>>509 ――隕石やコロニーを落としても、簡単に全滅なんてしないんですよね。
富野 ボクは未来に絶望する必要はないと思います。絶望する必要がないからこそ
良い秘策をそろそろリアルに考える時代に来ていると思うんです。
だからこそカミーユに最後に言わせているんです。「地球の重さも大きさも、
想像できないのに何言ってんの?」って。
――そういう時代の生き方としてどのようなモデルがあると思いますか。
富野 答えは右肩上がりの生活を止められるかどうかじゃないかと最近思っています。
たとえば、ヒントは平安時代や江戸時代みたいな暮しにあると思うんです。つまり、
茶の湯や借景のような日本人が発明してきた「美意識を追及する」という感覚です。
こういったもので、穏やかに持続する生活の中でもおかしくならないで暮らしていける
心の在り様を、みんな手に入れればいいんです。
最近のフィギアの完成度なんか見ていて、この頃、実はアニメオタクといわれている
連中は平安貴族になりえるんじゃないかと思って、「おまえら頑張れ」っていう気に
なってきている部分もあります。僕は、その感覚はかなり正しいんじゃないかって
思い始めています。