【リレー小説】えなりの奇妙な冒険〜冨樫の遺産編第27部
これはえなり2世の数奇な運命を追った奇妙な冒険である。
前スレからの続き、行くぜ!!
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1121541845/ ≪注≫この物語はフィクションです。実在の人物、地名などとは一切関係ありません。
特に漫画家とか。
ルール! それはここに書き込む際の最低限のルールである!
・過去ログを見てストーリーの流れくらいは把握しておく事!
・漫画のキャラをあんまり出すな! ここのメインはあくまで漫画家だ!
・登場人物紹介文は、登場させた人が作ろう!展開が落ち着いたらでいいので整理スレに書こう!
・先人の意思をなるべく尊重しよう! 壊すにも壊すルールがあるのさ!
・雑談や感想は本スレで! アンカー付けての遅レスOK!
・展開相談は「したらば」オンリーで! 無論見ないのも自由! 無視されて当然!
・質問は本スレでよし! 先展開の牽制にならぬよう気を遣うのを忘れるな!
・細かい設定や言葉遣いでドジった書き手には極力優しく! 過失だ!決して悪意は無い!
・脊髄反射で罵倒レスをするな! 一呼吸置いて良い部分にも目を向けようぜ!
・わかりやすさは大切だ! 自分の投稿がどの続きなのかアンカーは必ず付けようぜ!
・割り込みはあるものとして考えろ! 即興でそのつど話を書いてるなら尚更だ!
・誤字脱字の訂正は必要最小限にとどめよう! 投稿前に内容確認!!
特殊ルール
・リアル故人の漫画家さんを当スレで扱うと様々な問題が発生する恐れがあります。
今のところ明確なルールは無く、ケースバイケースなのですが
誰某を出そうと思っている、若しくは、誰某が登場後にお亡くなりになられた、といった場合
本スレにSSを貼る前に、したらばに一言お願いします。
↓展開相談、ネタバレ関係はここ「(旧)したらば」で
http://jbbs.livedoor.jp/comic/31/ その他リンクは
>>2-5
☆なんとなくそれっぽいあらすじ☆ 時は近未来。忘年会シーズンを迎えた2012年晩秋〜初冬。 漫画家を含めた≪クリエイター≫達が武力や異能力を持ち争いを続ける歴史世界。 冨樫義博の遺産ファイルがエジプトで発見されたのを始まりとして、 一見平凡な少年「えなり二世」はファイルを巡る争いに巻き込まれてしまう。 この時代の漫画業界を表に裏に支配する男・矢吹は兵力獲得のため、 賞金10億を賭けたバトルトーナメント大会を巨大戦艦内で開催する。 えなりは打倒・矢吹を誓い、同志とチームを結成し大会に参戦した。 しかし歴史の裏には神の手先ゴッドハンド・闇の支配者妖魔王一派・ 漫画界の秩序回復を図るも内部分裂が甚だしい評議会・ 10年前に東京で大災害を起こした少年とゆかいな仲間たちKIYU・ さらにはゴッドハンドを実質支配する軍師横山のしもべたち十傑集+五虎大将・ 軍師の姦計で矢吹の下を離れ結成された狂人軍団最後の大隊など、 フリーキャラ含めて右も左も敵だらけで、なんだかえなりはピンチです。 予選ブロック決勝進出9チームの交流会≪温泉慰労会≫(鹿児島→別府)は、 漫画家達に新たなる因縁を、九州全土に王蟲の進軍による大破壊をもたらした。 避難民救出のため散開するゴッドハンド軍艦隊のひとつ・空母≪エリア88≫は、 鹿児島湾周辺の海域で、最後の大隊を始めとする混成軍に襲撃を受け壊滅の危機。 偶然居合わせた内藤たちが応戦するが、夜が支配する刻限になっても未だ戦況の趨勢は見えない。 一方秋田書店が禁断の≪神復活計画≫を蘇らせたのを期に、神エネルギーの制御増幅装置? 【三種の神器】を巡る動きが活発化。妖魔王陣営は神器候補・ギャグ作家の集団拉致を敢行。さらに、 ゴッドハンドも新たに胎動。矢吹はキユと再会するが、因縁の女性が秋田に狙われてる事を知らない。 そして本編・矢吹艦トーナメントは、準決勝第一試合【サッカー】シリーズが、延長戦の末、 D・えなりチームが見事勝利。そして遂に第二試合・バンチvs裏御伽の【ウォーゲーム】スタート!! 互いの心技体を極限まですり潰す、過酷なマラソン・マッチが始まろうとしていた。 一方、試合に敗れ、秋田を始めとする数多の敵対勢力による落ち武者狩りの標的にされた、 B・ガンガン+サンデーチーム(ガンサンチーム)に明日はあるのか? 主人公を置き去りにしたまま、物語は加速していく! 混迷を極める第27部、試合開始。 <了>
5 :
王大人 :2005/12/30(金) 04:05:41 ID:t/sRv2Ti0
それでは始めぃ!!
これが新スレだッ!!
いな 新 いん ,─--.、 言と ノ从ハ从 ス 葉聞 .リ ´∀`§ かこ X_@X レ |え U|_____|U |の ∪ ∪ ! !
,. -十ナメ、
, -‐===、、
'´ ,. --','、,.. --:..、.,
,.、:'´:.:.:.:.:.:! !:.:.:.:.:.:.: :.`ヽ、
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/ー,':.:.::,:'::::::::::::::::::::::',;'::::':,:.:.:.: .:.゙:, ヽ_
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/,.ィ:::::::::::::::::::::/r==、レ' ,r==ミ,:::::::::::::::ヽ
>>1 -ニ.,;;、-、::::::::::{ 、、、 ,___ 、、、 ヽ:::::::::::::::ヽ、 モツカレサマー
,r'`´``!,.;::゙,. l l |::::::::::::::::;;_:゙:、
{  ̄ ヽ \ '、, ノ ,..ィ´/'、:、--`-``
'、 / `' - ..二.. - '" `' ヾ
9 :
作者の都合により名無しです :2005/12/31(土) 02:58:02 ID:a+9OALKfO
乙しちゃうッ
>>1乙
今朝夢にえなりが出てきた 宇宙海賊に騙され大量の借金を負わされ船に幽閉されてた えなりがんばれ超がんばれ
明けまして、おめっとーーー! さて、書かねば・・・・、
あけおめあけましたよろしくね <(((( バッ
14 :
作者の都合により名無しです :2006/01/01(日) 15:37:13 ID:QRo06H2QO
あけましておめえなり!! 今年は生き返るといいな
前スレのまとめを作っているのですが、 まとめのためにスレを読み返していると色々熱いものが滾ってきます まだまだやめられんなあ〜と保守
新作マダー?(チンチン
もうちょっと待ってねぇ!
前スレ478、498 岡田芽武の動きは、乱入した土塚の機転により、一時的に封じられていた。 のど元に爆発物を仕掛けられた状況から事態の打開を狙うべく、岡田の視線が鋭い光を放っている。 一方―― 村枝賢一と山口貴由。互い異形に変じ、雷鳴のごとく闘気をぶつけ合い、中空にて猛禽のごとく一呼吸で十を数える拳足を交わし合った。 「この動きの冴え、一流の気迫美事と言いたいところだが、おそらく貴様本来の動きではあるまい」 「………」 地上にて対峙しながら、山口がカマをかける。 「これまでの戦いにおける負傷の蓄積か。それとも、この間にも傷ついていく仲間達の身が気がかりで集中できぬか」 「くっ……」 考えを見透かされた村枝は歯噛みせざるを得ない。 激戦の直後ゆえに、仲間達はそろって満身創痍の者達ばかり。そして、迫り来るは秋田書店の鬼畜共。のみならず、他の組織までもがこの争乱にまぎれて胎動を始めたのだ……そう、今自分達が対峙している、この鎧の男達のような。 一刻も早く、この状況を脱し、起死回生を図らねばならない。一人の敵にいつまでも構っている暇はないのだ。急がねば――― 「うおおおおおおおっ!」 咆哮をあげながら、真正面から突進する村枝を、顎への膝蹴りが迎え撃った。 天を仰ぐ格好になった村枝の脇腹に続け様、山口の重爆蹴が撃ち込まれ―― 「 超 振 動 !! 」 び し し っ 胸元に添えられた掌底が振動波を発生させ、村枝の胸骨から肋骨に至る骨格を粉砕していた。
「グハッ!」 異形の体から、鮮血が吐き出される。紅く染まった身が傾き、そこへ山口の追撃が迫る―― 「ゼクロスパン…」 「螺…」 山口の掌が、村枝の拳が、交差し、同時に相手の頭部に当たる。 相撃ち……に見えた瞬間、山口の爪が村枝の頭部を掴みとるがごとく食い込んだ。 び し し し !! 「ぐおお!!」 超振動が頭骨を爆砕し、村枝の体は電車の正面衝突を受けたように渦を巻いて飛び、会場の壁に激突させられた。 「貴様は出来る男だが、些か感情を面に出しすぎる。そのような他愛のない認識で、己(おれ)に勝つことはできぬぞ」 瓦礫に体のなかばまで埋もれ、倒れたまま動かぬ村枝に、山口がとどめを刺すべく近づいていく。 「村枝から離れろ!!」 山口と村枝の間に割って入るように疾走してくる者がいた。 その男が振った腕の先から、火弾がいくつも撃ち出され、狙いを寸分違わず山口に飛んでいく。 「昇華!!」 山口が火弾に対して差し向けた掌から、人間を丸ごと包み込めるほどの巨大な火球を発射する。 二つの炎が中間で激突し、大量の空気を喰らいながら膨れ上がり、爆散。大小の火の粉が驟雨のようにあたりに降り注ぐ。 「小僧! ただ2人の純粋なる決闘によくも水を差してくれたな! 許さん!」 「……人が青色吐息のとこ大勢で襲ってきといて、決闘だとかふざけてんじゃねえ! 何と言われても村枝をやらせるわけにはいかねえんだ!!」 山口の怒りに、安西もまた吼えた。山口に感じた恐れは、すでに消えていた。
ヒュンと透明な音が聴こえたような気がした瞬間、すでに山口の姿は掻き消えていた と安西が考えたときには、すでに山口は鼻先が触れそうな位置にいた。 ――袈裟! 呆気にとられる安西の首筋に、山口が左肘から突き出た刃を斜めに斬り降ろしてきた。 反射的に飛び退り、紙一重で首が飛ぶのを免れるが、二の句を継がせぬようにカマイタチのような連続斬りが矢継ぎ早に飛んでくる。 「は…速い!」 分かっていたことだが、接近戦ではとても勝負にならない。 山口の右掌が『螺旋』の構えをとったのが眼に入るや、安西は足裏と背面から発した炎を地面にて爆発させ、推進剤のようにして加速、山口から大きく距離をとった。 「一人前なのは威勢と逃げ足だけか!」 叱咤混じりの挑発に、安西が唇を噛む。 (強ぇ……まともにぶつかっちゃ勝ち目はない。遠距離から、今の俺が持つ最大火力をぶつける以外に勝機はない!) 安西が両手で、これまでよりも複雑な印を素早く空中に描き出す。 たちまち安西の周辺にて豪炎が渦を巻き、それらが三…いや四もの火竜となって顕現する。 「炎使いとしてはなかなかの術師だ。その力ならばこちらも… 奥 技 を 見 せ て や る ! 」 山口が両掌を胸の前で合わせると、遥か頭上の空間が急激に歪みを見せ、伽藍のごとくうねった。 「 気 象 兵 器 」 釈迦のごとく、指先を天に向けてかざした刹那。 戦 術 天 誅 !! 大気を劈(つんざ)き、雷鳴の雄叫びをあげて、紫電と雷光が安西を直撃した。 それはさながら、人類に最終審判をくだす、神の鉄槌のごとく。
一瞬、安西の体にX線(レントゲン)のような表現効果が発生し、声もなく地に大の字になって伏した。 戦術天誅によって、心臓が停止していた。そして、山口がとどめの一撃を見舞うべく、その掌を動かない安西に向ける。 「閃…」 掌に閃光が満ち―― 「そうはさせぬっ!」 そのとき、弾丸のように体ごと吹っ飛んでくるものがあった。 「ヌォォオオオオオオオオオッッ!!」 ラウザルクによって身体強化された雷句が、安西を助けるべく割って入ったのだ。 「ぐ…」 雷句の体が、頭から砲弾のように山口の土手っ腹を直撃し 「ぎゃう〜〜〜〜っ!!」 もつれあったまま、2人は遠く距離を置いた先の地面に激突した。 「おのれ雷句誠!」 珍しく怒りを露にした山口が、両手で雷句の顔をつかみあげ、凄まじい形相で睥睨する。 雷句の顔に、滝のような冷や汗と死相が浮かんだ。次の瞬間、熟れきった果実のように自分の頭部が爆ぜる姿を雷句は想像したが―― 彼を救ったのは、山口の両腕にて跳ねた十発強の着弾だった。 強化外骨格装備ゆえ身体に損傷はないが、着弾の衝撃で雷句の拘束が外れた。 山口の視線が、発砲音の聴こえた方へと向く。 「マシンガンアーム!」 右腕に装備した機関銃の銃口から硝煙を上らせ、毅然と立つ異形。 「村枝!」 ああまで骨格を粉砕されて立ち上がってきた村枝に、さしもの山口も感嘆を禁じ得ない。 「何を支えに!?」山口が問う。 「守らねばならない友がいる。果たさねばならぬ誓いがある。全うしなければならぬ戦いがある… それがある限り……首が落ちても俺は死なん!!」 「そのような感情を無駄に吐き出す莫迦から先に死ぬ!!」 「感情をぶっ放さずして何の命だ!!」 闘気の激突が、再び雷鳴を喚ぶ。異形達の戦い、佳境。
スタジアム乱闘アクメツ祭編キタァァァ 兄貴ぃぃ!!村枝の兄貴ぃぃカッコいいぜー!! そして安西死んでるよ安西
これはもう若先生というよりも、散様!
25 :
作者の都合により名無しです :2006/01/08(日) 15:00:19 ID:DbE4agOB0
現人鬼age
前スレ過去編まとめ乙 # 容量削らぬ為こっちにカキコ
アニマルの誇る変態2大巨頭を出したいんだが、タイミングが難しいな
ファックとひゃわああですか、もしかして
期待してまさ あー思いっきり書き倒したい!時間欲しい!
ああ、俺だけじゃなかったんだな。いくつかアイデアはあるんだが・・
前スレ、アバウト年表で埋め終わりました。 なんかもうサブルート全然フォローできなくて悲しいったらさ これでようやく本編に取りかかれ・・・るといいなあ( ´・ω・)
まとめ乙 大会開始からの三日間が激動すぎてワロタw 本当にたった数日間の出来事なんだよなあ、これが・・・
前スレ557 【矢吹トーナメント特別版<ウォーゲーム>ルール一覧(決定稿)】 <1> 1セット内の「試合回数(1〜6回)」と「地形フィールド」を、審判安永がダイスを振って決定 <2> 試合に出る人間が両陣営ひとりずつ舞台に上がる。基本は一対一バトル×出た目の回数分闘う <3> ガチンコ勝負を避けたい人は、対戦相手と相談の上「特殊試合ダイス」を振る。 何が出ても恨まない。タッグ戦や団体戦が出た場合も一試合一勝で計算する <4> 各ルールに則り、規定回数分試合する。選手は同セット内で何度も試合に出られるが、 一度敗北した選手は出られない。審判がKO/TKOの裁定を出して勝敗をつける。 多く勝った方がセット奪取。両チームの勝ち数が同点の場合はドロー <5> セットを落としたチームで、4で試合に負けた人は、次のセットには出られない。ドローはペナルティなし <6> 1〜5を繰り返す。手駒が尽き、チームの大将が試合に出て負けた時点でウォーゲーム終了 安永「さてと、準決勝第二試合を始めようかのう。 これからワシが地形フィールド用のダイスを回す。現地に直接飛ばすからな、 忘れ物がないよう手荷物を持っておくよーにっ。 なおネタ切・・・試合に出したい選手が決まらない時は、サービスでこのワシが、 特殊試合用のダイスを先に振ってやろう。例えばワシが振って、 『料理勝負』なんてのが出たとして、それから試合に出る選手を決めるわけじゃな。 だがあまり多用するでないぞ!そんな楽ばかりさせられんわい。じゃあダイスでGO!!(ぽーい)」 一同「「 いきなりかよっ!! 」」 ――― < WAR GAME > 1st BATTLE STAGE ――― 気がつくとバンチチームと裏御伽チームは、矢吹艦ではない別のどこかに立っていた。 審判・安永を挟んで遠くから睨み合う両陣営。彼らの立っている場所は・・・ 熱かった。とても。 安永「ファーストステージはどっかの【火山口】!近くではマグマが噴出してるから踏まぬよーに。 試合数ダイスは【3】!!ちなみに3戦終わった時点で元の艦内に強制で戻る仕様よ。 ではこれより第一セット開始!!まずは両陣営一名ずつ、ワシの前に出てとっとと闘(や)れやぁ!!」 こうして危険地帯で危険人物たちの戦いが始まった。果たして最初に戦争の舞台へ上がるのは誰・・・?
+ ∧_∧ +. . . (0゚・∀・) . ワクワクテカテカ +. .(0゚∪ ∪ +. . . . /ヽ_と__)__)/ヽ .+ .+ (0゙ ・ ∀ ・ ) ワクワクテカテカ (0゙ ∪ ∪ . ;+ . /ヽ_と____)___)/ヽ + (0゙ ・ ∀ ・ ) ワクワクテカテカ (0゙ ∪ ∪ + と______)_____)
>33 前スレ557じゃなくて、537ですな。 さて、両チームとも誰が出てくるのか…
36 :
白銀の悪魔 :2006/01/15(日) 19:32:07 ID:/L1vC9OE0
前スレ
>>566 凶悪な破壊力を秘めた衝撃光が、二人の女と、それを守るように翼を広げる一人の優男に降り注いだ。
翼によるバリアが直接の殺傷力を防ぎきるが、二つの力が生み出す反発、その余波が三人の臓腑をビリビリと揺らした。
「――!――!!」
それぞれ、その体に深手を負い、精魂も酷使の末、疲労しきった三人である。
余波と呼ぶにはあまりに大きすぎる衝撃に、三人とも激しく咳き込んでいた。
やがて、衝撃が止み、優男――内藤がバリアを解き、愛銃を構える。
二人の女――荒川と伊藤も、そちらに目を向ける。
そこに、男が立っていた。
白雪が降り積もったがごとき銀の髪。冬の湖面のような透徹とした眼差し。マントを羽織り、一本の柄から逆方向に二本の刃を伸ばした奇妙な剣を手に、寒気すら感じさせる美貌の男――否、戦鬼が薄氷を踏むがごとき静けさでたたずんでいる。
「あんたは…」
「田島昭宇――死出の餞に覚えておくことだ」
誰何に対し返ってきた答えに、内藤は心中で身震いする。
「参ったな…あんたほど名の通った漫画家まで、平野に与してるなんて…」
気弱な口調とは裏腹に、眼鏡の奥に光る目は、いまだ闘志を、希望を捨ててはいない。
しかし、向けられた銃口をその冷たい瞳で睥睨しながら、田島は言ったのだ。
「――良いのか?俺にばかり気をとられていて……」
「「「――!?」」」
内藤が、ハッと何かに気づいたように目を見開いた瞬間――!!
轟音が鳴り響くのと同時、内藤が風穴の開いた肩から血の噴水を吐き出しながら、吹っ飛んだ。
「ぐあ!!」
荒川が練成した鋼鉄の壁に叩きつけられ、床に尻餅をつく。
「「――!!」」
内藤よりもさらに反応が遅れた荒川と伊藤が悲鳴を発するよりも早く、謎の襲撃者は内藤の間近に接近していた――壁に両足を突っ張って張り付き、内藤に冷たく黒光する銃口を向けて。
間髪いれず再び轟く、銃声、銃声、銃声。
「ぐあああああああ!!」
がら空きの背中を蜂の巣にされ、内藤は多量の血を撒き散らしながら、床を転がった。
37 :
白銀の悪魔 :2006/01/15(日) 19:33:04 ID:/L1vC9OE0
血の海でうずくまりながら、内藤は銃撃の主を見上げた。 全身黒ずくめの出で立ち。十字架を埋め込まれた隻眼。死人のように青白い肌。そして、両手に持った鉄塊のごとき巨大な二丁拳銃。 まぎれもない内藤のかつての盟友、黒田の成れの果て――。 「なっ、なぜ黒田がここに!?――ま、まさか!!」 黒田の相手は、渡辺と片倉がしているはず―― 荒川はそう言いかけて、そしてある可能性に思い当たり、愕然とする。 (まさか――こんなに早く!?) 「さて――こちらも始めるとするか。フッ、両手に花というやつかな、これは?」 荒川と伊藤に、仲間の身を案ずる暇すら与えず、二人に銀色の剣士が切っ先を向けている。 そのとき―― 荒川の想像した事態は、半分外れ、そして半分当たっていた。 片倉は、いまだ銃弾を喰らった損傷を再生中の田口と対峙していた。 そして―― バイオリンを構えた渡辺の前には、新手が出現していた。 (なんだ――――っ、こいつは!?) 渡辺は、明らかな恐怖を、その相手に覚えていた。 その男の両目は刃のような銀色。しかも、その瞳は極端なまでに小さく… 蝋のような肌の白さは、目の下の“くま”とともなって麻薬中毒患者のようであり… マユも非常にうすく、寝ぐせのひどい銀髪は、ポマードでびっしりとかためられているのである。 つまり、その男の容貌を一言で表すならば、あまりにも月並みな表現ではあるが、それはまさに―― “ 悪 魔 ” であった――!!
38 :
白銀の悪魔 :2006/01/15(日) 19:34:10 ID:/L1vC9OE0
渡辺道明は、バイオリンを構えたまま考える。 (なんて恐ろしいツラしてやがるんだこいつは――!? 今まで長いこと戦ってきたが、こんなアブなそーな奴は見たことがねえ!! 平野の仲間はどいつもこいつもブチ切れたキ○ガイばかりだが――そのなかでも、こいつは突き抜けて、ブッとんでやがる!!) バイオリンを構える手に、かつてない緊張がみなぎっていた。 “悪魔”は、対峙した渡辺をじっと見つめたまま考える。 (こまったなあ、この人…とりあえず話し合いから始めようと思ったのに、いきなり“ヤル”気だよ… いくら相手が、このあたり一帯の海を荒らしまわってる悪者の一味でも、まずは誠意をもって話し合おうと思ってたのに……) この男――外見こそ、悪魔のようだが、その実は容貌とは正反対。そうまるで―― (いや、あきらめちゃだめだ!そう簡単に暴力に訴えるなんて、乱暴者のやることだよ!たとえ相手が凶悪な海賊でも、ぎりぎりまで平和的解決を試みなきゃ!!相手だって、同じ漫画家なんだ、きっと分かってくれる!!) “天使”のような心の持ち主なのだった―― (くっ――なんて眼光だ!こいつから感じる威圧がさらに強くなってきやがった!!) しかし、その天使のような男の胸中は、神ならぬ者に推し量れるはずもなく―― (よーし、最初は元気よく、挨拶からだ!!) 「 き ひ ゃ え い !! 」 “天使”のような心を持った“悪魔”の口から、この世の生物が発するとは思えぬ奇声がほとばしった。 人の声帯で、どのようにすればそんな音が出せるのか――そう思わせる声である。 「うおおおおおおお!!」 その奇声が、渡辺の中に張り詰めていた、ギリギリの緊張を決壊させた。 咆哮をあげながら、構えたバイオリンから、レーザーやミサイルといった火器が一斉に発射され、あくまでも平和的解決を求めた“悪魔”に殺到した――!!
39 :
白銀の悪魔 :2006/01/15(日) 19:35:11 ID:/L1vC9OE0
(こいつはマジモンの悪魔だ!!一瞬でも猶予を与えれば――殺られる!!) 渡辺の心の叫びが、火力の塊となって“悪魔”に炸裂、周囲を含めて次々と爆裂し、あたりを炎の海へと変えた。 (やったか!?) 一瞬、そう思った渡辺は、しかし次の瞬間には驚愕の表情を浮かべていた。 “悪魔”が、笑っていた。 さっきの位置よりも6メートルは離れた位置、そしてより渡辺に近い距離に、その笑みはあった。 炎と熱気うずまく戦場を、一瞬で零下に突き落とす笑みを張り付かせながら、“悪魔”は思った。 (な――なんて乱暴な人なんだ!?僕はただ挨拶をしようと思っただけなのに――なのに、いきなりあんなに撃ってくるなんて!!) 内心冷や汗を浮かべながら、“悪魔”の中の“天使”の心は激しいショックを受けていた。 (あ、でももしかしたら驚かせちゃったのかも…僕って結構、声が大きいからなあ――) そう思い直して、あくまでも人を信じようと、再び友好的に相手に近づこうとして―― 「て、てめええええ!!」 「き、きひゃええええええええ!?」 さらなる砲撃、砲撃、砲撃。火線の嵐が、一方的に彼に襲い掛かってくる。 “悪魔”は、這い出る隙もないほどの集中砲火の網を、しかしまるで体が蜃気楼のように見えるほどの凄まじい速度と身のこなしでくぐりぬけ、かすらせもしない。 (な――なんて野郎だ!?こっちのあれだけの砲火を、まるで事も無げにかわしてやがる!!やはり、こいつは正真正銘の悪魔だ!!) 渡辺はいよいよ敵意をむき出しにし、さらなる砲撃で“悪魔”を執拗に攻め立てる。
40 :
白銀の悪魔 :2006/01/15(日) 19:36:36 ID:/L1vC9OE0
(どうしよう、この人全然話を聞いてくれないよ。やっぱり平野君の言った通り、この人達はこのあたりの海を荒らしまくって、罪もない人々を大勢傷つけた、情け容赦のない悪人なのか!?) 他者の善性をとことんまで信じようとする、この“天使”のごとき“悪魔”にとって、悪鬼のごとき攻撃を問答無用で仕掛けてくる渡辺の存在はショックだった。 (よ、よしこうなったら仕方ない。戦えない程度にやっつけて、それから考えよう。本当は、誰とも傷つけあったりしたくはないんだけど――) ためらいを断ち切るように、“悪魔”が背中から、剣を引き抜いた。 身の丈ほどもある、両刃の大剣。 それは“クレイモア”と呼ばれる種類の剣であった。 ミサイルの雨をかわしながら、“悪魔”が電光の動きで間合いをつめていく。 「ぬおおおおおおっ!!」 渡辺があせって、さらに砲撃を激しくするが、闇雲な攻撃はかすりもしない。 「――高速剣――」 “悪魔”がそう呟いた瞬間、大剣を持った右腕が、いきなりその像の鮮明さを失い、かききえた。 長大な剣を持っているにもかかわらず、それはまるで大気に溶け込むように―― かわしに虫の羽音のような耳障りな振動音が、響く。 “悪魔”の剣を振るう速度が、あまりにも人智を超越して速すぎるため、このような現象が起きているのである。 (ごめんね――) “悪魔”が心中で謝罪する――そして、次の刹那。 「ぐあはあっ!!」 渡辺の全身が瞬時にしてズタズタにされ、その口から吐血とともに絶叫がほとばしった。 血しぶきに彩られた景色の向こうに、“悪魔”が笑う顔と、そして真っ二つになるバイオリンの無残な姿が見えた―― (ああ、またやっちゃった――) 血だまりに沈む“悪人”の姿を見ながら、“天使の心を持つ悪魔” ――『八木教広』は己の所業に深く慨嘆するのだった。
うひゃ!こりゃまた懐かしい新キャラだなあ(?) 数年前に出損ねたんだよね彼
北野君…いいね!
ワロスwwwwww
クレイモア化した北野君テラコワス・・・って、それってイースレイ?
やはりこういうオチなのか渡辺。 実力はある筈・・・かなり強い筈・・・なんだけどなぁw
まだだ!たかがバイオリンを切られただけだ!
いまこそ超コルネット化だ!!!w
まさか来るとはねー!びっくりしたよ ぜひとも大暴れして欲しいですね戸田さんや
反逆age
51 :
豹変 :2006/01/22(日) 16:52:09 ID:yxG6gL8B0
>>37 「二人がかりで行くわよ」
「分かっているわ。いちいち指図しないで!」
荒川が合図すると、伊藤がいちいち反発するように返す。
そのような確認作業を皮切りに、荒川は拍手を打ってから、その両手を床に叩きつける。
練成の光が限定された空間を満たし、床の一部が生き物のように隆起して、その牙をむいて田島に襲い掛かる。
鉄獣の群れを、田島は縫うようにしてかわしていく。舞い散った欠片を、手で払うと、その掌ごしに影が軽やかな動きで躍りかかってくるのが見えた。
荒川の練成とタイミングを一にして、すでに跳躍していた伊藤だ。
空中から脳天めがけて振り下ろされる、伊藤の『ういきょうの茎(アルファクロス)』。
穂先に『A』の文字をはめこんだような奇妙な形をした朱槍――その鋭い一撃が、田島の剣によってあっさりと弾かれる。
「うわっ」
体勢をくずした伊藤が、なんとか距離を置いて着地する。
そのとき、田島の双眸が、まるで蛇のそれのように変化し、そこから凶悪な圧力がほとばしった。
「……!!」
伊藤が突然、声にならない呻きを発して、膝をついた。
「伊藤真美…っ?!?」
荒川の目の前で、伊藤は槍をかかえたまま、糸が切れたように突っ伏した。
「ちいっ!」
荒川が右手を床に叩きつける。並の掌底ほどの威力のはずが、荒川の足元から田島の立ち位置までを一直線に生じた亀裂で繋ぐ。練成の応用、荒川の“破壊”の一撃だ。
今度は田島が足場の崩れによって体勢を乱し、ここぞとばかりに荒川が詰める。
“破壊”の力を込めた右掌が、田島に向かって真っ直ぐに繰り出された。
田島が、まるで掌同士を合わせるかのように、己の左掌を差し出す。
その腕に、荒川の生み出した“破壊”のエネルギーが打ち込まれる。発光と衝圧がほとばしった。
52 :
豹変 :2006/01/22(日) 16:53:02 ID:yxG6gL8B0
「!?」 その刹那、荒川はゾッとするような違和感を味わう。 “人体破壊”の一撃を、確かに自分は田島の腕に叩き込んだ――にもかかわらず、田島の左腕にはわずかな傷すら皆無なのは一体―― 「生憎、俺の左半身は全てギミックと呼ばれる機械の体でな」 荒川は、“人体破壊”が不発に終わった原因を知った。あくまで人体のみを破壊するための“人体破壊”では、その他の物質を分解し破壊することはできない。 「“破壊”の一撃とは、こういうものを言うのだ。返礼する」 田島の右掌から、高密度に圧縮された気が撃ち出された。掌妙勁の一つ――『少龍(シャオロン)』。 力の反発でよろめいた荒川は、その一撃をかわす間さえなく、あえなく右腕の義肢をそぎ飛ばされた。 「!!!」 床に落ちる自身の右腕を、荒川は目を見開いて凝視する。 「次は左手をもらおうか…」 落ち込む間すら与えず、田島が続けざまに二発の『少龍』を放った。 荒川は残った左腕で地面に練成陣を素早く描き、術を発動させる。 両者の間に林立する石柱を、『少龍』はまるで薄紙でも破るように貫通した。 「うあっ!!」 凄まじい衝撃に、荒川の体が吹っ飛び、壁に背中を強く叩きつけられた。激突した壁に、放射線状の亀裂が生じる。 「うっ…」 ダメージに膝をつく荒川を、田島の冷えた眼差しが見下ろしている。 「取るに足らんな」 「くっ…」 力も技も、田島は荒川より数倍は上手だった。まともに正面から当たっても、到底かなわぬ実力差に思えた。 『クックク…ククククククククッ クッ』 二人の耳に、地の底から響いてくるような不気味な笑い声が届いたのは、まさにそのときだった。
53 :
豹変 :2006/01/22(日) 16:54:22 ID:yxG6gL8B0
『ヒャ――ハッハッハッハッハアア!!!』 「なにッ」 かみ殺したような笑いが、すぐさま哄笑に変わった。 それは、他ならぬ田島の眼力を受けて倒れたはずの伊藤真美が、背をそりかえらせながらあげている声であった。 しかし、血まみれの顔は常の憎らしいほど冷静な面立ちとはまるで異なり、醜悪で残忍な笑みの形に引き歪んでいる。 『ハッハハハ、間抜けが!!!意識ブッ飛びやがったゼェェ!!!』 声も口調も、まるで快楽殺人者のような嬉々として酷薄、壊れた調子に変化している。 明らかに別人としか思えないような変容ぶりであった。 「伊藤真美……まさか、多重人格者!?今のショックで、別の人格に入れ替わったとでも言うの?!」 驚きのあまり発した荒川の言葉は、誰かに届いたかどうか。 田島と荒川がまだ混乱から立ち戻らぬうちに、伊藤は獣のように双眸を光らせ、目の前の敵に朱槍を構えて突進する。 田島の両眼が、再び臓腑を揺さぶる衝撃が放たれた。 睨呪(ギョウジュ) 田島昭宇の目は蛇眼と呼ばれ、意識的な凝視によって万物の内的因子に急激な影響を与える。時として、対象を内部から破壊することも可能。 だが、人体を内部から攪拌するはずの呪波は、今回は涼風のように伊藤を通過していくだけだ。 『俺には霊害は効かねぇ。相性が悪かったなぁ』 「なにっ」 そこらじゅうに血のからんだ壮絶な笑みを浮かべながら、伊藤の顔が滴るような悪意をみなぎらせている。 『蓋を眠らせてくれた礼だ 受 け 取 れ 』 伊藤がアルファクロスを突き出した刹那、眩い煉獄の煌きが、戦場を照らし出した。
>>22 異形同士の、骨削るような血の凍るような凄絶な闘いが再び始まる。
ラウザルクの効果が切れる前に、安西を連れてなんとか死闘の場を離れた雷句だったが、
満身創痍の村枝を死の戦場から救いきれなかった悔しさは拭えない。
せめて安西を少しでも安全な場所に隠そうとするが、そこで雷句は安西の異変に気づく。
「そんな・・・息をしていないのだ・・・まさか!信行!!」
顔面蒼白になる雷句。震えならが安西の胸に耳を押し付けるが、心音がなかった・・・心停止だ。
「・・・の、信行は私と約束したではないか、2人でどんな困難だってぶち破って越えようと・・・!
2人で藤田師匠に胸を張れる男になろうと・・・そしてお前は誰よりも強く優しい漫画家になると。
まだ、お前は、まだ、優しい漫画家になれておらぬっ!!起きぬか、安西信行っ!!」
涙替わりの流血が雷句の両眼から滴り落ちる。それには構わず雷句は安西の胸を両の拳で思い切り殴る。
「お前以外のパートナーなどいらぬっ・・・ちくしょう!寝るな!〆切だぞ!原稿描け・・・ !?」
雷句が身にまとった黄金の光がふっと消えた瞬間、彼は途端に血の気が失せ、安西にもたれるように倒れた。
<強化魔法>ラウザルクの効果が時間切れで消滅し、限界突破したのだ。
「の・・・ぶ・・・ ゆ・・・ 」相棒を呼ぶ声が徐々に弱くかすれ出し、やがて雷句もまた力尽く。
瓦礫と土と芝の混合物の上、戦士二人は互いを庇うような姿勢でゆっくりと地面に伏した。
彼らから僅かに離れた場所では冷たい戦闘―――睨み合いの火花。しかし土塚は判断を迫られていた。
そして雷句の悲痛な叫び声を耳にした瞬間、彼は決断を下した。
「テンション、上がって、来たぜェェーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
ツインテール幼女には似つかわしくない奇声を発しながら、土塚は全力で翻し雷句たちの所へ走り出す。
と同時にポケットからライターを取り出している。回復・味方の強化が主の、土塚最強モードで使用する道具だ。
(勝利を捨てたか―――甘い奴だ)
欠片ほどの感慨も湧かぬまま、岡田は走る土塚の首に黄金剣を投げつけるため投擲の姿勢になる。と。
突然くるりと振り向いた土塚がやや遠方の岡田を指差しながら―― 「『スパイシードロップ』!!」
“ ボ コ ン ! ” 岡田は一瞬だけ腹部が強烈な爆発で膨張し、
同時に派手に血交じりの胃液を吐いた。剣こそ落とさなかったものの一瞬意識が遠のく。
「安心しやがりなさい、数日胃がただれてご飯が食べられなくなるレベルですよ!」
言う間に土塚の全身が白く光り、<ティトォモード>に存在変換。再び雷句たちの許へ走り出す。
「つまらない仕事だが・・・さて」
甘いけれど甘くない男の置き土産に、軽く覆い隠した岡田の唇の端が三日月形にめくれ上がった。
55 :
作者の都合により名無しです :2006/01/22(日) 23:01:05 ID:gDoOHKyG0
>>54 そして閉じた。また開いた。閉じた。また開いた。今度は半月形にめくれあがった。
そして閉じる・・・・・・こう、かぱかぱ、かぱかぱと・・・。
変態よー!!(><)
> 「お前以外のパートナーなどいらぬっ・・・ちくしょう!寝るな!〆切だぞ!原稿描け・・・ !?」 ちょっとウルっときた。
エリ8にハバネロ錬金術師が助けに来ないかな・・・
>>33 「さーて、最初は誰が行くべきか…」
思案しながら、岡村が言う。
1st BATTLEで戦える人数は三人。
その中から、誰を選ぶか…単純なようで、それが難しい。
大将が負けたら終わりのこのルール、本宮を温存するのは当然。
さらに、本宮と並ぶ切り札である川原にしても、その負傷が尋常ではない。
戦えるとしても、そう何戦もこなすことはできないだろう。いずれにしても、使いどころが難しい。
最低でも、1st BATTLEはこの二人の力を使わずに勝利するというのが、裏御伽側の理想であった。
「お、こっちが考えてる間に、奴さんは早くも一番手がお出ましのようだぜ」
「!?」
本宮によって岡村の思考は中断させられた。
一足先に前に出てきたのは、劇画調の出で立ちが多いバンチチームの中でも、特に濃い顔をした男であった。
「相手は…巻来さんか。なら、ここは俺“たち”に任せてもらおうか!」
バンチに呼応し、裏御伽側からも一人の男が前に進み出る。
「お、岡野剛―――!!真倉翔―――!!」
澤井と岡村が、富樫・虎丸コンビよろしく大声で、その名を呼んだ。
見た目は一人だが、その実は二名の漫画家で一人を形成する異色のコンビ。原則1対1の方式であるが、彼らの場合は特例扱いである。
「だ、大丈夫ダスか。相手は、あのゴッドサイダー巻来せんせーダスよ?」
心配そうに言うにわのに、真倉は仏頂面で殴った。
「いてーモン!」
「ガー(うるせーな!ガタガタ言ってんじゃねー!!試合前から、そう取り決めてあったろうが!!)」
「なに、心配はいらんさ。裏御伽が本宮先生と川原だけのチームじゃないってことを証明してくるよ」
「相手は今までと格が違うぜ。気ィ引き締めていけよ!」
「はい!」「ガー!」
本宮の激励を受けて、岡野・真倉が気の満ちた返事をする。
川原は無言で、ただ薄く微笑むだけ。岡野達もまた無言で笑い返すと、バトルフィールドの中央へと進み出た。
巻来せんせといえばコンビニでミキストリってやつを見かけた
「第一試合開始!!!」 審判・安永の合図で、戦いの火蓋は切って落とされた。 巻来の全身がたちまち重厚な鎧姿で覆われ、岡野達は左手の手袋を外して“鬼の手”をあらわにする。 「 オンマリヤ リエンソワカ 」 巻来は跳躍しながら、腰の2刀を両手で抜き放ち、刀身に炎を走らせる。 「 炎! 爆散剣!! 」 ボボボボボ―――ン!! ボボーン!! ボバーン!! 真一文字に振るわれた二刀からほとばしった炎が、雨のように岡野たちの周辺に降り注ぎ、次々と爆発した。 「ぬっ…ぐうっ!!」 火雨を霊気のバリアでガードしながら、岡野がうめいた。 ウォーゲームは、バトルフィールドの属性が、各々の攻撃力に多大な影響を与える。 1st BATTLEの場合、ステージは【火山口】であるため、【火】属性の攻撃力は必然的に高まり、逆に【水】や【氷】に属する攻撃力は激減する。 ゆえにただでさえ絶大な巻来の霊力は、フィールド効果によってさらに高まっていた。 それこそ霊気のバリアごしにでも岡野達を苦しめるほどに。 「ガー(ちっ、やられっぱなしでいられるか!こっちもお返しだ!!)」 「ああ!くらえ、霊能力自然発火っ!!」 鬼の手をかざすと、そこから火炎がとぐろを巻いて巻来に襲い掛かった。 「おおっ!」 交差させた両腕ごしに、炎が爆発した。巻来の鎧から、黒煙がブスブスとあがる。 「やるな…遠距離の撃ち合いでは拉致があかんらしい。ならばっ!!」 甲冑を着込んでいるとは思えないほどの速度で、巻来が踏み込む。 二刀による激しい斬撃を、岡野が“鬼の手”で打ち払う。 「南無大事大悲救苦救難!“鬼の手”30%解放!!」 閃光がほとばしりとともに鬼の手が片刃の長大な剣へと変化し、鍔迫り合いしていた巻来の剣を弾き返した。
「フフフ、その調子だ。これなら、結構楽しませてもらえそうだぜ」 「ガー(なめるんじゃねえ!!)」 両者の間で霊気が衝突し、はじかれるように二人の間が離れた。 巻来の顔に、気分が高揚したときに生じる彼特有の薄ら笑いが浮かんでいる。 「そろそろ全開で行かせてもらおう」 そう前置きすると、巻来が懐から植物の種のようなものを取り出し、飲み込む。 「菩薩摩訶薩 一切如来嶊大力 魔最勝成就」 そして呪文を唱えると、巻来の体は聖なる光で包まれ、その背中から無数の神木が生えてくる。 いや、それはただ生えてくるのではなく、神木はその数だけ腕へと変化し、その手にそれぞれ剣を携えている。 「鬼の力を持つ者め。一千年の前からうけつがれたカーリー神の、木像からめばえた種より生まれし、この力、受けてみよ!!」 20本もの剣が高速で振るわれ、巻来はさながら竜巻のような動きで岡野たちに再び襲い掛かった。 「 千 手 斬 舞 !! 」 嵐をまいて繰り出される刃の猛攻に、岡野はたちまち防戦一方に追い込まれる。 「く…くそ鬼の手で攻撃するヒマがない!防御だけで手一杯だ。正面切って戦いを挑んだのは失敗だったか…」 つぶやいた瞬間、背中を切りつけられた。 「ぐわっ!」 とうめいたところへ、さらにもう一撃が肩を切り裂く。 斬られた熱さと激痛で歪む視界に、岡野たちが思わず寒気をおぼえる光景がうつる。 背中の神木による斬撃をつづけつつ、いつの間にか巻来の拳が光をためた状態で構えられている。 岡野たちの背筋を恐怖が走りぬける。この技は、巻来必殺の――― 「 神 魔 血 破 弾 !! 」 光の粒子と化した巻来の腕が、相手の毛細血管から入り込み、心臓を突き破る絶技!! 反射的に心臓に霊気のガードを集中するが、そのときには光の玉がすでに全身を貫いている。 「グガアァァァ!!」 全身から血の花を咲かせた岡野たちが絶叫をあげながら吹っ飛び、火山口付近の岩肌に叩きつけられ、その体が深く岩盤にめりこむ。 「ガー(つ…強ェ……)」 力なくつぶやいたその口から、ごぼりと血が吐き出された。
ピンチですぞー! ピンチですぞー!
>「そろそろ全開で行かせてもらおう」 早いよマッキー早すぎるyo!
66 :
作者の都合により名無しです :2006/01/27(金) 23:32:19 ID:4s4/bB2l0
>60の何気ない会話のひとつひとつが裏御伽って感じでなぜかしんみりした
>>61 あれも主人公の技が、相手の心臓を抜き取るというエグいシロモノなんだよなw
ちなみにマッキーは瑠璃子バージョンになったら誰にも手がつけられなくなりそう
68 :
作者の都合により名無しです :2006/01/30(月) 15:52:42 ID:xpAhEhCF0
69 :
(・∀・) :2006/01/30(月) 16:10:44 ID:48LXFyYG0
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(前スレ574) ○ゆで将軍 <14分30秒 レフェリーストップ> ●大暮維人 福地翼 完敗であった。 ゆで将軍の放った悪魔の一撃「オプティカル・ファイバー・クロス・ボンバー」で、 もはや死に体の上さらに顔面の皮を剥ぎ取られた大暮はそのまま、 白いマットに大輪の赤い花を咲かせて沈み込んだままピクリとも動かなかった。 決着のゴングが鳴り終えてもまだ、凄惨な光景に絶叫する福地には現状が伝わらない。 「ち、ちくしょーっ・・・よくも兄さんを!許さないっすよ・・・!!」 同じく満身創痍でマットに身を沈めならも、パートナーの福地はギッとゆで将軍を睨みつける。 あらゆる感情が篭った眼光を放ちながら、“相棒”の血に濡れた右手を握り込み、 『ゴミを木に変える能力』を発動して手のひらから鋭利な木を何本も生やし始めた。 「グフフ〜、まだ闘うつもりかね。終了のゴングは鳴った! これ以上やるつもりなら、神聖なるリングを汚すクズとしてサメの餌にでもしてやろうか!」 「くっ・・・!!」 悪鬼羅刹より恐ろしいゆで将軍の咆哮が、ひどく傷めた福地の内腑をビリビリと震わす。 試合は終わったのだ。福地は先の約束どおり、このエリア88を去らねばならない。 福地は口惜しそうな表情で、発動した木の枝を変形させて包帯状に薄くして全身に巻いた。 次は大暮の番・・・と腕を伸ばした福地は、突然何者かに蹴り飛ばされリングの外に追い出される。 「ぐあっ!何すんだ・・・」 「うるせえよ、とっとと降りろ。お前こそナニしてんだよ」 エプロン(リング端)から転げ落ちた福地が睨んだ先には、この試合の立会人・永井豪。 気がつけば白い布が顔面にかけられた大暮の身体を、 試合スタッフである覆面の血風連たちが抱え上げマットの外に連れ出していた。 「・・・兄さん、すまないっす。色々と迷惑かけた挙句助けられなくて・・・。 将軍との約束だ。負けてしまったからには一緒にこの地を出ましょうっす」
木の包帯に自分の血をにじませながら福地は立ち上がり、深々と大暮にお辞儀をした。 頭を上げ、自分の着物を肩から羽織り、大暮の身体を受け取りに行こうとした福地。 しかし永井が疑問の声を福地に投げつける。 「おいお前、こいつ確か妖魔王んとこの十二使徒だろ? 何律儀に一緒に出ようとするんだよ。とどめ刺して二度と転生できねえようにするのが筋だろう」 「・・・!!! な、永井・・・さま」 「本気で動揺すんな。まあ俺はどっちでもいいけどよ。 自分がゴッドハンド側の人間だって事、忘れんなよ。お前んとこの隊長に絞られるぞ」 「う・・・」 怯んだように後ずさりする福地。二度も自分の手で殺した敵側の男を、 それでいて自分を助けてくれた大暮という男を、これ以上どうこうするつもりは毛頭なかった。 懊悩する福地を、勝利の美酒に酔っていたゆで将軍がさらに追い詰める。 「なんだまだ居たのか〜お前もコレクションに入れてほしいのかァ〜〜カーカカカ!」 福地は決断した。 白い布──もはや色の変わらぬところのない、 先程まで白かった布を顔に貼り付けて横たわる大暮を、タックルするように突然拾い上げ、 驚くギャラリーをよそに、垂直に切り立ったエリ8の端まで全力で走りぬけた。 遠くに聞こえる波の音は数十メートルの真下から海風に乗って伝わってくる。 クラクラするような風景を足元に置いて、福地は永井に向かって大声で叫んだ。 「永井様!この者の生死は俺が預かるっす! 山口隊長に報告しても構いません!横山十傑集福地翼、負傷につき任地を撤退します!!」 福地は叫び終わると大柄な大暮を背負い、事前に足へ装着していた木のバネを発動。 スプリングで派手に空中を舞い、大きく弧を描いて2人は遥か崖下の海へと姿を消した───。 「グフフ〜、まだまだ騒ぐ血がおさまらん。次の相手はまだか〜〜〜〜!?」 絶好調なゆで将軍の雄たけびに、冷やかしを決め込んでいた永井が苦笑して肩をすくめる。 こうして空母エリア88を騒がせた男・福地は彼の地を離れた。 原型を留めぬほどにエリ8を大変形させたまま。 ←TO BE CONTINUED...
おいおい次は永井さんですかぁ?
永井も何だかんだいってとんでもだからなあ、恐ろしい事になるなww ・・・回りに迷惑w
突き抜けたと思った翌週には神の力まで手に入れてしまったヨネコー・・・彼の体力は底無しか!?
次回登場が楽しみですよ米原氏
76 :
御緩漫玉旅日記 :2006/02/03(金) 22:31:56 ID:Vqt6p4Hg0
(前スレ458 25部561他) 福岡の美しい冬空は、夕闇の時刻を迎え、何層もの色彩で地上を包み込んでいる。 九州全土で繰り広げられている、料理人の祭典『料理人ナンバーワン決定戦』も二日目を終了し、 夜の帳は等しく、疲れ果てた戦士達に下りようとしていた・・・。 「・・・ここの北にある、九州と本州を繋ぐ関門海峡、その周辺の山にあるんだよ。 『迷いの森』がな。私は所用でタクシー(※井田ヒロト)を使い陸路で別府に行ったのだが、 タクシーのボケが迷い込みやがって危うく霊の世界に引きずられる所だった。 私ともう1人の乗客は確かに聴いた、死者たちの声を!だが無事に出られたよ(16部137)」 ぞずず〜と屋台ラーメンをすすりながら、渋い顔をするのは“鍛冶職人”桜玉吉。 彼の近くには複数の客人がおり、皆一様にホクホク顔で身体の内側から暖を取っている。 さすがの九州でも福岡は北側にあり、冬の到来ともなれば普通に寒いのだ。 長椅子に座る玉吉の隣には“不変の人”あだち充がいるが、彼だけどんぶりを持って首をかしげている。 「うーん店長さん、このラーメンちょっとキレがないね。昼に食べたのと違わない?」 言われた店長は料理帽につけたナルトバッジを赤提灯で照らしながら平謝りする。 「すみません・・・今日のレースはちょっと色々ありまして・・・。 いや、自分ラーメン愛一筋でここまでやってきましたけれど、 やはり限界ってあるんですね。この調子で100番勝負なんて、完走も厳しいですよね。 味に出てしまうなんて本当に未熟ですよ、お客さんごめんなさい。はぁ・・・」 流れの超凶悪料理人・西条真二に正式な勝負で完膚なきまでに叩き潰された、 素朴な木製のラーメン屋台『麺屋台ナルトヤ』店長・馬場民雄は見るからに落ち込み、 沈んだ顔で仕込みのネギを大量に刻んでタッパーに詰めている。 トーナメント大会予選のどさくさに裏御伽チーム・川原正敏の配下となり、 彼の所有する黒色帆船<影船>クルーとなった「日本TCG連合」が、 刺客に殺された小説家乙一の遺体を彼の故郷福岡へ影船で搬送し、 その際一緒に上陸した客員の玉吉とあだちは、縁あって馬場の屋台でラーメンを馳走になった。
77 :
御緩漫玉旅日記 :2006/02/03(金) 22:32:56 ID:Vqt6p4Hg0
福岡始め九州全体は昨晩の【王蟲】大行進の爪痕を色濃く残していたものの、 幸い人的被害は殆どなく、政府や民間企業(ゴッドハンドの表向きの顔のひとつ)の助力もあり、 住人達は既に立ち上がり復興の活力に満ち始めていた。 にこやかな顔で現地を見回った後、今晩は影船クルー達と釣ったアジをさばいて、 九州復活のエネルギーも肴にして酒宴を開こうぜぇ〜と考えた玉吉は、 無事だった酒屋から仕入れたのち、知り合った馬場を誘おうと『ナルトヤ』の屋台を訪ねたのだが、 そこで彼は意外な人と再会を遂げる事となった。それは馬場がレース後も敗北の悔しさが募り、 新しいラーメンの研究のため福岡最北部某所にある参加者ホテルの近くで出していた、 ナルトヤ屋台の先客としてである。だが玉吉は「彼」との再会を素直に喜べなかった・・・。 「・・・しかしあの『ピンク隊員』が生きていたのはいいが、一体これまでに何があったのだ・・・?」 ■ 桜玉吉鬱日記today ■ (前日までの日記は21部543参照) ○月△日 東京では雪が降ったらしい。私はつい先日まで伊豆の山奥でのんべんだらりと暮らしていたが、 昨日は大分の別府で天地鳴動を堪能しかつてない興奮と衝撃に振り回されていた。本当人生の 一寸先は闇と言うけれど人間ひとりの運命などちっぽけなものだと大自然に再認識させられた 思いである。そういえば過日盲腸から腹膜炎を起こし生死の境を彷徨った際もたった一日病院 へ行くのを延期しただけで凶悪化してしまった。あと二日延ばしていたら死んでいたあの恐怖。 思い出すのも苦痛だがしっかり漫画のネタにはなった。それはともかく今日福岡にあだち先生 と訪れ美味しい屋台ラーメンを堪能できた幸福に感謝しつつ、店の叉焼のスライス前の状態が 入院時に私が管を突っ込んで尿を排出していた某器官に酷似しており私は懊悩したよオーノウ。 戯言はともかく二度目に屋台を訪れた際に私は驚いた!なんと屋台を囲む大量の客人の中に、 あの博多の海に没したと思われたピンク隊員こと貞本の姿が!これで無事武器代を徴収できる・・・ はずが様子がおかしい。連れと思しき漫画家達に聞いたが首を振るばかり。何があった、貞本!?
78 :
御緩漫玉旅日記 :2006/02/03(金) 22:34:17 ID:Vqt6p4Hg0
○月△日(つづき) 貞本の連れの名前は、みずしな孝之・天野こずえ・佐藤タカヒロ、くぼたまこと。他にも何名か いたが福岡市内に建てる旅館の土地物件を買うとかで今も駆けずり回っているらしく不在らしい。 ご苦労な事だ。で、貞本を含めた5名は貞本を呼び寄せる謎の人物の許に向かっていたらしいが、 案内役のくぼたがすこぶる頼りなく道に迷った挙句この屋台に辿り着き夕食を食べていたとの事。 矢吹艦から空路と陸路で乗り繋ぎ、バスを降り歩き出した途端にこの惨状。私は笑うべきだったが 行き先が『森』と聞いて納得した。あの場所は容易に人を寄せ付けない。もちろん森が呼べば別 だが案内人でもいない限り普通は通り抜けるのも難儀する魔境だ。そうあの昨日私とクメタ隊員が 踏み入れたあの空間。あの森は本気でヤバかった。何故か?あれは全ての闇との接点だからだ。 青森の恐山もそうだが人界と冥界の狭間は身近な存在だ。因果な商売漫画家にとって身近な空間。 ちなみに恐山は別名宇曾利(うそり)山。アイヌ語でウサツオロヌブリ=灰の降る山の意味らしいぞ。 などとこれは日記なのに誰に書いているのやら。それで私の体験談を皆に話してみた所、みずしな君 ――そういえばファミ通の関係で顔を合わせた遠い記憶があるかも――彼がリーダー格らしいのだが 先生もし暇やったら森まで案内してくれへんかーなどと非ネイティブ大阪弁で懇願され私は困惑した。 私は馬場君を連れてあの黒い帆船に戻る腹づもりなのだから至極当然である。しかし当の馬場君は 意気消沈しておりとても宴会に向かう気分にはなれぬらしい。付き合い悪いなどとは責められまいが。 人間とは脆くて儚い存在なのだ。だからこそ美しい、とは思わぬがな。どっかの少年誌の看板漫画で、 よりによって主人公である人類を救う勇者の少年が宣言した名文句じゃあるまいし。人間をなめるなよ 小僧!さすがの私もこれを聞いて甚だ呆れてしまった。『僕ちん強いから弱い人間助けてるんだZEEE』 などとよくもまあ言わせられたものだ!!傲岸不遜の輩め、その漫画家の常識を疑わざるを得ない。 もし私がその雑誌の編集長だったら看板だろうが存分に打ち切るがな。一体誰なんだ?その漫画家は! ・・・閑話休題。馬場君は精神的に無理との事でいさぎよく諦め、私は迷い人に案内をする事にした。 柄にもない?そうだな。やはり昨日の出来事が私を変えたのだろう。どんぶりを置き、代金を払う
79 :
御緩漫玉旅日記 :2006/02/03(金) 22:36:19 ID:Vqt6p4Hg0
○月△日(つづき) こうしてる間にも貞本の暴走は止まらない。ピンク妄想で脳が発酵しており例のチン・・・叉焼を、 馬場君から奪い取り丸齧りしようとして佐藤に背負い投げられ、直後天野嬢の使った割り箸をかすめ、 にやにやしながら舐めたりしゃぶったりして彼女は本気で泣いてしまい、漫画家達が彼女を慰める。 絶 望 し た !! クメタ隊員じゃないが絶望もしたくなるぞこれ。ここまで落ちぶれるなよ。 ここは一発年長者の威厳の見せ所。奴の頭上から強烈な垂直パンチを貞本にお見舞いし気絶させる。 悪魔男ボディ未だ健在、昨夜の大暴れを彷彿とさせ、全身の血が沸騰する。ああ思い出すなあ、 私や我が隊員たちの雄姿。過ぎてしまえば楽しかったよ。まだ女体化してるかな可愛いジュン隊員。 行方不明のクメタ隊員とホオズキ隊員どうしてるかな。マキ隊員とオカムラ隊員は今頃試合だっけ。 ダイ隊員は本当に裏切ったのか?キッシー隊員は無事だろうか?思い出し始めると胸が切なくなる。 本来このくぼたなる男は漆原なる女性と合流する予定だったらしく、だが詳しい待ち合わせ場所を 忘れてしまったようだ。あの『森』にわざわざ向かう好事家など珍しかろうて、更に女性ともなれば 目撃情報もすぐ見つかるだろう。さあ暗くならぬうちに出発だ。気が向けば日記を続けよう。(つづくかも) 「―――という訳で私が隊長の桜玉吉だ。我が地球防衛軍へようこそ、第二期隊員4名よ!!」 ええーという声が屋台周辺から広がった。このヒゲのおっさん何を言い出すやら。 「ちょっとちょっと玉吉センセ!俺ら用事あんねんど、勝手に変な部隊入れなや!」 みずしなが慌てて客用の丸椅子から飛び降りる。こういうノリが苦手なのだろうか。 「ふっふっ、安心したまえ。今は平和そのものだから仕事はない。 ただ有事には私の指揮の下で世界平和のため戦ってもらうだけだ。ボランティアでな!」 「なんやてー!?(み)」「かっこいい!(天)」「泣いていい?(く)」「一緒にな!!(佐)」 ・・・こうして新しく「ミズシナ隊員」「アマノ隊員」「クボタ隊員」「タカヒロ隊員」の4名を、 新戦力としてゲットした玉吉隊長。馬場の新作ラーメン作りを手伝うために残るあだちと一旦別れ、 嫌がる面々を引き連れ意気揚々と迷いの森方面へ向かって旅立った。往け!防衛軍!働け!防衛軍!! (・・・あのヒゲの方の勢いで声をかけられなかった。どうしましょう) 屋台近くの電柱の影からひょっこり顔を出しながら、出るに出られなかった漆原が心底困っていた。
うお、久しぶりに来たらせっかくのSSにレスが全く付いてねえ つかどうなってんだ最近の話の流れはw
い・・・いらしゃんせぇ〜〜〜(少女のような声で) 流れ? ・トナメは準決第二試合:ウォーゲーム@MAR/一回戦1stバトル 巻来vs岡野・真倉 ・第一試合後にガンサン潰し&神器安西発動計画のため色々乱入バトル〜スタジアム崩壊 ・エリ8残りは平野ボスルート中心 伊藤マミリン危機で人格変換中 やまとドコー? ・旅景色 エロ脳貞本を中心に旅軍団と森の魔女が動く いがらし混沌の中に復活か あとはキユと矢吹と畑君がお茶会してたり、 ガンサン危機に駆けつけた西森一行がサイクロプスに絡まれたり、 久米田がデートしたり城平が危ない橋を渡ったり云々
>>80 いや、なんつか、この人はいつも複雑極まる状況を実に分かりやすくまとめてくれるので非常にありがたい存在なんだが、
なんとなくレスが付けにくい内容なのよw
特に玉吉一行のルートは読んだことあるのが一人もいないし
作品読んだことあるキャラが、と言うべきか
なるほど・・・
85 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 21:43:37 ID:7cXX5JWC0
))53 「キシャアオイアァァァァ――――!!!(わーやっちゃたー!大丈夫―!!)」 うっかり渡辺を斬り過ぎた八木は、慌てて声を掛けつつ渡辺に駆け寄っていった。 しかし、傍から見ると、どう見ても奇声を上げつつ渡辺に襲い掛かっているようにしか見えないその姿は、瀕死の渡辺に逃れえぬ死を覚悟させた。 「させんでっ!!」 咄嗟に間に飛び込む片倉。手にした魔銃で牽制する。 「キヒャオアーーー(わー、邪魔しないでよ。早く止血しないと死んじゃう!!)」 「黙れ悪魔!!」 悪魔の凶相で迫る八木に、片倉は立て続けに銃弾を浴びせた。 全弾避けられたものの、かなり八木を後退させる事ができ、体制を立て直すには十分な距離を稼ぐ事が出来た。 そして、安全距離を確認した片倉は、背後にうずくまる渡辺に声を掛ける。 「大丈夫か、渡辺」 「掠り傷だ!!」 全身を斬り刻まれるも、しっかとした口調で答える渡辺に、片倉は思わず笑みを浮かべた。 「そうか、それならちょっと頼まれてくれんか」 「ん・・・?」 このような緊迫した状況で、"頼まれてくれ"などという片倉に、渡辺は嫌な気配を感じた。 戦いの場において、味方に指示や命令をすることはあっても、"頼み事"なるものをする必要はない。 いや、正確にはそんな時間はないといった方がいいだろう。 是非を問う間に多大な隙が生まれる上、問われた方も迷いが生じる。 そんな事は、歴戦の勇士である片倉が知らないはずはなかった。 だからこそ渡辺は"頼まれてくれ"などという片倉に、嫌な気配・・・いや、死の気配というべきものを感じていた。 「なんだ・・・」 だがそれでも、窮地を救ってくれた男の頼みを聞かない訳にはいかなかった。
86 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 21:45:25 ID:7cXX5JWC0
「すまんが、さっき行ってもうた髑髏のにーちゃん。あいつ、ワイらの大将のダチなんや。 たぶん今頃、荒川の姉さん達含めてドンパチやっとる頃やと思うんやが・・・」 「ああ・・・」 「うちの大将、自分が殺されそうになっても、絶対あのにーちゃん助けようとするはずやから・・・」 「・・・・・」 「だから・・・だから行って、うちの大将の助けになってくれへんか・・・」 「片倉・・・おまえ・・・」 ―――――こういう男か――――― 馬鹿々々しいほどに友の命、いや、人の命に拘る男に、愚かだと知りつつもそれを支えようとする男。 分かっている。 それがどれだけ愚かな事であると、十分に分かっている。 だがそれでも、人の絆を、命の連なりを、平和な世界を頑なに守ろうとする。 (俺には、出来なかったことだ・・・) 渡辺の脳裏に、仲間同士で殺しあった、あの忌まわしいラグナロクの記憶が蘇える。 今でも思う。 あの時ああしていれば、あの瞬間こうしていれば・・・ 救えた仲間、殺さずにすんだ仲間、絆を取り戻した仲間がいたのではないか・・・ 自分が間違っていたとは思わない。 あの時は、ガンガンを守るためには戦うしかなかった。 殺すしかなかった・・・ 救うことなど、出来るわけなどなかった。 しかし、でも、だけど・・・ 思い出すたびに、苦悩と後悔と悲しみが全身を駆け巡る。 こいつらはどうなんだろう・・・ こんな自分の苦悩などとは無縁なのだろうか。 あのときの自分が、もしこいつらだったら、あいつらを救えたんだろうか。 いや、そんな訳はない。 どうやったって、出来るはずがない。 だが、それでも・・・・
87 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 21:46:28 ID:7cXX5JWC0
「すまんなあ・・・」 やや沈痛な口調で、片倉が言葉を綴った。 「ほんまなら、ワイが行ってやらなあかんことなんやが・・・」 心底すまなそうに言う。 「ワイ、あいつをあのアホの所に連れ戻さなあかんのや・・・」 片倉の視線の先には、十分に体を再生させ、こちらにゆっくりと歩み寄る田口がいた。 「出来るのか・・・」 出来るわけはない。 分かりきっている事であった。 それでも渡辺は問いかける。 片倉に、そして自分に・・・ 「わからへん。でもな、やれんならワイ、地獄に堕ちるどころかそこの番犬の餌にもなれへん」 胎は決まった。 「やって来い!」 渡辺は立ち上がり、片倉に背を向ける。 「やって、犬の餌くらいにはなって来い!」 渡辺にとっては、精一杯の励ましであった。 「すまん・・・」 背中を向けたまま、片倉が言う。 「言うな、ここは任せたぞ」 渡辺が二つに割れたバイオリンを担いで歩き出す。 (死ぬなよ・・・) (おまえもな・・・) お互い、一度も振り返ることなく、心の中で別れの言葉を交わした。
88 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 21:48:16 ID:7cXX5JWC0
「あ、ちょ・・・」 大怪我を負ったまま動き出した渡辺を助けようと、八木は彼を追いかけようとした。 「動くな、化け物!」 それを、片倉の鋭い叫びが止める。 いつの間にか、左手にはリボルバーが握られ、その銃口から焼けるような殺気が八木に向かって放たれていた。 「動くと、ワイと、そっちの危ないにーちゃんの銃口が火薬で焼けることになるで!」 見れば、右手に持った魔銃は、何故か明後日の方に向いていた。 その斜線の先に目を向けると、8m程向こうに、片倉と同じように両手のサブマシンガンをそれぞれ八木と片倉に向け、構える田口がいた。 「え、えっ、えーーーーー!?」 片倉、八木、田口。 生死を分かつ死のトライアングルが、ここに完成していた。
89 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 21:50:36 ID:7cXX5JWC0
伊藤から放たれた紅蓮が、田島を包み込み、その全身を焼き尽くそうと猛り狂っていた。 「ヒャーーーハッハッハ、燃え尽きちまいな!」 伊藤真美の中にある別人格、その名も"煉獄"は、これ以上楽しいことはないといった具合に、笑い狂う。 「あっけねぇなあ!もう少し楽しませろよ!!」 獣のようにだらしなく口から舌を伸ばし、勝利に酔う煉獄。 だが・・・ ―――――カンダ ロエストラタ アマソトス イグエラトス イアグレッソ――――― 炎の中から呪文と共に、鞭の様なものが飛び出し、伊藤、否"煉獄"を縛り上げた。 「熱を持たぬ炎か。だが、所詮は大道芸のレベルでしかないな・・・」 炎の中から、田島が平然と語りかける。 その半身は、歪なギミックへと変貌していた。 「てんめぇーーー!!」 荒々しく猛る煉獄。 しかし、全身を拘束する鉄の鞭は、ピクリとも動かなかった。 一方、荒川は伊藤の背後で、すぎむらと藤島という二体の戦鬼と対峙していた。 (拙いわね、状況はこちらに圧倒的不利だわ・・・) 一言も発せずに、睨み合う二鬼。 藤島の方はよく知らないが、あのすぎむらというサムライは、目の前で十傑集筆頭の山口譲司と死闘を演じた猛者である。 (たしかあいつ、木っ端微塵に砕け散ったはず・・・) 不死身なのだろうか。だとしたら自分では勝てない。 絶望という単語が頭を過ぎる。 何とか打開策と考えたとき、ふと、復活した内藤の事が気になり、そちらに視線を向ける。 内藤はというと、こちらより更に最悪の状況になっていた。 前方に黒田、背後に平野という、二体の鬼に挟まれていた。
90 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 21:53:02 ID:7cXX5JWC0
「平野、何故黒田をネクロライズした」 内藤は問う。 「十年前から決めていた。ただ、それだけだ」 平野は答える。 「何故、"ネクロライズ"したのかと聞いた!」 内藤は更に問う。 「死んでいたからだ。戸田泰成という馬鹿な漫画家を守ってね!」 平野は更に答える。 「そうか・・・」 ―――――黒田らしいな――――― 内藤は目を伏せ、かつての友の姿を思い浮かべた。 「ありがとう、平野」 友をこんな化け物にした男に、奇妙なことを言う。 その口元は、少し笑っていた。 「ほう、何故だ」 今度は平野が問うた。 「どんな姿でもいい。彼を、生かしてくれたんだから」 正確には、彼は今も死んだままだ。 だが、この底なしのお人好しには、そんなこと関係なかった。 ただ、ただ友に生きてほしかった。 「だけど・・・」 ガシャッという音を発し、左の義手の隠し銃が装備される。 「だけど、もういいだろう・・・」 ホルスターに収められていた、銀色の銃を右手で引き抜く。 「返して貰うよ、僕のトモダチを・・・」 体を真横に向け、ゆっくりと両手の銃を、それぞれ前後の黒田と平野に構える。 平野に向けた瞳には、決意の光が輝いていた
91 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 21:54:50 ID:7cXX5JWC0
平野は笑って言った。 「出来るのか?」 突如、平野の背後、何もない虚空から銃弾が内藤に降りかかってきた。 「なっ!」 必死に避ける内藤。 全ては避けきれず、数発が肉を削る。 なんとか体制を立て直し、発射地点を睨み付ける。 そこには、虚空から染み出すように徐々に姿を現す、義眼の大男がいた。 光学迷彩を解いた猟犬どもの長、押井守である。 「出来るのかな?」 今度は後ろから声がした。 振り返る間もなく、その場を飛びのく内藤。 内藤がいた空間には、何発もの銃弾が通り過ぎていった。 飛び退きつつ、振り返るとそこには"化け猫" 伊藤明弘がいた。 「出来るのか?」 再び平野が問いつつ、片手を挙げて部下に合図する。 一斉に、内藤には黒田と押井と吸血鬼たちが、荒川と伊藤真美にはすぎむらと藤島と田島と吸血鬼たちが襲い掛かってきた。 それに吊られ、伊藤明弘が動き、それを見た平野も嬉々として飛び出す。
92 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 21:58:53 ID:7cXX5JWC0
荒川は義手を奪われ、即座に練成出来ないでいた。 伊藤真美は田島に全身を縛られ、動けないでいた。 内藤は傷を負い、著しく体制を崩していた。 全ての希望が、絶望で塗り潰される。 全てが終わりを告げ。 そして・・・・ 「名刺カッターーーー!!」 鋼鉄すら切断するサラリーマンの名刺が、伊藤真美を拘束していた鞭を断ち切り。 「ミラクルハイパーエキセレントダイナマイツスペシャルデリシャスキッーーーク!!」 青いウル○ラマンのようなスーツを着た男の蹴りが、押井の前進を阻み。 「行かせませんよ!」 典型的な日本のサラリーマン姿の男が放ったクナイが、伊藤明弘をその場に止め。 ジ ャ ス テ ィ ス 「 聖 魔 炎 滅 」 天空から放たれた聖なる一撃が、吸血鬼の半数を消滅させた。 企業戦士(ビジネスコマンダー)「 富 沢 順 」 超特殊汎用パワードスーツ・ドッコイダー「 矢 上 裕 」 通りすがりのサラリーマン「 七 月 鏡 一 」 そして、 ガンガンの守護神・スクエアエニックスの魔人「 渡 辺 道 明 」 見 参 !!
93 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 22:01:37 ID:7cXX5JWC0
かつて、ガンガン隔週化戦争"ラグナロク"という悲惨な戦いがあった。 その戦いで、最も多くの仲間を救った男がいた。 その戦いで、最も多くの仲間だった者を殺した男がいた。 その戦いで、最も多くの涙を流した男がいた。 その男、渡辺道明は多くの苦悩と後悔を抱えて、今まで生きてきた。 その男が今、内藤泰弘という名の、かつての自分と同じ境遇に立たされた男を背に、立っていた。 いつもの吟遊詩人のような服に着て、つばの長い帽子かぶっている。 そして手には、いつものバイオリンではない剣のような得物をを持っていた。 それは、剣と呼ぶにはあまりに巨大で、歪で、神聖であった。 十字架。 そう、それは十字の真ん中にレンズのような平たい水晶を埋め込み、足の部分に柄を取り付けただけの、教会にでも飾っていたほうが良さそうな十字架であった。 その十字架の頭を地面に置き、杖をつくように姿勢正しく真っ直ぐ柄を握るその男の視線の先には、この戦場の最大の強敵、平野耕太があった。
94 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 22:03:38 ID:7cXX5JWC0
「答えろ!内藤泰弘!!」 振り返りもせず、渡辺は問う。 「片倉は今、お前の為に、命を掛けて、田口という化け物を連れ戻そうとしている!」 「片倉が・・・」 内藤の胸中に、片倉と田口、二人の姿が鮮明に描かれる。 「ならおまえは!あの黒田洋介という男を助けることが出来るのか!!」 出来るわけがない。 渡辺自身、かつての戦いを振り返るたび、身を裂くような苦悩と後悔の中、常に最後はこの結論で終わっていた。 出来るわけがない。 出来るわけが・・・・ 「出来るさ!!」 紅いコートの優男は、サラリと言ってのけた。 恐らく根拠も、方法も、作戦もないのであろう。 あるのは、ひとかけらの希望。 "あきらめない"というただそれだけの、細く消え入りそうな希望。 それでもこの男は、はっきりと言い放ったのだ。 渡辺の脳裏に、かつて殺した仲間の姿が蘇った。 一筋の涙が、頬を伝う。 「なら、その背の十字に誓え!」 内藤のパニッシャーを指して言う。 「必ず、あの男を助けると!!」 溢れる涙を拭いもせずに渡辺は言う。 「誓うよ、絶対」 今度も、内藤ははっきりと言う。 その言葉に、渡辺は一瞬だけ笑みをこぼし、そしてしっかりと平野を見据えて言った。 「なら俺も誓おう!」 右手で、手にした十字剣を平野に向け、宣言する。 「この十字に掛け、敵将平野耕太を、この俺が食い止める!!」 誓いは交わされた。 それは、脆く、儚く、そして尊い誓いであった。
95 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 22:06:25 ID:7cXX5JWC0
「盛り上がってるところ、悪いんだが」 伊藤明弘が両手に銃を持って、近づいてくる。 「俺を忘れて欲しくないな」 顔には、歪んだ笑みが刻まれていた。 「邪魔しちゃ悪いですよ」 その前を、日本のサラリーマンが立ち塞がる。 「もしお暇なら、僭越ながら私がお相手しましょう」 クナイを構え、七月鏡一は爽やかな笑みを浮かべる。 「参ったな。でも、それも悪くねえな・・・」 伊藤の笑みが、更に深く刻まれる。 伊藤明弘 vs 七月鏡一
96 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 22:07:02 ID:7cXX5JWC0
「邪魔すんじゃねえ!てめえ!」 田島との闘い途中に突然割り込まれ、伊藤真美は富沢に食って掛かっていた。 「申し訳ありませんが、美しいお嬢さん。彼には借りがありましてね。 ここは、私に任せてもらえませんか」 あくまで、冷静に丁寧に拒否する富沢。 「うるせえ!てめえごと燃やしてやろうか!!」 聞く耳持たない伊藤。しかし・・・ 「それに、あなたには後ろのお方をなんとかしていただきたいんでね」 言われて振り返る伊藤。 その瞳に最初に映し出されたのは、喉元まで迫っていた白く輝く日本刀であった。 「うわっぷ!!」 辛うじて避ける伊藤。 「てんめぇーー!!」 頭にきた伊東、いや煉獄は標的を先ほどの剣の主、すぎむらに切り替える。 「生きて帰れると思うな!!」 煉獄から燃えるような殺気を向けられたすぎむらは、ニヤリと笑ったかのように見えた。 「殺す!!」 煉獄は、殺意を明確な言葉にして吐き出した。 伊東真美 vs すぎむらしんいち
97 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 22:08:52 ID:7cXX5JWC0
体はもういいのか?」 炎の中から平然と出てきた田島は、余裕の笑みで語りかけた。 「ええ、お蔭様で。それより荒川さんの腕、あなたがやったのですか?」 かつて、田島の不意打ちによって富沢のボディは少なからず損傷を受けていた。 「ああ、あれは惜しいことをした。もう少しで首が飛ぶところだったんだが」 ふつふつと、富沢のジェラルミンのボディに、形容しがたい怒りが湧き上がってきた。 「女性に対するその外道ぶり、相変わらずですね」 懐から、奇妙な形の眼鏡が取り出される。 「最早、同じ誇りある漫画家とは認められません!!」 富沢は、掛けていた眼鏡を先ほど取り出した物と取り替えた。 「モード変換!戦闘モード!!」 巨大な力の渦が、放電となって富沢を覆う。 「さて、やろうか・・・」 田島も、体内の気を解放し、一気に周囲の炎を吹き飛ばす。 「ネクタイブレード!!」 「霊妙剣・・・」 互いに剣を構え、睨み合った。 富沢 順 vs 田島 昭宇
98 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 22:10:38 ID:7cXX5JWC0
一方、荒川はバイクで襲い掛かってくる藤島に、必死で食い下がっていた。 「食らいなさい!!」 両手を合わせて円の組めない荒川にとって、唯一頼みになる武器、手袋に描かれた炎の練成陣。 だがその一撃も、超絶的な藤島のドライビングテクニックで避けられていく。 (富沢さんや七月先生が、駆けつけてきてくれた。でも・・・) 突然の援軍で、思いもかけず光明が見出せた。 (でも、これじゃ私が一番足手まといじゃない!!) だが、この状況で、自分が一番戦力となっていなかった。 そんなことは、彼女のプライドが許さなかった。 「きゃあ!!」 余計なことを考えてる隙に、藤島の白刃が襲い掛かってきた。 かろうじて避ける荒川。 無理な体勢で避けたため、地面をゴロゴロと転がってしまった。 (無様ね!) 自嘲する事自体、虚しかった。 一方、飽きたのか藤島は、勢いそのままに、すぎむらと対峙している為こちらに背を向けている伊東の方に向かっていっていた。 (でもね!!) 口元を伝う血を、左の人差し指で拭う荒川。 伊東の背中に向け、日本刀を振り上げる藤島。 その瞬間、轟音と共に伊東と藤島の間に巨大な壁が出現した!! 「でもね!あんた一人くらい私が押さえないと、あいつに笑われるのよ!!」 荒川の真下の地面には、血で描かれた練成陣があった。 辛うじて急ブレーキをかけた藤島は、その鬼の面をゆっくりと荒川に向けた。 荒川 弘 vs 藤島 康介
99 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 22:12:32 ID:7cXX5JWC0
「株式会社オタンコナス製作超特殊汎用パワードスーツ・ドッコイダー!! 不意打ち交わされ、ただいま参上!!」 必殺の蹴りを避けられ、そのまま腰まで地面に埋めることになった矢上裕は、乾いた笑い声を上げつつ、上半身だけで仮面ライダーのようにポ−ズをつけていた。 いつも通り、情けない登場の仕方だが。 (やるな、この男・・・) 対した押井は、十分な警戒心を持って当たっていた。 実際、矢上の蹴りは正確に押井を狙っており、先に田島の触手を切断した富沢の名刺カッターに気を取られて立ち止まっていなければ、確実に今地面に埋まっていたのは自分である。 (舐めてかかると、やられることになる!!) そう考えた押井は、これだけの破壊力を持つ相手に生身をさらしていては危険と判断し、 背中に落としていたフルフェイルのヘルメットを被り、矢上に備えようとする。 だが、ヘルメットを被るために、視界が遮られたコンマ1秒にも満たぬその一瞬、腰まで地面に埋まっていた矢上が消えていた。 「 か か と 落 と し ! ! 」 一瞬で押井の頭上まで飛び上がっていた矢上は、自慢のかかと落しを押井の脳天に見舞おうとしていた。 だがその一撃は、即座に頭の上で両手を交差させて防御した押井に、受け止められてしまっていた。 そして押井はそのまま、矢上の足首を掴み、関節を破壊しようと捻り上げていた。 だが矢上も即座に反応し、捻られる方向に自分から回転し、残った方の足で強力な蹴りを押井の顔面に放った。 だが、押井もそれに即座に反応し、掴んでいた足を放し、仰け反って矢上の蹴りを交わした。 そしてそのまま、矢上は一回転して地に降り立ち構え、押井は仰け反った体制を引き戻し構えた。 「空手か・・・」 「マーシャルアーツだな・・・」 そして二人は、僅か一合にして、お互いの格闘スタイルを見抜いていた。 矢上 裕 vs 押井 守
100 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 22:13:33 ID:7cXX5JWC0
「この間の借りを返そう、平野!」 この戦場最大の悪夢、平野耕太を前に、渡辺は悠々と歩み寄る。 「ほう、少し見ぬ間に、随分と変わったようだな」 あくまで余裕の平野。 「変わるさ!俺は今この背に、友の想いを背負っているんだ!!」 剣を構え、巨悪平野耕太を睨み付ける渡辺。 「ほう、まるで人間のような事を言うな。スクエアエニックスの魔人!」 含みのある言葉を吐く平野。 「俺は、人間だ!!」 魂から叫ぶ渡辺。 「俺は許さない!友の絆を、仲間の温もりを、その血塗られた牙で引き裂いた貴様を、俺は絶対に許さない!!」 「ほう・・・」 天地を揺さぶるかのようなその叫びに、平野は思わず感嘆の声を上げる。 「いくぞおおおぉぉぉ!!」 渡辺は、剣を構え、雄叫びを上げて、全身全霊を持って平野に向かっていった。 渡辺 道明 vs 平野 耕太
101 :
誓いの十字架 :2006/02/09(木) 22:15:30 ID:7cXX5JWC0
「久しぶりだね、黒田」 左手に隠し銃、右手にシルバーメタルの銃、そして背中にはパニッシャーを背負い、内藤は旧友に語りかける。 「君は今、何もかも忘れてしまったのかもしれないけど・・・」 右手に紅いケルベロス、左手に黒いケルベロス、そして背中に髑髏の棺桶をぶら下げたまま、何も答えない友に、内藤は語りかける。 「僕は忘れてないよ。あの時一緒に飲んだ酒の味。完徹した君の顔」 ゆっくりと両手の銃を構える内藤。 それに合わせ、両手のケルベロスをゆっくりと内藤に向ける黒田。 両の腕を交差させて、地面から水平に銃を突き出す構え。 同じ構え、同等の武器、同等の腕を持つ二人。 戦えば、必ずどちらかが死ぬ。 だが、そんなことはこの男には関係がなかった。 「だから!!」 内藤は駆け出す。 失った絆を取り戻すため、新しく刻まれた絆を守るため、狂気に自我を奪われた友に向かって走り出す。 「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!」 もう、迷わない。 もう、間違わない。 ただ、駆ける! 黒田も同じように駆ける。 お互い、一気に有効射程距離に入る。 「とどけえぇぇぇぇぇぇぇ!!」 四つの銃口から、同時に四つの弾丸が飛び出した。 内藤 泰弘 vs 黒田 洋介 それぞれの想いを乗せ、狂気の戦場は海を流れる・・・・
>>99 背中に落としていたフルフェイルのヘルメットを被り、矢上に備えようとする。
しまった、フルフェイス・・・・・
まみまみって伊藤じゃなかった?それはともかく ノノノノ Bブロック乱闘編セカンドキタ( ゚∋゚)ホハ━━━━!!!!!!!! 無茶しやがって
久々にすげえ状況になってきたな しかも渡辺コルネットモードどころか、リュートモードだとお!? なんか格好よすぎて、後で強烈なしっぺ返しが来そうw
105 :
作者の都合により名無しです :2006/02/10(金) 02:37:15 ID:bpbk793v0
肝心の戸田が出てこなくてニガワロス はてさてどうなるやら
保守
107 :
スクライドビギンズ :2006/02/17(金) 21:11:09 ID:tqGMxZj/O
戸田頑張れ…! 上げ
108 :
作者の都合により名無しです :2006/02/17(金) 21:31:03 ID:davgNqT50
まだあったのかこのスレ! ちょっとカンドーした。
まだまだ行くのじゃよー? いつでも参加しとくれやす
まだスクライドビギンズ読んでねーよ いったいどんなHANNGYAKUが待っているんだ!?
発売日今日じゃなかった? 誰か出してあげてくださいよ彼
112 :
魂の声援 :2006/02/19(日) 02:50:01 ID:APGLrBV60
(
>>63 )
『キャアアアアアアッ!!岡野さまー!真倉さまぁー!!』
地下中央区コロッセオの中空に浮かぶ4枚のクリスタルパネルに映された、
巻来の凶悪な技で火山口近くの岩肌にめり込んだ岡野+真倉を見て絶叫する観客の女性達。
元々彼らは真倉の持つフェロモンと岡野の霊力が合成されて女性にモテまくるのだが、
C決勝戦舞台の小島クリードアイランドで肉体をなくした際に、
今は亡き乙一のスタンド技で造ってもらった新しい肉体、
2人で1人の「未確認生物ボディ」が、霊力のさらなる変化で、
傍目おフランスなトレビアン系の超絶美形金髪少年に見えるようになってしまい、
ますます女性ファンを増やしてしまった今日この頃だったりした。
彼女らはパネルに映る巻来の姿を指差し、思いきり“カエレコール”を浴びせかける。
『キャー!くどい顔ー!岡野様を傷つけないでー!キモイわー!死んでーっ!!』
・・・戦闘中の両チームは遥か火山ステージにワープで移動しているため、
会場の罵詈雑言は届かない。彼女らの金切り声をじかに聞いたら、
本宮辺りが本気でキレそうである。その本宮が岩盤の中で吐血する岡野たちを見て、
握りこぶしを震わせながら、彼らに対し最大音量で精一杯のエールを送る。
「岡野〜〜!真倉ぁ〜〜〜!!男なら立て、ここで立つんだ、おっ立ちやがれぇぇぇ!!」
それは会場の女性達がどれだけ声を枯らしても叶わない力を持っていた。
「ガ、ガー・・・(オヤジ・・・)」
岡野の胸部の下にある第二の口腔部から、泡の血をこぼしながら真倉が驚いたような声を出す。
真倉が担当している首から下を気力で奮い立たせ、彼らは背を僅かに起こして岩盤の中で息を整える。
「大丈夫か真倉。・・・巻来さんには正面からかかっては駄目だ。すぐに動けるか?」
首から上の担当である岡野が、頭部にくっついた“もうひとつの腕”を必死に伸ばし、
心配そうに心臓近くの胸部をさする。
「ガガー。ガー?(なんとかな。なあに、修羅場なんざ日常だろ?)」
113 :
魂の声援 :2006/02/19(日) 02:51:16 ID:APGLrBV60
岡野は笑顔で小さく頷き、もうひとつの腕を髪の毛の中に引っ込めた。 その間にもゆっくり歩いて近づいてくる巻来。一歩・・・二歩・・・距離が縮むごとに、 岡野たちの鼓動は高まりさらなる負担に襲われる。身体の自由が万全でない彼ら。 鬼の手を持つ左手は傍らの岩盤に半分以上埋もれて動かない。 冷や汗の流れる感覚を真倉が背中に覚え始めた頃、巻来がのんびり声をかけてきた。 自然のエネルギーを物質化したような、美しい緑の瞳を涼やかに微笑ませながら。 「ここは荒れ狂うほどの地球の咆哮を感じて身震いするけれど、 俺はやっぱりジャングルが落ち着くんだ。これで終わらせてもらうよ」 巻来は言うなり再び腕を光らせる。先ほどと同じ技を出すであろうか。 自身の手を光の粒子にして、相手の肉体に入り込み心臓を引き抜く魔技。 それが巻来の先ほどの技・神魔血破弾。この必殺の荒業に命を落とした敵は数知れない。 ――腕を光らせながらなおも徒歩で距離を詰める巻来。 「南無大慈大悲救苦救難・・・」 岡野は最後まで闘う意思を示すかのように経文を唱え始める。 2人の距離が5メートルを切った・・・瞬間。 「ゆけ、鬼の手―――!!!!」 突如巻来の足元の土が割れ、岡野の鬼の手が地面から生え巻来を襲った!! 鬼の手は妖力で10メートル以上も伸ばす事ができ、送電線だって握れるのである。 その地中から伸ばした腕が巻来の頭部をガシリと掴むと同時に、 岡野は自力で岩盤から飛び出し巻来に猛タックルをかけた。 彼らは巻来のかの技に“似てると言えば似たような”技を持っている。それは―――― 「鬼の手よその力を示せ――――!! 幽 体 摘 出 !!」 なんと巻来の技のように、鬼の手を巻来の頭部に強引に入り込ませ、 岡野は巻来の『幽体』を引きずり出し始めた!“ビリビリビリ・・・”とありえない音が響き渡り、 ガムを引っぺがすように巻来の霊魂が徐々に本体と剥離され始めたのだ。 「くっ・・・」僅かに焦りの声を出す巻来。何に対する焦りなのかはわからない。 岡野たちは渾身の力を込めて巻来の魂を肉体から剥がし続ける。果たして勝負の行方は――― !?
ガンガレマクオカ 個人的にはマッキーに勝っちゃったっていいとも思うし もっとだもっとハッチャケロ!!! あと遅レスだが誓いの十字架にメチャクチャ燃えた レス少な目なのが信じられん鳥肌立ったよ
くどい顔ヒドスwwww
>>114 最近は更新がめっきり少なくなったから住人も激減してると思われ
久しぶりに来たって人何人かいたし
>>114 ありがとう・・・・
自信なくしてたんだ(ノД`)・・・・・・・
118 :
作者の都合により名無しです :2006/02/19(日) 23:50:26 ID:wveQU2MN0
最近ここ知ったんだけど更新が遅くてもどかしい・・・ でも自分には文才が無いからss職人さんたちには頑張ってほしいです・・・。
>>117 ゐ`
あれよかったからねマジで。続き大変だろうけどガンバレ
>>118 過去ログを読んでるとホラあなたも投稿したくなーるなーる
今、羽美野チカだしたらスクネタの為だけに瞬殺されそうだなw
121 :
作者の都合により名無しです :2006/02/23(木) 22:28:26 ID:1+46RacD0
過去ログ全部読んだら俺も書きます!ついでに上げ
待ってるよ
今から読破しようってその意気がすげえ 志半ばで斃れても責めないようん
124 :
作者の都合により名無しです :2006/02/25(土) 23:06:07 ID:lBYmxvL/0
過去ログ倉庫を携帯で見るには、やっぱ最新機種にしないとダメなのかなぁ・・・ そのためだけに機種変しようとしてる俺がいる
つ[PSP]
127 :
作者の都合により名無しです :2006/02/26(日) 07:16:26 ID:3qrlIQPe0
128 :
127 :2006/02/26(日) 07:32:13 ID:FyvWiadaO
V602SHだとTOPにはいけるんですが…orz 3Gに変えるか地道に一日1部づつ読んでいくかします…(-"-;)アト20ブカァ・・・
苦行ではなく、ちゃんと面白がってくれてることを切に願うよ
130 :
127 :2006/02/26(日) 14:33:06 ID:FyvWiadaO
やたらに枝別れしたり同時進行とかで覚えるのに苦労はしますが…たくさんの人が関わってできたこの物語はそれを補って有り余る面白さです! 自分もこの物語に早く参加したいので、地道ですがPCで読破することにします
俺はオリジナルが忙しくてもうここでは書けないと思うが、こうして新しい人が来てくれればスレも安泰だよ。
なんか感動した おっしゃ頑張るぞえ
(前スレ54・348) 真船「(さすがに無勢か・・・だが刺し違えてもここは通さん)」 襲撃で崩壊したサッカースタジアムの地下部にある医務室は、 地上の施設が消滅した衝撃にも耐え抜き、スタッフ達は収容された漫画家たちの治療を続けていた。 医務室前での、留美子やカムイ等の収容者を狩りに来た“アクメツ”余湖軍団と、 それを阻止する“スーパードクター”真船医師との戦いも同時に続けられている。しかし、 片や死を恐れぬ狂気のクローン漫画家10数名、片や守るべき患者と重傷の身を抱えた漫画家1名。 これで15分以上も対等の喧嘩を繰り広げられる真船は驚嘆に値するが、 さすがに独りでは限界もあるというもの。一方余湖たちは三名一組でフォーメーションを組んで長期戦の構えだ。 余湖A「いいねえ、おっさん!いつまでも若くて元気でさ!」 パタタタ・・・と空気を裂く音と共に余湖の一人が持つアサルトライフルの火が吹く。 真船は雨を避けるが如く涼しげに、愛用のマントを手に持って弾を左右に薙ぎ払い、 同時に間を詰めて低い体勢から蹴りを放ち、一撃で銃身をひん曲げ使い物にならなくした。 余湖B「かー、ムチャクチャだな、おっちゃんッ!」 余湖C「7.62mm弾だぜ!本当に医者なのかよ、このオヤジ!」 あきれ返りながら、真船の左右から同時にナイフで襲い掛かるもう二人の余湖。 息も切らせず床に両手を付き、真船はカポエイラのように両足をぶん回し、 二本の刃をブーツで蹴り上げ一本の刃先を折り、もう一本を振り回した人間の手首から先と共に、 回転させながら天井へ串刺しにした。廊下の白い壁が鮮血でまだら色に彩られる。 余湖A「おいおい、おっさん本当に何者じゃん?いつになったら死んでくれるんだ?」 真船「・・・おっさんではない。『K』だ」 余湖B「あららずいぶん余裕じゃん」 余湖C「いてて・・・やられたぜぇ。こりゃ足の1本はもらわねーとなァ!」 その驚異的な運動力に翳りが出てきた事を、全く悟らせない鉄面皮の男・真船。 医務室の中では患者の搬出路を作るべく、室内の大会スタッフが廊下に面した壁に電動ドリルを向けていた。 あと数分真船が耐えてくれれば・・・。戦う術を持たぬ一般人達はただ祈るのみであった。
クロ「ニャー」 キユ「やあ猫くん。大丈夫、少し散歩するだけさ。逃げないって。矢吹もわかってるよ」 クロ「ニャ・・・(こいつ・・・)」 “剽窃王”矢吹とその執事畑の『謎のお接待攻撃』に辟易したキユ少年は、 トイレに行くと言ってティールームを出て、展望台をぶらぶらしていた。 そこへ部屋からトコトコ黒猫のクロこと、横内なおきがキユの後ろからついてきたのだ。 キユ「なにしろまだぼくには、ここでやる事があるからね。 ビデオ観る事じゃないよ・・・あ、そうだキミ、ちょっと目をつぶってくれない?」 クロ「ニャニャ(なんだなんだ)」 四足歩行時は猫語しか話せないクロは、キユの柔らかな雰囲気に呑まれて、 つい正直に目を閉じて床に丸まる。キユは団子状の猫を抱き上げ、 壁のダストシュートを見るやスポッと軽い我が身を投げ入れた。 キユ「・・・ここ、どこだろう?直接焼却炉に行かなくてよかったね猫くん」 クロ「ニャニャー!ニャニャニャ!!(ふざけるなー!どこかって?オイラが知るか!!)」 ブチギレの黒猫に爪を立てられながら、ゴミの山の中に悠然と立つキユは、 四方を固めるコンクリートに備えられた梯子を見つけて無事ゴミ捨て場から脱出した。 人に見つからないようにと気遣う様子もなく、見知らぬ殺風景な通路をのんびり歩く。 キユ「かなり長い事滑ったからなあ、試合場より下に行っちゃったかな?」 服についた塵や埃を払いつつ、キユは暴れるクロと共に何個目かの角を曲がった。 隣の壁の向こうでゴリゴリとくぐもった掘削音が漏れ聴こえてくる。 同時にひどく刺激的でとてもうんざりする、妙に懐かしい鉄の臭いがキユの鼻を突いた。 彼が新しい角を曲がった時に目に飛び込んだものは、同じ顔の男10数名と1人の医者らしき男。 キユ「あれ、おじさん大丈夫?よかったら手伝おうか?」 真船「危ない坊や!近づいてはいけな・・・ ―――ッ!!」 キユ「わっ・・・ ・・・おじさん?」 廊下の角からいつものように、無防備にピョコンと戦場へ顔を出したキユを、 本能的に全身で庇う真船の広い背中が、好機と見て一斉に踊りかかった余湖たちの白刃で切り裂かれた。 骨まで達する傷と苦痛に声も出せず、キユを抱いたまま動けぬ男を尻目に、アクメツたちは医務室に突入した。
余湖また一網打尽されてしまうん?
悲観的すぎます>< 悪滅マダーチンチン
余湖はいつもやられ役か・・・。
ま、運命ですな。
原因は『増殖』 ワカったときにはもう遅い
何心配するな 余湖には「統合」という奥の手がある ただしこれで死んだら二度と復活はできないがな
コミックマスターJは?
5部345で死んじまったよぉぉ>J(田畑)
(前スレ78、9部B263他多数) ここは『死後の世界』の一部。今ここにいるのは一人と一匹のみ 「所でその貞本くんが欲しがってるものって……」 イダタツヒコは恐る恐るといがらしに疑問をさらけ出した。 「くわしくいえないけれど、さだもとくんにとってたいせつなものなんだ。 さだもとくんは『これ』をもとめてまたくるはず。」 動いているのは口だけかと思うほど声も表情の変化に乏しいいがらしが何所からかパソコンを取り出した。 「それが欲しがってるもの……?」 「せいかくにいうとこのなかにはいってる。さだもとくんのたいせつなものが。」 そう話したまま、いがらしはパソコンのスイッチを静かに付け始めた。 そういえばこの人、インターネットを使って作品を発表していたな。とかイダは思いながらいがらしとパソコンを凝視していた。 ピー ピー ピー ピー ピー パソコンから広がる電子音。それはこれまで静粛であった空間に響き渡った。 「……にげたみたい」 喧しく響き渡る音の中でいがらしがつぶやいた言葉はイダには聞こえなかった。 「『これ』もまたさだもとくんをもとめていたんだ。だからじぶんからさだもとくんをさがしにいったみたい・・・・・・ やっぱりぼくじしん、さだもとくんのほうへあいにいかないといけないのかな……」 それまで表情が変わってなかったいがらしが電子音の中で怒りとも悲しみとも取れる顔つきでパソコンの前に立っているのを見て状況を理解しえてないイダは只彼を見つめているだけであった。 いがらしが気付いたのとほぼ同じ時刻 昔懐かし戦艦エニッ糞コンピューター内 「今日も異常なし、っと。あ!みんな覚えてます?女性型人格プログラム・エモーションです」 えなりの奇妙な冒険の中でも一、二を争うマイナーキャラ・エモーション(エル)がエニッ糞内コンピュータを整備していた。 「2.3日前に皆さんに会ったはずなのに、もう2年ぐらいあってない気がしますね。」 などと誰に対しる言葉だか口から放ちながら、今日もエニッ糞のコンピューターないを見回っていた。 」
piーpiーpiーpiー 「この音はプログラム内に侵入者が入った警告音!!」 すぐさま侵入者が入った箇所へ向かうエル。 そこにはなにやらファンタジー世界の格好をした杖を持ったプログラム体が存在していた。 『それ』はなにやら辺りを見回してる様に見えた。 「何者です!?」 エルに気がついた『それ』は一見すると男だか女だか分からない顔をこちらに向けた。 (私と同じような人格プログラムじゃないみたい、けど何かしら?普通のプログラム体と違う……) 暫く二人は沈黙していたが、以外にも侵入者の『それ』が先に口動いた。 「ここはどこです……僕は一体……」 『それ』のエルに比べると乏しい表情でエルに語りかけた。 「あなたは何所から来たの?元を辿ると分かるかもしれません。」 「わからない……確か向うから」 『それ』は自身が持っている杖をとある方向に指した。 「あの方向は……何も無いはずだけど」 「いや確か……僕は何かを探してたはずだ。その『何か』を求めて何所からか。追い出されて……痛っ!!」 『それ』は突如頭を支え苦しみ始めた。 ラッコ、巨人兵、人魚の美女、神の島、ウインディーネ、コブラの杖、頭のチップ…… 次々と頭に浮かぶ映像の数々、それを見る度に『それ』はその場でのたまい始めた。 「ハァハァハァハァ…………(今のは……僕の記憶……僕は一体?)」 苦しみから解放されると、『それ』は自分が持っている杖を見つめ、思い悩んでいる様子であった。 「……ミツケタ。」 piーpiーpiーpiー 「また侵入者なの!?」 エルと『それ』のそばに現れたのはラッコ型のプログラムと人型プログラムの二人(?)
「ココは貴方のようなのがいるところでは有りません!!」 新たなる侵入者に警告を放つエル。しかしラッコは彼女に気にせず話し始めた。 「……ボクッテホントニウンガイイナ。ニゲナイデヨ、エート…」 「アレ、なんて言うのですか、いがらし先生?」 人型であるイダがいがらしにボソリとつぶやいた。 「い…いがらし…く…来るな!こっちに来るな!!」 話が聞こえていたみたいで『それ』は青ざめた顔で杖を勢いよく振りだすとそこから激しい光が放たれた。 「な…なんなの、一体この力は!?」 たまらすエルはその空間から退却。イダも目を伏せていたが、いがらしは何の苦しそうな様子は見せなかった。 「……マタニゲタ……コブラノツエカ・・・・・・」 「えーと……追いかけますか?」 イダが恐る恐る語りかけるといがらしは相変わらず無表情で話す。 「イヤ、イマハイイヨ。カレハコノセカイデハフセイナソンザイ。スグニバショナンテワカルヨ。 イッタンログアウトシヨウ。ボクタチモココデハフセイナソンザイダカラ……」 「しかし驚きましたよ。まさかパソコンから電脳空間に入るなんて。」 「ボクラハニクタイガモトモトナイカラ。コンナノカンタンダヨ。サアモドルヨ」 そう言うとフッっと一匹と一人はデータの海から消えてしまった。 「…な…なんだったのかしら」 誰もいない少し崩れた空間でエルが呟いた。 「僕は・・・一体誰なんだ・・・・・・」 また・・・『それ』は再び電脳の海をさまよっていた。 自分が一体何者かを知る為に・・・
すまん。書くの1年ぶりなもので書き方ほぼ忘れてしもうてたわ。
うひょっ復帰作乙です 貞本の魂は色々うろついててアレな肉体は防衛軍と森に向かっているのね いつになったらマトモな人間に戻れるのやら・・・ そしてエニッ糞てまだ海底に沈んでるのかな?懐かしー
エニッ糞は、金田一の腹の中じゃなかったっけ? それにしても初期ネタとはいえ、酷い呼び方だなw>エニッ糞
初期はエニ=敵orかませ担当だったものなあ・・・。 初期の頃はまだスクエニ合併してなかった気がせんでもない。 戦艦、エニ糞・無礼ドの他にも零寒(ゼロサム)なんていましたねえ・・・・。 そういや無礼ドとワープトンネルで繋がっていたような記憶が
hosyu
151 :
狂炎獅子 :2006/03/11(土) 02:07:41 ID:+dZJVb3x0
(
>>54 前スレ348他)
安西信行、心停止―――
山口貴由の超絶の雷撃で心臓の鼓動が止まった安西と、
彼を救おうと飛び出し限界突破して倒れ伏した雷句。
2人を回復するために<ティトォ>モードに存在変換し駆けつけた土塚は、
安西が全く息をしていないのを確認し、自分を落ち着かせるようにわざとらしいため息をつく。
土塚「はーあ、まったく世話ばかりかけやがりますねェ、今心臓マッサージを・・・」
しかし土塚の伸ばした腕が安西に届く直前、嫌な予感がして土塚は背後に飛び退る。
岡田「 極 小 氷 晶(ダイヤモンド・ダスト)!! 」
土塚「うひょう!!」
内臓のダメージを抱えた岡田がとっさに放った、車田仕込みの氷の波動拳が、
横たわる安西と雷句を巻き込みながら今まで土塚がいた場所に直撃した。
無抵抗の2人の、血肉が瞬時に凍る音が土塚の耳に届いた・・・気がした。
土塚「(これも奴専用の持ち技ではない・・・それこそ試し切り感覚か。
奴はかっこいい台詞を喋らせるほどノリで攻撃が強くなる武術の流派だった記憶だが、
あの謎の四字熟語だけでも充分ノリノリと見た。なんて厄介な・・・それより)」
ライターを握って息を整えながら周囲を見渡す土塚。現在視界の届く範囲内にいるのは自分を入れて4名。
強敵相手に1対1、こちらは救助が必要な人間2人。うちひとりは急を要する。
だが彼らを助けていては自分もやられる。水野と松沢には他の怪我人の救助に当たらせているし、
村枝は山口との闘いがさらに加熱しているため、現在この周辺で頼りになるのは自分だけだ。
こうして状況を判じると、嫌な現実が突きつけられている事を土塚は実感する。
土塚「(ひとりしか助けられない。ひとりしかこの場から逃がす事ができない)」
すなわち安西と雷句のどちらかを見殺しにすると言う事。
しかし片方の『荷物の紐』を切らねば、いずれ皆殺しになるだろう。それだけ敵は強いのだ。
こうして悩む間にも、安西たちは死への一本道をひた歩いている。
152 :
狂炎獅子 :2006/03/11(土) 02:09:55 ID:+dZJVb3x0
土塚は刹那の時の中で思考回路をフル稼働する。 連中は何かの任務で来たらしいが、すなわち敵どもには上司がいるという事。 とんでもない話である。こちらは減る一方の戦力が向こうは青天井。 組織から送られた、たった二名の精鋭。その二名相手にこれだ。 神の気まぐれでもない限り味方陣全員の生存率は・・・限りなく低い。 そう、神の――――― ここまで来て何かを思い出す。 土塚「・・・ああ、そういやどこかに“神の手先”だか言う連中がうじゃうじゃいやがるそうですねェ」 ぽんと手を打つ土塚。現在残存するガンガン勢の参謀役を務める彼は、 ドクター荒川やその師匠衛藤と同じく、情報収集が主な仕事だ。 余湖軍団も岡田たちもいわゆる『秋田系』なのに、どうして敵対していたのか疑問だったが、 <縦>の所属先が違えば同じ出版社の<横>繋がりなど無意味に等しいのだから納得である。 あまり前線に出ない土塚はゴッドハンド軍と縁がないが、 つい先日まで不本意ながら矢吹の配下だったガンガンの人間、地獄耳アンテナは多岐に渡る。 置かれた状況を冷静に見知って、土塚たちはここまで生き延びてきたのだ。 土塚「――キャキャけケキャキャ!あーもしかしてアンタらアレですか、 <神の指>の先っぽ・・・爪ぐらいの身分ですか?いや当てずっぽうですけど。 楽でいいですねェ〜神様の指にぶらぶらくっついていられるってのは。 自分の意思を持たずに済んで。おえら方にヘイコラして仕事で暴れ回って。給料はいくらです?」 端正な顔立ちに全く似合わない神経質な笑い声を上げる土塚に、岡田は何も答えない。 土塚「(思い出した。岡田手持ちの武術は確か、傭兵王国とやらの流派――クルダ流交殺法。 奥義の多くを口伝で遺し、“武技言語”で己に力を与える言葉の暗示をかけ、 無敵のトランス状態になって闘うという。だから無駄に敵対してノらせてはいけない・・・。 奴が爆破とマイトークで胃もたれしてる間に戦局をこちらに持ってこなければ)」 小馬鹿にする口調でしゃべり倒しながら、脳のどこかで岡田芽武の情報を引き出しながら、 ふらふらした足取りで移動距離を測りながら、自分と敵と味方の細かな配置場所を横目で確認する器用な土塚。
今度こそ安西と雷句を捕まえて脱出できそうな位置に土塚が足を踏み入れる直前、 貝のように押し黙っていた岡田の唇が小さく動いた。 岡田「・・・俺は自身の失態から大事な同僚を失い、今もこうして瑣末な仕事を任されている。 それは致し方ないことだ。<砂漠>の件は誰にも申し開きのしようがない。だがな」 それの半分は独り言だった。岡田の拝命した任務のひとつ、砂漠の地下要塞・ チャンピオンREDにおける『南條範夫監視任務』の失敗を引きずっているようだ。 同僚とは十傑集査定試合で敗北し何処かヘ去っていった石渡洋司。 ちなみに対戦相手は<砂漠>で敵側に居た、現在は共に任務を帯びてこの地にいる山口貴由である。 土塚は“瑣末な”の部分が癪に障ったが、薮蛇にならぬよう黙っておいた。 岡田「だがな、俺に『半端』は、ない。車田兄貴への多大なる恩義も忘れてはいないし、 現在の身分に値する働きは必ず成し遂げる。たとえ粉微塵にされてもな。 ・・・そうだ、半端者は何も成し得ない。馬鹿なら馬鹿を極めれば強くなるだろう。 天を向くにしろ地を呪うにしろ、真直ぐに生きればな。だが“あれ”は実に心技体が脆弱だ。 だからあっさりと死んで雑魚のように転がっている。どれだけ力があろうと誰ひとり助けられない。 そんな男が『神』を復活させる要素のひとつなどと、胡散臭いにも程がある。そう思わんか」 土塚「何の・・・話をしている?」 淡白な笑顔のまま、背中に冷や汗を流す土塚。気づけばよくわからない話になっている。 岡田「さて、そこは凍気が残っているな。お前ら薄着で寒かろう」 ふとそう呟いた岡田が傲然とした表情で右の手を土塚や安西のいる方角に向かって広げると、 彼の五本の指先から溶岩でできた鞭が五本生え、コンクリ片の中を妖蛇の如く縦横無尽に蠢き回った。 岡田「骨の髄まで暖めてやる。この“焔爪鞭”でな」 ヒュオッ・・・と五条の影が空気を鋭利に切り裂くと同時、土塚は自分の思考に沿って『冷酷に』判断を下した。 断ち切った“荷物の紐”は――――もはや息を吹き返す見込みもなかろう安西のもの。 土塚が雷句を抱えて溶岩鞭の包囲網から命からがら脱出したのと同じ頃、 数条の鞭に巻かれた安西の肉体は無残にも炎上。あまりの高熱のため、炭化する前にあっさりと溶解し焼き崩れた。 岡田「この程度の炎熱で消滅するようでは、どの道何の役にも立たんな。持ち帰るのも面倒だ、 かつての矢吹の走狗・安西信行・・・魂に宿るという【三種の神器】ごと灰燼に帰すがいい」 視界で何も動かなくなったのを確認すると、岡田は炎に背を向け新しい獲物を探し始めた。
154 :
狂炎獅子 :2006/03/11(土) 02:13:43 ID:+dZJVb3x0
>152のサブタイ入れ損ねガッカリー
ついに安西リストラ!?
>>154 脳内補完でドッコイ!!
しかし、次回爆発しそうな展開だな!!
今の安西にとって「火」は…
マズイよな。 いや、「いい」のか。 でも溶けてね?w
そこはほら、あれだよあれ。
>>153 あまりに呆気なく溶解した安西の肉体。
形容しがたい異臭がたちこめ、土塚たちの鼻を強烈に刺激する。
嘔吐をもよおすようなおぞましき臭いは、それを飽きるほど嗅いだはずの土塚の顔をもしかめさせ、そしてもう一人の意識の覚醒を促した。
「の、信行、信行────────────!!!」
土塚に抱えられたまま目を覚ました雷句の目に飛び込んできたのは、焼け崩れ、この世から消え去ろうとしている安西の無惨な末路。
雷句は矢も楯もたまらず、土塚が押さえ込むのもかまわず半狂乱になって叫ぶ。
「フン、仲間の死がそれほど悲しいか」
溶岩鞭の包囲網から逃げ出したもつかの間、すでに先回りした岡田が前方にたたずんでいる。
「弱い漫画家がバカな戦い方をするからだ。そこまで仲間を殺されたくなかったか?まあ、それでもマシか」
口元に酷薄な侮蔑の笑みを浮かべながら、岡田が言った。
「こいつは死んだことで、仲間が、小学館が、秋田の力でぶっ壊されるところを見なくてすんだんだからな!
笑わせるぜ!虫ケラの無駄死にだ!何一つ守れねえ、敵である俺すら倒せねえ!
なんともクソみてえな漫画家だ!アッハハハ、そうだクソ漫画家だ!!
こいつが描いてた漫画も、さぞかしクソみてえなものなんだろうよ!!
読んだ俺の方が死んじまうぜ!!
ハ─────────ッ刃ッ哈ッ歯ッ覇ッ破ッ歯ッ覇ッ破ッ歯ッ覇ッ破ッ!!!」
岡田の笑声は、それそのものが暴力を秘めたエネルギーの塊となり、周囲で渦を巻き、嵐のごとく荒れ狂った。
「う…おの…れ…」
「!!…不味い!!」
唸るような呟きと、拳を固く握りしめた骨の軋み音を聴き、土塚がハッと顔色を変えた瞬間、
「うおおおおおお!!貴様、貴様─────────!!!」
雷句はその顔一面を憤怒の相で歪め、獣のような咆哮をあげながら岡田に突進していった。
だが、体力も尽き、冷静な判断力も失われた、単なる激情に駆られただけの突進は、あっさりと片手一本で阻まれてしまう。 「うおおお、うおおおおおお!!」 それでもなお、雷句の激怒と憎悪は止まらず、頭を掴まれても獣の唸りは途切れない。 「バカな相棒が死んで暴れるか!?低俗なコンビの典型だな。安心しろ、お前もすぐに消してやる」 雷句を見る岡田の目にはすでに人間らしい感情の光はない。それは興味を無くした対象物を見る目───ありていに言えばゴミを見る目だ。 雷句の子供じみた突進を掴み止めた五指に、再び炎がともる。今さっき、安西の肉体を焼き尽くした“焔爪鞭”だ。 五本の溶岩鞭が、雷句の全身を焼き滅ぼすかに見えた、そのとき。 ドクン! 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお、」 ドクン! ドクン!! 「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ 「(こいつ…何か…体に異変がおきて!?)」 雷句の突然の変態に、岡田が息をのんだ。 自分の腕を掴む幼児のような両腕は太い血管を浮かびあがらせて通常の数倍も筋肉が膨れ上がり、 全身の肌の色がドス黒く不気味な警戒色に染まり、 常に揺るがぬ正義を映していた瞳は暗い憎悪に歪み、濁り、まるで奈落の底のようだった。 「(こいつ…このままでは不味い!早く始末してしまわねば!!!)」 焦りにかられた岡田が、一瞬躊躇した“焔爪鞭”の発動を、再開。 二人の間で、凄まじい熱量の焔が一気に膨れ上がった。
162 :
作者の都合により名無しです :2006/03/14(火) 23:33:41 ID:+w9gMWlu0
>ハ─────────ッ刃ッ哈ッ歯ッ覇ッ破ッ歯ッ覇ッ破ッ歯ッ覇ッ破ッ!!! この笑声 厄い 厄過ぎる 続きマダー?そわそわ
「なに!!?」 狼狽の声が岡田の口からあがった。 刹那、二人の間を隔てたのは、岡田の発した焔ではない。 何者が放ったか分からぬ、正体不明の炎が両者の間を切り裂き、火柱となって雷句を包み込んだのだ。 しかもそれは、攻撃のためというよりは、まるで雷句を外敵の手から守護するかのように荒々しくも、どこか気高さすら感じさせる雄々しさで逆巻いている。 さらに炎の色は、目映いばかりの荘厳なる黄金色。 「ま…まさか!!!」 岡田が愕然と唸ったとき、黄金の炎柱の内側では周囲の人間の想像を絶する異変が生じていた。 「こ…ここ…は…?」 我に返った雷句の瞳に映ったのは、視界一面をあまねく照らす黄金の輝きだった。 360度全方向を、渦巻く金色の伽藍が覆い尽くしている。 「(私は……死んだのか!?)」 咄嗟にそう考えた雷句の眼前に、さらに目を疑うような光景が現れた。 炎の竜巻で覆われた空間の一角から、にわかに煙が立ちのぼり、それはあっという間に一つの形をなしていく。そう、雷句がよく見知った形に。 「の…のぶゆき……」 雷句は煙のなした人型……安西の上半身のみの姿を見て絶句した。 「これ…から…」 空中から雷句を見下ろしながら、安西の像は静かに語り始める。 「これから岡田達が俺のことをどう言おうと…決して…逆上して冷静さを失っちゃいけないぞ…リック、 俺のことはもう気にするな…なるべくしてなったことなんだ… もし、土塚が咄嗟に俺を見捨てないでわずかでも迷っていたなら、一気に俺達は全滅していた」
「の…信行の…魂か…これは…」 呆然としたまま、雷句は安西の魂が紡ぐ言霊に耳を傾ける。 「よく聞け…リック。 俺の中には、確かに『三種の神器』の一つ…『鳳凰の翼』が眠っていた。 だけど、俺はその力の『器』ではあったけど、それを引き出せるだけの『才』が俺にはなかった…」 「ど…どういうことなのだ?」 「いいから聞け…時間もあまりない… 『鳳凰の翼』は俺を『力の主』として選んだんじゃあない あくまでも受け皿…いわば一時的に形のない力を保存しておくための『容れ物』にすぎない…… 俺が今まで使っていたのは、あくまで俺の願いに応えて、『鳳凰の翼』がちょっぴり力を貸してくれていただけのこと… 要するに俺がこれまで使ってきた炎は、せいぜい『器』からちょいとばかり漏れ出た火の粉程度だったってわけさ……」 「な…なんだと…!?」 にわかには信じがたい事実に、雷句は驚愕を隠せない。唖然として、安西の次の言葉を待っている。 「だが…『容れ物』である俺はもう死んでしまった… 今こうして話している魂もいずれは消える…そうなれば、その瞬間に、俺の中の『鳳凰の翼』は、別の『容れ物』へと無作為転移する…!!」 「な…!!」 「俺はこの状態になって、初めてこの事実を理解した… もう時間がない…もし『鳳凰の翼』の無作為転移を許せば、その在処は全く見当もつかない場所に吹っ飛んじまう… もちろん『奴ら』にもその在処は分からなくなるが…それも時間の問題だ 相手は巨大な組織だ…いずれはその組織力で転移先を見つけだす…しかし俺達には二度とそれを探し出す事は不可能になる…!!」 「で…ではどうすればいいのだ!?どうしたら…」 次々と叩きつけられる驚嘆の真実に、雷句は戸惑うばかり。そんな雷句に喝を入れるように、安西は言った。 「だから…俺は最後の力を使って…『鳳凰の翼』を…リック!!お前の魂のなかに定着させる…!!」
「な…なんだって───!!?」 あまりといえばあまりに突然な宣言。これまでで最大級の衝撃が雷句を襲った。 「今なら俺の力で、お前のなかに俺の裡にある『鳳凰の翼』を、俺の魂ごと炎に変換して…お前の裡にエネルギーとして吸収させることができる…! 仮にも漫画家丸々一人分の存在の力と、『鳳凰の翼』をその身に宿すんだ…お前の力はこれまでと比較にならないほど強大になる… だが一方で、お前には更に過酷な重荷を背負わせることになる……それでも…それでも受けてくれるか?」 雷句はわずかに逡巡した。 それほどまでに強大な力を、一介の若手漫画家に過ぎぬ自分が背負い切れるだろうか? 巨大な力に対する責任と、未知の運命への恐怖が、雷句にのしかかる。 だが…逡巡はあくまでも数瞬にすぎなかった。 いくばくかの瞬間の後、すでに雷句は決断していた。決意の光が、その両目に爛々と輝いている。 そして雷句は、いつしか己を取り囲む黄金の炎に伸ばしていた手を、力の限りに握った。 「我が同門の兄弟子にして、生涯の友───安西信行」 契約が、始まる。 「おぬしの志に、敬意を。我が身を器に、顕現を。ともに誓いを果たすそのときまで、倒れる日まで果たそうぞ」 渦巻く炎は、さらにその火勢を増し、それらはやがてゆっくりと収縮するように雷句を中心にして集まっていく。 「(リック…最後にこれだけは言っておく… いいか、怒りで戦うのは構わない…だが決して憎しみだけでは戦うな… 憎しみはお前の力を歪ませ、心を濁らせ、魂を闇黒に堕としてしまう…かつて身勝手な憎しみと欲望に任せて闇雲に力を振るった俺のように… だから…お前だけは決して、俺と同じ過ちをくり返してはいけない……)」 遺言とも呼べる言葉を友に遺し…そして最後に安西の魂は微笑む。 「リック…… この大会は…実に楽しかったなあ…… いろんなことがあった… 本当に…楽しかった…3日間だったよ…」 それを本当の最後に、安西の魂はいい笑顔とともに、光の彼方へと消えて、去った。
そして不意に、炎が雷句へと流れ込む。 体は膨れ上がらず、焼けもせず、ただ炎をその内に呑み込んでゆく。 やがて雷句は、自分の中に、莫大な力が湧き上がってくるのを感じた。 指先、髪の一本まで自分の全てに染み渡り、膨大な熱さと力で満たしてゆく、それは炎。 「(───信行───これがおぬしの魂か───なんと───なんという、熱い炎──────これが、これこそが『鳳凰の翼』!!)」 時間は数秒、しかし天地を諸共に焼き尽くさんばかりの炎の流れ。 それが唐突に、終わった。 目を閉じた雷句が、炎の去った戦場に降り立った。 黄金一色だった髪が燃えていた。 否、煌めいていた。 火の粉を舞い咲かせ、自身はまるで恒星のごとく眩い白銀に。 そして、両の瞼が、開く。 紫電の煌きが、その瞳を占めていた。 「紫電の眼光、白銀の髪…まさか…貴様はいったい…」 荒ぶる炎柱を己が身に吸収してなお神々しく立つ雷句を前に、岡田はただただ呆然と呟くばかり。 目の前の、つい先ほどまで死にかけていたはずの小柄な男が、これまでとは比較するのも馬鹿馬鹿しいほどの圧倒的な存在感を有していることを感じ、無意識のうちに身震いする。 炎が雷句のうちに去ったことで、戦場には、火の粉とプラズマの火花が発する煌きだけが残っていた。 奇妙な静けさの訪れた戦場の中、 「はあ──────」 たった一つの光源たる少年が、深い吐息をついた。 安西信行は死んだ。 しかし、その魂は一人の、最も信頼に足るべき相棒に託された。 その男は、凄絶なる雷を全身より嵐のごとく噴出させ、己の敵を燃え盛る紫電の瞳で睨み据える。 『 雷 帝 』 リック──────爆誕!!
あと1分待てばよかった('A`) なんかごついのキタヨー!?
ああ・・・・安西・・・・逝ってしまったか いいタイミングだと正直思う。しかしいざ消えると寂しいものだな。乙!!
世代交代キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!! 安西も随分長い事戦ったなあ… いやこれからもいなくてもリックと共に戦うのか。 ここに来てこの展開。まこと乙です。
でもたった3日間なんだな安西の栄光編 Bブロック決勝後〜慰労会挟んで準決勝までか? 長いような短いような・・・・。
ばっかだな、始まってもいねぇよ(AAry マジレスすると、脳内会話でいくらでも出番あると思われ。
172 :
作者の都合により名無しです :2006/03/15(水) 21:41:02 ID:LeYuEKOO0
>>170 3日間といっても、今までの話の実に4/5近くを占めているぞw
ところで真島に吸収された暗罪の方はどういう扱いになるのかな
真島自体これから先出番があるかどうか微妙だしねえ。 何か物語上の存在意義ほとんどないし。
それはまた書いてみなくちゃだわさ やあ面白くなってきた
真島も安西もKIYUのとこのレーベンスボルンがあるし、安西には聖石もある いくらでも活躍しようはあるさ
(前スレ306・348 >166 23部347 16部78他) 安西が戦場に散り雷句がその遺志と炎を受け継いだその時、 瓦礫に支配されたサッカーグラウンド跡全体が黄金の煌きと春のような暖かさに包まれた。 やがて輝きが収縮し、不気味な静寂が訪れる。 ガンサンチーム・松沢と水野の働きで一ヶ所に集められた生き残りの漫画家たちは、 謎の光に驚くが、新たな敵の襲来を恐れ、破壊された会場の備品で作ったバリケードに、 深く身を沈める。その光が淡く消え去った後、瓦礫周囲に濛々と漂う煙の隙間から差し込む、 天井部に穿たれた大穴から注がれる一条の陽光を浴びながら、 金田一蓮十郎は薄目で天を仰いだ。僅かに視界に届く南国の青空を見上げながら、 彼女はふらりと漂うように、バリケードの外へ歩き出す。 樋口「あ、あぶないよ!隠れていなくちゃ」 破壊された左足を備品の松葉杖で支えながら、樋口大輔が金田一を追いかける。 足元のおぼつかない樋口がようやく追いついて息を整えている時、 彼女の耳にごく小さな呟き声が聞こえた。 金田一「・・・挨拶もなしかよ、あのヤロウ。もっとタマネギ食えばよかった」 樋口「蓮ちゃん・・・?」 眉をひそめた樋口は思わず金田一の視線を追ったが、 先にはやはり空と降り注ぐ光しかなかった。 山田「樋口さん・・・どこですか・・・皆さん・・・どこにいるの・・・?」 崩壊したスタジアムの、端辺りに残る壁伝いに、眼鏡をかけた長髪の娘が頼りなげに歩いている。 性格にはその魂は女性のものではなく、身体も吸血鬼のそれである彼女は、 サッカーの試合で樋口に審判長を押しつけられた『ザ・ペーパー』山田秋太郎、通称秋子であった。 審判軍団は崩壊前に避難が済んでいたのだが、山田は周囲の反対を押し切って単独で戦場へと舞い戻ってしまい、 そこでスタジアム崩壊に巻き込まれてしまう。
瓦礫で負傷し、左半身を引きずりながらもルールブックは手放さず、廃墟の森の奥深くに向かおうとする山田。 その彼女にも安西最期の炎と光が届き、山田は重い肩を掻き抱いて身震いした。 山田「今のは・・・まるで浄光・・・眩しい、ですねえ・・・」 無限の時を読書に費やすために自ら闇の住人となったらしい山田には、 魔を滅する勢いの聖属性エネルギーが異様に堪える。貧血のようにクラッと頭を揺らした山田は、 そのまま鋭角のコンクリ片転がる地面に後頭部から倒れこんだ。 山田「あっ・・・・・・ 」 地面の尖がりで頭蓋がカチ割れる直前、背後から男性らしき腕が伸びて山田の身体を支えた。 何が起こったのか理解できぬまま山田の身体は平らな場所に運ばれ横たえられた。 ???「お嬢さん、大丈夫ですか?ぼくたちが来たからにはもう安心ですよ」 ??「よぉ眼鏡ちゃん、危なっかしいなあ。ちゃんと鉄分摂れよな!」 山田「あ、ありがとうございます・・・あなた方はいったい?」 そこには見慣れぬ連中の顔。金持ち坊ちゃんスタイルの少年、 長身で逞しいヤンキーコック、肉食恐竜の子供、ゴキブリのぬいぐるみを持った猫背のおっさん他。 彼らが共通して手に持つA4版の漫画雑誌には、懐かしさに満ちたタイトルロゴがあった。 山田「・・・コミックボンボン?あの幼年誌の? ボンボンってコロコロと同じB5サイズじゃ・・・なかったですか?」 思わず声が上ずる山田に、リーダー格らしい少年が涼しげに微笑んだ。 ???「その時代は・・・もうだいぶ前に終わりました。 ぼくたちはこの大会予選でバンチチームに皆殺しにされ敗北した、 ボンボンチームの選手たち(3部参照)の代わりに現在の誌面を飾っている者です。 彼らの死は悲しいですが、これも時代の流れ。精一杯漫画をがんばらせていただきます。 今日は先ほど(26部306)ボンボン作家の連絡網から緊急の出動要請がかかり、 慌てて自家用セスナで飛んできました。『この戦場で死人を出さないようにしてほしい』と、 ぼくらの関係者から依頼が来たんです。そしてぼくたちは・・・あなた方を助けに来ました」
そう言いながら少年が青いジャケットから名刺を出し、ボンボンと一緒に山田に手渡した。 わたせ「申し遅れました。わたせ“ハートカクテル”せいぞうと申します」 山田「は・・・ハート・・・・え?」 それはかつて日本がバブルに浮かれる直前の、懐かしい時代を象徴するオサレ漫画のタイトルだった。 口をぽかんと開ける山田に続々と挨拶の声がかかる。不良コックとおっさんだ。 小川「よお!俺は小川“フードハンター”悦司!得意技は料理と格闘だ! 福岡でやってる料理人大会に屋台『中華一番』で参加してたが途中で抜けてきたぜ!」 須賀原「やあ、須賀原“よしえサン日記”洋行だよ。小川さんと同じく大会に出てました〜」 小川の膝下ほどの背丈しかない肉食恐竜は無言のまま山田の周辺をうろうろしている。 わたせ「彼は田中“ゴン”政志。地球の平和を守るすごい怪力の子恐竜ですよ。 ゴンちゃんと呼んであげてください。喜びますよ」 どうぞよろしく〜〜と一気に紹介を終える新ボンボン陣。 山田「は、はあ(マガジンやモーニング系の作家ばかり。本当にボンボンで描いてるの?) ちょっと疑いを持ってしまった山田。いくら同じ講談社関係者だからって、 作家のカラーを考えるとなんかかなり微妙だからだ。どれもこれも幼年誌向けの人材ではない。 そこへ新しい人の影が近づく。エロゲーにいそうな、ごく平凡な容姿の男性だった。 玉越「みんな〜“彼”にメールでこっち来れないかって聞いといた・・・あれ?どうしたのみんな」 わたせ「紹介します。彼は玉越“BOYS BE”博幸。同じくボンボンで連載しています」 玉越「? ああよろしく!お姉さん大丈夫?怪我はひどくない?」 須賀原「玉越さんどうもです。“あの人”チャンピオン戦で負けてからどこ行っちゃったんでしょうね」 小川「“あいつ”マガジンチーム代表で出ただろ?こっちにゃ誘っても来ねえんじゃねーかなあ」 わたせ「あまり良い噂も聞きませんしね。しかし“あの方”の強さは本物ですよ」 携帯電話を持ってわいわいとしゃべり合う男達を、山田は珍獣を見るような目で睨んでいた。 山田「(ああ・・・ますます胡散臭い。ていうか“彼”って誰?)」 目に見えてげっそりした山田は、ぺたりと座り込んだ床からうまく起き上がれない。 そわそわ落ち着かない山田を見た玉越が、親切心から手を差し伸べ立ち上がらせようとする。
玉越の無垢な笑顔に観念した山田は彼の手を握り、引っ張ってもらい一旦起き上がったが、 体重のバランスが悪く、ぐらついた拍子に玉越は前に「うわっ」と言いながらつんのめり、 いきおい山田の胸に飛び込む形で“ぽふり”と覆い被さってしまった。 山田「も・・・や、やめてくださぁい(温泉からこんな人ばっかりだ・・・)」 谷間の中で顔から耳まで真っ赤にした玉越が「ごめん」と唇を動かした次の瞬間――――― ィィィィ…… ?「そこは―――――」 イイイイイイイイイ ?「この俺の 指 定 席 だぁぁぁーーーーーーーー!!!!」 キ ュ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ !! 桂「 ス ー パ ー ソ ニ ッ ク ア タ ッ ク !!!! 」 ―――――どごおおおおおおおおおおおおおおおおおおんんんん!!!!!! それは己の肉体を粒子化し超光速であらゆるものを突き抜けるサイキックパワー! あらゆる女性を誘惑できる魔性の遺伝子を持つ、「元」メガプレイボーイ・桂正和の衝撃的復活であった!! ・・・と言ってもサッカーの試合前にインタビュアーとして観客席にいたわけだが。 桂「大丈夫ですか、山田さん!!汚らわしい男達は追い払いましたよ!!」 <温泉慰労会>にて一方的に山田に惚れ込み、その影響でモテナイオーラを纏ってしまった男。 スタッとかっこよく地面に降り立ったロングコートの青年は、ことさら爽やかな笑顔で歯を光らせた。
2秒後、桂は山田の、下から抉るようなコークスクリュー平手打ちを左頬に浴びてもんどりうって倒れた。 山田「ひ、ひどい!ひどいじゃないですか! いくら怪しい方々でも彼らは、倒れた私を助け介抱してくださった、 良い人たちなんですよ!それを・・・それをっ!!」 憤懣やるかたない様相で仁王立ちの山田。さっきまで玉越がいた場所とその周辺には、 綺麗な断面の大穴がいくつも穿たれ、ひょいっと攻撃を避けたゴンちゃんこと田中を残して、 ボンボンの漫画家たちは皆大穴の彼方、全長不明の奈落の底へと葬り去られていた。 もしかしたら粒子がすり抜けた際に擦れる熱で焼かれて消滅した人もいるかもしれない。 頬を押さえて呆然とする桂も、誤解に気づき心底驚いた声を出した。 桂「ええっ!?あいつらに襲われてあんなコトやこんなコトをされていたんじゃ」 山田「あんな事ってどんな事があるんですかぁ!!」 桂「どんな事って・・・少年誌じゃ背景にムフフトーンを貼らないとできないようなこt」 山田「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!」 ここでさらなる泥沼に足を踏み入れた桂。関係は悪化しもはや修復不可能。 半泣きの山田が怒りの鉄拳を再度振り上げた時、彼女の視界の脇で、 爬虫類特有の太く重量のある尻尾が唸りをあげて桂に豪快にぶち当たった! ゴン田中が山田スパンキングを真似て放った一打で、桂は真上に飛ばされ特大キャッチャーフライ。 そのまま自分で開通させた床の穴へスポリと落下、山田たちの前から姿を消した。 山田「・・・樋口さん、皆さん・・・私、私は、何の力にもなれません・・・」 消耗しきった山田はもはや動けず再び座るとぐったり肩を落とし、顔を両手で覆い僅かに涙を見せた。 この二日間で、欠けていた資質<喜怒哀楽>の多くをその身に宿した山田に、 無言を貫く恐竜の子は無愛想な顔のまま、寝入るように山田に寄り添った。 瓦礫の隙間に転がった玉越の携帯が、ひとり侘しく「真島“RAVE”ヒロ」からの返事を待っていた。 わたせせいぞう・小川悦司・須賀原洋行・玉越博幸・桂正和‥‥〔行方(生死)不明〕 ←TO BE CONTINUED?
ボンボンの人たちキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!! そして消えタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!ww
山田嬢は変態を呼び寄せるフェロモンでも発しているのだろうかw しかし今のボンボンがこの面子って……講談社の正気を疑うなあ
184 :
悪魔の均衡 :2006/03/19(日) 03:57:59 ID:xfntZI+m0
>>88 片倉、八木、田口。
この三人の睨み合いは、持久戦となっていた。
(こら、先に動いた奴が死ぬな・・・)
片倉の判断は冷静である。
もし、一人を狙って動けば、残ったもう一人から攻撃を受ける。
二人一度に攻撃すれば、二人から同時に攻撃を受ける。
背を向けて逃げ出すなど論外である。
引くことも進むことも出来ないまま、3人は微妙な均衡を保っていた。
(せやけど、のんびり見詰め合って訳にはいかんわな・・・)
こうしている間にも、仲間が傷つき、倒れているかもしれない。
一刻も早く、田口をタコ殴りにしてみんなのもとに連れ戻さなければならなかった。
それゆえ、片倉は焦っていた。
一方、田口に焦りはなかった。いや、彼には焦りどころか感情すらなかった。
そして残る八木は、片倉以上の焦りがあった。
(まずい、まずいよおぉぉぉーーーー)
額には青筋を浮べ、背中が透けるほど冷や汗をかき、顔は引きつり掛けている。
八木には、彼ら以上に均衡を崩してはいけない切迫した理由があった。
戦いとしての、三者の戦闘的均衡ではない。
極めて個人的な均衡であった。
その均衡が今、僅かな風によって崩されようとしていた。
「キ・・・・」
風が吹いた。
185 :
悪魔の均衡 :2006/03/19(日) 03:59:27 ID:xfntZI+m0
「 キ シ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ! ! 」 その時、片倉は何があったのか認識できないでいた。 ただ、この世のものとも思えない狂声を聞き、思わず殺気のある田口に向けてありったけの弾丸をぶち込んでいたことだけは分かった。 それは田口も同じらしく、大量の弾丸が片倉に撃ち込まれていた。 二人は仲良く吹き飛び、地面をゴロゴロと転がった後、何とか体勢を立て直した二人が見たものは、怒髪天のごとく髪を逆立てた、この世のものとは思えぬ異界の悪魔であった。 (なんやあれは・・・・) (あれが噂に聞く、覚醒者という奴か?) 片倉も田口も、アレが何であるか分からなかった。 アレは、異界の悪魔でも覚醒者と呼ばれる妖魔でもない。 そう、あれは・・・・ (ポマード、取れちゃった・・・・) 整髪料を切らしかけていたため、完全には寝癖を固め切れなかった八木の、ポマードが取れた姿であった。 ( ( 正 に 悪 魔 ! ! ) ) 片倉も田口も、この時の恐怖を生涯忘れなかった。
186 :
作者の都合により名無しです :2006/03/19(日) 13:41:07 ID:2kedQLkf0
八木くん、本当にイイキャラしてやがるw しかしマジで覚醒者モードになったらシャレにならんな・・・
見た目は最凶だしな。
> しかしマジで覚醒者モードになったらシャレにならんな・・・ 大丈夫、心は天使の優しい人だし、某スレの覚醒者たちとはモノが違うよ!w
八木かわいいよ八木
しかし懐かしいな、ポマードネタ。 エンジェル伝説での掲載は何年前だ?
しるか
1993年から2000年だってさ 岡村賢二のあれもそうだけど月刊は冊数の割に連載期間が長いねやっぱ
>190 コミック2巻収録の「ACT.7 怒髪天を衝く」 H.5年7月号掲載だから13年近く前か…
ここ数スレのスピードも月刊誌並だよねー。 いや、笑えん話だが。
廃刊にさえならなきゃそれでいい
>>175 真島復活させるなら
奪われたドリルを何とかしなくちゃねぇ…
しかしここも人が減ったなぁ…
まあ多すぎるよかまったりして良いけど
昔よか煽りや中傷も激減したし
197 :
武神来たる :2006/03/24(金) 01:53:50 ID:NsGLUxOE0
不覚だった。 まんまと悪魔の罠にかかった。 八木の奇声によって、均衡を崩された片倉は、声を出した本人にではなく田口に向かって攻撃してしまった。 八木には殺気がまったくない為、自然と体が殺気のある田口に向かって動いてしまったのである。 それは田口も同じであり、片倉はしこたま銃弾を受けて、動けない状態にあった。 (やばい!今やられたらワイも田口も殺られる!!) そんな二人に向かい、八木は奇声を上げつつ駆け出していた。 「キュショワーーー!!」 大怪我を負った二人を手当てするため、慌てて駆けつけているのだが、そんなことは片倉には分からない。 鬼の形相で迫る悪魔の姿に、片倉は恐怖した。 逃げ出したかった。 だが、今逃げれば確実に田口は殺られる。 裏切り、敵となり、殺しあっているかつての仲間のため、歯を食いしばり、流れ出る血も全身を走る激痛も無視して魔銃を構える。 だが、あれほど軽々と操っていた銃は鉛のごとく重く、鮮明だった視界は磨りガラスの如く曇っていた。 (それでも、もうアノ人の泣き顔は見とうないや!) 引き金を引き絞る。ほとんど当てずっぽうである。 当たらなくてもいい、少しでも足止めできればとの思いであった。 だが、愛銃からはいつもの轟音ではなく、微かに鉄が打ち合う軽い音しか聞こえなかった。 (弾切れ!) いつもの自分では、考えられないミス。 絶望、後悔、懺悔、葛藤、あらゆる負の感情が片倉の全身を駆け巡った時・・・・ 轟!! それは轟音と共に、片倉の背後から現れて八木の足元に突き刺さった。
198 :
武神来たる :2006/03/24(金) 01:55:58 ID:NsGLUxOE0
八木の前進を阻み、槍の四方を四つの刃で覆ったそれは、古代中国の武器である方天戟に似ていた。 それを放ったであろう人物は、片倉の背後で圧倒的な気配を漂わせていた。 敵か味方か、判別をつける為振り返ってその人物を確認しなければならなかったが、天地を覆うような殺気が、それをさせなかった。 「吉富の報告を受けて来てみれば、これか・・・」 悪鬼か、羅刹か、背後で呟くその声は、まるで呪詛を含んでいるかのごとく三人をその場に縫い付けた。 足音が聞こえる。 ゆっくりと片倉と田口の間を通り過ぎたそれは、地面に突き刺さった槍を手に取り、抜き取った。 その姿は、古代中国風の鎧武者であった。 「まあよい。これも余興だ。楽しむとするか」 頭から足先まで、目元以外全身を覆った鎧から妖気を漂わせ、その男は八木に向かって槍を構えた。 「その凄まじき風貌、八木教広殿とお見受けする。我が名は横山光輝旗下の五虎神が一虎、山原義人と申す。音に聞こえしそなたの剣技、我が双天戟"震雷"でもって、ご検分いたそう」 山原義人と名乗った鎧武者の、膨れ上がった殺気に反応するように、八木の持つ剣が唸りをあげて、さざなみの如く波打った。
199 :
武神来たる :2006/03/24(金) 02:00:57 ID:NsGLUxOE0
(何、何、この人?後ろで人が大怪我して倒れてるのに、邪魔しないでよー!) 突然割って入った鎧武者に、八木は困惑していた。 一秒でも早く手当てしないと、手遅れになるかもしれないのに、こんな風に邪魔をされては、助かるものも助からない。 焦った八木は、無意識の内に手にした剣を手首で上下に振っていた。 尋常ではない速度で振られた剣は、刀身を視認できないほど曲りくねった残像を残し、まるでさざなみの如く波打っていた。 「音に聞こえし"さざなみの剣"か。我が"震雷"の相手として不足はない」 対する山原の殺気は、もはや鬼気とも言うべきレベルまで高まり、戦場を血で紅く染めんと渦巻いていた。 悪鬼と悪魔、睨み合うこと数秒・・・・ 悪鬼が手にした戟を、暴虐の竜巻と変えて仕掛けた。 尋常ならざる勢いで、猛烈な回転をかけられた戟は、掘削機の如く大気を砕きつつ八木に迫った。 その回転に巻き込まれれば、いかな刀槍、盾、鎧を持ってしても容易く打ち砕かれる。 全てを破砕するその一撃が、猛烈な勢いで触れようとした瞬間、八木の姿が残像を残し消え去った。 フィギアスケートの如く体を縦回転して身を捻った八木は、紙一重で震雷をかわしつつ、山原との間合いを一気に詰めた。 そしてそのまま、回転しつつ"さざなみの剣"を、突いた姿勢のまま無防備となった山原に向かって放った。 避けえようもない一撃。だが山原は、柳の如く体を捻らせ、峻烈なる一刀を風に舞う羽毛の如くしなやかに避けた。 それと同時に、一息に戟を引き戻し、四方に取り付けた刃で、八木を後方より襲った。 だが、さざなみの剣を避けた山原が悪鬼なら、震雷をかわして剣を振るった八木も悪魔。 悪鬼の刃を、悪魔は人外の反射神経でもってかわす。 八木は、さざなみの剣がかわされたのと同時に、地面を陥没するほど蹴りつけて後方(山原から見て右)に飛んでかわしていた。 両者の神速の攻防は、片倉ほどの漫画家の目を持ってしても、鮮明ではなかった。 「かわせると思ったのだが・・・・」 悪鬼が悪魔にゆっくりと向き直った。 「薄皮一枚分、切り込まれたか・・・」 そう言って振り向いた悪鬼の鎧の肩口は、一文字に切り裂かれていた。 ニタァ・・・・ そう笑ったかに見えた悪魔の脇腹には、薄く切りつけられた傷口があった。
200 :
武神来たる :2006/03/24(金) 02:03:48 ID:NsGLUxOE0
(当たっとったんか、さっきの一撃!!) 片倉の目には、先ほどの攻防は二人とも完全にかわしていたかのように見えていた。 「片倉であったな・・・」 先ほどまで、こちらにまったく興味を示さなかった悪鬼が、急に話しかけてきた。 「何時までも呆けておらず、さっさとその銃に弾を込めろ。ぬしの獲物はもうすぐ準備が終わるぞ」 言われて初めて片倉は、田口が傷の回復を終えようとしているのに気が付いた。 「あんた何者や。何でワイを助けてくれるんや!」 片倉は慌てて弾を込めながら、山原に問いかけた。 「吉富の同僚とだけ伝えておこう。我も吉富も、あるお方の命で貴様らに手を貸している。 決して、善意などではないぞ」 (あのおっさんの仲間か!) 片倉は、山本賢治という邪悪な漫画家を一人で抑え、ここまでの道を切り開いてくれた男の姿を思い出した。 (あのおっさんの仲間なら、今はとりあえず味方と判断してええやろ。あるお方の命令で動いとるちゅうのが気になるが、今はそんな事詮索する暇はあらへん。今はこの化けもんを信用して、背中預けな何も出来んわ!) それ以降、余計な考えを頭から追い出した片倉は、まっすぐ田口に向き直った。 (ほう、潔い男だな・・・) 山原は、片倉から漂ってくる覇気が、一片の淀みも一欠けらの殺気もないことを感じ取とった。清々しい、晴天のごとき気である。だが、その雲ひとつない青空には、決意の暴風が吹き荒れていることも、同時に感じ取った。 (面白い。その思い、どれほどの物か見せてもらおう) 山原は、双天戟を八木に向けて構えなおした。 「さて、やるか・・・」 片倉は、弾を込めた銃を、動かない体に鞭打って構える。 「田口。おまえはアホや。いまからそれを教えたる!」 剣を再び波打たせる八木。 体の修復を終え、何の感情もなくサブマシンガンを構える田口。 絆をめぐる戦いは、今ここに最終局面を迎えようとしていた。
八木… 描写上のインパクトに対して、物語上の存在意義が無さ過ぎw 頑張れ!!
久々に来たか横山五虎将 がんばれがんばれ
>>201 いや、そんな事言い出したらそんなキャラいくらでもいるからw
このスレは様々な漫画家同士の戦いや絡みといったネタを楽しむのが本分
物語や舞台設定はあくまでも彩りにすぎない
まだ続いてたんかここ えなりの名前がタイトルにしかないのにワロタ
>>203 >>203 …いや、マジレスするようなレスじゃないだろ。批判してるわけじゃないんだから。
単なる感想に何でそこまで食いつくのか…たまにいるよなーこのスレって、妙な所で古参面して語りたがる人。
それはともかく、八木は本当に面白いなーw
久々にエンジェル伝説が読みたくなってきた。
206 :
森羅万象野郎 :2006/03/27(月) 17:03:15 ID:pdPpnXbn0
(
>>113 )
岡野剛の左手にあるこの世ならざる存在『鬼の手』が巻来の霊魂を肉体から剥がし始めた!
――――否、それは霊魂ではなく、人のかたちをした『何か』だった。
巻来「ぬうっ・・・!岡野君、正気か・・・」
岡野「巻来さん、この命の取り合いに俺たちの未来があるんだ。お互い遠慮は無用」
巻来「そ、そうじゃない・・・危険なんだ」
真倉「ガー(何を当たり前の・・・ん?なんだ、この気の膨らみは)」
岡野「・・・こいつは!?」
巻来の頭部に突っ込ませている、岡野の腕が強烈な冷気を感じ取る。
岡野「俺は・・・今、何を手に持っている?」
それは絶対零度を思わせる無限の闇の冷たさ。鬼の手と一体化している巻来の顔面に、
真っ黒なひびが入り亜空間の向こう側を岡野たちに覗かせた。
鬼の手が巻来から何かを引っ張り出そうとするたびに黒いひびが増え、
そこが強烈な吸気口となって岡野たちを引き込もうとする。
真倉「ガガー!?(気圧差か!?ひびの奥は真空なのか)」
なんとか踏ん張る岡野たちだが、ひびはまだ20センチほどだ。
これがもっと広がったら、何をどこまで吸い込むようになるのだろう。
巻来の頭部を掴んだまま岡野たちが困惑していると、彼ら以上に巻来が、
顔の右半分を奇妙な暗黒に染めながら心底困った表情をしていた。
巻来「やばいな・・・このままでは出てきてしまう。
俺の中の“宇宙”・・・俺の内的宇宙と繋がってしまう。
こんな強制的に出したら俺でも何が起こるかわからん!最悪ビッグバンが起こるぞ!!」
真倉「ガウガー!!(なんだってー!!)」
ビッグバンとは宇宙創世の原因である原初の大爆発。まさしく全ての終わりと始まり。
そんなものが中身に入ってるとは巻来功士恐るべし。
火山口周辺の空気の流れも徐々に巻来のいる場所へと集中し始めていた。
207 :
森羅万象野郎 :2006/03/27(月) 17:03:46 ID:pdPpnXbn0
澤井「キャアー!いやぁー!スカートがめくれるわぁー!(ププッピドゥ♪)」 マリリン・モンローの真似をした澤井だけがこの状況を楽しんでいる中、 バンチ陣営・裏御伽陣営とも意外な展開に焦りを覚えていた。 本宮「おい、そんなやべえの離しちまえよ!他の作戦を練るんだ!」 岡村「そのままじゃ真っ先にお前らが宇宙に吸い込まれるぜ!」 にわの「やだやだー!岡野クン真倉クン手を離してぇー!!」 原 「自分で強制的に閉じられんか。このままだと世界はどうなるんだ?」 ゆで「なあに最悪宇宙が破壊されても私がいれば何とかなるだろ。わっはっは」 三浦「なるのかよ!!」 気づけば巻来を中心とした低気圧の渦が生まれつつある。 雲が中央に集積し、空に雷の竜が走り、大地と連動して低いうなり声を上げ始める。 天変地異が起こっているのだ。巻来の身体を這う断面が広がる毎にスピードを上げながら。 ……ゴゴゴゴゴゴ…… ……オオオオオオオ…… 巻来「すまないがその手を離してくれないか。これからの出来事に責任を持てないんだ」 濃い目の爽やかな笑みで巻来が訴えるが、岡野は首を縦に振らなかった。 岡野「・・・これを離して次の勝機が来るとは思わん。 脳内宇宙だか知らんがここで手を離すわけにはいかないんだ」 巻来「そうか、なら腕を切り落とさせてもらうよ」 諦めた巻来は粒子状だった両の手を元に戻し、挟み込むような手刀で岡野の左腕に一打を加えた――― だが変形し枝分かれした鬼の手が咄嗟にガードに入り、腕は切断を免れる。 それでもガードの上からの攻撃だけで、左腕は強烈な打撲症に見舞われた。 真倉「ガッ・・・(効いたぁー・・・)」 巻来「意外に強情なんだなあ。このままじゃ皆死んでしまうかも知れないよ?」 もう一撃食らわそうと構える巻来がふと岡野と視線を合わせると・・・ そこには迷いながらも必死に藁にすがりつく、痛いほど真っ直ぐな瞳があった。 巻来「・・・そんなに勝ちが欲しいのかい。ルールではこの先何度も闘うのに、たった一勝が」
208 :
森羅万象野郎 :2006/03/27(月) 17:04:30 ID:pdPpnXbn0
岡野「こちとら弱小企業なんでね、少ない好機を一回捨てるだけで倒産しかねんのだよ」 そう言って岡野が苦笑すると、真倉も周囲に聞こえる霊波で皮肉げに相槌を打つ。 真倉『大会入って3名も人数増えたし、三位四位の優勝賞金じゃ端金にもならねえわな』 岡村「なんだよ、給料出るのかここ?川原のメシ代抜けば予算余るだろー」 澤井「いやーなんかしょっぱい話になってるわねーボーナスまだー(チンチン)」 にわの「うるさーい!給金欲しけりゃ普通に応援せんかーい!!」 がやがやうるさいギャラリーに話の腰を折られた巻来だが、 軽く焦る中にもふと疑問がよぎる。彼ら裏御伽チームの特殊な雰囲気だ。 巻来「(彼らは本宮ひろ志を大黒柱に置いて寄せ集まった軍団だ。 親子ほども年の離れたリーダーを慕って、大会前から組織を形成している。 そういえば漫画業界に限らずあらゆる仕事を請け負う、トラブルバスター業を開いているとか。 だが、その組織はいつどこから何のために生まれた? そこに岡野君たちが勝利にこだわる理由があるはずだ。ならば――――)」 巻来は深呼吸をすると、自身に突き刺さった鬼の手と精神をシンクロさせ、 誰にも気づかれぬようにゆっくりと、岡野の記憶、心の奥深くに意識を飛ばし潜らせた・・・。 巻来『おや、ここは・・・旧い方の集英社ビル?』 精神体となった巻来が自分の周囲を見渡すと、そこは懐かしい香りの一室。 多くの編集部員が紙やガラクタに埋もれて仕事をしている、東京神田のジャンプ編集部だった。 失われた空間。もはや記憶の中にしか存在しない光景。巻来の緑の瞳が優しい光を帯びる。 しかし壁にかけられたカレンダーを見つけた時、巻来の表情に暗い影が差し込んだ。 巻来『2002年・・・10年前・・・カレンダーは5月・・・まさか』 のちに集英社ビルが新しく建てられ、同時に矢吹に会社ごと支配された直接の原因、それは、 この年この月に突如東京を襲った、某敵国の核ミサイルの仕業と言われる大爆発事件であった。 巻来『そうか、岡野君は体験しているのか。あの<ロケット・インパクト>を・・・』 ――――その瞬間は、突然訪れた。全てを滅する白い熱と光が、集英社ビルの< 真 下 >から。
一瞬、マッキーの中からドムゴォーが出てくんのかと思って焦ったw 色んな意味で反則な御方だぜw
210 :
作者の都合により名無しです :2006/03/28(火) 00:16:03 ID:lb+MPjFV0
>>209 _.,_
__r'⌒ =ミ`ー-、_
_ゝ´'' ,=@ ミ i =',
〉 ノ〃 彡m、ィリ>'彡
_シリツ ノノリイシl }ニヾミ、;;) 逆に考えるんだ
〉::::rイ ッ'モテヽ}レtテ jイ´ 「ドムゴォーを出しちゃってもいいさ」と
゙):::lt|:l、. ‐ / ; |`¨ ,リ 考えるんだ
ソ:l゙(:} ツ /
ヾ! :l 〈,r~云゙) j
/´\ \ .彡 ,イ_
/ ヽ \ `ー‐'/l|゙l、`ヽ
何か中途半端なとこで切れてるなーと思ったらメル欄か。 まあ頑張ってくださいな。
212 :
鳥山、”復帰” :2006/03/28(火) 19:25:18 ID:vAqLcxc/0
ここは、えなりスポーツチーム控え室。 試合も終わり、メンバーはそれぞれ寛いでいる。 「そういえば、鳥山先生どこに行ったんでしょうね」 えなりが、車田に話し掛けた。 「確か、鳥山は・・・」 車田が答えようとした時― ビュン 突然、何もない空間から山吹色の道着を着た男が現れた。 「よぉ、久しぶりだな車田」
213 :
鳥山、”復帰” :2006/03/28(火) 19:27:13 ID:vAqLcxc/0
「鳥山先生!!」 そう、鳥山は車田を追って、瞬間移動でここまでやって着たのだ。 「遅いですよ、鳥山先生。もう試合は終わりましたよ」 一同が鳥山を迎える中、車田は荒木の事を思い出した。 荒木は、本当に死んでしまったのか? 「鳥山、お前は確か漫画家の気を探れるんだったな。 荒木の気を探してみてくれないか?」 「荒木か、そし分かった。やって見る」 鳥山は指を額に当て、荒木飛呂彦の気を探す。 !! 「いたぞ。 ここから少し離れてるけど、確かにアイツの気だ。」 鳥山は荒木の気を見つけたが、それと同時にもう一つの邪悪な気を探知する。 「こ、この気はまさか!?」 「どうしたんだ、鳥山?荒木を見つけたのか」
214 :
鳥山、”復帰” :2006/03/28(火) 19:28:56 ID:vAqLcxc/0
「車田、オラと一緒に来てくれ」 鳥山が、瞬間移動の構えを取りながら車田に呼びかける。 「あ、ああ。とにかく荒木を見つけたんだな」 車田は、そう言いながら鳥山の肩を掴む。 (活躍のチャンス!!) えなりも、さりげなく鳥山のズボンの裾を掴んだ。 こうして鳥山、車田、えなりの3人は、荒木と今井の元へ向かうのであった。
215 :
鳥山、”復帰” :2006/03/28(火) 19:38:34 ID:vAqLcxc/0
アンカー付け忘れた。26部の>299から
26部
>>348 じゃない?
ちょっと補足するけどごめんね
(
>>214 前スレ309・348 24部223 23部260 22部318 2部474他)
鳥山一行は瞬間移動して矢吹艦の地下中央区とCブロックを繋ぐエレベータ近くに着いた。
現在KIYU連中がウロウロしている影響で艦内ワープセキュリティが高レベルになっているため、
さすがの鳥山でも各ブロック間の移動用トンネルは、足で歩かないと無理なのだ。
ちなみにCブロックは順決勝が行われている地下中央区のほぼ真上に当たる。
車田「しかし鳥山、随分若くなったようだが、よく無事だったな。キャノンボールに出たっきりで、
鉄砲玉もいいところだな。俺は・・・荒木とは共に恐ろしい敵(※ゆで将軍)とやりあった後、
別れてそのままなんだ。荒木の事は相棒のエックスから聞いたが、死んでいないんだな?」
鳥山「ああ、オラは別府が王蟲の森に包まれてからずーっと荒木を捜していた。
あの緑の塔が荒木の墓だなんてオラは信じたくなかったからな。
だが矢吹艦で強大な悪の気を感じ、オラはナントカって鬼の酒(※強者のエキス)を狙う、
因縁の相手稲田とやりあったんだが、その後おめえと合流しようと思って気を探ってたら、
オラなんか知らねえけど解王星ってとこに来ちまって、あのマシリトに会ったんだ」
車田「鳥嶋だと!?あいつは・・・あいつは俺達五聖人が・・・」
鳥山「マシリトの事は原たち他の五聖人が揃ったらな。準決勝や『蛇の道』の話もしたいしさ。それより」
こうして情報交換しあう間にも、鳥山と車田はエレベータを登り終え、
地上の光射すCブロックへと抜け出そうとしていた。彼らの会話を邪魔しないように、
じっとしているえなりに、鳥山は思い出したように声をかける。
鳥山「えなりよう、おめえ・・・・・・なんで幽霊になっちまってんだ?死んだのか?」
えなり「あっ!!ちょっと、バラさないでくださいよ!!
せっかく憑依していた裏御伽のにわの先生の身体から、試合前にこっそり上手い事抜け出せたのに!
このままドサクサに生きてるフリしてようと思ったのに!ひどいですよ鳥山先生」
えらく説明的なセリフを言いながら慌てふためく半透明えなり。
えなりはサッカーの試合で柴田“UMA子”亜美に文字通り粉砕され現在肉体を持たないのだ。
鳥山「まあ消滅してなけりゃ、なんとかなるんじゃねえの?オラだって、
マシリトの怪しげな『若返り薬』のお陰でちびっちゃくなっちまったけど、こうして生きてる」
胸を張るちびっ子形態鳥山。彼も大友とのバトルで死亡し、ロボ身体を経てドラゴンボールで復活したのだ。
車田「俺も不死鳥と呼ばれる男だ。生きていればなんとかなる。さあ鳥山連れてってくれ」
えなりは『だから死んでるんだよ!』と突っ込みたいのを押さえ、トボトボふわふわ2人に付いて行った。
218 :
217 :2006/03/28(火) 22:19:32 ID:lb+MPjFV0
こうやってキャラが動くと展開も動くからとてもいいね これからもどんどん動かしてね どんどん閉まっちゃうからね@ぼのぼの
219 :
作者の都合により名無しです :2006/03/31(金) 00:11:27 ID:tdyuNObB0
タカヤやポルタの作者ってまだ出てきてない?
まだ出てないよ そのクラスで出したい人結構いるんだよね
(
>>134 前スレ142他)
畑「うーん、キユ君トイレに行ったっきり帰ってこないなあ。
矢吹様、僕キユ君を迎えに行っていいですか?それとも散歩に出かけたのかな」
コロッセオやスタジアム跡の真上にくっついている矢吹専用展望室ティールームでは、
真下から流れてくる黒煙やらなんやらに包まれ煤だらけになっていたが、
中でのんびりお茶している矢吹のところまでは煙は届いていなかった。
矢吹「なに、彼もわかっているさ。気が済んだら帰ってくるとも。
それよりスタジアムの方の映像が繋がりにくいと運営に伝えておけ」
ハーブティを嗜みながらのんびり試合中継2つを楽しむ暇人矢吹。
しかし大会運営スタッフへの電話を終えた執事・畑健二郎からの報告を聞いて眉をぴくりと動かした。
畑「あの、この艦の総合火葬場から妙な報告が来てるんですけど・・・
その、先日大会予選を行ったじゃないですか。そこで大量に死者が出たわけですが、
彼らの・・・バラバラで現在身元検分中の遺体を保管してあったカプセルに、
妙な反応があるので調査班を送って欲しいと・・・その」
神妙な顔つきの畑に、矢吹は『ああ、そんなのあったね』とは到底口に出せなかった。
矢吹「反応とはなんだ?漫画家の死体を集めると核融合でも起こるのか」
もちろん冗談で言った矢吹だが、畑は大真面目な顔になり。
畑「僕・・・久米田師匠に聞いた事があるんです。
いろんな漫画と漫画家を混ぜ合わせて練成する、禁断の錬金術があるって。
様々な漫画の特性を持った、フランケンシュタインみたいな化け物が生まれるって!
確かナントカ漫画家と呼ばれた恐ろしい合成生物が・・・なんだっけ」
何かホラーの見すぎじゃないかと笑い飛ばす矢吹だが、心に引っかかるものを感じた。
矢吹「ははは・・・いや、そうだあの場所には『10年前』の瓦礫が一部置いてあったな。
キユがそいつの反応に気づいて近づいてしまうと、少々厄介な事になる。
畑、火葬場に連絡して今すぐカプセル内の死体を全部灰にしろ。火力最高でだ」
10年前とは<キユドライブ>の事。巻来が“ロケットインパクト”と呼称したものと同じ事件。 面倒なことは大会が終わってからにしてほしいと心底願う矢吹だった。 キユ「おじさん・・・おじさん、起きてよ。怪我は治したでしょ」 薄暗い闇の中、黒猫と血まみれの男を背中に乗せてふらふら移動する少年・キユ。 先ほどの余湖軍団襲撃に巻き込まれるのも面倒なので、 自分を庇って倒れた真船医師を治療するべく再び焼却炉脇の通路に戻ったのだ。 キユ「(健二郎くんもそうだけど、ここには変な人が多いや。 彼らもロックの心を持っているのかもしれない。だとしたらぼく達は・・・仲間?)」 なるほどねと心のモヤモヤががストンと抜けたキユ。 彼の判断基準は色々曖昧である。ふと、キユが何かを察知してキョロキョロし始めた。 そして真船を背中から降ろして、人通りの多そうな廊下の壁にもたれ掛けさせた。 キユ「(気持ち悪い気配を感じる)・・・ぼく行くね。おじさんはここで寝てていいよ。猫くんは?」 黒猫・横内は嫌そうな顔をしつつ、黙ったままキユの肩に飛び乗った。 指示を出した後もいやに落ち着かない矢吹。何か気になる事があるのだろう。 矢吹「畑よ。先程言っていた合成生物について詳しい話を知らんか」 受話器を持ったままの畑は顎に指を当てながら「うーん」と記憶の糸をたぐり寄せる。 畑「あ、そういえばそいつの特徴がですね、何名もの<クリエイター>のバラバラ死体から、 気に入った部分を繋ぎ合わせているとか。まるでゾンビですよね」 矢吹「バラバラ死体・・・予選で死んだダメ漫画家たちのプール・・・何が起きてもおかしくないな」 畑「気にしすぎでは?試合でも見てゆっくり―――」 してください、と畑が口に出す前にけたたましく鳴り出す電話。 慌てて出た畑の表情が一瞬で強張る。 畑「どうしました?・・・え、火葬場で・・・大量殺人!?カプセルから悪魔が出てきただって!?」 矢吹は畑の狼狽を見て即座に受話器を奪い取った。
矢吹「どうした、死体は灰にできたのか」 焼場『それが・・・窯に火をともした直後、カプセルが膨張して中から人間が出たんです! あの中には原型を留めない漫画家たちの“部品”が混在しているだけで、 人間そのものは入っていないんです!あれは死体の中から生まれたんです! さっきの妙な反応は恐らく、奴が生まれる時の熱反応だったんです!!』 電話先の従業員は務めて冷静に事態を伝えようとするが声が上ずっている。 焼場『それでその死体が私たちを次々と惨たらしく殺して・・・ちくしょう!! あいつは「俺様みたいな漫画界のエリィィィィィトの食事になれるだけ、 ありがたいと思え」なんて言いながら従業員の足をぶった切ったりして食うんです! ほら矢吹様にも聴こえますでしょう、あいつの胸糞悪い笑い声が!!』 矢吹「・・・・・・なんだ、こいつは」 ? 「 ピ〜〜〜〜〜ヒョロ……!! ピ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ヒョロ〜〜〜〜〜〜………!! 」 嫌悪感を憶えるほどのかまびすしい奇声。受話器越しだと言うのに、 直接頭蓋骨にまで響いてくる。恐らく若い男の声だが、どんな笑い方をしたらあんな声が出るのか。 矢吹「・・・久米田は色々“もの”を知っているな。今救援をよこす。 私も行けたら行く。5分後に火葬場周辺の区画を前面封鎖するので全員脱出せよ」 そう言って受話器を下ろす矢吹。同時に隣に立つ畑がぽむんと手を打ち鳴らした。 畑「あ!!ゾンビの名前、思い出しましたよ・・・!! それはあらゆる創作物のアイディアを表層のみパクってそのまま流用する“天然危険物”! 永遠にアイデンティティを得られず彷徨う、堕落した作家の魂の集合体『ツギハギ漂流作家』です!!」 矢吹「ツギハギ・・・それが人気漫画の錬金術から生まれた異形の名か?」 畑「そうです、そしてあらゆる手段を使って実際に漫画家になってしまったツギハギがいるんです! 奴の名は――――西公平!通称・ハム平!奴にとって全ての漫画は己の肉体の構成材料なんです!!」 矢吹「ふん、他人の死体を借る狐か。私はこの手の輩が大っ嫌いなんだ。消し炭にしてくれる」 慨然とした矢吹は残ったハーブティに目もくれず、畑を引き連れ事件現場へと向かった。
ヒトのこと言えた義理かよ、矢吹… しかしまたカオスな登場人物が現われたな。
225 :
傲りと誇り〜皓焔絶叫〜 :2006/03/32(土) 04:47:38 ID:w2e/NdDk0
26部512より 大気が裂けた。 魔獣皆川の右腕に聳える『神剣フラガラッハ』――地上において最高峰の鋭利さを誇る剣が横薙ぎに振り抜かれ、巣田の面上を駆け抜けていく。 右目の下から真っ直ぐに走って鼻梁を跨ぎ、線対象に左目の下まで切り裂く真一文字の傷痕。 つッ―――― と一筋、そしてボタボタと紅が零れ、滝のように噴き出して鉄の臭いを撒き散らす。 続いて吐血。脇腹を押さえ、激しく巣田はむせた。鼻腔からも出血が溢れて滴り、犠牲になった前髪が幾らかはらりと舞う。 皆川の斬撃はまたもや即死狙い、まともに喰らえば頭部が耳の位置で真っ二つに切断され、両目から上が愉快な飛行物体と化して壁に激突し、脳やら髄液やらをブチ撒けていた。 それを回避できたのは、人竜・緑竜が体当たりを咄嗟に叩き込み、無理矢理に間合いを取ったため。どうにか命は守ったが、体内が悲鳴を上げていた。 ――つくづく世話になる。 心中で礼を述べるとともに、傷の具合を確認、治療を開始。 左手で腿の傷を塞ぎつつ、右手で零れた小腸を腹腔に押し込みながら、巣田は左に飛ぶ。 失血に眩暈を覚えながら三方からのレーザーをやり過ごしたところに、放たれる追撃。 皆川の刺突が迅雷の速さで強襲、頭を逸らすも右耳が切り裂かれ、ぬるりとしたもので耳孔が詰まった。 巣田は舌打ちする。 視覚に続いて聴覚まで――これでは生き残る目が無くなる。勝負を早々に付けられないためにも優先して治療する必要がある。 今、太腿は動脈とその周辺部分まで治癒していた。臓腑の方は位置関係も適当なまま強引に押し込み、腹膜を繋げたところで治療を中断する。 壮絶に気持ち悪かったが敢えて無視し、右耳に手を当て裂傷を治療、とりあえずは出血を止める。 気配。
「!」 突如目の前に出現した魔獣が、唐竹割りに神剣を振り下ろしていた! 脳天から股間まで正中線を駆け抜ける一撃を、しかし巣田は避けるでもなく、逆に刃の瀑布へと跳躍、膝を胸に着くほどに折り畳んで飛び込んだ。 果たして刃は巣田を通過、両断の軌跡を正確になぞる。 巣田の下方に風切音! 発生した刃先が銀色の半月を描いて少女の膝が在った位置を薙ぎ、同時に少女の身体を貫いた方の刃が霞の様に消失する。 「前は焦って引っ掛かったけれどね……ちょいと気を張って構えれば、この位の芸当は難しいことじゃない!」 言い放つ。 初撃は囮、本命はその後。 頭を棚にぶつけたのを入れて、二度この攻撃を巣田は受けている。当然、幻影と現実とを判別するように警戒していた。 そして放たれる殺意にのみ集中していた巣田は、目の前ではなく右方から悪寒を感じ、直感を信じて前方に飛んだ。 幻影はあくまで幻影、虚偽に過ぎず、だから死ぬ事も無い。 頭では理解していても、実際に本物と遜色無い巨刃に身を投げ込むのは相当な胆力が必要だったが。 斯くして試みは成功し、今。 空中にて、脚斬りの太刀を外した皆川の凶眼と、そこまでの手を読みきった巣田の双眸が激突。 巣田の傍らに控える人竜・紅竜と、巣田を見上げる魔獣皆川、両者の口腔に赤と橙の灼熱が生まれ、爆炎と化して瞬時に放たれる! 視界を赤一色に染め上げて爆炎が拮抗し、二人の間に小太陽が発生した。肌を熱風に思い切り煽られ、巣田の顔が歪む。 「く……!」 服や髪の端を焦がして巣田が着地し、同じくして炎の拮抗が崩壊。 巣田の火球を飲み込んだ魔獣の炎息は、勢いのまま直進し天井に炸裂、金属板を融かして穴を空けた。 空中で回転して落下速度を緩め、着地と同時に猫の様に後退すると、巣田は見せ付けるように治癒力を湛えた手掌で面上の傷を撫でた。 単分子刃によって切り裂かれた面は完全にフラット。恐ろしいほどに平滑で、損傷は皆無だった。 故に再生能を賦活された肉は、水の張力で張り合わさる硝子板のように密着し、一本の血糸を名残にして傷が塞がる。
「青竜!」 治療を終えた巣田が吼えると同時、天井から床から怒濤の水流が噴出し、空中で球状に収束していく。 水芸担当の人竜、青竜が周辺の水道管や消火装置から水を掻き集めてきたのだ。 その水球に、巣田は最大出力の火炎を叩き込んだ。 瞬間、鋼鉄をも溶かす程の熱量によって、急激な気化が起こる。水球が一気に蒸気に変わり、その圧力変化が凄まじい衝撃波に具現、さながら世界を揺るがす嵐の如くに周囲を蹂躙する。 巣田は再び人竜の皮膜を纏い、野放図に吹き荒れる爆発を捉えて距離を開けた。 廊下に転がり出て、すぐさま追撃に備えて身を起こす。 顔を上げ両目で捉えた光景は、濛々と立ち込める高熱のスチームが席捲する、白濁とした魔界の現出。光を乱反射させる水蒸気が、バロールの魔眼の立体映像をかき乱していた。 この状況では、光学センサーの類は役に立たない。無論それは巣田の視界にも言えることだ。 しかしその代替に、巣田には青竜が在る。空間を満たす水蒸気は青竜によって完全に制動され、巣田には届かず――吸引して呼吸器を損傷することも無い――また周辺の探索や敵位置の割り出しも行える。 そして、既に青竜は索敵を開始していた。 すぐに動き出せるよう身構え、巣田は緩やかに目を閉じる。 少女の周囲に、緊張が満ちる。それは『今にも切れそうな程に張り詰めた糸』と言うよりも『洪水で決壊寸前の堤防』と言った方が一層相応しい、荒々しいものだった。 やにわに両眼が見開かれる。 「……そこか」 巣田が静かに呟き、続いて風と爆音。 人竜たちが死闘再開の火蓋を叩き切った。
灼熱と真空波。 前者は直撃した大腿の付け根を七割近く融かし、残り三割が自重で瓦解、皆川の左脚が分断した。 後者は鋼の背中を袈裟懸けに走り、深い断裂を刻むと共に、脚を落とされた巨体を前倒しにした。 ARMSが各種兵装に機能を切り替える前に仕掛けられ、攻撃を無効化することが出来なかったのだ。 奇襲を完遂したのは、影のように忍び寄った紅竜と緑竜。 瞑目している間、青竜の索敵と連動して巣田が密かに展開していたのだ。 二竜はそのまま身を翻し、緑竜が紅竜の首元を掴むかたちで音速で疾走、魔獣を尻目に手薄になった本体へと退却する。 軋むような唸りが、周囲に響いた。 水霧を裂きながら帰還する双竜を目で追い、皆川が咆哮。同時に鼠蹊部が伸長し分断された左脚を捕獲、即座に修復する。 すぐに脚の位置が元に戻り、ゆっくりと全身が起き上がった。首を動かし周囲を見回す。 何かを探すようなその動きが、はたと止まる。魔獣の鬼面に地獄の笑み。 その双眸に燦然たるARMS “クイーン・オブ・ハート”、禍々しい殺意に彩られた金色の邪眼が、蒸気の紗幕と特殊合金壁を水のように見透かし貫き、巣田の命に照準を合わせるっ!! 同時に、巣田へと向けた右腕が変形、その掌上に皓々とした光が生まれる。 皆川の全身が真っ赤に輝き、余りの高熱に身体の内部から気化が起こり、陽炎の様に背から立ち上る。 人竜を回収した巣田が不意に皆川の方向に顔を向け、そして瞠目。 二人の視線が搗ち合ったその瞬間、その刹那に解き放たれる白。 焦点温度数万度を叩き出す荷電粒子砲『光槍ブリューナク』の超々熱量の切っ先が、純白の死神となって迸り大気を灼く!! 「紅竜ッ!」 巣田もまた反応した。 壁越しに伝播した殺意を、肌が怖気に変換したからだ。 横っ飛びに床を蹴ると同時、感じるままの本能的な迎撃。火球の赫が疾走し周囲を同色に染め、合金壁の悉くを喰い破って奔走する荷電粒子の白に炸裂! 両者が拮抗すれば、さながら偽りの時間停止を演出しただろう。 火神(アグニ)と火竜(ファフナー)、それぞれが紡いだ火焔の激突は、しかし一秒たりとも拮抗を許さないまま前者に軍配が上り、緋光を突き破った白光が、紅竜の上顎を吹き飛ばした! 更に白光は疾走し、実験セクションの周囲に幾重にも展開された特殊合金壁を飴の様に溶融貫通、最終ラインとして展開されていた電磁隔壁の前まで達して遂に拡散し、ようやくその進攻を終えた。 凄絶などでは生ぬるい、尋常の軌範を超えた破壊力が過ぎ去った後は、まさに焦熱地獄。白濁した水霧の紗幕は吹き散らされ、 発生したオゾンの生臭い臭気と、赤く沸騰する合金壁の大穴がそのまま希望を剥ぎ取る地獄門となり、輻射熱で膨れた大気が風景を歪め一層の拍車をかける。
信じられないことに、その地獄へと駆ける影が在った。 融けた金属を飛沫と変えて跳ね散らし、触れれば火脹れを起こす熱波を切り裂き疾走する、巣田の勇姿。 皮膜となって前身を覆う人竜が熱を遮り、この蛮勇を可能にしていた。 一見して無謀にも見える特攻だが、巣田はそうは考えていない。 (確かに凄い威力。直撃すれば蒸発して、細胞の一つも残らないでしょうね) 心中にて冷や汗。 (だけど、二発目は恐らく無い) そこは確信する。 (いくらクラウドゲートが丈夫で、何重もの強化隔壁でこのセクションを隔離していても、高威力のARMSを稼動させれば容易く破壊できる。 逆に言えば、クラウドゲートを破壊しない程度には兵装は使用可能で、その上で私を仕留める必要がある。ある種の“縛り”を施すのは当然ね) 流石の高屋も、クラウドゲートを失うのはかなりの痛手だ。部下も実験機器も幾らでも代わりのいる“道具”に過ぎず、働いて死ぬことだけがその価値で意義だ。だが、ここまで大規模な“施設”となればそうはいかない。 胸の悪くなる理屈ではあるが、しかしその理屈が皆川の力の枷になっていて、自分を永らえさせている。余り邪険にできず、巣田は苦く思う。 (その理屈でいけば、反物質砲なんてもってのほか。 『ブリューナクの槍』も外れてしまっては牽制にもならないし、『魔弾タスラム』も推して知るべし。 決め手はおのずと限られてくる――加えてこの熱波の中では) 疾走から勢いを乗せ、前方に跳躍。
230 :
作者の都合により名無しです :2006/03/32(土) 05:31:20 ID:rnQA5vcr0
遅れて周囲に走る無数の斜線、『魔剣アンサラー』の空間断裂が巣田を取り囲む! 射程百フィート(約三十メートル)、攻撃範囲三百六十度で死角皆無、更に物理特性を無視してあらゆる物質を断ち切るそれは、『魔剣』の名に恥じない剣呑な兵装。 加えて空気の流れから筋肉の収縮、眼球運動までをも読み取る“クイーン・オブ・ハート”の索敵能で行動を予測、恐るべき精度での遠隔破壊を行ってくる。 しかし、溶融金属の周囲に陽炎のゆらめくこの場においては。 (軌跡が見える!) 空間の変化を視認、巣田が急停止。慣性をいなすために動きが止まり、同時に眼前の空間が縦に刻まれる。 それさえ予測済みであった皆川が既に空間を切り裂き、硬直している巣田に時間差で襲い掛かる断頭台の刃。 だが、縦横に格子状に走った魔剣は巣田を捉えず、文字通り空を切る。 巣田の身体から人竜が伸長、高速で走って主を牽引し、命を守ったのだ。 不定形の人竜は筋運動などの行動を読ませる要素がかなり薄い。邪眼の眼力を誤魔化し、某ゾンビ映画や某密室脱出映画よろしく、賽の目或いはトコロテンにされずに済んでほっと一息の巣田であった。 (まあ、どこまで誤魔化せるかわからないけどね――) 小細工の繰り返しで、時間を稼ぐのもそろそろ限界か。少女に焦りが滲んでいた。 (恐らく、ここが最終局面) 凍てつく予感が巣田を撃ち貫く。 決断しなければならない。生きてこの場所から還るために。 だが、それをすれば、二度とASUKAの救済を謳う資格がなくなる。 覚悟が必要だった。この土壇場になって未だに決めあぐねている自分には。 「黒竜―――急いで」 祈るように、相棒の名を唇が紡いだ。
――ほんの少し、前。 時間的には巣田が皆川を吹き飛ばし、相棒と軽口を叩き合った頃。 巣田の立案した作戦に、 『下策だな』 黒竜がにべも無く言い放った。 巣田も反論しない。自分でも理解しているからだった。 『手順がややこしい上にお前のリスクが高すぎる。もっと簡単なのがあるだろうが』 「それだけは駄目。絶対にやるわけには行かないわ」 頑な拒絶。黒竜は嘆息して続ける。 『意思の疎通ってのが上手いこといってねえようだから、優しく丁寧に説明してやるがな。 お前のプランじゃ分が悪すぎるんだよ。 万一成功したとしても、五体不満足で上等も上等だぜ。 それに失敗すりゃ死ぬより最悪だ。 高屋の御大が単にお前を殺るだけで済ませると思うか? ダルマにされて解剖(バラ)された挙句、漬け物にされて棚に飾られるなんざ、洒落にもならねえって言ってるんだ』 「ごめん、想像したら吐きそう」 『だがな、お前が雑誌破壊者として“負”を積極的に集めて地力を底上げすりゃ、まあ御大と同列とはいかねえだろうが、此処を楽に突破するぐらいは出来る筈だ。 なにせ、ただの『優秀な漫画家』が『神の使徒』になった位の力だからな。効果は覿面だろうよ。 それに此処で生き延びなきゃ、二度と漫画も描けねえ。迷うような問題じゃねえだろうが』 巣田の戯言は完全無視、まくし立てる黒竜。
「……でも、ASUKAは守れない」 痛切に、巣田。 「NEXTが潰れた時、かなり応えたわ。 APCの時も、ガンマの時も、ゲーメストの時も、相当きつかった。 この上ASUKAまで崩壊させるわけにはいかない。 そして私自身が、それを加速する一因になるわけにもいかない。 ――だから、両方とも押し通す。私は漫画家のまま、クラウドゲートから出て行く。もう絶対に、あんな思いは繰り返したくないのよ」 『祐里子……』 「黒竜、力貸して。 私は必ず生きて還るって決めてるし、牙は生憎――人竜(あんたら)しかないのよ」 黒竜は頭を抱えた。この女が“決めた”以上、万言を費やしても説得は難しい。 一応、効果的な謳い文句はないかとあれこれ思案してみるが―― 『ちっ』 舌打ちし、首を振り、長い長い溜め息。 『…………しょうがねぇ』 遂に折れた。 『但し』 付け加えておく。 『時間を稼ぐのはもとより、生き延びることだけ考えて、死なないように戦え。 それでも、もし土壇場の土壇場になったら、迷わず“負”を使え。それが条件だ。 覚悟を決めろよ。妙な気起こして状況が挽回不能のどん底になったら、俺達の危機なんだからよ。 ――いつぞやのNEXTの時みたいにな』 ――クラウドゲートを訪れた時点で、状況はどん底だったかもしれないが。 そうも思った。だが、論じても無駄だと口には出さず、代わりに軽い揶揄を送る。 『在りもしねえ色気出してサービスシーンなんぞ描くから、無理が来て進行が遅れちまっただろ。忘れたか?』 「ああ、ね――減ページで用語解説仕上げて乗り切ったけど、単行本に入れてもらえなかったのよね……――」 言った直後、巣田は頭を抱えた。自分の言葉で自爆してしまったのだ。苦味が遥かに勝った苦笑をし、黒竜もそれに倣った。 冗長に感じられるような、十秒の沈黙。 黒竜は目だけで“死ぬな”と伝え、巣田も頷く。 そして両者は別々に行動を開始した。望む帰趨を掴み取るために。
「あぐうっ!」 巣田の口から悲鳴が漏れる。しかし動きは止めず、床を転がって逃れる。 通算六度目の空間破砕は、遂に巣田の右肩に食いついた。傷はギリギリ中程度、鎖骨の周辺の肉が、衝撃で爆ぜ破れていた。 二撃目以降、皆川が攻撃を続ける度、その精度は上昇していた。 今や全身、ぼろきれの様に切り裂かれており、五撃目で脇腹と脹脛を浅く裂かれた。そして六撃目は、単なる斬撃ではなく、空間の揺さぶりから生じる衝撃波を叩き込まれた。 人竜による強制的な走行変更すら計算に入れ、少しずつ、しかし確実に行動を読む様になって来ていた。 「厄介な、こと、ね……」 肩口を血に染め、巣田は呻く。痛みに泣きそうになるが努めて無視する。 まだ心は折れていない。限界を推測する。 (まだ、まだ耐えられる。あと二回位なら……許容範囲ね……) 「――とでも、考えているのだろうな」 ガイバーVのセンサーで戦況を見ながら、高屋は呟いた。嘲弄と憐憫を篭めて、言葉が紡がれる。 「つくづく――甘い」 押しては引き返す、一定間隔を維持するような戦闘。本命のための陽動であるのは自明。 だが高屋は何ら頓着しなかった。 なぜなら、巣田が本命打を仕掛けようとも何ら問題の無い処刑方法を思いついたからだ。 そして皆川に指示が送られる。 「今だ」 果たして、七度目の空間破砕。 巣田の周囲を取り囲むように断裂が生じる。更に空間が揺さぶられ、歪みが波紋となって伝播し衝撃波が生まれる。 人竜が衝撃を緩和させるべく皮膜となって巣田を包み、そして紅竜が火焔を叩き込んで壁に穴を開け、巣田は脱出口に踊りこむ。 背の方向に破壊が荒れ狂うのを感じながら、身を起こし、そして追撃が既に仕掛けられていたことに戦慄する。 目の前には皆川。振り下ろされる右手に、照明に鈍く光る銀の神剣。 正中線を目指す刃と頭との距離は僅か二センチ足らず、どう考えても避けようがない。振り上げる動作を全くせず、突然出現して来た魔獣に、巣田は失策を呪った。 (攻撃動作に入ったまま、跳んできた――!?) “クイーン・オブ・ハート”で巣田を捕捉し、位置関係を常に把握しておく。 次に『魔剣アンサラー』で包囲網を作り、囲みの薄い場所を一部用意して獲物を誘い、タイミングを合わせて空間跳躍、後は掛かった獲物が自動的に死ぬ。 通算六度の遠隔攻撃は、巣田の思考を空間破砕にのみ限定化させるための布石に過ぎない。 そして万物を破断する非情の単分子刀が巣田の肉に噛み付き、切り裂き、二つに断ち割り左右に飛ばした。 もはや八度目は無かった。
ああ・・・水蒸気を持ってしても皆川には敵わないのか・・・ ミナガー+高屋ってどっかのラスボスより強いんじゃね?
このルートが一番先が見えないな 現状ではどう考えても巣田に勝ち目ないし、 かといって単純に巣田が負けて殺されるだけだったら何のための話だったのか言うことになる
しかし、高屋よ…負の力を求めすぎると緑髪の少年が降臨しちまうぞ? 雑誌破壊なんてレベルじゃない、あのお方がね。
前スレ
>>452 荒木飛呂彦は、えなりチームに復帰するためにブロック間を移動していた。
「もう試合は終わっただろうな・・・
まぁ、オレがいなくてえなりチームは大丈夫だろう。しかし―」
荒木は、一人呟きながら先ほどの今井との戦いを思い出していた。
「危険な男だ・・・」
その頃、鳥山達も荒木を捜索していた。
先ほど鳥山が感じた邪悪な気、今はもう消えているようだ。
「あっ、あそこ!」
突然、後ろにいたえなりが叫んだ。
視線の先には、艦を猛スピードで駆け抜けている荒木飛呂彦の姿があった。
「よかった、おめぇ無事だったんだな」 「当たり前だろ。どうやら試合は終わったようだな」 ひさしぶりに再会したえなりチームの面々は、現在の矢吹艦の状況を確認する。 「・・・という訳で試合には勝った。」 「そうか、オレは今まで今井という男と闘っていたんだ。皆も知っているだろうが、奴の正体は―」 荒木が続きを言おうとした時、突然鳥山が立ち上がった。 「誰だ!隠れてるのは分かってんぞ」 荒木達が後ろを振り返ると、そこには一人の男が立っていた。 「あ、あれ。ばれちゃった?」
その男は、オレンジ色の髪をつき立てた少年のような姿をしていた。 その姿を見て、えなりは気づいた。 「まさか、あなたは―閃光学園激闘伝―坂本裕次郎先生じゃないですか?」 坂本は、コクリと頷く。 車田はそんな、坂本を見て下唇を噛んだ。 (こいつがあの『タカヤ』の作者か。噂には聞いていたが。別の意味で厄介な敵になるかもしれん) 「ところで、坂本先生はなんでこんな所にいるんですか?」 警戒する車田をよそに、えなりは尋ねた。 「はぐれちまったんだ、相棒と。そいつを探している内に、あんた達を見つけてね。 ちょっと興味があったから、こっそり探ってたんだ」 「その相棒って誰なんですか?(まぁ予想は尽くけど)」 「大泥棒、北嶋一喜さ。奴と組んで、矢吹艦のお宝を盗むつもりなんだ。」 坂本は悪びれもなく言う。
「だけどよ、ここのセキュリティは完璧だぜ。そんなにうまく行くか?」 そう、宝物庫の近くには完全なセキュリティに加え、矢吹、久米田、畑といった強力な漫画家達も近くにいる。 「大丈夫さ。ここに来る前に、同期の西と運よく逢って、彼にうまく誘導してもらうように頼んどいたから。 そういうことで、オレは早く北嶋と合流しないとけないんだ」 坂本はそう言うと、踵を返してどこかで走り去っていった。 「お宝か、興味があるな」 「ああ、決勝戦まで暇だし、オラもついて行こうかな」 鳥山と荒木はそう言い、坂本の後を着いていた。 えなりも活躍の場を求め鳥山達の後を追う。 「坂本か・・・あまり信じられないな」 車田は、荒木達とは逆に、えなりチームの控え室へと戻っていった。
>>240 タイトル間違ってるじゃないかw
ジャンプ新人下っ端連が一気に噴出してきたね。次は・・・・
つ[ダイアm
車田が坂本を警戒してるのは分かる気がする どんなダメージ喰らっても「超おもしれえ!」で復活してきそうだからなw
245 :
作者の都合により名無しです :2006/04/03(月) 21:55:57 ID:MGEVcI9b0
出会ってすぐの坂本を敵認定する車田コワス
最近のタカヤは明後日の方向に大爆走してるよな。 なんつーか爆走してる先には断崖絶壁しかない感じ。
あの展開が受け入れられてるのなら良いんだが、悲しい事にどんどん掲載位置が後退してるからなあ。 あっさり突き抜けそうな予感。
作者も作品の後を追いそうだ…
(
>>223 >>241 26部360他)
悪霊集合型クリエイター“ツギハギ漂流作家”こと西公平が矢吹艦内に出没し、
『モロパクは許さない!なぜなら私は剽窃王だから!』とばかりに西退治に向かう艦長・矢吹。
忠実な執事の畑が矢吹の後ろを慌ててついてくる。
矢吹はドアを開ける前に無言で振り向いて畑を制するのだが。
畑「大丈夫です!バトラーゆえに独学で必殺技を習得してますから!」
矢吹「(執事ってそんなものかねー)」
この場合のバトラーとは執事と戦闘員、両方の意味を持つ・・・らしい。
矢吹「気持ちはありがたいが、相手は正体もよくわからんヤツだ。
お前にはここでツギハギ西とやらの素性を調べて欲しい。
それにお前が万が一敵に殺されては、久米田が出家してしまうではないか」
畑「師匠は関係ありません!とにかく一刻も早く救援に向かいましょう!」
やいのやいのと大声で言い合う執事とそのご主人様。
今ここに仕切るのが巧い久米田が居れば――しかし彼はサボり→デートで外出中のはず――
久米田「――畑くん!艦内データファイル『2のへのツ』を開きなさい!」
畑「あ、師匠!どこへ行ってたんですか?あ、いやファイルですね、お待ちください!」
突如ドアを開け姿を現した師匠に対し、背筋をピンと伸ばして指示に従う弟子。実に従順である。
畑「ありました!“ツギハギ”の生態情報があります!
・・・『ツギハギは通常肉体を持たず、必要な時に生物の死体を繋ぎ合わせて肉体を造ります』
恐らく西は霊体の状態で遺体プールと接触し、内部で身体を合成しプールを破壊したんですね。
消滅させるには肉体を持たない状態の時にダメージを与えるしかないようです」
矢吹「ふん。さすが我が軍きっての科学者だな、久米田。用意周到だ」
かつて矢吹自らスカウトして軍入りさせただけあって、久米田は「能力的には」とても良い幹部であった。
畑「でもなんでいきなりそんな悪霊が出現したんでしょうね。
データを見ると西公平という漫画家は予選で負けた選手たちの中にも含まれていないみたいですし、
『有能なクリエイター』の能力を我が物にするという特徴からしても、
わざわざ危険地帯の中、有象無象の敗北者たちで肉体を構成しなくたって・・・」
自分で言ってて気持ち悪くなりながら畑が悩んでいると、久米田がチッチッと指を鳴らした。 久米田「考えられる事はいくつかあるが、色々鑑みて見るとだな。 わざわざ危険地帯で条件の悪い死体を使っててでも、 ツギハギには恐らく実体化しなければならない事情があるという事だ。 私の予想ではツギハギは囮、今頃別働隊が何らかの行動を起こしてると見たね」 へぇ〜と素直に感心する畑。矢吹は早速電話で人員を呼び出し始めた。 言い出した久米田はさらに思考を進める。 久米田「(しかし本当に別働隊がいるとして、何が狙いだ? 艦にある漫画家生原稿やらの大量のお宝が目的か、“矢吹”の命を奪うつもりか。 漫画家のツギハギが絡むという事は、漫画家の死体もお宝に含まれるかもしれん。 目ぼしい物は軍病院に収納してあるが・・・) ・・・あ゛」 思考の海の向こうに見えた答えに、久米田は小さく声に出てしまう。 頑張って自分を抑えて、改めて脳内データを引き出した。そして、 解答の先にある恐ろしい現実に気づいて一気に狼狽し、顔面蒼白でなぜか阿波踊りをやり始めた。 久米田「(あーなんかヤベー!!俺がいつか独立する日のためにこっそり造ったアレが!! 破壊された俺の研究所から艦内の支部に極秘で持ち込ませたアレが!!バレたら即俺制裁なブツが! 魂を持たぬ『鳥山明の肉体』がよ!!情報ではなんか鳥山生き返ったらしくて、 今んとこ使い道のない<史上最強の戦闘用ボディ>が!!(※9部B307/20部483参照) あんなもん盗まれたらマジで世界滅亡するわ!!どうせ滅亡するなら俺が使うってーの!!)」 畑「師匠・・・どうかしましたか?」 久米田は死んだ魚の目であさっての方向を見ながらヨイヨイ踊り狂っている。 矢吹「ああなったらどうにもならんな。久米田を頼んだぞ畑」 そうして改めてひとりで西公平の許へ向かおうと矢吹は部屋のドアを開ける。 ・・・開けたドアの向こうで、見覚えがある肉感的な薄着美少女が聞き耳を立てていた。 勢いのついた矢吹は止まれず娘にドーンとぶつかり、相手を派手に倒してしまった。 ??「キャアッ!いったぁーい。何するんですか矢吹・・・さま〜」 矢吹「!? おまえはトーナメント予選で審判をしていた河下水希!ここで何をしている?」
思わず声を荒げる矢吹だが、押されて廊下に転がった河下は真夏のような格好で、 派手にまくれたスカートとモチのような美乳を強調しながらナヨナヨとするばかり。 河下「だって・・・“あの方”のお仕事してる声が聞きたかったから・・・」 あまつさえ“ポ”なんて効果音と共に頬まで染める河下。矢吹は思い切り眉をひそめた。と。 久米田「シャーーー!!ええいこの陽気な淫乱娘、私たちは(展望台の外で)別れたはずだ!」 河下「そんな事言わないで!私まだ(仕事でギャグ作家狩りをしてるし)先生を諦めきれないの!」 畑「ええええっボクの知らない間に師匠が愛人をっしかも泥沼!!不潔です最低ですよ師匠ぉぉぉ!!」 ―――矢吹は謎の三角関係を放置してそそくさと事件現場へと向かった。 矢吹「キユより先に火葬場へ着かねばならん。“あれ”を片付けねばな。 研究も終わり長らく倉庫に置いておいたが、巨大な力を持ちえた私にもはや不要のもの。 10年前とは違うのだ・・・私の研究開発したナノマシン最初の実験体『鬼傀(きかい)・零號』は、 もはや氣も抜け動かぬガラクタ。我が師匠の“弟弟子”とはいえ、消さねばならぬ。 <キユドライブ>・・・あの日の前にはもう戻れぬのだよ、キユ、そして零號――― 『 内 水 融 』 よ」 近年珍しいほどに沈痛な瞳をたたえた矢吹は、記憶の森に埋葬された過去を消すため動き出した。 矢吹の師匠とは、現在矢吹に人間の尊厳を剥奪された挙句、四肢を猛者たちに奪われた小畑健。 そしてナノマシンで構成された機械人間・内水融は、10年前のあの日、5月の東京で。 小畑と深き縁のある漫画家のアシスタントとして悲劇の地の只中にいた・・・。 えなり「〜〜へえっくしょん!!・・・なんで幽霊が風邪引くんだ?誰か噂してるのかなーまさかねハハハハ」 荒木「どうしたえなり君?まさかスタープラチナで君の鼻水を拭けなどと言うんじゃないだろうね」 えなり「言うわけないじゃないですか!!・・・でも身体がないと本当に冷えるなーブルブル」 鳥山「オラのアラレボディはどこやっちまったかわかんねぇしなあ。 おめえオラたちに遠慮してっけど、本気でヤベぇって思ったらとり憑いても構わねえからよ」 荒木「だがボクは断る(きっぱり)」 えなり「敵の多い先生と合体するのはもうコリゴリです。あーあ、誰か僕に新しい身体くれないかなあ」 矢吹の宝を狙う坂本を追う男達の中、霊体えなりは渋い顔のままフワフワ空を飛んでいた。
おおっ、こちらもこちらで急展開! ――えなり、肉体と主役の威厳を取り戻すチャンスだぞっ w
肉体はともかく威厳は無理だと言っておこうッ!!
そういえば久米田が作成してたそのボディって、確か軍師の要請で赤塚が奪取に動いていたような
255 :
作者の都合により名無しです :2006/04/06(木) 09:11:02 ID:JrQwtCSn0
そうですよ>赤塚 まったく何年前の伏線だって話ですが全部消化できるかしらー
256 :
雷帝降臨 :2006/04/06(木) 17:39:52 ID:2d35+bLu0
>>166 「信行、私はもう泣かぬ。私達は、永遠に相棒だ」
安西の魂の炎を受け継ぎ、『雷帝』として生まれ変わった雷句。
その紫電の眼光が、燃え滾る闘志を帯びて燦然と輝きを放っている。
「(奴から、一気に凄まじい力が吹き出している…!これが先ほどまで死の淵を彷徨っていた男の闘気か…!!)」
岡田が新生した雷句の力に畏怖を覚えた瞬間、その姿が音もなく消滅した。
「(ヤバイ!!!)」
地を滑るような動きで刹那にして肉薄し、岡田に掌を突き出す雷句。
「オォオオオ!!?」
素早く体を左右に振って突きつけられた掌を外そうとするが、雷句の手はロックオン完了したミサイルの照準のごとく岡田から外れない。
「ザケル!」
その瞬間、雷句の掌から大気を劈く雷撃が放たれた。
「ぐおぉおおおおお!!!」
黄金聖衣を貫き通す威力の電撃が、岡田の全身を焦がし、その体を大きく吹っ飛ばした。
「(ザ…『ザケル』はこいつが持つ雷の術の中でも一番弱い呪文のハズ…それがなぜこれ程の力を!!?)」
宙高く打ち上げられた岡田を追って、雷句もまた跳躍。それを見てとった岡田は空中で体勢を整え、雷の小宇宙を宿した右拳を構える。
「 雷 光 電 撃 (ライトニング・ボルト)!!! 」
電撃を纏った光速の右ストレートが放たれた。
「 ザ ケ ル ガ !!! 」
それを迎え撃つ雷句の掌から、先ほどよりも強力なレーザー状の雷が発射される。
まるで本物の天雷のごとき煌きが、両者の間でほとばしった。
「なにい!!?」
岡田が驚愕をあらわに叫んだ。相殺どころではない。岡田の『雷光電撃』が打ち負け、さらに黄金聖衣の右腕部位までもが砕かれたのだ。
「ぐああぁあああああああああああああああああああああ!!!」
しかし、雷句のザケルガの発動は収まらず、雷句は掌ごと残りの全威力を岡田に直にたたきこみ、地面に激突させた。
「がああああああ!!!」
雷撃と落下の衝撃が同時に炸裂し、岡田の口から血と悲鳴が吐き出された。
257 :
雷帝降臨 :2006/04/06(木) 17:40:49 ID:2d35+bLu0
「手ぇ前ぇ!!」 地に這わされた岡田が激昂し、跳ね起きながら蹴りを飛ばす。 この鋭い蹴撃を雷句はこともなげにかわし、逆に撃ち終わりのところへ回し蹴りを返す。 咄嗟に差し上げた左腕のガードは、またしても黄金聖衣ごと砕け散り、本人も走行中の車から放り出されたかのような速度で吹っ飛ばされて地を転がった。 「……貴様、バケモノか。ただの蹴りで黄金聖衣を破壊するほどの力とは」 岡田が血を吐き出し、驚愕混じりに言った。 「忘れるな。お主は私ひとりを相手にしているのではないということを」 闘志を漲らせた声には、それだけで見る者を圧倒する威圧に満ちていた。 「なるほど、一人の漫画家の存在を丸ごと飲み込むということがこれほどに凄まじい力を生み出すとは……いや、そのような奇跡を可能にする『鳳凰の翼』こそ恐るべし、というべきか。いずれにせよ、『神の力』というのも満更眉唾というわけでもなさそうだ。とはいえ……」 膝をついていた姿勢から、岡田が体を起こす。 「貴様がそこまで強くなった以上……こちらも奥の手を使わねばならん」 そう言って瞳にある決意を浮かべると、両の掌を打ち合わせた。 ひとつ、済んだ音が、闘争の喧騒のなか、いやにはっきりと周囲の者の耳朶を打つ――― そのとき、異変は起きた。 岡田の金色の髪が、長く長く伸びていく。 「(……何だ……この気配は!!!)」 黄金の髪も、聖衣も、全てが黒く黒く染まっていく。 太陽のごとき眩さは、一瞬にして深淵を思わせる闇黒を孕んだ輝きへと変貌をとげる。 「(重苦しい……威圧感と共にある 恐 怖 !!!)」 端で固唾を飲んでいた土塚は、闇の具現というべきその姿に圧倒される。 「……それがお主の本当の姿か」 しかし、雷句の声に一切の怯えはない。恐るべき強敵を前にして、微動だにしない姿は、まさしく雷帝と呼ぶに相応しい。 「……まさか、この短期間にこの姿を二度もさらすことになるとはな。しかし……こうなったからには、貴様の死は絶対だ」 黒雷をまとった魔人が、雷帝に前に立ちふさがる。 黄金と漆黒、対極に位置する雷が弾けあい、嵐を呼ぼうとしていた。
258 :
作者の都合により名無しです :2006/04/06(木) 23:51:24 ID:GGayTWzT0
_ ∩ ( ゚∀゚)彡 雷帝!雷帝!なんか黒い人キタヨー! ( ⊂彡
>>22 「う おおおお」
「ライダァァァアアアア キィ――――ック!!」
地上で雷句と岡田が火花を散らしている瞬間、空中では二人の異形戦士が激突していた。
怪鳥のごとく飛翔し、裂帛のとび蹴りをぶつけ合う。
バカア!
互いの足裏が衝突し、数瞬の拮抗を経た次の瞬間、片方の足に亀裂が走り、さらに次の瞬間には爆発して膝から下が根こそぎ吹き飛んでいた。
「うおおぉ」
激痛と驚愕の声をあげたのは、赤い異形の戦士――『仮面ライダーZX』村枝賢一だった。
「クッ」
バランスを失い、そのままでは真っ逆様に自由落下するというところで、村枝は右腕からワイヤーを飛ばして山口貴由の腕をからめとる。
すると、山口は逆にワイヤーを掴んで強く引き寄せ、反動をつけて一気に村枝に接近した。
「零式 積極直突撃!!」
ブチン!
砲弾に等しい拳打が、中途半端に防御した左腕の手首から先を引きちぎった。
「グフ……」
くぐもった呻きをもらして村枝は無様に地面に激突した。
「グ……ア」
完全に破壊された右足と左手は、すでに痛みすら感じなくなっていた。
自分は死に掛けているのか、それとも痛みすら感じぬ怪物になろうとしているのか。村枝自身にも、もう判別がつかない。
「ハア ハア ハア ハア ハア ハア」
ZXの両肩から煙が噴出し、ベルトが発光する。すると、ZXがたちまち10体近くに分身した。
「幻影装置か……」
一斉に襲い掛かってくるZXの集団に、山口は一瞥もくれることなく、真後ろに肘を突き出した。
「 冥 門 ! 」
超冷凍液を塗布した斬撃用突起が、背後から襲い掛かったZXの水月を貫通していた。
「!!……………………」 声にならぬ呻きが、村枝から漏れた。 胸に穿たれた致命傷から、残されたわずかな血さえもがとめどもなく流れ出ていく。 村枝の肉体は、確実に急速に死の淵へと近づいていた。 「笑止! このような小細工が己に通じると思うのか!!」 勝ち誇った山口の横っ面を、次の瞬間にZXの腕が捉えていた。 ――失われた方の腕で。 「ちぎれた腕で……おもしろいぞ!」 すでに感覚を喪失した腕をしゃにむに振り回し、滅茶苦茶に殴りつける。 それは戦士というより、必死に敵に食らいつく獣のような戦い方。 「姿などどう変わろうと問題なし……それこそ戦士の心意気!」 さらに砕けた足で蹴りかかってきたのを掴みとめ、山口は村枝を捕まえたまま竜巻のように旋回した。 「零式超旋回! うおお!!」 ギュオオオオオオオオオオオオオ!! ブ ン!! 竜巻に巻き上げられたZXの体は矢吹艦の外壁をもブチ破り、遥か上空に投げ出された。 「40回転と激突の脳震で数分間は動けまい! これで決着!!」 推進剤を全開噴射させ、ロケットのごとく飛んで後を追う山口。 無防備にこちらに背中を向けて夜空を舞うZXの姿を見つけると、山口は全身を旋回させ、蹴り足をその背中に向けて突撃した。 山口の必殺キック――零式防衛術『大義』の体勢だった!!
――天下の仮面ライダーが負けるつもりか? 肉体はとっくの昔に死に絶え、今しも朽ち果てようとしていた意識――否、魂に声が響く。 ―― ん な わ け ね ー よ な !! 炎のような熱さのエールが、死の淵にいた村枝を覚醒させる。 「ア・・・・ンザ・・・・イ・・・・」 そのとき、山口は見た!! ボロボロに朽ち果てたはずの死に体が、突然凄まじいまでに眩く、赤い輝きを放ち始めたのを!! 「オオオ オオオオオオオオオオオオ!」 キュボ!! 雄たけびがあがるのと同時に、ZXの足裏の踵の部分が開き、物凄い勢いで炎を吐き出した。 まるで何者かの魂の火が乗り移ったかのごとく! ブオオオオ!! 「ウオオオオオオオオ!!」 「!!………………」 赤い流星と化したZXが、光に等しい速度で向かってくる。山口に為す術などあるはずもなかった。 ―――― ゼ ク ロ ス キ ッ ク !!!! ――――
ギュウウウウウウウウウ!! そして山口は必殺の瞬間、確かに見た!! 赤く輝くZXの全身の負傷が、胸に空いた大穴が、再生不可能なまでに破壊されたはずの手足までもが、瞬時にして再生していく様を!!! 「!!!!!! 再生した!?」 ギガアアアアアアアアアアアアアア!!! 流星の必殺キックが山口の胸元に炸裂した。 「グ・・・・ウウウウウウウ!」 刹那のさらに極まったタイミング、咄嗟に両腕でガードしたのは、やはり一流の証だ。 だが赤き流星の威力は、人間ひとりの膂力などものともせずに圧倒し、二人分の体重を爆発的に加速させて夜空を切り裂いていく。 「砕け散れェェェェエエエエエエエエ!!!!」 グ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ オ オ オ ン !!!!!! 先ほどブチ抜いたばかりの矢吹艦の外壁、そのすぐ近くを再び、しかも先ほどの数倍の規模で砕き割り、舞台はまたも艦内に舞い戻った。 大気圏をも貫くであろう、魂の炎に覆われた流星は破壊の奔流と化して、通路を、施設を、街をなぎ払い、ついさっきまで戦っていた戦場を爆心地へと変貌させた。
ちょwww矢吹艦墜落の危機wwwwww
264 :
作者の都合により名無しです :2006/04/07(金) 21:14:50 ID:/It/wNdr0
くっ安西めオイシイところを持っていきやがってww テレビでえなりがカラオケ大熱唱しててニガワラ
両者とも超一流、彼らにはまだ先がある!
266 :
サイコの悲劇 :2006/04/10(月) 16:12:06 ID:GXWpl2v60
>>251 えなり、鳥山、荒木の3人は、艦内の一室にいた。
というのも坂本を追っている最中、不注意で道に迷ってしまったのだ。
もちろんえなり達は、お宝の在りかなぞ知る由もない。
ふらふら歩いていると、偶然この部屋にたどり着いたのであった。
「ここ、どこら辺でしょうね?」
「なにかの施設か?あまりいい趣味とはいえんな」
「さっきから、なんか嫌な気を感じるんだよな」
3人は、奥へ進んでいく。
すると荒木が何かを発見した。
「な、なんだ、あれは。とてつもなく凄いオーラを感じる」
それは、巨大なカプセルに入った人の肉体だった。
267 :
サイコの悲劇 :2006/04/10(月) 16:13:29 ID:GXWpl2v60
「あっ!!!オラの体!!!」 鳥山は、急いでカプセルに近づく。 ピッ ピッ ピッ フタをあけようと、解除用のボタンを押すが全く効果がない。 どうやらパスワードが必要らしい。 「こうなりゃ、力尽くだ」 荒木がスタンドを発生させた。 その時― 「そこまでだ。その体は誰にも渡さん」
268 :
サイコの悲劇 :2006/04/10(月) 16:15:11 ID:GXWpl2v60
「おめぇらは、矢吹の側近の・・・」 ドアを開け、中に入って来たのは久米田、畑、河下の3人。 鳥山の肉体を起動させるために戻ってきたのだ。 「残念だったな。そいつはオレ達のモノだ」 全身を重火器で武装した久米田が近づいてくる。 「ちょうどいい。矢吹のついでに貴様らもブチ殺してやろう」 荒木が前に出る。 その動作を見てちょっとびびったのか、久米田は一歩退いた。 「ちょっと待ってください。こいつらはぼくがやりますよ」 えなりが荒木を退けて前に出た。 (たいしたことなさそうだな。こいつらならぼく一人でも楽勝だ。) そして、うすら笑いを浮かべたえなりはさらに敵を挑発する。 「なんなら、3人まてめてかかって来てもかまいませんよ。5秒で終わらせてあげましょう」
269 :
サイコの悲劇 :2006/04/10(月) 16:16:41 ID:GXWpl2v60
「なめるなよ!!!」 久米田が、全身に装備したマシンガンやイングラムを乱射した。 しかし、それは霊体のえなりの体をすり抜けていった。 「たった、3匹のアリが恐竜に勝てると思いますか?」 調子に乗ったえなりは、えなり真拳を繰り出そうとした。 一方、畑は影でなにやら怪しげな薬を取り出した。 「これで、終わりだ!!!えなり!!!」 畑は、えなりに向けてその薬を投げつけた。 「ウバァー!!!」 情けない断末魔を挙げて、えなりはその場に倒れた。 畑が投げた薬は市販用のポーション。 ゴーストタイプのえなりに、逆にダメージを与える仕様であった。
弱っ!! 主人公弱っ!!
ここんとこのえなりは、なぜか調子に乗る→ヒドいメに合う、の繰り返しのようなw
マーのアオリ調で言えば「増長するえなりには制裁を」ってえ奴だ
ポーションw 生身でも危険だw
なんか懐かしいノリだな
このぐらいのノリが続いてた頃が丁度良かったな。 変に物語や自分が出した登場人物に愛着持つ奴が出始めてから駄目になった。 避難所で狂ったように自演してた奴とかふと見直すと寒気がするし。
_,,:-ー''" ̄ ̄ ̄ `ヽ、 ,r'" `ヽ. __,,::r'7" ::. ヽ_ ゙l | :: ゙) 7 | ヽ`l :: /ノ ) .| ヾミ,l _;;-==ェ;、 ,,,,,,,,,,,,,,,_ ヒ-彡| 〉"l,_l "-ー:ェェヮ;::) f';;_-ェェ-ニ ゙レr-{ | ヽ"::::''  ̄´.::;i, i `'' ̄ r';' } . ゙N l ::. ....:;イ;:' l 、 ,l,フ ノ . |_i"ヽ;:...:::/ ゙'''=-='''´`ヽ. /i l" .| ::゙l ::´~===' '===''` ,il" .|'". .{ ::| 、 :: `::=====::" , il | /ト、 :|. ゙l;: ,i' ,l' ノト、 / .| \ゝ、゙l;: ,,/;;,ノ;r'" :| \ '" | `''-、`'ー--─'";;-'''" ,| \_
age
279 :
作者の都合により名無しです :2006/04/19(水) 00:08:02 ID:+6pyZJo30
保守
280 :
作者の都合により名無しです :2006/04/21(金) 07:34:04 ID:f7lRwH1YO
週一ペース…よりも遅いか…? 落ちそうでヤバス
ちょっと待ってろ 最近忙しくてな、土日には何とかする
なんかスランプでねえ・・・ 待ってておくれ必ず帰る
283 :
作者の都合により名無しです :2006/04/24(月) 23:42:35 ID:G32Ziqmg0
矢吹様新連載記念age
284 :
サイコの逆襲 :2006/04/26(水) 00:10:57 ID:cnMwV7z00
>>269 えなり「なんだよ!たまに活躍できると思ったらこの仕打ちかよ!
僕の世界はなんて世知辛いんだ!大っ嫌いだ、青い海なんてー!!」
全身からシュウシュウと変な音を立てる幽霊えなり。
気がつけば成仏寸前の非常に厄い状態である。
畑「まだ生きてる?しつこい幽霊ですね!師匠に敵対する悪霊は滅ぼしてくれるっ!とう!」
ポーションに続いて新しいビン類を投げる畑。
えなりは必死に避けるがビンは床に打ちつけられると同時に中身を飛散させ、
消えかけているえなりの霊体に飛沫をペシペシ打ちつけようとする。
えなり「ぎゃああ!液体に少し触れただけで焼けるように熱い!
このままじゃ蒸されちゃうよ!!助けてくださーい!!」
荒木「仕方ないな、一気に蒸発してやろう」
鳥山「え?それって・・・ていうかこの水なんか酒臭ぇぞ?気のせいか?」
荒木「『魔術師の赤<マジシャンズ・レッド>』!!」
畑「お祓い効果を強めるためカクテルと混ぜてあります。名を「青の1号」と言いm」
えなり「 酒 蒸 し だーーーーーーーーー!!!!」
ひ ゅ ぼ っ !!!
―――気化したアルコールに幽波紋の炎が点き、部屋中の空気が一気に膨張・爆発した!!
久米田「うわあ〜鳥山の肉体に火が移ってしまう!運ぶぞ畑くん!」
新しい強化型カツラは大気圏突入時の高熱にも耐えられるステキ仕様なのだが、
鳥山ボディを入れたカプセルにはあまり耐火性がなかった。
久米田は慌ててパネルを操作して蓋を空け、鳥山の肉体を抱えてズルリと取り出す。
えなり「今だ!このどさくさにあの身体へ憑依してやるぜ!」
火事場の混乱を利用し、えなりはボロボロになりながら久米田に向かって特攻した。
よし逝け、えなり!w 起死回生のラストチャンスだぞっ!!
えぇと今、週間少年ジャンプに作品書いてる漫画家ででてないの大亜門と岩代?
つ[大石] つ[西(義)] つ[天野] みきおは・・・いたようないないような
>>287 まだそんなにいたのか…。天野や西(義)あたりは出せそうだけどなぁ。
個人的にホルト状態で岩代に、荒木のファンとして大亜門にでてほしい。
みきおは…今度過去スレ見て見ます。
大石は…バカ兄弟形態ででてほしいなぁ。
みきおはゴッドハンドにヤマトの雑用として雇われて何回か顔だした どんなに死にそうな目にあってもグラナダの科学のおかげで助かる何気にすごい奴 空気だけど
あー渡辺道明のツッコミ担当か! そういやいたなあ(笑)
浅美裕子って出てたっけ?
まだ(旦那は出てる)
天野の名前を16部で見たんだがリボーンの作者とは別人?
それってARIAとかの天野こずえでは
>>294 あっ、そうなんですか。かんちがいしてすいません
…さて、真島からドリルを奪って以来その行方が杳として知れなかった熊倉裕一だが、 彼は今、矢吹艦倉庫(宝物庫)への入り口を捜してBブロックを探索していた。 ちなみにドリルは装備方法がわからなかったので、とりあえず持ち歩いている。 そして、あるビルの前でふと足を止めた。 「…なんだあれは?この廃墟にどうして…。」 そのビルは、外見自体はほかの廃墟と何ら変わりなかった。…しかし、それは廃墟にあるまじきもの…『人工的な光』を持っていた。 どうするか? 光があるということは人がいる可能性が高い。危険な人物かもしれない…無視するか? そう思って立ち去ろうとし…考え直してまた戻ってきた。 もしかすると、探していた通路かもしれない。そもそも本当に人がいるのはわからないし、 また、相手が敵意を持っているとは限らない。万が一敵でも、自分の能力なら倒すなり逃げるなりできるはずだ。 そう考え、熊倉はビルに入って行った…。 …ビルの内部、三階…光っていたところ。 熊倉は十分に注意しながら、光の元である部屋に近づいた。部屋をそっと覗いてみる。 どうやら会議などに使われていた部屋のようだ。錆び付いた机やパイプ椅子が、それでも過去の栄光に縋る様に立ち尽くしている。 その一番奥に『光源』はあった。幾分古い型のノートパソコンだ。 あたりに人の気配はない。少なくともこの部屋にいるのは自分だけだ。 では、このパソコンの持ち主はどこへ消えたのだ?…電源が入っているのなら、何か書いてあるかもしれない。 ダイイングメッセージでもあれば手がかりになるだろう。そう思ってディスプレイを覗き込むと ……!! 彼は自分の考えが甘かったことを思い知らされた。 突然、何の操作もしていないのにスレッドが開いた。 タイトルは「バッ」。 下を読んで行くと、ただひたすら意味の無い文字や記号の羅列が大量に並んでいる。 それも、延々とどこまでもだ。 ブラウザは勝手にリロードを繰り返し、物凄い勢いで不気味な新着レスが増えていく。 ウィルス? ブラクラ? だがこんな例は聞いたことも無い。
レスが700を越えた頃、彼の脳内で何かが警鐘を鳴らし始めた。 これはやばい。単なるPCやネットの異常などではない。もっと別の、何か…… 次の瞬間、モニターを見た熊倉はそのまま凍りついた。 初めて、まともな文字の書き込みが現れたのだ。 992 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/08/29 11:01 す 993 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/08/29 11:01 こ 994 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/08/29 11:01 し 995 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/08/29 11:02 ソ 背中と顔中から冷たい汗が吹き出した。 いけない。 このままこのスレを1000まで行かせては、恐ろしいことになる。 熊倉はそう直感していた。 しかし、読み込みは止まる気配は無い。 996 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/08/29 11:02 ク 997 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/08/29 11:02 ラ 998 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/08/29 11:02 テ
999 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/08/29 11:02 ス 1000 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/29 11:03 \ ミ |i. |i|i|i li/ . | ∩ / / \ //|| il .|i|i|il lil p | / ρ / || i|| ミ、 li .|i|i:l ill | / / ../ i| .||\ || ||| il| i|ill il| / ||. || || | li.| ii; :i; -- ヽ |i|.|| || | .V ill/ ヾ へミ⌒\\ ~\ 丶\ ||..|| ||. || ミ ミ \\ ゝ \\ ヽ丶 . :|| |ii ||. i|| .::;≡へ\ゞヾ ヽヽ ヽヾ'ヽ. . :. ヽ, ) . |i| || li と;::::::::::::::::::ヽ\ヽヾミヾ ヾ ヾ | | ) | | ─. |i| |i|─ 》i:::::::::::::::::::::::::ヽヽミミミヽヽ | ||| :| / ノ ..... || i|| |:::::::::::::::::::::::::::::::ヽヽミミ .| ノ "ノ | 丿 ノノ ..彡ヾ // /'' |i| |i| i:::::::::::::::::::::::::::::::::::l . ゞ/ ノ . / // /ノ ノノ // // //' |i| i|i| /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡//ノ/ ノソ./ソ " // ./// /' _._; ヾミ彡 ∠ー''''へ:::::::::::::::::::::::::彡::::;彡/:; ノ"'ノ ' // // //,彡~// ≡:::::::::::::彡ノ丿 ソ/// /彡/彡 〆 ~~ 丶 '∨>/彡" ヽ σ | ♭ "::彡彡~ / ../ / | //:彡 \\.. / ../ / . | \ ∨ \\.. / ./ ./ . | \ \ \ 1001 名前:1001投稿日:Over 1000 Thread このスレッドは1000を超えました。 もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。
不意に彼の視界で何かが動いた。…マウスと、キーボード。 それらは回転しながら浮かび上がり…その二つの器具の間に、まさに歯車のごとき威力を持つ砂嵐が発生した! 「うっ……ウオオオオォォォォォッッ!!」 熊倉は…盗賊の勘とでも称すべきものによって、かろうじて直撃は免れたものの、浅い傷を全身に受けていた。 直撃を受けていたら、文字通り灰燼と化していただろう。 「くッ…何者だ…!」 「ヒッヒ…オレの「トルネードパソコン』をかわすたぁ…噂通りやるじゃねえか、「王ドロボウ」さん…。」 声の方角には、『スライム』とでも形容すべき帽子をかぶり、飴をくわえた小柄な男。 「…名は?」 「MAR十傑集が一人…『突き抜けのポルタ』北嶋一喜!!」 「何の用だ?いきなり攻撃してきたということは、それなりのわけがあるだろう?」 「オレはもうインターネットで矢吹艦の詳細な見取り図を手に入れたんでね…ライバルは少ないほうがいい。」 そういって、北島は熊倉に歩み寄る。 「ほう…打ち切り漫画家如きが、この「王ドロボウ」にかなうとでも?」 熊倉はあくまでも冷静だ。…相手が明らかに格下だということもあるかもしれないが。 だが北嶋も、強気な姿勢は崩さない。 「それはどうかな…? 時として一発のネタは、千話の連載をも凌駕する…スマートに行こうぜ!!」 Bブロックの廃ビルで、闇の住人たちの、静かなる戦いが始まった…。 To Be Continued...
300 :
作者の都合により名無しです :2006/05/02(火) 00:44:51 ID:nEJg82+A0
>MAR十傑集 スッゲ! スッゲデンジャラス!! まさか糞漫画家連合があるのかwww厄いわねwwww
FAQ Q.ポルタにトルネードパソコンなんてねーじゃねえか。作者は(罵倒語)か?(差別語)か?(編集部検閲削除)か? A.山崎渉 Q.MAR十傑集って何よ? A.マースレのテンプレの一つ。深い意味はありません。二人目以降は多分いないと思います。 ―――――― 後、当方初投稿につき、至らぬ点があるかもしれませんので、その場合は全部なかったことにして下さってかまいません。
オゲオゲ(ククク投稿されればこっちのものだ骨の髄まで伏線利用してくれる) 初投稿乙 これからもよろしくね
これからもよろしくです!
304 :
作者の都合により名無しです :2006/05/03(水) 14:21:01 ID:fayJxUMIO
スマートに行こうぜ!←ワラタ
ジャンプ若手組が最近目立ちだしたが、連載終了した信也は今なにしてんのかな?
前スレ参照
fggwerl;k rl;:re; gkl;h] t;er;tt;:rt;:] ;:rqwe:rqw
ほす
保守 過疎ってるなあ・・・自分に書ける才能があったら投下できるのになあ
そろそろ完結した方がいいのかな?
まあまて
あと一年はやらんと
313 :
天を裂く :2006/05/12(金) 18:57:09 ID:Fp2VMTOL0
>>262 >>257 黒神と化した岡田が兜(マスク)を装着し、完全戦闘体制に入る。 形態が変わった鎧の、その両肘からは細長い曲刀が突き出ている。その肘の刃を中心に、黒い稲妻が集っている。 荒ぶる様とは裏腹に、岡田の目は穏やかだった。だが雷句は、その内に破壊的な小宇宙を感じていた。 「参るぞ――」 バ キ ャ !! 岡田の声が耳に届き終わったかどうかというタイミングで、とてつもない衝撃を浴びて雷句は大地が砕けるほどの勢いで叩きつけられていた。 反発で宙に浮き上がりながら、雷句はようやく自分が殴られたのだと認識する。 「(なンだ… 私 は い つ 殴 ら れ た !?)」 黒い稲妻が見えたと思ったときには、いつの間にか攻撃を受けていた。本性を現す前とは桁違いの速度だ。 まだ空中に浮いたままの雷句に、突っ込んできた岡田が下方から第二撃を放つ。アッパー!! 「(捕った!!)」 すさまじい速さで突き上げてきた拳を、しかし今度は両手で受け止め、捕獲した。…と思った刹那、岡田の腕がさらに黒く輝きを増す。 ギ ン !! 「(一度止めた拳が、黒い稲妻とともに加速する!!)」 防御がまるで意味をなさず、雷句は木偶のように喰らって、さらに吹っ飛んだ。 「小宇宙も昂ぶってきた。いい頃合だ――」 岡田が顔の前で交差させた両腕が、これまでで最大の黒雷に包まれる。 「 閃 光 刺 突 (スパークルレイピア) !!! 」 刹那、小宇宙によって作られた数千なる電光の拳が、その全てを旋回させながら一点に集約し―― さながら暗黒の光槍となって、雷句の体を貫いた!! ごはっと血を吐いた雷句は、そのまま矮躯を竜巻に跳ね上げられたように三度吹っ飛ばされ、地面を砕く勢いで脳天から墜落した。 「(グ……ヌ……とてつもない強さ……やはり一筋縄ではいかぬ…だが!!)」 打ち倒されながらも、雷句は不屈の闘志で跳ね上がりながら、岡田に殴りかかった。
314 :
天を裂く :2006/05/12(金) 18:58:13 ID:Fp2VMTOL0
「ドラグナー・ナグル!!!」 肉体強化した拳で、一直線に顔面を狙った。岡田の虚をついた、絶対不可避のタイミング!! ガキイ!! しかし雷句の予想とは裏腹に、その拳は岡田の右掌にしっかりと掴み止められていた。 「(絶対に防御不能のタイミングだった――それを腕で加速させて間に合わせおった!!!)」 「よい攻撃だ。キレもいい――だが当たりはしない。 我が両腕に宿る刺突剣(レイピア)は防御においても最速なのだ。どのような攻撃に対しても、それ以上の速さで防御する事が出来る――――」 バキイッ!! 「!!!」 「それと同時に、我が両腕は、全てを貫く力も有している」 掴まれていた拳が握り潰された。 呻き声をたてる間もなく、雷句の体が重力を失ったかのように一回転する。 「 天 (転) !! 」 軽々と投げ飛ばされて地面に叩きつけられ、 「 地 (血) !! 」 飛び上がった岡田に、喉を蹴り潰される!! 「 人 (刃) !! 」 雷句がドス黒い血を大量に吐きあげ、その小さな体が血の海に沈む。 「(バ…化物か、この男――私では勝てぬというのか?)」 絶望を感じ始めた雷句の、横たわった小さな掌に、まだ舞っていた炎の一欠片が降りてくる。それはさながら、一枚の羽にも似て―― 「(そうだった――私は一人で戦っているのではなかったな)」 「終わりだ」 黒雷を纏った拳が、眼下の矮躯に向かって振り下ろされ―― 「セカン・ナグル!!!」 ド ン !! 岡田の拳が不発し、地面だけを砕いた刹那!! 「ブロォオオオオオオオオオオオオ!!!」 「ぐぅはっ!!」 脇腹に突き刺さった拳は、鎧ごしにも強烈な衝撃を浸透せしめ、岡田が思わず体をくの字に折った。
315 :
天を裂く :2006/05/12(金) 18:59:00 ID:Fp2VMTOL0
「貴公、その速さ…さらなる肉体強化の術を!?」 後ずさった岡田に、雷句は素早いフットワークで追随する。 「うるさいハエめ…」 電光そのものの拳を、雷句は飛燕のようにダッキングでかいくぐり、 「1・2――――――――!!!」 ドドオオ!! 「グゥウ!!」 目の覚めるような左右のコンビネーションを、先ほどと同じ箇所に叩き込んだ。 「小癪な!!ならば迅速の拳にて引導を渡さん!!」 再び、岡田の両腕にとてつもない規模の黒雷が集う。 「 閃 光 刺 突 (スパークルレイピア)!!! 」 数千の黒い光矢が、またも渦を巻いて雷句に殺到する。 「 サーズ・ナグル !!!」 ドドドドドドドン!!! すると、驚くべきことに、雷句は数千からなる光拳を、残らず拳で打ち落とした!! 「 何 !?」 「ブロォオオオオオオオオ!!!」 ドゴオオオ!!! 拳どころか、体中から吹き出すような雷光の衝撃が、岡田を天高く打ち上げた。 「(ぬかった!ここまで肉体を強化できるとは!!)」 岡田の誤算は、だがこれだけではなかった。 宙空を飛ぶ岡田の視界をよぎったのは、一筋の赤い流星―― 「ムウウウウウウ!?」 グ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ オ オ オ ン !!!!!! それは、地表のあらゆるものを薙ぎ倒しながら、今まさに地面に衝突せんとする、赤き奔流と化した、村枝と山口の姿だった!! 「な…なんだと、しまった!!!」 そして、岡田の吹っ飛んだ位置は、まぎれもなく赤き光流の射線上に他ならなかった。
316 :
天を裂く :2006/05/12(金) 19:00:29 ID:Fp2VMTOL0
「む…村枝殿!!」 両腕でかろうじてしのぎながらも、圧力と加速度でなす術もなく押されまくる山口と、キックを放ち続ける村枝。その姿を確認した、雷句が叫ぶ。 「!!合わせろ、リックゥゥ!!」 激しく空中を疾走しながら、村枝もまた雷句に気づき、叫んだ。 「!!」 呼びかけられた雷句は、ハッと気づいた。 ――ライダーダブルキック!! 男ならば憧れずにはおれないシチュエーションに、雷句の瞳は感激で輝いた。 「フォルス・ナグル!!!」 四段階目の肉体強化! 雷句の全身から電光をともなった凄まじい規模の闘気が噴出し、頭髪や破れた衣服の一部が帯電して逆立つ。 「トォオオオオオオオ!!」 ノリノリで空中高く、ハイジャンプ。タイミングは、事前に打ち合わせたかのような完璧さ。 必殺と決着の意を込め、いざ叫ぶ!! 「 で… ブ ッ !!! 」 ド シ ュ!! 慣れないシチュエーションゆえか、盛大に舌を噛んでしまった!! 「うわ――――――――――――!!!」 口腔内に血が溢れかえり、あまりの激痛に雷句は泣いた!だが、時は待ってはくれない!! 「 ゼンゲビ・ビブブ !!! 」 「電撃キック」と言いたかったのだろう。しかし、その不明瞭な発音は、誰の耳にも理解不可能だった。もっとも、しっかり発音しても、それに耳を傾ける余裕のある者など、その場にはいなかったが。 ともあれ、パワーを集中した雷句の両足は、激しい電撃をまとわせ、突貫した。 金色の彗星が、赤き流星と、今ひとつになる。 ラ イ ダ ー ダ ブ ル キ ッ ク !!!!! 炎と雷が織り成す究極のコラボレーションが、黒き鎧を纏う二体の悪鬼に炸裂し、巨大な爆光となって散った。
317 :
作者の都合により名無しです :2006/05/12(金) 20:17:00 ID:2a/Ymiik0
おおう! かっこ悪いけどかっこいいぜリックー!!
うおー、久々の新作だー!! ダブルライダーキック燃え しかしクウガネタなんて分かる奴いるのかw
燃えるこた燃えるが もはや月刊誌だな
ふと真船先生はウルトラマンに変身しないのかなーなんて思っちゃいました。
デカすぎて、あのあたり一帯が崩壊するだろww
このスレで誰かMUSASHI見てる人いない? モンキーパンチがGUN道ネタやってくれんかな
うおっまぶしっ
GUN保守
干す
326 :
作者の都合により名無しです :2006/05/29(月) 13:19:05 ID:En4NYa+M0
タカヤ終了記念age
327 :
作者の都合により名無しです :2006/05/29(月) 17:03:34 ID:c92uMt950
タカヤは神マンガだった
保守。 ここまで廃ると逆に優しい気持ちになれるな…。
焦りはなくなるな もし完結できたら凄いねえ・・・みたいな
武装錬金アニメ化キターーーーーー!!
331 :
作者の都合により名無しです :2006/06/01(木) 22:54:22 ID:KMyC0aMB0
●腐女子・ウザい女2ちゃんねらは馴れ合い大好き! ・その板によって違う雰囲気を鑑みず、オノレの常駐板の空気が絶対であるかのようにずかずかと土足で 踏み込み、馴れ合いを始め文字通りスレを腐らせる。板違い、スレ違いでもお構いなし。 ・やたらスレの「空気」にこだわり、「あなた空気読めてませんよw」「空気嫁!」と他者を攻撃する。 同時に、自分は空気が読めてる=自分はスレの主流であることを暗に主張する。 ・しかし自分は空気も過去ログも読まない。 ・初心者に先輩ぶった態度を取るのも好き。 ・その板そのスレの空気に合わせようとせず、好みの流れでないと「殺伐としている」 「荒れている」と文句を言う。 ・スレ違いの馴れ合いを叩かれた時の反応「話題がないのが悪い」「お前がネタを振れ」 ・スルーすると、「この話題してもOKなんだ」とか勘違いし出す。 ・聞かれてもいないのに自分語りをし始める。 ・個人的記念日をスレに報告し、祝福のレスを待つ。お気に入りキャラのお誕生会は忘れない。 ・ことあるごとに必ず「マターリしようよ」的なことを連発する。 ・馴れ合いの巣窟と化して人が居なくなると、最近書き込み少ないなどとのたまう。 今ココ>>・馴れ合いの巣窟と化して人が居なくなると、最近書き込み少ないなどとのたまう。
このスレの末路はからくりサーカス以下になりそうだなw
暇だから別府辺りを読み返したが、この頃の流れは神だったなあ。 鬼岩城、ゆで将軍対荒木、車田、別府地獄篇を代表として質の高い長編が多い上に、 局地的な個人戦も総じて質が高く、福地や山賢を代表とする、その戦闘が切っ掛けでブレイクしたキャラも数知れず。 何より、あれだけ膨らんでぐだぐだになり掛けた展開を強引ながらもきっちり収束させたのも凄かった。 ぶっちゃけその後の話の書き捨ての急増と、投下の激減を考えるとあそこで俺達の戦いはこれからだ! 完でも良かったとちょっと思ったw
別府で燃え尽きた感もある 残り二試合だからなあ・・・蝕予言の狂いでラストイベント前倒しとかあってもいいかも
>蝕予言の狂い すでに安西が死んでる時点で狂いが生じてるがな あの時はまさかキャラの生死を左右するほどマーがヤバくなるとは思わなかったぜ……
それもそうだ>安西 なんか久々に脳に電球が光った気がした。頑張ろう・・・まだやれるはず
いっそもうこのスレ終わりでも良いと思うんだけどね 一度リセットして、漫画家が主役っていうコンセプトだけを引き継いだ新しいリレーでも始めれば盛り上がるかも知れん まあ漫画家同士の大乱闘というコンセプトではなく、えなりスレで作られたキャラや物語に思い入れがある人間には到底受け入れない意見だろうし 盛り上がらない可能性の方が大だけど、これ続けても緩慢に廃れてdat落ちするだけだよな、もう
そっち方面は別の層が今やってるからなあ(ひとつのクラスに〜) まあ残りの伏線まとめて切りのいいところまでやればいいかなと えなりの神様が書き手の脳内に降臨するのを待つよ・・・
別府以前から腐っていた カップリングだの厨設定だの無駄に複雑になっていて 野次馬が気に食わない展開になると火病になるし 本当に初期の頃が一番輝いていたよ 餓狼伝が出始めた当たりが一番輝いていた 別府はロウソクが最後に燃え尽きる時の輝き ギャグコメディがシリアスに移行して風呂敷畳めず見事大失敗した典型的な例だな
カップリング云々はにわのが始まりか? 書き手がそれ系のネタ連発してたのは寒かった。
にわの担当って腐女子臭ぇーって思ったんだけど にわの批判しただけで取り巻きだか自演だか良くわからないのが沢山沸いて 猛烈に荒れたからな あの頃から馴れ合い臭が強くなってたんだっけ
また猛烈にみっともない展開になってんな。
愚痴で言うなら
>>339 >>340 >>341 あたりが如何にもマンセーしてそうなネタとかにも
というか、ほとんどのレス、ネタ、展開、流れに、俺も滅茶苦茶に毒吐きたいんだが
でも、まあ、立つ鳥跡を濁さずとも言うしな、止めとくか
くらいの自制心はあるぞ、俺でも。
我慢できないならしょうがないがせめて楽屋裏でやれ。それ用のスレもあるんだから。
(
>>208 13部450 22部431他)
誰もいない世界。
巻来は全てが漂白された“真っ白い闇”の中に佇んでいた。
集英社ビルの爆発と閃光を目撃してすぐにここへ飛ばされた。
ここは岡野剛の持つ過去世界。あまりの衝撃に岡野の記憶の糸が途切れたのだろう。
・・・やがて周りの風景が輪郭を取り戻し、闇がただの白いもやとなって空に融解した時、
巻来は自分がなぜか地面に横たわっている事に気づいた。
全身黒焦げで血まみれになり、火災の熱で溶け出したビニール床の上に力なく倒れている。
昼とも夜ともつかない炎熱と黒煙が、いつの間にか周辺を覆い尽くしている。
巻来「(これは岡野君からの視点か。酷い有様だな)」
動かない目で虚空をぼんやり眺めていると、自分の隣でむせび泣く男の声が耳に入った。
男は岡野の相棒・真倉。どうやら岡野は彼を先ほどの爆発から庇ったために動けなくなったらしい。
真倉はこの当時幽霊ではなく、額から流血しながら岡野に向かって必死に声をかけている。
ここはまだ集英社ビル内で、岡野は霊波バリアで真倉や編集部員を守り続けた末の限界。
ふたり燃え盛るビル内に取り残され、先には絶望しかないと思われた。
巻来「(おや、誰か来たぞ)」
あまりの熱量で陽炎のようにゆらめく視界の中、2人の男がビルの中に飛び込んできた。
黒いレスラーマスクの男と筋骨隆々の大男。恐らくにわのと本宮であろう。
彼らの姿を確認した岡野の意識が途切れてゆき、同時に巻来も五感を失い無の世界に閉ざされた。
巻来が再度感覚を取り戻した時、周囲の状況は悪化の一途を辿っていた。
**** **** **** ****
岡野「・・・あなたは・・・本宮先生、ですよね。 先生みたいな方がなぜ俺なんか助けて・・・?」 炎熱の中、救助者を求めて彷徨い歩く本宮と、彼に背負われた状態で戸惑う岡野。 どうやらビル内で助けられた後の記憶が飛んでいるらしい。 本宮はゆっくり岡野を背負い直すと、瓦礫の隙間を確認しながら返事をする。 本宮「バカヤロー、おまえ俺を何だと思ってるんだ? 神様でもなんでもねえんだぞ、普通にぶっ倒れた人間救助して何が悪いんだ」 言葉の節々に本気で腹を立てた成分が混じっており、岡野は平謝りした。 岡野「あ・・・いえ、すみません。なにしろ大先輩なもので、その」 本宮「へっ、わかったなら大人しく寝てろ」 たしなめるような口調の本宮。 思わず肩を引っ込める岡野だが、ふと相方がいないのに気づく。 岡野「そうだ真倉は!?先生、真倉翔を知りませんか?俺の相棒なんです!」 本宮「ああ、そいつなら、にわのまことっているだろ?お前の友人らしいが。 あいつと一緒に生き残りを安全な場所に避難させに行ったよ」 岡野「彼もいたのか・・・そうか、真倉は無事か、よかった・・・」 安堵の声が漏れる岡野に、本宮は無言で頷き避難場所へと足を向けた。 防火林の杉に囲まれた公園で、岡野は真倉と再会を果たした。 真倉「岡野ォ!あはは、てめーよく生きてたな!無茶しすぎなんだよ!ぶっ殺すぞ!」 岡野「死んでほしかったのなら素直に言え。編集さんたちも大丈夫ですか?」 ススだらけの編集部員たちが揃って手を振る。ほっと息をつく岡野。 民間人も多数難を逃れて公園に来ており、皆一様に呆然とした表情を浮かべている。 東京を久しぶりに襲った大災害を視覚に収め、岡野は改めて恐怖を実感した。
本宮「ありゃ。おい、にわのの野郎はどうした?見当たらねえが」 岡野「彼を知っているのですか?ここに・・・いるんですか」 ―――この日、アシ達と打ち上げのため集英社近くの店を渡り歩いていたにわのは、 ファミレスでアシ共々この惨劇に巻き込まれたそうで(9部A489参照)、 通りすがりの本宮が人影を発見して助けに来たが、アシたちは店の主柱に押し潰されており、 全身血を流したにわのは、独り柱を持ち上げようとするが叶わず涙を呑んでいた。 偶然居合わせた本宮の支えを得て、彼はようやくアシたちの遺体を柱から抜き出し、床に安置する。 やがて本宮は生存者の救助のため、にわの「のみ」を連れてその場を去った。その後、 集英社を護る岡野の霊波を感じたにわのが、本宮と共に崩れるビルへ飛び込み岡野を助けたと云う。 本宮「・・・ったく、勝手にほっつき歩きやがって。連れ戻しに行くか」 岡野「先生、俺も連れて行って下さい。霊感で救助隊を捜したいんです」 本宮「お前もしょうがねえなあ。よし、相棒と一緒に来い。ヤバくなったら公園に連れ帰らすからな」 本宮は岡野を背負ったまま、真倉と共に公園を離れた。 そして彼ら4人はこれからの人生を決める運命の時を迎える。 ───それは目を背けたくなる光景だった。 どこかもわからない薄闇の中、赤黒く染まったコンクリートの上に、 真新しい赤色の模様がさらに色取りを添えている。新しい模様は何本ものうねった線を、 何メートルも地面にこすらせ、本宮達を血だるまの男が倒れている現場へと案内してくれた。 本宮「さっきのファミレスじゃねえか・・・新しい瓦礫でさらに潰れてやがる」 嫌な冷や汗が出てきたのを自覚する本宮。この位置は先刻数名分の遺体を安置した場所だったはず。 今は巨大なコンクリート片に占拠されている。塊の真下の状態は想像したくもなかった。 真倉「いやがった!血の痕跡の先だ!」 3人が駆けつけた先には、地面を芋虫のようにはいずり回るにわのがいた。 本宮「動くな!しっかりしろ!お前大怪我してるじゃねえか・・・」 岡野を真倉に預け、にわのを抱き上げ傷の確認をする本宮が絶句する。 本宮「(なんだぁ・・・手足とかかとの腱が鋭利な刃でぶった切られていやがる)」
本宮「誰にやられた・・・?」 低く呻くような声で詰問する本宮に、相手は答えない。ただ小声で誰かに話しかけている。 にわの「・・・クン・・・ ここが・・・ 世界の・・・終わりなのかい・・・?」 男の右手は何かを掴もうと僅かに動き、さらに傷口に流血を呼んだ。 岡野「気をしっかり持て!目を覚ますんだ」 みすみす目の前で死なせるわけにはいかない。3人は大声でわめき立て、意識を取り戻させる。 しかしうっすら目蓋を開いたにわのの瞳に、生気は一片も残されてなかった。 にわの「・・・・・・」 本宮「起きろ!寝たら本気で死ぬぜお前」 にわの「・・・はっ!せ、先生!ボク・・・今どこで何を・・・そうだ」 胸を撫で下ろした本宮が説明しようとするが、突然にわのはぐっと背を伸ばし、地面に手足を置く。 支えもなく立ち上がろうとして、自重に負けぐにゃりと己の血の泥濘に沈み込んだ。 本宮「ばっか野郎!寝惚けるのも大概に────」 にわの「ダメだ・・・ 追いかけなきゃ・・・ 世界の終わりに連れて行かれてしまう。 行けなかったボクの代わりに、内水クンが『向こう側』に突き抜けてしまう!」 にわのは本宮の腕を払ってなおも立とうとするが、四つん這いの姿勢を保つのがやっとだった。 本宮「内水?アシの1人か?あいつらは全員駄目だったってお前が言ったろ!止まれよ!」 本宮はようやく相手の無茶な行動に合点がいった。 死人の幻が見えていたのだ。だがこの怪我はいったい何者の仕業だろうか。 にわの「どこだ・・・? この瓦礫の中のどこかにいるんだろ!? 会いたいんだ、内水クン、キミに・・・ で・・・でも、 思うよーに・・・ か・・・身体が動かない・・・。 今の・・・今まであんなに自由に・・・! ボクも・・・死んだスタッフのみんなも・・・!!」 無念に満ちた彼の願いは、果たして天に届くのか。 そして何かを考えていた本宮が深く息をつくと姿勢を正し、岡野や真倉にも聞こえる大声ではっきりと宣言した。
本宮「───漫画家はひとりじゃ仕事はできねェ。全力で闘うには勇ましい兵隊どもが必要だ。 俺はこれから私財を投じて、今日みてえな日に俺の手足となる連中を様々な業界から集めようと思う。 へっ、いずれは10万人の大連合だ、こんな火遊びなんざ一時間で消しちまうぜ、絶対よ」 意外な言葉に顔を見合わせる岡野と真倉。にわのの眼の奥に、幽かに新しい光が灯った。 本宮「岡野。真倉。にわの。お前らは俺の新会社の最初の社員だ。なってくれるよな・・・?」 **** **** **** **** 巻来「(この日は君ら『裏御伽チーム』の生まれた日なんだな。負けられない理由がわかったよ、岡野くん)」 岡野の目線から全てを見届けた巻来は、シンクロを解いて岡野の意識内から離れ始めた。 そして巻来は帰路の途中、何かの奇妙な感覚に気づいて周囲を確認し、岡野の記憶中枢の最奥に、 多くの鎖と護符でくるまれ封印された“もの”がある事を知る。それは岡野の持つ最悪の思い出──── 巻来「(<<鬼の手>>に関する記憶か。彼の最大の強さと弱点は、ここにあるのだな・・・ふふっ)」 次に巻来が意識を取り戻した時、彼の立つ場所はウォーゲームなる試合の舞台上で、 今まさに鬼の手によって巻来の『なんかすっごい宇宙的中身』が外に溢れ出す寸前だった。 巻来「わ、待ってくれ!タンマだ、タンマ!ギブアップするよ、岡野くん!」 ウォーゲーム第一戦第一試合、【×巻来功士 岡野剛○】。最初の星は裏御伽チームが奪取した。 巻来「岡野くん、先に言っておくよ。『次に当たった時、必ず君は負ける』。ではまた」 最後まで涼しげな笑顔をたたえたまま、巻来は満足げに舞台から去って行ったのだった。 澤井「あ〜〜〜もう長すぎ!マグマで茹でたラーメン伸びちゃったよ!さあ二回戦やっちゃおうかしらーっ!!?」 待たされ続けてグデングデンの澤井。燃えさかるカップ麺を持ちながら、岡野のいた戦場に向かって歩き出した。
まだ生きてるんだな、このスレも(涙)
無理やり延命処置してる ガンで死にかけの90歳のジジイと同レベルだがw 人気もなくなって 別に編集者もいないのに DBみたく引き伸ばしても良いコト一つもないのにねw いい加減楽にさせてやれよ この辺で終わるとギリギリだが未完のまま美しくなるぞ
イキテルヨ
ドッコイ イキテル!
>>345 の2行目修正
岡野「なんだ・・・礼を言おうと思ったのに。どこへ行ったんだ?」
351 :
作者の都合により名無しです :2006/06/06(火) 21:18:35 ID:534DBeAXO
>349 続きを書いてくれる人がいる限り、まだまだ終わらないさ…。今まで見守ってきたんだから、そんな事言わないで最後まで見届けようよ。
>>351 一番グダグダの原因になりやすい
最悪の理由だねw
まあ終わった方が良いというのは同意だが そこまで必死に粘着せんでも…心が病んでるようにしか見えんぞ
次スレを「完結編」と銘打って今から話まとめればヨロシ 分量的にもちょうどいいでしょ
おいおい 何を根拠に粘着認定してるんだよ。 別人かもしれないのに、荒れる元だぞ。 少なくとも二人以上は、 グダグダと思ってるわけだが。
何人だろうが 「せめていい思い出にしたいから」なんて厨臭い理由で まだ書こうって人間の邪魔すんなよ 勝手に卒業してくれ
>356 俺もそう思う。このリレー小説はみんなで作ってきた物だから、ここまできて個人的な感情で一方的に終わらそうとする事の方が見苦しく見える…。 親切心からかもしれないけれど、書き込みが少ない今に書き込まれると更に荒れる原因になるので終わらせようとするのは余計なお世話。黙ってこのスレから卒業してそっとしておいて下さい。
>>284 20部484
忌まわしきサッカー編にて己の肉体を失いし主人公えなり!
史上最強確実な幻の鳥山明ボディ(久米田博士謹製)をゲットする千載一遇の大チャンス!
えなり「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
畑「ああっ!師匠あぶなーーーーーい!!」
天地鳴動するか如きのえなりシャウト、師・久米田の危機を察した畑はとっさの一撃を放つ!
畑「疾風のごとく師匠を守れ!!力こそパーーーワぁぁ────────!!!!」
ド ウ ッ !!
熱血モードの畑が、懐かしアニメの決め台詞を叫びながら超光速ダッシュで久米田をかっさらう!
しかし勢いがつきすぎて畑は久米田をお姫様抱っこしたまま研究室の壁に全力でクラッシュ!!
畑の“戦闘執事(コンバットバトラー)”としてのスキルは文字通りの自爆技であった!!
久米田「ほんっと困るねえ畑くーん!アーイルビーバァーーーーーック!!」
河下「あ〜待って〜どこ行くの2人とも〜?」
のんきな河下の声が、畑の空けた壁の穴の向こうへと移動してゆく。
こうしてえなりは九死に一生を得たのであった。死んでるけどさ。
荒木「ボディ・・・・・・来たか・・・」
えなり「ハアハア・・・これ本当にもらっていいんですか鳥山先生はあはあ」
鳥山「オラの身体が二個あっても、ロボットでもねえし仕方ねえだろ。
それにこれからの闘いでおめえももっと強くならなきゃならねえ。使ってくれ」
霊力の消費か不気味な興奮か変な呼吸をするゴーストえなり。
荒木「・・・何でもいいが用事は早く済ましたまえ。
ここに坂本がいない以上、矢吹の宝とやらは別の箇所にあるのだろうから」
えなり「あ、はい!ではありがたく・・・先生のお身体いっただきまーす♪」
聞きようによってはエロワードになりかねない言葉と共に、えなりは憑依を始めようとした。
しかしそうは問屋が卸さない───────
??「その身体はワシのものなのだ。悪霊退散太田胃散!なのだ。えーい」
荒木「(な、気配もなくえなり君の背後に立った!?)
突然出現したハチマキとステテコの似合うチョビ髭鼻毛オヤジが、えなりに向かって塩をまく。 えなり「ぐわぁ〜〜!!こ、これはステーキの味を引き立てるユタの岩塩!! それを砕いて清めの塩にしたものか!!ぎゃああ〜僕の霊魂が熱く焼けるようだ〜〜」 突然えなりが悶えだし、同時に霊体のそこかしこから肉を焼いたような煙が吹き出る。 鳥山「なんでユタ州の塩なんだ?おーい大丈夫かよえなりー?」 ??「くっくっく、実はカリフォルニア岩塩なのだ。それよりその肉体は、 我らが“軍師”が必要としているのだ、ひよっこには渡せないから今いただくのだ」 えなり「あちちち〜!どうでもいいから助けてください〜!!」 荒木「貴様ッ!えなり君はこの際放っておく。その小汚い正体を現せ!」 えなり「まあ荒木先生ったらいけない人ッ!」 えなりの醜態はスルーされたまま、荒木に呼ばれた男は堂々と彼らの前に現れた。 赤塚「お前たちには消えてもらうのだ。賛成の反対の賛成なのだ!」 いわゆるバカボンパパモードに<モーフィング>した赤塚不二夫である。 ゴッドハンドの軍師・横山に絶大な戦力として鳥山ボディの奪取を任じられており、 厳重な警備をかいくぐって二本足の猫モードで研究所周辺をうろついていたところ、 慌てて移動する久米田一行を不審に思い、こっそりあとをつけてきたのだ。 荒木「正直言うと何者かとかは実はどうでもいい。だが岩塩は撒くものじゃあない、食べるものだ! 僕はおせっかい焼きの荒木飛呂彦!食い物を粗末にするものを僕は決して許さない!」 えなり「そんな電波な理由でバトルのダシに使われるなんて嫌だぁ〜〜」 嫌がるえなりだが、荒木が一歩前に出ると共に空気が帯電するのがわかり、息を呑んで黙り込む。 赤塚「そこをどくのだ。このままではしおしおのぱーなのだ」 荒木「隙がないな!なかなかの運動神経といいたいッ!」 えなり「(やったあ荒木先生がやる気だぞ!)助かった!ブラボーおおブラボー!」 鳥山「感心してねえでおめえは早く憑依してこっから逃げろ!オラたちは奴を倒す!」 だが赤塚の放つ見えない殺気がえなりを縛り、憑依融合が進まない。 果たして3人は恐怖の刺客の手から逃れることができるのか──────!?
太蔵なみのジョジョネタ連発にワロタw
うむ。純粋に盛り上がれる対戦の組み合わせだな。
不条理ギャグの元祖、本家、大家、その他諸々の赤塚! たとえ荒木といえども予断を許せぬ展開に!!
363 :
作者の都合により名無しです :2006/06/12(月) 16:20:03 ID:02dqlN2D0
しかし赤塚ってどうやって戦うんだ これほど戦闘方法が思いつかない奴はおらん
>赤塚 ひみつのアッコちゃんって、変身以外に戦えそうな能力ありそうだったっけか?
おまわりさんのピストル
(前スレ386) <アレなあらすじ> 霊能者漫画家の武井君が慰労先の別府温泉で謎の人・光原さんのお誘いで、 亜空間内で修行していたらドサクサに違う時空へ迷い込んでしまいました。 そこは宇宙の墓場サルガッソーで、かつて袂を分かつたロリ趣味変態トリオ・ 『三炉里魂(サンロリコン)』の仲間達などが死んでてケンカしたりしました。 そうしたらいつの間にか武井君は記憶を失い、気がつけばサルガッソー内施設・ 宇宙の最終漂着地【サルガッ荘】でのんびり農耕生活を送っていました。 ある日記憶が蘇った武井君。アパートには他のルートでやってきた、 同じく別府旅行に参加していた別のチームも住んでてビックリ。 行方不明の仲間を捜して地球に戻ろうと頭をひねる人たちもいれば、 すっかりここの生活に馴染んだ人たちもいて武井君は驚くことばかり。 別チームのカズロウ君と仲良くなりたいのですが、敵が多くて大変です。 平和な惑星番外地に転機が訪れました。管理人TAGRO氏の習性で発生する台風です。 前の住人にインプリンティングされたという地球夏期〜秋期の気候設定のせいで、 木造二階建てのお屋敷様は崩壊寸前の大パニック。しかしこの暴風で風力発電機が機能し、 行方不明の人の生存反応が見つかり、同時に武井君は帰るためのある案を思いつきます。 果たして武井一行は元の世界へ帰れるのか?おんぼろアパートの運命は? そして特訓の果て新能力に目覚めた井上和郎はこれからどうするのか? 『宇宙賃貸サルガッ荘ふんばりファイトの国』編(仮)は今、完結の時を迎える────。
武井「───言っておくがテストは無理だからな!何が起こるかわかんねーから! なにしろ理論もへったくれもない、だけどそれが僕たちの職業だ! 言ってることが自分でもわからんがだがとにかくやってみたいんだこれを!わっぷ」 口の中に斜めからの雨を大量にぶち込まれながら、 サルガッ荘の中庭で台風のまっただ中、雨合羽も着ない武井が叫ぶ。 聞き手は技来・曽田・疲労でフラフラの井上和郎+右手の岩明。 昼間のはずだが周りは灰色一色だ。 彼らは武井の指示で、青いビニールシートで覆った、 長方形の大きな箱のようなものを三人がかりで運んできた。 一旦芝の上に置かれたそれは、豪雨の反射音をさらに神経質なものにした。 技来「それはわかるが、もう一基急造の風車を増やしたとて本当に・・・」 武井「他にあれほどのエネルギーになるものがここにはないんだ。今日を逃したら、いつになるか」 庭への設置が終わりビニールシートを外した先にあったものは、 一般にジャイロミル型と呼ばれる、回転軸を中心とする同心円上に、 飛行機の羽のような鉄板を数枚、垂直に取り付けた風力発電機。 一見巨大なハンドミキサーに見えるブレードで、揚力を発生させ軸を回転させるのだ。 設置して動かすとすぐに、ブレードは音も立てずに猛烈な勢いで回り出した。 アパートの屋根の上では、屋根修理中の小野と万乗が庭の様子を伺っている。 小野「おやま、二台目の風車を設置するつもりか。 何をやらかすつもりかな武井ちゃんは?排水ポンプでも動かすのかね」 万乗「なんだろう・・・気になるね。下に行ってみようか」 ずぶ濡れになった武井達がアパート内の地下実験室に戻ると出迎えが2人。 島袋「二基目の電力供給始まりましたよー。OKッス」 武井「マジ?ブレーキないから壊れない内に急がないと・・・早く電力貯まらないかな」 バスタオルで身体を拭きながら、報告を聞いて部屋をうろうろし始める武井。
光原「ふふ、今日はいい天気ね。イケてるわ」 サムズアップしながらにっこりと微笑む光原だが、島袋は浮かぬ顔だ。 島袋「武井さんさ、マジで“それ”やるつもりなの?ヤバくね? もし失敗してアパートが消えたらどうすんのさー。管理人さんの許可を取らないと」 武井「う・・・わかった。オイラぁおっちゃんに説明してくらあ〜」 TAGRO「あ、武井さん!みなさん本当にお疲れさまです。お風呂沸いてますから・・・」 武井「お・・・管理人さん、急な話で悪いんですけど聞いてくれますか」 にこやかな笑顔を見せる貧相な管理人に対し、武井は思い詰めた表情を見せる。 彼らのところへ屋根から降りてきた小野と万乗が近づき挨拶をしようとするが、 それより早く発言した武井の台詞に2人達は思わず目を見開いた。 武井「今からぶっつけ本番ですが、台風のエネルギーを使って、 光原さんに<時空の壁>を破ってこのサルガッソーから脱出しようと思います。 ぶっちゃけ壁に穴が開くかどうかもわかりませんし、最悪次元崩壊だのなんだので、 サルガッ荘、ひいてはこのブラックホール空間そのものが消滅するかもしれません。 それでも僕たちは、いや僕は今すぐ地球に帰りたいんです。 管理人さん、どうか実験の許可をください! お願いします!!」 TAG「そうですか・・・。はい、わかりました。大丈夫ですよ。 この星は小さいですけど私が隅々まできちんと管理していますから。 時空の穴が大きすぎても私がしっかり塞いでおきますから。 がんばってお帰りなさってくださいね。応援しています」 彼は眉一つ動かさず、心から嬉しそうに笑うとくるりと背を向けた。 そして首だけを武井に向け、「前に住まれていた方も、独力で帰還なされました。 私はここを守るため外へ出られませんが、いつかまた遊びに来て下さいね。では」 と言い残して台所へと消えていった。残された武井は小野と万乗に同時に絡まれた。 小野「お前いきなりそれかよ!本当に遠慮がねえなあ!」 万乗「ひどいですよ武井先生、あんな言い方しなくったって」
顔を合わすなり糾弾する2人に立腹する武井。 武井「なんだよ!あんたらは地球に帰れるかもしれないのに嬉しくないのかよ!」 小野「お前には、わかんねえだろうな〜」 武井「わかんねーよ!!」 万乗「行こう、小野さん。お風呂入ろ」 冷淡な物言いで武井のもとを離れる小野と万乗。 バスタオルを肩にかけたまま、武井は忌々しげに拳を握りしめた。 和郎「これから何が起こるんだろう・・・」 疲労のため肩で息をする和郎は、地下室の端で様々な機器類を遠目に眺めている。 以前の住人が遺したよくわからないメカたちと、お別れの時が来たのか。 打ちっ放しのコンクリ壁にもたれながら、和郎は<脱出>準備の最終段階を見守る。 武井「一応、許可は取れた。さっさとやってくれ」 腑に落ちない表情のまま、手荷物の刀と石剣と風呂敷を持った武井は実験組に開始の指示を出した。 技来「電力は充分になった。いつでもオーケーだ」 光原「わかったわ。じゃあ始めるわよ。みんな静かに・・・ね」 巨大なバッテリーに繋がったコードと電極がいくつも刺さったヘルメットを被る光原。 光原「(私の『時空超越』の能力を脳波に流す電気で増幅しようだなんて・・・ある意味非科学的ね、ふふ)」 スイッチが入り、光原は右腕を天井に向けて大きく広げた。 光原「空間を曲げるわよ・・・」 ・・・じりじりと時が流れるが、天井周辺にはまだ何の変化もない。 曽田「時空を捻じ曲げるって、どんな感じなんだろ?よくわからんのだけど」 素朴な疑問に答えたのは和郎に寄り添う岩明。 岩明『単純に言うと、ふたつの地点の距離をなんらかの力によってゼロ、 または限りなく短くする事だ。SFの基本だな。たとえば25mプールの両端の水を、 圧縮して1mの距離まで近づけ、泳いで対岸に移動する。 水を元の位置に戻せば一気に1m先が25m先となり、いわゆるワープするわけだ。 そういえば昔その現象を実行して水泳競争に勝ったギャグ漫画があったな・・・。 ともかく、時空を曲げる能力または方法、そしてエネルギーがあれば空間移動は可能だ』
曽田「そのエネルギーが台風で、能力者が光原さんな訳か」 すげえなと感心する曽田。一緒に話を聞いている和郎は己の右手に寄生する男を見つめる。 和郎「能力・・・ 外側の世界・・・ 空間の穴・・・ ・・・そうか」 先日額にできた血豆のような紅玉を、和郎は無意識のうちに左手で触っていた。 光原「・・・厳しいわね。もうちょっと、なんだけど・・・」 何もない天井に、わずかな空間のひずみが生まれ、時々プラズマを発している。 だがこの“墓場星”の絶対的な吸引力は、容易に逆らえるものではない。 イライラする武井は今にもオーバーソウルしてひずみに突っ込みそうな勢いだが、 以前サルガッ荘で三炉里が暴れたのを管理人に怒られた武井は色々自制してるらしい。 武井「くあ〜やりてー、スピリットオブソード(刃渡り10m超)やりてえー突っ込みてぇ〜」 光原「静かにしないと先生だけ置いていくかもね」 瞬時に土下座する割り切りのいい男武井。だがやはり時空の穴を開けるには決定的な要素がない。 曽田「駄目か・・・」 技来「駄目なのか・・・!」 武井「駄目じゃない!!」 岩明『駄目で元々・・・』 和郎「駄目押しだああ!!」 一同「「 !? 」」 突然叫んだ和郎の声に驚き注目する一同がはっと息を呑む。 光原が曲げかけている空間の方角に、宙を包み込むように両腕を伸ばしている男。 彼の両手の中心で、虹色のシャボン玉が急速に膨れ上がっているのだ。 技来「その能力は・・・岩明の時空を切り抜く<窓の外>!使えたのか、井上!」 岩明『まだまだ特訓の段階ではあるが・・・・・・上出来だ』 ビーチボールよりも大きくなった虹色の球体が、ゆっくりと上昇を始める。 空中放電で激しくぶれる虚空の一点に、球体が到着したまさに瞬間!
“ パ ァ ァ ン ” ──── ご ぅ っ ・・・・・・!! 光原「時空の穴が開いた・・・!!」 呟くような声は、同時に発生した強力な上昇気流と、 地表の建物を一部切り取って蒸発させた円柱の条光にかき消された。 極太のレーザー光線は小型惑星を覆う台風を突き破り、遥か無限の彼方の闇を刹那に照らす。 光が去った後にはアメーバ状に蠢く異界への入り口が残り、不安定に明滅を繰り返す。 ぽかんと大口と両目を開けて状況を見守る武井に、叱咤する何者かの声がかかった。 TAG「早く通るんです!この星の引力は強烈です、早くしないと帰れませんよ!」 武井「おっちゃん・・・」 突然現れた管理人のおかげで冷静さを取り戻した武井。改めて見上げると天井壁には大穴が開き、 台風は雲を突き破られて蒸発四散し小雨になっている。穴の向こうには木造アパートの断面。 武井「・・・ごめん、アパート壊した・・・」 TAG「後でゆっくり直しますから、皆さんのお手荷物まとめておきましたから。 早くあなたたちの故郷にお帰りなさい。小野先生たちは地下のお風呂にいて無事ですから」 武井「・・・・・・」 貧相なはずの管理人の力強い瞳が、武井に複雑な感情をもたらした。 ここは宇宙の番外地、外に出たらもう二度と会うこともないだろう。 小野と万乗が見せた非難混じりの目線が武井の頭をよぎる。 自分にもわからぬ何かを言い出せずにとまどう武井に、 TAGROは駆け寄ってビニール袋を2つ持たせた。 TAG「これ、お昼のお茶とおにぎりです。冷凍みかんと夏野菜のおつけものも入っています。 たくさんありますので、皆さんで食べてくださいね。私1人では、片づきませんから」
瞬間、武井は己の感傷の意味に気づき、同時に小野達の言い分も理解し激しく後悔した。 武井「(そうだ、僕たちが出て行ったら、彼はまたひとりぼっちになるんだ。 寂しいに決まってるのに愚痴も言わずに・・・そして永遠に出られないこの地を愛しているのに。 それを俺は脱出だの早く帰りたいだの。僕は・・・なんて愛のない男なんだ!)」 だが煩悶する時間もない。実際空中の穴は徐々に縮小してきているのだ。 武井は頭を思い切り振って言いたい言葉をふたつに絞ると、 ビニール袋を引ったくり、涙を隠して大きく声に出した。 武井「いつか、本当に絶対、遊びに来るよ。できれば家族を連れて。・・・・・・ありがと!」 TAG「今度はアパートを壊さないでくださいね。いつでもお待ちしていますから」 TAGROの笑顔を見届け、背中を見せる武井。迷いはもうなかった。 彼は思い出す。記憶の戻らぬ時期も含めた、このサルガッ荘での穏やかな日々を。 別離の時が来てわかることもある。ここは彼にとって<ベストプレイス>ではなかったか。 漫画家として多くの死地に身を投じた戦士ではなく、 人間・武井宏之としてごく平凡な毎日を過ごしたこの地は、 真の意味で<魂の終着駅>だったのではないか。 社交辞令ではなく、いつかまたここに戻ろうと武井は誓った。帰らずの旅となる覚悟で。 漫画家達の戦争が終わった後に。終の棲家になるかもしれないけれど、それでも。 武井「よし、みんな用意はいいか? 穴に飛び込むぞ。光原、道案内は頼んだ!」 小野「俺は行かないぜ。今度気が向いたら帰るわ」 万乗「僕もパスするねー。畑が心配だもん」 島袋「以下同文!だからおにぎりの袋ひとつ置いてゆくさー」 武井「な゛!? お前ら、いいのか本当に!?」 突然ひょっこり顔を出した風呂上がりの連中の意外な発言に度肝を抜かす武井。 TAGROもまた青白い顔をさらに青くして驚いている。
AG「駄目ですよ・・・あなた達の故郷はここではないでしょう」 悲しそうに首を振る管理人に、3人を代表して小野が返事をした。 小野「故郷は心の中に作るもんだ。俺が決めれば、ここが俺の故郷だ。 仲間との別れは惜しいが、ま、縁があれば、いつかまた逢える」 感極まり静かに涙を流すTAGRO。武井は誰にも何も言い返せなかった。 黙って昼食の入ったビニール袋の片方を小野に差し出し、自分の風呂敷を担ぎなおした。 光原、技来、和郎と岩明、曽田は帰還の意志を示して武井に従った。 TAG「それでは武井さん、皆さん。お元気で。さようなら」 光原「楽しかったわ、管理人さん。残る先生方も、健康第一で精進してね」 名残惜しさを吹き飛ばすように武井。 武井「────僕の背中につかまれ! 絶対離すなよ! 武井家代々全ての魂よ、力を貸してくれ! オーバーソウル『 大 道 龍 』!!」 彼を守る先祖たちの巫力によって一匹の昇竜と化した武井は、 地球に帰る仲間たちと共に、こじ開けた<窓>を通って時空間の荒波へとダイブした。 さよならだ、ベストプレイス。 さよならだ、サルガッ荘。 だけど人生は、なんとかなる。だから本当の別れは言わない。 サルガッ荘───沙流我荘に、僕たちの新しい家に。いつか。 こうして異境で数ヶ月を過ごした武井達は、時の流れが遅い元の世界へと帰って行った。 別府での戦乱から一日と経っていない、懐かしき地球は日本国へと。 ←TO BE CONTINUED....
うおお武井君の一人称間違えた
>>372 の5行目
長いこと荘ルート放置してすみませんでした・・・
光原、みどろさんネタ似合いすぎw こいつはヤクイぜ!
この中で作品を読んだことがあるのは武井氏だけですが、それでもこの熱さには胸を打たれました。 そしてサルガッ荘ルート完結おめでとうございます! …さて、私もいい加減進めなければ…。
パール9m <涅槃で新作待ってるわ
>>347 澤井「ぷはぁーっ!やっぱコーラはジョルトに限るぜ。
炭酸×2のジョルトにな。お前もそう思うだろ?」
安永「いきなり話を振らんでくれい。んでバンチは早よ次の選手を出さんかい」
ウォーゲーム・次の試合、裏御伽代表は澤井。対戦相手が決まらずジュースを飲んでいると、
澤井「・・・アタシの美貌を前に遠慮しあっているのね!でもその必要はないのよ。
アタシは試合前に決めたとおり『シークレット選手』を指名するものっ!!」
叫ぶと同時に飲み干したジョルトコーラの缶を、バンチ控えにいるフード姿の選手に投げつけた!
───しかし缶を空中で奪い取り一瞬で握りつぶしたのは、三浦だった!
三浦「───“こいつ”のご指名はお前じゃねえってよ。
仕方ねえから相手してやるが、俺はつまらん敵とギャグとバリカンが大嫌いだ。忘れるな」
・・・昨晩雷句に散々弄ばれたことを未だ恨んでいるらしい。
缶をそこらに放り捨てた三浦は、完全武装で舞台中央へとやってきた。
澤井「(やだやだ!こういうタイプのヒト苦手!)ふん、あくまで邪魔するのね。
いいわ、試合をやってあげる。でもただの試合じゃつまらないから、
特殊な試合を行うスペシャルダイスを振らせていただくわ!!」
三浦「なんでもいいぜ、好きにしな」
スペシャルダイスを振るとは、両選手の合意のもと、
対戦形式をサイコロで決める事である。内容は舞台によって変化するという。
澤井がどこからか空のラーメンどんぶりを出し、ダイス投入。
チンチロリンという軽快な音が出るが特に意味はない。飛び出した目は・・・「4」。
安永「4番!『決闘ダーツ(仮名)』!
選手達はお互い両肩と頭・腹・局部の5ヶ所に丸板の的を貼り、
相手の板を全部割った方を勝ちとする。ただしルールにより武器は『飛び道具』のみ!
手を出せば反則負け!得物自由!気弾も可!何でも投げて板を割りたまえ!生死は不問!!」
澤井「おっしゃぁぁぁ!ハ〜〜〜ジけまくるぜぇーーー!!シゲキックス買ってこいやーーーー!!」
ネギとレンコンを両手に抱えてゴロゴロ転がり気合いを入れる澤井。
一方無言で両腕を組んだまま涼しい顔の三浦。勝算があるのか?
こうして1stゲーム第二試合<三浦vs澤井戦>が開始された───!!
一見、三浦に不利に見せかけて実はかなり好都合なルールだな ドラ殺以外にも、全身武器の固まりみたいなもんだし
容量半分突破記念専ブラ用便利しおり(1/2) ■アクメツ編(ガンサンチーム殲滅作戦) 改造人間対強化外骨格 >19 >20 >21 >22 スイート&スパイシーナチュラル >54 狂炎獅子 >151 >152 >153 炎の舞/最後の誓い >160 >161 >163 >164 >165 >166 COCKTAIL BOMBOM >176 >177 >178 >179 >180 雷帝降臨 >256 >257 流星、夜を切り裂いて >259 >260 >261 >262 天を裂く >313 >314 >315 >316 ■ウォーゲーム編(トナメ準決勝第二試合) 熱き戦場へようこそジュリエット >33 1st BATTLE 第一試合開始!! >60 >62 >63 魂の声援 >112 >113 森羅万象野郎 >206 >207 >208 過去の古傷と現在の願い >343 >344 >345 >346 >347 (訂正>350) JOLT CHERRY BOMB! >379 ■エリア88編(ゴッドハンド軍襲撃事件) さよなら四角い戦場 >70 >71 白銀の悪魔 >36 >37 >38 >39 >40 豹変 >51 >52 >53 誓いの十字架 >85 >86 >87 >88 >89 >90 >91 >92 >93 >94 >95 >96 >97 >98 >99 >100 >101 (訂正>102) 悪魔の均衡 >184 >185 武神来たる >197 >198 >199 >200
専ブラ用便利しおり(2/2) ■防衛軍+旅景色編(貞本&木村争奪戦) 御緩漫玉旅日記 >76 >77 >78 >79 電脳空間の迷い子 >143 >144 >145 ■矢吹艦騒動編(キユドライブ関連/矢吹のお宝探し) 鉄壁の超人医師 >133 >134 パッチワーク・ロマンス >221 >222 >223 鳥山、復帰 >212 >213 >214 >217 閃武学園激動伝 >238 >239 >240 >241 もってけOh!ドロボー >296 >297 >298 >299 KIND OF BLUE >249 >250 >251 サイコの悲劇 >266 >267 >268 >269 >284 生きるってきっとワクワクMystery >358 >359 ■クラウドゲート編(巣田生還ミッション) 傲りと誇り〜皓焔絶叫〜 >225 >226 >227 >228 >229 >231 >232 >233 >234 ■サルガッ荘編(スローライフ宇宙墓場) サルガッ荘 The FINAL 〜ベストプレイス〜 >366 >367 >368 >369 >370 >371 >372 >373
383 :
作者の都合により名無しです :2006/06/23(金) 08:24:33 ID:Cd26Av/mO
おお、携帯からでも飛べるのか。便利〜
384 :
原子心父 :2006/06/29(木) 15:22:02 ID:TOB8iLWH0
>>358 >>359 より
前回のあらすじ
畑「疾風のごとく師匠を守れ!!力こそパーーーワぁぁ────────!!!!」
こうしてえなりは九死に一生を得たのであった。
荒木「ボディ・・・・・・来たか・・・」
赤塚「くっくっく、実はカリフォルニア岩塩なのだ。」
鳥山「オラたちは奴を倒す!」
果たして3人は恐怖の刺客の手から逃れることができるのか──────!?
よくわかったところで本編をお楽しみください。
荒木「さて…ジョジョの作者としてすごんでみたはいいが、相手はギャグマンガ界の帝王・赤塚不二夫ッ!
しかもこちらはえなり君を守りながら戦わなくてはならないという、非常に不利な状況だッ!勝算はあるか…?」
鳥山「おーい、熱くなるのはいいことだけど、オラのことを忘れてないかー?」
荒木「忘れる…。忘れる…忘れる?」
瞬間、荒木は行動を開始
…しなかった。
荒木「いや、これではだめだ…どうにかしてえなり君と赤塚…さんを引き離さなければ…。」
鳥山「それならオラか荒木君があいつと戦って、もう一人が安全なところまでえなりを連れて行くってのはどうだ?」
荒木の脳内に今度こそ電流が走った。電光石火の速度で行動を開始する。
荒木「鳥山さん…連れて行く必要はありません…赤塚は僕たち二人で…倒すッ!倒せなくても、えなり君を追わせはしないッ!」
赤塚「ほう、どうするのだ?わしのギャグは誰にも止められないのだ。」
なおも余裕の赤塚に対し、荒木が取り出したものは…ポラロイドカメラ。
385 :
怒号層圏 :2006/06/29(木) 15:23:43 ID:TOB8iLWH0
鳥山「荒木?そんなもので何をする気だ?おめぇの『隠者の紫』は知ってるけど、念写でどうやってあいつを倒すんだ?」 荒木「鳥山さん…僕は悲しいですよ…みんなジョジョは第三部で終わったなどと言って…第四部以降を見ようともしない…。 僕の本当に書きたかったものはむしろ第四部以降だというのに…ッ!」 鳥山「あ、荒木…?」 荒木「それって納得いくかぁー?俺はぜんぜん納得いかねぇなぁー」 鳥山「お、おい!荒木!どうしたんだ!?」 どうやら同業者の鳥山にまで第四部以降を無視され(たと勘違いし)て、少々おかしくなってしまったようだ。 鳥山「す、すまねぇ荒木!謝るから許してくれ!今はあいつ(赤塚)を抑えないと危険なんだ!」 荒木「そ、そうだったな…。では…喰らえ赤塚ッ!これが…お前を止める答えだッ!」 荒木の放り上げたカメラをスタープラチナが掴み、写真を撮る!写真に写ったのは荒木、鳥山、そして赤塚の三人。 荒木「『アトム・ハート・ファーザー』ッ!!」 一見、何も変わった様には見えない。だが(術者である荒木は当然として)、鳥山も赤塚も、 自分たちのいる空間から発せられる異様な気を感じていた。 それは言うなれば、夜、暗い山道を歩いているとき、ふと背後に何者かの気配を感じたときの感覚。 振り向いても何も見えないが、確かにどこかに何かがいることだけはわかるような不気味さ。 鳥山「荒木、これは…?」 荒木「さあ、何だろうね…?(鳥山君に説明したら、十中八九あいつにも聞こえるだろう。相手がこちらの能力の正体がわからずに うろたえているうちに倒すのがスタンド戦の常道ッ!今鳥山君に教えるわけにはいかないッ!)」 不気味な事態に二人の足が止まる中……荒木が動いたッ!! ------------------------------------------------------------------------------------------------------------
さて、この三人の壮絶な死闘の顛末には心惹かれますが、それが語られるのはもう少し後のこと。 いましばらくは、漫画家でも編集者でもない不思議な少年の物語を見てみましょう。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------ さて、不思議というよりはっきり言って影が薄いえなりであるが、荒木の『アトム・ハート・ファーザー』によって赤塚(と荒木と鳥山)が 写真の中に取り込まれたことで赤塚の殺気が消え、憑依も順調に… 進まないんだなぁーこれが! ???「ピー……-ブ………」 えなり「 !? !? !? 」 今にも憑依を完成させようとするえなりの耳に、不気味な音が飛び込んできた。 ただ聞いているだけで不快になるような、例えるなら死者の呻き、地獄の風。 えなり「何者だ!どこにいる?言っておくが、こちらには武器は無いが戦うことは出来るぞ!!」 ???「ピ〜ヒョロ!ピーヒョ〜ロぉぉ〜 ……ピーブー」 理解不能な事態に困惑するえなりの前に、『それ』は現れた。 ツギハギの服を着て傘を背負った男(幽霊…と言うか霊体ではあるが)…外見だけで判断するなら、そう形容するのが正しいだろう。 そしてその顔は……
えなり「お、尾田さん!??」 尾田栄一郎作『ONE PIECE』の主人公、モンキー・D・ルフィに瓜二つであった。 しかし……しかし、その内面は全く違う。 そいつこそ、あの矢吹・安西・真島・戸々野といった歴戦の剽窃家をして『パクリ』と言わしめる男… ???「オレ様こそが専門学校卒の超エリィィィィト漫画家、西公平様だー! そこのガキ!その体はエリィィィィトのオレ様が使う!さっさとどきな!」 えなり「なんか見るからにやばい人だー!(ガビーン) エーどうしよう…こんなの聞いてないよ…」 西(公)「口で言ってもわかんねえか?これだから(自主規制)は(自主規制)なんだよ… こんな(自主規制)共は(編集部検閲削除)して(ピーッ)してやったほうが世の中のためだぜ… やべっ、今のオレもしかして超カッコ良くなかった?」 マーを読んだら死ぬ程度の常識がある人が聞いたら『こいつヤバイ薬でもやってんじゃないか?』と思いそうな言葉を吐きながら、 西公平…いや、こんな呼び方したら全国の西さんと公平さんに失礼だな…(ピコーン)そうだ!こいつのことはハムと呼ぼう! ハムは傘を振りかざし、えなりに迫る! えなり「なめるな…僕だっていくつもの死線を乗り越え、強くなっているんだ!ダメージもあるとはいえ、おまえなんかには負けない!」 えなりも亀仙流のポーズ(見様見真似だが)をとり、ハムを迎え撃つ! ハム「アンブレラヒーット!」 えなり「 たたかう にげる |>ぼうぎょ どうぐ」 ハムの振り下ろした傘を、えなりは腕を交差させて受け止めた! ……ら良かったんだけどねぇ…世の中そんなに甘くない。 ハムの傘は狙いたがわず、えなりのわき腹に叩き込まれたァァァァ! ………え?
ハム「ピ〜ヒョロ!ピ〜〜〜ヒョロ!ピーブー これが超エリィィィィトのオレ様の実力だー!」 えなり「ば、馬鹿な…なぜだ?どうして頭上に振り下ろされた傘が横薙ぎにわき腹に当たるんだ?」 過程がどうあれ、えなりが大ピンチなのは紛れも無い事実。再び傘を構えたハムは歩き出す。 えなりに止めを刺し、鳥山明の肉体を手に入れんがため。えなり、絶体絶命!…のはず。たぶん。きっと。 えなり「奴は宴会で飲みすぎたオヤジのようにふらふらした足取りで、正確にあと十秒ぐらいで僕のところに来るだろう! そこで問題だ!この大ダメージを受けた幽霊の状態でどうやってあいつと戦う?」 三択―― 一つだけ選びなさい。 @(i)主人公のえなりは突如反撃のアイディアがひらめく。 (ii)主人公のえなりは突如新しい能力に目覚める。 A(i)西義之が来て助けてくれる。 (ii)岩代俊明が来て助けてくれる。 (iii)椎名高志が来て助けてくれる。 B主役交代。現実は非情である。 To Be Continued... ------------------------------------------------------------------------------------------------------------ さてさて、この物語ももう二十七部。思えば遠くまで来たものですが、この地獄のショウの幕は、じつは今上がったばかりなのです。 シナリオを書き上げるのは、ほかならぬ観客の皆様方でございます。「えなりの奇妙な冒険」、鷹揚のご見物とご参加をお願いいたします。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------
ツギハギは良く分からんが、とにかく凄い電波だw なんだかオラ、ワクワクしてきたぞ!
ポルナレフ吹いたwwwハム糞野郎wwwwww
391 :
作者の都合により名無しです :2006/06/29(木) 20:39:20 ID:iYtZLocB0
投げやりなあらすじwww 荒木がんばれ荒木
荒木は頼りになる男だが、自殺を筆頭にトンデモな暴走を頻繁にしでかすのが玉に傷w ハムはヤバい奴だな・・・まだジャンプにこんな人材が埋もれていたとは
ツギハギ1巻出た・・・・・ 後学のために買った方がいいのか悩む
待て それは孔明の罠だ
ツギハギもいいけど、このスレ的にシンシア・ザ・ミッションはどうよ? さすがにツギハギの域には達してないが、板垣への熱愛ぶりだけはヒシヒシと感じる逸品だ
それ画像見たけど正直別の方面でヤバイかと
397 :
矢上vs :2006/07/09(日) 14:27:35 ID:Rwc52b0M0
>>101 矢上 裕 vs 押井 守 空手とマーシャルアーツ。 それぞれの構えを維持したまま、二人は間合いを詰めていく。 互いの闘気が弾け、徐々に二人の距離は必殺の制空圏に突入する。 クルッ 「む!!」 と、ここで矢上がいきなり真後ろを体ごと向いて背を見せた。 押井がほんの一瞬、戸惑った隙をついて、 「いやーーーーーーっ!!」 ドヒュッと空気を裂いて、矢上の後ろ回し蹴りが押井の顔面に向かって飛んだ。 「ふん、右か!!」 素人には見えない蹴りだが、押井はこれを難なく読んで落ち着いて捌こうとする。 「なっ!!」 だから、当たる目前で蹴りが幻のように消えたとき、押井は驚愕した。 と、思いきや、蹴りはカカト落としへと姿を変えて頭上から降ってくる。 驚きつつもこれをかわそうとする押井だが、そのかわそうとする動きを包みこむかのように、矢上の蹴りは無数の変化を見せて迫ってくる。 押井の義眼を通した視覚には、いくつもの蹴りが見えていた。 「ぬおお!!」 バシイン!! 最後は左肩付近でハイキックをガードしていた。 だが、その威力は押井の巨体に片膝をつかせ、ガードした腕を感電したかのように痺れさせるほどのものだった。 「さすがだ押井守!並のクリエイターならば最初の一撃で死んでいる!!」 「むう・・・これほど変幻自在の蹴り・・・見たこともないわ!!」 格好つけた台詞を吐いて見栄を切る矢上。 その実力に押井はあらためて警戒を強める。
398 :
矢上vs押井 :2006/07/09(日) 14:28:30 ID:Rwc52b0M0
「おまえの攻撃力は把握した。だが、防御はどうかな?」 電撃を纏わせたスタン・ナックルを装備した押井の巨大な拳が走った。 矢上はそれを入り身でかわし、懐に潜り込もうとするが、 「おりゃああ!!」 矢上のその動きを待っていたように押井は身体を俊敏に回転させて、意趣返しとばかりの後ろ回し蹴りを見舞った。 「おわ!!」 慌てて胸の前で十字受けを作った矢上の両腕のガードに、ものすごい勢いで押井の足裏が激突する。 派手に吹っ飛んだ矢上は、空中で一回転して体勢を整え、着地した。 ガードした両腕は感覚がなくなる一歩手前まで痺れていた。 空手で最も強固な十字受けでガードし、さらに咄嗟に後ろへ跳んで威力を緩和させたにもかかわらずだ。 「さすが巨匠って呼ばれた人は違うな!」 「くだらん世辞はいらん。もっと本気を見せろ」 一言ずつ交し合う二人。 そして、心の中で二人は思っていた。 この戦いは次で決着する、と。 「おおお!!」 そのとき、矢上は全身を大気に溶け込ませたような動きを見せた。 体勢は低く、そして速い。 これまでの蹴り技を主体とする派手な動きとは全く対称的な一切の無駄を省いた動きだった。 本来の空手の距離を一足飛びで踏み越え、押井の打撃をそらしながら懐にするりと潜り込んだ。 そして狙いすました顔面突きが、至近距離から空気を裂いて進む。 しかし、押井はこれに素早く反応し、手首を掴んで受け止め、逆に関節を捻って投げに移行しようとする。 が、このとき、投げを打とうとした押井のガードが、わずか一瞬だが下がった。 ズ バ ォ グ ッ !!! 空気を劈くような凄まじい打撃音が轟いた。
399 :
矢上vs押井 :2006/07/09(日) 14:29:12 ID:Rwc52b0M0
赤外線スコープとガスマスクを装備したヘルメットが、粉々に割れて宙を飛んだ。 押井が膝をつくとほぼ同時に、砕けたヘルメットが地面を転がっていく。 全身のほぼ100%を義体(サイボーグ)化し、生身の部分などほとんど残っていない押井だが、脳だけは別だ。 不意をついた激しい衝撃に、脳内は強烈に揺さぶられ、意識を混濁させる。 押井に片膝つかせた攻撃の正体は、肌が触れ合うほどの超至近距離から超高速で放たれた後ろ回し蹴りだった。 ただでさえ音速を超える蹴りは、完全に押井の意識と視界の外から襲ってきたため、押井にとっては光速の攻撃を浴びたに等しいだろう。 まさしく、「光速回し蹴り」というべき絶技だ。 「どうだ、俺は密着状態(ゼロきょり)から、最高速の後ろ回し蹴りを打てるんだ!!」 ビシッと指さす矢上の声は、押井に届いているのだろうか。 正座の形でへたりこんだままの押井の頭部を、矢上のサッカーボールキックが、さらに蹴り飛ばした。 無防備で喰らった押井はたまらず吹っ飛び、その巨体をだらしなく床に横たえた。 突っ伏したようにダウンした押井を確認し、矢上は、 「おっしゃああああああ!!」 と、大金星を叫びながら、残心の構えをとった。 だが、その瞬間 グニャァァアアア〜〜〜〜〜 「!?!?」 視界が突然、水に油絵の具を混ぜ込んだかのように歪んだ。 さらに、色彩も形も無茶苦茶になった景色を、虫食いのように砂嵐が浸食していく。 自分の身に何が起こったのかも分からず、今度は矢上が膝をついた。
400 :
矢上vs押井 :2006/07/09(日) 14:29:58 ID:Rwc52b0M0
「・・・が・・・な・・・なんだこりゃ!?いったい、俺の体はどうなって・・・・」 突然、異常をきたした自分の体に混乱する矢上。 その耳に、ノイズの混じった声が聞こえたのは、その時だった。 「格闘技での勝負は完璧にお前の勝ちだった・・・・」 聞こえてきた声に、矢上はどうっと冷や汗をかいた。 「だが、俺と密着状態になったのは失敗だったな」 矢上の目の前に、押井がその冷徹な義眼で見下ろすように立っていた。 「・・・あ・・・あの蹴り・・喰らっ・・・て・・・立っ・・・それより・・・これは・・・おまえ・・・が・・・?」 視界や聴覚だけでなく、五感の全てが狂わされ破壊されていくような感覚を矢上は味わっていた。 いったい何をされたのか、矢上にはまるで理解できないでいた。 「あの蹴りをもらう寸前、密着状態からお前さんの脳をハッキングした。人体に左作用するコンピューターウイルスのようなもの・・・といえば分かるか?そいつでお前の認識を侵略し、破壊したのさ」 より激しくノイズが混じり始めた声を聴いて、矢上は戦慄した。 自分は完璧にしてやられたのだ、と矢上は思った。 「攻守交代、といったところか。いや・・・・」 喋る途中で、丸太のような足が矢上の顔面を蹴り上げた。 首から上がもげて、凄まじいスピードで遠く離れた壁にぶち当たる。 スーツの頭部がはがされて、血まみれの矢上の素顔が露出した。 「ぐふあっ・・・!」 ガクガクと痙攣する矢上に、さらに顔面に鉄槌を打ちおろした。 ほぼ完全なる義体による人外のパワーを直撃され、矢上の顔面が夥しい血を吹き上げる。 崩れそうになった体に、さらに電撃を纏ったボディブローが突き刺さる。 「ごふっ!!」 矢上の体は、くの字に折れ曲がり背中から青白い火花が噴き散る。 苦しまぎれに放った蹴りは、しかし威力が欠片も失われていたためにあっさりと掴みとめられ、逆に関節を極められて今度こそ投げ飛ばされた。 空手の主武器というべき足を折られ、壁に頭から激突させられた。 壁や床にビチャビチャと血が飛び散り、剥がれた肉片がこびりついた。 「これでは、もはや一方的な・・・・そう、単なる作業にすぎんな」 混濁した意識のなかで矢上はどこか他人事のように、狂った聴覚で押井の声を聴いていた。
401 :
作者の都合により名無しです :2006/07/09(日) 18:19:55 ID:KXp2aU+20
押井koeeeee!! いやぁ〜肉片いやぁぁ〜〜
403 :
作者の都合により名無しです :2006/07/10(月) 12:23:27 ID:2OgqOvp40
キャラ的には
>>99 の続きか?
矢上惜しかったな・・・・
少し気が早いかもしれないが、押井守のラストバトルの相手はやはり高橋留美子か?
留美子動くかなー 犬はそろそろ終わるらしいね
留美子と押井ってどういう関係なの?
うる星アヌメ
(
>>251 >222 >262 21部472)
「ふん、肉体を捨てたか。二重の陽動とはな・・・」
忌々しげに“ツギハギ”の死体を睨む矢吹。ジャンプ有数の危険物・
ハムこと西公平は他者の死体を継ぎ接ぎして実体を持つ悪霊の一種であり、
現在えなりと嫌な感じの死闘を演じているハムはむき出しの霊体。
ハムが先ほどまで暴れていた火葬場は封鎖され、現在矢吹以外の生者は残っておらず、
いいように振り回される矢吹はひどく不機嫌になっていた。
「最下層の作家さまに出し抜かれるか。随分と余裕だな」
やや自嘲の入った低い声で呟きながら、ハムの本体を捜すためきびすを返す矢吹。
しかし帰路の回廊を歩く際、真新しい破壊痕が何度も行く手を阻んだ。
サッカーの試合から続く、寄せては返す超エネルギーの奔流が、矢吹艦の深部にまで及んでいたのだ。
壁に大穴が開き、酸素の薄い上空の風と、夕刻となり海へと還った冬の太陽の残滓が彼の渇いた心に入り込む。
十六夜も雲の合間にぽっかりと顔を出し、珍しい客人を歓迎している。
「・・・そうだ、最近原稿描いてないな。またラブコメ漫画のシナリオでも注文しようか」
自分が本当にやりたいことを、近頃はもしかしてしていないんじゃないかなと。
ふと矢吹は考える。漫画家の漫画家による漫画家のための新世界創造という偉大なる野望。
完璧なる『新世界の神』を目指して、この10年がむしゃらに働いてきた。
多くのものの恨みを買った。掬いきれぬほどの血が流れた。
権力を掌握し、軍隊を持ち、世界最大の戦艦を造った。
見果てぬ夢の先には何かがあるとただ信じてきた。
血の絨毯を軍靴で踏みつけ進んだ己の生き様に、恥じるものなど何も、ない。
「しかし、何かを忘れている気が・・・おっといけない」
キユとの再会から、気持ちが過去に引きずられているのであろうか。
ややぼんやりした矢吹が大切な事に気づいた。ハムが肉体を持たずどこかに消えたのだ。
「<零號>の身体が奪われては大事だ。キユと言い今日は珍客ばかりだな・・・」
ぶつぶつとぼやきながら、矢吹は“鬼傀・零號”こと内水融の保管場所へと駆け足で向かった。
ひとり夜空に輝く、少しだけ欠けた白い月に見守られながら。
(
>>79 >>373 18部311)
しな「うは〜〜〜!!極楽や!!お月さんとマル秘温泉ノート様に乾杯や!!」
玉吉「これは・・・月夜に照らされた幻の露天風呂・・・素晴らしい!!」
くぼた「(ゴニョゴニョ)あのぉ〜・・・僕らこんな事してt」
佐藤「ええ〜〜っ?俺たちこんな事してていいのかなー?てか混浴ですかぁー?」
天野「そ、そんな事強調しないでください!いやらしいセリフ禁止です!!」
くぼた「・・・・・・はぁ・・・」
ほっこりと深き森を包む霧のような湯気。
マイナスイオンとやらも恐らくたぶんたっぷりだ。
ここは福岡魔境の森。みずしなが後生大事に持ち歩く、福地翼の温泉情報メモの帳面が、
彼ら『桜玉吉with地球防衛軍(二期)』を森の奥の温泉様に導いてしまった。
幸いひょうたん池のような形状だったので、男女二手に分かれとっぷりと浸かっている。
こうして大自然のエネルギーに包まれていると、なぜだろう。
昨日からの大騒動が、ねじ巻きのオルゴールを回すようにゆっくりと思い出される。
しな「あー・・・そいや昨日はせっかくの別府やったのに、
散々やったなあ・・・。福地、どないしてんやろ・・・他の連中も」
逢魔が時───大禍時。夕闇も終わり、湯気に混じって瘴気も生まれる。
人間が留まってはならない空間になりつつある、ここは<魔女>の棲む森。
不安げに木々の隙間から月を見上げる、艶姿を湯面に映す天野の傍にある大岩に、
誰にも気配を感じさせずごく自然に、白銀の髪を持つ片眼の女性がゆっくり腰掛けた。
漆原「天野さん、つかぬ事をお聞きします。
あなたは昨晩の“月の大きさ”を憶えていますか?」
天野「はわわっ!漆原さんっ!!(ドキドキ)
あ、え、いえ、見ました!はい、確かあれは─── ・・・あれ?」
突然出現した漆原──ラーメン屋で合流し損ねて追ってきたのだ──に、 心臓が飛び出しそうな程驚いた純朴少女は、 だが慌ただしい昨晩の記憶を遡った際にふと妙な事に気づき首をかしげる。 現在彼女が見上げているのは、まばゆい十六夜の月。しかし、昨晩は・・・。 藤原「たとえば月だ――」 天野「月?」 藤原がバンの屋根に登った。つられて、天野も車外に出て、空を見上げる。 そこには、漆黒の夜空を切り裂くように、美しい三日月が浮かんでいた。 天野「綺麗な月ですね…」 “殺し屋さん”こと藤原芳秀に守られ、傷ついた彼を介抱し、遠すぎる背中を見つめた別府の夜。 彼が『美しいと考える前に、それがどう自分の殺しに関わってくるか』 を考えてしまうという、2人で見たあの月は・・・そう、三日月。 天野「三日月っ!! おかしいです、今日は十六夜、昨日は満月のはずなのに!!」 勢いづいてお湯から飛び出しそうになる天野。 ・・・しかしちょっと考えてみると、確かそんな自然現象が普通にあったではないか。 天野「あ、きっとあれですよ。月蝕です。部分月食だったんじゃあ」 漆原「残念ながら月蝕の情報はなかったわ。日本では来年の春までならないらしいの」 口をつむんだ天野は頷くこともできず不安げに漆原を見つめた。 漆原「・・・ニュースになったかどうかは知らないけど、 一昨日、大会のブロック予選決勝日の夜に、月が漫画家達の紛争で破壊されました。 その後修復されたそうですが、軌道がずれて月の満ち欠けが一日遅れたそうです。 すなわち本当の満月は一昨日だったんです。 その一日ずれた月の磁場が・・・何かを狂わそうとしている。 『蟲』たちが、そう言って不安げにざわついているんです」
天野「そんな・・・これ以上・・・まだ何か起こるっていうんですか・・・?」 九州動乱から一日も経っていないというのに、さらに何かが始まろうとしている? ────それがもしも、始まりではなく、終わりだとしたら? 天野は忘れていた身体の震えが芯から甦り、熱い湯の中で寒さに打ちひしがれた。 (前スレ112) しな「おいおい〜!なんや漆原のねーちゃん、こないなトコにおったんかい! よ〜一緒に仲良う相合風呂と行かへんかーなんつってわははは」 リラックスしすぎてハイテンションになったみずしなが女湯方面の人口増加に気づいた。 漆原「あなた達に用事がありますので、早くお湯から出て下さいね」 しな「せやかてこないなパラダイスよー抜けられませんわあ。 月は人を狂わすゆーけど温泉様との禁断のタッグでノックダウンですわ〜〜」 浮かれて早口でまくし立てるみずしな。 周囲の男どもが煩がり、小柄な彼を湯の中に沈める。 玉吉「黙らっしゃい!」 しな「ごぼごぼぼ(なんやねん)」 そんな喧騒も天野の耳には届かない。彼女の心には小さくない孔が穿たれてしまった。 天野「冬目さん・・・あたしたち、どうなるの?どうすればいいの・・・?」 落ち込む天野になんと声をかければいいのか逡巡する漆原。 しかし次の瞬間、新たな珍客に場を仕切られてしまった。 柳田「むう?また貴様らか!我らが秘密基地建設予定の敷地内に勝手に入り込みおって!」 招かれざる客とはまさにこいつらのこと。 久米田研究所員の柳田理科雄御一行3名様である。 つい先ほどサッカー場でモメたばかりなのに嫌な再会である。
柳田「この温泉は今より我が研究所が接収した。すぐに出るか賃貸料を払いたまえ!」 くぼた「そんな横暴な・・・」 柳田「何か異論はあるか!」 くぼた「ひいい、ごめんなさーい」 相手の剣幕に押されるくぼた。世界征服を企んでるはずではなかったか。 それはともかく非常に空気読めない迷惑者とつきあうのは精神的に疲労が激しい。 温泉宿『松椿』福岡本店再建のため現在別行動をしている、 まっつー&椿あす夫妻と牧野・岩村組がとてもうらやましく思えてきた。 佐藤「やいやいやいやい!温泉は地域の財産だ、あんたなんかに渡すもんか!」 女性陣の前でカッコつけたいのかどうかは知らないが、 佐藤タカヒロが柳田を指さしながら、 腰にバスタオルを巻いて温泉から外に出てきた。 柳田「なんだこの小太りのモヒカンは。栄養バランスが悪いからそんなずんぐりむっくりに」 佐藤「俺の体型はどーーーーだっていいじゃねえかよぉ!吐くぞおっさんコラ」 激しく泥仕合の予感。柳田の連れ、筆吉と東まゆみが間に割って入る。 筆吉「柳田、温泉は別にいいから早く移動しよう。彼らに悪いよ」 東「ほんと馬鹿馬鹿しい!無駄に敵を作ってどうするの?」 柳田「これは神聖な闘いなのだ!私の理想とする住み処を築くためのな! ああ・・・自然に囲まれた狭い木造の懐かしい二階建て、古木戸にトタンや瓦の屋根、 そして研究室と寝床を兼ねた小さな納屋!プラス温泉!まさしくこの世の楽園なりぃぃ!!」 鼻息をフンハフンハ鳴らして興奮する柳田に思いっきり引きまくる佐藤。 佐藤「(ああああああこいつうぜーーーー!!) ぜってえ消えてもらう!俺の光速一本背負いであの世に行きな!!」
タオルがほどけて湯の中に落ちるのもいとわず佐藤は臨戦体勢に入る。 しな「なんやアホらしい!誰かこいつら止めえ!!」 みずしなが思わず頭を抱えたとき────“それ”は起こった。 ??「あなたの望むような楽園へ、今なら連れて行ってあげられるわ。5秒で選びなさい」 温泉の真上の空が裂け、中からまばゆいばかりの光と共に女性らしき声が溢れ出したのだ。 普段科学を盲信している柳田も、この世ならざる情景に凝り固まった精神を光に委ねた。 柳田「あなたが神か!?し、失礼だが神としての証は」 ??「ユークリッド幾何学?リップ・ヴァン・ウィンクル効果?何の事です?」 柳田「神だ!やっと神と・・・!」 なにやら暗号のようなやりとりを経て、柳田は“神”がいる空間の裂け目に向かって叫ぶ。 柳田「──わかりました。後は神の召すままに、仰せのままに! 平民諸君、邪魔したな。溶けるまで温泉に浸かっているといい。 それではさらばだ!ふははははは!!」 興奮が頂点に達した柳田は1ミリ秒も迷わず即答。 同時に彼の身体がふわりと宙に浮き、光に吸い込まれてゆく。 ♪ラ〜ラ〜 ♪ラ〜 ♪ララ〜ラ〜 ♪ラ〜ラ〜 ♪ラ〜 パイプオルガンの音が似合いそうな光景の中、神の元へと誘われる柳田。 筆吉「仕方ないな彼は。では皆さん東さん、お疲れさまでしたー」 柳田の相棒筆吉も淡々と、異界へと導く謎の光に身を投じた。 ??「 ようこそ・・・・・・ 『 外(アウター) 』 の世界へ 」 魔の森に再び闇夜が戻ったとき、柳田と筆吉の姿はこの世のどこにもなかった。
入れ替わりで日本刀とふろしきを持ったひとりの男が、 温泉脇の地上に降り立っていた。声の主とは恐らく別人である。 玉吉「・・・結局今のはなんだったんだ?冷やかしか?」 目をしばたたかせる玉吉に明るい声をかける日本刀の男。それは玉吉の元弟子であった。 ??「あっ悪魔っぽいけどその黄色いお面と声は玉吉師匠!お久しぶりです!」 玉吉「おお武井くんか!金払え!」 武井「いきなりなんですかっ!?代金ってこの“春雨”と、もうひとつ・・・ できたんですね?あの禁断の兵器(13部423参照)が!ありがとうございます!」 と礼を言いながら武井は瞬時に衣服を脱ぎ捨て、 刀を湯気から守る位置の木陰に置くと温泉にどぼんと飛び込んだ。 武井「くあ〜〜〜〜!!やっぱ露天風呂は最高だあ! サルガッ荘の共同風呂も大きいけど地下だったからなあ。 ところで師匠、こっちはまだ冬みたいですけどー今日は何月何日なんですか?」 時間の流れが違う宇宙墓場から戻ってきた武井は、 玉吉から現在の日付を聞きアゴを外しそうなほどに驚愕する。 武井「な!?ま、まだ別府の慰労会から一日しか経ってないんスかあ!?」 サルガッ荘では武井が記憶を失っていた時期も含めて、最低でも二ヶ月近く経過していた。 いわゆる逆浦島太郎状態だ。あんぐりと口を開ける武井に今度は玉吉から質問が飛ぶ。 玉吉「そーゆーお前は昨日の騒ぎの中どこで何をしておったのよ。 そんでさっきのバカ連中をどうしたんだ?先生に言いたまえ」 武井「それは・・・」 光原「涅槃行きよ」 武井「おわあっ!!あ、あんたもう帰ってきたのか」
(12部79) ひょうたん温泉のくびれた部分で、しっかり裸になって湯に浸かっている光原。 くびれを男女の境界線に見立てているらしい。 彼女?は「ふぅ」と気持ちよさそうに息を吐いて玉吉一行に笑いかけた。 光原「突然お邪魔してごめんなさいね。私は『ミザリィ』──光原伸。 あの人達うるさいから、さっきまで私たちがいた世界に案内してあげたわ。 だって彼の言う理想そのものの場所なんですもの。ちょっと狭いし一方通行だけれど」 含むようにクスクスと微笑む妖しき美人・光原。 <案内人>と呼ばれる由縁である。 くぼた「また怖い人が増えた・・・怖い人が・・・ぶるぶるビクビク」 佐藤「か・・・活躍の場がなくなってしまったー!チクショー!」 平和を取り戻した異境温泉だが、天野はまだ底知れぬ恐怖から抜け出せずにいた。 それを知ってか知らずか、ふと光原が天空の月を見上げてミステリアスな隻眼を細めた。 光原「・・・月の満ち欠けに異常が起きているのね。 そこらじゅうに“ゆがみ”が生まれているわ。 ・・・厄いわね」 声を聞いた漆原がはっとして虚空を見渡す。<魔女>を思い出したのだ。 漆原「もしかして、あなたは見えるんですか。何かがどこかへ動こうとしているのが」 光原「そうね・・・たとえば突然現れる『赤い月』。 イタリア語でルーナロッサ。 古くから不吉なことが起こる前触れと、よく言われているわ。 この場合、舞い上がった砂漠の赤砂が月を覆ってしまう現象とは全く別物ね。 月は地球の衛星、幼い頃の地球から隕石によって引き裂かれた肉体の欠片、 そして多くの伝説伝承を持つ古きよき友。 実はね、月がなくなると、地球は滅んでしまうのよ」
これは天文学の話になるんだけど・・・と前置きして話し出す光原。 月と地球、そして太陽との間には絶妙な引力バランスが保たれており、 それが地球における生命の繁栄をもたらした。しかし単純に月が消えただけでは、 致命的なまでの影響はたぶん現れないだろう、 と言われている。問題は───。 光原「問題は、『どの方向に向かって』月が消滅するか、なの。 宇宙からの衝撃でバラバラになって地球上に雨あられとなって降り注いだり、 地球からの衝撃ではじき飛ばされ月の引力に引っ張られ大津波が起こったり、 別の時空に消えたら月の位置が真空になって地表の何割かを吸い込む・・・かもしれない。 ようするに月と地球は一蓮托生、運命共同体なのよね」 光原が生真面目に語る「お月さま」の話に一同聞き入り、 震えていた天野も、気づけば興味深そうに耳を傾けている。 しな「月がのうなると月見できへんで寂しいわ、ぐらいの認識やったわ」 玉吉「逆に地球がなくなったら月星人がおチキュ見できないわけだな!」 武井「またそんな懐かしいネタを・・・んでなんで僕ら月の話をしてるんだっけ?」 漆原「一昨日の夜に、月が一旦破壊されたんです。それから何かがおかしいんです・・・」 それを聞いた光原は瞳を閉じ、天に祈るかのように両手の指を組んだ。 光原「さて、ここからは非科学的なおはなしだけれど、 月には地球の邪気を浄化する力もあるわ。その逆の力も。 実は──月はね、ふたつあるの。あなたたちの目に見える月とそうでない月。 本当の意味で地球が滅ぶのは、 見えない月『赤い月』が見える月『白い月』に取って代わったとき。 赤い月は冥府魔道。おとぎの国と現実世界を繋ぐ<間界>の扉。 闇に魅入られた者達に、扉は悪夢の夜を運ぶ。まさしく不吉の前兆ね。 地球が負の心に覆われて、白い月が完全に滅んだ時、血の色の門戸が大きく開くわ。 地上のあらゆる生物が闇に負け滅び去ってしまうことでしょう・・・」
天野「もしかして・・・昨日の満月が三日月になっていたのは・・・」 光原「ふたつの月が重なったのね。赤い月が可視状態になるほどに、 この世への影響が強まっている。よほど地上で争いが起きたのね。 昨晩は何が起こったの?私たちは夕食前には別の地へ旅立ってしまったの」 昨夜最大の大事変“最初の目撃者”みずしなが大汗をかきながら叫ぶ。 しな「お、王蟲や!ほら映画とかで見るビッシリしたダンゴムシみたいなデカイあれ! あいつらのせいで、九州全土が真っ赤っかに染められたんや!!」 光原「・・・そうなの。この世界に“も”彼らが・・・来たのね」 そう言ったきり黙ってしまう光原であった。 佐藤「も?なんだあいつら、どこにでも沸くんだなあ。 次に旅行に行くときは虫除けだけでなく殺虫剤も持って行った方がいいかもなー」 のんきな佐藤には誰も返事をしなかった。 漆原「<魔女>は・・・この世界が導かれる先を知っているのだろうか・・・」 心地良い温泉だが、もはやくつろぐ気分でもない。 武井達を加えた一行は目的地へ向かう事にした。バタバタ慌ただしい中、 かすかな声で光原がぽつりと一言。 光原「片方が欠けた双子の月は、全てを狂わせるわ。時も、心も、星の宿命までも・・・」 (24部96 6部62 12部347 15部37 21部414) 一昨日の月破壊事件は、月周辺で行われたスパロボ同士の戦闘によるものだ。 <伝説巨神>イデオンの引き起こした、大いなる悪意の果ての破壊衝動は、 長谷川祐一をはじめとした歴戦のロボット乗りたちに、 海より深い深い絶望とそれ以上の迸る情熱を呼び起こさせた。
お前ら温泉大好きだな!
───かつての同志によって完全に瓦解した評議会・黒軍。 生き残りは現在、再起のための戦力を求め、ときた洸一の輸送艦<リ・ホーム>に乗り合わせ、 宵闇と南九州の雲海に身を隠しながら慎重に飛行していた。 その昔リ・ホームの住人だった男──当時の通称『ジャンク屋』が、 単独でMSを駆りこの周辺の海域に飛び込んでいったという情報を得たのだ。 男は現在傭兵業を営んでいる。ときたは彼に“仕事”を依頼しに来たのであった。 全てをかなぐり捨てて黒軍を救援した「元ゴッドハンド」長谷川は、 手術後の経過も良好で、現在は何度目かの軍団会議に参加し元気に熱弁を振るっている。 議長は士郎正宗が務め、艦長ときたは主席の椅子に座り会議を見守っている。 黒軍基地脱出後、無事に合流できた鶴田洋久と熊谷カズヒロ、 評議会崩壊後行き場をなくし、ときたの許に身を寄せた中立派・ 懐かしのセーラー服野郎『ナデシコさん』こと本多健志に、 武器商人の押川雲太朗も混じっており実に賑やかしい。 長谷川「俺の調査によると地球の時計の針が僅かずつ進んでおり、 かつ加速し始めている。これはいわゆるネジレジア混乱の一種、 すなわち月破壊の際に生じた時空間の歪みによる、 地球上の時間がループしたり圧縮または伸張されたりする現象が引き起こされたに違いない!」 押川「ケヒョヒョ、そんな専門用語で言われても、とんと理解できませんネェ〜」 長谷川「だ・か・ら!!さっきから言ってるでしょお!? でかい物量が一気に消滅すると時空間にもでかい影響が出るんだってーの!! それが今なんだ!それに心なし地球の回転そのものが速くなってる・・・気がする!!」 冷たい緑茶を飲みながら茶と唾を飛ばして叫ぶ長谷川。 鶴田「そんな、どっかの漫画じゃあるまいし・・・」 会議室の面々はそれぞれなんともいえない表情をしている。
士郎「わかりました。時間軸の“ぶれ”に対する調査は、 一括して長谷川さんが進めて下さい。さて次の議題ですが、現在私たちは圧倒的な戦力不足です。 現在スパロボ間の戦闘は局地的なものが散発している程度で、 私たちの行動に直接の影響は出ないでしょう。昨晩の九州全土における王蟲襲来のため、 ゴッドハンド軍は戦力を分散し治安回復をはかろうとしていますが、 この鹿児島近辺で叛乱勢力に襲われ混乱しています。そしてかの男もここにいるはず。 ここで今更一戦交えるつもりはありません。接触は最低限の人数で行い、 その場で穏便に交渉できる手段を考えています」 淡々と会議を進める士郎。客人たちのやかましさにも涼しい顔だ。 会議の中で長谷川は、しきりに月とその周辺の異変を気にしていた。 巨大な衛星の消滅を目の当たりにし、かつ手持ちのロボで修復した因縁があるからだが、 他にも理由があった。月の守護者である女神と、彼女の<夫>の存在そのものだ。 長谷川「────もしかしたら」 あることをふと思い出し、ガタリと席から立ち上がる長谷川。 長谷川「謎の遺産『冨樫ファイル』は、この世に二枚ある」 室内に小さなどよめきが広がった。 ときた「冨樫ファイル・・・本多は一度現物を手に入れていたな」 本多「はい、矢吹やゴッドハンドが血眼になって求めていたフロッピーです。 中には漫画家をパワーアップさせる情報があったらしいけど、 あれがもう一枚あったなんて。まさかこれ以上漫画界を混乱させるつもりなのか?」 困惑しながらも、本多は野球場で出会い別れた聖悠紀の言葉を思い出す。 彼は元気にしているだろうか、冨樫ファイルは彼の願いを叶えてくれるだろうか。 聖『私は見たいんですよ。 矢吹か、ゴットハンドか、また違う者達か… 誰が漫画界を真に導くに足る者なのかを』
長谷川「───俺はあの『もうひとつの冨樫ファイル』にも、 とんでもない何かが隠されていると睨んでいる。あれはかの月に存在したもの。 中には<キユドライブの真実>が隠されているという。 真実とは何か?俺にはわからない。 だが多くの組織が求めた存在の片一方だ、何もないと考える方がおかしい。 ・・・冨樫。彼の両腕は宇宙のどこからどこまで伸びているのだろう。 キユなる破壊の使者に関し、奴は何を知り何を語ろうとしていたのか、今とても気になる。 ファイルは発見当時完全に粉々だったが、昨日まで仕事で10年ほど別次元にいた際修理し、 鹿児島の某温泉に隠した。今頃は既に軍師の手元で、解析も終わっている事だろう。 俺はあのファイルをこの手に取り戻したい! できればもう一枚も読みたい!あれらには絶対に大きな秘密がある! 冨樫という存在が、全ての事件の中心にいるのだとしたら!!」 山積された問題用紙を、無理だと投げ出す事は簡単だ。 だが、少しずつでも答案のワクを埋めれば、いつか用紙はなくなるのだ。 熊谷「では頼んだ。議長は何か気になることは?」 長い演説を爽やかにスルーする熊谷。 士郎「そうね、私は・・・『黄龍』の真意が知りたい。 赤軍の主戦力ロボ<四霊>を束ねる、酷薄な老統治者。 あの方は本当に己の意志で、評議会の崩壊を求めているのでしょうか? そもそも決定的な内紛の主原因は何だったのか・・・」 スルーにもヘコむ気配がみじんもない長谷川が10年分の記憶を辿る。 長谷川「なんとなく『聖石』の奪い合いが発端だった気がするが、もはや済んだこと。 これまでに多くの悲劇が起きた・・・敵味方が目まぐるしく入れ替わった・・・ 特に俺が辛かったのはサルガッ荘だ・・・本気で一生出られないと思った・・・」 士郎「この二日で十も年を取ったらしいですね。今度話を聞かせて下さい」 長谷川「特撮話も交えてよければ。 しかし同志との闘いは辛い・・・本当に辛い。 いつか、かつての仲間と再び手を取り合えるといいな。本当にそう思う」
長谷川もまた、己の魂に従いゴッドハンドを捨てた男。 数多くの闘いで互いに傷つきあった戦士達は、長谷川の言葉に心から頷いた。 聖石とは梅澤春人が所有していた、6個の意志を持つ不思議な貴石(いし)。 彼らが選んだ漫画家に力を与え、全ての石が揃ったとき何かの奇跡が起こると言われている。 それぞれの石は既に所有者を得ており、しかし普段はただの石として在る。 紆余曲折を経た石達の現在の持ち主は『荒木』『安西』『和月』『山本(賢)』『大久保』『藤田』。 だが安西は岡田の獄炎で燃え尽き死亡し、石もまた所在が知れなかった。 鶴田「聖石かあ。あれの情報は今ほとんど入ってこないんだよなー。 動きがないって事なんだろうが、戦力になるんだったら捜す価値もあるかな・・・。 あー、しかしどう考えても人手が足りなすぎ。 猫の手も借りてえよ、マジ」 【漫画界を正道に導く】のが本来の仕事である評議会。 タカ派・赤軍とハト派・黒軍。 つい先日までいがみ合いながらも同じ組織として共に活動してきたのだが、 戦乱の果て分裂し不倶戴天の仲となってしまった今では、 もはや本分を全うする事もかなうまい。だが鶴田はせめて最期まで、 評議会の偉大な先人たちに恥じぬ生き方を続けようと思っていた。 そんな決意を秘めた彼でもやはり、愚痴のひとつも言いたくなるのだった。 しかし。 “ ブーン ブーン ブーン ” ふと会議場に聞こえる携帯の着信とバイブ音。 気がつけば闖入者がときたの前の机にちょこりと鎮座しているではないか。 長谷川「あっ!さっき俺の病室を散らかしたトラ猫じゃないか!」 ときた「・・・なんでどら猫が俺の携帯をくわえて机の上に乗っているんだ?しかもこの曲は」
メール着信音はコミックボンボン作家の緊急招集に使われる非常用の曲 (Gガンダム前期OP曲「FLYING IN THE SKY」)だった。 現ボンボン作家・わたせせいぞうや小川悦司らに送られたメールと同じアドレスで、 サッカー場でガンサン狩りが始まった際に、裏御伽チーム副将にわのが、 ボンボン作家達に選手の救援を仰いだものがなぜかチェーンメール状態になり、 かつてのボンボン作家・ときたにまで伝わってしまっていた。 ときた「ボンボン連絡網?今更俺に何の用だ・・・」 苦虫を噛み潰した顔で猫と携帯を見つめるときた。苦い思い出があるのだろうか。 押川「おやおや?ボンボンといえば先日のトーナメント予選で・・・」 選手全員内臓ブチまけて派手におっ死にましたよねーケヒョケヒョ〜と押川が言い切る前に、 猫がおもむろに口を開けて、ときたの手のひらに携帯を落とす。 そして机上でゴロゴロと毛繕いをしながら、突然人間の言葉でしゃべりはじめた。 虎猫『───猫の手、一回だけ貸してやろうか? 化け猫の手でよければ。ま、嫌ならいいさ。 猫は気まぐれだからな。今ならどこにでも行くぜ? ボンボンの方には知り合いもいるしよ。というか俺今連載やってるし』 呆気にとられる人間達の中、鶴田は雷に打たれたように硬直していた。 鶴田「(・・・ま、まままさか!?そんな・・・ありえねー!特にボンボン連載がありえねえ!!)」 わななく鶴田の脳裏によぎる顔は、彼が敬愛してやまない男の豪快な笑顔。 それは【評議会開祖・九大天王】のひとり───小林まことに他ならなかった。 猫だろうが人間だろうがどちらでもいい。これが夢なら醒めないでほしい。 ・・・次の瞬間、鶴田は感情を一気に溢れさせ虎猫に思い切り抱きついた。 鶴田「さすが『ディック』だ!猫って・・・猫って・・・超ストロングだぜぇーーー!!」 九大天王の復活は、もはや形を成さない評議会に果たしてどう影響するのか。 それは一介の流浪猫として行方を眩ましていた小林にもわからない事であった。
(
>>251 )
十六夜の月光を右側から浴びながら、白いマントを翻して軍靴の音を鳴らす矢吹。
目的地は初代ナノマシン型改造人間・内水融を、誰かに『利用』される前に廃棄処分にすること。
矢吹艦の深部にある厳重な倉庫にひっそり置かれたそれは、矢吹にとって特別な存在だった。
・・・なぜなら内水は、矢吹にとって数少ない<友人>と呼べる人間「だった」からだ。
倉庫に向かう途中、“ツギハギ”出現の混乱に紛れて、
矢吹の財を敷き詰めた金庫がいくつか消失し、一部は中身の金銀財宝が散乱している。
矢吹「馬鹿どもには丁度いい目くらましだ」
ツギハギの一味がこれらガラクタで満足して立ち去るようなら、それで構わなかった。
内水の眠る倉庫が近づくにつれ、なぜかコケ・シダ類が廊下を支配し始める。
この艦は何年も前に竣工したものだが、水はけが悪かった等の報告も特になかった。
矢吹「まさか、地上から持ち上げた別府市に王蟲の持ち込んだ菌辺りが付着していて、
それが何らかの原因で深部に持ち込まれ異常繁殖を・・・?」
さすがに空港から距離も離れているし、それはないだろうと頭を振る矢吹。
こちらの後回しにして内水のもとへ向かう事にしたが、
近づくにつれ植物の種類が増え、やっと入り口の大扉を開ける頃には、
周り一面鬱蒼と茂る巨大な森と変貌していた。
多量に水分を含んでジュクジュクとした苔の地面を踏み荒らして進軍する矢吹。
気持ち悪いスポンジ地帯には、ヒルギ(マングローブの一種)が蜘蛛の巣のように根を張り巡らしている。
途中に一部が錆びつき破壊した雨水排水用のパイプがあり、
汚水がだだ漏れになっている。恐らくジャングル化の主原因はこれだろう。
妙な湿気と苔がこびりついて薄暗いカンテラ風照明が気になる矢吹は、
イライラしながら錆びた鉄階段を昇り、最後の小扉を蹴り開ける。
矢吹「何だこれは!!木の根がこんな所まで」 コケ類は侵入していなかったものの、おびただしい数のヒルギたちが壁や地面全てにへばりついている。 華麗勇壮なる矢吹艦も、あまりに巨大すぎて管理の行き届かない部分があるという証明。 矢吹「一段落したら全て焼き払ってやる」 一言吐き捨てると矢吹は早足で歩き出し、やがて倉庫の最深部に到着した。 矢吹「ここもか・・・くそ。あ、あった」 密林の中に人影のようなものを見つけ近寄る矢吹。極力感情を込めず、 ひと思いに吹き飛ばそうと【窓の外】を発生させようとするが、異変に気づき手を止める。 矢吹「違う、こいつは彼ではない!ただの木の根だ。おかしい、どこへ消えた」 壁にもたれ眠る人間によく似た形状の木を、矢吹は憎々しげに見つめる。 もしやこの一面の木に取り込まれ沈み込んでいるのか── 矢吹は急いで枝葉を壁から手で剥がし始める。そして彼は見てしまった。 切り口が瑞々しい、『内側から』引きちぎられた蔓状の植物たちを。 矢吹「目覚めてしまったのか───!? 馬鹿な、あれは外部から氣を専用のキセルで吸わせないと起動しないはず・・・」 驚き飛び退いた矢吹だが、次の瞬間奇妙な、真綿を首で絞めるような閉塞感に包まれる。 自分が他人の形成した≪聖域≫に包囲された事を肌で感じた。 ?「街の掟 『ホーリーランド』 ──────拳を構えろ。最後の勝負だ、矢吹」 矢吹「貴様か・・・森。昨晩は別府でお会いしたかな?元気で何よりだ」 目に見えぬ聖域で矢吹を囲ったのは、矢吹と因縁深きアニマル組のひとり森恒二。 別府浮上の時に仲間達がサルガッ荘に流れゆく中、 森はひとりはぐれてしまい、この場所──矢吹艦の巨大倉庫最奥に飛ばされたのだった。 彼は技来たちがつい先ほど宇宙墓場より無事生還し、 光原・武井と別れ艦内に戻った事を知らない。
森「で、矢吹。ここはどこなんだ?・・・気がつけば俺は奇妙な森の中。 苔むした中に等身大の人形があったんで、拾ったパイプだかキセルだかをくわえさせたら、 突然動き出してふらふらどこかへ消えてしまうし、団の仲間もいねえ。酷いもんだ」 何を勝手なことを───矢吹は怒りに手が震えそうになるが、表面はあくまで平静だった。 矢吹「我が艦の中枢だ。上の居住区などガラクタに過ぎん。 キユの科学は全てここに結晶しているのだ」 森「・・・機密を話すと言うことは、生かして帰すつもりは毛頭ないのだな。 安心しろ、俺もお前を殺すまで帰らん。土産はお前の生首さ」 肩をほぐすように四方を見渡し、矢吹が鼻で小さく笑う。 矢吹「・・・森と森のハーモニーか、夢がMORIMORIとでも言っておこう」 森「相変わらず饒舌だな。その舌と手口でどれだけの人間を弄んできたのだろう。 だが俺は絶対お前に屈しない・・・お前のやり方には『美学』がねえ・・・!!」 別府では宝貝・禁鞭で屈強な漫画家十名以上を地にたたき伏せた矢吹に、 森は勝算もなく立ち向かったわけではない。先手を取って森の領域に敵を封じ込めれば、 そこは森自身がルール。勝てる可能性のある、純粋な肉弾戦による勝負を間接的に申し込んだのだ。 しかし今の矢吹に、相手の意志など1ミリたりとも尊重する気はなかった。 矢吹「・・・美学がない?は、貴様に俺の何がわかる!」 ゴミクズを見るような冷酷極まりない視線が森の心身を抉るように射抜く。 正しいと信じる道を持つ矢吹にとってそれは最大の侮辱。 矢吹「これが本物よ!『知・欠ける事無き王者』の領域を心胆から思い知れ!!」 刹那に崩壊霧散した聖域の、見えない結晶が緑の世界へと消える。 森「なっ───!!? <絶対矢吹空間>で内部からホーリーを破壊しただと・・・!?」 矢吹「もはやホーリーランドなど薄紙一枚ほどの威力も感じぬわ!!」 森「しまっ───技来ィ───ち、ちくしょおォォォ!!」 矢吹「死ィねぇぇぇ─────────!!!!」 ・・・十六夜は、ためらいの月。しかし純粋な心を併せ持つ狂王に、月の思いは届かない。 腕一本で壁に叩きつけられた森の頭部は、完熟トマトのようにひしゃげ、真っ赤な肉片をずるりと壁に塗りつけた。
大作乙。 動きが無かった所はこれでだいたい補完されたのかな?
>「・・・森と森のハーモニーか、夢がMORIMORIとでも言っておこう」 矢吹こういうスットンキョーなとこ好きだなぁ俺w ていうかムス化してるw
ご苦労様です。私にはとてもこんな作品は書けない…。 …とか言っておきながら読んでいた時の一番の関心事が「途中まで書き上げた作品が無駄にならないか」だった私は どう考えても犬の餌です。本当にすみませんでした。
えなりにはよくあること
>>384 >>385 >>386 >>387 >>388 の続き
マル
えなり「僕が○をつけたいのはAだが、正直期待はできない!
この絶体絶命の状況に会った事もない漫画家が少年漫画の二枚目ライバルみたいに
待ってましたとばかり登場ってわけには行かないだろう!
やはり答えは…@しか無いようだな…!」
珍しくカッコいい事…と言っても所詮他人の漫画のパロディーに過ぎないが…を言いながら、
えなりはこの状況を打開する策を一応真剣に考えていた。
ジャンプ・マガジン・サンデー・チャンピオン・その他少年誌・青年誌…彼はそのすさまじい読書経験(漫画限定)から
この状況を打破するためのヒントを探し出そうとしていたのだ。
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以下、ハムが信じられない事態に彼自身の思考を凍結させ、また眼前の事態に対応すべく思考を再開させるまでの
一瞬の間隙におけるえなりの思考及び、自分又は周囲との対話である…!
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えなり「……!!これだ…!」
えなりが自らの経験と直感で導き出した答え、それは…
『DRAGON QUEST−ダイの大冒険−』『DRAGON BALL』『GS美神 極楽大作戦!!』…その他、ありとあらゆる漫画に於ける最終手段――
自らの命と引き換えに相手を倒す、所謂『自爆』或いは『自己犠牲』。
えなりは、これこそが答え@(i)を満たすものであるとの結論に達した。
ではなぜ、最もリスクが高い技であると思われる自爆系の技をえなりが選択したのか?
その根拠はこうだ。
えなり「確かに自爆系の技は「味方の死」というドラマを作り出すために悲劇性が強調され、 そしてほとんどの場合それは成功している! しかし!しかしだ!この系統の技の使い手としてはもっとも有名なアバン・デ・ジニュアール三世の例を 引き合いに出すまでもなく!特に少年誌で自爆技が使われる場合、『仲間の死に激昂』、『理不尽とも思えるパワーアップ』、そして… …『後の復活』まで一つとなっていると見るべきだ! 味方の死という最大級の悲劇!そして絶体絶命のピンチでの、まさかの復活というカタルシス! これだ!これこそ、僕が主人公であることを読者諸君にアピールする最高の方法にして、この状況に 一気に決着をつける最高の一手!ああ…今僕は、神の一手にたどり着いたのでは…?」 えなりがハムと同レベルに見られかねない発言というか、すでに本音と建前、手段と目的が逆になっている上に電波な理論を構築し、 力をオーバーロードさせての体当たり(GS美神のおキヌを思い出してもらえれば幸いである)を決行しようとした瞬間…! ???「やめとけよ…自己犠牲なんて、本当はぜーんぜん格好良いもんじゃあねぇぜ……。」 えなり 「誰だ?僕の邪魔をするのは? ……!!?」 あたかも陽炎のように、或いはそれまで空気と同化していたかのように、ふっとえなりの傍に現れるもの一人。 その者の名は…。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------ (お詫び)本来この直後に前回登場したキャラの自己紹介が入る予定でしたが、 名乗りをもう少し後に持ってきたほうが物語が盛り上がると判断したので、名乗りは先送りさせていただきます。 それに伴い、読者の皆様には大変申し訳ございませんが、前回の最後の一行を皆様の脳内で削除していただく事になりました。 ご迷惑をお掛けして、まことに申し訳ございません。この件につきましては、今後作者のレベルアップおよび このスレの活性化を以って謝罪とさせていただこうと思います。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 声の方を見たえなりは、一瞬自分の目がおかしくなったかと思った。なぜなら… ???「それにな…あいつは俺の獲物だ。俺がやらなくっちゃあならないんだ。」 その男…男だとわかったのは、声が明らかに男性的なものだったからだ…のいるはずの場所には… ???「それが俺の使命なんだ…みんなと、みんなと約束したんだ…。」 何も、いなかった。何も、無かった。 ・ ・ いや正確には、そこには確かに何か…人の形をして、人のように立ち、人の言葉を話すモノがいた。 しかし、その姿はまるで透明な霧に包まれたように、そうでなければそちらを向いたときだけ見た者が盲目に為るかのように、 どうしてもはっきりとは見えない。ハムではなくこの男のほうが幽霊だと言われても、疑うものはいないだろう。 幽霊の様と言えば、声もそうだ。まるで遠いところから、或いは水底から話しかけられているように、ぶれて、不安定で、ぼんやりした声だ。 しかし、その男から視線を離すと、視界の隅にぼんやりとその男が映る。まるで陰のように、ホログラムのように、空気のように。 とらえどころが無く、不確かなものが、確かに、いた。 えなり「お前…いや、あなたは…?何者d…ですか…?」 ???「しがないボロアパートの管理人だ。少し用があって西公平を追っている。」 えなり(アパートの管理人って……イヤだーー!激しくイヤだーーーッッ!!(ガビーン) こんな得体の知れないのが管理人??イヤだー!例え正体が若く美しい未亡人でもごめんだー! いや待てよ、それなら別にいいかも…彼女の不気味な姿を恐れない僕にいつしか彼女は心を開き…これだ!黄金パターンだ!)
(ここまで) えなりの妄想はRomanticよりも止めるのが困難そうだったが、400字詰め原稿用紙6枚分ほど妄想を進めた時点で 今彼と一緒にいる者がどうやら男らしいことを思い出し…泣いた。 この過程を描写したいのは山々であるが、何しろ異常に長い上に興味の無い者にとっては 鬱陶しい長文以外の何者でも無いであろうから割愛することにする。 ???「いきなり黙り込んで…大丈夫か?」 えなり「(そうだった!こいつは男だったんだー!)い、いえ…なんでも…無い……です………。」 ???「そうか…それならいいんだがな…ところでボウズ!」 えなり「はい…なんでしょうか……?」 ???「お前…ジャンプは知ってるか?」 えなり「ジャンプ…漫画雑誌のことですよね?週刊ですか?月刊ですか?赤マルですか?それとも…ヤング?スーパー?ウルトラ?」 ???「週刊少年ジャンプのことだ。」 えなり「ええ…大好きですよ。毎週買ってます。」 ???「そうか…お前、今のジャンプをどう思う?」 えなり「『今の』ということは、『昔の』と比べるんですよね?…そうですね…友人宅で見た昔のジャンプと比べると、 なんというか…漫画の力が落ちているような気がしますね…。覇気が無いというか…悪い意味で同人的というか…。」 ???「そうか…やはりな…読者の目から見てもそうなのだな…。」 そう言った時の男は、何処と無く悲しそうに、また申し訳なさそうに見えた。いや、『感じられた』。 ???「そういえば…なぜ漫画家でも編集者でもないお前のような者がこんな所にいるんだ?」 えなり「少し事情がありまして…鳥山明さんや荒木飛呂彦さんと一緒にいたんですが、なんか変だけどものすごく強いおじさんに襲われて、 荒木さんの能力で三人とも写真の中に入り込んでしまって、一人で鳥山さんの身体――もちろん本人から貰ったものですよ。 ちょっとしたことがあって鳥山さんの身体が二つになってしまいまして。――に入ろうとしているところにあいつが来まして…。 ああ、あそこに荒木さんたちが見えますけど、あれでもう写真の中の世界にいるそうです。…一応言っておきますね。 …って言うか、僕が幽霊なのは別にいいんですか?」 ???「ああ、お前は別に害になる者ではないだろう。職業柄霊には慣れているんでな。 で、脱線してしまったがさっきの話の続きだ。お前も今のジャンプは昔に比べて駄目になったと思うか…。」 えなり「はい…。」 ???「そうか…すまない…俺にもっと力があれば……!!」 えなり「あの…あなたも漫画家なんですか?さっき、アパートの管理人だって…。」
???「兼業だよ。アパートの人たちはマナーがいいので漫画に集中できる。 一応ジャンプで連載中さ。単行本ももう4巻まで出てるんだぜ。」※2006年7月17日現在 嬉しそうに男は話すが、えなりは男の言う漫画が判らなかった。 えなり(4巻…?今現在単行本の巻数が4巻の漫画家はジャンプにはいないはず…!近いのは大亜門先生『太臓もて王サーガ』の3巻だが… こいつはいったい…!?) ???「で、ジャンプの話だ。10年ぐらい前から、ジャンプはおかしくなり始めた。同人的な漫画や、見るに耐えない低レベルな漫画が 蔓延するようになったんだ。」 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------ ※この物語はフィクションです。実在の人物、地名などとは一切関係ありません。 特に漫画家とか。 特に漫画家とか。 特に漫画家とか。 特に漫画家とか。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------ ???「そして、その最右翼にいるのが西公平の『ツギハギ漂流作家』だ。他の漫画からのあからさまな盗用、オリジナル部分の レベルの低さ、 同人層からの異様な…はっきり言って不自然な人気…。」 ※この物語はフィクションです。実在の人物、地名などとは一切関係ありません。 特に漫画家とか、そのファンとか。 ???「そんなものを成長期の多感な時期に読まされる子供たちの身にもなってみろ…可哀想じゃねえか……!!!」 えなり「……」 男の無言の、そして深い怒りが、目には見えずとも…或いは見えぬだけより一層か…えなりに伝わってきた。 えなりにも今ははっきりとわかった。この男、いでたちこそ異常だが、その心は不器用なまでに、少し古臭いほどに真っ直ぐだと。 それにしても奇妙なのが、漫画に関してはひとかどの自信があるえなりにさえ、この男の描いている漫画がわからなかったこと。 これは何を意味するのだろうか…。それとも意味など無いのか…。
???「だから…西公平は俺が倒す。」 男の声がだんだんと熱を、魂を帯びはじめる。 「俺が裁く…俺が引導を渡す!」 それに伴い、今まで儚く頼り無げだった声も、はっきりと力強く響き始めた。 「俺が…」 霧がかかったようであったその姿も、霧が晴れるように、目に光が戻るように、確かなものになり始めた。 「俺が奴を、西公平を…」 徐々に、徐々に、男の存在は確かなものになり始める。 「その魂の最後のひとかけらまでバラバラに………分解してやるんだッ!!!!」 そしてえなりにも、今ははっきりと『みえた』。 「知れ、」 黒いサングラス、黒いコート、腕に黒い刺青のような大きな梵字、そして…白い、その魂を写す様に真っ白な髪。 「案内屋は、」 その瞳に正義と意志を、その腕に怒りと力を宿した、まさに古き良き時代のヒーローというべき姿をした男。 「陰魄を大気に還元する…!」 その名は…その者の名は…“案内屋”岩 代 俊 明 !!
------------------------------------------------------------------------------------------------------------ ……さて、西公平、いやハムは、えなりの反撃とそれを止めた謎の男の登場にしばらく固まっていたが、 ここに至ってようやく正気を取り戻した。 ハム「ピ〜ヒョロ!ピ〜〜〜ヒョロ!ピーブー 貴様ら〜〜〜!この超エリィィィィトのオレ様を差し置いて話し込むとはいい度胸だ〜! ピーブー とにかくオレ様の言うことが聞けない(自主規制)と存在価値も無い空気漫画家はさっさと消えろ〜〜!」 えなり(思い出したー!この人、『みえるひと』の岩代先生だ!言っちゃあなんだけど、確かに空気だから忘れてたーー! そしてこいつ…ハムのことはできるなら永遠に忘れていたかった…。チクショウ… まあ岩代さんが戦ってくれるみたいだからいいか。僕はこの隙に今度こそ鳥山さんの身体に…。) 岩代「ボウズ、お前はさっさと鳥山さんの身体を取りにいけ。俺はこのウスラバカを殺る。」 えなり「(よかった……計画通り!……なんてね…一回言ってみたかったんだ。)はっはいっ!」 ハム「まずは空気のほうから殺してほしいのか〜?鳥山明の身体がある状況でお前みたいな奴の身体に様は無えんだよ!ピ〜〜〜ヒョロ!」 ハムは傘を自分の身体の前に構える。まるで傘を砲身に見立てて、何かを打ち出すかのようだ。 岩代もまた、自らの飛び道具の構えを取る。左手を右手に添え、こちらは右手を砲身にする構えだ。 無限とも思える一瞬の後…二人は同時に動いた。 ハム「ア〜ン〜ブレラァ!」 岩代「けい らん 剄 蘭 」 二つの力はぶつかり合い…そして弾けて消えた。それはあたかも、戦争の始まりを告げる烽火の様であった。 To Be Continued...
まことに勝手ながら、ネタバレ防止のためにタイトルを隠していました。 うたかた タイトルは「めぞん 泡 沫」です。
しまった…痛恨のミス…。
>>434 の一行目、脳内削除をお願いします。本当にすいません。
おお〜続きキタ! 相変わらず脳が痒くなってくるような電波っぷりが凄いw
やたー岩代キター。 これであとは大亜門と天野(リボーン)と西(ムヒョ)がくればほぼ全員そろうな!!
いや「全員」の意味が分からんw
みえないひとキター REDは核実験しすぎ
>原作/横山光輝 脚本/今川泰宏 漫画/戸田泰成 >奇跡のトライアングルが生み出す、真ロボット伝説始動! あまりにも厄過ぎw なんだこの尋常でない化学反応起こしそうなメンツは
>>442 多分、週刊少年ジャンプ新人・中堅組の事だと思う。
戸田が書いてる時点でもうwktk
戸田が書く横山キャラってその時点でネタなのに十傑集とか書いた日には一体どうなっちまうんだ
つ[二代目軍師]
横山先生がお亡くなりなって版権がバラけたので、 十傑集含むGRは永久に日の目を見る事は無いのが残念だな。
今のREDは厄いにも程がある どう見ても週刊と戦力差逆転してるよ 案外こっちの世界でもREDは滅びたように見せかけて実は秋田上層部を密かに牛耳ってるのかもしれん
いかんサイカチ外伝のために買ってこなくちゃ
>>451 戦力といえばウルトラジャンプもダークホースだったり。
UJの漫画家で実力者は既に色んな勢力にバラけてるしなあ。 生え抜きが少ないから当然っちゃ当然なんだが。
主力全員が結集して戦ったらかなりのもになりそうだが>UJ 大半がそれぞれの勢力の主力だからな。
だからその結集する現実味が薄いっつーことなんすけどw うん、しかしこんな心底どうでも良い事で熱くなれる人間がまだ居る事は素晴らしい。
UJ作家で現在登場済みとなると… 荒木飛呂彦 大暮維人 弐瓶勉 桐山光侍 萩原一志 ぐらいか? あと確か以前に平野耕太も描いてたか…(このスレ的に)とんでもない面子だ…。
木城と安永と鈴木央(死亡)も入れてやっておくれ 細かいの入れればカムイとか色々いる
中平正彦に江川達也、熊谷カズヒロも元主力 伊東岳彦と六道神士、小林源文もちょこっと描いてたな。
伊東老師まだ出てないべ
>>431 >>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 より
前回までのあらすじ
えなり「こ…ここが矢吹艦…!!」
久米田「私が矢吹軍の科学者…!! 謎のサンデー漫画家『K』よー!!」
荒木・鳥山(さてはマガジン漫画家――――!?)
河下「みんながんばってね! あたしはモノ陰で応援してっかんね!!」
ハム「くらえ!!! ピーブー☆ザ☆アンブレラ!!」
岩代「バカッ!! 早く鳥山さんの身体に入るんだっ!!」 ロスト
えなり「ンナロ――――――― こ…こんなところで… 消失してたまるかよォォ―――――!!」
畑「こっち壁じゃないか――!!」
よくわかったところで本編をお楽しみください↓
西公平…いやハム対岩代俊明。因縁めいたものも有ったり無かったりする二人の死闘が幕を開けた。
一方えなりは今度こそ鳥山明の身体に憑依すべく悪戦苦闘中。
…と言うか隣で戦われると気が散る。身勝手なようだが人間臭い…かもしれない。
隣で行われている(であろう)激闘に比べれば低レベルではあるが、本人たちにとっては命がけの戦い。
先手を取ったのは…ハム。
羽ペンを取り出し、空間に曲線を描く(ただし羽側で)。その曲線になんだかよくわからないがエネルギーっぽいものを乗せて…
ハム「ピ〜〜〜ヒョロ!!大伴黒羽斬(おおとものくろはねざん)!!」
鋭い、黒い斬撃が岩代を襲う。しかし岩代の表情は動かず…
ケイ フウ
岩代「剄 楓 」
剄…魂の力をこめた手刀で斬撃を叩き落とす。手刀なのに叩くという表現はおかしいかもしれないがとにかく防御した。
そしてその手で野球ボールを生成し、掴み、投げる。高速で。武器と為り得る速度で。
岩代「ゴーストバスター・ストライク!!」 ハム「うおっ、結構早いな。」 ハムもまた、先の岩代のように防御した。傘でボールを叩き落したのだ。 しかし、先程とは状況が違った。弾、つまりボールは一つではなかった。 岩代「ゴーストバスター・ストライク…マシンガンッ!!」 かわされても、防御されても、ボールを投げ続ける。まさに機関銃のように。 何を考えているのか。何を待っているのか。それとも何も考えていないのか。外から見ている者には判らない。 …そうして十秒も経ったころ、遂に痺れを切らしたハムが防御から攻撃的防御へと打って出た。 懐からか、或いは自らの体からか、大量の赤ペンを取り出し、投げる。 ハム「レッドマーカー!」 ペンは不気味な光を帯び、弾丸のように飛ぶ。 インクの代わりに血を求めるように。標的の存在自体を添削し、没にしようとするように。 岩代「くっ…」 ペンとボールの、武器としての威力自体にさほどの差は無い。いやむしろ、岩代のボールの方が攻撃力は上である。 ぶつかり合った球と棒は、互いに分解されあって消滅する。そのボール――剄の残骸が、ハムの髪をそよがせる程度の力の差は有る。 しかし、ハムの方が押していた。程無くして岩代は、回避行動を取らざるを得なくなった。 なぜか?連射力の違いである。岩代は技の性質上、一球ずつ投げなくてはならなかったが、 ハムは同じく技の性質上、一度に3〜5本程度は撃てる。この差が互いの有利、不利として如実に現れ始めた。 えなり「まずい…実にまずい!西の連打に岩代さんが対応しきれなくなっている!」 岩代「……」 だが、岩代の顔に焦りの色は見えない。むしろ笑みを浮かべているようにさえ見える。 その顔は少しゆがんだ…そして、少し悲しそうな、覚悟を決めたものの貌だった。
そして腕を動かし始める。たちまちのうちに、岩代の前、ハムと岩代の間に六角形を組み合わせた形の盾が作り出された。 スイ ジン コウ ダン コウ 岩代「水 陣 "硬 断 甲 "」 ハムの放ったペンの悉くを受け止め、尚傷一つ付かないそれは亀の甲羅にも似て―― えなり「い…岩代さん!!」 えなりが叫ぶ。何かに怯える様に。何かを止めようとする様に。 岩代「心配するな。あの程度の攻撃ではこの盾は破れん。ボウズ、お前はお前のやるべきことをやれ。」 岩代が答える。不安を取り除くために。行動を促して。 しかしえなりは叫ぶ。忠告する。糾弾する。 ア ニ マ えなり「僕がいってるのはそんなことじゃありません!今の技は、人間願望のキヌマ……『敵』の技じゃないですか!」 岩代「よく知ってるなボウズ。…だが気をつけな。行過ぎた知識は身を滅ぼすぞ。」 ※身を滅ぼした具体例…雷電・本部以蔵など。 えなり「僕は読者です!一度読んだ作品のことぐらい覚えてますよ!それより岩代さん! そのまま敵の技を使い続けたら、どんどん暗黒面に堕ちて…最後にはみえるひと風に言えば陰魄になってしまうんですよ!! 荒木さんみたいなのは本当に例外中の例外なんです!」 岩代「それでもかまわない。」 岩代は、言った。あっさりと、何事も無いかのように。しかし固い決意と、強い意志を込めて。
えなり「な…」 岩代「確かに俺はあいつに、直接人生を狂わされたわけじゃない…。 あいつは俺の家族の仇でもないし、漫画の連載を邪魔された訳でもない。 だが、俺はあいつを、一人の人間として、漫画家として、許せない。 子供たちの夢、『週刊少年ジャンプ』を汚したあいつを、許すわけにはいかない…。 わかるかお前に…自分の愛した雑誌が腐っていくのを見る悲しみが……!! アパートの住人に『最近のジャンプはつまらなくなった』と言われたときの苦しみが………!!」 えなり「………」 岩代の全身から爆発しそうな感情が発散されているのが、肉眼でも見えそうだった。 いや、気の流れを見ることの出来る者であれば、はっきりと『みえた』だろう。 初めて彼がえなりの前に姿を現したときと同じ…激しい怒りが。そして…深い悲しみが。 岩代「だから俺は誓った。一生を…人生をかけてでもあいつを倒すと。 …それが、それが西を、矢吹を止められなかった、ジャンプの読者たちを救えなかった俺の、せめてもの償いだ。 そのためなら、例えこの身を魔道に堕とそうとも、煉獄の裁きを受けようとも構わない……ッ!! このまま今のジャンプで、生きながら死んでいくぐらいなら…本懐を遂げてから地獄に堕ちた方がましだ!!!」 …えなりにも、岩代の覚悟は伝わった。と同時に、彼が自らの命を削って戦うのを止めることは出来ないことも、同じく伝わった。 ならば、えなりのとるべき道は…!! えなり「ならば、僕のとるべき道は…!!この鳥山さんの身体への憑依を完了させて、岩代さんと共に戦う!これしかない!! 岩代さん…!!もう止めません。その代わり…僕が戦えるようになるまで、負けないでくださいよ! ……ちょうど僕が加わるあたりで大ピンチだと最高です。」 岩代「ハッ!言うじゃねーか、ボウズ!任せときな、お前の出番の分まで俺がやってやるから!」 えなりの科白はかなり切実な願いも入っていたが、残念ながら岩代には完全な冗談だと思われてしまったようだ。 そして、言うが早いか岩代は動き出した。 尚、少年漫画的なルールのようなものに基づき、このやり取りの間ハムはその辺にボーっと突っ立っていた。
アク セル 岩代「行くぜ、西!疾 風 !!」 ハム「こ、このスピードは…!!」 えなり「消えた!?」 瞬間的な加速と希薄な存在感(戦闘中のため不完全だが)により、一瞬知覚不能になった岩代がハムに向かって突進する。 その手にはどこから持ち出したのか玩具のピコピコハンマー(砂入り)を持って…!! 岩代「…秘奥義!!!」 岩代の持つハンマーが、大きさを増す。その主の意思に呼応するように。 岩代「マジカル・オーロラプリティ……!」 さらにハンマーが大きく、重くなる。 岩代「グレーター・スイスマウンテンドッグ……!!」 いや、もはやそれをハンマーと言ってはならないのかもしれない。 それは、ハンマーと言うにはあまりにも大きすぎた。 大きく 太く 重く そして 長すぎた。 それは正に 鉄塊だった。 岩代「……公平殺しッ!!!」
そのハンマー…いや、鉄塊を、振った。 全力で。無造作に。しかし適当ではなく。 ド適当かつハム限定の必殺技ではあるが、その威力は本物だった。 ハムは、その薄い気配とすさまじいスピードに対応できず、真正面からハンマー…鉄塊と『熱烈なキス』をする破目になった。 衝撃と共に吹き飛ばされ、机や実験器具に衝突し、最後にすさまじい轟音とお約束のエフェクト『砂埃』を立てて壁に叩きつけられた。 えなり「ほ…本当にやっちゃったよ…。僕の見せ場が………。」 岩代「それは生存フラグだろうが!まあ、俺もやつがあの程度でくたばったとは思えねえが…。」 果たして、二人の予想(えなりは願望も入っていたかもしれないが)は当たっていた。 これもまたお約束の演出『段々と薄くなる砂埃の中から現れる』をしながら、シルエットでハムは現れた…四人で。 ………四人!? えなり「 !? 」 岩代「こ…これは!?どういうことだ!?」 砂埃が収まるにつれ、その顔が、正体が明らかになる。ハムは…確かにいた。しかし、残りの三人は……。 えなり「そ…そんな馬鹿な!あの顔は…!!」 桜野みねね。…琵琶を持っている。 平松伸二。…羽ペンを持っている。 八神健。…骨を持っている。 いずれも、とうの昔に退場したはずの漫画家ばかり。
岩代「まさか…これも西の力か…!!」 えなり「え…!?どういうことです?」 岩代「あいつは…今は霊体で行動しているようだが、普段は漫画家の死体をツギハギして身体を作る。 しかしだ…。あいつの本性は、剽窃家。パクリ漫画家だ。」 えなり「でも…パクリ漫画家なんて、あいつに限らず沢山いますよ。あいつの漫画にもあんな能力は出ていませんし…。」 岩代「まあ聞け。おそらくあいつのパクリ方はな…作品を読んで真似るなんて生易しいものじゃ無えんだ。 漫画家の魂を捕食し、取り込むことでその力を自分のものとする…つまり、 あいつは…あいつは…肉体だけではなく、魂もツギハギして作られている、いわば上級のツギハギなんだよ!!」 えなり「な、なんだって―――!!」 最後は何故かMMRになっていたが、岩代の考えは正しかった。 ハムは漫画家の魂を自らの中に取り込むことで(表面上は)完璧な剽窃を可能とした、『進化した』ツギハギ。 逆に一部を分離させることで、今回のような分身、或いは使い魔の使役も可能になると言うわけだ。 えなり「で、でも…それならどうして、武器があんなのなんですか?あれは『ツギハギ漂流作家』に出たものですよ!? 漫画家の力を100%引き出そうと思ったら、自分の作品の登場人物の能力を使う必要があるはずです!!」 岩代「大方、それがパクリ野郎の限界なんだろ。パクリ元…元ネタへの尊敬が足りない証拠だ。」 えなり「なるほど…。まあそれなら大丈夫ですね。僕もあと2、3分で動けるようになりますんで、それまでよろしくお願いします。」 岩代「早くしな。今度は本当に出番を貰っちまうぜ!」 そしてハムも、動き出した。 ハム「ピ〜〜〜〜〜ヒョロ!ピ〜〜〜〜〜〜〜ヒョロ!!!お前ら〜〜〜!!あの生意気なガキと空気をやっちまいな〜〜〜!!!ピーブー」 桜野「Sir!Yes,Sir!」 平松「Sir!Yes,Sir!」 八神「Sir!Yes,Sir!」 ガストの群れ(といっても三体だが)が、進攻を開始する。
……厳密には彼らは自分の意思で行動しているわけではないのでガストには含まれないが、 『理不尽な理由で殺されたもの』に当てはまると思うので許してほしい。 岩代「来いッ!!」 えなり「い…急がないと…このままじゃ本当に出番が無くなってしまう……!!」 To Be Continued...
うおおおおおw このいかがわしいノリで熱いッ!滾るように熱い!! ハム様の凶悪度は矢吹様を越えるな!
強引に読ませるパワーに満ちているな ハムは、あの木多も喧嘩商売の後書きでネタにしてるぐらいの奴だからw
KWSK
>>471 俺も最近の流行を取り入れた作品を考えてみた
これでジャンプに返り咲けばバカ売れ必至!
とか言いながら、実際に描かれたものがどう見てもツギハギ
しかもツギハギが打ち切られた後に出た最新刊での後書き
474 :
二代目 :2006/07/23(日) 19:43:24 ID:zydz6Rs10
オッケー刻んだ
475 :
471 :2006/07/24(月) 03:17:35 ID:0GI6NKku0
>>472 アリガト。
喧嘩商売は立ち読みONLYで単行本買ってないので助かったよ。
ちょっと気が早いけど、すぎたんが出るとしたらやはりょぅι゙ょキャラですか?
ハムに能力食われて死ぬサムライ役です
いや無駄に長ゼリフの解説役だ
>>472 そりゃ、木多じゃなくて木多のアシの穴埋めページ
どうでもいいけど
そういえば、板垣と森川って今一緒に行動してるはずだが、あの二人は亀田についてどう思ってるんだろうか・・・
焼肉屋で肉を奪い合いながら愚痴りあってケンカしてるよ
ジョージはヴォルグ対千堂で地元ジャッジの悪辣さを描いてるからあの程度では動じんだろうな 板垣はUWFとか見せ掛けの真剣勝負は嫌いだし、ああいうのには腹立ててそうだけど 昨今亀田を顰蹙してただけに
保守〜
ふと思ったが喧嘩商売は剣客商売と掛けてるのかねえ。
ちょっと聞きたいんだが、万乗スレで使われている「BP」ってどういう意味?
>>485 確か『万乗パンツ』の略。
詳しいことは
@自分で検索する
A詳しい人が教えてくれるのを待つ
B『勝手に改蔵』を読む
のどれかをすればわかる筈だ。
487 :
485 :2006/08/13(日) 22:52:08 ID:bPFv5+gk0
確認したよ、サンクスw
戸田のGR凄すぎなんだが……しかも登場人物がみんな変なポーズとってるし
489 :
作者の都合により名無しです :2006/08/21(月) 15:44:58 ID:YZHr4NXY0
予告の時点で素晴らしい反逆っぷりだったなw
戸田は元気か。羨ましいねえ・・・・ 最近病気がちで本屋に行くのもままならないyo
戸田も最近まで闘病生活してたらしいぞ それが連載できるまで回復したんだ、おまいさんも頑張れ
マジかよ・・・ うわすげー頑張る
493 :
魔術師 :2006/08/27(日) 00:35:49 ID:LIS713jK0
>>134 唯一の障害であった真船を突破し、余湖軍団の残存兵たちは医務室の扉をこじ開けた。
そこには、傷つき動けない、無防備なガンガン・サンデーの漫画家たちが狩り放題
……なはずであった。
「「「!!??」」」
余湖たちは自分たちの目の前の光景に一様に驚愕した。
確かに医務室の扉をブチ破ったはずなのに、この通路には医務室以外の部屋は無いはずなのに、間違えようがないはずなのに。
余湖軍団が見ていたのは、何も存在しない、ただコンクリート打ちっぱなしの壁だけが見える殺風景な部屋であった。
「お前ら……誰が重傷者襲うなんて小さい事をしろといった?」
背後からの声に、余湖たちは一斉に振り向いた。
そこに立っていたのは、長身痩躯の男だった。
真っ白な長髪、白で統一された防弾コート、アクセントのように走る顔の傷。
余湖たちは、その男を知っていた。恐怖と共に。
空間をも飛び越え、時にはねじ曲げるほどの力を持つ、秋田書店随一の“殺し屋”。
米原秀幸が、そこにいた。
「やり過ぎたなお前らは……秋田の看板に泥を塗った」
カマイタチで何度も体を斬りつけられるような、凄絶な殺気の風が米原から吹いていた。
その威圧感に、たじろぎ、どよめく余湖たち。
彼らの動揺を尻目に、米原は言った。
494 :
魔術師 :2006/08/27(日) 00:37:12 ID:LIS713jK0
「だが、腐っても同じ看板で仕事をした間柄だ。このまま大人しく立ち去るなら、今回だけは見逃してやる。どこへでも行け」 実につまらなさそうに、吐き捨てるように米原は言う。 侮蔑も露な態度に、余湖たちは萎えかけていた怒りに火を点され、一斉に銃口を米原に向けた。 「丸腰でナニをかっこつけてんのよ、米原センセーよお?」 「とっとと命ごいでもするべきじゃん」 いかにコートが防弾とはいえ、居並ぶ圧倒的な銃器の前には紙の楯に等しい。 熟練者の殺気に気圧されはしたが、冷静に考えれば自分たちの優位は圧倒的であることに気付く余湖たちは俄然強気になった。 「素手で来るなら遊びのうちだ。 刃物なら、それなりに対応してやる。 銃 を 弾 く な ら 覚 悟 し ろ 」 だが、米原は変わらず冷徹な態度のまま、冷えた鉄のような殺気を振りまいている。 「ラァ! ラァ! ラァ!」 「キャオッ!」 ガガガガガガガガガガガガガガガガドドドドドドドドドドドドドドドタタタタタタタタタタタタタタタ!!! 蟻の這い出る隙間もない、猛烈な銃火が米原ひとりに殺到した。 米原は持っていた大きな黒のアタッシュケースを前方に構え、さらにその上に両肘をたてた状態で、迫る弾雨をあろうことか両腕で受け止めた! 米原の両腕は凄まじい銃弾を受け、人工皮膚が見る間に削り取られ、余湖たちの目にその正体をさらした。 「て……鉄の腕…!?」 余湖たちの目に映ったもの……それは黒光りする異形の鋼鉄の両腕であった。
495 :
魔術師 :2006/08/27(日) 00:38:55 ID:LIS713jK0
「ビビるこたぁねェ! 電気仕掛けのおもちゃだろが! 鉄クズにしてやらあ!」 米原の異形の両腕に度肝を抜かれた余湖たちだが、すぐに立ち直ると、一斉に銃撃を再開する。 さらに苛烈になった銃火の嵐は、米原の鉄の腕をさんざんに打ちのめし、抉り、削り、破壊していく。 やがて、弾倉を交換する頃には、米原の両腕は見るも無惨にズタズタにされていた。 「へっ見ろよ、ボロボロじゃん」 そう嘲る余湖たちだが…… 「でも……笑ってやがる…?」 米原は動揺するどころか、その顔に悪鬼の笑みを張り付かせていた。 その形相に、寒気を感じる余湖たち。 「へっ…へへっ…そんな鉄クズで…何ができるってゆうじゃん!!」 そう言った瞬間……その一瞬で、勝負は決まっていた。 誰の目から見ても最早、義手の用を為さない鉄クズ同然に成り果てた両腕……その右拳に当たる部分を、米原はさりげない動作で左肩に添えたのだ。 ュ ン ! 不可視の銀光が真一文字に走ったのは、次の刹那だった。 「……え……」 自分達の体にごく細い線が引かれ、そこを境に思い出したように体がずれていき…… そして、傾いていく視界の中で、米原の右手に握られた物体を発見した段になって、ようやく余湖たちは己の身に何が起こったのかを理解した。
496 :
魔術師 :2006/08/27(日) 00:40:11 ID:LIS713jK0
「……嘘じゃん……そんなモノ……どこから……」 かすれた声を血と一緒に吐き出しながら、まっ二つになって崩れ落ちていく余湖たち。 その様を冷たく睥睨する米原の右手には……いつの間に何処から取り出したのであろうか……刃渡り4メートルはあろうかという並外れた長剣が忽然と出現していた。 「……これが……“魔術師(マジシャン)”米原秀幸の……」 「…………“ 遠 殺 剣 ”…………」 その呟きが最後だった。 残されたのは、無数に折り重なる余湖たちの死体だけであり。血なまぐさい風が静寂に溶け込んでいくのみだった。 それすらも、余湖たちの爆発による閃光で散り散りにかき消され、吹き飛んだ。 その数秒後、米原は一人で、医務室の扉の前に立っていた。 余湖たちが放った銃弾の跡も、薬莢の一つさえも、その場には転がっておらず。 どこもかしこも修羅場の矢吹艦にあって、そこだけは場違いのように静寂だけがあった。 米原は用済みになった義手を外し捨てると、足でアタッシュケースを開く。そこには大量のスペアの義手が収納されている。 米原は両腕が無い状態で、器用に新しい腕を付け替えると、アタッシュケースを閉じた。 そして、医務室の扉を一瞥すらせずに、無言で立ち去っていく。 その表情から何かしらの感情を把握することは、誰にも不可能であった。
497 :
作者の都合により名無しです :2006/08/27(日) 11:28:05 ID:yqqoxsmb0
おお新作だヨネコだ最新版米原だ タイの国境のテロリスト並に落ちぶれた余湖が哀れよのキャオラ
米原…所属KIYUだったっけ? 久しぶり過ぎ 色々と使える能力多いし、スレ最盛期にもうちょっと活躍して欲しかったなあ しかし前回投下から一ヶ月以上経ってるのか ぶっちゃけ半ば全ジャンルOKの漫画雑談スレとして運用されつつあるよなあこのスレ
それもまた良し。 歩みを止めさえしなければ、いつかは終着点にたどり着く…と思う。 …今回の投下でずいぶん書きやすくなったのはジョジョにも言えぬわしだけの秘密よ。
そうだな我々は「結果」だけを求めてはいない。 「結果」だけを求めていると、人は近道を(ry
『覚悟』とは!!暗闇の荒野に!!進むべき道を(ry
そんな風にJOJOっていた時期が俺にもありました。
ジョジョ保守
小畑がタイーホされたそうだが、ここで島ブーの時事ネタやってた時のこと思い出した
銃刀法違反ネタをここでやったら何割の漫画家が捕まるやら
保守
前スレ540から 剣のごとく尖った爪で切り裂かれ、深手を負った西森が膝をつく。 大量の出血で全身は濡れそぼり、顔色は真っ青になった西森に、怪物と化した梅澤が地響きを伴いながら歩き寄っていく。 「……西森さん!!」 西森の惨状を遠目で見た田辺イエロウが、叫ぶ。 自分達3人の中では最強の実力を持つ西森が敗れれば、こちらの敗北は確定する。 その事実に、彼女は焦った。頬を冷や汗が伝う。 ──救援に入れるか? ……と、そんな事を考えた瞬間。 雨のようなビーム状の砲撃が、田辺に降り注いだ。 「……結!!」 咄嗟に結界を張り、全ての砲撃を弾き消す。相当な衝撃があったが、なんとか無傷でしのぎきった。 「『タイマン』の最中に余所見するなんて余裕じゃない?」 そう言ったのは、左腕を巨大な砲に変形させた女──星野桂だ。 「……気に障った?あまりそういうことにこだわり持つようなタイプには見えないけど」 先ほどの焦りを微塵も見せない冷たい表情で、そう言い返す田辺に、 「いいえ。ただ、その防御力はちょっと嫌になっちゃうわね。本当、自分の攻撃力に自信がなくなるわ。自己嫌悪でしばらく眠れなくなりそう。うふふふふふふふふふふ」 星野はそう言ってニッコリと笑うが、目の下に大きなクマの浮いた彼女の笑顔は病的でかなり怖い。 田辺の冷たい美貌にも、心なしか先ほどとは別種の冷や汗が浮いていた。 「そう。いっそのこと、このまま永眠させてあげるわ」 気をとりなおして物騒な台詞を吐く田辺。 「結!」「結!」「結!」「結!」「結!」「結!」「結!」「結!」「結!」「結!」「結!」「結!」 剣指を作り、無数の結界を生み出す。 「確かに、貴女の結界の防御力は凄いけど……」 だが、田辺が怒涛のごとく繰り出す結界の乱れ撃ちに対して、星野はまるで意に介した風もなく空中を踊るような速度と身のこなしで、縫うようにかわしていく。 「でも、貴女の攻撃もあまり意味がないのよね。どれだけこっちの動きを読もうと、貴女の結界の成形スピードじゃあ──私の足には追いつけないから」 自信ありげに言う星野の足は、オーラを纏った黒いブーツで覆われている。 これが彼女の能力──「イノセンス」のひとつ、『黒い靴(ダーク・ブーツ)』。 その動きはさながら、胡蝶のように天空を舞い、そしてその威力は── 「ぐうっ!!」 瞬く間に田辺の背後をとると、結界ごと彼女を蹴り飛ばした。さながら、鋼鉄が地に落ちるがごとく。
「転換(コンバート)!」 さらに、左腕の砲を鬼の爪のような形状へ変化させ、体勢を崩したところに切り付けた。 田辺の周囲に張った結界が、浅く切り裂かれていた。今までの攻撃のなかで、その威力は最も高いことは間違いない。 星野は深追いはせず、高速で後方に離脱、距離をあけた。 「もうひとつ言っておくわね。その術、接近戦には向いてない。近すぎれば術を繰り出せず、攻められれば防戦で手一杯、ついでに身動きもとれない。せいぜい懐に入られないようにした方がいいわ」 星野の指摘に、田辺は臍を噛んだ。 再び高速で接近してくる星野。迎撃するべく、田辺も多数の結界を出して応戦するが、 「十字架ノ墓(クロノス・グレイヴ)!!」 今まであれほどの強固さを誇っていたはずの結界が全て、紙のように容易く十字に切り裂かれていく。 星野の突進は、完全に加速がついていて止まらない。 (妙ね。手ごたえが無さすぎる) ふとそのような疑問が浮かぶ星野だったが、その勢いはもう自分でも止めることができなかった。 遂に、田辺が自身の周囲に張ってある最後の結界までもが呆気なく切り裂かれ、そして必殺の爪撃が、田辺の全身を無残に切り裂き砕く──!! ──ガキン !! だが、星野の左手に伝わったのは、肉を切り裂く柔らかな手ごたえではなく、まるでとてつもなく強固な鉱物を叩いたような硬質な感触。 (これは──!?) 星野は驚愕した。彼女の攻撃を受け止めたのは、田辺の剥き身の右腕だった。 「懐が何?」 いや、違う──いつものように剣指をつくった右手だけでなく、その全身から黒い炎のようなオーラが噴出し、コーティングしているのだ。 「あたし、説教って大嫌いなのよね」 黒い炎のような形状の結界に包まれた田辺の剣指は、星野の左腕を受け止めただけでなく、 パキィ──!! と、巨大な爪を軽々と突き破っていた。
パラパラと破片が剥がれ落ちる左腕を見て、星野は感嘆の声をもらした。 「全身を覆い鎧のように防御もすれば、触れるものは弾き飛ばす攻撃にもなる結界……こんな切り札があったなんて」 むしろ嬉しげに呟くと、星野は即座に飛びのき、大きく間合いをとった。 左腕はボロボロと崩れ、こめられた霊力がバチバチと電気がショートしたように紫電となって漏れている。 「案外脆いのね、あんたの腕」 冷ややかな嘲りに、星野は苦笑した。 「そうね。これって威力は高いんだけど脆いのが弱点なのよね。この前、潜水艦の中で『鬼の手』とぶつかった時も結構深い傷つけられちゃったし……」 自嘲するように陰鬱な空気をたたえて呟く星野だが、すぐにこう切り返す。 「でも、そっちもまだ完成の域には達してないのね、その術。本当だったら、その領域に踏み込んだ者は跡形も残らず消してしまうぐらいの威力があるはずじゃないかしら?」 「…………」 鋭い洞察による指摘に、田辺は押し黙った。その沈黙が、星野の言葉を肯定している。 「……ま、どっちにしろ腕をこんなにされたんじゃ、今回は私の負けね。お互い、次があるかどうかは分からないけれど」 あっさりと敗北を宣言すると、星野は腕の武装を解いた。穴の開いた左腕が酷く痛ましく見える。 「できるだけ長生きしてね?私はもっともっと、今回の戦争を観察したいから。それが『ブックマン』としてKIYUに参加している私の目的であり、存在理由。それじゃあね」 そう言い残して、星野は一瞬にして、この場から消え去った。 ひとまず、当面の相手を退けたことに一息つく田辺。 さすがにKIYUの一員だけあって曲者だった。この先、油断のできない相手であることは確かだが、とりあえずは危機のひとつは去ったと見ていいだろう。 ──と思った、そのときだった。 一際大きな打撃音と、それに続いて重いものが地面を転がる音。 田辺が振り向くと、そこには。 血塗れになって膝をつく松江名と、それを冷酷な目で見下ろす三好雄己の姿があった。
おおっ西森ルートが1年ぶりに動いたぞ 結界のバリエーションが増えてるー
いや、素晴らしい。 このところ投下が相次ぎ(と言っても以前に比べれば、だが) 嬉しい限り。 ただ、一つだけ訂正させてもらうと、 「十字架ノ墓」の読みは「クロス・グレイヴ」が正しかったはず。
512 :
作者の都合により名無しです :2006/09/16(土) 22:12:29 ID:Dchwr3on0
松江名がんばれ超がんばれ リアル三好って最近見ないな。漫画家辞めて武者修行にでも出たのかね・・・
アリの巣コロリってあるじゃん。 蟻の行列にポンと置くと、一瞬ビックリして列が乱れる。 邪魔だなと言わんばかりに迂回する列が出来る。 そのうち好奇心旺盛な一匹がアリの巣コロリに入る。 そいつをマネして何匹も入る。 毒とも知らずにツブツブを運び出す。 一匹が一粒づつ。 いつのまにか行列はアリの巣コロリが折り返し地点になる。 黄色い粒と黒い蟻が作り出す模様は綺麗で見てて楽しい。 一匹が一粒づつ、丁寧にせっせと毒の粒を運ぶ。 せっせと、せっせと、せっせと、せっせと。 蟻さんって働き者だなと思う。 俺も頑張らなきゃなと思う。 次の日、あれほど沢山いて俺を困らせた蟻が一匹もいない。 ほんとにいない。 探してもいない。 泣きたくなった。 このレスを見た人は4日後にあなたの大切な人がいなくなるでしょう・・・・ それが嫌ならこのレスを5つの板にコピペしてください。 信じるか信じないかはあなた次第です。
うおっ 久しっ
超こち亀読んだらなぜかこのスレが頭をよぎって久々に来てみた まだ続いてたんだ
516 :
作者の都合により名無しです :2006/09/18(月) 16:47:47 ID:ov3jV6wY0
戸田のGR、あらゆる意味で厄過ぎるな
またどうでも良い雑談するの?
村雨くん突き抜け確認ついでに保守
>>518 確かにこの現状は良いとは言えないが、そんな乱暴な物言いは感心しない。
今のこのスレに満足がいかないなら、まずは自分がスレを活性化させようと努力するべきではないだろうか。
まあマッタリ行こうぜ 西森ルートの続きは2、3日以内には投下するからさ
待ってる。全裸で。
前回までのあらすじ 「こんなところ見てる暇が合ったらさっさと本文を読め!」 「教えてやれよ!」 --------------------------------------------------------------------------- さて、ここで話を医務室に戻そう。 時系列としては安西信行の死亡直後、雷句誠の覚醒前に相当する。 今回の主役は…。 椎名『安西が死んだ…。だがこれもおそらくは発端に過ぎない。 これはいうなれば前哨戦…!!これから起こる、秋田書店対小学館の……!! 「そのとき」はもう遠くない…下手をすると、明日にも戦争が始まるかもしれない。 早すぎるというかもしれないが、ここ数日の異常な展開を鑑みれば、そう突飛な考えでもない…! 避けられない戦いなら、勝たねばならない…だが、どうやって? 安西は死に、雷句君、村枝さんも劣勢…藤田さんは行方不明…僕の遠隔透視でも見つからない… 留美子さんは暗黒面に堕ちていた影響か不安定だし、当の本人、椎名高志は…』 あのサッカーで負った重傷のため、動くこともままならない。 文珠も軌道型超能力(念動、瞬間移動等)も使えず、なのに遠隔透視は見え、予知に至っては半ば無意識に発動してしまう。 見ているだけで何も出来ない、考えようによっては…いや考えるまでもなく、最悪の状態である。 そんなことを考えて憂鬱な気分になったりこの状況を好転させる策を考えたりしているうち、椎名高志はあることに気がついた。 椎名「……誰だ!?」 誰かが、いる。医務室で休んでいる他の漫画家ではない。知っている人間の気配ではない。 今攻撃でもされたら対抗手段はない。またも思考の迷路に入り込んだ椎名に対し、その人物は…語りかけた。 ??「椎名高志君だね…?恐れなくともいい。私は君の…そう、味方だ。」 椎名『何だ味方か…味方なら心配しなくてもいいな…。』
普通ならここで、いくらか警戒するだろう。相手が誰か、何者なのかもわからないのだ。 だが椎名は納得してしまった。これは別に、椎名の判断力が鈍っていたわけではない。 ただ、その男…声でどうやら男らしいとわかった…の声が、ある種の魔力のようなものを帯びていて、 聞くものを無条件に信頼させてしまうだけのことである。 椎名『それで…僕に何の用です?見てのとおり今の僕はサッカーで負った怪我のせいで動くことも、能力を使うことも出来ない状態です。 何かしてくれと言われても無理な相談ですよ。』 ??「いや、今の君がどのような状態だろうと関係ない。君でなくては駄目なのだ。」 椎名『ほう…一体どんな用です?僕でなくては出来ないことなんて、そうあるとは思えませんが。 自慢じゃないですが僕は読者から「教科書的」だとか「堅実すぎて意外性がない」とかよく言われるタイプの漫画家ですよ?』 椎名の語りがやや自虐的なものになった。羨ましいのだろう。独自の、真似出来ない色を持つ漫画家が。読者の予想を裏切ることの出来る漫画家が。 ……時には本筋に手を加えてでも、時代の望むものを描ける漫画家が。 ??「そんなことは関係ない。むしろ君のような古風で堅実な漫画家にこそふさわしいことだ。」 椎名『それはどうも。で…具体的にどうすればいいんです?』 ??「もうすぐ戦争が始まるのは、君も知っているな?」 椎名「え、ええ…」 椎名に動揺走る。なぜこの男は、戦争の起こるであろうことを知っているのか。予知の力を持つ自分以外に知る者がいるとは思えなかった。 この男も予知能力を持つのか。あるいは、戦争の首謀者クラスの大物なのか。彼には判断つきかねた。 またそうであったとしても、なぜ椎名が戦争が起こると知っていることを知っていたのか。 これは精神感応能力者であれば不可能なことではないが、戦争に関する記憶と思考にはプロテクトをかけておいたはずだ。そう簡単にはずせるものではない。 またも答えの出ない思考の袋小路に陥った。 ??「しかし今の君たちの状況はあまり良いとは言えない。」 椎名『そのとおりです。何かそれを打開する策でも?』 ??「あるとも。強力な味方を増やせばいい。 そう簡単ではないと言うだろうが、とりあえず一人居場所を知っている。その上その男に会えるよう、君に私の力の一部も与えよう。」 椎名『ありがたい話ですね。しかしひとつわからない。なぜあなたは僕…というより僕たちにそう力を貸してくれるんです? いやその前に、あなたは誰なんですか!?』
そういって椎名が振り向いた先には、四つの影があった。ひとつは人型、あとの三つは…よくわからないが、動物のようだ。 今椎名と話しているのは、どうやら人型の影…多分人間…らしい。 顔は逆光というわけでもないのに全く見えない。だが何故か、懐かしい感じがした。 椎名(僕はこの人を…知っている。とても偉大な人だ。…僕にとっても、漫画界にとっても。) ??「私は、もう死んだ…死んではいないが、もうすぐ死ぬのだろう。そんな人間のことを知っても仕方あるまい。 それに君はいずれ、私の遺産を受け継ぐことになるはずだ。どうしても私のことを知りたければ、そのあとで十分だ。 それで、私が君たちに味方する理由だったな…。実は、君たちと敵対する秋田書店が『神』を復活させようとしているらしいのだ。 それだけは避けなければならない。しかし私一人の手には余る。そこで君たちと協力したいわけだ。」 椎名『僕が…あなたの…?「神」とはまさか、あの手塚…!?いやそれよりも、あなたが死ぬというのですか!? いけません!あなたは死んではならない!あなたのような偉大なる人物を失うことはあってはならないことです!』 ??「ありがとう。だがこれは、ある意味でもう終わったことなのだ。今ここにあるのはいわば影…とうにこの世界を去ったものの残滓… 正確な表現ではないかも知れんが、そういうことだ。さて、そろそろ君も目覚めなければ…。」 そういうと、男に付き従っていた三つの影が椎名の方へ歩み寄っていった。 それに伴って、その姿も動物から人間へと変わる。そして、隠れるように消えた。 男も、この場から…いやこの空間からか…立ち去ろうとしているようだ。徐々に遠くへ行くように、その姿は希薄なものになる。 椎名『待ってください!行かないでください!…なぜ、なぜあなたが…あなたが死ななくてはならないのですか!? ………横山光輝さん!!!』 横山「悲しむことはない…全て運命とは言わないが、これは起こるべくして起こったことだ…。 それにまあ、これが最後の別れというわけでもないからな…。では、また…。」 椎名『横山さあああああん!!!うわぁぁぁぁああああ!!!!!」 そこで、目が覚めた。 ベッドを降りてみたが、あたりに人の気配はなく、人がいた痕跡もない。椎名の接触感応でも、何も発見できない。 全ては、熱に浮かされた椎名の白昼夢だったのか? 否。 現実というにはあまりに曖昧だが、夢というにはあまりにもしっかりとしすぎている。 そして何よりも、今まで満足に動くことも出来なかった椎名が、歩き回って超能力を使えるまでに回復している。 これこそが、あの白昼夢が現実であったことの何よりの証拠ではないだろうか?
椎名「横山さん…なぜあなたが死ぬのか、僕にはまるでわからない。 でも、これだけはわかる。僕は、あなたを死なせたくない…!!」 そして椎名は動き出す。横山の言う『味方』に会うために。 その男なら、横山のことを多少なりとも知っているだろうという希望もこめて。 病人服を脱ぎ捨てると、ロッカーを空ける。……学生服が何十着と掛かっている。 しばし考えた後、その中から一着選ぶと、傍らの机においてあった眼鏡を掛け、椎名高志は歩き出した。 To Be Continued...
おう、また難しいところを狙ってきたな 椎名は偽留美子に骨抜きにされて以来だったっけ 軍師はやはりちょっぴり寿命が延びただけなんだな・・・・
活性化に期待
529 :
作者の都合により名無しです :2006/09/30(土) 10:54:46 ID:WcFBleStO
数ヶ月ぶりに見たけど、俺の書いてた旅景色系が続いてて嬉しい。別の作品(オリジナル)にかかりきりでもうこのスレには参加できそうもないけど、応援してます。
誰か全体状況まとめてください
お、新作来てた! キャラの口調が違うのが玉に疵だがGJ!! それにしても軍師って相変わらず何を考えてんのか良く分からんね まあ、何が起こったとしても、「しまった、これは横山の罠だ!」の一言でOKな便利キャラだけどw
>>531 >キャラの口調
横山の口調はどんなのがいいかよくわからなかったので。
椎名のほうは格上が相手+今回のキャラが皆本だったため、今までと違うかもしれない。
<ネタばらし>
椎名の絶対可憐チルドレンがバビル二世のオマージュらしいので、
椎名が二代目横山光輝を襲名するとかそんな感じを妄想していたり。
</ネタばらし>
椎名のくせになまいきだぞ!
ほす
保守
hoshu
このパートスレまだ続いてたのか・・・ 当時初代スレにエロを期待して見ていた俺が保守しますよ
まじすか
何もかもを巻き込んだ想像で
あっそっぼうってか
542 :
作者の都合により名無しです :2006/11/07(火) 09:39:10 ID:XJa/kvLU0
保守
543 :
覇王決定!! :2006/11/16(木) 07:04:08 ID:2Ugd/IWT0
25部スレ、561の続き 空は厚い雲のベールで覆われていた。一筋の光も差し込まない不吉な空。 「ハァハァハァハァハァハァハァハァ・・・」 闇の中で奇妙な息遣いが響く。明らかに尋常でない荒げ方。 「ガハッ ハグハグ ガツガツ バクバク ズゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ」 何かを咀嚼する音が続いて、延々と続く。その様子は、人というより獣のそれに近い。いや、獣そのものだ。 「プハアッ う・・・うめええ〜〜!!」 一つの皿をたいらげた男が、至福の声をあげた。 「そーだろ、うまいだろ〜〜!」 突然、頭上から声がかけられた。 次の皿に手をかけた男が、ぎくりとした表情で、そちらを見た。 凶相の男がリンゴを齧りながら、男の恥も外聞もない喰いっぷりを心底愉快そうに覗き込んでいた。 「あ・・・」 それまで目の前の料理を我を忘れて貪り喰っていた男は、ハッと正気に返ったように 「い・・・いや、うまくねえ。こんなの全然ダメ」 慌てて取り繕うが、直前までの言動を考えれば説得力などあろうはずもない。 すると、リンゴの男は、相手のちっぽけな矜持を見透かすように悪魔じみた笑いを浮かべて言った。 「 ウ ソ つ け ! 強がっても、お前はその手を放す事さえできねーじゃん」 「う・・・」 自分の手にいまだ未練がましく握られた完食済みの皿を見て男はグウの音もでなくなる。 「オレの勝ちだ!」 勝ち誇りながら、リンゴの男は自分の後方を指差す。 その瞬間、稲光に照らされて現れた光景は――――――
544 :
覇王決定!! :2006/11/16(木) 07:06:47 ID:2Ugd/IWT0
「う・・・うまい!うまいよォォ」 「こ・・・これはオレのだ」 「いやオレのだああ」 「もっとないのかヤツの料理は ハグハググフゥ〜〜」 さながら屍肉を食らう餓鬼のように、狂喜して並べられた料理に群がる夥しい数の男女。 彼らが、今大会に出場した料理漫画家たちであると、この姿から誰が信じられようか。 「 料 理 は 勝 負 だ !! お ま え た ち は 全 員 負 け た ん だ よ 、オ レ の 料 理 にな」 そう、これだけの規模の大会でありながら、誰ひとりとしてリンゴの男以上の料理を作れなかったのだ。 今はもはや、審査員と料理漫画家たちが、我先に料理をめぐって浅ましい争いを続けている。 「お・・・おまえいったい何者なんだ!?」 問いに男は犬歯をむき出して笑いながら、背後から何かをとりだす。 「 『 料 理 漫 画 の 覇 王 』 さ」 臆面もなく宣言すると、男の口に取り出した何かを突っ込んだ。 「ご・・・ごぼざでるヴヴヴ(殺されるううう)」 グリグリと押し込まれた何かを、男は呼吸を確保したい一心で噛み千切った。 その瞬間、口中に広がった、今まで経験もしたことがないような食感と深い味わいに、男は驚愕した。 「こ・・・これは 丸ごとのソフトシェルクラブの唐揚げじゃん。 ロ ワ ヌ パ ン シ エ パ オ ズ すげえ 軟 膀 蟹 包 子 (丸ごとソフトシェルクラブ入り饅頭)だあっ」
545 :
覇王決定!! :2006/11/16(木) 07:13:15 ID:2Ugd/IWT0
「おまんじゅうのフワフワ感にソフトシェルクラブのカリカリ感。こんなのはじめての食感だよ。 五香粉でカニの生臭みを見事に消し、さらに極微量の加哩粉か? 胃が開く〜〜〜〜!食欲が止まらない〜〜〜〜〜〜〜〜!! た・・・確かにオレたちの負けだああ――――っっ」 至福の表情で、己の敗北を高らかに宣言する元・料理漫画家たち。 その極上の包子の香りは、またもや亡者と化した者たちを呼び寄せる。 「あいつが作った包子だな、それ」 「よ・・・よこせぇぇ〜〜〜〜〜」 「ギャアアアアアアア――――――ッ」 本来は生命を繋ぐための食をめぐって、人々が奪い合い殺し合い貪り合う光景。それは、まさしく地獄絵図と言えた。 しかし、己が現出せしめた図に、もはや西条は見向きもしない。 オレは今まで勝ち続けてきた。これからも勝ってやる 料理は勝負だ 勝てばいいんだ 「カカカカカカカカカカカ――――ッッ!!!!」 大会関係者全てを天国という名の奈落に突き落とし、リンゴの男――― 覇王・西条真二は独特の高笑いを曇天に響かせながら、かの地・九州を後にした。 こうして、『料理人ナンバーワン決定戦』は波乱のうちに、その幕を閉じた。 ←TO BE CONTINUED
乙です。
久しぶりの投稿だなー。西条凶悪wいい感じだwww
ジャンRキタコレ ああやっぱえなり好きだ しかしケンイシカワ先生がご逝去なされたらしいと噂が 嗚呼
549 :
眠りと目覚め :2006/11/16(木) 11:46:16 ID:YiP7ar8u0
…シンクロニシティ! まあそれはともかく料理漫画はさっぱりだが、少し読んでみたくなった。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------- 前回までのあらすじ もうみえるひともツギハギ漂流作家も終わってしまい、寂しい限りです。 これ以上このルートを書く意味はあるのかとも思いますが、一旦登場した人物にはどんな形であれ決着をつけるべきであると思い、 こうして筆をとりました。 思い出ぽろりと謳います。この子の五つのお祝いに…… -------------------------------------------------------------------------------------------------------- このとき岩代が見せた獅子奮迅の戦いぶりは、まさに幾度もの危機を乗り越えた「みえるひと」を象徴するかの如きものであった。 三の武器、六の腕、六の足、十二の攻撃を相手に、互角以上の戦いを既に20分近くも続けているのである。 ハム「ば…バカな…なぜ、あいつは倒れないんだ!?俺は成功を約束されたエリート中のエリートなんだぞ!?」 岩代「西…俺もお前も、もう『終わった』んだ。もう終わった人間が何を言おうが、誰の耳にも届かない。 だがな…俺が俺であるために!あいつらとの約束は!果たさなくちゃならないんだ!西公平…お前を殺す!!」 岩代の闘志はさながら猛獣の視線の如くハムを貫き、吼えた。 自らの自らであるために、また『ジャンプ混沌期』最後の負の遺産を葬り去るために、彼はそこにいた。 ハム「どうする?どうする?どうする?」 ハムの眼は最早何者をも写さず。その目は開きながらに閉じ、脳裏に浮かぶは自らの糧とした漫画の亡霊。 そして、長い長い沈黙の末、彼のとった手は…! ハム「桜野!平松!!八神!!!あの餓鬼をやれ〜〜ピ〜ブー〜!!!!」 岩代「な‥ッ!?!?ちいっ!ボウズ!!疾アク 風セル!!」
550 :
眠りと目覚め :2006/11/16(木) 11:47:24 ID:YiP7ar8u0
どがつっ がっ がきぃん 岩代がわずかに地力で上回ったと見るべきか。間一髪でえなりと怨霊共の間に割り込み、全ての攻撃を受け止めた。 …しかし、腕も、ハンマーも、足も、およそ武具と成り得るもの全てが使えない状態では、不意の攻撃に対応出来よう筈も無い。 どすり 部位は腹。凶器は手刀。しかし、ハムがツギハギである以上、これはこれから致命傷となる。 岩代「…ぐ……お前…が…!!」 えなり「うわぁぁぁぁ!!!岩代さあああああん!!!!!」 ハム「ピ〜〜ヒョロ!ピ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ヒョロ!ピーブー はははハハ!!!!これが超エリィィィィィトである俺様と (差別用語)(自主規制)である貴様の差だ〜〜〜〜!!!!!」 恐らくは嘘であろう。岩代がえなりを守り得る事、またその防御方法が隙を作るタイプのものである事、ハムがその隙をつける事、 全ては予測出来よう筈が無い。大方えなりを先に倒してパワーアップを目論んででもいたのだろう。 しかし…しかし、結果としてこの攻撃は大きな成果を挙げた。 岩代「ぐっ…てめえ…」 ハム「ククク…感謝しろよぉ?お前みてぇな(NGワードあぼーん)でも、この俺の役に立てるんだからよぉォ!?!?」 岩代「ぐがあああああぁぁぁ!!!!!」 えなり「い、岩代さん!!!」 吸収である。捕食である。略奪である。岩代の魂魄を、ハムが引きずり出しているのだ。 ツギハギにとって魂とは行動のエネルギーであり、漫画のネタである。 そして魂魄なき肉体は、もはや生きることを望まない。いや、例え肉体のみが生き残ったとしても、魂なき肉体は単なる抜け殻に過ぎない。
551 :
眠りと目覚め :2006/11/16(木) 11:48:32 ID:YiP7ar8u0
岩代「ちっ…俺はここまでか…。まあ、子供をかばって死ぬなんて、かっこいい死に様だけどよ…。」 えなり「岩代さん!そんな事言わないでください!!あいつを…西を倒すんでしょう!!??それに…それに、あなたには、帰りを待つ人たちがいるじゃないですか!!」 岩代「なあに、遺言はもう渡してあるさ…。なあボウズ、お前……名前は、なんてえんだ?」 えなり「え?…えなり…えなり二世…です。くそっ!!この体さえ動けば…!!!!」 岩代「そうか…じゃあえなりよ…俺の最後の頼みだ。あいつを…西公平を…!!倒してくれ……!!!」 えなり「そんな!最後なんていわないでください!!ぐっ…くそっ!!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動いてよぉっ!!」 岩代「虫の…いいことだ…とは思うが、確かに‥頼んだ‥‥ぜ……!!」 えなり「岩代さああああああぁぁぁぁん!!!!」 岩城俊明 ― 死亡。― ハム「ククク…なんだ、打ち切り漫画家のくせに結構いいネタがあるじゃん。これで俺もまた……うっ!?」 『強い意志が動きを見せるとき、姿や力はそれに従う』とは、誰の言葉であっただろうか。 えなりと鳥山ボディとの融合は、まだ数分は掛かりそうであったが、今は既に完了していた。 そしてその眼差しも、もはや先程までの戦友の死を悼む少年のものではなく、また昔日の、出番を渇望する主人公のものでもない。 怒りである。その眼に映るものは唯一つ、烈火の如く激しい怒りである。戦友の命を奪った西公平が、そして岩代を救えなかった己自身が憎いのだ。 えなり「打ち切り漫画家だと……!?岩代さんのことか………岩代さんのことかーーーーーーーーーーー!!!!!!!! 僕は…僕は怒ったぞーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」 To Be Continued...
おお恐ろしいシンクロ木曜日 そして肝心の覚醒シーンでも自主性のないえなりカワイソス
(´;ω;)
ご冥福をお祈りします 合掌orz
確かこっちの先生はまだ黒軍基地跡地でドンパチやってたよな きっとあの世でもそんな感じなんだろう
保守
ほす
このスレもうすぐ一周年か
つ[スレ] 次のスレで完結として年内にはもう一つ動きが欲しいな
そりゃまた無茶を仰る
とりあえずエリア88編を一気に終わらせるネタを考えているんだが、某ロボの全貌がまだ完全に明らかになってないのがネックだ
YOU!好きにやっちゃいなYO!
,. -一……ー- 、 /::::{:/::::‐-:、:::丶:\ /:::::/´ ̄ ̄__\、::::l,. -―、 /::::// /:: ̄、:\::::ヽヽ≦、ス=、、 /::::/::|,.イ:l::丶::::::::\:X:::',:::ヽ、 ヽハ ',ヽ f´ ̄!:::::l:_|_|\::\--/,r=ミ|::::::lヾく:l::', | | ヒア_|:l::::|::N,≧ミ、トゝ ハ心}!::::::K:ヾニ二ヽ ただの人間には興味ありません。 ,r=ヽレ|:|::::l::|{ ト心 `'" !::::::|::!',::|ハ::! ` この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者、波紋使い、スタンド使いがいたら // |:|:::::ハ!、::ヾゝゞ'′ _'_,.ヘ /::::/:::|_!:l リ あたしのところに来なさい。以上 // !ハ//|:|::ヽ::::丶、__丶 _ノ/|:::/イ::ハヘ!ヽ_ L! /ヘ |:|ミニ='⌒ (⌒ヽ´ _ !イノl/ |:! ! !L_ 〈_{ ヾ.,!/ , ´ \ ∨,.‐、| l:| |ノ ! __!\ / __ム V⌒! !:! ! ハ /__レ-〈 / f´ ヽ. '. __! //./-‐ '´ / ヽ! |r' \l__ V/ /-‐ / 「 ! { `\_f_ノ∠ミヽ! / / ヽ`ヽ.二ニァ'V∠二ハ }},!-' / ヽ---/´/レ!ト--'/‐' / / ̄ヽ二ノ´l:ヽノ_ r‐! / l:/ `ヾ==、ー-- 、 / ̄| ヽ./ 〃 /人 `ト、::::\ ', / ,!\ |l \ / \:〈 | ′ / | ` |:! / ` L.__ / ! !:ヽ / ! ` iー---一'Tー-∨-r‐''´ |
やかましい
ほしゅ
568 :
作者の都合により名無しです :2006/12/26(火) 08:44:52 ID:P4vLAGEc0
ほす
あけおめガッデム 1年経ったか・・・
570 :
作者の都合により名無しです :2007/01/09(火) 22:32:53 ID:+jAE7F/j0
ダイモンズ4巻ゲット 近日中に、このネタ使って一本書こう
おお期待
世間じゃ2ch閉鎖の噂(またか)で騒いでるのにここは相変わらずやね まあ大丈夫だろうけど
鯖変更記念か? この前comic7になったと思ったら今度はanime2なんて酷い話だ
575 :
作者の都合により名無しです :2007/02/04(日) 13:49:04 ID:+H4yOiYI0
このスレの覆面レスラーを遥かに超える魅力を持つモモタロスが誕生した件について
そうか
そうか
あァ・・・そうだな・・・
579 :
作者の都合により名無しです :2007/02/14(水) 23:19:32 ID:D5KU3D4hO
えなりは、永久冬眠に入る事にした。 えなり「俺が目覚めた頃には…この世界もきっと変わってるはずだ。」 プシュー。
しかし数年後に機械の故障で目覚めることになる そして目覚めたえなりは、さらなる絶望を味わう事となった
いつも見慣れた街並みも、面影をなくすほどの壊滅状態に。 えなり「僕が眠っていた間に何が起きたんだ…。」
呆然と立ち尽くし、街並を見渡す。 えなり「一体どうしてこんな事に…」 誰も答えを返さない――少なくとも、彼の視界の中に人影は一つも存在していなかった。 もちろん、その気配も感じられない。 意を決して足を踏み出した。瓦礫の中を、手探り状態で進んでいく。 えなり「誰かいませんかー?」 やはり答えはない。どれだけ歩いても、人がいた様子すらない。 長い間、ここは無人になっているようだった。 えなり「誰もいなくなってしまったのか…? みんな一体どこに…」 彼が諦めかけ、一休みしようと思った―― 突如、 えなり「うわ!」 彼の足下に、どこかから飛来した何かが突き刺さった。 瓦礫の破片が落ちて来た――違う。それは明らかに、人を攻撃する為に作られた投擲物だった。 飛苦無――忍者が使う、投擲用の道具だ。 あわてて瓦礫の隙間に身を隠すえなり。 えなり「一体誰が…」 くないが飛んで来たであろう方向を、盾代わりの瓦礫から身を出して確認する。 そこには―― ??「やっと見つけたぜ」 えなり「あ、あなたは!」 身を隠すことも忘れて、瓦礫から飛び出した。 そこにいたのは、彼にとって懐かしい顔だった。 攻撃されたのを忘れ、思わず無防備になってしまうほどに。 岸本「久しぶりだな、えなりさんよぉ」
>>551 >>579-581 >>583 5部74
えなり「あ、岸本さーん、元気でしたかー?」
不敵な笑顔を見せる岸本に向かって、慌てて走り出すえなり。
だがふと、彼の心の中にひとつのトゲが生まれる。
トゲはチクチクと何かを訴えている。
この風景に違和感が拭えないのだ。もちろん“崩れ落ちた自分の街”なんてものに、
違和感を感じない方が精神的におかしいだろう。だがそれとは確かに別物だった。
えなり「(“久しぶり”と言った。“えなりさん”と言った。
確かに『久しぶり』だ。すごく懐かしい顔だ。だけど思い出すんだ・・・何かが引っかかる。
見慣れた街?無人の廃墟?そんなもの知らない。
ぼくが知っているのは、この世界ではないはずだ)」
射るような視線で岸本を見返すえなり。彼の視線の先で、岸本が眉をしかめている。
岸本「どうしたんだ?」
腹を立てたような聞いてくる岸本に向かって、
えなりはビシリと人差し指を突き示した。
えなり「岸本さん。あなたが最後にぼくと会ってたのは、どこでしたか?」
岸本「何を言ってるんだ?この街に決まってるだろう」
そう言いつつも顔を強張らせる岸本。
えなり「おかしいですね。ぼくは存在感がありませんからね。
岸本さんが僕の事を覚えているとは思えませんね。
ところで弟さんは元気ですか?」
問われた岸本はとっさに「ああ」と返事をし、同時に苦虫を噛み潰した。
岸本の弟、聖史は既に永遠の眠りについているのだ。双子の兄の手によって。
ここはどこの世界でもない、えなりの精神の中に眠る記憶の欠片。
鳥山明の肉体を経て新たな転生を達成した瞬間の、運命が一巡した遺伝子の叫び声。
えなり「思い出してきた・・・ぼくの記憶が何かの衝撃でバラバラの瓦礫になっているんだ。 心のどこかに残っている、世界はもっと血生臭かった。 そうだ、何かのトーナメント大会で、野球したり巨大ロボと死闘を繰り広げたり! そしてぼくがあなたを最後に見たのはサッカーの試合、それはつい『さっき』あった事だ!!」 岸本「ワケのわからない事を!」 野蛮な表情を剥き出しにした岸本が叫ぶのと、周囲の廃墟が光芒に包まれるのは同時だった。 世界は巻き戻され、投げられたくないは持ち主の手元に戻り、あらゆるものの輪郭が白に溶ける。 えなり「取り戻せ・・・ぼくの世界を!ぼくの存在意義を!!」 ―――― あいつを… 西公平を…!! 倒してくれ……!!! ―――― えなり「 聴こえた・・・! ええ・・・わかっています・・・ 岩代・・・先生・・・!! 」 輪廻の旅は刹那で終わり、 次に意識を取り戻したえなりが目にしたものは、 まだ暖かい岩代の死体と、憎むべき“ツギハギ”西公平。 ここは矢吹艦の深部。えなりの奇妙な冒険は新しいスタートラインを切った。 ハム「チィッ!この超エリィィィィィトである俺様が、ただのガキに怯えているだと!?」 えなり「待たせたな、ハム野郎!この肉体は完全にぼくのものになった! 罪もない人たちや漫画家たちを巻き込み増長する底辺野郎!お前は絶対に、ぼくが倒す!!!」
誰も書かないから第二部始めようとしたけどまだいたのか
普通にいるよ・・・
3ヶ月も書かなきゃ誰もいないと思うわな
589 :
作者の都合により名無しです :2007/02/20(火) 09:10:54 ID:ocCxgorM0
ユンボル打ち切り確定かよ・・・orz いよいよ武井さんがあの陣営に入る日も近くなってきたな
働きたくねぇ時にスカウト来るってか
自発的には何もしないのに対抗意識だけやたらと強い人がこのスレは多かったが まだそんな感じなんだな 新展開に多少期待したんだけどなあ
別スレ立ててやってな!
そう言われると是が非でもやりたくなるなw やらんけど リレー小説スレで言うのもなんだが横から茶々入れて欲しくないならさっさと続き書いてくれ
三時間で人を妨害する気力と執念があるなら三ヶ月の間になんか書けよとは思ったw こういう人間がいるならもうどうにもならんだろうなあこのスレは
勝手に一人の所為にするなよなとも思うが。 それこそおまいが「こういう人間」だぞ? ここがこうなったのは良くある話だが誰の所為でもなくて誰の所為でもある。 最も、個人的には特定の人間の所為と思ってはいるが。
俺は、こうなってしまった責任を押し付けてるんじゃなくて これから先どうにもならんなあという話をしてるだけだよ なんでそこまで妄想で飛躍できるのか知らんが、まあ色々と鬱積してるんだろうねw
そらまあな。 もういっそのことソードマスターヤマトネタで強引に絞め落とそうかと思ってるくらいだw
一週間誰も続き書かなかったら2部の続き書いてもいいよね ていうか書くのでよろしく 嫌なら早く続き書いてね
えなり「お前は絶対に、ぼくが倒す!」 なんかいろいろな決意とかを込めて、 勢い良く、指まで突きつけて言い切った。 しかしその指の先には、 岸本「いきなり何言い出すんだ、あんたは」 決意を突きつけたはずの人物と、違う人物がいた。 えなり「…あれ?」 岸本「あれ? じゃない。あんた、俺と戦うつもりかい?」 えなり「いやその…そんなつもりじゃなくて…」 えなり(ここは僕の心の世界だったんじゃないのか――? 岸本さんは僕の心の中にいた…いや) 混乱して思考が朧げだったが、しかしそれでもえなりは一つの確信を得た。 さっき見たのは、過去の記憶だ――僕がまだ眠りにつく前の―― えなりはだんだんと落ち着いて来た。 そして周りを見渡す。壊滅した街並が、自分の目にしっかりと映る。 もちろん、岸本の姿も。 えなり(やっぱり今見たのは過去の記憶か…あれからどうしたんだっけ…ええと…あれ…?) 思い出せない。 あれから自分はどうしたのか。そもそも、何故眠りにつこうとしたのかすら記憶にない。 えなり(一体僕は…) 岸本「目覚めたばかりで混乱しているみたいだな」 えなりの様子を見て、岸本が的確に分析する。 えなり「ええ、実はそうなんですy…」 岸本の方に向かって一歩踏み出そうとし―― 足の先に何かが当たったのに気づいて言葉を止めた。 先ほど、岸本が投げつけた『くない』だ。
あいさつ代わりのつもりだったのだろうか。 それにしては攻撃的な方法だ。 えなり(敵意を持たれてる? いやそんなまさか…) 頭で否定するが、心の奥のなにかが、感じるままを肯定しようとしている。 岸本「どうした? なにを緊張してるんだ?」 笑いながら問いかける。えなりには、それが挑発のように感じられた。 どうしようか迷うが…この現状の詳細をしってそうなのは、今は目の前にいる岸本しかいないのだ。 えなり(落ち着け僕…岸本さんとは一緒に戦った仲じゃないか…疑ってどうするんだ) とりあえず、信じる事にした。 えなり「さっき目覚めたばかりなんです…だからもう何がどうなってるやら…」 距離だけは保ちながら、続ける。 えなり「一体何がどうなったんです? ここは一体…? みんなはどうなりました? あれから何が起こったんですか?」 何を質問していいかも分からず、ただ思いついたまま口にした。 岸本は少し間を置いてから口を開いた。 岸本「ここは…『敗者の墓場』さ」 えなり「敗者の…墓場?」 岸本「そう…売れない漫画家達が、住む場所を求めて集まるスラム。 負け犬達が寄り添う為の場所…いつしか、そう呼ばれるようになった場所だ」 えなり「売れないって…そんな!」 思わず声が上がる。 えなり「いくら売れないからって、こんなとこで暮らさなきゃいけないほど貧しくなるなんて… そんな馬鹿な! なんでそんなことになってるんです!?」
岸本「みんなは――」 その話はそこまでだ、と言わんばかりに続いての質問に答え始める。 岸本「みんなは、俺も含めて、ある組織に加入している。 まだ連載を続けてるやつもいれば、打ち切りを食らったやつもいる。そこはそれぞれだな もちろん、俺はまだ続けてるが」 えなり「そうですか…」 前の質問を区切られて苦虫を噛んだような気分ではあったものの、みんなが健在であろうことに少なからずホッとした。 えなり「で、ある組織ってのは?」 えなりの問いに、怪しい笑みを浮かべる岸本。どうやらこれが、彼にとって本題らしかった。 しかし直接は答えずに、えなりの最初の質問の答えとして口を開いた。 岸本「あれから、ある二つの組織が協力体制をとる事になった」 えなり「二つの組織…?」 岸本「正確には、もっと多くの組織が協力体制をとったんだが、俺たちに関係するのはとりあえず二つだけだ」 岸本「片方は漫画の著作権について行動している団体、もう片方はとある世界の著作料を徴収している団体だ」
岸本「漫画の著作権について行動している団体は、強固な後ろ盾が欲しかった」 岸本「とある世界の著作料徴収団体は、自分たちの世界ではあまり稼げなくなった為、 別の金策先を欲していた」 岸本「利害が一致した二つの組織が協力をすることになったのは、ほぼ自然な流れだった」 えなりも、なんとなく理解できた。出来てしまった。何が起こったのか。 えなり「…まさか」 岸本「そう」 断言した。 岸本「日本○○協会とJ○○R○○、二つの組織が手を取った。 そして俺も含めてほぼ全ての漫画家は、その組織の一員となったのだ!」 えなりは知った。それが全ての始まりと終わりであることを―― えなりの奇妙な冒険新章 〜未来への遺産〜 始動
注意! この物語は実在の人物、団体とは一切関係ございません! あらかじめごりょ
一週間経ってませんよ?
えなり「…岸本さんは何故ここに?」 訝しがるえなり。先ほどの岸本の言葉を信じるなら、ここは敗者の集まる場所。 仮にもジャンプで長期連載している岸本が来るような場所ではないはずだが… 岸本は不敵な笑みを浮かべた。 岸本「あんたがそろそろ目覚める頃だと思ったからさ」 えなり「僕が…? よく分かりましたね。 僕が目覚めたのは機械の故障で偶然…」 偶然? 本当にそうなのだろうか? あまりにも、出来すぎていないか? えなり「まさか…僕が目覚めたのは機械の故障じゃなくて…?」 えなりの問いに、岸本は不敵な笑みで返すだけだった。 岸本「それより、俺はあんたに用事があって来たんだ。 昔話に花を咲かせるのもいいが、さっさと用件を済まさせてもらえるか?」 えなり「え、はい。…用件?」 岸本「ああ。あんたが眠った後、その組織が新たな制度を作ってな。 もし他人の作品と似たような設定やデザイン、印象的なセリフなんかを使用した際、 その都度、使用料を徴収するようになったのさ」 えなり「そうなんですか……」 ちょっと考え…気づく。 えなり「え、ひょっとして僕からもとるつもりですか?」 岸本「当たり前だろう」 えなり「ええええええええええええ。そんなひどい… ていうかなんで岸本さんがそんなことするんですか それ専門の人員はいないんですか?」 岸本「いることはいるがね。やつらかなり無茶しやがるからな。 知り合いがひどい目にあっても寝覚めが悪いから、俺が来たんだ」 えなり「…………」
岸本「えなり。あんたは以前、他人の漫画の能力を使った事があったよな?」 えなり「…ありましたけど…」 岸本「他人の漫画のセリフを使った事は?」 えなり「そんなの覚えてませんよ、言ったかもしれないし言ってないかもしれないし…」 岸本「言ってないことを証明できないわけだな」 えなり「そりゃ出来ないですけど…でも逆でしょ? 請求する方が言ったことを証明しないと…」 岸本「残念ながら、そうはならないのさ」 えなり「そんな無茶苦茶な…」 岸本「そうでもないのさ」 岸本はどこからか電卓を取り出し、計算を始めた。 岸本「本来は件数で徴収するんだが、あいまいな部分が多いから期間での計算をする。 この決まりが施行されたのが5年前だ。 1日1万として、一年365日、それが5年分だから…」 岸本は電卓をポチポチと叩いて金額を割り出した。 岸本「端数はおまけしてやるとして、あんたが支払う金額は――」 電卓に出た数字をこちらに向けて来た。 表示された額は―― 岸本「約1800万だ」
608 :
輪生/蜻蛉 :2007/02/26(月) 21:35:13 ID:GWtDkyzV0
「せ…千八百万!!?」 到底、個人に支払える額ではない。 「ああ。これでもずいぶん緩めに見てやったんだ。」 「そんな……無理ですよ!!ただの読者に過ぎない僕に支払える額じゃあないですって!! 大体、なんでそんなことで金を支払わなくちゃあいけないんですか!!?法律でも引用は認められていますし、それに……」 懸命に訴えるが、岸本の目は冷たい。 「そんなことは俺の知ったことじゃあない。俺は取り立てるだけだ。払わない、払えないというのなら……」 岸本の手にエネルギーが集まってゆく。彼の漫画では『チャクラ』と呼ばれるものだ。 「……死んでもらう。」 「えええええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!!!!!!!」 あまりに理不尽な要求に、えなりも不本意ながら闘いの構えを取る。 だが…… 「あ?あれ?力が…出ない…? なぜ!?どうしてだ!?何が…」 体が動かない。少なくとも戦えるほどには。 そして、岸本の一撃。 「 螺 旋 丸 !!!!!!!」 「うわあああああぁぁぁぁぁあぁあああーーーーー!!!!!!!」
609 :
輪生/蜻蛉 :2007/02/26(月) 21:36:42 ID:GWtDkyzV0
そこで、目が覚めた。いや、再び眠りに入ったのかもしれない。
「う…?ここは…矢吹艦…!?どうして…僕は…ここに……?
さっきのは…幻覚?夢なのか?いや…夢にしては生々しい感覚がありすぎる…!!
ここは現実なのか?夢なのか?どっちが本当の……!!?」
カッ
思索に耽っていたえなりは、目の前に突き刺さった赤ペンに現実へと……こちらが現実だとしてだが……引き戻された。
「ちぃ〜〜〜〜!!!外した〜〜〜〜〜!!!!!
まあいい…次ははずさねえぜ〜〜〜〜!!!!ピーブーー」
不快な声で喚くのは西公平。えなりは今現在、奴に追われる身だ。
「ここで読者の諸君には説明が必要だろう……なぜ
>>585 では圧倒的優位に立っていた僕が追われる立場にいるのか……。
皆さんは、『反動の来る技』というものをご存知だろうか?」
威力、効果の大きい反面、使用者にも副作用がある技のことである。つまり余りに強力すぎるため、技の反動でも無視できない威力になってしまうのだ。
なお、これは例えばドラゴンクエストでいうメガンテ、マジックでいうネクロポーテンスのような『使用者の生命力その他をコストとして要求する技』とは違うので混同しないように。
「鳥山さんの体の力はあまりに強すぎ、僕の魂のほうがそれに耐えきれなかった、と解釈してもらえばいい。
例えば豆電球に高すぎる電圧をかけると焼き切れてしまうように……。いや正確にはそうなるのを防ぐため、過負荷に僕のブレーカーが落ちてしまったんだ。」
そのため、今現在鳥山明の力は封印されて使用できない。
その上調子に乗って大技を使いまくっていたせいで、えなりが本来持つ力も殆ど残っていないという絶望的な状況だ。
「ククク…〜おとなしく死ねよ〜〜、この貧弱一般人が〜〜〜〜!!!!!
ア〜〜ン〜〜〜ブ〜〜〜レ〜〜〜ラ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
西の持つ傘から、不快な効果音と共にエネルギー波が放たれる。
決して強い漫画家でないとはいえ、その威力は人を殺すには十分なものだ。
610 :
輪生/蜻蛉 :2007/02/26(月) 21:37:36 ID:GWtDkyzV0
「うわッ!!くそ…このままじゃあじり貧だ…… 力が戻るまでにはまだ時間がかかる……それまで逃げ切るのは…たぶん無理。 ……となれば…今、まだ戦えるうちに!!!奴を倒す!!!!」 そう決意し、西に向き直る。そして… 「一撃!!一撃でいい!!!!喰らえ!!!!!!」 渾身の一撃を叩き込むため、西に向けて突進する。 己が身すら省みぬ、正に必殺の気合を以って。 「クケケケケ!!!!ようやく死ぬ気に〜〜〜なったか〜〜〜〜!!!!!!!」 そして西も、えなりを殺し鳥山の体を手に入れるべく、えなりに向かって突撃する。 ド ス ウ えなりのストレートが西を捉え…… ……いや、違う。 「ククク……ああ〜、やるよ、こんな雑魚どものツギハギでできた体なんてな〜〜〜!!!!!! ただあし!!!!お前の体と、ついでに魂もいただいてくぜ!!!!!ピ〜〜〜〜〜ヒョロ!!!!ピ〜〜〜〜〜ヒョロ!!!!ピーブー」 突き出されたえなりの腕を、西が捕えていた。 このまま吸収しようというのだろう。 「っふ……そううまくはいかない。悪いが、ここまで僕の計算通り!!!! お前がそう動くことも………知っていたッ!!!! この距離なら逃れられん!!!!!!喰らえ!!!!!!! 肉 変 砲 ッ ! ! ! ! ! ! ! 」 読み合いに勝ったのは、えなりだった。
611 :
輪生/蜻蛉 :2007/02/26(月) 21:38:28 ID:GWtDkyzV0
他人の漫画をネタ帳としてしか見ていない西と、深く読み込み、その中に含まれるあらゆるパターンを記憶しているえなりとの差であろう。 「ありったけだ!!!!!!消えろ消えろ消えろ消えろ!!!!!!!!!」 「この超エリィィィトの俺様が〜〜!!!! 消えてたまるかッ!!!!!消えてたまるかッ!!!!!」 だが。 力は。 えなりの力は、西に止めを刺すには……!!!! 「……ぐうッ!!!!!もう力が残っていない…!?」 技が途中で―… 止まった!!!!!! 「しめたアッ!!あがいてみるものだな!!! この場をしのげば今度こそ、コイツの余力は残っていない!!」 「(おい、待ってくれ こんなところで!!!!) 離すかよッ!!!」 「この手の技は!!!俺だってやれるんだぜッ!!! 全部ッッッ!!!吐き出してやるぞッッッ!!!」 「ここでやめたら…全てが終わるッッッ もう力が残ってなかろうが……!!! 撃ってやる!!撃ってやる!!精神を集中しろッッッ あきらめるな!!車田先生も、鳥山先生も――できた!!!」 「ハハハ 俺様の中に入り込んだ気が!!!どんどんわずかになっていくのがわかるぞッッッ」 えなりの放った肉変砲のオーラが… 空中へ霧散していく――…!!! 「たのむ!!たのむッ!!!!」
612 :
輪生/蜻蛉 :2007/02/26(月) 21:39:24 ID:GWtDkyzV0
いや――…えなりの気だけではない 西が取り込んだ魂たちの残骸まで一緒に空中へ…!! 肉変砲のダメージはあった ――――ザザ…… 「もう…絶対に!!!負けられない!!!!」 ――――ザザ……ザワザワ……… 「よし、それじゃあ…」 背後の虚空より、えなりに話しかける声一つ。 「最後のレクチャーだ」 「!!!!まさかッッッ」 「ちゃんと前見て集中しろ、今は戦闘中だろうが!! 真似は――漫画の力を借りた…人が漫画家の世界に相対するための気のコントロール…。 自分の気だろ?体ん中 空っぽになっても… まだ外にあるならそれかき集めりゃいい話さ。 出来るよえなり君、君なら。 たった一人の読者の君に――…俺が最後に与える これが 自分の力を完全に自分のものにするためのきっかけ――……」 西もさすがに、何が起こったのか、そしてそれが自分にとってどういう意味を持つのか察しがついたらしい。 急いで距離をとろうとするが―― 「くそっ…力がッッッ」 彼のダメージとて軽くはない。えなりの有効射程内から……逃れられない。
613 :
輪生/蜻蛉 :2007/02/26(月) 21:41:46 ID:GWtDkyzV0
「放出した気を集め―…外から内へ凝縮するコントロール……。 最後の締めは自分でやれ。それで君も―――…一人前だ。」 「ありがとうございます………岩代先生。」 「素直なことだ…俺からはこれぐらいしかしてやれないが……これから先も、しっかりと歩いていくんだ…。」 そして…新たな戦士の誕生を祝う花火の如く…… 円 人 想 櫻 江 " 成 " 凄まじい気の迸りを受けて――― 「がああアアアアアッッッ!!!!! ば…馬鹿な…!!!この超エリィィィトであるこの俺様が……こんなガキに………!!!!!! 馬鹿なアアアアァァァァァア!!!!!!!」 ――西公平は塵すらも残さず……消えた。
614 :
輪生/蜻蛉 :2007/02/26(月) 21:42:38 ID:GWtDkyzV0
そしてえなりは―――!!!! 「岩代先生…もう行っちゃったんですか…チクショウ……!!! 未練とか……ないんですか…!!!!」 しばらくの間、今は亡き友のために泣いていたが……やがて歩き出した。 「今の僕には…悲しみで泣いている時間なんてない……!!!! 岩城先生のためにも…奴を……矢吹を………討つ!!!!!! ………?何だあれ?」 先ほどまでは無かった紙切れが一枚、落ちている。拾い上げてみるとどうやら地図のようだ。 「裏に何か書いてあるな…何々?」 『もう一つ、大事な物を君に送る。俺の同期の北嶋からもらった地図だ。どうやらこの矢吹艦のものらしい。 あいつも漫画家としては駄目だったが、悪い奴じゃない。もしあったら、岩代がよろしくと言っていたと伝えておいてくれ。 話がそれた。この地図ももう今の俺には必要のないものだ。 君はどうやら大きな目的があってここにいるようだ。そのために、少しでもこの地図と俺の教えた極意が役に立つと嬉しい。 最後に……辛いこともあるだろうが、もう振り向くな。振り向かずに、高く……高く、飛べ。 岩城俊明』 「ありがとうございます…岩代先生!!!!僕なんかのために、ここまで……!! 矢吹よ…待っていろ!!!」
615 :
輪生/蜻蛉 :2007/02/26(月) 21:44:07 ID:GWtDkyzV0
そして数刻後、矢吹の部屋に二つの人影。 「矢吹……もうこれ以上、決着を先延ばしには出来ない……!!!!! 今この場で……お前を倒す!!!!!!」 「えなり、と言ったか……私のやっていることこそが真に漫画界を栄光へと導くと、なぜわからん!? その顔……お前も見ただろう!!!あの恐るべき黙示録の幻視を!!!! このまま行けば遠からずあの悪夢は現実となる……私はそれを防ごうとしているのだぞ!!! 私こそが真理!!!!私こそが道!!!!!なぜそれを認めない!!!!???」 「矢吹…僕は…ただの読者だ。曲がりなりにも漫画家であるお前の悩みは、きっと僕にはわからない。 その気になれば、過去の遺産の中にのみ生きる事だって出来てしまう、気楽な消費者の僕には……。 だが……こんな僕にも、わかることが一つある。…… ……それは…お前が……僕から姉さんを奪った、許すべからざる敵だということだ!!!!!! もうこれ以上、お前と話すことは無い!!!!!!構えろ!!剣を取れ!!!!」 「仕方あるまい……我が理想郷の建設を阻む者には………消えてもらうぞ!!!!!!!!!」 おそらくはこれが、最後の闘い。 正義はどちらにあるのか?この戦いの後に、何が残るというのか? 『神』のみぞ、知る…… To Be Continued...
おお、そう来たかー
あれ、久々に来たら何か急展開?
今更ながら書きかけで放置してた
>>509 の続きを完成させてみたんだが、投下してもいいか?
>>607 とりあえず俺はそれなりに面白いと思うし持続的に書く姿勢も評価してるので
ねじ込まれた話は無視して書き続けて構わんと思うぞ
つか、このぐらいのスピードなら二つ違う展開があっても戸惑うこともないし
続いてる話にだけレスアンカー付けて差別化すりゃ良いじゃん
書く意欲がある人間を大事にしようぜ、過疎ってるんだから
>>509 「無駄だ。お前程度の制空圏では、オレには及ばない」
勝ち誇るでもなく、つまらなさそうに三好は言った。
地に転がされた松江名は、血反吐に汚れた口元を拭いながら立ち上がり、自らの体の状態を確認する。
(アバラは…折れてはいないな)
三好の拳打を一方的に浴びて、なお致命傷を負うに至っていないのは、外功(筋肉や骨、皮膚といった身体の外部)だけでなく、
内功(内蔵器官)をも、人並み外れて巨大な基礎トレーニングで徹底的に鍛え上げてきた賜物である。
「それにしても、なんて打たれ強さだ…あきれるぜ。鉛かなんかでできているのか、お前は…!?」
三好も流石に松江名の頑強さには内心の驚きを隠せないでいた。自慢の鉄拳をここまで叩き込んで倒せなかった相手は、いまだかつて皆無だったからだ。
だが、三好は怯えない。制空圏を始めとする空手の技においては、こちらに一日の長がある。
いかにタフとはいえ、松江名は不死身ではない。で、ある以上、三好の勝利は動かない。
(…このままでは敗北は必定。こうなったら…あれしかないか!)
松江名も、自身の置かれた状況は理解している。今のままでは勝ちは無いと悟り、肝を据えて勝負に出た。
「何をする気か知らんが、近づけなけりゃ何もできないぜ!!」
松江名の決意を感じとったのか、三好の攻撃が苛烈さを増す。化勁によって半分は逸らすも、全ては到底防ぎきれず、その体にはいくつもの拳が爪痕を残す。しかし――――
「ちっ!!くらいながら近づいてきやがる!!」
「ぐふっ…」
拳が顔面に突き刺さっても、腹をえぐっても、松江名は前進を止めない。間合いが、詰まる。
「バカが!いくらキサマが頑丈でも…限度があんだろ!!」
「ま゛っ…」
一際、強烈な一撃が、松江名の顔面をとらえた。
「フン、さすがに意識がとんだか?」
十分な感触に、三好が会心の笑みを浮かべるが――――
「!??」
「……え゛に゛なら…え」
それは攻撃ではなかった。ただ、揃えた5指を、小さく前に突き出し、軽く三好の胸元に触れただけ。
「だから……何がしたいんだよ、お前!!?」
松江名の意図が分からず、思わず三好が声を荒げた。
その瞬間、いきなり来た!
「 無 拍 子 !!! 」
超接近状態からノーリアクションで繰り出す必殺の突き。単発の技としては、松江名の持つなかでもトップクラスの威力を誇る。 (いくら完璧な制空圏とはいえ、あの突きは躱せないはずッ!) 端から見ていた田辺は、松江名の突きが完璧に決まったと思った―――― 「なんて鋭い突きだ。まだこれほどの技を隠し持っていたとはな…しかし……」 「ぬうう……この感触は……」 松江名が、驚愕の呻きを漏らした。そう、確かに松江名の突きは決まった。 「この体には効かぬよ……以前に藤田和日郎にも言った事だがな」 まるで真綿を叩いたような手応え。断じて人体を打った感触ではない。 ――――八神の体(ヤガン・ヌディ) 修練の果てに、人を捨て、鬼へと辿り着いた巨大なる異形の肉体。 そして、かの藤田和日郎をなす術もなく敗北に追い込んだ、鉄壁の防御。 それが今、松江名の前に立ちふさがった。 脳内麻薬の過剰分泌によって鬼相となった三好の、燃えるような三眼が、松江名を睨めつける。 「ぬう…!!」 凄絶な“気当たり”に圧されながらも、その圧力を撥ね除けるように松江名が踏み込んだ。 指をそろえて擦るような目潰しをフェイントに、顔面への正拳突き。 打ち抜いたかに見えた瞬間、三好の体が朧のように霞んで消滅する。後方、空中から殺気。 (後ろ…!!) 振り向き様に、右の後ろ蹴りを放つ松江名。 迎撃の蹴りが届く寸前、衝撃が蹴り足を貫き、体ごと吹っ飛ばされて転がった。 「ぐわあ…!!!」 三好の巨体が、着地先の地面をクレーター状に穿ちながら、降り立つ。 (空中で制空圏を築くとは、何という男だ!!) 立ち上がって、正拳突きを繰り出す。 迎え撃つのは、三好の貫手。腕と腕が交錯した。 凄まじい力がひしぎあうが、松江名が渾身の力を込めているのに対して、三好は涼しい顔だ。 「いかに貴様にパワーがあり。技に長けていようとも。体の中心を貫き、天と地をつなぐ光の柱――この境地を持たぬ貴様に、オレは崩せん!!」 次の瞬間、三好が流れるように腕を舞わすと、それだけで松江名の体勢が逆に崩れた。 (合気挙げ!こんな技法まで使うとは!!) 「 魂 打 ち ――!! 」
「があ!?」 体勢が崩されたところに、密着状態から放つ超威力の拳――南王手八神流“魂(まぶい)打ち”が炸裂した。 (マズい…とうとうアバラが…) 一瞬、土手っ腹を根こそぎ抉りとられたかと思うほどの衝撃に、さしもの頑強な肉体にも遂に亀裂が入った。 「うう…ぐっ!がはっ!!」 内蔵にも損傷が加わったか、松江名が血を吐き出した。 肋骨が最低でも三本はヘシ折られたであろうダメージに、松江名は派手によろける。 その様を見た、三好は会心の笑みを浮かべ、 「さぁ!終わりだ!!」 松江名の首筋目掛けて、両手で挟み切るように手刀を振り下ろした。 だが、その刹那。 ビクン、と三好の体が大きく痙攣し、動きが止まった。 「!?」 見れば、三好の手刀が決まる寸前、沈んだかに見えた松江名が、その両掌を三好の胸元に添えていた。 掌底重ね打ち。 柔術の当身であり、鎧をつけた相手でも、その体内にダメージを叩き込める特殊な打撃技である。 しかも松江名の放つそれは、瞬間的に対象物のみならず、その周囲にも振動が伝播するほどの強烈無比なシロモノ。 「八神の体への絶大な信頼……いや、過信が油断のもとだ。私を懐に入れたのが命とりだったな……三好よ!」 「ぐ……むぅ!?」 ビクビクと三好の筋肉が痙攣し続け、その肉体は急速に化物のそれから、元のサイズへと戻っていく。 「な…何をした、松江名!」 「ふ…藤田先生が一矢も報いずに君ごときにムザムザ斃されると思うかね……君の肉体の『※?中(だんちゅう)』(※正中線上の急所のひとつ)には、藤田先生の『氣』が残留していた……あたかも仕掛け爆弾のようにね。 私はそれの起爆スイッチの鍵を重ね当てによって開封したに過ぎない……つまり君は藤田先生と戦ったときに、既に敗けていたのだよ」
「フフ……何を馬鹿なことを……」 松江名の説明を一笑にふし、三好は再び足裏神の歩法を行おうとする。 だがそこへ松江名の鉄拳が走り、三好の鼻っ柱を打ちぬいた! 「な……!?」 ぶっ、と鼻血を噴出し、三好の頭が弾かれる。 (体内の中心を通る力の流れが…バランスの支柱が断たれている!!) 「南王手の力の源は、強力な丹田。そこに流れるエネルギーを分断したのだ。今の一撃によってな!!」 そして、松江名の切れ間のない、嵐のようなラッシュが動きの止まった三好に叩き込まれる。 (な…何をしてる!?制空圏を築かねば………言うことをきかない……手が!……足が!!) 「その八神の体……元々は原作者である碧星タケル先生の技……どうやら君には過ぎたシロモノだったようだ。 破られた今、その反動で君の筋肉組織や関節の崩壊が始まった!」 「馬鹿な……あと少しだけでいい……動け、俺の体よぉ!!」 最後の執念で、三好は松江名に掴みかかるが…… 「手刀横顔面打ち!!!」 「連続ティーカオ!!!」 「単把!!!」 「背負い投げ!!!」 「 最 強 コ ン ボ 2 号 !!! 」 「 う ぎ ゃ あ あ あ あ ああああぁぁぁぁ……!!! 」 松江名の流れるようなコンボに、三好は最後の命脈を絶たれ、そのまま戦闘で生じた地割れに投げ落とされ、 断末魔の尾を引きながら奈落の底へと消えていった。 「如何に強力な力や技を持っていても、進化を止めた漫画家に勝利はないよ」 勝ち誇るでもなく、さらりと言ってのけた松江名の台詞が、決着の言葉となった。 ←TO BE CONTINUED
途中まで普通に三好勝つかと思ったが、松江名らしさの存分に発揮された鮮やかな逆転勝利、GJ! 藤田対三好かー懐かしいなあ…何スレ辺りだったか 過去の話まで複線として、藤田を救い上げてあるのも良い 久々に素直に楽しめました
久々の更新ラッシュすげー やっぱ現役作家は強いな。リアル三好なんか消息不明だもんなあ
626 :
607 :2007/02/27(火) 06:58:50 ID:rcQ/DLj50
続けようとも思ったけど、 あんまり歓迎されてないっぽいのでやめときます 他の人の書く意欲を刺激できたっぽいのでそれでよしということで
冨樫編完結してから頼むわ
>>626 えなり対矢吹でおそらく終わるだろうから、その後に頼むよ。
……でも俺黒猫読んでないから書けない。ごめん、読んでる人お願い。
>>628 矢吹様はノートの力でどんなネタでも使えるんで、何やらかしてもオッケーですよ
輪生/蜻蛉の書き手さんがちゃんと〆てくれるっしょ
矢吹ルートは
>>426 か
まさか今更えなりが戦闘要員になれるとは思わなんだze
次スレ移行ついでに各戦場の状況まとめでもあれば、 ちょっと書いてみようかな、とも思うんだが……あと100KBか。 もうしばらくかかりそうだね。
次で最終かな それとももうまとめられるかな
>>632 まあ出来るだけ継続して頑張ってくれ
言い方悪いがここで止めたら妨害の為だけに話を書いたようにしか見えないし
____________ ヾミ || || || || || || || ,l,,l,,l 川〃彡| V~~''-山┴''''""~ ヾニニ彡| 書く・・・・・・! / 二ー―''二 ヾニニ┤ 書くが・・・ <'-.,  ̄ ̄ _,,,..-‐、 〉ニニ| 今回 まだ その時と場所の /"''-ニ,‐l l`__ニ-‐'''""` /ニ二| 指定まではしていない | ===、! `=====、 l =lべ=| . | `ー゚‐'/ `ー‐゚―' l.=lへ|~| そのことを |`ー‐/ `ー―― H<,〉|=| どうか諸君らも | / 、 l|__ノー| 思い出していただきたい . | /`ー ~ ′ \ .|ヾ.ニ|ヽ |l 下王l王l王l王lヲ| | ヾ_,| \ つまり・・・・ . | ≡ | `l \__ 我々がその気になれば !、 _,,..-'′ /l | ~''' 続きを書くのは ‐''" ̄| `iー-..,,,_,,,,,....-‐'''" / | | 1ヶ月後 2ヶ月後ということも -―| |\ / | | 可能だろう・・・・・・・・・・ということ・・・・! | | \ / | |
容量食わせるなよw
えなり「くらえ! とどめの肉変砲!」 西「馬鹿め、そう何度も…なに! 今までと威力が全然違う!」 えなり「終わりだ!!」 西「ぎゃああああ!」 えなりの一撃で決着がついた。 えなり「はぁはぁ…終わった……いや、これからが本当の戦いだ」 えなりはいつの間にか手に入れていた超能力で、矢吹の元へ瞬間移動をした。 矢吹「なに! 貴様どこから現れた!?」 えなり「お前を倒せば全てが終わる…いくぞ!」 矢吹「ふん、貴様ごときに俺が倒せるものか!」 えなり「どうかな…今まで使わなかったとっておきの技があるんだ!」 矢吹「なんだと!?」 えなり「くらえ、必殺、アンケート組織票!!」 矢吹「貴様ああああああああああああああああ!!」 集英社の漫画家にとって、この技は致命的であった。 えなり「貴様なんぞ、萌え漫画家になってしまえええええええええええええ!」 矢吹「ぎゃああああああああああああああああああ!!!」 えなりの痛恨の一撃で、矢吹は遠くに吹っ飛んでいった。 おそらく、もう少年漫画家に戻る事はないだろう。
えなり「これで全てが終わった…後は最後の仕上げだ」 えなりは超能力で、全ての漫画家にテレパシーを伝えた。 えなり『みんな、俺の言葉を聞いてくれ』 「なんだこの声は」「まさかえなりか?」「一体なんだってんだ」 えなり『パクリ漫画家矢吹は死んだ、彼はこれからは原作付き漫画家として細々と生きてくだろう』 えなり『もうみんなが戦う必要はないんだ』 えなり『禍根は忘れよう。漫画家同士が拳で戦うなんて間違ってるんだ』 えなり『漫画家は、漫画の評価で勝負すべきだ!』
えなりの言葉は全ての漫画家に衝撃を与えた。 「確かに…」「それもそうだな」「そもそもなんで俺ら殴り合ってんだ」「師匠に謝りに行かないと…」 「やっべ、締め切りブッチしすぎてる…」「アシスタントに逃げられた…」「うわ、出版社からの不在着信で3桁超えてるよ」 「……打ち切られてる……」「いいやもう下書きで乗せちゃお」「若造の言う事かー!」「誰かコミックマスターを呼んでくれ!」 「せっかく忘れてたのに…」「またあの地獄の日々か…」「うそ、月刊ジャンプなくなるの?」「書きたくねえ ('A`)」 それぞれの想いを胸に、漫画家達は自分たちの本来の戦場へと帰っていった。 もう彼らが血みどろの戦いをすることはもうないだろう。 ありがとう、えなり。君のおかげで漫画界は救われた。本当にありがとう! えなりの奇妙な冒険。 〜完〜 今までのご愛読ありがとうございました、えなりの次回の冒険をご期待ください。 えなり「みんな、またなー!」
↓以下、実は幻、夢、空想だった禁止
岡村「・・・おい!いいかげんに起きろって。聞いてんのか、川原!」
川原「ん?」
岡村「ん?じゃねえよ呑気だなオイ。お前が寝こけてる間大変だったんだぜ!?」
川原「ああ、それはよかったな」
言われて川原がもたれていた壁から立ち上がると、すぐに環境の変化に気づく。
川原「場所(
>>379 )が変わってるな。
火山から矢吹艦の中の試合場に戻ってるのか。勝ったか?」
聞かれた岡村はことさら渋い表情を見せた。
岡村「それが、澤井のヤツがよー・・・」
話を聞くに、1stゲーム第二試合<三浦vs澤井戦>の際にハプニングが起きたそうだ。
いわゆる投擲勝負だったのだが、澤井が投げつける野菜類を三浦がことごとく切り伏せ、
隠し持っていた拳銃を撃とうとするも三浦のボウガンに阻まれ銃を地面のひび割れに落とし、
さらに投げた食器類は三浦得意の投げナイフの技術で挟み取られ投げ返される有様。
その他こんにゃくだのチュッパチャップスだの投げるがついに弾が尽き・・・・・・
岡村「そしてアイツは追いつめられて頭部が黄金のウンコに進化しちまって、
バビロン神拳とか言ってウンコを大量に発生させてウンコの川流れが発生したんだ!
それが火山口に大量に流入してメタンガスが大爆発、一帯が崩壊しちまった!
俺たちは全員ウンコ、いや試合場から待避した・・・!!」
川原「昼間っから汚ねえなあ」
岡村「もう夜だよ!主催の矢吹がどっか行っちまって連絡つかないらしい。
もう長いこと休憩中だ。いいかげん暇なんで起こしてやった」
ああそうかい、という顔を見せる川原の視界に廃人が2名入る。
岡村「あいつらはほっとけ。流れに巻き込まれて涅槃を見たらしい」
澤井「ウンコ食ってる間にカレーの話をするなー・・・ブツブツ」
にわの「・・・いえっさークリーンチュルナイ・・・くりーんちゅるない〜ブツブツ」
川原「俺は何も見てないよ」
サラッと流した川原に苦笑いを隠せない岡村。
岡村「すっかり顔色もよくなったな。あとは早く試合が再開するといいが・・・」 <Cブロック・現在試合中断中>
終った後に書くとか、未練たらたらだな 残念だけどもう終了だろ お疲れさまでした
ほんとに見苦しいよな 奮起して面白い話書くならまだしも、つまんねー繋ぎ話で終わってない事だけアピールとか見苦し過ぎ
>>496 25部575
出口「遅かったか・・・いったい何が起こった?こりゃあまるで台風一過だ」
大怪我で入院中の鈴木ダイに取り憑く守護霊・出口“ドールガン”竜正は、
宿主が疲れて寝た隙に車椅子を借りてトーナメント会場へとやってきていた。
そこで仲間である余湖軍団と今後の打ち合わせを行うはずが、
当の余湖たちはどこにも見あたらない。ただ自爆したらしき形跡を残すのみ。
無人の医務室跡で悪滅マスクの残骸を手にした出口は途方に暮れた。
出口「やあこいつはやばいな、『彼』になんて報告すればいいんだろう。
会社の方針が変わって『彼』の指示に従わなければならないのに、
これではダイがとばっちりを受けてしまうなあ」
口ではやばいと言いつつ至極マイペースな出口は、
車椅子を動かして余湖の残兵を捜そうとした直後、どこからか聞こえてくるカラオケ。
メロディは某セーラー服美少女戦士アニメの曲のひとつだった。
♪どんな打ち切りのときも 絶対あきらめない
そうよそれが 崇高な紳士のポリシー
いつかホントに出会う 大事な人のために
顔をあげて 飛び込んでゆくの
♪ツンと痛い 胸の奥で
濃いがめざめるわ
♪コワイ沢なんかないよね
ときめく変態がいいよね
おにんにんは夢があるよね
だからピッとりりしく
出口「(来てしまったッ・・・!!『彼』が!
鬼のチャンピオン新編集長・“阿鼻<教官>”沢 孝史!!)」
そう、何年も続く度重なる戦争に終止符を打つべく、 秋田書店はまず配下の漫画家達を厳しく統制する方針に変更したのだ。 ここ数日で戦力が激変し、このままでは宿敵の矢吹軍に負けてしまう可能性が高い。 暴虐非道と評判の秋田の敗北は、すなわち関係者たちの死を意味する。 散々苦しめられた勝者側が彼らを許すとは到底思えない。 そして沢という男は、そんな史上最悪の漫画家軍団を意のままに出来るという噂だ・・・。 出口が曲がらぬ首を傾け、肩越しに年齢不詳の男の姿を確認した。 体毛ひとつない黒ずんだ肌に尖った耳、は虫類のようにぎょろついた目、 軍服から手袋、猛禽の像を飾ったステッキやブーツに至るまで、 全身黒装束で覆った見るからに面妖な男であった。 手にはテーマソングを流すMP3プレイヤーが握られている。 沢「ククク。余湖のヤツらめ、定期連絡を怠っておると思ったら、 既に粗方微塵と化しておったか。 お茶目な連中だな、鈴木・・・いや、貴様は出口だな?」 出口「はっ・・・編集長自らお越しいただいて恐縮です」 かしこまった口調の出口を一瞥した沢は、 惨劇の場となった医務室をステッキで指し示した。 沢「間抜けで愚かな漫画家・・・ ミミズの如き単純でアブラムシの如き貧弱な・・・ 秋田書店の名誉を汚した浅はかな漫画家よ。 出口、奴らの犯した最大のミスは何だかわかるかな?」 出口「・・・」 宇宙人と見まごう容姿の沢の、異様なまでの迫力に圧倒され出口は返事一つできない。
沢「それは『漫画家』は最強の戦士であり無敵だと驕り高ぶったからだ。 矢吹をアクメツする?サンデーを?ガンガンを? フン、口だけなら何でも言えるよなあ。 出口、せっかく貴様が集めた敵の情報も奴らはロクに生かせなかった。 手足だけあっても脳がなければ漫画家もカカシやブリキと違わん」 やはり声を上げられない出口。 元々反戦派である出口は、できれば自分の集めた情報を穏便な方面で使ってほしかった。 「いきなりえなり姉誘拐(25部)」だの、 「いきなり傭兵の戸田勧誘(3部)」だの、考えなしな作戦の方がある意味ありがたかった。 だが沢という男、雰囲気から危険な匂いがする。 いわゆる『できる男』のオーラが出まくっているのだ。これは、危険だ。 沢「しかし安心しろ、今日から俺が貴様らの脳であり心臓だ。 出口よ、残る兵力を“例の場所”にかき集めろ。 この大会が終われば矢吹軍の隙がなくなる。今夜にでも決着をつけねばならん。 1時間以内に有能な兵を集められかったら、 貴様含め全員『反省室』行きだ。では頼んだぞ」 カッ、とステッキを床に打ちつけ、沢は蹶然と医務室跡を立ち去った。 沢が去り、心の中で冷や汗をかいていた出口が、 ほっと息をつくがすぐに顔を青ざめる。 出口「・・・ええ〜〜〜!反省室って何よそこ!?正座で作文でも書くの〜!? これはいけない、とにかく片っ端から連絡を入れよう。 施川の通信能力があれば楽なんだけど、今どこにいるんだろうなあ〜」 遺産をいじり<神>のエネルギーを我がものとした秋田書店だが、 未だ真の<王者>には遠く、やがて始まる運命の<史上最大の戦争>に、 自ら巻き込まれようとしている。
横やりが入らないと書かないとか なにがしたいんだか… もう終わったんだから認めようよ
読者に失礼だから本スレでみっともない真似すんなって過去ログにあったろ
したらばの愚痴スレでやれ な?
>>645-647 アビー(゚∀゚)モエッ
ていうか、何でわざわざ終わらせようとするんだか 放っておけば落ちるんだったら、無理にちょっかいかけてくる必要も無いのに
ちょっかい出されたとたんに他の書き手の時間ができたりするからいいんじゃね? 追い出すときとか、ネガティブな反動がないと書けないみたいだし ときどきこういう煽りが入るくらいが丁度いいだろ 個人的にはもう終ってもいいとは思うが
まとめに入ってるっぽいからじき終わるんでないの キユと軍師と妖魔王の設定消化してくれればなんでもいいよ
妖魔王というより、ミスト化した三条の中身だけが気になっている ダイ大キャラでもビィトキャラでもない、妖魔王が描いてる漫画のキャラらしいが
そういや三条は今度の鬼太郎アニメの脚本やるらしいな
ナンダッテェェ
脚本とか言い出すと、三条は突如炎の力に目覚めて角の生えたロボットに乗ったりしますが
保守るぞジョジョぉぉ
ほす
今の鬼太郎の猫娘可愛すぎる
だ、誰かその役で出すつもりか・・・?
661 :
作者の都合により名無しです :2007/04/20(金) 23:22:42 ID:XLzC1uBX0
あげ
ほんとに煽りが入らないと静かなスレだ
保守
核が世界中に落ちました。 みんな滅亡しました。 おわり
続きを書かない書き手が嫌い。保守するしかないスレが嫌い。優しいリレーが好き。 バイバイ
まあ待てって
もう生命維持装置外そうや。 1000まで埋めて終わりにしようぜ。
じゃあ埋め
埋め
め
妥協案で年表エンドなら許さないでもない
自分で書けばいいじゃない
残ってるのは終わらせるのは嫌だけど書かない只の元書き手と 自発的に書く気はないが大幅に話を変えられると発狂する怖い人しかおらん
なんでそんなに必死なの?
676 :
作者の都合により名無しです :2007/05/13(日) 23:45:59 ID:TKUjffjMO
えなり、その3文字は永遠に語り継がれる事となった・・・・。
なんで必死なの? と言って沈静化しようとする方が必死だったりする
だって設定で雁字搦めになって、ちょっとでも外れたら袋叩きだぜ? 原作に背いても、このスレの今までのストーリーに背いても叩かれる。 設定的にはおかしくなくても、結果が思い通りでないとやはりなじられる。 もう完全に袋小路に追いつめられて逃げ場がない。何も書けないよ。
うむ 叩かれるために書くマゾっ子でもなきゃ書けないね 頑張ったけどさ・・・ 仕方ないので年表か箇条書きでもいいので これまでの話を少しずつまとめてみようと思う
いいやいいやで横に設定や展開広げすぎたもんな さらに先の展開の予約とか、リレーとしては致命的だった こんながんじがらめでかけるわけがない 腐と厨に潰されたスレの典型だね
自分の書いてる部分が先に書かれるかも、とか 逆に自分の投稿で誰かの構想潰しちゃったら、とか考えてたらチキンレースだろうさ。 まとめサイトでその辺すり合わせ出来たら違ったかもしれないけど。 >腐と厨に潰されたスレの典型だね それはない。単純にみんな深く考えてなかっただけだろう。
つか単にメインの職人が飽きてあらかた抜けちゃったってだけじゃないの要は 単純に寿命だったんだよ
埋め
核の炎に焼かれた地に、えなりはただ一人生き残ってしまった
あんた核以外のネタないんか
続けただけで同一人物扱いされても困る
じゃあ続けるな
なして?
わかるまで書くな
はいはい
しかしえなりは諦めなかった。 「この荒野を一面黄金色に変えてやる…!」 手にした種籾の袋を手に、そう心に固く誓うのであった。
「まずは水を探さないとな」 なにをするにしても水源、できれば流水が必要であった。 稲作に水は欠かせない。特に水辺を適度に循環してくれる流水が理想的なのだ。 畑地で作る陸稲であれば畑を耕せばなんとかなるかもしれないが、 水稲がほとんどを占める日本で手に入れたこの種籾が陸稲である可能性は低いとえなりは判断した。 彼は水を求めて、荒野に第一歩を踏み出したのだった。
そういや年表前スレにあったな
水を探して歩き続けるえなりの前に、複数の人影が近づいて来た。 モヒカン狩りをした明らかに怪しい人種であった。 「おい、兄ちゃんよ。それ、食いもんだよな?」 えなりの持つ種籾の袋を指差して、イントネーションのおかしい言葉を吐いた。 「違います」とえなりは答えたが、 「嘘つくなよなぁ、知ってんだよ、おい」 馬鹿にするような半笑いを浮かべるモヒカンズ。 えなりはため息をついた。 「だったとして、どうしろって言うんです?」「よこせ」 「嫌です」 えなりの即答に、モヒカンズはあっさりと切れた。 「いいからよこせや雑魚が!」 怒鳴りつけて襲いかかってくる。 しかたがない―― えなりは再びため息をついて、モヒカンズの迎撃を始めた。
荒らすな 死ね
多くの漫画家達と戦って来たえなりにとて、彼らは敵にならなかった。 地に伏すモヒカン達を見て虚しさを感じつつ、えなりはまた一歩踏み出していく。 そんなえなりの前に、一人の老婆が姿を現した。 「ヒッヒッヒ…おまえさん、うまそうな物を持ってるね」 どうやら老婆の狙いも種籾のようだ。案の定、それをくれと言って来た。 えなりはこれは渡せないと答えると、 「じゃあこれと交換ならどうだい?」 そう言って老婆は袋から7つの玉を取り出した。 えなりは思わず叫び声を上げてしまう。 それは見紛う事なく―― 「ドラゴンボール!」
どんな形にせよ、書いてる人に向かって荒らし呼ばわりは最低だとおもうが 自分が中心で事が進まないと気が済まないのかな
荒らしだろ 援護すんなよ
えなりは老婆に問うた。それがどんなものか知っているかと。 老婆は知っていると答えた。 「だったら何故、自分で使わないのです? それで好きな食べ物を願えば、手に入るのですよ。 わざわざ私の種籾と交換する必要はないでしょう」 しかし老婆は首を横に振った。 「わしは米が食いたいのだよ。それ以外はなにもいらん。 だったらおまえさんの米をわしがもらい、 おまえさんがその玉に願いを叶えてもらえばより得というものではないかね?」 えなりはいまいち得心が行かなかった。 しかし確かにドラゴンボールがあれば荒れ地を黄金色に変えることができる。 えなりの願いが容易く実現できるのだ。 いやそれどころか… 「大破壊が起こる前に戻る事も…」
「ああ、戻る事もできるだろうさ」 えなりは口内に溜まったつばを飲み込んだ。興奮で手が震える。 「このまま先へ進むも、戻ってやり直すのもあんたしだいさ。好きにするといい。 ただし、あんたが何もせずにふんぞり返っているだけなら、 結局はここに戻ってくる事になるよ」 老婆は言う。 「戻るんなら心するんだね。違う未来に行きたいのなら本気を出しな。 もっとも、ここに戻りたくなったのなら話は別だけどね」 ひゃひゃひゃ、と老婆は笑った。 えなりは考えた、ドラゴンボールを使うかどうかを。 そして、彼の出した結論は――
ここで終わり 煽れば怒った誰かが無理矢理なんか書くと思ったんだけど結局なかったな もう誰も書く気力ないのか
必死にやめさせようとしてるのがいてワロタww 相変わらず書く気はないけど未練だけはあるんだな。
見渡す限り一面、黄金色の海。 それは、風に揺れる稲穂。 大地は今年もまた収穫の時を迎えていた。 この稲穂の海をずっとずっと進んだその先、大地の果てに、古びた像が 誰からも忘れ去られたまま残されている。 その像は、死に瀕した世界を救った英雄を讃えたもの、だという。 しかし、英雄がいかにして世界を救い、再生させたかについては、お伽噺 としてしか伝えられていない。
「英雄は、七つの不思議な玉の力で世界を再生させました。 七つの玉はただの石となり、二度と力が戻ることはありませんでした、とさ」 「じゃあママ、“マンガ”の力は、なくなっちゃったの?」 「さあ、どうかしらね?…さあ、そろそろおやすみ」 幸せそうな子供の寝顔を見ながら、母親は思った。 “マンガ”の力とは、物語を、心を人に伝える力だったと伝えられている。 それならば“マンガ”の力は、人類のある限り形を変えながらずっと存在 しつづけるものなのかもしれない、と。 子供の幸せな寝顔をもたらした、このお伽話のように。 ――古びた英雄の像の下、地中深くで、7つの玉はキラリと輝いた。
綺麗に終わったな
んじゃ次はそこまでの経過を書かないとな えなりと矢吹は相打ちか?
708 :
作者の都合により名無しです :2007/05/19(土) 20:47:28 ID:r64wrc2RO
最後にDB使ったの誰だっけ?
最近、電王みてて思うんだが、武井や板垣が憑いてた頃のえなりってまさにコレだったなあ
埋め
711 :
エピローグ :2007/05/27(日) 12:55:00 ID:kX9DmpcW0
全てが終った後… 静かな荒野で、一人の少女が佇んでいる。 手に持った通信機から何者かの伝言が送られてくる。 「はい。既に始末しました…」 少女は刀の上に滑らかに引っかかったえなりの首を見る。 その少女の名は杉田 尚。 荒野にさびしい風が吹いた。 〜完〜
どこだよ
梅
714 :
作者の都合により名無しです :2007/06/03(日) 00:06:37 ID:bXBl3RKU0
埋め
埋め
716 :
作者の都合により名無しです :2007/06/03(日) 12:12:38 ID:Ho8VoxAe0
埋め
め
718 :
作者の都合により名無しです :2007/06/07(木) 19:52:13 ID:mbRFtN9aO
めえ
このスレまだ続いていたのか! ・・と思ったら終わったのか?
721 :
作者の都合により名無しです :2007/06/09(土) 20:44:49 ID:Kkr5/8tM0
埋め
722 :
作者の都合により名無しです :2007/06/15(金) 04:24:04 ID:k250dYV30
埋め
えなりに残された最後の仕事、 スレを埋める作業は過酷を極めた。 「まだ埋まらないのか…」 えなりの心に絶望の影がよぎった。
724 :
作者の都合により名無しです :2007/06/17(日) 09:28:28 ID:ES8fpKGq0
埋め
なんだかんだいって、この物語もきれいに終ったな。
リセットして最初に戻さないか? パロロワ以外大規模クロスで面白いのって ここぐらいしかないし。 登場人物と登場場所をある程度決めてさぁ。 正直《メル欄》も出してやりたかった
まあ確かに全盛期は色々と批判や問題も多かったが、熱い展開も多くて面白かったな リセットする方法はあるし、俺は一向に構わんけど… ただリセットして書こうという意欲がある人どのくらいいるかなあ、ってのが気になってる あと今の漫画界の状況でやると、かなり各人の立場が違ってくるね 例えば、今のジャンプだと矢吹より、岸本の方が遥かに凄まじいパクリ王になっちまってたり
まあとりあえずやって見たら…と言いたいが それやって一度とんでもない拒絶反応示した人もいたしな 大分悪いイメージも付いただろうし 単純に大規模クロスやりたいだけならスレ新しく立てて題名も変えて新規一転した方が良いと思う
要は今までの話が無駄にならなければいいんだろ? それを踏まえてのリセットなら、やり方が無いでな無いな
改めてやるにしても破綻しないようなルールだけは作っておいたほうがいい。マジで。
まずリレー小説なのかそうじゃないのかはっきりさせてからだな 割り込まれて切れる奴大杉 割り込まれたら先の構想を潰して続けるのがリレーだろ
遺産編まとめてみるか あと新シリーズやるなら例えば登場人物は50名まで(減ったら次を出す) ぐらいは制約をつけんとえらいことになるぞ
制約の案はいいと思うが、50人は 少なくないか? +10がいいかと 新シリーズやるとしたらさ、主人公はまたえなり二世?
勢力を雑誌別にすると、UJが圧倒的最強集団になるな
トーナメント6人組8チーム+その他8人ってとこか>50 多いんだか少ないんだかわからんな
一人でフルに書いた場合のリミットが甲賀忍法帖=20人だとして、 それをリレーで分散・フォローすることを考えて×3、60人は妥当なラインだと思う。
相談なんかしないでちゃちゃと書けばいいんだよ どうせ最初の一歩は誰かが自分で書かないといかんのだから ルールだ相談だの一見お断わりな雰囲気出して、気軽に書けないから過疎ったのが分かんないのか
人数制限のメリットは最初から参加する幅が決っていれば予期せぬ乱入で 他の書き手が全く知識のない漫画家を出されて話を続けるのが困難になるという事態を防げる事 これでリレー小説としてはかなりスムーズに話が成り立つと思われる デメリットはこのスレの持ち味でもあったあの何時何が飛び出してくるかわからん感じが失われる事かね 実際新キャラ乱入はタイミングさえ間違わなきゃ盛り上がるしな まあこのスレがその形式で順調に盛り上がって来た頃から 安易な盛り上がりを求めた乱入の所為で収拾が付かなくなって文句を言う書き手が出てきたり ひっそりと去る書き手が出たりと、数ある衰退した原因の一つでもあるんだけど
>>733 主人公を漫画家の中から決めると揉めそうだから
えなり2世がいいと思う
ところで聞きたいんだが、 えなり2世とその姉の本名って 結局何なんだ?
こういう馴れ合いがスレを駄目にしたのかな…
そろそろ本格的に決めよう 新シリーズやるとして、スレは何処にたてる? 人数50〜60として誰を出したい? 個人的には、ゆで将軍は残したいのだが あれほど素晴らしい壁はないし
本名はあなたの心の中に だがえなりはジュニアだから父と同じ名前だと思うよ
>>739 明確に主人公なんて決ってないバトロワスレが腐るほどあるし
このスレは元々群像劇だから主人公なんて必要ない
>>742 このスレのキャラクター設定残したいのなら
新シリーズも糞もないだろ
前提知識のあるこのスレ住人以外寄り付かないからどうにもならんぞ
性格と能力は同じでもいいんじゃね 人間関係とか物語上に関わる設定とかだけリセットすれば 特に将軍とか、元々どうしてああなったのか最後まで謎なキャラだったし
このスレの相談好きは異常
で、具体的に書く気のある奴はいるのか?
スレたててこようか?
とりあえず、新スレ立ててきた。 気に入らなければ、削除などお願いします。
立てた奴が書かなきゃ誰も続かないわな
マロンかな
>>704-705 は意図的にぼかしたり叙述トリック盛り込んだりしといたから。
やろうと思えば再開でもリセットでも終了でも、好きに転がせると思うよ。
まあ、がんばって。
質問。以下の存在についてはどうしたらいい? ・原作者、監修者 ・旧えなりの永野に対するファティマの様に、漫画家に付随する(付随する必要性が高い)漫画キャラ まあ後者に関しては非常に稀な例なのでアイテム扱いにするとかなんとかなるだろうが、 少なくとも前者に関してははっきりさせておきたい。
リセットしたのにまたガチガチになるの?
>>753 正直、好きにしてくれとしか言いようがない
テンプレ違反さえしなけりゃ基本は何やってもいいよ
全盛期のえなりスレ伝説
・3レス5キャラ新登場は当たり前、3レス8キャラも
・
>>2 から小説書き込みを頻発
・リレー書きにとっての伏線回収は伏線ばら撒きの下準備
・本部ループも日常茶飯
・9回裏100点差、チームメイト全員負傷の状況から1人で逆転する漫画を書いた漫画家も登場
・1レス書き込みも余裕で過去編化
・一回の更新で新着が三本に見える
・名場面再現で勝利が特技
・書こうと思っていたルートを先に書かれただけで作者が泣いて謝った、発狂を起こす厨房も
・長文書き込みでも納得いかなければ一から書き直して訂正してた
・あまりに登場させすぎるから漫画キャラは反則扱い
・そのイヴも感動的な退場シーン
・漫画を一睨みしただけでアイディアがスレに飛んでいく
・スレの無い鯖落ち中でも2作完成
・主人公使わずに脇役で話進めてたことも
・自分の書いた話を自分で続き書いてレーザービームで投げ返す
・長文書き込みが被るなんてザラ、3つ同時進行してたことも
・漫画家が退場してから復活する方が早かった
・避難所で作品書いた
・進行フォローしようとした他の書き手と、それを手伝おうとした読者、ROM、野次馬ともども無視して書き上げた
・ROMの荒らしのヤジに流暢な自作自演で反論しながら書き込み
・グッとガッツポーズしただけで5kbくらい使った
・パクリ合戦で虚無の渦が起きたことは有名
・えなりスレが始まったきっかけは
>>1 の駄スレ立て
・ガンガンの深い位置から秋田書店の陰謀も処理してた
・マイナーな漫画家を楽々大活躍させてた
・自分のお気に入りの漫画家を活躍させて知名度まで上げるというファン活動
ボンボン終了と共にえなりも終わるのかー
・主人公使わずに脇役で話進めてたことも 伝説ではなくデフォルトだった気ガスww
・マイナーな漫画家を楽々大活躍させてた ・自分のお気に入りの漫画家を活躍させて知名度まで上げるというファン活動 ここらへんがこのスレで一番好きだった部分 マイナーな良漫画家をたくさん知る事ができて楽しかった
多分、このスレが無かったらガンガンとかチャンピオンなんて一生手に取ることなかったわ俺
ああ、それはある 覚悟の人や荒川、長谷川なんかはここ見なきゃ知らないままだった
リニューアル版じゃ、もうエニッ糞なんて名称は不可能だなw 旧えなり初期のガンガン勢の不遇さは異常
事実は小説よりもえなり
このスレを見ている人にお願いだ 「新生 えなりの冒険実録」をたてた1なのだか、書き手の絶対数がとてつもなく少ない。 漫画家定員まで余裕あるから書きたい人は本気で来て欲しい
需要があるのか不明だが一応。 ■えなり編 原始心父 >384-388 めぞん泡沫 >431-437 案内屋岩代・極楽大作戦!! >461-468 眠りと目覚め >549-551 輪生/蜻蛉 >608-615 ■エリア88編 矢上vs押井 >397-400 ■医務室周辺 魔術師 >493-496 コンテンポラリーネイション2 サヨナラ*ヘヴン >523-526 たのしい涅槃劇場 >645-647 ■サンデー対サイクロプス編 結界師vsエクソシスト >507-509 古流空手vs一人多国籍軍 >620-623
■料理対決編 覇王決定!! >543-545 ■ウォーゲーム編 三途の川の流れのように >642 ■未来編? 無題 >579>580>581>583 サンサーラ・えなり >584-585 無題 >600-603>606-607>638-640 ■完結編? >691-696>699>701>704-705>711 ■(複数ルート) LUNATIC FOREST >408-426
おう久々だな・・・ってそういや最近話動いてないなあ どこから続ければいいんだろうな 矢吹とえなりの決戦中に蝕が起こるって展開なんかな
770 :
倉庫人 :2007/12/29(土) 00:36:29 ID:hqZIjzn90
>>770 お疲れ様でした。
長い間、本当にありがとうございました。
倉庫停止となると、本当に終わったんだって感じがするな。
773 :
作者の都合により名無しです :2008/01/07(月) 00:19:25 ID:HbJogviIO
えなり「誰でもいいから皆殺しにしたかった」
774 :
作者の都合により名無しです :2008/01/08(火) 19:19:28 ID:Z4jqaVK8O
えなり「人間関係に悩んでいた」
えなり「そしたらあの人がやって来たんだ」
776 :
作者の都合により名無しです :2008/01/09(水) 04:59:49 ID:oxuTrrA4O
スネ夫三世「えなりのクセに生意気だぞ!」
777 :
作者の都合により名無しです :2008/01/09(水) 10:34:23 ID:EQIH4FghO
777ゲトシチャッタ ワーイ ワーイ
産め
埋め
あるスレが暇つぶしにいいという話はよく聞きますが、2chの調査結果 によれば、えなりスレは危険なスレッドだということがわかりました。 スレ住人が増えている新生スレも他人事ではありません! その驚愕の事実をご紹介します。 1)語るスレの厨房の98%は本スレを見ている 2)えなりスレを日常的に見て育った子供の約半数は、 重度の漫画オタクである 3)猟奇的SSの90%は、 えなりスレを開いてから24時間以内に投下されている 4)えなりスレは中毒症状を引き起こす。被験者に最初はえなりスレと糞スレを与え、 後に糞スレだけを与える実験をすると、2日もしないうちにえなりスレを 異常にほしがる 5)新生児にえなりスレを与えると、目に悪い 6)21世紀初頭、えなりスレが全盛期だった頃、 少年誌には黒猫、マーなどネタ漫画が溢れかえっていた 7)えなりスレ住民のほとんどは、 重大な科学的事実と無意味な統計の区別がつく
781 :
作者の都合により名無しです :2008/02/24(日) 19:08:29 ID:R01xgmeKO
2年以上前に立ったスレが未だ埋まりもせずに、落ちてもいないとは、つくづく過疎板なんだなココ・・・
旧スレに関する話題は埋めついでにこっちでやったほうがいいと思わないでもない。 それはともかく俺もゆで将軍強すぎはどうかと思った。 たぶん@もともとファンが多かったのと A他の漫画家に比べても特に敵に凶悪な奴が多いのに加えて B初登場で、それまでほぼ無敵だった荒木と車田を圧倒したのが大きかったんじゃないだろうか。
今だから、こっちでだけ言うが、本宮の最期だけは描きたかったなあ あいつの最期のシーンは、修羅の刻「義経編」、弁慶の大往生のシーンをモデルに書くつもりでいた トーナメント直後の大混乱の中、裏御伽を始めとした仲間達を逃がす為に鬼神となって孤軍奮闘する本宮 玉璽の紐が切れたことでそれに気付いた川原がそこへ駆けつけるが、本宮は既に事切れていた 全身ズタボロになりながらも最期まで立ったまま壮絶に死んだ本宮を前に、 「俺との決着はどうした!」と号泣する川原、というのを是非やりたかったんだ これだけは旧スレの空気じゃないと二度と書く事はできないだろうから、記念にここに書きなぐっておくことにした
後にこういう展開やりたいからフラグ立て、ばっかりになった結果が現状だから まあ自業自得
確かに。 でも、もし別府編の勢いのまま伝説編まで行けたらどうなってたか見てみたいような気もするけど。 そんな俺は伝説編中ごろで皆川がバンダースナッチを発動、カツミ→皆川、涼→留美子でラスト再現とかぼんやりと妄想してたのも私だ。 留美子パワーアップネタを新生スレのほうでようやく使えたから心残りは無いけどな。
>>784 やっぱ本宮のおっちゃん死ぬよなー
うちは最後は男一匹ガキ大将の数万人決戦での主人公を想定してた
他のチーム員はヤクザ映画みたいにバタバタ死なすつもりだった
新えなり怖くて見てないんだよ
覚悟決めたら行ってみる
本宮、「まだ生きている」の様な死に方だったら嫌だな(w
猪食って吐血かw ああそれは一発ネタならアリかな
790 :
作者の都合により名無しです :
2008/04/13(日) 18:54:03 ID:SjrljD850 冨樫