走っても走っても最後まで勝たなかった――。名古屋競馬所属で連敗記録を更新していた
競走馬ブラックハーロック(牡(おす)8歳)が今年初め、現役を引退した。デビューから
積み重ねた黒星は141個。稼いだ賞金は38万5千円で、えさ代などの維持費が馬主の
懐を圧迫し、走れなくなった。無事これ名馬とはいえ、1度も勝利の美酒を味わうことなく、
岐阜市の乗馬クラブで第二の人生を送っている。
141連敗のまま現役を引退したブラックハーロック号=名古屋市港区の名古屋競馬で
ブラックハーロックは昨年2月、高知競馬で人気だったハルウララ(引退)の113連敗を超え、
デビュー以来通算114連敗を記録し、一躍、注目を集めた。気分屋のところもあったが、
大きな故障もなく、毎月1、2回、名古屋競馬と笠松競馬で走り続けてきた。
管理していた安部弘一調教師によると、体力的な衰えはあるが、引退の一番の原因は
経済的な問題だという。
競走馬は、えさ代などの管理費として最低でも毎月15万円ほどかかる。レースの出走手当は
1回5万3千円で、4着以内に入って少しでも賞金を稼がないと赤字になる。ブラックハーロックは
2着2回が最高で、生涯獲得賞金は3カ月分にも満たない38万5千円だった。
安部調教師は「もっと走らせたかったが、馬主の意向もあり引退を決めた」といい、1月2日に
競走馬の登録を抹消された。
馬主も以前は「日本記録(161連敗)を狙ってみたい」と冗談半分で話していたが、
持ちこたえることができなかった。
ブラックハーロックは現在、岐阜市内の牧場に引き取られ、乗馬用として余生を送っている。
安部調教師は「性格がおとなしく、小柄な体形で乗馬には向いている。寂しい気持ちもあるが、
競馬という厳しい世界から離れ、のんびりと暮らしてほしい」と労をねぎらった。
ブラックハーロックは青森県生まれ。父はメジロディザイヤー、母ウインザーレイ。父方の祖父は
ディープインパクトの父でもある名種牡馬(しゅぼば)サンデーサイレンスで、黒っぽい馬体は
祖父をほうふつさせた。
03年5月、浦和競馬でデビューし、直後に名古屋へ移籍した。昨年12月26日のレースを終えた
時点で現役2位の141連敗に達した。
1日現在、名古屋競馬にはほかにも連敗中の馬がいる。ニシキディオール(牝(めす)7歳)が139連敗、
セイウンカラット(牡9歳)が128連敗、オーサンツヨシ(牝7歳)が115連敗。現役1位は、
園田競馬(兵庫県)所属のエリザベスクィーン(牝7歳)の150連敗だ。
http://www.asahi.com/national/update/0202/NGY200802020001.html