>>36 【人喰いパンダ真昼の襲撃、児童ら二十六人を殺傷】
1982年2月15日 現地週刊誌「週刊飛燕」より抜粋
四川省臥龍、江門小学校の教室にジャイアントパンダが乱入、生徒や教職員らを襲撃するという事件が起きた。
突如なんの前触れもなく教室に迷い込んだ中国一の人気者に生徒たちは「かわいい!」「なでたい!」などの大歓声で迎えたが、
歓声に驚いたパンダは興奮していちばん近くにいた教職員に襲いかかり、パンダの渾身の右フックで教職員の首はゴムまりのようにもげて吹っ飛んだ。
想像を絶する光景に生徒児童らの歓声はたちまち悲鳴にとってかわった。
悲鳴にさらに逆上したパンダは逃げ惑う生徒児童らをつぎつぎに襲撃、教室は一転血みどろの地獄絵図と化した。
悲鳴を聞きつけた体育教師と学校警備員がパンダを取り押さえようとしたが、パンダはその巨体に似合わぬ跳躍力で二階の窓を破って飛び出し、ついに逃げ延びたという。
今回の事件の死傷者重軽傷者は合わせて二十六人にも上り、野生動物の襲撃による被害としては中国過去最悪クラス。
ジャイアントパンダはふだん標高千〜三千メートルの山地で暮らし竹や笹を食べるおとなしい動物で基本的に人を襲うことはないという。
開発のために山地が切り拓かれ、行き場と食糧を無くしたパンダが人里に下りてきたのでは、と専門家は分析している。
また、野生のパンダは現在絶滅の危機に瀕しており、四川省では保護施設での人工繁殖などの保護対策が取られているが、
これを受けて地元の江門小学校では子供たちの人気者であるジャイアントパンダを例に取り環境保全と動物保護の重要性を講義することが多く、
それゆえに子供たちがパンダに過度の愛着を持っていたことが逆に仇となる結果となった。
「いくら容貌がかわいらしくてもパンダも野生動物であり、安易に保護や愛玩の対象とする現在の中国教育の問題が浮き彫りとなった。
パンダは体躯も大きく力も強い、非常に危険な動物で、かわいらしいからと気軽に近寄っていい動物ではない」とは専門家の言葉。
同市ではこのところ家畜や子供、老人が行方不明になる事件が相次いでおり、付近住民はトラの仕業と考えていたが、
今回の件で人喰いジャイアントパンダの可能性も無視できない事態となった。
それまでパンダ保護を訴えていた地元の女性運動家たちは一転してパンダ抹殺を叫び始めているという。