1 :
前スレの1:
2
3 :
通常の名無しさんの3倍:03/05/08 02:16 ID:fiokg0de
余裕の3
乙。1さん以外の職人の登場も楽しみにしとります。
5 :
1:03/05/08 10:03 ID:???
>>4 前スレ補完できるとおもったんですけど、中途半端もなんなので立てました。
バッフ・クラン本星にあっては大帝個人に専制権があった(中略)
この帝国の最高権力者ズオウ・ハビエル・ガンデは(略)徹底的な独裁体制を
とった。いわばズオウは従来つづいてきた大帝の系列のなかではこれといった
特徴のない、王権神授説をかたくなに信じこんでいるだけの保守的な老帝にす
ぎなかったが、かれの政権を財界との提携をはかることによってくつがえそう
としたのが、ドバ・アジバであった。
ドバ・アジバはバッフ・クランにおけるザビア(サムライとも呼ばれる
上流階級)出身の宇宙軍総司令官であり、その野望あふれるところは、
かれがバッフ・クラン宇宙軍総帥であることよりも、大帝になることを
熱願したところにあった。かれはズオウを倒し覇者になるというこの壮大
な幻覚につかれてソロシップー巨神を有する一勢力ーというイデのカギを
にぎる壁とたたかい、宇宙的規模で争乱を拡大し、ついには娘たちへの、
父親としての業を乗り越えられずにイデの発現を導く要因をつくってしま
うひとである。
もっともその無限力、イデの意志集合体である巨神の圧倒的な力の前に歯が
たたず、自らのあやまちに気がついたときにはもはや手遅れであったために
ほどなく配下のサムライたちによって殺され、すぐに突入してきたイデオン
のメインパイロット、ユウキ・コスモによってその肉体は葬られ、このズオウ
をこえる覇者を渇望した人物はイデ発現によって還らざるをえなかった。
ドバ・アジバというのは、たしかに英雄の素質はあった。幼少のころから聡(さと)く、
さらには性格としては剛毅果断、粘着力に富み、異常なほどに執念ぶかく、しかも
欲求も尋常ではない。ただ自分が心の底から望んでいた男子を得られず、このこと
に対する悔しみから長女ハルルを男まさりの軍人にすべく女傑としての道を強引に
あゆませたところをみても、軍人として驚嘆すべき執念をもった人であるといえる。
こういう器量がなければ、いかにイデ獲得による正当化があったにしても、総司令
であることから大帝へ飛躍しようという願望と執心はもてなかったであろう。
カイオンジ「あの時代は、本当に人の在りようや理解力をもったニュータイプ
は、宇宙の人々もわかっていたし、地球の立場もわかっていて、そ
ういう人たちには苦しい時代だったでしょうね」
シバ「ニュータイプは、当時の言葉でいうエスパーや超能力者、今でいうスペシャル
にされてしまう」
カイオンジ「結局、利巧なオールドタイプは本心を明かさないことによって、安全だ
ったけれども、クェス・パラヤみたいに本心をずけずけといってしまう
少女は、結局不幸になっちゃうんですよ」
シバ「クェス・パラヤはシャアの叛乱時に死んでしまいますが、クェスに影響をうけ
たハサウェイ・ノアなどは地球圏が一定の秩序維持期に入ってから、マフティー・
ナビーユ・エリンという名で処刑されてしまいますよね。あれは不合理すぎる」
「バカジャネーノ」
というのが、ガンダムの続編製作頃の由悠季のスタッフに対する口ぐせ
であった。こういう悪口雑言には、一般の社会や東映のような古株会社
の場合にはりっぱに喧嘩沙汰として発展するが、サンライズの社風は冷
ややかというか、
ー富野さんのいうことはまともに聞いてはいかん。
と経営者やスタッフがたがいに目くばせしあい、聞きながしたり、「はい
はい。そのとおりですね」と素知らぬ態度をするという一種の利口さをも
っていた。これが富野をますます憤らせた。
富野は職人意識がつよく、それが体中に黒煙を巻いているように猛々しく、
つねにおのれの仕事を完璧にせんがためにおのれの作風や絵コンテ仕上げな
どを自分の個性の入ったフィルムにしなければ気が済まず、自らが作り出す
作品への激烈さが、激烈のあまり自分を理解しようとしないスタッフやサン
ライズへの悪罵にもなった。
前スレの峠、いよいよ最後。
なんかもう、スゴイとしか言い様がないです。ホント。
(こ、これでは・・・エゥーゴに勝てん)
シロッコはジ・オを駆りつつおもった。この主力艦隊喪失は、いわばシロッコ
の人間としての敗北であろう。
シャアにこだわりすぎた(中略)
それでもこの戦争は、
ー勝たぬまでも、負けぬ。
とシロッコはおもっていた。事実、かれの作戦は奏功し、総帥ジャミトフとバスク
は葬り、ティターンズのすべてを自らの掌中におさめることができた。
(−が)
と、シロッコはおもった。戦いには相手というものがあるということをである。い
かにシロッコが智略のかたまりであるとはいえ、相手がどう出るかということまで
わからない。あのシャアはコロニーレーザー内部でぶざまな醜態を演じ、少年の狂態
(としかみえない)のさまざまな要因の結末がこれである。こういう結果になってし
まうとは、シロッコの計算外であった。
シロッコは、ジュピトリスへとさがった。戦局の不利を悟ったハマーンも
アクシズを撤退させることをきめ、公女ミネバ・ラオ・ザビに上申した。
ティターンズの残存艦隊は死に物狂いの奮闘をつづけているが、それもも
はや時間の問題であろう。
シロッコは、ジ・オをむかわせた。
そのジ・オにすさまじい勢いで迫るMSがある。Zガンダムであった。
パイロットのカミーユは全能力をもってシロッコを倒す気だ。
ジ・オに取りつくZガンダム、そのZにジ・オのビームサーベルが振り下
ろされる。両機とも反応速度がはやすぎる。
ただ、両者は厳密にいえばライバルと定義することはできない。ライバルと
は、お互いがお互いを対等な敵(アムロとシャアのような)と認識している
場合をさすのだが、カミーユはともかくシロッコからみれば、絶対者である
自分に逆らう小僧程度の認識でしかない。カミーユの側も、シロッコを巨悪
と認識している。人とみていないのかもしれない。
「目の前の現実もみえない男が!!」
よく喋る子供だ。己の正義を行使しているという点では貴様も変わりはせんだ
ろうに。
「賢しいだけの子供がなにをいう」
「賢くて悪いか!!!」
両者は明晰な頭脳をもちすぎていた。その才能の向かう方向がちがうだけで、
人はいがみあい、対立をする。業を乗りこえることができないという一つの
結果が、Zとジ・オの決戦にあらわれていた。
Zガンダムのビームと、ジ・オの放ったビームが蒼い宇宙のうえでぶつかり
あい、衝撃が両者をつつむ。シロッコはその輝きをみても、まだ冷静を保って
いた。
一方のハマーンは、破損した百式に乗るシャアを追いつめていた。シャアの敗北
が迫っていた。
もはや百式に武器はない。ゆっくりと両手でビームサーベルをもち、じりじり
とハマーンのキュベレイはシャアの百式にせまる。
さすがのシャアも焦りをおぼえたが、これほど追いつめられていながら、相変わ
らずの才能だけは健在のようで、さらりとキュベレイのビームサーベルをかわす。
つぎにきたファンネルの群れもかわし、シャアは百式を回避させつつ、破損して漂流
している巡洋艦のなかへ逃げこんだ、ようにハマーンは見、巡洋艦のなかへすすもう
としたそのとき、背後からシャアの百式が体当たりしてきて、艦内の壁に押しつけられた。
かつての彼女を知りつくしているシャアの計算だ。ハマーンはつねに背後に隙があった
ということを、シャアは知っていた(ハマーンの身体を知りつくしていたかれならではの
ことなのであろう。このことは、かれの側近キグナン・ラムザ軍曹の回顧録に記録されている)
しかしファンネルがオールレンジで攻撃できるということをシャアはこのとき迂闊にもわすれて
いた。ボロが出た。
たちまちファンネルの攻撃で大破する百式。ハマーンはキュベレイをふりむかせて、悠然とかれを
見おろした。この体勢はハマーンにとってはひさしぶりだ。自分を追い込み、ここまで疲労させた
相手をどうしようとおもったのか。だがシャアへの憎悪は、同時にシャアへの愛でもあった。
ハマーンはかれに自分のもとへ戻ってきてほしかったのである。最後の選択肢を用意した。
「これで終わりにするか!続けるか!シャア」
「そんな決定権がお前にあるのか!」
圧倒的におしまいの状況にありながら、なんということを言うのか。つくづく男というのは
身勝手なものだとハマーンは内心おもった。都合よく自分を抱き、都合よく捨てておいてよ
くもそんなことが言えるものだ、ならば最初から自分を嫌いだとでも言ってくれればふんぎり
もついたというのに・・・・ならば、重傷を負わせてやる!私がうけた痛みを、貴様にわから
せてやる!
愛憎渦巻く感情が体内で渦をまいていたその瞬間、まさにキュベレイのビームサーベルがふり
下ろされようとしたとき、背後で爆発がおこり、まったくハマーンが意図しないところで巡洋艦
が大爆発をおこし、百式は巡洋艦とともに宇宙に消えさった。
爆発を見つつハマーンは、
「シャア・・・・私と来てくれれば・・・」心に残るわだかまりを消し去ることができないままでいた。
あれほどに憎み、あれほどに罵倒され、あれほどにひどい目に遭いながらも、まだシャアを想う
気持ちがのこっている。このときを境に、ハマーンは男とのかかわりを完全に絶ち、本格的に覇者
としての道をあゆむのだが、シャアを失ったことによるむなしさは消えることはなかったという。
ジュピトリスへともどった。
Zガンダムもジュピトリスにいる。むかってきたハイザックを撃ち落して
シロッコを探すカミーユ。
Zガンダムをうえから撃ちそうと、ビームライフルを撃つシロッコのジ・オ。
ライフルの一撃がジュピトリスに当たった。と見るまに、シロッコのジ・オへ
迫ってくるカミーユのZガンダム。しつこい。しつこすぎる。いったいどこに
そんな執念があるというのか。
さいわい、ジュピトリス自体にはさほどの損害はない。無数のビームとMS部隊
の戦闘が繰り広げられてはいるが。
「勝てるとおもうな!小僧!!!!!」
大きく振りかぶってビームサーベルをZガンダムにぶつけた。Zガンダムとの切り結び
の渦中、シロッコはZとカミーユのえたいの知れぬ巨大な力を感じた。その力はシロッコ
の知るよしもない、ひとびとの生命(いのち)の力がカミーユの身体をつうじて放出される
エネルギーだった。
カミーユの魂の叫びが、散っていった多くのひとびとにとどこうとしていた。
隙をつかんとして、ジ・オの隠し腕(サブマニピュレータ)が下から振り上げられる。シロ
ッコの渾身の一撃がいままさにZガンダムにあたろうとしていた。が、フッと、頭にきこえ
てくる声がある。
(焦りすぎよ。だからいけないの)
なぜかジ・オの攻撃を回避しえた。カミーユにとっては予想だにしないことだ。
シロッコも同じだった。自慢の装備のひとつだったサブマニピュレータの攻撃が
かすめることしかできなかったとは。
異様な現実のまえにしばし宇宙で静止するジ・オとZガンダム。コクピットにすわ
るカミーユに、自分が30バンチで撃墜したライラ・ミラ・ライラ大尉のこえがき
こえてきた。ライラ大尉の助言が、カミーユを本気にさせたのか、ライフルを投げ捨
てて一直線にジ・オに突入してゆく。
カミーユはようやくわかった。シロッコを倒す唯一の方法をである。自分を器とし、
その器にみんなの純粋本能というべきエネルギーを蓄積させる。その「みんな」の意志
で、巨悪たるシロッコを倒す。それしか手がなかった。
事実、完全体たるシロッコには弱点といえるべきものは存在しない。だからこそつけど
ころがあったといえるのかもしれない。他者を信じ、現世でのこだわりをすてて本質を
みることが最大のパワーを生む。パワーのまえには、敵は存在しないのだと思えた。
なぜなら、ニュータイプの本質は、こだわりや無理解を乗りこえた真実の相互理解が絶対
条件だからである。シロッコはいつのまにか、理解よりも絶対的な考えをもつことをニュ
ータイプの本質であるようにおもってしまっていた。そんなシロッコをかばう思念が一つ
ある。サラ・ザビアロフ。
サラはわかっていないわけではない。彼女はわかっていた。だが、そのわかり方
にあえて反撥したいのだ。かけがえのない、パプティマス・シロッコのために、
そのために反撥するのだ。
サラの思念や語りかけるレコア、ロザミィ、そしてカミーユにとってかけがえのない
フォウ・ムラサメ。
「今日という刻では、いてはならない男だ。わかってくれ、サラ!」
もし自分がパプティマス様をかばわなければ、いったい誰がかばってくれるというの
であろう。誰かが、誰かがかばわなければ!
気負うサラに、思念となったカツが語りかける。頭だけで考えて・・・・
疲れるばかりじゃないか。涙まじりに語りかけるカツ。思念となっても喜怒哀楽はある
らしい。
カツはジ・オの方向を見て、「あの中にいる人もすぐこうして解け合えるんだ。すぐにね」
とサラに言う。サラは半信半疑だが、信じてみたい気持ちもあった。
シロッコには、思念はみえない。天才という執着を捨てられないシロッコは、見ようとおも
ってもみえないのである。
だが、現実はしっかりとみえた。Zガンダムの機体に、宇宙のエネルギーが集中してゆき、
巨大なエネルギーとなってひかりを放っている。まぶしすぎる光が、ジ・オを照らした。
「わかるまい。戦争を遊びでしているシロッコには、この俺の、身体を通して出る力が!!」
「身体を通して出る力?そんなものが、MSを倒せるものか!!」
馬鹿馬鹿しい精神論としかおもえなかったのだ。見えない力は信じられない。もっともこのみ
えない力を感じる能力というものこそ、ニュータイプ特有の力なのかもしれなかったのだが。
すぐに、カミーユのまわりから女の声がした。声が、ちがう。複数の女がいるのか。どこだ?
気をとられているうちに、ビームライフルが斬りおとされた。ライフルはジ・オの手をはなれて
からすぐに爆発した。
ウェーブライダー形態に変形したZガンダムは、多くの魂をひきこみつつ、カミーユの絶叫とと
もに、すさまじい勢いでシロッコのジ・オにつっ込んでいった。ジ・オはなぜか動かない。
(ジ・オ!動け!ジ・オ!なぜうごかん!!!)
動くことのできないジ・オのコクピットへ、まっすぐにつっ込むZガンダム。
コクピットにウェーブライダーの先がのめりこみ、その衝撃とともにジ・オの
機体はジュピトリスへと叩きつけられた。串刺しにされるシロッコ。
身体が、むごいほどに痛かった。
巨大なシロッコのエネルギーが体外に放出される。
「ここからいなくなれ!!!!」
カミーユのヘルメットが、割れた。おそろしいほどの執念がシロッコを
つつむ。カミーユも本気だった。ついにシロッコは、死を決意した。
だがこのままでは到底死にきれない。最後にこの男は、全能力を出しきって
連れてゆく相手を、目の前のさかしい少年にえらんだ。
「私だけが・・・死ぬわけにはいかぬ。貴様の心も・・・一緒に連れていく!!
カミーユ・ビダン!!!」
と、シロッコは最後の言葉をもらし、こときれた。そのあとシロッコのエネルギーは
カミーユをつつみこむ。やったのか、とシロッコの死を確認しようとしていたカミーユ
のもとへ、シロッコの最後の怨念ともいえるエネルギーがうつくしい輝きを帯びてふり
かかった。
「あぁ、あぁ・・・・光が・・・・ひろがっていく・・・・」
シロッコが自ら設計した専用機ジ・オは、ついにシロッコともども撃破された。その爆発
に巻き込まれるかたちでつぎつぎに爆発がひろがり、ジュピトリスは宇宙に消え去った。
宇宙世紀0088・2月22日、ティターンズ事実上崩壊。
ひとの死もさまざまあるが、パプティマス・シロッコというひとは、その
死にあたって巨大な想念ともいうべき精神の波動を放出し、ほかのたれに
もやることがなかったことを、最後の瞬間で認識したカミーユ・ビダンと
いう少年にむかってはなち、その心を現実からもっていった。ニュータイプ
という自分の能力をこれほど怨念といえる行為によって処理しえた人物も
稀であろう。身についたよほどの自意識がなければこうはできない。
人はどう行動すれば美しいか、ということを考えるのが木星帰りのニュータイプ
の論理であろう。人はどう思考し理解すれば本当に人の幸福になるかということ
を考えるのがカミーユに代表されるニュータイプである。この二つが、ニュータイプ
像をつくりだしている(中略)
私はこの「ジュピトリス」において、ニュータイプとはなにかということを考えてみ
たかった。書き終えてからもまちがっていなかったとひそかに自負している。
25 :
1:03/05/10 01:07 ID:???
終了です。
ちなみに前スレの「木星帰りの男」もジュピトリスに含めてください。
最初から読むとおもしろいかもしれないです。
26 :
ジオの腕:03/05/10 03:41 ID:???
非常に良かった。本当にありがとう。
おかげで、ハイパー化はカミーユならできそうな気がしてきた。
お見事!
28 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/11 17:30 ID:XwMguVrf
板が分割されたのね。シャア板で探しても見つからないからすごく焦った。
サイド2住まいの彼女は、かつてフロンティアに来てブッホ職業訓練校を訪ねた
ことがあるそうで、そのときの記憶では「すぐそこ」だったという。
「しかし、訓練校は、サイド4の域外のデプリの中にあるんでしょう」
と、私はやや不審だった。
私どもが旧制ハイスクールのときに、たいていの古英語教科書にマイッツァー
=ブッホが、その学生の気分を詠じた詩が載っていたように思う。
道(い)ふを休(や)めよ 他コロニー苦辛多しと
同ノーマルスーツ友有り 自(おのづか)ら相親しむ
鋼扉暁に出づれば ノイズ 雪の如し
君は太陽風を汲め 我はデプリを拾わん
マイッツァーはサイドの生まれだったし、若いころは近所の倉庫を借りて塾にしたり、
あるいはジャンク屋のそばの倉庫を改造して塾舎にしたりしたが、やがて手狭になって、
旧式の球形コロニーをデプリ帯に曳航したという。この詩の場合も風景として
訓練校のまわりに太陽風が吹き荒れ、デプリがあらねばならないのである。
宿の人にきくと、やはり宇宙艇に乗って行ったほうがいいでしょうとのことだった。
ところが、訓練校に着いてみると、そのまわりもサイド化していた。ハリャオカさんの
記憶は、訓練校のまわりがサイドであるために、さらにはフロンティアが狭い
サイドであるために、ほんの近くだという具合になっていたわけで、その意味では
不正確ではなかった。
30 :
1:03/05/11 22:50 ID:???
いつのまにか分割されてる。すっきりしたような印象ですが。
>>29 いいですね。面白いです。F91は結構好きなんで。
詩がポイントですね。
メズーン・メックスは、訓戒を垂れはじめた。
「カミーユは、物憶えがいい」
たしかにカミーユは、頭の造作がどこか狂ってうまれてきたのではないかと思え
るほどに記憶力と反射神経がよく、むしろ珍奇とさえいえる。カラテ部キャプテン・
メズーンは、物憶えがいいということは、カラテをやる資格が半分あるということ
だ、が、それだけのことだ、物憶えのいい者はつい慢心し、人を馬鹿にし、ついに
はカラテの心そのものを失ってしまいがちである、と言い、
「ゆめ、慢心するなよ」
と、訓戒した。
ともかくも、ティターンズ成立より二年が経っていた(中略)
時勢のことについては、養父とも語らない。が、内心、
(大変な世になりやがったな)
と、シャワーを浴びながら声も出さずに思案しているような、そんな気分で
毎日をすごしている。
(ひょっとすると、おれは生まれぞこねたかな)
と思うこともある。
ハサンは本来、武侠肌の男だった。ただし自分のそういう肌合いを、どちら
かといえば、ひとには見せまいとするほうであった。しかし暮夜ひそかに、
養父を捨て、妻を捨て、MS小隊指揮官もしくは多くのパイロットたちのま
とめ役になってみたいと思ったりする。そういうまとめ役になれるのは医師
多しといえどもおれくらいかもしれん、と、自分が滑稽なほど自己肥大して
ゆくのを感じたりもした。
あー、やっと書き込めた。
ども、悠久の旅より帰還した前スレ335です。
ほそぼそとHP更新再開しますた。
あげとく
35 :
1:03/05/13 20:54 ID:???
>>33 お帰りなさい335さん。見てきますた。
そうだ!HP貼っておかないといけなかったですね。
次に立てるとき、気をつけます。
ギレンは執拗な性格をもっている。物を考えるときには、眼前の人間を石のように
黙殺することができた。彫りの深い端正な顔には無用の肉はすべて削ぎとられてい
て、どうやらそのことは容貌だけでなく精神もそのようであった。かれは仕事をす
るためにのみ世の中にうまれてきたかのようであり、他に無用の情熱や情念をもた
ず、さらにはそういう自分の人生に毛ほどの疑いももっていなかった。
ギレンには厳乎とした価値観がある。優良種だからこそ人間の価値は存在するーそ
れだけである。優良種のみその人としての尊厳があるのだ、増えすぎた人類のなか
で世の中を管理運営してゆくためには他の者もこれをならうべきであるという価値
観以外にいかなる価値観もギレンは認めていない。
ーなんのために生きているのか。
という、人生の主題性がギレンにおいてはひとことで済むほどに単純で
あり、それだけに強烈であった。歴史はこの種の人間を強者とした。
ギレンは、ダルシアに顔をむけた。むけるとき、
「うん」
という、意味不明の発音をしてみせた。なにか言え、という言葉の代わり
の、いわば合図である(中略)
ダルシアは、草案の説明をしはじめた。
ギレンはじつによく聴く。聴く場合の態度は平素のギレンとは打って変わる
ほどに別人のようであり、口もとにかすかな微笑をのぞかせ、無個性なほど
の温容をつくった。
「あたかも二人に接するがごとし」
とさえ同時代人からいわれた。
ギンガナムの武人としてのすべては天性というほかない。しかもかれのおもしろさ
は自分の天性に対し、他とくらべてのひるみもうしろめたさも持たず、むしろムーン
レイス一般が女王を信ずること甚だしいように、かれ自身、ごく自然に自分の天性
の中に女王と同じくらいの権威性・カリスマ・力量を見ているということであった。
見る以上の自然さでそれを信じ、あるいは信じていることすら気づかないほどにギン
ガナムがギンガナムとして月・宇宙に存在しているというぐあいで、アグリッパの人
間分類の方法では、こういう人間をどうあつかっていいのか、いっそ人間の範疇の外
に置くか、ともかくも戸惑ってしまう。
(まあ、小僧なのだ)
アグリッパはそのように自分に言いきかせて、ギンガナムとの接点を強いて仮設して
いる。
(わしがコントロールせねば、どう仕様もあるまい)
(わあ、やっぱりディアナ様はえらいものだ)
と、ロランは、ミリシャ側の一パイロットとして参加しながら、かれと同じムーン
レイスの人々とおなじ感想をもった。ロランほど、月面の片田舎にうまれた少年に
とっては、月にいたころでも女王の旗艦を見たことがなく、かろうじて映像で女王
を見たことがあるだけで、ともかくもこの女王ディアナ降臨の壮麗さに耳目をおど
ろかされた。
ミランという男の厄介さは、策謀好きであることであった。
かれの属しているディアナ・カウンターでさえミリシャと戦っていてまだサンベルト
に国をなしていないというこの段階にあって、独断で勢力をなすべく女王のあずかり
知らぬところに手を出していた。それも、強硬派で知られているフィル一派と私(ひそ)
かに手を握っているのである。
ハリー・オード大尉というものがいる。容貌は繊細・理知的な学者のよう
ながら、目もとはかれ特有の赤いサングラスをかけており、性格・物腰が
丁寧で、話題が豊富だった(中略)
そのくせ、グエンは威圧を感じた。赤いサングラスに吸い込まれそうで、
ことばにしずかなリズムがあった。
(この男は、智将であるとともに、機械人形部隊を叱咤する勇将だ)
と、おもった。
穏健派にしてディアナに次ぐ(あるいはそれ以上ともいう)実力者、
名はアグリッパ・メンテナー、かれが封印されていた黒歴史をひもと
いてその事実を知りつくしおえたのは帰還作戦のはるか前のことである。
黒歴史として封印されるまえの地球圏は、地球や月・スペースコロニー
群に諸勢力が割拠し、つまりはガンダムを中心とした抗争状態こそ常態
であるとされてきた。黒歴史といわれている方が異常であったといって
いい。
「ーあんなやつが」
保守穏健派かーと、その生存中、かれをブラウン管を通してリアルタイムで
∀を見た多くのガノタがおもったのは、かれによって徹底的に非公開とされ
てきた黒歴史の(ガンダムシリーズといったほうがよいが)ファンとしての
感情もあったであろう。しかし一方、かれが黒歴史を知りつつもそれを秘匿
するというばかげた、いわば絵空事のように現実をもっていこうとしてしま
ったことが、ガノタたちおよび腹心ミーム・ミドガルド予備役大尉にかえって
いかがわしさを感じさせる結果になった。
アグリッパは、永遠に繰りかえされつづけているという黒歴史(過去の宇宙戦争・
ガンダムをはじめとしたMS同士の果てしなき戦い)の過去の闘争史のすべてを封印
した。
それをなかったものとするに(略)大網のようにゲンガナムや月都市に地球への不干渉
主義をひろげ、精密な監視の目でもってすべてのムーンレイスをつつみこもうとした。
45 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 21:36 ID:Q/rrRtM1
46 :
1:03/05/15 21:38 ID:???
ここんとこ多忙であまり書けませぬ。しばしお待ちを。
何を仰るやら。頑張り過ぎなぐらい頑張っている貴方にはよい骨休みですぞ。
48 :
1:03/05/16 22:21 ID:???
やっぱり書けるときに書いておかないと。
>>47 ありがとうございます。つい、ネタを考えてしまうんですよ。他にやることあるのに・・・・
(いったい、何のようかしら)
レコアの部屋へ少女は入室した。まだ実戦経験がとぼしく、アーガマのクルーから、
「ファ軍曹」
とよばれていた。
黒髪で、母性がにじみでている顔に、東洋系の黒い瞳孔がくまなく動いている。
体はやせがたであるが、どちらかといえばふくよかな印象があった。この少女らしい
肉体が、のち97歳まで寿命を保とうとは、むろん、レコアなどは想像もおよばなか
ったであろう(中略)
入ってくるなり、
「ジャブローに行ったあと、今度はジュピトリスですか?」
と、強い口調で問うた。無駄足だったけどね、返答を聞きさらに話を聞くべく
椅子にすわる。
「エゥーゴのクルーだということが・・・・わかってしまったんですか」
「当然でしょ。相手はプロよ、甘くはないわ」
「よくご無事で」
ファは正直に感心した。大人だと思えた。未熟な自分とくらべて、なんという高い
意識をもっていることか。
「カミーユには、強く言い過ぎたかしら?」
「そんなことありません。カミーユって無神経なんです。少尉がジャブロー
で受けた屈辱をそそごうなんて」
ファは心の底からレコアに同情し、カミーユのいかにも男らしい態度をなじり、
レコアをなぐさめようとした。この相手をなじってかばおうとするところが、い
かにも少女っぽいのである。レコアは少し気が楽になった。
「ありがとう、ファ。でも、それは言わないで。メタスはあなたに任せますから」
「レコアさん・・・」
やっぱり、相当の辱めを・・・。古傷が痛むのだろうか。
「あたしにはこういう任務が適任なの。だから選ばれるのよ」
ファ・ユイリィについては、この連作の「アレキサンドリアの閃光」の
稿に登場したことを、記憶のいい読者はおぼえておられるだろう。
ティターンズ少佐・参謀ジャマイカン・ダニンガンを、エゥーゴをおびき
よせて殺させたヤザン・ゲーブル大尉に執拗に追いかけまわされたメタス
のパイロットである。
グリプス戦役開戦当時のファは、グリーンノア1にいたが、事件の張本人
であるカミーユ・ビダンとの関係をティターンズに疑われて人質とされ、
このときブライトによって救出され脱出した。
テンプテーションで脱出したが、両親は行方不明となっており、事実難民
といってもいい立場に追い込まれた。
が、突如襲来してきた一機のMAのような機体に襲撃され、彼女らを危機
に陥れた。−話はこのときにカミーユらに救出されてからしばらくのち、
宇宙が泥沼の様相を呈するころからはじまる。
53 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 22:54 ID:Aotm7nbw
因縁(宮本武蔵 巌流)
アムロの生涯で、その宿命的なライバルとなったシャア・アズナブルについては、アムロ
はほとんど知識もなかった。
「どこのうまれで、何歳くらいの、どういう容貌の男か」
などは、知らない。むりもなかった。アムロとシャアとは生誕地もかけはなれており、
シャアはジオン軍において赤い彗星として名をあげ、アムロはサイド7内で機械好きの
少年と名をあげた。それらの点でともに衝突する因縁はない。
アムロはサイド7にいたころ、すでにシャアの名はきいていた。シャアが各地で頻繁に
功績をかさね、ルウムでは5隻の戦艦をことごとく撃破し、
「MSは赤い彗星のシャアこそ1番の使い手」と評判をとっていたからである。アムロは
MS歴からいえば後輩になる。シャアについての知識は、
「シャアの乗る機体はMS06Sという。シャアが赤い彗星と呼ばれているのは、赤く
染められた機体で、通常の約3倍というとほうもないスピードを出すためである」とい
うぐらいのものであった。アムロはさほどの関心もなかった。関心をもつほどの因縁
もない。
アムロは偶然ガンダムに乗り込み2機のザクを撃破し、サイド7を脱出したときに
「赤い彗星のシャアがこちらに接近しつつある」という通信をきいた。
これが両者の因縁の始まりとなった。
54 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 22:58 ID:Aotm7nbw
機械好きの少年として名をあげた。
に訂正
あれ?IDでてるよ?
56 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 23:39 ID:Aotm7nbw
1さんではないので
57 :
1:03/05/18 00:25 ID:???
シバ「ギレンにあるのは、稀有の天才的といっていいマキャベリズムの才能なん
ですね。マキャベリズムは革命の前期、これは例えばジオン・ダイクンのような、
理想主義気質の人物が出てきますが、その時期には必要なくても、革命の仕上げ期
には要る。それに革命成功後の政権樹立後にも要る。革命も煮詰まってくるともは
や、息づまる陰謀と陰謀封じの工作云々の連続ですから。
ギレンはそれをやった。しかも共和路線の破壊屋というだけでなく、政権樹立後の
体制づくりをも主導的にやった。一人の人間にそれだけの才能がよくも宿っていた
ものだと思うほどです(中略)」
カイオンジ「奇蹟ですね。あの30分の1程度の国力しかないサイド3を、連邦に
対抗しうるだけの戦力と体制をととのえ、その国家体制をととのえるうえでも、表
面的にはザビ家一党を尊重するかのようにみせておきながら、戦後までの一つの方
便的やり方であると認識してやってのけている。あの壮挙は宇宙世紀史の大奇蹟で
すね」
以下、点景を点々と識してゆきたい。
とはいえ、脳裏の光景は光彩茫々としてなにごとも見えにくく、書くべきこともなさそう気がする。
ギンガナムとその徒の死は、全時代からひきついできたエネルギーの終焉であったであろう。その
エネルギーというのはただに正暦時代だけでなく、宇宙世紀あるいは西暦期からひきつがれて
きているなにごとかであったかもしれない。
この前後、諸新聞は地球帰還作戦の進行とその終末、さらにはギンガナムの死による余波についてぼう大な
活字をつかって報道したが、しかしギンガナムがどういう人物であったかについての知識や洞察は、
ほとんど貧困であったといわざるをえない。ルジャーナ期における代表的なジャーナリストのフラン・ドールで
さえ、その『ノックスクロニクル』紙上において、
「ギンガナムはソレル家武門の第一位居り」
と、ギンガナムにつき、その面での業績だけで評価しているにすぎない。ギンガナムの人物評価についてはフランは
かのじょ自身の意見を留保するがごとく「リリ・ボルジャーノは称して蓋世の雄と為す」とし、ことさらにリリの
評価を借りている。リリのギンガナムへの評価は多分にリリ自身の業績や重量を重くしようとする意図から出ている
ことは、その『スカートで産業革命』などを見ても察せられるし、フランもその機微は知っていたにちがいない。
要するにギンガナムの同時代人はギンガナムがどういう人間であったかということについては、武人以外、知るところが
存外薄かったことにおどろかされる。
60 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 02:44 ID:nuI9TYgZ
テム・レイ(燃えよ剣下巻 沖田総司)
いまサイド6でジャンク屋といえば、ほんの二、三軒父祖何代かの店が残っている
ぐらいだというが、当時はこの界隈はジャンク屋が多い
テム・レイはジャンク屋の工房の2階に起居していた。
もう医者にはかかっていない。
ときどき軍関係者が様子を見にきていたようだがそれもだんだん遠のいていた。
(中略)
テム・レイは2階を改造して小さな設計事務所にしていた。
すこし気分がいいと図面をひろげてなにやら設計をしている。
身の回りの世話をしているジャンク屋の内儀が、
「よくおあきになりませんね」
とあきれるほど、ながい時間、おなじ姿勢で机についている。
内儀は、ある事情により身元を預かっているこの酸素欠乏症の男が、ジオン軍
を慄えあがらせている連邦の白いMSを開発した技術士官であることはしらされ
ていない。
「T・嶺」という名にしてある。テムは療養というよりも放置されている、という
ほうが正確だった。
内儀たちには、元コロニー外壁開発技師という説明がされている。
保守。
62 :
1:03/05/19 21:08 ID:???
ファがエゥーゴに参加するまえ、エゥーゴには、レコアと並ぶ女性士官がいた。
エマ・シーンといい階級は中尉である。
もとティターンズの正規将校であった。実態と大きくかけはなれているティターンズ
に対し、エゥーゴとの接触で真実を知ってエゥーゴ側へと寝返り、いまはMS部隊の
指揮官の一人として、カミーユがZに乗り換えてからはマークUをおもな搭乗機とし
て戦っている。
このころの心境を、ファ・ユイリィ(看護婦長)は、後年、K社発行「グリプス
夜語(よがたり)」で、大意こう語っている。
たったこれだけの性能をもった可変MSで、ティターンズとの戦闘をくぐりぬけうるか
どうかは、正直言いますととても不安で、確証がもてませんでした。
でも、当時の私は、若かったのでしょうね。それをやりうると信じていました。やらな
ければいけない、もしやらなければ世の中はどうなるのだろう、早く戦争を終わらせる
ためには、必死で戦って終わらせなければいけない、そんな意気込みに溢れていました
ね。でも、なにしろ事が事でしょう。カミーユは、かれはいつも自分が背負わなければ
いけないんだと思ってるものだから、私にね、いつも諭したんですよ。「君には、戦争
とはべつの世界にいてほしかったけど」ってね。今考えますと、私を気遣っての一言だ
とわかるんですけど、当時はね、それはもう反撥しました。現実を見ていない、つまり
「中性的」な意見だって。
私は私のしたいことをするの、自分が出来ること、やりたいことができずに
いるなんてとても嫌なこと。でも、カミーユはかれなりに心配しているのね。
戦争でしょう。殺し合いですもの、すぐにでも明日にでも死んでしまうかも
しれない。だからしつこいくらいに説得しようとする。いつも本気でしたし、
純粋だったんですね、かれは。そこがね、なんというのか・・・・ほかって
おけないような、引寄せられてゆくような、そんな気持ちがありましたね。
もちろん、言動や心理を読んだうえでのことですよ。かれはいつも本心でぶつ
かってきましたから。
グリプス戦も終盤になってくると、戦争なれというのでしょうか、余裕もなかった
頃でしたし、戦いの見通しにしても、エゥーゴが勝って、またもとのハイスクール
の学生時代に戻れるよねと、そんな希望しかおもっていませんでした。すぐにでも
ティターンズがほろんで、また二人で平和な刻をすごすことができる、もうこのこ
としか考えたくなかったですね。
だからファは、ロザミィとのこともあったが、なによりも自分の知らぬところで
関係をもっているカミーユに溢れるほどの好意をもち、フォウという女性の名前
を本人の口から聞いても許してしまうという懐のひろさをもっていた。人一倍、
ファは、幸運と慈愛がつよいのであろう。
が、これが彼女にとって幸いした。
ロザミィは、悲惨な最期をとげた。
この自我のない人形のような強化人間をコントロールしていた人物は、
オーガスタ研出身で、ゲーツ・キャパであった。
「お兄ちゃん」とロザミィが呼ぶゲーツ・キャパ大尉は、バスク座上
の大型戦艦ドゴス・ギアにてローレン・ナカモトとともに実験をして
いたが、突如襲来してきたシロッコのMS部隊と戦闘になり、戦死した
とも、行方不明になったともいわれている。ロザミィの死で精神錯乱を
起こし自我崩壊に至ったとみたほうが妥当かもしれない。だが直接的に
手を下したカミーユは、負担のかかっていた精神にさらに重圧が加えら
れる結果となった。
ハンブラビとの戦闘で損傷していたマークUは、ファのメタスに担がれて
アーガマへと帰還した。ほとんどのMSが出払っており、クワトロも百式
で出撃している。
ヘンケンの死の影響が去っていないエマは、すぐにでも戦場に向かいたかった。
損傷のひどいマークUに、シャクルズ(スペースジャバー)を乗せてすぐ出撃し
た。アストナージが懸命にとめるのもきかずに。
結果として、エマの再出撃はカミーユを助けた。ティターンズに寝返ったレコア
のパラス・アテネと、ヤザンのハンブラビが共同戦線を張りZをしとめようとし
たその瞬間に、エマのマークUから放たれたビームが、パラス・アテネの腕部ビーム
ガンを吹き飛ばした。さらにビームライフルを撃ち、ハンブラビのショックワイヤー
(通称・海ヘビ)を切断し、その衝撃でヤザンはハンブラビともども飛んでいった。
ヤザンを追うカミーユのZガンダム。
あなたは何も感じなかったのと、カツが死んだことを伝えるエマ。
(死んだ!?)
とエマの言葉で微々たるものながら先ほど感じたことを思い起こそ
うとするレコアだが、エマが熱くなるほどレコアは感じとることは
できなかったのだろう。同じ女性でも、こうまで感じ方がちがうも
のなのだろうか。
レコアからすれば、エマの言葉は偽善にしか聞こえない。自分の選
んだ道に、自分の価値観だけでそれは悪いことだと決めつけてくる
身勝手な干渉としか思えなくなってしまっている。直接的なエマへ
の恨みは、ない。しかし、シロッコに支配されてしまっている彼女
へは、正論が通じなくなっている。かたくなになりすぎた彼女のと
った行動は、撃墜しようとする意志をエマに示すことだった(中略)
パラス・アテネのビームが、マークUのシャクルズをあっという間に
撃破した。が、無傷のパラス・アテネにくらべてマークUは損傷がひ
どく性能が落ちてしまっている。
シャクルズの爆発と同時に、背中をみせながらマークUはパラス・アテネ
との距離をはなそうとする。
「あなたは、女でありすぎたわ」
とのエマの言葉にすぐ反応して、
「そうよ。あたしは女よ。だから今ここにいる、あなたの敵になった」
マークUのビームライフルの一撃をかわしながら、マークUに迫る。
「人の生き方はそれぞれ。他人の干渉など!!」
エマ・シーン、さすがに名うてのエースだけあって冷静に背中からビーム
サーベルを抜き、まっすぐに突き入れるよりも早く、レコアのパラス・アテネ
のビームサーベルが上段から真っ向に振り下ろされた(中略)
ざくっとマークUの右肩を斬ったが、エマの突き入れたビームサーベルは、パ
ラス・アテネのコクピットを直撃していた。
しばしの刻が流れる。エマの呼吸がはげしくなる。興奮がおさえきれず、胸が
苦しくなった。
レコアも苦しさをおさえながら、最後の主張をした。
「男たちは戦いばかりで、女を道具に使うことしか思いつかない。もしくは、女
を辱めることしか知らないのよ!!」
彼女の男性観であるが、暗にクワトロのことを指しているのかもしれない。レコア・
ロンドはむろんこの結末になってしまうなどとは思いもよらなかっただろうが、最後
の最後まで、この胸のうちのわだかまりを癒すことができなかったのであろう。
偶然、彼女の遺言のようになった。が、聞き手だったエマ・シーンは、レコアの死の直後、
やってきたヤザンのハンブラビのビームとパラス・アテネの破片に吹き飛ばされて傷をお
い、カミーユに看取られつつ一生を終えた。
遺体は、輝けるコロニーレーザーによってきれいに葬られた。
ファは、コロニーレーザー内部にメタスで侵入、劇場に割り込んでクワトロ・
カミーユとともに脱出、この際にカミーユとの最後の共同戦線を張り、ハマーン
のキュベレイとも戦っている。コロ二ーレーザー脱出後、発射された一撃でティターンズ
主力艦隊はほぼ潰滅、その後行なわれたシロッコのジ・オとの戦闘で、カミーユは
全能力を傾けてシロッコを倒すものの、その精神は二度と健全なかたちで再生する
ことはなかった。
ジュピトリス近辺でバーザムを撃墜したファのみたものは、反応のないZの姿だった。彼女
の直感は、不幸にもあたり、モニターにうつったカミーユは以前のかれとはまったくの別人
ともいうべきものであった。カミーユはもはや現実がみえていなかった。ファは愕然とし、
ショックをかくすことができなかった。
グリプス戦後、続くようにしておこった第一次ネオジオン抗争のほんの初期戦っていたが、
カミーユの看護のためアーガマを降り、以後は看護婦のみちを歩み、彼女の看護のかいも
あったのか(多少ではあるが)不完全ながらもカミーユは復活(これも語弊がある)のち
に月都市で病院を営むカミーユのもとで看護関係の要職を歴任し、数々の栄誉を授けられた。
ファ。
没したのは宇宙世紀0167年(中略)
パイロットの才質さほどでもなく、グリプスのエースにも加えることの
できない三流に近いパイロットではあったが、一流はほとんど死に、ファ、
戦争の才能よりもむしろ看護婦のほうへ才能をかたむけたために多くの功績
を残しえた。晩年はグリプス殉難の人々を毎日回向して暮らした。かのじょが
自筆でかいた大冊の過去帳が、月面都市フォン・ブラウンの「A文庫」に保存
されている。
(TдT ) 泣ける
保守
元ネタは知らないけど、(゚д゚)ウマー
面白い。個人的に数少ない名スレ認定。
>1さんほか職人の皆さん
最近はこのスレと「我が家にザクがやってきた!」を覗くのが日課となってます。
文才のある人って羨ましいよなぁ。
79 :
1:03/05/21 19:03 ID:???
>>73 書き手の自分もチョト切なくなりますた・・・
>>75 元ネタにした人物は男性ですけどね。共通項は「生き残った人物」でしょうか。
>>76 やる気が出ます。
>>77 スレを立てる前は、ほとんどSSを書いたことがなかったんですよ。読み手の側
でしたので。
皆さん、ありがとうございます。ここんとこ多忙なので、スローペースになりますが
よろしく。
>>335さん
更新ご苦労さまです。イイ感じですよ。
初代スレのタイトルですが・・・
>153〜身代わり
>157〜ルナリアンのあきんど
>158〜この宇宙のかたち「無題」
>160〜デラーズの存在
>161〜マスターアジア
>162〜ベラとキンケドゥ
>163〜ルウムの影響
>164〜アルテイシア
>167〜坊ちゃんと貴公子
>168〜革命家死す
>174〜デラーズ・フリート
>176〜新戦術
>178〜不器用な彗星
>180〜野心家クワトロ
>183〜ザビ家の末子
>188/190〜配属
>206〜密事(みそかごと)
>218〜師弟
>224〜第一次ネオジオン抗争
>225〜パブリク
>226〜ある自信家の温情
>227〜ガンダムチームがゆく
>232〜MS少年過ぐ
>233〜新説
>235〜内助の功
81 :
1:03/05/21 19:53 ID:???
82 :
山崎渉:03/05/22 02:39 ID:???
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
83 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/22 21:56 ID:v4IMl9PH
下がりすぎてたのにであげ。
職人さん頑張ってください。
由悠季は秀明を内心、
「小僧が」
と、にがにがしくおもっている。しかしブレンの企画が出、それが通る要因と
なったのが庵野のつくったエヴァである以上、インタビューや表沙汰否定的な
発言をしてもその影響を無視することはできない。その分だけ、庵野やガイナ
ックスをなじったが、ブレンパワードのスタッフたちはそこは心得ていたのか、
由悠季のリハビリというべき再生にきちんと向き合い、誇りと自信を回復させ
るべく尽力した。
富野の秀明への軽蔑は、秀明が生身の人間をメカニックと等価値として
描くことに熱心でないことであった。演出とは男女のキャラクター、メカニック、
背景・台詞一点一点をゆるがせにせず、これらの総合的な結果として内容やテーマ
性をみせるということであるべきだが、庵野秀明はそういう瑣末(さまつ)にはや
かましくなかった。
「庵野にはリアリティのなんたるかがわからない」
と、富野はサンライズのスタッフや今川、高橋らにも言い、手塚先生以来廃れさせて
はいけない本物の演出はこの由悠季がまもっている、庵野のやつはアニメファンを欺き
法螺を吹いているだけだ、とも言いふらした。この評は主観が入っているが、必ずしも
完全にあたっているわけではない。庵野秀明はかつて宮崎のもとで原画マンとしての経験
があり、そのときのキャラの書き分けがとても自分には無理だと思い(宮崎がダメ出しを
したらしい)、かれなりに自分のできる範囲でロボット物で表現できうることを表現して
いるつもりだった。キャラが書けないかれであったが、逆にメカニックに関してはきわめて
すぐれたテクニックをもっていたのである。
その前に、町をあるいた。
ジョン・バウアーの生家もたずねた。
バウアーの家は企業家の系列で、祖父の代に連邦政府有数の大企業として
発展した家である。かれは家柄についての誇りがつよく、いつのばあいも
みずからを卑しくするような言動をとったことがなかった。ジョン・バウアー
の活躍期以前、陰に陽にかれおよび連邦議会の頭上をおさえつづけてきたアース
ノイド実力者は、地球出身のジャミトフ・ハイマンであったが、ジャミトフが
もっている絶対主義的志向、その陰険な権謀趣味、さらに異常なほどの権力への
執心、そしてスペースノイド嫌いと同僚の成功者メラニー・ヒュー・カーバインへ
の敵愾心については、
ーあれは成り上がり者だからだ。
と、バウアーは一言で片づけ、ひそかに軽蔑し去っている(中略)
この旧米国経営仕込みの当時の連邦政治家の制服の内側にひそみつづけてきたティターンズ・
ジオン勢力に対する憎しみと拗ねは、もはや怨念にまでなっていた。
今日も今日とてHP更新・・と。
>>1さん
タイトル、ありがとうございます〜。
今は手付かずですけどいつかきっと
88 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/23 21:03 ID:hVmvVa5k
保守
89 :
1:03/05/23 23:07 ID:???
>>335さん
HP拝見しますた。すごく(・∀・)イイ感じになってますね!
まとまってるし、読みやすくてとてもよいです。
完成する日を楽しみにしてまつ。
ギレンにはギレンなりに理想国家の像があって、ぼくの好まない定義付けです
けれども、絶対主義国家はそのための過渡的なものであると、腹の中では考え
ていたらしいのですが、事なかばにしてジオン公国は敗北し、会戦の最中に妹
のキシリア・ザビ少将に暗殺されてしまった。その間接的後継者というべきジ
ャミトフ・ハイマンは、絶対主義的な面ばかりをついでいるのです。
「ニュータイプ論」の旗頭、シャア・アズナブルは、この時期非常に巨大な批判
勢力のまとめ役であって、いろんな反政府主義者がシャアをもって理想としたん
ですね。シャアがどういう人であったか非常に方針面ではわかりにくいんですけ
れども、自治権要求運動を包含する人であったし、当人もそのつもりであったこ
とは確かです(略)
シャアの理念の事実上の師である亡父ジオン・ズム・ダイクンのコントリズム・
ニュータイプへの覚醒思想を継ごうという気持ちもあるでしょうし、それから実
際上の助言者であるホルスト・ハーネスのスペースノイド主義といいますか、宇宙
の各勢力、サイド・月都市が同格で互いに連盟を結んでオールドタイプへの劣化を
防ぐ、そして地球寒冷化ののちは宇宙に住む人々全員を開明化していくという理想
もまたシャアにはあったわけで、いろんな意味でシャアというのは、この頃の小さ
な時代的な不平から、大きな将来の展望に至るまでのあらゆる怨嗟と希望を総まと
めした存在でしたし、自分自身それをちゃんと認識していたわけです。
ところで、「シャアびいき」というのが世間にありますね。ぼくは一体
これはなんだろうと思うんですよ。たとえばシャアのことを書きますと
必ずダイレクトメールをくださる人が多くいます。あなたはひいきがよ
り少ないとか、この点が不満であるとかー。ぼくはひいきとか、ひいき
でないかということではなくて、一個の人間として、あるいは宇宙世紀
史的な存在としてシャアを見るのみですけれども、しかしやっぱりシャア
に酔っぱらってほしいという気持ちがシャアびいきの人にはあるんですね。
では、なぜシャアびいきが存在するのか。それは自分個人の、たとえばある
木星公社の職員なら職員がいろんなことで、人にいったところであまり通用
しないようなプライベートな怨念もこめて、現実の連邦体制というものに不
満を持っている。そういう場合、さかのぼっていくとシャアにつながってい
くんですね。シャアがもしあのときに成功してくれていれば、そしてバウアー
のごとき者がいなければサイドはもっとよくなったろうと。そうすると果たせ
なかった夢というのはサイドの歴史の中にあるわけです。それがシャアやその
範疇にいるものに仮託されていくのですね。この願望はスペースノイドがこの
サイドに続く限り、ぼくはあり続けると思うんです。ですからシャアという存在
もまた、反政府主義の側の巨大な原点であるということが出来るでしょう。
虎徹
秋葉原の駅前通りは、戦前までその名残があったが、通りの南北にかけて、ずらりとジャンク屋が軒を並べている
宇宙世紀0086年正月のある日、そのうちの一軒のマッコイ商会に入ってきたMS乗りがある。
年は30前後で、髪を総髪に結び、部隊章は連邦地上軍極東軍団。黒い制服にカーキ色のスラックス、といった立
派な服装だが、従兵はつれていない。
それに、粗野で鋭すぎる要望を見れば、代々の特権階級の家系ではないことがわかる。
「へっ」
とマッコイは小腰をかがめて出てきた。思わず平伏したのは、相手の威にうたれたといっていい。
「どういうお申し付けでござりましょう。承りますでございます」
「そのほうの店に、ガンダムはないか」
と士官は言った。
マッコイは、こまったな、と思った。実はない。が、無いというのはあきんどの禁句である。
「ただいま、こちらの方に置いておりませぬが、早速手配りしてお目にかけとうございます。して、お求めの品は
どのような」
「いや、ガンダムでありさえすればいい」
種類は問わぬ、と士官は言うのである。しかし、ガンダムは、一年戦争初期のものと晩年のそれとは、値がうんと違
う。一機数百億、というものもある。マッコイは、この士官の腹積りがどれほどか聞いておきたかった。
「恐れながら、どれほどのお心積もりでいらっしゃいましょう」
「20億」
(こいつは田舎者だな}
ガンダムが、いまどき20億やそこらであるはずがない。が、マッコイは丁重に頭を下げて
「よろしゅうございます。して、どちらにおとどけに参上すればよろしいでしょう」
「小石川の柳町の坂の上の試衛館という基地に駐屯している。そこにいる。私の名は、近藤という」
「はい、近藤さま」
マッコイは気軽に即答した。目の前の士官が、ほんの数ヵ月後には宇宙に上ってティターンズの一員としてスペース
ノイドを旋律させていくオトコになっていくとは、神ならぬマッコイにわかるはずもない。
「火急にだぞ」
「承知してござりまする」
マッコイはすぐ同業仲間に手配りをした。
が、返事はどれもこれも思わしくない。
もともと、「ガンダムを見たら偽と思え」とこの業界でいわれているほど、ガンダムは偽物が多い。贋物がおおいのは
それだけ需要も多いのだ。
「20億でガンダム?」同業者で笑うものもいた。
「それぁ、おまえさん、むりだ。陸戦GMでもそれくらいするよ」
「なに、わかっているさ」
中略
(どうせ、値の安い陸戦ガンダムでいいんだ)
とマッコイはおもった。
しかし、秋葉原はおろか、極東中のジャンク屋仲間に頼んでも、その値ごろのガンダムが見つからない。
-一方、近藤は。
当時、柳町の小さな基地指令の養子だったこの男にも、身辺に大きな変化が起こっている。
政府が官設の特殊部隊(ティターンズ)をつくるというので地球中の基地に激がまわっていた。
近藤は、土方歳三、沖田総司、井上原三郎、永倉新八、原田左之助、山南敬輔、藤堂平助ら、基地の連中とともに応募す
ることになり、グリーン・ノアのジャミトフ・ハイマンをたずねて、すでに採用も内定されていた。
支度金もわたった。
宇宙に上がれば、そこが戦場になる、と決意した近藤は、この支度金すべてをはたいて長年あこがれていた、上作のMS
を求めようとおもったのである
「それには、やはりガンダムでしょう」
ガルマは若い。当時、宇宙攻撃軍・突撃機動軍それぞれに所属する公国軍人
たちは、この公国制施行の覇王の末子の性格を、直情明快、と評した(もち
ろん、影ながらである)が、くだいていえば、それほどのこともない。あり
ようは、ほしいと思えば、すぐ手をのばして掴みとりたい幼児のような性分
であった。
ところが、ガルマはジオン地上軍拠点・ニューヤーク司令部にあって友人
のシャア少佐から木馬降下を知るにつけ、次第に気持ちがかわった。むろ
ん、ふたりの上官(兄ドズルと直属の上司・姉キシリア)に対して自分の
力を示したいという野心はかわらない。ただジオン地上軍の強大な軍団を
ひきいて、みずから出撃し直接、木馬をしとめれば連邦正規軍を撃ち破る
功よりもより大きな功績を立てることができる、と考えるようになったのだ。
ガルマの頭には、べつに飛躍はない。うまくゆけば兄や姉を上回る将軍として
認知されるだろうし、なによりも頑固に愛するイセリナとの結婚に反対してい
るニューヤーク市長エッシェンバッハに認めさせるだけの実力を示すことがで
きるではないか。
本日も更新報告〜。
今になってもう一つHPが出来ているのに気づいた事は秘密。
・・・逝ってきまつ。
>>94佐幕派ですか?俺もだけど。慶喜いいね。スレ違いスンマソ。
99 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/24 22:47 ID:PKydZo/L
保守
100 :
1:03/05/24 22:48 ID:???
尊王・佐幕派、どちらともいえない。
好きなのは会津・薩摩、人物なら大久保と慶喜・容保。長州はあまり好きじゃないです。
>>98 構いませんよ。
個人的ですが、最後の将軍・王城の護衛者は傑作だと思います。
>>前スレ335さん
でも、構成がまったく同じというわけでもないですし。
チョト私も反省したり。
この場合、先任者がいるときはイクナイ!と言うべきなのかな・・・・
歴史には‘もし‘は成立しないけれども、‘もし‘をしいていえばそう
いえるでしょう。だからブレックスの敗滅と、それにつづくシャアの失落
といいますか、これはスペースノイドの永遠の怨恨につながるんじゃない
ですか。われわれが今日現実の中でいろいろ不満を持ちますね。とくに政
治に対して不満を持つ。なぜ不満なのかというその源流をずっとたどって
いくと、ブレックスになったり、シャアになったりしますでしょう。この
場所からむしろ革新が起こればよかったと。
それではシャアが宇宙移民者の政府をつくればどうなっていたかというと、
これはわかりません。しかし少なくともジャミトフがブレックスに対して
やったようなああいう暴虐な弾圧の仕方をせずに、彼らを健康な野党とし
て優遇して残せば、バウアー的な考え方をA党とし、ブレックス・シャア的
なものをB党として、与野党が交替して連邦政府をつくり上げていくという
形になればずいぶん違う国家になったことは確かですね。
「フリーダムガンダム」
だったかが、おもちゃ屋の名物として売られていたような記憶があるが、この
たいした価値もないプラモデルが縦横無尽に活躍しまわる作品の監督が福田己
津夫であることによる。この映像を見、プラモデルを見ると、
ー己津夫程度の演出屋でも、よくまあガンダムの監督に抜擢されたものだ。
という実感が湧く。
103 :
94:03/05/24 23:47 ID:???
ところで1さん
俺のアレ、若干別ベクトル気味だが、どうよ?
気に入らなければやめるが。
土方、斎藤の機体はきまったのだが、近藤先生の機体だけは、うーむ、。どうしようかと。
血風録における虎徹って、ねぇ?
あ、当然 阿部十郎はスキウレ搭乗です。
イトウさんには、THE・Oかなぁ・・・
沖田も難しい。
時代が違うんでF91はねぇ・・・
ライトアーマーかなぁ?
燃えよ剣、の七里には、ぜひともハンブラビに乗せてみたいが、
新撰組=ティターンズにしちゃうとそれも難しい
福田己津夫の幸運は、富野由悠季がまだガンダムの続編を製作し、サンライズ
自体が違うアプローチでさまざまな作品を作っていたころにちょうどサイバー
フォーミュラーの監督として成功をおさめたというところにある(グランゾート・
ママは小学4年生といった作品が放映していたころを想起されたい)
決して凡庸ではなく、コンテマンとしては並以上の才能をもっていたらしいが、ど
うも時流にうまく乗ったスタッフのようにおもわれる。
Vガンダム製作時、己津夫っ、と富野が大声でよべば、どこにいても威勢よく返事
をし、息せき切って駆けてきて、
「へいっ、御前(おんまえ)に!」
と、見あげる目は犬のようにいきいきしていて、主人の総監督富野由悠季にしては
可愛い男だったにちがいない。
そういう男が富野の手を離れたガンダムシリーズの、しかも黒歴史として永久に封印
され、葬式を済ませたはずの続編(なんと∀に続くテレビシリーズである)ガンダム
の「総監督」になったのである。富野由悠季にはジブリの宮崎のような自分のスタジオ
と直属のスタッフがなかったから、VガンダムのあとのGガンダムにおいて、演出方法
を伝授した今川泰宏を「続編ガンダムの総監督」という形にして抜擢させ、あらためて
ガンダム潰しを今川に任せるしかなかった。富野の意図とは別にガンダムシリーズの総
監督になったものの代表格としては池田成、高松信司があり、この両人は幸いにも名監督
の才能がある(ただし、池田は途中で降板しているため、評価は不当にも低いのと高松の
場合はクレジットされないままW後半の演出を尻拭いさせられ、Xも打ち切りということ
でこれも評価がひくい)先に出た今川泰宏はまさに適役である。今川は卓抜したトリップ
シーンの演出能力がある。だから富野も今川を後釜に据えて重用したが、しかし福田己津夫
についてはそれほど重視していないのは、Vガン絵コンテを担当させた回がわずか一回だけ
ということをみても、右の三人にくらべてだいぶ力量が劣っていたのであろう。
105 :
1:03/05/25 00:07 ID:???
>>94 そうでした。違うアプローチに少々驚きましたが。
こういう変えかたもあるんですね。いえ、いいと思いますよ。
返事遅れてスマソ。
MSはティターンズで統一しないとヘンですよね。
資料を見てみます。
106 :
1:03/05/25 00:18 ID:???
>>94 伊藤一派はシロッコのMSで統一させるのがよいかと。
で、MSはバイアラン・ガブスレイ・ギャプラン・バウントドッグのどれかを
土方・斉藤・沖田・永倉らに配するのがいいかと思います。
隊士は初期はハイザック、後期はマラサイかバーザムに移行させると。
>虎徹
どのMSになるんだろう?あえてサイコマークUとか?
スキウレで報復する十郎、これは面白いかも。
107 :
94:03/05/25 00:41 ID:???
でも、このかき方でいくと、薩長土佐って、AEUGっぽいのよ。
そんで、アクシズ=ペリー艦隊
意外とはまるな♪
だからかえって、七里=ハンブラビも如何したものか、
と。あの強烈なキャラクターをメタスには乗せにくいっす
斎藤先生は、79Qにしようかと思ってたんですよ
スペック的には、マラサイあたりとも遜色ないしね。
108 :
94:03/05/25 01:18 ID:???
「宇宙で奇怪なうわさがありましてね」
と、松井老人はいった。
「AEUGの過激分子のなかでアナハイムが流行しているそうです」
「ほほう?どういうわけです?」
「アナハイムは代々、連邦政府に不吉をなしたということで、妖
機として世間で忌まれてきましたが、それをことさらに買い求めて
帯びている者が多いらしい。この事実をもってしても、スペースノ
イドの激徒は口に反ジオンを唱えているが内心は連邦政府解体の意
思を持っていることは確かです」
「なるほど」
近藤はアナハイムなどに興味はない。自分の機体を松井老人に渡して
「ガンダムです。鑑定願いたいものです」
「拝見」
中略
「眼福でござった」
といった。
近藤は次の言葉を期待した。が、老人はすぐ、話題を
世間話に移して、ついにMSの批評をもらさなかった。
「いかがです」
とは近藤も言わない。いったいに無口な男で、他人の
話は面白そうにきいているが、自分から議論を展開す
ることはほとんどなかった。
はっはは。虎徹の正体は
まだ明かさない♪
「SEED」
というこの番組は、たんに番組やプラモというものを超えてガンダムの
存亡にかかわる運命的な語感と内容をもつようになった。
――ガンダムはSEEDでほろびるのではないか。
という暗い感じをたれしもがもった。ファーストから∀にかけてサンライズは
史上類のない苦悩をへてブランド(バンダイ的な意味での)イメージを
つくりあげたが、それがわずか一年でほろびるのかもしれない、ということであった。
110 :
1:03/05/25 13:56 ID:???
>>94 ペリー=ハマーンかな?斬新ですね。
本編には出てないですが、MSVのMS群に乗せてみるのも手かと思いました。
メタスが駄目ならメタス改、リック・ディアスUとかね。
>斉藤=ジムクゥエル
ああ、イメージに合ってるかも。どちらかというと新撰組は黒っぽいイメージが
自分にはあるんで。
希望としてはガブスレイを吉村にでも乗せて出してほしいです(山崎君でも可)
福田己津夫の下には、かつてブレンパワードにおいて富野のもと脚本を書いた
面出明美や、直接種には参加していないが、種メカコンテストで選ばれたデザイン
がかの0083に海兵隊女傑シーマの搭乗した「ガーベラ・テトラ」が選ばれたこ
とにつきこれは確信犯だと、メカデザイナー石垣純哉としては、
ーこんな小僧のもとで作られるガンダムなどたまったもんじゃないな。
と、先の面出明美の不満と同様、失望の気持ちをもち、ばかくさくもあり、悲しか
ったであろう。しかも前面に押し出されたシナリオは面出のリアル描写の路線が出た
のではなく、彼女にとって予想だにしなかったであろうサイバーフォーミュラー潰し
の張本人たる福田の妻両澤の少年愛路線が前面にうち出されさんざんにアニメーション
のシナリオを堕落させる結果となったのである。
それも妙に「ウケて」いるためかサンライズの過保護すぎる保護のもとの両澤
の妄想主義によってこなごなにされた。この暴走の危険をメカデザイナーの大御所・
大河原邦男はさすがに知っていてデザインとしての立場から福田己津夫を制止する
のだが、己津夫はあくまでもガンダムの、原作者富野のあずかり知らぬ権威をかさ
に着、このよくわからないドロドロとした福田哲学と妻である両澤の美少年愛路線
を無理強いした。案のじょう、ガノタたちからは総スカンを食らったが、一般的に
はプラモデルの興行収入がよくなったということで逆に過大評価され、現在もその
誤った路線はつづいている(中略)
しかしこういう似非演出屋ほど、自分の才能不足をブランド名の権威と虚像によって
かくそうとするせいか、自己顕示欲を露骨にあらわしたようなコメントや一流をきど
った演出をしてみせようとするようであった。
コーディネイターの連合軍少尉キラ・ヤマトの豹変は、世間を驚嘆させ
つつも、私をひどく戸惑わせもした。戸惑わせるとは、世間(ある程度
の年齢に達したガノタとでもいおうか)の側が、このような人物を、お
なじ人間の仲間としてどう理解してよいか、理解の回路が混乱して、ヒ
ューズが飛んでしまったか、飛びそうになっているという感じなのである。
人間が人間を理解する方法は、世間や個人経験的にもっている類型にあて
はめて理解する。それを学問にしたのが心理学や精神医学であり、さらに
は不可解なものを不可解なものとしてその状態を芸術化して報告するもの
に文学があるが、それらが、人間とその行為から多くの類型を選び出し、
世間はそれを整理カードにして所有している。ところがどのガンダムシリーズ
の整理カードを繰ってもあてはまらない主人公が出現したのである。
キラ・ヤマトが、親友のサイ・アーガイルの恋人たるフレイ・アルスターを
フレイ本人の意思とともに略奪し寝てしまった種の放映日、私は自分の古い
作品集の校正をしていた(中略)
かかってきた相手に対する返事はひとつだった。
「わかりません」
ということで、これ以外、どんな返事がありうるだろう。世間のだれもがそう
に違いなく、むろん作品は違うが似たような体験者ー海の底・オルファンで数年
暮らすことを親から強制されていたユウ・伊佐美ーといえどもそうにちがいない。
ブレンパワードにおいて、ユウが比瑪との出会いを契機にしてオルファンから出てきたときを
WOWOWの映像で見たときは、世間はおどろきつつも、有りあわせの整理カードでもってな
んとか理解に近いとらえ方をすることができ、それが世間にとって気持ちのゆとりになった。
このため巨大なアンチエヴァのエネルギーを生んだ。
私も、ユウならなんとか解りそうな気がするのである。放映当時偶然にもユウと同い年であった
というだけでなく、ユウは従来の富野作品の主人公を正統についだ憂鬱と過激、少年の青臭さと
ヒューマニズムの感覚を多量に持った主人公で、そのヒューマニズムというすばらしいものが、
ユウを全26話放映という枠の中で、傷つき、悩み、笑い、八つ当たりし、最終的な多数のひとびと
の力を得て主人公らしく動きえたといっていい。あの閉鎖的環境のなかでパートナーというべき
(恋愛関係ではない)カナン・ギモスと親しくなり、プレートからリバイバルした比瑪ブレンを見て
オルファンの胎内にころがっていたユウブレンと自分を適応させ、その全体を救おうとするするどい
正義性がつねに発揮され、また日常生活や種キャラにはとうてい無理だといえる信頼・絆を最終的には
学びえたと思われる。
ユウが比瑪やネリーとの出会いで成長し、その過程をみていったとき、私は、
神様が人間や、または他の哺乳類、鳥類、魚類にあたえた心や、生物的機能の
なかで、とくにヒューマニズム精神がもっとも素晴らしいものではないかと思
った。
先にのべたキラとの体験についてだが、ユウは自ら寝どったのではなく、母親
をジョナサン・グレーンに寝どられたのである。母親という点で少しちがうが、
本来のロボット物というのは、主人公はあくまでも「正しくあろうとする存在」
であったはずであったが、それがこのキラによって変質し、豹変してしまったと
いうほうがよい。まちがっても親友を理由なく見捨てる主人公など今までなかった
からだし、これを考えると視聴者のカタルシスを多分に満たしてくれていたのが従来
のロボット物のシリーズだったということがわかる。
ユウを引き合いに出したのはこれだけではない。ユウと、キラに見捨てられたサイには
ただ一つの共通項がある。CVが白鳥哲だということである。
種ネタは生々しく
真を突いた評論になってしまっている
境界が不明瞭でスリリングですなぁ
キラ・ヤマトの場合は、テレビに映った風貌、態度、あるいは喋っていること、
その他を総合して、ユウの場合とはずいぶんちがうようである。
どちらも苦悩し、支えるべき存在は女性が多いようだが、ユウの行動や思考と
いうものが他者に対する不信を植え付けられたところからはじまり、その元信者
のような境遇から徐々に心をひらき更正してゆく過程が明瞭であったために、私
もなんとか理解のハシゴがとどく感じだったし、ユーモアにも昇華できた。しか
しキラを動かしていたものは、どうやら「私」の感情であるらしい。「私」の気持ち
は無論、自己中と捉えてもおかしくない。
私(し)的な感情というのは人間にとって生来のものだが、キラの場合は自分
という至上の何者にも変えがたいものに対する絶対本能に従うという外形をと
った「私」で、どこから見ても自分自身の意志であることに変わりがない。
キラ・ヤマトを理解するときに困るのは、シナリオ家の趣旨どおりの801系
路線のキャラクターでもなければ、フレイを純粋に愛しぬくという純愛を選ん
でいるわけでもないことである。かれはあくまでも「私」の徒であるらしく、
つまり、自分の本能・判断を基本とした人であるらしいということだ。ひるが
えっていえば、人間は無論欲得の生物であるから観念においても志においても
利をもとめぬく方向にもってゆくことは容易である。しかしそれを、戦争勃発
から親友と敵対関係となり(この描写が明らかに描写不足であり、それこそ禁句
であるだろうが、種が「アニメ的なお約束」に第一話から満ち満ちていることは
よくわかるのだ)さらに理解者が多くいるのに信頼という絆を自ら断ち切り性欲
に訴え、しかも断ち切って決断したはずの愛情もしばらくするとまるで価値がな
かったように飽きはじめ、自分だけが不幸であると思い込んでゆく精神が持続で
きるものであるかということである。
私は、自分の古い作品を校正しつつ、ときに新聞を読んだり、テレビを見たり
した。私の校正をつとめてくれているのは、B社のWという人である。かれを
相手に、以上のようなキラ・ヤマトについての私の感想を言い、最後に、「私」
としての本能つまりきわめて自己中心的な思考と行動というものが、一貫して
持続できるものかというくだりになって、私の理解の糸が切れてしまった。
こういう例をとりあげた映像や小説がいままでにあったかどうか、ということを、
W君と二人で思いだしてみたが、徒労だった。そんなものはなかったし、もしあっ
たとすれば、リアリティのないうそっぱち小説として、一顧もされないものである
に相違ない。
この少年をもって、宇宙世紀を舞台とした機動戦士シリーズや平成ガンダム三部作や
OVAシリーズの集大成的結果だというのは、ばかげている。ガンダムと名がつくだ
けが決してすぐれたアニメーションであるとは決していえないし、例えばテロリスト
少年として著名なヒイロ・ユイも自己中心的ではないかという意見もあるが、ただヒイロ
は最終的には五飛とはちがいある程度まともになったようであるし、ストーリーの過程に
よっていくらでも成長させることもできれば、成長させないことだってできるわけで(そう
いえばエヴァのシンジはまったく成長していなかった)他作品とくらべて種がすぐれている
というのはそれほど効果のある意見ではない。その証人として1st世代のガノタは真実を
見抜く目をもっているし、私とほぼ同世代にあたるであろうW・X世代にしてもすぐれた理解
力をもったガノタは確かにいるのである。今まで数多くのサンライズ作品を見てきたが、高橋
良輔・故神田武幸・高松信司・池田成、これら監督たちの作品に登場した主人公たちは、たれ
ひとりとしてキラのような主人公の態度や行動をとったことがないし、見たこともなかった。
ともかくも、自分を徹底的に欲望の徒に仕立てることをやり遂げた人間が今、ブラウン管を通
してお茶の間の子供たちやガノタに見せられているのである。われわれは現実にその少年を見
てしまってもなお、人間の美学・正しさ・素晴らしさ、上手く進展しない現実に対する憤りなど
をかなぐり捨ててずっと自己中に生きてゆけるものかどうか、私がもっている人間についての乏
しい知識では、繰りかえし言うようだが、理解できない。
最後に、言い忘れたが種に冠してあるタイトルは「機動戦士」なのである。これのどこがあの機動
戦士であるというのか、自惚れも過ぎるというべきであるが、あるサンライズの経営者は種を「21
世紀のファーストガンダム」と定義したい、と述べたそうだが、果たして種が21世紀をとおしてファン
に意識されるほどの価値があり、数年後に残っているかどうか、見物である。
単純に、機動戦士に代わるタイトル「新機動戦記」「機動新世紀」のようなタイトルが思いつかなかった
だけであると、どうして言えないのであろうか。嘘つきは泥棒の始まりという言葉すら知らないとみえる。
後味の悪すぎる話になってしまった。
122 :
1:03/05/25 22:31 ID:???
>>117 種厨はどうあれ、書きなぐるように書いてしまいました。
タイトルとかみ合ってないかなとも・・・
>>122 >後味の悪すぎる話になってしまった。
ですな。
罵倒じゃなくて批評だし(辛辣すぎるむきもあるがだがそれが良い)
いいのでは?あと、
>この暴走の危険をメカデザイナーの大御所・大河原邦男はさすがに知っていて
>デザインとしての立場から福田己津夫を制止するのだが、と
>ユウと、キラに見捨てられたサイにはただ一つの共通項がある。
>CVが白鳥哲だということである。
になんかワロタ。
種は見たこと無いですが全て信じました
125 :
1:03/05/27 22:19 ID:???
>>123 まず、評価していただいたことに感謝します。
>辛辣すぎるむきもあるがだがそれが良い
なんせ本編見ても全然弁護できませんしね・・・・毒入っちゃいますよ、さすがに。
ユウは個人的に思いいれがあるので。
>>124 全部信じなくてもいいかと思います。SSや作品は書き手・原作者の解釈でしかありませんし、
100%正しいことはまずないですし。
ただ、正確にちかい、近づけるような論評をしてみたつもりです。
せめて機動戦士じゃなければいいのにな。
一方、ギンガナムは、白の宮殿でアグリッパに会った。かれはまだおさなく、
父ととともに行事に参加した。ハデなアグリッパが近づくや、
「彼取ツテ代ルベキナリ」
と、大声で叫び、同行していた父を狼狽させた(中略)
ギンガナムにとって本音であった。ギンガナムの強烈な自負心からいえば、宮殿
の中央でナンバーツーの立場にいるアグリッパという用心深い男になんの力も価値も
感じなかった。アグリッパはたまたまコールドスリープ管理の実力者の家にうまれ、
権力者になった。
ロランのようなはずれムーンレイスではなく、ギンガナムのような世襲制軍人の境涯
でもない。
「ガトー大尉」
といえば、地球連邦軍の名うてのエースでさえ戦闘をさけた。相当な数
のMSを撃墜したが、そのすさまじさはつねに一撃で相手を斃(たお)し
てしまっていることであり、しかも最大の撃墜スコアをあげたのはかれ
専用のゲルググのときではなく、リック・ドム搭乗時であり、ソロモン
戦に参加したとき、連邦軍を震撼させるほどの功をあげた。当時第302
哨戒中隊長であった。
「ソロモンの悪夢」という異名で知られたのは、この男である。
デラーズ・フリート参加後、昇進し少佐になったのは、エギーユ・デラーズ
のひきたてによるもので、ついでながらデラーズはかれと同じくジオン
独立戦争の戦火を掻いくぐった公国軍人のうち、とびぬけた力量と勇敢さを
兼ねた者として二人の人物を選りぬいたという話はよく知られている。二人
とは、海兵隊首領シーマ・ガラハウ中佐とアナベル・ガトー少佐であった。
デラーズはガトーを少佐にしてMS部隊をひきいさせ、シーマ中佐に対して
は、海兵部隊をひきいさせて星の屑作戦完遂の重要部分を担当させたのである。
128 :
山崎渉:03/05/28 17:13 ID:???
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
保守
やっと4月分まとめ終わりますた。
ってももう5月も終わりですが。鬱。
Å Å
( ・Υ・) おおー凄いヨ
/ つ つ まさに職人芸だネ
132 :
1:03/05/29 22:50 ID:???
カイオンジ「ギレンは複雑に見えますが、彼を測る急所があり、それを心得れば
案外簡単にわかるような気がします。彼は天性の政治家で、何事を
成すにも先ず階段をつくった人です。彼が段取りをつけないでこと
にかかったことがない(中略)
ミノフスキー博士のスカウトやダイクン派の懐柔と粛清、実力者デギン
の権威づけ、このデギンの権勢強化の際に、デギンの高官になったマハ
ラジャ・カーンは、ギレンが見いだして来たのですよ。
この側近集団はデギンの言うことをよく聞くのでー聞く筈です、ダイクン
はもはや世にないし、デギン本人も相当の実力者だったのですからーデギン
による公国制移行が実行に移されたのです。
こんな具合にギレンのやり方は、最初から実に綿密な計画をもって、階段を
つくり、段取りをつけてやるのです。ここがギレンを測る急所の一つだと、
わたしは思っています。彼はおそろしく意志堅剛な人で、一度こうと目的を
定めたら、決して感情に動かされないのです。それは冷酷、非情なくらいです。
男子が大目的に向かって進む場合には、肉親、同志も見殺しにする所があるべき
であるといい、それを実行しているのです。ここが彼を解釈する第二の急所ですね」
ティターンズの旗艦「アル・ギザ」艦長をまかされているガディ・キンゼー
少佐(のちにアレキサンドリア重巡艦長となる)自身、幼少のころ「喧嘩ガ
ディ」といわれて、故意で鼻つまみになっていた本性をまるだしにして大いに
昂奮し、バスクの命のもと即座に暴徒鎮圧の指揮をとった。
ガディはMS諸隊に作戦用のG3をつかわせるための準備をさせ、ベルナルト・
モンシアに対しては、アルファ・A・ベイトのハイザック、チャップ・アデルの
ジムクゥエルとともに、G3の取り付け作業と敵の妨害をふせぐ護衛部隊として
の任につき、おもにこのデラーズ紛争以前からの熟練パイロットの現場指導によ
って作戦を完遂させる。
一年戦争以来の歴戦パイロットである3人も数年後のグリプス戦役で活躍するこ
とになる気の荒い連中ばかりである。
135 :
1:03/05/29 23:40 ID:???
>>前スレ335さん
乙カレさまです。
曜日も載ってるのはいいですね。
なんと種延長ですよ!信じたくない漏れ・・・・
午後、応接室で旧作の校正という、私にとってつらい作業をしていると、魔が
さすような瞬間があって、若い客に入り込まれてしまった。
客と対座していると、客の目を注視しなくてはならない。校正で目が疲れてい
るために、ときどき目が霞んでくる。
3時間、すわりこまれてしまった。
「おれは、どうも疲れているらしいよ」
カエレ!ともいえないためにそう呟くと、ああそうですか、と客は時候のあいさつ
を聞いた程度の反応でしかない。齢(とし)は10代だという。一般に感受性
の豊かな年齢といっていい。同時にその感受性がひどく片寄っていて、自分以外
の他の人間に対する同情という反射がまったく起こりにくい年齢らしい。
この若い客には、むろん名前はある。しかしここでは、かりにI氏とする。
どのガンダムが好きなのですか、ときくと、
「どういう意味ですか」
と、反問してくる。どうもひとくくりの抽象表現は不可解でこまる、と
いうふうな表情でもあり、また単に会話のやりとりを楽しんでいるよう
なふうでもある。どこか、感じが宙に浮いている。
「作品のことです。それとも好きじゃないのですか」
「種から見はじめたので、古い代物は全く知りません」
ということだった(中略)
若者は、よく種を題材によく喋った。ときどき自分の話に酔うときは、
ぐっと目を剥き、目玉を一回転させて、メリハリをきかせる。変な癖だ
が、これも種に惹かれたという苛烈な情熱とつながっているのかもしれ
ない。
「私は富野ガンダムが嫌いです。高校で、おなじような趣味をもつ友人
二人と語りあいましたが、同じ意見でした。サンライズに富野という老人
がいなければどんなにいいか。いっそ富野ガンダムの存在など歴史上から
消滅してしまえと・・・・」
若者の表情は薄い膜を張ったようで、独り言をいっている感じでもあり、
その内容も独創性がなく、どこかで聞いたり読んだりしたものを体よく綴り
あわせてゆくという式のようでもある。
そのことに気づいたから、当方もいちいち真剣に受けこたえする必要もなか
ろうと思い、ただ阿呆のようにうなずいていた。もっとも何の用事できたの
か、見当がつかない。
途中、見当をつけてみようと思い、何がしかの質問をしはじめた。ところが、
若者の言うどの話もちょっとした質問で基礎が崩れてしまうような話ばかり
で、要するに切り花のようにどこにも根がない。
つまりはガンダムがこの若者の根かと思って、きいてみた。
ところが、ロボット物好きのファンなら当然知っていそうなことを、何も知
らないのである(中略)
それじゃ仕様がないじゃないですか、というと、かれは、ぐるりと目を剥いた。
「富野が悪いんです」
静かにいうのである。
(えらいのが出てきたな)
と、ぼう然とする思いだった。
「君は、本当にガンダムが好きですか」
ときいてみると、好きなのはガンダムより種だという。さらにプラモや
スタッフについていろいろきいてみると、話は霧のようにとりとめもな
くなってしまう。ガンダムという名はかれにとって世間体を繕うための
手段の旗印ではないか(中略)
まことに乱世というほかない。
「君のような変な種ファンが」ガンダムのイメージを大きく失墜させて
いるという記事をどこかで読んだことがある、と私はいった。内容を考える
までもなく、プラモデルを極めることもなく、ひたすら萌え活動としかいい
ようのない種生活をしているらしい。
「みな可哀想です」
と、かれがいったところをみると、私のかぼそい皮肉が通じなかったようだ。
みな寄り合うと富野に対する悪口で、みな富野を憎悪しきっています、という。
富野への憎悪で連帯感ができています、従来のガノタの構造は私ども新参者には
冷たいんです、といった。
>>139 >まことに乱世というほかない。
藁タ、そりゃ確かに乱世としかいいようがねぇ(w
繰りかえしいうが、私はかれを説得したり論破しようというような事は考えていない。
かれを知りたいだけだし、かれの精神や体を浸(ひた)しているこんにちというものを
感じたいだけである。
かれは、詰まった。詰まったせいか、せっかく肩へかついでくれた荷物を、苦もなくほ
うりだしてしまった。
「ともかく、私は種が好きなのです。大昔のガンダムを神聖視するオールドファンがい
やなのです。それだけです」
「じゃ、ガンダムファンは口実ですか」
「ちがいます。真剣です」
話が、中途半端なままで循環している。
種が好きなのも、ガンダムが好きなのも、真剣だからだという。種ファンをつづけて
いくためには「ファン活動」として数万円の金がいる。それを今すぐにでも作らなけ
ればならない。ところが、金主の母親が渋る。自分はどうすればよいのか。ともかく
も数万円を作らねばならない。それもすぐにです、といった。
「アルバイトをやればいい」
私は、君のような人は労働をして自分自身というか、人間と言うのは何かということ
を仕事を通じて知るのが一番だ、というと、それはこまる、バイトをすれば時間がな
くなり、ファン活動ができません、一攫千金でなければ、と言った。インフレ時代に
限らずデフレ時代においても道徳はすりへり金が第一だという夢想者群を生み出すと
いうのは、どんな時代でも同じなようで、かれもその例外ではない。
「むろん、私には案があるのです」
と、かれは得意そうに目を剥いた。
「このムーブメントをメディア、大衆産業として認知させます」
認知、とかれはいったが、べつに種のムーブメントがヒットしているわけでも
ないと思うので、単にアニメーションの認知に関連することについて触れる。
143 :
1:03/05/31 13:41 ID:???
続きは今日の夜か明日にでも。
1981年、新宿で高らかに謳いあげられた一つのムーブメント「アニメ新世紀
宣言」。その第一次アニメブームの頃、明らかに当時のファンはアニメーション
というジャンルに対して真摯に産業媒体となれる立派なジャンルだと信じた。そ
のなかに、Xの監督・高松信司もいたのであるが、これら一連の流れは徐々に衰
退し、エヴァブームで再び沸騰したかのようにみえたが、今現在ファンの趣向拡散
によってさらに衰えている。かれの案はファン同士を結束させ、あらたに革新的な
視聴者の力を示してみせることで社会に対し本気で種の存在を認めさせることがで
きる、というのである。
今までのアニメーションの流れをまったく知らずに、ただ自分の思い込みだけでその
ジャンルが素晴らしいと規定するご都合的発想が、みずから富野ガンダムを断固否定
するこういう若者にまで浸透し、そのことに毛ほどの疑いをもっていないことに驚嘆
した。
「君は、萌えアニメに陥ったアニメーションのこんにちそのものみたいな人ですね」
といってみたが、かれはだまっていた。
145 :
寿司屋:03/06/01 18:12 ID:???
なんだこのスレ。
こんなオモロイところがあったとは…
読んでて分かるけど、みなさんホントにシバリョもガンダムも好きなのね
ひらがなの使い方とか絶妙w
ちなみにSEEDは3話までのデキはすごくいいと思うけど…スレ違いなのでSage
146 :
通常の名無しさんの3倍:03/06/01 21:35 ID:vRUgparg
シャングリラのジャンクの下で (項羽と劉邦 上 沛の町の樹の下で)
そのコロニーはシャングリラという。
シャングリラの意味は、シャンバラ、理想郷ということである。
(中略)
ジュドー・アーシタはUC0073年にうまれた。
かれの近所にアッバーブという姓の家があった。
ジュドーが生まれた年に、男児がうまれた。
「イーノ」
イーノといって、ジュドーが幼少のころから弟分のようにして連れ歩いたのは、この
アッバーブ家の子である。イーノは、おとなしい子で、ジュドーのいいなりになって
いた。幼いころは悪戯の手伝いをさせられ、長じてはジャンク屋稼業に加担させられ、
そのおかげでジュドーがZガンダムのパイロットになったときには、アーガマの乗組
員にさせられ、さらにはガンダムチームの1員になった。
ジュドーはまともに学校へいったことはない。妹のリィナが学校へ行こうとさそっても、
「ちょいとジャンク屋ギルドへいってくる」
といって、消えてしまう。そこには、ジャンク屋やブローカーたちがおり、それらを相手
にする賭場も開帳されていたし、娼婦もいた。あるいはジュドーの大好きなMS乗りだっ
たという、元ジオン公国軍の兵士もいた。
147 :
1:03/06/01 23:32 ID:???
>>145 >オモロイとこがあったとは
ありがとうございます。書き手の一人、1です。
司馬氏の文体を借りてガンダムを語るスレ、といえばいいでしょうか。
>SEED
まあ、それぞれ感じ方が違いますから・・・・
私は最初からイマイチでしたけど・・・
148 :
1:03/06/01 23:35 ID:???
引越しをすることになりまして、ネットが出来るのがあと二週間後までとなりました・・・
半年間脱落することになりますけど、よろしく。
(ネットカフェからという手があるけど、暇がないと思うので)
二週間内にできる限り書き込んでいこうと思っています。
ただ対座している私は、どんな表情をしていいかわからない。怒りも笑いも出来ない
人間の精神というのが、もはや現実に出現しているという感じだった。私はその意味
の、自分の不愉快な感情をあらわすなにかをいった。かれは即座に、
「ハマって、何が悪いのですか」
と、ひらき直ってきた。
「だけど、お母さんは、君がファン活動をするために数万円出してくれたじゃ
ないですか」
「すくなすぎます」
と、いった。このあたりで、私がかれを殴らなかったら、私のほうが人非人かも
しれない。
が、この若者を殴るには、私自身によほど大きな用意が要りそうであった。ひど
い言葉でいえばかれはまぎれもなくいまのガンダムの系譜が吐き出したなにかで
ある。かれ個人が殴られるには、殴られるだけの個性があるべきだが、それはほ
とんど持っていそうにないため、かれを殴ることは見当ちがいといっていい。殴
られるべきはいまのガンダムの系譜に属する種というえたいの知れないものでは
ないか。
「もう、帰りなさい」
と、私は立ちあがらずに言った。かれはすぐさま目を剥いて、「どこへ帰るので
すか」などと気取ったことをいったが、私は疲れてしまって相手になってあげる
わけにはいかなかった。
かれはしばらくすわっていた。
が、やがて帰ってしまった。かれが切り戸から出ていった音とともに、どうにも
ならない不愉快さが、かれの置きみやげのように私の体の中に残った。いまもそ
れがつづいている。始末のわるいことに、この感情が、かれへの不愉快さという
ものでは無さそうだということである。
マ・クベは、ひとから、
「官吏」
といわれている。それをきらい、自分こそ百万の国軍を叱咤しうる男だ
とおもい、すくなくともそうありたいと願っていた(中略)
世間の先入観念というものはおもしろい。上官のキシリアやガルマ配下
の突撃機動軍に政治軍人が多くつどえども、世間はこの両者を官僚的だ
とはいわないのだが、マ・クベのばあいはそうではない。
あたまから、
「官吏」
ときめている。(なにをいうか)というマ・クベの意識が、武骨な陸戦艇
ダブデを司令塔とし、ゲルググとの競争にやぶれたツィマッド社製の白兵
戦用MSギャンをゆずりうけ、自らガンダムとの決闘に挑むことになるの
である。
この間、オデッサの各鉱山基地を少人数でまもっているジオン地上軍将兵のあいだ
に、ひそかな動揺がおこっていた。マ・クベはむろんそれを知らない。
ジオン地上軍・オデッサ駐留マ・クベ隊の将兵たちは、もともと主戦場たるべきオ
デッサ周辺にあまりにも地上軍の戦力がすくなすぎることに動物的な不安を感じつ
づけていた。
ー地上軍は負けるのではないか。
という不安であった。かれら前線の将兵たちにはマ・クベの「戦略」がわからない。
「戦略」よりも、現実の兵数を欲した。
↑
アタマおかしんじゃないの?^^死ねば
ランバ・ラルは、重MSドムが届かないという報せをきいたあと、マ・クベ
に対し失望せざるをえなかった。
(やはり官吏なのだ)
と思うのである。心の出来が、自分のような前線軍人とはちがうようであっ
た(中略)
(政治屋と本来の武人にそのちがいがある)
とすれば、自分とは指揮系統のちがうキシリアの寵臣マ・クベはどうであろ
う。
マ・クベは独立戦争開戦直後から戦場を駆け、この鉱物資源産出地帯オデッ
サ制圧のための第一次地球降下作戦においては一手の将として連邦軍拠点を
囲んだこともあるが、その本務はあくまでも官吏(よくいって軍政家)であ
った。官吏であるのにランバ・ラルの見るところ、トワニング・キリングな
どとくらべて気性は武断的であり、マ・クベ自身、自分では官僚よりもふさ
わしいと信じている様子でもあった。
(が、それでも、所詮は官吏か)
と思うのは、少数精鋭でしかない黒い三連星に対する態度であった。いまと
なってはそれを計算に入れて戦略をたてることそれ自体が危険であるのに、
官僚が帳簿の帳尻をあわせたがるのと同様、マ・クベはいまなお自分よりも
三連星の能力に恋々とし、このきわになっても木馬を単純な戦略計算で撃破
できると思いたがるのである。
這うようにして、ジュダックの乗るドラゴンフライはビッグ・トレー上に
たどりつき、
「いま一度、エルラン閣下へご対面したい」
と、連邦軍中将エルランに申し入れた。
エルランは迷惑におもったが、むげにこばんではかえってあやしまれると
思い、すぐ招じ入れて引見した。当然なことながら、エルランへの態度は
将官に対する礼として慇懃をつくしている(中略)
確認するかのように、マ・クベ司令への御内応の段くれぐれもまちがいあ
るまじき旨を執念ぶかくいった。
「心得ている」
エルランは、不機嫌な表情でうなずいた。
ジュダックはさらに利を約束した。
「御勝利のあかつきには、われら主マ・クベ公国軍総司令部に奏請し、エ
ルラン閣下をしかるべき高官となし、デギン公の補佐をして頂きとう存じ
まする」
というと、エルランの表情がにわかに動いた。
「ジオンの高官か」(中略)
「ジュダック、シカときいたぞ。戦後の厚遇、まちがいあるまいな」
「まちがいござりませぬ」
ジュダックは棒読みするように感情なくいった。手ごたえがあったと
思った。事実、手ごたえはあった。エルランにすれば現職で連邦軍総
司令官レビル大将を補佐しているものの、寝返りなどはさほどのこと
とも思っていない。
(この場所から戦勢をながめていて、ジオンが勝ちそうならなだれこ
めばよいのではないか)
エルランはふとそう思案し、われながら自分は知恵者ではないかと誇
りたい気持になった。連邦・ジオンどちらが勝つにしても、エルラン
には空前の戦績がころがりこむのである。
そのオデロのガンブラスターのコクピットにエリシャがうしろむきですわっている。
オデロの女をばかにしたような発言ー女性には月に一度体調がわるくなるときがある
んだよーに腹を立て、うしろからオデロの頬を強くつねった。
V2のウッソはエリシャが搭乗していることにまったく気がつかないまま、オデロの
言うとおりに別行動をとった。
「堪忍してよ。俺悪いこといったか」
と、オデロは痛がりながらいった。
エリシャのしなやかで白くすきとおるような指先がオデロを引っ張っている。その手
がうごき、オデロの反省の言葉をきいたあと、腕をおろした。
重大なことは、この襲来してきた敵から機体を隠しているときエリシャも
ふとあることに気づいたことである。首をかしげ、視線をあちこちに走ら
せて、「油のにおいがする」といった。その焦りはオデロにもわかる。も
しタンクの中にガスがたまっていたら・・・・
恐れを感じたエリシャはオデロの肩に手をかけ、にぎりしめた。頼られて
いる。すくなくともオデロはそう感じた。できることなら、このままずっ
と二人きりでもいいじゃないか。
さりげなく、エリシャの手に自分の手をかさねる。少しだが、幸せを感じ
た。
「クシュン!」
と、くしゃみが聞こえた。おどろいてふりかえり、聞くと風邪っぽいの、ず
っとねという。地球育ちのオデロにはあまりわからない。唇が乾いて仕方が
ないのと言うエリシャに即座に反応し、きまじめな顔で、
「唇、ぬらしてやろうか」といった。エリシャの反応はそっけない。今はい
い、とだるそうに返事をかえした。
一般のスペースノイドはほとんどが免疫力が弱く、エリシャもその例外では
ない。この当時の地球環境は環境汚染がひどく、水も空気も大地も汚れきっ
ていた。旧世紀より危惧されてきた最悪の状態に地球はなりつつある。
「これはオデロに必要なお守りでしょ」
「それはお前が持ってな。代わりにに別のお守りをくれよ」
「えっ」
「頼む」
エリシャはやさしいまなざしをむけていた。すこし考えていたが、やがて
思いきったように、目をとじ、オデロの頬に対し、キスをした。
帰ってこなくちゃダメよ、帰ってきたらもっとしてやる、と古代より愛す
る男女が繰り返してきたであろう出征の見送りをした。
オデロは、出陣の決意をかためた(中略)
(エリシャには、おれのー)
気持ちがわかったらしい。純粋な心のせつなさが、おれがガンブラスター
で駆けまわる行動によく現れていたと見たか、それにしてもうれしいのは
あの自分をみつめるまなざしよ、とおもった。
「・・・・よし」
オデロは、ホワイトアークからガンブラスターをはなした。リガ・ミリティア
のMSの強襲に焦りをおぼえたドゥカー・イクのリシテア級巡洋艦は激烈な対空
砲火をオデロのガンブラスターにむけてはなってきた。ビームバリアをものとも
せず叫びつつ猛進、V2のウッソの静止も聞く耳をもたず、強引にバリアの上か
らビームライフルを撃ちこみ、その一撃はリシテア級を沈黙させた。
黒煙を巻きあげるリシテア級を見つつオデロはしばし感傷に浸った。と、耳もと
にバイクの音がきこえてくる。ふと天を見上げると、バイクに乗りつつ召天し
てゆく男女の姿があった。その表情はすがすがしく、とても死者だとはおもえな
かった。
てゆく
159 :
1:03/06/03 01:59 ID:???
>158
最後、失敗しました。訂正しときます。
(ーかれをいっそ結婚相手に)
エリシャは、おもった。いままで何度かおなじことをおもったが、いや
オデロだけが男ではあるまい、この世のどこかから自分の相手になるは
ずの男が自分に近づくべく日ごと歩みつづけてきているようにおもえて
そういう将来への期待があるためにオデロを好こうとする自分を叱りつ
けてきた。しかしいまはこのオデロを相手にする以外どうにもならぬで
あろう。このオデロ・ヘンリークはあのガンブラスターの前で、ああい
う方法でエリシャのキスを要求し、それにエリシャは応えてしまったの
である。
161 :
動画直リン:03/06/03 02:04 ID:KcAQ8rVe
オデロの首すじの腕に力をこめ、唇をオデロに近づけ、その骨のように固い
耳たぶを咬み、好き、あなたが、とささやいた。それだけでオデロ、ただで
さえ女に馴れていない男が、むざんなばかりに欲情をたかぶらせてしまい、
息をあらくし、エリシャを組みふせ、おれもだ、エリシャ、と言い、たのむ、
おれと結婚してくれ。
「あとで」
と、エリシャは、冷静な調子でいった。
「あとで、とは?」
「いま言うわ、本物の大人の男性にね、あなたはならなくちゃ。それでね、
なる」
「なる」
ー妻に、とエリシャはためらいつついった。
オデロは即座に、
「じゃあ、それまで、お預けか」
といった。とてもそれまでガマンできないとオデロは正直な気持ちでいる。
おあずけよ。エリシャの声はちょっとつめたくなり、むりじゃないでしょう、
と平素の口調にもどった。それがむりだとおもうオデロ自身に問題があると
いうべきよ、なぜ男の人って体の触れ合いばかり求めたがるの、といった。
「ガマンするのか」
オデロはガンブラスターのビームサーベルをかざして跳び、クロノクルの
リグ・コンティオの攻撃をふり払ってその手もとにつけ入り、
ー俺たちの艦(ふね)を、落とさせるかぁ
と、叫びつつ攻撃した。ところがもう一機、べスパのMSコンティオがせま
り、オデロは危機に陥った。なんとかマーベットのV1の支援できりぬける
ことができたが、ともかくもこの段階では、リグ・コンティオのクロノクル
の本当の敵はここにはいない。さっさと離脱してカテジナのもとへ向かうク
ロノクルだった。
波動を直接浴びたカテジナ自身が思案し、ついになにがこの場合最善か
ということを覚(さと)った。
ー気持ちわるさの要因であるオデロを殺す。
のである。
(目ざわり)
と、カテジナはウーイッグのカテジナは嬢ちゃんをやってりゃいいんだ!!
とつきまとってきた目の前の邪魔者を、このとき消すことを考えた(中略)
カテジナは声をあげてどなり、貴様なぜ離れない、離れろ、とわめいた。
オデロは、最初は波動による事態のこのおもわぬ変化がのみこめず、カテジナ
のこういう狂態を不思議な心地でみていたが、しかしカテジナのゴトラタンの
ケリがコクピットにかまされ、ようやくわかった。
ー不幸なめぐりあわせだ。
ということが、である。
ところが妙なほど憤りが湧かない。それほどにオデロは疲れていたし、波動が
はげしく、身も心も自分のもののようではなかった。そこへ、不意討ちである。
カテジナは、勇奮した(中略)
斬った。
オデロのガンブラスターを、である。
さすがにこのときは、おのれの不覚にオデロはくやみながらも、
「ウッソ!時間稼ぎをしてやったんだからな!」
と、カテジナのゴトラタンにふっ飛ばされながら叫び、その声はとおく
ホワイトアークのエリシャにもとどいた。
直感だった。エリシャには感じられたのだ。オデロの最後が近いということを。
不意に様子がかわった。
身が、軽くなった。天へ飛んでいる。彼方まで飛んでゆくのかとおもうほど
のはやさで翔びにとんでいるのだが、これはオデロがこの世でやってのけた
最後の錯覚であるかもしれなかった。かれは爆発寸前の機体の中にいた。や
がてガンブラスターは爆発し、巨(おお)きな光と爆音をあげた。あとは魂
になり、しずかに召天しはじめた。
もう、あくせくと生きてあがかねばならぬ苦労というのは、
ーおわりか。
と、まだこの虚空を翔びつつあるオデロの意識のほうは、晴れやかにおもった。
あれほどあくせくと生きねばならなかった地上の頃の自分が、ふしぎでならなか
った。
その日は、木葉の散るのがたえない、冬もちかい日であった。
相変わらず、例の共同墓地のあたりでエリシャがすわり、手入れをしている。
十字架にかけていたペンダントを取り、懸命に笑顔をつくって墓に声をかけて
いる姿も、いつもとかわらない(中略)
オデロが、墓に立っている。
やがてしゃがみこみ、いろんな角度からエリシャの姿をみて、満足げな顔でほ
ほえんでいる。
むろん、エリシャにはみえない。
そこにいるのは、オデロの意識のほうである。体のほうはこのカサレリアの大地
よりずっと上空で消滅してしまいここにはない。
「エリシャさん」
と、オデロはやがていった。
「幸せに、暮らすんだぞ」
168 :
1:03/06/03 02:55 ID:???
このくらいで切りあげます
169 :
最高:03/06/04 05:09 ID:???
\(TдT )\(TдT )\(TдT )\(TдT )
あの最後のセリフを省いて
スマートなラブストーリーにまとめましたな
お見事であります。
171 :
1:03/06/04 21:05 ID:???
ストレートもよいかと・・・・
>>169-170 自分としては、最後の瞬間になぜエリシャの名を言わなかったかと思っていたり
しますが。
Vガンスレ(初見スレ過去ログ)でも話題になってたような気がしましたけど、どうだ
ったかな・・・
スレ違いになりますが、Vガンスレの住人さんの中にこのスレを見てくださってる(お気に入り?)
方がいたことに嬉しさを感じますた。
こうなると、あいまいである。
ジャマイカンは笑いだした。
「お前らは、夢をみたんじゃ。いかに手のふるえが止まらなくてもそのくらいの
記憶がないはずはない」
「しかし」
とモンシアがなにかいいかけると、ジャマイカンはおさえ、
「お前らは、当日、アル・ギザに乗艦し、そこから鎮圧のためにサイド1・30
バンチに出撃した。それだけの記憶があればよい。あとはいま、自分でやってわ
かったとおり、夢を見ちょったんじゃ」
「しかしG3注入によってコロニー住民が」
「そんな者は、どこにもおらん。その住民が立派な人間なら反抗運動を残党たち
と共謀してやったりはせん。ただしそれも夢の中」
ジャマイカンは、三人に、虐殺行為を正当化させるために、逆に自信を持たせよ
うとしているらしい。
「バスク大佐がジャブローより宇宙に戻られる。あとの処置はバスク大佐より直
々に聞くがいい」
この後、実戦部隊総指揮官バスク・オム大佐は、めずらしく風邪をひいて
臥していたため、ジャマイカン・ダニンガン少佐・参謀からのダイレクト
メールでこの3人の状況を知った。
「只今、大掃除、相済み候。然るに、アデル・ベイト・モンシア、かねて
評判通りの兵機(作戦感覚)能力在りせしも総帥閣下への忠誠無之(これ
なく)候へば、残念なことながら閑職に回すことに及び候。特に、モンシ
ア、厳重注意なる必要性を考慮する必要あり」
と、ジャミトフ・ハイマンへ報告している。
当時、反ティターンズの急先鋒であったブレックス・フォーラはいう。
かくして、われわれはティターンズの罪を公表し、正統なる手段に拠っ
て罪に服せしめることに完全に失敗した。もはや私はこれ以上民主活動の
みでティターンズ、ひいてはジャミトフの暴挙を抑制することは限界であ
ると思ったので、武力を用いる必要性を痛感し、スペースノイドの未来・
連邦政府のあやまちを正すための組織をつくるべくスウィート・ウォータ
ーへの帰途についた。
〜中略〜
事件の経過の壮大さは、のちに大きな反抗のエネルギーを、ブレックス以
下エゥーゴにあたえ、最終的にはティターンズ崩壊をもって幕切れとなった。
174 :
通常の名無しさんの3倍:03/06/04 21:33 ID:oOVEuejA
以上、筆者は、なるべく資料にもとづいてこの事件を綴(つづ)った。
そのほうが、虚構以上にグリプス以前のある時期と、そのなかで息づい
た人間を描きうるか、と思ったのである。
さらに三人のパイロットのその後の運命に触れると、ベルナルト・モンシア
は事件後他の二人とともに地球地区へ左遷され、グリプス戦役時にはハイザック・
アッシマー、バーザムと量産型MSに乗り、カラバと死闘を繰りひろげ、第一次ネ
オジオン抗争時に戦死したといわれる。親友のベイトは第一次ネオジオン抗争時に
ネオジオン側に投降、ハマーン戦死後は残党活動をし、シャアの叛乱時にはアクシズ
にとり付く味方機を傍観して見守り、叛乱終結後は軍籍を偽造してふたたび姑息にも
連邦軍の一員となり、宇宙世紀0100年のジオン共和国自治権消滅時における武装
解除部隊の一員として加わり、その後多額の年金をもらい退役、地球で余生を送った。
ベイトは変節といわれかねない栄達を得たが、アデルはティターンズ崩壊後連邦軍に
戻り、シャアの叛乱時はルナツー駐留のジムV部隊の小隊長をしていたが、ネオジオン
艦隊のだまし討ちのような艦隊攻撃に出撃する間もなくサラミス改級の中で消滅、ベイ
トのみが生きながらえる結果となった。
176 :
珍刻斎:03/06/06 03:07 ID:oIELd6+T
余談だがノアだけはガチだ。
山賀博之が重大とおもったのは、同人誌程度の内容にあの大物監督が庵野との
対談に応じるかということであった。かりにOKが出たとしても、もしかする
とあまりにも過激すぎる発言を連発して発行することすらできないかもしれな
い(中略)
「ただ富野監督への質問は、気をつけてしたほうがいい」
と言い、富野についての態度と姿勢を庵野に入れておいたのである。
庵野秀明はむしろ、
(監督へは、むしろ尊敬の心をもって接せねば失礼ではあるまいか)
とおもった。このガイナックス立ち上げの青年スタッフにはそういう所があっ
て、アニメーション界のカリスマ富野・宮崎の極端な信奉者であるだけでなく、
そんなアニメーション界の先達たちを疑ってかかるという精神の機能が、うま
れてよりアニメーションを知ってからわずかしか存在しないか、もしくはうま
く作動せず、従って業界に参入して以来つねに製作に楽天的で、つねに(後年
のかれとは別人のようだが)前向きでうしろをふりむくということをしなかった。
逆襲のシャアの頃の富野由悠季は、四十七歳である。
(わずかなメカの才能を鼻にかけた青二才があろうことか僕にとっておわった
はずのガンダムの同人誌をつくるらしい)
ということは、きいている。
アマチュアあがりというだけでも、逆襲のシャア製作時・採用段階でも不愉快
であったのに、さらに僕のナマの発言を僕の口から語らせようとするらしい、
ならばガンダムの同人誌などということなどおかまいなしに禁句を喋りまくっ
てやろう、とおもっていた。
本気であった。が、かれのおかしさは、やはり同人誌程度の内容でもきちんと
本音を主張してしまっているところであろう。
富野由悠季はやせ型で生真面目な喋りのうまくない男で、この頃みるからに禿
頭が進行していた(中略)
これだけ職人気質のつよい頑迷な感じの男でありながら、かれがやった功績と
いうのは当時19歳であった庵野秀明が衝撃をうけたほどに大きく、それだけ
の巨大なガンダムをうみだしただけでなく、宗教的テーゼをSFと融合させた
イデオン、躍動感溢れる動きのおもしろさを追求したザブングルを生み、さら
に西洋ヒロイックファンタジーのヒットを予見し(なんとドラクエ・FFシリ
ーズよりもはやく)将来を見すえて今川・永野といったスタッフの育成、また
川村や大塚、島津冴子といった若手声優の抜擢にも力をいれ、まさに宮崎と並
ぶ(当時はやや上回った存在だった)大物となっていた、のだが、才はありコ
ンテマンとしても演出家としてもすぐれていたがアニメ屋サラリーマンとして
の域を出ることができず、SM・実写映画を好みながらその趣向を個人的趣味
やインタビューでしか表現しようとしなかった。
ただヒットをとばすことができないという理由だけでサンライズにガンダムの
続編を作らされているのである。
逆襲のシャア製作時、製作スタジオにおいて、
「庵野君。−」
と甲高く、そしてひき裂くような声で名をよぶ監督がいた。庵野秀明が謙虚な態度
で返事をし、デザインをもってゆくと、納得すれば声は沈黙する。かさねて御用で
ございましょうか、といってもだまっている。やがて戻り、忘れたころに、
「庵野君っ」
と甲高くよぶ。庵野秀明が再び返事をし、デザインをもって慇懃(いんぎん)に用
を問うたが、声はデザインをみてそのまま沈黙で酬いた。メカデザイン決定までの
日、これが日に十度ばかりあって、秀明はさすがに表情が茫となった。この青年は
いままでどういう製作環境にあっても自分の仕事場所を自分の思うなりの明色にき
らきらと変えてしまうというふしぎな神経と才能をもっていたが、この名前呼ばれ
の責めには参ったようであった。
庵野秀明は、同スタッフのデザイナーとはすぐ親しくなった。
デザイナーの男は「デザイナー歴10年、出渕裕」という人物で、この人物に
ついては秀明は同志山賀博之へ「この人、戦隊シリーズのモンスターデザイン、
ブチメカ(注・ヤラレメカをさす)の凄腕。その人となりはデザイナーの鑑で
あり、いかなるゆえにて富野さんのもとに参加していらっしゃるのか、ただ一個
のメカデザインの才にあふれていて演出の才はおそらくなさそうです」と言って
いる。その出渕にきくと、
「あれか、あれが富野総監督だ、あれがあの人のやり方だ、神の声と思って気を
引き締めて真剣にデザインに取り組めばいい」
と、出渕はにべもなく答えた。同スタッフのひとびとは皆出渕のいう「神」に叱
責をくらったという連中が多く(北爪宏幸を思い出していただくのがもっともわ
かりやすい)出渕もそのようだった。
神の声と思えと出渕はいったが、なるほどそうかもしれなかった。富野は眼光は
修羅のように熱く、さらにはおのれと他人とのあいだにも封建の主従関係のよう
な態度を構えている男だが、人を恋しがる心情はあるらしく、しかしそのうまい
表現方法をもたなかった。つい、神のような威厳を発する。ことに有望なスタッ
フは将来の業界を背負う人材として常に人手不足なアニメーション界においては
稀有であった。富野にすれば庵野秀明に、汝は書け、僕のもとに僕をあっといわ
せる設定やデザインをもってこいと要求しているつもりであった。同時に、富野
は、スタジオぬえの河森正治(シナリオライター松崎健一をとおしてのことだが)
から庵野秀明がガイナックスきってのメカニカルスタッフであることをきかされ
ていた。デザインは宮武一貴や永野護をしのぐかもしれない、ともきいた。さら
に篤実な人間であるともきいた。篤実はどうでもよかったが、メカニックの才と
いう一点で怫然とした(中略)
なんといっても同時代の宮崎をアっといわせたメカデザイン・作画(巨人兵)を
した男が、自ら逆襲のシャア製作に加わってきたのである。が、富野は頼もしい
というような言葉は、安彦良和が去ったあとどうのど笛をひろげても出て来るよ
うな男ではなく、ただ「庵野君」とメガホンで叫ぶような声を出し、出すことに
よって当の庵野秀明がどう動くか、動かぬなら動くまで響かせてどういう音(ね)
をあげるか聞いてみたいと思ったのである。
「富野由悠季は、庵野秀明に屈服した」
と、かつてエヴァ信者たちがつくりあげた伝説でいわれたことがあったが、
あきらかに違っている。秀明は富野を従え、思想をまるで自分がつくりだし
たなどと公言するような、そういう不逞な男ではなかった。
かれはのちに実写映画「ラブ&ポップ」を撮るときにおいても、
「富野さんの思想を継承できるほど自分は優秀ではない。だから自分はエヴァ
で明らかにイデオンを越えたとはおもっていないし、新しい発見をするために
実写の方向に進んだのだ」という態度を本心からとっていた人物で、人間が当
然持っていい疑心や私情というものをかれは気の毒なほど、もしくは不具とい
えるほどに富野に対して持っていなかった。そういう秀明が富野を従わせるこ
とができるはずがなかった。まして相手は、自分の少年のころより、業界で手
塚治虫のもと「虫プロ」の諸作品の演出を手がけ、秀明が学生のころには絵コ
ンテ千本切りの敏腕家として(新田修介・阿佐みなみなどのペンネームも用い
ている)業界きってのベテランだった男で、しかもそれがかれの履歴となって
いる男だった。じつは逆に、終始一貫して秀明のほうが富野の弟子である姿勢
をとったのである。
184 :
通常の名無しさんの3倍:03/06/07 22:39 ID:PqpKFO5M
保守
時代は動いている。
が、二十歳のシャアだけはうごいていない、といえた。
この時期、シャアはMSザクに夢中になっていた。MSの操縦がおもしろくて
たまらない。機動兵器がわかりはじめた盛りの時期、といっていいだろう。
(天下国家を論ずるなどは、ガルマのような才物にまかせておくんじゃ)
そう思っている。
ただ富野ひとりが、
「庵野秀明は無能者である」
と、けちをつけつづけた。
「秀明は小僧だ、なにも知らぬのだ、知らぬからアニメをやるのだ」
と、しきりにいうのである。つまり、「パロディは諸刃の剣で、それを企画に
乗せ製作している集団はみな潰れる」という日本アニメーション業界のあいだ
の伝説を、富野にすれば、庵野秀明は知らぬ、知らぬからスタッフとして玄人
ではない、という。
筋の通ったスタッフというものは「パロディ」をやらぬのだ。庵野秀明は素人
だ、と言いつづけるのである。
「私は未熟者にすぎませんから」
と、秀明は正直にみとめ、「私にはまだアニメーション製作の本質がわかりま
せん」といって、暗に「本質」を好む富野さんこそ業界の大御所です、とも富
野にはうけとれるように言った。
M・Kさんの「キスハール近衛将校の最後」は、「別冊ブンゲイシュンジュウ」に
分載された。載っているとき、私ははじめはなにげなしに読みはじめて、やがて読む
ことに熱中してしまった読者の一人である。
主人公のキスハールというザンスカール近衛将校は、ザンスカール帝国というわずか
5年足らずの歴史が、エンジェル・ハイロゥを軸とする大崩壊によって無数のサイド
2・スペースノイドの運命を引き裂きつつ旋回したなかにあって、悲鳴ひとつあげず
に歯車に切りきざまれてしまったうちの一人である。主人公は、エンジェル・ハイロゥ
近辺にいた。このギロチンによって成立した宗教帝国はマリア・カガチの死と浄化作戦
失敗によって消滅するのだが、その帝国にいたなま身のスペースノイドたちのうちに、
たれ一人として数奇な運命をたどらなかった人はいない。
べスパはすでに多数の士官をうしなっていたが、わずかに生き残っていた
女王に絶対忠誠をちかう近衛将校のなかにキスハール近衛将校もまじって
いた。かれは当時自分の教え子だったカリンガと仲むつまじく、近衛師団
専用のカスタムMS、リグ・シャッコー部隊の隊長をつとめており、同じ
部隊であったカリンガに気恥ずかしくなるくらい実直すぎる告白をするの
である。リガ・ミリティアの部隊との接触で、主人公はウッソたちの捕虜
となった。そのあと信じがたいような結末となって宇宙からカリンガとも
ども姿を消すのだが、Mさんはこの実直な近衛一将校の生死のなぞに執拗
にせまってその真相を解きあかそうとしているのである。
少女時代のMさんは、その収容コロニーではじめてキスハール近衛将校
に遭うのである。キスハールさんは同僚将校のM・Yらとノーマルスーツ
姿でここへ来ていた。
キスハール近衛将校は少女の今後を危ぶまれたらしく、M・Yさんにこういう
ところにいてはいけないといって本国へ連れて帰り、官舎に泊めた。Mさんに
とってキスハール近衛将校のそのやさしさが、本国アメリアの風景とともに生
涯の思い出になったようで、二十数年後にキスハール近衛将校の生死について
このような執拗な追求をする契機になったかのようであった。
この人の全体印象には一種の神秘性とえもいえぬ優しさがあったように
思われる。Mさんもみじかい時間での接触ながら好印象をもたれたらし
いことは、この作品によく出ている。
以上のように、Mさんの「キスハール近衛将校の最後」における主人公
は、単にある時期の無数のスペースノイドのひとりというだけで、世間
周知の存在でもなんでもない。ただその程度の人が、ある状況下に置か
れた場合にどう動き、どう動かされたかという、人間の重大な課題にむ
かって、たとえば岩間の多くの細流を集めて岩壁から滝壷に水流を落と
しこむように書かれている。
人間は人間とのかかわりによって例外なく衰弱し、例外なく殺される。
日常の場合もそうだが、キスハール近衛将校が置かれた非日常的な場に
あってはこの緩慢な現象が、高いボルテージの電流の流れる実験装置の
なかのような激しさでもって見ることが出来る。
Mさんの執筆の動機は、おそらくご自分の青春の追慕というような甘い
ものであったであろう。しかしそれが作品にされたときはその甘さが最
初の一行から消えており、過去の人間と人生のストーリーが、容赦もな
い実験室で再現され、それを見せられるわれわれは、ときに本を伏せた
くなるほどの苛烈な光景に堪えねばならなかった。現実に対するこのど
すの利いた態度というのは、数年後大人になって、治安のよくない荒涼
とした内壁のなかで宗教帝国のなごりの場所をひとりで訪ねようとした
この人の勇気と一つのものであるのかもしれない。
193 :
1:03/06/08 22:38 ID:???
また明日にでも。
面白いよなぁ
こういう場合の好色は、なんというべきなのであろう。デギンは閨(ねや)のこと
を好み、かれの閨にはつねに婦人がいた。驚嘆すべきことであったが、かれは死ぬ
まで婦人を閨にはべらさずに寝ることはまずなかった(中略)
かれは健康にひびくかとわれながら不安に思うほどに閨房のことを愛したが、しか
しかれは好色という華やかな言葉にはあたいしないであろう。かれは日に日にめし
を食うようにして婦人に接しつづけただけのことであり、好色というものではなか
った。
まして漁色という、つねに美しい幻想を追いもとめる精神の弾みもなければ、淫蕩
という心の腐食もあるわけではない。
他に例をもとめると、ジオン・ダイクンは女性の内面をも含めた美しさを追いもと
め、妻は一人だけだが溺愛した。さらにはシャア・アズナブルは少女好きであった(中略)
とにかく、デギンはそういうたぐいの好色家であった。
この男は、「武」の棟梁として数代目になる。
歴史書を読み、酒を飲み、大酔すると、宮殿の外にとびだし、ころげまわって
日本刀をぬき、おさめ、ふたたび抜き、
「軍事演習ばかりではくだらぬ。いっそ大規模な騒乱がおこらぬものか」
と、うめくようにいった。封印された黒歴史の残党たちのように乱を待ってい
る。できれば地球文明をつつみこんだという月光蝶のような騒乱こそ起これか
しと悲願のように念じていた。「起これば、ギンガナム隊の強悍(きょうかん)
を率いて地球に打って出、新武功をあらわし、2500年の鬱壊を晴らしてみ
せる」といった。
197 :
項羽と劉邦(「虞姫」より):03/06/10 21:51 ID:TtMOp3JR
とくにジュドーがわずらわしかった。
−いったい、ジュドーとはなんだ。
と、ラカンはデスクをたたいてうめいたことがある。シャングリラコロニーのジャンク屋だった男ではないか。
若い頃はシャングリラのゴミ捨て場で炭のようになって鉄くずを拾って暮らし、長じてはMSを盗んで売り飛ばそうという盗賊になった。
うわ、ごめん、ageちまった。
199 :
1:03/06/10 21:59 ID:???
あと数日・・・・一区切りつけないと。
>>198 かまいませんよ。
日本アニメーション史に「ガンダムへの傾斜」がある。アメリカ人のアニメファンで、
日本アニメーションに興味をもっている人が、
「どうしてそんなことになったのか」
と、否定的な表情で私にきいたことがある。
‘どうして‘というのを考えるには紙数が要るから、ここではのべない。
ただ、いきさつだけをのべる。
日本アニメーションは、周知のように、二十世紀もなかばごろに、アメリカ文明
から受容した(むろんそれだけではなく、原型とよべるものは手塚治虫や東映大型
アニメーション(安寿と厨子王丸など)以前にも多くうかがえるが)
それも国家レベルの支援や本格的な大衆支持による進化ではなく、個人それぞれの
意志によって発展した。むろん戦中には「桃太郎・海の神兵」に代表されるような
軍部のプロパガンダ映画として製作されることもあった。産業としての認知もされ
ておらず、いかなる選択も子供向け、あるいはそれ以下という風潮のなかでそれぞ
れの日本人が発展のために精魂をかたむけた。
「虫プロや東映の作品はほとんどがアトムやキャシャーン、名作劇場に代表される
ものがほとんどだったではないか。なぜその流れをサンライズ(注・当時は日本サ
ンライズ)はロボット物のジャンルを「ガンダムの系統」で統一しようとしたのか」
という問いについては、ごく単純にいえば、サンライズが初の自社企画作品「ザン
ボット3」をつくってわずか2年後に、ガンダムがヤマトを上回る大ヒットをして
しまったことが大きい。
当時のファンや日本サンライズの上層部、子供から大人まで、リアルに巨大すぎるム
ーブメントを経験してしまった。
かれらはガンダムの従来になかったリアルロボット物としてのすごさと、モビルスーツ
のプラモデルの莫大な興行収入を見、ヤマトやそれ以前の超合金おもちゃの売り上げの
対比もした。その上、ガンダムの総監督富野はこのヒットを基礎にして、自らの自信を
つよめアニメーション界の巨人となり、サンライズを一流会社にしたて、そのリアルロ
ボットの系譜をさらに高めるべく、イデオン・ザブングルといった作品をつくった。
ほんの数年前、下請け会社として出発した日本サンライズの経営者にとって、つよい感
情移入を持ったことはいうまでもない。
ガンダムについては、ひいきというよりも、安定できるという安堵感だったろう(中略)
いわばわが身の毎日を食っていけるという生活にひきよせて共感した。
昭和60年のパート2・Zガンダムのときには、サンライズはまったくガンダム式
になってしまっていた。
ガンダム式のリアルロボットの発想が、さきの装甲騎兵ボトムズや銀河漂流バイファム
において有効だったということで、いよいよガンダムというブランドへの傾斜がすすん
だ。
プラモ展開や内容、あるいは書籍も同様だった。
やがてOVA期に入って、サンライズの経営者のものの考え方が、創成期のスタッフに
くらべ、はるかにガンダム色が濃くなった。
創成期の虫プロながれのスタッフには思考法に経験主義がたっぷり入っていたし、アニ
メーションを客観視する能力も、また比較するやり方も身についていた。要するに、か
れらはすぐれた虫プロの遺産だった。
これにひきかえ、ZからOVAのころのサンライズ経営者は、あたかも自分たちが
サンライズを成功させたかのような自己中心で、独楽(こま)のように論理だけが
旋回し、まわりに目をむけるということをしなかった。
「どうして?」
と、冒頭のアメリカのアニメファンがふしぎがるには、当然といっていい。同国人
の私でさえ、この当時をふりかえると、「なぜ」と叫びたくなるほどである。
以上は、アニメーション文化の罪ということでは一切ない。
ガンダム後の富野作品のヒットをよべなかった罪でもなかった。
いえることは、ただ一種類のジャンルにすがりつけば当然、アニメーション文化全
体のレベルダウンにつながるということである。そういう信者たちに権力を握られ
るとどうなるかは、富野のVガン以降のダウンと、ブレン・∀までの詳細が雄弁に
物語っている。
富野は晩年もパロディをいっさいやらず、
「庵野や他のスタッフはパロディやオマージュを好んだが、パロディは個性を
乱れさせる代物だ」
と言い、人にはいっさい講義しなかった。
ここで富野がいう個性とは演出上まもるべき倫理観・自分らしさとでもいうべ
きもので、たとえば経験を重ねれば重ねただけの自己、考えたなら考えただけ
の自己を表現すべしということであった。富野こそありすぎる個性を抑えがた
い男であったが、しかし富野にすれば「アニメーションの伝統ではパロディは
アニメーションそのものを乱れさせるもととなっている」という従来どおりの
方法論・知識がかれの誇りであった。
製作や対談で富野に接しているとき、庵野秀明は虹のようにうつくしい幻想を
富野の上にえがいた。このことは秀明の終生の美徳ともいうべき癖であった。
かれはその中で富野を卓抜したカリスマと見た。ある種の幻想ではあったが、
しかし秀明のこういう懸命で熱狂的な幻想というのは、宮崎に対するものと等
価値の尊敬であり、偽らざるべきものでは決してなかったが、しかし相手が富
野由悠季では秀明の力ー作品にこめられる毒といったほうがいいーでは歯が立
たなかったといえるかもしれない。
209 :
1:03/06/11 22:58 ID:???
書き込み少なくなりましたね。
今日は疲れてるんで、明日にします。
長らくお待たせしました>1さん
誰も待ってねぇ、とは思うが。
じつはちょいとPC環境がいかれちまって、ここ見られなかったんだ
もうしわけねぇ
血風録より抜粋(虎徹
再開します
いや、落ちが思いつかなかったんじゃないってば
ただ、ちょっとした公約違反・はさせていただくかも
宇宙でティターンズを結成して間もないころ、極東から斎藤一が駆けつけてきて、
加盟した。
斎藤は早くから近藤の基地に出入りして訓練をしたり、戦技競技会の代理人とし
て出場したりして、近藤とは縁も深く、近藤も、沖田のような直門同然に可愛がっ
てきた。
腕は、恐ろしいほど立った。父が播州明石松平をリストラされたから、明石ゲリ
ラと賞している
212 :
通常の名無しさんの3倍:03/06/12 20:52 ID:h9CkJIZf
面白い。
214 :
1:03/06/12 21:33 ID:???
>>94さん
お〜!お帰りなさい。これはどうもご丁寧に。
いえいえ、オチは私も書いていく過程で考えていったりするもんですから・・
堅苦しいことは抜きにして、マターリやりましょう。
といっても全部は見られないかも。引越し先がネットができる環境じゃないもん
ですから、書き込みが日曜までしかできなくなってしまうのです。
復帰は来年の一月か二月くらいを予定していますが、残念・・・・
>公約違反
かまいませんよ。オッケーです。
見るだけなら、ネットカフェでも有効なんですが・・・・
富野が天性のアニメ屋であることは、残酷な描写やシビアな表現が巧みであること
もその証拠のひとつだった。こういう言い方は多分に偏見をもっているとおもわれ
るおそれがあるが、アニメーションというのは頭からうそを描く(元々が虚構で成
り立っているゆえに)詐欺漢の心情をもってつくってゆけば、多少の表現力やコン
テを切れる才能のもちぬしなら水準にちかい作品が仕組みあがってゆくというふし
ぎな芸術的分野である(中略)
日常の生きた現実の風景でも言葉でもなく、ありえない二次元社会の再現をアニメ
ーションにおいては再現するため、そこにシナリオライターやコンテマンの本音や
良心、原作者の心情を当人でさえ気づかぬほどの自然さで麻痺させることができる
という都合のいい断絶が生じる。あとは虚構の技術である。先人のつくったお約束
的フレーズやマニア的専門用語をモザイクのようにあてはめてゆけば激情をうたい
あげた憂慮蓋世の社会派作品もできるし、世間を嫌厭して自然に帰りたいという清
狂の作品もできる。
前哨戦というべき艦隊戦が展開されつつあったが、いっこうに状況はよくならない。
あろうことかエンジェル・ハイロゥの中心となるべきマリア自身が完璧に性能を発揮
しうる存在ではないということが稼動実験からわかり、カガチは考えこんだ。マリア
の代わりとなるべき存在など簡単に見つけられるものではない。
こういう情勢下ではあったがその波動の効果は徐々に地球をつつみ、効果を出しつつ
あった。そこへ思いもよらぬ男が前線から舞い戻ってきたのである(中略)
その玉座の前で、タシロ・ヴァゴ大佐が女王マリア擁護と己の弁明のためにカガチに
激論しはじめ、ついに拳銃をカガチの顔面につきつけ、
「あのとき、リガ・ミリティアの抵抗がなければ自分は確実にギロチンにかけられて
いた」
と言い放った。
キールーム、ついに女王マリアを人質にとったタシロの狂気に圧伏された。このまま
タシロの暴走にまかせればついにカガチの作品である「人類浄化」は成らないであろ
う(中略)
タシロの暴挙で蹂躙されたエンジェル・ハイロゥは、その中心となるべきマリアが人
質にとられたことで一旦停止したが、その間、カガチは絶妙な代わりとなりうるマリ
アの娘シャクティに会い、左目モノアイをぶきみに光らせながら、
「エンジェル・ハイロゥが本格的に起動することができれば、タシロのもとで人質と
なっている母君のマリア様のみならず全ての不穏の事態を収めることが可能となりま
しょう。私にはわかります。姫様こそ、全ての人類を安寧に導けるお方であられるこ
とを」
と、そのキールームでの祈りをほのめかした(略)
マリアの代理となりうるのはついにこのシャクティ以外にない、とカガチは覚悟した
のである。
218 :
1:03/06/12 22:15 ID:???
このくらいで。
(斎藤一は入隊後またたくうちに隊中屈指の使い手となり、30バンチ事件後は第3中隊長
となって、ティターンズの戦闘のほとんどに参加している
近藤の死後は土方歳三に従って宇宙を転戦し、ペズンまで行き、敗勢確実となるや土方に
説得され、脱出、戦後も長く存命した。戦後は山口五郎と改名して、ロンド・ベルに参加している)
この斎藤が若いくせにMSに目が利き、暇さえあればジャンクを漁っている。
隊員のなかでも
-斎藤さん、次はあたしですよ
などと、掘り出しを依頼しているくらいだった。
近藤はめずらしく上機嫌で斎藤を自室に呼び
「パイロットはやはりMSだな。働きも違うし、ときには生死の運にもかかわる」
と、例のガンダムを見せた。横に、メカニックが来ている。整備に出すつもりらし
い。
「ははあ、それが隊中でも評判のガンダムですか」
「ふむ」
近藤が微笑している
「見てもいいよ」
「拝見」
(中略)
「見事なものですな」
正直な気持ちだった。操縦桿を握っていると重みが快く散って、ぞくぞくするほど
使い心地がよさそうである
「どうだ」
「結構の二字につきます」
「やはり、ガンダムはいい」
「しかし先生」
斎藤はいたずらっぽく笑って
「これはガンダムではありませんぜ」
「ふむ?」
近藤はぎょろりと目をむいた。
「もう一度いってみろ」
「申せとおっしゃれば何度でも申しますが、拙者の目から見て、これはガンダムではない
似ても似つかぬものです。ガンダムの識別は素人でもちょっと心得ればわかるもので、ここに」
とヘッド・モジュールを指差し
「V型ツイン・アンテナとツインカメラが装備されているはずです。もっとも、現地改修型や試作機、
ニューギニア製の量産タイプには、そうじゃないのもありますが」
「わかっている。これはニューギニア製だ。」
近藤は、苦い顔で言った。無論そういう知識ははじめてである。
「いや、そうでもありませんよ。まるきり違うものだ」
「なんだというのだ」
「拙者の見るところ、最近の設計で、アクシズ製AMX-107バウですな」
ども、わかりにくいネタで申し訳ない
>>93から読み返していただけると、ちょっとわかりやすいかも
虎徹候補は、正直迷いましたねぇ・・・・・・
この虎徹ってはなし、近藤局長が虎徹だと思ってた刀が実は、尊攘派が愛好している
ブランドの刀だったんでどうしよう、て話なんですが・・・
それを、グリプス戦役前後のMSにあてはめるってぇと・・・
最初はゲルググ案もあったんです。サーベル、シールド、ライフルと3種もってる、ってことで。
でもねぇ・・サーベルじゃなくてナギナタだもんなぁ<MS-14
リック.ディアスも考えました。γ・ガンダム、てくらいですから。でも、むしろ
あからさまにドムなフォルムに大型モノアイじゃ、さすがの近藤さんもガンダム
とは思わないでしょう。ドムとは思うでしょうが。
百式が有力候補だったんですが・・・・・あんまりガンダムと大差ないデザインで
そのうえ、別名δガンダムっしょ?
そんなわけで、バウにしてみました。
えぇ、首がモノアイなだけで、肩から胴体、つま先までまんまガンダムなフォルム
ぢゃないですか♪そのうえ、(なんらかの技術譲渡は大いにあったと思われるものの
べつに、あれガンダムじゃないんですよ。すくなくとも、ナントカ・ガンダムってよ
ばれたとされる資料はないんですよ。
それでですね、斎藤さんが「ニューギニア製量産型」っていったのは・・・・
バーザムです。
あれって、MK−Uの量産型っていう設定ですからね。おなじモノアイだから、そこで
近藤さんがまちがえた、と。
陸戦GMも買えない値段でバウが買えるっていう、このネタの最大の謎はほっといてください♪
新撰組を下敷にしてセンチネルができてる訳で、司馬風味センチネルというのも一興かも。
んー、これはさすがに外れすぎかなと思わないでもないんだが、ごめんね。
タケダ で、コヤマさんがね、最初の方はね、俺に割と同調してくれたんだけど、中盤ぐらいからね、「誰一人悪党にしないぞ」って言い出して(笑)
コヤマ いやいや、そんな(笑)。俺は、ジオン側の人間の気持ちもわかるしね。デラーズフリートも大好きだし、ランバ・ラルだって魅力あるし、みなさん魅力あるんですよね。
タケダ 何度、コヤマさんに直訴してもダメでした(笑)。簡単なんです、物語を割と乱暴に持っていくというかダイナミックに持っていくのは。にっくき○○を二、三人つくればね、盛り上がるんですわ。
コヤマ そうそう。
タケダ それはもう全部、コヤマさんから却下されたのが事実ですね。結局、最後はギレン・ザビでさえもね。
(略)
コヤマ で、シバさんが、ホワイトベースへの乗り込みから始めてるから、そこまでの物語をやろうって。でもやっぱやってくとね、この主人公は激動の中にあってこそ生きる主人公ってことがわかってきてね、もっと先へ行きたくなっちゃったんですよね。
タケダ 何事もこう、パートだけでこなせる人じゃないですよね、アムロは。
コヤマ そうなんですよね。結局、ただの機械好きの少年のコロニーを舞台のドラマに――というより、やっぱりアムロは激動にあってこそ光るんですよね。
タケダ 俺はさ、十八歳ぐらいから『アムロがゆく』読んで、まあシバさんには太刀打ちできないんで、アムロの話するんだったら、じゃあ解釈だっていうのがあってね。
226 :
通常の名無しさんの3倍:03/06/14 23:41 ID:68ufqVVk
保守
227 :
1:03/06/15 13:46 ID:???
>>94 バウできましたか。龍飛の表記のほうがいいかと思ったり。
この際、細かい設定などいいっこなしでいきましょう。
>斉藤〜バーザム
これは(・∀・)イイ!
明日をもってネットができなくなるので、ネタの書き込みはできませんが
完結期待してますよ。
>>224 「おお大砲」がセンチネルに合いそうなんですが、センチネルは無知な漏れ・・・
>>225 !
こういうの待ってましたよ!これぞ醍醐味というもんです!
関連してるならなんでもありと。
むろん、この通例は天才においては通らない。たとえば手塚治虫のように本音を
みごとに完成したアニメーションにすることができた人物も多くいたが、元来が
その人物と無縁のいかがわしい作品が粗製濫造された。幸福を追求したり、古代
ロマンに絡めた作品ならその型をたくみに模倣する者が、ときに時代ごとのアニ
メファンを驚嘆させ、その人物の本質であるというぐあいに錯覚された。秀明は
アニメファンだったために、アニメーションのとくにメカニックシーンを描く才
能があったのに、キャラクター描写はかならずしも巧みではなく、むしろ巧みで
ないところに秀明のアニメファンとしての趣向ー1番好きなもの・得意としてい
るもののみを表現するーが露呈しているということがいえるのだが、ところが富
野由悠季は秀明を驚倒させた(富野からすれば失敗作としかおもえないのだが)
ほどにレベルの高いガンダムの続編・逆襲のシャア(劇場版)をつくった。
「こういうシナリオができた」
といって富野が自ら書いた逆襲のシャアの脚本を秀明にみせたとき、若い庵野
秀明はふるえるほどの感動をおぼえた。
富野のシナリオをここに写すのは煩わしいが、たとえばその個人的な痴話喧嘩
の台詞ひとつをみても、もし富野を知らない人がみれば、個人的感情と執着に
こだわる男同士の戦わざるをえない性の姿をそこに見出すにちがいない。
抜粋すると、
シャア「世界は、人間のエゴ全部を飲み込めやしない」
アムロ「人間の知恵はそんなもんだって乗りこえられる」
シャア「ならば、今すぐ愚民どもすべてに英知をさずけてみせろ」
と、劇中のシャアとアムロが互いの考えの差異、ララァの因縁といった要因を
からめながら対立し争う。正確には富野の本音がどちらにあるかということで
はなく、両者それぞれの台詞がかれの本音なのである。
シャア「命が惜しかったら貴様にサイコ・フレームの情報など与えるものか」
アムロ「なんだと?」
シャア「情けないMSと戦って勝つ意味があるのか?しかし、これはナンセンスだ」
アムロ「馬鹿にして。そうやって貴様は、永遠に他人を見下すことしかしないんだ」
アムロ「そうか・・・だからか。貴様はクェスをマシーンとして扱って」
シャア「そうか。クェスは父親を求めていたのか。それを私は迷惑に感じて、クェス
をマシーンにしたのだな」
アムロ「貴様という男が、なんと器量の小さい」
シャア「ララァ・スンは、私の母になってくれるかもしれなかった女性だ。そのララァ
を殺した貴様にいえたことか」
アムロ「お母さん!?ララァが?うわっ」
庵野秀明は逆襲のシャアとほぼ同時期、オマージュあふれる「トップをねらえ!」
にて、岡田斗司夫に押しつけられるようにクライマックスの仕上げをさせられるこ
とになった。
といっても、引用とファンによるお祭りを再現するだけであることに変わりはなく、
意識的にはーアニメファンとして一応すっきりするケリをつけただけである(略)
つづく「ふしぎの海のナディア」でもかれはこの路線をつらぬいたのだが、かれが
ナディアで悟ってしまったことは、いったい自分は監督として、原作者として、ア
ニメーションでなにを表現し、なにを得たいのかという問いであった。
ひとつ思い立てば、秀明は病的なほどに執拗であった。
かれは自分の方向性を見出し、表現者としてのヒントを得るため新しいテレビ
シリーズを作ろうとしていた富野由悠季のもとで仕事をしようとし、名義はガ
イナックスのままであるが、Vガンダムにおいて発見しようとした。
秀明は「王立宇宙軍・オネアミスの翼」にて本格的にタッグを組んだ同僚のキャ
ラクターデザイナー貞本義行をこのVガン製作の協力者にするために働きかけた
が、そのなかでVガンのキャラクター設定集の初期稿を見せている。特にシュラ
ク隊やカテジナの設定は庵野にとっても貞本にとっても衝撃であった。
庵野はこのVガンダムに感動して、
「これほどの業のあふれる作品が他にあっただろうか。富野さんは当世観ること
稀なる才人である。しかし惜しいかな、クロノクルの掘りさげが少し足りなかっ
たかと」
と貞本にいっている(貞本も同じ気持でいたようだが)「当世観ること稀」とい
うのはいかにも誇大な表現だが、人間というものに大感動を発するのはこの30
代になった秀明の特徴であった(略)
ただ秀明は富野の鬱症状は感づいていた。しかしそれをも美化しようとした衝動
が、のちにガイナックスで企画した富野への一つの表現方法ーエヴァ企画時ーに
よくあらわれている。
233 :
1:03/06/15 14:43 ID:???
今日中に一応のケリはつけます。では。
祈りの再開後、ガチ党スタッフは驚嘆した。
カガチの読みが、見事にあたった。0153年6月20日からおこなわれたこの
エンジェル・ハイロゥ再起動はマリア以上の効果を近辺空域はおろか地球全体に
及ぼし、タシロのマリア強奪がまるで功をそうしたかのように、カガチの独断場
で終始していった。
リガ・ミリティアと連邦の連合艦隊はともに南天に精鋭を投入、リーンホースjr
とホワイトアークがすすみ、それが全面に展開するムッターマ・ズガン艦隊と激突
しようとし、大挙エンジェル・ハイロゥへむけてうごきだしたのは6月21日であ
る(中略)
エンジェル・ハイロゥを守るべスパの主力軍は連合艦隊を迎えうつべく展開したが、
その数・質は圧倒的にムバラクの主力艦隊をうわまわっており、事実ムッターマから
みればとるにたらない数であった。
これが、カガチがにぎる帝国軍のすべてであったが、カガチ自身、よもや負けるはずが
ないとおもっている。
最終的には、エンジェル・ハイロゥを地球に降ろし、人類を原始以前の
状態にー退行化ーさせる。争いをくりかえす愚かな人類に愛想をつかした
カガチの執念ともいえる作戦であったが、しかしこれほどうってつけの
少女が他にあるだろうかと、カガチはキールームのシャクティを見なが
らおもう。あのマリアでさえ、女としての業を乗りこえられず、純粋な
聖女にはなれなかった。清らかな少女こそ大人の女よりも適役であり、
これからの人類の正しい在りようなのである。世の中を導いてゆくもの
は、シャクティ・カリン、あの娘なのだ。私の目にくるいはなかった。
と、つい別のことが頭にうかんだ。ことが終わってからのことである。
クロノクルだ、クロノクルをどうするか。
これほどの力を持つシャクティを秘匿しておいた罪は重い。ましてや、
生かしておいては女王の弟であるという血脈を利用して、おもわぬ障害
となるやもしれぬ。
「やはり・・・クロノクルも浄化せねばなるまいか」
このことはのちに運命的に的中するが、カガチ自身どのような運命になる
かまでは想像すらしていない。木星帰り特有の、自信がそうさせるのだろ
うか。
この22日、大挙して連合軍艦隊が攻撃を開始し両軍の砲声・爆音がひびきわたり、
いくつもの光が宇宙にかがやいた。
連邦艦隊総司令ムバラク・スターン大将は、V2のウッソの力を信じ、シュバッテン
への艦砲射撃を禁じた。まぎれもなくかつてのニュータイプの感覚をこの老提督はそ
なえていた。
V2のウッソはマリアが捕らわれているシュバッテンと接触したが、マリアのとっさ
の行動に狼狽したタシロ・ヴァゴは背後からマリアを射殺、衝撃は光景をみていたウ
ッソのみならず、エンジェル・ハイロゥの中心部にいたシャクティにも伝わった。
「んん、なんだ?姫様に異常か?」
外からの干渉波が影響しているときいたカガチはふと、感受性がつよすぎるのだなと
おもった。マリアの死はカガチには感じ取れなかったのだろう。
そんな過去のことよりも、カガチにとっては目の前の現実こそがはるかに重要だった。
V2のウッソがシュバッテンともどもマリアを丁重に葬ったことに安堵したシャクティ
はその清らかな祈りを再開した。
「戦いが、また戦争が、人をたかぶらせています」
目をとじ、手をあわせ、サイキッカーたちに訴える。
「選ばれた人々よ。祈りを深めて、周囲の粗ぶる心を鎮めましょう。みなさまが祈り、
念じればそれは力になります」
この祈りに反応したのか、カルルマン・ドゥガートゥスはウッソの前で、シャクティが
エンジェル・ハイロゥにいることをおしえている。
赤子にとって、波動はとても気持ちのいいものだったようだ。
地球に降下しゆくエンジェル・ハイロゥに対し、連合軍艦隊は現状戦力のまま
で攻勢をかけることにした。なかでも真なるジン・ジャハナムことハンゲルグ
が強硬論(精神論の要素が濃い)をとなえ、傍らにいたウッソに疑心を抱かせ
たが、最終的にはハンゲルグのいうとおりの方針でゆくことになった。ゴメス
やジン・ジャハナム(影武者)はあまり納得できるものではなかったが。
一方のエンジェル・ハイロゥ、リングのあちこちが青い光を発して、良好な状
態が保たれていることがわかる。
カガチは満足していた。マリア以上の成果が出ていることに、である。
この老人にしてみれば、「玉」といってもマリアは自らの野望達成の手段・道
具でしかなく、いってみればそれ以上の存在ーシャクティがまさにそれに値す
るーがいるのならば、感傷や未練など残す必要はどこにもない。内心、笑いを
隠しきれず、つい笑みがこぼれた。
実験は、80%成功しつつある。いや、100%成功したといっても過言では
なかろう。あのムバラクとリガ・ミリティアになにができるというのだ。
カガチと同じ過信を抱く人物がもう一人いる。クロノクル・アシャー。かれも
また、エンジェル・ハイロゥの効率よき使い方を考えていた。
人々の思惑が重なりつつも、地球そしてエンジェル・ハイロゥは美しい光をた
たえていた。
エンジェル・ハイロゥの攻防はなおつづいている。
V2のウッソはカテジナのゴトラタンと激突、死闘を演じるが、その渦中、
エンジェル・ハイロゥのリングが攻撃によって破損、たくさんのサイキッカー
とカプセルが宇宙になげだされた。
天国へ召されてゆくかのように、つぎつぎに流れてゆく。反応もなく、動くこ
ともなく、命すらもう元に戻ることのない、人の遺体。
あるべスパ将兵は生死の感覚が麻痺し、もはやなにがなんだかわけがわからな
かったという手記を残しているが、この混沌のなかで反応できるのはまだ正常
な感覚であるといえるのだろうか。
シャクティですら例外ではない。彼女も人の子である以上、生死の影響からの
がれることができず、はげしい頭痛がおそった。
カガチはそれをみたが、持ちこたえられるとの判断から、全艦隊へエンジェル・
ハイロゥ降下を早めるよう下令した。
ウッソ・エヴィンはV2でエンジェル・ハイロゥに侵入した。ここでネネカ隊
というあられもない姿の女性兵団と戦うのだが、ここではウッソの戦闘が主で
はないので詳細ははぶくが、ネネカたちの格好はすごい。
なんとほとんど全裸にちかい格好で、どこからみても見えてしまうのではない
かと思うほどのスーツ(ヒモの水着といったほうがよいのか)に、不恰好なバ
ズーカをかまえているのである。
つくづく、サイド2の女性スペースノイドはすごいと感じざるをえない。
度胸よく「裸のおねえさんたち」とカテジナをしりぞけ、V2ごしに隔壁に手
をあてて、
「この隔壁のむこうに、シャクティを感じる」
と、隔壁を爆破し、シャクティをさがすためにセンターブロックをかけ回った。
ふと廊下で奸物を発見した。奸物は不気味なほど冷静に子供がなぜ入れたかと
問うた(中略)
ウッソはまったくたじろがずに「子供だから入れたんです。ちがいますか」と
問うた。そしてカガチの一言のあとに、
「シャクティだって子供だから、このエンジェル・ハイロゥの中心にすわるこ
ともできたんじゃないんですか」
と、近づいてきたガチ党員に銃をむけつつ、
「生き物は親をこえるものです。親は子を産んで死んでゆくものなんです。そ
の真理を忘れている、この作戦は」
と背後からガチ党員にがんじがらめにされながら元々敗れるものだったんです
よ!とわめくと、カガチはゆっくりと口をひらき、小僧がよく言う、と真顔で
いった。つづけていうがやけにあっさりしている。
「増えすぎた人類こそ真理を踏みこえたのだ。そういう人類は消えたほうがよ
い」と言い、いかにもけろりとしていたので、憤ったウッソはハロを蹴り上げ
てカガチにとびかかった。タイミングよくオデロとトマーシュも支援にきてい
た。
カガチをつきとばし、銃をむけながら、シャクティは連れてかえりますと
言うウッソ。そのウッソに、その自惚れが人類をまちがわせたのだぞと語
るカガチ。老人と孫のような少年の、うめることのできない考え方の差異
がうかがえる。と同時に、カガチはウッソに、自分の若き頃を想起させら
れたのではないか。かつて自分もウッソのようなひたむきな情熱と夢をも
っていた。だが、人の世の中で変質し、失望し、いつのまにか極論をこの
むあやしげな老人にカガチはなってしまっていた。ウッソに期待をかけた、
いや、かけたと筆者は思いたい、思いたいのだが、やはり筆者の推論と期
待でしかなかった。
この老人は結局、己の業を優先したのである。今さら、実験をやめるとな
れば、後世、フォンセ・カガチの名は歴史の彼方にきえたかつての木星帰
り、パプティマス・シロッコとおなじ運命になるにちがいなかった。
まだ、サイコウェーブの波動は消えてはいない。
大気圏を突破しエンジェル・ハイロゥとザンスカール主力、ズガン艦隊・
モトラッド艦隊は地球へ降下した。その間、シャクティのいないエンジェル・
ハイロゥはなぜか順調にサイキッカーのエネルギーを放出し、稼動していた。
主力艦隊旗艦ダルマシアンにてカガチはムッターマ・ズガンにクロノクルの艦
隊を積極的に守備させるよう要請、ムッターマはすでに督促させたと返答した。
まさかクロノクルが失敗の要となるなどたれが予想しただろう(中略)
さらにカガチの予期せぬところで、エンジェル・ハイロゥを「正しき方法」で
使うべくシャクティが自らの意志でもどり、祈りを捧げはじめた。
「私にしたがって、このように疲れる祈りをなさる皆様方、もともとの平和とは、
たましいがそれぞれが家へ戻ることでありましょう。父が、母が、連れ合い寄り添
うことのできる世の中でありましょう」
いままでおきたことのない、巨大な光がエンジェル・ハイロゥよりおきてきたこと
を、ダルマシアン艦橋からフォンセ・カガチはみた。予想外だ。
リング全体のかがやきとともに、流れゆくひなげしの花の歌。
もはやカガチには先々の想像すらできない。
「みなさまに聞こえておりましょう。大地に宿る力が私たちをつつみはじめて
います。大地の精霊たちが、このリングにあふれた私たちの祈りを、より強い
ものに育てています。そしてこの力を、冷えきった戦士たちになげ与えましょう」
手をひろげるシャクティの全身が軸となり、その巨大な力は、エンジェル・ハイロゥ
近辺をつつみこんだ。
ほぼ同時に、ゴメスらの特攻でモトラッド艦隊は消滅、ムッターマ・ズガンは歯ぎし
りしてくやしがったが、あとの祭りであった。
あたたかい光が、エンジェル・ハイロゥから流れてくる。誰しもがまったく
予期できないまま事態はながれてゆく。
エネルギーを放出していくエンジェル・ハイロゥは、空中で自然分解をはじ
めた。
カガチの計画にはまったくないことだった。きれいに分離されてゆくエンジェル・
ハイロゥ。その分離の意志はサイキッカーとシャクティにある。
うめき声とともに空中をながれてゆくサイキッカーと各ブロック。
カガチは科学者らしい欲求にとりつかれはじめていた。この老人の頭には、実験
や検証といった要素が常人ぬくらべ濃厚すぎるのかもしれない。
サイコウェーブの光が、おそろしいほどに輝きひかっている。シャクティは祈り
つつ、ガチ党員たちに退避するように要請した。この言葉をきくかぎり、シャク
ティがかならずしも中心となってエンジェル・ハイロゥを動かしているわけでは
ないようだ。
サイキッカーの意志(還りたいという本能)に手をかしているのだろうか。
カガチはズガンの旗艦ダルマシアンにいたが、ブロックの激突とサイキッカー
によるものと思われる鮮血をみておびえが出たのか、自分ひとりだけエンジェル・
ハイロゥに帰還するといいだした。無謀といい諌めるムッターマ・ズガン。
そこへ、大破したムバラクの旗艦ジャンヌ・ダルクがあちこちを爆発させつつ迫っ
てきていた。ゴメスらの意地とおなじく、ムバラクの鬼気迫る決死の執念は、怨念
のようにムッターマの旗艦ダルマシアンへとからみ、轟音とともに沈んだ。
いち早く脱出したカガチだったが、爆風でふきとばされ、あやうく死にそうになった。
ザンスカール帝国軍将兵は分離した破片に乗り、あるいは潰されて消え、
その宇宙へ還りゆく姿を見とどけた上で中心となったシャクティはカサレ
リアにウッソの手によって還されている。フォンセ・カガチの巨大サイ
ミュ要塞によるふしぎな作戦は、かれ自身予期せぬかたちで幕をおろした
のである。
稿が予定の紙数に至ろうとしている。
筆者は、この老人の末路を書きたいために、えんえんとここまできた。
いつごろ死んだか、よくわからない(中略)
フォンセ・カガチは、崩壊直後、かつてマリアが座っていた玉座にむか
い、独り言をくりかえして問い、思念のなかのマリアにむかってののし
ったというが、さすがに頭がいかれはじめていたのか、
「顔をあげんかマリア。お前を占い師からここまで育てた恩を忘れて、
こうしむけたのか」
と、たれもいない玉座にむかい銃を連射した(中略)
分離したブロックが命中しその衝撃で息をひきとったというが、その最期
がどうであったか、たれにもわからない。おそらくたれにも看とられるこ
となく死んだのであろう。
248 :
1:03/06/15 23:58 ID:???
終了です。
これをもって(一旦ですが)ネットから離れます。
復活予定は来年の一月か二月ごろになりそうです。そのときに次スレを立てようと
思ってますので。
それでは、他の職人さん方よろしく。
お疲れさーん。
……ところで、>1さん以外の職人さんって何人いるのん?
1様、ずっと楽しくROMしていました。悲しいですが、しばしのお別れですね…
前スレ(だったか)で、このスレに出会って司馬遼を読みたくなったと書いた者です
すばらしいアレンジを、どうもありがとう!
今『殉死』とか読んでます。
いずれは私も職人やってみます。
センチネルとの絡みは工夫しがいがありそうですね。
「ニュータイプを否定せよというのか」
やがて脚本を読んだ高松は表情を、凍らせた。
「富野との関係も、それでしまいになる」
253 :
通常の名無しさんの3倍:03/06/21 19:33 ID:F2SLbOJr
保守
254 :
通常の名無しさんの3倍:03/06/22 19:38 ID:sfmLL3ur
保守
255 :
通常の名無しさんの3倍:03/06/23 15:52 ID:Ekqnwozw
保守(現在494なので)
256 :
通常の名無しさんの3倍:03/06/24 17:36 ID:OqGvZDV/
保守
257 :
通常の名無しさんの3倍:03/06/26 01:15 ID:BXswYyW2
m
>>1 おツー。
すばらしい作品をありがとう!
早い復帰を願ってますー
259 :
通常の名無しさんの3倍:03/06/28 19:23 ID:8zqW4Ah7
保守
グレミーは出生があいまいであった。グレミーはサイド3出身で、ネオジオン戦争の数年ばかり以前
アクシズにながれてきて、士官となり、しだいに勢力を培った。姓はトトであるという。
このためグレミーは最初グレミー・トトと称していたが、天下を略取できる可能性がみえはじめたころ、にわかに、
――わが家は、ザビ家である。ギレン・ザビから出ている。
とその出自を変更した。理由は、ミネバ・ザビを擁するハマーン・カーンをほろぼして
その天下をひきつぐにはザビ家でなければならない。当時、ザビ家の正統性というものが
ネオジオンの支持者のあいだで信ぜられていた。グレミーはその俗信に乗り、利用し、天下への機運を醸そうとした。
グレミーは部下に命じて系図をつくらせたが、なぜザビ家であるかという点で苦しかった。
そこで、ギレン・ザビのクローンという説を創り上げた。グレミーはア・バオア・クーで死んだギレンのクローンで
あるとし、ジオン公国滅亡のとき、幼い少年であったが、その代理母に連れられアサルムで脱出した。
その後、アクシズの長マハラジャ・カーンがグレミーの境遇をあわれみ、マシュマーの部下とした、
というのが、グレミーがつくらせた自身のクローン伝説であった。
おお、新しい職人?
出典は?豊臣秀吉?
『豊臣家の人々』に所収「大和大納言」の
織田家の創氏のくだりではないかと。