……生徒の会話を盗聴していた通信兵たちは、ある生徒たちの交わす会話に色めきたった。
「おい、これは……!」
「ああ、もし本当だとしたら、俺たちは……!」
小惑星基地の片隅で行われていた、生徒同士の会話。
ノイズは酷いし、筆談も混ぜているのか、時折それは不自然に途切れる。
けれど、聞こえてくる範囲内だけでも、それは彼らの顔色を変えるに十分なものだった。
「……ティーチャーは! ティーチャーは聞いてるのか、この内容を!?」
「いや、未だ部屋に閉じこもって機械弄りをしている。定期放送にも遅刻している」
、、、、、、、、
「それはラッキーだ! 早く、ティーチャーが気づく前に対処しろ!」
「今から身柄を押さえにいく!」
「気をつけろよ! 完全武装でいけ!」
大慌てで兵士たちが駆け回る。
……今更、生徒の一部の叛意を知ってうろたえる彼らではない。脱出も反抗も予想の内だ。
だが……これは彼らの覚悟の範疇を超えていた。
その可能性に気づいてはいたが、信じたくなかった――とでも言うべき内容だったのだ。
* * *
……扉が予告もなく蹴り破られた時、リーア・ミノフスキーは一瞬にして悟った。
何か、自分がミスをしたか、不測の事態が起きたか……なんにせよ、「賭けに負けた」ことに。
「動かないで下さい。ハロが動いても撃ちます」
自動小銃を構えた兵士たちは、冷たい声で告げた。
例によって無数のガラクタと作りかけのハロに囲まれたティーチャーは、顔色ひとつ変えない。
「……これは、どういうこと? 何かあったの?」
「あなたの釈明は、通信室で聞きます。そのまま我々に従って来て下さい」
「……“キャット”を連れて行ってもいい?」
「それくらいならいいでしょう」
兵士たちは、警戒を緩めることなく、彼女が髑髏を抱え上げるのを見守った。
……現時点では、嫌疑だけだ。容疑が確定したわけではない。
だから彼女を拘束することも、髑髏という「彼女の拘りの品」を取り上げることもできない。
ただ、もしも少しでも反抗的な行動を取ったら、その時は……
「では、行きましょうか。何があるのかは知りませんけど」
「ああ、ティーチャー、お待ちください」
髑髏を抱え上げ、素直に部屋から出て行く彼女。
その後ろに続こうとする例のハロたちを見て、兵士の一人が声を挙げた。
「例の、青い殺人ハロだけは置いていって下さい。念のために」
* * *
完全武装の兵士たち。つい先ほどまで忠実なる部下だった者たち。
彼らの銃口に囲まれたまま、彼女はその録音テープを聞かされた。
>>187 『そして後者の理由……これは、ティーチャーとの接触で失われた……。
奴は……推測だが、俺達の襲撃を望んでいる……
俺達が襲撃を行ったその時、奴の何らかの望みは叶うのではないだろうか…。
そう思い立ったとき、俺は襲撃の道を捨てた。
俺はティーチャー……いや、リーア=ミノフスキーが大嫌いだからな』
シュウジ・アサギの『声』。
『ティーチャーは俺たちの襲撃を望んでいる』。
……薄々は、兵士たちも考えていたことだ。
まさかそれはあるまいと必死になって否定してきたことだ。
だが、こうして、参加者の中でも推察力では随一のシュウジの言葉として、聞いてしまったら。
彼らはもはや、この『元生徒』のティーチャーを信じることなどできなくなっていた。
「……これを聞いて、何か申し開きはありますか?」
「ないわ」
バキッ!!
現時点で艦内の事実上のトップ・管制艦の艦長は、彼女の顔面を容赦なく殴り飛ばした。
渾身の拳を顔面に受け、『元ティーチャー』の小柄な体は打ち倒された。
倒れてなお、彼女は『キャット』の髑髏を手放そうとはしない――
まるで、それが彼女にとって最後の命綱であるかのように。
* * *
……ああ、そうか。
私は、彼らを買い被り過ぎていたのかもしれない。
あるいは、極限条件の下で、どれだけ思考力が低下するかということを、忘れていたのかもしれない。
『盗聴』のことを知っていて。
『襲撃の意図がバレている』ことを知っていて。
『現場の最高責任者が襲撃を望んでいる』ことに勘付いていて。
そして、『組織が艦の撃沈を望んでいるハズがない』ことにも思い至っている。
私と直接会話を交わして、私がどういう人物なのかも薄々分かっている。
ああそれなのに、シュウジ・アサギ、なぜこの結果に考えが及ばなかったの?
なぜそれを無造作に口にしてしまったの?
その場には筆談のための紙とペンがあったのでしょう?
『管制側に知られて不利になる情報』をやり取りするための、筆談でしょうに。
それとも……運営側への反抗よりも、仲間(?)たちの希望よりも、私への憎しみの方が深かったの?
それほどまでに『リーア・ミノフスキーが大嫌い』なの?
もし、本当にそうだと言うなら……あなたは、私個人に対して、最大限の損害を与えたわ。
誇っていいわ。喜んでいいわ。
あなたに、地に倒れ伏した今の私を見せてあげられないのが、残念だけど。
けれど……まだ、私は、終わってない。まだ、一回負けただけ。
まだ、挽回のチャンスは、残っている………私の真の願いを叶えるための、挽回のチャンスは。
……ねぇ、そうでしょう? キャット?
* * *
リーア・ミノフスキーは、現場の兵士たちの独断により、その場で拘束され権限を剥奪された。
これが、しばらく前に起きた出来事である。
……定期放送が予告なしに途切れてから、これで二回分ほどの時間が経ったことになる。
【リーア先生の行動:ハロY解体(−1p)、
ハロYの部品の一部を『あるもの』の中に隠す(−1p)
ハロYの外装を『あるハロ』と交換(−1p)
移動(半ば強制的に)(−1p)、 拘束されて独房へ(−1p)】
【管制スタッフの行動:盗聴データ検証(−1p)リーア先生殴打&拘束(−2p)】
【位置:O-15】
【残り行動値:∞】
【リーア先生の行動方針:??? 拘束され計画修正中】
【管制スタッフの行動:管理をつつがなくやり遂げる、裏切り者・リーア先生の処分を考える】
>>202 >>217 「OK。俺の"切り札"と僅かに残っていた意志、確かに託したぞ。」
そう言うとベルクと握手を交わし、ディスクをノートPCから取り出すとベルクに手渡した。
同時に一枚の紙急いで書き上げ、手渡す
[使い方だが、先に"盾"と書かれているファイルを機体にインストールしておいてくれ。
そして一番上のファイル、"unlimite melody"と書かれているのを起動させるだけだ。
しかし、これだけは守ってくれ。起動させるのは最後、どうしようもなくなったとき。
発動させるのは、その時だ。
あと、これは無差別に攻撃するプログラムだ。
これの影響を受けさせたくない全ての者に"盾"を渡しておけ。]
「……さて、俺が協力できるのはここまでだな。
まぁ、後出来ると言えば助言程度だな……。」
そこまで言うと、目を閉じ、一つ、ため息をする。肩の荷が下りたような、そんな気分だった。
(これで渡すべき物は全て渡した……。
後は……同じ優勝を目指す者、サーティア・クワンを殺すだけだが……。
未だ戦闘中なのか、もう死んだのか、まさかとは思うが同盟したのか……
糞っ、定期放送はどうした?これでは生きているか生きてないかも解らないじゃないか。)
「……ゼファー、定期放送までの時間は後どれぐらいだ?」
〔もし予定が守られたとしたら、あと数十分ですが……。〕
「最近は滞りがち、か。全く、貴重な情報収集源だというのに……。」
何か起こった、と言うのは間違いないだろう。
それが運営が不可能になるレベルではないとしても。
今、管制官では何かが起きている。この遅れ具合はそうとしか思えない。
(……何が、起きている?いや、まさか……起きようとしているのか?)
彼は気が付いてはいなかった。半分は彼が原因である事には。
【行動:ディスク譲渡(−1)筆談(−0)会話(−0)】
【残り行動値:3p】
【位置:U-22 デッキ】
【機体状況:対自爆装置用改造済み 左肩装甲融解
フィン・ノズル4個損傷、表面装甲損傷軽微 通信中 ジャベリン&ペズバタラ(書き忘れてました)】
【参加者状況:右足重傷(処置済み) 打撲 左目周辺に切り傷(処置済み)】
【武装:ビームライフル×2(残弾:右85% 左70%) ビームサーベル×2 ビームシールド
フック付きワイヤー&ウィンチ ヒートナイフ×2 F-90S用クルージングミサイル×1】
【所持品:ディパック(水2g入り0.5本 食料1.5日分 計画書 紙とペン 医療用セット 首輪カバー ノートPC)
拳銃(残弾16発) 工具セット ゼファー】
【行動方針:優勝】
【同盟:なし】
ベルクもディスクを受け取ることに賛成してくれたらしい。
俺はジャベリンの足元に腰掛けながら、シュウジがベルクにディスクを渡すのを見ていた。
・・・これで俺たちは、管理者側への報復の第一歩を印した事になる。
これからまだまだするべき事は多いが、このまま当てもなく参加者同士で殺し合いを続けるより
はよほどやりがいのある作業だろう。
(・・・これからの行動には、より一層注意を払わなければならないな。攻撃を匂わせるような
迂闊な言動を察知されたら、管制艦を取り逃がす原因になる。いや、だからと言って慎重すぎる
のも考えものだ。こうしている間にも、空域はどんどん狭くなっていくのだから・・・)
ふと顔を上げると、ベルクとシュウジが握手を交わしていた。
それを見ながら考えを進める。
(慎重なのは勿論だが、行動は素早くしなければならないだろう。例え管理者側にばれずに管制艦
が動かなかったとしても、そこへ通じる道が進入禁止空域になってしまったら逃がしたのと同じ
事になってしまう。このカバーでは時限装置を無効にできないから、進入禁止空域を通り抜ける
こともできないしな・・・)
一息ついたところで、ベルクが言葉をかけてきた。
俺は苦笑すると、紙に返答を書いてベルクに投げた。
[ベルクなりに気を使ってくれているんだろうが、はっきり余計なお世話だ。これを止めるという
事は、俺に傍観者になれと言うことだぜ?冗談だろ?・・・管理者側に一泡吹かせるチャンスを、
そうそう見過ごすわけにはいかないんだよ。いいか?これは一回きりの乾坤一擲の大勝負だ。
お前1人が行動して失敗しました、じゃ済まないんだ。俺は、生きるために奴等に戦いを挑む。
この思いは・・・誰にも妨げさせない]
・・・そうだ。
これは俺たちが自由を勝ち取るための、最初で最後の戦い。
俺が戦士として・・・そして人間として、他人に何ら恥じる事のない誇りある戦い。
この戦いは誰かに任せるのではなく、あくまでも自分で行うことに意義があるのだ。
奴等に戦士の戦いをを見せつける、最初で最後のチャンスなのだ。
(・・・そういえば・・・)
俺はふと思ったことを紙に書いて、シュウジに見せる。
[ディスクには機体の爆弾の処理法もあると言っていたが、その処理はこのデッキ
の設備でもできるものなのか?昔デブリ回収やってたついでで解体も手伝って
いたから、そっちの作業なら片腕でも何とかなりそうなんだが]
【行動:ペズ・バタラへの通信回線継続(0)ビギナ・ギナへ通信回線継続(0)
筆談(0)】
【残り行動値:4p】
【位置:U-22(小さなデッキ)】
【機体状況:右腕消失、頭部バルカン砲1門損傷、モニター一部使用不能
右肩装甲損傷、左肘ジョイント負荷(40%)、胸部及び腹部
装甲に凹みと歪み、ショットランサー1基消失
アインラッド:打撃による回転不良(小)】
【参加者状況:左肩負傷(処置)、左眼球裂傷(処置)、右手首切断(処置)
右肋骨骨折、左大腿骨にひび】
【武装:頭部バルカン砲×1、ビームサーベル×1、ショットランサー×1
ビームシールド
アインラッド 武装:ビームキャノン×2(84%)、9連装ミサイルポッド】
【所持品:ディパック、水2?入り1本、食料21/3日分、シャベル(小)、蕎麦団子1個、
拳銃と自動小銃と弾倉、タッパーのカレー4つ、保冷シート2枚、書類の束、ペン2本
首輪カバー4つ】
【行動方針:行動の考察】
【同盟:ベルク、シュウジ(?)】
「……なんか、すっごく久しぶりな気がする。
こうやって、直接触れ合えるのって。
暫くこうしていたいけど……」
「……そうだな……」
微笑みには微笑みを。
止血の処置は続いていた。
やがて、応急処置が終わるか終わらないかというタイミングで、
予測していた振動がアビゴルを襲う。
「のんびりしてたら、私、死んじゃうね……。
……リナルド。私、サイコの所へ行かなきゃ……。
確か、自分で乗り込んで……起動させなきゃいけないんだよね。
大丈夫、コレくらいの怪我、なんでもない……」
「バカ。 なんでもないわけあるか……」
みっつ目の溜め息と共に紡がれた言葉にこそ諫めるニュアンスが含まれてはいたものの、
その声は安堵のものに違いなかった。
(まだだな……。
まだ、俺の身体も崩れてない)
『二人とも、死んではダメよ。
勝手に死んだりしたら、黒社会の総力を挙げて末代まで苦しめてあげるから。
香港マフィアのお嬢様の怖さ、味わいたくないなら絶対に生き残りなさい』
「……あはは。イブさんが言うと冗談に聴こえないって。
末代まで苦しめられちゃたまらないから……いよいよ死ねないかな」
「うちって、一応俺が末代なんだけどなあ……。
ま、マフィアを敵にまわすってのは御免こうむりたいね」
よっつ目の溜め息は、トリニティの一人に送られた生存のサイン。
そこに、目の前に現れたガンイージから通信が飛び込んできた。
『他に機体はないの!?
こんなボロくれてやるわ!
アールセン! 貴方は私からこのガンイージを奪ったのよ! 良いわね!?
それから何かオンボロでいいから、MS頂戴! 動けば良い! 何かあるでしょ!?
薬品は一式ガンイージのコクピットに有るわ。治療用の器具は修理器具で代用しておいて!
ムサイは標準ムサイね!? それならメディカルルームの位置は解る。
それからヤクトドーガの投棄! ムサイ巻き込んで吹き飛ぶわよ!?』
「……リナルド。とりあえず私、サーティアさんの好意に甘えてみるね。
少し休めば大丈夫だと思うけど……今は正直、格納庫まで行くのもツラいかも。
今は、少しでも早く……首輪の恐怖から逃れたい」
そして、リファニアがサーティアというらしいガンイージのパイロットに格納庫の中身を説明する。
ならアビゴルでサイコまで送ろうかと申し出ようとして……リナルドは、申し出ることを止めた。
サイコガンダムMk-Uに乗せたくないというより、少しでもサイコミュに触れさせたくなかっただけだ。
大体、彼女のもともとの乗機はサイコガンダムなのだ。
≪続く≫
「そうだな……、わかった。
サイコとHLV格納スペースのドッキングは外しておこうか。
それから……」
ガンイージのコクピットに、ゆっくりとアビゴルを接近させつつ。
再び、以前の温かな口調で。
「サイコに乗るなら、サイコミュ……できるだけ切っておけよ。
この状況で倒れられたりしたら、迷惑どころの話じゃないからな。
俺だけならまだしも、イブさんにまで余計な負担を掛けるのは君としてもよろしくないだろ?」
しっかりと釘を刺し、アビゴルの左手をガンイージの右肩に掛けて固定すると、
リナルドはリファニアが繋いだ回線でサーティアに呼び掛けた。
「あんた、こっちに移れば格納庫まで送っていくぞ。
どうする?」
そして、今までそうしてきたように、左手をリファニアのメットの上にぽんと乗せ。
今までそうしてきたように、微笑みと共に。
「もう、あまり無茶はしてくれるなよって、何度言わせたら気が済むんだか……。
私物は置いていってくれれば俺がサイコまで運ぶ。
君はその機体の中で休んでいるなりHLV格納スペースまで自力で来るなり、
とにかく、無理・無茶のないようにな?
俺としては、これ以上寿命を縮められたくはないしね」
冗談交じりといった趣の口調で、彼は最後に一言付け加える。
実際には冗談ではなく、8割方事実だったのだが……
リファニアがリナルドの症状を具体的に何も知っていない以上、
今、この場においてこれは“冗談”でしかない。
リナルド自身はそれでいいと思っていたし、彼女のために自分を削ることを躊躇う理由など
もはやどこにも無くなってしまって久しい。
今までは何か勘違いをしていただけだ。 自分を可愛がっていただけだ。
自ら炎に飛び込んだ時……あるいはこの場に掛け付けた時……または、それ以前かもしれないが。
剣ではなく、楯でもなく。 騎士として、共に歩む者として。
ようやく、抱え込んでいた矛盾をひとつ払い落としたのだ。
ただ、気付くのが遅かっただけだ。 もう気付いた。
だから、冗談で結構。 それでいい。
「……イブさん。
ここでもいい、どこか落ち着けそうな場所で一旦休んだ方がよくないか?
俺もリファニアもこんなだし……そっちも戦闘が終わったばかりだろ?
機体の整備と補給もそろそろ必要だろうしね」
最後に、頼もしい仲間に一言告げると、彼は再び姫に向かってにっこりと微笑んだ。
【行動:応急処置終了(-1)、通信回線継続(0)】
【位置:V-20・小惑星基地内・港湾部・ミョーコウ/ブリッジ付近】
【残り行動値:3pts.】
【機体状況:MS形態・右肘破損・通信回線→ヴィクトリー、ガンイージ】
【武装:(MS)ビームカタールx2、右腕ビームカッター、ビームキャノン、デュアルビームガン
(MA)ビームカッター、ビームシールド(×)】
【生徒状態:覚醒@ノーマルスーツ・鈍痛】
【所持品:デイパック、コッペパンx2、水2gx3、食糧4日分、私服、拳銃(20)、救急箱
受信装置(稼動中)、リファニアの私物(ラーズの遺品は放棄)
(以下私物)(MS状態チェック用ポータブルコンパネ)、愛用眼鏡、配線修理用工具一式】
【行動方針:三人で生還する/これから……】
【同盟:20番リファニア 03番イブ】
(大分遅れて『いつもの放送』が始まる。……いや、いつもとは少し雰囲気が違う……?)
『……痛たぁ……まだ喋ろうとすると痛いですねぇ……歯が折れちゃったかな?
もう、艦長ったら本気で殴るんだからぁ♪
……え? あれ、もう放送始まってるって? あ、失礼しました☆
あ〜、え〜、定期放送ならぬ、不定期放送のお時間です♪
少しトラブルがあって、放送が途絶えてしまっていました☆
みなさん御迷惑をかけて申し訳ありません♪
前の放送から今までの間に死んだ人はいないようですね。
それでは、次の禁止区域の発表です
『A-08』 『B-24』 『D-23』 『F-10』
『H-02』 『K-09』 『K-22』 『L-16』
『N-13』 『P-01』 『Q-08』 『S-15』
『T-05』 『V-21』 『X-20』 『Z-12』
以上、前回放送ができなかった分も含め、一気に16箇所が禁止区域になります。
みなさん、ご注意を♪
あ〜、それから、みなさんに悲しいお知らせです。
先生、ちょっと用事ができて、ここを離れなきゃならなくなりました。
いつまでかかるか、そもそも戻ってこれるかどうかも、今の時点では分かりません。
というわけで、下手したらこれで永遠のお別れかもしれませんね♪
ちなみに、私の不在中は、管制艦の艦長さんが先生の代わりをしてくれます。
定期放送も彼がしてくれますが、彼は忙しいので多少時間がブレるかもしれませんね♪
みなさ〜ん、代理の先生のとこでもちゃんと頑張るんですよ〜。
悪いことばっか考えてた子も気をつけて下さいね〜。艦長先生は、私よりも厳しいですよ〜。
悪巧みだけならともかく、実際に悪さしたら、私みたいに優しくないでしょうから☆
『レウルーラ』には『ギラドーガ6体』いるし でも人手全然足りないから『対空砲火は甘い』んですよね
『V-27』の『ゲート』から応援来るのには時間かかるだろうs
~~~~~
(バキッ!!)ヒッ! (ドガッ!!)ぐぇッ! (ゲシッ!! バシッ!!)
(……ブチッッ!!)』
(妙に早口になった最後の文章を強引に断ち切る、重い打撃音。かすかに聞こえる悲鳴と呻き声。
そして唐突に切れる放送。
……久しぶりの『定期放送』ならぬ『不定期放送』は、不穏な余韻を残して終わった)
【リーア先生の行動:定期放送(全体通信)(−2p)】
【管制スタッフの行動:リーア先生殴打(−1p)放送を中途で打ち切り(−1p)】
【位置:O-15】
【残り行動値:∞】
【リーア先生の行動方針:??? 最後のお仕事・不定期放送】
【管制スタッフの行動方針:管理をやり遂げる、裏切り者・リーア先生への対処】
第14章 >225 現在 (低容量版マップ)
K L M,N O.P.Q.R S,T U V,W,X,,Y Z
10□□□□◎□◎□※◎◎◎※◎□■
11◎■□◎■◎□◎□◎◎※◎◎■◎
12◎◎◎■■◎◎□◎□※◎□■◎×
13◎◎◎×◎□◎◎◎□◎◎□◎◎■ □:開かれた空間
14□◎※■□■◎□□◎□◎■◎◎◎ ■:暗礁空域
15◎□■■99□◎□×□□■◎■◎■ ※:戦場跡
16◎×□□00◎□◎□◎※□◎◎■■ 〓:コロニー
17□◎◎■□□□□≠≠□□□◎◎■ ▼:小惑星基地
18◎■◎◎□□□□◎□□□◎□□◎ ≠:崩壊したコロニー
19□■■◎◎□◎□□□□◎◎◎◎□ ▽:爆破された小惑星基地
20◎□■□◎◎□◎◎□□03▼×◎□
21※◎※◎□◎◎□◎□▼×▼◎□◎ ◎:侵入禁止区域
22×◎◎□◎□□□□◎01◎▽◎◎□ ×:侵入禁止予告区域
23◎◎※◎■◎□◎◎□◎▼◎□◎□
24◎※◎■■■◎◎□◎□◎□◎□◎ ?:情報のないエリア(侵入禁止)
25???????????????? 門:『ゲート』?(詳細不明)
26????????????????
27???????????門????
99は管制機能を持つレウルーラ級戦艦。
00番はティーチャーのコアブースター。91番は管制側所属のギラドーガ1号機。
01・07・14は同一地点。03・11・15・20は同一地点。00と91は同一地点。
03と同位置に無人のムサイ級戦艦(半壊)。
乗り手不在のジム・ライトアーマーとサイコガンダムMk-Uもムサイに収容。
02・04・05・06・08・09・10・12・13・16・17・18・19・21・22・23・24・25・26死亡。
01シュウジ 03イブ 07ベルク 11サーティア 14レイモンド 15リナルド 20リファニア
……放送を打ち切っても、なお『艦長』の激情は収まらなかった。
殴られ倒れ、足元で身を丸める女に、なおも蹴りを叩き込む。
つま先が腹に食い込み、女はさらに吐瀉物を吐き出す。
「ハァ、ハァ……コイツめ、コイツめ……!」
憎々しげに蹴りを叩き込みながら、かつての上司・『元ティーチャー』を見下ろす。
――この女を、ブチ殺してやりたい。
それが彼の偽らざる気持ちであり――周囲を取り囲む兵士たちにとっても、それは同じだった。
『上層部』からの『命令』がなければ、このままリンチを続けて殺していたに違いない。
『裏切りの司令官』リーア先生を拘束した兵士たちは、上層部に指示を仰いだ。
ティーチャーの行動が許し難かったとはいえ、これは一種のクーデターである。
艦長をはじめとする兵士たちは、上層部に対する叛意はないことを釈明する必要があったのだ。
……事情を聞いた上層部は、彼らの罪を一切問わないことを約束した。
ただしその代わりに、いくつもの条件を出してきたのだ。
リーア・ミノフスキーに、今まで溜まった分の定期放送をさせること。
放送終了後、リーア・ミノフスキーに『ゲート』まで出頭させること。
彼女に対する正式な裁きと罰は、上層部が直接判断して決定すること。
決して現場の独断でリーア・ミノフスキーを殺さないこと。
そして、彼女が場を離れている間の、管制艦運用に関する細々としたこと……
例えば、別命あるまでこのエリアから艦を動かしてはならないこと、など。
……しかし、放送の内容についての指示は一切なく、ゆえにあれは全て彼女の独断ということになる。
管制艦の戦力を暴露し、管制側の内情を覗かせ、そしてよりによって『ゲート』の存在を明かし。
「貴様はッ……! 叛意の明らかな生徒どもに情報を流すような真似をしてッ……!
我々を殺す気かッ!! 生徒の味方をする気かッ!!!」
「……だ……じゃない……」
艦長の罵声に、彼女は苦しそうな小声を返す。
一連の暴行で肋骨でも折れたのか、彼女は脂汗を額に滲ませ、声にはまるで力がない。
苛立ちも露わに、艦長は彼女の髪を掴んで無理やり引き起こす。
「何だって? 今何といった!?」
「……あなたたちが死んでもいいと思っているのは……私だけじゃない……
……上層部だって……ここにいる人間を切り捨てる覚悟がある……」
「!!!」
涙と汗と吐瀉物でグチャグチャになった顔のまま、しかしなおも彼女は嘲う。
その言葉に、艦長以下の兵士たちは金縛りにあったように動けない。
「……艦長……あなたは、『元の時代』でどんな犯罪を犯してきたのかしら?」
「!!」
「艦長だけじゃない……この艦に今乗っている人たちは、どれも『帰る場所のない』人々。
犯罪者、逃亡者、敗戦国側の戦犯、切捨てられたスパイ、故郷を失った者――
『元の時代』で居場所を失い、時を越えて“組織”の人間にスカウトされた人々。
その中でも、“組織”内での地位も実績も低い、立場の弱い人間たち……
時を越えられる“組織”にとっては、いくらでも補充の利く人間。
“生徒たち”とほぼ同等の価値しかない存在なのよ」
「……黙れ、黙れ、黙れ!!」
「黙らないわ。だってそうでしょう?
組織の中でも、小惑星基地に留まっていた『高位の』人たちは、既に脱出したわ。
あなたたちは、見捨てられたのよ――私と、一緒に」
そう、すでに、“組織”内で高い地位にいる人々は、安全な場所に移動している(12章>256参照のこと)
あるいは、最初からこの場になど来ていない。
参加者の生死を賭博の対象にしながら、高みの見物を決め込んでいる。
「あなたたちも、そして私も――“参加者”なのよ。
生徒たちよりも有利で、生徒たちとは違うルールに縛られているけれど……ね。
生徒たちが徹頭徹尾“生徒同士の殺し合い”を拒絶した時、
それでもなお“殺し合い”を成立させるための“隠し参加者”――それが、あなたたちよ」
「…………」
「ま、頑張りなさい。生徒たちに比べたら格段に有利な条件が与えられているんだから。
無事に生き残れば、“組織”内での地位も上がるでしょう。
次からはもう少しマシな場所に配属してもらえるはずだわ」
艦長たちに、言葉はない。
『格段に有利な条件』――確かに、そうかもしれない。
彼らの位置は分かるし、会話やバイタルサインも全部手にしている。
彼らの『直接攻撃』があった後ならば『首輪爆破』も許されている。
レウルーラの戦力を100%出すに足る人員はいないが、持っている戦力は彼ら全員よりも上だ。
しかし――彼らには、覚悟と必死さがなかった。
つい先ほどまで、“管理側”という立場に甘んじ、油断しきっていた彼らである。
心の中に不安が膨らんでいくのを、止められなかった。
* * *
大雑把な、あまりにも不十分な応急手当をされただけで、彼女はコアブースターに乗せられた。
彼女の手元には例の髑髏。周囲には赤・黄・紫の3体のハロ――青いハロはいない。
コアブースターには、寄り添うように一体のギラドーガがついている。
「いいの? 貴重な戦力を私の『お見送り』なんかに使ってしまって」
「あなた一人を勝手に行かせたら、何をしでかしてくれるか分かりませんからね。
変な動きをしたら、後がどうなろうとも撃ちます。いいですね?」
「はいはい♪」
コクピットに銃口を突き付けられたまま、コアブースターはギラドーガを乗せてゆっくりと発進する。
裁きを受けるために。あるいは、最後の悪あがきをするために。
【リーア先生の行動:部下たちに真実を告げる(−1p)、コアブースターに移動(−1p)、
発艦(−1p)、移動(O-15→O-16)(−1p)】
【管制スタッフの行動:リーア先生に殴る蹴るの暴行(−2p)、リーア先生に応急手当(−1p)
ギラ・ドーガ1体発艦(−1p)、移動(O-15→O-16)(−1p)】
【位置:管制艦O-15、リーア先生O-16】
【残り行動値:∞】
【リーア先生の行動方針:??? 『ゲート』の所まで出頭する】
【管制スタッフの行動方針:管理をやり遂げる、リーア先生からこれ以上悪影響を受けないようにする】
>>222 >>223 (レイモンドの意思も堅そうだな・・・・・。)
レイモンドがシュウジに何か書いた紙を渡したときに
まだ、聞こえるはずの無い声が聞こえてきた。
>>226 「どうするシュウジ?土壇場になって分岐点が増えちまったぞ。」
そう良いながら、紙に文を書きシュウジとレイモンドに渡す
[やはりティーチャーとその他の奴等の意向に相違点が合ったらしいな。
そして、ティーチャーの何らかの思惑が漏れたか何かでそれがバレた腹いせか
生徒達(俺達に)重要な情報をわざと流した・・・・・・・と言う考えが一つ
あるいはもっと深い罠を張っていると見るべきか・・・・・どちらにしても
新たな状況が増えたことと嘘か本当か奴等の戦力および状況が見えたことについて
俺的には”チャンス”だと考えている。
言葉の後に流れてきた多数の雑音からして信じても良い情報のような気がする
お前も言ったとうりティーチャーが襲撃を望んでいて、襲撃中のどさくさに紛れて
何かをするつもりだったかもしれない。
それを察知され今の現状に至った、と俺は考えたんだが
現にティーチャーの動きがあった。これを機に”ティーチャーの捕獲”と言う考えが浮かんだ
今、奴は”ティーチャー”という立場を失った同時に俺達の影響力も無くなったと思う
『V-27』の『ゲート』と”ここを離れるという”キーワード”からそこに
何かがあるのは誰にでも想像がつくだろう。
確証と情報を手に入れるため”ティーチャーの捕獲”するか
マップの座標に無い『V-27』の『ゲート』に即向かうか・・・・・・・
二者択一、これは俺の考えだ他に思うところがあるなら意見してくれ
出来るだけ早く決断して行動に移したい・・・・・こんな状況は今だけしかないだろうから]
二人に渡したメモとは別にシュウジにもう一枚メモを渡す
[それと、シュウジ。
いくらお前が計算高い男でもそれを予想しての会話だったのか?]
【行動:レイモンドとシュウジに通信中(-0)筆談(-0)会話(-0)】
【残り行動値:4】
【位置:U-22】
【機体状況:右腕損失、左足膝部損失、右足膝部損失、本体側面装甲各所損傷
コクピット内機械一部損傷、スラスター各部損失(出力50%低下)
左手マニュピレーター消滅】
【武装:(本体)ビームアックス、3連装ミサイルランチャー×2(残弾0)(左手甲部)ビームシールド、
ビームダガー×1本 】
【所持品:ディパック 水2g三本 十字架 聖書 特殊情報端末 チ○ルチョコ20個ほど
アサルトライフル 予備弾倉5セット 拳銃 予備マガジン5セット
手榴弾 六個 ナイフ】
【行動方針:”答え”を見つける】
【同盟:01番 シュウジ=アサギ 14番 レイモンド=デリック 】
>>224-225 『そうだな……、わかった。
サイコとHLV格納スペースのドッキングは外しておこうか。
それから……』
以前と同じ穏やかな口調で、リナルドはリファニアに言葉を返す。
『サイコに乗るなら、サイコミュ……できるだけ切っておけよ。
この状況で倒れられたりしたら、迷惑どころの話じゃないからな。
俺だけならまだしも、イブさんにまで余計な負担を掛けるのは君としてもよろしくないだろ?』
まるで妹を嗜める兄のように、穏やかながらも、しっかりと釘を刺すリナルド。
「……うん、たしかにね。ただでさえ迷惑かけちゃってる私だもん。
少しは自重しないと、とっておきのデコピン喰らいそう。
……イブさんは、それどころじゃ済ませてくれなそうだしね。」
リナルドとモニターに映るイブに、ばつが悪そうに微笑みながら、ぺろりと舌を出すリファニア。
……こういった遣り取りも、本当に久しぶりだ。
本来は、こんな事をやっていられる状況ではないのだが、心の余裕を演出するには、悪くない方法だ。
サーティアに、アビゴルに移るかどうかを訊いて後、
リナルドはリファニアのメットに掌を乗せ、微笑みと共に言葉を向けてくる。
『もう、あまり無茶はしてくれるなよって、何度言わせたら気が済むんだか……。
私物は置いていってくれれば俺がサイコまで運ぶ。
君はその機体の中で休んでいるなりHLV格納スペースまで自力で来るなり、
とにかく、無理・無茶のないようにな?
俺としては、これ以上寿命を縮められたくはないしね』
最後に付け加えられた言葉の意味には、リファニアは気がつかなかった。
……それは、ただの冗談だと思っていた。
リナルドの微笑みが、あまりにも穏やかすぎたからかも知れない。
「リナルドがいくら年上だからって、寿命を気にするほどお爺ちゃんじゃないでしょ?
……信用ないかもだけど、ほんと、自重します。
疑うなら、私の目を見て……これが嘘を言っている目?」
だからリファニアは、いつも通りに、微笑みで以ってリナルドに応える。
……わずかに頬を染めた、恋人に向ける微笑みで以って。
リナルドが、イブに向かって休息の提案をする。
……リファニアも、休みたくてたまらなくはあったが……。
リナルドの微笑みに対し、再び微笑みで以って返して後……リファニアは、少し真面目な表情になる。
今後の基本方針を決めるのならば、幾つか言っておきたい事があったからだ。
ミョーコウの中には、数々の大切な遺産が残されたままだ。
この先の戦いで、必ず力となってくれるであろう……ミョーコウの遺産となってしまうかも知れないものが。
「それよりも先に、火災を何とかしないと。
この艦の中には、まだ使えるものが沢山あるはずだよ。
例えば、メガバズーカランチャーとか……ね。」
だが、二人の会話にリファニアが割り込んだ途端……。
話の流れを切りかねない程に衝撃的なものが、コックピット内に流れた。
>>226 すごく……すごく久しぶりの定期放送。
その内容は、今まで流れた定期放送の中で、群を抜いて衝撃的な内容であったと思う。
殴打されるような音で締められた、あまりにも多くのメッセージが含まれた、定期放送。
「……リーア=ミノフスキー……?」
リファニアの表情が、驚愕の表情を浮かべたまま、固まった。
やはり、リーア=ミノフスキーは、忠実な管理者ではなかった。
かつて接触したリファニアと……少なくとも、共に接触したリナルドには、それが解っていたと思える。
……そしてそれは、ついにリーアの身に災厄となって降りかかった。
自分達の生命を、彼女の目的を果たす為……それが何かは解らないが……の駒にしようとした事。
それは、絶対に許せない。
だが、許せないだけで完結する程、彼女に抱く想いは、単純ではなかった。
……彼女も奪われ、そして抗う者だからだ。
リーア=ミノフスキーの存在が敵の隙を生み出す原因になるのならば……最大限、利用してやる。
それを以って、彼女の贖罪と見なしてやっても良い。
リーア=ミノフスキーが先生たる権利を剥奪された事。
……このタイミングでそれが起こった事は、あまり歓迎できないかも知れない。
代理人は、彼女と違って真面目な管理者だろう。
……反抗的な生徒に対しての処罰は、より厳しくなってくる筈だ。
だが、リファニアは、心の奥底でほくそ笑んでいた。
激情にまかせて先生を殴打する……おこりんぼさん。
リーア=ミノフスキーに比べて、かなり役者が落ちるんじゃない?
……それに、リーア=ミノフスキーの最後の言葉。
レウルーラ……。
艦内部の事はさすがに知らないけど、その特性なんかはバッチリわかる。
……対空砲火の薄い部分もね。
ギラ・ドーガ6機……。
明らかに、戦力不足よね。運用面では、極めて優れた機体。
でも、あの時代の量産機は、単機の戦力は、重視されていないの。
圧倒的な火力と防御力を誇るMAに太刀打ちするには、いかにも荷が重いのよ。
戦史がそれを……何よりも物語っているの。
αに捻り潰されるジェガンのように……私のサイコで薙ぎ払ってやる。
それに、一番気になる言葉……『ゲート』……門?
V-27……エリア外、か。
どんな物かは解らないけど……間違いなく、脱出の鍵となるモノね。
……こんな思考は、前のリファニアではありえなかったと、自身で自覚していた。
まるでシェラが耳元で助言してくれているみたいで……心強かった。
リファニアは、その瞳に強い決意の光を宿しつつ、リナルドに顔を向けた。
言葉は、発さなかった。発さずとも、リファニアの意志はリナルドに届いていたはずだ。
……リナルドもおそらく、同じ想いを抱いている事だろう。
ふと、思い出した事があった。
艦橋で見た、幾つもの輪っかの事だ。
……あれは、リナルドか、イブかは解らないが……仲間が用意した物に違いない。
そして、艦長室でリナルドがイブに渡した大き目の首輪……おそらく、抗うための鍵となるモノ。
艦橋に浮かんでいたあれは……間違いなく、それと関係がある代物だろう。
「ねえ、リナルド。私、艦橋で、大切なもの見たかも知れない。」
両手で輪っかをつくろうとして……左手が動かない事を思い出す。
少し物悲しそうな表情を浮かべるが、すぐにその表情は掻き消えた。
……夢は、消えてはいないから。
右手で左手を支えるようにしながら、輪っかをつくるリファニア。
「……こんなのが、あったの。大切な、モノだよね?」
大切な事を告げた後、にこりと微笑んで、リファニアはリナルドに抱きついた。
ヘルメットを脱いで、リナルドのヘルメットのバイザーをあげると、彼の唇に桜色の唇を、軽く重ねた。
軽く……今は、あくまでも軽く。
自分が抑えられなくならないうちに、離れないといけないから。
「……じゃあ、ガンイージのコックピットに行ってくるね。
私の荷物は、リナルドの言うとおり、置いておくよ。」
リナルドの唇より桜色の唇を離し、リファニアは吐息がかからんばかりに顔を近づけたまま、
囁くように語りかけ……リナルドより、離れた。
日記帳とペンをサイドポケットに入れ、壊れたギターを手にとったリファニア。
暫くギターを眺めた後、なかば押し付けるように、リナルドに差し出した。
「……これも、預けておくからね。」
……この役割は、リナルドにやってもらうの。
だから、私の夢は、壊れた事にはならないの。
アレンは、イヤがるかな?
でも、これは私がリナルドに課した贖罪なの。
リナルドは、逃げる事は出来ないんだから。
イ キ ノ コ ル
絶対に―――逃がさない―――。
再びにこりと微笑みかけて、リファニアはヘルメットを被ると、よろめきながらも立ち上がった。
リナルドがバイザーを閉めるのを待って、アビゴルのコックピットハッチを開く。
リナルドが気を遣ってか、すぐ傍に寄ってくれていたので、
ガンイージのコックピットに移るのはそう辛くは無さそうだったが……。
……視界が朦朧として、上手く距離を掴めない。
それでも何とかガンイージのコックピットに乗り移ったリファニア。
「……きたよ、サーティアさん。これからよろしくね?」
ガンイージのコックピットの縁に立って、サーティアに右手を差し出す。
……いざ乗り込むとなると、さすがに若干の緊張を伴う。
彼女が殺そうと思えば、今のリファニアほど恰好の獲物はないだろう。
だが、リオンの笑顔を見たリファニアは、それはありえない事だと信じていた。
【行動 : フレンチキス(-1)、ガンイージに移る(-1)、あくしゅ(-1)、残1 】
【位置 : V-20(要塞内、港、ガンイージのコックピットの縁) 】
【機体状況 : ─wwヘ√レvv〜─wwヘ√レvv〜─ 】
【パイロット状況 : 頬にうっすらと傷痕、右肩軽傷(治療済)、頭軽傷(包帯巻)、左腕重傷(応急処置)、
ノーマルスーツ着用、メイク済み♪、全身に痺れるような感覚、軽い脳震盪 】
【武装: ─wwヘ√レvv〜─wwヘ√レvv〜─ 】
【所持品: 首輪、ノーマルスーツ、ナバン61式拳銃、日記帳とペン
(以下、リナルドのアビゴルのコックピット内)
ディパック、コッペパン2つ、水2g入り2本(1本は空) 、ジオン女性士官の制服、
抗生物質、換えの包帯やガーゼ、消毒薬 、アレンの遺したギター、トリィの羽根、
ピンクのエプロン(ポケットに口紅)、白のエプロン 】
【方針 : 『揺るがせてはならない夢……でしょ?』、自分の意志で生きる、けじめはつけた? 】
【同盟 : 15 リナルド=グレイス、03 イブ・シュウリン、11 サーティア=クワン? 】
「あら、驚いてくれないのね。
ちょっと残念だわ。新鮮なリアクションを期待してたのに」
それはあくまで余裕の演出。
実際には自分たちに与えられた猶予など、極々限られた代物でしかない事は愁林とて重々承知している。
けれどもそんな状況だからこそ、焦燥に心を奪われてはならないのだ。
鉄の味が鬱陶しい。
鬱陶しいから、意識の外に追いやる。
『……イブさん。
ここでもいい、どこか落ち着けそうな場所で一旦休んだ方がよくないか?
俺もリファニアもこんなだし……そっちも戦闘が終わったばかりだろ?
機体の整備と補給もそろそろ必要だろうしね』
「休めるだけの時間的な余裕があるかしら。
……そうね、今後の動き方についても話し合っておいた方が良いでしょうし。
休息をとるかどうかはともかく、落ち着けそうな場所を探すのは悪くないわね」
モニター越しに二人の仲睦まじい様子を見つめていた愁林は、リナルドからの問いに暫し思案してからそう答えた。
ロザリオが温かい。
この温もりは、込められた想いが与えてくれるもの。
それだけだ。
「ここの基地の中に、まだ使えるドックが残っていれば良いのだけれど。
基地の見取り図、データがあれば送って貰えないかしら?
無ければ、適当に管制室の端末から呼び出してみるわ」
そんな提案と共に、リナルドから預かっていた端末をさりげなく掲げてみせる。
ジョーカー
その中に伏せられているのは、彼が見出した生き残るための最後の切り札。
ゲームのルールをぶち壊し、胴元に喧嘩を売る為の重要なデータ。
少女と青年とが、夢を掴む為に欠かすことの出来ないそれを、愁林は文字通り体を張って守り抜いた。
如何なる事情があったかは知らないが、伏せた札をひっくり返すタイミングは胴元側からもたらされた。
後は、ジョーカーを元の持ち主に返すだけ。
愁林の視線がガンイージに向けられる。
つい先程まで殺しあっていた相手が、今は心強い味方になっている。
つくづく、この世はお人好しで満ち溢れているようだ。
スミンツァンゾミンイウン
―――使命創造命運……ね。
何時だったか、今は亡き母親から聞かされた言葉。
それをふと思い出し、彼女はロザリオから手を離した。
【行動:アビゴルとの回線継続(-0)、リナルドへの提案(-0)】
【残り行動値:4p】
【現在位置:V-20】
【特記事項:腹部軽症(手当て済み)、覚醒、若干の疲労、時折襲う正体不明の突発的頭痛、内臓器官損傷、(?)】
【機体状況:左腕Bシールド及びBトンファー使用不可、両肩装甲破損(左腕はゴトラタンのものを移植)
外装損傷率29%、ミョーコウ中破(現状ではまだ航行可能?)】
【武装:頭部バルカン×2、Bサーベル×1、Bシールド×1、
... Bピストル×2(E残量70%、両脚部外側HPにマウント)、
グレネードランチャー付き90mmマシンガン(6斉射+グレネード3発、腰部左側HPにマウント)】
【所持品:思い出の銀のロザリオ、銀の腕時計、低反動拳銃(弾丸12発装填済み)
コンパネ、端末】
【行動方針:切り札を返す、皆が生き残るために最善を尽くす】
【同盟:リナルド、リファニア、サーティア】
〔マスター。定期放送予定時間を過ぎました。〕
「……まぁ、禁止区域は増えないし、いいんだがな……。」
結局、予定されていた時間に定期放送はなかった。
その事が、シュウジの中で疑問を着実に大きくしていた。
(……只の気まぐれとかにしては、期間が長い……。
何かあったにしては、何らかのアクションがなさ過ぎる……。
向こうも、混乱している……?)
>>223 「ん?」
思考は、レイモンドによって止められた。どうやら、解体法について聞いているようだ。
とりあえず、返事を書く。時間的余裕が無い分、このような筆談がもどかしく感じる。
[本格的な設備は必要ない。簡単な電子工作の工具と、長いコードがあればそれで十分だ。]
そう書いた返事を渡すと、再び思考を張り巡らす。
(通信装置の只単なる事故……あり得ないでもないが、
未来の人間である奴らが修理にこんなに時間がかかるとも思えない。
上……有るのかどうか知れないが、奴らの上司に当たる奴らにティーチャーが呼び出された……。
いやしかし禁止区域の更新もなされないと言うのはおかしいか?
……反乱?
……誰が?)
「……リーア=ミノフスキー???」
〔マスター、定期放送です!〕
「!」
>>226 「……おいおいおいおい……ってまさか……。」
久々の"不"定期放送。内容はいろいろな意味で興味をそそるものだ。
そして、一つの事に気が付いた。
「そのまさか、だよなぁ……。」
(さっきの会話……。確かに、ティチャーに反乱の兆しがありそうだと言ったが……。
しかしそれはあくまで"憶測だが"と言う言葉を挟んだ上での発言だ。
それを解っていながら一参加者の言葉を本気にして、上(?)へ送還するとは……。
しかし何故、そのような反乱分子に放送を任せる?情報を漏らされる危険性を孕みながら。
情報が上手く伝わってないのか?上と現場レベルの意見の食い違いか?)
>>230 『どうするシュウジ?土壇場になって分岐点が増えちまったぞ。』
「……考え中だ!」
思考を中止されて、思わず大声になってしまった。それに気づき、すぐに「すまない。」と付け加える。
そして、もう一度思考を始めようとしたが、ベルクがなにやら紙を書いていたので、中止する事にした。
しばらく待っていると、書き上げたのか紙を渡してきた。さらに、こちらにだけもう一枚。
大きい方のメモを二度、小さい方は一度読むと、返事を書く。
[捕獲する事によるメリットが低くないか?
まぁ、奴が首輪の解除コードを持っていれば話は別だが。
そしてゲートとやらに行くのは問題外だ。時限装置の都合上、本気で"逝く"ことになりかねない。
……もし、ティーチャーを捕獲する場合、
レーダーに入るなり通信もさせる間もなく、一撃でその輸送している何かのコックピットを
ティーチャー以外だけ破壊する必要がある。
しかも、管制者にその用事であそこまで言ったという事を悟られないように別の理由でティーチャーの元まで行って。
……難しくないか?
後、この事態は予測していなかった。
流石に、一参加者の憶測をここまで本気にするとは思ってなかった。
もう一つ。俺はそろそろ此処を出るぞ。
今思い出したんだが、三方を危険区域に囲まれた場所にはあまりいたくない。]
……あの放送の所為だろうか。少し、頭が痛くなってきた。半分は自分の所為なのだが。
「いわゆる自業自得……か。」
【行動:筆談(−0)会話(−0)】
【残り行動値:4p】
【位置:U-22 デッキ】
【機体状況:対自爆装置用改造済み 左肩装甲融解
フィン・ノズル4個損傷、表面装甲損傷軽微 通信中 ジャベリン&ペズバタラ】
【参加者状況:右足重傷(処置済み) 打撲 左目周辺に切り傷(処置済み) 若干の頭痛】
【武装:ビームライフル×2(残弾:右85% 左70%) ビームサーベル×2 ビームシールド
フック付きワイヤー&ウィンチ ヒートナイフ×2 F-90S用クルージングミサイル×1】
【所持品:ディパック(水2g入り0.5本 食料1.5日分 計画書 紙とペン 医療用セット 首輪カバー ノートPC)
拳銃(残弾16発) 工具セット ゼファー】
【行動方針:優勝 ……?】
【同盟:なし】
シュウジから返ってきた答えは、予想外に簡潔なものだった。
まあ簡潔ではあっても意味は通じているから、問題はないわけだが。
それによると機体の爆弾の処理は、大掛かりな設備がなくともできるものらしい。
…シュウジに言われた物であれば、このデッキの中でも揃える事ができそうだ。
(あとは事務室にあったパソコンを使って、ディスクの中身を確認して…作業はそれからだな。
MS2機の処理にかかる時間は……)
そこで割り込んできた放送で、俺の思考は一旦中断を余儀無くされた。
久し振りに聞く、先生の定期放送。
先生の口調は今まで通り明るく、異常があったようには聞こえない。
だが、内容は今までの放送と明らかに違っていた。
(……)
俺は手元の紙に、気になるフレーズをなるべく手早く書いていく。
(用事…離れる…永遠の別れ……艦長……レウルーラ…ギラ・ドーガ×6…人員不足で対空砲火
減少…V-27のゲート………)
とにかく耳に残った言葉を紙に書いていく。
そして最後に柔らかいものを殴るような音と共に、放送は途切れた。
再び訪れた沈黙の中、今の放送の内容を考える。
…管制艦(レウルーラというのか…)で先生の身に何かが起きた事は確実だ。
自分で用事で離れると言っている以上、殺されたという事はないと思うが……最後のの扱いから
して、用事で離れるというよりは、シュウジが言っていたような何らかの企みがばれて、出頭を
言い渡された…と考えた方が自然かもしれない。
(ん……?シュウジが…『言って』いた?……もしかして、さっきの、あれ…か?)
少し強引な考えだが、他に先生があのような扱いを受ける理由が今は見当たらなかった。
だがそう考えると、辻褄が合うのも確かだ。
何よりも結果的に今の放送は、管制艦の弱点をいくつか如実に示してくれた。
現時点では無理でも、いずれはこれを利用しない手はない……。
放送があってから何かを書いていたベルクが、俺に紙を手渡してきた。
内容は予想通り今の先生の放送について……。
先程の放送で、このエリアの周りは進入禁止空域に囲まれてしまったらしい。
時間がない事を察知した俺はベルク答えを書いて渡したあと、その場から立って歩き始めた。
(続く)
[確かに罠についての可能性は捨て切れない。ただ、ベルクの端末を向こうも知っている以上、
可能性自体は低いものだと思う。待ち伏せをしても端末に表示されてしまうからな。…今1
番怖いのは、先生がいなくなった事で管制艦が進入禁止空域に移動してしまう事だ。
ベルクは管制艦の動向を注意してくれ。
先生の保護についても、結局は向こうの動向次第だろうな。ゲートを使うのならこの付近に
来る可能性はあるが、早々に進入禁止空域に入られたら俺たちにはどうしようもない。
あと、そのゲートについてだが…。これは今は気にする必要はないだろう。俺たちの持っている
首輪カバーではあそこまでは行けないし、例え行けたとしても情報が少なすぎる。
先生は放送でゲートの存在を話したが、それがどのようなものかは全く話してはいない。
たしかにそこに行けば、ゲートはあるかもしれない。…だからと言って、それが俺たちに使え
るものとは限らない。何らかの許可証が必要かもしれないし、パスコードの入力も考えられる。
普通、『門』は外部からの侵入者を防ぐ為に設置するものだ。……当然それを開ける事ができる
のは……内部の人間、という事になる。
そう、リーア=ミノフスキー。
これだけでも先生を保護する価値はあるとは思うんだがな…。
じゃあ俺は機体の爆弾を処理する為の道具を探しに行ってくる。まずは爆弾の処理を済まさない
事には、今後何も行動できないからな]
俺はさっき、事務室の隣に見つけた倉庫へ行ってみる事にした。
【行動:ペズ・バタラへの通信回線継続(0)ビギナ・ギナへ通信回線継続(0)筆談(0)
倉庫に移動(−1)】
【残り行動値:3p】
【位置:U-22(小さなデッキ)】
【機体状況:右腕消失、頭部バルカン砲1門損傷、モニター一部使用不能
右肩装甲損傷、左肘ジョイント負荷(40%)、胸部及び腹部
装甲に凹みと歪み、ショットランサー1基消失
アインラッド:打撃による回転不良(小)】
【参加者状況:左肩負傷(処置)、左眼球裂傷(処置)、右手首切断(処置)
右肋骨骨折、左大腿骨にひび】
【武装:頭部バルカン砲×1、ビームサーベル×1、ショットランサー×1
ビームシールド
アインラッド 武装:ビームキャノン×2(84%)、9連装ミサイルポッド】
【所持品:ディパック、水2?入り1本、食料21/3日分、シャベル(小)、蕎麦団子1個、
拳銃と自動小銃と弾倉、タッパーのカレー4つ、保冷シート2枚、書類の束、ペン2本
首輪カバー4つ】
【行動方針:行動の考察、機体の爆弾の処理】
【同盟:ベルク、シュウジ(?)】
>>237 何かを考えていた最中だったのか、シュウジが怒鳴るような口調で
返事をした。その後言いすぎたと思ったのかすぐに謝ってきた。
「いや、俺の方が悪かったすまない。」
流石にこちらも、この状況下で
ふざけたような言動をしてしまったことに謝る。
そして、シュウジが即急に思いついた作戦についての
返事が返ってくる。
もう一つの方はやはり偶然だったらしい
それについての返事を書き、シュウジに渡す。
[それよりは少し楽かもしれん
ティーチャーは今コア・ブースターに乗っている
数人の護衛はついているだろうがさっきの情報が正しければ
レウルーラにはギラ・ドーガ6機といっていたなら、
多くて2機、少なくとも1機はついているだろう
高性能だがまだ何とかなるかもしれない
それにティーチャーが、奴等を良く思っていないなら
俺等を利用しようと考え、その為に一時期だけでもこちらの要求を
飲むかもしれない。]
「最後に、状況が変わってもその様子では以降の協力はしてくれそうに無さそうだな
だが、十分協力をしてくれて感謝する。
気をつけろよ1ブロック進むだけで相手の索敵範囲に入る。すぐ近くにいるからな。」
>>239 レイモンドの意見は少々問題があると書いてはあるが納得してくれたらしい
その紙を俺に渡した後、レイモンドは倉庫に移動した様だ。
「レイモンド。片腕だけでは不自由するだろう、
手伝って欲しいことがあったら遠慮無く言ってくれ。」
【行動:レイモンドとシュウジに通信中(-0)筆談(-0)会話(-0)】
【残り行動値:4】
【位置:U-22】
【機体状況:右腕損失、左足膝部損失、右足膝部損失、本体側面装甲各所損傷
コクピット内機械一部損傷、スラスター各部損失(出力50%低下)
左手マニュピレーター消滅】
【武装:(本体)ビームアックス、3連装ミサイルランチャー×2(残弾0)(左手甲部)ビームシールド、
ビームダガー×1本 】
【所持品:ディパック 水2g三本 十字架 聖書 特殊情報端末 チ○ルチョコ20個ほど
アサルトライフル 予備弾倉5セット 拳銃 予備マガジン5セット
手榴弾 六個 ナイフ】
【行動方針:”答え”を見つける】
【同盟:01番 シュウジ=アサギ 14番 レイモンド=デリック 】
第14章 >240 現在 (低容量版マップ)
K L M,N O.P.Q.R S,T U V,W,X,,Y Z
12◎◎◎■■◎◎□◎□※◎□■◎◎
13◎◎◎◎◎□◎◎◎□◎◎□◎◎■ □:開かれた空間
14□◎※■□■◎□□◎□◎■◎◎◎ ■:暗礁空域
15◎□■■99□◎□◎□□■◎■◎■ ※:戦場跡
16◎◎□□00◎□◎□◎※□◎◎■■ 〓:コロニー
17□◎◎■□□□□≠≠□□□◎◎■ ▼:小惑星基地
18◎■◎◎□□□□◎□□□◎□□◎ ≠:崩壊したコロニー
19□■■◎◎□◎□□□□◎◎◎◎□ ▽:爆破された小惑星基地
20◎□■□◎◎□◎◎□□03▼◎◎□
21※◎※◎□◎◎□◎□▼◎▼◎□◎ ◎:侵入禁止区域
22◎◎◎□◎□□□□◎01◎▽◎◎□ ×:侵入禁止予告区域
23◎◎※◎■◎□◎◎□◎▼◎□◎□
24◎※◎■■■◎◎□◎□◎□◎□◎ ?:情報のないエリア(侵入禁止)
25???????????????? 門:『ゲート』?(詳細不明)
26????????????????
27???????????門????
99は管制機能を持つレウルーラ級戦艦。
00番はティーチャーのコアブースター。91番は管制側所属のギラドーガ1号機。
01・07・14は同一地点。03・11・15・20は同一地点。00と91は同一地点。
03と同位置に無人のムサイ級戦艦(半壊)。
乗り手不在のジム・ライトアーマーとサイコガンダムMk-Uもムサイに収容。
02・04・05・06・08・09・10・12・13・16・17・18・19・21・22・23・24・25・26死亡。
その倉庫の中はかなり整然としていた。
使っていた人間が几帳面なのか、それとも元々誰も使っていなかったのか。
今となってはどうでもいいことだが、散らかっているよりかは探しやすくて良かった。
(電気工具と…コード、だったっけな)
ここはデッキを使っていた船――といっても小型艇だろうが――を整備する為の道具などを
置いてある所らしい。
所々に何かのスペアのような部品が置いてある。
それを横目で見ながら、棚を端から調べはじめた。
『レイモンド。片腕だけでは不自由するだろう、
手伝って欲しいことがあったら遠慮無く言ってくれ』
ベルクからの通信が入ってきた。
俺は少しだけ棚を漁る手を止める。
(…ベルクの手が空いているようなら、事務所のパソコンでディスクを爆弾処理のところを
プリントアウトしておいてもらいたかったが…)
俺はそれを口に出せなかった。
さすがにディスクの事を管理者側に聞かれるのはヤバいと思ったからだ。
例の艦長とやらが本当に先生の業務を行っているのなら、そして、リーア=ミノフスキーが
言ったように厳しい人間なら、些細な事で首輪、若しくは機体を爆破されかねない。
(それだけは何としても避けなければ…)
そこで棚の下にあった、大きめの工具箱が目に入る。
開けてみると……そこには俺の期待通り、ドリルやカッターなどの電気工具が入っていた。
俺は頷くと、今度はコードを探して中を見渡していく。
「ベルク、聞こえるか?もう少し待っててくれ。すぐに終わると思うから」
ベルクに簡単な通信を入れると、手早く棚や壁を探していった。
【行動:ペズ・バタラへの通信回線継続(0)ビギナ・ギナへ通信回線継続(0)
倉庫で道具探し(−1)】
【残り行動値:3p】
【位置:U-22(小さなデッキ)】
【機体状況:右腕消失、頭部バルカン砲1門損傷、モニター一部使用不能
右肩装甲損傷、左肘ジョイント負荷(40%)、胸部及び腹部
装甲に凹みと歪み、ショットランサー1基消失
アインラッド:打撃による回転不良(小)】
【参加者状況:左肩負傷(処置)、左眼球裂傷(処置)、右手首切断(処置)
右肋骨骨折、左大腿骨にひび】
【武装:頭部バルカン砲×1、ビームサーベル×1、ショットランサー×1
ビームシールド
アインラッド 武装:ビームキャノン×2(84%)、9連装ミサイルポッド】
【所持品:ディパック、水2?入り1本、食料21/3日分、シャベル(小)、蕎麦団子1個、
拳銃と自動小銃と弾倉、タッパーのカレー4つ、保冷シート2枚、書類の束、ペン2本
首輪カバー4つ】
【行動方針:行動の考察、機体の爆弾の処理】
【同盟:ベルク、シュウジ(?)】
>>240 「ま、最善を尽くせ。だが、諦めるな。
諦めて優勝を狙おうというのならば、俺はお前達を敵と見なし、殺す。
狭いフィールドだ。言う必要はないだろうが言っておく。
さらば、だ……。」
そう言うと床を蹴り、ビギナ・ギナの元へ戻り、コックピット内に入るとハッチを閉め、ヘルメットを脱ぐ。
そして、左目を覆っていたガーゼと包帯を取り、恐る恐る左目を開けた。
「……見える、な。塞いだままよりはましそうだな……。
よし、ゼファー、移動を開始する。目的地はU−21。目的は武器調達。それらしき倉庫を検索しておけ。
最悪の場合、サイコMK−2を相手にする可能性がある。もっといい武器を集めとかないとな。」
〔了解、ルート検索を開始します。〕
「警戒レベル二桁上げ、内部隔壁を開けるから最短距離で移動しろ。移動開始。」
〔移動、開始します。〕
通路を進むビギナ・ギナ。そして、次々と解放される小惑星各隔壁。
三歩進んだ頃には小惑星の内部隔壁は全てが解放を終えていた。
「……さて、殺し合い再開といこうか?」
〔現状ではムサイ同盟と闘って勝てる可能性は低いですよ?〕
「……だから武器調達するんだよ。」
〔したとしても、です。〕
「……そこは知恵。どうにかなるだろ。脱出と襲撃を画策するよりは。」
〔下手に私を使って内蔵が破損しなければいいですが。〕
「笑えねぇ冗談だなぁ……。」
〔私は冗談と言えどもマスターに嘘は言えないはずですが……。〕
「……はぁ。」
ため息をつく。また頭痛が悪化しそうだ。これは自業自得なのだろうか?
【行動:会話(−0)傷の様子を見る(−0)U−21へ移動(−1)隔壁解放(−1)】
【残り行動値:2p】
【位置:U-21】
【機体状況:対自爆装置用改造済み 左肩装甲融解
フィン・ノズル4個損傷、表面装甲損傷軽微】
【参加者状況:右足重傷(処置済み) 打撲 左目周辺に切り傷 若干の頭痛】
【武装:ビームライフル×2(残弾:右85% 左70%) ビームサーベル×2 ビームシールド
フック付きワイヤー&ウィンチ ヒートナイフ×2 F-90S用クルージングミサイル×1】
【所持品:ディパック(水2g入り0.5本 食料1.5日分 計画書 紙とペン 医療用セット 首輪カバー ノートPC)
拳銃(残弾16発) 工具セット ゼファー】
【行動方針:優勝 武器調達 ムサイ組の動向調査】
【同盟:なし】
(聞きなれない、威圧的な男性の声で定期放送が始まる)
『前回の不規則な放送から間もないが、定期放送の時間である。
今回指定される立ち入り禁止区域は次の8箇所である。
『C-20』 『H-06』 『J-03』 『M-10』
『Q-16』 『U-15』 『W-24』 『Z-08』
前回の放送で少々不適切な内容もあったが、真に受けないように。
改めて言うまでもないことだが、
貴様ら『生徒』が生き残る方法はただ一つ、他の『生徒』全員の抹殺である。
ゆめゆめ忘れぬように。
以上だ』
(尊大に、ぶっきらぼうに言い捨てると、放送が途切れる。
そこには、今までの『ティーチャー』にあった遊び心も余裕も何もない)
【管制スタッフの行動:定期放送(−2p)】
【位置:管制艦O-15】
【残り行動値:∞】
【管制スタッフの行動方針:管理をやり遂げる】
第14章 >244 現在 (低容量版マップ)
K L M,N O.P.Q.R S,T U V,W,X,,Y Z
12◎◎◎■■◎◎□◎□※◎□■◎◎
13◎◎◎◎◎□◎◎◎□◎◎□◎◎■ □:開かれた空間
14□◎※■□■◎□□◎□◎■◎◎◎ ■:暗礁空域
15◎□92■99□◎□◎□×■◎■◎■ ※:戦場跡
16◎◎□□□◎×◎□◎※□◎◎■■ 〓:コロニー
17□◎◎■□□□□≠≠□□□◎◎■ ▼:小惑星基地
18◎■◎◎00□□□◎□□□◎□□◎ ≠:崩壊したコロニー
19□■■◎◎□◎□□□□◎◎◎◎□ ▽:爆破された小惑星基地
20◎□■□◎◎□◎◎□□03▼◎◎□
21※◎※◎□◎◎□◎□01◎▼◎□◎ ◎:侵入禁止区域
22◎◎◎□◎□□□□◎07◎▽◎◎□ ×:侵入禁止予告区域
23◎◎※◎■◎□◎◎□◎▼◎□◎□
24◎※◎■■■◎◎□◎□◎×◎□◎ ?:情報のないエリア(侵入禁止)
25???????????????? 門:『ゲート』?(詳細不明)
26????????????????
27???????????門????
99は管制機能を持つレウルーラ級戦艦。
00番はティーチャーのコアブースター。
91番は管制側所属のギラドーガ1番機、92番は2番機、93番は3番機。
07・14は同一地点。03・11・15・20は同一地点。00と91は同一地点。92と93は同一地点。
03と同位置に無人のムサイ級戦艦(半壊)。
乗り手不在のジム・ライトアーマーとサイコガンダムMk-Uもムサイに収容。
02・04・05・06・08・09・10・12・13・16・17・18・19・21・22・23・24・25・26死亡。
「……もっと速度は出ないのですか?」
「Gがかかると折れたアバラが痛むのよ。見える、この脂汗?
これで精一杯なのよ」
「ではせめて禁止区域になっている暗礁空域を通りましょう」
「暗礁空域って、岩を避けるたびにGがかかるのよね……」
「…………」
「私も、なるべく問題なく行きたいんだけどね。無駄に怪我しちゃったからねぇ」
「……では、できるだけ速やかにお願いします。これ以上の厄介事は御免ですから」
* * *
「さて……我々はこれからどうするべきか、意見のあるものは率直に言ってくれ」
「艦長。私たちも生徒たちのやり方に倣ったらどうでしょう?」
「と言うと?」
「武装強化です。他のMSはともかく、サイコガンダムはあまりに大きい。
何らかの戦力増強策を取るべきかと思います。
そのために、ギラドーガの一部を暗礁空域や小惑星基地に派遣して探索に当たらせては……」
「なるほどな。時間が惜しい、早速動かせよう」
【リーア先生の行動:ギラドーガ1番機と接触通信(0p)、
移動(O-16→O-17→O-18)(−2p)】
【管制スタッフの行動:ギラドーガ1番機移動(O-16→O-17→O-18)(−2p)
2番機・3番機 発艦(−2p)、2・3番機移動(O-15→N-15→M-15)(−4p)】
【位置:管制艦O-15、リーア先生&ギラドーガ1番機O-18、2・3番機M-15】
【戦力状況:管制艦レウルーラにギラドーガ4・5・6番機残留 全機完全武装(通常兵装)】
【残り行動値:∞】
【リーア先生の行動方針:??? 『ゲート』の所まで出頭する】
【管制スタッフの行動方針:管理をやり遂げる、武装強化のために2・3番機派遣】
でこぴん。
久々に聞いたその言葉に、彼は少し吹き出してしまった。
ここが殺し合いの場であるということを、つい忘れてしまいそうになる――
実際は、忘れてしまいたかったのだが――……、そんな気分にさせられてしまう。
「リナルドがいくら年上だからって、寿命を気にするほどお爺ちゃんじゃないでしょ?
……信用ないかもだけど、ほんと、自重します。
疑うなら、私の目を見て……これが嘘を言っている目?」
ほんのりと頬を赤らめた表情で微笑みながら、リファニアはリナルドに問い掛ける。
――本当に、愛しい……――
だからこそ、彼女の夢を、生命を明日へ繋ぎたいと思っている。
それは偏にエゴと呼べるものかもしれないが、それが支えであり、力の源であり。
彼が“生きる”ということに執着する、最大の理由だったから。
……だが、いくら年上であろうとも。
既に寿命を気にしなければならないほどに痛めつけられた身体で、
お爺ちゃんになることはもはや叶わないと決定付けられた身体で、
彼はこれからも彼女と共に在ろうというのだ。
それを悟られてはいけない。
せめて、全ての戦いに決着がついてから。
今の彼女に告げることはできない……いや、したくない。
まるで拷問のような痛みに苛まれ続けても。
……そう考えていたからこそ、彼女を騙してただ微笑むことしかできなかったのが
彼には心苦しく感じられてならなかった。
「それよりも先に、火災を何とかしないと。
この艦の中には、まだ使えるものが沢山あるはずだよ。
例えば、メガバズーカランチャーとか……ね」
そんな本心を隠し、彼がイブに基地のデータはコンパネに無ければ無いと伝えたところで、
リファニアがもっともな提案を挟み込む。
彼は言葉を返そうとして……それは、久々の不定期放送に遮られる結果となった。
その内容に、録音して後で聞けばいいとスイッチに伸ばされた彼の指は硬直している。
(……先生……)
ふと気付いてみれば、リーア・ミノフスキーの身を少なからず案じる自分がいた。
その現実に、彼は閉口する他なく。
必死に頭を切り替え、もたらされた情報を分析する。
(先生は何て言ってた?
レウルーラに……ギラ・ドーガが6機だっけ?
レウルーラの内部構造は知らないんだよなあ……。
終戦の時、投降が確認できてないって聞いたしな……。
ギラ・ドーガなら問題無い。 相手がシャアや強化人間ならともかく……
今まで散々墜とした機体だ、戦い方を忘れるはずもないさ。
それより、気になるのは……)
ちらりとリファニアを見ると、同じくリナルドを見ていた彼女と目が合った。
V-27。 そこに、全ての希望を繋ぐ――あるいは、打ち砕く――、ゲートという文字通りの門がある。
それが、時を超える門なのだろうか? あるいは、そこからまた別のステップを踏むのだろうか?
いずれにしても情報が足りない。 一度は、レウルーラに足を踏み入れる必要がある。
あの艦ならきっと……『あれ』が――
≪続く≫
「ねえ、リナルド。私、艦橋で、大切なもの見たかも知れない」
ブリッジ……。
思い当たる節はある。 無ければ健忘症の可能性大だ。
(あ……そうだったっけ……)
「……こんなのが、あったの。大切な、モノだよね?」
動かすのも辛いであろう左腕をも使い、リファニアは指で輪をつくる。
「……そうだな……。 その通りだ」
無理をしているはずの指を解くべくリナルドが手を掛けようとすると、
それより早く彼女は彼に抱き付いていた。
そして……いつか彼がそうしたように、今度はリファニアがリナルドのメットのバイザーを開け、
いつか彼がそうしたように唇を重ねた。
短いキスの後、彼女は囁くように言った。
「……じゃあ、ガンイージのコックピットに行ってくるね。
私の荷物は、リナルドの言うとおり、置いておくよ」
(リファニア……俺は……)
当のリファニアは何を思ったか、暫く考え込んだ後、
リナルドに壊れたギターを押し付けた。
「……これも、預けておくからね」
リナルドが釈然としない表情でギターを受け取った瞬間、彼の背筋を何かが駆け抜けた。
目の前には彼女の笑顔がある。 それを見たから?
悪意ではない。 が、それは確かに背筋を駆け抜けた。
「……あ、ああ……わかった」
リナルドはバイザーを閉めると、リファニアの背中と渡されたギターを交互に見やり……
やがて、ギターに視線を落としたまま目蓋を閉じて――
そして、コクピットハッチの開く音で目蓋を開き、去り行く背中を呟きを以って送り出した。
「……ごめんな、リファニア」
(俺は、もう……ヒビだらけなんだよ…………くそっ)
それでも戦いをやめるわけにはいかない。
戦いをやめるということは直接死に繋がってしまうし、何より……
これは、リファニアに夢を叶えてもらうための戦いでもあったのだから。
「……イブさん。
後でリファニアの左腕を診てやってくれないか?
ブリッジに突っ込んだ時に何かの破片が突き刺さってて……。
俺じゃ応急処置しかできないし、少しでもそっちの心得がある人に
診てもらった方がいいと思うんだ」
ディスプレイの向こう側にいるイブにそこまで話すと、
彼は大きく一息ついてギターを眺め始めた。
【行動:会話(0)、通信回線継続(0)、分析(0)】
【位置:V-20・小惑星基地内・港湾部・ミョーコウ/ブリッジ付近】
【残り行動値:4pts.】
【機体状況:MS形態・右肘破損・通信回線→ヴィクトリー、ガンイージ】
【武装:(MS)ビームカタールx2、右腕ビームカッター、ビームキャノン、デュアルビームガン
(MA)ビームカッター、ビームシールド(×)】
【生徒状態:覚醒@ノーマルスーツ・鈍痛】
【所持品:デイパック、コッペパンx2、水2gx3、食糧4日分、私服、拳銃(20)、救急箱
受信装置(稼動中)、リファニアの私物(ラーズの遺品は放棄)
(以下私物)(MS状態チェック用ポータブルコンパネ)、愛用眼鏡、配線修理用工具一式】
【行動方針:三人で生還する/…………】
【同盟:20番リファニア 03番イブ】
「……。」
〔やはり、先ほどと同じ、ミサイルを中心とした装備にすべきかと考えますが。
マウントラッチは同様の物が使えますし。〕
「……しかしなぁ。リナルドには効かなかったしなぁ。弾速が遅いんだよ。」
U−21、MS格納庫兼簡易整備所。隔壁は周囲全ての物を3層づつ閉鎖済み。
補給を受けつつ佇む一機のMSとそのコックピットハッチの上で胡座をかいて腕を組むシュウジ。
周りには格納庫や武器庫からかき集めたミサイル、マシンガン、バズーカ等の実弾系を中心とした武器類。
シュウジはそれらを眺めつつ、どの装備をビギナ・ギナに施すべきか吟味していた。
「見ただろう?さっきの戦闘。信じられないが弾頭真っ二つだぞ?しかも喰らってもあれだけの動きが出来たんだ。
大型ミサイルは切り裂かれ、マイクロミサイルは効かない。だとしたら……。」
〔バズーカかマシンガン系が残りますが……。〕
「しかしそれを持つとビームライフルが使えなくなるんだよな。
マウントラッチにつけてもいいんだが装備変更時のタイムロスがなぁ。
しかもバズーカとなると取り回しが難しい。」
〔マシンガンは威力不足ですし。〕
「だよなぁ。サイコに撃っても意味はないだろうな……。
威力があって取り回しが良くてビームライフルと兼用できて弾速の速い武装……。」
〔難しいですね。〕
「……いや、いいのが一つあるぞ……。
威力はそこそこ、弾速は速い、取り回しとビームライフルの件は改造次第でどうにかなりそうな武器が。」
〔……?〕
「だがこれをすると機動力が落ちる。どうする?」
〔回避は反応次第でどうにかなります。〕
「OK。けっこう大改造になりそうだ……。」
改造を始めようと立ち上がったその時、いつもとはひと味違う定期放送が流れた。
>>244 「面白くない定期放送だなぁ……。前の方が聞き応えがあったぞ……。」
〔これが普通だと思いますが……ところで、前のティーチャー、リーア=ミノフスキーは嫌いだと聞きましたが?〕
「……嫌いだから聞き応えがないわけではない。あれは定期放送として、聞き応えがあったんだ。」
〔言い訳ですか……?〕
「……半分そのとうり。」
【行動:推進剤補給(−1)武器探索(−2)武装吟味・決定(−1)】
【残り行動値:0p】
【位置:U-21】
【機体状況:対自爆装置用改造済み 左肩装甲融解
フィン・ノズル4個損傷、表面装甲損傷軽微 推進剤補給中】
【参加者状況:右足重傷(処置済み) 打撲 左目周辺に切り傷 若干の頭痛】
【武装:ビームライフル×2(残弾:右85% 左70%) ビームサーベル×2 ビームシールド
フック付きワイヤー&ウィンチ ヒートナイフ×2 F-90S用クルージングミサイル×1】
【所持品:ディパック(水2g入り0.5本 食料1.5日分 計画書 紙とペン 医療用セット 首輪カバー ノートPC)
拳銃(残弾16発) 工具セット ゼファー】
【行動方針:優勝 武器搭載のため機体改造 ムサイ組の動向調査】
【同盟:なし】
「・・・これでいいのか?」
壁にかけてあった束ねたコードを見つけてぽつりと呟く。
これをどう使うか俺にはよく分からないが、あまり太すぎても困るだろうし、適当に
自分の親指と人差し指で輪っかを作ったくらいのものにしておいた。
どのくらい使うか、これも分からないから、とにかく壁にかかっているだけ持って行く。
かなりの重さのそれを肩にかけ、デッキへ向かって歩き始めた俺の耳に、聞き慣れな
い男の声が聞こえてきた。
『前回の不規則な放送から間もないが、定期放送の時間である。・・・・・・』
どうやら、こっちが正しい定期放送の時間らしい。
・・・勤勉に時間を守ってくれるのは悪いことではないが、しかし、俺たちにとっては
もう死活問題になっている。
このデッキは、只でさえもう三方を進入禁止空域に囲まれているのだ。
さすがの俺も放送のペースの早さに、心穏やかではなくなってきた。
放送は必要最低限の事だけを告げると、何事も無かったように切れた。
艦長はどうやらリーア=ミノフスキーと違い、根っからの軍人らしい。
報告を短く簡潔に、そしてそして正確に伝えるのは軍人として当たり前の行動だ。
管理者側の人間とはいえ、身についたものはなかなか抜ける事はないらしい。
(ははっ。・・・そうだよ、艦長。俺たち軍人が動かすのは口や舌じゃあない。・・・
俺たちは、ただ黙って引き金を引く。それで十分だ)
管理者側にも軍人と呼べる人間がいる。
それだけでたぎり始めた俺の中のモノが、今にも咆哮をあげそうだった。
迫ってくるタイムリミットへの不安と、来るべき戦いへの渇望。
中のモノが呟いたような気がした。
それをも楽しめと。
全てが、後の戦いを楽しむ為の、餌なのだと。
(もう少しだ。もう少しで、少なくとも俺とベルクの準備は整う。ムサイの参加者が
どう考えているのかは知らないが・・・少なくとも俺だけは、な)
工具箱とコードを持ってデッキに出た俺は、そこにもうビギナ・ギナがいない事に気づいた。
シュウジはシュウジの目的を果たす為に・・・出て行った。
残念だったのは、シュウジに直接礼を言えなかった事か。
(随分世話になったからな、シュウジには・・・。全てが上手くいったなら、きっと
また会って礼を言える時も来るだろう・・・)
俺は黙って、シュウジが出て行ったデッキの出口に向かって頭を下げた。
だが、俺たちも急がなければならない。
俺は持ってきた物をジャベリンの足元に置くと、紙に簡単にペンを走らせベルクに渡す。
[早速作業に入りたいから、ベルクは急いで事務所のパソコンで、ディスクの爆弾処理
の部分を2人分プリントアウトしてきてくれ。あと、作業の順番について何かあったら
言ってくれ。無ければ俺のジャベリンから作業に入りたい]
【行動:ペズ・バタラへの通信回線継続(0)ビギナ・ギナへ通信回線継続(0)
倉庫で道具探し(−1)倉庫からデッキへ移動(−1)筆談(0)】
【残り行動値:2p】
【位置:U-22(小さなデッキ)】
【機体状況:右腕消失、頭部バルカン砲1門損傷、モニター一部使用不能
右肩装甲損傷、左肘ジョイント負荷(40%)、胸部及び腹部
装甲に凹みと歪み、ショットランサー1基消失
アインラッド:打撃による回転不良(小)】
【参加者状況:左肩負傷(処置)、左眼球裂傷(処置)、右手首切断(処置)
右肋骨骨折、左大腿骨にひび】
【武装:頭部バルカン砲×1、ビームサーベル×1、ショットランサー×1
ビームシールド
アインラッド 武装:ビームキャノン×2(84%)、9連装ミサイルポッド】
【所持品:ディパック、水2?入り1本、食料21/3日分、シャベル(小)、蕎麦団子1個、
拳銃と自動小銃と弾倉、タッパーのカレー4つ、保冷シート2枚、書類の束、ペン2本
首輪カバー4つ、工具箱、コード】
【行動方針:機体の爆弾の処理】
【同盟:ベルク、シュウジ(?)】
『ベルク、聞こえるか?もう少し待っててくれ。すぐに終わると思うから。』
「了解。」
実際、片手だけと言う問題ではない治療してあると言っても
レイモンドの身体の状態はあまり良くは無い
不自然に肥大している所や、左眼の視力は正常ではないだろう。
(片手だけでは無い言うのに他人の手を借りようとしないなんて
その自分への厳しさは、尊敬に値するな。)
その後、シュウジからの通信がきた。
『ま、最善を尽くせ。だが、諦めるな。
諦めて優勝を狙おうというのならば、俺はお前達を敵と見なし、殺す。
狭いフィールドだ。言う必要はないだろうが言っておく。
さらば、だ……。』
そう言うとMSに戻ってその場から去っていった。
(その心配することは無いさ、・・・・・・・俺の末路は大体決まっている。
再び合間見えることは無いだろう。)
続けて定時放送。
これまでとは違い陽気な放送ではなく、厳格とした男の声だった。
これはこれでやはり勘に触る放送であった。
しばらくしてレイモンドが工具箱とコードを持って戻って来るなり
紙に書いた文章を渡してきた。
それに対し自分の返事を書く
[了解。だが、爆弾処理の部分は俺が担当する。
流石にその身体状態では細かい作業は手間取るだろう。
お前は、ディスクの中身をMSにインストールしてくれ
仕方はもう一つのシュウジが書いた紙に書いてある。
その方がまだ楽だろう、作業の順番に問題は無い
お前のMSから作業を済まそう。]
その紙とシュウジの書いたディスクの中身使用法を書いた紙を渡して
事務所に移動した。
急いでパソコンを起動させディスクの中のテキストファイルを
開きプリントアウトを実行する。
プリンタからの機会音が鳴り、印刷された紙が出来あがり
それを持ってパソコンからディスクを抜き出して
デッキへ戻ってレイモンドにディスクを渡し
ジャベリンの近くの工具箱とコードを持ち早速作業に取り掛かった。
「んじゃ、さっさと済ませ様か。」
【行動:レイモンドと通信中(-0)筆談(-0)会話(-0)事務所へ移動(-1)
デッキへ戻る(-1)ディスクの中身をプリントアウト(-1)作業に取り掛かる(-1)】
【残り行動値:0】
【位置:U-22】
【機体状況:右腕損失、左足膝部損失、右足膝部損失、本体側面装甲各所損傷
コクピット内機械一部損傷、スラスター各部損失(出力50%低下)
左手マニュピレーター消滅】
【武装:(本体)ビームアックス、3連装ミサイルランチャー×2(残弾0)(左手甲部)ビームシールド、
ビームダガー×1本 】
【所持品:ディパック 水2g三本 十字架 聖書 特殊情報端末 チ○ルチョコ20個ほど
アサルトライフル 予備弾倉5セット 拳銃 予備マガジン5セット
手榴弾 六個 ナイフ】
【行動方針:”答え”を見つける】
【同盟:01番 シュウジ=アサギ 14番 レイモンド=デリック 】
「右。」
〔可。〕
「左。」
〔可。〕
「両方。」
〔可。〕
「稼働、よし……と。」
改造を開始してから3時間。格納庫内は相変わらず銃器が散乱しているが、二つ違う事があった。
一つ目はシュウジの位置。コックピットハッチの上から機体の足下へ移動し、ビギナ・ギナを見上げている。
二つ目はビギナ・ギナの両肩アーマー。端の突起物が切り取られ、代わりにモーターが。そしてそれに、二本の鉄柱が繋がっている。
鉄柱の名は"ドラム弾装式120mm専用マシンガン"ゼク・アイン第三種兵装用に開発された装備だ。
そして、肩アーマー後部には専用のドラムマガジン。
気が付いてみれば、自分が使っているとこの機体の優雅さは薄れ、代わりになんだか粗野な感じになってきた気がする。
まぁ、格好良さとか、そういう事を競う場ではないので、その辺の事は気にしない。
「後は実射試験とAMBACのテストか……。ゼファー、外に出るぞ。」
無論、両肩にこんなに大きな装備を搭載すると、機動等に支障が出る。
そのため、改造が終了してから実働テストを開始する前まで、ずっとOSの書き換えを行っていた。
OSを書き換えたのはAMBACやスラスターの出力値の変更等、多岐にわたった。
そしてそのテストは、流石に中では行う事は出来ないので、一度外に出る事にした。
〔マスター。テストを行う前に一つ確認したいのですが、この設定値は本当なんですか?〕
「あぁ。」
〔しかし、機動力を上げるためとは言え、このスラスター出力では、熱量過多で部品が速く劣化しますが……。
最悪、爆発の危険性もありますよ?〕
「何ヶ月か使い続けるならば、その設定値はいつか爆発しかねない。
だが、この戦いは後長くても数日だからな。」
〔しかし……。〕
「多分、推進剤に引火して死ぬよりも、OSを書き換えずに出撃して落とされる方が速いと思うがな。」
〔了解しました。テストを開始します。〕
「……外壁解放。出るぞ。」
開かれる小惑星外壁。そして、ビギナ・ギナが以前よりもややゆっくりとした動きで宇宙空間に出て行った。
【行動:機体改造(−2)OS書き換え(−1)外壁解放(−1)】
【残り行動値:0p】
【位置:U-21 小惑星外】
【機体状況:対自爆装置用改造済み 左肩装甲融解
フィン・ノズル4個損傷、表面装甲損傷軽微 】
【参加者状況:右足重傷(処置済み) 打撲 左目周辺に切り傷 若干の頭痛】
【武装:ビームライフル×2(残弾:右85% 左70%) ビームサーベル×2 ビームシールド
フック付きワイヤー&ウィンチ ヒートナイフ×2 F-90S用クルージングミサイル×1
ドラム弾装式120mmマシンガン×2(右6斉射分 左6斉射分)】
【所持品:ディパック(水2g入り0.5本 食料1.5日分 計画書 紙とペン 医療用セット 首輪カバー ノートPC)
拳銃(残弾16発) 工具セット ゼファー】
【行動方針:優勝 動作テスト ムサイ組の動向調査】
【同盟:なし】
第14章 >256 現在 (低容量版マップ)
K L M,N O.P.Q.R S,T U V,W,X,,Y Z
12◎◎◎■■◎◎□◎□※◎□■◎◎
13◎◎◎◎◎□◎◎◎□◎◎□◎◎■ □:開かれた空間
14□◎※■□■◎□□◎□◎■◎◎◎ ■:暗礁空域
15◎□92■99□◎□◎□◎■◎■◎■ ※:戦場跡
16◎◎□□□◎◎◎□◎※□◎◎■■ 〓:コロニー
17□◎◎■□□□□≠≠□□□◎◎■ ▼:小惑星基地
18◎■◎◎00□□□◎□□□◎□□◎ ≠:崩壊したコロニー
19□■■◎◎□◎□□□□◎◎◎◎□ ▽:爆破された小惑星基地
20◎□■□◎◎□◎◎□□03▼◎◎□
21※◎※◎□◎◎□◎□01◎▼◎□◎ ◎:侵入禁止区域
22◎◎◎□◎□□□□◎07◎▽◎◎□ ×:侵入禁止予告区域
23◎◎※◎■◎□◎◎□◎▼◎□◎□
24◎※◎■■■◎◎□◎□◎◎◎□◎ ?:情報のないエリア(侵入禁止)
25???????????????? 門:『ゲート』?(詳細不明)
26????????????????
27???????????門????
99は管制機能を持つレウルーラ級戦艦。
00番はティーチャーのコアブースター。
91番は管制側所属のギラドーガ1番機、92番は2番機、93番は3番機。
07・14は同一地点。03・11・15・20は同一地点。00と91は同一地点。92と93は同一地点。
03と同位置に無人のムサイ級戦艦(半壊)。
乗り手不在のジム・ライトアーマーとサイコガンダムMk-Uもムサイに収容。
02・04・05・06・08・09・10・12・13・16・17・18・19・21・22・23・24・25・26死亡。
『……私は、アールセンじゃなくてニールセンだよ。
でも、リファニアって名前で呼んでくれると嬉しいかな。
あなたの厚意、受け取らせてもらうね。
……でも、とりあえずでいいよ。安全性が確保されるまででね。』
とりあえずだろうと、ずっとだろうと、構わない。
それは構わないのよ。ここまで来れば一蓮托生で仕方ないし、どうせ、奪ってきた機体なんだから。
でも! 名前くらい、間違うわ!
誰でも間違う筈よ。そうね。うん。
『モビルスーツは、三機。
格納庫にあるニ機の一つは、大破しちゃったゴトラタンだけど……。
もう一機は、あなたが乗っていたGMライトアーマーだよ。
私も何回か乗ってみたけど、パワーはないけど操縦性は良好でなかなかいい機体だったと思う。
肩の調子がイマイチなんだけど……それ以外は、結構調子いいよ。
あとは……HLV格納庫に、私のサイコがあるけど……。
……これは……おすすめしないよ。この子のサイコミュ、強力すぎて使いこなすには素質が要るの。
ガンイージ……ひとまず預かるって形でいいかな。
あなたのその機体の扱い、すごく上手だったし、相性がいいかも知れないよ。
これでも私、戦争と共に生きた本物の戦士から、戦闘訓練うけてるんだから。
そんな私を翻弄できたあなたの腕、素直に凄いと思う』
流石に少し照れくさかった。
「……実戦よ。ただ、必要に迫られたから、慣れただけ」
サイコガンダム。確か記憶にある。
誰だったかな。
仲間の、誰だかが、アングラからかっぱらって来たデータで、確か……。
人を戦いに駆り立てるとか、何とか。
そういう夢のような話だったけど……あながち嘘とは言い切れない。
こういう”場”ですもの。 強化されてたっておかしくない。
サイコミュ、か……。
スイッチ気っておけば、まず、良いでしょうね。
……戦力としては、欲しい。欲しいけど、疑いを招く。
けど……。
ライトアーマーは、歴然とした事実として、古いのよ。
パワーが無いし、何より行動一つをとってみても重いっ!
それはガンイージやら何やら、色々乗り換えてきたからには、解るし……。
実際に、大火力とやらを使ってみたいという魅力も、大きいけれどね。
『あんた、こっちに移れば格納庫まで送っていくぞ。どうする?』
「そう? なら頼むけど」
そういってハッチから身体を宇宙に晒した。
「……きたよ、サーティアさん。これからよろしくね?」
差し出される右手。
……私には、まだ、無理ね。
「悪いけど、まだ握手は出来ないわ。
出来るようになったら、改めて、この手を出すから」
ふいと横を向き、アビゴルへととんだ。
管制側の定期放送が響く。
「……罠ね」
とっさに思いつく。これは、罠。
普通に考えればね……。
ただし、罠と見せかけて疑心を誘っている可能性も無い訳じゃない。
そればかりは判断がつかなかった。
【行動 : アビゴルへ移動(−1)】
【残り : 3P 】
【位置 : V−20 】
【機体 : ガンイージ 】
【状況 : 機体各所にダメージ、電子機器に被害、照準機能障害(修復完了)、頭部右側面に損傷、右脚部損傷、左肩装甲損傷】
【身体 : 錯乱・血濡れのリボン・ジェイソンマスク 】
【武装 : 頭部60mmバルカン砲×2(残弾65%)、ビームサーベル、ビームシールド、ビームライフル(残弾3)】
【所持品: 頑丈な腕時計、携帯ゲーム機、小説、LD、薬品一式、血塗れのリボン
ショットガン(残弾32)、ハンドガン(残弾12×5)、修理部品、修理器具
ハロ、ジェイソンマスク、お弁当×6】
【方針 : 優勝 】
【同盟 : なし 】
ベルクから返事と一緒に、プリントアウトした爆弾処理の紙とディスクを受け取った。
まずは爆弾処理の紙に目をやる。
……見ていると、改めて感心してしまう。
無論、限られた状況の中でこれだけの事を考えついたシュウジの頭脳に対してだ。
俺はとにかく、シュウジに会えた事を神にでも感謝しなければならないだろう。
もし生きて帰れたら、これから夕食の前に祈りを捧げてやってもいいくらいだ。
(…あとシュウジを選んでくれた管理者側にも、少しは感謝するべきかな…?)
シュウジに少し失礼な事を思い浮かべて俺は苦笑する。
細かい事は置いておくが、爆弾の処理はシュウジの方法によると、自爆装置からコクピット
までコードを繋げるらしい。
(ディスクのインストールはすぐに終わるから……余った時間でコクピットにコードを
通す穴でも作るか)
コクピットに戻り、ベルクから受け取ったディスクを機体のコンピュータにインストールし始める。
俺は正直、こういったコンピュータの操作はあまり得手ではない。
CVで教わっていなかったら、何も分からずにおろおろしていただけだったろう。
だがその得手ではない操作も、片手での爆弾の処理に比べたらおそらくずっと楽だ。
…ここにきて俺は、再び仲間の大切さを思い知っていた。
基地で怪我を処置してくれたア−ネストもそうだが、今この場にベルクがいなかったら、
俺は片手では絶望的な作業をしなければならなかったのである。
(本当に俺は…借りばかり作ってるよな)
インストールの合間に、アシッドとの戦いで壊れたモニターを外しながら思う。
俺には、何も報いる事ができない。
シュウジのように、頭がいいわけでもない。
ベルクのように、役に立つ道具を持っているわけでもない。
俺は、昔から戦う事しかできなかった。
戦って、奪う事しかできなかった。
だから…。
だから俺は、戦う事で恩に報いるしかない。
幸い、ジャベリンもタイヤも傷付いてはいるがまだまだ全力で行動できる。
…まだ…俺の牙も、爪も折られてはない。
アシッドとのどつき合いで既に外れかけていたモニターの枠は、工具箱から1つ持って
きたドライバーで案外簡単に外す事ができた。
更にそこから何やら色々な部品を取り除いていくと、コクピットブロックの外壁に行き当たる。
「…あらら」
思わず声が出た。
そこには俺が苦労して開けずとも、どつき合いでできた歪みによって、溶接の境に
いびつな穴が出来ていた。
(穴がを開ける手間は省けたが…。だが、放っておいたら危ないよな…これは。
コードを通したらトリモチで補修しておいた方が安心だ。)
[コクピットブロックに穴を開けといたから、繋ぐコードはそこから通してくれ。
俺はまた倉庫に行ってくる]
これだけ書いた紙をメンテナンスハッチの向こうで作業しているベルクに手渡すと、俺は
再び倉庫へ移動した。
【行動:ペズ・バタラへの通信回線継続(0)ディスクインストール(−1)
倉庫に移動(−1)】
【残り行動値:2p】
【位置:U-22(小さなデッキ)】
【機体状況:右腕消失、頭部バルカン砲1門損傷、モニター一部使用不能
右肩装甲損傷、左肘ジョイント負荷(40%)、胸部及び腹部
装甲に凹みと歪み、ショットランサー1基消失
アインラッド:打撃による回転不良(小)】
【参加者状況:左肩負傷(処置)、左眼球裂傷(処置)、右手首切断(処置)
右肋骨骨折、左大腿骨にひび】
【武装:頭部バルカン砲×1、ビームサーベル×1、ショットランサー×1
ビームシールド
アインラッド 武装:ビームキャノン×2(84%)、9連装ミサイルポッド】
【所持品:ディパック、水2?入り1本、食料21/3日分、シャベル(小)、蕎麦団子1個、
拳銃と自動小銃と弾倉、タッパーのカレー4つ、保冷シート2枚、書類の束、ペン2本
首輪カバー4つ】
【行動方針:機体の爆弾の処理】
【同盟:ベルク、シュウジ(?)】
リファニアの腕の治療を依頼してきたリナルドに向かって頷いて見せ、愁林はサーティアの挙動へと視線を戻した。
不器用なコミュニケーションを交わし、アビゴルのコックピットへと飛ぶ彼女。
その光景に僅かばかりの安心感を覚えた途端―――意識に霞が掛かる。
まだだ。
まだ、やるべき事がある。
使命創造命運。
自分の使命は、まだ終わっていない。
霞を振り払い、無理矢理意識を叩き起こして行動を再開する。
リナルドに預かっていた『ジョーカー』を返し、リファニアの腕の傷を診て、必要な措置を施す。
今やるべきはその二つ。
愁林にできる事は、もう、その二つだけ。
鉄錆の味が、鬱陶しい。
Vガンダムをアビゴルに寄せる。
ヘルメットの気密を確かめた上でコックピットハッチを開き、真空中へとしなやかな肢体を躍らせる。
流石に3人では狭いか。
そう判断してアビゴルのハッチの縁に手を突き、そこから中を覗き込むようにして。
「先ずは、預かっていたものを返すわ。あとコレ、何かに使えるかもしれないし、持っておいて」
コンパネと端末とをリナルドに向かって泳がせた。
先ず、一つ。
「それと……怪我の治療、するなら早い方が良いでしょう?
医務室の場所は覚えているから……早速、彼女を連れて行くけど構わないわね」
質問ではなく確認。
故に回答は不要。そもそも否定される筈など無い。
アビゴルの装甲板を蹴ってミョーコウへと飛び移る、その途中で一度だけ振り返り、視界に納めたのはサーティアの姿。
―――責任、取って貰うからね。
穏やかな表情で一瞥して、愁林はミョーコウの中へと向かう。
数分後、戻ってきた彼女が手にしていたのは、包帯などの入った医療セット。
ガンイージのコックピット目掛けて飛び、リファニアの傍らに降り立ち、
「早速、治療を始めましょうか。
とは言っても、あまり本格的な事はできそうにないけれど、ね」
そう言って彼女は少女の肩を軽く叩き、コックピットの中へ入るよう促した。
【行動:アビゴルへ移動(-1)、返却及び譲渡(-0)、ミョーコウへ移動・内部探索(-2)、ガンイージへ移動(-1)】
【残り行動値:0p】
【現在位置:V-20】
【特記事項:腹部軽症(手当て済み)、覚醒、若干の疲労、時折襲う正体不明の突発的頭痛、内臓器官損傷、(?)】
【機体状況:左腕Bシールド及びBトンファー使用不可、両肩装甲破損(左腕はゴトラタンのものを移植)
外装損傷率29%、ミョーコウ中破(現状ではまだ航行可能?)】
【武装:頭部バルカン×2、Bサーベル×1、Bシールド×1、
... Bピストル×2(E残量70%、両脚部外側HPにマウント)、
グレネードランチャー付き90mmマシンガン(6斉射+グレネード3発、腰部左側HPにマウント)】
【所持品:思い出の銀のロザリオ、銀の腕時計、低反動拳銃(弾丸12発装填済み)、医療セット】
【行動方針:リファニアの怪我の治療、皆が生き残るために最善を尽くす】
【同盟:リナルド、リファニア、サーティア】
(これをはずしてから・・・・・・ここを繋げる
・・・・・・繋いだ奴をこっちに・・・・・ここを付ける・・・・・・)
プリントアウトした紙を頼りに構図と説明文と自爆装置に
目線を何回も往復させながら作業を進めていく。
多少、機械をいじる事は出来たので構図と説明文さえあれば
そんなに難しいことは無かったがそれでも自信が無い分
一つの工程をすると再確認といった念入りな作業内容だった。
(ここも、これであって・・・・・る。よし、後はこのコードを・・・・・・。)
と思ったときに、レイモンドがメモを渡してまた倉庫へ向かっていった。
メモに書かれていた通り穴は空いていたが
(空けたというより、空いていた・・・・・という感じだな。)
微妙な感じもしたが穴自体に問題があるわけではない
だが、少々危険な感じがするが後で直せば問題無いだろう
というか直す道具が足りないのでそのまま作業を進めた。
レイモンドのジャベリンの自爆装置への作業は一通り
終えたので今度は自分のMSの方の作業を始めた。
今度は、十分余裕を持ちながら作業を進めていく
流石に同じ作業をするのだから当然なのだろう
ふと思う。
これから死ぬかもしれないというのに頭は冷たかった
不思議な気分だった。
脈は速く、心臓の音が感じられるほどに激しいのに
――――――――――――――冷静で居られる。
今、何かに集中している時だけなのかもしれない
自分が不思議だった。でも、
・・・・・・・・・・・悪くない。
一通り作業も終えしばらくボロボロになったペズ・バタラを
見上げながら、レイモンド待っていた。
【行動:レイモンドと通信中(-0)筆談(-0)会話(-0)
ジャベリンからペズ・バタラへ移動(-1)作業に終了(-2)】
【残り行動値:1】
【位置:U-22】
【機体状況:右腕損失、左足膝部損失、右足膝部損失、本体側面装甲各所損傷
コクピット内機械一部損傷、スラスター各部損失(出力50%低下)
左手マニュピレーター消滅】
【武装:(本体)ビームアックス、3連装ミサイルランチャー×2(残弾0)(左手甲部)ビームシールド、
ビームダガー×1本 】
【所持品:ディパック 水2g三本 十字架 聖書 特殊情報端末 チ○ルチョコ20個ほど
アサルトライフル 予備弾倉5セット 拳銃 予備マガジン5セット
手榴弾 六個 ナイフ】
【行動方針:”答え”を見つける】
【同盟:01番 シュウジ=アサギ 14番 レイモンド=デリック 】
>>258 『悪いけど、まだ握手は出来ないわ。
出来るようになったら、改めて、この手を出すから』
リファニアの差し出した右手に対する、サーティアの回答だった。
サーティアはふいと横を向き、リファニアの脇を通り抜け、アビゴルのコックピットへと移る。
瞳を静かに閉じるリファニア。
けじめは、まだ、つけられてはいない。
あの時の出来事は、彼女の歯車を決定的に狂わせた。
狂った歯車が戻ったその時こそ……必ず手を差し出してくれる事を信じて。
「その為に、全力でぶつかる事こそ、私のけじめだよね―――。」
サーティアと入れ違いに、ガンイージのコックピットに乗り込もうとするリファニア。
途端に目の前がフッと暗くなり、急速に意識が、薄らいでゆく。
「……あ……確かに、サイコを起動させるだけの余裕、なかったかな……。」
所詮、皆に見せた態度は、強がりだった。
もっとも、リファニア本人は何とか動けるつもりではあったが、
彼女の肉体は元気印は保障されているものの、あくまでも15の小柄な少女のものなのだ。
サイコミュの反動で受けた神経へのダメージや、度重なる戦いによる疲労が、
彼女の意識が闇に沈む事を促していた。
>>261 『早速、治療を始めましょうか。
とは言っても、あまり本格的な事はできそうにないけれど、ね』
唐突に、言葉をかけられた。
ポンと肩叩かれた時の感覚は、以前にも味わったものだった。
「……イブ、さん……。」
意識が闇に飲み込まれそうになりながらも、リファニアは何とか彼女に笑顔を向ける。
……彼女の身を蝕む"何か"に、今のリファニアが、気づく事はなかった。
イブに促されるまま、ガンイージのコックピットへと身を投じるリファニア。
シートに背をもたれかけさせながら、額に脂汗を浮かべつつも、穏やかに微笑む。
「……私、イブさんに何度助けられているんだろう。
最初から、ずっと……世話になってばかり……。」
ミョーコウに暖かく迎え入れてくれた事。
死の現実を目の当たりにして震えるリファニアを、言葉で以って勇気付けてくれた事。
スタンリーによって傷つけられたリファニアを、優しく介抱してくれた事。
自らの身を傷つけてでも、リファニアが姉と慕うシェラを、助けてくれた事……。
「……イブさんも、おねえさんだね。
私の大切な、姉さん……。」
リファニアが言葉を続けようとすると……。
ふと、左腕の傷が痛みだした。
金属片を抜かれる際には、強烈な痛みを感じたものの。
それ以外では、全くと言っていいほど痛みを感じなかった左腕。
いや、痛みどころか一切の感覚が途切れていた左腕が、ジワジワと痛みを増してゆく。
やがて、その痛みは耐えがたい程に強くなっていった。
「……う……うう……。」
左腕を襲うあまりの激痛に、呻くリファニア。その痛みは、少女の瞳から容赦なく涙を流させた。
だが、その痛みはリファニアにとって、希望となり得るものだった。
左腕はまだ、死んでいない。その痛みは、その可能性を物語っているからだ。
事実、ぴくりとも動かないと思われた指先が、僅かに痙攣する程度であるが、動いていた。
【行動 : ガンイージに乗り込む(-1)、リナルドとの通信回線継続(0)、残3 】
【位置 : V-20(要塞内、港) 】
【機体状況 : LM111E02ガンイージ(預)
機体各所にダメージ、電子機器に被害、照準機能障害(修復完了)、
頭部右側面に損傷、右脚部損傷、左肩装甲損傷 】
【パイロット状況 : 頬にうっすらと傷痕、右肩軽傷(治療済)、頭軽傷(包帯巻)、左腕重傷(応急処置)、
ノーマルスーツ着用、メイク済み♪、全身に痺れるような感覚、眩暈 】
【武装: 頭部60mmバルカン砲×2(残弾65%)、ビームサーベル、ビームシールド、ビームライフル(残弾3)】 】
【所持品: 首輪、ノーマルスーツ、ナバン61式拳銃、日記帳とペン
(以下、リナルドのアビゴルのコックピット内)
ディパック、コッペパン2つ、水2g入り2本(1本は空) 、ジオン女性士官の制服、
抗生物質、換えの包帯やガーゼ、消毒薬 、アレンの遺したギター、トリィの羽根、
ピンクのエプロン(ポケットに口紅)、白のエプロン 】
【方針 : 『揺るがせてはならない夢』、自分の意志で生きる、けじめはつけた? 】
【同盟 : 15 リナルド=グレイス、03 イブ・シュウリン、11 サーティア=クワン? 】
「……動き、重かったな。」
〔……これを重いというのであれば、重かったですね……。〕
U-21宙域を漂うビギナ・ギナ。先ほど動作チェックを終え、今はOSの再調整を受けつつ、只、漂っていた。
(問題はそこではない……それよりも重大な問題は思っていたよりも熱量の増加速度が速い事だ……。
まずいな……このことを考慮に入れて予測される戦闘可能時間は長くても……。)
〔マスター。〕
「!?……なんだ?」
〔軌道を計算したのですが、このままの軌道と速度では
10分後にU-20と危険宙域の間を通過し、V-20に到達します。〕
「そうか……どうこうしようにも、OSの機動関係は調整中だしな……このままの速度で前進……というか漂流する。
10分もあれば再調整できるだろう。警戒レベルもう一桁上げ。
火器管制リミッター解除。攻撃があった際は反撃を許可する。」
〔了解。〕
「……そう言えば、レーダーの反応はどうなっている?そろそろ明確な情報が入ってもいい頃だが。」
〔少し待ってください。……変ですね。〕
「何がだ?」
〔各反応が近い……いえ、近すぎます。
11番とそれ以外が戦闘を行っているにしては、11番の反応がムサイに近すぎます。〕
「ムサイにはそう簡単には近づけさせないはず……ということは、戦闘は……終わった?」
〔その可能性はあります。〕
「……やばい!大急ぎで再調整しないとな。下手したら動けないところに数の暴力を受ける!」
〔再調整が完了したとしても、この状況での戦闘は危険です。調整終了後、撤退しますか?〕
「攻撃を受けたらな!そのためにも調整を全速力ですまさないと……。
あー……どうして元同盟者とは闘って、戦闘していた相手とは仲良くなれる!?」
【行動:動作チェック(−1)U-20→V-20へ移動(−2)OS再調整(−1)】
【残り行動値:0p】
【位置:V-20とU-20の境界周辺 小惑星外】
【機体状況:対自爆装置用改造済み 左肩装甲融解
フィン・ノズル4個損傷、表面装甲損傷軽微 機動関係OS調整中】
【参加者状況:右足重傷(処置済み) 打撲 左目周辺に切り傷 若干の頭痛】
【武装:ビームライフル×2(残弾:右85% 左70%) ビームサーベル×2 ビームシールド
フック付きワイヤー&ウィンチ ヒートナイフ×2 F-90S用クルージングミサイル×1
ドラム弾装式120mmマシンガン×2(残弾:右5斉射分 左5斉射分)】
【所持品:ディパック(水2g入り0.5本 食料1.5日分 計画書 紙とペン 医療用セット 首輪カバー)ノートPC
拳銃(残弾16発) 工具セット ゼファー】
【行動方針:優勝 OS調整後、攻撃を受けたら逃げる】
【同盟:なし】
「たしか…こっちの方にトリモチがあったと…」
倉庫に戻った俺は、携帯用のトリモチ銃を探していた。
さっきコードを探している時にチラッと見たような気がするのだが…。
スペアの部品や修理用の工具が置いてある事からしても、ここにあるのはほぼ間違いないと思う。
勿論置いてあればの話であるが。
そんな俺の心配をよそに、程なくトリモチ銃は見つかった。
これでしっかり補修しておけばある程度はコクピットブロックの強度を補えるし、無用な空気
漏れなども起こり難くなるだろう。
それを小脇に抱えてデッキに戻ってみると、ジャベリンの作業は既に終了しているらしく、隣
のペズ・バタラから僅かに作業の音が聞こえてきた。
(俺も急がなきゃな)
俺はコクピットに入ると、持ってきたトリモチ銃をコードの通してある穴に向かって構えた。
右手でしっかり固定すると2回、3回と引き金を引く。
開いていた穴に粘着質の液体がへばりつき、完全に塞いでいく。
俺は塞がったのを確認すると、インストールが終わったディスクを抜いてコクピットから降り、
ペズ・バタラへと向かった。
【行動:ペズ・バタラへの通信回線継続(0)倉庫とデッキの行き来(−2)トリモチ探し(−1)
補修作業(−1)】
【残り行動値:0p】
【位置:U-22(小さなデッキ)】
【機体状況:右腕消失、頭部バルカン砲1門損傷、モニター一部使用不能
右肩装甲損傷、左肘ジョイント負荷(40%)、胸部及び腹部
装甲に凹みと歪み、ショットランサー1基消失
アインラッド:打撃による回転不良(小)】
【参加者状況:左肩負傷(処置)、左眼球裂傷(処置)、右手首切断(処置)
右肋骨骨折、左大腿骨にひび】
【武装:頭部バルカン砲×1、ビームサーベル×1、ショットランサー×1
ビームシールド
アインラッド 武装:ビームキャノン×2(84%)、9連装ミサイルポッド】
【所持品:ディパック、水2?入り1本、食料21/3日分、シャベル(小)、蕎麦団子1個、
拳銃と自動小銃と弾倉、タッパーのカレー4つ、保冷シート2枚、書類の束、ペン2本
首輪カバー4つ】
【行動方針:機体の爆弾の処理】
【同盟:ベルク、シュウジ(?)】