龍法聖 『この巻物は一体・・・!?』
2 :
通常の名無しさんの3倍:2005/07/31(日) 16:42:10 ID:wq29JT9+
2げっと
ジオンが甲賀で連邦が伊賀
蛍火はハマーン
>>4 妥当だな・・・
天ちゃんはシャア?(ジオングだし)
>>1の続き
??? 『その巻物を返して貰おうか・・・』
龍法聖 『何奴!?』
欲情すると口から毒ガスを吐いて、コロニーを壊滅させるシーマ様
>>7の続き
龍法聖 『おお・・・舎利亜老ではないか?』
???=舎利亜無流 『・・・あの鷹は我が当主の使い・・・
それを打ち落とそうとは如何なる所存か?』
龍法聖 『ほお・・・やはりジオンの鷹であったか!
では、この巻物は・・・ふふふっ・・・』
>>9の続き
舎利亜 『・・・法聖・・・貴様・・・!!』
龍法聖 『おお!怖や・・・怖やッ!!何、只の戯れでござるよ♪
しかし、この巻物に何が書かれているか気になるのォ・・・』
舎利亜 『・・・・』
龍法聖 『(チラッw)』
舎利亜 『おのれッ!!』
(MAブラウブロ登場)
龍法聖 『わわわ・・・っ!?』
人参に触ると体が溶けるコウ・ウラキ
14 :
通常の名無しさんの3倍:2005/07/31(日) 21:26:53 ID:K/mOuiuZ
スレ主はほったらかしか?
どこ行ったんだ?
弦の字はシローで朧様はアイナだな
色々と名前を変えては相手を欺く如月シャア衛門
漁師と同化し、水中でもホワイトベース館内でも楽々と侵入する霞行ブーン
頭は良いがうっかりものの薬師寺テム膳
21 :
通常の名無しさんの3倍:2005/08/02(火) 03:48:38 ID:FAcwMrPv
陽炎はキキじゃね?
鵜殿=ガイア
地虫=マッシュ
将監=オルテガ
理屈抜き。直感。
>>12の続き
数刻前・・・
最戸参 頭霧都市では
大御所、出銀とその側近達が見守る中
奇怪な試合が行われていた・・・
???『フフフ・・・このヒートロッドは特殊な仕掛が施されているッ
良く斬れるぞ?連邦のオッサンよ・・・』
???((オッサン言うな!!))
???『落ちろッ!!蚊トンボ!!』
???((何だと!?このマシンの弱点を知ってると云うのかッ!?))
============================
老婆『ヒヒヒ・・・不様よのう・・・』
老爺『・・・まだまだ・・・』
老婆『!?』
老爺『とくと見よ!!トリモチの威力を!!
ハハハ・・・一物を握られて目を白黒させておるではないかッ!!』
老婆『グッ・・・』
兄さま兄さま言ってるお胡夷はロザミィだな
>>23の続き
??? 『ククク・・・様ねえな?白津鼓!?
腕を塞がれていては技も繰り出せまい?』
白津鼓『・・・グ!!((よもや、隠し腕を使う羽目になるとは・・・))』
??? 『・・・!!』
白津鼓『野斬・・・貴様を殺す・・・!!』
野 残『ファファファ!!気が合うな!!白津鼓!!』
===================
出 銀『もう良い・・・止めさせよ・・・』
老婆&老爺 『・・・御意』
>>26の続き
蛇無路卍谷・・・とある庵の一室で・・・
??? 『むぅう・・・』
下 男『如何なされました?三陀守様・・・』
三陀守『不吉じゃあ・・・』
下 男『なんと!?まさか、三陀守様・・・』
三陀守『急ぎ頭霧都市へ参るッ!!俺の籠((コンテナ))を用意してくれッ!!』
下 男『ははっ!!』
三陀守『不吉じゃあ・・・四郎様の星に影が差しおったわい・・・』
効果音 ガションガションガション!!(陸戦型登場)
>>27の続き
最戸参郊外 流琵紺川の辺にて・・・
老爺 『奇妙な事になったのォ・・・藍奈』
藍奈 『誠に・・・公王様がか様な申し付けを・・・
四郎殿も難儀じゃの・・・』
四郎 『内通の嫌疑以来じゃな・・・また老けたわ』
藍奈 『それはこちらも同じじゃて・・・兄様の一件で
お家復興の夢・・・絶たれたわ』
四郎 『じゃが・・・この勝負に勝てばその夢叶えられるではないか?
座毘家の長子、義連様は聡明な方と聞く』
藍奈 『フフフ・・・噂通りの方じゃと良いのォ・・・しかし
その前にお前様方を屠らねばの・・・四郎殿?』
四郎 『・・・((無言で藍奈の細首を両手で締め上げた))』
藍奈 『グ・・・四郎・・・殿・・・』
四郎 『運命ならば・・・せめて・・・我の手で・・・眠れ・・・』
藍奈 『・・・四・・・郎』
四郎 『・・・逝ったか・・・許せ・・・藍奈』
>>28 四郎 『((・・・白津鼓の間抜けめ・・・摩り替えられたとも知らず・・・))』
四郎 『これで・・・あと九忍・・・((屍を川に浮かべて呟く))』
??? 『キサマモダ・・・』
四郎 『!!・・・ノスリ!?野狸守!!』
※参考サイト
ttp://www1.u-netsurf.ne.jp/~khag/nosuri.htm 野狸守『カタキ・・・ウツ・・・!!』
四郎 『ぬ・・・ぬかったわッ!!』
============================
蝉時雨が何事も無かった様に
再び辺りを包む
川の流れに目をやると
2つの骸が
折り重ったまま流されていた・・・
その2つの死顔は・・・何故か微笑んでいた
一陣の風が川面を駆け抜けた
>>29の続き
某、国境の峠にて――
驟雨を避ける為に、山小屋の軒を
借りる独りの青年の姿があった――
???『((まいったな・・・折角の手土産が・・・濡れてしまったか?))』
真夏の雷鳴が遠くで轟き、山を揺らした
雨は幾分、小降りになったようだ――
???『((・・・初めて彼女に出会った時も雨が降っていたっけ))』
ぼんやりと空を見上げた後、瞼を閉じ
青年は暫し、想いを巡らせていた――
???『亜夢露様?』
亜夢露『((・・・ン・・・何だろ・・・・今、羅羅亜の声がしたような・・・))』
羅羅亜『亜夢露様ッ・・・』
亜夢露『!!』
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
>>28訂正
??? 『ガァアア!!((キサマモダ・・・))』
四郎 『!!・・・ノスリ!?野狸守!!』
※参考サイト
ttp://www1.u-netsurf.ne.jp/~khag/nosuri.htm 野狸守『ガァア!!((カタキ・・・ウツ・・・!!))』
>>30の続き
恋人達が束の間の逢瀬を楽しんでいた頃
峠の麓ではこんな会話がなされていた――
???「まったく…姫様の無茶にも呆れるわい…」
野太い声で呟く男が、その先を歩く暗い顔をした男に
愚痴をこぼす――
???「私は新人類の存在など信じんよ…羅漢」
暗い顔は口を歪めて応える
そのやり取りに、艶っぽい声で口を挟む女がいた――
???「顎で使われる身分なのさ…アタイ等は…そうだろ?沙羅?」
『沙羅』と呼ばれた女童は、先を行く3つの影の後を
押し黙ったまま、ついて行く
彼女の思考は何か別の事に囚われている様だ――
雨が止み、峠の先に虹が掛かる
麓から登って来た4つの影達は、肩を抱いて
虹を眺める恋人達を見つめた――
>>31の続き
((――不思議…胸の内の不安や蟠りが全て消えてゆく…))
何故だろう…少女は少し考えた。
「どうしたの?羅羅亜?急に黙って…?」
俯いた少女は頬を染めて答えた
「なんでもないの…ただ、虹があまりにも綺麗だったから…」
「そうか…うん本当に綺麗だなぁ…」
青年は目を少し細めて呟いた
その表情を見て、少女は納得した
((綺麗な瞳をしている…何もかも吸い込まれそう…))
少女は青年に再び身体を預けた
青年の肩が優しく彼女を包む
足元には、青年が独りで創ったという
からくり人形が、二人を冷やかすかの様に
転がる…
((嗚呼、このまま時が止まればいいのに…))
再び、少女が瞳を閉じた時――
「姫様―!!」
麓の方から不意に声が飛んできた
>>32の続き
四つの影が、二つの光と向き合う――
虹が後光の様に眩しかった。
一つの影が、更に眼を細めて呟いた。
「姫、軽弾みは謹んで頂きたい。留守を預かる身にもなって下さい。」
虹の中から少女は応えた。
「ごめんなさい…幕部。」
少女は暗い顔の男にペコリと頭を垂れた。
「コ、コホン…お解りになられたのなら、結構です。」
幕部と呼ばれた暗い顔の男は、少々照れながら答えた。
「悪かった…僕の所為だ…」
虹の中から、青年が応える。
「……」
和んだ空気が一瞬、氷つく
四つの影から殺気が噴出した。
すると――何やら峠の向こうから男の怒鳴り声と
地響きが此方に向かって来た。
((続く))
>>33の続き
地響きの正体は、両肩に巨砲が突き出し
一見、鈍愚とも取られかれぬキャタピラを脚部に履いた
龍法聖であった。そのシルエットからは想像できぬ程の
素早さで急峻な坂を走る――否、転がって来た。
そしてその直ぐ後ろを、両手両足が尋常では無い程に長く伸びた
白髪の男、舎利亜無流が血相を変えて追いかけていた。
「待て!卑怯者!逃げるなッ!」
白髪の男、舎利亜が怒鳴る。
「ば、化け物め!捕まってたまるか!!」
丸い肉塊に変じた龍法聖が振り向き様に答える。
そして、その視線を前に戻した瞬間――
龍法聖の巨躯が空中で止まった。
((続く))
>>34の続き
龍法聖の視線の先に、驚きの表情を見せる
羅羅亜が佇んでいた。その刹那、激しい耳鳴りが
龍法聖を襲う――
「うわぁああ!!変な音がッ!!妙な音がッ!!」
苦悶の表情から悶絶の声が、静寂だった山中に木霊する。
「亜夢露様!!……羅、羅羅亜様に
俺を見ないように言って下されッ!!」
やっとの事で、自分の主人である亜夢露の姿を確認した
巨躯を誇る男が、その身体を蚤の様に丸め
必死に哀願する。
「わ、私は何も……」
目の前の惨状に、思わず青年に抱きついてしまった
羅羅亜は頬を真っ赤にして眼を伏せた。
((続く))
>>35の続き
漸く、苦悶の枷から開放された男は
自分の主人に介抱され、先程――地に
頭を擦り付けて、哀願した時よりも
更に、身体を縮めていた。
「す、すみまぬ……亜夢露様……。」
「気にするな、龍よ。」
いじましくも、美しい主従の姿に
残されたもう一つ光と、四つの影は
暫し声を失った――だが、次の瞬間
再び空気は凍りつく。
白髪の男、舎利亜が息を切らせながら
怒鳴り声をあげた。
「資慰真ッ!!そ奴から巻物を取り返せッ!!」
((続く))
>>36の続き
半ば、生死の境を彷徨っていた龍ではあったが
その声を聞くやいなや、懐に携えてきた巻物を
ヒシと掴む。
「あ、嗚呼ッ!!早う取り返せッ!!」
藪の向こうからまた、絶叫がする。
その時、初めて己の旗下である忍が
何やら因く有り気な巻物を懐に
忍ばせていたのに気が付いた亜夢露は
龍法聖が必死に掴む巻物を苦もなく手に取ると
「ふむ?これか……見た所、只の巻物のようじゃが?」
屈託の無い笑顔と共に
五つになった影と、状況が未だ掴めず
キョトンとしている愛しき光に話し掛けた。
((続く))
>>37の続き
絶叫していた白髪頭は、血の気が引くのを感じた。
「これは……藍奈様の巻物ではないか?舎利亜老?」
手に取った巻物の銘を見て亜夢露は話す。
「どういう事じゃ?龍よ?」
漸く、息を吹き返した龍法聖に亜夢露は睨みを効かせた。
「そ、それは……その……」
歳下なれど、主人の真の恐ろしさを良く知る龍法聖は
これまでの事――つまり
鷹が巻物を掴み飛んできた事。
そして、その鷹を撃ち巻物取りに来た
舎利亜老から逃げてきた事を
包み隠さず話す他は無かった。
「愚か者ッ!!」
亜夢露は思わず声を荒げ、震える男に修正を加えた。
((続く))
>>38の続き
青年の怒りに呼応したのか、真夏の青空の
雲行きが再び怪しくなってきた。
「誠に申し訳無い……」
亜夢露は心の底から詫びた。
「い、いえ……それより、龍さん?は大丈夫ですか?」
まっ直ぐな、青年の怒りの激しさに驚いた
羅羅亜は戸惑いながら返した。
「いや、あれの事より先ず……これをお返し致す。」
亜夢露は件の巻物を羅羅亜に手渡した。
しかし、羅羅亜は巻物の事よりも地に伏している
龍法聖の事が気になるのか、手渡された巻物を
暗い顔をした男、幕部に預けた。
つい先程まで一見、頼りなさげな青年に
侮蔑の視線と、殺気までもを遠慮無く投じた五つの影は
所謂、切れると恐ろしい問答無用の修正に
軽い恐慌状態になっていたが、主人である羅羅亜の
気遣いに救われる心持ちがした。
((嗚呼、ご主人が羅羅亜様で本当に良かった……))
件の巻物を仮初めにも和平を結んでいる状況であっても
敵の手に奪われるという失態を犯した舎利亜は
その時、密かに神仏に感謝した。
((続く))
>>40の続き
再び、生死の境を彷徨う羽目となった
龍を二つの光達が介抱している間
五つの影は件の巻物を中心に旋毛を突き合わせる。
主人を差し置いて、巻物の封印を開くのに
少々、差障りを感じない訳では無かったが
状況が状況だけに、好奇心と云う欲求の方が
影達を突き動かした。
「…………!!」
五つの影は皆、申し合わせた様に押し黙ると
目配せで意思の疎通を計った。そして――
「羅羅亜様ッ!!吉報ですぞッ!!」
暗い顔の男は、今まで以上に口を歪めて声を上げた。
((続く))
>>40の続き
幕部が持ち前の策士の才能を
生かし、自分の主人をもその饒舌で
誑かしている中、残された他の影も
策動し始める。
「羅羅亜様、龍様の手当てはどうでしょう?
我れらが里、館にてなされたら?雲行きも怪しくなって
来た事ですし……。」
妖艶な影、資慰真はその赤い唇を開く。
「日も落ちて来ました事ですし、亜夢露様も勿論ご一緒に……。」
唇は毒牙にかける獲物の数を増やす事も忘れない。
「まあ!それは良い考えだわ!ね?亜夢露様?」
頬を夕焼けに赤く染めて羅羅亜は話す。頬が赤いのは
夕焼けの所為ばかりで無い事は無論である。
「羅羅亜殿……本当に宜しいのですか?」
実は、やりすぎた修正に後悔しはじめていた亜夢露は
戸惑いつつも、願っても無い申し出に期待をよせた。
「ええ、是非!」
羅羅亜は弾けるように微笑んだ。
「忝(かたじけな)い……」
亜夢露は今日で二度目となる心からの気持ちを
声にした。
((続く))
>>41の続き
山小屋の戸板を担架代わりにして
未だ、気絶している龍を寝かせると
応援を呼ぶと言い残し、五つの影の内
三つが山中に消えていった。
「羅漢……急ぎ、死夜亜様に連絡を!」
三つの影の内の白髪頭、舎利亜は筋肉質の男に命じた。
「承知!」
筋肉質の男は薄笑いを浮かべ、藪の中に消える。
「………」
ずっと押し黙ったままの女童に、舎利亜は気遣う
「沙羅、白津鼓の奴なら大丈夫じゃ。」
まだ、あどけなさが抜けきれない女童、沙羅は
舎利亜にやっと微笑んだ。
((続く))
>>42の続き
五の影達が、山中を蠢(うごめ)いている頃
最戸参 頭霧都市の一室で、人知を超えた忍法争いを
目の当たりにした男達の密談が行われていた。
「本当に、き奴等に任せて宜しいので?出銀様…」
低く、くぐもった声が
目を閉じ、腕組みをしたままの主(あるじ)に
かけられる。
「寺頭(デラーズ)よ?座毘家はまだ磐石(ばんじゃく)ではないのだ。」
出銀の額に深い皺(しわ)が刻まれる。
「はッ……」
眉間に皺を刻んだまま、寺頭は応える。
確かに主、出銀の言う通り
新興の座毘家の周囲にはあまりにも敵が多すぎた。
一昨年前には、座毘家の第二子、査素露(サスロ)様が
爆死したばかりでは無いか――
>>43の続き
あの暗殺事件以来、以前にも増して
座毘家の跡目争いが激しいものとなった。
座毘家長子、義連の世話役に任命された
寺頭にも、心当たりが無い訳ではなかった。
「故に――忍を使うのよ……」
我が子の爆死を悼むかの様に、出銀は
深い溜息をついた。
「はッ……」
寺頭は、眉間に皺を刻んだまま
頭(こうべ)を垂れた。
天然資源の少ない、弱小国家である最戸参にとって
跡目争いに唯一の財産である
優秀な人材と貴重な戦力を消耗すると云う事は
即(すなわ)ち座毘家の滅亡を意味していた。
現に座毘家の元、主君であった
醍勲(ダイクン)家は跡目争いを巧みに利用され
家来であった座毘家に君主の地位を奪われ
滅ぼされてしまったではないか……。
((醍勲家の忘れ形見は現在も尚、野に潜伏していると聞くが――))
寺頭は、頭を垂れたまま唇を噛んだ。
「仰せのままに……」
更に低い声で唸(うな)るより他は無かった。
遠くで、鳶(とび)が弧を描いていた――
>>44の続き
夕闇が迫る里山の梢(こずえ)の下で
一人の男が巻物を開いていた。
「むう……」
やわらかな声である。まるで女のようだ。
その声の主の容姿は聊(いささ)か珍妙であった。
まず――色白でノッペリとしている。
目は切れ長である、やや太りかげんの肉体も、
女のような線があった。
しかし、どんな事よりも不思議なのはその年だ。
総髪の美しさといい、気品を漂わせる顔立ちといい
一見、三十になるならずと見えるのだが
そのくせひどく老人のような気がする。
それはなぜだかわからない。
しいていえば、皮膚に全然つやがなく
唇は紫色だということだろうか?
>>45の続き
とにかく異様な老齢を思わせる魔性の印象が、この男にあった。
「死夜様……巻物にはなんと?」
長い沈黙にたまりかねて
側に控えていた男は声をあげた。
>>46の続き
天を仰ぎながら、死夜様と
呼ばれた男は口を歪める。
「出観鳥(デミトリー)よ……藍奈様は死なれた。」
驚愕の一報に、側に控えていた男
出観鳥は全身に粟がたつのを覚えた。
「そして、恐らくは……」
巻物に刃物か何かで歪(いびつ)に
裂かれている場所を指し示しながら
「四郎も死んだな。」
咽喉の奥で笑いながら呟いた。
>>47の続き
「四郎を獲ったのは……野狸守でしょうな。」
急変の知らせを告げた羅漢が口を開く。
「うむ……理外陰(リゲイン)の術を使ったのだろう。
ノスリの身体には堪えよう……長くはもたぬな。」
死夜亜は再び、天を仰ぐ
仇を討つ為に一命を賭し、策謀をめぐらすのは
この時代には珍しい事ではなかった。
が――
鷹狩りにも使う猛禽とは言え
現在で云う所の『ペット』にまで
秘術を仕込まなければならない事に
戦国の凄まじさがあった。
死夜亜は己の境遇にも通じる野狸守に
憐憫(れんびん)の情を寄せ
ふと、生き別れた妹の事を思い出した。
((亜瑠呈志亜(アルテイシア)……今、何所で何をしているのだろうか?))
===============================
蛇無路卍谷
下男達が紅葉模様の頬をさすりながら
薪わりをしている。
「とほほ……瀬医羅(セイラ)様にまたぶたれたよ。」
「今日は特にご機嫌が悪いなぁ……」
「ほれ、あれじゃよ羅羅亜殿のせいじゃよ。」
「なるほど!」
「……あッ!瀬医羅様!!」
下男達の囁きが途切れ、夕闇が迫る谷に
再び乾いた音が木霊した。
テスト
>>48の続き
>>38の訂正
誤
「これは……藍奈様の巻物ではないか?舎利亜老?」
手に取った巻物の銘を見て亜夢露は話す。
正
「これは……大御所様の知らせではないか?舎利亜老?」
手に取った巻物にある印章を見て亜夢露は話す。
>>48の続き
>>50の訂正はさみ
暫し、生き別れた妹の事に
思いをめぐらせていた死夜亜は
不意に、女童から呼びかけられた。
「死夜亜様……白津鼓様……
いえ、白津鼓はどうなったのでしょう?」
想い人の事が、何よりも気がかりという風に
おずおずと――だが、はっきりと強い意思が
感じられる沙羅の瞳によって
死夜亜は頭を切り替え、思考をめぐらす。
「……ふむ、これに印が付けられていないのは
白津鼓が生きているという証拠。
ならば、奴の脚ならば遅くとも明朝辺りに
こちらに着く頃だろう。奴の術、慈雄(ジオ)ならば
なお確実。あれは姿に似合わず、存外に早い。」
死夜亜の的確な分析に
先程まで俯(うつむ)きがちだった沙羅は
漸く、愁眉(しゅうび)を開く。
>>51の続き
「白津鼓の事も大事ではあるが
それ以上に気がかりなのは
野斬(ヤザン)の事よ――!!」
筋肉質の男、羅漢(ラカン)は言い放つ。
「うむ、亜夢露の奴は、幕部(マクベ)の計により
われらの里に誘い込む事が出来たが……。」
白髪頭、舎利亜は呟く。
「ふむ……幕部と資慰真(シーマ)ならば
計らい事を遺漏(いろう)なくこなせよう。
ただ、ひとつ心配なのは、我等の帰りを待たず
先駆ける事なのだが。」
と、味方の弱点を冷静に分析する
死夜亜は囁(ささや)く。
>>52の続き
奇(く)しくも死者の御魂(みたま)が黄泉の国より
この世に帰って来るという盂蘭盆会(うらぼんえ)のこの日
三つの影と二つの影は夕闇迫る中、必殺の密談を続ける。
そして――
「殺す!」
禍禍(まがまが)しい一念が
今や再び、五つとなった影に宿った。
「連邦のモグラどもめ!思い知るがいい!」
はじめ、凶報を聞いて全身に粟を立てた
出観鳥(デミトリー)ではあったが
決意を新たに、両手の大鎌を構えると
虚空に吼(ほ)えた。
>>53の続き
虚空に若き獅子が吼える。
その時、稜線(りようせん)の果ての
空に雷光が走った。
五つの影は稲光(いなびかり)よりも早く
梢(こずえ)のもとから
宙(ちゅう)に飛び去っていった。
影達が消えた場所に
祭られている地蔵像。
そこへ、早くも秋の訪れを告げる
赤蜻蛉(あかとんぼ)が羽根を休めに来た。
>>54の続き
一方、その頃――
棘(いばら)の隠れ里にある
慈恩(ジオン)の館に
亜夢露(アムロ)の鉄拳(ハンマー)制裁によって
意識を失った龍法聖(リュウホウセイ)が
戸板に担がれたまま、難儀な山道を越え
漸(ようや)く運び込まれようとしていた。
「忝(かたじけな)い……羅羅亜(ララア)殿。」
この時ほど、亜夢露は戸板にだらしなく寝そべる
巨漢の男に減量を命じなかった事を後悔した。
間髪入れず、応援に駆けつけてくれた下男達に
労(ねぎら)う言葉も、この男自身の
重さに軽軽しく聞こえた事だろう。
「いえいえ……どうか、お気になさらずに。」
屈託の無い笑顔を振り撒く羅羅亜に
亜夢露は心底、救われる気がした。
館の周りにはもう、夜の帳(とばり)が
落ちてきた。
>>55の続き
担架の端を、自らも担ぎ運ぶ亜夢露が
館の門を潜り抜けた時、夜の闇より
暗い顔をしている幕部(マクベ)は
歓喜と恐怖の入り混じった
武者震いを一つたてた。
目配せで、すぐ後ろを歩く
資慰真(シーマ)に合図を送る。
妖艶な女はその合図にやはり
目配せで応える。薔薇よりも赤い
その唇に不気味な笑みを覗かせて。
「やった……。」
小さな歓喜の言葉を幕部は思わず漏らした。
>>56の続き
幕部はこれまでの事……屈辱に塗(まみ)れた
過去の日々を思い返さずにはいられなかった。
座毘家の第三子――後に女傑とも、策謀の女狐とも
評される事となる岸理亜(キシリア)姫の
参謀として迎え入れられた幕部ではあったが
度重なる作戦の失敗により、左遷され
決着がつかずに終わった大戦の約定の際に
大量殺戮兵器を使用した過度で
責任を問われ、犯罪人として裁かれる事となった。
>>57の続き
それから数年後――
幕部は零落(れいらく)した
軍人貴族の茶葉鈴(サハリン)家に
仕える事となる。当初、当主の
義仁亜巣(ギニアス)と苦楽を共にし
まさに、血の滲むような研鑚(けんさん)を経て
開発した亜腐沙羅巣(アプサラス)は
想定外の事故により消滅。
主従の関係を超え、お互いに胸襟を開き
語り合える存在であった義仁亜巣を
事故で亡くし、さらに密かに思いを寄せていた
義仁亜巣の妹、藍奈(アイナ)様までもが
事故の影響で実際年齢よりも遥かに早く
『老化』が進むという奇病に犯されてしまった。
>>58の続き
以下の事は、山一つをも消滅するという
大事故から遥か後に、明らかになった事ではあったが
この事故の原因となったのは
先の大戦の和平の折に結ばれた
約定に反して、禁止されている筈の
大量破壊兵器を極秘のうちに
開発しているという事に心を痛めた
とある女と、その元、仇方であった男が
協同して亜腐沙羅巣に細工を施した事にあった。
((これらの事故と顛末(てんまつ)に関しては
『零八小隊異聞録 浦島四郎』に詳細が
記される事となるが、ここでは割愛する。))
>>59の続き
真実を知った時の幕部の取り乱し様は
死夜亜(シャア)に茶葉鈴(サハリン)家
第二の顔役の地位を奪われた時よりも
凄まじかった。後生、我が子の様に愛でていた
北宋の壷を兄、義仁亜巣に成り代わり
当主となった藍奈姫――姫という割には
老けている印象を与える彼女の目の前で
粉々に叩き割った事からも伺(うかが)えよう。
その珍事から、それまで顔を合わせれば
何かと衝突していた死夜亜でさえも
幕部の顔を立てる事に苦心するようになった。
>>60の続き
幕部の口から思わずこぼれた
「やった……。」
という呟きは、気に食わない死夜亜を
顔役の地位から追い落とし、ゆくゆくは
茶葉鈴家の当主の地位を手に入れ
己を惨めな境遇へと追いやった座毘家の
人間達に復讐を企てる為の第一手が
まさに霹靂(へきれき)の如く
天から降ってきた事への感慨(かんがい)の
呟きでもあったのだ。
>>61の続き
そんな――男の暗い欲望が
地獄の瘴気(しょうき)の如く
どす黒く渦巻いている伏魔殿に
『にえ』達が何も知らずに入ってゆく……
朗(ほが)らかに笑い合う許婚(いいなずけ)達の
姿に一瞬、胸の痛みを感じない訳では無いが
直ちに当初、頭に描いた謀り事を
実行に移す決意をする。
茶葉鈴家の現、当主である藍奈が
黄泉の国に旅立った今――
((『老化』の病(やまい)故に
次期当主として選んだ羅羅亜(ララア)姫――
その姫が自分の夫の地位に、あろう事か
仇方である亜夢露(アムロ)を選んだ
それは仕方の無い事として今まで諦めてはいたのだが。))
姫の床入りの前に亜夢露を『殺す』そして
純潔を保った羅羅亜姫を娶(めと)り当主へと――
幕部は笑みがこぼれる落ちるのを防げなかった。
>>62の続き
幕部が罠にかかった獲物を
暗殺する企てを謀っている頃
遠く離れた草深い原野を
同様に、是から己が仕留める
獲物について妄想しながら
卍谷を只管(ひたすら)目指す
旋風(つむじかぜ)が一つあった。
野斬(ヤザン)である。
>>63の続き
その顔を見る者に、凶悪な印象を与える
白目がちな眼(まなこ)は、再び殺戮の
喜びを味わえる事に興奮して血走っていた。
>>64の続き
この男――野斬は先の大戦の折りに
その残忍な戦いぶりから、敵からだけでは無く
味方からも恐れられていた。戦の際には
何かと重宝する有能な戦士ではあったのだが
如何(いかん)せん自尊心が強すぎて
上官の命令を無視するなどと云うのは
この男にとって、至極(しごく)当たり前の事と
なっていた。
>>65の続き
そして、事件が起きる。
とある作戦行動の最中(さなか)で、この男の上官が
不可解な事故死を遂げる。
死んだ上官というのは、実際のところ
この男並か、それ以上に軍の内外での評判が
あまり芳(かんば)しくない人物であったが
その後ろ盾が、たまたま軍の
上層部に近い所為もあって、この事故は
徹底的に調査された。
>>66の続き
そして、もともと素行の良くない野斬が
上官殺しの嫌疑(けんぎ)をかけられるのは
無理からぬ事であった。
寧(むし)ろ、この男に言わせれば
「上官殺し?丁度いい箔(はく)がついたもんだ。」
と、嘯(うそぶ)く有様であった。
必死の調査にもかかわらず、事件は迷宮入りとなる。
そして時を経ずに大戦は終わりを迎える。
>>67の続き
大戦は終わった。さまざまな矛盾を
かかえたままではあったが。
和平の為の約定が結ばれ、幾年にも及ぶ
血で血を洗う戦いに、終止符をつけた。
そして、その時代に生きた人々は
己の犯した罪と向き合わなければならなかった。
>>68の続き
何時、いかなる時代であろうと
戦時というものは、敵味方ともども
人間の醜さや欲望が如実(にょじつ)に
現れる。
今回の大戦はその人的、物質的被害の大きさも
特筆すべき事ではあるが、それよりも人々の
心を深く痛めつけたのは、その残虐性であった。
ここでそれらについて、くだくだしく説明はしないが
結局のところ――誰もが傷ついていた。
そして、その贖罪(しょくざい)のため方便を
人々は探し始める。
>>69の続き
贖罪には生贄(いけにえ)が必要である。
罪を贖(あがな)う為に格好な生贄が
軍にも必要であった。
そして――野斬はエリート部隊を追われ
四郎の所に身を寄せる羽目となる。
それは自尊心の強い野斬にとって単なる
厄介物払いという処置では無かった。
「いつか必ず復讐してやる!」
濡れ衣を被せられた男は、その日から
深く胸に『復讐』の二文字を
刻み込んだ。
>>70の続き
卍谷を目指す旋風(つむじかぜ)が速度を増した時
不意に原野の向こうから声がしてきた
「おおおーーーい!!」
野斬はその声の主に向かって応える
「よお!死神ぃい!!」
死神と呼ばれた声の主も旋風となって
やって来た。
「野斬よ……その呼び名は止めよと何度……」
仏頂面(ぶっちょうづら)をした
三陀巣(サンダース)が側までやって来た。
>>71訂正
誤 三陀巣(サンダース)
正 三陀守(サンダース)
朧月(おぼろづき)の夜、二つの旋風が
夏草を吹き飛ばしながら原野を進む。
野斬から事の次第を聞かされた
三陀守(サンダース)は暫(しば)し
沈黙していたが、直ぐに眼の色を変えた。
「くくく……死神の本領を発揮かもな?三陀守?」
野斬はからかうように言い放つ。
「くどいぞ?上官殺しよ?」
三陀守も負けてはいない。
この二つの旋風は、卍谷の忍びの間でも
何かと口に上り、死神と悪魔(あくま)
どちらが強いか?などと噂の種になっていた。
((野斬は卍谷ではそんなあだ名がつけられていた。))
通り名というのは往々にして
それが一人歩きをし、実像とはかけ離れた
おどろおどろしい物になりがちではあるが
この二つの旋風に冠された通り名は
まさに的を得ていたものであった。
>>74の続き
何故、三陀守が死神という
二つ名を冠せられたか?それは
彼の趣味?も一役買っている。
彼の一族は元を辿れば、陰陽博士の
一派に属していた。その血筋が
そうさせるのか、彼は幼少の頃より
占術に興味を示し、やがてその才能を開花させる。
>>75の続き
彼の占術で尤も恐ろしく、且つ当たるという
札付きのものは『寿命』に関する事であった。
その独特な風貌で一言
「貴公、そのままでは死ぬぞ?」
と――凄まれると、いかに百戦練磨の兵(つわもの)と
云えども、まるで幽鬼の如く青ざめてしまう。
そして、その名声は遠く都にまでも届いていたと云う。
忍にしては有るまじき事ではあったが――
占術に関して一流には違い無いが
真に彼を『死神』たらしめんとするのは
彼のその悪運の強さにもある。
>>75の続き
彼が所属する部隊と云う部隊は大戦中
悉(ことごと)く壊滅状態になった。
彼を除く構成員全てが、『戦死』あるいは
『再起不能、戦闘不能』に陥るのに
彼だけが――たった一人、かすり傷一つ負わずに
生還する。それも一度や二度ではない。
軍の上層部も、本人でさえも最早
思い出す事が出来ない程の場数を数えていた。
大戦中、彼を迎え入れる羽目となった
運の悪い?部隊の指揮官やその構成員達は
そのジンクスを噂で聞き及んでいただけに
激戦の戦場をただ一人生き抜いてきたという
彼の悪運の強さに畏敬の念を込めて
『死神』と何時(いつ)しか語るようになっていった。
>>76の続き
二つの旋風の声を押し殺した会話は続く
「俺はこのままとって返す。巻物の事は頼んだ。」
野斬は殺気を込めた声で言う。
「何故?白津鼓(シロッコ)の事か?」
三陀守は巻物を懐に仕舞いながら聞く。
「うむ。御前試合とは言え
俺の術、『儀野俯覧(ギャプラン)』を
苦もなく破りやがった。このまま捨て置けん。
それにまさか俺が、とって返し奴を討つなどと
考えぬだろう?スキがあると観た。」
確かに尤もな事だ。頷(うなず)きながら
「あの凧(たこ)の術を見られてしまったのは
確かに捨て置けぬな、しかも破るとは……うむ
良かろう、巻物の件確かに承(うけたまわ)った!」
三陀守は応えた。そして彼も野斬に
気がかりに思っていた事を口にする。
>>77の続き
虫の音が暫し、止まる
三陀守は卦(け)の結果を口にする
元より、そういった類のものは
はなから信じようとはしない野斬では
あったが、只ならぬ三陀守の表情に
不吉な予感を覚える。そして――
「四郎様の事は俺に任せろ。」
と、短く言い放つた。
>>77 誤 卦(け)の結果
正 卦(け)のあらまし
・・・・
>>78の続き
野獣のような男、野斬までもが
敬意を示す四郎とはどんな人物なのか?
ここで少々、解説をしておきたい。
彼――即(すなわ)ち四郎は
個人的な戦闘能力のみ取り上げると
するならば恐らく、卍谷の忍達の中では
中の下、もしくは下の部類に属するであろう。
だが、奇妙な事に四郎の指揮下に入った
忍達は遺漏(いろう)なく、個々が
知らずに秘めている潜在的な能力を
己自身が驚愕する程に発揮し、どんな困難な作戦でも
易々(やすやす)とこなしてしまう――
そんな不思議な力と魅力が四郎には
備(そな)わっていた。
>>80の続き
己をエリートと称して、ふんぞり返る事はあまり好まない
野斬ではあったが、それでも最果てのお荷物部隊と称されていた
四郎の旗下に転属を命じられた時は流石に、いきどおりを感じた。
しかし、四郎とその配下の者たちと接していくうちに
何時しか当初のわだかまりや、いきどおりといった
負の感情は氷がじわじわと溶け出していく様に、野斬の中から
消えていった。そして、敬意まで示すようになったのは
『零八小隊異聞録 浦島四郎』にも記述されている事だが
四郎が己を犠牲にして、仲間を助けたという事にある。
尤も、その発端は『愛』の為などという非常に青臭いものでは
あったのだが、それでもこの男、野斬にとっては
感涙するものがあったようだ。
>>81の続き
亜腐沙羅巣(アプサラス)の爆発の際、大量の放射線と
汚染物質にさらされた四郎の肉体は実際年齢よりも老化がすすみ
やがては死に至る奇病を患う。この奇病により通常の人間の時間軸とは
異なる世界で生きる事となった四郎はやがて、全ての現象が遅く感じるという
特殊能力?を身につける事となる。この事は個人的な戦闘能力が
特筆するべきでもない四郎にとってはかえって有利に働く事となる。
((敵方の実力者、白津鼓(シロッコ)から巻物を気取られぬうちに
すり替える事が出来たのもこの能力のおかげである。))
そんな四郎の特殊能力を卍谷の者は誰も知らない。
ただ一人、四郎の思い人、藍奈(アイナ)を除いて。
その事を知らぬ故に皆、四郎の底知れぬ力に驚き、感銘を受けていた。
野斬もその中の一人である。
>>82の続き
原野にひときわ強い風が来る。野分(のわき)が近づいている様だ。
野斬は頃良しと見て、素早く印を結ぶ。すると彼の衣が見る見るうちに延び
まるでムササビのような皮膜を形成した。これが彼の言うところの
儀野俯覧(ギャプラン)の術であろうか?皮膜に風をはためかせ、そして
「鋭(えい)ッ!!」と短く叫びながら跳躍した。
黒緑色の大きな凧が今、三陀守の見上げる空を滑空していた。
>>83の続き
二つの旋風はそこで別れた。一つは風雲告げる天空へ
そして、もう一つは虫の音が鳴り響く野に
黒緑色の大きな凧が、野分の力を得てあっという間に闇に消えるのを見届けた
三陀守は再び、地を這う風となってもと来た場所に引き返そうとした。
一刻も早くこの凶報を卍谷へ――!!
そう思った矢先、藪の中からくぐもった声が三陀守にかけられた。
「その巻物、卍谷にやるわけにはいかぬ。」
その声の主の姿を見て三陀守は愕然とした。
「赤い彗星の死夜亜(シャア)……!!いつの間に!!」
三陀守は忍の、通常の三倍の速度で移動する術を持つという敵について
思い出していた。
>>84の続き
赤い彗星……過去に何度、その敵の二つ名を聞いた事があったか!
何度、その男に殺されかけた事があったか!三陀守はゴクリと咽喉を鳴らし
肉迫しつつある敵が己のどんな秘術をもってしても、撃退できない事を一瞬で悟った。
死神は今度こそ死を覚悟する。
やがて、乾いた咽喉からやっとの事で声を搾り出す。
「あの、瑠鵜霧(ルウム)での船戦(ふないくさ)の際、敵方の船を五艘(そう)も
飛び越え、兜首を獲ったと云うのはまことの事か?」
三陀守はじりり、じりりと後退しながら言い放つ。
「ふっ……それは違うな。」
影は一瞬にして藪から姿を消した。そして旋風が飛び退くよりも早く懐に入る。
電光石火――!!影が手にした斧が煌めく。
そして、三陀守の両腕を膾(なます)を切るが如く、断ち落とした。
男の絶叫が闇夜に響き、鮮血が野を染める。
野分に蓬髪(ほうはつ)を靡(なび)かせながら
影――死夜亜(シャア)は不敵な笑みをたたえながら答えた。
「五艘ではない……八艘だ。死神よ?」
甲賀忍法帖以外のネタはないの?
>>85の続き
噴出す血潮の勢いを見て三陀守は観念した。
傷を塞ごうにも、両の腕(かいな)を失った今では叶わぬ事である。
「印を結ばれると厄介だからな、貴様の魔神(マシン)の術は暗器の多さに利があると聞く。」
死夜亜は痛みに耐えかね、その場に立ち竦む死神に言い放つ。
(死夜亜……噂どおりの恐ろしい男よ。長大砲(ながおおづつ)の術で逃げようとしたが
全て見通しか……。)
ともすれば意識をそのまま無くしそうな痛みに三陀守は歯軋りしする事しか
出来ないでいた。
「聞かせてもらおうか……連邦の忍びどもの術とやらを……!!」
死夜亜は懐から野狸守(ノリス)が運んできた巻物を取り出すと
不敵な笑みを死神に贈る。
一際(ひときわ)、強い風が吹き付けて来た。
東京1区候補者、又吉光雄に投票しない東京1区の有権者らは、腹を切って死ぬべきだ。
また、彼らはただ死んで終わるものではない。
世界経済共同体党唯一神又吉光雄イエスキリストが地獄の火の中に投げ込む者達だ。
比例区で世界経済共同体党に投票しない有権者らも同様だ。
理由は他人を殺すなら自分が死ぬべきだからだ。
詳しい理由は選挙公報等で熟知すべし。
与謝野馨・海江田万里・堀江泰信らは、腹を切って死ぬべきだ。
また、彼らはただ死んで終わるものではない。
世界経済共同体党代表唯一神又吉光雄イエスキリストが地獄の火の中に投げ込む者達だ。
彼らの支持者も同様だ。
理由は他人を殺すなら自分が死ぬべきだからだ。
詳しい理由は選挙公報等で熟知すべし。
首相小泉純一郎は衆議院総選挙後、世界経済共同体党代表唯一神又吉光雄イエスキリストに首相の座を明け渡すべきだ。
そう出来なければ、小泉純一郎は腹を切って死ぬべきだ。
のみならず、世界経済共同体党代表唯一神又吉光雄イエスキリストは彼を地獄の火の中に投げ込むものである。
理由は他人を殺すなら自分が死ぬべきだからだ。
世界経済共同体党代表唯一神又吉光雄イエスキリストに投票しない有権者も同様である。
詳しい理由は選挙公報等で熟知すべし。
>>88の続き
蛇に睨まれた蛙とはこの事を言うのだろうか?膝の震えが止まらぬのは、大量の出血の所為ではない事を
三陀守(サンダース)は判り過ぎるほど判っていた。死夜亜(シャア)が舌で指を湿らせ、件(くだん)の
巻物を開いた時、紫の唇の端から見えた赤い舌が、まるで人を丸ごと飲み干す大蛇(おろち)の舌に見えた。
「素直に応えれば、楽にしてやる。この意味が判るな?死神よ……」
>>90の続き
後に、血を分けた実の妹に『鬼子』と言わしめた男の恐ろしい拷問が
風すさぶる野で行われていようとしていた頃、棘(いばら)の隠れ里の
慈恩(ジオン)の館では卍谷からの珍客を交えて、酒肴(しゅこう)が
催(もよお)されていた。
「いやー・・・本当に死ぬかと思いましたよ。」
生傷が痛々しく残る龍法聖(リュウホウセイ)が包帯に巻かれた額を
撫でながら笑う。この男、羅羅亜(ララア)が調合した薬によってようやく
息を吹き返したのであった。そして、息を吹き返したと思ったら
病み上がり?の身体なのに、ものすごい勢いで目の前に出された食膳を
全て平らげ、棘(いばら)の隠れ里始まって以来の大食いの記録を残した。
皆が、その食欲に少々呆れ果てていた時、たまりかねて
「龍よ?その情けない腹をなんとかした方が良いぞ?ここまで運ぶのに
本当に骨がおれたわ・・・」
亜夢露(アムロ)は杯をあおりながら毒づいた。隣に座る羅羅亜(ララア)が
コロコロと笑う。先ほど、お披露目された亜夢露の手土産のからくり人形も
龍をからかうように床を転がる。
「め、面目ない・・・情けない体で・・・」
龍は蚊の鳴くような声で呟くと、ドッと笑いがおきた。
よくわからんが・・・保守っとく・・・
>>92d
>>91の続き
仇敵だった者同士が、ひょんな事から意気投合し、積年の恨みなどと
いった感情も忘却するという瞬間とはこのような事を言うのだろうか?
荊の隠れ里の人々は長年、親の仇のように聞かされていた卍谷の客達が
存外に親しみやすく、優しい心持の者だった事に驚き、必要以上に
警戒していた事を少々、馬鹿馬鹿しく思えたのだろう。
他愛のない酒の席でのやりとりでも笑い声が起きていた。
さらに彼らの緊張の糸を解す理由に、後々の長役の羅羅亜と
かつて仇であった卍谷の後継者、亜夢露との祝言が近い所為でもあったのだが。
>>93の続き
しかし、そんな明るい宴の席で似つかわしくない感情を燻らせる男がいた。
幕部(マクベ)である。注がれた杯を舐めながら心の奥底でほくそえんでいた。
((ククク・・・・順調だ・・・・))
例によって向かい側の席に座していた毒女、資慰真(シーマ)に目配せすると
杯を干す。今宵の酒はいくら飲もうと酔う気がしなかった。
「亜夢露様?手前味噌ですが、里の田舎踊りなどをご覧になさりませ・・・・」
資慰真はやおら立ち上がるといつの間にか現れた奏者達の奏でる音に合わせて
腕をくねらせ始めた。
♪舞ぁ日〜〜舞ぁハァ〜〜舞ぁハッハ〜〜〜♪
資慰真の妖艶な瞳に、獲物の姿が映し出される。
何処からか、宴の席に迷い込んできた一匹の蛾が燭台の炎の中に飛び込んでいった。
ブライト「おう 親父にもぶたれたことのない頬が熱うなってきたではないか」
スレの流れをぶったぎってすまなんだが
Y十Mをガンキャラでやったら如何なるものか?
age
98 :
通常の名無しさんの3倍:2005/09/25(日) 12:29:43 ID:CeoT/DwV
よし、待ち望んだ100ぅ!
100じゃあ
99 :
通常の名無しさんの3倍:2005/09/26(月) 04:48:02 ID:4WNzJWrm
バジリスクよりキュベレイスレにすりゃよかったのに
100 :
通常の名無しさんの3倍:2005/09/26(月) 04:48:58 ID:4WNzJWrm
ひゃくぅっ!
>>96 検索してみました。これは面白そう。トン
>>94の続き
軽やかな笛の音に合わせて、資慰真(シーマ)は腰をくねらす。其処かしこで
やんやの喝采が巻き起こる。
♪舞ぁWHO〜〜舞ぁHER〜〜舞ぁハッハ〜〜〜♪
この田舎踊り?の調べは、それを聞く人々を熱狂させる何かがあるのだろうか?
宴の盛り上がりは最高調に達する。
ここで少々、誤算が生じはじめる。密かに練り上げた、暗殺計画そのものに。
一体、何故?その疑問の答えの一つに今、まさにここで喝采を浴びている妖艶な踊り手の
心情の変化が原因にあった。
この里に流れ着いて以来かもしれない。否、物心ついた時からだろうか?
驚く程の暖かい声援と喝采を浴びた資慰真(シーマ)は少々、たじろぎに似た感情を覚え始めた。
それは、長年の宿敵を目前にしての緊張から来るものも、当然あるだろう。
((馬鹿なッ!この私が柄にも無く……))
無心なろうと必死で腕をくねらせる。しかし、彼女が落ち着こうと努力すればするほど
妙な気持ちの高ぶりが、抑えきれずにいた。そして、ついに――彼女の脳裏には
封印していた筈の、忌まわしい記憶の断片が甦って来た。
>>102の続き
それは、資慰真(シーマ)がまだ幼少だった頃にやって来た。切支丹(キリシタン)の弾圧である。
弱小国家であった最戸参にとって、異国の宗教が領民達を改宗させ、洗脳し、やがては国そのものを
乗っ取るという侵略行為に敏感だったのは、弱小が為に避けられない事だったのかもしれない。
異国との貿易で財を成した資慰真の父親は切支丹であった。その運命の日は、朝から冷たい雨が降っていた。
屋敷の扉を乱暴に叩く音が、幼い資慰真の眼を開けさせた。
>>103の続き
資慰真は優しかった父の胸を槍で貫いた。絶えがたい苦痛から解放する為に止めを刺したのだ。
「良くやった。娘……これでお前は助かった。」
役人達はたった今、親を殺した子供から槍をもぎ取ると、処刑場から去って行った。
野次馬達が罵声を浴びせる。その罵声の相手はなんと、まだ放心状態の資慰真に対してだった。
これも役人達の差し金だろうか?時代は乱世だった。人々の心もまた荒み切っていた。
資慰真はその日、破瓜した。まだ8歳であった。
>>104の続き
資慰真は今、幕部の前で叱責を受けていた。宴は既にお開きになっていた。
とある現象に同じく女性で勘が鋭く、尚、機転の利く羅羅亜(ララァ)が
下卑びた踊りの最中に、突然襲った下腹部の痛みに蹲(うずくま)る資慰真を
助け、入れ替わりに羅羅亜、自らその踊りを踊ったのだ。それも極、自然の流れで
これらの事に気が付いたのは恐らく、その場に居合わせた中でも数名であろう。
下卑びた踊りの最中に資慰真の秘術で獲物を仕留める算段であったが、彼女の性的な
肉体生理現象がそれを不可能した。
「何をしていたのだッ!!これだから女子と言う奴は……」
幕部は怒りながらも、先程目にした羅羅亜が踊る艶やかな姿が頭から抜けきれずにいた。
(やはり、手渡すのは口惜しいッ!!)
むくむくと男の本能が湧きあがってきた。
>>105の続き
幕部は血走った目を、ひれ伏す資慰真に向ける。
「奴は今、どうしている?」
粘着気質の男が、怒りを堪えて問い掛けてきた。
「先ほど、湯殿(ゆどの)に行ったようです……。」
資慰真は疼痛(とうつう)に耐えながら答えた。
「良しッ!奴は俺が仕留める。お前はあの豚を狩れッ!……今度はしくじるなよ?」
資慰真はひれ伏したまま、口元を歪めた。そして吐き気をこらえながら答えた。
「……はい。」
この時、資慰真は己に染み付いた下忍(げにん)根性を恨んだ。
流れ者の資慰真にとって、同じような境遇?を経ても、上忍(じょうにん)の地位にあり
尚且つ顔役の務めをもこなす幕部に頭が上がらないのだ。
更に資慰真は幕部に個人的な恩義がある。
「……あの壷を用意してくれ。」
幕部にその命令を発せられた資慰真は、自分がとある業者に騙されて
壷の売り子にまで身を落した頃のことを、痛みとともに思い出した。
>>106の続き
それはまだ資慰真が十代の頃である。両親の処刑を経て、村八分となった資慰真が
生きてゆくために選んだ仕事……と、言うより選ばざるを得なかった仕事は
街道の宿で旅人等を相手にする飯盛女であった。身持ちのあまり良くない資慰真を受け入れる
宿屋はやはり、あまり健全なものではなかった。そんな環境のもとでは、親の愛情を
自らの手で強制的とは言え、断ち切った少女がやさぐれるのは無理の無い事であった。
宿屋で働き始めて幾日も経ずに、資慰真は文字通り宿で『壷を売る仕事』に手を染める。
何の感傷もなかった。それは、その行為の代価が三日もあれば消えてしまうもので
あったからでは無い。明日という日に抱く夢や希望が資慰真には無かった。
少女の瞳はどこまでも濁っていた。
やがて……ただれた日々を送るうちに資慰真の体は病に侵され始める。
>>107の続き
年端のゆかぬうちに操(みさお)を失い、体を切り売りしながら生きてきた所為か
資慰真は月のものが来るたびに激痛に苛(さいな)まれた。
あまりの酷い痛みに耐え切れず、飯盛女の仕事を休む事もしばしばだった。
幸い、彼女の雇い主は理解のある男であった。金の卵を産み出す鶏を潰す愚は犯さなかった。
しかし、幇間(ほうかん)上がりのその男は、資慰真が休んだ分だけ上前をはねる事を
決して忘れなかった。ある意味、生殺しであった。
そして……資慰真にとって忘れえぬ日がついにやって来た。
>>108の続き
その日は朝から気分がすぐれなかった。予定日よりも遅れている所為もあった。
自堕落な行為を繰り返してきた資慰真にとって、父親の知れない赤子を孕んでしまうという
結果は避け得れない事であった。積もり積もった上前が支払えない為に、月ものの日の最中だというのに
雇い主の男(男と言っても老人であるが)と寝た事さえもある。それも、もう何度も。
熱で火照る体に毒づきながらも、資慰真は働いた。もともと器用な部類に入る女である。
仕事などは片手間で済ませてしまうのが普通であった。
しかし、その日は違った。簡単な作業にも手違いを犯し、雇い主を苛出せた。
雇い主が苛立つのも無理は無い。なぜならその日に限って珍しく宿に
この界隈でも一、ニを争う材木商のご隠居がお忍びで泊まりに来ていたから。
人手の足りない宿では突然の珍客のもてなしに右往左往していた。
体調のすぐれない時、普段なら暇を請う資慰真であったが、流石にこの日は気が引けた。
それは単に、ご隠居に出す料理を先ほど焦がした所為ばかりでは無い。
一応、義務感を感じていた。それは、今の彼女に残された僅かばかりに自尊心と
言っていいだろう。
>>109の続き
「ほそかわ・ガラハウの娘?」
資慰真の酌を受けながら材木商の隠居は目を細めた。
すっかり禿げ上がった頭の奥で記憶を辿り始める。
暫しの沈黙の後、目を大きく見開いて資慰真の手を強く握りしめると
「おお……まさかこんな所でお会い出来るとはッ!?
神に……嫌、御仏(みほとけ)に感謝しますッ!!」
宴席ですっかり干からびたと思われていた老人の大声に
芸子達が奏でる囃子(はやし)が止まる。
その代わりに、感極まった老人の啜(すす)り泣く声が辺りの空気を湿っぽくさせる。
そんな老人の胸に、握られた手を押し抱かれた資慰真は状況がつかめないまま
呆気にとられていた。只、時折(ときおり)、手の甲に落ちてくる老人の涙が
不思議と暖かいものに感じられた。
>>111の続き
資慰真は後悔していた。こんな苦しみと悲しみを味わうのなら最初から老人と会わなければ良かったと。
ほんのつかの間とは云え、暖かい家庭と優しい夫を得た事が彼女の喪失感を一際、険しいものにした。
あの日、資慰真の父親と旧知の仲であった老人は雇い主から資慰真を解放する。身請けという形ではあったが
明日の見えない仕事と人生から文字通り彼女を救ったのだ。しかも、元、遊女と言っても良い資慰真を
我が子の二度目の嫁として暖かく家に迎え入れた。妻に先立たれたことのある夫は哀しい過去を持つ資慰真を
優しく労わってくれた。愛が……満ち溢れていた。
>>112の続き
荒みきった資慰真の心と体を癒す愛はやがて彼女の良心を咎め始める。
以前、出産のおりに妻と子を亡くした事のある夫は資慰真に焦らなくても良いと
宥(なだ)めたが、その優しさと労わりの声が反って彼女の心を苦しめた。
宿で働いてた頃、自分の手で堕胎した事もある資慰真はこの時、初めて神に
否、御仏(みほとけ)の慈悲に縋(すが)ろうとした。
だが結局、資慰真は神にも仏にも裏切られる事になる。彼女は見捨てられたのだった。
また……今日も如何わしい業者や霊能者達が列をなして店に訪ねて来る。
彼等は、今度こそ間違いないものを持ってきたと口々に言う。
これら霊験あらたかな壷を買えば子供が授かると実(まこと)しやかにまくし立て始めた。
材木の先物取引で財を成した老人と夫は、当初は歯牙にもかけなかったが、彼等の巧妙な
誘導と罠に洗脳されつつあった。優しかった夫はやがて資慰真に手を上げるようになり
彼女の魂の恩人である老人には認知症の兆しが現れていた。資慰真は騙された。
愛が満ち溢れていた一家に破滅への秒読みが始まっていた。