【2次】漫画SS総合スレへようこそpart29【創作】

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1作者の都合により名無しです

元ネタはバキ・男塾・JOJOなどの熱い漢系漫画から
ドラえもんやドラゴンボールなど国民的有名漫画まで
「なんでもあり」です。

元々は「バキ死刑囚編」ネタから始まったこのスレですが、
現在は漫画ネタ全般を扱うSS総合スレになっています。
色々なキャラクターの新しい話を、みんなで創り上げていきませんか?

◇◇◇新しいネタ・SS職人は随時募集中!!◇◇◇
SS職人さんは常時、大歓迎です。
普段想像しているものを、思う存分表現してください。

過去スレはまとめサイト、現在の連載作品は>>2以降テンプレで。

前スレ
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1123952057/
まとめサイト
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/index.htm

2作者の都合により名無しです:2005/09/16(金) 18:22:31 ID:U0NP5m7j0
ほぼ連載開始順 ( )内は作者名 リンク先は第一話がほとんど

ドラえもんの麻雀教室(VS氏)
 http://park14.wakwak.com/~usobare/dora/gateway.html
ザク(ザク氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/zaku/01-raou.htm
超格闘士大戦(ブラックキング氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/tyo-kakuto/01.htm
ディオの世界(殺助氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/dio/01.htm
虹のかなた(ミドリ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/niji/01.htm
オムニバスSS劇場(バレ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/bare/16.htm
忍者の証(青ぴー氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/aopi/01.htm
黄金時代(銀杏丸氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/ginnan/01-1.htm
不完全セルゲーム(サナダムシ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/sanada/08-1.htm
北の果てより(パオ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/kita/01.htm

3作者の都合により名無しです:2005/09/16(金) 18:25:24 ID:U0NP5m7j0
AnotherAttraction BC (NB氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/aabc/1-1.htm
上・魔女 下・茄子(ゲロ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/gero/wi-01-1.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/gero/03.htm
ドラえもん のび太の超機神大戦 (サマサ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/samasa/04-01.htm
Iron Fist Tournament (名無し氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/iron/01.htm
Who Fighters (ユル氏)
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1123952057/346
それゆけフリーザ野球軍 (しぇき氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/syeki/01.htm
オーガスーツ (ふら〜り氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/furari/16.htm
4作者の都合により名無しです:2005/09/16(金) 18:29:43 ID:yzTQPeW0O
5それゆけフリーザ野球軍:2005/09/16(金) 18:33:43 ID:yzTQPeW0O
携帯からこんにちはです

バイトと規制のためカキコが遅れました

〉ふら〜りさん
たろ〜ネタはいずれ出します。

レスをくれたみなさんありがとうございました
6作者の都合により名無しです:2005/09/16(金) 18:59:48 ID:U0NP5m7j0
>サマサさん
フー子、イラスト見ると可愛いなあ。もっと男の子っぽいと思ってた。
ギャルゲーの世界は分からないけど、少し萌えました。
何気に仲良くなりましたね、フー子とプリムラ。雷電節が出てきてワラタw

>しぇきさん
史上最強の雑魚キャラと呼ばれるコルドの登場ですかw
個人的にこいつはヤムチャ以上のヘタレと思ってますが、キーキャラですかね?
ナベツネ的キャラになってるw
7作者の都合により名無しです:2005/09/16(金) 21:30:48 ID:jVGy0Lt50
1さん乙。もうすぐパート30か。ここまで続くとは…

・超機神大戦
サマサ氏、またすごい所から持ってきましたねキャラをw
フー子VSプリムラの女の戦い期待してたけど仲良くなったか。

・フリーザ野球軍
練習試合とはいえ宇宙の帝王、負けられませんな。
コルドという鬼監督の下でフリーザはまともな野球が出来るのか?
81さん乙です:2005/09/16(金) 22:05:03 ID:e64wW8TJ0
>超機神
フー子のキャラいいなあ。
プリムラとバトルかと思ったけど、そっちへ行きましたかw
色んな漫画が混ざったバトル(未遂)も楽しかったですよ。

>フリーザ野球軍
アパッチ野球軍なんて、自分もOP曲しか知らないな。
史上最強の噛ませ犬の登場で少し雰囲気が変わってきましたね。
今のところ父の威厳があるけど、いつまで保つことか。
ところでジースは何を質問したんでしょうか?
9作者の都合により名無しです:2005/09/16(金) 22:26:13 ID:Fd9lt1vx0
1氏乙。しかし、次でpart30か。
スレの性質上、雑談が余り混じらないSSスレでここまで行くとはな。
職人さん、バレさんいつもお疲れ様です、本当に。

ここ数スレを支えてきてくれた一人のサマサさん、
期待の新人のしぇきさん、お疲れ様でした。
現スレでも大活躍を期待しておりますぜ。

コルドで、昔のジャンプ放送局のドラゴンボールネタを
思い出した人が俺以外にいるみたいだなw
「ワシの名はコルド…史上最強の…ザコキャラだ!」
これは当時爆笑した思い出があるw
10それゆけフリーザ野球軍:2005/09/17(土) 00:19:49 ID:cIlCGw8J0
今度はパソコンからこんにちはのしぇきです。

>サマサさん。
ずっと気になっていたのですが、コントがスパロボっぽいのは気付く人ぞ気付く用なのですか?
それだとリルル辺りが、「私が死んでも変わりはいるもの」みたいな台詞で自爆しそうな気が・・。


>8さん
急いで書いてたので書き忘れていました。

「フリーザ様!質問があります!何でうちのチーム名に野球軍が付くのですか?」
に訂正です。スイマセン。

それでは失礼します。
11それゆけフリーザ野球軍:2005/09/17(土) 04:07:49 ID:cIlCGw8J0
ピンポンパンポ〜ン〜♪

(これよりフリーザ野球軍のオーダーを発表します・・・。え?これでいいんですか・・?はい、はい。分かりました。)
(え〜、大変申し訳ありませんでした。では改めてフリーザ野球軍のオーダーを発表します。)
(一番:センター フリーザ)
(二番:ショート フリーザ)
(三番:キャッチャー フリーザ)
(四番:ピッチャー フリーザ)
(五番:ライト フリーザ)
(六番:セカンド フリーザ)
(七番:ファースト フリーザ)
(八番:レフト フリーザ)
(九番:サード フリーザ)
(・・・・・。以上が両軍のオーダーです・・。え〜と、先行はとってもアプール!?チームとなっております・・。)
(あの、会長?コレって本当に・・?え?まだスイッチが・・・?)

「ほほほほほほ!驚いたでしょう?これぞ最強のオーダーです!」
さすがの大惨事にぽか〜んとなるフリーザを除く一同。そこにさらに付け加えて
「コレならば打線に穴が無く、なおかつ鉄壁の守備ですよ!あまりにも自分の頭脳が優秀すぎて困ってしまいますよ!ほほほほほほ〜!」
この発言のあと当然、
(こいつは本物の馬鹿だ・・。)
とフリーザを除く一同は思ったのだった。
12それゆけフリーザ野球軍:2005/09/17(土) 04:08:26 ID:cIlCGw8J0
<フリーザサイド>
「あ、あの〜。フリーザ様。」
「なんですか?ギニューさん?」
一人でマウンドに走っていこうとするフリーザをやっと正気に戻ったギニューが呼び戻す。
「私たちの出番はあるんでしょうか?」
「「突っ込みどころはそこと違う!!」」
思わず皆が突っ込んでしまう。そんな突込みを全く無視のフリーザは
「ほほほほ。まあ、相手が相手ですから無いと思いますが・・・。まあ、あるとしたら私が負傷した時でしょうかね?ふ、それこそありえ

ませんがね・・。」
さすがのこの飛んでも発言に業を煮やしたのか、普段フリーザに対して全くのイエスマンのザーボンがこの一言。
「もし、フリーザ様が負傷されてメンバーチェンジしても、8人しか控えがいませんから不戦敗になってしまいますよね?」
(この突っ込みも違うな・・。もっと根本的な・・。)
ひそかにそんな突込みをしているミルコ。
「あ・・・。そういえばそうですねザーボンさん。」
(まだ気付かないのか?それともマジか?っていうかザーボン!お前もそんなキャラ違うだろ?)
心の中で心底思っているドドリア。
「・・・。完璧なオーダーとは思いましたが、そんな落とし穴が・・・。さすがですよ!ザーボンさん!」
「お褒めに預かり光栄です。」
そんなコントをしている二人をよそに新たなオーダーをフリーザ野球委員会に提出するミルコ。
「ミルコさん?何をしているのですか?」
「・・・。こんなこともあろうかと、私が考え出したオーダーを提出しておきました。」
「ほほほほほ!さすがですよミルコさん!まあ、私のオーダー以上はありえませんが・・。」
そんなギニュー&ザーボン&フリーザの発言を聞きながら、特選隊&ドドリア&MAX強化栽培マン(ギニュー&グルド抜き)は
(今日は負けたな・・。)
と心のそこから思ったのであった・・・。
13それゆけフリーザ野球軍:2005/09/17(土) 04:09:00 ID:cIlCGw8J0
<ミルコ&コルドサイド>
特選隊たちが今日の試合を諦めた傍らでコルドはフリーザ達の飛んでも発言にうんざりしながら小声でミルコと
「ミルコよ。いつも我が息子はこんな感じなのか?」
「いえ、今日はましな方です。この前なんか、漬け麺をざるそばと言い張って星一つ消していましたから・・。」
「・・・・。苦労を掛ける・・。」
「いえ、もう慣れました・・。」
などと常識人的会話をしていた・・。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
ピンポンパンポ〜ン〜♪

(先ほどのフリーザ野球軍のオーダーを変更いたします。)

「まあ当たり前だな。」
思わず口走るドドリア。

(一番:センター バータ)
(二番:セカンド ジース)
(三番:ファースト コルド大王様)
(四番:ピッチャー フリーザ)
(五番:サード ギニュー)
(六番:キャッチャー ドドリア)
(七番:ライト リクーム)
(八番:レフト ザーボン)
(九番:ショート MAX強化栽培マン)
(以上のオーダーに変更いたしました!)
14それゆけフリーザ野球軍:2005/09/17(土) 04:09:36 ID:cIlCGw8J0
「さすがミルコ殿。見事なオーダーです。」
ギニューの発言に思わず首をコクコクさせる一同。その傍らでフリーザが
「私の打順が一回りのうちに何で1回しかないのですか?」
と一人で暴れているが全員それを無視してマウンドに駆け上がる。
「フリーザ様!始まりますよ!」
ジースが元気よく声を掛けると、
「分かりましたよ!さ〜て、3回コールド勝ちをしますか!」
と、さっきまでの打順こだわりはどこへやらといった様にマウンドへ駆け上がっていくフリーザ。そして、
「ほんと、馬鹿バッカ・・。」
ミルコは皆に見せ忘れたルール書を見ながらつぶやくのだった。
15それゆけフリーザ野球軍:2005/09/17(土) 04:13:22 ID:cIlCGw8J0
あれ?まだ一球も投げてない?のしぇきです。
おはようございます。

う〜む、書きたいことが多くて試合直前から進みませんでした。

>訂正二回目
「フリーザ様!質問があります!何でうちはチームでなくて野球軍なのですか?」
に訂正です。スイマセン。やっぱり文章は難しいです。頭と字が付いていかないですね。長編を書いている方は本当にただただ尊敬といった感じです。

では失礼します。
16作者の都合により名無しです:2005/09/17(土) 09:20:51 ID:HXR8Usxe0
しぇきさん、いつも楽しませてもらってますが、少々誤字が多いのが気になります。
特にずっとギニュー特戦隊を特選隊と間違っているのがどうしても気になって・・・。
お話はかなり面白いのにその辺りで損をしている様な・・・。投稿前に慌てずに一度見直してみては如何でしょう?
17作者の都合により名無しです:2005/09/17(土) 12:05:21 ID:9y3BYbUh0
それは言えるかも。見直しなんて数分で出来ると思うし。
18作者の都合により名無しです:2005/09/17(土) 12:25:04 ID:SF8a/UDh0
いや、意外と自分では気付かないもんだよ>誤字脱字
人に言われてはじめて気付くこともあるし。
19作者の都合により名無しです:2005/09/17(土) 16:33:59 ID:2ENMKSdb0
しぇきさん乙です。
ま、最初のうちは誤字脱字も仕方ないけどその内慣れて来たらなくなりますよ。
やはりバータは一番ですか。これだけは万人の予想通りですなw
20それゆけフリーザ野球軍:2005/09/17(土) 23:57:48 ID:ITfECmzq0
誤字脱字は確かに多いです。
スイマセン。

特戦隊は一発変換に任せきりなのでそれが原因だと思います。
他にも色々あるみたいですが、この漢字で本当にあっているのか?と普段文章など書かない身なので
悩んで変換した挙句というパターンが多いみたいです。

では次からは少しでも無いように気をつけて・・。
失礼します。
21作者の都合により名無しです:2005/09/18(日) 19:12:29 ID:mjbkIojk0
ま、誤字は俺は特に気にかからないけど。
ハイペースで大変だけど頑張ってね。
22オーガスーツ:2005/09/18(日) 20:10:24 ID:a98C8O/k0
>>ttp://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/furari/16-2.htm
タマネギ部隊は全員、パタリロの発明品の威力を知っている。オーガこと、範馬勇次郎
の恐ろしさも伝え聞いている。武装して集ったタマネギたちが、緊張に張り詰め強張る。
そんな中、一号の胸の勲章が鳴った(これもパタリロの発明品で、タマネギ用の通信機)。
「一号だ。どうだ、マライヒさんの様子は?」
《せ、先行偵察部隊はぜんめ……がふっ! やあ、一号さん。お久しぶり》
苦悶の声を押し潰して割り込んで来たのは、元気そうなマライヒの声。
《この人たち、気配の消し方がなっちゃいないね。部下がマヌケだと、あなたも
気が休まらないでしょ?》
「……マライヒさん。殿下がしたことについては、私からも謝罪します。ですから、
もうこんなことはやめて下さい」
《違うよ一号さん。ぼくはもう、バンやパタリロへの怒りだけで動いてるわけじゃ
ない。このエプロンドレスのせいか、何だかとっても、お腹が空いててね。
丸太を砕いたり偵察部隊のザコを潰したりしただけじゃ、全然喰い足りないんだ》
「?? 喰いたりない?」
《世界に冠たるマリネラ王国軍、タマネギ部隊の力。一号さんたちの、国王への忠誠心。
あなたたちが国防の為に注ぎ込んだ情熱・時間・エネルギーを知ってみたくなったんだ》
「い、一体何を言ってるんですマライヒさん?」
《一号さん。戦いこそ至上のコミュニケーションなんだよ。SEX以上の、ねっ。ふふ》
通信機の向こうから聞こえてくるマライヒの言葉が、一号に戦慄の寒気を走らせた。
今のマライヒは正に、噂に聞く範馬勇次郎そのものだ。覚悟はしていたものの、実際に
マライヒの声で範馬勇次郎の思想を耳にすると……体が震えだした。止まらない。
《じゃ、今からそっちに行くよ。くれぐれも、20〜30人で今のぼくを止められる
とか思わないようにね。せめて100人は集まっててくれないと。わかった?》
ぐしゃ、と音がして通信が途切れた。多分、通信機を握り潰されたのだろう。
「くっ……皆、聞け! 今のマライヒさんがここから出れば、殿下のみならず、
どれだけの巻き添えが出るかわからん! 何としても、ここで食い止めるんだ!」

……やがて、エプロンドレス姿のマライヒが、ゆっくりと王宮に入ってきた……
23オーガスーツ:2005/09/18(日) 20:11:11 ID:a98C8O/k0
海の上の空の上に、鳥でも飛行機でもスーパーマンでもないものが、ヒラヒラと
はためきながら音速で飛んでいた。
これはパタリロの発明品、マッハじゅうたん。乗っているのはもちろんパタリロだ。
「やっぱり、こうなったか。まぁオーガスーツもぼくの発明品だからな。
当然といえば当然の展開か」
パタリロは勲章型通信機を胸から外すと、スピーカー部分を隣にいる男に向けた。
王宮内の阿鼻叫喚が、大音量で流れてくる。男はそれを聞いて、ほうと息をついた。
「なかなかハデにやってるようだな。だが、悪いがまだ信じられん。あのオーガの
能力を、別人に付与できるだなんて。マリネラ国王、いくらアンタでもそりゃ無理だ」
「この惨状を聞いても?」
「これぐらい、オーガほどの力がなくとも可能かもしれない。例えば私でも」
暗にタマネギたちをバカにしているとも取れる発言だが、パタリロは動じない。動じて
いる場合ではない。なにしろ早急にこの事態を何とかしないと、タマネギ部隊の全滅
どころかマリネラ王国自体が崩壊しかねない。タマネギや国民のことなどは
どうでもいいが、国が潰れたら自分の金儲けができなくなる。それは困る。
というわけでパタリロは、はるばるアメリカまで助っ人を呼びに行っていたのである。
「実際に今のマライヒに会って、そして戦ってもらえば嫌でも解るでしょう。オーガ
スーツの完璧さが。あと、ぼくの部下たちが歯が立たないことの仕方なさも」
「そうだな。私がマライヒ君を叩きのめして、オーガスーツを剥ぎ取って調べれば解る」
「……そう願いたいものです。頼みますよ、ミスター・アンチェイン」
「OK」
マッハじゅうたんが、速度を落として降下していく。
ビスケット・オリバ、マリネラの大地に立つ。
24オーガスーツ:2005/09/18(日) 20:12:12 ID:a98C8O/k0
タマネギ部隊が見事に全滅壊滅した、マリネラ王宮。奇跡的に死者こそ出ていないが、
今のこの場所は正に死屍累々。戦場さながらの光景である。
タマネギ部隊以外の非戦闘員はとっくに避難しているので、今ここで動いているもの、
立っている人間は一人だけ。一見可愛いメイドさん、中身はオーガのマライヒだ。
「ふ〜……ふ〜……」
息を切らし、汗をかいてはいるものの、ケガらしいケガはしていない。壁にも床にも
天井にも無数の弾痕があるが、マライヒには一つもない。辺りに転がるタマネギたち
には、打ち身・捻挫・脱臼・骨折その他もろもろ、文字通り出血大量大サービスだが。
そのマライヒが、何者かの気配を感じてそちらを見た。タマネギではない人間が二人、
歩いてくる。
一人はパタリロ、もう一人は見たことのない大男だ。表情はにこやかで親しげだが、
異常なほどの全身の筋肉が常人でないことを語っている。
「ハロー、マライヒ君。お初にお目にかかる。私はオリバ。ビスケット・オリバだ」
「オリバ……ああ、アメリカの。アンチェインとか言われてる人か」
マライヒはオリバには意識を向けず、パタリロへ視線を流しながら言った。
「君のことだ。何かするだろうとは思ってたけど、がっかりだ。こんなムダなことを」
「オイオイ」
オリバが、マライヒの視線を遮るようにパタリロの真ん前に立った。
「見知ってくれていたのは光栄だが、人の挨拶を無視するのは感心しないな、少年」
「はん、悪かったねオジさん。マナーの悪い今時の若者で。だけど、オジさんの筋肉
如きでぼくの相手が務まると思うのは、ちょっとハネっ返り過ぎじゃないかな」
「ホゥ……言ってくれるね、マライ」
オリバの言葉を遮って、マライヒが突っ込んできた。まっすぐ、何の変哲もない
右ストレートを、オリバの腹に向けて放つ。
オリバは、腹筋でそれを受け止めようとした。が瞬時に、リアルで固めても
通用しないと判断し、両腕でのガードに切り替える。

ガッッ!
25オーガスーツ:2005/09/18(日) 20:13:08 ID:a98C8O/k0
丸太、いや太い鉄柱のようなオリバの両腕が交差されて、マライヒの拳を受け止めた。
『こ、これは……ッ!』
オリバに、格闘技の心得はない。だが実戦慣れという点では、どんなプロ格闘家でも
足下に及ばないほど、場数を踏んでいる。
だから、解った。今のマライヒは、ただ『範馬勇次郎の性格と能力をコピー』しただけ
ではないということが。そして、自分では全く勝ち目がないということも。
「マリネラ国王!」
オリバは、腕の痛みに顔をしかめながらそれを振り回し、とりあえずマライヒを
突き飛ばして距離を作った。
「逃げるぞ! 今彼とまともに戦ったら、二人ともやられる!」
「え、えっ?」
「早く!」
オリバは完全にマライヒに背を向けて駆け出した。駆け抜けざまパタリロを
脇に抱え、全速力で王宮の出口へと向かう。
一体何があったのか、パタリロにはわけが解らない。解っているのはマライヒが、
破壊と殺戮への期待に胸を躍らせてます、という目をして追いかけてきていること。
それは戦っている時の勇次郎そのものの、血の欲望にギラつきまくっている目だ。
その目、その視線に射抜かれて、さすがのパタリロも抵抗できず、ポケットに手を
入れた。使いたくなかったが、用意していた緊急避難アイテムを取り出す。
「ほら、よく見ろマライヒっ!」
命には代えられず、パタリロはそれを窓から投げた……最高級の天然ピンクダイヤを。
すると、ニボシを投げられた時の空飛ぶ猫もかくやの勢いで、マライヒがダイヤを
追って窓から飛び出した。少なくとも今、オリバやパタリロのことは意識の片隅にも
ないであろう。
「ふぅ。オーガ化していても、人格の基本はマライヒ。とりあえず命拾いしたな」
「……それが問題なんだが」
「えっ?」
26ふら〜り ◆XAn/bXcHNs :2005/09/18(日) 20:15:24 ID:a98C8O/k0
♪スーパーキャットか タマネギ部隊 アフロ80 プラズマか♪ 
……を相手にマライヒ大暴れ、のシーンも考えたんですが描写しきれず断念。NBさん
とかみたいに書ければなぁ、と己の未熟ぶりを思い知る今日この頃。精進足りず無念。

>>サマサさん
期待通り台風の目になってくれたフー子。その台風に呑まれた一同の暴れっぷりが楽しい。
特にヘルズフラッシュ……某所で今、「モヒカン頭の心優しい人造人間」氏、激戦の中に
いますねぇ。ともあれ、後々あるであろう女の子たちのチームプレーに期待しております。

>>しぇきさん
コルドが来ましたか。原作ではあまりにも儚い存在でしたし、せめてここでは活躍して
ほしいところですな。相変わらずフリーザに振り回されてる部下たち、そしてその面々
の中でも絶え間なく繰り返されてるボケとつっこみ。惑星フリーザは今日も賑やかです。
27ふら〜り ◆XAn/bXcHNs :2005/09/18(日) 21:13:53 ID:a98C8O/k0
連続御免。

>>1さん
おつ華麗さまです! 積み重ねたバキスレの歴史、いよいよ30間近となりましたねぇ。
パオさんの死刑囚に魅かれ、感想を書かずにいられなくなって……職人さんたちの作品
を見て、憧れている内に自分も挑戦してみたくなって……いろいろありました。しみじみ。
28作者の都合により名無しです:2005/09/18(日) 21:42:25 ID:PFv/u1Q90
マライヒがSEX以上にというと女が言うより嫌らしいですなw
オリバが出てきましたか。となると、本物の勇次郎も出そうですな。
となるとマリネラ壊滅か。パタリロも大変ですなw


パート30には、今まで書いた人たちが集まって来て欲しいですな。
29作者の都合により名無しです:2005/09/19(月) 00:30:05 ID:rIJ1oyH50
ふら〜りさんお疲れ様です。
オリバ登場でも止められぬ美しき死神の猛進、やはり止めるのは
バンコランか本家勇次郎自身ですかね。
昔、マライヒは色っぽくてドキドキした覚えがあります。
30それゆけフリーザ野球軍:2005/09/19(月) 01:42:05 ID:Rhg2fi0C0
<1回表>
ついに始まるフリーザ野球軍の初戦。
「ほほほほほ、ついに私の栄光の野球ロードもとい、フリーザの星が始まるのですね!!」
「フリーザ様。バックは私たちにお任せください!」
「分かっていますよ!まあ、相手が打てればの話ですがね・・。」
セカンドのジースの声に不敵な笑みを浮かべながら答えるフリーザ。
(心配だ・・。)
思わず思う一同。

(1番:ファースト アプール)

アナウンスともに右打席に入るアプール。
「では行きますよ!」
フリーザは大きく振りかぶり、オーバースローのフォームでドドリアのミットへ思いっきり投げる!

シュルシュルシュル

このまるでテープの巻き戻しのような音はフリーザの球の速さの表れだろう。

ズバーン!

「ストライーク!」
(ほほほほ、さすが私が投げるボール。この音とコントロールさすがですよ)
内心舞い上がっているフリーザに対し、アプールはいたって冷静に
「・・・、キュイ様が行っていた通りか・・。」
「ん?なんだ?アプールの癖に生意気だぞ!」
「ほほほほ、ドドリアさん。良いではないですか?別に打てる訳が無いのですから!」
そういって続いて2球目を投げるフリーザ。
31それゆけフリーザ野球軍:2005/09/19(月) 01:42:58 ID:Rhg2fi0C0
「コレを打てる物なら打ってみなさい!!」

シュルシュルシュル・・・。

フリーザの2球目もドドリアが構えた所へ球は飛んでいくが・・・・。

カキーン!!!

フリーザにとって漫画でしか見たこと無い不吉な金属音が球場に響く。
「な?」
アプールに打たれた球はグングンとレフト方向へ距離を伸ばし・・。
「おい!ザーボン!死んでも取れよ!」
ドドリアの叫びとともにザーボンは高速でアプールが打った球の元へ飛んでいくが
「ふん、アプールごときが打つ球など私が取りこぼすはずも無かろう・・・。って、な・・、うを!」
空中で球を難なくキャッチしたはずのザーボンだったが、あろうことがそのままフェンスの後ろへ落ちていく・・。

一瞬の静寂。そして外野の審判は腕をグルグル回しホームランの合図をする。
「ま、まさか、私の球がアプールごときに・・。」
ガクッとその場に膝を着くフリーザ。喜ぶアプールベンチ。
「ふ、フリーザ様。申し訳ありません・・・。」
殺されるのを覚悟してフリーザの元へ駆け寄るザーボン。何も答えないフリーザ。それを見た、ギニューはザーボンの元に近づき
「ザーボン。球を取った瞬間に変な表情をしていたが何かあったのか?」
「・・・・・。信じられないかもしれないが、取った瞬間とてもアプールが打ったと思えないくらいの力強い打球だったんだ・・。ドドリ

アやリクーム級のパワーを感じたよ。」
「アプールに?・・・。フリーザ様?どうしますか?」
「・・・・・。決まっているでしょう。次のバッターをしとめることです。」
「フリーザ様、でも・・。」
「分かったらさっさと持ち場に戻りなさい!」
「は、はい・・。」
納得しない顔のまま二人は守備に戻る。
32それゆけフリーザ野球軍:2005/09/19(月) 01:43:34 ID:Rhg2fi0C0
<フリーザ野球軍・ベンチ>
「やっぱりアプールの奴等が戦闘力のコントロールが出来ているみたいだの〜。。戦闘力がコントロールできないフリーザ達じゃちょいと

荷が重そうじゃの〜。さてと、ちょッくらアドバイスをするかの。」
まるでこうなるかを予想していた口調でゆっくりと立つと審判に向かって
「タイムじゃ!フリーザ様、ドドリア。こちらへちょっと来ておくれ。」

たったの2級で早くも得点を許してしまったフリーザ野球軍。
果たしてフリーザたちは初戦を勝利で飾ることが出来るのか?
続く。
33それゆけフリーザ野球軍:2005/09/19(月) 01:50:59 ID:Rhg2fi0C0
>漢字間違いと文章を修正しました。
<フリーザ野球軍・ベンチ>
「やっぱりアプールの奴等が戦闘力のコントロールが出来ているみたいだの〜。戦闘力がコントロールできないフリーザ達じゃちょいと荷が重そうじゃの。・・・さてと、ちょっくらアドバイスをしてくるかの。」
まるでこうなるかを予想していた口調でゆっくりと立つと審判に向かって
「タイムじゃ!フリーザ様、ドドリア。こちらへちょっと来ておくれ。」

たったの2球で早くも得点を許してしまったフリーザ野球軍。
果たしてフリーザたちは初戦を勝利で飾ることが出来るのか?
続く。

に変更です。すいません。

よく考えたら野球を文章で書くのって難しいんですよね。
こんばんはしぇきです。

レスをくれる方いつもありがとうございます。

>1さん
スレたてお疲れ様です。
このスレも30も行っているのですね。自分がROMをし始めたときはまだ5ぐらいだったのに。
月日がたつのは早いものですね。

次は前に書いて分かりにくいと自分で思った、戦闘力のコントロールと野球の結びつきを書いていきます。
説明が多くなるので自分の文章じゃ分かりにくいと思いますが分かりやすく書けるように頑張ってみます。

では失礼します。
34それゆけフリーザ野球軍:2005/09/19(月) 03:57:29 ID:Rhg2fi0C0
<実況席>
「どうも、実況のラディッツです。フリchを見ている皆さんこんにちは。さて今日は”フリーザ様、初めての野球”と題しまして、野球リーグが始まる前に一足早く我らがフリーザ野球軍の練習試合の様子をお伝えします。
しかし、早くもフリーザ野球軍は1点を取られてしまいましたね〜。バーダックさんどうですか?今のホームランは?」
「あ、どうも。予知をさせたら宇宙1(アニメ版のみ)のバーダックです。いや〜。今のホームランは見事な戦闘力のコントロールの賜物ですね〜。」
「ほう、それは具体的にはどんなところですか?」
ラディッツとバーダックはまるで漫才コンビのような口調で実況を始める。
「まずはコレを見てください。この紫色の脳細胞のフリーザ様を陰で操っているといわれる名参謀ミルコ殿の作ったこのバット。」
「はい、いたってコレは普通ですが?」
「このバットは我らのように地球人離れした力を込めても折れないようになっているのは知っていますか?」
「当然ですよ!”ライトセーバー”の原理を逆手に取ったので有名ですよ!」
「そう、劇中ではフォースを”ライトセーバー”にこめて剣状の形を取るけど、このバットはエネルギーを込めれば込めるほどバットからエネルギーが放出されちゃうから、
戦闘力によって普段は高い攻撃力を持っている人でもこのバットを使えば本来の腕力のみで野球をすることになるんだよね。」
「でも、アプールの腕力はとても低いですよね?どうしてフリーザ様の速球をホームランできたんですか?」
「ふっふっふ・・。それなんだよワトソン君。おかしいだろ?腕力も戦闘力も低いアプールたちがホームランを打つなんて!しかし、コレはミルコ殿が仕掛けた策略だったわけさ!」
「え?一体どういう?」
「簡単に言えば、戦闘力のコントロールからなる腕力やバットの強化さ!」
「戦闘力のコントロールですか?あれは極めて少ない民族しかできないと言われていますが?」
「それがある時、我が同胞がミルコ殿にパシリ・・・、もとい地球へのお使いを頼まれた時についでに買った漫画の中にそのコントロールのヒントとなる部分があったのだよ!」
35それゆけフリーザ野球軍:2005/09/19(月) 03:59:06 ID:Rhg2fi0C0
「それはどんな漫画なんですか?」
「下書き漫画といえば分かるかな?」
「・・・・・。ええ。ものすごく。」
「まあ、見たことある人にはわかるだろうけど、その中の錬や硬概念が戦闘力のコントロールに似ててね。実際試したサイヤ人があっさり
出来たことからコレは行けると!ほとんどの球団の選手が戦闘力のコントロールを出来るように修行したらしいよ。」
「へ〜。でも戦闘力のコントロールが出来たからってそんなにも違いが出るものなのですか?」
「ふむ、例えばの話だが戦闘力3000のサイヤ人がいたとしよう。」
「かなり高いですね。俺の2倍以上じゃないですか!」
「いいじゃないか例えなんだし。彼が戦闘力をコントロール出来ない前は体全体の戦闘力の総量が3000なわけだが・・。」
「ふむ。」
「コントロールできた時、コレを腕に1000。バットに500。そのほかを1500にして、総量3000としたらどうだい?」
「う〜ん。よく分からないですけど、何でバットが500なんです?」
「コレは腕力だけ戦闘力を集中すると、バットかボールが粉々になってしまうだろ?」
「なるほど、バットも自分の体に一部と考えて戦闘力をコントロールしたからですね。
でも、バットはエネルギーを込めると拡散してしまうんですよね?」
「そうだ、だから”エネルギー(戦闘力)を込める”のではなく、バットを”エネルギーで包み込む”という風に修行したのだよ。」
「なるほど、つまりは腕力などと一緒にバットも強化したわけですね。」
「うむ、かなり物分りが良いな!」
「俺も修行しましたからね!フリーザ野球軍以外で出来ないチームはいないですからね。」
「そうだな、フリーザ様たちは他の星を侵攻していたからな。その間の差はしょうがないな。」
「そういえば、さっきのホームランはアプールが戦闘力のコントロールをしたからホームランになったんですよね?」
「そうだぞ。」
「でも、フリーザ様の投げた球は粉々になりませんでしたね?バットも強化したのに。」
「ふむ、それはアプールの戦闘力が低いからだな。お前の戦闘力でも同じことだ!」
「・・・・・・・。だから最初の練習相手なんですね。」
36それゆけフリーザ野球軍:2005/09/19(月) 03:59:44 ID:Rhg2fi0C0
「そうだ!そこら辺も考えてミルコ殿はこの練習試合を組んだみたいだしな。」
「さすが影の支配者・・。と、ともかく、ここでミルコ殿がタイムをかけたって事は今のことを説明するのですかね?」
「噂ではフリーザ様やギニュー隊長は戦闘力のコントロールが出来るらしいが、
さすがにすぐにはこの緻密なコントロールは出来ないだろ。」
「おれも、一ヶ月以上かかりましたしね。
「今だ補欠だけどな・・。」
「し、しどい!俺も頑張っているのに!」
「まあ、いずれレギュラーになれるだろ?ん?どうやらタイムが終わったようだぞ!」
「本当ですね。一体どうするのですかね?」
「・・・・。お前実況だろ?」
「そうですけど?」
「そろそろ普通の会話みたいに喋るのはやばくね?」
「それもそうですね。ここまでは戦闘力のコントロールのための雑談だったわけですし。
「そもそも、何で俺達が出てきてるんだ?」
「ああ、筆者が野球を文章で書くと退屈だから実況も混ぜて漫画っぽくしようという魂胆ですよ。」
「・・・・。そうか・・。」
37それゆけフリーザ野球軍:2005/09/19(月) 04:00:37 ID:Rhg2fi0C0
<ベンチ>
「・・・・。というわけじゃが、分かりましたかな?フリーザ様。
貴方は万単位なら戦闘力をコントロールできるはずですが、どうですかな?」
「ほほほほほ、私にコントロールできないものなどありませんよ!」
用件だけ聞くと高笑いしながらマウンドへ勝手に戻るフリーザ。フリーザが行った後、ドドリアは
「俺は、コントロールしなくていいのですか?」
「だって無理じゃろ?」
「・・・・。はい。しかし本当ですか?俺達以外戦闘力の細かいコントロールが出来るっていうのは。」
「うむ、そう伝わってきてるぞ。」
「・・・・・。勝ち目はあるんですか?」
「まあ、アプールじゃからな。あれがサイヤ人以上だと先程のホームランは無効じゃな。」
「ん?何でです?」
「球が粉々になるじゃろ。ただの速球と、戦闘力で強化したバットでは。」
「そうなると、俺達がコントロールできるようになったら逆に相手のボールとかを粉々にしませんか?」
「うむ、今のところは大丈夫じゃ。ボールの強度も中々のものじゃしな。
まあ、ボールとバットの戦闘力の差が20000以上開くとダメじゃがな。」
「すると、フリーザ様やコルド様。後、ギニュー隊長ですか?」
「そうじゃが、まあフリーザ様は大ジョブじゃよ。」
「へ?何でです?」
そう聞かれて、ミルコはあの弱体化ギブスのことを言うのは反乱につながるかもしれないので上手くごまかしながら本来の話に戻す。
「こちらにはすでに秘策があるのでな。それよりも、お前にはそんなことよりもリードの組み立て方を教える!」
「ええ!今ですか?そんな時間ありませんよ?」
「今は言わん!サインで伝えるから、お前は車内で話したサインどおりにミットを構えればよい。」
「わ、わかりました。では行って参ります。」
38それゆけフリーザ野球軍:2005/09/19(月) 04:01:25 ID:Rhg2fi0C0
<マウンド>
「もういいのかね?」
マスク越しだから誰かは分からないが、この試合の審判は(やっとか・・)と言った表情でドドリアを見る。
「ああ、もういいぞ。」

「さあ〜て、試合も再開された模様。次は2番ですが、こちらのデーターでは中々の俊足の持ち主。
フリーザ野球軍はどう出るのでしょう

か?」

スタスタ・・。
審判とドドリアが会話している時、ギニューはフリーザへこう話した。
「フリーザ様。ミルコ殿からの伝達でこれからはドドリアの指示に従ってボールを投げる用にだそうです。」
当然フリーザこの要求を聞くはずが無く
「この私が人形のようにボールを投げろと?」
「で、ですが、指示はミルコ殿からドドリアに伝わるらしいですから信頼できるかと・・。」
ミルコの名を聞くと、フリーザは仕方が無いといった顔で
「まあ、先程打たれたのは私にも責任がないとは言えませんしね。一応、従いますがもしそれでも打たれたら・・・。」
「大丈夫です!バックは我々に!先程のザーボンの言葉の意味も見当が付いていますから。」
「ほう、さすがギニューさん。楽しみにしていますよ。」

(二番:ショート アプール)

ウグイス女のアナウンスとともに左打席に立つアプール。先程のホームランのせいか、目に輝きがある。
それを見たフリーザは
「ほほほほ、そういう目をしていられるのも今のうちですよ!この逆境!乗り越えて見せましょう!」
フリーザは声高く叫んだのであった。
続く。
39それゆけフリーザ野球軍:2005/09/19(月) 04:06:12 ID:34HBiHgf0
今日は休みなんですね。
なのでもう1回投下します。

説明編は終了です。
一応、色々超人野球をしようかと思って策を練ってみました。
応用が利くような設定になったかと・・。

次からが本当のDBの野球となります。

では失礼・・。
40作者の都合により名無しです:2005/09/19(月) 14:28:27 ID:q27yqXqX0
結構、新しい試みだなあ
一話毎じゃなく一回ごとに展開していくのは。野球?SSならではの試みか。
更に実況からの描写もあって、しぇきさん大変ですねえ

しかし、「宇宙一肉体能力の高い連中がやる、宇宙一レベルの低い草野球」ですなあ
フリーザ様は帝王の名にかけて試合中にレベルアップするのだろうか
41AnotherAttraction BC:2005/09/19(月) 19:26:28 ID:4PRz0PdO0
前スレ330から
つい先刻までは、虫やフクロウがひそやかな合唱を闇夜に満たしていた。
全てが夜を謳歌し、心地良い静けさを満喫し、自分以外の他者の演奏に陶然と聞き入っていた。

―――しかし、今は違う。
…静かな森は、銃火狂咲の戦場と化していた。
既に何回の銃声が響き、何発の銃弾が行き交ったか二人にも判らない。
それでもなお無傷の二匹の野獣は、互いの牙でせめぎ合う。
「凄ぇぜお前!! こんなに持った奴は初めてだ!!!」
血に餓えた歓喜と共に発した三連射のマズルフラッシュが、闇を一瞬剥ぎ取った。
その残照の中、這い蹲る寸前まで伏せたまま銃を構えるトレインの音速超過の咆哮が鳴り響く。
殆ど同時に回避行動に入ったデュラムのすぐ横の幹が穿たれた。
「そこおッ!!」
左右の回避予測位置まで網羅したピースメーカーの連射が沈んだままのトレインを襲うも、彼は撓めた手足の反動を使って飛び、
鮮やかにトンボを切って大樹の陰に身を隠す。
「何だそりゃあ!? オレにかくれんぼは通用しないぜ!!」
機械を越える速さと正確さで弾丸を装填しながらデュラムは余裕綽々と嘲笑う。
42AnotherAttraction BC:2005/09/19(月) 19:27:06 ID:4PRz0PdO0
しかし、無論その油断を見逃すトレインでは無い。木の陰から飛び出すとデュラムに向かって連射と共に走り出す。
対する彼も、装填し終えた銃を構えて同じく突撃を敢行する。
「うおおおおおォォォ!!!!」
己の銃声すら吹き飛ばさんばかりにトレインは吼える。
「いい、いいぜ!! そうだ、もっとだ!!!」
獣の喜びを言葉に乗せて、デュラムもまた銃撃を放つ。
二人の距離が見る見る確実殺傷距離に迫るも、互いに連射も走りも止める事は無い。
頬を掠めようが銃口が迫ろうがそんな物は思考の外に追い遣った。必要なのは、どれだけ早く相手の頭を撃ち抜くかだけだ。
―――そして遂に、すれ違い様に銃口を互いの眉間に合わせる。
世界が止まったかと錯覚するほど集中する僅か一刹那、二つの銃は空しい撃鉄音のみを響かせた。
「「!」」
どうやら共に弾数まで意識の外に追い遣っていたらしい。そうなれば次の判断が生死を分ける。
トレインは走る勢いを殺す事無く大きく跳び、空中でシリンダーを開放すると同時に懐からクリップに填め込んだ
銃弾を抜き出した。彼の手際なら着地前に射撃を行えるだろう。実際、数ある技巧上これ以上無い最速の選択だ。
しかし、デュラムはそれを上回った。

―――既に、二挺目の銃で背中越しにトレインへと狙いを定めていた。

如何に寸毫の一刻とは言え、既に装填を終えた銃とこれから装填する銃ではツェノンの背理以前の話だ。
ならば一撃受ける覚悟を、銃弾と共に己に装填する。
そして放たれる鉛の殺意はコンマ何秒遅れで交錯する。
デュラムの銃弾は―――――トレインの耳たぶを抉った。
トレインの銃弾は―――――見事に背中の真ん中へと命中した……が、ぐらついた物のデュラムは倒れない。
そのことに驚くも束の間、デュラムは後ろを見ないまま全弾をトレインに放つ。
周到な騙し討ち――――二挺目を携え、しかもショールの下は防弾着。一流どころであれば即刻銃弾の雨に巻き込まれ
死に至るだろうが、しかし相手はトレイン=ハートネットだった。
連射を放つ0.何秒か前、命中のアドバンテージを得た今だ中空のトレインの二射目がデュラムの銃を捕らえていた。
本当は銃を飛ばすつもりだったが、道士の握力はそれを許さない。だが、射線を狂わすには充分。
全ての弾丸が主の意に反し、獲物を見逃し飛んで行く。
一挺目を捨て、三挺目を抜いて振り向く頃には、トレインは既に別の樹に隠れていた。
43AnotherAttraction BC:2005/09/19(月) 19:27:37 ID:4PRz0PdO0
「………へえ、やるなあ。アレで死なねえとは思わなかったぜ」
緩く、されど悪辣に笑う彼に、トレインの妙に寒々しい声が返ってきた。
「…バックアップを持ってるのは兎も角、弾除け…か。勝ちたいだけのゴロツキが考えそうなこったな」
「なんだ、このくらいで卑怯って言うのかよ。思ったよか育ちが良いじゃねえか」
言い様放った銃弾がトレインの隠れる幹を抉った。
拙い事に、其処は肩幅より少し大きめ程度しかない上にすぐに移れる様な樹が周囲に生えていない。将棋で言う所の雪隠詰めだ。
出よう物なら手でも顔でも即座に撃ち抜かれる事だろう。
デュラムもそれを見越した上で余裕を浮かべる。
「どうした? 撃って来いよ。殺し合わねえと張りが無くていけねえ」
とは言うが、俎上の鯉にこの言は皮肉以外の何物でもない。
正直、これだけ味わえば充分だ。後は殺してスカっとすれば残りの連中を片付けて終わり、と何とも言えぬ清々しい展開が待っている。
そう言う意味で、熱し易く冷め易い彼にとって今のトレインは今棄てた空の二挺目同様非常に邪魔だった。
「……あのよ、さっさと出て来て死んでくんねえかな。
 もう飽きて来たんだよお前。さっきから隠れてばっかで……うんざりしてんだ、な?」
徐々に無駄に低い沸点に達し始める。しかしトレインは出て来ない。
「……いい加減にしろテメエ、ナニ人を無視してんだ? おい!」
眉間に酷い怒り皺が走る。それでもトレインは出て来ない…ばかりか返事もしない。
「…上ォ……ッ等だァ、そんなに嬲り殺されてェかテメエ!!!」
その怒号を合図にデュラムは駆け出した。その数秒の間、奴に対する胸算用を固めた。
まず手足を撃つ。次に耳や鼻、指を吹き飛ばす。後はじっくり痛め付けて、朝日が昇るまで嬲り尽くす。それ位しないと
この精神的苦痛の割が合わない。およそまともな死体にしない覚悟で四挺目を掴み出す。

―――だがその瞬間、彼は弾かれた様に後方へと吹き飛んだ。
44AnotherAttraction BC:2005/09/19(月) 19:28:08 ID:4PRz0PdO0
胸を撃たれたと理解したのは、たっぷり5メートルは転がった後だった。
「………あ?」
よろよろと起き上がってもトレインは何処にも居ない。
姿が無いのにどうやって撃ったのか、訳が判らぬまま周囲を見渡す。

――――上方から一発の銃声が響いた。

「そこか!」
視線と照星を向けた先には、今やいびつな闇たる梢からトレインが銃を構えていた。
……答えない筈だ。デュラムが喋っている最中に方法は判らないが登っていたのだ。
だが間抜けな事に、一射目は防弾着に当ててしまい、二射目は外した。此処まで来れば不運ではなくただただ愚かしい。
代わりに脳漿をばら撒くつもりで引金に指を掛けたその時、上から多量の木の葉と共に何かが落ちて来た。
………それは、完全に予想していなかったデュラムの頭に命中した。
「ぐおわッ!!!」
結構な重量と硬さに、頭頂が裂けて血が流れ落ちる。そして衝撃は視界に星を散らす。
地面に落ちたそれを見て驚いた―――――…彼の腕ほども有る太い枝だ。
成る程それだけ見れば二射目はこれを狙った物だと判る。だが、それは単発で落とせる物ではない、
最低二発は必要……あれは連射だったのだ。
「な……!」
事実に驚くとほぼ同時に、水月に銃弾が撃ち込まれた。
「お…! ごォ……!?」
体をくの字に折ってうずくまる。如何に防弾とは言え、衝撃を完全に殺し切れる物では無いし、まして強装弾。
指先の面積に圧縮されたボディブローを急所に受けたのだ。
45AnotherAttraction BC:2005/09/19(月) 19:29:09 ID:4PRz0PdO0
…しばしの人事無省に陥るデュラムの前に、特に得意がる訳でもなくトレインが現れた。
何故か彼の貌に怒りは無い。凪いだ海を思わせる奇妙な静けさが、それだけ張り付いていた。
「て……め…!!」
「…憎いか、オレが」
応じるまでも無く憎い。だがそれは呼吸もままならぬ今では言葉にするのに困難を極める。
殺す。この男は殺す。こうなったら一秒もくれてやらない、速攻殺す! 
その全てを言葉に出来ない代わりに見上げる視線で幾重にも突き刺した。
「お前の銃技は粗過ぎるし、伊達気取ってシングルアクションなんて持ってるから何挺も持つ羽目になる。
 …遊びは終わりだ、道を使え。お前じゃオレには勝てない」
淡々と並べる言葉は紛れも無く助言だった。
遊びは終わり? オレには勝てない? 冗談じゃない。少し当てただけでいい気になっているチンピラ風情が、
何を偉そうな事を言っている。この何人もの掃除屋を返り討ちにしてきたデュラム=グラスターに…!
…怒りは遂に、身体状況を凌駕するほど膨れ上がる。
「テメエ…如きになあ……使うまでも無えんだよ!!!」
叫ぶが早いか銃を撃つ。タイミングは完璧、早さも、角度も、申し分無くトレインの胸を抉った筈だ。
「……あ?」
だが銃を握る手はトレインを狙っていなかった。それより速く抜いたハーディスの銃身が銃口を逸らし、
その序でとばかりにデュラムを見据える銃が、空しく空撃ちの音を響かせた。

「…もう一度言う、道を使え。オレはお前を四回殺したぞ」


――――同刻。
明かりを点けない豪奢な部屋の中に一人の女。窓から滑り込む月光は彼女の妖艶に一層の艶を差す。
エキドナ=バラスは、自室のソファに身を預けながら回想に耽っていた。
それは他の同志達との初顔合わせの朝、クリードとの会話の一節………
46AnotherAttraction BC:2005/09/19(月) 19:38:39 ID:4PRz0PdO0
「核を………越える? そりゃ幾ら何でも大袈裟すぎやしないかい?」
クリードの言葉はおよそ信じられる物ではない。しかし彼は泰然としたままジャムを入れた紅茶を啜った。
「事実だよ。一時期のクロノスは彼と僕とが支えていたんだ。
 ナンバーズはおろか、長老会だって僕達に意見出来なかったからね」
カップから口を離し、悠然と微笑む。その立居振る舞いだけ見ても流石に元貴族だったという事が判る。
「……本当に凄かったよ。そう、道を得た今の僕でも……勝てる気がしないね」
47AnotherAttraction BC:2005/09/19(月) 19:50:31 ID:4PRz0PdO0
アニメ化、ゲーム化、しかも文庫本。何でここまで(挨拶)?
今からプロとリアルタイムで比較される事にハラハラのNBです。

さて、次回のAnotherAttraction BCは……

まあ、あんま時間が無いので第八話「黒猫」を乞う、ご期待!!
待ってた人に限り、遅れて申し訳無いです皆さん。
と、言う訳で今回はここまで、ではまた。
  
48作者の都合により名無しです:2005/09/19(月) 23:16:31 ID:hJ+6oyiG0
NBさん、しぇきさんお疲れ様です。

>それゆけユリーザ野球軍
おう、2話分の大作ですなあ。いよいよ始まりましたか、宇宙1(?)の野球が。
アブールのホームランで一番恐怖を感じたのはアプール自身かも。殺されないで良かったね
しかし実況はラディッツか。いい役回りだなあ。いじめられる事もないし。

>AnotherAttraction BC
トレインVSヂュランのガンアクション、良く書けてるなあ。羨ましい。
NBさんのアクションは激しさの中にも緩急があって読み応えがある。
アクションだけなら(失礼)ライトノベルのプロでもここまでは書けないかも。
トレインの駆け引きと技量の前に敗北したヂュラムがいよいよ道を使うのか。
待っているので、せめて月2くらいは上げて欲しいな・・。
49作者の都合により名無しです:2005/09/19(月) 23:43:40 ID:8aUkHdLg0
確かにNB氏のアクションシーンは大したもんといつも思う。
単純になりそうなガンアクションを毎回趣向凝らして変化つけてる。

今回もどっしりとした駆け引きの濃密さと、動きの軽快さがよく書けてる。
デュラムのキャラの立ち具合とトレインの冷静さもいいね。
でも、そろそろ主役のセフィリアの活躍が見たいw
50不完全セルゲーム:2005/09/19(月) 23:55:11 ID:9oryrVC60
前スレ>>484より。
51不完全セルゲーム:2005/09/19(月) 23:58:55 ID:9oryrVC60
第二十八話「パーフェクト」

 累々たる屍を踏み越え、完全無欠の怪物へと進化を成した完全体セル。
 苦難の旅を乗り越え、恥と敗北に彩られながらも力を掴み取った不完全体セル。
 
 ──どちらが勝利するのか。
 
 ──どちらが強いのか。

 ──どちらが上か。

 先に仕掛けるは──完全体セル。正面から堂々と、羽を開いて突進してくる。
 セルは地面を隆起させ盾を造るが、突き出された右拳によってあっけなく盾は破られた。
伸び切った右拳を引っ込め、左拳にてセル本体を狙う完全体セル。
「もらった!」
 しかし、セルもすかさず口から火を吹く。一瞬、拳を鈍らせる完全体セル。牽制成功。
「もらったのは、私だ!」
 反撃──まず突風で、完全体セルの姿勢を崩す。加えて、ありったけの熱を込めた火炎
弾丸を連射。全弾、至近距離でクリーンヒット。
「ぐおおおぉぉぉぉッ!」
「よしっ、土でトドメだ!」
 セルが地面に念を送る。と、完全体を包囲するように大地が盛り上がり、一気に包み込
んだ。いや、包み込むなどという生易しいものではない。地球によるベアハッグ。今や完
全体セルは、全身を例外なく締め上げられているのだ。
「こ、こ、これはっ……ぐばァッ!」
 四肢を一ミリも動かせず、ましてや先ほどよりも高密度な圧力。拷問の如き地獄。
 だが、閉じ込められながらも、完全体セルは笑っていた。余裕でも、虚勢でもない。強
敵に出会えたという、純粋な歓喜によって。
「やはり、戦いは実力が近い者同士に限る……な」
 “な”と発せられた瞬間──完全なる肉体より封印は解き放たれた。
52不完全セルゲーム:2005/09/20(火) 00:00:23 ID:9oryrVC60
 完全体を捕獲していた岩盤が、あっけなく光によって打ち砕かれる。
 あり余る光に、不快そうに目を細めるセル。だが、視認など不要であった。嫌でも脳み
そに流れ込む、絶大な危険指数。
 完全体セルが──フルパワーになったという現実。
 剛にして柔。傲慢にして繊細。蛮性と礼節を併せ持った、絶対的オーラ。
「どうだ、これが本気になった私だ」
 猛烈なハリケーンを周囲に発しながら、高らかに宣言する完全体セル。
 セルは強風に身を弄ばれながら、内心では不思議と安堵していた。対戦者が底を見せた。
すなわち、これ以上強くなることはない。今、眼前に立つ怪物を少しでも上回ることが出
来たなら──勝利が確定する。
「──とはいえ、それが一番難しいんだがな……ハハハ」
 自嘲気味に笑い、セルが身構える。と、気を限界にまで引き上げた完全体セルが、にた
りとくちびるを歪める。
「私と君は同じセル──だが、私は完全体と成ったセルだ。本来、君もこの世界で完全体
となる予定だったのだろうが、あいにくと私が来てしまった。つまり、君はもう不必要だ。
せめて、私自らが引導を渡してやろう……全力でなッ!」
 
 完全体セル、本格始動。

 飛び込む高速右フック。を、かろうじてセルも左手で受け止める。が、左手五指全てが、
ひしゃげた。
「なっ……!」
「ふははははっ、これこそが完全体だッ!」
 トウキックによる追撃。鋭利なつま先が、水月にめり込む。
「ガハァッ!」
 吐く。悶える。が、なおもセルは長い尻尾で応戦する。先端スポイトを刃と見立て、突
く、突く、突く。突きまくる。
「……ふん」
 突きを悠々と避け、せせら笑う完全体セル。迫る尻尾を両手で掴むと、ジャイアントス
イングの要領でセルを放り投げた。
「ぶ、ぶわあぁぁぁぁっ!」
53不完全セルゲーム:2005/09/20(火) 00:01:41 ID:9oryrVC60
 砲弾が如く、投げ飛ばされるセル。景色が轟々と通り過ぎていく。速度が衰える気配す
らない。むしろ、加速する始末。
「やっ……やばいッ! 止まらない!」
「くくく、止めてやろうか」
「え」
 なんと、すぐ上には完全体セルが居た。セルに追いつき、撃墜するために。
 ──振り下ろされる、一撃。
「ごはァッ!」
 両手を組んだハンマーパンチで、セルは地面に叩き込まれた。彼を中心に、半径十メー
トルほどのクレーターが完成する。
 地中深くに沈むセル。どうにか地上に飛び出すが、ダメージは深刻である。肉体、所々
が麻痺している。
「つ……強すぎるっ!」
 まともに打ち合うことすら不可能な戦力差。クリスタルの能力を完璧に駆使したとして
も、勝敗は極めて微妙だ。
 だが、もはやセルの心がしなびることはなかった。
 必ず完全体になると誓った、マザーコンピュータ。いつか見返してやると対抗心を燃や
した、16号、17号、18号。こんな父のために命を捨てて戦ってくれた、セルジュニ
ア。やっと心を開いてくれた、クリスタル。
 独りだけの戦いではない。ただでは敗けられない──ましてや、同じ“セル”などに。
「まだまだァッ!」
 炎を宿した両拳を握り締め、半ば自棄で特攻を仕掛けるセル。
 が、決して命中しない。右か左か。敵に近い方の拳を振るう、だけ。フェイントもコン
ビネーションもない、正直過ぎる連打。当たる方がおかしい。
 空を切り、乱雑かつ寂しげに踊る拳。
「く、くそっ……せめて一撃──!」
「つまらんッ!」
 あっという間に背後に回られ、背骨へ突き刺さる肘打ち。またも地上に落とされるセル。
「失望させおって……終わりにしてやる」
 両手に気力を充填させ、完全体セルが地上を見やる。
 空襲開始。完全体セルの細胞に刻み込まれている、ベジータの技──流星に酷似したエ
ネルギー弾が、豪雨にも匹敵する数量にて、セルに降り注いでゆく。
54サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/09/20(火) 00:05:36 ID:W2V1lUbF0
新スレですね。
今は「項羽と劉邦」にハマってます。
次回へ続く。
55作者の都合により名無しです:2005/09/20(火) 05:24:32 ID:Er0R1iR30
>NB氏
筆が乗ってますね。一流の銃技を見せるデュラムの、更に上を行くトレイン。
そしてクリードの怪しい冷静。物語はまだ中盤くらいかな?
これからもっとハイスパートな展開になっていくんでしょうね。期待してます!

>サナダムシ氏
戦い方はドラゴンボールだけど、どこか雰囲気が餓狼伝っぽい!
もうヘタレの影のないセルですが、完全体の前にはやはりパワー不足ですか。
意地の一撃が、力の差を跳ね返して完全体を貫けるか?
56作者の都合により名無しです:2005/09/20(火) 11:13:10 ID:KxU4Wqb70
サナダムシさんお疲れさんです。
息子がきっかけでクリスタルパワー引き出したセルですが、
完全対セルの牙城は厚いですね。
なんとなくジャンプマンガの友情努力勝利みたいな展開ですが
勝てるのかな?ヒキも完全対よりだし。
それにしても16号たちは手を貸してやれよw
57作者の都合により名無しです:2005/09/20(火) 15:40:59 ID:fND4eQjp0
・しぇきさん
ボリューム満点の中にしぇきさんのやる気が垣間見られて嬉しいですね♪
この人たち、野球を根本的に知りませんな。宇宙人だから仕方ないけど。
パワーはあっても技術がない究極のフリーザ、どう反撃していくやら。

・NBさん
とにかくかっこいいですね、トレインとデュラム戦。トレインのかっこよさが
デュラムのマッド振りに引き立ってます。しかし、躍動感ある描写ですね。
まだ、デュラムって雑魚ですよね。気が早いけどラスボス戦はどうなるんだ…?

・サナダムシさん
勇者、大魔王に追い詰められ絶体絶命って感じですね。まだパワーの差は歴然。
親子パワー、クリスタルパワーに友情パワーでも加わるのかな?
最後の一撃、どう凌ぐか。意地見せろヘタレ。でももうヘタレじゃないですかw
58作者の都合により名無しです:2005/09/20(火) 18:56:19 ID:sRwPSd9KO
NBさんお久しぶり。相変わらずいいアクションですね。
それにしても、ぽんさん、みゅうさん、ザクさんはどうしたんだろう。
輪廻は投げ出しかな。仕方ないけど。
59それゆけフリーザ野球軍:2005/09/21(水) 03:58:33 ID:vLVKwCGq0
先頭打者にホームランを打たれたフリーザ。宇宙の帝王がこんなことで終わるはずがないと書きつつ続きです。

「さあ、長いタイムを終えフリーザ野球軍、次の打者を迎えます。」
「この二番バッターは足が速いですからね。セーフティも考えられるでしょう。」
実況と解説の二人がコメントした後、ついにフリーザ野球軍の本当のスタートが動き出す。

(ミルコ殿のサインは・・・。フリーザ様。始めはここです。)
そうフリーザに外角低めの指示を出すドドリア。それを見たフリーザは
「この私が外角だと!!帝王は常にど真ん中ですよ!!」
等と大声でサインをばらすフリーザ。
(・・・。やはりフリーザ様は馬鹿と言う噂は本当だったか・・。)
内心フリーザの侮蔑しながらフリーザの投げる球を待つアプール。

「フリーザ、第1球投げました!」
実況の声と同時にフリーザはストレートを投げる。それと同時に来るはずの外角に合わしてベースよりに移動するアプール。
(もらった!)
アプールがそう思った瞬間。
「うわ!!」
アプールは思わず声を上げながら反射的にバットを振ってしまう。
「サード!!」
ドドリアが言った先には一応フリーザがいない間、練習をしていた特戦隊のリーダーギニュー。
「この程度なら!!」
そこそこ洗練された動きでボールを裁きファーストへ
「コルド様!」
ビシッ!
ギニューのコントロールのおかげで難なく捕球するコルド。
「アウト〜!」
二番打者をアウト。フリーザ野球軍初のアウトである。
「ほほほほほほ、流石ですよ!ギニューさん!まあ、すべては私の計画どうりだったのですがね・・。」
初のアウトを取ってフリーザも意気揚々。チームも安堵したようである。
60それゆけフリーザ野球軍:2005/09/21(水) 03:59:41 ID:vLVKwCGq0
<アプールベンチ>
「すまねえ。フリーザ様が外角と言ったのでつい・・・。」
「まあ、あの噂は嘘だったってことか・・。」
アプールたちがそんな会話をしていると、背後にいるアプールより一回り大きいあの男がついに動き出す。
「・・・・。全部ミルコの策略だな。」
「え?それは何ですか?キュイさん?」
フリーザから最愛の恋人を殺され(本人は気付いていない&1話参照)裏切ったキュイはこういった。
「フリーザの奴だから、ミルコが指示しても言うことを聞かないだろう。そこでミルコは本来出したい指示の逆を言った。そうすれば、フ
リーザは反抗してミルコが本当に投げさせたい内角高めへ投げるだろうよ。まあ、今のはいっぱい食わされたってことだ!」
「はあ、どちらにしてもフリーザの言うことは無視しろと。」
「次からは黙るだろうから関係ないけどな・・。奴も気まぐれだから指示を聞いたり聞かなかったりするだろうしな・・。」
そう言いながらキュイは不敵に笑っていた。

<マウンド>
(三番:サード アプール)

「ふふふふ、次は3番ですか。先程の打者とは違って歯ごたえがあればよいのですが。」
すでに一勝した様な表情で言い放つフリーザ。
(フリーザ様。相手は3番油断は禁物です。・・・・、まずはここで行きましょう!)
様子見の真ん中から少し外れた内角の低めにミットを出すドドリア。先程の指示無視をミルコから
「確実に勝ちたければわしの指示を聞いてください。」と言われたフリーザは指示通りそこに投げる。

シュルシュルシュル

ズバン!

「ストライ〜ク!」
この球はあっさりと見逃した右打席のアプール。
「今のはあっさり見逃しましたね〜。どうですか、バーダックさん?」
「まあ、当然先程のことがありますから少々警戒したのでしょう。フリーザはストレートしかありませんから今の戦闘力のコントロールで
きない状態で打たれたら、アプールでもかなり危険ですからね。今のコースはその分振らなかっただけでしょう。次の球もあんな感じだと確実にヒットですね。」
「なるほど。そうこうしている内に二球目です!」
61それゆけフリーザ野球軍:2005/09/21(水) 04:00:57 ID:vLVKwCGq0
シュルシュルシュル

「ボール!」
「二球目は内角高めの顔際のようです。あれが当たったら退場で不戦敗ですよ。」
「最初の打者があれと同じところでしたからね。あっさりアプールは避けましたが、次からの組み立て方が見ものですね。」

ドドリアの三球目の指示は外角低め。おそらく引っ掛けるのが目的だろう。しかし、流石にこんな安易な手に引っかかるのはフリーザぐら
いなもの。これもあっさり見逃し。
「ボール!」
カウントは1-2.
(・・・ミルコ殿。)
ドドリアはさりげなくベンチの方を見て
(フリーザ様。・・・・、ここです。これで終わりにしましょう。最速のストレートでお願いします。)
(・・・。外角高めですか。)
仕方なく言われた通りに投げるフリーザ。

「第四球投げました!」

フリーザのストレートは寸分狂いもなくドドリアのミットにめがけて飛んでくる。

カキーン!
読んではいたが、思ったより外角だったので体が泳ぎ打ち上げてしまうアプール。

「きゃきゃきゃ」
球の元に飛んでいきあっさりキャッチするMAX強化栽培マン。コレで2アウトである。
「・・・・。外野まで飛んでいきましたが良しとしておきましょう。」
全く野球が分かっていないフリーザ。「これはわざと何だぞ!」と言いたげなドドリア。ともかくコレで2アウト。後一つでチェンジであ

る。しかし、なぜか打席にはアプール族でないキュイが!
62それゆけフリーザ野球軍:2005/09/21(水) 04:01:41 ID:vLVKwCGq0
ざわざわ・・・・。

ざわめくフリーザ一同にドドリアが審判に抗議。
「ちょっと!あれはキュイじゃないか!さっきのスターティングメンバーでアプールとしっかり言っていただろう!!」
「・・・・。あれは、アプールさんです。」
「はあ?」
思わずエネルギー弾を打ちそうになるドドリア。
「ドドリア。俺が説明してやる。」
ずいっと審判を押しのけ出てくるキュイ。
「俺はフリーザをあの日以来恨んでいた。あの野球をしたくて俺の愛するアプール♀を
エネルギーの開放で消し飛ばせたあの日からずっと!(一話参照)」
「何だと裏切り者〜!だから何でお前がアプールなんだよ!」
「ふ、全く無知はむなしいな。ピンクデブ君。」
キュイの挑発に思わずパンチが出るドドリア!しかし、なぜか戦闘力の下なキュイはこの一撃をあっさりかわす。
「ふう、本当はここで退場してもらって不戦敗でも構わないんだが、まあいい。」
「て、てめえ〜!おちょくりやがって!!」
「ドドリア、それ以上は退場処分にするぞ!」
審判から退場と言われて流石にだまるドドリア。フリーザに殺されることも考えての沈黙だったが・・。
「ドドリアさん!キュイさんのことは別にいいですよ!おかげでこっちにはパパが入ることになったからね。」
「は、ハイ・・。」
「流石はフリーザ様だ。まあ、ともかく俺は復讐のため名を変えアプール一族とともにすることにしたのさ!単細胞のお前には分かりやすい説明だろう?」
また挑発するキュイだが、流石にコレは審判が
「君も退場にするぞ!あいにく君のチームは1000人もいるんだから問題ないだろう?」
「はいはい、分かりましたよ!」
潮時といった顔をしてさっさと左打席に戻るキュイ。
「プレイボール!」
63それゆけフリーザ野球軍:2005/09/21(水) 04:02:59 ID:vLVKwCGq0
「キュイ選手のどうでもいい過去が明らかになったところで再開されました!」
「キュイは情報によれば、どのチームでも四番を張れるいい選手だそうですから、これは危険ですね〜。」
「ランナーがいなかったのが幸いですね。おおっと!ドドリア選手立ち上がりました!一回の表から敬遠です!」
「まあ、当然の処置ですね!戦闘力がコントロールできなくては18000もの戦闘力を誇る選手には太刀打ちできませんからね。」

「ドドリアさん?何をしているのです?」
本当はプレイ中に物をたずねてはいけないのだが、フリーザのため黙認されると
「敬遠だとミルコ殿の指示です!」
と口パクとで伝えるドドリア。しかし、それをどう勘違いしたのだかフリーザは
「なるほど、いわゆるノーサイン戦法ですね。」
明らかに勘違いしたフリーザをなだめるように
「違う違う」
とジェスチャーしてもすでに遅し、フリーザの第一球が投げられる!

シュルシュルシュル

(け!ど真ん中とは流石馬鹿だぜ!)
キュイはニカっと笑い、ドドリアは青ざめる。

カキーン!!!

「おおっと!コレは確実にホームランか???」

球はあっという間にセンターを越え・・・・。
「やばい!これでは我らの命が!まだ早いが、特戦隊!フォーメーションAだ!」
「「はい!」」
ギニューの指示にまずバータが
「戦闘力がコントロールできなくても!」
宇宙1のスピードを持つ彼はまず凄いスピードでボールに追いつきオーバーヘッドキックの要領でボールをライトに打ち返す。
「ヘイ!リクーム!」
バータの声とともにリクームは飛んできたボールを素手でキャッチする!
「へへへへ、アウトだ!残念だったなキュイちゃんよ!」
64それゆけフリーザ野球軍:2005/09/21(水) 04:04:19 ID:DxP4Duhd0
「アウト〜〜!チェンジ!」
唖然とするアプールベンチ。
「けっ!やっぱり特戦隊は要注意か。あいつ等もフリーザが帰ってくるまでにだいぶ練習をしていたみたいだしな。」
そう言ってベンチに引き下がるキュイ。

<フリーザベンチ>
「ほほほほほ。流石ですよ皆さん。」
実はホームラン級の当たりにちびっていたフリーザだが、それを隠して平然とこんなことを言ってしまう。
「お褒めに預かり光栄です。」
「ミスフルを読んだ甲斐がありましたね!隊長!」
「うむ、戦闘力はコントロールできんが守備に関してはああすれば、ザーボンのようにはならないだろう。」
「見事じゃな、今の状況では戦闘力を込められたバットで打たれた場合はああやって球の勢いやエネルギーを撒き散らすしかなかろう。」
「なるほど、私が感じたあの威圧感はバットから球に移った収束された戦闘力だったのか。」
「お前達はコントロールは出来んが、戦闘力だけは高いからな。軽めに蹴るだけでも十分戦闘力球には対抗できるじゃろう。」
「かっこ悪いネーミングですねそれ・・。」
「ふん!ジース。お前には特別に戦闘力のコントロールの極意を教えてやろうかと思ったのじゃがな。」
「ああ〜。スイマセン。ミルコ様!どうか見放さないで〜〜。」
「・・・・。冗談じゃよ。試合後に皆に教えるから安心せい。」
「あう〜。良かった〜。」
「な、情けない・・・。」
思わず声に出してしまうギニューであった。
65それゆけフリーザ野球軍:2005/09/21(水) 04:05:43 ID:DxP4Duhd0
<1回裏>
「今から初めてのバッティングじゃが、ともかく情報が欲しいからの。バータ!しっかり見てくるのだぞ!」
「分かっていますよ!一番の仕事は昨日寝る前に新たに読んだドカベンで分かっているつもりです。」
「え?ドカベン?っておい!バータ!戻って来い!」
ミルコが呼び戻すが時すでに遅し、マスコットバットを10本放り投げ打席に立つバータ。
「よ〜し!来い!」
そう言ってホームラン宣言である、バットを観客席の方へ向けるバータ。
「ほほほほ、中々やりますね〜。バータさんも。」
(のんきに笑っている場合かよ)
内心突っ込みを入れつつ、すでに次の手を考え始めるミルコ。
(そういえばプロ野球編での岩鬼は・・・。)
ふと思いついたミルコはジースに
「ジースよ、バータはドカベンを何巻まで読んだんだ?」
「へ?5巻ですけど・・。」
「プロ野球編?」
「いえ、柔道部編です。」
「・・・・・・。」
ミルコがジースの言葉を聞いて頭を抱えた時、
「ストライ〜ク!バッターアウツ!」
「ぼ、ボールが投げられん!」
等とバータは一人で叫んでいた。
(・・・・。マジで帰ろうかな・・。)
さすがのミルコも帰宅をマジで考えていた。そんな時ジースが
「大丈夫です!夕べ読んだのはミスフルな俺がいますから!」
大見得を張りながら打席に向かうジース。

果たしてミスフルを読んだだけでヒットを打てるのか?ジースよ!
次回へ続く
66それゆけフリーザ野球軍:2005/09/21(水) 04:08:49 ID:DxP4Duhd0
IDは変わっているけどしぇきです。

切ってまたつなぐ方法で規制をはずしましたがやっぱりダメな方法なのでしょうか?

>レスをくれた方。
いつもありがとうございます。
流石1回ごとは時間がかかりすぎるので、見せ場等の時に細かく書いていきます。

にしても、描写って難しいな〜。
小説家は凄いものだ。

では失礼します。
67作者の都合により名無しです:2005/09/21(水) 08:36:05 ID:GWXX6ZNk0
参考にしてる書物はともかく、一応野球になってる!w
キュイは飼い犬が手を噛むモードになってますね。
中途半端な漫画を読んだジースはやはり中途半端な打撃で終わる気がするなあ。
68作者の都合により名無しです:2005/09/21(水) 18:43:14 ID:vYcsY5gk0
しぇきさん、ここんところの連投乙です。
このペースでいけば長編カテゴリ行きそうですね。
ぜひそうなるよう頑張って下さい。

宇宙の帝王らしく真っ向勝負ですか。フリーザさまらしい。
威厳はあるけどバカってところも素敵だ。
策士のミルコ、実は影の帝王ですなあ。
フリーザ軍の反撃、待ってますよ。
ミスフルやドカベン柔道編じゃ無理だろうけど。
69作者の都合により名無しです:2005/09/21(水) 21:29:03 ID:1Agarx8+0
しぇきさん頑張るなあ。いつもお疲れです。
こういう新人さんがあと2人ほど生まれてくれれば
バキスレも当分安泰なんだけど
70オーガスーツ:2005/09/21(水) 22:33:26 ID:v+Xub4ha0
>>25
王宮の中庭。逃げてきたオリバとパタリロは、森を背負う池のそばでひと息ついた。
マライヒは今頃、王宮を挟んで反対側を彷徨っているだろう。あちらにも森が広がって
いるから、そこに落ちた小さなダイヤを探すのには、それなりに時間がかかるはず。
オーガスーツは範馬勇次郎の性格と能力を付与するものだが、霊に憑かれて
操られるとか、そういうのとは性質が違う。勇次郎のように強く、勇次郎のように
傍若無人になっても、基本的人格はマライヒなのだ。だからバンコランの浮気に
怒るし、宝石類には目がない。
と、そこまでじっと聞いていたオリバが、
「……マリネラ国王」
深刻な顔をして言った。
「まず、謝る。君と、君の部下を侮辱したことを。オーガスーツは君の説明通り、
いや、それ以上のモノだった」
「それ以上、って。どういうことです」
「国際ダイヤモンド輸出機構に、美しき死神あり。昔のマライヒ君のことだが、
その活躍ぶりは私も耳にしていた。そりゃあオーガと比べてしまうのは酷だが、
それでもおそらく、戦えばオーガを満足させることはできるだろう。その程度には
強い。素のマライヒ君はね。で、今の彼はどうかというと」
オリバは、自分の腕を見る。今頃になって、腫れがひどくなってきた。熱い痛い。
「あれでまだ、全力を出していない。それはさっきの一撃で解った。全力を出せば
どれほどの強さかも、おおよそ測れた。そして私は、オーガの全力を知っている。
直接手合わせをしたことはないがね。していたら今頃この世にいないから当然だ。
……だからさっき、逃げたんだ。勝てないと確信したから」
「? だから、オーガスーツを着ている限りマライヒは範馬勇次郎と同等の
強さをもつ、って最初に言ったでしょう」
「オーガスーツは君の説明以上、と言っただろう。要するに今のマライヒ君は、
自身の強さにオーガの強さが上乗せされている状態なんだ」
「……え」
そういえば。プレイボーイスーツの時は、着ていたのが気弱な学生だった。そんな
のは、バンコランと比べれば戦闘能力などゼロに等しい。だから「着ればバンコラン
と同じ能力を得る」という効果が得られたと判断したのだが。
71オーガスーツ:2005/09/21(水) 22:35:00 ID:v+Xub4ha0
実際にはあのスーツは、両者を融合させる性質があるのかも。とすると……
「今のマライヒ君は、オーガ+マライヒ君の強さだ。つまりオーガ自身と戦っても、」
オリバが、溜息をついた。
「理論上、負けない。戦ってオーガが全力を出せば、マライヒ君も全力を出すだろう。
オーガの全力を百万とすると、マライヒ君は百万と千。いや一万はあるか。何にせよ、
それなりの高さのゲタを履いているんだ。オーガでは絶対に追いつけない、勝てない」
「は、範馬勇次郎でも勝てない? となると」
事態を飲み込んでしまって、呆然とし始めたパタリロの肩に、オリバが同情の手を置く。
「今のマライヒ君を止められる者は、この地上にはいない。どうしようもないな」
「……っ!」
パタリロの顔が、恐怖に引きつった。息が詰まって悲鳴も出ない。
「ど、ど、ど、ど、どうすれば、」
「だから、どうしようもないと言ってるだろう。助っ人を引き受けておいて悪いが」
「そうだ、バンコランを連れてきて説得させれば、」
「確か、その男の浮気で怒り狂っているのではなかったか、今? 火に油だぞ」
「それでも、少しでも隙を作れれば、スーツを何とかして、」
「オーガは、戦闘中に隙なんか見せない。今のマライヒ君はそのオーガより強い。
更に、オーガスーツは強度を極限まで高めてある、って言ってたな? なら破ったり
するのも容易ではなかろう。無論、脱がせるなんて絶対に不可能だ」
「あぁあぁあぁあぁ〜っ!」
パタリロは、頭を掻き毟ってごろごろごろごろ、転がってのた打ち回った。
範馬勇次郎は、確かに傍若無人だが、そうそう理不尽に周囲に噛み付いたりはしない。
普段はむしろ落ち着いた風格さえある。が、マライヒはよく周囲に八つ当たりする。
マライヒは、確かに強いが、それはあくまで人間の範疇でのことだ。が、
範馬勇次郎は人間を超えた強さを誇っている。
要するに両者のいいトコ取り、いや悪いトコ取り。何て都合のいい、いや都合の悪い
設定だ。ムチャクチャもいいところだ。だがそのムチャクチャが今、現実なわけで。
「あれ、殿下。何してるんです?」
ごろごろ転がっている内に、パタリロは箒に引っかかった。それを持って掃き掃除
しているのは、タマネギ春の特大号。
72オーガスーツ:2005/09/21(水) 22:38:21 ID:v+Xub4ha0
「さっきから王宮が騒がしいようですけど……ん、あちらの方は? わぁ凄い筋肉」
「って、お前何でこんなところにいるんだ。一号が全員を呼び集めたはずだが?」
とパタリロが転がったまま言うと、春の特大号は困った顔になって、
「あちゃ、そうだったんですか? 間が悪いなぁ。実はこないだ森に入った時、
枝にひっかけて制服が破れて、通信機を落としちゃいましてね。壊れたんですよ」
見れば春の特大号の胸、勲章が掛かってるはずのところに勲章がなく、代わりに
制服を繕った跡がある。
「それで通信機、仲間に預けてあるんです。すぐ治してやるからって言われて」
それで召集に気づかなかった、と。軍人としてそんなんでいーのか、と
言いたくなる話だが、パタリロは一つ、閃いた。
今の、春の特大号の言葉を、噛み締めて考える。
「そうか……オーガスーツが範馬勇次郎を本当に正確にコピーできているのなら、
アレも含まれてるはずだから……うん、危険だがこれしかない!」
パタリロが立ち上がって口笛を吹いた。それに呼ばれてマッハじゅうたんが飛んで
くる。すると、まるでそれを待っていたかのように、オリバも走ってきた。見れば、
「見〜つ〜け〜た〜ぞ〜っ! 待〜て〜っっ!」
オリバの後方に、マライヒが追って来ている。パタリロは慌ててじゅうたんに
乗って、春の特大号を引っ張り上げた。オリバも何とか間に合い、上昇しかけた
じゅうたんにしがみつく。マライヒが三人を追いかけて跳んだが、ギリギリ届かない。
マライヒの手は空を掴み、じゅうたんはぐんぐん上昇、加速していく。
「邪アアァァッ!」
悔しがるマライヒが、王宮の壁を殴りつけている。壁、いや宮殿そのものが
揺らいでいる……ように見える。
「で、殿下っ! マライヒさんはどうしちゃったんです!?」
「それは私が説明しよう。だが、どうするつもりだマリネラ国王?」
じゅうたんの上に這い上がったオリバが、パタリロに問いかける。
パタリロは珍しく真剣な顔で、答えた。
失敗したら事態は更に悪化する、だが事態を解決に導くにはこうするしかない、
そんな策を胸に秘めて。
「とりあえず、アメリカへ。第二の助っ人を連れて、マリネラに戻ります」
73ふら〜り ◆XAn/bXcHNs :2005/09/21(水) 22:40:50 ID:v+Xub4ha0
バンコランやマライヒは、死刑囚風バトルの方が本領発揮できるでしょうけど。
闘技場で戦えば、どれぐらいのレベルでしょうかね?  

>>しぇきさん
皆に慕われる知恵者ミルコ、やはり苦労してます。そのかいあって、こうしてちゃんと
試合ができて。フリーザすら、もう何だかミルコの手の平でころころしてるし。それと、
>「あう〜。良かった〜。」
前の時間差ボケに引き続き、これもなかなかのヒット。可愛いぞ、特戦隊の赤いマグマ。

>>NBさん
>>42が凄い! 一瞬の出来事、でもその間に多くのことが起こり、それを緻密に描写する。
これって漫画や映像ではなく、文章のみの媒体でないと出ない味ですよ。実際、>>43へと
読み進めた途端、ふっ……と感覚が切り替わって現実時間に帰還しました私。お見事っ!

>>サナダムシさん
クリスタルの力を駆使してファンタジー作品っぽく戦うセル。それに対して、正統派DB
キャラ的パワーとスピードで押してくる完全体セル。完全体セル側の立場になって言えば、
「小賢しい」って感じですね。地味・単純なだけに付け込む隙がない完全体。どうする?
74作者の都合により名無しです:2005/09/21(水) 23:02:29 ID:1Agarx8+0
ふらーりさんお疲れです。オリバがえらい人がいいですね。
プレイボーイスーツの話って確か童貞のヘタレ学生がスーツきて
女をコマしまくる話だったような。
パタリロで久しぶりに男と女の話だったんでおぼろげに覚えている。
75ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/09/22(木) 01:26:14 ID:kgEhEt8q0
第二十話「マサキ」

「サイバスターを復活―――そう言えば、そんなことを言ってましたね」
<うむ。フー子が無事に目覚めた今、それが可能となった>
「あ、そう言えば、なんでフー子はこんな人間の姿になっちゃったの?」
のび太の疑問に、ヤークは少し考えて答える。
<うむ・・・古来より生身の体を持つほどに強い力を持った霊的存在は、大抵は人間の姿をしておる。人間は神の姿を
模して作られたという話を聞いたことがあるかな?霊的存在の力が神に近づけばその姿も神に近づく。フー子は人間の
姿になったというより、神の姿になったと言った方が正しいかもしれん>
「神―――フー子は神さまになっちゃったってこと?」
<まあ、元は人間に作り出された存在じゃからな。神と言うには語弊がある。存在としては、精霊と言えば一番近い
だろう。風の神位精霊―――と言ったところか>
「神位精霊か―――なんだか大層だけどさ」
稟はフー子をちらりと見る。難しい話に退屈したのか、そこらで飛び回っている風獣を目で追っかけたりしている。
その姿はどこから見ても単なる人間の少女だ。
「そんなに難しく考えなくてもいいんじゃない?フー子はぼくの友達。それでいいよ」
「はは、のび太の言う通りだな」
「そうだね。しずかちゃんやジャイアン、それにキラやペコだってきっとそう言うよ」
フー子を見つめて笑いあう一同。そんな彼らをヤークは優しい眼差しで眺める。
<ほっほっほ・・・本当にいい子たちじゃなあ、君たちは。フー子も君たちと共にあらば随分と心安かろう。
―――さて、フー子や、おいで>
「んー?なに、じいちゃん」
<あれが見えるな?>
ヤークはサイバスターに目を向ける。フー子もつられてそちらを見た。
「うん、見えっけど何あれ?初めて見るけど、なんかこう・・・うまく言えないけど、なんだかおれと引き合ってる
みたいなかんじがするぞ」
<あれがさっき言っておった風の機械神サイバスター・・・同じ風の力を持つ者同士、引かれ合うのも道理であろう。
だが今、彼はその力をほとんど失っておる―――何故か?>
76ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/09/22(木) 01:27:19 ID:kgEhEt8q0
「さあ、なぜなんでしょう?」
一同は首を傾げる。そんな事を言われてもよく分からない。なんとか心当たりはないかと記憶を探ってみると―――
「・・・あ!」
稟はシュウと初めて会ったときのことを思い出した。彼はあの時こう言っていたのだ―――風の守護精霊も消え、本来の
力が失われている、と。
「ひょっとして―――風の守護精霊ってやつがいないからですか!?」
「え?稟さん、何それ」
「シュウの奴が言ってたんだ。守護精霊がどうだのこうだのって・・・」
<そう―――それで正解じゃ。神通力で見たところ、サイバスターは本来精霊との契約によってその力を最大限に
発揮できるタイプの機械神じゃ。だがそれがなくては、言ってはなんだがただの巨大なハリボテに過ぎん>
「は、ハリボテって・・・あんなに強いのに!?」
ドラえもんが驚いて声を上げる。
<そう―――そんな状態でさえ凄まじい力を持っておる。本来の力が蘇れば、どういうことになるか―――ワシにも想像
できん。だが、今の君たちにはその力が必要なはずだ>
「・・・はい。今のままじゃ、シュウには―――いや、あいつらには絶対に勝てない」
「ええっと―――なんか深刻っぽいかんじなんだけど、それとおれがどういう関係があんの?」
フー子は不思議そうに尋ねる。ヤークは静かに言った。
<サイバスターには風の守護精霊が必要―――そしてフー子、お前は風の神位精霊じゃ。この意味が分かるか?>
「―――あ!」
亜沙がそれの意味するところに気付き、声を上げる。
「つまりフー子ちゃんをサイバスターの守護精霊にしちゃうってわけ!?」
<左様―――フー子ほどの力があればそれも可能なはず>
「そ、そうか―――でも―――」
のび太はフー子をちらりと見る。
77ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/09/22(木) 01:28:02 ID:kgEhEt8q0
「ん?なに、のび太?」
「・・・フー子は、それでいいの?」
「え?」
フー子はのび太の問いに首を傾げるばかりだ。
「ぼくらはフー子の力を借りることを当然みたいに話してるけど―――フー子はそれでもいいの?こんなふうに、戦いの
ために利用されるなんて―――」
「んーーー・・・確かに、戦ったりするのはおれ、ちょっと怖いし、嫌だぞ」
「でしょ?だったら・・・」
「でもさ、のび太たち、よくわかんないけど今大変なんだろ?」
「え?う、うん。まあそうだけどさ」
のび太は戸惑いながら答える。それを受けてフー子は続けた。
「だったらおれ、のび太やドラえもんが危険な目に合ったりするほうがもっと怖いし、嫌だぞ」
「・・・フー子」
「だからおれでできることがあったらさ、なんでもやってやるぞ。みんなのためだったら、おれ、なんでもできるから」
フー子は屈託ない笑顔でそう言う。そこには強がる様子も無理をしている様子もない。
「フー子・・・本当にいいんだね?」
「うん。だからじいちゃん、おれが何したらいいのか教えてよ」
<・・・フー子よ。お前はいい子だ。優しく、そして何よりも強い。そんなお前をこうして戦いのための道具とする
ワシは―――山神さまなどと呼ばれる資格などないかもしれんな>
「んなことないよ。じいちゃんは優しいぞ。おれ、分かってるから」
自嘲気味に呟くヤークに、フー子はそう言う。
<ありがとう、フー子。・・・では始めようか。フー子、サイバスターに手を触れるのじゃ>
「うん。こんなかんじかなあ?」
フー子はふわりと空に舞い上がり、サイバスターの胸の辺りに手を添える。
<うむ。ではいくぞ。チハイヘ・マジダエ・ウロジウユ・マンハ―――>
78ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/09/22(木) 01:29:12 ID:kgEhEt8q0
不可思議なヤークの呪文が響き渡る。それに伴ってサイバスターの身体に光が迸る。
<イラエ・ハトヒ・タイヅキ・ニフリセ・ノコ―――風の機械神・サイバスターよ!今その身に新たなる風の
精霊を宿せ!その精霊の力は風!その精霊の名はフー子!その大いなる力を再び顕現せよ―――!>
ヤークの呪文が最高潮に達し、サイバスターを包む光が一層強まる。思わずのび太たちは目を瞑った。
<・・・これでよい。サイバスターには、フー子の力が宿った>
光が静まるのと同時に、ヤークの声が響く。
「うー。なんかすごい光だったぞ」
フー子が地上に降りてきて、目をシバシバさせる。
<これでサイバスターの力は蘇ったはずじゃ。フー子とサイバスターは正式に契約された。フー子が共に乗り込む
ことで、サイバスターは本来の力を遺憾なく発揮できるだろう>
「ええっと―――本当にこれでいいんですか?なんか呆気ないような・・・」
「ま、いいんじゃないの?それより稟さん、ちょっと試しに乗ってみてよ。どんくらい変わってるのか知りたいし」
「・・・そうだな。よし、亜沙先輩、プリムラ。おっと、それにフー子もか。ちょっと動かしてみるか」
「オッケー」
「へへー。これに乗るのか。おれ、ワクワクしてきたぞ」
サイバスターに乗り込む四人―――だが、待ってみてもサイバスターが動き出す気配がない。
「・・・動かないわね」
リルルが心配そうに呟く。しばらくして四人が浮かない顔で降りてきた。
「どうしたの、稟さん?」
「いや・・・分からないけど、さっぱり動かないんだ。亜沙先輩とプリムラが魔力をいくら注いでも、俺がいくら
サイコントローラーに念じても、全然ウンともスンとも言ってくれないんだよ」
「ええっ!?ひょっとして、壊れちゃったとか?」
<―――いや、待て>
ヤークが騒ぎ出す一同を静める。
<何かが―――サイバスターから、何者かの意思が現われようとしている―――!>
「え―――!?」
のび太たちはサイバスターを見た。その身体がうっすらと発光している。そしてその光がサイバスターから離れ、
虚空に何かの形を取ろうと渦巻く。
そしてその光の中から一人の少年の姿が浮かび上がった。
79ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/09/22(木) 01:30:03 ID:kgEhEt8q0
端整な顔立ちに、風に靡く緑の髪と、それをそのまま映したかのような緑の瞳。ミステリアスな登場と相まって、
その少年は神の降臨を思わせる荘厳な雰囲気を纏っていた。
そして少年の口が開く―――その口から漏れるのは、神の宣告か、悪魔の囁きか―――
「ふわ〜〜〜〜あ・・・」
単なる大あくびだった。これには一同もずっこけるしかなかった。そんな一同を尻目に、少年はうーん、と気持ち
よさそうに背筋を伸ばす、
「ふー!やっと俺も永い眠りから覚める時がきたか。正直待ちすぎてこのまま出番がないのかと思ったぜ。
それにしても、中々いい場所だな。自然も多いし風も気持ちいいし、こんなところで一日中ゴロゴロしてたら
いい気分だろうなー。弁当持ってブラブラして、草の上で寝っ転がって・・・そんな生活に憧れちまうぜ。ん?」
凄まじいまでのマイペースで喋る少年が、まだずっこけているのび太たちに気付いた。
「お前らだな?サイバスターを呼び起こしたのは」
「え?は、はあ、まあ、そうなるのかと思われまするが・・・」
いきなり話し掛けられた稟が微妙な敬語で答える。
「そうか。いや、いきなり驚かせちまって悪かったな」
ははは、と少年は陽気に笑う。
「ええっと・・・あ、あなた、誰です?」
ドラえもんが聞くと、少年は鼻をかきつつちょっと得意げに言い放った。
「へへっ、知りたいか?よーし、聞いて驚くなよ?」
そして彼は己の名を告げた―――
「俺はマサキ―――かつてサイバスターと共に戦ったパイロットさ!」
80サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/09/22(木) 01:42:37 ID:kgEhEt8q0
投下完了。
前回は
http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/tyo-kisin/02-19.htm

スパロボ知ってる人には説明不要でしょうが、マサキはサイバスターの正式パイロットです。
キーパーソンになりそうな、ならなさそうな。
ただしこのSSにおけるサイバスターはアニメ版並に設定が改竄されてるので、知ってる人はあまり
その辺りを気にせずに読んでいただければ幸いです。

>>しぇきさん
会話がスパロボっぽい・・・あんま意識してなかったけど、やっぱり影響受けてるかもしれません。
このSSのコンセプト自体<ドラえもん的スーパーロボット大戦>ですから。
ちなみに僕の中でのトンデモ野球漫画最高峰は大和田秀樹先生の<たのしい甲子園>です。知ってる人いるかな?
81作者の都合により名無しです:2005/09/22(木) 08:42:02 ID:bsZg1fvi0
サマサさん乙
フー子が風の神位精霊という事は、
お約束の4大元素の地水火風で残り3つの精霊もでるんだろうか。
しかし、また新キャラですか。覚えるの大変w
ゲームのスパロボ知らないけど、元ネタはなにかのアニメキャラかな?
しかも今度はサイバスターの元パイロットですか。強い戦力になりそうですな。
82作者の都合により名無しです:2005/09/22(木) 13:17:13 ID:3fJLCECX0
 ┏━┓
    ┃_n.┃         俺のターン!ドロー!バトルフェイズ!
      .( l.┛  ∧_∧ < 俺はグリズリーマザーでプレイヤーに直接攻撃!
      \ \ (´∀` ).  ダイレクト・アタックだ!


__          マザ━━━━━━!!!!!
(     ヽ∩___∩
  ̄ ̄\ | ノ      ヽ
      /  ●   ● |
      |    ( _●_)  ミ
     彡、   |∪|  、` ‐- _
     / ト.._,, ヽノ    .)  \ \   ガッ! . ─── -= ∧_,,∧
    /  ヽ  //   /  \|   | \ 从/.─── -=≡r(   ,,)
83不完全セルゲーム:2005/09/22(木) 17:07:02 ID:OlUQNg530
>>53より。
84不完全セルゲーム:2005/09/22(木) 17:07:47 ID:OlUQNg530
第二十九話「雨」

 空を仰ぐセル──が、太陽はおろか、雲さえ見当たらない。
 むろん、ここは屋外であり、今日が特殊な天候であるわけでもない。しかし、彼の視界
には空そのものが存在しなかった。
 代理として、目に映ったもの。それは光であった。日光ではない。死と破壊だけを呼ぶ、
気で練り上げられた砲弾。これらが群れを成してセルに狙いを定めたのだ。

 落ちてくる。
 光弾、光弾、光弾、光弾、光弾、光弾、光弾、光弾、光弾、光弾、とても数え切れない。
 まもなく、ぶつかる。

 ──被弾。

 エネルギーが激しく弾け、衝撃が体表を痛めつける。
 しかし、おかげで我に返ったセル。即座に解決策を打ち出す。ちょうど三つ。
 一つ、避ける。
 二つ、受ける。
 三つ、相殺する。
 どれも甲乙つけがたい名案である。
 結局、全部が採用された。

 まず、なるべく喰らわぬよう努力する。もし回避不可と悟ったら、急所だけは守る。余
裕があれば、こちらからも反撃する。作戦が決定した。
 さて、どんどん降ってくるエネルギー弾。分量、威力、速度、どれを取っても本物だ。
 あえて、欠点を挙げるとするならば──粗雑な点であろう。
 連続エネルギー弾。これは決して敵本体を狙う技ではない。あくまでも、本質は敵がい
ると考えられるエリア上を狙うという代物。冷静に対処すれば、打破することも可能だ。
85不完全セルゲーム:2005/09/22(木) 17:08:53 ID:OlUQNg530
「“冷静”に“対処”すれば、“打破”することも“可能”」
 これを胸に刻み込み、セルは弾幕に挑む、が。
 冷静──になれない。矢継ぎ早に激突するエネルギー弾、痛すぎる。せめてショックで
失神せぬよう、心を強く保つことだけで精一杯だ。
 対処──出来ない。甘すぎた。どうしろというのだ。裸で嵐をやり過ごす方法など、あ
るものか。
 打破──どころではない。一秒後すら、定かではない我が身。プロボクサー対サンドバ
ッグ。もはや、戦いと呼べる行為であるかすら怪しい。
 可能──かどうか、考えるまでもない。不可能。
 セルも粘るが、徐々に生気が失われていく。光が彼をずんずん打ち抜く。
「もう、ダメ……だな。死、ぬ……」
 やがて、セルが抵抗を止める。力尽きた。
 同時に、エネルギー弾も収まる。さしもの完全体も疲れたのか。
「あれ……?」
 おかしい、と感づくセル。完全体セルは冷酷なほど徹底的な怪物だ。肉片全て消滅させ
るまで、空襲は続くはず──なのに、急に中止した理由(わけ)。術者本人に、アクシデ
ントが発生したとしか考えられぬ。と、不意を突く叫び声。
「セル、早く逃げるんだッ!」

 はっとして、セルが声がした方向を追いかける。もうもうと周囲を煙がたれ込んでいる
が、すぐに状況は判明した。無謀にも16号が、上空で完全体セルを羽交い絞めにしてい
るのだ。しかし、いつまでも拘束出来るはずもなく──。
「バカめ、駄作は引っ込んでいろっ!」
 怒号とともに、気功波を放つ完全体セル。16号が、いともあっけなく破壊される。
「16号ッ!」
 セルはふらふらと力なく飛び立ち、辛くも生首だけ残った16号をキャッチする。
「ど、どうして……ッ」
「ふん、おまえを殺すのはヘルズフラッシュこそが相応しい……などと考えていたら、つ
いつい体が動いてしまった」
 手の中で普段通りの笑みを浮かべる16号に、セルは言葉を失った。
86不完全セルゲーム:2005/09/22(木) 17:10:15 ID:OlUQNg530
「ふははははっ! 出来損ない同士、ずいぶん仲が良いことだな。では、二人まとめて消
えてもらうとするか」
 二人を笑い飛ばし、掌に気を密集させる完全体セル。
「さらばだッ!」
 今まさに、エネルギーが体から切り離されようとする寸前──またも妨害が入る。完全
体セルに、次々にエネルギー弾が撃ち込まれてゆく。射撃手は、17号と18号。
 ダメージはゼロに等しい。が、目や耳など五感に直結する部分にヒットさせることによ
り、彼の集中を乱すことには成功した。
「くっ……面倒な。私がいた時代では、吸収材料に過ぎなかった雑魚どもめッ!」
 すかさず、二重に球状バリアーを展開させる17号と18号。
「どうやら、あいつも別次元から召喚されたセルのようだな」
「うん。でも、私たちの相手だった奴らと違って、全然似てないね」
 彼らのバリアーは高性能で、惑星破壊級エネルギーにも耐えられるほど(ただし、外界
と完全に遮断されるため、自分からも攻撃が出来なくなる)だ。守りに徹すべき局面には、
うってつけの兵器である。ただし、それでも完全体セルにとっては玩具に過ぎない。
「ふん、すぐに突き破ってやる」
 拳と衝突するたび、二人のバリアーが頼りなく軋む。冷や汗を滴らせる17号。
「なんてパワーだ……ッ! せいぜい一分が限界……ってとこだな」

 一方、一時的にではあるが完全体から逃れたセル。セルジュニアがやって来る。
「パパ、16号さんを預かるよ。あと、僕に残ってる気を全て託す」
「……すまんな、セルジュニア。頼りない父で」
「まぁね。でも──」
 少し、照れ臭そうに。
「でも、完全体(あいつ)なんかより、パパの方が百倍かっこいいよっ!」
 しばしセルは呆然とするが、すぐに笑いを返した。
「ハッハッハ、おまえもだんだん俺に似てきたな。平気でとんでもないことを口ずさみや
がる。……だが、たまには家族サービスも悪くないか」
 手を取り合う親子。子から父へ──気が手渡される。さらに、16号もセルを激励する。
「行ってこい、セルッ!」
「おうッ!」
87サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/09/22(木) 17:14:17 ID:OlUQNg530
えらい長引いてしまい、すいません>完全体セル戦。
そんなこんなで次回へ続きます。
88それゆけフリーザ野球軍:2005/09/22(木) 17:27:34 ID:sHSbQTdK0
「ちょっと皆さん良いですか?」
ジースが打席に向かっている途中、ミルコはジース以外を呼び集めた。
「ミルコさん。何か用ですか?これから私はジースさんにヒットエンドランの指示を出さなくてはならないのですが。」
「フリーザ様。エンドランは・・・。まあいいです・・。」
「ん?ミルコさんは球に分け家の分からないことを言いますね〜。で?何の用ですか?」
「・・・・、ああ、忘れるところでした。実はルール書を皆に渡すのを忘れていまして。」
「ほほほほほ、ミルコさんらしくないミスですがまあいいでしょう。どうせ普通の野球とルールは変わらないでしょうし。」
フリーザが快活に笑うと、ミルコは(お前はルールすら分かっていないだろ!)と言いたげな顔で
「いえ、私たちの場合のみに適用するルールと言いましょうか。地球じゃあ、中々起きないことがあるので、それを踏まえたルール書です
。」
「その言葉に惹かれる!惹かれるぞ〜!」とか言っているコルドは無視してミルコはこう続ける。
「一応、ページ数はかなりあったので主なところだけをフリーザ様にでも分かるようにまとめておきましたからこちらをご覧ください。」
ミルコは懐から9枚の紙を取り出し、皆に渡す。
「ほう、確かにコレは禁止だな。」
というギニューの声や
「ええ〜。」
というバータの声もある。しかし一方
「・・・・・・・。」
と黙り込むフリーザ。ミルコはどうせ馬鹿なことを思っているのだろうと思い、今のうちに聞いて見る事にすると
「この某Fさん用の処置のとは、誰のことですか?」
ミルコが覗いてみてみると、そこにはこんなことが書かれてあった。
89それゆけフリーザ野球軍:2005/09/22(木) 17:28:16 ID:sHSbQTdK0
”某Fさん用ルール”
1:むやみにエネルギー弾を発砲してはいけない。(誰かが死ぬため)
2:思い通りにいかないからと言って、むやみに星を破壊してはいけない(皆が死ぬため)

「ああ、え〜とこれは・・。」
しまったというミルコの顔。そもそもコレは廃案になったものでミルコが全高野連もとい全フリー連で”地球人と身体能力差から生まれる
ルールの改正”という議論時の対フリーザ用に発案したものだが、このルールを乗せる自体が自分たちの命が危ないと言うことで却下にな
ったのものである。
「このFさんは誰のことなんでしょうかね〜?ミ・ル・コさん?」
「ひ、ひええええええ〜!」
ミルコピンチ!そしてジースは「覇竹!」と言いながら、キュイが球を投げる前から全力で空振りしていた。

「ミルコさん?どうしたのです?そんなに怯えて?」
(あ、あれ?死んでない?)
「ふう、一応ミルコさんは監督と言う立場でここにいるのですからそんなことではダメですよ。まあ、私がいれば何も心配はありませんが
。」
フリーザが笑いながらそう言っていると、ギニューが
「ところでフリーザ様。某Fさんとは誰のことだかわかりましたか?」
(よ、余計なことを!!)
「ほほほほほ、愚問ですね!ギニューさんは誰だか分からないのですか?」
「・・・。いえ、目星は付いていますがこんなにも堂々と書かれていると”むしろ違うのでは。”という疑問も出てきまして。」
「ぎ、ギニューよ。ほら、ジースも2ストライクみたいだし次はおぬしでは?」
「何を言ってるのですか?俺は5番ですよ。」
「そ、そうか。でも次はコルド大王様だし、そろそろ素振りもしておかないとな!」
もはや、普段のミルコはどこへやら支離滅滅なことを言い出し止らないミルコ。まあ、当然と言ったら当然のリアクションだが
「ミルコさんの言うことも一理ありますね。パパと僕で2点は取れるんだし。」
「そうおっしゃられるのならば・・。」
と言い残し、ギニューはベンチ裏で素振りをし始める。
「で、ミルコさん。先程の話ですが・・。」
90それゆけフリーザ野球軍:2005/09/22(木) 17:28:52 ID:sHSbQTdK0
フリーザがついに本題に戻ると、
「ストライークバッターアウッツ!!」
と、丁度ジースが3球三振で倒れて帰ってきた。
「ふえ〜、早すぎる〜。何でキュイの癖にあんなに早いんだ?ボールも紫色に包まれていたし。ん?フリーザ様とミルコ殿。何の話をして
いるんです?」
相変わらず話に入りたがるジース。しかし、返ってコレは上手く話をごまかす好機!ミルコの脳内コンピュータは今まさに本領発揮をしよ
うとしていたが
「あ、コレがルール書ですか・・・。ふ〜ん。某Fさん用のルールかあ〜。Fさんというと・・。」
(ちょ・・、ジース読むの早!)
ミルコの頭脳が発動する前に本題にたどり着いてしまったジース。
「ほほほほ、ジースさんもコノ人が誰か分かりませんか?」
フリーザは早く答えが言いたげな顔でジースに質問する。一方、ミルコはその答えを言いいたげな顔が自分を早く殺したい顔に見えて今に
も泣きそうな表情をしている。
「・・・・。分かった!」
ジースは元気な声でこういった。
「Fさんはファイナルアプールのことですね?」
その答えに思わず呆然とするミルコだったが、フリーザは悔しそうに
「ジースさんにも分かってしまいましたが、わたしだけかと思ったのですがね〜。」
「いや〜、スイマセン。この前、ファイナルアプールがついに完成したと技術部の人が言ってたのを覚えていたもので〜。」
などと、二人で変な会話を始める。一方ミルコは助かったと言う表情の中で
(そんなものは誰も作っていないぞ!)
と冷静な突込みをしていた。ちなみに、三番のコルド(右)は絶妙なタイミングと戦闘力のコントロールでキュイの外角低めのストレート
をライト方向へのホームランを放っていた。
91それゆけフリーザ野球軍:2005/09/22(木) 17:29:35 ID:sHSbQTdK0
「ふ、まあ当然だな。戦闘力のコントロールなど理論さえ知ってしまえばどうという事ではない。」
といいながら、悔しそうなキュイを尻目にベースを回るコルド
「すげえ〜!流石はコルドさまだ!」
とフリーザ&ミルコ&ジース以外はおおはしゃぎしていた。

コルドがベンチに戻ってみんなとハイタッチをしている時も、フリーザとジースはファイナルアプール(そんなものはいない)のスペック
の話をミルコは生への喜びと二人の馬鹿さ加減にひたすら感謝していた。
「ん?お前達、何をしているんだ。」
皆が出迎えてくれている中、ベンチの後ろで変なことをしている三人に声をかける。その声は三人だけ祝福の声がなかったことでちょっと
不機嫌そうだった。
「あ?パパ?打席はどうしたの?」
(こいつ見ていなかったのか!)と怒りたかったが、ここは父親。グッと我慢してこう言った。
「結果はホームランだ。まあ、当然だがな。それよりもお前達は何をしている。特にフリーザ。次はお前の番だぞ。」
「あっ、そうか。まあ、パパがホームランなら僕は超ホームランだね。これで10点差にしてやるさ。」
「ふむ、そんなことはありえないが頑張れ。」
見事なコルドの切捨て。それに一同は感心しつつ、当のフリーザは打席に向かう。
「で、ジースよ。何の話をしていたのだ?」
コルドも自分の勇姿をそっちのけで話されていたものの内容がどうにも気になるらしい。
「これです。コルド大王様。」
ジースはそう言って先程の紙を見せる。当然ミルコは心臓がバックバクである。
「ふむふむ。某Fさん用ルール?ふむ。なんだ?このFとはフリー・・・。」
と”フリーザのことか?”と言わせる前に、ミルコは無意識のうちに、伝家の宝刀である”ハイキック”がコルドの顔面に炸裂させる。
いや、顔面よりかは顎先と言ったところだろう。ミルコの体は小さいので耳の方までは足が届かなかったようだがこれが返って幸いし、ミ
ルコの足が顎先にかすめた瞬間、それが脳を揺らすきっかけとなりゆっくりとコルドの巨体がその場に沈んでいく。
”柔は剛を制す”ここに完成しけり。
92それゆけフリーザ野球軍:2005/09/22(木) 17:31:12 ID:sHSbQTdK0
「「こ、コルド様!」」
一斉にフリーザの打席を見るのをやめ、コルドが倒れた方向に顔を向ける。一部始終を見ていたジースはまともに震えている。何しろフリ
ーザの父であるコルドがハイキック一発でやられたのだから。
「み、ミルコ殿。コルド様は一体どうしたんです?」
「ふむ、貧血じゃな。」
と、ザーボンの問いにあっさりと嘘の言い訳をするミルコ。
「よほどホームランが興奮したんじゃろうな。」
「そうなのか・・。やはり、初打席でホームランを打てばな。」
とこちらもあっさり納得してしまうザーボン達。しかし、ジースが
「お、俺は見たんだ!み、ミルコ殿がコルド様にハイキッ・・・」
ジースが言い終える瞬間、ミルコは無理やり懐に引き込み
「もしそれ以上言ったら、脳を改造して「ボクハニンゲンベースボール」としか言えない体にして体中の穴と言う穴に野球ボールとバット
を突っ込んでやるぞ!」
とジースの耳元で囁いた。するとジースはみんなの方へ振り返って
「ハイキックシュ!あ〜、風邪をひいたみたいだ。それにしてもミルコ殿の手際のよさには実に感心するね〜。は、はははは。」
「ん?ジースは風邪か?気をつけろよ!」
とギニューはそう言ってフリーザの打席に目を戻す。他の皆も同様だ。
「ジース。」
ミルコが突然呼ぶので、怯えながら振り向くと

パシュ!

と黒い小さなライトから光が出てくる。
「ん〜。」
と言いながら気絶するジース。
(ふむ、これは便利じゃ。MIBを見た甲斐があったワイ。後は、コルドにこれをやっておけば何とか・・。それにしても、自分があんなミ

スをするとは・・。ワシもまだまだじゃの〜。)
そう思いながら、ミルコもようやく観戦に戻ったのであった。ちなみにフリーザは2-0とど真ん中二つであっさりと追い込まれていた。
続く。
93それゆけフリーザ野球軍:2005/09/22(木) 17:37:31 ID:Xi6DyLJE0
はい!今回は野球SSではなくなっているしぇきです。

最初はこんな内容にするつもりではなかったのですが、何となく書いていたら
ミルコが勝手に動き出して・・。
水島漫画の岩鬼状態になってしまいました。

ちなみ、コルドがホームランを打っているので1-1です。
今のところホームランのみという大味な展開ですね。
これから少しは野球SSになるように頑張ります。

>レスくれた皆さんありがとうございました。

>サマサさん。
その野球は漫画は知らないです。世の中にはいっぱいありますね。野球漫画。
9歳のがきがプロで活躍したり・・。

では失礼します。次こそ試合は進みます。
94それゆけフリーザ野球軍:2005/09/22(木) 18:32:19 ID:/hWcaDeaO
球にをたまにです。忙しかったので見直せなかったです。
では失礼。
95作者の都合により名無しです:2005/09/22(木) 20:23:28 ID:6of5C3Hk0
>サマサ氏
やはりフーコは重要キャラだったんですか。サイバスターの精霊という事は
ドラえもんたちの守り神になるのかな?マサキという新キャラも登場して
ものすごい長編になりそうですねw最後まで見届けるので頑張って下さい。

>サナダムシ氏
意外と最初は揺れない心を持っていたセルですが、相手が悪すぎますね。
またヘタレたかと思いきや、なんか人造人間同士の友情&親子パワーで
復活っぽいですね。ジャンプの王道ですな。完全セル戦以後もあるのかな?

>しぇき氏
長編カテゴリロードまっしぐらですなー。いつも力作、乙です。
ミルコ死んだかと思いきや、以外にフリーザは優しい(甘い)ですな。
裏主人公はミルコの気がしてきた。フリーザまだいいとこ無しですなw
96作者の都合により名無しです:2005/09/22(木) 22:10:23 ID:06CnU4860
>超機神大戦
フー子が精霊化して、サイバスターが機神と化しましたね、タイトル通り。
しかも幽霊っぽい(?)元パイロットも出現。役者は揃ったって感じですか。
前回はボロ負けだったけど、これだけパワーアップすれば互角以上に戦えるか?

>不完全セルゲーム
タイトルに反し、完全体同士の戦いになりましたね。
片や肉体的に完璧、片や「情」によって心が完璧、と。
最後にはセルパパが勝つんでしょうが、勝ち方がわからない。
セルジュニア&セルパパVS悟空&悟飯とかのカードもあるといいな

>それゆけフリーザ野球軍
こちらもタイトルに似ず、まったくイケてないフリーザとその仲間たちw
ミルコは中間管理職の悲哀を漂わせてますね。しかし、こいつ結構偉くて強いのか?
こんなハイキックがヒョードルに決まってればなーw
97それゆけフリーザ野球軍:2005/09/23(金) 01:55:34 ID:0BkCD//90
家に帰ってみてみたら、文字が凄いぐちゃぐちゃに改行されていますね。
ちゃんと投稿する前に直しているのですが・・・・。

後、文章も分かり難いですね。
>95さん
この話ではフリーザは多分馬鹿?なので某Fさんはファイナルアプールと本気で思っています。
なので、許したわけでも甘い訳でもなく完全に気付いていないだけです。
分かりにくくてスイマセン。

後、分かりにくいところはやはり戦闘力のところでしょうか。
バットとボールに戦闘力を包んでいる時は20000以上の差がバットとボールにある時、戦闘力の低いほうが粉々になると言うことで
まだ書いていませんが、バットかボールどちらかが戦闘力に包まれていない場合は5000以上差があると粉々になる設定にする予定です。
ボールが粉々になった場合は、すべてファールとなります。
逆にバットの場合は、ボールがミットに入ればストライク。飛べば、いつもの野球のルールです。
なので、自分たちが戦闘力がコントロールできなくても野球にはなるわけです。
ただ、出来ない側が圧倒的な不利を持っています。(打った時の飛距離や、撃たれた時の飛距離etc)

長々とスイマセン。
では失礼・・。
98作者の都合により名無しです:2005/09/23(金) 02:46:33 ID:5zXQk5yV0
・サナダムシ氏
これがあのヘタレとは思えないなあ。シコルの魂が乗り移ったみたいだ。
セル、完全対を倒した後も旅を続けてくれるといいな。
多分パーティ内の地位は変わらないだろうが

・しぇき氏
いつもお疲れさんです。確かにフリーザクラスが本気になったら
バットは触れただけで粉々でしょうな。
少しずつフリーザも野球飲み込めて着ましたな。意外と好ゲームになるかな?
99作者の都合により名無しです:2005/09/23(金) 08:21:42 ID:6hk9EiLW0
しぇきさんは真面目で好感持てるね。
作品もおそらくご本人の当初の予定より筆が進んでいるだろうし、
これからも頑張って欲しい。

でも、誤字と改行だけは少し気を付けてね。
バレさんが大変だから。
100魔女 境:2005/09/23(金) 13:36:07 ID:9LVzpHp30
 朝の通学路に男が立っていた。

 見つけた。
 やっと見つけた。
 近いぞ。
 もうすぐだ。
 二十年か。
 長かったな。
 短かったな。
 元気かな。
 会える。
 やっと会える。
 彼女にやっと会えるんだ。
 会ってどうしたいんだろう。
 それは分からない。
 でもとにかく会わなきゃ。
 会わなきゃ進まないのだから。

101魔女 境:2005/09/23(金) 13:36:44 ID:9LVzpHp30

 彼女はとても眠そうだった。
 欠伸をしていた。
 ――違う。
 あんな子供な訳が無い。
 でも、あの娘に間違いないんだ。
 つまり――そういうことか?
「君は、あの人の娘さんかい?」
「はい?」
 少女・樹はまず思った。誰この人?
 ――あ。
 思い出した。少し前先生が言ってたっけ。『最近、通学路に朝女子中学生に声を掛ける
変質者が出没しているようです』って――もしかして?
「――お兄さん、変態の人ですか!?」
「え? 僕は君があの人の娘なのかどうかを訊きたいんだけど?」
「いや! 近付かないで下さい! 私、『ココセコム』持ってるんですよ! これがあれば
攫われたってへっちゃらなんですから!」
「それは教えちゃ駄目なんじゃないか? とにかく僕は君があの人の娘なのかどうかを訊
きたいんだよ」
 無表情で迫る男に手を掴まれた樹は小さく悲鳴を上げた。
「やめて下さい! 警察呼びますよ!? すぐそこに交番があるんだから、叫べば――」
「だから――」
 男は、樹の口を塞いだ。
「む……んぐ……」
「落ち着いて僕の話を聞いてほしい」
 男は深く呼吸をして、樹の耳元で静かに語りだす。
102魔女 境:2005/09/23(金) 13:37:17 ID:9LVzpHp30
「僕は二十年前、死の淵にいた。もう諦めていたんだ。自分は間違いなく死ぬと思い込ん
でいた。そこを、ある女性に救われた。その人はちょうど今の君と同じ位の歳だったと思う。
当時まだほんの子供だった僕には、目の前にいた少女が随分と大人に見えたものだ。僕
は彼女に助けられ、此方側に帰って来れた。僕は彼女は実際に生きている人間だと確信
していた。会いたかった。お礼を言いたかった。目的は、本当にそれだけなんだ。しかし、
何のヒントもなかった。確かなのは日本人の女の子だということ。それだけだった。一億を
超える人の住むこの国で、タレントでもないその子を探すことなど不可能だと気付くまでに
そう時間はかからなかった。探偵を使おうにも、写真も無い。絵を勉強してあの時見た彼女
を描きそれを元に探して貰おうかとも思った。しかし彼女も成長しているだろう。絵を勉強し
ている間に僕が大人になるように、彼女もそうなる。万事休すだと思ったよ。そして暫くは彼
女のことを忘れていたんだ。仕事の都合でこの町に越してくるまではね。今日の夜零時頃
だろうか。うまく言葉にはできない。ただ感じたとしか言えない。あの時の感じがしたんだ。あ
の世界の肌触りを一瞬だが感じたんだ。なんでだろうと思った。自分の死が近いのだろうか
と思った。だが違う。僕は体は至って健康そのものだし、最近受けた人間ドッグも良好だった。
なんで感じたのか。簡単だった。この町に彼女がいるからだ。これは仮定の話だけれど、一
度あそこに行った者は、あの独特の世界の感触を覚えているのではないだろうか。だから、別
の人間がそこにいて、彼女もそこにいる場合は感じ取れるのではないか――うまく纏まらない
んだけどね――そう確信した。僕は確信しないと動けない性質だから確信するしかなかった。
自分でも不思議だよ。この町もそれなりに広いけど、彼女のいる大体の場所は掴めたんだも
の。そしてここに立って、彼女の周辺に住む人々に聞き込みをしようと思った。こうして話してい
る間にまた確信したよ。君はあの人の娘さんだね? そっくりだ、あの時の彼女に。纏っている
雰囲気も。そうか、昨夜あの世界に行ったのは君なんだね。君のお陰だ。君のお陰で彼女に会
える。会ってお礼が出来るんだ。勘違いはしないでくれ。僕は彼女にお礼を言いたいだけなんだ
本当に。別にその他の感情は何も持っちゃいない。それだけは誤解しないで欲しい。一応訊こう。
君は彼女の娘だよね?」
 男はやっと、樹の口から手を放した。
「――え、ええと……よ、よく分かんないけど……そう、です」
 樹の頭の中はあまりの長話でぐるんぐるんしていた。

103魔女 境:2005/09/23(金) 13:37:59 ID:9LVzpHp30

「君の学校が終わる頃また同じ場所にいるよ」――男はそう言い残して去って行った。
 三時間目の体育。校庭をぼんやりと走る樹は考え事をしていた。
 あの人はキモイけど、熱い。
 ざっ、ざっ。
 お母さんはあの人に会ったら、どんな反応をするのかな?
 ざっ、ざっ、ざっ。
 それ考えると、少し楽しみ――ん?
 ざっ、ざっ、ざっ、ざっ。
 樹は、何人もの足音のする校門側の方に目を遣った。
 あのおじさん達、なんだろう? 今日は見回りの日じゃない筈なのに。
 この町は最近物騒なので、月に二回大人達が見回りをしていた。そして樹は、今日が
その日ではない事を知っていた。
 皆、凄い眼してる――
 嫌な予感がした。
104ゲロ ◆yU2EA54AkY :2005/09/23(金) 13:38:32 ID:9LVzpHp30
今スレ初ですね。遅くなりましたが>>1さんお疲れ様です。

こんなに長いセリフを書いたのは初めてです。

あ、前回はhttp://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/gero/wi-04-1.htmです。バレ様感謝してます。

前スレ>>467
ぽんこつが何なのかはあんま考えて無かったですね。強いて言えば、限りなく人間に近いロボットみたいな。
>ぼくの頭上には畑がありました
ああ、そこは描写不足でしたね。単にぽんこつが野晒しになっていた場所の上に畑があったって話です。
その畑は自動野菜収穫機みたいのでぽんぽん引っこ抜いているのですがたまに故障して下におっこって
くるというね。書かなきゃそんなの分かりませんね。誠に申し訳ない。

>>479
ぽんこつは最悪ですからね。あんな召使いロボット使いたくないですね。

>>480
高校生の悩み系はもうあまりやりたくないですけど、やらなくちゃいけないのでこの先も幾つか出てくること
でしょう。アイデアはまあ、出るんですけども。茄子はネタの制限がほとんどありませんから。

>>496
少年がどんな恥ずかしいセリフで彼女を元に戻したのか、想像するとちょっと楽しいかもしれませんね。
まあでも、そもそもあの鳥が本当に少女だったのかすら分かってないわけですが。

では次回。
105作者の都合により名無しです:2005/09/23(金) 19:00:26 ID:MPTsttwU0
わざとそうしたんでしょうが、セリフ長くて改行無しはちぃと読み辛かったw
他のレスがあっさりしてた分、余計際立ってましたな、セリフの長さ。
それだけ、男の樹の母に対する思いが強いと言うことでしょうか。
やってる事は一見少女の人攫いっぽいですが。今回は橋渡しの回でしょうか。
主人公の嫌な予感が楽しみですw
106作者の都合により名無しです:2005/09/23(金) 21:20:49 ID:bkENtvNd0
女子中学生を拉致ろうかって感じだったからウホッな展開かと思ったが
シリアス路線かwそりゃそうですな。
話がどうなるかまったくわかりませんが次回を期待してます。
しかしこんな粘着っぽい男に口ふさがれたら怖いだろうなw
107不完全セルゲーム:2005/09/24(土) 02:16:33 ID:59O6ky4N0
>>86より。
108不完全セルゲーム:2005/09/24(土) 02:17:07 ID:59O6ky4N0
第三十話「決着」

 猛威を振るう完全体セル。17号と18号を包むバリアーは、すでに風前の灯であった。
「ちくしょう、ここまでか!」
「なかなか手こずらせてくれたが、もうバリアーも持つまい。……砕け散れッ!」
 右拳が弓矢のように引き絞られ──今、放たれる。
 拳に触れた瞬間、バリアーは粉雪のように散乱した。もはや、彼ら姉弟を守るものはな
くなった──が。

「ちょっと待ていッ!」

 完全体セルとほぼ同じだが、どこか欠如している声。セルが救援に訪れた。
「やっと来たか。ふっ、あとは頼むぞ」
「あと少しで、二人とも死ぬとこだったよ。まぁ、今回は特別に許してやるけど」
 17号と18号は空域から早々と立ち去っていく。代わりに立ち向かうは、セル。
「まだ私を倒せていないのに、他者と遊んでいるとはな。完全体セルというのは、ずいぶ
んな浮気性じゃないか」
「くっくっく……。あれだけ実力差を味わわされて、また来るか」
「来てやるとも。何度でも、な」
「ふん、お遊びはもうせんぞ。今度こそ殺してやるッ!」
 気を高め、完全体セルが突進する。対するセルは、尻尾を彼へと向ける。
「バカめ、また掴まれたいか」
 ──が、尻尾からは予想だにせぬ攻撃が飛び出た。内から抽出された生体エキスが、完
全体セルの両眼に発射されたのだ。
「ぐ、ぐわっ!」
 液体に視界を塞がれ、目をこする完全体セル。もちろん、セルにとってはチャンス。す
かさず背後に回り、かつて尻尾であったスポイト部分をこじ開ける。
「ちょっと熱いが、我慢してくれよ」
「よ、よ、よせッ……!」
 セルはスポイト内に、一気に炎を放射した。炎と高熱とが完全体セルの体内に侵蝕し、
残酷なまでに焼き尽くす。
「ぎぇえぇええぇぇえぇぇッ!」
109不完全セルゲーム:2005/09/24(土) 02:20:20 ID:59O6ky4N0
 内臓ほぼ全てを焼かれ、生命線である核にまで炎は達していた。煙を口から吐き出しな
がら、完全体セルがついに怒りをあらわにする。
「よ、よ、よくもォ……ッ! よくもォオォォオ!」
 だが、セルは動じない。むしろ、対照的に冷静をふるまう。
「おまえは完全体(パーフェクト)だ。だが、おまえにも私よりも劣っている部分が、三
つだけある」
「ほざけ……」
「私にはクリスタルがある、また私には仲間がいる。いずれも、完全体(おまえ)には存
在しないものだ」
「くっくっく、存在しない? バカめ、最初から不要だからだ。完全なる肉体と精神さえ
あれば、全てこと足りる!」
 肉体を再生し、完全体セルが勢いを取り戻す。再び、突撃。
 猛ラッシュ。威力は落ちているが、なおも超人的。拳足が、気功波が、セルを次々に捉
える──が、セルはダメージこそあれ、恐怖はない。
「不要ではない。何故なら、クリスタルや奴らがなければ、私はとっくに死んでいた。そ
して、今こそ味わえ──炎のクリスタル!」
 セルから発せられし、異質な気(パワー)。まるで、炎のような。
「ちッ!」
 のけぞるような高熱を感じ、反射的に拳を退ける完全体セル。
「完全でないからこそ、強くなれるッ!」
 退く完全体セルを、追うセル。強き心を宿した左フックが、完全体セルに捻り込まれる。
 ──効いた。効いていた。効いてくれた。歯が数本、散る。
「ち、ちくしょう……! ちくしょぉおぉぉおぉおぉぉお!」
 全身に血管を浮かび上げ、猛り立つ完全体セル。突如、上昇を開始する。
「地球もろとも──吹き飛ばしてくれるわッ!」
 地上を地平まで見下ろせる高度。完全体セルは両手を上下に重ね合わせる。もう、あの
技しかない。
「受けてみよ。もっとも、受けたと同時に……全てが滅びるがな」
「いいだろう、受けて立ってやる。完全体ッ!」
 同一フォーム。多少、発音こそ異なるが、掛け声も一致している。
「か、め、は、め……」
「か、め、は、め……」
110不完全セルゲーム:2005/09/24(土) 02:22:30 ID:59O6ky4N0
 体内に潜在する気が、丸められた両手に充満する。まもなく、臨界点に達す。
 しかし、完全体セルには余裕があった。何故なら、彼は知っているからだ。
「──くっくっく、私が上だ。たしかに奴はふざけた力を持っているかもしれん。が、純
粋な力のぶつかり合いならば、敗けるはずがない!」
 気(パワー)ならば完全体が有利である。まして気功波の最高峰である、かめはめ波で
の対決とあれば──上下関係はより鮮明となる。上はより強く、下はより弱く。
 互いに発射寸前。と、セルが不気味に語り掛ける。
「おい、完全体……」
「くっくっく、命乞いならば手遅れだぞ」
「そういえば、私がおまえに勝っている部分──あと一つをまだ話していなかったな」
「な、何だとっ!?」
 まだ切り札を忍ばせていたのか──と、怯む完全体セル。
 対して、ここぞと吼えるセル。
「ふっふっふ、答えは宇宙からやって来るッ! もうすぐ降ってくるぞォッ!」
「ぬっ……ちぃぃッ!」
 即、天に視線を移す完全体セル。が、別に異変はない。
「波ァァァァァッ!」
 虚を突く発砲であった。火、風、土、炎、さらにセル自身の気を加算した一品。

 ──大気を呑み込む猛渦。

 すかさず、完全体セルも撃とうとする。が、これは失策。
 実は迫り来るかめはめ波は、決して生命を脅かす破壊力ではなかった。が、完全体セル
が半端に放とうとしたかめはめ波を丸ごと呑み込み、威力がプラスされ──。

 かめはめ波は、致命的な兵器へと変貌する。

「わ、私がァ……完全である──! わ……た、し……が……ァ……」
 光が核を滅ぼす。現世より、完全体セル──消ゆ。

「クリスタルに仲間──加えて口八丁。勝利は頂いたぞ、完全体ッ!」
 やはり、ハッタリこそが最上の武器。持ち味を丸々活かしたセル、大勝利。
111不完全セルゲーム:2005/09/24(土) 02:26:45 ID:59O6ky4N0
三十話突破。ようやくバトル終了。
ちなみに、セルは姿は第一形態のままです。

物語は最終章(?)へと進む……。
112サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/09/24(土) 02:27:35 ID:59O6ky4N0
名前変えるの忘れてました。
113作者の都合により名無しです:2005/09/24(土) 08:29:34 ID:5Y7nHHof0
サナダムシさん乙です。
今までの言うだけ番長振りが最後の最後に来て切り札になりましたか。
悟飯並のかめはめ波だったのかな、最後の一撃は。
死闘決着乙です。あと30話突破乙。最終章も頑張って下さい。
114作者の都合により名無しです:2005/09/24(土) 09:00:16 ID:+9Qi60LhO
漫画ネタじゃなくて単なる妄想創作でもいいのかに?
115作者の都合により名無しです:2005/09/24(土) 09:15:53 ID:WC1V6Sr20
>>114
いくらなんでもまずいと思う。
ここは<漫画SSスレ>なんだからせめて漫画キャラを絡ませて書くべき。
116作者の都合により名無しです:2005/09/24(土) 09:22:19 ID:+9Qi60LhO
しょか、創作とあったからきいてみたが残念
ありがとう
117作者の都合により名無しです:2005/09/24(土) 11:47:40 ID:m66jF1Ml0
>>116
ほんの少しでも漫画キャラや世界観を使った妄想創作ならOKだと思うよ。
118作者の都合により名無しです:2005/09/24(土) 11:54:58 ID:+9Qi60LhO
キャラの名前や設定の元ネタが漫画なだけでマイナーだったりより合わさっているので出来上がったキャラは別物同然でもいいですか?
各種ファンタジーな世界だけ舞台としてもらって登場キャラは一切関与がないのでもいいですか?
119作者の都合により名無しです:2005/09/24(土) 12:35:28 ID:5Y7nHHof0
まあ、漫画のキャラが中心人物として出ていればいいと思う。
しかし半分以上がオリジナルキャラとかは勘弁だな。
サイトの作品ざっと見て判断すれば?

120作者の都合により名無しです:2005/09/24(土) 19:03:50 ID:r9su+9/x0
サナダムシさんお疲れさんです
ちょっとあっさり終わったかなーと思いましたが
やっぱり最後はかめはめ波で決めないとダメですよね。
最終章、悟空とか出てくるのかなー
121オーガスーツ:2005/09/24(土) 22:59:44 ID:V1T48y3I0
>>72
パタリロは再びアメリカに行って、再び王宮に帰ってきた。
帰ってくるなり、じゅうたんの上でパタリロは呻き声を上げる。春の特大号と
オリバも、顔色を変えた。
「……う」
「な、何だこれ!? 殿下、これ、マライヒさんが一人でやったんですか?」
「マイガッ。オーガ以上のバケモノを見たのは、これが初めてだよ」
前回はタマネギたちが壊滅していたが、今回は王宮が壊滅していた。爆撃でもあった
かの如く、荘厳だったマリネラ王宮が見る影もなく倒壊崩壊。瓦礫の山と化している。
その真ん中で猛っているのが、エプロンドレスを着た亜麻色の巻き毛の美少年。
これが超能力の暴走とかだったらまだ色気もあるが、残念ながら暴力の暴走だ。
彼は、己の肉体ひとつでこの惨状を成し遂げたのである。
さすがのパタリロも腰が引ける思いだが、やるしかない。でないと本当に、
マリネラが壊滅する。でその後、自分がブチ殺される。確実に。
パタリロは意を決して、じゅうたんの高度を下げて跳び下りた。オリバと
春の特大号もそれに続く。
すぐにマライヒが三人、いや四人に気づいて、こちらに向かってきた。
「待っていたよ、パタリロ……そして、バン!」
マライヒの、沸騰して溢れている殺気を今一番受けているのは、オリバが荷物のように
肩から降ろした人物。アメリカで突然オリバに殴り倒され、気絶して連れて来られた、
そしてまだ気絶したままの、ジャック=バンコラン少佐である。オリバがぺちぺちと
頬を叩くと、一応呻き声をあげた。何とか、もうすぐ、目覚めそうだ。
一方マライヒは、パタリロとバンコラン、邪魔をするようならオリバも春の特大号も
容赦しないつもりで疾走してくる。パタリロが必死に叫んだ。
「聞け、マライヒ! 例のバンコランの浮気斡旋の件だが、実はあれが初めてでは
ない! もう何度も何度も何度も何度も、バンコランは架空犯罪者を追いかけて
浮気旅行をしている! そして僕がその手引きをしている!」
「えっ!?」
マライヒが足を止めた。パタリロは悔しそうに惜しそうにしながら、懐に手を入れる。
「見ろ、いずれバンコランを脅迫しようと思って撮り溜めしてた証拠写真だっ!」
122オーガスーツ:2005/09/24(土) 23:00:44 ID:V1T48y3I0
パタリロが写真をバラ巻いた。風に舞うそれらは、まだ離れた場所で立ち止まって
いるマライヒにもよく見える。どれもこれも、バンコランが見知らぬ美少年と
楽しそうに街を歩いているところを写したものだ。二十枚近くあるが、
さすがというか一枚一枚全て別の子が相手である。
「全部、バンコランに頼まれて僕が手配をした結果だ。そう、僕はあくまでも、
バンコランに頼まれただけなんだ。お前に束縛されて息が詰まる、って」
「……なん……だって?」
「ほら、ここにこうしてバンコランを生贄に差し出すから、ぼくのことは見逃し」

どごっっ!

いつの間にやら復活したバンコランが、パタリロを殴り倒した。
「お・ま・え・は! 嘘八百の言いたい放題、何をほざいてるんだ!
 架空犯罪者だの浮気旅行だの、どういうつもりだパタリロ! それと、」
バンコランが振り向いて、オリバを睨みつける。オリバは大仰に肩をすくめて、
「ボク、アメリカジン。ニホンゴ、ワカラナーイ」
「私はイギリス人で、ここはマリネラだっ! 何であんたまでが
パタリロなんかのくだらない企てに加担してるんだっ、アンチェイン!」
「ノーノー少佐。くだらなくなんかない。これは人類の一大事なんだ。ホントに」
「わけのわからないことを……あ、聞いてくれマライヒ。パタリロの
言ってることは全部デタラメ、でまかせなんだ」
パタリロもオリバもとりあえず置いといて、バンコランは言い訳にかかる。
「お前に束縛されてるとか、そんなことは全然考えてない。神に誓って、
パタリロに浮気旅行の協力なんか頼んでない」
「違うぞマライヒ。バンコランは前々から、浮気の為ならいくらでも金を出すからと
いってぼくに何度も依頼してきた。たんまり稼がせてもらったぞ」
「お前は黙ってろっ! 一体何の恨みがあってそんな作り話を! いつもと比べても
悪質過ぎるぞ! 聞いてくれマライヒ、私は」
「もういいっっっっッッ!」
マライヒの絶叫が全てを断ち切った。全員、その一喝で動けなくなる。
123オーガスーツ:2005/09/24(土) 23:01:15 ID:V1T48y3I0
「バン、そしてパタリロ……よくもそこまで偽り……よくもそこまで
裏切ってくれた……あなたたちのその腐れ根性に、殺意すら感じる……」
陽炎のような妖気を立ち昇らせながら、マライヒが迫ってきた。
逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ、とパタリロたちの中で警報が鳴り響く。だが周囲の空間を
埋め尽くすかのようなとてつもない重圧に潰されて、体がいうことをきかない。
パタリロの生命力もオリバの筋肉もバンコランの眼力も、春の特大号の常人ゆえの
鈍感さでさえ、通用しない。迫り来る死と破壊の化身を前に、無力な赤子と化している。
そんな四人に、マライヒが両腕を上げて背を向けた。
「見るがいい! これがぼくの怒り、今のぼくの本当の素顔だああああぁぁっ!」
四人全員、特にバンコランが、目を見張った。マライヒの上半身の筋肉がみるみる内に
膨張し、エプロンドレスを内側から押し広げ張り詰めさせ、防弾さえ可能な強化繊維
を易々と引き裂いたのだ。
その下から現れたのは、異様なまでに発達した打撃用筋肉。暴力の権化、鬼の貌。
バラバラに千切れ飛んだ紙吹雪、ならぬエプロンドレス吹雪の向こうに見えるそれは……
「あ」
ぱたん、とマライヒは倒れた。

「ふむ。心臓も血管も筋肉も極度の疲労状態にあるが、命に別状はないな。意識回復に
二日、立ち上がって歩けるようになるには二ヶ月というところか」
上半身裸のマライヒを、オリバが診察している。
「鍛え抜かれたマライヒ君の肉体でも、オーガの真似をさせるのは無理があった、と。
スーツの助けがなくなった途端にこのザマか。このスーツは改良の余地ありだな」
「むぅ残念だ。苦労して作ったのに」
「だが、マライヒ君を挑発して筋肉でスーツを破壊するというアイデアは見事だった」
「ふふん。まぁこれぐらい、この超天才パタリロ=ド=マリネールにとっては、」
「説明しろパタリロ! そしてアンチェイン! 何がどうなってるんだ!」
後ろからバンコランが割り込んできた。
「今の怪奇現象は何だ、マライヒに何があった、お前たち何をした! 何より、
デタラメを並べてマライヒを怒らせて、一体何がしたかったんだ!?」
124オーガスーツ:2005/09/24(土) 23:02:15 ID:V1T48y3I0
「デタラメ、といってもなぁ。あの写真は全部、合成写真とかじゃなくて本物、
事実だろうが。ぼくが斡旋をしたという点だけは嘘だが」
「それはそうだが、しかし」
言葉を突然切って、ハッ、とバンコランが息を飲んだ。
マライヒが、ゆら〜っと起き上がってきている。
「ぶぅわんこらああああぁぁん」
「マ、マライヒ。その、無事、なのか? 体は大丈夫なのか?」
「今、認めたね……あの写真全部、本物だって……」
「あ、いや、それは、」
「それからパタリロ……あれだけ写真を撮り溜めしてたってことは……」
「ちょっと待て。ぼくはただ、バンコランの浮気を利用して小遣い稼ぎをだな、」
ちゅどんっ、とマライヒの中で理性のカケラが爆発四散した。
「二人揃ってぼくをコケにして……許さなああああああああぁぁぁぁいっっ!」
重傷患者のはずのマライヒが、オーガスーツを着ていた時にも負けない形相と殺気
で、元気に襲いかかってきた。バンコランとパタリロは全力で逃げ出したが、
マライヒは肉体のダメージを感じさせない俊足でピタリと着いていく。凄い。
オリバが額をぺちんと叩いて、溜息をついた。
「オゥ。ミスター・トクガワに彼を紹介したら喜ぶかも。にしても、」
瓦礫の山と化した宮殿跡で繰り広げられる、壮絶な追いかけっこ。オーガスーツが
なくなって、一件落着めでたしめでたし、のシーンのはずなのだが?
「国王があれで、その友人がこれか。大変だなキミタチも」
「ははっ。まあ僕らにとっては、」
オリバに慰められた春の特大号は、苦笑混じりに答えた。
「これで充分、一件落着めでたしめでたしのシーンですよ。いつものことです」
遠くでマライヒの咆哮が聞こえる。バンコランとパタリロの悲鳴も聞こえる。これが
マリネラでは、「めでたしめでたし」らしい。
「……なのか」
「です」
世界の広さを思い知る、オリバであったとさ。
125ふら〜り ◆XAn/bXcHNs :2005/09/24(土) 23:03:49 ID:V1T48y3I0
これにて幕、です。おつき合い下さり、ありがとうございましたっ!

>>サマサさん(呪文……あんなとこで遊び心出されるサマサさんは楽しい)
水と並んで「健気・清楚」なイメージのある風の精霊。フー子の場合、言葉遣いのせいも
あって、「無垢」ですね。のび太は幸せ者っ。あぁギャルゲー的に、色々なEDが見たく
なってきた。女の子たちそれぞれとのラブED。でもそれは無理。本作のED、如何に?

>>サナダムシさん
セル凄い、カッッッッコいいっっ! 憎まれ口を叩く仲間たちと巧みに連携し、華々しく
パワーアップした能力を使いこなし、ヘタレ時代からの得意技も忘れず、と自分の持てる
全てをブチ込んだ最高の技が、ラスボスを葬り去る……文句なしに、君がヒーローだっ!

>>しぇきさん
何気にさすがだコルド大王ホームラン。おそらく今の打席、フリーザにホームランは無理
であろうと予測します。あとバカばっか、のおかげで命拾いし続けている苦労人ミルコ氏、
今回は珍しく攻勢に出てますね。ハイキックに謎の秘密兵器に。頭脳だけじゃない御仁也。

>>ゲロさん
いや、これ、充分変質者で変態ですってば。朝の通学路で女の子が、明らかに誘拐寸前の
状態。それ以外の何物でもない。ココセコムも交番も役に立たないことが立証されてます。
でもこれだけの目にあったのに、「けど、熱い」って肯定的に考えられる樹はいい子です。
126作者の都合により名無しです:2005/09/25(日) 11:36:09 ID:McI4q0SV0
>サナダムシさん
男前のセルを堪能しました。でも、それでもちょっとセコいのも彼の持ち味か。
これがラストバトルなのかな?最終章期待しております。

>ふらーりさん
完結お疲れ様です。正直、もうちょっと続くかと思っていたけど。。
でも、パタリロらしい終わり方ですね。オチもマライヒ嫉妬オチだし。

127作者の都合により名無しです:2005/09/25(日) 15:47:26 ID:izkGK8LE0
確かにちょっと短かったかなあ。
もう少しバトルが見たかったような気がする。
でも、お疲れ様でしたふら〜りさん。次作も期待しております。

あと、しぇきさん長編カテゴリ移行おめ。ペース史上最速?
128DL:2005/09/25(日) 20:13:47 ID:neVT8d010
はじめまして、DLという者です。

長編SS補完庫にSSを投稿したいのですがどうすれば投稿できますか?
よろしければ教えてください。お願いします。
129作者の都合により名無しです:2005/09/25(日) 21:07:51 ID:ONo4pxcH0
ふら〜りさんお疲れ様でした。
あまりパタリトは詳しくないのですが
相変わらずほのぼのとした描写と、
パタロロやマライヒの可愛さに微笑みました。
また次回作お願いします。

>>128
うーん、このスレの住人ならおわかりになるかと思いますが…
このスレで連載を開始したら、サイトの短編保管庫に保管されます。
そしてある程度長く連載し、規定の作品の容量超えれば
(60KB以上だったかな?)長編保管庫に移動しますよ。
130それゆけフリーザ野球軍:2005/09/25(日) 21:14:22 ID:92pa834g0
<1回裏>
「ストライ〜ク!」
打席に立ってからわずか1分半で2ストライクとあっさり追い込まれたフリーザ。そのあっさりっぷりは対戦ピッチャーのキュイでさえ失

笑するほどであった。

「さあ、開始わずかで2ストライクに追い込まれたフリーザ選手。ここまではどうでしょう?解説のバーダックさん?」
「お!ちゃんと〜選手ってつけるようになったの?」
「あ、いや、さっきべジータプロデューサーからそう付けるようにとキックもとい伝達が来たものですから。
それよりもバーダックさん?」
「はいはい、分かっているよ!」
「ではどうですか?フリーザ選手のこの打席は?」
「いや〜、ふがいないですね〜。キュイ選手の球は確かに早いですが、フリーザ選手はバッティングの技術がまるでありません。ただ打席
に立ってフルスイングしているだけですからね。」
「ですが、当たればでかいのでは?」
「キュイ選手はちゃんと戦闘力のコントロールが出来ていますからね。打てたとしてもゴロが精一杯ではないですか?」
「なるほど。先程のコルド選手のようでなければダメと言うわけですね。」
「そうですね。はっきり言って今のところ、コルド選手以外は打てる様子がありませんね。」
「なるほど。お〜と、キュイ選手が投球モーションに入りました!」

「これで・・・、終わりだ!」
キュイはそういいながら、腕を斜め上方から振り下ろしボールを投げる。
そのボールはオーラに包まれたキュイの手からまるで新たな生命が生まれ出るかのような様子だった。
131それゆけフリーザ野球軍:2005/09/25(日) 21:15:04 ID:92pa834g0
ギュイーン!!!

木をチェーンソウで切っている様な音を鳴らしながら、ボールはアプールのミットをめがけてまっすぐに飛んでいく!
「また、ど真ん中ですか!仏の顔も三度まで!流石にもう逃がしませんよ!」
フリーザはそう言いつつ体中に戦闘力をまといキュイのボールを叩いた!

----グシャ!!

「お〜と!今度はフリーザ選手、キュイ選手のボールをジャストミート!あっぷっぷ球場の空に無数のボールが飛んで・・・あれ?」
ラディッツが驚くのは無理もない、何しろ夜空に幾つものボールらしき影が飛んでいるのだから。
「っと、これは噂に名高いジャコビニ流星打法か〜!レフトのアプール選手はまったく動かない!」
興奮気味のラディッツだったが、この言葉にすぐ現実に戻される。

「アウト〜〜!チェンジ!」

「へ?あ、アウトです!確かにファーストにはボールが行っております!これは一体どういうことでしょうか?バーダックさん?」
「ん?ああ、ただ夜空に飛んでいったのが砕けたバットだったってことだよ。そもそも戦闘力を纏ったボールと何も纏っていないバットが
フリーザ選手の戦闘力で強化した肉体から繰り出されるスイングでぶつかったら当然の結果でしょう。当然、バットを折ったボールはただ
のゴロと。」
「あ・・。それもそうですね・・。つい張り切りすぎました。」
「次からは冷静に実況するように!」
「はい・・・。」
132作者の都合により名無しです:2005/09/25(日) 21:15:34 ID:UBUtI3dn0
ホーミタイトのSSが読みたいです><
133それゆけフリーザ野球軍:2005/09/25(日) 21:16:30 ID:92pa834g0
<ベンチ>
「「ど、ドンマイです!フリーザ様!」」
バットを砕かれた上にボールはボテボテのピッチャーゴロ。当然フリーザは半ギレしているだろうと思い、
一同は「今日は調子が悪いんですよ!」等とフリーザがキレない様にキレない様におだてる。するとフリーザは
「ふふふふ、まあこの打席は様子見といったところでしょうか?」
と言いながらさっさとグローブを取りマウンドへ行ってしまった。

「ミルコ殿。このままではまずいのでは?」
「ふむ。まあ、相手の攻撃の方は怖いのはキュイぐらいだから大丈夫じゃろう。それよりもお前達のバッティングの方が心配じゃの。」
そう言いながら、皆を見回すミルコ。
「でも、コルド様がいますから何とかなるんじゃ・・?」
「・・・。そうじゃが・・。まあ、次からは少しかき回してみるかの。」
「は?かき回すとは?」
ギニューがそう聞くと、ミルコは
「そんなことはこの回を抑えたら話す。それよりもフリーザの後始末はたのんだぞ。まずは0点に押さえることから始めなきゃの。
勝てばフリーザ様の機嫌も直るだろうしの。」
「わ、分かりました!では行くぞ!」
ギニューの声とともに一同は「オス!」と掛け声とともに守備につく。ちなみにジースはミルコのあの道具のおかげで先程の記憶が綺麗さ
っぱり抜けてたようで、「ミルコ殿〜。戦闘力のコントロールを教えてくださいよ〜。」などとミルコの肩を揉んだりしていた位だ。
「さてと、後はコルドじゃが・・。」
「う、う〜ん・・。ん?俺は何でこんな所で寝ているんだ?」
「先程のホームランで興奮して貧血で倒れたんですよ。コルド様。」
「・・・。確かお前からハイキックを喰らった気が・・・。」
コルドがジロリとミルコを見た瞬間、ジースの記憶を消したあの装置が!(by MIB)
134それゆけフリーザ野球軍:2005/09/25(日) 21:17:49 ID:92pa834g0
バシュ!
強烈なストロボとともにまた気絶するコルド。
「ふう、やばかったのう。」
ミルコが安堵していると審判から。
「おい!ファーストはどうした?」
「あ・・。(ヤバ!)」
「「あ・・。」じゃない!このままだとメンバーが足りなくて不戦敗になるぞ!」
審判がミルコにそう言うと、後ろからフリーザが
「どうしたのですか?パパは?」
「あ・・・。まだ目覚めていないようで・・。」
「ったく、ホームランを打ったくらいで気絶するなんて息子の私は恥ずかしいですよ!で?どうするんです、ミルコさん?」
フリーザが不機嫌そうにミルコに尋ねると
「審判殿。コルド様が目覚めるまで待ってはいけないでしょうか?」
「・・・。ダメだ!先程のタイムでも相当時間がたっているからな。いくらフリーザ様のチームと言えこれでは不公平だ。」
「ほほほほ、貴方は中々言いますね〜。気に入りましたよ。確かにそうですね。いくら私のチームと言え、公平でなくてはいけません。」
審判の言いようが気に入ったのか、上機嫌になりこんな提案をする。
「そうです!このフリーザが名案を思いつきましたよ!」
(またろくでもないことだろ・・。)
即座に突っ込みを心の中で入れるミルコ
「ミルコさん!」
フリーザはビシッと、ミルコを指差しこう言った!
135それゆけフリーザ野球軍:2005/09/25(日) 21:18:57 ID:92pa834g0
「貴方がファーストをやりなさい!当然、選手交代になりますからパパはもうこの試合には出れませんけどね。」
突然のフリーザの提案のため口をあんぐりとしてしまうミルコ。
「い、いやしかし・・。私は監督と言うことでここにいるのですがのう・・。」
「私の完璧でミラクルな提案に不満でも?それにこのままじゃあ、不戦敗になってしますからね。
どうせ次の私の打席で10点入って即コールド勝ちをするのですし。なに、ただの数合わせですよ!」
「お前は本当にルールが分かっているのか??」
思わず小声で言ってしまうミルコ
「ん?何ですか?」
「い、いや。それでは数あわせと言うことで試合に出させてもらいますかのう。」
「審判さん?これならいいですよね?」
フリーザにそう言われた審判はしばらく考えて、
「うむ。まあ、練習試合だし今回だけ特例としてOKとしよう。」
「ほほほほほほほ!それでは始めましょうか?ミルコさん、足を引っ張らないでくださいね?」
「え、ええ。お手柔らかに・・。後、ドドリアにちゃんとサインを出しますのでちゃんとその通りに投げてくださいのう。」
「分かっていますよ。これ以上打たれるのは人形のように投げることよりも不快ですからね。」
二人はそんな会話をしながらフリーザとミルコは急いで守備に戻る。先にグラウンドに上がっていた一同は今までの会話を聞いていたらし
く特に騒いでいる様子はないようだ。

「プレイボール!」
審判の声とともに2回表が始まる。
果たしてミルコは無事にこの試合に生き残ることが出来るのか?
続く
136それゆけフリーザ野球軍:2005/09/25(日) 21:25:38 ID:92pa834g0
どうもしぇきです。

どうにもミルコが野球するまでの流れが上手く書けませんでした。
次からはぽんぽん回が進みます。

後、まとめサイトで長編に入っているみたいで。
どうもありがとうございます。
編集するのは大変でしょうが頑張ってください。>管理人さん

>DLさん
このスレでいっぱい書けばいけるみたいです。
それかまとめサイトのBBSで連載しても行けるみたいですよ。

では次からはぽんぽん進みます。
失礼・・。
137ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/09/26(月) 00:31:06 ID:5EVCGCA60
第二十一話「迫る悪意」

「ふ〜ん・・・」
「へ〜え・・・」
「ほ〜う・・・」
「・・・お、お前らなあ・・・なんで驚かないんだ!?」
やたらと気のない返事に、少年―――マサキは憤然とする。
「えー、何それ。聞いて驚くなよって言ったくせに・・・」
「バカ野郎!そういうのはつまり<聞いたら驚いてくださいね>ってことじゃねえか!空気読んでくれよ!」
「そんな勝手な・・・」
「え、えーと、漫才はそこまでにしといて、かつてのパイロットって・・・つまり幽霊ってこと?」
不毛な会話に亜沙が助け舟を出す。
「ん〜・・・それはちょっと違うな。サイバスターに宿った残留思念・・・てとこか」
「残留思念?」
「ああ。俺は数千年前、魔界でシュウに敗れ、死んだ・・・」
マサキは陽気な顔を少し曇らせる。
「だが俺は死の寸前、魔法によってサイバスターに自分の遺志を分身として遺した。そして新たなるサイバスターの
パイロットが現われるまでずっと待っていたのさ。いつか来るだろう、シュウとのさらなる戦いのためにな・・・」
「分かんないような・・・分かるような・・・」
「やっぱり幽霊じゃん」
「はは、まあそれでいいさ」
マサキは快活に笑う。
「そうそう、なんでサイバスターが動かないか教えとくぞ。簡単なことだ。サイバスターがお前らを、主人だと認めてないからさ」
「主人―――認める?サイバスターが?」
「そう。こいつには―――サイバスターには、意思があるんだ」
「なあ―――!?」
驚愕の発言に、一同は絶句する。
138ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/09/26(月) 00:31:49 ID:5EVCGCA60
「そしてサイバスターは自らの意思に従ってパイロットを選ぶ。ただ、今までは力を殆ど無くしちまってたから、主人じゃない
お前らでも動かせたみたいだけどな。フー子が宿ったおかげで真の力を取り戻しちまったもんだから、もうてめーらの言うこと
なんて聞いてられっか!ってかんじで拗ねちまってるみたいだ」
「す、拗ねてるって・・・」
「意外とデリケートなんだよな、こいつ。そこが可愛いんだけどよ」
マサキはまるで彼女のノロケ話でもするかのように言った。
理解しがたい話だったが、シュウの言っていた意味も分かった。サイバスターが選ぶ主―――それはそういうことだったのか。
「・・・じゃあ、どうやったらサイバスターを動かせるようになるんだ?」
稟が聞くと、マサキは難しい顔をする。
「サイバスターは未だに俺をパイロットとして記憶している。俺以外は絶対に動かせねえ。だが今の俺は身体を失った
精神存在にすぎないから、サイバスターに触れることもできない・・・」
「そんな・・・じゃあ、ダメってこと!?」
亜沙は呆然と呟いた。
「どうしようも―――ないのかよ!」
稟は憤る。自分の不甲斐なさに。自分の無力さに。稟だけではない―――。亜沙も、プリムラも、ただ顔を俯かせる
だけだ。
「俺達は―――のび太達の力になれないのかよ!」
「稟さん・・・」
のび太はそんな彼らにかける言葉が見つからず、オロオロとするばかりだ。フー子は話半分も理解できない様子だったが、
気まずい雰囲気を察してか押し黙る。
だがそんな彼らに対してマサキは続けた。
「だが、方法がないわけじゃあないぜ」
「え?」
「そのためには土見稟―――お前に協力してもらいたい」
「・・・俺に?」
「そうだ。女性にはちょっと頼めないようなことだからな・・・」
マサキはいやに真剣な顔だった。そんなに大変なことなのか、と稟は少し身構える。
139ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/09/26(月) 00:32:40 ID:5EVCGCA60
「よく分からないけど―――俺はどうすればいいんだ、マサキ」
「まあ方法としては簡単だ。魔法によって俺の精神を、お前に宿らせるのさ」
マサキはそう言ったが、稟にはチンプンカンプンだった。
「マサキの精神を俺に宿らせる・・・もうちょっと分かりやすく説明してくれないか?」
「わ、分かりやすくか・・・。そうだな。遊戯と闇遊戯の関係って言ったらかなり近いかな。つまりお前の身体の中で、
お前と俺の心を同居させるってことだ」
「あ、分かった」
分かったが、何故数千年前に死んだマサキが遊戯王を知ってるのかというのが分からなくなった。
まあ伏線と勘違いする読者がいても困るので、稟はそれについてはスルーした。
「そうすればお前の中の俺の精神にサイバスターが反応して、サイバスターはお前をパイロットとして認識するはずだ」
「そうか・・・けど、それがなんで俺にしか頼めないんだ?」
「バカ野郎。俺は男だぞ。お前以外でサイバスターに乗ってるのは女の子だけじゃねえか。男の俺が女の子の精神に入り込む
なんて、色々問題だろうが!」
「そんな理由かよ・・・ま、いいけどな」
「よし。それじゃあ早速いくぞ。稟、こっちへきな」
言われるがままに稟はマサキに近づく。そしてマサキは稟の眼前に手を翳した。その手から、眩い光が広がっていく。
「う・・・うわああああっ!」
未知の感覚に稟は叫び、そのまま意識を失い、地面に倒れてしまった。同時に、マサキの姿が光の粒子となって稟の
身体へと吸い込まれていく。
「ちょ・・・ちょっと稟さん!大丈夫!?」
「りん・・・!しっかりして!」
「り、りんお兄ちゃん・・・」
倒れた稟の元に駆け寄るのび太たち。その脳裏に直接声が響く。
<大丈夫、稟は無事だ>
「その声は・・・マサキさん?」
<ああ。魔法は無事に成功した。ただ、俺の精神が稟の身体にうまく馴染むまではもうちょっとかかるな。なに、
ほんの数時間ってところさ。気長に待ってなよ>
140ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/09/26(月) 00:33:41 ID:5EVCGCA60
「そ、そう・・・それならいいんだけど、数時間か」
「ま、そのくらいなら待ってようよ」
ドラえもんの言葉に、一同も頷く―――そう、ほんの数時間だ。ならなんてことはないだろう。
少なくとも、彼らはそう思っていたのだ―――

・・・そんなのび太たちの様子を、高台の上から双眼鏡で覗き込む男の姿があった。
「ふむ・・・何か動きがあったようだ。これは好機、かな?」
仕立てのいいスーツにサングラス。そこから覗く金色の瞳が、身にまとう雰囲気と相まって男の印象を人外めいた
ものにしている。
彼の名はムスカ―――稟たちに接触した<十三階段>八段目の男だ。
そしてその傍らで蠢く巨大な影―――
「グウウ・・・ムスカヨ・・・ハヤク・・・ヤツラヲ・・・殺サセロ・・・!」
影がうめく。地の底から這うような怨念に満ちた声は、あたかも呪詛のごとく響いた。
「ヤツラヲ殺スタメダケニ・・・ワタシハ永劫トモ思エル時ヲ生キテキタノダ・・・!」
「ははは・・・そう猛るな、誰も止めはしないさ」
ムスカは笑う。その瞳に、邪悪な輝きを宿したまま―――
「君の好きなように、全てを薙ぎ払ってきたまえ」

その頃―――島に残ったペコたちの元にも―――

「・・・!」
「お、おい、ペコ!どうしたんだよ!?」
突如すごい形相で立ち上がったペコに、ジャイアンは驚いて声をかける。ペコはクンクンと鼻を鳴らして、
戦慄を押し殺して警告を放つ。
「・・・匂いがする・・・奴の匂いが!」
「匂い・・・だって?」
キラとムウは怪訝な顔で聞き返す。ペコはぐっと拳を握り締めて答えた。
「あの男―――USDマンが、近くにいる!」
141サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/09/26(月) 00:37:32 ID:5EVCGCA60
投下完了。前回は>>79より。
次回から多少シリアスでハードな展開が続く・・・かも。

>>ふら〜りさん
気付きましたか・・・あなたはエライ!つうか気付いてくれてありがとうございました。そして連載お疲れ様です。
子供の頃マライヒは普通に女だと思ってました・・・
142能噛ネウロと名探偵  前編:2005/09/26(月) 03:26:05 ID:lnRm/+As0
「おお、これは完全に亡くなっていますね」
脳噛ネウロがさらりと言った。
しかし彼が断じるまでもなく、私を含むこの場の誰もが同じ事を考えていたと思う。
目の前の男性は大きな血溜まりの中に突っ伏しているのだから。
「しかし御安心を。うちの先生は世界的名探偵なのです!」
ネウロは大仰に両手を広げる。「世界的名探偵」の言葉に皆がざわめいた。
いきなり言われても信じがたい言葉だからだろう。
彼は一応私のことを言っているのだろう。
下手に名前が売れてしまっても外食しにくくなったりストーカーに狙われたりするだけなのだけれど。
「世界的名探偵」なんていう言葉を聞くのがこのような時でなければ、皆笑っていたに違いない。
「え?面倒だから僕に皆さんの話を聞けと?相変わらず先生はミジンコより怠け者だなあ。
 でも、確かにこんなことで先生のお手を煩わせるわけにはいきません。
 それでは僕が皆さんの話をお伺いしましょう。
 御安心ください、この謎は先生があっという間に解いてくれますよ」
そう言ってネウロは嬉しそうに一同を見回した。いけしゃあしゃあとよく言うものだ。
私はため息を付きたくなった。

143能噛ネウロと名探偵  前編:2005/09/26(月) 03:27:08 ID:lnRm/+As0
男性が亡くなっているのを私達が発見したのはほんの五分前だ。
しかし血はもう乾いていた。
亡くなってからある程度時間が経っているが乾燥が早い。室温が高いせいだろう。
男性の頭近くに何かが落ちていた。私しか気がついていない。
ネウロを見ると、聞き込み中なのか女の子と会話をしていた。
何か―――みかんのネット、は何かの手がかりとなるかもしれない。
私は慎重にみかんのネットをポケットに入れた。
「後頭部の、傷が、致命傷に、間違い、ないです」
医術の心得があるのだろう、太った男が皆に言う。
この部屋がやたら暑い所為かふうふう言いながら汗を拭っていた。なんだか辛そうだ。
「何かが、後頭部に、ぶつかった、所為です」
「つまり後頭部を一撃で即死ってヤツか。自殺じゃねーな」
眼鏡の男性が呟く。その言葉に皆が反応した。
他殺だと、自分の目で見て分かっていてもやはり言葉にされると違うのだろう。
そしてお互いをちらちらと見始める。―――この中に、犯人がいるのだ。
「ああああ、あたしじゃないわよあたしじゃないちゃんとアリバイだってあるんだから!」
いきなり中年の女性がヒステリックに叫ぶ。
「まあまあ、これから先生の代わりに僕がアリバイをお聞きしますよ」
ネウロがにっこりと笑った。
144能噛ネウロと名探偵  前編:2005/09/26(月) 03:29:02 ID:lnRm/+As0
私たちはある屋敷の夕食会に招かれていた。
といっても金持ちに縁があるというわけではなく、
目に付いた人をいきなり夕飯に招待するという酔狂な趣味を持つ金持ち、
つまり亡くなった男性にたまたま博物館で出会っただけの事だ。
絵画好きの若者に豪華な夕食を与えコレクションを自慢し講釈をたれるという、
その楽しみの為に彼は命を落とす羽目になったのだ。

立派な屋敷だった。
私達がいたのは別館で、全6部屋の一階建てだ。
北側に3部屋、廊下を挟んで南に3部屋。それぞれ20から30畳はあろうか。
北の3部屋も南の3部屋もそれぞれドアで繋がっていて行き来は自由だ。
また、向かい合った部屋はそれぞれドアも向かい合っていた。

夕食会は南側の中央の部屋、つまり食堂で開かれた。
立食式でお抱えシェフが腕を振るったという豪華料理がならんでいた。
コンソメスープなどは絶品だった。レシピを訊こうかと本気で考えたくらいである。
一方屋敷の主人が亡くなったのは北の東側、食堂から見れば右の斜向かいの部屋だった。
お気に入りのコレクションルームで、御自慢のアヤ・エイジアの肖像を観に行くと言って
食堂を出てから30分、アヤの前で息絶えているところを彼は発見された。
145能噛ネウロと名探偵  前編:2005/09/26(月) 03:30:26 ID:lnRm/+As0
そのコレクションルームに主人のあとは誰も入っていないことは確かである。
これはコレクションルームの隣、つまり食堂の向かい、北側の中央の書斎にいた
お手伝いさんが断言している。
お手伝いさんはその30分間書斎の掃除をしていたのだという。
その間コレクションルームに繋がるドアは開けたままでいたので隣の様子はよく分かったのだそうだ。
勿論、ずうっとドアを見ていたわけではないけれど、
アヤの肖像は入り口の真正面、つまり部屋の一番奥にあるのだから、
そこまで行くには絶対に書斎から繋がるドアの前を横切る筈で、誰かが横切れば絶対に分かるのだ、
とお手伝いさんは断言した。
ネウロの言葉を借りるなら、「鍵の掛かっていない密室ですね」ということになるのだ。

ちなみに、お手伝いさん自身のアリバイは完璧である。
書斎をせっせと掃除する姿は向かいの食堂からもよく見えていた。
皆がその姿を確認していて、例え一瞬でもコレクションルームに入ったら誰かに気づかれていただろう。
お手伝いさんのことを常に誰かが監視していた形になるのだ。

しかし、アリバイが完璧なのはお手伝いさんだけだった。
この30分、皆が最低一回は部屋を出て一人になっている。
太った男性は食堂の左側、つまり南側の西にある厨房に行った。
どうやら食材をツマミ食いに来たらしく、ツマミ食いという言葉に申し訳ないほどツマんでいたらしい。
女の子も、やはり興味が有るのだろう、厨房と、
その向かい、食堂から見れば左の斜向かいにある化粧室に行っている。
眼鏡の男性は書斎と化粧室に行った。書斎の本を化粧室に持ち込んだようだ。
中年の女性は化粧室へ行った。やたらと長かったが深くは訊かないのが嗜みだ。
勿論私も厨房と、食堂の右、つまり南側の左にある設備管理室に行った。色々な機械があって楽しかった。
ネウロも途中で一回姿を消している。
だから、その一人の間、誰が何をしていたかはお互いに分からないのだ。
146能噛ネウロと名探偵  前編:2005/09/26(月) 03:31:24 ID:lnRm/+As0
「なるほど、よく分かりました。皆さんのお陰で先生は犯人が分かったようです」
私が考えに沈んでいるとネウロがいきなり言った。
皆が思わず緊張した。
太った男は一層ふうふう言っている。汗だくだった。
眼鏡の男は緊張しすぎで青い顔になっている。
女の子も真剣な顔をして身を硬くしている。
中年の女性は今にも卒倒しそうだ。
私も緊張しすぎている所為か気持ちが悪くなってきた。
お腹がいっぱいなのにウエストを締めすぎた所為かもしれない。誰にもばれないようにこっそりゴムを緩めた。

そして。
「それでは先生、よろしくお願いします」
脳噛ネウロが高らかに言った。
147作者の都合により名無しです:2005/09/26(月) 03:40:54 ID:lHkya3Io0
連投規制かな?
続きが楽しみだ。
148ぽん:2005/09/26(月) 03:56:17 ID:lnRm/+As0
連投規制でコメントが遅くなってしまいましたがネウロを書いたものです。

物凄くお久しぶりです。
といっても久しぶりすぎて初めての方のほうが多そうですので
改めて御挨拶いたします。ぽんと申します。
このスレが相変わらず好調ですのでまたお邪魔してみました。

今回、初めてミステリもどきを書いてみたのですが・・・
難しいですね。
自分なりに気をつけてはみたものの実際はアラだらけだとは思いますが、
題材がトンデモミステリーもどきのネウロということで
笑って見逃してやってください。
後半は一週間前後で書けたらなあと思っております。
149ぽん:2005/09/26(月) 04:40:53 ID:lnRm/+As0
ちなみに、あまりに分かりにくいと思いますので
屋敷内見取り図を作ってみました。
ショボイですが御参考ください。
二本線が壁、一本線がドアです。



 トイレ    |     書斎      |   コレクションルーム
=__==========__=============__====
                                  
=__==========__=============__====
 厨房     |     食堂     |     管理室   
150作者の都合により名無しです:2005/09/26(月) 08:14:04 ID:Huz++vey0
>それゆけフリーザ野球軍
うお、なんか普通に野球してる!しかし、この作品のフリーザ親子はなめられっぱなしだな部下にw
たまに切れるフリーザをミルコはなんとかあしらってるし。あと、改行がちょっとw

>超機神大戦
女の子に乗り移った方が、展開的には面白かったかもw違う感じのSSになってしまいそうですがw
リミッター付のサイバスターであのレベルだから、100%なら怪物たちに勝てるかな?

>能噛ネウロと名探偵 
ネウロはまったく知りませんが、ミステリは好きなので読みいりました。密室殺人ですか、本格的だ。
こういうのは「アリバイが完璧な者こそ犯人」というのが相場だけどどうだろう?


ぽんさんが帰ってきて嬉しいです。ミドリさんやザクさんたちも帰ってこないかな。
151作者の都合により名無しです:2005/09/26(月) 12:18:13 ID:aciTtSms0
>サマサ氏
稟はサイバスターのメインパイロットの座は完全に固定されましたね。
ドラサイドの最強戦力か。しかし敵側はウルトラスーパーデラクッスマンなど戦力豊富で
まだまだドラサイドが不利な感じは否めませんね。

>ぽん氏
お久しぶりです!またお会いできて嬉しいです。今回は本格?ミステリーですか。
頭使う推理物は苦手ですが、解決編をお待ちしております。こういう作品は珍しいね。
ありふれたテーブル以来か。
152聖女 ◆9RaBw0NoLw :2005/09/26(月) 14:24:09 ID:cRcIMy8n0
ボーイ(ハレルヤU)の後日の続編はどなたかお作りにはならないでしょうか。
153聖女 ◆9RaBw0NoLw :2005/09/26(月) 14:27:38 ID:cRcIMy8n0
それと、ジブリ大戦はいかがでしょうか。
創作が活性化してきたら、わらひも案をレスします。
闘いの場は、それぞれの世界観が隣接している、という設定ではいかがでしょうか。
ナウシカはかなり離れたところになりますが、この場合は遠くから訪れてきたという
設定になるでしょうね。
154作者の都合により名無しです:2005/09/26(月) 15:07:35 ID:AUq4Qn8/O
こんなの見つけた
新板をねだるスレ@運用情報◆22
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/operate/1125583446/109
155作者の都合により名無しです:2005/09/26(月) 15:30:59 ID:KVpygvtpO
>152-154
ここのスレで話す話題ではないな。

それよりザク氏はどうしたのだろうか?
156うみにん:2005/09/26(月) 15:36:22 ID:PK+7V9+g0
ぽんさんお久しぶりです。ふら〜りさんパタリロ完結お疲れ様です。子供の
ころはマライヒどころかパタリロとカリメロの区別もついてませんでした。

新作ですが、3日に2行くらいのペースでチマチマと書き始めております。
いつごろ投下できるか見当もつきませんが、一応書いてますよと報告だけ。
結局、新しいゲストを加えてのドラえもんの続編という形になりそうです。
157蟲百物語:2005/09/26(月) 15:38:40 ID:gOZbShja0
 宵の口――その家の広間には、幾多の灯りが灯っていた。
 中にいるのは、総勢十人。円状に座っている。一人を除いて、皆一瞥しただけで普
通ではないと分かる者ばかりだ。それぞれ外見は大きく異なるものの、大きな籠を傍
らに置いているのだけは共通していた。
「皆様、お忙しい中御足労頂き感謝しております」
 ただ一人、この場においては平凡すぎて異彩を放ってしまっている者が、静寂を打
ち破った。彼はこの家の主である。
「これから始めること――もう気付いてらっしゃる方もおりましょう。私たちに囲まれる
形で中央に用意された百本の火の灯る蝋燭をご覧になって頂ければ」
「百物語か」
 白髪の男が、朴訥そうに言った。
「ご名答。百物語とは、一つの怪談話をする毎に灯を一つずつ消していく遊戯です。
ただしこれから話すのは、只の怪談話では御座いません。これから私と皆様で紡ぐ
物語は、全て『蟲』に纏わる物とさせて頂きます。何せ、皆様はそれぞれご高名な
『蟲師』なのですから」
 そう言って、主は口元を少し持ち上げた。
「つまり、今までの経験談を語ればいいのですね?」
 この場にいる唯一の女蟲師。艶のある黒髪。その身からは菫の香りがした。
「それなら普通の百物語よりも簡単だな。十人いるから、一人の担当は十回か!」
 女蟲師の可憐さとは真逆の、「熊」と呼ばれているに違いない容貌の大男が豪快な
声で言った。
「百物語ならただ語るだけですから……」
 これまた対照的な、眼鏡をかけたいかにも頭脳派らしき男が消え入りそうな声で呟
いた。
「では、早速始めましょうか。専門家である皆様にとっては造作も無いような戯れでは
御座いましょうが、これから夜が明けるまでお付き合い願います」
 白髪が口を挟む。
「もしも……夜が明けるまでに百終わらなかったら、どうなるんだ」
「その時は――その時が来れば分かること」
 主は首を振り、そして、始めの話を語りだした。
158蟲百物語:2005/09/26(月) 15:39:26 ID:gOZbShja0


  ある山奥に男が在りました。
  彼は動物を食することが出来ず、専ら山菜を採ってそれを食べ生きておりました。
  そんな彼ですが、ある日、道を教えた人にお礼として猪肉を渡されたのです。彼は
  ほとほと困り果てました。食えない獣肉だが、人の厚意を無下にする訳にもいかぬと。
  窮した男は、意を決して炭火で猪を焼き口に押入れました。すると驚くことに、食べら
  れたのです。物心ついてから一度たりとも口にしていなかった動物の肉を。
  男はそれから人が変わったように動物の肉を食べだしました。まるで、これまでの分
  を取り返そうとしているかのように。
  彼は多くの肉を食べました。牛、豚、鶏、猪、鹿、魚、人――
  そんな生活が続き、すっかり肥えた男は、ある時不意に大きなくしゃみをしました。
  そして突然強烈な吐き気が彼を襲ったのです。吐き気は三日三晩続き、止まる頃には
  男はすっかりやつれてしまっていましたとさ。

「『狂食』か。ヒトの体内に入り込み、際限のない食欲を植え付けて散々食わせた後にくし
ゃみで体外に出る蟲。そしてヒトは反動で吐き続け、食べる前より痩せこけた体に変わっ
てしまう」
「その通りです」
 最初の話を終えてほっと息をつく主は、白髪の言葉にそう返した。
「では――最初の蝋燭を消します」
 主はフッと息を発して、蝋燭を消した。
「では、次は私の右隣の白髪の方、お願いいたします。そしてその次はそちらの女性、そ
の次は――と、右回りで順番に回っていきますので、そこは御了承願います」
「分かった。じゃあいくぞ――」
 白髪が、語りだした。
159ゲロ ◆yU2EA54AkY :2005/09/26(月) 15:40:21 ID:gOZbShja0
蟲百物語、始めてみます。アニメ化記念で。
こんな感じで、蟲の話を百個書いていきます。多分即ネタギレしますがそこからどこまで粘れるかが勝負だとは
思っております。無事百個書けたらいいなあ。
勿論魔女も茄子も書きますんで。

>>105
わざとなのかそこまで配慮できなかったのか……まあ、半々です。

>>106
茄子なら攫っちゃってそこからうだうだだらだら続けるのも面白そうです。どっちにしろ危ない展開にはまずなら
ないでしょうけどね。

>>118
僕も魔女とか茄子を書いてますが、どちらも原作のキャラは一人も出ていません。というのも元ネタがキャラ云々
の作品ではないからなんですが。どちらも読みきりでキャラが毎回変わったりするんで。
二次創作は漫画のキャラが登場して原作にない活躍をするというのもいいと思いますが、そこだけに囚われる必
要もないのではないでしょうか。

>>125
ココセコム、見せちゃってますからねえ。いい子ってか抜けてる子ですな。

では次回。なんか分からないけど書きます。
160作者の都合により名無しです:2005/09/26(月) 16:51:30 ID:AUq4Qn8/O
>>155
どこのスレで話せばいい?
161作者の都合により名無しです:2005/09/26(月) 18:28:00 ID:Yj9tgRJM0
>能噛ネウロと名探偵
みかんネットが気になる。
氷とか入れてブン投げたとかw
あと、コンソメスープなどの小ネタもえがった。
162作者の都合により名無しです:2005/09/26(月) 21:07:55 ID:oj1tA+cF0
少し見てないと、怒涛のごとく来てるなこのスレw
バレさん大変だあ。ぽんさん、復活乙です。
そしてうみにんさん、待ってますよ!
>3日に2行くらいのペースで  ←でも、いくらなんでも遅過ぎw

>しぇきさん
意外と実力者であり権謀家のミルコ。どんな風体なのだろう。(オリキャラですよね?)
しかし、そろそろ超人野球になってきそうだな。こいつらが普通の野球9回までやる訳ない。

>サマサさん
リミッターを外すのに、稟は犠牲になったか・・。ま、仕方ないですねw
次からシリアスモードですか。稟や亜沙の掛け合いが好きだったのですが、バトルSSですからね。

>ぽんさん
本格ミステリになるかならぬか。出来ればなってほしいです。密室殺人、怪しい館。探偵。
条件がそろってますね。マップもあるし。ネウロがどんな推理を導き出すか楽しみです。

>ゲロさん
こちらは怪談の元祖にして頂点、百物語ですか!しかも蟲師バージョン。飛び切り怖い話に
して欲しいものです。夏にやって欲しかったな。しかし百は無理でしょw本当にやれたらすげえ。

>>155
前々スレの最後で書く気はあるとおっしゃってたのにねえ。
やはり前スレ立てした人間の、暴言に気を悪くされたのだろうか。
すいませんザクさん、実は俺です。調子に乗って申し訳ありませんでした。
163作者の都合により名無しです:2005/09/26(月) 21:14:15 ID:UKhvnZq50
この文を見たアナタ!!超Aラッキー★☆
この文を4ヵ所に張ると幸運が!!でも、張らなければ、悪運が。。
幸運とは★☆いきなり、好きな人から告白され、超ラブAになる!
いきなり、お小遣いがドンA入ってくる!!
嫌いな人が離れていく!!!
友達が今、以上に増える!!   などなど、ハッピーな事たくさん!!
しかし、張らなければ。。。
悪運とは。。。
友達が離れていく。。    好きな人が遠くへ行く。。
事故にあう確率が高くなる。。     大事な人がケガをする。。
などなど、怖い事があります、私の友達もコレを張らなかったため。
好きな人が遠くへ行ってしまいました・・。しかし!コレを張った友達は
好きな人と付き合って、ラブAです!!お小遣いが1800円から
毎月、なんと10000円!!私も幸運になりたいため、この文を
この場所に張っています★☆これを見たアナタは
幸運・悪運。どっちを取りますか??
164作者の都合により名無しです:2005/09/26(月) 22:32:38 ID:d5lUOrQ60
うは、大盛況だな!変なのも沸いてるがwうみにん氏、復活お待ちしておりますよ。

>能噛ネウロと名探偵
こういう推理物の前後編はいいね。事件編と解決編、まるで警部補古畑みたいだ。
整合性のある答えを期待してますとプレッシャーをかけてみるwあと復活オメ。

>蟲百物語
凄いな。全百話かwしかし蟲師同士が百物語すると今回みたいに先に答えを
読まれて盛り上がらないだろうね。こういう事のプロだから。ギンコの話も出るのかな?
165不完全セルゲーム:2005/09/27(火) 01:22:45 ID:BAqCEWpJ0
>>110より。
166不完全セルゲーム:2005/09/27(火) 01:24:13 ID:BAqCEWpJ0
第三十一話「滅びゆく怨念」

 異次元より召喚されし、完全体セル。到底、打ち倒せる敵ではなかった。
 セル、セルジュニア、16号、17号、18号。いずれも完全体セルに比べれば、あま
りにも未熟な戦士たちであった。
 しかし、彼らは結束することにより、上回ったのだ。絶対に越えられぬ壁を、乗り越え
てみせたのだ。

「ふん、やりやがったか」
「美味しいとこ、みんな持ってかれちゃったね」
「構わないさ、18号。元々、あいつが主役の旅だったからな」
 勝利に対する喜びと、強くなったセルに対する寂しさ。これらを噛み締めつつ、17号
と18号がセルのもとへ駆けつける。
「16号さん、やったよォ! あのパパが、あんなに弱くて頼りなかったパパが……やっ
たよォ!」
 父親の成長ぶりに、むせび泣くセルジュニア。もちろん、普通は逆であるが。
「うむ……セルめ。……ふっ」
 セルジュニアに抱えられた16号はというと、相変わらず微笑むだけ。ロボット型にも
かかわらず、彼の心はあまりにも純粋かつ複雑だ。
「行こう、セルを迎えに」
 16号に促され、セルジュニアが飛ぶ。残り少ない気にて、全速力で。

 クリスタル捜索隊、久々に集結。
 各々は祝福を交し合い、かつてない安らかな時が流れていく。勝利という美酒を味わい、
ますます調子に乗るセル。
「──とまぁ、かめはめ波で一発だ。いくら完全体といえど、私の敵ではなかったな」
「パパ、完全体が生き返ったよ」
「うえぇぇぇぇぇいッ?! わ、わ、わ、すいませんでしたァッ!」
 とはいえ、あからさまな嘘にも異常に怯えるセルであった。そして、セルが生体エキス
を漏らした瞬間──不吉なしわがれた声が再来する。

「失敗作ども、そこまでじゃッ!」
167不完全セルゲーム:2005/09/27(火) 01:24:45 ID:BAqCEWpJ0
 現在、セルたちを包む大気に、地球上でもっとも相応しくない男。ドクター・ゲロ。
 完全体セルを呼び出してから忽然と姿を消していたが、今になっていきなりやって来た。
セルも、つい本音を口にしてしまう。
「……すっかり忘れてた」
「くくく、忘れられたままでも良かったんじゃがな。死ぬときくらい、覚悟を決めて死に
たかろう。おまえらガラクタ風情といえど、な」
 すると、17号が殺気をあらわにする。
「死ぬのは、てめぇの方だろ。クソジジィ」
 前へ進み出る17号。が、ゲロは彼を歯牙にも掛けない。
「くっくっく……。さっき、私は呼んできたのだよ。私のリーサルウェポンを」
「なにっ!」
 ──轟くロケット噴射音。
 遠方から、徐々に、高速で、何者かが近づいてくる。
 ゲロが信頼するリーサルウェポンとやらが、もしも完全体セル以上であったなら──皆
に不安がよぎる。

 ずしん。地を揺るがせながら、巨大な機械が大地に降り立つ。
 大きかった。とてつもなく大きかった。サイズだけでなく、セルたちにとって機械はあ
まりにも大きい存在であった。セルが呟く。
「マ、マザーコンピュータ……」
 ゲロがレッドリボン本部に移住してから、研究所の管理は全てマザーコンピュータによ
って成されていた。すなわち、セルジュニア以外の人造人間にとって、マザーコンピュー
タは直接的な管理者に該当する。
「こいつは私の切り札だ。マザーコンピュータには、地球を丸ごと消滅させるほどのエネ
ルギーが含まれている。もし、私の計画が完璧に破綻したとき、全人類を道連れにするた
めにな……!」
 恐るべき執念。ことごとく作品に反逆され、タイムマシンも破壊され、呼び寄せた完全
体セルも倒された。だが、ここまでみごとに追い詰められても、ゲロは大人しく退場する
気などなかった。あくまでも見苦しく、足掻く。
 ──我を排除せんとする地球ならば、いっそ滅ぼす。色即是空、巻き込んで。
「さぁ、マザーコンピュータ! 全エネルギーを解放せよッ! 地球も、私も、孫悟空も、
おろかなガラクタどもも、まとめて滅してしまえいッ!」
168不完全セルゲーム:2005/09/27(火) 01:25:56 ID:BAqCEWpJ0
「お断りします」
 ──即答、であった。
「バ、バカなッ! おまえまでも……おまえまでもが、逆らうというのかッ!」
「ドクター・ゲロ、終わりにしましょう。レッドリボンは、とっくの昔に滅びました。私
も、あなたも、もうこれからの時代に必要ない。狂った科学力がもたらすものは発展など
ではなく、破滅だけですから」
「ふ、ほざけッ! ならば、私自身がおまえを操作して──!」
 
 コンピュータからアームが伸びる。
 ずん。
 老人はハエ退治のように叩きつぶされた。

 永きにわたる執念は、あっけない最期を遂げた。
「君たちはドクターの被害者だ。本来ならば、君たちの手で葬りたかったろうが……あえ
て、私が決着をつけさせてもらった。すまない」
「気にするな。あんなクズのために、俺たちが手を汚すこともないからな」
 わびるコンピュータに、ゲロを憎んでいたはずの17号は一笑して返す。彼を初めとす
る一行は皆、コンピュータに納得した様子であった。ただ一人を除いて。
「コンピュータのくせに、格好つけやがって。だいたい、私がクリスタルについて尋ねに
戻ったとき、ムシャクシャついでに地球を滅ぼそうとしてたじゃないか!」
 すると、コンピュータはアームでセルをわし掴みにした。
「アブラゼミ君。あまり、私を怒らせない方がいいぞ? ……ん?」
「ハ、ハイッ!」
 機械にあるまじき怒気に触れ、青ざめながら姿勢を正すセル。いくら強くなっても、や
はり地位にそうそう変化は現れないようだ。
「……あと、16号。すぐに修理してやろう。首だけになってるから、新しいボディを取
り付けるだけだ。半端な故障よりも、むしろ手早く済むだろう」
「あぁ、頼む」
 こうして、16号はコンピュータに収容され、修復作業が開始された。
 夜が更けていく。コンピュータは休まず修復を続け、他の者は死んだように眠りにつく。
長く、険しく、実りある一日が終わりを告げた。
169サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/09/27(火) 01:31:15 ID:BAqCEWpJ0
久々にヤツとアイツが登場。
残すはラストのみです。

あとたしかに、完全体セルはあっけなかったかもしれません。
どうも、私のSSは尻すぼみ決着になるようです……。
三十話に拘らなければ良かったかも。
170サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/09/27(火) 03:14:45 ID:nmzc7m8R0
サナダムシさんに続けて、深夜に失礼します。

拙作「超機神大戦」の登場人物も多くなってきたので、人物・用語解説を整理して書き出しました。
お手数ですが、現在補完されているものとの差し替えをお願いします。

人物・用語解説(改訂版)

ドラサイド

ドラえもん一行
もはや説明不要、史上最強の小学生と子守りロボット。謎の敵<狐>率いる<十三階段>と死闘を繰り広げることになる。

リルル
「のび太と鉄人兵団」に登場した美少女ロボット。生まれ変わったメカトピアでキラやアスランと平和に暮らしていたが、
クルーゼのメカトピアへの侵攻によって地球へ。

キラ・ヤマト
ガンダムSEEDの主人公。この作品ではメカトピアでアスラン、リルルと共に平和に 暮らしていた。
リルルと共に地球へやってきて、ドラえもんたちと出会う。
本来は争いを好まない、優しい少年である(設定の上ではね)。

アスラン・ザラ
ガンダムSEEDもう一人の主人公。キラとリルルを逃がすため、単身戦い、アミバに捕らえられた。
しかし戦いによるダメージでギャグキャラになっており(笑)、そのパワーによってアミバを瞬殺。
そしてバカ王子たちと出会い、彼らとともに地球に向かう。

ムウ・ラ・フラガ
ガンダムSEEDのキャラクター。この作品ではタイムパトロール隊員という設定。
マリュー、ナタル(共にSEEDキャラ)も彼の関係でチョイ役で出ている。 十三階段の一人、クルーゼとの因縁が・・・?
171サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/09/27(火) 03:15:26 ID:nmzc7m8R0
ペコ
「のび太の大魔境」に登場した犬の王国の王子様。本名はクンタック。礼儀正しく勇敢、剣の腕も立つが、
この作品では三枚目的な役割が多いかも(主にプリムラのせいで)。
十三階段の一人、USDマンの襲撃により、のび太たちの危機を知って、単身人間世界へやってきた。

フー子
「のび太と不思議風使い」に登場した風の子。原作ラストで風の怪物<マフーガ>と共に消え去ったと
思われていたが、ひっそりと眠りについていた。風使いたちの協力によって復活、なぜか擬人化。
よく言えば天真爛漫、悪く言うと単純な性格。

マサキ
「スーパーロボット大戦」「魔装機神サイバスター」などに登場。サイバスターの本家パイロット。
黙っていれば二枚目だが、とぼけた言動も多い。シュウに敗れ、死したのちも残留思念としてサイバスターに宿り、
シュウとの更なる戦いのときを待っていた。

バカ王子
富樫義博作「レベルE」の登場人物。宇宙最高の頭脳を持つが、自分の退屈しのぎのためなら、他人の迷惑など屁とも
考えない危険人物、。メカトピアにてアスランと接触し、共に地球へと向かった。ドラえもんたちの手助けをする気では
あるが、別に正義感からではなく、あくまで自分の退屈しのぎのため。

稟・亜沙・プリムラ
わたくし、サマサがかつてバキスレに書いたSS「のび太の神界大活劇」にてゲスト出演したキャラクター。
出典はパソゲー「SHUFFLE!」プレステ2でも出るのでそっちのがおすすめかも。
詳しくは神界大活劇を読んでください(というか読んでないとさっぱりです)。
172サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/09/27(火) 03:16:17 ID:nmzc7m8R0
敵対勢力
<狐>―――そして<十三階段>
出典はどちらも戯言シリーズより。狐面の男は自分の目的のために自分の手足 として動ける集団<十三階段>を集めた。
ちなみに戯言シリーズにおける十三階段には(能力的な上下や明らかに作中の扱いが悪い奴はいるが)特に明確な序列
はなく、単純に入った順番で何段目か決まっている。
この作品でも基本的に序列はなく、全員対等の立場と設定している(ヤムチャはともかくとして)ので、
番号が若いとかは強さには関係ない。
狐面の男のこの作品での立場は大長編ドラえもんの敵キャラとしてはオーソドックスな 未来の時間犯罪者といったところ。

<十三階段>
一段目―――?

二段目―――ラウ・ル・クルーゼ
ガンダムSEEDのラスボス。この作品ではメカトピアを征服した<仮面の男>。 その正体はプロローグ4で言及されていた
ように未来の犯罪者。 ムウとは因縁がある(原作知ってる人には丸分かりだけど)。
彼が使役するモビルスーツも未来の技術を使って作られた、というのは本編では多分説明されないので裏設定として
ここに書いておく。

三段目―――?

四段目―――アンゴルモア
「のび太の銀河漂流記」の敵役。様々な超能力を使い、ドラえもんたちを苦しめた・・・と言いたいが、実はあんまり
苦戦してなかったりする(笑)。
ブラックホールに落ちる寸前、狐によって救われ、そのまま十三階段の一員となった。

五段目―――?

六段目―――?

七段目―――?
173サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/09/27(火) 03:17:06 ID:nmzc7m8R0
八段目―――ムスカ
「天空の城ラピュタ」に登場。IQ300、射撃の腕はオリンピック選手級と、スペックは抜群に高い。
ラピュタ後半でのネタキャラ振りは実に愛すべきナイスな悪役だ。
果たして今作での活躍は・・・?

九段目―――?

十段目―――ヤムチャ
バキSSスレにいてこの男を知らない奴はモグリと断言してよい。少年漫画史上、ある意味もっとも愛されている男。
そのヘタレ振りはもはや伝説の域にまで達している。

十一段目―――USD(ウルトラスーパーデラックス)マン
藤子F先生の短編「ウルトラスーパーデラックスマン」に登場。核ミサイルを撃ちこまれても平気な身体、数々の
超能力、そして顔が小池さんと、あらゆる意味ですごいキャラ。生身での強さは恐らくサイヤ人クラス。
この作品での彼の性格や口調は、原作よりも凶暴で好戦的なかんじにしている。

十二段目―――アミバ
「北斗の拳」に登場。数々の名言、名シーンを作り出した愛すべき漢。
ギャグキャラ補正がかかったアスランに瞬殺され、文字通り星になった。

十三段目―――シュウ・シラカワ
「スーパーロボット大戦」「魔装機神サイバスター」などに登場。
この作品では、かつて魔界でグランゾンを造った男であり、彼自身がそのパイロットだった。
現在の乗機は<ネオグランゾン>。その力は凄まじく、ドラチームもまるで歯が立たなかった。
174サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/09/27(火) 03:26:39 ID:nmzc7m8R0
さて、こんなかんじです。深夜に失礼しました。

>>ぽんさん
復帰おめでとうございます。
ネウロネタ・・・誰かはやると思ってました(ドーピングコンソメは僕も出しましたが)。
ネウロ的トンデモトリックを期待してます。

>>うみにんさん
ドラ続編、楽しみにしてます。またネタをパクらせて・・・じゃなくて、参考にさせていただきたいです。
もちろん、一読者としても楽しみに待ってます。

>>ゲロさん
白髪の男はギンコですか?彼のキャラは好きだったからまた見れるのは嬉しいです。
しかし100個は大変ですよ(汗)
けれどゲロさんなら・・・ゲロさんならなんとかしてくれる・・・!(AA略)

>>サナダムシさん
やっぱセルの地位に変化なしですか・・・つうか、息子に成長を喜ばれるほどのヘタレだったとはw
しけい荘の頃から思ってましたが、サナダムシさんはヘタレとウ〇コネタを書かせれば天才だと思います。
175作者の都合により名無しです:2005/09/27(火) 08:05:39 ID:mCnQFg5J0
>超機神大戦
個人的にUSDマンがどうやって倒されるのかが知りたい
原作での死に方はあっけないからな
核ミサイルを撃ちこまれても平気な身体があんな死に方をするとは思わなかった
176作者の都合により名無しです:2005/09/27(火) 08:20:21 ID:eignumGa0
稟はマサキの残留思念なんか受け入れて大丈夫なんだろうか・・・方向感覚w
(マサキは原作中でも特筆するほど方向オンチ)
177作者の都合により名無しです:2005/09/27(火) 08:43:24 ID:vkv8fv4P0
>ゲロさん
「蟲師」は自分の中でもっとも好きなSSのひとつです。
復活、というか復刻嬉しいです。100話はすごいw
でもみんなが話を語っていく感じは、番外編という趣ですね。
でも『狂食』は笑い話だったようなw

>サナダムシさん
いや、尻すぼみなんてとんでもないです。
あえてあっさり書いて余韻を大切にされていると思います。
最後、マザーコンピュータまで含めてほのぼのしてて良かったですね。
17号たちも何気にセルを認めてたし。

>サマサさん
設定だけでも1話分の労力はありますね。乙です。
しかしまだ半分も出ていない13階段がいるのかw
178作者の都合により名無しです:2005/09/27(火) 09:34:07 ID:1Eom75wS0
はいはい サマササマサ
179作者の都合により名無しです:2005/09/27(火) 18:25:08 ID:esRo6dBJ0
サナダムシ氏のまとめ方は好きだけどな。
セル対完全セルも、ドラゴンボールの王道って感じでよかった。
今回もさわやかだったし。
180それゆけフリーザ野球軍:2005/09/27(火) 18:51:15 ID:WfON1Kqf0
<2回表>
「ほほほほほ、さっきの回は様子見ですよ!この回からは私の力をお見せしましょう!!!」
なぜかマウンドに上がると凄くテンションが上がるフリーザ。まるで先程までの流れは無視である。
一方、初めて守備につくミルコだがその様子はかの某名セカンドを思い出させるようなたたずまいだ。(ファーストだけど)

「さあ、2回の表が始まりましたがバーダックさん。」
「そうですね。見所はやはりミルコ氏のプレイですかね。名参謀でフリーザ軍を引っ張ってきましたが、この野球ではどうか?と言うところですね。」

月並みな実況達のコメントともに2回表が始まった。

「この私の剛球!打てるものなら打ってみなさい!」
そう言って、ドドリア&ミルコのリード通りにボールを投げるフリーザ。

---------------------------------------------------------------------------------------

「お〜っと!フリーザ選手。前の回とは違い巧みなピッチングで5番6番をあっさり抑えました!」
「まあ、これもミルコ氏の予定通りではないですか?戦闘力が低いのでコーナーさえ突けば、
キュイ選手以外には痛打される事もないでないでしょう。」

「ほほほほほ、先程の勢いはどこへやらと言った感じですか?アプールの皆さん?」
5番6番をあっさり抑えたことでかなり上機嫌になるフリーザ。
「フリーザ様!このままさっさと片付けてしまいましょう!」
「ふっ、そうですね。ドドリアさん。では・・・・!」
フリーザはそう言って外角低めにボールを投げる!

シュルシュルシュル・・・・・。

戦闘力が微細にコントロールできなくても、ボールが軽く焦げ付いてしまうほどの早さ。
コーナーさえ突けばやはり戦闘力がコントロールできても自力の差でこうなってしまう。
181それゆけフリーザ野球軍:2005/09/27(火) 18:53:18 ID:WfON1Kqf0
カキーン!!

「お〜と、アプール選手!最初から外角に山を張っていたのか?迷わず踏み込んでうちに行きました!!!」
確かにジャストミートしたが1回の時のようにど真ん中ではない。いくら予想していたとはいえ外角低目を打つということは、
どんなに上手くいっても若干力が外に分散するということ。アプールの力では戦闘力分を足しても・・

「ザーボン!そっちに行ったぞ!」
「分かりました!ミルコ殿!」
やはりアプールではフリーザの速球をジャストミートは出来てもスタンドまでは持っていけないようだ。
一方ザーボンは先程の汚名返上といったばかりに全戦闘力を駆使してボールを取りに行く。
「もう・・・・、溢さん!!!」
この台詞とともに上空120mほどでキャッチするザーボン。
当然、油断はしていないので先程のようにアプールの戦闘力に押れることがあるはずがない。

「アウト〜〜!チェンジ!!」
ザーボンの無駄に気合の入ったキャッチによりこの回は問題なく抑えたフリーザ。
「ほほほほほ、こんなに楽とは!もうこの試合は見えましたね!!」
「フリーザ様。さすがですのう。」
取り合えず褒めておくミルコ。最近褒める親としかる親を読んだミルコはフリーザを褒めれば物を覚えると判断したみたいだ。
「ふふふ、ミルコさんもファーストが様になっていましたよ。」
どうやらかなり上機嫌の様である。
「さあ、この回で軽く逆転しましょうかね!」
182それゆけフリーザ野球軍:2005/09/27(火) 18:56:25 ID:WfON1Kqf0
<2回裏>
「守備の方は絶好調のようですが、攻撃の方はてんでダメなようですね〜。」
「まあ、バッティング練習を試合の前日にのみしたという人がほとんどですからね。」

現在2アウト2塁。
ギニューが戦闘力のコントロールをコルドから少し学んだらしく、わずかにだが戦闘力を
バットに包み込ませることが出来き、バットを破壊されずにちゃんとボールを押し込めたので
2-3塁間を抜けるヒットとなったがその後のドドリアやリクームはあっという間に凡退していた。
(ドドリアのときにミルコからエンドランが出ていたので戦闘力にものをいわせたスピードでゲッツーは避けられた。)

「次はザーボン選手の様です。バーダックさん?ザーボン選手はどちらかといえば技巧派のイメージがありますが、
実際のところはどうなんでしょうか?」
「守備の方を見ていますと、ちゃんとグローブでの取り方は様にはなっていますので期待はできますがこればかりは
見てみないと分かりませんよ。」

<ベンチ>
「ザーボンよ、ちょっと待て。」
「はい?ミルコ殿。何でしょうか?」
ザーボンがミルコに近づくと、ミルコはなにやらザーボンに色々と耳打ちをしている。
「・・・・。分かりました。取り合えずやってはみますが、キュイの球は早いものでついて行けるかどうかは・・。」
「まあ、成功すればもうけものじゃよ。」
ミルコはそう言ってベンチに引っ込む。
183それゆけフリーザ野球軍:2005/09/27(火) 18:57:52 ID:WfON1Kqf0
(8番 レフト ザーボン)

「けけけ、ザーボンさんよ〜。相変わらずフリーザの奴に苦労させられているらしいじゃないか!」
またキュイの挑発攻撃である。しかし、ザーボンは
「ふん。言いたいことがあればボールに込めて来い!きっちり打ち返してやる。」
「んな!?戦闘力もコントロールできないヤロ〜が!!いいだろう!最高の玉で仕留めてやるぜ!!」
(ふっ!かかった!)
ザーボンの挑発返しに乗り、キュイは戦闘力を4000ほど込めたボールを投げ込む!
戦闘力がある分フリーザの球とは別次元の早さ。
確かにフリーザも早いが戦闘力が乗れば生身など比較に出来ない速度を手にすることが出来るようだ。

キュイーン!!!!

日ごろ下級戦闘員としてレベルの低い惑星以外行かないアプールではこの球を打つどころか見ることさえ出来ないだろう。
きっと、野球の練習中もそうだったに違いない。
しかし、いつもエネルギー弾の雨を避けながら戦っているザーボンにとって決して見えない速度ではなかった。

「ここだ!!!!」
ザーボンは気合とともにバントの構えをして、大きく振りかぶりキュイの速球を地面にたたきつけた。
「ギニュー!飛べ〜〜〜〜〜!!」
それと同時にミルコが大声でギニューに合図を送る。ギニューは戦闘力を最大まで上げながら三塁を回る。
ザーボンも戦闘力を開放して一塁へ飛んでいく!
「ちっ。しかしバントなど・・ックソ!」
キュイが舌打ちした先には遥か上空にあるボールの姿だった。
キュイは挑発に乗って戦闘力を余分にボールに与えたため、球速が早くなった分
下にたたきつけられた時の反発力まで通常の野球とは比べ物にならないくらい上がっていたのだ。
当然、ザーボンもバットを折られない為にバントの構えをして全力でたたきつけたのである。
184それゆけフリーザ野球軍:2005/09/27(火) 19:02:12 ID:WfON1Kqf0
「お〜と!これぞヒットエンドラン!ボールはキャッチャの前だが遥か上空に〜!!
ギニュー選手も3塁を回っている!!」

「そっちがその気なら!!」
キュイも戦闘力を開放しながら上空へとび、先程のお返しとばかりに
オーバーヘッドキックでボールを蹴り返しキャッチャーのアプールへ送蹴する。
アプールも体全体に戦闘力を張り巡らせキュイの送蹴したボールの威力に負けじとキャッチし、
ギニューのブロックに入る。
「突っ込め〜〜!ギニュー!!!」
とそこに大興奮しているフリーザの声。
(フリーザ様のためにもアプールには負けられん!!)
そして、ギニューとアプール。二人の影が重なり合い・・・。

バチッッッ!!

「な、何?」

「アウト〜〜!チェンジ!!」
そこにはほんの20センチほど吹き飛ばされたギニューがいた。
「よ〜し!よくやったぞ!アプール!」
キュイは喜んで近づくが、アプールは半分つぶれて死んでいる。
「・・・・。無理しやがって。戦闘力の差は相当あったみたいだがギニューを止めるために瞬時に
全戦闘力をグローブに込めてタッチしたのか・・。」
キュイの言ったとおり、タッチするグローブに戦闘力をすべて込めたがそれ以外が無防備となり
衝突のさいにアプールの全身は複雑骨折を起こしたようだ。
185それゆけフリーザ野球軍:2005/09/27(火) 19:04:36 ID:WfON1Kqf0
「アプール選手の命を張ったプレイでピンチ脱出〜〜〜!どうやらキャッチャーのアプール選手は
全身骨折のため選手交代のようです。」
「いや〜、怪我は残念ですが、これぞ私たちレベルの野球の醍醐味です。」
「そうですね。この前のスーパー野菜軍対ヤードラックストアチームの練習試合でもこのような場面は続出でしたからね〜。」
「”野球の勝敗が戦闘力の差ではないことを思い知らしてやる!”という名言も生まれているぐらいですから。」
「それよりもフリーザ野球軍のベンチはかなり驚いている様子です。」
「そりゃそうでしょう。戦闘力12万の全力の体当たりがわずか1200程度のアプールに止められたのですからね。」
「まあ、これが先程言った戦闘力のコントロールが出来ない分の不利ですね。これが1万以上あるキャッチャー
だったら、ギニュー選手の方が怪我をしていたでしょうからね。」

<ベンチ>
「すみません・・。フリーザ様・・。」
ギニューはかなり落ち込んだ様子でフリーザに謝る。
「ほほほほほ、ギニューさんはびっくりでしょうが私はそれほど驚いてませんよ。」
「え?」
さしものフリーザの発言にミルコ以外はフリーザに注目する。
「先程の激突の瞬間。アプールのグローブは見たこともないほど輝いていました。
あれは戦闘力を1点に全集中した結果。戦闘力では遥か上のギニューさんですが、
一点集中に賭けているアプールとみるとその一点辺りの戦闘力はアプール以下の
ようでしたからね。まあ、当然の結果ですよ!ほほほほほほ。」
フリーザの普段からは考えられない位の理論めいた解説にびっくりする一同。
まあ、すべてはミルコにアウトになった瞬間から説明を受けて
カンペまで読んだ結果のだが・・。
「・・・・。つまり、戦闘力さえコントロールできればキャッチャーはクロスプレイ時
にはかなり優遇された状態なわけですね。」
「ほほほ・・。え?ああ、そうなんでしょうね?ミルコさん?」
当然アドリブには弱い帝王。すぐにミルコに任す癖がついているようだ。
186それゆけフリーザ野球軍:2005/09/27(火) 19:08:33 ID:WfON1Kqf0
「ギニューのいう通りじゃな。他のチーム同士の試合でもクロスプレイでの死亡率が極めて高い統計がでとる。
まあ、うちらのチームは戦闘力が高い分死ににくいのじゃが、1万以上の相手と戦う時は戦闘力の
コントロールができないと危険じゃな。」
ミルコの言葉に沈みかえる一同。
無理もない、一応強さだけなら宇宙最強の選手のみの集団がそれよりも格下の相手に死ぬ危険性が
あるといわれたからだ。
「まあ、こちらが戦闘力のコントロールが出来れば問題ないのじゃがな。別に体当たりをしなくても、
キャッチャーを避けてベースタッチすればいいんじゃがの。のう、ギニューよ?お前のスピードならできるな?」
「そ、そうですね。次からは無理に体当たりせずにキャッチャーの隙を突いてみます。」
沈黙を破るミルコとギニューの言葉。そこへいつものおちゃらけ声で
「そうなると、ベース上は戦闘状態ですね。痛そうだな〜。」
「とあるチームの練習試合でタッチするまで15分かかった前例もあるからのう。でも、あまりにやりすぎると
打ったランナーが3塁まで来てしまったりするからその練習試合後はキャッチャーの前で立ち止まったりする
のもアウトにするようにしたのじゃよ。先程渡したルール書にも書いてあろう?」
「ほほほほ、そんなことは後で考えて今は守備に専念しませんか?審判さんもお冠のようですよ?」
そう言ってフリーザはマウンドへ上がっていく。
それに引きつられて一同もマウンドへ。
それぞれの胸にはこの野球がただのお遊びで、フリーザのご機嫌取りだけでないことをひしひしと感じ始めていたのだった。

-----------------------------------------------------------------------------------------
アプールの死を通して一層気合の増すアプールチーム。しかし、そこはミルコ&ドドリアのリードにより軽くいなされてしまう。
肝心のキュイは特戦隊&ザーボンのアクロバッティングなプレイでホームランだけは阻止され、ツーベースどまりになっていた。

フリーザチームもクロスプレイの話以降気合は入ったが、キュイが3回から取り入れてきた変化球に悪戦苦闘。
戦闘力をボールに包み込ませることにより、エネルギー弾さながらに自在にボールの軌道を操れるキュイの前になす術がなかった。
そして、試合は6回に進む。
187それゆけフリーザ野球軍:2005/09/27(火) 19:16:04 ID:WfON1Kqf0
こんにちはしぇきです。

昔からの職人さんが沢山戻ってきているようで、凄いことになっていますね。
このままの勢いだと30スレもあっという間に埋まりそうだw

レスをくれた方々ありがとうございます。
練習試合なので7回で終了です。
草野球と同じですね。
次には練習試合を終わらしたいです。

では失礼します・・・・。
188聖女 ◆9RaBw0NoLw :2005/09/27(火) 20:49:10 ID:DQvF1iGp0


ドラゴンボールの500年後の世界&他作品キャラクターはどうでしょうか。
どなたかキボンヌ。
ヤムチャやサイバイマンVS他作品のメインキャラクター、みたいなノリで
どうぞ。

152 :聖女 ◆9RaBw0NoLw :2005/09/26(月) 14:24:09 ID:cRcIMy8n0
ボーイ(ハレルヤU)の後日の続編はどなたかお作りにはならないでしょうか。



153 :聖女 ◆9RaBw0NoLw :2005/09/26(月) 14:27:38 ID:cRcIMy8n0
それと、ジブリ大戦はいかがでしょうか。
創作が活性化してきたら、わらひも案をレスします。
闘いの場は、それぞれの世界観が隣接している、という設定ではいかがでしょうか。
ナウシカはかなり離れたところになりますが、この場合は遠くから訪れてきたという
設定になるでしょうね。
189作者の都合により名無しです:2005/09/27(火) 21:39:37 ID:esRo6dBJ0
しぇきさんお疲れです。
なんとなく普通っぽい野球が続きますな。バーダックってこんな口調か?w
アプールは命がけで野球してるんだな。使い捨てキャラだからどうでもいいけど。

しかしこの聖女ってなんだよ。
190ふら〜り:2005/09/27(火) 22:01:15 ID:rffYXIs10
>>しぇきさん
試合前にドドリアが言ってた通り、真摯に取り組んでますねフリーザ。ミルコのみならず、
審判の言うことも大人しく聞いて。とはいえ遂に死人が出たこの野球。さあ、ある程度は
戦闘力の差を覆せるこの機会、日頃の圧政に一矢報いることができるか、アプールたち?

>>サマサさん
空気を読んでもらえなかったマサキ君、哀れ也。君の言ってることは正しいと私は思う。
そして正直、君が入った女性陣というのも見てみたかった。当人たちは全力で嫌がると
思うけど。ともあれ、登場早々活躍できそう。頑張れ! ……少々厳しい相手ではあるが。

>>ぽんさん(『さんまの名探偵』『ファミ探』みたいな推理ADVはもう出ないのかっ?)
おぉおぉ久しぶりですっ! しかしまた、随分と以前の作品とは違うジャンル違う雰囲気。
見取り図、なくても把握できましたよ。配置の説明が解り易くて。でもあるとありがたい
です。……でも犯人は解らない。何かを(みかん袋?)リレーしてそうな感じですが……

>>ゲロさん
>彼は多くの肉を食べました。牛、豚、鶏、猪、鹿、魚、人――
今回のインパクトは、この一行に尽きますね。適当に流し読みしてたら、気づかず通り
過ぎてしまいそうなさりげなさで、「人」。その後も、その事について全然言及せずに、
そんな生活が続いて……って。でもみんな淡々。同業者群、怖がらせるのは無理なのか?

>>サナダムシさん
本気で私も忘れてました、ドクターゲロ。最初は完全体との戦いで重要な役を果たすのか、
と思ってましたがセルのヒーローっぷりに目を奪われ、そのままセルを応援してたら決着、
いやぁめでたしめでたし……と満足してたとこに出てきて、ギャグ調に瞬殺の彼。哀れだ。
191作者の都合により名無しです:2005/09/28(水) 00:38:15 ID:FG3cAp2E0
ジブリ大戦 世界観  ジブリ映画のメインの場所が繋がっている世界
           天空の城ラピュタ・・・世界の中心、城
           千と千尋の神隠しの銭湯・・・巨大テーマパーク
           ナウシカの世界・・・現実からかけ離れた場所(H×HでいうNGL)
           もののけ姫の村や森・・・大森林の中の村
           魔女の宅急便の町・・・城下町
           
サンプルとして作ってみました。ストーリーは考え中です。
192虹のかなた:2005/09/28(水) 01:43:01 ID:pZtuEkTq0
ごきげんよう、皆様。お久しぶりです。
間が開きましたが ttp://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/niji/28.htm からの続きです。


粗方の説明を聞き終えた紅薔薇さまは、少しの間放心状態に陥ってしまった様だった。
……無理もない。
紅薔薇さまの心中を思いやり、斗貴子はあえて沈黙を守る。
ほんの数時間前まで、些細な争いすら別世界のこの学園で優雅にお茶を飲んでいたような方だ。
いきなり錬金術やらホムンクルスやらを理解しろと言っても無理な話だろう。
大体……こんな話を信じることが出来るのだろうか。
チラリと城戸沙織の様子をうかがうと、彼女は無表情のまま紅薔薇さまを見つめていた。
(そんな顔も出来るのか)
いつもチャラチャラしていて掴み所がないという印象が強い城戸沙織の意外な表情に、斗貴子は僅かに驚く。
錬金術。ホムンクルス。そして核鉄。
城戸沙織が紅薔薇さまへとした説明は、斗貴子の補足が必要ないほどに的確だった。
一般人……と言うには異端すぎるが、錬金術とは関係のない世界に住むのはずの彼女がどうしてこんなに事情
に精通しているのか、嫌でも疑問が湧いてくる。
(グラード財団の力か?それとも例の能力……?)
金持ちというモノは知りたいことは全て知れるように出来ているのだろうか。
それとも、例の予知能力とやらでこんな細かい事まで知り得たのだろうか。
本当に……城戸沙織という人物――――ついでにジュネも――――何者なのだろうか。
打ち消したはずの城戸沙織への疑惑が再び胸に燻る。
だが今はそんなことよりも。
(早くあのホムンクルスの女を見つけなくては)
あの人型ホムンクルスと対峙してから五日間。
同学年はおろか、上級生までも探し回ったがついにあの女を見つけることは出来なかった。
五日もかけて探し回って見つけられないとなると、「この学園の高等部の生徒」という自分の仮説を見直さざるを
得なくなってくる。
(振り出しに戻る、か……。いや、まだ手がかりが消えた訳じゃない)
そうだ。まだ紅薔薇さまという手がかりが残っている。
あのホムンクルスの紅薔薇さまへの執着を考えれば、近いうちに必ずまた姿を現すだろう。
その時こそ。
193虹のかなた:2005/09/28(水) 01:43:59 ID:pZtuEkTq0
(確実に殺してやる……!)
ホムンクスルは全て殺す。そのために厳しい訓練に耐え、練金の戦士になったのだ。
無意識のうちに表情を険しくしていた斗貴子を、いつのまにかすぐそばまで来ていた城戸沙織が覗き込んだ。
沙織の顔に浮かぶのはいつのも微笑み。
先程見せた無表情はとっくに消えている。
「そうそう、斗貴子さん。何か情報が入ったらお知らせするお約束でしたわね」
「入ったのか?!」
城戸沙織を胡散臭いと思いつつも、ホムンクルスの情報となれば食い付かざるを得ない。
そのことを少し悔しく想いながらも、斗貴子は素直に沙織の返事を待った。
「ええ」
大きくなった斗貴子の声とは対照的に、沙織は楽しそうに頷いた。
「私と同じ一年李組の上原萌奈美さん。ご存じ?」
「いや」
同学年の名前と顔は、調査の都合上ほとんど頭に入っている。
だが、その名に聞き覚えはあっても顔は浮かんでこない。
「入学式からずっと出席と欠席を繰り返している方です。なんでも小さな頃から体が弱いそうで」
「それがどうした」
「彼女が、あのホムンクルスの元です」
「…………はぁ?!」
この女は、今何と言った?!
ホムンクルスの元?つまり、ホムンクルスを寄生させられた少女の事か?
なぜそんな事を知っている?
それよりもこんなあっさりと調べられるものなのか?!
「情報というものは集める気になれば集められるものですのよ」
声には出していないのに、斗貴子の思考を正確に受け止めたらしい城戸沙織がにっこりと微笑む。
「……でも、まぁ、今回は職権乱用してしまったかもしれませんわね。財団ではなくて彼らの力を借りてしまいましたし」
と、斗貴子には意味のわからないことを呟いた。
斗貴子の向かいに立つジュネがため息をついたところを見ると、彼女には意味がわかっているのだろうか。
「で、斗貴子さん。すぐに向かわれます?」
「当たり前だ」
城戸沙織の意味不明な言葉よりも、最優先はホムンクルスだ。
城戸沙織からもたらされたこの情報の真偽は定かではないが、調べてみる価値くらいはあるだろう。
194虹のかなた:2005/09/28(水) 01:45:25 ID:pZtuEkTq0
一瞬この情報を本隊に伝えるべきか迷ったが、結果が出てからでも遅くないだろうと判断する。
そうと決めれば即行動だ!
更に表情を険しくし拳を握りしめた斗貴子の肩に、温かい何かが触れた。
同時に頭上から固い声が振ってくる。
「余計な力を入れすぎだ」
振り向くと、しかめっ面のジュネがこちらを見下ろしていた。ジュネの掌が斗貴子の肩から離れる。
「今からそんなに力んでどうするんだ。余計な力を入れると判断力が鈍るぞ」
大きなお世話だ、と言い返しかけ、斗貴子はそれを思いとどまった。
斗貴子を見下ろすジュネの瞳は、今までに見たこともないくらいに真剣だ。
ほんの数時間前の、白薔薇のつぼみの言葉が斗貴子の脳裏を掠める。
『斗貴子さん、すぐにでもここからいなくなっちゃいそうだったから』
言われた言葉は違うし状況も全く違う。
だけど、その根底にあるものはきっと同じで…………自分をを心配してくれているのだ。二人の上級生は。
嬉しいような、なんとなくくすぐったい気持ちになり返答に詰まる。
斗貴子が大人しくなったのを見越してか、沙織が三人をぐるりと見渡した。
「向かわれる前に、少し情報を整理した方がよろしいかと」
すぐにでも飛び出したいが……情報の整理は確かに必要だ。
ジュネも、放心状態から回復したらしい紅薔薇さまも素直に頷いている。
「まず、最初は斗貴子さんが教室で襲われたのですよね?」
「……ああ。それで私はアイツを中庭まで誘い出し、切り捨てた」
「そこにもう一体が闖入した……」
沙織の確認に、ジュネも頷く。
「現場に残っていた細胞を調べさせたところ、一体目は斗貴子さんの仰ったようにチューリップがベースと
なったようです。そして二体目は……」
沙織はそこで一端言葉を句切ると、ジッと斗貴子を見つめた。
「木瓜の花だったそうです」
「木瓜?」
初めて聞く花の名に、斗貴子は眉根を寄せる。
それは一体どんな花だ、と問おうとした斗貴子の言葉が小さな声に遮られた。
「……チューリップと木瓜……?」
意外な人物の意外な言葉。
下級生達のの視線を一斉に受けた紅薔薇さまは、城戸沙織の言葉に驚いたようだった。
195虹のかなた:2005/09/28(水) 01:47:29 ID:pZtuEkTq0
「チューリップって、赤いやつ?ピンクや黄色じゃなくて?」
チューリップと言えば赤じゃないのか。他に色があるものなのか。
その前に、木瓜とはどんな花なのだろう。
「赤、ですわ。紅薔薇さま」
「赤いチューリップと赤い木瓜の花……」
眉をひそめた紅薔薇さまが、なにやら考え込んでいる。
この二つの花に、何かホムンクルスに結びつくような心当たりがあるのだろうか。
だとしたらそこにホムンクルスについての情報が隠されているかも知れない。
「紅薔薇さま……」
何事かをブツブツと呟いてた紅薔薇さまが突然顔を上げた。
「ね、キャプテン・ブラボーって人、知ってる?」
「キャプテン・ブラボー?!」
予想外な人物の名に、思わず声が大きくなる。
その場の視線が一気に斗貴子に向くが、そんなことに気付く余裕はない。
「ロ、紅薔薇さま!何故あの人を知ってらっしゃるのですか?!」
「なぜって……さっき……」
斗貴子の勢いに若干押されながらも、紅薔薇さまは数十分前にこの温室で会った人物について話してくれた。
(……間違いない……)
温室で「春に咲く赤い花」を調べていた人物は、自分の知っているあの戦士長に間違いなさそうである。
相変わらずといえば相変わらずな彼の人の様子に、斗貴子の体が脱力する。
「お知り合い?」
「はぁ……まぁ……」
紅薔薇さまの話からすると、戦士長はご自分が練金の戦士であることを明かしていないようだ。
ならば斗貴子の口からあの方の事をこれ以上語るのはあまりいいことではないだろう。
曖昧な斗貴子の返事から何かを感じてくれたのか、紅薔薇さまはそれ以上「キャプテン・ブラボー」について追求
するつもりはないらしい。
「では、話を再開いたしましょうか」
城戸沙織が再び微笑む。
「チューリップをベースにした方が仰っていた言葉を覚えておいでですか?」
「ああ。確か……」
『紅薔薇さまにふさわしくなってみせる』とか。
『今朝の不届き者が紅薔薇さまに抱きついた』とか。
196虹のかなた:2005/09/28(水) 01:49:54 ID:pZtuEkTq0
正確な言葉は忘れたが、そのような事を言っていたはずだ。
斗貴子の話に、紅薔薇さまがまた思案顔になる。
「抱きついた……今朝ってことは五日前だよね。……聖様のことかな……」
「あの三体目に襲われた女子大生ですか?」
「うん。あの日、偶然朝のバスで乗り合わせたんだけど、聖様がふざけて私に抱きつかれたんだ。それを見てたのかな」
そう言う紅薔薇さまの表情がどんどん曇っていく。
「……あの子……聖様のこと『紅薔薇さまにベタベタしすぎで許せない』って言ってた……」
つまり、あのホムンクスルは紅薔薇さまを『お慕い』するあまり、紅薔薇さまに近づいた人間を襲ったということか。
「……私のせいで聖様が……」
俯いた紅薔薇さまが苦しそうに顔を歪める。
瞳を伏せ、キュッと唇を噛みしめた紅薔薇さまの手が少し震えているのが斗貴子にもわかった。
「……あなたが気にする必要はない」
斗貴子の声に、紅薔薇さまが視線を上げる。
泣くのを必死にこらえているその表情に、斗貴子の胸がジクリと痛む。
「理由はどうであれ、人を襲ったホムンクルスに非があるのです。もっと言うのであればホムンクルスを製造した人間が
一番悪い。あなたが気にされる必要はありません」
「斗貴子さん……」
「だから……そんな顔をしないで下さい」
紅薔薇さまと知り合って数週間。
斗貴子なりに彼女がどんな人間か観察してきたつもりだ。
天然で少しドジで、思っていることがすぐ顔に出て。でも意外に芯は強くて。そして……とても優しいお方なのだと思う。
紅薔薇さまにこんな顔は似合わない。この方には、あの薔薇の館で仲間と一緒に笑い合っている姿が一番似合う。
(私がもっと強ければ……)
この上級生を巻き込まずにすんだかもしれない。
そう思うと己の不甲斐なさに歯噛みをしたくなる。
「……ありがとう」
そう言って少し微笑んだ紅薔薇さまは、まだ辛さを隠している様だった。
「斗貴子さん。二体目の木瓜をベースにした方が何と仰っていたか憶えています?」
湿った雰囲気を振り払うかの様に、城戸沙織が話を再開した。
「あの二体目か……」
一体目と同じ顔をした、笑いながら自ら散っていったホムンクルス。
『一体目のヤツを双子なのか』という斗貴子に問いに『あんな出来損ないと一緒にするな』と言っていた。
197虹のかなた:2005/09/28(水) 01:58:47 ID:pZtuEkTq0
あの返答は一体どういう意味だったのだろう。
それに、アイツは練金の戦士の存在を知っていた。
個人が独学でホムンクルスを生成したのだとしても、錬金術を学ぶ過程で練金の戦士の存在を知ることもあるだろう。
だがどちらかと言うと、何かの組織に属している方がそういう情報を持ちやすいものだ。
そうすると、もしかしたらあのホムンクルスもそういった組織の一員なのかもしれない。
それに今になって姿を現した戦士長のこともある。
あの方が出てくるということは、大きな戦いの起こる前触れだと言われているのだ。
(上原萌奈美とやらの所に行く前に、戦士長と接触すべきか)
人間を食さずただ殺そうとしたり、一介の女子高生に異常な執着を持ったり……今回の敵は謎な部分が多すぎる。
そういった事を考慮しても、ここは戦士長に現状を報告しておくべきだろう。
“春に咲く赤い花”の事といい、戦士長は斗貴子の知らない何らかの情報を持ってここに来たのかもしれないし。
自分のこれからの行動を決めた斗貴子は、そっと息をついた。
……本音を言えば、今すぐにでもホムンクルスを始末しに行きたい。
だが、先程のジュネの『余計な力を入れすぎだ』という言葉が、斗貴子のはやる気持ちにブレーキをかける。
余計な力を入れると判断力が鈍るのは事実だ。そしてそれは戦士にとって、即、死へとつながる事実。
ホムンクルスを見れば憎しみが先攻し冷静さを失ってしまうことが自分の短所だということを、斗貴子自身よくわかっている。
(強くなりたい。戦士として、体も心も)
もう誰も、悲しい目に遭わせたくない。
そのための力が欲しい。
強いその思いがそのまま自分の拳を握る力へと変換され、爪が掌に食い込む。
だがその痛みには構わず、斗貴子は更に強く右手を握りしめた。

――――斗貴子は気付かない。
その拳を、金髪の上級生が痛ましそうに見つめていたことを。
――――斗貴子は知らない。
奇しくも、その思いがすぐそばにいる金髪の上級生と同じモノだということを。
そして……、彼女がその思いの道標となることを、まだ、斗貴子は知らない。

薄曇りの空がゆっくりと暗く染まっていく。
雨雲が、もうそこまで来ていた。

198虹のかなた:2005/09/28(水) 02:05:34 ID:pZtuEkTq0
今回はここまでです。
読んでくださった方、ありがとうございます。

来月末まで余計な仕事が入ってしまい忙しくなってしまいましたが、
少しずつ書き進めています。
気長に待って頂けると嬉しいです。

>ふら〜りさん
いつも感想ありがとうございます。
もう10年以上パタリロ好きをしているので、SS,嬉しかったです。
もし次にパタリロSSを書かれるなら、9号とか44号とかの古参タマ
ネギの登場を期待しています。

それでは、ごきげんよう。
199ミドリ ◆5k4Bd86fvo :2005/09/28(水) 02:07:03 ID:pZtuEkTq0
>>192-198は私です。
毎回申し訳ありません。
200作者の都合により名無しです:2005/09/28(水) 08:34:00 ID:sHSLIc650
ミドリさんキター

でも、斗貴子さんからみると沙織さんはチャラチャラに写るのかな?
優雅で気高いイメージしかないが。
沙織さんの前では流石に斗貴子も格が違うな。相手は神様ですもんね。

しかし、最後のヒキでまた重要キャラ登場の予感。
ブラボーとの共闘はどうなるんだろう。
気長に待ってますので、頑張ってください。

201作者の都合により名無しです:2005/09/28(水) 12:16:32 ID:mWhAqG/d0
ミドリさんごきげんよう。お久しぶりです。
斗貴子さん視点から、いろんなキャラの表情や優しさが見えた会でしたね。
紅薔薇様への少し不器用な斗貴子さんの暖かさもいい。

でも、ミドリさんってちゃんと伏線張り巡らしてるんだなーすごい。
202作者の都合により名無しです:2005/09/28(水) 18:07:26 ID:TM0c9nQ70
>しぇきさん
一気に進みましたなwこの練習試合の後、サイヤ人との本試合があるんですか。
しかし、こいつらきっととんでもない速度で走ったりしてるんでしょうね。
個人的にアプールが何人死ぬかが楽しみです。ミルコもどこまでもつか。

>ミドリさん(お帰りなさい)
今回のお話、これからの伏線になりそうなキーワードがいくつかあるみたいですね。
トキコの目から見た学園は、少しチャラチャラしてても輝いているのかなあ。
なんとなくトキコの戦士としての哀しさが垣間見られた話でしたね。次回も期待してます。
203バリン ◆aebVKPj3Hk :2005/09/28(水) 19:00:13 ID:z4Jh9+d1O
このスレは勝手にストーリーを書き込んでもいいんですか?
204作者の都合により名無しです:2005/09/28(水) 19:05:33 ID:q0pLWy+F0
>>203
ストーリー=SSという意味でならOKだと思いますが
205作者の都合により名無しです:2005/09/28(水) 19:38:27 ID:TM0c9nQ70
>>203
1、漫画のキャラが主役、最低でもメインの登場人物であること
   ↑これは絶対条件  ↓ここからはそうした方がベター
2、あまり過度のエロや下ネタに走らないこと
3、基本的に最後まで完走するつもりで書くこと
4、他人が見て不快にならないようなネタであること
  (題材にした漫画を馬鹿にしてたりとか、過度なうんこねたとか)
5、文章力は問わないけど、最低限他人に伝わるように努力すること
6、他の作者さんが投稿中、バッティングしないよう気をつけること


この位の事を気をつければ、別に何を書いてもいいんじゃないかな?
206ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/09/28(水) 20:46:34 ID:q0pLWy+F0
第二十二話「機魔竜」

「よし・・・こんなもんでいいかな」
稟を布団に寝かせて、のび太とドラえもんは一息ついた。さすがに気絶したまま野ざらしにするのははばかられた
ので、テムジンの家に運び込んだのだ。
寝かされた稟は、穏やかな顔で眠っている。
「あーあ、早く目を覚ましてくれるといいんだけどね」
「そうだね、島に残してきたメンバーも気になるし・・・ん?何やってるの、フー子」
フー子は稟の側にしゃがみ込んで、何やらゴソゴソやっていた。どうにも怪しい動きだ。
「へへー、見て見て」
「ん・・・う、うわあ〜〜〜・・・これは・・・」
ドラえもんは思わず吹き出すのを堪えた。稟の顔に、マジックペン(油性)で見事なアートを描いていたのだ。
「ぷ、ぷぷっ・・・フー子、ちゃんと消しとかないと、怒られるよ・・・ぷ、くすくすくす・・・」
「あー、いけないんだ、そんなことして!」
亜沙がめざとくその悪戯を見つける。だが注意しているというより、「自分も混ぜろ!」と言わんばかりの態度だ。
「んー・・・ちょっとバランス悪いかな。ちょこっと眉毛を某警察官みたいに繋げてみて・・・あ、あはははは!
こりゃダメだ!強烈すぎるぅ〜!」
腹を抱えて笑う亜沙。そこにプリムラとリルルもやってきた。
「・・・ヒゲもかきたすと、いいかも・・・」
プリムラは稟の頬にドラえもん風のネコヒゲを書き足した。もはや稟の顔はカオスにまみれている。
「あら、じゃあこんなのもどうかしら?」
リルルは額に天〇飯風の三つ目を書いた。もはやカオスを通り越して地獄絵図だ。とうとう我慢できなくなった
ドラえもんがげひゃげひゃと笑う。それに釣られてのび太も笑う。フー子も笑う。テムジンもリルルもみんな笑う。
尊い犠牲(稟の顔と尊厳)と引き換えに得た、心からの笑い。それは戦いに疲れた戦士たちの心を優しく潤した。
稟はというと、なんだか寝苦しそうに顔を歪めていた・・・。
(苦労してるんだな、稟・・・同情するぜ)
ただ一人、マサキだけは稟の境遇に漢泣きしたのであった・・・。が、心の中では彼も
(俺も生身の身体さえあれば落書きしてやるのに!)と少しだけ思ったり思わなかったり。
207ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/09/28(水) 20:47:17 ID:q0pLWy+F0
―――そんな時だった。
家の外が騒がしくなり、村人たちの悲鳴さえ聞こえてきたのだ。
「な、なに!?」
「ちょっと待って。様子を見てくる」
テムジンがそう言って、真っ先に外に飛び出した。さっきまでの楽しい雰囲気が、どこかへ行ってしまった。
「なんだか―――やなかんじがするぞ」
「うん・・・私も」
フー子とプリムラが身を寄せ合い、不安げに眉をひそめる。
「のび太くん・・・」
リルルも不安げにのび太を見つめる。
「だ、大丈夫だよ―――ドラえもんやザンダクロスがいるもの!」
「のびちゃん。こういう時は強がりでも<ぼくがついてる!>って言ってあげるものよ?」
亜沙にそう言われて、のび太はなんとなく情けなくなった。亜沙の度胸を少し分けてほしいぐらいだった。
そして待つこと数分―――テムジンが血相を変えて飛び込んできた。
「大変だ、みんな!村のはずれの大草原に―――怪物が出たって!」
「か、怪物だってえ!?」
「うん・・・おれも直接見てないけど・・・」
「ドラえもん・・・ひょっとして!」
「うん、タイミングがよすぎる―――恐らく、<十三階段>だろうね・・・」
ドラえもんは重々しく頷く。のび太は唾を飲み込み、精一杯勇気を振り絞って言った。
「―――行こう!幸いザンダクロスもある。戦えないことはないよ」
「そうだね・・・じゃあ、みんな、行くよ!」
<ちょっと待った!>
ドラえもんの声に合わせたように、マサキから待ったがかかる。
<プリムラと亜沙、それにフー子はここに残ってくれ。稟が目覚めても、魔力を供給してくれる奴と、精霊がいなきゃ
サイバスターは動けない。いくら俺が宿ったとはいえ、稟が人間なことにはかわりないからな>
「う、うん・・・じゃあ。ボクたちは残るね。のびちゃん、ドラちゃん、リルルちゃんも気をつけて!」
「大丈夫さ。稟さんが目覚める前に片をつけるよ」
ドラえもんは半ば強がりでそう言って、家を飛び出す。のび太とリルルもそれに続いた。
208ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/09/28(水) 20:48:01 ID:q0pLWy+F0
「三人とも、行くのか?」
心配げにテムジンが声をかける。
「うん・・・テムジンは村のみんなを避難させて!」
「分かった・・・気をつけてな!」
そして三人はザンダクロスに乗り込み、全力で大草原へと向かった―――。

「な、なんだあれは・・・!?」
「ほ、ほんとに怪物・・・!?」
上空から大草原を見下ろしたドラえもんたちは驚愕する。平和だったはずのその景色には余りにも不似合いな存在が
そこにはあった。その姿を一言で現せば、<機械仕掛けの竜>。鈍く輝くメタリックのボディ。凶悪な顔面には巨大な
角まで拵えてある。
その巨体が一歩地を踏みしめるたび、大地が揺れる。
その口腔から吐息が漏れるたび、それは炎となって行く先にある全てを焦がす。
鋼鉄でできた口から声が響く―――!
「グウウウウ・・・来タナ・・・ガキドモ・・・!久シブリダ・・・本当ニ久シブリダ・・・!」
「ひ、久しぶりだって!?お前なんか知らないぞ!」
「待って、のび太くん。あいつ・・・どこかで見たような・・・」
「え・・・?」
のび太は頼りない記憶力を総動員させて、必至に記憶を探る。そして―――思い至る。
かつて迷い込んだ、鳥人たちの世界<バードピア>。そしてその世界を脅かさんとした伝説の怪物に―――
「あ、あ、あ、まさか・・・お前は・・・!」
「思イ出シタカ」
機械の竜が口を歪める。それを笑いと表現するには、余りにも禍々しすぎる。
「ワタシハ<十三階段>三段目―――<機魔竜>フェニキア也!」
「そ、そんなばかな・・・お前はタイムマシンで数十億年前に送られたはずだ!それがなんで・・・」
「ソウ・・・ワタシハ貴様ラニヨッテ過去ニ飛バサレ、宇宙ヲ果テシナク彷徨ッタ・・・ソシテ肉体ガ滅ブ寸前デ
トアル星ニ辿リツイタノダ。ソコハ機械ノ身体ヲクレル星ダッタ・・・」
「き、機械の身体をくれる星だって・・・?銀河鉄道999じゃあるまいし・・・」
209ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/09/28(水) 20:48:45 ID:q0pLWy+F0
「ワタシハソノ星デ不死身ノ機械ノ身体ヲ手ニ入レ、言葉モ学ンダ。ソシテ更ニ放浪スルコト幾星霜・・・。ツイニ
貴様ラヲ見ツケタ・・・!永カッタ・・・永カッタゾ・・・!」
<機魔竜>フェニキアの身体が震える。その全身から迸る凄まじい憎悪に、のび太たちは震える。
「殺シテヤル・・・殺シテヤルゾ、ガキガアッ!」
そして放たれる火炎弾―――!
「くそっ・・・こんなもの<ひらりマント>で!」
ザンダクロスはポケットからひらりマントを取り出し、文字通り<ひらり!>と火炎弾を跳ね返す。跳ね返された
火炎弾は逆にフェニキアの身体を包む―――だが。
フェニキアの機械の身体は、ビクともしない。
「そんな・・・なんて装甲だ!」
「ククク・・・自ラノ炎デ焼カレル馬鹿ナドイルモノカ。サア―――」
<機魔竜>が―――フェニキアが、迫る―――!
「地獄ヨリモ熱キ我ガ憎悪―――思イ知レ!」
210サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/09/28(水) 20:52:47 ID:q0pLWy+F0
投下完了。前回は>>140より。

>>175
USDマンは強いけど、単純に実力で上回って勝利、みたいなかんじになると思います。
いくら強くても、まだ強いのも一杯いるから、ちゃんと実力で勝ってもらうくらいにインフレしないと
やばいので・・・。
211作者の都合により名無しです:2005/09/28(水) 21:39:33 ID:jQyj/mMJ0
はいはい サマササマサ
212作者の都合により名無しです:2005/09/28(水) 22:19:10 ID:7LkYql400
サマサさんお疲れです。
稟・亜沙・プリムラのシャッフルチームがなんか主役に見えますなあ。
ドラえもんチーム影薄いやw
<機魔竜>フェニキアって元ネタなんでしょうか?やたら強そうですが。
機械仕掛けの竜って、なつかしのゾイドみたいな感じかな?
あと、サイバスターとザンダクロスってどっちが強いの?


あと、前に>>211は前に「サマサ!サマサ!」って言ってた人?w
213聖女 ◆9RaBw0NoLw :2005/09/28(水) 23:04:17 ID:yjnG3x300
>>191
隣接している感じが良いですね。ただ、大都市に住んでるヤツ(日本人牝ガキ)以外は、
途上国のローカルな使い手、という感じになってしまいますよね。
言い忘れましたが、カントリーロードとか唄ってたヤツとかも、大戦には十中八九氏ぬだけだろうと
参加はします。
隣接はしているものの分散しているので、トーナメントよりはバトルロワイヤルみたいに
するのが良さそうですね。191番さんはいかがお思いですか(^−^)?
地域が隣接してるヤツらが先ず戦いを始めて、徐々に人数が絞られる、という方式が
良さそうですね。
214聖女 ◆9RaBw0NoLw :2005/09/28(水) 23:12:21 ID:yjnG3x300
錬金と星矢のコラボですかー。
星矢、不良一トーナメントの河合星矢とペガサスのが対戦したら面白そうですね。
河合が50分の1秒とかでワンツーくらって吹き飛びそうですが。
サンクチュアリの雑兵は、剣道3段+竹刀の人に突き倒されていたから、
雑兵だったらホーリーランドとかのキャラクターらのボスキャラに1匹良さそうですね。

錬金といえば、ハガレソキャラとかオリジナルで乙武洋匡とか出現したら面白そうですよ。

ジブリ大戦ですが、戦国自衛隊みたいにするのはどうでしょうか。
トンネルに限らず、雷雲でも虹色の雲でも何でも、抜けた先が別の地域なんですよ。
時代や世界が別のヤツらも、これなら大丈夫です。
キキがもののけ姫世界に出現した場合は、ほぼ孤軍奮闘ですが空から何か落とすとか
偵察するとか、一緒に来た飛行機関係のヤツらと武将に協力したりするのも良さそうです。
キキの地元VSもののけ日本とかになると、魔宅VSも姫という作品対決になりますが、
少人数だと物足りない場合は、そうすると良さそうですよね。
215作者の都合により名無しです:2005/09/28(水) 23:12:46 ID:FG3cAp2E0
>>213 
じゃあ、二つ意見を出します。一つ目は隣接している国(場所)どうしを戦わせ人数を絞るところがバトルロワイヤル、
一定数の人数になったらトーナメントというふうにする。
二つ目は国(場所)どうしで戦うバトルロワイヤル。そして各国の代表同士で再び、
バトルロワイヤルを行なう。
いかがでしょうか。
216作者の都合により名無しです:2005/09/28(水) 23:13:00 ID:u16l2j3F0
>>213
みんなで話し合いながらストーリーを作っていきたいんなら
別にどこかで専用スレたててやった方がいいと思いますよ。
その後で職人や参加者を募るくらいはいいと思いますけど、
ここでは少々スレ違いになると思います。
217聖女 ◆9RaBw0NoLw :2005/09/28(水) 23:18:44 ID:yjnG3x300
キキの場合は、地元で飛行機関係のヤツらとドッグファイトするとかの
文明戦も面白そうでは有りますよね。ラピュタロボには箒じゃ敵わないと
思いますが、キキの地元の文明レベルならいけそうです。
飛行機関係のヤツは、天然痘の培養と種痘のすべも併せ持っていることとかもありうるし。
現代日本にラピュタが降臨したりすると、カントリーロードのヤツとかじゃアウトでしょうね。
逆に王蟲が群で湧いて出たら地上戦で勝てるヤツは居ませんよね。
218聖女 ◆9RaBw0NoLw :2005/09/28(水) 23:19:39 ID:yjnG3x300
わらひは>>191さんに話しかけているだけです。職人様ではない方は別のスレにどうぞ。
219作者の都合により名無しです:2005/09/29(木) 00:13:05 ID:QnxM/N/K0
ここって「出来上がった話」を発表するスレで、「この場で話を作り上げる」スレではないと思うのよ。
>>216と内容重複ですが)
新しくスレ立ててやった方がいいんじゃない?
つか、ジブリなら漫画じゃなくてアニメ系の板なんじゃないか??
220作者の都合により名無しです:2005/09/29(木) 01:46:51 ID:2wwOERcQ0
>聖女さん
誰に話しかけてるとかじゃなくてスレの主旨と合ってないし、
こんなとこで話合われても他の職人さん方に迷惑なだけだから。

あなたのやりたいことは別スレたててやった方が機能するんじゃない?
ってこと。ナウシカは宮崎駿が描いたしっかりした漫画原作があるから
ナウシカSSを発表する分には問題ないと思うけど。
221作者の都合により名無しです:2005/09/29(木) 07:40:55 ID:X/f7zqLD0
サマサさんお疲れ様です。
フェニキアって大長編ドラに出てきた敵かな?
しかしこれからどんどんシリアスなインフレバトルになりそうですね。
でも、やはりバトルにヒラリマントは必需品ですかw


>皆さん
もう、聖女さんはスルーしましょう。どうやら確信犯ですよ。
私も透明あぼーんする事にします。
222新参者です。:2005/09/29(木) 08:56:00 ID:2z/zF0dE0
のび太と大ローマは更新されないのでしょうか??
223聖女 ◆9RaBw0NoLw :2005/09/29(木) 11:02:39 ID:+e4imAG70
アニメでもいいじゃないか 相田みつを

>>191
どうか気にせずお創りくださいませ。
「世にも奇妙な物語」を題材にした奇妙大戦、も考えていましたが、
ますます主旨違いなので奇妙大戦は提案いたしません。
224作者の都合により名無しです:2005/09/29(木) 12:35:19 ID:X/f7zqLD0
>>222
私も作者さん待ってますが、多分もう見込みは薄いと思います…
サイトの長編カテゴリの中の「大ローマ」と「バキ デスゲーム」は
正直もう厳しいかも。ザクさんも最近見ないな…

あと、もうすぐサイト20万ヒットですね。パート30位で達成かな?

225黄金時代第八回―暗黒の黄金―:2005/09/29(木) 14:39:13 ID:3Ymwl1Hn0

「尊い精神とは何ですか?」

折れそうな意思だっただが、折れることは無かった。
彼の理想の姿を見てしまったから、自分で折ってしまう訳にはいかなかった。

「それは初志を貫徹する鋼の強さと、何事にも屈しない黄金の気高ささ。
 決して屈せず、己を信じ、
 その研鑽のすべてを四肢にみなぎらせその精神の強さを武器に戦うもの、聖闘士。
 その聖闘士たちの極点
 それが地上における女神アテナの最強の戦力であり、
 太陽の欠片である黄金の称号をもつ12人の黄金聖闘士なんだよ」

風向きが変わったせいか、むっとするような空気がフードの中まで入り込んできた。
人の混雑の臭いとでもいうか、濃密な人いきれの臭いとでもいうか、
知らない人間にはこの空気は決して好ましい臭気ではない。
しかし、彼はこの臭いが嫌いではない。嫌悪の情が沸くという事は無い。
だが、寝起きにこの臭いは、慣れていてもいささかきつい物がある。
彼の17年の生涯の中で、この臭いとの付き合いは実に長い、
彼が生きてきた年月のほぼすべての付き合いだから。
木を隠すには森という。
最悪の外交の末路。戦禍をさけて命からがら逃避した果てに他国との国境沿いで難民村が形成されることは、
実はそう珍しいことではない。
彼の生まれ故郷はそうしたいくつもの難民村の一つだったし、彼の同胞だった人間にも少なくない。
人は一人では生きてはいけない。だが二人集まれば争いが起こる。
虐げられるばかりが人ではない、戦禍という理不尽に抗う術をもたない人間たちの為に武を振るう事こそ正義。
彼は理不尽な争いの果て、難民となった家族を見てそう決心した。
226黄金時代第八回―暗黒の黄金―:2005/09/29(木) 14:40:30 ID:3Ymwl1Hn0

彼には理不尽に抗う鋼の魂があった。
宇宙開闢の爆発の残滓、はるかなる魂の沃野、万理を超越する神秘の種火、
それを小宇宙という。
戦と知の女神を奉じ、地上の愛と正義の灯火を理不尽の風から守る為、
小宇宙をもって戦う者・聖闘士。
小宇宙の爆発的燃焼こそが聖闘士の骨子である。
理不尽に抗う鋼の魂をもったこの少年は、その才を発揮し、
ついに白銀聖闘士の一人となる事が出来た。

だが、理不尽とはあらゆる処に潜み、牙を突きたて詰めを振るう機会を狙っている。

「教皇は変わられた」

そんな噂を初めて耳にしたのは、彼が晴れて聖闘士になって直の頃だった。
聖闘士の頂点である黄金12人、その長兄役の一人であり、
聖闘士の鑑とさえ言われた黄金の精神を持った漢、
射手座の黄金聖闘士・サジタリアスのアイオロスがアテナ暗殺を目論むが失敗し逃走、
彼は聖域から脱走する最中に
山羊座の黄金聖闘士・カプリコーンのシュラによって処刑された。
時期を前後するが、同じく長兄役のもう一人、神のごとく清らかな漢と言われ、
聖域すべてから慕われた男、双子座の黄金聖闘士・ジェミニのサガも失踪。
不測の事態は老体の教皇を随分と苛んだのだろう。
そんな噂が実しやかに聖域の盛り場で囁かれるたびに、
彼は状況を省みてそう思っていた。

そう、教皇の素顔を知るその瞬間までは。
227黄金時代第八回―暗黒の黄金―:2005/09/29(木) 14:41:41 ID:3Ymwl1Hn0
偶然か必然かは知らない。
だが、それは事実だった。
教皇の付き人や教皇の間の職員が、
聖闘士や聖闘士候補生だった人間が拝命することが多いのは、
アテナの代行とも言うべき存在である教皇は、
他勢力から狙われることも多いからでもある。
いくら心身の極致に至った黄金聖闘士といえども、人だ。
不死身ではないし、食事も摂れば居眠りもするし当然疲れもする。
不意を付かれれば当然死ぬ。
そんな不意という悪意から教皇の御身を守り、
教皇の激務を少しでも軽減することが教皇の間に詰める事、
それが職員に課せられた任務だ。

彼はそんな教皇の間に勤める職員の一人だった。

「教皇!何があったのです!」

教皇の付き人を勤める同僚、
黄金の金牛・アルデバランに比肩するほど堂々たる体躯を持った男が
血相をかえて浴場に飛び込んでいった時、少し遅れて彼も浴場に向かっていたのだ。
教皇シオンは常々黄金のマスクで素顔を隠していたので、
教皇の間の職員といえどその素顔を知る者は無い。
教皇の親友であり、かつての聖戦を戦い抜いた戦友、
老師こと天秤座の黄金聖闘士・ライブラの童虎くらいしか
彼の素顔を知るものは無いとされている。
神秘性を高める為だとか、教皇シオンの趣味だとか、実はキャスバル・ダイクンだとか、ラオウの真似だとか
色々と噂のある教皇の素顔だが、彼は壮健さを宿した老人を想像していた。
だが、彼の目の前で同僚がくびり殺された時、まだ彼は信じられなかった。
228黄金時代第八回―暗黒の黄金―:2005/09/29(木) 14:42:57 ID:3Ymwl1Hn0
禍々しい小宇宙とともに、暗黒の蓬髪を振り乱し、
爛々と、濁り固まった深紅の血の様な瞳で
同僚を何のためらいもなくくびり殺してのけた青年。
それが老師童虎と並ぶ聖闘士の偉大なる師であるはずが無かった。
243年前の聖戦を戦い抜き、
聖闘士中興の祖と尊ばれる大教皇シオンであるはずが無かった。

髪も瞳も変わっていたが、その男を彼が間違えるはずが無かった。

それは聖闘士とはかく有るべしと聖域のみならず、
全世界に散らばる聖闘士の鑑とされた男だった。
神の如しと聖域から慕われた、清らかな清流の男だった。
聖闘士になる為、聖域に入った頃、厳しい修行に逃げ出そうかと思ったときに
彼を優しく諭した男だった。
彼に正義の尊さを、彼の理不尽に抗う勇気を褒めた男だった。
彼の中に輝き続ける英雄だった。

双子座の黄金聖闘士・ジェミニのサガがそこに居た。

何事かぶつぶつと呟いた後、在りし日の姿に戻ったサガの姿を見ても、
もう彼は驚くことは無かった。
同僚の叫びを聞いて柱の影に身を潜めなければ同僚と同じ末路だっただろうが、
それは彼を更に苛むことになる。
この真実を伝えなければならない。
この悪徳を暴かなければならない。
この理不尽を打ち倒さねばならない。
自分の正義に従い、そう考えた彼は親友に秘密を打ち明けるために秘密裏に聖域をでた。
己一人では無理かもしれない。だが、親友であるケフェウス座の白銀聖闘士・ケフェウスのダイダロスならば、
この理不尽を打ち倒し、聖域をその名のとおりの聖域に戻すことが出来ると信じたのだ。
229黄金時代第八回―暗黒の黄金―:2005/09/29(木) 14:43:51 ID:3Ymwl1Hn0
彼は陸路を選び、徒歩でトルコを越え、中東を越え、ようやくエジプト国境にたどり着いた。
明日にはエジプト入りすることが出来るだろう。
早々と露見することは無かったのか、
今まで追手が掛からなかったことが気になってはいた。が、決して楽な道ではなかった。
紛争地帯の真只中を通るのだ。銃口を向けられることも多かった。

そしてそれより多くの理不尽を見逃した。

大事の前の小事といえば聞こえはいいが、
聖闘士の力を振るって虐げられる人々を救えない無常に涙した。
俺は一体何の為に聖闘士に成ったのだ。この理不尽から人を守る為だったのだろう!
声を押し殺して涙した

だが、この懊悩も苦悶も更なる理不尽を打ち倒す為だと心を鬼にした。

エジプト入りした後は、
聖闘士としての技能を凝らしてダイダロスの元へと行ったとしても大事無いだろう。
彼と彼の弟子ならば、白銀聖闘士だけでなく
幅広い人脈をもつダイダロスならばサガの悪徳を打ち倒すことが出来るだろう。
230黄金時代第八回―暗黒の黄金―:2005/09/29(木) 15:10:53 ID:3Ymwl1Hn0

「よぉ」

街中で知人にばったり出くわしたような声色で、
嗜虐を湛えた澱みのような笑みをした男が彼の後ろに立っていた。

「…ッ…ッ……ッ!」

理不尽は彼に牙を突きたてた。

「旅行かい?
 バックパッカーの真似事なんてらしくないな、エリダヌスのパエトンさんよ」

その男の笑いは、喉の奥で引きつるような笑いだった。
黄金12宮の守護者の一人、地上最強の12人の一角、
死を操る闇人、死面で巨蟹宮を彩る魔人
積尸気の燐光を纏った黄金の死神がそこに居た。

「それとも…里帰り、か?」

あたり一面の、不安や焦燥すら擦り切れた難民の顔を見やり、
男はそう言ってみせた。

「オレも掃き溜め育ちだがな、こんな処は掃き溜め以下だ。反吐が出る」
231黄金時代第八回―暗黒の黄金―:2005/09/29(木) 15:11:28 ID:3Ymwl1Hn0
嘲りだと気が付くのに、パエトンは一瞬遅れた。
黄金聖闘士ならば、教皇の間の職員の出自くらいは知っているはずだな。
と現実から乖離した心で思う。

「思うんだがな、コイツらは帰る家なんて有るのか?」

うんざりだ、とでも言いたそうな。イタリア人らしいオーバーなアクションで男は言う。

「無いよなぁ…?」

瘴気が湧いていた。

「有る筈が無ぇんだ」

引きつったような音が、目の前の男の笑い声だと気が付く。

「だが、だ」

嗜虐の笑みは、男の顔面に亀裂のように広がり、暗黒の愉悦がにじみ出ている。

「帰る場所は、ある」
232黄金時代第八回―暗黒の黄金―:2005/09/29(木) 15:11:59 ID:3Ymwl1Hn0


理不尽だ、とパエトンは思った。
理不尽だ、有っていいはずがない。
理不尽だ、この己が倒すべき敵なのだ。
理不尽だ、この己が許してはいけないものなのだ。

「積尸気ってのはな、死者が冥府へと旅立つ門なんだよ」

男とパエトンを中心に、放射状に難民が倒れていく。
放射状に死が難民を抱きしめていく。
死は、あまりにも容易くやって来る。

「パエトンさんよ、一人じゃ寂しいだろ?」

理不尽だ。こんな男が、こんな外道が、黄金の聖衣を纏って良い筈が無い。

怒号と共に、聖衣聖櫃が開かれ、白銀の煌きと共にエリダヌス座の聖衣が現れる。
巨大なエリダヌスの大河の聖衣は、護る事に特化した聖衣だ。
攻撃こそ最大の防御ならば、防御こそが最大の攻撃である。
その思想の元に作られた彼の聖衣の印象を言うなれば、究極の盾だ。
万敵の魔手から護りとおし、氾濫と共に沃野をもたらし大敵を滅ぼす神話の大河。それがエリダヌス河。
アポロンの子を呑み込んだその大河は、今やパエトンと共に悪を呑む暴れ河となった。

「貴様らの理不尽、女神が許してもこの俺が許さんッ!
 理不尽に理不尽を重ねることはこの俺が!エリダヌス座のパエトンが許さん!
 エリダヌスの大河に呑まれて死ね!」

233黄金時代第八回―暗黒の黄金―:2005/09/29(木) 15:14:32 ID:3Ymwl1Hn0
破壊とは、原子を砕くこと。
聖闘士の小宇宙はあらゆる全てを破壊する。

「食らえ!エリダヌスコンタラクト!」

最下級の青銅ですら、その拳は音速を踏破し物質の根幹すらも打ち砕く。

「デスマスクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」

それが頂点の黄金ともなれば

「そうだ、それがお前が浮かべる表情だ」

小宇宙そのものの爆発によって生み出される黄金聖闘士の破壊は、意思も魂すらも破壊する。

「積尸気冥界覇ァー!」

234黄金時代第八回―暗黒の黄金―:2005/09/29(木) 15:15:49 ID:3Ymwl1Hn0
その場をぼぅっと見ていた老人は、その光景を見た。
瘴気が難民村を埋め尽くし、命が吹き消される光景を見た。
魂が積尸気に吸い込まれていく。
空に開いた虚ろな洞に呑まれていく。
空の虚ろが、魂を吸い出していく恐ろしい光景こそが、老人の見た最期の光景だった。

パエトンには信じられなかった。
これほどの格差なのか。
これほどのものなのか。

理不尽だッ!

理不尽だ!

理不尽だ。

理不尽だ…。

初志を貫徹する鋼の強さと、何事にも屈しない黄金の気高さ。
向けられる方向が狂えばそれはすなわち暗黒の黄金となる。
パエトンはふと、あの時のサガの言葉を思い出し、納得した。
この男もまた、黄金なのだ、禍々しく輝く、暗黒の黄金なのだ。

「人間が最期に浮かべる表情だ、魂に刻んで逝け」

理不尽は彼をその爪で引き裂いた。

「そうだ、オレがデスマスクだ」
235銀杏丸:2005/09/29(木) 15:34:29 ID:3Ymwl1Hn0
覚えておられる方居られますでしょうか?
オムニバス形式で黄金聖闘士のSS書いている銀杏丸です。

悪くてカッコいいデスマスクを描きたくて書いてみたのですが、
うまく雰囲気出てますでしょうか?
ハーデス編ののりぴー語だったりへタレだったりする彼も味があって良いんですが
やっぱり初登場時に紫龍ぶちのめしたあの強大さも捨てがたいので
そんなイメージで描いてみました
聖闘士聖衣神話のデスマスク発売にあわせて投稿したかったですw
今回登場のパエトンはアニメにもでてましたが、別人という事でよろしくお願いします
エリダヌス座は実在の星座ですが

シュラの回ににかよっちゃったかなぁというのが懸念材料…
忌憚のない意見いただきたいです












まだ無い内定テラヤバスwwwwwwwwwwwっうぇwwwwwww
236新参者:2005/09/29(木) 15:38:48 ID:2z/zF0dE0
>>224
そうですか・・・寂しい限りですね。
誰かが、代わりにやるとかは、無理なんでしょうか??
元の作者にはしつれいですけど・・・・。
237聖女 ◆9RaBw0NoLw :2005/09/29(木) 16:36:30 ID:bs+mQkFe0
デスマスク、ハーデス編の終盤で巨蟹宮から発光した時のブロンズらの反応が
素敵でしたよね。だいぶ意外だったのですね。
238作者の都合により名無しです:2005/09/29(木) 19:13:04 ID:aWxtXNPf0
復活ブームか?嬉しい限りですな。
パート30では職人さん勢ぞろい!とかだったら嬉しいな。
銀杏丸氏、幸運を祈っておりますよ。
就職活動に疲れたら気分転換にでも着て下さい。

>黄金時代
なんとなくこの作品見るとチャンピオンレッドの連載をいつも思い出すw
シリアスな教皇の描写に突然ラオウの真似とか入ってきて笑った。
けど、全体的にはやはりシリアスでしたね。
捨てキャラにするには勿体無いパエトンと、格の違いを見せ付けるデスマスク。
いい感じだ。のりP語を後に話す奴とは思えない。
そういえば、蟹座とうお座生まれの奴は苛められてたなあw
239作者の都合により名無しです:2005/09/29(木) 20:27:06 ID:I0cs3P6r0
銀杏丸さんお久しぶり。なかなか就職戦線はうまくいきませんか…
でも文章力上がりましたね。デスマスクが怖くてかっこいいです。
パエトンはオリジナルキャラかな?キャラ立ってましたね。

>>236
なかなかそういう訳にはいかないでしょうねえ。
本人が戻ってこられるのが一番ですけど。
240作者の都合により名無しです:2005/09/30(金) 01:22:57 ID:B9uQJ/vu0
パエトン号事件
241作者の都合により名無しです:2005/09/30(金) 08:11:14 ID:dHOJEgWl0
銀杏丸さん内定ヤバい中、お疲れ様です。
ちょっとデスマスクがキャラ違う気がしましたが
(原作でもコロッと変わりましたがw)
それでもゴールドの恐ろしさが伝わってきました。
また、お願いします。あともうひとつ

  内 定 ガ ン ガ レ
242新参者:2005/09/30(金) 08:29:26 ID:+sFOkgo20
>>239
そうですよね・・・。居ない人もどってきてほしいな。
243作者の都合により名無しです:2005/09/30(金) 15:20:23 ID:gOZcgRNt0
銀杏丸氏乙。
ゲロさんもそうだけど、こういう短編の一話完結っぽい
オムニバスが俺は一番好きだ。いい意味で気楽に読める。
(長編ももちろん好きだけどね。)
まさしく蟹さんの黄金時代ですな、今回の話は。
就職活動ともどもSSも頑張って下さい。
244不完全セルゲーム:2005/10/01(土) 01:05:10 ID:HovFVlPp0
>>168より。
245不完全セルゲーム:2005/10/01(土) 01:06:24 ID:HovFVlPp0
第三十二話「マザーコンピュータ」

 翌朝──16号のボディ取り付けが終わり、皆も起き出す。少し冷えた風が吹き抜ける、
さわやかな朝であった。
 すっかり修復された16号が、コンピュータに礼を述べる。
「ありがとう。以前よりも、調子が良くなった気がするよ」
「当然だ。新ボディになり、多少パワーアップしたはずだ。ヘルズフラッシュも、威力が
かなり上がったはずだぞ」
 それを知り、すかさずセルに熱い視線を送る16号。怯えるセル。
「さて、そろそろ出発するか。あまりここに長居しても、仕方ないしな」
「え、いきなりだな。水のクリスタルについて、少しくらい話し合った方がいいんじゃな
いか?」
 疑問をぶつけるセル。が、17号はあっさりと切り返す。
「いや、在り処はゲロが教えてくれた。砂漠にある、オアシスとか称される村らしい」
「なるほど、ゲロが在り処を“吐いた”というわけか。ふっ……我ながらナイスギャグだ
ぜ」
「ヘルズフラッシュ!」
「げぶァッ!」
 久々にヘルズフラッシュが炸裂する。パワーアップしたにもかかわらず、のた打ち回る
セル。やはり、こうでなくてはならない。
246不完全セルゲーム:2005/10/01(土) 01:07:10 ID:HovFVlPp0
 さて、いよいよ出発が近づく。セルが別れの挨拶を交わす。
「私が完全体になったら、また来てやるよ」
「余計な気を使うな。まだ君が、完全体になれるとは限らんからなぁ。ハッハッハ」
 マザーコンピュータに手を振りつつ、飛び立っていく一行。
「出発を見送ってくれたコンピュータに、また見送られるとはなぁ……」
 しみじみと、セルが語る。旅立ちから今まで味わってきた、さまざまな出会いや事件が
蘇ってくる。──と、唐突にセルジュニアが笑いかけてきた。
「パパ、もしかして泣いてんの?」
「バ、バカッ! 私が泣くわけないだろ、これは涙だ!」
 矛盾に満ちた回答に、リアクションを失うセルジュニア。やはり、ある意味では、まだ
まだ父に及ばない。

 ──小さくなるマザーコンピュータ。
 ──小さくなる地下研究所。
 ──小さくなるレッドリボン本部。

 やがて、これらは地平線に呑み込まれ、消えてゆく。
 過去との決別──彼らはやってのけた。もう、彼らは自由である。完全体にならずとも、
セルを助けずとも、咎める者はいない。しかし、彼らは戦うだろう。ゲロやレッドリボン
など関係なく、自分自身のために。
 ──旅がもうすぐ終わる。

 残されたコンピュータは、和やかに音声を流す。
「セル、でかくなったな。ボディガードとも絆を結び、まさか子どもまで授かったとはな。
もう、君たちは過去(レッドリボン)の操り人形じゃない。決して安易な世界ではなかろ
うが、未来は君たちを待っているはずだ」
 徐々に、音量が小さくなっていく。まるで線香花火のように。
「では、私は後始末をつけよう。これでレッドリボンは終わる。土に還ることは出来なく
とも、せめて森の一部となって君たちを見守ることにしよう……」
 音声が、消えた。人工知能を自ら破壊し、全機能を停止させた。もう永久に、マザーコ
ンピュータが起動することはない。
 子を案じ続けた母は、しつけが完了したことを知り──安らかな眠りについた。
247不完全セルゲーム:2005/10/01(土) 01:07:50 ID:HovFVlPp0
 対して、セルたちが目的地に定めた小さな集落。
 昔は干ばつに苦しめられていたが、今では降水量が奇跡的に増加し、オアシスと呼ばれ
るまでに成長した村だ。
「ナム。わりぃが、ここで戦いになっちまう。おめぇは村人たちを引き連れて、なるべく
遠くまで逃げてくれ」
 ナムと呼ばれた男。かつて天下一武道会に出場した経歴もあり、今ではこの地で村長を
務めている。皆から好かれている好人物である。
「うむ。我々が守り神として祭っていた宝石が、まさかそんなにも恐ろしいものだったと
はな……。では、武運を祈っている!」
 一礼とともに合掌すると、ナムは村人を率いて立ち去っていた。

「カカロット、どうなんだ?」
「いやぁ、やってみなきゃ分からねぇよ。おめぇもトランクスもやられて、悟飯も撃退さ
れちまうほどの奴らだしな」
「ちぃっ! 余計なお世話だ!」
「昨日も、セルに似たでけぇ気が生まれたんだが、気では劣るはずのセルたちに消されち
まった」
「あぁ、一体何者だったのかは分からんがな」
「とにかく、あいつらは結束がかてぇ。オラたちも協力しないと、ぶっ殺されっかもしれ
ねぇぞ」
「……ふん」
 無人と化した村にて、語らう戦士二人──決戦、近し。
248サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/10/01(土) 01:11:35 ID:HovFVlPp0
ラストは水のクリスタルで。
249作者の都合により名無しです:2005/10/01(土) 01:46:57 ID:zCIWQ5BA0
そうか。まだ水のクリスタルがありましたね。
そして悟空との決戦も。いよいよ最後ですか。
どんどん名物SSが無くなっていくなあ。
最後は、超決戦でお願いします。
250それゆけフリーザ野球軍:2005/10/01(土) 05:32:28 ID:e5+/DjLk0
現在ノーアウト1塁。次のバッターであるアプールはネクストバッターサークルで素振りをしている。
もうどこからでもオッケーと言った感じだ。

一方、我らがフリーザ野球軍は皆フリーザの元に集まりなにやら談義している。
「フリーザ様・・・・。」
真っ先に口を開いたのはギニュー。2回のときとは違い明らかにその表情には余裕がない状態になっている。そしてジースは
「クソ!あいつ等、元からこのつもりだったんだ・・。4回当たりからおかしいとは思っていたんだ。」
捨て台詞をはく。そう、ことの始まりは4回の表。1アウトランナー無しのことだった。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
<4回表>
「さあ、先程の回は難なく抑えたフリーザチーム。この回、早くも1アウトを取りました!次は3番のアプールです。」

「ほほほほ、所詮はアプール。いくら出て来ても同じことですよ!!」
2回のことはとっくに忘れているフリーザ。そこでミルコが
「フリーザ様。確実に行きましょうぞ!」
と念押しする。
「ミルコさんも心配性ですね。まあ、そこが良い所なんですけどね。」
先程から四連続でアプールを押さえているのでミルコの助言も話半分と言ったところのようだ。

「プレイボール!」

審判の声とともに三番のアプールを迎えるフリーザ。
(ふむ、サインは内角の低めですか。)
サインが覚えられないフリーザはドドリアのミットの位置を見て初めて自分が投げていい場所を知る。
これはある意味、敵ベンチから見れば答えを知りながら”テストを受けているのと一緒”であるが、
フリーザの唯一つのいいところである”類まれなるコントロール”を持っていることから、答えを知っていても途中式がなくては
点数にならないテストを受けさせている状態にしているのだった。

「フリーザ選手・・・。第1球を・・・投げました!」
251それゆけフリーザ野球軍:2005/10/01(土) 05:35:19 ID:e5+/DjLk0
キュルキュルキュル・・・
いつもとボールが空を切る音が違う。それほど今のフリーザは乗りに乗っていることの表れのようだ。
「よいしょ!」

カキ!

「お〜と、アプール選手!非常にお粗末なバッティング!ただ当てるだけでまるでやる気を感じられません!」
(ほほほ、アプールどもはついに試合を諦めたのですかね〜)
フリーザはそんなことを考えながらボールを拾い、ミルコの元へ送球しようとする。
しかし、フリーザがボールを投げる直前になって

ダッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

と突然地を這うように全力で飛び始めるアプール。
「ほほ、もう遅いですよ!」
それには全く動じずフリーザは勝ち誇った表情で送球。そして・・。
「アウト!!!」
当然アウトになるアプール。アプールもかなりの速さで飛んだが、やはりボールの方が早く
ミルコのすぐ側をただ通り過ぎるだけの結果になった。
「ほほほほ、一体何がしたいのですかね〜。」
そう言いながらフリーザは腕を上げ、ミルコからボールを返球してもらう。

「さあ、この回も2アウトになりました!いや〜、この回も絶好調のフリーザチームです。それに比べてアプールの方は
あまり元気がない様子。これをどう見ますか?バーダックさん。」
「次の打席で少しは解るでしょうね。あのアプールのプレイは。」
「はあ?そうですか・・。さあ、次は4番のキュイ選手です。」

「よっと、やっと俺の出番か・・・。」
キュイは先程の打席と違い全くの挑発もなく普通に打席に入る。
そしてフリーザはドドリア(ミルコ)のサインを確認して投球モーションに入る。
「さあ、第1球!投げました!」
フリーザは大声で一人実況をしながら、外角ギリギリより半個外にボールを投げる。
252それゆけフリーザ野球軍:2005/10/01(土) 05:36:01 ID:e5+/DjLk0
「よっと。」
またも中途半端なやる気のないスイングで今度は一塁線にボールを転がす。
「ファースト!」
ドドリアは自分よりもミルコの方が距離が近いのでファーストに指示を出す。
「ミルコさん!早く私のところへ!」
ちゃんとファーストカバーに入るフリーザ。しかし・・。

「お〜と、キュイ選手もやる気のないスイングでファーストゴロのようです。」

しかしキュイは突然戦闘力を開放してミルコの方へ突っ込む!肝心のミルコは丁度、ボールを捕球したばかりだ!
「ミルコ殿!」
ギニューが声をかけミルコは寸前のところで避ける!距離があったのが幸いだったようだ。
「ミルコさん!セカンドへ!」
ミルコが避けて一瞬安心している間に1塁を蹴って2塁へ!ミルコは全力で2塁へ投げる!
しかしキュイは腐ってもキュイ。戦闘力に恥じない見事なスピードであっという間に2塁まで行ってしまう!
が、なぜかキュイは突然スライディングをし始める。

ズザーーーーーーーーーー!!!!

キュイのスライディングのせいで大きな砂煙が起こる。これではジースにはボールが見えない。
「げ!卑怯・・・・くぇqqっりぇt」
が何の幸運だか知らないが、無駄口をたたいたジースの口に都合よくミルコのボールが入り込む。
「アウト〜〜〜!!チェンジ!!」
どうやらこの手は常套手段らしく、いつの間にか審判は水中眼鏡をかけていた。
253それゆけフリーザ野球軍:2005/10/01(土) 05:37:17 ID:e5+/DjLk0
「おい!確実にわざとやっただろ!てめえ!」
センターにいたバータや他のメンバーはキュイを取り囲む。当のキュイは
「さあ?俺は間に合わないと思ったからスライディングをしただけだぜ!それが何か問題でも?」
「て、てめえ!白を切るつもりか?おい!ジースもなんか言ってやれ!」
そういってジースは後ろからちょこっと出て来て
「ふご、フゴフゴフゴ・・・・。(かなり怖かったぞ!泣きそうなんだからな!と言っている。)」
まだボールが取れていないようだった・・・。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------
254作者の都合により名無しです:2005/10/01(土) 05:52:49 ID:hWCo+ucr0
いたた・・・w
255それゆけフリーザ野球軍:2005/10/01(土) 05:59:52 ID:e5+/DjLk0
<6回表>
「ほほほほ、皆さん落ち着きましょう。こちらを怒らせて守備を滅茶苦茶にする。漫画でも良くある手法の一つではないですか?」
(おお〜、まるでフリーザ様では無いみたいだ〜。)
一同は思わずそう思ってしまう。まあ、すべては4回裏にミルコがトイレにフリーザ連れ込み
「お前は性格が丸くな〜る。丸くな〜る。」と5フリーザドルを糸にたらして揺らせながら催眠術をかけたおかげなのだが・・。

そしてミルコが皆に
「どうせ、あと一人ぐらいはこちらへの嫌がらせをしてくるじゃろうからな。みんな気をつけるんじゃぞ!」
と言い、一同は皆うなずき守備へ戻る。

「ついに6回の表でノーアウトランナーは無しとなりました!ここはアプールチームの腕の見せ所です!」
「まあ、先程からギリギリのプレイの連発はこのためでしょうね!終盤に点数を入れ、なおかつ敵チームを
崩しておけば逆転されずに済みますからね〜。」
「なるほど!さあ、次は9番のアプールです。」

アプールは今度はバントの構えでバッターボックスに立つ。
(一応警戒してここじゃな。ドドリア。)
(解りました・・・。)
とりあえず、バントを警戒しての外側はずし。当然、相手がバスターでも大丈夫なようにだ。
そしてフリーザもその指示に従い。

「ボール!」
当然のごとく、見逃すアプール。続いて第2球。

コン!

ここは手堅く3塁線のバントで1アウト2塁の場面に持っていく。
「ふう、特に何もない打席だったな・・・。って、2塁だから注意しなくては・・。」
何もなかったことに拍子抜けした自分を正しながら、ミルコのサインを待つドドリア。
ミルコはドドリアのサインを頂戴の合図を見て
(次はバッターの顔近くで威嚇してやれ!)
との指示を出す。
256それゆけフリーザ野球軍:2005/10/01(土) 06:02:18 ID:9aGUpUpl0
「さて、ついに得点圏にランナーを仕掛けてきましたね〜。バーダックさんはどう予想しますか?」
「まあ、何かやるならこの場面なんですね。ともかく期待してみましょう!」
「そうですね。おっと!2番のアプール選手がバッターボックスに立ちました!」

(フリーザ様。ここは何かあるかがわからないので、先程と同じく外側に1球外しましょう!)
そしてドドリアは外にミットを構える。
(まあ、外ばかりでは気に食いませんが、何かあってからでは遅いですからね。)
「ボール。」
当然のごとくアプールもビクともしない。
やはりと言った表情でミルコはまた外角に指示を出す。アプールの狙いは2球目の外角だろうから、
あらかじめバックに指示を出してあえて打ってもらいフライで取る作戦だ。

「フリーザ選手・・。第2球投げました!!」

相変わらずの空を切り裂く音ともにアプールはミルコの狙い通りバットを振る。そう、バットだけを・・・。
アプールが空振りしたバットはアプールの手を抜けフリーザへ一直線に飛んでいく。勿論、戦闘力を纏わせたまま・・。

バシィ!!!

投げた直後のフリーザは避けることが出来ずクリーンヒット!
「フリーザ様!」
マスクを取ってドドリアは思わずフリーザの元へ駆けつけようとするが・・・。
「ドドリアさん!三塁ですよ!」
はっ!となり3塁へ全力で送球するドドリア!

ギューン!!!

漫画のような加速音で飛んでいくボール。
ギニューもそれに合わしてスライディング対策として自分からボールを取りに行き、ジースをカバーにあてがってアプールを刺す!
「アウト〜〜!!」
見事なギニューの作戦でスライディングを阻止で2アウト。しかし、フリーザの機嫌が心配な一同は喜びもせずともかくマウンドへ!
257それゆけフリーザ野球軍:2005/10/01(土) 06:02:58 ID:9aGUpUpl0
一同代表として、ミルコがフリーザに尋ねる。
「フリーザ様・・。大丈夫でしょうか?」
フリーザはしばらく黙ったままだったが、すぐに顔を上げて
「ほほほほ、この程度、蚊に刺されるのよりも何も感じませんでしたよ!」
と笑顔で答える。逆にこの状況が怖いのだが・・・・・。
「あ、あの〜。本当に・・。大丈夫でしょうか??」
「愚問ですねギニューさん。私は野球をしに来ているのです。この程度では逆境を乗り越えたとはいえませんよ!!」
そう言って、皆を守備に戻らせるフリーザ。
先程のフリーザの台詞に一同は感動で涙を堪えていたが、催眠術で何とか凌いでいる事を知っているミルコは
(いや〜、まさか本当に成功するとは・・。馬鹿でよかった!)
等と、無責任なことを思っていた。
258それゆけフリーザ野球軍:2005/10/01(土) 06:04:17 ID:9aGUpUpl0
どうも、しぇきです。
おはようございます。
レスをくれる方々ありがとうございます。

フリーザのコントロールの良さは試合の最初の方を読んでいただければ解ると思います。
ミルコの指示通りの所にちゃんと投げていると言うところで表現したかったのですが・・。
あまりに解りにくいと思うでわざと類まれなるコントロールと表記しました。
文章力があればわざわざ書かなくていいのですけどね・・。

次こそ終わります。
では失礼・・。
259作者の都合により名無しです:2005/10/01(土) 07:19:44 ID:+RPvFiJe0
>サナダムシさん
嵐の前の静けさで、ちょっぴり友情モードのセル一味ですね。
悟空がいいもんに見えない。むしろ悪役っぽい印象。
ところで悟空>悟飯なのかな?強さ。

>しぇきさん
フリーザに催眠術が成功するミルコは最強なのではないか?
しかし、もしあのまま乱闘になったらアプール軍は3秒も持ちませんなw
野球でよかった。
260作者の都合により名無しです:2005/10/01(土) 12:24:37 ID:zCIWQ5BA0
キュイとミルコがやたら強気なのがステキだ。
さらにフリーザがフレンドリーかつ忍耐強いのもステキだ。
終わるってこの試合だけですよね?
その次はいよいよVSサイヤ人ですか。
261脳噛ネウロと名探偵  後編:2005/10/01(土) 18:08:21 ID:/zIagz1m0
脳噛ネウロはぐるり、と一同を見回した。
「皆さん、喜んでください。先生が解決してくれました」

空気がぴぃんと張り詰める。
誰もが無言でお互いの様子を伺っていた。
太った男性は暑さのためか緊張のためか汗が一層吹き出てきたようだ。
女の子はやや青い顔をしている。
眼鏡の男性はそわそわと落ち着きが無い。
中年の女性はこの状況に飲まれたのかぼうっとしている。
私も息を詰めてネウロを見ていた。

「それでは先生、よろしくお願いします」
「犯人は―――」
ネウロの眼が奇妙に輝く。

「お前だッ!」
脳噛ネウロの隣に居た女の子が―――桂木弥子と言ったか―――私を指差した。
262脳噛ネウロと名探偵  後編:2005/10/01(土) 18:09:18 ID:/zIagz1m0
皆が私を見た。
太った男性も。眼鏡の男性も。お手伝いさんも中年の女性も女の子も脳噛ネウロも。
こんなことが有るわけがなかった。
「いったい何を―――」
「解説は僕がしましょう。先生にとっては終わった事件ですからね」
隣に居る女の子を押しのけてネウロが前に出た。

「まず先生が気にされたのはこの部屋の『温度』です」
「暑い、です」
太った男性が汗を拭いながら言った。ネウロが少し笑う。
「そうです。おかしいとは思いませんか? ―――この部屋には絵画が沢山あるというのに!
 僕はよくは知りませんが、先生によると博物館などは低めの温度に保たれているのでしょう?
 それがこの部屋はどうです。こんなに暑くては貴重な絵画が傷んでしまう」
「前から空調が壊れてるだけかも知れねえじゃねーか」
眼鏡の男性が言う。ネウロがそちらを向いた。
「それは無いでしょう。御主人はずっとこの部屋でアヤ・エイジアの絵を観ていたのでしょう?
 これだけ暑ければすぐに直そうとした筈です。絵が痛んでしまいますからね。
 それがそんな素振りは全く見せずに絵に見入っていたのです。
 つまり、御主人が居たとき、いや生きていた時はこの部屋の温度は適温に保たれていた。
 御主人が亡くなってから室温が上昇したと見るのが正しいでしょう」

「それがなんなのよ」
中年の女性が言った。とりあえず自失状態からは脱したらしい。
「御主人が亡くなってから空調が壊れたということも有り得ますが、
 それでもこの温度上昇は急すぎる。犯人が室温を上げたと見るのが自然です」
ネウロがちらりと私を見た。
「では、何故犯人は室温を上げたのか?勿論それによって何か隠したいものが有ったからでしょう。
 死体?勿論違いますね。死亡時間?こんなに早く発見されては隠す意味がありません。
 先生は考えました。―――犯人は凶器を隠したのではないかと」
263脳噛ネウロと名探偵  後編:2005/10/01(土) 18:10:24 ID:/zIagz1m0
「どういう意味だよ」眼鏡の男が言う。
「凶器が発見されなければ解決への道は遠くなる。死亡の原因がハッキリしないのですから。
 とにかく、犯人は凶器を隠すため室温を上げた。もっとも見つかりにくい場所、『空気中』に隠すために」
ネウロは皆の理解を確認するように見回した。
「では犯人はどんなものを凶器にしたのか?
 最初は氷かと思いましたが水が残ってしまう可能性が有ります。先生は別の可能性を考えました。
 これだけ大きな厨房のあるお屋敷です、先生の推測どおり有りました。―――ドライアイスがね」
そしてネウロは私を見据えた。嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。
「全く話にならないね」
私はネウロに言ってやった。本当に話にならない。こんなことが有って良い訳が無い。
「ドライアイスで殴り殺して室温を上げて消したって?馬鹿馬鹿しい。
 私を含む誰もコレクションルームには出入りしていない。不可能じゃないか」
「誰が殴り殺したといいましたか?そこの過剰なまでに皮下脂肪を蓄えた人によると、
 死亡原因は『何かが、後頭部に、ぶつかった、所為』です。殴られたとは言っていない」
「同じじゃないか」
「いいえ。殴り殺すならば部屋に人が入り御主人のもとまでいく必要が有りますが、
 そうでないなら……、凶器だけが部屋に入ればよい」
ネウロは私を見て眼を細めた。とても気分が悪かった。
「ああそうそう、先ほどから先生は気になっていたのですが、随分とウエストが苦しそうですね?
 よほど強力なゴムなのですか?――――それを使えばさぞかし強力なパチンコが出来上がるでしょうね」
264脳噛ネウロと名探偵  後編:2005/10/01(土) 18:11:27 ID:/zIagz1m0
もう誰も口を開かなかった。無言で私とネウロを見比べている。
「つまり貴方の行動はこういうことです。
 まず、厨房に行ってドライアイスを集めた。一つでは小さすぎて致命傷にならないかもしれませんからね。
 そして素手で触っては危険ですし一つに纏める必要も有るために何かに入れた。
 ビニール袋などではドライアイスが気化しない可能性も有りますから、
 そうですね、みかんのネットなどの網状のものがいいでしょう。
 ……そういえば先ほど貴方は落ちているみかんのネットを拾ってポケットに入れましたね?
 先生はしっかりと見ていましたよ」
誰も見ていなかったはずだ。女の子も。脳噛ネウロも。一体誰が、いや何が私を見ていたというのだろう。
「そして貴方は設備管理室に行った。
 そこからはドアさえ開ければコレクションルームの御主人がよく見えたはずです。
 アヤ・エイジアの肖像は入り口の真正面なのですから。狙いやすかったでしょうね」
それを観ている御主人は私に背を向けていた。離れているので私のことなど気がつきもしなかった。
「そして貴方は設備管理室の入り口にそのウエストのゴムを結びつけた」
何かの為に身につけているゴムは強力過ぎて結びつけるのも苦労した。
「そしてみかんのネットに入れたドライアイスをパチンコの玉変わりにして、」
ぎりぎり。
私は慎重に引っ張った。
ぎりぎりぎり。
力が入り過ぎて腕が震え狙いが逸れてはいけない。
ぎりぎりぎりぎり。
しかし弱すぎて勢いが衰えてもいけない。
ぎりぎりぎりぎりぎり。
そして、私は手を離した。
265脳噛ネウロと名探偵  後編:2005/10/01(土) 18:12:40 ID:/zIagz1m0
さあ、どうですか?
 ドライアイスを取ってくることが出来てコレクションルームの室温を上げることが出来、
 さらに御主人の後頭部を狙うことが出来るのは、厨房と設備管理室に出入りした貴方だけなのですよ!」
「不愉快だ」
不愉快だった。こんなことが有りえるはずが無い。有ってはいけない。
「不愉快だ不愉快だ不愉快だ不愉快だ不愉快だ不愉快だ不愉快だ不愉快だッ
 私は名探偵だぞ世界的に有名なんだ凄いんだぞ謎を解くのは私の仕事だ私の権利だ!
 この事件だって私が作った最高の謎を私が最高の頭脳で解くんだ名探偵なんだから!
 脳噛ネウロ!お前探偵助手って自分で言ってたから助手にしてやろうと思ったのに!
 助手は名探偵の手伝いをしてればいいんだそんな小娘が名探偵なわけないだからお前は私の助手なのに!
 探偵を裏切る助手なんてクビだクビいやそこの小娘が居なくなれば―――」
「困りますねえ、貴方ごときが先生と並ぶつもりだとは」
知らぬ間にネウロが至近距離に居た。薄く笑ったネウロは私にだけ聞こえる声で囁く。
「教えてあげましょうか、本物の名探偵との格の違いを」
266脳噛ネウロと名探偵  後編:2005/10/01(土) 18:13:51 ID:/zIagz1m0
その男の人が悲鳴を上げて蹲るのを見てヤコは少し顔をしかめた。
きっとまたエグイことになっているのだろう。
それにしても、とヤコは思う。
あの男の人は自称名探偵だという。
そんなに有名になりたかったのだろうか。
良い事なんてないのに。
ヤコはお気に入りのトリプルラーメン替え玉つきを食べることが出来なくなった。
周りに騒がれてしまうからである。
だからダブルラーメン替え玉2倍付きで我慢しているが時々夢に出てくる。
器だけ有名になっても中身が伴わなければ潰れてしまうのに。
あのアヤですら、世界的歌姫という器に比べて繊細すぎる中身の為に潰れてしまった。
ヤコも時々潰されそうになる。
いやむしろ、アヤは器に相応しい才能を持っていたけれど、
ヤコは完全に器だけだ。実際に事件を解決しているのはネウロなのである。
色んな人と接して。
人の色んな面を見て。
色んな事件に遭遇して。
ヤコの器はどんどん大きくなっていく。中身は空虚なまま。
一体何時まで耐えられるのだろう。
「ヤコ、食事も終えたし帰るぞ―――ん?」
ネウロがヤコの顔を見る。それから男の人に眼をやった。
「安心しろ、ヤコ。我輩が簡単に奴隷人ぎょ……もとい協力者を潰れさせるわけが無いだろう。
 その上アイツと貴様とでは大違いだ。アイツを蛆虫だとしたら貴様はギョウ虫だ」

……あまり嬉しくない、と桂木弥子は思った。

〈了〉
267ぽん:2005/10/01(土) 18:25:24 ID:/zIagz1m0
こんばんは。ぽんです。
書き送れましたが>146からの続きです。

前編を投下後、タイトルを間違えてへこんだり見取り図がずれてへこんだり、
161氏にいきなり正解言われて恥ずかしかったり色々あったのですが、
とりあえず後編も書きました。
矛盾などが無いよう努力はしたのですが・・・、
もし有ったら、題材がトンデモミステリーのネウロと言うことで(以下略)

前編にレスを下さった方々ありがとう御座います。
とても励みになります。
職人の皆様も、書くのが早い方が多いみたいで見習いたいです。

とりあえず、思いつきの一発ネタでネウロミステリーを書いてみましたが難しかったです。
そのうちネタが思いついたらまた来ますのでよろしくお願いします。
268作者の都合により名無しです:2005/10/01(土) 18:33:52 ID:Zu4cU8YG0
ネウロって良く知らないけどコナンとか金田一みたいな漫画?
でも、正直なんかのギャグっぽいネタで逃げるかと思いきや
ちゃんとした推理になってたから感心した。
ぽんさん、またぜひ来てね。
次スレ、キリのいいパート30だからその時来てくれると嬉しいなあ。
ぽんさんだけでなく、今まで書いてた人とかもさ…
269作者の都合により名無しです:2005/10/01(土) 20:02:04 ID:xa2r2p8m0
タイトル、わざと間違えてたと思ってました。
ネウロミステリー、昔のながいけんを思い出すようなオチで面白かったですよ。
マイペースで結構ですので、また宜しくお願いします。
270作者の都合により名無しです:2005/10/01(土) 23:03:34 ID:M+kX5eFc0
俺は前編で大体犯人とトリックわかったけどw
良かったよ。こういうのあまり無かったし。
これからも頑張ってトリック考えて下さい、
普通の作品より難しいと思うけど。
271それゆけフリーザ野球軍:2005/10/02(日) 03:19:47 ID:0kL0KkEn0
「バーダックさん。このプレイは痛いですね〜。フリーザ選手も無事で2アウトランナーなしですからね。」
「まあ、仮にも帝王のフリーザ選手があの位でダメージを負うとは思わないですけどね。」
「さあ、チャンスを失ったところで次は第3球です。」

(フリーザ様は大丈夫なのだろうか・・?)
ドドリアは取り合えず守備位置に戻るが、フリーザの機嫌が心配で心配で余計なことばかり考えているようだ。
(ドドリアよ、次はここじゃ!これで終わりにしようぞ!)
(え、ええ。今度はど真ん中ですか?)
ドドリアはミルコのサインを一瞬だけ見て、すぐさまど真ん中にミットを構える。
(ん?今度はど真ん中ですか?)
ミルコの指示なのであっさり同意し投球モーションに入るフリーザ。しかしそこには血相を変えているミルコが!
「お、おい!ドドリア!ど真ん中低めのサインじゃぞ!!!」
投球モーション中のフリーザを横目に大声でドドリアに向かって叫ぶミルコ!しかし”
時すでに遅し!”フリーザはミルコの声を聞くと同時に投げようとしたので、その声にびっくりしてしまいすっぽ抜けてしまう!!

スポッ!

普段は間抜けな音だが、フリーザたちにとってそれは死神が微笑む様子を擬音。
ボールはゆらゆらとしながら、真っ直ぐとドドリアの元へ向かう。
この時ばかりはフリーザのコントロールの良さにミルコは深く悔やんでいた。
272それゆけフリーザ野球軍:2005/10/02(日) 03:20:23 ID:0kL0KkEn0
一方敵ベンチではキュイ達のこの試合を勝ったと言う不敵な笑い。すべてはキュイのシナリオどおりである。
ドドリアを挑発したことや、執拗な反則まがいのプレイ。
そしてわざとスライディングプレイを見抜かせ、フリーザの機嫌のみに注意を向かせること。
恋人をフリーザに消滅させられた恨みの集大成ここに極まる!!(一話参照)

「お〜と、突然のミルコ選手の声にびっくりしたのかフリーザ選手はすっぽ抜けてしまいました!!」

アプールは絶対の確信を得ながら、戦闘力のコントロールを開始する。
最初は全身から腕と足に、そして腰回りとアプールのすべての戦闘力がほぼ均等に包み込まれ始める。
そして最後は腕からバットへ。
準備は完了。後は力いっぱいスイングしてスタンドへ叩き込むだけだ。
アプールは勝利を確信して大きく振りかぶり、ゆらゆらとしながら真っ直ぐと飛んでくるボールを・・・・・

打つ!!!

もはや擬音もいらないであろう。
その打球はまさに夜空に吸い込まれて行くような速度。
もしくは宇宙が急激に縮小しているようにも見える。
呆然とするフリーザ。愕然とする内野陣・・。
しかし!外野陣は諦めていなかった!
チームのため自分の命のため。
そして何より、”アプールごときに負けるものか!”ということが外野陣のプライドに火をつけたのだ!
273それゆけフリーザ野球軍:2005/10/02(日) 03:20:59 ID:0kL0KkEn0
「バータ!てめえのスピードは宇宙一なんだろ?」
HG語も忘れてリクームが吠える!
「当たり前だ!絶対このボールは取ってやるぜ!」
もはや一蹴の猶予もない。バータは”自称宇宙1のスピード”の名に恥じぬスピードで打球を追い始める!

---------------------------------------------------------------------------------------------
<バータside>
もう、とっくにボールとバータは球場を飛び出しいる。
そしてバータはいつもの何倍もの速さでボールを追う。
何時しかバータの体は自身のスピードで真っ赤に燃え上がり始めていた。
「う、うう・・。」
やはり体の方が限界なのか、バータのスピードが落ち始める。
「やべえ・・。俺の体燃えちゃってんじゃん・・・。皆には悪いが諦めようかな・・・。」
バータの心も体も限界にさし当たった時、突如声が聞こえ始める!!
(バカ野郎!俺はそんな部下を持った覚えは無いぞ!)
「た、隊長・・・。」
(ほほほほ、口ほどにもありませんね。バータさん。これならグルドさんをメンバーにした方がよかったというもの。)
「ふ、フリーザ様・・。そりゃ無いですよ・・。」
(おめえ!絶対にボールを取るって約束したじゃねえか!宇宙1のスピードを持っている!それがおまえだろう!
それを生かさずして何を生かすってんだ!)
「り、リクーム・・。そうだな・・。こんな練習試合ごときで俺は何を・・・。」
本当に聞こえた声かは解らなかったがその言葉が引き金となり、限界を超えたスピードでアプールのボールに迫る!
「よ、よし!これで・・・。」
バータが取ろうとした瞬間、ボールの勢いが急激に落ち地面へすい込まれるように落ちていく。
274それゆけフリーザ野球軍:2005/10/02(日) 03:22:00 ID:0kL0KkEn0
「あ、あれ・・?」
直線的なスピードを出していたバータはその変化に対応できずにボールを追い越し呆然と下を眺めている。
(ゴメン!俺は頑張った!うん、頑張った!)
バータは心の中でひたすらそう思いながらボールが落ちるのを見つめていると、おちゃらけた声が
「バータ!!!!何をやってんだよ〜〜〜〜!」
声の主は言わずもかなジースである。
「お、ボールが落下中ジャン!」
ジースはお気楽な台詞を言いながら、落下中のボールをキャッチ!
「・・・・・・。」
開いた口がふさがらないバータの横で
「アウト〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!チェンジ!!」
と審判の声が!
「・・・・。なんで審判?何でジースもいるの?」
呆然自失な声で二人に語りかけるバータ。
「えっへん!それはだね〜。ワトソン君!」
ジースが自慢げに話そうとすると、審判が
「私は貴方の後ろをただ着いていっただけなんですけどね。」
「ぐえ!先に言わないでくださいよ〜!まあ、俺の方は、じ・つ・は〜。」
ジースが自分がなぜバータに追いつけたか言おうとすると
「ジース選手の方はリクーム選手に投げてもらって、その加速度をプラスにして追いついたわけです。」
「あ〜ん!ひどい〜〜〜!酷過ぎる〜〜〜〜〜!」
五月蝿いジースを無視してさらっとこの経緯を言ってしまう審判。
275それゆけフリーザ野球軍:2005/10/02(日) 03:22:51 ID:0kL0KkEn0
「は、はあ。ともかくチェンジなんですよね?良かった〜〜。」
バータは疲れ果てた顔をして、地面に降りようとする。それに続いてジースも・・。
「ちょっと!地面に降りたらホームランですよ!」
突然の審判の声にびっくりしてボールを取りこぼすジース。地面ギリギリでキャッチのバータ。
「ふう、死ぬかと思ったぜ・・・。」
「はははははは。やばかったですね〜〜!」
「お前のせいだろうが!!!」
「ふう、ともかくアウトということは今、本部に情報を入れておきましたから。ともかく帰りましょう。」
「「は〜い!」」
こうして長い長い6回表は終わったのだった。(文章が)

<6回裏>
二人を祝福して迎え、ベンチに戻ったフリーザ野球軍。
休憩する間もなく、打席にMAX強化栽培マンを送り出しそのうちにvsキュイの対策を練る。
まあ3回以降あの手この手で挑んではいるが、キュイの変化球と速球の前になす術が無かった。
「どうしたらキュイのボールを打てるんでしょうか?ミルコ殿」
「ギニューよ、少しは自分で考えんかい!わしも今考えちょる。」
そこでバータが
「やはり一本足打法か?」
「う〜ん・・。タイミングが合わないから打てないんだぞ。」
と軽く突っ込むドドリア。そして横からジースが
「覇竹っすよ!覇竹!こうビューんと!カキーンと!ウヲ〜〜〜〜!とね?」
と言ったが全員に無視された。その後リクームが
「それよりも殺人X打フォーはどうだフォー?」
と言うと
「「それだ!!」」
276それゆけフリーザ野球軍:2005/10/02(日) 03:24:08 ID:N0Sqeu3u0
納得と歓喜の一同。が、ミルコが
「いや、あれは殺人があからさまだから退場になるじゃろ!ルール書を見たのか?全く・・・・。」
「そういえばそうですね・・。奴等はプレイに打撃を絡めてくるわけだし・・。やはり塁に出てスライディングとかですかね?」
「・・・。だから、塁に出るためにはどうするのかを考え取るのじゃろ!まったく・・・。」
ミルコはヒント集めに鞄から道中読んだ漫画を取り出す。
「こ、これは・・・!」

キーン〜。コーン〜。カーン〜。コーン〜。

突然ミルコに希望の光が射した!
「キュイを打ち崩す方法が見つかりましたか?ミルコ殿?」
ギニューは期待に胸を膨らませミルコに尋ねる。
「ふふふふ、これで!これでいけるぞ!!」
ギニューの言葉を無視してミルコが希望に満ち溢れた顔をしていると、
「ZZZ・・。zz。ふああ〜、話が難しすぎますよ?皆さん?」
と話についていけなかったフリーザは丁度目を覚す。
「フリーザ様!キュイを打ち崩す方法がみつかりました!」
「ほう?流石ミルコさん!で、その方法は?」
フリーザも期待に胸を膨らませてミルコに尋ねる。
「これですじゃ!フリーザ様!」
ミルコはバッ!とある漫画を皆に見せる。
「「こ、これは!Dreams?」」
フリーザ以外の全員は稲妻に撃たれたようなの表情を見せる。その表情を見てミルコは不敵な顔をしながら
「そしてこのページには・・・。」
おもむろにミルコはあるページを指差す。そしてミルコが指差すページの先には・・。
「「周辺視システムだと?」」
「そう!かの久里君達も使っている相手のリリースポイントを見て打つあれジャ!これならストレートのみに
絞っていけば何とかなるかもしれんぞい!
277それゆけフリーザ野球軍:2005/10/02(日) 03:24:51 ID:N0Sqeu3u0
確実とは言えないが、遅い回でも一筋の光明が見えた!
(もともとはポテンシャルの非常に高い猛者ども、底力さえでてくれば・・。)
とそこに期待しているミルコだった。

皆がDreamsを読んでいると、審判がでてきて
「ちょっと、次のバッターは?」
「へ?MAX強化栽培マンは?」
ザーボンが聞き返すと
「見ていなかったのか?チームメイトの打席を!ったく、彼はヒットで出塁したぞ!」
審判のこの言葉にベンチにいる一同が
「「な、なんだって〜〜〜!!」」
と中山秀征がドラマをやっていた番組の漫画版の一コマのような表情をする面々。
「た、タイムですじゃ。審判殿。」
ミルコが反射的にタイムを取り、MAX強化栽培マンを呼び出す。
「ほほほほほ、栽培マンさん?どうやって打ったのですか?」
「きぃきぃきぃき、きぃきぃき・・・。」
「・・・・。私をからかっているのですか?」
思わず殺気を発するフリーザ。
「ふ、フリーザ様。栽培マンは我々の言葉は!」
とっさに中に入る親友のザーボン。その言葉にフリーザはハッとして、
「そういえば、そうでしたね。ではザーボンさん?通訳をしなさい!」
「は!・・・・・・。ふむ、ふむ、なんと!え?マジで?」
278それゆけフリーザ野球軍:2005/10/02(日) 03:28:58 ID:N0Sqeu3u0

1分後・・・・。

「フリーザ様。ミルコ殿。我が友が言うにはある癖があるそうです。」
「ほう、癖ですか・・。それはなんとも漫画みたいな展開ですね。」
「ふむ、それはワシ達をはめるわなかもしれんが・・・。」
フリーザさえ疑心暗鬼状態。それもそうだ、さっきは盛大にはめられたのだから。
「おふた方。それは大丈夫です。キュイでは無くアプールの方なのですから。」
「ふむ、なるほど。そしてその癖とは?」
「変化球の時は体が前かがみに、ストレートの時は両足をしっかりと開いて構えるそうです。今はナイターで照明からの光で
影が動いたことからきずいたそうですが、どうでしょうか?」
ミルコはこれは行けると言った顔で、
「よし!それなら、ストレートに球を絞ろうぞ!変化球は来ても打てないしのう〜。」
「そうですね。あの自由自在な変化はずる過ぎますよ。内角から外角にに曲がってから真ん中低めに行く変化球なんて・・。」
「そういうな、ギニューよ!ともかく突破口が開けたわけジャからな!1点で良い!もぎ取るぞ!!」
このミルコの言葉に全員が励まされ、
「「おお〜!」」
と一斉に叫ぶ!が、肝心のフリーザは
「で、何がどうなっているんですか?」
「I'm don't understand」と言った顔で空気破りしたのは内緒だ。

次の打席に向かうバータを見ながらジースは
(戦闘力のコントロールはしなくても打てるの?)
とひそかに正論を思っていた。
続く。(本当に次回で終わる予定です。)
279それゆけフリーザ野球軍:2005/10/02(日) 03:30:19 ID:N0Sqeu3u0
想定の範囲外でした!こんにちはしぇきです。
バータを書いていたら思ったより量が取られて最後まで書けませんでした。
まあ、後一回あるのですが・・・。
今後ともお付き合い宜しくいお願いします。

忘れている人が多いでしょうけど、グラウンドはフェンスまで2キロあります。
ピッチャーマウンドまで200m。後はピタゴラスで計算すると出てきます。
だから会話しても間に合ったのですね。
ホームランは基本的には地面に落ちるまでです。
まあ、普通の人達ではフェンスの上の球など取れないんですけど、こいつ等は超人なので許してください。
普通にホームランが出そうになるのは、打球のスピード>守備側の反応速度と言うことです。
守備側のスピードが速くても追いつくのは至難の業なのがこの世界。この超人野球です。
打球の速度もリアルじゃ見られないような速度の設定なので・・・。
後、周辺視はちょっと間違っているかも・・。手元にDreamsがないもので・・。いつもマガジンで読んでいるだけなので。

レスくれた方、ありがとうございます。感想をいただけてうれしいっす。

>銀杏丸さん
オムニバスというのは文章力が無ければ書けないと思います。素直に凄いです。
次も期待しています。

>サナダムシさん
終わってしまうのでしょうか?セルvsブウがちょっと見たかったりw

>ポンさん
推理ものって・・・。凄いとしか言えないです。自分は昔、テレビでやっていた推理番組を見ても全く解らないよう人間なので
この先、いくら頑張っても書けないだろうな〜。絶対に支離滅滅になると思う・・。
次回作もネウロですかね?でも時間がかかりそうなので、ゆっくり頑張ってください。

では失礼・・・。
次こそは練習試合を終わらせなければ・・。
280ふら〜り:2005/10/02(日) 10:23:22 ID:4zDBGFfx0
>>ミドリさん
お帰りなさいませっ。今回は推理パートというか、アニメとかなら回想シーンを交えつつ
モノローグが続くアレ。あと斗貴子が「主人公」らしい。敵も味方も謎という環境の中、
成長と正義を誓って拳を握る。熱さと冷静さ、強さと優しさを併せ持った斗貴子……漢だ。

>>サマサさん
>こういう時は強がりでも<ぼくがついてる!>って言ってあげるものよ?
珍しく(失礼)亜沙がお姉さんらしいこといってますな。そういえば、彼女はのび太争奪
戦線に加わってないわけですし。今後は女の子たちにも相談役的な活躍を見たいとこです。
ザンダクロスがひらりマントを使う図もなかなか楽しいですが、事態は深刻。今だマサキ!

>>銀杏丸さん
お久しゅうございます! 蟹は魚と違い、十二宮では実力負けしてない訳で。これぐらい
強く、威厳があり、悪のオーラを纏っていて当然のはず。でも彼のそんな姿、二次創作
でも滅多に見ない。特に蟹ファンではありませんが、彼本来の持ち味が見られて嬉しい。

>>サナダムシさん
激闘を乗り越え、強く成長し、絆を固め、お約束の軽いギャグ(ヘルズフラッシュ)も
忘れず済ませて、更なる戦いへ。しけい荘もでしたが、正統派少年漫画の王道を丁寧に
踏まえてますよね。カッコ良さ、可愛さ、面白さ、全て備えたこのチームが大好きです。

>>しぇきさん
>おお〜、まるでフリーザ様では無いみたいだ〜
さすが絶大な信頼だっ、と思わず吹き出した直後に判明したそのタネ。そこまでやって
たのか策士ミルコ。そこまでやられてたのかフリーザ。段々可愛くなってきたジース、
黙々と働いた栽培マン、まともに野球漫画的活躍したバータと、今回も見所多数でした。

>>ぽんさん
むむ……氷(ドライアイスでしたが)やパチンコなどは、こういうトリックによく使わ
れる道具。思い至らなかったのは無念。ウジ虫とギョウ虫のランク差は不明ですが、
とりあえず脳のあまり使われてない部分の体操をした気分です。また書いて下さいっ。
281作者の都合により名無しです:2005/10/02(日) 17:04:13 ID:QgC/zp6H0
>しぇきさん
練習試合長いですねwしかし、2キロあってもこの連中なら一瞬で到達するだろうな。
相手のピッチャーのくせがあっても勝ちきれないだろうフリーザたち。
勝ってしまったら、キュイとアプールたちは生きていられるんだろうか。
282作者の都合により名無しです:2005/10/03(月) 08:32:22 ID:UkUlXYZx0
お疲れ様ですしぇき氏。
意外と試合中に成長してますね。フリーザとギニューたち。
バータはちゃんと打てますかね。
ところで、サイヤ人たちはちゃんと野球知ってるのかな?
283作者の都合により名無しです:2005/10/03(月) 12:48:55 ID:hP9syYYrO
heyマイク、パーティメンバーを連れてきたぜ。
GJ!ボブ!これで羊も倒せるな。
Taruさん、英語は話せますか?
そんなことより、ミスラとまんこしたい
284作者の都合により名無しです:2005/10/03(月) 20:12:04 ID:pPyk185K0
しぇき氏は気合入ってるなあ。いつも乙。
それにしても超人野球の連中にドリームズとかの漫画は必要ないだろうにw
今日も誰か来るかな?アゲとくか。
285ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/04(火) 01:07:15 ID:Lg2JEYX10
第二十三話「目覚める機神」

のび太たちが出て行って、すでにかなりの時間が経過していた。亜沙とプリムラ、フー子は、時折聞こえてくる
轟音に不安を募らせるばかりだ。
「のび太たち・・・大丈夫だよな?ケガしたりとか、しないよな?」
フー子はそう言って、プリムラと亜沙の顔を交互に見やる。
「大丈夫・・・大丈夫だよ。あの子たちは、誰よりも強いもの。今に平気な顔して帰ってくるよ」
「のび太も青玉も、リルルも・・・ちゃんと戻ってくる。だから、平気。怖がらないで」
「う、うん・・・」
そうは言うものの、その場の全員がそれは気休めに過ぎないと分かっていた。ここにいるメンバーは、全員が普通の
人間とは違う。
人工生命体のプリムラ、人工生命体と人間のハーフである亜沙、風の精霊フー子、そしてマサキ―――。全員が
一種の超感覚とでもいうべきもので、のび太たちが厳しい戦いを強いられているであろうことを直感していた。
<くそっ・・・>
マサキは舌打ちして、自分の存在を宿らせた男―――稟の精神に働きかける。少しでも早く稟の覚醒を促すしか
ないと、半ばヤケクソで眠る稟に語りかけた。
<稟―――のび太たちが、危ない目にあってるんだぞ・・・?>
<あんな小せえガキンチョたちが―――必死に戦ってるんだぞ>
ピクリ、と稟の指先が動いた。マサキはここぞとばかりに畳み掛ける。
<情けないと思わないのか!?こんなとこでグースカ寝やがって!それでも曲がりなりにもサイバスターのパイロット
やってた男か!?さっさと起きやがれ!>
グースカ寝てるのは彼の責任ではないのだが、とにかく思いつくばかりに稟を罵る。自分にできるのはこれしかないと、
ほとんど言いがかりに近いことまで口にする。
<この女たらし!ノータリン!大体お前みたいなのがサイバスターに乗ってんのが間違ってんだ!この×××の〇〇〇の
◇◇◇の・・・!>
もはや放送禁止用語まで飛び出す始末。しかし、その甲斐があったのかどうか、稟が顔を歪め、ググッと身体を揺らす。
「稟ちゃん!?」
亜沙が稟の様子に驚いて駆け寄る。そして稟の目がゆっくりと開いた。
286ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/04(火) 01:08:07 ID:Lg2JEYX10
<やっと起きたか、この野郎!>
「まったく・・・寝てる時に、ゴチャゴチャ言いやがって・・・」
安堵の混じった声で怒声を飛ばすマサキに、稟は苦笑して起き上がる―――と、自分の顔の違和感に気付いた。
反射的に鏡を探す―――そしてそこに映る自分の顔の惨状に、うっとうめいた。
「あ・・・ごめんな、りんお兄ちゃん・・・つい面白くて・・・」
「あはは・・・実は、ボクもちょっと・・・」
「お前ら・・・」
泣きそうな顔になりつつ、稟はがっくりと肩を落とす。
<稟!悪いがへこんでるヒマなんてねえ。早くのび太たちを助けにいかねえと、やられちまうぞ>
「分かってるよ・・・けどさあ・・・」
稟はやるせなく呟く。
「・・・機体のパワーアップイベント後の戦闘に、落書きだらけの顔で出撃したパイロットって、俺が初めて
じゃなかろうか・・・シ〇・アスカだってこんな酷い扱いは受けてないぞ」
<気にするな。気にしたら負けだぜ>
世の理不尽を嘆きつつ、稟は外に出てサイバスターへと向かう。四人―――マサキも勘定に入れれば五人
―――で乗り込み、起動させる。
果たして―――サイバスターが動き出した。そして、それだけで分かることがある―――。
「パワーが・・・今までと全然違うよ!」
亜沙が驚きの声を上げる。ただこうして突っ立っているだけで、以前とは比べ物にならないほどの強い力を
感じるのだ。これで戦闘ともなればどうなるのか―――検討もつかない。
稟は改めてサイバスターの内部を見渡してみる―――すると、どういうわけか以前はさっぱり分からなかった
計器類や操縦桿などが、まるで使い慣れた物のように何を意味するのかが分かった。
<不思議みたいだな、稟。なんでサイバスターのことが分かるのか>
「あ、ああ・・・」
<お前は俺の精神とともに、俺の記憶の一部分も受け継いだ。その中にサイバスターの操縦方法や、戦闘の記憶も
入ってる。つまり自分でサイバスターを動かせるってわけさ。ま、それでも足りない部分は俺がフォローしてやるよ>
「そうか・・・それなら!」
287ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/04(火) 01:09:02 ID:Lg2JEYX10
稟は操縦桿とレバーを掴み、自然な動作で動かす。サイバスターの放熱ファンから熱風が巻き起こり、その巨体が
空高く舞い上がる。
<よし、ちゃんと動かせるみたいだな。さあ、いくぜ稟!あっちだ!>
「よし・・・待ってろ、のび太!ドラえもん!リルル!」
そのまま全速力で飛び去ろうとして―――
「待って、りん」
「何だよ、プリムラ。急いでるんだ」
「そっち、全然逆方向・・・のび太たちは、あっち」
「え・・・?」
<え・・・?>
稟とマサキは同時に素っ頓狂な声を上げた。亜沙が疑惑に満ちた声でマサキに尋ねる。
「まさか、マサキくんって、方向音痴なんじゃ・・・」
<う、うるせえ!ちょっと勘違いしただけだ!それはともかく、稟、行くぞ!>
「・・・ああ。なあ、マサキ。まさかお前から受け継いだものの中に、方向感覚まで入ってないよな?」
<だあああああっ!うるせえな!しつっこいぞ!大体だなあ・・・>
自分の中でわめき続けるマサキに、稟は軽い頭痛を覚え、思った。やっぱりこいつの精神を宿らせたのは失敗
だったかもしれない、と・・・。

―――その頃、のび太たちは・・・。
288ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/04(火) 01:09:44 ID:Lg2JEYX10
「ガアアアアアッ!」
<機魔竜>フェニキアは凄まじい雄叫びを上げ、鋼鉄の爪を振り上げてザンダクロスを襲う。
「うわあっ!」
のび太は咄嗟にザンダクロスの腕を上げてガードする―――だが、フェニキアのパワーは、ザンダクロスの耐久力
を遥かに上回っていた。
ザンダクロスのモニターの隅に、なにかが飛んでいくのが見えた―――引き千切られた、ザンダクロスの腕だ。
「そんな・・・ザンダクロスが!」
「なんてパワーだ・・・ぼくたちが戦ったときより、遥かにレベルアップしてるぞ」
フェニキアの力に驚愕するのび太とドラえもん―――だが、リルルの声が二人を現実に引き戻した。
「またあの火炎弾がくるわ!飛んで!」
その声に、反射的に空中へ舞うザンダクロス。その一瞬前にいた地面に、フェニキアの放った火炎弾が襲う。
それは瞬時に凄まじい勢いで燃え上がり、全てを包もうとするかのように広がっていく―――!
放っておけば、それは村にまで辿り着き、全てを焼き尽くすだろう。
「ハハハ・・・燃エロ!全テ燃エテシマエ!」
炎の色をその鋼鉄の身体に映し、フェニキアの哄笑が響く。
「や、やばいよドラえもん!あの火を消さないと―――!」
「ちょ、ちょっと待って!何かないか何かないか―――!」
ザンダクロスは残った腕で、バタバタとポケットからくだらない物を出すばかりだ。パイロットの悪癖が伝染って
しまったらしい。
「もう、ポケットの整理しとけって、何度言えば分かるのさ!」
のび太が怒鳴る。だがその時、一陣の風が巻き起こった。それは燃え盛る炎を包み込み、消し去っていく。
何事かと周囲を見渡すと、そこにいたのは大勢の風の民―――
「おーい、のび太!大丈夫か!?」
「テムジン!逃げてって言ったのに・・・」
風の民の中にいるテムジンに声をかけると、どっしりとした声が響いてきた。
289ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/04(火) 01:10:35 ID:Lg2JEYX10
<ほっほっほ・・・みな、村を脅かさんとする敵に背を向けるなどできん、とな。ちと、援軍に参ったのだ>
「ヤークさんまで・・・」
呆れつつも、のび太たちの胸に萎えかけていた勇気が蘇る。みな、危険を覚悟して助けにきてくれたのだ―――。
ならば自分たちだって、簡単に諦めるわけにはいかない。
のび太はザンダクロスの残った腕でビームライフルを構え、フェニキアに向けて連続で撃ち込む。幾条ものビームが
フェニキアの身体を襲う。
「ヌウウッ・・・!」
フェニキアは見るからに重厚だが、それは鈍重であるという弱点も生む。超速度で放たれるビームを避わすことが
できずに、低くうめく。それを好機と、風の民が一斉に風を巻き起こした。
刃のように鋭い風がフェニキアを容赦なく切り刻み、鋼鉄の身体に無数の傷をつけていく。
だがその攻撃が、フェニキアの怒りに火をつけてしまった。
「舐メオッテ・・・人間ガアアアアアッ!」
並みの人間なら、その場でへたり込んでしまいそうな叫びとともに、フェニキアの身体から何かが射出される。
「あれは・・・小さいフェニキア?」
「けれど・・・あの数は普通じゃないわよ!」
そう―――それは形そのものは<機魔竜>フェニキアに酷似していたが、大きさは精々3,4メートルといったところ
だった。だがその数は、実に数十体―――下手をすれば百体近く―――にも及ぶだろう。
「行ケ―――<ドラゴン・ビット>!」
フェニキアの掛け声と共に、ミニサイズのフェニキアたち―――<ドラゴン・ビット>はザンダクロス、そして風の民
へと襲い掛かる!
「う・・・うわあっ!」
慌てて振り払うが、いくら小さいとはいえ、数が余りにも多すぎる。想像してほしい。人間で言えば、全長20センチ
程のトカゲが一斉に抱きついてくるようなものだ。
ザンダクロスは無惨にも、地面に引き摺り下ろされ、そのまま押し倒される。風の民やヤークも抵抗していたが、
やられるのは時間の問題だろう。
「ハッハッハ・・・コレガ我ガ得タ力ダ!今ノワタシハ―――神スラ超エル!」
<神すら超える、か―――言ってくれるじゃんか、トカゲの親玉風情がよ>
290ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/04(火) 01:25:08 ID:Lg2JEYX10
勝ち誇るフェニキアを見下ろすかのような声が響く。その声は耳にではなく、心に直接響く声だった。その声を、のび太
たちは知っていた。
「マサキ・・・さん?」
<おう、マサキさんだ。へへっ、ちょうどいいタイミングだったみてーだな。さあ、稟、あのバカに教えてやれ―――
サイバスターの真の力を!>
「ああ、分かってる!」
そして天空から舞い降りる、白銀の騎士―――<機神王>サイバスター!
<行くぜ、トカゲ野郎―――>
マサキの自信に満ちた声が響く。
<神さまの力ってもんを、見せてやるぜ>
291サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/10/04(火) 01:30:08 ID:Lg2JEYX10
投下完了。前回は>>209より。

>>212
今現在はサイバスターパワーアップ編なので、その辺は仕方ないかと。
他のキャラが目立つのはもうちょっと待ってくださいとしか。
サイバスターとザンダクロスでは、原作準拠でいけばぶっちぎりでサイバスターの方が強いです。

>>221
フェニキアは大長編ドラえもん「のび太と翼の勇者たち」のボスキャラです。
<機魔竜>とかの異名はオリジナルで。
292新参者??:2005/10/04(火) 12:03:38 ID:BAHng7nt0
>>291
サマサさん、お疲れさまです。次のサイバスターの活躍するのが、楽しみです。


質問です。投稿に関するルールを教えてください。
293作者の都合により名無しです:2005/10/04(火) 12:03:41 ID:1Q834AM90
はいはいサマササマサ
294作者の都合により名無しです:2005/10/04(火) 12:20:01 ID:rZx8VkNY0
>サマサ氏
そういえば亜沙も純粋な人間ではなかったんですね。
プリムラは知ってたけど、亜沙は立ち振る舞いが人間のアネゴっぽいんで
失念してました。シャッフルチームで純粋な人間は稟くらいでしたっけ?
しかし、さすがはシャッフルチームの主役の稟は美味しい所もってくなあw
真の主役のはずののび太の影が薄い。
次回は覚醒サイバスターVSフェニキアですか。期待しております。


>>292さん
>>205くらい守っていればいいんじゃないかな?頑張れ。
295新参者??:2005/10/04(火) 12:36:55 ID:BAHng7nt0
>>294さん、ありがとう。では、がんばって創作してみます!!
296作者の都合により名無しです:2005/10/04(火) 18:29:25 ID:aBYEt0Zh0
サイバスターはザンダクロスより遥かに強いのか。
しかもパワーアップ。主役交代フラグ?w
フェニキア、盛大なカマセになりそうだなw
297作者の都合により名無しです:2005/10/04(火) 20:01:48 ID:fJu+lSUU0
>>295
がんばれ
298作者の都合により名無しです:2005/10/04(火) 20:53:27 ID:OPuAB7ul0
サマサ氏の作品、
どれだけのスケールになるのか
どれだけのインフレを起こすのか、
どれだけの連載回数になるのか、全く想像出来ん・・。
俺はどれほど長くとも楽しみに読むので、記録を造る気で頑張れ。
サイバスター&稟の活躍楽しみにしてます。
でもたまには主役も活躍させてねw
プリムラやしずかちゃんとかといちゃいちゃしてるだけで無しにw
299不完全セルゲーム:2005/10/05(水) 00:48:38 ID:jllOxgIa0
>>247より。
300不完全セルゲーム:2005/10/05(水) 00:49:11 ID:jllOxgIa0
第三十三話「大恐慌」

 元々は、セルが完全体を目指す旅路であった。孫悟空を殺し、ゲロの無念を晴らすため
に。しかし、ゲロは他ならぬセルたちによって追い詰められ、マザーコンピュータの手で
殺された。ならば何故、彼らは水のクリスタルに向かっているのか。
 答えは至って単純(シンプル)──前進するため。
 固い絆を生み、忌まわしき過去を断ち切るきっかけとなった旅。この旅にケリを付けて
こそ、セルたちは安心して先へ進むことが出来るのだ。
 砂漠地帯を捜索中、18号がついに村を発見する。
「ねぇ、あれじゃない?」
「うむ。どうやら、あそこだな。よし、小細工なしで突っ込むぞ!」
 セル、セルジュニア、16号、17号、18号──突入。

 村には、男が一人だけで立っていた。
 むろん、セルにとっては初対面だが、16号はデータと照合させ、一秒足らずで素性を
見破る。
「セル……。奴こそが孫悟空だ」
「ほう……」
 興味深そうに、口元を吊り上げるセル。今さら悟空に対して恨みなどないが、やはり彼
はセルにとって特別な存在である。
 とりあえず、挨拶から入るセル。
「初めまして、孫悟空」
「おめぇがセルか……。こっちこそ、よろしくな」
「私がここへ来た理由は、知っているな?」
「あぁ、おめぇは水のクリスタルを吸収して、完全体になりてぇんだろ?」
 やんわりと、敵対関係を確認し合う両者。
「では、さっそくだが始めようか。水のクリスタルは頂くぞ!」
「へへっ……わくわくしてきやがった。こっちだって、そう簡単には渡さねぇぞ!」
301不完全セルゲーム:2005/10/05(水) 00:50:59 ID:jllOxgIa0
 深呼吸をし、気を高めるために精神を落ちつかせる悟空。しん、と空気が静まり返る。
「せっかくだから、おめぇに超サイヤ人について少し教えてやるよ」
 悟空から発せられる、金色。恐怖し打倒すべき対象にもかかわらず、セルは彼に魅力を
覚えていた。やはり、地球を幾度も救った英雄──単に強いだけではない。
「これが超サイヤ人だ。気を入れれば筋力アップも可能だが、一番バランスが良い」
「なるほど。ゲロがおまえを倒したくなる気持ちも分かった気がする……」
 不敵に笑うと、悟空はさらに気を上昇させる。すると、気が激しいスパークを帯び始め
た。だれかに似ている──孫悟飯。
「げぇっ! ち、ちょっと……」
「こいつが超サイヤ人の進化型。名付けるなら、超サイヤ人2ってとこかな」
 すでに、完全体セルを凌ぐパワー。セルから汗がふき出しては、熱で蒸発していく。
「でもよ、セル。まだオラは、おめぇを倒せるとは思ってねぇ」
 らしくなく、弱気な台詞を吐く悟空。が、どこか不吉な含みがある。
「ま、まさか……」
「これが……超サイヤ人3だッ!」
「ストォォォォップッ!」
 セルが必死で叫ぶも、止められない。瞬時にして気力が膨張し、空間が崩壊してしまう
ような錯覚さえ受ける。しかし、これらはほんの序の口に過ぎない。
 悟空が吼える。

 ──スパークが静まる。
 ──頭髪が急激に伸びる。
 ──眼が変化する。

 変身完了。
「すまねぇ。少し手間取っちまった」
 初体験ともいえるパワーに、立ち竦むセル。たしかに、完全体セルは「完全」であった。
だが、あくまでもセルと同じ次元での話。眼前に立つ男は、「完全」すらを上回る。水鉄
砲での撃ち合いを楽しんでいたら、突如バズーカ砲で武装した輩が乱入してくるような理
不尽。住む世界からして違うのだ。
 しかし、悟空はさらにとてつもないことを口走る。
「でもよ、セル。おめぇはこれくらいで倒せるほど甘くねぇ」
302不完全セルゲーム:2005/10/05(水) 00:52:32 ID:jllOxgIa0
「ふははは、甘いッ! 甘いぞォッ! 甘すぎたッ!」
 混乱して、わけの分からぬことを連呼するセル。しかし、発狂寸前に陥った彼など気に
せず、容赦なく時間は流れる。状況が、ますます深刻になっていく。
「ベジータ、来てくれ」
 悟空が呼ぶと、舌打ちしながらベジータが現れた。何故か、すでに超サイヤ人3になっ
ている。すかさず、荒っぽく指摘するセル。
「おまえ、こないだまで超サイヤ人だったじゃねぇかッ!」
「ベジータの奴、おめぇに敗れた怒りで超サイヤ人3になっちまったんだ」
「なっちまったんだ、じゃねぇぇッ! せめて段階をふめよ、飛び級じゃんッ!」
 声がかすれてきた。いくらセルとて、こうまで不合理な革命が続くとかなり辛い。
「フュ〜……ジョン! はっ!」
 奇怪な体操とともに指を合わせると、なんと二人は融合してしまった。疲労でぐったり
しながら、拍手するセル。
「超ゴジータ3。だが、セル。おめぇはこの程度で倒せるはずねぇぜ」
 悟空とベジータが交わった声と口調で、セルを称えるゴジータ。まだパワーアップを続
けるつもりらしい。
「悟飯、出番だぞ!」
 すると、どこからともなく孫悟飯が飛んでくる。イヤリングを一組、手に持って。
「ポタラってんだ。こいつを使えば、さらなる合体が可能だ」
 悟飯が右耳に、ゴジータが左耳に、ポタラをつける。また合体である。
 ──とんでもない戦士が誕生した。
 どうとんでもないのか、説明しようがない。とにかく、とんでもなかった。
「しかし、セル。まだこれでも、おめぇには及ばねぇだろう」
 指を弾くと、ブウが示し合わせたように出現した。
「ブウ、俺たちを吸収してくれ」
「分かった。いいぞ」
 快諾すると、ブウはみるみる戦士を吸収していった。むろん、気が急上昇していく。

 もはや呆れ果てたのか、セルはこう呟いた。
「ここまで実力差がつくと、なんか殺されても一周して生き返れそうだな……」
303サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/10/05(水) 00:57:01 ID:jllOxgIa0
熱・戦! 烈・戦! 超・激・戦!
疲れた……。
304作者の都合により名無しです:2005/10/05(水) 09:19:54 ID:i5HZXPjJ0
ドラゴンボールAFを思い出しました。
305作者の都合により名無しです:2005/10/05(水) 12:14:22 ID:H7XNJMM9O
セルがかわいそうだ
306作者の都合により名無しです:2005/10/05(水) 13:19:55 ID:S+I+3p7B0
原作に登場しない超3ベジータでちょっと燃えたけど
それすら問題にしない合体インフレ吹いたw
307作者の都合により名無しです:2005/10/05(水) 13:28:09 ID:/b+gIOalO
これってセルの夢オチ?
まぁ、夢じゃなくてもセルのハッタリで何とかなりそうだな。
308作者の都合により名無しです:2005/10/05(水) 13:37:38 ID:0VtBRj0t0
なんか今までが可愛い位の苛めに見えてきたな。
309作者の都合により名無しです:2005/10/05(水) 13:38:01 ID:SdvfLKWHO
何この有り得ねーパワーうpwクソワロスwww
310作者の都合により名無しです:2005/10/05(水) 13:51:00 ID:TdhvNpHi0
実力差、スライムとLV99勇者くらいあるんじゃないかw
311作者の都合により名無しです:2005/10/05(水) 14:15:55 ID:jT8C1XRt0
最後のブウの吸収パワーアップは合体系に比べると微増って感じなんだろうけど、
元が凄まじいからちょっと上がった上がり幅だけでもセル100匹分くらいはあるんだろうな。
312作者の都合により名無しです:2005/10/05(水) 16:55:59 ID:7Xn6KisO0
>>304
AFのスーパーサイヤ人100ってこういう経過で100になったのかな。
313蟲百物語:2005/10/05(水) 17:11:33 ID:pKYA38nj0
  二

  雪国の蟲の話だ。雪が溶けてようやく短い春が訪れようとしていた集落。そこの住人達
  は皆喜んで外に出て行った。雪が積もっている間は出来ずにいた諸々の事を片付ける
  ためにな。
  ある男がいた。若く血気の盛んな男だった。男は山に入って、寝惚けた熊とでも出くわさ
  ないかと思っていた。そして物音がした。熊か、と男は手に持つ鉄砲に力を込め振り返っ
  たが、そこにいたのは人間の女だった。
  その女は奇妙だった。まるで犬か狼かのような四つん這いで、男に向かって唸り声をあげ
  ていた。服も全く着ていないと同じ状態。その汚れ方から見るに、この冬の間ずっと山にい
  たのではないかと男には思えた。嗜虐心か何かが刺激されたのか、それとも単なる気紛れ
  なのか――男はその獣のような女を無理矢理に捕らえ、家に持ち帰ったという。
  家に着いてから女は暴れ、叫び、その度男に殴られた。この繰り返しで夜が明けた。男が
  目を覚ました時、女は冷たく横たわっていたという。

「――この後、男は他の住人に見つからぬよう女の遺体を山に埋めようとするも見つかり、
集落を追われた」
「その蟲はなんなんだあ? 俺は雪国の方はよく分からんのだ」
「蟲師なら、自分とは縁遠い地域の蟲も頭に入れておくべきでしょうに」
「なんだと」
 熊のような蟲師は、眼鏡の蟲師を睨みつけた。
「『糸蟲』という名の通り糸のような形状の蟲だ。生き物の死骸を乗っ取り、好き勝手動かす。
雪国にはこれの人間に特化した型の奴がいる。人間らしい動きには、出来ないようだがな」
 白髪の言葉に、場の何人かが頷き、別の何人かは膝を打った。
「では、二つ目の蝋燭を消します」
 主がふっと二つ目の蝋燭の炎を吹き消した。
「次は貴女です。麗しきお嬢さん」
 成人しているのだろうが、その顔には少女の甘さも僅かに残されていた。
「はい。では――」

314蟲百物語:2005/10/05(水) 17:12:23 ID:pKYA38nj0
  三

  地中深くに潜る蟲がいます。それらは普段私達が目にする事の無いモノ達です。今回は
  それらの内の一つをご紹介しようと思います。
  御使いの帰りに道に迷った少女がいました。可哀想に少女は空腹に寂しさが重なり、泣き
  出してしまいました。誰も頼れるものはおりません。日はとっぷりと暮れて、秋口でしたので
  寒さも増してきています。少女は震えながら歩き続けるしかありませんでした。
  それから数刻歩きましたが、一向に人里さえ見えてきません。暗闇の中で少女はしゃがみ
  込みました。彼女の心は恐怖と絶望に支配され、体は空腹と疲労で鉛のようになっていま
  した。お父さん。お母さん。御免なさい。御使いも満足にこなせない子供で御免なさいと、少
  女は薄れ行く意識の中で父母に詫びていました。
  朝――少女の開いた目には、見慣れた我が家が映っていました。意識を失う瞬間に足元に
  見えた、緑色の淡い光を発していた何かが少女には気になりました。そして、自分の腿の辺
  りに付着していた不思議な毛も。

「――妖怪で言うなら『脛こすり』でしょうか。しかし『緑色の光』という記述からするに、それは蟲
だったのでしょう。蟲は独特の光を帯びていますから」
「なあ。この話に出てくる少女って――」
「さあ、次の人どうぞ。時間がないのでしょう」
 白髪の言葉を遮るようにして女は言った。
「消します」
 三つ目の蝋燭が消えた。
「では、次の方、宜しく御願いします」
 主の言葉に次の蟲師が応じた。
「では――」

315ゲロ ◆yU2EA54AkY :2005/10/05(水) 17:24:36 ID:pKYA38nj0
前回http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/gero/mu-01.htm

サナダムシさんのセルは面白いですね。本当に。

書きたい漫画が見つかったんですが、今の量じゃ厳しいかなあ。

>>162
正直『百物語』は知らないのです。多分怪談なんだろうなあ、くらいにしか。
だから怖い話ばっかりにはならないと思います。現になってないですね……

>>164
ギンコは……まあ、バレバレですが。

>>174
やれますかね? やってみますかね、百個。いつ終わるか見当も付かないけど……
白髪はまあ、ええ。
しかし超機神大戦は凄いですね。俺みたいに行き当たりばったりじゃなくて最初から
ある程度構想を固めてから書いているのでしょうか。そうしないと破綻しますし、そう
してますよね。

>>177
蟲師が好きだと言ってくれる方はたまにいらっしゃるようで素直に嬉しいです。原作の
力ですが。今思えば蟲師は原作から流用したようなのも多かった。茄子や魔女では
出来るだけオリジナルのネタを出すようにしています。
そうですね、番外編です。正規の蟲師もいつかまたちょっとだけ書きたいです。

>>190
その辺はインパクト重視で思い付きで入れました。蟲師は一々驚いてはいられない仕
事なのではないかと個人的には思っています。ギンコは結構驚いてますけどね。


では次回。何書こう。
316作者の都合により名無しです:2005/10/05(水) 18:08:49 ID:UmPQw+zl0
>サナダムシさん
これ、いじめですか?ノーマル悟空で十分だと思うんですけど・・
VS完全体の時がお遊びに見えるほど絶望的な戦力差ですねw
セルも負けずに17号たち吸収するのかな?
ラストバトル?に相応しい激闘に、なるのか?

>ゲロさん
>生き物の死骸を乗っ取り、好き勝手動かす
これ、なんとなく男塾の奥義を連想した。恐怖ものなのにちょっと笑った。
二は、蟲よりも人の心の恐ろしさが書けてますな。三は善き蟲も話かな?
しかし本当に百やってくれるおつもりか、ゲオさん?尊敬します。
でも、先は長いですねえ。頑張れ!

そういえば一気に150話を終わらせた人がいたなwどこ行ったんだろう?
317それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 18:22:14 ID:w4yd5Moj0
<実況>
「さあ、次は1番のバータ選手です。先程は無駄なプレイを見せてくれました。」
「先程の打球は飛びすぎでしたからね。それが幸いしたのでしょう。」
「そうですね。あれほど飛ぶことはまずないですからね。さて、この重要な場面。やはりここはバントですかね?」
「バータ選手の足の速さを考えれば、セーフティーも狙っていいでしょうがここは警戒されそうですからね。」

<マウンド>
「ふう、さっきので滅茶苦茶疲れちまったよ・・。」
バータは愚痴をこぼしながら打席に立つ。ミルコの提案で多少は元気が出たものの肉体的疲労はでかい。

(バータよ、ここはバントで行こうぞ!!)
ミルコはベンチからバータにバントの指示を出す。
(よかった。これなら疲れねえな。後はキャッチャーを気にしながら・・・。と。)

「さあ、キュイ選手ランナーを警戒しております。お〜っと!危ない!MAX強化栽培マン選手、ベースに釘付けのようです。」

(げっ!あの牽制でじゃあ・・。バントしても大丈夫かな?)
バータはキュイの牽制を見て少しびびる。

「さあ、キュイ選手今度は大きく振りかぶって・・。第1球・・・・、投げました!!」

キュイがボールを投げると同時に、ナイターのライトアップの光から見えるキャッチャーの影の位置を見て
球種を確かめるバータ。そして走り出すMAX強化栽培マン。
(よし!ストレートだな。)
バータが確認するとすでにキュイのストレートはキャッチャーからマウンドの中間地点の先に来ていた。
すぐさまバントの構えをするバータ。もはや形容しがたい音で飛んでくるキュイのストレート。
バータが構えた瞬間すでボールはバータのバットに当たっていた!
318それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 18:23:10 ID:w4yd5Moj0

(よし、このまま少しに3塁線に押し出す感じで・・・。)
バータがそう考えた瞬間。

バキッッ!!

なんとボールはバットを折ってそのままミットへ!呆然とするバータ。
キャッチャーのアプールはありったけの戦闘力と力を込めて2塁へ送球する。
一方、栽培マンは先程の相手チームがやったプレイのように大きな砂煙を上げながら2塁ベースへ回り込むようにタッチ!

バシッ!

「セーフ!」
「おおっと」とフリーザベンチから歓声が沸く
まさか、栽培マンがここまで役に立つと思っていなかったのだからその驚きと喜びもなおさらだ。
ただの1人を除いて・・・。

「いや〜、見事な走塁でしたね〜。」
「っていうか、メンバーを全員栽培マンの方が試合になるんじゃないんですか?監督はミルコ選手でw」
「いや、wって。と、ともかくバントは失敗しましたがMAX強化栽培マン選手の見事な走塁により無事
に塁に進めることが出来ました!」
319それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 18:23:59 ID:w4yd5Moj0
「勝ち越しのチャンスですね。戦闘力がコントロールできない人達なので無理っぽいですが・・。」
「資料によるとミルコ選手は、戦闘力のコントロールも出来るようですよ。」
「そうりゃあ、当たり前でしょう。コヒー星の銀の流星と呼ばれていたんですから!オールドファンにとっては
そうりゃあもう・・・。(以下略)」
「はあ、ともかく技師で有名だったわけですね。」
「そうその通り!あの時のミルコ選手のビーン星への急襲作戦はそれはもう・・(以下略)」
「・・・・。あ、バータ選手。このまま連続でバットを折られ続けてスリーバントを失敗したようです。」
「あのハイキックはもう一度みたいですね〜。あの一瞬視界から消えてきずいた時にはあの世行きとよばれていましてね〜。(以下略)」
「と、ともかく次はジース選手の打席です。・・・・。あ、モシモシ?べジータ様ですか?はい、はい。
この粗大ごみを早くどかしてもらえますか?はい。解りました!では・・・。」

<ベンチ>
「ミルコ殿。さっきから思っていたのですが・・・。」
「ん?さっさとアウトになって来い!ジースよ!」
「ガーン!!」
ミルコの一言にショックを受けたジースはあっという間に三振して帰ってくる。

「ただいま・・・。」
「気にするなジースよ!ミルコ殿は最初からお前に期待などしていないそうだからな!」:
「ガーン!!×2」
ギニューの慰めるつもりでの一言でさらに鬱になるジース。
「それにしても、ミルコ殿?」
「ん?なんじゃ?ギニュー。」
320それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 18:24:44 ID:w4yd5Moj0
「さっきから何をしているので?」
「精神集中じゃ!邪魔をするな!!」
「ですが、もう出番になりますよ!」
「へ?ジースは?」
「ミルコ殿の一言で傷ついて三振してきました。」
「ったく、本当に精神がなっとらんの〜。よし!久しぶりに燃えるか!」
「ミルコ殿・・。これでダメならもう点数が入る見込みが・・。」
「な〜に、わしに任せろ!これでも戦闘力のコントロールが出来るからの!」
「「え?」」
思わずミルコの言葉に声を上げる一同。
「お前等、前にこの試合が終わったら戦闘力のコントロールの仕方を教えると言ってろうじゃろうが!」
「あ、あれは理論だけ教えてくれるのかと思って・・・。」
「ふん。ワシも甘く見られたものじゃ!まあ、そこに座って”野球の勝敗が戦闘力の差だけではない”と言うことを
良く目に刻んどくんじゃな!」
ミルコの自信たっぷりな雰囲気に押されて、思わず首をコクコクさせる一同。
ミルコがバッターボックスに立った頃、ドドリアがポツリと一言。
「そういえば、何で栽培マンの奴はあの球が打てたんだ?」
その言葉にザーボンが
「ああ、MAX強化栽培マンだからな。彼は・・。MAXと言うには戦闘力とともに技術部分もMAXと言うわけだ。」
「俺より、完璧に強いじゃねえか・・・。」
「落ち込むな、ギニューとフリーザ様しか勝てる奴はこの世にはいないんだからな・・。」
「・・・・・。夢に出そうだ・・。」
「しつこいな。何がだ・・。」
「栽培マンに自爆される夢・・。」
「ドドリア。お前はそれでは死なんよ。どっちかつうと、消滅させられるだろう。エネルギー波で。」
「・・・・・。何だその予言?」
「・・・。例えばだ。ほらキュイが投げ始めるぞ!ミルコ殿の実力。しっかりと見せてもらおうじゃないか。」
321それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 18:25:38 ID:w4yd5Moj0

(なんだか私が目立ってませんね〜。イライラしますよ。この雰囲気。)
皆がミルコの打席を見ている頃、フリーザは自分の目立ち具合のなさから催眠術が切れ始めかかっていた・・。

<マウンド>
「ランナーは2塁だが、次は爺。まあ、何とでもなるな。いくら昔は名を馳せたと言っても低下した戦闘力じゃあ・・。」
「ふん、つべこべ言わず来たらどうだ?」
ミルコはわざと聞こえるように言うキュイの挑発をあっさりと受け流し、構えを取る。
そして、ベンチで貯めておいた戦闘力の開放&コントロール。
その熟練された動きを見たキュイは思わず見惚れてしまう。

<実況>
「おお〜っと!これがあの銀の流星の真骨頂か?ねえ?熊さん?」
ラディッツが横を向くとすでにベージタによって粛清場に連れて行かれたバーダックの代わりに熊のぬいぐるみが!
「ん?ん〜。熊さん流石だね〜!そうだね〜。あれなら打てかもね〜。」
※ちなみにこの実況はフリーザが支配する惑星すべてに放送されている。
「ん?後ろから誰か来たって?へ?べ、べジータさん?いや、その・・・。やだ!あそこは嫌なの・・・・・・!!」

次の瞬間フリchには
”しばらくお待ちください”
とのテロップが置かれたのは言うまでもない。
322それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 18:27:03 ID:5BbdFY++0
<マウンド>
(っち、こいつは見事な・・・・。まずは・・・、様子見か!よし、アプール!ここに構えてくれ!)
キュイは投げる場所のサインをアプールに送る。
(キュイのサインは・・。変化球か・・。まあ、様子見なのかな?)
戦闘も野球も実力差があるため素直に従うアプール。

「はい、実況のべジータです。先程はお見苦しいところをお見せしました。さて、試合は6回裏2アウト2塁でバッターはミルコ選手。
いま、キュイ選手振りかぶって・・・、投げました!!!」

キュイの手のひらから離れたボールは縦横無尽に暴れまわりながらミットの方へ飛んでいく。
不規則な動きという言葉がまさに似合う変化。この球は他の野球チームでもそうは打てないだろう。
(キャッチャーの動きどおりに変化球が来たか・・・。しかしこりゃ打てないな。)
ミルコは黙って見送る。当然のごとく、あちらも様子見だったので
「ボール!」

「さあ、1球目はあっさりと見送ってボール。このキュイ選手は球界きっての変化球投手です!
って、あいつ等こんな説明もしてねーのかよ・・。」
べジータは解説者が本当は読むはずの原稿を読みながらそう愚痴を掃いた。
「っと、すいません。次は第2球目のようです。」

(・・・・。あっさりと見逃しやがったな・・。ストレートにでも山を張っているようだが・・。)
キュイは先程の見逃し方から変化球を捨てていることに仮説を立て、変化球中心にしてみることに
323それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 18:28:17 ID:5BbdFY++0
「第2球!投げました!」

出だしは先程と同じだが、中盤からナックルよりも不規則にドックルより狡猾に変化しながらミットへ向かう。
(またか・・・。だがこれは・・・。)
ズバン!
決まったのは外角低めぎりぎり。当然
「ストライ〜ク!!」

「さあ、これで1-1です。次はどれが来るのか?これで大きくどちらかに流れが傾きます!注目です。」

(やっぱり、ストレート狙いか。しかし、ミルコのことだからこれも罠の可能性もある。次はストレートで・・。)
(キュイさん・・。ここですか?)

「さあ、キュイは2アウトなのでランナーは気にしていない様子です!この打席で終わらせる気なのでしょう!
注目の・・、第3球!投げました!!」

今度は強烈なストレート。しかも内角高め、ミルコの顔の側である!
普通はこの状況でバッターの顔付近は、何かあるかもしれないのではずして外角がセオリーだが、キュイはミルコに恐怖心を
植えつけるためにあえてそこに投げ込んだ!
(ん?やばい!これは!)

ドスン!!

「ボール!」
辛うじて避けるミルコ。にやりと賭けが成功したことへの喜びからニヤつくキュイ。
(ったく、老人をいたわらんやつめ。・・・、でもこれで次はストレートの可能性が高いと思わせるのがセオリーなのじゃが・・。)
ミルコがゆっくりと立ち上がりながらそう考える。そしてついでに
(まあ、良く考えたらキュイも馬鹿じゃのう〜。ワシを敬遠してフリーザを片付けた方が早いのに・・。)
等とも考えていた。
324それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 18:29:58 ID:5BbdFY++0

(にしても何を投げてくるかが解っても、どちらとも非常に打ちにくいからの〜。このままじゃ打てないのう。)
(さて、次でゴロにするのがいいピッチャーってモンだ!後は低めに集めて・・・。)

「さあ、アプールチームのサイン交換が終わったようです。第4球!投げました!!」

(影は変化球のサインを示しとるな・・。高めか・・。低目か・・。まあ、普通は低めじゃが・・。なにか突破口を考えねば・・。)
ミルコがそうこう考えている間にキュイの変化球はアプールのミットに入る!

「ボール!」
そう審判の判定はボールだった。
「おい!今のがボールか?ちゃんと入っていただろう?」
「いや、コースはストライクだがミットに入った時は少し低めだった!近くで見た私が言うんだ。間違いない。」
審判のきっぱりとした言い分に仕方なく講義するのは止めマウンドへ戻り始めるキュイ。
(今のは助かったのう〜。アプールの取り方が上手かったら追い込まれていたところじゃったな・・。
でも、これで1-3。普通だったらこのまま歩かせるてフリーザと勝負した方がよっぽど早いが・・・。ん?これは好機か?)
(・・・。予定が狂ったな。どうせ振らないならと思って低めに入るように投げたんだが・・。どうせなら歩かせるか?)
実は自分のちっぽけなプライドのためミルコと勝負していたキュイ。しかし本質は打算的なので敬遠という言葉が脳裏に
焼きつき始める。
(ここはフリーザで終わらす。これが一番良いことだが、奴等を完全に叩き潰すには実質キャプテンであるミルコをアウトにした方が。)
キュイの中で徐々に敬遠の決意が固まっていく。
(キュイの奴、やはり敬遠にするつもりか・・。敬遠球がストレートなら・・・!!)
ミルコはここである賭けに出る。

「さて、これでどちらとも後がなくなってまいりました!次は第5球!投げました!」
ミルコはサインで栽培マンを走り出させ、キャッチャーの影を見る。
325それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 18:31:28 ID:5BbdFY++0
(ストレートか!後はワシの腕しだい!)
吉と出るか凶と出るか。まさしくフリーザ野球軍の初戦の行方を予見する運命の1球である!

キュイのストレートは大きく外角にそれ、見送れば間違いなくボールになるコースになっている。
しかし!ここでミルコは予想外の行動に出る!

ミルコは左脇にバットを刀の鞘のようにしまい地面を蹴り、横っ飛びをしながら居合い切りの要領でキュイの球を捕らえる!
「はっ!」

キーン!

「にゃ!なに〜〜〜〜!!」
驚きのキュイ。走るMAX強化栽培マン。
気合一閃したそのボールは地面を這いながら、ファーストとセカンド間を抜ける!
「「うお〜〜〜〜!!!」」
湧き上がるフリーザベンチ。
当然、結果も間違いなくヒットである。最終回直前の勝ち越しで1-2。ランナー1塁。
「クソ!あの低めさえなければ!」
心配して集まるアプールたち。
「みんな・・。大丈夫だ!次の回に逆転すればいい!よし!フリーザをあっさりと片付けるぞ!」
そういってキュイが吼える!
(ふう、賭けは成功か・・・。問題は次の回じゃな・・。)

「銀の流星は伊達じゃない!と言うことを証明しましたミルコ選手!次はフリーザ選手です!」

「・・・・。気に入りませんね!」
フリーザはミルコの打席を見た後、一層機嫌が悪くなる。
なぜ自分が活躍できないのだ?不屈闘志からもらったギブスもつけているのに・・・。
悔しい悔しい悔しい!
326それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 18:32:12 ID:5BbdFY++0

次の回の組み立てを考えていたミルコだが、フリーザの殺気を感じてフリーザの方を見る。
(ん?催眠術が解けかけているのか?・・・。活躍してないからのう〜。よしここは・・。)
早速タイムを取って、フリーザの元へ向かうミルコ。
「フリーザ様。」
「ん?なんですか?ヒットを打ったミルコさん?」
「もう、そう機嫌を損ねずに!これはチャンスですぞ!」
ミルコのこの一言でフリーザは滅茶苦茶食いつく。
「ほう、チャンスとは?」
「おそらくキュイの奴はフリーザ様でしとめる気でしょう!変化球は誰にも打てませんが、相手はあの態度を見ても解るとおり
フリーザ様をなめていますじゃ。だから・・。」
「ストレートを狙えと?解っていますよ!これでもDREAMSは流し読みで購読中ですから!」
「さいですか・・。と、ともかく、そろそろ本気を出してもいい頃かと思いまして!」
「・・・。本気ですか?」
「そうです!ストレートだって、栽培マンや私以外でまともに当てたのはフリーザ様のみ。後は戦闘力のコントロールさえ出来れば
いいのですから!」
「・・・・・・。」
「そ・れ・に、ここで決めれば帝王で英雄ですよ。」
この言葉で完全にその気になるフリーザ。
「ほほほほほほほほほほほほ〜!私とした者が何を小さくなっていたのでしょう!そうです!私の戦闘力は53万!向かうところ
敵はなし!勿論すべての分野において帝王であることを忘れていましたよ!!」
(ふう、やっと持ち直したか・・。こりゃ、かえって即寝だのう〜。)
「我!無敵!我!帝王!フリーザ様バンザーイ!!バンザーイ!」
突然テンションがMAX以上になるフリーザ!流石にびっくりしたのかミルコもビビる。
「ふ、フリーザ様。ともかく打席の方へ・・。」
「ふっ、そうですね!あの銀河のバックスクリーンまで飛ばして見せましょう!!」
そういって、打席の方へ行きホームラン宣言をするフリーザ!一方おだてるだけおだてたミルコは
(さて、機嫌も直ったようだし次の回の組み立てを考えねば・・・。どこまで考えたっけ・・。)
と次の回の投球の組み立てを考えていた。
327それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 18:33:26 ID:A4wBbSyc0
「フリーザ選手のホームラン宣言により、キュイ選手の顔が引きつっております!これはプライドを汚されたか?」
さりげなく失礼なべジータ。
そちらかというとキュイは呆れている気がするの気のせいだろうか?
それはそれとしてべジータがそうコメントをしている間に審判の「プレイボール!」の声がかかる。
表面上の機嫌は治ったフリーザだが、内心はまだ穏やかではない。しかし、この打席は打たなくてはいけないという
自分自身の威厳とプライドのため通常のフリーザでは信じられない程の記憶力の状態にあった。

(・・・。まずはキャッチャーの影の動きを見て球種を判断して・・。そして周辺視システムで相手のひじ辺りを見て、投げてくる
ボールに集中するって・・、あれぇ?)
「ストライ〜ク!!」

「フリーザ選手ど真ん中のストレートを見逃しました!!これで1-0です。」

考えている間にキュイの描写無く1ストライク取られてしまったフリーザ。思わず、バッターボックスから離れて素振りなどしてしまう。
やはり普段なれない事をやると地に足が着かないのは宇宙人&帝王であっても同じようだ。
(くっ、人が考えている時に投げるなど卑怯ですよ!いえませんし・・。ともかく先程の復唱で覚えましたからやってみますか。)
フリーザは外していたバッターボックスに戻り、頭の中で(キャッチャーの影を見て、キュイの肘をじっと見る・・・)
と頭の中で何度も繰り返しながらキュイが投げてくるのを待つ。

「キュイ選手・・。振りかぶって・・、投げました!!!」
キュイが投げるタイミングとほぼ同じタイミングで実況するべジータ。
おそらく彼が実況ならラジオでも十分野球実況がやれるだろう手腕であろう。

ギュルギュルギュルギュル!!!
328それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 18:34:53 ID:A4wBbSyc0

(来ましたよ!キャッチャーの動きどおりストレート・・・。み、見える?)
初回の頃とは打って変わって、流石に疲れからか、キュイの球威も落ちているようだ。
(これなら打てますよ!後は、よく肘を見て・・。あ!これは投げる前でし・・・。)

ズバーン!!

「ストライ〜〜ク!!」
これで2-0。先程の打席と全く同じ展開である。
流石にこれを見ていたミルコは、次の回のピッティングの構想を終わらすと同時にフリーザの元へ駆け寄るためタイムをかける。
「タイムですじゃ!」
「・・。ミルコさん。何か用でしょうか?」
「ちょっと提案がありまして・。」
「・・・。まあ、聞くだけ聞いてみましょうか。」
やはり自分が活躍できないことからか、ミルコの言葉にも不機嫌な様子を見せる。
「どうも・・。キュイは先程言ったとおり、ストレートしか投げませんでしょうから後はコースとタイミング&コントロールだけです。」
「それは解っていますよ!それが一体何なんです?」
「はい、先程から見ておりますと、あのバッテリーはキュイがコースを決めているようです。キュイはわからないように
しているつもりですが、グローブを下げれば低め。胸なら高め。後はグローブの位置が右よりか左よりかでコースを決めているようです。」
「ほう、ならばそれを見れば打てる確率がアップするわけですね?」
「はい、しかし戦闘力のコントロールもしなくてはなりませんから周辺視システムとも合わせるとフリーザ様に負荷がかかりすぎます。」
「それで?」
「私がコースを動きで表しますから、フリーザ様はそれを見てコースを識別して打ってください!」
はっきり言って、フリーザが打てる確率があるとすればこの提案を飲むに他無い。
「・・・・。」
「どうしました?フリーザ様?」
「ミルコさん?一つお聞きします。私はこのチームにとってどんな役割があると思いますか?」
突然のフリーザの質問に流石に戸惑うミルコ。
「私は先程から何も活躍していません。栽培マンですら活躍しているのに・・。」
(なるほど、自分が活躍できないのが疑問&不満なのか。こういう場合は・・。)
329それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 18:35:26 ID:A4wBbSyc0
書き込みすぎました。
30分後に続きを投下します。
330作者の都合により名無しです:2005/10/05(水) 18:43:20 ID:VVhvJO8F0
おお〜大量更新。
続きも楽しみにしてます、がんがって下さい。
331それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 19:07:57 ID:pbWhIVQH0
ミルコはフリーザの言葉を聴きながらフリーザの言葉を一考する。そして・・・。
「フリーザ様。確かに貴方は今日の試合において大きな活躍はしていません。ですが、今はいいのです。」
「今は・・・?」
「そうです。確かにフリーザ様は戦闘においては最強です。しかし、力以外の事はどうでしょう?例えば、私たちが乗ってきた
宇宙船。これは様々な技術者が数年も寝ないで設計して、それを何十年も修行した造船業の人が造っております。
これが私たちにいきなり造れといわれたら、フリーザ様は造れますか?」
「当たり前でしょう!一体何を言いたいのです!」
変な言い回しに流石にキレ気味になるフリーザ。
「ちょっと回りくどすぎましたな。では率直に言いましょう。フリーザ様、最初は誰でも下手なものなのです。まして、2日しか
練習していない我がチーム。勝とうという方が無理ってものなのです。しかし、今のところ最終回目前に
我がチームはリードしております。他のチームとは何ヶ月も練習量が少なく、戦闘力もコントロールできていないのに。」
「・・・・。」
「それはなぜでしょうか?ワシは思いますじゃ。これがチーム力だと。」
「チーム力・・・。」
「そう、チーム力。戦闘なら戦闘力が高い方が有利ですが、野球は9人以上でやるもので戦闘力をいかに使うかが
ポイントとなっていますじゃ。」
「それで・・・?」
「ワシ等は他のチームと違い戦闘力の使い方はダメでも、このチーム力がずば抜けておると思っております。」
「なぜです?私はただ戦闘力がすべてだと思ってこのメンバーを集めたのですよ?それがいきなりチームのために戦う力も
ずば抜けているなんて・・。」
「それはなぜか?ワシはこの言葉が欲しくて、皆と味わいたくてやっていると思っておりますじゃ。」
「・・・・。それはどんなのです?」
「”勝利!!”」
「・・・・。”勝利!!”?」
「そうです。私たちは自分たちをただ満足するためだけにやっているわけではありません。
どんな目的があろうと、この野球でそれを果たそうとする限り最終的にその目標は勝利とイコールになるはずです。」
「キュイさんのようにですか?」
フリーザはミルコの言葉をかみ締めるように聞きながら今日の試合を振り返る。
「そうですな。キュイも動機がどうであれ、今日の試合は勝利の為にただ頑張っていますな。」
「・・・。それで私はどうしたらいいのです?」
「もう、決まっているのではないですか?」
332それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 19:08:56 ID:pbWhIVQH0
「え?」
「やる前から散々言っていたではないですか?」
「”今日の試合がコールドで勝ちますよ!”と。」
その瞬間、フリーザは試合前のことを思いだす。

逆境ナインを見て野球をやりたくなった自分。

そして自分に問いただす。

そもそもなぜ自分がこれほど野球がやりたくなったのか?

それは試合にチームと力を合わせて勝利した時の不屈闘志の顔に魅せられたからだ。

「勝利・・・。そうでしたね・・。」
「フリーザ様・・。」
「私は皆と力を合わして勝った時の気分を味わいたくて始めたんですよね。それが、野球をやると決めた時から自分がいかに
活躍できるかの事ばかり考えていました・・。」
フリーザは何かが吹っ切れたみたいになり、ミルコにこう言った。
「ミルコさん!解りました!先程貴方が言っていた提案を受けましょう!コースのサインはよろしく頼みましたよ!」
「勿論ですじゃ!お任せください!」
この会話が行われた後、フリーザは打席に戻り、ミルコは1塁に戻る。そして一瞬思いにふける二人。

(私はここで打たなければなりません!私とチームの勝利の為に!)
(ワシの口先も神の領域になってきたのう〜。この職を失ったらアナウンサーか詐欺師にでも転職するかの。)
と正反対なことを互いに思っていた・・。
333それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 19:10:17 ID:pbWhIVQH0

美談もあったが、2-0な現実は変わらない。しかも、戦闘力がコントロールできないと言うハンデ。
どっから見ても、フリーザの劣勢である。しかし、フリーザは先程の精神の開花から死んでも打つ決意を固めていた。

「ちょっと、フリーザチームの方でトラブルがあったようで試合は中断していましたが、2-0で次は第3球目です!」

キュイは先程と同じだと思ったがミルコと長く話していたのが気になり、アプールにど真ん中ではなく外角低目ギリギリを指示する。

「それ!」
キュイの掛け声とともに投げ放たれるボール。
(フリーザ様!外角低目ですじゃ!)
ミルコはフリーザに伝わるようにキャイーンのポーズをしながら左側に腕を向ける。
一方フリーザは(はあ?)と言った表情でミルコを凝視してしまっている・・。
そして・・・。

ズバーン!!

「ストライ〜ク!!!バッターアウツ!!”チェンジ!!」

静まり返るグラウンド。ミルコを凝視しながら固まるフリーザ。肝心のミルコはフレンドリーに
「フリーザ様!次の回を抑えれば”勝利”です!我がチームの”勝利”になりますよ!この後の祝勝会も用意しております!」
と言い、先程の決意を思い出させる精神的なプレッシャーからの延命処置を施す。
もちろん自分たちの延命処置であるが・・・。
そして、フリーザの異変にきずいたザーボン&ドドリアが長年の幹部の経験を生かしたフォローをする!
「流石です。フリーザ様。祝勝会にはとっておきの場所を用意しております。」
と、すかさずザーボンがフォロー。
「当然、朝まで貸切でございます。今夜は宴と行きましょう!」
と今度はドドリアがフォロー。ともかくこの連続攻撃でフリーザは完全に怒るチャンスを失ってしまった。そして結局・・。
(くっ、まあいいでしょう・・・。ともかくここで抑えれば私がヒーローなわけですしね・・・。)
とまあ、ほんの1球のせいで先程の精神的成長は無事、元に戻ったのであった。
334それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 19:11:42 ID:pbWhIVQH0
<7回表>
<実況>
「さあ、ついに最終回となりました。一点差を追うアプールチームは見事逆転が出来るのでしょうか?」

(3番 アプール)
ウグイス女のアナウンスとともにアプールはバッターボックスに入る。
最終回と言うことでちょっと気負っている感じもするが、フリーザはともかくミルコは冷静にアプールを分析する。
(ふむ、バットを短く持っておるのう。ミート重視かの。)
バットを短く持っていることにきずいたミルコは、ドドリアに外角のサインを送る。
そしてギリギリボールの場所を指示する。これは相手が打つ寸前になってバットを長く持っても、対応できるようにするためだ。
(解りましたミルコ殿・・。フリーザ様。さあ、外角です。)
ドドリアはミルコのサインを受けると、今度はドドリアからフリーザにサインを送る。
先程のこともあって若干不機嫌であるが、今はこれしかないのでサインにうなずく。

「フリーザ選手。第1級を・・・、投げました!!!」

シュルシュルシュル

初回と変わらない球威がアプールに襲い掛かる!
さすが帝王というだけあって体力だけは無尽蔵にあるようだ。
一方、アプールはバットを短く持つ=外角を狙われるという図式の通り、外角と判断した後バットを短く持ち1歩踏み込んで
フリーザのストレートを打った!

ガキッッ!!!

結果はボテボテのファーストゴロ。フリーザがカバーに入り、これで1アウトである。

「これで1アウトです。次は4番のキュイ選手です。」
335それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 19:13:06 ID:pbWhIVQH0

キュイはゆっくりとバッターボックスに入る。やはり疲れからか、その姿に余り覇気はない。
(かなり疲れているようだの。すると、歩かせた方がいいか・。山を張られるとやっかいだしの。)
ミルコは勝つために一番確率の高い方法をドドリアに指示する。
(わかりました・・・。)
ドドリアはミルコのサインを受け取り、ゆっくりと立ち上がる。
(ん?ドドリアさんが突然立ち上がりましたね。さっき立ち上がったときはど真ん中に投げてホームラン級でしたから
外に外しときましょうかね。)
進化する帝王フリーザ。彼はついにキャッチャーが立ち上がったら外角に投げる論理を手に入れた!

「ボール!フォアボール!」

キュイは”敬遠の概念を何時の間に・・・!”と驚愕の表情をしながら1塁へゆっくりと歩く。
一方、ミルコは”そういえば敬遠の概念を教えておくのを忘れていたけどラッキーな結果でオールOK!”と言った表情で
ゆっくりと息を吐き、ドドリアもこの回を抑えることばかり考えていたので、1球目を投げた時にかなりびびっていた。
結果はオーライだったので内心大学の単位をギリギリとって卒業した時のような表情をしていたが。

「キュイ選手を敬遠して1アウト1塁です。次は5番のアプール選手です。ここでゲッツーを取ればフリーザ野球軍の勝利ですが
果たしてどうなるでしょうか?」
べジータの快活な実況後、気合の乗った表情のアプールが打席に入る。やはり、ヒットで繋げる為にバットは短めだ。
336それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 19:14:15 ID:+Mrkgn9n0

フリーザはドドリア(ミルコ)のサインを受け取り、大きく振りかぶって投げる!!

ダッッ!!

疲れているはずのキュイが二塁へ悠然と飛んでいく!大きく振りかぶった為に、何事も無くセーフに。
(しまったわい。でも、セットポジションの原理など教えたところで実行する人ではないしのう。
まあ、アウトを一つづつ取るしかないのう。)
ランナーは二塁に行かれたが、フリーザは目の前のバッターをしとめる方に集中しているのであまり気になた様子は無いようだ。
その様子を見たドドリアは
(良かった〜。単純で!)
と心底安心していた。

「キュイ選手の必死の走塁のおかげで1打同点のチャンスになりました!さあ、フリーザチームどう出るのでしょうか?」

(ともかく、サードゴロかフライしとめたいからのう。次は内角高めでいこうかの!相手も気合が乗っているみたいだし
振り回してくれるじゃろ!)
ミルコはドドリアに内角高めのサインを送る。承諾してフリーザにそれを送るドドリア。
(わかりましたよ。それで行きましょう!)
フリーザは指示通り内角高めに投げる。

シュルシュルシュル!!

カキッッ!

ここもミルコの思惑通り、セカンドフライに倒れるアプール。こうまで上手くいくのも相手がアプールだからであろうか?
とにもかくにも2アウト、ランナーは2塁と天国にも地獄にも行く場面になった。
337それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 19:15:41 ID:+Mrkgn9n0

(6番 アプール)
アナウンスともにバッターボックスに入るアプール。
5番が倒れた直後、キュイが何かを言いに行ったのが気になったミルコだがともかくセオリーどおり内角の低目から行くことにした。

「フリーザ選手・・・、第1球を・・、投げました!!!!」

いつもと変わらぬフリーザのストレート、ミルコも他の面々も全く気にしていなかったが少年漫画のお約束なことかこんな事態が
起きてしまった!

「ボール!!」

「え?」
思わず声を出してしまうミルコ。それもそのはず、フリーザが投げたい場所は指示したところと正反対の外角だったからだ。
「ほほほほほほ、手が滑ってしまいましたよ!」
言いわけ的なことを言い謝罪するフリーザ。ジースが「ドンマイです!」と言う声も聞こえる。
何か嫌な予感がするミルコ。


そして・・・・。


「フリーザ選手!第6球を投げました!!」

「ボール!フォアボール!」

フォアボール。つまりは何もせずに1塁へいけることである。しかも、先程のバッターではない。
もう、7番バッターなのだ。これをフォアボール。つまり2アウト満塁。まさに少年漫画キャラの王道状態である。

急遽マウンドに集まる一同。
338それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 19:17:44 ID:+Mrkgn9n0
フリーザは「何を集まっているのです!」といっているが、そんな声も耳に入らない一同。それもそのはず、フリーザが汗だくな状態で
息切れを起こしているからである。
それはただ体力的に疲れているというよりも勝利への重圧がかかっていることからの疲労にだろう。

「フリーザ様。大丈夫でしょうか?」
「ギニューさん!だから大丈夫だといっているでしょう!次のバッターで終わらせますから、皆さんは早く戻ってください!」
「しかし・・・。」
なんとなく雰囲気がが悪くなるマウンド。
ミルコも色々と言いたかったが、きっかけが作れずに黙っている。

そんな時いつもはおちゃらけのキャラだのジースがこの一言を!
「フリーザ様!ホームランを打たれても、またバータが取りに行くから大丈夫です!」
それを聞いて思わずどつくバータ。とめるリクーム。失笑するザーボン。
ドドリアも「皆で取りに行きますよ!」といっている。

そんな言葉と、ジースの今の光景を見てスウっとした気分になる。
(ほほほほほほ、なんだか不屈さんの気分が今、少しだけ味わえた気がしましたよ!)
フリーザは先程の焦った口調と違い、皆にこう言った!
「ほほほほほほほ、皆さん早く守備に戻ってください!私は別に大丈夫ですよ!」
口調が変わったことから、皆は今一度こう言う。
「「フリーザ様。本当に大丈夫ですか?」」
「無論です。この帝王が打たれると思っているのですか?そして・・・。」
この言葉を言うのは少し勇気がいったが
「打たれても、バータさんが取りに行くのだから大丈夫ですよね?」
皆、かなりびっくりした表情になったがすぐにその真意を読み取り
339それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 19:18:27 ID:+Mrkgn9n0

「当たり前です!フリーザ様!」
とバータ。
「バータがしくじっても、またリクームに投げてもらって取りに行きますよ!」
とジース。
「そのときは俺のエネルギー波で後押ししてやろう。」
とザーボン。
「フォー!!!」
とリクーム。
外野陣がそう答え、内野陣も「自分たちの所に来たら絶対に抜かせません!」と頼もしい答え。
それを聞いたフリーザは、満面の笑みで
「頼りにしていますよ!皆さん!」
と言い返し、バッターの方へ向き直る。そして他のメンバーは守備に戻る。
(ほほほほ。これが本当の野球ですか・・・。私は今、猛烈に燃えていますよ!)

「次はバッター8番のアプールです。」

これがおそらくこの試合最後のバッターになるだろう。
フリーザはアプールを目にしていっそう気が引き締まる。
だがこれは気負っているわけではない、今は部下ではなくチームメイトがバックを守っているからである。


思えば、取り合えず最初は勝ちたいフリーザと生き残りたい部下の関係のおかげで上手く機能してきたフリーザ野球軍。
今、皆の心は一つになって勝利を目指している。
フリーザは新しい感情が芽生えながら、ドドリアの指示どうりにボールを投げる!
340それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 19:20:09 ID:luudtpRC0

ズバーン!!!

「ストライ〜ク!ツー!」
”もはや、フリーザは止められない!”といったようにあっさりと2ストライクに追い込む。
(最初は勝てるとは思わなかったが、どうにか勝てそうじゃわい。・・・。たまにはこういうのもいいかのう〜。)
まだ勝ってはいないが勝ちを確信したようなことを思うミルコ。
(今の私は誰にも打たれる気がしませんね!次で終わりです!!)
フリーザがそう思っていると、ドドリアからサインが出る。サインの内容は”ど真ん中のストレート”
最初はホームランを打たれた場所だが、今のフリーザには絶対の打たれない自身がある。
もし打たれても、バックに”仲間”がいるから気負いはない。
フリーザは不屈から学んだこのストレートで試合を決めることに決めた。

「行きますよ!ドドリアさん!!!」
「ハイ!フリーザ様!!!」

フリーザの声とともに気を引き締めるドドリア。
一方、フリーザは大きく戦闘力を高めていく。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!

大地が揺らぎ、フリーザは激しい光に包まれる。


1分後、フリーザを包んでいた光は収束し第3形態のフリーザがその姿笑わす。

「ふふふふ、アプールごときにこのボクの姿はもったいないけど、このチームの初勝利を飾るものだからね。
この姿で終わらせてもらうよ!」
あまりの戦闘力の高さに小便をちびって固まるアプール。
そして・・・・。
341それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 19:20:51 ID:luudtpRC0


「これがこの試合を決める漢魂だ!!!!!」

フリーザは叫び声とともに戦闘力を最大まで上げ大きく振りかぶる。

ブチッッ!!!!

ギブスが切れる音・・・・。
後ろではミルコ&ギニューがすっと高速で動き出す。

「どうりゃああああああああああああああああああああああああああああ!!」

フリーザはすべての力を込めてボールを投げる!!!

シュボ!!

------------------------------------------------------------------------------------------



そしてボールの燃え尽きる音・・・・

「ボーク!」
そして、フリーザベンチからフリーザが座っていた場所から、一枚の紙がずるりと落ちる。
そこにはこう書いてあった。
ルール書:第56条。ボールが燃え尽きたらボーク。
342それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 19:21:34 ID:luudtpRC0

フリーザは球が燃え尽きたを見ると、まるで走馬灯のように練習を開始した一日目のことを思い出す。

ほんの少しの静寂・・・。
フリーザはがばっと顔を上げると、指に急激に戦闘力をため始める。
「キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッッッ!!!!」


ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・!!


次の瞬間、宇宙のどこかで大きな花火が輝いた!!!
-----------------------------------------------------------------------------------------
343それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 19:23:12 ID:luudtpRC0
<宇宙船>
「いや〜、危なかったな〜〜!隊長とミルコ殿がいなければ死んでたもの!」
ジースノ言葉から解るとおり、フリーザ以外のメンバーは無事宇宙船に乗って無事に惑星フリーザに戻るための宇宙船に乗っていた。
「ドドリア、昨晩に言ったとおりだろ?」
「そうだな。どこまでいってもフリーザ様はフリーザ様って事か。」
ザーボンとドドリアがそんな会話をしていると、バータがもうなくなった星を見ながら
「キュイよ!お前は凄いピッチャーだったぜ!!」
と敬礼をしている。皆も吊られて敬礼をする。

30分後・・・・・・・・・。

「それにしても、やっぱりお練習しないとダメですよね〜。ミルコ殿。」
「まあ、そうじゃの。」
ジースの言葉を聞き流しながらお茶を飲むミルコ。
そして、ギニューが大変な事実を口にする。




「あれ?ミルコ殿。コルド大王様は?」
「ああ〜!忘れた。」

<練習試合編・了>
344それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 19:32:36 ID:luudtpRC0
長くなりましたが、練習試合編終了のしぇきです。

野球を文章で書くとこんなにも長くなるのというのが練習試合を書いてみての
自分の感想です。
漫画だと一こま辺りで行けそうなところも1レス使ったり・・・。
取り合えず次は、フリーザたちの日常&練習です。

>サマサさん
お疲れ様です。
それにしてもサイバスター覚醒ですか!ネオグランゾン以外は楽勝っぽいですが、
やっぱりそうはいかなくなるのでしょう!
にしても、やっぱりマサキは幽霊での出番だったんですね。
最後の方で別の時空のマサキが助けに来るなんて予想していましたが
完璧に外れてました・・。


>サナダムシさん
え?戦いになるの?といったのが真っ先の感想でした。
でもきっと、セルならなんとかしてくれると楽しみにして読んでいます。
お疲れ様です。

>ゲロさん
100話もやるとは・・・。これだけで書籍化できそうだ・・。
蟲師はそこまで巻数が出ていなかったはずですよね。
それで100話もオリジナルをやるんだから、凄い想像力&表現力です!

死ぬほど長くなりましたが、これで失礼します・・・・・。
345作者の都合により名無しです:2005/10/05(水) 20:08:56 ID:vgeq3SJR0
>蟲百物語
正直、2つともそれほど怖い話ではないけど、人間の業の深さを感じる話ですな。
特に最初のやつ。人の世の至る所で蟲は存在して、人の愚かしさと悲しさを笑っているようだ。
しかし、100は凄い。達成目指してがんばって下さい。

>フリーザ野球軍
あれ、ベジータ実況してるけど、サイヤ人との本試合でのキャプテンかなんかじゃないの?w
しかし最後までミルコは美味しかったな。その逆にコルドはやはり地上最強のザコだった。
しかし練習試合長えw本試合はどこまで長くなるのか?

でもね、しぇきさん、出来ればこのボリュームは2日に分けて欲しかったな…
>>338の最後とか未完成だしw
346それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 20:19:32 ID:luudtpRC0
コピペ抜けです。
>338の最後のところに
皆、かなりびっくりした表情になったがすぐにその真意を読み取り
の次に
口々とこう言った。
が抜けてました。どうも・・。
347それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 20:21:12 ID:luudtpRC0
口々にこう言った。
です。
348それゆけフリーザ野球軍:2005/10/05(水) 20:27:27 ID:aAR5ivrF0
>345さん
指摘くださってありがとうございます。
流石に大量投下しすぎました。
どうしてもこの一回で終わらせたかったもので・・・。
以後気をつけます。
349作者の都合により名無しです:2005/10/05(水) 20:28:47 ID:vgeq3SJR0
ああ、冗談だから気にしないで。これからも頑張って下さいね。
350茄子:2005/10/05(水) 20:52:23 ID:pKYA38nj0
その11 霞を食う

「霞を食って生きている仙人とか昔話にあるけどさあ。あれ絶対嘘だよね眉唾だよねえ。
仙"人"ってこた人なんでしょ? 人ならお腹減るじゃない。ねえ」
「そんなものは恐らくは作り物のでっち上げだということは、ほとんどの人は知っている。
では何故その様な空想が二〇〇五年の今に至るまで幅を利かせているのか」
 ちょっといい感じのバー。ジャズの生演奏に包まれた店内で二人の男女が雲を掴むよ
うな話を熱っぽくしていた。
「それは魅力があるからだ。隣の田は青く見えるというがまさにそれ。仙人物語でイメージ
されるのは大抵は隣の大国だ。小さな島国でせせこましく生きているような我々にとってだ
だっ広い大地はそれだけで憧憬の対象と為り得る。孫悟空のあれだってそうだ。あれは舞
台が日本じゃ成立しない。『高僧がお供の猿と豚と河童と馬を伴って貴い経典を得る為に
東京から北海道への旅に出る』――なんとなく間の抜けた珍道中が想像できるだろ」
「戦国時代の日本は三国志に迫る感じ出てない? 一応日本列島総出の一触即発ムード
全開だったし。あたしはイマイチ消化不良で終わった常陸の佐竹家が好きだった」
「昔過ぎる時代の事実と言われる物も怪しい物が多いが、そんな事も学者以外にはそれ程
重要じゃない。要は皆夢が見たいのだろう。それでいい。人は今を生きるわけだからなあ。
それでいいんだよ、うん」
「なんか酔いが回ってきたかなあ」
「ちょっと強いな度が」
「ねーもう出たい」
「出てどうする」
「あなたの家に行きたい」
「いいのか」
「どうぞ私めを貴方様の御宅に御招き下さい」
「まあ、いいよ」

351茄子:2005/10/05(水) 20:53:50 ID:pKYA38nj0

 闘え闘え闘え闘え闘え闘え闘え闘え闘え闘え。
 嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌。
 どうしよう。もう駄目だ。どうすればいいんだ。
 やらされる。嫌嫌やらされる。
 寝て起きて寝て起きて寝て起きて寝て起きて。
 そんな暮らしがしたいのに。
 そんな、お話の仙人に出てくるような生き方がしたかった。
 俺も、霞だけ食って生きていきたかった。
 
 そんなものは御座いません、師よ。
 
 ないというのか、弟子よ。
 ああ、御前も本当はいらぬのだ。
 俺を独りにしておくれ。
 俺は独りで死ぬまでの猶予を過ごしたいのだ。

 人は独りでなど生きられません、師よ。

 御前さえ。
 御前さえ、居なくなれば。
 俺はまた独りになれる。

 私が居なくなっても、また別の人間が貴方の傍に寄るでしょう。
 
 私が――のです。

 なんだって?

 私が、貴方の傍に寄り添って"あげている"のです、師よ。
352茄子:2005/10/05(水) 20:55:42 ID:pKYA38nj0

 男は涙を流していた。
 ただその涙には何も無いような気もした。何かがある気もした。
 隣で寝ている女に訊いてみたくなった。
 しかし女はいなかった。書置きを残して女は消えていた。
『茄子のラタトゥイユ作りました。朝飯にどうぞ』
 男は、自分が料理をまるで作れなかったことを思い出した。


353ゲロ ◆yU2EA54AkY :2005/10/05(水) 21:02:05 ID:pKYA38nj0
今三〇分ほどで書きましたんで、上げときます。黒田硫黄の短編『西遊記を読む』にモロに影響受けた
仕上がり。まあたまにはいいでしょうこういうことも。
354ふら〜り:2005/10/05(水) 22:11:56 ID:A5Ao1TBQ0
最近、本っっ当に平和かつ快調で嬉しい。この調子で30まで突っ走れそうですね。

>>サマサさん
サイバスター、「救世主パターン」ですな。次回のパワーアップお披露目が楽しみ。で、
それがどんなにカッコ良くとも、頭の中で映像化する際、稟の顔の現状を忘れぬように
せねば。華やかな操縦席で、頼りになるのかどーか? な新相棒も連れて、ゆくぞ稟っ!

>>サナダムシさん
爆笑というより、突っ伏して痙攣する面白さでしたっ。DB最大の名物である、強さの
インフレ。それそのものを、ここまでおちょくり皮肉るとは。とにかく笑えましたよ
本当に。でも今更ながら……不憫だセル。他の面々がどんな顔してるのかも興味あり。

>>しぇきさん
>この言葉を言うのは少し勇気がいったが
>「打たれても、バータさんが取りに行くのだから大丈夫ですよね?」
この二行! ここに限っては、マスコット的あるいはショタ的な意味での「可愛い」で
はなく、真面目にヒロイン的な意味で「可愛い」と思えました! でチームメイト共々、
思いっきり盛り上がって……でも、オチる。命賭けの超人野球、まだまだ練習を要ス也。

>>ゲロさん
蟲百物語
「女があっさりやられた」「少女が無事帰宅」どちらも、読み始めの予想と正反対でした。
蟲は、無闇に人を襲う強力凶悪モンスターでないのが独特ですよね。故に不気味でもある。
茄子
私は太平記が好きです。は置いといて、そういや大国様の方は、隣の島国(だけではない
ですが)を見下しきってますよね。それが反映された童話や民話とかあるんでしょうなぁ。

>>新参者?? さん
巣で口あけてるヒナ鳥と化して、待っておりますよぉ〜。
355作者の都合により名無しです:2005/10/05(水) 22:42:04 ID:SGnOFOAy0
ふら〜りさん乙
356作者の都合により名無しです:2005/10/05(水) 23:18:28 ID:WUicr2M40
いつもテンション高いふら〜りさん、凄いなぁ
俺もそんなテンションが欲しい
357作者の都合により名無しです:2005/10/06(木) 08:38:13 ID:5XAKS0HJ0
>蟲百物語
本当に100続くかと思いながらも応援しています。
ゲロさんの作品は短いながらも何かひとつはメッセージ性みたいなものがあっていいですね。
特に最初の話、狂気と空虚が同居してる漢字で良かったです。

>それゆけフリーザ野球軍
今回は力作ですね。確かに長かったですが、最後まで流れを断ち切りたくなかった気はわかります。
練習試合とはいえ熱戦でしたからね。好きなギニュー特戦隊が役立たずだったのが残念ですがw

>茄子
うーん、こっちの作品はあまりメッセージ性を感じないシュールさだwしかし30分でかけるなんて凄いです。
微妙に会話が成り立ってないし。相変わらず茄子は淡々としているなあw
この作品で、昨日のテレビで見た、4年間メシ食わずに生きているって人を思い出しました。
その人は体内で必要な栄養分を生み出すって言ってた。意外と霞をだけで生きるってのもホントかも。
358新参者??:2005/10/06(木) 10:03:44 ID:+P0E1pzn0
>蟲百物語
ゲロさん乙です!!今回も、最高っす!!

>それゆけフリーザ野球軍
しぇきさん・・・本当に乙です!!次の日常&練習編が
楽しみです!!

>茄子
とても、30分で書いたとは・・・思えないですね!!
感動っす・・。

>ふら〜りさん
期待に沿えるようがんばります!!

ふと、思ったのですが・・エヴァのSSでも大丈夫なんでしょうか??
一応、漫画もあるんですけど・・ここのスレに合うのでしょうか??
359作者の都合により名無しです:2005/10/06(木) 12:37:56 ID:ix+MoQOj0
蟲百物語も好きだけど、俺は茄子も好きだな。
ある意味未完っぽく終わるような、残尿感があるようなシュールさが好きだ。
今回も日常にあるような酔っ払いの戯言の言い合いみたいなリアルさがいい。
頑張って下さいゲロさん。

>新参者さん
大丈夫と思いますよ。頑張れ。
360新参者??:2005/10/06(木) 12:58:12 ID:+P0E1pzn0
>>359さん、お答えサンクスです!!
精一杯がんばります。
361作者の都合により名無しです:2005/10/06(木) 13:34:49 ID:3kVH+y240
あと10日くらいで次スレ?
362ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/06(木) 13:42:15 ID:MlzDG3yU0
第二十四話「大勝利、そして・・・」

「とは言うものの・・・なんかすげえ強そうなんだが・・・」
あらためてフェニキアの姿を見て、稟はごくりと唾を飲み込む。だがマサキは余裕といった態度だ。
<へっ!心配するな。真の力を取り戻したサイバスターは、これまでとは全然違うぜ。言ってみりゃ、そうだな―――
無敵モードってところだ>
「無敵モードって・・・マサキくん。そのネーミングセンスはどうにかならないの?」
<さ〜あ、いくぞ!サイバスター、お前の力を見せてやれ!>
「ナチュラルに無視してるし・・・」
そんな気の抜けたやり取りに、フェニキアが業を煮やしたかのように叫ぶ。
「チイ・・・フザケオッテ!何ガ神ダ!何ガサイバスターダ!ソンナモノ―――ワタシノ前ニハ無意味ダトイウコト
ヲ教エテクレル!行ケ!<ドラゴン・ビット>!」
その声とともに、無数の<ドラゴン・ビット>はザンダクロスや風の民への攻撃を中断して、サイバスターへと向かう。
「わわわっ!一杯きたぞ!」
「あんな数・・・普通にやってたら、無理」
「ど、どうしよう・・・?」
襲いくる無数の機竜に、軽いパニックに陥る女性陣。だがマサキは慌てることなくそれを静止した。
<落ち着け、みんな。サイバスターの力なら、あの程度!さあ、稟。一発かましてやれ!>
「あ、ああ・・・ええっと、あれだけ大勢の敵に対処するには・・・」
モタモタしている間にも、無数の敵が迫り来る。サイバスターの武装の中で、それに対抗できそうなのは―――
「これだ・・・<サイフラッシュ>!」
叫びつつ、サイバスターの計器類を弄くる。その瞬間―――サイバスターから凄まじい閃光が迸り、その光は超広範囲
に渡って世界を包んだ。そしてその勢力圏内にいた<ドラゴン・ビット>は一瞬にして蒸発していく―――。
「グアアアアアアーーーーッ!」
それはフェニキアも例外ではなかった。蒸発こそはしないものの、受けたダメージは深刻だ。
「ガ、アアア・・・ク、馬鹿メ・・・ソレデハアノガキドモモッ・・・!?」
フェニキアは絶句した。同じく光に飲まれたはずのザンダクロスや風の民には、まるでダメージがなかったのだ。
363ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/06(木) 13:43:04 ID:MlzDG3yU0
「い、今の光は・・・?」
のび太が自分の無事を不思議に思いながら呟く。
<サイバスターに搭載された兵器の一つ―――<サイフラッシュ>さ。操縦者の精神に感応して、敵と定めた相手に
だけダメージを与えることができる。つまり広範囲を攻撃しつつ、味方には全く害のないっつー便利な武器でな。
これにお世話になったプレイヤーも多いはずだぜ>
「へえ・・・便利なものがあるなあ。けど、プレイヤーってなんのこと?」
<気にするな。俺が出てるスパロボを知ってる人にだけ分かるから>
「そっか・・・って、そんな楽屋ネタを話してる場合じゃないよ!フェニキアが・・・」
「GUOOOOOOOOOOOOON!!!」
もはや獣そのものの声を上げて、フェニキアが火炎弾を乱射する。それは正確にサイバスターを捕らえた―――
かに見えたが、火炎弾が当たる瞬間、サイバスターの姿が掻き消えた。
「ナ・・・ナンダト・・・!?」
<へっ、どこ見てんだよトカゲ野郎>
小馬鹿にした声が、背後から聞こえる―――サイバスターは一瞬にしてフェニキアの背後に移動していたのだ。その場に
いた誰にも、そのスピードを捉えることができたものはいなかった。
それはまさに<疾風>の如く―――そしてサイバスターが剣を構える。その切っ先が空中に複雑な魔方陣を描いた。
そこから溢れる強大な気配―――次の瞬間、魔方陣が炎に包まれた。
「いくぞ!<アカシック・バスター>!」
稟が叫ぶ。魔方陣が炸裂し、そこから生まれた超存在がこの世界に顕現する。
それは、神鳥―――燃え盛る業火を纏いし、神の使い。炎の神鳥は雄々しく翼を広げ、フェニキアに突撃する。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーッッ!!!」
全てを燃えし尽くさんばかりの超高熱に、フェニキアは絶叫する。並の敵ならば、それで全ては終わっていた。だが、
フェニキアとて並ではない。サイフラッシュ、アカシック・バスター・・・そのダメージに、彼は耐え切った。
「マダダ・・・マダ、終ワラン・・・コノ世界ヲ、焼キ尽クシテ・・・」
フェニキアから溢れ出る、瘴気にも似た禍々しい気配―――幾億もの時を越えて熟成された憎悪だけが、崩れゆく
身体を支えていた。
「なんつーしぶとい奴だ・・・」
<稟・・・こいつを潰すには、こっちも最強の攻撃を叩き込んでやるしかないぜ>
「・・・分かったよ、マサキ。行くぞ!」
364ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/06(木) 13:43:48 ID:MlzDG3yU0
サイバスターがその両腕を胸の前で交差させる。膨大な魔力が凝縮されていき―――周囲に巨大な光の球が、四つ
現われた。それと同時に―――世界が揺れる。
大地が鳴動し、天が雷を纏った黒い雲に覆われ、嘆くかのように大気が震える。
まるで世界が、降臨せし神に畏れ、怯えるかのように。
「な・・・なに、これ!?ドラえもん!」
「ま、まさか・・・サイバスターのパワーの余波だけで、こんな!?」
パニックに陥るのび太達を尻目に、サイバスターはフェニキアに向けて、極限まで高まった魔力を放つ。
四つの光弾が次々にフェニキアに襲いかかり―――
「<コスモノヴァ>!」
瞬間、全ては光に包まれた。それは全てを破壊し、全てを消し去り、全てを浄化する神の怒り―――
「グアアアアアアッ・・・・バ、バカナ・・・ナゼ、ナゼ・・・コノワタシガアアアアアアッ!!!」
断末魔の声さえ掻き消され―――フェニキアは、灰燼一つ残さず消滅した。
「やったー!」
「おお・・・神よ・・・」
<サイバスター・・・なんという力か・・・!>
のび太、ドラえもん、リルル、ヤーク、そして風の民が勝利の喜びを叫ぶ。サイバスターの中でも―――
「うっわー!すっげえ威力だ!周囲500m、瞬間最大五千百度くらいだぞ!」
「な、なんでそんな具体的に・・・?」
「んー、のび太の読んでた漫画に出てたぞ、そんなんが」
「要するに適当に言ったんだな・・・」
「それはともかく、ほんと凄いよ。これならどんなのが来てもへっちゃらじゃない?」
稟や亜沙は呆れつつも安堵の笑みを見せる。だが彼らとは反対に、プリムラは不安げな表情を浮かべていた。
「どうしたんだ?プリムラ。浮かない顔で」
「・・・りんは、不安じゃない?こんなすごい力―――普通なら手に入れていいものじゃない。強すぎる力は、
ひとを狂わせるもの・・・」
「・・・・・・」
そう言われて、稟は顔を伏せる。確かにそうだ。はっきり言ってサイバスターの真の力は、予想以上などという
レベルではなかった。本当なら、人間がこんな力を手にすべきではないのだ―――
だが、それでも。
365ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/06(木) 13:44:31 ID:MlzDG3yU0
「だけど―――この力があれば、のび太たちを守れる」
<そうだな。要はどう使うか、だ。壊すために使うか、守るために使うか―――決めるのはお前だぜ、稟>
「ああ。俺はこの力を、みんなを守るために使いたい。だけど、もしも―――もしもいつか、俺がこの力に溺れそう
になったら―――」
<・・・・・・>
マサキは次の言葉を待って沈黙する。そして稟は言った。
「―――そん時は、思いっきり怒鳴って、目を覚まさせてくれよ」
マサキはその言葉に、満足げに答える。
<心配ないさ、お前なら。だって、お前には―――>
「おーい、稟さーん、みんなー!」
外から声が聞こえてくる。見ると、のび太やドラえもん、リルル、そしてテムジンもサイバスターに駆け寄って
いた。みんな、笑顔でこの大勝利を心から祝福してくれている。
<お前には、こんないい仲間がいるじゃんか。歪もうったって歪みはしないさ>
「マサキ・・・ありがとうな」
<は、そんな変な顔するなよ。こんないい場面なんだぜ、稟―――顔が落書きだらけじゃなきゃ、もっといい場面
だったんだけどな>
「言わなきゃみんな忘れてるようなこと言うなよ・・・台無しじゃないか」
ぼやきつつ、稟たちはサイバスターから降りる。地面に立った瞬間、わっと大勢の人に囲まれた。
のび太、ドラえもん、リルル、テムジン、風の民―――みんなが大喜びで勝利を祝う。中には、手を合わせて
サイバスターを拝む人までいた。
<ほっほっほ・・・みな、大騒ぎじゃ。よほどサイバスターの勇姿に興奮したのじゃろうな>
「うんうん、分かる分かる」
ヤークの言葉に、のび太も頷く―――その時だった。

パチパチパチパチ・・・・・・
どこからか場違いな拍手の音が響く。それにつられてか、大騒ぎしていた連中が静かになった。
366ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/06(木) 13:45:13 ID:MlzDG3yU0
「いや、これは凄い!<機神王>などという大層な異名も伊達じゃないな。うむ―――実に素晴らしい。ささやか
ながら、心からの拍手を贈らせてもらうよ」
そして、現われた男は―――
「お前は・・・!」
「初めましての人もいるからね、あらためて名乗ろう―――私はムスカ。<十三階段>八段目、ムスカだ」
男―――ムスカは、果てしなく暗い笑みを浮かべた。
367サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/10/06(木) 13:59:40 ID:MlzDG3yU0
投下完了。前回は>>290より。
勝利の喜びも束の間、ムスカ登場で次回へ。

のび太の影が薄いという感想が多いですが、大丈夫です。中盤から後半にかけてシャレにならないくらい
パワーアップしますから(多分)。今はそれに向けて充電中ということで。
むしろ、サイバスターはすでに今回で全部出尽くしちまったような・・・。
ラスボスへの止めの一撃という最高の見せ場も多分のび太が持っていきますし・・・。
しかしサナダムシ氏には真のインフレというものを見せ付けられました。もう超機神でどんなインフレしても
驚いてくれる人はいないかも(笑)

>>ゲロさん
僕としては、短編をたくさん書ける方がすごいと思ってます。神界とか超機神とか、長さで誤魔化してる感が
ありますから。プロットは一応主軸になる部分では「ここはこう、あそこではこいつがこう」ぐらいは決めて、細かい
部分は気分で、というかんじですね。

>>しぇきさん
ネオグランゾン以外には楽勝だと、さすがに話がめちゃくちゃになるので・・・それでなくても強さのバランス
おかしくなりそうですが。
しかしスパロボでMAP兵器と言えばサイフラッシュだったんですが、今はメイオウ攻撃に浮気しそうです。

今回は後書き多くなったな・・・うざかったらすいません。
368作者の都合により名無しです:2005/10/06(木) 17:45:58 ID:N01FvLYP0



  たとえッッ

  世界が滅びようとッッ

  このスレだけはッッ

  守って見せるッッ


369作者の都合により名無しです:2005/10/06(木) 18:31:32 ID:rtrIcSh0O
サマサさん…乱舞の太刀はなしですか?アレのほうが、コスト対効果がいいと思うんですが。
370作者の都合により名無しです:2005/10/06(木) 19:12:51 ID:zOdb6n3E0
サマサさん御疲れです。
フェニキア、やはりパワーアップPR用カマセになりましたか。
いや、一応最強攻撃で葬られたから面目は立ったのか。
でも、チームの中で一番冷静で的確な意見を言ったのが
最年少のプリムラというのはなんですなw


しかしサマサさん、ゲロさん、サナダムシさん、しぇきさんの活躍で
今スレも消費早いなー!
371作者の都合により名無しです:2005/10/06(木) 20:11:38 ID:u9ftHb/B0
>>「言わなきゃみんな忘れてるようなこと言うなよ・・・台無しじゃないか」
俺忘れてたw
372作者の都合により名無しです:2005/10/06(木) 22:25:18 ID:nhr52RZi0
はいはい サマササマサ
373作者の都合により名無しです:2005/10/07(金) 08:00:10 ID:2iNQoU+X0
>超機神大戦
サイバスターのレベルアップイベントはこれで終了かな?
フェニキアも瞬殺したし。これ以上強くなると本当にリンが主役になっちゃうからな
のび太の大活躍を期待してます。
しかし「中盤から後半にかけて」って事は、まだ物語序盤なのかw

>サナダムシ氏には真のインフレというものを見せ付けられました
確かに。あれほど空気の読めない悟空は珍しいw


374作者の都合により名無しです:2005/10/07(金) 10:53:58 ID:y/kX3z4I0
>>373
むしろ悟空、空気読みすぎw
真のインフレとはミスフルのためにある言葉だね。
375作者の都合により名無しです:2005/10/07(金) 18:19:05 ID:7lX42jQn0
>>370
その4人の皆さん絶好調だな。嬉しい事だ。
でも、パート30は出来ればみんな復活して欲しいな。
ザクさんはどうしたんだ?
376作者の都合により名無しです:2005/10/08(土) 08:25:30 ID:D6GMwNFm0
昨夜は珍しく来なかったか
377作者の都合により名無しです:2005/10/08(土) 19:49:30 ID:pD7o1/jR0
週末には何故かあまり来ないというのはバキスレの伝統
平日に3本くらいにまとまってくるのも伝統

ただ、土日に書いて平日にあげてるだけだと思うがね
378ドラえもん のび太の―――――:2005/10/08(土) 20:31:06 ID:daqecwU90

  「序章――“神の蛇”」
 
379ドラえもん のび太の――――― 1:2005/10/08(土) 20:31:57 ID:daqecwU90
異変は唐突に観測された。

マリアナ海溝の底の底にある海底国家ムー連邦、首都―――――――。
その郊外にある連邦首相私邸に、電波を通して緊迫した兵士長の声が響き渡った。
「緊急事態です!至急出動を!」

重い腰をあげる。しかし、その後の行動は迅速だった。家族との語らいの時間。
それは彼にとっては多忙の間を縫っての久しぶりの休暇のはずだった。しかし、
国家を束ねる連邦首相という重大な任務についている限り、それは休暇であって
休暇ではない。ごくありふれた報告を受け、連邦の機密軍事施設へと出頭する。

ムー連邦に関わる膨大な軍事情報を一括管理しているコンピュータールーム。
ムー連邦の生命線へと続く、丹念に磨き上げられた通路に緊迫した足音が響く。
首相は傍らにいる若き兵士長に“緊急事態”において最も重要なことを尋ねた。
「被害は・・・?」
「現状、水位の上昇等もなく、周囲に被害はないようですが・・・」
「水位・・・?この広大な海域の水位に影響を与えるほどのものが・・・?」

目的の場所へと辿りつく。長官は目を見開いてうめいた。
「こ、これは・・・!?」
ルームの扉が開き、モニターを眺め―――――――長官はすぐに悟った。
事態が決して“ありふれたもの”などではないことを。

コンピュータールーム内は、いつにもまして緊迫感に満ちている。
「固定監視カメラの映像から、探査艇手動の映像に切りかえます。」
「光量ゼロ!」「温度極めて低温!」「深度3000メートルより停滞!」
「映像から観測される推定質量はこの一帯だけでも大変なものになります。」
「しかし、重量は計測できません!・・・重量・・・・ゼロ・・・!」
黙して事態の把握に努めていた首相が、思わず言葉をさしはさむ。
「重量ゼロだと!?これだけのものが幻というわけもあるまい。」
380ドラえもん のび太の――――― 2:2005/10/08(土) 20:32:50 ID:daqecwU90
モニターに映し出された“影”―――――――
それは広大な海底をくまなく覆い尽くすかのごとくうねり、広がっている。
「方位Kの3869!・・・この“影”が取り巻く中心に位置するのは・・・・・
ま、間違いありません・・・・・!」
首相は唇を噛み締めながら、うめく。
「ぬう・・・“鬼岩城”のあった場所か・・・!」
兵士長が言葉をはさむ。
「例の“ネオ・アトランティス”との関連は・・・?」
「わからん。だが・・・」
「突然出現した海底を覆いつくす重量を持たぬ影・・・」
「しかし、これはまるで・・・・」
モニターに“影”が既に海底全土に出現していた場合の推測図が浮かび上がる。
その影はまるで巨大な――――――
「“蛇”・・・! ・・・伝説の・・・!」
“伝説”。兵士長の言葉を受けて首相はそっと目をつむり、おもむろに語り出す。
「・・・ムーの歴史書の最後に記された未来を予言した一節―――――」

  究極の破壊の神の幼生あらわる 幼生孵化せしそのとき
 この世の全ては彼方へと消え去るであろう 幼生の御名それは―――――

「 全世界質量―――――――“神の蛇”・・・! 」
海底国家ムー連邦の若き戦士、“兵士長エル”は、モニターに写る巨大な影を
睨みながら、胸に抱いた大きな不安を隠せぬままに呟いた。

「・・・いったい・・・何が起ころうとしているんだ・・・・・!?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
381ドラえもん のび太の――――― 3:2005/10/08(土) 20:33:24 ID:daqecwU90
「ぅあっちょお〜!」

青い空。白い雲。冬が近いわりには随分と穏やかな陽気のいつもの空き地に
ジャイアンの、ジャイアンらしからぬ甲高い奇声が轟いた。
「のび太!罪もない市民をいじめるなんてこの俺様が許さねえぞ!」
「そうだそうだ!」
ニタリと邪悪に笑いながらジャイアンが理不尽にいきりたつ。傍らの虎の威を
借るスネオが無責任に煽る。さながらタチの悪いチンピラ2人組のようである。

「ちょ、ちょちょ、ちょっと待ってよ。僕なんにも悪いことしてないよ。
いじめてるのはそっちじゃないか!」
「うるさい!汚い悪党はいつだってそう言うのさ。だが、ドラゴンの正義の
怒りはおさまらない!覚悟しやがれ!」
ジャイアンはとても正義の味方とは思えぬ凶悪な笑みを浮かべてのび太に
迫った。なにやらスネオの家で見たばかりのカンフー映画の真似事らしい。
アクションスターであるドラゴン・リーの勇ましいアクションに影響を受け、
さっそくのび太を相手に実戦訓練というわけである。

シャキシャキと無駄に素早いトリッキーな動きで、
肘や裏拳をビシバシのび太の体に叩き込み、最後はいつもの右ストレート。
まともにくらったのび太はあえなくその場に舌を出して失神してしまった。
“正義のカンフーマスター”ジャイアンは満足して意気揚々と引き上げていく。

気絶したのび太をほったらかしたまま―――――――

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
382ドラえもん のび太の――――― 4:2005/10/08(土) 20:34:21 ID:daqecwU90
―――――意識が暗い闇の底へと沈んでいく。

(あれ・・・?僕、どうしたんだろう・・・。そうか。ジャイアンに・・・
殴られて・・・・・)

目覚める。闇の中を。のび太はおぼろな意識のまま、闇の先に奇妙な光景を
見た。何かの儀式だろうか。黄色と赤を基調とした派手な細工が施された謎の
祭壇が設置されている。その不思議な祭壇の中央に艶やかな法衣を身に纏った
一人の少女が武道の演武にも似た鋭い舞を舞っている。

少女はまだ幼く、年のころはのび太とそうはかわらないだろう。しかし、その強い
意志を秘めたまなざしと、凛とひきしまった口元、整った鼻筋は大人びて見えた。
少女の舞は時がたつほどに、流れるように迅く、美しく、研ぎ澄まされていく。

(・・・?あの動き・・・カンフー・・・?)
鋭い舞の中繰り出される大仰なアクションは確かにド派手なカンフー映画を
連想させた。しかし、それよりもなによりも印象深いのはその整った顔立ち。

(誰だろう?気の強そうな大きな瞳。引き締まった口元・・・・でも・・・
・・・かわいいなあ・・・・・・)
そんなことを思いながら、のび太の意識は再び暗い闇の底へと落ちていった。
―――つまりこの場合、ようやく失神から目覚めたのである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
383ドラえもん のび太の―――――:2005/10/08(土) 20:40:31 ID:daqecwU90
お久しぶりです。うみにんです。

地底の次は海底っ!と。謎の少女は今回のゲストヒロインの予定です。
見切り発車ですが、とりあえずプロローグだけでも書き終えましたので
3回にわけて投下します。

384作者の都合により名無しです:2005/10/08(土) 21:53:52 ID:KxeBRwOL0
カンフーですか。王ドラの出番ですね。
385それゆけフリーザ野球軍:2005/10/09(日) 02:44:37 ID:UHX0Simo0
>うみにんさん
待ってました!!!ドラ長編!今回もとても面白くなりそうな予感!!

後、三回投稿と書いてありましたが5時間ほどたっても投稿がないようですので
ちょっと投稿させてもらいます。
386それゆけフリーザ野球軍:2005/10/09(日) 02:45:18 ID:UHX0Simo0
練習試合から3日後、フリーザを除いたメンバーは惑星フリーザに到着して普段の生活を送っていた。


以外と知られていない彼等の日常。

ただ毎日侵略と略奪を行っているわけではないことをまずはここに記しておこう。

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注:キャラの物語によって、一人称視点だったり日記帳だったり変わることがあります。

最初はザーボン&ドドリア編です。

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387それゆけフリーザ野球軍:2005/10/09(日) 02:46:54 ID:UHX0Simo0
<ザーボン&ドドリア編>
〜AM9:00〜
<幹部室>
地球と違い太陽が丁度真上に来るこの時間、この部屋は暖かな光に照らされていた。

照らされているのは非対称的な二つの机。

右の机は秀麗に使われており、左に机は入れるだけ入れた物置のようになっている。

そしてドアの開く音。
入ってきたのはザーボンとドドリアである。

「ふう〜、今日で三日か。この前の試合ででた損失はと・・・。」
ドドリアは右の机に座り、てきぱきと仕事を始める。
「うわっ!また崩してしまったか・・・。」
ザーボンは左の机に座り、座った拍子に机から落ちてしまった書類を拾い上げる。
「そろそろこの机の上も片付けないと・・。」


この光景を新卒の部下が見たらどう思うだろう。
おそらくフリchでしか二人を見たことない人は、二人がいないこの部屋を見たとき、
鈍重なイメージからドドリアが左の机、顔立ちの整っているザーボンが右の机と何の迷いも無く連想するだろう。

しかし、現実は違う。

仕事はあまり出来ないがその他はきちんとしているドドリア。

仕事はかなりできるがその他はズタボロなザーボン。

今回は容姿以上に対極な面がある二人が織り成す物語である。

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388それゆけフリーザ野球軍:2005/10/09(日) 02:49:26 ID:UHX0Simo0
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〜AM10:30〜
「休憩っと・・。」
背筋を伸ばしながら、両腕を上げてゆっくりと力を抜くザーボン。
彼はこの1時間以上の間、ただひたすら机の上を片付けていた。
一方、ドドリアはまだこの前の試合の損失の決算をのレポートをまとめていた。
「なあ、ドドリア?少し休憩しないか?」
ザーボンは気軽にドドリアに声をかける。すると・・。
「俺はお前みたいに仕事が速くないからな。休憩をしたいのなら一人で行って来たらどうだ?」
「なんだよ。なんか棘の在る言い方だな・・・。まあ良いさ。」
ドドリアに断られたザーボンは一人で休憩室に向かって歩き出した。

「・・・・。後、3時間か・・・・。」
ドドリアはザーボンがいなくなってからそうボソリと口に出した。

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〜AM12:30〜
ザーボンが休憩を終えてから約1時間半経過している。
さっきも休憩を取っていたのに、すで試合の損失の決算をあっさり終えて昼飯に行こうとするザーボン。
対して一回も休憩を取っていないドドリアはさっきよりも追い込まれた表情でキーボードをカタカタと叩いている。
「おい、ドドリア。いい加減に休憩を取らないか?帰ってきてからどうにも追い込まれたように仕事をしているが・・。」
ザーボンはこの数日のドドリアの仕事に対する姿勢を見て、言い知れない不安に駆られていた。

そもそも二人はフリーザが侵略&征服した星の住人で優秀な人種だけ残すフリーザに選ばれたいわばエリートであり、
フリーザの幹部候補で生き残った最後の2人である。

そんな境遇から互いに励ましあったり、時には競ったりして生き残ってきた。
ザーボンにとって栽培マンを心の友とするならば、ドドリアは兄弟といった関係である。
当然、信頼しているし何かあったときは互いに相談できる間柄でもある。
389それゆけフリーザ野球軍:2005/10/09(日) 02:50:02 ID:UHX0Simo0
そんな関係のはずが最近のドドリアは常に何かに追い込まれている表情で黙々と仕事ばかりしている。
いつもならば相談してくるか、追い込まれても余裕たっぷりの表情で「まあ、適当に書いておけばOKだろ!」と笑顔で言うのが
本来の彼なのであるが・・・。

「何かあったのか?良ければ相談に乗るぞ?」
ザーボンはついに見かねてここ数日言いたかった台詞をドドリアに投げかける。
ドドリアはこの言葉をよほど待っていたのだろう。ザーボンの言葉を聴き終えるや否や早口でこうたてしまくった。
「実はさ、今日プロポーズなんだ。一生に決めた人って言うのかな?これを逃せば一生結婚出来ないって言うかなんと言うか。
ともかく不安なんだよ。なのに、仕事は終わらないし決心も固まらないし・・。」
長い台詞を呼吸もせずに言ったせいか、ドドリアは呼吸も絶え絶えになりながらザーボンを見上げた。
「お前なら経験豊富だろ?なんかこういうときに落ち着く方法って無いかな?」
ドドリアの意外なカミングアウトに動揺を隠しながらも、ザーボンはこう答えた。
「それはお前次第だな。お前が本当に彼女を愛しているのならプロポーズの言葉もその時の自分の決心も自然と固まるものさ!」
「そうかな・・・?」
「そうだよ!ほら!俺が後はやっておくからお前は早く彼女に会ってプロポーズして来い!」
「わかった!恩に着る!」
そう言って部屋から飛び出すドドリア。

ドドリアが部屋から出て行った後、ザーボンはドドリアの残した仕事をしながら
「何言っているんだろうな俺は・・・。まともに女性と付き合ったことなんて無いのにな・・。」
等と言っていた・・。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
ザーボンは容姿が良く仕事も出来るが、それ以外は満足に出来ない男である。
容姿に引かれた女性は十中八九、このギャップに耐えられず3ヶ月とも持たない。
そんなザーボンにとってドドリアの悩みがちょっとうらやましかったし、応援したくもあった。

「あいつ・・。成功したのかな・・・。」

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
390それゆけフリーザ野球軍:2005/10/09(日) 02:52:53 ID:nu7ycWRv0
〜PM5:30〜
ザーボンはドドリアの分の仕事も終え、帰宅する。
彼が住んでいる場所は高級マンションの一角。
フリーザの幹部ともなれば当然ともいえる待遇なのだろう。
指紋認証と声紋認証のロックを開け家の中に入るザーボン。

「・・・。そろそろ片付けないとな・・・。」
仕事場の机と同じく・・・、いやこちらの方が遥か酷くゴミ屋敷化している。
「ただいま・・。栽培マン。」
ゴミを避けながらリビングに入り、ベランダの外の植木鉢で寝ている栽培マンに声をかける。
もちろん就寝中の彼からは答えは返ってこない。

とりあえず冷蔵庫からビールをだし、家の中でもまだましな方なソファーに腰をかけテレビをつける。
「バイキング会場で誘拐事件か・・・・。まあ、下級戦士どもがどうにかするだろ・・。」

ドドリアのプロポーズの結果が気になるせいかニュースで事件が報道されても、何の関心も示さないザーボン。


そして一時間後・・・・・。

(ドドリアの奴・・・。電話してみるか・・。)
どうしても気になるザーボンは意を決してドドリアに電話をかける。

プルルルルルルル・・・。プルルルルルルル・・・。

電話のコール音がなっている間、ザーボンはドドリアが成功したか否かの両パターンの言葉を考えていた。

プルルルルルル・・・・。プルルルルルルル・・・。

(やはり・・。止めようか・・。アイツが自分か言うのを待つか・・。)
ザーボンはやはり”いくら自分たちが兄弟のような仲だといっても、こういうことは別だ”と自分の浅はかさを侮蔑しながら電話を切る。
電話を切ったザーボンはゆっくりとソファーに腰掛け、ニュースの続きを見ることにした。
391それゆけフリーザ野球軍:2005/10/09(日) 02:53:28 ID:nu7ycWRv0

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------
〜PM6:45分〜
「ここで、先程の誘拐事件の速報です。リポーターのラディッツさん?」

「はい〜。アナウンサーを首になったラディッツです。たった今、誘拐犯グループが立てこもっていると思われる建物に
突入部隊が入りました!!」
ラディッツはぎこちない動きをしながら犯人グループが占拠している建物の前からレポートする。

(ラディッツの奴は今度はレポーターか・・・。こいつは彼女とかいるのかな・・。)
ザーボンは普段では決して考えないようなことを考えながら、ビール片手にニュースを見続ける。

5分後・・・。

ドゴーン!!!

突然の爆発音とともに崩壊する建物。
崩れ落ちる瓦礫とそれを必死に避けるラディッツ。

「突如、建物が崩壊しました!!突入部隊や人質は大丈夫なのでしょうか?」
そしてラディッツが周囲の状況を視聴者に伝えようと奮闘していると、後ろから数人の影が・・・・!!
「うえ?お前達!何モンだ?・・・・ひゃ!止めてください!ごめんなさい!ごめんなさい・・・。」
ラディッツやカメラマンに突如襲い掛かり、あっという間に倒してしまう。
そして、次にカメラが映し出したものは・・・。

「ど、ドドリア??」
そう昼間彼女にプロポーズをしに行ったドドリアである。
彼は手を特殊な開錠で塞がれ手や戦闘力を出せない状態になっている。
392それゆけフリーザ野球軍:2005/10/09(日) 02:54:09 ID:nu7ycWRv0

ザーボンがテレビの前に釘付けとなると同時に、ドドリアの後ろにいた人物がゆっくりと話し始める。
「我々は素材のわかる解放戦線!略してソザの会だ!我々の要求は・・・・・。」
むっつりへの字の口をしたリーダー格らしき人物がテレビカメラの前に出てきて、あれやこれやとフリーザの政治に不満や
提言を5分ほどぶちまけて最後にこう言った。
「この後、2時間以内に60億フリーザドル(地球換算で6500円)を持ってこなければ人質に命は無い!尚、こちらはフリーザの側近であり、
幹部であるドドリア氏とその彼女を人質にしている!」
(結局お金かよ!)
とザーボンが内心突っ込みを入れると同時にドドリアがまたクローズアップして映し出される。
そしてその後ろから、ドドリアと同じように縛られた女性がゆっくりと出て来て・・。

べった〜ん!
とカメラの前で豪快にずっこける。
「・・・。大丈夫か?」
思わず心配してしまうリーダー格らしきの男。
「は、はい・・。大丈夫です・・。普段から転びなれてますから・・。」
「そうか・・。じゃあ、これを読め!」
人質の女性はリーダー格らしき男に紙を手渡され朗読する。
「え、え〜と、先程言ったお金の受け渡し場所は、フリーザうみうえみずぞくやかた・・。」
「水上水族館だ!」
「あ、はい・・。フリーザ水上水族館のB6のサメの水槽の前です。こ、これで良いんですか?」
人質の女性が読み終わると、そのままドドリアの横に座らせて、リーダー格らしき男はこう言った。
「この女性が先程言ったドドリア氏の彼女だ!尚、この女性に見覚えのある人がほとんどであろう!」
男がそういうと今度は人質の女性の方へカメラが向けられる。
「この女性はフリーザを援助している、この銀河最大の財閥”ミスリル”の令嬢だ!もし2時間以内にお金を持ってこなければ、
当然・・・。」
男は突然後ろを向き、半分以上崩壊している建物に向かってエネルギー波を撃つ!

ズーーーーーーーン!!!

「このように、跡形もなくなるだろうな。」
そう言った後、二度とカメラはその場の様子を映らなくなった・・・・。
393それゆけフリーザ野球軍:2005/10/09(日) 02:55:08 ID:nu7ycWRv0

<PM7:00>
(どうする・・。)
ザーボンは考えていた。当然、ドドリアとその彼女の救出のことだ。
しかし、今すぐ救助に向かおうとしてもなぜか体が動かない・・。

(なぜだ?なぜだ?なぜだ?なぜ体が動かない!!!なぜドドリアたちを救出に行かない!ザーボン!)
ザーボンはなぜか動かない体にひたすら檄を入れながら必死に動かそうとする・・。

(なんでだ?なんですぐ俺は行こうとしないんだ?何を考えているんだ?俺は?だって、奴は・・・、奴は・・・。)

”兄弟なのに・・・”
続く。
394それゆけフリーザ野球軍:2005/10/09(日) 03:01:29 ID:nu7ycWRv0
こんにちは短編短編でしばらくは行くつもりのしぇきです。

取り合えず、主要メンバーの短編を書いてから練習→試合と
ザーボン&ドドリアの話は次で終わります。

>サマサさん
サイバスターが滅茶苦茶強くなっていますね。
今回は参戦戦闘だからいきなりコスモノヴァを撃ってもOKと
言うところなのでしょうか?
>メイオウ攻撃
木原マサトが十三階段で出てくる・・・、はずは無いか・・。
多分ネオより強いし・・。

>茄子さん
30分でこんな作品が〜!!
何か口をあけている鯉のように、ただただ感心しきりです。

では失礼・・・。
395それゆけフリーザ野球軍:2005/10/09(日) 03:32:21 ID:iY0UbiVZ0
後、----------で場面変換を表したかったのですが、やはりわかりにくいでしょうか?

いつもレスを下さる方がたありがとうございます。

では今度こそ失礼・・・。
396ドラえもん のび太の―――――:2005/10/09(日) 06:30:46 ID:fP7b4LQR0
>後、三回投稿と書いてありましたが5時間ほどたっても投稿がないようですので

あああ、しぇきさんすみません・・・一度に投下すると長過ぎるので、日を分けて
3回というつもりだったのですが、紛らわしい書き方で勘違いさせてしまいました。
「今回分終了」とか書くべきでしたね。というか前までは書いてたから余計ややこしい・・
5時間・・・他にも勘違いされた方おられましたらホントごめんなさい・・・
397ドラえもん のび太の――――― 5:2005/10/09(日) 06:37:41 ID:fP7b4LQR0
「ドラえもぉ〜ん!」
ジャイアンにいじめられて泣きながら家の玄関を駆け抜けるのび太の視界に、
玄関に置かれた見慣れない子ども靴が飛び込んできた。
「・・・誰だろう?」
疑問に思いながら靴を脱いで中に入ると居間からテレビの音声が聞こえてくる。
そっと中を覗くと画面にじっと見入っているのはドラえもんともう一人。
「あれ?出木杉?」
のび太の友達、学校一の秀才(かつスポーツ万能!)の出木杉英才である。
出木杉くんが一人でのび太の家に遊びにくることは珍しい。
「やあ、のび太くん、おかえり。いや、実は今テレビでとっても興味深い
ニュースをやってたんだ。ドラえもんくんの見解を聞きたいと思ってね。
・・・あ、また新情報だ。」

七三分けの生真面目そうなキャスターが緊迫した表情で語りだす。
『ええ・・・突如海底に現れた巨大な影・・・気になる続報です。』

『現在はまだ局地的にしか観測できてない状況なのですが、観測できる範囲だけ
でも膨大な質量の“影”が生まれています。まだ調査段階ですが、推定では恐らく
この“影”と同じものが既に海底全土に広がっているのでは・・?とのことです。
不思議なことに海面の上昇や津波といった現象は何も起こっておりません。』
画面が切り替わる。仏頂面の3人の学者らしき人たちが映し出される。
『本日急遽ご出演くださった専門家の先生方はどのようにお考えでしょうか?』
コクリともっともらしく頷いて、自称専門家たちはおのおの意見を述べ始めた。
『今までの常識を超える新しい種類のオーロラのようなものでは・・・?』
『いや、あまりに酷い環境汚染に対して、ついに海の怒りが・・・』
学者たちの激しい討論が始まる。討論が不毛な罵り合いに発展しはじめるのを
見届けて、そっとため息をつきながら出木杉はテレビを消した。
398ドラえもん のび太の――――― 6:2005/10/09(日) 06:39:03 ID:fP7b4LQR0
「へえ。不思議なこともあるもんだ。この映像、まるででっかい蛇みたいだねえ。」
のび太の言う通り、ニュースで流れた影の映像は海底を這う大きな蛇を連想させた。
出木杉くんが感慨深げに呟く。
「確かに。まるで“ミズガルズオルム”みたいだね。」
「“ミズガルズオルム”?」
「うん。神話の世界において海底全てを覆い尽くすと言われる巨大な蛇のことだよ。
地球そのものの化身のようにも言われているね。」
「そんなバカでっかい蛇がいるわけないじゃん。あはははは。出木杉くんも案外バカ
なんだなあ。」
「・・・・だから神話の伝承だって言ってるのに・・・」
「・・・ごめんね。のび太って本当にバカだから・・・」

“本当にバカな”のび太は、ふと思いつきを口に出した。“本当にバカな”わりに
時折、的を射た意見を口にする。
「ねえ、エルくんに聞いてみたら?エルくんたちならきっと、もっと詳しいことも
知ってるんじゃないかな?」
「エルくんって・・・?」
「前にジャイアンやしずかちゃんたちといっしょに、みんなで海底を冒険したことが
あるんだ。その時に知り合った海底人の友達だよ。」
「か、海底人!?」
399ドラえもん のび太の――――― 6続:2005/10/09(日) 06:40:06 ID:fP7b4LQR0
「おい、のび太!」
「なに?」
「出木杉くんならそりゃあ信用できるけどさ。それでも海底のことはあくまで秘密に
するべきだぞ。そんな調子で誰彼かまわずしゃべってたら・・・・」
「ま、そんな固いこと言うなって。」
相手が信頼できる出木杉くんということもあり、結局はドラえもんが折れて、
しぶしぶながら海底世界のことを詳しく説明することになった。
話を聞いた出木杉くんは、思わず感嘆の吐息をもらす。
「・・・はぁ・・・信じがたい話だけど、キミたちの言うことだからなあ・・・
・・・だけどそんな面白そうなこと、僕も誘って欲しかったな。」
「ごめんごめん。じゃあ、これからいっしょに行く?」
「もちろん!」
「二人とも、すぐには無理だよ。いろいろと準備もあるし。もうじき冬休みだ。
そのときキャンプがてら、みんなで行ってみようよ。ジャイアンたちも誘ってさ。
そのころにはもう謎は解明されちゃってるかもしれないけれど。」
「うん!決まりだね!行こう!」
のび太と出木杉は笑顔で大きく拳を突き上げた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
400ドラえもん のび太の――――― 7:2005/10/09(日) 06:41:29 ID:fP7b4LQR0
夜―――――――――

のび太は新しい冒険の予感にほんの少しだけ胸をときめかせながら、
窓の外の月明かりを眺めていた。――――――と・・・

・・・にゅっ!

唐突に目の前に“顔”が現れる。当然驚く。ここは2階だというのに。
固まったのび太を無視して、その“顔”―――つまり侵入者は呟いた。
「ここかな?間違いない。」
よく見れば古代日本の邪馬台国時代の人間を思わせる、変わった髪形の少年である。
「よいしょっと!やっとついたか。」
侵入者の背後からさらにもう一人。やはり少年である。こちらはクリッとした瞳に
栗色の短髪巻き毛。中世の西洋風の出で立ちだ。

「き、きき、キミたちは、だ、だだ、誰・・・!?」
「やあ、驚かせちゃったかな。僕たちは怪しい者じゃないんだ。僕の名前は
ヤマト神帝。こいつは神帝男(ダン)ジャック。天聖界からやってきた神帝なんだ。」
「神帝って・・・?あのおとぎ話に出てくる7神帝?」
侵入者の口から飛び出した言葉に、のび太は驚きの声を漏らした。天聖界という
聖域を舞台に天使と悪魔が入り乱れて戦うのび太の世界の有名なおとぎ話である。
それを元に発売されたチョコレート菓子のおまけのシールは子供たちの間で空前
の大ヒットを記録している。ビックリマンという変わった名前でアニメ化され、
その主役格である“神帝”たちはまさに子供たちのヒーローなのだ。
「今は残念ながら6神帝になっちゃったけどね。そっかあ。ここではおとぎ話に
なっちゃってるのかあ。まあ、しょうがないか。ずいぶん昔のことだし。」
401ドラえもん のび太の――――― 8:2005/10/09(日) 07:35:12 ID:fP7b4LQR0
「何の用なの?いきなり神帝なんて言われたって信用できないよ。」
「それもそうだねえ。ようし!じゃあ、僕らが神帝だって証を見せてあげるよ。
僕らのもつ大いなる“理力”ってやつを!」
ヤマト神帝を名乗る少年の目が鋭く光る。剣を抜く。剣先でユラリと円を描く。
おとぎの世界の伝説の剣技が今、のび太の目の前でベールを脱ごうとしている。
思わずゴクリとつばを飲むのび太。ヤマト神帝が叫ぶ。
「“日の出剣サンサンパワー”!」
神帝の剣が怪しく光り、息を呑んで見つめるのび太の顔を赤く照らす。剣はさらに
その回転をはやめ、しだいにのび太の目までつられていっしょにグルグルグルグル…
「ぐぅ・・・」
「バカ!眠らせてどうすんだよ!?」
即座に傍らの男ジャックが突っ込む。ヤマトの繰り出した猛烈な睡魔を誘う
剣技(?)の前にのび太は、その場であっさりスヤスヤと眠り込んでしまったのだ。
男ジャックが額に青筋を浮かべてヤマトを責める。
「クソッ。どうすんだよ!?今のオレたちじゃ起こすこともできないし・・・」
「そ、そんなこと言ったって、まさか斬っちゃうわけにもいかないだろ!」
「しょうがない。お前はちゃんと任務を全うしろよ!オレは一足先に、とっとと
“パーマン”たちを探してくるぜぃ・・・!」
「あっ!? 待ってよ、男ジャックぅ〜!」
ヤマトを残して男ジャックは窓の外に飛び出していってしまった。

「のびちゃん?どうしたの?夜中に騒いじゃいけません!」
「あっ!?ヤベッ!」
のび太の母、タマ子が様子を見に階段を昇る。タマ子がのび太の部屋の扉を開け
ると、そこにはぐっすりと眠りこけるのび太の姿があった。他には誰もいない。
「あら?いやだわ。のび太ったら・・・。窓を開けっぱなしで、布団もしかずに
こんなところで寝るなんて・・・」

ヤマトは屋根の上であぐらを組んで、月を見上げながら困ったように独りごちた。
「あ〜あ、失敗しちゃった。しょうがない。また出直すか。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
402ドラえもん のび太の――――― 9:2005/10/09(日) 07:41:01 ID:fP7b4LQR0
のび太が呑気にスヤスヤと眠っているちょうどそのころ、地球から遠く離れた
星々や、のび太たちと関わりの深い異世界でも動きが起こっていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

メカトピア―――――――

祖国の復旧もずいぶんと進み、再び以前の活気を取り戻し始めた。リルルは
久しぶりに地に降り立ち、祖国の大地を踏みしめながら、のんびりと歩いていた。

突如、美しい笛の音が聞こえる。見上げれば、目の前に橋の上に立つ、少年の姿。
天女の羽衣のように軽やかな衣装を身に纏い、目を瞑り、優雅に横笛を奏でている。
そのふっくらとした桃色の頬は、まるで少女のように美しい。
「・・・あなたは・・・?」
少年は問いに答えるかわりに、リルルの前にフワリと降り立った。
「地球が再び窮地にたたされようとしております。あなたの力をお貸しください。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

地球――――――ただし、のび太たちの住む地球とは様子が違う。
空を見れば人々はみな、絨毯やホウキに乗って自由自在に宙を飛び交っている。
そう。ここは――――――

「―――――ここが魔法世界か・・・。いわゆるパラレルワールドってやつだね。
ヤマトたちと合流できるのは、だいぶ先になりそうだな・・・。」
魔法世界の太陽を眺めながら、緑色の、美しい草原を連想させる衣装を身に纏った
夢見るようにキラキラと輝く大きな瞳の少年はポツリと呟いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
403ドラえもん のび太の――――― 10:2005/10/09(日) 07:42:04 ID:fP7b4LQR0
パン工場―――――――

「きゃーの♪きゃーの♪このパンも、あのパンもとってもおいしいですわ♪」
ジャムおじさんやバタ子さん、アンパンマンたちに囲まれて、大きな十字架を
背負ったかわいらしい少女がキャピキャピとハイテンションではしゃいでいる。
「・・・あれ?わたし、何しにきたんでしたっけ?」
「いや、そんなことオレに聞かれても・・・」
カレーパンマンはパン工場のみんなを代表して、困ったように呟いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あるのどかな田園風景―――――――

そこには海も、川も、泥で濁った小さな水溜りさえもなかった。
しかし、それにも関わらず岩の上でのんびり釣り糸を垂れている少年がいた。
王冠に腹巻。野暮ったい衣装ながら瞳だけは熱くキラキラと輝いている。

釣り糸の先には丸い小金色の小銭が一枚。この世界の通貨である。
のんびりしていた少年の目が突如ギラリと輝く。釣竿を天高く掲げ、
その釣り針の先を大地に、いや大地に根ざした岩盤へと打ち落とす。
チャリィイイイイ・・・・ン・・・・・・!
小気味の良い音が響き渡った。

「うひゃはやひゃひゃ♪ コゼニ♪ コジェニィ〜♪」
一瞬ののち、釣り糸の先には、いったいどこから現れたのか、小銭を咥えて
嬉しそうにもだえている一人の少年が、なんだか知らないけれど釣れていた。
釣り糸の主はガッツポーズで天に向かって熱いまなざしで絶叫してみせた。
「よっしゃああ!一本釣りぃいいい!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
404ドラえもん のび太の――――― 11:2005/10/09(日) 07:42:52 ID:fP7b4LQR0
地底竜人世界――――――――

街を彩る大きな木のてっぺんに隠れて、弓矢を背負った少年が困った顔で呟いた。
「困ったな、先客だ・・・。しかたない。夜まで待つか・・・。」

地底世界の復興に励むバンホーの元には、毎日様々な者が面会に訪れる。
そして今日もまた―――――――
「バンホーさん、また面会希望者です。」
「用件は?」
兵士は突然、声を潜める。どうやら、いつもの面会人とは様子が違うようである。
「そのことなのですが・・・“方舟”の名を口に・・・・・!」
「・・・!!」
バンホーの表情が一変した。緊迫感が漂う。
「・・・・わかった。会おう。すぐに用意する。名は・・・?」
兵士は周囲に聞かれぬよう気を配りながら、小さく答えた。

「“ネオ・アトランティス”よりの使者・・・・と。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

宇宙空間―――――――――

大気圏を超え、宇宙空間を漂う一隻の黒いスペースシップがあった。
その背後から、この世に存在する全ての生命体を寄せ付けぬはずの暗黒の世界を、
まばゆい光に包まれて、神々しく燃え盛る“人影”がそれを追う――――――――

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
405ドラえもん のび太の――――― 12:2005/10/09(日) 07:44:54 ID:fP7b4LQR0
地球の夜はさらにふけていく―――――――
奇妙な剣技によって眠らされたのび太は、さらなる深い眠りについていた―――――

(・・・・暗い・・・ここ・・・は?・・・夜・・・だ・・・なんだろう・・・)
のび太は暗闇の中、目を覚ました。奇妙な感覚。何度か経験したことのある異世界
との接触にも似た―――――
(あれは・・・ろうそくの灯?・・・・・そして・・・この・・・音は・・・?)

ビヨォオン・・・! ビヨォオン・・・! ビヨォオン・・・!
闇夜に不気味な“音”が響く。

“彼ら”が迷わぬように道の端に点々と備え付けられた小さな蝋燭の灯がゆらめく。
奇妙な音ではあるが、それは紛れもなく“足音”である。奇妙な足音の主たち。
その顔は、全員おでこに黄色い大きなお札を貼られているせいで、よく見えない。
みな規則正しく整然と、手のひらを水平に、前へならえのように両腕を突き出して、
同じく不自然にピタリと揃えた両の足で飛び跳ねながらの行進中である。

不可解な集団の先頭に立って、物言わぬ彼らを導いているのは、穏やかな
優しい顔立ちの一人の少年であった。鮮やかな黄色い法衣のような衣を身に纏い、
幼いながらも堂々たる足取りである。
406ドラえもん のび太の――――― 12続:2005/10/09(日) 08:20:26 ID:fP7b4LQR0

チリーン・・・
頭上に掲げた小さな鐘の音を鳴らしながら、少年の口上は声高に朗々と響いた。

「さあ、道を開けろ!キョンシー様のお通りだ!邪魔する者は道連れにするぞ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

暗転。どこからともなくドラえもんの声が聞こえてくる。続いてのび太の声。
さらにジャイアン、スネオ、しずかちゃんが加わって5人全員の声が揃った。

  『“ドラえもん”』『“のび太の”』『“天聖道士”!』

――――――「大長編ドラえもん のび太の天聖道士」開幕です――――――!

407ドラえもん のび太の天聖道士:2005/10/09(日) 08:29:27 ID:fP7b4LQR0
というわけで今度こそプロローグ終了。伏せていたタイトルは「天聖道士」です。
そして、しぇきさん、勘違いさせたあげくの連続投稿すみません・・・

メインとなる世界観はビックリマンでも鬼岩城でもナ○ィ○でもなく、
「来来!キョンシーズ(幽幻道士)」になってくると思います。たぶん。
・・・漫画ネタじゃないですけど・・・。

早くもいっぱいいっぱいです。前作以上の超スローペースでの執筆になると思い
ますので完結とかはあまり期待しない程度に読んでいただければ・・・・
しかし、久しぶりなせいか、連続投稿規制が以前よりきつく感じられますねえ。
408作者の都合により名無しです:2005/10/09(日) 10:38:01 ID:/9/HF0or0
うぉおおおおおおおおおおおおおおおお!
すげぇ!ビックリマンだあああああああああああああ!
期待してます!
409作者の都合により名無しです:2005/10/09(日) 13:05:11 ID:79YuajJA0
やった!うみにんさん復活!
しかしビックリマンとドラえもんとは信じられないコラボだ。
一月に1、2回程度の掲載でも構わないので、完結だけはしてくだされ。
410作者の都合により名無しです:2005/10/09(日) 14:03:38 ID:KivEqL3t0
ビックリしました。
411作者の都合により名無しです:2005/10/09(日) 14:27:54 ID:nDud5XXi0
うお、久々うみにん氏乙!期待感最強な立ちあがりだw
期待だけさせといて未完とかはやめてねw
412作者の都合により名無しです:2005/10/09(日) 16:37:23 ID:x8oPC8kr0
>うみにんさま
復活&新作乙です。初回から「うみにん節」が響いてますね。期待度MAXです。
前作からファンでしたが、今作はタイトル開示から趣向を凝らしてますね。
2年くらい掛かってもいいのでw是非とも最後までお願いします。

>しぇきさま
お、今回は野球を離れた短編ですか。ノリという意味ではこっちの方がいいかも。
ザーボンとドドリアのコンビ、この作品では友情タッグですねえ。
プロポーズですか。美形のザーボンなら成功するでしょうがwまた事件も起きたし。

413作者の都合により名無しです:2005/10/09(日) 17:14:11 ID:znUjE4lL0
>うみにんさん
新作だあああああ!!
しかも、プロローグを見る限り登場人物が前作からの受け継ぎになるのかな?
楽しみだ
414AnotherAttraction BC:2005/10/09(日) 19:58:43 ID:LqjAii2L0
46から
トレインに見下ろされたまま、デュラムは怒りに身を震わせた。
もうこいつの生存を許したくは無い。死体すら残したくない。この調子づいた屑を木っ端微塵にしなくては
幾ら何でも矜持に関わる事を彼は知っていた。
「…成る程なあ、道が見てえってか。いいぜ」
言葉を終えるより早く後方に飛び退り、先刻投げ捨てた銃を拾った。
そして何故か、まだ弾丸が残った銃をショールの中に収める。
その行動が、トレインの第六感をこれまで以上に刺激する。
そして、
「―――ッ死ねオラァ!!!」
その銃は既に弾丸が尽きていた筈だった。にも拘らず銃声が鳴り響く。
415AnotherAttraction BC:2005/10/09(日) 19:59:19 ID:LqjAii2L0
トレインが伏せたのは殆ど無意識の所作だった。
上半身が有った場所を無数の何かが通り過ぎ、大樹を揺らす威力で幾つもの穴を穿つ。
(…散弾?)
驚く暇も無く、デュラムが連射を重ねる。全て着弾部分をごっそりと持って行く散弾が、次々とトレインに襲来した。
しかも、既にリボルバーの限界たる六発を超えていると言うのに、それでもなお銃は彼の憤怒と殺意の代弁を止めようとしない。
「軟弾頭散弾でミートパテに成りな! トレイン=ハートネット!!!」
そんな物をまともに受ければ、ミートパテどころかミートソースに決まっている。
或いは側転、或いは遮蔽物で散弾を回避しながらトレインの頭は状況を整理する。
最初に道を受けた大樹に身を隠しながら、攻略法を編み出し出しつつあったその時―――、
「隠れてんじゃねえ!!!」
言い様放った銃弾が、まるで獲物を狙う蜂が如く軌道を歪曲させて直にトレインに襲い掛かった。
しかし有視界内で無い為狙いが正確では無いらしい。どれもが微妙に彼を外す。だが、だからと言って
何時までも撃たれる訳には行かない、急ぎ其処から飛び出した。
――誘導弾か!―
走りながら今の銃弾の性質を把握したその時、足元が銃弾により数回爆ぜた。
外した? かと思いきや、視線の先のデュラムは少しも失望や焦りは見られない。
「フッ飛べ、オラァ!!」
今度こそトレインの背筋が粟立った。手近の樹を蹴り、少しでも早く、遠く、今の場所から離れようと刹那を足掻く。
転瞬、先程銃弾が撃ち込まれた地面が大型地雷を思わせる爆発を起こした。
もし、危機回避が遅れていれば両足どころでは済むまい。
爆圧に飛ばされつつも軽やかに着地しながら、彼は己の最大の武器に賞賛を送る。

トレインの武器は何も拳足と銃だけでは無い、彼の最大の武器――――…それは洞察力。
相手の僅かな挙措や殺意の具合を捉える事によって次の狙い、相手の能力、生存の為の行動を導き出す。
今もそれは、最後の銃弾が思考で起爆する炸裂弾だと言う事を充分に理解していた。
―――これが奴の道か―――
氣で造る何種類かの銃弾を使い分ける事で、的確に状況に対応する。しかもその内には、通常の技術では不可能な弾丸も
作り出せるようだ。
ただ単に弾切れが無い程度なら与しようは有るが、こうまでその都度やり方を変えられると今のままではとても
難しい―――――――……が、
416AnotherAttraction BC:2005/10/09(日) 20:00:02 ID:LqjAii2L0
「……殺れん事は無いか」

口をついて出た空虚極まる呟きに、猛攻を回避しながら彼自身が驚いていた。
体捌きが冴えるほど、攻撃が激しくなるほど、自身の思考が馴染み深い冷気に満たされていく。
それが染み渡って行くほどに、世界が殊更にクリアになっていく。
――違う……オレは…!―――
確かにそのつもりで此処に来た、しかし違う。それをするのはこの自分≠カゃない。
拒絶しようと思った。否定しようと思った。恐怖にも似た義務感で。
だが、やがてそれも分厚く張った黒い氷壁の向こうに消えた。


「…どうした、見せろと言ったくせに見ねえのか?
 それともビビって逃げたくなったか!? ああ?!!」
怒声なのか悪罵なのか、はたまた嘲弄なのか理解に苦しむ声調でデュラムは周囲の闇へと怒鳴り付けた。
彼自身もどうなのかは判らない。兎も角ようやっと優位に立った事で徐々にでは有るが自信を取り戻しつつあった。
そうだ、オレは強い。警察署を、ホテルを、思い出せ。あの時のオレは絶対者だった。そして今も―――
…無理矢理思考の好材料を今に繋げて己の矜持を回復させた。
今度こそ全てを掛けて奴を撃ち殺す。その事を肝に命じ、デュラムは全身を針にして一歩一歩を踏み締める。

「……一つ、いいか?」
417AnotherAttraction BC:2005/10/09(日) 20:00:33 ID:LqjAii2L0
―――不意に呼び掛けられた方向に、散弾を放った。
無数の棘と溝の走る散弾が樹を抉り、茂みを吹き飛ばし、雨の様に枝葉が降り注ぐが、手応えは感じない。
「何だァオイ、まぁた隠れんぼかよ。
 いい加減にしろよこの臆病モンが。テメエに付き合うオレの身にもなったらどうだ?」
その軽口は自信序での余裕の表れだ。
間違い無い、奴はこちらの攻撃に攻めあぐねている。当然だ、防弾服に高火力、そして超一流の銃技。誰が今のオレと戦える。
この無敵の道に、死角など有る訳が無い。
然るに奴は今、心理的袋小路に陥った――――――もう奴は殺したも同然だ。
それを考えると、もう喰い飽きたと思っていたがどうして捨てた物ではない。
先刻の傲慢も身を隠す苛付きも、頭を撃ち抜くだけで解消出来そうだ。
「……来ねえならこっちから行くぜ」
嗜虐も露わに冷笑すると、周囲に向かって誘導弾を連射する。
機関銃さながらのマズルフラッシュと銃声が幾重にも木霊し、いびつに長い安定翼付きの異形の銃弾が撓り、翼の角度を調整しながら
木々を縫う様に獲物を求めて錯綜する。
次々に有り得ない方向で響く着弾音。しかしそれにも肉の音と悲鳴は混じっていない。
(…………?)
妙だ、奴が此処に居る気がしない。しかし彼の感覚は存在感を捉えている。
だがしかし、何処に居る? 逃げてはいないが捉えられない不思議な状況に、デュラムは困惑し始めていた。

「…お前の話を聞いてやったんだ、オレの話も聞け」
それは、背後の大樹の陰からだった。
「……あ?」
何処か達観した様な声調に訝しむのへ、更に憐憫めいた声が続く。
「……さっきの話、何か変だと思ってたんだよな。世界最強のどうのって奴」
「それがどうした」
返しながらデュラムはじりじりと樹の陰に回り込む。

「お前―――、何でクリードを殺さねえ?」
418AnotherAttraction BC:2005/10/09(日) 20:01:20 ID:LqjAii2L0
デュラムの足が止まった。
「どうした? 足が止まったぜ」
極力殺していた足音を聞かれていたのも驚いたが、それよりも、その質問に行き着いた事にデュラムは驚いた。
その彼の心情を完全に置いていった形で、トレインは言葉を重ねる。
「何でか教えてやろうか? クリードに敵わねえからだろ。
 お前みたく歪んだプライドの塊が、あんな鼻持ちならねえ野郎と一緒に居て突っ掛からない訳無いからな。
 で、勝てないから無抵抗の奴とか何とか勝てそうな奴とかを殺して憂さ晴らしして………」
いきなりトレインは弁舌を切って跳んだ。転瞬、彼が一瞬前まで居た場所がごっそりと抉られる。
摺り足を止めて飛び込んできたデュラムが撃って来たからだ。
目から火でも噴き出しそうな憎悪にまみれる彼に反し、かわし切ったトレインの顔は相も変わらず無表情だった。
「……図星かよ」
「ウルセェェッ! 奴はなァ………利用してんだよ!!!」
撃ちまくるが肝心の標的はまたも遮蔽物へと身を隠す。
デュラムは咆哮と共に炸裂弾を樹に何発もめり込ませる―――氣を開放すると、その全てが幹を爆砕する。
明後日に向かって倒れる巨木の向こうに、果たしてトレインは影も形も無い。

「クソ、テメエ! 何処だ、出て来い!!!」
……まるで幽霊だ。出たと思ったら次の瞬間には消え失せている。
先刻までの正々堂々の銃撃戦を何処へやら、付かず離れずの形で奇妙なゲリラ戦を敢行するトレインに、
デュラムは炎の様な苛立ちと煙る様な焦燥を感じていた。
「………お前の道には重大な欠点がある」
振り向けば其処に奴は居た。
両手を脱力させ、握る銃を揺らしながら棒立ちするのを、デュラムは完全に挑発と見て取った。
「……ッテメ…!」
―――向けた銃が、己の怒号と同時に手から弾け飛ぶ。
「…な…!!」
「これだ。幾ら弾丸が強くても、お前の銃技そのものは向上しないんだろ? 
 姿を晒して殺ってやる…………それを存分に噛み締めろ」
419AnotherAttraction BC:2005/10/09(日) 20:08:27 ID:LqjAii2L0
何が有ったのか、威圧感が数分前とはまるで別人だ。
慌てて別の銃を抜いた途端、トレインがほぼ零距離まで詰めていた。
―――驚く間も無く、鉄柱の一打を思わせるハイキックがデュラムの側頭部を全身ごと吹き飛ばす。
「がはあッッ!!」
地面を無様に転がる彼の腹に、起き上がる隙すら与えぬトゥキックが重くめり込む。
「お……!!」
見た目に反して悲鳴は慎ましいが、顔の苦悶はそれを完全に否定していた。マスクの端から血が滴るのは、内腑の損傷の証だ。
「こ…のォ……テ…メェ……!!」
犬の様に這いながら見上げるトレインは、表情など欠片も無い。
そのまま彼の銃が伏すデュラムを捕らえる。
―――総毛立つのと転がるのは殆ど同時だが、どちらも彼の意識の外だった。そうでなくば、彼はそこで終わっていた。
そのコンマ0.何秒遅れで、ハーディスが残る殺意全てで彼の居た場所を穿つ。
威圧感だけじゃない、それ以外の何かも別人だ。………だが、何が?
転がって距離を取ったデュラムは一瞬その疑問に至ったが、それを解く暇など有る訳が無い。―――今殺さなければ殺される。
座射姿勢で立ち、散弾を連射する。この距離なら散弾を回避する余裕は無い、と想定しての判断だ。
しかし、それはトレイン相手には愚の骨頂だった。

彼は垂直に跳んでいた。但し、何故か人間には不可能な高さまで。
当然起死回生の散弾の嵐は彼の足元を空しく通過する。
「…え?」
回避の事実も跳躍の高さも完全に予想外な為、必然心に空白が生じる。
それを強引に埋める様に、銃弾がデュラムの胴に三発撃ち込まれた。
「ぐ…は……!!」
苦痛その他に彼は悶絶する。
着弾点は脇下――――人体急所の呼吸困難を催す位置であるばかりか、ピンヘッド(一点集中射撃)のお陰で肋骨にヒビが生じた。
信じられないが、跳び上がった時既に弾丸を込め終えていたらしい。しかも不安定な中空で地に足付けても困難な射撃を
してのける機械以上の精密さが、デュラムを戦慄させた。
そしてもう一つ判った事が有る。防弾服に当たったのではなく、当てていたのだ。嬲る為に。
出なくばとうに頭に撃ち込まれている。
そんな道理をお構い無しと、トレインは蹲る彼の前へと降り立った。
420AnotherAttraction BC:2005/10/09(日) 20:09:30 ID:LqjAii2L0
「…死に方を選ばせてやる。何が良い?」
まず、話が通じる眼ではなかった。
だがそれがどうした。獲物の分際で何を言っている。狩るのは自分、狩られるのは相手。これは不変の事実の筈だ。
しかしそれは覆ろうとしている。今正に狩人は、獲物の牙に掛かろうとしていた。
ふざけるな、狩るのはオレだ! それだけは許せぬと今一度瞳に怒りと闘志が燃え上がる。
「―――テメエが死ね!!!」
怒鳴り付ける形で顔を上げると、牙を象ったマスクが上下に開き、中に仕込んだ大口径の銃口が顔を出す。
―――これぞデュラムの最後の切り札。弾丸は既に散弾を込めてある、幾ら何でもこの騙し討ちは防げない。
完全完璧に勝利を確信し、人間など消えて無くなる威力を怒号さながらに射出する。

故に、その瞬間生じた衝撃は反動だと疑わなかった。

……古武術で言う所の脛折り―――鞭の撓りと鉈の重さのローキックがデュラムの頬を蹴り飛ばし、マスクを剥ぎ取った。
必勝を託した散弾達など、全く事態を好転せぬまま木々を薙ぎ払うだけに終わる。
「ん…ぶごおおぉぉぉぉおおお!!!」
マスク内部の機構を噛んで撃つ方式の為、マスクが剥がれた折に前歯が引き抜かれ、更に口内では砕けた部品の一部が
ズタズタに掻き回す。然るに、なりふり構わず両手で押さえた口からは蛇口の様に血が流れ落ちる。
激痛に転げ回るデュラムを見ても、トレインの眼には何一つ映らない。
嗜虐も、憐憫も、嘲弄も、瞋恚も、どころか空虚でもない。例えるなら……果たして何だろうか。
されどデュラムの眼もまだ死んでいない。見上げながら彼もまた悟る。
―――遊びは終わりだ―――
心の中で宣告しながら、服の中に仕込んだスイッチを押した。

突然、目映い無数のヘッドライトが宵闇を追い払った。
その後に鳴り響く甲高い排気音は…………オフロードバイクの音だ。
光に手をかざしその方向を見れば、成る程騎兵の如くバイクに跨ったライダースを模した戦闘服に固めた男達が
手に手に長い銃器を携えて、メカトロニクスと対衝撃機構を詰め込んだメット越しにトレインを注視する。
ざっと三十騎。装備、数共にどう見ても一人を殺す物では無い。
「おばえ等!!! 早ぐゴイヅをブッ殺へ!! バラ肉にしぢまえ!!!」
裂けたばかりの口でデュラムは皆に号令を送る。
それを聞いたトレインの目に、一瞬だけ感情が宿った。――――失望、それだけが唯一つ。
421AnotherAttraction BC:2005/10/09(日) 20:34:17 ID:LqjAii2L0
―――今更なんだが、せがわまさき先生は悪人ヅラの天才だ(挨拶)。

どうも皆さん、遅ればせながら登場及びアニメ版バジリスクを見たNBです。
いやホント凄いですわ、鍔隠れの面々が。ドジッ娘頭首以外皆悪人ヅラを標準装備。
特に、蓑念鬼と朱絹。夜道で見たら絶対泣きます。
あと、お幻のビフォーアフターに驚愕。時間は惨いですね。

さて雑談はここまでにして、第八話「黒猫」開幕です。
果たしてNBの書く黒猫は、本当に核を越えられるのか!!?
そしてまた一つ明かされるハーディスの秘密……は大した物なのか!?
何より、この遅筆野郎はもっと早くならないのか!?
……と、敢えて過剰な引きを展開し…………テンションも高めに今回はここまで、ではまた!
422作者の都合により名無しです:2005/10/09(日) 20:41:12 ID:/9/HF0or0
NBさん乙です!
テレビアニメの黒猫はじまりましたし、なんともタイムリーでした
423ふら〜り:2005/10/09(日) 20:42:39 ID:X8jrvLO30
>>サマサさん
>>371さん、私もです。意識しておくつもりだったのに、いつの間にか忘れさせられてた
顔面惨状。それほどに単純明快、故に豪快爽快なパワーアップお披露目編でした。小細工
なしの問答無用な強さでしたが、それを見てなお余裕なムスカ。次への期待に隙間なしっ。

>>うみにんさん
ビックリマンで充分ビックリしましたが、キョンシーズとはまた懐かしい。あの子たちと
ドラチームとの交流が楽しみです。あ、てことは新メインヒロインは……リルルたちにも、
プリムラたちにも負けず劣らずなあの子!? このスレののび太は、本っっ当に幸せ者っ!

>>しぇきさん
フ、フリーザ軍と手ぇ組んでるのか破邪の銀! テロリストどころじゃないぞ奴らはっ! 
それはともかく。ドドリアとあの子が並んだ図って……美女と野獣なんてもんじゃない
ですぜ旦那。けどそれだけに、二人のラブEDは真剣に見てみたい。微笑ましいだろなぁ。

>>NBさん
サイコガンかアトミックスマッシュか、と思いきやそれらを凌駕する性能のデュラムの道。
つくづくチンピラ風なのにチンピラじゃないな、と思いきや心身両面で軽くチンピラ扱い
してしまうトレイン。上に上にと重なっていくレベルの高い攻防が、緊迫感を高めてます。
424作者の都合により名無しです:2005/10/09(日) 22:02:20 ID:79YuajJA0
NBさん乙です。
デュラムの壊れっぷりとそれに反する小物っぷりがいい!
デュラム、なんかるろうに剣心の宇水みたいな心理だなあ。
アクションも満載で心理戦もいい感じの満足の回でした。
次回も頑張って下さい!
425不完全セルゲーム:2005/10/10(月) 02:12:22 ID:hngSBA3/0
>>302より。
426不完全セルゲーム:2005/10/10(月) 02:13:50 ID:hngSBA3/0
第三十四話「結末」

 かつて、孫悟空だった生命体──今や、フルネームすら定かではない。
 一応、ブウが基盤ではあるが、原型はほとんど残っていない。吸収された者たちの我が
強すぎて、統一がはかどらなかったためだろう。ただし、パワーアップに対するあくなき
欲求だけは変わっていない。
 まず、超神水を五十リットルほど飲み干す。
 さらには、老界王神と前最長老を力ずくで呼び出し、潜在能力を引き出させる。権威者
や死者までもこき使うという暴挙。もはや、彼に怖いものなどなかった。あるとすれば、
そう、敵であるセルだけであろう。
「足りねぇ。パワーが足りねぇ! これじゃ、セルは倒せねぇッ!」
「いや、不足してるのはどう考えても脳みそだろ……」
 もう、止められない。こう悟ったセルは、一度仲間たちのもとへ戻ることにした。

「どうしようか?」
 苦笑しつつ、セルが皆に尋ねる。しかし、だれも答えられない。当然だ。
「そういえば、16号。おまえ、たしか孫悟空を倒すために造られてたよな?」
「俺はおまえを殺すために造られたんだ。そのことを忘れるな、セル」
「くっそ、世渡り上手め!」
 さりげなく選手交代をほのめかすも、あっさりと切り返される。悔しがるセル。
「現状、打つ手なしだな」
 やがて、17号も結論を出す。いくら悩んでも、仕方ないのだ。打開策などありはしな
い。──と、18号が大声を出す。
「ちょっと、あんた……。どうしたの、それ?」
 声はセルジュニアに対してであった。なんと、彼は水のクリスタルをこっそり持ってき
てしまったのだ。
「せっかくだし、パパも完全体になっておいた方がいいかなぁ〜、と……」
 海と空を丸ごと閉じ込めたような、鮮やかな青色によって彩られたクリスタル。ただし、
今さら水の力を借りたところで、孫悟空(だった生命体)には歯が立つまい。
「──でもまぁ、吸収してみるか!」
 記念受験ならぬ、記念吸収。火、風、土、炎、水、どうせならば体験してから死にたい。
セルは、吸収を決意した。
427不完全セルゲーム:2005/10/10(月) 02:14:55 ID:hngSBA3/0
 スポイトを広げて吸収に取りかかるセルに、心から励ましを送るメンバーたち。
「どうせなら、ヘルズフラッシュでトドメを刺したかった」
「骨は拾ってやるよ。残らないだろうけどな」
「まぁ、こうなったら精一杯やってきたら? どうせ地獄行きだし」
「いくらパパが強運とはいえ、さすがにあれは無理だよね」
 16号、17号、18号、セルジュニア──虚飾、一切なし。是非はともかく、四人と
もまさしく本音であった。
「少しくらい、希望を持たせてくれたっていいじゃない……」
 こう嘆くと、セルは尻尾を蛇のように動かす。一メートル近くあるクリスタルが、スポ
イトに喰われていく。迅速に、尾をつたって体内へと。
「はああぁぁぁぁぁぁっ!」
 まずセルを守るように、周囲にバリアーが発生する。セルを包む閃光と煙幕、そして轟
音。五色から、一色へ統合される。
「だっ!」
 短い咆哮。──と、全てが消えた。
 光も、煙も、音も、セルから掻き消された。


 ──人造人間セル、完成。


 セルは立っていた。ただし、背格好は大きく変わっている。レッドリボン基地で打倒し
た完全体セルと、一ミリたりともずれぬデザイン。
 試すように手を開閉させながら、セルが呟く。
「これが、完全……」
 次にパンチを空に放つ。速く、重かった。キックもまた同様であった。
 たった一つでもピースが欠けたパズルと、完成されたパズルとでは、雲泥の差が生ずる。
いちゃもんを付ける余地など絶無──セルは完成していた。
「孫悟空、終わりにしようか」
 孫悟空(だった生命体)に振り返り、ゆっくりとセルが構えを取る。
428不完全セルゲーム:2005/10/10(月) 02:15:46 ID:hngSBA3/0
 どうやら、孫悟空(だった生命体)もパワーアップを終えたようだ。下手なくしゃみな
どすれば、銀河系全てを消失させるであろう巨大エネルギー。
「わりぃな、待たせちまった。んじゃ、始めっか!」
「うむ」
「界王拳一兆倍!」
 これだけで、孫悟空(だった生命体)の気が一兆倍になる。が、セルは驚かない。
「実はオラ、数年前から宇宙中から元気をもらってたんだ。ついでに、それも吸収させて
もらうぞ!」
 どこかに待機させていた元気玉を呼び寄せ、自ら喰らい尽くす孫悟空(だった生命体)。
さらに、気が充実し──パワーアップ完了。
「さぁ、来い!」
「……では、容赦せんぞ」
 さっそく、セルが全力で拳を突き出す。孫悟空(だった生命体)もガードを上げる。

 ──が、寸前で気づく。
「あ」
 薄氷に石を投じるような、マッチに灯った火へ吐息を吹きかけるような──正拳。
 だれにでも予測可能な──結末が分かりきった一撃。
 セルジュニアも、16号も、17号も、18号も、対戦者である孫悟空(だった生命体)
も、むろん攻撃したセルも、皆が「あ」と口ずさんでいた。

 勝敗は決した。
 セルが打った拳は、孫悟空(だった生命体)を粉砕した。ショックで融合が解け、孫悟
空を初めとする戦士たちが、地面に伏している。かろうじて、呼吸はしているようだ。
「これが、完全……」
 完全体となり、勝者ともなったセルは、紛れもない「完全」へと生まれ変わっていた。
429サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/10/10(月) 02:29:20 ID:hngSBA3/0
絶好調な週末でしたね。
今日は体育の日、です。
430作者の都合により名無しです:2005/10/10(月) 03:17:27 ID:YhFarg1u0
ワラタw 一兆倍って何だよ、おい
431それゆけフリーザ野球軍:2005/10/10(月) 03:26:28 ID:IsqVlJXS0
〜PM7:05〜
ザーボンは己の体に檄を入れ続ける。
しかし体は意識に反して動こうとしない。
(何でだ?何でなんだ?早く・・・、早く行かないと・・・。)
実はザーボンの考えることはもっともな事で、戦闘力の面から見ても今この星にいる中で自由に動けるのはザーボンのみである。(特戦隊は地球へ)

ともかく自分ではきずいていない”ある感情”のせいでザーボンの体がドドリアたちを助けに行くのを拒否しているのだ。
わずか5分ほどの葛藤だけで湯毛が水浸しになるほど汗をかいているザーボン。
彼がドドリアを助けるには何かきっかけが必要だった。
そしてザーボンが体を動かそうと必死にもがいていると

ピピピピピ!

と無機物的な機械音が部屋にこだまする。
(スカウター?)
この音のおかげで彼は一時的に”ある感情”からの支配を逃れスカウターを手にする。
「もしもし・・。ミルコ殿ですか・・・?」
通信の主はミルコだった。
「ザーボンだな?テレビは見ていただろう?”ともかく時間が無いので用件だけを話す。」
ミルコの用件はこうだ

”これから三○分後に”ミスリル”が所有している傭兵達が奪還作戦に出る。”
”ザーボンもその作戦に参加し、令嬢及びドドリア氏を奪還すること。”
”合流地点は水上水族館のレストランの中とする。”

「分かりました・・。では30分後にレストランの方へ行きます・・。」
「そうか・・。まあ、頑丈な奴のことじゃ!きっと今頃、誘拐犯たちの悪口ばかり言ってるじゃろう!安心せい!」
気休めではあるがミルコは簡単な激励の言葉をかけ、ザーボンの返しも待たずに連絡を切ってしまった。
おそらくミルコも忙しいのだろう。
ザーボンはいきなり連絡の切れたミルコに特に腹を立てる様子も無くゆっくりと部屋を後にした・・・。

-------------------------------------------------------------------------------------------------
432それゆけフリーザ野球軍:2005/10/10(月) 03:27:43 ID:IsqVlJXS0
同時刻、メリダ島にて・・。

ここはメリダ島。
誘拐された令嬢の住んでいる実家がある島であり、”ミスリル”と呼ばれるフリーザを支援している最大の財閥の総本山でもある。
やはりどの世界でも”金ある所に闇がある”というように”ミスリル”にも敵も多いため、特戦隊クラスでも苦戦するような軍備と人員を多数抱えている。

<TDD内部>
TDDは”ミスリル”が誇る最新鋭の戦艦であち、あらゆる環境に耐えられ宇宙船としても使用できる何でも艦である。
犯人の声明がテレビに出て約15分。TDD内部にある作戦室では幾度もの死線を潜り抜けてきた猛者たちによる綿密な作戦が練られていた・・

<TDD作戦室>
「AチームはB3からウエスタンシティの地下水道から進入。あくまで囮役だ・・・・。」
ここはTDDの作戦室。囲んだ机の上座で作戦の旨を指示しているのが、この傭兵達を束ねる隊長だろう。
酷く疲れた技術屋のような顔をしているが、その一挙手一投足にどこか威厳を感じる。

「作戦はプランDだ。令嬢の命が最優先。ドドリア氏は手錠さえ外せば問題ないだろう。何か質問がある奴は?」
隊長が作戦の旨を話し終えると、一人の青年が挙手をした。
「ん?なんだ?サラダ軍曹?」
「はっ!Bチームの人員にザーボンという奴がいますが、なぜ彼だけ別行動で?」
「ふむ、彼はフリーザの腕利きの幹部。彼レベルなら一人でもどうということも無いだろうし、囮役にもなる。そして何より邪魔されずにす

むからな・・。」
「分かりました!!」
サラダ軍曹はそう言って敬礼して座る。
隊長らしき人物は他に質問が無いことを確認すると、全員に檄を飛ばし作戦を開始する。

皆がいなくなったことを確認すると、隊長らしき人物はボソリと
「・・・・・。隊長・・。ご無事で・・。」
と言っていた・・。

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433それゆけフリーザ野球軍:2005/10/10(月) 03:28:59 ID:IsqVlJXS0
同時刻、水上水族館B6

周りはサメの餌場で囲まれ、ちょっと前に押せばサメ達に食われそうな距離にドドリアと令嬢はパイプに括られていた。
「ドドリアさん・・。捕まっちゃいましたね・・。」
令嬢はドドリアにこっそり話しかける。
犯人達は二人をパイプに縄で括りつけた後、一人だけ監視を置いてどこかへ行ってしまった。
おそらく・・。というか十中八九”ミスリル”やフリーザ軍との戦いのための準備だろう。
今は監視を除けば二人だけ。監視も捕まえてある安心感からか居眠りなんてしている。
「・・・・・。スイマセン。」
「え?」
「本来ならこの誘拐犯どもを倒してお守りするはずの自分が・・・。恥ずかしいです・・。」
ドドリアは捕まった時から、自分が愛した人の前でいくら店員を人質に取られたとはいえ、あっさりと捕まってしまったことを酷く悔やんでいた。
しかし令嬢は
「そんな気になさらないでください。もしあそこで戦っておられたら、例え勝ったとしても他の人にまで被害が及んだでしょう。」
「・・・・。」
「それに大丈夫です!きっと皆が助けに来てくれますし、それに貴方がいつも言っておられる兄弟の方も・・・。」
令嬢がそう口にすると、ドドリアは少し明るい表情になって
「そうですね・・。そうだ・・。」
「ふふ、ドドリアさんはザーボンさんの話をすると本当にうれしそうな顔をするのですね。」
「え・・。あ、兄弟のようなものですから・・。」
ドドリアがそういうと、令嬢は少し困った顔をしてこう言った。
「私も・・。それくらい貴方に思われたいな・・・。」
「え?」
ドドリアがキョトンとした顔をすると、令嬢は天使のような顔で
「ふふ、冗談ですよ!ちょっと困らしたかったんですけど・・。どうもこういうのは下手糞ですね。」
と言う。当然ドドリアは、ピンクからレッドに頭の色が変わり
「い、いや・・。ちょっと困りました・・。」
と軽く令嬢をフォローする。すると令嬢は
「ありがとうございます!」
となぜか深々と頭を下げた。その仕草は可愛いのなんの、ドドリアは内心ちょっとだけ
(誘拐されて良かった〜!)
等と不謹慎な考えをしていた。
434それゆけフリーザ野球軍:2005/10/10(月) 03:29:57 ID:IsqVlJXS0

ドドリアが不謹慎な考えをしていた時、令嬢はあることに気付きドドリアに報告しようとする。
「ドドリアさん!ドドリアさん!」
先程から幸せに支配されていたドドリアは令嬢の声で現実に戻る。
「あ!ハイ・・。何でしょうか?」
「もう・・・、何やってるんですか・・。ともかくあれを見てください!」
令嬢がやる首の方へ顔を向けるとそこには・・・・。
「ナタ・・・か?」
そうサメの餌のマグロを解体するためのナタである。
「しかし、縛り付けられたこの状況じゃ・・・。」
ドドリアがどうしようもないと言ったような表情をすると、
「大丈夫です!ほら!」
ドドリアが令嬢の体を見ると、なんとパイプから縄が外れているではないか!
「さっきから体を動かしていたら、丁度解けたんですよ!」
プロが縛る縄が解けるなんて通常は考えられないが、今はこの幸運に感謝してドドリアは令嬢にこう言った。
「腕の方ももし解けたらあのナタを取りに行って下さいませんか?」
「わかりました・・・。んしょ!んしょ!」
令嬢は今度は腕をひたすら拗らせて縄を解こうとする。

しばらくして・・。

「はあ、はあ!取れました!!ドドリアさん!取れましたよ!」
令嬢は歓喜の表情を浮かべてナタを取りに行く。
ドドリアは一瞬安堵するとともに
(なんか・・・。出来すぎだな・・・。誘拐犯どもは、何のつもりだ?)
とプロであるまじき監禁の仕方に流石に嫌な予感を覚えていた。
435それゆけフリーザ野球軍:2005/10/10(月) 03:30:43 ID:IsqVlJXS0

ザシュッッ!

令嬢が後ろにつんのめりながらもナタを振り下ろしたおかげで、ドドリアを括っていた縄も解ける。
「はあ、はあ・・。・・・・。やっぱり手錠だけは壊れませんね・・。」
「大丈夫ですよ!足さえ動けばどうにかなります。」
「ですけど・・・。戦闘力を下げられる手錠なんでしょ?」
「まあ、1/10ぐらいまで下がっていますが・・・。あのリーダー格の奴以外はどうとにでもなるでしょう。」
「そうですか・・。で、これからなんですが・・・。」
令嬢はドドリアの戦闘力と実力の状況を確認した後、早口でこれからの脱出プランを話し始める。
「この水族館は趣味で何度も来ていますから、内部構造は暗記しています。で、先程言ったことなんですが・・。」
いつものおっとり型の令嬢とは比べ物にならないほど聡明で知的な令嬢にちょっとたじろくドドリア。
「ん?ドドリアさん?どうかしましたか?」
「あ・・。いや、その・・・。」
ドドリアが何を言いたかったかを即座に理解した令嬢は、
「あ・・。こういうのは職業柄得意なんです・・。と、ともかく穴は無いはずですから!」
と笑顔でドドリアにまるで弁明するように話しかける。それを見たドドリアも流石に・・。
「いえ・・、そういうことでは・・。貴方が聡明な方だと言うのは前から知っていますし・・。」

二人の間に気まずい沈黙が流れる・・・。
436それゆけフリーザ野球軍:2005/10/10(月) 03:31:27 ID:lUS3auPb0

「う、う〜ん・・。」
二人が黙り込んでしまった後、居眠り監視員が目を覚ました。
それに気付いた二人は、流石にこれ以上の沈黙はチャンスを逃すと判断し、
「ドドリアさん!」
「分かりました・・。貴方の作戦にすべてを委ねましょう・・。」
「はい!お願いします・・。それに・・。あの・・。」
「はい?」
「絶対二人とも無事に脱出しましょうね・・。一人だけとか、嫌ですから・・。」
「・・・・。大丈夫です。貴方のことは命に代えても守りますから・・。」
ドドリアがそう言うと、令嬢はちょっと困った顔で、
「貴方も無事でなければいけないんですよ?聞いていましたか?」
「あ・・。スイマセン。二人で必ず・・・・。」
ドドリアはそこで言葉を切り、半分眠気眼の監視員を延髄蹴りで気絶させ・・。

「では・・!行きましょう!」
「はい!宜しくお願いします!」
と二人の脱出劇が始まった!

現在PM7:15分
”ミスリル”&ザーボン突入まで後・・・、20分!!
続く。
437それゆけフリーザ野球軍:2005/10/10(月) 03:41:36 ID:lUS3auPb0
こんばんは体育の日なので上げときますのしぇきです。

不評なようなのでこれで終わらせたかったのですが、流石に省きすぎた文章を書くのは嫌なので
当初どうりに書きました。
ですけど長さ的には次で終わるはずです。
最初は一気に投下しようと思ったのですが、前回みたいなのは多すぎて失礼なので止めにしました。
後、前回の投稿で開錠と書きましたが開錠じゃなくて手錠です。
スイマセン。

>サナダムシさん
確か界王拳は100倍以上は超界王拳になるはずですよね?
するとこの界王拳はドンくらいのオーラが出るんだろう?
オーラ発動だけで地球が消滅しそうだw

>うみにんさん
ビックリマンは初代じゃなくてフェニックス編をよく集めてました。
後、学級王ヤマザキを書いていた人のスーパービックリマンの漫画も読んでましたw
フェニックスは出てこないんですかね?
兎にも角にも展開が楽しみです。
海のトリトンとか出ないかな〜。

>ふら〜りさん
いつもレスをありがとうございます。
ふら〜りさんが連想したミスリルと自分が思っているミスリルは同じなんですかね?
そこまで漫画には詳しくないので、ふら〜りさんの考えているミスリルと違ったらゴメンさい。

では失礼します・・・・・・。
438ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/10(月) 06:25:05 ID:peNaDyvV0
第二十五話「天空の城」

「あ、あいつが<十三階段>の、八段目・・・?」
のび太はごくりと唾を飲み込み、ムスカを睨みつける。一見したところでは、特に変わった男ではない。だが、
その全身から発する人外感。それは、あのクルーゼやシュウ、あるいは<狐>とも共通するものがあった。
「そう睨まないでくれたまえよ、野比のび太くん。折角のご対面だというのに―――おや?」
ムスカはのび太から視線を外し、稟を見た。
「土見稟くん。その顔はなにかね?おかしな宗教でも始めたかな?それとも若者の間で流行っているのかい?
私も年でね。若者の感覚についていくのは大変なんだよ」
「う・・・うるさい!馬鹿にしてるのか!?」
「ははは・・・これはすまない。怒らせるつもりはなかったんだよ?これでも私は人に気を遣うタチなんだ。
どうか許してほしい。ほら、この通りだ」
<ちっ・・・てめえも相当なクソ野郎だな。さすがシュウの野郎とつるんでるだけはあるぜ>
マサキが毒づいたが、ムスカは突如頭に響いたその声にも特に慌てた様子もなかった。
「ふむ・・・君がサイバスターのかつてのパイロットか。幽霊だの精神存在だの、正直今一つピンと来ないがね
・・・世の中は不思議がたくさんあるものだ、なあ」
軽口を叩くムスカ。先程サイバスターの圧倒的な力を目の当たりにしたというのに、その態度は余裕を通り越して
油断しているようにさえ見える。
それを確認してドラえもんはポケットからある物を取り出し、こっそりとのび太に話し掛ける。
「のび太くん・・・これを」
ドラえもんがのび太にそっと手渡した物―――それは<ショックガン>だ。いざという時はこれで―――そういう
意味だ。のび太はそれをムスカに気付かれぬよう、こっそり受け取った。
439ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/10(月) 06:25:54 ID:peNaDyvV0
<―――何をしに参った、ムスカとやら>
ヤークが重々しい声でムスカに問う。
「いや、大したことではありませんよ、山神さま。少しばかり、私の力も見せておこうかと思った次第でしてね。
サイバスターが覚醒したくらいで慢心されては、たまりませんから―――」
<へっ。まるで自分ならサイバスターに勝てる、とでも言いたげだな?>
「ははは。まあ自画自賛になるが―――私の持つ戦力と照らし合わせれば、残念ながら君の自慢のサイバスターでも
やや荷が重いと思うぞ?なあ、マサキくん」
ムスカが大仰に手を広げて、自らの自信をアピールする―――はっきり言って隙だらけだ。
(・・・今だ!)
のび太は隠し持っていたショックガンを一瞬で構え、正確にムスカに狙いをつける。その速度は、まさに電光石火!
それに並び立つものなどないと思われた―――だが。
「―――いい動きだな。けれど―――まだまだ拙い」
引鉄に指をかけた瞬間、のび太の身体に痺れるような衝撃が走った。小高い音がして、ショックガンが弾かれる。
「の、のび太!」
仲間たちがのび太に駆け寄る。だがのび太はそれにも気付かず、愕然としてムスカを見ていた。彼は悠然と、煙の
立ち昇る拳銃を構えていた。
ムスカはのび太がショックガンを構えた瞬間に拳銃を抜き出し、のび太の手にしたショックガンに狙いをつけ、
それを弾き落としたのだ。
その意味するところは、実に単純―――
「のび太くんが―――銃の撃ち合いで負けた・・・!?」
ドラえもんが呆然と呟く。とても信じられなかった。今まで幾度も窮地を救ってきたのび太の射撃―――それが、
真っ向から撃ち破られたのだ。更なる上の存在によって―――
「ふん・・・神業的な射撃の腕の持ち主と聞いていたが、こんなものか。所詮ガキのお遊戯だな」
ムスカは侮蔑すら込めず言い放つ。それにのび太は反論できない―――できるはずもなかった。
「さて、それでは私はそろそろ帰るとしようか―――」
「待てよ―――このまま帰れると思ってるのか?」
稟がムスカを強く睨みつける。だがムスカはニヤリと笑い、銃口を稟に向けた。
「くっ・・・」
「ふふ・・・サイバスターに乗っていない君は、単なる学生に過ぎない。そりゃあ銃が怖いだろうね」
440ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/10(月) 06:26:38 ID:peNaDyvV0
ムスカは笑みを崩さず、空に向けて手を翳す。その手には、青く輝く石を握っていた。そして奇妙な呪文
らしき言葉を紡ぐ。
「トッロカカ・タージベ・スクンラト・クッダーバ・パッナ・・・」
「な、なんだ・・・?」
思わず身構える一同―――そしてムスカが呪文を唱え終えた時だった。
「な・・・なんだ、あれは!?」
―――そこにあったのは、雲。小さな島ならすっぽり入ってしまうのではと思うぐらいに巨大な雲だった。
それは凄まじい風を伴い、上空に悠然と浮かんでいた。
「あれは<竜の巣>さ・・・天空の城を守る、風の障壁だ」
「天空の城・・・だって?」
「そうさ。まあ見ていろ・・・」
ムスカが握り締める青い石から、一条の光が放たれた。それは<竜の巣>へと吸い込まれ―――雲が跡形も
なく消えていく。そしてその中に隠されていた<天空の城>の姿が明らかになる。
それは機械仕掛けの要塞。いくつもの砲門が搭載された外壁は、見るからに頑丈そうな装甲で固められている。
その大きさは、一つの都市にも匹敵するだろうか。見ただけで戦意を奪われそうな常識外れのシロモノが、
空中に当然のように浮かんでいた。
「あれこそは古代世界において圧倒的な軍事力を誇った帝国<ラピュタ>だよ。一度は嫌なガキ共のせいで
宇宙へと飛んでいってしまったのだがね―――」
ムスカの目に一瞬だけ憎悪の光が宿り、それはすぐに消えた。
「私もその際に危うく死にかけたが、あらゆる幸運が奇跡的に私の命を救ってくれたよ。そして私は<狐>と
出会い、彼の協力によって<ラピュタ>を回収し、未来の科学によって改造を施した―――いわばあれは、
<ネオラピュタ>とでも言おうか。シュウの<ネオグランゾン>にあやかって、ね―――さて、では私は
この辺りで退散するとしよう。今はまだ、<ネオラピュタ>に招待すべき時ではない」
ムスカの言葉が終わるやいなや、<ネオラピュタ>から光が放たれる。それはムスカを包み込み、同時に彼の
身体が空中に浮かぶ。そしてムスカはゆっくりと<ネオラピュタ>に飲み込まれていく―――
441ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/10(月) 06:27:28 ID:peNaDyvV0
「いずれ正式に招待しよう。君たちが生き残っていれば、だがね―――はっはっはっはっは・・・」
ムスカの高笑いを残して、<ネオラピュタ>は消えた。後に残ったのは、静寂―――今までの出来事が幻だった
かのような、耳障りなほどの静寂。
「ネオラピュタ・・・か。なんかどんどん何でもアリになってくるかんじだね」
亜沙は深い溜息をつく。
「のび太・・・大丈夫?」
フー子が呆然としたままののび太に心配そうに声をかける。のび太はゆっくりとフー子に振り向いたが、視線が
宙を彷徨ったままだ。
「うん・・・大丈夫、大丈夫だから、心配しないで・・・」
「のび太・・・でも、大丈夫じゃない」
プリムラも駆け寄り、のび太の肩を揺する。それでものび太はまるで魂が抜けてしまったかのようだ。
「のび太くん・・・」
リルルもそっとのび太の顔に手をやる―――そう思った瞬間、パシイッ!と小気味いい音が響いた。のび太は
やっと現実に戻ったかのように目を白黒させる。
「リ、リルル・・・何するの!?」
「ほっぺたを叩いたの」
「いや、それは分かるけど・・・」
「こうでもしないと、目が覚めないと思って」
のび太の抗議を冷たく遮りつつ、のび太をしっかりと見つめる。
「一度負けたくらいで何よ。そんなに自分が情けない?かっこ悪い?今更何よ。わたしの知ってるのび太くんは、
いつだってそんなもんよ」
「リルルちゃん・・・それはちょっと酷いよ。同意だけど」
亜沙も何気に酷い事を言う。それは放っておいて、リルルは続けた。
「だけど、わたしの知ってるのび太くんは、どれだけ情けなくても、かっこ悪くても、挫けたりはしない人よ。
転んでも泥まみれになっても、それでも歩き続けることができる強い男の子よ」
「リルル・・・」
「だから、そんなふうにならないで。それでもどうしても歩けないなら―――みんながいるじゃない。どうしても
ダメなら、みんなで支え合えばいいわ。今までもそうやってきたんじゃないの?」
442ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/10(月) 06:28:11 ID:peNaDyvV0
リルルの言葉に、のび太はやっと気付いた。自分は一人では何もできないことを―――そして、みんなで支え合えば、
何でもできるということを。
今まで何度も潜り抜けてきた修羅場―――それだって、自分一人では到底乗り越えられなかった。頼りになる仲間たち
がいたから、自分は今ここにいるのだ。
のび太はゆっくりと周囲を見回した。ドラえもんもリルルも、稟もプリムラも亜沙もフー子も、姿こそ見えないが、
マサキもいる。今はここにいないジャイアン、スネ夫、しずか、キラにムウに、そして、ペコもいる。
奇跡のように出会い、当然のように全てを共にする掛け替えのない仲間たち―――
「・・・うん、そうだね。リルルの言う通りだ」
「そーそー!リルルお姉ちゃんの言ってることが正しいぞ!」
フー子も笑顔で肯定する。どう見てもよく分かってないフー子の様子に苦笑しつつ、のび太は地面に落ちたショックガン
を拾い上げ、力強く握り締める。
それは決して屈することのない、のび太の決意だった。
443サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/10/10(月) 07:04:24 ID:peNaDyvV0
投下完了。前回は>>366より。
今回の話で分かる通り、ムスカは原作終了後という設定です。何故か失明はしていません。

>>369
単に好みです。でも魔法剣エーテルちゃぶ台返しもいつか出します(多分)

>>373
一応これで終了です。けど話の展開次第で更にテコ入れするかも・・・。
でも最終的には味方キャラの戦闘力は大体横並びになる予定です。

>>うみにんさん
新連載乙です!死ぬほど楽しみにしてますので、どうか頑張って下さい。
ビックリマンは見てたのに、ほとんど内容忘れちまってる・・・。
でも男ジャックの顔だけは何故か覚えてる・・・。

>>しぇきさん
気力制限の問題をSSで表現するにはやや無理があります(笑)
<稟、コスモノヴァだ!>
「ダメだマサキ・・・まだ気力が136だ!」とか書いてたらやでしょ?
ゼオライマーと冥王さま・・・出ます(ニヤリ)十三階段としてじゃないけど。
でもゼオライマーでもネオグラには勝てんと思います。
ミスリルとサラダ軍曹は、最近フルメタ読み始めたばかりなのでツボでした。
TDDにはやはり美少女艦長が?
444作者の都合により名無しです:2005/10/10(月) 10:15:31 ID:z9eNwVDu0
>NBさん
原作詳しくないのでほぼNBさんのオリジナルとして読んでますが、面白いですね。
デュラムは原作ではライバルキャラなのかな?狡猾さと狂気を持ち合わせた良い味ですな。
最後は格の違いを見せ付けられたみたいですが、まだ反撃を期待です。

>サナダムシさん
前回のパワーアップで度肝を抜かれましたが、まだ超神水やらなんやらw
イジメというか、ゴジラとアリの戦いのようだ。どっちが悪役やらわからん。
しかし、あんだけパワーアップしてこれで終わりかよww

>しぇきさん
むう、番外編でもミルコが鍵となりそうだ。つくづく美味しいオリキャラですな。
しかし、デートからあまりにも急な展開劇。ドドリア少し幸せそうですが。
なんか最後はハードな感じになってきましたな。オチに期待します。

※不評って訳ではないと思いますよ。俺はこの作品好きだし。
ただ、新作が開始されたり最終回とかがうぷされるとどうしても
そっちにレスが集中するかも。(しかもお久しぶりのうみにんさんだったし)
俺は期待してますよ。

>サマサさん
おお、ムスカといえば天空城ラピュタですな。どんどんとフィールドが広がりますね。
ムスカ威厳あるなあ。ラスボスみたいだ。しかし、のび太射撃負けたのか。
この辺もインフレかな?しかしのび太の最大の武器はへこたれない事ですな。

445作者の都合により名無しです:2005/10/10(月) 10:39:41 ID:oklmS+cU0
ジョジョ読んだ後にブラックジャック読んでふと思ったこと。
「果たしてブラックジャック先生はディオの肉の芽を摘出できるのか?」
どう思う?
446作者の都合により名無しです:2005/10/10(月) 11:01:30 ID:e2W8HLF20
摘出できると思う。
奇形脳腫をほぼ完全な人間に組みたてて生活させて、
人間をちゃんと空飛ぶ鳥人間にできる人だし。
447テンプレ1:2005/10/10(月) 11:28:08 ID:z9eNwVDu0
【2次】漫画SS総合スレへようこそpart30【創作】


祝! パート30!!

元ネタはバキ・男塾・JOJOなどの熱い漢系漫画から
ドラえもんやドラゴンボールなど国民的有名漫画まで
「なんでもあり」です。

元々は「バキ死刑囚編」ネタから始まったこのスレですが、
現在は漫画ネタ全般を扱うSS総合スレになっています。
色々なキャラクターの新しい話を、みんなで創り上げていきませんか?

◇◇◇新しいネタ・SS職人は随時募集中!!◇◇◇
SS職人さんは常時、大歓迎です。
普段想像しているものを、思う存分表現してください。

過去スレはまとめサイト、現在の連載作品は>>2以降テンプレで。

前スレ
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1126862482/
まとめサイト
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/index.htm
448テンプレ2:2005/10/10(月) 11:28:45 ID:z9eNwVDu0
ほぼ連載開始順 ( )内は作者名 リンク先は第一話がほとんど

ドラえもんの麻雀教室 (VS氏)
 http://park14.wakwak.com/~usobare/dora/gateway.html
ザク (ザク氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/zaku/01-raou.htm
超格闘士大戦 (ブラックキング氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/tyo-kakuto/01.htm
ディオの世界 (殺助氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/dio/01.htm
虹のかなた (ミドリ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/niji/01.htm
オムニバスSS劇場 (バレ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/bare/16.htm
忍者の証 (青ぴー氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/aopi/01.htm
黄金時代 (銀杏丸氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/ginnan/01-1.htm
不完全セルゲーム (サナダムシ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/sanada/08-1.htm
北の果てより (パオ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/kita/01.htm
449テンプレ3:2005/10/10(月) 11:29:15 ID:z9eNwVDu0
AnotherAttraction BC (NB氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/aabc/1-1.htm
上・魔女 中・茄子 下・蟲百物語 (ゲロ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/gero/wi-01-1.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/gero/03.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/gero/mu-01.htm
ドラえもん のび太の超機神大戦 (サマサ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/samasa/04-01.htm
Iron Fist Tournament (名無し氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/iron/01.htm
Who Fighters (ユル氏)
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1123952057/346
それゆけフリーザ野球軍 (しぇき氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/syeki/01.htm
ドラえもん のび太の天聖道士 (うみにん氏)
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1126862482/378-382
450テンプレ2改変:2005/10/10(月) 11:40:40 ID:z9eNwVDu0
ほぼ連載開始順 ( )内は作者名 リンク先は第一話がほとんど

ドラえもんの麻雀教室 (VS氏)
 http://park14.wakwak.com/~usobare/dora/gateway.html
ザク (ザク氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/zaku/01-raou.htm
超格闘士大戦 (ブラックキング氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/tyo-kakuto/01.htm
ディオの世界 (殺助氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/dio/01.htm
虹のかなた (ミドリ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/niji/01.htm
オムニバスSS劇場 (バレ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/bare/16.htm
忍者の証 (青ぴー氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/aopi/01.htm
黄金時代 (銀杏丸氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/ginnan/01-1.htm
不完全セルゲーム (サナダムシ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/cellgame/01.htm
北の果てより (パオ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/kita/01.htm
451テンプレ3改変:2005/10/10(月) 11:41:15 ID:z9eNwVDu0
AnotherAttraction BC (NB氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/aabc/1-1.htm
上・魔女 中・茄子 下・蟲百物語 (ゲロ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/gero/wi-01-1.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/gero/03-01.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/gero/mu-01.htm
ドラえもん のび太の超機神大戦 (サマサ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/tyo-kisin/00-01.htm
Iron Fist Tournament (名無し氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/iron/01.htm
Who Fighters (ユル氏)
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1123952057/346
それゆけフリーザ野球軍 (しぇき氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/ballgame/01.htm
ドラえもん のび太の天聖道士 (うみにん氏)
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1126862482/378-382

※ サイトの短編カテゴリから長編カテゴリへスレの途中で移行した場合、
  上記のアドレスで作品へつながらない場合があります
452いつものテンプレ屋:2005/10/10(月) 11:46:06 ID:z9eNwVDu0
まだ50KBほどありますが、一気に作品が来るかも知れないので
少し早いですが次スレ用テンプレ作っておきました(俺が数日出るのもあります)

スレ立てる方申し訳ありませんが、>>448-449は一部つながらない作品があるので、
>>450-451をお使い下さい。何作か長編移行したの忘れてたw

次は節目のパート30なので、2ヶ月以上連絡無い方の作品のアドも載せました。
今までの方々、次スレのパート30で戻ってきてくれると良いですね。
453作者の都合により名無しです:2005/10/10(月) 15:36:29 ID:wqkcJjrN0
なんか、爆発してるなバキスレ。パート30に向けて縁起いいな。

>AnotherAttraction BC
原作よりかっこいい。一気呵成のアクションだけでなく、心情描写も
しっかりしてるから読み応えがある。もう少しペース上げてくれると嬉しいな。

>不完全セルゲーム
え、超悟空戦これで終わり?宇宙一の竜頭蛇尾っぷりだな。
完全体が強いのかも知れないけど、あっさりし過ぎw一兆倍海王拳笑ったけど。

>フリーザ野球軍
野球とは関係ない話だけど、こういう短編も面白いな。
やはりこのメンツじゃ平穏な一日とはならないだろうけど、ドドリアに幸あれ。

>超機神大戦
インフレスパイラルですな。味方が強くなれば、敵はそれ以上に強くなる。
王道で好きです。のびたがどんどんヘタレになってるみたいだけど、逆襲に期待。

>テンプレ家さん
おつです。次スレはパート30でサイト20万突破ですね。目でたい。
454作者の都合により名無しです:2005/10/10(月) 21:36:37 ID:d5ILkZYZ0
>NB氏
いつもNB氏の描写読んで思うんだけど、アクションシーン本当にプロ並だな。
黒猫はあまり好きじゃなかったけど、このSSは好きです。トレインよりヂュラムが美味しいね。

>サナダムシ氏
いや、まだまだこれからですよね?ラストバトルだもん、激闘ですよね?
これで終わったらヤムチャ以下のヘタレじゃないですか、あんだけパワーアップしてw

>しぇき氏
野球とは離れた話もいいね。評判悪いなんてとんでもない。
ザーボンとドドリアンの凸凹コンビがいい感じですよ。
ドドリアの恋、実るといいね。

>サマサ氏
ムスカは映画版の「人間がゴミのようだ」のイメージが強烈なので
最後まで小ざかしい悪役でいてほしいな。のび太との対決フラグかな?
その前に、ドラチームのパワーアップイベントがあるかな?

455ふら〜り:2005/10/10(月) 21:39:53 ID:64s/7TtF0
>>テンプレ屋さん
おつ華麗さまにございます。本っっ当に豊潤、かつハイペースでしたよね今スレは。

>>サナダムシさん
呆気ない決着でした。けども確かに、途中から破裂しそうだなとは思いましたね。悟空、
ちょっとラリってるみたいでしたし。「寄生獣」の後藤の最後みたいな感じですか。でも
これだと、折角の念願の完全体の見せ場が……あ、そうか。だから新強敵出現、で続く?

>>しぇきさん(ご安心めされぃ。素材のわかる〜で気付きました。原作以外は未読ですが)
いやはやドドリア、これでは不謹慎やむなし。可愛いぞ大佐。状況的にもアクション映画
のヒロインとヒーローそのままで、ドドリアの活躍が楽しみ……になる日が来ようとは、
リアルタイムでナメック星編を読んでた時には思いもしませんでしたな。ビバ二次創作!

>>サマサさん(その呪文形式、二十年前に『ときめきトゥナイト』が通過した場所だッ!)
主人公の最大奥義が、真正面から破られましたか。人質とか超能力なども絡まず、完璧に
正々堂々と。でもヒロイン(の一人)に励まされ立ち直る辺り、ヒーローの資格は失わず、
と。にしてもムスカ、ラピュタそのものを武器に使う? なかなか洒落にならん話ですぞ。 

>>30を前にして
小説(しぇきさん)、ゲーム(サマサさん)、特撮(うみにんさん)と、漫画を核に
しつつもネタが広がっていますねぇ。これだと、例えば検索でまとめサイトが引っかかり
易くなって、新規の職人さん・読者さんがどんどん増えそうで。良い傾向かと。
456作者の都合により名無しです:2005/10/11(火) 06:28:23 ID:AJQm9qGi0
今、429kb。
あと50kbは問題なしだから、2〜3作品来たくらいで次スレですかね。
457作者の都合により名無しです:2005/10/11(火) 08:28:09 ID:mXUeZlMm0
現スレは調子よかったねえ。ここ数スレずっと調子良くっていい感じ。
もう現スレ一週間はもたないな。あと3作品くらいか。
しかし、パオ氏、ザク氏、VS氏、ブラキン氏が現スレに来なかったのは個人的に残念。

でもふらーりさん、ときめきトゥナイトってw
458作者の都合により名無しです:2005/10/11(火) 12:49:35 ID:CdHjOZW20
>>437
スーパービックリマンは
樫本学ヴ(学級王ヤマザキ・ぶっとび闘人)じゃなくて
おちよしひこ(元祖ミニ四ファイター・マクロス7)だと思う。
459作者の都合により名無しです:2005/10/11(火) 18:46:00 ID:FnYIa0EE0
次スレパート30もサイト20万ヒット突破も今週中になりそうだな
記念の次スレは歴代職人大集合キボン
作品が書けなくてもいいからなんか一言ほしいなあ
460作者の都合により名無しです:2005/10/11(火) 19:32:00 ID:yroXRIlR0
ttp://www005.upp.so-net.ne.jp/doraneko-21/gallery/parody/laputa.htm

サナサ氏の>>438-442読んだ後、朝目でこれを見たため爆笑した。
461作者の都合により名無しです:2005/10/12(水) 00:43:37 ID:eTke88aw0
>>205とかもテンプレに入れてもいいかもしれないな。
そのまま採用するかは別にして。
462それゆけフリーザ野球軍:2005/10/12(水) 04:45:12 ID:7KtuyTSk0
〜PM7:30〜
ザーボンは行くこと拒否する体と葛藤しながら水上水族館の外にあるレストランに来ていた。
普段は人で賑わう時間だが、この事件のせいで人っ子一人いない。
ちなみに水上水族館は一種のテーマーパークに近く、水族館の周りに土産屋やレストランなんぞがチラホラあった。
このレストランは水上水族館のレストランといえば言われる程有名で、名物の”ブタすき”が美味いと評判だ。

「約束まで、後5分か・・。」
敵の本拠地近くということもあり、スカウターの感度を最大にして警戒しながらレストランの内部に入る。
ザーボンがレストランに入った瞬間、入るまで無かった人の気配が!
(ちっ、見つかったのか?)
スカウターに触れなかったのは疑問だが、ザーボンは臨戦態勢に入る!

・・・と、その瞬間お気楽な声が静かなレストランにこだまする。
「とととと、待ってくれよ〜。」
待てといわれて待つはず無いのが常識だが、相手からは殺気が無いのでスカウターの秘密機能である一つのライト機能を使って
相手が何者かを確認するザーボン。

するとそこには・・・・。

「ふう〜。いよ!ミルコさんから話は聞いているだろ?俺がその合流相手のウエハーツだ!宜しく旦那!」
そう言ってウエハーツは左手で握手を求める。
ザーボンは利き腕らしき手でない方から握手を求めてきたのに気付き相手が傭兵だということを察知し快く握手した。
「まあ〜、作戦の概要なんだけど。相手の数がわからないから3班に分けて行動しているんだよね。」
ウエハーツはお気楽に言いながら地図を取り出す。
「俺達がいるのは外のレストラン。A班は囮役でこのB3で陽動するから、俺達・・・、あ!B班がうちらね!正面から突入して外回りに
巡回しながらB1→B2→B9→B8って感じに行くから!!」
ウエハーツの要点を抑えすぎた説明によりザーボンは少し困惑し、こう聞き返す。
「スマンが3つ質問するぞ。1つ。なぜ巡回する?2つ。俺達は2人だけか?3つ。C班の説明は?」
ザーボンのまとめられた質問に少し感心しながらウエハーツはこう答える。
「1つ目の質問の答えはこうだ。ぶっちゃけ俺達は囮だからだ。2つ目。イエス。3つ目。C班が本命だからな。B班とC班は作戦が成功しない限り出会わないことになっているから説明不要だ!-----質問が無ければ移動するぞ!もう開始時刻だ!!」
ウエハーツの自分たちも囮という言葉に驚きはしたが、なぜかあまり腹が立たない。
463作者の都合により名無しです:2005/10/12(水) 04:48:52 ID:7KtuyTSk0

”さっきまではあれほど直接助けに行きたいと体に檄を入れるほど熱望していたのに・・・。”

<水上水族館入り口付近>
〜PM7:34〜
空はもう暗くなり、漆黒の闇に近い色合いになって行く。
惑星フリーザの夜は長く深いのだ・・。

「後一分・・・。ザーボンの旦那は準備万端かい?」
「ああ・・・。大丈夫だ・・。」
「・・・・。何か会った時からちょっと変な感じがしているんだがやる気が無いのなら帰って良いぜ!俺も死にたくないからな!」
「ああ・・。大丈夫だ・・。」
少し様子の変なザーボンに活を入れるために突き放した言葉をいれるウエハーツ。
しかしその甲斐もむなしく、この言葉はザーボンは先程から感じている”ある感情”を増大する引き金になるしかないのであった・・。

(俺は・・。本当にドドリアを助けたいのか・・?なんで・・。俺はこんなことを考えているんだ・・。)
ザーボンが考え事をしている間に作戦開始時刻になる。
ウエハーツは本部と連絡を終え、ザーボンが着ている戦闘服の端っこを引っ張り作戦開始の合図をする。
「旦那!行くぞ!」
「ああ・・。」
ウエハーツの声で現実に戻されたザーボンは(いまはこんなことを考えている場合ではない)と自分に言い聞かし、水上水族館の中に入っていった。

------------------------------------------------------------------------------------------------
464作者の都合により名無しです:2005/10/12(水) 04:50:34 ID:7KtuyTSk0
ついでにこの水族館の内部説明をしておこう。
館は円筒状になっており、各フロアは閉館している今頑丈な扉で閉ざされている。
B1&B2:受付&土産屋
B3:小生物展示室
B4:熱帯惑星に住む魚の展示
B5:宇宙マグロや銀河カツオなどの展示(筒状の水槽の中に入っているあれ)
B6:宇宙のサメの展示(ドドリアたちはB6の上のサメの餌場。つまり餌を投げ入れる場所にいる)
B7:古代宇宙か生存している魚の展示
B8:”最果てのメリーゴーランド”(原子胎星)からのピラルクー展示
B9: 喫茶店&休憩室(用務員の・・)
となっている。

------------------------------------------------------------------------------------------------------
465作者の都合により名無しです:2005/10/12(水) 04:51:13 ID:7KtuyTSk0
同時刻・・。(PM7:35)
<A班・B3地点の真下>
”こちらウルズ7。目標地点に着いた。指示を頼む・・。”
ウルズ7とはサラダのコードネームの一つ。
彼と7人の同僚は先程からわずか30分で地下水道を経てB3地点の真下に着いていた。
B3は水上水族館の中では一番狭いフロア(でも半径200mはある)で、蟹などのスペースを取らない生物の展示をしている。
サラダは本部に連絡をいれ、任務開始の合図を聞く。

”ウルズ7より各位へ。作戦開始だ!ウエハーツとザーボン氏はすでにB1に向かったそうだ。こちらも動くぞ!”
サラダはそう仲間に連絡をして上にある、B3へのドアをぶち破る!

グシャッッ!!

サラダは戦闘力を開放しながら飛び出す!
彼が飛び出した先には巡回していた3人ほどの誘拐犯の一味が!!!
「み、”ミスリル”・・?へ・・。」
誘拐犯達はサラダの姿を見るとなぜか一瞬かたまり、致命的な隙を見せる。
そこを見逃すサラダではない。
左手で一人目の首を左手の裏拳で払いながら、裏拳で反動をつけて右に回転力をつけて二人目にハイキックをかます!
「グハッ・・・・」
誘拐犯2人を一瞬で運で倒されるのを見た3人目は連絡を入れながら全速力で飛んで逃げようとする!
しかし所狭しと展示しているこのフロアで障害物を避けながら、しかも連絡しながらなんて名無しが出来るはずも無くサラダのE式マシンガ

ンでその生涯を閉じた。
466作者の都合により名無しです:2005/10/12(水) 04:51:50 ID:7KtuyTSk0
「おい!あっちからなんか爆発音がしたぞ!”ミスリル”たちか?」
当たり前だがサラダのE式マシンガンの音で巡回していたほかの誘拐犯にきずかれてしまう。
(予定通りだ・・。しかし・・。気になる・・。)
サラダは予定通りに任務が追行できているのを嫌とは感じなかったが、疑問に感じた。
その理由は彼等の弱さである。
まがい也にもドドリアと財閥”ミスリル”の令嬢を誘拐する一味である。
”ミスリル”やフリーザ軍からは当然報復が来るし、ただで”ミスリル”がお金など払わないことは用意に考え付くだろう。
なのに今サラダが倒した奴等は戦闘力が1000も行かないであろう雑魚。
いわばチンピラレベルである。
(緊急時の対処の仕方はプロらしかったが、体術などが素人レベルだ・・。まるで知識だけ与えられたゴロツキのようだな・・・。)
サラダはあれやこれやと考えながら、先程のエネルギー波の音で聞きつけた雑魚どもを仲間とともに一掃する。

「お、おい!イッセー殿に連絡しろ!」
雑魚の一人が残った仲間に指示を出すが時すでに遅し。今、台詞をはいた奴が最後だった・・。

”B3、B4の敵は制圧完了。これよりB5に行き、予定通りB5からB1へ退路を作る!”
サラダがそう本部に連絡すると、騒ぎの音を聞きつけたB5から来た誘拐犯の一味が姿を現す!!

「やつらが侵入者?って、フリ太君!?」
誘拐犯達はまたもやサラダ達の格好に驚き、致命的な隙を見せてしまう!
「ふ、フリっふ!!!!!!!」
サラダ達は一斉に誘拐犯に襲い掛かりあっさりと撃破!この圧倒的な成果を見てサラダは思わず、
”まさか、この姿がこれほど効果があるとは・・。やはり使えるではないか・・。なぜ売れなかったのだろう?”
等とサラダは倒した誘拐犯たちを縛りながら”今、自分が着ている特殊スーツについて考えていた。”
467それゆけフリーザ野球軍:2005/10/12(水) 04:53:24 ID:/mvDRhPy0
---------彼が着ている特殊スーツとはフリーザランドの人気?マスコットのフリ太君であり、その名の通りフリーザに耳が生えた愛苦しい

姿が印象的なきぐるみのことである。
ちなみにボイスチェンジャーだけは常に不調で、通信機で連絡する以外の声はすべて「フリっふ!」になってしまう。------------------

(ともかく次は自分たちの脱出路の確保だ。)
考え事もすんだサラダは早速脱出路を造る為に、仲間とともにB5からB1へパンツァーミサイルを撃った!


ズゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・。


舞い散る火花と爆炎・・。
予定通りB5からB1への脱出路が出来て自分たちの作戦はひと段落である。

しかし・・・・。

圧倒的な破壊力から生み出された爆炎の中から人型のシュルエットが見える・・・。
その姿はまるで幾つもの死線を通った格闘家のようなたたずまいでじっくりとこちらを見ていた・・。
「ふむ・・。これで一人目か・・。」

-------------------------------------------------------------------------------------------------------
468それゆけフリーザ野球軍:2005/10/12(水) 04:55:16 ID:/mvDRhPy0
どうもなんか名前欄が突然名無しになるようになったしぇきです。
(何でだろ・・。)

もう朝なんで明日の夜に続きをアップします。

ではおやすみなさい・・・。
469それゆけフリーザ野球軍:2005/10/12(水) 05:05:34 ID:RUBbKIOw0
後、分かると思いますがサラダは一度たりとも「」では言葉を
喋らせないようにしています。
すべて()と””で書いてあると思います・・。
では・・。
470作者の都合により名無しです:2005/10/12(水) 08:20:32 ID:yfUcFers0
しぇきさん朝早くにお疲れ様です
舞台がどうみても日本っぽいですなw
意外と設備充実の宇宙水族館だw
意外とハードな展開の中のフリ太くん笑った。


>テンプレ追加
サイトに、うみにんさんの新作が載りましたので
テンプレ作る方、>>451のアドの変更お願いします


ドラえもん のび太の天聖道士 (うみにん氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/uminin/3-01.htm
471作者の都合により名無しです:2005/10/12(水) 18:50:44 ID:3/8xbU8b0
しぇきさん、毎回力作ありがとうございます。
番外編とは思えぬボリュームですね。
フリーザの支配下の星星の人たちはこのSSでは平和かつ楽しく暮らしてそうですね。
水族館があったり、野球したり、ドドリアは恋に落ちたり。
最後のシルエットのヒキはバトル物への方向転換?
472作者の都合により名無しです:2005/10/12(水) 20:09:29 ID:oiVrPqxj0
しぇきさんはもう完全にバキスレの主力だね。
更新速度と量は一級だし、内容も面白くなってきた。
正直、最初は誤字とか改行とか読み辛かったけど今は全然問題ない。

応援してますので頑張って下さい。(えらそうな事言ってすみません)
473作者の都合により名無しです:2005/10/12(水) 23:13:11 ID:0RLaKZQhO
>>しぇきさん
ドドリアやザーボンの私生活も面白いですけど・・・
野球チームに入れてもらえなかったグルドも気になりますw
暇があったらグルドのことも書いてあげてくださいw
474不完全セルゲーム:2005/10/13(木) 01:28:43 ID:XHFhZnSD0
>>428より。
475不完全セルゲーム:2005/10/13(木) 01:30:35 ID:XHFhZnSD0
第三十五話「エンペラー」

 砂漠に特有な乾いた風が、寂しげに吹きつける。
 セルは孫悟空を倒してのち、しばらく体を動かしていた。だが、やがて満足に至ったの
か、だらりと棒立ちになる。おそらくは、手足が自在に操れるかどうかを、たしかめる作
業だったのだろう。
 そして、セルは振り返りもせずに、口を開いた。
「今までありがとう。もう好きにしていいぞ」
 突然だった。だれもが反応出来ずにいると、構わずセルは息子に話しかける。
「セルジュニア、どうする。私についてくるか?」
「え……えっ?」
「どうする」
「う、うん。行くよ……」
「ならば、来い」
 未練を全く感じさせぬ仕草にて、セルは即座に飛び立った。
「18号さん、17号さん、16号さん……。じゃあ、またね!」
 慌しく別れを告げると、セルジュニアもあとを追う。数ヶ月にわたり苦楽をともにした
仲間との、あまりにもそっけない袂別であった。

 上空二千メートルを、高速飛行する父子。先ほどはセルの圧力に屈したセルジュニアが、
強い口調でセルに疑問を浴びせる。
「パパ、一体どうしたんだよ」
「ん、なにがだ?」
「いくらなんでも、あんな別れ方しなくてもいいじゃないか!」
「分かってないなぁ、おまえは。元々彼らはボディガードとして、仕方なく私に付き合っ
てくれてただけだ。もう一緒にいても、お互いのためにならんだろう」
「で、でも……」
 彼らとの絆は、この程度だったのか。と、セルジュニアは問いたかった。だが、実行に
までは至らない。何故なら、今のセルはためらいなく「あぁ」と答えそうで怖かったのだ。
「よし、テレビ局に行くぞ」
 速度を緩めるどころか、ぐんぐん加速させるセル。疑念を抱えたまま、セルジュニアも
父に連れ添う。
476不完全セルゲーム:2005/10/13(木) 01:31:15 ID:XHFhZnSD0
 セルの行動は素早かった。まさに矢の如し。
 いきなり生放送中のニュース番組に乗り込むと、スタジオにいた人間に対して説得を試
みる。完全となった知能から発せられる弁舌は、いとも簡単に彼らを引き込んだ。
 こうしてニュース番組を乗っ取ったセルは、さっそく自己紹介を開始する。
「おはよう、諸君。私の名はセルという。私の力をぜひとも社会に役立てたいと、こうし
てテレビに参上させてもらった」
 するとセルは、多種多様なアイディアを視聴者に投じた。
 第一に、宇宙からの脅威は自らが排除すると宣言し──エネルギー提供、荒れ地開拓、
テーマパーク建設、などを次々に具体案として打ち上げる。
 半ばマンネリ化していた日常を切り裂くような、鮮烈なデビュー。視聴者たちは、新た
な英雄を心から歓迎した。

 放送終了から数日、セルたちはちやほやされっ放しであった。
 セルに心酔した人々による接待。やれ美食だ美酒だと、快楽という大津波がセルへと押
し寄せる。ただし、セルジュニアはそんな父を、終始冷ややかに眺めていた。
 セルのために貸切になった高級ホテルにて、二人きりとなった父子。
「セルジュニア、明日も忙しいぞ。なにしろ、完全体になったんだからなぁ。とことん、
楽しまねばならん」
 酒臭い息でベッドに寝転がり、下品に笑うセル。セルジュニアが、ぽつりともらす。
「こんなことが……」
「え?」
「こんなことが、パパが目指してた完全ってやつだったの?! 皆と、あんな別れ方して
まで!」
 涙をこらえながら、子は父に訴えた。元に戻ってくれ、とまではいわない。せめて、初
心を取り戻して欲しかった。ところが、
「あぁ、最高だ。これから私は、セルの名を地球上に浸透させるつもりだ。完全体(パー
フェクト)である私を、皆が必要とし、敬うようになる。金も地位も名声も、好きなだけ
手に入──がふッ!」
 舌は、小さな拳によってせき止められた。鼻血を流す父に対し、涙を流す息子。
「あんたなんか、もうパパじゃない。死んじまえッ!」
 部屋から走り去るセルジュニアに一瞥もせず、セルは酒をあおる。
「ガキめ……」
477それゆけフリーザ野球軍:2005/10/13(木) 01:32:06 ID:wQsuSfGj0
同時刻・・。
<C班・B9地点>
「う〜い!じゃあみんな行動し始めたからこっちも行くわよ〜〜!」
C班の隊長----ウルズ2のコードネームを持つマオドウ(中国語で枝豆の意)はお気楽に、だがしっかりと各位(およそ10名)に作戦開始の合図をする。

漆黒の闇を進むマオ達。
その闇を少しだけ照らすようにあちらこちらに点在している非常口や水槽の明かり。
辺りを最大限に警戒しながら進むとある扉の前で足が止まった。
(光が漏れてる・・・?周りにも誰もいないということは・・・。)
マオは他の隊員たちに周囲を見張っているように促し、爆発物がドア周辺に仕掛けられていないことを確認すると
部下を入れて3人で中に入ることに・・。

ギ、ギギギギ・・・。

ゆっくりと開けたつもりが思ったよりドアと壁の摩擦が凄くて結構大きな音が出てしまう。
(しまった!)
マオはすぐさまスカウターと自分の第六感を最大限まで上げたが、誰もここに来る気配は無い。
(手薄すぎね・・・。逆にこの部屋が怪しいわ・・。)
ともかく誰も来ないうちに中に入るマオ達。

ギギギギギギ・・・。

マオの心臓の鼓動が早くなる・・・・。
果たして中には・・・?


「うおっと!人が飯を食っている時に不謹慎な奴らめ!」
なんと中にはおじさんが一人、夕食をとっているではないか!
思わず地面に突っ伏すマオ達。
「ん?もしかして忘れ物か?う〜と、今日の忘れ物はと・・・。」
おじさんはゆっくりと腰を上げ、後ろの”忘れ物入れ”と書かれた箱を持ってくる。
478それゆけフリーザ野球軍:2005/10/13(木) 01:32:42 ID:wQsuSfGj0
おじさんはゆっくりと腰を上げ、後ろの”忘れ物入れ”と書かれた箱を持ってくる。
「んんんん。これかな?」
おじさんは箱の中からキャラコバッチを取り出す。
「これはサメの所に落ちてたんじゃ!」
おじさんは笑顔でマオ達にキャラコバッチを見せる。
(な、なんて懐かしいものを・・・。)
マオが内心そう思っていると、他の隊員が
「あんた?ここの人か?」
と物語進行をしてくれるではないか!するとおじさんが
「うむ、ここに勤めて約2ヶ月!最近学校の用務員をクビになってここに来た者じゃ!で?お前達は・・・。はっ!まさか!ワシの体を・・。」
「「ないない・・。」」
「ということは・・・。」
突込みにもめげずにまたボケようとするおじさんを流石に見かねたマオが
「ここは誘拐犯・・・。まあテロリストが占拠しているのよ!テレビ見てないの?」
マオのこの一言に用務員のおじさんは、
「ふむ、知ってるぞい!でも、ワシ一人じゃ逃げられんからのう〜。素直に夕飯を食べてることにしたんじゃよ!」
かなり胡散臭いが、周囲には敵の反応は無いので仕方が無くこう質問した。
「一つ聞きたいけど、何で貴方のところにはテロリスト達は来ないの?普通、ついでに捕まるものだけど・・。」
マオはちょっと遠まわしに言っているがつまりはこうである。
”お前も誘拐犯の仲間だろ?”と・・。

しかし、おじさんの答えはマオの予想を遥かに凌駕したものだった。
「ふむ、確かにこちらに来たのじゃがな・・。なぜかこちらの顔を見るなりどこかへ行ってしまったんじゃ!」
普通に聞いたらあからさまな嘘に聞こえるが、マオはこのおじさんが嘘をついていないように感じたので、
「ふむ、まあいいでしょう!夕食中お邪魔したわね!」
マオはおじさんに別れの挨拶をしてから、おじさんに対して警戒心MAXの隊員達を連れて出て行ってしまった。
479それゆけフリーザ野球軍:2005/10/13(木) 01:33:24 ID:wQsuSfGj0
すいませんかぶりました。
お先にどうぞです。
480不完全セルゲーム:2005/10/13(木) 01:59:24 ID:XHFhZnSD0
>>428より。
481不完全セルゲーム:2005/10/13(木) 01:59:54 ID:XHFhZnSD0
第三十五話「エンペラー」

 砂漠に特有な乾いた風が、寂しげに吹きつける。
 セルは孫悟空を倒してのち、しばらく体を動かしていた。だが、やがて満足に至ったの
か、だらりと棒立ちになる。おそらくは、手足が自在に操れるかどうかを、たしかめる作
業だったのだろう。
 そして、セルは振り返りもせずに、口を開いた。
「今までありがとう。もう好きにしていいぞ」
 突然だった。だれもが反応出来ずにいると、構わずセルは息子に話しかける。
「セルジュニア、どうする。私についてくるか?」
「え……えっ?」
「どうする」
「う、うん。行くよ……」
「ならば、来い」
 未練を全く感じさせぬ仕草にて、セルは即座に飛び立った。
「18号さん、17号さん、16号さん……。じゃあ、またね!」
 慌しく別れを告げると、セルジュニアもあとを追う。数ヶ月にわたり苦楽をともにした
仲間との、あまりにもそっけない袂別であった。

 上空二千メートルを、高速飛行する父子。先ほどはセルの圧力に屈したセルジュニアが、
強い口調でセルに疑問を浴びせる。
「パパ、一体どうしたんだよ」
「ん、なにがだ?」
「いくらなんでも、あんな別れ方しなくてもいいじゃないか!」
「分かってないなぁ、おまえは。元々彼らはボディガードとして、仕方なく私に付き合っ
てくれてただけだ。もう一緒にいても、お互いのためにならんだろう」
「で、でも……」
 彼らとの絆は、この程度だったのか。と、セルジュニアは問いたかった。だが、実行に
までは至らない。何故なら、今のセルはためらいなく「あぁ」と答えそうで怖かったのだ。
「よし、テレビ局に行くぞ」
 速度を緩めるどころか、ぐんぐん加速させるセル。疑念を抱えたまま、セルジュニアも
父に連れ添う。
482不完全セルゲーム:2005/10/13(木) 02:00:27 ID:XHFhZnSD0
 セルの行動は素早かった。まさに矢の如し。
 いきなり生放送中のニュース番組に乗り込むと、スタジオにいた人間に対して説得を試
みる。完全となった知能から発せられる弁舌は、いとも簡単に彼らを引き込んだ。
 こうしてニュース番組を乗っ取ったセルは、さっそく自己紹介を開始する。
「おはよう、諸君。私の名はセルという。私の力をぜひとも社会に役立てたいと、こうし
てテレビに参上させてもらった」
 するとセルは、多種多様なアイディアを視聴者に投じた。
 第一に、宇宙からの脅威は自らが排除すると宣言し──エネルギー提供、荒れ地開拓、
テーマパーク建設、などを次々に具体案として打ち上げる。
 半ばマンネリ化していた日常を切り裂くような、鮮烈なデビュー。視聴者たちは、新た
な英雄を心から歓迎した。

 放送終了から数日、セルたちはちやほやされっ放しであった。
 セルに心酔した人々による接待。やれ美食だ美酒だと、快楽という大津波がセルへと押
し寄せる。ただし、セルジュニアはそんな父を、終始冷ややかに眺めていた。
 セルのために貸切になった高級ホテルにて、二人きりとなった父子。
「セルジュニア、明日も忙しいぞ。なにしろ、完全体になったんだからなぁ。とことん、
楽しまねばならん」
 酒臭い息でベッドに寝転がり、下品に笑うセル。セルジュニアが、ぽつりともらす。
「こんなことが……」
「え?」
「こんなことが、パパが目指してた完全ってやつだったの?! 皆と、あんな別れ方して
まで!」
 涙をこらえながら、子は父に訴えた。元に戻ってくれ、とまではいわない。せめて、初
心を取り戻して欲しかった。ところが、
「あぁ、最高だ。これから私は、セルの名を地球上に浸透させるつもりだ。完全体(パー
フェクト)である私を、皆が必要とし、敬うようになる。金も地位も名声も、好きなだけ
手に入──がふッ!」
 舌は、小さな拳によってせき止められた。鼻血を流す父に対し、涙を流す息子。
「あんたなんか、もうパパじゃない。死んじまえッ!」
 走り去るセルジュニアに一瞥もせず、セルは酒をあおる。
「ガキめ……」
483不完全セルゲーム:2005/10/13(木) 02:01:24 ID:XHFhZnSD0
 宇宙から飛来する侵略者、悟空たちよりも速くセルが出向く。
「なんだぁ、てめぇ……?」
「私は人造人間セルだ」
「少しは出来そうなツラだが、相手が悪かったな。俺のエネルギーは二万キリだ」
「二万っきり? 侵略なんて真似をするわりに、ずいぶんと謙虚な奴だな」
「く、てめぇ……殺す!」
 気を引き絞り、両雄がぶつかり合う。──二分後。
「ち、ちくしょう……強すぎる。くそ、引き上げるか……!」
「地球土産に、セル人形はいかが?」
「いらん!」
 敵にすらならず。あたふたと逃げ帰っていく宇宙船を、立ち尽くしたまま見送るセル。
「これが、完全……」

 テーマパーク「セルランド」が完成する。セルをモチーフとした数々のアトラクション
が受け、休日はもちろん、平日までも客がごった返している。
 セルランド管理人が、オーナーであるセルに収支を報告する。次々と数字が耳に流れ込
むが、黒字であることは小学生でも分かる。絶好調であった。
「アトラクションはどれも人気ですよ。特に“わくわく吸収コースター”や“生体エキス
メリーゴーランド”なんかは五時間待ちが常ですからね」
 放っておいても、湧いてくる大金。セルはしみじみと噛み締める。
「これが、完全……」

 時代はセルに流れ──否、セルは時代と化していた。だれもが、セルの一挙手一投足に
注目する。街中を歩けばパニックが起こり、ベッドに眠っていても金が入ってくる。「セ
ルエイジ」なる造語が生まれ、流行語にもなるほどだ。
 体力、知力、精神力、どれを取っても満点。カリスマ性も抜群。もはや単体では、宇宙
中どこを探しても、彼を上回る能力を持つ者はいないであろう。
 一つ、また一つ──プロジェクトを成功させるたび、セルは口癖のように呟く。
「これが、完全……」


 ──こうして、半年が過ぎていった。
484サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/10/13(木) 02:03:44 ID:XHFhZnSD0
こちらこそすいません。
次回、最終話。おそらく次スレ。
485それゆけフリーザ野球軍:2005/10/13(木) 02:10:28 ID:XuUFtQ+S0
>サナダムシさん
本当にスイマセンでした。フィナーレに近づいているのに・・。

>478から

「なんであのおじさんを捕まえないんですか?」
隊員の一人はマオにそう質問する。するとマオは、
「まあ、女の勘って奴かしらね?悪意や殺気は感じなかったし・・・。それに何よりこちらには目的があるでしょ?時間ロスは厳禁よ!」
とあっさり返す。
「あのドアに入る自体が時間ロスじゃ・・。」
と小さく突っ込む隊員。
「いいじゃない!ドアから出ても何もしてこなかったんだし!さあ、さっさと進むわよ!ソーメンの連絡じゃ、誘拐犯たちは雑魚ばかりみたいだし!」
※ソーメンはサラダの下の名前。つまりサラダ=ソーメンが本名。
マオはそう言って、進行の4点を守りながら奥の闇に進むのだった・・。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
486それゆけフリーザ野球軍:2005/10/13(木) 02:11:54 ID:XuUFtQ+S0
同時刻・・。(PM7:35)
<ドドリア&令嬢・B6地点>
他の面々と違い、脱出を図った二人は思ったよりも困難な戦いを強いられていた。
監視を延髄蹴りで倒したのは良いが、ドアを出た瞬間からなぜかこれ見よがしな誘拐犯の一味がドアの前を囲んでいたからだ。
出た瞬間から、手錠により戦闘力1/10にされたドドリアは令嬢を守りながらおよそ10人以上と戦っている。
勿論、令嬢は心配そうに邪魔にならないように鉄パイプを握り締めながらドドリアを見守っていた。

そして数分後・・。

「く、くっそ!こんな奴等に!」
ドドリアは普段なら5秒もかからない奴等相手に苦戦を強いられていた。
敵は先程の監視ほどの強さだが、最新のE式系列の銃(戦闘力をエネルギー波を打つ要領で込めて、弾状にして打ち出す兵器)を持っている
のでヒット&アウェイを繰り返して中々近づけられないようにしてくる。
しかも、俄仕込みっぽいがアウェイの時の足取りも訓練されたっぽい動きで微妙にかく乱してくるのだ。

当然敵に近づきすぎたら、敵の誰かに後ろに入られて令嬢が殺されるかもしれないのでうかつに近づけない。
無駄に書いたが、ともかく今のドドリアは八方塞の状態なのだ。
(このままじゃ、益々敵が増えてくるかも知れねえ。どうする??)
ドドリアはいつもの100倍は脳を回転させてこの状況を打破する方法を考える。
そうしている間にも敵の足音が聞こえる・・。

”これ以上敵を増やすわけには行かない!!”
ドドリアは敵に背を向け令嬢の下へ飛び寄り令嬢に「息をしばらく止めてください!」
とだけ言うと手錠によってできる両腕の輪のところで令嬢を抱き、宇宙サメのいる水槽へダイブし誘拐犯どもを引き離す作戦に出る。

ドボーン!!

唸る水しぶきと迫るサメの群れ。
ともかくドドリアは、1/10程の戦闘力を最大まで放出しながら水槽を突き進む。
本来は攻撃してくるサメも本能からかかなわないと悟って道を譲る。
(よし!これなら!)
ドドリアは水槽の端まで来ると口からエネルギー波を出し、水槽をぶち壊してそのまま外に出る。
487それゆけフリーザ野球軍:2005/10/13(木) 02:12:51 ID:XuUFtQ+S0
そして、その後手短な手身近な陰に隠れ令嬢をゆっくりと下ろす。敵も追ってくるはずだからだ。
「あ、あの・・。大丈夫ですか?」
ドドリアはびしょびしょにぬれた令嬢を見て問いかける。
「けほ。けほ。ちょっといきなりだったんでビックリです・・。でも・・。得もしましたし・・。」
「は?」
「ふふふふ・・。」
令嬢の言葉が一瞬理解できなかったドドリアだがその後、意味をすぐに理解して
「あ・・・。スイマセン!いや・・。別に悪気があったわけじゃ・・・。」
となぜか謝ってしまう。そしてそれを見た令嬢は、
「いいですよ。緊急時ですし。さっきも言った通り、得しましたし。」
そう言って笑顔でドドリアに答えた。

----しばらくたって・・・。
警戒の厳しくなり、とっくに見つかって良い筈がなぜか誰も来ない・・。
「変・・、ですね・・・。」
「はい・・。不気味です・・。」
二人はこれ以上ここにいても意味が無いと判断し、ゆっくりと警戒しながら立ち上がろうとすると!!

ズゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・。

とすぐ近くで爆発音が聞こえた!
とっさに身構えるドドリア。後ろに隠れる令嬢。

-----しかし、辺りは先程と同じく静寂を保ったまま。

「ドドリアさん?」
敵があたりに潜んでいないことを確認した令嬢がドドリアに話しかける。
「もしかして、”ミスリル”やザーボンさん達が助けに来てくれたんじゃ・・・。」
「そのようですね・・。合流できますかね・・。」
「多分・・。B5は囮でしょう。陽動隊だと思うので敵も沢山いる筈です。なのでB7から本体は来ると思うのですが・・。」
令嬢はちょっと自信なく言うが、ドドリアもそれと同じ事を考えていたようで
「今の私では陽動隊の邪魔にもなるかも知れません・・・。なので私もB7から行くのがいいかと・・。」
488それゆけフリーザ野球軍:2005/10/13(木) 02:13:32 ID:XuUFtQ+S0

<B7への扉>
強大な扉・・。
それは天国の門にも地獄への門にも見える。
しかし今二人は確かな確信の元にこの天国の扉の前にいる。

それはなぜか?

それは先程の爆発から、救助が来たことは明白だろう。
そして、陽動隊が戦闘中でB5がダメだと判断した。
残るはB7だが、ここにも敵がいると考えるのが普通だ。
しかし、先程から全くといって良いほどB6で隠れていたのにB7から誘拐犯たちが来る気配は無い。
というよりも、B6で水槽をエネルギー波で壊すほどの騒ぎをしているのに、上の餌場からもB7からも来ないのは普通におかしい。
これらの点から、B7以降は本体が既に制圧していると考え二人はB7に行くことにしたのだ。
もっとも、もしこれで待ち伏せなんてしてたら相当性格の悪い誘拐犯になるのだが・・。

ズオーン!!!

ともかくこれ以上ここにいるわけには行かないので、ドドリアはありったけの力を込めてこの巨大な扉をぶち壊す!
巻き起こる爆炎と粉塵。
その先には何がまっているのか・・・。

しかし、その答えは以外と早く出た。
489それゆけフリーザ野球軍:2005/10/13(木) 02:16:02 ID:XuUFtQ+S0
「人影?」
令嬢がそういうとドドリアはさっと身構える。
その数、実におよそ10人。
ドドリアは先手必勝と言わんばかりに少ない戦闘力を開放し、突撃しようとするが・・・。
「ちょっと!!!まって!!!」
影の向こうから聞こえた女の声でドドリアは思わず静止させられる。
その声が発せられたのと同じくして、巻き上げられた爆炎や粉塵の中から人がでてくる。
「マオ!!!」
と突然、令嬢が叫びだす。
「へ?」と状況が良く飲み込めないドドリアは令嬢のそぶりを見て、敵ではないことを判断する。
そして「ふえ〜ん!」と言わんばかりの表情でマオに抱きつきながらほお擦りする令嬢。
「怪我は無い?」
マオがそう聞くと令嬢は、
「ドドリアさんが必死に守ってくれたから傷一つ無いですよ!」
と言い返す。するとマオは心底安心した顔をして、
「ふう、良かった・・。副長がアンタに傷をつけたら、”ヘルファイアに括りつけて太陽までぶっ飛ばしてやる!”
なんて言うから”ひやひやもの”だったわよ!」
と言いながら、令嬢の頭をクシャクシャっと撫で回す。
その後は、何が何やら・・。
二人のフィールドに完全に置いてけぼりにされる、ドドリアとその他。

そして・・・・。

「あれ?もう救助しちゃったの?」
お気楽な声がマオ達の後ろから聞こえる。そうこのお気楽声はウエハーツである。無論、ザーボンもだ。
そしてザーボンはなぜか陰りのある顔でドドリアに近づき、
「ドドリア・・。無事か・・。良かった・・。」
と話しかける。するとドドリアは、
「ああ、やっぱ来たか!」
とうれしそうにザーボンの肩をバンバン叩く。その様子を見た令嬢がちょっとうらやましそうな顔をすると
「まあ、男同士のむさ苦しい喜びの再開は後にして・・・。」
とマオが二人に軽くちゃちゃを入れ、さっさと脱出するように促した。
490それゆけフリーザ野球軍:2005/10/13(木) 02:24:08 ID:XuUFtQ+S0
なんかこれ以上投稿したら、このスレの限界が来そうなのでここで切らしていただきます。

>サナダムシさん。
本当にスイマセンでした。
完全体はすべてが完全?お金が無い!?を思い出す親子の会話。
次で終わりなのは本当に残念です。

>サマサさん
メイオウがでる?美久の機械化の描写が難しそうですね。
ムスカ!この人って射撃も凄かったんですね。
目が〜〜〜!のイメージしかないです。
後、強いて言えばロリコ・・・・(以下略)のイメージがありますw

>458さん
自分が読んでいたのはコロコロでなくて小学2年生に乗っている
スーパービックリマンです。正直、調べるまでその作者様の
スーパービックリマンは知りませんでした。

>レスをくれる皆様。
いつもありがとうございます。
朝方投稿した時は、ちょっと変なことを書いていました。
サラダが””や()のみなのはフリ太君を着ているためです。
「フリっふ!」しか「」では喋らないので・・。

長くなりましたがこれで失礼します・・・。
491作者の都合により名無しです:2005/10/13(木) 09:56:17 ID:ZfSOR1fP0
>サナダムシさん
セル、あっさりとした決着にあっさりとした別れですな。
そして何を思ったかスーパーヒーローになっちゃって…。大オチはどうなるんだろ。
次回最終回ですか。寂しいなあ。次はしけい荘番外編をまた書いてほしいな・・
あと、うんこも久々にw怖いもの見たさというかたまに読みたくなるw

>しぇきさん
おお、番外編も長編にまで伸びそうなノリだw絶好調ですね。いい感じ。
あの不細工なドドリアがナイトですね。令嬢も好意持ってるみたいだし、
恋はうまくいきそうな感じですな。ザーボンとの友情もいい感じ。


あと、1、2作品くらいで次スレかな?
492作者の都合により名無しです:2005/10/13(木) 12:38:00 ID:VlirRdia0
サナダムシ&ゲロファンの俺としては、次回の最終回はショックだ。
また面白い作品ひっさげて帰ってきてよ…。とりあえず最終回期待。

しぇきさんは一回ごとメキメキ腕上げてますな。
個人的には今回のドドリアの恋の話の方が野球よりツボかな?
493作者の都合により名無しです:2005/10/13(木) 19:02:00 ID:BwMRoI/q0
サナダムシさん、しぇきさんお疲れ様

>不完全セルゲーム
完全を目指していたセルが成し遂げた後の空しさ…。やはり馬鹿やってた頃の方が
楽しそうですね。最終回期待してます。勿論次回作も。

>それゆけフリーザ野球軍
主役がぜんぜん出てませんが、それでも面白いですw
ドドリアは暴れん坊の割には純でピュアですね。この番外編も次で最終回かな?


次スレ、あと2作品くらいがタイミングかな?
480KBくらいで建てれば十分だよね
494ドラえもんの麻雀教室:2005/10/14(金) 08:28:19 ID:rtI+ZlkD0
ども、ごぶさたしてます。
ちょっと事情があって、ホームページを一旦閉じます。といっても
トップページを消すだけで、ネタはそのまま残します。
折を見て復活しますですよ。
495作者の都合により名無しです:2005/10/14(金) 12:04:18 ID:YMyuAGEl0
どっかからクレーム来たんですか?
復活期待してます。
496ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/14(金) 22:08:22 ID:s++mMR0t0
超機神大戦番外編 「アスランの世直し珍道中」1

「そろそろ物資がやばくなってきたな・・・」
ここは宇宙船艦アークエンジェル―――その艦長室でバカ王子は顎に手を当てて現状を憂いていた。
「誰のせいだ、誰の!阪神が優勝したからって便乗して大騒ぎして、勢いで宇宙に物資を放り投げまくったのは
お前だろうが!」
バカ王子の護衛隊長、クラフトは憤然と抗議した。
「そうだぞ!反省しろバカ王子!」
アスランもバカ王子を責め立てる。が―――
「アスラン!お前にいたっては<道頓堀に飛び込みたいが、ここにはない。仕方がないから、燃え盛るあの星へ
ダイブするしかないじゃないか!>とか言ってこの艦ごと恒星に突っ込もうとしてたろうが!」
「何を言ってる!阪神が優勝したんだぞ!?喜びのあまり真っ白に燃え尽きたっていいじゃないか!」
もはや言い訳というか、妄言に近いアスランであった。
「いがみ合ってても仕方ありません。とにかく物資を補給しないと」
「そうですよ。幸い近くに文明のある星もありますし」
王子護衛隊員、サドとコリンが不毛な会話に助け舟を出した。
「ふむ・・・この近くで文明のある星、と言えば・・・バルマー星だな。よし、そこに立ち寄ろう。このままでは
食料すら足りん」
「はい。では着陸準備しておきますね」
サドとコリンはそそくさと退散していった。後には気まずい雰囲気の三人だけが残された―――
実際に気まずいと感じるような繊細な神経の持ち主はクラフトだけであったが。

「さて、そしてバルマー星に降り立ち、この俺、アスラン"ナイスガイ"ザラとバカ王子、そしてクラフトの三人で
街へと繰り出したのであった。ちなみに残る二人は艦で留守番だ」
「誰に話している・・・というか、貴様がナイスガイだと!?ふざけるな、貴様がナイスガイなら強姦魔だって聖人
に見えるわ!」
アスランのバカ話にも、律儀に突っ込んでやるクラフト。バカ王子は物珍しげに露店を覗いたりしている。ただ、その
露店で売っているのは謎のグロい生物だったり、怪しげな薬だったりするのだが。
「クラフト、これなんて君のペットにどうだい?可愛いと思うが」
「うわっ!?やめろ、そんな作者の文章力じゃとても表現できないようなおぞましい物体を近づけるな!・・・
ん?なんだ、あの人だかりは?」
497作者の都合により名無しです:2005/10/14(金) 22:08:59 ID:pZS3oPHb0
バキヤクバレも消えてる?
麻雀は長編カテゴリから見えるみたいだけど。
498ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/14(金) 22:09:10 ID:s++mMR0t0
クラフトの視線の先には、仮設ステージが立っており、その周囲には人がぞろぞろとたかっていた。ステージの上には、
奇妙な男が立っていた。
目が四つもついた異形の仮面を被り、その表情はうかがえない。そしてその言葉が響く―――
「親愛なる我が信徒たちよ、ここへお前たちを集めたのも私だ」
「うおおーーーーっ!ユーゼス様ーーーーっ!愛してるぜえーーーーっ!」
それを合図に、観客たちが大騒ぎを始める。最前列にいた逞しいおばちゃんたちが(日本円でいうと)一万円札で作った
首飾りを手に前へ前へと押し寄せる。まるで演歌歌手のコンサートだ。
ユーゼスという名前らしい男が歩み寄り、札で作られた首飾りを受け取る。
「これを受け取るのも私だ」
「きゃーっ!ユーゼス様ーーーーっ!」
いちいち大騒ぎするおばちゃんたち。ますます演歌歌手のおっかけのようだ。
「さあ、我が信徒たちよ!お前たちが今日ハッピーなのも私の仕向けたことだ!」
「いえーっ!」
「こうして盛り上がるように仕向けたのも私だ!」
「うおーっ!」
「全て私だ!」
「さすがユーゼス様っ!俺たちにできないことを平然とやってのけるっ!そこに痺れる憧れるぅ!」
「ユーゼス教、今なら入信費無料!特典多数!太っ腹なのも私だ!」
「やっほー!」
―――バカ王子一行はその狂気の集会をただ見守るだけだった。
「な・・・なんだあれは・・・」
「ふむ、僕の見たところ怪しい宗教のようだな」
「そんなことは分かっとる!まったく・・・あんなモンに洗脳される奴の気が知れん。なあ、アスラン・・・」
隣にいたアスランをクラフトは見やった。
「いやっほーーーーい!ユーゼス最高ーーーー!」
「もう洗脳されてやがる!?」
「だって見てみろ。今ならユーゼス教への入信費無料。その上ユーゼスストラップ、ユーゼスバンダナ、ユーゼス
キーホルダー、さらにユーゼス仮面(レプリカ)もついてくるんだぞ?これはもうユーゼス様を信仰するしかない
じゃないか!さて、早速この仮面(レプリカ)を被ろうか。きっと俺にジャストフィットネスだ」
アスランは躊躇うことなく仮面を被る。見た目にはユーゼスとそっくりになった。
499ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/14(金) 22:10:17 ID:s++mMR0t0
「うむ、中々似合うぞアスラン。あとで僕にも貸してくれないか?」
「くっ・・・貴様もか、王子め!」
クラフトは遣る瀬無さに身を震わせた。恐らく自分は今宇宙でもっとも人間関係に恵まれてない男だと思った。
「さて、仮面ももらったことだし、あとはさっさと物資を補給するしかないじゃないか!」
「そうだな。おいクラフト、なにプラトーンのポーズをしてるんだ?怪しい人に思われるぞ」
「うるさい!貴様らにだけは言われたくないわい!」
憤然とクラフトは立ち上がり、二人の後を追った。歩くこと、10分。アスランはまだ仮面を被っている。
「お前・・・頼むからそれを早く取れ。一緒に歩きたくない」
「クラフト。あなたはこの仮面の素晴らしさが分かってないな」
「分かりたくもない」
クラフトはげっそりと肩を落とす―――と、彼らの前に三人の男女が現れた。
一人は、屈強な大男。いかにも豪傑といった佇まいだった。
一人は、しなやかな印象の女剣士。ややきつめだが、美人といえる顔立ちだった。
最後の一人は、やたら豪奢な衣装を身につけた美少女だった。あどけない中に、どことなく気品が感じられる。
ちなみに巨乳だった。
そして彼らの中の一人、大男が歯軋りしながら言い捨てた。
「こんなところでろくな護衛もつけず歩いていたとはな・・・ユーゼス!」
「む?バカ王子、ひょっとして俺がユーゼスに間違えられてるのか?」
「うむ、ベタな展開だがそのようだ。しかも何故か三人とも殺気立ってるぞ?」
ぼそぼそと話し合うアスランたちに業を煮やしたのか、女剣士が得物を抜き出した。小高い音を立てて、穢れなき
刃がその身を現す。それを受けて、大男も得物を取り出す。やはりその刃に穢れ一つない大剣だ。
「何をごちゃごちゃと―――ユーゼス、覚悟っ!」
「おお!姫様、ご命令を!」
「姫様・・・?」
怪訝な顔をするバカ王子。それに構うことなく、<姫様>が歩み出る。
「ユーゼス・・・あなたは余りに多くの罪を犯しました。けれど、今ここで悔い改めるというならば、今一度だけ
許しましょう。どうか己の罪を認め、法の裁きを受けてください」
「己の罪と言われてもな・・・俺はなにもしてないぞ?」
アスランは憮然として言った。確かに彼らはただ人違いをしているだけなので、アスランの言い分は正しい。しかし、
そういう態度がよくなかった。
500ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/14(金) 22:11:06 ID:s++mMR0t0
「姫様・・・もはや奴に対し問答は無用!我が剣を受けよ、ユーゼス!」
激昂した大男が大剣を振りかざし、アスランたちに襲い掛かる―――だが。
「・・・ヘッポコだな」
「ああ、ヘッポコだな」
「悲しいが、ヘッポコだな」
アスランたちはあっさりそれをかわした。何せヘッポコだったので簡単だった。
「ば、ばかな!バルマー騎士団最強と謳われたバラン・ドバンの剣をかわしただと!?」
驚愕する女剣士。それに逆に一行の方が驚愕した。
「待て・・・今ので騎士団最強だと!?それはひょっとしてギャグで言ってるのか!?(AA略)」
だが女剣士は聞いちゃいなかった。
「ちいっ!ならばこの私、ルリアの剣を受けよ!」
今度は女剣士―――ルリアという名前らしい―――が剣を振りかざす。しかしやっぱりヘッポコだった。
ムキになって剣を振り回すバランとルリア。ほいほいとかわす一行。それを固唾を呑んで見守る<姫様>。
あまりにも不条理で異様な光景であったが、やがてそれにも終わりがくる。剣を振り回しすぎてフラフラに
なった二人が、顔をチアノーゼで紫色にしてぶっ倒れてしまったのだ。
「くっ・・・さすがユーゼス。我らをこうもあっさりと・・・」
「俺たちは何もしてないんだが・・・」
「ちい・・・これが噂に聞くユーゼスの奥義か・・・」
「いや、そんなもん出してないし」
「ふっ・・・我らも騎士の端くれ。敗れた者には死あるのみ・・・だがどうか姫様だけは・・・」
「・・・全然話が噛み合わないな」
さすがのバカ王子もうんざりしたように呟く。そろそろ飽きてきたのだろう。
「さて、どうするアスラン?僕としては鉄格子のついた病院に連絡を入れた上でこのまま何事もなかったかの
ように立ち去るべきかと思うんだが」
「うーむ、そういうわけにもなあ・・・」
悩むアスラン。と、<姫様>がその前に立ちはだかる。
「あの・・・まだ何か?」
「ユーゼス!バランもルリアも勇敢に戦ってくれました。私も彼らの忠義に報いるため、この身を捨てる覚悟
です!私が―――あなたを倒します!それっ!」
501ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/10/14(金) 22:11:56 ID:s++mMR0t0
気の抜けるような掛け声とともに隠し持っていた短剣でアスランを狙う―――前の二人に輪をかけて酷い動きだった。
これでは蟻だって殺せないだろう。
「こんなもん振り回したら危ないぞ、<姫様>」
アスランはあっさり短剣を取り上げる。<姫様>は観念したようにへたり込んだ。
「・・・私の負けです。しかし覚えておきなさい、ユーゼス!我々がここで朽ち果てようと、いずれあなたを滅ぼす
ものが現れるでしょう!因果応報、自業自得と言いまして―――」
「あー、それなんだがな。俺はユーゼスじゃないんだ」
「・・・は?」
「ユーゼスじゃ・・・ない、だと?ではその仮面はなんだというのだ!」
「この仮面はさっきもらってな。ちょっと気に入ったから被ってるだけだ」
その言葉を受けて、<姫様>一行は顔を見合わせる。ゴホン、とバランが咳払いした。
「むう・・・これは失礼。とんだ人違いだったようで・・・」
「人違いで殺されかけたらさすがにたまったもんじゃないんだが、どうやら事情がありそうだな。<姫様>とやら、
ここで会ったのも何かの縁だ。この俺、アスラン"ナイスガイ"ザラに相談してみるしかないじゃないか!」
「おい、アスラン!勝手に・・・」
「まあ待てクラフト。またちょっと面白くなってきたぞ」
バカ王子が妙に期待に満ちた声でクラフトを制止する。<姫様>たちは顔を見合わせ、やがて決心したように顔を
上げた。
「分かりました、アスラン"ナイスガイ"ザラ様。バルマー最強の二人であるバランとルリアをあっさりと退けた腕
を見込んで、頼みがあります」
あれで腕を見込まれても普通の神経の人間なら冷や汗を流すだけだろうが、アスランはダメな意味で普通ではなかった。
堂々と腕を組み、自信満々(当然根拠はない)で<姫様>に向き直る。
「うむ、聞こう・・・ところで<姫様>。あなたはなんて名前なんだ?」
「あら、私ったら、名前も名乗っていませんでしたね―――私はアルマナと申します。よろしくお願いしますね」
<姫様>―――アルマナは、花が開くように笑った。
502サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/10/14(金) 22:18:08 ID:s++mMR0t0
投下完了。「超機神大戦」の番外編。アスランが主役です。大体3〜5回くらいになるはずです。
ちなみに今回出てきた連中は全員スパロボのキャラですが、性格等が凄まじく改変されてるので、
オリキャラと思って見てくださったほうがいいです。

>>しぇきさん
ムスカの射撃の腕はオリンピック金メダル級だそうです。
映画でもシータの三つ編みを狙い打ったりしてましたからね。
503作者の都合により名無しです:2005/10/14(金) 22:33:44 ID:1Q6gQnsp0
サマサさん最高ゥ!

バカ王子とオオボケアスランの宇宙最凶コンビ
二人揃えば下手な国家つぶせますなw
クラフトの苦難はつづきそうですねw
504作者の都合により名無しです:2005/10/14(金) 22:51:29 ID:pZS3oPHb0
おお、サマサさん番外編北!乙です。
本編と本当にまったく関係ない番外編ですなw
バカ王子が本当にキャラ生きてる。お姫様は掃き溜めに鶴ですなw

さて、次スレ立てますか。
505作者の都合により名無しです:2005/10/14(金) 23:05:14 ID:pZS3oPHb0
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1129297973/

次スレのパート30立てておきました。
あと、勝手にテンプレひとつ増やしてごめんなさい。
506ふら〜り:2005/10/14(金) 23:10:07 ID:XQTJV8o/0
このスレの分はこのスレでということで、今回はこちらに。
いやぁ、とうとう来ましたね30……私もまたいずれ、SS書かせて頂きますぞっ。

>>しぇきさん
いっそアーバレストが出てきて、派手な撃ち合いになるかもと思ってましたが、どっこい
出てきたふりっふ。さておき、ドドリアとしてはもっといいとこ見せたかったでしょうに、
スムーズに合流できましたね。充分感謝はされてるようですけど……いや、まだ急展開が?

>>サナダムシさん
新展開、新たなる強敵出現……どころではないセルの完全っぷり。TV局へ行った時には、
まさか初代ピッコロみたいな暴挙に出るかとも思ったんですけど。能力のみならず、人格
までも(社会的善悪でいうなら)完全。成敗されるいわれもないし、一体どういう結末へ?

>>サマサさん
アルマナ一行、この調子だとどれだけの人々を襲ったのやら。ころりと騙されるアスラン、
律儀に「ナイスガイ」を付けて呼ぶアルマナなど、全体的にぽけぽけした感じが良いです。
しかし、のび太たち側との温度差が激し過ぎますな。これは復帰時のギャップ感も楽しみ。

>>VSさん
何があったのでしょうか……早のご帰還、お待ちしておりまする。
507黄金時代第九回―獅子奮迅―:2005/10/14(金) 23:53:50 ID:1Q6gQnsp0
「覚悟を決め、信念をこめて一発拳を正中線に叩き込めば」

僅か14の少年だが、堂々たる体躯、率いる威風は一国の主に比肩するだろう。
誇るべき英雄。

「相手は斃れる」

僅か7歳の少年に優しく、強く、深く語る。
その小さな双肩には大きなものが圧し掛かっている。
真っ直ぐな、どこまでも真っ直ぐな力強い志士の瞳。
その瞳にとっても、そして彼の属する集団にとっても、頼れる兄の一人だ。

「それほどの力がある」

見ていろ、と彼が構えを取る。
大気が慄き大地が震える。
小宇宙だ。万物を滅ぼす力、魂の力、心の源泉、眠れる第七の感覚、開闢の残滓。
物理を容易く越える、魂の讃歌が少年から湧き上がる。
短い呼気と共に打ち出された鉄拳は、一閃。
それだけで彼らの目の前にあった巨岩は粉塵となった。

「これが小宇宙、心の力だ」

爽やかに笑むその顔、その声、その姿。
誇るべき英雄だった。
508黄金時代第九回―獅子奮迅―:2005/10/14(金) 23:54:47 ID:1Q6gQnsp0
ギリシアはアテネ、人口400万人以上の大都会である。
ギリシア全体の人口が1000万程度なので、4割もの人間が住む文字通り首都である。
だが、その郊外に存在する「聖域」を知るアテネ市民は少ない。
神話の時代そのままに、あらゆる政治的意思をもっても縛鎖をかけることの出来ないその地は、
五体のみを武器として、天空をその拳で引き裂き、大地を蹴り割る超人集団の本拠地である。
過去、あらゆる列強がその地の支配を望んだが、頑として跳ね除け続け、
欧州史最大のタブーとなったその聖地だが、今やただ一人の男に蹂躙されていた。
痛み無く死に至る病に冒されたかのように、静かに静かにそして確実に蹂躙されていた。

彼に組みする者は居ない、彼の名を騙る者も居ない、彼を好む者も居ない、彼に逆らう者も居ない。
ただ、彼をそしる者だけがいる。
少年は独りだ。

その日、彼は命以外のすべてを喪った。

彼の兄が降臨されたばかりのアテナ暗殺を目論むが失敗。
聖域から彼の黄金聖衣と共に脱走するが、多数の負傷者をだす追撃戦を演じた挙句、
黄金聖闘士同士の戦闘という、史上稀に見る醜態の果てに処刑されたのだという。
教皇の前で、蟹座・魚座・山羊座の3人の黄金聖闘士によって捕縛された状況下、
まるで他人事のようにその報告を聞いたのを覚えている。
人はあまりの衝撃に合うと心が停まるのだと、その時初めて知った。
強く殴られたような衝撃とよく言われるが、
少年にはそんな生易しいものではなかったのだ。
その気になれば、この天地を、この地球すら破壊することさえ可能な、
超常の住人の彼を完膚なきまでに打ちのめしたのは、
やはり兄だったのだ。
畏怖していた、畏敬していた、敬慕していた、尊敬していた、敬愛していた兄だった。
その言葉を咀嚼したとき、少年は荒れ狂う一つの拳となった。
暴力という現象になった。

そこから二日、その件に関しての記憶は彼の中には無い。
509黄金時代第九回―獅子奮迅―:2005/10/14(金) 23:55:41 ID:1Q6gQnsp0
そして、同輩として同じ釜の飯を食らい、僚友として肩を並べ、
戦友として苦楽を共にするはずだった黄金聖闘士の少年たちの前で沙汰が下された。
任務以外での聖域外へ出ることと、弟子を取ることが禁じられた。
それ以外の罰則は無かった、教皇の間・謁見室の損壊賠償に関しては獅子宮負担だったが。
真っ先に不満の声を上げたのは、蠍座の黄金聖闘士・スコーピオのミロだった。
意見にもならない罵詈雑言の嵐が、傷を抉りつづけた。
ミロもまた、アイオロスを敬慕していたのだし、
なにより彼の実弟であるアイオリアを嫉んですらいたのだ。
あそこまで激昂したことは納得できる。
だがその時、最後の友をなくしたのだと、今になって思う。

彼は、独りだった。
510黄金時代第九回―獅子奮迅―:2005/10/14(金) 23:56:26 ID:1Q6gQnsp0
装着者に応じて多少の変型をする事は聖衣の神秘の一つであるが、
当の聖闘士にとっては馴染み深い事だ。
薄いように見えても聖衣の強度は其れのみによるのではない、
装着者の小宇宙によって更なる強化がなされるのだ。
鍛え抜かれた身体に纏われた聖衣は、
いわばルネサンス芸術の体言ともいうべき若者たちの肉体美を描きだす。
聖闘士には男子だけがなるのではない、女の聖闘士も少ないながら存在する。
女性聖闘士は男性聖闘士以上の狭き門である。
狭き門を潜り抜けようとする少女たちの鍛錬、それ見下ろすことの出来る位置には、
彼女たちの青春を幾星霜にも渡って見守り続けてきた巨木がある。
その木陰は、今やアイオリアの指定席だ。
彼も思春期なのだ。お年頃なのだ。女の子が気になるのだ。

「こんなところにいたのか!アイオリア!」

少年離れした体格、彼と同年の齢14にして既に身の丈は180センチを越える男の影が、
木陰に臥す彼にかかった。
彼は一瞥をくれると、女性聖闘士の訓練に視線を戻した。
その不埒な態度に、大きな少年はまた声を荒げた。

「なんだその態度は!人の話を聞け!アイオリア!」

猪突猛進というが、コイツの場合は猪ほどの可愛げは無い。
その黄金の角の一刺しであらゆるすべてを消し飛ばし、更地に変えてのけるのだ。
無視した程度で遺骸も残らぬ有様にされてはたまったものではない。

「五月蝿い」

だから対応してやることにした。
511黄金時代第九回―獅子奮迅―:2005/10/14(金) 23:58:10 ID:1Q6gQnsp0

「五月蝿いとはなんだ!人の話を聞くときはそれなりの態度があるだろうが!」

アイオリアは立ち上がり、その馬鹿みたいに分厚い胸板を小突きながら言いはなってやった。

「うるせぇッツッてるんだよッ!アルデバラン!」

案の定、そんな態度をすればこの大きな少年は怒髪天を衝く。

「その態度はなんだァー!」

結局こうなるとは分かっている。
わかっているのだが、辞めない。それがアイオリアの今だ。

アイオリアの牽制の裏拳をかわし様、アルデバランは戦斧の如き手刀を打ち下ろす。
その手を引っ叩いて軌道を逸らし、アイオリアはアルデバランのうち懐へと飛び込む。
がら空きの胴、正中線が鉄拳を待ち望んでいるかのようだ。
叩き込むや否や、拍手喝采が拳に伝わる。
皮膚を衝きぬけ脂肪を潰し、筋肉引き裂き骨を破砕し臓腑を抉る拳の感触は、
酔いしれてしまうほどに抗いがたく、甘美で魅力的で素晴らしいとさえ思えてしまう。
暗黒聖闘士と蔑視される落伍者たちは、実力不足の落ちこぼればかりと言う訳ではない。
聖闘士としての輝かしい未来を約束されながらも、
この暗黒の歓喜に捉われた脆弱な魂の持ち手たちも少なくないのだ。
が、アイオリアは拳がアルデバランの体にヒットする感触と同時に、
白銀聖衣くらいならば軽々と素手で粉砕してのける事で聖域を震え上がらせる、
アルデバラン必殺の掌打の一撃を喰らっていた。

アルデバランという男は、不器用なのだ。
真剣になればなるほど融通が利かなくなるのだ。
それ以外では厳つい風貌とは逆に、親しみやすい男なのだが。
512黄金時代第九回―獅子奮迅―:2005/10/15(土) 00:00:00 ID:iNioBHWC0
「馬鹿だね」

魔鈴の白銀の仮面の下から、そんな呟きを聴きながら、アイオリアは意識を手放した。

「ダブルノックアウトだ、晩飯おごれよ、シャイナ」

賭けてやがった。

水を顔面にぶちまけられて覚醒すると、やっぱりアルデバランがそこに居た。
アイオリアはアルデバランより早く覚醒したことが無い。
タフであるということ、回復力が高いということもまた、聖闘士の武器になるのだ。
「さぁアイオリア!」
少年ながら漢臭い笑いを貌に浮かばせて
「鍛錬だ!」
そんな事を言うのだ。
「こンの野郎ォ…ッ!」
アイオリアは知っている。
「殺されても恨むなよ!」
己の未熟を知っているのだ。
「その言葉!そっくりそのまま返してやるぞアイオリア!」

だからこそ、売り言葉を買ってやる。
513黄金時代第九回―獅子奮迅―:2005/10/15(土) 00:00:42 ID:iNioBHWC0

「上ッ等ォー!」

聖域すべてが逆賊と蔑んでも。
聖闘士すべてが逆賊と蔑んでも。
射手座の黄金聖闘士・サジタリアスのアイオロスは、
獅子座の黄金聖闘士・レオのアイオリアにとっては

「ライトニングボルトォオォオォー!」
「グレート・ホォオォオォオォオォンッッッ!」

誇るべき英雄なのだ。
誇るべき兄なのだ。
敬慕する兄なのだ。

「アイオリアが後に起きるに明日のデザート賭けるかい?」
「乗った!」

アイオリアはもう独りではない。
514銀杏丸:2005/10/15(土) 00:04:07 ID:iNioBHWC0
以上、黄金時代第九回・獅子奮迅でした
アイオリア、難しいです
チャンピオンREDのアイオリアに多大に影響受けてます、この時のアイオリア像
彼に違和感を覚えるとしたら、僕の文章力が足りないせいです、すみません…

では、次スレにで黄金時代第十回・背信者よりでお会いしましょう
515作者の都合により名無しです
>銀杏丸様
新スレ立ってから旧スレで作品書いたらわからんぞー
感想は新スレで書きます