102 :
世界@名無史さん:
昔の写本は現在の感覚で5000万円ぐらいする代物だったらしい。
鎖を付けて持ち出せないようにした。
全部手作りだもんね。
>>102 んな高い訳ないじゃん。てか、写本にもよるが。
だいたい、人件費は激安。世俗の写字生の場合には、給料もいるけど、
修道僧も場合、タダってか、それが修道院内での仕事だもん。
104 :
世界@名無史さん:04/10/24 00:12:34
写字生が少なかった時代には重用され、
写字生を殺害したときには法王を殺害するのと同等の罪が科されたって
どっかで読んだな
105 :
世界@名無史さん:04/10/24 00:19:21
>>103 写本は大抵高価。財産目録に記載するほどの動産。
>103
写本をやったことあるの?
ためしに手元の文庫本を全部書き写してみたら?
それも現代作家のではなく、なるべく古典。
文庫1冊どころか、平家物語の1段だけさえ簡単に考えている人には無理。
107 :
世界@名無史さん:04/10/24 11:36:18
>>106 それだけじゃ駄目だよな。
中世ヨーロッパの写本は、文字だけではなく、
絵も入っていたし、文字も飾り文字だし、
写本を完成させるのには、何年もかかる苦行だ。
108 :
103:04/10/24 15:08:16
>>106>>107 何を熱くなってるんだかわからんが、あまり知ったかこかない方がいいよ。
第一に、当時のコデックスは、パピルスや羊皮紙(または犢皮紙)を使っているから、
薄手の高級品を使った最大級のものでも、600丁とか、700丁とか、そのくらい。
普通は100丁とか200丁とか、その程度。加えて、手書きであるため
(手書きにしては、滅茶苦茶細かいんだが)、1丁に収まるテキスト量が少ない。
結果として、概して、一冊のテキスト量は少ない。
例えば、新約聖書で言えば、福音書一書で、一冊の本でも、全くおかしくない。
(聖書の場合、合本になってることが多いが)
第ニに、写本は、完全な分担作業。一人が一冊全てを仕上げる、なんてことはないの。
テキスト、飾り文字、挿絵、こ〜ゆ〜のは全部別の人が受け持ってるわけね。
テキスト部分だけだって、なが〜い本になれば、何人もが手分けして作業する。
(文字の癖によって、複数人の作業であることがわかる)
それと、中世の写本の大半は、テキストだけか、ちょっとした飾り文字がついた地味なもの。
一般には、きれいな挿絵付きの豪華本しか紹介されないから、誤解しているようだが。
こういうのね↓
http://www.newcastle.edu.au/services/library/collections/archives/int/digitalscriptorium/newacq/lombardverso25.html もう一つ。大変な手作業=べらぼうに高い、なんて安直な考えもやめた方がいい。
当時は、僅かな例外はあれど、あらゆる事は手作業で行われていて、
それが当たり前のことだった。だいたい写字生は、それを生業にしている職人だし。
まさか、どっかの「生徒」とでも思ったんじゃあるまいな。
現代の素人に大して、「ためしにしてみたら?」ってのは、意味わからんし。
なんか面白そうな話してますね。
>>108=103氏
紙そのものの値段が高いんじゃないの、という疑問があるんですけど。どうなんでしょ。
大学時代に写本のコピー見せて貰ったことあるけど、やけに略字が多かった記憶があるなあ。
103氏も書いているが、皮紙を使用し、華麗な挿絵が入り、表紙を金や宝石で飾った
豪華な写本と、(主に14世紀以後の)大分安くなってきた紙を使い、装丁も比較的
簡素な本(内容本位で主に知識層向きの)とでは同じ写本といっても全く値段が異なる。
例えば14世紀の大蔵書家・愛書家であるリチャード・ド・ベリーには1500冊ほどの
蔵書があったわけだが、いかに彼が時代において隔絶した大蔵書家であったとはいえ、
一司教の身分では一冊5000万円の本では1500冊を私有するのは不可能だったろう。
それともう一つ、皆この時代の写字生の能力に対して過小評価しているように思える。
確かに修道院のようなところで写本が始まった頃は、半ば素人くさい写字生による、
鈍くさい作業によって能率も上がらなかったろうが、14-5世紀ぐらいになると個人の
スキルも上がり、作業の専門分化も進展し、かなり効率的に写本を作ることができる
ようになっていた。例を挙げると、これは比較的豪華な写本なのだと思うが、コシモ・
デ・メディチが15世紀前半に、写本商人ヴェスパシアーノ・ダ・ビスティッチから
大量の本を買った際には、ヴェスパシアーノは45人の写字生を使い、二年間で200部の
写本を作らせたというし、同時代のある300葉に及ぶ浩瀚な写本の最後には、この本の
仕上げには18日を要したのみである、という写字生よる誇らしげな後書きがあるという。
ましてや14-5世紀にかけて都市や大学付近において増大した修道院外の民間写本工房
によって造られた、識字層向きの廉価本や学生用の教科書なんかは比較的低廉だったし、
当時の工房にはそうしたものをうまく作るシステムがあった。
例えば一冊の本をいくつもにバラし、写字生一人あたりの担当部分を数ページに抑え、
人海戦術で短期間に大量の断簡を製造し、後でとじ合わせることで一挙に数十冊の本を
造るとか、さらには当時有名なディーボルト・ラウバーの工房で行われていたような、
複数の写字生の前で読み上げ人がテキストを口述し、それを書き取らせることで一冊の
本から一度に大量のコピーを造る、といった手段によってである(1)。
ちなみにこれらの方法は古典古代、特にローマ時代において行われていた方法であり
当時の比較的廉価な書価は、ローマの平和に基づくパピルス価格の安定とともに、
こういう能率的なシステムにもよっている。ただこの方法はしばしば多くの誤記を産み
後での念入りな校正の無い場合、悪本を造ることが多かったのではあるが(2)。
>>109 15世紀の紙の値段は50cm×30cm一枚が1.5ドニエ、皮紙はこの4倍程度だった(3)。
(1)ヘルムート・プレッサー:書物の本、pp.19-50:法政大学出版局
(2)簑輪成男:パピルスが伝えた文明、p.151ff.:出版ニュース社
(3)リュシアン・フェーヴル他:書物の出現(上)p.50:筑摩書房
112 :
103:04/10/24 15:40:57
>>109 紙は高いよ〜。羊一匹、殺して、僅かな量だからね。羊皮紙の形態と、使われている枚数で、
何匹の羊を殺してかわかるって、越宏一の本に書いてあったな。貴重品だから、再利用して、
上書きとかしてるよね。古典古代のテキストの上に、聖書が上書きされていたりして、
化学薬品かなんかで解読するのだそうだ。
紙も高いし、写本は高価。これは当たり前。おいらが言いたいのは、「5000万は嘘だろ!」ということなんよ。
挿絵だらけ、青(ラピスラズリ)とか金泥使いまくり、しかも超大型本で、装丁に宝石だらけの写本なら、
そら、そんぐらいの価値はあっただろうが、普通の写本にそんなするわけないじゃん。
常識で考えましょってこと。
略字に関しては、ビザンティンの写本で、筆記体のギリシア文字で書いてるのもある。
なんか文字が繋がってて、普通の人には読めないね。
かぶったね。