>>46 新たな群れを探してるだけで
ずっと独りでいる訳じゃないんだが。
君はアフリカゾウの雄はずーっと孤独に生きていくと思ってんのか?
象の物語という象大好き人間が書いた本曰く、
・象が長生きできるのは仲間に護られているおかげである
象は昔から「天下無敵」の動物で、人間以外に敵はないといわれてきた。
もちろんこれをそのまま信じてはならない。25〜45歳の成熟した元気な雄でさえ、
他の動物に殺される場合があるのだ。ときにはヴェトナムのキングコブラのような
毒ヘビに鼻を噛まれることもある。ただでさえ気の短いサイや水牛は、古代ローマ
時代に円形競技場で行われたような出し物に引っ張り出されれば、猛り狂って
象を殺す事もある。象を襲ったり、自衛のために致命傷を負わせたりする動物は
他にもいる。例えばスーダンのバール・エル=ガザル河では、ゾウの鼻を食いちぎり、
出血多量の死に追いやったワニが目撃されている。成熟したゾウも単独の時は
襲われる危険がある事を忘れてはならない。その他ライオンやトラも、古代ローマ
時代の見世物やインドのトラ狩りのように、戦わざるを得ない場面に追い込まれれば、
捨て身で戦ってゾウを殺してしまう事もある。またリカオンの群れがはぐれた
ゾウを襲う事もある。そのせいかどうか、威圧感溢れる大きな雄象でさえ、
群れから遠く離れることは滅多にない。とにかく群れの近くにいさえすれば、
危ない時は必ず救援隊がやって来て、どんなにうるさい敵も追い払ってくれる
からである。
・象が長生きできるのは仲間に護られているおかげである(続きP36から)
だれもが襲うのをためらうほど威風堂々たる体格に成長した雄象であっても、
子供の時はあわやという時に母象から救ってもらったり、トラにつかまった
所を仲間に助けられたりもした。子象達は12年以上群れにとどまるのである。
イギリスのウィリアムズ大佐が1950年に出版した本によると、ミャンマーでは
実に25パーセントの子象がトラの餌食になったという。アフリカのライオンも
また、密猟者に母親を殺された子象を狙うことがある。子供のころ危うく
命拾いしたものの、長い子供時代を通じて捕食者を恐れてきた象は、大人に
なっても、ある種の憎しみを保ち続ける。このため彼らは、最小単位の群れ
を成している時はもちろん、幾つかの群れが集まっている場合はなおさら
ライオンやトラを黙って見過ごすことが出来ない。これらの動物を見かけると
年長の♀たちはすぐさま攻撃を仕掛け、数頭の♂もこれに加わる。大抵の場合、
ライオンやトラは餌場や水場を譲って退散する。要するに象の恐るべき力は、
♀中心の家族とそれを取り巻く♂が形成する、結束した群れの強さにあるといえる。