101 :
通常の名無しさんの3倍:2005/09/12(月) 22:11:40 ID:VLRUVQSe
今まさに昇ろうとする朝日。その光景を見るマスター・ア
ジアの目には、うっすらと涙が浮かんでいた。
「美しいな……」
ドモンもそれに答える。
「はい、とても美しゅうございます」
マスター・アジアはそれを聞いて、言葉を続ける。
「ならば」
「流派、東方不敗は」
「王者の風よ」
「全新」
「系列」
「天破」
「狭乱」
「見よ、東方は赤く燃えている」
一人の偉大なる人物は、その弟子の腕の中で静かに息を引き
取った。彼はただ地球を誰よりも愛していただけなのだ。
血染東方一片紅
〜 機動武闘伝Gガンダム 完 〜
>>99の続き
万雷の拍手の後、ワイアット議長は次の案件に議題を進める。
「量産型のCPUの件ですが、RX78のデータを採用する事に決定いたしました。」
拍手の代わりに今度はそこかしこでどよめきが起こる。
「流石はホワイトナイト!」
「やはり、あの企業に出資して正解でしたな・・・」
スパロボ風
U.C0079、ア・バオ・アクーにおける一年戦争最終局面にて、謎の大規模光源体が発生。
ジオン、連邦の両軍艦隊を巻き込み大気圏に消えたそれは、両軍に多大なダメージを与えた。
この混乱によりジオン軍元帥、ギレン・ザビは行方不明になり、疲弊したジオンと連邦は停戦調停を結ぶことになる。
U.C0083、連邦軍によって地球に幽閉されているアムロ・レイが少年ロラン・セアックを発見。使用人に迎える。
ヨーロッパ経済界の雄、ロームフェラ財団の後ろ盾で連邦内にジオン残党狩りを名目としたティターンズが結束される。
総帥はジャミトフ・ハイマン。ここから、各コロニーへの弾圧が強まる。
U.C0086、サイド2コロニー域にて母系体制を唱える「ザンスカール帝国」が地球・その他コロニー群に進行開始。
オペレーションメテオ失敗。各ガンダムが独自に地球降下作戦を行う。
地球
反ザンスカール組織、リガ・ミリティアがアムロ・レイに接触を図る。カサレリア地方において、独自に開発したMS「Vガンダム」のテストを試みる。
そこに現れたザンスカール地球進行部隊と交戦。居合わせた少年ウッソ・エヴィンがこれに搭乗することになる。
同空域にヒイロ・ユイの駆るWガンダム出現。ティターンズのゼクス・マーキスとの共同戦線によりこれを撃退する。
この後リガ・ミリティアにアムロ・レイ、ロラン・セアック、ウッソ・エヴィンが参加する。
宇宙
ザンスカール帝国の「ロナ派閥」の私用部隊クロスボーン「黒の隊」がベラ・ロナ確保のためにグリーン・ノア潜入。
同じく視察に潜入したエウーゴのクワトロとグリーンノアでMSテストを行っていたティターンズと交戦。
この際、ティターンズのテストMS「ガンダムMrkU」に乗り込んだカミーユ・ビダン、シーブック・アノーがエウーゴに参加する。
104 :
通常の名無しさんの3倍:2005/09/21(水) 23:16:12 ID:XTJMdP00
年表が一年ずれてら
>>102の続き
「それでは、今回の本題に入ろうと思います。」
高らかにワイアット議長は宣言すると、私を含めて会議室に詰め掛けていた提督や高官達の
顔色が変わった。それまでのざわめきが水を打ったように静まり返る。
「前々回の会議で採用するアイドルの人数は5名と決まりました。それに伴い、皆さんには
人数分の候補をそれぞれ決めて頂く為の用紙をお配り致しましたが、持ってこられましたかな?」
待ってましたとばかりに提督や高官達は資料と用紙を取り出す。
いつもは山積みになったままの資料や議題だが、この時ばかりは最優先で皆、仕事を済ませたらしい。
秘書達の手を借りずに、やり遂げた仕事を早く披露したいのは、どうやら私だけでは無い様だ。
>>105の続き
採用候補5名の名前がそれぞれ記された用紙が回収される。こんなに胸がときめくのは
入隊試験以来だ。皆、神妙な面持ちをしている。急遽、ホワイトボードが用意される。
ワイアット議長の手には、某・元歌手で今芸人の司会者が持っているような
『さし棒』が握られていた。あんなのでパネルを叩いたらきっと良い音がするだろう。正直、羨ましい。
ちょっと彼が妬ましく思えた。次回からは議長役を譲らない事にしよう。そう心に決めた。
>>106の続き
あらかじめ、選出されていた採用有力候補達のプロフィールパネルも用意された。
さし棒で軽くその感触を確かめるように『バン!』とパネルを叩いたワイアット議長は
「みなさん……長らくお待たせいたしました。これよりGALGM(ギャルジム)計画の
本題に入ろうと思います。」
太く渋い声で語り始めた。それを聞いた居並ぶ提督達、高官達は皆一斉に
『ゴクリ…』と生唾を飲み込んだ。きっと、あの『梅大戦』のキャラクター選出会議も
こんな感じだろう。私は年甲斐も無く胸が高鳴るのを抑えきれなかった。
「その前に、J・コーゥエン将軍?」
ワイアット議長の声が響く。
「何でしょうか?議長?」
少し、照れ気味に筋骨逞しい軍人が直立する。彼は生え抜きの軍人だ。
将軍職という役職にあってもジム通いの日々を続けているという。私にはとても無理だ。
「これは……何かの冗談ですかな?」
困惑気味にワイアット議長はコーゥエン将軍の提出した用紙をひらひらさせる。
「GALGM(ギャルジム)計画ですぞ?GAL=ギャル……つまり女性。
淑女達の名前を書いて欲しいのですが……あなたの用紙には男性の名前が書かれてあります。」
その衝撃の発言を聞いて、私は隣で直立不動の姿勢を保っているアフリカ系将軍との距離を
気持ち広げることにした。
>>107の続き
この時、私達がもっと慎重であったならば、後のJ・コーゥエン将軍の暴走とも言える
核武装が可能なMSの開発といった計画を阻止できたであろう。その事はそのまま盟友
ワイアット議長の命をも救うという結果をもたらしたに違いない。失笑がこぼれる中で
「まあ……これはこれで、あの『ボール・ボーイ計画』の参考資料と致しましょう。」
コーゥエン将軍の提出した用紙を再びひらひらさせながら、ワイアット議長は苦笑する。
歴史が動いた。この瞬間、コーゥエン将軍の頭にある構想が浮かんだと思われる。
そう、彼の嗜好の一つ『巨根砲』である。伝説によると古来、中国にて
『先行者』というからくり人形が装着し、極東の島国の住民を爆笑の渦に
陥れたという、忌まわしき大量破顔兵器だ。
同席する提督や高官達からの冷ややかな視線に動じること無く、将軍が到って冷静に着席したのは
そんな事を考えていたからだろう。欠の穴の大ききい男である。尤も、ものすごく残念そうではあったのだが。
>>108の続き
室内に暫し、「ウホッ♪」とか「フォオオー!」とかいう雑音が響く。はて?気のせいだろうか?
「ウォッホン!!」一際、大きな咳払いをワイアット議長がたてると、漸く静けさが取り戻された。
会議の進行を妨げる野次は時として、憎むべきものに成り代わるのだ。覚えておけ。
※これは後日談ではあるが、コーゥエン将軍が提出した用紙を盟友がこっそりと私だけに
見せてくれた。用紙には『ゴリ江』とか『マエねこ』とか書かれてあった。最初の
2名の所で、私は読むのを止めた。盟友は後に『琴欧洲』という相撲レスラーに会いに行ったそうだが。
これらの事については、また、いつかの機会にお話しようと思う。
さて、随分と横道にそれてしまったが、会議は続いている。
提督達や高官達から提出された用紙をめくりながらワイアット議長はウイットに富んだ
ジョークを織り交ぜながら話を進める。そして、あのエルラン中将の推す候補の話題に飛んだ。
>>109の続き
『杉田かをる』『外う』彼女達の名前が出た時、正直、ネタだと思った。いや、本当に。
「エルラン中将!!やっぱりそうだったのか!?」
思わず叫んだ提督がいた。
※史実と一部、食い違いがありますがあまり詮索しないようにお願いします。
とにかく、色々なハプニングやアクシデントを踏みつつ会議は進んでいった。
そして、ついに私の推す候補の話題になった。
>>110の続き
『コウダグミ』
「却下――けばいよ。あの女。」
「カラオケでキューティーハニーのPVばっか入れるオヤジ、キモイ。」
『ヒトと用』
「異議あり!あの歌い方は気に入らない。」
「台湾人なんだろ?親が。愛国無罪の人間じゃーねぇ・・・・」
『オオヅカアイ』
「却下――パクるなよ。ひとの曲。」
「関西人は嫌いだ。」
『ハマザキアユメ』
「論外。」
「あの会社の方針は気に入らない。」
私は顔が引きつていた。お前等……よくもッ!!
灰皿に、いつの間にか手をかけていた。
設定だけでも良いのか?
内容:
>>111の続き
この会議はもう何度目になるのだろうか?ドアの所に手書きで記された張り紙には15回と書かれてあった。
もうそんなにやっているのか?でも肝心のアイドル達の選考はちっとも進まない。無駄な会議を重ねるうちに
我々をとりまく環境も(この場合、戦局といった方が正しいか?)大きく変化していた。
まず、あのコーゥエン将軍は『ボール・ボーイ計画』に専念する為に、この会議には出てこなくなった。
風の噂によると、愛人が腰痛の為に入院して、その看病につきそっているとか。まあ、あんまり深く詮索しない方が
身の為だろう。あの趣味の人は、太めの人間も好むという。自分を大事にしないといけない。
もし、読者の中で『ボール・ボーイ計画』について詳しく知りたいと思う方は、あの『チャック・キースと核バズーカの囚人』で
一躍有名になったフリージャーナリスト、チャック・キース氏の『TMR(チャック・ミステリー・ルポルタージュ)』を
読んでみるのをお勧めする。非常に面白いと感じている。実は、かく言う私も愛読しているのだ。
>>114の続き
話を続けよう。不毛な会議の間にオデッサの戦いが行われた。そして、ネタだと思わせる
候補を上げていたエルラン中将はスパイ疑惑で取り調べ中であった。今にして思えば、あの行動は
我々に何かを訴えていたのであろう。自分の洞察力の無さが悔やまれた。もし、彼を上手く導く事が
出来たのならば、後々の戦後処理がもっと楽になったであろう。非常に残念でならない。
>>115の続き
不毛な会議は続いている。もう、この頃には当初の和気藹々(わきあいあい)とした
空気は既に無く、殺伐とした、むさ苦しいオヤジ達の怒号だけが響くものに成り果てていた。
『木村カエル』
「顔がねぇ……いまいち、パッとしないねぇ。」
「カエレ!!(・Д・)」
『ユソナ』
「韓国人は嫌いだ。」
「整形しろよ。」
『紅K』
「ちゃんとモップかけろよ!職場放棄だろ!」
「私はぺプシ派だ。」
ファンドとか企業とかの利権も絡んでいるのだろう。一向に会議は進まなかった。
いい加減、誰もがこの会議――否、計画そのものにうんざりし始めた頃、警報が鳴り響いた。
ジャブロー本部……つまり此処に何者かが潜入したらしい。
>>116の続き
慌しく我々はシェルターに避難する。侵入者の数は多くないとの報告を受けたが
念の為に避難をした。どんな戦いでも大将の首を獲られたらお仕舞なのだ。決して
臆病風に吹かれた訳ではない。将たる者は軽々しく銃弾の飛び交う場所に赴いてはならぬのだ。
公国のプリンスは、その事をあまり深く考えなかったようだが……。
シェルターに次々と報告が届く。本部防衛担当の一将官がここぞとばかりに腕を振るう。
沢山の提督や高官が見守っているのだ。当然、力の入れようも違ってくる。
この時、私はこの手際の良い将官の名前が、あのバスク大佐である事をはじめて知った。
なるほど、素晴らしい指揮ぶりだ。ただ、難を言えば、気に入らない報告を持ち込んで来た
尉官達に鉄拳で当り散らす所が目に付いた。これは良くない。日勤教育についてこの間、取り決めた
ばかりじゃないか。
>>117の続き
警報が鳴り止む。どうやら侵入者達を撃退したようだ。後に判明した事だが
侵入者達の中に『赤い彗星』がいたようだ。しかし、腑に落ちないのは敵地に
しかも総本部に侵入するという作戦行動なのに、その『赤い彗星』は文字通り
真っ赤な軍服を身につけたまま、工廠(こうしょう)やその他の基地設備等に
忍び込んでいたという。その為に非常に発見し易かったとの報告を受けた。
これらの報告を耳にした時、シェルターにいた誰もが口を噤んだ。
>>118の続き
暫し、沈黙が支配する。と同時にシェルターに居合わせた我々全員一つの解答を
見出していた。つまり戦闘においては、なるべく目立ってはならぬと云う大原則に。
そう言えば敵のMSにはご丁寧に小隊長マークを頭のてっぺんにつけていると聞く。
それ故にその機を集中攻撃すれば、簡単に戦況を覆してしまうとの報告も受けていた。
やがて……まるで皆、申し合わせたかの様に席を立つとドアの向こうに消えていった。
そして、この日を境に不毛な会議は二度と招集される事は無かった。計画は頓挫したのだ。
旗印のアイドル達が不要に目立ちすぎて、もし撃破でもされたら只でさえ戦意が低いと
される連邦軍将兵にとって甚大なダメージに成りかねない。これらの不測のリスクと
会議の煩わしさ(これが一番の理由だが)を秤にかけた時、皆、私と同じ結論に到ったのだ。
『めんどくさいから止めにしないか?』と云う事に。しかし、盟友は諦めなかった。
尤も、表立って行動はしていなかったが、いろいろと頑張っていたようだ。そして、戦後に件の計画をさらに
壮大なスケールにした『観艦式』を執り行うに到った。その結果については皆さんご承知の通りである。
お祭り好きで、アイドル好きの盟友は文字通り『星(スター)』になった。
花を手向けた後、私はコンペイトウ被爆資料館の外れにある彼の墓標を改めて詠み返す。
『グリーン=ワイアット』星の記憶と共にここに眠る。
コロニーの中なのに雨がこぼれた気がした。
(おわり)
とりあえず、完結乙。
ゴップが主役とか、戦意高揚目的にアイドルグループ作成とかのアイデアは、
ウケ狙いとして悪くないと思う。
ただ、構成がマズい。
ゴップが読み手にグチるくだりや、GALGM計画説明での脱線などはカットして、
話の主題をGALGM計画一本にしたほうが、よいのではないか?
GALGM計画→会議における将軍たちのドタバタ
→シャア進入→やっぱやめ→後日談でワイアット死亡
という展開で、OKじゃないかと思うが。
それと、「>>○○の続き」とやるより、名前欄にタイトルと話数を入れたほうがいい。
読むときに、これはあのSSのつづきだと、頭が切り替えられるから。
それと、レス絞りこみやNGワードといった、2chブラウザの機能も活用しやすい。
SSを書く腕は上昇傾向にあるようなので、
あなたの長所である「ひねった着眼点」を、さらに生かした次回作を期待しておく。
チャック・キースの「TMR]のくだりに吹いたw
「これがマンモスかぁ!初めて見た!」
「凄い牙だねぇ……でも、重たそうだよ?」
ものすごい人ごみの中、万博会場で私は初めて実物を目にした。学校の行事の一環で。
永久凍土から発掘されたその生き物は、ほぼ原型を留めているという。
「折角、眠っていたのをこんな騒がしい処に晒されて、ちょっぴり可哀想かも。」
「何言ってるのよ!そんな事マンモスが考える訳ないじゃない!」
友達たちのやり取りを耳にしながら、私はさらに見つめてみた。
((あなたは今、何を考えているの?))
でも……マンモスの目の部分の空洞は、先ほどと変わらずに暗いままだった。
=======================================
暗い……目を開けても閉じても、全く変わらない。非常灯が切れてもう何時間にもなる。
暗闇に目が慣れるまでの辛抱と教わった事があったけど、この状況では何の気休めにもならない。
眠っている間に昔の事を夢見ていた気がした。大方、ロクでもない夢だろう。
残された酸素はもう僅かだ。いよいよ本当に遺言の事を考えなくてはならなくなってしまった。
私の名前は『ススミ・リホ』今回の作戦は連邦軍本部ジャブローに地下から潜入する為に
特殊工作用MS『アッグ』に搭乗し、洞穴を深く掘り進める任務に加わっていた。
しかし……予期せぬ地震により、崩落に巻き込まれ、敵地の地中深くに閉じ込められてしまった。
以前、何かの教本でテスト機が実戦に遭遇し、パイロット達が荒波渦巻く海洋に放り出され
漂流する話を聞いた事があったけど、彼らはまだ運が良い。少なくとも何も無い地中よりは。
きっと……呪いのビデオの女性の気持ちはこんなんじゃなかっただろうか?彼女は井戸に閉じ込めらて
しまったみたいだけど。水がある分だけ幸せだよね。――って自分で思ってみて嫌になって来た。
駄目だ。さっきからマイナス思考ばっかりだ。もう少しだけ楽しかった事を思い出してみよう。
そう、『あの人』に出会った頃の事を。
=============================================
数ヶ月前……とある採掘現場にて
「今日から新入りが来るらしいぜ?」
「マジで?そりゃァ助かる。」
諸般の事情によりこのネタを封印します。
スレ汚しスミマセン・・・
(まさか本当に大地震が起きるとは思わなかった。ハリケーンといい、大@愛のインスパイアといい・・・)
_,.-‐"':" ̄~゙'ヽ、 __
_,---‐" ̄\ / ``ー‐-、 ノ \
/ ヽ ;" ) / \
/ タ | / |ノ/ \
/ ナ | | )/.| ・ 気 |
| . カ | | ,;';;,, /ノ | ・ づ |
| ・ | |::::.................:::::::::;;,'^;、::::::'''..,,_;、丿 | ・ い |
| ・ | /:::::::::::::::::::::::::::;"゙, /゙~゙`''::;'゙; | ・ た. |
| ・ | `、;;::::::::::::::::;/ ),;' :.'.,、 | ・ よ |
| ・ | ,へノ `'''''"´ .:; .:::_ヽ | ・ う |
| ・ Y \ .::; ::::ゝ .| ・ だ |
| ・ ∧ \ ::::::、 .:;` | な |
| ・ |ヽ丶 \;; :::;;;;::..,,、. ::i | |
| ・ | ` \;;;;/ `゙" \
「……ありがとうございました。」
コンビニのバイトが心のこもっていない礼を言う。
つり銭と一緒に受け取ったレシートの備考欄には『W*客層3』の記しが付いていた。
((私、まだ2@歳なのにな……やっぱり、コンタクトにすれば良かったかも?))
窓ガラスに映りこんだ自分の顔は、時代遅れの冴えない眼鏡をかけた年増OLだった。
私の名前は『シムス=アル=パバロフ』ロシア系の末裔だ。
会社では開発部門に席を置いている。入社したての頃、同じOL仲間から
「同志シムス君」なんて良く言われて、からかわれたりした。あの頃は本当に楽しかった。
でも……今では私は、立派なお局様になってしまった。ドラマ『大奥』に出てきそうな。
からからってくれた仲間達はみんな寿退社してしまった。もう私の事を「同志」と呼ぶ人はいない。
学生の頃、コンビニでバイトした事がある私は、レジのPOSシステムについて教わった。
つまり、私が受け取ったレシートには W=女性 客層3=『年齢』30代 とい情報が
コンビニのシステムサーバーに送られたと言う事を意味している。
私はレシートを握り締めた。そして、ごみ箱に入れようとした時、特典クーポンが
ついていたのを思い出した。ちょっと迷ったけど結局、財布に仕舞った。
握り締めたレシートを思い返した挙句、財布に仕舞った時、私の後ろから
黄色い笑い声が聞こえて来た。……コギャル達だ。
「あの人、クーポン貯めてるのかな?」
「うそー!!おばさんくさー!!」
「おばさんじゃんw」
私は耳の先が熱くなるのを感じながら、その場から足早に立ち去った。
途中、街のウィンドウに写った姿をこっそり確認する。
照明の加減か、いつもより顔に小皺が増えた気がする。
そして、眼鏡の形の所為もあるのか
昔の情操教育アニメの意地悪な先生役にそっくりな気がしてきた。
思わず「セーラ!!」って口走ってみた。心の中で。
ちょっぴりスッキリしたかも。
私は、先ほどの失礼な発言をしたコギャル達を『女王の教室』さながらに
再教育する妄想をした。……相当ストレスがたまってるようだ。
127 :
通常の名無しさんの3倍:2005/10/18(火) 23:21:13 ID:lAIvNJE5
俺はこのスレによもぎださんがいると思った
明日から連休が始まる。特定の相手がいる人にとっては楽しいだろう。
しかし、もうすぐ負け犬確定の私にとって、連休とは鬱になる目障りな日々でしかない。
今買ったダイエットペプシをビニール袋から取り出し、少し行儀が悪いけど喉を潤す。
このまま誰も待っていない薄暗い部屋に帰っても、ため息が出るだけだろう。それも山ほど。
私は、小さなゲップをすると、当てどなく街を彷徨いたい衝動に駆られた。
〜〜♪歌い終わる。すかさず次の曲を入力する。
歌と歌との間の静けさに耐えられそうに無いから。
隣の部屋から漏れ聞こえてくる楽しそうな話し声が、この上も無く耳障りだから。
私は今、独りでカラオケ屋に来ている。一般的に言うところのヒトカラデビューを
たった今、経験したばかりである。
やはりネットでも言われていた通り、受付が一番の難関だった。
幸い、同性の人だったので頼みやすかったけれど。ちょっぴり笑われたかもしれない。
彼女にも。やっぱり鬱だ。
前奏が始まる。あぁ……今の私にぴったりの歌かもしれない。映画ビル・キルで
使われたこの歌は古いけど良い歌だ。私は有線マイクを握り締めると
隣の部屋から苦情が来る程の声を張り上げて歌いだした。
今日はとことん歌い尽くしてやるッ!!
「……あ、ありがとうございましたッ!!」
コンビニのバイトの上ずった声が店内に響く。
深深とおじぎをされる。更に、コンビニなのにオマケも付けてくれた。
ただ、週刊誌を買っただけなのに恐縮してしまう。
……しまった。サングラスはかえって不自然だったのかもしれない。
正体がばれてしまったようだ。面倒な事にならないうちにそそくさと店を出る。
街の通りに出ると、私とそっくりな眼鏡をかけた女の子達が溢れている。
全く、メディアの影響は恐ろしい。少し鳥肌が立った。
あの日、私はカラオケ屋でスカウトされた。言われるがままに
戯れのつもりでCDを出してみたら、あれよあれよと言う間にブレイクしてしまった。
世情が不安定な所為なのかもしれない。コロニーに住まう市民達の間では地球連邦との開戦も
間近ではないのか?といった噂も広がっていた。人々は不安で一杯であった。
そんな重苦しい空気を吹き飛ばすかのように、私が歌う底抜けに明るいこの歌は
オリコンチャートの1位を独占し続けた。
そんな経緯(いきさつ)も手伝って、目出度く?メジャーデビューを果した私だが
それまで、私の人生の大半を占めていた鬱々と過ごす日々から、180度違う
花々しい芸能生活の始まりに、少し戸惑っていた。久しぶりのオフとは言え、コンビニで
買い物をするのは今後、控えた方が良いかもしれない。
釣銭を握り締めた手を開くと、レシートが皺くちゃになっていた。
未だに貧乏OLの癖が抜けないのか、クーポンがちょっぴり気になった。
辺りを見回しながら、こっそりとポイントを確認する。レシートの皺を伸ばしながら
見てみると、備考欄に『W*客層1』とタイプされていた。
思わず小さなガッツポーズをする。プチ整形の効果は覿面(てきめん)だったようだ。
ちょっぴり悦に入っていたら、急に車のクラクョンが鳴り響いてきた。
う……またもや、恥ずかしい所を他人に見られて仕舞ったかも?私は耳がまたまた熱くなるのを感じた。
今、私は生まれて初めて乗るリムジンのシートの感触にどぎまぎしている。
クラクションを鳴らして車から降りてきた黒服は、さっきまでレシートと小銭を握っていた私の手に
金ぴかの名刺を握らせる。その名刺には『フラナガン芸能プロダクション』と記されていた。
リムジンに揺られながら私は、今年の紅白歌合戦の出場がたった今しがた決まったということを
隣に座るマネージャーから聞かされた。耳が本当に真っ赤になった。
133 :
通常の名無しさんの3倍:2005/10/30(日) 14:13:59 ID:Cjnix/3/
俺も書いてみる
「機動戦士 ガンダム宇宙(スペース)」
宇宙世紀。遠い未来の世界で、人はスペースコロニーを宇宙へ放ち、そこで暮らしていた。
「7番目」と呼ばれるコロニーに住む17才の少年〜もょもと〜は、今日もハイスクールに
向かう道途中でイヤになってしまった。
こうして自宅に引き上げるのは、今学期でもう12回目だ。
一学期中に12回の欠席だと!?ば、馬鹿者か…?
そう言われた事もあったが、イヤになってしまうのだから仕方がない。
そんな逡巡の中、コンビニで買ったパンを食いながら空き地の前を通ると、モビルスーツが落ちていた。
うわデケー!あと白い!それが感想で、よくみると額にV字のアンテナも付いていた。
たぶんこれはガンダムってやつだな、そう思いつつコクピットの前にくると
シャッターが勝手に開いてマニュアルがパサリと落ちた。中には誰もいない。
マニュアルには「スペースガンダム説明書」
と書いてある。「スペースガンダムは特に宇宙で強いモビルスーツです」。
ようしお兄さん宇宙出ちゃうぞ、そう考えた時期がもょもとにもありました。
イヤになっちゃった。誰か続き書いて
136 :
通常の名無しさんの3倍:2005/11/06(日) 02:42:35 ID:83Tyk5SV
h
138 :
通常の名無しさんの3倍:2005/11/11(金) 02:07:57 ID:oQzyWLG7
所属事務所をフラナガンプロに代えた私は、現在、スタジオに軟禁されている。
リムジンに初めて乗り、紅白出場を聞かされて有頂天になっていた私は、勢いに
任せたまま、言われるがままにサインしてしまった。
巧みなセールストークにまたしてもカモられたようだ。全く情けない。
ぶつぶつ毒づいていたら、教官?の怒鳴り声が狭いスタジオに響いた。
「こら!関口ッ!スウィングしなさいッ!!」
ここではなぜか私のあだ名は、同志シムス君では無くて、『セキグチ』になっていた。
もう我慢の限界だ。切れた。
「ナーンデ、イワンガコンナコトシナクチャイケナイノビッチ!!」
思わず故郷の訛り?が出てしまった。
夜間外出禁止令がついにここでも発動された。
ここ最近は、どのバンチに行っても同じような状態である。
宇宙開拓移民者と言えば聞こえが良いかも知れないが、その実態は
地球永住市民権という名の高すぎる税金が納められない下層階級の集まりだ。
その程度というのも推して知るべしである。
そして、悪いことにコロニーに住まう人の間にも階層というものがやはり存在した。
人々の心を分かつ溝は宇宙世紀という時代においても年々、深まるばかりであった。
「……ありがとうございました。」
私は、コンビニのマニュアルに記された通りの作業をこなす。
何の感情も湧かない。まるでロボットになった気分だ。
釣銭の勘定を済ませた老人がヨタつきながら店を出る。
レジに視線を落すと客層1、2、3、4のボタンに埃がたまっていた。
戦争が始まってから、既に半年が過ぎようとしている。
少し前までは若者達が、賑やかに屯(たむろ)?していたこの街も
今では老人と子供しかいない。街のネオンも消えてすっかり寂しいものになってしまった。
若者たちはみんな兵隊に捕られてしまったから。
また独りになってしまった。今日はもう、お客さんは来ないかも知れない。
お店の売上は日に日に落ちていた。尤も、何でも揃っているのが
当たり前のコンビニであるはずなのに、陳列棚には商品が少しも入っていなかった。
なんで戦争なんかはじめてしまったのだろう?みんなあの男に誑(たぶら)かされてしまったのだろうか?
音楽で世界を平和に導こうと私に力説した芸能プロダクションはとうの昔に倒産してしまった。
寄せ集めのユニットで厳しい練習の毎日だったけど、私達『婦等☆なーが』は確かに輝いていた。
あの日が来るまでは。
紅白出場の為に急遽、組まれたユニット『婦等☆なーが』は名前も然る事ながら、その音楽性も
一風、変わったものであった。コーディネイターの説明によると、そのコンセプトは
フラメンコやフラダンスといった舞踊にインドの伝統音楽をリミックスしたものであると言う。
詳しくは知らないけど、ユニット名の『なーが』には蛇(へび)という意味があるそうだ。
蛇足かもしれないが、フラメンコもフラダンスも腰の動きが重要と聞いている。
そしてこのユニット『婦等☆なーが』の最大のキモは、蛇使い達が奏でる笛の音で
蛇達が操られて、妖しく胴をくねらせるように、私たちも音楽や踊りで人々を魅了し、ゆくゆくは
世界を平和に導きたい(!?)という願いも込められているそうな。
初めてそれを聞かされた時、私はなんだか前世紀の80年代アニメの事を思い出さずにはいられなかった。
そして、心の中で『きんもー☆』と呟いていた。
プロパガンダ放送に聞き飽きた私は店の有線を切り替える。
本来なら非国民呼ばわりされる行為だけど、誰も店内にいないのだ
構わないだろう。尤も、オーナーに見つかったら只事では無いだろうけど。
ラップ調のリズムが閑古鳥が鳴いていた店に響く。
結構、良いセンスだ。何でもこの歌は戦場で負傷し帰還した兵士達の間で密かに
流行ってるものらしい。噂によると、連邦軍に所属するミュージシャン志願の兵士が
作詞、作曲したそうだ。音楽にボダーは(国境)は無い。私はこの歌が気に入った。
店内のスピーカーが風刺の効いたリリックをエアコンで乾燥した空気に伝え続ける。
私は店に誰も居ない事を良い事に、その歌に合せて少し、腕をくねらせてみた。
丁度良い具合に店内には全身が写る鏡までもある。昔捕った杵柄が騒ぎ出しはじめた。
♪トリアが乗ったぜ飛行機に
エースになるわと飛行機に
でも彼女の飛行機トリアエーズ
頭痛薬はナロンエース!!
♪ニートのトニーが食求め
就いた職にショック死た!!
案外と体は錆付いていなかったようだ。
タテノリの激しいビートにも息が上がらずについてゆける。
しばらく私は、軽い光悦感を覚えながら腰をくねらせ続けていた。
もしも、こんな風に仕事を放り出して踊りまくっている店員が
コンビニやファーストフード店にいたら、私も迷わず逃げ出すだろう。
しかも全速力で。防犯カメラに写るのはちょっと恥ずかしいかも?
と一瞬、ためらったけど、安い時給でこき使われているのだ。
これぐらいの息抜きがあってもバチは当たらないだろう。
……多分。
額にうっすらと汗が滲み出す。運動不足解消になっただろうか?
これでダイエットも出来たなら最高なんだが、世の中そんなに甘くは無い。
そんな事を考えなが踊り続けていると
「セキグチ!!モップがけは終わったの?」
と――不意に後ろから声をかけられた。
「相変わらず、腰のキレが良くないわよ?セキグチ――いいえ、シムスさん?
でも……お客が来ないからといってバイト先で踊るのは良くないわね。」
3メートル程飛びのいた私に、金髪を頭頂部で結い、サングラスをかけた女性が話し続ける。
……この声、この姿、忘れもしない!!紅白出場の為に急遽、組まれたユニット
『婦等☆なーが』のリーダ兼、鬼教官の『ミス・ハモン』だ!!
私は、ずり下がった眼鏡を直すと、平静を装いながらこう答える。
「いらっしゃいませ。お客様。」
マニュアル通り応対してみせた。
148 :
通常の名無しさんの3倍:2005/11/15(火) 12:16:02 ID:HjbwhRVB
149 :
通常の名無しさんの3倍:2005/11/16(水) 10:23:41 ID:JqPpdy1y
>>64 逃げたな・・・。結構まとまってて読みやすくて面白かったです。
>>119コロニーの中なのに雨がこぼれた気がした。←これ絶妙w