世界的な天候不順で砂糖やコーヒーなどの国際価格が急騰し、国内でも長雨や日照不足による野菜の高値が続いている。
消費不況の中で販売価格に転嫁すれば客足が遠のきかねず、食品メーカーやスーパーは
生き残りをかけた値下げ攻勢を強めている。
砂糖に精製される前段階の粗糖の国際価格は28年ぶりの高値水準だ。原料となるサトウキビの
2大産地であるインドが雨不足、ブラジルが長雨で収穫が大幅に減少する見通しが強いためだ。
国内精糖各社は製菓会社への砂糖の出荷価格を1キロあたり6円、率にして約4%引き上げた。
紅茶はスリランカの収穫減で昨年より2割前後上昇、コーヒー豆も「2年前に比べて2割程度高い」(キーコーヒー)水準だ。
国内では野菜の不作が深刻だ。25日の東京都中央卸売市場で、レタスの平均価格は1キロ当たり256円で
平年より68%高い。タマネギは134円で61%高、ニンジンが160円で43%高など軒並み上昇している。
農産品価格が値上がりしてもスーパーなど販売現場では消費者をつなぎとめる特売が目立つ。
イトーヨーカドーは26〜27日、キャベツやトマトなどを2〜5割引きするセールを実施した。
大半を契約農家などから直接仕入れており、現時点では収益への影響は最小限に食い止めているという。
中堅スーパー、エコス(東京都昭島市)は特売日には赤字覚悟で一段と値引きし、集客力アップに力を注ぐ。
高値が際立つタマネギやジャガイモのばら売りも始めた。
製菓各社は砂糖急騰にもかかわらず、主力のチョコレートを値下げする方向で動き出した。
大手スーパーなどによる割安な自主企画商品が増え、価格に敏感な消費者を取り込む苦渋の決断だ。
不二家は25日に「ルック」など3品目の出荷価格を引き下げ、店頭想定価格は120円前後から105円前後になる。
9月には森永製菓、明治製菓が追随する見通しだ。いずれも内容量を減らして割安感を演出する。
ネスレ日本も今月1日、インスタントコーヒー「ネスカフェ エクセラ」の希望小売価格を最大16%引き下げた。(宮崎誠、戸田雄)
(2009年8月27日21時08分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090827-OYT1T00938.htm?from=top