1 :
世界@名無史さん:
永い、遥かな暗闇からユリウス・カエサルの意識は引き戻された。
・・・ここは何処なのだ・・・
板張りの床、部屋の隅に固められた、数十個はある小さな机と椅子。
・・・教室、なのか!?
そう、彼の時代のそれとはかなり異なってはいたが、その部屋は、紛れも無く学校の教室であった。
カエサルが辺りをそろそろと見回すと、数十人もの人間が、
先ほどのカエサルと同じように床に伏して眠っている。
軽装の鎧を身に着け、口髭を生やした遊牧民風の男、東洋風の、豪華絢爛な上衣を纏った美しい女、
薄汚れた衣服に身を包んだ、労働者風の禿坊主、ひげを蓄えた、痩せ型で半裸の男、
奇妙な鍵十字の付いた腕章をはめた、陰気な雰囲気の小柄な男・・・。
その人間たちの格好の多様さに、カエサルは思わず息を飲んだ。
息!?
此処に至って、カエサルは、先ほどから自らを包む奇妙な感覚の原因を理解した。
そうだ、私は息をしている。では、元老院議場で、
ブルートゥスらに暗殺された私の記憶は一体何なのであろうか?
徐々に目を覚まし始めた人々も、どうやらカエサルと同じ心持ちであるらしく、
小声で周りに話し掛けるものもいたが、自分たちがなぜ生きているのか、
どういった理由でこの場所に存在するのかという根本的な問題に対して、
満足のゆく答えを用意できる者は一人としていなかった。
2 :
世界@名無史さん:02/03/10 16:26
ガラガラガラ
突然、教室のドアが開き、一人の男が入ってくると、何故か教室は水を打ったような静けさとなった。
その男の発する、異様なほどの崇高さと威圧感に、全員が圧倒されてしまったのだ。
男は、黒板にチョークで"Yahweh"と書くと、外見からは想像もつかない軽妙な口調で話し始めた。
「えー、みなさん。私は、神様です。
わざわざ集まってもらったのは、他でもありません。
今から、バトルロワイアルを開催しようと思いましてね。
つまり今日は、みなさんにちょっと、殺し合いをしてもらいます!
私のことを信じてない人もこの中にいるとは思いますが、どうぞよろしく。」
2=1です、スマソ。
ヤハウェは更に続けた。
「現在の世界――21世紀は、人間が増えすぎて困っています。
60億人もいられたんじゃこっちも忙しくって仕様がありません。
そこで、です。生前に英雄として多くの人間を殺しまくったり、
直接は手を下さなくても同時代や後世の人間の生死に多大な影響を与えた皆さんのうち、
このゲームの優勝者一人だけ現世に転生してもらって、21世紀人を殺しまくってもらおう、
というわけなんです。
ゲームに負けた、つまり、再び死んでしまった方は当然、もういちど深い眠りについてもらいます。
みなさんには、それぞれ武器が配ら・・・」
「たわけたことをほざくなアッッッ!!!」
ヤハウェの話に割り込んで、まさに雷鳴の如き怒声が上がった。
「貴様、つべこべとゴタクを並べるでないッッ!
さっさとこの偉大なるツァーリ、イヴァン4世様を転生させぬカァァァアッ!!!」
激高し、今にも炎(ほむら)が上がるかと思わせるほどに顔を赤くしたその男は、
薄汚い早口のロシア語で、延々とヤハウェを面罵し続けた。
「う〜ん、あなた、まだルールがよくわかってないようですね・・・。天罰を与えましょう。」
ヤハウェがそう言うや否や、イヴァンの頭上にゆっくりと一筋の青い光が立ち上り、
一刹那、凄まじいまでの轟音が聞こえたかと思うと、
其処には落雷を浴びたイヴァンの焼死体があった。
「では、みなさん。元気に戦って下さい。まず1番、アドルフ・ヒトラー君・・・・」
死亡 イヴァン4世(雷帝) <英雄番号11番>
〓ローカルルール〓
登場させる人物は、基本的に同時代の同地域内で1人とします。(現代史の人物は、同時代、同国家あたり1人)
ただ、レーニン&スターリンなどのように、個性が強い人物が時代的にかぶっている場合は、2人出場可です。
また、中国王朝などの場合、基本的に1血統あたり1人とします。
(例.ヌルハチ、ホンタイジ、康煕帝、乾隆帝が同時出場したら、つまらんでしょ?)
ヤハウェの説明にもありましたが、出場資格は以下の通りです。
「(戦争などで結果的に人を殺しまくった)英雄」
「自分はまったくその気はないが、同時代や後世の人の生死にすごく影響を与えた人物」
例.イエス、楊貴妃など
彼らは一時的に、肉体、精神ともに全盛期だった頃の状態で「生きた人間」として蘇っています。
かつ、この舞台は(原作通り)21世紀日本のどこかの島ってことにしていますので、
彼がはがんばって島から脱出するって選択肢も、当然アリです。
5 :
世界@名無史さん:02/03/10 16:31
しかしイヴァンが神にあんな口をきくとは。それと一神教徒しか参加しそう
に無いのですが・・・。
成る程。「タイムスリップ大戦争」みたいで楽しいと思います。
ただ下手したら日本史板の一行リレースレみたいになったりして・・・。
訂正しましょうか。
>3
さっさとこの偉大なるツァーリ、イヴァン4世様を転生させぬカァァァアッ!!
↓
さっさとこの偉大なるツァーリ、イヴァン4世様を誰と心得るッッ!!
冗談を申すでないィィ!!
これなら、イヴァンたんは流れを読めなかったってことで処理できるのでは。
もともと怒りっぽい人だし。
読みにくいスレだな
いろんな意味で
>8
「さっさと」っておかしいな。
ダメダメ。鬱駄詩嚢、、、
11 :
世界@名無史さん:02/03/10 18:57
レーニンは右手に大切な拳銃を、そして左手にもっと大切な紙切れを持って南に向かっていた。
教室から出て行くときマルクスから手渡されたメモにはこう書いてあった、
”南の端で待っている”
もちろん、このゲームのルールでは誰も信用することはできないかもしれない。
しかし、自分たち、共産主義者には絶対の絆があった。
あのマルクスならば、必ず自分たちを転生させて再び地上の楽園を築く事ができるはずだ。
しばらく進んだところで声がした。
「レーニン」
振り返るとそこにはマルクスの姿があった。
「同志マルク・・・!」
不意にすさまじい匂いが鼻に飛び込んできた。
これは・・・血?血の匂いか?
ふと地面を見渡すと、そこにはスターリンと毛沢東、
それにジャンヌ・ダルクの死体が転がっていた。
「こ、これは・・・」
「これかね?」
「私を殺そうとしたのだ。毛沢東も、スターリンも。
だから―私がやったんだ。」
まさか・・・いや、そんなこともあるのかもしれない。
しかし
「そ、それじゃ、ジャンヌ・ダルクは?彼女もあなたを殺そうとしたのか?」
「いや、ここにいたんだ、彼女は」
「ここにいた?」
「私は、コインを投げた。表が出たら神と戦う」
レーニンはふとあることに気がついた。金日成がいないのだ。
まだここにたどり着いていないのかもしれないし、途中で殺されたのかもしれない。
しかし―それは不吉な感じがした。
「そして―」
レーニンの思考にもはや余裕は無かった。
全神経は右手の銃の引き金にかかった指に集中していた。
そしてそれを構えて―しかしその前にぱららっという音がした。
「裏が出たらこのゲームにのると」
レーニンの体はその言葉を待っていたように倒れた。
んーとね、マジにやるつもりなら
相談スレと本番アップスレを別に作ったほうがいいと思うよ。
もうちょっとレスがついてからにしては?
まだどうなるかわからないからね。
>>1 その出場資格だとあんましヘタレなキャラは出せないんだよな。
そーいうのも居た方が展開に面白みがでるんじゃないか。
ユリウス・カエサルは建物を出た後、手頃な茂みを見つけて身を隠していた。
運悪くも彼の武器は、羽根だったのだ。
ローマ貴族が食べ物を吐く時に用いた、あの羽根である。
むろん、まともな武器になどなりそうにはない。
カエサルは、茂みの中で敵の様子をうかがう事を余儀なくされていた。
と、その時、足取りも頼りなさげな人影が、自分の方へ向かって来るのが目に入った。
勲章がびっしりとぶら下がった、スマートな軍服を纏ってはいるものの、
その首から上は、眼鏡を掛けた青白く覇気のない顔。見るからに貧弱そうな男である。
「蒙古族もぉぉ〜漢族もぉぉ〜元来すべからく朕にひれ伏さなくてはならぬのだぁぁ〜
それを・・・、あの・・・、蒙古族めがぁぁ〜」
その男は、ひどくゆっくりした口調でぶつぶつ呟きながら、よたよたと歩いていたかと思うと、
山道にどうっと倒れ伏した。
すでに夜になっているとはいえ、カエサルの目にも、
男の首に狩猟民族が放ったと思われる弓矢が深々と突き刺さっているのが確認できた。
カエサルは辺りの気配を確認した後、茂みから出て男に歩み寄ることにした。
瀕死の男が、右手ににサーベルを提げていたからである。
「おぉぉ・・・。
朕は、朕はまた、このような馬鹿げたゲームに踊らされておるぞ・・・常にそうなのだ・・・。
紫禁城の者どもも・・・国民政府も・・・関東軍も・・結局は共産党も・・・。
朕は悪くない・・・なのに、よってたかって利用して・・・嘲いものに・・・。」
男はカエサルに気づかないまま、ほとんど聞き取れないような小さな声で、
尚もぼそぼそと口を動かし続けていた。
「見苦しい。」
倒れている男の目の前で足を止めたカエサルは、言い放った。
「君は、このゲームに乗った。賽は既に投げられたのだ。違うのかね?」
「ち・・・ちがう・・・。朕は・・・また利用されたのだ・・・。朕は・・朕はもともと・・・」
「そんなわけはない。」
カエサルはそう言って、男が握っていたサーベルを拾い上げた。
「君が右手に握っていたこれは何なのだ?君はゲームを受け入れ、そして敗北したのだ。
いざ始めたのであれば、その結果としての運命は甘んじて受け入れねばならぬ。
それが―――、 男というものではないのか?」
カエサルのセリフを聞くや否や、虚ろだった男の目が、きらりと輝いたように見えた。
「――――そんな言葉を・・・大昔・・耳にした記憶がある・・・。
男・・・、そう・・・、朕は・・・潔く運命を受け入れねば・・・ならぬ・・・。
朕は・・・漢なのだ・・・。」
カエサルはサーベルを腰に提げると、絶命した愛新覚羅溥儀のもとを歩み去った。
蛇足;晩年の溥儀は、人民政府の洗脳によって共産主義マンセーの庶民に生まれ変わっていますが、
今回の溥儀は、若返ったことで洗脳が微妙に解け、
転生して帝位復活、の欲望に抗し切れなくなっていたと思われ。
見苦しい説明で須磨祖。
>14氏 ヘタレキャラも、こうやれば出せるのでは。
あと、英雄ナンバーは付けたほうがいいのかな・・?
就職板のやつに従って、付けてみようかと思ったんだけど・・・
とりあえず、
死亡 愛新覚羅溥儀 <英雄?番号15番>
伸びないね。
19 :
世界@名無史さん:02/03/11 23:49
とりあえずage
明日(っていうか既に"今日"か)、朝早いんで、今晩は書かずに寝ます。
俺は、他の作家さんの反応があるまで、
とりあえずsage進行でホソボソーと書いてゆこうか思っています。
・・・が、
そのまま倉庫行きになったりして(藁
なんか寝付けないんで、>20に反してちょっとだけ書きます。
「成程。その口振りにたがわぬ見事な強弓であることよ。」
フビライ・ハンは、傍に立つ黒髭の男の腕前に賛辞を贈った。
「ふん。あのモヤシの様な漢族など、百人狩ったところで誉められるには値せぬわ。」
その言葉とは裏腹に、冒頓単于の口端には、
久々に”狩り”ができる事への喜悦の表情がありありと浮かんでいる。
(注.冒頓とフビライは、一人で漢語をぶつくさ呟いていた溥儀を漢族だと判断したらしい)
彼らは、自分たち以外の最後の一人まで狩り尽くした後、
改めてお互いに殺し合うことを大前提とした、シビアな共闘関係を結んでいた。
常に大自然の脅威や敵対部族の攻撃に自らの生命を晒している草原の民をルーツに持つ者ならではの、
冷静な状況分析に基づいた判断である。
ただ、その同盟条件がシビアであるが故に、彼らは尚更に強固に結びついていた。
彼らは、最後まで生き残って転生することをさして重視してはいない。
ただ、獲物を狩る。その行動を楽しむ。
それだけが彼らの目的だった。
「さあ、冒頓。行こうではないか・・・。」
草原の狩人たちは次なる獲物を求め、孤島の密林の中に姿を消していった・・・・。
・・・・!!
「フビライよ。聞こえぬか―――?」
冒頓単于は、はたと顔を上げた。
「何だというのだ? 朕には何も聞こえぬぞ・・・。」
怪訝そうな表情で冒頓の顔を見つめるフビライ。
その冒頓の目は、何か懐かしいものの存在を予感した、期待の色が映っている。
「貴君は漢の地を治めて久しく、自然の息吹が見えぬのであろう・・・、
聞こえぬか?彼方で嘶く、馬たちの鳴き声が―――?」
冒頓は、まっすぐ東を指差しながら答えた。
地図によれば、診療所がある方向である。
フビライは半信半疑ながらも、
先を歩く冒頓に従い、東方に歩みを進めることにした・・・。
23 :
世界@名無史さん:02/03/12 03:42
あげてみよう。
24 :
世界@名無史さん:02/03/12 04:02
アイテムはどうなってるの?地形は?
>24
アイテムは基本的にはランダムのつもりです・・・・
が、ヤハウェの気まぐれで、その人物の時代にやたらマッチしたものが送られることが多いようです。
(でも、例外も大いにあるらしい)
地形は、原作の地形をフォーマットにしたいと思いますが、
漏れも一回原作映画見ただけ(でも関連スレは大体目を通した)なんで、
概念的には結構ええかげんですが・・・、
原作に詳しい人のカキコきぼん。
密林で、男が、女を陵辱しようとしていた。
女は、その髪型が幾分奇矯に映るものの、その容貌の美しさには何ら文句の付けようが無い。
女は、弱弱しく抵抗する素振りを見せながらも、美しい顔を歪めつつ、男を迎え入れようとしていた。
抵抗しても仕方のないことを悟っているのか、
若しくは、相手の地位と自分の立場を理解した上で諦観に達しているのか、それは知る由も無いが―――。
王妃マリー・アントワネットは、自分のこめかみに拳銃を突き立て、
白い肢体の上にのしかかる教皇、レオ十世の表情を、半ば白昼夢を見ていろような心持ちで眺めていた。
教皇は、数百年ぶりに触れた、しかも極上の女体の感触にすっかり鼻の下を伸ばし切っている・・・・
刹那。
その締りのない顔が、首ごとアントワネットの腹の上に落下した。
胴体だけになった、教皇の体の背後に、
髪を月代に剃り、残りを頭上で結った奇怪ないでたちの男が立っていた。
右手に握った日本刀が、獲物の血で赤く染まっている。
この得物ならば、思う存分に操れる―――。
男は「神」を信じてはいなかったが、
自らに与えられた武器が日本刀であったことに、運命に対して心から感謝した。
「人間五十年。本能寺の焔に散らせたこの命。再び熱く燃え上がらせてくれるわァァ・・・・!」
レオの首を一刀のもとに切り落とした、その男の名は、織田信長。
日本民族で唯一、このゲームに参加を許された人間である。
「わしは、伴天連の女には興味を抱けぬ。おぬしは捨て置くが故、好きなところへ往くが良い。」
若い女のことである。捨て置いたところで明晩、命を落とすのはわかり切っていると言った口振りで、
信長はそう言い放ち、レオの拳銃を拾い上げると、再び密林の中へと消えていった・・・。
ああ、明日はマジで諦めたよ・・・。
<英雄番号24番 レオ十世 死亡>
28 :
世界@名無史さん:02/03/12 09:52
>27
信長の武器は日本刀よりも種子島(火縄銃)の方が
イイと思うよ!
「チンギス・ハーンいたらやばいなあ・・・」
ティムールは支給品の馬に乗りながらとぼとぼと草原を走っていた。
>28
それも考えたっす。
マスケット銃に関しては、他のアイディア考えてたんで、とりあえず信長には日本刀持ってもらいました。
31 :
世界@名無史さん:02/03/13 00:55
さりげなくageてみる。
32 :
世界@名無史さん:02/03/13 11:22
期待age
(0:23)
ゲームの参加者たちが本部から走り出ては闇の中へ溶け散っていく。一人、また一人。
その様を物陰から窺いながら、ブッシュJr.(No.13)は
独りプレッツェルを貪り喰いつつ思案していた。
(どうしたものか)
持てる権力の全てを無残に剥ぎ取られて、己個人の無力さを思い知った彼は、
込み上げる恥辱と恐怖から体が戦慄くのを止めることが出来なかった。
そんな自分がひたすら忌々しい。
(考えろ、今は考えるんだ、ジョージ)
彼に支給された特殊アイテムはプレッツェル・・・のみ。冗談にも有利な条件とは言えない。
よしんば有効な武器を手に入れることが出来たとしても、
並み居る敵を倒して生き残ることは不可能に近いだろう。
教室に群居していた野獣のような男たちを思い出し、彼は改めて身震いした。
ならば・・・
(手下を・・・いや、仲間を作らなければなるまい)
(そうとも、なにもルール通りに戦ってやる必要なんて無いんだ)
なんと言っても、自分にはアメリカ帝国数億の民を魅了し、瞞着してきた笑顔と話術がある。
まずは組し易しと見える相手を見定め、取り込み、刃向かうものは排除し、
最終的には、不敬にも神を名乗るあの男を殺してやろう。
正義の確信を取り戻したリトルブッシュは、不敵な笑みにサル顔を歪めながら独語した。
「あのメジャー級のアスホールをな」
【ブッシュJr.(英雄番号13番)】
【現在位置:本部付近】
【アイテム:プレッツェル】
【スタンス:仲間集め】
【スタンス:主催者の殺害】
すいません、日本民族が信長だけというのは少し寂しい気がするのですが。それと
それと同時代の同地域内で一人とのことですが、対立する勢力に属していた場合で
も一人だけですか。
>34
>日本民族が信長だけというのは少し寂しい
難しいとこですね・・・、
けど、日本の英雄で、世界史的に見てそんなにスゲー奴っていますかね?
あの面々と渡り合えるのは信長くらいのもんかと思ったんですが。
(義経=ジンギスカンとかは別 藁)
あと、あんまり日本人がいると、世界史板で立てた意味なくなるかと思いまして。
漏れ的には、鄭成功とかそこらへんで、微妙に日本を絡めていこうかと考えていたもんで。
でも、近代の人物なら、日本人を出してもけっこういけるかもしれませんね。
>日本民族で唯一、このゲームに参加を許された人間である。
これはある程度言葉のアヤ的なものがあると考えて下さってもいいと思いますよ。
>同地域内で一人
これも、あくまでもおおまかな基本ルールに過ぎないんで、
話が面白くさえなれば2人以上出たってOKだと考えています。
でも、ひとつ意見なんですが・・・。
現在生きている人間は、できるだけ出さない方向でいってもらえないでしょうか。
ブッシュ・ラディン・フセインあたりが軒並み出ちゃうと、
世界「史」からちょっと離れちゃう気がするんで。
すでに出ちゃった>33に関しては、皆さん&作家さんの判断で、
使うか使わないか決めていただければありがたいです。
アレクサンドロスは、困り果てていた。
まだ、殺傷力がある武器が手元に渡っただけ、マシと言えるのかも知れない。
しかし、彼の握るそれは、軍団の装備として配備されるならいざ知らず、
こういった局面においての飛び道具としては、とても満足のいく性能を発揮するものではなかった。
弾丸を一つ篭める際に生み出される隙とタイムロス、其処から、当然の如く想像される連射性能の悪さ。
更に、弾を一発放つ度に、その音で周囲に自らの位置を知らせてしまうおまけ付きだ。
肝心のその射程にしたところで、このゲームのように密林を主たる舞台とした戦闘においては、
飛び道具にさして長い射程は必要ともされていない。
そして何より、アレクサンドロス、彼自身が、
時代的なハンデにより、その武器に対しての細かな知識を何ひとつ持ってはいなかったのも痛かった。
「余、如何に戦うべきか・・・」
アレクサンドロスは、その手に握られたマスケット銃に目を落とし、ひとりごちたそのとき―――。
がさり。
背後の茂みが音を立てた。
「タァァァ―――――ッ!!」
茂みから姿を現わすや否や、気合とともに突進してきたメフメト2世の攻撃を、
アレクサンドロスは紙一重の差で回避した。
と、同時に、そのまま動作の反動を利用してマスケット銃をスイングし、
銃握を相手の後頭部めがけて叩き込む。
自ら戦陣に立って大帝国を作り上げた、若き帝王ならではの素晴らしい反射神経である。
しかし、白兵戦の戦闘力に於いては、相手もかなりの能力を有しているようだ。
思わぬ反撃を受け、前方につんのめったメフメトではあったが、既に受身をとって起き上がっている。
―――頭部攻撃のダメージを受けていない!
アレクサンドロスは、自分と睨み合う形となったメフメトを、まじまじと眺めた。
頭部に巻かれたターバンが、そのダメージを軽減したのであろう。
右手に、大ぶりのサバイバルナイフを握ったメフメトは、アレクサンドロスの隙を窺いながら、
じりじりと間合いを詰めてきた。
今度は、アレクサンドロスが先に動いた。
マスケット銃の銃身を両手で握り締め、その銃握をメフメトの左肩口に向けて袈裟懸けに振り下ろす。
が、その瞬間、何故かサバイバルナイフの切っ先が、アレクサンドロスの目の前にあった。
身を翻したメフメトが腕を伸ばして突き出してきたのだ。刃の掠った右頬から、血が噴出す。
しかし、彼は自分の怪我に構わずそこから身を沈めると、
がら空きになったメフメトの横腹に、渾身の当て身を食らわせた。
ぐっ、とうめいてそのまま地面に転がったメフメトに、マスケット銃が振り下ろされる。
なんとも言えない音を伴って、右腕の鎖骨が壊れた。
アレクサンドロスは、メフメトの腕からサバイバルナイフを奪い取ると、そのまま彼の左胸に突き立てた。
メフメトの赤いガウンが、彼自身の血によって、更に真っ赤に染まってゆく・・・。
アレクサンドロスは、メフメトから奪ったサバイバルナイフを、マスケット銃の銃口に括り付けた。
こうすれば、遠距離攻撃に失敗しても、白兵戦で十分イニシアチブを取ることができる。
次からは、もう少し楽に戦えそうだ―――。
もちろん彼は、こうして自分が編み出した戦術が、
三十年戦争時代にある国王によって考案された、銃剣突撃戦術という代物であることを知りはしない。
時代を千数百年分先取りしてしまった帝王は、銃剣を担ぎ上げると、再び森の中に消えていった。
「どへっくしっ!!」
大声でくしゃみをしたのは、中年の男だった。
「誰かわしの噂でもしておるのか・・・。生き返ってすぐに風邪を引くのではたまらんな・・・。」
この男の名は、グスタフ・アドルフ。
実際の歴史上に於いて、本物の銃剣戦術を考案した男である―――。
俺のカキコ多すぎですね。次からしばらくストーリー書くの控えます。
<英雄番号31番 メフメト2世 死亡>
>35
直接他国と接触が無くても、殺傷能力に限らず実力を持ち合わせた人間はかなり居
た様に思われるのですが。信長が出ると秀吉・家康派がうるさいですし。
海外では源頼朝や北条時宗、東郷平八郎らも割と知名度が高そうです。天武天皇マ
ンセー!という人もいますね。
それと、ブッシュはあのお菓子で死んだという事では(藁・・・い事では無い。
差し出がましい事ですが、気になりましたので書き込ませて戴きました。
>38=1
いや、結構つーかかなり面白いっす
自分は文章書けないけど影ながら応援しています
41 :
世界@名無史さん:02/03/14 02:47
続き見たいage!!
42 :
世界@名無史さん:02/03/14 20:24
(´-`).。oO(期待age)
43 :
世界@名無史さん:02/03/14 23:36
生存 カエサル 武器 サーベル
マルクス マシンガン
フビライ・ハン
冒頓単于 弓
マリー・アントワネット
織田信長 銃&日本刀
アレクサンドロス 銃剣
死亡 イヴァン4世
レーニン
スターリン
毛沢東
ジャンヌ・ダルク
愛新覚羅溥儀
レオ十世
メフメト
44 :
世界@名無史さん:02/03/15 00:14
このスレオモロイね。期待age
個人的には、カテリーナ・スフォルツァと、チェーザレ・ボルジアと、ヴェラド・ツペシュきぼん。
45 :
世界@名無史さん:02/03/15 00:17
1さん以外に文章書ける人はおらんのか?
46 :
世界@名無史さん:02/03/15 00:22
俺は則天武后がいい
>45
そうなんすよ。スレの序盤でカミングアウトしてますが、
漏れは専攻の関係で(っていうか無学だから)西洋史疎いんです。
だから、西洋史関係の人物は、かなりの有名人物以外は、
性格描写前に速攻あぼーんさせてしまうことがどうしても多くなってしまい、
イマイチいかんなあ、と。
誰か、西洋史に造詣が深い方、マジでカキコお願いします。
漏れ的にはヴァレンシュタインあたりが出るとオモロイかなーと思ってるんですけど・・・、
(グスタフが既出なので、時代かぶっちゃいますけどね)
性格がきっちり描写しきれそうにないんで、書けないんです。
しかし。
案外スレの評判いいんで、もうちょい続き書こうかな・・・。
>49
おねがいします。
基本的に素人だから期待されても困りますがね。
まあ、キャラの使い肩書きに食わなければあぼーんしてください。
>>16の続きということになります。
--------------------------------
眼鏡をかけ白いヒゲを生やした彼は自信を持っていた。
(僕は世界史でももっとも優秀な頭脳を持った人間なんだ。僕自身は使用に
反対だったけど、史上最悪の大量殺戮兵器だって僕がいなければ生まれな
かった。ヤハウェの意思にかなって生まれ変わる資格があるのは僕だ。日
本人の中には、僕の名前にちなんで、一石という名前を子供につける人だっ
ているそうじゃないか)
茂みを抜けると一人の男が立っていた。腰に何か下げているようだ。そして
その足元には眼鏡を掛けた青白く見るからに貧弱そうな男が倒れていた。
(そうか、こいつも生まれ変わるべくゲームに乗ったんだな。遠慮は要らない)
彼は密かにアイテムの万年筆を右手に握りこみ、先手を取って左拳で牽制
の一撃を見舞おうとして、止めた。背後の茂みで音がしたからだ。
茂みから出てきたのは、色黒のヒゲ面の男だった。
「止めろ!剣で生きるものはついには剣で死ぬ。汝の隣人を愛するのだ」
しかし世界史上有数の頭脳に、この言葉は届いていなかった。彼は生き残る
ためにのみ頭脳を高速回転させていた。
(なぜこんな冴えない大工のような奴が、このゲームに、、、)
しかし頭の回転の速い彼はすぐに悟った。この一見冴えない男が発してい
るオーラは尋常のものではなかった。殺人に手を染めなかったとはいえ、その
頭脳で史上最大の破壊兵器を生み出すことになったた彼にはわかっていた。刃
物などという原始的兵器を持っている男より、このようなオーラを持っている
男の方が、はるかに危険なのだ。
彼は色黒ヒゲ面の男に向き直るなり、左拳で牽制の一撃をヒゲ面の男の右頬
に見舞い、見事に命中させた。
(これで万年筆をこいつの顔面につきたてれば、僕の勝ちだ)
しかし彼は一瞬躊躇した。色黒ヒゲ面の男が左頬をこちらに向けて差し出した
からだ。
(何やってんだ馬鹿が)
彼は万年筆を色黒ヒゲ面の男の顔面に向かって突き出した。
しかしその前の一瞬の躊躇が、この男の命取りになった。万年筆をつきたてよ
うとした瞬間、色黒のヒゲ面の男の右拳に握りこまれていた十字架が、カウン
ターとなって白ヒゲ眼鏡の左目を突き抜け、その優秀な頭脳につき立ったのだ。
<英雄番号2番 アルバート・アインシュタイン 死亡>
「運命は甘んじて受け入れねばならぬ」という覚悟を決めたつもりで、おせっかい
にも死ぬ寸前の男にまでそれを説教したカエサルだったが、目の前で突然繰り
広げられた二人の男の闘争にはさすがに驚き、固まってしまっていた。自分で戦っ
ているときには気づかなくとも、人の戦いを見て恐怖を感じるということは、たし
かにあるのだ。
しかしカエサルも尋常な人生を生きてきたわけではない。たいした武器を持っ
ているとも思えず、体格が優れているわけでもないこの色黒ヒゲ面の実力に、彼は
すぐに気づいた。この男は味方につけなくてはならない。そのためにはとにかく
話し掛けることだ。
「強い…というか…、戦いがうまいな……お前」
「……うまい?あんなものはたいした技術ではない。攻撃をかけるときには誰で
も必ず隙ができる。だからわざとこちらの隙を作って相手に攻撃させる。そこで
カウンターを打てばこちらの勝ちだ。格闘の基本だぜ。………俺は生前、周りの
弟子達にいつも言ってたよ。『右の頬を殴られたらもう喧嘩をするしかない。
そうなったらまず左の頬を差し出せ』とな」
カエサルもその意味はすぐにわかった。しかしそんなことを咄嗟に実行できる
実力と度胸があれば、ブルータスごときにやられはしなかったろう。
「突然できるというのはやはりすごいぜ…」
「まあな。俺は慣れてるんだよ。二度目だからな」
「二度目?」
「ああ、俺は一度、このクソゲームで生き残って転生したんだ。もっとも死んだ三
日後に転生させた父(この男は神を父と呼んだ)の意図は良くわからんがな」
私は原作しか読んでいないので、一応原作的な展開にしました。
……しかし原作通りに展開すると、イエスと組んだカエサルが
>>11のマルクスと最終勝利者の地位を賭けて争うことになるわけで、、、
世界史が如何に絶望的な展開をしてきたかを暗示している気がしなくもないですな。(w
自分は工房なので全然ココにかき込めるレベルじゃないので、1に期待age。
個人的にはサラディンとかハンニバルとかピサロたんとかいれたら面白いかなと・・・。
マルクスは死なないといけないんじゃないの?
ほら、マルクスの亡(以下略
57 :
世界@名無史さん:02/03/17 11:31
ナポレオン・ボナパルトは、暗闇の中を歩いていた。彼のそばを固めていた
元帥達は今回は居ない。彼にとって自らの武勇が試される時が来たのだ。
しかし彼に渡された武器は長い槍であった。
「我輩の辞書に不可能は無いか。」
絶望から呟いたナポレオンは背後に殺気を感じた。
突然の銃声が聞こえナポレオンは地面に伏せた。暗闇の中でどこから
襲われているのかも全く解らない。足音は徐々に近づいているがナポレオン
がまだ生きている事に気がついていないようだ。
(もう少し近づいてくればこの槍で一突きしてやろう。)
そう考えたナポレオンは近くの茂みに音を立てず移動した。
(さっきの一発で葬ったはずなんだが・・・)
ピストルを構えながらヒトラーは用心深く進んだ。彼には幸いピストル
という遠距離から攻撃できる武器を得ることが出来たが射撃の腕の
方が問題だったらしい。
(死体が無いということはどこかで息を潜めて隠れているのか。
引き返した方が得策であろう。)
そこで背中を向けて引き返したのがヒトラーの運命の終わりであった。
彼の背中にはナポレオンの槍が深々と突き刺さっていた。
「こんなところで死ぬわけには・・・・。ドイツは不滅なのだ。」
そう大声で叫んだヒトラーはそのまま倒れこみ死んだふりをした。
槍を引き抜いたナポレオンは落ちているピストルを拾い暗闇に
消えていった。ヒトラーは深手を負っているがまだ息はある。
(マルクスの野郎を・・・・。ドイツ民族の敵、共産主義の悪魔を
倒すまではしぬわけにはいかん。)
そのままヒトラーは昏倒した。
59 :
世界@名無史さん:02/03/17 12:06
イエスワラタ
アッティラは狂喜していた。
彼にとってただ生き残る事は目的では無かった。新たな狩場でその生を燃やし尽くさ
なければ、生などぶらさがっているだけで不用な存在でしか無かった。
数十回目の結婚式の夜に腹上死した彼が懲りずにブロンドの美女を組み敷いているの
はその為であった。側の木には東洋人の美女が縛り付けられているのが見えた。
体についた血から判断するに、すでに何人か男も仕留めていたらしい。
だが彼は忘れていた。多くの場合勝利した彼にも牙を向く獣がいる事を。
突然、アッティラの腰の動きが止まった。女に押しのけられ、体が草地に落ちた。
泣き叫んでいた筈の女の手に、針の様なものが握られているのが見える。
「全くついてないわねえ、せっかく若返って処女になってたのにさ。ブジョウ、ず
るいんじゃなくって。」もう一人の女に向かって放たれた言葉であった。
「仕方があるまい。先に選ばれた方が仕留める約定であった。おぬしの方がこの男の
好みにあっておったのじゃ。」
自分が美貌で負ける筈が無いと言わんばかりの女は武娘。武即天であった。
ふん、と言って着物を着け始めたフレデゴンドであったが、内心冷や汗を流していた。
「(あのまま縛られてる様な間抜けなら刺しておくつもりだったけど、とりあえずは
食い合わない方が良さそうね・・・。)」
アッティラの死骸から衣服を剥ぎ取り、悪女王二人は因縁相手も含めた獲物を求めて
去って行った。
<英雄番号7番 アッティラ 死亡(?)>
>60
(失礼、武即天が縄を解いた描写を書き忘れていました。)
「げに恐ろしきは女なりけり。」
木陰から先ほどの光景を眺めていた源頼朝は呟いた。
「おそらく女子の直感で『同類』を探り当てたのであろう・・。」
そう言った彼は、自分の妻の存在を思い出して身震いをした。
「鎌倉殿、あやつらを追いましょうぞ。」
そう言ったのは北条時宗。呆れている様に見えながら、内心ハァハァしていた。
実はこの二人、フビライ達を追って来ていたのだが途中であの場面に出くわし、優
先事項を変更していたのであった。ある意味漢(おとこ)であったと言えよう。
すみません、好きなスレに好き勝手なレスをつけてしまいました。(おまけに日本
人出てるし)皆さんのお気に召さない様でしたら、無視なさって下さい。(当然か。)
「主君も祖国も奸臣も張世傑もバヤンもいねえのにどうしろってんだよ・・・」
文天祥の苦難は続く・・・・・・
63 :
世界@名無史さん:02/03/17 23:12
首輪はなし?あと、食料や水・地図などは皆支給されてるんだよね?
ゲーム開始から数時間が経過した。
多くの英雄たちが殺戮の決意を固める一方で、ゲームからの逃避を企図する者たちもいる。
支給された地図を頼りに、島を散策するこの少年も後者の一人だ。
少年はウァリウス・アウィトゥス・バッシアヌス。またの名をヘリオガバルス。
かつて、ローマを混乱と無秩序に放り込んだエメサ生まれの少年皇帝である。
「一人というのも、悪くないものだな」
ウェヌスも恥じ入る美貌を輝かせ、森の小道を律動的な歩調で闊歩する。
木々の合間から漏れる月の光に照らされて、薄闇の中に存在を誇示する完璧な肉体。
その厭らしい吸うような口だけが、わずかに神的な印象を裏切っていたが、
楽しげにほころぶ顔は14歳の少年のものだ。
いく人もの母達、多くの阿諛者たちに囲まれて短い生涯を過ごした彼は
今、生まれてはじめての開放感を謳歌しているのだった。
やがて森が切れ、ウァリウスは開けた農道に出た。
地図を確認し、あたりを見回す・・・と、右手遠くに白い塔が見える。
潮の音が近い。
(あれが目指すトウダイだろうか)
だとすると随分回り道をしてしまったものだ。
何の警戒感もなく、月明かりの中に足を踏み出す少年を迎えたのは
ぱらららららっ
奇妙に乾いた音だった。
<英雄?番号34番 へリオガバルス 死亡>
山野さーん、私です(笑)
見入ってしまったよ〜フレデゴンド萌え(笑)
原作殆ど知らないんで、コッチの電波は皆無でありますっ
(明日早いのに眠れない!)
66 :
世界@名無史さん:02/03/18 03:27
とりあえずハンニバルで
>65
私なんてまるで知りませんが(氏)。
(寂しいので懲りずに書き込み)
アッティラがフレデゴンドにのしかかっていた頃、またもやマリー・アントワネット
は襲われていた。但し今度はサーベルで切りかかられていたのだが。
諦めよう、そう彼女は思った。どう考えてもここで生き残れる自身が無い。
これで楽になれるのだ、そう考えて逃げるのを止めた時である。
銃声が響き、自分を襲っていた男が倒れた。代りに視界に入って来たのは14、5歳
の美少女。マスケット銃を構えた姿が、奇妙に現実離れして見えた。
助けてくれたのだろうか。そう思った瞬間、少女の方が先に口を開いた。
「何をしてるんですの。」怒りのこもった声に背筋を冷たいものが走った。
「勝手に死んでいいとお思いだったのなら、筋違いもいい所ですわ。いいこと、オー
ストリアの皇女であるのならまだしも、あなたはフランス王妃ですのよ。しかもその
様子では(と派手な格好を見て少女は言った)まだ王妃としてやり残した事があった
のじゃ無くて?それに、母親としてもね。」
そうだった。自分には戻ってやるべき事がある。顔に血色が戻って来るのが分かった。
「理解出来たのならよろしいですわ。早くお行きなさい。気が変るかも知れなくってよ。」
その台詞に、アントワネットは慌てて会釈をすると森の奥に消えた。サーベルを持って。
>68の続き
その様子を満足そうに見送って、少女は呟いた。
「あなたは私の様にやるべき事をやれなかったのでしょう?アントニア。いいえ、
もうアントワネットでしたわね。お互いオーストリアとフランスの栄光の為に精
一杯戦いましょう。」
マリア・テレジアことテレーゼは12歳頃の肖像画では美少女であったにも関わら
ず、アントニア(第十五子)を生む頃には動くのも大変そうな肥満体になっていた。
今回少女時代の姿で蘇ったのは、肝っ玉はもとのまま外見の最盛期を与えられたと
いう事であるらしい。
それにしても、とテレーゼは先程自分が撃った男の方を見た。
「あの殿方、どこかでお見かけした様な気がしますわね。直接お会いした訳ではあ
りませんけど。」マリーも同じ様な事を少女に対して感じた事であろう。
しかし銃声を響かせた以上、敵を呼び寄せてしまう可能性が高い。疑問は後回しに
して、早めにその場を立ち去る事にした。
その為、しばらくして男が立ち上がった事が分からなかったのであった。
「あんの婆ァ・・・。お喋りじゃったお陰で、こっちは誰だか分かったで。一度な
らず二度までも冷や冷やさせてくれたのお。次におうたらボコボコにしちゃるけえ、
そん時に思い出して後悔せえや。」
武闘派プロイセンなまりで呟きながら起き上がったのはフリードリヒ二世。弾丸は
その体をかすっただけであった。
とりあえず止血を行った彼が目指した先は診療所。フビライ達が向かった先であった。
<ヤハウェロリコン疑惑発生。(作者は違いますよ)>
(´-`).。oO(登場してすぐ死ぬヤツが多いなぁ)
1さん、見ておられますか?不安でしょうがないのですが。
1さん、見てるならチョットまとめて下さいな。
カキコしてくれる人が増えたのはいいけど、このまま逝くと収拾が・・・
なんか好きな英雄が多すぎて、結末を考えると読むのが辛い。
テレーゼ好きだ。母娘の愛情にホロリ。
すんません。ちょっとこの数日忙しくて、接続する暇がなかったです。
レスが伸びていてうれしい限りなんですが、、、、
今後1週間ほど、まとまった時間が取れそうにないんで、
ストーリーは書けないかもしれません。(面目ない)
全体的に、西洋史関係の人物が増えていて良いですね。
あと、マリア・テレジア母子とか・・・、山野野衾さん、イイ!
>72
もう、しばし待ってください。
けど、ひとつだけ。意見なんですが・・・
>61
日本人+ほぼ同時代+ほぼ同じ身分 のキャラが2人出ちゃうのはちょっと・・・?
あの2人の世界史的意義は十分納得のゆくところなんですが、やっぱ世史板でやるバトロワなんで、
日本史系人物は人選のフィルターをちょっと濃い目にかけよう、ってのを考えてたんですよ。
とはいえこの件、俺が独断で切ってしまう権利はないはず。
↓別な人の意見きぼんですな。
ちょっとまとめ&提案です。
〓追加ローカルルール〓
・2002年現在において存命中の人物は、(改めて転生させる意義がないので)出場できない。
・日本史の人物、もしくは、同時代かつ同地域の他の英雄が既出である人物に関しては、
出場は許可されるものの、神の選別フィルターが強めにかかる。
(↑"フィルター"の基準に関しては、作家さん達の史観と良心に任せますよ)
・英雄達に首輪は付いていないが、禁止エリアに入ったり、
神を攻撃したりすると天罰(雷)により強制あぼーんされる。
・食料、水、地図は、全員に支給。地図の言語は、各英雄の母語に対応。
あと、首輪の盗聴システムに関してですが、こんな設定はいかがでしょう?
・英雄達の意思疎通手段"テレパシー"は、神の仲介により成り立っているため、
神は当然の如く、全員の会話(?)の内容を把握している。
(神=プロバイダーみたいな感じです)
でも、同じ母語を持つもの同士が、「音声」や「文字」を仲介に意思疎通した場合、
ひょっとしたら神に話の内容がバレないで会話ができるのかも・・・?
(ヤハウェたん、ヘブライ語しかしゃべれんのです)
→この設定、当然ツッコミ可ですが・・・。
平清盛「えー、白者(痴れ者)の山野めに変り、我らが1様に返答申し上げますぞ。」
足利義教「理由は二つあったらしい。一つはあいつが日本中世史マンセー人間であ
った事じゃ。もう一つは信長偏重の日本史観への反発があったらしい。」
清盛「・・・完全に個人的な意見では無いか。」
頼朝「仕方があるまい。西暦千年から二千年までの世界史二十大人物のわしを差し置
いてあやつ一人が(戦国代表ならまだしも)参加とは納得が行かぬ。」
清盛と義教「東大寺焼き討ちや叡山攻め、海外貿易ならわしらもやったしな。」
時宗「信長殿の行動が義教殿の行動をなぞった様だという者もおります。が、お許し
が出なんだ以上、致し方ありませぬ。退場致しましょう。」
数時間後。彼らは即席のイカダで洋上を漂流していた。まさしく呉越同舟。
翌日、「神風」の如き台風でばらばらになったイカダの破片が見つかったが、数年後
に彼らにそっくりな交易商や政治家が世界を震撼させる事になる。
78 :
世界@名無史さん:02/03/19 14:23
うーむ。アインシュタイン死んだのか。
生きてたら原作での三村の役割を与えてみようかと思ったのに。
プレッツェルなる洋菓子。手頃な大きさの亀。辞書。地面に何か書けそうな棒。
それが彼らの装備であった。
ブッシュジュニアは体力・知力(推定)・戦歴と親父以下であったうえ、ようやく
集めた仲間は亀が頭にぶつかったり本にうもれたり地面に図形を描いている内に死
んだ様な連中であった。まあ弱かったからこそ逃げ隠れがうまく未だにやられてい
ないのだが、これで神と戦うなど信じられなかった。
そしてそれ以上に信じられなかった事が一つ。・・・・・足元の石拾った方が強い
って事にいい加減気付けや。
「神は死・・・」
ピカア、ゴロゴロゴロ ドシャーン!!!!
<英雄番号52番 ニーチェ 死亡>
81 :
世界@名無史さん:02/03/20 14:16
もいっぺん、アウトラインとして、
まず登場人物とBRでの役割をちゃんと決めようよ。
各人が話を進行させると、テンポはいいけど、専門分野にばらけすぎ。
とりあえず、神経質な学級委員にロベスピエールをキボンヌ。
>81
それだと原作知らない者(私もそうですが)は蚊帳の外ですし、この場合は
原作通りに進まないのがミソかと。一癖も二癖もある面々ですから。
それと個人的な要望ですが、頼朝と時宗リセットしますのでその代りに日本
史から好きな人物入れさせて戴けませんか。
「フビライハンがそういえば居たな、祖国の敵を討つか・・・」
文天祥はなんとなく打倒フビライを決意した、そんだけ。
84 :
世界@名無史さん:02/03/20 19:17
>>82 日本人だったら旧帝国軍人かヒロヒトさんなんかを登場させては?
>84
近代以降はどうも・・・そちらにお任せします。他の方々の文章を読ませて
戴くのが楽しみですので。それと希望する人物は私が好きなだけという人で
すので、顰蹙をかうかも。
『・・・・・・・・・・・・・・・』
あたしは暗闇の中で身動きした。ここは・・・どこ?
背中が痛い。ゴツゴツして、冷たくて。
手を動かすと水のようなものがズルリと絡みついた。
薄ぼんやりした意識が次第に浮き上がってくる。耳に聞こえるのは声。男の声だ。
「おい、メデス。そんな死に掛けの餓鬼に関わりあってる暇はないぞ」
「儂はアルキメデスじゃて。そろそろ名前ぐらい覚えんかい」
「まま、倒れてる人を放っておくわけには行かないでしょう」
「うむ、それに仲間は多い方がいいと言ったのは、ブッシュ、貴方だろう」
気配が近づいてくる。
あたしは優しい腕に抱き起こされて、口に何かを宛がわれた。
なにこれ?
「飲みなさい。水だよ」
いらない。水なんていらないよ。
むりやり流し込まれた水が喉につかえ、あたしは盛大に咳き込んだ。
「おお、気が付いたようだ」
今では男たちの顔が見える。4人。
それぞれの表情で、あたしの顔を覗き込んでいた。
お猿さん・・・お坊様・・・詩人さん・・・学者さん・・・
あたしは4人に名前を付ける。
とてもピッタリなのを思いつけたので、ちょっぴり嬉しくなった。
「血がたくさん出てますよ。どこをやられたのですか」
詩人さんが言った。
チ?ち?血?
言われてみれば、たしかにあたしは血まみれだ。なんで?なんで・・・
・・・・・・そう、あたしはマルクスにヤラレタンダッタ。思い出した。
だんだん、思い出した。
胸を、腹を、足を、腕を、まんべんなく撃ちぬかれて、足が棒になるまで
死のダンスを踊らされたんだった。でも、もうどこも痛まない。痛くない。
ほんとうに、どこも、いたくない。・・・って、あれ!?
『・・・・・・・・・・・・ジャンヌ』
慌てて袖を捲くると、傷口はもう綺麗に閉じきってアザのようになっていた。
あぁ、これは・・・
『・・・・・・・・・ジャンヌ』
こういうことは初めてじゃない。
『・・・・・・ジャンヌ』
以前にも・・・前の世界で生きていたときにもあった。
『・・・ジャンヌ』
といっても、一度は居なくなっちゃって
『ジャンヌ』
・・・帰って、来てくれたんだ。
『ジャンヌ、ワタシハモドッテキタ』
もうとっくに見捨てられてしまったとばかり思っていたのに!
いつの間にか、あたしの周りにはあの『声』が満ちていた。
一度見失ってしまった『声』。
お坊様たちも、仲間のみんなも誰も信じてくれなくて、あたし自身忘れかけてた!
それが今じゃ、見渡す限り『声』でいっぱい。
ああ!世界で一番イトシイ貴方の声が
「きこえるぅうぅぅぅううう!!」
絶叫するあたしに驚いたのか、4人は一歩後ろに下がって唖然としている。
あたしは、手近な詩人さんの襟首を掴んで飛びついた。
「おじさまっ!」
「のわっ!?」
「おじさまの武器は、なに?」
「え?え?」
何故か赤面してヘドモドする詩人さん。じれったいなぁ。
「体はなんともありませんか?」
「それはもういいから!ほら!」
あたしがその場でぴょんぴょん跳ねてみせると、詩人さんもやっと安心してくれたようだった。
そして、彼が懐から取り出して見せたのは・・・・・・
「あーっ、亀さん☆」『コロセ』
あたしはなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんども
なんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんども
なんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんども
なんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんども
亀さんを振り上げ振り下ろして、一息ついたときには、周りにはもう誰もいなかった。
詩人さん以外・・・という意味だ。もちろん。
みんな終わるまで待てなかったのかなぁ。
さて、もうひとふんばり。あたしは気を取り直して、詩人さんの頭をすり潰しに掛かった。
<英雄番号27番 アイスキュロス 死亡>
<英雄番号21番 ジャンヌ・ダルク 生存確認>
89 :
世界@名無史さん:02/03/21 00:40
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑
イ イ !
>89
いや全く。こういうキャラでしたか。続きを希望。私も85のお許しが出れば(駄
文ですが)書き込みたいです。
01△アドルフ・ヒトラー ×
02×アインシュタイン 万年筆
07?アッティラ ×
11×イヴァン4世 ×
13 ジョージ・W・ブッシュ プレッツェル
15×愛新覚羅溥儀 ×
21 ジャンヌ・ダルク 亀(?)
24×レオ十世 ×
27×アイスキュロス ×
31×メフメト2世 ×
34×ヘリオガバルス ?
52×ニーチェ ?
?? 武即天 針(?)
?? フレデゴンド ?
?? ナポレオン1世 拳銃・長槍
?? イエス・キリスト 十字架
?? グスタフ・アドルフ ?
?? ティムール ?
?? 文天祥 ?
?? ユリウス・カエサル サーベル
?? カール・マルクス マシンガン・?
?? フビライ・ハン ?
?? 冒頓単于 弓
?? マリア・テレジア マスケット銃
?? マリー・アントワネット サーベル
??△フリードリヒ2世 ×
?? 織田信長 拳銃・日本刀
?? アレクサンドロス 銃剣
?? アルキメデス 木の棒
?? 本で死んだ人 辞書
?? 金日成 ?
??×レーニン ?
??×スターリン ?
??×毛沢東 ?
うわ、なんかズレまくり・・・。
一応現在の状況をまとめてみました。
>>山野野衾さん
本で埋もれた人って誰でしょうか。
調べても分からなかったもので・・・
>93
ローマ法王の中に居た筈なんですけどね。読んだ本が何処かに行ってしまった上に、
検索をかけても分からない。「間抜けな死に方事典」でもあれば良いのですが。
狩衣を着、野太刀を腰にさした侍が浜辺を歩いている。
右手にはうっそうとした森が、左手から頭の上にかけては紺碧の海と空が広がって
いた。海は浅瀬の水が透き通り、三寸程の烏賊が泳いでいるのが見える。
実に清々しい風景であった。しかしこの島で流されている赤い血の事を思えば、誰
もが憎々しさの方を覚えた事であろう。彼も同じであった。神経を張り詰めていた。
やがて。延々歩き続けていたものが、急に止まった。
「(左手にはおらぬ。後ろでも無い・・・。)」
右手前方の茂みを睨み続けてどれだけ経ったろうか。
奇声と共に半裸の男が山刀を振りかざして襲いかかって来た。こちらも得物を構える。
急に視界を塞がれ、ラプラプは気が動転していた。マゼラン一行に鉄砲を使用された
時にもここまで驚きはしなかったろう。
実は平清盛にも計算外であったのだが、彼が咄嗟に構えた竹光が山刀で裂けその先端が
奇跡的な確立で相手の顔を突いていたのである。
しかし、何時までも驚いては居られない。清盛は手近な石を掴み、投げた。
「てやぁっ、たあっ、ていっ。」投げる、投げる、投げる。
「年中行事絵巻」にも描かれている様に、中世までの日本では戦闘・遊戯等で良く印
字打ち等と称して石を投げ合った。長篠の合戦にも武田の石投げ部隊が参加している。
清盛も父・忠盛配下の元海賊から習った経験があり、やぶれかぶれ・にわかじこみの
手合いでは無かったのである。
ラプラプの手から山刀が落ちた。「(今じゃあっっ。)」
中身が爺であるにも関わらず、血肉が沸き踊っていた。相手の背後に回りこんで、首
を絞める。返り血は浴びたくない。
無防備になる一歩手前まで首絞めに集中し・・・数分後に相手の動きを止めた。
<英雄番号26番 ラプラプ 死亡> <英雄番号23番 平清盛 参戦>
とうとうやってしまいました。鎌倉コンビを泣く泣く外して、よりによってこのお
人の参戦です。
ただ興味深い人物ではありますし、アントワネットや溥儀やジュニアよりは使える
のでは無いかと。今後キャラ立てしてその後他の連中と絡ませて行くつもりです。
>>78さん
すまーーーん。べつにあれアインシュタインさんでなくても良かったんですが。
三村はアカデミックな話よりも実戦的な知識に豊富というイメージがあったので、、、
コンピュータ技術なら「フォン・ノイマン」とか、
神がコミュニケーション手段を握っているという設定ならば
やはり「最も偉大な預言者」と呼ばれる「マホメット」あたりが
「ハッカー」としてふさわしい気が、、、
マルクスが大ボスか。
・・・マルクス書ける人っているのかな。それがチト気がかりだ。
>>97 三村はマホメットにいっぴょー。
あとイエスも神様関係で面白く絡んできそうだね。
ジャンヌダルクは、、どうなんだろ。あの声ってヤハウェのですか。やっぱし。
99 :
世界@名無史さん:02/03/21 23:25
age
100 :
世界@名無史さん:02/03/22 10:14
100get
101 :
世界@名無史さん:02/03/22 10:39
1の分はグッド!
102 :
世界@名無史さん:02/03/22 14:04
項羽を出してほしいな。
単純な戦闘力では最強だと思うのだが。
103 :
世界@名無史さん:02/03/22 15:42
>>102 ほしいな・・・じゃなくて自分で書いてみたらどうか。
誰だって最初は文章うまくなんかないんだし、大切なのは登場人物への
愛だろ愛!とか言ってみるてs
>103
激しく同意です。多い方が楽しいですから。
うひひひ・・・・。そいつは勝利を確信していた。瞳には喜悦の色が浮かんでいる。
「(なんじゃこいつはぁ・・・!!)」
清盛が対峙しているのは、どんぐり眼に丸顔、長身というよりは巨体を備え、得物の
戦斧を長い両腕で操って来る男であった。
竹光はとうの昔に打ち砕かれている。投げやりならぬ投げ柄とばかりに残った部分を
投げつけたが、そんなものが効く筈も無かった。
山刀を構えたものの、如何せん単純にその場における戦闘能力が違い過ぎた。たちま
ちの内に追い詰められた。
ガキッ。何とか受け止めたものの、膝を付きそうになった。やられる。
さすがに走馬灯の様にとはいかなかったが、清盛の頭にも過去の思い出が浮かんで来
ていた。それも、他愛の無い事が浮かんだ。
わしは二十九歳で安芸の守に任ぜられ・・・厳島に参詣した。そういえばあの時・・
・・、船頭が何か申しておったな・・・。
『安芸の守様。瀬戸の海はなんぼ柔らこうても、いや柔らかいけえいざとなりゃあ余
計に絡みついて人を沈めるもんですけのお、お気をつけを。』
・・・!そうじゃ。こうなったらいちかばちか・・・。
ベルトラン・デュ・ゲクランの感じていた手応えが、急に消えた。「うおっつ!?」
一度は死の淵にまで追い込んだ筈の相手が、急にするり、と抜け出したのだ。
うおおおっ。腹立たしげに再度追い込もうとするのだが、水の様にするりと逃げられ
てしまう。受ける訳でも無いし、逃げる訳でも無い。
やがていらだちと疲労が溜まり始めた時。
戦斧が木の幹にめり込んだ。「(し、しまったあっ!!)」
普段ならこんな手にひっかかった筈は無いのだが、甲冑相手と異なる敵と対
峙し続けていて注意力が散漫になっていたらしい。
しかし、気付いた時には遅い事など彼には言うまでも無い事であった。ただ
一つ違った事は、今回は気付かされたのが敵では無かったという事であった。
背後に回り込んだ清盛の手に握られていたのは、ラプラプが作って持ってい
た石器のナイフ。それが延髄に叩き込まれた。巨体が倒れる。
倒れた者と立っている者。それに大きな戦斧と刃こぼれした山刀だけがその
場に形を留めていた。
「この様な斧、燕人張飛かあの為朝でも無ければ使えぬわい。」
その場を去って行く清盛。いずれ誰かが拾う事もあろう。
<英雄番号28番 デュ・ゲクラン 死亡>
>90
自分の書いたキャラがその後どう転ぶのか分からないのが
バトロワ系SSの面白さだと思ってるんで、よかったらバンバン使っちゃってください。
山野氏に書いてもらえるなら光栄だしね。
こいつはやばい。清盛の第六感が全開でそう告げていた。堀川のあの男や、良秀と
同じ匂いが目の前の相手からは感じられた。
見た目はおそらく(白い連中の年はいまいち計りかねたが)二十歳かそこいらであ
ろう。しかも小娘である。
「(だが、だからといって中身まで計れるとは限らぬ。)」
人間の内に秘められた情念がその外見上の差異を遥かに越えるものだという事は、
かつて華と魑魅魍魎のうごめいていた都で嫌という程味わっていた。
そう、清盛が対峙していた娘の名はジャンヌ。故郷ではジャネットと呼ばれたモノ。
柄にも無く焦りが襲いかかり、冷や汗がしたたって来た・・・。先手必勝。
唯一使えそうな山刀で襲いかかった時。目の前に突き出されて来たものを見て、清
盛は驚愕と共に手を止めた。
「お、おぬし何という事をしておるのじゃっ・・・。」
切りかからんとしていた清盛の視界に入って来たのは、つぶらな瞳の亀であった。
「(こ、これは切れぬ。)」
あんた、戦でもそれ以外でも散々人切って来たじゃないか・・・・・。そんな突っ
込みは入らなかった。入れる者がいなかったので。
「あはははっ。おじさん、来れないんだぁ。それじゃ、こっちから行くね。」
ジャンヌが武器(亀)を持って身構えた。
よける入道相国、追い詰めようとするラ・ピュセル。嫌な光景が繰り広げられた。
しかし清盛にとって救いであったのは相手の得物が「亀」であった事であった。
何度もよけられてこのままでは不味いと思ったのであろう。ジャンヌが勝負に出た。
「てぇっーーー!!」っておい、蹴るだけかい。ボコッ。ぐえっ。
突然の攻撃に驚いたものの、何とかかわす清盛。それを見るが早いかジャンヌは逃げ
て行ったがさすがに狂犬を深追いする気にはならなかった。
「恐ろしい奴・・・。ところで今の『ボコッ。ぐえっ。』というのは一体。」
気になった清盛が崖下を覗いてみるとそこには。
赤シャツを着たガリヴァルディが、食べかけの茸を落として倒れていた。頭上に亀の
甲羅が落ちて来たらしい。側には日本刀が落ちていた。
<英雄番号32番 ガリヴァルディ 死亡>
86さん、お言葉に甘えて書かせて戴きました。<その一 邂逅>といった所です。
勿論勝手に殺す様な真似は致しませんでした。やはり皆さん中心的な登場人物には
それなりの愛着と今後の展開に対する役割をお与えになっておられるでしょうから。
「俺って支給品何さ?」
自分の支給品が何かすら気付いていない文天祥であった。
112 :
世界@名無史さん:02/03/22 22:42
またそろそろシリアスな展開をキボン。
113 :
世界@名無史さん:02/03/22 22:45
というだけでは失礼か。
そろそろどうオチをつけるか考えて、それに向けて話の流れを
作っていった方が良いかと思われ。
少なくとも
1.主催者を打倒
2.最期の一人まで殺し合い
のどちらか・・・ぐらいは決めときませんか。
>113
とりあえず2.に進みそうになりながらも1.になる展開を希望。最後に各
英雄達が現在とそれぞれの時代で活躍して、ヤハウェの本来の目的であった
「問題の少ない世界」を実現するというもの。
115 :
世界@名無史さん:02/03/23 17:30
新約聖書の世界には三体の神が存在します。
まずエロヒム(神々)。これが父なる神です。
そしてヤハウェ(=イエス)。
精霊なる神。
この三人です。
イエスの父はヤハウェではありませんので、その点ヨロシク。
116 :
世界@名無史さん:02/03/23 18:01
父なる神YHWH
子なる神イエス
精霊なる神
の三位一体では?
>>115 新約は口語ギリシア語で書かれているのに、なんでヘブライ語なの?
そりゃ、創世記とかのことでしょうが。
>>117 エロヒムと言う言葉はイエス最期の言葉として出てきます。
エロイ エロイ レマ サバクタニ
神よ 神よ 何故 お見捨てになったのですか。
なお、ヨハネ8.24にてイエスが
自分は『在って在るもの(→ヤハウェを連想)』であるとカミングアウトしています。
高校のころの授業で習ったことなんで、ちょっと突っ込まれただけでボロが出ますね。
もっと詳しい人お願いします。
エロイっていうのは普通名詞でヤハウェが固有名詞なのでは
ないだろうか。ヘブライ語を知っているわけではないがキリスト
教の本質を考えると別と考えるのは不自然だと。
ちなみにイエスの最後の言葉は詩篇からの引用だったはずです。
実家に帰れば聖書があるので調べれるが今は無いので誰かフォ
ローよろしく。
121 :
世界@名無史さん:02/03/24 00:48
122 :
世界@名無史さん:02/03/24 13:12
取敢えずヤハウェって名詞自体は基本的に出てきませんね。
子音抜きのYHWHとだけ存在します。ヤハウェって読み方は子音を予測して当て嵌めてるだけ。
あとエロヒム(神々)って表現は聖書の世界では適当でないでしょう。
一神教の世界ですから。キリスト教においてもあくまでも三位一体ですし。って脱線に近いですね。
概念的に三位一体は難しいからここではある程度独自介錯へ持って行く必要は有ると思います。
そうで無いと主催者自らがイエスという分身として参加してるって事になる得るかと……(笑)
ってそれはそれで面白いかもと今一瞬思ったりして(w
123 :
世界@名無史さん:02/03/24 13:39
一冊の本になったら買うよ
124 :
世界@名無史さん:02/03/24 13:53
1)三位一体(カトリック)
2)イエスは預言者だけど、神性は認めない(アリウス派andイスラム教)
3)イエスとYHWHは同一である(モルモン教)
4)イエスのみが神(単性論)
イエスの設定として考えられるのはこれぐらいか?
まぁ、ゲームの参加者として登場してるんだから2あたりが適当なんじゃないかと俺は思う。
余談だけどキリスト教(特にカトリック)が一神教というのには首肯しかねる。
三柱神信仰や地母神信仰を取り込んじゃってるかんね。
後代になると聖者や天使、聖遺物も一種崇拝の対象になっちゃうし。
125 :
世界@名無史さん:02/03/24 14:01
>>124 とりあえず、3は歴史的にも、旧約・新約聖書を読んでも正しくない。
126 :
世界@名無史さん:02/03/24 14:04
>>124 結果的にキリスト教が多神教的にならざるを得なかったのは
ゲルマン人の異教徒を取りいれる上でやむを得なかった。
127 :
世界@名無史さん:02/03/24 14:41
>>124 プロテスタントの思想が抜けてる。キリスト教と言えば1位カソリック2位プロテスタントってぐらいの勢力だからそう並べるならきちんと踏まえるべきかと。
後2は旧約聖書のみを信仰してるのが混ざってるから新約が重要なスタンスを占めるキリストについての場合は適当でないと個人的には思う。
まぁ大辞なのは書いてくださる方がどう取るかだけど。
こう言うときは、ある程度の正しい情報の他に面白くないと駄目ってお決まりが(w
ゲッ、、すまぬ。わざと抜かしたんではないです。
気分を害したひとはゴメンよ。
えーと。久々にネット繋げられたんで、ストーリーの続き書きます。
みんな、上げてくれていてありがとう!!!
金日成は、げぼり。と大きく血を吐いた。
自分が言うのも何だが、
やはり共産主義によるユートピア国家などは、到底実現されることのない夢想に過ぎないのだろうか。
おそらく、そうに違いない。
他でもない、その「ユートピア国家」の元首たる人物が、
自分自身や、現在自分を殺そうとしている相手
―――右手に血の滴る大ナタを握った狂人のような人間ばかりなのだから・・・。
金日成が薄れゆく意識の中でぼんやりとそう考えたとき、
彼の視界には迫り来るナタの切っ先が映った。
その光景を最後として、日成の意識は拡散し、永遠の闇へと引き戻されていった・・・。
「ぐふ、ぐふっ、ぐふぅぅぅっ・・・!」
男は、喉をゴロゴロと鳴らしながら、ナタの先にこびり付いた脳漿を舐め取った。
その行動、異常に赤味が差し、爛々と輝く瞳孔。
紛れもない狂人のそれであった。
自分の目の前で、何よりも尊敬するあの方が殺された―――しかも、最もその行動が許されない人物の銃弾によって!
それは、元々生前から多分に狂気を交えたその男をして、理性を完全に失わせるには充分な理由だった。
良心、理性、自制心、その他諸々の人間らしさ・・・、
自らの全てを狂気の波に洗わせた後、男に残されたものは、虐殺への本能。血への執着だけだった。
「ルゥゥジュ・・・ルゥゥジュウゥウゥゥ―――!!!」
もう既に動かなくなった金日成の体一面に、尚も大ナタを振り下ろしつづける男。
返り血で顔中を真っ赤に染め、瞳を煌々とさせながら獲物を解体するその姿は、もはや人とは思われぬ。
血に飢えた羅刹と化した、その狂人の名は、
ポル・ポト。
<英雄番号9番 金日成 死亡>
―――1日目の長い夜が、明けた。
ピンポンパンポーン。
島中のスピーカーが一斉にアラームを流し始め、それに続いて、妙に軽薄な調子で、神の声が響いてくる。
音割れの激しい旧式のスピーカーだが、なんとか聞き取れないことはない。
「みなさん、おはよーございまーす。神様のヤハウェです。どうもどうも。
流石は英雄。みんな、いいペースで殺し合ってくれていて、神様嬉しいです。
では、昨日の死亡者を発表しまーす。英雄番号2番、アインシュタイン君、3番、レーニン君・・・・
・・・、34番ヘリオガバルス君、43番スターリン君、51番毛沢東君! 以上です。
ところで。みんなの中には、私を熱烈に信仰している人がいるんじゃないかと思いますが、
私を信じていてもいなくても、優遇処置やペナルティが施されることはありません。
なんてったって、私は非常で不条理な荒ぶる神ですからねー。みんな、条件はい・っ・し・ょ♪
あ、でも、無闇に私をバカにすると、殺しはしなくても、落雷のオシオキくらいはしちゃうかもしれません。
52番のニーチェ君。聞いてますかぁ?じゃ、そういうわけで、みなさんがんばって下さい。」
「アラーよ・・・これが貴方の試練なのか・・・。」
山の中腹の、やや、開けた小道で、ムハンマドは静かに放送を聞いていた。
その手には、本が一冊、握られている。彼の開いた、崇高なる教えの経典たるアラビア語の本。
それが彼に与えられた武器だったのだ。
しかし―――
「剣かコーランか?この場合、どちらかと言えば剣が欲しかったかも知れんな・・・。」
ムハンマドはひとり呟き、なんともいえない表情で、向かい側の山並みに視線を移した。
その時・・・!!!
<英雄番号52番 ニーチェ 生存確認>
山の高台に、拡声器を持った2人の東洋風の男。
ヤハウェほどではないが、彼らもまた、その身にある種独特の気高さを漂わせている。
まず、2人のうち、長身美髯の男が先に口を開いた。
「君子無所争、必也射乎!揖讓而升、下而飲、其争也君子・・・!」
「愚かな・・・。あれでは的と同じではないか・・・。」
あきれ顔のムハンマドをよそに、男は静かに話し続けている。
「・・・而、 居処恭、執事敬、与人忠。雖之夷狄、不可棄也・・・!!!」
美髯の男が一通り話し終えると、
続いてもう一人の男、痩身の聖者が、おごそかにその意見を述べ始めた。
「南無―――」
ズダダダダダダダダダダダッッ!!
突然鳴り響いた銃声が、聖者の説法を中断した。
聞き慣れないその音に驚いたムハンマドが思わず目を背け、その視線を再び向かいの山に向けたとき―――、
その手にマシンガンを抱えた男が1人、高台に立っていた。
足元には、一瞬にして骸と化した2人の聖者が倒れている。
マシンガンの男―――カール・マルクスは、
地面に転がった拡声器を拾い上げ、スイッチが入っているのを確認すると、
2人の聖者の死体の上にその銃口を向けた。
朝靄の未だ晴れやらぬ孤島に、拡声されたマシンガンの銃声が大きく鳴り響いた・・・。
<英雄番号16番 孔子(孔丘)死亡>
<英雄番号44番 ガウタマ・シッダールタ 死亡>
英雄番号52番のニーチェが出てたので、
人数の最大枠は原作より10人多い52人ってことにしてみましたが、
これはOKでしょうか?
(42人じゃ、ちょっと少なそうな雰囲気なんで・・・)
>原作に関して
自分の考えでは、英雄たちそれぞれに原作の役割をなぞらせて動かすのはちょっと・・・?
(話の先がある程度わかっちゃいますし。それに、そういう枠組みで収まりきる人たちじゃないでしょ? 笑)
人数を52人にしようとするのも、ある程度、原作通りに進めにくくするため。
ただ、パロディとしての面白さも捨て難いことも理解していますので、
話の部分部分で(>132みたいな感じ)、原作っぽい場面を挿入するくらいはやっていいかな、と。
>113&>114
最終的に、この2つの「どちらかの結末」で落ち着く形で話を作っていっては?
自分としては、それで十分な気がしますよ。
(集団脱走とか、そのまま島にみんなで永住とか、そういう結末は排しましょう。)
>130
<見苦しい補足>
ポルポトと金日成は、マルクスの手紙を受け取っていましたが、道に迷って現場到着が遅れ、
結果的にマルクスによるコミュニスト虐殺を陰から目撃することになりました。
マルクスが毛沢東を殺す光景を見たポルポトは、その場で発狂。
マルちゃんがどっか行ってから、隣にいた日成をナタでメタ殴りにし、
>130の場面に至ったということです。
ジャングルでの戦闘力高そうだ・・・、ポル・ポト。
1さん、お帰りなさい。しかし仏陀や孔子は不味いのでは(汗)。今更横槍を入れ
られる話ではありませんけど。ヤハウェはこの二人が殺しまくると期待していたの
でしょうか・・・。まあイエス様も参加しておられますしね。
それと、原作を辿る訳では無いというのが面白くて好きです。
アルキメデスを入れたのは誰だったっけ(ボソッ
>136
ま、まあ投石器や光線兵器(?)を開発した人だけに、殺しはうまいのでは無いか
と思いまして。ひょっとしたら最後の鍵を握ってくれるかも知れませんよ。
小ブッシュは分かりませんが(藁。
>132、135
てっきりこの役は
マハトマガンジーかと思てたよ
相変わらずお上手〜>1
ただ人数制限52人てのは厳しいような・・・
数えてみたけど今44人なんだよね。もう少し余裕を持たせた方がいいのでは。
140 :
名無しさん:02/03/25 00:02
三国志スレは100人だから、ここも100人希望
141 :
世界@名無史さん:02/03/25 15:28
大体52人と決めて進めてて、必要が生じれば増やすぐらいの感覚で宜しいのでは?
>135 >138
釈迦や孔子はなど、一見合わない人物が入っているのは、ヤハウェさんのきまぐれです。
まあ、彼らにしても、後世の人間の生命に与えた影響ってのは、ものすごい人たちですしね。
ガンジーを出すっていうのは考えていませんでしたが、(←いいかもね)
ちょっと良心がとがめまして・・・(藁
>139
人数は難しいところですね。60人案も考えましたが・・・、多すぎると際限なくなっちゃうんで。
(100人とか出してもいいですが、把握しきれませんよ。作家さんの専門にもばらつきがあるし・・・)
厳しいですが、どこかで制限は設けねばならぬと思われ。
う〜む。辛い。
143 :
世界@名無史さん:02/03/25 19:11
他の神さまを出してもいいか?
ハンニバルとバールの絡みで・・・とか。
144 :
世界@名無史さん:02/03/25 21:19
>>143 神様の話し出なく、ヤハウェのもとでの英雄の話しだから見当違いだと思われ。
1氏の文章が一番面白い(ボソッ
↑
ありがとう♪
「半裸男。腕長男。キ○ガイ女・・・・・。」
これまで戦って来た相手を指折り数える清盛。
「で、巨頭女と来たわけじゃな。」
今対峙しているのはマリー・アントワネット。結い上げられた髪の毛の高さは小児
の背丈にも匹敵しており、女房らの長髪に慣れていた清盛も驚いていた。
切りかかって来る度に髪の山が揺れる。しかし踏み込みが甘いので余裕でかわせた。
こちらは一応実戦経験がある。適当にあしらって、押さえ込んだ。しかし。
「(女子か・・・。)」
キ印ならまだしも、相手が必死になって生きようとしている婦人では後味が悪い。
「悔しいか。未練があるか。」
こちらからの問いかけに、涙目になりながらも女は肯いた。直感だが、おそらく己
より若いのであろう。かつて泣かせた女達と相手の顔が重なった。
女から体を離した。あっけにとられたのであろう、かかって来る様子は無かった。
「未練があるのはわしとて同じじゃ。いや、わしやおぬしに限らず、この島に来た
者達はただ強いのでは無く死してなお燃やすものを持ち合わせておるらしい。」
言っている事は彼女にだけでは無く、己に言い聞かせているのだと自覚していた。
「しかしの、いくら生き残ろうという意思があってもそれに見合った力が無ければ
何も変わらぬ。いや変われぬのじゃ。ヤハウェとやらにもてあそばれ、厳島大明神
様に見捨てられ・・・道化であり続けるだけで終わる。」
それは彼の前半生で政敵が、後半生で彼自身が味わった真理であった。
「・・・このままでは死ぬぞ。諦めい。所詮は女子じゃ。それより島から抜け」
そう言いかけた時、女が視線を合わせて来た。思わず引いた。
「そうでしょう。でも私には理由があるのです・・・来なさい。」
なおもサーベルを構えて来ようとして、女は立ち上がって来た。フッと笑う清盛。
「そうか。ならばついて参れ。」「えっ。」
「未練があるは同じ、しかし行く末が分からぬも同じじゃ。ならば行く者が居ても
良かろう。来たければ来るが良い。但しその頭を何とかしてからな。目立つ。」
それから間も無くして、キ○ガイじみた金髪とリボンと虫の山がその場に残された。
<英雄番号23番 平清盛・英雄?番号17番マリー・アントワネット同盟>
<目的・主催者の殺害による島外脱出>
145氏はああ言っておられましたが、思わず書き込ませて戴きました。1氏の文
章力が高いのは分かっておりますが、面白い話を黙って見ていたく無かったもので
すから。
>143
個人の回想や祈り、あるいは最後の布石としてなら良さそうですが・・・1氏の御
判断はどうでしょうか。
『茶でも探しつつ生き残り策を検討するか』
何となくヤハウエ殺しを決意する文天祥であった
>143
基本的にだめです。英雄バトロワがメインストーリーなので・・・。
神様バトロワになっちゃ駄目ですよ。
(自分としては山野氏の意見に概ね同意。)
思うのですが、あまり際限のないことをしてしまうと、
ひところの少年犯罪板バトロワのように収集がつかなくなってしまうのではないかと・・・。
大まかなルールの枠の中で、いいものを創っていきたく思い。
>文章
>103氏もおっしゃっていましたが、重要なのは、
文章云々よりも、登場人物及び、歴史への「愛」なのでは(w
漏れも、知識自体は高校世界史レベルしかないけど、なんとかやってますし。
(参考文献はもっぱら、山川の用語集と工房んときの資料集っす)
みんなでマターリ書いていきましょうよ。いっつもエラソウですんませんが・・・。
ストーリーです。
孤島の中腹にある、やや開けた平地を、騎馬の男が疾駆している。
その男に向けて、文字通り、弓をつがえて待つ者が一人。
「騎馬の民め・・・・・。フビライの前に、先ずはヤツから・・・。」
文天祥は、騎馬の男の喉笛にボウガンの照準を合わせていた。
―――もう少しだ・・・あと3歩・・・2歩・・1歩・・・ あれ!?
文天祥がボウガンの引き金に指を掛けた、まさに其の時。
瞬間、騎馬の男の体が前後に大きくぐらりと揺れたかと思うと、
そのまま地面に向かって、どうっと仰向けに落下した。
遠目ながらも、倒れている男を観察すると、
その後頭部にカマが深々と突き刺さっているのが確認できる。
草の上にごろんと転がった主人の周りを、
走ることを止めた愛馬が悲しげにぐるぐると歩き回っていた。
「ヤツを仕留めたのは一体・・・?」
その手には依然ボウガンを構えつつも、怪訝そうな顔でひとり呟く文天祥。
すると・・・。
<英雄番号17番 ティムール 死亡>
「オーイ、あんたぁぁぁ〜。武器を収められぃぃぃっ〜!!」
突然、嗄れてはいるが、妙によく通る声が聞こえてきた。さして遠くからではない。
「儂はこの通り、その胡人にカマを投げてしもうて、武器を持ってはおらぬぞぉぉ〜。
そこじゃぁぁ〜、そこの茂みに隠れてなっさる漢の民の御人よぉぉ〜。
儂はあんたと話がしたいんじゃぁぁ〜〜〜。」
文天祥が声の聞こえてくる方向に目を遣ると、
髭をぼさぼさに生やした、痩せぎすで目だけが妙に光彩を放つ、奇妙な老人が立っていた。
一見、胡人の様にも見えなくはないが、その言葉は漢語である。
「御老人!何用か―――。ここは戦さ場である、速やかに去られよ!!!
私は漢族を手にかけたくはないのだ―――。」
文天祥はボウガンを下ろし、老人の声に応えた。
老人の話す古代漢語のまろやかな響きは、文天祥の警戒心を多少、解きほぐしたのだ。
その言葉は、文天祥の母語―――客家語の音によく似ていたからである。
また、相手は老人。止むを得ず戦闘することになっても、十分打ち破れる自信もあった。
「儂は去らぬ〜、儂は去らぬぞおぉぉ〜。
蒙古の民が再び転生するのだけは、この手で何としても防がにゃならんのじゃぁぁっ〜!
御仁よぉぉっ〜。あんたも、奴等には並みならぬ借りがあるのではないかぁぁぁっ〜〜!?
儂と共に戦い、奴等を―――冒頓とフビライを討ち果たさぬかぁぁ〜!!」
こちら側に歩を進めながら、大声でそうのたまった老人の言葉に、
ぴくり。と、文天祥の眉が動いた。
奴等に借りは―――ある。
主君の敵(かたき)、宋朝の敵(かたき)・・・、
自分の人生は、奴等との戦いが全てだったと言ってもよい。
―――この老人と組むか?
文天祥の額に迷いの色が浮かんでいるのを見て取った老人は、
自らの体験談を交えつつ、自分たち二人で蒙古を討つことへの重要性をとくとくと語った。
自分が、蒙古人に2度にわたって囚われた事・・・
そのうち一度は、囚われの身が十年を越える長きに渡った事・・・
その苦労で、本来の年齢よりも十歳以上も老け込んだ外見になってしまったこと・・・
暫くの後、島の一角で、モンゴルに対抗する男たちの同盟が結成された。
「まず、我々はどうすれば良いのでしょう?」
「そうじゃな・・・。ここから、もう少し歩いた処・・・診療所の近くに、厩舎があるはずじゃ。
儂らは、先ずそこを押さえよう。奴らの事じゃ、きっとやって来る・・・。」
文天祥の問いに、答える老人。
ティムールから奪った馬に跨った二人の男は、厩舎の方角に向かって、歩を進めた。
「そういえば御老人・・・、名は何と申されるのでしょうか?」
「フム、儂か?
儂の名は・・・・、張騫と申す。」
155 :
世界@名無史さん:02/03/27 00:19
age
1さん、ティムールが17番だとマリー・アントワネットとかぶってしまいます(藁。
彼女には18番になってもらいますね。
「おぬしは・・・」「日本の侍か!?」
遭遇した相手の姿を見た信長は拳銃を、清盛は日本刀をそれぞれ取り落としそうに
なってしまった。「教室」内ではお互いに気が動転しており気付く余裕が無かった
のである。
日が暮れてゆく中、清盛と平家の末裔を称していた信長の会話がはずんでいた。マ
リー・アントワネットには両者の母国語による会話は理解出来なかったがそれでも
雰囲気を感じ取ろうと懸命であった。
清盛は後世日本について信長はかつての日本について知る事が出来た。
対外交易。延暦寺や東大寺との対立や焼き討ち。己の信ずる神々について語った。
しかしこの場の危険性について忘れていた訳では無い。一通り意見交換をした後、
本題に入った。
「まずはあの雷を何とかする必要があるのう。」
「うむ。他に隠し玉があるにしても最初の盾を崩さねばならぬ。」
二人が話しているのは、『ヤハウェ殺し』の策についてであった。
清盛の神は厳島大明神。信長の神は牛頭天王や弁才天、八幡神。共にいつまでも異
神の思い通りになっているつもりなど無かった。
その為に母国語で会話をしていたのだが、雷除けの策など見当もつかない。この際
傍らにいる異国の女にも聞いてみようという事になった。
万里(マリー)殿と清盛が声をかけ、地面に絵を描いて説明する。彼女にもこれま
でただ彷徨って来ていた訳では無かったという事が分かった。
「そういう事でしたら、うってつけの方がおられましたわ。ただこの島におられる
かどうかは分かりませんけど・・・。」
「ほう、してその男の名はなんと。」
翌朝。あの忌々しいスピーカーが鳴り出す前に信長は一人出立した。二手に分かれ
て学者・技術者を探した方が見つけ易い。
昨夜「王妃」に教えられた名はベンジャミン・フランクリン。
<英雄番号33番 織田信長 再登場>
1さん、なかなか出て来なかったので、勝手に信長を書かせて戴きましたが、どう
でしょうか。
フランクリンというのは私がアントワネットと同時代の学者という事で指定しただ
けの存在ですので、勿論まるで別の人物が出て来る可能性もあります。
160 :
世界@名無史さん:02/03/27 16:58
おー期待してた清盛と信長の絡みが(w
161 :
世界@名無史さん:02/03/27 20:19
元の襲来が撃退されたのは暴風雨ではなく、純粋に名将北条時宗と日本軍の
勇戦敢闘のためであった。何故なら暴風雨なぞ年に一度は来て当たり前で、
中国のナラズ者ゴロツキチンピラ集団の戦力ではなかなか上陸できなかっただけだ。
鎌倉幕府の時代から、日本軍は中国軍に圧勝で間違いなしだった。
>>161 打通太郎キタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(・ )━(∀・ )━(・∀・)カエレ!
「そうか、君はギリシア語を解するのか」
カエサルが言った。念話ではなく、自らの声帯を振動させて。
「・・・ああ、ベツレヘムの生まれだからな」
一拍遅れて、ひどい訛りのギリシア語が返ってきた。
カエサル発案の『警戒網』を一通り築き上げての休憩中、
二人は朝食――乾パンと水を摂りつつ、ぽつりぽつりとお互いの身の上を語りはじめた。
やがて、イエスの首に掛かった血濡れの十字架を指差してカエサルが言う。
「イエス、それが君の武器か」
「ああ、これは俺が掛けられた十字架を象ったものだよ」
「では、君は罪人として死んだのだな」
「・・・俺は全ての罪を背負って死んだのさ。
俺はクリストス・・・油を注がれし者だ」
(ユダヤの大工風情が救い主を誇称するか?)
カエサルは内心呆れていたが、顔には気さくなスマイルを絶やさなかった。
余計なことを言って共闘する仲間を怒らせるのは得策ではない。さっさと話題を転換しよう。
「ふむふむ、そうか。いや、君も苦労多き人生を送ったものだね。
ところで、先ほども名乗ったとおり、わたしはユリウス・カエサルという。
この名を聞いたことはあると思うが」
と、ここで期待を込めてイエスの顔を見やる。
イエスはそっけなく頷いた。
「知っている。ローマの王たらんとして殺された男だろう」
(・・・しばくぞ小僧)
イエスのこの無礼な物言いには、流石のカエサルもムッと押し黙ってしまった。
共和国ローマにおいて、”王”はひどく軽蔑的な呼称の一つであったから。
その時、険悪になりかけた場を救うように
からからからからからから
と微かだがハッキリとした鳴子の音が耳に届いた。
「客人だ」
二人は同時に立ち上がり、カエサルはギラリと得物を引き抜いた。
「二人・・・いや三人か。訓練された人間の動きではない」
イエスも十字架を首から外すして、掌でしっかりと握り締める。
「油断はするなよ。あんたにはまだ死んで貰っちゃ困るんでね」
二人の男は不敵な視線を投げ交わすと、左右に分かれて走り出した。
共通の敵を狩り立て、仕留めるために。
>山野氏
あの、「母語」の設定を上手く使ってくださってどうもです。
自分は当初、チャーチルあたりを出してきてケネディと同盟・・・、
なんてことを考えていたんですが、ストーリーが進んでしまい、
出せずじまいになっていました。
清盛と信長・・・、先行きに期待。
>番号
うっかりしてやした。ボケボケだ、俺(汗
17番→万里殿
18番→ティムール
でいってください。
生きてるほうを優先させましょう。
>164
三人って誰ですか?期待大です。
>165
ケネディは私も考えておりました。出来たらお願いします。しかしやっぱり百人は
いないと難しそうですね・・・・。残りレスもかなりありますし。
「よし、これでいい」
暗い倉庫の中、白衣に身を包んだ男、生徒番号50番ノーベルは大量のダイナマイトを見つめてふともらした。
彼はこのダイナマイトで多くの人が死んだ『功績』を認められてこのゲームに参加させられたの
だが、本人はやる気など無く、ヤハウェを学校ごと爆殺するつもりなのだ。
ノーベルは静かに倉庫から出る。彼には倉庫にあるニトログリセリンからダイナマイトを量産
することはできても、それをあの学校まで運ぶ手段がない。少しずつ運んでいてはヤハウェに
見つかりかねないだろう。いまさらそれを何とかするために仲間を探すという危険も顧みず、
森へ向かって歩み出した。彼は戦うつもりでないという意思表示のため、支給された拳銃
はダイナマイトのそばにおいてきた。
ノーベルは音を立てぬように森の中を一歩一歩歩む。このゲームの参加者の顔ぶれは歴史に
名だたる殺人鬼ぞろい。用心にしすぎることはない。
「……殺傷能力のある道具を発明しただけで、わたしも彼らの仲間入りか」
つい自嘲するようにつぶやく。わたしは平和を目指したはずだ。それなのに……
ふと、目の前をみると歴史書で見たあの人物が……まさか、あの人も私と同じ理由でここに
来てしまったのだろうか?だとすればあの人もわたしの計画にのってくれるだろう。あの人の
力さえあれば、わたしのダイナマイトを……
ぱらららららっ
背中が焼けるように熱い。振り向くとさらに銃弾、銃弾、銃弾。
目が潰れ、のどに穴が開き、腹からなにかが漏れていく感触、力を失う足。
地面が顔にぶつかってくる。いや、わたしが倒れたのだ……
でも、なぜだ、マルク……ス……
マシンガンの弾が天才ノーベルの脳を再び無に返した。
初めてカキコですー
一見さんながら、彼に後半の三村役やらせちゃいました。
敢えて彼のダイナマイトは残してみたく、こういうオチにして
みました。これは気づかれてないので誰に使わせてもオーケーです。
ではまた、気が向いたら
西中根さん、こんにちわ。苦悩のノーベル、好きなキャラだったのでおしい
です。(しかし今何人出て来たのか分からなくなって来ました。)
皆さん早目に気を向けて下さいね(藁。
>164
それとクレオパトラ七世でも出て来るのかと思ってましたが、よく考えたら
あの三人でしたか。またやられるのか、それとも・・・・。
漠然とした不快感が、ヤハウェの眠りを破った。人ならぬ身として本来眠りを必要
とする存在では無いのだが、この島に来てからは人の形をとり、「眠り」もした。
しかしこの様な感覚に襲われる事は珍しい。
「他の神々に感づかれたか・・・?馬鹿な!そんな事はありえん。」
わざわざ有限なる存在である人の形をとっているのもそれを恐れての事。ばれてし
まう様なへまをしたつもりは無かった。
島内では精神感応による会話が減少している。順調に数を減らしているらしい。
「長かったな。三千年、いや三千五百年にはなる・・・・。」
三千五百年前、彼が世界の神になろうとした時には、その存在は一地方神でしか無
かった。それが現在では世界の半分以上を覆ったものとなっている。
ある意味彼の経歴はこの島の英雄達と似通っていたといえよう。
そしてその最終目的が危機を引き起こして今度こそ己の信者で世界を埋め尽くす事
であった。「邪魔はさせぬぞ。いかなる神であろうとな。」
彼には自分がいくら力を抑制しているからといって人間の存在が脅威となるなどと
いう発想は無かった。
しかし彼は「独りの神」であるが故に忘れていた。人には知性があり、社会がある
のだという事を。
今晩は、山野で御座います。「神」がダイナマイトや避雷針にやられてはさすがに
間抜け過ぎると思いまして、自分なりの理屈として「派手にやったら他の神々にバ
レて絞められる」というものを考案致しました。
勿論無視なさっても結構な内容ですが、ヤハウェ側の心理も気になりましたので。
ヤハウェさん、精神感応の減少=生き残りの減少とおられる様ですが肉声会話の
増加も理由の一つな訳です。
やっぱ主催者ヤハウェじゃあ人間に勝ち目ないよ。強すぎ。
173 :
世界@名無史さん:02/03/28 23:07
しかし他の神とかのどうとかに触れると神話話しへ移って英雄同士の戦いの醍醐味が薄れるとも思われ。
>173
コロンボの神さん、じゃ無かった内儀さんと同じで直接話には出て来ないと
いう事でご勘弁を。
>>174 所詮は読み手でしか無いのでそういうのはそちらで適当に(w
まー読み手の感想って事で。
では頑張って下さい。
一通り読みましたのピョン。そこそこ読めるしイイのではないかと思うのウサ。
ウサ的には鎮西八郎為朝(椿説弓張月ver)が出て欲しかったけど、浄海入道が
参戦した以上、参加の可能性は無いも同然──残念だけど已むを得ないのピョン。
>>94 ローマ教皇で圧死したのは、第188代教皇ヨハネス21世しかいないはずなのウサ。
リスボン生まれの医者で魔術師。オカルト的には教皇の威力を利用して十字軍を
編成、世界征服を目論んだトンデモ教皇で、逝きすぎた異端故に神の怒りを買って、
天井と魔術書に押し潰されて、苦しみまくって死んだそうなのピョン。
でも一般的には20世を飛ばして21世になったことで、妙に有名な教皇様なのウサ。
>176
有難う御座います。うろ覚えで出したのがえらい魅力的な人物だったので嬉しいです。
ところで為朝の事ですが、私も彼の事は考えておりました。しかし海外の日本史の本
を読んでいると清盛・頼朝・時宗くらいで無いと知名度からして他と釣り合いがとれ
そうに無かったので(個人的な嗜好もあり)この様になりました。
178 :
世界@名無史さん:02/04/04 18:46
続きまだですかー?
こう本気で思ってる。お世辞とかでなく。
179 :
世界@名無史さん:02/04/04 19:22
書き手は皆学生さんだったのか(w
信長は悩んでいた。戦闘に関する事では無い。
「いかんな・・・。」
頭を振ってつぶやいた。勿論それで解決する筈も無かったが。
「勢い込んで(かっこつけてとも言う)単身飛び出して来たのは良いが・・
・・。わしは異国語など知らなんだわい。」
悪い癖であった。良く働く事もあるのだが、突っ走り過ぎて気がつけば遠く
に居る事が「生前」から何度かあった。
しかし今回は熱田に走った時の様に後ろから兵達が来る事も無い。一応清盛
らとの間に待ち合わせ時刻と時間は定めてあったが、まだ間があった。
「是非も無し。この上は一人でも多く狩っておくか。フランクリンとやらと
おぼしきものは殴り倒して後から万理(マリー)殿に聞けばよかろう。」
長い物騒な独り言をわざわざ呟いたのは、やはり寂しかったからか。
再び歩き出そうとした時、金属音が耳に入って来た。途中の茂みに誰もいな
いか注意しつつ進む。やがて声も耳に入って来た。しかしまだ内容を聞き取
れる程の距離では無い。
「戦っておるのは男と女か。それなりにやりあっておるらしい。」
迷った訳では無かったが、一瞬考え込んだ。このまま行っても求めている学
者・技術者には会えまい。しかしこのまま立ち去っても良いのだろうか。
>178、179
何しろ肝心の1さんが来ておられないものですから、困っております。それ
と自宅のパソコンが使えなくなり、書き込めません。
(自宅以外だと使い難いものですから。)
そちらも書いて戴けないでしょうか。
182 :
世界@名無史さん:02/04/04 20:18
パソコン使えなく……
え、英雄たちの呪いか!
もしくは祟る神ヤハウェの(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
1さんもひょっとして(゚д゚;≡;゚д゚)オロオロ
取敢えず私178ですが、知識量がこれを書くには足りず読者の域を出ることはちと難しそうです。
書き手が居そうな所で宣伝して誘導とかは前にして見たのですが(笑)
>182
以前からでしたから、呪いじゃありません(藁。ここ数日は書き込めますの
で、登場英雄のリクエストをお願い致します。信長があのまま音のする方向
に進むかどうかも。
それと、知識よりやる気だと思います。
182です。
個人的にはマルティン・ルター何かはどうかと思ったり。またまた戦闘力とかの方で言うと確かに妖しいのですが。
宗教改革でプロテスタントが生まれなければ、今の様なアメリカが生まれていたかも妖しいですし。そういう面じゃ多くの人の生き死に大きく関わっていると言えるかと。
彼がローマの法王やキリストその人と向き合った時どうなるか、と言った所は中々面白そうだと思います。
もっとも純粋にキリスト教の教えを追求しようとした一人でも有りますし。
取敢えず信長はその状況だと無理に見にいかない気もしますが、行くのも美味しそうですよね。
ただ、まだ死ぬには早いなとは思って見てるのは確かです。一体誰と誰が戦ってるのにも寄るのかな?
取敢えずここ一週間強私は時間があるか怪しいですが、時間ができて余裕があればチャレンジしてみますね。
番号 名前 生死 得物
1 アドルフ・ヒトラー 生 拳銃(ナポレオン一世が所持)
2 アインシュタイン 死 万年筆
7 アッティラ 死 不明
9 金日成 死 不明
10 孔子 死 拡声器
11 イヴァン四世 死 不明
12 武即天 生 不明
13 小ブッシュ 生 プレッチェル
15 愛真覚羅溥儀 死 サーベル(カエサルが所持)
16 マリア・テレジア 生 マスケット銃
17 マリー・アント〜 生 サーベル(ともう一つある筈)
18 ティムール 死 馬
19 フレデゴンド 生 針
21 ジャンヌ・ダルク 生 無し
23 平清盛 生 日本刀・山刀(但し後者はボロボロ)
24 レオ十世 死 拳銃(織田信長が所持)
25 フリードリヒ二世 生 サーベル(マリー・アントワネットが所持)
26 ラプラプ 死 山刀(平清盛が所持)
27 アイスキュロス 死 亀
28 デュ・ゲクラン 死 戦斧
29 アルキメデス 生 棒
31 メフメト二世 死 アーミーナイフ(アレクサンドロスが所持)
32 ガリバルディ 死 日本刀(平清盛が所持)
34 ヘリオガバルス 死 不明
44 釈迦 死 拡声器(マルクスが所持)
45 クレメンス二十一世生 重そうな本
52 ニーチェ 生 不明
とりあえず番号の判明している英雄だけ纏めてみました。
番号不明の英雄達
名前 生死 得物
ナポレオン一世 生 槍・拳銃
イエス 生 十字架
グスタフ・アド〜生 不明
文天祥 生 ボーガン
カエサル 生 サーベル
マルクス 生 機関銃・拡声器
フビライ 生 不明
冒頓単ウ 生 弓矢
織田信長 生 日本刀・拳銃
アレクサンド〜 生 銃剣
レーニン 死 不明
スターリン 死 不明
毛沢東 死 不明
ポルポト 生 鉈
ムハンマド 生 クルアーン
張騫 生 鎌
ノーベル 死 拳銃
>184
信清(しんぜいと読まないで)同盟には一応最後まで戦ってもらうつもりで
す。勿論皆さんの判断次第ですが。
184です。
信長と清盛の絡みに喜んでたのも私なので個人的には最後まで突っ走って欲しいと思ってます。
信長が木陰から覗いた時。女二人に男一人が睨み合っていた。
一人は唐人らしき女で、もう一人は南蛮女であった。ただ異なっていたのは、二人
共マリー・アントワネットとは放っていた気迫が違ったという事。
それと相対するのは東洋人なのであろうが奇妙(と信長には思われた)な格好をし
た男で、東洋風の剣を握って前方を見据えていた。
一体何者なのかはその時の信長には知るよしも無かったが、三人が三人とも大抵の
賊なら裸足で逃げ出しそうな気迫をたたえていた事は離れて眺めていても判った。
ひゅっ。武即天の衣の袖から不意に煌いて何かが飛び出して来た。
信長が紐の先に諸刃の刃物を繋げたものだと悟ったのは、先程まで男が立っていた
地点の背後の木の幹が抉れているのを目にした時であったが、その時にはすでに件
の男の姿は空中にあった。
今度は南蛮女が畳針の様な大振りの針を数本掴み出し、一本空中に放った。
さすがにこれでは避け様が無いと思われたのだが、男はましらの様に木の枝に掴ま
って難を逃れていた。いや、初めからそのつもりであったのか。
「(訓練を受けた者の動きでは無いな。)」
信長は感嘆していた。勿論未熟だという訳では無い。今見ている男の力量は己が若
い頃水練や野駆けで学んだ様なものでは無く、忍びや修験者の如く山中に生きた野
生の動きであろうと直感した。
だが野生児と呼ばれる様な野卑な雰囲気では無く寧ろ逆に王族とも聖人とも言えそ
うな気品を漂わせていた。野生人、いや野聖人といった風情。
「(一旦山中に篭って獣に成る者は多いが、それからまた人の世に戻って来る事の
出来る者は少ないと聞く。あの男がそれか。)」
信長の悪い癖がまた働いて来ていた。興味のあるものに近づき、探求せねば気が済
まぬという癖が。
それは天下人の身であれば許されない事であったろう。しかし今は己とその同盟者
以外に護るべき者は存在していなかった。
足を踏み出そうとした、その時。待ちかねていたかの様に男が声を発した。
「有り難い。其処のお人が助けて下さるそうです。」
信長がギョッとしたのは気配を気取られていたという事ばかりでは無い。男が放っ
た言葉が、若干違和感があったとはいえ「日本語」の範疇に入るものであったから
である。
<英雄番号8番 厩戸(聖徳太子) 参戦>
1さんが来ておられない(放置かな)とはいえ、また日本史の人物を出してしまっ
たのでサゲさせて戴きました。これ以上は(今度こそ)出しませんのでご勘弁を。
い、いかん。見直してみたら武即天と書いてあった・・・。無視なさって下さい(汗。
「な、何なのよ、こいつらは・・・。」
南蛮女ことフレデゴンドは息があがっていた。青い目と足の先、そして得物を握り
締めた手に全神経を集中させている。
これまで負けたと感じた事など無かった。敗れたと世間に見なされても、諦める事
が無かったが故に何度でも蘇って来た。
そしてまた今回も蘇る(それも文字通りに)する計画であった。だがここに来てそ
れが揺らぎ始めている。
手強いとは見えなかった栗鼠の様な男が、突然乱入して来た男・・・おそらく敵・
・・魔王の様な威厳を漂わせたモノがそれを破ろうとしている。
落ち着け、頼むから落ち着いて頂戴。手に握った物が汗で滑ってはそれこそ最悪の
事態だ。それを見逃してくれる程相手は甘くは無い。
「諦めるでないぞ。フレデゴンドよ。わらわもおぬしも諦めの似合う女では無い。」
黒髪の女、武即天の声が涼風の如くフレデゴンドの脳を冷やした。暖かいのを通り
越して暑さを感じていた身が一瞬冷えた。
そうだ、たとえ死んでも私は諦めてはならない。無理に睨み付けていた視線を正眼
のそれに戻す事にした。相手がたじろがなくてもかまうものですか。
193 :
世界@名無史さん:02/04/07 19:22
☆ チン
☆ チン 〃 ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\(\・∀・)< つづきはまだ〜?
\_/⊂ ⊂_)_ \_____
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
|  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| :|
| 続編キボンヌ .|/
武即天がヒョウ(刃物を紐の先に取り付けた武器)を、フレデゴンドが針を構えた
姿を見て、信長は場違いな感嘆の気持ちを抱いていた。
まるで牡丹と百合が、桜と紅葉が、若葉と雪が同居しているかの様な、別種の美女
が並んでいる。しかし彼とて共に内に刺を秘めているという事が判らぬ様なたわけ
者では無かった。
相手の本性も、得物も分かっている。寧ろ己の隣りで表情を変えず、それでいて相
手を逃すまいとしている瞳を光らせている男、聖徳太子の方が不気味であった。
先程から自分が動けずにいるのも、敵以上にこの男の動きが掴めずにいる為である
事を、信長は肌で感じていた。頭は後からこじつけてくれれば良い。所詮馬鹿に説
明する為の手段でしか無いし、今は周囲にそんな馬鹿はいなかった。
「貴女方が何時何処でお生まれになられたのかまでは存じません。」
太子が・・・動いた。しかし何処か予想していたものとは異なっていた。
「御仏の教えをご存知かどうかも判りません。しかし」
言い終わらぬ内に、武即天が動いた。但しこちらも武器を構えずに。
「そうか。思い出したぞ。東方の日本国に篤く三宝を敬った太子がいたという話を。」
そうであった。信長は御伽衆から聞いたある事実を思い出していた。武即天が仏教
の熱心な信者であった事を、太子とほぼ同時代の人物であった事を。ならば知って
いてもおかしくはない。
「何なのよ。ちょっと、ブジョウ、説明なさいな。」
これまたほぼ同時代のフレデゴンドが混乱とふてくされが入り混じった表情で詰問し
始めたのを見て、信長は思わず笑ってしまった。
しかしすぐにそれも凍りついた。原理不明だが久し振りに脳味噌が凍りついた。
「馴れ合いは感心せぬな。」
地を這う様にして四人以外の声が響いて来た。
当分長文を書き込めそうにありません。皆さんの文章を期待して待たせて戴きます。
196 :
世界@名無史さん:02/04/08 18:50
正直最初の頃はどうかと思った(失礼)けど、ぐんぐん上達してきてイイ!感じですね山野氏。
これからも頑張ってくらはい。
>196
有難う御座います。パソコンが直り次第復帰させて戴きます。それと、1さんの復帰
と新人さんの登場を希望。
ところで私好きな人物を描くのは好きなのですが殺すとなると迷ってしまいますので
困ってしまっております。自分が進めた展開ですけどね。
198 :
世界@名無史さん:02/04/12 13:03
1さーん
1さーん
1さーん
むぅ……1さん狩りにでも遭ったかな?(w
「しまった、先を越されてしまった!」
体育館程もある巨大な「厩舎」の前で、文天祥は地団太を踏んで悔しがった。
彼と張騫がそこに着いた時にはすでに厩舎は開放された後であり、周囲にはサラブ
レッド、アラブ、ポニーから道産子まで多くの馬がたむろしていた。それどころか
駱駝や象、駝鳥までもが見られた。奥にはジープや馬に引かせる戦車も見えた。
「仕方が無い。とりあえずは良き馬を選び出し、後を追うとしよう。」
経験豊かなだけあって、さすがに張騫の対応は冷静であった。
蒙古風の剣で茂みを切り裂き、馬蹄で踏み潰して信長らの前に姿を見せたのは、遊
牧王の二人であった。
「再び生を得て、またもや馴れ合いを奨めようとは情けなき奴らよ。戦士たる者、
戦場で血飛沫を浴びてこそその生を知る事が出来る。」
「我が名は冒頓単于。」「我が名はフビライ。共に大蒙古のハーンであり、この
遊戯において生き残る者とそれに準ずる者である。」
突如現れた二人に対し、農耕民四人の反応は様々であったというべきか、そ
れとも同じ様であったというべきか・・・。
まず最初に口を開いたのはフレデゴンドであった。
「ブジョウ。あなたの文化圏の出身者にはこんなのしかいない訳?まああん
たが変態なのは分かってたけど。」
勿論、武即天も負けてはいなかった。
「冗談は顔だけに致せ。同類などでは無いわ。唐の先祖の事は知らぬがの。
しかし偉そうな割りにフビライなど初耳じゃ。」
太子も横で肯いた。後世の英雄だと見当がついていて挑発している。唯一知
っていそうな信長も、細かい解説が出来る程の知識は無かった。
余りと言えば余りな態度に、フビライらの顔が紅潮していった。初めから感
じられていた殺気がその勢いを増していった。
一瞬の隙を突いて、騎乗のまま突進して来た。武即天のヒョウが飛ぶ。が、
またもやそこには相手の姿が無かった。
「馬が飛ぶ筈が・・・・。」
言いかけたフレデゴンドの台詞を、信長が遮った。
「奴らめ、飛びよったわ!」
天馬の様に宙を人馬一体となって舞いながら、遊牧の戦士が迫って来ていた。
203 :
世界@名無史さん :02/04/14 01:03
「むう、これはなかなか使える・・・」双眼鏡を手にし、
一連の流れを小高い丘から見下ろしていた曹孟徳は久々の
戦いに血をたぎらせていた。「そろそろ動くか・・」そう言うと
曹操は闇の中に消えていった。
204 :
世界@名無史さん:02/04/14 03:51
山野さんの文章マジで成長期って感じやね(w
頑張ってくれー。
205 :
世界@名無史さん:02/04/14 13:08
丘の上に二人の軍服姿の男が向かい合っていた。
一人はモーゼル・ライフルを相手に突きつけていたが、
もう一人は穏やかな顔でそれを見つめ、腰の日本刀に手をかける様子もなかった。
10分近くそれが続いた後、一人が全身に流れる冷や汗を感じつつ口を開いた。
「なぜだ?」
「ん、今何と?」
「なぜ戦わない?恐怖に震えて命乞いをしない?自分のおかれている状況が分かっているのか?」
「状況は充分分かっておるよ、さ、そんなことは気にせずさっさと引き金をひくがよい。」
「・・・!!」
しかし男には撃てなかった。彼を見つけた時から一刻も早く射殺しようと考えていた。
相手は白いヒゲをたくわえた老いた東洋の軍人。
自分が経験してきた幾多の激戦に比べれば簡単なものだ。だが彼には撃てなかった。
死を前に平然としている老人の体から立ち上る不思議なオーラとも言っていい雰囲気に
彼は圧倒されていた。
206 :
世界@名無史さん:02/04/14 13:10
「ええい、お前には状況など分かっていないわ、せっかく復活できたのだぞ、
なぜこのチャンスを生かそうとせんのだ!」
「・・・わしは西南の役で軍旗を敵に奪われた。旅順では多くの兵を殺した。
先帝陛下に殉じ、この罪を謝するつもりだったが何の因果かよみがえったにすぎん。
ヤハウェとかもうす神はわしらの内で生き残ったものに
また戦いをさせようとするつもりらしいが、わしはこれ以上戦うつもりはない。
・・そもそもここには
『生前に英雄として多くの人間を殺しまくったり、
直接は手を下さなくても同時代や後世の人間の生死に多大な影響を与えた皆さん』
が集まっておるらしいが、『多くの人間を殺しまくった』こと、
本当にそれは本人が望んだことかのう?
おぬし、格好からして軍人らしいな。確かに戦場で功を立てるは軍人の宿願じゃが、
自分が作った戦死者の山を目の前にしても同じことが考えられるかのう?」
「そ・・・それは!」
「第一とうの昔に寿命を迎え、
己に課された役割を終えたはずの人々がまたぞろ復活して
勝手をするのはおこがましいことではないかな?
その時代のことはその時代の人間に任せるが一番じゃろう。
仮にそれが滅びにつながっておるとしても、それは天命とするべきじゃて。」
「・・・・・。」
「ふむ、その目は納得しておらぬ目じゃな。まあよい。
わしの言いたいことはこれでしまいじゃ。
さあ、わしをもと居たところに戻しておくれ。知り合いもいっぱい待っておるでな。」
そして老軍人はゆっくりと目を閉じた。
銃声一発。
207 :
世界@名無史さん:02/04/14 13:10
生き残った軍人〜エーリッヒ・ルーデンドルフ〜は名前を聞くこともなかった
老軍人の遺体を美しい花畑の中に置いた。そばの渓流が清らかな音を響かせている。
スコップ一本もっていない彼に出来る最大限の弔いだった。
まるで眠っているかのような老軍人の穏やかな死に顔に、彼は呼びかけた。
「あなたの意見にも一理ある。だが、チャンスを与えられたのだ。
私はそれを逃すつもりはない。
たとえこれが神の下らんお遊びだったとしても私はそれを掴み取る!
滅びの運命が避けられないとしても最後の最後までそれに抗ってやる!
そうですよね、ヒンデンブルグ元帥・・・。」
彼は立ち上がり、日本刀を腰に差し、ライフルを担いで歩き出した。
二度と後ろを振り返ることなく。
英雄番号33番 乃木希典 死亡
1さんのご帰還は叶いそうも無いですが、書き込みが増えて来たようでなによりです。
かっこいい乃木将軍にはもう少し活躍してから死んでもらいたかった・・・。
>204
有難う御座います。
武即天は掌上の舞を舞って攻撃をかわし、太子とは別の木の上に逃れた。
信長は成り行き上(一応女子である)フレデゴンドをかばうかたちで背後の
森の木陰に隠れた。先の二人も陰に隠れて単于の矢を逃れている。あざ笑う
単于の声が周囲に響き渡った。
「どうした、あるのは無能の数ばかりか。逃れたければ逃れても良いのだぞ。」
嘘であった。進んだ場合は勿論、背を向けても木の間から矢を射られて一人か
二人、状況次第では三人がやられる。
そんな事は分かりきっていたから、四人とも動かずに居た。きっかけが出来る
まで、下手に動けば命取りになる。その点において六人の考えは一致していた。
炎天下の下、どれだけの時間が経ったのだろう。最初に動いたのは信長だっ
た。森にも空き地にも行かず、空き地沿いに森の中を走り出した。
「逃がすかぁっ。」
獲物を追う目になった単于が馬を走らせる。フビライもそれに続こうとした。
しかし。突如横から飛んで来た武即天の獲物がそれを阻んだ。
何とか避けたところを、樹上から厩戸が切りつけて来た。
「うおっ。」
これも避けたのは、流石と言ってよかろう。しかし単于には見えておらず、
両者の距離は離れていった。
しかし信長の危機に変りは無い。馬の足であっという間に追いつかれ、ま
たもや木陰に隠れる破目となってしまっていた。
「そろそろこれを使うか・・・。」
そう呟いた彼が懐から取り出したのは、単発式の拳銃。火縄無しでも撃てる
のは強みであったが、打ち損じればその時点で死が確定していた。
「死ぬも一定。生きるも一定。どうせ死んだ身では無いか。こんな所でびく
ついているようでは、この場で生き残った所で明日はあるまい。」
魔王と呼ばれた男は、覚悟を決めた。だが闇雲に突き進む訳には行かない。
何とか相手の隙を突く必要があったのである。
と、突然相手の動きに動揺が見られた。下手な芝居とは思えなかった。
覗いてみた時、そこには。件の南蛮女が空き地に顔を出し、母国語で何やら
わめいている光景が見られた。あの距離では針は届くまい。死ぬ気か?
「た、たわけがぁっ!!」
対象物が偉くゆっくり動くのを見て、信長は弾丸を放った。
運の実力のうちと言われる。確かにこの島に集められた者達は、多くが幸運
の星の助けを借りて来た。
しかしこの時信長が放った弾丸が見事に相手の脇腹を貫いた事は、単なる運
の問題では無かった。彼の極限にまで達していた集中力と技量の成せる技で
あったと言って良かった。
落馬した相手の体に駆け寄り、すぐさまその喉に刃を突き立てた事は言うま
でも無い。
<英雄番号6番 冒頓単于 死亡>
「たわけがっ!わしがもし飛び道具を持っておらなんだり、持っておっても外して
おったらどうするつもりであったのじゃ!?」
信長の詰問に対するフレデゴンドの返答はあっさりしたものであった。
「持っていたし、外さなかったじゃないの。それと勘違いしないで頂戴。あのまま
じゃ纏めて死にそうだったから囮役をやっただけだから。」
これには流石の信長も二の句が継げなかった。
「それにあなたがまさぐっていた鉄製のあれ、飛び道具としか考えられなかったわよ。
余程の馬鹿でも無い限り気がついたのじゃなくて。」
そんな事を話していた魔王と悪女の側を、フビライが駆け抜けて行った。
214 :
世界@名無史さん:02/04/14 22:21
>>205-207 をを、新人さんがキター。これからの活動を期待してます。
見分けにくいからコテハン名乗ってね。
215 :
世界@名無史さん:02/04/15 01:44
「ひひひ貴様もキリスト教徒のように死ねえぇぇ!!」突然、森の闇の中曹操の背後に現れた
ネロは半ば狂人のようにガソリンをぶちまき、火をつけた。みるみる曹操の上着が、燃えただ
れていく。ネロはまだくすぶっているにも関わらず、飛びつき様にサバイバルナイフで何度も突いた。
「!!」が、それは曹操ではなかった。曹操はガソリンがかけられた刹那、上着を朽ちた老木に掛け、
すんでのところでかわしていたのだ。気づいたときには遅かった。自ら持っていたガソリンを全身に
浴びせられたネロの体から炎が上がる。「おおぉぉっっ ローマが燃えるうぅ」力無くネロは崩れた。
「赤壁以来、油の臭いには敏感でね。」老木に刺さったナイフとガソリンタンクを手に、曹操は再び
闇の中に消えていった。
<英雄番号53番 暴君ネロ 死亡>
>215
おおっ。どうやら今後活躍してくれるようで何よりです。英雄番号は52番までだ
というのが1さんの設定でしたが、この際百人位出しますか。
217 :
世界@名無史さん:02/04/15 15:24
「やれやれ、役に立つものは何一つなしか・・・。」
レオ10世の遺体を探っていたフリードリッヒ大王は腹立たしげにつぶやいた。
診療所で手当てを終わったフリードリッヒは、とにかくちゃんとした武器を確保しようと
あちこちを歩き回ったが、収穫は全身にたまった疲労だけだった。
「まったくこの格好からして女を抱こうとしていたんだな。
私の経験からして、女にかかわるとろくなことにはならんというのに・・・。
この腐れ坊主が!」
こう吐き捨てると、杖兼棍棒としている木の枝を片手に彼は歩き出した。
「おおっ。気がついたようじゃな。」
アドルフ・ヒトラーが目を覚ました時に最初に目に映ったのは、とさかの様な帽子
を被った東洋人の男とその隣に座っていたアーリア人らしき若い女だった。
怪我の痛みで却って意識ははっきりしている。傷口をまさぐってみると、包帯が巻
かれていた。
「止血してくれたのか。礼を言わせてもらおう。」
すると相手の男は訝しげな顔で言った。
「いや、我等が見つけた時にはすでにそうなっておったぞ。」
すると誰がとどめをささず治療までしてくれたのか。意図が掴めなかった。
「ま、それはともかく互いに名乗るとしよう。」
そういって話を切り出した男の名は、平清盛といった。同席していたのはな
んとマリー・アントワネット。自分を助けてくれたのが中世の日本人とオー
ストリアの皇女であった事にヒトラーは妙な縁を感じた。
そして話した。未来の日独が同盟を結び、フランスもそれに「加わっていた」
事、この島に居るマルクスというユダヤ人で共産主義者という最悪の存在に
ついて、弁舌を振るった。
「世話になった。しかし私はあの男と決着をつけねばならない。勿論私の勝
利として終わらせねばならないのだ。その為に独りで行かせてもらう。」
話が終わってまもなく、そう言ってヒトラーは立ち上がった。清盛はそれに
対し「そうか」と言っただけだった。男として独りでけじめをつけたいとい
う気持ちは分からなくも無かった。
「こんなものでも良ければ餞別として受け取ってくれ。」
そういって差し出したのは件の山刀。三人が三人とも、世話になっても相手
に何の礼も出来ぬ事にほろ苦い気持ちを味わっていた。過去の宝物や武器に
囲まれていた生活を思うほどその気持ちは強くなった。
>217
すみません、どなたが新人の方か混乱してしまいますのでどうかこのスレッ
ドだけでもコテハンになさって下さるようお願い致します。
>山野さん
どうもすみません。これからはこのHNでセコセコ書き込んでいきます。
「はあ、はあ、はあ・・・。」
森の中をフリードリヒ大王は逃げていた。ただひたすら逃げていた。
背後からは鉈を持った男が追いすがる。その目はすでに人間のものではない。
「ええくそ、おまえはあの7年の泥沼をくぐったんだろう、最後まであきらめるな!」
自分を励ましつつ、フリードリヒは自分の言動を後悔していた。
最初森の中で会ったときからまともな人間ではないと思っていたが、
こちらがひるませようと
「余はプロイセン国王なるぞ、下がれ!」と言うや否や、
「コクオウ・・・コクオウ・・シアヌーク!シアヌーク!!」
とわめき始めた挙句、鉈を抜いて襲い掛かってきたのだ!
と、回想がここまで進んだところで木の根に躓き、彼はどうと倒れた。
腰を打ってもう動けない。
背後を見るとあの東洋人が獣じみた鼻息を上げつつ、
鉈を振り上げるのが見えた。
「終わりか!」ぐっと目をつぶったそのとき、
一発の銃弾が大地に突き刺さった。
フリードリヒが振り返ると、
華やかな軍服に身を包んだ小男がピストルを構えていた。
男がさらに放った銃弾が肩を掠めると、
東洋人(ポル・ポト)はたまらず逃げていった。
「ふ・・・獲物の奪い合いかね?まあ良い、命乞いはせんぞ、早く殺せ。」
「助けてやったのにずいぶんな言い方だな、貴様の名は?」
「フリードリヒだ。今はこんなありさまだが、プロイセン王だ。そういうおまえは?」
「ナポレオン・ボナパルトだ。貴様が死んだあと、ブルボン朝は崩壊した。
そのあとフランスを強国にしたのが私だ。なるほど・・・甥っ子とはえらい違いだ。」
「やはりわが国にも攻め入ったのか・・・。」
「ああ、だが今はこのことで貴様と争う気はない。
貴様は直接の敵ではなかったからな。そんなことより余の考えを聞くがよい!」
唯我独尊と言っていい男の態度に腹を立てつつも、フリードリヒは彼の話を聞くことにした。
(このあとの会話はすべてフランス語なので、当然ヤハウェにはわかりません。)
「余に言わせれば、ヤハウェは神ではない!!」
「・・・何!?貴様キリストの教えを否定するつも・・・」
「黙って聞け!よいか、そもそも人の上に立つもの、
すべからく『義務』を背負わねばならぬ。師団長、知事、国王、皇帝・・・。
余は睡眠時間を極限まで削り、それに答えんとしてきた。だが今の神とやらはなんだ!
死せる人々を勝手に復活させ、彼らに殺し合いをさせた挙句、一層の戦火で世界を覆わんとしておる!
義務を果たさぬ国王は国王ではなく、義務を果たさぬ神など神ではないわ!!
余は彼に戦いを挑み、打ち倒す!」
「・・・面白い。だが勝ち目は限りなく薄いぞ。」
「かまわぬ。どの道わが生涯はワーテルローで終わったのだ。
これはいわば強引に付け加えられたおまけ。せいぜい楽しむとしよう。」
「よし、私もその話に乗ろう!
・・だがいくらなんでも二人だけではきついな。仲間を集めねば・・・。」
「この島にはほかにも我が配下の元帥にも劣らない猛者がいるらしい。
彼らを指揮できれば・・・。」
「もし私を襲ったようなやつばかりだったらどうする?」
「戦うまでだ。」
フリードリヒに槍をほうりつつ、ナポレオンは不敵に笑った。
鉄三眼銃さん、コテハンも文章もかっこいいです。
226 :
世界@名無史さん:02/04/16 15:15
カエサルはどこいったんだよ!(泣
>1さーん、帰ってきて‥
>226
それは・・・確かに。しかしとりあえずは名無しさんからも参加なさって下さい。
ながらくながらくすんません。
学校始まって非常に忙しく(留学中)、長文書けないっす。
しばらく自分以外の作家さんの様子をみるつもりでカキコ控えてましたが、
良心が痛んできたんで出現します(すんません)
あとしばし・・・あとしばし待たれよ・・・
(でもあと1ヵ月後に検定試験ある)
>1
おおっ。留学中とは恐れ入りました。
・・・・マリー・アントワネットは一説によるとバスト103以上、
ウエスト55以下と言う世界史屈指の超絶グラマラス美女。
伴天連女とは寝ないと据え膳食わなかった信長に萌え。
231 :
世界@名無史さん:02/04/16 22:09
フリードリヒの口調が激しく変わってる…。
>231
あれは独り言でしたから(藁。他所の人と話すのに訛る訳にもいかんでしょう。
「何故・・・わしを助けたのかね。」
乃木稀典の第一声はこれだった。しかし礼が却って来なかった事を「医者」は別に
気にしているふうでも無かった。
「わしは医者。あんたは軍人だ。」
これは医療道具だ。そう言って「医者」は支給された「武器」を指差した。
「わしは医者だ。目の前の患者を治すのが仕事だ。死にたければ死ぬがいい、逃げ
たければ逃げるがいいさ。だがわしは医者だからな、死にかかった者を助けねばな
らんのだ。お前さん、自分が何もする事が無いと思っているらしいが・・・そんな
奴は殺してももらえんよ。」
ぶっきらぼうに、だが確信を持って言う男の本名はやたらと長かった。通称はパラ
ケルスス。錬金術師、医師、科学者を兼ねていた。
<英雄番号30番 パラケルスス登場>
彦坂(ひこさか)博士は若き頃のように丘の上に寝転がり、
(と、言っても今の彼はすこぶる若い姿だったのだが。)
絵を描いていた。ただし、この絵の内容は理解できるものの方が少ない。
陽子と中性子が『未知の力』で引き合いながら階層的なポジションを持って存在する・・。
・・・原子核のモデルの絵だったのだ。
彼はヤハウェの言った『生前に英雄として多くの人間を殺しまくったり、
直接は手を下さなくても同時代や後世の人間の生死に多大な影響を与えた皆さん』の一言に違和感を感じていた。
・・・自分は・・どうなるのか?私の理論は後世の人間に不幸を与えるだけだったというのか・・。
彦坂忠義(ひこさかただよし)博士。世界に先駆けボーアの原子核モデルを否定し、
陽子と中性子が原子核内ではっきり分かれ、その間に宇宙最強のエネルギーが潜んでいる事を。
そして人類は早急にこの力を解明し、いかにして制御するか、
そして。なによりこの爆裂をいかにして無力化するかを提唱した日本人。
また、世界に先駆け、原子爆弾の亜流ではない、『原子力発電』を考えた男でもある。
これさえあればエネルギー問題は解決され、日本は石油を求めて戦争しなくてもよい。
いや、特許料だけでもそこそこやって行ける・・・。
青年の夢は乾坤一擲の論文に込められ、海を渡ったが、結果は冷笑。
理論は『圧倒的な破壊』と言う部分のみ使われ、祖国は破壊された。
B29の魔の手から同族を救わんと祖国の作ろうとした原爆は、陛下の、
『各国がその新型爆弾をつくらんとして競い合っていると言うが、
それでは日本が世界滅亡の悪の宗家になるでは無いか』とのお言葉によって作成は避けられたが、
結果は・・・・確かに日本が核攻撃を行なえば日本は滅びていただろうが・・。
祖国のエネルギー問題はまだ解決しきてれいない。
『反核平和』の耳障りな大声は祖国を圧倒したが、
肝心の虐殺兵器を完全無効化する技術の確立は聞いていない。
そのような立場にありながら日本人らしく、
大声を張り上げる事もなく美しく死んだ。
『私が何故ここにいるのか・・・。』
ヤハウェの言ったことがもういちど反芻された。
もしかしたら、ヤハウェは『将来的にたくさんの人を殺す』と言う事も含んでいたのでは無いか?
・・・・だとしたら。
彼は立ち上がった。たとえ日本人であれ、白人であれ、あのような運命を与えるわけにはいかない。
彼は自分の中に若き日の炎が燃え上がっている事に気がついた。
『今度こそ。虐殺ではなく、戦乱ではなく、平和な世を。』
私の研究はまだ終わっていない。今からもういちどはじめるのだ。
戦乱の中、あらゆる物資も情報も止められながら、理想を追ってペンを走らせていた時代に彼は戻っていた。
『想いは、かなう。・・・未来は。変えられるのだ』
彼は手に握った紙を捨て、ヤハウェに渡された古代の文字で書かれた一冊の本を手に取り、駆け出した。
その手の本には、『未来記』と書かれていた。
*******
・・・・・どマイナーですいません・・。
あ。補足。
彦坂忠義(ひこさか ただよし)英雄番号なし。
ヤハウェの戯れ、もしくは余興による参加らしい。
>233
原作者からのクレームが気になるのでサゲました。
時は始まりの時に遡る。
信じられなかった、その直面した情況に。最も信じ敬愛して止まぬ存在、主なる神が殺しあえと言った事がだ。
己の行動が後世の人間の生死に多大な影響を与えたという事実も受け止め難かった。
そして転生をし、後世の人々の命を奪うなどという凶行、その様な恐ろしい事を出来るわけがないと考えた。
「……ター君、マルティン・ルター君……?」
己の順番を知らせる声に気付かぬほど思考の迷宮を彷徨っていた。
しかし彼は教室の中で感覚的に見出していた、主なる神と並び己が最も尊敬しその教えに全てを捧げた存在、子なる神を。後姿だけでもそのオーラ、気品、から直感的に全てを捧げた御方だと判る。
だから己の番になった事を知った途端、彼は迷わず彼の後を追い求めて飛び出した、最も信じて止まぬイエスを求めて。
「天に…天に、天にまします我らの父よ、願わくは御名を崇めさせたまえ……」
与えられた割り振りの鞄を抱え、駆けながらも幾千回も繰り返してきた言葉を口が勝手に紡ぎだす。
そして途中でそれに気付き、叉判らなくなった。
その祈りを向ける相手は、殺し合いをしろと言ったヤハウェでは無かったのか?
すぅー、と大きく息を吸い込み落ち着いて辺りを見渡す、無我夢中にになり駆け抜けて来たせいか、その場がどこかも判らない。校舎からどれほど離れたのか其れすらも。
「はは……イエス様……」
渇いた諦めじみた哀れな笑いと共に求める御方の名前が零れ出る。
もう一度大きく息を吸って吐く。
「落ち着け……落ち着け……生き抜かねば巡り合う事は出来ない」
そうこれはチャンスでは無いのか?最も敬愛するあの方に巡り合うチャンスなど本来ならば与えられなかった筈だ。
そう考え心を落ち着ける。
己に割り当てられた武器、そう武器。攻撃の為でない自衛の為にも、生きる為の武器が必要だ。
慌てて鞄を開け中をあさる。
中からは分厚い一冊の本が出てきた。見間違える筈も無い。日々欠かさず目を通してきたあの本である。
間違えようも無い、それは聖書である。
「主よ……信じます、あなたの真意は他に有るに違いない」
武器を求めた時、聖書を目前にし彼は己の信念を捨てずに歩む事を決めた。
キリスト教新教、即ちプロテスタントの生みの親。20世紀の覇国アメリカを生み出す最も最初の種をまいた事になる男。
<英雄番号38番 マルティン・ルター登場>
182です、合間を見つけて取敢えず書いてみました。続きを何時かけるかさっぱり判りませんが……。
1人の巨漢が川の水を飲んでいる。 闇の中では分かりにくいが東洋人らしい。
彼は喉が渇いていた。 与えられた容器に入った水はすぐに飲み切った。
彼は水や食料を溜め込むなどという事はしなかった。
水が無ければ川を探して飲めばいい。 食料が無ければ奪えばいい。
彼に与えられた武器は銃だった。 だが、銃の使い方を知らない彼はそれを投げ捨てた。
彼は武器などなくても勝てる自信があった。 自分が世界で一番強いという自信があった。
「腹が減ってきたな。 誰かを殺して食べ物を奪わなくては。」
彼は目を閉じて耳をすます。 風に乗った人の気配を感じるように。
しばらく静寂が続いていた。
「向こうから声がする。」
彼は本能のままに走りだした。 音を消して移動するようなことはしない。
この音を聞きつけて彼を殺しにくる者がいれば、そいつを殺して食料を奪えばいい。
この音を聞きつけて彼から逃げる者がいれば、追いついて殺して食料を奪えばいい。
「この項羽、一度は天に負けた。 だがこの戦いでは天に勝つ!」
<英雄番号14番 項羽登場>
遠くから近づく音を聞いたナポレオンとフリードリヒは身構えた。
音を聞いた時にはすでに理解できた。
大型の獣が自分達に近づいていると。
すでに自分達が獣から逃げられない範囲にいると。
相手は自分達を殺すためにこっちに向かっていると。
「フリードリヒ、余が銃で相手を威嚇したら槍で叩き伏せるんだ。
相手を行動不能にしてから、話し合いができる相手か確かめよう。」
がささっ! がさっ! がさっ!
やぶの中から項羽の巨体が飛び出して、ナポレオンとフリードリヒに襲い掛かった。
項羽がやぶから飛び出た瞬間、ナポレオンはピストルを撃った。
殺すためでなく威嚇するための銃弾は、項羽の顔をかすめた。
普通の人間は、銃を撃たれれば怯むだろう。
だが項羽は銃など知らない。 項羽は知らない物に恐怖など感じなかった。
この時、ナポレオンが項羽の頭や胸を狙って銃を撃っていれば、
項羽を一撃で葬り去ることができただろう。
だが、ナポレオンは項羽を殺し損ねてしまった。
「うぉぉぉぉぉおお!」
雄叫びとともに、項羽はナポレオンに殴りかかる。
武器を持たない彼は鉄のような拳でナポレオンを殴った。
叫ぶ間もなく、ナポレオンは殴り飛ばされる。
フリードリヒは一瞬だけ驚きのあまり動けなかった。
だが、すぐに我に返ったフリードリヒは項羽を刺すために槍をふりかぶる。
フリードリヒも多少の槍の使い方は分かる。
そして、今の彼の肉体は死んだ時のように老衰してはいない。
(串刺しにしてやるわいっ)
巨体の東洋人を槍で刺し殺すのにためらいはない。
相手の凶暴性を考えれば話し合いなど無理だと即座に理解できた。
だが、フリードリヒの槍は項羽の体に触れる前に止まった。
槍の柄を逆に項羽が掴んだのだ。
(!?)
「ぐぐぐぅ・・・・・う、うごかない。 槍が・・・うごかないやと?」
フリードリヒが全身の力を込めて動かそうとしても、槍は止まったままだった。
やはり俺の方が強い、そう思った項羽は自らの筋力で槍をフリードリヒごと持ち上げ、
フリードリヒを近くの木に叩きつけた。
「ぐはっ!」(この男、人間やない・・・・・)
ナポレオンはぐらぐらする頭を必死に静めようとしていた。
まるで大砲を直接受けたような感覚が全身を駆け巡る。
(銃を・・・・銃をどこに落としたのだ。)
必死になって地を手でまさぐるナポレオン。
フリードリヒがあの怪物に襲われているのが見える。
あの男に何度か殴られれば頭蓋骨が破壊されるだろう。
ナポレオンは目の前に現れた怪物を殺すために銃を探した。
(あった!)
銃を握ってふらふらと立ち上がるナポレオン。
木に叩きつけられたフリードリヒが倒れている。
ナポレオンに背中を向けていた項羽はナポレオンが立ち上がったのに気付き振り向く。
「!」
最初に撃たれた時は恐怖を感じなかったが、項羽は銃を危険な物だと本能で悟った。
項羽はとっさの動作で横に飛びのく。
ナポレオンのピストルから乾いた音がして銃弾が項羽の脚をかすめた。
「逃げるぞ! フリードリヒ!」
打撲のダメージにふらふらしながら、ナポレオンとフリードリヒはその場から逃げ去る。
脚から流れる血を止めるために、項羽は服を破いて止血した。
「このぐらいの傷ならすぐに治るな。」
彼はその場で脚を動かして傷の深さを確かめてから、
手に入れた戦利品に手を伸ばした。 ナポレオンとフリードリヒが残していった食料である。
食料さえ手に入れれば、相手を殺すのはいつでもできる。
彼は食事を取ることにした。
身体能力ではダントツな項羽を出してみました。
おそらく、単純な戦闘力では古今東西の英雄で彼に勝てる者はいないかと。
「ノギ、苦労して来たのはおまえさんだけじゃあ無い。」
そう言って語り始めたパラケルスス、本名テオフラテス・フィリッポス・アウレオ
ロス・ボンバスタス・フォン・ホーエンハイムの五十年足らずの生涯もまた、波乱
に満ちたものであった。
1493年に医師の家に生まれた彼はヨーロッパで始めて鉱物を医療に使用し、ま
た患部を切断を行うのが普通だった時代に膿を搾り出して治した。
その腕に感服したエラスムスからは「私は貴殿の腕に値するだけの金額を支払う事
が出来る程裕福では無い。」とまで言われたのである。
しかしエラスムス並みの口の悪さと才能は多くの敵を作った。フッガー家の水銀に
よる梅毒治療を否定し、梅毒やペストの患者を救った結果はバーゼル大学の教授職
を追われてしまうというもの。
その後は各地を流浪し、悪魔を使役するとかホムンクルスを造ったとか言われ、最
後には1541年に死んだ。喧嘩の末殴り殺されたとも毒を盛られたとも・・・と
にかく色々と言われているが、とにかく自然死では無かったらしい。
ここまで言って、名医兼錬金術師は乃木と目を合わせた。
「わしがおまえさんを助けたのは、わしが医者だったからだ。たとえ明日戦
争で死ぬ事になっても、助けるのがわしの仕事だからな。」
将軍は何も言わず、ただ聞き入っていた。
「確かに下らん争いさ。それを言ったあんたは偉い、間違っちゃいない。だ
がな、死んだ者には死んだ者の、生きている者には生きている者のやらなき
ゃならない事があるんだ。・・・さっきのあんたは役目が嫌で死んで解放さ
れようとしている様に見えたんだ。だから余計に助けたくなったのかもな。」
そこまで言って、医者は将軍にメスを渡した。
「使いたければ使え。自分に使うも敵に使うもおまえさん次第さ。・・・た
だな、どんな瞬間でもどんな立場でも意味があるとわしは思うんだ。そうで
なけりゃあ、この島で戦ってる連中が・・・わしも含めて馬鹿ばかし過ぎる。
言いたい事はこれだけだ。じゃあな。」
そう言ってパラケルススは足早に去って行き、あとにはメスを見つめる乃木
だけが残された。
207さん、勝手な事を書いてしまいすみません。ただ死ぬにせよ生きるにせよ精
一杯、真剣に活きてもらいたい・・・そう思ったのです。勿論これは私の感想です
から、クレームがついたら撤退させて戴きます。
>>231 方言には詳しくないんですよ。
>>239-241 えーん、せっかく
>>224で綺麗に決めたのに。フォロー開始。
「・・やれやれ、我々はまだまだ他の参加者たちを甘く見ていたようだな。」
「・・ああ、考えてみれば私もおまえも軍を率いて歴史に名を刻んだ身。
個人的な武勇という面では・・・。」
「うーむ、どうする?」
考え込んでいたナポレオンだが、やがてのろのろと顔を上げてつぶやいた。
「銃だな。」
「銃か・・・。」
「ああ、少なくとも話し合いができないとなったら即射撃。これ以外にあるまい。
なに、相手がヨーロッパ人ならさっきより多少ともましな出会いができるだろうよ。」
「ふむ・・・。よし、痛みも退いてきたし、銃を調達といくか。」
どうにかショックから立ち直った二人は再び森の中へ消えていった。
ズギューン!ズギューン!ズギューン!・・・。
銃声が終わった後にはただ静寂が残った。
「はあ、はあ・・。もういなくなったか?」
ルーデンドルフは額の汗をぬぐいつつ、
そうであってほしいと願いを込めてつぶやいた。
恐ろしい敵だった。突然頭上からナイフを煌かせ襲ってきたのだ。
一瞬見た容貌では東洋人らしかったが、そんなことにかまっておられず
銃の台尻で一撃を加えた後は、乱射しつつ逃げ出すので精一杯だった。
「ふう・・ご老人、私はまだまだ自分の築いた死体の山を見なければいけないようです。」
心の中でつぶやいていた彼の耳に、蹄の響きと懐かしいゲルマンの響きが飛び込んできた。
「あれは女性の声・・・もといドイツ語か?ひょっとしたら、いややはりドイツ人がこの島にもいるな!」
騒音の現場に駆けつけた彼が見たものは・・・。
>山野さん
いや、歴史上の偉人たちが登場人物である以上、
戦う事をあえて捨て、
超然として死を迎えた人間が一人くらいいてもおかしくないなと思ったもので。
(というか、そういう役を本来キリストや仏陀がやるんでしょうがあれでは・・・。)
一応その目的は果たしたんで、全然OKですよ。
>249
寛大なお人じゃ・・・有難う御座います。しかし文章美味いですね、経験者ですか。
さて、ドイツ人女性とは誰でしょうか。薮蛇だったりして(藁。
曹操は考え込んでいた。(ここに復活したのは皆英雄と呼ばれた者達の筈だ。しかし、見るからに
下品な化外の民の顔をしている。そもそも我が中華の先人にもあまた英雄と呼ばれた者達がいるのに、
なぜ一人もおらぬのだ。まさかあの者達の方が先人達よりも優れているとでもいうのか。)
「考え事かね。」
不意に目の前に男が現れた。曹操はとっさに身構えたが、その男の姿を見て固まった。というのも、
その男が曹操の思い描く英雄像とまったく同じ姿だったからだ。曹操は思わず口調を正した。
「あなたは一体・・・」
「予は秦王、名は政、後の世では始皇帝という者もおる。」
曹操は驚きを隠せなかった。が、同時に喜びも沸いてきた。同じ中国の英雄をようやく見つける
ことができたからだ。
「何を迷っていたのだ曹操。そんな無防備に考え事をしていたら、他の英雄の格好のまとだぞ。」
(なぜ私の名を・・・)脳裏によぎったが、曹操はさっきまで考えていた疑問をぶつけてみた。
「なるほど。君が思うのも無理はない。だがその中華思想は捨てた方がいい。ここは君や予が死んでから
二千年もたった世界なのだ。」
そう言うと始皇帝はピストルを取り出し、おもむろに曹操めがけて引き金を引いた。弾は彼の頬を一瞬
かすめ、木の幹にめり込んだ。曹操は驚きのあまり声も出ない。
「これはこの時代から百年以上も前につくられたピストルという武器だそうだ。これをひとつとってみても
わかるだろう。今君の持っている常識は通用しない。そして、中国も世界の中の一国にすぎないのだよ。」
呆然とする曹操に、始皇帝は続けて言った。
「ははは、予も全てを知った時そんな顔をしていたのだろうな。曹操、ここからもう少し行った島の外れに
全ての世界の歴史が書かれた書物が並ぶ建物がある。それを見れば君の疑問、そしてすべきことが見えてくる
はずだ。」
「なぜ俺にそこまでしてくれるのです。そのピストルで俺を殺した方が得でしょう。」
「なに、やはり同胞と争うのは優勝を決定する場面がいいではないか。おっと、予も完全には中華思想が抜けて
いないようだ。」
「では曹操、その時まで死ぬなよ。まあ君は柔軟性に富んだ人間だ。予が心配するまでもあるまい。おお、
言い忘れるところであった。同胞の参加者に項羽を見かけたぞ。」
そう言うと始皇帝は去っていった。曹操は未だに事態が飲み込めないようだったが、始皇帝と項羽が参加している
ことで少し晴れやかな気分になった。
ともかく始皇帝の言っていた島の外れの建物に向かうことにした。
<英雄番号43 始皇帝登場>
曹操編書いてたの自分です・・なんか上手くいかないす。
ネット初心者なもんですいません。あんまり書く時間がないので邪魔くさく
なってきたら、ほかの作家さん曹操消しちゃっても結構ですので・・・
とりあえずちょこちょこ書けたらと思います。あと書き忘れたんですけど、
<英雄番号20 曹操孟徳>でお願いします。
>252
始皇帝のキャライイ!あんまり書けないのはほとんどの人が同じ様ですので、
お気になさらぬ様に。
>>248 すいません。
とりあえず項羽を暴れさせてみました。
項羽vs2人(+銃)で大体引き分けみたいな感じにしてみました。
隙だらけなので遠距離から狙撃すれば確実に殺せそうですが。
どきどき・・・。ヒマ見ては覗いてますよ。
「そろそろ来ても良い筈なのじゃが・・・。」
ある岬の木の下に立ち、木陰の位置からおおよその時刻を割り出していた清盛は呟
いた。こういう事は「生前」に海賊衆に聞いていたのが役に立っている。
信長と定期的に待ち合わせる場所と時刻はここで間違いない。と、なるともしや。
不吉な予感が脳裏をよぎった時、衣擦れの音が聞こえて来た。
来たか、と思ったのだが、何所か音に違和感が感じられた。刀を構える。
やがて顔を出して来たのは唐人の女。福原で文物を通してなら見た事があったが、
じかにお目にかかるのは初めてであった。
「清盛殿じゃな?信長殿に頼まれて伝言に参ったぞえ。」
分かるものには分かる「何か」を感じさせる微笑を浮かべて、武即天は言った。
「大周の皇帝陛下に使いを頼むとは・・・前右府殿も無茶な事をなさる。」
大陸志向のあった清盛である。彼の時代まで、そして彼の時代の後にも無かった女
皇帝の事は知っていた。
「相国殿、その様な事はお考えにならずとも良い。元々大した出自では無かった者
が元の所に戻っただけじゃ。武娘で結構。」
女は笑って答えた。すでにここに至るまでの経過は伝えてある。
「あの人数でわざわざ合流するよりは援軍に行ってくれという事であった。どうや
らこれまで大人しくしておった者達も動き出したらしく、事態は風雲急を告げてお
る。あの山の上では炎が昇っておったし、銃声も響いておる。」
清盛も肯いた。ここまで来て単独で居るのは、余程の手錬であろう。そんな時、ま
たもや銃声が響いて来た。また、動かねばならない。
わかんなくなって来たので自分でまとめてみました。
初日目。
イヴァン3世。神の怒りにより自滅。(アイテム支給無しと思われる。)
同様の理由でニーチェも神に攻撃され負傷。(アイテム不明。)
冒頓とフビライ、溥儀を弓にて殺害。フビライの武器は不明。
カエサルが結果的にサーベル入手(+嘔吐用の羽根。毒を吐くときには使えると思われる。)
アインシュタイン(万年筆)を殺害したキリスト(十字架)と同盟。
マルクス。マシンガンにてジャンヌ、レーニン、スターリン、毛沢東を攻撃。
この時点で彼の装備はマシンガン+不明四つと思われる。この時点での優勝候補。)
ヘリオガバルスの死因は彼のマシンガンによるものと思われる。その場合マルクスは未知の装備を5つ持っている可能性あり。
この光景を見たポルポト、発狂。金日成を殺害。(ポルポトは狂ったので金のアイテムを奪ったかは不明。)
頼朝、時宗、闘わず退場?装備不明。海岸線を漁れば入手可能か?
この時点ではティムール(装備、馬)、文天祥(後にクロスボウ所持と判明)にこれといった目的無し。
後に文は「なんとなく」フビライ打倒を決する。この時点では同盟なし。
アレクサンドロス、メフメト2世殺害。サバイバルナイフ入手。マスケット銃を銃剣に進化させる。
(考案者、グスダフ・アドルフの参加予定は不明。ここでは論じない。)
レオ十世、マリー・アントワネット(装備不明)を陵辱未遂。信長に殺され、単発ピストルを奪われる。
後にマリーはフリードリヒ2世にも攻撃されるが、マリア=テレジア(マスケット銃)が救出。
フリードリヒ2世のサーベルを奪う。さて、マリーの初期装備はなんだったんでしょう?
平清盛の大活躍。竹光は失ったがラプラプから山刀と彼の自作の石器のナイフを奪い、
デュ・グラケンを倒す。毒キノコ食って自滅したガリヴァルティの日本刀入手。
石投げ、時間把握など特技多し。
ナポレオン(槍)、ヒトラーに重症を負わせる。ピストル入手。
ヒトラー、マルクスの殺害を胸に秘めて気絶。後に何者かによって治療される。
フレデゴント(針)。ワザとアッティラ(装備不明)に陵辱されて隙をついて殺害。
則天武后(ヒョウ)と共に彼の服を奪う。
ブッシュJR、仲間を集めて主催者殺害を試みようとするが、
仲間になったアルキメデス(棒キレ)、ヨハネス21世(辞書)は役に立つのか?
仲間にしたアイスキュロスは助けようとしたジャンヌに亀を奪われ死亡。
ブッシュ達が亀を持った小娘が仲間を撲殺するのを止めていない事から、
三人はアイスキュロスを見捨ててとっとと逃げ出したものと推測。
この時点での主を失ったアイテムはデュ・グラケンの巨大斧、
頼朝、時宗達装備していた漂流物のみ。
推測できるアイテム数からマルクス有利に見えるが、彼はマシンガンしか使用していない。
二日目もまとめます??
ってか、誰も見て無いんで二日目も現時点での主なイベントをまとめときます。
ムハンマド(コーラン)。参戦。
見晴らしの利く高台でマルクス、ブッタと孔子を殺害。拡声器(+α)を入手。
森でノーベルを殺害する。よく動き回るね〜。彼。
ノーベルの支給武器、拳銃、及び彼の作成した大量のダイナマイト、現在主無し。ただしマルクスが入手すれば最悪。
デュ・グラケンの大斧も然り。しかし現在の時点でこれを使いこなせそうなのは項羽くらい?
また、項羽は自分の支給武器の銃を捨ててしまっている。誰が拾うのか??
清盛、マリー・アントワネットに情をかける。後に信長と同盟。信長は『雷を防げそうな技術者』としてマリーが話した、ベンジャミン・フランクリンを探す為、偵察に行ってしまう。
その先にて聖徳太子(唐風の剣)と交戦する則天武后、フレデゴントと遭遇。
闖入者、冒頓とフビライコンビに苦戦するが、フレデゴントの囮作戦に乗った冒頓を信長が起死回生の一撃で射殺。フビライは逃走する。
これによって冒頓の弓が手に入ったと思われる。
この間に、清盛とマリーはヒトラーを発見。ヒトラー、清盛から山刀を貰う。
信長を待つ清盛達を則天武后が訪れる。一大派閥となるか?問題点は銃器の有無。
人数あってもマルクスのマシンガンには勝てんからね〜。
張騫、カマを投げてティムール殺害。(茶でも探しながらヤハウェ倒そうかとしてた)文天祥と同盟を組む。馬は文が入手。その後厩舎に向かい、二人とも馬に乗る。
ここには馬に引かせる戦車やジープもある。ジープの存在が気になるところだ。
エーリッヒ・ハーデルドルフ(モーゼルライフル)。戦意を見せない乃木将軍に威圧されながら攻撃。乃木将軍の日本刀を入手。
後にポルポトと交戦。弾をいくつか消費する。
乃木将軍は死んだと思われたが、パラケルス(医療セット)によって救出され、メスを入手。
曹操(双眼鏡)油と火炎攻撃を仕掛けたネロ(サバイバルナイフ)を返り討ちにする。
始皇帝にピストルの脅威を教わると同時に、今後の行き先を決めるべく、歴史書を読みに島外れへ向かう。
フリードリヒ大王(2世と同じですよね!!?)木の枝を自作。ナポレオンと合流後槍に持ち代える。
項羽と交戦。なんとか逃げれたが負傷する。食料は項羽に奪われる。
彦坂忠義、『増えすぎたから殺しまくる』未来に反発。希望に満ちた未来を手に入れるべく行動開始。
なお、彼の持つ『未来記』は聖徳太子が周辺諸国の情勢を分析して後の世の動きを予測した本であり、平家物語にも名前だけは載っていたはず。
マルティン・ルター(聖書)。神の真意を知るべく、イエスと合流を目指す。自衛の為に必要な武器を探している。
これからのわかんない人々。ニーチェ(苦笑)、ジャンヌ(亀)、ブッシュJR一行(生死不明。棒、プレシェル、辞書)、
ポルポト(ナタ。・・エーリッヒ襲ったまま、この島の野人になるか?)
カエサル&キリスト(嘔吐用の羽根、サーベル、十字架)、
仲間を失ったフビライ(??馬??)、マリア=テレジア(マスケット銃)、
アレクサンドロス(サバイバルナイフ+マスケット銃=銃剣)、
ムハンマド(コーラン)ってトコかな?抜けてたら補完お願いします。
>>258-259 お疲れ様です。
森を抜けたナポレオンとフリードリヒは、いつしか海岸へ出ていた。
と、波打ち際に巨大な物体が据えてあるのを見つけた。
明らかに流木ではない、それは・・・。
「船だ!まだ未完成のようだが。それにオールも2本突き出て・・いや待て!」
オールだと思ったのは人の足であった。
作りかけの船の中を見ると身長2メートルを超える大男が高いびきをかいていた。
そばには無造作に巨大な斧が放り投げてある。
回り込んで声をかけようとしたが、その瞬間フリードリヒは凍りついた。
呑気に寝ているかに見える大男からの凄まじい殺気に気づいたからだ。
よく見ると、放り投げただけに見える斧も彼がすぐ手に取れる位置にある。
2,3歩下がり、フリードリヒは彼の心に語り始めた。
「その船は他人をおびき寄せるわなだな?」
大男の眉がぴくりと動き、彼はゆっくりと起き上がった。
「そう見抜いて攻撃せんのはどういうわけだ?」
「待て、その前にどの国の言葉をしゃべれる?」
「・・ロシア語とあとはドイツ語だ。こちらの質問にも答えろ。」
「われわれは単なる殺し合いはしたくない。今はこのふざけたゲームを仕組んだやつを探している。」
「!!・・・キリスト教徒が神を疑うのか!」
「いや、そもそもやつが本当に神である証拠は何もないではないか。
むしろ死せる者を復活させ、
神より聖別されし君主を虫けらのように殺し(イヴァン雷帝)
さらに残ったわれらに殺し合いをさせるなど、まさしく悪魔の所業ではないか?」
「ヤハウェは神の名を騙る悪魔だと?」
「真実はまだわからん。とにかくこの命令は神のそれだとしても到底受け入れがたい。
われわれ二人は無駄な殺し合いを止め、ともに真実を探ろうと決め、ここまで来たのだ。
君が加わればなお心強い。一緒に来てくれないか?」
大男の体に似合う旺盛な好奇心が目を覚ました。
かつて彼はそれを満たすためには遠い外国へいくのも苦とはしなかった。
「ようし、付き合うとしよう。俺の名はピョートルだ。」
英雄番号6番 ピョートル1世(大帝)参戦
261 :
世界@名無史さん:02/04/18 16:49
是非、太陽王ルイ14世、参戦希望
「朕は国家なり」「余は神に選ばれたのだ。だから余が負ける訳がないのだ」
豪華な乗馬服を来た威厳あふれる顔だちで背が高い男性が呟いた。彼の名は
ルイ14世。王権神授説を信じ、フランス絶対王政の礎を築いた。またフラン
ス革命の遠因を作った。
マリー・アントワネットについては山野様が触れていますのでいじくる気は
ありません。山野様の文章好きですし。ぜひルイ14世も使って下さい。
おなかいっぱいさん、情報量だけでは無く実に楽しめるまとめ方でした。有難う御
座いました。あ、それと鎌倉コンビははなから不参加という事で。余計な数が増え
ますから。
>261
私で無くても良いと思われますが、頑張らせて戴きます。ただパソコン不調の為し
ばらくお待ちを。
263 :
ブラフマー&ツクヨミ:02/04/18 22:20
エーリッヒは、駆けに駆けていた。急がねばせっかく声を聞けた同胞を、しかも若
女性・・・いやいや淑女を失ってしまう。
「こ、これはっ・・・。」
やがて前面が開けた所を見た時、彼の目に信じられないものが映った。
可憐な乙女(と形容しておこう)が銃の台尻を振り回してヒゲ面の東洋人に襲い掛
かっている。テレーゼとフビライだった。
フビライは思わぬ敗北に一時的な恐慌・退行を起こしていた。そこに突然銃撃を喰
らって藪に落馬し、相手を確認も出来ぬままに逃げ回っていたのである。
「往生際の悪い方ですわねー。お待ちなさい!」
「あんたが襲われてたんじゃ無かったのかよ・・・。」
呆然としながらも目の前の美少女を描いた肖像画を思い出していたエーリッヒ。や
がてフビライは何とか逃げ切り、馬が主の後を追っていった。
>263
すみません、これ書いたのは私です。ちょっとふざけ過ぎたかな・・・。
そういえばエーリッヒのつっこみも三村風(藁。
>>260 >>262 う〜ん。でもまだ時間と各キャラクターの位置関係が掴めていないなぁ。
まぁ
>>1氏を差し置いて次の日にもできないし・・。
266 :
カエサル萌えの女:02/04/20 11:32
1さんじゃないですが。
駆け出したカエサルたち二人が見たものは、二人対一人の戦いの場面だった。
一人の方はいかにも戦いなれた中年の戦士で、二人の方はどちらもきらびやかな
衣装を身にまとっている。一人の顔は浅黒く、もう一人は白い。敢えて言うなら
ガリア風の顔だな、と思って見ていると、いきなり雷が落ちたかのような音がした。
見ると、浅黒い顔の方が倒れている。中年の戦士が左手に持っているものから、
煙が上がっていた。
「ひ・・・卑怯な! 銃を使うとは!」
立っている者の叫びが、カエサルたちの心にも届いた。
「二人で襲っておいて、何が卑怯だ」
戦士の方がそう言い放つ。と言っても、傍観者の二人には
何と言っているかよく分からないのだが。
一対一の決闘は、すぐに決着がついた。剣でやりあって数合で、戦士の方が
相手の脇腹を貫いたのだ。相手は血を噴き出して倒れた。
267 :
カエサル萌えの女:02/04/20 11:35
「どうする、イエス」
カエサルはギリシア語で聞いた。イエスは苦笑交じりに応じて
「君が興味あるのは、あの男の左手のものだろう」
「まあな。魔術の用具かインドの武器か知らんが、音がしたと同時に一人が倒れ、
変化があったのは左手のみ。怪しいのはあれだ」
「そこの二人、何を話している?」
言葉は分からずとも、声は聞こえるらしい。生き残った中年の戦士が、心で
詰問してきた。合わせて左手のものの照準を合わせてくる。
「・・・悪かった、すまない」
イエスが心で応じ、カエサルをせかして姿を見せる。それで左手を下ろした男に
「ラテン語かギリシア語は分かるか?」
カエサルが訊いた。男は一秒ほど戸惑った後で
「ラテン語なら分からんでもない」
と応じる。カエサルは男に肉声をかけた。
「見事な戦いだったな。何者だ?」
「傭兵だ」
男は、訛りのあるラテン語で応じた。
「傭兵か。その左手のものは何だ?」
カエサルが、極めて単刀直入に訊く。自分は襲われないという確信が、
この男には常にあった。
「ピストルだが、知らんのか?」
「ピストル?」
問い返す。傭兵だと言う男は、二人を数秒眺めていたが
「例えばこう使うものだ」
と言って、上空を見上げると左手を上に突き上げた、次の瞬間。
さっきと同じ雷のような音がして、上空から鳥が落ちてくる。
絶命していた。
268 :
カエサル萌えの女:02/04/20 11:36
カエサルとイエスは、顔を見合わせた。やがてカエサルがその男に
「傭兵と言ったな。我々と一緒に動かないか?」
「それは構わんが、金は?」
「金?」
この男、自分の立場が分かっているのかいないのか。この場にあっては、
金などほぼ何の役にも立たないというのに。
怪訝そうな顔をするカエサルに、その傭兵は言った。
「もしくはその代わりになるものだ。報酬なしで動く傭兵などいるものか」
「何を話している?」
ギリシア語でイエスが問う。カエサルはイエスを振り返り、説明した。
「私も金は持っていないが。君の方が持っているだろう」
「・・・分かった」
考えてみれば、貧しい庶民の生まれであるイエスが、傭兵を雇えるだけの
金など持っているはずもない。
カエサルは傭兵に向かって声をかけた。
「金はないが、食糧なら十分あるぞ」
「・・・いいだろう。契約成立だ」
269 :
カエサル萌えの女:02/04/20 11:38
傭兵は、名を問われてアルプレヒトとだけ名乗った。カエサルはフルネームを
名乗った(そして傭兵を驚かせた)が、イエスは何故か彼に名前を言いたくない
ようで、ユダヤ人だとだけ言った。
「他の名前は、知らない方がいいだろう。未だに名前を聞いただけで襲われる」
戦っていた二人もそうだった、と「アルプレヒト」は語った。
「と言っても、浅黒い顔の──アウラングゼーブとかいう奴は、俺のことなど
知らなかったらしいが。十四代目のルイと気があったんだろう、奴に焚きつけ
られてな」
「ルイというのは、もう一人の方か?」
カエサルが聞いた。「アルプレヒト」は頷いて
「ああ。フランスの・・・あんたの言葉で言うガリアの王だ。あんたの時代には
信じられんだろうが、千七百年後には立派な王国になってるんだ」
「千七百年後?」
カエサルはイエスの方を見たが、何も応答しなかった。代わりに傭兵が
「ああ。それに比べて我がゲルマニアは、ちょうどあんたの時代のガリア
のような状態。俺はある人物に雇われて、一時は五万以上の軍を率いていたん
だが、雇った奴に殺された。ちょうどあんたのようにな」
「──で? それとさっきの男達と、どういう関係が?」
「俺は、生まれながらの王侯貴族には嫌われる運命らしい。そもそも俺が
殺されたのも、皇帝である雇い主を殺して自分が取って代わろうとした罪
なんだが」
「──濡れ衣、か」
カエサルの言葉に、複雑な笑みで応じる。
「さあな。──それより腹が減った。契約どおり何か食わせろ」
そこでイエスがパンを取り出して祈りを捧げ、「アルプレヒト」に与えた。
この男、生前にはヴァレンシュタインと呼ばれていた。
アウラングゼーブ 死亡
ルイ十四世 生死不明・動作不能
270 :
カエサル萌えの女:02/04/20 11:54
>>266-269 ヴァレンシュタインを出してみました。
傭兵ですので「金、もしくはその代わりになるもの」さえ出せば、
いくらでも陣営変わります。単独行動も取ります。
更に、自分の陣営が不利になれば裏切ります。
イエスは後の世の歴史をある程度知っている(少なくともキリスト教世界
については)、という設定にしてますが、これは無視して構いません。
英雄番号はよく分かりません。
整理してくれる方きぼん。
「全く、仕事を増やさんでくれよ。・・・そういえばフランス女らしいのが居たな。
機会があったら押し付けておくか。」
ぶつぶつ独り言を言いながら太陽王を治療するパラケルススであった。
島の各地で騒動が巻き起こっている中、始まりの地である校舎周辺は不気味な程静
かであった。しかし聞く者が居れば、「神」が珍しく会話をしているのが分かった。
「しかし正直な所驚いているのですよ。君といいニーチェ君といい、一万ボルト以
上の電圧をくらいながら立ち上がって来たのですから。」
流石は私に選ばれただけの事はあります。上機嫌でそう語っている「神」の相手は
イヴァン四世。雷帝と綽名される男であり、「ゲーム」開始直後に死んだ筈の男。
<英雄番号11番 イヴァン四世 再登場>
「勿体無きお言葉。このイヴァンめは頑丈さが取り柄の男で御座います。必ずや主
のお望みになられる事を達成させて戴きまする。」
悪鬼の如き行状で恐れられた男が、忠犬の様にひれ伏していた。
「期待していますよ。勿論あなたが私に尽くしてくれるのであれば、私もあなたに
恩寵を授けましょう。蘇った我が子と共に、世界を焼き尽くすのです。」
笑みさえ浮かべて語る「神」に頭を垂れると、雷帝は教室を出て行った。
校舎を出たばかりの所で、幸先良く迷い馬に出くわした。最盛期の肉体でヒラリと
飛び乗るイヴァン。
幸先良く?いや、これこそまさしく神のご加護と言えようぞ。心の内で語り、良き
未来を予感してイヴァンは大剣を振るった。重く鈍い音が勝利を確信させてくれる。
「いざ行かん聖戦に!そして我が勝利の場に!!」
綽名通り雷鳴の様な声を響かせて、イヴァンは馬を走らせた。
カエサル萌えの女さん、1さんがどう仰るか分かりませんが、手馴れた感じで良か
ったです。しかしこういう飛び入り参加の事を考えるともう少し参加人数を増やし
てみても良いと思われるのですが、どうでしょうか。
273の「蘇った我が子」というのは、イヴァンが打ち殺して神に復活を願った長子
の事です。イエスみたいで紛らわしかったですね。すみません。
277 :
世界@名無史さん:02/04/20 18:40
ナポレオンらが去った後の作りかけの船に近づく人影があった。
彼は修理に必要な工具及び、材料を長年の経験から割り出すと、
それを調達するために慎重な足取りで集落があるほうへ進んでいった。
英雄番号不明 鄭和参戦
278 :
世界@名無史さん:02/04/20 21:43
呂布が最強
>278
曹操が出たから為朝同様無理です。項羽で我慢(と言ったら悪いか)して下さい。
しかし集落などが出て来ても地図が無いのでいまいち位置関係が掴みにくいです
ね。どこかにいいサイトはありませんか。
>>279ごめん。グーグルで探したけどカノンでバトルロワイヤルみたいなサイトしか見つからなかった。
時系列と移動は把握してきたからあとで参照ナンバーつきのまとめを出して、飛び入り参加の作家さんは増やせるんだけど、
地図がね・・・。移動の様子はわかってきた。マルクスの奴はほとんど不眠不休。社会主義者どもの支給武器に『覚醒剤』でもあったんだろうか?
ちなみに、カノンでバトルロワイヤルって鬱な地図見たんだけど・・・多分原作と同じなのかな・・?
原作の公式サイトは消滅してるみたい。
ちなみに、カノンのバトルロワイヤルの地図が正しいなら、
灯台近くに来た少年皇帝を射殺したのはマルクスでは無くなるね。
で、見てると、こっちの話の筋と、この地図を比較すると結構正しい・・・。恐ろしい事に矛盾が少ない。
独自に情報を投合して地図を書こうかと思ったけど、右とか左ではねw
せめて太陽の位置とかあったら決めれたけど。
地図をプリーズ。
>269 :カエサル萌えの女様
ルイ14世登場、ありがとうございます(^-^)
原作どおりの地形にすることはないんじゃないかなぁ。
今までのストーリーと矛盾がないような地図ならそれでよいと思いますよ。
ところでカノンてなに?
なんかしらんが名作ゲームらしいよ。
284 :
世界@名無史さん:02/04/21 00:06
ここってみんなは共通の言語で話してるんですか?
それとも生きてるときに話していた言語?
285 :
カエサル萌えの女:02/04/21 00:36
>284
意志の疎通自体は「念話」みたいなので出来るそうだ。
ただし、これはヤハウェに筒抜け&確か他のキャラにも聞こえる。
生きている時に話していた言語は「肉声」という形で使える。
文字通りの肉声だからその場にいる人にしか聞こえない。
・・・という設定だったと思う。
(この際だから「肉声」に準じて筆談ありにしますか?>all)
一難去ってまた一難。
気狂い少女の次にブッシュ一行を襲ったのは、ローマの将軍服を身にまとった偉丈夫だった。
岩場に身を潜め、獲物が通りかかるのを虎視眈々と待ち受けていたのだ。
アルキメデスが岩の裂け目に足を取られて逃げ遅れた。
「待ってくれブッシュ!ヨハネス!どうか儂を見捨てないでっ」
助けを求めるアルキメデスを、しかし、残る二人は返り見もせず、一目散に逃げていく。
薄情なことこの上ないが、二人を非難するにはあたらない。
これはいわゆる蜥蜴の尻尾切りという立派な?戦術である。
前回はアイスキュロスが、そして今回はアルキメデスが尻尾の役目を引き受けることになった。
言ってしまえばただそれだけのことだ。
とはいえ、アルキメデスもはいそうですねと仲間の為に身を供するつもりは毛頭ないから必死に逃げようとする。
そのアルキメデスの襟首を、無情にも男の熊手のような腕が伸びてきてがっしりと捕まえた。
「おわわわわっ」
慌てて振りほどこうとした瞬間には時すでに遅く、
体重で大きくリードする相手に組み敷かれてしまっていた。
猛烈な勢いで地面に叩き伏せられて、一瞬肺が空っぽになる。
アルキメデスは恐怖に駆られて腕を振り回した。何発かは圧し掛かる男のニキビ面に命中した。
しかし、相手は全く怯む様子を見せない。
それどころか男は笑っていた、無力なアルキメデスを嘲笑うように。
男の太い指が両目を狙っているのに気づいてアルキメデスは悲鳴をあげた。
急速に萎えていく戦意を掻き集めて、男の腕を押しとどめんとした。
その隙を突いて、もう一方の腕がアルキメデスの首筋を圧倒的な膂力で押さえつける。
呼吸が止まった。喉首から男の指を引き剥がそうと躍起になったが、それも無為に終わった。
男の指一本動かすことすらかなわなかったのだ。アルキメデスの腕から徐々に力が抜けていく。
体中から忍び上がる無力感に打ちのめされて、アルキメデスはついに抵抗を諦めた。
陰鬱な歓びに萌える男の目が、次第に濁っていくアルキメデスの目を覗き込む。
彼の目の中に何かを探しているかのようだった。おそらくは、死、そのものを。
……儂は死にかけておるんかのぉ。
アルキメデスは思う。その思考すら、薄れて消える。
ふと、身体に掛かっていた万力のような圧力が消えた。
突如として肺腑に流れこむ酸素に、アルキメデスは身体を折って激しく咳き込んだ。
「ゲルマニクス!?」
アルキメデスの耳に驚愕した男の声が届く。
その声に追い被さるように一発の銃声が轟いた。
ティベリウスは思いもかけぬ闖入者の登場に動揺していた。
足元に転がる虫けらはすでに眼中に無い。彼の全意識は目の前十数メートル先に現れたひとりの人物に集中されていた。
古風なギリシア式の武装に身をよろい、奇妙な槍をこちらに擬しているあの若者は…
「ゲルマニクス!?」
叫ぶティベリウスの声は、大音響に掻き消された。
と同時に彼の右約1メートルで土ぼこりが舞い上がる。
数秒間あっけに取られて硬直していたティベリウスは、無防備に身体を晒したまま青年の接近を許してしまった。
急速に迫ってくる穂先の閃き。ティベリウスは咄嗟にマントを翻して槍を絡め取り、すんでのところで攻撃をいなす。
ここで至近に対峙する男の顔を見た。息子の顔ではない。よく似ているが違う。
突然、天啓に打たれたように青年の正体を悟ってティベリウスは声を上げた。
「お前はもしや!…いや!貴方は!」
敵は…アレクサンドロス大王は彼が言い終わるまで待っておりはしなかった。
一旦手にしたイニシアチブを最大限に活用して、畳み掛けるように攻撃を仕掛けてくる。
正確かつ強力きわまりない刺突と斬撃を織り交ぜ、ティベリウスを着実にある一点へと追い詰めていく。
ティベリウスの片足が、空気と地面の境界線を踏みしめた。
もう後が無い。背後に待っているのは全くの虚空と、そのはるか下に広がる黒い海だ。
身を守るマントは、すでに手酷く切り裂かれてただのボロ布に変じていた。
ただ一つ残された道をティベリウスは選択した。自暴自棄ではなかった。持ち前の冷静さから、最後の可能性に賭けたのだ。
彼は体重を風に預け、仰け反って岩壁から身を躍らせた。
自由落下する巨体は、目で追う間もなく黒い波の下に吸い込まれていった。
<英雄番号03番 ティベリウス 参戦>
カエサルとかなーり時代近いですけど、ギリギリ被ってない(生まれたのはフィリッピの戦いのあとくらい)
のでティベリウスを出しちゃいました。すいません、俺の趣味です。
あんまり続きを書けないかも知れないんで、ウザかったらこのまま死んだことにして処理しちゃってください。
ちなみに彼のアイテムは、食料・水その他と一緒に岩場に残ってます。
ティベには使い方が分からなかったか、まったく役に立たない物なので放ってあるという設定です。
>>285 さんくすです。ありがとうございます。
ルール変更する気は無いんですか?
誰とでも会話が通じるならすごいタッグとかチームができそうなんだけど
同じ国でしか組めない(とくにアジアらへんの英雄とか)のはさびしいし、なにより権謀術数も使えないのはどうかな・・・と。
291 :
世界@名無史さん:02/04/21 03:09
そんな生き返らせてばかりじゃつまらんよ
ちゃんと殺そう。
>>290 慣れ合い推奨みたいなルール変更は個人的にはどうかと思う。
あくまでも肉声、筆談での会話は裏技的なものなのだし、そこを発展させてもしょうがないかと……。
殺し合いなのだから寂しい部分があるのは当然だし、そこから生まれてくる魅力もあるのでは?
後意見を出すのでしたら人に聞く前に、1からきちんと熟読して基本的な部分は把握して置いて欲しいなと思ったり。
まだこのスレ300にも満たないんだし。
まぁこれは私の個人的意見ですし全ては1さんが最終的に決定する事でしょう。
命拾いした。だがブッシュもヨハネスも素直に喜ぶ事など出来なかった。
見捨てる者を誰が見捨てずに救ってくれるのか。もう見捨てる様な真似はすまい。
そう思いながら進んで行く内に降り始めた雨が、体力と気力を奪って行く。
「雨宿り出来る場所を探さねばならんな。そして身を隠す事の出来る場所を。」
ヨハネスの言葉に、ブッシュが頷いた。未だまともな武器も得られていない。
やがて目の前に程好い大きさの洞窟が見えて来た。
「どうする、教皇。手頃ではあるが・・・逃げ道が無さそうだ。」
二人が迷えば迷う程洞窟はその暗さを増して行く様に見えた。
果たしてどれ位の間考えていたのだろう。五、六分か、それともそれ以上か。
二人の体内時計は教えてくれなかった。
最初に洞窟内に足を踏み入れたのはブッシュだった。義務感によるものだっ
たのかあれ以上濡れたくなかったからだったのかは本人にも分からなかった。
人の気配は無い。だがそれが本当に無人である事を示すのか気配を隠した者
がいるのかが分かる程の訓練を積んでいない二人には分からない。だが一応
気休め程度に慎重に進んで行った。
「こ、これは・・・。」「これは何なのだ、ブッシュ。」
絶句しているブッシュとは対照的に、ヨハネスは困惑していた。どう見ても
ただの赤い大きな蝋燭の入った木箱の山にしか見えない。
「どれ、暗い所に持って来て丁度良いわ。」
そう言って火をつけようとしたヨハネスを、慌ててブッシュは止めた。
「止めるんだ!!火薬の山だぞ!」
目の前にはダイナマイトの山と拳銃が放置されていた。
置かれていたメモから署名と単語を読み取り、相手の意図は確認出来た。
「同志ノーベルよ、感謝する。」
まるで共産主義者の様な事を呟いてブッシュは拳銃を握り締めた。百年前の
ものであっても、その握り心地が彼の掌を喜ばせてくれる。
「ああっ。とか言ってるよ・・・やばいねあいつは。」
人の事は言えない教皇はダイナマイトを持っていた。ライター位は支給され
ている。いよいよ反撃の時が迫っていた。
あ”。やっぱしブッシュがダイナマイト持ったか。
小物が大量殺戮兵器持つと虐殺しかし無いんだよね・・。
実際のブッシュはもう少し卑劣・・賢いが。
>おなかいっぱい。さん
マルクスの手に渡るよりはましかと思いまして。一応反ヤハウェ派ですから。
しかしマルクスもいい加減機関銃の弾が切れた頃。となると死亡者の持っていた武
器が問題ですね。近代人ばかりでしたから。
「ここだな。」
島外れの小さな建物。世界の歴史書があるとはとうてい思えないが、曹操はとりあえず中に入った。
中は、やけにこぢんまりとしている。机とその上に巨大な本が三冊、それとランプ。それ以外には
何も見あたらない。曹操は少し拍子抜けしたが、ともかくその巨大な本に目を通してみた。
政治・宗教、経済・文化、軍事の三つの分野からそれらの本は成っていた。そしてそれは、約5000年
程の歴史を記した膨大なものである。常人なら一冊読むのにすら一月もかかるかもしれない。だが英雄と
呼ばれた曹操である。ものの数時間でそれらを読み終えてしまった。
曹操は中国のこれまでの歴史を知り、愕然とした。だがそれは、彼の建てた国が彼の死後わずか数十年で
陪臣の司馬氏によって滅ぼされたからではない。それよりも、数度にわたり異民族によって中国が支配さ
れてきた事の方がむしろ彼を驚かせた。そして世界の歴史。
(やはり皇帝陛下の言われたとおり、このゲームに参加している英雄達はそれぞれ英雄と呼ばれるに足る
活躍している。考えを改めなきゃいけないな。)
さらに武器の変遷。恐ろしく破壊力のある武器が次々に開発され世界を混乱に巻き込んで
きた。だが曹操は、そのことには驚きよりも喜びの方が沸いてきた。と同時に、強い「生」
への執着も沸いてきた。
「こんな武器が思うように使えたら世界を征するのはたやすい事だな。人間は俺が死んでから
高い技術、文明は作り上げた。だが、歴史を見るとどうも内面の方はあまり進歩がない。この
俺が今に蘇ることができたら、10年で中華の世界帝国が造れるものを。」
始皇帝もおそらく曹操と同じく思ったのだろう。だからこそ彼はこのゲームに乗っているのだ。
曹操にはヤハウェと名乗るものの正体も真意も、「神」の意味すらも解らなかった。だがヤハウェは
普通の人間とは次元の違う、特別な力を持っている。曹操は彼を仙人か何かであると自分で納得し、
それならば自分を生き返らせるのもたやすいのではないかと思った。
「いいだろう面白い。俺もこのゲームに乗ってやるぜ。」
曹操は決意を新たに小屋を出た。
『・・・・なっ!!・・・何をなさるんですか!やめてください!!』
彦坂は当惑していた。
一晩の間、星を見ながら(よく撃たれなかったものだ。)
かつての戦乱の事、研究の事、そして『未来』の事に頭を痛めつつ、
その実ボケ〜っとしてた彦坂。しかし決断すれば行動は早い。
息急き切って駆け出した彦坂だが、研究者の性か、手元の本『未来記』が気になって仕方が無く、
ついつい歩きながら読んでいたのだった。
(彼は戦前の人間である。英語、ドイツ語はおろか、漢文、古典文学も読める。大日本帝国の教育への熱心さは現代の比では無い。)
そこに近づいて来たのは、ムハンマド。
如何な難敵が現れるか、いかにしてその武器を奪うかと試案していた彼の目の前に、
フラフラと青白い肌の若者が本を読みながら近づいて来るのをみて、
ムハンマドは『こ、こいつも英雄なのか??』と、困惑し、おもわず青年をじろじろ見てしまっていた。
勿論、いつでも襲える。
彦坂のメガネが動く。『度が悪いですねぇ・・。目が悪くなったんでしょうか?』とメガネに手をやり・・。
「おや。」ムハンマドに気がつく。ムハンマド、不意をつかれる。
「こんにちは」・・・・あくまでのんきな彦坂であった。
『??』ムハンマドには日本語は理解できなかったのだが、テレパシーで言いたい事は伝わっていた。
『お前も・・・参加者なのか??』『ええ。そうみたいですね』彦坂はにこやかに微笑んだ。
『朝鮮は戦後独立、台湾は戦後共産党との内戦に破れた国民党が掌握、
蘭印、仏印などは独立・・・これらの地域の英雄は各国の英雄とされたようですから除くとして、
本来、内地だけでも陛下や山下閣下、東郷閣下、今村閣下・・・私など足元にも及ばない方々が、
綺羅星の如く存在したにも関わらず、どう言うわけかわたくしのような青白き研究の徒が選ばれてしまいました。』
長いセリフをにこやかに話す彦坂。
ムハンマドは呆れていたが、用件を思い出していた。『君の支給武器は・・その本なのかい?』
『ええ』『コーランには見えないが・・?』『未来記と言います。建国の人、聖徳太子様が表した、
国際情勢などの知識を総合的に判断して、後の未来を予測した本です。千年後の未来も書いてますよ・・・正確なのかいい加減で抽象的な、悪く言えばどうとでも取れるよう書いているのかは存じませんが、かなり正確のようです。』
ムハンマドは顔をしかめた。コーランに書いてある事はすべて不用であり、コーランに無い教えは邪悪な教えなのだから。
『これはジハドだ』彼は隊商を襲いつつ食料を奪っていた頃を思いだし、ほくそえんだ。
このような青白き男が生き残るはずなど無い。こいつの所持品は私が有効に使ってやろう。この男もその方が幸せであろう。
『おや。チョコレートがあります。・・懐かしいですね・・。ムハンマドさんもどうですか?』
『ありがたく頂こう。』ムハンマドは彦坂に襲いかかった。
『何が起こったのだ?』
ムハンマドは当惑していた。さっぱり状況が掴めない。
顎に走る激痛、閃光のように脳に伝わる衝撃。そして目に敵の右手が伸びるのが見え、
『ぴっ』と目を薙がれ、そのまま右のこめかみに強烈な一撃を受けたのだ・・・。
前後する。
首を締めんと襲いかかったムハンマドに彦坂が何か叫んだ。まぁ悲鳴であろう。
『楽に殺してやろう』全力で掴みかかった・・・彦坂の姿が消えた。
『ぐふっ』インドネシアの武術家の如く、しゃがみつつ一瞬で距離を詰めた彦坂の拳が綺麗にムハンマドのみぞおちに突き刺さったのだ。
そのまま脚に何か絡む。日本の古武術のカニバサミという技だがムハンマドの知識には無い。
『・・・これは・・。』彦坂は呆然とした様子で先ほどムハンマドの胃袋を直撃した自分の拳を眺めていた。
『あ。あの大丈夫ですか??』彦坂はお人よしにもムハンマドを助け起こす。『喝!!』『うぷ!!』
・・調子を取り戻したムハンマドを無視するかのように彦坂。
『おかしいですね・・・こんな事、昔もできましたっけ??』
『ナンの魔法だ!!』ムハンマドは恐慌すると共に激怒していた。
『魔法ではありません。・・・・・多分、武器も資源も無くなる寸前の大戦末期に、
素手でも敵に拮抗すべく、我が国で開発された総合的な格闘術だと思います・・・。』
『ですから・・・。』ムハンマドはもう彦坂の話を聞いていなかった。
『台湾の体術・・。』ムハンマドの攻撃を猿のような機敏な動作でひらりとかわす彦坂。
『朝鮮空手(テコンドー)・・。』その脚がそのまま高く上がる。顎に衝撃。そして閃光のようなネリチャギ(カカト落とし)!!
『そして、何より。・・武器の所持の禁止された琉球で、
素手で武器に立ち向かうべく開発された、唐手(空手)の技・・・が使えるようです』
ムハンマドの目に伸びる彦坂の手刀。軽く薙いで視界を奪う。そのままその肘がムハンマドを意識を絶ち切った。
『・・・・・。』彦坂は嘔吐した。
身体が自分の意志を無視するかのように滑らかに、正確に動き、
ムハンマドの力を奪ったのを見て、彼はヤハウェが戯れに彼に与えた力に恐怖した。
『・・・ここを、離れなければ・・。』彼は手近の薬草をつかってムハンマドを治療すると、
意識を逸したムハンマドが他の参加者に見つかって殺される事が無いように(まるで日本軍のように正確無比に)隠し、
歩き出した。その脚は神社へと向かっていた。
・・・ゴメン。ムハンマドがやられたのは左のこめかみですw
>山野さん。でも彼はレーニンのピストル持ってるんだよね・・。
東郷閣下は違うだろう・・自分・・・。東条だ・・・。鬱。
『・・・・何故度が合わないんでしょう・・。』
本を読みながら歩く彦坂。『ぐに』『カチン』
「・・・おや。地雷でしたか。不発・・と。・・危なかったですね・・・。
少しは回りに注意しないと・・狙撃でもされてしまったら死んでしまいますよね』
彼の持たされた『技術』には38式歩兵銃をかわした男の技術もあるのだがw
若返って目がよくなりすぎたんだから老眼メガネ越しの光景では見えるモノも見えないッて事にもいい加減気づけ。
火薬と信管をアッサリ取り、地雷をやすやす撤去した彦坂はまた歩き出した。
『他に言うこたあるだろう・・・。』
黒コゲで倒れていたニーチェがぼやいた。
「大王、まさか貴方にお会い出来るとは思っておりませんでした・・・。」
感無量といった顔つきで語るアルキメデス。英雄王に命を救われてすっかり参って
いた。対する大王もやはり学問に対する好奇心は人一倍あった様で、先程から夜道
を歩きながら歴史・物理に関する話に余念が無い。
「(元々わしは訳の分からぬ内に死んだ身であった。ならば我が才を大王の為に使
ってこそ何よりの生きた証となろう。)」
アルキメデスはそう考える様になっていた。元々やりたい事をやっていて歴史に自
分一人名が残されただけの事。ならば二度目も好きな事をやってこそ自分らしい。
そう決心したアルキメデスは、「アレ」の存在を口にする事にした。
「大王、まずは私めの支給された武器のある所へ参りましょう。」
「武器?あなたの武器は棒切れでは無かったのか。」
はい、と力強く頷くアルキメデス。やがて彼らの前方に見えて来た奇妙な木製品に
大王は驚きの声をあげた。一見した所車輪のついた天秤のお化けにしか見えない。
「投石器で御座います。支給されたものの使い勝手が悪く、放っておりました。し
かしおびき出すだけの技量があれば使えるかと。」
308 :
世界@名無史さん:02/04/22 18:25
眼鏡の天然ボケ青年か…いいね(w
ググっても引っかからんのだけど、どこかに顔写真とかありませんか?
時系列のまとめをしていたら、最大の疑問、
『どーやってノーベルは1日足らずの間に大量のダイナマイトを作ったんだ!』というのが出たが、
そもそも材料はどうしたんだろう・・と思ってたら天佑。
・・・さっき中学生の時、純粋な研究肌から、
『日用品からダイナマイトを作る』研究をして親にしばかれた曰くつきの従兄弟が電話してきたんで、
『なんかワケの判らん冒険旅行してきたそうだが、あんたヴェトナムで何してきたんだ?てか、いつ日本に帰ってきた?』と言いつつ、
それとなく聞いてみた所、塩化ビニールパイプなどがあれば、
ただ作るだけなら『半日もあれば作れる』そうである。(量は不明。)
園芸用の土にニトロを混ぜれば良いらしい。
ニトロの製造法はヤバイが、獣油だの、マッチ1000本(!)だの、
確かに聞けばありそうなものばかり。確かに、アホウがいれば『倉庫に大量にあった』のも頷ける。
あるいは他人の支給武器で、そいつが取りに来る前にノーベルが見つけたのかも知れない。
洞窟まで運ぶ・・・・多分診療所のジープ??
誰が・・・運んだんだ?ミステリアス。
・・・・・『大量』・・・『山のようには無い』だろうけど、
従兄弟でさえ数本作ろうとしてしばかれたんだから、
多分、ノーベルなら一人でも結構作れたと・・思う。
余談ですが、ニーチェの支給武器は『地雷』にしてしまいましたが、
>>1さんの反論が無ければこのままで行こうと思ってます。(戦前の遺物かも知れないが)
地雷は分解され、安全な形で彦坂が『起爆装置』と『火薬』を持ってます。
>>308 俺も祥伝社NONブックの五島勉が書いた、
(ノストラダムスの大予言だの、宇宙人の遺産だの書いてる痛そうな略歴の人・・。)
『究極の終戦秘史 日本・原爆開発の真実 米国を震撼させた破壊力と昭和天皇の決断』って本で見ただけで
検索かけても
http://www.kcg.ac.jp/acm/a5042.htmlとかしか出ないからね・・。
偉大な功績は残したが、絶望的に情報不足。
まさに、ど〜とでも書ける人。(死んだのは1989年。)
実際にメガネかけてるんは仁科博士で、こっちの本の彦坂博士(晩年)の姿は、
小さな眉と優しそうな小さな目、広い額に鼻梁のスッキリとした大きな鼻、
大きな耳と鼻の下のふさふさした手入れの整った灰色のひげのあるおっちゃんとして写真がある。
・・・・違うじゃんw
開戦の理由、中国の革命への援助と裏切り、通州事件、
日本占領時に苦渋を呑んだ人、アジア開放を信じて闘い、散った(日本を含む)アジアの人々、
絶対勝利せねばと暴走を繰り返した軍部、みだりに将兵を浪費した馬鹿参謀、
輝かしい勝利の陰にある泰緬鉄道を始めとするアジアの悲劇、
東京裁判で虐殺された人々や家族の涙も、
ソ連再占領の危機の時、安保闘争を日本があおって有利な外交交渉を行なった事、羽田空港の悲劇、
戦中戦後の共産党、赤軍、カクマル、中核派、右翼、カルト宗教の暗躍、沖縄の米軍時代・・。
過激な謝罪的教育によって過去の価値観を破壊し、
無味乾燥した『昔の人』の幻想で自分達を特別な人間に仕立て上げ、
心の底からコンプレックスを打ち破りたいと願う人々を、洗脳、利用し、
反社会的な行動や政治活動に邁進させる吸血鬼ども・・・・。
そういった戦中戦後のプラスマイナスを知った上で清濁併せ持って、ああ言う性格にw
見た目ボケですが、どんな事があっても理想を曲げず、現状から目をそらさず、
理想的な日本人として、様々な悲喜劇にも屈せず、現状を受け入れ、努力を絶やさず、未来を信じる。
けして自分の功績を声高に主張せず、美しく死んでいった人物として再設定しました。
理想的な人物で無いと、申し訳が立ちませんですからね・・・。
以外と最近の方だったので驚きました→彦坂博士。ニーチェの突っ込みには
藁。実を言うとあのまま投石器で(誰も書いてない)マルクスにはあぽーん
させてもらおうとも思ったのですが、反対意見がありそうだったので止めて
おきました。
312 :
世界@名無史さん:02/04/23 06:32
微妙にやりすぎになってきてる気がする。
彦坂のその設定は行き過ぎじゃないか?
基本的に彦坂博士は番外の存在ですからね、いいのでは無いかと。(大人し
くしている内は)しかし眼鏡の優男で格闘家ってまるで某ライトノベル(藁。
それと関係ありませんが聖徳太子が登場済みなんですよね・・・でも絡ませ
られそうにない。
うむ。彼の格闘能力は抑え目にしたほうが面白いね。
(実在の本人と遺族に悪いし。)基本は逃げ回る・・っと。
実在の彼は平和と発展の為科学を使おうとした人だし。
頭を使うタイプって言ってもジョジョみたいな知能戦は出来ないだろうし。
で、悩んだ末に格闘能力をとっつけたけど、既に原爆の知識があるって言うだけで大問題だもんなぁ。
(ホントはトリウムやウラン238原発。)
でも、まぁコミカルな所でアクションは出してもいいかな?
(以下、与太、としか思えん話。)
・・・げ。今NHKで凄いニュース。
イギリスのスパイ活動している…映画ではジェームズ・ポンドが所属している“あそこ”
・・・・・労働組合に入るとよ(おい)。
他にもテロや機内暴力対策にカンフーの達人を雇う!!すげぇぜイギリス・・。
磯辺の岩陰に身を隠し、三人は眠ることにした。
「あー、こういうときにコーヒーの一杯でもあれば」とフリードリヒ。
「とにかくきちんとした食事をしたいな」とナポレオン。
「贅沢言うな、ウォッカがあれば十分」これはピョートル。
「食事の話はこれくらいにしてだ、これからどうする?」
それが最大の問題だった。仲間を集めたいのは山々だが、
これからもピョートルのような幸運な出会いに恵まれるとも限らないのだから。
と、フリードリヒが目を輝かせてしゃべりだした。
「実は私に考えがある。君たちに出会う前に、美しい泉を発見した。」
「道理で貴様の服だけにおわんはずだ。」
「茶々を入れないでくれ。いいか、われわれ個人が持てる水の量もたかが知れてる。
さっき降った雨もせいぜい2〜30分で止んだ。
我々のように、岩の窪みにたまった水を見つけるような幸運に恵まれないやつは水に悩み始めるころだ。
あの泉とそこから流れる清流にいち早くたどり着き、待ち伏せていれば向こうから来てくれるわけだ。」
「特に女はだ、『服が汚れる』だの『お肌が荒れる』だのでいち早くそこに来るぞ。」
「ほっほう、それは楽しめそうだな。」
「おっとピョートルよ、変なことは考えるな。
仮にも我々に匹敵する存在として選ばれた女どもだ。
(畜生、何であのテレジアの豚と私とが同レベルなのだ!?)
下半身丸出しでくたばっている坊主を見たが、何を隠し持っているかわかったものではない。」
「だが、貴様と私が出会ったような獣にはいい餌というわけか?」
「そういうことだよナポレオン。」
「ようし、明日は東の空が明るくなったらすぐ出発だな。」
「ちょっと、何時まで水浴びしてるのよ!?いい加減お上がりなさいな。」
フレデゴンドの不満そうな声が、静かな川面によく響いた。
「そう言うな、衣服が汚れていかん。厩戸、上がったら髪を結うのを手伝ってくれ。」
川の中でも油断無く(見た目はそうでは無いのだが)弓矢を構えていた聖徳太子が笑っ
て頷いた。頭を抱えて天を仰いでいるフレデゴンドはすでに烏の行水を終えている。
「呑気なんだから・・・襲われても知らないわよ。」
「何、この方が却って動き易い。心配はいらぬ。今晩はここで野営するぞ。」
そう答えながら見上げた満天の星空は、彼らにとって唯一見慣れた存在であった。
地図ってこんな感じだろうか・・?〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ≪<∧∧∧∧〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〆 崖 ´ヽ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜清盛が歩いた 〆 ヽ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜 砂浜 〆 ヽ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜 ↓ ´ ヽ〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〆 釈迦と孔子が殺された ヽ〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜/ 灯台 北の山頂 ヽ〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〆 凸 ▲□□□□□□□ ´〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜」 □□□□□□□□ 神社 ヽ〜〜〜〜〜
ヘリオガバルス ‖ □□□□□□□□□□□□□□ Υ ヽ〜〜〜〜〜
が殺された農道‖□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ヽ 〜〜〜
〜〜♪ → ‖□□□□□□□□□□□□□□∩∩□□□□□ ∩〜〜
〜〜l □□□□□□□□□□□□□□□□□□∩∩ \〜
〜( □□□□□□□□□□ □□□□□□彦坂の 小さな `〜
〜( □□□□□□□□□□ 木 □□□□□寝ていた丘 家■ `〜〜
〜(□□□〃川□□□□□□ 木木 □□□□□□□□□□□□□□□`
〜(□□□〃と□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□ ∫
〜 |□□‖思□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□\
〜〜∫□□ヽっ□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□)
〜〜∫□□∬て□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□)
〜〜´□□□∬□□□□□□□□本部 □□□診療所と厩舎□□□□□□□〃
〜〜〜ヽ□□〃□□□□□□□□ ◎ □□□□ ▼▼ □□□□□□〃
〜〜〜ヽ□〃□□□□□□□□□□□□□□□□川□□□□□□□□□□‖
〜〜〜`□《□□□□□□□□□□□□□□川川□□□□□□□□□□□‖
〜〜〜〜\□『△△△□□□□□□□□□川□□□□□□□□□□□□Υ
〜〜〜〜〜\ △△□□□□□□川□□□□□▲□□□□□□□〃
〜〜〜〜〜〜\ 集落 △□川川川□□□川川南の山頂□□□□□〃
〜〜〜〜〜〜ヽ △□□川川川川川□□□□□□□□□ )〜
〜〜〜〜〜〜〜〜し △□□□□□□□□□□□□□□□゜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜し △□□□□□□□□□□□□□□〃〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ヽ〜 △□□〓□□□□□□□□□/〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ヽ≒―`⌒ 〓〃〓〓∀〃♪〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜港?〜〜〜〜〜〜
縮尺や位置は結構いい加減です・・。
318さん、神です!えらい手間がかかったでしょうに・・・。
あらら。ずれた。・・ま。始めて作ったAAにしては上出来か。
夜明け、最初の朝、二日目の朝と来て現在は二日目の晩ですね。
二回目のまとめっす。
修正事項。一日目をゲームスタートとして、最初の朝を二日目としてましたが、
ややこしいのと、わずか8時間程度では出来る事も限られる為、『1日目』とします。
また、描写はなかったので私が見落としていましたが、二日目の放送は既に鳴っていますw
ローカルルールはこちら。
>>4-6>>25>>35>>76 確定事項。
『基本として』番号順に彼らは出撃しています(例。ヒトラーが最初。)
01アドルフ・ヒトラー(ピストル。ナポレオン所持。)
02アインシュタイン(万年筆。キリストとカエサル所持。)
03テイベリウス(マント??武器なしで闘っていた。)
06冒頓単于(蒙古の弓。有効射程300メートルで毒つき?)
07アッティラ(不明。衣服をフレデゴントに奪われている。)
08厩戸(聖徳太子)(唐風の太刀)
09金日成(不明。ポルポトが所持?)
10マリア・テレジア(マスケット銃)
11イヴァン4世(大剣。馬。)・・・イヴァンだけは最後に出撃ですねW
12則天武后(ヒョウ)
13ジョージ・W・ブッシュ(プレシュエル←お菓子。)
14項羽(銃。捨てたw)
15愛新覚羅溥儀(サーベル。カエサルが所持。)
16孔子(孔丘)(拡声器。マルクス所持。)
17マリー・アントワネット(不明。サーベル)
18ティムール(馬。文天祥達が入手。)
19フレデゴンド(針)
20曹操孟徳(双眼鏡)
21ジャンヌ・ダルク(不明。マルクス所持。)
23平清盛(竹光。既に破壊された。)
24レオ十世(単発ピストル。信長所持。)
25フリードリヒ二世(サーベル。マリーが所持。)
26ラプラプ(山刀。ヒトラーが所持。)
27アイスキュロス(亀さんwジャンヌが所持していたが遺失??)
28デュ・ゲクラン(大斧。海岸線に転がっている。ピョートルが所持??)
30パラケルスス (医療セット。メスは乃木所持。)
31メフメト2世(サバイバルナイフ。アレクサンドロスの銃剣に。)
32ガリヴァルディ(日本刀。清盛が所持。死因はジャンヌが投げたかめさんw)
33乃木希典(日本刀。エーリッヒが所持。)
34ヘリオガバルス(不明。マルクスに射殺された??)
38マルティン・ルター(聖書。)
43始皇帝(ピストル。)
44ガウタマ・シッダールタ(不明。マルクスが所持。)
50ノーベル(拳銃。倉庫にあったニトロから大量のダイナマイトを作成。ブッシュ所持。)
52ニーチェ(地雷?いや、彼の喋るセリフは地雷だったのでついw彦坂が分解。起爆装置と火薬として所持。)
53番 暴君ネロ(ガソリンタンクとサバイバルナイフ。曹操が所持。)
>>319だいたい四時間くらいですね・・“■”を36マスを36行描いて正方形作って、
サランラップにマジックで地図書いたのを下地に正方形を文字や空白にして作りました。
色々ワケ判らん→良く読んで調べる→気がついたら色々と・・アホだおれ・・・。
番号不明の人々。
ナポレオン一世(槍。フリードリヒに貸与。)
イエス・キリスト(十字架。JOJO的w格闘術。)
グスタフ・アドルフ(不明。銃剣戦術の考案者。)
文天祥(いしゆみ。すなわちクロスボウ。)
ユリウス・カエサル(嘔吐する為の羽。)
カール・マルクス(マシンガン)
フビライ・ハン(蒙古の剣)
冒頓単于(弓)
マリア・テレジア?(16番と重複。マスケット銃)
織田信長(日本刀。・・・名物押切?)
アレクサンドロス(マスケット銃。現在銃剣に進化。)
アルキメデス(木の棒。実は投石器!)
ヨハネス21世(分厚い本。)
レーニン(拳銃。マルクス所持。)
スターリン(不明。マルクス所持。)
毛沢東(不明。マルクス所持。)
ムハンマド(コーラン)
ポル・ポト(ナタ)
張騫(カマ)
エーリッヒ・ルーデンドルフ(モーゼルライフル)
ピョートル一世(大帝。6番重複。武器大斧。ただし、デュ・グラケンの斧かも知れない。)
太陽王ルイ14世(剣?装備不明。負傷。)
ヴァレンシュタイン(ピストル。)
アウラングゼーブ(不明。射殺される。)
鄭和(不明。修理技術あり。)
彦坂忠義(未来記。現在まだ特別参加。)
使用されてないナンバー4.5.22.29.35.36.37.39.40.41.42.44.45.46.47.48.49.51
また、その時点での目的地、位置関係も判明している限り書いていきますので、
見落とした所はお手数ですが補完お願いします。
(前回は話や所持品を判明させるべく、前後させたので・・。)
また、引用もしやすいようにしますので話の流れを理解しやすい筈です。
ネタとか、全く設定されていない時間は投稿順に掲載していく予定です。
時間はある程度予測できる範囲で決めさせていただきました。
相当適当なタイムテーブルだけど・・・まぁあまり無理のない程度。
>>1-3 一日目。イヴァン話を聞かずに天罰。出撃が遅れる。
0:00?ゲームスタート。ヒトラー出撃。
>>33 0:23(確定)ブッシュJR登場。
>>21-22 冒頓とフビライの共生。溥儀殺害。目的地。東の診療所。隣接する厩舎。馬の入手を目指す。
>>26-27 夜中。マリー、レオ10世(No.24)に陵辱される所を信長に助けられる・・試し切りじゃねーのか?
>>15-17カエサル、サーベル入手。
>>51-54キリストと同盟。
(場所。森。ヒトラー、ブッシュ、冒頓、フビライ、マリア・テレジア、信長、マリー・アントワネット、則天武后、フレデゴント、
キリスト&アレクサンドロス。フリードリヒ診療所へ。死体=溥儀、レオ10世、アインシュタイン。メフメト二世。アッティラ。負傷者ヒトラー。)
>>11マルクスの狂気。ポルポト発狂。
マルクスのアイテムはコイン(それも裏表同じ!)な可能性もあるね(苦笑)。
(マルクスの位置、島の南。死体=レーニン、スターリン、毛沢東。負傷者=ジャンヌ)
>>36-38アレクサンドロス。メフメト2世(No.31)を討ち銃剣を作成。
>>57-58ナポレオンVSヒトラー。ナポレオン。ヒトラーのピストル入手。
>>60則天武后とフレデゴンド。アッティラ(No.7)殺害。
>>68-69同じ頃。
マリア・テレジア、マリー・アントワネットをフリードリヒ2世から救う。(目的地=フリードリヒ診療所へ。)
2:00‐3:00??
>>64ヘリオガバルス死亡。森の小道を抜けた所を撃たれる。
(場所:灯台を目指す過程の潮の音が聞こえる農道。死体=ヘリオガバルス)
4:00?
>>79リトルブッシュ。ようやく仲間を得るが・・ここでジャンヌを助ける。
>>86-88が、ジャンヌはアイスキュロスを殺害。ブッシュ達は逃亡する。
ヘタレ集団がジャンヌを遠くまで運ぶか謎なので。普通に南に来たんでしょう。
なにやってるか良くわかんない人々w
>>29ティムール登場。この時点では全然さえない。
>>62文天祥登場。愚痴るw。
>>83でなんとなくフビライ打倒を決意。って、
>>111武器もわかっとらんのかあんたは!
>>80ニーチェ(No.52)天罰を食らう(笑)。
早朝。
>>95平清盛登場。ラプラプをまずは仕留め、
>>105-106ベルトラン・デュラケンを葬る。その場を去り、
>>108-109ジャンヌと交戦。ジャンヌのあまりにイカレっぷりに恐慌。
ジャンヌは遁走。その時亀を崖下に落とす。
・・・御免。ガルバルティはきのこ食ってただけ。死因はジャンヌの亀が崖下から落下してきたからw。
コレでジャンヌは素手になる。鎧は着ているかも知れない。史実では彼女の最強の得意武器は『旗』だったそうだが・・・どうなることやら。
>>131神の放送。ニーチェ生存確認。ムハンマドがいる事が確認される。(参加しているかは不明。山の中腹開けた小道。目的地不明。)
>>132山の高台にてゴウダマ・シタールダ(釈迦)と孔子の演説をマルクスが遮り、死の放送。
(死体=ゴウダマ・シッタールダ、孔子。マルクス、現在地山の高台。目的地不明。)
>>234保坂登場。8時14分。
>>301-302彦坂vsムハンマド。8時半
>>305彦坂。地雷とニーチェをふんずける(でも気づいていない)。10時ごろ。
(すんません。日付が変わってるのに気づいてなかったっす・・。)
>>150『茶でも探しつつ生き残り策を検討するか』何となくヤハウエ殺しを決意する文天祥。しかし即座にシリアス展開にw
>>153-154張騫がカマでティムールを殺害。文と同盟を提案。これに乗った文は蒙古を止めるべく活動を開始。
(時間。不明。場所。島の中腹。目的地。診療所近くの厩舎。死体=ティムール)
>>157-158信長と清盛の出会い。そのまま朝までヤハウェ打倒策を論じる過程で『雷を防げる人材』を求め信長単独行。
この日は各人休んでいたらしく、目だった動きは無い。
おなかいっぱい。さん、ほんと〜〜〜うに有難う御座いました。御苦労様です。
実はガリバルディの赤シャツ・キノコ・亀の甲羅はマリオのパロディです(藁。
324 :
カエサル萌えの女:02/04/24 01:16
再びカエサル一行の話です。
「しかし、女がいないとつまらんな。あんたもそう思うだろう、カエサル」
と、ヴァレンシュタインは言った。傭兵の動機は金と女、と古来から
相場が決まっている。カエサルは苦笑して
「ま、否定はせんが。綺麗なだけの女はつまらんぞ」
「そう言うあんたは、クレオパトラのことをどう思ってるんだ?」
カエサルはちょっと虚を突かれたようだったが
「機転は効くし、顔もあれを不細工という者はおらんだろう。
実際、私も彼女と過ごしていて楽しかった。ただ、政治的には
エジプト王の器でしかないな」
「ほう・・・」
ヴァレンシュタインの顔が、興味ありげなものになった。
「だから遺言状にも、カエサリオンのことは書かなかったんだが。
あれが私の真意を理解してくれていたかどうか・・・」
「あんたの真意を理解できるような女なら、そもそも自分でエジプト王の器
でしかないという言い方はしないだろうな、俺なら」
「──そうか」
その台詞だけで、クレオパトラがどういう最期を遂げたか見当がついたのだろう。
沈黙するカエサルの耳に、女の叫び声が聞こえたような気がした。
325 :
カエサル萌えの女:02/04/24 01:18
「──どうした?」
辺りを見回しているカエサルに、ヴァレンシュタインが訊く。だがカエサルは、
イエスの方を見てギリシア語で
「聞こえたか?」
「ああ。年若い女の声だ」
「助けを呼んでいるように──」
「聞こえた」
イエスは一つ頷いた。カエサルはいきなり駆け出し、二人は後を追う。
三人が見たのは、木立の中で追われている女性だった。
「あれは──」
ヴァレンシュタインの声に、カエサルが反応する。
「知っているのか?」
「イングランド、あんたの時代で言うならブリタイン島南部を治めていた、女王
エリザベスだ。俺も肖像画でしか見たことはないが」
そして、すれすれで追っている男を見やる。平原ならとっくに女の方は殺されて
いるだろうが、木立の陰に隠れて何とかかわしている状態だった。
「カール五世か。前世の子供の争いに、親が介入するか?」
「いずれにしても、女が追われているのを見て助けないようなのは男じゃないな」
カエサルはそう言うと、警戒網を自ら出て木立の中に駆け込んでいった。
326 :
カエサル萌えの女:02/04/24 01:19
『何だ、貴様は!』
いきなり現れて進路を阻んだ「頭の禿げかけた中年男」に、カール五世はいきり立った。
『予は神聖ローマ帝国皇帝、カール五世なるぞ!』
『・・・神聖ローマ帝国、か』
どこにあるのか知らないが、偉そうな名前だ、とカエサルは思った。
『どけ! 禿の分際で!』
「何だと、この小僧が」
カエサルがギリシア語で口に出す。イエスが苦笑した。
突進してくるカール五世と数合斬り結び、死角に突きを入れる。肩から
血が噴き出し、彼は生まれて初めての痛みに苦しんでいるように見えた。
『おいおい・・・インペラトールがこのざまか』
何を叫んでいるのかよく分からないが、とにかくカール五世は苦痛にうめいている。
そこに奥のほうから駆け足が聞こえた。
「父上!」
現れたのは、美青年といっていい男だった。多量に出血してうめいている
カール五世と彼を傷つけたらしい中年男を見つけ、顔色を変える。だがスペイン語で
喋っているので、二人の関係はカエサルにはよく分からなかった。
「貴様、殺す!」
いきなりナイフで襲ってくる。慌てて身をかわしたカエサルは、
「おい、傭兵! 手伝え!」
そう叫んで「アルプレヒト」を呼ぼうとしたが、ヴァレンシュタインが動こうとする
より前にイエスが動いていた。
警戒網を身軽く抜けて突進し、驚愕する青年の口に十字架を突き刺し、それが
一瞬にして脳に達するまで深く食い込んだ。引き抜いた時には絶命している。
ほうっと息をついたとき、反対側で「うっ」という低い声がした。
カール五世の心臓を、ヴァレンシュタインが貫いていたのである。
英雄番号22番 カール五世 死亡
英雄番号48番 フェリペ二世 死亡
327 :
カエサル萌えの女:02/04/24 01:20
逃げるには今が好機、とエリザベスは思った。
宿敵のフェリペとその親は死んだし、あの身元の知れない男達と共に行動
する気はない。まして今なら、戦いの直後で警戒も緩いだろう。
無言で静かに歩き始めた彼女だったが、数歩進んだ所で腕を捕まれる。
ヴァレンシュタインだった。
「礼程度は言うべきだろう、女王エリザベス?」
振り返り、自分にピストルが向けられているのを知り、彼女は逃亡を諦めた。
英雄番号4番 ユリウス・カエサル 生存確認
英雄番号5番 ナザレのイエス 生存確認
英雄番号35番 ヴァレンシュタイン 生存確認
英雄番号47番 エリザベス一世 生存確認
328 :
カエサル萌えの女:02/04/24 01:36
おなかいっぱいさま、地図のAA&これまでの整理など
どうもありがとうございます。
お陰で助かります。
>>324-327 えーっと、ただ殺しあうだけというのも何なので
ちょっとカエサルに語らせてます。
あとカエサル、イエス、ヴァレンシュタインに番号割り振りました。
エリザベス&スペイン・ハプスブルク家に関しては、
マリア・テレジア&フリードリヒ二世関係で「親子とライバル」登場の
前例があるので使ってみました。
おなかいっぱいさま、感謝の言葉もありません。
ピョートル大帝の英雄番号を39番に訂正。
ナポレオンは41番です。
しかし、いつ日付を変えましょうか?こちらのタイムテーブルはすでに夜になってます。
えっと上に改めてまとめたアレでまずは1日目、今は二日目の晩で、
キリスト達がメシ食って、ブッシュたちが反撃開始って流れですね・・。
任せます。趣味ですし。
しかし二日目はまとめる途中で昨日はくたばりました(苦笑)。
・・特に彦坂、お前だ!彼が登場したのは初日の昼。他ならぬ私が見落としていた!
あと、弟はアーケード版住人なのでPCとられると作業が中断するのもありますね。
さて。オマケストーリーです。
水の匂いがする。喉が乾いた。そもそも日本人には風呂に入らないのは苦痛以外の何物でもない。
昼の小雨では頭を洗おうとして失敗した。いい加減この白衣にべたつく汗を何とかしたい。
『みやぁ・・。』「・・・あなたになにか上げないといけませんしね」子猫の頭を撫でる。
『がさ』気配もなく、突然現れたメガネをかけた胴長の青年に。
女性二人と弓を構えた男の視線が集中した。
「・・・・・・・・・。」しかも、女性の一人は全裸だった。
『・・・ごっ!!ごめんなさい!!!』目を閉じ、後ろを向いてしゃがみ込む。
突如現れた闖入者に驚いた三人だが、厩戸の蒙古の毒弓、フレデゴントの針、則天武后が足元の水の中に隠したヒョウが隙だらけのその姿一撃で葬る・・にはいたらなかった。
驚いたには驚いた。でも・・・『わざとじゃ無いんです!!ごめんなさい!!』と叫ぶ彼に呆れて手がだせなくなっていたのだ。
『あ”〜。』(この男、どうする?)フレデゴンドはブショウに目線で合図した。ブショウ。ニヤリと笑う。
『まぁ。余があまりにも美しいからこの男の目が潰れてしまったのだ。美しさは罪よのう。』
(良く言う・・・。)二人は内心でぼやいたが、深くは突っ込まなかった。
余裕しゃくしゃくといった足取りで彦坂に近づくブショウ。『まぁ過失じゃし良い。もっとイイ男ならともかく、お主のような小物程度に見られた所で恥ずかしくもないわ。表を上げい。』
はい。と素直に顔を上げる彦坂。上目ずかいが悪かった。老眼メガネ越しではなく、裸眼で・・黒いすじと▽。
『うわああああぁぁっっ〜〜!!!!』
『うりうり。』若若しくよみがえった則天武后は胸を張り、彦坂に近づく。彦坂、正体を無くして下がり、平謝り。
『うわわーーー!!ぎゃーーー!!ごめんなさーいい!』調子に乗って、武功、更に彦坂をからかう。『うりうりうり。』
平謝りする彦坂を見て『ほっほっほ』満足至極の表情で武功。
『まったく。非常時とは言え、余の美しさにここまで素直な男はおらんかったからな。コレでわかったじゃろ。フレデゴント。美しさでは余の勝ちじゃ。
お前は男をサカリのついた狂犬にするだけだが、ワシの美しさの前に、・・みぃ。男はひれ伏すしか無いからのう』
ほっほっほ。と笑う則天武后。『・・・・・。』二人は無言で答えた。
「まったく。子供相手に・・・。』フレデゴンドは呆れて彦坂に近づく。
『ああ。下品な女は脇にやったから表をあげぃ。』『・・・・あ、あのぅ。服は着ていただけました?』しゃがんで背を見せたまま彦坂が問う。
『勿論。私をあのような品性の無い女と一緒にするな』(『だれがじゃ!』とムカッとしたブショウだが、とりあえず黙った。)
「はい。先ほどはごめんなさい。気が動転してしていたもので・・・。」
彦坂の視界は目の前にある、白い・・なにか良くわからないが柔らかそうな・・豊かな双丘で塞がれていた。
それが大きく開いたドレスの胸を、寄せて見せてるフレデゴントと気づくまで。『・・・・。』
『うわわわわわわ〜〜〜!!』「・・・・確かに、面白いわ」呆れるフレデゴントに「じゃろ?」裸のまま堂々と胸を張るブショウ。
『あまりからかわんでくれ。この男、私の国の子孫らしい』と弓矢の先は彦坂の首筋を狙いながら、厩戸。
『まぁ。そうだな。』『別にからかってはおらん。遊んでるだけじゃ。』
『こういうのはペットとしてはともかく、男としてはのう。』
一方、闇夜に響く彦坂の悲鳴。
『まぁ害はなさそうだし。連れていっても悪くは無いケド、ちゃんと世話するのよ?』
ボーアをしのぐ天才も、女の裸には手も足も出せないらしく、いまや完全に珍獣扱いである。
『うむ。まぁそこそこカワイイかもしれん。厩戸といい、信長といいここまで可愛げは無いしの』
『美しさ以上に・・・・美しさを含めた毒もキツイですからねぇ』苦笑する厩戸に。
『つまりだ。われらの美しさと気品に類するほどおぬしらの男が出来て無いと言う事じゃろう。』
『宝石とドレスは探せばあるけど、良いオトコと香水は・・』『なかなかおらんのう』楽しげに笑う悪女二人に厩戸は賢明な措置をとった。
『私は寝る。その男、連れてきたければ連れてきなさい。』すなわち放置。
『そうじゃな・・・。』『来い。その代わり荷物もちよ』
『ごめんなさいごめんなさい・・・わざとじゃ無いんです・・』
『・・・・・・。』『・・・・・・・。』からかいすぎたかも知れない。
『まぁ。わしは気にしとらんから、来い』
『あのう。服・・・。』『・・・・。』『胸とか出してからかいませんよね』『・・・。』
ごん!!!!・・・・壮大な音が美しい静寂を破壊した。
『そんなに見にくいか!!!余の裸が!』大股でバシャバシャ泉を去る則天武后。
『淑女をなんだと思っている!!ちょっとからかっただけじゃないの!』
『みやぁぁぁ・・・。』昏倒した彦坂のタンコブを子猫が舐めていた。
そして、夜はふけていく・・・。
英雄達よ。今は静かな眠りを過すが良い。朝が来れば。また・・殺しあうのだから。
『(私が)設定を決めすぎて、からませられない』という意見と、
山野さんが折角ヌードを出して来たのにデバガメできる野郎が聖徳太子(つまり、性欲が前面に出ない)しかいないのは寂しいので使わせていただきました。
しかし、彦坂の場合、『寝てる』って言うより『気絶している』って気がしますが・・。気の所為ですw
すぐ気がつくでしょうから、この後の、彼の目的地は・・・集落ですね。
まだ三日目の朝はきていません。ガンガン投稿してくださいね。
前後して投稿の機会を逸していた話だとしても、文学科の意地。何とかまとめますw
三日目の朝、あの忌々しい「放送」の流れる直前の事である。
アドルフ・ヒトラーは山刀を握った手をだらりと垂らして相手を睨みつけていた。
銃口を突きつけている相手の名はカール・マルクス。不意を突いたと思ったヒトラ
ーを欺いてこの状況に持ち込み、余裕の表情を浮かべていた。
「同郷人よ、会えて嬉しい・・・と言いたい所だが、どうやら私と君は水と油の関
係にあるらしいな。」
ドイツ語でそう言って笑う相手に対し、ヒトラーは吐き棄てる様に言った。
「貴様に同郷人呼ばわりされる覚えは無い!共産主義者のユダヤ人とつきあうより
は日本人とつきあった方が遥かにましだ・・・。」
おやおや。そう言って肩をすくめるマルクス。
「仕方が無いな。名残り惜しいがここでお別れだ。最後に言い残す事があれば言っ
てみなさい。」
諦めたのだろうか。ヒトラーはうつむいて何かを呟いた。
「・・・・だ。」「うん、何だ聞こえないぞ。もっと大きな声で言ってくれ。」
銃口さえ向けていれば大丈夫だと思っているマルクスは、不用意に近づいていった。
「チェックメイトだ、マルクス。」「な、何い?」
近づいて言ったマルクスが踏んだ地面の草の抜かれた所が目印であり、最後の大声
が合図であった。
ひゅん、という音が聞こえた。一体何所からと周囲を見回したマルクスは、最後に
上空から石が飛んで来たのを見た。しかし、その正体と対峙した相手の意図を悟っ
た時には彼の体は吹っ飛んでいたのである。
終わった。そう思って佇んでいたヒトラーに威厳がありながらも若々しい声がかか
った。親しげに話し掛けて来た青年の名は、アレクサンドロス。
「美味くいった様だな、アドルフ・ヒトラー。」
「ああ、有難う。礼に命でも何でも渡せる者は渡そう。最優先すべき目的は果たされた。」
そう述べるヒトラーにアレクサンドロスはかぶりを振った。
「やってくれたのはアルキメデスだ。礼を言うならあちらに頼む。それにああまで必死に
頼み込まれて断っては私らしくない。」
「ああ、そうさせてもらおう。しかし二千年進んだ武器を持っていて投石器にやられると
はな・・・。」
「鉛弾を飛ばすか石弾を飛ばすかの違いだけだ。人間も案外変らん。」
成る程。そう言って笑いながらもヒトラーは拳銃を拾い上げ、アルキメデスに礼を言って
姿を消した。今後は殺す為では無く生きる為に戦うのだ。
<英雄番号4番 カール・マルクス 死亡>
時は少し遡って、二日目の晩の事である。
焚き火(敵に気をつける必要があるが、お互い襲わぬのが不文律化していた)にあ
たりながら、年甲斐も無く清盛は胸が高まっていた。何故水浴びに行かぬのかとい
う疑問もどうでも良くなっていた。(この島で一番汚そうなのはルイ14世。)
勿論彼とて袈裟御前を抱くつもりは無い。しかし娘か孫娘位の女と一緒に居れば喜
びも湧いて来るものである。猛毒のある牡丹の様な邪魔者が居ない時こそ機会。
しかし。世の中はうまく出来ているもので、代りに信長が来ていた。
「だがらといって・・・どうしておぬしが代りに来るのじゃ!?」
大先輩の抗議を、集落から盗って来た酒を杯に注ぎながら信長は軽くいなした。
「一人だけいい思いをしようとしても、そうはいかんぞ。毒華二輪との同席は文字
通りの聖人君子に任せて来た。」
最初に戦っていた者同士を置いて来たというのもおかしな話だが、確かにまともな
神経の持ち主では務まるまい。任せて来た神経も凄いが。
ルソーにかぶれて自然主義ごっこをした事のあったアントワネットは、今晩は酒場
の経営者にされていた。英雄の島というよりは変人の島といった方が良いかも知れ
ない。結局、ささやかなどんちゃん騒ぎは深夜まで続いた。
おなかいっぱい。さん、武即天は平清盛らと合流していた筈。あれでは辻褄が合わな
いので上記の展開があったという事にしておきました。しかし戦闘しろよあんたらと
いう声が聞こえてきそうですので、三日目からはシリアスに行きます。(多分)
マルクスは、投石機でダイナマイト投げつけて殺したかった、かも。
341 :
世界@名無史さん:02/04/24 21:25
マルクスはラスボスじゃないのかよ!
これじゃ収拾がつかなくなるぞ。
>341
私も以前書いた様にそう思っていたのですが、今と当時では状況が変わりました。
項羽とか曹操とかジャンヌとかが出て来ましたので、ほとんど出て来なかったマ
ルクスの存在意義が減少したのでは無いかと。
それにラスボスはヤハウェになりそうですから問題無いでしょう。勿論撤回も可。
343 :
世界@名無史さん:02/04/24 22:46
放送は一日一回なん?原作だと確か6時間置きだったけど。
建物を出た曹操はふと、立ち止まり支給品の飲料の空き瓶をとりだした。そして、持っていた
ガソリンをその中に詰めだした。さらに、衣服の端を細長く引きちぎり「こより」にして瓶に
差し込んだ。火炎瓶である。近代兵器、特にこの戦いの中で最重要になるであろう銃の脅威に
どうにか今の手持ちの中で対抗できないかと考え出した曹操苦肉の策であった。曹操は建物に
戻って周りに余ったガソリンを撒き始めた。
「ほかのヤツラに余計な知恵が付くとやっかいだ。」
そう呟くと、4本つくった火炎瓶の内一本に火をつけ、建物に投げつけた。軽い炸裂音と共に、
凄まじい勢いで炎が建物を包んだ。
「ネロとの時、ただの油じゃねえとはとは思ったがこれほどとは・・・使えるな。」
「もうすぐ夜が明ける。目立つ昼間に行動すれば、銃の格好の的になっちまう。昼間は森で派手
な動きを控えた方がいいな。銃も早い内に手に入れたい。単独行動も出来れば避けたい。項羽か
陛下と共に行動出来れば頼もしいんだがな。」
先行きに少し不安を覚えた曹操だったが、再び森の中に入っていった。
<曹操 所持品火炎瓶3本、サバイバルナイフ、双眼鏡、飲料、食料>
おお、おなかいっぱい。さん、地図とタイムテーブルお疲れです。曹操の行った建物は
南東あたりの端っこが無難かな。ちなみに歴史書はヤハウェが意図的に置いたものだから
火ぐらいでは燃えず、建物の焼け跡に残ってるってことで・・・誰かが利用するもそのまま
放置も可です。
346 :
世界@名無史さん:02/04/25 16:11
泉の周りは喧騒と悲鳴に満ちていた。
周り中で水や食料をめぐる争いが生じていたのだ。
夜明けとともに泉に辿り着いた三人だが、たちまちこの争いに巻き込まれ、離れ離れになってしまった。
飛んできた石をよけながらも、ナポレオンは冷静な思考を保っていた。
一時的な水不足とこのゲームのふざけたルールがもたらした争いに過ぎない。
誰もこの争いで死ぬつもりはないことはすぐにわかった。
ここは、いったん森へ後退して仲間と合流だ・・・。
しかし、その中でも牙を研いでいた連中はいたのだ。
347 :
世界@名無史さん:02/04/25 16:17
後頭部に激痛を感じ、ナポレオンは振り返った。
見事な鎧に身を固めた騎士が棒のようなものを持っている・・・そう思ったのもつかの間、
騎士は大声を上げながら飛び掛ってきた!
薄れ行く意識の中で、ナポレオンは腰の銃に必死に手を伸ばし、
首を渾身の力で締め上げている騎士の鎧の隙間にこじ入れ、引き金を引いた。
1発、2発、3発、4発・・・。
くぐもった声を上げながら騎士は崩折れていった。
>>346,
>>347は僕です。
呼吸を整えつつ、ナポレオンは騎士の兜を引っぺがした。
中から現れたのはやはり、ヨーロッパ人だった。
「同じヨーロッパ人でもこれだからな。この島では『相互理解』などという言葉は死語なのかもしれん。
それにしても、銃を知らなかったのはこちらにとっては幸いだった。」
見たこともない銃だが仕上げや形からして、今持っているピストルと同じ自分の時代より後の新型銃だろう。
そばに弾が入っている袋も落ちていた。かなり大型の弾だ。
銃を注意深くいじくり回しながら彼は森の中へと消えていった。
英雄番号56番 リチャード1世(獅子心王)死亡
そのころ、ピョートル大帝は怒り狂っていた。
戦いはそこら中で起きているにもかかわらず、正面から自分に挑むような者はいない。
そのくせ石やら矢やら銃弾が飛びかい、彼の神経を逆なでしていた。
そして泉に生えている葦の茂みから哀れな犠牲者が飛び出してきた。
「・・・なんだ?」
その男の姿は彼がこれまで目にしたことがないものだった。
ほとんど半裸だが、蛇の飾りがついた奇妙な形の頭巾をつけ、目の周りを黒く塗っている。
肌の色からして南方出身者らしいが、言葉はまったく理解できない。
そして銃を持っていた!・・ただし手にしているのは銃口のほう。
男はピョートルの心に語りかけてきた。
「われを崇めよ。われは天空神ホルスの化身にして太陽神ラーの子・・・」
「じゃかましい!」
言い終わる前にピョートルの斧は彼の頭を割っていた。
英雄番号58番 クフ王死亡
なぞの男をしとめたピョートルは男が持っていた銃を手にとった。
見たこともない形をしているが、銃口や引き金はある。
銃の中から帯のようなものが出ているが、そんなことは気にしていられない。
彼はあちこちいじりくりまわした後、引き金を引いてみた・・・すると!
すさまじい勢いで銃弾が発射され、硬直したピョートルは引き金を引いたまま、
発射のショックで振り回されることになってしまった。帯と思ったのは全部弾丸だったのだ!
バリバリバリバリ!
周り中に発射された弾丸はフリードリヒ大王にとどめを刺そうとしていたダレイオス1世を蜂の巣にした他は
ほとんどが頭の上を通り過ぎていったが、
その音に驚き、泉の周りにいた人間はほとんどが逃げ出してしまった。
すさまじい音と弾丸の洪水が終わった後、のろのろとフリードリヒが近づいてきた。
「・・やっぱりおまえか。」
「いいじゃないか、どうも新型の銃も考え物だな。
使いようによっては役に立ったかもしれんが、弾がなくなった。そっちは大丈夫か?」
「槍を敵に真っ二つにされてな、一時はどうなることかと思ったがおまえの流れ弾で死んでくれたよ。
やはり槍よりこのサーベルのほうが使えるな。」
「二人とも早くこの場から離れよう。これだけ騒いだんだ、何が来るかわからんぞ。
ああ、それから新しい銃(ショットガン)を調達した。」
「おおナポレオン。生きていたか。俺は銃なぞいらん、フリードリヒが使え。」
「ありがとう。」
「それからピストルの弾丸が尽きてきてな、そこに何か接近戦用の武器はないか?
「皆逃げ出してしまって・・・おお、こんなものが!」
フリードリヒが見つけた棒は奇妙なものだった。先端は丸くなっていて、全体が金属のごとく輝いている。
「こんなものが役に立つのか?」
「少なくとも木よりは硬いからな。」
結局ナポレオンはこの棒(金属バット)を持つこととなった。
再び出発しようというそのとき、木陰から美しい西洋人の女性が出てきた。
「だ・・誰だ!?」
まったく気づかなかったことに愕然としつつ放たれた問いに、女は微笑みながら答えた。
「ああ、安心して。私はブリュヌオー。
あなたたちと戦うつもりはないわ。人を探してるの。」
英雄番号59番 ダレイオス1世死亡
「お断りしますわ。」
ルイ14世を引き取ってくれというパラケルススの望みを、アントワネットはあっ
さりと断った。これには清盛の方が驚いて訊ねた。
「何故じゃ、万里殿。お身内であろう。」
「身内であればこそ、許されませんわ。集団行動をしている者が私情を差し挟んで
全体を危機にさらす訳には参りませんもの。」
ふうむ、と清盛は唸った。確かに一見筋は通っている。だがそれが本音ばかりによ
るものでは無い事を清盛も信長も見抜いていた。そして事実彼女の先程の発言は生
前に聞きかじった何処かの思想家の台詞の引用だったのである。
「万里殿。あなたは確か『革命』で首を刎ねられて死んだのであったな。」
予想通り、相手の表情に変化が現れた。死んだ時の記憶は誰であれ気持ちの
良いものでは無いが、そればかりでは無い事はお見通しである。
「その原因は貴方御自身の浪費にもあったし、そして・・・それまでの王達
の政や戦にもあった。そう仰っておられましたな。」
アントワネットは涙を浮かべそうな顔で何かを言いかけたが、止めた。
「つまりそこにおられるルイ殿にもあなたにも責任がある。それを追求され
るルイ殿が、そして何より言い返される御自身が怖いであろう?」
戦の前の様な、長い沈黙が流れた。遠方から小鳥の声に混じって戦闘の喧騒
が聞こえて来る。朝早く行った泉の辺りだろう。
「その通りですわ。その通り!でも、でもどうしようも無いんですのよ!」
ややあって血を吐く様に叫んだアントワネット。信長は『下らんな。』とい
った顔で見ていたが、言わせた以上清盛は後には引けなかった。膿は最後ま
で出し切るに限る。
「おごる平家は久しからず。」
何を言うのかと思えば突然懐かしい言葉を言い出した同郷人に、信長が目を
向けた。西洋人二人はあっけにとられている。(ルイは気絶中)
「わしが生きておった頃、多くの者がこの様に言っておった。まあ言われて
も仕方が無い程に調子に乗っておったのは確かであったわい。何しろ我が息
子の中には『平家にあらざれば人にあらず』と言う者もおった位でな。」
遠い異国の話の筈であるのに、いちいち元王妃の心に突き刺さった。
「わしはその言葉を知った時、息子を叱り付けた。しかしわしは間違うてお
った。わしは息子の慢心を責める前に、まず己の慢心を責めるべきであった
のじゃ。気付いた時には死んでおったがの。馬鹿は死ぬまで治らん。」
何を言いたくて長話を始めたのか、信長にも薄々分かって来た。
「万里殿、ルイ殿。人の過ちを責める事、或は責められる事は簡単じゃ。し
かしそれでは馬鹿のまま終わる。どうかこのわしの経験を他山の石として過
去の過ちにとらわれず未来に過ちを犯さぬ様にして下され。」
涙目になっていたアントワネットも、起き上がって来たルイも頷いた。
「人に運ばせておいて・・・やはり狸寝入りか!!」
そう言いながらも笑ってパラケルススが太陽王に文句を言った。
どうも戦闘も無いのに長々とすみません。ただ261さんのリクエストに「フラン
ス革命の遠因をつくった」とあった所から簡単には仲良く出来ないと感じました。
やはり殺しあえる知り合い(例の女二人)よりも近親に対する感情の方が複雑だろ
う、そう考えて上記の駄文を作成した次第。
うぅ…。
世界に関する大ローマのアウグストゥス…オクダヴィアヌス帝は
茂みに屈み込んでいた。
「…いつもの薬袋があらば。ぅう…」
その端正ではあるが、痩せて青白い顔に油汗が伝う。
「しかし忌々しい、相変わらずユダヤは…」
彼自身は後世の哲人皇帝マルクス・アルレリウス・アントニヌス
帝まではいかないまでも、ストア哲学を学びそれにより自らの人
生を律してきた。
だから、生には興味が尽きていた。
その時、茂みの暗闇からがさがさと言う音が聞こえて来た。
(このような格好では、尊厳者に似つかわしくないな…)
彼は、腹痛に悩みながらもトーガを整え立ち上がる。
「誰ぞ? 余はローマ市民の第一人者であり…」
暗闇から大柄な男がぬっと現れる。
「ほう。貴公は…ガリアの者だな。名を申せ」
その男は髭を片手で弄んでいる。
もう片方の手には、滑稽なほど大きな王冠をを握っていた。
「…? 何故貴様は戦わないのだ…? おお、私の名はローマ帝國皇帝カール」
「教皇より、ローマ皇帝の冠を得たものだ。我が王国はフランク王国なるぞ」
熊のように大柄なガリア人は誇らしげに語る。
「で、お前は…ローマ市民の…第一人者? その格好はローマの貴族かなんかだったのか?」
アウグストゥスは言葉も無い。
何故、ガリアの蛮族が不遜にもローマ皇帝を名乗るのか?
そして、教皇とは何ぞや?
「…余はローマ帝国の第一人者。即ち…ローマの主権者だ」
「…? だから…貴様は貴族か…ただの市民なのか?」
「余はローマの皇帝だ! …このような物言い、元老院の連中に聞かれたら大変であったな」
苦笑しながら呟く。
突然、その熊のような男…カール大帝は地面にひれ伏す。
「司祭から物語は良く聞いておりました! 初代皇帝アウグストゥス様!」
アウグストゥスはその自らの足元にひれ伏すガリア人を見遣る。
「では、参ろうか。余は後の世の展開を知らぬゆえ、教授願おう」
「後、貴公を余の親衛隊長に任ずる。では、付いて参れ」
そう、後の世がどのようになったかを知ってからでも死ぬのは遅くあるまいて。
そんな事を考えながら、カール大帝を従え闇に消えて行く。
即興で書きました。
この水戸黄門のような二人。
殺すも生かすも好きにして下さって結構です。
山野様
太陽王とアントワネットの絡み、ありがとうございます(^-^)
確かに相容れない仲かもしれないですね。これからの展開が
楽しみでス。
このスレ楽しいです。皆様、お疲れ様です。
361 :
カエサル萌えの女:02/04/27 01:34
三たび、カエサル一行ネタ。今回は少女漫画的展開してます。
二日目の夜。
警戒網の中に戻った四人だったが、エリザベスは男三人と口をきこうともせず、
離れて座っていた。視線を合わせることさえ避けている風である。
『助けてもらったというのに、愛想のよくない女王だな』
イエスが心で話しかけた。カエサルが応じていわく
『ま、見知らぬ男が三人もいれば、誰でも緊張してああなるだろう』
『加えてあの女の場合、事情が事情だからな』
ヴァレンシュタインが言った。エリザベスがピクッ・・・と反応するのを
知ってか知らずか
『父親に母親を処刑された女だ。しかもその父親、自分の妻を五人も変えている。
うち父親の死後も生き残ったのは、最後の妻ただ一人。他に病死したのもいるが』
「・・・男性不信、というわけか」
カエサルが口に出した。ヴァレンシュタインは皮肉交じりに
「ま、その割には女王になってから色々浮名は流れてるんだが」
「お黙り、傭兵の分際で!」
いきなり、エリザベスが立ち上がって怒鳴りつけた。無論ラテン語でである。
「勝手に人の噂をするでない!」
「だったらこっちに来たらどうだ、女王エリザベス」
ヴァレンシュタインが応じる。嘲笑を交えた口調で。
「傭兵ごときに噂話をされるのが嫌なら、本人が正確な事情を話せばいい。
俺としても、噂でない話には興味がある」
ぐ、とエリザベスは詰まった。そして男三人に背を向け、歩き出す。
「何があったんだ、彼女に」
一人、ラテン語を解さないイエスが首を傾げてそう訊いた。カエサルが
ざっと、状況を説明する。
362 :
カエサル萌えの女:02/04/27 01:36
翌朝未明。島のカエサルたちのいる地域で、雨が降り出した。
「エリザベスは?」
「知らん。警戒網から出てはいないだろうが」
かつて人が使っていたらしい、古い小さな小屋。雨音で目覚めた
カエサルの問いに、徹夜していたヴァレンシュタインが応じた。
「この雨では風邪を引くぞ」
「それは自業自得だろう、あの女の場合」
「随分冷たいな、お前は」
カエサルは苦笑して立ち上がり、辺りを見回す。
「私が起きているから、お前は寝てていい」
「分かった」
そう言って横になったヴァレンシュタインを尻目に、カエサルは歩き出した。
エリザベスは、警戒網の中にあった大木の幹に身を寄せて眠っていた。
「雨・・・」
顔に冷たい水が当たって目覚める。大木であっても、雨が降り続けば
下に多少の雫は落ちるのだ。
「エリザベス」
いきなり声をかけられ、彼女はビクッ!となって振り返った。
「・・・そなたか。何か用でも?」
例の傭兵ではない、ということで幾分か緊張が和らいでいる。それを見て
「野外にいては風邪を引く」
カエサルは単刀直入に、用件だけを告げた。
「そなたには関係ない」
顔を背け、エリザベスはそう応じる。
「第一、この雨で今すぐ帰っては、余計風邪を引きやすくなるではないか」
「それなら、これでどうだ」
カエサルは愛用のマントを脱ぎ、エリザベスの頭に被せた。びっくりして
自分を見上げる彼女に
「布製だから長くはもつまいが、当座の凌ぎにはなるだろう」
「──そなたが、風邪を引くぞ?」
自分の意図を探るような、疑いの口調に苦笑して、応じる。
「私は、慣れているからな」
363 :
カエサル萌えの女:02/04/27 01:38
カエサルたちが帰ってみると、イエスが小屋の中にある古い食器を出して、
外の地面に並べていた。
「何だ、これは?」
「水集めだよ。次にいつ水が手に入るか分からないからね」
「なるほど」
補給を十分に確保するのは、最終勝利への絶対条件である。納得した
カエサルに、今度はイエスが訊いた。
「その赤頭巾の女性は、エリザベスかい?」
背後についてきている女のことだ。カエサルはちらりと振り返って
「ああ。しかし赤頭巾とはひどい言い方だな。私のマントだぞ」
「そうか、それは失礼」
イエスは苦笑した。そこで新たに人の気配がするので小屋の方を見ると、
ヴァレンシュタインが立っている。
「おい、傭兵」
とカエサルは呼んだ。
「人を動かすには、こうするものだ」
「──『禿の女たらし』は伊達じゃないってわけか」
皮肉交じりの応答は、完全に無視された。
364 :
カエサル萌えの女:02/04/27 01:48
>>361-363 生涯を独身で貫いた女王・エリザベスと、「禿の女たらし」カエサル。
実際にカエサルがどう女を口説いたか、ちょっと想像して書いてみました。
どこがバトロワだ、というツッコミは甘んじて受けます。
次からはまた、ちゃんと進めますので。
ふわーーーーー。大きなあくびを一つするや否やルーデンドルフは現実を思い出した。
「くそ、こんな悠長なことでは長生きできないな。」
「あら、お目覚め?」
昨日偶然知り合った少女マリア・テレジアだ。元から彼女にはこのゲームに参加する意思はなく、
争いを避けつつ機を見て島からの脱出を考えていた。謎の老人に会って以来、
ゲームそのものに疑問を抱いていたルーデンドルフもそれを聞いて即座に賛成し、
このペアが成立したわけである。
「ああ、おはようございます。女帝陛下。」
「そんな呼び方は止めて。ここでは王族も犯罪者も関係ないのよ。」
「それはそうですが・・・。」
「それはそうと食事をしながらでいいの、昨日は私がしゃべってばかりであなたのことを聞いてなかったわ。
ぜひ話して。」
「ええ、喜んで。」
「・・・ということで、ヒトラーと組んでのミュンヘン蜂起に失敗した私は
その後単独でドイツ大統領選挙に立候補したものの惨敗しました。
もうどうしていいかわからなくなり、身体も悪くなって
1937年にこの世に別れを告げたはずだったのですが・・・。」
「・・・そうなの・・・それにしても・・・ハプスブルグ家が・・・。」
「やはりお家の滅亡はショックでしたか。しかしあの戦争は前代未聞の大戦だった。
誰も開戦時にやがてヨーロッパを代表する3つの王家が崩壊するとは予想していなかったでしょう。
それだけの大戦でした。」
「そう・・・。」
「外の世界がどうなっているか分からない以上、祖国についての話はこのくらいにしましょう。
ところでひとつお聞きしたいのですが。その・・・今でもフリードリヒ大王を恨んでおられますか?」
「正直に言えばそうよ。でももう7年戦争も遠い昔・・・。あの方を信頼するつもりはないけど、
こちらから攻撃をかけるつもりもないわ。」
「それを聞いて安心しました。私は軍人としての大王をいたく尊敬しているもので。」
「でもあちらから挑んできた場合は、正々堂々撃ち果たします!あなたは手出し無用でお願いしますわ。」
「そ・・そうですか。」
「さて、今日は・・・水が少なくなってきましたね。どこかに泉でも・・・。」
「私が清流の場所を知っております。そこへ行きましょう。ついでに体と服の洗濯もしておきたいですな。
・・・おっと、私は軍人ですので、ご心配なく。」
「あなたなら何も心配することはないでしょうね・・・まあそこへ行くとしましょう。」
と、遠くから馬の鳴き声とひづめの音が響いてきた。だんだんこちらへ寄ってくるようだ。
「そこの藪の中へ・・様子をうかがいましょう。」
やがて飛び出してきた二つの人影にルーデンドルフは呆然となった。
馬に乗り、剣を振りかざしているのはゲーム開始直後落雷で死んだはずのイヴァン雷帝、
そしてそれをたくみにかわしているのは・・・あの老軍人ではないか!!
「幽霊同士の戦闘か・・!?」
木立の間を縫って訪れるそよ風が、ゆったりとした衣服を揺らした。
島の東部の森を歩くのは東洋人の男二人。「サムライ」というやつであった。
年の頃は髭の印象や老け顔の可能性を考慮して三十から三十五といった処か。
一人は貴公子然として顔に高貴さをたたえており、もう一人は獣の様な気迫
を放っていた。但し後者は知恵ある獣であったが。
その名は平清盛と織田信長。腰のものは名刀圧切と蜘蛛切。
「たまには男子(おのこ)二人というのも良いものじゃな。」
外見の割に年寄りじみた口調の貴公子、清盛の台詞に信長が頷いた。
「たまにであれば、ですな。相国殿。」
今はこの二人だけでとりあえず島の神社を目指して移動していた。敵味方を
選り分け、敵は早い内に多く倒しておかねばならない。
ルイは出血の割に傷が浅かったが、大事をとっておいて来ていた。食料を渡
してパラケルススとアントワネットに介護を頼んである。
下手に怪我人や女を連れて行くより待ち合わせ場所において来た方が安全で
あるという極めて合理的な判断による決定であったし、王と王妃のしこりを
とるには自然と一緒にしておいた方が良いというのが人情を考えた二人の意
見であったのだ。
だが、自分達の問題が片付きそうになったからといって島の状況が好転した
という訳では無かった。已然として危険は身近な処にあったのである。
皇紀2590年頃(西暦1930年頃)。仙台。この美しい町を歩く、不思議な青年たち。
と、言っても別にこれといって美男子だと言うわけでも無い。この時代の日本人同様、胴は長く脚は短い。
しかし、彼らは変わっていた。瞳の輝き。話の内容が。
『・・・だから秘密は中性子です。去年発見されたものですね。あれが原子核内で陽子に対して如何な位置にあるかが鍵なのです』
『じゃ混合はして無いんだな?』『ええ。あらゆる原子核は、まるで小さな太陽系のようにはっきり分かれて存在している・・それが原子核の内部構造だと思うのです』
『確かに・・。全部混ざって液滴状に存在しているって説明では、あらゆる原子核を存在させる根源の力を説明できない・・な』
『そう。はっきり分かれている。でもなにか絶大な力で引き合って原子核を構成しています。
ですから物質の分子レベルの結合なら火で焼けば大抵壊れますが、原子となるとそれこそ太陽の真中ほどの高圧や高熱が必要です』
『人為的には絶対壊せないってことか?』『いえ。原子核内の引き合う力が比較的不安定な物質を探して別の粒子を超高速で叩きこめば壊せ・・るはずです。その実験を始めている方もいると噂に聞きました』
『実際、壊れたらどうなるわけよ?』『(苦笑)ひとつふたつ壊れてもどうってことはありません。ただし・・・』
自分の声が大きく聞こえる『大量に確保して、連鎖的に破壊して行けば、小さな国など一撃で吹き飛ばせます』
『じゃ、どこかの国がその力を握れば・・。』学友の顔が青くなって行く。
『そうなる前に。私達は・・・。』彦坂は息を吐いた。
『いかに制御するか?無効化できるかを見つける必要があります。
まずは理論的にその爆発が作れる方法を見つけなければなりませんが・・。
なにか特別な電磁波や物質をぶつければ壊れかけた原子核の連鎖爆発を防げる・・・事が出来れば良いのですが。』
『なぁ。彦坂。その力を握ったら、お前は何をする?』
“みやぁ”ぺた。ぺた。ぺたぺた。肉球が彦坂の頬を叩く。
『・・・。』あの泉の一件からしばらくたつ。集落の一軒に隠れ、風呂に入った(まだ自動湯沸し機が生きていた)彼は、
しばらく眠っていたらしい。「陛下・・・。将軍・・ヤハウェ・・。」
泉から素早く離れて正解だった。この狂ったゲームに参加する人々の多くは『水道』と言うものが分からなかったらしい。
食料や水を求めて来た者もいたが、彼らは水が見あたら無いゆえ、
風呂の残り湯やら、水洗便所の水に手を出すものも多少いた。
冗談みたいな格闘能力は英雄番号を李将軍から譲られた時ヤハウェが消した。
今の彼は生前の能力しか持ち合わせていない。
服を着替える。前の持ち主は相当なデブだったらしい。あいにくL寸しかなかったが、ちゃんとベルトを締めて手首にバンドを巻けばこのカッターシャツも着れなくは無い。
『行きましょうか・・・。・・・・すっかりなついちゃいましたねぇ・・・君も・・。』
頭にしがみつく子猫を両手で支えながら彦坂は自転車の元へ歩いていった。
「朕は・・・国家なり・・・。」
ふらりと立ち上がるルイをパラケルススが止める。
『やめろ!まだ動けるわけでは無い!」
「陛下!無理をなさらないで!」思いがけない台詞が口から出てマリーは驚愕した。
「余は神に選ばれたのだ。だから余が負ける訳がないのだ」
豪華な乗馬服を来た威厳あふれる顔だちで背が高い男性が呟いた。
我が名は・・ルイ14世なのだ。
すっくと立ち上がり、生前、誰にも見せた事の無い優しい笑みを浮かべた。
『余には神の加護がある。この剣は・・装飾。飾りにすぎん。本当の支給武器は・・。』
乗馬服をめくって見せる。二人にはそれが何かさっぱりわからなかった。
『防弾チョッキと言う。・・・あいにく刃物は防ぎきれんがね』
『加えて、多少ながら腕力を補助してくれるらしい。楽に動けるよ』
(原理はこれによく似たもの)
http://journal.msn.co.jp/articles/nartist2.asp?w=150788 「ふふふ。さて・・・。」『この世界に再びあまねく日の光、王の威光を見せてくれん!!』
少年のように楽しそうに呟く王の瞳には旭日よりも万の星より輝く男の野心がともっていた。
陳国峻(興道)の目に映っていたのは、のろまな東洋人二人であった。肌の白い者
や黒い者らに較べて外見も衣服も自分の見知ったものに似通っている。だが敵とも
味方ともつかぬ相手に下手に声をかけるよりは死んでもらった方が良さそうだ。
そう判断した対蒙古戦の英雄は弓に矢をつがえた。自分が居るのは急な斜面の上。
矢じりには毒が塗られており、外す恐れも逃す恐れも無かった。
急に近くの木の幹に矢が刺さって驚かぬ者は居るまい。信長とて例外では無かった。
一体何処から!?答えはすぐに出た。右手の斜面の上で弓矢を持った男が鉈を振りか
ざした男に追いまわされている。
自分を狙ったのは襲われている方であろうという事はすぐ判ったが、それ以上に襲っ
ている男の狂気が恐れを生んだ。
拳銃を構える信長。当たらなくてもハッタリをきかせる位の事は出来るだろう。だが
「狂った者と真のつわものに誤魔化しは効かぬよ。」
それより早く老いた貴公子の飛礫が飛んでいた。次の瞬間、鉈を持った男(ポルポト)
が倒れる。だが不利を悟ってすぐに森の奥に姿を消した。
弓矢を持っていた男も姿を見せていない。だが信長がカン高い声で呼びかけた。
「そこな人。目の前の無毒の蛇を叩く前に足元の毒蛇に気をつけられい。」
通じたかどうかは判らない。しかし人事を尽くして天命を待つ事しか出来ぬ身である。
矢とその他の気配に気を配りつつ、彼らは更に森の奥に進んでいった。
<英雄番号51番 陳国峻 参戦>
アイゴー!一人じゃ操縦出来ないニダ!!木の葉のざわめきよりも、岸壁に打ちつけ
る怒涛の音よりも大きな声が島の東岸に響いた。悲痛だがやかましい。
声の主は李舜臣。朝鮮民族の英雄であったが、投獄される等功績と比して恵まれなか
った英雄であった。すでに英雄番号は彦坂に譲って傍観役になっている。
彼に支給された武器は何と亀甲船(とオマケのスパナ)。後者は船の修理用だと言わ
れたが、今時スパナで修理等ギャグ漫画でも見られない。第一木造船である。
それでもここに到達する為の武器としては使えたが、トラブル続きで二日目の夜にな
るまで辿り着く事が出来なかった。そして夜明けになっても出航出来ずに居たのだ。
「シッパル!これは倭奴(ウェノム)の陰謀ニダ!!謝罪と賠償を要求しる!」
スパナを懐に入れ、船の櫂を取り外して再び島の奥に駆け出した将軍であった。目
指すは船員集め。・・・信長と鉢合わせしない事を祈る。
<英雄番号?番 李舜臣 再参戦>
372の元ネタが分かる人が何人居るのやら・・・でも好きなんです、すみません。
評判悪すぎたら消して下さい。まともな将軍で再スタートという事で。
それと信長は29番、ルイは36番という事でお願いします。
オレは李将軍はマトモな将軍派かな・・・。
でも復活させるなら加藤清正の抜刀居合抜きと一戦やって欲しい・・。
余談ですが、(亀甲船も考えたけど)彼の支給武器を『自転車』にしようとしてましたw
なんで誰もコイツを入れない?と思ったんで名前だけ出しました李舜臣。武人を蔑視する風習があるからか、
韓国の武人は確か自分で武器を作るため、まさに身体の一部として自在に操れるって話を聞いたんで、どっちにせよコムと盾くらい『身体の一部』って事で持ってて良いと思う。
李将軍、コム(韓国剣。片手武器)と盾もって、海軍の素晴らしいバランス感覚で右へ左へ飛びまわり、
盾を片手に武器の斬れ味で上回る清正の居合を受けつつ一騎討ち・・・が燃える展開だなw史実と異なる呉越同舟展開も良いけどw
李将軍はかっこよいキャラにしてあげたいなぁ(ハン板ならまだしも)。
彼、本国で忘れ去られていても、日本国においては『軍神』として尊敬されてたしね。
でも、彼出すと清正も出したくなるし、チョッカイ出す人も増えるんで『もうはずれた』って事にしました。
コリ天さんが来ると領収つかないもんなぁw
英雄一覧表
番号 英雄の名前 支給武器 現在の持ち主 その他の武器 生死
1 ヒトラー 拳銃 ナポレオン 山刀・拳銃 生
2 アインシュタイン 万年筆 カエサル? 無し 死
3 ティベリウス 不明 無し 不明 不明
4 カエサル 羽根 本人 サーベル 生
5 イエス 十字架 無し 無し 生
6 冒頓単ウ 毒矢 厩戸 無し 死
7 アッティラ 不明 不明 無し 死
8 厩戸(聖徳太子) 唐剣 本人 毒矢 生
9 金日成 不明 不明 無し 死
10マリア・テレジア マスケット銃 本人 無し 生
11イヴァン四世 大剣 本人 無し 生
12武即天 ヒョウ 本人 無し? 生
13ブッシュ二世(藁) プレッチェル 本人 拳銃 生
14項羽 拳銃 不明 無し 生
15愛新覚羅溥儀 サーベル カエサル 無し 死
16孔子 拡声器 不明 無し 死
17M・アントワネット 不明 本人? サーベル 生
18ティムール 馬 張騫 無し 死
19フレデゴンド 針 本人 無し? 生
20曹操 双眼鏡 本人 ナイフ 生
21ジャンヌ・ダルク 不明 不明 不明 生
22カール五世 洋剣 カエサル? 無し 死
23平清盛 竹光 破壊 日本刀 生
24レオ十世 拳銃 織田信長 無し 死
25フリードリヒ二世 サーベル アントワネット 散弾銃 生
26ラプラプ 山刀 ヒトラー 手製の石器 死
27アイスキュロス 亀 ジャンヌ・ダルク 無し 死
28デュ・ゲクラン 戦斧 不明 無し 死
29ルイ十四世 防弾チョッキ 本人 無し 生
30パラケルスス 医療用具一式 本人 無し 生
31メフメト二世 サバイバルナ〜 アレクサンドロス 無し 死
32ガリバルディ 日本刀 平清盛 無し 死
33乃木希典 日本刀 ルーデンドルフ メス 生
34ヘリオガバルス 不明 不明 不明 不明
35ヴァレンシュタイン 拳銃 本人 不明 生
36織田信長 日本刀 本人 拳銃 生
37アルキメデス 投石器 本人 棒 生
38ルター 聖書 本人 無し 生
39ヨハネス二十一世 本(魔術書?) 本人 ダイナマイト 生
43始皇帝 不明 本人 無し 生
44釈尊 拡声器 不明 無し 死
47エリザベス一世 不明 無し 無し 生
48フェリペ二世 ナイフ カエサル? 無し 死
49彦坂忠義 自転車 本人 火薬 生
50ノーベル 拳銃 ヒトラー 無し 死
51陳国峻 毒矢 本人 無し 生
52ニーチェ 地雷 本人(まだある筈)無し 生
53ネロ ナイフ 曹操 ガソリン 死
56リチャード一世 散弾銃 フリードリヒ二世 無し 死
58 クフ 機関銃 無し 死
59ダレイオス一世 金属バット? ナポレオン一世 死
だいぶずれてしまい、申し訳ありません。追加・訂正をお願いします。
41 ナポレオン 槍 破壊 生
42(39より訂正) ピョートル1世 斧 本人 生
ダレイオス1世の武器はサーベルです。今はフリードリヒが奪いました。
金属バットは・・・ヘリオガバルスの初期装備だったということで。
>378
了解しました。でもあの変態少年皇帝、生死不明なんですよね・・・。
ところでフレデゴンドとブリュヌオーですが、どっちが勝ったんでしたっけ?
お互いに刺客を差し向けあったもののうまく行かず、戦闘ではフレデゴンド
軍からしかけて大勝。ブリュヌオーの恋人の伯爵は討ち死にを遂げ、彼女は
何とか馬に乗って逃れた。
その様子を同じく馬に乗って見ていたフレデゴンド、「生け捕りにするのよ、
生け捕りに!」と叫んだが取り逃がしてしまい一年後に病死。
ブリュヌオーは同国人との不和によりフレデゴンドの息子に引き渡され、八
十歳にして裸の状態で馬に引きずり回されて死んだ。
383 :
おかゆびーばー:02/04/28 20:02
おかゆびーばーさん、ティベリウスに手を出さずにお待ち申し上げておりますよ。
上記の事、有難う御座います。
その神社の額には「大島大明神」とあった。この島の名が大島であったのかも知れ
ないし、単に田舎人が偉そうな名前をつけただけかも知れない。
周囲に人家が見えないのは何か宗教的な意味がある為なのかそれとも村が早くに寂
れてしまった為なのか。共に多くの神社を修築して来た清盛と信長にも判らぬ事で
あった。背後には薄暗い森が、前方には白雲と白波で境目の判らなくなった紺碧の
空と海が広がっている。
幸いというべきか、ここに辿り着くまで一人の英雄とも出会う事は無かった。今は
二人とも参拝を済ませ、湧き出していた水を飲んで社務所の畳の上に寝転んでいる。
ひとまずそのまま休む事にした。全盛期の体力が復活しているとはいえ、緊張を保
ち続けたまま歩き詰めだったのだから無理はせぬ方が良い。鍵をかけている事に安
心して、何時の間にか眠ってしまっていた。
安土城の一室で、信長は天井を眺めていた。頭の中には五年以内には纏め上げて信
忠に譲り渡す天下の政の絵図が浮かび、四海に乗り出して行く「日本国」の姿が浮
かんだ。だがどれももやもやとしていて現実味が無い。
何故か今日は頭の巡りが悪い、そう思って茶でも持って来させようとした時、声を
かけるよりも早く障子が開き近習が青ざめた声で言った。
「申し上げます。明智日向守並びに松永弾正謀反。」
何ぃ、そう言って外を見れば、何時の間にか城下に火の手が回っている。いや必死
で防戦している城の中からも炎が噴出し始めていた。逃れられそうな琵琶湖は軍船
で埋まり、尾根伝いに行ける観音寺山からも敵が来ているという。信長は覚悟を決
めた。「やはりわしは・・・尾張の大うつけであったわ!」
その瞬間目を覚ました。だが炎の臭いは一層増していた。右府殿と声がかかるより
も早く起き上がる。夢では無い。側に居るのは古の平清盛である。
槍は無かったが、圧切を握ってガラス窓から飛び出した。清盛もそうしていた。
「油断する間は与えられぬという事か・・・。」
飛び出した二人の前に、短剣を握った唐人の姿が映った。正攻法で勝てるだけの武
器が無かったのだろう。目があった途端に逃げ出した相手を、当然二人は追った。
体中に傷を負いながらも、その老軍人(乃木)はメス一本で頭上から振り下ろされてくる大剣の攻撃を凌いでいた。
一方、馬に乗っている男は背中に何かを背負っているらしく、馬の動きもやや鈍くなっている。。
「どちらかとお知り合いなの?」
マリア・テレジアの声でルーデンドルフは我に返った。
「ええ、走って逃げている老人と会ったことが・・・。しかし、彼は死んだはず・・・。」
「それを言うならあの馬上のお方も死んだはずよ、雷で。」
「とにかく私は彼を助けます。」
乃木が通り過ぎたところを見計らって、ルーデンドルフはライフルを発射、
それは馬上のイヴァン雷帝に命中したはずだった・・・。
しかし雷帝はすでに二人に気づいていたのか、背中に背負った何かを楯にしてそれを防ぎ、
楯を藪の中にいるマリア・テレジアのほうに放り投げてきた。
「!?・・・い、いやあっ!!」
楯の正体に気づいたマリア・テレジアが悲鳴をあげる。
ルーデンドルフもその「楯」の正体に気づいて愕然となった。それは・・・人間の上半身だった。
(埋葬する時にやっとそれがグスタフ・アドルフの変わり果てた姿ということが分かった。)
「ふははは!獲物が3匹に増えよったわ!」
「き、貴様、死んだはずでは!」
「ふん、私はただ『奪う』側に回ろうと思っただけだ。そして神はそれをかなえたもうた!
貴様らはおとなしくあの世へ召されるがよいわ!」
そういってイヴァンは馬に結び付けられた袋から卵のようなものを取り出した。
「あれは!陛下早くこちらへ・・」
「あ、あうあ・・。」
ショックで虚脱状態になったマリア・テレジアを引きずるようにして彼は駆け出したが、
背後からの強烈な爆風(卵の正体は手榴弾!15発入り残り14発。使い方は神の啓示で知る)
に吹き飛ばされ、全身を強く地面に打ちつけた。
ぼんやりと二重にしか移らない風景の中でも、
イヴァンが勝ち誇った顔で馬を駆けてくるのがはっきりと分かった。
と、突然馬が棒立ちになった。そう、ここにはもう1人の人間がいた・・・!
それを思い出し、ようやく意識が戻った。
「ぬうううっ、落ち着けい、駄馬めが!」
「だいじょうぶか!?」
テレジアのマスケット銃に駆け寄ろうとする乃木を見たイヴァンは慌てて、
尻にメスが突き刺さった馬を御しつつ引き上げていった。
「また、あなたに会えるとは・・・あなたも神によって?」
「いやいやある男によってな・・・また生き長らえてしまったわい。
じゃが、今度は与えられた命、精一杯使ってみようという気にさせられたわ。」
「では・・われわれとともに行きませんか?あちらの方はマリア・テレジア陛下、
争いを好まず、隙を見てこの島からの脱出を考えておられます。」
「ほう、あれがオーストリーの名君か・・・。うむ、この年寄りでよければ力になるぞ。」
「ありがとうございます・・・あ、これをお返ししなければ。」
ルーデンドルフの差し出した日本刀を乃木は懐かしげに受け取った。
「うむ・・・やはりこれはいいものじゃ。ああ、女帝陛下、よろしいかな?」
「ええ・・だいぶ落ち着きました。出発する前にこの方を葬ってさしあげたいのですが。
このままではあまりにも・・・。」
「分かり申した。・・それより、おぬし外から見たら傷だらけじゃぞ。まずはその手当てからじゃな。」
かれらは診療所へ赴くことにした。
(英雄番号57番 グスタフ・アドルフ 死亡確認 ちなみに武器は手榴弾)
388 :
カエサル萌えの女:02/04/30 12:29
雨は、日の出前に上がった。東の空は白み始めている。
朝食を取るべく座った四人に、警戒網の鈴の音が聞こえる。
「──誰だ?」
「イエス、エリザベスを頼む。傭兵、お前は私についてきてくれ」
ギリシア語とラテン語でそう話し掛けると、カエサルは立ち上がった。
ヴァレンシュタインも続いて立ち上がる。
「まあ待て、腹が減っては戦は出来ぬという」
イエスがそう言うと、どこから入手したのかパンを二個取り出して
二人に与えた。そして一言言おうとした瞬間
『この警戒網の主は誰だ?』
その言葉が、心に直接響いた。イエスが即答して
『朝飯を食ってる最中だ、もう少し待て』
『分かった。一時間後までに来なければ覚悟しておけ』
声の主は、そう言って再び沈黙した。
現場にいたのは、カエサルたちは見たこともない服装の男だった。
それだけを見れば女にも見える、地面につくほど裾の長い服。袖口は
かなり広く、前掛けに見えなくもない飾り布を腹部から下に垂らしていた。
だが顔は紛れもなく男であり、黒い顎鬚を長く伸ばしている。冠のような
ものには、前後に柳の枝のような細いものが下がっていた。見るからに
東洋人である。
『名は?』
『秦王・政。始皇帝と呼ぶ者が多いようだが』
そう言って彼は、四人を見回した。
389 :
カエサル萌えの女:02/04/30 12:33
『傭兵隊長ヴァレンシュタイン』
始皇帝は、まずその名を呼んだ。
『ドイツ統一の宿願を果たせず、残念だったな。我が配下にならぬか?』
『その前に、俺の名をどこで知った?』
鋭い調子で問い返す。東洋人が知るはずもない。
『島外れの小さな家に、世界各地の歴史について書かれた本が三冊ある。
そこに載っていた。・・・と言っても、燃えてしまったかも知れんが』
『燃えた?』
カエサルが目を瞬かせた。
『犯人は、朕の後に入った曹操という者だろう。知識が他人に渡ると
己に不利になるとでも思ったのだろうな』
煙が上がっているのを見た、と始皇帝は続けた。
『と言っても、予には彼を非難する気も、その資格もないが。気に入らぬ
書を燃やしたのは、予も同じゆえ』
まさか予の死後数年のうちに我が王朝が滅び、予が生き埋めにした学者どもの
生き残りがすぐ後の王朝で主流となり、それが二千年も主流を占めようとはな、
と始皇帝は慨嘆した。
『それもこれも、予の遺言を守らなかった重臣たちが悪いんだが』
『その原因を作ったのは、他ならぬあんただろう』
と、カエサルは言った。
『気に入らぬ書物を燃やし、自分に反対する者たちを生き埋めにすれば、
残るは所詮小心者のおべっか使い。あんたの遺言が何だったか知らんが、
そういう者が自分の利害に反するようなことをすると思うか?』
『言ったな、ユリウス・カエサル。自分が許した者に殺された分際で。お前が
予の半分でも自分に反対する者を殺していれば、あんな所で死ぬことはなかった
はずだ。お前に言われる筋合いはない!』
始皇帝は、ピストルを抜いて身構えた。
390 :
カエサル萌えの女:02/04/30 12:35
雷が鳴ったような音がして、思わずエリザベスは目を閉じた。
「・・・だから甘いと言われるんだ、あんたは」
ヴァレンシュタインの声に、恐る恐る目を開ける。
警戒網の向こうで、始皇帝は頭に銃弾を受けて絶命していた。近くに赤い
マントの後ろ姿を発見して、ほっと息をつく。ヴァレンシュタインは近づいて
「殺し合いの相手に、直言などするか? 普通」
カエサルは、その台詞には苦笑しただけだった。逆に問い返して
「お前こそ良かったのか? パンと水と自分で殺した獣の肉より、よほど
いいものが食えたかも知れんぞ」
「言ったろう、俺は王侯貴族には嫌われる運命だと。この東洋人も、多分
途中で俺を殺そうとする。そういうのは御免だ」
「──私も、お前を殺そうとするかも知れんがな」
「だが、理不尽な殺し方はするまい?」
カエサルは苦笑混じりに頷いた。──確かに、反対者を殺していれば
自分が死ぬことはなかったかも知れない。だが──
「カエサル」
と、ヴァレンシュタインは言った。
「あんたが礎を築いた国は、俺の時代まで幻影となりながら生きている。
この男の作った国は、恐らくそうではあるまい」
英雄番号43番 始皇帝 死亡
391 :
カエサル萌えの女:02/04/30 12:57
>>388-390 またカエサル一行ネタです。今回はvs始皇帝。
自分で「皇帝」という称号を作り出した者と、自分の得た称号や名前が
「皇帝」と同義で扱われるようになった者。
「お前」と「あんた」の使い分けは「上下関係にあるかどうか」
ということで。
「唐人、我が名は織田右大臣信長!これなるは平相国清盛!汝の名を名乗れぃ!!」
息を切らせそうになりながら、珍しく信長は叫ぶ様に呼びかけた。家臣を叱責する
為に大声を出す事はあっても、必死になって声を張り上げた覚えなど当の本人にも
数例しか覚えが無かった男である。
やがて観念したのであろう。短剣(サバイバルナイフ)を握っている男が振り向い
て立ち止まった。知的で精悍な顔が木漏れ日の光に晒されているのが見える。
「面白い・・・共に小国とはいえ倭国を制して恐れられながら中途で死した者であ
ったとはな。その名はこの島の書庫で目にした。我が名は曹操である。名前くらい
は知っていよう。」
その名を聞いて流石の二人にも動揺が走った。だがすぐに自分達が倒して来た者達
の事を思い浮かべ、倒せぬ相手では無いと自らに言い聞かせた。
「成る程、確かに大国の偉人じゃ。しかし今は粟粒の如き国の王であってもその立
場に変わりは無いぞ。名乗りを挙げた我が国が蒙古に苦戦した事も知っていよう。」
そんな清盛の言葉にも曹操は戸惑った様子が無かった。
「その通り。そして今真正面からぶつかったところで私に勝利は無い。だがそれは
まともにやりあった場合の話でしかない。」
この時になって二人は先程の襲撃を思い出していた。ただの放火であそこまで簡単
に火が回る筈も無い。顔が青ざめるという感覚をこの島に来て初めて味わった。
死ねい。そういった相手の声を聞いたと思ったのは現実であったのだろうか。後方
に走る直前に見たものは枯れ枝につけた炎を投げようとする曹操の姿であった。
これよりしばらくの間の記憶が二人には無い。事故にあった者に時折見られる症
状である。また当事者達に分らぬ事を傍らに居た者が説明出来る筈も無かった。
しかし皆無であったという訳では無い。うんと遠い処から見ていた者達にとっては
予定通りの事だったのである。
そこは南の山の中腹。所々に露出した岩石の中の一つに乗って爆発を「見物」して
いたのはブッシュとヨハネス二十一世であった。
「導火線の調節が上手くいったらしいな。流石は魔術実験者の私と言っても良い。」
「ランダムだが、あれだけの爆発だ。最低一人は死んでくれただろう。」
「しかしブッシュよ、あの炎の中には味方になりうる者も居たかも知れんよ。」
「仕方が無いさ。アメリカとバチカンの大義の為の殉教者だ。加えて五月蝿い世論
や抵抗勢力といったものはここには存在しない。」
それもそうじゃなと言って、ヨハネスは頷いた。
<英雄番号20番 曹操 死亡?>
393 :
おかゆびーばー:02/05/01 02:29
「へーーーーーっっくしょいっ」
薄暗い北の浜でくしゃみをする男がひとり。
ローマの第二代アウグストゥス、ティベリウスである。
海に飛び込んでアレクサンドロスの攻撃を逃れたはいいが、
その結果状況を改善できたかと言えば、なんのことはない、
どうやら死を先延ばしにしただけだったようだ。
最後の力を振り絞って岸に這い上がったが、食料も水も失い、
今やずぶ濡れの衣服に最後の体温すら奪われようとしている。
――寒い。
体温が下がり、それに伴って体力も流失する。
浜辺に転がる流木を擦りあわせ、火を起こして暖をとろうと何度か試みた。
しかし、かじかんで震える手では、それもままならない。
――なんと惨めな有様だ。
かつては、この指の一振りが並み居る貴族たちを震え上がらせ、
眉の一顰で王侯をひざまずかせたというのに。
そんなことを思い、なにか急に馬鹿馬鹿しくなって流木を放り出す。
すでに一度生きた命だ。どれだけ生きるか、何時死ぬか、
そんなことは関心の埒外にある――と達観できるような境地に自分はない。
ティベリウスはくっくっ、と喉を鳴らして笑った。
わたしは何度生まれ変わっても哲学者にはなれない男だ。
生きられるものなら、岩にかじりついても生きたい。
しかし、何にしても疲れた。闘うには疲れすぎてしまったよ。
身体をとりまく寒気と倦怠感は、その間も刻々と募っていく。
ティベリウスは天を振りあおぎ、半ばたわむれに念じた。
『ユダエアの神よ。ヤハウェよ。
我をまだ生かして置くおつもりなら日を昇らせたまえ。
さもなくば、大いなる雷もて、ただちに我が身を撃ち殺したまえ。』
祈りは受理され、そして、日が昇った。
394 :
おかゆびーばー:02/05/01 02:30
呆然とするティベリウスの目の前で、情景が目まぐるしく変化していった。
砂浜に点在する岩石の影が、急激な勢いで縮んでいく。
水平線からコマ送りで上ってきた太陽が、島を、浜辺を、
そしてティベリウスの冷え切ったからだを照らしつけていた。
大気すら、なぜかすでに暖かい。
『…………神よ。感謝します。』
おそらく、生まれてはじめて心からの敬神の念に打たれて、
ティベリウスはヤハウェに祈りを捧げた。
はるかな時を経て、この島に英雄達を送り込んだことに比べれば、
ティベリウスをわずか三時間先に送ったことなど、
ハエがとまるほどの奇跡――いや、それ以下の手遊びに過ぎない。
しかし、網膜に強烈なイメージを焼き付けられたティベリウスは、
手もなくヤハウェに心服してしまっていた。
だから、彼は祈る。それこそ一心に。
その愚かしいとも言える姿は、ヤハウェの悪戯心を刺激した。
すなわち、いったん持ち上げて、ふたたび落とす。
395 :
おかゆびーばー:02/05/01 02:31
『おはよう、おじさん。』
背後で"声"がした。
法悦から我に帰ったティベリウスの目に映ったのは、すがすがしく笑う少女。
少女は手をかざして東の空を見やると言った。
『第三日の太陽が上がったね。』
見目麗しい年頃の乙女…にもかかわらず、
まったくと言っていいほど彼女に欲望を感じない。女と見れば抱いたこの自分がだ。
『あ、告解はちゃんと済ませてありますか?』
――告解?告解とはなんのことか。
素直に知らない、と答えると、少女はくいと眉をしかめた。
『…んー、おじさんもなんだ。
ほんといやになっちゃうな。異教の人たちばっかりなんだもん、この島って。
まぁ、でも――』
ふと、ティベリウスは思った。少女が右手に持っているアレはなんだろう。アレは――
『考えようによっては、気兼ねがいらなくていいかもね?』
アレは血にまみれてもがく亀。俺の死だ。
危険を察知したときには、すでになにもかもが手遅れだった。
とっさに回避行動を取るには、冷えた手足の反応が鈍すぎたし、
少女の動きは無造作でいて、同時に無駄がなかった。
つまるところ、ティベリウスは馬鹿のように立ちつくしたまま
最初の一撃を顔面に受けたのだった。
ハレルヤ。親ヤハウェ派に一点。
<英雄?番号3番 ティベリウス 死亡>
396 :
おかゆびーばー:02/05/01 02:33
ティベリウスは結局殺してしまいました。
雷帝やジャンヌには頑張ってほしいです。
上の方であげといたサイトは、スレが50進むごとに更新することにします。
見てくれる人が居るかどうかわかりませんけれどね。
「ふぅむ、どうやら馬の尻にでも刺されたものが抜け落ちたらしいな。」
蹄の跡を見て、メスを拾い上げたパラケルススは呟いた。
「この調子ならまずは無事という事か・・・血の乾き具合・固まり具合からしてそ
う以前の事では無い。」
データを読み上げるだけの口調であったが、彼は内心ホッとしていた。例え明日死
ぬ身であっても救うのが医者であると心得ているとはいえ、本当にすぐ死なれては
後味が悪くていけない。ノギ・マレスケ。信長らの同胞らしい男の顔が浮かんだ。
「ではどうする。せっかく出立して来たのに敵を避けていては意味が無いぞ。」
刃の無い剣を振って言うルイ十四世を、マリー・アントワネットが諌めた。因みに
三人の会話は全てラテン語で行われており、普段はフランス語もドイツ語も話せる
マリーが両者の自慢話と愚痴の聞き役に回されていた。お人好しで気が弱いから学
級委員を押し付けられた少女みたいなものである。
「陛下。例え数で勝っていてもこちらには銃がありませんし、馬に乗っている者を
相手に無茶は出来ませんわ。無理な戦争は出費を招くばかりですもの。」
言外に自分の戦争を皮肉っているのを悟っては流石のルイも引っ込むしか無かった。
こうなると第三者のパラケルススが仲裁に回るしかない。何かを言いかけた時、共
通語(念語)が聞こえて来た。近いと悟って全員の足がそちらに向く。
豊富なボキャブラリーで罵声を交し合いながら本を放り出して殴り合っているのは
アラブ人とドイツ人聖職者らしい男だった。
「おお、あいつは!」
パラケルススが思わず大きな声をあげた。
聖典に遠慮して素手で殴り合うムハンマドとルターを書いてみました。ルタ
ーはパラケルススやエラスムス同様かなり口汚い男だったらしくまたプロテ
スタントでも反対派には厳しい人物でトマス・ミュンツアーやウルリッヒ・
ツウィングリと言った見解に相違が見られた人々が「カトリック勢力」に殺
された時には小躍りして喜んだそうです。
おかゆびーばーさん。念のため聞きますが、テイベリウスだけが未来に飛んで死亡したんですよね?
つなり『○時テイベリウス未来へ飛ばされる、4日目テイベリウス謎の少女により殺害される』って事で良いんでしょうか?
山野さん>ナイス!(笑)
ストーリーです。
雄叫びを上げて自分に襲いかかる二人組を視界に入れた彦坂は覚悟を決めた。
確かに今はあの冗談みたいな格闘能力は無いが、これでも帝国臣民の端くれ、
タダでは死ぬわけにはいかない。(ブショウとの一件然り、少々頭も若返っているようである。)
子猫を抱え、両手の塞がった彦坂は襲撃者にとっては良いカモだったのだ。
爆薬も起爆装置も手元には無く、自転車は資材調達の為降りていたのですぐそこには無い。
仲間らしい仲間も今だいない。二日目に会った李(イ)将軍は既に去った。
銃器も無い以前に今は両手がふさがっている。
素晴らしい勢いで迫る襲撃者二人の両の瞳には彦坂を惨殺する意思くらいしか見えない。
正に絶望的な状況ですね・・・・B29に焼き払われた同胞達やガダルカナルの地上部隊の方々ほどでも無いですが。
そう。彦坂には・・・未来記の他に恐るべき武器があったのだ。
『ぱここっ。』軽い二つの音が重なった。『武器』がその男たちを打ちのめしたのだ。
両手が塞がってもなおも使用できる恐るべき「武器」の前に男たちは完全に不意を討たれ、
眉間への軽い一撃を受けて倒れるしかなかった。
その恐るべき武器とは・・・・・!!!
『下駄』
突然の襲撃に、三人の王は驚いて立ち尽くした。そしてそれ以上に襲われた当人が
咄嗟に相手の攻撃をかわし武器を出して身構えた事に驚かされた。
突然森の陰になっていた部分から飛び出して来たのは長い金髪をなびかせた緑色の
衣を着た者。体勢を立て直してなおも襲いかかろうとするのを見て女だと判った。
至近距離でフリードリヒ二世の銃を使用しては同士討ちにもなりかねない。ナポレ
オンが金属バットで殴りかかったが、今度は何かが煌いてバットに当たった。
ピョートルが斧を構えて容貌の定かでない女の顔を潰そうとすれば今度は長い剣を
持った東洋人(シナの役人を連想させた)が突いて来るので思わずのけぞった。
「ブリュヌオー、おまえもこの島に来ていたのね!ある程度予想はしていたわ!」
「フレデゴンド、あなたは自分で周囲の人を潰していた上に私の姉や恋人、まで
も奪い去ってしまった!」
「お黙り!私の息子を誘惑した上結婚の誓いを反故にしたあばずれ女!」
気迫を伴ってののしりあう二人の女傑は数合打ち合ったが勝負がつかない。やがて
このままでは倒しても採算が合わぬと見た第三の女傑が声をかけた。
「フレデゴンド、引き上げじゃ!」
そう言ってナポレオンを押し倒して森の中へ消えて行く武即天。ピョートルの頭を
強打した厩戸もそれに続くのを見て、流石のフレデゴンドも諦めた。
残された方も深追いする訳にはいかず、倒れているピョートルに駆け寄った。
「一体どうしたのじゃ。話の通じる者とは出来る限り手を組むべきだとは分
かっておった筈。おぬしらしくもない。」
襲われた方は勿論、襲った方にしても突然のアクシデントだったのである。
あの一行の最後尾を歩いていた女を見て、フレデゴンドが因縁の相手、ブリ
ュヌオーだと呟いて飛び出して行ったのでやむを得ず他の二人も出て行く破
目になった。
「お話になっておられた内容から大体分りましたが、もう少し詳しくお話願
えませんか。」
一度に十人の話を聞き分けたと言われる「聖徳太子」は乱闘の中でも会話を
聞きとっていた。
「分かっているわ。私の暴走で危険に合わせた訳だし、ブジョウには借りを
つくっておきたくないもの。」
一通り話終えたフレデゴンドの打ち明け話に、武即天は面白がり厩戸は推古
天皇を思い出してそれ以上だと瞠目していた。
「やった事は悪くは無かったの。しかし詰めが甘かった。妾ならそこまで芽
が大きくなる前に摘んでおるわ。」
諌める処か喜んでいる女帝に対し厩戸が言った。
「・・・それよりも問題は今です。今更和解を求めて受け入れてくれるかど
うか。あの大きな方が亡くなっておられれば尚更です。」
「良き勝ち方は戦わずして勝つ事という言葉からすれば確かに下策であった
な。しかし敵の無事を祈らねばならぬとは妙な事になったものよのう。」
八十過ぎまで生きた武即天は婆様らしく短い教を唱えた。
402 :
おかゆびーばー:02/05/01 21:19
>>399=おなかいっぱい。さん
ティベリウスだけが飛ばれたってのはその通りなんですけど、
死んだのは3日目ということでよろしくお願いします。
あと、『なぞの少女』はジャンヌです。ちゃんと名前書けばよかったですね。
分かりにくい文章ですまんです。
「くそ、これで2回めか。」
「何がだナポレオン?」
「他の書き込み人・・もとい、他の人間の襲撃を受けて敗北した数だ。」
「何をぬかす!まだ俺達は負けちゃいない!なあフリードリヒよ。」
「当然だ・・・それよりもあの女は?」
「そういえば襲撃を受けてから姿が見えんな。」
「そうか、鬼は去ったか・・・今だから言えることだがな・・・」
フリードリヒはゲルマンの歴史に伝わる二人の王妃の物語を語りはじめた。
ローマ帝国崩壊後の暗黒時代にふさわしい、血塗られた戦いの物語を・・・。
「・・・なるほどな。最後に負けたのは奴のほうか。
だとすれば、相手への復讐に全てを賭けるだろう。」
「うむ。もう1人のフレデゴンドも都合よく転生してしまっている以上、
まずブリュヌオーはフレデゴンドを探すだろう。
・・あるいはわれわれに手伝って欲しかったかもしれんが、
そんなことには到底付き合ってられないだろう?」
「ああ、俺達には全く関係のないことだからな。
『迷惑はかけないから』などと勝手に同行させたらこのざまだ。
それよりもあのなめた真似をしてくれた奴らにきっちりと思い知らせてやらねばならんな。」
復讐に燃える三人はそれぞれに分かれて偵察を行い、たちまち森の中の広場にいる三人を探し出した。
「連中、われわれに気づいた様子もない。
東洋人の女が妙な呪文を唱えていたのが気にかかるが・・・。」
「一撃ぶちかまして黙らせればいい。
それより役割分担をどうするかだが・・・。」
「ピョートル、おまえは真っ先に突っ込みたがっている顔をしているからいいとして、残る二人だな。」
「この大型銃は使い勝手がよさそうだ。私も突っ込むとしよう。
ナポレオンは後方で危なくなったほうに援護を加えてくれ。
あと、深追いしたり、前の二人がばらばらになりそうだったらそのつど忠告してくれ。」
「よし、それで決まりだ。」
殺意を含んだ人影三つ、木々に混じりて血を求む。
ズドーン!ズドーン!ズドーン!
ウラー!ウラー!ウラー!
バーン!バーン!バーン!
森の中は銃声とピョートルが上げる鬨の声とで埋め尽くされていた。
フリードリヒはただ逃げるだけの敵を目にして唇をゆがめた。
「やはり奴ら銃を知らんな。」
銃声に目を丸くした後、目の前の木が吹っ飛ぶのを見た敵は、
仰天して逃げ出すだけのように彼には思えた。
全速力で敵を追いかけるフリードリヒの背中を見ながら、
ナポレオンは冷静な思考を働かせていた。
「奇襲をかけたにしては、あいつらのキャンプには拾えるものは何もなかった。
あの短時間ですでに準備を整えて退却しているのだとすると油断はならない
・・・フリードリヒ、右だ!」
「うおっ!?」
右手の藪の中から鋭い刃を手にした東洋人女性が突如切りかかってきたのと、
ナポレオンの銃声が響くのとは同時だった。
一瞬のうちに女性の姿は消え、フリードリヒはうずくまって苦痛に耐えている。
「大丈夫か?」
「腿を切られた・・・それにおまえと出会った時にひねった足がまたうずいて・・くそ、動けん!」
「自分の身くらいは守れるな?そこにいるんだ・・ふん、向こうもただではすまなかったようだな。」
草の上に転々と続く血の跡をたどり、ナポレオンは駆け出した。
ピョートルは木や藪に巧みに身を隠しつつ、自分に傷を負わせた東洋人を追いかけた。
飛び道具を持っていない彼だが、相手が放ってくる弓に対抗して石を放ったりもした。
命中しないと分かっていてもプレッシャーにはなるものだ。
徐々に、確実に距離を詰めていったピョートルは遂に切り株から飛び出し、
最後のダッシュに賭けた。
顔をかすめる毒矢にかまいもせず、一気に相手の腰にタックルをかけ地面に押し倒し渾身の力で首を締め上げた。
相手の顔色が見る見る紫色に変わっていくのをピョートルは満足げに眺めた。
「ツァーリに害を成すものは容赦せん・・・たとえそれが息子であろうともな。」
不意に視界に豪華な着物の柄が目に入った。
「!ぐあああっ!!」
額が横一文字に切り裂かれ、血が噴出した。
とっさに頭をずらしていなければ目を横に切り裂かれているところだ。
東洋人の体から突き飛ばされるのが分かったが、血が目に入って何も見えない。
「ピョートルー!」バーン!バーン!
銃声を聞いて敵の気配が消えていった。
「大丈夫か?ヨーロッパ人と東洋人の女二人に危うくとどめを指されるところだったんだぞ!」
「何か拭くものをくれ。何も見えん。」
「これを・・・。」
ハンカチで血を拭ったピョートルの視界には当然ナポレオンだけがいる。
「フリードリヒは?」
「彼も負傷した。もう充分だろ?」
「ああ・・もっとやりたいところだが・・潮時だ。」
「油断しておったな。襲っておきながら襲われる事を考えておらなんだこちらが悪い。」
武即天は衣の袖に空いた穴に指を入れながら嘆息して言った。顔には傷がつかなかった
ので大して気にしていない。それよりも己の馬鹿さ加減に腹を立てていた。
「ごめんなさい、私の軽はずみな行動の所為だわ。」
フレデゴンドはそう言ったが、二人共相手を責め立てても何の解決にもならないという
事位はとっくに理解している。寧ろ自省していた。
「相手がここまでやってくれるとは・・・、和をもって解決出来ますでしょうか。」
厩戸もあの行動を見て流石に和解が難しいと考えたらしい。しかしここで争っても特を
するのはヤハウェとその眷属だけである。
「纏めるしかあるまいな。出来ぬ事をやらねばならぬ。我らのやって来た事はそういう
ものであった。まずは時節を待とう。ブリュヌオーとやらの行方も気になる。」
最年長者・武即天の言葉に二人共頷いた。因みに重要な会話は手話で行われている。
「有難う、ブジョウ。」「何、気にするでない。あの大男は妾の好みであったからの。
そのうち縛り上げて無理にでも話を聞いてもらうぞえ。」
ホッホッホッ。笑う女帝の声と姿に呆れかつ感心した二人。厩戸が提案した。
「まずは相国殿らと合流致しましょう。正午と日の入りに待ち合わせ場所を定めてあり
ますから。何か分かるかも知れません。」
その頃。ブリュヌオーは早くも相談役を見つけていた。話に聞き入って頷きながら同調
している美少女はマリア・テレジア。
「酷い目にあわれましたわね。でも偽装結婚はよく無い事ですわよ。」
話を聞きながらも時々自分の意見を口にする様はまるでみ○もんたか快傑熟女。
「まあ、フリードリヒらがあなたを疫病神扱いしていたのを陰からお聞きになった?そ
れは感心出来ませんわね。やはりあの男は女性に対する扱いがなっていませんわ。」
御心配無く。許して差し上げる様に言って差し上げますから。承知させますわ、必ず。
傍らで顔を見合わせる軍人二名。しかし高貴な人物からの命令には慣れている。逆らう
理由も無いので命令には従うつもりであった。
この時点ではまだ彼らはその一団がアントワネットやパラケルススの仲間だとは知らな
ずにいる。果たして戦闘の前にそれが明らかになるのだろうか。
ルイ十四世らの目の前では、延々と格闘が繰り広げられていた。
「貧乏父さんパンチ!」
ルターの拳による一撃に金持ち父さん(ムハンマド)が倒れる。しかしすぐ
さま体勢を立て直して殴りかかった。
「カカア天下パンチ!」
今度は生前亭主関白でならしていたルターが倒れた。
お互いのコンプレックスを拳に乗せて打ち出される攻撃には流石の太陽王も
手出しを諦めるしかなかった。
それによく見てみると石を使ったりひっかいたりといった真似はしていない。
それなりにルールに従って戦って、もとい闘っているのが分かった。
「夕方まで待つとしよう。その頃には収まる。」
「そうですわね。その頃には御二人共お疲れでしょうから・・・。」
「フッ。そういう『法則』があるのじゃよ、お嬢ちゃん。」
理解できずにいるアントワネットとは対照的にルイとパラケルススは遠い目
をして頑固オヤジ同士の闘いを眺めていた。
408 :
カエサル萌えの女:02/05/02 15:21
その頃、曹操が火をつけた小屋の燃えかすに、一人の男が立っていた。
分厚い本を三冊拾い集め、ほっと息をつく。
「やれやれ・・・どうにか無事だったらしい」
男の名はスカルノ。インドネシアの独立指導者にして初代大統領。
国際的にはパンドゥン会議の主催国として、アジア・アフリカ諸国のリーダーの
一人となる。晩年には国内の経済を破綻させ、「九月三十日事件」という
クーデター未遂事件をきっかけとして権力の座から転がり落ちていった。
今日は襲われるのを避け、森の中を歩いていたら煙を見たのでやって来たのだ。
「本は知識の宝庫だ。燃えてしまわなくて良かった」
取りあえず私が持っておくか、とスカルノは思い、三冊を袋に入れてその場から
運び出した。
数十メートルほど歩いた森の中で、彼は袋を下ろして本を広げた。
「これは・・・歴史書か」
読書家でもあったスカルノにとって、その大部分は既に知っている知識である。
だが幽閉後、更には死後の事件については全く初めて知るものであり、興味深く
読み進めていた。
「──オサマ・ビン・ラディン、生死不明」
最後の行は、それで終わっていた。
自分と同じ宗教を信じている男の凶行に、スカルノは瞑目した。
彼はかつて、アメリカを帝国主義として批判し、その援助を拒絶し、
国連からも背を向けた男である。
だが彼は同時に、コーランの解釈に二十世紀の現実を考慮しない教条主義や
原理主義には、極めて批判的でもあった。
『時代の変化に対応せねば、かつてのイスラムの栄光はどんどん失われていく』
それが何故分からない、と彼は遠い空を見上げて問いかけた。
409 :
カエサル萌えの女:02/05/02 15:38
東南アジア系がポルポトだけと言うのもなんなので、
スカルノを出してみました。
自由にして下さって結構です。
陳国峻はベトナムでモンゴル軍と戦った英雄ですよ〜。中国文化圏よりですが。
「うー、痛たた・・。」
「大丈夫ですか、陛下?あと少しですよ。」
「ああ、何とか・・・しかしあの男、あれほどの力があるとは・・・。」
「私も初めてです、あんな武器を見るのは・・・。」
アウグストゥスはカールに支えられつつ、「診療所」とある建物への道を辿っていた。
ペアを組むことにした彼らだが、最初に出合ったひ弱そうな青年から思いもよらぬ攻撃を受け、
早くも自信喪失のありさまだった。ひとまず手当てをしようと診療所へ向かうことにした。
「足の具合はどうだ?」
「清流で冷やしたから少しは良くなったが・・・。おまえこそ額のほうは?」
「ふむ・・・血はとまったな。」
「薬が必要だ。二人ともちゃんと手当てをしないと身がもたんぞ。」
空っぽになったピストルを川に投げ捨てつつ、ナポレオンが言った。
「地図には診療所が載っているな。ここからそう遠くもない。」
「いったんそこへ行くとしよう。
ここへ留まっていたらまた逆襲を食らうかもしれん。」
もうすぐ三日目の日が暮れようとしている頃。鄭和はいらだっていた。「彦坂め・・。まだ揃わないのか??」
出会いは朝だ。作業に奔走して水を飲みそびれ、喉の乾きを覚えたが水が全く無い。
探すと小さな部屋の白い壷(?)にわずかな水があった。・・心配に反してありがたい事にすくっても無くならないようだ。
・・・危うく便所の水を飲むところだった彼の後ろから楽しそうな笑い声が聞こえた。
「それは飲んではいけませんよ」日本語だったが、不意をつかれて動きが止まったので静止にはなっていた。
そして若者(に見える)は台所に向かい・・・『蛇口』を捻った。・・・・なんの魔法か無尽蔵に水が出た!!
苦笑する彦坂は「ローマの時代から水道くらいありますが、この時代では個人で利用が出来るのです。」と説明した。
『??』・・・なにを言っているのだ??
「ああ。」・・・彦坂はポケットからメモを取り出し、漢文で鄭和に説明した。
収集は得意でも防諜は不得意とされる日本人でも情報戦に敏感な職と時代を生きている。ムダにヤハウェに教える必要も無い。
水道料金が払われていないのに何故今だ動いているのかは謎ですが・・・。とこれこそ謎の台詞を吐いたが彼には関係が無かった。
『船を作るのでしたらこうしたほうが更に早くなります』という青年は、
彼の資材集めに特に疑問もなく同意してくれたが・・・マズったかもしれない。
彼は彦坂のいれていった出がらし番茶を飲み。作業を停止した。
奴の唱える主催者の説得(ただ説得するだけで平和にはならないように、相手をオドす、相手に魅力的な条件を出すなどの材料がいるとは彦坂の弁)にせよ、
彼の考えた島への逃亡にせよ、資材も人も少ない。そもそも『神』を名乗るヤハウェに弱みなどあるようには見えないが・・・。
「ネコの世話は嫌がりましたよ」・・・それはゲームから外れているからだと言う気もしたが黙っていた。
壊血病の予防用の野菜まで用意し、
500トン級の船200隻、総員五万人ものの大艦隊を率いていた彼だが、
(ヴァスコ・ダ・ガマで120トン。三隻。170名)、
今の手下(と、彼は思っていた)は、宦官の彼でさえ不安を覚える、あのたよりなさげな青年しかいない。
『・・・・まぁ。自分の卓見を信じよう。・・・あの男、並の修羅場をくぐっていないはずだ・・。』
その彦坂は普通に修羅場をくぐりぬけ、チャリで帰路を急ぐ。
坂道の多いこの島では、坂から降りる時とブレーキをかける時に充電して電動補助を行なう事の出来る最新式自転車は重宝である。
勿論。電気が切れても軽々ペダルを踏める高性能の品物だ。
正面から他の気配・・・。
『・・・・・・・。』脚が伸び、自転車の発電機にスイッチが入る。
『うわ!!』“電気”の産み出す魔法のような強い光に闇夜に慣れていた『なにものか』は飛びのく。その脇を駆けぬける。
『・・・・・い、今のが“電気”、そして・・・倭人が後世、束の間の間築いた帝国の電撃作戦を支えた・・身体の運動効率を高める“自転車”か・・。くっ!!』
全身が砕ける様に痛む。・・・ダメかも知れない・・・。
遠のく意識。どこかで『キキー。』という奇音が聞こえた。
テレパシー。誰だ??敵か??
『下駄で敵を撃退した私が言うことでは無いですが・・。私服も支給品と言うのは理不尽ですよねぇ。
武器は持たれていなくても、鎧を召していらっしゃる御仁や御婦人が多いようでしたし、
将軍は鎧の他に“自分の身体の一部”と言って自作の剣と盾を持っていましたし、教室で見た太陽王は剣を持っているようでしたし・・・。あなたもこんな重い鎧を着こんでいるのですから・・・。』
・・・薬草はいっぱい取れましたし・・誰がいるかわから無い診療所に行かなくても大丈夫ですね・・。
私も戦時中、多少の心得がありますし・・。早く帰って鄭和さんに見せましょう・・・・聞こえますか?・・曹操さん。
(註訳:彦坂は最後の方に出撃したので曹操の姿と名前を見る余裕があった。)
「よいしょ」と言う声。・・・やけに尻が痛い。・・意識が。。途切れる・・どうにでも・・なれ・・だ。
(曹操。生存確認。)
414 :
カエサル萌えの女:02/05/04 21:09
診療所には、医者と看護婦と経営者がそれぞれ一人ずついた。
経営者というより、患者同士が診療所の建物の内部で戦い始めた時に
それをやめさせる役、と言った方がいいかもしれない。
そして、この診療所は「中立であり、誰にも加担しない」との方針に基づいて
運営されていた。
経営者の名はアンリ・デュナン。国際赤十字の創始者である。
ついでながら、看護婦の名前はフローレンス・ナイチンゲール、
医者の名前は松本良順と言う。
デュナンが医者を募集した際、他にも希望者はいたのだが、
「洋の東西の医療技術を使える」ということで彼に白羽の矢が立った。
診療所が中立である以上、両方の技術を使えるに越したことはない。
415 :
カエサル萌えの女:02/05/04 21:19
えーっと、松本良順は幕末維新の頃の幕府のご典医です。
長崎で西洋医学も修めてます。
なかなか豪快な人物で、確か途中まで旧幕府軍と行動を共にしてます。
書きにくかったらパラケルスス辺りと交代可です。
ご自由にどうぞ。
「遅かったのう、案じておったぞ。・・・どうしたのじゃその傷は。」
島の東の外れの丘の上に先に辿り着いたのは、突然の爆発から何とか逃れた平清盛
と織田信長であった。太陽は中天からやや西にずれている。
しかしなかなか武即天達がやって来ない。やがて自分達にも襲ってきかねない最悪
の事態を考えていた時にようやく現れた彼女らは所々切り裂かれた衣を身にひっか
けて現れた。僅かだが切れ端で止血した部分が血で滲んでいる。
「驚く事では無い。この島では日常茶飯事の事に当たり前にぶつかって少々しくじ
っただけじゃ。取り逃しはしたが、ただやられた訳では無いぞ。」
言語の面から主に聖徳太子と武即天に話を聞き、二人は息を呑んだ。
「危うく殺されるところだったのでは無いか!」
相手を案ずるが故の信長の叱責の声が響いた。しかし戦闘も口喧嘩でもただやられ
る女達では無い。答える代りに棒状のものを取り出した。
「これは・・・誰が持っておった。」
目を輝かせた信長の前には狩猟用のライフル銃があった。
「あやつらが突然これと同じ武器を使って来た時には驚いた。しかしおぬしのあれ
と同じものだという事も即座に理解したのでな、アッティラという匈奴王の持って
おった武器を隠し場所までとりに行っておったのじゃ。それで遅くなった。」
女皇帝の言葉の大意を清盛が訳した。宋に渡る事を夢見てかの地の言葉を習ってい
た信西入道(史実)から片言程度は習っていたし、行動からも予測出来た。
「お願いするわ。」「何、おぬしには処女を棄ててもらった分借りがある。」
まだ気にしているらしいフレデゴンドを武即天が慰めた。
>416
分かり難い文章だったので補足説明。「お願いするわ」と言ったのはフレデ
ゴンドで、銃を渡した信長に発せられたもの。その態度に身を棄てかねない
ものを感じ取った婆様が慰めの言葉を放ったという事です。
>414
ナイチンゲールだけでも良かったかも。それだとアッティラみたいなのに襲
われるからでしょうか(藁。
「ぬおおお!!」
大声とともにすさまじい音を立てて診療所の壁が揺らいだ。
外では3対2の戦いが繰り広げられている。
今のはカール大帝がピョートル大帝を壁に叩きつけた音だ。
おびえた目で外を見ている3人にピョートルはにやりと微笑んだ。
「心配するな。すぐ終わる。」
言い終わるや否やピョートルは突っ込んできたカール大帝を避け、
その勢いのまま窓に叩きつけた。
ガッシャァン!!
窓ガラスを割って中に飛び込んできたカールをピョートルは窓から引き釣り出していく。
遠くではフリードリヒとアウグストゥスの戦いが続いていた。
が、体力を消耗し、ふらふらのまま剣を振り回すだけのアウグストゥスを
フリードリヒは軽くあしらうだけであった。
戸口に足音がする。今度は誰だと三人が見た先に立っていたのはナポレオン。
「良いか、われわれの敵は今は敵だが、戦いが終わった暁には味方にする予定だ。
手当ての時は分け隔てなく頼むぞ。」
「それはもう。
(・・・手当ての時は分け隔てなく、か。赤十字と同じだな。意味は違うが。
そういえばこの男の甥は私の赤十字社計画に力を貸してくれたっけ。)」
デュナンが感慨に囚われていると、
ドーン!またどちらかが壁に突っ込んだらしい。
「その前にここがもつかな・・・。」
心配顔のデュナンであった。
「・・・イテテ。」
「大丈夫か?一応手加減したんだがな。」
「次はもっといい出会いを望みたいものだ。このごろ戦っているばかりだ。
身がもたん。」
「・・・何故我々を助けたのだ?」
「よくぞ聞いてくれた。私の名はフランス皇帝ナポレオン・ボナパルト。
その格好からして二人とも知らんだろうが、
そう・・・一時はローマの栄光の再現かとまで言われた国を築いた。」
「・・・ですが、結局滅びましたわ。」
「黙って治療せんか!!とにかく、生前歴史に君臨した我々が獣のような争い
にただ黙って身をゆだねて果たして良いのか?出来うるならば神の真意を探り、
団結してそれに答えようというのが我々3人の考えだ。それには仲間を集め、
この島で一定の勢力を築かねばお話にならん。で、それにお前らも加わらんかとことだ。」
「・・・だ、そうです、陛下。」
ナポレオンからフランス語でフリードリヒに伝え、
フリードリヒからドイツ語でカールに伝え、
カールからラテン語でアウグストゥスに伝えるという長い会話が続く。
「・・この病身でよければ。そもそもローマ市民が拝む神は数知れぬもの。
1人の神が人々を思うように操り、殺し合いをさせるなどということが許されるかどうか。」
「・・・キリスト教徒としては抵抗がありますが、陛下が良いとおっしゃるなら。」
・・このあとナポレオンは二人の正体を知り、
さすがに傲慢な態度を慎むようになったという。
420 :
カエサル萌えの女:02/05/05 01:56
「そうか、あんたはドイツ人か」
自分が治療しているフリードリヒの声を聞いて、松本良順は
手を打った。
「ドイツ語が分かるのか?」
見るからに東洋人である人物の口から飛び出したドイツ語に、
フリードリヒは驚いていた。良順は
「ま、話す方は片言だけじゃが。あんたんとこの医学は進んでおった
からのう、特にご一新後、医学を学ぶには必須じゃった」
「私も、看護の技術を学ぶ際にはドイツに行きましたわ」
ナイチンゲールが応じて言った。
「そうか・・・我がドイツが・・・」
フリードリヒは嬉しそうな顔をしていた。良順は構わずに続けて
「ナポレオン陛下の甥である三世陛下にも、いささか世話になった。
ご存じないことだろうが礼を言う」
通訳経由で聞いたナポレオンは、頷いた。
「そうだろう。私の甥だからな」
「そろそろ診療所じゃな。油断するでないぞ。」
何時の間にかすっかり武則天がその場を取り仕切っていた。診療所と厩舎が隣り合
っている為か途中で馬を三頭捕らえる事に成功。今はそれに乗って診療所に向かっ
ていた。馬は聖徳太子の黒駒や磨墨といった名馬揃い。他にスールスやブーケファ
ラスも来ていたのだが、乗り手を選びそうな面々であった。
ルイ達は結局やって来なかった。三人、特にマリー・アントワネットの身が案じら
れたがぐずぐずしているとこちらの身まで危うくなる。
どうせ待つなら一応とはいえ中立地帯に行った方がまだ会える希望があった。怪我
を負っているのかもしれない。怪我で済んでいれば、の話であったが。
やがて想像していたよりも大きな建物が見えて来た。どうやら襲撃にも爆発にも遭
わずに辿り着けたらしい。しかしそこで突然悲鳴が聞こえて来た。
「ここで待っておれ!」「無事であったのは着くまでであったわ!」
女達にそう言うとライフルを構えた信長が、拳銃を握った清盛が飛び出し厩戸が無
言で後に続いた。
そろそろ佳境かも知れませんね。ただこう大人数だと残ったヤハウェ陣営を
相手にするには圧倒的過ぎる気がしますので上記の時点ですでに王達は立ち
去ったあとだったという事になさっても結構です。
423 :
世界@名無史さん:02/05/05 20:55
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧_∧ <馴れ合いは読んでて退屈だぞおめーら
( ´_ゝ`) \________
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_| ̄ ̄ \ / ヽ \_
\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \__)
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>423
ここのところマンネリ化していた様な気がしますね。しばらく頭を冷やしま
す。1さんも来ておられませんし。それとよろしければお話をどうぞ。
425 :
世界@名無史さん:02/05/06 02:55
マンネリっつーか只のキャラ溺愛同人みたいになってると思われ。
426 :
世界@名無史さん:02/05/06 10:47
山野さん>
そんなことを言わずに書き込みましょうよ。2ちゃんねるで言われたこと
真に受けてたら人生無駄に過ごすことになりますよ。
面白い展開になってきたと思うのですが
いえ、パソコンが使えるかどうかまた分からなくなりそうなものですから。
とりあえず人数を百人までに限定して、新キャラをどさっと入れたうえで
新しい方々も書いて下さると盛り上がりそうです。新規参入を求む。
428 :
世界@名無史さん:02/05/06 11:30
今70人くらいだよ。あと30人も参加させるのか?
429 :
世界@名無史さん:02/05/06 12:42
死ぬことの無いキャラ増やしても……
最後は反抗者への怒りのヤハウェのサンダーブレイク大量虐殺で幕引きでもするの?
トドメはメキドファイアーで島ごと焼き払い。
殺し合いによる急展開が望まれるようなので増やしましょうかと提案してみれば今
度は多過ぎると言われる。誰も死ぬ事の無いキャラとは言っておりませんが。
おまけにどの意見が誰の意見か分からない。どうすれば良いのやら。
431 :
世界@名無史さん:02/05/06 15:33
全てを真に受けるんでなくって、こういう風に見られてると適当に掻い摘んで受け止めていったらどうですか?
こういうのは不特定多数の意見な訳です。
>431
参考意見として考えさせて戴きます。ただああ言われるとこちらもつらい。
433 :
世界@名無史さん:02/05/06 15:58
かるーく受け流しちゃいなよ。
>>423なんて見ためからして完全に煽り(wなんだから。
434 :
世界@名無史さん:02/05/06 16:37
>>432 この手の辛い意見を乗越えて執筆できた時得られる経験値は通常時よりずっと多い。
是非頑張るべし。今成長時期なんだから良いチャンスだ。
お久しぶりです。休日一日つぶして書きましたわ。
>山野氏
全部のレスにマジな反応をするべきじゃないですよ。
世界史板は比較的治安がいいとはいえ、やっぱりここは2chなんすから。
しかし、俺が長らく留守にしてたんで、
一番執筆数の多い山野さんにクレームが行っちゃったのは申し訳ないです・・・(笑)
「しかし・・・。この2日間、私もよく見つからずに生き残れたな・・・。
しかし、こんな私にいったい何ができるのか。ほとんど生殺しとかわらんじゃないか。」
山奥のぼろけた小屋の中で、車椅子に乗ったF.ルーズベルトはぼやいていた。
彼は青年時代に発症したポリオの後遺症で下半身付随となり、後に大統領に当選した。
そのためか、今回の転生においても、ルーズベルトの下肢はぴくりとも動かないままだ。
「これは・・・。流石に神を恨むべきかな・・・。
まあ、初期状態からこの場所に配置してくれたのには感謝すべきなのかも知れないが・・・。」
武器として支給された虫除けスプレー(金鳥)、ほかに食料と水が3日分入ったカバンをぶらさげ、
ゲーム開始以来、車椅子の彼は山奥の小屋でじっとしているより他なかった。
単なる気まぐれにせよ、神もずいぶん酷な事をやってくれるものである。
時折、遠いところから銃声や爆発音が聞こえてくる。
「まさか、私が最後の一人になったりはするまいね・・・。展開としてつまらなすぎるな、それは。」
ひとりジョークを呟き、その肩にかかったケープを指先で玩びながら、さみしく笑う。
俺はいったい何をやっているんだ。
「あー。こうなったら、炉辺ラジオの新ネタでも考えるとするかね・・・。」
ルーズベルトが、ため息をつきながら頭を垂れたその時―――。
バタン。
<英雄番号45番 フランクリン・ルーズベルト登場>
山小屋の扉が乱暴に開き、姿を現した東洋人の男。
血に染まったシャツ、傷だらけの体、
妙に爛々とした光を湛えた目に、腐肉のこびり付いたナタを提げたその姿・・・。
一見して、その男が正気の人間ではないことは明らかだった。
「君、何の用かね。ノックくらいはするべきだろう?」
先ほどまでのダラケぶりとは一変し、
相手の目を見据えながら厳しい口調で言い放つルーズベルト。
下半身が利かないとはいえ、しゃんと背筋を伸ばしたその姿には相応の威厳がある。
「グゲッ、ゲッ・・・。クメールゥ・・・シアヌークゥゥ・・・。」
ハアハアと息を漏らしながら、闖入者は小屋の中へ足を踏み入れてきた。
どう見ても話のわかる相手ではなさそうだ。
ルーズベルトは尚も視線で相手を威圧しつつ、じりじりと車椅子を移動させた。
山小屋の中で向かい合う、アメリカ大統領と狂人・ポルポト。
びゅう。
開けっ放しのドアから風が吹き込み、2人の英雄(?)の頬をなでた。
それと同時に、ポルポトはナタを握る手に力を込める。
「クメールゥ・・・クッ、クメール・・・・ルージュゥゥッ―――!」
大統領の威嚇にも関わらず、ポルポトがナタを振り上げ、獲物に向かって突進すると―――。
ガバッ。
突如、彼の視界が真っ暗になった。
ルーズベルトが、肩のケープをポルポトの顔に向けて投げつけたのだ。
「グル・・グル・・グルガァァァァッ・・・!!」
もがくポルポトを尻目に、小屋の出口へ向けて全速力で車椅子をこぐルーズベルト。
小屋の外に出ても何かの当てがあるわけではなかったが、ともかくあの狂人から逃れることが先決だ。
ルーズベルトの車椅子は、
小屋から勢い良く飛び出すと、その速度そのままに山道をころがり落ちていった・・・。
「ちょっとー、ガンさーん。この人、まだ生きてはるわー。」
山の麓で、人民服を着た禿頭の男が、手を上げて仲間に合図した。
「どれどれ・・・。ああ、この程度の怪我なら、まだ助かりそうですね。洞窟に連れて帰りましょう。」
「―――やっぱそうしはるんですか・・・。あんた、ほんまにホトケみたいな人やね。
けど、このぶっ倒れとるオッサン、もし悪(わる)やったらどないしますねん。
うちら2人して返り討ちにあったら、シャレにもなりませんで。
ま、ガンさんにそんな事言うても無駄なんはわかってるけど・・・。」
「はは。いやいや・・・、この人はちょっと特別なんですよ。
あなたは早死にしたから面識がないかもしれないが、
この人は第二次大戦時の米国大統領・F.ルーズベルトという方ですからね。
私たちの事情と目的をよく話して聞かせれば、作戦面で貴重な協力者になってくれるかもしれない。
どちらにせよ、我々に危害を加えるような人ではないはずですよ。」
ガンさんと呼ばれたメガネの男はそう言うと、ルーズベルトを背負いあげた。
「さて、孫さん。洞窟に帰るとしましょうよ。」
ルーズベルトが目を開けると、東洋人の優しい瞳が、メガネを通して自分を見つめていた。
「あなたは・・・?」
東洋人は、起き上がろうとしたルーズベルトを手で制しながら、英語で穏やかに話しはじめた。
「大統領も、私の名前くらいはご存知かもしれませんが・・・。
私はインド人のガンディーと申します。
あなたや私が世を去って50年。インド、イギリス、アメリカ、ソビエト、日本・・・、
考えてみれば、世界もずいぶん変わりましたな・・・。」
ガンディーの話に、近くにいたもう一人の東洋人が口をはさんだ。
「そうです。で、世界に人間が増えすぎたとかで、神さんはワシら死人を叩き起こして、
このアホみたいなバトルロワイアルを開きはる・・・と。一体世の中どないなっとんねん・・・。
あ、すんません。自己紹介遅れました。わたし、中国人の孫文と申します。
孫中山でも、孫逸仙でも、大統領のお好きなように呼んでください。」
<英雄番号61番 マハートマ・ガンディー登場>
<英雄番号5番 孫中山(孫文)登場>
「君たちは、バトルロワイアルには参加しないのかね―――?」
尋ねたルーズベルトに、孫文は笑いながら答えた。
「参加するわけありますかいな。いっぺん死んだ者が現代に生き返って、一体何するんです?
中国にしたかて、今日でも革命未だ成ってへんと思いますけど、
わしがもっぺんしゃしゃり出ても何の解決にもなりませんがな。わしらはもう過去の人間ですよ。
うちらがやろうとしてるのは・・・、ねえ。ガンさん?」
イタズラを計画する子供のような眼差しで、孫文は隣のガンディーを見た。
この男が革命を準備するときも、ひょっとしたらこんな表情をしていたのだろうか。
「大統領。私たちがやろうとしているのはですね・・・。
このゲームの『強制終了』なのです。『強制終了』により、現在生きている英雄を全員解放する・・・」
『強制終了』という単語にわざと力をこめて発音し、ガンディーは言った。
「そもそもこの種の英雄バトルロワイアルは、
これまでにも定期的にヤハウェの手によって開催されていたようなのです。
初代バトロワの優勝者は、イエス・キリスト。
(もっとも、死んだ直後に本人として転生させる方式は、色々な面でちょっと都合が悪かったらしく、
第二回目優勝者からは別人として転生させているようですが・・・。)
このゲームは、ヤハウェの最大の趣味であり、試練を通した参加者の信仰心を試すと同時に、
かつ、キリスト教世界やイスラーム世界の社会的新陳代謝を活発にするという意味合いを持っていたようです。」
しかし、今回我々が巻き込まれたこのバトルロワイアルは、
従来のそれと比べて、質的にも量的にも大きく異なっているのです。例えば・・・」
ルーズベルトは頭をもたげた。
「”啓典の民”以外の民が参加している・・・。違うかね?」
「さすが大統領。その通りです。従来のゲームにおいては、啓典の民と、
場合によってはヤハウェによる改宗地域に原住していた異教徒の英雄(ex.ローマ人・ギリシャ人など)のみが
エントリーの対象とされていました。
しかし、今回は、我々のようなインド人や中国人―――完全な異教徒まで強制参加させられている。
また、参加人数に関しても、従来の42人に比べ、倍以上に増えています。
これは彼の単なる気まぐれによるものなのか、それとも何か目的を持っての行動なのか―――?」
「ともかくここで押さえとくべきなんは、
こういうヤハウェの態度は、他の神さんにとったらウザっとうてかなわん、ちゅうことなんすわ。
なんやら、神さんの世界にもそれなりに縄張りってもんがあるみたいでしてね。
自分とこの英雄が、余所の神さんに勝手に転生させられて殺されたら、ほら腹立ちますやろ。」
孫文の言葉に、ルーズベルトは大きく頷いた。
「なら―――、君たちの言う『強制終了』とは、どうやるんだね?」
ガンディーが答える。
「他の神々を刺激し、ヤハウェの力に圧力をかけさせ、
彼の持つ雷撃能力とテレパシー盗聴能力を一時的にでも奪います。
その間に、小学校の中で人間の姿に実体化しているヤハウェの元へ突入し・・・、
そして・・・、えーと・・・、あのー・・・。」
何故か口篭もったガンディーを押しとどめ、孫文が言葉を続けた。
「・・・平たく言えばヤハウェをぶったおす。ちゅうことですわ。
ガンさん、サティーヤグラハの理想は分かるけど、場合が場合や。納得してくれ。」
「わかった。では、どの神の力によって、ヤハウェの力を奪うんだい?
あのヤハウェの力は強大だ。現実問題として、実現は可能なのかね―――。」
世界恐慌と第二次大戦を戦い抜いた大統領だけのことはあり、
ルーズベルトの思考はあくまでも現実的なアプローチを忘れない。
「それに関しての選択は、非常に難しいところですが・・・。
わがインドのシヴァ神を使えば、15〜30分程度の間ヤハウェの能力を奪うことは可能でしょう。」
「うちら中国の馬祖やら関帝を使こてもええんやけど、
あの人らは全然縄張りの意識がないからアカンやろね。
その点、ヤハウェと仲悪うてヤキモチ焼きのシヴァさんやったら・・・。」
なるほど、と、ルーズベルトは頷いた。その表情を確認し、ガンディーは続ける。
「実現に関しては、まだまだ人数不足です。
しかし、現在、この島の中で幾人かの英雄たちは、お互いに同盟を結んでいるようです。
かれらのひとつと接触して、我らの目的を説き、共同行動を促せば・・・。」
孫文が続けて言った。
「それでです。交渉には、弁が立つルーズベルトさんが参加してくれはると、非常に心強いと。」
「わかった。喜んで協力させてもらうよ。」
ルーズベルトは快活に笑い、同意した。
「ところで、最後にもうひとつ聞きたいが、いいかね?
君たちは、今私に話してくれた知識をどこで手に入れたんだい―――」
彼にとっては無邪気な質問だったのだが、
これを聞いたガンディーは世にも悲しそうな表情を浮かべ、力なく頭を垂れた。
「ブッダが・・・、ブッダが教えて下さったのです・・・。」
「うちは孔子から聞きました・・・。」
ルーズベルトは、二日目の朝に聞いた、拡声器を通したマシンガンの銃声を思い出した。
「かれらは、一日目の時点で情報を収集し尽くし、我々にすべてを語って下さり、
私にシヴァとの交信方法を伝授なさった上で、自ら高台に上ってゆかれたのです。
『私たちは人間を信じたい』とおっしゃって・・・・・。」
洞窟の中は、厳粛な雰囲気で包まれた。
いやはや。GWの1日を2chに費やしてしまいました・・・。
ちなみに、一時期まったくカキコができなかったのは、パソコンが壊れたからです(実話)
ヤハウェの呪いか・・・。
ところで、次回の長文カキコはいつできるかわかりません。
「1」「1」コールは控えめにして、長い目で見てください(スマソ)
僕が今日出した設定は、どう使って下さっても結構です。
444 :
世界@名無史さん:02/05/06 17:42
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧_∧ <おもしれーぞオメーラ
( ´_ゝ`) \________
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_| ̄ ̄ \ / ヽ \_
\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \__)
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>445
失礼。
5番→55番で。
447 :
世界@名無史さん:02/05/07 00:29
島の沖合には、監視艇が配置されていた。
東の沖合にある監視艇の艇長であるネルソンは、
西に配置されている東郷と思念波で連絡をとっていた。
話題は北側に配置されていた李舜臣が乱心し、
監視艇を自爆させ消息を絶った後、
新たに配置されたデーニッツの乗艦がなぜか潜水艇であり、
索敵能力が著しく劣るためどうやってフォローするかであった。
すでに、自爆騒ぎの間に一隻に包囲網を突破され、
総指揮官ニミッツは神の雷撃によって粛清されてしっまていた。
南側には、その代わりにハルゼーが召喚されていた。
彼ら4人が受けた神からの勅命は、
島から逃げるものを、殲滅せよというものであった。
島の周りには4人の提督が配置されています。
島から逃げようとする人は気をつけてください。
ちなみに彼らの乗艦は1人乗りで、
思考制御で操作されています。
実を言うとナポレオンにあんな偉そうなこと言わせておきながら
「どうやって神を倒すか」についてトンと良いアイデアが出ず、
多少行き詰まりを感じていた頃でして、
その点
>>425はこたえるものがありましてね。
でも、1さんのアイデアでようやく突破点が見つかったというか、
さすが1さん、要所要所はきちんと締めますね。
さてこちらはマターリと・・いかないな。山野さんと第3ラウンドか。
「さて、同盟成立ということで武器を確認させてくれ。」
「うむ、私はこんな面白いものだ。」
そういってアウグストゥスが差し出したのはフレイル。
http://member.nifty.ne.jp/bintaro/touken/flaill.htm 「使ってはみたんだが、振り回されたのは私の身体のほうだった。
だから木の枝を切って剣に見せかけたのだが・・・。」
「サーベルの一撃で切れる剣など剣とは言えんね。」
「まったくだ。」
「カールのほうは?」
「これが全く分からんのだ。」
そういってカールが差し出したのはV字型に折れ曲がった硬く平たい木の棒だった。
「・・・これは・・・。」
「貸せ。こんなものいらんわ。」
そういってピョートルはそれを窓から放り投げた・・はずが、その棒は空中でUターンし、
彼の後頭部を直撃した。
「ぐわ!こ、これは一体・・・。」
と、アウグストゥスが目を輝かせて叫んだ。
「そ・・そうか、そういうことだったのか・・・これなら私にも・・・
カールよ、ぜひ武器を交換してくれ!」
ささやかな攻撃力強化が行われるや否や
「貴様ら、早く装備を整えろ!何か来るぞ!!」
見張り役のナポレオンが叫ぶ。
>>447 >自爆騒ぎの間に一隻に包囲網を突破され
誰かが島の外へ脱出あるいは外部から島へ上陸した人がいるという意味ですか?
「ど、どうする?」
「・・前戦った奴らだ。
我々は想像以上に強力な敵にけんかを売ったらしいな。」
「馬に乗っていたのが幸いだったな、
これが徒歩でそっとこられたら目も当てられんところだった。」
「どうしたんだ3人とも、あいつら何者なのだ?」
「顔なじみさ。」
「この島で顔なじみとはね・・・で、どうする?」
「退却だ。」
「結構なことだが、連中が馬で来るとなると・・・追いつかれるぞ。」
「俺が食い止める。」
そういって立ったのはピョートル大帝。
「元はといえば軽はずみに復讐を仕掛けようと提案したのは俺。
よってこの場で償わせてもらう。」
「・・・何をいっても聞かなさそうだな。
だが、相手は多人数。1人では少ない。私も残ろう。」
そういうとフリードリヒはショットガンの手入れを始めた。
「勝手に決めよってからに・・・。」
「直接関係ない二人を戦わせるのはどうも気がひけてな。
それにグループ云々を言い出したのはナポレオン、お前だろう。
何度でも再建して、必ず目的を達成しろよ。・・何、相手も人間。
適当に相手して逃げてやるさ。」
「・・・では、待ち合わせ場所は・・よし、海岸のピョートルが作った船のところにしよう。
・・じゃあな。」
「・・・何だか分からんが、ご武運を。」
「・・・生きてまた会えることを心から願っているよ。ああ、お三方、長々失礼した。」
「「「はあ・・・。」」」
戦いの火蓋が切って落とされようとしている。
450 :
世界@名無史さん:02/05/07 10:42
「誰かいるのか?」
訛りのある英語で、洞窟の入り口から声がした。
「誰だ?」
問い返したのはルーズベルト。
「スカルノだ。初代インドネシア大統領。お前たちこそ何者だ?」
声の主はそう応じた。ガンジーが、これは幸いと説明をはじめる。
「私はガンジーです。でもってこちらが孫文さんにルーズベルトさん。
あ、ルーズベルトと言ってもフランクリンさんの方です」
「ガンジーというと、マハトマ・ガンジーか」
声に、どこかしら親しげな響きがこもっている。同じく宗主国に対して
独立闘争を戦った者同士、手段は違えどどこか通じ合うものがあるのだろう。
「はい。そう呼ばれておりますガンジーです」
スカルノは奥に歩いて来て、ガンジーや孫文と握手を交わした。
「で、何の用でここに?」
一人握手されなかったルーズベルトが、冷ややかな口調で聞いた。
「実は本を置きに来た」
「本?」
「ああ。ここにある三冊だが、かなり重い。行動に差し支えが出ると
思ったんだ」
確かに、スカルノが袋の中から出した三冊はそれぞれが非常に重かった。
「これはどこで・・・?」
「島外れの小屋が燃えた跡から見つけた」
洞窟にもとからいた三人は、顔を見合わせた。
451 :
世界@名無史さん:02/05/07 11:33
「おかしいですわ、ガンさん」
と、ややあって孫文は言った。
「あなたもそう思いますか」
ガンジーが応じる。
「普通、紙の本やったら火事があったら燃えますやろ」
「焦げ付いた様子もないですし、確かにおかしいですね」
そして自ずと、視線はスカルノの方に向かう。
「そう言えば、本棚や机らしいものは燃えていたな。
・・・ということは、だ」
「ヤハウェの作った本かも知れん、ということだ」
ルーズベルトの言葉に、三人は静かに頷いた。
推測の域を出ない、ということで本の材質に関する追求は避け、
ガンジーはスカルノに自分たちの計画を話した。
「なるほど。だが・・・」
「だが?」
「こうなるに至った神側の事情について、私には思い当たる節がある」
スカルノはそう言って、本を取り出した。
「つまり、このままでは啓典の民たちが共倒れになってしまう
恐れがある、と?」
「そういうことだ。もはや信仰の厚さが仇にさえなっている」
宗教上の聖戦・ジハードの名の下に繰り返される自爆テロ、そして
テロに対する報復という名目での虐殺。それらが皆、同じ啓典
の民の間で繰り広げられているのだ。このままではどれかが、
或いは三方いずれも、回復不可能な傷を受けかねない。
「恐らく、自分の信徒内でなどとこだわっていられる事態では
なくなったのだろう」
「それはそれで、随分勝手な話ですわな」
孫文が呟くように言った。
「自分がそれぞれに別の啓示を出しておいて、今さら・・・ねえ」
「確かに、それはそうだな」
スカルノが同意し、これで同盟は成立した。
英雄番号70番 スカルノ 生存確認
「・・・というわけです。いかがですか?」
「おおっ、もちろんぜ。神様ありがとうよ。」
背広をびしっと着こなした中年の男が神の前で葉巻を燻らせている。
「大いに期待していますよ。さて、あなたの武器ですが・・。」
「それはリクエストさせてくれよ。いいだろう?」
「しょうがありませんね・・・。」
渡された武器を片手に、男は学校を出て行った。
「てこ入れを行う時期ですか・・・復活させたものの、
ゲームには参加させず眠らせておいたものがこんなときに役に立つとは・・・。
どうも最近参加者の間で妙な動きがありますからね・・・。」
男は久しぶりの現世に胸が躍っていた。
「蘇るたぁ、思いもしなかったなあ。へへ、せいぜい楽しまねえと・・・。」
トンプソンマシンガンを空へ向けて発射してみた。
バババババババ!!
「いやーこの感触も久しぶりだ。腕が鳴るぜ。しーかし、今度の相手は歴史の偉人樣たあなあ。
こりゃ楽しみだ。なんてったって奴らは俺なんぞ足元にも及ばない犯罪者どもだ。
まともな裁判受けりゃ殺人罪だけで数百回は死刑になってるはずだ。そのくせ肖像画や教科書の中じゃ
偉人でございとばかりにふんぞり返ってやがる。」
男は倉庫に入っていき、ジープに乗り込んだ。
「俺の時代とだいぶ違うが・・・基本はいっしょだな。」
エンジンがかかり、車はゆっくりと動き出した。
「さあ、犯罪者も偽善者もみんな片付けてやる。」
英雄番号88番 アル・カポネ参戦
ヤハウェ側の英雄としてアウラングゼーブの参戦きぼん
武器は軍用象あたりで。
私、文才ないのねん。
アホ書いてしまったみたいですね、私。
ごめんなさい
457 :
カエサル萌えの女:02/05/08 23:50
「・・・?」
無人の集落を歩いていたアドルフ・ヒトラーは、妙な気配に感づいた。
「!!!」
急いで逃れようと、走り始めた数秒後。
集落の一角が、爆発した。
「ふむ、成功成功」
「導火線の調節もうまく行ったらしいな」
近くの野原で話していたのは、小ブッシュとヨハネス二十一世。
「誰か一人、ちょびひげの男が歩いていたが・・・誰だろうな」
ヨハネス二十一世が、首を傾げて小ブッシュに問う。
「さあ・・・」
確か学校で習ったことのあるような顔だが、思い出せない。
やがてポンと手を打って言うには
「喜劇俳優のチャップリンだ。映画で見た」
「映画?」
首を傾げるヨハネスが、銃声と共にばったり倒れ込んだ。
「おい・・・おい!」
小ブッシュが青くなって揺さぶるも、銃弾が後頭部を直撃して絶命している。
「よくも私を狙ったな」
と、そこに背後から声がした。ブッシュが振り返ると、
例のちょびひげの男だ。
「誰だ!?」
「ドイツ第三帝国総統、アドルフ・ヒトラーだ!」
一閃。
小ブッシュの首は、永遠にその胴体を離れた。
「ついて来ておるな、フレデゴンド。」「ここにおりますわ、女帝陛下。」
高揚した気分で雲上を行く様に軽やかな足取りの武則天。その後についているフレ
デゴンドは諦めムードであった。
診療所でとんでもないものを目にした一行。その騒動を聞きつけて戻って来たのは
件の男達を目にした女帝が駆け出し、金髪も成り行き上後を追った。
「でも大丈夫なのかしら?私達だけで来て。」「安心せい。あやつ等慌てて念語で
語っておった。今は『目当て』の大男とおまけだけじゃ。」
舌なめずりをする相棒の姿を見て、フレデゴンドは気がついた。
『やっぱり話し合いも大切ね・・・。まずは誤解を解きますか。」
>>455 アウラングゼーブはかなりイスラム原理主義入ってますからね。
(おかげでヒンズー教徒であるラージプート族やマラータ族の大反乱を招いた。)
ヤハウェ側からしてもためらうものがあるかと。
ナポレオンたち3人は一心不乱にかけていた。死地に残った二人のためにも
ここは生き延びなければならない。
しかし、全盛期の体力を持ち、診療所で大田胃散を服用して体力も回復したとはいえ、
アウグストゥスにも限界が近づきつつあった。
二人の姿は徐々に木々の間に隠れていき、遂に消えてしまった。
「はあ・・はあ・・な、何という事だ・・・。」
破裂しそうな心臓を手で抑えつつ、彼は立ち止まってしまい・・・そしてゆっくりと倒れた。
「ぜい・・ぜい・・残念だがここまでだな。到底船のところまでは・・。」
徐々に薄れていく意識の中で、ふと視界に偉大な義父の顔が見えてきた。
「ああ、義父上・・残念ですが、またそちらに戻ることになりそうです・・・!?」
カエサルの周りには他にも男と女が1人づつ付き添い、心配そうな顔をしている。
彼らの顔には全く記憶がないし、服装もローマのそれではない。
「ち、義父上・・・その者たちは何者・・・」
ゆっくりと彼の意識は薄れていった。
461 :
カエサル萌えの女:02/05/11 12:23
>>459で出て来たカエサル一行の繋ぎ&その後の話です。
『本が本当に燃えたかどうか、確認しに行く』
それから数時間前、イエスはいきなり言い出していた。
『しかし、火事にあったとなれば燃えていると考えるのが普通だが』
興味なさげに応じたのは、ヴァレンシュタイン。
『いや・・・私が聞いた話では、この島のどこかに燃えない紙で
出来た本があるらしい。それがひょっとしたら、あの者が
言っていたものかも知れん』
「燃えない紙、か」
カエサルがそう口に出した。
「私も行こう。傭兵、お前はここでエリザベスについててくれ」
「私も行きます!」
エリザベスはそう叫んでいた。
「この島では出来るだけ肉声で喋った方がいいみたいだし・・・
そうなるとラテン語が通じる相手とは限らないでしょう。
通訳程度は出来ますから」
「足手纏いになる。やめておけ」
ヴァレンシュタインが冷たく言い放つ。エリザベスはかっとして
「お黙り、この傭兵!」
「・・・分かった」
カエサルが苦笑混じりに言った。
「火災の後を確かめに行くだけだ、偶発戦時に大人しくしてくれれば
大したことはあるまい」
「分かりました。物陰にでも隠れておきますわ」
喜色を浮かべて応じるエリザベスに、ヴァレンシュタインは
不満そうに顔を背けた。
「言っておくが、俺は反対だぞ。あんな我がまま女」
「お黙りと何度言えば分かるの、お前は!」
その声を無視して、彼は横になってしまった。カエサルが近付いて、
小声で言う。
「ここを頼む。異変があったらすぐ戻る」
「──分かった」
そしてカエサルは、イエスやエリザベスと共に警戒網の外に出た。
462 :
カエサル萌えの女:02/05/11 12:26
イエスの持っていた古地図により、カエサル達は森の中を横断して
行くことにした。その方が直線距離としては近い、と判断したためだ。
イエスが先頭に立ち、カエサルがエリザベスの手を引いて連れて行く。
森の中に入り込んだところで、かなりの勢いで駆けてくる音に気づいた。
物陰に隠れて見ていると、二人の戦士──一人は背が高い騎士風だが
もう一人は背の低い男──が駆けてくる。やり過ごして山道に出た途端、
カエサルは自分の養子の姿に気づいた。
「オクタヴィアヌス!?」
息も絶え絶え、心臓を押さえ、ゆっくりと倒れ込んだ彼の姿に
びっくりして駆け寄る。船がどうしたとか聞いた気もするが、
今はそれどころではない。
足下で立ち止まり、自分たちに気づいたらしいオクタヴィアヌスの呟きを
聞きつつ助け起こそうとしたが、彼は気を失っていた。
「オクタヴィアヌスと、言われましたわね」
取りあえず山道から離れた場所に彼を運び出し、仰向けに寝せたカエサルに
エリザベスが聞いた。
「ああ。私の養子だ」
「ということは、アウグストゥスと呼ばれる者でもあるわけだ」
イエスが言う。カエサルは首を傾げた。
「アウグストゥス?」
言葉としての意味は分かるが──
「ローマ帝国の初代皇帝ですの、このお方は」
エリザベスが言い、カエサルの死後からオクタヴィアヌスが
アウグストゥスになるまでの経緯を簡単に説明した。
463 :
カエサル萌えの女:02/05/11 12:28
「そうか。傭兵に言われて見当はついていたが──」
話を聞いたカエサルは息をついた。そして反対側のイエスを見やって
「それにしても、済まんな、イエス」
とんでもない道草を食わせてしまって、と謝罪する。
「いや、いい。それにしても、船がどうしたとか言っていたな」
「う・・・」
そこで、オクタヴィアヌスが目覚めた。自分の居場所を確認する
かのように、ゆっくりと周囲を見回す。
「目覚めたか、オクタヴィアヌス」
聞き覚えのある声に、そちらを向く。
「義父上・・・。どうしてここに?」
「分からん」
あっさり言い放ち、カエサルは笑った。その陽気さが苦境に
陥った兵士たちを励まし、力付けて来たと言われる笑顔だ。
「ヤハウェとか言う神に転生させられた。お前もそうだろう?」
「ええ・・・。それはそうとその二人は?」
横になったまま、オクタヴィアヌスは聞いた。
「女の方はエリザベスという名前だ。でもって男の方は」
「ユダヤ人だ」
イエスが片言の、下手なラテン語で言う。自己紹介のとき
カエサルが通訳するのを聞いていて、それだけは覚えたらしい。
「ユダヤ人、か。義父上らしい」
誰に対しても寛容だったカエサルである。オクタヴィアヌスは
それだけで納得し、自分で起き上がって座った。
『それにしても、さっき言っていた船の話だが』
と、イエスが心で話し掛けた。
『ああ、あのことか・・・。私はもういいんだ。彼らも、私のことは
死んだと思っているだろうから』
応じた瞬間、がさごそという音と共に人の気配がした。
映画しか見て無いんで、バトロワの漫画版を一巻から五巻まで買って来てみたけど、
あっという間に読めた・・・・・面白かった・・・・・。
次は原作と・・・展開している話を理解する作業だなw
>>464 素晴らしいあらすじを期待しています。がんばってください。
「やはり出身地を問わず一筋縄ではいかん連中ばかり集めよったことはある。
銃を使いこなしておるか・・・
ピョートル、さっき言ったとおりにやるぞ。」
「よっしゃ・・・ウラー!!」
ピョートルはロシアの伝統的な叫び声とともに斧を振り回し、
フリードリヒは銃を2、3発発射した。
慌てて駆け出していく馬を見て、フリードリヒはにんまりと微笑んだ。
「人は銃を知ってても馬はな・・・。しかしこうもうまくいくとは。」
馬はもともと音に敏感な動物である。ましてや彼は知る由もなかったが
敵の乗った名馬は火器がこの世に姿を現していない時代のもの。
主人と一体となりうる名馬といえどもパニックにならないはずはなかった。
「よし、奴らの足止めが出来そうだ。」
「慌てて診療所から出てきたのなら不意打ちをかけるまで・・・ぬおっ!?」
と、ピョートルの顔面に石が命中した。
振り返ると遠くから女性二人が正確なコントロールで石を投げている。
「大丈夫かピョートル・・!!」
かつて東洋人の女につけられた額の傷の一部が裂け、
流れ出した血で彼はすさまじい形相をしていた。
「あの女・・・1度ならず2度までも・・・フリードリヒ、先に行け。
俺はあの女の顔の皮を剥いでから追いかける。」
「ああ・・こらやめろ!!」
かまわずピョートルは駆け出していった。
「ええくそ・・」
診療所からも男達3人が飛び出してきた。逃げる馬を抑える1人を除いて、
残る2人はこちらへ発砲しながら追いかけてくる。
「挑発に乗りおって・・・何もかもむちゃくちゃだ!」
毒づきながらフリードリヒは距離を置いた牽制射撃に徹し、やがてその姿を森へ消していった。
ザク、ザク、ザク・・・。
突然足音が止まった。フビライが目を上げると、
そこには西洋人の大男が笑いながら立っていた。
「・・何故殺さん?」
「タタール人にも分かるように説明してやろう。貴様は狩をする時、家畜を狩って嬉しいか?」
「ふっ、殺す価値もないということだな?」
「今の貴様にはな。自殺したいというなら止めんが、
何が勇猛だけがとりえのタタール人をそこまでにしたのか、興味があるな。」
「戦いに敗れ、仲間を見捨ててしまった・・・。
かつて世界のほとんどを制したこの私がだ。それだけだ。」
「はっはっはっはっ・・・この大ばか者が!!そこまでされて悔しくはないのか?
私が貴様なら、どんなことをしてでもそいつらを打ち負かし、捕らえ、
あらん限りの拷問であの世に送る!!」
「・・協力してくれるのか?」
「馬鹿を言うな!だが、私は神の御心に従い、このゲームを最後までやり遂げるつもりだ。
となると、必然的にそいつらへの攻撃もあり得る。
付いてきたければよし、いやなら勝手にくたばれ。それだけだ。」
男が自分を利用しようとしていることはフビライにはすぐに見当がついた。
だが、彼も大ハンとしてこのまま下がってはいられない。この男の話に乗ったふりをして、
分が悪くなったら切り捨てるのも一つの手だろう。
「そこまで言われて黙ってはおられんな。わしも再び戦いに赴くとしよう。」
467 :
世界@名無史さん:02/05/13 19:27
あげ
468 :
世界@名無史さん:02/05/14 00:46
age
気付いてるかね職人達は。
469 :
世界@名無史さん:02/05/14 11:36
揚げ
470 :
カエサル萌えの女:02/05/14 17:00
「それにしても、随分ひどい爆発だったな」
と、ヒトラーは呟いた。
集落は半壊、幸いにして自分は逃れたものの未だに煙がもうもうと
立ち上っている状態である。
「あれはダイナマイトとしか思えんが・・・この二人はどこから
入手したんだ?」
足下で死体となっている二人を見て、ヒトラーは息をつき、数秒考え----
声を立てて笑い出した。
「所詮、この二人には過ぎた武器だったということか。私に所有せよと、
神は仰せなのだな」
ヒトラーの瞳に、狂気の光が宿った。いや、蘇ったと言っていい。
「ダイナマイトを探しに行き、その威力でこの島を支配する。そして
島外に侵出し、今度こそユダヤ人どもを根絶やしにし、第四帝国を
築き上げるのだ!」
決意を固め、ヒトラーはその場を離れた。
471 :
カエサル萌えの女:02/05/14 17:08
ダイナマイトに関しては、ブッシュやヨハネスが必要に応じて
持てる分だけ運び出していたという設定にしてます。
なので、まだ大部分は当初二人が発見した場所にあります。
ヒトラーが取る前に他の人が取っても可です。
・・・というか取ってくれ・・・
このスレ内での伍長閣下ってこんなキャラだったっけ?反共産って意味では間違いなく狂ってたけど。
・・・いや、どうせヒトラー書くならこれくらいしないと、
と思いまして。
はっきり言って共産主義関係者で生き残りはポルポトくらいのものだし、
そのポルポトもああいうキャラだと「撹乱要員」くらいにしかならない。
そう考えていった場合、これからの戦闘の目的が「生き残るため」
ってのは、まともすぎてヒトラーらしくないなと。
作中では、ダイナマイトの存在を知ったことで別の狂気が目覚めた、
という風に考えて下さい。
ふむ。彼のやったことって統制経済だから反共産って言ってもあんまかわんない気もするな。
(統制経済は麻薬みたいなもんだから最初はものすごく効くが、後は破滅が待つ。北朝鮮だって昔は韓国より豊かだった)
弾圧もやったし、ユダヤ人を閉じ込める政策(ユダヤは『異教徒』だから昔のヨーロッパでは確かにあったが・・。)やら悪事の限りをやるにはやったが、
それでもドイツの経済復興に大いに貢献してるし、昨今の説では迫害はした、結果的に大量の死者を出したがガス室で虐殺まではやってないらしい・・。
死ぬ間際にも日本の勝利の為ウランを送ってくれた恩もあるが・・・まぁ今から定番の『狂った独裁者』イメージでっと。
まともでかっこいいヒトラーって新鮮で好きだったんでつい横槍しちゃった。スマソ。
あと。カエサルをもっと活躍させて欲しい・・。
ブリュヌオーは最初に出会った男達のことを思い起こしていた。
フリードリヒと呼ばれていた男は目つきからして自分の正体を知っていた。これは論外。
ナポレオンと呼ばれていた男は百戦錬磨の武人といった雰囲気だ。
小男だが、鋭い眼光から強いエネルギーと意志を感じる。
ピョートルと呼ばれている男は全身筋肉で覆われた大男。
だが、自分の配下にもいた脳みそまで筋肉で出来ている単細胞とは器が違う。
しばらく考えたあと、彼女は彼らと別れたことは間違っていなかったと思った。
自分の正体を知っている人間がいるのは致命的だったし、
残りの二人も利用されていることを知ればためらわず襲い掛かってきただろう。
馬のいななく声が響いてきた時、彼女は反射的に振り返った。
美しいブルーの瞳には狂気じみた光が宿っている。
「どこへ!?」
「馬・・馬よ・・・馬が必要なのよ・・あの女に思い知らせるためには。馬・・馬。」
彼女はテレジアがとめるのも聞かず森の中に溶け込むように消えた。
「当てどもなくさまよってもどうにもなりませんなあ。」
「ふむ、他の馬の痕跡すら見つからん。どうしたものか・・。」
「まあ、向こうの渓流で馬に水を飲ませましょう。それから・・・」
ゆっくり考えましょうと言おうとした文天祥の頬に生暖かいものがかかった。
「!?・・・!!」
生暖かいものは血だった。さっきまで元気に馬にまたがっていた張騫が血まみれの手で喉を抑えてもがいている。
彼の背中にいつのまにかいる小柄な人影・・・女か!?と、人影は馬からジャンプし、
とび蹴りを彼の頭に決めた。
「がふっ・・!」
たまらず落馬した彼はそのまま意識を失った。
文天祥が目を覚ますと、張騫の亡骸が無造作に転がされているのが目に入った。
当然、馬は影も形もない。自分の装備と馬が残っているだけ奇跡というものだろう。
「く、くそう、くそーーー!」
何も出来なかった自分に我慢ならず、文天祥はただ叫ぶしかなかった。
(英雄番号 40番 張騫 死亡)
>>466の「西洋人の大男」っていうのはイヴァン雷帝の事ね。念のため。
ドンドン暴れさせてください。
「ふうーっ。いなくなったか。」
ため息をつき、藪の中からフリードリヒが姿をあらわした。
「ピョートル・・・短い付き合いだったな・・・。」
地図を眺めつつ、彼は目的地へ向かってゆっくりと歩き出した。
と、爪先に硬いものがあたった。
「!?・・・ふむ、私の運はまだ尽きていないと見える。」
地面に落ちていた銃を拾い上げ(項羽の物。
>>238を参照のこと。)
彼はつぶやいた。また独りぼっちになってしまったが幸い今度は銃があるし、
弾もまだだいぶ残っている。仲間も無事にたどり着いているだろう。
と、前方から人の足音が聞こえてきた。
フリードリヒが身構えるまもなくそれはすさまじい勢いで走り去っていった。
「な・・あれはブリュヌオー・・・よしよし、疫病神も遠くに去りにけり、だ。」
しかし安心するのはまだ早かった。
ブリュヌオーが来た方角から複数の足音が聞こえてきたからだ。
そしてその中に忘れようもない声が・・・
声を聞いた瞬間、彼は反射的に引き金を引き絞っていた。
ろくに照準もしないで放たれた散弾の塊が近くの大木の幹をえぐった。
(ここから先は全部ドイツ語よー。)
「よーし2人と1匹、そのまま動くな。」
驚くマリア・テレジアとその仲間達。しかし彼女は彼のまとっている軍服で
全てを察した。よりによってあの男もいるとは。
「な・・・あなたはフリードリヒ2世!
あなたのような小物が何でここにいるのよ!?」
「その台詞そのままそちらへ返すね。」
「ふん・・・あなたのほうこそいつまで偉そうにしてられるかしら?」
「う・・・」
見るとルーデンドルフがライフルを、乃木は刀をそれぞれ彼に突きつけている
・・・が、そのまま動こうとしない。
「ど、どうした動かんのか・・・
は、テレジアよ、貴様ごときに人質の価値があるとはな。」
「お黙りなさい。まさしく7年戦争と同じ展開。
一人ぼっちのあなたに勝ち目はありませんことよ。」
これを見ていたルーデンドルフは恐る恐る切り出す。
「陛下・・・」
「何?」「何だ?」
「い、いや私はどちらにも言ったもので・・・。」
「いまさら昔の事を持ち出してどうするというのじゃ!」
乃木の一喝が飛んできた。
「お二方がかつて演じた壮絶なる争い、この乃木も知らぬわけではない。
じゃが今、我々は無駄な争いを避け、この島を脱出するのが第一としておる。
フリードリヒ2世陛下、銃を下ろしてくだされ。
さすれば決して手出しはせぬこと約束する。
マリア・テレジア陛下、あなたが戦うのは勝手。
じゃが、必要の無い戦いにわしらを巻き込むことだけはおやめくだされ。」
「むう・・・よかろう、では1,2,3で・・・。」
ようやく動けるようになった。簡単な自己紹介を終えた後、
リクルートに励むべくフリードリヒはさっそく話を切り出した。
「脱出するとかいってたな・・・あてはあるのか?」
「それを言われると辛いですな。
まあ、海岸へ出て船を作れる者をあたってみるつもりですが・・・。」
「あなたみたいに戦闘、戦闘、戦闘だけじゃないから、いろいろと大変よ。」
「ふん、ぬかせ。いいか、私のはそんなちんけな計画じゃなくてだな・・・。」
「・・・驚いたわ。まさに神をも恐れぬ男ね。その人は。」
「うむ、よほどの武人で無いとあんな夢は語れぬ。ルーデンドルフよ、そういう男に心当たりはあるか?」
「あるにはありますが・・・。
(ナポレオンがドイツでしたことを考えると、迂闊なことは言えんな・・・)」
「まあいい。ということで二方を勇猛果敢なる軍人と見込んでぜひ参加してもらいたい。」
「な・・・勝手にそんなことを!」
「まさに七年戦争。引き抜かれたら当てにならん仲間を持ったことでも恨むことだな。
で、そちらの返事は?」
二人の軍人は困惑しつつ、
「老骨に勤まりますやら・・・それにやはりテレジア陛下もお守りせねば・・・。」
「同感です。実は私の時代ではオーストリアは同盟国。そのような仕打ちは出来ません。」
「くう・・形勢逆転か。よろしい、ならば女帝陛下も付いてきてよいぞ。
今度は死に顔をきっちり見取ってやるからな。」
「あなたの許可などもらうつもりはありません。私は仲間と共に行く、それだけです。」
前途多難。
480 :
世界@名無史さん:02/05/17 20:28
禁止エリアは発動されないのですか?
481 :
世界@名無史さん:02/05/17 21:23
文天祥は亡き友の遺体を葬るための墓作りを始めていた。
その時、南の山の方から中国語が聞こえてきた。
482 :
世界@名無史さん:02/05/17 21:34
南の山頂に一人の男が登ってきた。
彼は途中で拾った拡声器を取り出すと、
「項羽出て来い!中華最強をかけて、この楊大眼と勝負しろ!」
と、中国語で叫びだした。
項羽が来るまで山頂にとどまり叫び続けます。
<英雄番号65番 楊大眼 参戦>
484 :
カエサル萌えの女:02/05/18 11:02
音に気づいた途端、一人の男がいきなり現れ、襲いかかってきた。
「クッ・・・」
かわし損ねたオクタヴィアヌスが、腕に傷を負った。
「オクタヴィアヌス!」
叫んだカエサルを何故か無視して、その男は奥のイエスに狙いを定めた。
「ク・・・クメール・・・ルージュゥ!」
「キャ!」
脇にいたエリザベスを跳ね飛ばしてその男が襲いかかるも、
イエスは意外な素早さでかわしていく。
「死ね! 死ね! 死ね!」
鉈を一振り、二振り、三振り・・・ そのたびにイエスは
紙一重でかわして行く。
「麻薬! 死ね! 麻薬! 消えろ!」
「何と言っているか分かるか、エリザベス」
取りあえずオクタヴィアヌスの応急処置を済ませたカエサルが、
ようやく立ち上がった彼女に聞いた。
「最初の言葉は何とか。『赤いクメール』と」
「そうか」
カエサルはおもむろに銃を取り出し、来襲者とイエスの方に構えた。
もとは始皇帝の所有物だったものだ。エリザベスが顔色を変えた。
「危ないです、カエサル! 初めて使うのに!」
「なに、脅かすだけだ。あの男をこちらに向かせる」
「向かせるって、そんな・・・!」
エリザベスが言おうとした瞬間、カエサルはその方向に銃を撃った。
485 :
カエサル萌えの女:02/05/18 11:05
数瞬。来襲者の顔が、ゆっくりと自分の方を向いた。
どうやら両方とも無傷らしい。
「グ・・・グワアアアアァァァッ!!!」
鉈を振り上げて襲いかかってくるもカエサルは銃を構えたまま動かず、
逆に銃口の存在に気づいた相手の方が立ち止まった。
『赤いクメールとは、何か?』
そのままの姿勢で、カエサルは心で訊いた。相手は首を傾げる。
そこに、何か感づいたエリザベスが
「クメール・ルージュとは、何?」
フランス語で、直接訊く。相手の来襲者は、再びカエサルを見て
『・・・共産党。クメール人の共産党、カンボジア共産党』
「キョウサントウ?」
後方で思わず声に出したのは、オクタヴィアヌスだった。エリザベスと
顔を見合わせる。カエサルはそれに気づいたのかどうか
『して。お前の名は』
『サロト・サル。通称ポル・ポト』
『ではサロト・サル。何故我々ではなく彼を襲った?』
カエサルの視線の先に、イエスがいる。思わず鉈を握りしめたポル・ポト
だったが、カエサルに銃口を突き付けられて
『麻薬』
『麻薬?』
おうむ返しに問い返す。ポル・ポトは血走った、狂気がかった目で
『宗教・・・麻薬・・・。王侯・・・資本家・・・人民・・・
搾取・・・打倒・・・死!!』
「キャア!」
エリザベスが悲鳴を上げる。ポル・ポトは、いきなり鉈を物凄い勢いで
めったやたらに振り回しはじめた。咄嗟のことで反応が遅れたカエサルを
無視し、視界の隅にイエスを見つけると突進する。再びさっきと
同じ言葉を口走りながら攻撃を仕掛けた。
486 :
カエサル萌えの女:02/05/18 11:09
ほどなく、イエスがかわした背後の木に鉈がささって食い込み、それを
ポル・ポトが引き抜く間にカエサルは二人に追いついた。再び銃を突きつけ
『王侯と言うなら、この場の残る三人の方がむしろそうなんだが。何故あの者を?』
ポル・ポトはカエサルを見、そしてエリザベスとオクタヴィアヌスを見た。そして
「グ・・・グワアアアァァァァ!!!」
狂気の叫びを上げる。しかしカエサルは平然と銃口を突きつけ続け、
ためにポル・ポトは動けなかった。
「いい加減にしないか、カエサル。さっさと殺せ」
そこで近づいてきたイエスが言う。苦笑して
「それを言うなら、お前が左の頬を出さないからだ」
「この男には効かん」
即答され、カエサルは相手の顔を見て
「何故、そう言い切れる?」
「この男はただの狂人ではない。狂信者ではあるが」
「──己の思想に反する者は容赦なく斬る、か」
相手の言わんとすることを察し、カエサルはポル・ポトを見やった。イエスが更に
「お前もこの男には敵だ。今放っておけばまた襲う」
「別にそれは構わんが…」
口ごもり、カエサルは不意に話題を変えた。
「麻薬、というのに思い当たる節はあるか?」
「私は宗教家だ。後世には宗教を麻薬扱いする思想もある」
「よく知っているな、自分の死後のことだろう?」
カエサルの台詞に、イエスは言葉に詰まった。
487 :
カエサル萌えの女:02/05/18 11:11
その場に流れた沈黙を破ったのは、ポル・ポトの咆哮だった。
「グワアアアアッ!!!」
鉈を数度振り回して二人を後退させると、今度は後ろを向いて逃亡に転じる。
「カエサル、撃て」
イエスが言った。遠ざかって行く敵の後ろ姿を見やって
「どのみちあの男とは、如何なる形ででも共存できん」
「──分かった」
カエサルは銃を持つ手に力を込め、引き金を引いた。
銃弾が敵の肩に当たり、倒れる。カエサルは近寄り、サーベルでとどめを刺した。
「義父上・・・」
オクタヴィアヌスが、カエサルにそう声をかけた。
「何故、さっさと殺さなかったのです?」
カエサルは、脇のイエスをちらりと見た。そして
『この男は、銃を知っていた。ということは、置いて来た傭兵と同時代か
もしくはそれ以降の時代の者。加えて、風貌からして明らかに東洋人だ。
何か我々の知らないことを知っているだろうと思った』
『だが、それならあの本で間に合うのではないか?』
イエスが問う。
『あるかどうかも分からんものを、当てに出来ん』
カエサルは応じた。そして更に、呟くように
『人間とは、自分の見たい事実しか見ないものだからな』
英雄番号60番 ポル・ポト 死亡
英雄番号72番 オクタヴィアヌス 生存確認
時は少し遡る。診療所に雪崩れ込んだ信長達は一瞬目の前のものが理解出来ず
に硬直してしまっていた。
中に居たのは男が二人に女が一人。男は日本人らしかったが、かまっている暇
は無かった。彼らの視線の先にあったものに目を奪われたからだ。
壁に馬鹿でかい飾りがついているのかと思われたそれは、白い木の枝の様なも
のであった。表面がつるりとして、先に行く程細い。
「・・・何じゃ、これは。うおっ。」
思わず近づいていった清盛がのけぞった。『それ』が突然上下に揺れ、洞穴を
突風が吹きぬける様な音が響いて来たのだ。
「中の者達に問う。ローマ人は居ないか?」
更に降って来たのは威風堂々とした念語。思わずデュナンが答えた。
「カエサル達が居る筈だが、居場所は分からない。オクタヴィアヌスなら西の
方に向かった。カール大帝も一緒だ。」
そうか、礼を言う。そう返答があって『枝』が引き抜かれた。
牙の主はスールス。それに乗った男の名はハンニバルといった。
その様子を入った時の様な勢いで飛び出した三人は目にしたが、相手の後を追
うよりも前に武則天らが駆けてゆくのが目に入った。
「あれは・・・私達を襲った者達です!」
「で、あるか。よし、馬を頼む。相国殿!」
森林を行くには馬が邪魔だと判断した信長と清盛が走って行く。
久しぶりに歯ごたえのある相手と戦える。興奮が全身を包み込んだ。
この島に来る前の因縁、この島に来てからの因縁。共に燃やし尽くす
のはいつになるのであろうか。
<英雄番号60番 ハンニバル 登場>
勢いで見捨てられてしまったピョートルは、己の最後が近づいている事を実
感させられていた。相手は手練れが四人。勝ち目は無い。
「おのれっ!!せめて貴様だけは道連れにしてくれるわっ!」
最後に斧を振り上げて狙った相手は武則天。しかしなんなく避けられてしま
い、代わりに投げ縄(実はヒョウの先を輪にしたもの)で捕縛されてしまう。
「ここまでか・・・覚悟は出来ている。さっさと殺せ。」
意志の秘められた目で睨み付けたピョートルであったが、視線をかちあわせ
た武則天のそれは淫蕩の期待に燃え上がっていた。
「エ、エカチェリーナ・・・。」
「エカチェリーナ。それがおぬしの愛した女の名前かえ。よいよい、この島
では妾がおぬしのエカチェリーナになってやろうぞ。」
そう言って大帝の巨体を引きずる様にして叢の陰にひったてて行く武則天。
やがて聞こえて来た嬌声と悲鳴に信長と清盛は合唱し、フレデゴンドも珍し
く十字を切った。
491 :
世界@名無史さん:02/05/18 22:07
60番はポルポトが使ってますが・・・
・・・69番でお願いします。とうとうやってしまいました。
493 :
世界@名無史さん:02/05/19 12:07
うぉぉぉ続きが速く読みたい‥‥って、そろそろ試験の方がいらっしゃいましたっけ?
494 :
世界@名無史さん:02/05/19 12:46
確か1さんがそうだったような・・・
495 :
世界@名無史さん:02/05/19 17:43
スールスって何ぞらほい?
ほの暗い空間の中で、小ブッシュは目を覚ました。周囲は暗くも明るくも無
いのだが、光源が見当たる訳でも無いのに見渡す事が出来た。
「死んだのか、私は。」
思わず呟いたが、そんな事は分かりきっていた。死んだ瞬間の記憶は無いが、
この空間には見覚えがある。だが以前死んだ時には夢か現かといった感覚の
中で眠りながら彷徨っていた筈なのに、今は意識がはっきりしていた。
「気がついた様じゃな。」
突然語りかけて来たのはヨハネス二十一世。その傍に立っていた人物を見た
ブッシュは目を見張った。
「気にするな。私もマラトンやサラミスで同じ様な事をしたのだ。」
悲しげな笑いを浮かべて、アイスキュロスは言った。
「そんな事よりも君の疑問に答える方が先だ。何故再度死んだにも関わらず
意識がはっきりしているのか?我々はあの方々に救い上げられたのだよ。」
そう言ってアイスキュロスが指差した先には、堂々たる体躯と見事な髭を併
せ持った東洋人と半裸のインド人の『賢者』(と思われた)が立っていた。
数十分後(といってもここには時間の意味など無いのだが)、ブッシュは説
明を受けていちいち頷いていた。
「成る程。我々がいなくなった地上ではそんな計画が進行しているのですか
・・・しかし今更どうせよと仰るのです?」
神々の召喚計画を聞かされたブッシュはヒーローに成り損ねた事を残念がり
ながらいぶかしんで答えた。
これまで聞かされた話のとおりなら自分達の出る幕は無い筈である。
「確かに、神々を召喚するだけであれば島に残された人々だけでも十分です。
しかし引き出すだけでは心もとない。元々あの島自体が特殊な場所にあるの
です。従って押し出して行く必要があります。」
「この冥界は世界各国の神界に近い。各地を巡り、神々を覚醒させて欲しい
のじゃ。」
そういった意味では我々と話の分かる諸君らが殺された事は却って幸いであ
ったかも知れぬと、孔子は自嘲気味に言った。
「では貴方方に同行すればよろしいのですか。」
「いえ、私達には別にやらねばならない事があります。その代わり」
釈迦が手をかざした途端、アイスキュロスの手には槍が、ヨハネスの
手には鋼鉄の杖が握られていた。
「なんと!信じられん。・・・貴方方は神なのか?」
「そう呼ばれる事もある。ただ人より多少ましな力を持っておるが故
にな。じゃが本当の奇跡とはもっと近い処にあるのじゃよ。」
孔子が有難そうな事を言いかけたが、ブッシュはそれにつきあってい
られる程哲学的な男では無かった。
それに持っていた拳銃は消えうせている。新しい武器が必要だった。
「仕方が無いのう。まずはアルミニウムに亜鉛とマグネシウムを混ぜ
られい。」
孔子の言葉と共に出て来た原料を、へいへいと言って混ぜるブッシュ。
「そしてそれを思いっきり固めて・・・よし、見事なジュラルミンの
鍋が出来上がったわい。」
スコーン、と孔子を鍋で吹っ飛ばすブッシュ。冥界で無ければこうい
った漫画的な効果は出せない。
「あのねえ・・・私は地上を救いたいの。分かっとんのか聖人様?」
せっかちなお人ですねえ。釈迦が落ち着いた顔で言う。何処か馬鹿に
されている気がしなくもない。
「武器は武器としてしか使えません。何故ならそれは武器としてしか
見ていないからです。鍋や菓子であるからこそ、あなたは何か新しい
ものを見る事が出来るのですよ。」
屁理屈臭い台詞ではあったが、とりあえず納得するしか無かった。な
にしろ相手の姿が消えかけている。
その代わり目の前にぼんやりと光る紫色の道が浮かび上がって来た。
「この世界では死ぬ事はありません。しかし気力を失った時にまた永
い眠りにつく事になるでしょう。」
釈迦の声を背にしながら、ブッシュらは冥界での第一歩を踏み出した。
>495
ハンニバルの愛象の名前です。厩舎に居ました。
>496、497
何時の間にか殺されていたブッシュらを番外編で出してみましたが、
評判が悪かったら止めときます。
499 :
世界@名無史さん:02/05/19 18:22
>>496>>497 微妙なラインだと思う、山野野衾さんのもって行き方次第で変わるのでは。
やり方次第じゃ結構面白く持っていけるかもしれんし、まだ挑戦して続ける価値はありかと。ガムバレ。
>500
有難う御座います。神話絡みを出すか死んだ英雄達を出すかそれとも
両方出すか考えているところです。
501 :
世界@名無史さん:02/05/19 18:29
あっさり死んじゃったのが残念なのはわかるけど、
一旦死んだらそれで退場にしないとケジメが付かないと思われ。
500は499に対するレス。
>501
蘇らせる気はありません。ただ楽屋裏(?)の事が気になったもので
すから。どちらかというとブッシュよりもそちらの方を書きたかった
のですよ。召喚してひょいでは味気なかったものですから。
503 :
世界@名無史さん:02/05/21 01:57
神話がらみにネタが出てること考えると決して悪いネタではないと思うよ。
暴走して揃って復活とか無い限り。
あの世でも途中で内輪もめで戦いが始まったら救われんなーとおもいっきり思えソーダ。
果てしなき地平線すら見えぬ空間を、ブッシュ達は黙々と歩いていた。生前
の話を雑談の種にしたい処ではあったが、その途端に恋しさから進む気力が
失せてしまうのではないかと思うとそれも出来ずに居る。
そんな時、温室育ちの二人よりも先に異変に気がついたのはアイスキュロス
であった。耳を澄ませ、鼻をうごめかせる。
「馬だな、勿論人付きだ。それも・・・やばいな、かなりの数だぞ。」
「動けるのは私達だけでは無かったのか!?」
吐息だけで足音すら響いていなかった空間に、ブッシュの声が響いた。
「ブッシュよ、おぬしは死んでまだ日が浅い故知らぬのであろうが、意志強
き者であれば虚無に還る事なく定期的に目を覚ますのじゃよ。」
「という事は、ヨハネス。今度来る連中は。」
少なくともその頭目は只者ではあるまい。ヨハネスがそう言った時には、も
う誰にでも分かる程の音と共に軍勢の姿が見え始めていた。
505 :
世界@名無史さん:02/05/21 20:49
島での話しを進めすぎずに他の人のカキコ待つときには結構(゜Д゜)ウマーなのかも(w
個人的には今んところ、微楽しみ。
ブッシュ一行に向かって来た「軍勢」の数は平坦な土地で見ても百では
ききそうになかった。こちらは徒歩である上に行く手を塞がれている。
あっという間に取り囲まれてしまい、皮の鎧を身に纏った連中と真っ向
から顔を合わせる事になってしまった。
その中には見慣れたとまでは行かなくても見覚えのある顔も存在してい
た事に気づいた時、三人は思わず声をあげた。
「何処の誰かは知らぬが・・・・何処かで見た様な顔が並んでいるでは
無いか。こんな雁首揃えてなんの相談だ?」
確信犯の顔をして馬上で笑っている奴が居る。男は、冒頓単于だった。
>505
ま、ぼちぼち行かせて戴きます。鉄三眼銃さん達の書き込みが無くて
寂しいですし。状況次第ですね。
灯台の上での会話
X 「銃声もすくなくなってきましたね。」
ホース「小康状態か。」
X 「神経をすり減らしながら、もっと消耗してほしかった。」
ホース「我々が直接手を下すまでだ。」
X 「そうですね。動きますか。我々の大義のために。」
ホース「白人に死を。」
二人はそれぞれの支給品を手に取ると灯台を後にし、
泥沼の戦いに身を投じていった。
行動方針 白人皆殺し
有色人種には白人の害を説く
<英雄番号63番> マルコムX 銃剣付き64式小銃(弾20発)
<英雄番号71番> クレイジーホース 軍用ナイフ
参戦
509 :
世界@名無史さん:02/05/22 21:36
クレイジーホースって誰ですか?
項羽が歩いていると、人の気配を感じた。
「食料を持っているかも知れんな・・・」
西洋人から奪った食料は、ほぼつきかけている。近くの木陰に潜み、
辺りの様子をうかがった。
同じく、一人の男が歩いてくる。服は西洋人風だが、髪は自分と
同じ黒。刀剣類と見られるものを腰に差し、歩いていた。
と、その男が周囲を見回した。腰にさしたものの柄に手をかける。
感づかれた、と見て取った項羽は先手必勝と殴りかかった。
相手も刀剣を抜いたが、項羽の攻撃に対応しきれていない。決まった、
と思ったのも束の間、拳に手ごたえが感じられなかった。
「!?」
次の瞬間、上腕部に鋭い痛みが走る。素早く身をかわし、辛うじて
軽傷に留めたものの、痛みが走った箇所から真っ赤な血が流れ出した。
「く・・・」
手で触れると明らかに濡れていた。嘗めていたかと思って見た
相手の男は、僅かに曲がった片刃の剣を横にして持ち、それで
身構えているような素振りだった。
「貴様、何者だ!?」
見たこともない構えに、やや動揺して聞く。
『新撰組副長、土方歳三。お前こそ何者だ?』
この手の質問は古今東西共通のもので、言葉は通じずとも意味は
分かるらしい。心で答えが返って来た。項羽も応じて
『西楚の覇王、項羽だ』
『ほう・・・』
相手に脅えた様子はない。それどころか改めて身構えている。
『項羽の名、知らぬわけではあるまいな』
土方はただ一言、こう応じた。
『敵前逃亡は、士道不覚悟につき切腹』
切腹という言葉の正確な意味を無論項羽は知らないが、それでも
腹を切るということで見当はついた。
『なるほど、逃げるも死というわけか。ならば遠慮はいらんな』
項羽も改めて身構え直し、再び突進した。今度は土方も同時に
突進する。
土方の攻撃を突きと見て取った項羽は、相手をかわしてから
殴りかかろうとした。突きは所詮、一点を貫くしかない。
「甘い!」
かわしきったと思った瞬間、土方の声と同時に刀が横に変化し、
まさに殴ろうとした項羽の脇腹を直撃する。鎧を着ていたから
出血はしなかったが、痛烈な一撃に項羽は大量に唾を吐いた。だが
「負けるかあっ!!」
そのまま素手で刀をつかみ、相手の体ごと持ち上げる。土方はその状態でも
柄を握ったまま、離そうとしなかった。
「く・・・くそっ・・・」
「意外な執念だな」
項羽が軽く驚いて呟き、敵を振り落とそうと刀を振り回す。しかし
なかなか土方が落ちないので次第に苛ついて来た項羽は、いったん
投げ飛ばして地上に落とし、改めてとどめを刺すべく刀を握る手に
力を込め、振り回し始めた次の瞬間
「うっ!」
手に、殊に小指に激痛が走り、思わず握力が緩んだ。
その一瞬に土方は刀を持ったまま地上に降り立ち、いつの間にか血で
真っ赤に染まっている自分の手を、一瞬呆然と見やった項羽の懐に入り込んだ。
『恨みはないが、死んでもらう』
グサッ!
一突き。
項羽は大量の血を吐きながら倒れた。
『この刀は、こう取るものだ』
土方は自分の日本刀で、白刃取りの真似事をして見せた。
『つかんで振り回しなどすれば、ああなるのは目に見えている。
まして人一人の体重がかかってるんだ、時間の問題だろう』
「フ・・・」
項羽は自嘲ぎみに笑った。
『この項羽、またしても己の力に溺れたか・・・!』
静かに目を閉じる。やがて頭が横を向き、そのまま二度と
動かなかった。
英雄番号14番 項羽 死亡
英雄番号99番 土方歳三 登場
>>510-512 土方出したのは個人的趣味です。要はアクションシーンとして
剣劇を書きたかったのですが、実際に応用つけて書けるのが
新撰組の剣術のみという情けない事情で。
正面切っての銃撃戦はどうも苦手だ・・・
個人的には、一応正規の「英雄」は84番までで、85番以降は
「余り」という位置付けのつもりです。アル・カポネとある意味同類で。
あ、土方の持ってる刀は「和泉守兼定」です、史実通り。
余りっつーか、戦いを助長して戦う気を起こさせる為に、戦闘のプロや特殊な思想の持ち主を敢えて混ぜているって言う設定を付けると良いのかもしれんね。
まぁその設定にあぐらかいて無茶苦茶なキャラだしまくるのはアウトだろうけど、アルカポネとか土方の存在が自然になるかも
とか言ってみるテスト。
515 :
世界@名無史さん:02/05/23 01:15
「あ、あの・・・。」
ギロ!
「う・・・。」
何回会話を仕掛けてはあきらめたのだろうか。鄭和は途方にくれていた。
自分を船の帆柱に縛り付けた二人の西洋人は内陸のほうを見つめながら身じろぎもしない。
(くそ・・・彦坂め、何をしている!)
歯軋りを必死で押し殺すしかなかった。遠くから聞こえてくるのは懐かしい中華の言葉。
だが鄭和にとっては月の裏側の声に等しかった。
ナポレオンは途中で手に入れた銃について悩んでいた。
「あの男の死因は間違いなく銃によるもの・・・だが、奴の銃はそこに落ちたままだった。
銃を知っておるのならそのままにしておくはずは無いが・・・。
殺した奴は銃を知っておるのか知らんのか・・・?」
彼とて歴史をくまなく知っているわけではない。
想像を越えた能力と思考形態の持ち主がいたとしてもおかしくないと考えていた。
ブオオーーー、グオオーーー
いつのまにか寝てしまったらしい。鄭和は異様な音で意識を取り戻した。
砂丘の向こうから砂煙を上げて馬車が・・・いや、馬が繋がれていない!?
見る見るうちに近づいてきたそれは驚いて眺めている西洋人たちに突っ込んだ。
「ぬおお!」
ジープの突撃をかろうじて避けつつ、カールは未来のハイテクに圧倒されていた。
さっきナポレオンから銃の説明を受け、
ようやく弓矢の改造だと自分自身を納得させたばかりだというのに
今度は馬のついていない馬車・・・ってそれは馬車ではない!!
だが待てよ、今確かに・・・。
そうしているうちにいち早く体勢を立て直したナポレオンが銃を撃とうとするが、
ジープのシートから人が立ち上がり、大きな銃を撃ってくる。
ズドドドド!
たちまちのうちにナポレオンが立っているあたりは砂煙で包まれた。
「やはり人が乗っておるな!あやつが御者か!」
ほうほうの態でナポレオンが船の陰に姿を隠すのを横目で眺めつつ、
「・・・すまない。」
彼はしばし死んだふりをすることにした。
「ははは、ちょろいもんだな。」
船の陰に隠れたナポレオンに向かって機関銃を撃ちまくりつつアル・カポネは呟いた。
ズドドドドドドド・・・
「・・死んだか?なら次はあの中国人だな。」
応戦してこないのを見たカポネはさっきから白目を剥いて気絶している鄭和を撃とうと、
弾倉を詰め替えようとした・・その時!
「うおりゃー!」
猛然とカール大帝がダッシュを駆けてきた。
「何だ!?轢き殺されたんじゃなかったのかよ!」
機関銃を放り出し、大急ぎで車を出そうとするが、タッチの差で敵は後部座席に乗り込んできた。
が、
「甘いぜ!」
カールがフレイルを振りかざしたところでカポネは落ち着いて急ブレーキをかけた。
これでしぶとい敵も前へぶっ飛ぶ・・・はずが、スピードが足りなかったのか、
カールはボンネットにしがみついてかろうじて耐えた。
片腕でなおも振り回すフレイルがフロントガラスにひびを入れる。
「しつこいわ!」
マシンガンの台尻で手を殴りつけてやっと振り落とすことができた。
とどめをと思ったが船の影から仲間が出てこようとしている。
「ガッツのある連中だ・・・今日はこれくらいにしておいてやるわ!!」
捨て台詞と共に車は消えていった。
519 :
世界@名無史さん:02/05/23 04:56
>510
土方キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━!!!!
「そこの男、確かブッシュとかいったな。あの時は捨て置いたが、こんな所
まで来て時代も場所も異なる者同士が連れ立つとは何を企んでいる。」
何とかこの人数を相手にこの場を切り抜けなくてはならない。ブッシュが詭
弁を弄してでも窮地を脱しようとした、その時。ヨハネスが突然背後から背
中を叩いて来た。
「馬鹿者が!貴様がブッシュとやらに似ておるから我等が迷惑するのじゃ!
馬鹿者がぁーーーっ!!」
小屋で読んだ本の内容を思い出して殴りつけるヨハネス。しかし相手の反応
は冷ややかなものであった。
「・・・何のつもりだ。下手な芝居をしおって、誤魔化されんぞ。」
「な、何でじゃーー!!?」「おい、聞きたいのはこっちの方だぞ!?」
起き上がったブッシュの目に、迫り来る兵士らの姿が映った。
521 :
カエサル萌えの女:02/05/23 13:59
何か今までで最大の反応ですな・・・w
>>514 そうですねえ・・・
私の言う「余り」というのは「歴史の流れにそれほど影響を与えては
いないけれども有名な人物」というような意味で。
条件にそれも入れましょうか?
>>515 見ました。
それ、冥界で言わせる手もありですね。
>>519 喜んでいると受け取ってもいいんでしょうか?
日は傾き始め、ルイ達はすでに昼食を済ませていたが、宗教家二人は
不屈の精神で何度も立ち上がり、未だに勝負がついていなかった。
「本当に夕方までおやりになられるおつもりなのかしら。あら?」
「どうした、アントワネット。」
「何か臭いませんこと。何処かで嗅いだ様な臭いですわ。」
「成る程、流石は香水マニアだ。よく気がついた。どうもルイの体臭
が邪魔をしていたらしいが、血の臭いがするぞ。」
そう言われて、ルイが先に立って臭いがするという方に歩いて行く事
となった。後の二人には危険な時にはすぐ逃げろと伝えた。
やがて辿り着いた現場に倒れていたのは、銃弾を浴びた男。ロシア人
らしき大男で、傍には東洋人の女も倒れている。いずれも半裸だった。
「この島まで来て女を犯していたとは朕以上じゃな。自業自得じゃ。」
流石のルイにも、犯していたのが女の方だったとは判らなかった。
その時、突然銃声が響いた。ルイの体が倒れる。
黒人二人が現れ、突然撃って来たのだ。後方の二人が駆け出した。
その後を追う銃を持った黒人と、ルイにとどめをさそうとする黒人。
だがルイに支給されていたのは力が上がる防弾チョッキであった。す
ぐに相手の腕を掴み、ナイフを地面に落とす。
そのまま両者は林の向こうへと消えていった。
<英雄番号12番 武則天 死亡>
<英雄番号42番 ピョートル一世 死亡>
えーっと、両者ってのは「黒人二人」ですか?
それとも「ナイフを持っていた男とルイ」?
文脈からちょっと分かりづらかったんで・・・
524 :
世界@名無史さん:02/05/23 18:49
土方は自身の名刀「和泉守兼定」を眺めていた。
いつもなら、その冷たい美しさを湛えた刀身を見、うっとりとした表情に
なるのだが、その目元は険しく、錆びた刀を眼の前にした研ぎ師のようだった。
「どこかに砥石はないものか」
先の戦闘で切っ先はボロボロになり、刀身は至る部分が欠け、血と油が
気味の悪いほどの粘着力で癒着していた。この刀を研ぎ士に依頼しても元の切れ味は
望めないだろう。もし、今後、項羽のような敵と不意な近接戦闘に陥れば、こんな
ボロボロの細刀など何の役に立とうか。とはいえ、武士の面子も保たねばならぬ。
それに、切れ味が少々劣っただけで、いざとなれば剣道のごとく斬殺ならぬ撲殺で
しとめればよいではないか。そう考え、彼はボロ刀と化したかつての名刀を
鞘に仕舞った。が、これは二重の意味で危険なことだった。血糊がついたまま刀を
仕舞えば、鞘内の高い湿度で著しく刀身を急速に酸化させること。そして、
不意に襲われたとき、抜刀から攻撃までの行程に時間を要してしまうこと。
彼はこの注意点に気がつくこともなく、砥石代わりになる石を探しに川原に
向かった。
<英雄番号99番 土方歳三 川原へ向かう>
<土方所有武器 和泉守兼定 ボロボロ>
>>521 有名なだけじゃ最初の定義に反するので、
>>514ルールみたいなのを入れて存在を自然にするのは美味しいかもって事で。
単独戦闘力だけで見れば、前線に出ていて全体に影響を与えてない土方とか見たいな人の方が高そうだし、そういう人が居ての殺し合いじゃないと本気出せないとかヤハウェが判断しててもおかしくは無いかも。
「クレイジーホース!!」
白人らしき男女と相棒が組み合っている相手の追跡どちらを優先すべきかを
考えて、彼は相棒の方をとった。
まさかやられるとは思っていなかったが、万が一という事がある。軍用ナイ
フを拾い上げ、後を追って坂を下っていった。
<英雄番号71番 クレイジーホース 死亡>
「ぬおおおっ!!」「ううっ。」
組み合いはルイが優勢であった。木の幹に相手の体を押し付けて首を締め上
げている。慌てたマルコムXがナイフを放り出し、銃剣付き64式小銃を構
えた時である。引き金を引くより早く銃声が響いた。
「くっ、はずしてしもうたわい。」「わしに任せよ!」
見ると下の方から白人女を連れた東洋人達が銃を構えているのが見えた。
「ちきしょう!白人に騙されやがって!!」
ぐずぐずしているとこちらも危ない・・・・「合理的」だが非情な取り決め
に従い、彼は茂みの向こうに姿を消した。
「おーい、ルイ殿。御無事か。万理殿らはどうした。」
ルイがクレイジーホースの息の根を止めた時、清盛らが上って来ていた。
「そうであったか。では急ぎ万理殿らを助け出さねばなるまい。借りが
あるでな。」
てっきりお楽しみの最中だと思っていた武則天らの事とアントワネット
らの行方が分からなくなった事を聞き、清盛が言った。
その言葉に甘さを感じた信長とフレデゴンドであったが、自分達の生存
もその情により保たれている事を考えて、何も言わずに居た。
「では銃器と後世に詳しく万理という方のお顔をご存知な方を連れて二
手に分かれるとしましょう。」
厩戸の提案により、信長と清盛が徒歩で森の中を探索し、後の三人が馬
で巡る事となった。
馬はいずれも名馬で名は既出の黒駒(通称)、磨墨、それに白石。白石
は名に反した黒い馬で、家康の愛馬であった。
なんか日本史のひとの割合がおおすぎ!!!!
世界史のひとも、キャラに個性があんまりでてなくって
名前だけ借りてるってかんじがしますぅ。
もう少し歴史エピソードネタに絡んでくるとおもしろいのですが。
ロム専なのに、要望だけ言ってスミマセン。期待まちアゲ。
文句があるならあんたが書け。
・・・とたまには言ってみたくなるかも。でもその通り。いい案がおあ
りでしたらお願い致します。
530 :
世界@名無史さん:02/05/23 23:22
>>528 日本史って今のところ正式には五人くらいしか出てませんが・・・
(聖徳太子、清盛、信長、土方、あと番外で松本良順)
最近集中して出してるだけで。
彦坂、東郷(今の所番外)、乃木もです。確かに多いですが、これも
開催国(?)の特権という事で。
アメリカで同じ事をやっていたら最低3割はアメリカ人になりますよ。
本当は
乃木希典 1849(嘉永2年)〜1912(大正元年)
松本良順 1832(天保3年)〜1907(明治40年)
と、かなり重なるんですねえ。でもこれも開催国の特権で。
533 :
カエサル萌えの女:02/05/24 14:27
「それにしても、ご禁制の神に転生させられるとはな」
歩きながら、土方はそう呟いた。
実のところ、彼が目覚めたのは今朝だった。
「島を巡察して来て欲しい、立ち塞がる者は斬り捨てて構わない」と
言われて承知はしたものの、彼は相手の神について『ご禁制の神であり、
陸軍顧問のフランス人たちの神だ』という程度の認識しかなかった。
第一そんな任務は敗者である自分でなくともいいはずで、愛刀が
実質使用不可の状態で手渡されたことへの不満も含め、早くも内心で
疑いの目を向け始めていた。
川原へ歩いている途中、土方は山の中腹に煙を見た。
人がいるのかと思い、急いで向かう。
そこへ行くと、背の低い男が火に向かって座っていた。
「・・・あんた、名は?」
「鍛治神ヘパイストス。ウルカヌスと言う者もいるがね」
ゆっくりと振り向いて、彼は言った。
534 :
カエサル萌えの女:02/05/24 14:30
「鍛治神?」
目を瞬かせる土方に、ヘパイストスは
「剣や盾といった武器や、宝石飾りを作る神さ」
「職人たちの神、というわけか」
「ま、そういうことさね」
再び火に向かう。何かを作っているらしい。
「何をしている。巡察中なんだろう、さっさと行ったらどうだ」
自分が言ってもいないことを知っている。本当に神らしいと思った土方は
「頼みがある」
「何だね」
興味なさげに応じる相手に、刀を差し出して
「この刀を、研いでくれ」
「研いでどうする」
土方は、文字通り絶句した。
「あんたは一度死んだ。いや、あんただけではない。この島にいる
全ての人間たちは一度死に、それからあのヤハウェ神に転生させられた。
転生させられてまで殺し合いとは、空しいと思わんか」
「・・・あんたも、その神の一人だろう」
他人事のように言うな、と土方は言った。
535 :
カエサル萌えの女:02/05/24 14:31
「あいにく、同じ神でも系統が違うのでな。まあ協定で、我々オリンポス
十二神は、必ず誰か一人こうした場にいることになってはいるが。代わりに
我々を信仰していた者を出してもいい、という条件で」
「よく分からんが、要するに監視役ということか」
ヘパイストスは応じなかった。火を見つめながら
「ま、今回はその協定も結ばずにかき集めたらしいが。だから東洋人の
あんたがいる」
何やら難しいことはよく分からないが、神々の世界にも色々と複雑な事情が
あるらしいとだけ、土方は見当を付けた。
「で、さっきの問いだが。その剣を研いでどうする」
「立ち塞がる者を斬る」
ヘパイストスは、火の中にあったものを取り出して息を吹き込み始めた。
先端が丸くなって行くのを見やりつつ、土方は
「神々がどうの、他の人間がどうの、転生がどうのは俺にとってどうでもいい。
ただ、俺は剣客であり、剣をもって生きる糧として来た。空しいかも知れんが、
今生の世でもそれを貫きたい」
不意にヘパイストスは手に持っている長い棒を持ち上げ、
先端を土方の眼前に突き出した。
「これをどう思う」
「──見事なガラス細工だな」
ヘパイストスは土方の顔を見上げて、ニヤリとした。
そして作業台に棒ごと置くと
「奥に井戸があるから、水で刀を洗ってこい。研ぐのはそれからだ」
そう言ってヘパイストスは立ち上がり、研ぎ石を捜し始めた。
土方も奥の井戸から汲んで来た水で、刀の血を落としはじめる。
536 :
カエサル萌えの女:02/05/24 14:36
>>533-535 ギリシア・ローマ神話の神々の、この話における位置付けについて
気になったので書いてみました。面倒なので統一してます。
ヤハウェとは英雄の転生に関して協定を締結、ただし不満のある神もいる、
というところで。
鍛治神ヘパイストス、自身は戦闘能力ゼロですが、色々と武器を作ったり
直したりしてくれる模様。工房があるので動きません。
他の神だと自分が戦ってしまいそうなので。
『・・・・。』彦坂は絶句した。鄭和がいない。
『鄭和さん!!鄭和さん!!』あらん限りのテレパシー。回りに参加者がいれば危ないところだったろうが彼は構わなかった。
素早く状況を確認・・・・鄭和の屍骸とおぼしきものは見当たらない。
『さらわれた・・・?』そうとしか考えられない。
『このままでは・・・。曹操さんが死んでしまう』彦坂は決心した。
『戦時中の事を思い出しますね・・』清潔な湯を沸かし、デカイ浴槽を用意する。
『・・・・・なにを・・・・する気だ』曹操がうめく。
彦坂の目が悲しみと苦悩を浮かべた。『お湯で、火傷した皮を剥がします。そうしないとあなたは死ぬでしょうから』
『・・・・・。』『このまま、死にたいのでしたら、わたくしも帝国臣民の端くれ、介錯して差し上げますが?』
沈黙が流れる。『やってくれ』
『その間』。一言も発さず耐え抜いた曹操の強い精神に彦坂は感動を禁じえなかった。
『終わりました』 『・・・・・何日で治るのかね?』
『判りません。火傷は油断が出来ません。』『よく知ってるな』
『ええ・・・・私が死ぬ『少し前』は人が目の前で火達磨になるなど『良くある』事でしたから』
『第二次世界大戦・・・太平洋戦争。あるいは大東亜戦争と呼ばれる戦だったな』
『・・・・・・。』沈黙。『何故あなたが知っているのですか?』震える声で彦坂は尋ねた。
『知らんでか。・・たかが“倭”(この言葉は元々蔑称的な呼び名である)の奴(コレは奴隷を表す)の国の王風情が、後世に天に反し独立、天皇を名乗るとはな・・・。』
化外の地ゆえ可能だったことだろうがと言葉を繋ぐ。『倭が和を名乗るとは面白いシャレだ。誉めてやろう。』
呆然としている彦坂は質問する機会を逸していた。『あの“本”を見た時は正直、驚いた。』『ああ』ニヤリと笑う。『全てを書いた書物を『ヤハウェ』とやらが用意していたのだよ』
・・燃やしてやったがな。とクックと笑う。
『天下乱れる時、天の命を受けしものが天を継ぐ。』夷敵の時もあるがな・・と続く。
数々のものが乱れた世の中で覇を競う中、その中で最も強い力の一つが・・・『和』の軍隊とは!』激しく笑う。
複雑な顔をする彦坂に対して曹操は苦笑した。『気にするな』
『私の時代と変わらんよ。・・・皆が夢を、野望を持っていた。匪賊、盗賊、王たち・・。小さな国や自由を求める者、覇を競うもの・・・。夷敵どもが混じっていてもおかしくは無い。みな、夢を持っていたのだ。王であろうと、卑しいものであろうと。』
それは千年たっても変わらんな。と続ける。
「・・・・・お前たちは天に選ばれなかった。そればかりか、『北の邪教』(ソ連共産主義の事)の跋扈を許す結果になった。
そして戦後も情報戦で負け続け、自らを卑下する哀れなブタと成り下がっている。そんな貴様らに復讐するより、今はすべき事がある』
『私を治せ。“物理学者”彦坂忠義。私は、真の意味で天を取る。』
最近良スレ(・∀・)イイ!
曹操をもう一回出してみました。かっこいい曹操であって欲しいのですが自分が書くと今一つ。
って言ってもこの状態では喋る事しか出来ません。(動けないことも無いが)
1日に何回か適切な処置を取らないと火傷が化膿してしまいます。
そして、現時点では彦坂しか彼の場所を知らないはずです。
・・こんな言い方で鄭和の事が心配な彦坂が納得するか疑問ですが、
日本軍の大陸における戦闘能力、蒋介石軍の不甲斐なさ、毛沢東の浸透への複雑な思いがそうさせてます。
ちなみに、彦坂にはある程度しか感謝してません。(むしろ倭の国の人間なら当然と思っている)
と、言っても彼の理解力と洞察力は健在です。そして他の参加者などに対する知識も万全。気力も落ちていません。
(よっぽど長引かない限り)参戦自体は多分無いでしょうが、頭脳で貢献してくれるでしょう。
なお、『アメリカなる偽の皇帝』にこのまま天下が取られるのを納得してませんので、
その為なら他の人間や彦坂のような日本人にも助言してくれます。
「そう怯えるな。この人数に貴様ら三人では流石に勝負にならん。それでは
面白くない。」
馬上から悠然と見下ろす冒頓単于が、ブッシュ達に「処理」を宣告した。
「十人倒せたら通してやるとしよう。あの島で幾人倒したのかは知らんが、
まさか一兵卒相手にやられるという事はあるまい。」
相手が必死になってやろうとしている事があると踏んでの事であった。勝て
ばよし、負けてもよし。いずれにせよ自分にとっては良い暇つぶしでしかな
かったが、眼前の連中にとってはそうでは無さそうだった。
相手の罵りを無視して手を前に振った瞬間、兵達が生前同様「獲物」を襲う。
「うおおおっ!!」
迎え撃つアイスキュロス。この中で剣戟を交えた経験があるのは彼だけであ
った。勿論他の二人も後に続いたが、こちらは政治家。
イナゴの様に向かって来る敵は島の英雄達よりも手強かったかも知れない。
それでも何とか手近な相手から迎え撃ち、落馬させたが・・・やがてブッシ
ュが違和感に気がついた。
「血が、血がぁぁっ!?」「安心せい。気力次第で収まるわ。」
何時の間にか腹に矢が数本突き刺さっていた仲間に、ヨハネスが言った。
見れば倒した筈の相手も血塗れになりながら向かって来ている。「地獄」と
いう文字がブッシュの頭の中に浮かんだ。
540>>おっと。判りにくいのと誤解を生む表現だ。
『自分が天を取る資格があるならアメリカのグローバリズムは偽物になる』って論理です。
「また・・・一人ぼっちね。」
マリー・アントワネットはそうひとりごちた。
それでも自分は知らず知らずのうちに強くなっていたのだろう。
これが宮廷で大勢の家臣にかしずかれていた身ならとうに気が変になっている。
打ちひしがれた表情で溜め息をつきつつも内心彼女は焦っていた。
すでに日は傾きつつある。
仲間から離れていくのは分かったが、
暗闇の森で夜を過ごす事には絶えられず、彼女はなだらかな斜面を下っていった。
やがて波の音が聞こえてきた。そして波打ち際にある岩のようなものは・・・船だ!
嬉しさのあまり彼女は残る力を振り絞ってそこに駆け寄った。
今まで足を引っ張るだけだった自分もようやく役に立ちそうだ。
しかし、船の影から出てきた男の影はその喜びを吹き飛ばすのに充分なものだった。
「!!・・あなたは何者?わ、私はフランス王妃、マリー・アントワネット。」
「・・・私のしゃべる言葉がわかるか?」
相手がドイツ語を話すことを知ったマリーは同じ事をドイツ語で繰り返した。
「・・・府ラン酢?どこだそこは?
・・・どうもこの島にいる連中は私より後の時代に生まれた奴が多いらしいな。
わけのわからない兵器や乗り物を使い、聞いたことの無い国の王を名乗る。
相棒は私より詳しいらしいが、めったなことでは精神による会話をしようとせんのだよ。
捕虜に至ってはどこの生まれやら想像もつかん。」
・・と、帆柱からおろされたものの、簀巻きにされたままころがされている鄭和をつま先でつつく。
「ああ、ちなみに私はフランク王カール。そちらから仕掛けない限り、何もする気は無い。安心してくれ。」
「!・・あなたがカール大帝!ご芳名は常々うかがっておりました。ぜひあなたの力をお借りしたいことが・・・」
「おいおい、大げさだよ・・まあ落ち着きなさい。相棒を呼ぶから
・・・というか、君は複数のことばを話せるらしいね。
ひとつ彼を呼んでみてくれんか?」
「その必要は無い!!」
振り返るとナポレオンが微笑みながら近づいてくるところだった。
「こんばんは。赤字婦人。」
「左様か。あの時のゴタゴタではぐれてしまわれたか。」
瞠目する清盛。目の前に居るパラケルススのハゲ頭の光に誘われて再会した
時には、すでにアントワネットは何処かへ行ってしまっていた。
年をとったせいだろうか。心配で堪らなかったが、やはり一方では冷静にな
る必要性を感じて思考を巡らしていた。
「すまんが、また行かせてもらおう。ソウソウという患者が、ひどい火傷で
な。定期的に診てやらねばならんのだ。減らず口は元気なままなんだが。」
その名を聞いて、清盛と信長が顔を見合わせた。
・・・果たして、そこに倒れる様に寝ていたのはあの時森の中で会った男に
間違いなかった。火傷の身からも強い意志を向けて来ている。
「誰かと思えば・・・ふん、外戚となりながらも情けをかけた男(頼朝)に
一族を滅ぼされた奴に倭国の半分を獲りながらも家臣に殺された奴か。私が
この状態なのに貴様らは無傷とは運が良かったな。」
「どういう訳か知らぬが・・・我等の正体を知りながらなおも言うか。」
そう言って刀を構えた信長を、清盛が制した。
「ま、あぬしの言っておる事に間違いは無い。しかしの、それをいうならお
ぬしとて同じ事よ。劉備を早く討っておれば三国鼎立は無かったし、その一
族が司馬氏にとって代わられる事も無かったであろう。」
これには流石の曹操も口を塞がれた。
「結局の所、どのような栄華も一代二代で駄目になるようなら二流の仕事と
いう事じゃ。それに対し今の世はわざわざ掻き乱さねばならぬ程に平和らし
い。さぞかし優れた人物の努力の賜物であろう。どうじゃ、我等とそれを護
ろうとは思わぬか。」
最後の肝心な所は片言の中国語を使った清盛の訴えに、曹操の心が動いた。
「良かろう、読んだ本の概略を教えてやる。他にも聞きたい事があれば来る
がいい。」
「ちっ、この様子では今日殺されたらしいな。一足遅かったか。」
死因も省みずジープで島中を巡っていたパットンは腹立ち紛れに地面
を蹴った。わざわざ山まで登って来たのにこれとは残念だ。
せっかく見つけたアメリカ人であったというのに。ただでさえ歴史の
短い彼の祖国からの参加者は少ないだろう。
(もっとも彼は時代さえ重なっていても良ければアメリカ人参加者は
いくらでもいると考えていた典型的アメリカ人であった。)
「おい、あんた。」
ニューナンブをいじりながら、楊大眼に声をかける。
「こいつらを殺したのが誰か知らないか。」
「わしは項羽辺りでも無いと興味を覚えぬ性質だ。だが確かチャップリ
ンという奴に殺されておったぞ。」
「チャップリンだって!?俺様と時代の重なっていた奴がどうして同胞
を・・・・・まさか!!」
慌てて山を下りようとするパットン。だが今度は楊から質問があった。
「それよりお前、項羽という男がどうなったか知らないか。」
「コウウ?ああ、さっきジャパンのサムライに殺されてたぜ。」
そう言って今度こそ下りて言ったパットン。後に残されていた楊は呆
然として立ち尽くしていた。
さっきころされてたぜ。さっきころされてたぜ?さっきころされてたぜ!?
「何の為に出て来たの?わし・・・・。」
すぐさま山を下りきったパットンは再びジープのハンドルをとった。
「何てこった!やっぱり奴も来てやがったか!」
<英雄番号65番 楊大眼 再登場>
<英雄番号89番 パットン 登場>
実はもうルーズベルトが来ていたので彼自身時代が重なっています。
彼は後から蘇った「特例措置」の人間な訳ですが、ヤハウェをなめて
いたので状況がよく分かっていません。
1日目の放送(131)で
英雄番号3レーニン、英雄番号43スターリン、英雄番号51毛沢東死亡
と放送されていましたが、すでに他の人の番号になっています。
また(269)でアウラングゼーブが死亡しています。
そこで、
<英雄番号64> アウラングゼーブ 死亡
<英雄番号66> レーニン 死亡
<英雄番号67> スターリン 死亡
<英雄番号68> 毛沢東 死亡
と新たに番号を付与してもよろしいでしょうか?
蛇足ですが、生きている英雄で番号不明が何人もいます。文天祥とか。
混乱しないように番号を付けたほうがいいと思います。
今、使われていない番号は、46.54.62.73〜87.
90〜98があいています。
ちょっと前に死亡した、クレイジーホースは黒人ではなく、
インディアンだったような・・・
今、気が付いたのですが
(336)で英雄番号4 マルクス死亡とありますが、
4番はカエサルが使っているので
<英雄番号46> マルクス 死亡
としてもよろしいでしょうか?
>548
失礼、間違いました。
それと見学者さん、混乱していた所ですのでそう決めるのが良いと思われます。
フィロンは、民家に隠れながらどうして私が
ここに呼ばれたのかずっと考えていた。しかし、答えはでなかった。
最後の勝利者になるつもりは、全く無かったが、
このまま殺されるのを待つのは、気が狂いそうだった。
そこで、この島の7不思議を選定して気を紛らわそうと思い立った。
支給された地図を元に、灯台を一番目の7不思議に認定すると、
灯台の見学と新たな7不思議を発見するため民家を後にした。
<英雄番号62番>フィロン 支給品オペラグラスと7不思議メモ
参戦
ぜえぜえ言いながらも、彼らは立っていた。冥界では気力が勝負を決める。
確かに戦闘能力でいえば彼らは人数以前の問題で敗れていただろう。
「だが、どうやら背負っているものが違ったようだな。」
ブッシュ達の周囲に倒れ込んだまま未だ立ち上がれずに居る兵達を見やって
、冒頓単于が言った。何処か満足そうな顔をしている。
「約束じゃぞ。・・・・・通して・・・くれい・・ハァ。」
死ぬ事は無いとはいえ、息もたえだえのヨハネス。他の二人も同様であった。
「良かろう、敬意を表する。と言いたい所なのだが、そうもいかん。」
「なんだと!?」「謀ったか!!」 「そうでは無いわ。」
単于が弓につがえていた矢を放った。だが向けられたのはブッシュ達にでは
無く、もっと後方の相手であった。何時の間にか大軍が湧いている。
「げぇ、あれは?」「わしが昔殺した父に、打ち破った劉邦とその死後に求
婚して怒らせた呂后だ。死んでもしつこく襲って来る。暇さえあればな。」
次々と矢が放たれ、騎馬戦士らが突撃して行く。
「早く行け。巻き込まれぬ内にな。それと・・・眠る(死ぬ)なよ。」
あっという間にその場は空になり、三人と馬三頭だけが残された。
「急ぐぞ、新手は数が多い。追いつかれたら今度こそやられる。」
一難去ってまた一難。アイスキュロスに言われるまでも無かった。
553 :
カエサル萌えの女:02/05/25 22:49
その頃、孫文、ガンジー、スカルノの三人は林の中を歩いていた。
ルーズベルトは本とともに洞窟で待っている。車椅子の身となれば
いざ戦闘となった時に支障が出る、ということでじっとしてもらう事にし、
残る三人で仲間を捜す事にしたのだ。もともとこの三人、同じ
ナショナリストで気があっていた。
「そうですか、今の我がインドは・・・」
三人とも、死後の歴史は百年に満たない。歩きながらのスカルノの
講釈で、知識としては間に合っていた。目を閉じたガンジーに、孫文が
「・・・墓?」
十メートルほど先、林を出たところに、墓らしい十字架が二つ見える。
「誰かが作ったんだろうが・・・。西洋人だろうな」
スカルノが呟いた。十字架という時点で見当が付いている。
「何にしても、ここで見たのも何かの縁。お参りしておきましょう」
ガンジーが言い、林を出るべく歩き始めた。
十字架の傍には、簡単な柵のようなものがあった。お参りをしている
ガンジーと孫文を横目に、スカルノは柵の向こうに目をやっていた。
「古い小屋が見えるな・・・。遠くに木・・・」
『貴様ら、一体何者だ?』
鋭い声とともに、スカルノのこめかみに冷たいものが押し当てられる。
ぎょっとした彼だったが、物の正体は見当が付いていたため両手を上げた。
『どこぞの陣営の偵察ではあるまいな?』
その男は、厳しい声で聞く。ガンジーが穏やかな、呑気とさえ聞こえる声で
『いえ、たまたまこのお墓の傍を通りかかった者です。更に言うなら、
見ての通り我々は皆東洋人。あなたに危害を加える理由もありません。
──傭兵隊長、ヴァレンシュタイン殿?』
言った後、ガンジーは笑みを浮かべた。
554 :
カエサル萌えの女:02/05/25 22:50
「あの我がまま女、通訳などと言っておきながら、肝心なときに役に立たん」
片言のオランダ語で、ヴァレンシュタインはぼやいた。通訳のはずのスカルノが
「女?」
興味津々と言った様子で聞く。
「イングランドの女王エリザベスだ。カエサルにくっついて行きやがった」
それは、とスカルノから聞いた二人は思った。
ヴァレンシュタインはドイツ人だが、言語体系が近いという事もあって
オランダ語ならどうにか分かる。スカルノはインドネシアがオランダの
植民地だったのでオランダ語は不自由しないし、英語もある程度分かる。
そこで、オランダ語から英語に通訳してやっているのだった。
ところがヴァレンシュタインにしてみれば、ラテン語からエリザベスを
経由して英語、の方が遥かに話しやすい。ぼやきの種はそのことだった。
「それで、カエサルにくっついて行ったというのは?」
孫文が聞いた。
「もとはユダヤ人の奴が言い出したんだが、燃えない紙で作られた本
──歴史書らしいが──を探しに行ったんだ。カエサルが同行すると
言ったらエリザベスも──」
「ちょっと待て、その本──」
単純に通訳していたスカルノが、何やら早口で残る二人に説明する。
二人は顔を見合わせて頷き、スカルノを促した。そのスカルノが
「その本、私が持っている本かも知れん」
555 :
カエサル萌えの女:02/05/25 22:53
「要するに、待っていれば所有者が来たというわけか」
ヴァレンシュタインが苦笑する傍で、スカルノが立ち上がった。
「いずれにしても、三人を呼び戻した方がいいだろう。ないとなったら
探すだろうからな」
「俺も行く。東洋人一人より、俺も行った方が疑われずに済むだろう。
第一、安全だ」
それに続いて、ヴァレンシュタインも立ち上がる。
「なら、ガンさんと私はここで留守番しておきますか」
孫文が言った。ガンジーは頷いて
「そうですね。誰か戻ってくるかも知れませんし」
それで役割分担が済み、スカルノが握手をしながら
「ではよろしく頼む。──そう言えば武器は?」
「ああ、ご心配なく。これがありますので」
言ってガンジーが取り出したのは、小さな茶色の瓶。
「それは・・・?」
「眠り薬ですよ。布に浸し、口に当てて意識を失わせるものです」
暴力では勝てませんからねえ、と、ガンジーは穏やかに笑った。
557 :
カエサル萌えの女:02/05/25 23:02
>>553-555(あ、キリ番だ)
この文脈におけるナショナリストの意味については、
B・アンダーソンの「想像の共同体」を参考にして下さい。
決して極右とか過激派とかいう意味ではないので。
ガンジーが持ってるのはクロロホルムです。
非暴力主義者なので武器は持ってません。
島の集落に逃げ込んだケインズは、暇つぶしに
支給品の参加者アルバムを眺めていた。
このアルバムは被写体が死亡すると、カラー写真から白黒写真
に変わる優れものであった。
このアルバムによると現在の参加者の生死は次のとおりであった。
英雄一覧表
番号 英雄の名前
1 ヒトラー 生 2 アインシュタイン 死
3 ティベリウス 死 4 カエサル 生
5 イエス 生 6 冒頓単ウ 死
7 アッティラ 死 8 厩戸(聖徳太子) 生
9 金日成 死 10マリア・テレジア 生
11イヴァン四世 生 12武即天 死
13ブッシュ二世 死 14項羽 死
15愛新覚羅溥儀 死 16孔子 死
17M・アントワネット 生 18ティムール 死
19フレデゴンド 生 20曹操 生
21ジャンヌ・ダルク 生 22カール五世 死
23平清盛 生 24レオ十世 死
25フリードリヒ二世 生 26ラプラプ 死
27アイスキュロス 死 28デュ・ゲクラン 死
29ルイ十四世 生 30パラケルスス 生
31メフメト二世 死 32ガリバルディ 死
33乃木希典 生 34ヘリオガバルス 死
35ヴァレンシュタイン 生 36織田信長 生
37アルキメデス 生 38ルター 生
39ヨハネス二十一世 死 40張騫 死
41ナポレオン一世 生 42ピョートル一世 死
43始皇帝 死 44釈尊 死
45F.ルーズベルト 生 46マルクス 死
47エリザベス一世 生 48フェリペ二世 死
49彦坂忠義 生 50ノーベル 死
51陳国峻 生 52ニーチェ 生
53ネロ 死 54 ?
55孫文 生 56リチャード一世 死
57グスタフアドルフ 死 58クフ 死
59ダレイオス一世 死 60ポルポト 死
61ガンジー 生 62フィロン 生
63マルコムX 生 64アウラングゼーブ 死
65楊大眼 生 66レーニン 死
67スターリン 死 68毛沢東 死
69ハンニバル 生 70スカルノ 生
71クレイジーホース 死 72オクタビアヌス 生
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
文天祥 鄭和 ルーデンドルフ ムハンマド
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
80ケインズ 生 88アルカポネ 生
89パットン 生 99土方歳三 生
この一覧は、ケインズが暇つぶしでてきとうに書いた非公式な
ものなので間違いがあるかもしれません。
<英雄番号80番>ケインズ 所持品 参加者一覧アルバム
登場
フィロンは、島の7不思議をもとめて海岸沿いに北上していた。
目標は彼がかってに7不思議の1番目に認定した灯台である。
彼は途中にあった棚田を2番目の7不思議、空中庭園に認定した。
それからしばらく歩いていくと、立派な墓らしきものを発見した。
その脇に人影があるのをみとめ警戒したが、
敵意があるように見えなかったので話しかけてみた。
その人物は文天祥という名で、この墓(埋葬者 張騫)の製作者だった。
フィロンは、7不思議の3番目に張騫廟を認定すると、
文天祥と別れ再び灯台を目指して歩き始めた。
<英雄番号54番 文天祥>生存確認
<英雄番号62番 フィロン>生存確認
「急げ、ブッシュ!ぼやぼやするな!」
アイスキュロスにはこう言われていたが、ぼやぼや処かブッシュも逃げるの
に必死であった。だがいかんせん乗馬慣れしていない身の事。
前方の味方との距離が空く一方で、どう移動して来たのか後方から早くも迫
って来ていた敵との距離が縮んで行く。
「待ってくれ!俺を見捨てないでくれ!」
もう馬に乗るよりも叫ぶ方に気が向いている。そして危ないと思われたその
時、突然漢軍の先鋒が爆風に吹き飛ばされた。
「はははは・・・・・もう何が出て来ても驚かぬわい。」
ひきつった笑みを浮かべて言うヨハネス。地面とも水面ともつかぬ所に鉄の
船が浮かび、上空には艦載機が飛んでいた。
「ワスプじゃないか!?一体誰が。」
白黒写真で見た姿が、何故か一瞬にしてブッシュの脳裏に浮かんだ。
「畜生、ヤハウェの野郎め、この俺様を更迭しやがって!ブッシュ、話は聞
いた(釈迦達に)。雑魚共は蹴散らしてやるからとっとと行け。」
ヤハウェに殺されたミニッツ提督が怒鳴った念語が、三人の頭に届いた。
なおも追いすがろうとする者達の前には、「後始末」の係が襲い掛かった。
「呂后よ、后止まりが妾の邪魔をするなど千年早いわ。」
「劉邦よ、今度は誤魔化しはきかんぞ。漢の功臣も今はおらぬ。」
武則天と項羽であった。唐と楚の旗が漢の旗を押し潰して行く。
やがて、邪魔される事無く進んでいったブッシュらの眼前に大きな岩戸の様
なものが見えて来た。
「ほほう、なるほどそのような経験を・・・。」
「ええ、それで船を見つけてこちらへ来たのですが・・・。」
熱心に船を見つめるマリー。だが、
「あいにく、この船は銃弾で穴ぼこだらけ。とても使えんよ。」
肩をすくめながらカールが呟く。
「そうですか・・・。」
「ふがーふが、もがー。」
「だまれ!」
言葉は分からないが、ナポレオンはその気迫でもって鄭和を黙らせる。
「こいつも邪魔になってきたな、言葉も通じんし・・・。」
「そうだなカールよ。仲間が合流しだい、放免してやるとしようか。」
「うむ・・・。」
「仲間がいるとおっしゃいましたね!」
と、マリーがいきなり会話に飛び込んできた。
「おお、我々もまた、仲間を作っておる。」
「それでしたら私達と・・・。」
「うむ、もちろん協力を呼びかけたい。その際はぜひあなたに口添えを・・・。」
「ええ、任せてください!このところ仲間の方々に何のお役にも立てませんでしたから
・・・ああ、薪が切れているようですわね。集めてきます。」
闇の中にアントワネットが姿を消すのを待っていたかのようにカールがナポレオンに向かい合った。
「どういうことだ?」
何も言わずともその目がこう語っている。
ナポレオンはただ「黙っていてくれ」のジェスチャーをしただけだった。
ヤハウェは苛立っていた。この開催地を選んだのは失敗だったかもしれない。
そもそもこの地は(過激なイスラム教圏ならともかく)彼にとってほとんど教化の及ばない特殊な土地だ。
あまり実力が発揮できない。10000の兵を消し去る神威の具現など無理である。
加えて、この土地の人間は時間に厳格な反面、平和志向が見た目より強すぎる!
英雄達もこの土地の気風に感化されてか、ほとんど殺し合って無いでは無いか!
『くそ。アメリカを煽ってまた火の海にしちゃろかい。・・いや。核で消滅が良いな。』
本来ならアミニズムの信者たちは彼の教化を逃れ得る事はまず無い。高度な医薬品、国威、武力・・そのようなものを使わなくても、
彼を信じないものは地獄に落ちると言えば大抵こちらにつくものだ。
しかし、この国の連中は彼をアミニズムの神の一端より少しマシな地位にしか置いていない。
彼の信徒でさえ、仏教を信じたり、願い事があれば神社に参拝に行ったりムチャクチャである。
あまつさえ原爆がマズカッタのか人工の神(社会主義)にはまるもの、
教化が空洞化したものは彼に傾倒するより、神無き営利団体を信仰する・・・。
かつて教化してやろうと思った時は、まったく別の神の名を当てはめられるわ、時の権力者(信長)に利用されるだけ利用され、
挙句の果てには『先祖が地獄で苦しんでるならオラも地獄に行くだ!』と言われ、
洗脳と植民地化を素早く察知した猿顔(秀吉)におったてられ、
タヌキのような奴には宣教師どもは追い出され、のうのう貿易で利益を食われと散々だ。
『・・・・・消すか』やりなおそう。彼はこの島を消し去る破滅の稲妻を呼び出そうとした。
・・・・その時!
『おっちゃん。あそぼ!』・・子供だった。年のころ四歳くらい。
『(ハァ?)・・・消えろ。ジャマだ』問答無用の雷撃。
しかし。子供は髪一つ乱れて無い。『いきなし雷撃だなんて穏やかじゃないね。』
『貴様・・・何者だ?』
子供はにこりと微笑んだ。『
>>385大島大明神。』
そうか世界史英雄と言う以上世界中の神々もある種の英雄だったのね(w
大島大明神って同名の神様は実在(!)しますが、
この物語の大島大明神は別人(別神?)ですw
さっき続きを書いてたら、
いきなり天が轟き、大雨が降り、カミナリがいきなり振ってきてPCが飛びました。
この註訳を省こうとした事に対する神罰のようです・・・。
『やぁ、君がこのちっぽけな島の守護神かい?てっきり隅で泣いてると思ってたよ』ヤハウェの揶揄。
『・・・♪』チョロチョロと楽しそうに遊ぶ大島大明神。『・・・ジャマ立てするなら消しちゃうよ?』地獄の業火が“大島大明神”を包んだ。・・・が。
『焼いたおさかなさんって、おいしいね〜』・・・何とも無い。そんなバカな!!『何故・・・。なんとも無い!??』
『んっとね』沈黙。『ボク、しあなーい♪』『くぉぉぉぉのがきゃ〜〜〜!!』大島大明神をネックハンキングツリーにかけるヤハウェ。児童虐待である。
『絶対神』であるヤハウェにとって一地方神など触れるだけで消え去る存在である。『さて。とんだジャマが入った。・・消すか。』
『ぶっぶー』・・・足元を見ると、古ぼけたバスのおもちゃで遊ぶ『大島大明神』の姿があった。
『・・・何故だ。貴様には信徒などいないはずだ』・・これほどの力を何故持っている?
『んとねぇ。』“大島大明神”は邪悪な笑みを浮かべた。・・・教室を暗黒が包み、小さなプラズマが飛び交い、地域一帯を覆う地震、嵐、大津波、台風、サメの群れ、魑魅魍魎の群れ。
『ボクは元々荒神だもん♪・・信徒がいようがいまいが嵐も台風も地震もフカの群れも好き放題だよ。信徒がいないのもこないだちょっと地震で御茶目したら一時非難しただけだからね』
『な。何故、一地方神にごとき立場に納まっている!!』予想外だ。こいつにこれほどの力があるとは!
『ん〜。むかしはフカをよんだり、大嵐を呼んでみたり、地震をガンガン起こしてもっと遊びまわってたんだけどね。
みんなが『やめてくれー』って言って貢物を持って来てさ。最初女の子とかで、趣味じゃなくて、
『ボクが遊ぶ前に殺すのは許さん』って『ちょっと暴れた』ら立派な家とか立ててくれて。
で、なんか子供の神様みたいに言ってくるから乗って遊んでたらこうなった』ムチャクチャだ。
『・・何しに・・来た?』勝つ事は勝てる。問題はこのかりそめの身体を壊されたら介入力を失う事だ。その危険は五分と五分。
にっこり笑う大島大明神。『あそぼ♪』・・・。沈黙。『ふざけるな!!消えろ!』稲妻を再び呼ぼうとした・・・が、不発??
『・・・・島国の一地方神ごときが歯向かうつもりかい?』かりそめの身体の舌が干からびてきた。『うんん。全然。』首をちょっとかしげて可愛く微笑む大島大明神。
『君はさ。自立した子供のやることに親がイチイチ手だしする必要があると思ってるの?』
『??』『・・・つまり。』大島大明神は気取って(子供がやると萌えでしか無い)答えた。
『子供はいつか親から離れ、親を超えていくものさ。苦しい時、子供は頼ってくるけど、普段は自力で動くもの。
御互い自立してるんだよ?応じるかどうかは自由だろ?ボクだって忙しいのさ』
・・・・ボクはこの辺の自然そのもの。この惑星が吹き飛ばない限り、別にこまりゃしないよ。
「苦しい時の神頼みって言ってね。ボクも連中もそれぞれの道を歩いてるんだ。そりゃ困りすぎてる時、たよって来ても良いけど、ボクは助けない。落ち着かせるかどうかもそいつが決める。
だって、そうで無いと子供の為になら無いでしょ?」
『つまり・・・手を出す気は無いと??』『そっそ。そのほうが“面白い”もん♪』
『彦坂も『見守ってください』って言ってるけど、これは僕の意思。前の地震で遊びすぎてヒマだったからね♪
それに、ヘタに手出ししたら信長や清盛がボクの好きな団子を供えてくれるか怪しいし。』
『・・・・だから、雷撃でみんな『あぽーん』するのは却下。任せよう』
『断っちゃっていいかなー?』『ダメ〜♪』
『開催地』高度6000メートル。この地点を全長16メートル、幅22.5メートル、速力478キロで飛ぶ機があった。
その尾翼には大きく『4』の文字。
・・・戦って、60年、年老いて思い出は遠い空の下、白い雲の彼方。
夢をよく見る、かつて共に戦いし仲間の顔は今だ若い。
夢を良く見る。しかしこれはムチャクチャでは無いか?
このガタガタした飛行感はぶつけてプロペラを曲げてしまい、トンカチでぶったたいて直した機のもの。
爆弾倉を軍刀でぶちぬいた後は焼却した岡村機のもの・・遂にボケたか?
『大尉殿。お久しゅうございます』・・・・・樋口??福田?・・・・・みんな??
『生きていたのか!!』皆にかけより、思う存分抱きしめた。『P40に食われたと思っていたぞ!』
『チョットだけ、帰って来ました』にこやかに微笑む皆の顔。・・・・・。
『貴様等!操縦と索敵はどうした!!このままでは落ちるぞ!!』楽しそうに笑いながら皆が持ち場へ散って行く。
最高の夢かもしれない。当時は病でフラフラだった筈なのに身体が最高に軽い。ほのかなオイルの匂いはこの機の血液は最高級ハイオクタンであることを示していた。
『夢だ・・。』彼は楽しそうに呟いた。皆の声が答える。『夢ですが現実です。大尉は夢を見ているのです。』
『我々の任務は・・・。』
・・・・・・・・・バカな。ヤハウェは呟いた。
『勝手なことをするとあいつらが僕等の身体をふっとばすよ』
『き、貴様正気か!!貴様のかりそめの身体も吹っ飛ぶぞ!奴等にやめろと言え!』
いいもんと呟く大島大明神。『ボクは困らない。』
『“奴”はどうだ!!』あいつに圧倒的な神威を見せれば屈するだろう。
『んっとね。あいつは開戦の時、“国家に幸あれかし”って願ったやつなんだ。
同時に“祈って神の加護があるなら、何故人に生きる価値がある?”って思った奴だよ』
『ぼくら』の誇りさ。楽しそうに言う大島大明神。
『だから、人間たちに任せて、あそぼ♪』
介入者:大島大明神 目的。ヤハウエの暴挙阻止。と、いうかヒマ潰し。
このバトルロワイヤルが最後まで『楽しく』動くのを切望している。
召喚:K大尉を初めとする大日本帝国陸軍軍人。
乗機:陸軍九七式重爆撃機(大島大明神の改造済み。)
ヤハウェがキレて参加者全員を消そうとすると学校を爆破する。
ただし、『ゲーム』の参加資格はまったくないし、脱出者を殺す事も無い。
彼らの任務は『見守るだけ』である。
禁止区域とか脱出は駄目ってのは有りのままにして欲しい。
禁止区域はもともとなかったろ?
禁止区域はあって無いようなもので、脱出しようとしたらヤハウェ編成の海軍力が撃滅するのは変わらないとおもう。
『大島大明神』は元荒神といっても、
今は自然神だから基本的に『ただ、あるだけ。見守るだけ。だからこれといった贔屓はしないし、
逆に一人を優遇して他の人間を不幸にする』事も無いです。
ただ、本来の仕事である『周辺の自然現象を司る』地点からあんま不自然な雷がガンガン降ると困るといえば困る『程度』。
実際に脱出者が出ようが、それを東郷がふっとばそうが介入は無いハズ。
そもそも彼は信者を『導く』必要性を全く感じていません。
島をふっとばす、参加者を皆消すような大規模な『奇跡』をキャンセルはするかもしれませんが。
強力でも、あえて手出しせず、自分の仕事を忠実に行い、信徒を見守るだけって神様も、
ヘタに一人、1グループの英雄達に介入する存在より、
余計な厄介事を起こさないだけ、ある意味『ありがたい』だろうと言う事と、
オリンポス12神やら一神教の神が出てる以上、一応出しておきました。
てか、日本の神様って空気みたいな存在だからな・・・。一番難しい。
「ようやく辿りつけた訳だが・・・どうやって開ける気だ。」
「ブッシュよ、他人事の様に言うでない。まあ良いわ、わしに任せよ。」
岩戸の前にヨハネスが進み出て、懐から支給武器であった本を取り出した。
「辞書で開ける気か?」「辞書では無い、祈祷書じゃ。島では使う暇が無かった。」
他の二人は顔を見合わせたが、本人は乗り気らしくさっさと祭文を唱え始めた。
「父と子と聖霊の御名において・・・在りて、在る様に、在れっ!!」
ヤハウェは「在りて在るもの」という意味である。この度祈るのは本末転倒という
気もしたが、そこはトンデモ教皇とDQN大統領。異教徒のアイスキュロスははな
から気にしていなかった。
轟音が響くかと思われたが、案外すんなりと岩戸は開いた。が、一向に何かが起こ
る気配が無い。ただ中がきらきらと光り輝くばかりであった。
「何も起こらんではないか!」「ちょ、ちょっと待て。おかしいのう。ていっ!」
ひゅーん!勢いで投げたロザリオが中に吸い込まれていった。ごちん!
「いったーっ!!何すんねん!!」
顔を見合わせた彼等の元に、どかどか音を立てて中の者達が出て来た。まず初めに
額を押さえながら鷹頭人身の太陽神ラー。次に長き亜麻色の髪をなびかせたデメテ
ーるが、天照大神が、イシュタルが、テリピヌが出て来た。
『引き篭もりがそろって宴会の最中であったか。ちょうど良かったわい。』
「なんやあんたら。珍しい顔ぶれやな。こんな処まで何しに来た。」
「いやあ、突然申し訳御座いません。しかしながら火急の用件がありまして。」
腹の内を出さぬ様に気をつけながら、異邦人達は揉み手をして近づいて行った。
571 :
世界@名無史さん:02/05/29 17:34
項羽の死体を大八車に乗せて運ぶ怪しい男がいた。
彼は今までに5体の遺体を回収していた。
この島には遺体が沢山あったので彼はモデルを厳選することができた。
彼は死体を、臨時のアトリエにした神社の社務所で解剖し、
それを元にとりつかれたように芸術作品を作り続けていた。
彼は生前、リアルな作品を作るために骨格や内臓・筋肉の様子を調べる必要が
あり死体の解剖を行っていたのだ。
この島の状況がかれの狂気に拍車をかけていた。
<英雄番号79番>レオナルド=ダ=ビンチ登場
所持品 のみ(初期装備品) 大八車(金日成の初期装備品)
ダ・ヴィンチに狂気は無いよ・・・むしろ冷徹すぎるくらいだよ・・・
(死にかけの老人のエピソード参照)。
「ほう、やはり誰か居たようじゃな。」
暗い洞窟の角を曲がった所で時折薄暗いランプの光で歴史書を読んでいたF・ルー
ズベルトの静寂は突然の来訪者の発した聞き慣れぬ声により破られた。
一人では無い。容貌までは分からなかったが、僅かな光は数本の足を照らしている。
「初めまして、と言うべきだろうね。私の名はルーズベルト。アメリカという国の
大統領職にあった者だよ。」
咄嗟の判断で、彼は冷静を装う事に勤めた。いや、演技を真実のものとしなくては
身構える事すら出来ぬ彼に残された道は死しか無いのだ。
もとより最後まで生き残れる事に自信があった訳では無かった。生き残る為には例
の計画を成就させるしか無かったが、どうやら相手次第では結果が見られなくなり
そうな雲行きである。
と、相手に動揺が見られた。正確には相手の内後方に居た一人が暗闇でも分かる様
な慌て振りを示したのだ。
「どうしたのじゃ、彦坂殿。仇か何かであったのか。」
最初相手を素人と見て発した間延びした声とは打って変わって緊張する清盛。洞窟
内に閉じ篭りしかも照明を点けたままという時点で安心していたのだが、目の前に
居る相手は仲間と因縁がありそうであった。
「何と、数百万も人死にが出たのか。京を十ばかり焼け野原にしてもまだ足
りぬ程の人が殺し殺される世が来ておったのか。」
「まさしく末法の世じゃな。福原も、陸奥・薩摩の果てまでも焼かれたか。」
肝心の京が焼かれなかった事を意外としながらも、平清盛・織田信長という
二大政治家は瞠目しても目を開いても感情を表す術を知らなかった。
「はい、我が国は圧倒的な物量の前に敗れ去りました。織田さんの死後まも
なく栄え始めた広島・長崎も原子爆弾で・・・・。」
暗闇に目を慣らして行く内に、ルーズベルトにも話している連中の正体が掴
めて来た。どうやら最悪の相手であったらしい。
『意外と長く生き残って安心して居たが、これでお終いか。』
覚悟を決めた時である。武器を構える事無く一人の『日本人』が迫って来た。
第一印象は、魔王といえる男だった。目が猛禽の様に鋭い。
「汝に問う。我が日本国を存じておるか。」
「はい、知っておりますとも。」
気が付くと丁重な言葉遣いをしていたのは、別におもねっていた為ではある
まいが、何時の間にか嘘偽りの無い己の生涯について語っていた。
「あい分かった。ルーズベルト殿は信ずるに足るお人じゃ。」
一通り聞き終わって、『魔王』が満足げに頷いた。清盛が説明する。
「賭けておったのじゃよ。おぬしが真の事を口にすればよし、知らぬと思う
て偽りを述べれば地獄に返すとな。・・・彦坂殿、これでひとまず恨みは棄
てなされ。」
安心したような顔で頷く彦坂忠義。車椅子に座っていたルーズベルトは放心
しかかってより一層深く椅子に身を沈めた。
即席の同盟を組むとにしたフビライとイヴァンは、
そろそろ乏しくなってきた食料を調達するために、
集落のある地域に向かうことにした。
「イヴァン。我々は近接戦用の武器しか持たぬ。飛び道具が無ければ話にならんぞ。」
「ふん。適当な文官系のやつらを殺して奪えばいい。」
「しかし、都合よくそんなやつをさがせるのか?
ひよわな奴はもう絶滅しているぞ。」
「文官どもは、体力が無いから長時間野外にいることはできん。
生き残っているとすれば、これから行く集落に集まっている可能性が高い。」
「なるほど。一石二鳥というわけか。今から急げば夜が明ける前につける。
夜襲できるな。」
二人は暗闇の中を集落に向けて進みだした。
<英雄番号11番>イヴァン4世 大剣と馬
<英雄番号75番>フビライ 蒙古の剣と馬
再登場
576 :
世界@名無史さん:02/06/02 12:37
イヴァン雷帝の武器にグスタフ=アドルフから奪った
手榴弾14個が忘れられている。
よってイヴァン4世の武器は、大剣・馬・手榴弾14個になる。
所持品が混乱してくるので、三戦版のバトルロワイアルのように
死亡放送と参加者及び所持品のの一覧を出したほうがよいのでは?
それとパーティーを組んでいる英雄の一覧も。
577 :
カエサル萌えの女:02/06/02 22:01
森を抜けたカエサルたちは、何やら喧嘩腰の男女の声を聞いた。
「あれは・・・」
オクタヴィアヌスがその方向を見て、驚く。
「知り合いか?」
目ざとくカエサルが聞いた。
「・・・四人の中の一人、女と喧嘩している方の男と、いささか面識が」
「なるほどな。エリザベス、話の内容が分かるか?」
「・・・いいえ」
無論彼女には、何語で話しているかの見当はついている。だがその言葉を
話せるあの男の顔を思い出した途端、全身を強い嫌悪感が走ったのだ。
と、そこでオクタヴィアヌスが指定した男がこちらに気づく。
『神君アウグストゥス! どうしてここに!』
喧嘩を一時棚上げにして、心で聞いた。聞かれた方は
『カールやナポレオンたちとはぐれた。養父に助けられたから良かったが』
養父・・・? と目を瞬かせ、フリードリヒはアウグストゥスの視線の先を
見た。実物を見るのは無論初めてだが、誰かは見当がつく。
「ユリウス・カエサル!」
彼は思わず、そう叫んだ。残る三人は顔を見合わせる。
578 :
カエサル萌えの女:02/06/02 22:03
「いつの間に神君アウグストゥスと知り合ったのかしら、この泥棒は」
マリア・テレジアが不満そうに呟く。『ローマ帝国皇帝』の名を
曲がりなりにも引き継いでいるのはこちらの方なのだから、自分こそが
先に会っておくべきなのだ。
「ま、行いの差だな」
「何ですって!?」
「そなたたち、フランス語で話せ。通訳出来ぬ」
危うくまた喧嘩しそうになった二人に、エリザベスが割って入る。
「我々は我々で用事がある。彼がそちらの男に用があるというから
こうして止まっているだけのことだ」
『島国イングランドの女王』が偉そうに何を言う、とむっとした
マリア・テレジアに対し、フリードリヒは
「はぐれた、と仰せで」
と、アウグストゥスに言った。
「ああ。彼らが飛ばすのでついて行けずにな」
「それは失礼。して、用とは?」
「彼らへの伝言だ。『ユリウス・カエサルと行動を共にしている。これから
本を探しに行くので、私に会いたければ内側に木と小屋のある柵の外で
待っていろ』と」
579 :
カエサル萌えの女:02/06/02 22:09
本来ならば先に知り合った自分たちの方を優先すべきなのだが、後に
知り合った相手がカエサルとあっては、フリードリヒも文句が言えない。
「確かに伝えておきます。しかしその、本とは?」
「歴史書だ。島の外れに燃えない紙で出来たものがあるらしい」
「歴史書?」
フリードリヒは目を瞬かせた。アウグストゥスは
「ああ。神代から我々が転生させられたこの時代までの歴史書だ。何でも──」
「小屋ごと燃やしたという証言があるが、私の推測ではその本は
燃えない紙で出来ているはず。現場まで確認しに行こうというわけだ」
イエスが言った。カエサル-エリザベス経由の通訳で理解した
フリードリヒは
「なるほど。しかし、燃えていないからと言って現場にあるとは限らんぞ」
と応じる。ただのユダヤ人と思ったらしい。
「煙を見れば近寄ってくる者が必ずいる。そして火事場の残り物は
拾われやすい」
「残ってなくとも、奪う者もいますしね」
マリア・テレジアが、皮肉を込めて言った。だがフリードリヒは完全に
無視して、先方の応答を待っている。
「その時は、いったん本拠地に戻る。誰ぞ来ているやも知れんからな」
「だから、さっき言った場所で待っているように伝えてくれ。必ず戻る」
最後にアウグストゥスが言い、フリードリヒは了承して別れた。
580 :
カエサル萌えの女:02/06/02 22:11
「成長したな、オクタヴィアヌス」
こちらも再び歩きつつ、カエサルは言った。
「いえ、あなたほどでは」
「あれだけ出来れば十分だ。それにしても、ついて行かずとも
よかったのか?」
「フリードリヒが私に気づく前の、背後の武人たちの迷惑そうな顔を
見れば、とても行動を共にする気にはなれませんよ」
言葉は分からないが、あの顔だけで見当が付く。
「私としては、無関係なごたごたに付き合わされたくない。女の
ことで苦労するのは、娘で十分です」
『皇帝の娘であるがゆえに、不自由を強いられる、か』
言ったのはイエスだった。真面目な、冷めた表情で
『当時の風潮からすれば、珍しくもない。挙げ句に兄か弟かのように
見ていた男と夫婦になれなど、当の娘から見ればどう映ったことか』
オクタヴィアヌスは言葉に詰まった。二人の表情を見て、カエサルが
いきなり吹き出す。
「ま、お前が苦労して来たことはよく分かった」
養子の肩を叩いて、女たらしとしても有名なこの男は言った。
「ただ、もう少し若いうちに、自分のことで苦労するべきだったな」
「お言葉ですがカエサル、私も苦労したんですよ」
『人妻を自分の妻にするためになら、苦労しただろうが。そういう
親を見て育った娘が、悔い改める気になどなるものか』
イエスがまたしても言い、カエサルが今度は声を立てて笑った。
581 :
カエサル萌えの女:02/06/02 22:25
>>577-580 今回のポイントはフリードリヒの預かった伝言です。
最後はちょっと脱線。アウグストゥスの娘のユリアネタです。
地の文での呼び名については、
カエサルが絡むときは「オクタヴィアヌス」、
でなければ「アウグストゥス」としてます。
本人の意識のありよう、と思って下さい。
>>576 過去ログにそのためのページがあったんですが、
お忙しいようで更新ができてません。
「足手まといが増えただけでは無いのか?」
自虐的な意味も含めて、曹操がつぶやいた。
さして広くもない洞窟の中で織田信長、平清盛、彦坂忠義、曹操、パ
ラケルスス、ルーズベルトが明かりを囲んでいる。
この人数と装備ならそう簡単にやられる気はしなかった。洞窟自体も
しっかりしたもので、崩れる心配は無い。
しかしそれ以上に彼らにはその場を離れる事の出来ぬ訳があった。
椅子に座っているだけかと思っていた相手が車椅子に座っていた上に
すでに満足に身動きが出来ない者を抱えていた事も理由の一つではあ
ったが、椅子の後ろの木箱の中身が問題であったのだ。
「ダイナマイトとは・・・。おおかたノーベルさん辺りの支給品かこ
の島に来られてからの作品でしょう。」
中身について学者の顔になって説明していた彦坂が最後に付け加えて
くれた。件の「本」のお陰もあって近世以前の人間にもその大体の事
は理解出来る様になっている。しかしだからといって全て持ち運べる
訳でも無い。結局の所手詰まりの状態であった。
「敵に渡しては一大事。さりとてこのままガンジー殿らと合流せずに
日暮しという訳にも行かぬ。・・・パラケルスス殿。我等はこれを敵
に渡さぬ様に運べるものを探して参る。」
妙なもので、往年の独裁者ほど認めた相手に対し義理堅かった。
そして認めさせた方も危険に身を置いて躊躇する器では無かった。
「私はホワイトハウスの椅子の上で戦争をやって来た。だが、いやだ
からこそ諸君らの役に立ちたいのだ。行ってくれたまえ。」
夕日の下に入った洞窟を出ると、もう満天の星空が広がっていた。
「相国殿、運んで来た車の轍の跡が残っておるわ。」
注意して見ると、それらしきものが森の下草と地べたに残っていた。
ダイナマイトを敵に渡したくないのと車椅子では動けないのが重なっ
た為にルーズベルトは洞窟に残りました。曹操と主治医(?)のパラ
ケルススも一緒です。
いざとなれば自爆も出来ますが、その辺りは相手の行動次第。彦坂が
どちらと行動を共にしたかはご想像にお任せします。
「・・・・・・鄭和を探しに行かんのか?」母語で皮肉げに喋る曹操に、
やや疲れた表情の彦坂。壁に目を向けたまま片言の中国語で言葉を返す。
「・・・あなたの言う通りにしたまでです。」
「おまえらそろそろ仲直りせんか」呆れるパラケルスス。
ほとんど無傷の曹操の顔には、彦坂がつけたでっかい青痣がついていた。
ルーズベルトは所在無く黙っている。状況がわからないのもあるが、
一人は老人、一人は大火傷を負い、一人は・・・日本人だ。
しかも、この男、やたらめったら頭が良いのと人当たりが良い。
加えて、曹操の『本』の知識、ワケの判らん本によって(彦坂は『未来記』と言った)天啓のようなものをもっている。いや、元々そういう物を持っているのだろうが磨きがかかっているようだ。
そして、この場の通訳が出来るのはこの男だけだ。
もし、あのとき何故京は燃えなかったのかと清盛が聞けば、
そして彦坂が『古都で立派な建物が多いので見送られたからです』何ぞ答えようもんなら信長はともかく、清盛に斬られていたかもしれない。
彦坂が意図的に何らかの偏った『事実』や『誤訳』をすれば・・・。だから黙っている。主導権が取れるまで。
少し遡る。彦坂と曹操は言い争ってた。
『鄭和を助けたい』彦坂と、『普通死んでる。生きてるなら捕虜だがお前が助けられるわけが無い。』という現実的な意見と論拠を述べていく曹操(勿論、彦坂がブラブラ出て、薬草と治療が頓挫したら生皮を剥がれた曹操は傷が化膿することもある)に、
(彦坂だって戦乱を生き延びた男、現実感覚が全く無いわけでも無い)なんとか思いとどまらせることに曹操は成功した。
『ならば、医者を探す以上、医者という技能があれば仲間もついているハズだ』という結論に達すると同時に、
どうやって医者のいるグループを仲間にするか、そのための交渉の材料などを検討しながら『治療』は続いていた。
彦坂としては、手を動かしていないと不安になるからでもある。
曹操としては、『傷が治ったら』この世をどう治めるか話していないと気力が持たないのがある。
いつしか曹操は『本』の内容や彦坂自身(『本』には参加者全てのある程度の情報が掲載されている)の話にも及んでいた。
やがて話も弾み出す。軍事の天才の曹操と独特の平和思想と独創で鳴らした物理学者。
戦乱を通して軍事と政治で平和を目指した男と、最終兵器の無力化と平和利用を考案した男。いったん弾み出すと止まらない。
支給武器についての話題ではお人よしな彦坂、アッサリ未来記を見せる。曹操は優れた知性で『本』の内容と照らし合わせつつ、
『なかなか優れた推測だ』と言ってのける。
いつしか曹操の弁説には熱がこもり、どうこの世を治めて行くか、その為、どのような国とどう付き合うかなどを、熱く、熱く語り、
その平和な世の中、どう自分が貢献して行くか楽しそうに喋る物理学者の姿があった。
・・・・・・・ある一言を言うまでは。
『ヤハウェを殺す為、原爆を作ってくれ』
さっきまで穏やかだった青年は、有無を言わさず怪我人の顔を殴り飛ばした。
『そんな爆弾は作ろうとするな!使うな!
敵が同等の力を振るうなら、それを無力化する技術を作れ!』
なんの事は無い。死後ですら心底から慕われる彦坂とて、若い時はとっても直情的だったのである。
戦中の時に陸軍から原爆製造指令があったとしてもこういう態度だっただろう。
『あの雷を防ぐ・・・・・避雷針でも作るか?』苦笑する曹操。
『それだけでは無いな。数千の軍を瞬時に消し去り、人々を塩の固まりにする、蝗の群れを呼び、毒を世界に撒く…。』
それを無力化する技術の確立に何年かかる?それをヤツが見逃すのか?
『交渉に足る材料を持ってくる者、同等、もしくは攻撃すれば手痛い損失を受ける相手の話を聞くのは賢明だ。
・・しかし、なんの魅力的材料を持たない話や、押しつけがましい偽善や自分の思いこみの正義に応じる必要を・・『ヤツ』は考えるのか?』
『無力化するより、今ある能力で同じことが出来るなら使う。いや、あるだけで良いものだ。『交鈔の為』ある存在なのだからな』
『まだ言うか!!!』柔道の要領で吹っ飛ばされる曹操。
『私は物理学者だ!確かに理論は説明出来る!が、そんな兵器の作り方は知らない!知っていても作らない!!」
・・・・・・「なにか聞こえなかったかの?」パラケルススはふと気がついた。
言い争う声だが殺し合いの声では無い。血の匂いからして片方は重傷で、片方は元気だが『血の匂いのする』タイプでは無さそうだ・・近づいても大丈夫そうだ。
突如姿を表した老人に驚き、手を止める二人。両手を広げて『敵意は無い』と伝え、曹操の治療を始めるパラケルスス。行動が最高の身分証明だ。
(医療キットには最新医学の知識をイメージという形で使用者に与える『札』がついていた)
彦坂の素人療法に呆れつつも、それなりのファーストエイドである事に安心したパラケルススは、
『怪我人と殴り合ってるヒマがあったら手伝わんか!!』と一喝。今までの喧嘩で(火傷の場所だけ器用に避けて)殴りに殴り、殴りに殴り返された(驚いた事に、反撃してきた)曹操を救うべく、彦坂は走り去った。
『まぁ、わしが来たからには半身不随になる事は無いから安心せぇ。すぐに治してやる。このキットは実に優秀だ。ワシの腕には負けるがな』と笑いかけるパラケルスス。
曹操は・・彦坂の走り去った方向を見ていた『どうした?』
曹操は母国語で小さく呟いていた。
「彦坂・・・お前は嘘をついている・・・。自転車に薬草と共に積んだ、あの『石』はなんだ??
貴様は何故危険を顧みず一人で奔走した・・・・?なにかを見たのではないか?』
・・・・・・本にはこの島のデータも記載されていた。
その中にはこう書いていた。「旧日本軍地下施設あり。状態良好』
そして、地質データには。『採石場跡(場所不明。)○○X%、▲▲Y%・・・』
『ウラン10%』
「歴史書か、それも未来の。ぜひ読んでみたいものだな。」
「まったく驚きね。あなたのことなんて凶悪犯罪者の欄にでも書かれてるでしょう。」
「はん、まあハプスブルグにしてもヨーロッパ一の名家などとほざいていながら
参加者が貴様一人しかいないんだからな。
どうせやたら長い系図しか載っておらんだろうよ。」
火花を散らす二人をよそに乃木とルーデンドルフは心配顔。
「フリードリヒ陛下のお仲間にロシア人がいるとかですが・・・
もし彼にも見せたら厄介なことになりますね。」
「実はわしも同じじゃ。その時はどうにか説得するしかあるまいな。」
「何より問題なのが、ナポレオンがフリードリヒ陛下のお仲間だということで・・・
マリア・テレジア陛下には事前に説明するしかないでしょうが、
もしナポレオンが私のことを知ったら・・・。」
「まあ、ヨーロッパの戦争についてはどっちもどっちという点があるからのう。
・・だが、やはり生前なしたことで互いが気まずくなってはとてもまずい。
われわれが知識を手に入れた時点で処分しておくほうがいいかもしれん。」
「同感です。」
と、泥仕合に終始していた方角から叫び声がした。
ついに血を見たかと観念したルーデンドルフが駆けつけると、
「な、な、何なのだ・・・。」
「どうかいたしましたか、陛下?」
「き、金属でできた鳥が大空を飛んでおる・・・。」
フリードリヒの声を聞いたルーデンドルフは大空を見上げ、苦笑した。
「あれはですね、陛下、飛行機といいましてガソリンエンジン
・・そのプロペラで・・・とにかく人を乗せて空を飛べる機械なのです!」
「はあ!?未来にはまたすごいものができるのだな。
いや待てよ、フランスでモンゴルフィエとかいう兄弟が
空を飛ぶことに成功したという話を聞いたことがあるが・・・。」
「臨時軍用気球研究会の徳川大尉がわが国で初の飛行に成功したのを知っておるが、
あんな機体だったのか?」
乃木が話に加わってくる。
「あの大戦中に軍用機も驚くほどの進歩を遂げましたからね。
わが軍の機体などドーバー海峡越えでロンドンへの爆撃も行いました。」
得意げに語るルーデンドルフだったが、突然その顔が青くなった。
「あれが参加者のものだとすると・・・かなりまずいですね。」
「なるほど空からの攻撃となると平原では防ぎようがない。」
それを聞いたフリードリヒ曰く、
「うむむむ・・・そうだ!あの機械にもどうせ人が乗ってるんだろう、
あの女を裸にしてだな、
平原を駆け回らせばもっとよく見ようと低いところまで寄ってくるだろう。
そこを一斉射撃で・・・」
「ハエの羽音が耳障りでしょうが、皆さん気にしてられませんわね。で、どうしましょうか?」
「そ、そうですね。まず森の中を移動中は見つかることがないでしょう。
平地は夕方から明け方にかけて移動する。こんなところでひとまず。」
「うむ。ナポレオンが喜ぶな。信頼できる仲間二人を連れ、歴史書の情報までもっていける。」
PS
ナポレオンのほうを夜にしてしまいました。これでは動けません。
皆さんも早く寝ましょう。
「意外と早く着きそうじゃな。善哉、善哉。」
月明かりと星明りを頼りに何処まで轍の跡を辿って行けるものか、正直
自信が無かったが幸い先日のにわか雨のお陰で跡がはっきりしていた。
ある程度当りをつけて戻るつもりであったが、これなら何とか行きそう
である。
しかも、ものがものだけにややこしい場所は通っていなかった。
「しかしこれだけ目立つものを引いておったとはな。余程のたわけ者か
才気があまり過ぎて器が壊れた奴と見た。」
「それはその通りじゃが・・・わしが見ても却って襲う気にはならぬな。
あまりに怪し過ぎるわ。」
虫の声が耳を突く中、どんどん分け入って進んで行くとやがて広場の様
な所に出た。いや、彼らには島に来る前も来てからも見覚えがあった。
「何じゃ。前来た社の境内では無いか。」
(大島大明神辺りの干渉に依るものか)不思議と焼け残った社務所の前
に慣れた血の臭いと色の染み付いた車が放置されているのが見えた。
建物の奥で何者かが動いている。灯明(ランプ)に照らし出された光景
を窓越しに目の当たりにした二人は息を呑んだ。
畳の上を血で濡らし、刃物を持った白人の男が死骸を解体していた。
壁には血でもって人体の様子が描かれている。
「昌秀・・・か。」
疑問とも納得ともとれぬ口調で、清盛が呟いた。
死体自体やそれの所持品や髪の毛を漁る光景であれば珍しくも無い。だ
が「解体新書」など知りもしない二人にとっては悪魔的光景であった。
敵や不興をかった者を切りはしたが、己の楽しみで切った覚えは無い。
レオナルドには手を出さず、二人は大八車をガラガラと洞窟の近くまで
動かすと洞窟内で即座に寝てしまった。
(注・絵仏師昌秀は芥川龍之介の「地獄変」に登場する、狂気の絵師。
元ネタの「今昔物語集」の成立は清盛の時代より少し早いが、この場合
はパラレルワールドになっている。)
失礼、昌秀では無く良秀でした。
四日目の朝。少なくなり始めた食料(採集もしていたが、満足なものでは無
かった)を腹に収めた信長一行はダイナマイトを大八車に積み込むと移動を
始めた。
信長が引き、清盛と彦坂が押している。曹操は荷台に転がり、パラケルスス
がルーズベルトの座った車椅子を後ろから押して歩いていた。
「この先で海に出て、そのまま車ごと坂から押し出すぞ。」
懐にダイナマイトを入れた信長が言った。何しろ量が多過ぎたのである。
核兵器の様なもので、軍事バランスを崩しかねなかった。討議の結果、彦坂
の意見と彼の語ったノーベルの生涯に考えさせられた事もあって大半が廃棄
される事となったのだ。
ルーズベルトに聞かされた通りに出来るのならそれに越した事はない。また
彦坂と当のルーズベルト以外には召神について若干の心当たりがあった。
大八車の廃棄理由は大き過ぎ目立ち過ぎるという事に尽きた。血の色は島の
緑の中にあって違和感があり過ぎる。
「ようし、わしが離れたら押してくれ。」
急に視界が開けて来た時、坂になった草原とその向こうの海を目にした信長
がそう言って横に逃れた。ただちに曹操を下ろした二人が車を押し出す。
ガラガラガラ・・・・・派手な音を立てて大八車が坂を転がっていった。
591 :
世界@名無史さん:02/06/04 22:05
「あ・・・やだ、毛沢東」
一時でも放されるのが嫌で、江青は毛沢東に腕を伸ばす。毛沢東は小さく笑って
江青を組み敷くように体を入れ替えると、ちゅっと音を立てて細い首筋に吸い
ついた。
「んっっ!!」
江青の背筋を電撃が走り抜けた。全神経がおそろしいほど鋭敏になって、紡ぎ
出される快楽を何倍にもして受け止めようと待ち構えているようだ。
毛沢東の口唇はいたるところに赤い痕を撒き散らしながら這い回り、江青の耳元
までくると止まった。
「・・・・もう、知らねーぞ。泣いても遅いからな」
首を巡らすと、ひどく真剣な表情にぶつかった。こんな毛沢東の顔は初めて見る。
低く囁いた声は興奮の為か幾分掠れていた。甘く幸福な期待に全身の血が沸き
立ち、江青はそれだけで蕩けそうになる。
「うん、いいよ・・・・?全部、毛沢東の好きな様に、して・・・・・」
左右に激しく揺れつつ、途中で分解するのでは無いかと思わせる勢い
で急斜面を下って行く大八車。
幾分名残惜しい気がしながらそれを見つめていた一同の視界に、突然
草叢から立ち上がった大きな影が映った。
「熊じゃ。」「たわけた事を、島に熊が居るか。」
信長が言った通り、熊では無かったそれは(言葉の内容までは推し量
れなかったが)人語で大声を発した。が、すぐに大八車の陰に消えた。
大八車はそのまま崖下へ落ちて行く。消えた大男の姿は見えない。伏
せたのか、それとも一緒に落ちて行ったのか・・・・・。
「カール大帝!」
今度は右前方からそう叫ぶ声が聞こえて来た。妙な帽子をかぶった男
が金属の棍棒を持って駆け出して来たのが見える。
「カール大帝だと!?」「あの男は、もしや!」
パラケルススやルーズベルトも驚いていたが、信長と清盛はある意味
それ以上に驚いていた。
「あやつ、武則天殿らを襲った奴じゃ。」「うむ。」
信長がライフルを構えた。
593 :
カエサル萌えの女:02/06/04 22:46
それより時間は遡る。
三日目の夕刻前。カエサル以下四人は、目的地らしい空き地に辿り着いた。
「これは、かなり燃やし尽くしたらしいな」
カエサルが呟く。黒い燃えかすと灰が辺りの地面に広がり、家を想起させる
ものと言えば、柱らしい巨木の焦げた跡が地上一メートルほど残っている
だけである。足で軽く灰をどかすが、目当てのものは影すらも見当たらなかった。
「この分では、何も残るまい」
彼のその言葉に、イエスは珍しく深刻な顔で
「他の者が拾っていてくれればいいが…」
と言い、祈るような仕種をした。
「どうした」
「自分の物を破壊されて、罰を加えないような神ではない。曹操とか
言う者、生きていてくれれば良いが・・・」
「珍しいな、お前が味方以外の無事を祈るとは」
「こう見えても宗教家だからな」
応じようとしたカエサルを、離れて辺りの地面を調べていた
オクタヴィアヌスが呼んだ。
594 :
カエサル萌えの女:02/06/04 22:49
「カエサル、これを」
地面を指さしている。駆け寄った彼は、細長い帯のような模様が地面に
描き出されているのを見た。いや、これはレリーフに近いような・・・
「模様はあの細い道からここに出て、向こうに抜けています。他に何も
ないので、どうやら通り過ぎただけのようですが」
オクタヴィアヌスが身ぶり手ぶりを交えて説明する。脇で見ていた
エリザベスに、カエサルが
「エリザベス、これに見覚えがあるか?」
「さあ・・・」
言った後、彼女は地面にそっと触れた。思った以上に固い。
「車輪の一種ではないかと思いますが・・・。大砲を載せて引いて
運ぶとき、これくらい地面が固まるそうで」
「大砲?」
「ああ、えっと・・・。カエサルの持っている銃を数十倍の大きさに
した武器です。重いので十人くらいで運ぶんですが」
「なるほど、分かった。しかしやけに太い車輪だな」
我々のより三倍以上ある、とカエサルは改めてそれを見た。
595 :
カエサル萌えの女:02/06/04 22:51
その頃、カエサルたちを追って森を抜けていたスカルノと
ヴァレンシュタインは、ある音を遠くに聞いた。
「何だ?」
呟くスカルノを制し、ヴァレンシュタインは気配を消して素早く木の影に隠れた。
転生前の記憶で思い当たる節のあるスカルノも、急いでそれに倣う。
「・・・で、スカルノ。何の音だ?」
「自動車のエンジン音だな」
何だそれは、と言いたげな顔の相手に、
「乗り物の一種だ。君の時代には馬車程度しかなかったろうが、
我々の時代には馬や人の力を借りずとも移動できるんだ」
それの姿は全く見えないが、音だけは聞こえてくる。
「・・・あんなバカでかい音を響かせてか」
「あれはかなり初期のものだ」
スカルノは応じた。そして
「さ、行こうか。傭兵殿」
596 :
カエサル萌えの女:02/06/04 22:57
噂の人物?は、アル・カポネです。
最近出て来てないのでこういう形で出して見ました。
597 :
世界@名無史さん:02/06/04 23:35
ダーウィン・・・結果的に最も人を死なせた歴史的人物は彼だと思われ。進化論がなきゃ世界大戦もなく、ヒトラーがあんなんなることも無かったかと。
でもかれの経歴なんて医者して世界を旅したって事しは知らず、だれか彼のひととなりなどご存じな方がいらっしゃれば、カキコキボンヌ。でも今から登場人物増やすのもどうなんでしょうね。
べつに無視してくださって結構です。この板に来たの最近ですけど、続き、楽しみにしています。皆さん頑張ってください!!
598 :
世界@名無史さん:02/06/05 00:06
>>597 >ダーウィン・・・結果的に最も人を死なせた歴史的人物は彼だと思われ。進化論がなきゃ世界大戦もなく、ヒトラーがあんなんなることも無かったかと。
それを言うなら「社会有機体説」のスペンサー。
スペンサーは、ダーゥインの『種の起源』より先に「社会有機体説」を唱えていたが、
『種の起源』を読んでから、適者生存マンセーになった。
>>597ユーゲーの記事(また怪しい物を・・・。)での紹介を見る限りでは、
とても穏やかな人だったらしい。熱心なキリスト教徒の家族を傷つけるのを恐れ、
死ぬまでその理論を封殺するつもりだったが、研究者仲間の嘆願を受け、ものすごい時間が経ってから発表。
・・・・・・・結果は皆がご存知の通りです。
この記事のほうが詳しい。
http://www.gld.mmtr.or.jp/~panic/sonota05.htm ダーウィンで検索してみれば一目で分かりますが、
彼はホントに宗教やらオカルトやらの位置付けの格好の口実になっていて、
可愛そうでなりません。安らかに眠っていて欲しい・・・。
開けた土地を馬で移動していたフレデゴンド、厩戸、ルイ十四世。だが平坦
であっても隠れる所のある土地で、突然ルイの馬にしがみついて来たものが
居た。
「うおおおっ!!」「うおっ。」
危うく落馬しそうになったが、クレイジーホースの軍用ナイフで咄嗟に眉間
に切りつけて倒し、体勢を立て直した。馬も駄馬では無い。
と、唐剣を構えた厩戸の背後からフレデゴンドの悲鳴が聞こえて来た。意外
と可愛らしいものであった。
振り返ってみれば、こちらは彼女と同じ様な格好と容姿(厩戸の目で)が絡
みあっており、鉄の爪で喉笛を切り裂かんとしている。
が、フレデゴンドもさるもの、逆に針を腕に突き刺そうとして相手を退かせ
た。飛び退いた相手は憎悪の目で睨みつけている。だが、美しい。
「あら、ブリュヌオーじゃないの。まだ生きてたのね。ケインズの一覧表に
も乗っていなかったものだから、とっくに消えていたかと思ってたわよ。と
りあえず英雄(お笑い種ね)番号は54番にしてあげるから、さっさと死に
なさい。」
粗相をした妹をたしなめながらも苦笑する様な口調であった。だがそれに対
する返答もまた尋常なものでは無かった。
「・・・・死ぬのはあなたよ。」
宣告するような言い方に、聞いていたルイも身震いした。厩戸はニーチェの
方に体を向けている。顔は見えるのだが、表情が読み取れなかった。
慣れているのだろう。氷の様な視線を直視してもフレデゴンドの顔に動
揺の色が浮かぶ事は無かった。
「聞いたわよ、あなたの最後。息子がずいぶんむごい事をしたそうね。」
史実を伝えただけだというのに、自分が矢面に立たされた様にルイがビ
クッと動いた。
「あなたに捕まるよりはましだったわ。お互いにね。」
「あははっ。言えてるわね。お互いさまか。」
今度は数十年来の友人のように語り合っている。事実二人の付き合いは
フレデゴンドが死ぬまで続き、余韻はブリュヌオーが死ぬまで続いた。
「でもね・・・先に仕掛けて来たのはあなたの方だった。」
「そうね。実際自己弁護が出来るなんて思ってないもの。でも、それと
これとは別。あなただって私の夫やこの男(ニーチェ)を利用した。」
死ねとも言わずに、今度こそお互いが武器を構えた。
なんか山野のカキコは全体的に見苦しい。
もちろん、こいつのこのスレに対する貢献度は認めるし、
そもそも俺がそういうことを言える立場じゃないのは十分承知しているんだが・・・。
・日本史人物の連発(1が序盤でいやがってたじゃん)
・勝手なルール変更の連発
・英雄たちの過度な馴れ合い
・生き返りネタの連発
など・・・。
あおるつもりじゃないが、もうちょっと控えめにやってほしい(ボソ
sageとく。
手放しで誉めるというわけにも行かないが、山野氏の存在が無ければ
とおの昔にlog落ちしていたであろうことは確かだ。
スレの元勲にむかってその口のききようはないべ。
604 :
世界@名無史さん:02/06/05 23:37
とりあえずこのスレを放置して
スマン↑誤爆った。回線切手首つって逝ってきます・・・。
ううむ、いかん(と言ったら怒られますか)。何やら某スレのジョーカ
ー先生と同じ様な評価を受けている。
日々自省しているつもりなのですが、根が愚か者ですのでうまく行きま
せん。しかしそれでもこの板が、このスレが好きなのです。
どうか長い目で御覧になって下さい。
607 :
世界@名無史さん:02/06/06 14:20
>603
>606
ほかの板なら>602っぽいカキコから一気にフレーミングするんだろうに・・・。
大人な世界史板の住人あげ。
英雄番号54番は文天祥が使っているのでブリュヌオーは英雄番号73番で
どうでしょうか。
フランクリンは集落にある民家の一つにたてこもっていた。
政治家にして科学者でもある彼の支給品は船大工セットであった。
彼はこれを利用してヤハウェ打倒の切り札を製作していたのだ。
この3日間でありあわせの材料で携帯用避雷針セットを3組完成させていた。
彼はこの成果を朝になったら集落に集まっている
ヤハウェのゲームに乗っていない人々に示し彼らを味方に引き入れて
ヤハウェに戦いを挑むつもりであった。
しかし、彼の目論見は爆発音と共に崩れ去った。
英雄番号74番 フランクリン
所持品 船大工セット(支給品)と携帯用避雷針3組(自作アイテム)
登場
避雷針は一回雷を防ぐことができる
島の中で今までかりそめの平和が保たれていた民家の密集地帯は
大混乱に陥っていた。
イヴァン4世とフビライは集落に集まっているこの戦いに参加しない
卑怯者達に鉄槌を加え、あわせて彼らの持つ武器及び食料を奪うために
夜襲を仕掛けたのだ。
彼らの作戦は無差別に民家に手榴弾を投げ込み驚いて出てきたものを
切り殺すというものだった。
この方法で慌てて出てきたケインズ(英雄番号80)はイヴァンによって
一刀両断にされ支給品を奪われた。
しかし、彼らの作戦がうまくいったのはこの時までだった。
集落に集まっていたのは無抵抗の平和主義者
だけではなかったからである。
フビライが切りかかった李舜臣(英雄番号76)は1mもある
巨大なスパナで応戦し、ラファイエット(英雄番号77)は
火炎放射器でイヴァンに攻撃をしかけてきたのだ。
さらに、この騒ぎの元凶を炎を撒き散らし一番目立っていた
ラファイエットであると勘違いした陳国峻(英雄番号51)が、
彼に毒矢を打ち込んだことにより状況はさらに悪化することになった。
毒による激痛で暴れ出したラファイエットが火炎放射器を最大出力で360度
なぎ払ったのだ。
これによって、とっさに民家の影に隠れたイヴァン以外は致命的なダメージを
受けることになった。
李舜臣と陳国峻は火達磨になり、李舜臣の影にいた
フビライも大火傷をおうことになった。
イヴァンは作戦の失敗を悟りフビライを見捨てて退却していった。
フビライは、激痛に耐えながら手榴弾を、すでに自らも火傷をおい毒で
苦しむラファイエットに投げつけたあと力尽きることになった。
その直後火炎放射器の燃料タンクの大爆発によって集落は、
炎の海につつまれていった。
この爆発でこの乱戦から逃げ出す機会をうかがっていたフランクリン
のいた家も劫火に包まれていた。
フランクリンは最後の力を振り絞って、避雷針を地下室に隠した直後
燃え盛る柱の下敷きとなり命をおとすことになった。
<英雄番号11番>イヴァン4世 大火傷
所持品 大剣 馬 手榴弾4個 写真つき参加者名簿
<英雄番号51番>陳国峻 死亡
<英雄番号74番>フランクリン 死亡
<英雄番号75番>フビライ 死亡
<英雄番号76番>李舜臣 死亡
<英雄番号77番>ラファイエット 死亡
<英雄番号80番>ケインズ 死亡
集落は炎上中
携帯避雷針3個(地下室にある)以外の所持品は焼失
( ゚々゚)
612 :
カエサル萌えの女:02/06/10 22:47
再び、三日目の夕。
「ほれ、出来たぞ。こんなものでどうだ」
ヘパイストスが言った。刀を鞘ごと渡され、土方はすっとそれを抜く。
刀身は、かつて京都で浪士たちを斬った時と同じ輝きを取り戻していた。
恐ろしく斬れそうで、ゾクゾクしてくる。
「見事なものだな、感謝する」
短く礼を述べる。刀を腰にさし、そこを出ようとした時
「礼だけ言って終わりかい。どうせ待っている者もおらんのだろう、
少しは付き合え」
ヘパイストスが言った。夕食と酒くらいは用意するからと。
「──酒はいらんが、暇なのか?」
「ま、そういうことだ。大体こっちは刀をタダで研いでやったんだ、
一晩くらい付き合って当然だぞ」
言われて苦笑し、土方はさっきまでいた場所に戻った。
「煙?」
夕闇の迫る頃、乃木は目を瞬かせた。山の中腹に、煙が上っているのが
見える。彼の視線の先を見たルーデンドルフが
「なるほど、確かに煙が見えますな。人がいるやも知れません」
「それに、火があれば暖が取れますね」
マリア・テレジアが応じる。一方フリードリヒは
「確かに人はいるだろうが、味方とは限るまい。襲って来たらどうする?」
「イワン四世のような方でもない限り、いきなり戦闘とはなりますまい。
恐らく大丈夫かと存じます」
ルーデンドルフが言い、先頭に立って歩き始めた。乃木が次に行き、
マリア・テレジアが三番目に向かう。
フリードリヒは気が進まない素振りながらも、やや離れて最後尾となった。
613 :
カエサル萌えの女:02/06/10 22:51
「誰か来るな」
夕食を取りながらヘパイストスに付き合っていた土方は、急に表情を変えた。
刀の柄に素早く手をかける。
「一、二、三・・・四人か」
「ほう、そうかい。大したもんじゃのう」
ヘパイストスは興味なさげに、しかし相手には感嘆した様子で応じる。
「まあ、敵とは限るまい。そういきり立つ必要もなかろう」
「──」
土方は無言で腰を下ろし、やや急いで食べ始めた。気配は徐々に
近付いてくる。姿を見せた中の一人が、思わずこう叫んだ。
「土方歳三!」
「その訛り・・・薩摩か」
土方の声が、一気に険しくなる。乃木が前に出て刀を抜きつつも、
残る三人にはこう告げる。
『どうやら、因縁のある相手に出会ってしまったようです。お逃げ下さい』
『因縁? 因縁とは?』
『異国の者は関係ない』
土方が割って入った。そして乃木を睨みつつ
「刀を抜いたか。──勝負だ」
「望むところ」
乃木は、薩摩の御流儀である示現流の構えを取った。刀を天に向けて垂直に持ち、
右耳の近くに柄を寄せる。対する土方も、刀を横に寝せる平刺突の構えを取っていた。
「行くぞ!」
言うが早いか、乃木は甲高い叫び声を上げながら突っ込んで行く。
土方は微動だにしない。
「チェストオッ!!」
叫びとともに振り下ろした刀に、手応えが全くない。
「示現流は、初太刀だけはからくもかわせ」
やや離れたところから、敵の声が聞こえる。マリア・テレジアが悲鳴にも似た声で
「危ない、横…!」
「二の太刀以降は、こちらの方が優れている」
グサッ!
乃木は、土方の刺突をまともに胸に食らい、血を吹き出して倒れた。
614 :
カエサル萌えの女:02/06/10 22:53
動かない乃木の向こうから自分たちを見やる土方に、ルーデンドルフは
銃を構えようとした。が、それと見て取った土方は迷わず突進し、驚いた
敵が照準を合わせて撃つ前に
「甘い!」
一刀の下に斬り捨て、更にその後ろのマリア・テレジアの背後に回り込んで
羽交い締めにし、その首に血刀を押し当てる。死ぬ直前まで戦場の最前線に
あったためか、動きに全く無駄がない。
『さて、この女の命が惜しければ退いてもらおうか』
土方の言葉に、フリードリヒは平然と応じた。
『あいにく、その女の命など別に惜しくはない』
「何ですって!? あなたそれでも男…」
金切り声のマリア・テレジアを無視して、フリードリヒは土方に言った。
『女とは言え、そのものとは宿敵同士。惜しむほどではない』
「この恩知らず! 父親に殺されそうになった時、助命嘆願して助けて
あげたのはどこのどなた!? そもそも今回私たちと行動を共にしたいと
言って来たのはあなたでしょう!?」
喚き声(異国の言語ということもあり、そうとしか土方には聞こえ
なかった)で言う女に、フリードリヒは応じた。
「それは将軍たちがいたからであって、誰が貴様一人と行動を共にしたい
ものか。──とは言え」
そして再び、土方を見やって
『あんたと戦う気はない。道は譲ろう』
『──銃は、捨ててもらおうか』
そう言うと、土方はマリア・テレジアが背中に背負っていたマスケット
銃を取り出し、遠くへ放り投げた。フリードリヒもそれに倣う。
「世話になったな」
土方は最後に、さっきからずっと背を向けていたヘパイストスに
そう言うと、そこを離れた。
「さて、中断したガラス細工の仕上げにかからねばのう」
しばらく経つと、当のヘパイストスはそう呟いた。
615 :
カエサル萌えの女:02/06/10 23:06
>>612-614 乃木とルーデンドルフ、土方が殺してます。
アル・カポネほど嗜好性はありませんが、殺すとなったら確実に
やるタイプのつもりです。
この後のマリア・テレジアとフリードリヒに関してはおまかせします。
立ち上がったニーチェの喉に、厩戸が唐剣の先を突き立てた。上がったばかりの体
が再び地面に倒れ込み、剣先が引き抜かれると血が湧き出でる様に地を濡らす。
地面に落ちた地雷を拾い上げたが、用途の分らぬ内はいじくらぬ方が良さそうだ。
そしてフレデゴンドの救援に動こうとしていたルイに声をかけた。
「必要ありませんよ。」「何故だ、勝てるから必要が無いというのか。」
「それもありますが、これはあの方が文字通り前世から引いて来られた因縁の結果
なのです。ならばここでそれを燃やし尽くさねばなりません。」
難解な東洋思想などルイには俄かに納得出来る代物では無かったが、邪魔をすれば
フレデゴンド自身に殺されるかもしれぬという意見には頷いた。
そして、彼等が目を向けた時。すでに見るべきものが現れていた。
一寸ずれていれば仇敵の顔をかい撫でる事が出来た鉄の爪。だが今は腕を押さえつ
けられ、虚しく宙を掻くばかりだった。
「何故、何故なの?何故私は勝てなかった!?」
胸に大きな針で穴を空けられたブリュヌオーの叫びは、後半が消えかかっていた。
そんな彼女を憐れみでも嘲笑でも無く青い瞳でじっと見つめるフレデゴンド。
「あなたが弱かった訳じゃないわ。生前私が独りだったから強かった訳でも無い。
でも少なくともこの島に来てから私はブジョウに、ノブナガに、皆に色々なもの
をもらったわ。あなたは・・・・・何を手に入れたの?」
『生前』なら勝負は予断を許さなかったろう。だが島に来て多くの人と会った者と
ただ執着していた者との間には差が生じていた。
『山と山は出会わない。しかし人と人は出会う。』という。
執着せぬ者に得られる者は無いが、それは原動力でしか無かった。
<英雄番号52番 ニーチェ 死亡>
<英雄番号74番 ブリュヌオー 死亡>
602でああ言われてしばらく遠慮させて戴いておりましたが、カエサル萌え
の女さんの書き込みがあったので今夜書き込ませて戴きました。
618 :
世界@名無史さん:02/06/11 16:58
ブリュヌオー・・・
54番は文天祥、74番はフランクリンが取ってたりするんですが・・・
どうします? 81-84が空いてますが。
619 :
世界@名無史さん:02/06/11 17:11
>>610 あと李舜臣は、脱出阻止役で「番外」扱いになってます。
多分76も空くんではないかと・・・
620 :
世界@名無史さん:02/06/11 17:11
>>610 あと李舜臣は、脱出阻止役で「番外」扱いになってます。
多分76も空くんではないかと・・・
二重カキコスマソ。
>618
間違えました。81番という事で。
>608で73番にブリュヌオーを推薦していたものなんですけど、
ブリュヌオーは、81番に決まったようなので、
73番にはルーデンドルフを推薦します。
今までの話を整理してみました。
4日めの朝の放送の時の生死判定
1 ヒトラー 生 2 アインシュタイン 死
3 ティベリウス 死 4 カエサル 生
5 イエス 生 6 冒頓単ウ 死
7 アッティラ 死 8 厩戸(聖徳太子) 生
9 金日成 死 10マリア・テレジア 生
11イヴァン四世 生 12武即天 死
13ブッシュ二世 死 14項羽 死
15愛新覚羅溥儀 死 16孔子 死
17M・アントワネット 生 18ティムール 死
19フレデゴンド 生 20曹操 生
21ジャンヌ・ダルク 生 22カール五世 死
23平清盛 生 24レオ十世 死
25フリードリヒ二世 生 26ラプラプ 死
27アイスキュロス 死 28デュ・ゲクラン 死
29ルイ十四世 生 30パラケルスス 生
31メフメト二世 死 32ガリバルディ 死
33乃木希典 死 34ヘリオガバルス 死
35ヴァレンシュタイン 生 36織田信長 生
37アルキメデス 生 38ルター 生
39ヨハネス二十一世 死 40張騫 死
41ナポレオン一世 生 42ピョートル一世 死
43始皇帝 死 44釈尊 死
45F.ルーズベルト 生 46マルクス 死
47エリザベス一世 生 48フェリペ二世 死
49彦坂忠義 生 50ノーベル 死
51陳国峻 死 52ニーチェ 死
53ネロ 死 54文天祥 生
55孫文 生 56リチャード一世 死
57グスタフアドルフ 死 58クフ 死
59ダレイオス一世 死 60ポルポト 死
61ガンジー 生 62フィロン 生
63マルコムX 生 64アウラングゼーブ 死
65楊大眼 生 66レーニン 死
67スターリン 死 68毛沢東 死
69ハンニバル 生 70スカルノ 生
71クレイジーホース 死 72オクタビアヌス 生
73ルーデンドルフ 死 74フランクリン 死
75フビライ 死 76 ?
77ラファイエット 死 78 ?
79ダビンチ 生 80ケインズ 死
81ブリュヌオー 死
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
鄭和 ムハンマド
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
88アルカポネ 生 89パットン 生
99土方歳三 生
番外
ネルソン 生 東郷平八郎 生
ハルゼー 生 デーニッツ 生
アンリ=デュナン 生 ナイチンゲール 生
ニミッツ 死 李舜臣 死
島の状況
四日目の朝
島の集落炎上中
神社は燃えたうえに、爆破されたが超自然の力で再生?
不備があったら誰かフォローしてください
ケインズ(霊)さん、有難う御座います。ついでにアゲます。
意識は朦朧としながらも、イヴァンは馬から振り落とされぬように手綱にしがみつ
く事だけは忘れなかった。それだけが彼の意識を支えてくれていた。
『何故だ、何故神は今になって私を殺そうとなさる。』
この島では『ゲーム』開始以来の大量の死者を出したまでは良かったが、同盟者は
死に今また自分も再び冥界へ赴こうとしている。
自分が居た世界の事はよく覚えていなかったが、宗教画や説教から想像していたも
のとは異なる世界であったという事だけは漠然とだが分かっていた。
不安はあるし、無念もあった。だがこのまま生きられるという選択肢は、他者の助
けや本当の意味での協力を信じられなかった彼には見えなかった。
『ならば、このまま死のう。誰かを道連れにしてな。』
そう決心した時、突然視界が開けた。誰だか知らないが、白人の小男が見える。
そしてその姿は最早同志か否かなど関係なく討つ者だけを探していた彼の目からは
完全に無防備なものに見えた。
「死ねえぇぇっつ!!」
ロシア語の叫びと共に振り下ろされた大剣。それが目の前の相手の頭部を捉えた時、
彼の意識は完全にこの世から消え失せた。
咄嗟に撃ったのは信長であった。引金が引かれた直後にイヴァンの頭部から血が吹
き出した。そして、小男も倒れたのだった。
<英雄番号11番 イヴァン4世 死亡>
<英雄番号41番 ナポレオン1世 生死不明>
627 :
世界@名無史さん:02/06/19 21:15
がんばってください!
>627
書いて下さい!私ばかりでは顰蹙かうだけですので。
最初だけ書いて随分とROMってますが結局まだ時間が無いです、ご免なさい。
鄭和とムハンマドに番号がつかないので
<英雄番号76>鄭和
<英雄番号78>ムハンマド
としてもよろしいでしょうか?
>630
良いと思われます。
がんばれ揚げ
633 :
カエサル萌えの女:02/06/29 00:01
お待たせしました。うぷします。
「おい、我がまま女。起きろ」
体を揺すられて起きかけたところにそう言われ、半分眠った声で
エリザベスは応じた。
「私は我がまま女などではない…」
言った途端、一気に目覚めてガバッと跳ね起きる。目の前にいる
この島で最も嫌いな男ことヴァレンシュタインに、怒鳴り付けた。
「お黙り、この傭兵! 私はイングランドの女王エリザベス、
お前如きに我がまま女呼ばわりされる筋合いはない!!」
「おい、どうした?」
カエサルがその背後で、起きたばかりといったふうの声を出す。
「まだ夜明け前ではないか。何もそう…」
「おい、カエサル。例のユダヤ人は?」
訴えようとしたエリザベスを隅に押しやって、ヴァレンシュタインは
カエサルに聞いた。
「昨晩までいたはずだが…。と、あそこだな」
やや離れた木の陰で、二人ほど目が覚めたばかりなのが確認出来た。
ヴァレンシュタインは背後を振り返り、一人の男を呼び出す。
「誰だ?」
「スカルノ。例の歴史書を持っている者だ」
肌は浅黒く、目は大きいがやや童顔。現れたスカルノは、そう名乗った。
634 :
カエサル萌えの女:02/06/29 00:03
互いに情報交換と初対面者の紹介をした後、やはりイエスから
スカルノに質問が発せられた。
「歴史書を持っていると言ったな」
「ああ。もし奪われていなければ、の話だが」
「では奪われていないと仮定して、どこにある?」
「山の中の洞窟だ。車椅子の男が預かっている」
カエサルとエリザベスの通訳を通じてなので、無論実際にはここまで
スムーズではない。が、質問も解答も淀みがほとんどなかった。
「で、その男が勝手に処分している可能性は?」
「多分ないな。属している国は俗物だが、あの男自体は開明的な男だ」
「分かった」
そう言うと、イエスは不意に立ち上がった。
「案内してくれ、すぐにその洞窟に行きたい」
「おい、イエス…」
戸惑ったのはカエサル。いったん通訳した後自分も立ち上がり、何やら
古代ギリシア語で真剣な顔で話し合っている。
「養父上は、何を話し合っているんです?」
オクタヴィアヌスが訊いた。エリザベスが二人を見やって
「さあ・・・」
「というか、こっちとしても彼が何故その本にこだわるのか聞きたい
くらいだが」
スカルノが応じる。
「確かにアレは燃えない紙で出来た本ではあるが、それだけだ」
「ったく。いい加減にしないと敵が来るぞ」
ヴァレンシュタインが辺りを見回して舌打ちする。既に腰の銃に手を
かけ、身構えていた。
635 :
カエサル萌えの女:02/06/29 00:06
「敵?」
「ああ。音が聞こえる」
アウグストゥスの問いに応じつつ、離れておくように、空いている
方の手で合図する。敵がいつ来てもいいように。
「カエサルたちに教えておく必要は?」
「ない。第一時間もなかろう」
スカルノの問いをあっさり否定する。次の瞬間、エリザベスが声を上げた。
「聞こえた! あの崖の上!」
「上等だ」
ニヤリと笑って、地上から五メートルほどの高さのある崖の上に銃を構える。
程なく他の者にも騎兵のような、車輪が転げ落ちてくるような、そういう
勢いのある音が聞こえてきた。
「来た!」
声を上げるアウグストゥス。だが彼らの目に映ったのは、ある人間が
自分たちには背を向けて、ある物体にしがみついている光景だった。
「車…!?」
落ちてくるのはその物体、両脇に大きな車輪がついている荷台の方である。
それと悟った瞬間、ヴァレンシュタインは
「取りあえず離れろ!」
と言ってあっさり戦闘を放棄し、落下地点と思しき場所から自分も急いで
出来るだけ遠ざかった。数秒後
ズーン!
低いが大きな音がして、それが崖から地上に落下した。
636 :
カエサル萌えの女:02/06/29 00:09
右の車輪が落下の衝撃で外れて、かなりの勢いで飛んで行く。辛うじて
誰にもぶつからずに済んだが、最初にエリザベスの目の前で落下した時には、
彼女は目を閉じることしか出来なかった。
「だから行くなと言ったんだ、身の程知らずが」
「お黙り! お黙り! 我がまま女の次は身の程知らずか、無礼者!」
エリザベスの金切り声を完全に無視して、ヴァレンシュタインたちは
落下した物体の傍に向かった。既にカエサルとイエスも話し合いを
中断して現場にいる。アウグストゥスが車にしがみついていた人物の顔を
見て、驚く。
「カール!」
信長たちの大八車にぶつかったカールが、そのまましがみついていた
ようである。
後世の人物が、カール大帝のことを知らぬはずがない。ひどい打撲だが
取りあえず脈はあると知った彼らは、応急処置的に治療を施していた。
ただ二人を除いて。
「で、さっきの話の続きだが」
と、カエサルはイエスに向き直った。
「本自体に神の力が込められているのは分かった。だが、それを
触媒にするとは?」
「触媒の力を借りて、私がヤハウェの力を三分の二に減らす」
「そんなことが出来るのか?」
「三位一体のうち一つが離れれば、必然的にそうなるだろう?」
よく分からないといった顔のカエサルだが、イエスはそれ以上の
説明はしなかった。代わりに呟くように
「異教の神の力を借りずに済ませるには、これしかないんだ」
637 :
カエサル萌えの女:02/06/29 00:22
>>633-636 そろそろイエスが動き出します。
シヴァ神たちの干渉を受けずに決着を付けるための動きです。
(内部における自浄作用、のようなもの)
大島大明神やら零戦やら出て来たので、
こういう展開もありかなと。
結果がどう転ぶか分かりませんが、
お任せします。
マルコムXは朝靄の中、放送で同士クレイジーホースの死を確認していた。
ネイティヴアメリカンと黒人という、
白人に恨みを持つものどうしの利害関係だけで組んだ同盟だった。
しかし、たった3日間だけの付き合いだったが、
マルコムXは彼に淡い友情の念をいだくようになっていた。
それだけに、ある程度予期していたが放送で死亡を
通知されると落胆は大きかった。
それと同時に、白人に対するさらなる怒りがつのっていった。
マルコムXは、怒りで我を忘れそうになるのを、
精神力で押さえながら獲物をさがして行動を再開した。
<英雄番号63番>マルコムX生存確認
所持品 銃剣付き64式小銃(弾11発)
行動方針 白人は殲滅 有色人種には啓蒙活動
保守で上げてみよう
藪のかにいたウェリントンは目を覚ました。
「ここは何処なんだ!!」と叫んだ。
ウェリントンは考え込んでいた。
ウェリントン登場。
あげ
642 :
ルービックキューブ:02/07/24 20:12
青空。
昔の自分にはそれがたくさん見えた物だ。
今の自分には小さい青空しか見ることが出来ない。
しかし小さい青空はじぶんにはまるで宝石のように見える。
だが大きい青空−昔見えた青空−はとても宝石のようには見えなかったろう
「穴におちたシェイクスピア」はそう思っていた。
どうやらこれは自然に出来た穴らしい。罠も仕掛けられていないし、
人がここまで深い穴を掘ることはないだろう。
シェイクスピアは三日前のことを思い出していた。
シェイクスピア 自分がこの大会に参加することになったのはあなたの気まぐれ
なのか、それとも何か理由があるのか、神よ答えてくれ。
ヤハウェ 答えてやろう おまえの作品にはユダヤ人の悪いイメージを増加させて
るものが多い。例えば「ヴェニスの商人」のシャイロックなどがそうだ。それが
ユダヤ人の悪いイメージを増加させ、結果的にたくさんの人を殺したことになるのだ。
シェイクスピア それは私の悪いところのあら探しです。私の作品よりひどく
彼らを書いている人は大勢いるはずですし、私が脚本を書かなければその事実
が存在しないわけでもありません。
ヤハウェ(声の調子が変わる)ピンポン。よくできました。ただのあら探しデース。
本当はただなんとなく君を参加させてみたかったのだよーん。
シェイクスピア(声の調子が変わる)じゃあ結局気まぐれじゃねーか!おい、紙!
ヤハウェ ・・・まあがんばってくれ。お前にはそこの三色ボールペンをやる。
いろいろ触っていれば使い方はわかるだろう。
シェイクスピア おい、バ神!ペンで剣とかにかなうわけねーだろ!
ヤハウェ つべこべ言わずさっさと行け!(ハイパーゴッドキック)
<英雄番号84番>シェイクスピア登場
643 :
ルービックキューブ:02/07/24 20:14
初めての書き込みです。
だじゃれに関するつっこみは入れないでください。
>643
面白いからこの調子でやっちゃって下さい。47番とは別人だったのですね。
マルコムXは山の頂上で偶然出会った楊大眼と昼食をとっていた。
マルコムXは、自分と同盟を組むように楊大眼を説得していたが、楊は
項羽の死のショックから抜け殻のようになっていた。
X「楊どの。項羽が死んでしまってショックなのはわかりますが・・
それなら、項羽を倒した倭国の侍を倒せば
楊大眼>侍>項羽となってあなたが、中華最強であることを証明できます。」
楊「おお・・それはすばらしい考えだ。早速拡声器で呼びかけなくては。」
X「それは危険です。呼ばれても相手が必ず来るとは限らないし
銃で狙撃される危険もあります。第一あなたは武器を持っていないようだが・・」
楊「ワシほどの達人になれば途中で拾った鉄パイプでも十分じゃ。」
X「ところで、楊どのの支給品はその拡声器ですか?」
楊「いや。これも拾い物じゃ。渡されたのは訳のわからない機械じゃが・・」
楊大眼は手のひら大の液晶画面に光点が点滅する機器を取り出した。
X「これは・・まさか・・」
パーンと乾いた銃声が山に響き渡った。
後頭部を打ち抜かれたギリシャ人風の男が倒れている。
少し離れたところを早足で移動する男が二人。
X「どうですか?私の言ったとおりでしょう。」
楊「たしかに。ところでさっきの男はマルコムどののいう悪人の一人なのかな?」
X「そうです。白人どもは我が宿敵です。このレーダーがあれば、
侍も簡単に見つけることができるし、私も白人を探す手間が省けます。」
楊「ふむ。しばらく行動を共にしよう。」
英雄番号62番<フィロン>死亡
英雄番号63番<マルコムX>銃剣付き64式小銃(弾10発)
英雄番号65番<楊大眼>鉄パイプ、拡声器、人探知レーダー(原作で杉村が持っていたやつ)
行動方針 侍の探索と白人殲滅
647 :
山野野衾 ◆NDQJtGoM :02/08/02 18:30
書き込みがあったので、挙げさせて戴きます。書き手ぎぼんぬ。
個人的には山野さんの書き込みも心待ちにしてるんだがね
649 :
山野野衾 ◆NDQJtGoM :02/08/04 10:54
「ふん、すでに死んでおるわ。」
倒れた小男ことナポレオンに近づいていた信長がそう言って銃を下ろした。ハゲの
イワンの方は素人目にも死んでいると分かる状態であった。
周囲に漂う鉄臭い血の臭いに、彦坂は手で口と鼻を押さえていた。この場で死体、
それも異常死した者の死体を見慣れていないのはルーズベルトくらいだろう。
だが彼とて自らそれに近づいた事があった訳では無い。平然として触っていられる
信長達は、やはり自分とは違う世界に生きて来たのだと考えるしか無かった。
「どうする。さっきの奴の他に誰かがいた訳では無いようだが・・・。」
車椅子の上から、遠慮がちにルーズベルトが発言した。
「こいつらは、ナポレオンにイワン雷帝だ。直接やりあわずに済んで幸いだったな。」
一方遠慮も何も無いのが曹操という漢だった。もっともこの漢が言うと当然のよう
な気がして、咎める気も失せてしまうのだが。
「ならば、良い。しばらくは様子見と行こうぞ。彦坂殿の息が上がっておる。」
清盛がそう言って何処か適当な木陰を探そうとした時だった。
650 :
ルービックキューブ:02/08/05 17:36
穴の壁に自分が通れるか通れないぐらいの横穴があった。
前からそれに気づいてはいたが、何となく入る気分じゃなかった。
しかし、このままでいてもらちがあかないので、とりあえずその中に入ってみることにした。
入り口は狭かったが、穴の中はふつうに歩けるぐらいの幅はある。
穴自体は自然に出来たものっぽいが、この横穴は人為的に作られたものだろう。
だがどういう目的で誰が作ったのかはわからない。
とりあえず進んでみるシェイクスピア。
いったいこの横穴はどこまでつづくのか。
それにしても、あんな奴が神であるなんて信じられない。
悪質でいたずら好きの悪魔か妖精が神の名をかたり、殺しあいをさせて楽しんでいる、
そう考えた方がよっぽど信憑性がある。
シェイクスピアの真上では・・・
楊大眼 誰もいないじゃないか。
マルコムX ?おかしいな?確かにここを誰かが一人で歩いてるはずなんだが。
楊大眼 この「人探知レーダーなんとか」って壊れてるんじゃないのか。
マルコムX さっきはちゃんと機能したじゃないか。レーダーによると目の前を
歩いてるはずだが。まさか透明人間じゃ・・・
楊大眼 そのようなものが存在するわけあるまい。
マルコムX いや、わからないぞ。我らが死んだ後に、そのようになれる薬が発明され、
それが支給品となってることも十分あり得る。
楊大眼 たしかにこの島に来てから得体の知れないものは十分見てきた。
X大眼同盟がややまぬけな会話をしていた。
651 :
山野野衾 ◆NDQJtGoM :02/08/06 13:34
急に聞こえて来た音の意味が、ルーズベルトと彦坂以外の者には分からなかった。
当然であろう。未来の歴史書を目にした曹操とて音までを知る事が出来た訳では無
く、警戒よりも好奇心から来た驚きが先に立っていた。
だがだからといって首を突っ込んだまま死ぬほど間抜けな連中では無い。彦坂が曹
操を背負ったまま叢に逃げ込もうとする前に信長らも行動を起こしていた。
別々の場所に身を隠し、ようやく扱いなれてきた銃を構えた時彼等の眼前に馬の無
無い車が走って来るのが見えて・・・次の瞬間に顔を出して来た男が銃を乱射する
のが見えた。
男の名はアル・カポネ。服従した者の面倒も抵抗した人間の「面倒」もきっちり看
てやろうと常々口にしていた男であった。
えっと、ということは、現在ダイナマイトはカエサル一行が持ってるということですか?
それと曹操の火炎瓶はどうなったんでしょう。
653 :
山野野衾 ◆NDQJtGoM :02/08/06 14:11
>652
一人数本は所持しています。(背負われている曹操は除く)火炎瓶については信長・
清盛を襲撃した時に使ってしまったという事で。そうでないとダイナマイトの爆発
に巻き込まれた時にえらい事になってしまいます。
654 :
山野野衾 ◆NDQJtGoM :02/08/08 18:53
乱射されたトムプソンマシンガンの矛先がまず自分に向けられて逃げようとした時、
彦坂は尻を曹操に蹴りつられ、腕を放されて近くの坂を転がった。
その代わり、残された曹操が容赦ない弾の嵐に見舞われる事となった。
絶望寸前の状況下でライフルを構える信長。だが己に銃口が向けられては沈黙する
しか無かった。意識したものか相手にとっての幸運によるものか、乱入者が窓を開
けているのは清盛が隠れた茂みの反対側であり手が出せない。
終わりか。そう思われた時、やけにゆっくりした(そう聞こえただけかも知れない)
口調で車内の男がルーズベルトに声をかけて来た。
「よう、大統領。こっちでも大変そうだな。」
「そうしてくれたのは君だろう。アル・カポネ。」
知り合いか。この瞬間に彦坂は思い出し、清盛と信長は悟った。だが已然として楽観
視出来る状況では無かった。口調は親しげだが、その内には嗜虐心が込められている。
今の彼には普通の人間なら並存させる事の無い好意と悪意が込められていた。
「立場は大きく異なれど同郷の誼で見逃して・・・はくれんらしいな。」
「悪いなぁ。俺も主催者に頼まれちまってよぉ。」
そう言ってギャング王が引き金に指をかけた時、彼の世界が逆転した。
655 :
山野野衾 ◆NDQJtGoM :02/08/08 19:08
時はギャング王と天才と大統領と三人の天下人の邂逅より少し遡る。所は彼
らの居る土地のすぐ近くの崖の下であった。
突然上から降って来たカール大帝と大量の赤い棒。前者はまだしも、後者の
方は彼等の理解の範疇外にあった。
蝋燭の知識があり、それとも違うと違和感を持っていたのがエリザベス一世
とヴァレンシュタインの二人。
やがて火をつけてみようという事になり、イエスが荷車ごとカール大帝を運
ぶと一人残されたヴァレンシュタインが考えを実行に移した。
先についていた灯心はかなりの勢いで燃えて行き・・・後は言うまでも無い。
カエサルらも驚いたが、一番驚いたのは、崖の上で勝利を確信していたアル
・カポネであった。
いきなり目の前がスローモーションで回転し始めた意味を悟るのが一瞬遅れ
た。だがいずれにせよ崖が突然崩れた事によって生じたお世辞にも緩やかと
は言えない坂を転がっている事までは分からなかったし、ましてやその原因
までもが分かる筈が無かった。
シートベルトその他の要因により命は取り留めたギャング王は気を失い、し
ばし唖然としていた清盛にこう言わせた。
「あやつ・・・己が黄泉津比良坂を下って行きよったわい。」
忘れていました。英雄番号20番曹操と35番ヴァレンシュタイン死亡です。
山野・・・
あらすじ書いてるんじゃないんだから、
もう少し小説として盛り上げようよ・・・。
それぞれこの話の中である程度キャラの確定した人間が
死んでるってのに、それだけかい・・・。
蹴りつけられる衝撃、全身を打ちつける痛み。
・・・それが曹操に助けられたと知ったのは少し時間が必要だった。
目の端に映ったマシンガンの・・・いやに軽い音が曹操を打ち砕いていく光景を“現実”と判断する僅かな時間が。
『曹操!!!!!』絶叫。
信じられないほど傲慢だが、それに見合った義務感を持ち、
如何な時でも気丈さを失わず、傷をものともせず未来を大いに語った漢が、
マシンガンのちっぽけな弾に打ちのめされ散って往く現実が許しがたかった。
『所詮桜組・・・。』まして仲間内で最もまともな死に方をしている自分。
逃げるつもりに見せて、シャツの下にかつて分解した地雷とダイナマイトをし込んで、
ギャング王を下がらせるか、あるいはマシンガンの弾を受けてギャング王ごと爆死を覚悟していた。
どうして・・・・・。『曹操〜〜〜!!!!!!』
『おごるな倭人。』
『!!!』
小さいながらも異常にハッキリした声で曹操は答えた。
『塵芥に等しい貴様の命を救って死ぬわけではないわ。小人。』
死に瀕し土色になった顔。・・ニヤリと笑う。
『言わなかったか?如何なる所でも私の力で楽園にして見せると』
『奴の・・・ヤハウェの“地獄”とやらは・・。相当我々のような人間には住み難い様だ』
『????』曹操は笑った。今度は優しく。
『私が行って、治めてやるのさ』クククと笑う。
『いかな大乱も、如何な地獄も、私は恐れぬ。
如何な困難であろうと征服して見せる。我が手によって楽園としてやるのみ。
未来の人間は、星の彼方の地獄を楽園にしようとするらしい。私に出来ぬ事ではないわ!!』
『如何な困難の中でも、楽園を信じる倭人ども、天は私が取る!
・・・・・貴様等は地上ではいつくばって“生きる”のが似合いだ。
・・・そして今度こそ楽土を作るがよい。彦坂。信長、清盛・・お前達の信じる道を・・・。』
大きな星が 宇宙の何処かで 華々しく 散った。
>658
再降臨。もう一日書き込みが早ければ死なせずに済んだかも・・・。
なんか中国チーム死にまくりですね・・・
日本チームかなり生き残ってるのに・・・
バランス取った方がいいかも・・・
今のところ
・ヒトラー 【1人】
・カエサル、イエス、エリザベス1世、スカルノ、オクタビアヌス、カール大帝(番号なし)【6】
・厩戸(聖徳太子)、フレデゴンド、ルイ14世 【3】
・マリア・テレジア、フリードリヒ2世 【2】
・M・アントワネット[薪集め中] 【1】
・ジャンヌ・ダルク 【1】
・平清盛、パラケルスス、織田信長、F.ルーズベルト、彦坂忠義 【5】
・アルキメデス、アレクサンドロス(番号なし) 【2】
・ルター、ムハンマド ←喧嘩中 【2】
・文天祥[墓守り] 【1】
・孫文、ガンジー ←留守番 【2】
・マルコムX、楊大眼 【2】
・ハンニバル 【1】
・ダビンチ[解剖中] 【1】
・鄭和[縛られてる] 【1】
・アルカポネ[気絶中] 【1】
・バットン 【1】
・土方歳三 【1】
・ウェリントン(番号なし) 【1】
・シェイクスピア 【1】
という単位で行動してるかと。保障はできません。
カエサルグループと信長グループがでかいですが他は案外小規模。とはいえちゃんと「殺し合い」をしているのは
全体の1/4にも満たないという寂しさ。マルコムXグループ以外は個人行動だし。結構キャラかぶってるし。
あとアレクサンドロスグループとか宗教コンビなんかが動いてません。
前半の伍長閣下のカッコ良さは・・・・。
(基本的にもっと死んで良いんだけど)
キャラの立ちまくったこんな救いようのない殺し方をしちゃうとカエサル萌えの女嬢に悪い気が・・。
>山野氏こっちはこっちでどんな展開か待ってた・・・。
まぁ曹操を殺さず助けた時点で『曹操はもっと不敵な台詞が欲しい。勿論死ぬ時も』と思ってたので、
るろうに剣心の志刺雄なみの幕引きを・・・とは思ってたんですが文章力の問題上こうなりました。
まぁ暫定コテハンが示すように『元ハン板(おい)住民今極東』で世界史板はROMばっかしになったってのも一因・・。
取り敢えず、今の今までの括弧良さから見てあまりにもアホな・・・もとい、救いようのないヴァレンシュタインにエピローグ。
凄まじい爆発音にエリザベスは振り向いた。
・・・・何が起こったのか。さっぱり分からなかった。分かり様がない。
あの傲慢な傭兵が遠くで吹っ飛んで消えた。なんとかそれだけを理解した。
どうも一種の爆薬だったらしいと思った。「ふ・・・ふふふ・・・。」
愚かではないか。あれほど大胆不敵で狡猾な傭兵が、爆薬に気づかず、火を付けてしまうとは!!
「あっはっはっは・・・・」狂ったように天を仰ぎ、およそ貴婦人らしくない馬鹿笑いを始めたエリザベス。
おかしくて、おかしくて涙が一筋流れた。
やがて小さな嗚咽を・・。聞くものはなかった。
足元に、『何者』かが斬り殺した、小さな毒蛇の屍骸があった。
>662
流石にうまいわ・・・。まあ私のこのスレにおける存在意義は他の方々が出
て来られるまでのつなぎようなものです。文章力からして。
そんな訳で皆さん納得の行かない展開はお許しを。(602とか657の方)
ヴァレンシュタインについては、少し狙ったところがありました。
患者であった曹操が死んでパラケルススが立ち去ったと後から聞かされた彦坂は後
を追って駆け出した。
別に引きとめようという気持ちがあった訳では無かったが、このまま別れるのは己
の中の何かが許さなかった。
「パラケルススさん、パラケルススさん!」
「ヒコサカ・・・。何か用か。」
用と言われても考えを纏める前に駆け出して来た身である。その為一瞬戸惑ったが
すぐさまその明晰な頭脳が言うべき言葉を弾き出した。だが。
「安心しろ、ヒコサカ。わしは無力感に捕われてなどおらんよ。」
先に相手の口から彼の言葉が発せられた。そして、話し始めた。
「あの病んだ時代のドイツで、わしは自らパラケルススと名乗った。ケルスス(ロ
ーマの名医)をパラ(超える)とな。なぜならそれに相応しいだけの学識を備えた
と自負しておったからじゃ。」
名医はそう呟いて一瞬遠い目をした。ヒコサカも何処かで、いや若い頃に何度か目
にした目だった。
「だがわしがいくら学び、いくら治してもフッガー家や大学の奴等はインチキ療法
を広めたし戦は一日にして数百人数千人を屠った。その所為でわしは何度も医者に
治せぬ病にかかった。」
彦坂は頷いた。自分も味わった、学者としての自分の意味に対する懐疑心の病。
「わしは悩んでもそれを治せなんだ。その度に治してくれたのが目の前の患者じゃ。」
確かに己は一介の医師に過ぎない。だがそれでも患者は救える。
「ヒコサカよ。これは何もわし等学者の専売特許では無いぞ。おそらくは信長や清
盛や死んだ曹操も感じておった事じゃ。病んだ世の中を愁う心があるからこそ苦し
むのよ。が、わしはだからといって心を嫌った事は無いぞ。」
その時浮かんだパラケルススの微笑みを見て彦坂は気が付いた。それまで医師が見
せていた表情は氷の様な冷徹さでは無く鉄の様な強さであった事に。
「この島でも同じ事です。」
今度は彦坂の方が相手の言わんとしていた事を口に出した。
「そうじゃ。『汝の欲する事を成せ』。どうせ人には限られた道しかない。しかし
道を選ぶ事は己の意志に因る。」
そう言って今度こそ立ち去ろうとする名医に、彦坂が再び声をかけた。
「パラケルススさん!あなたの本名は?」「・・・一度しか言わんぞ。」
今度は悪戯小僧の様な笑みを浮かべた彼の後姿に、彦坂は大声で言った。
「有難う!テオフラテス・フィリッポス・アウレオロス・ボンバスタス・フォン・
ホーエンハイム!」
そんな二人の姿を、木陰から見ている影が二つ。信長と清盛であった。
「全く、世話が焼けるのう。」「この様なところでおらびおって・・・。」
文句を言いながらも苦笑いを浮かべている二人の足元には、学者二人を楽に倒して
やろうとしていたウェリントンが倒れていた。
666 :
まち中国から出張組 ◆yqGxd8jQ :02/08/14 22:24
彦坂とパラケルススが別離する少し前の事。
気を失ったアル・カポネを目の当たりにした信長と清盛は、その場からすぐに2人の元へと動こうとした。
だがしかし、前方に人の気配がある、と信長が直感した。
彼は清盛に向かって耳打ちすると、彼は無言で頷き、二手に分かれて気配を悟られないようにゆっくりと動きだした。
藪の中を隠れるようにして、信長は慎重に歩いていくと、ふと目の前に1人の男を見つけた。
先程の気配の男―ウェリントンが、彦坂とパラケルススに向かって背後から拳銃で襲い掛かろうとしていた。
信長がウェリントンに近付き、おい、と声をかけたその時。
ふとこちらを振り返ったウェリントンに、背後から強烈な一撃が入った。
ドサッ、という音と共に、彼が地面に倒れると、木の棒を持った清盛が立っていた。
「…信長殿、これで良いか?」
「ああ。清盛殿、かたじけない」
「とりあえず、これ(拳銃)を取りあげて、気がつくまで待った方が良いじゃろう。それにこやつ、拳銃を持つ手が震えておったからな」
…はじめまして。
野球板の広島バトロワスレ(※今はないです)経由で参りました。
今までROMっていましたが、今回書かせていただきました。
よろしくお願いします。
はじめまして。広島の方ですか?実は私もそうです。
一時期は各板に犯罪者・アニメなどのバトロワスレがあった様ですね。
穴から脱出しようと横穴を進んでいるシェイクスピア。
手に持っているランプ(集落にあった)も油が残り少ない。暗くなってしまったら精神的にきついだろうと思い、
ペースを上げることにした。
しかし数分して、彼は立ち止まった。
どうやら穴が2つに別れているらしい。
「さてどうするべきか。もしこの選択を間違えたら人生は終わってしまうかもしれない。
とはいえ一度人生は終わっているのだが。この問題は時が解決してくれるような問題ではない。
どの選択も正しいとも考えられる、しかしどの選択も間違いとも考えられる。
いったん引き返した方がいいのかもしれない。」
その時、ある良い考えが彼の頭に浮かんだ。
「そうだ、『正しい』はrightだから右へ行くことにしよう。」
rightつながりで右へ進むのであった。
それにしてもさっきから上り坂がきつい。もうとっくに地上に出てもいい頃なのだが。
光が差してきた。すがすがしい気分だ。
女王がロンドン塔から出たときもこんな気分だったのであろうか。
しかしすがすがしい気分なのはつかの間のことだった。
「手を挙げろ。そして動くな。」そういったのは銃を彼の頭に突きつけているフリードリヒ大王だった。
「お前は武器を持ってないようだが、神から何を支給されている?」
そういわれて、正直に答えるシェイクスピア。
「時代と国は?」
16世紀のイギリスと答えた時、少し離れたところにいたマリア・テレジアが口を開いた。
「私たちより前の時代だから知っているはずですわね。」
「知っているはずだが・・・おまえはなにものだ。」
「ウィリアム・シェイクスピア」
「ああ、名前は良く知っている。しかし劇作家までこれにさんかしてたとは・・・良く今まで生き延びられたな。」
シェイクスピア 自分は昨日まで、島にある集落で生活していたのだ。他の殺しあいをする気がない人たちと一緒に
昨日の夜、眠れなくて星を見るために集落から出ていたのは幸運だった。
しかし、私と生活していた数人はたぶん死んでしまった・・・。
フリードリヒ 詳しく話してもらおうか。
シェイクスピア 自分が集落に帰ろうとしたとき、集落は炎上していて、中から悲鳴が聞こえてきた。
どうやら何者かが襲ってきたらしい。だが武器もなく、英雄でもない自分には何も出来なかった、
逃げる以外には。
テレジア 逃げたにしては服が異常に汚れてるようだけど。
シェイクスピア かなり遠くまで逃げた後、穴に落ちたのだよ。その穴があの洞窟になぜかつながっていた。
フリードリヒ ・・・作り話っぽいな、それは。
3人は情報交換と会話をした後、フリードリヒがシェイクスピアを一緒に行動するよう誘った。
シェイクスピア どうせ行く所がないからそうしてもいいが、どうして武器もない私を誘うのだ。
フリードリヒ そうだな、こいつと2人で行動するのがいやだからだ。
テレジア な、こいつとは失礼な。私も同じことを考えていたけれども。
それはそうと私はオーストリアのマリア・テレジア
こちらは小国プロイセンのフリ−ドリヒ2世
シェイクスピア フリードリヒというと、第3回十字軍で戦う前に溺れ死んだあの赤髭王。
フリードリヒ 違う、バルバロッサじゃない!フリードリヒ2世だ。
シェイクスピア 赤髭王の孫のフリードリヒ2世。
フリードリヒ シュタウフェン家じゃなくてホーエンツォレルン家のフリードリヒ2世だ。
テレジア ホーエンツォレルン家なんて当時知られてないわよ。
シェイクスピア じゃあこうしよう。「ホーエンなんとか家略してシュタウフェン家」
これでいい?
フリードリヒ いいわけねーだろ
671 :
ルービックキューブ:02/08/17 15:14
たしかフリードリヒらは>449より、ナポレオンたちと合流するために「海岸のピョートルが作った船のところ」に向かっているところだと思います。
ちなみに、シェイクスピアのヤハウェにたいする考えは>650です。
>670
溺死王と勘違いされていた事に藁。
発言の前に名前を入れるならその後ろの書き始めの場所を統一するとか工夫してもらえると読みづらくなくってありがたい。
バランス的には、そろそろ信長・清盛コンビのどちらかを殺すべきかと。
でも他の人が書いて殺すのは納得できないでしょ?
山野氏自らの引導に期待。
執筆してない人間がそこまで展開指定すんなよ。
管理者気取りが行き過ぎて見えて恐いぞ。
677 :
山野野衾 ◆NDQJtGoM :02/08/20 12:48
>675
そういうのはそちらにお願いします。下がり過ぎたのでアゲ。
「何者だ。名は何という。」「元大英帝国首相、ウェリントンだ。」
信長の言葉を彦坂が通訳する前に、向こうが口を開いた。
すでに拳銃はとりあげられ、こめかみにはライフルが向けられている。だが動じて
いる様子は無く、震えの一つも感じられなかった。
「分からぬな。先ほどの手の震えは何であったのじゃ。」
「民間人を殺す事など、私の誇りが許そうとしなかったからだ。震えは葛藤から生
じたもので、恐れから来たものでは無い。」
きっぱり言い切った男の目を見た清盛はウェリントンが自分と同じ軍人上がりであ
る事を敏感に感じ取った。それもコネや家柄で出世したくちでは無さそうだ。
「神が訝り始めたのだ。おかしな事を企んでいる気配がする言言い出した。そこで
我々が動員された。手当たり次第殺すように命じられてな。」
全員の脳裏に先ほどのアル・カポネの不敵な笑みをたたえた顔が浮かんだ。
「あんな人達がまだ居るんでしょうか?」「切れば分かる。」
彦坂の浮かべた不安を、信長の台詞が打ち消した。
「ご苦労であったな。気が変わらぬうちに去ね。」
そう言って清盛がライフルをどけた事がウェリントンには理解出来なかった
が、敬礼して件の木の棒を握ると立ち去った。
「・・・何故だ。殺せたというのに。いや、殺されたらどうする。」
「ここで殺してはあの男の言うておった通りの誇りを知らぬ卑怯者になり下
がってしまうわい。それに、ああいった男に殺されるのなら悪くない。」
「酔狂な。あの頼朝はまた同じようにして命を繋いだのだぞ。」
「思いもつかぬ死に方も悪くはあるまい。」
あれこれ言い合いながらも気があっているらしい二人の人生観についていけ
なくなっていた彦坂は、この時ようやくルーズベルトがいない事に気付いた。
そしてウェリントンの拳銃が無くなっていた事にも気付くのには、更に時間
を要する事となった。
頼朝はまた × 頼朝もまた ○ です。
それと677のレスの本意ですが、自作自演も何だという事で。武則天は自
分で殺しちゃいましたがあの時は他の人が登場させたピョートルだけ殺すの
も何だかなーという感じだったのでああいう展開にしました。
ルーズベルトがいなくなっていたのに気付いた彦坂が、
さっきからずっと話しつづけている信長と清盛に声をかけた。
彦坂「…信長殿、清盛殿、私はルーズベルト殿を捜します。
さっきのごたごたの時に、見失ってしまって…すみません」
信長「そうか。では彦坂殿、わしは万里殿を捜してまいる。
何となく…だが、厭な予感がするのだ。
女子である彼女を1人にしておる以上はな」
彦坂「わかりました。それでは後で落ち合う場所を決めましょう。
…よろしいですね?お二人とも」
清盛「―御意。ではわしは彦坂殿に付いていこう」
信長・彦坂・清盛の3人は、地図を広げてから集合場所を決めた後、
二手に別れて行動を開始した。
彼らが立ち去ってから暫くの時間が経過した後、草薮の中から、
1人の女性が姿を現した。
赤と鴇色の糸で織り上げた、美しい模様の布を纏った彼女は、
艶やかな黒髪に、浅黒の肌を持ち、額には赤い印が付けられている。
手には先程、清盛がウェリントンから取り上げた筈の拳銃を手にしていた。
英雄番号91番<ラクシュミー・バーイー>参戦
拳銃(←ウェリントンが所持していた)装備
行動方針 欧米(特に英国)人殲滅
ええと。こんなとこで新キャラ出してすみません。
東洋系の女性キャラ少なかったんで。
ラクシュミー・バーイーについてですが
1850年代にインドで反英闘争の指揮をした
マラータ同盟のジャーンシー王の后です。
美人で勇敢な戦士だったんですが、若くして戦死しております。
英雄番号はこれでいいでしょうか??<91番
彼女はこれから二手に分かれた日本人チームの
どちらかを追っかける予定です(をひ)。
>
>>668 山野殿
こちらこそはじめまして。自分も広島在住です(笑)
うちは(元々は演劇→四季板にあった/今は消滅?)
四季版→野球板広島版経由ですが。
ちなみに広島バトロワの方は、現在公式サイトが立って、61まで進んでいます。
ジャンヌは、今しとめた獲物を食い漁っていた。
獲物は二人いたが、一人には逃げられてしまった。
彼女は、すでに人間であることをやめていた。
彼女は、マルクスに撃たれたときすでに死亡していたのだ。
今の彼女は、マルクスに撃たれたとき、支給品の謎の液体が
入ったビンが割れ、その液体を浴びたことにより、甦ったのだ。
その液体は、あらゆる傷を癒す神薬だったが、ある副作用があった。
その副作用とは、徐々に精神を蝕み、肉体を異形の物に変え、
使ったものをクリーチャー化させるというものだった。
ジャンヌは、ルターだったものを食い尽くすと、
新たな獲物を求めて移動を開始した。
<英雄番号38番>ルター死亡
<英雄番号78番>ムハンマド生存確認
<英雄番号21番>ジャンヌ・ダルク クリーチャー化
684 :
山野野衾 ◆NDQJtGoM :02/08/21 09:26
>682
美人だからいいです。
>683
ひいいいっ。フランス人怒りますな・・・これは。
685 :
世界@名無史さん:02/08/21 11:32
ひえー、やっと過去レス読み終わった。長かったよー。
アゲるためにコキコ。
「さて言い訳を聞こうか」
在って在るもの、あるいはヤハウェと呼ばれている人の形をしたそれは冷たく
言い放った。彼の前には意気消沈したウエリントンとカポネがいる。
「‥」
二人とも言葉を発することもできない。なにしろ目の前にいるのは彼らの精神
世界における神なのであるから。しかしようやくウエリントンが重い口を開いた。
「主よ。このゲームに参加している者たちは人類の歴史上でも最も組織作りが巧み
だったものたちです。このまま放っておけば更に彼らの組織化は進みこのゲームの
前提そのものを崩しかねません。」
「ふむ、さすがは卑劣漢のウエリントン、指摘は鋭いな。してどうするのだ。そこまで
いうなら何か考えがあってのことだろう」
ヤハウェが言った。その口調はあくまで冷酷そのものだ。カポネはひたすら小さくなっている。
ウエリントンはそれに気圧されながらも辛うじて答えた。
「さ、参加者の中でも特にリーダーシップの優れているものがおります。古代ローマの
カエサル、日本の清盛、信長の3人です。こいつらを何とかすれば再び殺し合いが活性化
するのではないかと愚考いたします」
「む、その言よし。さて、うむ転生はさせたものの全く参加らしい参加をしていない
男がおるな、しかもローマ人のことを心のそこから憎んでいる。ハンニバル・バルカに
カエサルを狙わせるとするか」
ヤハウェは独り言のようにつぶやいた。傍らにいる子供としか思えぬアミニズムの神
がにこにこ笑いながら彼の方を見ている。くそ、これではこの全く気にそぐわない展開
をしつつあるゲームをやめるにやめられない。しかも頭上には爆撃機が旋回している。
ヤハウェの頭の中はこの苦境を脱するためのアイデアが浮かんでは消えていたが、今の
ところ決め手になるものはない。うむ、まずはカエサルを殺そう。そこからだ。電撃で
殺すのはこの餓鬼が邪魔するだろうから、ハンニバルにやらせる。悪くない考えだ。
このスレには初めての書き込みです。ハンニバルがぜんぜん活躍してないので、
ストーリーの活性化もかねてこんな設定を考えてみました。どなたか続けて下されば
幸いです。
>682
2ちゃんねる上のバトロワスレは結構多いですね。
「読売巨人軍」・「F1」・「モーニング娘。」・「カノン」・「シスプリ」
「おじゃ魔女どれみ」・「三国志」
ネタがありました。・・・何でほとんど萌え系なんだろう。
「オーストリア女め・・・!」
海辺に佇んでいたマリー・アントワネットの前に「それ」が現れてフランス語で語
りかけて来た時、そこには聖女と呼ばれたものは存在していなかった。
見た目は少女であった。元フランス王妃の死んだ年齢と較べても随分若い。だがほ
んの四日前、マルクスらに協力を求めた時の彼女の面影は無く、ただ人の形をとど
めているだけのものになっている事はアントワネットにも分かった。
かつて市民に宮殿を追われた時にも感じた事の無かった戦慄が体を走った次の瞬間
、「それ」が襲いかかって来た。
獣の吠える声でも人があげる叫びでも無い、声帯を使い尽くした末の様な発音。
手近でありかつ襲い易い相手と踏んでの襲撃であっのだろう。だが、その声は直ぐ
に悲惨で、そして哀切極まりない呻き声へと変わった。
喉笛を噛み切らんとした「それ」の喉に一瞬早くアントワネットへの支給品であっ
た「櫛」が食い込んでいたのである。フォーク型のものであった。
「舐めるんじゃ・・・ありませんわ・・・よっと!!」
噴出す返り血を散らすようにしてアントワネットが立ち上がった時にはもうそこに
は怪物の姿は無く神々しさを感じさせる「聖女」の亡骸が横たわっていた。
「南蛮女!無事であったか。」
振り返ると、この島で二番目に顔を会わせた男が森から出て来て駆け寄って来てい
るのが見えた。
<英雄番号21番 ジャンヌ・ダルク 死亡>
689 :
ルービックキューブ:02/08/21 18:09
>
690 :
ルービックキューブ:02/08/21 18:13
>683
そういう効果のアイテムがあるということは
鳥の羽根とか三色ボールペンにももしかしたら
何か特別な力があるかもしれないですね。
ちょうどその頃。
「これは……戦車か?」
半壊した診療所の隣、厩舎を覗いたアレクサンドロスは驚きの声を上げた。そこには、立派な二頭立ての戦車が
置かれていたのだ。
森でアドルフ・ヒトラーの願いを聞き入れ、投石機でマルクスなる邪悪の権化(ヒトラーはマルクスの事をそう
呼んだ)を屠った後、アレクサンドロスとアルキメデスは島の探索を進めていた。
投石機の破壊力は絶大だったが、その原理上小回りが利かない。ひたすら息を潜めながら獲物が通りかかるのを
待つという手段もあったが、闇雲に待つだけではどうしても非効率的である。そこで二人は投石機を元通り隠すと、何か有効な運搬手段を捜して島を巡っていたのである。
「ふむ、この戦車をうまく改造してやれば、投石機を運搬するのにちょうど良いかもしれませんな」
アルキメデスが言う。さすがはシラクサの街を襲ったローマ軍を、数々の兵器で苦しめた天才学者。頭の中では
既に、投石戦車のモデルを描き始めている。
早くも木の棒で地面に図形を描き始めたアルキメデスを、アレクサンドロスは苦笑と共にたしなめた。
だが、正直その発想は悪くない。またそうでなくとも単純に戦車があれば、機動力が上がる。戦車弓よりも強い
飛び道具――マスケット銃――を持っている以上、この機動力を活かさない手は無いだろう。
「よし、乗るがいいアルキメデス」
大王はそう声をかけるや否や、先に立って戦車に乗り込んだ。
乗り手の資質を無意識の内に感じ取ったのだろうか……戦車を引く二頭の馬たちは、嬉しそうに短い鳴き声を上げた。
<英雄番号76番 アレクサンドロス 生存確認>
<英雄番号82番 アルキメデス 生存確認>
彼らは戦車(チャリオット)を入手しました。
うまく投石機と組み合わせて、投石戦車を作る事を考えています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
初めまして。つい最近、このスレの存在を知りました。
最近姿を見ない大王と学者コンビを動かしてみました。
このままだとあぼーんされてしまうと思いましたのでw
あ、76は鄭和でしたね。じゃあ大王は76→83で。
あと、一箇所改行忘れて非常に読みにくいですね。すみません。
ダイナマイトの爆発音でカール大帝は目を覚ました。
気付かれぬようあたりを見渡すと自分が車に乗せられているのが分かってきた。
装備が失われていないことを確認した後、カール大帝は薮の中へ身を滑り込ませ、
そのままじっと時を待った。
「・・・あっけないものだ。」
薮を抜け、海岸へ戻る途中、
地面に横たわるナポレオンとイワン雷帝の遺骸を見つけ、カールはつぶやいた。
「ついさっきまで共に戦っていた仲間がもはや単なる肉の塊。
これだけはいつの時代も変わらぬ定めか。」
おもむろにカール大帝は二人の体をあらため始めた。
「ふむ、これが銃か。ナポレオンよ、これはもうおまえには必要無い。
ありがたく使わせてもらうぞ。・・・おっと、これは何だ?」
彼が見つけたのは一つの袋。中には石のようなものが4つ。
「単なる石ではないな。うーむ、ほかの参加者から使い方を聞き出すとするか・・・。」
痛む体をいたわりつつ、彼はゆっくりと船のほうへ歩き出した。
海岸に出たカール大帝は、船に近寄る東洋人を見るや否や、ピストルを発射した!
弾はあらぬところへ飛び、慌てて振り向く相手だったが、
フレイルを振り回して襲ってくるカール大帝の姿に逃げ出していった。
「待ってください!なんてことを!!」
『・・・な!?もしかするとあの男が!?』
今ごろになってマリー・アントワネットが話していた仲間のことを思い出したカール。
「いや、敵と勘違いしてな。ああ、仲間を得る機会がまた遠のいた・・・。」
「まったく、この次はあなたが襲われるかもしれないんですよ・・・ところでナポレオンは?」
黙って首を振るしかなかった。
「何があったかぜんぜんわかりませんが・・・。」
「マリー、こいつの縄を解いたな!」
慌てて弁解する鄭和。
「ま、待ってください。逆らおうとは思いませんから。
もともと船があったのでそれを使って逃げようと思っていただけなんです。
どうです、あなたもごいっしょに?」
「そうはいかん・・。」
上空を飛びまわる大型機を睨み付けるカール。
「ここへ辿り付く途中考えてみたがあれはおそらく神が遣わした魔物だ。戦いを放棄するものに対する見張り役だろう。
それに、水平線にかすかに見える影。去る気配も無いが、かといって寄ってくる様子も無い。
あれもおそらく海の怪物だろう。」
「なんと・・・。それならやむをえませんな。この船も整っているのは形だけ、
ちゃんとした道具が無ければ到底使えるものではありませんので。」
「まだ我々の仲間が生き残っているかもしれん。まずはそれと合流するとしよう。
ああ、マリー、それでいいかな?」
「あんなことをしてしまっては私の仲間も戻ってこないでしょう。
まったくなんてことを・・・。」
「ありがとう。それから・・・」
カール大帝は鄭和にイワン雷帝の使っていた大剣をほうった。
「使えるな?」
「ええ、どうにか。」
※鄭和は身長六尺(約180センチ)、体格も堂々とした偉丈夫だったそうです。
また永楽帝の元で戦に参加した経験を持っているなど、我々が思い浮かべる宦官の
イメージからはだいぶ離れた人物です。
695 :
山野野衾 ◆NDQJtGoM :02/08/21 21:50
「ふん、是非も無いわ。」
駆け寄ろうとした途端撃たれそうになりながらも無事逃げられたのはカールが銃器
に慣れていなかった為か、それとも彼の強運によるものか。
だが運の上に胡座をかいてもロクな事にならぬ事を信長は学んでいた。今は下手に
動かぬ方が良さそうだ。
あの南蛮人は下衆のたぐいとは思えない。ならば万里の身を案ずる事もなかろう。
何かで誤解が生じたらしいが、下手な相手(弱い相手とは限らない)と組むよりも
一人で歩いた方がお互いの為である。
そう考えながら鉄砲足軽の様にライフルを肩に載せていた信長。だが退屈せずに済
むようにと運命の女神はそこに新たな課題を設けてくれていた。
書き手が増えた上に鉄三眼銃さんが戻って来て下さったので嬉しいです。
西方見聞録さん、初めまして。
信長の耳元で、カチャリ、という音が聞こえた。
彼の後頭部に黒髪の女性―ラクシュミーが銃口を向けていた。
信長「…貴殿の国の挨拶はその様にぞんざいなものなのか?」
ラクシュミー「失礼な」
信長「…まあそんな事はどうでもよい。わしは織田右大臣信長。貴殿の名は?」
ラクシュミー「…ラクシュミー・バーイー。北インド・ジャーンシー王国の妃だ」
信長に名前を明かした彼女は、そのまま銃口を動かさずに言葉を続けた。
ラクシュミー「ノブナガといったな…貴様、何故あの男を逃がしたのだ?」
信長「殺す必要がないと思ったからだ…違うか?」
ラクシュミー「私にとってはあの男は憎むべき存在だ。わが国を侵略した国の人間だからな」
彼女の言葉を聞いた信長は、その言葉の根底に憎悪があることを感じていた。
だが、このまま(銃口を向けられている)の状態では、何も進展がないままだ。どうするか―…
彼がそう考えてこんでいると。
ドーン!
2人の背後で"何か"が崩壊する音が聞こえた。
「正直分が悪いな・・・。」
苦戦を感じてそう言いながらも、ラムセス2世(英雄番号76番)の口調は楽しげ
なものだった。カデシュで半壊した軍団を立て直した時の高揚感が蘇る。
相手は二人。乗り込んだ戦車から続けざまに石を放って来た。一見単純な仕組みに
見えるあのような兵器があれば自分がヒッタイトにてこずる事も無かったろう。
だが今の現実の自分は逆に攻撃される立場にあった。彼自身も戦車に乗ってはいた
が、いかんせん片手で操縦しもう一方の手で大鎌を振っている身である。
やり難さは否定出来なかった。
「いっその事降りるか。」
ここには彼に王らしくない行動をしないでくれと懇願する者もうっとおしい雑魚も
いない。そう考えて向きを変えようとした時だった。
突然アルキメデスの体に生じた違和感を痛みだと彼の頭脳が判断するのにはほんの
一瞬だけであったが時間を要した。
いかん、支えきれない。手綱が手を離れ、体が前のめりに倒れそうになった。
「アルキメデス!」
異変に気付いた大王がその体を支えてくれたが、戦車はそのまま暴走する。
「くっ、やむをえん。」
老学者を抱えてマスケット銃を小脇に抱えると、大王はそのままススキの群生地の
中に飛び込んだ。ガラス質の葉が体の数箇所を傷つけたが大したものでは無い。
それよりも攻撃して来た相手と得物の見当をつけねばならなかった。先ほどまで目
の前に居たエジプト人の仕業では無い。
「・・・外したか。」
最後の弾を撃ち出したアドルフ・ヒトラーはしばし迷った。もう拳銃は使えない。
山刀も刃こぼれが増えてボロボロになってしまっている。さて、どうするべきか。
アルキメデスが体のどの部分を撃たれたかはわざとぼかしておきました。彼の生死
と伍長殿の行動は他の方にお任せします。
ヒ「さて、生きるべきか死ぬべきか。それが問題だ。」
シ「光栄だなぁ。僕のハムレットを観てくれていたとは・・・。」
フ「馬鹿、無防備に出るんじゃない!」
なんて展開も考えていましたが、混乱しそうなので止めました。
それに気付いた時、無人となった戦車は彼のすぐ眼前まで迫っていた。
「ぬぉっ!」
ラムセス2世は大鎌を携えて戦車から飛び降りる。ほんの一瞬だけ遅れて、硬い物が
ぶつかり合う音が響き渡った。
「む……」
ラムセス2世は抜け目なく辺りを疑う。自分と、石を放って来た戦車の乗員二人の他に、
まだ別の誰かがいるはずだ。
すると彼の視界に、一つの人影が飛び込んで来た。
次の行動に一瞬の躊躇を覚えた事が、アドルフ・ヒトラーの命運を左右した。
自らに駆け寄る足音に振り返ると、巨大な鎌らしき物を構えたエジプト人が
こちらへ向かって走り寄って来る。
その動きには、微塵の躊躇いも無い。
眼前に迫り来る刃を、ヒトラーは呆然と見詰めていた。
「バ……バカ、な……」
腹部に、刃が深々と突き刺さった。
「バ……バカ、な……」
呟くと、ラムセス2世は前のめりに倒れた。
その腹部には、細長い筒のような物に取り付けられた短刀が突き刺さっていた。
銃弾は、アルキメデスの脚部を貫いていた。即死するような傷では無いが、
誰かに背負わなければ歩く事はままならない。
二人分の体重を支えながら、苦もなく地面に着地したアレクサンドロスは
銃剣付きマスケット銃を構えて様子を窺った。
その時、地面を踏みしめる足音が鳴り響いた。
そちらに目を向ければ、先程のエジプト人(それがラムセス2世であるとは、さすがの
アレクサンドロス大王もまだ気付いていない)が大鎌を手に、誰かに向かって
突撃して行くではないか!
その大鎌を受けようとしている人物が見覚えのある男だと悟った時、
アレクサンドロスの身体は勝手に動いていたのだ。
……その男こそが、アルキメデスを撃った人物だとも知らずに。
ラムセス2世にもう一撃を加え、完全にその命を奪った後、アレクサンドロスは
振り返って言った。
「どうやらまた会ったようだな、アドルフ・ヒトラー」
大王の顔には、戦の時だけ見せる興奮の表情が宿っていた。
<英雄番号?番 ラムセス2世 死亡>
「偶然……だな」
心臓が警鐘を鳴らす。
「私も、たまたまこの辺りを通りかかってな」
全身の細胞が、危険を告げる。
「助かったよ、アレクサンドロス大王」
自らが冷や汗をかいている事を悟られぬよう、出来る限りのポーカーフェイスを保って
ヒトラーは言った。
相手の手には銃剣付きマスケット銃。
こちらには、弾切れの拳銃とぼろぼろの山刀だけ。
ましてや相手は、軍の先頭に立って10倍の数のペルシア軍と戦った英雄だ。
……大王が真実に気付いたなら、私の命は無い。
ヒトラーは、自分が勝利を得る事の出来たはずの、唯一にして最大の機会を失って
しまった事に気付いた。
「アルキメデスが誰かに撃たれて、負傷してしまった。ヒトラー、医者を見なかったか?」
変わらぬ口調でアレクサンドロスが尋ねて来る。
もしやこの男、それをやったのが私である事に気付いていないのか……?
「医者……ここに来る途中、パラケルススという男に会ったぞ」
「そうか。ではそこまで案内してもらえるか?」
やはりアレクサンドロスの口調は落ち着いた物だ。ヒトラーは、一度逃げて行った
運が、再び自分に向いて来るのを感じた。
「分かった」
素直に頷くと、ヒトラーは先頭に立って歩き始めた。
「ああ、待てヒトラー」
突然アレクサンドロスに言われて、ヒトラーは心臓が縮み上がるかと思った。
「そんな剣など、もう使えまい。持っていても無駄だろうから、捨てて行ったらどうだ?」
あくまで口調は穏やか。
だが大王の手のマスケット銃は、心なしかこちらに向けられていないだろうか?
「……そうだな、その通りだ」
ヒトラーは大人しく、その言葉に従うしかなかった。
アルキメデスを背負ったアレクサンドロスはヒトラーの案内で、パラケルススの元へ向かった。
書き終わりage。
アルキメデスの傷を直接死ぬような物にしなかったのは、個人的に彼には、
数少ない「好戦的な学者」としてもうちょっと頑張ってもらいたかったからです。
(既に死にましたが)ノーベル、そして彦坂さんと、
この世界の学者軍団はみんな平和主義者です。
だから一人くらい、自分の発明した兵器を殺し合いに使う事に、さほど
躊躇いを覚えない学者がいても良いかとも思いまして。
無論あくまで個人的な意見なんで、傷悪化→あっさりあぼーん、でも構いませんけど。
あと、アレクサンドロスが本当にヒトラーが犯人である事に気付いていないかどうかは、
皆さんにお任せします。
ちなみに、ヒトラーの現在の装備は(弾の切れた)拳銃のみです。
それと山野氏、英雄番号76は鄭和なので(
>>630より)、
ラムセス2世には別の番号をお願いします。
705 :
西方見聞録:02/08/23 19:27
ageたと思ったのにsageてました。
706 :
山野野衾 ◆NDQJtGoM :02/08/23 22:11
>705
では78番という事で。しかし91歳まで生きたのにこの島に来てからは蝉の一生(藁)。
シャッ、シャッ、シャッ、シャッ、シャッ・・・・・。
しつこいぐらいに砥石に針を擦り付ける音が、夕闇の中に響き渡っていた。
先日水浴びを行った川の側で目を輝かせながら得物を握っているのはフレデ
ゴンド。
側で瞑想している厩戸といい、大胆にも眠っているルイといい、三人とも個
性がその行動に現れていた。
「行くわよ、二人とも。愚図愚図している暇なんて無いわ。」
20分程して沈黙を破ったのはやはりフレデゴンドであった。聖人型の厩戸
も君主型のルイも生まれながらの王族であり、せっかちな行動には向いてい
ない。
だが侍女からのし上った彼女の行動力は牛馬のそれであった。この美女の何
処にそんな活力があるのかと不思議に思われるほどに。
「しかしフレデゴンドよ、幸いここまで襲って来る気配も無かったが。」
悠然と構えるルイに対する彼女の返答は失笑だった。
「だから何?ここで全員が片付くのを待つつもりなのかしら。冗談じゃない。
信長達にも悪いし、やらせてもらおうじゃないの。」
成る程、発言内容は義侠心に富んでいる。だが事実は心中の悪い虫が騒いだ
だけだという事くらい、二人には察しがついていた。
『困ったものだな。』
分からない訳では無い。いや寧ろ二人には分かり過ぎるほど彼女の行動の源
となるものが分かっていた。
厩戸には仏国土建設として、ルイには大国の建設として現れたもの。それは
この島に『来る事の出来た』英雄達に共通するものであった。
ただそれが彼女の場合、妙に荒っぽい略奪という形で現れてしまうのだろう。
そして『仕方が無いか。』と厩戸が思った時には彼女は嬉々として針投げの
具合を試していた。
警報:フレデゴンドが本気になりました。面識の無い人間は無差別で攻撃さ
れます。(信長・清盛は除く)
英雄番号が混乱してきたようなので
アルキメデスは英雄番号37になっています。
ラムセス2世の番号78番はムハンマドに付けられているので
英雄番号82番をラムセス2世の番号に推薦します。
追加でカール大帝を英雄番号85、ウエリントンを英雄番号86
に推薦します。
新しい登場人物や死亡者がふえたので
1 ヒトラー 生 2 アインシュタイン 死 3 ティベリウス 死
4 カエサル 生 5 イエス 生 6 冒頓単ウ 死
7 アッティラ 死 8 厩戸(聖徳太子) 生 9 金日成 死
10マリア・テレジア 生 11イヴァン四世 死 12武即天 死
13ブッシュ二世 死 14項羽 死 15愛新覚羅溥儀 死
16孔子 死 17M・アントワネット 生 18ティムール 死
19フレデゴンド 生 20曹操 死 21ジャンヌ・ダルク 死
22カール五世 死 23平清盛 生 24レオ十世 死
25フリードリヒ二世 生 26ラプラプ 死 27アイスキュロス 死
28デュ・ゲクラン 死 29ルイ十四世 生 30パラケルスス 生
31メフメト二世 死 32ガリバルディ 死 33乃木希典 死
34ヘリオガバルス 死 35ヴァレンシュタイン 死 36織田信長 生
37アルキメデス 生 38ルター 死 39ヨハネス二十一世 死
40張騫 死 41ナポレオン一世 死 42ピョートル一世 死
43始皇帝 死 44釈尊 死 45F.ルーズベルト 生
46マルクス 死 47エリザベス一世 生 48フェリペ二世 死
49彦坂忠義 生 50ノーベル 死 51陳国峻 死
52ニーチェ 死 53ネロ 死 54文天祥 生
55孫文 生 56リチャード一世 死 57グスタフアドルフ 死
58クフ 死 59ダレイオス一世 死 60ポルポト 死
61ガンジー 生 62フィロン 死 63マルコムX 生
64アウラングゼーブ 死 65楊大眼 生 66レーニン 死
67スターリン 死 68毛沢東 死 69ハンニバル 生
70スカルノ 生 71クレイジーホース 死 72オクタビアヌス 生
73ルーデンドルフ 死 74フランクリン 死 75フビライ 死
76鄭和 生 77ラファイエット 死 78ムハンマド 生
79ダビンチ 生 80ケインズ 死 81ブリュヌオー 死
82ラムセス2世 死 83アレクサンドロス 生 84シェークスピア 生
85カール大帝 生 86ウエリントン 生 88アルカポネ 生
89パットン 生 91ラクシュミー 生 99土方歳三 生
番外
ネルソン 生 東郷平八郎 生 ハルゼー 生
デーニッツ 生 アンリ=デュナン 生 ナイチンゲール 生
松本良順 生
ニミッツ 死 李舜臣 死
島の状況
四日目の昼過ぎ
島の集落炎上中
神社は燃えたうえに、爆破されたが超自然の力で再生?
英雄番号は87・90・92〜98があいています。
不備があったら誰かフォローしてください。
残り人数…とりあえず計算してみましたが、
現時点で【残り人数36人】(番外6人)です。
さて、信長vsラクシュミーのその後です。
2人の背後で鳴り響いた巨大な爆発音。
それを聞いたラクシュミーは、信長の元を離れ、先程の音がした方へと向かおうとしていた。
しかし、信長が彼女の左腕を掴んで制止した。
「―何故止める?!」
「ラクシュミー殿、今そなたが出ていけば、下手すれば生命を落としてしまうだけだぞ。
そなたが己の本懐を果たしたいのなら、ここで無駄に動いてはならぬ」
信長にそう言われたラクシュミーは、渋々銃を下ろした。
そうして彼は、先程の別れ際に清盛と彦坂、2人からの発案から成り立った
「ある作戦」を彼女に頼む事を決意した。
―本来はこの役目は万里に頼もうと思っていたのだが。
「ラクシュミー殿、そなたに頼みたい事がある」
違った、番外の残り人数は7人でした…。
怒りの雷に打たれてきます…
モルトケ(小)はゲーム開始からずっと隠れていた。
この場所は思わぬ盲点となって誰にも見つけられていなかった。
その場所とは学校のトイレだった。
ぼろぼろの廃校のような校舎なので、トイレの個室が一つ開かないぐらいでは、
カポネたちも疑問にも思ってないようだった。
ヤハウェは知っていてもおかしくないようだが・・・
ここに隠れていたおかげで、トイレに来たカポネ達の話を盗み聞きして
神の陣営の情報をいろいろ知ることができた。
ヤハウェ側もいろいろトラブルがあってうまくいっていないようだし、
英雄たちはヤハウェを倒すためにいろいろ画策しているようだった。
ここで知った情報を誰かに教えればヤハウェを打倒するのも
夢ではないようなきがしたが、彼は小心者で優柔不断なので
決断がつかないでいた。
英雄番号87番 小モルトケ登場 所持品はベレッタM92Fです
>>713さん
…モルトケ(小)って検索かけて、あるHPでプロフィール見たけど、
確かに小心者かも(苦藁)
武器の方は原作では三村が持っていたんですよね>ベレッタM92F
ハンニバル「カエサルってローマ人知らない?」
楊大眼「知らんぞ。ところで倭国の侍知らぬか?」
マルコムX「あ!ここからちょっと行ったところに人がたくさん集まっていましたよ。」
ハンニバル「さっそく行ってみなくては・・」
ハンニバルがいなくなった後
楊大眼「Xよ。あの象使いを、あの集団にけしかけたのか?」
マルコムX「ええ。白人同士、醜く殺しあってほしいですね。」
マルコムXはハンニバルをカエサル達の方へけしかけ、
漁夫の利を得る作戦を発動させました。
シャッ、シャッ、シャッ、シャッ、シャッ・・・・・。
一部が焼けてしまった集落の一角で、フレデゴンドの時と同じ様な音が立てられて
いた。もっともこちらは武器を砥いでいた訳では無い。
平清盛は今、木の枝を削るのに一所懸命になっていた。
「相国さん、こんなものしか見つかりませんでしたが・・・。」
その内に焼け残りをゴソゴソ探っていた彦坂が布に包んだ複数の品を持って来た。
「布に筆に墨に・・・流石にこのような島では琴は見つからんなんだか。いや、し
かしようやってくれた。」
清盛がその中から取り出したのは、工作の課題にでもつかえそうな道具一式。
「・・・どうなさるおつもりなんですか。」
怪訝そうな顔をする彦坂の前で、手早く布を裂いて行く清盛。
「御幣を用意しておる。それに勺もな。灯明も設けねばならぬ。」
それを聞いて余計に訳が分からなくなった彦坂に清盛は用途を説明する事にした。
末法の世の始まりとされた年より950年。分からぬ者も増えたのだろう。
717 :
山野野衾 ◆NDQJtGoM :02/08/25 18:51
「神を降ろす為じゃ。」
「・・・・・か、神様をですか?」
中世への玄関口を開いた梟雄の言葉は、物理学の天才の理解を超えていた。
「ルーズベルト殿から聞いた。この島はヤハウェなる神が選んだだけあって、神を
呼び寄せ易いらしい。他の神々のお力を借りてヤハウェの力を封ずる。」
「それが出来ると?」
「見よう見真似じゃが、やってみるしかあるまい。男が楽を奏し、女に降りた神に
窮状を訴えるのじゃ。右府殿には女子を探すように頼んでおいた。」
幸いプレッチェルで死んだ大統領達が冥界との道を開いてくれたお陰で、降神、も
とい交信がやり易くなっている。清盛ら前近代の英雄達は夢告でその事を知った。
だが彦坂はもっと別の事が気になったらしい。
「そうだ!忘れてましたよ。ルーズベルトさんはどうするんです?」
憎い男ではあるが、放って置く訳にもいかない。
「落ち着くのじゃ。休みながら目的も果たせた事じゃし、そろそろ参るわい。」
ルーズベルトと感受性の強い女、それに琴ないしはそれに相当するものを求めて、
二人は再び歩き始めた。
>718
「十訓抄」・「愚管抄」では英雄。「延慶本平家物語」では人柱を石柱に変更。
学者により評価が分かれる人物ですが、英雄であったといって良かった。
「彦坂殿。・・・どうでもいいが猫は置いていった方が良いぞ」
入道生国の呆れた声に、
両手に燃料電池式自転車のハンドルを握り、下駄を踏みしめ、てけてけと歩く彦坂。
「・・・頭から離れません」天才のとぼけた解答。猫は完全に懐いていた。ついでに言うと物凄い力で彦坂の頭に載っている。
坂道を下ったり、ブレーキによって自動充電するこの自転車は、
機動力、隠密性、低音度、加えてライト、燃料電池式による坂道の多いこの島での有効性と高性能極まりないが、
(補助の働く上がり坂はともかく)引っ張るとなると少々重い。
まして、チャリの篭には色々詰まっている。
「しかし、便利なものがあるものだな。・・・『補助装置』がないものも見たが充分使える。
・・・刀鍛冶なら作れるか?」「チェーンを作れればなんとか・・。」
「・・・思いださせてしまったか?」彦坂は答えた「悲しいことですが、少し慣れました」
少々遡る。
集落を訪れた二人はその惨状を見た。清盛はまだしも、清盛たちに会う前に僅かの間だけ行動していた李将軍の死体を見た彦坂はそうではなかった。
無論、あまり埋葬に手間を掛けれないが、出来る限りの供養と、悪いとは思ったが使えそうな幾ばくかの遺品を手に入れた。
そんな中瓦礫を漁っていた清盛は地下室への扉を見つけた。
食料や水などを探す傍ら。「針金か・・・要らぬな」清盛はそれを放り投げた。
子猫が『にゃぁ』と鳴いたのとバランスがずれた為頭の位置が変わった彦坂の視線がそれに集まった。
「(避雷針…?)」しげしげと手に取る。「針金になにか?」彦坂は無言で金属繊維製のタコ糸を見つけ出していた。
「人間は考える葦である・・・か」「?」
* * * * * * * *
「1度死んだ身だから・・・なんて言えなくなりましたね」
「当たり前だ。どのような形であれ、我々は生きている」
猫が荷台に飛び乗り、長い尻尾を振っている。島の自然の美しさを堪能しつつ二人は歩いた。
戦闘継続中であっても自然、和歌や漢詩が出るのは「らしい」といえばらしい二人だった。
「な、何なんだ・・・。」
これまで数々のカルチャーギャップに悩まされてきたカール大帝。
しかし今度は格別だった。
そこは・・・巨大な実験装置が所狭しと並んだ地下実験場だったのだ!
「・・・確か、私の国ではラヴォワジェという徴税請負人がこんな装置を使って
いろいろな科学実験をしていたと聞いた事がありますが・・・。」
ビーカーを手に取りつつ途方にくれたようなマリー・アントワネットの声も
カールの耳には入らない。
「この本、漢字を所々使ってある事からして天朝ないしはその周辺の国か・・・。」
「・・読めるか?」
「いいえ、わけのわからない文字
・・・ところどころ漢字から採用したらしき跡がありますが・・・
ダメです、まったく別の言語ですよこれは。」
鄭和もさじを投げるしかない。
「この・・『反応爆弾』・・・?これについて書いてあるらしいんですが。」
「うーむ。まあ、この洞窟は居心地がいいな。この・・なんだ、このざらざらした灰色の石は?
自然の岩じゃないな・・・とにかく、使えないものは放って置くに限る。」
急に鄭和が目を輝かせて叫んだ。
「・・・待ってくださいよ!使える人間に心当たりが!」
「な、何!?そいつは未来の時代の人間ということか!?」
「ええ、服装からして間違いなく・・・技術一般に詳しそうでしたよ。」
「よーし、早速そいつの心に呼びかけよう、ひょっとしたら・・・便利な兵器が作れるかもしれん。」
「分かりました・・・『彦坂よ、死んだとは言わせないぞ。私の呼びかけに答えるんだ』」
そろそろ次のスレ作りません?山野さんにお任せしますよ。
っつーか昼に自分が立てようとしたら
ホスト規制くらって立てられなかったYO!
次スレの2以降に状況など纏めて書きこならできるかもしれませんが。
724 :
山野野衾 ◆NDQJtGoM :02/08/26 22:58
>722
どうすれば良いのやら・・・(スレ立て経験無し)。それと明日から一週間ばかり
ヘルニアの検査入院でここに来れません。今夜中に教えて戴ければやらせて戴きます。
誰か続きを書いてください
726 :
世界@名無史さん:02/08/29 23:46
スレの内容と関係ないけど、バトルロワイヤルのロワイヤルってなに?
727 :
山野野衾 ◆NDQJtGoM :02/09/01 20:18
>725
次スレを立てて頂けないでしょうか。分からないもので。