1 :
通常の名無しさんの3倍:
2 :
通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 14:04:27 ID:??? BE:914846999-2BP(123)
3 :
通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 14:09:08 ID:??? BE:508248195-2BP(123)
ディアナ様は”ベタ”等と下賎なお言葉使いはなさいません
いつの間にか新しいスレがたっていてビックリした
>>1 乙でした
前スレのラストのSS、GJでした
いいなぁ、ディアナ様のオパーイ・・・・・・
7 :
通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 04:16:11 ID:irZmOniE
久々に来たら迷子になった(スレ見失った)かと思って焦りましたよ…
引越し乙です。
画集で充電したパワーでまだまだ萌えます。
新スレ乙です!
前スレ738の続きを考えてみましたので、良かったらどうぞ。
ただ、時間軸が自分の他のネタと被ってしまい、別次元の完全な外伝となってしまいました。どうかご注意ください。
また、例によって長くなってしまったので前・中・後編に分けて投稿いたします。
中・後編については骨組みは出来ていますが、肉付けが終わっていません。完成しだい、すぐ投稿いたします。すみません。
どうぞよろしくお願いいたします!!
うーーーー・・・・・・ん、、、
「ディアナ様、、、ディアナ様?」
ロラン・・・?
「テレビを見ていて、突然お倒れになったんです。僕、すごいビックリしちゃって・・・
お気分はいかがですか??」
大丈夫・・・です。(微笑)
「良かった(涙)、、、まだ無理をなさってはダメです。いま、水を取り替えてきますので、
少しお待ち下さい。」
パタン
見れば、額の上にはやや冷たい濡れタオルが乗っていました。ロランはずっと、看病して
いてくれたのですね。
私は起きあがって周囲を見渡しました。いつも見慣れた風景、つまり自分の部屋です。
一階のテレビでニュースを観ていて、あまりのショックに気を失ったあとロランが
運んでくれたようですね。
重かったでしょうに・・・ありがとう、ロラン。
ご挨拶が遅れて申し訳ありません、ディアナ・ソレルです。
お察しの通り、グエン卿の抹殺に失敗しました。
手応えは十分すぎるほどありました。あれだけ、身体中を穴だらけにして差し上げましたのに・・・残念です、非常に残念です!
治療に当たった医者は相当の腕前だったのですね・・・
いずれにしても、次に奴を討つときは再生不可能なくらい徹底的に撃ちまくって差し上げます!!
ガチャ、
「お待たせしました、、、って、ディアナ様!起きあがっては・・・・・・!!」
大丈夫。ロランが看病してくれたおかげで、だいぶ良くなりました。ありがとう。
「そんなこと、、、ディアナ様にもしものことがあったら、僕は・・・(涙)」
私もです。貴方が居てくれないと、私はダメですね。・・・なんて(照)
「そっ、それは僕の方です!!ディアナ様が、、、居て下さるから僕も・・・僕は・・・!」
ロラン・・・?、
「ディアナ様・・・(赤面)」
そのまま見つめ合うこと数秒、私は考えました。ひょっとして、これはフラグですか?
今まで、このようなチャンスは年に一度あるかないかでした。
昨日に続いてそのチャンスがまた、目の前に転がっているのです!それも最後のオチでは
無く日記の冒頭に!!
ということは、今後の展開は・・・・・・
お互いの手を取り合い、想いを打ち明ける。
↓
長年の願望が成就し、ロランと熱い抱擁!
↓
もしかして、ち、チューなんかしちゃったりして!!
↓
しかもここは寝室で私はベッドの中!!!
↓
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
・・・・・・・・・(・∀・)・・・・・・・・・
私は即座に妄s・・・シミュレーションを行い、チャンスを活かすべくロランの手を取ろうと手を伸ばし掛けました。
しかしその時。開くはずのないドアが開いたのです!!
ガチャ、
ソシエ「ロラーン、ディアナ様が気が付いたってホント?」
( ゚д゚)
ソシエ「あ、起きたみたいね。お邪魔してます、、、って、大丈夫?もう1時間くらい気を
失っていたわよ。」
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚)
ソシエ「ちょっと、忘れちゃったの?私よ、ソ・シ・エ。久しぶりに会ったのに、そんな
顔しなくてもいいじゃない。失礼な姉貴だ!ナンチャッテ」
(つд⊂)ゴシゴシゴシゴシ
_, ._
(;゚ Д゚) …?!
ソシエ「・・・ディアナ様、倒れたときに頭でも打ったの?私がわかる??ソシエよ、
ソシエ・ハイム。」
ロラン「ディアナ様・・・?」
_, ._
( ゚ Д゚) ・・・
ソシエ「・・・・・・」
ロラン「・・・・・・」
ソシエ・ハイムーーーーーーー!!??
ソシエ「だから、さっきから何度もそう言っているでしょ!!」
なななな、何で貴女がここに!?
そう。この目の前にいる女性こそ、我が不倶戴天の怨敵、ローマとカルタゴ、シェイクス
ピアの『ロメオとジュリエット』におけるキャピュレット家とモンターギュ家、、、
ロランを巡って数々の攻防戦を繰り広げたハイム家の現当主、ソシエ・ハイムその人
なのです。
ロラン「ディアナ様がお倒れになったあと、ドアをたたく音がしたんです。それでドアを
開けたら、表にソシエお嬢さんが居たんです!」
嬉しそうに語るロランに軽く目眩を感じながら、お茶を三人分頼み、ロランを退出させ
ました。そして部屋に残るは、私とソシエさんのみ。
ソシエ「ロランったら、まだあたしのこと『お嬢さん』って呼ぶのね。もう違うのに、、、」
いいえ、「私たち」はハイム家の人間です。ロランは「名目上」使用人なのですから、
ソシエさんを『お嬢さん』と呼ぶのは正しいですよ。
ソシエ「いいの?そんなこと言っちゃって。」
事実をそのまま言っただけです。それより、わざわざこんな山奥まで、、、何の用ですか?
ソシエ「知りたい?」
いいえ。出来ればこのままお茶を飲んでお帰りn・・・
ソシエ「はいこれ。」パラリ
プイ!
ソシエ「あのねぇ、」パラッ
ププイ!
ソシエ「ディアナ様ってば。」パッパッ
プイプイ!
ソシエ「ちょっと、いい加減にしてよ!」ペタン!!
・・・額に貼り付けられてしまいました。
しぶしぶその紙を額から剥がして眺めると、次のように書いてありました。
「おめでとうございます!貴方は数万人の中から選ばれた、たった一人の幸運な人です。
これは、ガリア大陸大使館のアメリア大陸における調査員の選定通知です。この通知が
届いた方は、12月26日から12月28日の2泊3日、○○地方、○○山の中腹に位置
する、ハイム家の別荘に宿泊していただき、そこに住んでいるキエル・ハイム嬢と使用人、
ロラン・セアックとおおいに交流して、アメリア大陸の人々のガリアに対するイメージ
は?・親近感の有無・文化の違いについてどう思うか、などについて語り合って頂きた
い。・・・」
何ですかこれは!?
ソシエ「いいから続き。」
「・・・本来なら、ガリア大使館・アメリア方面担当官である私、グエン・サード・ライ
ンフォードが行うはずでしたが、ちょっとした怪我をしてしまい、今回はやむなく断念せ
ざるを得なかったのです。そこで、『無作為』に抽選し、当選された幸運な方、つまりあな
たにその任をお願いした次第であります。」
ちょっとした怪我・・・ヒクヒク#
(あの出来事(※『暗黒戦士』を参照。)で、ちょっとした怪我ですって!?)
ソシエ「それってあの『暗殺未遂事件』のことよね?テレビでは大騒ぎだったけど、結局
大した怪我じゃなかったみたいね。」
私は頬をヒクつかせながら、笑顔で『そうですね』と相づちをうちました。
が、心の中ではあのときグエン卿を亡き者に出来なかったことを、死ぬほど悔やんでいま
した。同時に、あの化け物をこの世から消滅させる方法を本気で探そうと決意したのです。
「もちろん、宿泊費・交通費・準備費等はすべてガリア大使館が持ちます。貴方は、滞在
中にガリア大陸のイメージについて、キエル嬢と語り合い、その結果と、滞在中に体験し
た出来事などを簡単なレポートにして大使館宛に送って頂きたいのです。何も難しいこと
はありません。余談ですが、一緒に住んでいるロラン・セアックという若者の造る料理は
絶品ですよ!是非、ご賞味下さい。」
・・・(唖然)
ソシエ「そういうことだから。明後日までお邪魔します。」
冗談では無い!、、、ではなくて、ちょっと待ってください!!そんな、一方的なそちらの
都合で事を運ぶなんて勝手すぎます!!
私たちはこれから年末にかけて、(遅れたクリスマスを取り戻すのに)忙しいのです!
第一、 当人の了承を得ずに物事を決めて実行に移し、あとから本人に言うなんて、
まるでどこかの国の政治家とやる事が同じじゃないですか!
許しません。えーえ、許しませんとも!!この件に関しては断固抗議させt・・・
ソシエ「二枚目。」パラリ
まだあるんですか?たとえ何が書いてあろうとも、私の決意は変わりません・・・よ・・・
「なお、キエル嬢には突然の通達になりまして、大変申しわけありません。
前述のように、私自身がお伺い出来れば良かったのですが、そうもいかない事情が
ありまして、代理の方にお願いすることになりましたことについては、深くお詫び
いたします。
これまでのガリアとアメリア間には深い溝があり、国交が絶えて久しく、喜ばしい関係
とは言えませんでした。私はそれを憂い、どうにかして両国間の関係修復に努めたいと、
常々考えておりました。
この企画は、その溝を埋める第一歩、明るい未来への礎(いしずえ)になるものだと、
私は確信しております!!
栄光ある未来へ、共に歩いて行こうではありませんか!!
どうか、キエル嬢には深いご理解をいただき、また協力して頂きたい。
この文書をお持ちになった方を、暖かく迎えて頂けるよう、どうぞ、よろしくお願いいた
します。
追伸。
この企画は、内容は簡潔ながら非常に重要な政策の一つであり、当然、ガリア大陸議会
組織の正式な企画であります。
近々、ガリア大陸とアメリア大陸との間で二国間協議を行う予定でありますので、この
文書をお持ちになった方を無下になさるということは、考えたくないですが国際問題に
まで発展する恐れがあります。
聡明なキエル嬢におかれましては、そのような事をするお方ではないと堅く信じており
ます。
どうか、ご協力頂きますよう、重ねてお願い申し上げます。
ガリア大使館
アメリア方面・筆頭担当官 グエン・サード・ラインフォード」
あ の や ろ う・・・!!!
こんな手の込んだ、しかも国策をでっち上げてまで、私とロランのクリスマスを邪魔しますか!?
撃ちます。身体中を穴だらけにしても仕留められないなら、コナゴナの肉片になるまで撃ち続けて差し上げます。
私は心の中であらん限りの戦略を考えようとしました。しかし、人外の者に対する策など
私は持っていません。どうしたらよいか戸惑っていると、そんなことも知らず
ソシエさんだけは得意満面な笑顔で私に語りかけてくるのです。
ソシエ「と、言うわけで、臨時のガリア大使館員なわけよ。あたし。」
何が「臨時の大使館員」ですか!聞こえはいいですが、要するにこれはガリア大陸に対す
るただの意識調査でしょう!?それなら、不特定多数の人間をもって結論を出すべきとこ
ろを、どうしてこんな辺ぴな、しかも個人名限定で調査を行わなければならないのです!!
ソシエ「別にいいじゃない、ディアナ様は一応お姉様(キエル)でもあるんだし、地元の名士の娘なんだから、代表としてなら、ある程度ふさわしいんじゃ・・・」
だいたい、調査員の代わりの人材がアメリア大陸の人間でどうするんですか!こういう
のは普通、調査する側の人間が現地に行って、直接会話するなり生活するなりしてその
雰囲気を感じ取り、レポートするのが筋でしょう!?
ソシエ「それはそうだけど・・・」
百歩譲って、ソシエさんに代理をお願いしたとして、そもそもグエン卿はアメリア大陸の
イングレッサ領主だったでは人間ではないですか!今更ここで調査する必要が無いでしょうに!!他の地方で意識調査をする方がよっぽど有意義です!!
ソシエ「ディ、ディアナ様?」
ゼェゼェ・・・失礼しました。少し興奮しすぎてしまったようです。
ソシエ「ちょっと、、、大丈夫?そんな大きな声を出したら、ロランがすっ飛んで来るわよ?」
大丈夫です。ロランはお茶を入れるのに、お湯を沸かすところから始めますから。あと10
分は来ませんし、入れている間は集中していて、周囲が見えていないのです。
ソシエ「そうなの・・・」
・・・ソシエさん。一応聞いておきますが、まさか貴女、この手紙を偽造したのでは
ないでしょうね?
ソシエ「ホントに失礼ね!いくら私だってそんなヒマなことしないわよ!!
はい、この手紙の入っていた封筒。ちゃんとガリア大使館の印が押してあるでしょ!!」
どれどれ、、、確かに、この印は本物ですね、ごめんなさい。・・・・・・おや!?
ソシエ「何よ!?」
この封筒、切手と消印がないじゃありませんか!!
ソシエ「そうよ。この手紙、昨日届いていたわ。というか、屋敷の郵便受けに入っていた
のよ。」
昨日・・・・・・?
(あの日、、、23日の夕方発のウィルゲムで出発。24日の昼にガリア大陸に着いて、
そのまま大使館へ、、、その後グエン卿の屋敷に赴き、実行・・・その後、夕方発の
ウィルゲムでアメリアへとんぼ返りし、25日の昼に到着。ノックスでケーキの買い物を
して、深夜にお家について、26日の朝にニュースを見た・・・)
ソシエ「どうしたの?」
(そして、その後すぐにソシエさんが来た、ということは・・・)
ソシエさん、貴女がこの手紙を見たのは昨日の何時頃ですか?
ソシエ「15時くらいかな。でも、その手紙が何時頃届いたのかは知らないわよ?
でもってその日に準備して、今朝早くに出発したんだから。」
そうですか・・・ありがとうございます。
(やはり、ウィルゲムがアメリアに到着したあとですか。では少なくとも、私がグエン卿
の屋敷を強襲した後、ウィルゲムが離陸するまでの数時間にこれらの文書を作成し、誰か
が私が乗ったウィルゲムでアメリア大陸へ渡り、ソシエさんの屋敷にこの手紙を投げ込ん
だことになるじゃありませんか!!)
ソシエ「・・・??」
(誰かが・・・誰がソシエさんの屋敷に手紙を?メリーベルさん?あのメイド達??
それともまさか・・・・・・(滝汗))
グエン卿の顔を思い浮かべた私は、思わず額に手を当ててうつむいてしまいました。
ソシエ「顔色、悪いわよ。もう少し横になってたら?」
大丈夫です。ちょっと最悪な想像をしてしまって・・・
ソシエ「どういう意味よ!?」
あ、いえ、ソシエさんの事ではなく、、、いや、貴女も十分脅威ですね。本当に、どうした
ら良いのでしょう・・・
ソシエ「あたしに聞かないでよ。・・・・・・まったく、調子狂うわね。とにかく、明後日
まで『お邪魔』しますから、よ・ろ・し・く、ね?(・∀・)ニヤニヤ」
・・・よしなに(泣)
こうして、この迷惑極まりないソシエさんが別荘に滞在することとなりました。
この人に限り、ホームタウン・デシションは通用いたしません。むしろソシエさんがいるところ、
その場所こそが(ロラン争奪戦の)アウェーなのです。
これからの三日間、厳しい戦いになりそうです(泣)
中編へ続く
以上が前編となります。
自分にとって、初のソシエとディアナ様の絡みになります。ちょっと緊張しますね(汗)
中編は来週には投稿したいと考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。
てs
乙です!
プイプイするディアナ様可愛いですw
続き期待してます!
乙〜。
新スレ早々ロラン争奪戦開始ですね
続き待ってます
保守
前スレが落ちたな
ほっしゅ
投下をwktkしつつ保守
26 :
18:2007/04/03(火) 20:04:18 ID:???
ご無沙汰しておりました。
投稿が遅くなりまして、大変申しわけありませんでした。
前回の続きです。
よろしくお願いいたします!
前回までのあらすじ・・・を書こうかと思いましたが、すぐ上に前の日記がありますので省きます。
続きが遅れてしまって申し訳ありません。ディアナ・ソレルです。
グエン卿の策略(と言うにはあまりにもセコいですが)によってソシエさんが別荘に滞在することとなりました。
おそらくこの三日間はロランをめぐって、想像を絶する戦いになることでしょう。
前回の日記にも書きましたが、ホームでの戦いとはいえ私に有利な要素は何一つありません。
ですが!
たとえこの身が朽ちようとも、ロランだけは絶対に、ぜ〜〜〜ったいに、渡しません!!
さあ、始めましょうか。(AA略)
ソシエ「ディアナ様の食っちゃ寝生活、とくと見せて貰うわ!ニヤニヤ」
ギク!・・・何をおっしゃいます、こう見えても、家事一つや二つ出来ます!ソシエさんこそ、サムさんやジェシカさんに給仕を任せてばかりで、
ご自分で家事をされていないのではないですか?クスクス
ソシエ「カチーン!!・・・あんですってーーーー!?」
わたくしは時々(もの凄くたまに)ロランを手伝っていますが、何か?
ソシエ「嘘!!ぜ〜〜〜ったいウソ!!ただロランの横に立って見てるだけに決まってる。
それも、オロオロしててロランの邪魔になってるわよ、きっと。」
ブチ!・・・そんなことありません!ロランが作ってくれたお料理をテーブルに運んだりして、ちゃんと役にたっています!!
ソシエ「テーブルに運んだだけで料理出来るなんて言えないでしょ!バカじゃないの!?」
運ばれてきた料理を食べているだけのソシエさんに言われたくありません!
ソシエ「ブチブチ!!・・・言ってくれるじゃないの!!こうなったら、どっちがロランの役に立つか、勝負よ!!」
貴女とはいずれ白黒決着を着けなければならないとは思っていましたが、、、いいでしょう、受けてたちます!!
ソシエ「今日から一日一回、ロランの家事を手伝うの。そして、手伝ったあとでロランの顔や態度で判定よ。」
そうですね。ロランに判定してもらったら、きっと引き分けにされてしまうでしょうから。
ソシエ「泣き面かかせてやるから!」
そっくりお返しします!
二人とも「ガルルルルル・・・・・・・・・」
ガチャ、
ロラン「お待たせしました。本日のお茶はダージリンです。冷めないうちにどう・・・・ぞ・・・?」
ソシエ・ディアナ「メラメラメラメラ〜〜〜」
ロラン「あの、、、いったい何があったんですか・・・?」
ソシエ「ロラン!今日の夕食はあたしたちが作るから。あんたはダイニングで待ってなさい!!」
ロラン「はあ?」
いいえ、ソシエさん。ロランにはキッチンにいて貰いましょう。その方がよく判断出来るでしょうから!
ソシエ「それはそうね、、、わかったわ。ロラン、邪魔するんじゃないわよ!?」
ロラン「ははあ??」
ロラン、至急、別荘にある食材のリストを作成して下さい。あと調味料もです。
ロラン「あの、ソシエお嬢さん、ディアナ様、お二人とも本気で料理をされるおつもりなんですか?(滝汗)」
ディアナ「当然です!」ソシエ「当然よ!」
ロラン「どうしてこんなことになってしまったんだろう・・・orz」
―――ソシエ滞在1日目、3番勝負・1番目『料理』―――
ソシエ「フン、タァッ、トオーリャ!!」ダン!ダン!!ダン!!!
ソシエ「どーお、ロラン、魚を3枚におろしたわよ!」
ロラン「ソシエお嬢さん、、、魚を3枚におろすというのは、表・背骨・裏に切り分けることで、頭・胴体・尾ではないんです(゚д゚;)」
ソシエ「何よ!同じことでしょ!」
ロラン「全然ちがいますよ(泣)」
ソシエさんはお魚のムニエルを作ると張り切っていました。なんて無謀な、とは思いましたが、案の定苦労しているようですね・・・
グツグツ・・・
わたくしが作っているのはカレーライスです。何故かというと、その、何と言いましょうか、、、作り方が簡単だからです(赤)
でもでも、ちゃんとカレーの具になっていますよ?野菜の切り方に問題はありますが。あとはルーを入れて、味を調えるだけです。
ペロリ
ちょっと辛いですね。少しお砂糖を足しましょう。
パッパッ
私が作るのですから、味付けは私好みで我慢して頂きます。私は辛いのは苦手なのです。
ペロリ
まだ辛いですね・・・
パッパッ
そうして、ムニエルを作ろうとしていたソシエは、切り間違えたために結局お鍋となり、ディアナ様はご飯が炊けるまで(炊飯器による全自動)、ず〜っと味見をしていた。
そうして1時間後・・・・・・
ロラン「完成です!」
ソシエ「結局ロランに手伝ってもらっちゃった・・・」
ロラン「いえ、確かに味付けは僕がしましたが、ソシエお嬢さんだってお魚を切ったじゃないですか。立派ですよ。」
ソシエ「それじゃディアナ様に勝てない・・・(焦り)」
ロラン「いや、勝つとか負けるとか、そういうことではないと思うんですけど(汗)」
ふっふっふ。さすがのソシエさんといえど、この勝負は私の勝ちのようですね。私は材料を切るところから、味付けまで一人でやりましたからね!
ソシエ「クッ・・・よく言うわよ!野菜の皮をロランに剥いて貰ってたくせに!」
あっ、ソシエさん!バラすなんて卑怯ですよ!?貴女だって、お魚のウロコを取らずに切っていたでしょう!?あのあとロランがどれだけ苦労したと思っているのですか。
ソシエ「あーーーっ!!何もあたしのまでバラす事無いじゃない!?」
最初にバラしたのはソシエさんでしょう!?
二人とも「ガルルルルル・・・・・・・・・」
ロラン「あ、あの〜。お二人とも、議論は後にして、食べませんか?せっかくお二人に作って頂いたんです。冷めたらもったいないですよ。」
ディアナ「そうですね。」ソシエ「わかったわ。」
ロラン「チョコやお菓子以外でディアナ様やソシエお嬢さんの料理を食べるのは初めてです。とても楽しみです!!」
よしなに。
ソシエ「・・・ディアナ様、時々は作っているんじゃなかったっけ?」
・・・そういえば来年はイノシシ年ですね。幸運がまっすぐ私とロランのところへ来てくれますように。ヨシナニヨシナニ
ソシエ「ゴマかすなっちゅーの!!」
三人「いただきまーす!」
ロラン「ではまずソシエお嬢さんのお鍋から。パク」
ソシエ「パクパク」
では私も。ハフハフ
ソシエ「美味しい!」
本当に!美味しいです。
ロラン「よかった、味付けが上手くいったみたいです。」
ソシエ「ちっ、これでロランに手伝って貰わないで出来ていたら・・・」
ロラン、相変わらずのお手並みですね。ソシエさんも上手に切れていましたよ?
ソシエ「なに余裕ぶってんのよ!いくらロランに手伝って貰ったあたしが不利だからって、ディアナ様の作ったカレーを食べてみなくちゃ、勝負はわからないんですからね!!」
言いましたね!では食べてみようではありませんか!!
ロラン「あの、、、さっきから勝負って、どういう事なんですか?」
ディアナ様・ソシエ「無視」
ロラン「二人ともヒドイです・゚・(ノД`)・゚・」
三人「いただきまーす!」
ぱく。
とくとご賞味あれ。自信作でs・・・
ソシエ「ぶふぉっ!!」
ロラン「あ、甘い!?」
ええ!?確かに甘口で作りましたが、それほどひどくは無いはずです。どれどれ・・・パク
―――口の中には、圧倒的に辛さを封じ込めた甘みが広がった―――
ほ、本当ですね、ゲホゲホ。なぜこんなに甘くなってしまったのでしょう?ちゃんと味見をしながらお砂糖を加えたのに・・・
ロラン・ソシエ「お砂糖!?」
はい。おかしいですね、、、何度も何度も味見をしながらお砂糖を加えたのですよ?その時はこれほど甘く感じなかったのに。不思議です。
ソシエ「ディアナ様、、、まさか、カレーの甘口って砂糖が入っていると思ってたわけ・・・?」
ええ。甘口と言うくらいですから・・・違うのですか?
ロラン「ディアナ様、カレーの甘口とは、砂糖ではなく牛乳や溶いた片栗粉などを混ぜて味をまろやかにするんです。
確かに、隠し味でチョコレートなどを入れることもありますが、あくまで補助的なもので、メインで味を作るものではないんです。
申し訳ありません。説明不足でした。」
良いのです。またもや、やらかしてしまいましたか(。・д・)アウ・・・
ソシエ「ちょっと!ディアナ様にはずいぶん甘いじゃないの!?」
ロラン「そ、そんなことないですよ。ディアナ様も頑張っていらっしゃるんですから・・・」
ソシエ「あたしだって頑張っているじゃない!」
ロラン「ソシエお嬢さんが頑張っていないなんて言ってないじゃないですか〜(汗)」
申し訳ありません。これは私の無知が招いた過ちです。あれだけ味見をしていながら、あんなに甘くしてしまうなんて・・・これも私の罪です。
ロラン「いえ、ディアナ様、それは違います。味見をしすぎてしまうと、舌が慣れてしまって微妙な加減が難しくなるんです。しかも今回はカレーでしたから尚更です。」
そうだったのですか。つまり、ダメダメだということですね。 orz
ロラン「いえ!そうではなく・・・」
必死にかばうロランに手をかざして制止し、私はソシエさんに敗北を宣言しました。
ソシエ「・・・あまりすっきりしないけど、今日のところは、ありがたく頂くわ。」
ロラン「あの、ですからどういった経緯で勝負事になったんですか・・・?(汗)」
ソシエ「うるさい。いいから食事を続けましょ。」
あの・・・私もお鍋を頂いてもよろしいでしょうか?
ソシエ「あ、当たり前でしょ。今日の勝負は終わったんだから。・・・お皿かしなさいよ。」
ロラン「僕がやります!お鍋は人数がたくさんいた方が美味しいんですから!!さあ、ディアナ様、どうぞ。」
・・・よしなに(⊃Д`)
ロラン「・・・・・・で、勝負っていったい何のことですか???」
それにしても、このお鍋は本当に美味しいですね!それにお野菜も食べやすい大きさに切ってあります。
ソシエ「それ、ロランが切った野菜なんだけど・・・」
野菜までロランに切って貰ったんですか!?・・・ソシエさん、やっぱりこの勝負は引き分けに・・・
ソシエ「ダメ!一度下された判定は覆らないのよ。ご愁傷様!!」パクパク
ロラン「あのー、聞いてます?勝負って何なんですかー・・・(だんだん小声に)」
うぅ、、、こうして、ソシエさんとの3番勝負の初戦は私の完敗でスタートとなってしまいました。
残り2戦で取り返すことが出来るのでしょうか。
乞う、ご期待です!
よしなに!!
以上が中編となります。
・・・おそらく、次の後編で全部は書ききれないと思うので、「おまけ」が一つ増えます。
投稿は来週の中頃を予定していますので、良かったら見てみてください。
ご意見等ございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
需要はあるのに供給の少ないこのスレで
よくこれだけ書いてくださる。
GJ!ですよ。
これからもよしなにお願いします。
>>36 良かったよ。
続きが楽しみ Gj
ディアナ様ガンガレ。
>>37-38氏
どうもありがとうございます!
このスレの住人の方にはいつも暖かいお言葉を頂いてて、本当に励みになります(⊃Д`)
こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。
40 :
家族 1/6:2007/04/06(金) 00:08:20 ID:???
わたくしたちの住むところにも春の風が吹き始めました。眠気を誘う暖かい風と
麗らかな陽射しを浴びながら、わたくしとロランは家の前の湖にやってきました。
ロランは湖で魚釣りを行い、わたくしは後ろからそれを見守っています。
しかし、なかなか魚がつれないようでロランは場所を変え、道具を変え、えさを変えては
試行錯誤しています。それでも魚を釣ることができなかったせいか、ロランは肩を落としながら
わたくしのところへ戻ってきました。
「駄目ですね、ぜんぜん釣れません」
ロランは残念そうにそう呟きました。
「そういう日もありますよ。とりあえず一休みしたらどうですか?」
「そうさせてもらいます」
ロランは腰を下ろしたので、わたくしはリュックサックの中からバスケットと水筒を用意しました。
今日のおやつは手作りドーナツ。日ごろの成果をロランに見せる時です。
「おいしそうですね。」
わたくしがバスケットのふたを取ると、ロランはそう言ってくれました。
たしかに見た目は悪くありません。問題はこの後ロランが美味しいと言ってくれるかどうかです。
「試食した時にはそこまで不味くなかったので、食べられないことは無いと思うのですが……」
「そんなことありませんよ。よくできているじゃないですか」
「はい……。どうぞご試食ください」
「じゃあ、いただきます」
ロランはチョコレートで回りをコーティングしたドーナツを口に入れます。
運命の瞬間とはこのような状況を言うのでしょうか? なんだか胸が騒ぎます。
「うん、おいしい」
「本当に? 本当に美味しいですか? 無理しないで正直に言ってください」
わたくしはロランに詰め寄ります。
「え、えぇ……。本当に、本当に美味しいですよ。ディアナ様」
「……そうですか。良かった」
ロランが屈託の無い笑顔でそう答えるとわたくしは体の力が抜けてしまいました。
「あの、ディアナ様?」
「あぁ、ごめんなさい。自分ではちゃんと作ったつもりだったのですが、
どこかで失敗してないかと不安だったもので。ホッとしました」
「大丈夫ですよ。ちゃんと、今までの成果が出てますよ」
41 :
家族 2/6:2007/04/06(金) 00:10:39 ID:???
思い返せばここまでの道のりは決して短いものではありませんでした。
ロランのためにと意気込んで、始めて料理を作った時には指は切るし、治療はさせてしまうし
後はロランに任せっきり、と散々なものでした。
それからというもの、ロランに料理を教えてもらい、少しずつですが料理の腕を上げるために
頑張ってきました。ロランが仕事でいない時には料理の本を読んで勉強したり、実際に試したりしました。
長い時間がかかりましたが、ようやく最近はロランの手を煩わせることなく
料理らしい料理が作れるようになりました。
「でも、まさかディアナ様がここまで家庭的な人だったことは、僕自身ちょっと意外でした」
「わたくしも女王だったころは、包丁なんてほとんど扱ったことがありませんでしたからね」
二人分の紅茶を注ぎ、カップをロランに渡しました。
「ありがとうございます。でも、そのディアナ様が短期間で
これだけこなせるようになったのは、やっぱりすごいことだと思いますよ」
「ありがとう。……昔からの憧れだったからかもしれません」
わたくしは目を伏せて瞳を閉じると過去のことを思い返しました。
「……憧れ、ですか?」
わたくしは目を見開きロランに視線を戻します。
「はい。昔から、いつか温かい家庭を持つことがわたくしの夢だったんです」
「そうだったんですか? じゃあ以前の女王としてのディアナ様の生活とは真逆じゃないですか。
ディアナ様がそのような考えを持っておられたとは存じませんでした」
「今までが今まででしたからね。誰かに話したことも無いですし」
「なにか、そう思い続けてきた理由があるんですか?」
「そうですね……。少し昔話をしましょうか」
わたくしは立ち上がると湖の方に向かって歩き始めました。
42 :
家族 3/6:2007/04/06(金) 00:13:53 ID:???
「ずっと昔のことです。わたくしもどのくらい前のことなのかはっきりと覚えていないのですが、
わたくしの父と母はわたくしが物心つく前に世を去りました。
だからわたくしは、父と母のことをあまり覚えていないのです」
わたくしは湖の手前で立ち止まり、腰を落としました。
「でも、両親が生きていた時のわたくしは、日々を楽しく生きていたように思います。
農業の開発を成功させた父と、女王として日々を勤しむ母。
二人とも多忙だったことでしょう。それでも、つかの間の休みの中で、
子供には大きすぎるボールを転がして遊ぶわたくしと、一緒に遊んでくれた父と、
それを見守ってくれた母と過ごした時間はわたくしの数少ない両親との大切な思い出なのです」
水面に視線を落としながら、右手の指を水の中に入れます。
冬の痺れるような冷たさは無く、指を揺らすと小さな波紋が起こりました。
「両親が他界した時のわたくしには、何が起こっていたのか理解できていなかったでしょう。
気がついた時には両親の死を悲しむ間もなく、年端もいかない子供が女王として即位していました。
それからは、ただひたすら女王として公務をこなしてきました。
楽しかったこともありましたけど、寂しいと感じた時のほうが多かったと思います。
ようやく女王としての仕事にも慣れ始め、新しい知り合いや友達と呼べる人もできてきた
わたくしに待っていたのは人工冬眠でした」
わたくしが立ち上がりロランの方を振り向くと、ロランもまたわたくしの後ろで
神妙な面持ちでわたくしを見つめていました。
「目覚めたわたくしの前には見知らぬ人たちばかり、親しくなった人たちは既にこの世におらず
ただただ、女王として業務をこなし、また新しい知り合いができたと思えば再び冬眠する。
そんな人との出会いと別れを繰り返すうちに、わたくしは人と親密にならないようにしてきました。
誰かと仲が良くなればなるほどに、目覚めたときが辛かったから」
春の冷たい風がわたくしたち吹きます。先ほどまで暖かかった風が
冷たいと感じるようになったのは、話の重さだけが原因ではないでしょう。
「わたくしはそんな人生の中で、だんだん人としての感情を失っていきました。
喜ぶことも、悲しむことも無く、ただ公務をこなすだけのロボットでした。
そんな人として生きることを放棄していたわたくしの前に現れたのが」
「ウィルさんのご先祖様だったんですね。」
ロランの言葉にわたくしは頷きました。
43 :
家族 4/6:2007/04/06(金) 00:17:11 ID:???
「ウィル様はわたくしが忘れていた、生きる楽しみや幸せを思い出させてくれました。
当時、わたくしに結婚を申し込んできたものは、ソレルの名や財産、地位や名誉に
目の眩んだ者ばかりでした。そんな中でわたくしが本気でずっと一緒にいたいと
思ったのはウィル様が初めてでした。
ずっと昔、わたくしが両親と三人で過ごした時の様に
ウィル様と共に幸せな人生を歩んで行きたい……と。」
「…………」
仰向くと先ほどまでの澄み切った青空に赤色が混じっていました。
本来ならば、このような話はロランにすべきことでは無いのでしょう。
わたくしは相手の意思を読み取れるほど、人より感覚が鋭いわけではありませんが
少なくともロランが、わたくしに少なからず好意を抱いてくれていることは知っています。
仮にも同じ屋根の下で日々を過ごしている異性の、昔好きだった男の話を聞いて
気持ちの良い人は、おそらくいないことでしょう。
でも、わたくしは貴方にだけは知ってもらいたかった。貴方の知らない
わたくしの姿、生い立ち、そして想いを。貴方にだけは全てを知ってもらいたかったのです。
わたくしはゆっくりとロランの方に歩を進めます。
「ウィル様はわたくしに結婚して欲しいと言ってくれました。
しかし、当時女王の結婚相手として相応しいかを周囲の人に示さなければならず、
そのためにウィル様は東方の国へと旅立たれてしまったのです」
『極楽鳥の羽を持って帰って来たら結婚しましょう』
「そう交わした約束をわたくしは守れませんでした。わたくしは今までの生涯で一番泣きました。
月に連れ戻される時、冬眠に入る前、目覚めた後、ウィル様のことを思い出すだけで
わたくしの胸は張り裂けそうになりました。」
わたくしはロランの前ですぐ脇を通り抜けるように歩き続けた後
数歩だけ歩いて立ち止まりました。
すれ違いざまに見たロランの瞳には悲しみの光を宿らせているように見えました。
「もう、全てがどうでも良くなりました。ムーンレィスの積年の願いであった
地球帰還作戦さえ果たせれば、後はもうどうなってもいいと。あの人が死んだ地球で、
キングスレーの谷で、あの人の思い出と共に自分も死にたいと思いました。いや、そう思っていました。
そう、地球に戻って来るまでは。」
44 :
家族 5/6:2007/04/06(金) 00:19:24 ID:???
「ふ、ふふ……」
以前のわたくしからは考えられない、胸の底から溢れ出てくる感情に堪えきれなくなり
わたくしは思わず笑ってしまいました。
「ディアナ様、大丈夫ですか……?」
わたくしの身を案じてくれたロランが後ろから訊いてきます。
彼に心配をかけさせるつもりはありませんでしたが、話が話だっただけに
ロランには悪いことをしてしまいました。
わたくしは振り向いて、自分が大丈夫であることを笑顔で伝えます。
「いえ、自分自身の心の変化に内心驚いているだけです。以前は過去を思い返すだけで
涙ぐむほどだったのに、わたくしの心もここまで変わることができたのかと思いまして」
以前のわたくしだったら、ここまで冷静に今までの自分の生い立ちを思い返すことはできなかったでしょう。
その前に泣き崩れて、頭がこれ以上考えさせてはくれませんでした。
きっと今、自分自身を改めて見つめることができるようになったのは、
わたくしの中で大きな変化があったからなのでしょう。
わたくしは場の空気を換えるためにロランに唐突な質問をしました。
「ねぇ、ロラン。貴方は神を信じますか?」
突然の場違いな質問にロランは腕を組み、困惑した表情を浮かべていました。
「神……ですか?う〜ん、以前の僕にとってはディアナ様が神様のようなものでしたけど
深く考えたことは無いのでよくわからないですね」
「そうですか。でも、わたくしは信じています。きっと世界には、人々を幸せにしてくれる神様がいる、と」
「へぇ、ディアナ様って有神論者だったんですね」
「だって、そうでなければここまで世界に絶望し、人々を不幸にしてしまったわたくしが、
これほどの幸せを掴むことなんてできなかったでしょうから。だから神様はいると思うのです」
わたくしは自分自身が出せる最高の笑みを浮かべてロランを見つめ直しました。
45 :
家族 6/6:2007/04/06(金) 00:21:33 ID:???
「――え」
「ロラン、今のわたくしはすごく幸せなのです。死に場所を求めて地球に帰ってきたわたくしが、
貴方と出会えたことが。いいえ、ロランだけではありません。キエルさんにソシエさん、
ハリー、リリ様、グエン殿とは袂を分かってしまったけれど、
キャンサーにムロン、キースさんにフランさんにシドさん。
ミラン執政官にフィル少佐。わたくしを助けてくださった多くのミリシャ、
ディアナカウンターの人たち。彼らのおかげで今のわたくしがあるのだと思うと、
わたくしはどれほど感謝の言葉を並べても足りない気持ちです」
「ディアナ様……。」
わたくしはロランと見つめ合いました。
そして、ゆっくりと歩を進めてロランの前で立ち止まりました。
「ですからロラン。長くなってしまったけれど……これから先、ロランと幸せな家庭を
築いていきたいと思います」
わたくしは胸の高鳴りを抑えてわたくしの想いを伝えました。
「……僕の方こそ、これから先もディアナ様と一緒に歩んでいきたいと思います」
ロランもまた、真っ直ぐにわたくしを見つめ返しながら、応えてくれました。
「そうですね。これから先もずっと一緒ですよ、約束ですからね?」
わたくしは右手の小指を立ててロランの前に出します。
ロランもまた右手の小指を出してわたくしの小指と結びます
「約束です。これから先も、ずっとずっと一緒です。」
わたくしたちは誓いを立てました。
ロランの顔が赤く染まっていたのは、夕日だけが原因ではないでしょう。
また、自分でも分かるほどに脈打つ心臓の鼓動と、体の熱さを全身に感じました。
きっと頬が赤いのはロランだけではないのでしょうね。
「ロラン、わたくし思うのですけれど」
「なんでしょうか?」
「そろそろ、新しい家族が欲しいと思いませんか?」
「新しい家族?」
「ですから! 貴方と、わたくしの……」
「ちょ――ちょっと待ってください。それって、あれですよね?」
「そう、あれです。わたくしでは嫌ですか……?」
「そんなことないですよ!ただ、いきなりで驚いてしまって」
「じゃあ良いんですね! 夕食はご馳走にしましょう!」
「今夜ですか!? まだ僕も覚悟が……」
「善は急げと言うでしょう? 今夜が楽しみですね♪」
「そ、そうですね……」
ロラン、これからもよしなに。
GJです
しんみりほのぼので最後のオチに笑いましたw
やっぱり最後の壁はロランの覚悟だろうな、そこはw
GJです
>>45の勝手に続き、その夜…
某兄「告白か。めでたいな、弟よ」
某弟「そうだね、兄さん」
某兄「めでたい時にはご馳走だな」
某弟「おめでたい時にはご馳走だよね」
某兄「というわけだから…大盛りで頼むよ」
某弟「僕は八分目で」
ロラン「あ…あの…ど、どちら様で……?」
トロワと同じく、ほったら歩き過ぎだろフロスト兄弟
タイムワープしおって…
ほしゅ
保守
保守!
建国宣言終了後、僕とグエン様たちは前日宿泊したホテルへ帰ってきた。
本来ならディアナ様はキエルお嬢様と入れ替わって元通りになるはずだったけれど
ディアナ様は今回の建国宣言拒否の演説を聞いて、しばらくはディアナカウンターを
キエルお嬢様に任せるおつもりのようだ。
僕たちは今後のことを話し合うために、グエン様の提案でホテル入り口のロビーに集まっていた。
「なんだか肩がこって疲れちゃった」
式典で疲れたのか、ソシエお嬢様がロビーにあるソファにもたれ掛かりながら不満を漏らす。
「そうよねぇ。建国宣言をするつもりが無いなら、
始めからこのような招待状は送らないで欲しいものですわ」
ソシエお嬢様の隣に座っているリリ様も同意見なのか、相槌を打つように続ける。
向かいのソファにグエン様とディアナ様が、僕の座る場所は無かったので
僕はディアナ様の隣に立ってお二人の話を聞いている。
「ディアナカウンターも一枚岩ではないのでしょう。
今回の建国宣言をディアナ・ソレルは土壇場で拒否の声明を出した。
私が思うにディアナカウンターには、あくまで交渉によって穏便に済ませたい女王と
力ずくでも領地が欲しい強硬派が対立しているように見受けられます」
「強硬派、ですか?」
キエルお嬢様に扮しているディアナ様がグエン様に聞き返す。
「ええ。月側からすれば、ノックス崩壊以降地球とまともな交渉を行なえなかったため
話が先に進まずに苛立っていたのでしょう。そこで、今回の建国宣言によって領土を決定して
しまうことで、自分たちがサンベルトにいることの大儀が欲しかった。
まあ今回の女王の宣言によって話は振り出しに戻ってしまいましたがね。
しかし、我々にとっては又と無いチャンスです」
だんだんグエン様の話に熱がこもってくるように感じる。
「向こうの真意はどうであれ、女王が再度交渉を行ないたいと言ってきたのです。
交渉が進むにせよ、進まないにせよ、しばらくは時間を稼ぐことができる。
そのうちに、ローラたちの見つけた宇宙船や、新しい戦力になるものを掘り出します。
いままでは月から見下ろされていただけですが、今後はこちらが月に乗り込むことも
できるということを示すことで、それは交渉の強力なカードになることでしょう」
「さすがグエン様。うまく行けば、敵の本拠地を直接叩くこともできるじゃない」
グエン様の交渉戦略にソシエお嬢様も賛同する。
しかし、ソシエお嬢様の発言にディアナ様が憤りを示した。
「ソシエ、馬鹿なことを言ってはなりません。月にだって人は住んでいるのですよ?
今日のディアナ様の演説を聞いていなかったのですか?」
ソシエお嬢様の言葉にディアナ様は強い口調で言い放つ。
その言葉にソシエお嬢様は勢いよく立ち上がり、口を尖らせながらディアナ様を睨み付ける。
「何よ! お姉さまはお父様とお母様のことが悔しくないの!?」
「そ、それは……」
「あたしは絶対に許さない……。お父様の無念を晴らすまでは、絶対に!」
憎悪に満ちたその瞳で、睨み付けながら叫ぶソシエお嬢様の姿に、
ディアナ様は言い返すことができずに俯いてしまわれた。
これ以上二人の姿を見ていられなかった僕は二人の間に口を挟む。
「ソシエお嬢様、落ち着いてください。キエルお嬢様に当たられても仕方ないじゃないですか」
「――ロラン? ……そうよね、お姉様の責任ではないものね。ごめんなさい、お姉様」
「い、いえ。大丈夫だから、気にしないでください……」
掠れ声でそう呟くディアナ様に、僕は励ましの言葉を掛けたかったけれど
なんて言えば良いのか分からなかった僕には、ディアナ様を見ていることしかできなかった。
「まあ、月を攻撃するというのは少々言いすぎですが、発掘中の宇宙船が使えるようになれば、
少なくともディアナカウンターに大きな圧力をかけることができます。
だからそれまでの間、こちらから攻撃して相手の反感を買うことだけは避けたい、リリ嬢」
「はい」
「リリ嬢はルジャーナ、イングレッサのミリシャに此方からの攻撃はしないように命令してください」
「それはかまいませんが、イングレッサのミリシャにはグエン様が直接伝えてもよろしいのではなくて?」
「私にはミリシャの指揮権はありませんから。リリ嬢が行なわれる方がよろしいでしょう」
「わかりました。ミハエル大佐にはわたしから伝えておきましょう」
「頼みます。ソシエ嬢も明日ミハエル大佐にあったら、宇宙船を掘り出すまでは
手荒なことはしないように伝えておいてください」
「わかりました」
「まあ、大佐がどこまで私の言うことを聞いてくれるかは分かりかねますが、一応ね。それから、ローラ」
「――は、はい」
ディアナ様の姿に呆然と立ち尽くしていた僕は、グエン様の言葉で我に帰った。
「ローラも明日までここで待機。ホワイトドールはローラしか扱えないし、
明日、ムーンレィスの技術者たちと話をするまでは宇宙船の稼動にも目途が立たないからな」
「わかりました」
「よし、ひとまず解散しよう。みんな、今日は疲れただろうからゆっくり休んでくれ」
この後、リリ様はグエン様の意向をボルジャーノ公に直接お伝えするためホテルを発たれた。
僕は先ほどの話し合い以降、落ち込んでおられるディアナ様のことが気になっていた。
僕はなんとかディアナ様を励ますことはできないかと、ディアナ様の部屋を訪ねた。
その時ディアナ様は月を眺めていたようだったので、僕もディアナ様とテラスから月を眺めることにした。
空にある雲の合間から青白い月が輝いている。昼間のような喧噪は無く、あたりは静まり返っていた。
「月が綺麗ですね、ディアナ様」
「そうですね……」
「あ、あの……ほら! 昼間はここからよく見えたソレイユが、今はぜんぜん見えませんよ!
やっぱり夜になるとぜんぜん見えなくなるものですねぇ!」
「……夜ですからね」
「そ、そうですね。は、はは……」
ディアナ様になんとか元気を取り戻して欲しくて躍起になっていた僕は、
どうも肩に力が入ってしまっていたようで思うように言葉が出なかった。
僕は一つ深呼吸を行ない自分を落ち着かせる。下手な言い回しは辞めて、
僕は僕の思っていることをそのまま言葉にすることにした。
「ディアナ様、元気を出してください。僕はディアナ様を信じていますから」
僕なりに精一杯の笑顔でディアナ様に微笑む。僕と視線を合わせたディアナ様は
ぎこちないながらも僕に笑みを返してくれた。
これでいいんだ。相手が女王様だからって、格好付けて話す必要なんて無い。
僕は僕の思うままに本心で語れば良いんだ。それが多分、一番正しい選択だと思うから。
「最近、だんだん分かってきたんです」
「――え?」
「わたくしが発案した地球帰還作によって、どれだけの人が血を流し、涙を流したのか」
「ディアナ様……」
月が雲に隠れて、あたりを暗い闇が覆う。まるで今のディアナ様の心境を空が代弁しているように感じた。
「ソシエさんの怒りは当然のことです。ある日突然、理不尽な理由で肉親を殺されれば
わたくしだって嘆き悲しむでしょうから」
視線を下に落とし、憂いを帯びた表情でディアナ様はそう呟いた。
「ロラン、ソレイユの建国式典の後に、再びキエルさんと会って元に戻ろうとしなかったのは
キエルさんに任せられると思ったからだけでは無いのですよ」
「どういうことですか?」
「情けない話ですが、今のわたくしでは地球と月を平和に導く自信が無いのです。
安易な地球帰還によって、多くの人々を死なせてしまうだけでなく
ディアナカウンターの総帥という立場にありながら、キエルさんと入れ替わるという
責任の自覚の無さ、そして、今日のキエルさんの演説を聞いて、わたくしでもあそこまで
人々に感銘を与えるほどの演説ができたかどうか、と」
夜の涼しい風に腰までたゆたう金色の髪をなびかせながら、ディアナ様は虚ろな表情で僕を見つめる。
「わたくしは、迷っているのかもしれません。今の自分に何ができるのか、何をすべきなのかを……」
重い沈黙が場を支配する。雲の合間から再び月が顔を出し、
月光に照らされるディアナ様の顔には悲しみが満ちていた。
「ごめんなさい」
「……何がですか?」
ディアナ様が何故謝ったのか分からなかった僕は首をかしげる。
「貴方に愚痴を零すようなことしてしまって。そんなつもりは
無かったのですけれど、本当にごめんなさい……」
ディアナ様の言葉に、僕はかぶりを振って否定する。
「そんなこと! 謝られるようなことじゃないですよ。僕なんかで宜しければ
いつでも話してください。僕には、ディアナ様の話を聞いて差し上げることぐらいしか、できないんですから……」
どうしてなのだろう、どうしてディアナ様は僕に対してまで謝らなければならないのだろう……。
たしかにディアナ様が悲しまれるのも分からなくは無い。
地球帰還作戦が行なわなければ旦那様が死ぬことは無かったと思うし
よくよく思い返せば旦那様が死んだ時、死んだ旦那様を見たソシエお嬢様が取乱した時、
僕は自分の生涯の中で一番ディアナ様のことを疑った瞬間だったかもしれない。
それでも僕は思う。今回の地球帰還作戦、それはムーンレィスの数千年の望みであり
決してディアナ様一人の独断ではない。もし、旦那様が死んでしまわれたのがディアナ様の責任だと
するならば、その罪はディアナ様の地球帰還を支持したムーンレィス一人一人の責任とも言えるし、
僕だってそのひとりになるのだ。
だから、ディアナ様が苦しんでおられるならば、僕もディアナ様の背負っている罪を
背負いたい――いや、運河人でしかなかった僕には、共に罪を背負うなんてそんな大層なことはできない。
僕が今のディアナ様にできることがあるのなら、ディアナ様の悲しみを和らげることぐらいしかできないのだから。
「あの、答えになってないと思いますけど……ディアナ様に何ができると思うのか、
何を望むのかをこれから考えていけば良いのではないでしょうか?」
「これから?」
「そうですよ。キエルお嬢様は今回の式典でたとえ時間が掛かっても、
地球人とムーンレィスの両者が共に歩んでいける道を探して行きたいと言ってくれました。
だからディアナ様も時間を掛かて、これからディアナ様は何をしたいのか、
何をすべきなのかを探していけば良いんですよ。」
「それでいいのでしょうか? 月の女王たるわたくしが、時間を掛けて自分のすべきことを
探していけば良いという考え方で……」
「たとえ女王様でも一人の人間です。失敗することも、迷うこともあると思います。
そんな時は時間をかけて、少しずつ答えを出していけばいいと思います。
それまでは、キエルお嬢様にお願いしましょう。きっと分かってくれますよ。」
「そう、ですね……そうですね。考えても分からないこともありますよね」
「そうですよ。ディアナ様は一人の人間で、神様じゃ無いんですから」
詭弁なのかもしれないと思う。僕が何を言ったところで現実が変わるわけではない。
気休めにもならないのかも知れない、とも思う。でも、地球と月の友好関係を願い続けてきた
ディアナ様の想いだけは絶対に間違ってはいないはずだ。
だからせめて、僕といるときだけは我慢しないで弱音をはいて欲しい。
それでディアナ様の気持ちが楽になるなら、それは僕がディアナ様に
唯一手を貸して差し上げられることなのだから……。
「ロラン、色々ありがとう」
「ん?」
「その、気を使わせてしまった様で」
たどたどしく話すディアナ様の表情からは既に悲しみの色は消えており、天使のような笑みを浮かべていた。
そんなディアナ様の表情を見た僕は、不謹慎ながら美しいと感じてしまった。
「いいんですよ。それよりもディアナ様、やっと笑ってくれましたね。
やっぱりディアナ様は笑顔のほうが素敵ですよ」
「え!? そ、その……よ、よしなに……」
どうしたことか、ディアナ様のお顔の色が夕日のように赤くなっていく。
「? どうされました? お顔が真っ赤ですよ?」
「な、なんでもありません!」
強い口調でそれだけ言い放つと、急に僕に背を向けられてしまった。
……なにか僕、気に障ることでも言ってしまったのだろうか?
色々と思うところはあったが、当初の目的を達した僕は、ディアナ様に注意を呼びかける。
「そうですか。ところでキエルお嬢様として振舞っているときは、その言葉は使わないほうが良いですよ」
「その言葉?」
ディアナ様がこちらに振り返りながら訊き返す。
「『よしなに』という言葉です。お嬢様はそのような言葉使いはしませんから」
「わ、わかりました。以後気をつけます」
「それから、『わたくし』というのも辞めた方がよろしいかと。
キエルお嬢様の一人称は基本的に『わたし』です。間違っても『わたくし』とは言いませんから」
「そんなところも気をつけないと駄目なのですか?」
「もし、お二人が入れ替わっていることが他の人に気づかれたらディアナ様のお命に関わることなんです。
女王としての自覚を持って、キチンと直してください。」
「はぁ……」
「それだけじゃないですよ、他にもキエルお嬢様はですね……」
こうしてディアナ様にキエルお嬢様としての振る舞いを教えること数時間、
希望を示すかのように美しく光り輝く月明かりの下で、僕とディアナ様の夜は更けていった。
翌朝、朝食をとり終えた僕たちは昨日の予定通り行動を開始した。
ムーンレィスの技術者たちの協力を得ることに成功したグエン様は、リリ様の働きで
ルジャーナミリシャの傘下であるイングレッサミリシャの指揮を執ることが決まったようだった。
血気盛んなスエサイド部隊の下にいるよりは、あくまでも外交交渉を行なおうとする
グエン様の下のいるほうが、僕としても賛成だったので何よりのことだと思う。
「じゃあ私は宇宙船の発掘の指揮を執ります。ソシエ譲はミハエル大佐たちと合流、
前線の警備をルジャーナミリシャと連携して当たってください。」
「はい」
「ローラは発掘された大型車に向かって欲しい。ホワイトドールならここから15分と掛からない所だ」
てっきり宇宙船の発掘作業を手伝うものだと考えていた僕は、思わず聞き返してしまった。
「大型車ってなんですか?」
「最近発掘されたものらしい。私も宇宙船の発掘にめどが立ったらそちらに向かうが、
それまではローラに発掘された大型車を調べてもらいたい。やってくれるか?」
「わかりました。じゃあすぐに準備します」
「あの、グエン様、よろしいでしょうか?」
ここまで一言も口を挟まなかったディアナ様が唐突に口を開く。
「どうされました? キエル嬢」
「わたしもロランに同行してもよろしいでしょうか?」
突然の提案に僕とソシエお嬢様は目を丸くしてしまった。グエン様も突然の問いかけに困惑気味のようだ。
「わたしも発掘された大型車には興味がありますし、実社会で学ぶためには
グエン様の秘書として見ているだけでなく、実際の現場を知る必要もあると思うのです」
ディアナ様は昨日の夜、僕が付け焼き刃的に教えた知識でキエルお嬢様を演じている。
たしかに、今はキエルお嬢様を演じておられるが、万が一正体がばれてしまった時のことを考えると
ミリシャしかいないグエン様の周囲よりは事情を知っている僕の側の方がまだ安全かもしれない。
最悪ディアナ様がミリシャに正体がばれて囚われたとしても、ホワイトドールと交換することで
ディアナ様を助けることもできるかもしれないし、ディアナ様の身がミリシャに拘束される前に
力ずくで僕がディアナ様をソレイユにお送りすることも可能ではあるのだ。
そう考えればディアナ様が僕の側にいるほうが僕としても安心できるし、
ディアナ様も僕と同じような考えを持たれたのだろう。
「わかりました。ではキエル嬢は、しばらくはローラと共に行動してローラのサポートをしてください」
「ありがとうございます。グエン様」
一礼するディアナ様を見届けると、グエン様は自動車でその場を後にされた。
それを見送った僕は不意にソシエお嬢様から肘で右腕を突かれる。
「ロラン。お姉様に何かしたら、ビンタじゃすまないわよ?」
「な――なにもするわけないじゃないですか! 大切なお嬢様なんですよ!?」
「どうかしら、男って頭の中じゃ何考えているのか分からないし。」
眉間にしわを寄せて強い口調で僕に当たってくる。
ソシエお嬢様とは知り合って2年になるが、時々こういう態度をとる理由は未だによく分からない。
「お姉様、ロランには十分気をつけてくださいね。」
ソシエお嬢様はディアナ様に耳打ちするような仕草で、しかしはっきりと
僕に聞こえる音量でディアナ様に話しかける。
「うふふ、大丈夫ですよ。ロランは絶対にわたしたちに妙なことはしません。
わたしはロランを信じていますから」
「お嬢様……」
「ふ、ふん! 何よ、せっかくお姉さまのことを心配していったのに! お姉さまの意地悪!」
何に機嫌を悪くされたのか、ソシエお嬢様は頬を膨らませながらカプルに向かって走り出した。
「ソシエお嬢様! どうしたんですか!?」
「知らないわよ! お姉さまに何かあったら承知しないからね!
覚えときなさい、バカロラン!!」
捨て台詞でも吐くように僕に告げるとソシエお嬢様はカプルに乗り込み、
明らかにわざとじゃないかというほど足音をたてながら走って立ち去られてしまった。
「ふぅ、ソシエお嬢様って時々あぁなるんですよね。」
「妬いているんですよ。可愛いじゃないですか」
「妬いている? 誰が?? 誰を???」
「しかも、その張本人に自覚が無いのが罪ですよね。
ねぇ、ロランって女たらしって言われたことありません?」
「ディ――キエルお嬢様まで何言ってるんですか!? そんなことありませんよ!」
「ロラン、今貴方わたしの名前を言おうとしましたよね?
わたしの命に関わることなのです。もうすこし自覚を持ってください」
「は、はい……。すみませんでした」
僕が深々と頭を下げるとその様子がおかしかったのかディアナ様は無邪気な微笑みを
浮かべて、声を出して笑っていた。
「あの……どうされたんですか?」
「あぁ、ごめんなさい。なんだか一生懸命頭を下げているロランがあまりにもおかしくって」
「なんだかなぁ……。ソシエお嬢様といい、キエルお嬢様といい、女心ってわからないものですね」
「良いんですよ、ロランはロランのままで良いのです。では行きましょうか」
「そうですね、出発しましょう」
僕たちは、後にディアナ様の命名でギャロップと呼ばれる陸戦艦へと向かった
これからしばらく、ディアナ様とキエルお嬢様の入れ替わった生活が続くことになる。
多分、僕が女王としてのディアナ様ではなく一人の女性としてのディアナ様を
初めて知ることになるちょっとおかしく、たのしく、不思議な共同生活の始まりだ。
このときの僕にはこれから先もずっとディアナ様と一緒のいるような生活は
望みこそすれど、それが本当に現実になるとは考えられなかった。
僕がそれを知ることになるのは、まだまだ先のお話である。
>>53-63 乙。そしてGJ!!
久々に物語の前半を舞台にしたSS、堪能しますた。
いずれ機会あらば又色々と書いて下され。
乙です!
読みごたえあって面白かったです
乙&GJ!!
ほんと、前半部をネタにしたSSは少ないから貴重だよ。
これからもよしなに。
ほしゅなに
保守
保守
俺しか居ない予感
俺もいる予感
そんな丁寧に2日置きに保守しなくても
よほどのことが無ければ落ちないよ
1週間ぐらいは放置しててもまず落ちない
いつも流れ早い板にいるから不安で…すまんかった( ´・ω・)
保守
謝る必要は無いだろ
実際定期的に保守する方が落ちにくいわけだし
というわけで保守
次はオレが福井級の傑作をこのスレにブチ込んでやる!
読んだ奴全員腰砕けにしてやる!オレの脚本生命の転機になるやもしれん。
こころして待て!しかして希望せよ!
>74
それまでの間に一度レンタカーでティアナに乗ってみたいと思う。
わたくしが再びゲンガナムへと帰ってきた日、黒歴史の映像が月の都市に映し出されたその日。
わたくしはついにアグリッパの手から政権を取り戻すことに成功しました。
ですが、それだけで事態が収まるはずも無く、政権を奪還したわたくしには
多くの難題が待ち構えていました。
黒歴史の映像によって首都ゲンガナムをはじめとする都市の混乱の沈静化、
わたくしが月に不在期間中に施行された法律改正の手続き、
アグリッパ死後も多くのモビルスーツを保持しているギンガナム軍の戦力の剥奪、
そして地球帰還作戦の見直しとすべきことはたくさんありました。
白の宮殿の一室。わたくしはそこで山のような書類にペンを走らせていました。
既に時刻は9時を過ぎていましたが、とても今日一日で終わらせられるような量で無いのは明白でした。
ふと、ドアをノックする音が聞こえます。わたくしはペンを置きドアに視線を移しました。
「開いています」
「失礼いたします、姫様」
ドアが開くと、ティーポットとカップをトレイに乗せてケンストンが入ってきました。
「紅茶をお持ちいたしました」
「ありがとう、頂きます」
わたくしはデスクの上を簡単に片付けて、トレイをそこに置くように指示しました。
「今日はお疲れでしょう、今日はもうお休みになられてもよろしいのではありませんか?」
「えぇ、そろそろ一区切りつけようと考えていたところでした」
ケンストンは慣れた手つきで紅茶を注ぎます。
湯気の立つカップからは豊かな香りを辺りに漂わせます。
「明日はギンガナム公との接見もございます。本日はごゆっくりお休みくださいませ」
「そうさせてもらいます」
「では、失礼いたします。姫様」
退室するケンストンを見遣ります。わたくしはティーカップに手をかけ、紅茶を口に含みました。
「ふぅ……」
つかの間のひと時。普段口にする紅茶も悪くはありませんが、
疲れたときに飲むと活力を与えてくれる気がします。わたくしはカップを片手に
部屋の明かりを消しました。夜の時間に調節されている照明から、薄暗い光が部屋の中に差し込みます。
窓際に移動して中庭を見下ろすと、暗い緑色の芝生の中に3機のシルバースモーと
ホワイトドールの姿が目に映りました。そこには今までわたくしを守ってくれた
ゴールドスモーの姿はありませんでした。
「ハリーは、大丈夫でしょうか?」
誰に言うでもなくそんな言葉を呟いたわたくしは、目を瞑り昼間の光景を思い返します。
一時とはいえジャンダルムの攻撃を浴び続けたゴールドスモー。
ハリーが疲労で倒れてしまうのも無理の無いことでした。
医者が言うには数日で目を覚ますというし、今はキエルさんが付きっ切りで看病しているとか。
「キエルさんも、体を壊さなければ良いが」
二人が恋仲にあることはキエルさんから聞くまでもなく分かりました。
キエルさんからすれば自分も何かしたいと焦る気持ちも分かりますが……。
「今は、ハリーの早期回復を願うしかありませんね」
そう自分に言い聞かせながら紅茶をすすります。
そういえば、リリ様はココアが好きだと仰っていましたね。
こんどは紅茶でなくココアにしてみようか。そんなたわいも無いことを考えながら
再び眼下の光景に目をやると、先ほどまで存在しなかった人影が目に映りました。
遠目でもわかる美しい銀色の髪、わたくしが彼を見間違うはずがありませんでした。
「あれは……ロラン?」
わたくしが急ぎ足で中庭に下りると、まだロランの姿がありました。
芝生に座り、ホワイトドールの前からピクリとも動かないロランの姿は
何かを考えているようにも見受けられます。
まだロランが立ち去っていないことを確認し安堵したわたくしは、
荒くなっていた自分の呼吸を落ち着かせると
芝生の足音で気づかれないように、ゆっくりとロランの方に歩き出しました。
もしかしたら、わたくしの心のどこかに驚かしてやろうという
子供染みた考えがあったのかもしれません。
「なにをしているのですか?」
ロランがわたくしの姿を確認すると、勢いよく立ち上がりこちらに体を向けます。
「ディアナ様! どうされたんですか? こんなところに」
「あ、あの……た、たまたま近くを通りかかったらロランの姿を見かけたものですから。
何をしているのかと気になったものでして」
まさかロランがいなくならないうちに大急ぎで中庭に下りてきた、
などと言えるはずもなく、とっさに嘘をついて誤魔化しました。
「別になにかをしていたわけじゃないですけど、なんだか眠れなくて」
ロランはホワイトドールの方に体を向き直し、緩やかな斜面になっている芝生の上に座り直しました。
わたくしもロランの横に腰を下ろします。
「眠れない時って辛いですよね、わたくしも経験があるからわかりますけど」
わたくしは視線をホワイトドールに移します。
黒歴史時代のガンダムを思わせる白を基調としたトリコロールカラー、スモーと類似した
腰部にある丸い形のコクピット。この時代のモビルスーツにはあまり存在しない
白くて大きなシールド、そしてホワイトドールの代名詞とも呼べる湾曲したお髭。
かつてこれを建造した人々は何の目的でこれを作ったのだろう。
それも黒歴史を調べていけば分かることなのでしょうか。
ただ一つ救いだったのは、このモビルスーツのパイロットがロランであったことでしょう。
そんなことを考えながらロランに視線を戻すと、彼がわたくしの顔を
見つめていることに気がつきました。
「どうかしましたか?わたくしの顔に、何かついていますか?」
「あ、すみません。そうじゃないんですけど。なんだか今ディアナ様と
話をしていることが信じられなくて」
「信じられないとは?」
「ほら、ディアナ様が僕と地球におられた時はキエルお嬢様の格好をされていたじゃないですか。
でも、今のディアナ様は女王様のお召し物で、そのディアナ様と
白の宮殿の中でこうして話をしていることがなんか信じられなくなったというか」
「ふふ。ロラン、前にも似たようなことを言っていましたよね」
「も、申し訳ありません」
「いいのですよ。ところで、何か悩みでもあるのですか?」
わたくしの質問にロランは一瞬肩を震わせたように見受けられました。
「ど、どうしてそう思われるのですか?」
「先ほど眠れないと言っていましたよね。なにか悩みでもあるのかと思ったものですから」
「…………」
ロランは何も言わずに俯いてしまいました。ロランの悩みにおおよその見当が
ついていたわたくしは続けます。
「ホワイトドールのことで悩んでいるのですか?」
「――どうしてそれを!?」
俯いていた顔を上げて、ロランは虚をつかれたような表情をしていました。
「貴方がここにいる理由を考えればなんとなく想像はつきますよ。
しかも、黒歴史時代の映像を見せられれば」
「そう、ですか……そうですよね」
「何を悩んでいるのか、聞かせていただけませんか?」
「ディアナ様は、月光蝶の映像をご覧になられましたか?」
「はい。ホワイトドールの背面から、蝶の羽のような形をした大量のナノマシンが
地球上を埋め尽くしていく映像なら」
「そうです。僕はこいつが発掘されてから、ずっとホワイトドールに乗ってきましたけど
あんな兵器を装備しているとは夢にも思いませんでした」
「それは、わたくしも同じです」
「多分、その月光蝶の映像を見ただけなら、ここまで深く考える必要は無いのかもしれませんが」
ロランはそこで言葉を切ると、立ち上がってホワイトドールの方へと歩き出しました。
わたくしも、ロランの後をついて行きます。
「僕がジャンダルムの攻撃からハリー大尉を守ったとき、気がついたら僕はホワイトドールの
バリアを展開してジャンダルムを押し返していました」
ロランはホワイトドールの左足を撫でるようにしながら言いました。
「あの時はわたくしもウィルゲムの中にいましたからよく覚えています」
「僕はあの時、ホワイトドールを操作してバリアを出したわけでは無いんです」
「どういう意味ですか?」
ロランは俯き気味にこちらに向き直ります。
「言葉の通りです。僕はバリアを展開した覚えはありません。
ただ、ジャンダルムの攻撃を何とかしなければってそれだけを考えていたんです」
ロランは再びわたくしに背中を向けると、ホワイトドールの背面が
見える位置まで歩きホワイトドールを見上げます。
「それからしばらく考えたんですが、あのバリアの正体こそが月光蝶だったのではないかと思うんです」
ロランの発言にわたくしは声を荒げて返しました。
「そんな!もし、あれが月光蝶だったら冬の宮殿は砂になっているはずではないのですか!?」
わたくしの言葉にロランはかぶりを振りました。
「詳しいことは僕にも分かりません。ただ、あの時の虹色の光を思い返すと、
あれは月光蝶だったのではないかと思うんです。
そしておそらく、パイロットの操作に関係なく発動する」
「そ、そんな……」
ロランの思わぬ発言に倒れそうになったわたくしは、足に力を入れ直してなんとか踏み止まりました。
「どういうわけだか、あの時は冬の宮殿もウィルゲムも破壊することはありませんでした。
でも、また次に月光蝶が発動したときにも今回のようにうまく行くとは思えません」
二人の間を乾いた風が吹きます。月の天候は人工的に作られたものなので
熱くも寒くも無い過ごしやすい環境なのですが、この時だけは風が冷たく感じました。
「怖いのですか?」
「え?」
「∀に乗ることが」
ロランは顎に手をやって考え込んでいるようでした。
「分かりません。少なくとも今の僕がここにいられるのは、間違いなくこいつのおかげです。
地球と月の軍事バランスを保つことができたのも、僕がディアナ様に会うことができたのも、
核爆弾を使ってフォンシティを救うことができたのも全部ホワイトドールのおかげです。
でも、僕は……」
ロランはそこで言葉を切り、右腕の拳を胸の前で強く握り締めていました。
そんな彼の姿を見たわたくしは胸にするどい痛みを覚えました。
思えば、貴方が深刻に悩んでいる姿をわたくしは見たことはありませんでした。
わたくしと貴方は持ちつ持たれつの関係ではなく、わたくしが一方的に貴方に助けを求めて
ロランがそれを助けてくれるという、まさしく女王と騎士のような関係でした。
でも、今回の件は今までとは違う。今苦しんでいるのは貴方で、
こんな時こそわたくしが貴方を支えてあげなければならないはずなのに。
女王であるわたくしは、貴方の思いよりも月と地球の平和を優先しなければならない立場。
今回の地球帰還作戦の様に、統率者として感情の赴くままに安易な行動をとることは
数多くの人の死を招きかねない。
失敗を反省し、そこから学ばなければ、今以上に地球と月の関係は悪化の一途をたどることでしょう。
だけど平和を優先することで不幸になる対象が自分ならばまだ我慢もできました。
好きでそうなったわけではありませんが、自分はそういう星の下に生まれたのだし、それが
ディアナ・ソレルという人間の宿命だったのでしょうから。
しかし、今回切り捨てなければならないのはわたくしではなく、貴方。
「ロラン、申し訳ありませんでした」
謝ることしかできなかったわたくしはロランに頭を下げました。
「い、いきなりどうされたんですか!?」
「今の地球と月の関係も、貴方が∀に乗ったきっかけも、本をただせば全てわたくしの責任なのです。
しかもわたくしは、貴方が戦いを望まないことを知っているにも関わらず、貴方を
∀から降ろすことさえできない」
「∀から降ろせない? どういう意味ですか?」
わたくしは頭を上げるとホワイトドールの正面に移動しました。
今度はロランが、わたくしの側に歩み寄ってきます。
「わたくしは、月の女王であるにも拘わらず、今までの自分の
浅はかな行為で多くの人を死なせてしまいました。
さらに厄介なことに、∀と対を成すターンXが起動している今
感情の赴くままに女王の権限を行使して、ロランを∀から下ろすことはできないのです。
そして∀は月光蝶という恐るべき破壊兵器を搭載したモビルスーツ。
月を統べる女王としては、真に信頼の置けるもので無い限り∀を任せることはできません。
だから、わたくしの個人的な感情だけで貴方を
ホワイトドールから降ろすことはどうしてもできないのです」
わたくしは女王という月でもっとも力を持つ立場にありながら
戦いを望まない少年に、戦うことを強要させなければならない無力な自分に自己嫌悪しました。
「でも、わたくしが女王として相応しい行動をとればとるほど
ロランを戦いの渦に巻き込んでいきます。
貴方は自ら進んで軍属にな、たわけではないのに、
わたくしが……王として至らな……ばか――にっ!」
「ディ――ディアナ様……?」
溜まり溜まっていた感情が爆発したわたくしは、溢れ出てくる涙を止める術はありませんでした。
わたくしは無理矢理嗚咽をかみ殺します。
「辛い思いばかりさせてしまって申しわけありません。
本当に、本当にごめんなさい。ロラン……」
わたくしはロランに深く頭を下げました。女王という立場が地面に平伏して謝ることさえ許さない。
女王としては何もできず、一人の人としてすらロランの精神的支えになることさえできない
自分自身の不甲斐なさにわたくしは唇を強く噛み締めました。
「ディアナ様、どうかお顔を上げてください、僕が今まで戦ってきたは紛れもなく自分の意思で、
周りの人に言われたからではありません。だから、ディアナ様が僕のことで
心を痛める必要なんて全然無いんです。」
ロランはわたくしの肩にそっと手を置いて、わたくしの顔の高さに合わせるように腰を落としました。
「ですけれど……」
「二人ともこの姿勢では話もできないじゃないですか。ですから、ね?」
「は、はい」
わたくしはロランに説得されてゆっくりと姿勢を正します。
「どうか、これで涙を拭いてください」
「す、すみません……」
ロランの言葉で自分が無様に泣きじゃくったことに気がついたわたくしは、ロランの手から
乱暴にハンカチを取ると、無様な顔を見られないように背を向けて彼から離れました。
「ディアナ様?」
「ご、ごめんなさい。あ、貴方にこんなみっともない顔は見られたくなかったものですから……」
自分で勝手に大泣きしておきながら、あまりに自己中心的な言い訳に
自分自身が情けなくなってきました。
「わかりました。じゃあディアナ様が落ち着くまで、僕は後ろを向いています」
「ごめんなさい、ロラン」
どのくらい時間が経ったのでしょう。数分とも数時間とも感じる時間の後
いつまでもこうしているわけにも行かないので、わたくしはロランにもう大丈夫だと伝えました。
鏡が無かったのでわたくしがどんな顔をしていたかは分かりませんが、
きっとひどい顔だったことでしょう。
「もう大丈夫ですか?」
「えぇ……その、ありがとう」
「僕の方こそ、ありがとうございました」
「え?」
「ディアナ様が僕のことをそこまで親身に考えてくださっていたとは思いませんでした。
僕は、貴方を信じてよかった。ディアナ様にそこまで気に掛けていただけて、本当に幸せです」
ロランは一点の曇りも無い笑顔でそう答えてくれました。
わたくしのどこに、これほどまでに貴方の優しさを受ける資格があるのでしょうか?
何故貴方はここまでわたくしを気遣ってくれるのでしょうか?
そして貴方がわたくしに優しくしてくれるのは、わたくしが女王だからですか?それとも……。
その答えは聞けませんでした。もし、今ここでそれを聞いてしまったら
ロランがどう応えるにせよ、自分は女王としてやっていくことはできなかったでしょうから。
わたくしは、いやしくも月の女王。今回の事態を見届けるその時まで
これだけは絶対に放棄してはならないのですから。
「ロラン、先ほど申し上げた通り、女王であるわたくしでは貴方をホワイトドールから
降ろして差し上げることはできません。けど、これは女王ディアナ・ソレルとしてではなく
一個人ディアナとしてですが」
わたくしはロランの左手首を強く掴みました。突然のことにロランは驚いたのか
反射的に手を引こうとしましたが、わたくしは彼の手を離しませんでした。
「ディアナ様……?」
わたくしが微笑むと、諦めたのか
彼の手から力が抜けていくのを感じました。
わたくしはロランの手を掴んだ右腕を胸の高さまで持って来て、
彼の手の平をわたくしの両手で包み込みました。
「もし、ロランの手によって月光蝶で全てを破壊しつくしたとして、周りの人が
そのことでロランを非難したとしても、わたくしは貴方を庇います」
「え?」
「また、わたくしが月光蝶によって命を落としたとしても、貴方を恨むような真似は
絶対に致しません。そして、月光蝶で全てが破壊されたその大地に貴方とわたくしが
生き残ることができたなら、わたくしに貴方の罪を背負わせて欲しいのです」
「ちょ――ちょっと待ってください! 何もそこま」
「ロランは、戦う力を持たないわたくしの変わりに∀に乗ってもらっているのです。
これは貴方に∀に乗ってもらうと決めたわたくしのせめてもの覚悟です」
瞠目するロランの言葉を遮り、わたくしの言葉を被せました。
「そんな、気持ちは嬉しいのですがそこまでされなくても」
「それに、冬の宮殿で∀が月光蝶を使った時、宮殿が砂にならなかったのは
ただの偶然ではない。今はそう思うのです」
わたくしは静かに彼の手を開放しました。
「どうしてですか?」
「古来より、モビルスーツはパイロットと同調することで真の力を発揮すると言われています。
ターンタイプは存じませんが、スモーはパイロットの精神や意思を読み取り
エネルギーとしてそれを放出していると聞きました。
もし、∀にも同じことが言えるのなら、あの月光蝶はマシンの暴発ではなく、
ロランのハリー大尉を守りたいという意思をホワイトドールが読み取って
月光蝶の範囲を最小限に絞り込んでくれたのではないでしょうか?
そうでなければ、今頃わたくしはここにはいないでしょうから」
わたくしは振り仰いで∀を見ました。かつて最も繁栄していた地球の文明を
たった1機で崩壊させ、ガンダムの異名を持つこのモビルスーツを
多くの人々は畏怖することでしょう。でも……。
わたくしはロランに向き直り、彼の澄んだ瞳を見つめました。
「科学的根拠があるわけではありません。ですが、わたくしは信じています。
貴方ならば、∀を戦いの道具としてではなく、平和のためにホワイトドールを
使ってきた貴方ならば、月光蝶で文明を消し去るような使い方はしないと。
だから自分自身を、ホワイトドールを信じてください。
わたくしも、貴方を信じますから」
「ディアナ様……」
わたくしは信じています。どれほど恐るべき力を持つ破壊兵器でも
使い方しだいで、人々を幸せにすることができると。
今わたくしの目の前にいる少年ならば、きっと世界を正しい方向に導いてくれる、と。
86 :
通常の名無しさんの3倍:2007/05/03(木) 22:58:07 ID:??? BE:203300036-2BP(123)
連投制限回避かきこ
夜は一層深まり、既に深夜とも呼べる時刻。
感情的になって泣き疲れたせいなのか、眠気がわたくしを誘います。
明日にそなえて、わたくしたちは寝床につくことにしました。
「あの、今日はありがとうございました。なんだかディアナ様と話をしたら元気が出てきました」
「わたくしのほうこそ、ロランと話が出来てよかった。明日はどうするのですか?」
「明日はソシエお嬢様の付き合いで月の町で買い物に付き合う約束をしていまして。
なんでも月にぴったりのお土産を買うとか」
「そう、ですか。ソシエさんと……」
わたくしは、ロランの言葉に胸に引っかかるものを感じました。
やはりわたくしはこの少年を愛おしく想っているのでしょう。
そうでなければ、このような感情が胸の奥底から湧き上がってくることは無いでしょうから。
「? ……そうか! ディアナ様、もしかして?」
「な、なんですか……?」
ロランの何かを確信したような言葉に胸が高鳴ります。もしかして、感づかれた……?
「ディアナ様も一緒に買い物に行きたいんでしょう? ディアナ様って女王様ですけれど
キエルお嬢様やソシエお嬢様みたいにショッピングとか好きそうですものね」
前言撤回。やはり彼はそこまで鋭くはありませんでした。
そのおかげでわたくしが救われたことは言うまでもありませんが。
「え――えぇ、そうですね。わたくしも一緒に行きたかったけれど、残念です」
「じゃあ、僕がなにかディアナ様にお土産を買ってきます」
「お土産?」
「ディアナ様には、何がいいですかね? やっぱり食べ物ですか?」
「ロラン、わたくしは食いしん坊ではありませんよ」
「あはは、そうですよね」
「……ロラン」
「はい?」
「お土産、楽しみにしていますからね」
「はい、期待していてください。では、おやすみなさい、ディアナ様。また明日」
「はい、ロラン。また明日」
わたくしたちは明日に備えて別れました。
中庭にはホワイトドール―――∀が悠然と構えています。
わたくしは自分の周囲に誰もいないことを確認すると、瞑目し胸の前で合掌して祈りました。
どうかロランをお護りください。わたくしはどうなっても構わない。彼が無事に終戦を
迎えられればそれで良い。だからどうか、あの心優しい少年のことをお願いします。
ロランにホワイトドールのご加護がありますように……。
ロラン、これからもよしなに。
88 :
通常の名無しさんの3倍:2007/05/03(木) 23:02:36 ID:??? BE:711547597-2BP(123)
全アメリアが泣いた。
GJ!!!
>>86 お手数おかけしました。
前回も10と11の間で30分以上も間隔が開くことがあったので
もしかしたら今回もと思っていたのですが
見事にそうなってしまいました。
風はまたそよぎましたな、GJ!!!
やべぇ、俺マジ涙目。°・(つД`)・°。
仕事の合間の休憩中なのに・・・
お疲れ様でした。超GJ!!
良かったよ。こういうのも面白いね。基本的に隠居生活がこのスレ
の基本みたいだが、新解釈みたいのがあってもここの住人は怒らないだろ。
>>91 会社で合間に読んでる人もいるのか。よしオレも頑張って書こう!
まて!しかして希望せよ!
93 :
あめはやむ:2007/05/05(土) 22:46:04 ID:???
春夏秋冬、季節の変わる頃になると体調の変化についていけない自分がいた。
「ケホッコホッ、う・・・」
気温も、湿度も管理された月に居れば地球の気候に対する順応力も落ちる。
楽をしてきたツケだろう。今の時期は体が不安定だ。
起きた時はなんともなかったが、いつものペースを保とうとしても次第に体が悲鳴をあげる。
ベッドに横たわり、体温計をのぞく。
「・・やっぱり」
目を閉じれば体の節々の痛みが和らぐ。
体はそれを知っている。だが頭はそれを拒む。
「だって、今日は・・・」
94 :
某月某日:2007/05/06(日) 18:03:05 ID:??? BE:316243474-2BP(123)
「ゼロからの再出発。これを実現するというのは非常に困難な事だ。
見知らぬ人、違う文化、風習…成功を収めるのは並大抵のことではない。
だが!愛する者を想えば何だってできるものさ。そうだろう?」
「ぼんぼんにしちゃ頑張ったんじゃないかい」
次回、グエン・ラインフォードのローラ、私は!日k…何をする放あqすぇdfrtgyふじこlp;
次回、ディアナ・ソレルのよしなに日記「CherryBlossom」
春の風は気まぐれ…
予告↑から2ヶ月経ったうえにディアナ様萌えになってないけど…
95 :
某月某日:2007/05/06(日) 18:03:30 ID:??? BE:914846999-2BP(123)
「船路で7日陸路で3日。片道10日か…随分かかるものだな。」
「何言ってんだい。あたし達がここに来た時は1ヶ月以上掛かったじゃないさ」
「あの時とは状況も立場も違う。
私は大陸間を結ぶ航空路線が出来ていると踏んでいたが、まだ数年かかりそうだな」
「ま、技術的には向こうの方が進んでるからね」
「だからこそだよ。向こうから飛行機を送ってくると予想していたのさ。
どうやら私の認識以上にこっちへの警戒心が残っていると言うことか…」
「どうするんだい?」
「決まってるだろう?その為にこの数年を費やしたのだからな」
グエン・サード・ラインフォードはガリアにいた。
あの戦争によりアメリアにおける全てを失った彼はガリアへと渡り、小さな商社を起こした。
起業当初は食料品や雑貨といった利益は薄いものの手堅い商品を中心に展開していたが、
企業家・実業家としての才覚を活かし、最近では貴金属や工業製品など幅広く取り扱い
ガリアにおいて名を知られるほどの総合商社へと発展していた。
癖のある性格を持つ彼であるが、パートナーの強烈な個性によってその性格が
打ち消された事も事業の発展に繋がったのかも知れない。
彼のパートナー、メリーベル・ガジットのアメリアでの様子を知っている者が
今の彼女を見て当人だと気付く事は難しいだろう。
グエンと行動を共にするようになってからは濃い化粧を止め、髪を下ろし、
そこらの街娘と変わらぬ衣装を着るようになっていた。
黙って立っていれば中々の美少女である。が、そこはメリーベル。
商談の席で要らぬ茶々を入れては、ご破算にした事も一度ならずである。
本人はガリアでの新たなポジションが気に入ったようで今ではグエンの有能な
秘書を務め公私に渡るパートナーとなっていた。
96 :
某月某日:2007/05/06(日) 18:03:43 ID:??? BE:338832656-2BP(123)
今グエンは予ねてから練っていたある計画を実行しようとしていた。
事業は部下に任せ1ヶ月間アメリアへ赴くと言うものである。
部下たちへは新規販路と顧客開拓の為にアメリア東岸の数都市を視察すると説明している。
無論これは名目であり本音は別の所にある。
「今会いに行くよ、ローラ」
グエンの人生を大きく変えた一人の少年。
その少年のために彼はあらゆる辛苦を耐えてきたのである。
係員 「15時発アメリア行き客船"ラルカンスィエル号"にお乗りのお客様は3番出国ゲートより…」
グエン「では行ってくる。留守の間は頼んだよ」
部下A 「はい」
グエン「状況がよければ毎晩無線電話を掛ける。何かあったらその時に教えてくれ」
部下A 「畏まりました」
月からの技術流入により地球世界は交通・通信技術を中心に急速な発展を遂げつつあった。
無線電話もその一つである。天候に左右されるものの数年前まで
伝書鳩で連絡していた事を想えば隔世の感ありである。
97 :
某月某日:2007/05/06(日) 18:03:53 ID:??? BE:316244047-2BP(123)
「おはようございます、ディアナ様」
「おはようロラ…ん…」
「今日もいい天気ですよ」
「あ、窓は開けないでくださいまし」
「すみません。でも少しは空気を入れ替えないとかえって毒ですよ」
「でも…うぅ…ズルズル」
「さ、どうぞ」
「チーン…」
「すぐ朝食ができますからお着替えになったら降りてきてくださいね」
「よしなに」
最愛の人に鼻を噛むのを手伝わられる。これ以上の恥辱はないでしょう。
しかし、今月になってから急に鼻水が出やすくなってしまい朝の日課になりつつあります。
ロランが言うには花粉症というものだそうで…
98 :
某月某日:2007/05/06(日) 18:04:10 ID:??? BE:90355542-2BP(123)
「ストレスやライフサイクルの変化が体質に影響して発症するそうです。
今まで平気だったのに急になる場合もあるようですね。」
「体質ですか」
「去年と何か変わった事はありますか?」
「いえ、(体重以外)特には…あ、最近ウォーキングを始めましたがそれでしょうか?」
「去年も雪がないときは散歩をされていましたから、それはないと思いますが…」
「はぁ」
「とりあえずここに来られた頃の食生活に戻してみましょう」
「食生活ですか」
「まず10時のお茶の際、お茶請けはなしにします」
「クッキーが数枚程度ですよ?」
「でも、ここに来られた時は紅茶1杯でしたよね?」
「えぇ、まぁ…」
「次に午後のティータイムのおかわりは1杯までお茶請けを半分にしてみましょう」
「……」
「それから夕食後のお茶の際は一切お茶請けなしと言うことで如何でしょう?」
如何でしょう?と聞かれてもこれといった代案が出せるわけもなく
自らがいかに間食していたかを再認識させられ、ましてその結果に悩んでいる現状では
「よ、よしなに……」
そう応えるのが精一杯なのでした。
99 :
某月某日:2007/05/06(日) 18:04:22 ID:??? BE:474365276-2BP(123)
朝食後、そんな回想をしていたワタクシの耳にドアベルの音が届いてきました。
ロ「どちらさまです?」
グ「やぁ、ローラ」
ロ「グ、グエン様?」
デ「え?」
グ「お邪魔していいかな?」
ロ「あ、はい。どうぞ」
デ「ん?」
グ「あぁ、こちらはメリーベル。私の秘書だよ」
ロ「メリーベル?メリーベルって…あの?」
メ「久し振りだね。ローラ・ローラ」
ロ「ロランです」
メ「ま、どっちでもいいんだけど…ディアナ・ソレル?」
デ「キエル・ハイムです」
グ「ご無沙汰しています、キエル嬢。ご機嫌はよろしいようで?」
デ「えぇ。グエンさんもお元気そうで」
100 :
某月某日:2007/05/06(日) 18:04:32 ID:??? BE:203300036-2BP(123)
予想外の訪問者に戸惑いつつもロランは手際よく用意をし、
グエンさんとメリーベルさんは軽めの朝食をロランとワタクシは紅茶を手にテーブルを囲みます。
ロ「それでグエン様はどうしてこちらに?いえ、今まで何を?」
グ「話せば長くなるので割愛しますが、今はガリアで商社を経営しています。アメリアへは市場開拓の為の調査に」
デ「そういう事は経営者がする事とは思えませんが?」
メ「まぁ、そうなんだけど、部下は全員ガリア人かムーンレイスだからねぇ」
グ「調査するからには相手の事を知っている必要があるからね。それで私が動いたまでさ」
ロ「じゃあ、リリ様たちにもお会いになったんですか?」
グ「いや、リリ嬢やボルジャーノ公と言った人たちとは会っていない。
ビジネスの為に来たのであって政治の為じゃあないからね」
ロ「そうですか。でもそれなら何故ここに?」
グ「ははっ。息抜きも必要だよ。ローラとは仕事や政治抜きで会えるからね」
ロ「はぁ…グエン様、先ほどムーンレイスも働いていると仰ってましたが?」
グ「あぁ、そうだよ」
デ「アメリア大陸以外にムーンレイスが入植しているのですか?」
グ「んー。ディアナ・ソレルはアメリアへの、正確にはサンベルト地帯への帰還政策を行った訳だが、
人と言うのは好奇心が強い生き物だからね。その先に見知らぬ地があると分かれば行ってみたくなるものさ。
数は少ないがガリアに止まらずエフリコやエイジアにもムーンレイスは住んでいる。
100年もすれば、今地球人がいるところにはムーンレイス或いはその子孫もいるのが当たり前になるだろう」
デ「そういうものですか?」
グ「そういうものです」
ロ「そういうものなんですか」
メ「そういうものなんだろ」
101 :
某月某日:2007/05/06(日) 18:04:45 ID:??? BE:338832465-2BP(123)
デ「どうしてメリーベルさんはグエンさんと一緒なのです?」
メ「ギンガナムがいなくなって清々したのはいいけど、行く宛なんてないから付いて行っただけだよ」
デ「入植やディアナカウンターへの合流は考えなかったのですか?」
メ「私はギンガナムの元にいたんだよ?そんなとこ行ったら戦犯として処分されるのが落ちさ」
デ「そのような事は…」
グ「キエル嬢」
デ「はい」
グ「メリーベルにはメリーベルの事情があって私の元にいるんだよ。君がローラとここにいるようにね」
デ「あ…不躾な事を聞いてごめんなさい」
メ「別にいいさ」
グ「さて、そろそろお暇するとしよう」
ロ「え?もうですか?」
グ「うん。仕事で来ているからね。朝食美味しかったよ、ローラ」
ロ「お粗末さまでした」
グ「じゃあ。またいつか会おう」
ロ「はい」
メ「バイバ〜イ」
デ「ごきげんよう」
102 :
某月某日:2007/05/06(日) 18:05:12 ID:??? BE:304948793-2BP(123)
「すんなり帰っちまうのかい?」
「あぁ」
「何のためにここまで来たのさ?この3年の結果が30分の朝食でいいのかい?」
「彼が動いたとなれば、止むを得ないさ」
「彼?」
「船上の無線電話で金塊の話があったろう?」
「?」
「あれは架空の取引で実は暗号になってるんだよ」
「どういうことだい?」
「軍用と違って船舶電話は暗号化されているわけじゃない。傍受設備があれば誰にだって聞ける」
「それで?」
「大口取引のため小切手とは別に金塊300sでの支払い許可を求める。
この場合、小切手だから後、金塊はゴールドタイプ、300sは3日。
つまり3日後ハリー・オードが来ると言う意味なのだよ」
「それじゃあ?」
「あぁ、昨日のうちにここへ来ている筈だ」
「だから引き下がるのかい?」
「私だって命は惜しい。それにチャンスはまだある。
今回アメリア復帰への足がかりを掴めば、1年後には本拠地をこっちに移す事もできるだろう。
そうなれば、メリーベル。お前の月帰還のチャンスも巡ってくる」
「わ、私は別に…月に戻れなくても…」
「メリーベル。このまま私と一緒でいいのか?」
「だ、だから前々から私はそれでも…
わ、私がいなきゃ困るんだろ?だから居てやるって言ってるんだよ!」
「…あぁ。そうか、すまんな」
「ったく、いつまで経ってもぼんぼんなんだから…」
「グエン」
「ん?」
「来る時、列車から見えたピンクの奴…桜だっけ?あれ見にいこう」
「そうだな、見にいくとしよう」
#END
>>94-102 乙、そしてGJ!!!
CherryBlossom、桜の花。
銃で撃ち抜かれない真面目なグエンを久しぶりに見た気がする
ED以降をシリアスに書くとやっぱり
ディアナ様はキエルお嬢様として名乗るんだよな
>>93と
>>94〜以降は別のSSなんだよね?
どっちもディアナ様の鼻具合が悪そうなのは共通してるが…
もし別ならぜひ続きを。
105 :
某月某日:2007/05/06(日) 21:21:40 ID:??? BE:711547597-2BP(123)
>103
私にとってはグエン初登場である事と、ディアナ様を取り巻く環境が人によって違うので
私の世界観説明のために前半にぐだぐだと説明書いてたりします。
補足するとグエンはディアナ様とキエル嬢が入れ替わっている事を知っています。
ハリーの動向を掴める程度の情報網を持っています。
その辺も書こうとしたんですが無駄に長くなるので省略。
メリーベルがいるのでキエル嬢と呼んでいますが、それなりの敬意もあるので
中途半端に丁寧な台詞があったり。。。
>104
>93の方とは別人です。
花粉症にしたのは前回の減量宣言とのつながりを持たせるためです。
あぁ、DVD-BOX見終わっちゃった。
6/22まで長いなぁ……
保守
ちと待てもうそろそろ上げるから
もう少し待〜つ〜わ〜
いつまでも待〜つ〜わ〜
ほかの誰かにあなたがフラれる日ま〜で〜(byグエン)
>>111 ディアナ「ロランが他の誰かにフラれるとはどういう意味ですか…覚悟!」
ビシッ ドサッ ………ッターーーン……
━━━一寸後━━━
グエン「(ムクリ)…クソッまたか!(こめかみの小さな孔から鉛弾を
ほじり出しつつ)痛っ…着弾の後に銃声、という事は今度は1q以
上の遠距離からか。ディアナ・ソレルめ、また腕を上げたな。」
カズマ「やらなきゃいけねええ!!自分の場所を切り開かなきゃいけねえ!
来いよプレッシャー!何もない未来に道を作らなきゃいけねえ!
てめえの力で!」
>>112 もはや立派な狙撃手w
……ということは、あんなモノやこんなモノも垂れ流し!
115 :
あめはやむ:2007/05/14(月) 18:10:41 ID:???
気だるかったが、寝ていても治らない気がして庭先に立ち尽くしていた。
否、立っている他無かった。今はこうしている方が落ち着く。
庭先の青々とした芝生を踏みしめながら風に当たる。それだけで癒される気がして。
「どうしたのですディアナ様?」
窓辺からロランが話しかけてきた。私の様子が少しでもおかしいと、こうやって心配して話しかけてくる。
それは勿論嬉しい限りだ。しかし
「何でもない、と言っても無駄なんでしょうね」
「はい」
「ふぅ、困った子だわ・・・」
満面の笑みを浮かべられた。それにはさすがに呆れるしかなかった。
「いいですかロラン」
「はい」
「実は今わたくし、病気なんです」
「え?」
ロランの笑顔が一瞬にして氷ついた。顔面蒼白とはこの事だろう。
「ど、どこが悪いのですか?」
「ここです」
胸に手を当てた。
「まさか・・・心臓が悪いなんて!」
「ぜんっぜん違います」
「え?では肺がどうかなってるとか?」
「はぁ・・・」
思わずため息が出る。まあ自分の説明も悪いのだが。
「実はですね」
「はい」
息を飲む。
「心の病です」
「あぁ、なるほど!上手いですねディアナ様!」
・・・・・。
116 :
あめはやむ:2007/05/14(月) 18:30:24 ID:???
気だるかったが、寝ていても治らない気がして庭先に二人で立ち尽くしていた。
否、立っている他無かった。今はこうしている方が落ち着く。
庭先の青々とした芝生を踏みしめながら二人で風に当たる。それだけで癒される気がして。
「熱は無かったですかディアナ様?」
隣でロランが話しかけてきた。私の様子が少しでもおかしいと、こうやって心配して話しかけてくる。
「それは勿論嬉しいですよ?」
「何がですか?」
「いえ、こちらの話です」
「体が重くて咳も出たのですが、やっぱり平熱でした」
「なるほど」
結局、体はなんともなかった。ただ何をやるにしても憂鬱である。
そんな時の生活ペースはまるっきり上がらない。
「季節の変わり目ってなんかそんな感じですよね」
「ふぅ、困ったわ・・・」
頬に手を当てる。何か不安だけれども、それが何なのか分からない。
だからロランにも言いようがなかった。
死ね!糞おんな! アウアァアアアアア!!!
__ .., -ー-、.
//ヽヽヽ〈=◎=-,___>
川 `Д) Д`|-| `i,)Σ
ε≡≡ ○ヽll、)と円と!、ノ
ε≡≡ 人 つ=l二;;゙,ノ|^|
ε≡≡ (__(__)(/゙`し 'y' どすっ!
みんな〜、MG100体めは∀だぞ〜〜。
早く発売日来〜〜〜い!
八月某日
.., -ー-、.
<___,-=◎=〉
i’ |-|*゚ー゚)| <よしなに
ゝ,|,.|()円,こllつ/l二二二l
|^| ,∪ ==| //MG∀/
y ゝ、__〉,_〉
∪ ∪
__
//ヽヽヽヽ
川 ´∀`) <出来ました!
(‖ ‖llつ
|―−|
| | |
(__)_)
┌┐、
_____`ヽ ヽ
. -└┘-`、l ヽ
/ \ ヽ.
/ ∀ / ヽ /l
/ l .-、__.ィ---、 レ |
l. l K)l_l-く> ゝ . ´./| ターンエェェェエエエエエエ!!!
|ゝ、_|└/\―--_'. ´ /|ヽ_|
ヽ ` ̄| ̄| ̄ ̄ /7/ ̄
`' 、_.|_|______./___// /V乙-‐  ̄\
/ ̄ / /^Y´ ` ー厂 ∨ } _,
/ r┘」 -ヘ < _,ノ `ュ=一… ´ ̄
! └ { r‐- } 」 / /
, ヘ }_ ,ハ f辷 』 r' | / / _, -‐ ´
_ / | r!Y 冫 `フ _, -‐'¨ ̄
ヽ\>┐/ >、 くiヽ-rヘ、__r¬イ く{ _二フ´
. _∨  ̄ _, -' ` ヘ l { ヽーァ< ̄
`¬ヘ、_>‐' \ヽ 、 イ / ̄ ̄/ ___
ヽヽ ̄` ヽ ヽ /┐/ ̄ /ヽー'⌒\
ぃ_ ト、//´ _厶-─一く ` ̄\_
〉ー ニ / / `ヽー一¬< └‐-、 \
/ ヽ- ' ∧ \ ヽ / \ 〈
.., -ー-、.
<___,-=◎=〉
i’ |-|#゚Д゚)| 月光蝶かますぞゴルァ!
ゝ,|,.|()円,こllつ
|^| ,∪ ==|
y ゝ、__〉,_〉
∪ ∪
保守なに。
新たな風を導く為、上げませい!!
ディアナさま萌えー
よしなに
揉み揉み
何をする、無礼者!!
ロラン「クッソ〜!やりてぇよぉ〜!!」
そこに丁度来たディアナ様
ディアナ「!」
ロラン「ディ、ディアナ様!…い、い、今のはですね、僕もスキーがや
りたいなぁと、ソシエお嬢様が羨ましいなぁって…」
ディアナ「そ、そうなんですか…(やだ私誤解しちゃった////)」
ロランはそんなこと言わない
4号室はグエン・ラインフォードで6号室はテテスさんか…。
オーナーがシド爺さん
131 :
通常の名無しさんの3倍:2007/05/27(日) 18:23:51 ID:ponr9UK4
>>128 逆に考えるんだ。トロワスレのトロワロボ的な存在だ、そう考えるんだ(AAry
SSを書くのって難しいねと思う今日この頃
他力本願だけどスレの活性化を願って自分に出来ることをします
保守
保守
134 :
通常の名無しさんの3倍:2007/06/06(水) 10:15:30 ID:jV61jMnG
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つ【ビリーズブートキャンプ】
BOXが発売されれば賑わってくれるかな
ほ
なんちゅー良スレ
逆襲のグエンスレといい、∀関連スレは愛情がこもってるなw
定住保守
よ
し
な
さ
ん
吉名さん
誰やねんな!?
ワロタwww
○月×日
余り食っちゃ寝生活が続いておデブちゃんになってしまうとロランに嫌われると思い、
わたくしは巷で評判のとある品物を手に入れました。
ディアナ→(*´・ω・)
(0□0) ←ビリーズブートキャンプ
v v
(*´・ω・)=つ≡つ )) __
(っ ) / . | i \ \ /
/\ ) / | i l =l ワンモアセッ!
(_/⌒\_)/ | |__ノ ノ \
| ̄ ̄| ̄ ̄|
三日後…
ディアナ→ (゚Д゜)
ノヽ /ヽ_
/^v ̄Y ̄v⌒ヽ
i ム i 人 i
/ ̄(゚) ̄旦 ̄ ̄∧
/_______/◆ヘ
`/◇◆◇◆◇◆◇ヽ//
(ニニニニニニニニ)/
ロラン「はいはい、もう暑いからコタツは片付けましょうね」
突っ込むとこ、そこじゃないと思います…。
148 :
通常の名無しさんの3倍:2007/06/21(木) 18:22:30 ID:YrZpgg2A
中の人は相変わらずそうでヨカタw
ズレすぎ
>>147 アンカからポップアップ?してみると普通に見えるんだがな。
AAスレの人なら詳しいんだろうが……
半角スペースとかの所為?
今日はロランはノックスまでお買い物。
ロランも最近はわたくしに家事を任せてくれるようになり、今はお掃除をしています。
なんだか夫の帰りを待つ女房みたいですね、などと一人浮かれながら
上機嫌で掃除をしていました。
ダイニングやキッチンの掃除が終わり、いよいよロランの部屋のお掃除です。
ロランの部屋の前にやってきたわたくしは、静かにドアノブを回しました。
普段からロランの部屋にはお邪魔させてもらっていますが、やはり綺麗ですね。
絨毯には塵一つありませんし、窓ガラスもピカピカです。
わたくしは部屋の中の空気を肺いっぱいに吸い込み、大きく深呼吸をしました。
「……いい匂い」
ロランの部屋の中に漂う海の香り、それは月の運河で長年生活していた
彼の匂いなのかもしれません。たとえロランがいなくてもこの部屋に来れば
ロランがすぐ側にいてくれるような気がする。そう思いながら
わたくしは汚れ一つ落ちていない部屋を掃除しようと、ロランの部屋に足を踏み入れました。
その時、机の上にそれだけが無造作に開かれていた一冊の本が目に入りました。
「何かしら、これ?」
最初は小説か何かかと思いましたが、手にとってその本を見たわたくしは
思わずその本を落としそうになりました。
「違う。これは、日記ですか」
そう気づいたわたくしはその本を元の場所に戻し、直ぐに視線を逸らしましたが
同時に彼の日記を読んでみたいという欲望がわたくしの中から湧き上がってきました。
いけません! これはロランの物でわたくしの日記ではありません。
人の日記を盗み見るなど彼の信頼を裏切るおつもりですか!?
何を言うのです! 愛する人の本心を知りたいと願うのは、人として恥ずべき感情ではありません。
今ロランのいないこの状況は絶好の機会ではありませんか!?
わたくしの中の天使と悪魔が一進一退の攻防を繰り広げていましたが、わたくしの瞳が
再び彼の日記を捉えた瞬間、わたくしの中の天使はわずかに動きを止め
その隙を悪魔の矛に貫かれていました。欲望に討ち負けたわたくしは
「少しだけ、少しだけなら許してくれますよね?」
と、自己弁護の言葉を並べながら開かれていた一行目に目を移しました。
○月×日 晴れのち曇り
今日はソシエさんが遊びに着ました。
ハイム鉱山の経営は順調らしく何よりだと思います。
僕はディアナ様とソシエさんにお茶を用意して、洗濯物を取り込んでいると
下の階から甲高い大声が聞こえてきました。
『返して!』だの『嫌です!』などの声が飛び交い、時々僕の名前も
聞こえてきました。喧嘩の原因を聞いても
『『ロランには関係ありません!!』』で一蹴されることは分かっているので
僕はそれ以上訊かないようにしていました。
ソシエさんは帰り際に『絶対に諦めないわよ!』という捨て台詞を吐き、
それに対してディアナ様は『何があっても渡しませんからね!』と負けず劣らずの
声で返していました。ソシエさんが帰られてからも、ディアナ様は僕にソシエさんの
不満を話していましたが、そんなディアナ様がどこか楽しそうに見えたことは
ディアナ様には言いませんでした。
まったく、ロランは暢気でいいですわね。ロランはソシエさんに狙われていることを
知らないからこんなことが書けるのです。わたくしはソシエさんが来ればロランを
魔の手から守るために自分の全エネルギーを解放してソシエさんと仁義無き死闘を
繰り広げているというのに。しかもどこか楽しそうなどと、どう見たらそう思えるのでしょう?
ロランの他人事のような日記にため息をつきながら、わたくしは次のページを開きました。
○月△日 晴れ
今日は復興の兆しを見せるノックスまでディアナ様とお買い物に行きました。
食料品を買うだけの予定が洋服だの化粧品だの余計な出費がかさみ
財布の中身が予想以上に軽くなってしまいました。
中でも宝石店に立ち寄った時は大変でした。
ディアナ様が高貴なお方であることは十分理解しているつもりですが
僕が月に稼ぐお金の5倍はするダイヤモンドのネックレスを躊躇うこと無く欲しい
と言われたときに、僕は本気で血の気が引きました。
ぼくはなんとかディアナ様を丸め込んで強引にディアナ様の手を引きながら
宝石店を後にしました。今度からはディアナ様には家にいてもらおう。
ただでさえ家計は火の車なのに、このままだとキエルさんに頭を下げて
生活費を免除してもらわなければならないかもしれない。
とりあえず、ディアナ様には家事をお願いしよう。
こんなことはしたくないけど、生活のためだ。お許しください、ディアナ様。
なんですかこれは。これではわたくしのせいでロランに苦労をかけている
見たいではありませんか。だいたいわたくしは元女王なのですからお金に困っているのなら
相談してくだされば良いのに。ロランが望むなら本当なら豪邸に住むことだって出来るのですよ?
それに、最近わたくしと買い物に行きたがらないことにはこういう理由があったのですね。
彼が帰ってくる前にリビングのテーブルの上にこのページを開いておいて置きましょうか?
ロランがどういう言い訳をするか楽しみというものです。
ロランへのお仕置きも考えながら次のページを開きました。
○月□日 晴れ
今日は久しぶりにキエルさんがやってきました。
『お仕事は大丈夫なのですか?』とお伺いすると
『女王は忙しいからたまには休んでもいいのです。ね、ディアナ様?』
『キエルさんの言うとおりです。そのくらい罰は当たりません』
とのこと。……仕事してください。
まあそれは置いといて、なんでもキエルさんが突然やってきたのはハリーさんと
喧嘩したからのようです。それだけで女王の仕事を休まれたハリーさんは大変でしょうね。
どこからお酒を持ってきたのか、二人とも僕やハリーさんの不満を肴にお酒を飲み始めました。
最初は意気揚々とお酒を飲んでいましたが、段々呂律が回らなくなり、最後には
二人してテーブルに酔い潰れてしまいました。
結局二人を寝室に運ぶのは僕の役目かと内心ため息をつきながら
二人をディアナ様の寝室に運びました。
二人を運んだとき、やっぱりディアナ様のほうが重く感じたけど、
これはディアナ様には内緒にしておこう。
ちょっとロラン。やっぱりとは何ですか、やっぱりとは。たしかにわたくしは
重くなりましたよ。えぇ、地球帰還前より重くなりましたとも! だからと言ってそれを
日記にまで記す必要は無いじゃないですか! ロランにはデリカシーが足りません!
乙女(ちょっとだけ語弊があるかもしれませんが)の心をこうも簡単に
傷つけられるロランにはお仕置きが必要ですね。
それにしてもそんなに太ったのでしょうか? わたくしは自分のお腹の周り
を触ろうとして、欝になるだけだとわたくしの中の何かが囁き辞めておきました。
キエルさんのお召し物、今でもピッタリ着られますよね?
ここまで散々に書かれていた日記の内容に、わたくしは当初の罪悪感など消え去り
パラパラとページを捲りながらどれも似たようしかが書いてないことにわたくしは
軽く閉口してしました。
そんな中で、今までの日記とは違う少し異質なページが目に留まりました。
そのページは今までの2、3倍は長く記されており、普段の整った筆跡とは異なり
言葉が悪いですが少々乱雑に書かれているように感じました。
いったいこの日に何が起こったのだろう。わたくしは今までの気持ちを改めて
一行目に目を凝らしました。
☆月◎日 雨のち晴れ
その日、僕はディアナ様の悲しみを少しだけ知ることができたような気がした。
それはいつもと何も変わらない夜だった。僕はトイレに行きたくなり目を覚ました。
僕が自室に戻る時、僕の部屋のほうから悲鳴に近い大声が聞こえてきた。
その声がディアナ様の声だと気づいたときには走って部屋に飛び込んでいた。
そこには真夜中だというのに、僕のベッドに腰掛けていたディアナ様が
自分の肩を抱いて俯いていた。僕の姿を見たディアナ様は立ち上がって僕の背中に
腕を回してきた。一瞬どうすればよいのか分からなかったけど、僕の耳元でディアナ様が
泣いていることに気がつくと、僕はディアナ様を抱き返した。今にして思えばどうしてその時
冷静でいられたのだろうと不思議だけど、その時の僕には迷いは無かったように思う。
僕はディアナ様の震えが止まるまで、ディアナ様を離さなかった。
数分後、ディアナ様が落ち着きを取り戻されたようなので、僕はディアナ様を
自分のベッドの上に座らせてどうされたのかお伺いした。
ディアナ様は恐い夢を見たと口にされた。最初は夢にうなされるだけでここまでなるのかとも
思ったけれど、話を聞いているうちに僕は言いようの無い息苦しさを感じていた。
夢の中でのディアナ様は、望まない冷凍睡眠をすることで僕やハイム家の人たちと
二度と会えなくなってしまう夢を見たらしい。
冷凍睡眠に関する話はディアナ様から何回か聞いたことがあったけど、
ここまで血の気の引いたディアナ様のお顔を見たのは初めてだった。
話をされている間に自分自身を取り戻せたようで、一時間もすれば
いつもとほとんど変わらないディアナ様がそこにいた。
僕はディアナ様に今夜だけでいいから一緒に寝て欲しいと頼まれた。
僕がそうすることで、ディアナ様が心安らかに眠れるなら僕は構わなかった。
ディアナ様は僕と同じベッドに入って10分としないうちにお休みになられたようだった。
予想通り、僕は興奮と緊張からなかなか寝付くことはできなかったけど
隣で寝ているディアナ様が安らかなお顔をされていればどうでも良い事だった。
きっとディアナ様は、僕と一緒に暮らすずっと昔から、孤独に苛まれてきたのだと思う。
その華奢な両肩にムーンレィスの積年の思いを背負い、その苦悩や不安を誰にも相談できずに
たった一人で戦ってきたのだろう。そしてその呪縛から開放された今でも、
不安に襲われるときがあるのかと思うと、僕は胸が締め付けられる思いがした。
苦しまれる必要なんて無いのに、悲しまれる必要なんて無いのに。
不意に、ディアナ様は口元を緩め、寝言と思えるディアナ様の言葉が僕の耳に流れた。
……そうだ、ディアナ様は地球での生活を僕に預けてくれたんだ。
僕が絶対にディアナ様を幸せにするんだ。これ以上ディアナ様が悲しい思いをしないように。
ディアナ様の周りがいつも幸せで包まれるように。
僕は自分の心にそう誓った。
読み終えたわたくしは目を瞑り、ロランの日記を自分の胸に押し当てていました。
そういえばこんなこともありましたね。悪夢から目覚めた時、ひたすらロランに
会いたいと思って彼の部屋に行ったらロランがいなくて、本当に消えたのかと
考えてしまったわたくしは、血を吐くような叫び声を上げてしまったんですよね……。
それでロランが戻ってきてくれたら、強張っていた全身がバネの様に動いて
ずっとロランを抱きしめて泣き続けていたんですよね。
それに、ロランは自分が眠れなくなることを承知の上で、わたくしの為にと一緒に寝てくれた。
ロランはいつもそうでした。彼は自分の身を省みずわたくしを救ってくれる、支えてくれる。
ロラン。貴方と出会えて、貴方と暮らすことの出来るわたくしは本当に幸せですよ。
「ロラン……。ありがとう」
「なんのことかは存じませんけど、僕だってディアナ様に感謝していますよ」
誰もいないはずの家の中で優しい声が耳を打ちました。
振り返ると入り口の前で柔和な笑みを浮かべていたロランがそこにいました。
「ロラン!」
わたくしは考えるより先にロランに飛び込みました。そんなわたくしに戸惑いを
見せながらも、ロランはわたくしを受け止めてくれました。
「どうされたんですか!?」
「ふふ、どうもしませんよ。ただ、ロランの温もりを肌で感じたいだけです」
ロランはわたくしの言葉に押し黙ってしまいました。人形のように動かなくなってしまった
ロランにわたくしは彼から体を離し、ロランを覗き込むように見ました。
「ロラン?」
「す、すみません……。なんかこう、なんと言いますか」
「照れているんですか?」
「……多分そうだと思います」
わたくしと目を合わせようとせず、紅潮させた頬をかきながら話すロランの様子に
自然と口元が緩むのを感じました。
「僕の日記を呼んでいたのですか?」
わたくしの手の中にある日記を見ながら、そう答えたロランの言葉に身震いしました。
そうだった、これはロランの物だったんだ。日記を読むことに夢中になって
自分の物のように読みふけっていたわたくしはロランの心の領域に土足で踏み躙って
しまったことに今更ながらに罪悪感を覚え謝罪しました。
「申し訳ありませんでした。いけないことだと分かっていたのですが」
「まぁ、別にいいですけど。ディアナ様はお怒りにならないんですか?」
「何故です?」
「だって、結構ディアナ様が怒りそうなことも書いてあったと思いますけど」
たどたどしく話すロランの言葉に、わたくしは首を振りました。
「良いのです。大半はわたくしの自己責任でしたし、もっと素敵なものを見られましたから」
口ではそう答えたものの、わたくしの中に後悔の念が波のように押し寄せてきました。
「でも、やっぱり悪いことですよね。ロランの日記を盗み見たんですから」
「そんな、僕は別に気にしていませんよ」
どうしてこんなことをしてしまったのだろう。ロランが許してくれたとしても、
このまま終わらせてしまえば自分自身にけじめが付かない。何か良い方法は無いものか?
「そうだ、ちょっとだけ待っていただけませんか?」
ロランの返事を聞く前にわたくしは急ぎ足で自分の部屋に戻り、机の引き出しの中から
一冊の本を手にとってロランの下に戻ってきました。
「ロラン、これを貴方にお貸しします」
わたくしは自分の手にある一冊の本を差し出しました。
「なんですか、これ?」
「わたくしが今までに記した日記です。これにはわたくしの本心が書かれています。
どうぞご覧になってくださいませ」
言葉通り、この日記には今までの生活でわたくしが感じてきた本音が記されており、
たとえロランと言えども見せることには抵抗がありました。
でもこれはロランの意思を無視したことへの贖罪なのだと自分に言い聞かせて彼に渡しました。
「そんな大切なものを僕が読んでよろしいのですか?」
「わたくしは、その大切なものを無断で読んでしまったのです。貴方が読む価値は無いと判断すれば
見なくても構いません。でも、こうでもしないとわたくしの気持ちが収まらないのです」
ロランは少し迷ったような素振りを見せましたが、やがてロランは静かにわたくしの
手から日記を受け取りました。
「わかりました。拝見させていただきます」
「その代わりといっては何ですが、ロランの日記をもう一度貸していただけませんか?」
「僕だってディアナ様の日記を見せていただくわけですし、良いですよ」
「ありがとう」
その日の夜、夕食を採ってお互いの日記を見て思ったこと、感じたことを話したわたくしは
自分の部屋に戻っていました。机とセットになっている木製の椅子に腰掛け
ペンを手に取ったわたくしは自分の手元に帰ってきた日記に、今日起こったことを書き始めました。
☆月●日
ロランの部屋を掃除したとき、わたくしは彼の日記を見てしまいました。
見てはいけないと思いながらも自分の気持ち押さえられませんでした。
今にして思えばロランには本当に悪いことをしてしまったと思っています。
でもわたくしはロランの日記を見て、普段さり気無く接してくれているロランが
本当は自分の身よりもわたくしのことを優先して助けてくれていたことを改めて知りました。
わたくしはロランに感謝をしながらも、自分だけがロランの本心を知っているのは
卑怯だと思い、自分の日記をロランに渡しました。
数時間掛けてわたくしの日記を読み終えたロランは
『ありがとうございました。ディアナ様が側にいてくれて本当に良かった』
と言ってくれました。お互いの気持ちを以前よりも知ることが出来たことに
わたくしは胸の中が暖かくなっていくのを感じました。
ロラン、今日まで本当にありがとう。貴方には本当に感謝しています。
貴方よりずっと長い年月を、気が遠くなるほどの年月を生きてきたわたくしですが、
貴方から見れば、わたくしはまだまだ子供なのかもしれません。
それでもわたくしはこれから先何が起ころうとも、いつまでも貴方と共に生きたいと思っています。
そして頼りないわたくしですが、どうかこれからもよろしくお願いします。
ロランの周りが、いつも幸せで包まれていますように。
ロラン、これからもよしなに。
良いよ、良いよ。
GJ!!
自分でもSS書いてみようと思ってたけど
職人さんのを見たら書く気無くしたwww
GJ!
この一言に尽きるっ!!
ちうことはロランはディアナ様の「ロランお菓子てぇ!」という本音を知ってしまうということ?
☆月●日
ロランの部屋を掃除したとき、わたくしは彼の日記を見てしまいました。
見てはいけないと思いながらも自分の気持ち押さえられませんでした。
<以下、ロランの日記の内容>
○月×日
今日、ヤツへの侵入に成功した。
ていうか、他のヤツと一緒に入ると気付かないなんて、トロイ奴だなぁ
○月▼日
今日はロランが襲われそうになったので、咄嗟に怪力を発揮して助けた。
ソシエは「ロランも強くなってきたって事ね!!」なんて言ってたから、どうやら気付かれてはいないらしい。
良かった。
○月■日
今日は、大好きなお姉ちゃんに会った。
お姉ちゃんだ〜い好き!!
○月☆日
今日は、お姉ちゃんの臭いがする阪神ファンに会った。
何か、気に入らないな。
■月○日
あの阪神王子はお姉ちゃんのコンヤクシャらしい。
お姉ちゃんはあいつが強いから好きなんだって。
じゃぁ、僕がアイツを倒せば、僕の事好きになってくれるよね?
やっぱり、そっくりさんでもディアナさんはお姉ちゃんとは違うし。
ろ、ロラン…、これは一体…。
とりあえず、よ、よしなに!!
ワロスw
ってか日記に書いたらこっそり入ったのがだいなしだwww
ほしゅなに
よし・・・
・・・のや?
ロラン、街に行くついでに並盛り一つ買ってきてくださいまし
∀は全く見てないのですがここでロランとディアナが好きになりました。
職人さん乙です!!!
見ろw
見るとさらに燃えられるよハァハァ
よう以前の俺。
見たら見たでさらにソシエにああぁぁあしてしまう
>>172 レンタルでいいから本編見てみろ
多分∀好きになれる資質がある
まあ本編の二人はそんなにベタベタしてないけど
ほしゅなに
熱気が体を覆い、湿気が体に付着し、無限にまとわりつく。
「もうそんな季節だもんな」
屈んだ腰を伸ばし、腰のタオルで汗を拭う。そして手をかざし、恨めしそうに真上にある太陽を見据えた。
今は家の周りの鬱陶しい雑草をむしっていた。結構な量だ。
実はディアナ様もさっきまでむしっていたが、
熱射病になってはと5分おきに30分のクールダウンをさせている。
「それでは休んでいる時間の方が長いでしょう、ロラン!?」
「休むのが仕事なんです」
「なるほど…って使い方が違います!」
そんなわけで無理矢理家の中に押し込めた。
こういう作業は1人でやりたかった。
ディアナ様を責めるわけでは無いが、こういう時はどうしても性格の違いが出る。
例えばディアナ様がむしり終えた箇所のむしり残しが気になって、僕が無言でむしりに行く。
それを横目で見るディアナ様。
「なんて嫌味なんだ僕は!きっと気分を害されるに違いないっ!!」
「わたくしはそんなに小さい女ですか?」
全部聞かれていた。
GJ!!
>5分おきに30分のクールダウンをさせている
ワロタwwwwww
このプロローグ部分だけでもうなんとまったり(*´∀`)
今年の夏のディアナ様はどんな格好でロランを悩殺するんだろう…
一昨年のキャミ+ショートパンツにゃ萌えたなあ(*゚∀゚)
白いワンピースに決まってるじゃないか!!
当然胸はその大きさを強調すべく
あれ、なんだこの輝く粉は?
>>180 う、いくつかの短編集にしようかと思ってたんですけど…
確かに何か物語っぽいので物語にしてみまふ
月の風読んだらディアナ様が巨乳だし
乳首丸出しだったので一発抜いた
ほんとすんません
ノ∩
⊂
>>184ヽ
/( 。A。 )っ
U ∨ ∨
__ ・@;∴‥
//ヽヽヽヽ∩ :: :.
川 ´∀`)/ :: ::
(つ 》 》/ :: :'
人⌒l ノ :: ::
し(_)
:::;?
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コレはひどいコピペミス
なんか壁に汚物塗りつけてるみたいだw
とうとうボケたか・・・
ロランとの隠棲生活を始めてから既に一年。春の心地よい風は終わりを告げ、
太陽から強い日差しが照りつけ始めていました。
終戦後の雪の降り積もる夜、ハイム家の前で別れて以来連絡を取っていなかった
ソシエさんとも、今では以前のように会えるようになっていました。きっかけは少し前に
届いた一通の手紙でした。
『二人の友人として、もう一度話をしてみたい』
一年間連絡が途絶えていた中でこのような手紙を出したということは、ソシエさんの心境に
何か変化があったのかも知れません。ソシエさんのロランに対する愛の深さは生半可な
ものではなく、それは同じ人を愛したからこそ理解できたことなのかも知れませんでした。
もしソシエさんが今でもロランのことを想い続けているのなら、ロランがソシエさんの
元に行ってしまうのではないかという一抹の不安がわたくしの中にありました。
でもロランと二人でソシエさんのことを話した時に、せっかく手紙をくれたのだから
やはり一度会ってみようということになりました。
結果的にロランがソシエさんに心変わりすることは無く、むしろ今まで絶縁状態だった
ソシエさんと話をできるようになり、今ではわたくしにとって掛替えの無い大切な
友達になっていました。
そんなある日、久しぶりの客人であるソシエさんのために、キッチンで腕を振るうロランを尻目に
わたくしとソシエさんの二人でお茶を飲んでいだことが、今回のできごとの始まりでした。
「ディアナさん、今まで女王だったじゃない。何が一番辛かった?」
唇に赤色のルージュをひき、耳には首飾りと同じジュエリーを身につけた彼女の姿からは
飛行服を着てカプルに乗って戦っていたころの面影はありませんでした。
「色々ありますけれど、一番辛かったのは冷凍睡眠ですね。
あれだけは何回体験してもなれる物ではありませんでした」
「ふぅん……。それってさ、痛かったり寒かったりするの?」
「それも少しありますが、痛みや寒さは一時我慢すれば良いだけのことです。
それ自体は、そこまで耐え難いものではありません」
「じゃあなんでその冷凍睡眠ってのが辛いわけ?」
ソシエさんの質問にわたくしは一度紅茶を口に含み、間を置いてから話しました。
「……冷凍睡眠というのは、一度冬眠を始めると最低でも一年間、わたくしの場合は
数十年から百年単位で眠り続けたままです」
「ふんふん、それで?」
「たとえ話ですが、ソシエさんがムーンレィスで重い病にかかっていたとします。
ソシエさんは一年間冷凍睡眠を行ないながら治療を行なうことで、その病気が治るとします。
でも冷凍睡眠を行なわないと病気は治せません。ソシエさんならどうしますか?」
「その条件だったら、冷凍睡眠を行なうのが普通の選択じゃない?」
と、さも当然のように答えるソシエさんに、わたくしは一つの条件を付け加えました。
「では、ソシエさんが睡眠中にご家族や大切な人が事故で亡くなったとします」
「え?」
「病気を治すために冬眠しなければ大切な人の死期を看取ることができた。
あるいは助けることができたかもしれません。でも目覚めたときには
ただ愛する人が亡くなったという事実を自身の健康の代わりに突きつけられる。
そのことを考慮しても、ソシエさんは冬眠を行ないますか?」
一段階ハードルを上げたこの条件に今度は即答せず、天井を仰いでソシエさんなりに
冷凍睡眠の現実を思考しているように見受けられました。
「……難しい選択ね」
「そうですね。でも、わたくしの場合はもっと簡単です。わたくしは病気を患っていた
わけはありませんし、時間の単位も違います。目覚めたときには仲の良かった知り合いなんて
一人もいませんでしたし、当時のわたくしには拒否する権利も事実上ありませんでしたから」
「…………」
人口増加を防ぎ、医療の面でも多大な成果を挙げた冷凍睡眠のもう一つの現実に
ソシエさんは沈痛な面持ちで押し黙ってしまいました。
「ごめんなさい。変なこと訊いちゃって」
申し訳なさそうに口を開いたソシエさんに対して、わたくしは首を横に振りました。
「もう過去のことですし、気にしないでください。ところで、何故そのようなことを?」
「あ、うん。お姉さまって今女王でしょ? 色々あると思うけど、何が一番大変なのかなって。
ディアナさんだったら知ってるだろうから気になってさ。でも、あたしの予想以上だったかな」
ソシエさんの言葉にわたくしの胸はざわめき始めました。
冷凍睡眠の過酷な現実。そのことを誰よりも知っているはずのわたくしが、全てをキエルさんに
押し付けたという事実。アグリッパという冬眠システムの管理者がいなくなったとはいえ、
月の冬眠システムが生き続けているなら、キエルさんはわたくしに代わって
あのカプセルに入らなければいけなくなるかもしれない。
いや、このまま放っておけばその可能性は極めて高いだろうと思い至りました。
そんなことはさせられない。永続の入れ替わりがお互いの合意のものとはいえ、
あの呪われし棺桶に彼女の純粋な肉体を穢れさせたくはありませんでした。
「あ、別にディアナさんの責任だって言ってるわけじゃないの!
女王やるって決めたのはお姉さまだし。だからディアナさんは気にしないで」
「え――えぇ、ありがとう。ソシエさん」
ソシエさんの気遣いに感謝しつつも、わたくしは既に一つの決意を胸に秘めていました。
その日の夜、わたくしは自室で遠く離れたもう一人の自分の身を案じていました。
明かりを消した部屋の中で窓際のベッドに腰掛けて、満天の星空の中で一際明るい光を
放つ月を見つめながらわたくしが意識を遊離させていると、不意にノックする音が鳴って
ドアの方に目を向けました。
「どうぞ」
ガチャ、というドアノブの回る音が聞こえドアの隙間から光が差し込んできました。
「失礼しま――明かりをつけていなかったのですか?」
「えぇ、月を見ていましたから。そこのスイッチを入れてください」
ロランは答えること無くドアの前のスイッチを入れると、部屋一面が光に照らし出されました。
暗い部屋に慣れきった瞳が眩しさを感じましたが、それも数秒のことでした。
「どうぞおかけになってください」
ロランに傍らの椅子に座るように薦めると、ロランは
「失礼します」
と言って腰掛けました。ロランがわたくしのことを敬愛してくれているのは理解できても
一年間も同じ屋根の下に暮らしているのに、どこか他人行儀なロランの振る舞いに
少し寂しさを感じました。
「それで、お話というのは?」
わたくしは今感じた寂しさを悟られないように、平静を装って返しました。
「実は、ロランにお願いしたいことがあるのです」
「お願い?」
「わたくしに、今一度月に帰ることを許して欲しいのです」
わたくしがそう答えると、一瞬ロランの表情が曇ったように感じられました。
「……どうしてそう思い至ったのか、理由を聞いてもよろしいですか?」
「昼間、ソシエさんとお茶を飲んでいた時のことです。ソシエさんは姉である
キエルさんが女王の職務に押し潰されていないかと心配しておられました」
「たしかにグエン様の秘書官としての仕事よりはずっと大変でしょうね」
「わたくしは自分が女王の過酷さを知っているにも関わらず、キエルさんに全てを
押し付けて戦争の責任も取らずに逃げ出しました」
「でも、それはキエルさんからの提案だったのではないのですか?」
「その通りではありますが、わたくしが彼女に全てを押し付けたことに何ら変わりはありません。
もしキエルさんが女王の仕事に苦痛を感じているとするなら、それはわたくしの責任です。
それに戦後の月の様子も気になります。地球と月の関係が改善できたとはいえ、
それだけで事が治まるはずもありませんし」
わたくしは、あえて冬眠のことは伏せておきました。
戦争終結以降、月に帰ること無く入れ替わった今のわたくしでは
月の冬眠システムがどうなっているのか分からなかったからというのが一つ。
また、まだ決まったわけでもないのにキエルさんが冬眠するかもしれないと
ロランの不安を煽るようなことをしたくなかったというのが一つ。
そして一番の理由はこれを口に出してしまったら、本当にそうなってしまうのではないか
という不安がわたくしの心の中にあったからでした。
「だからキエルさんの安否を確認するためにも、戦後の月の様子を見るためにも、
わたくしが月に行くことを許して欲しいのです」
ロランは指を組み、視線を下に落としていました。やがてロランがこちらに顔を向けると
彼の口から出た言葉はとても穏やかなものでした。
「ディアナ様は、やっぱり女王様なんですね」
「そうでしょうか?」
「えぇ。統治者としていつもムーンレィスの未来を考えていて、キエルさんに女王を
引き継いでもらった今でも、月の行く末を考えておられるディアナ様は
今でも素晴らしい女王様だと思いますよ」
ロランにとって彼が口にした言葉はおそらく本心でしょう。しかしその言葉を
受け取ったわたくしには自分が素直に素晴らしい女王だとは思えませんでした。
たしかにムーンレィスの歴史において、300年以上昔は月の政治機構も比較的安定しており
大なり小なり問題はありましたが、それでも大惨事と呼ぶほどの問題は起こりませんでした。
しかし100年以上前の悲恋によって焦ったわたくしは、どういう結果をもたらすのかを
深く考えもせずに地球帰還作戦を強行した結果、多くの屍の山を築いてしまったのですから。
わたくしはロランの言葉に沈黙で返すことしか出来ませんでした。
「どうぞ行ってきてください。僕はここでディアナ様のご無事をお祈りしています」
「実は、そのことでもう一つ貴方に頼みがあります」
「そのこと?」
「ロランにも付いて来ていただけないでしょうか?」
「よろしいのですか?」
「ロランには関係の無い話であることは重々理解しております。
でも貴方が側に居てくれたほうが、心強い……」
突然月に帰りたいと申し、挙句に一緒に付いて来て欲しいと頼み込むという
ロランの意思をほとんど無視した発言が自分でも情けなく思えました。
普段温厚なロランもこれだけ我を通せばさすがに怒るかもしれない、と思いましたが
わたくしの予想に反しロランは満面の笑みを湛えていました。
「ありがとうございます」
「え?」
「ディアナ様が月に帰られるのなら、僕もディアナ様に付いて行きたいと思っていたんです」
あまりに予想外だった返事にわたくしは思わず聞き返してしまいました。
「そ、そうだったのですか? わたくしは貴方には関係の無い話ですから
月に同行するのなんて嫌だろうと思って」
「ディアナ様に関係のある話なら、僕にも関係ある話じゃないですか。
それに、キエルさんだって僕の大切な人です。一緒に行かせて貰えるなら
断る理由なんてありませんよ」
わたくしの前ではっきりとキエルさんが大切な人だと言い切ったことに
嫉妬のようなものを感じながらも、躊躇うことなく付いて行きたいと言ってくれた
ロランの言葉にわたくしは胸が熱くなっていくのを感じました。
「ありがとう、ロラン」
こうして、一年半ぶりとなるわたくしとロランの里帰りが決まったのでした。
今回今までより長いため数回に分けます。
風呂敷を広げすぎてしまったせいか
勝手に設定を改変してしまった部分も幾つかあります。
おかしな所もあると思われますが
ご了承いただけたら幸いです。
wktk
職人さんいつも楽しみにまっております!
GJ!!
ヤバイ俺が一番気になってた部分の話だ( ^ω^)
超期待して待ってます
かつてボルジャーノ家がアメリアの領地を一つに纏めて、アメリア合衆国にしようと
いう計画が月との交渉と並行して進行していましたが、ギンガナム軍の侵攻によって
ルジャーナのみならず、エリゾナ、フロリャ、カルバニヤなどアメリアの各都市に多大な
被害をもたらしました。戦争は終結しましたが、領主たちはアメリアの統合どころでは
無くなってしまい、アメリアの合衆国憲法の発効は戦争の惨禍から回復するまで先送りになりました。
また、かつて当時の領主に変わってイングレッサの実質的な権限を握っていた
グエン・サード・ラインフォードの凋落によって領主を失ったイングレッサは
現在のアメリアで最も力を持つといわれるボルジャーノ家が治めることになりました。
そこでボルジャーノ家はイングレッサでも有数の資源が取れる、ハイム鉱山の経営者である
ソシエさんと面識があり、またイングレッサにムーンレィスの移民を多く受け入れることで
月との交渉を有利に進めたいという思惑から、月の女王であるディアナ・ソレルに助力し
アメリアのミリシャを纏め上げて、戦争終結に大きく貢献したリリ・ボルジャーノ様が
合衆国体制が確立されるまでイングレッサを治めることになりました。
月へ帰ることを決めてから3日後、ロランの運転する自動車で地球と月を
行き来する宇宙船に乗るためにリリ様のいるノックスへと向かいました。
ガタガタと自動車を揺らす山道を抜けると、かつてイングレッサの中心部として栄え、
ディアナカウンターの襲撃を受けて一度は崩壊しながらも、戦争の惨禍から
懸命に立ち直ろうとしているノックスの町並みが見えてきました。
「ノックスにも少しづつ活気が戻ってきましたね」
多くの人口建造物が立ち並び、その間に舗装された道路の上を自動車や路面電車が
走っていたころの栄華は失われてしまいましたが、それでも道路沿いに寄り添うように
商店街が並び人の往来を見せられれば、まだノックスの息は途絶えていないことを実感しました。
「瓦礫の山だったノックスがここまで復興する姿を見せられると、
人の力は本当に素晴らしいものだと改めて思いますね」
「僕もそう思います。……あ、あれじゃないですか? あの白い建物」
「あそこに、リリ様が?」
ロランが指差したその建物は3階建ての白い塗装がされた、見たところ何の変哲も無い建物でした。
しかし自動車を降りて入り口に近づくと自動でドアが開きました。
「自動ドア?」
「月の技術が使われているようですね」
月では珍しくも無い自動ドアも、アメリアでは未知の技術といっても過言ではありませんでした。
建物の中に入ると外の暑さが一転して涼しい風の流れを感じました。おそらくはムーンレィスの
地球への移民を受け入れる代わりに地球側が月の技術提供を望み、その結果アメリアの
技術は革命的な進歩を遂げたことは想像に難くありませんでした。
わたくしたちは受付で面会を求めました。
「ごめんください。リリ・ボルジャーノ様に面会したいのですが」
「ロラン・セアック様とキエル・ハイム様ですね。
お話はお伺いしております。少々お待ちくださいませ」
受付の女性はそれだけ告げると電話で連絡を取り始めました。
やがて一人の軍人と思しき男性がこちらに近づいてきました。
「久しぶりですな、ロラン・セアック殿。キエル・ハイム嬢」
「こんにちは。マリガンさん」
わたくしが目の前の人物の名前を思い出す前に、ロランは右手を出して握手をしていました。
マリガンさんは青い軍服姿で腰に剣をさしており、地球でもモビルスーツが主流と
なっているミリシャの軍人にしては、少々変わった雰囲気を感じました。
「ご無沙汰しています、マリガンさん。ノックスにいらっしゃったのですね」
わたくしもロランを真似るように挨拶を交わしました。
「左様、姫様のいらっしゃる所になら我々はどこまでもお供いたしますぞ。
っと、無駄話が過ぎましたな。姫様がお待ちでございます。こちらへどうぞ」
わたくしたちはマリガンさんに言われるままに後をついて行きました。
「あの、先ほど『我々は』と仰いましたよね? と、言うことはエイムズさんとジョンさんも?」
「もちろん、奴らもここノックスにおります。スエサイド部隊はルジャーナミリシャの精鋭。
姫様を御護りするのは我々の仕事ですからな」
二人の話を聞いていたわたくしはようやく思い出しました。
この人はルジャーナミリシャの軍人でスエサイド部隊の指揮を執られていた方でした。
スエサイド部隊といえばボルジャーノンのパイロットで、
ギャバンさんとエイムズさんとジョンさんのことは
わたくしも存じておりましたが、ルジャーナミリシャの佐官クラスの人たちとは
ほとんど話をしたことはありませんので、思い出せなかったことにも頷けました。
「奴らも今ボルジャーノンで瓦礫の掃除をさせておりますからな。
……着きました。こちらに、姫様はいらっしゃいます」
この扉の向こうにリリさまがいらっしゃると思うと、久しぶりの再会に緊張しているのか
心臓が活発に脈を打ち始めました。わたくしは気持ちを宥めるためにゆっくりと
深呼吸を行ないました。
「姫様。ロラン殿とキエル嬢をお連れいたしました」
「通しなさい」
「はっ! 失礼いたします」
マリガンさんに続いてわたくしたちが入室すると、赤と白の煌びやかなドレスに
腰まで伸びた艶やかな黒髪が印象的なリリ・ボルジャーノ様が笑顔で迎えてくれました。
「久しぶりね。キエル、ロラン」
「こんにちは。リリ様」
「ご無沙汰しております、リリ・ボルジャーノ様。拝謁させていただき光栄です」
「堅苦しい挨拶は無しにしましょう。どうぞお掛けになって」
リリ様のお言葉に、わたくしたちはソファに腰を落としました。
執務室にはわたくしたちが座っているやや大きめのソファが向かい合うように二つ、
その間にある小さなテーブルが一つ、リリ様が執務を行なうのに使うと思われる
事務机と椅子が一対に数多くの本やファイルが閉まってある本棚などがありました。
中でもわたくしの目を引いたのがテレビ電話でした。パソコンやホログラフィなどは
見当たりませんでしたが月の技術は少しずつ、しかし確実に地球に入ってきている証拠でした。
「マリガン、ご苦労様でした。下がって結構です」
「はっ! お飲み物はお持ちいたしますか?」
「そうね、お願いするわ」
「わかりました、すぐに用意いたします」
マリガンさんはそれだけ告げると退室され、わたくしとロランとリリ様の3人だけが残りました。
リリ様はわたくしたちと向かいのソファに座りながら訊ねてきました。
「で、電話で簡単にお伺いしましたけれど、改めて月に帰る理由を
聞かせてもらえませんか、ディアナ様?」
「はい。実は……」
わたくしはリリ様に今までの経緯の説明を始めました。
「……なるほど、それで月に帰ることを決心なされたのですね」
「はい、キエルさんはわたくしの恩人であり大切な友人でもあります。
どうしても、自分の目で彼女の安否を確かめたいのです」
わたくしは一通りの経緯を話し終えると、リリ様はココアを一口飲んで返しました。
「でも、わたしがテレビ電話を使って話をしたときには具合が悪そうには見えませんでしたけどね。
まぁ、いいですわ。直接会うほうが確かですものね」
わたくしも先ほどお持ちくださった、普段はあまり口にしないココアを飲んでみました。
くどく甘くなく、それでいてほんのりとした苦さが口の中に広がり
飲んだ人の心を安らかにしてくれるような気がしました。
「リリ様はお元気そうで何よりです」
わたくしが久しぶりのココアに浸っている横でロランはそう答えました。
「当然です! ……と言いたいところなのですけれど、今の生活は体に応えますわ。
特に最近は寝不足で肌荒れが酷いのがもう」
「そんなに大変なのですか?」
「まあ色々と。食料や機械人形などの足りない物資はルジャーナから輸送してもらえば
何とかなりますけれど、人手不足が深刻で困っていますわ。たとえば……」
それからしばらくの間、わたくしとロランはリリ様の苦労話を否応無しに聞かされました。
要約すると復興中のノックスは深刻な人手不足で、イングレッサが他の地域よりもムーンレィスを
多く受け入れている一番の理由もそこにあるのだそうです。ムーンレィスを多く受け入れたことで
医療機器や通信機器などは飛躍的な進化を遂げたそうですが、未だノックスの町外れは
瓦礫の山で駐車場にすることさえもできないらしいです。
また、地球人とムーンレィスの文化の違いから小競り合いも多く、治安もあまりよくないとか。
そのおかげでスエサイド部隊やかつてのイングレッサミリシャとの合同部隊は
ノックスの瓦礫掃除と併せて治安維持のために駆り出されており
彼らは八面六臂の活躍をしているそうですが、ミリシャへの最終決定権がリリ様に
あるため、なにかにつけて協議の場を設けたり逐一ミリシャに命令を下したりで
寝る暇さえないほどに多忙なんだそうです。
「リリ様のご苦労をお察しします……」
どれだけの時間愚痴を聞かされ続けたのでしょう? リリ様は不満を洗い浚い話したせいか、
これ以上無いくらい健やかなお顔をされていました。
それを延々と聞かされ続けたわたくしとロランは疲労の色を隠せませんでしたが。
「ありがとう。久々に熱く語ったらなんだか疲れが取れましたわ」
「そ、それはようございました……」
わたくしもカップに残っていたココアを一気に飲み干して気持ちを落ち着けました。
そしてこれ以上リリ様の鬱憤晴らしに付き合っているとわたくしたちの身が
持たないので、別の話題を振りました。
「わたくしたちのために月行きの宇宙船を用意していただけて、ありがとうございます」
「いいのよ、最近はマウンテンサイクルからかなりの数の宇宙船が発掘されておりますし」
「そうなのですか?」
「えぇ、以前のウィルゲムとよく似た形の宇宙船がね。
名前は変わりましたけど、どんな名前か知りたいですか?」
今はウィルゲムの名に囚われるほど過去に縛られているわけではありませんし、
技術者でもなく一年間ロランと共に緩やかな時の流れに身を任せてきたわたくしとしては
自分で話題を振っておきながら、あまり興味を惹くことではなかったのですが
リリ様の訊いて下さいとばかりに目を輝かせたお顔を見ると、訊かないわけには
参りませんでした。
「まぁ……。どんな名前なのですか?」
「その名も、ローラ号よ!」
「ロ、ローラ号……」
おうむ返しに答えたロランを見ると、頬が引きつっていたように見えました。
中性的な容姿を持つロランですが、彼は女装趣味があるわけでは無いので当然といえば当然ですが。
「いい名前でしょう。いかがですか、ロラン? 自分の名前が宇宙船の名前になる気分は?」
「な、何とも形容しがたい気分ですね」
口が笑っていても目が笑っていないロランの顔を見たわたくしは
ロランでもこんな顔をすることがあるのですね、などと別の意味で感心していました。
「あら、思ったほど驚きませんわね。そうだ! 出航まではまだ時間がございます。
その間に広場に行って見なさいな」
「広場?」
「かつてのボストニア城の跡地ですわ。そこで面白いものが見られますことよ」
「リリ様がそうまで仰られるなら……。行ってみますか、ディアナ様?」
「そうですね、行ってみましょう」
わくわく
どきどき
そわそわ
「リリ様は面白いものが見られると仰っていましたけれど、何があるのでしょう?」
「さぁ、こればかりはわたくしにも……。面白いもの、といっても漠然としておりますし」
「そうですよね」
リリ様が仰っていた『面白いもの』を確認するため、初夏の日差しが降り注ぐ中
ボストニア城跡地にある広場を目指しました。
多少なりとも復興の兆しが見える中央通りから町の外れに視線を移すと
先ほどのリリ様の話の通り、カプルやボルジャーノンといったミリシャのモビルスーツは
瓦礫の掃除の為に忙しなく動き回っていました。
やがてリリ様が仰っていたと思われる広場が目に映りました。かつてのボストニア城は
跡形も無く、一面が芝生で覆われていました。その広場には小さな子供連れの家族や
老夫婦がまばらに存在するだけで、後は小さな池と広場の中心に銅像らしいも――
「ロラン、あれ……」
ロランを呼んだ声は思わず上擦ってしまいました。
「どうされましたか? 何か見つか――あれですね……」
「はい、よくできていますね」
「なんでこんなものが……。はぁ」
それは間違いなくローラの銅像でした。その銅像は舞踏会の衣装姿で建てられており、
近くで見ると目つきや口元など顔の細部は微妙に違いますが、遠くから見ただけでは
普段からロランを見慣れているわたくしでも気がつかないぐらい良く出来たものでした。
下にある台座に目を落とすと文字が彫られていました。
「なにか文字が彫られていますね。
『地球と月を平和に導いたミリシャの英雄、ローラ・ローラ』ですって」
「英雄、か。そんなこと考えたこともありませんでした」
「きっと地球を救ってくれたローラに対して、なにかお礼がしたかったのですよ」
「そう思うならそっとしておいて欲しかったです」
ロランはがっくりと肩を落としてしまいました。殿方としてのプライドを傷つけられたにしても
ここに住む人たちが感謝の意をこめてこの像を建てたのなら
わたくしは喜ばしいことだと思うのですが……。
「ロラン、これは名誉あることなのですよ? 少しは喜んでもよろしいのではないのですか?」
「いや、そんな気分にはなれません」
俯いているロランの肩に手を置き、励ましの言葉を掛けてみましたが、
全身から哀愁さえ漂わせているロランには届かなかったようでした。
「ははは、ローラは相変わらずだな」
「全くだ。これはお前の銅像だろ? 少しは喜べ」
「放っておいてください。僕は男なん――グエン様!?」
「グエン・ラインフォード……!」
背後から聞こえた声のほうに顔を向けると、以前よりも髪を伸ばし
髭を生やしたグエン・サード・ラインフォードが、白いブラウスにロングスカートで
身を包んだ少女を連れてこちらに歩み寄ってきました。
突然の再会にわたくしは思わず一歩後ずさり、同時にロランはわたくしを庇う様に前に飛び出し
二人に対して身構えました。そんなわたくしたちの様子にグエン殿は肩を竦めていました。
「おいおい、勘違いしないでくれ。私は戦争するためにアメリアに戻ってきたわけじゃないよ。
もちろん君たちに危害を加えるつもりも無い」
「おい、グエン。こいつディアナ・ソレルじゃないか? なんでこいつがここにいるんだ?」
連れ合いの少女は淑やかな外見とは裏腹に失礼極まりない言葉使いでこちらを
値踏みするような視線を向けていました。
彼女の言葉に息を呑みましたが、グエン殿は苦笑いをしながら少女に説明していました。
「違うよ、メリーベル。彼女はキエル・ハイム嬢だ、ディアナじゃない。そうだな、ローラ?」
グエン殿の言い放ったメリーベルという言葉にわたくしは絶句してしまいした。
ロランもわたくしと同じ考えだったようでグエン殿の質問を無視して
メリーベルさんに聞き返していました。
「貴方はメリーベルさんなんですか?」
「おまえはあたしを誰だと思っていたんだ?」
「だって、以前の格好とぜんぜん違うじゃないですか。普通気がつきませんよ」
「おまえなぁ」
「まぁいいじゃないか、こうしてローラに会うことができたのも、運命の巡り会わせだ」
二人から見ればキエル・ハイムであるわたくしに興味が無いのか
わたくしは蚊帳の外に置かれていましたが、ロランは警戒を解くような素振りは見せず
二人と言葉を交わしながらも、どこか緊張した面持ちでした。
「グエン様は今までどちらにいらっしゃったんですか?
それに、何故グエン様がメリーベルさんと一緒にいるんです?」
「私はあの戦争以降ガリアにいた」
「ガリア大陸に!? なんでまた?」
「私の夢は地球に文明開化をもたらすことだからね。何もかも失った私は
ガリアで地盤を固めていたのさ、そして今日は外交官としてリリ嬢に会いに来たというわけさ。
まさか、君たちに会えるとは思っていなかったがね」
「外交官、ですか?」
「そうだ。先の大戦で私は黒歴史に魅了され、ギム・ギンガナムと手を組んだ。
今だからこそ分かる。私はあの時焦っていた。黒歴史の技術に∀、ターンXを持ってすれば
私の夢はもう目の前だとね。だが私は道を誤った。ギンガナムと手を組めば、
ローラが敵になることは当然のことだ。
それに、あの戦争で私は多くの死者を出した。私が敗者になるのも因果応報だろう」
空を仰ぎ、憂いを帯びた表情で語るグエン殿の言葉に少しだけ安堵しました。
戦争終結後に行方をくらましていたグエン殿が、またどこかで戦力を整えて
戦争の火種を撒くのではないかという不安がわたくしの中で燻っていたからです。
「では、グエン様はもう戦争を起こすつもりは無いのですね?」
わたくしは自分を庇ってくれていたロランの横に並び、グエン殿に詰め寄るように問いかけました。
「もちろんです。私はギンガナムとは違う。まぁ、そのギンガナムと同じことをした
私が言っても説得力は無いでしょうがね。ただこれだけは信じていただきたい。
私は自分の夢を果たすためなら、アメリアの人々を皆殺しにしても構わないとは考えておりません」
穏やかだが、それでいて揺ぎ無い信念のようなものを感じたその言葉に、
ようやくロランは警戒を解きました。
「……わかりました。その言葉は信じます。でもメリーベルさんがいるのは何故なんです?」
「決まってるだろう? このボンボンといると面白いからだ」
「それだけで一緒にいるんですか?」
「いけないのか?」
「まぁそんな感じだ。私に言わせるなら、君たちがそんな関係だったことの方が驚きだがね?」
グエン殿の言葉に狼狽し、わたくしとロランはたじろぎながら答えました。
「まぁ、色々あったんですよ。ね、キエルさん?」
「そ、そうですね。色々あったんです」
そんなわたくしたちのやりとりに、グエン殿はおやおやという表情を浮かべながら
苦笑いしていました。なんだかグエン殿に負けたような気がして弁解しようかとも
思いましたが、これ以上何かを言うと自分の首を絞めそうなので言葉を飲みこみました。
「ふむ、これ以上聞くのは野暮というものかな。ではメリーベル、そろそろ行こうか?」
「リリ様にはお会いになられたのですか?」
「あぁ、さすがリリ嬢といったところだ。手ごわい相手になりそうだよ」
「あたしは、あぁいう女は嫌いだね。ディアナもそうだったが、あの手の人間は気に食わない」
わたくしに言わせるなら、気に食わないからと人に刀を突きつけた貴方の態度の方が
よほど問題ありです! と心の中で叫ばずにはいられませんでした。
「ははは、そうだな。じゃあな、ローラ。それにキエル嬢。いつかゆっくりとお茶でも飲もう」
「えぇ、それでは」
「またな!」
その言葉を最後に二人はわたくしたちの視界から消えていきました。額の汗を拭いながら、
この汗はただ熱いから吹き出たわけでは無いだろうということも思い至りました。
「まさかこのようなところでグエン殿と出会うとは」
「この銅像を見るよりも驚きましたよ」
「グエン殿は何を企んでいるのでしょう?」
「分かりません。でも……」
「でも?」
「戦争はしない、というグエン様の言葉だけは信じたいと思います」
「そうですね。……そろそろリリ様のところに戻りましょうか?」
「おかえりなさい。どうでしたか?」
リリ様のところに戻ると、リリ様は椅子から立ち上がりローラの銅像についての感想を訊いてきました。
「銅像にも驚きましたけど、グエン殿に会ったことのほうが驚きました」
「お会いになりましたか」
わたくしの言葉にリリ様は眉一つ動かさず、ゆったりとした動作で椅子に
座り直しました。わたくしたちもデスクを挟んでリリ様の前に移動しました。
「はい。グエン殿は何の目的でリリ様に?」
「ガリアと正式に条約を結んで欲しいと言っておりましたけれど、
あの人の真意はわたしにも掴めませんわ」
グエン殿と付き合いの長いリリ様でも、本当のところは分からないようで
ため息をついておられました。
「あの、お伺いしたいことがあるのですがよろしいですか?」
わたくしたちの会話が切れたと見計らったロランはリリ様に質問を投げかけました。
「どうぞ。答えられるかどうかは内容によりますけれど」
「どうして、僕の像が立てられたんですか?」
「この町に住む人たちが、新しいノックスの象徴として建てたそうよ。
わたしは銅像を建てるとしか聞いておりませんでしたから、初めて見たときは驚きましたけどね」
「新しいノックスの象徴……」
ロランはそれだけ呟くと、俯いて黙考しているようでした。
そんなロランを一瞥し、今度はわたくしがリリ様に
「何故、ロランでなくローラの姿をしているのですか?」
と訊いてみました。
「一部の真実を知る者を除いて、地球に住む一般の人たちには∀のパイロットが
ロラン・セアックであることはほとんど知られていなかったそうですわ」
たしかに地球では、ミリシャにしろディアナカウンターにしろ∀のパイロットは
ローラとして名が通っていることは理解していました。
元々はグエン殿がディアナカウンターと交渉を行なう際に∀のパイロットをローラと公表
したことが発端なのでしょうが、当時武力では圧倒的に勝っていたディアナカウンターに対して
∀たった1機に手も足も出なかったディアナカウンターには、『ミリシャのローラ』、『髭のローラ』
と恐れられ、その名は瞬く間に広がっていきました。
ノックス・クロニクルの新聞でも∀のパイロットはムーンレィスのローラとして報道されましたし、
ごく普通に地球で暮らしてきた人たちにとっては、ローラとして認知されていたのでしょう。
「真実を公表するかどうかはわたしも考えましたけれど、お二方は静かに暮らすことを
望んでいたようですから公にはしないで、このままローラとして通そうと判断しました。
真実を報道した方がよかったですか?」
言われてみればその通りかもしれません。わざわざディアナの名を隠し山の中で生活していても
∀のパイロットがロランという名で、その青年はかつての主人の娘と隠棲生活をしている
などということが世間に知れ渡れば、今のような静かな生活は送れなかったことでしょう。
リリ様の気遣いに、わたくしは首を横に振って頭を下げました。
「ありがとうございます、リリ様のご配慮に感謝します」
「僕たちのことを気遣ってくれて、ありがとうございました」
「いいのよ。それより、そろそろ出発の時刻ですわ。」
「もうそんな時間ですか? では急がないといけませんね」
「今までの件、ありがとうございました。リリ様、本当に感謝しております」
「お二人の里帰りが良いものであることを祈っていますわ」
リリ様に精一杯の感謝を述べたわたくしは、ロランと共にウィルゲム改めローラ号へと向かいました。
発進の際、ローラ号はザックトレーガーを使わずに単独で宇宙に飛び出し月を目指しました。
上も下も存在しない、宇宙世紀以前の人たちには殆どの人が実感できなかった感覚。
地球の重力にすっかり慣れきった体に久しぶりの宇宙での行動はこれほどまでに
動きづらかったでしょうか。わたくしたちに与えられた一室の、外部カメラから
スクリーンに写された青く輝く地球を見ながら、そんなことを考えていました。
「このまま進めば、明日の夕方には月でしょうね」
中身がこぼれないように蓋とストローのついたカップに口を付け
快活に答えたロランは久しぶりの宇宙を楽しんでいるようにさえ見られました。
靴底のマグネットで床に当たる面を歩きながら、ロランは自分が飲んでいるものと
同じカップをわたくしに差し出しました。わたくしはそれを受け取りながら
「キエルさんは大丈夫でしょうか? リリ様は問題ないと仰っていましたけれど」
と話したところでどうにもならない不安を口に出しました。
「多分ですけど、大丈夫だと思いますよ」
ほとんど即答だったロランの答えに、わたくしは反射的に聞き返しました。
「どうしてですか?」
「もしキエルさんの身に何かあったら、リリ様を介して僕たちにも連絡が来ると思うんです。
逆にディアナ様の身に何かあれば、僕は迷わずキエルさんに事情を伝えると思います。
それが無いってことは多分元気にやっているんだろうなって」
「あぁ、そういう考え方もありますね」
「まあ明日にはキエルさんに会えるんですから、そんなに慌てなくても
よろしいんじゃないですか?」
「そうですね」
白く輝く月をスクリーンに写しながら、ローラ号は漆黒の闇が包む中
真っ直ぐに月の首都ゲンガナムを目指していました。
つC
やっぱりグエンとメリーベルのコンビは良いなぁ( ^ω^)
地球よりも幾分か小さい月の重力を感じた時、一年半振りの里帰りを実感できました。
いくらディアナ・ソレル本人が月の空港に降りようとも、髪にウェーブをかけて
かつてキエルさんが洋品店で仕立て上げた、白地のゆったりとしたドレスを纏った姿に
月の女王として見る人はいませんでした。それでもすれ違う人たちの視線は感じましたが、
声を掛けてまで確かようとする人はさすがにいませんでした。
出口に向かいながらあたりを見回すと、以前ギンガナム軍が破壊した後は痕跡も見られず
地球帰還前の平和を取り戻していることを実感し、僅かに荷が下りたような気がしました。
「当然といえば当然なんですけれど、やっぱり地球と比べると体が軽いですね」
久しぶりに月に降りたロランの第一声はそんな言葉でした。
「わたくしたちの体重もだいたい6分の1ぐらいまで落ちていますからね」
「キエルさん、いっそ月で暮らしたほうがキエルさんにとっては幸せなんじゃないですか?」
「どういう意味です?」
「だって体重が地球よりずっと軽くなるじゃないですか、地球みたいに体重が
60kgを超えるようなこ――痛!」
「わたくしはそこまで重くありません! まだ50台です!」
「なんだ、やっぱり1週間前の40台だったと言うのは嘘だったんですね?」
「うっ……。あ、あの時はギリギリ40台だったんですよ! 本当ですよ!?」
「そうですね。キエルさんの仰ることは全て正しいです」
「ロラン、わたくしの言うこと信じていませんね?」
ロランの言葉は一般の女性に対してならば、気遣いの気の字も無い言葉でしたが
そんなロランの言葉でもわたくしにはこの上ない幸せを与えてくれました。
以前のロランはわたくしを女王として敬う気持ちが強かったせいか、決して今みたいな
人との触れ合いを感じさせる言葉は言ってくれませんでした。
人とのつながり、それは人間ディアナに一番欠けていて、また一番欲していたものでした。
そしてわたくしは100年以上前に一度掴みかけた幸せを失い、その結果多くの悲劇を生み出した
諸悪の根源であったにもかかわらず、念願だった人とのつながりを手に入れることができました。
女王として地球帰還作戦を完遂することなく、後始末を全てキエルさんに押し付けてしまった
という後ろめたさと、ムーンレィスへの裏切りではないのかという罪悪感もありますが、
同時に多くの人の助けを得て、こんなにも人生を楽しむことができる自分は
本当に幸せだと強く感じていました。
「キエルさん? どうかされましたか?」
これまでのことを思い返してしていると、一言も話さなかったことにわたくしの身を
案じてくれたのか、先ほどとは一転してロランはわたくしの顔を覗き込むように見ていました。
「ごめんなさい。なんでも無いのですよ」
わたくしは首を振り、不安を宿した彼の瞳に笑顔で答えました。そんなわたくしの様子に
「そうですか。でも、無理はしないでくださいね」
と笑みを浮かべながら答えてくれました。
そう、ロランは口ではどんなことを言ってもわたくしのことを
大切に思ってくれていることも知っていました。
人を愛し、その人と共に同じ時間を生きる。これがどれほど素晴らしいことか。
地球帰還によって多くの悲しみを生み出したことは間違いありませんが、
人に歪んだ生を与える冷凍睡眠を否定し、それを多くのムーンレィスに知って
もらいたかったという想いだけは、やはり間違っていなかったと確信できました。
「キエルさん、頭使って考えただけじゃ、体重は減らないですよ?」
ロランは、わたくしが体重のことを考えていたわけでは無いことぐらい
心の中は知っていることでしょう。それでもわたくしが一人でいると、かつて
わたくしが起こしてしまった悲劇を思い悩んでしまうことを知ってくれているロランは、
こうしてわたくしを笑わせて、怒らせて、そして喜ばせてくれることを言ってくれます。
そんなロランの気遣いを知っているから、わたくしも彼の会話に乗るのでした。
「存じています。だいたいわたくしの体重が増えるのは、ロランの料理が
美味し過ぎるからいけないのです」
「なんか、ものすごい理論を仰っていませんか?」
「いいえ、これは真理です。ロランの料理が美味し過ぎるから、わたくしの口が
止まらないのですよ。次からはもっと不味く作ってください」
「そうしたらそうしたで『手を抜きましたね?』って怒るじゃないですか」
思いがけずに口から出た言葉とはいえ、ロランの料理が美味しいからというのは
言い得て妙ですね。なるほど、確かに一理あるかもしれません。
そういうことにしておきましょう。何故なら最近わたくしの体重が増えたのは
ロランのせいなのですから。
「ずいぶん仲の宜しいことで。声をかけないほうが良いかと躊躇いましたよ」
自分に都合の良い言い訳を考えていた時、どこかで聞いたことのある声が
近くから聞こえてきました。声の先には黒い軍服に赤いバイザーが印象的な
ディアナカウンターの親衛隊長がこちらを見て笑っていました。
「ハリーさん!?」
「何故ハリーがここに?」
「お迎えに上がりました。白の宮殿までは私がお送り致します。
キエル嬢にロラン君、こちらへどうぞ」
わたくしたちはハリーが用意した電気自動車に乗り込み、白の宮殿前までやってきました。
「お二人には滞在用のお部屋を用意してございます。私が案内いたしますので
付いてきてください」
わたくしたちはハリーを先頭に一年半振りとなる白の宮殿に足を入れました。
以前はメンテナー家の紋章が描かれていた正面入り口も、今は綺麗に消えておりました。
「こうやって宮殿に入るのも3回目ですけど、いつ来ても緊張しますね」
「3回目? ウィルゲムで来る前にも来たことがあるのか?」
ロランの言葉にハリーが少しだけ首をロランの方に向けて聞き返しました。
「はい。4年前の地球降下直前に一度だけ来たことがあります。
その時初めて、立体映像じゃない本物のディアナ様に拝謁させていただけたんです」
「あのころのロランは、まだわたくしよりも背が小さかったですよね」
「覚えていらっしゃるんですか?」
「えぇ。髪の毛や肌の色が特徴的だったということもありますが、ロランが
わたくしの手を取った時、緊張していたのかガチガチに固まってしまいましたよね?」
「うっ、そんなことまで覚えていらっしゃるんですか」
「そういえば、以前君はキスのご挨拶をさせてもらったと嬉しそうに話したことがあったな」
「はい。あの当時の僕にとってディアナ様は神様と同じでしたから。
あのころのディアナ様はそれはそれは聡明なお方で」
過去を思い返すように呟いたロランの言葉は、遠まわしに実際のわたくしは
お馬鹿さんですよね、と皮肉を言っているように聞こえて目を細めてロランを睨み付けました。
「引っかかりますね。それでは今のわたくしは聡明では無いと言いたいのですか?」
「い――いや、そんなつもりで言ったわけじゃありませんよ!」
「嘘です! そうでなければ今のような言葉は出てきません! ロランには失望しました」
「そんな、そんなつもりじゃないんです! 本当です!」
ロランは必死に許しを請いましたが、わたくしはそんなロランから顔を背け続けました。
その時何がおかしかったのか、ハリーも肩を震わせながら失笑していました。
「ハリー! 貴方もロランと同じ考えなのですか!?」
「いや、失礼しました。そうではなくお二人のやりとりが微笑ましいなと」
「微笑ましい?」
「ここにディアナ様がいらっしゃれば、きっと私と同じことを仰ると思われます」
どういう意味か聞き返そうかと思いましたが、わたくしの横で涙目になって懇願している
ロランの姿に心を奪われてしまいました。可愛いと思いながらも、これ以上ロランを
無闇に悲しませることはできず、わたくしは緑色の瞳を潤ませたロランの髪を優しく撫でながら
「冗談ですよ。貴方のことを嫌いになるわけ無いじゃないですか?」
と明るい声色で言いました。ロランはパッと顔を明るくして屈託の無い笑みを浮かべました。
こういうロランだから、からかいがいがあるのかも知れませんね。
そんなわたくしたちの様子にハリーがバイザーの下で軍人には似つかわしくない
優しい目を向けていたことには気がつきませんでした。
わたくしたちは謁見の間や応接室に通じる廊下を抜けて客室へと案内されました。
「キエル嬢との面会は夜になるでしょう。月に滞在している間はこの部屋をお使いください。
寝室はご一緒となっておりますが、分けた方がよろしいですか?」
「構いません。この部屋で結構です」
「了解しました。他になにか不都合なことがございましたら申し付けてください」
「わかりました。ご苦労様です」
「あぁ、念のため申しておきます」
退室しようと客室のドアの前に立ったハリーがこちらに振り返りながら答えました。
「今、こちらではディアナ様はキエル嬢としてお招き致しております。
ですから無闇に宮殿の中を歩き回らない方がよろしいでしょう」
「承知しております。ご心配なく」
「では、また夜にお伺いします」
ハリーはそれだけ告げると客室から出て行きました。鞄を手近なところに置き
傍らのソファにもたれ掛かかると、ロランは恐る恐るといった様子で尋ねてきました。
「あの、僕と同室でよろしいのですか?」
「構いませんよ、他の誰でもないロランなのですから。
それに、たまには同じ部屋で過ごすことも悪くないことだと思いますよ?」
「そ、それは有難いお言葉ですが」
「それとも、ロランはわたくしと同じ部屋では嫌ですか?」
「め――滅相もございません!」
「なら宜しいではありませんか」
「ディアナ様がそう仰られるのでしたら、僕は構いませんが……」
ロランはなんとも歯切れが悪そうに答えました。わたくしに気を使ってくれているのだとしても
彼の言葉はどこか二人の心の距離を感じさせられ、わたくしは無意識にため息を吐いていました。
ついに同室で一夜を!
同室、それはキエル女王の心遣いか!
ロラン、うまくやれよ!
「お待たせして申し訳ございませんでした。ディアナ様、ご無沙汰しております」
キエルさんがわたくしたちの部屋を訪れた時には壁にかかる時計の針が8時を指していました。
ハリーを連れて現れたキエルさんは月の女王の白を基調とした制服、さらりとした
金色の髪に銀の髪留めを付け、以前の優美さに統率者としての威厳を兼ね備えておりました。
神々しいとさえ感じるキエルさんの姿に、女王だったころのわたくしもこんな風に
見られていたのかと一瞬戸惑いながらも、この姿は大地に根ざした地球の人の
内側から溢れる生命力があってこそだろうと考え直しました。
「キエルさんも、本当にお久しぶりです。お忙しい中わざわざありがとう」
キエルさんとの久しぶりの再会に、どちらからとも無く抱擁しました。
お互いの無事を喜び合い、体を離したキエルさんは
今度はロランに柔らかな笑みを浮かべながら右手を差し出しました。
「貴方も元気そうね、ロラン」
「キエルさんも。お疲れではないのですか?」
ロランもまた右手を差し出し、握手を交わしました。
「最初は大変だったけど、今はもうすっかり馴れたわ」
ロランにそれだけ告げるとキエルさんはわたくしに視線を戻し、穏やかな口調で言いました。
「それではディアナ様、ハリーからお伺いした通り、現在の月の情勢について
わたしから説明させていただきます」
わたくしとキエルさんが向かい合うようにソファに腰を下ろし、ロランがわたくしの隣に
座りました。ハリーは入り口の扉の近くに立って外の様子に気を配っていました。
キエルさんの瞳がこちらを伺い、わたくしがそれに頷くと
キエルさんはこれまでの月の様子を話し始めました。
「……ですから、現在は地球の人たちも少しずつですがムーンレィスの移民を受け入れてくれています。
特にイングレッサは他の地域よりも多くのムーンレィスを受け入れており
現在アメリアに移民している全体の約4割がイングレッサに集中しています」
テーブルの上に置かれた小型ホログラフィに北アメリア大陸の立体映像を写しながら
キエルさんは淡々と現在の月の移民について説明していました。
「リリ様の賜物ですね」
わたくしの横に腰掛けているロランは、感心したように顔を綻ばせながら言いました。
「それと並行して冬の宮殿に冬眠している人たちは少しずつでも
目覚めてもらう方向で考えています。いかがでしょう、ディアナ様?」
「え、えぇ。問題無いと思います」
わたくしはといえばキエルさんの現状の説明と今後の方針に対して
ただただ感心しながら頷くことしかできませんでした。
「またキエル嬢は、刑罰としての冷凍刑も撤廃していく方針です」
「さすがに病気の治療のために冬眠している人たちについては、今すぐというわけには
参りませんが、これからは可能な限り冷凍睡眠を無くしていきたいと考えています。
そして、一部の特権階級だけに行われていた統治のための冷凍睡眠、
すなわち女王とその臣下の冬眠も廃止します」
外の警戒を怠ることなく、ドアの前で静かに佇んでいたハリーが言い置き、
キエルさんが間を置かずに、温和でありながらも揺るぎの無い声で言い切りました。
統治のための冷凍睡眠の廃止……。月に帰る目的の中で最重要と位置づけていた
キエルさんの冬眠の回避。その廃止を宣言したキエルさんの言葉に、
わたくしは胸の高鳴りを感じながら努めて冷静に訊き返しました。
「そんなこと……できるのですか?」
「わたし一個人としてもあのカプセルで冬眠したいとは思いません。
それにディアナ様の体験なども踏まえ、わたし自身の生き方を振り返ってみても
長く生き永らえるのではなく、次の世代につないでいく生き方が大切だとわたしは考えます」
「私もキエル嬢と同意見です。私の家族も人工冬眠で命を落としています。
以前は人口増加を防ぐためにやむを得ませんでしたが、地球と月の関係が改善しつつある今なら
あれを縮小、いずれは完全に撤去することも不可能では無いと思われます。」
キエルさんとハリーの力強さを感じる言葉にわたくしは安堵の胸を撫で下ろし、
強張っていた全身が弛緩していきました。
「そうでありますな。あんな思いをするのは、わたくしたちの代で終わらせるべきです」
「ディアナ様……」
膝の上で握り締められたわたくしの手に、ロランの右手が包み込むように重ねられました。
彼に目を移すと優しげな微笑を浮かべており、わたくしと目を合わせたロランが
軽く頷くと、わたくしもそれに頷き返しました。
左手から伝わるロランの体温が全身を温めていくのを感じながら、キエルさんに向き直りました。
「キエルさんの選んだ道はわたくしも正しいと思います。
キエルさんはこれからも、キエルさんの信じた道を進んでください」
「ありがとうございます、ディアナ様」
再びロランに視線を戻し、ありがとうの想いをこめて頷きました。わたくしの左手に
ロランの温かさを残しながら、彼の手は静かに離れていきました。
「月の現状についてこちらからは以上となりますが、何か質問などございますか?」
「いえ、わたくしからは特に何も。ロランは何かありますか?」
「僕も無いです」
「では、一先ず報告を終わらせていただきます。……ハリー、それにロラン。二人に頼みがあります」
ホログラフィの電源を落としながら、キエルさんは二人を交互に見遣りました。
「なんですか?」
「しばらく、わたしとディアナ様の二人だけにしていただけませんか? 女同士で話がしたいの。
ディアナ様、よろしいですか?」
一通りの説明を終えて、女王の顔から年相応の少女の顔を見せたキエルさんに
わたくしも明るい声で返しました。
「もちろんです。わたくしもキエルさんに個人的に訊きたいことがありました」
「では、我々は退室するとしようか、ロラン君?」
「そうですね。じゃあ僕たちは失礼します」
ロランは立ち上がり、二人が客室を出て行く姿を見送りました。
「紅茶でも淹れましょうか?」
色々と話したいことはありましたが、先ほどから喋りっきりだった
キエルさんに休んで欲しいという考えもあってお茶を勧めました。
「あ、でしたらわたしが」
そう言いながら立ち上がろうとするキエルさんの姿に
わたくしは彼女の両肩を掴み、強引に座り直させました。
「キエルさんは女王様なのです。わたくしが準備しますから座っていてください」
キエルさんは呆然とわたくしの顔を見上げていましたが
わたくしはキエルさんに笑みを浮かべながら見つめ続けました。ようやく観念したのか
躊躇いがちに微笑みながら、申し訳なさそうに了承してくれました。
「では、お願いします。ディアナ様」
キエルさんの言葉にわたくしは二人分の紅茶を用意しました。いつもならロランに
淹れてもらっていますが、もう一人のわたくしの為にどんな些細なことでも良いから
何か恩返しをしたかったという思いが、あまり慣れていない紅茶を入れるという行動を
させたのかもしれません。用意した紅茶をキエルさんの前に差し出すと、キエルさんは
「ありがとうございます」
と軽く会釈をして紅茶を口に含みました。わたくしも自分が注いだお茶を啜りましたが、
普段ロランが淹れてくれるお茶よりも一味落ちるような気がして
お茶を入れるのも奥が深いなと感慨を覚えました。
「どうですか、地球の生活は?」
先ほどまでの女王として毅然とした態度から打って変わって
あどけない笑みを浮かべるキエルさんの姿に、わたくしも自然と口元が緩みました。
「それはもちろん、楽しい日々を過ごさせてもらっています。ロランと、キエルさんのおかげで」
「そうであって欲しいと願っていましたけれど、それを聞いて安心しました」
「キエルさんはどうですか?」
「えぇ、毎日が充実しています。その責任が重く感じる時もありますけれど、
ハリーは公私でわたしを助けてくれますし。わたしも幸せです」
わたくしにとって唯一無二の親友とも呼べるキエルさんが健康であったこと、
彼女が女王の重圧に押し潰されていなかったこと、そしてなにより
キエルさんの冬眠が杞憂であったことにわたくしは心の底から安心していました。
「お二人は結婚なさらないのですか?」
「戦後処理が落ち着くまでは辞めておこうと二人で決めました。
実際問題として女王と親衛隊長が結婚するというのは市民への影響が強そうですし
それに結婚していなくても、いつでもハリーとは一緒にいられますから」
わたくしと同じ水色の瞳を輝かせながら、キエルさんは屈託の無い笑顔で嬉しそうに話しました。
キエルさんの姿にわたくしは彼女の幸せを祝福しながらも、心のどこかで
わたくしも今のキエルさんとハリーの様にありたいと思いました。
「そういうディアナ様こそ、式は上げておられないのでしょう?
もう周りの目を気にする必要は無いのに、何故ですか?」
キエルさんの何気ない疑問に心臓が大きく脈を打ちました。
わたくしは言葉を詰まらせて目を背けてしまいましたが、
改めて彼女の顔を見つめ直し、正直に自分の不安を言葉にしました。
「わたくしは、まだ迷っているのかも知れません」
「迷っている? ロランとの間になにかあったのですか?」
わたくしはかぶりを振って俯き気味に返しました。
「そうではありません。わたくしの人生を預けることが出来るのはロラン以外にはおりません。
ただ、ロランにとって生涯の相手が本当にわたくしなんかで
良いのかと思うと、どうしても躊躇ってしまうのです」
「ディアナ様は、ロランが女王としての忠誠心だけでついてきたとお考えなのですか?」
「分かりません。分かりませんが……。ロランは優しい人です。わたくしが何一つ
できなくても、ロランは文句一つ言いません。それを愛だと信じたいのですが
もしロランが自分の意見を押し殺して、わたくしと一緒にいるのかもしれないと思うと……」
「…………」
わたくしの言葉にキエルさんは言葉が無いのか、思案に沈んでしているようでした。
ロランと暮らして一年。人との触れ合いから得られる喜びや楽しさを十二分に知った
今のわたくしには、彼は無くてはならない存在になっていました。
わたくしがロランに好意を持っていることは今更疑いようもありませんし、彼が
わたくしのことを大切に思ってくれていることも知っているつもりです。
それでもロランは、未だにどこかわたくしに対して遠慮している、あるいは一定の
距離を置いている様に感じる時があります。
ロランとわたくしの関係は複雑で、女王と騎士でも無ければ、主人と使用人でも無く、
友人でも、恋人でも、夫婦でもありません。どれも厳密な間違いでは無く、そしてどれも
正確な表現で無いのが、2年前から現在に至るまでのわたくしとロランの関係なのです。
ロランが本心でわたくしに抱いている想い……。それがどのような想いなのかを知りたい。
もし、ロランのわたくしに抱いている想いが、愛ではなく敬意だとするならば
ロランとソシエさんの関係を壊してまで手に入れた今の生活に果たして意味はあるのだろうか……?
だけど、もしロランの想いが愛ではなく敬意だったとして、それを彼の口から
直接訊いた時に、今の自分に耐えることができるだろうか……?
そんな不安を考えると喉の奥まで出てきている言葉が出ずに、今の生活を
失うかもしれないという恐怖が、彼の本心を訊くことを躊躇わせているのでした。
お互いに言葉を失ってしまい、今はティーカップとソーサーの触れ合う音さえなく
深い静寂に包まれた客室には、時計の針の音だけが虚しく時を刻んでいました。
長い沈黙の中、先に口を開いたのはキエルさんでした。
「ディアナ様は……」
「はい?」
「いえ、何でもありません。……話は変わりますが、ディアナ様は明日どうされるのですか?」
キエルさんの安否を確信するために月に帰ってきたわたくしたちには
明日何をするのかまでは具体的に考えてはいませんでした。
「実は、まだ考えておりません」
「でしたら、月の町を見回ってはいかがでしょう? 実際に現状を見るほうが
月の人たちがどういう生活をしているのか分かっていただけると思いますし」
「それは良いですね」
ロランが良いと言ってくれれば明日はゲンガナムを回ってみよう。
そんなことを考えながら既に冷めてしまった紅茶に口をつけました。
その日の夜はベッドで横になっても、なかなか寝付くことができませんでした。
月の柔らかい光を模した夜の照明が窓から差し込んでいる薄暗い部屋で、目を見開き
隣のベッドで眠っているロランの方に体を向けると、彼は静かな寝息をたてていました。
「ロラン、貴方はわたくしのことを心の底ではどう想ってくれているのですか?」
ロランが眠りから覚めないように小さな声で呟きました。
「わたくしは、貴方のことを……」
わたくしはそこで口を閉じてしまいました。自分の気持ちははっきりしている。
が、ロランがわたくしを愛していなければ、それはただの片思いに過ぎない。
ロランはわたくしのことをどう想ってくれているのだろう? ……彼に訊きたい。
そう思い至ったわたくしはロランを起こそうとベッドの上で上半身を起こしましたが、
起こしたところで訊けるのだろうか? 今までと同じで訊くに訊けないのでは無いか?
そう結論付けるとわたくしは彼を起こすことなく、再び温かいベッドに横になりました。
「わたくしは、貴方を信じていますからね」
意気地の無い自分自身に、そう言い聞かせるように呟きました。
わたくしは体を仰向けにして、ロランの一定の間隔で聞こえる寝息に
自分の呼吸を合わせ始めました。
ああ胸がキュンキュンするwww
ロランもう寝てしまったのかw
先日のキエルさんの提案にロランも賛成してくれたので、
わたくしたちはゲンガナムの町を歩いて回ることにしました。
月の気候はアメリア大陸に合わせているため、今の月は地球で言うところの初夏の気候と
同じなのですが、昨日よりも温度が高く真夏並の暑さを感じさせられました。
「しかしゲンガナムって僕の住んでいた所とは大違いですね。いつ来てもそう思いますよ」
ロランはゲンガナムの町並みを見回しながら口を開きました。
月の首都ゲンガナムは女王の住む白の宮殿だけでなく、一歩外に出れば無数の無機質な
ビル群が所狭しと立ち並び、一年間山の中での静かな生活に慣れきったわたくしには
人の往来が絶えることの無い光景に圧倒されました。
そして何も考えずに月の町を見回ろうとした自分の浅はかさに自嘲しました。
女王として長い間月を統治していた期間は、自由に外の町を出歩くことは許されませんでした。
そのため地球帰還作戦前のゲンガナムの様子が分からず、すれ違う人たちの様子や無数の
電気自動車が通る大通りを観察しても、何がどう違うのか全く分かりませんでした。
「どうかされましたか、キエルさん? 先ほどから前々しゃべられませんけど」
「いえ、その……」
「はい?」
「外に出てから気がついたのですが……。実はわたくし、ゲンガナムの町の中を
見て回ったことがほとんど無いのです」
わたくしの言葉にロランは目を丸くしながら訊き返しました。
「本当ですか!? だって白の宮殿に住まわ――コホン、ここに住んでおられたのに?」
「はい。わたくしがここに居た時は、一人で出歩くことは禁じられていましたし、
一日のうちのほとんどをきゅ……家の中で過さなければいけなかったので」
周囲の人に悟られないよう慎重に言葉を選びながら、わたくしがゲンガナムの町並みを
ほとんど知らなかったことをロランに伝えました。
「なんていうか、相当拘束された生活を送ってきたんですね。本物のキエルさんも
ストレスで倒れたりしないかな?」
「それは、大丈夫だと思います」
「どうしてですか?」
「昨日そのことをお伺いしたら、プライベートの時は変装してハリーの護衛つきで
ゲンガナムの町で普通にショッピングしているらしいです。側近たちの反対を押し切って」
「は、はは……。さすが本物のキエルさんですね。」
ロランは呆れとも驚きとも取れる乾いた声で苦笑いしていました。
「その話を聞いたときに何故わたくしもそうしなかったのだろうと軽いショックを受けました」
「まあ、本物のキエルさんは元々良家のお嬢様ですからね。最初からそういう生活を強いられてきた
貴方と違って、半ば軟禁に近い生活が耐えられなかったんだと思います」
そんな取り留めのない会話をしながら、何の当ても無くゲンガナムの街中を
ぶらつくことしかできませんでした。結局わたくしたちは大きな成果は得られず
時間だけが過ぎていきました。
「見て回っただけでは、具体的に何がどう変わったのか分かりませんでしたね」
額に浮き出た汗をハンカチで拭いながらロランに言いました。宮殿からはだいぶ離れたその場所は
先ほどまで喧騒に包まれていた周囲は既に静寂で包まれており、
住宅街には白い家並みが広がっておりました。
「はい。結構歩きましたし少し休みますか? でも喫茶店なんかは
来た道を戻らないと無さそうですが」
暑さで参っていたわたくしに気遣いながらロランは周囲を見渡しました。
「あそこに公園があります。そこでもよろしいんじゃないですか?」
わたくしは指を刺しながらロランに示しました。
「じゃあ、そこで少し休みましょう」
月の限られた土地に作られた公園にしては、比較的大きな公園だと感じましたが
人気は一切ありませんでした。そこには日差しならぬ照明を避けるための屋根の下に
ベンチが置かれていたので、わたくしはそこに腰を下ろしました。
「何か冷たいものでも買ってきます。キエルさんはここで休んでいてください」
ロランはそれだけ告げると大通りの方に向かって行ってしまいました。
それにしてもこの公園、本当に人がいませんね。ムーンレィスの地球帰還が進んで
月に過疎化が起こっているのでしょうか? でもそれに比例して冬眠している人も
目覚めているはずですから極端に月の人口が減ることは無いはずですが……。
誰もいない静かな公園の中でぼんやりと思案していると、不意に一陣の風が吹き、
静寂に包まれた公園に枝葉の揺れる音を鳴らしました。ガサガサと音を立てた方向に
首を向けると、公園の一角に大きな木が一本だけ寂しそうに植えられていました。
わたくしはベンチから立ち上がり、名も知らないその大きな木を見上げました。
……高い。最低でも20メートル以上、30メートルは超えるだろうか?
月の環境で育った植物は、重力の関係で地球のものよりずっと大きく育ちます。
樹齢何年ぐらいだろう? 100年? 50年ぐらいだろうか?
その木の幹に近づいて、乾いた樹皮の感触を確かめながらわたくしは
「貴方とわたくし、いったいどちらの方が年上なのでしょうね……?」
と、返事を返すことの無い大木に小さな声で語りかけました。口ではそう言いながらも、
わたくしはこの大木が芽を出す、ずっと昔から時の流れに身を委ねてきた
のだろうと考え、目を閉じて額を幹に当てながら、しばらくの間幹に体を預けました。
再び風が吹き、その風の中に微かに嗅ぎなれた匂いを感じたわたくしは後ろを振り返りました。
そこには右手に袋を下げたロランが、寂しそうな瞳でこちらを見つめていました。
「ロラン……。側にいたのなら、声を掛けてくれればよかったのに」
わたくしが笑みを浮かべて見つめ返すと、ロランは目線を下に落としながら口を開きました。
「なんだか、今のキエルさんには声をかけないほうが宜しいかと思ったんです。
どうして、僕が後ろにいるって分かったんですか?」
「匂い」
「え?」
「優しい匂いがしたんです。風が、貴方が戻ってきたことを教えてくれたんです」
わたくしの側までやってきたロランは、ポカンと口を開いたまま立ち尽くしてしまいました。
わたくしはそんなロランに背を向けて、幹を撫でながら続けました。
「ロラン。わたくしは今でも、自分の存在が信じられなくなる時があるんです」
「どういうことですか?」
「わたくしはキエルさんと瓜二つの外見を持ちながら、この木よりもずっと長い時間を、
貴方やキエルさんよりも何十倍もの年月をこの身に重ねてきたのです。
不思議なことだと思いませんか?」
「それは……」
低い声で返ってきたロランの返事に、今彼がどういう顔をしているのか鮮明に読み取れました。
わたくしはそんなロランに向き直りました。
「わたくしはその無限地獄から開放されました。でも、時々考えてしまうんです。
そうまでして重ねてきた年月には、わたくしにとって一体何の意味があったのだろうと」
当時の不満や不安、後悔。そう言った負の感情を抑えられなくなっていたわたくしは、
ロランの気持ちも顧みず、一方的に語り続けていました。
ロランに話しても何も変わらない。むしろ彼の負担を重くするだけだと
ようやく感情に押さえ込まれていた理性が働き始めたわたくしは、
憂いを帯びた表情でこちらを見つめるロランに謝りました。
「ごめんなさい。こんな話を聞かされても困ってしまいますよね」
「い、いえ……」
「さて、無駄話は置いといて午後からどうするか考えましょう?」
ロランになるべく早く気持ちを切り替えてもらいたかったわたくしは
無理矢理話題を変えようとしました。しかし、
「キエルさん!」
普段の穏やかな口調とは違う、突然のロランの大声にわたくしは身震いしてしまいました。
「その、僕は嬉しかったです。千年の時を超えて、こうしてキエルさんと話ができることが。
もし僕たちが地球人だったら、出会うことも話をすることも絶対にできなかったわけじゃないですか!
だから、その……」
「ロラン……」
彼の言葉は尻すぼみに終わってしまいましたが、今更どうにもならない過去を聞いて尚、
わたくしを元気付けようとしてくれたロランの言葉に少しだけ視界が滲んでいきました。
「……すみません。こんなの僕の身勝手な考えで、キエルさんには何の
励ましにも慰めにもならないですよね。申し訳ありませんでした」
わたくしの悲しみを自分のことのように真摯に受け止めてくれる彼の優しさに
涙を堪え、ロランの左手を優しく握りました。一杯の感謝をこめて
「ロラン、ありがとう」
と伝えました。その言葉にロランもぎこちないながら笑みを返してくれました。
今だったら訊けるかもしれない。ずっと前から訊きたかった、彼の本当の想いを。
期待と不安の入り混じった中で自分の心に活を入れて、姿勢を正し改めて正面から
ロランの顔を見据えました。
「ロラン。実は、前々からロランに訊きたかったことがあるのです」
「はい?」
ロランも改まったわたくしの態度に何かを感じ取ったのか、少々声が上ずっていました。
「貴方は、どう……。いや、わたくしに対して、わたくしが……」
後一歩、もう喉の入り口まで出掛かっている言葉が出ませんでした。ロランも何かを
伝えようとしていることは分かってくれたようですが、人の心が読めるわけでもない以上
それ以上は伝わず、その場で首を傾げるだけでした。
「ごめんなさい。今のは忘れてください」
「は、はい」
結局、後一歩が踏み込めずに目の前にまでやってきた絶好の機会をむざむざ失うことに
なってしまいました。わたくしたちの間に圧迫感を感じさせる重い空気が漂い始め、
その空気を嫌ったわたくしはロランの手の中にある袋に視線を逸らし、そこに救いを求めました。
「あの、何を買ってきたのですか?」
「あ、はい。熱かったので冷たい飲み物とアイスクリームを」
わたくしの疑問にロランは袋の中を開けてわたくしに見せてくれました。
この暑さで時間が経過しているせいか、商品の回りには水滴が付着していました。
「アイスクリーム?」
「なんだか見ていたら欲しくなっちゃって。飲み物も買ってきましたけれど、要りませんか?」
「いえ、わたくしも頂きます」
ロランがわたくしのために買ってきてくれたものを断る道理はありませんでした。
ただ飲み物の方はともかく、この暑さで長いこと話をしていた以上アイスのほうは
溶けているかもしれません。二人でベンチに座り、ロランがカップ型のアイスの蓋を取ると、
やはり容器に近い部分は溶け始めていました。
「少し溶けていますね」
「す、すみませんでした」
「いえ、わたくしが長話をしたからでしょう。貴方のせいではありませんよ」
ロランは自分の責任だと思ったのか、沈痛な面持ちをしていました。
わたくしの責任なのに、それでも自分を責める彼に笑って欲しかったわたくしは
ロランの手の中にある溶けかかったアイスに、袋の中にあった使い捨ての小さな
スプーンをカップの中に入れてアイスを口に頬張りました。
「甘くて美味しいですね」
「よろしいのですか?」
「何がですか?」
「だって、溶けちゃっているのに」
「貴方がわたくしのために買ってきてくれたのです。美味しくないはず無いじゃないですか。
それに、大急ぎで食べれば大丈夫ですよ。ロランは食べないのですか?」
「い、いえ、僕も頂きます」
ロランが袋からもう一つのアイスを出す前に、わたくしは今自分が口にした
スプーンにアイスクリームを乗せて、それをロランの口元に出しました。
「キ、キエルさん?」
「はい、ロラン。あーん」
わたくしの大胆な行動にロランはひどく狼狽し、顔を紅潮させていましたが、わたくしが再び
「ほら、ロラン。早くしないと服に垂れてしまいますよ?」
とダメ押しするとついに観念したのか、半開きのような状態で口を開けました。
わたくしはその中にスプーンを入れてロランに食べさせてあげました。
「美味しいですか?」
「え、えぇ……。あ、ありがとうございます」
視線を泳がせながらそう答えたロランは彼の以外な一面を発見したような気持ちになり
先ほどの暗い気持ちを吹き飛ばしてくれました。
「いいえ、どういたしまして。ロランもわたくしにやってください」
「えぇ!? でも、人目がありますし……」
「今は誰もいないから大丈夫です。それとも、ロランはわたくしのような女には
そんなことはできないと?」
「そ――そういうつもりで言ったわけじゃありませんよ!」
「ではお願いします、ロラン。優しくしてくださいね?」
「ど、どういう意味ですか?」
「さぁ、どういう意味でしょうね?」
以降はこんな調子でアイスタイムを楽しんでいました。冬眠中の千年間の時間は
絶対に取り返すことができません。それでも今は……。
「じゃあ、いきますよ。キエルさん?」
「どうぞ」
ロランは静かにわたくしの口の中にアイスを入れてくれました。
「美味しい。もう一口お願いします」
「そろそろ普通に食べませんか?」
「よろしいじゃありませんか。こういうのも楽しみ方の一つです。さ、ロラン?」
「はぁ、分かりましたよ。でも恥ずかしいなぁ……」
アイスが美味しい。それだけのことですが、そのひと時は間違いなく冬眠中の千年間
よりもはるかに価値の在るものでした。夏の暑い陽気が包む中、誰もいない静かな公園で
わたくしは生きる喜びを感じていました。
GGGGGGGGGGGJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ!!!!!!!!!!!!!!
Great joy!
GJ!!!!!!!!!!
甘酸っぺえ!!!!!!!!!!!!
続きに期待が高まります!
ゲンガナムを見回っても月の街がどう変わったのか分からなかったわたくしたちは
ロランの提案で月に帰ってきているハメットさんたちから現在の月の様子を聞いてみようと
運河を渡ってメイザム港に下りました。
人工的に作られた海であっても、潮の香りは人の心をなだめてくれます。
特にここで生まれ育ったロランは、童心に帰ったようにはしゃいでおり
そんなロランの姿にわたくしも自然と笑みが零れました。
「ここに来るのも久しぶりだな」
ロランは眩しそうに午後の照明の光を手で遮り、運河を眺めながらそう呟きました。
「以前にここに来たときは、わたくしとロランとソシエさんの3人でしたよね」
「はい、あの時は今のような状況は想像もしませんでしたけどね」
「それは、わたくしも同じですよ」
ロランに返したわたくしの言葉は本音が半分の嘘が半分といったところでした。
たしかに、わたくしが地球で生きていくことは以前から望んでいたことでした。
しかしそれは一年半前の大戦の戦後処理や、地球帰還作戦を完遂、あるいはある程度の
見切りをつけた後に、女王制度を完全に解体してから地球で隠棲するつもりでした。
しかしそのことを話したときに、キエルさんもハリーと恋仲であり、世情不安定な
今の世の中で役に立ちたいと言ってくれて、永続的な入れ替わりをしたほうがお互いの
ためではないかと提案してくださった結果、終戦後わずか半年で地球に暮らすことが
できる様になりました。その意味では予想外だったと言えるでしょう。
でも何時からか、わたくしは女王としての考えとは別にロランと共に生きて生きたいという
願いがありました。それが実行されるということはロランを自分の生涯のパートナー
として選ぶということであり、同時にロランに想いを寄せていたソシエさんから彼を
奪い取ることも意味していました。その後色々ありましたが、結果的にわたくしの願いは叶い
ソシエさんからロランを奪うという幕引きで、彼女には最後まで辛い思いをさせてしまいました。
その結果、わたくしとロランの二人の隠棲生活が始まり、キエルさんに女王の座を
引き継いでもらうことによって全てが収まった、かに思えました。
しかし、最近わたくしはこう考えてしまうこともあるのです。ロランがわたくしを
選んでくれたのは、愛というよりは女王としての敬意ではないのかと。
自活能力も無く、世間知らずで、仲の良い知り合いもほとんどいない、女王の座を降りた
わたくしには何も残っていなかったことを心配して付いてきてくれただけなのかも知れない。
ロランは本当に優しい人だから、わたくしの身を案じて就いてきてくれただけなのかも知れない、と。
その不安は少しずつわたくしの中で大きくなっていき、ロランの本当の気持ちを訊くべきだと
何度も思いながら、彼が目の前から去ってしまうことを何よりも恐れている
わたくしは未だ彼の本心を訊けずにいるのでした。
「ハメットたち、居ればいいけど」
港から数分、今までのことを思い返しながらハメットさんたちの住まいまでやってきました。
ロランは呼び鈴を鳴らしましたが、誰もいないのか物音一つしませんでした。
「……留守なのでしょうか?」
「月には戻ってきているはずですから、多分運河のそ――」
「ロランじゃないか!? お前地球で暮らしてたはずだろ!?」
「ロラン、久しぶりね。終戦以来じゃない?」
わたくしたちが途方にくれていると、背面からロランの名を呼ぶ二種類の声が聞こえました。
そこには黒いTシャツにジーンズのラフな服装でロランに駆け寄ってくるハメットさんと
水色のワンピースに赤いリボンの巻かれた麦藁帽子を被り、涼しげな雰囲気のドナさんが
にこやかに手を振っていました。
「ハメットにドナお姉さん! 久しぶり。二人とも元気そうだね。
運河に行ってたわけじゃ無いみたいだけど、どこに行ってたの?」
「下の町に買い物さ。食料品とか雑貨とかひ――ディアナ様!? おい、ロラン!
どういうことだよ! なんでお前がまたディアナ様と一緒にいるんだ!?」
ロランとの会話の最中、ハメットさんはわたくしを一瞥すると目を丸くしながら
ロランに聞き返していました。
しかしわたくしたちが説明する前にドナさんが答えてくれました。
「馬鹿ねぇ、ハメット。ディアナ様は白の宮殿よ。ここにいるわけ無いでしょう?
お久しぶりです、キエルさん」
「こんにちは。ドナさん、ハメットさん」
わたくしはハメットさんとドナさんに軽く会釈をしました。自覚はありますが
やはり普段わたくしたちを見慣れていない人には、月の女王に見えてしまうのかも
知れませんね。しかもここに始めて来た時は、今のわたくしの格好とあまり変わらないですし
ハメットさんがそう思うのも無理の無いことなのかも知れません。
「あぁ、そういえば。久しぶりにお会いしたというのにどうも失礼しました。」
「ハメットさん、どうかお気になさらないでください。自分でもディアナ様と
よく似ていると思っていますし」
「地球から遠路遥々ご苦労様でした。玄関先で話すのもなんですから、どうぞお上がりください」
「ドナお姉さん、ありがとう」
「ありがとうございます。ドナさん」
ドナさんのお言葉に甘えて、わたくしたちは二人の家にお邪魔させてもらいました。
ゲンガナムの一般的な建造物とは違い、家の内部は木造で構築されており
一人キッチンへ向かうドナさんを見遣り、わたくしとロランはハメットさんに
椅子に座るように勧められました。
「そういえば、セントはどうしたの?」
思い出したかのようにロランは椅子に腰掛けながらハメットさんに訊きました。
「さぁ? 俺たちだっていつも一緒にいるわけじゃないさ」
ハメットさんはロランと向かいにある椅子に座り、そう応じました。
わたくしはロランの隣に腰掛けて、しばらく二人の会話を静観していました。
「それもそうだね。月の暮らしはどう?」
「俺たちの暮らしはいつもどおりさ、毎日楽しくやってるよ」
二人が自分たちの近況を報告しあっていると、コーヒーを淹れたドナさんが
戻ってきました。全員がカップを受け取ると、ドナさんはわたくしの正面に座り
二人の会話が止まったのを見計らってわたくしは口を開きました。
「最近はムーンレィスの人たちも地球に移民している方が増えていると聞いています。
ハメットさんとドナさんは地球で暮らそうとは思わないのですか?」
わたくしの問いかけに対し、ハメットさんとドナさんは一度視線を合わせ、
ドナさんが朗らかに微笑んで答えてくれました。
「ディアナ様がアグリッパ・メンテナーに変わって再び月を統治されてからは
以前のように過ごしやすくなりましたし、あたしもハメットも一度地球に降りていますから
今すぐに地球に移りたい、とは考えていません」
「でも、やっぱり地球に住みたいってやつも結構多いのは確かですね。
このあたりでも何人かは地球で暮らしてみたいって話をよく聞くし、
実際に今地球で暮らしている知り合いもいます」
ドナさんの言葉に続いてハメットさんがそう返されました。
「そうだよね、地球帰還はムーンレィスの夢だったもんね。僕だってその一人だったし」
ロランは天井を見上げながら過去を思い返している様に答えました。
「まぁな。地球が安全で簡単に降りられるなら、ムーンレィスなら一度は
地球に行ってみたいと思うだろうよ」
「でも、あたしたちは地球を知っているからね。今すぐ地球に行こうって考えはないさ」
「そうそう、俺たちは運河人だからな。地球の暮らしも悪くないけど
俺はずっと暮らしてきたここに愛着もある。っと、だからってロランが地球で暮らすことを
非難しようなんて考えてないぞ。要は人それぞれってことさ」
顔を綻ばせながら語るハメットさんとドナさんの言葉に妙に納得してしまい、
わたくしは二人の仰る通りなのだろう心の中で頷いていました。
地球帰還作戦はムーンレィスの積年の望みでした。空気も水も大地も、全てが人工物で
賄わなければ生きていくことができない月の暮らしを強いられてきたムーンレィスに
地球にある本物の空と雲と風の素晴らしさを知ってもらい、母なる故郷に帰還するという
大義名分の下に地球帰還作戦を行なってきました。
しかしそれは謳い文句に過ぎず、わたくしが地球帰還作戦を強行した本当の理由は
月の女王の宿命であった永遠の牢獄からの解放、死の中にこそある生の喜びを感じ
人として普通の生き方をしたいという願望でした。
でも、その願望は女王と言えどわたくし一個人の想いでしかありません。
かつてアグリッパが唱えた様に月の新しい環境で暮らすことを望む人たちもいます。
地球に帰還できても、ムーンレィスにとって自分たちが暮らした月こそが本当の故郷であり
月に残って生活を続ける人もいます。そんな人たちに地球帰還を強要させることは
できませんし、結局は自己利益のために数多くの関係の無い人たちにまで
不幸をもたらしてしまったわたくしに、強要する資格があるとも思えませんでした。
現女王であるキエルさんも月で人々に支えられており、月に人が住み続ける限り
運河の掃除だって誰かが行なわなければなりません。
地球に住むということはムーンレィスにとって、権利であって義務では無いのですから。
「そっか。やっぱりディアナ様が月に戻られてからは暮らしやすくなったんだね」
「ところでロラン、どうして今日はソシエさんと一緒じゃないんだ?
たしかキエルさんの妹さんですよね?」
こちらに視線を向けながら言い放たれた、思いがけないハメットさんの言葉に
私は背筋が凍りつく感覚を味わいました。わたくしは内から沸き起こる動揺を抑えて
喉から声を絞り出しました。
「え――えぇ……。今日はわたくしとロランの二人だけです……」
「残念ですね。せっかくですからお会いしたかったのですけれど」
「今ソシエさんは何してるんだ? 相変わらずミリシャのパイロットなのか?」
「ううん。今は鉱山の経営をしてる。キエルさんとソシエさんのお父様、
僕にとっての以前のご主人様だけど、その旦那様の後をついでね」
二人の言葉に脂汗が流れそうなほどに緊張し、体全身が強張っているわたくしとは
対照的にロランは意外なほどに落ち着いた声で返していました。
ロランにだってソシエさんを悲しませてしまったという負い目があるはずなのに……。
「そっか、じゃあ忙しいんだろうな?」
「うん、以前は旦那様が全部やってくれていたけれど、経営を始めた当初は
苦労したって言ってた」
「ソシエさん、ロランより若いんだろ? 凄いんだな」
「そうだね。本当に、凄い人だと思うよ」
ロランは淡々とハメットさんの質問に答えていました。そしてロランの
全く動じない態度が、わたくしの不安を大きく膨らませるのでした。
それ以降わたくしは3人の会話が耳に入りながらも、どこか聞き流しており
気がつけば白の宮殿に戻るために港を目指していました。
「地球の生活も良いですけれど、やっぱりここに帰ってくると落ち着きますね」
髪をなびかせながら前を歩くロランの言葉に、わたくしは答えることができませんでした。
「それにしても良かったですね。キエルさんも元気だったし、月での暮らしも
以前のように住みやすくなりましたって」
立ち止まり、こちらに振り返ったロランの澄んだ瞳を直視することができず、下を向きながら
「え、えぇ。そうですね、本当に良かった」
と返すのがやっとでした。
「どうかしましたか? どこか具合でも悪いんですか?」
「いえ、何でもありません……」
お互いに足を止めて二人の間に数秒間の沈黙が訪れました。わたくしは俯けた
顔を上げてロランを見返しながら口を開きました。
「ロラン、貴方に訊きたいことがあります」
そう発した言葉は、自分でも意外なほど低い声でした。
「な、なんですか?」
「わたくしは、貴方にとってどういう存在ですか?」
今までわたくしが訊こうと思って訊けなかった言葉が、自然と口に出ていました。
ロランは視線を逸らし、しばらく口を閉じたままでした。
考えた末の結論なのか、ロランは首を横に振ると向き直ってこう答えました。
「その……。大切な人ですよ。キエルさんやソシエさんの様に
どんなものにも換えることのできない、大切な人です」
ロランの言葉はわたくしの予想を確信へと導きました。
彼はわたくしを大切には思ってくれていても、愛してくれているわけではなかった。
わたくしの存在価値は一度別れたはずのソシエさんや、わたくしと同じ外見を持ち
滅多に会うことの無いキエルさんと全く同じ。
悲しさや寂しさは無くやはりそうか、という思いが胸の中に落ちていきました。
「そう……ですか……。ありがとう、もう結構です……」
わたくしはロランに視線を合わせること無く、彼の横を通り過ぎて港への道を歩き始めました。
ロランが後ろから走ってくる音が聞こえましたが、もう振り返ることはありませんでした。
あぁロラン何してんだ><
バカロラン…
でも、ロランならこう答えるんだよな……
しかしこれでふさぎ込むなんてディアナ様チョトワガママでゼータクでは…
と思ったのはお(ry
や、もちろん作者さん責めてる訳じゃないですよ、急展開にガクプルって事で。
宮殿に帰るまでの道のり、帰ってからの夕食の時間。わたくしはロランからの問いかけ以外は
口を開くことはありませんでした。その返事も『えぇ』や『そうですね』など相槌を
打つものばかりで、実際ロランと何を話したか、ロランが何を訊いていたかはほとんど
記憶にありませんでした。
自分の居場所を失ってしまったわたくしは、宮殿内の煌びやかな喧騒から逃れ
深海にでもいるかのような夜の深い静謐が包む、宮殿の庭の隅に一人で膝を抱いていました。
ロランがわたくしを愛してくれているというのは、ただの幻想でしかなかった。
一年間も一緒に暮らしていながら何故気がつかなかったのだろう。
ロランには本当に感謝しているし、尊敬もしている。でも、わたくしがどれほど
彼を愛していても、彼がわたくしを女として見てくれない限りそれは意味が無いのだから。
いっそのこと、ソシエさんにロランを返してあげるべきだろうか。
何か一つとってもロランより優れているものが無いわたくしよりは、失恋に打ち負けず
現実を見つめ、今ではハイム鉱山の経営者であるソシエさんといる方がロランは幸せになれると思う。
いや、一年間も一緒にいながらロランから情が移ることなく、逆に付き合いが
無かったにも関わらず、大切な人だと言い切ったソシエさんは
わたくしとロランの関係とは違い、本当に愛し合っていたのかもしれない。
ソシエさんにロランを返してあげよう。元々ロランはハイム家にいたのだし
わたくしが我が侭を言わなければ、ロランはずっとハイム家にいられたのだから。
それに本当に愛しているからこそ、ロランの見つめる対象がわたくしで無いことを
自覚しながら今後もロランと一緒にいるには、あまりにも自分が辛すぎる、惨め過ぎるから。
そうだ、それが一番良い。ロランはソシエさんに返そう。月の女王に生きがいを
感じているキエルさんと今更元に戻ろうとも思えないし、地球で一人ウィル様と
暮らしていた屋敷で過ごそう。
でも、これだけ肥大化したロランへの想いを捨てられず、一度はオーバニーでの思い出を
無くそうとさえしたわたくしをウィル様は許してくれるだろうか。それにウィル様にも
奥様がいて、子供もいた。そんな中、既に別の殿方に想い引かれたままオーバニーの
屋敷に行ってどうなる? 結局自分が辛いだけではないのか?
……そうか、結局わたくしは一人なんだ。昔からそうだったし、暖かい家庭を持ちたい
なんていうのは分不相応な考え方だったのだろう。地球に帰ったら一人で生きて、
一人で死のう。それが一番良い。出会いが無ければ、もう傷つくことも無いのだから……。
「ここにいらっしゃったのですね」
不意に背後から掛けられた声に、溢れそうな涙を拭って後ろを振り返りました。
「ロランが探していましたよ。『ディアナ様が何処に行ったかご存知ですか?』って」
キエルさんはわたくしの横で屈み、そう言ってくれました。
女神のような優しげな笑顔と暖かい言葉に、わたくしの感情を抑えていた楔が断ち切れ
わたくしはキエルさんを強く抱きしめて、彼女の腕の中で泣き叫んでしまいました。
半ば錯乱状態にあったわたくしの様子に、キエルさんは何も言わずに
わたくしの慟哭が収まるまで、優しく髪を撫で続けてくれました。
「なるほど、そんなことがあったのですね」
しばらくの間大声で泣きしきったわたくしは、今日起こったこと、ロランの言葉、
自分の不安を打ち明けていました。一つ一つの言葉を真摯に聞いてくれる
キエルさんの姿に、わたくしは少しずつ落ち着きを取り戻すことができました。
「ロランは、わたくしのことを元女王として敬意を持ちながらも、それとは別に
一人の女として愛してくれていると思っていました。いや、そうであって欲しいと
望んでいたのです。でも彼にとってわたくしは、大切な人として扱ってくれていても
そこに恋愛感情は無い様に感じられました。そんなわたくしと一緒にいるよりは、
ソシエさんと一緒になった方がロランは幸せになれるのではないでしょうか?」
「ディアナ様は、ロランのことを心から愛しているのですね」
キエルさんの言葉にわたくしは頷きました。
「女王を辞めて何一つ人並みに出来ないわたくしが、唯一他の誰にも負けない自信があるのが
ロランの幸せを願う想いです。でも逆に言えばそれしかないのです、わたくしには……」
「ディアナ様もロランも、そういった方面では不器用ですからね」
優しげな声色でキエルさんはそう言い切りました。不器用と言う言葉に
わたくしは鸚鵡返しに聞き返しました。
「わたくしたちは不器用、なのですか?」
「わたしから見ればこれでもかってぐらいに。二人とも似たもの同士なのかも知れませんね」
微笑みながら語るキエルさんの言葉は、全ての事象を見透かしているかの様に聞こえました。
たしかに女王として生きてきた生涯の中で、友人や恋人と呼べるような人付き合いが
ほとんど出来なかったわたくしが不器用と言うのは、間違いでは無いのかも知れません。
ただロランが不器用と言うのはどういう意味なのだろう? としばらく自問自答をしましたが
自分自身をも失いかけていたわたくしにそれが分かるはずもありませんでした。
「仮に、ロランをソシエの元に返したところで、誰も幸せにはなれませんよ」
「ど、どうしてですか?」
「ディアナ様は当然のこと、ロランは自分ではディアナ様を幸せにすることができなかったと
心に一生消えない大きな傷を残し、そんな状態のロランがソシエの元に戻ったとしても
ソシエは変わってしまったロランに失望し、そんな状況までロランを追い詰めた
ディアナ様を一生恨むことでしょうから」
自分では最善だと思おうとした道を、ばっさりと切り捨てたキエルさんの言葉が胸に突き刺さりました。
ならわたくしはどうすれば良いのだろう? 自分なりに考えた結論を躊躇うことなく
否定したキエルさんの瞳に揺るぎはありませんでした。
わたくしが言葉を失ってしまうと、キエルさんは正面にある林を眺めながら言いました。
「ディアナ様は蝶をご存知ですか?」
「ちょう?」
「地球に生息する昆虫の一種で、幼虫から蛹や繭といった段階を経て成虫へと変態します。
中でも揚羽(あげは)と呼ばれる種類の蝶は、美しい羽根を持っているのですよ」
何の前触れも無く聞いた『ちょう』という言葉が、空を飛ぶ蝶を指しているのでは
と気づいた時には、キエルさんはわたくしに視線を戻し説明を続けていました。
「今のディアナ様を蝶に例えると、成虫になる前の蛹や繭と言った所でしょうね」
「わたくしが、繭?」
「そう。繭の外には素晴らしい未来が待っているのに、不安から後一歩が踏み出せず
安定した現状に閉じこもってしまっています。美しい羽根を持っているのに縮めたままにして」
キエルさんが何故蝶を例えにしたのかは分かりませんでしたが、彼女の言葉を聞いていれば
たしかにわたくしは不安から今以上に進むことが出来ない繭や蛹なのかもしれないとも思えました。
「ディアナ様は、羽化をしなければなりません。その美しい羽根を希望の未来へ
羽ばたかせてください。千年間の悲しみに耐えてきたディアナ様にはその権利があるはずです」
「でもわたくしには、その揚羽蝶のように美しい羽根なんて持っておりません」
「何を仰います。ディアナ様にもあるじゃないですか」
「わたくしにも?」
「えぇ。愛という名の、世界で一番美しい羽を」
キエルさんはわたくしの手を取り、真っ直ぐにこちらを見据えました。
「先ほどディアナ様はこう仰いましたね。『ロランの幸せを願う想いだけは誰にも負けない』と。
それだけでよろしいではありませんか。ロランだって、ディアナ様に対して
尊敬の念しか持ち合わせていなかったのであれば、女王の座を降りてまで地球で
暮らそうとしたディアナ様では無く、ソシエを選んでいたでしょうから」
「キエルさん……」
「ディアナ様。傷つくことが恐いという気持ちはわたしにも分かります。
でも傷つくことを恐れていては前には進めません。だから勇気を出してください。
大丈夫、きっとロランはディアナ様の想いを受け止めてくれますよ」
わたくしと同じキエルさんの水色の瞳には力強い光を宿しており、
頑張ってと訴えているように見えました。しかし、未だ迷いを断ち切れないわたくしに
できたのは、そんな彼女に対して目を伏せることだけでした。
「わたしにできるのはここまでです。後は、ディアナ様が御自分で未来を掴んでください」
キエルさんはわたくしの手を一度強めに握ってから離し、立ち上がってわたくしに背を
向けました。わたくしはその様子を見送りながらも、何かを言わなければと思い
わたくしも腰を上げました。
「わたくしは、ま――」
「ロランは」
わたくしが言い切る前にキエルさんはわたくしの言葉を遮り、背中を向けたまま続けました。
「ロランは、今もディアナ様のことを心配していると思います。
彼を悲しませたくないと思うのなら、ロランのもとに行ってあげてください。
そこにディアナ様が千年間望み続けてきた、羽ばたける未来が待っているのですから」
わたくしの耳に流れた言葉を最後に、今度こそキエルさんはわたくしから遠ざかっていきました。
「ロランのもとに、羽ばたける未来が待っている……」
最後まで暖かかったキエルさんの言葉を呟きながら、わたくしは少しの間
その場に立ち尽くしていました。
GJ!
ついにロランの下へ羽ばたいていくのか、ディアナ様!?
⊂二二二( ^ω^)二⊃
GJ!!!!
がんがれ、ディアナ様!
ロランと会ったところで何を話せば良いのか分からなかった
わたくしは客室の前でもたついていました。
刻々と時間だけが過ぎていく中、部屋の中から時々音が聞こえてきます。
それが何の音かは分かりませんでしたが、少なくともロランが今部屋にいることは理解できました。
こうしていても仕方が無い。キエルさんのロランと会うべきだと言ってくれた
言葉を信じよう。わたくしは大きく深呼吸をしてから扉を開けました。
「ディアナ様! どちらにいらっしゃったんですか!? 凄く心配したんですよ?」
わたくしを見るや開口一番、ロランはわたくしの側に駆け寄ってきました。
部屋の中は明かりがついておらず、窓から夜の照明だけが部屋の中を照らしていました。
「心配、してくれたのですか?」
「当たり前じゃないですか! 何を言っているんです!?」
「いえ、その……。ごめんなさい」
怒りと不安の綯い交ぜになった表情で話すロランの姿に、わたくしは思わず目を伏せてしまいました。
わたくしの様子にロランも言葉を失ってしまったようで、わたくしはゆっくりと
彼の横を通り過ぎて窓の前まで移動しました。
わたくしは、何をやっているのだろう。あの悲しそうな顔をしたロランを見て
出てきた言葉が謝罪の一言だけとは。わたくしは、彼に掛ける言葉まで失ってしまったというのか。
耳が痛くなるほど静まった部屋の中で、自分の不甲斐なさに心の中で嘆息しました。
「あの、ディアナ様。もしかして僕、何かディアナ様を悲しませるようなことをしてしまいましたか?」
「え?」
悲しみを湛えた静かな声が沈黙を破り、わたくしはロランの方に振り返りました。
「帰ってきてからのディアナ様は僕のことを避けているように感じました。
そうだとしたら謝ります。ですから、教えていただけませんか? 僕の何がいけなかったのか」
「そんな、謝るなんて。ロランは何も悪くありません。これは本当です」
「でも宮殿に帰ってくる途中からずっと、ディアナ様は悲しそうな顔をされていました。
僕が励まそうとしてもうまくいかなくて、なんだかディアナ様が僕を避けているようにさえ
感じました。だからディアナ様がそれを望むのなら、僕も一時はディアナ様に関わらない方が
いいのかもしれないと思いました。でも、やっぱり心配だったから、
宮殿の中を探し回ったんですけど見つからなくて、それで……」
肩まで伸びた銀色の髪がロランの表情を隠していましたが、震えている声が
彼の心境を鮮明に教えてくれました。少し触れただけでも倒れてしまいそうに見える
ロランの姿にいたたまれなくなったわたくしは、首を大きく横に振りました。
「ロラン、自分を責めないでください。貴方は何も悪くない。悪いのは全部わたくしなのです」
ロランは上目遣いで、生気を失った暗い瞳をわたくしに向けていました。
わたくしは決意しました。今度こそ自分の気持ちを伝えて、ロランを開放してあげよう。
これ以上わたくしのせいでロランを苦しめたくない。そんなことをするぐらいなら
自分が傷つくほうが耐えられる。たとえその先の言葉が絶望であったとしても、
わたくしが傷つくだけなのですから。
「ロラン、貴方がわたくしのことを大切に思ってくれていることは知っていました。
貴方と暮らした一年間。わたくしは、本当に幸せだった……」
二人で一緒に料理を作ったこと、自動車に乗って買い物に行ったこと、
湖で魚釣りをしたこと、二人で雪だるまを作ったこと、
病気の時に看病してくれたこと、寂しかった夜に一緒に寝てくれたこと。
今までのことが脳裏を駆け巡り、思い出の一つ一つがどれも溢れるばかりに
輝かしい光を放っていました。
「わたくし、怖かったのです。いつかロランがわたくしの側を離れていってしまうことが」
「――え?」
「それは一方的な想いだったのかもしれない。わたくしを気遣ってくれていた
だけなのかもしれない。それでも、その時感じた幸せは本物だったから。
その幸せを失いたくなかったから! 本当のことが訊けなかった……」
胸の底から熱いものがこみ上げ、わたくしは涙で視界が歪んでいきました。
「あの、何を」
「ロラン、わたくしは……。わたくしはっ!」
言葉に詰まったわたくしは、指が軋むほどに両手の拳を強く握り締めました。
100年以上前のように後悔するぐらいなら、どれだけ惨めでも構わない。
せめて自分の気持ちだけは伝えたい。
キエルさん。どうかわたくしにあと少し、少しで良いから、勇気をください……。
「わたくしは! ロランのことを愛しているのです!!」
「!!」
「大好きです! 大好きで、恋焦がれるぐらい愛おしくて
貴方が側にいてくれれば、他には何もいらなかった……」
体を支えられなくなったわたくしは床に両手を付けて、その場に座り込んでしまいました。
溢れる涙が頬を伝って月の緩やかな重力の中、静かにわたくしの衣類を濡らしていきました。
「ディアナ様……」
「でも、それはわたくしの我が侭でしかないのです。貴方の気持ちを踏みにじりながら
貴方と一緒にいられるほど、わたくしは残酷な真似はできないから」
腕に力を入れて立ち上がり乱暴に涙を拭うと、嗚咽の声を堪えてロランを見つめ直しました。
「だから貴方の気持ちを、もう一度だけ訊かせてください。こんどこそ現実から逃げずに、
キチンと胸に受け止めます。だからもう一度、もう一度だけ、貴方の思いを訊かせて欲しいのです。
貴方は、わたくしのことをどう思っているのですか……?」
口ではそう言いながらも真正面からロランを見つめることが怖く、
わたくしは顔を伏せて目を閉じてしまいました。
これで良い、これで良いんだ。ロランに拒絶されるのは怖いけど、もう逃げることはできない。
覚悟を決めよう。そして今度こそ、ロランにはロランの人生を歩ませてあげよう。
これから先の生涯でも決して忘れることは無いであろう
楽しかったひと時は、もう終わったのだから……。
「ディアナ様」
その声が間近で発せられていると感じ目を開いたその時、温かくて柔らかいものが
わたくしの全身を包み込みました。視界には銀色に煌く髪が揺れており
わたくしは今ロランに抱かれているのだと分かりました。
「ロラン……?」
「僕は、ディアナ様のことを愛しています」
ロランがそう口を開いた時、予想外だった彼の言葉を瞬時に理解することができませんでした。
これは夢ではないのか? ずっと願い続けてきたわたくしの想いが拒否されることを恐れて
本能的に逃避行動を起こし、幻聴を聞いているだけではないのか?
わたくしは高ぶる興奮を抑えながら口を開きました。
「で――でもそれは、元女王に対する敬意を表してですよね? 貴方はわたくしが一人で
生きていくことを助けてくれる意味でわたくしに就いてきてくれたのでしょう?」
「違います」
ロランの明瞭な言葉に、こんどこそわたくしは胸が高鳴りました。
「僕は、ディアナ様が大好きなんです。それはディアナ様が女王だったからじゃありません。
男として、僕はディアナ・ソレルという一人の女性を好きになったんです」
彼から発せられる一つ一つの言葉が全身の細胞に行渡り、体中が歓喜の声を上げ始めていました。
それでも急激な心境の変化に頭の方がついてこれず、わたくしはしどろもどろに訊き返しました。
「ほ、本当にですか? だってわたくしは、今まで貴方に何もして上げられなかったのに」
「そんなことありません。僕はディアナ様から楽しみや喜び、幸せをたくさん貰ました。
今もずっと貰い続けています。」
ロランは腕の力を強めてわたくしを一層強く抱きました。
「わたくしが、ロランに?」
「ディアナ様、僕も怖かったんです。一緒に生活をしていても、時々悲しそうな顔をされる
ディアナ様の横顔を見た時には、僕がディアナ様を支えきれていないからではないかと
何度も思ったことがあります。僕が声を掛ければ、すぐにいつもの笑顔で答えてくれましたが、
ディアナ様はきっと心のどこかで無理をしていて、僕に気を使ってくれているのだと。
その上、恐れ多くも僕の本心をディアナ様が知ってしまったら、今の関係が崩れて
ディアナ様がどこか遠くに行ってしまうんじゃないかって……。ずっと怖かったんです」
ロランは、わたくしと同じだったんだ。自分の側からいなくなってしまうことを恐れて、
本心を伝えることができずにいただけだったんだ……。そのことを理解した直後、
わたくしの瞳から枯れることを知らない涙が滝のように溢れロランの肩を濡らしました。
わたくしもロランの背中に腕を回し、彼を強く抱き返しました。
「そんな、そんなことありません。わたくしがどれほど貴方に救われてきたことか。
ずっと貴方と一緒にいたいと、どれほど願っていたことか……」
「ディアナ様。申し訳ありませんでした」
「――え?」
「僕がディアナ様を苦しめていたんですよね。もっと早く、僕がディアナ様の想いに
気づけていれば、僕がディアナ様に想いを伝えることができていれば……」
自分自身を戒めているような震えた声が耳に流れました。もしかしてロラン、貴方は今……。
「泣いているのですか?」
ロランの肩を掴み彼の顔を見ると、ロランは恥ずかしそうに顔を背けてしまいました。
「す、すみません。僕が情けないばかりに、ここまでディアナ様を追い詰めていたのかと思うと……」
わたくしはロランと知りあってから一度も、彼が泣いている姿を見たことはありませんでした。
そのロランが、わたくしのためだけに泣いてくれている……。
「ロラン、貴方は優しすぎます」
「え?」
「わたくしが本当のことを言えなかったのは、わたくしが臆病だったからです。
それにロランだって辛い思いをしてきたのでしょう? だから自分を責めないでください」
「でも、僕がもっとしっかりしてい――」
続けようとしたロランの口に人差し指を押し当てて、彼の口を無理矢理閉じさせました。
「良いのです。わたくしのせいで貴方に自分自身を責めて欲しいとは思いません。
わたくしのせいで貴方が悲しむぐらいなら、わたくしが傷つく方がずっと耐えられます」
わたくしはロランの唇から指を離し、先ほどわたくしを元気付けてくれた
キエルさんの様に、自分にできる最高の笑みでロランを見つめました。
「でもわたくしは、そんな不器用なロランのことが……大好きです」
ロランの瞳は焦点を失ってしまったかの様に固まっていましたが、瞬時の後
ロランはやっといつもの笑みを、見ているだけで元気をくれる
わたくしにとって一番の宝物のような笑顔を見せてくれました。
「ロラン。これからも一緒にいてください。
わたくしは、貴方さえ側にいてくれれば、それだけで幸せです」
「僕だってそうです。これから先も僕たちは一緒です。何が起ころうとも、ずっと一緒です」
涙で滲む視界の中でも、ロランは優しげな笑みを浮かべていることが分かりました。
そんなわたくしにロランはそっとわたくしの涙を拭ってくれました。その指は僅かながら
震えており、きっと今ロランはわたくしと同じことを望んでいるのだと分かりました。
でも自分がずっとしまいこんでいた本心をさらけ出し、ロランの本心に触れて彼もまた
それを望んでいると知ったわたくしは、もう迷いませんでした。
「愛しています、ロラン」
「僕もです。ディアナ様」
わたくしは瞳を閉じて口付けを交わしました。ロランの暖かくやわらかい感触を
味わいながら、わたくしは本当の意味で彼と心を通わせることができました。
それは千年を超える悠久の時の中で、わたくしの命が最も美しく輝いた瞬間でした。
感動やのう…
言葉もないわ
最終章への期待を胸に、今夜は良い夢が見れそうです。
gj !
275 :
通常の名無しさんの3倍:2007/07/24(火) 08:52:17 ID:6GzLp8Ui
ロランもディアナ様もお幸せに・・・
長い道のりだった…
読んでる方も幸せになりました。
職人さん、乙です。
そして最後に期待。
翌朝、わたくしたちはキエルさんの一日の公務が始まる前に、誰もいない
白の宮殿の入り口で別れの挨拶を告げました。
「やはり帰られるんですね。そんな予感はしておりましたけど」
「はい。キエルさんが大丈夫なことも分かりましたし、月の生活も以前のように
過ごしやすいことが分かりましたから」
「ディアナ様、昨晩よりずっと素敵な御顔をされていますね」
「そうでしょうか?」
「羽ばたくことができたんですね」
「はい。キエルさんのおかげですよ」
「わたしは何もしていませんよ。何時までもお元気で。また遊びに来てください」
「また何時か。それまでの間、わたくしもキエルさんに負けないように
地球でわたくしにできることをするつもりです」
わたくしの言葉にキエルさんは首を傾げました。
「できること?」
「はい、キエルさんが頑張っているのに、わたくしだけが楽をしていて良い筈がありませんから」
「……そうですか。でも、無理はしないでくださいね、ディアナ様」
「大丈夫です。ロランもいてくれますし」
わたくしは隣にいるロランに視線を送りながら答えました。
ロランも目線でそうですね、と答えているように笑みを浮かべながら頷きました。
そんなわたくしたちの様子にキエルさんは微笑みながら、わたくしに右手を差し出しました。
「最後に、これから先何が起ころうともわたしはディアナ様の味方です。
何か困ったことがあれば、いつでも連絡してください。
わたしはここからディアナ様の幸せを祈っています」
わたくしも右手を出して、別れを惜しむように強く握りました。
「ありがとう。キエルさんもお幸せに」
「ロラン、ディアナ様のことをお願いね」
「任せてください。ディアナ様のことは、これから先も僕が必ずお護りします」
「ハリー、お二人を空港まで送ってください」
ロランの明瞭な言葉にキエルさんは大きく頷き、ハリーにそう呼びかけました。
「了解しました。ではディアナ様にロラン君、どうぞお乗りください」
「では、わたくしたちは失礼します」
「さようなら、キエルさん」
「次に二人に会う時を楽しみにしています」
ハリーの用意した電気自動車に乗り込んだわたくしたちは、キエルさんの姿が
見えなくなるまで手を振り続けていました。
「ディアナ様、さっきのキエルさんとの会話で気になることがあったんですけど?」
隣に座るロランがわたくしを伺うようにしながら訊いて来ました。
「なんでしょう?」
「ディアナ様が仰っていた『わたくしにできること』ってなんですか?」
「あぁ、それはですね……」
「……ですからお願いします、リリ様! わたくしをここで働かせてください!」
わたくしたちが地球に帰ってきてから、向かいのソファに座っているリリ様に
大仰に頭を下げながらそう伝えると、リリ様は怪訝しくわたくしを見返しました。
「そう仰られましてもねぇ。ディアナ様は静かに暮らしたいからあのような場所に
住んでおられるのでしょう? 何故突然そう考えられる様になったのですか?」
「わたくし、今回キエルさんが女王の存続が難しいようなら元に戻ることも密かに
考えていました。しかし、キエルさんはわたくし以上に女王に相応しい方になっておりました。
キエルさんがいる限り月の心配はありませんが、キエルさんやリリ様がわたくしの
地球帰還作戦の戦後処理をしているのに、わたくしだけがのうのうと暮らすことはできません」
わたくしの言葉にリリ様は目を伏せて、しばし沈黙していました。
その後ロランの方に体を向けたリリ様はこう口を開きました。
「ロラン、貴方はよろしいのですか? ディアナ様がここで働くということに」
「僕はディアナ様がそれを望まれるのなら、理解して支持したいと考えています」
ロランの言葉は寸分の迷いも感じさせないものに聞こえました。
「……ディアナ様には素敵な理解者がいるのですね」
「はい、ロランが側にいてくれること。それはわたくしが唯一誇れることです」
リリ様は立ち上がりわたくしたちに背を向けて数歩だけ下がりました。そして一度
頷くような仕草をしたリリ様は、柔らかな笑みを浮かべながらこちらを振り返りました。
「お二人の考えはよく分かりました。ディアナ様にはここで働いてもらいましょう」
「本当ですか!? ありがとうございます、リリ様!」
「ありがとうございます。良かったですね、ディアナ様」
「実を言うと、月の事情に詳しい人が欲しかったんですの。今のノックスには
かなりの数のムーンレィスがいます。そんな彼らの文化や生活に詳しい人が
いてくれれば助かりますわ」
「はい、精一杯役に立てるように頑張ります!」
「ところで、ここで一つわたしから提案があります。ロラン、貴方もここで働く気はありませんか?」
「ロランも?」
「僕も、ですか?」
わたくしと同様にロランもまた困惑したような声を上げました。
「ディアナ様にはさしあたりわたしの秘書官でも勤めてもらうとして……。
貴方には機械人形のパイロット兼、わたしやディアナ様のボディーガードで如何です?
そうすればディアナ様の送り迎いだってできるし、時間外ならいつでも会うことが
できますでしょ。そのくらいならこちらで時間を調節できますことよ?」
「モビルスーツの操縦はともかく、ディアナ様やリリ様の護衛なんて務まりますかね?
僕、武術の心得なんて持って無いですよ?」
リリ様の思いがけない提案、特にボディーガードという言葉にロランは戸惑っているようでした。
「それはご心配なく」
逡巡しながら答えるロランを他所に、リリ様は電話を手にとって、連絡を入れていました。
「マリガン、わたしです。エイムズとジョンをこちらに回して。そう、急いでね」
「あの、いったい……」
「いいからいいから。すぐに分かりますわ」
しばらくした後部屋をノックする音が聞こえ、扉が開くと屈強な体躯を持ち
ルジャーナミリシャの制服を着たエイムズさんとジョンさんがやってきました。
「失礼いたします、姫様。っと、ロランもいるのか。久しぶりじゃないか?」
「これはこれは、キエルお嬢様もいらっしゃいましたか、遠くからわざわざご苦労様です」
「エイムズさんにジョンさん!」
「エイムズ、ジョン。今からロラン・セアックをスエサイド部隊の一員に任命します。
機械人形の操縦に関しては、もはや説明は不要でしょう。ただ生身での戦闘に関しては
貴方たちの方が上ですから、今日からビシバシ鍛えてあげてください」
「ちょ――ちょっと待ってください! 僕はまだやるとは言ってませんよ!」
「それは楽しみだな。みっちりしごいてやるぜ。行くぞ、ジョン」
ロランはエイムズさんの丸太の様な太い腕に首を抱えられ、ドアに引っ張られていきました。
「了解。では姫様、失礼します」
「えぇ、ご苦労様」
「そんな、僕はまだな――」
ロランは何かを訴えかけていましたが、その言葉を遮るように扉が閉まりました。
そんな状況をわたくしは呆然と見ていることしか出来ませんでした。
「……大丈夫でしょうか?」
「ああ見えても、かつてターンXを討ち取った英雄です。心配ないでしょう?」
結局、ロランも状況に流されるままにリリ様の下で働くことが決まりました。
わたくしとしてはそれは大変喜ばしいことだったのですが、切り傷だらけの顔に
痛そうに体を摩っているロランの姿は見ていられませんでした。
「ロラン、大丈夫ですか? 擦り傷だらけですよ?」
帰りの自動車の中で、運転をするロランの横顔を見つめました。
「まぁなんとか。大きな怪我は無いんですが、今日だけでも何回地面に転ばされたか覚えていません」
「それは酷い……。辛いようでしたらロランは無理しなくても」
「いや、やります。ディアナ様が働き続ける限りは僕も絶対に辞めません」
こちらを見ながら揺ぎ無く答えたその言葉に、わたくしは目が眩む思いがしました。
そんな愛おしいロランの姿に、わたくしは彼にとって少しでも近い存在でありたいと思いました。
「ロラン。その呼び方はもう辞めませんか?」
「その呼び方?」
「『ディアナ様』という呼び方です。わたくしはもう女王ではありませんし、
貴方もわたくしの使用人ではないのです。貴方とわたくしは対等な立場なのですから」
「対等な立場……」
ハンドルを握るロランの手に、軽く自分の手を重ねながら言いました。
「世間の目が気になるのでしたら、人前では様付けでも結構です。
でも二人だけの時には、貴方にはディアナと呼んで欲しいのです。だからお願い、ロラン」
「わ、わかりました。ディアナ……」
ロランは少々戸惑いながらもわたくしの念願だった呼び捨てで名前を呼んでくれました。
感極まったわたくしはロランを強く抱きしめてしまいました。
ロランが運転中とも考えずに……。
「うわっ!!」
「きゃあ!!」
抱きついた勢いでハンドルが大きく回り、ガクンと大きく揺れて道を反れてしまいました。
正面の大木にあわやぶつかる数センチ手前で自動車は止まってくれました。
「お怪我はございませんか!?」
「わ、わたくしは大丈夫です。ロランは?」
「僕も大丈夫です」
「そうですか、良かった……」
お互いの無事に胸を撫で下ろしたのも束の間、車内にロランの怒鳴り声が響きました。
「ディアナ様! 運転中なんですから少しは状況を考えてください!」
自業自得とはいえ、ロランの強い怒声にわたくしは体を竦めて謝りました。
……ちょっと待ってください、ロラン。
「今、貴方また『ディアナ様』と言いましたね?」
わたくしの意外な逆襲にロランの先ほどの形相が一転しあっさり攻守交替しました。
「あ、あれは突然のことだったから仕方が無いじゃないですか?」
「駄目です、約束は約束です。ロランには罰としてわたくしの言うことを
何か一つ聞いてもらいます」
「たった一回そう申しただけじゃないですか」
「なにか罰を決めないとまた何かの拍子で『ディアナ様』と言いそうですから。わかりましたね?」
「う、その……。はい」
久しく使っていなかった女王の眼光で見据えると、ロランは丸くなってしまいました。
大本はわたくしの責任なのに、可愛いらしいロランの姿にわたくしは
一層深くロランへの愛を感じました。
「よろしい。では今日から……寝室を同じにしませんか?」
「寝室を、ですか? 僕は構いませんけどディアナ様――ディアナはよろしいのですか?」
「今のもアウトです!」
「これじゃ話が進まないですよ!」
「だったら意識して直せば良いことでしょう? もう、お互いに気を使う必要は無いはずです。
寝室が一緒だって、よろしいじゃないですか……」
ロランと心を通わせたとはいえ羞恥心が無くなるわけでもなく、わたくしは
目を伏せて言いました。しっとりとした甘い雰囲気を漂わせる車内の空気を
感じたのか、ロランも傷だらけの頬を朱に染めながら口を開きました。
「……そうですね。僕たちは、もう同じなんですよね」
確認するかのようなロランの言葉にわたくしも胸の中でその言葉を繰り返しました。
わたくしたちは、もう同じなんだ。わたくしは女王ではないし、主人でもない。
ロランもまた∀のパイロットではないし、使用人でもない。
わたくしは一人の女でしかなく、ロランもまた一人の男性でしか無いのですから。
「わかりました。じゃあ今日から一緒の部屋で寝ましょう」
「もう一つの方も考えておきますから、覚悟しておいてくださいね」
山の中の暗い夜道をライトが照らしながら、二人を乗せた自動車は
わたくしたちの家へと進んでいきました。
ロラン、ソレイユの艦橋で貴方がターンXとの戦いから生還したと聞いた時、わたくしがどれほど
貴方の身を案じていたかご存知ですか? 貴方が、ソシエさんではなくわたくしを選んでくれたその日、
わたくしがどれほど喜びに打ち震えたか分かりますか? そんな貴方と今一緒にいられる
わたくしがどれほど幸せを感じているか想像できますか?
女王として全ての権限や財産を放棄しても、貴方はわたくしについて来てくれました。
そんなロランとの一年間の生活は、失った時間を埋め合わせるには十分すぎる幸せでした。
これから先もロランの伴侶として貴方と共に暮らし、貴方の子を産み、育て、自立を見届けたら
緩やかな時の中で自然のままに老いて、貴方と共に死ぬ人生を歩みたいと思っています。
ロラン、わたくしを愛してください。わたくしも貴方に負けないぐらい、貴方を愛しますから。
「ロラン、決めましたよ。もう一つの貴方にして欲しいことが」
「なんだかずいぶん楽しそうですね。正直少し恐いのですが」
「ふふ、夕食のときに話しますよ。ロランがどういう反応を示すか楽しみですね」
「な、なるべくお手柔らかにお願いします……」
ロラン、これからもよしなに。
以上です。長い間スレを独占するようなことをしてしまい
申し訳ありませんでした。
また、この程度のものでしかありませんが
ここまで読んで下さった方がいらっしゃるなら
心からお礼を申し上げたいと思います。
本当にありがとうございました。
GJ!最高だったよ!
読み終わったあと、涙が出てきました。
こちらこそ、ありがとうございました!
職人さん、最高です。
本当に素晴らしい作品をありがとうございました。
こんな良い作品を読むと欲張りになっちゃって、
もっと読みたいです。
次回作楽しみにしてます。
>>285 読み終わったあと爽やかな余韻が残りました
こんなに毎日ワクテカしてたの今年初めてかもwww
超GJ&お疲れ様でした( ^ω^)ノシ
291 :
通常の名無しさんの3倍:2007/07/25(水) 09:56:24 ID:rbKkI55O
Gooooooooood Joooooooob!!!!
職人さんに感謝
永久保存版ですね。
感動して下げ忘れスマソ
新参ですが感動しました
あなたはアレですか?プロですか?おかげで今感動の嵐のなかで泣いてます…
最高でした。感動をありがとうございます。
こんな長いものに目を通して頂き、返信までいただけてありがとうございました。
仮にも職人と呼ばれる人間が作品外で語るのはあまり好ましくないと思いますが
少しだけ返信させてください。
>>289 実は今回で最後、では無いと(多分)思いますが
今回以前の作品よりも長くなった理由の一つに
ネタが他に思いつかなかったというのがあります。
最初は短編の後日談、次はアニメ中の一部分を改変するような形で
書かせてもらいましたが、それでも書くものが思いつかなくて
思い切って長いものを書いてみようと今回書かせてもらいました。
楽しみにしてくれるのは凄く嬉しいのですが
これほど長いのはもう書かないと(多分)思います。
>>293 プロだなんて恐れ多いです。私が書いているのはあくまで趣味で
プロになろうという考えはありません。
逆に言えば趣味のレベルでしか書いてないので
余裕があればまた書いてみたいと思っています。
こんなのでも時間が掛かってしまいましたけどね。
>>151-160なんかは今回のが思うように書けなくて
気分転換に書いたものだったりします。
よしなに
絶望した!己が文才の無さに絶望した!
 ̄|| ̄
∧||∧
( ⌒ ヽ >294さん、GJ過ぎますよ…
∪ ノ
∪∪
感動の余韻か…
静かですね、ディアナ様
ほしゅなに
昨夜、月下美人が咲きましたよ、ディアナ様
300げと、ほしゅなに
よ
し
な
に
∀MG化記念よしなに完成
ロランー。暑いですー。
扇風機の前で棒アイスを食べながら愚痴るディアナ様。
ロランの勧めに従って水バケツに足を入れて、
これはいいですねー、と、ほんわか笑顔のディアナ様。
たまにバケツから足を出し、前に突き出してみるディアナ様。
その、水に濡れた白く艶かしい生足に、心臓がバクンバクンいうロラン。
触りたい…と思うのだった。
ロランの視線に気づいて、どうしたのですか?とディアナ様。
もじもじしながら思わず見とれてしまいましたと馬鹿正直に答えるロラン。
そんなロランの発言に顔を真っ赤にするディアナ様。
自分の生々しい発言に頭が真っ白になるロラン。
ん…そんなに視たければ、その、視ても構わないのですが、
その、何と言いますか、あの、私も女として、その
としどろもどろなディアナ様に対し、
すみません、頭を冷やしてきます!
と言って部屋を飛び出すロラン。
何だかやりきれない気持ちのディアナ様。
体育座りでうなだれたまま、時間だけが過ぎていくのだった。
頬をつたう熱いものを感じ、
「目から汗が…」と呟くディアナ様。
女王だったディアナ様。
誰も聞いていなくても、強がらなければならなかった。
いつの間にか日が暮れていた。
庭に出ると、ロランがベンチでうなだれていた。
そっと近付くディアナ様。
今にも泣き出しそうな顔を上げて、
「すみませんでした、僕…」と謝るロラン。
「いえ…もういいですから、戻りましょう。ね」
「でもディアナ様…」
「はやく晩御飯を作って下さい。お腹空いちゃった!」
「ディアナ様…」
今はまだ…でもいつかは…、と、
ロランへの想いで張り裂けんばかりに膨らんだ胸に誓うディアナ様。
晩御飯は全部食べた。
GJ
きっちり晩御飯は食たべきるんだなwww
だから、はちきれんばかりまで胸が成長するんだな
病気になっても食欲だけは旺盛なディアナ様が目に浮かぶ
ディアナさまは子供産んでから体質変わって凄い健康体になったよ。
職人さんカモーン
を期待してageます
雷が鳴り始めると
怖いですからと言って
ロランに蚊帳を用意させ
雷が至近距離になると
怖いですからと言って
ロランを抱き枕にするディアナ様
流しそうめんに挑戦してみたディアナ様。
30分経っても一口も食べられず、
涙目になって下唇をぎゅっと噛み締めるディアナ様。
仕方がないのでディアナ様に「あーん」してあげるロラン。
お返しにロランにも「あーん」してあげるディアナ様。
イイネ!(・∀・)
個人的にはcocoaのジャケ的なふたりが好きだよ〜。
しかしこのスレは心配なさそうだけど萌えスレのほうの過疎っぷりは凄いな
少しはエネルギーを分けて上げて
ディアナ様のお料理教室。美味しい目玉焼きの作り方。
1 よく熱し、油を引いたフライパンをロランに用意してもらいましょう。
2 ロランに割ってもらった卵を、フライパンに流し込みましょう。
3 1〜3分で出来上がるので、お皿を用意して座って待ちましょう。
4 出来上がった目玉焼きをロランがよそってくれるので、食べましょう。
目玉焼きも作れない女王なんか!
そこで全自動タマゴ割り機ですよ
今年は例年よりも暑く年間を通して比較的涼しいわたくしたちの家も、夏真っ盛りといったところです。
しかしわたくしとロランにもついに、ついに春の季節がやってきました。
この暑い中どうして春なのかと聞きたそうな顔をしていますね?
そう、春は恋の季節。そしてわたくしとロランにも長かった春が訪れたのです。
ロランと初めて出会ったのが4年前。本格的にロランと親しくなって2年。
そしてようやく、わたくしのお腹の中にロランとの愛の結晶を授かることができたのです。
千年以上の時の中で、わたくしは今までで最高の幸せの中にいました。
そのお祝いにとロランは今夜はご馳走にしようと、町までお買い物に行く準備をしてくれています。
わたくしも手伝おうとしましたが、ロランにやんわりと断られてしまいました。
「出発の用意ができましたよ」
わたくしの最愛の人、ロラン・セアックが玄関から戻ってきました。
「ありがとう、ロラン。気を使わせて申し訳ありません」
「とんでもないです。もうディアナ様お一人の体では無いんですから。
ディアナ様は無理をしないでください」
「ロラン、もうわたくしを『ディアナ様』とは呼ばない約束でしょう?」
「あ! も、申し訳ありませんでした。なんかつい癖で……」
「わたくしたちだけならばそれでも構いませんが、この子にはわたくしたちが
主従関係だなんて思われたらこの子の成長に悪影響を及ぼすかもしれません。
今のうちから直さないと」
わたくしは自分のお腹を優しく撫でながらロランに微笑みました。
まだ動きを制限されるほどお腹が大きいわけではありませんが、わたくしの中では
新しい命が胎動しているようにさえ感じられました。
「そ、そうですね。ディアナ」
「それでいいのですよ。ロラン」
わたくしは差し出されたロランの手を取ってゆっくりと立ち上がりました。
目に前には最愛の人が、お腹の中にはわたくしとロランの赤ちゃんが。
あぁ、わたくしがこれほどの幸せを手にすることができるなんて、まるで夢のよう……。
「……アナ様、ディアナ様。起きてください」
「う……ん……ロ、ロラン?」
ゆさゆさと体を揺すられます。朦朧とした意識の中でロランの静かな声が届きました。
「ディアナ様、夕食の準備ができましたよ。冷めないうちに食べてください」
「え? これから麓の町まで買い物に行くのでしょう?」
夢と現実の狭間で佇んでいたわたくしの意識がそう答えていました。
「買い物? ふふ、ディアナ様。寝ぼけていらっしゃるんですね。今はもう夕方ですよ」
思考と視界が鮮明になっていく中で、わたくしは窓の外に視線を向けました。
そこにはロランの言葉どおり、青いはずの空が視界一面に橙色に移り変わっていました。
無情なほどの夕焼けの空の色に、ようやくわたくしは今までの出来事が夢だったのだと理解できました。
「寝ぼけている……!? 夢、だったのですか……」
今までのことは全て夢だった。その現実がわたくしの背中に重くのしかかり、
わたくしは項垂れてしまいました。
「ディアナ様、お休み中も笑っていらっしゃいましたよ。きっと楽しい夢だったのでしょうね」
ロランの他人事のような言葉に、わたくしの落胆が理不尽な怒りへと転換して
ロランに当たりました。
「えぇ、できることならずっと夢の中にいたかったぐらいでした!」
わたくしは立ち上がり家の中に罵声の混じった怒号が響きました。
「ディアナ様、どうされたんですか?」
「なんでもありません! だいたいロランが甲斐性無しだからわたくしが
こんな思いをしなければならないのです!」
「はい? どういうことですか?」
「ロラン、わたくしたちが一緒に生活し始めてどのくらい経つか分かっているのですか?」
「どのくらいって……一年は経ちますよね?」
「そうです、一年です! この一年、わたくしたちの関係は何か進展しましたか!?」
「はい。ディアナ様の代わりに家事全般をこなせるようになりました」
「そういうことではありません!」
「違うんですか? 後は……あ、一緒にボートに乗れるようにもなりましたよね。
魚釣りなんかも一緒にしたり」
ロランは胸の前で手を打ちながら飄々とした態度で答えました。
わたくしはそんなロランの様子にため息を吐きました。
「はぁ、ロラン。その程度では世間では進展とは言わないのです」
「そうですか? 僕にとっては大きな進歩ですよ。以前はご尊顔を拝させていただけるだけで」
「ロラン、わたくしはロランを愛しているのですよ!」
「僕だってディアナ様を愛していますよ」
「ロラン、キースさんやフランさんを見なさい。ロランと同い年の彼らには
子供がいます。キエルさんだって来年には第一子を授かるそうです。
そういう話を聞いても貴方は何とも思わないのですか?」
「そうですね、僕たちのところにも早くコウノトリさんが子供を運んでくれるといいですね」
「コ――コウノトリ……」
わたくしはロランの発言に絶句しました。コウノトリ……? まさかロランは、
赤ん坊はコウノトリが運んでくると考えている……? ロランは無垢な瞳でわたくしを
見つめていました。間違いない、ロランは本気だ。ずっと一緒に過ごしてきたわたくしには分かる。
ロランは本当にそう信じているんだ……。
わたくしは夕日を浴びて金色に輝く髪を揺らしながら、大きく首を横に振ると
ロランの瞳を見つめながら言い放ちました。
「ロラン! わたくしは、貴方と寝たいんです!」
「寝たい? ……今夜ですか?」
「そう、今夜! いや、今すぐにでもです!」
「別に良いですよ」
「ほ、本当ですか!?」
あっさりと承諾したロランの言葉が信用できずにわたくしは聞き返しました。
「はい。でも食事の後片付けとかしないといけませんし」
「いえ、良いです。分かりました、夜まで待ちましょう。
準備ができたらわたくしの部屋に来てください」
「わかりました。じゃあひとまずご飯にしましょう」
「そうですね、さっさとご飯にしてさっさと準備をしましょう!」
やっとだ。やっとロランと愛し合うことができるんだ……。きっと先ほどの夢は
わたくしに一歩を踏み出せという神様の思し召しだったに違いない。
……それにしてもコウノトリとは……。さすがと言うべきか、あきれ果てて物も言えないというか……。
こうなったら今夜徹底的にロランに教え込む必要があるようですね。
わたくしだって経験があるわけではありませんが、あの様子ではロランに期待するのは
絶望的ですし、わたくしが頑張らなければ。
わたくしは息巻いていました。しかしその熱い決意が報われることはありませんでした。
「じゃあディアナ様、おやすみなさい」
「ちょっと待ってください、ロラン。まさか貴方、本当に寝るだけなんてことは無いですよね?」
「え? 違うんですか?そのために布団を持ってきたんですけど?」
そう。ロランは本当に『ただ寝るだけ』のつもりだったようで、
わざわざロランがいつも使っている布団を持ってわたくしの寝室にやってきたのでした。
「ぜんっぜん意味が違います! ロランはわたくしの言うことを何も理解していません!」
「続きは明日にしましょう。明日は朝一番でノックスに行かなければ行けませんし、
僕はもう眠いんです。お休みなさい」
ロランはそれだけ呟くとわたくしに背を向けて布団に入ってしまいました。
「勝手に話を終わらせないでください! わたくしはまだまだ言いたいこ――」
「zzz……」
「…………」
……寝てる……? あーそうですか、寝てしまったんですかそーですか……。
「そういうわけなんです。わたくしには女としての何かが足りないのでしょうか?
わたくしが間違っているのでしょうか……?」
わたくしは今日のことをTV電話を使ってキエルさんに聞いてもらっていました。
「ディアナ様、お話はわかります。でも今はもう夜中の1時なので、できれば明日に……」
「キエルさん、教えてください。わたくしは、後何回我慢すればいいんですか?
わたくしは、後何回こんな気分を味わえばいいんですか?
ロランはわたくしに何も言ってくれません。教えてください、キエルさん……」
「と、とにかく……わたしのほうでも何か良い方法が無いか考えて見ますから
今日はもうお休みください。わたしも今は不規則な生活はしたくないので……」
そんなキエルさんの言葉に耳を傾けることなく、
わたくしはキエルさんに延々と愚痴と怒りと虚しさと悲しみを語り続けていました。
「ディ、ディアナ様……。お願いですから、もう今日は許してください……」
とキエルさんが仰らなければ暗い空に地平線の向こうから
明かりが見え始めていたことに気がつかなかったかも知れません。
一通りの不満を洗いざらい話したわたくしは
「キエルさんも、今は大事なときなのですからお体に気をつけてください。よしなに」
と伝えて電話を切りました。
落ち込んでいても仕方が無い。次こそうまくやれば良いのだ。
よし。こんどこそロランの心を頂こうと自分自身に新しい誓いを立てました。
ロラン、こんどこそよしなに。
追伸
キエルさんが疲労の為に倒れてしまったとの連絡が入りました。
キエルさんも今は大事なときなのですから体には気をつけてほしいものです。
キエルさんもよしなに。
できたてを読んでしまったこの感動。
ディアナ様もロランも最高!
職人さんもよしなに!!!!
>323-327
GJ!!
ディアナ様、暑さのあまりご乱心…?
寝苦しい夜が明けようとしている。
ここ一週間ほどアメリア大陸南部を襲っている熱波は
ディアナ様と僕の住む北方の高原にも酷暑をもたらした。
熱帯夜というのだろうか、湿度が高い。
僕はいっそ朝のうちに一日分のお湯を沸かして
火を通す料理も済ましておけないものかと寝床を出た。
空が夜明けの光があっても薄暗い。
いったんベランダへの扉を開けようとして僕は首をひねった。
鍵がかかっていない。
おかしい、確かに昨夜閉めたのを覚えている。
いぶかりながら、そっと扉を開いて外に出ると
ベランダの一番風通しのいい所に白っぽい塊りがあるのに気づいた。
一瞬、洗濯したシーツが風に飛ばされ
ここで丸まったのかとよく見れば
人の手足が生成り色のバッドカバーから
力無く伸びている。
その生気の無さから、僕は死体だと判断し息を飲んだ。
「誰が死体だと言うのです…」
手足がピクピク動いたかと思うと
見事なスローモーションでディアナ様が上半身を起こしていた…。
目は半眼、波うつ金髪は乱れに乱れ
不機嫌この上なく低血圧の嵐が吹き荒れそうな予感がして
僕はとっさに本日のスィーツリストを頭の中で開いた。
しかしディアナ様は臨戦体制を構築しつつある僕を無視して
ふらふらと立ち上がり
けだるさのオーラを放散させながらベランダ突き当たりの勝手口を開け
「お水!!」と叫ぶ。
僕が汲み置きしておいたミネラルウォーターにカモミールの香りをつけておいたのを
コップについで差し出すと5杯はおかわりしただろうか。
ディアナ様は乱れた髪をかきあげると
「さすがはロランです、ハーブティーは私の暑気あたりによく効きます」と
おっしゃるやいなやベッドカバーをかぶりなおし
再び死体のように眠り始めた。
その眠りの深さは僕達の山荘の前にある湖よりも深く
眠っているディアナ様の身体は死体よりも重かった。
ふと窓の外を見れば
すっかり夜は明けて
朝日が油を流したような陽射しを投げかけていた。
僕はといえば
ディアナ様の香りが残る台所で
今度はミントのミネラルウォーターを作るため立ち上がった。
眠り続けるディアナ様を居間に運んでから
家事雑事をこなすこと、一時間と少し。
軽い朝食にしてみようと
今朝はクラッカーとジャムとコーヒーにフルーツを少々用意した。
まだお眠りかもしれないと居間を覗き込めばディアナ様のお姿がない…。
一体どこにいらしたのか。
まさかまたベランダに転がっているのではと
すでに30℃はありそうな午前8時25分のテラスに出てみれば
頭から濡れそぼって
ポタポタ水滴を滴らせながら
こちらに歩いてくるディアナ様がいた。
白いワンピースとおぼしき服は身体にぴったり張り付いて
着ている人の体の線を露わに浮き立たせている。
僕は…
僕は麗しい曲線に奪われそうになる心を投げ捨てて
特大バスタオルを片手にディアナ様を待ち受けた。
「ロラン、朝の湖は気持ちいいですよ。」
いかにもさっぱりしましたと言わんばかりの笑顔を向けられて
僕は「よかったですね」と相槌を打ちたくなるのを我慢して
「ディアナ様、せめて水着を着ていただけませんか」と
率直なところを言ってみた。
とたんにディアナ様は「うふははははははは」と
豪快に笑い始めた。
「ロラン、あなたも水浴びしてらっしゃい」
ディアナ様はいきなり僕に抱きついた。
僕の服まで濡れたその冷たさに驚き
その数秒後にはディアナ様の豊かな胸の感触にふたたび驚く。
こうして僕を困らせるのも楽しまれているのだろうけど
今日ばかりはベランダごろ寝の件もあり
気楽に構えても居られない。
僕はディアナ様の背中に手を回してバスタオルを広げた。
今日のディアナ様はいくらなんでもラジカル過ぎる。
地球ではこういう状態を何と言ったっけ。
「頭に虫がわく」だったっけ。
暑さのせいなのだろうか。
ディアナ様が僕をからかっているだけならいいのだけど。
なかなか毒舌なロランですね
続き待ってます
ディアナ様、暑気あたりで少し理性が飛んだまま
ロランを押し倒すのです!
涼しげな麻とレーヨンのドレスに着替え
髪を整えたディアナ様はご機嫌も麗しく朝食を済ました。
食後のコーヒーを出したところで
僕はディアナ様がなにやら楽しげに外を見ているのに気づいた。
このところ
「昼間は外に出ない方が良さそうですね」とか
「早く涼しくなって欲しいものです」とかいって
大人しく過ごしていらっしゃるのに飽きたのだろうか。
しかし僕の知っているディアナ様と今日のディアナ様は紙一重で違う。
何が?どこが?…分からない…。
ただディアナ様らしくないとだけ僕の奥底で声がする。
ともかく今日は要注意だなと気持ちを引き締めたところに
ディアナ様が思いがけない一言を言った。
「ロラン、今日は滝まで散歩しましょう。」
ちょっと待ってください、ディアナ様。
滝まで行ったら散歩じゃなくてほとんどピクニックの距離ですよ。
途中、森はあるし、川の中を遡行するし
内容的にはハードなトレッキングと変わらないですが。
以前一度行ったら寝込まれたでしょ。
反論してみたが
「うふははははは」と豪快に笑い飛ばされ
「今日のワタクシはなめてもらっては困ります。」とまでおっしゃる。
そのお顔には不思議な高揚感と
どこか不安定な瞳のきらめきがあった。
ご自分で暑気あたりと認識してないだけだろうかと
あらためて最近の言動を振り返ってみたが
今日の奇妙さは暑気あたりが回復してきたためとは思えない何かがあった。
とりあえずディアナ様の行く気満々のままに行ってみるのも
ご本人のためかもしれない。
僕は万が一の時の用意も怠りなく準備を終えて
二人で滝への道を歩き始めた。
336 :
330:2007/08/23(木) 11:18:10 ID:???
335は「こんな日は・3」です。タイトル入れ忘れスマソ
山荘を出て20分ほどで最初の森に入る。風が涼しい。
道は時々急勾配になり、ディアナ様はゆっくりと進む。
森を抜けると高原になり
地元の猟師や山仕事に入る人達が踏んだ道が
次の森へと続く。
森の手前の小川で休憩を取ることにした。
小川の冷たい水に手を浸しては頬に当てているディアナ様は
急に僕に近づくと冷えた両手で僕の頬をはさんだ。
「いかが?ロラン」
「つ、冷たくて気持ちいいです。」
やっぱり何かが違う。
確かに僕をからかって楽しんでいるあのディアナ様なのだが。
それは目だ。
目がどこか違う。本気で「いかが?」とおっしゃった。
真剣な目だ。
僕はたずねた。「今朝、ディアナ様はなぜ湖に入ったのです?」
「あら、暑くて汗が気持ち悪かったからですよ。」
「なぜシャワーをお使いにならなかったのです?」
「そんな野暮なことは聞くものではありません!」
「すみません…でも、今朝のディアナ様の様子が気になったんですよ。」
ディアナ様から一瞬表情が消えた。
それから森の奥を見ると、僕をふり返って微笑み、
「ありがとう、ロラン。心配は要りませんよ。」
そう言って立ち上がった。
「さぁ、行きましょう。まだ先は長いですよ。」
小川を越えて、歩き出すディアナ様の後姿はしっかりしている。
だけど、さっきのあれは何だったのか。
338 :
通常の名無しさんの3倍:2007/08/23(木) 20:38:31 ID:tYWzrw8f
なんだか変なディアナ様にwktk
変じゃないディアナ様なんてディアナ様じゃありません><
滝に近づくにつれてディアナ様は元気になった。
僕はといえば、ディアナ様について行くのに精一杯なくらいだ。
こんなハイペースで歩いて大丈夫だろうかと心配だが
沢登りに入って滝が目前になると
ようやくディアナ様は歩をゆるめた。
冷たい沢の水に膝下まで浸かりながら悠々としている。
不思議だった。
僕の知らないディアナ様の姿を見るようだった。
僕の知らない…そう…微妙に別人だ…。
僕は急に不安にかられた。
今朝からずっとおかしいと思いながら何か見落としていたんじゃないか。
僕はずっとディアナ様と暮してきた。
だから、ディアナ様のことなら大抵のことは分かるし
また知っているつもりでいた。
それは僕の思い上がりだったのだろうか。
僕の知らないディアナ…
さっきの真剣な目と一瞬の無表情は…
ディアナ様であってディアナ様ではない…?
山荘で暮すうちに
月の女王の口調に快活さが加わり
僕をよくからかってはお笑いになる。
その視線の中にからかいとは別の
言葉にしがたい言葉を感じるようになったのは
いつからだろう。
そのたびに僕がもう一歩を踏み出せば
ディアナ様を受けとめてさしあげるのに
根拠の無いためらいがあった。
こうしてディアナ様の幸せな暮らしを共にし
支えるだけで十分ではないか。
十分では…そこまで考えた時
不意にハイム家のあの人が脳裏に浮かんできた。
その顔は「バカロラン!」と言っていた。
そうかもしれない。
ソシエお嬢さんは僕のこういうところをよく分かっていた。
ディアナ様も分かっているのかも…
そして、辛抱強く待っているのだとしたら
僕は、バカロランのままだ。
ふと視線をディアナ様に戻した瞬間、僕は叫びそうになった。
目の前に滝が清冽な姿を現わし、その手前に広い滝壷が清水で満ちている。
ディアナ様はその滝壷に腰まで入って
山歩き用のケープもブラウスもズボンも脱いでしまっている。
「何をなさってるんですか、ディアナ様ーーッッ!」
ディアナ様はためらいなく滝の真下に進んでいく。
「やめてください!そこは深いんですよ、止まってください、ディアナ様!!」
僕は必死で背中の荷を手近な岩の上に投げると走った。
しかし、目の前でディアナ様は滝の中に消えた。
僕は上着を脱いで浮き袋代わりにして滝に投げ
水面下へと潜ったが、捜し求める人の姿はない。
もう一度潜ったが、同じ事だった。
「ディアナ様…!!」
自分に言った、諦めるな、と。
「ディアナ様…!!」
周りを見渡し、また潜る。
と、目の前にディアナ様が底に沈んでいるのが見えた。
祈るような気持ちで近づくと
彼女は腕を上げて手を差し伸べた。
目を開き、口元は微笑んでさえいる。
僕はふと今朝のベランダで死体を見た、と勘違いしたことを思い出した。
その感じが水底のディアナ様にはあった。
表情のない目…
これは僕の知らないディアナ…
でも、でも、確かにディアナ様なのだ。
守るべき大切な人。
ディアナ様の手が僕の手に触れた。
僕はいったん底に足をつけるとディアナ様の身体を水面へと押し上げた。
不思議なほど軽く彼女は浮き上がった。
水面を見上げると、この世のものとは思えないほど美しい鏡の世界に見えた。
気がつくと、僕は浅瀬で荒い息をつき
あまりに冷たい水のために凍えていた。
そして気絶しているディアナ様の体が二つに分裂していくのを呆然と見守っていた。
もっと正確に言うなら
僕が抱きしめている半裸のディアナ様から
ディアナ様にとり憑いていた
ディアナ様によく似た姿の水妖がようやく出て行ってくれているところだった。
水妖はぷんぷん怒っていた。
「水妖とは失礼であろう。
ワシは妖しい存在ではない、ここを住処としている精霊である。
たまたま酷暑に見舞われた南の河の仲間に頼まれ
冷気を贈る準備のため下の湖まで降りていけば
…この者、いきなり飛びかかるではないか。
ワシは『キエルさん』とやらではないのだよ。」
僕はディアナ様のかわりに謝っていた。
「大変申し訳ありませんでした。
主人の早とちりで、ご迷惑をおかけしました。
どうかお許しください。お願いします。」
精霊はまだ機嫌が悪いらしかった。
僕はかつてハイム家でキエルお嬢さんに叱られている気分だった。
「この女、人間にしてはよほど永く生きているのう。
体から出ている波長がワシそっくりなのじゃ。
それで突進してきた時にワシとこの女は一つの器に収まったようなものになった。
難儀であったぞ、青年よ。」
「は、はい。お察しします。」
「なにが『お察しします』じゃあ!アホ!馬鹿!かいしょなし!」
ディアナ様似の精霊は罵詈雑言を浴びせてきた。
なんとなく機嫌がどん底にまで悪い時のディアナ様のようだ。
「ワシは早くここに戻りたかった。
それでこの女をここに来るよう仕向けたのよ。
幾たびか意識を操ってみた。
さぞかし妙であったろう。」
精霊は滝壷の中に全身を浸した。
「この女、滝の下に沈めてやってもよかったのだが」
精霊はちらっと僕を見た。
「この女、強烈な思慕を抱いておっての。
分かっておるじゃろうよ、この銀髪め。
ワシが憑いていても
この女の心はなりふりかまわず
お前さんに向いておる。
ここで死なせて悪い念を残されては困るのでな。
青年、お前がきちんとせねばならんのだよ。
だいたい女心にはうといというツラをしている。」
「…はい。」
きちんとですか…きちんと…。
「それでな、頼みがある」とキエルさん似のディアナ様似の精霊が言った。
「その女、一週間ほど寝床から出れぬように面倒をみるのだよ。
その間にワシは南の地を冷やせるからな。」
精霊の言いたい事はなんとなく分かった。
男と女になれ、ということだ。
確かにそれから一週間ディアナ様は寝床に入ったままだった。
疲労困憊していたからだ。
本人は暑気あたりだと言い張っているけど
人外の者と合体していた後遺症に違いない。
ディアナ様はあの日のことは何も覚えていないと言う。
それでも僕にとっては忘れられない一日だ。
まだ僕はディアナ様に肝心なことを告げていない。
ノックスから避暑のお客さんが来ているからだ。
静かなのは朝の一時だけ。
ディアナ様と二人だけでいられるわずかな時間が大切だった。
「あの日、わたくし妙なことをしませんでしたか?」
「そうですね、いつもと同じくらい妙でした。」
「ふふ、ロランも言うようになりましたね。」
ディアナ様がもう少し回復したら真相を話そうと思う。
「わたくし、蛇になって水面を泳いでる夢を見たのです。
けっこう気持ちの良いものでしたよ。」
「それなら僕も蛇になってみたいですね。」
滝の話をしたら、次は本当に大切な話をしようと思う。
この前ディアナ様が寝転がって死体のようだと思ったベランダに出てみると
ようやく涼しい風が吹き始めた。
こんな日は、新しいハーブティーを試してみよう。
僕はベランダのつきあたりの勝手口を開いた。
おつー。
ちょwww急にファンタジーwwwwww
GJでした
キエル嬢と間違えて精霊に抱きつくディアナ様が可愛い
職人さんに感謝!
天狗の仕業だったのか
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, ;,勹
ノノ `'ミ
/ y ,,,,, ,,, ミ
/ 彡 `゚ ゚' l
〃 彡 "二二つ
| 彡 ~~~~ミ はいはい、わしのせい わしのせい
,-‐― |ll 川| ll || ll|ミ―-、
/ |ll | ヽ
/ z W`丶ノW ヽ
/ \\ / / |
/ 天 \`i / / 狗 |
つまり天狗の鼻が重要であると、君は!
つまりブリキ金魚ではなく天狗ノ面を肌身離さず時には急所隠しにも用いる
ロラン最強と……はおうッ!(ヅギューーーーンッッ……ビシッ!)
「そろそろ栗ご飯の季節ですね、ロラン」
「今年こそはご自分で渋皮を剥いていただきますよ、ディアナ様」
「そろそろ松茸ご飯の季節ですね、ロラン」
「今年こそはご自分で石づきを取っていただきますよ、ディアナ様」
「そろそろ月見団子の季節ですね、ロラン」
「今年こそは中の餡子だけ食べるのやめてください、ディアナ様」
両者、一歩も譲らず一時間経過。
「ハァハァ、お茶をいただけませんか、ロラン」
「ハァハァ、それがいいですね、ディアナ様」
いいね。和む。
ディアナ「う〜ん」
ロラン「どうかされましたか?」
ディアナ「なんだか最近わたくしのスレが寂しいのです」
ロラン「と、言いますと?」
ディアナ「わたくしの萌えスレを見てみなさい。以前は一日にいくつものレスが付いたのに
今はかつての勢いが無くなってしまいました」
ロラン「それは仕方が無いと思いますよ。もうTV放送が終わって何年も経つんですから。
加えてここも萌えスレと同じようなものですからレスが分断されてしまうのだと思います」
ディアナ「何か良い方法は無いものでしょうか?ソシエさんのスレに負けているというのが許せなくて」
ロラン「そんな理由ですか(笑)」
ディアナ「こうなったら、わたくしが一肌脱いで」
ロラン「そ――それはいけません!ディアナ様がその美しく透き通るように月光を思わせるほど白く輝く
きめの細かい雪肌を人前に晒すなんて絶対に絶対に絶対に駄目です!!」
ディアナ「脱いでみようかな〜?と言うつもりだったのですけどね。
今のロランの慌てぶりときたら」
ロラン「い、いや……ははは。驚かさないでくださいよ」
ディアナ「……そうですか。わかりましたよ、ロラン。貴方はいつもそのようなことを望んでいたのですね?」
ロラン「め、滅相もございません!!ただ勘違いしただけで」
ディアナ「わかっていますよ。ロランも男の子ですものね。さぁ、ロラン。わたくしを抱きなさい。
それがわたくしの望みでもあるのですから。これは女王命令です!」
ロラン「そんな、無理ですよ!それに今はもう女王じゃなアッー!」
微エロよしなに。
最近は以前に比べると涼しくなってきたようで、
ディアナ様も機嫌がよさそうだ。
「今日は過ごしやすいですねー、ロラン」
などと言って微笑むお顔を見ると、
幸せがじんわりと胸に込み上げてくる。
ただ、汗ばむディアナ様の肌が見られなくなったのは少し残念だ。
白く透き通った肌が水っぽく輝く様は、
思わずかじりつきたくなるほど美味しそうで、
しばらく我を忘れて眺めてしまうことも一度や二度ではなかった。
その汗を拭ったタオルが、また格別なんだ。
顔を埋めるとディアナ様の匂いで満たされて、
それだけで僕は天国に達してしまう。
この快楽を永遠のものにしたい、このまま死んでしまえたら…
と思うこともしばしばだったが、
こんな僕でもいなくなったらディアナ様が困るだろうから実行はしなかった。
なんてことをロランが考えていたらどうしようかしら…
などと妄想してしまうわたくしなのでした。よしなに。
ロランに有無を言わせず押し倒しちゃえばいいと思いますよ、ディアナ様
「ロランのいくじなし!いい加減に観念なさい!」
「さぁ、ここにお座りなさい」
「わたくしが気持ち良くしてあげますから…」
「あ…」
「こんなに…大きな…」
耳あかがとれたのでした。よしなに。
つい先日のことだ。
ディアナ様に耳掃除をしていただいた。
ディアナ様は一生懸命やり過ぎるので耳が痛くなるのだが、
それも愛故と考えれば可愛いものだ。
何より膝枕が最高だった。
暖かくて、柔らかくて、いい匂いがして…
目を閉じると、ディアナ様の愛に包み込まれているのがよく感じられて、
非常な幸福感が心を満たした。
ディアナ様の膝枕があれば、
羽毛だとかウォーターベッドだとかは一切不要だろう、
あんなものをありがたがっている連中は馬鹿なのではないか、
とも思ったが、よく考えれば仕方のないことだ。
彼等にはディアナ様がいないのだから。
ディアナ様と共に在れるのは、僕だけなのだから。
ふと、熱いものが頬を流れるのを感じた。
僕はこんなにもディアナ様の愛を感じているが、
ディアナ様に僕の愛は伝わっているのだろうか。
僕は、ディアナ様に愛を伝え、
ディアナ様の中に愛を注ぎ込む努力を十分してこなかったのではないか。
こうしてはいられない。
今すぐディアナ様に愛を伝えに行かなければ。
僕はまむしドリンクをいっぱい飲むと、
という妄想日記を書いているところをロランに見られてしまい、
非常に気まずいです。誰か助けてよしなに。
妄想日記w
9月のカレンダーをご覧になっていたディアナ様がふとつぶやいた。
「連休が2回もありますね…
今年はお彼岸が23日というのは分かりますが
9月17日は何の祝日でしたかしら…。」
ディアナ様は最近小さな文字をご覧になるのが苦手になられた。
治療用ナノマシンを月から取り寄せましょうかと聞けば
これも自然の摂理ですからけっこうです、とおっしゃる…。
そのくせ、まだ眼鏡の必要はありませんから、と我慢しているようだ。
「ねぇ、ロラン、これが物忘れというものでしょうか。
9月17日が何の日なのか、思い出せないなんて…
やっぱり眼鏡も要るかしら。」
「あの、ディアナ様、本来なら9月15日だった祝日なんですよ。
『休日はまとめて取れ』みたいな
国民グータラ化政策のために月曜日に強制移動させられてるので
毎年、日が変わってるんです、
敬 老 の 日 は 。」
次の瞬間、ものすごい勢いでカレンダーを真っ二つに引き裂くディアナ様の雄姿を見て
僕は「まだ調子なら大丈夫、いつものディアナ様だ」という安堵感と
僕も真っ二つになりそうな予感に引き裂かれていた…。
早かったな、ロランの死も……
眼鏡をかけたディアナ様ってちょっと見てみたいな
>>364-366 続けて読んでいその舟さんをイメージして思わず「やめろおお!!」と心の中で叫んでしまった。
>>362 妄想癖が進化していくディアナ様に萌w。
眼鏡のディアナ様
水着にサングラスならおk
ビーチの木陰、髪アップで真っ白なビキニを着て
仰向けになってうたた寝するディアナ様。
その横でうちわを扇いでいる
焼けてんのかどうかわからない地黒のロラン
「もう食べられません…むにゃむにゃ…」
と寝言を言いながらよだれを垂らすディアナ様。
右手でうちわを扇ぎつつ左手でそっと拭うロラン。
一瞬の何分の一かの瞬間
ぬぐったよだれに口をつける衝動がわきあがるが
わき上がったことにも気がつかずに何事もなく手を拭くロラン
ちなみにディアナ様はバスタオルをお腹に乗せている。
潮風とはいえ、すでに9月の風はお腹の大敵。
ときどき寝返りを打てば
そのたびにロランはバスタオルをかけ直した。
その気になれば
柔らかく滑らかなディアナの肌に触れることができるのに
ロランはディアナの身を案じて
タオルしか目に入らない。
これを本末転倒といわずして何と言おう。
その頃ついに夢うつつでも妄想日記を綴るディアナ様
こうしてビキニ姿でうたた寝するワタクシを守ってくれるロラン。
バスタオルをかけ直してくれるその感触…。
あなたの指が少しでもワタクシに触れはしまいか
一瞬でもいいから、と祈るような気持ちでタオルの動きを
読んでいたわけですが…
ロランは慎み深い男ですね、静かにうちわをあおぎ始めました。
ワタクシはこのやるせなさを忘れようと
再度まどろみの中へ落ちていきます。
それはいきなりでした。
不意に目が覚めると、ワタクシの、わたくしの、私(ワタクシ)に
おおいかぶさるように
ロランが
いえ、あの、ロランはすでにワタクシにおおいかぶさり
ゆっくりと、しかし、強く抱きしめたのでございますッッッ!!!
「ディアナ様、木陰でも暑いものですね、お顔が真っ赤ですよ。
熱中症にならないうちに帰りましょう。」
ディアナ様は「いいかげん、ワラクシから抱きつくべきかしら」と
深くおのれに問うのであった。
「自分から抱きついたら負けだと思ってる」(1019才・ニート)
ダンスは自分から誘うのにシャイなんですね、ディアナ様
それなのに冬は寒いからとロランを抱き枕にするディアナ様
ディアナ「一千年と十九年前から愛してる♪
八百年過ぎた頃からもっと恋しくなった♪」
ロラン「ディ、ディアナさまぁぁぁぁぁ!!!」
ディアナ「ウィルの事です」
ロラン「えっ…………」
ディアナ「でもロラン、あなたは一億と二千年後も愛してあげます」
ディアナ・セアックの方が
ロラン・ソレルよりも語呂がいいかな…
と思った後
赤くなった顔を両手で覆いながら
転げ回りベッドから落ちるディアナ様
ディアナ様かわいい。
たまにはロランの為にと料理を作ることにしました。
とりあえずハンバーグを作ることにしましたが
玉ねぎは硬いし、肉がボロボロ崩れるし、表面は真っ黒になってしまいました。
「ごめんなさい。貴方のためにと思ったのに、失敗してしまいました……」
ロランに失敗作を見せると、彼は意外な言葉を口にしました。
「ディアナ様が僕に為に作ってくれたのです。頂いてもよろしいですか?」
ロランは真っ黒になっているハンバーグを最後まで食べてくれました。
絶対に美味しいわけ無いのに、笑顔で全部食べてくれたロランの心遣いが嬉しくもありましたが
同時にわたくしのためならと無理をしてくれるロランに胸が痛みました。
翌日、ロランは腹痛で倒れてしまいました。
「きっとお腹を出して寝てたから冷えちゃったんだと思います」
と、自分の責任のように軽い口調で言ってくれましたが
ロランの腹痛の原因は火を見るよりも明らかでした。
わたくしはロランに泣きながら謝罪しました。
「わたくしは、何一つロランの役に立つことができないのですね……」
むせび泣くくことしかできなかったわたくしを、ロランは優しく抱いてくれました。
「僕は、ディアナ様がお側にいてくれるだけで良いんです」
ロランの症状はさほど重くは無かったようで、一日経ったらすっかり良くなりました。
わたくしは、ロランの目を盗み見ながらこっそり料理の勉強をしています。
今はたいしたものができませんが、今度のロランの誕生日にこそ
お世辞ではなく本心で美味しいと言ってくれるような料理を作りたいから。
まだまだ時間がかかると思いますが、その時は絶対にご馳走を作りますからね。
と書いた妄想日記をまたしてもロランに見られてしまいました。
あぁ、ロランとの関係が先に進めるのは何時のことやら……。
見られすぎワロタ
どうせ「良い夢見られますように」とかいって枕の下に入れたまま放置して
ロランが枕カバーとか洗う時に「バサ・・・おや?」って感じで見られるんだろうな
ロランもロランで小学生がエロ本読む時みたいに顔真っ赤にしてドキドキしながら見てんだろ
実はロランも定期発行紙感覚で楽しみにしてたりして
ロラン「♪メーリさんのひつじ〜、ひつじ〜、ひつじ〜…と…あれ? これは…ディアナ様の日記?
… …(キョロキョロ)
ディアナ様には悪いけれど少しだけ…(ペラペラペラ)」
『
ロラン・セアック! 貴様ッ 見ているな!
』
ギンガナム「ハッ! …なんだ、夢であったか」
御大将久しぶりだなぁ。
ギム「ディアナ、貴様が己の、人としての幸せを得たように俺にもその欲がある!
だから蘇ったのだ!」
ロラン「ディアナ様怪我でもさせてみろ!我魂魄百(ry」
ギム「黙れ兄弟ぃ!」――バキッ
ディアナ様「ロラン!」
夏の猛暑もこの山に容赦無くまとわりついた日々が嘘のような九月の寒い朝。
不吉な予感に震えていた私は
働きに出たロランに合わせ一人で周囲の山に罠をしかけていたのですが…
いとも簡単に破られるなんて…
ギム「まさかな、女王を辞していたとは俺の目は誤魔化されん。つくづくそんな貴様に遣えていた俺が愚かだった!」
ギンガナムの体は血色が無く、まるで金属で構成されているような、以前の彼以上に冷徹な気を纏っていました。
ギム「そう、繭に取り込まれる中、くちはてていく俺の生への欲への執着がナノマシンを活性化し、この体を蘇らした!
そして見えるか?
外に並ぶ無数の俺っ俺っ俺ぇ!!
やはり兵器であるターンタイプは俺を黒歴史を望んだのだ!」
そんな、DBZみたいな話があるなんて…
ロラン「っ、その力でまた戦争をしようというのですか!!」
ギム「ふぅん!地球や月の勢力等もはや相手ではないっ!外宇宙の人類と銀河を巻き込んだ戦よっ!」
コーヒーを煎れてみることにしたディアナ様。
何度も失敗した後、やっと飲める味になった(ような気がした)のでロランに飲んでもらった。
「どうでしょう?」
「ディアナ様が煎れて下さったものならどんなに不味くても最高です」
左頬にくっきりと残ったディアナ様の手形をさすりながら、
ロランは既視感を感じていた。
「ねえロラン、このクッキー私が作ったんだ。食べてよ」
「いただきます」
「どうかな?」
「ソシエお嬢さんの作って下さったものならたとえ豚のえさでも美味しいです」
あのときは右ストレートだったが…
いったい何がいけないのだろう…
真剣に悩むロランの耳に、山の向こうからカラスの鳴き声が聞こえてくるのだった。
ロラン全く成長してないなw
リリ様が手づから作って下さったココアを飲むロラン。
「どうかしら?」
「はい、美味しいです」
「そ」
何事も起こらなかった。
グエン卿の作ったカルピスを飲むロラン。
「どうだいローラ?隠し味に愛をひとかけら加えてみたんだが…」
「えっと…」
「ん?言いづらいのかい?分かった。続きは私の部屋で聞こう」
ディアナ様が出刃包丁片手に部屋に乱入してきたおかげで、
事無きを得たロランなのだった。
「グエン卿!ロランから離れなさい」
「落ち着いて下さいディアナ様。争いごとはよくない。なぁローラ?」
「その手を離しなさい!さもないとこの包丁が貴方の体に深々と突き刺さることになりますよ」
「はっはっは、どうせなら私の黒光りした包丁をローラの体に突き刺したうわっ」
「次は当てますよ?」
「…」
なんてやり取りがあったりなかったりしたのでした。よしなに。
『ローラ・ローラへ
繭の中が余りに暇であったので小生が丹念に研ぎ上げた刀を送っておく。
これは最後の闘いの時、貴様に使わせた物である。
このギム・ギンガナムがターンタイプの生み出した繭を使って研いだ一品だ。
その切れ味、とくと味わうが良い。
ギム・ギンガナムより』
「で、その手紙と一緒に送られてきたのがこの刀ですか。ギム・ギンガナムは一体どうやってこれらを送ったのでしょうか…」
「さぁ…? しかし達筆ですね。まさかあのギム・ギンガナムがこんなに見事な筆遣いをするとは思いませんでしたよ」
「…ロラン。よろしければこの刀、私に譲っていただけませんか?」
「? 構いませんけど…何でまた?」
「いえ、次にグエン・ラインフォードが来た時にでも使おうかと思いまして」
昨晩グエン卿が訪ねてきました。
「こんばんわディアナ様。いえね、ちょっとお見せしたいものがあって」
などと言って図々しく上がり込んでくると、
ロストマウンテンより発掘されたという本を差し出すグエン卿。
仕方なく付箋の貼ってある頁を見ると、
「ホモが嫌いな女子なんかいません!」
との破廉恥な台詞が。
いやらしい。気持ち悪い。死ねばいいのに。
「お分かり頂けたかな?この文献にもあるように古来より男性同士の…」
と、自らの行為への理解を求めるグエン卿を件の包丁でメッタ刺しにしたわたくしは、
死体をポリ袋に入れて湖まで運び、重りをつけて沈め、
「どなたか訪ねていらっしゃったんですか?」
とのロランの問いにも
「いいえ?誰も来ませんでしたよ。ちゃんとお留守番してました」
と素知らぬ顔で答えたのでした。
全くこの男だけは何度殺しても殺し足りません。
今度こそ成仏してよしなに。
ふぅー、昨晩は酷い目にあった。
ディアナ・ソレルに刺されるのはこれで何度目かな。
全く、女はすぐに感情的になるから嫌なんだ。
こちらが紳士的かつ論理的に話をしているのに、
いきなり包丁でメッタ刺しにして湖に沈めるなんて野蛮にも程がある。
その点、男は優しいな。しかも奇麗だ。
特にローラは…
という汚らわしい走り書きのしてあるメモを湖畔で見つけました。
やはり焼却処分しなければ駄目なのかしら?
今週末はガソリンの買い出しに行かなければ…と、
来たるべき災害に備えて準備を怠らないわたくしなのでした。よしなに。
グエン卿がアメリアに戻ってこられ・・・
僕とディアナ様の暮らす家に度々顔を見せる様になった。
色々あってディアナ様とグエン卿はギクシャクしてるみたいだけど、
何故か最近ディアナ様が生き生きとしてらっしゃるみたいだ。
まるでキエルお嬢さんと入れ替わって僕達と地球を旅していた時の
様に・・・・
やっぱりグエン卿の男らしく輝く肉体が眩しくて、僕は・・・・
「グエン卿、何をしてらっしゃるのです?」
「あ、はっはっはっは・・・いや、今後の予定を確認しようかとね。こう見えてまだまだ私も暇になれない体で・・」
「それはロランの日記ではありませんか?何を書き込んでらっしゃるのかしら?」
「あ、はっはっは・・・そうでしたか。あ、本当だ。忙しくてつい間違えましたか。・・・・あ、こんな時間だ。
メリーベルを待たせると又ヘソを曲げますからね・・・はっはっはっは・・・・」
外宇宙にまで戦いを求めるこの男をこの場で裁かなくてはなりません!
私の責任でもあります。
ディアナ様「ロラン、貴方は其所を動かないで下さい。私には秘訣があるのです!」
ロラン「ほ、本当ですか!?しかし危険すぎます!」
ディアナ様「これでも女王だったのです、このギンガナム達を瞬殺して見せます!!」
ギム「ほう!楽しませてくれそうだなぁ!来いぃよぉ!」
ディアナ様「ソレル家奥技!第三指屈折留力解放砲!!」
パチィィンッ!!
ロラン「ディ、ディアナ様それはデコピンというものですよ!」
ディアナ「えっ…?」
398 :
繭紡光覆:2007/09/12(水) 11:58:12 ID:???
ディアナ「デコピンとは何です?この技は一子相伝にて最強なのです。あのウィル殿やハリーすらこれで墜としたのです!!だからっ―」
パチィィン
パチィィン
何故この人には効きめが――?
パチィィンパチィン
パチン!!
ディアナ様「っ!痛いっ」
私の指は既に赤く、関節にも違和感を覚えました。
ロラン「もう結構です。御身に何かあっては僕が…。いや、僕にもして欲しぃ…」
ディアナ様「?」
ギム「何と思えばー何処までコケにするつもりだぁディアナソレル!!」
刹那ギンガナムの陰は大きくなり―
ロラン「逃げ―
399 :
繭紡光覆:2007/09/12(水) 11:59:49 ID:???
間一髪…いえ、私をかばい駆け寄り盾になってくれたロランの背中は大きく削られ血が…
ロラン「良かった。さぁ僕は大丈夫ですから早く…ここから逃げ―」
崩れるように彼は私に覆い被さり共々倒れました。
私の服にも染みてくる止まらない
ギム「良い色だ…もはや血は無いが、俺にもまだ戦を求め熱いモノがドクドクと脈打っているぞ!!」
なんて野蛮な、ロランの血を汚すことは私が許しません!
ギム「笑わせる!ならば貴様の大事な者を汚してくれよう!」
―ズシャッ
気がつけばいつの間にか周りはギンガナム達に囲まれ
続きwtsk
wtskってなぁに?
初心者なもんで。
いつになくスレがヒートアップしているwww
wktk=ワクワクテカテカの意
うわーワクテカじゃねえや><
俺もわかんね
404 :
400:2007/09/13(木) 06:31:39 ID:???
すみません間違えました。
スレ汚し失礼致しました。
405 :
繭紡光覆:2007/09/13(木) 12:10:01 ID:???
何をするのです!
ギンガナムはロランの後頭部を掴み持ち上げると、その指から銀色の触手が生えてズルズルとロランの体内を侵食していきます。。
悲痛な叫びと、激しい痙攣にロランは今にも息絶えようと―
ギンガナム!卑怯です!私を殺しに来たのでしょう!!彼は関係ないのですっ離してっ!!
実際、私は泣きじゃくって何を言っているのか覚えておらず、もっと下品な言葉を吐いたかもしれません
ギム「その顔を拝めただけでもお前達を探した甲斐があったわ!!だが駄目だ、貴様には呪われた運命をくれてやる、自害しろ!」
406 :
繭紡光覆:2007/09/13(木) 12:12:09 ID:???
自害しろと、そうすればロランには手を出さないと!
それでよろしいのですねっ!
ギム「フッ…それでいいだろう」
私が貴方にしてあげられる唯一のことならば、惜しく無い命なのですから。
覚悟を決め立ち上がったとき
ロラン「い、いけまセんディアナ様……僕の為―れた涙、だけで…むしろ申し訳が―」
何をいうのです…感謝するのは私の方。
そしてこの気持ちを永く二人の生活の中で伝えていきたかった…
ギム「残念だったなぁ」
ロラン「僕も…同じですよ…ディアナと生きてい たい」
今程、彼に触れたい衝動は始めて…
407 :
繭紡光覆:2007/09/13(木) 12:14:48 ID:???
「ロランっ!」
私はギンガナムによって吊られた彼を抱き締めました。
ナノマシンに体の殆んどを奪われて動くことも無い、それでも尚―
ロランは温かい…
私の体にもナノマシンが入ってくる、繋がっていく
!!
ギム「っ、俺のナノマシンが……兄弟何をしたぁ!」
ロランを吊っていたギンガナムの右腕は、裂傷を負い音をたてて崩れました。
ギム「何故だ!?俺が必要ではないのか黒歴史よ!」
ロランの背の傷、侵食された肉体は全て回復していました。
そして彼も何が起きたのか理解出来ない様でした。
408 :
繭紡光覆:2007/09/13(木) 12:18:22 ID:???
ロラン「どうして…」
ギム「う、腕が再生しない!貴様達まさか…!」
私には解りました…そう貴方と同じですよギンガナム。
黒歴史では、ナノマシンは人の心にも感応してきたのです。
そして今も応えてくれました。
しかし貴方のそれとは決定的に違います。
ギム「例えローラが蘇ったところで、戦いを、力を求めて復活した俺に勝てるつもりかよぉ!」
ギンガナム、解らないのですね…残念です。
ロラン「…泣かないで下さいディアナ様、僕もいます。貴方の苦しみ二人ならきっと癒せます。」
ええ…ですが決着は私の手で!
いきます!!
409 :
繭紡光覆:2007/09/13(木) 12:21:37 ID:???
後にロランから聞いて知ったのですが、ギンガナムに走る私は黄金色に輝いていたんだそうです。
まさか…。
ギム「ぐあぁ!先程までのデコピンとは違う!!再生が追い……付か…な――」
ギムs「…良いぞぉ!この数を相手にいつまで―ぐは…あ――」
パチィィンパチィィン!!
ロラン「輝くデコピン…シャイニングデコp(ry」
ギムs「ふはははは!…何なんだよその力は!凌駕されているのかぁ!?」
一斉に攻撃を仕掛けるギンガナム達、しかし私に触れる寸前に皆崩壊していきました。
パチィィンパチィィンパチィィンパチィィン!!
410 :
繭紡光覆:2007/09/13(木) 12:25:53 ID:???
闇は深く、満月が綺麗な肌寒い夜。
あの惨劇は嘘の様に、ギンガナムは全て粉になって風に浚われ消えていきました。
今は家に戻りたくなく二人で湖畔を歩いています。
ロラン―かつてニュータイプと呼ばれ戦った者、また戦争を防ぎ永く秩序を守った者は遠い彼方宇宙へ旅立ったといいます。
それでも、この星空の光の様にどんなに離れていようとも、人の願いは曲がらず消えること無く届くでしょうか?
ロラン「ええ…きっと、必ず届きまよ。」
そうですね、こんなにたくさん輝いているんですもの…
とても綺麗…
END
ロラン「うーん。基本シリアスなのに、デコピンとかまたラストに持ってくるというのはーどうなんでしょうか」
ロラン、つまりボツだと言いたいのね?
ロラン「いや、この話はリリ様のツテで婦人誌に載るんですよ?
題材は[戦火で結ばれた夫婦のなれそめ]ですし。
ボケとかグロはいいんですよ。」
いらない…そうですか。ではロランにはデコピンはしてあげません!
ロラン「えぇっ!それはずるいですよ!」
ふふっ、冗談ですよ。
ロラン「///ゴホン。でも散々取材と言ってアメリアじゅう美食旅した挙げ句これじゃあ編集の方も卒倒です!」
失礼ですね、あの美食旅がこの文を書くのに必要だったのです。
ロラン「そもそもこの話全部が嘘ですし、悪い人でしたがギンガナムさんにも悪いですよー。故人ですよ?」
それなら大丈夫です。本人の了承はありますから…
ロラン「?」
ガチャ―
ギンガナム「久しぶりだなぁローラ・ローラ!!」
END
とりあえず乙です。
一通り読んで思ったのはこのスレにしては多少血なまぐさい感じがしました。
最後がコメディっぽく終わっていますが多少後味が残るように思いました。
ずいぶん辛口な意見になってしまいましたが
次の作品をお待ちしたいと思います。
表情の説明に「///」を出した時点で最悪のものにナリマスタ
そんなもん気にしてたら2ちゃんのネタ・SSスレなんか見れんわ
ディアナ「犬も歩けば棒に当たる」
ロラン「るろうに剣心」
ディアナ「ことわざしりとりをしているのですっ!
漫画しりとりではありませんっ。」
ディアナ「では…壁に耳あり障子に目あり」
ロラン「り…理由なき反抗」
ディアナ「映画しりとりではありませんっ。」
ディアナ「では…四字熟語しりとりでいきましょう、まず『毀誉褒貶』」
ロラン「終わってますよ、ディアナ様」
ディアナ「では…『吉田先生』」
ロラン「四字は四字でも熟語じゃないですよ」
二人の秋の夜長はこうして更けていくのであった
るろうに剣心だと負けてるぞ、ロランw
学校に通いたいと言い出して聞かないディアナ様を想像した。
ディアナ 「病弱だったお嬢様の体力がやっと回復してきたので、復学を申し出たという設定なら…これなら行けます!すぐリリ様への申し出を」
ディアナ「キエル・ハイム、17歳です!」←裏声
ロランもローラとしているんだなw
そういえば過去スレでディアナ様が学生やってるSSがあったな
完結しなかったのが惜しいところだけど
ハリーやフィル達ディアナカウンター構成員が先生として学校潜入
「こんなに心配されて、わたくしは果報もんじゃー」
女装したためとはいえ女学生と親しくするロランに嫉妬するディアナ様。
ロラン「あの、僕何か失礼なことしましたか?」
―いいえ?御学友を大切にするのは良いことです。
と、すねるディアナ様は家で二人きりになると甘えだすのだった。
「おや、ローラ嬢ではないですか」
「ああっ?!あなたは初ダンスの君!」
それは禁断の再会
「今度こそ趣味か!?」
「任 務 で す !!」
「ロラ・・・ローラここにいたのですか、さぁ帰りましょう」
「ッ!?そこな透き通るような青い瞳で見事な縦ロールをお持ちのお嬢さん!
・・・まさかとは思いますがディアナ様ですか?
軽く齢数百を数える御身というのに清純乙女の象徴である
セーラー服をお召しになられているディアナ様であらせられますかッ!?」
「・・・見るのも躊躇われるような恥ずかしい虎柄のスーツを平然と着込み
しかも妙に似合ってる赤眼鏡と話す口など持ち合わせておりません。ロラン帰りますよ」
「ディ、ディアナ様がセーラー服を・・・ユニヴァァァース!」
>426
わろた
「ロランは何故ローラとして学校についてきたのですか?」
わたくしはふと疑問を口にしました。
「何故・・・ですか?」
「学校は共学なのですから、別にローラでなくともよかったのでは?」
「そうですね、通うだけならローラでなくてもよかったんですけど
それだとディアナ様のお側でお世話がしにくくなりますし
男だと、あらぬ噂が立ったりして
ディアナ様に余計な気苦労をかけてしまうかもしれないですからね」
「噂ですか・・・」
ロランとの噂なら別にかまわないんですけど・・・
むしろビシニティのソシエさんにも噂が伝わるくらい
ラブラブな二人になりたいのですっ!
「とにかく、ディアナ様には不自由なく学校生活を楽しんでいただきたいので」
いろいろと言いたいことはあったのですが
今はロランの気持ちを有り難く受け取っておきましょう
愛は二人の愛の巣に帰ってから育てればいいのですから・・・
フフフ
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
愛がたっぷり入った夕食を終え、リビングで牛さんになっていると
後片付けを済ませたロランがやってきました
「明日は1限目から体育で、テニスをするみたいですけど
ディアナ様、テニスはお得意でしたよね?」
「はい、月では月光蝶夫人と呼ばれ、華麗にコートを舞ったものです」
そういえば、よくギム・ギンガナムを呼び出しては、
テニスの相手をさせていましたっけ
ラブゲームでギムに勝った時のギムの顔は本当に傑作でした
ついつい思い出し笑いしてしまいます
「じゃあ、楽しみですね
でも、明日は朝一番から運動なので
今日はお早めにお休みになられますか?」
そうですね・・・と言いかけた瞬間、わたくしはハッとしました
ひょっとして、今、チャンス?
ロランと一緒に暮らすようになってから随分経ちましたが
二人の仲はお世辞にも進展したとはいえません
互いに想い合っているはずなのですが
まだ男女の関係には程遠く、ずっとこのままなのではないかとも思えました
勇気をもって飛び込めばロランは応えてくれるのでしょうか?
いえ、きっと応えてくれるはずです!!
「ロロロロロロロロ、ロランっ」
「はい」
「わ、わたくし早めに休みたいと思います」
「そうなさいますか」
「それで、その、あの、えっと・・・」
「?」
「だからロランもわたくしと一緒に寝てほしいのです!!!!!!」
言えた、とうとう言えました!
心臓が破裂しそうなほどドキドキして
ロランの顔を見ることもできませんが
わたくしは言えたのです
・・・そして一瞬とも永遠ともとれる時間が流れ
ロランの口からでた言葉は
「ぼくもそのつもりでした」
あぁ・・・とうとう、この時がやってきたのですね
「では、参りましょうか、ディアナ様」
「はい」
リビングから寝室まではとても遠く感じました
その間わたくしは、これからの事を想像して
ひとり頬を紅めたり、モジモジしたりして幸せな気分に浸っていました
寝室へ着きベットに腰掛け、ロランの方を見ると
ロランはまだドアの前に立っていました
あら、ロランも照れ屋さんですね、なんて思った直後
わたくしは、あの「お約束の台詞」を聞いたのです
「ディアナ様、また明日」
どうやらロランは明日のテニスに備えて
わたくしと一緒の早い時間に休むつもりだったようです
オチにしてはかなりベタ過ぎませんか?
と心の中で呟き続けるわたくしを尻目に
明日は頑張りますよーなどと言いつつ
ロランは自分の寝室へと行ってしまいました
悶々とした気分のまま放置されたわたくしは眠ることができず
ただひたすら日記を書き綴るのでした
よしなに
放課後中庭でローラ(ロラン)が男子生徒から手紙を貰っていました
そうラブレターです
「わあっ!見ていらしたんですか!?
困りました、相手を傷付けない返事なんて僕には…」
経験が少ない私が助言など出来る筈も無く、返事をする際に共をすることでロランを励ましました
そして返事の日
「わ、私には好きな人がいて…付き合えませんごめんなさい!」 ん?
好きな人?誰のことですローラ!!
「そんな詰め寄られても答えられません!」
ローラ!!貴方の胸には誰が…
「ディ、顔が近…
教師「カツアゲかディアナ!!」
チィッ!
嵐を呼ぶ転校生、メリーベルの登場をワクテカしながら待つ!
「今日から学校生活を共にする転入生を紹介する。入ってきなさい」
あら、どんな方でしょう
「聞いた話によると女性らしいですよ」
ガララドシャアン!!
「今日から貴様等と学び舎を共にする銀河南無 義務子である!」
ゲェー、ギンガナム!セーラー服がパッツンパッツン!てゆうかテメェーの女装なんざ需要ねぇよ!
「ディアナ様いかがなされたのですか!?」
「趣味は模擬戦!求めて止まぬものは闘争である!」
「銀河南無さんは・・・ソレルさんの前で」
「フハハハハ!了解した!宜しく頼むぞ、ディアナ!」
何故・・・コイツが女と・・・?皆さんスルーですか?
「ディ、ディアナ様体調が優れないのですか?お顔が真っ青ですよ?」
ロラン!こいつターンXのギム・ギンガナムですよ!
「ディアナ様ったら銀河南無さんに失礼ですよ?ギム・ギンガナムは月光蝶の繭に封印されたじゃありませんか」
あ、あれぇ?
ロランw鈍すぎwww
グエン先生は、グエン先生は赴任しないのか?
結局ロランの好きな人発言の真意を聞けないまま、二人で校門へ向かうと人影が―
「さっきの尋問といい同棲も進展がなく、恋愛が下手なディアナ・ソレル!
あたしが盛り上げてあげるよ!」
髷は緩いウェーブに変わり肌白で、赤縁眼鏡が博識を思わせる美人、メリーベルさんがそこに!
ロラン「メリーベルさんでしょ!」
ガキッ!
ロランの抵抗も虚しく易々と卍固めを貰っていました
あんなに密着するなんて、負けられません!
えいっ!
チョークスリーパーで応戦する私
ロランはしばらく入院のようです……
よしなに…
メリーベル!・・・・・ディアナ様の負けず嫌いの方向性が萌えるwww
───私の名前はグエン・サード・ラインフォード。心に傷を負った実業家。ハンサムでストーカー体質の愛・紳士♪
私がつるんでた友達は秘書をやってたキエル嬢、親にナイショで
私に付きまとってたリリ嬢。訳あって私に付きまとってるメリーベル。
今は友達いないけどやっぱり仕事はタイクツ。今日もメリーベルとちょっとしたことで口喧嘩になった。
女相手だとこんなこともあるからストレスが溜まるよね☆そんな時私は教師として学校に赴任することにしている。
がんばった自分へのご褒美ってやつ?自分らしさの演出とも言うかな!
「あー今忙しいんだ」・・。そんなことをつぶやきながらしつこい女生徒を軽くあしらう。
「センセー、彼女いないんですかぁー?」どいつもこいつも同じようなセリフしか言わない。
チャラ女はパッと見可愛いけどなんか薄っぺらくて嫌いだ。もっと等身大の私を見て欲しい。
「すいません・・。」・・・またか、とセレブな私は思った。無視するつもりだったけど、
チラっと女生徒の顔を見た。
「ロー・・ラ!!」
・・・違う・・・今までの女とはなにかが決定的に違う。スピリチュアルな感覚が私の体を
駆け巡った・・。「・・(美しい・・!!・・これは運命・・!!!)」
やはり女?はローラだった。私は誰かに連れ去られてフルボッコされた。「うわーやめろ!」毒薬をきめた。
「ガッシ!ボカッ!」私は死んだ。スイーツ(笑)
最近マウンテンサイクルで蟹のガンダムが出土し、ポゥさんにも操縦出来ず、ロランはシドさんに呼ばれ私は一人でお留守番。
一人でも寂しさを感じず没頭出来そうな裁縫に挑戦しています。
ロランの為にエプロンを、それともハンカチ?
ロランは何を喜んでくれるだろう
ロランは…
ロラン…
…
ちくちくちくちく
―痛っ!
ちくちくちくちく
―っ、!
―
-
結局私は指を絆創膏だらけにしてロランの人形を作っていました
もう夕刻
眠たくなって…
起きる時は彼にいて欲しい…
それまでお人形と添い寝
よしなに
か、可愛いじゃねーか、ディアナ。
藁人形?
それ裁縫っていうのかよww
シド「う、動いた!でかしたロラン!が、コレ何に使えるんだ?」
ロラン「…」
ポゥ「蟹…蟹も悪くない…」
ロラン「…? あの、もう帰りますよ?」
ロランのお土産は蟹でした。
でも指がこの状態では身が剥けず、ロランにお願いしてます
ロラン「その指どうなさったんで!?」
―いえ退屈凌ぎに裁縫を、大したことでは―
ロラン「な、なら良いんですが―何を作られたんです?」
それは、その………
こ、今度は貴方の為に作るものがあります!貰ってくれますか?
ロラン「ええ!」
貴方を思う気持ちを分身に託します
大好きです
よしなに
>ポゥ「蟹…蟹も悪くない…」
なぜかワロタ、GJ!!
446 :
通常の名無しさんの3倍:2007/09/22(土) 17:18:53 ID:QbHGlOGt
大胆MAPsp人気声優スペシャルが妙に気になります
よしなに
φ(´・ω・`)…
φ(`.ω.´)! カキカキ
今日はロランがうまい棒を買ってきてくれました。
私は特にコーンポタージュのが好きで
今日もコーンポタージュだけで5本も平らげてしまいました。
大好きなコーンポタージュですがしかしこの食べたあとの袋にたくさんついた粉
これがはしたないのですが気になって仕方ありません。
そしてとうとう今日ロランに尋ねてしまいました。
「いいですよ。僕ちょうど外にいきますし。」
…ありがとうロラン。
ついに私は思うさま袋の粉をな、なめいや食べることができました。そして次の粉袋に手を伸ばさんとしたとき
窓からロランが見ていたのです。
…悲鳴をあげながら自室に飛び込んで今に至るわけですが
本当はあの時ちょっとおいしいと思ったんですよ
明日はメンタイでよしなに。
ハァハァしながら覗き見するロランワロタww
GJ!!
俺はディアナ様にキャベツ太郎の袋を
ナメナメさせたい
コーンポタージュ3連打
ワロタ
ここはもう三人ぐらいしかいなくね?
\ /
\ / *
\ / +
\ ∧∧∧∧/ ゚ 。
.< 3 > * orz = - +
< 予 人 >
< .し > + OTL ≡ = -
< か > 。 ゚
─────────< .感 い >──────────
< な >
< !!!! い >
/∨∨∨∨\
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/ \
/ \
/ _| ̄|○ \
ハッキリ言う
気にいらんな
何が?
三人がか?
今日は月が綺麗だなぁ
まず見てるだけの俺が一人いる
○月○日
キエル嬢と一緒にショッピングに出かけた。
たまの休暇なのだから有効にすごさねばな。
久々に女王から解放された為だろう。
今日のキエル嬢は子供のようなはしゃぎ様で側にいてハラハラしたりもしたが、
一人の女性として振る舞うその姿、飾りでない笑顔が眩しかった。
とてもいいことだ。
○月○日
今日の出来事。
今日は新しいプレイを楽しんだ。
なんと工場の視察中、あろう事か衆人環視の直中で、
私はその……、実に大胆で恥知らずな行為なのだが、
今はディアナ様であらせられるキエル嬢に、こっそりと、手を、
そう、キエル嬢と、手を!
こっそり手を繋いでしまったのだ!
キエル嬢は私にしか分からない角度でにっこり笑ってくれた。
とてもすばらしかった。
○月○日
ディアナ様からキエル嬢に電話があった。
あいにくと席を外しておりますとお伝え申し上げたところ、
代わりに私が愚痴を聞く羽目になってしまった。
まあ、愚痴といっても可愛いものだ。
もう本当にロランったら、で始まった一連の言葉は、
彼への愛情と少しの不満と切ない不安に彩られていたのだから。
私は適当に相槌を打ちつつ話を聞き、
時々彼の鈍感さに呆れてみせながら
久しぶりのディアナ様との時間を楽しんだのだった。
15時間ほど続いた。
疲れ、いや……、いいことだ……。
○月○日
今日は大事件があった。
冬の宮殿の最深部から、非常に旧い時代のものと思しき
冷凍睡眠用カプセルがいくつか発見されたと報告が入ったのだ。
急ぎ駆け付けた私はカプセルに刻まれていた名前らしき文字をみて―――
カロッゾ・ロナ
クロノクル・アシャー
ゼクス・マーキス
ラウ・ル・クルーゼ
ネオ・ロアノーク
なんかこう、不思議と胸が苦しくなるラインナップだった。
そしてそれらの中心に、ひときわ目を引くカプセルがある。
それはもはや異様といってもいいだろう。
真っ赤で角付きの上、ビーム輝やくフラッシュバックに
影が浮かんでそうな存在感。
さっきからシャアシャアシャアとBGMが煩いも謎すぎる。
と、隅を見ると空のカプセルが一つあり、
ハリー・オード(予定)
―――ユニバース!
○月○日
昨日は冬の宮殿の最新部に所属不明な金色のスモーが突っ込むという
不幸な事故があったが、被害は微小で相変わらず平和な今日この頃。
今日もキエル嬢の周りにはこれといった異状も危険もない。
遥かに見える地球では今頃、あの二人も仲良くやってるのだろう。
窓の外を通りすぎる赤いモビルスーツ。角付き。騒音の苦情が半端じゃない。
月面と宇宙空間を気軽に行き来するUMAの目撃報告がどしどし送られているらしい。
火星に行かせろと騒ぐ不審な男の処理に困っていると部下がこぼしていた。
大通りで絡み始めた野郎二人組は一部ご婦人方に猛烈に支持されたものの、すぐにブタ箱にぶち込まれた。
「――――――」
実に平穏な毎日である。
さて。
そろそろキエル嬢の警護に戻らなければ。
大丈夫
ROMはたくさん居る
きっと
ハリーの日記とは新境地だな
あまり多くなりすぎさえしなければとてもいいことだ
>ハリー・オード(予定)
ワロタww
>>457 スモーワロスw
ハリー・オードスレに是非来てくださいよしなに。
ロランが外出中に彼の部屋に忍び込み、
鍵のかかった引き出しを破壊し、底板を外して現れる窪みに隠された
成人指定本に挟まれているデート本を発見した私。
開くと各デートスポットに○や×のチェックと共に「決めてやる!…たい」と書かれていました。
私は「ここに行きたいです」と書き加え、机の上に置き部屋を後にしました。
その後ロランと顔を会わした際、
彼は顔を朱に染めてデートに誘ってきました。
ふふふ…私達の愛が始まったようです。
夢でした(泣
しかし正夢かもしれません!
早速引き出しを破壊…
よしなに
成人指定本以外何もありませんでした………………
よしなに
ディアナ様・・・・最近お加減がお悪いみたいなんですよ・・・・・・・
何かいつもボーっとしてたり、熱があるのか顔赤くしてたり・・・・話しかけると急に不機嫌になったり・・・・
この間なんか僕の机をいきなり壊し始めたりしたんですよ・・・・やっぱり地球で悪いばい菌に感染しちゃったんで
しょうかね、分かりますか?リリ様・・・・・
・・・・・・・更年期じゃないかしら?精一杯の若作りしてらっしゃいますけど、ディアナ様は、ねえwww
あまり構わないでそっとしておいてあげられるのが宜しいのではなくてwww
・・・・久しぶりに御会いできたリリ嬢の為に、手作りのマロングラッセを食べて頂こうと思っていましたら、
こんな会話が聞こえてしまいました・・・・決して盗み聞きの様なはしたない真似をしようとした訳ではない
のです。・・・・・ただ、ドアをノックする前にちょっと耳に入ってしまったのです・・・・私は・・私は・・
「ハリー、聞こえていますか?・・・宜しい。カイラスギリの整備はどうなっていますか?・・・使えるのか
どうかだけ教えなさい。・・・・・そうですか、使えるのですね。・・・フウ・・月の女王ディアナとして
親衛隊のハリー大尉に命じます。照準をボルジャーノ公の領地に向けて至急発射しなさい。よしなに。」
ネタが思い浮かばないので普通に保守
ネタ下さい(>_<)
溜まったネタを書き上げる時間をください><
「書いて下さるなら、お待ち致します。
よしなに…」っと、送信。
2chに嵌まるディアナ様。勿論、月の妖精ローラハァハァスレの住人。
また性懲りも無く本編の合間を書いてみたんですが
今回今まで以上に改変が多くなってしまったのであんまりお勧めはしません。
読んでくれる方がいらっしゃるならそれだけはご理解ください。
途中投稿規制に引っかかると思いますが一気に投下します。
人は出会いと別れを繰り返すことで成長していく。
僕が子供のころ、そんな言葉を聞いたことがあるような気がする。
僕はまだ17年しか生きていないけど、それでも人並みに出会いと別れを経験してきたと思う。
でも別れというものは何度体験しても決して慣れるようなものではない。
大切な人がいつも側にいてくれるなら、それが一番良いに決まっている。
だけど、この戦乱の状況下にそんな甘えは許されない。
だからディアナ様はこの混迷化した現状を元に戻すために、月に帰る決心をなされたのだろう……。
僕はギャロップからいなくなってしまったディアナ様を探していた。
ディアナ様が無事に見つかったのは良かったけれど、コレンさんのガンダム嫌いを沈めるために
一芝居打つ羽目になって大変だった。その後でコレンさんはどこかに行ってしまったらしいけど
憤怒したハリー中尉のおかげでコレンさんのことを気にかけている余裕は無かった。
「ディアナ様! 何故コレンなどとこの様な場所におられるのです!?
御身に何かあったらディアナカウンターはどうなるのですか!」
祭りの賑わいを遠くに聞きながら、ハリーさんの怒号が耳をつんざく。祭りのおかげで
僕たちのいる住宅街は人気が少ないのだが、赤いサングラスの目立つディアナカウンターの
親衛隊が月の女王と瓜二つの女性に『ディアナ様』なんてお呼びするのは不味いのでは無いかと
思ったけれど、それを指摘できるような様子ではなかった。
「……色々あったのです」
ディアナ様はハリーさんに視線を合わせることなくそう呟いた。
「だいたい、ロラン君もロラン君だ。ディアナ様をミリシャに残したのは、それがディアナ様の
意思だったからというのもあるが、ディアナ様を慕っている君がパイロットとして
優秀だと考えたからだ。何故ディアナ様のことを見ていなかった?」
ハリーさんは、今度は僕に対して怒鳴り声を響かせた。一瞬口篭ってしまったけれど
ディアナ様のことをキチンと見ていなかったという非があったから、僕はハリーさんに頭を下げた。
「す、すみませんでした。僕もお嬢様が心配だったか――」
「ハリー、今回の状況はわたくしの独断です。ロランには何も言わずに
ミリシャを離れたのですから彼が知らないのは当然のこと。
わたくしの判断が過ちであったことは認めますが、ロランを攻めるのは辞めていただきたい」
ディアナ様は腕で僕を庇う様に一歩前に出て僕の言葉を遮った。
さきほど俯いていた様子は既に無く、凛とした威厳を感じさせるディアナ様の荘厳な
姿にハリーさんも反論する言葉を失ってしまった様に見えた。
「……キエル嬢はディアナ様のソレイユへの帰還をお待ちしています」
「分かっています。今まではキエルさんに甘えて女王としての責務を押し付けて
しまっていましたが、ようやく自分のすべきことが見つけられました」
ディアナ様とハリーさんの会話に僕は口を挟めなかった。
ディアナ様が女王としてソレイユに戻られるのならば、もう僕の役目は終わりだ。
ハリーさんがいればディアナ様の身に危険が及ぶことは無いだろうし、
今のディアナ様にも僕の横で笑ったり怒ったりしていたお嬢様としての姿では無く
月の女王の横顔がそこにあった。僕は何とも言いがたい寂しさのようなものを感じたが、
ディアナ様は笑みを浮かべながら僕にアイコンタクトを送ると、意外な言葉を口にされた。
「ハリー、わたくしがソレイユに戻るのは明日にしてもらいたいのですが?」
「ディアナ様! ディアナ様は今ご自身が『自分のすべきことを見つけた』
と仰ったばかりではありませんか!?」
「たしかにわたくしはそう申しました。だからこそ、あと一日で良い。
わたくしにキエル・ハイムとしての最後の時間が欲しいのです」
先ほどまでソレイユに戻る手はずで進んでいた二人の会話はディアナ様の一言で
一変した。そんなディアナ様の様子に僕は安堵とも驚愕とも呼べる複雑な気分を味わった。
ディアナ様が何を考えているのか見当も付かず、僕はその状況を呆然と見守ることしかできなかった。
「……それも女王閣下としての御命令、でありますか?」
ハリーさんも僕と同じ考えなのだろう。ようやくその言葉を搾り出したという感じに見えた。
「いいえ、命令ではなく頼んでいるのです。信頼できる親衛隊長へ女王からのお願いです」
ディアナさまの言葉にハリーさんは大きく息を吐き出し、何故か左腕の袖口をいじりながら
黙考している様だった。変わった癖を持っている人だな、などと場違いなことを考えながら
僕はハリーさんの言葉を待った。
「……私はスモーで待機しています。何かあったら申し付けてください」
ハリーさんはディアナ様の返事を聞くことなくその場を立ち去った。
「あの、お嬢様……」
「ロラン。あと少しだけ、わたくしに付き合っていただけませんか?」
「ぼ、僕は構いませんけど」
僕がそう答えるとディアナ様もハリーさんとは別の方角に向かって歩き出した。
何がなんだか分からないまま、僕もディアナ様の後ろを付いて行った。
僕はディアナ様と一言も会話することなく、ディアナ様の2、3メートル後ろを付いていった。
ディアナ様も僕の方を振り返ることは無く、住宅街から祭りの中心地だった小川に向かっているらしい。
辺りを見渡すと日の傾いていた茜色の空にも少しずつ夜の帳が下り始め
顔に化粧をして頭に被り物をした小さな子供たち、楽器を持った大柄な男性、
お祭りの観光に来たと思われる恋人らしい人たちが帰路に向かっているように見えた。
こうやってディアナ様と一緒にいられるのも今日が最後なのか……。
ディアナ様がソレイユにお帰りになるということは、今度はキエルお嬢様がディアナ様と
交代で戻ってくるということなのだろう。けれど、僕とキエルお嬢様はあくまでも
主人の娘と使用人の関係でしかない。二人が本来の立場に戻る。それが当たり前なのだと
頭の中では分かっていても、僕の中では女王という身分を越えて仲良くなることができた
――と僕は考えている――ディアナ様と別れるのが辛かった。いつまでも明日が来なければいいのに。
そうすればディアナ様はソレイユに帰らなくて良いんだし、これまでの様に僕と
一緒にいてくださるのだから。
「このあたりなら、誰にも邪魔されなさそうですね」
ディアナ様の言葉に僕は意識を戻した。感慨に浸っている間に僕たちは小川に着いていたようである。
いくら祭りが終わっているとはいえ、周囲には誰一人として見当たらなかった。
おそらく僕が物思いに沈んでいる間にかなりの距離を歩き、知らないうちにディアナ様に
町外れまで導かれたのだろう。
「ロラン、あそこに座りませんか?」
ディアナ様の示したその先には河岸の段丘面から川岸に下りるために
石を用いて造られた階段があった。僕が
「いいですよ」
と答えると、ディアナ様は石段のあまり汚れてなさそうなところに腰を下ろした。
僕は迷った後にディアナ様の隣に少しだけ間を空けて座ることにした。
「秋風が気持ち良いですね」
ディアナ様は夜の涼しい風に、髪をなびかせながらそう答えた。
「はい。でも冬になったら寒くてそれどころじゃないですけどね」
「地球の冬は寒いですよね。月で人工的に調節した気候と違って本物の寒さは身に染みます」
ディアナ様の言葉を僕は空を見上げながら聞いていた。
秋の日の入りは早く、先ほどまで太陽の明るさを残していた空も、今は月の柔らかな光が
舞い降りているだけだ。僕はディアナ様に向き直って
「ディアナ様、お伺いしたいことがあるのですが宜しいでしょうか?」
と質問を投げかけた。ディアナ様は答えることなく僕のほうに顔を向ける。
「どうしてギャロップから出て行った時、僕に一言も相談してくれなかったのですか?」
僕の質問に対し、ディアナ様は僅かに表情を曇らせた。先ほどのハリーさんへの対応を見て
何か理由があるのだろうということまでは理解できた。コレンさんと二人でいたようだが、
最初からコレンさんと行動していたわけでは無いだろう。コレンさんと一緒にいたことも
不思議だったけれど、戦時中のアメリア大陸を女王様が一人で歩き回るなんて
どうしても解せなかった。ディアナ様は目線を小川に移しながら小さな声で答えた。
「ロランは、今のミリシャになくてはならない存在。わたくし一人のためにこれ以上の
手間を掛けさせるわけにはいきません。だからロランには黙って出てきたのです」
「そうだとしても、手紙の一つぐらいは残してくれてもよかったじゃないですか。
僕、凄く心配したんですよ?」
「まさかわたくしのためだけに、ここまで探しに来てくれるとは夢にも思わなかったのです。
結果論でしかありませんが、貴方には余計に迷惑をかけてしまいましたね」
ディアナ様は申し訳なさそうに返した。小川に向けられたその瞳には悲しさを感じさせる
冷たい光を宿しているようにさえ見えた。そんなディアナ様の姿に僕はこれ以上
問い詰めるような真似はできなかった。
「……僕にとって、ディアナ様は昔から憧れの人だったんです。
そんなディアナ様と二度と話せなくなるのかもしれないのに、こんな別れ方は嫌だった。
だからせめて、お別れを伝えたかったんです」
僕は自分の心のままに正直に答えた。ディアナ様は僕にとって昔からの憧れの存在だった。
そんなディアナ様との共同生活は、僕の中のディアナ様の認識を大きく変化させた。
月の統治者で在らせられるディアナ様は美しくさも然る事ながら、気高く、しとやかで、理知的な、
僕の様な運河人とは根本的に違う、雲の上の存在だと以前は考えていた。
でもその考え方は間違っていた。僕がお側で見てきたディアナ様は、ちょっとしたことで
すぐ怒るし、落ち着きは無いし、生身でモビルスーツに立ち向かうほど無鉄砲な人だったから
キエルお嬢様と入れ替わっている間、親衛隊でもないのにディアナ様をお守りするのは
本当に大変だった。でもそれとは別に本当はとても優しくて、戦争で傷ついた人たちのために
いつも心を痛めていて、そしてすごく孤独な人だったんだなということを
僕はこの数ヶ月間で知った。ディアナ様は以前の僕のイメージとは全然違う人だったけれど、
それでも僕はディアナ様のお側にいられて本当に幸せだったし、楽しかった。
wktk
ディアナ様が女王である以上、いつかはディアナ様がソレイユに戻るために別れなければ
ならないことは以前から覚悟していたことだ。でも、僕の中でのディアナ様が
憧れの人から大切な人へと変わった時、こんな別れ方は絶対に嫌だという気持ちが大きかった。
だから僕は血眼になってディアナ様を探していたんだと思う。
「言い訳にしか聞こえないかもしれませんが、わたくしはロランに別れを言いたくなかったのです」
ディアナ様は重い口を開き始めた。
「ロラン。貴方はずっとわたくしを支え続け、そして護り続けてくれました。
キエルさんと入れ替わっている間、わたくしをミリシャからもディアナカウンターからも
護り続けてくれたのも。わたくしの知っていたウィルと今のウィルが別人だと
わかった時も。テテスさんがわたくしのせいで死んでしまった時も。
そして、今起きている災いの源が自分にあると理解した時も。
もしキエルさんと入れ替わった時に、貴方が側にいてくれなければ
わたくしは今の現実に耐えることができず、前を向いている事はできなかったと思うのです」
ディアナ様は僕に笑みを浮かべながら答えた。しかし、僕にはその笑顔が自責の念を
隠すための作り笑いに見えて、一層ディアナ様を悲しく見せた。
「先ほど申した通り、ロランがミリシャにおいて重要な人物だったから言えなかった、
というのもたしかにあります。でも、もし貴方に別れを告げてしまったら、
二度と貴方と会えなくなってしまう様な気がしました。だから、どうしても貴方に
別れを伝えることができなかったのです……」
語尾を震わせながらディアナ様はそう呟いた。俯き、瞳が潤んでいるように
見えたディアナ様をこれ以上見つめていることが失礼に思い
僕は小川に視線を逃がしながら聞き返した。
「それはディアナ様が冬眠するかもしれないから、もう会えなくなるという意味ですか?」
「もし、このまま冬眠するような事態になればわたくしが次に目覚めるのは
また100年後かもしれません。わたくしは、本当はもう嫌なんです。
せっかく親しくなれた人たちと、愛した人と、冬眠によって二度と会えなくなることが」
本当の孤独を知り、数多くの悲しい別れを繰り返して来たディアナ様の言葉だからこそ
冷凍睡眠を知らない僕にさえ、その言葉に計り知れない重みを感じさせた。
ディアナ様は立ち上がって正面の川原に数歩だけ近づいた。
「だからわたくしは、地球帰還作戦を急いでしまった。地球の力を借りて、
冬眠しているムーンレィスを目覚めさせて、月の閉鎖された空間から抜け出すことができれば
月の人たちの心にも新しい希望を持つことができる様になる。
ムーンレィスも女王制度などに頼らずとも、地球の人たちのように歴史を重ねてゆくことができる。
そうすれば、いつかきっとわたくしにも普通の女として生きることができて
そして自然のままに死ぬ人生を歩むことができる、と」
「ディアナ様……」
背中を向けたままのディアナ様は、酷く寂しい背中だった。
たしかにムーンレィスは、月の閉鎖された空間の中で多くの人がディアナ様に救いを
求めてきた。いつかは地球に帰還するという夢があろうとも、本来人が住むことの
できない月の内部での生活は知らず識らずの内にムーンレィスに多大なストレスを与えている。
そんな状況下で今日までムーンレィスが栄えてこられたのはソレル家、とりわけディアナ様の
存在が大きかった。『ディアナ様ならきっと僕たち、私たちを導いてくれる。ディアナ様には
我々の道を示す力がお有りになる』地球で生まれ育った人には想像もつかないだろうけど、
そのようにディアナ様を希望として励みにしてきたからこそ、ムーンレィスは今日まで
月で生きることができた。それが僕らの歴史なのだ。
しかし、僕たちの過度な期待が、ディアナ様自身の人生を縛り付けて
その細い肩に僕を含めた一千万を超えるムーンレィスの、『願い』という名の『呪縛』が
ディアナ様に終わりの無い苦しみを味わわせていたのかと思うと
僕の胸に罪悪感が伸し掛かり、痛みとなって胸を圧迫した。
僕はディアナ様に掛ける言葉が見つからなかった。不甲斐ない僕の代わりに優しく耳を打つ
清浄な川のせせらぎがディアナ様を慰めてくれているようだった。
「分かっています。今回の戦争はわたくしの責任。必ずわたくしがこの
戦乱を収めてみせます。たとえ一から地球帰還作戦をやり直すことになろうとも」
しばらくの沈黙の後、こちらに振り返ったディアナ様は先ほどとは違う女王の声音で言った。
一から地球帰還作戦をやり直す。それはもしかしたら、一度ディアナカウンターを
地球から撤退させて、全てを最初からやり直すことなのかもしれない。
だとするならば、それはもう1、2年という短い期間ではなく、100年、200年という
長い期間を見据えてのことなのだろう。
ディアナ様の瞳に迷いは微塵も無かった。人として普通に生きたいという誰もが
当たり前の様に持つ生の欲求を捨て、自分以外の人々の幸せのために死より辛い苦しみに
自ら身を投じると宣言したディアナ様の姿は月の女王ではなく月の女神という言葉を思わせた。
しかし、そんな風に本当は幸せに生きたいという御自分の願いを隠し、女王として振舞えば振舞うほど、
今まで僕がディアナ様を希望としてきた様に、僕がディアナ様の希望に
なることはできないのだろうか? と強く思わせた。
僕は立ち上がってディアナ様に歩み寄った。
「あの……もし、もしもですよ? もし仮にディアナ様が冬眠することになったとして、
ディアナ様がよろしければの話なんですが……」
「はい?」
「僕もディアナ様とご一緒に冬眠させてもらえませんか?」
それは考えて出た言葉ではなかった。ほんの少しでも良い。ディアナ様の支えになりたい。
ディアナ様の悲しみを共有したいという想いがその言葉をディアナ様に返した様だった。
「な――そ、それではロランの人生はどうなるのですか!? 貴方はまだ17歳です。
環境調査のために地球に降下して、ハイム家の人たちのように素晴らしい方々と出会えて
人生これからだというのに。わたくしのエゴだけで貴方を冬眠に巻き込ませることなんてできません!」
「でもそうしたら、ディアナ様はまたお独りになってしまうんでしょう?
僕なんかではディアナ様の慰めになんてならないかも知れませんけれど
ずっと、ずっと独りなんて……。そんなの、あんまりですよ。辛すぎますよ……」
僕が、僕たちの想いがディアナ様を苦しめていた。そして僕は今までそのようなことを
考える頭さえ持ち合わせていなかった。だからせめて、それを知った僕だけでも
ディアナ様の支えになりたい。絶対に悲しみを人に見せないディアナ様が
僕にその悲しみの一部を見せてくれたのだ。女王と運河人という身分の違いに
分不相応なことを言ってしまったという自覚はあったけど、後悔は微塵も無かった。
「……何故?」
「――え?」
「何故貴方はわたくしのためにそこまでしてくれるのですか?
どうしてわたくしのような罪深い女の為にそこまで言ってくれるのですか?」
「そんなの! ディアナ様が大好きだからに決まっているじゃないですか!」
「大好き……!?」
ディアナ様は何の表情も湛えなかったが、たちまちディアナ様のお顔が
闇夜の中でも分かるぐらいに紅潮させていった。その後、僕も無意識のうちに
口走った言葉がとんでもない意味を持っていることに今更ながらに気づいて
体中が熱くなった。僕は胸の前で両手を振りながら必死に弁解しようとした。
「い、いいいや……あぁのですね。今のは男としてではなく一人の人間として尊敬している
という意味で決してあ、愛の告白とかそういうつもりじゃ……」
が、自分の発言に狼狽し、思考回路が錯乱していた僕はまともな言葉にならなかった。
そんな僕の様子にディアナ様は口に手を当てて笑いを堪え切れないという様子だった。
「ディ、ディアナ様?」
「くくっ……。今のロランの慌てぶりときたら」
「し、失礼なことを言ってしまって本当に申し訳ありませんでした!」
僕は腰が折れそうになるぐらいに深く頭を下げた。しかしディアナ様は口を尖らせるような
ことは無く、むしろその声は弾んでいる様にさえ聞こえた。
「わたくしも、ロランのことが大好きですよ」
「そ、それはど――えぇ!?」
「一人の人として、ですけどね」
「そ、そうですよね! お、驚かさないでくださいよ」
「貴方だって同じことを言ったじゃないですか。わたくしを落胆させたお返しですよ」
「ら、落胆?」
「ふふ、なんでもありませんよ」
悪戯な笑みを浮かべたその女性の顔は、彼女の年齢をソシエお嬢様よりも幼い
無垢な少女の様に感じさせた。
「ロラン、ありがとう。一緒に冬眠したいと言ってくれた貴方の言葉……。
本当に、本当に嬉しかった」
「じゃ、じゃあ」
「でもね、ロラン。そんな貴方だからこそ、やはりわたくしは貴方に冬眠なんてさせられない」
「どうしてですか?」
「貴方には幸せになってほしいから。わたくしのために貴方の幸せを奪うなんて
わたくしには絶対にできないから」
僕は疑問を投げかけながらも、一方では実にディアナ様らしい答えだとも感じていた。
きっとディアナ様が自分の幸せを追ってこられなかったのは、女王としての責務だけでなく
どこまでも愚直に自分以外の人々の幸せを願ってきたディアナ様の本質にあるのだろうと思う。
そして僕はそんなディアナ様に憧れ、ディアナ様を信じたからこそ地球帰還作戦の
先遣隊に志願したことも思い出していた。
「だから地球帰還作戦を見直して、今度こそ地球の力を借りることができれば
いつかきっと誰もが冬眠などせず、自由に生活できる様になれると思うのです」
地球帰還作戦を成功させることで、人口抑制のための冬眠カプセルからムーンレィスを決別させ
ムーンレィスに新しい希望を見出すことが、月の人もディアナ様も幸せになれる唯一の手段なのだろう。
「ロラン。わたくしと貴方は別れなければなりません。それはとても寂しいことですけれど、
貴方は地球で、貴方の信じるままに突き進んでください。たとえ誰がなんと言おうとも
ロランなら地球と月の友好の架け橋になれるとわたくしは信じています。
だから、どうか死なないでください。それが今のわたくしが貴方に送る最後の願いです」
それを成功させることが、僕が心の底から尊敬している人にできる数少ない手助けだというなら
僕は迷わなかった。
「はい。その代わりに、これから先ディアナ様が僕を必要としてくれるなら
遠慮なく僕を頼ってください」
「え?」
「ディアナ様が僕の力を必要としてくれるなら、必ず助けに行きますから。
だから、今回みたいに一人で抱え込んだりしないでくださいね?」
僕の言葉にディアナ様は意外そうに目を見開いたが、直ぐにいつもの笑みを浮かべてくれた。
「ありがとう。では、その時は貴方のことを当てにさせてもらいますね」
これから先僕は地球で、ディアナ様は月で二つの世界の平和のために別々に行動する。
悲しくない、と言えば嘘になる。ディアナ様ともう二度と会えないことだって有り得るのだから。
ほんの些細な悪戯から始まった二人の入れ替わりだが、それは僕にとって掛替えの無い
大切な思い出になることだろう。だからこそ僕は信じたい。もう一度ディアナ様と
出会えることを。ディアナ様と共にまた笑えることを。
宝石のように星々が輝いている。ディアナ様の無事と、ディアナ様が本心で幸せに思える日が
来ることを祈りながら、天から柔らかな光を降ろしている下弦の月を僕は見つめていた。
ふああぁぁぁぁぁ
gj
今日は祝日の一つ、体育の日だった。
ディアナ様は月で嗜まれていた運動を
久しぶりにしてみたいのですとおっしゃる。
地球の重力下でもできるかしら、と微笑むお姿がいつになく可愛らしい。
何をなさるのだろうか。
ディアナ様が準備をしにお部屋に行った間
僕は飲み物やタイルの用意をしながら予想していた。
ディアナ様のことだから
優雅にテニスとか…ジョギングとか…ゲンガナム体操(100年前に女性向けに作られたとか)
新しいものもお好きなようだから
フットサルとか…最近復活してきたフラフープとか
ちょっとわくわくしながら待っていると
パステルカラーの麗しいジャージを身にまとい
髪をまとめたディアナ様が現れた。
颯爽としたディアナ様に目を奪われる僕。
「ロラン、このとおりに白線を引いてくださらない?」
ディアナ様が一枚の紙を差し出した。
それには円と幅の狭い扇形が描かれている。
僕はログハウスの前の平らな土地に白線を引いた。
その間、ストレッチをして身体を温めるディアナ様。
そして、いよいよ扇形の根元にある円に向かっていく。
僕が見守る中
ディアナ様は右手にあるものをしっかりと掴み
胸の前に持ち上げた。
そして身体全体を前後に振り
次の瞬間大きく一歩前に出ると同時に
ディアナ様の咆哮が響き渡り
丸い鉄球が見事な放物線を描いて
前方15メートルにドスッと落ちた。
「こ…これは…砲丸投げ」
「やはり地球ではこれくらいしか飛ばないみたいですね。
でも、もう少し記録を伸ばしたいものです。
ロラン、あなたも一緒にやりませんか?」
僕は大地にめりこんだ砲丸を拾い上げて
ディアナ様の底知れないバイタリティの源を見たような気がした。
明日はきっと筋肉痛が起こるに違いない。
GJです
砲丸投げとはまた渋い
保守
アメリアザリガニ釣りに挑戦です
ロランは体験済みで次々
釣り上げます
フフッ私も負けるわけには…
糸先の魚肉ソーセージを揺らして待ちます
糸に振動が伝わり引き上げるのですが
噛まれた跡だけや
全部持っていかれたのに気付かなかったりと
駄目な私にロランは苦笑い…
フッフフッ…
さすが自然で生きる者だけあって
身体性が違う?
月に置いてきた筈の誇りや威厳が湧いてきました
ザリガニ≧ディアナは避けねば!
バケツの中のロランの
ザリガニを見下しながらソーセージを食べる私
勝ったと思いました。
よしなに
それで勝ったと思ってよろしいんですか?ディアナ様w
ワロスw
ロ、ロランですが場違いながら
書かせて頂きます。
最近ディアナ様は暴れん坊将軍に凝ってらして大変です。
馬になるのはむしろ大歓迎なんですが
問題は月の下町でぶらりくらりと
徘徊し、現れた悪を正したいんだそうで。
キエルお嬢様にもご迷惑かけますし…
ディアナ様はプリプリ怒って、結局僕は毎日木刀で
切られ役をしているわけで。
えぇ、そんなディアナ様も可愛いんですが
正直限界なんです。
ザリガニ釣りに変わるブーム案を皆様から
募ってます。
今ディアナ様は仕事人を見てます。
なるべく早くお願いしま……‥
ディアナ様の最近のお気に入りは亀田親父。
ロラン…。ディアナ様に殺(と)られたか…。
495 :
○月×日:2007/10/19(金) 21:15:07 ID:???
ある日のやりとり
ディアナ様「ロラン、わたくしロランの歌をつくってみました。」
ロラン「ええ!ぼ・・・ぼくの歌ですか?」
ディアナ様「はい、歌ってみますね。コホン」
ディアナ様「ロランッセアック♪ロランッセアック♪ロラロラロラロラ〜♪」
ロラン「・・・・・」
ディアナ様「どうでしょうか?」
ロラン「・・・すごくいいです。」
ディアナ様「マジっすか!!」
ロラン「ああ、スッゴクいいかも。ロラロラロラ〜の部分が癖になるんですよね。」
ディアナ様「ロランッセアック♪ロランッセアック♪ロラロラロラロラ〜♪」
ロラン「バンド組みましょうか?」
どんなメロディーなんだw
無意識にドナドナみたいな感じでロラロラ部分が脳内再生された。
ロラロラロ〜ラ〜ロォラ〜♪
>>497 ディアナと共に去っていくロランの姿をあらかじめ撮影しておいたものに
その歌BGMにつけてニコ動にうpるソシエ社長
ローラが売られてしまいますよ、ディアナ様!
売却先はまさか・・・
ローラが買えると聞いて飛んできました
ガリアなら流行るかもね
ディアナ様はジョジョを読み始めたようですな
ディアナ様「ロラン、圧迫祭りって知ってますか?」
ロラン「なんです?それ。」
ソシエ「あのスプレーがあれば、お腹のむだなお肉も取れるんじゃないw」
ロラン?「ディアナ様、おやつをお持ちしました」
ディアナ様「わざわざありがとう。今日は羊羹ですか?」
ロラン?「はい。ディアナ様も食べてみてください」
ディアナ様「はい。・・・おいしいですね。さすがロランです」
ロラン?「ありがとうございます。僕はちょっと用事があるのでこれで」
ディアナ様「えぇ。御苦労さまでした」
ロラン「ディアナ様、今日はパンケーキを焼きましたよ・・・って、もう別の物を食べていらっしゃるんですね」
ディアナ様「あら、これはロランが持ってきてくれたのではありませんか。美味しかったですよ」
ロラン「えぇ?僕、ずっと台所にいたんですけど・・・」
ディアナ様「あら?じゃあさっきのロランは・・・?」
ロラン「僕、知らないですよ?」
ディアナ様「・・・」
ロラン「・・・」
ディアナ様「・・・まぁ、あまり深く考えないことにしましょう。美味しかったですし」
ロラン「良いのかなぁ・・・?」
ロラン「しかし、既に羊羹をいただかれたなら、このケーキはいらないですよね?明日に取っておきましょう」
ディアナ様「あら、せっかくロランが作ってくれたのです。それもいただきますよ」
ロラン「でも、そうすると御飯が食べられないと思いますし、甘いものばかりだと体重が増えてしまいますよ?」
ディアナ様「貴方がわたくしの為に作ってくれたものなら、その後に腹痛に苛まれると分かっていても頂きます」
ロラン「そう仰っていただけることは嬉しいですけど・・・さすがに腹痛で苦しんでいるディアナ様は見たくありませんよ」
ディアナ様「大丈夫です。それに、ロランはわたくしが今以上に太ったとして、わたくしを嫌いになりますか?」
ロラン「そ、そんなことでは僕はディアナ様を嫌いになったりはしませんよ!」
ディアナ様「ならわたくしがそのパンケーキを食べることを躊躇う理由はありませんよ。今度は2人で食べましょう?」
ロラン「ディアナ様、無理はしないでくださいね?」
ロマンシングサガ2でインペリアルガードのディアナにカウンター使わせて
ディアナカウンターとか心の中で思ってるのは
俺だけでいい
無双三段はよしなに三段ですか?
改めて50話見返した。良いEDなのは言うまでもないかもしれないけど
後日談だけでこれだけスレが続いているのも凄いなと今更ながらに思った
今後もこのスレが残っていて欲しいね
511 :
某月某日:2007/11/02(金) 00:01:40 ID:??? BE:632487078-2BP(1236)
そろそろロランが帰ってくる頃ですね。
今日の日のために、花粉症と戦いダイエットに勤しみ、キエルさんの悩みを解決してきた気がします。
今年は方々に手を回してソシエさんが来る事もありませんし…
これらの話はまた折を見て書き連ねる事として…
「ただいま帰りました〜」
「おかえりなさい!」
「カボチャが安かったんで今日はカボチャ煮にしますね」
「いえ、今日はワタクシが作ったので、夕飯の支度はしなくてもいいのですよ。」
「え?ディアナ様が?」
「はい。その…カレーですが…」
「ありがとうございます。それじゃサラダを作りますね。」
「それもワタクシがしました」
「へ?」
「何か?」
「い、いえ。珍しい事もあるんだなぁと
失礼な!ワタクシだって料理をする事くらいあります!」
「ロランほど美味しくもなければ、レパトリーの幅もありませんけど……」
「でも、どうしてまた急に」
「今日はロランの誕生日ですから日頃の感謝の思いを。と思いまして
誕生日おめでとう、ロラン!」
「ディアナ様…ありがとうございます!」
「それで誕生日プレゼントなのですが…ごめんなさい。今年はケーキを用意できてないのです」
「なんで謝られるんです?夕食を作ってくださったじゃないですか」
「ですが、一昨年も去年も作った時に『また来年も食べたい』と言っていましたし…」
「気にすることなんてありませんよ。夕食だけで十分です」
「ありがとう。でもそれではワタクシの気が収まりませんので、これを」
「カード?」
「……」
512 :
某月某日:2007/11/02(金) 00:02:30 ID:??? BE:180711528-2BP(1236)
「肩叩き券、洗濯券、お使い券、お掃除券…あの?」
「ご、ごめんなさい。こんなの要りませんよね。捨ててくださいまし」
「ディアナ様」
「はい?」
「ありがとうございます。
ディアナ様が僕の誕生日を祝ってくれるその気持ちが詰まっていて最高のプレゼントです!」
「ロラン」
「それじゃ早速使わせて貰いますね。どれにしよっかなぁ」
「え?今からですか?」
「いけませんか?」
「いえ、…1日1枚でお願います」
「これは?添い寝券?」
「そ、それは!?あぁ、やっぱり無しです!そのプレゼントは無効です!!」
「いいじゃないですか」
「それには別に深い意味があるわけではなく、ただ秋で人肌恋しいとかやましい思いなどは一切なくて……」
「ディアナ様。これ使いますね?」
「今日ですか!?」
「はい!」
「その…お手柔らかに……」
翌日の朝まで、ワタクシは幸福感に満たされて夜を過ごしたのでした。
ロラン、来年はケーキを作りますから…よしなに。よしなに。
GJです。
ディアナ様、いっそ子作り券とかでも作れば良かったのにw
>513
そっちも考えたけど、今回は自重w
30分で殴り書いたので顔真っ赤っかのディアナ様とか描写は略。
や ロ
/.⌒ ⌒.\ る ラ
! ,wwwww' 男 ン
\!.:゚ o ゚:.ノ だ は
/  ̄!二「ヽ よ
。
某スレのカップル並に甘ぁーーーーーいっ!
このスレは
1 某スレの二人並みに超甘々なロランとディアナ様
2 ディアナ様がロランに愛を伝えようと奮戦するもロラン天然の受け流しで
ちっとも関係が進展しないことに肩を落とすディアナ様
一粒で二度美味しいみたいなスレです
その他
繭の中からお送りするチャーミングなギム・ギンガナム
ローラハンターなガチホモをハントする、ハンター×ハンターなディアナ様
等もあるので3度以上美味しいことだってあるスレです
>511
GJ!!
定期保守
520 :
通常の名無しさんの3倍:2007/11/11(日) 00:36:05 ID:Ivu9Wzfk
保守
この時期になると少し前まで緑で包まれていた景色も、今はすっかり黄色一色に染まり
秋晴れの心地よい季節となりました。枯葉を散らす秋の風に吹かれながら、わたくしたちは
家の前にある湖で丸木舟に乗りながら、二人だけの時間を楽しんでいました。
「水がきれいですね」
湖の底を覗きこむようにしながら、わたくしの代わりにオールを漕いでくれているロランに言いました。
「ディアナ様、あまり身を乗り出して落ちたりしないで下さいよ」
ロランは船が揺れないようにオールを漕ぐのをやめて、船をその場に制止させました。
「大丈夫ですよ。わたくし、泳げませんから湖に落ちるのは怖いですもの」
「そうだったんですか? でもその割には身を乗り出して楽しんでいるように見えるんですけど?」
「それはロランがいてくれるからですよ。貴方がいてくれれば、わたくしが溺れていたとしても
助けてくれるでしょう?」
「それはそうですけど……。でも今の時期に湖に落ちたら寒さで風邪をひいてしまうかも知れませんよ?」
苦笑いをしながらそう答えたロランの言葉に、わたくしは水面に指先をつけてみました。
晩秋の冷たい水が指を通して伝わり、わたくしは自分が湖に落ちてしまって風邪をひいた
時のことを想像してみました。
「……その時は、ロランに看病してもらうから良いです」
「困った人ですね。いつからディアナ様はこんな人になっちゃったんでしょう。
以前のディアナ様はもっと落ち着きのある人でしたけど?」
「あら、わたくしは元々こういう性格でしたよ。御存じありませんでした?」
「えぇ、こんなにお転婆なお嬢さんだとは存じませんでした」
皮肉混じりな言葉と裏腹に、ロランはいたずらっ子のようなあどけない笑みを浮かべていました。
そんなロランの笑顔につられて、自分で自分の後先考えない言葉に可笑しくなり
二人して声をあげて笑っていました。
しばらく談笑した後に、わたくしたちは船の上で昼食を取ることにしました。
こういう外で食事をする時はサンドイッチの時が多いのですが、今日は普段とは違い
『おにぎり』という白米を使った食べ物を頂くことになりました。容器の中には
海苔で巻かれたおにぎりが6つ入っており、その内の一つを手に取って口に入れました。
「中身は何が入っているのですか?」
ロラン曰く、このおにぎりという食べ物は塩味のする白米の中におかずになる
食材を入れて食べるのが普通なのだそうです。
「昆布とか鮭等を入れるらしいので、真似して入れてみたんですけど、6つともバラバラの
具材を入れたのでどれに何が入っているのかは僕にも分からないんです」
「そうなのですか。では今わたくしの中にあるおにぎりには何が入っているのでしょう?」
わたくしは緑茶という文字通り緑色をした苦みのあるお茶を啜りながら
黙々とおにぎりを食べ続けました。
「もぐもぐ……。――ぅん!!」
その時、今までに経験したことのない味がわたくしを襲い、思わず口元を手で押さえました。
「どうされました?」
ロランの問いかけに対して答えようとしたわたくしですが、口を動かそうとすればするほど
強烈な味が口の中に広がりました。
「……しゅっぱいでしゅ……」
なんとかその言葉を絞り出したわたくしは、口の中のものを吐き出したい衝動に駆られましたが
せっかくロランが作ってくれたものを吐き出したりすれば、ロランを傷つけてしまうかもしれない
という想いと、愛する人の手前そんな下品な真似は出来ないという考えがそれを許しませんでした。
口元を押さえ飲み込むことも吐き出すこともできないわたくしの様子に、ロランは水筒から
わたくしのカップにお茶を注ぎ、それを差し出しました。半分涙目で受け取ったわたくしは
頭を下げるのも忘れて、一気にお茶を口に含みおにぎりを胃の中に流し込みました。
「――っは! ……はぁ。な、なんですか、これ?」
「多分ディアナ様が口にされたのは梅干しだと思いますよ」
「梅干し?」
「元々は東洋の食べ物なんだそうです。これをおにぎりに入れるとご飯が腐りにくくなるそうで
昔から重宝された食べ物らしいですよ」
「そうだったんですか。でも、それと味とは別問題です」
まだ僅かに口の中に残っている酸味を消すために今度はゆっくりとお茶を啜りました。
「それにしても今のディアナ様の顔、面白かったですよ。キエルさんとソシエさんにも見せてあげたかったなぁ」
ロランを傷つけまいと死闘を続けていたわたくしの気遣いも知らずに、ロランは笑いを
堪え切れないと言わんばかりに失笑していました。わたくしはロランがこのおにぎりを
握ったこと、ロランは慌てることなくお茶を差し出したことからロランに一杯食わされた
と思いました。わたくしはあまりきつくならない程度に目を細めてロランを睨みつけました。
「ロラン、貴方わたくしを使って試しましたね?」
「違いますよ。僕だってどれに梅干しが入っているか知りませんでしたし。
でも、これを握っている時にディアナ様がこれを口にしたらどんな顔をするだろうな
とは想像しましたけれど」
しかしロランはわたくしが本心からは怒っていないことを知っているかのように悪戯な笑みで
答えました。わたくしもそんなロランの態度に怒りは感じず、今度はちょっと
いじけている様に返しました。
「もう、ロランは意地悪ですね」
「ごめんなさい。でも、他のは大丈夫だとも思いますので安心してください」
「今更遅いです」
再びわたくしたちはどちらからとも無く笑い合いました。こういう些細なことで
心から笑うことができる。それは本当に幸せなことだと思います。
昼食を取り終えて再び水上の散歩を楽しみながら、ゆっくりとオールを漕いでいるロランに言いました。
「ねぇ、ロラン。今日のおやつはフルーツパフェにしませんか?」
「先ほど昼食を取られたばかりではありませんか。しかも3つじゃ足りないって
僕の分も1つ多く食べているのに……。よっぽど食べることが好きなんですね」
「違います! わたくしの中の満たされない欲求が行き場を求めて食欲に行ってしまうのです!
決してわたくし一人のせいではありません!」
「ぼ、僕は何もしていませんよ?」
「何もしてくれないから問題なんじゃないですか!」
「は、はぁ……」
「とにかく、3時のおやつはパフェで決まりです。異論は認めません」
「はいはい。わかりました」
わたくしの苦労など知る由も無く、ロランはなんとも投げ遣りな返事を返しました。
全く、ロランはわたくしがこれだけ食用旺盛になった理由を理解しているのでしょうか?
ロラン、貴方には本当に感謝していますし、心の底から愛しています。でも、その甲斐性の無さと
鈍さだけは何とかならないのですか? 一つ屋根の下で1年間も暮らしておきながら未だに
キスさえしておらず寝室は別々。キエルさんには同情されてしまいますし、ソシエさんに
こんなことを知られたらどれだけ馬鹿にされるかわかったものではありません。
はぁ。これではまるで中学生のカップルと同じですね……。
ロラン、早くわたくしを抱いてくださいな。そうしてくれないと
貴方が覚悟を決めた時には今のプロポーションを維持できていないかも知れません。
それともやっぱり、わたくしが押し倒すほうが早いのでしょうか?
ロラン、その時はよしなに。
/ `ゝ
/ 、 、 ヽ
/ 「 ̄ ̄| ̄ ̄ヽ λノ ,ゝ
/ |、 | Vレレ' ̄|人ノ
ノ ノ _ζ_|_____| / / ゝ
7 λ _ゝ ̄ \―/ ミ
ノ レ从人√ / | lヽ)
λ \_ ^ ´ λ从ノ
ノ ( | / ̄ ̄7 /
"ヽ λ| / ̄ヽ ̄7 / / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
"ヽノレ λ l___|__/ /< >521-524 ユニバーーース!
/ ヽ `----' / \__________
/ ヽ --- /
/ ̄ ̄ ̄ ̄7――‐---\_______/
/ / .-/---、
GJ
しゅっぱいでしゅとか可愛すぎるだろ
GJ!!!!!!!
しゅっぱいでしゅに萌えつきた・・・
// ̄ ̄ ̄ ̄\ .
彳丿; /,,,,,,,,\ u lヽ
入丿 -◎─◎- ;ヽミ.
| u:.:: (●:.:.●) u:.::| フ〜! フ〜!!
| :∴) 3 (∴.:: |
ノ ヽ、 ,___,. u . ノ、 ハァハァ!
/ ヽ:.___;;;;;;;;;;___.ノ ヽ
/ ,ィ -っ、. .ヽ
| / 、__ う 人 ・ ,.y i
| /  ̄ | |
ヽ、__ノ ノ ノ
| x 9 /
| ヽ、_ _,ノ 彡イ シャシャシャシャシャ
| (U) |
ヽ、__ノ__ノヽ_
保守
ほしゅなに
ほ
し
ゅ
正直ロラン×ディアナ様も良いが
ディアナ様とウィルの話が見たい。俺の中ではディアナ様とウィルが理想だから。
.-ー-ーヽ
/ i_i_i_i_i_i 移転記念カキコ
iノ |ノ|*゚ー゚)/ ̄ ̄ ̄ ̄/
|ノ| リ つ / VAIO /____
 ̄ ̄\/____/
過疎ほしゅ
落としはせんよ
♪恋人はサンタクロース
ロランがサンタクロース
ミニスカサンタのローラがいると聞いて
飛行船に乗って飛んできました。
御曹司は黒いサンタクロースに頼んで
袋詰めにして
ガリアに送り返します。
>537
コンクリート詰めにされて海に沈められる姿が想像できた。
ディア(ナ)ハンターの出番だなw
楽しみにしていたんだが、今年は出陣しないのか
∀真チンパンクンとは? (別名チンパン、チンパンマダー等)
MG∀が発売された直後から発生。
MG∀スレ内で、ちょっとした批判にも過敏に反応し、仕方なく
避難的に立てられた、MG∀アンチスレにも遠征。
MG∀アンチスレ内でまともな批判が書き込まれると、相手にチンパン
チンパンといい続け、ついに自分が 真チンパンクン の命名を
受ける。
その後アンチ本スレから遅れること1日、自分がニセアンチスレを
立て、MG∀アンチ本スレを連日荒らし続け、自分のニセスレに誘導。
どうせ批判されるなら、自分の立てたニセスレでという屈折した感情である。
さらにその後、MG運命が発売されると、なぜか異様に嫉妬して、連日
MG運命スレに出没し、韓国人の振りをして荒らし行為。しかしそれが
真チンパンクンの行為であることは、誰の目にも明白なのであったw
真チンパンクンは、自分の行動が親にも見せられない恥ずかしい
行為だと気付き始めたのか、荒らしたあとに「すまぬ」と一言謝罪を
繰り返すようになった。チンパンから真人間への進化の第一歩なのか?
真チンパン、とうとう自分の低脳がチンパン並みであるのを暴露。
人間様の考えた年表を必死に真似するも、いかんせん知能が追いつかず
自作自演の脳内賞賛を繰り返している始末。これが人間とチンパンとの
差なのであろうか?まさにサル真似。
真チンパンのファビョダンス&必死な抵抗&涙の土下座謝罪が見れる
のはこのスレだけ!
http://hobby10.2ch.net/test/read.cgi/mokei/1192009382/ http://hobby10.2ch.net/test/read.cgi/mokei/1198231029/
.-ー-ーヽ
/ i_i_i_i_i_i あげときますよ。
iノ |ノ|*゚ー゚)/ ̄ ̄ ̄ ̄/
|ノ| リ つ / VAIO /____
 ̄ ̄\/____/
ディアナ様、ロラン君あけましておめでとうございます。
法の裁きスレで二人の正月の様子が・・・
とぅるっとぅるー
とぉるるるるるるるる
とぉるるるるるるるる
ロラン「もしもし」
???「ローラ……私の可愛いローラよ。私が信頼しているのはお前だけだ……」
がちゃり
ディアナ「なんだったのですか、今の電話は」
ロラン「間違い電話です」
あの人、文明開化するなんて言って見た目は文明退化してるから面白い
ロラン「どうして僕がディアボロとドッピオごっこなんかしなくちゃいけないんですか。
せっかくの文明の利器をそんな無駄な事に使わないでくださいよ、無駄な事は嫌いなんです」
ディアナ「ロラン、カエルを顔に押し当てて何をしてるのですか」
ロラン「何もしなければ無害なヤツなんです」
このスレのロランまでジョルノ化している……
あー声ネタか
今気付いた
ディアナ「節分とは何ですか?」
ロラン「聞いた話によると『2月3日辺りで行われる福を招く行事』だとか」
ディアナ「面白そうですね。やってみましょう」
ロラン「では準備しますね」
ディアナ「・・・なんですかその破廉恥な格好は」
ロラン「鬼です。鬼は虎柄のパンツ一丁だと相場が決まっているらしいです」
ディアナ「相変わらず変な風習ですね」
ロラン「ではコレが豆になります」
ディアナ「コレを投げるのですね?」
ロラン「『鬼は外、福は内』という威勢のいい掛け声と共に投げるのが慣わしらしいですよ」
ディアナ「では・・・『鬼わー外っ!福わー内っ!』」
ロラン「いてて・・・じゃあ鬼は外に出てきますね」
ディアナ「え?ホントに出て行かなくてはならないのですか?」
ロラン「恐らくそうだと思いますけど」
ディアナ「出て行ってはなりません」
ロラン「でもそれじゃ福が入ってこれませんよ」
ディアナ「なりません」
ロラン「ディアナ様がそうおっしゃるなら・・・でも何故ですか?」
ディアナ「そんな薄着ではロランが風邪を引いてしまいます」
ロラン「じゃあ何か羽織ってきましょう」
ディアナ「鬼はパンツ一丁なのでしょう?それに寒いからといって恐ろしい鬼が何か羽織るわけがありません」
ロラン「はあ」
ディアナ「それに慣わしとは言え、鬼役のロランを外に追いやってまで福を手に入れようとは思いません」
ロラン「ディアナ様・・・」
ディアナ「は、早く着替えてきたらどうですか?」
ロラン「は、はい」
〜長いおまけ〜
ロラン「そうだ、節分で歳の数だけ豆を食べれば無病息災だと言われています」
ディアナ「そうなんですか」
ロラン「僕は18個いただきます」
ディアナ「私はひぃふぅみぃ・・・」
ロラン「結構癖になる食感ですね。本でも読みながら食べたい気がします」
ディアナ「・・・グスン」
ロラン「ディ、ディアナ様?」
ディアナ「ロランのいじわる・・・私の年齢を知っていながら・・・グスン」
ロラン「っ!?そ、そんなつもりじゃありませんっ!」
ディアナ「グス・・・どうせ私はお婆さんです」
ロラン「若々しく見た目麗しいディアナ様がご自分の事をお婆さんなどとおっしゃっていては
世の本当のお婆さん方の顰蹙を買ってしまいますよ。
ディアナ様はとても魅力的な御婦人なんですからそんな意地悪言わないでください」
ディアナ「クスクス、やはりロランは優しいですね」
ロラン「もう、やはり演技でしたか」
ディアナ「慌てるロランが可笑しいものでつい。すみませんね」
ガラッ!
ハリー「虎柄と聞いちゃ黙ってゐられねぇ!」
ロラン&ディアナ「帰れ」
オチでフイタw
御大将「ポリポリ…落ちてる豆も拾えば、まだ喰えるじゃないか!」
コレン「ポリポリ…俺の豆を取るなよ!月の侍がお零れ拾ってるたあな!」
御大将「ポリポリ…誰に向かってものを言っている!」
メリーベル「…落ちぶれた者同士何やってんだよ!…(泣」
いつのまにコレンが復活しているwww
これもナノマシンのおかげ?
俺もディアナ様を手のひらにのせて散歩したいよ、
ディアナ様に膝枕してもらいたいよ〜
561 :
林檎:2008/02/12(火) 11:50:01 ID:mW7y/cK4
良いな〜皆さん文章書くのうまくて…ロランとディアナ様の
日常が目に浮かんで本当に癒されてます。これからも
皆さんの書き込み期待しております。
ディアナ「ロラン、どこにいるのですか?」
ロラン「はーい只今」
ディアナ「ロラン少し手伝って・・・って何でパンツ一丁なんですか?」
ロラン「実はさっき入ったお風呂が熱すぎて少しのぼせてしまって・・・
お気に触ったのなら何か着てきます」
ディアナ「構いません」
ロラン「そうですか。何か御用ですか?」
ディアナ「今コレを片付けていたのですが・・・」
ロラン「クリスマスツリー・・・やっと片付ける気になられましたか。
去年はディアナ様が直々に、しかし何故か電球ではなくリボンで装飾を施されたというのに
僕が今まで片付けようとしたら『もう少しもう少し』と頑なに拒否されていたツリーを」
ディアナ「・・・コホン、私が粗方片付けたのであとはコレを・・・
私では手が届かないのでロランにお願いしたくて」
ロラン「承知しました。椅子を押さえてて貰ってもいいですか?」
ディアナ「わかりました」
ロラン「それでは失礼します」
ディアナ「揺れませんか?」
ロラン「大丈夫でs・・・あ・・・急に動いたからか眩暈が・・・ぅわあ!」
ディアナ「ロラン!」
ロラン「痛てて、あー・・・折角ディアナ様が片付けたツリーの装飾が・・・」
ディアナ(ッ!これは!あのロランがほぼ裸で装飾され途轍もないエロスを放っている!
僅かに火照った褐色の肌が色取り取りのリボンで着飾った様はあたかもヴァレンタインのチヨコレイト!
キ、キャメラ!誰かキャメラ持ってきてください!早くこの大人のチョコレートをフィルムに収めるのです!)
ロラン「申し訳ありま・・・ディアナ様!」
ディアナ「な何ですか?」
ロラン「鼻血が出ておいでです!もしかして何かぶつけてしまいましたか!?」
ディアナ「あ、いや、断然そんなこと無いのですよ?」
ロラン「?」
〜オマケ〜
グエン「・・・くくくふふふははははははハァハァ!雪の中に潜むこと数週間!
遂に!遂に私は!決定的なシャッターチャンスをモノにしたぞ!
用心に用心を重ねた結果、dでもない距離になってしまったが、
最新鋭の光学望遠ならこの距離でも毛穴までクッキリだぞローラ!
ローラの毛穴っ!・・・実にいい響きだ。早速アジトに帰って現像をドパッ
ドサッ・・・・・・タ――ン・・・・・・・・・
ディアナ「・・・確かに最新鋭の望遠ならその下品に歪んだ唇までクッキリですわねグエン卿。
今回ばかりは褒めて差し上げます。早速回収へ向かわなければ」
.-ー-ーヽ
/ i_i_i_i_i_i ズドゥーン
iノ |ノ|゚ ヮ(ニ((ニC__凵Q___ ,, '''"´"''';;;- __
|ノ| リノ ]つ1-l__l---A'´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~ ´"''''-''''"
~"゙""""""""""""""""
>562
GJ。久し振りにディアナ様の1マイルショットみたわw
グエン「無駄です。私に銃弾は通用しない」
ディアナ「まさか。素手で銃弾を叩き落としたと言うのですか」
グエン「私は弾の軌道が見えるわけではありません。
あなたの殺気を見たのですよ」
ディアナ「シャイニング・フィンガー(義手)!」
グエン「右腕を、ローラが今でも握り締めている…
私は復讐者(リベンジャー)だ」
蝶ならぬ月光蝶もしくはムーン・バラフライ
佐々木希がディアナ様役
神木りゅうのすけがロラン役
で二人芝居とかやったら絶対見に行く
保守
569 :
トミノ風:2008/02/29(金) 03:51:35 ID:???
ディアナ「わたくしの女王(ファイター)としての血が騒ぐのですわ!」
グエン「笑止! 私の股間がいきり立つんだよ!」
ディアナ「下衆がっ! 死にませぃっ!」
グエン「殺せるものならなぁ! 女王っ!」
ほしゅなに
571 :
林檎:2008/03/15(土) 21:46:02 ID:j4bM6+Fa
ロラン君ホワイトデーのお返しは
何をしたんですか?
572 :
通常の名無しさんの3倍:2008/03/17(月) 12:09:18 ID:Sh8gpSIy
ほしゅなに
何と言う過疎
574 :
通常の名無しさんの3倍:2008/03/18(火) 12:12:04 ID:ow1AH77N
ディアナ様、ガンダムVSガンダムで髭の人気が今一つです。
575 :
日記に成って無い:2008/03/19(水) 23:12:12 ID:7oKlbDc0
夕食も終わり、僕はディアナ様が台所でお皿を洗ってらっしゃる
音を聞き乍ソファーで雑誌を読んで居たら、いつの間にか眠って
しまったらしく目が覚めると手に持っていた雑誌は僕を膝枕代わりに
眠ってあるディアナ様が胸にかかえて持ってあった。
僕は上半身を限界まで伸ばすとソファーにかけてあるストールを
やっとディアナ様にかけるとスヤスヤと寝息を立てているお顔を
間近で眺めた。マシュマロみたいな肌と金鎖の髪…長い睫に淡いピンクの唇
「ディアナ様って白いケーキみたいみたいだ…」僕は指先で髪をなでてみた
するとディアナ様がピクリと動いて僕は息をのむ。
デ「ウッウ〜ン…」すやすや〜
ロ「ほっセーフ」次はほっぺをぷにっとああっ良い感触。
調子に乗った僕は美味しそうな唇をなぞってみた
デ「ロ…ロラン」僕の胸はマックス鳴り響いたが、猫みたいに
背伸びをしたディアナ様はまた本を抱えいぇ眠ってしまった。
僕はホット一息付いた。
本当に触れてみたいのはその本の下なのだが…
ドサッ…あっ本が落ちた。
これはいい
ディアナ様アッー!(月繭読破後)
月繭はディアナ様がアレだからな…。
でもロランとの別れのシーンはかなり好きだったりする。
579 :
通常の名無しさんの3倍:2008/03/21(金) 23:20:15 ID:kc+tHGjS
ロラン「ディアナ様この曲覚えてますか?」
ディアナ「あぁこれは私がキエルとの入れ替わりを
貴方に告白した夜の…」
ロラン「あの夜僕等の隣の部屋でかかっていた曲です」
ディアナ「あの夜は月がとっても綺麗な夜でしたね…どうしたのです
これ?」
ロラン「ラジオの番組にリクエストしたものを録音しておきました」
ディアナ「そうですか…この曲をこうやって穏やかな気持ちで
聞ける日がくるなんて…」
ロラン「あの〜それで〜ディアナ様〜」
ディアナ「はい?」
ロラン「僕と踊ってくださいませんか?」
ディアナ「はっはい喜んで」
ロラン「1・2・3…難しいなぁー」
ディアナ「ふふ、ロラン、そんなに形式ばることは無いんですよ。
こうやって音楽に合わせて身体を動かしていれば良いのですよ…」
ロラン「こうですか?うーん」
ディアナ「そういえばあのパーティで」
ロラン「?」
ディアナ「ローラ…貴方の可愛いお嬢様っぷりといったらー」
ロラン「///あああの時はーグエン様のご命令で仕方無く…」
ディアナ「女の私から見てもとってチャーミングでしたよ。
ハリーもさぞガッカリした事でしよう。」
ロラン「ディアナ様酷いですよ、お笑いに成るなんて…」
ディアナ「あら…ロラン失礼ですよ、急に止まっては」
ロラン「はっはい…」
ディアナ「ロラン?」
ロラン「本当はロラン・セアックとして招待されディアナ様に
申し込みたっかたんですから…僕は」
ディアナ「ではもう一度やり直しましようか?」
ロラン「はい…では改めて。お嬢様、僕ロラン・セアックと申します」
ディアナ「ディアナ・ソレルです」
そう言い乍ディアナは右手をロランに差し出した。ロランは膝まずき
その手にキスをすると「僕と踊ってくださいませんか?」
ディアナ「はい…喜んで」
曲はもうとっくに終わっているのに二人は楽しいそうに踊っている
二人だけの世界がそこにあるかのように。
ええ話や…
581 :
日記だろうか…:2008/03/23(日) 23:35:42 ID:OJfTOVFL
ディアナ様が野草の本に熱中されているので
僕等は最近良く森へさんさくには入る。
今日の収穫は春を代表する、セリ・つくし
それからも探したが時折訪れる可愛い妨害者が
ディアナ様の集中力を妨げ中々見つけられなかった。
ロラン「そろそろ帰りましょうか?」
ディアナ「そうですね。これだけでも十分ですね」
少し歩き始めた頃パラパラと雨が降り出したので
僕は自分の上着をディアナ様の頭からかぶってもらった。
ロラン「とおり雨だから雨宿りしましょうか?」
ディアナ「そのようですね、そうしましょう」
僕等は枝がひときわ茂っている木の下へと避難した。
僕は自分の身体のつゆを掃って、ディアナ様は僕の上着のつゆを
はらうと僕に又着るようにすすめた。
ディアナ「ロラン、少しかがんでもらえますか?」
僕は言われたとおりにすると、ご自分のハンカチで僕の顔や髪を
拭いてくださった。
ロラン「ありがとうございます」
ディアナさま、夜食は何にしましょうか?
四品に
584 :
日記だろうか…:2008/03/24(月) 15:27:11 ID:Rz1DO/Yd
581の続き…
ディアナ「私はロランの上着で濡れませんでしたので」
ロラン「でも…お寒くありませんですか?」
ディアナ「大丈夫ですロランこそ濡れてますよ」
ロラン「僕は男ですから」
期待に反して雨は長引き、僕は少し肌寒さを感じていた。
僕は又ディアナ様に僕の上着を着てもらおうとしたが
何度も断られた。
ディアナ「ロナンは心配し過ぎですよ…本とに」
ロラン「でも…ディアナ様〜」
ディアナ「そうでしたら…良い考えが閃きました」
そう言うとディアナ様は自分の着ていた毛糸のストールを僕にかけた。
ロラン「ディアナ様!駄目ですよ、そんな事…」
僕は慌ててそれを脱ごうとしたら
ディアナ「動いては駄目ですよ!貴方は私の上着に成るのですから」
ロラン「?」
ディアナ様は僕のすぐ目の前に背中を向けてお立ちに成ると
ディアナ「ほらっ!貴方はこうして、こう!!ロランの暖かコート
の出来上がり。」
ロラン「ああっそれで僕が上着になっちゃうんですね。
本当に暖かいです(髪のいい香りもして…)」
ディアナ「あらっ!」
ロラン「なっ何です!!」
ディアナ「貴方又背が伸びましたね」
ロラン「そうですか?」
ディアナ様はくるりと僕の方を振り向くと、僕の頬を両手で包むと
ディアナ「ほらっ貴方の顔がこんな高さに…」
ロラン「ディアナ様が縮んだのではっ?」
ディアナ「まあ…ロランったら意地悪ね、私だって後2〜3p位は…」
ロラン「ディアナ様はもう伸びなくても大丈夫ですから」
ディアナ「まぁどうしてですか?」
ロラン「ディアナ様のお手の届かない高い処は僕が代わりに取りますし、
必要な時はこうやって僕がかがめば良い事ですし。
ディアナ「何が必要な時なのですか?」
ロラン「CHu…」
ディアナ「ん…!!!」
ロラン「…です。」
END
イイッ(゜∇゜)!!
GJ!
だがsageてくれるとなお良い。
CHu
リリ様より分捕った…戴いたオペラグラスで私ディアナ・ソレル!
自称ロランマニア1号!の毎日の観察が充実しております。
…が彼と同棲いえ!暮らし始めてはや半年あまり見落としていた
ことが判明しました。私のお気に入りの薪割りのシーンで発見しました!
ランニング姿の胸元に光る銀のペンダント…しかもロケット!!
なっなんとロランいつの間にそのようなアクセサリーを
もしや〜ソ・シ・エさんから?…写真とかも?直接本人に問いただし
たいのですがーへたれクイーンの私
デ「ロ・ロラ〜ンおジュースでもお飲みになりませ〜ん?」
ロ「はっはい!ディアナ様〜」
ロランが汗を拭きながら私に駆け寄ってくる
ああっなんてステキ…彼は一見スレンダーに見えますが
脱ぐと凄いのです!お顔はファニーフェイスで身体は若い黒豹のよう!
ああっロラン〜!!
グエン「1号は私だ」
590 :
小ネタ@A:2008/03/25(火) 15:09:31 ID:???
@ロランの髪を梳かしながら〜
ディアナ「ロランだいぶ髪伸びましたね」
ロラン「そうですね。似合いませんか?
切ったほうが良いですか?」
ディアナ「だっ駄目です!この長さ私的にグッドですから〜」
ロラン「ディアナ様的に…ですか?」
Aディアナの髪を梳かしながら〜
ディアナ「いつもお手をかけますね」
ロラン「いいえ♪」
ディアナ「フラン・ドールさんは元気でしょうか?」
ロラン「フランですか?さあっどうでしょうかね♪♪」
ディアナ「あの方のヘァースタイルとっても可愛いかったですね」
ロラン「そうでしたかぁ?〜♪♪♪」
ディアナ「私も一度あの方のようなベリーショートに
してみようかしら…」
ロラン「だっ駄目です!!却下しますっ却下!」
ディアナ「却下ですか。はぁ〜」
ロラン「♪〜♪♪〜」
お目汚しのネタでした。
髪フェチか
588の続き〜
デ「ロラン!オレンジジュースどうぞ」
ロ「はい、冷たくって美味しいです。ディアナ様?お顔が真っ赤
ですが、どうされたんですか?」
ロランは自分の額をディアナの額にくっつけた。
ロ「お熱は無いようですが」
デ「あっわぁわぁ私先程トマトジュースを飲みましたので」
ロ「トマトジュースでですか?…(そんな買い置きあったかなぁ〜)」
デ「ロランあの〜その〜アクセ…」
ロ「はい?」
デ「あのー私アクセサリーがー」
ロ「アクセサリーが?」
もう私駄目ですっつ!頭が爆発して目がまわりそうです〜
ロ「ディ…ディアナ様〜どうなさったんですかぁー」
どうしたんだろう…朝ごはんにお出しした納豆がまずかったのかなぁー
真っ赤にのぼせ上がったディアナを心配そうに見守るロラン
デ「ロランーロランー」
ロ「はい!はい!ん?うわ言ですか…」
デ「ロランー何ですかー?誰ですかー?」
ロ「???もう少し氷足しとこう!」
ロ「気がつかれましたか!ディアナ様」
デ「わっ私一体どうしたのですか?」
ロ「何だか急に気絶されて…うなされておられた様ですが…」
デ「あらっ私ったら…」
ロ「あのーそれでアクセサリーがどうされたんですかぁ?」
デ「私あのーえーと新しくアクセサリー欲しいのですがー」
ロ「…では今からでも出かけましようか?」
デ「えっ?あっはい…はい」へたれな私…。
ロランの運転で一路ノックスへとお買い物に行くことに…
ロ「このお店はキエルお譲さんがごひいきにされていたお店ですよ」
デ「キエルが、どれどれ〜まぁ可愛い!これも!これも!」
ロ(ふふっディアナ様も女の子であらせられますね!あっこのペンダント)
デ「ロランどうですか?この髪飾り」
ロ「良く似合ってありますよ」
デ「ではこのリボンは…」
ロ「それもステキですね、お二つ共お求めになられては?」
デ「えっ…良いんですか?」
ロ「大丈夫ですよお金の心配はなさらなくても…」
デ「私の食費を削ってくださいまし」
ロ「はいっ遠慮なく」デ「まあっロランったら…」
ロ「ははつ冗談ですよ」
何だか当初の目的とは違いますが、楽しいデートに成りました
あの事は次回でも…んっ?ロランも何か買ったみたいですがー???
やはりへたれな私は彼が入浴中にお部屋に忍び込む事にしました。
ええっと〜机の引き出しを…この箱何か匂いますね〜開けてみましょう
箱を開けるとそこには同じような形のペンダントが二つと何かの布の切れ端
デ「んっ?このキレ端はどこかで…私のスカートのすそ!
あの時ロランの怪我に使った」
ロ「ディアナ様何なさってるんですかぁ〜又僕の部屋でー全くー」
びくーつつ!!思わず箱を落とす
ロ「あー見ましたねーディアナ様ったら」照れ照れ〜
デ「あの〜是はその〜」
ロ「ええと…どっちだ〜」ロケットを開けるロラン
ロ「あっこっちです!はいっこれプレゼント」ロランはペンダントをディアナの首
に付けた。デ「これは貴方の?…ロランの写真?」
ロ「僕のはこっち!ほらっディアナ様の写真、以前キースから貰ったものなんですが
あの店で同じよう形を見つけましたので僕の写真入れときました、
肌身は出さず身につけておいてください〜何ちゃって〜照れ照れ…」
デ「貴方こんな布切れまで」
ロ「僕のものなんだからよいでしよう」
デ「ロラン」
ごめんなさいね何時も疑ってばかりで…
終わり
嫌いじゃないぜ!
むしろ 大好き です。
デ「ではロランその辺を散歩してきますね」
ロ「はい!お気おつけてディアナ様」
デ「フフッ♪」
お日様もとっても元気です。
ロ「今日のお散歩はやけに長いですねー何か楽しいことでも発見されたのかな?
あっディアナ様の日傘!」
デ「これだけ陽射しにあたれば少しは小麦色に成れますね…そしてメシェー
さんの様に可愛いソバカスっ♪」
ロ「ディアナ様〜何処にいらっしゃるんですかぁ〜?」
デ「ロラーンここですー」
ロ「日傘をお忘れですよー」
デ「ありがとう、でももう帰りますので」
ロ「でも一応これさしてください」
デ「……」
デ「痛い!痛い!もっとそっとやって下さいまし」
ロ「ほらっディアナ様じっとしてて…まったく」
デ「顔全体がヒリヒリと燃えるようです」
ロ「ディアナ様は皮膚がディケートなんですから日焼けすると焼けどのように
なってしまうんですよっっ!だから日傘はディアナ様の必須アイテムなんです!!」
デ(ウ〜ン作戦失敗です…はっ必須アイテムってロラン)
何の前触れも無くやたらとテンションの高いハリーが現れたこ焼きを置いて去っていく
ロ「(優勝したらいったいどうなるんでしょうかハリー大尉は…)」
デ「ロラン、どうかしましたか?」
ロ「いえ、なんでもありません」
デ「ほらっ見ましたかっ今魚が跳ねた」
ロ「いえ、気がつきませんでしたが」
デ「見て見て〜水がこんなに透き通ってる」
ロ「ディアナ様そんなに動くボートから落ちますよ」
デ「ロラン風に木があんなにしなってるーロラン!ロラン」
ロ(はいはい見てますよ、風になびき見える髪の生え際、くるくる輝く瞳
スカートの裾からみえる白い足首、僕の名前を何度も呼ぶ唇、綺麗ですよ
ディアナ様)
デ「ロラン!ほらっ今魚が!!」
ロ「はい!はい!…」
>>599 心の声に「はいはい」が無かったら完全なロランだったな。
とはいえ、嫌いじゃないぜ!
今日私が目覚めて食卓に来るとロランの姿は無く、何時もなら用意されている
温かなに湯気の上がる朝食が準備されてるのに?
デ「たまにはゆっくり眠っててもらいましょう…」昨日の強風でずれたアンテナを
雨の中直した事による疲れであるだろうと思った。
デ「昨夜の残りのシチューとパンを食べましょう。」それから私はロランの分の食事を
持って9時頃彼の部屋を訪れた。デ「ロラン起きてますか?お腹空きませんか?」
ロランの返事は無くデ「ロランったら良く眠って…はっ!」私は慌てて彼の額に手をあてた
デ「ロラン…熱が…」それに気がついたロランが目を開けた。
ロ「…ディアナ様すっすみません寝坊して…今すぐ食事の準備を…」上体を起こそうとするロラン
デ「何を言ってるんですか!熱があるではないですか!そのまま寝ていなさい」
私は彼の身体をベッドに押し付け横ににしました。ロ「でもディアナ様…」
デ「病人は大人しくしてなさい!!」彼の額をタオルで冷やし
デ「ロランのどは乾きませんか?」ロ「はい…少し」
私はスプーンで水を飲んでもらいました。これは以前彼が私にしてくれた事です
違う部分は私の場合は自業自得で彼が止めるのも聞かずに、雪の中を
はしゃぎまわったせいで…その後ロランにえらい迷惑をかけたと…よくある
パターンでして〜
ユニコーンが面白かったから月繭読んでみようと思ってるんだけど、
このスレ的にはどう?
601の続き〜
私がロランのタオルをかえるたび彼は虚ろな瞳で私に「すみません」と繰り返し
私は胸の奥が苦しくなりました。デ「ロラン!シチュー食べれますか?」
ロランは首を横に振ります。ロ「ディアナ様あの…僕ちょっと…」
デ「どうしましたか?何か欲しいものでも?」ロ「いやそうではなくあの僕…」
ロランは顔を赤らめて言葉もしどろもどろ。デ「ロラン「病人が遠慮することは
ないのですよ、はっきり言ってください!」
ロ「ディアナ様僕ト…トイレに行ってきます…」慌てて起き上がったロランは
そのまま床に倒れ込みそうになったが私はかろうじて支える事ができました。
ロ「そんな〜1人で大丈夫ですから…あっ」私は彼の右手を自分の肩に、自分の
左手をロランの腰にまわし彼を立たせました。デ「何を水くさいことを…」
ロ「すみません」彼を支えトイレへと無事移動しデ「ロラン着きましたよさぁっ」
ロ「…」デ(…はっ私もまだまだロランへの配慮が成ってませんね…でもここで
ロランを離しては〜そうだっこれなら…」私はロランの後ろに回りこみました。
ロ「デッディアナ様こっこれは〜」デ「これで大丈夫さぁ…!」私は彼の背中から
両手でロランの細い腰をしっかり抱きしめ支えたつもりですがデ「何か?」
604の続き〜
再びロランの部屋へと戻り床に着くと、ロ「すみません、こんなご迷惑をお掛けして…」
そう言った彼の口を私は手でふさぎ、デ「その言葉は2度と言ってはなりませんよいですか!」
ロ「ディアナ様〜」デ(ロランそんなウルウルした瞳で私を見ては成りません!私にも
我慢の限界があるのですよ)「さぁもう休みなさい今はそれが貴方の仕事ですよ!」
ロ「はい…」そのまま目お閉じて横になるロラン。
デ(今度は食べてもらわないと〜)シチューの具をつぶし飲み込みやすくしつめたい
お水を用意しロランの部屋に戻ると、彼は苦しそうな息ずかいで、私は
ロランの手を握り彼の名を呼びました。すると彼の口から…
605の続き〜
ロ「嫌です…僕はもう乗りたく無い…」デ「ロラン…」ロ「やめてください、嫌だ!嫌だ!」
ロランは戦争の夢を見ているようですこんなにもうなされて…あの戦争ーあの争いが
少年に傷跡をのこして…夢の中でさえこんなに恐怖に怯えて
デ「ロランっしっかりしてください!もう戦争は終わったのです…」ロランは虚ろな瞳で
私を見つめました。ロ「ディアナ様たっ助けてください…」デ「心配は要りません争いは
終わったのです。もう…ホワイトドールに乗ることはありません」
ロ「ディアナ様…」ロランの表情が少し落ち着き又瞳を閉じました。私のせいで
このやさしい少年を戦いに巻き込んでしまった…私の罪!許されない罪…
僕は深い暗闇の中もがいていた、必死にそこから這い上がろうとして挫けそうな時
ディアナ様の白い顔が心配そうに僕をのぞきこんでいる。僕の手から伝わる温かなぬくもり。
ロ「はっ僕は…」ベッドから起きるとディアナ様が僕の手を握りベッド寄りかかり
眠ってらっしゃった。ロ「僕の看病で…ありがとうございます」(このままだと
ディアナ様が…うわっ何か重い思ったらディアナ様のお布団まで〜ふふっではそっと
そっと〜僕はディアナ様を抱きかかえ僕のベッドに横にした…(エート布団は全部ここに
有るし…う〜んこれは仕方の無いことですね罪なことでは決してありません)僕は勢いで
ディアナ様の添い寝と決め込んだ「暖かいな〜二人だと…」眠っているディアナ様のお顔を
近くでまじまじとみた…幼い少女の様で僕はたちまち愛しくなった。
でももう少しがまんがまん。
終わり
僕は初めてキエルお嬢さんを見たとき心底驚いた!あんなに瓜二つの女性が
この世に存在するなんて…でも不思議とディアナ様ご本人のご尊顔を最初に見た(画像でだけど)
時はモチロン、ときめいたけどそれは何だか僕の心の底から湧き上がってくるような
思いだった。
もしかするとディアナ様は僕の初恋の人に似てるのかなぁ〜?
J「ディアナ様こちらが新しい運河人です」
デ「まぁ可愛い!」ディアナはその子等一人ひとりを嬉しそうに抱き上げ
挨拶をした。「ミディー・ルイス・マーティン、健やかに。ヤーノッシュ・ロラン?
J−っっ!!」J「はい?ディアナ様いかがなされました?」デ「この娘は男の子の名前が
付いていますが?」J「この子はロラン・セアック…男の子ですが。」
デ「まぁっ!そうですか!余りにもこの子がチャーミングだったもので…
クスッロラン・セアック失礼しました。ディアナソレルですよろしくね。」
『月繭』は気にはなるのだが今ひとつ読む勇気(?)が出ない。
読んだ人の感想を見たら、ロランとソシエ、グエンとディアナの四人のエピソードは
『黄金の秋』を見る前まで何となく思ってたエピソードに近いが、ハリーとキエルがどうも
いわく感がありすぎるので…。
月繭は御大将好きにはお勧めできない。
ディアナ好きには趣向次第。
御大将がディアナ様と敵対しててもかまわないが、好きだから
あくまでもカッコイイやられ方が希望なのだが…無理かな。
月へと向かうウィルゲムを強襲。ハリーのスモーを大破させるも、
∀に負けてそのまま死亡します。
スニーカー版もぱっとしない
つか、ターンタイプが物語上の重要な位置にいない
ラストは月光蝶(そういう名前のディアナ専用機)とブラックドールがオイシイとこ持ってっちゃうし
マガジンZ版だと∀を道連れにしてロランをMIAにする大躍進
スニーカー版とZ版は自分も見た。Z版はもう少し長かったらなんとか成ったかも?
と思ったのが当時の印象。スニーカー版は『読者おいてきぼり?』って思った。
テレビ版の『あらゆることを背負って…それでも生きていかなければ』これは
『黄金の秋』を見たあとの自分の感想ですが…そしてそれが『限りなき旅路』
なんだなって、やっぱこれ以外の∀は見なくてよいかも…自分的に。
TVオンエア版が一番マシです
ちなみにときた版はTV版とほとんど同じ結末
コレンが ガ ン ダ ム ア ス ク レ プ オ ス に搭乗しているのが大きな違い
…てかっ皆さん!☆☆ダ☆Aに人気投票とイラストを投稿してください!
でも…ロランって難しいよね…髪型が特に(×_×)
617 :
通常の名無しさんの3倍:2008/04/15(火) 22:36:16 ID:dlEaICAj
『ロランのメラメラ〜の後ほにゃ〜んな日@』
この時期にノックスにくると僕はちょっと鬱になる…それは何故かと言うと〜
ほっら!又!う〜ん
ロラン「キエル(D)お譲様ー!」
ディアナ「あっロランもうよろしいんですか?では連れが参りましたので」
ほらあれですよ、あれっディアナ様を一人にしておくと必ずといって良いほど
声を掛けて来る不届きな輩が…それも紳士ばっかり…鬱だ。
帰りの車の中で僕はそれとなく聞いてみた。
ロラン「あの〜ディアナ様?」
ディアナ「はい何でしよう?」
ロラン「先ほどの男性とは何をお話になってたので?」
ディアナ「あぁあの方は何でも不動産を扱ってあるそうで、その上趣味で手相
も見られるとの事私も占っていただきました。」
ロラン「!!ディアナ様の手相をですかぁぁ〜?」
ディアナ「はい!私なんでも、ちかじか運命の男性が現れるとの事で…クスっ」
ロラン(何をーワナワナー)
ディアナ「それが可笑しいですよ」
ロラン(ディアナ様の手相を見た上にそんな事まで〜ブルブルー)
ディアナ「ロラン?」ロラン「はっはい!それでなんと?」
ディアナ「そしたらすぐに貴方が来てクスッ!当たってますよねっ!本当に。」
ロラン(ほにゃ〜ん…ディアナ様〜)
ロ『山のは〜月〜は満ちー息ずく貴方の森ー夏草抱いーて眠ーる〜」
デ「ロラン余計眠れません」
ロ『スミマセン(今から良いとこなのにぃぃ〜)」
デ「微熱が〜冷めないままぁぁうつむく小ぉぉ年のぉぉ瞳はぁぁー」
ロ『ディアナ様スミマセンその歌はちょっと〜』
デ「あら眠れませんか?」
ロ『いろんな部分がー』
夕食後の和んだひと時…
デ「本当に暖かくなってきましたね」
ロ「そうですね〜あっディアナ様お茶のおかわりは…?」
デ「ありがとう。冷え性の私はこの季節をどれだけ待ち望んだことでしょう」
ロ「ぼ…僕は冬もタイスキですが…」
デ「雪の積もった日などもう大興奮ですよね〜」
ロ「今でも時々寒さで明け方目が覚めて少し寝不足気味なんですが〜ふぁ〜チラッ」
デ「…」
トントン!デ「ロラ〜ン一緒に休みましょうかぁ〜?」
ロ「は〜いいい!ディアナ様お入りになってくださいー♪」
ロ「僕は時々考える事があるのですが…」
デ「それは何ですか?」
ロ「あの戦争は月と地球にとっても不幸な事でもちろんディアナ様も大変心を
痛められました…」
デ「…」
ロ「だけどあの戦争がなかったら今の僕たちはあるのか?って思うと何だか
複雑に感じる時があります。」
デ「そうですか…ロランはそんな深い事を〜では私の疑問など簡単に答えがでますね!」
ロ「何を疑問に思われているのですか?」
デ「私と貴方の今のこの状態は理解出来てますね!」
ロ「(ぽっ)…ディアナ様何を改まって」
デ「今私と貴方は愛し合った後ベッドで過ごしているわけなのですが…」
ロ「デッディアナ様ー(カァーッツ)」
デ「そんな仲の私に対して貴方は今だに『様』ずけで呼びますがー私にはそれが
とても疑問で今日という今日は答えてもらいましょう」
ロ「そっっそれは僕の趣味…いえ!それなら僕も言わせてもらいます!」
デ「まぁ!私に何か不満でも」
ロ「ディアナ様こそいまだにロラン(普通)で、ロラーン(色っぽく)とかー
あなたー(甘えた)とか言ってくれないでしょう?」
デ「そーきましたか!しかし『様』はおかしいでしょう!『様』は!」
ロ「だからーそれはーその呼び方がー好きでー」
デ「何ですか?聞こえませんが!」
ロ「僕はー『ディアナ様』って呼ぶ方が萌えるわけでー」
デ「なっなんとーカミングアウトですかぁー!つまり貴方は何時も私の名を
呼びながら萌えていたと…そおいう事ですかぁ?」
ロ「は…はい…スミマセンディアナ様。実は今もなんだか…ディアナ様…
又よろしいですか?」
デ「(ぽっ)はい、今ロランは萌えてきたのですね…」
ロ「はい…きました…ので…ディアナ様…」
デ「嬉しいです…ロラン…では…」
どうも〜チョット「軽すぎたかなぁー」と思ったのですがひとまず安心しました。
ディアナ様命の自分=ロランなものでどうもディアナ様の気持ちがいまいち掴めない
で苦労してます。順序はバラバラですが、思いを遂げる前のストーリーも書きますので
その時は感想よろしくお願いします。
ばっち〜んんん!デ(エーっロッロラン?)
ロ「そんな…事をお考えになるなんて…」
デ「ロラン…あの…私…」ロ「ディアナ様!オカシイですよ…」
デ「今私のことぶちましたねっロラン…」
ロ「そんなディアナ様は嫌いですぅぅぅーわぁーん!」
デ(なんですとォー)呆然としている私の前でぶった本人がおお泣きしたかと
おもえば、そんな捨て台詞を残しそのまま自分の部屋に篭ってしまった。
このシチュエーションは逆なのでは?…しかしこの状況は私が不利なのです。
私が悪いからです…。
今日私達は近くの村のお祭に出かけました。そしてゲームに参加したのですが
体力の無い私は途中でリタイヤし、結局最終決戦に残ったのをロランと同じ年頃の女の子
でした、なかなか活発な方でなんとその方が優勝してしまいました。実際のところ
ロランがわざと負けたようにも見えて…私への遠慮喪あったのでしょうか?
…それで私…少しひがんでしまったのです。あのハツラツとしたお嬢さんとロランが…
自分を卑下するような事をぽつりぽつりとロランの前で愚痴ってしまったのです。
何時もなら彼が一生懸命に励ましてくれるのに今回ばかりは彼の逆鱗に触れてしまって
初めて…初めてロランからぶたれたのです。その快感いえっ何と言うか…
倒錯の入り混じった感覚の中、彼の大泣きと逃亡〜あらっ私どうしたら良いのか?
何このキモイ流れ
623の続き
この場合何時もならロランが暫くして私の部屋に甘い物片手に様子を伺いに来るのですが
しかし私は甘い物を作る自身が無いので、お茶だけ片手に彼の部屋を訪れました。
トントン!デ「ロラン!入ってよいですか?」返事は有りませんが進入!
デ「ロランあの…私あやまりに来たのですが…」ロランはベッドの上に横になって
目を閉じてました。デ「本当に何故貴方が泣くのですかぁ」涙の後が残る彼の
頬をそっと触れました。デ「私が悪いのに…」その時彼がその手を握り起き上がり
ました。デ「起きていたのですか?」ロランは私と鼻がぶつかる程顔を近付け
ロ「赤くなってる…痛かったでしょう?ごめんなさいぶって…」
デ「痛く無いですよ!大体私があんな事を…妬いていたのですねあの若い人達に…」
ロ「えっ…?」デ「あのハツラツとしたお嬢さん達と貴方がお似合いのようで…」
ロ「それはディアナ様の本心ですか?」デ「本当です…」ロ「嬉しいなっ!」
彼の顔を見ると碧の瞳がよりいっそう輝いて私は顔をそらしました。
デ「何が…何がそんなに嬉しいんですか私は…」ロ「ふふふ〜」
デ「こらっ何がおかしいですか!」ロ「あはははー」ロランは笑いながら
私を抱きしめました。デ「コラー」彼の頬で私の頬は押しつぶされそうです。
デ「ロラーン調子にのって〜」ロ「もっともっと…」一方的に抱きすくめられ
反撃出来ない元女王のわたし、あの可憐なローラから逞しく成長したロラン。
ロ「ディアナ様!僕を好きです?」デ「…でしょう!」ロ「何ですか?ハッキリ
言ってください」デ「当たり前でしょう!!!」ロ「答えになってませんがー」
デ「好きです!好きですとも!貴方が居ないと私はー」
ロ「僕もです…貴方は僕の…」デ「私をからかってますねぇぇぇー」
何とか反撃したい元女王の私、なにぶんにも非力ゆえ私の攻撃などロランにとって
ただの肩たたき程度…クスン。ロ「では頂きますよー『カプッツ』」
デ「きゃぁぁぁーどこを噛むのですかぁぁー」
終わり(ちなみに耳たぶ)
ここまで来ると新手の荒らしだな
んだんだ
キモスレ化しちゃったねw
よιナα(=
よけα(=
萌えスレ落ちたけどここが萌えスレってことでいいかな?
よしなに
ロラン「おはようございます!ディアナ様」
ディアナ「おはようございますロラン!又『様』がつきましたよ」
ロラン「すっすみませんディアナ様あっディアナ…」
ディアナ「ふふ…」
「今後、私はロランに『ディアナさま』と呼ばれても、返事をしないことにしましたから」
「えっ」
「だって。いつまで待っても、ロランが呼び方変えようとしないのだもの」
言いたいことは言ったという風に、ディアナさまはロランに背中を向けて
どんどん歩いていってしまった。
「ディアナさまぁ」
追いかけても、宣言通り振り返りはしない。
「無視されたくなかったら、ちゃんとお呼びなさい」
わかっているでしょ、って目を見ないですまして歩いていく。
ロランは、ぽりぽりとこめかみをかいた。何だか、無性に照れくさい。
「……ナ」
「聞こえなーい」
こうなったら、絶対言わせるつもりらしい。
ロランは、観念して辺りを見回した。幸い、木の上の小鳥しか見ていなかった。
「ディアナ!」
銀杏並木の中で、ロランの声は妙にはっきり通った。
するとマリア様のようにきれいなディアナさまは、
よく響く声で「はい」と振り返って、満足げに笑ったのだった。
ロラン「あ…あのーディアナ?」
ディアナ「何でしょうか?」
ロラン「手を…手を繋ごうか!(心臓が破裂しそうだ!)」
ディアナ「はい」
ロランとディアナは手を繋ぎゆっくりゆっくりと歩き始めた。
ロラン(こうやって僕等は歩いていこう…少しずつ…。)
, ─ヽ
________ /,/\ヾ\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_ __((´∀`\ )< というロランの夢だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/''' )ヽ \_________
||__| | | \´-`) / 丿/
|_|_| 从.从从 | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\ / ::::::::::::ゝ/||
────────(~〜ヽ::::::::::::|/ = 完 =
ディアナ「そろそろ休みましょうか?
ロラン「はいディアナさっ…ディアナあのーお手を引いてよろしいですか?」
ディアナ「はい」
ロラン(良かったディアナ様の手冷えてない…)
・・・・・ディアナの部屋の前・・・・・
ディアナ「明日は晴れるでしょうか?」
ロラン「さぁ…どうでしょうか。ディアナはどんな天気でもお好きでしょう!」
ディアナ「まぁ〜わかりました!雨の日はひかえます!」
ロラン「ははは〜」
ディアナ「ではおやすみなさい」
ロラン「おやすみなさい」
ディアナ「…?ロラン手を〜」
ロランは慌ててディアナの手を離した
ロラン「あっすみません…」
ディアナ「クスっ…」ディアナは微笑み乍部屋へと入って行った。
ロランは閉じたドァの前で名残惜しそうにたたずんでいた。
ロラン(ディアナ様又明日…明日早くこないかな〜)
640 :
番外編・1:2008/05/26(月) 11:28:07 ID:ar9Oxauo
姉がディアナ様の代わりに月へ旅立つとすべてのことが自分の身に降りかかってきたことに気が付いた
鉱山の方はすっかり機械人形堀がメインになってしまいグエン様がいなくなってからはリリ様と富を分け合う形になっていて
収益の方は問題ないのだけど何か物足りない毎日
親しい人達がどんどん自分の周囲から去ってしまい、今では病気の母と使用人だけの寂しい家
それでもまだ母が居てくれるだけでどれほど気が紛らわされていることか
ある夏の日、一本の電話が鳴りそれを母が受けていた
ノックスで倒れられた頃よりかなりよくなって今では日常会話も問題なくいつ父の死を伝えるかだけが問題になっていた
「あら?本当に?私おばあさまになってしまうの?」
母の喜ぶ声を聞いて驚いた、母はまた妄想を口にしているのだろうか?
慌てて駆け寄る母が私に受話器を渡しながら
「ソシエさん、キエルさんが妊娠ですって、まあどうしましょう」
母の目には涙が浮かんでいた
電話の受話器を受け取った私は複雑な心境で言葉をいろいろと選んでいた
「ソシエさんですか?私母親になることになりまして、その報告を、まさかこんなにうれしいものだとは」
姉の代わりに地球に残ったディアナ様がとてもうれしそうな声だった
なんだかわからないけど私も涙が出てきて、苦労されてきたディアナ様に心からおめでとうと思う気持ちと
ロランが本当に遠いところへ行ってしまった気持ちと、自分だけが取り残されてしまった気持ちと
よくわからないけど泣きながらディアナ様に
「おめでとうございます、生まれてくるお子様のためにもお体にお気をつけください、栄養のあるものをたくさん食べて。。」
「ありがとう、ありがとうソシエさん。。。」
ディアナ様もつられてしまったのか涙声でした
641 :
番外編・2:2008/05/26(月) 11:28:53 ID:ar9Oxauo
その晩、ガレージでロランが置いていった自転車やかばんを見ていた
あの頃は楽しかったなあ、父上が居て母も元気で、姉も身近にいたし何よりロランがいたし
本当に寂しくなってしまったなあ、もしギャバンが生きていたならば私はどうしたのだろうか?
あのまま実感のないまま結婚してそれなりに幸せに暮らしていたのだろうか?
今の私ならばそれでも幸せと感じらるけどあの頃の私はその幸せに気付けるのだろうか?
ロランのかばんを開けるとそこには月から持ってきたという金魚のおもちゃが入っていた
元々ロランとの出会いはこの金魚だったなあ、でもあの時もお姉さまと一緒だったし
成人式の時だってこの金魚と一緒だったロラン、月でも地球でもロランはずっとこの私が今抱いている
孤独を感じていたのかしら?
おぼれてまで無くしたくないと思っていたこの金魚を今では置いていけるなんて、きっともう孤独ではないのね、ロラン
「ミリシャに居た頃はよかったなあ」
最近ため息と共に良く出るこの言葉が口癖のようになってしまっていた
戦争が怖くて仕方なかったクセに父上の仇と信じ込みディアナカウンターと戦うことだけを考えていればよかったあの頃
いつから歯車が狂っちゃったんだろう?
大好きだったロランがムーンレイスで、お姉さまだと思っていた人がディアナ様で、本当のお姉さまが仇の総大将をしていて
死ぬことと隣合わせだったのにみんな生き生きしていて魅力的だったなあ
私もあの時が一番幸せだったんだろうか?
もしギャバンが生きていたら、今でもあんなに生き生きして居られたのかな?
母は部屋で編み物をしている、自分のまだ見ぬ孫のために、でもその子は本当の母の孫じゃないんだよ
母に本当の孫を見せられるのはだれ?
今まで逃げてきた現実が今日私の喉元に突きつけられてしまった
自転車に乗り坂道を下る、私の今までの人生も自分で歩んできたつもりでも本当はだれかが作ってくれていた坂道を
こうやって下っていただけなのかもしれない
「わーーーーーーーーーーーっ」
よくわからないけど大きな声で叫んでいた
目の前には初めてロランと出会った川、楽しかったあの頃の思い出が走馬灯のように流れていく
金魚を川に向かって投げた、ただただ水の流れに流れていく金魚、まるで無力な私みたい
「わーーーーーーーーーーーっ」
また叫んだ、そして泣いた
ロランを拾った川で、その原因となった金魚を拾わなかったことにして流しても、思い出は流れていかなかった
何度も叫び、何度も泣いた、でもだれも助けには来てくれなかった
気が付けば歩いていた、孤独の淵から這い上がるように夜更けの坂道を自分の力で登っていた
「本当にさようなら、ロラン」
最近ロランの様子が少し変です。
この前一人でノックスに買い物に行ったかと思ったら何時もなら教えてくれる
自分の買い物を「これは何でもありませんよ…」慌てた様子で自分の部屋持って行ったのです
自分の物だから私に見せなくても良いのですが…何だかショボーンです。
はっ!!もしかしたらっ…私ったらはしたない〜
でもその夜から深夜まで起きている様子で部屋から明かりが漏れています。
しかし乍今夜は…あらっ今夜はよろしかったのでしょうか?
でもこれで私も安心して眠れます(おやすみなさい!ロラン)
ソシエの話はなんだかせつなすぎてだめだ
ついつい泣いちゃうのにまたこんな泣ける文章書きやがって
・・・・ボルジャーノ邸月との通信室・・・・
ハリー「では…これらの物直ぐにそちら送るとしよう」
ロラン「ありがとうございます。あのーハリー大尉」
ハリー「何か?」
ロラン「今度は是非お二人でゆっくりお見えになってください」
ハリー「…ああっそうさせてもらおうか」
ロラン「はいっきっと!!」
ハリー「ロラン君!感謝している…女王、ディアナ様を…」
ロラン「こちらこそ大切なお嬢様の事ありがとうございます」
ハリー「お互い様ということか!」
ロラン「そうです…」
645 :
通常の名無しさんの3倍:2008/05/26(月) 15:04:22 ID:3t9ZieAj
ソシエも又悲しみや涙を昇華させ彼女らしく強くて美しい蝶に羽化したんですね。
よしなに。
翌日
ロラン「おはようございます」
ディアナ「おはようございますロラン。昨夜は良く眠れたのですか?」
ロラン「はい?」
ディアナ「…いえなんでもありません」
ロラン「あの〜ディアナ様!今日のお昼は外で食べましょうか?」
ディアナ「まぁ!ピクニックですねっ!」
ロラン「とっても良い場所を見つけたので〜」
ディアナ「はいわかりました(ロラン何時の間にそんな場所を…)ではお弁当
作りましょうか?」
ロラン「もうサンドウイッチ昨夜作っちゃいましたから〜」
ディアナ「まあ〜準備万端ですね!キラ〜ン」
ロラン「ははっ何ですかディアナ様それっ!キラーンって…」
ディアナ「
ディアナ様、スエッソンの中の人がお亡くなりになりました。
ディアナ様「何ですって!!!あの芸人デブ会会長の!??」
ゲンガナムの菓子店のひと「一番のお得意様が・・・」
そろそろムラムラして欲しいと思ってるディアナ様「きゃー」って言ってみたい。
ムラムラを意味も無く抑えこんでるロラン君(本当はきゃーと言わせたい)
雪の降る中、僕達は山荘にやってきた
夜中に出発をしたせいで到着したころにはすっかり深夜になっていた
ロラン「ディアナ様、すぐに暖炉に火をつけますのでもうしばらくお待ちください」
暖炉に薪を入れ火をつけると、その火でお湯を沸かしたかったがやかんがない
椅子を一つ暖炉の前に置いて最低限の荷物だけを車から降ろしに行く
やかんとお茶セットの入ったダンボールをまず部屋に入れ、やかんに水を入れて火にかける
ディアナ「ロラン、まだ寒いわね」
火がついているとはいえ広い部屋にはまだ暖気が行き渡らない
ディアナ様は白い息を吐きながら震えていらっしゃった
僕はディアナ様の手を温めるように外側から包み込んで
ロラン「もう少しだけ、もう少しだけガマンしていただけますか?布団を下ろせば作業も終わります」
ディアナ様は小声であたたかいとおっしゃって僕の目を見て小さく頷いてくださった
布団を下ろし寝室のベッドの上に広げ終わると暖炉からやかんから湯気が出ている音が聞こえる
慌てて暖炉の部屋に戻りお茶を入れてディアナ様に差し出す
ディアナ「お茶も暖かいですが、ロランの方が暖かかったですよ」
ディアナ様の笑顔を見てちょっとほっとする
ロラン「残りの荷物は明日、朝が来てから運び入れますから、今夜はもうお休みください」
ディアナ様は大きく頷いてくださったがその場を動こうとしなかった
不思議な顔をしてみているとちょっと意地悪な顔をしたディアナ様が小声で囁かれた
ディアナ「ロラン、新婦を寝室に案内するのは新郎である殿方のお役目ですよ」
はっ、そうか、ぼ、僕は今日からディアナ様の旦那となったんだった
わかってはいたけど突然その現実を思いだすと顔が赤くなったのが自分でもわかった
まてよ、そうするとお風呂も沸かした方がいいな、タオルとか着替えも下ろさなきゃ
あたふたしているとディアナ様はその光景を見て笑っていらっしゃった
翌朝、暖炉の部屋には散らばったいくつかのダンボール箱とお茶を飲んでそのままのカップが2つ
ガレージにはまだ荷物が積んだままの車と荷台がある
そして目覚めた僕の隣にはすやすやと眠っていらっしゃるディアナ様が
僕は急いで荷物を運び込まなきゃと思いつつ、もうちょっとこの幸せそうな寝顔を見ていたいと思うのだった
ディアナ様の後ろから心の中で(ガウォー)と言ってるロラン
最近は両手でアクションまでいれてる。
そっとベッドから起き上がって一人で荷物を運び込もうと思ったのだがディアナ様を起してしまったようだ
これからお世話をするには別々で寝た方がディアナ様に迷惑をかけないのかもしれない
朝食の準備をする、朝食といってもまだ調理器具は車の中なのでミリシャから分けてもらったベーコン缶と
パンを焼いた、ディアナ様はマロングラッセの時に相当懲りたのか、料理には興味を示さないので一安心
ディアナ「ミリシャのベーコンは本当においしいですねえ」
あの頃はまさか二人で一緒に住むなんて想像もつかなかったなあ
車から荷物を降ろしていると、雑巾を持って窓を拭いているディアナ様
ロラン「ディ、ディアナ様、だめです、座っててください」
ディアナ「ロラン、見てこの窓、とっても雲ってますわ」
言うことを聞いてくださらないので仕方なく窓拭きと床のモップ掛けをしていただきました
その間に荷物を一通り出し終わってなんとか住める状態になった気がする、ああ新しい地球での生活が始まるんだ
昼食の準備をする、といってもまだ買出しに行っていないので玉子とベーコンでベーコンエッグを作る
ロラン「ディアナ様、すいませんベーコンばかりで」
ディアナ「ベーコンも玉子を加えるとまた味わいが変わるのね、午後は買出しに行きましょう」
ロラン「は、はい」
食後のお茶が終わったところで車を出して買出しにでかける
ノックスまで行けばなんでも買えるが時間が遅かったので近所の牧場や農家で野菜やミルクを買い込む
ディアナ「これだけあれば1年くらい食べ物には困らないですね」
ロラン「1年は無理ですよ。。。」
夕食はシチューを作ることにした、野菜を切るときにディアナ様が覗き込むのがちょっとかわいいと感じる
ディアナ「そうやって料理をなさるのね」
ロラン「はいはい、ディアナ様は完成をお待ちになってあそこで座っててくださいね」
それでも後から覗き込むディアナ様、その際にお体が背中に当たって気になって仕方ないのです
じゃがいもを剥いているとそれを見たディアナ様は面白そうとばかりにご自身でもやり始めてしまった
何を言っても止まらないのは今日散々わかったのでしばらくそっとしておいたのだが結構器用になさる
ディアナ「秋にはまたマロングラッセを作りますから楽しみにしておいてくださいね」
ロラン「秋までにはまだ時間がありますよ、あまり根詰めて料理なさるとその頃には嫌になられてしまうかも」
ディアナ「ま、まあ、ロランったら、意地悪なことをおっしゃる」
ちょっと怒ったディアナ様のお顔もステキです
食後には月から持ってきたココアを入れる、その香り、その味わい、まさに女王のココア
ディアナ様は窓から月を眺めていらっしゃる、僕も一緒に月を眺めた
ディアナ「このココアをいただきながら月を眺めることができるなんて」
その幸せそうな横顔を僕は一生忘れることはないだろう
目が覚める、ディアナ様の寝顔を見ながらそっと抜け出そうとするのだけどやはり起してしまう
やはりお世話する身なんだから。。。と何度も思いつつついつい一緒に寝てしまう
朝、昨晩のシチューの残りと目玉焼きを用意する
寝起きのディアナ様はちょっと寝ぼけた感じに見えるけど、その寝ぼけた顔がまたかわいい
女王の頃につけていた青い口紅をしなくなり、髪の毛もクリームをつけずに自然のままでまとめていると
なんだかキエルお嬢様と一緒にいるみたいに感じるから不思議
ロラン「ディアナ様、本当にディアナ様ですよね?」
しばらく驚いた様子でこちらを見ながらクスクス笑って
ディアナ「いやですねロラン、私がディアナでなければあなたは昨晩どの姫君と床を一緒になさったというのです?」
ロラン「あっ、いやっ・・・」
つい思いを言葉にしてしまったことも恥ずかしかったけど、ディアナ様の切り替えしはもっと恥ずかしかった
食器を片付けて屋根に上り雪かきをする
屋根に上ると周囲の景色が良く見えてものすごく気分がいい
どこまでも青く晴れた空、あの空の向こうにはキエルお嬢様が行くことになっている
僕は白の宮殿でのことを思い出した、ホワイトドールをギム・ギンガナムに奪われて命からがら逃げ出せれた僕は
ディアナ様に呼ばれいることをシド爺さんから聞かされ白の宮殿へ降り立った
ディアナ「ロラン、よくいらっしゃいました」
白の宮殿の席巻室、その高い場所にディアナ様はいらっしゃった、とりあえずディアナ様にホワイトドールが
奪われたこと、グエン様とギム・ギンガナムが手を組んで地球に行ったことを報告した
ディアナ様はすべてをご存知だったのか、すぐに他の方にも召集をかけ対応策を練られた
結果、ギンガナム艦隊を征伐するとのことで地球に降りることを決意なされたのだけれども
もしあのときこういう展開にならなければ、どういうお話をされていたんだろう?
いろいろなことを考えながら雪かきをしていると、はしごを伝ってディアナ様が屋根に上がって来られた
ディアナ「ロラン、お昼にしませんか?」
気が付けば日はかなり高くなっていてもう昼飯時だった
ロラン「あっ、すいません、すぐ準備します、ってかディアナ様はしごになんか登ったら危ないですよ」
ディアナ「ふふふっ、ロランは本当に心配症ですね」
はしごを降りて暖炉の部屋に入ると、そこにはすっかり昼食の準備がされていた
ディアナ「さあ、召し上がれ」
ロラン「こ、これディアナ様が作られたんですか?このコーンスープ??」
ディアナ「一人で暇だったのでついつい料理をしてしまいました、お代わりもありますよ」
ロラン「す、すいません、一人で寂しい思いをさせてしまいました」
ディアナ様はくすくす笑いながらコーンスープを口に運んでいらっしゃる
あの時、白の宮殿でどんなお話をされようとしていたのかはわからないけど
きっと結果として、こういう生活になっていたことに間違いはないとなぜか強く思わずにはいられないんだ
♪僕はオオカミ〜(作詞・作曲=ロラン)羊さんが食べたい〜
でも羊さんが好き〜でも羊さん食べたい〜エンドレエス♪
と歌いながら薪割りのロラン。
ひそかに(?)のディアナ様。
二人の生活もかなり慣れてきた朝、やはりディアナ様を起さないようにベッドを出ようとするのだけど
どうしても起してしまう、まだ眠そうなディアナ様はいつみてもかわいい
朝日が差し込み、雪も溶けて消えている、もう春なんだと思えるすばらしい朝を迎えた
朝食の準備をしているとパンの残りが少ないことに気が付いた、パンを買いに行かなければ
ノックスにキースが店を出したとの案内が来ていたのでディアナ様と一緒にノックスの町に行くことにした
久しぶりに見るノックスはまだ建物は所々壊れたままではあるものの、活気に溢れる町になっていた
案内地図を見ながらノックスをふらふら走っていると看板を先に見つけたのはディアナ様だった
ディアナ「ロラン、ほら、あそこ、ドンキーの看板がありますよ」
店に入るとさすがに繁盛店だけあって人がたくさんいたが、ベルレーヌが僕達を見つけてくれて奥に通してくれた
店の奥には事務所があり、そこに通されてお茶を出してくれた、キースはなにやら電話中のよう
すると二階からアニスばあさんが赤ん坊を抱いて降りてきた
アニス「おやおや、あの時のお嬢さんに使用人じゃないか」
ディアナ「アニスさん、お元気そうでなによりです」
ロラン「アニスばあさん、お元気ですか?」
すっかり赤ん坊を抱いて恐持ての顔がにやけた顔になっているアニスばあさん
ベルレーヌ「お、おばあちゃん、使用人は失礼よ、ロランさんよ」
ディアナ様はずっと赤ん坊を見ていらっしゃる、アニスばあさんはそれに気が付きそっとディアナ様に赤ん坊を渡した
赤ん坊を抱くディアナ様はとてもおやさしい顔をなさっていた
キースの電話が終わり、いろいろ積もる話をした
女性陣は女性陣でなにやら話し込んでいたが。。。
ディアナ「この子のお名前はなんておっしゃるんですか?」
アニス「お嬢ちゃんも若いんだからこしらえればいいじゃないか、豊作と子宝は天からの恵みだからねえ」
ベルレーヌ「努力はされていらっしゃるんでしょ?」
ディアナ「ええ、まあ」
聞くに堪えられない内容だったので敢えて無視することに決めた
キース「そういえば知ってるか?ローラ号がディアナ様を乗せて月へ飛んだそうだ」
ロラン「ローラ号?」
キース「ほら、ウィルゲムのことだよ」
ロラン「わかってるけど。。。なんでそんな名前付けるんだよ。。。」
キース「これからは月と地球を定期便で結ぶんだって、これで月と地球は一つ近くなったよな」
ロラン「ローラ号。。。」
パンをたくさん買って家に戻る途中、ディアナ様は上機嫌だった
ディアナ「赤ちゃんってかわいいですね、私達ももっと努力をしなくてはねえ、ロラン」
ロラン「ど、努力ですか。。。でも、天からの授かり物ですからねえ」
ディアナ「そうですね、たくさんの人の命を弄んだ女王である私に神様はそのような授かり物をくださるはずが。。。」
ディアナ様がせっかくうれしそうにお話されていたのに、僕はなんて気の聞かない男なんだろう
ロラン「ディアナ様、努力します!キースのところよりかわいい赤ちゃんを授かるように努力します!」
驚いたような顔でこちらを見るディアナ様
ロラン「亡くなっていったたくさんの人達を生まれ変わらせるには、生き残った我々が子孫を増やしていかないといけませんよね」
ディアナ様はちょっと涙ぐんでいたのだけれど、その涙を拭われてそっと僕の手を握ってくださった
いつものように朝起きる、そっと起き上がるがやはりディアナ様を起してしまう
いつもより眠そうなディアナ様
ロラン「まだ眠っていてください、朝食が出来たら起しますから」
朝食の準備をしてディアナ様を起して椅子に座っていただく
ロラン「今日のスープはおいしいですよ、なんせ・・・、あれ?どうされました?お口に合わないですか?」
ディアナ様の食が全然進んでいらっしゃらない
ディアナ「なんでしょう、最近暑いので熱気にやられてしまったのでしょうか?」
手をおでこに載せて上を向くディアナ様、ちょっと心配なのでお医者様に来ていただきました
医者「なるほど。。。」
ロラン「ど、どうなんですか?」
医者「おめでた、ですね」
ロラン「おめでたって、ディアナ様はこんなに苦しそうにしていらっしゃるのに」
医者「いや、ですからご主人。。。」
僕はよく事情を把握できなかった、こんなに苦しそうなディアナ様を見ておめでたいというなんて人だと思ったのだが
ディアナ「ロラン、神様がこんな私達にも幸せを授けてくださったということですよ」
僕はとても混乱した、ぐるぐる頭の中を何かが回ってフワリ体が浮くような感じがした
とにかくいつも以上にディアナ様のお世話をしなくては、近所の農家の奥様方に聞いて体にいい食事を
いろいろご用意させていただいたり、掃除、洗濯などあまり体を使わないように一人でできることを全部引き受けて
朝も起してはいけないのでディアナ様ベッドの横に椅子を置いて眠られてから自分のベッドに移動するようにした
すべてのことを僕がしてしまうのでディアナ様はなにやらお手紙をいろいろと出していらっしゃるようだ
ディアナ「電話よりもお手紙の方が気持ちが伝わりますもの、ハイムのお母様のところにもお送りしましたよ」
秋になり、かなりディアナ様も安定されてこられたのでお医者様はそれなりに運動するようにと言われたので
湖でボート遊びをしたり、魚釣りなどをしている、まだお腹はそれほど目立たないけども確実に命がこのお腹の中で
育っているんだと思うと生命というのは宇宙より不思議なことなんだと思う
こんな大切な命をなんであんなに簡単に捨てれてしまうのだろう?
ちょっと前まで戦争をしていたこの国のことをふと思い出した、もう二度とああいうことは起してはいけないんだと心に誓うんだ
包丁で林檎をむくディアナ様!結構スラスラだったが最後にチョット指を切って
『てへへ…』と照れ笑いなディアナ様代わりに「キャー」と悲鳴を上げ真っ青なロラン。
また冬が来た、去年の冬は二人きりの冬だったが
今年の冬はまもなく生まれてくるだろう命と三人で向かえることができてうれしい
体が大変なディアナ様を思い、別々に寝ることで朝起してしまうことがないが
ディアナ様が朝起きられないこともしばしばある、一人で食べる朝食は寂しいものだ
最近ディアナ様は昼に寝ることも多いからなのか夜出歩かれることが多くなっている
春前には生まれる予定なのだけど、おもちゃがないことに気が付いた
この家におもちゃらしいものといえば月から買ってきたクジラのおもちゃくらいだし
僕が月から持ってきた金魚のおもちゃも持ってきたと思っていたのに荷物の中に入っていなかったし
ハイム家に置いてきたのかと思ったけど、ソシエお嬢様はないとおっしゃる
朝起きてディアナ様の姿がないので驚いて外を見てみると、散歩から帰って来られるところだった
最近ディアナ様は湖がお好きなようで、いつもご自身の姿を映してはふふふと幸せそうに笑っていらっしゃる
こういうお姿を拝見すると、本当に幸せそうでよかったと心から思うし、僕も本当に幸せな気持ちになれるんだ
ロラン「今日のスープはおいしいですよ」
ディアナ「ありがとう、ロラン」
妊娠がわかった日のスープ、ちょっと自信があっただけに飲んでいただけなくてちょっと残念な気がしていたんだ
だから今日、また作ってみた
ディアナ「おいしかったわね」
おだやかな口調でおっしゃるディアナ様、今までも一生懸命普通の生活をできるようにと尽くしていたつもりだったが
やはりどこか女王の頃を引きずっていらっしゃったように思うけど
子供を宿すことでやっと普通の女性になれたのだろうか?表情も言葉使いもどこか穏やかになられたような気がする
僕は自慢のスープを完食していただけて満足気に
ロラン「ありがとうございます」
とお礼をいうのだった
ディアナ「ロラン、ちょっと疲れたので寝ますね」
ロラン「はい、では寝室へ」
僕はいつも通り寝室へお連れして寝入るまで隣の椅子に腰掛けてずっと手を握っている
ディアナ「ロラン、この子の名前はどうしましょうね」
ロラン「お医者様のお話ですと女の子のようなので女の子の名前なんでしょうけど」
ディアナ「ローラという名前はいかがです?」
ロラン「ローラ。。。ですか。。。」
ディアナ「ふふふ、いい名前ではございませんこと?」
ロラン「ディアナ様、まだ生まれるまでには日にちがありますから、また明日考えましょう」
ディアナ「そうですね、ロラン、また明日もあるんですものね」
僕は眠りにつくディアナ様のおでこにそっとキスをして椅子を立ち上がった
音を立てないように、ちょっとした音でもディアナ様は起きてしまう
そっとドアを閉める
ロラン「ディアナ様、また明日」
661 :
通常の名無しさんの3倍:2008/06/04(水) 18:19:58 ID:RI3PL/Jb
妊娠論者乙
ロラン「ではそろそろいきましょうか!」
ディアナ「はい 参りましょう…楽しみですね、お弁当もその場所も」
暫く歩くとロランより目を閉じるように指示されました。
ロランから手を引かれてなんとかたどり着き
ロラン「ここでお座りになってもう暫くそのまま目を閉じていてください」
ディアナ「はい(ん…何でしょうね〜とても香りの良い場所ですね)」
ロラン「もう少し…もう少しですから〜」
>>661 ども
なんか読み返してみてもおれの文章には萌え要素が足らないような気がする
ロラン「妊娠論者様そんなことないですよ」
ディアナ「よしなに」
朝一番で森へと入っていくディアナ、点々と続く血痕と足跡にため息
ディアナ「ちいっ…グエン様!○○はしぶといって聞くけど本当ですわね
杖型ライフルはもう使えないから今度は何を仕入れましょうか?」
長いスカートの裾を上げると小型の武器が隠してある
「いいかげん仕留めないと部屋の武器がロランにバレテしまいますね
何時までも別床もロランに気の毒ですし…」
ロラン「ディアナ様〜どこにいらっしゃるんですかぁ〜?」
ディアナ「はーいい!!ここです〜」
ロラン「「危険ですから一人で森に行かないでくださいよ」
ディアナ「はいはい分かりました旦那様!」
グエン「私は必ず戻ってくるからなローラ!」
メリーベル「もすこし死んでろ!!」
ターンXを倒してから僕はビシニティにあるハイム家でまた運転手をして生活をしている
ホワイトドールを運転するよりも自動車を運転する方が好きだ
キエルお嬢様はずっと戦後処理でお忙しいらしく、ほとんどノックスに常駐されており
ソシエお嬢様はというと、リリ様から新しいマウンテンサイクルが見つかる度に機械人形を掘り出す仕事をいただいているらしい
もう戦争はおわったのだから機械人形はいらないと思うのだが、リリ様曰く
リリ「せっかく掘り出した機械人形が戦争なんかで壊されたらもったいないでしょ?だから殿方にはお渡しできませんの」
ということらしいが、リリ様のおっしゃることは難しくてよくわからない
この日もリリ様と商談があるとのことで、リリ様が滞在されている屋敷へソシエお嬢様をお連れしたところ
駐車場でお嬢様をお待ちしているのだけれど全然出て来る気配がない、お嬢様お話がはずんでいるのかな
しばらくすると屋敷の門辺りが騒がしくなる、衛兵らしき人と親衛隊の人達が門に集結している
すると中からソシエお嬢様と共にキエルお嬢様とディアナ様が出て来られた
キエル「ロラン、お迎えご苦労ですね」
自動車の扉を開けてディアナ様をお迎えする
ディアナ「お久しぶりですね、少々たくましくなられましたか?ロラン・セアック」
僕の運転でビシニティにあるハイム家まで移動する
後にはソシエお嬢様とキエルお嬢様、そしてディアナ様が、隣にはディアナ様の警護としてハリー大尉が乗っていらっしゃる
ハイム家に到着するとハイム夫人が玄関でディアナ様をお迎えされた、ソシエお嬢様はさっさとご自分のお部屋に入っていかれた
その後、キエルお嬢様とディアナ様で亡くなったご主人様のお墓をお参りされた
その日の夜は一同でお食事をされて、僕もその幸せそうなお食事のために一生懸命給仕をした
ハイム夫人の楽しそうなお顔はいつ以来だろうか?
お茶を出し終わって談笑の後、それぞれのお部屋に移動された、後片付けが終わったあと僕はサムとジェシカと一緒に
遅い夕食をいただいていた
ロラン「なんか幸せな一日でしたね」
ジェシカ「ロラン、あんたせっかく平和になったんだし、大学に行く気はないのかい?せっかく亡きご主人様が行かしてくれるっておっしゃってくださってたんだからさ」
ロラン「それは無理ですよ、キエルお嬢様も結局行けてないですし、ソシエお嬢様だって。。。なのに僕だけ大学なんて」
サム「でもな、おれ達と違ってお前はずっと使用人というわけにも行くまい、機械に詳しいんだし、立身出世を目指さないとな」
将来のことか、そういえば戦争が終わってすっかり落ち着いていたんで全然考えてもいなかったな
キエル「ごめんなさいねソシエ、ロランと成人式をもう一度と約束したのに。。。」
ソシエ「仕方ないじゃない、それはお姉さまのせいでもないんだし」
お屋敷にはたくさん部屋はあるのにキエルお嬢様はご自分のお部屋をディアナ様のためにと空けられてソシエお嬢様と一緒に
寝るとおっしゃって、ソシエお嬢様にしてみても久しぶりの姉妹水入らずはきっと楽しんでいらっしゃることでしょう
僕は部屋に戻って窓から外を見てぼーっとしていた、ジェシカさんやサムさんのおっしゃることもよくわかるし
でも今この状況で僕だけ大学に行かせて欲しいとお願いするのもなんだかわがままなような気がしていた
何より大学で学ぶよりもっと大切なことをミリシャで学んだような気がしていた、ふと気付くと庭に人影があるのに気が付いた
暗闇の中ではよくわからないがどうやらディアナ様のようだった
僕も庭に出てみる、月の灯りに照らされて、その月を見上げるように見ていらっしゃるディアナ様
ロラン「ディアナ様?」
ゆっくりとこっちを振り返るディアナ様
ディアナ「ロラン、私達の故郷である月を見ていたのですよ」
ロラン「故郷ですよね、も、もしかしてディアナ様は戻りたいと思われて・・・」
ディアナ「いいえ、もう私には戻ることのない故郷です、あなたはすっかり心の広い地球人になられましたね、ロラン・セアック」
そしてディアナ様はもう一度月を見上げられた
ロラン「ディアナ様も、ディアナ様も地球人になられるのですね」
ディアナ「ええ、私はずっとこの先、生まれ故郷を見上げる立場で生きて行く事ができるのです、ロラン、一緒に地球から」
ロラン「ご一緒に、地球から、ですね」
僕もディアナ様と一緒に月を見上げた
ノックスの町はすっかり賑わいを取り戻していた、出て行った人達が戻ってきたこともあるが、リリ様がムーンレイスを積極的に
受け入れてくださって、そのおかげで人口が戻っているということもあるらしい、リリ様曰く
リリ「あのような技術を持った人達に戦争の道具を作らせるのはもったないでしょ?だから他国にはお渡しできませんの」
またもうリリ様のおっしゃることは難しくてよくわからないなあ
数日をハイム家で過ごされたキエルお嬢様とディアナ様をリリ様のお屋敷までお送りした
ハリー大尉ともお別れ、そのままソシエお嬢様まで。。。
ソシエ「リリ様と新しいマウンテンサイクルの視察に行ってくるわ」
ロラン「あの、いつ頃お戻りで?いつお迎えにあがりましょうか?」
ソシエ「そんなのわかんない、また迎えが欲しければ電話するから、じゃあねロラン」
なんだかソシエお嬢様のご機嫌が悪いな、なんか悪いことしたかな?
リリ様のお屋敷にちょっと車を止めさせていただいてジェシカさんに言われたモノを購入していると
通りにブルーノさんとヤコップさんが人形劇をやっていた
どうやら僕の話らしいんだけど、ホワイトドールに乗っているのはローラって。。。
人形劇が終わるまでまって久しぶりに話しかけてみた
ブルーノ「か、艦長」
ロラン「もう艦長じゃないですってば、民間人ですよ、ハイム家の運転手です、ところで親衛隊はどうなさったんですか?」
ヤコップ「きょ、今日は非番なんだよ、な。。。」
この二人は嘘をついている時はすぐわかるんだよな、ちょっとカマをかけようと思って
ロラン「そういえばさっきまでハリー大尉と一緒だったんですけど、お二人の話はでたかな?」
ブルーノ&ヤコップ「え”」
ロラン「今からちょうどハリー大尉のいらっしゃるお屋敷まで戻る途中なんです、親衛隊に戻りたいのならお話しくらいはできますけど、どうします?」
ハリー「ああ、事情はわかった、しかしこの二人は今までどこで何をしていたんだ、まったく」
ハリー大尉に睨まれて小さくなっているブルーノとヤコップ
ロラン「今は大変な時期なんですから、ディアナ様とキエルお嬢様をちゃんとお守りしてくださいね、ブルーノさん、ヤコップさん」
ブルーノ&ヤコップ「はい、艦長!」
だから、もう艦長じゃないってに
ハリー「ロラン君、君にもお願いをしなければいけない事態が発生するかもしれない、その時は頼む」
ロラン「できることでしたら何なりと」
リリ様とマウンテンサイクル視察に行かれてから戻ってきたと思ったらすぐ他の現場に行かれてしまわれたソシエお嬢様
本業がお忙しいのはいいのだけれど、お体が心配です
あまりにも戻って来られないので宇宙船視察から戻って来られたキエルお嬢様とディアナ様をお迎えに上がった時に
リリ様に聞いてみたんですが、リリ様曰く
リリ「大切な物を人に渡さなくてはならないって時には悲しいモノよ、そんな悲しい顔は人様にお見せできませんわね、特に好意を抱く殿方の前では」
あいかわらずリリ様のおっしゃることは難しくてよくわからないなあ
秋深まったビシニティにてっきりキエルお嬢様も戻られるかと思ったのですが、乗られたのはディアナ様だけ
しかもディアナ様としてではなくキエルお嬢様として
キエル「ロラン、ディアナ様をいたわってくださいね、ディアナ様、ディアナ様」
ハリー「ロラン君、くれぐれもよろしくお頼みする、ディ、キエル嬢の身に何かあれば私が許さないからな」
車をビシニティのハイム家へと走らせた、山々が色付いてとても綺麗な景色の中をディアナ様を乗せて走った
ハイム家に到着すると、ディアナ様はキエルお嬢様として迎えられ、そのままキエルお嬢様の部屋に入られた
荷物を持ってキエルお嬢様の部屋に入ったが、この前戻られた時にすっかりキエルお嬢様の荷物は持ち出されていて
この最後の入れ替わりの為にしっかり準備をしていたのだと今更ながらにわかった
ソシエお嬢様もひょっこり戻って来られて、もうお迎えに上がるから連絡くらいくださいよ
夕食はハイム夫人とソシエお嬢様とキエルお嬢様に扮したディアナ様の家族水入らずの食卓になった、それはもう久しぶりに明るい食卓
夕食が一通り終わってお茶をお出しし終わった時にディアナ様からそれは切り出された
ディアナ「お母様、ソシエさん、大切なお話があるのです、ロラン、こちらへ」
ハイム夫人は驚いた顔で、そしてソシエお嬢様は僕とは目が合わないように視線をそらした
ディアナ「お母様、ソシエさん、私はロランと結婚をしたいと思っているのです、お許しいただけますか?」
ジェシカさんは驚いて食器を落としそうになり、サムさんはその場で固まってしまった
ハイム夫人はそのまま頷きながら「もう成人式を終えた身なんですから好きにしなさい」と小さい声でつぶやいた
ソシエお嬢様はうつむいたままで何も言葉を発することはありませんでした
お茶の時間が終わりソシエお嬢様はそのまま立ち上がり部屋へ戻ろうとされていた
僕は階段を登ろうとするソシエお嬢様を呼び止めてしまった
ロラン「あ、あの、本当はもっと前にご相談をしたかったんですが、その、お嬢様お忙しそうで、ほとんどお会いすることも。。」
ソシエ「あなたは私の使用人なのよ、別にどうってことはないわ、ディアナ様に、、、いえ、お姉さまに差し上げただけなんだから」
涙声で肩を震わせてそうおっしゃるソシエお嬢様を見て、一番悲しませたくない人を悲しませてしまったという後悔だけが残った
結婚式の準備に追われる日々が続く中、やはりソシエお嬢様は仕事がお忙しいということでなかなか戻って来られない
結婚の挨拶にお伺いした際にリリ様に相談してみたのだけど、リリ様曰く
リリ「もう前に進むしかないのだからまっすぐ前を見てなさい、脇見をすると事故を起してしまいますわよ、でもそういうのが殿方には難しいのですわよね」
本当に何をおっしゃっているのかさっぱりわからないですよ、リリ様
雪の降る中、身内だけで僕とディアナ様の結婚式は執り行われた
心配していたソシエお嬢様だけど、なんとか都合をつけてくださったのか駆けつけてくださった
お化粧をしてお洒落をして、本当に綺麗なソシエお嬢様を見ていると、僕は後悔がないといえば嘘になる、そんな心境だった
ソシエ「ほら、ロラン」
ソシエお嬢様はなにか小さい箱を僕に差し出した
ソシエ「ロランのことだから買えなかったでしょ、お姉さまへの結婚指輪。だから私が用意したのよ、ほら何しているの?お姉さまの薬指にはめて差し上げて」
小さい箱を開けるとシルバーの指輪が、そしてその指輪をディアナ様の薬指にはめた
ディアナ「まあ、なんてきれいなの?ソシエさん、ありがとう、本当にありがとう」
ロラン「あれ?でも結婚指輪って僕もするんじゃないですか??」
ソシエ「ば、馬鹿ね、ロラン。。。私があなたに結婚指輪を買ってあげられるわけ。。。ないじゃない。。。」
結婚式が終わり僕とディアナ様はそのまま新居へ向かう
玄関まで奥様とジェシカさんとサムさんが見送ってくださった
ソシエ「お姉さまを見送ってきます」
元気にソシエお嬢様は車のところまで送ってくださった
ディアナ様を助手席に乗せていただくとなにやら二人で一言二言交わしているようだった
そしてソシエお嬢様は僕に最後の挨拶をされる
ソシエ「この前は使用人だなんて言ってごめんなさい、ディアナ様と、ディア。。。お幸せに。。。」
ソシエお嬢様は僕の肩をつかんだまま泣き崩れそうだった
ソシエ「本当は。。。本当は。。。」
僕はソシエお嬢様を抱きかかえたままキスをした、今までのお礼と、そしてお別れのキスを
ロラン「もう行きますね」
それ以上の言葉をかけることができなかった
670 :
通常の名無しさんの3倍:2008/06/05(木) 18:13:01 ID:xCrfrpoD
ここにまで妊娠論者が出張ってくるとは
しかし作品やよし
ニンニンこんなところに……自分でスレ立てした方がいいよ。
ずどおおおおおお〜ん(MSの爆発音)逃げ去る黄金色のモビルスーツ。
ロラン「ふう〜危ない危ない!!」
デジアナ「ロラン何故攻撃したのです!今の方は洗濯を…」
ロラン「ディアナ様今のは『変態仮面』と言って黒歴史では最悪の御仁」
ディアナ「まぁそうですの〜神々しい光の機会人形でした…」
ロラン(人の女に手ー出すな!!)
妊娠論者さん
正直すごいです
ロラン「妊娠論者さんは勉強なさってる」
ディアナ「髭さんの代わりに髭さんの心を語っています」
よしなに日記
ロラン「母乳にはうまみ成分が含まれているそうですが…」
ディアナ「赤ちゃんの為のですね」
ロラン「いや…僕はそんなつもりでは(しかし…。)」
時刻はもう深夜になっていた、到着の前にうとうとされていたディアナ様を
僕は少し恐縮しながらゆり起こした。
ディアナ「ああ…もう着いたのですね」
僕は助手席よりディアナ様を降ろし急いで家の中に入った
電気をつけ暖炉に火を入れ部屋を見回すとディアナ様が居ない
ロラン「…ディアナ様?」
外へ出るとそこにいらっしゃたディアナ様は身じろぎもせずじっと
僕等の家を眺めてあった。僕は又家に入り家中の電気をつけディアナ様のそばへ
戻るとディアナ様の瞳が輝いていた。
ディアナ「ロラン」瞳は真っ直ぐ僕等の家を見つめそう呟く…。
僕はディアナ様をそっと抱きしめ二人で灯りがともる我が家をながめていた。
朝の光が差し込み目覚めるロラン「…ん?カーテン開けてたっけ…」
そこへいきなりディアナのどアップ『おはようございます!ロラン!』
慌てて起き上がるロラン「わわっ…ディアナ様」
『ふふっ今日も良い天気ですよ。さぁ〜起きて起きて!』
「ディアナ様いつからここに?」
『今きたばかりですが…あなたの寝顔可愛いかったですよ』
「可愛いかったって僕は男ですよー」すこしふくれるロラン
ディアナはそんなロランの鼻を指先で弾くと
『早く朝の身支度を済ませてくださいね』そう言って一階へと降りていった
そんなディアナの姿をボーっと眺めつつ見知らぬ母親を重ねた。
ロランの新婚日記
初めての二人だけの夜、高鳴る胸の鼓動
お互いがリビングでくつろいでいながらどうも不自然なアクション
ロラン「あ、あの、もう片付けましょうか?」
ディアナはちょっとビクっと反応してしまったが何事もなかったかのように振舞う
ディアナ「わ、わたくしが片付けますわ」
ロラン「いや、ぼくが」
ディアナ「いえ、わたくしが」
そして触れ合う手と手
自然と唇が近付きお互いが唇を合わせることに夢中になる
カタッ
片付けようとしていた茶具をあやうく落としそうになってふと我に返る二人
ロラン「あ、と、とりあえずこれ、片付けますね」
ディアナ「ええ、そうしてください」
ちょっとうつむいて恥ずかしそうなディアナ
流しに茶具を置くとロランは後ろ向きにうつむいているディアナを後から抱き寄せ耳元で囁く
ロラン「場所を移しましょう」
ディアナはただただ小さく頷いてロランの手にひかれるがままに寝室へ
一枚一枚ディアナの服を脱がしていくロラン、自分が着込むのと違い人の服を脱がすのは大変だ
すべてを脱がすと今度は自分の服を脱ぐ
白いディアナの肌に舌をはわせる
ディアナ「あっ」
小さく吐息に混じるディアナの声がロランをさらに興奮させる
若いロランはガマンできない、ディアナの股へ手をすべらせるとそこは湿っていた
ディアナ「ロラン」
もうそれは声になっていなかった、そしてロランもまたガマンができない
ディアナの中へ自分の分身を挿入する
ディアナは吐息とは明らかに違う声を上げる
ロランは力強く動かし、ディアナはそれを受け入れる
月明かりに照らされながら揺れるディアナの白い胸、そしてロランのたくましくなった腰
ロランは果てたあとディアナを腕の中で抱く
そしてつぶやいた
ロラン「おやすみなさい、ディアナ様」
ディアナ「キャー!!何処の何方か存知上げませんが有難うございます」
ロラン「ディ!ディアナ様〜(照れ照れ…)」
683 :
通常の名無しさんの3倍:2008/06/10(火) 17:54:03 ID:y6WR0CK9
エロい
エロすぎる
いやらしい
ロラン(よし!出来た!)
ディアナ(?…ロラン私の頭に何か乗せました?)
ロラン「はいっ良いですよディアナ様!目を開けて〜」
私の目に飛び込んできた光景は辺り一面の白い花畑
ロラン「綺麗でしょうこの花、しろつめ草って言うんですよ」
ディアナ「ロラン これは…?」
私の頭にかけられたレースのベールと花冠
ロラン「はいディアナ様これ持ってください」
渡されたしろつめ草の花束
ディアナ「…ロラン…」
ロラン「ディアナ様聞いてください、云いますよ!新郎となる私は、新婦となる
貴方を妻とし、良い時も悪い時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も
死が二人を分かつまで、愛し慈しみ貞操を守ることを誓います。」
ディアナ「…」
ロラン「ディアナ様誓いますか?」
ディアナ「あっはい!」
ロランは震える手で私のベールをあげると優しくキスをしました。
ロラン「僕達はこれで夫婦になりました。」
私は胸が苦しくてただ彼をじっと見つめるだけ、そんな私をロランはそっと
抱き寄せ耳元で呟く「僕が支えますディアナ…笑っていてください僕の支えです」
ディアナ「ロラン」
ロランの肩越しに見える空に鳥が飛んでいる…私の心を乗せて。
一言ネタってなしですかね?
よしなに
木に登って下りられなくなった子猫を助けるために必死で木に登るディアナ様。
なんとか子猫のところまでたどり着いたが自分も下りられなくなったディアナ様。
最終的にロランに助けてもらうディアナ様。
可愛い〜ディアナ様わーん(涙)
ディアナ様を助けようとするがスカートをかぶっちゃたり胸を掴んだりして
結果子猫に「グッ!ジョブ!!」サインを出すロラン。
ロランから貰った指輪が「給料の1年分」と聞いて感激のディアナ様。
実は(ハイム家の給料が安いから…)とは死んでも言えないロラン。
木陰で朗読を披露するディアナ様。
ロランの真剣な眼差しに誇らしげなディアナ様。
真剣に(貴方はキスしたくな〜る)と念じてるロラン。
693 :
通常の名無しさんの3倍:2008/06/14(土) 10:50:38 ID:o5X7zXJq
大作が読みたいな
職人さんたちがんばって
>>693をみて
池田大作大先生をたたえるSSを書いてしまう
ディアナ様
ナムアミ
地下坑道を抜けてやっとミリシャに合流できた僕とキエルお嬢様
あまりにもおやさしいキエルお嬢様にちょっと違和感を感じながらもついつい僕は疲れてお嬢様の膝で眠ってしまっていた
ロラン「す、すいません、キエルお嬢様」
ディアナ「(ふふふ、この子はかわいいわ)あなたはお疲れでしたもの、まだここで眠っていていただいてもかまいませんわよ、ロラン」
ロラン「そ、そんな、そんなわけにはいかないですよ」
ディアナ「ではお怪我の具合を見ましょう、左手を出してみなさい」
キエルお嬢様が手当てをしてくださった左手の包帯代わりの布を取り消毒をしていただく
ディアナ「まあ、この布はもう使えませんね、新しく布を用意しなくては」
ロラン「も、もう結構ですよ、これ以上やさしくされてしまうと本当にバチが当たってしまいます」
ディアナ「まあロランったら、まるで私が普段からやさしい女ではないかのようにおっしゃいますね」
ロラン「そういうわけでないのですけど、これ以上高級な服を破っていただくわけにはいきませんので、これで結構です」
ディアナ「そうね、外から見える服を破るわけには行きませんから、私の肌着でも破って包帯に・・・」
ロラン「だめです、絶対だめですよ、お嬢様」
どうしてもと聞かないので僕はキエルお嬢様と人目につかない場所に移動してお嬢様が覗かれないように見張りをしている
ディアナ「(ちょっとからかってしまおうかしら?)きゃっ、ロラン、何かが岩陰で動いてます」
ロラン「お嬢様、大丈夫ですか?!」
僕は岩陰を一生懸命探したが特に危ないモノはなかった
ロラン「これで大丈夫ですよお嬢様・・・あっ、ごめんなさい」
ディアナ「いいのですよ、私を守ってくださるために来てくださったのですから(ふふふ、まだ刺激が足らないかしら?)」
僕はまた見えないところに行こうとしたのだけれど、お嬢様が近寄ってきて、緊張もあって動けなくなってしまった
ディアナ「ロラン、私の裸は見れないほど汚いものですか?」
ロラン「い、いえ、そういうわけではありませんけど、お嬢様、はしたないですよ」
ディアナ「あら?はしたないですって、ふふふ、ではロラン、あなたの下半身ははしたなくないとでもおっしゃるのですか?」
そう言ってお嬢様は僕の下半身の方を見ていらっしゃる、はずかしい
ディアナ「私の裸だけを見るのは不公平です、元々はロランの包帯を作ろうと思ってこうなっているのですから、ロランあなたも脱ぎなさい」
ロラン「そ、そんな、めちゃくちゃですよ」
ディアナ「お嬢様からの命令ですよ、ロラン」
僕はしぶしぶ脱ぎ始めた
ロラン「あの、下着も、ですか?」
ディアン「当然よ、ロラン(ここら辺で許してあげようかしら?)」
僕は全裸になった、そしてお嬢様の裸をみると、どうしても下半身に膨らみを覚えずにはいられなかった
ディアナ「(まあかわいい、大きくなってるのね ふふふ)もういいですよ、ロラン」
お嬢様は笑っていらっしゃるけど僕はもうどうにも止まらなかった
ロラン「お、お嬢様」
ディアナ「きゃっ」
勢いで抱きついてしまい、そのままお嬢様の唇を奪ってしまっていた
ここ最近、グエン様のお屋敷でローラごっこをしてからのお嬢様はお優しい感じがして、特に地下坑道に入ってからは
人が変わったかのようにおやさしくしてくださる、それが僕の心を止められないくらい暴走させてしまっているのだと思う
僕は必死にキエルお嬢様の体を触っていた、気が付けばもう止まらなくて、なんだかもうどうしようもなくて
ディアナ「ロラン・・・そろそろ・・・入れてくださらないかしら?」
僕は今とんでもないことをしていると思っているのに、ここでキエルお嬢様と?ま、まさか、でももう止まらない
ロラン「い、入れますよ、お嬢様」
ディアナ「そんないちいち報告しなくてもいいですから、早くしてくださらない?」
キエルお嬢様を崖に手を付いて後ろ向きにたっていただいて、その小ぶりなお尻の谷間に僕は大きくなったソレを突き刺した
ディアナ「ああ」
お嬢様がいやらしい声を出される、僕はもう何をしているのかわからないがとにかくお嬢様の中は気持ちよかった
ロラン「お嬢様、お嬢様」
何度も意味もなく呼びかけながらお嬢様の細い腰を持ち、そのやわらかいお尻にめがけて腰を前後させる
ロラン「お嬢様、もうだめです、もうがまんできません」
ディアナ「だめよロラン、まだまだ私は満足してないんですから、また我慢するのです、これはお嬢様からの命令です、はやく腰を動かしなさい」
ロラン「で、でも」
ディアナ「だめよ、だめよロラン、止めないで」
ロラン「あ、ああ、ああああ」
僕は我慢できずにそのままお嬢様の中で果ててしまった
自分が何をしていたのか、行為が終わってからも理解できないでいたが、二人裸で抱き合っている状況では言い訳もできない
お嬢様が僕をみて笑っていらっしゃる、僕もどうしていいかわからずに笑うしかなかった
ディアナ「(この子は本当にかわいらしい子ね)ねえ、ロラン、お嬢様の命令を破りましたね?」
ロラン「え、ええ、でもあれはお嬢様が気持ちよすぎて・・・」
ディアナ「ホワイトドールのパイロットは言い訳をするのですか?」
ロラン「言い訳じゃないですよ、でもあの命令は無理ですよ」
ディアナ「では今度の命令は聞いていただきますよ、ロラン、私はまだ満足できていません、もう一度私の相手をしなさい、もう一度だけでなくてもかまいませんよ」
そういうとキエルお嬢様は僕にキスをした
その日の始まりはとても良い日でした。
ロランの用意してくれた食事の後片付けをし、シーツ類を洗濯…あまりの気持ちよさに
両手を空にかざした時でした!「?」「…?」汗…汗…。指輪が無い!!どこどこー!!
私はロランの前では冷静を装い指輪探しに奮闘しましたか…見つかりませんでした…。
絶望…私は酷い女です。ロランが給料を1年も貯めて買ってくれた指輪を…
私は最低最悪の女です。
ロラン「どうなさったんですか?ディアナ様」
ディアナ「わたくしに…三行半を下さいませ!ロラン」
ロラン「三行半?何ですかそれは?」
ディアナ「酷い妻に夫が下す罰です!さぁ!ばしっと決め手くださいませロラン!」
ロラン「(何だか良く分からないけど話がややこしくならないように)
じゃあディアナ様三行半です!僕!」
ディアナ「これで貴方ははれて一人の身、わたくしはどこか隅っこにでも…」
ロラン「はぁ〜?」
僕はディアナ様に『三行半?』をして一人の身になった。
何か変なドラマか小説にでも影響されてしまったのだろうがこのままにしておくと
【また】やっかいな事に【なる】ので僕なりにシナリオを続けた。
僕が以前預かっていたディアナ様の指輪持って【また】プロポーズすると
ディアナ様は何故か目を白黒させ気絶してしまった。
暫くして気がついたディアナ様は照れくさそうに指輪を眺めてあった。
その後もキエルお嬢様と坑道を歩き、ウィルさんという人とであったがそのウィルさんはディアナカウンターへ行ってしまった
ウィルさんの家でいろいろ使える物を探していたとき、キエルお嬢様もやってきてなにやら泣いていらっしゃったようだ
僕はお嬢様を車に乗せてミリシャの部隊のある場所へと移動する途中、ウィルさんが乗っているモビルスーツが
戦闘に巻き込まれているところに遭遇する
キエルお嬢様はその戦闘を身を乗り出して見ていらっしゃるが、その時の体制があの夜のことを思い出させて
僕を不思議な気持ちにさせるんだ
結局ウィルさんは亡くなってしまった、お嬢様はかなり落ち込んでいらっしゃった
宿舎でサンベルト共和国の建国式典があることを聞かされた、また女装してローラにならなきゃならないのか
寝ているとキエルお嬢様がこっそり起こしに来られた
お嬢様、ここではさすがにまずいですよ、グエン様もソシエお嬢様もいらっしゃるっていうのに
ベランダへ出てキエルお嬢様を抱きしめようとすると僕はお嬢様から発せられた言葉に一瞬意識を失いそうになった
いや、このまますべて記憶を失いたい気分になったといってもまちがいない
ディアナ「ええ、ですから私はディアナ・ソレルです、今ソレイユにいるのがキエル・ハイムなのです」
ああ、そうだったんだ、やはり坑道に入ってからなんだかキエルお嬢様とは違うと思っていたんだよな
なんで気が付かなかったんだろう、あこがれていたキエルお嬢様と敬愛していたディアナ様の区別も付かないなんて
いや、まてよ、あの時エッチしたのもディアナ様なんだよな?
しかもお嬢様とか言っちゃって、何度も何度もエッチしたよな
あの時のお方がディアナ様だったのか、ああ、あああああ、あああああああああああああ
700 :
通常の名無しさんの3倍:2008/06/14(土) 22:42:03 ID:o5X7zXJq
ここではコテ付けてもいいと思いますよ
妊娠論者さんw
コテ付けなくても分かりますので今のままで良いかと!
一応用心の為に…。
ここのスレは[sage]でおk。
ディアナの元に懐かしい友人が訪ねてきた。
ディアナ「あっ貴方方は…」
K「お久しぶりですディアナ様」
N「相変わらず綺麗ですね」
M「達者でなによりじゃよ〜」
ディアナ「本当に皆さんお変わりありませんね」
K「僕達は殆ど歳をとりませんから」
ディアナは久しぶりに会った古い友人達と
お茶飲みながら楽しい時間を過ごした。
K「ではそろそろおいとましますね」
N「幸せそうでなにより…」
ディアナ「貴方もですね」
N「ディアナ様ったら(恥ずかしい)」
M「もしかしたらもうお目に掛かる事は無いじゃろうがわしらは
貴方の幸せを願っとります」
ディアナ「有り難うございますお父様」
ロラン「(ん…?何だろうあのカラスの群れは)ただいま〜ディアナ様」
ディアナ「おかえりなさい」
ロラン「…誰かお見えになってたのですか?」
ディアナ「はい…私のもっとも古い友人です異国の方々ですが…」
M「穏やかな面差しじゃったな〜」
K「きっとあの銀髪の青年のおかげですね父さん」
N「もう一人ぼっちじゃないもの!」
よ・よ・よしなにー劇場。
やっぱり『ディアナ』と呼び捨てにして欲しいディアナ様。
無意識に爪を咬み胸元寄せーの上目づかいーのでロランにおねだりディアナ様。
これしきのことで今だに鼻血全開のへたれロラン。
今日は久しぶりに雨も上がり二人でお買い物、僕は上機嫌!
何故って…今日のディアナ様のお召し物は僕の一番のお気に入り真っ白いワンピース♪
そしてブルーのワンポイントつば広帽子!
さして不足な物は無いけど二人で出かけたかったので…お買い物♪
あぁ〜ディアナ様白い百合の花の様だ〜。
ディアナ「ロラン!その荷物1つ位私に持たせてくださいな」
ロラン「駄目っ駄目です!(絵にならないじゃないかー!)」
ディアナ様は少しむくれてしまったが仕方が無い。
暫く歩くと子供が連れた可愛い子犬と遭遇!僕は瞬間『危険』を察知したが
遅かった…。
ディアナ「ロランーこの子可愛いですよーふわふわでーす。」
ロラン「(わーん雨上がりの泥がー)ディアナ様お召し物がー(泣き)」
子供「御免ねーお姉ちゃん【達】」
ディアナ「いいんですよ気になさらないでお姉ちゃん【達】は平気ですよ(笑)」
ロラン「【達】ってディアナ様そこはつっこまないと…」
ロラン「ディアナ様の真っ白いワンピースが…僕のワンピースが…」
ディアナ「こらっ間違ってますよっっ!(ピシっ)」
ロラン「でも…泥が(僕の百合の花が…)って」
ディアナ「一人ぼけ突っ込みは禁止です。洗えば取れますでしょ?」
ロラン「…」
ディアナ「もう…仕方ないですね!荷物をこちらに!ほらっこうすれば
泥汚れも隠せるでしょう?」
ロラン「ディアナ様〜(うるうる)」
ディアナ「もう〜わたしのナイトはへたれさんですね」
ロラン「へたれ?ーわーん」
エロイのが書けない…。
それでよいのです。
よしなに…。
エロいのは好みもあるからなぁ。
でもロランはやるときはやる男だと思うぞ。
「よし!こっ今夜こそディアナ様を僕はぁああああー!」で又次の朝が来る
へたれムーンレイスのロラン。
『やれやれ〜ここは私から…」とサラっと髪をかきあげる魅惑の元女王ディアナ様。
久しぶりに月を二人で訪れるロランとディアナ様。
白の宮殿で黒歴史の映像を見てさらに人類の平和を願うディアナ様。
傍らで沈んでるロランをやさしく見守るディアナ様。
歴代の主人公を見て何故自分だけ素朴設定なのか悔やむロラン。
傍らで沈んでるって池でもあるのかと思った
ロラン「助けてくださいよーディアナ様ーあっぷあっぷ!」
ディアナ「聞きましたよロラン貴方その手でキエルさん達の裸を見たのでしょう?」
ロラン「違いますよ〜誤解ですってば〜あっぷあっぷ」
ディアナ「まぁクスクス〜」ちょっとサドモードのディアナ様
初夜のいでたちに悩むディアナ様。
「この下着はロラン的にどうですか?」とロランを自室に呼び質問するディアナ様。
「今日の下着は、黒にしてみました……。
……どうでしょう。色っぽいでしょうか、ロラン?」
「それともこの白いレースのすけすけがよろしいでしょうか?…ロラン!
どうしたのですか?こんなところで眠っては駄目ですよ…血!!」
白レースは正直ロランのほうが似合tt
はっ!褐色の肌に白のレース完璧ですお。
その日も何時もと変わりなく終えようとしていました。
どちらからとも無く言い出した海への遠出の話につい時間の経つのも忘れて…
ディアナ「あぁもうこんな時間」
ロラン「1時?うわっ何時の間にこんな時間〜では続きは又明日にでも」
ディアナ「ええ…」
2人の気持ちは少し高ぶったままでした。
私達は2階へと上がって行きました、部屋の前でお休みの挨拶を済ませ私は
部屋のドアを開けると…突然後ろからロランに抱きしめられ
驚いた私は何も言えずロランも何の言葉も無く、ロランの手に私の胸の鼓動が
伝わるのではないかと思うと緊張で身体が硬くなるばかり…
耳にかかるロランの熱い息と腕の力に高鳴る喜び…なのに
「ロッロラン痛い…」私の言葉にロランは手を離し「すみません…」
そう言ってバタバタと自分の部屋へ立ち去ってしまいました。
残された私は彼に掛ける言葉が見つからないまま立ち尽くし、ようやく
自分のベッドに潜り込んだ時ロランの残した言葉が脳裏に響いた…
「すみません…」何て悲しい声だったのだろうロランの心を激しく傷つけてしまった。
おまいらがあんまり楽しそうだからとうとう∀見ちまった。金無いから劇場版二本で我慢したけど。その辺のゲームより御大将のセリフが地味だ…。ムロンとキャンサーは…死んだのかな(´;ω;`)
キスシーンのときディアナ様そっぽ向いてたなw「また、明日」の時の寝顔幸せそうでいいね
以上チラ裏。スマソ
キャンサーとムロンは脳内で生きてまそ…。
御大将は迷セリフの革命児でそ。
僕はあの日から夜が来るのが怖かった…ディアナ様は何事も無かったように
接してくれる。一人の夜が怖い…後悔と自分自身が恐ろしい
ディアナ様をこの手で抱きしめたい…柔らかな胸に顔をうずめたい
僕の心は泣いていた。
妊娠論者のページの妄想症説は原作の雰囲気を残しながら起承転結ついていてなかなかクオリティ高いな
妊娠論者さん
妊娠したあとの物語も書いてください
よしなにダイアリー。
つかいい加減sage覚えろよ
わざとか?
728 :
6月○日:2008/06/21(土) 00:28:36 ID:???
今夜のわたくしは様子がおかしいようで、どうしても寝付けませんでした。
そしてロランの部屋を訪れたのです。
ロラン「どうしたんです?」
ディアナ様「はぁはぁ・・・とても体が火照っていて、寝付けないのです。これを何とかしてください。」
ロラン「分かりました。」
ロランとわたくしはふたりで寝室に入りました。
ロランはわたくしが寝付くまで団扇でわたくしを扇いでくれました。
728…最高に萌えます!
映像キボンネ。
ロランに「私に膝枕させなさい!」とキレ気味で言うディアナ様。
ロランの髪を撫でながら(ヌアァァ〜)と魂が叫ぶディアナ様。
孔雀のハネみたいな扇子ね
731〜すまんすまんあまり興奮したものでつい…すまそ!
できれば普通の日本風団扇であああああああああああああ!
ディアナ「うっう〜ん」何度も寝返りをうち寝苦しそうである。
その都度掛け布団のずれを直すロラン…穏やかな表情である。
暑くて寝苦しいんだったらどうするんだ
和むなぁ〜
妊娠論者さんは今執筆中なんだろうと言ってみるテスト。
ディアナ様のひそかな楽しみ!ディアナの服を頬を染めながらロランが干してるのを
こっそり見ること。
逆もあり!
ロランのひそかな楽しみ!新しい雑誌をソファーで読んでるとディアナ様が
「私にも見せてください」とまじかに座って来る…が質問攻めで少し疲れる。
741 :
通常の名無しさんの3倍:2008/06/21(土) 21:44:57 ID:vOockWP4
キャンサーとムロンはそのままフラットで地球のどっかへ落ちたんじゃないか?確かアレ大気圏突破できたジャンw
741〜
良かったー嬉しーすっ。ついでに御大将も生きてるって誰か言ってみそ!
ずっとまえ
御大将が繭の中からレスするスレというのがあった気がするが
俺はターンXと共に何万年後かによみがえると思ってるよ
御大将の書き込みまつお。
この時期のディアナ様の楽しみ除湿機に溜まった水を捨てる事。
「ディアナ様〜僕は捨てませんからそこを離れてくださいー」
『本当の本当ですねーロラン?』
「はい(くすくす〜可愛いな〜)」
デ「おはようございますロラン。」
ロ「あれ、ディアナ様珍しく早起きですね。今日はお体の調子がよろしいんですか?」
デ「ええ、今朝からワタクシ、
『絶 好 調 で あ る!!!』
ロ「という夢を見ました。」
デ「トラウマですね。」
よしなに夢日記。
ギ「剣で戦ったことは?」
ロ「一度だけ」
ギ「うをおおー」
ロ「うわああー」
デ「お止めなさい!二人とも!」
ギ「ディアナ」
ロ「ディアナ様」
デ「ギンガナム!私を許してくれませんか?」
ギ「ディアナ…(涙目)私の女王よ…」
デ「さぁ二人で月に帰りましょう」
ギ「うん…じゃあローラよさらばだ〜」
ロ「という悪夢を見ました。」
デ「へたれですね。」
ロ「たまには天気予報以外も見ましょうよ〜ディアナ様」
デ「もう少し待ってください!この高気圧が台風になりそうなので」
ロ「これは梅雨と言って…」
妊娠後ですか、妊娠後は基本的に幸せに暮らしましたとさで終わらせようと思ってましたが
せっかくリクエストいただいたので少々考えてみます
ふふふ…そうだ考えるのであーる。
ディアナ「ごめんあそばせ…ほほほ」
ロラン「訂正感謝します。」
ここは(喧嘩と火事が江戸の花)で有名な大江戸八百屋丁
呉服問屋の一人娘おディア、中々の器量良しだが大変なおてんば娘である。
お供もつけず一人で町を出歩くこともしばしば…そこで母に先立たれ
父親ともはぐれ、それでも一人でけなげに生きてるロラ吉と出会い
自分の家で奉公出切るようにはからう。ロラ吉はおディアの誰とでも
身分を越えて接してる姿と天真爛漫な性格に恋心を抱くが所詮自分は奉公人
だからと諦めていた。ある日おディアとロラ吉が町で買い物を楽しんでいると
某旗本のご子息がおディアが見初めてしまう。
喜んで婚礼を進める両親と苦しむおディア、そこでロラ吉は初めておディア
も自分のことを慕っている事を知る。
二人は駆け落ちを決心する、そしてその夜…
おディア「お父様お母様〜おディアをお許しください…ロラ吉を好いております」
ロラ吉「お嬢様…ご恩は忘れませんお嬢様は絶対幸せにします」
二人は夜の中消えていった…
ロ「…それで二人はどうなるんですか?ディアナ様(ハラハラ〜)」
デ「しばらくは無事に生活できてたのですが…」
ロ「おディアさんが旗本に見つかったとか?」
デ「いや〜あの〜今度はロラ吉が男色家の将軍に見初められ…」
ロ「いやだあああああああああああああああああああああああ」
影のよしなに軍団。
756 :
通常の名無しさんの3倍:2008/06/24(火) 19:30:18 ID:KTO29cOE
オチがwwwwww
【ロランのやるときはやる@】
梅雨も上がりディアナはテラスに出て庭を眺めていた。
ロラン「何を見て有るんですか?ディアナ様」
ディアナ「植えた向日葵が育つのが楽しみで」
ロラン「人間の背丈以上育つ事もありますからね」
ディアナ「それは驚きですね!…ん?貴方ヘァバンド最近してないようですが〜」
ロラン「そうですね何処にしまったかな?ディアナ様付けてみます?」
ロランは両手でディアナの額の前髪をかき上げた。
ディアナ「おでこ出して似合いますかしら?」
ロラン「…ディアナ様!」
ディアナ「はい?」
ロラン「キスしてもいいですか?」
ディアナ「///それは許可を得なくてもロランがそう思った時何時でも私は…」
ロラン「そうですか…ディアナ様…んん…」
ディアナ「ロラン…むぅんん…」
『時間の経過を表す行…』
ディアナ「ハァァ〜」
ロラン「フウウ〜よいしょ!!!」
ロランはディアナを抱きかかえ家の中へ入っていく
ディアナ「ロランなんですか?」
そのまま2階へと
ディナア「ロラン!何処へいくのですか?」
ロラン「僕の部屋!正確にいうとベッドですがー」
ディアナ「なななん!!いきなりですかー」
ロラン「えっ?許可は要らないと先ほど」
ディアナ(そうは言いましたがこれは心の準備や諸々…)
ロラン「何かおしゃいましたか?」
ディアナ「いえ何も…」
ガチャ…キイイ…パタン…。
エロく成りません…懺悔。
昼下がりのよしなに。
ロラン「もうすぐ夜の7時ってときにこんなカキコを・・。
でもそれが天然なディアナ様の魅力なんだ、と僕は感じた」
よしなに。
秋の日、近所の農場へ収穫作業を手伝いにきた
農家旦那「朝早くから来てもらって悪いねえ」
言葉は少ないが親切なご主人だ
農家奥様「ローラちゃんも来てくれたの?うちの悪ガキもよろこぶわ」
ローラ「おばさま、ごきげんいかがですか?」
娘のローラがしっかり挨拶をする
普段は甘えん坊で暴れん坊な愛娘も一度外へ出ると愛想を振りまくかわいい子になる
子供達は芋堀を、僕とご主人で麦の収穫をすることにした
普段から学校でも仲がいいというここの息子さんとローラは仲良く芋を掘りながら
土を投げつけあったりして戯れていた
出産後、ディアナ様の乳の出が悪いからとたまたま同時期に出産をしたここの奥様に
乳を分けていただいていたこともあり、この二人はある意味兄妹のように育ったせいで本当に仲がいい
暴れている二人を制止するようにこの農家の長男が注意する
女の子もいいけど、男の子も欲しいなあ
収穫作業に熱中していると車のクラクションが聞こえた、作業を中断して車の方へ近付く
農家奥様「ご主人と娘さんに手伝っていただいて、さらに奥様にお弁当までご用意していただいちゃって」
ディアナ「いえいえ、サンドイッチなどはパンに具を挟むだけですから」
ローラが母親に飛びついて甘える、やはり外面は良くても中身はまだまだ甘えん坊だな
ディアナ「はい、あなたの分」
笑顔のディアナ様を太陽の下で見ると、いつも以上に美しく思える
もう何年も一緒に住んでいるのにそのたびに違うお顔が見えて、さらにどんどん愛しいと思えるんだ
収穫作業も一通り終わると大きな箱に野菜と小麦を詰めて持たせてくれた
農家旦那「もってけよ」
農家奥様「足りなかったらまた取りに来てね」
僕はお礼を言って箱を車に積む、ローラはまだここの弟と戯れていたがもう帰るということがわかったのか
ローラ「じゃあまた学校でね」
お別れの挨拶をしていた
ローラ「おじさま、おばさま、ごきげんよう」
車に乗り込み自宅へと向かう
ローラ「でね、お父様。先生がね・・・」
学校に行く年になってからはすっかり学校の話ばかりをする、よほど楽しいみたいでよかった
ローラは自宅に着くと元気に車から降りて玄関を開けて家の中に飛び込んでいった
僕はいただいた野菜の箱を持って玄関へと向かう
ロラン「ローラ、ちょっと玄関のドアを開けておいてくれないか」
家の中に箱を入れるとエプロンをしたディアナ様が夕食の準備をしていた
母親になってから特に家庭のことは自分でしたがるようになったディアナ様
言っても聞かない性格だからお任せしていたらもうすっかり立派なお母様になられています
ディアナ「お帰りなさい、あなた。今日のスープはおいしいわよ」
食べ終わり食器を片付けるディアナ様、そのままお茶を入れて持ってきてくださった
その横で母親の手伝いをしているつもりのローラは僕の膝の上に座ってきて小さなカップでお茶を飲んでいる
ディアナ「そういえばもうすぐ栗も落ちるころですねえ、マロングラッセを作りましょうか」
ロラン「お母様のマロングラッセはおいしいんだよ」
ローラは今日のことを楽しそうにディアナ様にお話をしていた
そして眠くなったのか、そのまま僕の膝の上でうとうとしはじめたので寝室へ連れていって寝かしつけた
きっとディアナ様も子供の頃はこういう感じだったのではないかと思えるくらい天使のような寝顔
僕はそっとおでこにキスをして
ロラン「ローラおやすみ、また明日」
水色の毛糸の玉をテーブルの上に置いて何かを編んでいるディアナ様
手招きされて近寄ってみるとなにやら採寸するかのように編みかけの水色を僕の体に合わせてみる
ロラン「これ、僕のですか?」
ディアナ「ええ、セーターになる予定ですよ」
へー、母親になるとこういうことまでできてしまうのかと感心してしまった
隣の椅子に座ってじっとその作業を見ていると
ディアナ「あの子、一人では寂しいのかしらねえ」
不思議そうな顔でディアナ様の顔を覗き込むとちょっと赤くなってうつむいたディアナ様が続ける
ディアナ「ほら、一人っ子で寂しいのかなって、私もずっと一人で育ったから」
ロラン「ああ、でも農家のお子さん達と仲良くしていたので大丈夫じゃないですか?」
しばらくの沈黙があって
ディアナ「私もあの子を産んでからまた体力が戻って来てますから、ほら、その、もう一人産めるのではと・・・」
ああ、僕はなんて鈍感なんだろうか、そう思いながらちょっと赤くなってしまった
セーターを編んでいるディアナ様を後から抱き寄せた
月の明かりがとてもまぶしくて、ああ今日は満月なんだなあと
ディアナ様が編み物をしている手を止めて、僕はディアナ様に口付けをする
ディアナ「ロラン、私は本当に今まで幸せですよ、ありがとう」
ロラン「僕も幸せですよ、ディアナ様、ありがとうございます、これからもずっと幸せでいましょうね」
ちょっとエロが足らなかったですか?
ここは全年齢板だしあまり過激になってもな
妊娠論者さんお久C-desu!自分設定では二人の子供のシナリオは一応有っても
脳内のみなのでこうやって他の方の設定を読むのは楽しめます。今回のご近所
の農場の設定も又自分の話とは異なっていて楽しめました。次の作品もMAtema!!
ロランのへたれ日記…○月∀日
長い梅雨も明け少しずつ陽射しが強くなる。
僕がまだディアナ様を憧れや敬愛の対象として見ていた頃はディアナ様は何時も
白いたっぷりとした衣装でそれ以外を見たのはあのパーティが始めてだった。
キエルさんとの入れ替わりに始まり今に至るが…あえて断言する…!
ディアナ様のプロポーシヨンは僕好みだっっ!!!特に白い二の腕が!!触りたい!!
ディアナ「ロランったらいがいとマニアックに私を見てますね。
明日もノースリーブで決めてみましよう。」
妊娠論者さんの文章にはどこか原作の匂いがします
ディアナ様の二の腕の赤い虫刺されにゾクゾクしてるマニアックなロラン。
僕とディアナ様は時々リリ様のお屋敷で開催される「月と地球の親睦会」なる
パーティにゲストとして招かれる。
僕はホワイトドールの操縦者でムーンレイスのロラン・セアックとして
ディアナ様はグエン様の秘書を勤め今は僕の奥さんになったキエル・セアック
として。世間的には月と地球の人間同士の結婚に成っているので一役かっている
わけなのだが…ディアナ様を人前で「ディアナ」と呼べない事がとても辛い
家に帰ると何時も僕は落ち込んでしまう。
ディアナ「ロラン…いいでは無いですか私は私なのですから〜」
それは分かっている…理解は出来ている…がこの切ない気持ちは…
ディアナ「折角ドレスアップしているのですよ私達ほらっ!貴方の髪型
ステキですよ」
ロラン「可笑しくないですか?顔がスースーするんですが〜」
ディアナ「こんな夜に貴方は私に掛ける言葉は用意してないのですか?」
ロラン「えっ??僕何て言ったら〜オロオロ〜」
ディアナ「殿方に落ち込む時間はありません常にリードあるのみですよ!」
ロラン「リード…あっディアナ様とても綺麗ですよそれから〜踊ってください」
ディアナ「クスクス…まぁ貴方らしですけど、分かりました」
ディアナ「もうすこし接近してもらえませんか?」
ロラン「はい(開いた胸元に目が…)」
僕は又ディアナ様に救われた気持ちになった。
ムロン「姉さん今夜はここで野宿しましよう」
キャンサー「そうだねムロン火をたきな!!」
ムロン「はいよー♪」
今宵は満天の星空であるテントの中に居なくても火さえあれば暫くは過ごせる。
キャンサー「ほらっこっちの肉焼けたよ食べなっ!」
ムロン「へい姉さんももっと飲んでくださいよ(いいなぁー姉さんと二人〜)」
キャンサー「なぁムロン!」
ムロン「はい姉さん?」
キャンサー「ディアナ様は本当に月に居られると思うかい?」
ムロン「でもニュースじゃそんな事言ってましたよね…」
キャンサー「私はさぁ〜ディアナ様は地球に居られると考えてるんだ…」
ムロン「それでこうやって二人で旅をしてるんでしょ!姉さん」
キャンサー「ディアナ様の幸せな顔を見るまでは私は…」
ムロン「分かってますって姉さん何処までもお供しますぜ」
キャンサー「ありがとよ!ムロン…」
yosinani日記。
ディアナ(あらっ確かここにしまって置いたはずなのに…???)
ディアナは隠しておいた在る物が無くなっていたのにきずき
思い当たる場所を探したが…見つからない(私が処分した?)
暫くして家の外に出ていたロランが戻ってきた
ディアナ「あっロランお茶を入れましょうか?」
ロラン「はい!お願いします」
ディアナ「ロラーンアイスティーでいいですかー???−!!」
ロラン「いいですよー??何ですかディアナ様!」
ディアナ「ロ・ロ・ロラーン!このズボンー!!!」
ロラン「この前ディアナ様がふせてくれたものですがー?」
ディアナ「だっ駄目ですよそんな下手な出来はー返してくださいー!」
ロラン「これはもともと僕の物ですが」
ディアナ「お裁縫がもっとうまくなって縫い直すから脱いでください(焦)」
ロラン「その時は他の物を頼みますからこれはこのままでいいです!
それより早く飲み物くださーいい奥さんー!!」
ディアナ「(わ〜ん)はーい」
ただ今!修行中…よしなに。
縦ロールを触ると例の合図。
意外と欲求ははっきり口にするディアナ様
ロランのさりげないお誘い…
ロラン「ディアナ様ーお風呂お先にどうぞードキドキ〜」
ディアナ「はいーではお先にー」
ガラガラ…浴室に入るディアナ。
ディアナ(はっハーバルエッセン○シャンプーとしゃ○のボディソープ…
ロラン今宵お受けいたします!!」
ロラン(もうすぐ2時間経ちますね…やったーOKだっ♪)
ディアナ様目当てで借りて、ようやく13巻まで見終わったぜ…イイハナシダナー
ターンXを押さえたまま繭の中に取り込まれていく∀が凄く悲しかった。橋になったり牛運んだり微笑ましいシーンが多かったからさ…。
妊娠とか老化で死ぬとか色々説があるんだね。よくわからんけどエンディング時のディアナ様はきっと幸せなんだろう。
自分も半分ぐらい見終えた所。
ロランとディアナのダンスシーンがお気に入り。
あとディアナと別れる際の「寂しくなる…」って場面も好き。
あれが堪えたから、ロランはディアナから離れたくないって強く想ったんだろうな〜。
ロランとディアナのよしなに日記。
>>777 ちゃんとダビングしたか?
味わい深い作品だから何度も見るヨロシ
明日休暇貰ったから投下しようかな
>>780 DVDをコピーする設備も知識もないからね。そのうち買っちまおうかと思ってる
新妻よしなに日記。
あんなにディアナとロランがラブラブだと主張していた妊娠論者さんも
見直してはじめてあのダンスシーンとお別れのシーンに気が付いたみたいですからね
そういえば最近妊娠論者みないな
ディアナ様のさりげなくないお誘い
お風呂で念入りに磨いた後薄手の着衣に真っ赤な顔で
ロランの両手を握りしめ…
ディアナ「ロ・ロ・ロラン!こ・こ・今夜〜わ・わ・わたくしを…息切れ」
ロラン「はい♪喜んで〜お風呂は入ってきまーす♪」
ディアナ(ハァーハァー又最後まで言えなかったーゼエーハァー」
ある意味凄い勇気だなw
幸せーよしなに日記。
妊娠論者です、しっかりこのスレを見て楽しませていただいておりますよ
最近ディアナ様とロランの刺激が少ないかもしれないのでもう一度見直してはぁはぁしようかなと思っているところです
今宵はロランの部屋で二人過ごしている。
浅い眠りからふと目覚めてみると向かい合っていたロランがディアナの顔を
見ている…
デ「ロラン…起きていたのですか?」
ロ「少し前からですよ」
デ「寝顔を見てるなんて///〜照れるではないですか」
ロ「昔の事を思い出していたんですよ…」
デ「えっ?」
ロ「僕は嫉妬深く見えますか?ディアナ様」
デ「いえそんな風には〜(どちらかといえば鈍感なほうかしら?)」
ロ「ふう〜あの時僕は…」
デ「あの時…?」
ロ「ディアナ様がハリーさんのスモーに連れて行かれたあの日…。」
デ「貴方は礼儀正しく別れの挨拶をしてくれたじゃないですか?」
ロ「あの時僕は嫉妬と寂しさに心が張り裂けそうでしたー」
(むにーむにー)ディアナのほっぺを両方つまむロラン
デ「ふおらはん痛いレスはーなひてくらさいー」
(むにーむにー)にっこり微笑みながら止めないロラン
その夜妖精のお仕置きはもう少し続く…
意外と、恥じらいもなくお誘いするディアナ様
ひょひなひにっひ…。
入浴はディアナ様の後と決めているロラン。
本当はロランの後に入ってみたいディアナ様。
お互いが相手にマニアックなとんでも夫婦…。
ディアナ「と、いう感じの、悪魔に捕まったお姫様を王子が助ける素敵なお話があるのですよ、ロラン」
ロラン「はあ…そうなんですか。」
ディアナ様「黒歴史を調べてたら素敵なロマンスが多いのですよ。
ちょっとやってみましょう、ロラン。」
ロラン「はあ…近所迷惑ですよ。夜も遅いですし。」
ディアナ「いいからやるのですよ、ロラン。」
ロラン「ディアナァー!お前が好きだ、お前が欲しいィー!」
ディアナ「ロラーン!」(うっとり)
ロラン・ディアナ「俺のこの手が真っ赤に燃える!」
ディアナ「勝利を掴めと!」
ロラン「轟き叫ぶ!」
ロラン・ディアナ「石破!ラァーブラブ!てぇーんきょーけぇーん!」
ディアナ「ロラン、素敵なお話でしょう?」
ロラン「…ディアナ様、たぶんこれ王子さまと王女さまじゃないですよ。」
僕達の家の近所には温泉が沸いていて、その温泉を家のお風呂にまでひっぱってきた
ロラン「ディアナ様、これで毎日温泉に入れますよ」
ディアナ「まあ、なんてステキなことなんでしょう」
ロラン「どうぞ、先にお入りください」
きっとディアナ様は温泉に浸かって養生されていらっしゃるんだろうなあ
それにしてもちょっと長いかな?
ロラン「ディアナ様?ディアナ様?大丈夫ですか?」
呼びかけても返事がない
僕は慌ててお風呂の中に飛び入った
するとクスクス笑いながら湯船の中でこっちを見ているディアナ様
ディアナ「やっぱり飛び込んできてくれました、ロランなら来てくれると思ってましたよ」
ロラン「ディアナ様。。。こっちはどれだけ心配したことか」
ディアナ「さあ、ロランも服を脱いで、一緒にお風呂に入りませんか?それとも私とではいやですか?」
ロラン「い、いえ、いやだなんてことはないです」
慌てて脱衣所に出て服を脱いでお風呂の中に飛び込んだ
ディアナ「あらロラン、ちゃんと湯船に入る前には体を洗わないと」
僕はディアナ様に外へひっぱりだされて石鹸で泡だらけにされてしまった
ディアナ「背中を流しますからね」
ロラン「なんか申し訳ないです」
ディアナ「いつもご苦労様です、ロラン最近またたくましくなられましたね」
一通り泡を流し終わってから二人でゆったり湯船に浸かっていた
髪の毛の量が多すぎて結んでいるのにも関わらずどっぷり湯船に浸かってしまっているディアナ様
ロラン「ディアナ様、髪の毛はお切りにならないのですか?」
ディアナ「え?なんです突然、長い髪の女性はお嫌いでしたか?」
ロラン「そ、そうではなくて、以前ウィルゲムの中でキエルお嬢様が髪の毛を詰まらせてお風呂で溺れそうになってたのを思い出しまして」
ディアナ「まあ、ロランったら、キエルさんとも同じようなことをしていたのですか?」
ちょっと怒ったような顔がかわいい
ロラン「いえ、あの時は本当に溺れそうだったんですよ、だから。。。」
僕はシドロモドロになりながら言い訳をした
ディアナ「他の女性の裸を妻の前で自慢なさるなんて、ロランには罰として私の体をタオルで拭いていただきますよ」
ロラン「はっ、はい、もう上がるんですね」
タオルでディアナ様の体を拭きながら思った、やっぱりキエルお嬢様よりディアナ様の方が細いんだなあ
冷蔵庫を開けデザートの出来具合を見ているロラン。
ロ「これくらいで良いかな?」
二人分のデザートを鼻歌交じりでディアナの部屋へ運ぶロラン
ロ「ディアナ様ー一緒に食べましょう♪」
デ「はーいい」
ロ「美味しいですか?」
デ「はいとっても…」甘い物は女性を幸せにする
ロ「妊娠論者さんのおかげで毎日温泉にはいれますね〜」
デ「そうですね!何時でもOKですし」
ロ「どんな方なんでしょうか?」
デ「たぶん身長180pでイタリヤなまりのある名前が反町って男性だと思います」
ロ「へええ〜ディアナ様すごいやー」
よしなに温泉
妊娠論者さんの文章はいつでも本作を意識しているから非常に良いと思うのです
ディアナ様から罰を受けたい!!!
ディアナ「ロラン限定です!」
ロラン(あの毛…処分しとかないとー。)
温泉から上がるディアナ
ディアナ「はぁ〜とっても気持ち良かったですわ〜ロラン貴方も…」
ロラン「はい」
ディアナ「お湯に浮いてると自分の重さを忘れますふぁあ〜ゴロン」
ロラン「はああースッキリした…あれっ」
ソファーではなく絨毯の上で気持ち良さ気に眠ってるディアナ
ディアナ「むにゃ〜むにゃ〜ゴロン」
ロラン「あーあっディアナ様バスローブのまんま〜」
寝返りをうつ度に乱れるバスローブを整えるロラン
ロラン「ふぁあ〜僕もチョット眠気が〜ゴロン」
ディアナ(うう〜んん)寝返りがうてなくなって目が覚めるディアナ
ロ・ロラン!わたくしを抱き枕に…。
夢のなかでもよしなに。
(あぁ…こんな事に成るならディアナ様のいう事を聞いておけば良かった…)
ロランは今自分の置かれてる状況を呪った…崖の下に落ちてしまったのだ。
先日二人で訪れた時この崖に山百合を発見しそれを摘もうとしたロランを
ディアナは危険だからと止めた、しかし一人でこっそりと訪れたロランは
この山百合をディアナにプレゼントして喜ばせたかった。
どれくらい時間が経ったのだろう…最初は感じなかった身体の痛みが
じょじょに押し寄せてくる…そして血の匂い
(僕はこのまま死ぬのかなぁ〜)目を閉じるとディアナの顔が浮かんでくる
(駄目だ僕はまだ死ねない!僕が死んだらディアナ様はどうなるー)
自分の死よりディアナの事を考えると居ても経ってもいられない…が
この状況は変わりようが無かった流れる血、身体が体温お失っていく
意識が遠のく(ディアナ様ーディアナ様ー)それは声に成らないロランの叫び
【ロラン殿ー!ロラン殿!聞こえますか?】
酒豪のディアナ様
僕を呼ぶ声がした…この声は親衛隊のデッシャーさん?僕を見つけてくれた?
【ロラン殿見えますか?私の声が聞こえますか?】
僕は返事と同時に頷こうとしたが頭に激痛が走った(うっ…)
【ロラン殿ジットしていて下さい今救援が来ますから】
暫くして救護ヘリが到着した
【この花は私が預かっていますから】
左手を見るとあの山百合を握りしめていた(あぁ無事だったんだ良かった〜)
安心すると僕は眠りに落ちた(ディアナ様…ディアナ様は悲しまれるだろう)
ディアナ様食事が出来ました。ディアナ様今日は良い天気ですね。
ディアナ様どうしたんですか?ディアナ様ディアナ様僕は…
『…ラン君ロ…ロラン君気が付いたか?ロラン君?』
(ん…この声はハリーさん?)目が覚めるとハリーさんが普通の服装とメガネで
僕の顔を覗き込んでいた「ハリーさんその格好!」
『悪いか』ハリーさんは少し怒ったような顔をした。
「すみません〜デッシャーさんは?」
『任務に戻ってもらった、ディアナ様にきずかれても困るし…』
「そうですね…」僕達の森はディアナ様の知らない親衛隊の方々に守られている。
そのおかげでディアナ様も僕も一人で行動できる。でもこんな事に成るなんて…
「(ディアナ様?)ディアナ様がいらっしゃるんですか?」
『あぁ今となりの部屋で休んでもらっている』
僕が不思議そうな顔をしていると
『君は三日も眠っていたんだ…ドクターが何度大丈夫だと言っても
ディアナ様は君の傍を離れなかった、何も口にせず眠らず私の声も
聞こえて無いご様子だった…ただ君だけを診ておられた』
「ディアナ様…」
僕は又酷い後悔に襲われた「それでどうなんですか?ディアナ様は?」
『大丈夫だ!点滴をされ今は眠ってらっしゃる心配ない』
「あの〜ご心配掛けてすみません…あの〜」
ハリーさんは少しため息をついた『もう少し休んでいたまえ』
「はっはい」僕は言われたとうり又目を閉じた。
808 :
807の続き:2008/07/04(金) 11:05:10 ID:kZTVG0zX
ドクターが来られ僕の身体の状態を話してくれた。
頭は少し縫ったとの事だ…後身体の右半分を下に落下したらしい
右肩から指先までギブスと包帯でぐるぐる捲き状態勿論右足も…僕は深くため息
を付いた(何て馬鹿なんだ僕は…)
医「お見えになった?お通ししなさい!ロランさん我々は退室します
暫くは当医院に入院なさってください」
ロ「はいお世話に成ります」その時ドアが開きディアナ様が入って来た
ロ「あっ…」医師と看護婦さん達は深いお辞儀をした
デ「今の私は…」そう言ってこちらに来られたが彼等は又深いお辞儀をして
部屋を後にした。
デ「ハリーさんご足労でしたこのご恩は忘れません」ディアナ様の目じりに
涙が光った。
ハリー「何をおっしゃられる〜」ハリーさんは少し戸惑った顔で僕の方を見た。
そしてやれやれという表情に変わったと思ったら黙って部屋を後にした。
ディアナ様はその後に頭を下げた…僕は胸がキュンと成った
デ「ロラン…」泣き出しそうな声…涙ぐんだ美しい瞳そして喜びの表情…
ディアナ様はベッドにかけよると床に膝を着き僕を見上げる
ロ「ごめんなさい…僕」言葉が見つからない、ディアナ様はテーブルに
おかれた花瓶に目をやると
デ「貴方という人は…殿方は本当に命知らずなんですね…」
ロ(僕の脳裏にほんの一瞬誰かの姿が浮かんで消えた)
デ「貴方が居なくなったら私はどうなるんですか?」
ロ「…すみません」
デ「貴方の代わりなど存在しないというのに…」ディアナ様は少し膨れた
ほっぺで僕を見上げた…僕の胸は又きゅんと成った。
そして僕は気が付いた…僕が彼女無しでは生きられないってことが…。
終わりました!長くなって済みませんでした。
しかも上げてしまったああああああ懺悔。
失敗は取り返せばいいんですよ
妊娠論者さん
次のお題は祭りでお願いします
お祭りですね、なかなかに興味深いお題ありがとうございます
まとめきれるかどうか不安ですががんばります
ディアナ「ロラン!良くなったらわたくしにサラシを捲いてくださる?」
ロラン「えっいいんですか〜」
ディアナ「はいわたくしを心配させた罰です」
ロラン「はっはい喜んでおうけします♪」
カラオケに行って張り切ってサブちゃんの祭りを歌うディアナ様
こういうのじゃだめ?
ディアナ様の「祭り」の熱唱に割れんばかりの拍手を贈るロラン。
その後「矢切の渡し」をしっとり歌い上げるロラン。
今日は地元の秋祭り、豊作を祝うお祭りだ
ディアナ様は朝からそわそわされていて、身重なのにどうしても行きたいと駄々をこねられる
仕方ないので少しだけ見るだけですよと連れ出したのだが
ディアナ「ロラン、ほらみて、あそこには綿菓子もありますよ」
ロラン「ディアナ様、また食べるんですか?太りますよ?」
ディアナ「まあロランったら、おなかの子供の分まで栄養を取らなくてはいけないのですからね」
そういうとディアナ様は綿菓子をペロリとたいらげてしまった
ついこの前まで何も食べられないくらいつわりが酷かったのが信じられないくらいだ
椅子に座ってコーヒーを飲んでいると近所の農家夫妻がいらっしゃった
農家奥様「あら、ロランさんところの奥様もかなり目立つようになったわね、元々細いから目立ちやすいのかしら?」
こちらの奥様にはいろいろと妊娠中の食事などでアドバイスをいただいている
そして奥様もまた妊娠中なのだ、その奥様の隣でまだ小さい男の子が飴をなめている
農家旦那「奥さん、はじめてのお子さんだと不安でしょう、うちのでよければいつでも相談してやってくださいね」
ディアナ「ありがとうございます、ご近所様に大先輩がいらっしゃって本当に安心できます」
そういうと妊娠話に花が咲いていた
ディアナ「でね、うちの人なんかね、もう私が重病にかかったって勘違いしてものすごく慌てたんですよ・・・」
そんな話、もう思い出したくもありませんからね
この付近では祭り会場の横に流れる川に人形を流す習慣がある
元々親を亡くしたばかりの子供が天国の親に元気ですよという意味で流していたのだが
戦災で多くの人が亡くなってしまったので子供を亡くした親や友人、知人、恋人などを亡くした人も流すようになったらしい
たくさんの人形が川一杯に流れていく
ディアナ様も人形を用意していたようでそれにメッセージを書いて流していらっしゃった
ディアナ「(天国のみのむしさんへ、竜宮城はいいところですよ)」
ロラン「ディアナ様、戦災で亡くなった方の供養ですか?」
ディアナ「そうですね、この前の戦災だけでなく、月というシステムの犠牲になった友人に」
しばらく沈黙があって
ディアナ「戦災で亡くなった方々の分まで人形を作ってこればよかったかしら?元々は私のせいで・・・」
僕は途中でさえぎるようにディアナ様の肩を叩き夕焼けの空に赤く染まる近所の山を指さした
ロラン「今ディアナ様のお腹の中にも、そして今晩あの山の上でも、戦災で亡くなった方の生まれ変わりが生まれるんですよ」
ディアナ「そ、そうでしたね、なくなった命は後悔しても戻らないですものね」
その夜、ビシニティで言う成人式がこの地方のやり方で行われていた
15歳の男女が山へ神輿を担いで行って宵越しで騒ぎまくりのだ
僕達は山へ登っていく神輿を見送った後、家に向かって歩いていた
ディアナ「ロランもあんな風に成人式をやったのですか?」
ロラン「まあ似たようなもんですね、こんなに近い町でもいろいろと風習が違うみたいで」
ふと自分の成人式のことを思い出してしまった、ソシエお嬢様と二人で聖痕を付ける儀式の途中にディアナカウンターが
降りてきてノックスの町を焼いたんだったなあ
でもそのことはディアナ様に言うとまた悲しい思いをさせてしまうのかもしれないとそっと胸にしまっておいた
ディアナ「ロラン?どうしました?成人式のお話を続けてくださいな」
ロラン「え、ええ、ソシエお嬢様と一緒にホワイトドールの前で聖痕を付け合うことになったんですけどね」
ディアナ「ソシエさんと一緒に成人式を行ったのですか、それは楽しそうでなによりでした」
ロラン「なんで怒るんですか、ディアナ様、でもその時は聖痕もつけれなかったんですって、本当ですよ」
ディアナ「なんでです?なんでそんな大切な儀式も終えられなかったのですか?嘘おっしゃい」
ロラン「えー、言えないんです、言えないんですけど本当なんですよー、なんにもなかったんですから」
ディアナ「ソシエさんと宵越しで何をなさっていたのやら」
自宅についてからもディアナ様はちょっとご機嫌斜めのご様子
お茶を入れて差し上げたのだけれど、ちょっとだけ目線をこちらに移しただけでまた窓から遠くを見てしまう
ご機嫌が悪いときには近寄らないのがいいのだけれど今日は散々歩いたしディアナ様のお体のことも心配で
ついつい近くにいないといけないような気がしていた
ディアナ「今あのお山でどれだけのカップルが誕生しているのでしょうねえ」
突然話しかけられてついついビクっとしてしまった、ディアナ様はその様子を横目で見ていらっしゃった
ディアナ「私は昔のことをいつまでもくどくどというような女ではありませんよ」
そういうとくすくす笑い出した
ディアナ「私だって昔話で言えばロランよりもたくさん恋の経験をしてきましたからねえ」
ロラン「たくさん、ですか?」
ディアナ「ええ、たくさん、です。でもどれひとつ成就しなくて、唯一成就したのがロラン、あなたとの恋だけなんですよ」
ディアナ様がテーブルの反対側から手を伸ばして僕の手をそっと握ってくださった
ディアナ「今はあなたとこうして居られてすごく幸せを感じているんです」
その時の笑顔がとてもステキでした
ディアナ様が近所の温泉を引いてきたお風呂から上がって来られた
ディアナ「今日は歩き疲れましたから温泉は本当にいいものですね」
今までの寝室着ではお腹がちょっときつくなっているみたいだった
ロラン「はしゃぎすぎるからですよ」
そういうとディアナ様の手を取って寝室へ
ディアナ様はベッドに横になり、僕はその脇に椅子を置いて手を握りながらお話をする
ディアナ「今日は本当に楽しかったですねえ」
ロラン「本当に楽しかったですね、来年もまた行きましょう、その時は3人で」
ディアナ「そうですね、3人で行きましょう、お父様と生まれてくる子と3人でね」
ディアナ様は幸せそうにうふふと小さく笑わった
ディアナ「生まれてくる子は幸せですね、ここで両親と一緒にすごせるのですから」
そういえば僕も両親の記憶はないし、ディアナ様に至ってはご両親が健在だったのはいつだったのかすら
ロラン「僕たちも幸せですね、こうして家庭を持つことができたのですから」
ディアナ様に僕の言葉は届いたのだろうか?すっかり寝息を立てていらっしゃった
ロラン「ディアナ様、おやすみなさい」
そういって僕は椅子をそっと立った、ディアナ様の枕元には最近妊娠されてからずっと手持ち無沙汰なのか
木を拾って来ては何かを作っているようだった気の人形が二つ置いてある
片方が女性のよう?片方が男性のようかな?そして最近それより小さい木を拾って来られてそれを一生懸命に
削っていらっしゃる
これはきっとこの二つの人形の子供なんだろうか?
僕はそっと部屋のドアを閉じるのだった
あの夜から何事も無い日々が過ぎていきました
私は服を着替えながらふと姿見に目をやり自分の胸に手を当てました。
そして目を閉じその温もりであの日のロランを思いうかべました…
(あぁ何て幸せなのだろう私は…あの方に求められるなんて今夜
私の方から行こう…)そう決心した私は下着をつけず薄い服を一枚だけ
身に着けロランの部屋を訪れました。
部屋のドアをノックしましたが返事はありません…が進入ロランは机にうつぶした
まま眠っていたらしく慌てて立ち上がると私の姿を見て激しく動揺しました
ロラン「ディアナ様どうなさたんですかー!」その問いに返事をせずに服を脱ぎ
捨てようとするとロランの手がそれを止めました。
ロラン「ディアナ様やめて下さい」泣きそうに絞り出した声、瞳は閉じたまま
頭を激しく左右に振るロラン
ロラン「…あの夜の事はどうか忘れてください…僕は…」
私はその手を両手のひらで包むと口付けをしました
ロラン「ううっディアナ様?」ロランが切ない目をして私を見ました。
ディアナ「傷だらけで逞しい…愛しい手…」
ロラン「…ディアナ様…」
ディアナ「この手で私に触れて欲しい…私の全てをーロラン愛してください」
私は衣服を脱ぎ捨てロランにしがみつくとロランも私を強く抱きしめました
ロランはベッドの上で私をまたぎじっと私の全身を見つめました
ディアナ「ロラン…恥ずかしいですから〜」
ロラン「ディアナ様綺麗です…とても」頬を赤く染める。
ディアナ「愛していますロラン・セアック」
ロラン「僕も愛していますディアナ…」
その夜わたし達は身も心も一つにな成って満たされていく…海のように。
職人さんたち いいよ いいよ
夏だっ!わっしょいよしなに日記。
みのむしキタコレ
グエン様から痛い手紙が届かなくなって僕はホットしていた…
男性からのなんと言うか〜僕にその気が無いのだから仕方がないが
諦めていただくしかなくただひたすら冷めてくれるのを祈るばかり
…で安心していたらなっなんと今度はディアナ様宛てに手紙やら
小包やら花束やら…僕は驚愕した!グエン様は男性なのだから本来なら
女性に求愛するのがすじ〜しかしよりによってなんでディアナ様をー
女性に興味を持たれていなかった時は内心安心していたのにー
これでは以前のほうがよっぽどましだ!!
ふむふむ…やはりそう勘違いしてましたかロラン。
あのグエン様がそうそうあなたを諦めるわけはありません
わたしのすきを狙っているのですよ…でも楽しいから暫くは
勘違いさせておきましょうごめんなさいね!ロラン!よしなに。
よしなに
>>823 GJ
…しかし前から思ってたんだが文末の「ー」とか「〜」は何の意味があるの?
「にぃぃ」→「に〜」という具合に使ってます。言葉をのばしてると
思ってください。よしなにー。
ロラン「ディアナ様僕は暫くは二人っきりで居たいのですが…」
ディアナ「私もですよロラン♪(もう二人っきりですけど?)」
ロラン「ディアナ様♪(赤ちゃんに盗られるってキースが言ってた…困る)」
ディアナ「ふーふふんふん ふんふんふー ふんふんふー ふんふんふー♪」
ディアナ「マロングラッセがやっとできたわ、ロランは喜んでくれるかしら?」