきり言って、のび太達が何を言い争っていたのかはこの話には関係無い。
ただ、のび太はいつも通りジャイアンから逃げ、いつも通り家に帰ってきた。
家の中に入り、玄関のドアの鍵を閉め、
ドンドンとドアの叩かれる音に脅えながら背中でドアを抑える。
程なくジャイアン達は諦め帰って行き、のび太はほっと胸を撫で下ろす。
のび太にとってはいつもの事だ。
日常茶飯事だ。
いつも通りに回る日常は、知らず知らず人に安心感を与える。
それを堕落とし、納得が出来ない人間も居るだろう。
しかし、それは普通の人間にとっては紛れもなく平和と言えるだろう。
しかし、いつも通りが平和では無い人物が一人居た。
しかも、他でもない野比家に。
「また、出なかったわ…」
野比玉子、三十代後半、専業主婦。
のび太と同じ飾り気の無い丸眼鏡を掛けた、意外とナイスバディーなのび太のママ。
「これでもう、三日目ね…」
お腹をさすりながら、カクンと頭を垂らしトイレから出る。
ぼってり下腹部に感じる、独特の重み。
いわゆる便秘である。
「お薬でも使おうかしら」
言いながら、手を洗い、居間に向かう。
箪笥の上から薬箱を取りだし…
「あら、困ったわ…買い置き、切らしちゃってたみたいね…」
どうやら、お目当ての薬は無かったようだ。
「えーと、他のお薬はちゃんとあるみたいだし…買いに行くのも馬鹿らしいわね」
薬箱を閉め、箪笥の上に戻す。
パンパンとエプロンの埃を払い、立ち上がると丁度廊下を走るのび太の姿が目に入った。
よっぽど悔しいのか、ドラえもん、と叫びながらドタドタと二階へと消えていった。
「もう、のび太ったら、手も洗わないで…」
階段を軋ませ、外の埃を巻き散らしながら上がっていく息子に、気付かず溜め息を吐く。
「そういえば、ドラちゃん、便秘のお薬は持って無いのかしら」
暗く、細長い空洞を懐中電灯を片手に進んでいく二つの影。
「ねえ、ホントにここにくるヒツヨウ、あったの?」
影の内の一つが洩らした。
暗がりで照らされる微かな光が、大きな丸い眼鏡の輪郭をクッキリと浮かび上がらせる。
のび太だ。
「仕方ないだろ、お医者さんカバンが壊れてたんだから」
狭い洞内に反響する、独特のドラ声。
青い、達磨に手足の生えたような体型。
真ん丸お目目に赤い鼻、大きな口。
言わずと知れた国民的人気者、ドラえもんだ。
「う〜ん、どうやら水分が足りなかったみたいだね」
道に転がる黒い物体を手に取り、検分しながらドラえもんは呟いた。
「ドラえもん、それ、キタナイよ」
「大丈夫だよ、のび太君。テキオー灯を使っただろ?」
「でも…」
のび太はドラえもんの手に乗っているそれに目をやる。
固く、コロコロとした、もう出待ち状態のそれ。
いわゆる排泄物、う〇こだ。
表面が体液でテラテラと光り、水分不足で締まったそれは、黒曜石の輝きを放っている。
三日間腸内で圧縮熟成されたそれは、遥か昔、
地層深くでマントルの高温高圧下で変化した炭素、ダイアモンドに似ているといえよう。
あとはダイアモンドが地殻変動で押し出され、地上浅くで掘り出されるように、
大腸の動きで直腸まで押し上げられ、人意によって日の目を見るのを待つばかり、といった感じだ。
「うう、よくさわれるね…」
文では何とでも表現出来ようが、見てる当人達からすればただのうん〇。
これが〇んこをクソとも思わない国の人ならば何ともないだろうが、そこは流石は日本人。
のび太はドラえもんを道端に放置されたペットの汚物でも見るかのような目で睨めつけた。
「そんな目で見るなら来なきゃ良かっただろ」
「ドラえもんがドウグをかしてくれないからじゃないか!」
「だからそんな都合の良い道具は無い!」
「またまたぁ。そんなこと言っちゃって、この、この」
「はあ…」
深く溜め息を吐くドラえもん。
二十二世紀からのび太を教育するためにやってきたものの、
何か、毎日同じ事を繰り返している気がする。
道具から得た教訓も三日もすればコロリと忘れる始末。
終りがないのが終り。
ふとドラえもんは、そんな事を考えた。
「いやいやいや」
その考えを振り払うかのようにドラえもんは首を振った。
のび太も何時かは大人になる。
その時になれば、今、この時に得た経験がきっと…
「それにしても、クッサいなぁ」
ドラえもんの考えに割り込むように間の抜けた声が響き渡った。
今考えても仕方が無い事だ。
そう結論付けてドラえもんは振り返った。
「うん。実はね、大腸内にはいろんな腸内細菌がいて、
小腸で消化されなかった食べ物を処理してるんだ。
その細菌が臭いの元(インドール、スカトールなどの悪臭物質)を作ってるの」
つらつらと、教育漫画のドラえもんモードで説明するドラえもん。
「よくわかんないや」
当然、のび太では理解出来ない。
ドラえもんもそれは分かってはいたが、なんとなく説明したかったので説明した。
「つまり、今居る大腸で、う〇こは臭くなるって事だよ」
「な〜んだ、そういうことか」
ポン、と手を叩き納得しました、という顔でのび太は応えた。
「じゃあ、だいちょうへんって」
「大腸編って事だね。まあ、この段落普通に読み進めて行けば気が付くよね」
「ってことは、これでおしまい?」
「まだこの後にスコップで汚物掻き回して水撒いて一気にヒリ出す描写をいれる予定だったけど…」
「そっか、ここ、ママの中だ」
「うん。流石に女の人のそんな描写入れたらX指定は免れないよね」
彼等は、ただただ笑った。
大腸編・ドラえもん
ドラえもんのび太の秘境探索記
――完――
すんませんとりあえずマジすんません。
なんか、いろいろグチャグチャです。
ただ、書いてしまった以上心の中に閉まって置けなかったのです…
いや、本当に失礼しました。
411 :
作者の都合により名無しです:2006/01/23(月) 13:12:09 ID:xQJYCutx0
>サンダルさん
文章の読みやすさはその内気をつければこなれていくと思います。
ただ、1回に色々詰め込み過ぎのような。少し散漫な気がします。
でも、新人さんの成長は楽しみなので頑張って下さい!
>銀杏丸さん
ブロンズの奇跡の後の聖地の結束、その後のアイオリアの空しさ。
そしてその中で現れた兄の仇。許す事の出来るアイオリアは男ですな。
でも、土下座→俺を殴れのパターンはギリシアでも定番なのかw
>どらえもんうんこさん
結構好きですよ、ライト感覚のうんこSSは。確かに秘境探検だしw
サナダさんの影響からか、こういうの書く人増えたのはうれしいw
確かに心に仕舞っては置けないでしょうなあw
412 :
作者の都合により名無しです:2006/01/23(月) 16:02:16 ID:OXnIteS+0
『殺人黙示録カイジ』一気に読みました。
2006年
カイジが目の辺りに棒線が引かれて、冷や汗書いてる絵が容易に想像出来ます。
少女の夢。
ナゾの着信。
兵藤とジン。
これら伏線がどう生かされるかも期待大です。
一条は千年地下よりこんな死に方のが幸せだったかな?
あとハネダはどこに?
あまり来る機会はないですが、なるべく連載について行こうと思うのでよろしくお願いします。
>黄金時代
ミロとアイオリア、男同士の和解で爽やかですね。「花の慶次」っぽい
洋の東西を問わず、男と男の仲を深めるのは喧嘩と酒ですね。
もし最後、アイオリアが容赦せずライトニングボルト打ち込んだら…
>ドラえもんのび太の以下略
既存の職人さんっぽい?サナダムシさんならうんこものを書いた時ほど
饒舌になるはずだから、違うな。文面はVSさんっぽい気もするけど
最後の大腸内の解説、マジでドラえもんっぽいですねここだけw
414 :
作者の都合により名無しです:2006/01/23(月) 22:24:44 ID:+NjnOhAW0
銀杏丸さん、就職前にいいペースで書いてますな
今回のアイオリアとミロのちょっと曲がった友情も楽しめました
でき得るなら就職後もボチボチ書いてくれると嬉しいです。
最近、うんこ多いなーw
映画っぽいテーマのドラえもんでうんことは思わなかったw
【休】インターバル
月光が木々の隙間をくぐりぬけ、真っ暗な広場にぽつりぽつりと薄白い幕を落としている。
それを避けるように影が広場を蠢いて、やがて千歳の前に直立した。
「一段落といった所か」
根来である。「忍者」という色あせてほの暗い言葉でしか形容できぬ彼は、光とつくものは日
光はおろか、夜に木漏れるささやかな月光すら浴びたくないらしい。
その手から角ばった金属がひゅっと放られたが、手裏剣ではない。千歳の核鉄である。
「ええ。助かったわ」
千歳はやや力の抜けた腕でどうにかキャッチすると、礼を述べ、胸中で密かに呟いた。
(本当に。もしあなたが来なければ、私はまた何もできない所だった)
その顔が少し曇りながら本題を切り出したのは、疑問だけでなく自責も混じっていたせいだろう。
「でも、どうしてあなたがここに」
「愚問だな」
根来はマフラーを肩口に跳ね上げた。
気取っている訳ではない。
彼の足元はこの時、さきほど男が流した血ですっかりぬかるんでいたのだ。
何かの拍子でマフラーにつくのを嫌って、跳ね上げたのだろう。
千歳は目ざとくそういう機微を読み取りながら、思った。
(例えついたとしても、シークレットトレイルの特性なら亜空間に入った瞬間、落ちる筈では?
現にさっきは、刀身についた男の血が消滅してたのに…… ひょっとして単なるきれい好き?)
と。
が、それは本題ではないし、本題において的確な返答をせんと務めているのが千歳でもある。
「……ホムンクルスがこの山に?」
「正確にはそうでない可能性もあるが。ともかく途中で見失った」
根来の言によると、影に潜んで尾行している内、さっきの男の叫びが聞こえたという。
すると尾行対象は、逡巡した後、にわかに上に跳びすさった。
以降まったく気配が補足できず、やむを得ず、しかし関連性も疑いつつ声のする方にいくと、
件の騒動に出くわしたと。
千歳は首を傾げた。根来が相手を見失うというのも不可思議な話である。
彼女が抱く一種のひいき目を差し引いたとしても、尾行をしくじるような男ではないし、第一、
電車の中で見せた尋常ならざる聴覚を持っている。
にも関わらず、根来の追跡は失敗した。。
千歳にも、尾行対象がホムンクルスか信奉者か判じがたいが、ただ得体の知れない不気味
さだけは感じられた。
人であれ人外であれ、飛行能力を有している可能性すら疑った。
でなくば、根来の耳の届かぬ所へ一瞬で離脱した説明がつかない。
それに根来も思ったように、男との関係があるかどうかも気にかかる。
どうも前途は色々、多難そうである。
むわりと立ち込める不快な暑気の中で、木に背中を預けている千歳は軽くため息をついた。
それをきっかけにしたのか、鼻腔を満たす空気に臭いが蘇った。
広場に点在するミイラの臭いや、ゴミ特有のくすみ、血の粘っこさ。
もっと凄惨な臭いを知っている千歳だが、そろそろ開放されたい頃合だ。
全身を湿らせている汗から、体臭が周囲に拡散するのも好ましくない。
敵に察知される可能性うんぬんとかではなく、一人の人間のエチケットとしてだ。
ちなみに千歳と根来は潜入捜査が終わるまで、ホテルに宿泊するコトになっている。
部屋はいうまでもなく、各自別々。
色々苦しい戦団にも配慮はあるのだ。
そして千歳はこの日の事後処理を終えたら、恐らくホテルにて湯けむりへ身を晒すだろう。
平素外に向けて跳ねている後ろ髪も、その時ばかりは濡れそぼり、うなじにびったりと張りつ
くだろう。
艶やかな桜色に上気した白い肩から、透明なる湯の粒が間断なく滴り落ちるだろう。
まるで一流の彫刻師があつらえたような背骨や肩甲骨のくぼみは、降り注ぐ温水の中でか
えって肉感を引き立てるだろう。
しなやかな足は幻夢の如く湯気の中で立ち回り、シャワーノズルは鎖骨の下で息づく二つの
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
 ̄ ̄
正に美観。湯上りにバルログが来れば布陣はますます万全の様相を呈するだろう。
だがバルログなんてものは所詮偶像である。よって本題に戻ろう。
「ところで、尾行の続きは」
「撒かれた以上、闇雲に動いても仕方あるまい。元々、どういう訳か社会に溶け込んでいる
奴が、今さら暴挙を企てる公算はそもそも少ない。この山に何らかの用があると分かっただ
けでも収穫だ。よってしばらくはこの場に留まる」
さ前髪を軽く触りつつ、根来は答えた。
そういえば先ほどの戦闘で、男に髪の毛を切られていたのを千歳は思い出した。
ひとまず怪我の有無を尋ねると、根来は「ない」とだけ手短に答えた。
意外に尾行の失敗は気にしていないらしい。
しかしよく考えると、言葉の最後がやや不明瞭である。なぜ、次の行動に移らないのか。
その時、広場の中央で縛られた男がうめき声を上げた。
「……そうだ。思い出したわ。収穫ならたぶんもう一つ」
千歳はよろよろと立ち上がると、歩を進めた。その最中でも思惑は次から次に沸いてくる。
(運が良かっただけね。私が生きてこれを手にできるのも)
失点が多すぎた。
核鉄を弾き飛ばされたコトからしてそうだし、地の利を活かして優位に立ちながら男にトドメ
を刺さなかったのも、拘束すらしなかったのも、後方に飛びのく際に鞭を捨てなかったも、自
らの甘さのせいだと千歳は思う。
照星や防人がこの場にいれば、善戦を称え励ますだろう。
気の荒い火渡でも、ぶっきらぼうな口調で不条理を説くに留まるだろう。
「千歳は充分すぎるほどよくやっている。だから些細なミスに囚われるな」
という思惑を彼らが持っているのを千歳は十分理解している。
だが、理解と感情は別物だ。
かつて起こした惨劇で傷つけてしまった彼らから温かい言葉を享受するのは、自身の咎から
から逃れようとしているようで、絶対にしたくないコトなのだ。
そう思い、ただ無力感にかられて、ノド奥に湿った綿がへばりついているような感触を覚えつ
つ、千歳は立ち止まった。
ポケットからハンカチを取り出し、汚れていないのを確認する。
そして落ちている物を拾い上げた。
「何だ。それは」 影抜忍者出歯亀ネゴロ 前髪が少し寂しいお年頃
根来は怪訝な顔つきをしつつも、千歳に近づいてきた。
「もしかすると、これが麻生部長を殺した凶器かも知れないわ」
先ほどの戦闘で男が投げ、根来が弾き飛ばした果物ナイフを、千歳は指差した。
血がまだら模様のように柄へと染みついている。
あくまで「ついている」というレベルで「塗れている」というものではない。
千歳がさきほど、赤黒いと認識したのは、距離ゆえか非常事態ゆえか。
実際は黒ずみかけている感じで、付着した時期がそう遠くないコトを物語っている。
男の流した新鮮な血もわずかに付着しているが、鑑定に影響はないだろう。
根来はふむと頷きながら、刃の部分に目をやった。
そこは柄とはうって変わって、まったく血がついていない。
ただ、なにか半透明の液が塗りたくられ、蒸発したような曇りが一面に付いている。
「妙な匂いがするな」
根来はいうが、千歳にはよく分からない。恐らく彼の嗅覚も人並み外れているのだろう。
「肉食動物の唾液の匂いに似ているが、少し違うようだ」
「唾液?」
今度は千歳の顔が怪訝を浮かべた。犯人が刃についた血を舐めたとでもいうのだろうか。
もっともそれは推測の域を出ないし、そもそもナイフの血が麻生の物と確定した訳でもない。
最良なのはナイフを一旦警察に預け、鑑定を依頼するコトだろう。
と千歳は提案し、更に思い出したように根来へいった。
「もちろんあなたがいった物も依頼してあるけど、急いでも明日の午後までは……」
「そうか。ところで」
愛想のない声は千歳の報告をあっさり遮った。
「真・鶉隠れの時、貴殿はどうして動かなかった。まさか腰が砕けた訳でもあるまい」
意味を図りかねたのか、千歳は少し瞬きをした。
が、すぐ答えた。くすんだ気分を払拭したいのか、やや口数は多かった。
「確かに、動こうと思えば動けたけれど、あなたが私を避けるよう刀を投げているなら、迂闊に
動く方が危険だと思ったから」
「もし、そうでなければ?」
「じっとしてても同じ。いつかは当たるから。違う?」
「相違いない」
口元を綻ばせ、根来は頷いた。
さっき男を倒したときに笑わなかった彼が、どうしてここで笑うのか。
同僚が怪我しかねない状況を作り出しておいて笑みを浮かべられるあたり、彼の精神構造
は、他の戦士とは良くも悪くも一線を画しているようだ。
だが千歳は彼を批判しようとは思わない。
任務が遂行され、多くの人間が助かるのならばそれで構わない。
もし彼女が根来のせいで傷を負ったとしても、なんら恨みを抱くコトはないだろう。
そういう前提が、千歳に多くを語らせた。
語調にはどこか、つつけば崩れそうな脆さがあった。
「シークレットトレイルが私の背後から射出されたら、刀身はともかく鍔の部分が私の体につ
かえてしまって、真・鶉隠れは不発に終わってしまう。そう、鍔みたいな平べったい部分が私の
体を貫く威力があるなら、最初のあなたの攻撃は、男の腕を吹き飛ばしてそのまま真・鶉隠
れに移行していた筈よ。でも実際は違う。あなたが男の肘からシークレットトレイルを回収し
たのがその証拠。そう見たから私はじっとしていたの」
根来は少し目を丸め、ほうと嘆息した。
嘆息には、「嘆く」と「感心する」の二つの意味があるが、この場合は後者だろう。
「そしてあなたの性格なら、私の推測以上に技を把握しているだろうから、私を狙って攻撃を
しくじるような真似もしない筈。だから私は動かなかった。動くのは危険だったから。もしシー
クレットトレイルが当たれば、速度も狙いも狂って、私のせいでしくじりかねないから。
それにこれも推測だけど、真・鶉隠れの目的は飛刀で相手を仕留めるコトではなくて、それに
気を取られた相手に潜り込み、背中から狙い撃つコトではないかしら」
「……よく考えているな」
淡々とした感想を根来は口走った。
しかし合っているかどうかまでは言及しないし、千歳を褒めもしない。
おおよそ人間らしい感情が伴っていない。
千歳はふと、朝方からの疑問の答えをみたような気がした。
(電車で子供から針を隠したのは、心底から任務を優先したせいかも知れない)
彼が自らに要しているのは、錬金戦団という一組織の、更に一つの歯車として明瞭に回転
できる最低限の機能のみ──…と千歳は見たが、あながち外れでもないだろう。
前回書き忘れましたが、「重・竹箆仕置き」は錬金にない技です。真・鶉隠れはありましたが。
あと、剣風乱刃も造語です。なぜ造語をするかというと日本語萌えだからです。
日本語ってすごいじゃないですか。冬の冷たい風を木枯らしっていうんですよ。
吹くと木が枯れるから木枯らし。ただそれだけの命名なのに、この格好よさ。
すげぇぜ日本語! すげぇぜ人体!
三週間前にトゲ抜いた中指が今頃になって痛みやがるたぁどういう了見だ!
あと民明書房と銘打ってますが、竹箆(しっぺい)のくだりは事実らしいです。
>>289さん
ありがとうございます。根来の、情け容赦のない戦いっぷりはもっと描きたい部分ですね。
というか千歳よりも根来が目立てる場面って、もはや戦闘しかないのではと一瞬思いましたが
実は結構、ネタがありました。良かった良かった。ヒントはEXCELと忍者の関係です。
>>290さん
ありがとうございます。自分の思う「根来らしい戦い」の要素をふんだんに盛り込んでみました。
千歳は描いててもう本当、忍みたいな思考法に染まりつつあります。けれど、染まりきれない
「弱み」もありますので、そちらも描いていきます。バランスを取るのです。
>>291さん
ありがとうございます。後書きとかオマケは大好きですよ。暇さえあれば考えてます。
朝寝坊して遅刻しそうになった時もですね。仕事帰りに温泉行く準備を整えた上で、考えてます。
で、これ書いてる最中に「グランダー武蔵」と「香典袋」について思いついたので、次回以降にでも
ふら〜りさん
ありがとうございます。思い返せば根来戦、一方的すぎた感じもありますが…… でも主人公ですしね。
まぁ、タイトルで出歯亀呼ばわりされてるような主人公ですが。ちなみにですね、赤マルジャンプにて千
歳の武装錬金もようやく出たのですが、正に”参戦せずとも役立てる”って感じの代物でした。
ハイデッカさん
暗愚な権力者に狙われる美少女、彼を助ける豪傑と、ストーリーラインは山風作品してますね。
メインヒロインだけは毒牙を逃れるも山風作品ですが、問題はどう逃れるか。
あとキセルのくだりは、何とも気風のいい慶次の顔が浮かびました。時間があれば花の慶次も読んでみたいです。
以降は私信ですが、ベルトランたちがお好きでしたら、「風来忍法帖」がオススメです。主人公達がイカしてます。
……しまった。
>>418の下から三行目の
「相違いない」は「相違ない」の間違いです。
お手数ですが、バレさん、保管の際には修正をお願い致します。
それと、【備】したじゅんび の回のサブリミナル(〜ネゴロの部分)の
フォントを変えていただき、ありがとうございます。
実にサブリミナルしていまして、心浮き立つ気分です。
422 :
ふら〜り:2006/01/24(火) 00:30:05 ID:wT3subuB0
>>サナダムシさん
どんどんレベルアップしていく試練相手、でも銃器より上って次は何がある? と思って
たら、こうきましたか。パワーやスピードや技や気迫に留まらず、ありとあらゆる方面
から襲い掛かってきますな。そんな試練を全て乗り越えた時の加藤は……どこまでいく?
>>サンダルさん
固めて飛ばしてブラックホール、さらりとやってるドラを見て、軽快ギャグがと思ったら、
モアが何だか凄そうで、果たして路線はどちらへ向かう? ……と。どうなるんでしょ?
あと改行は、スレに出てる適切な長さのを一行コピペし、それを物差しに使えば良いかと。
>>銀杏丸さん
原作では稀有な組み合わせが観られるのも二次創作の楽しみですねぇ。十二宮戦では
数少ない、文句のない黄金側勝者であるミロ。本来なら賞賛されるべき実績、だからこそ
心苦しいんでしょうねこのミロは。そんな気分を流してくれる、後味良い締めでしたっ。
>>秘境探索記さん
オチもさることながら前半。日本国民にとって当然の基礎教養を、改めて詳しく描写され
てるのが新鮮でした。ジャイアンみたいなガキ大将も、土管のある空き地も、リアルでは
もう絶滅してるんだろなとか思ったり。あと最後までいたさなかった理性の手加減に敬礼。
>>スターダストさん
相変わらず淡々と事務的な二人ですが……いやぁなんだかんだいって、理解し合い認め
合ってるではないですか。強くて硬派な大人の男と女、子供にゃ出せないこの風味っ。
>敵に察知される可能性うんぬんとかではなく、一人の人間のエチケットとしてだ。
「察知されるのもさることながら」ではないのが、ほのかに輝く乙女心。堪能しました。
423 :
ふんどし:2006/01/24(火) 21:07:44 ID:2nAUIgqP0
ふんどし
第四十六話「惨劇」
バカ王子率いる一行と合流してから数日―――この間は全く事態に進展がなく、久々に穏やかな時間となっていた。のび太
たちは思い思いに時間を潰し、バカ王子は機体の整備や新装備の開発、そしてザンダクロスの製造にかかりっきりになって
いたが、もう完成間近ということでそれもひとまず休憩し、今は一緒にくつろいでいる。
そして、アスランはと言えば・・・。
「サザエでございまーす!」
某長寿アニメが始まり、それに釘付けになっていた。
「はっはっは、相変わらずカツオはバカだなあ」
TV画面に向かってバカ笑いするアスラン。誰もが<お前もバカだろうが>という思いを飲み込んでいた。
「おいキラ、お前も座れ。一緒にサザエさんを観賞するしかないじゃないか!」
「いや・・・僕は遠慮しとくよ・・・」
キラも微妙に引いた態度だ。そんな彼にアスランは噛み付く。
「何ィ!?冷たいじゃないか、キラ!それでも我らメカトピア少年探偵団の一員か!?」
「そんな妙な団体に入った覚えはないよ!」
「くっ・・・いつからお前はそんな冷めた人間になってしまったんだ!もうお前の瞳は少年の日のきらめきを失ってしまい
ました!ああ、あんなに一緒だったのに!」
「・・・そんな事言ってる間にサザエさんが終わっちゃうよ」
「おっと、いかんいかん。だが心配はいらない。漫画効果で誰かが話している間は、時間が止まっているのだ。という訳で、
サザエさん視聴を続けるしかないじゃないか!」
そしてアスランは再びテレビに齧り付く。キラはそんなアスランを見てため息をついた。
「アスラン・・・何であんなアホになっちゃったのさ・・・!」
遣る瀬無さそうなキラ。誰も慰めの言葉すら見つからなかった。まあ、<親友がアホになった>という極めて稀な事態において、
どんな言葉をかけるべきかなんて、そうそう分かる奴はいないだろう。
それはそうとして、サザエさんも終わりに近づいていた。今は次回予告だ。
<さーて、来週のサザエさんは?>
<アナゴです。フグ田くんをカモるため麻雀に行ったら、白髪の男ととにかく鳴きまくる男と同卓になって、僕のほうがカモられ
ました・・・フグ田くんはちゃっかり3位で、プラマイゼロ・・・とほほ。
さて、次回は<イクラ、ぶっちゃける><危機一髪!波平の一本毛><戦慄のアナゴゲーム!>の三本です>
<来週もまた見てくださいねー。じゃーん、けーん>
「じゃーん、けーん、」
アスランもテレビの前で構えている。その瞳には<絶対に勝つ!>という気迫が漲っていた。
そして、その一瞬!まさに雌雄分かつ刻っ・・・・・・!
アスランの集中力はその時、人の領分を超えていた。或いは、神の域にまで踏み込んでいたかもしれない。
テレビを挟んで両雄(アスランとサザエさん)が睨み合うっ・・・!そしてっ・・・!繰り出される拳っ・・・!
その時だった。テレビの画面が切り替わり、ニュースキャスターの渋い顔が映し出された。
『番組の途中ですが、緊急ニュースをお伝えします』
「・・・・・・・・・・・・」
アスランは拳を突き出す形で固まった。それに構わず、キャスターは緊急速報を伝える。
『先ほど、○○の××市で、謎の大爆発が起きました。死傷者、行方不明者多数・・・・・・・・・なお、犯人からの犯行声明
と思われるものが残されており、それによると・・・』
「おいおい・・・何だか物騒なニュースだな」
稟が眉をひそめる。だが次の瞬間、その場の誰もが凍りついた。
『<ムスカと言えば分かってもらえるかな、諸君。いよいよ君たちをネオラピュタへと招待しよう。まあ、場所くらいは自分で
探したまえ。君たちならそのための道具くらい持っているだろう?>・・・これが犯人の残したと思しきメッセージです。この
解釈については・・・・・・』
「ムスカ・・・だって!?」
「聞き間違いじゃあ・・・ないよね」
のび太たちは呆然とする。
「くそっ・・・まさか、一般人まで巻き添えにするなんて!」
「もう許せません・・・!」
「やり方が汚ねえよ!ドラえもん、こうしちゃいられねえぞ!」
「分かってるよ、ジャイアン!みんな、用意はいい!?」
<へっ、よくないって言ったって、行くしかないだろ!あのサングラス野郎のにやけ面に、一発かましてやろうぜ!>
「そうとも!おのれ・・・許さんぞ、ムスカとやら!俺とサザエさんの勝負を邪魔した罪、貴様の命で償うがよい!」
「アスラン・・・せめて犠牲者のことにも触れようよ」
勢いづく面々。だが、バカ王子が口を挟む。
「まあ待て、みんな。力づくで乗り込む、というのは個人的にはイマイチ感心しないな」
「バカ王子・・・じゃあ何かいい案が?」
のび太が一応聞いてみた。
「うむ。とりあえず一つ考えてみた。まずは×××を山ほど用意して―――」
その後五分ほどバカ王子の説明が続く・・・聞き終わった後、全員が口を揃えてこう言った。
「き・・・聞かなきゃよかった・・・!」
「くそっ・・・このド外道めが・・・!」
クラフトも歯軋りしながら床にへたり込んだ。
―――果たしてどんな案だったのか、気にしてはいけない。聞いただけで耳が腐りそうだった。
「と・・・とにかく、一刻も早くムスカを倒さないと!バカ王子さん、機体のパワーアップはもう終わってる!?」
ドラえもんに話を振られて、バカ王子は即座に答える。
「ほぼ終わっている。だが・・・」
「何か?」
「ザンダクロスだけは、まだ完成していない。急ピッチでやってもあと三、四時間は必要だろう・・・しかし、そうも言って
られんだろうな。ムスカと戦いつつ作業するしかない。完成するまでは他の連中に頑張ってもらう」
「うーん・・・じゃあ、今度の戦いはぼくらはそれまでお留守番?」
「いや、<ネオラピュタ>というのは巨大な要塞のようなものなのだろう?そんなものにまともにぶつかっては分が悪い。君
たちが内部に潜入して、直接ムスカを叩いた方が効率がいいだろう」
「・・・・・・」
のび太の脳裏に、風の村での記憶が蘇る。あの時のび太は、ムスカに完膚なきまでに敗北した。ムスカと直接向かい合ったと
して、果たして、今度は勝てるのか―――
「のび太」
プリムラがそっと手を重ねる。その温もりで、のび太は我に返った。
「大丈夫・・・」
その言葉には、何の根拠もなかった。だが―――それでも、縮こまった心を奮い立たせてくれた。
「・・・・・・うん!」
のび太は力強く頷く。そして、バカ王子が号令を放った。
「よし、全員アークエンジェルに乗り込め!目的地は―――ネオラピュタだ!」
投下完了。前回は
>>320より。
>>323 楽しみにしてください。
>>327 それはどうもw
>>ふら〜りさん
ある意味おいしい役です、バカ王子。
彼と彼女の短編・・・考えときますがあてにはしないでくださいw
>スターダスト氏
千歳色っぽいですな。描写が18禁止がフランス書院みたいだw
多分千歳は美人でしょうから、美人の体臭ならたまらないですなw
根来、髪の毛薄いのか・・ヒーローに有るまじき姿だ・・
しかし、休息は短そうですな。すぐにまた捜査フラグが立ちましたw
>サマサ氏
サザエさんの放送範囲とファン層の広さはどこまで広いんだw
しかしバカ王子はバカだけど天才ですな。技術的にも。
パワーアップまでしちゃうし。意外と頼りになる味方かも。
ネオラピュタ侵入か。でもムスカはカマセだろうなあw
第3話 筋モン
うららかな春の日だった。商店街に人々が歩き、道路には車が何台も走る。
普通の日常。車の走行音、店からの宣伝用の音楽。どこにでもある街の日常的な光景。
その光景の中に非日常が発生した。罵声と怒鳴り声、罵り合い。そして金属音。
人々がその方向を見た。ヤクザらしき服装数人と派手な服装した若者達が喧嘩していた。
「おんどりゃぁ!先に喧嘩吹っかけてきた方はそっちだろうがぁ!」ヤクザ風が叫ぶ。
「はぁ?知らんね!俺はすれ違っただけだぜ!」若者も言い返す。
ヤクザの顔が赤くなっている。興奮というより心底頭に来たらしい。
「パンピーの癖しやがって・・・カタギなら何しても許されると思ってるのか!」
「おうおう、脅す事だけかよ!」
口喧嘩の内容が酷くなってきている。殴り合いでも始めるのではないかと思えるぐらい双方
肩を怒らせている。下はコンクリート。投げられればすぐにカタは付く。
「おめぇよぉ、大人をナメんじゃねぞ。俺らは筋モンだ。ガッコー行ってようが何だろうが追うぜ。」
「逃げ切ってやるぜ。今な!」
「この・・・・」
ヤクザ風の男が腕を伸ばそうとした時、男の顔に何かがかかった。水だ。
「わっ!」
ハンケチで顔を拭いた時には若者達はもう遥か彼方へと走り去っていた。
「すばしこい野郎だぜ・・・。ケッ。」
「兄貴、どうします?」子分らしき大柄の男が声を欠けた。
「追うな。深追いしても意味ねーよ。それよりもアレだ。組長がお前ら若い衆に話があるらしい。」
「はぁ。」
ヤクザ風の男達は路地裏を通ってその場から姿を消した
東京都郊外に近い住宅街ーーーー
その和風の家は広かった。一軒家というより屋敷という方が正しい。
広い敷地の中にある庭、木々と池。それらが富豪の屋敷という雰囲気を醸し出している。
和服を着た女中が廊下を歩いていた。手に盆を持ち、盆の上には二つの茶碗が乗せてあった。
どうやら来客らしい。女中は角を曲がると廊下にゆっくりと座り障子を開けた。
「わざわざ御越し頂いてありがとうございます。」
男の声が聞こえた。敬語を使っている所を見ると目上の客であるという事がわかる。
「組関係の人間が真面目な話をするというので来ました。なかなか立派なお屋敷ですな。」
客が答える。大柄な男だ。特徴は顔が白く顎が細いという事だろうか。
「正直話に応じていただけるとは思いませんでした。ワシらの様な人間の話に・・・・。」
応対している男が答えた。40代ぐらいだろうか。微妙に髭を生やしている。
「美樹原組・・・でしたね。暴力団関係者には何度か会った事がありますから仕事の話でしょう。」
落ち着き払って客が話した。大柄で肩幅が広い。奇妙な威圧感もあった。
「ええ・・・ウチの組の若いモンに“男らしさ”って言うのを教えてやって欲しいんですよ。
目上の者に対する態度とカタギに対する礼儀はお教えたんですがね・・・。若い頃は鍛えるべきでしょ。」
その時、ガラリと障子が開き女中が顔を出した。ゆっくりと茶を出すと女中は去っていった。
「精神力を鍛えて道徳を教えるのが目的ですか・・・。いいでしょう。ですがウチの鍛え方は
生半可な物ではないです。怪我したらそちらが保険してくださいね。」
「もちろん。ワシらは次のシリーズの場所を提供しますよ。」
客の男は茶を飲んだ。背広を着ていてもどことなく茶を飲む姿が似合っている。ある意味
和風と洋風の融合の形と呼べるだろう。
「私の所の若いのをそちらに回すのはどうでしょう?実力は保障しますよ。」
客が言った。応対役はそれを聞くと瞬きをして不思議そうな顔をした。自分達の
要望を聞いてくれただけで懐の深さはわかった。それだけでなくこちらに世話
を焼いてくれるらしい。
「そちらに美樹原蓮というお嬢さんがいるでしょう?私から彼女専属のボディガードを
提供するという事です。」
翌日ーー陣代高校にて
「終わったー!さっ、帰って“三匹が斬る!”見なきゃー!」
黒髪で長髪の女子、千鳥かなめが意気揚々と言った。そそくさと帰り支度を終え
後は歩き出すだけという格好だ。
「ねー、あの校門の傍にいる人誰ー?何か教室の方そわそわと見てない?」
窓寄りにいた何人かが外を見る。男は遠くから見てわかるほど長身だった。
門の傍に立ち教室の方を時折振向いている。
「千鳥、伏せろ!窓から離れろ!」
相良宗介が叫んだ。窓側は狙撃されやすい為、敵襲等の緊急事態においては近寄るべき
場所ではないーーーそれが彼の口癖でもあるのだ。
「えっ!」
「ひぃぃーー!」
何人かが悲鳴を上げ扉の方へと走り出す。
「奴は囮かも知れん・・・本隊はもう校舎に侵入している可能性・・・・」
いい終える前にシュパァァアン!!と大きな景気のいい音がした。
千鳥かなめが宗介の頭をハリセンで叩いたのだ。
「いたずらに不安刺激するんじゃないの!これでストーカー騒ぎがあったら問答無用で銃乱射するんじゃないの?」
「必要とあらば・・・」
ゴッ。千鳥かなめの腰の入った鉄拳が宗介の顔にめり込んだ。
「全身の関節を同時加速させる正拳突きは無理よね・・・。今度は全身の関節を固めて放つ
パンチでも放とうかしら?」
そのやりとりをよそに教室中の注意は門の傍らに立つ男に向けられていた。いや正確に言うと
男に向かって歩いていく制服姿の女子生徒に。
「あれ、美樹原蓮さんじゃないの?」
「ああ、あの生徒会の書記の人か。でもなんであの人が?」
「皆ー、用心してあの男が去るまで学校から出ないようにね。」
かなめが呼びかけた。生徒達は窓から離れ席に座り談笑し始めた。
・・・・ただ一人を除いて。そう教職員からは「四組の問題児」、
クラスメートからは「銃器ヲタ」、「よくわからん奴」、「忍術習ってる?」
とかいわれている存在、相良宗介。彼は今廊下を突っ走り美樹原蓮の元へと
急いでいた。急がなくては。奴は囮かも知れない。注意をひきつけて人質を取り、
何らかの交渉を要求してくるかもしれない。金か装備かそれとも千鳥かなめか。
酔狂でこういう事をしてくる輩かも知れない。
「待てぇぇ!!」
後ろから千鳥かなめが追いかける。長距離走ランナーを短距離の選手が追いかける
レベルの構図である。もちろん千鳥かなめは片手にハリセンを持っている。
グラウンド付近の下駄箱で宗介は立ち止まった。後ろから追いついてきた千鳥を
ガシッと掴みなだめる。
「声を出すな。ジッとしていろ。奴に気づかれたらおしまいだ。」
おもむろに組み立て式狙撃銃(弾はゴム弾。殺傷率が低く、当たった標的は
気絶するだけ)を取り出し作り始める。ものの数十秒で完成した狙撃銃を
構えて狙いをつける。狙いはついた。男が美樹原蓮と話している。今はまだダメだ。
二人が向かい合っている状態ではゴム弾が跳ね、蓮にも当たる可能性もある。
二人が隣り合わせになって歩き出した。まるでカップルの様に。
(蓮さんに彼氏が・・・!?)
(今はそれどころではない。連れ去られようとしている。)
完璧に思い込んだ宗介が引き金を引き、ゴム弾が発射される。
当たれば痛い。
「あちゃーー、ダメだな。こりゃ」
千鳥かなめがため息混じりに呟く。怪我するかも知れない。
が、信じられない事が起こった。標的となった男が振向かずに
ゴム弾を掴んだのだ。
「へ?」
「成る程。少しはやるようだな。近接戦闘を仕掛ける!」
宗介が走り出す。拳銃を両手て下に持ち、頭を下げながらジグザグに。
立ち止まっている蓮と標的の距離が拳銃の射程になるように走った。
「止まれ!その女性を解放しろ!」
校門から出てすぐの所にいる蓮と男に向かって拳銃を突きつける。
「あの・・・相良さん・・・これには理由が・・」
蓮がキョトンとした顔をして喋る。
「あなたは騙されている。その男はあなたを誘拐し金を要求しようとしている。」
「いえ・・この人は私の新しいボディガードで・・・。」
宗介は動かない。蓮の言葉に耳を貸さずそのままの姿勢だ。
「俺の名は梶原年雄。FAW所属のプロレスラーだ。社長からこの娘の護衛を任された。」
後書き
やっと規制が解けました。年末に規制されて1ヶ月程ガマンしてました。第三話終了です。ではでは。
えらいお久しぶりです。正直、危ないかな・・と思ってましたw
しかし宗介の前で梶原はボディーガードとして役に立つのか?
正直、宗介ってどんなキャラかは知らないんですが、
えらい強かったですからね、ぜんかいまでの話で。
それに比べ梶原は漫画でも小説でもカマセ街道一直線だしなあw
435 :
作者の都合により名無しです:2006/01/24(火) 23:28:49 ID:dfKonQpc0
>ネゴロ
千歳のビジュアルイメージは誰でしょう?錬金疎いんで。
でも知的で行動力があって、無駄に色気のある感じですね。
ネゴロ千歳に押されて影が薄いや。でもキラリと存在感を見せますね。
実力もやはり千歳とは段違いっぽいし。
>超機神大戦
王子はおさわがせキャラですけど、頭は良いから役立ちますね。
ムスカ相手ならロボット大戦ではなく、生身の戦いが見たいです。
のび太の射撃の腕が炸裂して欲しいな。
あと、ムスカといえばあのセリフですが、出るんだろうか?
>フルメタルウルブス(お久しぶりです)
象山との激しい組み手から打って変わって学園ドラマですね。
宗介、楽しい学園生活送ってそうですね。
しかし梶原はこの爽やかな雰囲気にそぐわない。
好きなキャラだけど、ヤムチャ臭がプンプンと……w
スゲー懐かしいですw
「ケッ、また投げ出しかよ」と思ってました。ごめんなさい。
>>サマサさん
サザエさんじゃんけんに命を燃やすアスランワロスw
ムスカ・・・完成した新型ザンダクロスにボコられる様が目に浮かんじまうw
>「終わったー!さっ、帰って“三匹が斬る!”見なきゃー!」
殿様千石たこ噴いた。俺も見てえよ・・・!!
>>435 「千歳 武装錬金」でイメージぐぐると一応絵が出るみたい。
オフィシャルのは無いけど。
俺も墓相錬金知らなかったのでスターダストさんの影響で読んでみた
根来は思っていたよりカッコよかったし、千歳はある意味想像通りのビジュアルだったな。
確かにあんな雰囲気の子が時折見せるエロの方が、普段からエロいやつよりエロいかもw
スターダストさんやミドリさんが元にしているだけあって、錬金面白かったな。ありがとう
それから、フルメタルウルブス作者氏復活オメ!俺も正直、駄目だと思ってました。
規制なら仕方ないですね。個人ではどうにもらならない事ですから。
餓狼伝もフルメタルパニックも大好きなのでこれからの活躍を期待しております。
うーん、梶原強いと思うけどなあ、そこそこ。活躍させてほしい
441 :
作者の都合により名無しです:2006/01/25(水) 13:12:00 ID:LRR1CWLTO
俺は逆に根来あたりから武装練金がおもしろくなくなってきた。戦いがショボすぎて。
根来戦もあっけなかったし・・・割と好きなキャラだったから、もっと出てほしかった。
それだけに、スター(略)さんの書く根来には期待
フルメタばっちり原作のキャラつかんでるなー
原作の方は現在、宗介もかなめもかなりキッツイ状況になっててドシリアスなだけに、こういったほのぼのギャグが懐かしい
443 :
聖少女風流記:2006/01/25(水) 18:54:04 ID:19hM8l+A0
第七話 伝説と悲劇の始まり・下
シャルルにベッドに押し付けられ、上から組み伏せてもジャンヌは抵抗しなかった。
ジャンヌの首筋に顔を寄せてみる。果実のような甘い体臭が鼻腔を衝いた。
処女特有の淫猥さと清浄さの入り混じった甘い体臭。シャルルは狂う程に興奮する。
10日以上の旅で、彼女の体は汗に塗れているはずである。
が、不潔さは彼女から感じない。清潔な香気を感じるだけである。
耳に舌を這わせてみると、塩気を味雷に感じた。が、仄かに甘味もある。
耳中をゆっくりとねぶり、耳の穴に舌を軽く突き刺し、耳たぶを優しく噛んだ。
薄布の服の上から左手で優しく乳房に触れてみる。
小振りだが張りがあり、鷲摑むと弾力が心地よい。粘土を捏ねるように愛撫した。
指の動きに緩急を付けながら中心部の突起を目指した。
親指と人差し指で突起をつまみ、柔らかくもコリコリとした感触を楽しんでいた・・が。
ジャンヌは何も反応していない。まるで人形のように、無表情のままである。
肌が紅潮する事も無い。吐息の乱れも無い。まして、快楽に体をくねらせる事など無い。
ただ、シャルルを見ているだけである。まっすぐ、彼の目をただじっと。
シャルルはようやくその視線に気付いた。刹那、ジャンヌとシャルルの視線が絡んだ。
(なんだ、この小娘は。俺の、全てを見透かすような目をしやがって)
頭に血が上った。彼の動きは突然荒々しくなり、いきなりジャンヌの下半身へ顔を埋めた。
クソ、下着が邪魔だ。強引に剥ぎ取ろうとするシャルル。が、静かにジャンヌは言った。
「王がフランスをお捨てになるおつもりですか? 私は神の声を聞きし者。
そしてフランスを開放する者。私は王のものではなく、私自身のものでもない。
私は神のものです。そして神への恭順者として、純潔を貫かなくてはいけない。
神のお言葉どおり、フランスを救うまで」
「王、だと? 私は王などにはなれぬ。その理由がある」
444 :
聖少女風流記:2006/01/25(水) 18:54:56 ID:19hM8l+A0
自分は王の血を継いでいない、かも知れない。母親は淫乱で狂人である。
不倫を多く重ねた狂母。その実母が、俺を不実の末に出来た子供と公言しているのだ。
どこの馬の骨かわからぬ男の子供。母親が王の妃だったに過ぎない、かりそめの王太子。
それは当然口には出さない。が、苦悩の深さを物語るかのようにシャルルの顔が歪んだ。
ジャンヌに表情が戻った。最初に浮かんだ表情は、聖母のような慈愛の微笑であった。
崇高さすら感じさせるその笑みに驚くシャルルに、ジャンヌは言った。
「怯えなくても大丈夫です。余人がなんと言おうと、あなたは正当な王のお世継ぎ。
私はその証人です。神の代理として、私があなたをフランス王の座へと導きます」
シャルルの性欲が失せていく。同時、彼の中の何かが徐々に溶けていった。
何故、この娘が俺の生来の悩みを理解し、それを打破する答を持っているのだ?
シャルルは驚嘆する。その驚嘆に、更なる驚嘆で答えるジャンヌ。
「それは、私が神の声を聞いたからです」
自分は疑念を口に出してはいない。まるで心を読んでいるかのようなジャンヌの言葉。
もう、疑えない。この娘を、神子と認める以外に。
シャルルはベッドから跳ね起き、ジャンヌに丁重に謝罪した。微笑むジャンヌ。
自分は、神の証人が付いている。
たとえ、母や有力者が王位継承に異を唱えようと、神の声の前には無力である。
イギリスを撃退、もしくは和平すれば、胸を張ってフランス王を名乗る事が出来る……。
「ジャンヌ。お前を神の使い、神の証人と認めよう。勿論、お前の望みも叶えよう。
私の名で軍隊を貸す。その軍を使い、オレリアンを開放し、イギリスを撃退せよ」
445 :
聖少女風流記:2006/01/25(水) 18:55:35 ID:19hM8l+A0
シャルルは、この汚い部屋でフランスの歴史を塗り替える宣言を、一人の少女にした。
ジャンヌの望み、軍隊の調達は果たされ、フランスの救国の第一歩はここに成る。
が、フランスにとっては福音でも、ジャンヌにとっては悲劇の始まりであった。
シャルルという男は、神の存在は信じても、崇拝はしない。そういう男である。
本当に彼が欲しいのは神でもその神子でもない。ただ保障である。
自分が、フランス王となる為に必要な保障。大義名分といっても良い。
神の使いが自分の王位継承の正当性を世に説けば、王への障害は無くなる事になる。
即ち、ジャンヌに兵を貸したのはフランスの為ではない。ましてや民の為でもない。
徹頭徹尾、自分が王位に座る為である。
その為に彼女を利用する。イギリスとの戦いで役に立てばそれで大いに良し。
戦死されてもそれで良し。死ぬ前に自分の継承権の確かさを世に謳ってくれれば良い。
ジャンヌの人気の高さは当然知っている。それを吸い尽くすだけの事だ。
そして用が済んだ後、俺の目障りな存在になるとすれば……。
「ジャンヌ。今夜はこれで別れよう。無粋な真似をしてすまなかった。
これから私は、お前を神子と認める。城の内外にも喧伝しよう。
ジャンヌこそは、フランスを救う神の使いだと。さ、宴の用意をさせよう。
明日から厳しい戦いの日々となる。今日くらいは、仲間と呑んで騒げ…」
その言葉を聞き、無邪気に喜ぶジャンヌ。先程までの神々しさは去っている。
地の田舎娘そのままの純朴さで、ペコリと礼をして退室した。
ジャンヌを見送った後、シャルルは棚から取って置きのワインを取り出した。
ワイングラスに注ぎ、軽くグラスを持ち上げ、一気に飲み干した。邪悪な微笑を浮かべて。
彼が何に乾杯したのかは、彼のみぞ知る。
446 :
聖少女風流記:2006/01/25(水) 18:56:48 ID:19hM8l+A0
「やあやあ、慶次殿は面白い踊りを知っておるなあ、それはどんな踊りだ?」
ベルトランが心底愉しそうに、手を叩きながら笑っている。
慶次は上半身の曝け出し、猿に成り切って踊っていた。存外確かな滑稽芸である。
「はは、俺の国の王太子を真似た踊りだよ」
脳裏に秀吉を思い浮かべながら、慶次は笑って応えた。どっと一座が爆笑した。
「おうおう、あんたの国のてっぺんはお猿さんかよ」
ジヤンが言った後、しまったというような顔をした。周りの貴族たちは顔をしかめる。
が、その場にシャルルがいないのを確認すると、また爆笑が巻き起こった。
ほんの一時間ほど前から、宴が始まっていた。
貴族たちだけのパーティではなく、ジャンヌを中心とした激励の宴である。
シャルルは、ジャンヌを連れて自分の部屋から出ると、開口一番、
「この者は神の証人、真の神子である。私はジャンヌに数千の兵を貸し出す。
明日からは奇跡の戦いが見られるだろう。その前祝に、存分に呑んで騒ぐが良い」
と、宣言をした。場の貴族たちから驚きと感嘆の声が上がった。
王太子お墨付き、という事になる。
先程までの侮蔑の視線は無くなり、この一団を中心とした大宴会が始まったのだ。
シャルルは宣言をした後、自分は宴に加わらず、そのまま自分の部屋に篭った。
慶次はその後姿に嫌な邪気を感じた。が、ジャンヌの笑顔を見ると何も言えなくなる。
ジャンヌは普通の街娘のように朗らかな顔で、慶次の腕を引っ張ると言った。
「慶次さん、今夜だけはハメを外しましょう。私はお酒を呑めませんが」
ジャンヌの笑顔に安堵を覚えると、早速、慶次は猿舞を踊り始めた。
何時でもこの男は座の中心になる。踊りを終えると、次々と貴族たちが寄ってきた。
「いやあ、見事な男振りですね。我々貴族は戦えませんが、惚れ惚れします」
「イギリスとの戦争が終わったら、ウチに来ないか?」
「主人と出逢う前に彼方とお逢いしたかったですわ……」
447 :
聖少女風流記:2006/01/25(水) 18:58:00 ID:19hM8l+A0
貴族たちの顔は媚びへつらいに満ちていた。まったく嫌な顔をした連中だ。
自分からは戦おうとはせず、安全な場所から慶次たちを捨て駒にしようとする。
いや、俺はいくさ人だからいい。だが、ジャンヌはまだうら若き娘ではないか。
何時の時代でも、何処の世でも、為政者に群がる連中には吐き気がする。
自分が暴れるのは簡単である。だが、それをするとジャンヌの立場が悪くなる。
(結局、俺は惚れたのかね)
慶次ははにかんだ。いつもの慶次なら、好きな女なら即座に奪い、貫く。
だが、ジャンヌは神に純潔を誓った女である。俺が散らす事は出来ない。
奪い貫く事の出来ぬ女に、自分は命を差し出そうとしている。まったくおかしな事だ。
「夜風に当たってきます。松風も寂しがっているからね」
そう言って慶次は席を辞した。何故か無性に、自分の係累の姿が見たくなったのだ。
外へ出る慶次の後姿を見て、ジャンヌはしばらく考え込んだ。
そして決意したかのように大きく頷くと立ち上がる。ジヤンが尋ねる。
「ジャンヌ殿どうなされ……、痛えっ」
ベルトランがジヤンの頭を思い切り叩いた。睨み付けるジヤンを無視し、彼は言った。
「今晩は月と星が綺麗だ。外に見に行くと良いでしょう」
ジャンヌは顔を紅く染めて頷くと、ぱたぱたと戸口へ向けて走り去った。ジヤンが呟いた。
「俺は、無粋で粗忽で女心を分からぬロクデナシかね……」
松風の腹に背中を預け、足を投げ出して空を見ている。月が輝いている。
「松風、どこの世界にいても、月は変わらんなあ」
松風はブルル、と鼻息を吹いた。何をしおらしくなってんだ、と言っているようだ。
「ん、落ち込んでいる訳じゃない。ただ、みんなどうしてるかな、と思っただけだ」
その時、小さな、鈴のような声が聞こえて来た。勿論ジャンヌだ。
448 :
聖少女風流記:2006/01/25(水) 19:23:30 ID:19hM8l+A0
貴族たちの顔は媚びへつらいに満ちていた。まったく嫌な顔をした連中だ。
自分からは戦おうとはせず、安全な場所から慶次たちを捨て駒にしようとする。
いや、俺はいくさ人だからいい。だが、ジャンヌはまだうら若き娘ではないか。
何時の時代でも、何処の世でも、為政者に群がる連中には吐き気がする。
自分が暴れるのは簡単である。だが、それをするとジャンヌの立場が悪くなる。
(結局、俺は惚れたのかね)
慶次ははにかんだ。いつもの慶次なら、好きな女なら即座に奪い、貫く。
だが、ジャンヌは神に純潔を誓った女である。俺が散らす事は出来ない。
奪い貫く事の出来ぬ女に、自分は命を差し出そうとしている。まったくおかしな事だ。
「夜風に当たってきます。松風も寂しがっているからね」
そう言って慶次は席を辞した。何故か無性に、自分の係累の姿が見たくなったのだ。
外へ出る慶次の後姿を見て、ジャンヌはしばらく考え込んだ。
そして決意したかのように大きく頷くと立ち上がる。ジヤンが尋ねる。
「ジャンヌ殿どうなされ……、痛えっ」
ベルトランがジヤンの頭を思い切り叩いた。睨み付けるジヤンを無視し、彼は言った。
「今晩は月と星が綺麗だ。外に見に行くと良いでしょう」
ジャンヌは顔を紅く染めて頷くと、ぱたぱたと戸口へ向けて走り去った。ジヤンが呟いた。
「俺は、無粋で粗忽で女心を分からぬロクデナシかね……」
松風の腹に背中を預け、足を投げ出して空を見ている。月が輝いている。
「松風、どこの世界にいても、月は変わらんなあ」
松風はブルル、と鼻息を吹いた。何をしおらしくなってんだ、と言っているようだ。
「ん、落ち込んでいる訳じゃない。ただ、みんなどうしてるかな、と思っただけだ」
その時、小さな、鈴のような声が聞こえて来た。勿論ジャンヌだ。
449 :
聖少女風流記:2006/01/25(水) 19:25:20 ID:19hM8l+A0
「ここにいたんですね、探しました、慶次さん」
慶次は目を疑った。ジャンヌがここへ現れたからではない。
月の寂光に照らされたジャンヌの姿が、この世の物と思えないほど美しかったからだ。
きらきらと光の粒子が彼女に振りかかり、白い頬がほんのりと紅く染まっている。
男を体に入れた事の無い女だが、凄絶といっていい色気を醸し出している。
「美しいですな。月から来た天女のようだ」
ジャンヌの顔が真っ赤になる。目が少し潤んでいる。慶次は笑って続けた。
「ふふ、俺の国ではそんな御伽噺があるんですよ。月から来て、月へ帰る姫君の話」
「私は帰りませんよ、どこにも。使命を終えたら、あなたの隣にずっといます」
慶次は涼やかに微笑んでいた。が、ジャンヌの言葉の意味は大きい。
フランスを救ったら、自分は神のものではなく、慶次のものになると言ったのだ。
「あ、あの、す、すみません、今のは、忘れて、下さい」
手をバタバタさせて慌てるジャンヌ。その可愛らしい仕草からは聖女とは思えない。
が、急にジャンヌの顔が思い詰めたような顔になる。そして決心したように顔を上げた。
「……でも、私の姿を、見ておいて下さい。私の、女の姿を」
慶次は息を呑んだ。ジャンヌが月明かりの下、服を脱ぎ生まれたままの姿になったのだ。
産毛が艶々と光を弾いている。小振りの乳房の中心には鮮やかな桃色の小さな突起。
絹のような真白い肌は、彼女の生命の強さを物語るかのように赤み付いていた。
小柄ながらスラリと伸びた手足。細やかな太ももの付け根には秘部を隠す金色が光る。
ジャンヌは己の美しい肢体を包み隠さず、両手を大きく広げて慶次にさらけ出した。
慶次も多くの女の裸体を知っているが、ここまで神々しい美しさの女は初めてだった。
ジャンヌは慶次と視線を絡めない。羞恥からか、顔だけでなく全身が赤い。
慶次は思わずジャンヌの体を抱き寄せていた。小さな体が温かい。そして愛しい。
450 :
聖少女風流記:2006/01/25(水) 19:26:33 ID:19hM8l+A0
惚れた女は貫く。その代わり、自分の命を賭けて守り抜く。それでいいじゃないか。
「あ、お、お腹に、当たってる…、ダ、ダメ…」
慶次自身が大きく屹立していた。隆々とした一物が月に向かってそそり立っている。
ジャンヌが腹に当たった慶次自身から目を逸らそうとする。慶次は更に強く抱き締めた。
慶次の手が優しくジャンヌの乳房に触れた。ビクンと体が弓なりになるジャンヌ。
中心のピンクは堅くなっていた。下半身をもぞもぞとせわしなくすり寄せるジャンヌ。
股の付け根から、白く光る粘液がつっと滴り落ちた。ジャンヌの目が潤んでいる。
451 :
聖少女風流記:2006/01/25(水) 19:31:26 ID:19hM8l+A0
が、ジャンヌは急に後ろに飛び退いた。目に涙を浮かべている。
「ごめんなさい…。私の女の姿を、記憶しておいて下さい。私は今から、女を捨てます。
フランスを救うその日まで。でも、最後の女の姿を、慶次さんに見て欲しかった」
裸のまま、ジャンヌは衣服からナイフを取り出した。一瞬寂しそうな顔を浮かべる。
その後、ナイフでバッサリと後ろ髪を切り落とした。
そして、衣服を着直すと、遠くに置いた鎧を衣服の上から身に付け、慶次の方を見る。
慶次は声が出ない。これではまるで……。
「男、みたいでしょう?」
ジャンヌが悪戯っぽく笑った。だがその目は泣いている。
元々、ショートカットだったジャンヌだが、これで完全にその美しい髪は失われた。
沈黙が2人の間を過ぎった。ジャンヌは決意したように言った。
「前田 慶次様。私、ジャンヌはこれからフランスをイギリスから奪い返し、
シャルル公をフランス王にするまでは、男として生き、男として戦います。
あなたも、戦場の男として、どうか私に力を貸して下さい」
慶次の目をまっすぐ見るジャンヌ。その目には悲しみが混じっている。
「ああ、いいよ」
慶次はやっと一言搾り出した。それが、この豪胆極まる男の精一杯の一言であった。
ジャンヌが鎧姿のまま去っていく。慶次は残されたままである。
が、十メートルほど離れると、ジャンヌは振り返らずに小さく慶次に告げた。
「でも…、フランスを救う事が出来たら、私は女に戻ります。
その時は、今夜の続きをして下さい。 ……私を、抱いて下さい」
慶次とジャンヌの顔に笑顔が戻った。心が通い合ったかのように、顔を見合わせて笑った。
体が繋がらなくても、心は確かに繋がった。体の繋がりは、いつかの約束までは、いい。
慶次は心底そう思った。それに男と女は、体が繋がらないまでが風流かも知れないな。
そうだ。それでいい。この天下一美しい男装の麗人を、俺は守ろう。その約束の日まで。
残酷な運命は、その約束が果たされる事を赦さないが。
452 :
ハイデッか:2006/01/25(水) 19:33:24 ID:19hM8l+A0
まだ第七話続くんですけど、流石に多くて嫌になりました
変えて第八話にします。
七話が長かった分、八話が4レスくらいで終わりますね。
453 :
作者の都合により名無しです:2006/01/25(水) 22:41:17 ID:3cdZCXVb0
お疲れ様です。今回はエロいですね。18禁ギリギリって感じです
ジャンヌが髪を切るシーンはFF9でガーメットが髪を切るシーンを思い出した。
聖少女風流記、面白いけど元ネタがアレだけに先を読むのが怖い
これでもかというぐらい鬱展開フラグバリバリたっとるよ……
慶次の力を持ってしても、運命を変えることはできないのか!?
455 :
作者の都合により名無しです:2006/01/25(水) 23:47:56 ID:7wVlhvrN0
慶次とジャンヌの中が深くなればなるほど、ラストが怖いですな
あの運命は変えられないのかな。慶次よりジャンヌに感情移入してきた
しかしハイデッカさんといいスターダストさんといい
描写力のある人がエロを書くと、寸止めでもおっきしますな。
出来ればこの2人結ばれてほしいけどね
以下、ジャンヌダルクの最後の豆知識
ハイデッカさんと読んでいる人に気を使って下に書きます
ジャンヌダルクは火あぶりにされて死んだ時
民衆に「救世主でなくただの女」という事をPRするために
性器を露出させて、そして火あぶりにされたらしい。
しかも、わざと薪を少なくして火を弱くして、
じっくりじっくりとこんがりローストされたらしいぞ
中世の魔女裁判は恐ろしい
456 :
ふら〜り:2006/01/26(木) 00:10:42 ID:NTOTORJ70
>>サマサさん
対サザエさんじゃんけんに魂たぎらせるアスランが愛しい。昔は「勝った! 俺は喉に
詰まらず飲み込めたぞ〜!」とかやってたに違いない。まぁ親友が悪人になってた、なら
よくあることですが、アホになってたってのは確かに稀でしょうな。でも可愛いから良。
>>ウルフズさん(ストレス溜まったことでしょう。お察しします。では一気に発散をば!)
エリート職業軍人な宗介のこと、素手でも並のプロレスラーなら充分勝てるでしょうから
ねぇ。元々素手に拘りなどなく、既に銃構えてますし。だから逃げろ梶原氏。とか考えて
みると、宗介って格闘漫画キャラと絡ませるのは難しそう。頑張って下されウルブズさん。
>>ハイデッカさん
神々しいまでに美しく、しかも厳かな芸術品然としているだけではなく、女としての色気も
凄絶、と。そんな美少女を一度は腕に抱きながら、しかし二人の男たちは貫かなかった。
ジャンヌにとっては神と悪魔に例えられるこの二人ですけど、慶次は「史実」に勝てるか?
>>455 書き込む寸前にリロードしてみたら……なんとかしろ、慶次っっ!
scene18 パートナー
『○』の紙を取ったのは……玉崎真吾と、夕凪理沙。
『△』の紙を取ったのは……伊藤開司と、黒川時子。
『□』の紙を取ったのは……笠間潤と、双葉夕実。
『×』の紙を取ったのは……小此木秀平と、只野文男。
こうして、合計四組のペアが出来上がった。
「いいですか。パートナーは運命共同体です。片時も離れないでください」
黒川が、念押しするように言う。
「わかってるって。この状況……単独行動をしている時点で、問答無用で殺されても文句は言えないからな」
小此木はそう言って、黙って事の成り行きを見ていた旗元の方に、わざとらしく視線を投げた。
「なんだと、てめぇ……!?」
旗元は不機嫌そうに腕を組み直し、小此木をぎろりと睨む。
一触即発の空気を散らすように、黒川がパンパンと手を叩いた。
「では、これにて解散です。『犯人』には十分に気をつけて、各自捜査を進めるとしましょう」
scene19 伊藤開司&黒川時子ペア
カイジの提案により、カイジと黒川は、中央廊下から中庭に出て、三号室の窓を調べていた。
あの時。香坂まどかの死体を見つけた時。三号室は内鍵、外鍵共に施錠されていた……
外鍵が閉まっていたのは、勿論只野が確認しているし……
内鍵が閉まっていたのも、体当たりした際、金属製の閂とネジが飛んだ事から見て間違いないだろう……
さらには、唯一の出入り口である窓にも鍵がかかっていた……
「犯人を告発するには……この密室の謎は避けては通れないだろうな」
カイジはそう言いながら、窓枠に触れたり、色々な角度から観察したりを繰り返す。
「でしょうね。何らかの手段により、犯行が可能である事を証明しなくては
探偵の勝利はありえません。不可能犯罪……となれば、告発以前の問題ですから。
しかし、中庭まで出てきて、こうして窓を熱心に調べている、ということは……
カイジさんには、犯人がどうやってこの部屋から脱出したのか、何か考えがあるのでしょう?」
「いや、まだ確信はない。ただ、一つだけ……可能かもしれない手段を思いついただけだ」
「どういうものか、話してくれませんか?」
カイジにそう話しかけた直後、黒川は何かに気付いたかのように首を振る。
「ああ、すみません。同じ探偵でも、本来は敵同士ですからね……状況が状況なので、すっかり失念していました」
「いや、気にしないでくれ……俺はもう、駆け引きをする気はさらさらない。
考えていること……情報は、全部公開する。もし出し抜きたいのなら、好きにすればいい」
それは、カイジの本心だった。目の前で、人が二人も死んだ……殺されたのだ。
犯人にだけは賞金を渡したくない、という気持ちは強くあるものの
この期に及んで探偵同士、賞金を巡り、足の引っ張り合いをする気は毛頭なかった。
そんなことをすればするほど、主催者は醜い争いに、腹を抱えて笑うのだろう。
極端な話、犯人を告発し、殺人ゲームを終わらせてさえくれれば誰でもよかった。
目の前にいる、この男――黒川時子が賞金を攫っていったとしても、別に構わない。
勿論、黒川が犯人ではない……というのが大前提なのだが。
そう。犯人でなければ……そんな思いを胸に秘めつつ、カイジはじっと、黒川の顔を見た。
「そ、そんな目で見ないで下さい! 出し抜いたりなんかしませんよ……」
カイジの湿っぽい視線を、疑惑の眼差しとは受け取らなかったらしい。
黒川は慌てたように、胸の前で開いた両掌を振ってみせた。
「考えって言ったって、大したものじゃない……
検証していたのは、ちょっとした小細工……物理トリックの可能性だ……
犯人は、被害者を殺害した後、金色の鍵でドアを施錠、掛け金を下ろし……
鍵を引き出しの中に入れる。それから、窓を開けて、中庭に脱出……
輪っかにした糸か何かを、窓の鍵のフック部分に引っ掛けて窓の外に通し
窓を閉め、その両端を引っ張る……! そして、無事鍵が閉まるのを確認したら
今度は片方だけを引っ張り、証拠となる糸を回収する……」
「な、なるほど……! それなら確かに、可能かもしれません!」
黒川は興奮気味にそう言うと、おもむろに上着の内側ポケットから毛糸玉を取り出した。
「これで、実験してみませんか?」
毛糸玉を、カイジに差し出す。
「何で、毛糸なんか持ってるんだ……?」
「私は、編み物が趣味なんです。いつも毛糸玉と編み棒は携帯しているんですよ」
どうやら女性的なのは、名前と顔だけではないらしかった。
「よし、じゃあ早速……と、あ……!」
黒川から毛糸玉を受け取ったまま、カイジは固まった。
「どうかしましたか?」
「現場はあの時のままだ……窓には内側から鍵が掛かっている……」
「あ……はは。そうでしたね……」
これには黒川も、乾いた笑いを発した。
ナンバー一・夕凪理沙
容姿……身長が低く、子供っぽい。ポニーテール。
性格……一見積極的。努めて明るく振舞おうとしている。
ナンバー二・笠間潤
容姿……夕凪曰く「かっこいいかも」
性格……皮肉屋。物事を斜に構えて見る傾向あり。
ナンバー三・香坂まどか
容姿……吊り目。美人だが、きつい印象。
性格……勝気で、負けず嫌い。
ナンバー四・伊藤開司
容姿……原作準拠。
性格……原作準拠のつもり。
ナンバー五・小此木秀平
容姿……童顔。無造作ヘアー。
性格……劣等感が強く、粘着質。
ナンバー六・玉崎真吾
容姿……身長が高く、筋肉質な大男。
性格……大雑把なお調子者。口癖は「〜っす」
ナンバー七・旗元太
容姿……見た目温和そうな中年男性。
性格……誰彼構わず噛み付く。攻撃的。
ナンバー八・双葉夕実
容姿……日本人形のような、整った顔立ち。
性格……声が小さく、おとなしい。感情が読めない。
ナンバー九・只野文男
容姿……良くも悪くも、一般人。
性格……いつもおどおどしている小心者。
ナンバー十・黒川時子
容姿……中性的な顔立ち。長髪。
性格……沈着冷静だが、打たれ弱い。
毎度ありがとうございます。前回投稿は
>>359です。
・かまいたちの夜でのドーナッツ作戦
私が考えるに、原作版かまいたちの夜のような状況では
ドーナッツ作戦は非常に有効であると思います。
作中では黒川が一箇所に固まる事のデメリットを述べていましたが
実際の所は、安全性のみを重視するならば、ペア作戦より効率がいいのではないでしょうか。
ペア作戦は『告発しなければ犯人が逃げ切り勝利』といった
今回のケース特有の特殊な土壌から生まれた戦略なのかもしれません。
・キャラクタの解説一覧
>>460に書いてみました。
>>362さん、こんなものでいいでしょうか。
えー。作者があんまり細かい設定を考えていない事がわかります……
注・ネタバレ(と言うほど大層なものではないですが)に抵触する為
一部意図的に事実と異なる記述をしております。ご了承下さい。
>見てた人氏
>>362です。お陰様で私の様な阿呆にもようやく把握する事が出来てきました。
執筆で忙しい中余計な手間まで取らせてしまいただ感謝するばかりっ・・・!!
しかしこう書かれるとこの中に一人犯人がいるとは思えないよな・・・ゴクリ
463 :
作者の都合により名無しです:2006/01/26(木) 19:07:07 ID:Ik/xYv/n0
おお、カマイタチ乙です。まず、登場キャラの性格と外見表がありがたかったです。
俺の中では、双葉夕実と黒川時子の性格と容姿が入れ替わってた。何故だろ。
「黒川時子」という名前から無表情で作られた感じの美人、というイメージがw
カイジがいよいよ確変しつつある印象ですな。
追い込まれないと目覚めないw常人離れした洞察力と発想が蘇りつつある。
それにしても夕凪とカイジはペアから離れましたか。主役とヒロインっぽい子ですからね。
見てた人さん、本当に細部まで設定を決めているんだなあ。感心します。
ペア作戦という犯人への予防線を張りつつも、新たな策を走らせてますね。
黒川は強力ですね。ペア作戦の発案者でもあるし、今回の冒頭見たら、
場を仕切る能力もあるみたい。覚醒カイジとのコンビは最強か?
しかし、女の子っぽいアイテムの毛糸玉と編み棒も、このSSだとなんか不穏に感じる。
せっかく作者自らキャラクタの解説一覧を作って頂いたので
横槍ですが本編中の描写を洗って外観的特徴を少し足して見ました。
ナンバー一・夕凪理沙
容姿……身長が低く、子供っぽい。ポニーテール。
性格……一見積極的。努めて明るく振舞おうとしている。
ナンバー二・笠間潤
容姿……灰色のベストに紺のジャケット。ズボンの腰辺りに小さなクマのぬいぐるみ。
なかなかに端整な顔立ち。夕凪曰く「かっこいいかも」
性格……皮肉屋。物事を斜に構えて見る傾向あり。
ナンバー三・香坂まどか
容姿……吊り目。美人だが、きつい印象。
性格……勝気で、負けず嫌い。
ナンバー四・伊藤開司
容姿……原作準拠。
性格……原作準拠のつもり。
ナンバー五・小此木秀平
容姿……童顔。無造作ヘアー、グレーのスーツ。高校生くらい?
性格……劣等感が強く、粘着質。
ナンバー六・玉崎真吾
容姿……身長が高く、筋肉質な大男。
性格……大雑把なお調子者。口癖は「〜っす」
ナンバー七・旗元太
容姿……見た目温和そうな中年男性。三十代前半くらい?
性格……誰彼構わず噛み付く。攻撃的。
ナンバー八・双葉夕実
容姿……日本人形のような、整った顔立ち。ロングヘア。
性格……声が小さく、おとなしい。感情が読めない。
ナンバー九・只野文男
容姿……良くも悪くも、一般人。
性格……いつもおどおどしている小心者。
ナンバー十・黒川時子
容姿……中性的な顔立ち。長髪。十代後半〜二十代前半くらい?
性格……沈着冷静だが、打たれ弱い。
…そんなには変わっていないですけど、ここまで来ると後は各キャラの
おおよその年齢だけ知りたいです。宜しければ御検討の程を…。
467 :
作者の都合により名無しです:2006/01/27(金) 12:03:32 ID:/8/0ok9h0
この人たちが一人、また一人と減っていくのかな・・
468 :
うんこまん:2006/01/27(金) 12:16:48 ID:pVS+2MLyO
469 :
うんこまん:2006/01/27(金) 12:18:59 ID:pVS+2MLyO
おまえら馬鹿じゃねーの キモヲタが
470 :
シャーク竹田:2006/01/27(金) 12:19:08 ID:XxAZDHKbO
↑このオタクどもがっ
471 :
うんこまを:2006/01/27(金) 12:21:22 ID:pVS+2MLyO
わっしょい
472 :
うんこまん:2006/01/27(金) 12:22:17 ID:pVS+2MLyO
くさ
473 :
テンプレ1:2006/01/27(金) 14:21:24 ID:yO/EbT670
474 :
テンプレ2:2006/01/27(金) 14:22:12 ID:yO/EbT670
475 :
テンプレ3:2006/01/27(金) 14:22:57 ID:yO/EbT670
476 :
テンプレ屋:2006/01/27(金) 14:35:36 ID:yO/EbT670
477 :
作者の都合により名無しです:2006/01/27(金) 21:09:52 ID:Rq5XfkUB0
サンダルさんは続けられる意思があるのかどうか連絡して欲しいな
>>477さんへ
続ける意思はあります。単に時間がないだけで・・・
第2話は明日か明後日投下する予定です。
職人さんへ質問
@完結した作品名を教えてください
A連載中の作品名を教えてください
B自分の書いた作品の中で、何が一番好きですか?
C自分の書いた作品の中でどのキャラが一番好きですか?
D完結した作品、連載中の作品を書いているときに気をつけ
ていたことは何ですか?
E完結した作品、連載中の作品を書き始めたきっかけは?
F連載中の作品の今後の見所は?
G好きな漫画は何ですか?
H今後二次創作をしてみたい漫画は?
I読者へ一言お願いします。
481 :
作者の都合により名無しです:2006/01/28(土) 06:15:22 ID:Ln42L0Dx0
張るなよw
職人さんがどう答えるか興味あるけど、答えは語ろうぜスレで。
第四十七話「決戦前に」
いつも通りに<たずねびとステッキ>を使って方角を決めたところで、アークエンジェルはネオラピュタに向けて進路を
取った。そして、その格納庫―――そこにずらりと並べられたロボットの中では、パイロットたちが出撃の時を待っていた。
しかして、今現在ザンダクロスが改造中であるのび太たち三人はといえば―――
「よし、確認しておくよ。ぼくらは戦闘が始まったら、そのドサクサでネオラピュタに侵入するけど、問題なのはネオラピュタ
を囲んでいる風の障壁―――<竜の巣>だ。まともにタケコプターで入ろうとしたんじゃ、吹っ飛ばされちゃうよ。そこで、
これを使う―――<台風の複眼>!」
ドラえもんが取り出したのは、目玉の形をしたワッペンだった。
「それは、なに?」
見たことがないリルルが不思議そうに尋ねる。
「これをつけると、身体の周りが台風の目になって、どんな風の中でも自由に動けるのさ」
「そうそう、<アニマルプラネット>で使ったやつだよね」
「なるほど、それで<竜の巣>を抜けるのね」
「その通り。で、ネオラピュタの中にも敵は恐らくいるだろうから、戦闘用の道具を渡しておく」
ドラえもんはポケットからあれこれと道具を出す。のび太はその中から、もはやお馴染みの<ショックガン>を選んだ。
「―――よし、こっちの準備は済んだ。後は到着を待つだけだね」
「うん・・・」
のび太はぐっとショックガンを握り締める。ムスカとの対決の予感―――それは恐怖と同時に、不思議な高揚感をもたらした。
(今度は・・・絶対に負けない!)
―――サイバスター・コクピット。
<ところでよ、バカ王子の野郎はサイバスターに新しい武装をつけるだのなんだの言ってたけど、結局どうなったんだ?>
「あ、そう言えばそんなことも・・・でも、ボクらは何も聞いてないよね?」
首を傾げる面々。その時、突如モニターに何かが映った。それは、白猫と黒猫であった。
<それはあたしたちから説明するにゃ!>
「うわっ!?何だ、お前ら!?」
「ちょっと可愛い・・・」
稟はビックリするばかりだが、猫好きなプリムラは目を輝かせている。
<おい・・・お前らまさか、バカ王子の・・・>
マサキの声が心なしか震えている。顔が見れたとしたら、多分青ざめているだろう。
<んー、まあ、あの人にプログラムされたAIってかんじかにゃ?>
<やっぱそうか・・・チクショウ!あれだけサイバスターに変なことすんなって釘を刺したってのに!>
<人を―――つーか、ネコをウイルスみたいに言うなにゃ。心配しなくてもサイバスターに悪影響なんてないにゃよ。あ、申し
遅れたにゃ。オイラはシロ。こっちの黒いのがクロにゃ>
<初めましてにゃ>
白猫と黒猫―――シロとクロが画面の中でぺこりとお辞儀した。
「はあ・・・初めまして」
<サイバスターに搭載された新武装を使う際には、あたしたちがサポートするにゃ!あんたたちもしっかりやるにゃよ。で、
具体的にどんな武器かというとだにゃ―――>
その後、シロとクロが懇切丁寧に説明してくれたおかげで、一応はその<新武装>とやらの性能も把握できた。しかし、釈然と
できない男が一人。
<しかし、やっぱり勝手にこんなモンくっ付けられたのは納得できねえぞ・・・>
ぶつくさしているマサキ。そんな彼にシロとクロが口を尖らせる。
<まだそんなこと言ってるのかにゃ。もう諦めるにゃよ>
<そうにゃそうにゃ。男らしくないにゃ>
<だああああっ、うっせえ!もう分かったから画面閉じろ!>
怒鳴られて萎縮したわけでもないだろうが、プツッと画面が切られた。
「あー、ネコさんたちいっちゃった。マサキお兄ちゃんのせーだぞ!」
フー子がむーっと頬を膨らませた。マサキもバツが悪そうに釈明する。
<・・・悪かったよ。いや、何かあの二匹、初対面な気がしなくてさ・・・どっかで会った、つーか、もっと深い関係だった
気も・・・こんな風に言い争うのも日常茶飯事だったような・・・>
「何だそりゃ?・・・まあいいや。戦いが始まったら、こんなのんびりしてられないしな」
稟はゆっくりと座席にもたれて、ムスカの顔を思い出す。強く歯を食いしばった。
「あいつだけは止めなくちゃ―――きっと、もっと多くの人が泣くことになっちまう・・・」
「稟ちゃん、そんなに気張らないでよ」
亜沙がそっと微笑んだ。
「のびちゃんやペコちゃんやキラ君―――アスラン君だけはちょっと心配だけど、みんないるんだから、ね?」
「―――そうですね」
稟も、ようやく少しだけ笑うことができた。
―――アスランたちはというと。
「あ―――あてな・えくすくらめーしょんっ!」
「うわっ!?いきなり何だよ、アスラン!」
通信装置からジャイアンの声が飛ぶ。
「いや、誰かが俺の噂をしたのかな・・・クシャミが出ただけだ」
「い、今のがクシャミだったの?何か、異様にカッコいいクシャミだったんだけど・・・」
「キラ、何をびびった声を出してる、クシャミ以外の何者でもないじゃないか!・・・ところでムウさん、フリーダムの調子は
どんな感じだ?」
「おい、いきなり俺に話を振るのかよ!」
話を振られたムウは、ちょっと鼻白みつつも答える。
「ま、いい感じではあるぜ。バカ王子ってのは、バカだが確かに天才だ。いいモンも付けてくれたしな」
そう言ってフリーダムの指先で、背中を指し示す。そこに取り付けられているのは、ガンバレル―――有線式攻撃ポッドだった。
バカ王子によって改良されたフリーダムは、見たままに言えば<ガンバレル搭載型フリーダム>であった。
「そうか―――しかしムウさん。あなたはどうも他人の機体を貰う運命のようだな。本編でも後半に乗ったのはキラのお下がりに
カガリのお下がりだったし・・・」
「ナチュラルに酷いこと言いやがるな、君・・・」
「誤解するな。今のは作者の意見を代弁したに過ぎん。とにかく、みんな頑張ろうじゃないか!ここにいるのは俺を除いて今まで
何だか影の薄かった連中ばかり!新たなる力を手にした今こそ、脇役脱出のチャンスじゃないか!」
「何か俺、アスランが敵に思えてきたぜ・・・」
ジャイアンが物騒なことを言う。
「まあまあ、ジャイアン。抑えて抑えて・・・」
スネ夫がジャイアンをなだめる。
「ふふ・・・いいじゃないの。変に緊張するより、こうしてバカを言い合ってる方があたしたちらしいじゃない」
しずかが微笑んで締めた。そんなやり取りに、キラも少しだけ肩の力が抜けるのを感じた。
「アスラン」
「む?」
「―――頑張ろう!」
「ああ、当たり前だ!俺たちの友情パワーを見せ付けてやるしかないじゃないか!」
アスランは自信満々に笑う。それは如何にアホになっていようとも、かつてと何も変わらない、頼もしい笑顔だった。
―――アヌビス。
<どうした?主よ。何か考え込んでいるようだが。他の者たちと話でもしていた方が気が紛れるのではないかと私などは
思うのだが>
「・・・いや、すまない。何か―――胸騒ぎがするんだ」
<胸騒ぎ?>
「この先にUSDマンが・・・あいつが待ち受けている。そんな気がする―――いや、違う。そんなものじゃない。どういう
わけか・・・ほとんど確信に近い。あいつは、必ずこの先にいる」
<不安か?私では奴に勝てない・・・そう思っているのか?主よ>
ペコはそれに対し、首を横に振った。
「そうじゃない。不安があるのは―――自分自身だ。<ラムダ・ドライバ>は操縦者の精神力が決め手・・・最終的に問題
なのはぼくなんだ。アヌビス・・・君がどれだけ凄くても、ぼくがダメなら・・・」
<やめんか!>
「うっ!?」
いきなり怒鳴られて、ペコは目を丸くした。
<そうやってうじうじしても何もならん!主よ、あなたは戦うと決めたからここにいるのだろう!ならば迷うな!そうやって
迷っていては、勝てる戦いも勝てん!>
「・・・・・・」
<―――すまないな、言い過ぎた。だが分かって欲しい。迷っているだけでは、どうにもならないと>
「・・・大丈夫だ。ぼくの方こそ、すまなかった」
ペコは顔を上げる。そこには精気が戻っていた。
「そうだな―――もう迷っている時期じゃない。行くと決めたなら、行くしかないんだ。アヌビス・・・ついてきてくれるか?」
<主が望むなら、どこまでも>
力強い言葉を、ペコは頼もしく思う。
「ありがとう・・・」
<だから、それを言うのはまだ早い。もっといい場面で言ってくれ・・・そうそう、これを見ておいて欲しい>
モニターに文字列が映し出される。それは、何かの説明書のような体裁をしていた。
<バカ王子が私に取り付けた武装の使い方だそうだ。目を通しておいてくれ>
「ああ、分かった」
ペコはそれに目を走らせるのだった。
―――アークエンジェル・ブリッジ。
そこにいるのはバカ王子と、クラフト含む三人の護衛隊だった。巨大な宇宙戦艦ではあるが、ドグラ星の高度な科学文明を持って
すれば、この人数でも動かせる―――というか、実はバカ王子一人で十分運用可能なのだった。
「ならなんで我々がいるのでしょうか、クラフト隊長・・・」
「情けない声を出すな。俺が一番知りたいんだ・・・」
もはや何度目になるか分からないため息。だが時は、クラフトが憂鬱に浸る暇も与えてくれない。
「―――レーダーに反応多数。モニターに映像を映すぞ!」
バカ王子が凄まじい速度で計器類を操ると、大画面のモニターに、無数の不可思議な物体が映し出された。
それは、人型をした機械。大きさは3〜4メートルだろうか。異様に長い腕が特徴的だった。それがアークエンジェルの行く手を
阻むように、こちらに向かって突撃してくる。
「お出ましか・・・パイロット各員、出撃してくれ!敵が来たぞ!」
―――その声が、総力戦の始まりの合図となるのだった―――!
投下完了。前回は
>>426より。
シロとクロはスパロボキャラですが、どっちがオスでどっちがメスだったかごっちゃに・・・
こういう時もインターネットって便利です。
>>428 バカ王子は、ある意味味方サイドのジョーカーです。ムスカはまあ・・・
>>435 のび太との再戦は、生身で行いますのでご安心を
>>437 アスランは、まあ・・・何度も言いますが、原作とは別物ですw
>>ふら〜りさん
まあアスランは、このリアリティとシビアさを追求したシリアスバトルSS(どこがやねん)における清涼剤と
思ってくだされば・・・
う○こSS、僕も一回書いてみようかな・・・
第2話 発掘
銀河漂流船団が念願の惑星を発見したのは、アンゴル・モアとの戦いからわず
か五日後のことだった。
戦後、船団は戦闘で負傷した母船ガイアを修復しながら惑星調査を続行した。
さまざまな問題が、船団の人たちを悩ませただろう。
しかし、船団結成300年の歴史で、先祖代々伝わる“団結力”は問題やトラ
ブルに対して最大の力になったのかもしれない。そして報われて、移住できる
惑星を見つけることができた。
人々はこの惑星に“ラグナ星”と名づけた。それは船団結成以前に住んでいた
惑星の名残なのだろう。
移民から一週間後。
一週間にわたる惑星調査の結果、知的生命体や凶悪生物の存在はいないと判明
された。宇宙少年騎士団や建設関係組織は惑星開拓チームに編成され、早速都
市づくりを開始した。
「カウントダウン開始、30秒前!!」
ここは後に、都市が作られる土地である。しかし不運にも妨げになる岩山があ
り、その排除のために開拓チームは爆弾を使用することになった。
岩山は上空から見ると円に近い形状をしており、直径約25メートル、全長約
7メートルの岩山で至る所には、爆弾がセットされている。そこから数百メー
トル離れた地区には、いくつものテントが張られており、現場の人たちはそこ
で岩山の爆発を見守る。
「4・・・3・・・2・・・1・・・」
カウントダウンがゼロを迎る。
凄まじい爆音と熱風、地震が数百メートル離れているにもかかわらず、開拓チ
ームを襲う。爆発によって粉砕された岩山の破片が、小石となって飛んでくる。
「やったか?」
現場の監督は、砕けた岩山の様子を見ようとした。だが、まだ煙が治まっていない。
「監督、これで開拓作業ができるわけですね」
突然話しかけたのは、リアンだった。彼たち少年騎士団もこのチームに編入さ
れていたのだ。
そもそも宇宙少年騎士団も開拓チームに編成されたのは人手不足が原因であっ
た。監督はリアンへ言葉を返す。
「そうだ。ここに街をつくらない限り民間人はずっと、今までどおり母船で
暮らすしかないからな。民間人だってずっと母船で暮らしたいなんて思っては
いない。早く本物の大地を踏みしめたいと望んでいるはずさ」
「同感です」
リアンは監督の言葉を聞いて、とうとう惑星を見つけることが出来たのだなと
改めて実感した。
銀河漂流船団は、念願の惑星を発見することができた。しかし、監督の言うと
おり街をつくらない限り、移民完成はあり得ない。船団の民間人は惑星の地
に降りたくても降りられないのが現状である。
少しずつではあるが煙が治まってきた。ぼんやりと、岩山の残骸の影が映ってくる。
「おい、大きな影が見えるが・・・粉々に砕けられなかったのか!?」
いきなり一人のスタッフが叫んだ。まだ煙が治まっていないため、よくはわか
らないが、確かに大きな影が見える。
「何だよ・・・あれくらいの岩は運び出せばいいだけだろ・・・」
「いや、あれは岩なんかじゃないぞ!!」
工事現場でよく見かけるガッチリとした体系の男は“岩”だと確信したが、す
ぐ否定された。
騒然とする中、とうとう煙が治まった。そして現場にいる人たちは驚愕した。
大きな塊は決して岩なんかではなかった。
それは・・・
人型で巨大。頑丈そうな装甲を持つロボットらしき物体が仰向けの状態で横に
なっていたのだ。
一方、ラグナ星がかすかに見える位置の宇宙空間に一隻の巨大戦艦があった。
その戦艦は、行くあてもなく移動しているように見える。
この艦の乗組員全員には特徴がある。それは、同じ“マスク”をつけているとい
うことだった。
「あの惑星に人が住んでいるというのは本当か?」
この戦艦の艦長らしき人物が、制服を調えながらブリッジに入った。
「そうです。3時間前に飛ばした偵察用カメラが撮影した写真にくっきりと人
影が写っているんです」
部下はキャプテンシートに座ったばかりの艦長に、写真を渡した。艦長は写真を
見た途端眉をひそめ、顎を触りながら考える。
「う〜む・・確かに人影だ。しかし、その隣に写っている巨大な物体も気になる。
その異星人が作り出した兵器か・・・それとも発掘でもされたものなのか・・・行っ
て見なければ分からないな」
「異星人との接触を試みるのですか?」
問われたが、艦長の答えはもう決まっていた。
「もちろんだ。あの惑星の異星人と接触する」
「了解、進路確定。目標、ポイントRM02!」
戦艦はラグナ星へ進路を取り始めた。
数時間後。
「この星に先住人や凶悪動物がいなかったのはよかった。しかし、突如訳のわ
からん巨人が発掘されたというのか?」
銀河漂流船団の司令官、リーベルトは司令室で資料を片手に、報告者に問う。
「はい。なお、巨人については現在調査中でありまして・・・・」
「・・・・もういい、持ち場に戻ってくれ・・・・」
「わ・・分かりました。失礼します・・・」
報告者が退室した後、リーベルトは資料を読み直した。落胆し、溜息しか出ない。
「こんなはずではなかったのに・・・」
リーベルトは、この惑星には異星人が密かに生息していると悟った。
第2話終了です。あらかじめ言っておきますがドラえもんたちが再登場するのは
第3話か第4話くらいになります。当分は銀河漂流船団の視点で物語が展開します。
それから、タイトルを付け忘れてしまいましたことをお詫び申し上げます。
496 :
作者の都合により名無しです:2006/01/28(土) 18:49:45 ID:dc2rLVLS0
長編ドラえもんものが2つ着ましたかw
>サマサ様
ムスカ簡単にやられそうなイメージありますが、このSSでは強敵っぽいですな。
遂に最強の一角のUSDマンとの対決も控えているみたいだし、総力戦ですか。
馬鹿王子がいる割にはシリアスになりそうですね。クシャミかっこいい。
>サンダル様
SFっぽいですが、ドラえもんの再登場は次回かその次ですか。まだ序章ですね。
リアンとかリーベルトとかって元ネタはなんですか?銀河英雄伝説とかですか?
スケールは大きいですが、設定が説明不足な気もします。次回はそこを詳しく。
>超機神大戦
いよいよ、因縁のウルトラ(略)マンとの戦闘開始ですか。期待してます。
ムスカ相手の戦いより気にかかる。バカ王子が鍵になるんでしょうね。
次回に繰越とかにせず、きっちり今回で決着つけてほしいです。
ネコ可愛いですね。プログラムの産物だからプリムラが抱けないのが可愛そう。
>惑星大戦記
前回より見易くなってますよ。でも、キツいこと言えば面白いかどうかとは別。
急すぎて展開が把握出来ないです。ただ、説明が過ぎると読み辛くなるんですよね。
上手い人は展開上、さりげなく説明していくように工夫しているみたいです。
それが普通に完璧に出来たらプロですがw
ま、まだ2回目。ドラが活躍し出したら大冒険の始まりと期待してます。
ゲロさんとしぇきさん、最近来ないですね。
連載2つ持っている人が来なくなるとメチャ心配。
あ、3つも4つも持ってるのにずっと来ない人も…
499 :
作者の都合により名無しです:2006/01/28(土) 21:59:11 ID:ZezERuEd0
>サマサさん
のび太とムスカ、ペコとUDSマンは確定みたいですね。
USDマンが負ける姿が想像出来ないけど。
なんか、物語の前半?の山場になるのかな?
個人的にはプリムラの戦闘での活躍が見たいですね。
>サンダルさん
物語はまだプロローグですよね。期待感は大きいですよ。
宇宙、そして大長編のドラえもんですから。
焦らず、だけど自分の好きな事を思いっきり表現して下さい。
ま、早くのび太たちが活躍して欲しいな、とは思いますがw
500 :
聖少女風流記:2006/01/29(日) 02:30:36 ID:3MTTr5xk0
第八話 聖なる神子と闇の神子
鏡の前で立ち尽くした。自分の姿にしばらく、呆然としてしまったのだ。
鏡には短髪で鎧姿の騎士が映っていた。視線が自然と落ちていく。
(フフ、本当に男みたい)
口元の微笑とは裏腹に、目尻に小さく溢れている。堪えるように天を見上げる。
(神に、フランスに、身を捧げた女、か)
自嘲するように呟いた。用意された自分の部屋が、やけに狭く感じる。
「聖女、フランスの救世主、選ばれし神子」
今度はハッキリと、大袈裟な自分への冠を口にした。声が震えている。
「フフ、何で鎧姿なのジャンヌ。あなたは、ただの村娘だったはずでしょ?」
涙が目蓋で留まり切れず、遂に流れ始めた。布で慌てて目を拭いた。
ガチャリ、と無骨な鎧を無造作に脱ぎ捨てた。下着も取り、薄布一枚の姿になる。
腹に右手を添えてみた。背筋のゾクリと快美感が走る。
(あの人のが、私のお腹に当たっていた)
小柄なジャンヌでは迎えきれるかどうかも分からない、慶次の巨大な彼自身。
鉄のように硬く、火のように熱い正しく彼そのものを表すかのような慶次の分身。
それが、生娘のジャンヌの肌に布一枚を隔てて触れ、ジャンヌを求めていた。
顔だけでなく全身が赤く染まる。体が火照って止まらない。
(もしあの時、慶次さんに強引に求められていたら)
自分は間違い無く抱かれていた。貫かれ、慶次の下で声を上げて狂っていただろう。
勿論、慶次はそんな女を無理に組み敷くような男ではない。
どこまでも優しく大きな男なのだ。彼がジャンヌの為に、行為を留まったのは当然だろう。
(慶次さんじゃない。私だ。私が、慶次さんに抱かれたがっていた)
右手をゆっくりと胸に上げる。乳が張っている。先端に触れ、肉体がビクンと反応する。
501 :
聖少女風流記:2006/01/29(日) 02:31:57 ID:3MTTr5xk0
左手が下腹部に伸びていく。布の下に指が触れて驚く。
まるで自分の体ではないように熱い。とろっとした濡れるような感触が指に当たる。
慶次の事を想うと切なくなり、体が熱くて仕方ない。
ジャンヌは泣いた。私は、神に純潔を捧げたのではないのか。それが、それが。
まるで売春婦のように性器を滴らせ、想い人に犯される事ばかりを望んでいる。
「聖女なんかじゃない。女だったんだ、私はただの、女だったんだ」
だがもう、愛する人に女としての別れを告げてしまった。
明日から、いや今からは戦場を駆ける男だ。命を捨てて生きなければならぬ戦場の男だ。
慶次は普段、悩みとは無縁の男である。
が、悩む時は強烈に悩む。懊悩と言ってもいい。月を見上げながら天を睨んで、悩む。
「こんな事で悩むなんて、俺は馬鹿かね、松風」
傍らの友に声を掛けた。松風も共に天を見上げている。常に慶次の心と共にあるのだ。
慶次の心に、生まれて始めてかも知れぬ畏れと迷いが生まれていた。
(俺は、何時までこの時代に、この場所にいる事が出来るのか)
勿論、それは自分の命が尽きるまでである。
ジャンヌを守って守って守り抜いて、その後に眠るように死ぬ。それなら良い。
それならば良い死に様だ。何の悔いも無いし、悩む事など無い。
が、もし、自分の肉体が自分の意思とは裏腹に、元の世界に帰されたら。
慶次は戦場で培った勘働きが鋭い。その勘が今、強烈に叫んでいるのだ。
(俺は、ジャンヌ殿と添い遂げる事が出来ない)
戦場で死ぬならそれは良い。
イギリス軍であろうが、呂布であろうが、一兵までも刺し違えて死ぬだけである。
が、強制的に、また、ジャンヌと引き裂かれたら。
そんな予感に悩む。あの娘を、俺が惚れた女を置いて、俺だけ元の世界へ?
502 :
聖少女風流記:2006/01/29(日) 02:32:37 ID:3MTTr5xk0
(そんな事、俺には耐えられない)
ギリリ、と奥歯を噛みしめる。すると、松風が肩先を鼻で突付いてきた。
「ああ、俺は大丈夫だよ、松風」
慰めていると勘違いし、そう応える慶次。が、松風の様子がいつもと違う。
(何を言ってるんだ、気配がおかしい。しっかりしろ)
松風の不穏に気付き、慶次の顔付きが変わる。数百メートル先の城を省みた。
目を細める。城の様子が僅かにおかしい。
「しまった、ジャンヌ殿!」
松風に跨り、疾風となり駆け始めた。悩みはどこかに吹き飛んでいた。
貴族たちが遠巻きにガタガタと震えながら様子を伺っていた。
地に、近衛兵のマルスがひゅうひゅうと不規則な呼吸をしながら転がっている。
場の中心に、黒髪蓬髪の大男が悠然と立っていた。薄汚れた着物を羽織り、
カミソリのような巨大な刃物を握っている。目付きは鷹のように鋭い。
「バカな、動きが全く見えなかったぞ」
ベルトランが震えるような声で言った。今見たものが信じられないのだ。
ダランと刃物をぶら下げた状態から、右手が消えた。
するとすぐ近くにいたマルスが倒れていた。全く動きが捉えられなかった。
男が子供をあやすような静かな声で言った。が、その声はどこか恐ろしい。
「峰打ちよ。心配するな。お前たちは、ワシが殺すほどの腕でもない」
ジヤンが激高した。が、ベルトラン同様、声は震えている。
「き、騎士を愚弄するか! 斬って捨てるぞ、下郎が!!」
大男は哀れむような目でジヤンを見た。
「斬る…か。この、宮本 武蔵を、斬る……か」
武蔵の目がカッと見開いた。ジヤンの体は金縛りにあったように動けなくなる。
「な…、な…?」
「所詮、この国の男の胆力などその程度よ」
武蔵の嘲笑の言葉にも、ジヤンは動けない。ベルトランの目が階段へと泳いだ。
(なんとか、ジャンヌ殿とシャルル公はお守りせねば)
503 :
聖少女風流記:2006/01/29(日) 02:59:36 ID:3MTTr5xk0
が、武蔵はその視線を見逃さなかった。口元を緩めてそちらを見た。
「なるほど、聖なる神子は上にいるのか」
悠然と階段へ向かう武蔵。ベルトランが後ろから斬り掛かった。が、武蔵は動じない。
ベルトランの目に火花が散り、昏倒した。顔に、武蔵の鉄拳が突き刺さっていた。
一顧だにせず悠然と二階へ向かう武蔵。迷い無く一直線に、ジャンヌの部屋に。
ジャンヌは慶次の事を想っていた。頭から神もフランスも消えていた。
ソプラノの甘い声が小さく響く。細い指が彼女自身を慰めていた。
ジャンヌは聖女ではなく、恋しい男を想うただの女だった。
男であろうとすればするほど、自分がただの女である事を確認してしまう。
(普通の女として慶次さんに出逢えていれば、どんなに)
詮無き事が頭を過ぎったその時、戸締めを下げていた入り口が強引に開かれた。
ハッとしてジャンヌはベッドから飛び起きた。入り口には大男が立っている。
ジャンヌの乱れた格好を見て、興味無さげに言った。
「ワシは神子と聞いていたが、股からダラダラ垂れ流す盛りのついた猫だったか」
ジャンヌの顔が紅潮した。が、武蔵は構わず言った。
「許せ、小娘。故あってお主の命、奪わなければならぬ」
武蔵の右手が閃いた。居合いの軌道である。美しい放物線を描き、ジャンヌの頭上に
武蔵の日本刀が舞い降りる。ゼロコンマの動きである。……が。
ピタリ、と武蔵の刀の刃先が止まった。ほんの一センチでジャンヌの肌が斬れ、
10センチ下ろせば脳天を叩き斬る距離である。が、そこから刀は動かない。
(こ、この娘……)
ジャンヌは何もしていない。ただ、まっすぐ武蔵を見ているだけである。
が、その視線。その浄なる雰囲気。全身から感じられるその圧力感と聖気。
ジャンヌの持つ全てが、武蔵の剣を弾いている。
まるで彼女の周りの空気が固体化したように、剣がそれ以上前に出ない。
冷や汗が武蔵の顔を濡らす。ほんの数秒前のジャンヌではない。
明らかに、何者かに守護されている。
504 :
聖少女風流記:2006/01/29(日) 03:01:08 ID:3MTTr5xk0
黒いローブの男が水晶玉の前で歯軋りをしていた。が、やがて無機質な声が漏れる。
「衰えたとはいえ流石だな、ミカエル。小娘に、己の霊力全てを注ぎ込んだか」
辺りは果てしない闇が広がっている。黒ローブの男は苦しそうに咳をした。
「呂布はジャンヌの聖性に篭絡され、武蔵は殺意を掻き消される。
史上の怪物2匹とはいえ、神子の前ではこんなものか。予測はしていたが」
水晶玉から顔を上げた。ローブの下の表情は伺い知れない。
「所詮、器が違うな。歴史を動かす力を持つ神子と、ただの武人とでは」
黒ローブの男の周りに白いモヤが掛かる。
「神子を殺すのは、神子。聖なる神子には、闇の神子」
モヤは人形となり、実体化されていく。黒ローブの男の声が大きくなる。
「歴史上で魔王と呼ばれた男は数あれど、暴虐だけでなく美しさと知性を伴う
魔王はそうはいない。私の知る限りただ1人」
「第六天魔王と呼ばれる、戦乱の覇者」
「私の冥力を全てを注ぎ込む、最後の刺客に相応しい男」
「私の分身、いや一心同体として相応しき魔人」
「ミカエルよ、貴様がその力をジャンヌに注ぎ込んだように、私も」
「この男に、全てを与え、そして現世の魔王と仕立てよう」
「この、サタンの力を、全てこの男に」
「その代わりに、これより先の歴史に光明が差す事は無い」
完全に実体化した男に、黒ローブの男から黒い気流が注がれていく。
「さあ、我を呑み食らい、我となるが良い」
「闇の神子、第六天魔王……!! 織田 信長よ!!」
505 :
ハイデッカ:2006/01/29(日) 03:04:10 ID:3MTTr5xk0
信長は避けたかったんですけど、思い浮かびませんでした。
ジャンヌダルクはクレオパトラと
並んで歴史上もっとも人気のある女性でしょうね。
両方とも悲劇的な結末になるというのは共通してます。
日本でもジャンヌダルクは人気ありますが、
検索するとバンドの方ばかりが検索されるw
扉をあけると、人いきれと若い女特有のにおい、
そして、酒を飲んだ人間特有の甘ったるい体臭がむっ、と襲い掛かって来た。
昨晩はずいぶんと騒いでいたとおもったが、その想像は憎らしくも大当たりしていた。
「ほら!皆!おきなさい!もう昼ですよ!」
こんな時のセダイラは、銀色の仮面の下で鬼の顔をしている。
黄金聖闘士ですら怯ませる怒気を纏った一喝だ。
部屋の中を見まわすと、マスクを外したまま、
あどけなさの残る寝顔を晒している者も居る。
いい加減にして欲しい、セダイラは切に思った。
「マスクまで外すなんてどうかしていますよ!貴女たち!」
酒の席は無礼講と言う、だが、ここまで羽目を外すとは何事か。
女性聖闘士にとってはマスクとは誓いの証だ、それを外すとは…
「やっほぉー、おはよぉ〜、セダイラー♪」
酒が残っているかのような口調だが、この人はいつもこんな感じだ。
これで聖闘士の頂点にたつ十二人の黄金聖闘士の一画だと思うと、切なくなる。
「やっぱり騒動の原因は貴女でしたか、眞明…」
黄金聖闘士・蟹座キャンサーの眞明(シンメイ)、
中国は上海出身の黄金聖闘士であり、セダイラと同い年で、
聖域史上数少ない女性黄金聖闘士であるのだが、このとおり軽い性格である。
眞明自身は酔えば酔うほど強くなるなどとうそぶき、酒に関しては底なしなのである。
彼女の凄まじさは、蛇にまつわる聖闘士である海蛇座・ヒドラの聖闘士(女性)や、
蛇使い座・オピュクスの聖闘士(女性)が酔いつぶれ、死屍累々と無様を晒しているのに、
眞明は春の目覚めのように、気持ち良さそうな寝起き顔をしているところからも分かるだろう。
酔いを小宇宙で分解していると陰口を叩かれるのも、十分納得できるものだ。
「この私相手に呑み比べ使用なんざ千年早いわ、かっかっか!」
周りに同性しかいないとはいえ、黄金色のマスクまで外すという、
この気の抜きっぷり、実に眞明らしいと思うものの、無償に腹立たしかった。
美人というよりは、愛らしいという顔立ちの彼女のどこに、
こんな酒豪の顔があるのかと思う。
酒など判断力を鈍らせるだけだ。セダイラは常住座臥戦場を心がけているだけに、
いくら友人でも、その点だけは気になるのだ。
「セダイラー、眉間に皺よってるよ?」
眞明の陽気なけらけらという笑い声を聞きながら、
誰かこの役目代わってくれないかなと思うセダイラだった。
「で、朝っぱらなんだい?」
水を浴びてすっきりした顔になった眞明に、セダイラはようやく本題を切り出した。
「この間のラミアーの調査結果、いの一番に知らせてくれって頼み事したの、貴女でしょう?
まったく、二度手間になるから報告会くらいは出席しなさいとあれほど言ったのに…」
「うん、ごめん
でもああいった会合って何故か眠くなっちゃうのよね〜」
セダイラはまだ声色に不機嫌さを宿したままであったが、それ以上小言を言うのを諦め、
脇に挟んでいた羊皮紙を眞明に渡した。
「なるほど、ね…」
調査報告書に目を通すや否や、纏う空気を一変させた眞明の姿に、
セダイラは背筋に冷たいものが走るのを覚える。
普段は抜けた姿や、あまつさえ酒の席では素顔すらさらすような彼女だが、
やはり、彼女は聖闘士の頂点に輝く黄金十二人の一人なのだと、
セダイラは実感するのである。
「聖戦、
ハーデスだね」
ぽつりと漏らす眞明に、改めてこの友人は黄金聖闘士だと感じ入る。
調査結果は公表されたものの、ハーデスの復活、
つまるところ聖戦の予兆であるというアテナの見解は、
一部聖闘士以外には明かされていない。
それに直ぐ思い至るところが、卓越した黄金聖闘士なのだ、セダイラは思う。
この事件、シオンと童虎が女湯を覗こうとしてラミアーと接触したことは、
黄金聖闘士間で実は公然の秘密であったりする。
なにせ、その時温泉に入っていた人間の中にはセダイラと眞明の二人もふくまれていたのだ。
青銅や白銀クラスならば気配遮断も有効だっただろう、
だが、しかし、今の代の黄金聖闘士の中でも、
屈指の探知能力をもつ蟹座・キャンサーの眞明の前では、
シオンと童虎の気配遮断など児戯に等しい。
悪戯好きで話好きな眞明のこと、
その晩のうちに聖域に居た黄金聖闘士全員に知れ渡っていた。
事件の明後日の晩に当事者二人に出頭命令が下され、査問会が開かれたのである。
等の眞明は、公の会議に出席する事のほうが少なく、今回も参加してはいなかったが。
詳細な現場検証と黄金聖闘士二人の証言、見回りの雑兵二名の死亡などから、
外部から進入したことが判明したのである。
アテナの結界を破るには、アテナの結界すら素通りするほど微弱な存在か、
それ以上の巨大な小宇宙で穴を開けるしかない。
シオンと童虎が接触した時点で、ラミアーはかなり消耗していたことが検死結果から分かっている。
ラミアー単体では、どう手段を講じてもアテナの結界を打ち破ることは出来ないので、
アテナに対立する神々の後押しで聖域の結界内部へと叩き込まれたのではというのが
公式見解である。
明白な挑発行為、
つまり、聖戦の予兆である。
故に、待機状態にあった黄金聖闘士たちに召集がかかり、
聖域に居なかった黄金聖闘士が自宮へと戻ってきたのである。
しかし、ヴァチカンや大英帝国守護騎士団、魔術師協会、錬金術師組合、暗殺教団、
フリーメーソンやヴァチカン外延組織、
そして欧州列強諸国の代表との間に開かれる定期会合に、
アテナの名代として出席していた魚座・ピスケスのアガーペは、
急遽滞在を延長し、参加者への説明を余儀なくされていた。
「で、セダイラ」
眞明は速読である、セダイラが彼女の洞察に内心舌を巻いている間に、
既に報告書を読み終えたのだろう。
彼女は、先ほどの砕けた空気に戻っていた。
にやぁっと、まるで猫のような笑顔をすると
「どっちになら、素顔を見せてもいいと思ったんだい?」
そんな爆弾を投げつけた。
「…眞明
いくら貴女が黄金聖闘士とは言え…」
ぎしり、と。大気が軋む音がした。
セダイラの白銀の仮面の下には、きっと鬼がいるのだろう
「大丈夫、女の友情を信じなさいな♪」
あきれてものも言えない、とでもいうか、それとも怒り心頭とでもいうか、
なんともいえないセダイラだ。
ここで否定すればしたで、からかわれるし、素直に答えようものなら、
ようやく聖闘士らしい貫禄が身についてきた弟分ふたりは、
また浮かれ調子に逆戻りするだろう。
セダイラ本人は気が付いていないが、
数日前にまったく同じような罠を童虎は仕掛けられていた。
根が真面目な分、セダイラも童虎も、からかいの対象になりやすいのである。
「貴女の辞書に、秘密は守るもという意味ありましたっけ?」
だが、えへへ、とばかりに笑って誤魔化すのが彼女だ。
眞明には、この不思議と憎めない笑顔があるのだ。
シオンがもし同じような真似をしたら、
次の瞬間、童虎の鉄拳が頬桁(ほおげた)を鳴らしているだろう。
シオンと童虎だけに言える事ではないが、人誑(たら)しとでも言うべきか、
強烈なカリスマ性とはまた違った、染み入るような笑顔をもっている人間というのは、
度の過ぎた悪戯や、結構な無茶をやっても、不思議と許容されてしまうものである。
「皆が知りたいと思うことは、知らせてあげなきゃね
だぁって、あのカタブツのセダイラに春が来たとなれば、聖域を揺るがす一大事よ?」
その、不思議な笑顔のままそんな事を言われでもしたら、
白銀屈指のセダイラでも、何もいえないのだ。
「秘密です!言えません!戦士に色恋沙汰なんて必要ありません!」
だから、そう勢いに任せて否定するしかないのだった。
「ふぅーん♪」
にやにやと笑う眞明、マスクの下で少し紅くなるセダイラ、
実に初々しい情景がそこにはあった。
ノリで飲酒させちゃいましたが、この時点じゃたしかコイツらまだ未成年だった気が…
飲酒喫煙は20歳を過ぎてから、銀杏丸です、黄金時代第十四回をお送りしました
第六回の後日談です
ええぇ!あの聖衣の先代が!?ネタは実にやってみたかったネタ
セダイラも年相応の顔があるんでしょう、どっちに脈があるのかは、
ご想像にお任せします…
514 :
作者の都合により名無しです:2006/01/29(日) 11:24:16 ID:zVvCaQpd0
>聖少女風流気
前回から少しピンク掛かってますがw今回は急転ですね。
聖女とただの女の間で揺れるジャンヌが悲しい。
しかも、すぐ近くにいるのは天下一の男ですからね。
俺でも慶次に迫られたら抱かれる。武蔵と信長も出てどうなるか?
>黄金時代
セダイラは聖地の肝っ玉母さんみたいな存在ですなw
女性聖闘士のまとめ役ですか。真面目な彼女らしいですな。
眞明、蟹座というだけで呪われた存在かと思いきや
爽やかな性格で重要人物っぽいですね。死んじゃうけど・・
515 :
作者の都合により名無しです:2006/01/29(日) 11:25:59 ID:zVvCaQpd0
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