【新入生】ここはパイロット養成所No.3【募集中】
>758
「「いらっしゃいませー。」」
(と、二人の反応は早い。
基本的に閉店時間は過ぎているが、個人経営の店の強みという奴か、
突然の来客であっても普通のサービスが可能なのだ。
まぁ、流石にテーブルの上に広げられていたメイド服は如何ともし難かったが…
軒先のプレートに【CLOSE】と掲示するのを忘れていたのだから仕方が無い。)
「お待たせしました、アイスティで御座います。」
(手早く用意されたアイスティーを、直ぐにクリスが運んで来た。
因みに彼女が着ているのはシックなタイプの落ちついたエプロンドレス。
試着の途中だったからだろう、着替えている時間は無かったらしい。)
>>759 「……こちらは、そういうお店なのでしょうか?」
坊ちゃまに窺ったのとはだいぶ異なるようですけれど、と呟く彼女。
最近流行りのコスプレ系喫茶と誤解したようだ。
>760
「……いえ、説得力は無いでしょうけど違います。
本当の制服はあちらで……。」
(クリスが視線で示したのは、カウンターに立っている黛だ。
なるほど、白いシャツに黒っぽい紺のタイトスカート、
メイド服とは似ても似つかない、何処と無くキッチリとした感のある制服だ。)
「…不愉快でしたら、申し訳ありません。」
(はぁ、と思わず呟いてしまう。
目の前の女性の服装を見ていると、思わず萎縮してしまうのだろう。
自分が着ている物も近いとはいえ、そもそも自分自身が本職ではない。)
>>761 「いえ、決して不愉快などでは――」
困ったような笑顔を浮かべる彼女。
落ち着いた上品な雰囲気だが、笑顔になると明るく快活な印象を与える。
身に纏った雰囲気は生来のモノではなく、長年の修練で得たものなのだろう。
「――それに、貴女ならばよくお似合いですよ」
>762
「そうですか…ありがとう、御座います。」
(軽く、一礼する。
そう…実際似合ってはいるのだ、小さな身体でよく働く姿はまるで小鳥のよう――
とは誰の言葉か、しっかりと働いているが故に、その可憐さは引き立つと言うか。
それは多分に、容姿と性格が関係しているからか。)
「けど…お客様も、とてもよくお似合いですよ。
養成所の生徒さん…ではありませんよね…?違ったらごめんなさい。」
>>763 鈴を転がすような笑い声。
「ええ、私は主の傍に侍り日々のお世話を生業とする身。
この度ようやく、我が主人の身の回りが落ち着いたとのコトで呼び寄せていただいたのです」
少女のような可憐さと、大人の女性の落ち着きとが同居する彼女。
己が仕える主のコトを口にした時の表情は、とても幸せそうなものであった。
>764
「…という事は、その方は養成所の生徒さんですか?
でしたら私も合った事があるのかも知れませんね、私も生徒ですから。」
(微笑み。
目の前の人間が微笑めば、同調して微笑むのは彼女の癖だ。)
「…けど、そういう事ならこれからもお会いするかもですね。
何かお困りの事があれば、見かけた時にでも気軽に声をかけて下さいな。
…それでは、ごゆっくりどうぞ。」
(丁寧に一礼して、下がる。
Christine Clausと書かれたネームプレートを胸に付けた女性は
店員からの指示を受け、そのまま店の奥へと下がって行った。)
>>765 穏やかな笑みを浮かべながら、店の奥へ消えていくその姿を見送る彼女。
正確に言えば、彼女が仕える主人は養成所の生徒では無いのだが――訂正するほどのことでもない。
「丁寧ですね」
一口飲んだアイスティーの感想をそう呟き、
彼女――ブリジット・リゼル・イエイツは久方ぶりの主人との再会までの時間に胸をときめかせていた。
保守
test.
「………むぅ。」
(さて、ここは養成所の格納庫だ。
自分の機体の直ぐ傍らで溜息をついているのは一人の青年。
先日の依頼の報酬を使っての、愛機の強化プランを検討しに来ているのだが…
その様子は、どうやらその辺りとは無関係そうな感じである。
何か滅入っているとか、そんな感じだ。)
>769
(その様子を遠目から確認すると、彼の目前までゆったりと歩み寄ってくる。
何か声をかけるのだろうかと誰もが思ったその時――)
……ふぅ。
(何故か彼女もまた、深く物憂げな溜息を吐いたのだった)
>770
「………?
こんにちは、ラナさん。
…どうしたんです?」
(と、流石に気になる青年だ。
自分も相当アレな空気を纏わせていたクセに、思わず聞いてしまう。)
>771
……………………
(ちら、と彼に視線を向ける。が、一瞬でその目を伏せて)
そうですわね、「思いつきで受け狙いに走ると空回る」と言う世の心理を体感した所ですわ。
(よよよ、といつもの和風服の広い袖口で乾いた涙を拭う)
>772
「…………」
(眉間にシワ、人差し指と中指で自らの其れをグリグリとやりながら)
「…えーと、つまりラナさん。
今のは俺にウけるのを狙っていた……と?」
(あろう事かボケの解説を求め始めた青年。ヤバイ!)
>773
流石のわたくしも、捻るような唸り声を上げる人の前にへと、
わざわざ詰め寄った上で頭上から溜息を落とす様な
エキセントリックな行動には走れませんわ。 頭上から落とすなら踵が一番ですもの。
さて、慣れないボケキャラはともかくとおきまして、如何なさいましたの?
ユルゲンス様にしては珍しく深刻に懊悩なされてるご様子ですが……
(ここでやっといつものラナ・スマイル(光)が浮かぶ)
>>774 「(…こ、怖ェーーーーーッ!?)
そ、それは良かった。」
(背筋に走る悪寒。
なるほど、如何してもこのリヒャルトという青年、
このラナという女性には勝てそうに無い。それはもう破滅的に。)
「あぁ…そういやぁ言ってませんでしたね、ラナさん。
俺、少しですけど…『視える』んですよ。」
(と、ちょっとだけ悪戯っぽい笑みが。)
>775
……「視える」と仰いますと、つまりアレがユルゲンスさま"にも"見えてると言う事……でしょうか?
(そう言って、彼のすぐ傍の機体の足の影辺りを指差す。
ちなみに、「視える人」でも其処には何も見えてない筈なのだが)
>>776 「いや、ご期待に添えなくて申し訳無いんですけど…そんなに沢山は。
時折視えるってだけなんですけどなんですけどね。」
(そう言って視線を移す、確かに何も見えていない。
しかし視えると言うのは、あながち嘘では無さそうだ。)
「…でまぁ、ちょっとだけ滅入ってた所です。」
>777
…………?
(小首を傾げる)
それはつまり、金縛りやらぽるたーがいすとやら
夜な夜なナイフから血が滴るような音が聞こえたりしている、という事でしょうか?
>778
「そうそう、後はオーソドックスに幽霊とか。
幸い自分のそっくりさんには合ってませんけどねぇ……」
(と、そこで言葉を切る。
小首を傾げるその動作に、あぁしまったと思ったか。)
「…いや、すみません。
何か変な話でしたね、ラナさんは機体の整備でしたか?」
>779
火星ですから、なにやら新種の幽霊と遭遇するやもしれませんわね。
その際は是非とも関係学会ご報告なされるとよろしいかと(にこり
わたくしですか?
えぇ、最近はどうも寝つきが良くないもので、
気が付いたらふらふらと妙な場所をうろついていたりしてしまいますのよ。
(有る意味、彼女のほうが幽霊のようなものかもしれないかもしれない)
同じくして格納庫の隅。
何やら話している二人組み。
それはコンビと言うには聊か凸凹過ぎた。(体躯的な意味で)
「・・・そうであります。
試してみては?という勧めであります、この―――」
整備班員シェル・ライオネットが手で示す先、その鉄(くろがね)は在った。
兵装ハンガーで調整を受けているらしい、長大なシリンダー。
「砲身長12.7メートル、発射速度3500/min、装弾数2800×3、
劣化ウラン弾にも劣らぬ特殊徹甲弾を用いたMS用ドラム給弾式速射砲、その名も“劫星二式”を。」
「・・・・・。」
風鳴り、呼吸音。
じっとそれを見詰めた後、散々焦らして3メートルの仮面巨人、
アイアンマスクは鉄格子のようなその口元から電子音声を響かせ呟いた。
「・・・・・・・俺゛ノ、好キ・・・・違ウ・・・・。」
シュミでは無かったらしい。
目深に帽子を被り残念そうなシェルであった。
こちらは心底似合うのではと思っていたらしい。
>780
(いや、俺そっちの学会には知り合い居ないんで。と苦笑して返す。
実際彼が見たと言う物にしたって、余り珍しい物は無かった。)
「へぇ……それは大変だ。
しかしそれは危ないですね、それだと此処以上に危険な場所にも出てしまうかも知れない。
寝付きが悪いとなると……何かあったかな……。」
(と、真面目に心配している辺りどうなのだろう。
そう、危険な場所といえばここも十分に危険だよなと思って周囲を見渡し)
>781
「そう、ああいう物も運び込まれてるし…危ないな。
…しかしあれ、良いなぁ。」
(ふと目に入ったその重火器が、どうにも彼の趣向にクリティカルヒットしたらしい。
使おうなどとは思わなかったが、惹かれる物があった様だ。)
>782
いえ、何と仰いますか、こう、意識ははっきりしてるのですが、
自分が何を考えているか良く分からない、と言うか、ええと……
こ、これではわたくしが只のアブナイ人みたいですわねっ。
……なんと説明したものでしょう。
>781
(そのシリンダーを見る)
……わたくしは、ちょっと遠慮致しますわ。
あれでは、必要最低限の機動力も確保出来そうにございませんし……
>783
「……ふむ、夢遊病とか…そういうのとはまた違うんですね。
何か……それ聞いたら余計に不安になって来ました。
気休めかも知れませんが、気をつけて下さいよ?
聞いてしまった以上、何か事故でもあったら悲しいですもん。」
(真顔。)
「あぁ、俺も実際に使うのはしませんけど…。
ただああいうのは、単純に好きだなって。」
「あー、ではでは次の商品に言ってみましょうかシェルさん?」
「そうでありますね、クレハさん」
「商品ナンバー1026、こいつは凄い!MS用チェーンソー!」
「刃渡り5メートル、回転数は分速1000回、整然と並んだ刃は全てチタニュウム製の特注品。」
「更には振動式切断機構を搭載、威力良し、取り回し良しのこの商品!如何でしょーかミスタ鉄仮面?」
「・・・・・!」
ふしゅー、ふしゅー!
「おお、目が発光してる。・・・輝いてるのか?」
「若干興奮気味でありますね。・・・・というかクレハ、いつから此処に。」
「ついさっきさ。下手なナンパと面白そうなコトには首突っ込まなきゃ。」
「下手なナンパ?・・・その心は。」
「黙ってられない!」
ここは格納庫の隅。
暇な男どもによる品評会が催されていた。
>784
あぁ、フィクションとして、という接頭語付でしたら、わたくしも悪い気は致しませんわね。
ですが、何度この目を擦っても、アレが現実の物に見えてしかたないのですが……
>785
(一瞬、体の重心の取り方を格闘技のソレに変えそうになるが、すんでの所で踏みとどまった)
……いったい、この夢のような悪夢の商品は幾つまであるのでしょう?
(そう呟くので精一杯だ)
>>786 「…えぇ、俺も同じ気持ちです。
俺はスカウト(偵察兵)ですから、武器は一つで良い……。」
(そう、傍らの彼の愛機を見れば何とシンプルな装備な事か。
光学式照準器を備え、ボルトアクションで動作する狙撃銃。
大きささえ除けば、歩兵の扱う其れと大差は無い。)
「いや、それにしても…ああいう物を作れるってのは凄い筈なのに。
何で関心よりも驚きが先行するんでしょうね…?」
>787
凄くなるべき方向を全力で間違えてるからだと思いますわ……
そう言えばわたくし、そろそろ講義の時間でしたわね。
お先に失礼いたします。
(こめかみを押さえながら去っていく。彼女に"男のロマン"は早過ぎたようだった)
>788
「ええ、お気をつけて。
…精々、普通に凄くなりたい物です。」
(そう言って、去っていく彼女の後姿を見送る。
そうして一息つくと、結局彼もその品評会へと飛び込んで行くのだ。)
「…よし、好奇心は助けなりとな…!」
(何故なら、彼もまたヒマな男だった。)
「どうにも間隔が追いつかないな……」
(さて、その数時間後のことだ。
場所は変わらず格納庫、しかし今の彼はパイロットスーツ姿で、
丁度訓練にでも出ていたのが分かる。
しかし彼が乗っていたのは、愛機であるS4では無い。
砂漠仕様に回収された、中古のマグアナックだ。)
「装備のテストって言っても、もっと修練が必要だな、これは…。」
>790 優男
「お久しぶりですね、リヒャルトさん。」
その時、ふと掛けられた声。聞き覚えがあるものだ。
更に振り返れば見覚えのある二房に分けられた茶色に近い黒色をした長い髪が揺れる。
「覚えてますかー?
碌にお見舞いも出来なかった薄情者のヘリオーネです。」
苦笑い、そして頭を下げて挨拶。
「えへ…この度は悪循環の脱却のため、思い切って話し掛けてみました。
えと…今日の訓練は今のでお仕舞いでしたか?それなら、お疲れ様です。
あ、丁度ドリンクもあるんです。如何ですか?」
用意してたのか、少し一方的に話を進めリヒャルトにタオルとドリンクを差し出した。
>791
「―――うん、勿論覚えてるよ。
約束を前にして見事なまでに大怪我した、情けない男のリヒャルトは。」
(顔を向けて、返す表情は苦笑い。それもかなりバツの悪い。)
「ありがとう、頂くよ。
自主訓練は終わったけど、まだまだこれからやっても良いかなって。
……しかしなぁ、ヘリオン。
俺の方でも見事に悪循環に陥ってた訳で…そんなに負い目を感じる事は無いんだぞ…?」
(と、どうにも性急すぎるきらいのある発言ではある。
結構この男もテンパってるのだろうか。)
>792 優男
「あは、……図星、ですね。
すごいです、どんぴしゃり、ですよ?」
俯き加減で呟き。
「えへへ、こういう性格ですから、割り切れなくて。
今だってホントは凄く迷惑なんじゃないかって…話し掛けるのだってすごく勇気が要りますよね。」
顔を上げて力無く微笑む。
「サリクスさん達を手術室の前で見ましたよ。
結果的にお二人に任せてしまうように感じたのは何故でしょうね、私もすごく心配してたのに…。」
何を言っているのだろう、とかぶりを振って、微笑みなおす。
「とにかく!
……大分身体の方も治ったご様子で安心しちゃいました。
私たちは危険と常に隣り合わせですから、これからも気をつけて下さいね…?
今日はこれだけを言いたくて……その、失礼しました。」
終始一方的ではいけないだろうに、
しかしヘリオンは踵を返して行こうとする。
>793
「いや、迷惑だなんてそんな。
それに…どんな形であれ、心配してくれたのはとても嬉しい。
勿論彼女達にも感謝してるけど、それを君が負い目に感じる事は無い。
……その、俺はそういうの…慣れてないから。
だからヘリオンの言う、勇気が必要っていうのも分かるつもりだよ。」
(そう言って、踵を返して去っていこうとする少女の背中。
それを見送る――事はせず、その背中に一つだけ。)
「――ヘリオン、それと後一つだけ。」
>>793 「 お お っ と 」
出合いがしらの接触事故発生――直前の緊急回避。
ヘリオンの頭がぶつかるより早く、円を描くようにひょいとターンをして避けた。
そのまま、目の前の二人の様子を興味深そうに眺め……ニヤリ。
「命短し恋せよ乙女、花の命も何とやら――」
軽い笑いを残してひょひょいと歩き去っていく。
>794 優男
踵を返して思う。
ああ、なんだか彼との距離が一番最初に戻っちゃったな、と。
無理も無いとは思うけど、ホントはもっと話したいけど。
彼はああ言ってくれているけど、許してくれるかも知れないけど。
自分が自分を許してくれず、こんな言い方、別れ方しか出来なくて。
あの時もっと冷静で居られたなら、あの時もっと素直で居られたなら。
いけない、いけない。
後悔しない為に言葉を伝えに来たのに。
また普通に、ただ普通に、話し合えたらな、
などと望んでしまうと、目頭まで言うことを聞いてくれなくなって―――
「……え?」
少し上擦った声で、ヘリオーネは振り返る。
人差し指で瞳の雫を払おうとした瞬間だった。
>795 赤髪教官
「…はわ!?」
と教官の超反応に遅れてこちらも気付き、
自分がいかに前を見ていなかったのか思い知らされる。
「えっと…スカーレット教官、すみまs…あれ、居ない?」
キョロキョロと少し赤くなった瞳で周囲を見回すも彼女は既に意味深な台詞を残して立ち去った後。
「はぅ…」
今度謝ろうと思うヘリオーネであった。
>796
「もう一度だけやり直したいと言ったら、駄目かな。
俺は、あんな事故で中断されたままなんて嫌だ。
そう…今度はまた、俺から誘うのでも良いからさ。」
(振り返って、最初に飛び込んでくるその顔。
それを敢えて形容するならば…そう、何故かは分からないけれど、彼は必死だった。
何故そんなに必死なのかは分からないけど、何かに縋り付く様なそんな感じ。)
>798 優男
「え……そんな、こと……」
-なんで、どうして、なぜ?
そんな事を言うんですか?
それじゃまるで私の気持ちを全部見透かしてるみたいじゃないですか。
なんで…どうして…なぜ?
そんな顔をするんですか?
これじゃまるで私が貴方を許さないみたいじゃないですか。-
「……良いんですか?
私、まだあの時に考えた予定のメモを未練がましく取って置いてあるくらい、おこがましいんですよ?
リヒャルトさんは本当に良いんですか?
そんな事言ったら、ホントのホントに調子に乗っちゃって、またうるさくなるかもしれないですよ?」
-なんで、どうして、なぜ?
私はこんな事を言ってるんだろう?
白々しいな、恥ずかしいくらいに。
おこがましいな、私のクセに。
「…よく、考えたほうが良いですよ、大したこと、無い筈ですから…」
…解かって欲しいのかな、リヒャルトさんに。-
>790
「勿論。
というより…本音を言うと、俺自身そうしたい。
これじゃあ余りにも、な。」
(それだけ告げて、気恥ずかしくなったか言葉を切るが、視線は逸らさない。
先程通りがかったのはマーヴェリック教官だったか、
多分後でとても恥ずかしい事になるかもと、漠然と予想はしたけれど。
けどそれ以上に。
目の前の少女をそのまま行かせたら、多分自分はもっと後悔しただろうと思ったから。)
「…それに…立てた予定は、履行しないとつまらない。
楽しい出来事は準備するのも楽しいけれど……、
やっぱり一番楽しいのは…実際にやるのが一番、だろう?な?」
>800 優男
「…おこがましくても良い、自分からそう言えば良かったのに。
ごめんなさい、リヒャルトさん……言ってもらっちゃいましたね、えへへ…ズルいなぁ、私…」
俯き加減、前髪と二房に覆われて表情は伺えない。
口元を押さえた両手が少し震えていた。
>801
「…良いよ、こんな事で良ければ幾らでも。
それに多分、言わなかったら俺はもっと後悔してたと思うから。」
(そうして、彼女から受け取ったタオルとドリンクを持ったまま。)
「……参ったな、大丈夫かい?ヘリオン。」
(ほんの少しだけ困り顔。
しかしどちらかと言えば、少しだけ嬉しさの成分が勝っている様に感じられた。)
>802 優男
「幾らでも、はダメですよ?
こういうのに弱い女の子だって居るんですから、出し渋らないと。」
やがてゆっくりと顔を上げたヘリオーネの表情も、
何時ものようなやんわりとしたものに戻っていた。
「ごめんなさい、私は大丈夫です。
でも、嬉しくって…ダメですね、
ただでさえ誇れない顔がひどい事になっちゃってます。」
えへへ、と控えめに笑う。
>803
「…そうなのか?」
("こういうの"が一体何の事か、イマイチ合点がいかなかった様ではある。
しかし上げられた顔を見て安堵する、
彼は、自分の所為で人を泣かせるのは嫌いな人種だ。)
「俺はそんな事は無いと思うんだけどな…。」
(と、無意識の内に口から漏れたのはそんな呟き。
それはとても小さな声だったが、彼は自分自身でも驚いてしまったらしく。)
「――ッ!、?
そ、それじゃあ…そろそろ俺は着替えてくるよ、
ヘリオンももう、今日は訓練は無いんだろう?」
(ちょっとだけ緊張している彼の動きは、何処と無く可笑しかった。)
>804 優男
「えっと、あ、はい!
今日はもう、二時間くらい前に終わってて…。
実はその後はずっとリヒャルトさんの演習を見てたんです、って言ったらダメでしょうか?
今日は占いの結果も良かったから、思い切ってタイミング選んだんですよ。」
と段々気恥ずかしさから声を小さくしながら、
リヒャルトが更衣室に消えるとふと漏らす。
「もう、リヒャルトさんってば…
素で言ってるのか、からかわれてるのか、時々わからなくなりますよ?」
溜息混じりの言葉。安堵の微笑み。
なんとか件については心の折り合いもついた様子で、落着を見せたようだった。
>>756 呆気なく事件は解決した。
主犯とされる人物がオリンポス山の軌道エレベーターから衛星軌道上の宇宙港へ脱出を図ろうとした際に、
張り込んでいた捜査官によって身柄を拘束されたのが切欠だった。
彼は容疑事実を認め、その上で自分の行動の手前勝手な正当性を主張した挙句、
拘置所の中で服毒自殺を図り死亡した。
生前の彼の証言から協力者や部下たちを芋づる式に摘発することに成功した火星警察機構の、
それは唯一の失点であった。
以降、火星開拓史上類の無い大規模盗賊団による襲撃事件は加速度的に終息へと向かっていったのだった。
ume