【2次】漫画SS総合スレへようこそpart28【創作】
『茄子』二話同時掲載です。
四話のキャラには結構出てきて貰います。ちなみに兄の誠司は八話に主人公だったりしますがそこも追い
追い。
あとミスティについてですが、名前が同じだけであって同一人物ではありません。今回なんて犬です。でも
これからも『魔女』『茄子』両作で思い出したように出てくる名前ですと書いておきます。理由というか、ちんけ
ですが思惑があるにはあったり。
>>421 ギンコはちゃんと『蟲師』で出しますのでご安心を。いつ位かな、十月中にはまたちょっとだけ書きます。ミス
ティに関しては上に書いた通りです。すいません。
>>428 身に余る御言葉……本人はまだまだ全然全然足りてないと思っているだけに恐れ多い言葉です。下手すぎて
がっくり来ますよ。
実は『プレイボール』はまだ読んでいなかったのですが、近く読みます。ちばあきおさんの自殺は本当に惜しい
ですね。
>>429 そこまで考えていませんでしたが、確かに夢魔ですねあれは。ここだから書きますが『心の自身』にするか『心
の性器』にするかちょっと悩みました。後者は余りに直接的過ぎると思って止めましたが。
>>430 確かに楽しいですね。今回の二作は合わせて三時間足らずで書けてしまいました。楽しいとキーを打つスピード
も速まります。
>>432 有難う御座います。俺もエロい女は好きですよ。
>>437 実は害があったんですが書けませんでした。そのうちそれで一本書きます。
では次回。次は『魔女』でいこうかと。
お疲れ様です。
その10の童貞の相談事から、ちょっとファンタジー掛かった話も良かったですが、
その9のぽんこつと女性の話が気に入りました。絵本のようで、でもシュールで。
最後までポンコツの正体が分からなかったけど、ロボットかな?洗濯機とかか?
>ぼくの頭上には畑がありました これがヒントかな?
468 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/09/13(火) 22:37:21 ID:tkNvP8KN0
<<練習2日目・バッティング編>>
「さて、それでは始めましょうか?皆さん?」
そう言って、フリーザの野球チームの面々を見る。ちなみにメンバーは我らがフリーザ、ザーボン、ドドリア、ギニュー、リクーム、バータ、ジース、MAX強化栽培マンである。ちなみにMAX強化栽培マンは戦闘力は実に3万!
さりげなくザーボンの心の友である。
「あの〜、フリーザ様?」
ジースがいぶかしげな顔でフリーザに質問した。
「あの〜、8人しかいないんですけど・・・。」
「・・・・・・・。え?」
そうフリーザは素っ頓狂な声を上げる。
「最後の一人は誰なんでしょうか?」
「・・・・。キュイさんがいるはずではないのですか?ザーボンさん?」
フリーザは戦闘力順に集めたのだからてっきりキュイはいるはずだと思っていたので軽くパニックに陥る。
「最初はその予定なのでしたが・・・。キュイの奴、突然俺はアプール族のエリートだ!といってアプールの野球チームの方へ言ってしまわれたようです。」
「何でそれを早く報告しないのですか!!!」
そうフリーザは声を荒げてザーボンに詰め寄る。
「い、いえ。ミルコ殿に報告したら、とっておきの助っ人を試合当日に用意するからと言っていたので・・・。知らなかったのですか?」
「・・・・。まあ、ミルコさんの選ぶ助っ人ならどうしようもないのは来ないでしょうが・・・。もしグルドだったら許しませんがね・・。」
目の座った顔でボソリとつぶやくフリーザ。すると今度はバータから
「フリーザ様!そういえばグルドはなんでこの野球チームに入れないのですか?奴の超能力は大変役に立つと思いますが?」
とギニュー特選隊皆が疑問に思っていたことをこの機会にぶつけてみる。
「・・・・・。超能力は卑怯だからですよ。このフリーザ。別に超能力が無くても野球ごとき宇宙1だということも証明できますしね・・。」
フリーザの台詞に納得したのか皆、首をコクコク動かす。
(まさか、4つ目が怖いからなんて言えませんからね・・・。われながらGOOD!な言い訳です。ほほほほ。言い訳も宇宙1ですね〜。私は・・)
などと、部下の前ではいえないことから変な妄想モードに入るフリーザ。
469 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/09/13(火) 22:38:20 ID:tkNvP8KN0
「ではフリーザ様!早速始めましょう!」
「・・・・・。(ビクン!)ほほ、そうですね。今度こそ始めましょうか?皆さん?」
そういうとドドリアは倉庫から持ってきた”万国ビックリ砲・改”(本来は要塞の城壁を攻撃する巨大大砲を改造したもの)をピッチャーマウンドに設置する。
「これでよし・・・と。フリーザ様〜!準備はできました!!」
470 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/09/13(火) 22:39:41 ID:tkNvP8KN0
<<バッティング練習・フリーザ&リクーム編>>
「では、まずリクームさんから始めましょうか?」
「分かりました!グリングリンのこのバットで打ってみましょう!フォ〜〜!!」
「・・・・。リクームさん?」
「何ですか?フォ〜〜〜!」
「いえ・・、がんばってください・・・。」
そう言って後ずさりしながらギニューの元へ行くフリーザ。
「ギニューさん。あれは何ですか?」
「・・・・。その・・・。HGだそうです。」
「は?何ですかHGとは?」
「リクームの奴は地球の野球にはまると同時に文化にも興味を持ったみたいで・・・。」
「・・・・。ではあれが地球の文化のひとつだと?」
「多分そうでしょう・・。なんであんなになったかは私は良く知りませんが、リクームの奴が”コレが私の生きる道だ〜!”といってたのは自室からでも聞こえましたし、多分・・。」
「・・・・。まあ、野球に支障が無ければ別にどうでもかまわないんですけどね。」
フリーザがそう言った矢先・・。
「フリーザ様、ギニュー隊長!大変です!」
「どうした、ジース?」
「あ、あの。隊長・・・。リクームが・・・・。」
フリーザとギニューは揃ってバッターボックスの方を見ると、股間を押さえてうずくまっているリクームがいた。
「ふ、フォ〜〜・・・。コレで本当のHGに・・・。」
471 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/09/13(火) 22:41:10 ID:tkNvP8KN0
・・・・・5分後。
「り、リクームさん?一体何をやっているのですか?」
ギニューが持っていたシュークリームを食べて復活したリクームは誇らしげにこう答える。
「先ほど言った通り、このバットで球を打ってました!フォ〜!!グリングリンとホームランでしたよ!フォ〜!」
「バット?どこにも無いじゃないですか?」
半分キレ気味のフリーザがそう言うと、さすがにヤバイと思ったのか近くで見ていたザーボンが事の次第を説明した。
「ふ、フリーザ様。ここは私が説明を・・。」
「・・・。いいでしょう。もし貴方もふざけたことを言ったら、リクームさんと一緒に消えてもらいますからね。」
「は、はい。・・・。先程リクームはフリーザ様との別れた後、股にバットを挟んでバッターボックスに入りまして・・。」
「・・・・・。そ、それで?」
たまらずズッコケそうになるのをこらえて続きを聞くフリーザ。
「はい、勿論ふざけるのはやめろといったのですが、俺はコレを取ったら何も残らないだの訳の分からないことを言いながら、あのびっくり砲の球を股バットで打ちまして・・・。」
「・・・・・・・。」
「文字どうりバットごと砕け散ったようです・・・。あ、もちろん打った打球はホームランでしたが・・・。」
ザーボンの話を聞いた後、バッターボックスの周辺を見ると確かに粉々に小さな欠片になっているバットがある。フリーザがその粉々になったバットの欠片を見ていると、ギニューが心配顔で
「フリーザ様。やはりリクームの奴は死刑に・・・・。」
そうギニューが聞くと
472 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/09/13(火) 22:41:52 ID:tkNvP8KN0
「ジャコビニ・・・。」
「は?」
「これはジャコビニ流星打法ですか〜〜〜?」
フリーザは突然叫びだし、リクームの元へ駆け寄る。
「貴方はこの打法の練習をしていたのですね?」
フリーザの突然の問いだったが、HGに近づいたリクームは臆することも無く
「勿論!HGに近づくための特訓の一つです!フォ〜〜!」
「そうですか!やはりそうだったのですね!見直しましたよ!リクームさん!」
かたや、ただHGに近づきたいために股に挟んだバットで球を打ったリクームと、それを見てジャコビニ流星打法の特訓と勘違いして一人で
盛り上がっているフリーザ。
「・・・・。何かここだけ知能レベルが極端に低いような・・・。」
思わずそう呟いてしまうジースだった。
473 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/09/13(火) 22:43:50 ID:tkNvP8KN0
<<バッティング練習・ミルコ&ギニュー編>>
「ほう、みんなやっとるようじゃな。ん?フリーザ様はどうした?」
ベンチ裏からゆっくりとフリーザ軍参謀のミルコポッチが姿を現す。
「フリーザ様はリクームに感化されて、ジャコビニ流星打法の練習をしております。」
「ふう、やはりアストロ球団は読ませんべきではなっかたかもしれないのう。ところでギニューよ!新しく作ったそのバットの調子はどうかの?変な使い方をしなければ粉々になることもあるまい。」
そう言いながら自分でバットを振ってみせるミルコ。頭脳担当でも戦闘力は2000程あり、そこら辺の戦闘員よりずっと強い。コレが地球製のバットだったらぽっきり折れる粉々になっているだろう。
「ところでミルコ殿。そのバットはどのような技術でできているのですか?先ほどからフリーザ様が全力で振っていますが全く折れたり粉々になったりする様子はなく、
”このバットはフリーザをアストロフォーに選ばんというのか〜!”とずっと言っておられるぐらいの強度なのですが?」
「ふむ、実はな。地球にある、スターボーズ”究極のはげ”という映画に出てきた”ライトセーバー”と逆の原理を利用しとる。」
「はあ。」
ライトセイバーが良く分からないギニューはとりあえずうなずいてみる。
「つまり、自分のエネルギーをこのバットに込めれば込めるほどそのバットからエネルギーが逃げていくというわけじゃ!どうだ?コレならバットの材質を硬くて柔らかいフリーザ合金を使えば、たとえ速球が来てもバットが折れることなくできるじゃろ?」
「まあ、そうですが・・。それだと、自分の腕力のみで飛ばさなくてはいけなくなりますね。ジースやMAX強化栽培マンにはキツイスポーツになりそうです。」
474 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/09/13(火) 22:45:23 ID:tkNvP8KN0
「何をいっとるんだ?別にバットにエネルギーを込めなくても、肉体にエネルギーを張り巡らせばよいじゃろ?」
「肉体にエネルギーを?」
「そうじゃ、現にこの前サイヤ人を向かわしたところ、地球育ちのサイヤ人とか言う奴らが戦闘力のコントロールをしていたようじゃ。戦闘力のコントロール=全身のエネルギーのコントロールなんじゃから、
戦闘力をコントロールすれば筋力をエネルギーで加工できるから非力なジース等でも十分やっていけるぞ!」
半分以上わけの分からない説明だったが、ともかく戦闘力のコントロールの部分については分かったギニュー。
「では、今から全員に戦闘力のコントロールを教えろと?」
「いや〜、それは無理じゃろ?だからアプールとの練習試合をやるんじゃろうが!」
「実戦で身に付けるということですか?」
「う〜む、器用なジースやザーボン辺りはできるかもしれんがの〜。まあ、それを抜かしてもはっきり言って今のお主らの野球レベルはアプールとどっこいどっこいじゃからの。だから練習相手に選んだんじゃよ。」
「明日は勝てますかね?」
「まあ、50%ってところかの。」
「そ、そんなに低いんですか?」
「あっちの方がチームプレイを完璧にしてきているらしいからの。そうそう、キュイの奴が入ったことでかなり士気も上がっているみたいじゃぞ。」
「・・・・・・・・。」
「まあ、助っ人も用意し取るから安心せい!」
「助っ人!?そういえば誰なんです?助っ人って?」
「ふふふふ、秘密じゃよ!ただ驚くことは間違いぞい!」
そう言ってミルコは意味深げな笑みを浮かべるのだった。
475 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/09/13(火) 22:46:05 ID:tkNvP8KN0
<<二日目夜>>
〜ギニューの部屋〜
「ふう、今日も散々だったな・・。にしても、バットだけでなくボールの方まで同じ技術を使っているとは・・・。あれでボールにわずか
にだが火が出るほどの速さで投げているのだからフリーザ様は大したお方だ!」
ビールを一杯い飲みながらギニューは独り言のように呟く。
「そうなると、アプールが投げる球も大したことの無い球になるのか??」
等とギニューが考えていると遠くのほうから
「ジース!フォー!バータもフォー!!」
「うるさいぞ!リクーム!いちいちテレビ見ながら俺の名前を壁越しに叫ぶな!!」
「・・・・。コレは明日は負けるかな・・・。」
ただただギニューは鬱になるだけであった。
〜ザーボンの部屋〜
「うむ、明日はよろしく頼む。うむ、うむ。それは非常時だ。・・・・。そうだ。すぐに出発できるようにしといてくれ!」
「相変わらずまじめだな。ザーボンは。」
「お前が何もやらな過ぎるんだドドリア。もし、明日負けてみろ!きっとアプール一族は試合をやる惑星アプールごと消え去るぞ!その時
のためにわざわざすぐ逃げれるように宇宙船を用意しているんじゃないか!」
「ん〜。さすがにアプールには負けないだろ?もし負けても野球には真摯にやっているっぽいから大丈夫なんじゃね?」
「うむ・・。だが念のためだ。」
「そうだな。まあ、一杯やろうや!」
「うむ。では明日の勝利と我らの命の保持に!」
「「乾杯!!」」
476 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/09/13(火) 22:47:58 ID:tkNvP8KN0
〜ミルコの部屋〜
ミルコは練習が終わってから休憩も取らずに明日のシュミレーションを重ねていた。
「むむむ・・。ふう、先ほどはギニューの奴に50%等といったが本当は10%なんじゃよな〜。まあ、あの方が九人目として出てきてくれる
が・・・。まあ、逃げる算段は整えてあるから一安心じゃ。後は、フリーザの奴にあの漫画でも読ましておけば大丈夫じゃな・・。」
そういって、またミルコはコンピューターの前でシュミレーションを始めた。
〜フリーザの部屋〜
「ほほほほ。明日は試合ですか〜。全く楽しみですよ!このフリーザが宇宙に野球でもその名を轟かすのですからね!」
フリーザはワインを一口飲みながらそう呟く。
「それにしても、このギブス。・・・・。ふふふふ、コレほどまでとは!さすが不屈闘志が付けていただけありますね〜。」
メジャーリーグ養成ギブス(フリーザ弱体化養成ギブス)をみながら満足な笑みを浮かべていた。
「後は寝るまでこの野球漫画を読んでいれば安心ですね。」
そういって先程ミルコからもらった漫画を読み始めたのだった・・。
果たして、明日の試合は勝てるのか?
アプール一族の運命は?部下の運命は?
続く。
477 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/09/13(火) 22:59:47 ID:tkNvP8KN0
どうも、次から練習試合編のしぇきです。
相変わらず長いです。
分かりにくい点が多いです。(特にミルコの台詞や気を戦闘力という単語で説明する場面)
分かりやすく分かりやすく書けるようにがんばっていきます。
この話のキャラ達が読んでいる野球漫画を紹介
フリーザ:逆境ナイン、キャプテン(9巻まで)、アストロ球団、(後、この話でミルコに読まされた漫画二つがあります)
ミルコ:野球漫画全般
ギニュー特選隊(グルド抜き):メジャー、プレイボール、ルーキーズ
ザーボン&ドドリア:逆境ナイン、ドリームズ、3P田中君(後半二つはミルコに読まされた)
MAX強化栽培マン:なし
アプール一族:メジャー、ドリームズ、炎の巨人、ドカベン10巻まで(柔道編のみ)etc
サイヤ人:漫画全般。(ミルコに買い物に行かされ続けたため)
他の球団はまだ出てきていないので書きません。
478 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/09/13(火) 23:00:59 ID:tkNvP8KN0
レスをくれた皆さんありがとうございます。
では失礼します・・・・・。
>サマサ氏
フー子人間バージョンですか。また恋の鞘当が激しくなりそうですね。
しかし、ちょっと展開が最近遅いのは、インフレバトル前の静けさですか?
しかし、登場キャラがどんどん増えて、神界より長くなりそうですねー。
>ゲロ氏
その9は確かにシュールだけど、なんとなく気に入りました。
結局、女性とぽんこつは分かり合えないまま。ある意味残尿感w
俺は茄子のフェイドアウトしていく感じの終わり方好きですが、
好みの分かれる作品でしょうな。
>フリーザ野球軍
フォーってレイザーラモンのネタですか?wしかし栽培マン強えw
物語一気に進みましたね。ダラダラの練習を経て試合ですか。
フリーザ様にとって、他者の運命なんてゴミでしょうな・・。
お疲れ様です、ゲロさん、しぇきさん。
茄子は色々と趣向を凝らして楽しませてくれますね。
壊れたがらくたの葛藤と、もはやレギュラー話っぽい高校生の悩みネタw
良くアイデアが尽きないなあといつも感心してます。
フリーザ野球軍、タイトル通りになかなか発信しませんねw
しかし、いよいよ次は試合ですか。
練習とはいえ、宇宙の帝王である以上部下に下手な姿は見せられませんなw
第二十七話「ファイナルラウンド」
火が燃える。
風がそよぐ。
土が隆起する。
炎が沸き上がる。
──祭りは始まった。
ヨウヤク、カ。
待チワビタゾ。
我ラヲ従ワセル強キ心。
ソレコソガ、我ラヲ使役スル第一歩。
どこからともなく声が飛来する。聴覚では捉えられぬメッセージ。ただ一人、主である
セルを除いて。
「心と体が一致せねば、大きな力は使えない。これは気の扱いにおける基本だ。おまえた
ちは……ずっと待っていたのか」
これまでのセルは、クリスタルに過剰な期待をし、あるいは懐疑の念を抱いていた。
しかし、そんな生半可な心根で使いこなせるほど、クリスタルは生温い代物ではなかっ
た。だからこそ、クリスタルはセルに下らぬ能力しか与えなかったのだ。
しかし、ついに固く閉ざされたドアは開放された。一つ一つに巨大なエネルギーを貯蔵
されたクリスタルが、一挙に力(パワー)を解き放つ。
「私は奴を倒す。いいな、クリスタル」
返答はない。ただ純粋に、クリスタルはセルを強化するのみ。いよいよ、雌雄を決する
刻(とき)が訪れた。
一方、各々が敵を片付け合流した16号、17号、18号。彼らも、もちろん戦場へ迅
速に駆けつける。
セルやセルジュニアに似ており、なおかつ恐るべきパワーを持つ生命体。
あれほどの強さにもかかわらず、地面に伏しているセルジュニア。
加えて──セル。明らかに強くなっている。
自分たちが戦っている間に、すっかり勢力図が変容してしまっている。いくら彼らが優
れた洞察力を持っているといえ、まるで訳が分からない。
「一体、どうなってるんだ……?」
「さァ……」
17号と18号。やはり、とぼけた問答しか出来ない。
「パワーレーダーが故障してしまった。凄まじいパワーが集結している」
感心する16号。完全体セル、クリスタルを従わせたセル。とても二人とも、人工レー
ダーなどで計れるレベルではない。
「もはや、我々では足手まといになるだけだな」
16号は少し寂しそうに、腕を組んだ。
セルが尻尾を雄々しく振り上げ、倒れているセルジュニアに指図する。
「セルジュニア、まだ動けるか?」
「う、うん……」
「よし、下がっていろ。こいつは私が倒すッ!」
渦巻く怒気、殺気、狂気。凝視し合うセル二体。これまでガードすら上げなかった完全
体セルも、初めて構えを取る。
「ふっふっふ、ようやく完全体に相応しい敵が現れてくれたか。せいぜい、期待に応えて
くれたまえよ」
「──かあァッ!」
まずセルが、地面に念力を送る。
うごめく大地。完全体セルの両側にある地表が盛り上がり、双方が完全体セルを挟み込
むように高速で激突した。
「うごォッ!」
並々ならぬ圧力に、たまらず吐血する完全体セル。岩盤を力だけで強引に押しのけよう
とするが、なかなか外れない。
「ぐっ……何故だ?!」
「ふん、私はただ地面を操ってるわけじゃない。地面に強大なエネルギーを分け与え、お
まえを攻撃させているのだ。たやすく脱出は出来んぞ」
セルは右手から火炎を生み出し、さらに左手から出した風を上乗せする。風によって勢
いを増した火炎は、炎の竜巻となり完全体セルを一気に呑み込む。
「ぐわああぁぁぁぁッ!」
数万度を誇る高熱。いかに完全体とはいえ、洗礼は免れない。一呼吸するだけで、肺が
炎熱で充満してしまう。
──が、「完全体」は偽りにあらず。
「ハァッ!」
気合いだけで、地面を吹き飛ばす。
気合いだけで、炎を掻き消す。
「やってくれるじゃないか。では、私も少し本気になってやるか」
火傷を負いながらも、素直に相手を称える完全体セル。この男が発する気が、ここに来
て真剣みを帯びる。とセルが感じ取った瞬間、完全体セルは姿を消していた。
「きっ……消え……ッ! ──ぶゥ!」
──鼻を真正面から突く肘。
後方にぐらつくセル、のボディへ強烈なブロー、激痛に動きを止めるセル、へ顎を狙っ
た掌底、歪む視界に惑うセル、に腰を使った右ストレート。セルが吹き飛ぶ。
クリスタルで肉体を強化されているとはいえ、大打撃。
「ぐっ……!」
急いで体勢を立て直すセル。やはり、肉弾戦では話にならないことを知る。どうやら、
この決闘に秘められたテーマを必然的に悟ったようだ。
「こいつは……自分の土俵に相手を引きずり込んだ方が──勝つ!」
ようやくまともな戦力になったセル。
次回へ続くッ!
いよいよ、最終決戦って感じですね。(あれ、まだかな?)
超パワーの完全鯛セルと、自然を操る元ヘタレセル。
実力は五分ですか。なんか、最終盤って感じですねえ。
続き期待してますが、セルゲーム終わったら
しけいそうの外伝をまた書いてくれると嬉しいな。
しかし、あと3つくらいで次スレですか。ほぼ一ヶ月で1スレか。早いなw
487 :
作者の都合により名無しです:2005/09/14(水) 18:43:59 ID:qXSHi4/S0
ついにセル確変しましたね!
今までの情けなさを全部帳消しにしてお釣りが来るような、
輝かしい大活躍を期待してます。
でも、まだ肝心の悟空と戦ってないからまだ続きますよね?
そういえばセルの姿はどんな姿になったのだろうか?
第一形態のままか、それとも完全体か第二形態か、それとも原作全く違う姿になったのか。
それにしてもセルは強いな。
489 :
テンプレその1:2005/09/14(水) 19:39:03 ID:8ZPvRbHb0
490 :
テンプレその2:2005/09/14(水) 19:40:02 ID:8ZPvRbHb0
491 :
テンプレその3:2005/09/14(水) 19:40:56 ID:8ZPvRbHb0
492 :
テンプレ担当:2005/09/14(水) 19:44:56 ID:8ZPvRbHb0
2ヶ月過ぎて所在掴めなくテンプレから外した方(すみません)
鬼の霍乱作者氏(6月16日の投稿が最後)
パオ氏は作品自体は7月12日が最後ですが、うみにん氏の掲示板に
8月29日に書き込みを確認したので今回は入れました。
ザク氏とも同様に、前スレの最後に続投の意思ありとのレスがあったので
入れました。作品の投稿をお待ちしております。
銀杏丸氏は現スレにて落ち着き次第投稿して頂けるとの事なので入れました。
それで、作品のリンク先に困ったのはユル氏のWho Fighters。
AoBの中の一編なのか(文体としてはそれっぽい)新作として扱うのか。
完結しているようにも見えますが、最後にユル氏が
「1終わり。またね」と書かれたので、まだ続くと思い新作として扱いました。
で、バレさんもこの作品のカテゴリに困ったのかまだ記録してないようなので、
現スレの作品最後のレスにリンクさせました。
もうすぐ次スレですね。多分大丈夫だと思いますが、間違っていたら修正お願いします。
493 :
オーガスーツ:2005/09/14(水) 22:17:31 ID:EYZNimAw0
「よし、おそらくこの辺りに落ちたはず。さあ殿下、探しましょう!」
ゴゴゴ号は王宮を見上げて窓の位置を確認しながら走り、オーガスーツが落ちた
であろう場所にやってきた。王宮の中庭の、森を背負う池のそばである。
だが焦るゴゴゴ号に比べて、パタリロはのんびり落ち着いている。
「あのなゴゴゴ号。オーガスーツは、着ない限りはただの服なんだぞ。天から
降ってきたドレスを着てみようだなんて、普通思わんだろ」
「そりゃそうですけど万一、」
「万一もない。お前みたいな特殊事情でもあれば別だが。それにだ、良からぬ
人物の手に渡ったらとか言ってたが、そんなのが王宮の中庭に易々と入れる訳が
ないだろ。それとも我がマリネラ王宮は、テロリストでも何でも出入り自由か?」
「それは……」
パタリロにさくさく言われて、何だかゴゴゴ号も、そんな慌てるような事態では
ないような気がしてきた。だが、なぜかなんだか、不吉な予感が拭えなくて。
「でもテロリストとまではいかなくても、殿下に個人的に恨みがある人とか……
例えばマライヒさんなんか、よく迷惑かけてるでしょう?」
ん〜、とパタリロが頭をかく。
「迷惑というか、ぼくの商売のとばっちりはよく受けてるな。実はついこないだも、
バンコランをアメリカに行かせる為に架空の逃亡犯在者を仕立て上げたばかりだ」
「? 何でまたそんなことを」
「だから商売だ。バンコランが、マライヒの監視の届かないところで一人旅なんか
すれば、現地調達で可愛い男の子と浮気する。絶対にな。何ならこっちで相手を
用意してもいい。その証拠写真をネタに、バンコランを脅迫するんだ。
高級レストランの豪華ディナー、五回はイケるぞっ♪」
そんな壮大な手間暇をかけて小銭を稼ぐより、真面目にダイヤモンド産業に励んだ方が
遥かに儲かるのに。守銭奴だが金額の多寡とは別なとこにコダワるパタリロである。
ゴゴゴ号は、深ぁ〜い溜息をついた。テロリストがオーガスーツを手に入れて
パタリロ暗殺を企てるかも、とかそういう危惧を抱いて慌ててた自分がバカみたいだ。
「いいかゴゴゴ号。お前みたいな特殊事情……恋人の気を引きたいとか……があって
降ってきたエプロンドレスを着るかもしれず、かつ僕に恨みがある人物。
んなレアな奴が、そこいらをふらふら歩いてるわけがない。だろ?」
494 :
オーガスーツ:2005/09/14(水) 22:18:17 ID:EYZNimAw0
「……やっぱりそれ、マライヒさんにズバリ当てはまりませんか?」
「む、確かにそうだな。だがな、たまたま今日この時、マライヒがこの辺を
歩いてて、オーガスーツに遭遇するなんてそんな偶然が」
がさっ、と二人のそばで葉擦れの音がした。見れば森から、見覚えのある人物が
見覚えのない格好で出てきたところ。
その人物は、マライヒ。そしてその出で立ちは、可愛らしいメイドさん。
「恥ずかしいから、誰も見てないところでこっそり試着、と思って森に入ったんだ
けどね。そしたら、随分と面白い話が聞こえてきて。恥ずかしいとか言ってる場合
じゃなくなったよ」
一歩、二歩と、二人に近づいてくるマライヒ。パタリロもゴゴゴ号も、その気迫に
押されて一歩、二歩と後ずさってしまう。
「……ぅ」
「で、殿下っっ。何だか、あの、その、」
マライヒは裏の世界では有名な暗殺者で、その戦闘能力は尋常ではない。ヤクザや
格闘家なんかは言うに及ばず、並の職業軍人(例えばタマネギ)ではまるで歯が
立たないレベルだ。そして実際、多くの人間をその手で殺している。
そんなマライヒと日常的に接しているパタリロたちだが、今のマライヒは何か違う。
その身に纏っている殺気の質も量も方向性も、全然違う。いつもの彼を言葉にするなら
『美しい薔薇には棘がある』だが今は……『殺す潰す壊す捻るそして喰らう』だ。
「イタズラするにも方法を選ぶんだったね。仮にもバンに浮気をそそのかすなどと……」
「ま、待てマライヒ。落ち着いてまず、その服を脱いでから、」
「(この世から)消え失せろッッ!」
叫ぶマライヒの姿が、大地を蹴る音と共に消え失せた。一瞬後、五メートルはあった
間合いは既に詰まっており、マライヒの拳は人間大の丸太をコナゴナに打ち砕いていた。
根来流忍術、変わり身の術。パタリロの十八番である。
マライヒは辺りを見回すが、もうパタリロの気配も匂いもない。マライヒのリクエスト
通り、消え失せてしまっている。
ガラスを引っ掻くような音を立てて歯軋りをしながら、マライヒが思いっきり
地団駄を踏むと、一人残されたゴゴゴ号が腰を抜かして尻餅をついた。
495 :
オーガスーツ:2005/09/14(水) 22:19:06 ID:EYZNimAw0
「……ねえ、そこのタマネギさん」
「は、はいぃ! マライヒ様っ!」
慌てて立ち上がり、直立不動になるゴゴゴ号。恐怖のあまり泣き笑い顔になっている。
「ぼくの性格を知っているなら、今パタリロが逃げたところで無駄なことぐらい解る
ハズだよ。そうでしょタマネギさん……そうでしょおぉ?」
むしろ優しげな声と表情で語りかけてきたマライヒを前に、ゴゴゴ号は
逃げる気力さえ削ぎ尽くされて、ただ震えている。
「ぼくは、地の果てまでもパタリロを追い詰めてブチのめすよ。という話を聞いては、
国王の直属部隊としては無視できないよね?」
「え、あ、その」
「全軍がけ……」
すうっ、とマライヒは一つ大きく息を吸い込んで、
「王宮に駐在しているタマネギ全軍! 直ちに臨戦態勢を整えろっ!
本物の闘争というものを見せてやるッッ!」
マライヒに内在していた魔王のような殺気闘気その他諸々が、一気に開放された。
勇次郎の強さ自己中心さと、マライヒの怒り八つ当たりが一つになった、この世で
最も強烈な、感情の核融合大爆発が起こったのである。
その爆風の直撃を受けたゴゴゴ号は、「ひゃいいぃぃ〜!」と悲鳴を上げて逃げ出した。
ゴゴゴ号はエリート軍人集団タマネギ部隊の一員、だからこそ今のマライヒの恐ろしさ
が正確に把握できたのである。そしてその恐ろしさが今、どちらを向いているのかも。
数分後、ゴゴゴ号からの連絡を受けたタマネギ一号の指揮の下、タマネギ全軍が
第一級警戒態勢を取ることとなった。
「いいか皆! 掛け値なしに、本物並の力をもった……いや! 本物の範馬勇次郎が、
このマリネラ王宮に襲撃をかけてきたと思え!」
すみません、今更ですが書き忘れを追加。前回は
>>436です。
巨大金庫破壊とか、通路斬りとかを見る限り、勇次郎なら多分プラズマにも勝てますね。
ラシャーヌのおじ様なんかは楽勝でしょう。さすがにアスタロトは無理か。
>>しぇきさん(「たろーくん」はまだかと期待中です)
毎年12月24日の夜には、フリーザの枕元にプレゼント置いてるんだろうなぁミルコ。
で翌朝何も疑わず喜ぶ宇宙の帝王、と。そんなミルコと同じく下働き常識人として苦労
してるザボドドコンビも面白い。みんな大変です。次回はいよいよ練習試合、楽しみっ。
>>サマサさん
先輩ヒロインたちとは随分違う属性で登場のフー子。登場プロセスや外見イメージと少し
ずらした、「ボクっ子」ならぬ「おれっ子」。何となく、のび太を外して女の子たちだけ
で賑やかに話の輪を作るタイプに見えます。彼女がこれから、どんな台風の目になるか?
>>ゲロさん
その9
拾われる仔猫物語かと思いきや、彼女は期待に応えてくれず重い結末。ま、私もここまで
言われたら同じ結論に辿り着きそうですが。にしてもぽんこつの正体は? 気になります。
その10
シュール、だけどちゃんとハッピーエンド。だからファンタジー、おとぎ話。そんな感じ
です。描かれていない「言葉を紡いだ」部分、ここは確かに想像する方が楽しいですね。
>>サナダムシさん
来ましたね、「ヘタレキャラ一気にヒーロー化」。単に強くなったのではなく、戦い方が
映像的にハデだから一層劇的で。下がってろ、と言える相手がいるからヒーローっぽさが
際立ってて。16号のお墨付きでチーム中最強の座に駆け上がったセル、ここが見せ場っ!
>>テンプレ担当さん
バレさんや貴方の作業が大変になることが、バキスレ好調の証しなんですよね。
おつ華麗さまです。
497 :
作者の都合により名無しです:2005/09/15(木) 08:20:17 ID:uoIEdHsp0
ふらーりさん乙です。
マライヒって確か「美しき死神」っていうキャッチコピーでしたな。
「ワンマンアーミー」バンコランとの一騎打ちがもしかしてあるのかな?
次スレ、あと2つくらい?
ふら〜りさんの感想が多い事こそバキスレ好調の証と思ってます。
連載ともども感想もがんばって下さい。
499 :
作者の都合により名無しです:2005/09/15(木) 22:58:58 ID:pLwRxUH90
パタリロは昔、プラズマXが好きだったなあ。
奥さんがアフロなんとかだったっけ?
出来ればメインキャラとして出して欲しいですね
500 :
作者の都合により名無しです:2005/09/15(木) 23:08:35 ID:0lGP1CMIO
昨日は休肝日だったか。そう毎日は来ないよな、流石に
第十九話「ハルマゲドン勃発!?」
永い眠りから覚めたフー子―――その姿は―――
「んー。なんかすごくよく眠ってたぞ、おれ。おまけに人間になっちゃってるし。ま、いいか。のび太とかテムジンとか
ドラえもんとかにもまた会えたし、細かいことは」
美しい少女の姿をしたフー子は、のび太からようやく離れてうーん、と伸びをしつつ辺りを見回す。
「のび太。なんかたくさん知らない人がいるけど、のび太の友達?」
「ええ、そうよ」
リルルが近づき、にこやかに笑う。
「わたしはリルル。よろしくね、フー子ちゃん」
「うん、おれはフー子だぞ。よろしく、リルルさん。で、こっちの人は・・・」
フー子はプリムラの方を振り向いた―――彼女は不機嫌な顔をしていた。
「フー子・・・?」
「うん、フー子だよ」
「あなた、なんでいきなりのび太に抱きつくの?」
「え?だっておれ、のび太好きだもん」
こともなげにのたまったフー子―――しかしながら、あまりにあっけらかんと言ったので、告白と言うような甘さや
緊張感はカケラもない。プリムラは毒気を抜かれたように目を丸くした。
「フー子ちゃん、彼女はプリムラよ。仲良くしてあげてね」
「うん、分かった。おれ、仲良くするぞ。えっと、プリムラお姉ちゃん?」
「え・・・お姉ちゃん?」
「うん、お姉ちゃん」
意表を突かれてきょとんとするプリムラに近づき、フー子はその腕を握る。
「プリムラお姉ちゃん・・・ちょっと言―にくいな。リムお姉ちゃん・・・うん、リムお姉ちゃんだ!えへへ、
リムお姉ちゃんリムお姉ちゃん!なんだかおれ、すごく仲良くなれそうな気がするぞ!」
「お姉ちゃん・・・私が?」
にこにこと屈託なく笑うフー子。そんな様子にプリムラは戸惑っていたが、すぐに笑顔になって、フー子の頭を撫でる。
「・・・仲良くしようね、フー子」
「うん、それはいいけど、なんかくすぐったいぞ」
困った様子のフー子に、プリムラは手をそっと離す。顔には優しい笑みを浮かべたままだ。
まるで、本当に妹を見守る姉のような笑顔だった。
そんな様子を暖かく見つめつつ、今度は稟が歩みよる。
「俺は土見稟。稟でいいよ。よろしくな、フー子」
「うん、よろしく、りんお兄ちゃん」
「お―――お兄ちゃん?」
プリムラに続き、稟も面食らった。フー子は不思議そうに稟の顔を見上げる。
「どしたの、りんお兄ちゃん?」
「いや、何でもないよ。・・・お兄ちゃん―――か」
稟はその言葉を口の中で反芻する。
「何かこう―――少しばかりくすぐられる物があるかもしれない・・・」
「稟ちゃん、ロリコンはダメよ〜?」
「うわっ!?」
突如かかった背後からの声に、稟は思いっきり仰け反った。悪戯っ子のような笑顔を浮かべた亜沙が、稟の
顔を覗き込んでいる。
「あ、亜沙先輩・・・。ロリコンって、別にそんなんじゃあ・・・」
「ふ〜〜〜〜〜〜〜〜ん、どうだかね。まっ、いいか。フー子ちゃん?」
「ん?」
フー子は亜沙を見やった。何故か、微妙に胡散臭いものを見る目つきだ。それに構わず、亜沙の自己紹介が始まる。
「ボクは時雨亜沙。フー子ちゃん、よろしくねっ」
元気のいい挨拶に警戒心も解かれたのか、フー子も満面の笑顔になって応えた。
「おう、よろしくな、亜沙おばちゃん!」
―――その時、イデが発動した。
それは嘘だが、確実に三秒くらいは時間が止まった。
「お―――お・ば・ちゃ・ん?」
「ちょ、ちょっとフー子!」
湧き上がる危険な空気を感じ取って、のび太がフー子に駆け寄った。
「ダメじゃないか、亜沙さんをおばちゃんだなんて!」
「えー・・・だって、おばちゃんに見えたんだもん・・・」
「だってもクソもない!いくらSHUFFLE!のメインヒロイン中最年長でも、いくらお母さんの亜麻さんの方
が若く見えるといっても、いくら声が年増臭くても、一応はまだギリギリ十代の亜沙さんに<おばちゃん>なんて
言っちゃダメ!お世辞でもいいからお姉ちゃんと呼びなさい。分かった、フー子?」
一見亜沙を擁護しているように見えて、<おばちゃん>にアクセントを置いていた辺りに、のび太の本心が垣間見えて
しまうのであった。
「んー・・・分かった。ごめんな、亜沙おばちゃ―――じゃなかった、亜沙お姉ちゃん」
「・・・・・・・・・」
「あ、あの―――亜沙、先輩?」
無言の亜沙に、稟が恐る恐る声をかける。と―――
「フー子ちゃん―――それにのびちゃん―――キミたち、ボクにケンカ売ってるね・・・?いいよ、買ってあげる」
ドドドドド・・・という効果音と共に、亜沙の両手に絶大な魔力が集中していく。母から受け継いだ強大な魔力を
惜しみなく発揮し、右手から炎、左手から冷気が放出される。
「ひいいっ!?」
未だかつてない恐怖に抱き合って震えるのび太とフー子。それを尻目に稟が解説を始めた。
「ば、馬鹿な・・・あれは禁断の大魔法<メドローア>!」
「な、なにぃ!?知ってるのか、稟さん!?」
ドラえもんが調子よく合いの手を入れる。
「炎と冷気―――相反する二つの魔法を混ぜ合わせることで極大の破壊力を生み出す攻撃魔法だ。まさかこんな
ところでお目にかかれるとは・・・!」
「げえーーーっ!そんなものを喰らったらのび太くんたちがただではすまない!・・・けどま、いいか。どうせ
ギャグシーンだもの。ちょっと髪の毛が高木ブーになるくらいでしょ」
「「そんなんですむかーーーーーーっ!!」」
のび太とフー子が力の限り突っ込んだ―――と、二人を守るかのように亜沙に立ち向かう者がいた。
リルルとプリムラだ。
「のび太くんたちは―――殺させないわ」
「―――守る!」
リルルは腕のパーツを外す。そこからは無骨な銃口が覗いていた。
「わたしの最終奥義―――ヘルズフラッシュ。かつてモヒカン頭の心優しい人造人間が使っていたと言われる、由緒正しき
伝説の逸品よ」
そしてプリムラは右手に魔力を集中させる。亜沙すらも凌駕する究極の魔力が凝縮され、その手がボンヤリと光っている。
「あ・・・あれは伝説の大魔法<アルテマ>!」
「な、なにぃ!?知ってるのか、稟さん!?」
―――以下略。とにかくすごい魔法らしかった。
「やばいぞ―――あんな超パワーがぶつかり合ったら、此処ら一帯が消し飛んじまう!」
観戦していたテムジンも、さすがに冷や汗をかきつつ様子を窺っている。
「だあああああっ!やめろって、みんな!何故にこんなギャグシーンで最終決戦でも通用しそうな技を披露しようと
してるんだ!?」
「ダメだよ稟ちゃん―――もはやボクは怒りの魔人。ボクの心の傷を不用意に突っついた―――のびちゃんたちが
悪いんだからね!」
「いや、そんな主人公の父親にして六大軍団長最強の男みたいなセリフ吐かれても―――
<―――やめんか!>
静かだが、有無を言わさぬ迫力ある声に、その場の全員が凍りついた。それはヤークの声だった。
<仲間同士で下らぬ諍いをしておる場合ではなかろう、全く・・・>
「は、はい・・・」
全員、矛を収めてしゅんと頭を下げるしかなかった。さすがに山神さまの威厳である。
<―――さて、フー子よ。目覚めたところすぐで悪いが、早速本題に入ろう>
荒げた声を整え、ヤークは静かに語り始めた。
<風の機械神―――サイバスターを復活させるぞ>
507 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/09/16(金) 17:32:58 ID:GwTnS8BQ0
<<惑星フリーザ>>
AM5:30
「「おはようございます。フリーザ様。」」
フリーザの下に集まったメンバーは口をそろえてフリーザに朝の挨拶をした。
「ほほほほ、おはようございます。皆さん。では、時間がないようなので早いとこ宇宙船に乗りましょうか。」
フリーザの挨拶も終わり、宇宙船に乗り込む一同。
「ねえ?隊長?何でこんな早くから召集したんですかね?」
「ジース、昨日のミルコ殿の話を聞いてなかったのか?アプールたちが住んでいる星はこっちと7時間も時差があるんだ。だから今から出発しても、あっちの方では2時ごろ到着することになるんだぞ。」
「でも、あの星に一泊してから試合をすればこんな早くから集まらなくてもいいのに・・。」
等とぶつくさ愚痴をたれ始めるジース。どうやら昨日はリクームが五月蝿かったらしくあまり寝れていないらしい・・。
「まあ、そうふてくされるな。フリーザ様は戦闘力が低い民族が嫌いだからな。あまりそういう奴等がいる星に長居したくないんだろう。」
「それは分かってますけど・・・。」
そう特選隊(グルド抜き)は特選隊で会話しているころ、フリーザはというと・・。
「ふう、昨日は緊張してしまってあまり眠れませんでしたからね・・。今から少し仮眠を取っておきますか・・。zzzz」
<<惑星フリーザU(元アプール星)
AM7:30(惑星フリーザから移動して二時間後でアプール星ではPM14:30)
「ん〜、やっと着きましたね。では皆さん。早速球場へ行きますよ。」
508 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/09/16(金) 17:33:33 ID:GwTnS8BQ0
<あっぷっぷ球場>
「・・・・。まさか、車で5時間もかかるとは・・。」
嫌な予感のしているギニュー。
「・・・。フリーザ様はどうしてますか?」
同じく右にのバータ。
「・・・。キレてますよ・・・。」
やっぱり顔のジース
「逃げますか?準備は万端です。」
昨日の準備は無駄でなかったと思わずガッツポーズをするザーボン。
「アプールどももかわいそうに・・。」
素直な感想のドドリア。
「GET BACK ふぉ〜む!」
また一つHGに近づくリクーム。
「そうなると、助っ人の方にも逃げてももらわんとな」
相変わらず冷静なミルコ。
「そういえば、助っ人は誰なんです?」
「ジース。そんなことを言っている場合か?」
そんな暇は無いとジースをたしなめるギニュー。
「あ?フリーザ様の指が光り始めてますよ!」
なんか不思議なものを見る顔でいうバータ。
「ふふふふ・・・。初めてですよ・・・。こんなに私をコケにしてくれたお馬鹿サンどもは!」
そして本当にキレているらしく額に血管が浮き出ているフリーザ。
「こんな星!消してやるぞ!!」
そう言って指先からデスボールを繰り出そうとした瞬間!
「何をやっている!フリーザ!お前の野球スピリッドはそんなものだったのか!」
なんとフリーザを呼び捨てにして説教をする声が!さすがのフリーザも不意を衝かれたらしく後ろを振り返る。
「なんだと?この私に説教とはいい度胸・・・って、パパ?」
そう、声の主は何とコルド大王だった!
509 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/09/16(金) 17:34:04 ID:GwTnS8BQ0
「え?あれはフリーザ様?いや、違う。ミルコ殿あの人は一体?」
特選隊が知らないのも無理は無い。コルドはフリーザや直属の部下ぐらいしか知らないタブーな存在だったからだ。
「ふむ、ワシも数回しかお会いしたことが無いが助っ人になってくれるといった時は驚いたよ。」
「いや、だからあの人は誰なんです?」
「ふむ、フリーザ様の父上であられるコルド大王様だ。」
「「こ、コルド大王・・。」」
思わず声をそろえて言ってしまう特選隊(グルド抜き)一同。
「フリーザよ!」
「ぱ、パパ・・。なんでここに?」
「ミルコに頼まれてな、9人目のメンバーとなって駆けつけたわけだ!・・・。」
「・・・・・。」
おもわずフリーザも呆然としてしまっていた。何しろフリーザ本人も気軽に毎日でも会える存在ではないのだから。
「それよりもフリーザ!何ださっきの態度は?」
「え?」
「わしも座りすぎてケツや尻尾が痛くなったが、この星を壊すほどのことでもないだろう?」
「で、でも・・。」
「でもヘチマも無〜い!お前はここに何をしに来たんだ?」
「や、野球を・・。」
「そうだ!お前は野球をしに来たんだ!ナノになんだあの態度は!あれで部下がお前たちについていってくれるのか?お前は幸せなのか?
そしてあの北の空に見える巨人の星に自分が立派だったと胸を張っていえるのか?」
「・・・。悪かったよパパ!僕もあの巨人の星に胸を晴れるような選手になるよ!」
「そうか!分かってくれたか!さすが我が息子だ!はっはっはっは!」
「ほほほほほほほほ!」
現在アプール星時間:PM19:45。雲で覆われた秋の空に力いっぱい誓いを立てる親子だった。
510 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/09/16(金) 17:35:28 ID:GwTnS8BQ0
<<試合編・フリーザ野球軍vsとってもアプール!?チーム>>
コルドの説得により本来の目的を思い出したフリーザ。しかし、散歩歩いたら1分前のことも忘れてしまう帝王なのでもはやコルドの言った事などとっくに忘れている様子だった。
<グラウンド中央>
「コレよりフリーザ野球軍ととってもアプール!?チームの練習試合を始めます。一同!礼!」
そういった審判(今は名前を伏せておきます)の声とともにフリーザとコルド以外頭を下げる。挨拶をしてさっさと自分たちのベンチに戻る両チーム。
「さて、皆さん。とうとう始まりましたね。とりあえず、我がフリーザ野球軍の初試合です。」
「フリーザ様!質問があります!」
多分この話の中では1.2を争うおしゃべりのジースから相変わらずの質問が放たれる。
「ふっ。愚問ですね。貴方は”アパッチ野球軍”を知らないのですか?」
「いえ・・。知らないです。」
「なんと!”おれたちゃ裸がユニホーム〜♪”が名曲のあれですよ!まあ、まだ私も見たことはありませんがね・・・。今度ミルコさんに見せてもらいましょう・・。」
いつもだったら知ったかで済ますフリーザだが、試合でテンションが上がっているためいつもどおりとは行かないみたいだ。
「まあ、それではオーダーが発表される頃でしょうかね?」
511 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/09/16(金) 17:36:18 ID:GwTnS8BQ0
ピンポンパンポ〜ン〜♪
(コレより、両チームのオーダーを発表します。)
(まずはとってもアプール!?チームのオーダー)
(1番:ファースト アプール)
(2番:ショート アプール)
・・・・・・・・
(9番:セカンド アプール)
「・・・・。何なんですか?あのふざけたオーダーは?」
さすがに1番から9番まですべてアプールとしか呼称されない事にいささか不機嫌になるフリーザ。
「まあ、アプールたちには名前の概念がありませんから仕方が無いですよ。フリーザ様。」
「まさか知らなかったんじゃないだろうな?自分の部下のことを。」
そうキッ!と睨み付けながらいうゴルド。
「(ギクッ!)そ、そんなことは無いよパパ。そんなことは知っていたけど、実際聞くとなるとね・・・。」
まああからさまという感じのいいわけだったが、そんなことは部下にとっては日常茶飯事。それよりも、自分の親に全く頭が上がらないフ
リーザを見て微笑ましいくらいだった。
「次はうちのチームの発表ですね!俺まだどういうオーダーか知らないから楽しみだ〜。」
しかし、このオーダーの発表がチーム戦慄を与えることになるとは、まだ一同は知らないのだった。
しぇきさん、ひょっとして投稿規制かな?
頃合っぽいので新スレ立ててみます。
感想はそっちに書きます。
514 :
作者の都合により名無しです:2005/09/17(土) 22:45:07 ID:Rkq4aQSQO
打ち切り。
みんなごめん。でももう無理。
誰だ貴様、名を名乗れ!