ガンダムバトルロワイヤル 第三回大会 第11章

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『アムロ! アムロ、脳波レベル落チテル!』

 ……は、使えねぇ。何よこんハロ。
 アムロじゃ無いわよ。

「私はサーティア! サー・ティー・アー!」
『ハロ、アムロ!』

 何処か……回路がぶっ飛んでるって訳ね。
 ……良いわね、コレ。
 丁度良いわ。回路がどうなってようと、部品としては十分よ。

『ハロ、アムッ』

 手のニッパーをくるりと回す。
 小うるさいスピーカーの回線を先に断ち切った。

 これよ、この回路。

「これさえあれば、急場は凌げる……」

 思考回路だ、行動回路だ、そんな回路は関係無いわ。
 対象の認識に使われる回路。これよ。これをコクピットのコンソールに繋ぐ。
 これで少なくとも急場は凌げる。
 敵機認識とか、そういう高速稼動は無理でもね。
 障害物の回避とか、それだけならなんとか……

「よし、ジオングを見に行きましょ!」

 リオンに声を掛けてから、MSのエンジンを稼動させる。
 ……おかしい。

 戦闘、なの?

 リオンの、場所か……!

 奴等っ!

   奴等っ!

      奴等っ!

「…ッ!!」

 そうね、ごめんリオン。
 アナタは怒ってないよね。
 落ち着かなきゃ。

 ああいうの、カモネギって、言うやつなんだから。

 相手はまだ気付いてない。
 装甲の光の反射は、このマンとが覆い隠す。

 なら、ゆっくり、装甲を蹴って、静かに、ひたひたと……

【行動 : ハロ解体・設置(−2) J9へ移動(−2) 】
【残り : 0P 】
【位置 : J9 】
【機体 : ガンイージ 】
【状況 : 機体各所にダメージ、電子機器に被害】
【身体 : 適度 】
【武装 : 頭部60mmバルカン砲×2(残弾65%)、ビームサーベル、ビームシールド、
       胸部ニ連装マルチランチャー、ABCマント(被弾回数1)、ビームライフル(残弾6)
       MS用大型ガトリング・ガン(ドラムマガジン付き・残弾70%) 作業用クレーン+大型コンテナ】
【所持品: 頑丈な腕時計、携帯ゲーム機、小説、LD、薬品一式、血塗れのリボン
       ショットガン(残弾32)、ハンドガン(残弾12×5)、修理部品、修理器具
       ハロ、ジェイソンマスク、お弁当×6】
【方針 : 優勝 】
【同盟 : No.09/ベルク 】
>>221 訂正
【行動:ルイと通信中(-0)ファンネルにビームシールドで攻撃(-1)
    同時にキュべレイにビームライフルを撃つ(E53%)→(E43%)(-1)
    ファンネルを回避(-1)】
【残り行動値:1】
【位置:I-9】
【機体状況:異常なし(肩部装甲傷ついてるかも) 】
【武装:(本体)ビームアックス、3連装ミサイルランチャー×2、(左手)ビームシールド、
    (左手) ビームライフル(E53%)(右手)ビームダガー×4本 】
【所持品:ディパック コッペパン一つ 水2g三本 水1g一本 食料ニ日分 
     十字架 聖書 特殊情報端末 チ○ルチョコ20個ほど】
【行動方針:”答え”を見つけるand現状対処】
【同盟:01番 シュウジ=アサギ?? 08番 ヨーコ=クロサキ? 
     15番 リナルド=グレイス?? 19番 ラーズ=フィリー?
     14番 レイモンド=デリック 25番 ルイ=フィルセント 】
228イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/05/05 21:53 ID:???
>215
自らに向けられた笑顔の裏に潜む翳りを、愁林は見逃さなかった。
彼女に比べれば遥かに下手な見栄の張り方。
年季が違うのだ。無理はない。
だが、それで良い。
その程度で十分なのだ。
彼にはリファニアがいる。パートナーがいる。
見栄など張る必要が何処にあるというのだ。

>217
―――ほら、彼女はこんなにも貴方を想ってくれているでしょう?

少女は力強かった。
澄み切った強さが、偽りの無い強さが眩しかった。
リファニアにも弱い側面はあるのだろう。
だが、彼女の輝きはそれを補って余りあるほどに綺麗なもの。
この輝きは、絶対に失わせてはならない。
だから自分の芝居は決して間違ってなどいなかった。
わざと彼女からの好意を失わせるような道化芝居を演じた事は、絶対に間違いではないのだ。
そう、愁林は自らに言い聞かせた。

だというのに。

>218
『イブさん、これ。
 ジオン十字勲章。もちろん本物だよ。
 これ、ダグラス君に渡してあげて。本当は直接渡してあげたいんだけど……。
 その資格があるのは、イブさんだけだから。だからイブさんの手で、渡してあげて。
 ダグラス君は、立派だったから。この勲章に相応しいくらい、立派だったから』

―――どうしてそんなに綺麗な瞳を、私にまで向けてくれるの?
229イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/05/05 21:55 ID:???
その、穢れの無い笑顔の輝きが愁林を戸惑わせた。
自分は彼女を傷付けた。
彼女の想いを無価値だと断じ、貶め、踏み躙ったのだ。
事実彼女は一度は激昂し、愁林を責めるが如き怒りに満ちた言葉を放ったではないか。
それなのに、どうしてそんなに温かな瞳を自分に向けるのか。

「ありがとう」

―――ああ、そうね。

手渡された勲章は確かに温かかった。
人の温もり。少女の温もり。リファニアの、これは心の温かさなのだ。
参った。
愁林は心からそう思った。

―――ほら、貴方のパートナーは飛びっきりの素敵な女の子じゃない。

きっとリファニアは、これから先、たくさんの人々に笑顔をもたらせる人間に育つだろう。
そんな少女がパートナーなのだ。だからリナルドは弱くて良い。
ダグラスが未だ健在だった頃、愁林が――見栄っ張りで夢見がちなお嬢様が、弱さや辛さを曝け出して尚、笑えたように。
リファニアの前で、リナルドもまた自分の弱さや醜さ、飾らない心を受け止めて貰えば良い。
 
―――流石にここでされるのは、ちょっとこちらが恥ずかしくなるから勘弁して欲しいのだけれどね。

リファニアが、リナルドに優しく力強い言葉を掛ける。
その遣り取りを背に、愁林は艦長室の中へと戻ってダグラスの傍らに立った。

「……ダグラス。ミョーコウの艦長としての功績を称える勲章よ。大事になさいね」

少年の胸元、以前は銀色の十字架が輝いていた場所に、今はジオン十字勲章が誇らしげに光を放っている。
その様子を見て愁林は頷き、踵を返そうとして……しかしそのまま、少年の額の髪をかき上げ、そこに軽く唇を寄せた。
言うなればそれは、彼女からダグラスへのささやかな勲章。
彼女にとっての彼の功績は、無論そんなキスの一回や二回では到底報いる事のできる代物ではないが。

―――足りない分は……そうね、私がそっちに行った時に、いっぱいしてあげるから我慢なさい。それまでは、お預けよ。

勿論すぐに行ってやるつもりなど無い。
愁林は、背後でお互いに寄り添いあう幸せそうなカップルの行く末を見届けるつもりなのだから。
さて。
彼女達の遣り取りは、ひと段落ついただろうか―――
230イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/05/05 21:57 ID:???
【行動:二つの勲章授与式(-1)】【残り行動値:3p】
【現在位置:V-20、ミョーコウ艦長室】
【特記事項:軽症(手当て済み)、半覚醒?、若干の疲労、時折襲う正体不明の突発的頭痛】
【機体状況:左腕Bシールド及び同前腕回路切断、同マニピュレーター損傷率71%、左肩装甲破損】
【武装:頭部バルカン×2、Bサーベル×2、Bシールド×2(左腕内蔵側使用不可)、
...    Bライフル(E残量49%)、4連装ヘビーマシンガン付きショットランサー(Hマシンガン残弾48%)】
【所持品:思い出の銀のロザリオ、銀の腕時計、低反動拳銃(弾丸12発装填済み)】
【行動方針:ダグラスを弔う準備、けじめを付ける、「貴いものを守りたい」、「綺麗なものを曇らせたくない」】
【同盟:No.20・リファニア、No.15・リナルド】
231シュウジ=アサギ ◆T2X.xlTDSU :04/05/05 22:02 ID:???
「……。」
港湾管制室へと繋がる廊下を漂いつつ、頭の中では他の事について考えていた。
首輪の時限・自爆装置について。この後皆と話す事について。W-22について。
現在散り散りになっている同盟者について。ティチャーについて。
それらの事を港湾管制室に着くわずかの間で、眠気が支配しかけている頭で賢明に思考を巡らす。
「……よし。」
それなりに考えがまとまったところで、港湾管制室のドアの前に着いた。ドア開閉パネルを操作するのと、定期放送が入るのはほぼ同時だった。

>>164

「気持ち悪いぞ……?貴様が今更死を悼むなんてな……。」
ぽつりと呟きつつ、管制室を見渡す。そこにはジェイスとラーズがいた。何とも微妙な雰囲気だ。

(……相変わらず危機感が足りないよな……?俺が一言ゼファーに攻撃を指示すれば皆全滅するというのに……。
 脱出に携わってきた俺だからと言って油断しているのか?俺が急に優勝者になりたいという欲望に狩られたらどうするつもりだ……?
 ……いかんいかん、俺も眠気で頭が回らなくなってきているか……?)

頭の中でそう言う事を考えつつも、こぼれかける笑みを押さえ込むのには結構な努力を要した。
無理矢理顔を引き締めつつ、ヨーコが到着するのを待った。

(さて……。三人は何かいい知恵を授けてくれるかな……?)

【行動:思案(−0)待機(−0)】
【残り行動値:4p】
【位置:S−17 コロニー港湾管制室】
【機体状況 :レーダー不調? 通信 ヨーコ⇔シュウジ⇔ゼファー⇔ジェイス・ラーズ
       対自爆装置用改造済み】
【参加者状況:右足重傷(処置済み) けっこう疲労・眠い】
【武装:ザンネックベース(破損している可能性大 移動には問題なし) 4連装マシンキャノン(5斉射分)
    ビームライフル(残弾3)ビームサーベル×2、ビームシールド、フック付きワイヤー&ウィンチ】
【所持品:ディパック(水2g入り2本 食料2日分 ノートPC 計画書 紙とペン 医療用セット)
     拳銃 工具セット 首輪カバー×5 電子部品 Hハイザック? ゼファー】
【行動方針:ヨーコと生き死にを共に? 自爆装置無効化  ……。 どうしようか……?】
【同盟:19番ラーズ? 08番ヨーコ? 06番ジェイス?
 中立:14番レイモンド? 15番リナルド?? 07番ベルク?】
232ヨーコ ◆7kXFb9ayC. :04/05/06 00:11 ID:???
「あれ? さ、三…人?」

呼ばれたのは私、シュウジ、ラーズの三人だった…はず…。
それがなぜ増えてるの…?

……また、増やしたの?
勝手に…。私に一言もいわずに。

おもえば少し前にももっと人はいた。
リナルド、ベルク、シュヴァイザー…。

内リナルド、ベルク両名は離反…。
シュヴァイザーに至っては裏切り、私達を殺そうとした。

……これ以上むやみに人を増やして何になるというの!?
あなたの“計画”なんてそんな簡単なものなの?

……あなたの中に流れている根源…。
それが少しだけわかった気がした…。

「……あなたに付いていこうとした私がバカだったよう…ね。」

足を止め、クルリと体を反転させた。

「…サヨナラ。」

その一言を残し、一切の通信を切って再びガズRの中に入った。


【行動:エリア内移動(1) 通信カット(1)】 (以下敬称略)
【位置:s-17:コクピット】【残り行動値:残り2p】
【機体状況:正常】
【武装:背部ビームキャノン兼ビームサーベル×2(内臓武器)
     大型ヒートホーク(右手) 】
【所持品:デイバック(水2g2本、修道衣)】
【行動方針:サヨナラ…。】
>>216-218
イブへの一礼の後、リファニアからリナルドへと掛けられた言葉は。
温かくもあり、厳しくもあり。
全てのマイナス・ファクターが消えたわけではないし、瞳に掛かった濁りのフィルターを払拭するには至らなかったものの、
折れかけた彼の心を再び立て直すには充分で。

リファニアがイブにジオン十字勲章を手渡す間に、
リナルドはようやく以前の自然な微笑みができるようになっていた。

全ては勘違いだったわけで。 俺の目は未だに曇ったままだったわけで。
リファニアを愛し、また彼女の愛を受けられる俺はとんでもなく幸せなわけで。
俺はそのリファニアに余計な心配ばかり掛けているわけで。
ならば、俺は彼女のために何をしてあげればいいんだろう?
何ができるんだろう?
せめて今、できることは――

イブの傍からリナルドの傍へと戻ったリファニアが、彼へと囁く。

「……リナルドは私の魂を、救ってくれたから……。
 今度は私が、リナルドを救ってあげたいと、思っているよ。
 ダグラス君をみんなで送ったあと―――話の続きを、しようよ。
 その時は、リナルドもぶつけてきて。心の内の、モヤモヤをね。
 ……私も共に、乗り越えてあげるから」

その返答に、言葉はいらない。
言葉は力。 想いも力。
一切陰りの無い、ごく自然の、リファニアが見せたような笑顔を彼女に向け。
今までそうしてきたように、ぽふ、と左手を彼女の頭に載せ。
優しく、優しく、頭を撫でた。

ああ、そうだ。
俺の隣は君のものだ。 誰のものでもなく。
君のもの。
俺の右腕は……そうだな、荷物持ちにでもすればいいさ。

>>228-229
イブがダグラスに十字勲章を授与するのをそうして眺め、
もう一つの勲章を与えるのをそうして眺め。

そんなイブを見つめる瞳は未だ濁っていたが、それでも表情に陰りは無く。

「で、これからどうするのかな?」

彼がイブに掛ける声にも、陰りは無かった。

【行動:なでなで(0)】
【位置:V-20・小惑星基地(ミョーコウ)内・艦長室前通路】
【残り行動値:4pts.】
【機体状況:MA形態・機関停止】
【武装:(MS)ビームカタールx2、右腕ビームカッター、頭頂部ビームキャノン、ヒートサーベル
   (MA)ビームカッター、グフシールド(半壊)】
【生徒状態:通常・左首筋に軽度裂傷@ノーマルスーツ】
【所持品:デイパック、コッペパンx2、水2gx3.5、食糧4日分、私服、拳銃(20)、救急箱
      首輪カバー、首輪カバーの製造レシピ、自爆装置の無力化レシピ、ノートPC
   (以下私物)MS状態チェック用ポータブルコンパネ、愛用眼鏡、配線修理用工具一式】
【行動方針:リファニアと共に、生き残る/首輪への対策を考える/艦長君……】
【同盟:20番リファニア 03番イブ 05番ダグラス (26番シェラザード 01番シュウジ)】
234ラーズ ◆C5GRxBlS5o :04/05/06 09:29 ID:???
>172
いずれにしても、ある程度打ち解けた。彼女はそう見ていた。
故にそれ以上会話をせずに、二人の方に視線をやる。
そして…ヨーコの様子を見て、思う。
(この調子で最後二人になって…それで逃げたりしたらまず殺し合いになるわね。
それなら…逆に急いだ方が正解…。今のままでははずせはしないけど、イザという時
「電波を遮断しても爆発しない時間」は禁止区域を通れることになる…。
それで我慢するしか…ない。)
>231
紙にメモを書いて渡す。
『やっぱり、首輪カバー…今もらえないかしら?…さっき、ほんの一瞬だけど前兆
があったの。発作が近いみたいだから至急特殊な薬、取りに行く必要があるんだけど、
万が一それではぐれてカバーを貰い損ねるのは困るのよ。…無理かしら?』
【行動:筆談(0p)】
【残り行動値:4p】
【位置:S17】
【機体状況:万全。(MS爆弾解除スイッチ付)】
【武装:ファンネル×6、両肩部3連装ミサイル×2、ビームサーベル・メガバズーカランチャー】
【SFS:スキウレ】
【所持品:ヤクト内(ディパック(中身は『飲料水2g入り3本』『地図』「食糧(彼女にとっての)2、5日分」) レポート用紙1冊 )
手持ち(細長い(そしてかなり大きい)アタッシュケース(中身はライフル(残弾10)) 大型要塞の内部地図データ)】
【行動方針:色恋沙汰の揉め事をどうにかする。】
【長期行動方針:爆弾解除 小惑星にあるであろう薬の入手 …首輪を外して会場で生き残る。】
【同盟:シュウジ ジェイス…?】
>>228-230
リファニアから勲章を受け取ったイブが、ダグラスにそれを授ける。
その様子を見ながら、リファニアは、思い出していた。
―――パパの、昔話を。

それは、かつての一年戦争時代―――。

パパが学徒動員されて兵学校で基礎訓練を受けていたころ―――。
以後、数々の戦場を駆け巡り、ジオンの残光を連邦にその身で示して来たパパも―――。
最初は気弱で、兵としては落ちこぼれで、いじめられっこだった。

兵学校で、パパより少しだけ歳が上の、でも小柄で危うく歳下に見てしまいかねない少年と友達になった。
輝くような金髪と、優しげな笑顔が印象的だった彼は、苛められているパパを何度と無く助けてくれたというし―――。
やがて味わう事になる戦場の恐怖に、まだそこに立ってもいないのに震えているパパを、良く励ましてくれたという。

やがて基礎訓練が終わり、戦場に身を投じる時になって、パパとその小柄な先輩は、
別々の任に就かされる事になり、離れ離れになってしまう事になる。
別れの際に、彼から聞かされた言葉―――。

――夢見る事ができるのであれば、やればできる――
   If you can dream it, you can do it

パパはその言葉を胸に、ただ我武者羅に、生き残って夢を見つける為に、戦って―――。

やがて一年戦争が終わり―――。

気がつけば自分でもびっくりする位の武勲をあげ、十字勲章を授けられるまでに至ったパパは―――。
自分を変えてくれた彼の行方を、あらゆる手段を使って探し出そうとした。

―――彼は、見つからなかった。

彼の家族にも、会った。
彼の家族は、待っていた。彼の帰りを、ただ、ひたすら。
パパは、約束した。
あの彼が戦死する事など、有り得ない事だ。
だから、見つけ出してみせる。この自分が、必ず。
そして、この十字勲章を、今日の自分へと変えてくれた彼に、捧げたいのだ、と。

―――リファニアは、忘れていた。
この瞬間まで、この話を忘れていた。
十字勲章は、本来授けられるべき人に、確かに、授けられた。

そして、もう一つの勲章がイブから授けられようとした時―――。

リファニアは、それから目を逸らそうとした。

その光景は、哀しくも美しかったから。

そしてそれは、イブとダグラス、二人だけのものである筈だから。

でも、逸らせなかった。

自分もその美しい光景を、目に焼き付けたいと思ったから。

……私って、気が利かないのかな?

そんな事を思うリファニアの瞳から、自分でも気がつかないうちに、暖かい涙が零れだしていた。
哀しみが流させたものではなく、ただ純粋に、目の前の光景に胸を打たれて―――。
>>233
そんなリファニアの頭の上に、ぽふ、と乗せられるリナルドの手。
そして、以前と同じように、優しく撫でてくれるリナルド。
自然な笑みを向けてくれるリナルド。

ほら、リナルドは、大丈夫―――。

ほんの小さなきっかけで、再び歩みだしてくれる―――。

私達、お互いに与え合う事ができる―――。

だから私達、きっと何処までも、頑張れる。
……私達に限界なんて、あるもんかっ!

『で、これからどうするのかな?』

イブに声をかけるリナルドの声には、陰りはない。
涙を拭ったあと、彼に続いてリファニアもイブに声をかけた。

「……ダグラス君を、送ってあげよ?
 イブさんは、イブさんだけのダグラス君として。
 そして、私とリナルドは、かけがえのない友達として、かな?」

艦長としては、送れない。
最後は、ただのダグラス=ロックウードとして送ってあげたいから、イブは彼に艦長服を着せなかったのだから。
捧げた勲章は、ダグラス艦長ではなく、ダグラス=ロックウードそのものに捧げられた物なのだから。

【行動 : パパの昔話を思い出す(0)、なでなでされる(0)、残4 】
【位置 : V-20(ミョーコウ、艦長室前通路) 】
【機体状況 : 表面に細かい損傷(幾つかビーム砲損傷)、スラスター損傷軽微、MA形態、自爆装置改造済み 】
【パイロット状況 : 頬にうっすらと傷痕、右肩に軽傷(治療済み)、メイク済み♪、ノーマルスーツ着用 】
【武装: 胸部3連装拡散メガビーム砲(一門破損)、リフレクタービット×5
     腕部サイコミュ式 ビームソード×2、全身メガビーム砲×多数 】
【所持品: ディパック、首輪、コッペパン2つ、水2g入り2本(1本は空)
      ノーマルスーツ、ジオン女性士官の制服、ナバン61式拳銃
      抗生物質、換えの包帯やガーゼ、消毒薬
      アレンの遺したギターとアンプ、トリィの羽根、日記帳とペン 】
【方針 : 『揺るがない夢』、ダグラスを弔う、リナルドと話の続き 】
【同盟 : 15 リナルド=グレイス、03 イブ・シュウリン、26 シェラザード=ビンス=マクファーソン 】
 トン トン トン トン
 トン トン トン トン

アタシの癖。
相手の動きを見ているうちの無意識の足踏み。 
そうやってリズムを計る。
世の中の全てにはリズムがある。
例えば、心音だって規則正しいリズムを奏でている。
リズムが狂えば大変なことになる。
その為に、何もかもが規則正しいリズムを刻む。
相手も、アタシも。例外なく。
だから、そのリズムを見切り、そのリズムを崩せば
アタシのペースになる。
その為に相手を観察し続ける。

ピー、ピー、ピー。

その最中に通信が入ってくる。
通信相手は・・・・・・目の前のキュベレイmk2とかいうのから

『あなた達はちゃんと戦えるなじゃい。
 あたしの攻撃を避けられたし、あたしを撃つことも出来たじゃない。
 なら、どうして、最初は逃げようとしたの?・・・・・・(略)』

油断はしない。躊躇もしない。
マシンガンの銃口をキッチリとキュベレイmk2とかいうのに
向けてから通信回線を開く。

「おっさんに押し付けたワケやないで。
 おっさんがコレは望んだ事や。
 なんかあのギラドーガとかいうのに乗った人に因縁かなんかが
 あるんやかしらへんけど、一対一で勝負をつけたいみたいや。」

アタシの思っていることを素直に並べていく。

「本当におかしいのかもしれへんな。
 全員生き残りたいんやったら、おっさんの言う事は気にせずに
 みんなで逃げるか、みんなで戦うかしたほうが合理的なんやろ。
 おっさんは怪我人。アタシはMSにここに来て操縦したばっかの素人。
 べるべるぐらいやな。まともなのは。
 そうやったら、べるべるにオトリをしてもろうた方が良かったかもしれへん。
 合理的にぜーんぶ考えよったらな。」

思わず零れ落ちる苦笑。
誰に対してなんかはアタシ自身にもわからへんけど。
「だけど、おっさんは自分でやりたいって言っておった。
 自分の手で決着をつけたいって。
 もちろん、負けてしまう可能性もあるやろうから
 アタシ達に先に行けっつーたんやろけどな。
 アタシは最初は断った。
 だけど、おっさんは将来ハゲ確定なぐらいの頑固親父やからなぁ。
 アタシがなんか言ったぐらいじゃ無理やったよ。」

微妙に溜息が混じる。

「おっさんは自分のやりたい事を貫こうとしておるんや。
 例え自分が不利な状況やったとして。
 不器用やけど頑固で真っ直ぐで・・・・・・
 もう、アタシが折れるしかないわ。ホンマ。」

そんなピュアな気持ちを持ちつづけた人はアタシの周りには
いままでおらんかった。
だから、対処法もわからへん。

「だけど、アンタはそのおっさんの気持ちを邪魔しようとした。
 だから、アタシらは戻ってきた。
 邪魔しようとしたアンタを止める為に。
 どんな事であろうと・・・・・・一生懸命にやっとる人のことを
 あざ笑うかのごとく邪魔する人は許さへんよ。」

ハッキリと言い放つ答え。
譲れない想い。

「だから、おっさんとギラドーガとかいうのの
 決着が付くまで何もせんようやったら。
 アタシらにアンタを撃つ必要はあらん。
 どうする?
 今ならまだ通行人Aとして引き返す事は出来るんやで。
 もし、出来ないんやったら・・・・・・
 一切容赦しないよ。」

答えを行動へ・・・・・・

【行動 : おっさんとべるべるに通信継続 (0) 狙う (1) 通信 (1) 残り 2 】
【位置 : I-09 】
【機体状況 : 問題なーし。 】
【パイロット状況 : デコ腫れとる(涙) 戦闘思考に移行 】
【武装 :ビームサーベル、両肩部3連装ミサイル×2、両肩部ムーバブルシールド×2
      120mmザクマシンガン+弾倉1つ 】
【所持品: ディパック、首輪、コッペパン2つ、水2g入り2本
      中身のたくさん入ってる財布
      (硬貨が20枚ぐらいお札が40枚ぐらい。あとサービス券とかカードが入ってる
       それと暴漢対策に鉄板が仕込んであって
      ナイフも通さない、銃弾も効かない・・・・・・試した事はあらへんけど。)
      つっこみ用スリッパ(片方だけ) 】
【方針 : 絶対首輪を外してF-05エリアに戻る 三人一緒にGO!!】
【友達 : 07番 ベルク・クロフォード :べるべる そんな怒らんでおいて(汗
       11番 サーティア・クワン :さーちん  なんで・・・・・・?
       14番 レイモンド・デリック :おっさん 意地を貫くんや。そんな怒らんでおいて(汗
       21番 アーネスト・マンソン :あーたん またな!! 】
>>237-238
無視される可能性の方が高いと思っていたが、R・ジャジャからは律儀に答えが返ってきた。
聞き覚えのある声だ。あの全体通信の声、他人に助けを求めただけでなく脱出をも公言した、若い女の声。
R・ジャジャ………25番ルイ・フィルセントか。
その答えはある意味立派だ。真摯な答えだ。泣かせる台詞を重ねてくれる。

だが、理解できない。したくもないが。

「………大したものね。あたしには言えない台詞で、出来ないことだわ。
 その人の意地を貫かせてあげたい、その手で決着を付けさせてあげたい、というわけ。
 素晴らしい友情ね。泣かせてくれるわ。拍手ものよ」

賞賛のふりをした否定。互いに理解し合うことはないという宣告。

「それで、目の前でその人が殺されてもいいの。
 助けようと思えば助けられるのに、見殺しにしても構わないわけね」

悪意が鼓膜を震わす波となって繰り返し襲いかかる。

「その人が死んでから後悔しても遅いのよ。
 死んだらもう二度と会えないし、話も出来ないし、何も出来なくなるのよ。
 それでも良いというのね。意地を貫かせることが出来るなら死なせても構わないと言うわけね。
 あたしにはとても真似できないわ。そんなに大切な人なら、どんなことをしたって生き延びて欲しいと思うもの。
 目の前で死なれるのは嫌だもの。助けられるものなら助けたいと思うもの」

矛盾する言葉。
生き延びるためには他人を殺すしかないと言っておきながら、他人を守ることに言及する。
「見捨てる」ことを非難する。それは矛盾以外の何物でもない。
だが、「善人」に対しては、有効な攻撃方法のはずだ。

「ま、そのあたりはただの考え方の違いかもね。
 あたしは大切な人を守るためなら何でもするけど、あなたはそうじゃない。
 その人の意地を貫かせることが出来るのなら、その人を死なせても構わない。
 助けられるのに助けない。守ろうとすれば守れるのにそうしない。本当に大したものだわ、まったく」

加えて、聞き逃せない言葉もあった。

「………それに、『素人』ですって?」

唇の端が吊り上がる。

「あたしの攻撃をあんなに奇麗に避けておいて、よく言えたものだわ。
 『邪魔をするのは許さない。引き返さないのなら容赦はしない。』
 このあたしを相手にして、『素人』がどう許さないのかしら。容赦しないのかしら。
 敵に容赦できるほどの腕前なのに、素人を自称するなんて何を考えているの?」

そして、笑みが更に深くなった。

「………ああ、なるほど。そういう事か」

キュベレイの機体が輝く。その背に悪意と戦意の炎を背負って。
「あなた、そう言って逃げようとしたのね。
 『あたしは素人で戦えない、怖いギラ・ドーガに狙われたらすぐに殺されちゃう。
 だからあたしを逃がして。あたしを守って。あたしのためにギラ・ドーガと戦って』
 そう言って、ペズ・バタラに守ってもらおうとしたのね。
 ジャベリンに足止めを頼んだのね」

邪さを極めた曲解。「善人」に対する最大の侮辱。

「それなら分かるわ。確かに賢明な方法よ。
 そうすればジャベリンを自分の手を汚さずに片づけられるし、
 上手くいけばギラ・ドーガと相討ちになってくれるかもしれない。
 ペズ・バタラが油断して隙を見せてくれるかもしれない。
 少なくともジャベリンはギラ・ドーガが始末してくれるし、ギラ・ドーガも戦闘で消耗してくれるでしょうしね」

本気で感心したような声。そしてルイの心を頭から否定する口調。

「驚いたわ。素人のふりをして何も出来ないお嬢様を装って、そのお人好しさん達に守ってもらおうとしたの。
 大した役者さんね。感心するわ。
 本当はちゃんと戦えるのに、素人のふりをして何も出来ないお芝居をするのは、大変だったでしょう?」

シェラザードが笑う。嘲笑う。その嘲笑は誰に、何に、何処に向けられているのか。

「そこまでされると褒めるしかないわね。あなた、素敵過ぎるわ………お友達にはなりたくないけど」

さらに言葉の攻撃をしかけようとして………額に電流のようなものが走るのを感じた。
反射的にレーダーに目を向けると、J09に機影が確認される。

新手? 無関係の他の生徒? それとも、増援?

こちらに接近しているようだが、ここからではそれ以上のことは分からない。
3対3になるのか、それとも2対4になってしまうのか。それとも両方にとって敵になるのか。
2対3対1ならともかく、2対4になったら流石に撤退だ。
いくらキュベレイでも倍の敵が相手では荷が重い。
絶対に勝てないとは言わないが、かなり消耗するだろうし、それなりに傷も負うことになるだろう。

急いでもらう必要があるわね。
そう考え、ギラ・ドーガに通信を入れる。

『J09に新手。こちらに接近中。
 敵増援ならば当機はこの宙域を離脱予定』

それだけを文字だけで伝える。返答は最初から期待しない。
要はギラ・ドーガに早くジャベリンを片づけてもらえればいいからだ。
そしてR・ジャジャに意識を戻す。こちらにマシンガンの銃口を向けている赤い女騎士に。

「まあ、怖い。とても様になっているわ。
 それでも素人と言い張るなんて、凄い度胸ね。
 でも、そうしないとジャベリンやペズ・バタラに嘘がばれてしまうのかしら?」

………向こうから撃ってくれば分かるのだが。
素人の行動はとにかく直線的で、攻撃にしろ防御にしろ一辺倒になるものだからだ。
撃つ時は撃つことだけに、避ける時は避けることだけに頭が一杯になって、
目の前の目標だけに気を取られて周囲に全く目が向かなくなる。
それがシェラザードの知っている「素人」だ。

だからシェラザードはキュベレイのビームガンの狙いを定めた。
R・ジャジャではなく、彼女が守ろうとする片腕の機体に向けて。

「さあ、こうしたらどうするのかしら。あなたはあたしをどう許さなくて、どう容赦しないの?」
本当に素人ならば、一気に片を付けても良い。
だが、それがやはり自称に過ぎないなら、その実力を全部露わにしてやって、
ジャベリンとペズ・バタラに彼女の嘘を教えてやる。
その女は戦えるのに戦えないと嘘をついた卑怯者だと言うことを見せつけてやる。

【行動:R・ジャジャと通信継続(0)、ギラ・ドーガに文字通信(−1)
    ジャベリンにビームガンを向ける(−1)】
【位置:I09】【行動値残り:2】
【機体状況:AMX-004-2(3) キュベレイMk-U@ミョーコウとデータリンク設定済み】
【パイロット状況:健康@ノーマルスーツ】
【武装:ビームサーベル(ビームガン兼用)×2、ファンネル×12、
    ハンブラビのテールランス、外壁補修用大型トリモチランチャー(装弾数:6発)
    トライブレード×2,手投げ式フラッシュグレネード×2、シャクルズ】
【所持品:ディパック、首輪、水2リットル入り2本、コッペパン×2
      軍用大型ナイフ 青酸カリカプセル1個入りロケット
      デンジャーな衣服・下着・道具類で一杯のスーツケース 抗ガン剤11日分】
【方針:「ダグラスを殺した女」を貫こうとする、でもこの場からは逃げることも考える】
【同盟:無し(?)】
ファンネルとキュべレイ本体への同時攻撃は
惜しくも外れてしまった。
ファンネル破壊の危険性を恐れてか
急いでキュべレイ本体に格納された。

(二頭追うものは一頭も追えず・・・・・・か
 まあ、アレぐらいで落ちてはくれないだろうな。)

その後、沈黙が続く、お互い牽制しいるのか
それとも、戦略でも練っているのか
どちらにしても、様子見の小競り合いで
余り時間は掛けたくは無い。
今は、レイモンドへのリスクを軽くすることが最優先だ。

そして、キュべレイのビームガンがレイモンドのMSに向けられる。
再びキュべレイに通信を入れる。

「最後通告だ。

 何を考えているのかは知らんが
 今すぐその手を下ろし、そこをどけ。
 もしくは他のエリアに立ち去ることを要求する。
 この通告が受け入れられない時は、
 お前は俺達にとって死しかもたらさない者とみなし

 ――――――――――全力を持って貴様を破壊する。

                     選べ!」

【行動:ルイと通信中(-0)キュべレイに通信(-1)】
【残り行動値:3】
【位置:I-9】
【機体状況:異常なし(肩部装甲傷ついてるかも) 】
【武装:(本体)ビームアックス、3連装ミサイルランチャー×2、(左手)ビームシールド、
    (左手) ビームライフル(E53%)(右手)ビームダガー×4本 】
【所持品:ディパック コッペパン一つ 水2g三本 水1g一本 食料ニ日分 
     十字架 聖書 特殊情報端末 チ○ルチョコ20個ほど】
【行動方針:”答え”を見つけるand現状対処】
【同盟:01番 シュウジ=アサギ?? 08番 ヨーコ=クロサキ? 
     15番 リナルド=グレイス?? 19番 ラーズ=フィリー?
     14番 レイモンド=デリック 25番 ルイ=フィルセント 】
再度送られてくる通信。

『………大したものね。あたしには言えない台詞で、出来ないことだわ。
 その人の意地を貫かせてあげたい、その手で決着を付けさせてあげたい、というわけ。
 素晴らしい友情ね。泣かせてくれるわ。拍手ものよ・・・・・・(省略)』

「はぁ・・・・・・」

またしても零れ落ちる溜息。

「そんな小難しい事ばっか考えておるから、
 性格が捻じ曲がって将来ハゲになるんよ。
 えーと。悪の怪人A。」

相手に言い渡す第一声。

「死んで後悔しても遅い?当たり前の事やんか。
 だけど、おっさんはここで今、戦わなくちゃ生きていることを後悔する。
 きっとする。そんな事はさせたくない。
 だから、おっさんに任せた。
 自分が一番後悔しない道を進む事を。」

思ったことが素直に口に出て行く。

「助けられるのに助けない。
 守れるのに守らない。
 それらも全部含めておっさんの意思や。
 おっさんが頑なに譲らん意思や。」

苦笑。溜息。そんな感情が勝手に出てくる。

「だから、どうしようもあらへんな。
 アタシに出来るのはその意思を見守り
 邪魔をする人がおったら、さらにその邪魔をするだけや。」

ハッキリと言い渡す、アタシ自身の意思。
「アタシは素人やよ。
 ゲームセンターでなら達人やけどね。
 MSはココに来てから初めて動かしたわ。
 最初はちょっとビビッたりしたんやけど、
 思っていたよりも簡単やわ。」

現状の説明。

「アタシは戦いたくないなんて一言も二人には言った事あらへんな。
 むしろ、アタシが戦うっていっても
 素人のおまえじゃ無理だって文句言われたくらいや。」

事実の復唱。

「だけど、アタシはアタシの意思で戦うと決めたんや。
 2人に守ってもらいたいわけやない。
 むしろ、2人をアタシは守りたいんや。
 だから・・・・・・ここで素人から卒業をするんや。」

アタシ自身の意思。

「それとな、アンタの攻撃が避けられたんは
 アンタの動きを監察させてもろうてたおかげや。
 動きを見ていろいろ学習さえてもらっとるで。」

補足。

そして、会話の最中にも一瞬だけスラスターを吹かして
おっさんとキュベレイmk2との間に行けるように動きの流れを変えておった。
向こうにはばれておるかもしれへんけどな。
「おっさんを撃ちたければ撃てば。
 その変わり撃った瞬間にアンタは
 べるべるとアタシに撃たれる。
 それでもええの?」

脅しに対して脅しを返したる。

【行動 : おっさんとべるべるに通信継続 (0) 悪の怪人Aと通信継続中 (0) 
       こそーりとおっさんと悪の怪人Aとの間に移動開始 (1) 残り 1 】
【位置 : I-09 】
【機体状況 : 問題なーし。 】
【パイロット状況 : デコ腫れとる(涙) 戦闘思考に移行 】
【武装 :ビームサーベル、両肩部3連装ミサイル×2、両肩部ムーバブルシールド×2
      120mmザクマシンガン+弾倉1つ 】
【所持品: ディパック、首輪、コッペパン2つ、水2g入り2本
      中身のたくさん入ってる財布
      (硬貨が20枚ぐらいお札が40枚ぐらい。あとサービス券とかカードが入ってる
       それと暴漢対策に鉄板が仕込んであって
      ナイフも通さない、銃弾も効かない・・・・・・試した事はあらへんけど。)
      つっこみ用スリッパ(片方だけ) 】
【方針 : 絶対首輪を外してF-05エリアに戻る 三人一緒にGO!!】
【友達 : 07番 ベルク・クロフォード :べるべる そんな怒らんでおいて(汗
       11番 サーティア・クワン :さーちん  なんで・・・・・・?
       14番 レイモンド・デリック :おっさん 意地を貫くんや。そんな怒らんでおいて(汗
       21番 アーネスト・マンソン :あーたん またな!! 】
246イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/05/06 22:20 ID:???
>233>235-236
振り返ったときには既に、二人の遣り取りは一応の決着を見せていた。
余計な気持ちは抱かない。
第一、お節介を焼こうにも愁林自身の恋愛経験は圧倒的に不足しているのだ。
男女の諸相に、気の利いた助言など果たせる筈も無い。
だから心の中で応援するだけ。
『これから』の二人を、できる限り見届けてやるだけ。

リファニアの言葉にこくりと頷き、愁林はダグラスの遺体を両腕で抱え上げた。
既に死後硬直が始まっているのだろう。
節々の強張りが、不自然な硬さを伝えてくる。
かつて彼をベッドに運んだ時とは明らかに異なるその感触に、彼女は少年の死を改めて実感していた。

未練は当分、断ち切れそうに無い。
何しろ彼女は、かつて自分を裏切った許婚でさえも、心を空虚にしなければ殺せなかった程なのだ。
あまりに深く愛し過ぎたダグラスへの気持ちを、どうして断ち切る事ができようか。

朱の唇にはキスの感触が―――

細く締まった腰には、力強く抱き締められた時の痛みが―――

瞼の裏には、屈託の無い彼の笑顔が―――

それぞれ柔らかく、激しく、そして眩しく残っている。
そして胸元には、彼の手元から戻ってきたロザリオがある。
だから愁林は忘れない。
断ち切らない。
断ち切れないのではなく、断ち切らない。
仮令それが未練と呼ばれる代物であっても。
それを抱き続ける事を恥じたり後悔したりするような生き方さえしなければ、それで良いではないか。

奇麗事と言わば言え。
それが、葉愁林の選択なのだ。

「さあ、二人とも。宇宙葬の為のカプセル、用意して貰えるかしら」
247イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/05/06 22:23 ID:???
【行動:依頼(-0)】【残り行動値:4p】
【現在位置:V-20、ミョーコウ艦長室前廊下】
【特記事項:軽症(手当て済み)、半覚醒?、若干の疲労、時折襲う正体不明の突発的頭痛】
【機体状況:左腕Bシールド及び同前腕回路切断、同マニピュレーター損傷率71%、左肩装甲破損】
【武装:頭部バルカン×2、Bサーベル×2、Bシールド×2(左腕内蔵側使用不可)、
...    Bライフル(E残量49%)、4連装ヘビーマシンガン付きショットランサー(Hマシンガン残弾48%)】
【所持品:思い出の銀のロザリオ、銀の腕時計、低反動拳銃(弾丸12発装填済み)】
【行動方針:ダグラスを弔う準備、けじめを付ける、「貴いものを守りたい」、「綺麗なものを曇らせたくない」】
【同盟:No.20・リファニア、No.15・リナルド】
248シュウジ=アサギ ◆T2X.xlTDSU :04/05/06 22:51 ID:???
待っているとすぐにヨーコも到着した。それを見、口を開こうとしたとき、それはヨーコに遮られた。
『あれ? さ、三…人?』
「あ……言い忘れてたか?ジェイs……」
『……あなたに付いていこうとした私がバカだったよう…ね。』
「……??」
『…サヨナラ。』
「……???」
しばし呆然とする。気が付いたときには廊下からヨーコの姿は消えていた。
「!」
通信が切られる音にハッとし、慌てて追いかけようとする。そこでラーズからなにやら紙が手渡される。

>>234

「心配しなくても俺は絶対に小惑星には行く!それが俺の最後の役目なんだからな!
 少し待ってろ、出来るだけ速く戻る!」

そう半分怒鳴るように言うと、廊下を格納庫の方向へ跳ぶ。
(なんだなんだなんだ!糞っ!)
エアロックにたどり着き、開閉パネルを操作するが、焦って上手くキーが押せない。
いつもより倍近くの時間をかけてエアロックを突破し、格納庫に出た。
ヨーコの姿は見えない。既にガズRに乗り込んだのだろうか?
「ゼファー……通信、対象ガズR!」
〔りょ、了解。〕
「ヨーコ!何故だ……!何故……。な……ぜ……。」
言葉が出てこない。頭が回りきっていない。
疲労・眠気・病み上がりの体・未だに十分ではない血液・今まで蓄積されてきた精神的、肉体的ストレス。
そして何より、それらの苦しみを受けてまで今まで命をかけて守ろうと思ってきた者に捨てられたという事実が、彼の冷静さを失わせていた。

【行動:会話(−0)格納庫へ(−1)ガズRに通信接続(−1)】
【残り行動値:2p】
【位置:S−17 コロニー港湾格納庫】
【機体状況 :レーダー不調? 通信 シュウジ⇔ゼファー⇔ジェイス・ラーズ・ヨーコ
       対自爆装置用改造済み】
【参加者状況:右足重傷(処置済み) 混乱中】
【武装:ザンネックベース(破損している可能性大 移動には問題なし) 4連装マシンキャノン(5斉射分)
    ビームライフル(残弾3)ビームサーベル×2、ビームシールド、フック付きワイヤー&ウィンチ】
【所持品:ディパック(水2g入り2本 食料2日分 ノートPC 計画書 紙とペン 医療用セット 首輪カバー×5)
     拳銃 工具セット 電子部品 Hハイザック? ゼファー】
【行動方針:……!!?】
【同盟:19番ラーズ? 08番ヨーコ?? 06番ジェイス?
 中立:14番レイモンド? 15番リナルド?? 07番ベルク?】
>>246
ダグラスを抱き上げたイブが、リナルドとリファニアに向き直る。

「さあ、二人とも。宇宙葬の為のカプセル、用意して貰えるかしら」

その言葉にこくりと頷き、リナルドも言葉を続ける。

「じゃあ、格納庫へは俺が行く。
 リファニア、カプセルに入れたいもの、今のうちに集めておいで。
 彼の私物とか……イブさんに断る必要がありそうだけど。
 彼に何かを手渡すなら、これが最後のチャンスになるからね。

 ……そうだな。
 前に着てたコックの服とか、どうだろ?」

そう言ってからイブとリファニアに一度ずつ視線を向けると、
彼はブーツのマグネットを起動して床を蹴り、格納庫へと向かった。

……

何の障害も無く格納庫に到着すると、リナルドはカプセルを格納庫のカタパルトに搭載し、カプセルのハッチを開く。
所詮カプセル、大した広さではない。

――夢見る事ができるのであれば、やればできる――
     If you can dream it, you can do it

ダグラスから渡された紙片を見、綺麗に畳んでノーマルスーツのポケットに仕舞うと、
彼は工具から大型のカッターを取り出してカプセルの内壁に彼なりの弔辞を刻み始めた。
……が、すぐに手を止める。

(どうしたの?)

マヤがリナルドの肩に舞い降りる。

「ん、ああ……。
 何を刻んだらいいのかな……って思ってさ」

(ふむ、そぉねえ……)

「何かしら、気の利いた称号でもあげたいんだけど……」

(称号……。 だったら、いいものがあるわ。
 それはね……)

耳打ちするようにリナルドに囁くと、マヤは再び姿を消して。
残されたリナルドは大いに納得した表情でその名を刻み始めた。


   ――親愛なるダグラス、貴君への信頼と友情の証として最高の称号を託す――
Beloved Douglas, I confer the best title as the proof of trust and friendship on you

                ――【ダグラス=ロックウード】――
                  【 Douglas = Lockwood 】


(全く、どこでそういう知識を得たんだか)

妹のセンスに幾分感嘆しつつ刻み終えると、リナルドは格納庫前の通路で三人を待った。
別れの時は、すぐそこまで迫っている。
【行動:艦長室→格納庫(-1)、カプセル準備(-1)、弔辞彫刻(-1)】
【位置:V-20・小惑星基地(ミョーコウ)内・艦長室前通路】
【残り行動値:4pts.】
【機体状況:MA形態・機関停止】
【武装:(MS)ビームカタールx2、右腕ビームカッター、頭頂部ビームキャノン、ヒートサーベル
   (MA)ビームカッター、グフシールド(半壊)】
【生徒状態:通常・左首筋に軽度裂傷@ノーマルスーツ】
【所持品:デイパック、コッペパンx2、水2gx3.5、食糧4日分、私服、拳銃(20)、救急箱
      首輪カバー、首輪カバーの製造レシピ、自爆装置の無力化レシピ、ノートPC
   (以下私物)MS状態チェック用ポータブルコンパネ、愛用眼鏡、配線修理用工具一式】
【行動方針:リファニアと共に、生き残る/首輪への対策を考える/ダグラスを送る】
【同盟:20番リファニア 03番イブ 05番ダグラス (26番シェラザード 01番シュウジ)】
>>207
 幾度となく振るった刃がまたも防がれた光景。
脳の無い繰り返しのやり方である事は自分自身分かっている。
相手の力量もある程度知っている。それ故覚悟自体は出来ていた。
それでも自然と愚痴は零れる。

 「(実体型のシールドなら切り裂けていた…)」

 訝しげな表情を浮かべる間もなく、こちらの勢いが受け流される。
そんなデカイ図体のタイヤでよくもそんな動きが出来る物だ。
兵器に対しての軽い興味と感心が沸いてくるが、それどころではない。
こちらの横をすり抜けた青ジムがそのままビーム状のシールドを掲げたまま向かってくる。
受け止める余裕は無い。致命傷を避けるのが最優先。カメラに大写しになる光。
構えていた身体に衝撃と振動が伝わり、同時に幾度か映像が途切れる。
コンソールが頭部の異常を警告した。人で言えば顔面裂傷と言った所か。

 全く無知とは恐ろしい。
青ジムが実用化されたばかりのビームシールドを装備している事も、
タイヤが言わば新型のSFSの役割を果たしている事も。
全て、自分の知識の範囲には存在していない。
ふと気づけば、遠目に見える黄色い魚のようなMSもまた得体の知れない機体だ。
まだ、その脅威を知ることの出来るR・ジャジャとキュベレイの方が見ていて安心する。
ヘルメットのバイザーを開け軽く吹き出た汗を拭う。
何にせよあのタイヤは厄介だ。縦横無尽に走り回る上に正面からの攻撃への頑強さ。
場合によってはそのままぶつければそれだけで強力な武器だ。
対策のような物が浮かびつつはあるのだが…。

 戦況を見つめながら、軽く息を吐く。
眼の前の宿敵もさることながら、動きの見せないR・ジャジャ。
突如として現れたキュベレイ。向こうの2機も今の所伯仲している。
全ての人間がカードの切り方で全て変わってくる。
久々の緊張感。いいものだ。笑いで切り抜けられるほど甘くは無い。

……少し、考えてみるか。
 まず、自分にとってひとまず除外されるのがあの黄色い魚。
相手の動きに夢中になっている様を見ると
基本的に奴の目線はキュベレイに見惚れたままだ。
こちらに対しての意識はさほど向いている物ではない。
いつまでも紅の女王相手に孤軍奮闘していてもらおう。

 次にわかりやすいのが、相手には不快だろうが目の前のコイツだ。
今度は奴の意識はほぼこちらに対してのみ向いている。
あのキュベレイの方は気にはなるが構っていられない程度の物だろう。
当面、こちらの相手をするので精一杯のはずだ。
ただ…先ほど後ろのR・ジャジャを庇う素振りを見せたのは失態だったな。
そんな生温いことをやっているから機体を奪われるんだ。
機体差に感けてこちらを甘く見るなよレイモンド=デリック。
ま、そういうことはまだまだ話すべきことではないのかもしれないが。

 そうなると、あのR・ジャジャは放っておいても構わないのかもしれない。
先ほどからアレは動こうとしない。こちらを射抜く隙もあっただろうに。動いていない。
ただ一度、キュベレイからの攻撃を回避したのを横目で確認した。
ただ、かろうじて交わして見せたが、それから何もしない。何も出来ない。
もしかしたらそれがアレの限界なのかもしれない。
意識を留めるにしておこう。現時点でそれ以上のめり込む価値は無い。

 さて…一番わからないのがあのキュベレイだ。
唐突にこの戦場に舞い込んで意図も分からず勝手に戦闘を行う。
黄色い魚を相手にしながらもこちらをチラチラと盗み見る。
一言で言わせてもらえば薄気味悪い。
漁夫の利を狙っているのならば素直にそう態度に示せばいい。
だが、それをしようともせず意味も無く踊り狂っている。
目的も曖昧なら行動も曖昧で一貫した意識が見えてこない。
ひとまず、こちらに攻撃を仕掛けてこないのならそれは構わない。
まぁ、勝手に踊り狂っていればいい。巻き込んでこようものなら全ての眼がお前に向く。

 短期間の怒涛の思考。脳が痛い。悩む時間を終えたら後は行動に移る。
しかし、だ。その前に奴等のほうが先に動き出してしまった。
赤い騎士と紅の女王の対峙。

さて、こちらのやるべきことは…
 直接的な行動は至極単純。
キュベレイが青ジムに向かい銃口を向ける。
それに応じてR・ジャジャと黄色い魚がキュベレイへ銃口を向ける。
痴情の縺れ、と言うには少々複雑な構図に思えるが
その前に存在した幾許の空白の時間に誰かが激昂したと考えればそうでもない。
人の感情など何が引き金になるかわからないほど単純なのだ。

 【J09に新手。こちらに接近中。
  敵増援ならば当機はこの宙域を離脱予定】

 では、こちらに送られてきたこのメッセージはどう捉えるか。
これの送信者は可憐で卑猥な紅の女王様。
こちらのことを意識している様子ではあったが、ここまであからさまな事をしてくるか。
少しの時間、額を抑えてみるが…よくよく思えば深く考える事はない。
これを送られたことで先程の対峙した原因も少しずつ解けて来た。

 アレはやはりこちらを利用しつつ漁夫の利を狙うつもりだったのだ。
それが指摘され、仕方なくキュベレイは人質を取るような真似をしでかした。
R・ジャジャと魚がキュベレイを狙う道理はこれで十分に成り立つ。
そして、このメッセージの意図するところは即ちSOS。
情報と自分の窮地をそれとなく知らせて、あわよくばこちらを引き込もうという腹か。
こちらを伺っていたのも自分と宿敵の同士討ちのタイミングでも見計らっていたんだろう。

 随分と単純な考えを持った裸の女王様だ。
あまり自分の思うように人が動くなどと考えない事だ。
その女王に単純なメッセージを返してやる。同じような文字だけの単純通信。

 『了解した。そちらの意図は理解した。』

 ついで正面の宿敵に対して通信を開く。話す内容は…。

 『あのキュベレイ、こちらの同士討ちを狙ってるな。
  ちょっと流し運転だ…。遊んでようぜ…。』

 そういい残すと、再びタイヤへと切りかかる。
ただ、スピードは多少抑える。奴ならこのぐらいは造作も無いだろう。
一人の思い通りで戦場が掻き回されるのは自分の最も嫌う所だ。
ただでさえ監視役に振り回されている。これ以上女に振り回されてたまるものか。
【行動:14番の攻撃回避(-1P) 思考(-0P) 26番へ返信(-1P) 14番へ通信&模擬攻撃(-2P)】
【位置:I-09】【残り行動値:0P】
【機体状況:一部駆動系の障害+14番からの切り傷+完全ではない左腕+頭部一部損壊】
【武装:ビームソードアックス】
【所持品:自動小銃2丁 小銃3丁 それらの弾薬】
【行動方針:戦場を心行くまで味わう】【同盟:無し】
>>248
離脱を告げる通信。
それを受けてシュウジは呆然としていた。
理由も解っていないみたいだ。
お前は馬鹿かと呆れる。

「俺が引鉄となったんだな」

前に思ったとおりのことだ。
仲間が増えると、比例して危険性が増える。
シュウジはその危険性が解っていない。
いや、甘く見ているのか。

「シュウジが優しすぎることと、俺のことを話してなかったことが一番の原因か」

シュウジを気の毒に思う。
罪悪感――かもな。
俺が戻って来なければ何も起こらなかった。
俺があの時に――

あの時。

水の流れ。
俺が戻って来なければ――
戦慄の風。
俺が戻って来なければ――
煙幕。

「……ぁ?」

なんだ今のは?
幻覚?
……だとしたらヤバすぎだろ俺。
「??」

まぁ、いいや。
それより、これからどうするんだ?
シュウジが追いかけていったあの少女は戻るのだろうか?
いや、たぶん戻らないだろうな。
だとしたらシュウジは辛いだろうな。

「……」

優しすぎる。
それは傷つきやすいということ。
人を殺すことにも悩んで、理想と現実とのギャップに苦しむ。
そしていつか、全てを抱え込んでボロボロになる。

そう、あの時の――のように――


                あの…時?

         誰が。
                         

                       この想いは



知らない筈


                      
                  あ゙あ゙あ゙っ!!!」


  光        る景色

                        み
                        ん
                        な
                       『死』
                        んで


「あ゙あ゙…?」

突然、見ている景色が二重にダブる。
『ドア』が開きかかる。
その開きかかった『ドア』の隙間から声が漏れる。
《t…が……》
その声は俺の頭に重く、とてつもなく重く響く。
立っていられなくなり、思わず膝を突く。
徐々に『ドア』が開いていく。
《ち…がう…》
瞬間、重さが痛みに変わる。

「あああああああぁ゙あぁあ゙あ゙!?」
膝立ちの状態で体中が痙攣する。
振動で舌を噛まないように歯と歯をしっかりと食いしばる。
『ドア』の向こうに何かがいるのが理解できる。

「お…ッオマえ…ア゙ア゙あ゙あ゙!!」

嫌な奴。
絶対に会いたくない、会ってはいけない!!
駄目だ『ドア』が開きかかっている。
止めなくては――!!
《…………違う》

「な…っんなんだ…よォ……!」

訳がわからない。
いきなりのことに脳がついていかない。
ただ、自分の意志が、別のところから出ている。
何が起こったかは把握できない。
何えをすればいいのかはわかる。
いや、本能に近いもので理解できる。

――あいつを出してはいけない――

『ドア』が開くのを全力で阻止する。
死にそうなほど痛い、意識を保っていられるのが不思議なくらいだ。
体中が軋みを上げる、痛みからか喉の奥から変な声が出る。

「ぅえ……かっ…!!」

構う物か――!!
このままでは、あいつが出てくる、あいつが!!
あいつを出してはいけない!
――どうしても!!

「―――――――――――っ!!!」


【行動:発作?(-0p)全身痙攣(-0p)叫ぶ(-0p)ドアを閉めようとする(-0p)】
【残り行動値:残り4p】【位置:S-17】
【機体状況:左腕、肘の部分から下を切断されている】【罠用:C4プラスチック爆弾】
【武装:頭部バルカンポッドシステム、ビームサーベル、三連装手投げ式グレネード】
【所持品:空ボトル、煙草4箱と1本、ライター、ディパック、コッペパン2つ、水2g2本、ノーマルスーツ、栄養補助食品×10、銃】
【行動方針:???、アイツが…『ドア』を閉めなければ…!!】【同盟:シュウジ・アサギ、ラーズ・フィリー】
>>246
リファニアの言葉に頷いて、ダグラスを、もう二度と瞳を開く事の無い恋人を抱え上げるイブ。
その姿を見て……リファニアの表情が僅かに翳る。
自分の傍らにはリナルドが居る。だが、イブの傍らには……。

リファニアは、イブに銃を向けられる前に言った言葉を思い出し……。
それがどれだけ甘ったれた戯言だったかと、考えざるを得なかった。
それは、傍らに愛すべき者が居るという余裕の体現だったのかも知れなかった。
イブにとって、そんなリファニアのシェラに対する想いまで考慮する余地が無いのは当然。
むしろ、甘ったれた戯言を放つリファニアに、憎しみすら向けてもおかしくなかった筈だ。

だが、それでも、銃を向けるイブの瞳は……優しかったのだ。
あんなに優しい瞳のまま、引き金を引ける人間が居るとすれば……それは、人ではない。
悪魔や死神の類だ。
イブは、そんな物とは違うはずだ。
イブに巻いてもらった包帯の巻き方は、優しかったし……飲ませてもらったチャイは、暖かかった。
それは、間違いなく人の温もりだったのだから。

私の目、曇っていたんだなぁ……。
でも、今ならきっと、あの時のイブさんの心、感じる事が出来る気がする……。

リファニアはそう思ったが、たとえリファニアの心がかように晴れやかであったとしても……。
イブの真意を感じ取る事などは無かっただろう。
イブの仮面は、それほどまでに完璧だった。
だが、たとえ真意がわからなくとも……あの時の瞳の優しい光だけは、わかる。
リファニアは、自分の心が感じるままに、イブを好きで居続けようと思った。
好きと感じるのだから、好きなのだ。理由などは必要ない。

『さあ、二人とも。宇宙葬の為のカプセル、用意して貰えるかしら』

イブの言葉に、優しくも少し悲しげな笑みを浮かべながら頷くリファニア。
もう少ししたら、ダグラス君との本当のお別れなんだね……。
笑顔で送るって言ったけど、それでもね、少しは顔に出ちゃうよね。

>>249
『じゃあ、格納庫へは俺が行く。
 リファニア、カプセルに入れたいもの、今のうちに集めておいで。
 彼の私物とか……イブさんに断る必要がありそうだけど。
 彼に何かを手渡すなら、これが最後のチャンスになるからね。

 ……そうだな。
 前に着てたコックの服とか、どうだろ?』

リナルドがそう言い残して、この場を後にするのに続いて、リファニアもイブに言葉をかける。

「イブさん、リナルドの言う通り、私、ダグラス君の遺品を集めるね。えっと、たぶんここに……。」

艦長室の隅に、それは転がっていた。脱ぎ捨てられた、コック服。
リファニアは、それを拾い上げてみたが……そのコック服は、酷く汚れてしまっていた。
会食の時、ダグラスが艦長室に引っ込んだ時に吐いてしまったのだろう。

「……汚れちゃっているね。
 ダグラス君、料理上手かったから、きっと料理、好きだったと思うから……。
 それに、あの料理は私とダグラス君の思い出のひとつだから……。
 彼の友達として、これを私からの贈り物にしたかったな……。」

イブによってダグラスの身は清められたのだから、残念だけど、これをカプセルに入れるのは……。
いや、急いで洗って乾燥すれば、何とかなるかな?
……そうだ、ダグラスは厨房の奥でこれに着替えたのだから、前に着ていた艦長服がそこにある筈だ。
そこに遺品が幾つかあるかも知れない。あとは、艦橋かな?
「イブさん、私、ひととおりダグラス君の持ち物集めたら、格納庫に行くね。
 何を入れるか……そこで決めよう?」

イブに一声かけて、艦長室を後にするリファニア。
まずは、洗濯室で、コック服を洗濯機に放り込んでから、厨房に向かう。

厨房の奥のロッカールームで艦長服を探すリファニア。
すぐに艦長服とを見つけ、それを手に取ると……一枚の写真が、落ちてきた。

「……これって……。」

幸せそうな、家族の写真だった。
優しそうなダグラス君のご両親と、この人は……お姉さんだろうか?
その写真を見つめていると……酷く胸が苦しくなってしまった。
……家族、か。
私にはもう……そう、「もう」居ないけど……。
帰りを待ってくれる人が居る参加者も、居るんだろうなあ……。

……そうだ、確か、リナルドも。
アレンとの決闘の時、彼に感じた一人の女性への想い。
その女性のもとこそ、リナルドの帰るべき所だったはずなんだよね……。

……っと、こんな時に考える事じゃないよね。
今はダグラス君の事だけを、考えないと。

艦長服と、それと共にあった拳銃、そしてダグラスの家族の写真を回収したリファニアは、厨房を後にした。

【行動 : 艦内移動(-1)、洗濯(-1)、艦内移動(-1)、厨房奥探索(-1)、残0 】
【位置 : V-20(ミョーコウ、厨房前通路) 】
【機体状況 : 表面に細かい損傷(幾つかビーム砲損傷)、スラスター損傷軽微、MA形態、自爆装置改造済み 】
【パイロット状況 : 頬にうっすらと傷痕、右肩に軽傷(治療済み)、メイク済み♪、ノーマルスーツ着用 】
【武装: 胸部3連装拡散メガビーム砲(一門破損)、リフレクタービット×5
     腕部サイコミュ式 ビームソード×2、全身メガビーム砲×多数 】
【所持品: ディパック、首輪、コッペパン2つ、水2g入り2本(1本は空)
      ノーマルスーツ、ジオン女性士官の制服、ナバン61式拳銃
      抗生物質、換えの包帯やガーゼ、消毒薬
      アレンの遺したギターとアンプ、トリィの羽根、日記帳とペン 】
【方針 : 『揺るがない夢』、ダグラスを弔う、リナルドと話の続き 】
【同盟 : 15 リナルド=グレイス、03 イブ・シュウリン、26 シェラザード=ビンス=マクファーソン 】
すれちがう瞬間に振り抜いた左腕。
俺としてもひらめきで放ったような一撃だったが、左腕から僅かな手応えが伝わ
ってきた。
どの程度かは判断できないが、何らかのダメージを与える事が出来たらしい。
…しかし俺にはそんな事を喜んでいる暇はない。

ルイが乗っているのを見て、そして自分で動かしてみて思ったのだが、このタイ
ヤに乗っていて一番避けるべきなのは、おそらく後ろからの攻撃。
正面とサイドの攻撃にはそれなりに対処できると思うが、後ろからの攻撃には案
外弱そうな雰囲気がある。
勿論持ち前のスピードで引き離してしまえば、近接兵器の攻撃を受ける事は進路
を読まれでもしない限りないだろう。
しかし、タイヤよりスピードのある……特にビームライフル等の弾速の早い兵器
には注意をした方がいい。

だから俺はギラ・ドーガが射撃兵器を持っている可能性を危惧して、回避運動を
しながら全速でギラ・ドーガから離れたのだった。
そしてそこそこ離れたと判断したところで、タイヤを急回転させてギラ・ドーガ
に向き直……。

「……………っっっっ…!!!」

戦闘中でなければ叫んでしまいそうな痛みに、脇腹を思わず押さえる。
全速からの急回転により急激なGがかかったせいだろうか……さっき折れた肋骨が
ミシリ、と音を立てたような気がした。

「い……い、てえ…!」

瞬時に湧いてきた脂汗と息の詰まったような声と共に、数秒だけギラ・ドーガへの
注意が散漫になった。
それが致命的ミスになる相手と知りつつも。

(や、ばい…!思わずアシッドから目を逸らしちまった…。あいつ相手には僅かな
 油断も命取りだってのに……!)

心の中に荒れ狂う後悔と自分への怒りに、少しだけの観念。
それでも最後まで生きる努力をするべく、タイヤを再び走らせようとアクセルを踏
み……込む必要は……なかった。
ギラ・ドーガが(何故かは知らないが)さっきの場所から動いていなかったからである。
そしてどうやら、射撃兵器の類も撃つ気配はないようだ。
更には、何か考え事でもあるかのようにジッとしている。

(……何だってんだ……一体…?)

攻撃を受けなかった事に内心ホッとしながら、ギラ・ドーガの動向を注意深く見守る。
そんな事をしているうちに、繋がりっ放しのルイの通信回線から声が聞こえてきた。
どうやら、誰かと話しているらしいが…?


アシッドにも注意を払っていたせいで所々聞き逃してしまったが、随分と長い会話だった。
おそらく話しているのはあの深紅のMSのパイロットなのだろうが、ルイの声しか聞
こえない為どんな人物なのか全く分からない。
そして…その会話で知る事ができた、ルイの生の感情。
たかだか怪我人の我が儘に、そこまで思ってくれているとは思わなかった。
しかし感謝の気持ちは声には出さない。
余計な通信でルイの集中を切らすわけにはいかない。
この礼を言う時は、必ず来る。
そう、信じる。

(続く)
…だが、ルイは1つ勘違いをしている。
…俺はアシッドと決着を付ける為に残ったのではない。
何故って、今の俺がアシッドを倒せるなんて思えなかったから。
…だから、ルイとベルクが無事にシュウジの所へ辿り着けるよう、文字通り盾にな
るつもりでここに残った。
まあそれは、あの深紅のMSの出現によって意味を成さなくなってしまったが。
でもだからと言って、俺がここにいる理由が変わるわけではない。
そう、最初に確認した通りだ。

(ルイ…。レイモンド=デリック少尉の任務は、ルイ=フィルセント及びベルク=
 クロフォード両名を無事S-17ポイントにいけるよう援護する事…だろ?)

それを邪魔する者は、誰であろうと全力を以て阻止する。
最終的に俺も生き残れれば最高なんだが(笑)

そこまで考えを進めた時、通信が入ってきた。
相手は……アシッド……?

『あのキュベレイ、こちらの同士討ちを狙ってるな。
  ちょっと流し運転だ…。遊んでようぜ…。』

そう言いつつこちらに切り掛かってくる。
意表を突かれ、タイヤのビームキヤノンを撃ち損ねた事に舌打ちしたが……どうも
ギラ・ドーガの動きに僅かに切れがない。
その上、さっきと同じ一直線の攻撃で、まるで躱せと言わんばかりだ。
俺は真意を確かめる為に、もう一度ビームシールドで受け止めた。
…やはりそうだ。
この攻撃にはさっきのような、タイヤごと押し切ろうというような重みがない。
まあ傍目にそう見えないようにするところが、アシッドの上手いところと言うか…。
とにかく、本当にアシッドは遊んでいるのだ。

そしてアシッドにそうさせた奴……深紅のMS(キュベレイと言うのか…)をチラっと
見てみると、驚いた事に俺に銃口を向けている。
更にキュベレイに向かって、R・ジャジャとペズ・バタラが攻撃体勢を取っている。

…俺が見るに、どうもキュベレイは同士打ちさせようとはしてはいないような気がする。
同士打ちを望むなら、俺に銃を向ける必要はさほどない筈だ。
むしろそのまま戦わせて、傷付き生き残った方を後で料理した方が現実的に見える。
では何故キュベレイは俺に銃を向けるのか?
察するところ、アシッドとの戦闘に忙殺されている俺に銃を向けて、ルイ達に何か
要求でもしているのか…?
分かった事は、あのキュベレイに乗っているパイロットは機体の綺麗さに反して、
ろくでもない人間という事か。
俺はキュベレイをもう一度一瞥すると、アシッドに通信を送る。

「いいだろう…。少し遊ぶか」

…実際のところ、アシッドの提案(?)は俺にとってはかなり助かるものだった。
俺はまだジャベリンやタイヤの操縦に不安がある。
だからここで少しでも操縦の感覚や、機体の癖などを身体に叩き込んでおきたい。
その為にはこういう機会も大いに利用したかった。

シールドでビームアックスを押し返し、タイヤを僅かに後退させ…るつもりが前進
してしまったので、急いで振り返りビームサーベルを抜く。
そこからさっきシールドでやったように、再び水平に斬った。

模擬戦闘を行いながら、ふと思う。
……キュベレイはどう動くつもりなんだろう。
…これ以上ルイやベルクを攻撃するようなら…俺は忠実に任務を果たすだけだ。
【行動:ルイに通信回線継続(0)タイヤ回避運動(−1)ギラ・ドーガの模擬
攻撃を受け止める(−1)アシッドに通信回線開く(−1)ギラ・ドーガ
     にビームサーベルで模擬攻撃(−1)】
【残り行動値:0p】
【位置:I-9】
【機体状況:右腕消失】
【参加者状況:左肩負傷(軽傷)、左眼球裂傷(小)、右手首切断
       右肋骨骨折、左大腿骨にひび】
【武装:頭部バルカン砲×2、ビームサーベル×2、ショットランサー×2
       ビームシールド】
【所持品:ディパック、水2g入り2本半、食料21/3日分、シャベル(小)、
蕎麦団子2個、蕎麦の種子、拳銃と自動小銃と弾倉、マジック、
      保冷シート4枚、タッパーのカレーライス4つ】
【行動方針:ギラ・ドーガの相手及び、出来ればルイ達のサポート】
【同盟:不明?】
>>251-253>>260-261
ギラ・ドーガからまともに返答をもらえるとは思っていなかった。
味方でも何でもない「第三者」からの戯れ言として無視されるか、あるいは邪魔をするなと怒鳴られるか。
そう予想していたにもかかわらず。

『了解した。そちらの意図は理解した』

こちらの通信に合わせるように、文字だけで返された答え。
ひどく冷静なその内容が、ギラ・ドーガから感じたイメージと矛盾する。
最初に見せたあの一撃の強さと速さ………そこに込められた狂気に近い殺意と戦意を見せた相手からの言葉とは思えない。

そしてギラ・ドーガとジャベリンが再び刃を交えたが………その攻防は奇妙なほどに「落ち着いて」いた。
少なくとも、最初の攻防から感じた強烈な迫力と敵意が感じられない。
まるで模擬戦………というより、馴れ合いのようにすら見える。

何よ、それ。

予想がまたも外れたことを見せつけられ、キュベレイが身に纏う殺気が揺らぐ。
シェラザードの推測………あるいは身勝手な思いこみ………では、
ギラ・ドーガは更に激しい攻撃をジャベリンに加えるはずだった。
目の前のお人好し達と紅の女王以外に、さらにJ09からの接近する機体が存在することを知らされて、
今後のことを考えて隻腕の相手を一刻も早く片づけようとするはずだった。

彼にとっての敵は、ジャベリン以外に4機も存在していることになるのだから。

シェラザードにとってギラ・ドーガは敵。そして青赤黄色の3機も敵。
そしてギラ・ドーガにとってもキュベレイは敵であると同時に、この奇妙な3色トリオも敵。
どちらにとっても両方が敵なら、まずは厄介な相手を先に片づけようとするだろうと思ったのだが。

新たな相手が来る前までは、次のように考えていた。
キュベレイとギラ・ドーガが戦えば、勝った方は次にお人好しトリオを相手にすることになる。
だが、キュベレイとギラ・ドーガが一時的に手を組み、目の前の3機を始末すればどうなるか。
1対1で戦ってから1対3で戦う。
2対3で戦ってから1対1で戦う。
どちらが賢明な選択か、簡単な計算だと思ったのだが。

あたし、まだまだ駄目みたいね。
どうやらギラ・ドーガは自分にとって利益を与えてくれる存在ではないようだ。
ならば自分が危険を冒して利益を与えてやる必要もないだろう。
ジャベリンとこのまま戦闘ごっこを続けようが、気を取り直して殺し合いを再開しようが、知ったことか。
確かに自分の態度と行動は露骨すぎるほどに露骨だったが、
それでもギラ・ドーガにとっては取りあえずの利益になるものだと思っていたのに。

とにかく、ペズ・バタラとR・ジャジャが戦えないと判断したことそのものが間違いだったというわけだ。
ならば最初から出直しだ。狂った計画は一番始めからやり直さないと。
………この後、やらなければならないこともあるのだから。

キュベレイがジャベリンに向けていた右腕を降ろす。
この場は自分の負けだ。負けた以上はさっさと逃げよう。
どうしようもなく無様だが、これが最後の機会というわけでもない。
最後の最後で挽回すればそれで良い………そう自分に言い聞かせる。

「………素人ならともかくプロ相手に1対2じゃ、さすがに分が悪いわね。
 分かったわ。あたしの負けよ。見逃してもらえるうちに逃げさせてもらうわ。
 何を考えているのか知らないけれど、せいぜい仲良く頑張りなさい。
 首輪の重みに耐えかねて味方と撃ち合う羽目にならないと良いけれど」

ペズ・バタラとR・ジャジャの両方に対する答え。
「覚えてやがれ」という下っ端悪役の捨て台詞以外の何物でもないが。

「先生にお仕置きされないうちに何とかするのね。
 この首輪、立入禁止区域に入らない限り絶対に爆発しないと思うのはやめておいた方が良いと思うわよ。
 向こうがその気になったら何時でもスイッチは入るのでしょうから。
 背中から撃たれる瞬間まで、その友情を大切にするといいわ」
 
情けなさを奥歯でかみ殺しながら、キュベレイをこの場から離脱させる。
途中で接近中の機体とすれ違ったが、絡む気には全くなれなかった。

しばらく独りでいる方が良いのかしら。

何も得ることが出来ないまま、女王は再び彷徨を開始した。

【行動:R・ジャジャと通信継続・カット(0)、ペズ・バタラと通信・カット(−1)、離脱(−1)、
     I09→J10→J12に移動(−2)】
【位置:J12】【行動値残り:0】
【機体状況:AMX-004-2(3) キュベレイMk-U@ミョーコウとデータリンク設定済み】
【パイロット状況:健康@ノーマルスーツ】
【武装:ビームサーベル(ビームガン兼用)×2、ファンネル×12、
    ハンブラビのテールランス、外壁補修用大型トリモチランチャー(装弾数:6発)
    トライブレード×2,手投げ式フラッシュグレネード×2、シャクルズ】
【所持品:ディパック、首輪、水2リットル入り2本、コッペパン×2
      軍用大型ナイフ 青酸カリカプセル1個入りロケット
      デンジャーな衣服・下着・道具類で一杯のスーツケース 抗ガン剤11日分】
【方針:出直し】
【同盟:無し(?)】
こちらの不安とは逆に、キュベレイmk2とかいうのが上げていた腕を
スッと下に降ろした。
そんで、入ってくる通信。

『………素人ならともかくプロ相手に1対2じゃ、さすがに分が悪いわね。
 分かったわ。あたしの負けよ。見逃してもらえるうちに逃げさせてもらうわ。・・・・・・(省略)』

「はよ、帰れ。悪の通行人A!!」

去って行った相手にそんな言葉を叩きつけた。
そしてアタシは、去って行っ後もずっとマシンガンを向け続けていた。
完全に見えなくなった所で、大きく息をついて座席に寄りかかる。
知らず知らずに体中から染み出た汗で、のーまるすーつの中が随分と汁っぽい。
めっさ不快感を感じる。
だけど、不快感を感じ始めたという事は気が散り始めたっつー事や。
まだ、全てが終わったわけやない。
テンションを無理やり上げようと、ヘルメットを脱ぎ自分の頬を思いっきり叩く。
それから、姿勢を正して正面を見据える。
テンションを下げたらあかん。集中を切らしたあかん。
ここの空気に流されたらあかん。
もし【呑まれた】ら後は引き摺られてどうにもならなくなるんや。
ゲームの大会で熱気にやられたらあかんのときっと同じ理屈。
だから・・・・・・

もう一回、ぬるぬるになっとる自分の頬を叩いた。

【行動 : おっさんとべるべるに通信継続 (0) 気合注入! (1) 残り 3 】
【位置 : I-09 】
【機体状況 : 問題なーし。 】
【パイロット状況 : デコ腫れとる(涙) 集中が切れ気味 】
【武装 :ビームサーベル、両肩部3連装ミサイル×2、両肩部ムーバブルシールド×2
      120mmザクマシンガン+弾倉1つ 】
【所持品: ディパック、首輪、コッペパン2つ、水2g入り2本
      中身のたくさん入ってる財布
      (硬貨が20枚ぐらいお札が40枚ぐらい。あとサービス券とかカードが入ってる
       それと暴漢対策に鉄板が仕込んであって
      ナイフも通さない、銃弾も効かない・・・・・・試した事はあらへんけど。)
      つっこみ用スリッパ(片方だけ) 】
【方針 : 絶対首輪を外してF-05エリアに戻る 三人一緒にGO!!】
【友達 : 07番 ベルク・クロフォード :べるべる そんな怒らんでおいて(汗
       11番 サーティア・クワン :さーちん  なんで・・・・・・?
       14番 レイモンド・デリック :おっさん 意地を貫くんや。そんな怒らんでおいて(汗
       21番 アーネスト・マンソン :あーたん またな!! 】
「後は艦橋をまわってみるだけかな……。」

厨房を出て、艦橋に向かったリファニア。
途中、コック服を乾燥機にかけておく。

艦橋に入ると、相変わらず多くの荷物が放置されていた。
その光景をみると、かつてのミョーコウの在りようが思い出されて、何ともやるせない気持ちになる。

……思えばこの艦も、色々な人を乗せて来たよね。
ダグラス君、イブさん、アレン、トリィ、スタンリー、シェラさん、リナルド、そして……私。
いつの間にか、三人だけか……。
まるでこのプログラムそのものを体現しているみたいね……。
このミョーコウだけは、例外にしたかったけど……そう都合良く行く筈もないか……。
あっ……また、余計な考え事しちゃった……。
ダグラス君の荷物は……これだよね。

荷物の山の中からディパックを回収する。入っていたものは……。
初期の支給品くらいで、あまり大事なものは入っていなかった。
とりあえず、ディパックに先ほど回収した艦長服などを入れると、リファニアは艦橋を後にした。

格納庫へ向かう途中に、コック服を回収する。
余計な考え事をしてしまった為か、思いの他時間が経っており、コック服の乾燥は完了していた。
コック服をきちんと畳んでディパックに詰めてから、格納庫へ急いだ。

>>249
格納庫の前の通路で、リナルドが待っていた。
イブは、まだ来ていないようだ。
ダグラスのディパックと、自分のディパック、そしてアレンのギターをとりあえず降ろしてから、
リナルドに回収したものを説明する。

「……お待たせっ。とりあえず、ダグラス君の荷物だと思うもの、全部回収しちゃったよ。
 コックさんの服と、艦長服。あと、彼の家族の写真と、彼の愛用の拳銃。
 あとは、ペットボトルとかそんなのだけどね。」

……あとは、イブさんがダグラス君を連れて来るのを待つだけ。
そうしたら、いよいよ、別れの時ね……。
そう考えると、強烈な寂しさが沸き起こってきて……。
リファニアは、リナルドの左隣に並んで、彼の手を握る事でその寂しさに耐えた。

【行動 : 艦内移動(-1)、乾燥機使用(-1)、ディパック回収(0)、艦内移動(-1)、コック服回収(0)、残1 】
【位置 : V-20(ミョーコウ、格納庫前通路) 】
【機体状況 : 表面に細かい損傷(幾つかビーム砲損傷)、スラスター損傷軽微、MA形態、自爆装置改造済み 】
【パイロット状況 : 頬にうっすらと傷痕、右肩に軽傷(治療済み)、メイク済み♪、ノーマルスーツ着用 】
【武装: 胸部3連装拡散メガビーム砲(一門破損)、リフレクタービット×5
     腕部サイコミュ式 ビームソード×2、全身メガビーム砲×多数 】
【所持品: ディパック、首輪、コッペパン2つ、水2g入り2本(1本は空)
      ノーマルスーツ、ジオン女性士官の制服、ナバン61式拳銃
      抗生物質、換えの包帯やガーゼ、消毒薬
      アレンの遺したギターとアンプ、トリィの羽根、日記帳とペン 】
【方針 : 『揺るがない夢』、ダグラスを弔う、リナルドと話の続き 】
【同盟 : 15 リナルド=グレイス、03 イブ・シュウリン、26 シェラザード=ビンス=マクファーソン 】
 ギラ・ドーガは私を撃たない事が証明済み。
 ルイも、ベルクも、レイモンドも、あのドーガに阻まれて近づけやしない。

 なら、簡単な事よ。
 一人になった奴から狙う。
 それが最も妥当って訳よね。

 無視しているのか何なのか知らないけど、ね。

「次はアナタよ……」

 全速力で後を追う。

 BRを掲げ、その無防備な背後へ、狙いを掲げる。
 不運か幸運か、ロックオンアラーとが出る訳は無い。
 そしてビームライフルはマントの隙間から覗かせている。

 ようするに、よ。

 視覚的にも、電子的にも、今この攻撃を察知は出来ない。

「3、2、1……」

 出来るとすれば情勢を判断して、リアクションを執る事だけ。
 仮にそれが可能として、背後から攻撃を喰らって何処まで平気かしら?

 サイコミュをつんだキュベレイが。NTの可能性もあるって事か。
 まぁ、と言っても、NTだか何だか知らないけど……
 NTだろうと、強化人間だろうと、私の殺意が読めるかしら?
 私にはリオンが居る!

 彼が私の心に居る限りは! 私であって私でない!

 リオン! アナタは殺しあうのはもう、嫌なのかな?

 けど私はそれを利用させてもらう!
 アナタの心が私の殺意を薄める!
 悪いわ……ちょっとだけ、こんな事が終わるまで力を貸してよ。

 アナタの死が私に生の可能性を与えてくれるのよ!
 こんな、こんな……

「参加者全員がリオンの仇にょッ!!」

 こんな! 馬鹿な事が有ってたまるかァーっ!! 

「ジェイソンのお出迎えよ! 大人しく地獄へへりくだれッ!」

 BRの引き金を引く。


【行動 : J12へ移動(−3) キュベレイをBRで攻撃(−1) 】
【残り : 0P 】
【位置 : J9→J10→J11→J12 】
【機体 : ガンイージ 】
【状況 : 機体各所にダメージ、電子機器に被害】
【身体 : 適度・血濡れのリボン・ジェイソンマスク 】
【武装 : 頭部60mmバルカン砲×2(残弾65%)、ビームサーベル、ビームシールド、
       胸部ニ連装マルチランチャー、ABCマント(被弾回数1)、ビームライフル(残弾6)
       MS用大型ガトリング・ガン(ドラムマガジン付き・残弾70%) 作業用クレーン+大型コンテナ】
【所持品: 頑丈な腕時計、携帯ゲーム機、小説、LD、薬品一式、血塗れのリボン
       ショットガン(残弾32)、ハンドガン(残弾12×5)、修理部品、修理器具
       ハロ、ジェイソンマスク、お弁当×6】
【方針 : 優勝・意味不明?? 】
【同盟 : No.09/ベルク 】
>>268
一気にI09から遠ざかる………敗走と呼ぶべきかもしれないが。
だが、屈辱に涙を振りまきながら前もろくに見ないで走っていたわけではない。
J09にいたモビルスーツがこちらを追跡してくるのは、機械と肉体の両方で感じていた。

機体名はガンイージ。知らない機体だ。
登録されているパイロットは………レイモンド=デリック?
どういうことだ。
自分の推理によればレイモンドはルイ達の仲間で、おそらくジャベリンに乗っているはず。

それとも、あの忌々しい連中の仲間が他にもいたと言うことなのか。

………もう、どうでもいいわよ。
どうせ、乗っているのがダグラスではないことは決まっているのだから。

とにかく敵だ。近づいてくるガンイージは自分にとって有害な存在だ。
仮に交渉を求めるなり敵対的でない関係を求めてくるなら、
通信可能圏内に入ったところで挨拶なり交渉の希望なりを伝えてくるはず。
例えそれが演技に過ぎなくても。

しかし、ガンイージは一直線に自分に近づいてくる。
何も言わず、何も求めず、ただ真っ直ぐにキュベレイに接近してくる。
隠そうとしても隠しきれない殺気を振りまきながら。
この相手もそうか。ギラ・ドーガと同じか。1対1の後に1対3で戦うことを選ぶタイプか。

そら来たわ。

警報が鳴るより先に機体を横滑りさせる。
直後に今まで機体が占めていた位置を凶悪な光の槍が貫いた。
今回は自分の予想が的中したわけだが………当たっても嬉しくないことに限ってそのとおりになっても、
苦笑するのが精一杯だ。

作戦が失敗して撤退中に追撃を受けた。
しかも今の自分の運勢は最悪のようだ。
初弾は避けられたが背後を取られて先制された。
………覚悟を決めて戦うには、もう少し時間が必要だ。

それに、ここは場所が良くないわ。
あの連中がその気になったら、一呼吸で来られる位置だもの。

今は足を止めて本格的に殴り合う気にはなれない。
殴り合うにしても、もう少し都合の良い場所を選びたい。
リングに上がらなければならないのなら、ホームとは言わないまでも完全なアウェイは避けたいところだ。

今まで楽しみすぎたツケを払わされているのかしらね。

キュベレイは逃げる。恥も外聞も忘れてしまったように敵に背を向け、逃走する。
全てを投げ出して戦いに身を投じるには、まだ早すぎると思ったから。
【行動:ガンイージの攻撃を回避(−1)、離脱(−1)
     J12→J14→I15に移動(−2)】
【位置:I15】【行動値残り:0】
【機体状況:AMX-004-2(3) キュベレイMk-U@ミョーコウとデータリンク設定済み】
【パイロット状況:健康@ノーマルスーツ】
【武装:ビームサーベル(ビームガン兼用)×2、ファンネル×12、
    ハンブラビのテールランス、外壁補修用大型トリモチランチャー(装弾数:6発)
    トライブレード×2,手投げ式フラッシュグレネード×2、シャクルズ】
【所持品:ディパック、首輪、水2リットル入り2本、コッペパン×2
      軍用大型ナイフ 青酸カリカプセル1個入りロケット
      デンジャーな衣服・下着・道具類で一杯のスーツケース 抗ガン剤11日分】
【方針:態勢の立て直し】
【同盟:無し(?)】
>>267
この通路に立ってから、どれくらい経っただろうか。
ゆっくりと首を動かして通路の先に目をやると、リファニアがやってくるのが見えた。
デイパック二つとギターを降ろしてから、リファニアがデイパックについて解説を始める。

「……お待たせっ。とりあえず、ダグラス君の荷物だと思うもの、全部回収しちゃったよ。
 コックさんの服と、艦長服。あと、彼の家族の写真と、彼の愛用の拳銃。
 あとは、ペットボトルとかそんなのだけどね」

「うん、ごくろうさま」

短く返答する。
リナルドがダグラスと出会ってから、そう長い時間が経ったわけではない。
イブやリファニアの方が彼の私物については詳しいのは明白なので、
副葬品は彼女らに任せた方がいいだろうと判断しただけ。

リファニアが『彼女のもの』=リナルドの左側に並び、その手をリナルドの左手に絡ませる。
その表情は、寂然として優れない。
……リナルドにも、気持ちはよくわかる。
イブの背を追って格納庫に入り、ゴトラタンの中にあるべき生命の形を見つけられなかった時。
その時、大き過ぎる喪失感その他に耐えかね、涙を流したから。

リナルドにでさえ、そこまで大きな存在だった。
もっと長い時を共に過ごしたリファニアにとっては、
ダグラスを送り出すことによる喪失感は計り知れないものがあるだろう。

リファニアに支配される左手で彼女の手をしっかりと、それでいて力を入れ過ぎないように握り返すと、
リナルドは本当に小さな声で、静かに、囁くように歌い始めた。
本来、葬列に並んで歌う曲ではないが、ふと頭に浮かんで来たのはこの歌だった。
だから歌い、奏でた。 どこかもの悲しげでありながらも優しい旋律を。

――A voice from the past, joining yours and mine,
   adding up the layers of harmony.
   And so it goes on and on.
   Melodies of life,
   To the sky beyond the flying birds ― forever and more――

【行動:手を繋ぐ(0)、ささやかに歌う(-1)】
【位置:V-20・小惑星基地(ミョーコウ)内・格納庫前通路】
【残り行動値:3pts.】
【機体状況:MA形態・機関停止】
【武装:(MS)ビームカタールx2、右腕ビームカッター、頭頂部ビームキャノン、ヒートサーベル
   (MA)ビームカッター、グフシールド(半壊)】
【生徒状態:通常・左首筋に軽度裂傷@ノーマルスーツ】
【所持品:デイパック、コッペパンx2、水2gx3.5、食糧4日分、私服、拳銃(20)、救急箱
      首輪カバー、首輪カバーの製造レシピ、自爆装置の無力化レシピ、ノートPC
   (以下私物)MS状態チェック用ポータブルコンパネ、愛用眼鏡、配線修理用工具一式】
【行動方針:リファニアと共に、生き残る/首輪への対策を考える/ダグラスを送る】
【同盟:20番リファニア 03番イブ 05番ダグラス (26番シェラザード 01番シュウジ)】

※5/6-7行動分に於いて、残り行動値と現在位置の記述にミスがありました。
  申し訳ありませんでした(現在位置は、今回修正してあります)。
「いない!?」

 逃げたのか……真っ先に?
 どうしてよ。

 ……背筋に悪寒が走る。

 あれは……手ごわい。
 強いとかじゃない、窮鼠が猫を噛みかねない。

 今は奇襲ゆえに分が有った。
 だが……相手は既にこちらを解って撤退した。
 あの三つ巴時に、銃を向けつつ撤退した輩よ。

 おそらく、策を弄するタイプと見えるわ。

 なら追っては駄目。
 オーケイ、サーティア、冷静に行きましょ。
 確実に、一匹ずつ〆てけば良いのよ。
 放って置いたって彼等は互いに殺しあう。

 待つのよ、それまで、ゆっくりと……。

 急いでは駄目……。

「リオン、どうする?
 戻ってもあれ4機相手に立ち振る舞えるか、妖しいわ……」

 リボンを顔に埋めて匂いを嗅ぐ。

「……前居た家はもう、駄目だし。
 そうね、新しい家ね」

 右下にコロニーがある。

 そこね。


【行動 : K15へ移動(−4) 】
【残り : 0P 】
【位置 : J12→J13→J14→J15→K15 】
【機体 : ガンイージ 】
【状況 : 機体各所にダメージ、電子機器に被害】
【身体 : 適度・血濡れのリボン・ジェイソンマスク 】
【武装 : 頭部60mmバルカン砲×2(残弾65%)、ビームサーベル、ビームシールド、
       胸部ニ連装マルチランチャー、ABCマント(被弾回数1)、ビームライフル(残弾5)
       MS用大型ガトリング・ガン(ドラムマガジン付き・残弾70%) 作業用クレーン+大型コンテナ】
【所持品: 頑丈な腕時計、携帯ゲーム機、小説、LD、薬品一式、血塗れのリボン
       ショットガン(残弾32)、ハンドガン(残弾12×5)、修理部品、修理器具
       ハロ、ジェイソンマスク、お弁当×6】
【方針 : 優勝・意味不明?? 】
【同盟 : No.09/ベルク 】
274リーア先生 ◆UktGzzmQ/o
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ガンダムバトルロワイヤル 第三回大会 第12章
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