田原本町で起きた放火殺人事件を取り上げた本の著者に、火をつけた少年の供述調書などを
見せて秘密を漏らしたとされる精神科医の崎浜盛三被告の裁判が、きょう奈良地裁で
開かれました。
きょうは、この事件を元に、「ぼくは、パパを殺すことに決めた」を書いた草薙厚子さんが
証人として出廷し、本の情報源が、崎浜被告だということを明らかにしました。
この裁判で、秘密漏示の罪に問われているのは、精神科医の崎浜盛三被告です。
崎浜被告は、3年前に放火殺人事件を起こした少年の精神鑑定を担当し、この事件を取り上げた
本の著者である草薙厚子さんに、少年の供述調書などを見せたとされています。
崎浜被告の逮捕・起訴をめぐっては、草薙さんにも捜査が及んでいましたが、奈良地検は、
共犯として立件するには証拠が十分ではないとして、草薙さんを、不起訴処分にしていました。
きょうの裁判で、草薙さんはこれまで隠し続けていた本の情報源について「崎浜先生です」と
明言しました。
そして、情報源を公にしたことについて「崎浜被告が正当な理由を持ち供述調書などを
見せたのであって、被告の利益のために必要だ」と理由を語りました。
一方、草薙さんは崎浜被告や少年の父親らに本の内容を十分に伝えずに出版したこと、
さらに本が供述調書を引用する形になったことや、表紙に、少年が放火殺人を実行するまでの
計画表が使われたと批判された点については「編集者の提案と判断であって、著者の考えは
反映されない」といい、明確な責任を認めませんでした。
ただ、草薙さんは崎浜被告が逮捕・起訴されたことに対しては情報源を守るジャーナリストとして
責任を認めたものの、弁護側が「筆を折りなさい」と問いかけると「折りません」と拒絶しました。
裁判終了後、草薙さんと崎濱被告が会見を行い、それぞれ次のように述べています。
草薙さんは、会見で改めて情報源を明らかにした理由について「私が逮捕・起訴されても良かった。
1番は、崎濱先生を自由にしたいという思いから今回情報源を明らかにしました」と述べ、
崎濱被告に対して「本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と話しました。
一方、会見した崎浜被告は、草薙さんが情報源を明かしたことについて、それが自分の裁判について
有利になるとは思わないと淡々とした口調で述べました。
また、草薙さんの証言については著者としての主体性が感じられず少年や事件に対する思いをもっと
主張してほしかったと語りました。
▼ソース:奈良テレビ
http://www.naratv.co.jp/miyomiyo/newsread.cgi