無理矢理マルチプレイ三国志8〜その3〜

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1君主・呂砲(代理)
三国志8(PS2)によるマルチプレイもど記です。
新登録武将で曹操、孫策、劉備を殲滅することを目指します(劉備は滅亡済み)。
その過程で、武将、兵隊、細作、民衆など、三国志時代の人物となって楽しんでください。

【過去スレ】
無理矢理マルチプレイin三国志7 http://curry.2ch.net/warhis/kako/1023/10234/1023460425.html
無理矢理マルチプレイ三国志8〜その2〜 http://hobby.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1030204230/l50

【これまでのあらすじ】
漢室の復興を旗印に、永安で挙兵した呂砲と七同志。
挙兵から8年余、三大巨悪のひとり劉備を斬首し、大陸の半分以上を支配下に置いた呂砲は、涼王に就任する。
これを契機に、漢室への忠義をめぐって、呂砲と同志たちの間に歪みが生じ始める。

2君主・呂砲 ◆I9WFnCXgeU :02/10/25 01:46
【現在の登場人物】(五十音順)
※武将
・呂砲(37):涼王。皇帝の座へ野心が見え隠れ。男色の噂に心を痛める
・袁奉(30):第二軍所属。七同志最強の武力を誇るが、性格「臆病」
・郭図公則(33):洛陽太守、元副軍師。「寝業師」の異名
・希代之(30):筆頭軍師。第一軍所属。漢室への忠義に厚い。荀ケの義弟
・吾玄(26):第二軍団長。七同志最年少。「鬼の吾玄」の異名。でも戦さ嫌い
・町費(27):第一軍所属。帝への対応を巡って呂砲と激しく対立。内政マスターにし・て一騎ウチャー
・馬参(51):第三軍団長。七同志最年長。かつては董卓の配下。「乱撃の馬参」の異名
・廖衛(27):第一軍所属。「突撃」と「撹乱」を使いこなす唯一の武将


【武将能力】206年1月
名・階級(年)武・知・政・魅(戦法)
呂砲・☆(37)50・75・65・73(撹乱極)
袁奉・四(31)97・67・55・82(撹乱極、火矢4、激流4)
郭図・四(33)63・97・97・57(突撃極、火矢1)
希代・四(30)71・100・61・57(撹乱極、奇襲2)
吾玄・四(26)81・71・66・83(撹乱極、乱撃3、槍衾2、突撃1)
町費・四(27)67・72・98・56(撹乱極、突撃1、奇襲1、乱撃1、火矢1)
馬参・三(51)92・59・53・95(乱撃極、突撃5、車懸1)
廖衛・四(27)94・70・66・77(突撃5、撹乱3、乱射2)
4君主・呂砲 ◆I9WFnCXgeU :02/10/25 01:46
※副官待遇
(呂砲)
・雑兵1号:呂砲の親衛隊長。「桃巾賊」の異名。呂砲より軽い男
・長史:洛陽から涼の内政を担当。呂砲直卒の細作団も仕切る
(希代之)
・希代之護衛兵:希代之配下細作。諜報、護衛から拷問までこなす。熱い男
・希代之副官:希代之護衛兵の学友。荊州の大富豪の息子。弱点は親父
(郭図公則)
・見習忍者:郭図公則配下の細作集団を束ねる。武器はヤカン
・諜報部末端構成員:郭図公則配下の細作。「黄金のヤカン賞」に憧れるメモ魔
(町費)
・町費隊士長:酒が入ると饒舌になる自称「口の堅い男」
(廖衛)
・廖影:廖衛の影武者にして副官。戦さ好き。郭図公則に弱みを握られている

※その他
・成都のおねぇさん:第三軍所属。雲南出身の象使い。愛象の名は「武鵜(ブー)」
・熱血廷臣:漢帝の威光を守るため、策謀を練る
5君主・呂砲 ◆I9WFnCXgeU :02/10/25 01:47
※お元気ですか?
・にわか水兵隊:カナヅチ集団から脱皮。土木作業もこなす
・元劉璋軍兵士:長安守備隊所属。熱血漢らしい

※有名どころ
・黄権(40):第二軍軍師。吾玄を支えるために奔走
・雷胴(35):第二軍所属。吾玄の幼少からの知り合い
・呉蘭(37):第二軍所属。吾玄の幼少からの知り合い
・張任(38):第二軍所属。規律が服を着たような男
・陸遜(24):第三軍軍師。馬参に心酔している
・鳳徳(36):第三軍所属。馬参の片腕
・張衛(35):第三軍所属。陸遜と仲が悪い
・黄忠(59):洛陽守備軍所属。郭図公則におもちゃ扱いされる。
・馬超(31):新野駐屯。第三軍団長候補にもなったが、赤壁の敗戦で脱落
・関羽(45):新野駐屯。劉備死後、涼に帰順
・張飛(40):新野駐屯。劉備死後、野に下っていたが、関羽に説得され、涼に帰順
・荀ケ(44);魏将。希代之の義兄
6君主・呂砲 ◆I9WFnCXgeU :02/10/25 01:47
【軍団構成】206年1月

●第一軍:呂砲(軍団長)、希代之(軍師)、町費、廖衛、甘寧、馬騰、馬岱、公孫賛、馬休
現在地は宛。呂砲直卒軍団。
許昌を落とし、漢帝を確保するのが当面の目的。

●第二軍:吾玄(軍団長)、黄権(軍師)袁奉、張任、厳顔、呉懿、呉蘭、雷胴、孟達
現在地は紫桑。巴守備隊から攻略軍に昇格。益州の武将から成る。
孫呉征伐が任務。

●第三軍:馬参(軍団長)、陸遜(軍師)、鳳徳、張燕、張魯、張衛、楊任、鐘ヨウ、韓遂
現在地は洛陽。軍団長選挙後に長安で編成。涼州、漢中などの武将から成る。
第一軍と連動しての魏侵攻が任務。

●洛陽守備軍:郭図公則(司令官)、黄忠、潘璋、華キン、王塁、+あと1人
涼都・洛陽の守備のために編成された部隊。
対外侵攻は禁じられている。
7君主・呂砲 ◆I9WFnCXgeU :02/10/25 01:48
【206年1月】(C)◆KOEiWSYs
×××××××××××晋陽××××薊×××××××北平××××××××
西涼★┓×××上党┏━━▽━━━━▽━━━━┳━━━━▽━━━▽遼東×
×××┃×××××◎┓×××業β┏━━━┳━◎渤海┏━┛×××××××
×××┃×弘農××┃┗━━━━━◎━┓×┗━━━◎平原××
西平★┫×┏★━┓┃洛陽××陳留┃×┃┏━━━◎┻━┓×
×××┃×┃××┗B━━━┳━━◎×┗◎濮陽×済南×┃×
天水┏★×┃長安×┗┓宛┏◎許昌┗━━┫×××┏━◎┛××
××┃┗━★━━━━@━┛┗┳━━◎━◎小沛×┃×北海
××┃×┏┛××××┣━━━◎━┓礁 ┃┏━━┛     
武都★━★漢中×新野★×××汝南┗┓×┗◎下丕β     
××××┃┃上庸××┃襄陽××××┃×┏┛×××     ★=呂砲
×倍★━┛┗★━━━★━┓××寿春◎━◎広陵××     @=第一軍(呂砲軍)
××┃×××┃永安┏┛┏★江夏×┏┛×┃××××     A=第二軍(吾玄軍)
××┣━┓×★━┳★━┫┗━┓┏┻━━◇┓抹陵×     B=第三軍(馬参軍)
××┃巴★━┛×┃江陵┃柴桑┗◇廬江×┃┃×××     ▽=袁譚
成都★━┛×武陵★××A━━━┫×┏━┛┗◇呉×     ◎=曹操
××┣★建寧××┣━★┛×××◇━┛××┏┛××     ◇=孫策
永昌★┃××零陵★×┃長沙××翻陽×××┃×××     
××┃┃××××┗★┛×××××××会稽◇×       
三江★┛××××桂陽××××××××××××

 勢力(号)国 将 兵力
 呂砲(涼)26 95 110万
 曹操(魏)15 87 67万
 袁譚(燕)・4 15 16万
 孫策(呉)・5 40 27万
8君主・呂砲 ◆I9WFnCXgeU :02/10/25 01:50
>郭図公則殿
鐘ヨウだが、すでに第三軍に所属しているので、別の武将を選抜ヨロ。
それにしても、このメンツ……王塁って何さ?

あと>2取りだが、ごっつぁん。
9君主・呂砲 ◆I9WFnCXgeU :02/10/25 01:51
廖影殿、スレ立て乙。
涼王様、よくよく御覧あれ。
今回2ゲットに失敗したのは3人おる郭図の内の一人。同志である郭図公則とは別人で御座いますぞ。
そして彼は12ゲッターでもありますゆえ、重々御気を付けられませよ…。
>>10
なんだそりゃ……
なるべくsage進行でお願いします。



(´-`)y-~~~ 12モトッテシマッタカ。スマンネ。
13雑兵1号:02/10/25 12:13
むう・・・頭が痛い・・・。
昨日、誰かにタカったまでは覚えているのだが・・・
誰だったかなー・・・まあいいや。

ハッ? ここはどこだ?
との・・殿下ー? えっ、引っ越したんですか、それはお疲れさまです。

しかし、昨日一緒に飲んだ奴と、すげー意気投合したような。
そのうち思い出すだろ。そしたら、タカりにいこう。フッフッフ
14年表 ◆I9WFnCXgeU :02/10/25 12:36
 新スレおめー ヽ(^∇^)ノ
15年表 ◆I9WFnCXgeU :02/10/25 12:37
すまん、上は誤爆だ。
競馬板と間違えた……。
新スレおめd

>>前スレ590-598副官の夕べ
組織は上に立つものの性格に似るとは申しますが、
冷静な判断と内の情熱を兼ね備えた希代之様といい
腹にものを隠せない廖衛様といい言わずもがなの郭図公則様といい
なによりそのままのダメダm……ゲフォンゲフォンな呂砲様と雑兵氏いい
実に面白い陣容になりましたな。
17文官達の噂:02/10/25 13:17
聞きましたか?
何でも軍師様のお屋敷に首が投げ込まれたそうですぞ。

ひえぇ、何と恐ろしい一体どう言う事ですか?

よくは分からないのですが、家人が早朝庭を掃除しようとしたところ
6つの首が並んでいたそうですぞ。

恐ろしいかぎりです・・・
18希代之護衛兵:02/10/25 14:17
引越しおめでとうございます〜。
これからも話をむちゃくちゃにしてしまうかもしれないんで、
皆様宜しくおねがいします(汗

>希代之様
申し訳ありません…。某の勝手な行動により、
事態が重くなった事に対して弁解もございません…。
これからは自分の行動を慎み、冷静な判断が出来るよう心がけます。
そして漢朝のためなら、この命捧げる覚悟にございます。

>副官殿
貴殿にも、私のために迷惑をかけてしまった。
しかも拙者を弁護してまでもらって…。
拙者もそなたのような冷静さを身につけたいよ…。
19池田屋主人:02/10/25 14:25
いらっしゃいませ。
ご予約いただいていた、希代之副官様ですね。
はい、お部屋のご用意はできております。

え?先に7人組が泊まっていなかったですかって?

えぇ・・・まぁ・・・その内密にして欲しいんですが、
6人が変死、1人が行方不明になっちまったんですよ。
私どもも客商売でございますから、変な風聞がたっては困るんですよ。
全く迷惑な話ですよ。
新スレ、乙彼です。
なにやら宛城の夜が騒がしい今日のこの頃……。
夜毎に酒をかっくらっていそうな町費殿のご様子が気がかりです。
涼軍(敢えて言う)が中原に手を掛けた今こそが、漢室復興の正念場ですぞ。
諜報などでなくとも、町費殿には有力な一派を持つことが出来るではありませぬか。
21郭図公則 ◆sW2getuhmE :02/10/25 15:56
     _      ,./" ̄ ̄ ̄`y
   ,. " `、 ,.-−'":、      i`=- .,,__,i` 7
  i   ヽ'"     i      ,i    .;;; i ,"
  ヽ ヽ  i::.     i  __ ,i    .:::: i .,'
   ヽ ヽ i::.     i_,.'"  `ヽ、  .:::: i y
    丶  i:::.   ,. '      ヽ、.::::: i i
     ヽ,.-ー'_=二二二二二二=._-.,ヽ
     ,r"-' ̄      t二フ      "χ
    ,.i_  ,.-────────- ..,_-.,_r ヽ
    i  ヽ i _,.-=-._      _,..-=- l l / i
    ヽ  i  ,. ー、_`-  r-",.y-ー, i i   /
     ヽ i   `−'-"   l `"ー'"   l_,.'"
      `-.i         i ::.      i
        i      ,.   ヽ::.      i      ____________________
    ,_     i   _,..`-=- ..,_  .:::: i     /
   i 丶   i.,_  "-ー ,___、-~`   ,i.   < 新スレおめ!つーわけで鍾ヨウ→袁胤
    i .l   l' iヽ、    ..::::..   ,.. '∧     \
   i  l   ,' i 丶.      ,. -' ./ ヽ      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
_,. i  l,.._  /   i-.  ` −─ ",."' /   `v-ー-.,_
 / ~__..~`i _  i `、    r'"  /    /i
./ ~_ ., `Y'"冫 ヽ "i  r'   /    / i
  " ,_, ` i /   ヽ  i i.   /    /  i
22熱血廷臣:02/10/25 17:20
ああは言ったものの、やはり連合軍の創設は難しいであろうな。

さて、漢都の戦いで陛下の為に活躍されたにも関らず
不遇を囲う事になってしまった町費将軍の元へ行くか。
直接会うのは初めてになるな。

さて吉とでるか凶とでるか・・・。
23成都のおねぇさん:02/10/25 19:05
新スレおめでとうございます。
これからもがんばってください♪というわけで、下手なネタ振りいきます。

日記より
今日は休暇。武鵜(ブー)と街を散策に行く。
髪飾りをつけた。綺麗な服を着た。武鵜(ブー)に赤い筵をつけた。
隊長に外出許可を取った。なぜかやかんの人が着てから隊長がやさしくなった。
なんでだろ…まぁいいや。
営舎を出るとき陸遜様と出会う。武鵜(ブー)と一緒に散策に行くと行ったら「馬」の旗を武鵜(ブー)にくくりつけられた。
小遣いがもらえたから何も言わなかった。
街をふらふらと歩く。街の人は武鵜(ブー)が珍しいらしい。みんな見ている。よく聞くと「あの・・馬参様…」という声が聞こえる。ちょっとえっへん♪
服屋で服を見ていたらやかんの人に出会う。「好きな服を買ってやる」といわれたので武鵜(ブー)の「馬」の旗を降ろして「郭」の旗に変えて宮城に行く。
えらい人はみんな驚いていたけど、何で青ざめたり怒ったりしているんだろう?あとでやかんの人の上司の廖影様に聞いてみよう。
お気に入りの服が増えたし武鵜(ブー)も狭い厩舎から出られて満足しているらしい。
ただ…あの後商人が沢山来て「店の旗をつけてくれ」とひっきりなしにお金を持ってお願いに来る。
どうしよう?
24長史:02/10/25 20:48
諜報部を発足させたとたん、難しい問題が起きた。
軍師殿と副軍師殿の細作が、遂に直接激突してしまった。
激突と言っても一方的なものだった上、ご丁寧に首まで届けられている。
どうやら軍師殿配下の暴走が原因のようだが、これは捨て置けんな。
それしても、諜報に力を入れれば入れる程
副軍師殿の諜報組織網の実力を思い知る。
何だこの圧倒的な組織網は・・・、これって国家レベルだぞ。

>>殿下
非公式にではありますが、軍師殿と副軍師殿の手の者が激突しました。
近年は両者の確執は日々強くなってきております。
配下の者の一部暴走が原因ではありますが、捨てて置けないものと存じます。

都の建設についてですが、洛陽の地の利を活かし商業都市にすると良いかと存じます。
また長安・襄陽までの街道を整備し、海外・長江商業網の安全及び安定を図りたいと思います。
涼宮(仮称)の建設についても副軍師殿と意見を調整しつつ進めて参りたいと思います。

(洛陽の内政値が最大になったら涼都完成とし、ネタフリしたいと思います。
 MAXに近くなったらこっそり教えて下さいませ♪)

>>副軍師殿
涼都の商業都市化について及び、
涼宮(仮称)の建設についてご意見をお伺いしたい。
都市建設については一商業組合に任せるのではなく、
各組合事にブロック担当制とし、競争を煽るのが良いと思うのですが
如何でしょうか?
25希代之副官@池田屋:02/10/25 22:20
うーむ、せめて最後の情けとしてこの手で殺したかったものを…
是非もない、遺体は送り返して首と縫いつけるよう護衛兵殿へ伝えてくれ。
残るは1名、せめて亡骸だけでも連れ帰りたいものだが…
あの護衛兵殿の部下だ。捕虜としてのたしなみは叩き込まれているだろう。
誰が殺しに来たかは明白。とすればもうこいつらの目的も知ってるわけだ。
いまさらじたばたすることもないな。

数名で手分けして、役所と市場でこう伝えて参れ。
・希代之使者先遣隊のひとりが、池田屋にて賭博のいざこざで同僚6名を殺し逃走す。
・あまりの事に副官は昏倒、目下静養中。
・身内不祥事ゆえ太守との面会は延期。

残りの者は、副官殿は洛陽一のヤカンで薬湯を飲みたいと言ってると触れ回れ。
何と言われようが一応の釈明はしておかないと。あるいは、取引か。

さて、宿のご主人… あなたにもご迷惑な事で申し訳ない…
わしは気分がすぐれぬゆえ、あの離れで独り休ませていただきましょう。
そうそう、持参の贈り物も無用になってしまいました。
そこの黄金の牛と翡翠のくびかざり、あなたに差し上げます。すまないね。
26長安ムスメ:02/10/25 22:20
最近は涼王様が来てくれないから自分から宛まで行った。
象に乗った着飾った女の人と目が合った。
正直勝ったと思った。
27希代之副官:02/10/25 22:22
新スレおめでとうございます。
以前から皆様のやり取りを読んでおりましたが、
まさかこんなに頭を使うものとは思わなかった…

>涼王殿下、前スレ>590-
殿下は人の心が読めるのでありますか!?
実はそれがしも、荊州の商人で、漢室に対しても利益本位な
考え方のキャラを想定していました。
興奮して読みました。ありがとうございます。

>希代之様
殿…それがし、死んでしまうかもしれません。
いざというときはどうかお助けくださませ。何卒…

>希代之護衛兵殿
許昌攻めが近い。戦場で存分に暴れてスッキリすればいいさ。
>All
いやいやいや、ネタをこんなにたくさんありがとうございます!
ちょいと時間の都合で今はそれぞれにレスできませんが、同志殿の上程が集まる前に、今回の「洛陽事件」を書いてみよか、と思います。
今後ともよろしくお願いします。
29見習忍者:02/10/25 23:30
そうか軍師殿の副官が参られたか。
おぉそうだ、残った一つをお部屋にお届けしておくように。
いや待て、閣下のご指示によっては私がお届しよう。

>>閣下
先日の件につきご報告致します。
調査の結果やはり配下の者の暴走のようであります。
突然かような暴挙にでる配下を召抱えるとは
軍師殿も人を見る目がないようですな。

昨日軍師殿の副官が参り、私に面会を求めております。
洛陽の治安を乱す不貞の輩の件について
お話がしたいようですが如何取り計らいましょう?
この際、閣下ご自身がお会いになられるのも一興かと思われます。
また、今回の件は例の長史から既に殿下のお耳にも入っているようです。



陸遜殿、郭嘉殿から其々書状が参っております。
次期選挙のPRはほどほどに願いたいとの事です。
旗を付けさせたのは少しやりすぎたかもしれませんな。
第三軍の内情ですが、少し面白い事になっているようです。
当初は郭嘉殿を筆頭とする古参派と陸遜殿の対立でしたが、
最近は新参者が陸遜殿に加勢し始めさらがら新旧の対立となっております。
馬参将軍はこの対立を上手く利用しつつ、絶妙な手綱捌きで軍団をまとめているようです。
さすがは馬参将軍と言ったところでしょうか。
30旅の占い師:02/10/26 00:13
呂王殿下、新スレ御目出度う御座います。

むむっ!柴桑と洛陽に殺気が立ち込めておる・・・・
柴桑の方は戦国に有り勝ちな陽の殺気じゃが・・・
洛陽は陰・・・・凶の卦じゃのう・・・・
あるいは涼の七同志の命数、誰かは縮まるかも知れぬな
・・・・占い師風情には関係無いがのう・・ほっほっほ

と言って柴桑方面に立ち去る占い師であった
31町費隊士長:02/10/26 21:33
>町費様
長らく御前に参上できず、申し訳ございませんでした!
それにしても、今回の涼王、いや韓王殿下の処置には、まったく納得できません!
あれでは、死んでいった兵たちがかわいそうです!
それがし、町費様や兵たちの無念を晴らすべく、町費様の耳目となって働く所存!
なんでも御申しつけくだされ!
それと客人が参っております。(>>22
何やら、身分高きお方のようですが、お通ししてもよろしゅうございますか?

>呂砲殿下
長らくネタ振りもしなかった自分をまた使っていただき、本当にありがとうございます!
どうしてもネタが思い浮かばず、ずっとロム状態でしたが、前スレの「副官たちの夕べ」
で、あるべきキャラを見出せたような気がします。
殿下の文章作りの助けとなるべく、下手ながら頭をひねる所存です。
それにしても、自分が登場人物になっているというのは、おもしろいものですなあ。
あ、コテ名は殿下の付けられたものに変えました(笑

>雑兵1号殿
これからピンクの服の男を見かけたら、すぐに隠れよう……。
あいつは危険だ!
>>13雑兵1号殿
今朝方、城内を巡視していたら、泣きながらひざを抱えている兵がおった。
かわいそうなので、何があったか聞いて参れ。

>>16
どもです。
それにしても、人格捏造の度合いがさらに増してきたな、と。
皆様、変な描写になっても怒らないでくださいまし。

>>21郭図公則殿
袁胤…………………
このメンツでどうやって戦争に勝て、と?
ま、笑ったけどね。

>>24長史殿
ふむふむ、なかなかの計画だ。さっそくそのようにせよ。
ただし、おぬしもわかってはいるだろうが、郭図公則は曲者だ。
十分に注意せよ。
>>26長安ムスメ殿
おー来たか!
いやな、最近夜街通いを控えておるもんで、退屈しておったのだ。
今夜は発散するぞ!

>>27希代之副官殿
前スレ>508「家業を継がないと親父に殺されるよ」
→家業ってからには、やっぱ商売か
→場所的には比較的治安の安定していた荊州でいこう
→商人の出ということは、利にさといよな。やっぱり
→でも希代之配下だろ? 利にさといヤツなら、漢にはそもそも付かんぞ
→ハイリスク・ハイリターン
ってな寸法で。


>All
ネタを振っていただいた皆様、必ずどこかで使わせていただきますので、ゆっくりお待ちください。
つーか、この新スレで1年以上経過できるのか、早くも怪しくなってきましたが(w
34前兆 ◆I9WFnCXgeU :02/10/26 21:36
「フム……波立っているのう……」
甕を覗き込みながら、年老いた道士がつぶやく。
甕の中には、水がいっぱいに張ってあり、その表面には1枚の紙が浮かんでいる。
老道士は、紙をもう一枚、そっと浮かべた。
しばらく漂っていた紙は、最初の紙と同様、微妙な揺れを見せはじめている。
「それは……何を意味しているのだ?」
雰囲気に飲み込まれまいと気を張りながら、廷臣が尋ねる。
「殺気じゃよ。別の方角にそれぞれ殺気が浮かんでおる」
老道士はこともなげに答える。
「殺気……別の方角……もそっと、具体的に教えてくれ」
「ひとつは南、ひとつは北じゃな」
「紫桑と洛陽、だな?」
「さて、そこまではわからんよ。ただ……南の気は陽の殺気だな。熱気がある」
「陽気な殺気というのがあるのか?」
「喩じゃ。その殺気を統べる者は限りなく陰だが、それ以上に多くの陽の気がある」
「第二軍がいよいよ動き出すか……で、北は陰というが、これはどういう?」
「凶だな。吉の兆しがまったく見えぬ」
「誰にとって凶なのだ?」
「それはわかる。涼だ」
「涼? すると、北では涼軍が敗北する、ということか?」
「どうもそれとは違うようだ。ま、詳しくはわからぬ」
「……雲をつかむような話だな。読めぬ」
「占いとは万事そのようなものじゃ」
35前兆 ◆I9WFnCXgeU :02/10/26 21:36
「では、もうひとつの占いはどうだ?」
せっつかれた道士は、甕から紙を取り出すと、別に4枚の紙を浮かべた。
紙は水面を揺れていたが、やがてそのうちの1枚が、ほかの2枚にぶつかり始めた。
その様子を見ていた道士は、あっさりと答えた。
「無理だな。三勢力のうち、もっとも強い勢力が合縦を望んでおらぬ」
道士の言葉に、廷臣は舌打ちした。
「魏か……まったく、長安のみならず、洛陽まで涼に奪われたというのに、未だ己を過信しておるのか」
「いや、動揺はしているようだぞ」
「どういうことだ?」
「今のままでは、四勢力で最強の勢力とは渡り合えぬ。だからこそ、最弱の二勢力を足下に降し、己が力を強めようとしている」
「……やはり、別の手を考えるべきか」
「これで終わりじゃ。帰ってもらおう」
「う、うむ。礼はここへ置いておくぞ」
「おう。これで紫桑までの足しにはなろう」


※呂砲@テストプレー中
洛陽制圧後、さらに2つの都市を攻略し、捕虜武将全員を斬首(20人以上)。
外交「勧告」で燕との友好関係を悪化させた上で見守っていたところ、魏は燕と呉への侵略を強化。
北の薊、南の抹陵をそれぞれ制圧し、いっそう両勢力との対立を深めている。
この調子では、どうも反涼連合結成は無理っぽい。

※前スレ「副官たちの夕べ」で、希代之護衛隊長の郭図公則暗殺チームは、「まだ出発前で宛にいる」という描写だったが、諸処の事情により、「既に宛を進発していた」と脳内変換してください。
洛陽、涼王府。
自室に戻った長史は、椅子に腰掛けると腹の底からため息をついた。
部下に茶を持ってこさせ、それを一息で飲み、ふたたび息をつく。
強ばっていた体中の神経が、一気に緩んでいくように感じられる。
(当たり前といえば当たり前だが……馬参将軍とは全然違うな)
洛陽着任のあいさつで第三軍本営へ赴いた時、「岩のような男」という印象を持った馬参。
一方、太守としてつい先ほど洛陽へ到着した郭図公則は、「寝業師」という表現がぴったりだった。
―涼都の完成を目指して供に力を合わせていきましょう
「既に洛陽復興の計画は私の頭の中にある。おぬしの労は求めぬ」
―涼宮建設には、複数の工事担当官を配し、競争を促すべきと存じます
「すでに担当官は決めてある。必要なし」
―将軍は諜報戦に大変長けているとの事。何卒新米の私に色々ご教授下され
「諜報は軍のみならず、政においても根幹を成す重要な事柄。他人に教えるものではない」

(胃の痛くなる日々が続きそうだが……)
笑みひとつ見せなかった郭図公則の顔を思い出しつつ、長史は自分を叱咤する。
(涼の旗印のもとに、新しい世をつくるのだ。私が思い描く新しい世を。負けるわけにはいかぬ)
涼王からは、至急涼王直轄の諜報機関を組織するよう命令が下っている。
やるべきことは、山ほどあった。
洛陽、第三軍本営。
馬参と郭図公則の会見は、実に短時間で終わった。
「洛陽太守の任、郭図公則殿に引き継ぎいたす」
「洛陽太守の任、馬参殿より受け継ぎいたす」
以上、それだけ。
郭図公則は第三軍本営をあとにし、完成したばかりの太守府へと去っていった。

「副軍師殿…いや、太守殿は相変わらずのご様子で」
陸遜の言葉に、馬参は軽く笑った。
「あやつはまったく変わらぬ。初めて会った時からな」
「それは非常に興味のあるお話です」
陸遜はいたずら小僧のような顔をした。
「軍団長と太守殿の馴れ初め……ぜひお伺いしたいものでございます」
陸遜の言葉に、馬参は思い出し笑いを浮かべた。
元はといえば、涼軍、いや呂砲軍成り立ちの契機となったのは、自分と郭図公則だったのだ。

10年前、荊州の酒楼で、たまたま同席する羽目となった馬参と郭図公則。
人を小馬鹿にしたような郭図公則の態度に、馬参は切れた。
そして、郭図公則をぶん殴ろうとしたその時、当時まったく無名だった呂砲が間に割って入った。
結果、馬参の拳は呂砲の後頭部を直撃、呂砲は失神した。
「まあ、わしにも秘め事はある。今では恐れ多すぎて、余人には話せぬな」
馬参はそう言って、陸遜を煙に巻いた。
洛陽、太守府。
「洛陽内における細作の配置でございますが、いかがいたしましょうや?」
郭図公則の前に控えているのは、細作頭。
洛陽、宛と各地を忙しく走りまわっている男だ。
「おぬしはどう考える?」
旅装のままの郭図公則は、新しく自分の職場となる部屋を見回しながら、尋ねた。
「第三軍にはこれまで5人の細作を付けておりましたが、新たに腕利きを10人。涼王府に同じく10人、と愚行いたします」
「無駄が多い」
「は?」
「馬参は間もなく出兵する。やつが洛陽で何かをするにも、もう時間はない」
「御意。それでは従来通りで?」
「いや。私も太守となった以上、これまでよりもさらに精密な情報が必要だ。腕利きを5人追加。できれば、馬参に近いところに回るようにせよ」
「はっ。して、長史には?」
「中の下を2、3人でよい」
「そ、それはいささか……洛陽太守となられた閣下にとって、長史府の情報はある意味、第三軍のそれよりも重要かと存じますが」
「長史府は発足したばかり。まだ力もなく、それに忍び込むことも容易であろう。経験少なき細作の訓練用。同時に長史の実力を見るのだ」
「ははっ。恐れ入りましてございます。それでは早速手配いたします」
細作頭が音もなく消えると、郭図公則はゆっくりと空気を吸い込んだ。
洛陽太守。そして、洛陽守備軍司令官。
ようやくここまで来た。
都市ひとつ超えた北の方角には、「燕」という勢力がある。
異常な状態であることは間違いなかった。
涼全土の内政を取り仕切る長史。
出撃を控えた第三軍団長・馬参。
そして洛陽太守・郭図公則。
漢の都から涼の都へと生まれ変わろうとしているこの大都市には、階級は別として、権能的にはまったく同格の3人の男がいるのだ。
あるいはこれが、乱れの原因となるのでは?
そういぶかしむ者も多かった。
確かにその後、「乱れ」は起こった。
ただし、多くの人々の予想とは異なり、「乱れ」は洛陽と宛をまたいで発生することになる。


※次回「洛陽事件(その2)」
40観客:02/10/26 21:59
>>35
呂砲様、脳内変換よりは実は既に出発させていて
副官殿には嘘をついたと言う事にしてはどうでしょう?
これからも期待してます。
41町費 ◆khvWPc71kM :02/10/27 13:04
これで捕虜の斬首は二十人をこえたか。
この悪名では胡姫様との縁談など到底叶わぬな。
涼が漢を凌辱するのを防ぐことは私には無理なのだろうか。

>>町費隊士長殿
客人は私が出向かえますのであなたは洛陽へ行き、
黄忠殿が漢と涼どちらに忠誠を誓ってるか調べてきて下さい。
先の戦いでは充分に恩賞が払えずスイマセン。

>>熱血廷臣殿
恥ずかしながら私情により家財が1/3になってしまいまして
ろくなおもてなしもできずに申し訳ありません。
陛下にはこの身命でよければ喜んで捧げますとお伝え下さい。
42成都のおねぇさん:02/10/27 15:37
>26>33
わーすーれー(; °Д°)ーてーた〜〜〜!!
私、長安娘にたぶらかされた涼王を開放するためにここに着たんじゃない!
ふっふっふ。髪飾りも買ったし綺麗な服も手に入れたし武鵜(ブー)を使って縛りも覚えたわぁ!
今度こそ涼王に私の魅力を……え?涼王は洛陽に居ないの?
(・ω・` ) ショボーン…
>涼が漢を凌辱するのを防ぐことは私には無理なのだろうか。

最近の殿下に関するうわさのせいで、
漢を「おとこ」と読んでしまいがちな罠。
44希代之 ◆z0CIwyxq2Y :02/10/27 17:09
新スレおめでとうございます。>>1乙カレ

池田屋に急行することに決めました。このままだと副官がヤバイ・・・。
45にわか水兵隊:02/10/27 19:43
呂砲様。お久しぶりです。まず新スレおめでとうございます。
にわか水兵隊は土木技術を学びに旅に出ておりました。色々な苦難を乗り越え帰って参りました
山越え・谷下り・蛮族と戦い・一時は死にかけましたが呂砲様ため戻ってまいりました。赤壁の
戦いより一段と強くなって参りました。是非、孫呉を討ち果たす時にはお声をおかけください。
9 :損権厨房 ◆mVeUbtZCI. :02/10/27 17:10
>>4
現実的な話とはそんなもん


10 :希代之 ◆z0CIwyxq2Y :02/10/27 17:11
>>9
失せろチンカス


ハゲワラ
47無名武将@お腹せっぷく:02/10/27 20:55
>>46
元スレキボン
49郭図公則 ◆sW2getuhmE :02/10/27 21:02
>>46-48
チョト風紀警察署まで来てくれ。
>>48
スマソそしてありがとう
51吾玄 ◆pa7KljsyW2 :02/10/27 22:41
ま、2chだし。
とりあえず新スレ乙です。

>水兵隊
貴方達には袁奉殿の軍に入っていただきましょう。
最前線に立つことになると思いますが頑張ってください。
52希代之護衛兵:02/10/27 23:51
希代之様がチ○カスなどと・・・(爆笑

希代之様>
自分の失策で副官殿が危険な目に・・・。
・・・ここは某が自刃するのが、一番の得策かと・・・。
それで郭図殿が、お許しになられるならばこの命惜しみませぬ・・・。
53熱血廷臣:02/10/28 00:11
>>41
おもてなしなどとんでもない!
将軍は漢都解放の英雄。私は匹夫にすぎません。
どうかお気使いなさらぬよう。
実は本日お伺いしたのは、どうしてもこれを将軍にお渡ししたかったからです。
これの剣は我が家に代々伝わる物でしてな。
我が家の先祖が、かつて漢への忠魂の証として皇帝陛下から賜った物です。
この剣は持ち主を選ぶのですが、
残念ながら私には少々荷が重すぎる物でしてな。
漢都解放の戦いの折には自ら剣を取り、
敵将と渡り合った将軍にこそ相応しい物です。
どうかお受け取り下さい。
そして、益々漢の為にその正義の剣をお使い頂けないでしょうか?
54旅の占い師:02/10/28 00:30
>呂砲様
怪しい老道士として採用ありがとうございます。(怪しさ爆発歓迎)
老人なので柴桑到着はいつになるやら。
なにやら吾玄様に怪しい忠告をしに行く模様ですが出陣に間に合うかな?。
55廖衛:02/10/28 12:17
>廖影殿新スレ立てお疲れ様。また宜しく頼むぞ。

>殿下
第一軍の進行できる場所はどのような物が在りますので?
恐れながら私は不在が長いので、状況がよく読めないのです・・・。

しかし、出仕する中途に明らかに不審者と思しき人物がおったようですが・・・。
何やら私の事を見張っていたようでして・・・。
敵の細作か?それとも洛陽太守殿の?
・・・まさかな・・・。太守殿に私を見張る理由など無いはずだし・・・。
廖影殿も気を付けてくれねば・・・。
56袁奉 ◆JLz0areZMU :02/10/28 17:18
殿下、新スレおめでとうございます。
廖影殿もスレ立てお疲れです。
侵攻経路は吾玄殿の意見に同意しますぞ。
1年半で孫呉を倒すのはなかなか難しいですが、殿下の為にも死力を尽くしてみせましょう。
>にわか水兵隊殿
そちらが良ければ、ぜひともお願い致す。
貴殿達の力があれば、孫賊を倒すのに大きな力となるだろう。
(´-`).。oO それに、今の吾玄殿の部隊に入るのは・・・・。
57雑兵1号:02/10/28 17:20
これは、町費将軍様。
私は、殿下・・・いや殿、いや逆だ、の言い付けで宮廷の巡回中です。
ところで、部屋の片隅で鬱になっているのは・・・?
士長殿? 昨夜飲み屋で? ヤ○ザにからまれた?
むう、宛の治安もまだまだですな。
しかし、涼軍の兵士にケンカを売るとは、とんでもない奴ですな。まったく。

よし、わかりました。私がなぐさめてきましょう。
士長殿、これからパーっと飲みに行こう。
洛陽に行く? 明日でもいいだろう。 さあ行こう。
>>55
廖衛殿。このスレの主役級である七同志の一人なら、過去ログぐらい読みましょうよ。
いくら呂砲殿が優しいとはいえ、甘えすぎでは?
59郭図公則 ◆sW2getuhmE :02/10/28 21:59
>我が君
緊急報告、熱病にかかり数日間の休暇を申請…
60馬参 ◆.L/ffpm.yw :02/10/28 22:01
おや、もう新スレでござったか、早いものですな。
それに大層賑わっておる様子で何より。
廖影殿、お疲れでござる。

さて、第三軍団の戦略でござるが、殿下には何やら企みがおありのご様子。
その意図がなんであれ、殿下にとって燕の存在が必要とあらば、それがしが庇う形に攻め入ろうかと。
そのためにまず上党、鄴、渤海を切り取ってご覧に入れよう。
我々が包んでしまえば、曹魏も手は出せぬでしょうぞ。

また、その企みが既に潰えていようとも、この領土を取るに何の損にもなりますまい。
61馬参 ◆.L/ffpm.yw :02/10/28 22:11
ほう、さすがの郭図公則でも病に侵される事があったか。
お主は洛陽太守という大任を担っておるゆえ、早く療養致す事だ。
62廖影 ◆CN2I0jO6s2 :02/10/28 22:35
殿下、それがしも熱病にかかり申した…。

廖衛さま、それは恐らく漢もしくは魏の細作かと。
それがしも時折見張られてる気配はしますが、奴らめなかなか尻尾を表しませぬ。
それから、副軍師さまの手の者ではないでしょう。
副軍師さまが我らを見張る理由などありませぬ。

ところで、副軍師さまの細作頭どのは素晴らしい腕を持っているようですぞ。
時々、それがしの所へ洛陽の情報を持ってきてくれるのですが
いつもどこからともなく現れ、そして疾風の如く去っていきます。
あれだけの腕があればこそ諜報活動もうまくいくのでしょうな。
そうだ、廖衛さま。それがし、細作頭どのに我らを見張っている者の正体を聞いてみます。
63廖衛:02/10/29 12:18
>58
いや、申し訳御座らぬ。とりあえず確認してみた。

>殿下
とりあえず、過去ログを見て考えてみました。間違っていたら訂正をお願いいたします。
宛からまずは汝南に新野軍と共に大軍を持って攻め込みましょう。勿論、宛には軍勢と将をそれぞれ
二十数万と二十名ほど終結させねばなりませぬ。でなければまた攻め込まれますからな。
そして、宛軍・汝南軍・洛陽軍の三軍で攻め込むのが良いかと愚考いたします。
その後は暫く防備を固めたほうがよう御座いましょう。
至らぬ部下では御座いますがこれからもどうか宜しくお願いいたします。

>廖影殿
・・・そうか・・・。しかし、細作頭なる者に聞くのは止めておいたほうが良かろう。
無用な騒ぎを起こして、殿下の威名に傷をつけたくないからな。

<以下心の声(涼王殿下のネタ用、よって他の人には聞こえません)>
(むむむ・・・。副軍師殿や他の同志幾名かが水面下での工作をしていると言う噂は聞いていたが、
 まさか私の副将の廖影殿にまで手を回しているのではないだろうな。
 まだ涼は天下の半分しか手中に治めておらぬというのに、仲間割れなどしている場合ではないぞ。
 そんなことが知れたら、燕・魏・呉の連中はそろって攻めてくるであろう。
 ・・・・・・・・・。・・・馬参殿に相談してみるか・・・。私の考え過ぎであってくれれば良いのだが・・・。)
64袁奉 ◆JLz0areZMU :02/10/29 14:59
廖衛殿、あまり大事にならぬうちに、他人の忠告は聞いておいたほうが良いですぞ。
メール欄に半角でsage、ですぞ。
65町費隊士長:02/10/29 19:06
>町費様
ハッ!洛陽の黄将軍でございますね!
お任せください! 町費様からいただいたこの貴重な旅費を大事に使い、必ず
黄将軍の真意を探り出して参ります!朗報をお楽しみください!

>雑兵1号殿
ギョ!こ、これは親衛隊長!
いえ、それがしはこれから主命を帯びて洛陽に…っておい!人の話聞けよ!
だからこれはなけなしの旅費なの!お願いだから放して!(泣)
10月27日 天皇賞・秋
アグネスフライト、18頭立て15着。夢と興奮をありがとう!

>>31町費隊士長殿
す、すまん。ハンドル勘違いしてた。

>>40
そうなったら、あの熱い護衛隊長が思いっきり自害しちゃいそうなので……

>>41町費殿
捕虜20人処刑というのは、テストプレーよ。念のため。

>>42成都のおねぇさん
ゲゲ! そんな恐ろしい野望を抱いていたのか!(って今更)

>>43
実はわしも一瞬そう読んでしまいました。

>>44希代之殿
せっかくネタ振りしてくれたのにすまないのだが、希代之殿には宛にて、わしの話し相手になってもらわねばならん。
         い っ じ め ち ゃ う ぞ お ぉ

>>45にわか水兵隊殿
御無沙汰!
孫呉との戦いでの活躍に期待している。
あと、できればメール欄に半角で「sage」を入れていただければ……。
>>54旅の占い師殿
エ? >>30で「紫桑方面へ立ち去る」と言っておられたから、てっきり。
何か吾玄殿に占いをしてあげてくださいませ。

>>55廖衛殿
今度は前スレと違って、誘導レスが付けられたから良かった。
なにやらおぬしの副官、揺れているようだ。
こういう時こそ、気をしっかり持つのだ。
郭図公則は手強いぞ〜。

>>56袁奉殿
1年半での呉制圧はノルマよノルマ。
でも大丈夫。おぬしと吾玄殿のレベル極の「撹乱」があれば、森林での戦闘なんざチョチョイノチョイだ!

>>57雑兵1号殿
わしを泣かせるだけでは飽きたらず、さらに別の者を泣かせるか。


あ、「泣かせる」というのは文字どおりの意味であり、深い意味はありませんぞ>All

>>58
ま、マタ〜リと行きましょう。

>>59郭図公則殿
十分に休んで鋭気を養ってくれ。
なに、第三軍が業βを落とすまでは、おぬしも「動く」ことはないだろうから……。

>>60馬参殿
企みあるの、わかっちゃった? ムフ。
その侵略経路なら、ネタ的に完璧。
さすがは馬参、と言わせてもらおう。
>>62廖影殿
流行病が吹き荒れているようだ。
見習忍者殿から洛陽一のヤカンで薬湯を作ってもらうとよい。

>>63廖衛殿
ネタ振り多謝。早速使ってみますた。
あと、この手のスレは「なりきり系」とみなされる可能性を多分に秘めている。
なりきりを心底嫌う人もいるので、なるべくsage進行で行ってくれ。
最近、お気に入りの某板のなりきりスレが、すげー荒らしにあってな。
完全に寂れてしまってヘコんでいるのだ。

【軍団侵攻路】
※第一軍
町費:許昌→汝南
希代:許昌→汝南→礁
廖衛:汝南
許昌→汝南と同一部分のある町費殿と希代之殿の上程意見のうち、3都市上げている希代之殿の案を採用する。

※第二軍
吾玄:翻陽→抹陵→廬江
袁奉:同意

※第三軍
馬参:上党→業β→渤海
69危機 ◆I9WFnCXgeU :02/10/29 22:35
宛・軍師府。
「郭図公則暗殺計画」を知らされた希代之は、頭を抱えた。
軍令を破った町費らに対する郭図公則の意見は、確かに許し難いものだったが、暗殺という手段など言語道断。
そもそも郭図公則の諜報網を考えるなら、成功するわけもない。
「すぐ洛陽へ計画中止の伝令を送れ。暗殺など直ちに実行できるものではない。今なら間に合う」
その言葉に、希代之から一喝されてしょげていた護衛隊長が顔を上げた。
「それがしが行って参ります! 速馬で死ぬ気で駆けて参ります!」
だが、副官がそれを制する。
「いや、その務めは私に任せてもらおう」
「君が? 連中はそれがしの命令で動いたのだぞ。それがしが行くのが筋だろう」
「筋とかそういう問題ではないのだ」
副官は説明した。
「まず君は、殿の護衛隊長だ。軽々しく殿のお側を離れてもらっては困る。そして何より」
話しながら、副官の表情は真剣みを増していく。
「副軍師の諜報網を考えるなら、この情報が既に漏れている可能性も十分にある。そうなれば、副軍師はこのことを殿下に伝えよう。それによって、殿下が殿の捕縛に臨むことも考えられる」
「殿下が? 馬鹿な! すべての責はそれがしにある! 殿に迷惑をおかけするようならば、それがしが殿下の前でこの首を刎ね、殿の無実を証明してみせるわ!」
「その時のためにも、君にはここに残ってもらわねばならん」
護衛隊長の決死の言葉に、副官はあっさりと肯いた。
そして、それ以外の方向性も示す。
「だが、問題は殿下がどうお受け取りになるかだ。君が自刎してもどうしようもない、と思われる時は、君は一時身を潜め、殿をお救いする算段を練って、実行するのだ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! それはつまり……」
「殿」
副官は護衛隊長の質問に答える代わりに、希代之の方を向いた。
「最悪の場合……他勢力への亡命も視野に入れてお臨みください。生きていれば、なんとでも挽回は効きますが、死んでしまってはおしまいです」
副官の言葉に、希代之は頷くことも、首を振ることもしなかった。
70危機 ◆I9WFnCXgeU :02/10/29 22:36
呂砲の軍師となって9年余り。その間、何度も危機を潜り抜けてきた。
呂砲軍最初の戦いでは、わずか500の弩兵隊で参戦する羽目になったし、初めて孫呉軍と対決した赤壁の戦いでは、副軍師の郭図公則ともども、呉軍の捕虜となったりもした。
だが、そのいずれも自分自身の危機というよりは、呂砲軍の危機といった方が正しい。
しかし、希代之が今直面している危機は、まぎれもなく自分自身に降りかかった危機だった。

事態を収容する上で「最良」の終わらせ方は、郭図公則が預かり知る前に計画を中止し、細作たちを洛陽から引き上げさせること。
では、「最悪」の事態は?
郭図公則が暗殺計画を探知して細作を捕らえ、拷問を受けた細作が誰の手による者かを白状し、その動かぬ証拠を持って、郭図公則が涼王に事実を報告すること。
もちろん、希代之とて軍師。謀略を実行するに、ためらいはない。
だが、謀略の対象が仮にも同じ勢力に属する者とあっては、希代之の声望は地に落ちる。
―自分の地位を守るため、味方を謀略で消し去ろうとした男
世間はそう見る。歴史も自分をそう評するだろう。
そうなれば、終わりだ。
董卓でもあるまいし、そんな批判に晒されながら生きていくことは、希代之にはできない。

「とにかく、最悪の事態を想定して行動するのだ」
希代之の言葉に、副官は「もとより」と深く肯く。
「ただ、仮に副軍師に計画が露見した場合は如何いたしましょう?」
もっともな質問が投げかけられる。
それに対する希代之の言葉は、副官にも護衛隊長にも意外なものだった。
「その時は、郭図公則を脅迫せよ」
71池田屋 ◆I9WFnCXgeU :02/10/29 22:36
洛陽・池田屋。
7人の男たちが、声を潜めて謀議を練っている。
いずれも希代之配下の腕利きの細作たちで、つい先ほど、洛陽入りしたばかりだった。
彼らは、暗殺計画中止を伝える副官が、懸命に馬を走らせてこちらに向かっていることを知らない。
そして、池田屋周辺を40人以上の男たちが取り囲んでいることも知らない。

「まずは副軍師の一日の行動予定を把握すること。次いで、副軍師の護衛状況を把握すること」
「それらが判明すれば、自ずと『殺』の具体的手段も見えてくるな」
「把握の過程で、副軍師を殺す好機があったらどうする?」
「駄目だ。絶対に控えろ。仮に失敗したら、二度と副軍師に近づくことはできなくなる」
「『殺』の期日が指定されているわけではない。完璧な計画を練った上で、それに則って行動するのが一番確実だ」
「状況把握の具体的な方法は?」
「二人一組で行動する。3組のうち、2組は毎日変装し、組み合わせも変える。残り1組は固定した変装と組み合わせで、なるべく目立つように行動する。つまり囮だな。ただし、囮は情報収集は行わない」
「誰が囮になる?」
「そうだな。やはり………」
ここで会話が止まった。
ピンと緊張した空気が張り詰める。
「囲まれている!」
あくまでも声を潜め、一人が警告を発した。
20人余りの男たちが部屋になだれ込んできたのは、その瞬間だった。
72池田屋 ◆I9WFnCXgeU :02/10/29 22:37
希代之の副官が池田屋に到着したのは、惨事の翌日の夕方。
「私どもも客商売でございますから、変な風聞がたっては困ります。全く迷惑な話ですよ」
副官は努めて平静を装いながら、池田屋主人の話を聞いていた。
「お役人様、このことはなにとぞ御内密にお願いしたいのですが」
「承知している。で、遺体の数は?」
「首無しが6体です」
「6体? 宿泊客は7人と聞いていたが?」
「はい。確かに帳簿では7人宿泊となっているのですが、遺体は6体だけです」
「………」
副官は目眩を感じた。
事態は最悪の方向に進みつつある。
あろうことか、暗殺団のひとりが、郭図公則の手の中にあるのだ。
暗殺計画実行のために選ばれた細作たちは、希代之配下の中でも一級品の者ばかり。
(どのような拷問を受けようとも、殿のお名前を出すことはあるまいが……)
そう信じたかったが、捕らわれた細作が口を割ることも考慮して行動せねばなるまい。
思案にふける副官に、主人が不安そうに語り掛ける。
「あの……お役人様?」
「ん? なんだ?」
「間もなく葬儀屋が遺体の回収に来るのでございますが、やはり私が費用を持たねばならないでしょうか?」
副官は一瞬、心底この主人がうらやましく思った。
自分が抱いている悩みに比べ、この主人の悩みの如何に小さなことか!
金や物で解決できることは、その額の大小は別として、実はたいした問題ではないのだ。
副官は、護衛の兵に朱色の箱を持ってこさせた。
中には、黄金の牛と翡翠の首飾りが入っている。換金すれば、相当立派な葬儀が100人分はできる。
目を白黒させている主人を見て、副官は自嘲の笑いを浮かべた。
これから自分が戦わなければならない相手は、金や物を貢げば何とかなるという輩ではない。
73末路 ◆I9WFnCXgeU :02/10/29 22:37
宛、希代之邸。
朝、希代之は召使いの悲鳴で目が覚めた。
ハッとした希代之は、剣を持つと素早く悲鳴の元へと走った。
悲鳴の元は、庭だった。
女の召使いが、口から泡を吹き出して倒れている。
そして、護衛隊長が片膝をついて、肩を震わせている。
「どうした?」
振り向いた護衛隊長の顔は、怒りと悲しみでないまぜになっていた。
そのそばには、6つの首がきれいに並べられている。
希代之配下の細作たちの首だった。
希代之は唇を噛んだ。
あとは、副官の器量に自分の運命を委ねるしかない。


洛陽、太守府の地下室。
舌を噛みきらないよう猿轡をされた男が、床に横たわっている。
「さすがは軍師殿配下の細作、と言っておこう」
語り掛けるのは、郭図公則の細作頭。
「これほどの拷問に耐えられる者が我が配下にいるかどうか、甚だ疑問だ。同業者として敬意を表する」
細作頭は、男の右手に筆を握らせた。
「おまえは十分に主君への忠義を尽くした。そのことを私はよく知っている。もう楽になれ。誰もおまえを責めはせぬ」
紙を脇に置く。
「さあ、そこに名前を書くのだ。郭図公則様を暗殺するよう命令した、おまえの主君の名を」
しばらく沈黙があった。
やがて、男の右手がゆっくりと動き、震えながら紙に筆を走らせる。
―我不知
細作頭は、ため息をついた。
「敬意を表する」という言葉は、本心から出たもの。殺すには惜しい男、と思った。
しかし、もう限界だろう。
細作頭は懐剣を取り出すと、男の心臓に深々と突き刺した。
洛陽。
「希代之様が使節団をこちらに派遣していたらしい」
「何のために?」
「郭図公則様の洛陽太守就任を祝うためだそうな」
「ほう? 希代之様と郭図公則様といえば、犬猿の仲と聞いていたが。実は仲が良かったんだな」
「さて、それは知らぬのだがな。実はこの使節団、何やらゴタゴタがあったらしくてな」
「ゴタゴタとは?」
「宿泊所で殺し合いになった」
「そりゃまた物騒な! いったいなんで……」
「なんでも賭博がきっかけとか」
「やれやれ。軍師様の配下も、しょせんゴロツキと同じか。で、どうなったのだ?」
「6人が死んで、1人が逃げたらしい」
「まあすぐに捕まるだろうな」
「だな。とにかく遅れてやってきた希代之様の副官は、あまりのことに昏倒して、床についてしまったそうだ」
「何とも頼りない。使節団が使節団なら、副官も副官といったところか」
「だな。副官殿は『洛陽一のヤカンで薬湯を飲みたい』とうわ言を繰り返しているというしな」
「何のことだ?」
「さあ?」
75薬湯 ◆I9WFnCXgeU :02/10/29 22:39
洛陽、太守府。
「……といった噂を流しているようです」
細作頭が、洛陽の民の間で広まっている噂を報告すると、珍しく郭図公則は楽しそうに笑った。
「なかなか対応が素早い。それに自ら名声に傷を付けてるところも潔い」
「これ程度の傷で済む、と?」
「済ませたいのであろう。やつらはな」
「しかし、閣下が軍師殿に付き合う理由はございませぬ」
その言葉に、郭図公則は鼻を鳴らした。
「捕らえた細作はまだ吐かぬか?」
「はい。あっぱれな細作にございます。これ以上の拷問は無意味と考え、先ほど殺しましてございます」
「何? 殺した?」
郭図公則の表情が一変した。
それを見た細作頭は、自分が主君の意にそぐわぬことをしてしまったことに気付いた。
「も、もうしわけございませぬ! もはや口を割ることはありえぬと考え、独断に及びましてございます!」
がばっと額を床に打ちつける細作頭。しかし、郭図公則の声は返ってこない。
恐る恐る顔を上げると、いつもの無表情な郭図公則がそこにいた。
「痴れ者が」
突き放すような口調ではあったが、つい先ほど見せた憤怒の表情は、まったく窺い知れない。
「たとえ細作が吐かなくとも、今洛陽にいる副官にその姿を見せてやればよかったのだ。さすれば、副官の方から口を割ったかもしれぬものを」
「ははっ……無思慮にございました!」
「もうよい」
いつもの郭図公則に戻っている。いったいどのように感情を制御しているのだろう。細作頭は本気で思った。
「希代之の副官……おぬしに薬湯を作ってほしいとうわ言を述べているそうではないか」
「ははっ」
「作ってやれ」
「ははっ………地下室にて、細作の死体をつまみに飲ませてやろうと存じます!」
失点を回復しようと、急いで頭の中を巡らす細作頭。
それに対し、郭図公則は、「そうしてやれ」とだけ答えた。
76不安 ◆I9WFnCXgeU :02/10/29 22:39
宛、廖影邸。
「あまり人のことを言えた義理ではないが」
苦笑いとともに言うのは、謹慎の解けた廖衛。
「おぬしがかように無謀な男とは思わなかった」
「まったく面目ございませぬ」
神妙に頭を下げるのは、廖衛の副将・廖影。現在謹慎中。
「洛陽解放は武人としての本懐。第一軍は増援に出ぬとの決定を耳にして、いても立ってもいられず、つい暴挙に及んでしまいました」
「わしだって洛陽戦には参加したかったのだぞ」
廖衛は口を尖らしながも、笑みを浮かべている。
「まあこういうことを言うと、おぬしが図に乗るだろうから言いたくないのだが」
「は?」
「おぬしの函谷関での奮戦は、わしとしても鼻が高い」
「もったいのうございます……」
「それに軍師殿や袁奉殿、馬参殿のとりなしで、町費殿もおぬしも軽い罰で済んだしな。結果的に良かった」
「しかし、それがしの独断で、殿にも迷惑をかけてしまいました」
「気にするな。おぬしにはこれまで、何度も助けられてきた。まだ相子にもならぬわ」
そう言って、廖衛は笑ったが、急にその表情を歪めた。
「まあ、不愉快なことがなかったわけではないがな」
「と言いますと?」
「副軍師…いや、洛陽太守よ」
「は……」
「おぬしにしろ、町費殿にしろ、根底にあったのは殿下への忠義。それを郭図公則め、ひとくくりに軍令違反として、厳罰を要求したというではないか。元からいけ好かないやつと思っていたがな、いっそう嫌いになったわ」
「……」
「それにな、最近誰かに監視されているのだ。いや、もちろん首根っこを捕まえたわけではないのだが、どうも洛陽太守の手による者のような気がしてならぬ」
「と、殿」
「ん?」
「その儀に関してはしばらく……」
77不安 ◆I9WFnCXgeU :02/10/29 22:40
廖影邸からの帰途、廖衛は自分の片腕と見込んでいた、いや、今でも見込んでいる男の言葉を思い出していた。

「副軍師様が我らを見張る理由などございませぬ」
「副軍師様配下の細作頭殿など、それがしの元へ時々洛陽の情報を持ってきてくれるのです」
「副軍師様は、確かに敵の多いお方です」
「されど、厳しさの中に情を持っておられること、それがしは知っており申す」

廖衛は自他ともに認める武人だ。
戦場で己の真価を発揮し、戦場こそ己の居場所と心得ている。
これまで、謀略は希代之と郭図公則の両軍師に任せ、自分は戦場で働くのみ、と割り切っていた。
謀略の類を軽視していた、という言い方もできる。
如何なる謀略があろうとも、最後にものをいうのは己の武。そう信じていた。
しかし、その信念がどす黒い不安とともに揺らぎつつある。
自分のかけがえのない副官が、こともあろうに「あの」郭図公則を弁護したという衝撃は、やはり大きかった。
「もちろん、廖衛さまが軍団長になられるのであれば、それがし犬馬の労を惜しみませぬ」
廖影のその言葉は、廖衛の耳には入っていなかった。

(郭図公則……まさかわしの副将にまで手を回しておるのか?)
(しかし、なぜこの時期に……まだ涼は天下の半分しか手中におさめていないのだぞ。味方に牙をむけるなど、正気の沙汰ではない)
(特に郭図公則は、軍師殿、町費殿、そして馬参殿ととかく衝突している。これが外に知れたら、燕・魏・呉の連中はそろって攻めてくるぞ)

呂砲のもとに参陣して9年余り。
廖衛は初めて抱く「不安」に怯えている自分に気付いた。
(馬参殿に相談してみるか……まあ、わしの考え過ぎであってくれれば良いのだが)
廖衛は、一刻も早く馬参に会いたかった。
78宝剣 ◆I9WFnCXgeU :02/10/29 22:41
宛、町費邸。
廖衛が抱いた不安―七同志間の分裂―を加速させる動きが、ここでも始まっている。

「陛下の廷臣様をお迎えするには、あまりにみすぼらしいあばら屋にて……たいしたおもてなしもできませぬが」
町費は心底恐縮している。
上座に座った廷臣は、「おもてなしなどとんでもない」と言いつつ、七同志の一人とは思えない質素なたたずまい―せいいっぱい控えめな形容で―の町費邸に度肝を抜かれていた。
中華の半分を制した涼。その中核を成す七同志。
当然富貴に満ちた生活を送っているものと思っていた。
町費に気付かれないように家の中に目をやってみたが……何もない。笑ってしまうぐらい何もない。
廷臣の態度に気付いた町費が、頭を掻いて言った。
「家財も多くを売りに出してしまいまして……本当にお恥ずかしい」

先の洛陽解放戦において、呂砲の命令を無視して函谷関へと出兵した町費。
その活躍もあり、難攻不落の函谷関は陥落した。
しかし、帰還した町費と兵士らを待っていたのは、恩賞ではなかった。
函谷関での戦功は一切認めない。加えて町費は謹慎二カ月。
以上。それがすべてだった。

命をかけて戦ってくれた兵のため。そして戦死・戦傷した兵の家族のため、町費は自分の財産を切り崩した。
その結果としての、この町費邸。
「いやいやいやいやいや!」
廷臣は感動を押さえられなかった。
「おもてなしなどとんでもない! 将軍は漢都解放の英雄、私は匹夫にすぎません! どうかお気使いなさらぬよう!」
79宝剣 ◆I9WFnCXgeU :02/10/29 22:41
「本日お伺いしたのは、私の頼みを将軍に聞いていただきたいからなのですが…」
廷臣はそう言って、白い絹に包まれた長い棒状のものを取り出した。
「……何でしょう?」
町費の問いかけに廷臣はニッと笑い、絹を取り払った。
その下から現れたのは、美しく装飾された二本の剣。
町費は思わず「ほぉ…」と感嘆の声を上げた。
「雌雄一対の剣、と申します」
宝物を友達に見せる子供のように、廷臣は得意げな顔をした。

「私の先祖が漢朝への忠魂の証を称えられ、皇帝陛下御自身の御手から賜った宝剣です。我が家の家宝として代々受け継がれてきましたが…」
廷臣の説明は、半分以上は町費の耳に入っていなかった。
町費は、息もせずに宝剣に見惚れている。
その様子を見て、廷臣が声をかける。
「将軍、お持ちになってください」
「よ、よろしいのですか?」
「ええ。どうぞ」
「はっ……では、失礼いたして……」
手の平を服で拭いた町費は、恐る恐る剣の把を握った。
それは、しっとりと町費の手になじんだ。
「雄の剣もどうぞ」
廷臣に言われるまま、町費は雌雄一対の剣を両手に持った。
漢皇帝から授与されたという宝剣。自分は今、それを握っている。
「何という……美しい……そして……神々しい……」
町費は、体が震えそうになった。
80宝剣 ◆I9WFnCXgeU :02/10/29 22:42
「自慢の宝剣です。しかし、これは儀式用の剣ではありません。戦さにて、敵将を討ち果たすために鍛えられた剣なのです」
廷臣はそっとささやいた。
「そして、この剣は持ち主を選ぶのです。残念ながら私には少々荷が重すぎる物でしてな」
呆けたように雌雄一対の剣を見つめている町費は、何も答えない。
だが、次に廷臣の口から出た言葉に、思わず腰を浮かした。
「これを将軍にお贈りしたい。私が来訪した目的は、それでございます」

目を剥き出して首を横に振る町費。
「とんでもない!」
ほとんど町費は叫んでいた。
「さような由緒ある剣をそれがしになどと! 余りに恐れ多い! いや、受け取れませぬぞ! お持ち帰りくださいませ!」
対する廷臣は、子供に言い聞かせるような優しい声で言った。
「漢都解放の戦いで自ら剣を取り、敵将と渡り合った将軍にこそ相応しい宝剣です。私のような匹夫が持っていても、あたら先祖を、そして崩御された皇帝陛下を嘆かせるだけ」
それでも町費は拒否した。
本気で恐ろしい、と思った。
涼七同志のひとりとはいえ、元は名も無い庶民の出。
皇帝陛下の触れた剣を握っていることですら恐れ多いのに、それを帯剣するなんて!
しかし、廷臣の次の言葉で、町費の体の震えは止まった。
「この剣を正義のため、そして漢朝のために使っていただきたいのです!」
「漢…朝のため……?」
「さよう」
廷臣は大きく肯いた。そしてとどめの一言を口にした。
「陛下もそれを望んでおられるのです」

「町費の武力が70(+3)になりました」


※次回、「洛陽事件(その3)」
81曹豹 ◆tr.t4dJfuU :02/10/30 00:02
>呂砲様
>エ? >>30で「紫桑方面へ立ち去る」と言っておられたから、てっきり。

「てっきり呉に加担」とでも?。
呉は有名な道士を切り殺してますからね、道士業界(んなもん有るのか?)としては加担出来ないでしょう?。
加担するとすれば許昌のお方ですがそれは今回ネタになってますから・・・・。

>何か吾玄殿に占いをしてあげてくださいませ。

怪しい道士ですから暗い占いになるでしょう(笑。
82旅の占い師:02/10/30 00:05
↑のハンドル名は間違い。
ここでは「旅の占い師」です。
スマソ。
83希代之副官:02/10/31 20:27
それがしも生きた心地がしませんが、
やっぱりわが殿はいじめられるのか…(しかも殿下楽しそうだし)
84見習忍者:02/11/01 01:10
私も少々流感に・・・。
どうやら病が蔓延する兆しの様ですね。
皆さん健康にはご留意を。

閣下の不況を買ったとは言え、見事な細作頭であった。
我配下にも見習わせたいものだ。
褒美に首は返してやるとしよう。

さて副官殿はご病気との事、病人を呼び立てる訳にもいきませんな。
せっかくだ、薬売りにでもなりお伺いしよう。
何?供?別に必要無い。
それよりもお前達はこの件の真相を他国に知られぬ様いたせ。
あとは先方の望みどうり、使節団の不始末とし触れ回ってやれ。
ただし大仰に全国にだ。
恐らくこの件は閣下ではなく、殿下が始末をつけてくださる事になるであろう。

>>82
ご免なさいよ。こちらの副官殿がご病気になられたとお聞きしました。
大切な涼の高官様に大事があっては一大事。
良き薬をお持ちしたのでお取次ぎ願えませんでしょうか?
85見習忍者:02/11/01 01:11
失礼上記は
>>82ではなく
>>83の間違いです。
86文官達の噂:02/11/01 06:49
何でも軍師様の副軍師様への太守就任祝いの
一行が不始末をしでかしたそうですよ。

えぇ、何でも賭博が原因とか。

ただ奇妙な事があるんですよ。例の生首事件あったでしょう?
アレと人数が同じなんですよ。

それは真ですか?

しかも軍師様の手の者が不始末の件を方々で
ふれ回っているみたいなんですよ。

そう言えば生首事件に関しても軍師様は何もおっしゃいませんでしたな。

そうなんですよ。まるで何かを必死に隠しているみたいなんですよ。

何だか臭いますな。
雌雄一対の剣・・・あ、劉備から奪い取った剣ですね。
ホント殿下って、ほかの人から振られたネタをうまく話に混ぜますね。
これからも期待sage.
88廖衛:02/11/01 16:07
ぐは、何度もsage忘れの上にこの醜態、申し開きも御座いませぬ。
3日ほど謹慎します・・・。

<心の声 其の二(ネタに使えない場合は無視してくだされ)>
(廖影殿は有能で好人物だが、それゆえ洛陽太守に付けこまれたのか?
 それとも、当初から派閥争いに関して眉を潜めていた私に対する牽制か?
 うむむ・・・。洛陽太守は何が狙いなのだ・・・?
 今の状態では頼れるのは馬参殿のみか・・・。くっ、私の力がいたらぬばかりに・・・!
 殿下はこの状態をどうされるおつもりか・・・。
 それにしても洛陽太守め、我らが同志とは言え、人もなげなる振る舞いをするとは、
 何を考えておるのか。まさか造反を・・・?
 考えてみれば思い当たる節がある・・・。洛陽解放戦時の廖影殿や町費殿に対する厳罰、
 あれは自分の敵を減らすためにやった事とも考えられる・・・。
 ・・・いや・・・、考え過ぎか・・・。洛陽太守もまさかそこまで考えてはおらぬだろう。
 私から見れば偏見の目が入っているだろうからな・・・。)
89長安ムスメ:02/11/01 17:07
宛に来たのは初めてだから帰り道が分らなくて道に迷っちゃった。
あ、あそこの象に乗った女の人に聞いてみよう。
すいませーん長安へはどう行ったらいーんですか?
90成都のおねぇさん:02/11/01 17:50
>89
いいけど…ここ洛陽よ。
かなり最初の方から道間違えてない……?(^^;)
91にわか水兵隊:02/11/01 18:56
>吾玄様
お声尾かけていただきありがとうございます。袁奉様の旗下で修行の成果を発揮いた
します。

>袁奉様
不束者ですがよろしくお願い申し上げます。
(´-`).。oO しかし、部隊の様子が異様な気がする。昔はこんなようないようことは
なかったのだが、気のせいだろうか?新参者だしおとなしくしておこう。甘寧様もい
ないことだし!
92柴桑兵倉:02/11/01 21:58
>>91
A「お、お前さん新入りだなよろしくな。」
B「ほら!適当に声出さないと悲恋の吾玄にどやされるぞ。」
C「呉賊は皆殺しだぁぁぁぁぁ!!!」
A「まぁ袁奉将軍なら少しは違うと思うけどな。」
B「何しろ今軍団全体が吾玄将軍の恋人の敵討ち!とこの調子なんでな。」
C「卑劣なる呉賊は一人も生かすなぁぁぁぁぁ!!!」

※兵の士気は益々上がっているようです。
93郭図公則 ◆sW2getuhmE :02/11/02 11:56
復活
94吾玄 ◆pa7KljsyW2 :02/11/02 17:10
>>92
( ゚∀゚;).。oO (殿下は「このことは公にしない」って言ってたのに……)
>>B「ほら!適当に声出さないと悲恋の吾玄にどやされるぞ。」
結構残酷な言葉w
96にわか水兵隊:02/11/02 19:55
>>92
おーなるほどそう言うことか!これは我らもがんばらねば!いくぞーヤローども!
よーし蒙槽船で特訓だ! 
>>94
将軍、前スレ427で思いっきり噂になっているであります。
土曜ロードショーで初めて「リング」を見た。
貞子がテレビ画面からノソノソと出てくる場面、あまりにも恐すぎて、おじさん泣いちゃった。

>>81旅の占い師殿
暗い占い上等!

>>83希代之副官殿
確かに楽しかったのだが……今回はまとめるのに疲れた。

>>84見習忍者殿
ホントに流行病状態だな。
皆さん、風にはくれぐれも用心を。
ここ5年間、風邪を引いたことのないわしがのたまう。

>>87
雌雄一対の剣を「皇帝から賜った宝剣」とするのは、ちょっと無理があるかな、と思いました。
ま、強引な解釈が今後も続くと思いますが、温かい目で見逃してくださいませ。

>>88廖衛殿
馬参殿との会見については、そのうち使わせてもらうので、しばらく待っていてくれ。
まずは、ずっとお預け状態になっている第二軍を済ませなくては……。

>>92柴桑兵倉殿
マイペース突進型の兵隊C。
いいですなー!

>>93郭図公則殿
復活オメ。

>>94吾玄殿
し、知らぬ!
わしは一言足りとも口外はしておらぬぞ!
99商談 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:24
洛陽、太守府地下室。
「さすがは洛陽一のヤカンでござった。おかげさまで快癒いたしました」と希代之副官。
「それは何より……ま、まずは茶を熱いうちに」と郭図公則の細作頭。
なかなか上質な茶葉を使っていることは、その香りでわかる。
副軍師としての信用、そして洛陽太守としての権力を存分に利用した結果なのだろう、郭図公則が資金的にかなり潤沢なのが伺えた。
しかし、味の方はよくわからなかった。
すぐ脇に、目を見開いたままの細作の死体が転がっているとなれば、どんな美酒であっても酔うことはできまい。
一方、自分と対座している郭図公則の細作頭は、うまそうに茶を飲んでいる。
(これだけ立場が有利なら、茶もうまかろうよ)
副官は心の中で毒ついた。

「話があるのであろう?」
細作頭は湯飲みを卓上に置いた。
「私もあまり暇ではないのだ。手短にしてもらえればありがたい……あ、それとその死体だがな。帰り際に持っていってくれ」
「なかなか美味な茶だ。これはどちらの産かな?」
細作頭の言葉には応えず、努めて平静な素振りで副官は尋ねた。
既に戦いは始まっている。
向こうが手にしている主導権を、こちらに引き寄せねばならない。
(商談と同じさ)
そう自分に言い聞かせる副官だが、脇の下は既にびっしょりと汗で濡れている。
100商談 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:24
「まあ、こたびの件は、だ」
副官はゆっくりと口を開いた。
「洛陽太守殿と軍師様、双方にとって不幸な出来事であった」
ピクリ、と細作頭の眉が動いた。
「こたびの件……双方にとって不幸な出来事……はて、何のことやらよくわからぬが?」
地べたに頭をこすりつけて、許しを請うつもりはないらしい。
そう察した細作頭は、副官の出方を伺う。
それに対し、副官は笑ってみせる。
「これはまた!……太守殿の片腕とも思えぬ察しの悪さだな」
「なんだと……?」
「『こたびの件』とは、そこに転がっている細作の件。『双方にとって不幸』とは、言葉通りの意味。おわかりか?」
「わからぬな」
細作頭の声に、怒気がこもり始める。
こちらに非はまったくないというのに、この態度!
こんな商人上がりの男など、自分がちょっと腕を動かせば、すぐに亡き者としてやれるが、細作の死体が視界に入った。
また郭図公則から叱責を受けるのはごめんだった。
「太守様は被害者。そして、軍師殿は加害者だ」
言葉鋭く、細作頭は言った。
「にもかかわらず、『双方にとって不幸』とは理解に苦しむ。状況把握もできぬ者が、軍師殿の副官とはな」
「それは違う」
副官は切り返す。
「軍師付き副官だからこそ、見えてくるものがあるのだ」
「ほう。その眼でいったい何が見えているのか、ぜひ教えてほしいものだな」
「貴殿は優秀な細作だ。軍師様配下の者が、独断でもって貴殿の主を害しようとする動きを察知し、それを未然に阻止した」
「私を誉める前に、自分らの行いを謝罪することを勧めるが」
「まあ、最後まで聞けよ」
副官は、大袈裟な身振りで細作頭を制した。
「貴殿は暗殺計画を未然に阻止した。しかし残念ながら、そこから先が見えていないな」
101商談 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:25
「大局的見地、という言葉をご存知か?」
「意味ぐらいなら知っているな」
「それは幸いだ」
副官は椅子に座り直し、細作頭を見据えた。
「冷静に考えて、だ。涼の正副軍師が合い争う状況を一番に喜ぶのは誰か。そんなこともわからぬ太守殿ではあるまい」
しかし細作頭は、副官の言葉にあからさまな冷笑を浮かべた。
いったいどんな論法で攻めてくるのか、と身構えていたが、この程度か。
「そのことは我が殿もお考えになられた」
「それで?」
「正副軍師の対立は、一時的に魏・呉・燕を利するかもしれない。しかし、筆頭軍師が副軍師の命を狙うという破廉恥極まる状況を見過ごすことは、それ以上の災禍を及ぼす」
「……」
「お二方は確かに万事うまくいっていたとは言い難いが、10年もの間ともに戦ってきた同僚だ。これを告発するなど、本意なわけがない」
「……」
「だが、仮にも涼都の太守を務める人物を、細作を使って亡き者とするなど、あまりに異常。仮に今回、我が殿のお命を奪っていたとしてだ。軍師殿は次は誰の命をご所望か? 馬参将軍か? それとも吾玄将軍か?」
希代之がさらに他の同志の命も狙う、と決め付けられ、副官は表情を強張らせた。

「まあ……貴殿がお怒りなのはごもっともだ」
若干口調を変えて、副官。
「で、貴殿は……いや、太守殿はこたびの件をどのように扱う所存だ?」
「知れたこと」
細作頭は、まるで郭図公則のような皮肉な表情になっている。
「殿下に告発し、沙汰を待つ。これ以外に何がある?」
102商談 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:26
事件が涼王の知るところとなる―それだけは何としても避けねばならなかった。
いくらなんでも、同僚を殺そうとした男を涼王が許すとは思えない。
希代之に待ち受ける運命は、良くて公人としての終わり。普通に考えれば、人生そのものも強引に終わりとなるだろう。
副官は、冷めた茶を一息に飲んだ。
ここからが正念場。息を整え、細作頭を見据える。
(殿……言われた通りにやってみせます)
宛にいる上司に向かって、心の中でつぶやく。

「殿下に告発する、か……これはまた、後先考えぬ措置だな」
副官が何を言っているのかわからず、細作頭の顔は、一瞬キョトンとなった。
ここから反撃に転じてくるとは、思ってもいなかった。
「後先考えずとは、貴殿もわからぬ御仁だな」
細作頭の口調に、イライラしたものが含まれ始めている。
「後の災禍の芽を今のうちに摘んでおくのだ。さっきそう言ったはずだ」
しかし、副官はそれを制した。
「そういう意味ではない。軍団長選挙のことを言っている」

郭図公則が、洛陽守備軍の第四軍昇格を上程したのは、つい最近のこと。
結果、賛成3、反対4、棄権1の小差で、上程は却下された。
次にいつ第四軍編成の話が持ち上がってくるかは定かではないが、再び郭図公則が立候補することは間違いなかった。

「先日の洛陽守備軍を第四軍に昇格させる、という上程だが」
副官は言った。
「太守殿は、あの結果をどのように受け止めておられるのか?」
「さてな。我が殿は済んだことは振り返らぬお方だ。気にもしておるまい」
「それは危うい」
「なんだと?」
「一票差での決着であったな。太守殿の意見に賛成したお歴々の名を覚えておられるか?」
「無論だ。我が殿、袁奉将軍、ぐ………………軍師殿…」
声に詰まった細作頭に、副官は愛想の良い笑みを浮かべてみせた。
103商談 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:26
「太守殿にせよ、あの上程はあくまでも様子を見る、という程度のお考えだったであろう。結果は小差否決となったが、時期を見ての第四軍団長選挙ならば、望み通りの答えが出る、と思われたかもしれぬが」
黙り込んだ細作頭に、副官は立て続けに言葉をぶつける。
「もしも軍師様が七同志から除かれるような事態となったなら、太守殿の軍団長選出に同意するのは、袁奉将軍ただお一人。そこの所を太守殿はどのようにお考えなのかな?」
「し…しかし」
細作頭は反撃を試みる。
「あれはあくまで、洛陽守備軍の軍団昇格の是非を問うもの……我が殿の働き振りは、ほかの七同志の方々も承知しておられる。選挙となれば、投票結果も変わってくるはず…」
「そう断言できるのか?」
「……」
「こたびの件を、太守殿が殿下にお伝えすれば、軍師様も厳罰は免れまい。しかし、だ」
完全に攻勢に回った副官は、細作頭に思考の猶予を与えないかのようにしゃべり続ける。
「ここで考えてもらいたい。一連のやり取りを受けて、ほかの同志様らがどのようにお受け止めになられるか。失礼な物言いだが、太守殿と何かと敵対している将軍の数、決して少なくはない」
「……」
「軍師様の細作を何らかの手で洛陽に集めさせ、全員殺す。死人に口なしだ。謀略に長けた太守殿のこと、軍師殿を闇に葬り去ろうとして、そのような手を使うこともあるいは……」
さすがに細作頭は血相を変え、剣の把を握った。
しかし、副官の「……と考える将軍が出てくるかもしれない」という次の言葉で、剣を抜くタイミングを失した。
「そうなればだ」
立ち上がった細作頭を見上げながら、副官は穏やかに言った。
「鉄板と思われていた候補者が、思わぬ敗戦を喫することもありうるわけだ。選挙とは、えてしてそういうものではないか?」
細作頭は、黙って副官を睨み付けた。
問題が軍団長選挙に関わってくるとなれば、そう簡単に事に及ぶわけにはいかない。
殺意に満ちた目で睨まれながら、副官は言った。
「申し訳ないが、熱い茶をもう一杯ご所望してよろしいか? ここの茶はなかなかうまい」
104商談 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:27
洛陽、太守府。
細作頭は、副官とのやりとりを、正確に郭図公則に伝えた。
どう贔屓目に見ても、自分はあの商人上がりの男にやり込められたとしか思えないが、この上司に嘘をつくことはできなかった。
「さような論法で来るとは、その副官の存念ではあるまい」
報告を受けた郭図公則は、面白くなさそうな表情で言った。
「希代之の策であろう。人の弱みに付け込んでくるあたりは、さすがは筆頭軍師と言ったところだな」
「こちらが殿下に告発しない条件として、軍団長選挙の際は、軍師は閣下に投票すると言っておりましたが…」
「そんな約など、信じるだけ無駄だ。仮に希代之が選挙に出馬したらどうする? 私がやったように、敵手に投票するようなことなど、やつの自尊心が許すまい」
「その時こそ、こたびの件を世に示せば……」
「選挙妨害としか見られまい。希代之の罪を殿下に問うのであれば、今でなければならぬ」
「しかしそうなれば、副官の申すように、閣下に悪い影響を及ぼすことが考えられますが」
「私から殿下にお知らせしたのなら、それもあるだろう。だが、他の者が殿下に奏上したとなれば、どうだ?」
郭図公則の言葉で、暗く沈んでいた細作頭の顔に喜色が戻ってきた。
「他の者……長史にございますな」
「私にも情はあるのだ」
珍しく冗談めかして、郭図公則。
「希代之とて、私に借りを作るのは面白くあるまいよ。それを取り除いてやろう」
郭図公則以外の者が、今回の暗殺計画の顛末を涼王に伝える。
これならば、郭図公則が受けるダメージは遥かに少ない。
「明朝、手の者を長史府に差し向けよ。この件を長史がどのように処理するかも見物だ」
上司の命令に、細作頭は嬉々として拱手した。
105商談 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:27
洛陽、長史府。
長史は不機嫌だった。
自分なりに思い描いていた洛陽復興策があったのに、まったくそれが実行できていない。
「長史殿の任務は、あくまでも涼全体の内政を取り仕切ることにある。洛陽一都市の復興は、太守府の管轄である」
澄ました顔でそう言ってのけた、忌々しい洛陽太守。
寝ても冷めても、あの嫌みな顔が浮かび上がってくる。
もっとも、今長史が不機嫌となっている原因は、そのことではなかった。

軍師配下の使節団が、洛陽内で殺し合いをした、という話は聞いていた。
しかし、事件の調査はすべて太守の手の者によってなされ、長史は太守府から聞かされる情報しか知り得なかった。
だが、事件発生から2週間近くも経て、初めてその「視察団」の正体が希代之配下の暗殺グループだったらしい、という情報が入ったのだ。
長史は、慌てて事実関係の調査を配下の者に命じた。
(早く諜報機関を充実させねば)
痛いほど思った。
発足したばかりの涼王直轄(実質的には長史直轄)の細作団は、数・質ともに、郭図公則や希代之の細作団に大きく遅れを取っている。
それを今回、こんな重大事案の発生という形で思い知らされてしまった。
(それにしても、軍師殿が太守殿の命を狙うとは……確執があるとは聞いていたが、そこまでやるか……あるいは何か裏があるのではないか)
そこまで思考がたどり着いた瞬間、電撃に打たれたように長史は椅子から飛び上がった。
「誰かある!」
長史は叫んだ。
「池田屋の件を長史府に知らせてきた者……即刻連れて参れ!」
106商談 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:28
長史の前に連れてこられた男は、洛陽に10年以上住んでいるという肉屋だった。
その出自が間違いないことを確認した長史は、少なくともこの男が「色」のついた者ではないとを確信した。
「池田屋における顛末を知らせてくれたのは、おぬしだそうだな?」
長史の言葉に、男は平伏したまま「へいっ」と応えた。語尾が震えている。
「その情報、どこで仕入れてきたのだ?」
「いえ、それが……噂でございまして」
「極めて重要な話だぞ。たかが噂でこの長史を動かそうとは、おぬし何をたくらんでおる?」
「そ、そんな、たくらみも何も……重大事と思い、すぐに長史様にお知らせせねば、と駆けつけた次第にございます」
「涼王殿下の御威徳のもとに生きる民として、本来ならよくやったと言うべきだがな」
「い、いえ、それほどでも……」
「なぜ太守府ではなく、長史府にその話を持ち込んできたのだ?」
「!……そ、それは……」
狼狽する男を見て、長史はゆっくりと剣を抜いた。
「軍師殿と太守殿の離間を企てるその所業。さてはおぬし、魏の間者だな。さような戯れ言に引っかかるわしと思うてか。即刻その首、刎ねてやるわ」
もちろんハッタリだった。
人間の首を切り落とすような膂力は、長史にはない。
しかし、この男がそんなこと知る由もなかった。
「お、お許しを! つい今朝方、この話を長史様のお耳に入れるようにと言われたのです! 金10やるから、と!」
「誰がそのようなことを頼んだのだ?」
「存じません! いえ、本当にございます! 会ったこともない男でして……」
それだけ聞ければ十分だった。
剣を鞘に戻した長史は、金30を男の前に投げ渡した。
「暗殺団など、魏が流した計略だ。今すぐ忘れろ。もし、このことを誰かに話したなら、今度こそ命はないものと思え」
107商談 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:29
軍師が太守を暗殺しようとした、という情報。
魏の調略とは考えにくい。
洛陽を奪われたばかりの魏は、今は防備に全力を注いでいる真っ最中。
成果が出るまで時間がかかる計略に、悠長にかまっている余裕はないはずだ。
軍師から出た虚報ということはありえない。
まったく意味がない。
となれば、出所はひとつ。
(太守殿から流れてきた情報、ということだが……いったい太守殿の目的は何だ?)

池田屋に向かわせた部下が帰ってきたが、結局暗殺団の存在を裏付ける証拠は得られなかった。
ただし、「事件は賭博に伴ういざこざによるもの」と町中に触れ回ったのは、希代之の副官であるということは、多くの民が証言していた。
そして事件発生後間もなく、その副官が太守府に入っていった、という情報もあった。
おそらく後者の情報は、太守側から意図的に流されたものだろう。
郭図公則は、断片的な情報を流すことで、この重大事件を自分がどのように扱うかを試している。そんな気がした。
(これはまた、とんでもない難題を押し付けられたものだ)
長史は頭を抱えた。
もし事件が事実なら、すぐにでも涼王に奏上しなければならない。
官僚である長史にとって、希代之がやったことは犯罪以上のなにものでもない。
しかし、これがでっち上げだったとしたら? 例えば、郭図公則が自分を陥しめるために仕組んだ策謀だとしたら。
情報を涼王に伝えた長史は、希代之から逆に告発されるだろう。
そうなれば、自分の命すら危うくなる。

しばし机に向かっていた長史は、やがてものすごい勢いで、書をしたためていった。
108商談 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:29
洛陽、太守府。
翌日、長史が郭図公則に面会を求めてきた。
「希代之の副官もそうだったが、長史もなかなか反応が早い」
来訪を告げられた郭図公則は、楽しそうに言った。

面会は短時間で終わった。
長史は「これからもさまざまな面で協力していきたい」とだけ告げ、贈答品を置いて去っていった。
「こちらが流した情報と突き止めた、という意思表示。そして情報提供に対する謝意でございますな」
贈り物の封を解きながら、細作頭。
「自分を甘く見るな、という意味も込められている。意外とやり取りの機微には通じているようだ」
「……閣下。こんなものが入っていましたが……」
封を開けた細作頭は、変な顔をしている。手にしているのは、何十枚もの紙。
受け取った郭図公則は、その内容を確認し、再び笑った。
洛陽復興策を記した計画書だった。
「かような物を贈り物としてもってくるとは……長史殿はいったい何を考えているのでしょうか?」
細作頭がもっともな質問をしたが、郭図公則の答えはよどみ無かった。
「これは贈答品の形をした請求書だ」
109商談 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:31
附に落ちない様子の細作頭に、郭図公則は説明する。今日の郭図公則は、やけに饒舌だ。
「長史は私の意志通り、事件の発生を殿下に伝えることを決めたのだ。その見返りとして、洛陽復興に自分も参加させろ、と言っているわけだ」
「ハハ……なんとも手の込んだことでございますな」
「それだけではないぞ。仮に長史と太守の癒着と指摘されても、これなら何の問題もない。贈答品ではなく、復興計画書を届けただけなのだからな」
「そこまで……あまりに評価が過ぎるのでは?」
細作頭が口を尖らせた。
極めて希なことだが、郭図公則とて他者を評価することもある。
敵味方を問わず、人傑と呼べる人間を知った時、郭図公則は機嫌が良くなり、そして饒舌になるのだ。
そしてそれは、細作頭にとって面白いことではない。
「強引な喩」として、恋愛のようなものと考えるなら、細作頭の心情はわかりやすいのだが、解説は自粛……じゃなくて略する。
あくまでも「強引な喩」である。
念のため。

「今夜中に、この計画書には目を通しておこう」
そんな細作頭にはお構いなしで、郭図公則は告げる。
「長史には、明日来るように伝えよ。ああ、それから」
退出しようとする細作頭に付け加える。
「細作の再配置だ。長史府には腕利きの細作を回せ。人数は15人」
110尋問 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:32
宛、軍師府。
気の休まらない日々を送っていた希代之は、洛陽から戻ってきた副官の報告に、ようやく安堵の息をついた。
「殿のおっしゃる通り、軍団長選挙で副軍師を支持する旨を伝えたところ、先方は折れましてございます」
「そうか……よくやってくれた。礼を申すぞ」
「なんの。私は殿の言いつけ通りにしゃべっただけです」
礼を言う希代之の側で、護衛隊長がばっと平伏した。
「君には何とお礼を言ったらいいかわからない!」
護衛隊長は、額を床に付けたまま叫ぶ。
「それがしの失策を、こうも見事に帳消しにしてくれるとは! 君のためなら、なんでもやろう。遠慮なく言ってくれ!」
「君と私は両輪。力を合わせて殿を支えていく身じゃないか」
当惑したように副官。
「これからも互いに助け合っていかなければならないのに、そのようにされると困るよ。さあ、顔を上げてくれ」
何度も促され、ようやく顔を上げた護衛隊長だったが、その目からは涙があふれている。
希代之も副官も、なかなか眠れぬ夜を過ごしたが、一番大きな心痛に耐えていたのは、間違いなく護衛隊長だった。
元はこの男の暴走がきっかけとはいえ、護衛隊長の涙に、希代之も副官も胸が熱くなった。
その幸せな時間を台無しにした来客は、親衛隊長だった。

「こんちゃす」
緊張感のない口調で、親衛隊長は来訪の目的を告げた。
「殿、じゃなかった殿下が、軍師様と話をしたいとおっしゃっています」
「何の用向きで?」
緊張感あふれる口調で、副官が尋ねる。
「えーと第一軍武将の選抜について相談したい、とか言っていました」
希代之らはホッと息をついた。
111尋問 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:32
宛、仮宮廷。
「郭図公則が」
呂砲の言葉に、思わず希代之は身を固くし、次の言葉で胸をなで下ろす。
「郭図公則が洛陽太守となり、袁奉が第二軍武将として紫桑へ行った。第一軍の欠員を補充しなければならん」
心の動揺を押し隠すように、希代之は尋ねた。
「殿下は既に腹案をお持ちと存じますが」
「ああ」
呂砲は肯いた。
「公孫賛と馬休」
「この両名に戦功を稼がせる、ということでございますな」
「公孫賛は、未だ八品官止まり。馬休はなかなかの武将だが、経験が足りぬ。いずれ第四軍の編成が必要となるかもしれぬからな、武将を鍛えておくにしくはない」
第四軍、と聞いて、かすかに希代之の胸は痛んだ。
希代之は保身のため、次の軍団長選挙で自分の意志を示す機会を失った。いや、捨てた。
だが、それも仕方がなかった。天秤の片方に乗っていたのは、自分の命だったのだから。

「殿下のお考えに賛成でございます」
希代之としては、一刻も早くこの場から立ち去りたかった。
副官が洛陽から帰ってくるまでの間、それこそ刃の上を綱渡りしている気分だった。
上首尾に終わったとの報告を受けたばかりだったが、未だその気分が抜けない。
「まったく郭図公則のやつめ。ふざけておる」
そんな希代之の心情にはお構いなしに、呂砲は続ける。
「洛陽守備軍の陣容だが、黄忠や潘璋はまずまずだし、華キンにしても極悪知者同士、郭図公則とは気が合うかどうかは別として、なかなか面白そうだ。しかし、ほかは王塁。それに袁胤だぞ。この面子でどうやって洛陽を守るというのだ? 趣味に走りおって」

呂砲のグチがようやく終わり、希代之は暇を告げた。
「おう、長々とすまなかったな」
詫びを入れた呂砲は、退出しようとする希代之に思い出したように言った。
「郭図公則といえば、おぬし……やつを殺そうとしたらしいな」
112尋問 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:33
涼王・呂砲。
普段は気さくなこの男も、時として、ぞっとするような残忍な表情を浮かべることがある。
今、希代之を真正面から見詰めている呂砲の顔は、まさにそれだった。

「郭図公則の……告発にございますか?」
声が震えているのがわかった。
郭図公則が裏切った。
実際のところ、「裏切り」という資格は希代之にはないのだが(監督責任という意味からも)、それに気付く余裕はなかった。
「郭図公則ではない」
呂砲は答えた。
「洛陽にいる長史からの連絡だ」

希代之は唇を噛み、己を不明を悔やんだ。
おそらく、郭図公則が長史に情報を流したのだろうが、郭図公則をどうするかしか頭になく、長史という可能性を完全に忘れていた。
その可能性を考慮していたのなら、取るべき手などいくらでもあったのに……。
「軍師配下の細作が洛陽太守を暗殺せんと洛陽入りするも、先手を取った洛陽太守配下の細作により、全員殺」
呂砲は書状を取り出し、それを読み上げた。
長史からの報告書らしかった。
呂砲は足を組み直すと、軽く顎をしゃくってみせた。
「釈明を許す。申せ」
113尋問 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:34
「私の配下の者7人。消息を絶っているのは確かでございます」
希代之はゆっくりと答えた。
少しでも時間を稼がねばならない。自分が冷静さを取り戻すための時間を。
事が呂砲に露見した時に備えて、「言い訳」は数パターン考えていた。
それを思い出すのだ。今の状況なら、言うべきセリフは確か……。
「燕の状況を探らせるべく、進発させた細作たちにございます。洛陽は敵の細作も多く潜伏する地ゆえ、郭図公則の洛陽太守就任を祝う使節団、という名目で派遣いたしましたが、その後音信が途絶えております」

副官の報告によると、郭図公則も暗殺計画の確たる証拠は掴んでいないらしい。
ならば、郭図公則が別の意図をもって、希代之の細作を殺した、という逆の推測もできるのだ。
郭図公則が掴んでいない証拠を、呂砲が握っているわけもなかったし、事件を呂砲に伝えてきたのは、郭図公則ではなく長史。
呂砲が郭図公則に確認を取り、郭図公則が肯定したとしても、細作レベルでの「不幸な行き違いによる事件だった」と言い張る。
徹底的にシラを切り通す。希代之はそう決めていた。
114尋問 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:34
「燕を探る間諜とな? 郭図公則暗殺のために派遣したのではないのか?」
目を細めて確認する呂砲。希代之は、狼にいたぶられる兎になったような錯覚を覚えた。
「とんでもない話です。そもそも、私が郭図公則を亡き者にと図る理由がございません」
「洛陽解放戦における町費と廖影の軍令違反。これを郭図公則は厳しく罰すべきと進言した。おぬしは血相を変えて、それに反対していたな」
「私と郭図公則が言い争う場など、それこそ殿下も飽きるほどご覧になっておられるはず」
「積もり積もって、という考え方もできる」
「私も人間です。郭図公則と刎頚の交わりを結べ、と言われても、それは無理でしょう。しかし、我ら両名の仲が決定的に険悪なものとなろうとも、殿下がおられる限り、心配はないと考えております」
「どういうことだ?」
「洛陽解放戦後の町費殿と廖影の処置について、確かに私と郭図公則は対立しました。しかし、最後は殿下の御温情により、円満に解決いたしました。つまり、殿下がおられる限り、私があの男を害する理由はどこにもないのです」
ここでいったん息を整えた希代之は、再び口を開いた。
「あの男のことは、誰よりも知っているつもりです。暗殺などで命を奪える者ではありません。あの男を暗殺するなど、それこそ生卵で壁を破ろうとする行為に等しく、軍師の座を汚す者として、さような稚拙な策は取るところにございません」
115尋問 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:35
呂砲は、黙って希代之を見ている。
希代之も、その視線を正面から受け止めている。
しばし沈黙が続いたが、それを破ったのは呂砲だった。
「郭図公則には、こたびの報告の確認は取っておらぬ」
呂砲の顔から、さっきまでの残忍な表情は消えていた。
「今後取ることもないであろう。これが事実であるならば、当事者たる郭図公則が告発せぬというのも、おかしな話だからな」
「御意に存じます」
玉座から立ち上がった呂砲は、いつもの笑顔を見せた。
「軍師よ、疑ってすまなかった。不明なわしを許してもらえるとありがたい」
「もったいないお言葉にございます。疑いが晴れたのならば、これ以上何を申し上げましょうや」
肯いた呂砲は、思い出したように言った。
「ああ、そうだ。長史からの書状だがな。さっきは抜粋して読んだものだ」
「は?」
「あくまでも洛陽に流れている噂として、長史はおぬしの嫌疑を伝えてきた。同時に、確たる証拠はなく、それこそ単なる噂、あるいは別の悪意ある謀略の可能性あり、とも付け加えておった」
「……」
「というわけで、長史はおぬしを暗殺事件の首謀者として報告してきたわけではない。それはわかってくれ」
「……御意にございます」
深々と頭を下げる希代之。
顔を上げると、呂砲は退出するところだった。
116尋問 ◆I9WFnCXgeU :02/11/03 02:35
今ごろになって、足がガクガクと震え始め、希代之は仮宮廷の柱にもたれかかった。
とはいえ、心につっかえていた重い石が、取り除かれたような気分だ。
そんな希代之に話し掛けてきたのは、親衛隊長。
「おや、軍師様。こんなところでどうなされました? お体の具合でも?」
無邪気な表情で、希代之の顔を覗き込む親衛隊長。
この男は「不安」に関連する感情すべてを、母親の胎内に忘れて生まれてきたのだろうな。
そう思うと、なんともおかしくなった。
「いや、何でもない。少し疲れてな」
「それはいけません。軍師様はある意味、殿、じゃなかった殿下よりも大切なお方です。早くお休みになられませ」
「たいしたことはない……おお、そうだ。疲れを吹き飛ばすためにも、今晩ともに酒を楽しまぬか? 一度おぬしと飲んでみたかったのだが」
「奢りでございますか!?」
どうしてここで、「奢り」という発想、そして言葉が速攻で出てくるのだろう。
しかし今の希代之は、そんな親衛隊長にも寛容になれた。
「いいだろう。良い店を知っているか?」
「はい、そりゃあもう! 目玉が飛び出るぐらい値段の高い店を知っています!」
「…………」
「でもご安心ください。酒の方も目玉が飛び出るぐらい美味いそうです!」
「…………」
「そうだ。せっかくですから、軍師様の副官殿と護衛隊長殿も呼びましょう! あ、それから町費将軍配下の士長殿も。何やら旅費が足りなくなったとか言っていましたから、まだ宛にいるはずです! 奢りと聞けば、きっと喜びます!」
「…………」
嬉々として、話を勝手に進めていく親衛隊長。
この男は「遠慮」に関連する感情すべてを、母親の胎内に忘れて生まれてきたのだろうな。
そう思うと、なんともいらただしくなった。

>希代之殿
長史に情報をリークするという形で、郭図公則が「貸し」を放棄したため、次に軍団長選挙があった時、希代之殿の選挙立候補、及び投票は自由意志で実施できる。
念のため。

※次回、「翻陽攻略戦」。吾玄殿、袁奉殿。待たせた。
117郭図公則 ◆sW2getuhmE :02/11/03 20:53
洛陽のごたごたも一段落だな。

>洛陽守備軍人選について
黄忠 主力、一騎打ちにも使えますので
潘璋 若手の育成を兼ねております
子魚 反三国志なる史書によりますれば同じ名前の者が蛮族から主君の墓を守ったとか
王累 暴走するものあらば逆さ吊りで留めるため
袁胤 蜂蜜にはこの男は必要でございましょう

さてと、宮殿の地形でも見ておくか
118希代之副官:02/11/03 21:38
>見習忍者殿
…それにしても、貴殿に初めてお会いするのがこんな形であったとは。
まことに残念に思いますが、しかしこれも臣たるもののお務めゆえです。
この先も同じ七同志に仕える者として、互いの忠節を競うことがあるでしょう。
貴殿の有能なることは涼内部で知らぬ者はありませんが、
それがしとて貴殿の働きに負けるつもりはございませぬぞ。
良薬を頂いた事、亡骸をお渡し頂いた事、心より感謝いたします。

>そして大宴会たけなわ
親衛隊長殿、士長殿、歴戦の勇士にご挨拶がかないまして、
それがし、嬉しゅうございます。
護衛兵殿はそうして並んでいると士長殿の兄弟のように見えますな。
顔つきが似ておる。士長殿どうか、仲良くしてやってくださいませ。
親衛隊長殿、ご覧あれ。なんと店の奥で、こーんな大杯を見つけて参りました。
どうです?これでタイマン飲み比べをしましょう、夜露死苦。
さあ、夜はこれからです。

殿…ご無事で本当に良うございましたな…(感泣)
119飲み屋の客:02/11/03 21:51
>>118
あちらのお武家様連中なんだがな、2人泣いてるんだな。
1人は感涙って感じなんだが、一番偉そうなお武家様は・・・
何やら財布を除きこみながら、泣いてるんだ。
120希代之護衛兵:02/11/04 13:45
よかったぁぁぁー!殿がご無事でぇぇぇー!
どんなに副官殿に迷惑かけたか!この命そなたあってのものでござるよ!
ほら士長殿!こっちで飲みましょー!
えっ?顔が似てる?やっぱり同じ志だからですかなぁ?
親衛隊長殿・・・飲みすぎではござらぬか?
あぁ・・・せめて前はお隠しなされ!(汗
121仲路さとる:02/11/04 21:47
このスレは異・三国志を超えました
122町費隊士長:02/11/04 23:32
>町費様
軍師様配下の副官殿と護衛隊長殿と誼を結ぶことができました。
この人脈を殿のご意志に反映できるよう、大切にしていく所存です。
それと、明日、洛陽行きの隊商と一緒に洛陽へ向かいます。
馬の世話係兼食事係として、雇ってもらえたので、ようやく洛陽へ行
けそうです。
親衛隊長に旅費を巻き上げられなければ、こんなことには……。
とにかく、報告をお待ち下さい。
実際の三国志がこのスレみたいな話だったら
2ちゃんにはこんなスレが立ったかもと妄想
してみますた。

「洛陽事件」真の勝者は?
【どっちが】希代之と郭図公則【優秀?】
124後世の史家きどり:02/11/06 04:14
>>123にマジレスしてみますた。

「結果的にはドロー」説……であるが、郭図の暗殺は未遂にも至らず、
謀議の自白すら残されていないのに対し、希代之の手下は明らかに郭図
の手のものによって消されている。
とすると、本来は希代之の方が立場が強かったハズであるのに希代之は
なんらのアクションも起こし得ていない。歴史の謎である。
逆説的に言うと、この局面においては希代之の知力より郭図の政治力が
より強く働いてたのだと想像される。(歴史上の人物につき、敬称略)
私も歴史家気取りで「洛陽事件の真の勝者」について、妄想書き込み(^^)。

希代之と郭図公則の対立として語られる「洛陽事件」だが、「真の勝者」
は、洛陽の長史ではないか。
希代之は優秀な細作を多数失い、呂砲からの尋問まで受けた。
郭図公則はダーティーなイメージに拍車をかけた(本人は気にしてなさそ
うだが)。
一方、洛陽着任後、イマイチ存在感を発揮できていなかった長史は、この
事件を利用して、洛陽太守たる郭図公則に強烈に存在感をアピール。
自身が目指す「涼都」造りに邁進する足がかりを得る。
また、事件を呂砲へ伝えたとは言え、その内容は希代之をさりげなく弁護
するものであり、結果的に希代之をも味方に付けることになった。
「洛陽事件」で、希代之と郭図公則が何らかのダメージを負ったのに対し、
長史は恩恵のみを得ることに成功した、と言えるのではないか?
126見習忍者:02/11/06 12:10
>>118
礼状まで来たか。想像以上の男の様だな。
今まで以上に注意が必要か、軍師殿の周りの人員を増強しておこう。

>>廖影殿(in 茶室)
なるほど、廖衛将軍がそのように申されたか。
無礼を承知で申し上げるが、廖衛将軍はお考え違いをされている様だ。
軍令に反し今回は素晴らしい戦果をあげた、それは間違いの無い事だ。
だがそれは今回だ、次回はどうなる?
貴殿も軍を預かる身、軍令が如何に大切な物かはご存知のはず。
一部隊の暴走が全軍の崩壊を招く事もある。
次回から皆が自分は上手く行くと思い込み、勝手な行動を取り出したらどうなる?
その為にも功は功。罪は罪として裁かれなければならない。
軍令違反に対し賞賛のみされる軍は可笑しい事である。
閣下はそれをよく分かっているからこそあの様に申し上げたのだ。
殿下もそれが分かるからこその裁可を下されたのだ。
その辺りをよくよく考えてみて欲しい。
余談だが、我等の友誼は廖衛将軍に内密にされた方が良いと思われる。
閣下と廖衛将軍の体面もあるしな。


廖衛将軍の身辺の者をより良い者に切りかえると、
あとは軍師殿の屋敷の生首事件をそっと知らせてやれ。
真相までは彼が知る必要はない・・・・・・今はな。
127成都のおねぇさん:02/11/06 15:39
日記より

なんだか上ではごたごたしているけれども下は平和なことこの上なし。
旗ふりのアルバイトも軌道に乗り象さん貯金箱いっぱいになった。
日ごろの感謝をこめて今度みんなで飲みに行こうかと思う。
まぁ、こないとは思うけど直属の上司の馬参様と陸遜様にお誘いの手紙を出して、隊のみんなと廖影様とやかんの人を誘おう。
……いま思ったけどヤカンの人って住所何処だろ?

追伸
宛から長安に帰るという娘に会った。どうもかなり最初の段階から道を間違えたとしか思えない。
城門まで送る。正直勝ったと思った。ありがとう髪飾り。ありがとう綺麗な服。
【どっちが】希代之と郭図公則【優秀?】
1:無名武将@お腹せっぷく
「洛陽事件」真の勝者は?
2 :史家きどり :**/**/** **:**
>>1にマジレス
「結果的にはドロー」説……であるが、郭図の暗殺は未遂にも至らず、
謀議の自白すら残されていないのに対し、希代之の手下は明らかに郭図
の手のものによって消されている。
とすると、本来は希代之の方が立場が強かったハズであるのに希代之は
なんらのアクションも起こし得ていない。歴史の謎である。
逆説的に言うと、この局面においては希代之の知力より郭図の政治力が
より強く働いてたのだと想像される
3 :無名武将@お腹せっぷく :**/**/** **:**
希代之と郭図公則の対立として語られる「洛陽事件」だが、「真の勝者」
は、洛陽の長史ではないか。
希代之は優秀な細作を多数失い、呂砲からの尋問まで受けた。
郭図公則はダーティーなイメージに拍車をかけた(本人は気にしてなさそうだが)。
一方、洛陽着任後、イマイチ存在感を発揮できていなかった長史は、この
事件を利用して、洛陽太守たる郭図公則に強烈に存在感をアピール。
自身が目指す「涼都」造りに邁進する足がかりを得る。
また、事件を呂砲へ伝えたとは言え、その内容は希代之をさりげなく弁護
するものであり、結果的に希代之をも味方に付けることになった。
「洛陽事件」で、希代之と郭図公則が何らかのダメージを負ったのに対し、
長史は恩恵のみを得ることに成功した、と言えるのではないか?
4:無名武将@お腹せっぷく :02/11/06 11:12
>>1-3は洛陽太守に三族斬首されました終了
>>128
ホントにありそうだw
130廖影 ◆CN2I0jO6s2 :02/11/06 23:01
流行り病がなかなか治らず、苑の山奥へ湯治に行っておりました。
いやはや、殿下同様、早いとこ結婚相手を(略)

>>見習忍者殿
うむ、軍令違反に関してはそれがしも貴殿と同じ考えだ。
我らがこうして厚誼を結んでいるというのに、廖衛さまと副軍師さまが対立していては殿下の天下泰平もはかどるまい。
廖衛さまには、それがしからまた働きかけておこう。

ふぅ…洛陽で何やら気味の悪い事件が起きたとの噂もあるし、それがしには理解しがたい事態が起こりすぎだな…。
政に関しては全くついていけぬ。また、性にも合わぬ。
あぁ、許昌を攻めるのはいつになるのだろう。早く自慢の槍を振るいたいものだ。

>>女兵士殿
酒の誘いとはありがたい。最近は気分が晴れぬことも多いゆえ、喜んで行かせてもらおう。
131郭図公則 ◆sW2getuhmE :02/11/07 21:30
郭図age
132旅の占い師:02/11/08 16:51
げほっげほっ
柴桑目前で熱病に感染してしまった・・・・
やはり年寄りには長旅はこたえたようだ・・・・
しかしあのままでは吾玄将軍は思わぬ痛手を受けようぞ
明らかに死兆が現れておる

要は「孫家と謀臣を殺せば良い」のじゃ
其れ以上の殺戮は己が身に返ると言うもの
吾玄将軍には是非とも孫家を滅ぼして貰わねばならんのじゃ・・・・
わしも流行病inベッド状態に突入しました。
今日は休みだったので、朝から「翻陽攻略戦」仕上げよ、と思ってましたが、これからベッドの中でウンウンうなります。
なるべく早く治して、続きupするつもりですので、見捨てないでください。
134郭図公則 ◆sW2getuhmE :02/11/09 11:26
>>133
我が君降臨後の初レスはもろた!
135 ◆CN2I0jO6s2 :02/11/09 22:13
>>殿下
いやいや。どうぞご養生ください。
136吾玄 ◆pa7KljsyW2 :02/11/10 00:16
>>132には答えていいものかどうか…
一つの話を仕上げる殿下の労力を考えると迂闊に書き込めないね
>>136
それは言えてますな。
138旅の占い師:02/11/10 21:04
>>136
まだ柴桑についてないので答えないで下され・・・・
(熱があってネタ考えられませんのじゃ)
139呂砲の父:02/11/11 13:59
突然ですが、同士の皆さん、そして配下の皆さんこんにちは。
こちらの掲示板を見つけてからはや一ヶ月、毎日仕事の昼休みを
利用して少しづつ読んできたのですが今日、やっとここまでこれました。
しかし涼王以下同士の皆さんは半年ほど前から中華統一に向けて励んでいらっしゃいますよね。
でも最近は同志達も分裂してきて、これから先どうなるのか、これからの展開を期待しています。
ちなみに郭図公則さんや最初の頃の呂砲がスキです。(最近はイメージが変わってきましたよね。)
2ch自体、書きこみに一歩間違えると大変な掲示板、みたいななイメージがありましたが、
皆さんの頑張りを応援している者の一人として、始めて書きこんでみました。
話しの内容を遮らない様にと思ったんですが、少々長くなってきたのでここらで失礼させてもらいます。
機会があればまた書きこんでみたいと思います。これからも頑張ってください。
(勝手に父を名乗って申し訳ございません。)
140廖衛:02/11/11 15:39
ごほごほ、殿下、廖衛で御座います。
どうも流行性感冒が流行っておるようですなあ。私も咳が止まりませぬ。
主要人物が病の折に敵が攻め込んでこぬと良いのですが・・・。
しかし、殿下、ゆっくりと直してくだされ。
では短いですがこれにて。
141洛陽役人:02/11/11 16:56
太守様>>139で呂砲様の父親を語るゲスを捕らえ斬首しました
142郭図公則 ◆sW2getuhmE :02/11/11 17:01
>>141
御苦労
>>142
昔の郭図公則様が復活された・・・



デモワラタ
俺は「1の父です」のコピペをパロったのかと一瞬本気で思いました
どうも、いつも郭図公則様のレスにはどきどきさせてもらってます。
これからもドキドキというか機体を裏切った事を、してくださいね。
(はて?何故このファン倶楽部会員は、ほとんどの会員が謎の死をとげているんだろうか?)
>145
どうもお茶を飲んだ後に変死する会員が多いらしい…
147長安〇一四七号:02/11/12 13:40
>145
落陽にできた仮会館にはもういったかい?
あそこの「街の噂投書箱」に投稿してるとそのうち粗品もらえるらしいぞ。
(ここだけの話、死んだってきいた会員をみかけること度々あるんだよ…)

つーか、貰った会員番号が識別標の番号にしかみえないんだが(;´Д`)
148洛陽人権団体(w:02/11/12 13:49
長史様!
太守が住民識別コードを導入しようとしています!
なんとかしてください!
>>139
応援sageで伝わる。わしも同じ気持ちだ。応援保守sage
150郭図公則 ◆sW2getuhmE :02/11/12 15:19
>>143 平牛虎禁越後屋
>>144 主歩列化窓際族
>>145 敵性語(ファン)&誤字(機体)により逮捕→懲役2年
>>146 やかん入りお茶進呈
>>147 理円義貫共産党
>>148 話点竜層非合法
>>149 >>139は魏の間者、騙されんように

住民票コード(漢字7文字)作成
151廖衛:02/11/12 15:53
>144
スマヌ、私も「すわ、荒しか!?」と思った。
152廖衛:02/11/12 16:41
ぐは、またsage忘れた・・・。スマヌ。
>>121
その小説本屋で見かけたことはあるけど、読んだことありませんでした。
でも、本屋に並んでいる小説と比較されることは、素直に嬉しいです。
今後も気張る所存。

>>123-125 >>128
ほかにはこんなスレもいかが?

【呂砲は本当に戦さ下手か】
1 :君主・呂砲 :02/10/25 01:42
中国を統一した男を戦さ下手というのはいかがなものか。
2 :無名武将@お腹せっぷく:02/10/25 01:43
クソスレ立てんなヴォケ!
2 :無名武将@お腹せっぷく:02/10/25 01:43
        糸冬了
以後、このスレは放置でお願いします。

>>130廖影殿 >>132旅の占い師殿 >>140廖衛殿
今年は秋を飛び越えていきなり冬になったようなもの。
皆様、ホント健康には注意しましょう。

>>136吾玄殿
ネタが思い付いたら、いつでもいいので教えてたもれ。
というのもわし、書きながら話を考えるパターンが圧倒的なので、今後の展開についてはいつも白紙状態。
ちょっとしたレスが、「洛陽事件」みたいにでかい話になることもあるし(あれはスレ住人の合作ですな)。

「このスレは、あなたのレスが頼りです」
>>139呂砲の父殿
父上、お久しゅうございます。
もう少し時間がかかるとは存じますが、必ずや天下を安寧とし、父上をお迎えにまいる所存にございます。

>>141郭図公則との
ギャアア、なんてことしおる!
王の父が臣下に殺されたとあっては、わしの面目が立たぬ!
すぐに遺体を隠せ!

………あ、なんかこのやりとり、スレ1で2回くらいやったようなデジャブ。

>>147長安〇一四七号殿 >>148洛陽人権団体殿
ほう、国民総番号化とな。
うむ、これは国民の「管理」に実に便利な手法じゃ。
さっそく涼全体に普及させよう。

>>149
ちょっとジンときました。

>>150郭図公則殿
かなり意味がわかんないよぅ。
兵の悲鳴が聞こえたが、袁奉は特に驚くこともなく、しかしわずかに表情を変えてその方向を振り向いた。
吾玄がいる。
そしてその足元には、兵士が倒れている。
「片づけておけ!」
吾玄の怒鳴り声。
数人の兵が駆け寄り、ついさっきまで息をしていた仲間を運んでいく。
兵士たちの動きは素早い。
しかし、キビキビした、という種類のものではない。
「再開せよ!」
再び発せられた吾玄の怒鳴り声に、兵たちはサッと散らばる。
素早いが、「生」を感じられない兵たちの動き。あるのは「怯」。
訓練は続く。

第二軍本営。
「長沙や武陵から来た兵たちも、ようやくまともな動きができるようになったと思う」
吾玄が言った。
「まあ精鋭というには程遠いがな。合格点はあげても良かろう」
「そろそろ出撃する、ということか?」
袁奉の問いに、吾玄は肯く。
「殿下は1年半で孫呉を下せと言っておられる。時間はない」
「それはわかるのだがな……」
袁奉の態度に、吾玄は不思議そうな顔をした。
「どうした到越殿? 待ちに待った出撃だというのに、乗り気でないようだが」
「いやいや、孫呉攻略はわしにとっても悲願。胸が高鳴っているよ」
吾玄は、嬉しそうに肯く。
対する袁奉は、吾玄に気付かれないように、顔を曇らせた。
孫呉攻略部隊・第二軍。前身は巴守備軍。
益州制覇を果たした呂砲が北伐に臨む期間、東の劉備軍に対する備えとして編成された軍だ。
張魯と馬騰の勢力を滅ぼした主力軍が漢中入りすると、攻略軍に昇格。
軍団の初陣として、劉備に制圧されていた呂砲軍旗揚げの地・永安を奪還する。
以後、第一軍とともに東進を続け、赤壁の戦い直前に一時解散となるまで、荊州制圧の大きな力となった。
赤壁の戦い終了後、紫桑で再編成されて1年。
雌伏の時を終え、最初の標的である翻陽への出撃準備もほぼ完了している。

袁奉。字は到越。
七同志最強の膂力を持ち、七同志唯一の水軍都督でもあるこの男は、第二軍と深い関わりを持っている。
巴守備軍が攻略軍に昇格すると同時に、軍団長・吾玄の要請に応える形で第二軍入りし、赤壁の戦い直前まで、第二軍の一翼として戦ってきた。
それ以降は、呂砲の命令で再び第一軍へ。劉備斬首の場面を目撃するとともに、曹操の拠点・宛攻略戦にも参加した。
この男が現在、再び第二軍にいるのは、強力な水軍を有する孫呉軍と戦う第二軍にとって、その水戦指揮能力が必要だったため。
同時に、吾玄がこの男の存在を欲したため。
10年前、永安。
「気は優しくて力持ち」
袁奉を表現するのに、もっともふさわしい言葉だった。
巴郡一の怪力男と評され、子供からも好かれていたこの男が、あろうことか囚人として賦役に駆り出されていたのには、不幸なわけがある。
詳細は省くが、袁奉が囚人となってしまったのは、まったくの冤罪だった。
そのことを知っており、袁奉を助け出そうと画策した者がいる。
それが吾玄だった。
「無実の罪だということは、私だけじゃなく、村の全員が知っている」
当時16歳だった吾玄は、「脱走」という言葉に躊躇する袁奉を説得した。
「それにな、ぜひ到越殿に会わせたい人物がいるのだ」
吾玄の目はきらきらと輝いている。
「何とも軽い御仁だが、言ってることは筋が通っている。私はその人物に従ってみようと考えているのだが……」
冤罪を呪う袁奉だったが、脱走を試みるには、やや肝が小さすぎた。
そんな袁奉を半ば強引に連れ出した吾玄は、道中でこう言った。
「新しい世をつくるのだ。戦さのない、平和な世を」
以上、袁奉が呂砲軍に入ったのは、ほとんど成り行きだった。


3カ月前、紫桑。
再編成から1年近くたっても出撃しない第二軍。
怒り狂った呂砲は、袁奉を督戦の使者として紫桑へ送った。
しかし、吾玄と付き合いの深い袁奉でも、第二軍を動かすことはできなかった。
個人的とはいえ、重大な問題を抱えていた吾玄は、とても軍の指揮を取る状況にはなかった。
何の収穫もなしに宛に戻った袁奉は、呂砲から激しい叱責を浴びた。
袁奉は、黙ってそれに耐えた。
吾玄が孫呉攻略戦の発動を上奏してきたのは、つい一月前のこと。
同時に吾玄は、袁奉の第二軍参加も求めてきた。
「行ってまいれ」
そう言って袁奉を送り出した呂砲は、笑顔だった。
わけがわからない。
なぜ、吾玄が出撃を渋っていたのか。
そしてなぜ、急に心変わりをしたのか。
呂砲からの説明はなかったし、吾玄もその件については、曖昧に笑うばかりだった。

「軍団長の変化の理由、でござるか?」
ある酒の席で、袁奉は第二軍武将の雷胴にその問いを振ってみた。
雷胴は首をかしげながら、思いついたことを話してくれた。
「そういえば、軍団長には愛妾がおりましてな。しかし、三月ほど前に暇を出したとか。その前後ですな、軍団長の戦意が急激に上がったのは」

急激に上がった戦意。
確かにそういう言い方もできるかもしれないが、それ以上にふさわしいのは、「憎悪」と「狂気」だろう、と袁奉は思う。
「戦さのない世をつくるのだ」
そう言っていた10年前、いや、1年前の赤壁の時ともまったく違う、現在の吾玄。
その違いは、訓練ではっきりと表れている。
とにかく死者が多い。
戦闘では、一人の弱兵のために、それ以上の兵が死ぬこともある。
訓練で死ぬ兵は、弱兵。
精鋭部隊を作り上げるためには、訓練である程度の死者が出ることもやむをえない、ということは、袁奉とて承知している。
しかし、今の吾玄は、精鋭部隊を作るというより、怒りを発散させる場として訓練に臨んでいるとしか思えない。
さっきの兵にしろ、特段動きが悪かったわけではなかったが、それでも吾玄はこれを殺した。
久々の戦闘ということで、戦意を高ぶらせている兵も多いが、それ以上に怯えている兵たちも多い。
正規軍と増援軍を合わせ、第二軍の約二倍という孫呉軍よりも、吾玄のことの方が袁奉は心配だった。
「翻陽」攻略戦(第二軍。進軍地、紫桑)
武将(兵科) 兵数/武/知(戦法)
吾玄(蛮兵)14000/81/71(撹乱極、乱撃3、槍衾2、突撃1)
袁奉(蛮兵)14000/97/67(撹乱極、濁流4)
呉懿(蛮兵)14000/73/71(乱撃3、突撃1)
厳顔(蛮兵)14000/86/77(乱撃5)
張任(蛮兵)14000/91/80(撹乱極、突撃5)
黄権(蛮兵)14000/70/85(撹乱5)
孟達(蛮兵)11000/74/80(撹乱5、乱撃1)
呉蘭(蛮兵)11000/81/42(突撃2)
雷胴(蛮兵)・9500/78/40(突撃3)
  9部隊109500

敵正規軍10部隊77000
敵増援軍10部隊107000
  計20部隊187000


※次回「翻陽攻略戦(その2)」
 短くってすみません。
 ボチボチペースを上げてくつもりですが、年末に差し掛かって何かと仕事が……。
160雑兵1号:02/11/12 19:06
殿下、いや、、、あっ、あってんのか。
この書類とあの書類とその書類は明日までに目を通して、
指示をくださいと文官が申しております。
それと、キャバクラの領収書は経費では落とせないと経理が申しております。
あ、あと象の菰なんですが、この費用ねん出のため、
殿下のボーナスはカットするそうです。

私が言ってるんじゃないですよ。経理が言ってるんです。
161町の噂:02/11/12 21:25
>>160
A「おい高札みたか?」
B「ああ、なんでも財政対策にまず涼王の給料から削ったらしいな」
A「一番上からなんて、なかなか出来ることじゃねえよ」
B「俺たちもがんばるか」

民忠誠度があがりました。
「あぶないあぶない。
なんだか知らんが、捕まりかけたよ。
細作やってたから、仲間が教えてくれて助かった。
でも、あいつと俺、激しく殺されるような気がするんだよな〜。
遺書書いとくか。それと無駄だと思うが
名前を郭図公則様支援倶楽部会員に改めて置こう。
163見習忍者:02/11/12 23:16
殿下復活おめでとうございます。
もう〜やきもきしながらお待ちしておりました。
皆様健康にはご留意あれ。

>>130
我等の友誼は内密の方が良いと言うのは、貴殿には苦手な政治の部分だな。
そう苦い顔をされるな、誰にでも不得手はあるのだ。
それを踏まえた上で、将軍に対し言上されると良いかと思われる。
それとな象使いの女兵士が酒を飲まぬかと言う話だが、
今回は丁重にお断りしておいてくれ。
あぁそれと私は貴殿の部下と言う事で構わない。
その方が都合・・・ゲフッゲフッ。付き合い易いのだ。


>>162
ん?入隊希望者は身上書提出後テストを行う。
結果次第では斬首になるから注意するように。
164傍観者:02/11/13 11:05
馬参将軍の前の主君、董卓を殺した呂布と涼王は同じ姓だが、何か関係はあるのでしょうか
165呂砲の父(亡霊化):02/11/13 12:16
首だけになろうとも地の底から、あるいはキャバクラの女の子を口説いてる背後から、
時にはお布団の中まで、父は我が息子の覇業を最後まで見届けようぞ!
待っててもなんだか殺されそうだし、
テスト受けに行くか、まずは身上書提出してくるか。
このままじゃいずれやられそうだし
入隊希望者は身上書提出後テストを行う。と言われていることだし
まずは身上書提出してくるか。
私の得意技は、呂砲様のぬいぐるみで呪いをかけたり攻撃したりすることです。と
168郭図公則 ◆sW2getuhmE :02/11/15 20:37
君主の消耗が激しく全体的に停滞しているか・・・
まあ、気長に待つべし

所で、呪いなどと言うヒカガクテキな物が横行しているとか、用心せねば
169希代之護衛兵日記:02/11/16 16:49
今日は洛陽に諜報・・・ではなく訪問しに出かけた。
洛陽は大都市ならではの賑わいだった。珍しい書物や武具を見ていたところ、
頭上から急に声がしたので見上げてみると、象にまたがりものすごい勢いで
値切っている女性を見かけた。街中で器用に象を操る妙技に驚いたが、
旗印の「郭」の字を見て、手に取っていた物を落としてしまった。

店の主人に怒られたあと、改めて郭図殿の諜報、軍備力に脅威を感じつつ
1騎で象にどう対抗できるかを空想しながら帰路についた。
170文官のうわさ 1/2:02/11/18 03:38
文官A「最近、殿下の姿が見えぬがどうしたものやら…。」
文官B「流行性感冒ではないのか?」
文官C「いや、感冒は治っている頃かと。
     年末にむけて激務に勤しんでいるのではないのか?」
文官D「お前ら知らないのか?
     殿下は、来月の24日25日の準備でうつつを抜かしているらしいぞ。」
171文官のうわさ 2/2:02/11/18 03:40
     <   ナ ゝ   ナ ゝ /    十_"    ー;=‐         |! |!    >
     <    cト    cト /^、_ノ  | 、.__ つ  (.__    ̄ ̄ ̄ ̄   ・ ・   >
            ,. -─- 、._               ,. -─v─- 、._     _
            ,. ‐'´      `‐、        __, ‐'´           ヽ, ‐''´~   `´ ̄`‐、
       /           ヽ、_/)ノ   ≦         ヽ‐'´            `‐、
      /     / ̄~`'''‐- 、.._   ノ   ≦         ≦               ヽ
      i.    /     A    ̄l 7    1  イ/l/|ヘ ヽヘ ≦   , ,ヘ 、           i
      ,!ヘ. / ‐- 、._   u    |/      l |/ ! ! Bヾ ヾ ヽ_、l イ/l/|/ヽlヘト、      │
.      |〃、!ミ:   -─ゝ、    __ .l         レ二ヽ、 、__∠´_ |/ | ! |C | ヾ ヾヘト、    l
      !_ヒ;    L(.:)_ `ー'"〈:)_,` /       riヽ_(:)_i  '_(:)_/ ! ‐;-、   、__,._-─‐ヽ. ,.-'、
      /`゙i u       ´    ヽ  !        !{   ,!   `   ( } ' (:)〉  ´(.:)`i    |//ニ !
    _/:::::::!             ,,..ゝ!       ゙!   ヽ '      .゙!  7     ̄    | トy'/
_,,. -‐ヘ::::::::::::::ヽ、    r'´~`''‐、  /        !、  ‐=ニ⊃    /!  `ヽ"    u    ;-‐i´
 !    \::::::::::::::ヽ   `ー─ ' /             ヽ  ‐-   / ヽ  ` ̄二)      /ヽト、
 i、     \:::::::::::::::..、  ~" /             ヽ.___,./  //ヽ、 ー         / ゝ
 .! \     `‐、.    `ー;--'´             //イ;;:::::    //〃 \   __, ‐'  / / \
  ヽ \     \   /               /  /i:::::.   //      ̄ i::::: / /
#そんなわけないですよね、殿下♥ 仕事がんがってくだされ。
172無名武将@お腹せっぷく:02/11/19 15:56
お久しぶりで御座います。
・・・どうも皆、流行性感冒が治りきらぬようですなあ。
殿下はお風邪をひいてはおりませぬので?
風邪ではないにしろ健康にはきをつけてくだされ。

どうも私は根っからの武人のようで政治よりも戦略・戦術を考え、陣頭指揮を取るほうが似合っているようです。
攻め込む際にはなにとぞ私を先陣の一人に加えてくだされ。
173廖衛:02/11/19 15:59
ぐは、名前入れ忘れた上にsage忘れ・・・。
>172は私で御座います。申し訳ありません。
罰として三ヶ月の俸給を返上いたします、トホホ・・・。
174雑兵1号:02/11/20 18:05
やれやれ、年末になると忙しくて飲みにもいけねえな。
殿、いや殿下は文官たちにこき使われて、泣きそうになっていますよ。

私も目が回るほど忙しいんですよ。
親衛隊の訓練を指揮しながら居眠りしたり、
落ち葉を集めてイモを焼いたり、甘柿と間違えて渋柿を食べたり。

明日は栗拾いにキノコ狩り・・・あー忙しい。
いきなりグチだが聞いとくれ。
同業他社にやられちゃいました。完膚なきまでに。
レベルの違いというやつを徹底的に見せつけられ、ここ数日完全に抜け殻状態。
ようやく復活できました。
えー今後ですが、11、12月ちゅーのは何かとイベント満載のため、どうしてもupが遅くなりそうです。
のんびりお待ちくだされ。

>>160雑兵1号殿
そ、そんな! 戦象隊の筵ってそんなに高かったのか!
ボーナスカットされたら……スリップサイン出てるタイヤ、交換できんではないか!
215/40ZR17、4本で10万近くするんだぞ!(かつ1年ぐらいしかもたない)

>>161
……と思ったが、民忠が上がったのなら……泣いて我慢しよう。

>>164傍観者殿
マジレスですが、「呂砲」という名前は、自分が三国志8を呂布でプレーする際、呂布の息子として作った新武将の名前です(ちなみに弟は呂覇、姉が呂剣。呂剣の息子が呂天)。
いずれも呂布の一族にふさわしい能力に設定してました。
無理矢理プレイにおける「呂砲」は、呂布との親子関係を解消し、上記「呂砲」の能力を大幅にスケールダウンした武将です。
本スレの中でも、呂布とは何の縁もない人物で行こうと思っています。
飛将軍呂布の弟が戦さ下手では、呂布本人も迷惑でしょうし、自分自身が呂布ファンなため、国士無双な兄の名を辱める存在がヤだったり。
>>165呂砲の父殿
い、いやその父上……せめてお楽しみの時間だけは勘弁していただけませぬか?
ヘタなのがばれたら……じゃなかった親子の関係にもプライバシーは必要ですぞ。

>>168郭図公則殿
すまんなー遅くなって。
おかげで、郭図公則殿へのネタ振りのタイミングがなかなか訪れぬ。

>>170>>171文官のうわさ殿
「そんなわけないですよね」って……。
そりゃ予定は仕事ばかりなんだけどさ(T∀T)

>>172廖衛殿
貴殿には「戦さ好き」だけでなく、「慌てん坊将軍」のキャラも追加しようw

>>174雑兵1号殿
飲みにはいけないし、ボーナスもカット。悲しいことばかり。
お、親衛隊長。その甘柿寄越せ!
せめて秋の幸せだけでも実感させろ。

 ・゚・(ノД`)・゚・渋柿だし……
「正規軍と増援軍を合わせて、19万近く……といったところですな」
ごくごく落ち着いた調子の呉蘭だが、それが虚栄であることは全員が承知している。
もっとも、不安なのは誰もが同じ。呉蘭をからかう者はいない。
11万対19万。9部隊対20部隊。
平常心で挑める者がいたとしたら、それこそ異常だ。
「策はひとつしかございません」
第二軍軍師の黄権が言った。
「かつて、殿下と我らの旧主が初めて戦火を交えた折り、殿下が採用なさった策です」
黄権の言葉に、何人かの武将が肯く。
それに対して、吾玄は不満そうな表情を浮かべた。

呂砲軍にとって初めての攻略戦闘となった巴の戦い。
攻撃側の呂砲軍約5万に対し、迎え撃つ劉璋軍は正規軍と増援軍合わせて約10万。
無謀とも思える戦闘だったが、呂砲軍は劉璋の正規軍のみを徹底的に攻撃し、増援軍がたどり着く前に戦闘を終わらせてしまっていた。

「問題は敵正規軍の数ですな」
張任が指摘する。
「8万近く、ですからな。敵増援軍が来るまでに、これを全滅させることは難しいでしょう」
敵正規軍との戦闘が開始されるのは、だいたい3―4日目。
敵増援軍がこれに加わるのは、だいたい7―8日目。
また、張任ら旧劉璋軍武将としては認めたくない事実だが、孫策軍の武将の層は、旧劉璋軍よりも厚い。
4、5日程度で、8万近い正規軍を全滅させるなど不可能だ。
「敵増援軍が現れた時は、どのようにいたしましょうや?」
張任の問いかけ。これに答えたのは、吾玄ではなく、袁奉だった。
「何があろうとも、敵正規軍への攻撃のみに全力をかける。これしかございますまい」
少し驚いた表情になる吾玄にかまわず、袁奉は続けた。
「どれほど激しい攻撃を受けようが、どれほど悪辣な挑発を受けようが、徹底して増援軍は無視。全軍死兵となって、敵正規軍の殲滅のみに集中する。これ以外に勝機はござらん」
一息にそう告げた袁奉は、吾玄の方を向いて断定的に言った。
「軍団長。それでよろしゅうございますな?」
若干目を白黒させながらも、吾玄は渋々と肯いた。
(余計なことをしてくれた)
吾玄は怒っている。
孫呉軍19万? それがどうした。すべて殺し尽くしてくれる。
そう思っていたが、袁奉の有無を言わさぬ軍議の進め方の前に、気勢を制せられた。
(しかし、軍団長は私だ。いざ戦闘が始まれば……)
吾玄の脳裏から、孫呉憎しの感情は押さえようがなかった。

(とりあえず、作戦決定まではうまくいった)
袁奉は安堵の息をついている。
孫呉軍19万。強大な相手だ。そのすべてと戦っている余力はない。
そう思ったからこそ、吾玄の面子を潰す可能性を承知で、軍議を強引に終わらせた。
(しかし、軍団長は四則殿だ。いざ戦闘が始まれば……)
袁奉の脳裏から、不安が消えることはなかった。

憎しみと不安。七同志二人が抱く感情は、この時、まったく正反対のものだった。
相反する感情を胸にしまいつつ、第二軍は長江を突破、上陸した。
遠くに見える砦から盛大に火矢が放たれたのは、その直後のこと。
狙われたのは、先頭を進んでいた吾玄隊。森林が燃え上がり、吾玄隊を焼き尽くそうとする。
「消火の必要などない! 突破せよ! 孫賊は目の前にいるぞ!」
まったく動じることなく、部隊を叱咤する吾玄。
しかし、その直後。吾玄隊はさらに盛大な炎に包まれた。
「うぉっ……これはいったい…!」
あらかじめ仕掛けられていた火罠が、火矢に引火した瞬間だった。
吾玄隊は、身動きが取れなくなった。

「軍団長をお助けせよ!」
第二軍軍師・黄権が叫ぶ。
黄権の沈静化で、吾玄隊は足止め状態から脱却した。
しかし、依然としてその周囲では、盛大に炎が舞っている。
これから19万もの敵と戦わなければならない。
たとえ1人の兵であっても、貴重な兵力だった。
「鎮火だ! 急げ!」
ほかの部隊が吾玄隊の周囲に駆けつけ、消火に努める。
多少火の勢いが弱まってきたところで、遠くに呉の部隊が現れた。
呉部隊はこちらに襲い掛かってくるでもなく、ただ黒色の旗を振っている。
「なんだ? 何をしている?」
いぶかしむ間もなく、今度は至近距離から騒ぎが起こった。
呉蘭隊と雷胴隊。それぞれの部隊内で、同士討ちが始まっている。
「埋伏!……孫賊め!」
直接の戦闘が始まる前に、少なからぬ兵が死んでいく。

大火事となった。
吾玄隊を中心に、第二軍は盛大な炎の渦中にいる。
それを強引に突破し、最初に砦に辿り着いたのは張任隊。
涼軍の侵攻に備えてきたのだろう、翻陽には4つもの砦が構築されていた。
最前線に位置する砦に陣取っていたのは、総大将の朱治。弩兵部隊。
「撹乱」戦法を完全に手のものとしている張任だが、あえて通常攻撃で朱治隊に襲い掛かる。
成功すれば、敵部隊を混乱状態とすることができる「撹乱」だが、今回弩兵部隊に対しては、通常攻撃のみで戦うことになっていた。
数日後には、10万以上もの敵増援軍が現れる。
それまでに敵正規軍の数を少しでも減じておかなければならない。
そんな状況下で「撹乱」を失敗すれば、重大な時間的ロスを招く。
「おおお! 総大将殿は弩兵隊ときたか! これはありがたい!」
張任に続いて突入してきた厳顔が、嬉しそうに叫んだ。
間接射撃を得意とする弩兵隊は、直接攻撃に弱い。
やがて、呉懿隊も朱治隊への攻撃に加わった。
黄権隊も砦に張り付いた。
攻撃目標は朱治ではなく、賀斉の重歩6700。
重歩に対し、通常攻撃では分が悪い。しかも、賀斉は砦の中に立てこもっている。
「『撹乱』だ! 続け!」
黄権も「撹乱」の技量は高い。砦内の敵に対する戦法の成功率は軒並み落ちるが、この一撃は賀斉隊に打撃を与えた。ただし、混乱状態とするまでは至っていない。
「……浅かったか」
舌打ちをする黄権。
すると、砦から一騎の騎馬武者が現れ、大声で呼ばわった。
「涼参軍・黄権殿とお見受けいたす! 我こそは呉軍が将、賀斉! 互いの膂力をここに競わん!」
日ごろ冷静な黄権は、やはり冷静に今の状況を分析した。
砦に立て篭もる重歩隊。殲滅するには、かなりの時間がかかる。
しかし、一騎打ちに勝てば、部隊の兵は四散する。時間も、部隊の損害も、大幅に節約できる。
それに……猛将たちの間にあっては影が薄くなるものの、黄権自身、己の膂力に自信がないわけではなかった。

黄権(武力70)vs賀斉(武力70)

「軍師殿!……やりますな!」
張任がそう怒鳴りながら、賀斉隊がつい先ほどまで陣取っていた砦に突入していく。
部下に賀斉を縛り上げるよう指示した黄権は、額の汗をぬぐって微笑んだ。
消火作業でいったん収まりかけていた火事だったが、折りからの強風で再び勢いを取り戻した。
「ええい、この忌々しい風め!」
呉蘭が悪態をついた。
「手のあいている者! 雨乞いをいたせ!」
本気とも冗談ともつかぬことを叫ぶが、もちろんそれに応える者はいない。
そもそも、手のあいている者など一人もいない。

北から吹き下ろされる風は、南側に位置する呉蘭、雷胴、そして孟達の3部隊をして、猛烈な炎に包んでいる。
炎に焼かれる者、煙を吸って倒れる者など、その被害は馬鹿にならない。
しかし、消火に勤しんでいる暇はない。グズグズしていると、増援軍の攻撃にも晒される。
そして、この場所から離れるわけにもいかない。陣の懐に入り込まれ、砦を攻撃している厳顔らにも被害が及ぶ。
炎と孫策軍。同時に相手にするしかなかった。
「ここが踏ん張り所だ! 意地を見せてみよ!」
叫ぶ孟達の髪の毛は、火で縮れている。
普段はニヒルな孟達も、般若の表情となっている。
呉参軍・歩隲の「撹乱」攻撃は、雷胴隊のもっとも弱い部分を正確に突き崩した。
「う、うろたえるな! すぐに敵が来るぞ!」
うろたえる雷胴の声は、配下の兵たちをいっそううろたえさせた。
動揺にさらに拍車がかかったのは、呉将・高順がこちらに突進してくるのが見えたため。
大混乱となっている雷胴隊に、それを迎え撃つことはできない。
雷胴は悲鳴を必死でこらえた。将としてのせめてもの意地だ。
ものすごい勢いでこちらへ向かってくる吾玄隊に気付き、歓声を上げたのは、生ある者としての本能だ。
「四則! やつを……やつを止めてくれ!」
雷胴は上司たる軍団長を、昔のように字で呼んだ。

突撃に転じていた高順隊は、自隊の横脇を突くように出現した吾玄隊に明らかに驚いている。
急いで高順は隊を転回させようとしたが、勢いのついた部隊を統御することは難しい。
「撹乱!」
吾玄の命令一下、吾玄の蛮兵隊は鮮やかに高順隊を分断。そしてそのまま反転し、もう一度高順隊を突き崩した。
この一撃で、高順隊もまた、混乱状態となった。
隊をまとめた吾玄は、もはや高順隊には見向きもしない。
「一丁上がり」とでも言うように、別の獲物を捜して北上していく。
「お、おい! 四則……いや、軍団長!」
立ち去ろうとする吾玄に、慌てて雷胴が呼びかけた。
「ぐ、軍団長、お待ちを! わしの部隊の沈静化を御助力いただけぬのか!」
請われた吾玄は、馬を走らせたまま叫び返した。
「黄権にでも頼め!」
雷胴は罵声を上げるしかなかった。
自分は今回、裏方だ。
袁奉は最初からそう決めていた。
敵部隊の暫撃は、厳顔、張任らに任せ、自分は彼らが戦いやすいよう、ほかの敵を引き付けるとともに、動きを封じる。
戦場は森林。袁奉の「撹乱」レベルは極。さらに袁奉の膂力は七同志随一のもの。
袁奉以上の適役者はいなかった。
というわけで、北側の戦場で涼唯一の部隊として陣取る袁奉は、たった一部隊で蘇飛、蒋欽、許貢の三部隊を食い止めている。

「撹乱!」
蘇飛隊が大混乱に陥った。
「撹乱!」
蒋欽隊が算を乱した。
「撹乱!」
許貢隊が陣を崩した。

(満足すべき内容だな)
戦果を確認し、袁奉は笑みを浮かべた。
自分自身の「撹乱」の技に。手足のように動いた配下兵士たちに。そして……。
「これまでの損害、戦死200、負傷200!」
馬に乗った武官が、袁奉に報告する。
「水兵隊の損害は?」
袁奉は武官に―水兵隊長―尋ねた。
「損害なし」
水兵隊長の返事は素っ気ない。
赤壁の戦いを控え、急遽編成された涼水兵隊。
元は泳ぐことすらできなかった彼らは、降将・甘寧の猛特訓を経て、涼唯一の水上戦部隊へと成長した。
しかし赤壁以降、雲隠しにでもあったかのように、その存在は消え失せていた。
赤壁での活躍を喜んだ呂砲が、水兵隊をあらゆる特殊任務に対応できる部隊とすることを望んだためだった。

赤壁の戦いから1年余。水兵隊はさまざまな訓練を受けた。
攻城用の土木訓練、奇襲用の隠密行動の訓練、夜間でも行動できるような訓練、「最強の歩兵隊」と称される蛮兵隊を相手にした戦闘訓練。
途中、何人もの死者を出しながらも、その訓練を乗り越えてきた兵は、約1000。
その1000人は今回、袁奉の部隊に編入され、その力をいかんなく発揮している。
「なかなか良い動きをしている」
袁奉の言葉に、水兵隊長は軽く頭を下げた。

馬参隊は破壊力がある。
吾玄隊の俊敏さは、他の追従を許さない。
廖衛隊は「突撃」と「撹乱」を使い分ける起用さを持っている。
何かと涼王から虐げられている町費隊は、泥臭いほどに必死な働きを見せる。
希代之隊は「混乱状態になっても落ち着いている」と言われるほど冷静。
郭図公則隊は、わけがわからないうちに戦功を稼いでいる。

七同志の各部隊の中にあって、袁奉隊は決して勇猛を唄われる部隊ではない。
袁奉は目立つことに執着する男ではないが、自隊の色付けができていないことには、若干焦りのようなものも感じていた。
(しかし、この水兵隊がわしの配下となれば……)
戦場にあってではあるが、袁奉はそんな想像を束の間楽しんだ。
「袁奉将軍。朱治が蒋欽と蘇飛を沈静化させました」
水兵隊長が、袁奉を現実に引き戻す。
「承知した」
袁奉は肯いた。
「何度でも混乱させてやろうではないか」
水兵隊長は「御意」とだけ応えた。
孫呉憎し。
その心情に揺らぎはまったくない。
正規軍のみならず、増援軍もすべて殺し尽くす。
その意志にも変化はない。
だからといって、闇雲に攻撃を仕掛けるほど、吾玄は熱くなっていたわけではなかった。
できることとできないことの区別は、当然ついている。
自分が成すべきことは、戦法「撹乱」で敵部隊を押さえ、友軍を支援すること。
対劉備戦でいかんなく発揮された、吾玄の「撹乱」。孫呉においても「撹乱の吾玄」の通り名は通用している。

高順や歩隲、周泰ら、森に侵入してきた呉部隊に次々に「撹乱」を炸裂させる吾玄。
吾玄自身にとっても久々の戦闘だが、腕は錆びていないどころか、以前よりも鋭さに磨きがかかったような気さえする。
(敵部隊……すべて大混乱に陥れてみせるわ)
次なる獲物を捜しながら、吾玄は舌なめずりしている。
とはいえ吾玄隊は、全攻略部隊の中でも最大級の被害を受けていた。
砦に立て篭もる朱治、太史慈、韓当の弩兵隊は、総大将である吾玄に的を絞っていた。
こちらの「撹乱」の成功率も高いが、敵の「火矢」そして「斉射」も恐ろしく精度が高い。
吾玄が率いていた14000の蛮兵のうち、戦闘可能なのは半分以下の約6000。
破壊力に劣る弓攻撃でも、集中し続ければ、いつのまにか大きな戦果となっている。

「軍団長! いったん弩の射程外へ!」
砦への攻撃を繰り返していた黄権が叫んだ。
全滅してしまっては、孫呉を叩き潰すことはできない。斐妹の仇は討てない。
不承不承、馬首を反した吾玄は、砦の向こうに土煙が上がったのを見た。
「来おったな……」
体中がカッと熱くなるが、そのまま部隊を下げることに変更はない。
孫呉を叩き潰せるのなら……いったん後退するぐらいなんだ。

抹陵と廬江からの増援軍が現れたのと、呉懿が呉正規軍総大将の朱治を捕らえたのは、ほぼ同時だった。
総大将捕縛の報に、呉軍の間に動揺が走る。その隙をついて、厳顔が砦に侵入する。
次なる標的は、太史慈。孫策の親衛隊長として名を馳せた男だ。

※次回、「翻陽攻略戦(その3)」。気長にお待ちのほどを。
186吾玄 ◆pa7KljsyW2 :02/11/20 23:27
………一騎打ちか
それもアリだな…
機会があったら狙ってみるか?
187吾玄隊(柴桑兵):02/11/21 00:23
A「あちちち、また火だ!」
B「さすがに呉兵は矢の扱いは上手いな」
C「呉賊は死ねや!死ねやぁぁぁぁ!!」
A「あいつは相変わらず元気だな。」
B「全くだ、む?増援が来たぜ。」
C「皆殺しやぁぁぁぁぁ!!!」
C「
188旅の占い師:02/11/21 01:04
むむ・・・・間に合わなんだか・・・・吾玄隊は出陣してしまったようだ・・・・
柴桑を目前にして寝こんでしまったのが悔やまれるのう・・・・
しかし・・・・あのままでは思わぬ痛手を受けようぞ・・・・
さりとて吾玄将軍は聞く耳をお持ちではない様子じゃ・・・・
困ったのう・・・・

>呂砲様
ってな訳で、老道師は「孫呉皆殺しは吾玄将軍の呉攻めに不吉」と
予言している模様です、なお、出発前に柴桑に到着出来なかったので
この事は吾玄将軍の耳には入っていない(っていうか今の状態で耳に
入れたら多分切り殺されるでしょうが・・・・)という事で。
189廖衛 ◆ttmECRHBeQ :02/11/21 11:51
>殿下
ゲッ、私は性格『冷静』なのに。(⊃д`)トホホ・・・。
まあそれはそれとして、過去スレをフロッピーにとって読み返しておきました。
その御陰でトリップをつけることもできましたので・・・。
此れからも宜しくお願いします。
あと、七同志をつくり三国志[をやってみました。
中々面白いですな!
190雑兵1号:02/11/21 20:05
【涼王執務室の片隅にて】

殿下、なに泣いてるんですか?
タイヤが買えない?215/40ZR17?また私と似たようなの履いてますな。
お古のSタイヤでよかったらあげますよ。ツルツルですが。

※内緒話ですので突っ込まないでください。

191希代之副官:02/11/22 19:35
それがしも殿下+七同志+副官8名でVIIをプレイ中です。
兵糧を売ったり弓を作ったり、忙しい毎日です。

>希代之様
ただ今荊州から戻りましたのでご報告いたします。

見聞したところでは町費将軍の評判がとても良かったです。
劉備の遺族の世話のことやら洛陽攻略戦の事やら、皆よく知っておりました。
涼で随一の義人ともっぱらの噂でございます。町将軍もなかなかやりますな。

それと揚州の細作からの報告ですが、第二軍は翻陽へ進発した模様。
兵の士気は、巴守備軍以来の正規兵はかなり盛んであります。が、
南蛮兵のなかには厳しい訓練で不満をもつ者が多いとのこと。
呉国内では例の女間者の事を調べているのですが、全く手がかりが掴めません。
それにしても、軍事面でも調略面でもやや呉賊めに遅れをとったきらいがありますな。
我々もなにか呉に対し一策を講じるべきでしょう。

最後に…私事になりますが、それがしの父が殿下に美人を贈りたいと
申しておるのですが…どのように取り計らえばよろしいでしょうか?
192郭図公則 ◆sW2getuhmE :02/11/23 19:37
我が君ご帰還で一安心しつつ見習に連絡

投書箱に書いてあった「飲むと変死するお茶」及び「良茶を毒茶にするヤカン」
の全容を掴み解決せよ。

しかし、地位を得ると皆変わるものだ…
193水兵隊:02/11/23 21:28
水兵隊長
「右舷3番隊動きが遅い!何をやっている!もっと切り込め!」
3番隊兵卒
「滅・滅・滅」
(水兵隊の暗さが5上がった!明るさが下がった。)


194水兵隊:02/11/23 21:35
呂砲さま!申し訳ございません。打ち間違えてsagaになってしまいました。
他の方々も申し分けございませんでした。
この罪、この首で許してくだされ。どなたか解釈お頼み申す!
身上書提出後、テストを受けたが10日間以上音沙汰がない・・・。どきどき。
やはり。できもしない呪いとか書いたのが、失敗の元だったのだろうか
でも得意技が、盗み、変装じゃいきなり斬られそうだしなぁ
やはり泥棒には、光はあたらないのか・・・・。
>>186吾玄殿
一騎打ちというのは、なかなか狙い通りには発生しないものだが、いずれも吾玄殿も遭遇することになるだろう。
それまで腕を磨いておいてくれ。
つーか町費殿は妙に多いんだよな。一騎打ち。
ま、わしの操作ミスによるものが大半なんだが。

>>187吾玄隊(柴桑兵)殿
次回当たり、登場できそうです。
お楽しみに。

ただし、かなりチョイ役の予感w

>>188旅の占い師殿
めーちゃくちゃナイスタイミング!
いや、ホント!
どうしようか迷ってたんだが、おかげで続きが書けました。
今後とも、ネタ振りヨロ。
>>189廖衛殿
なに、そう悲観するこたーないって!
慌てん坊も立派な個性。
個性があれば、何かとネタにしやすいのだ。

>>190雑兵1号殿
マジ? タイヤくれるの?
おおおおお、わしは今、猛烈に感動している!
これもすべて、わしの人格の賜物だな!
で、Sタイヤ…………もしかしてスリックタイヤ?

           ∧_∧
          /⌒ヽ ) わしのタイヤ、すでにスリック状態なんだが……
         i三 ∪  
          |三 |
         (/~∪
        三三
       三三
      三三
>>191希代之副官殿
副官まで登場とは、恐ろしく重厚な布陣だ。
で、ひとつ聞きたいことがあるのだが。

雑 兵 1 号 の 武 力 っ て 、 も ち ろ ん わ し よ り 下 だ よ ね 。

で、その美人ネタ。おもしろいものになるかもしんない。
あとは希代之殿の反応を待とう。

>>192郭図公則殿
そんな物騒なお茶、どうするつもりだ…

>>193にわか水兵隊長殿
ま、sage進行はあくまでも「基本的に」ってなもんで。
ただし、そんなに罰をもらいたいのなら、わしとしてもやぶさかではない。
沙汰は「翻陽攻略戦(その4)」で出そう。
お楽しみに。グフフッ。

>>195郭図公則様支援倶楽部会員殿
参加を歓迎いたします。
みんなで楽しんでいきましょう。
涼の戦闘は速戦。何を置いても機動力重視。
自他ともに認める戦さ下手な呂砲だが、これだけは頑として譲らない、絶対不変のポリシーだ。
疾風戦術で速やかに敵に接近し、包囲し、一部隊ずつ袋叩きにしていく。
不利になったら、行軍の速さを利して戦場から離脱。かつ他の部隊が、素早い行軍でカバーする。
もちろん、速さだけでは戦さには勝てない。
大量殺傷戦法の「突撃」、「乱撃」。敵の動きを封じる「撹乱」、「奇襲」。
これらの戦法を十分に習得した武将を中心とした部隊編制で、序盤から優位に戦闘を進め、そのまま押し切る。
これが涼軍の戦闘のパターンだ。
「翻陽の戦い」でも、それは忠実に実行されていた。
大火事による少なからぬ損害、計略「埋伏」による混乱と、確かに先手を取られた第二軍だったが、すぐにそれを切り抜け、呉軍を押しまくっている。
だが、その勢いも弱まりつつある。
放たれた矢は、呉正規軍を貫くには十分な威力を持っていた。
しかし、孫策、周瑜、孫権、魯粛、黄蓋などから成る10万以上の増援軍は、「ついでに」打ち抜くには、余りにも分厚い壁だった。
雷胴が高順隊を殲滅し、吾玄が周泰隊を押し返した直後、覆い被さるように増援軍が押し寄せてきた。
その圧倒的な勢いに、吾玄は目を剥いた。
数を頼んで呉蘭隊を押し包んだ増援軍は、そのまま呉蘭隊を消し去ってしまっていた。
呉軍の方から歓声が上がる。
その歓声が第二軍を揶揄するものへと変わるまで、それほど時間はかからなかった。
揶揄の対象は吾玄。
特に、ついさっきまで青息吐息だった正規軍の許貢隊は、躍り上がるように吾玄を挑発している。
「ほう……わしを笑う、か」
肩で息をつきながら、吾玄。その目は血走っている。
「横陣に組み直せ! 『槍衾』だ!」
「車懸」と並ぶ最強戦法「槍衾」。
涼軍武将の中で、これを使いこなせるのは、関羽ぐらいのもの。
吾玄にしても、その習得度は決して高いわけではない。
しかし戦闘というものは、「勢い」や「気迫」が加味される余地を多分に含んでいる。
ズラリと並んだ吾玄隊は、低い姿勢から突き上げるように、明白な意志を持って許貢隊へと突進した。
第一陣が崩し、第二陣がかき乱し、第三陣が止めを刺す。
「許貢ぉー!」
最初から最後まで先頭にあった吾玄は、恐怖に顔を引き攣らせている許貢に向かって突進した。
「笑ってくれたのう……わしを笑ってくれたのう!」

増援軍から、歓声と嬌声が止んだ。
3000以上残っていたはずの許貢隊は、一瞬にしてこの世から消え失せていた。
「見たか、孫賊!」
返り血で顔を赤黒く染めた吾玄は、許貢の首を高々と掲げた。
「我こそは涼第二軍団長・吾四則なり! 死にたい者は遠慮なくかかってまいれ!」
夜になった。
敵味方とも、夜襲に備えて最低限の警戒を敷いているが、基本的に休戦状態だ。
戦闘が始まってから10日。いずれも疲労の色は隠せない。
粗末な天幕の中で、吾玄は横になっている。
疲れ切ってはいるが、なかなか寝付けない。
神経が極限まで昂ぶっているのだ。

これまでの戦闘で、呉蘭のほか、雷胴と呉懿の3部隊が全滅している。
孟達と黄権の部隊も、そろそろ限界に近い。
砦に突入した張任と厳顔隊は、砦の装備を利用して呉の攻撃を退けながら、敵に手痛い損害を与え続けている。
頭が下がるのは、袁奉だ。
森の中を縦横無尽に駆け巡りながら、圧倒的数の増援軍を切りきり舞いさせている。
袁奉隊の活躍がなかったら、とっくに第二軍は中央から分断され、敗北を余儀なくされていただろう。
先ほど、袁奉の伝令が状況を伝えてきた。
「袁奉隊、依然戦意旺盛。増援軍主力は我に任せ、軍団長はよろしく敵正規軍の殲滅にその武を発揮されんことを」
頼もしい。
孫策、孫権、そして周瑜という強力な敵部隊を、たった一人で押さえると言っているのだ。
袁奉は大言壮語を吐く男ではない。とはいえ、揺るぎ無い自信ゆえの言葉ではあるまい。
袁奉隊以外に増援軍主力に対峙できる部隊はない、というのが実状だった。
(明日まで待ってくれ)
少しずつ意識が薄れていくのを感じながら、吾玄は戦友に向かってつぶやいた。
(明日、私もそちらに加勢に行く。ともに……孫策の首を……)
袁奉がそれを望むかどうかは別として、吾玄はそう決めている。
第二軍はこれまでに、朱治、賀斉、高順、周泰、許貢、蘇飛の6部隊を殲滅させている。いずれも翻陽の正規軍だ。
残る敵正規軍は、太史慈、韓当、潘濬の3部隊。
第二軍の猛撃によって、そのどれもが相当な損害を被っている。
この3部隊を叩きのめせば、戦闘は勝ちだ。
それぐらいのことは、もちろん吾玄も承知している。
だが、頭ではわかっていても、心で理解を拒んでいるもう一人の吾玄がいる。

もう一人の吾玄。
斐妹を失ってからというもの、その人格は日に日に強くなっている。
「もう一人の吾玄」は、心の中で叫び続けている。
「孫呉の将兵を一人残らず殺し尽くせ」
「それが適わぬのなら、孫策だ。やつを八つ裂きにするのだ」
「孫策さえ殺せば、残りは烏合の衆。揚州制覇などたやすい」
「呉を滅するは、孫策を斬った後でもよい」

そして今、さほど離れていない距離に、その孫策がいる。
袁奉の足止めにあい、北戦場で動きを封じられている。
「孫策隊を壊滅させるのだ……さすれば、敵は戦意を失い、ほどなく退却する……孫策を殺すのだ……」
まだ、孫策隊は1万4000もの兵を有している。
対する吾玄隊はわずかに4000余り。袁奉隊にしても、8000を切っている。
吾玄隊と袁奉隊が協力すれば、孫策隊を潰すことは決して不可能ではなかった。
しかし、それが達成したころには、張任隊も厳顔隊もまともな形では残っていないだろう。
そんな未来図は承知していた。
だが、少なくとも吾玄の心の中では、それとこれとは別だった。
すぐ近くに孫策がいる。
やつを殺せば、すべては解決する。
ならば、自分が取るべき手段はひとつ。
引っかかるものを感じつつも、自分にそう言い聞かせながら、まどろむ。
そのまどろみが途絶えたのは、天幕の外の兵たちの騒ぎ声だった。
「何事か?」
天幕から顔を出した吾玄は、護衛兵に尋ねた。
護衛兵は背筋を伸ばし、怪しい老人を捕らえたと報告した。
「老人? 近くに住む百姓ではないのか?」
「はっ。陣中を徘徊していた者にございますが、道士を自称しております」
「……呉の埋伏か」
「これより、取り調べを行うところにございます」
「ふん、おもしろい。わし直々に尋問してやろう。連れて参れ」
「はっ」
吾玄の口元に、残虐な笑みが浮かび上がった。
孫策を殺す前の生け贄だ。
明日、軍の先頭にその首を掲げるとしよう。

呆けたような顔をしていた老人は、吾玄の存在に気付くと、ハッとしたように振り向いた。
「ほう、貴殿でございましたか」
吾玄が口を開く前に、妙に納得したように老人は言った。
眉をひそめた吾玄は、何も言わずに胡床に腰を下ろし、老人を見据えた。
「気からして、ここらへんと当たりを付けておりましたが……いやはや、軍団長様が根元とは思いませなんだ」
ここは戦場だ。ましてや、局地的には勝っているとはいえ、全体的に涼軍は劣勢を強いられている。
馴れ馴れしい老人の口調は、そんな極限状態にある吾玄の神経を逆なでするのに十分だった。
「言い残すことがあるのなら、聞いてやる」
抜いた剣を老人の首筋に当て、吾玄は冷たく言った。
204馬参 ◆.L/ffpm.yw :02/11/24 00:26
一月近くも無断で出仕せず、面目ござらぬ。
それがしも多分に漏れず流行り病にかかり、少々臥せっておりました。
健康には気をつけたいものですな。
「言い残すこと……でございますか?」
しわだらけの老人に、表情の変化は伺えない。
しかし、苦笑していることはその口調でわかる。
「修養の浅さが悔やまれますな。どうやら私は、将軍を怒らせてしまったようで」
「年寄りを斬ることは、決して本意ではないのだ。呉の間諜であってもな」
老人の態度にさらに殺意を募らせながらも、吾玄は平静を装った。
「自分は呉の手の者ではない……と申しても、無駄のようでございますな」
老人の口調は飄々としている。
一方の吾玄は、わずかに眉を釣り上げた。
「苦しまぬよう死なせてやる。その首は晒し物として使わせてもらうが、死んでしまえば別に関係はあるまい……さっさと申せ」
「さようですな……」
軽く顎をつまんだ老人は、軽く肯いた。
「私が言い残したいことは別にございません。ただ、かの者はあるようですな。その声を申し上げましょう」
老人は曲がっていた腰を伸ばし、言った。
「『申し訳ございません』と言っております。なんとも哀しい響きです」
「いまさら命乞いか?」
「私ではございません。あと『どうか以前の四則様にお戻りください』とも。将軍に呼びかけておりますゆえ、気にかけてやれば、かの女も喜びましょう」
女。その言葉に、吾玄は電撃を打たれたように硬直した。
「漢朝の崩れ行く様を見るなど、なかなか面白き人生にございました。最後は名将と名高い吾玄将軍に首落とされるとなれば、あの世へ行っても自慢ができますな」
「おい老人!」
「はい」
「今……女、と申したな?」
「申しました」
「わしをたぶらかす腹積もりか!」
「は?」
「呉の間者め、わしを動揺させようという算段か! 死してもなお、斐妹をこき使うか!」
「斐妹……でございますか?」
「しらばっくれるな! 呉賊!」
「言っても詮無きこととは存じますが、私は根無し草の道士。呉とは関係ありませぬ」
「貴様……なおも……!」
「揚州方面にて、極めて大なる陰の気を感じました。それを確かめんと参った次第」
「陰の気……だと?」
「はい。陰の気にもいろいろございます。憎しみ、怒り、妬み、悲哀……。吾玄将軍の気は、哀しき怒り、とでも申しましょうか」
「哀しき……怒り……」
「その女子、余程心残りと見えますな。死してなお、将軍の身を案じておるとは」
「お……おぬし……斐妹の声が聞こえると申すか? 斐妹の姿が見えると申すか?」
「将軍の申す女人かは存じませんが、女子の姿は見えます」
「斐妹はどこにいる!」
「将軍の真正面に立っております」
懐かしさ、愛おしさ、切なさ。
吾玄の胸中に去来した想いはそれら。
恐怖に類する感情はなかった。
斐妹が、ここにいる。自分を見つめている。
その女のために、1年間呉征伐を引き伸ばした。
生涯寄り添うため、軍団長という地位を捨てることすら考えた。
そんなかけがいのない斐妹が、今、ここにいる。
しかし、吾玄には何も見えない。そして聞こえない。
「斐……妹? 本当に……斐妹……か?」
かがり火が、激しく火花を上げた。

「将軍。その女子の言をお聞き入れになるべきです」
身動き一つしない吾玄に、道士は告げた。
「さもないと、このような姿でさまよい続けるなど、あまりに不憫……」
そこまで言って、道士は慌てて口を塞いだ。しかし、遅かった。
「不憫、だと?」
キッとなって吾玄は道士を睨み付けた。
「不憫とはどういうことだ?! 斐妹は……斐妹は今、どんな姿をしているというのだ!」
これまでとは別人のように口篭もった道士は、下を向いた。
そんな道士の肩を、吾玄は荒々しく揺さ振る。
「言え! 斐妹は今……どんな姿を……言わぬか!」
道士は、それでもしばらくは黙っていた。
口を開いたのは、諦観の念に苛まれたため。
「かの女人は……」
道士は、つぶやくように言った。
「全裸です…両手両足の爪がすべてありません…髪の毛が根元から引き千切られ…体中に殴られた痕と火傷の痕があります。そして……そして、右目がございません」
「かくも見事に陰の気が消えるとは……」
吾玄の陣を後にして、道士はつぶやいた。
「ま……これであの女子も、思い残すことはなかろうて」
夜が明けようとしている。

天幕から這い出してきた袁奉は、大きく伸びを打った。
昨夜は夜襲がなかったとはいえ、もちろん熟睡はしていない。
敵部隊は、指呼の間にあるのだ。
疲労が完全には抜けていないが、こればかりは仕方がない。
問題は、この状態があと何日続くか……いや、疲労困ぱいとなる前に、部隊が全滅する方が先かもしれない。
「袁奉将軍、おはようございます」
水兵隊長が現れた。
「ちょうど今、軍団長からの伝令が参りました」

「袁奉将軍にはご苦労なれど、引き続き呉増援軍の戦線突破を阻止されたい。自分は孟達、黄権と連動し、敵正規軍の殲滅に当たる」
伝令が伝えた言葉は、それだけだった。
水兵隊長が、首を傾げる。
事情を知らない水兵隊長には、わざわざ伝令を立てて伝えるべき内容とは思えなかった。
「承知した」
一方の袁奉は、満足そうな笑みを浮かべている。
「軍団長に伝えよ。一歩たりとも、孫賊の侵入は許さぬ、とな」
感情に任せて孫策隊に突入するようなことはしない―吾玄はそう言っているのだ。
ならば自分の為すべきことはひとつ。
張任や厳顔が敵正規軍を殲滅しやすいように、呉増援軍を徹底的に足止めすることだ。
袁奉は、怪訝そうな表情の水兵隊長に、晴れやかな笑みを見せた。
「韓当隊を叩く」
配下の兵を前に、吾玄は告げた。
「敵正規軍を打ち払う。我らの全力、その一点に振り絞るぞ」

元の自分に戻ることによって、斐妹は安らかな眠りにつくことができる。
ならば、どんな怒りであろうとも封印しよう。
それが斐妹のため。
自分が愛した女のため。

吾玄隊は前進を開始した。
先頭で騎馬にまたがる吾玄。
その口元は、真横に結ばれている。


11日目、涼軍5万2000に対し、呉軍は10万8000。呉正規軍の数は3部隊9000余り。
出征時、1万4000を数えた吾玄隊は、今では戦闘に臨める者4400、となっている。




※次回、「翻陽攻略戦(その4)」
210馬参 ◆.L/ffpm.yw :02/11/24 00:31
更新せずに書き込んだせいで、殿下の書き込みに気が付きませなんだ。
不覚でござる、重ね重ね申し訳ございませぬ・・・。
>>210馬参殿
おおおお〜馬参殿、元気そうでなにより……って病い明けか。
とにかく久々に登場してくれて嬉しい。
3個軍団となったので、なかなか登場の機会を作れないが、ポツポツレスもらえたら嬉しい。
なんにせよ、当分このスレ続きそうなので、のんびり待っていてくれ。
212見習忍者:02/11/24 02:52
>192
閣下ご懸念には及びません。
浅慮なる者の戯言でございます。
無論ご命令とあらばご用意する事も可能ですが・・・。
地位を得ると変わる者などは、
所詮地位に操られているだけの者に過ぎません。
小さき者の事など御気になさいますな。

>195
(身辺調査レポートを読みながら)
呪いなどと馬鹿げた事を身上書には書いているから、
処分するつもりだったがかような技も持っておったか。
係りの者に採用の連絡をさせい。
細作見習として錫ヤカン組へ入隊させ訓練に励ませろとな。
213町費隊士長:02/11/24 12:37
馬の世話に料理当番。
なんで七同志の副官を務めるそれがしがこんなことを…。
貧乏はつらいなあ。
しかし、これもすべては、桃色隊長のせいだ!
ウウウ、洛陽に早く到着しないかなあ…。
214希代之副官:02/11/24 22:31
>>198 殿下
いろんな文中のエピソードから、副官の能力値を想像するのは
楽しいものでございます。え?親衛隊長殿の武力値が殿下より下か、ですか?

…殿下、名君は左様な事はお気になさらぬものでございますよ。
>212
採用ありがとうございます。
訓練頑張ります。とその前に、もしも嘘だったら困るから郭図公則様の変装していこう。
216一般市民:02/11/25 17:03
あれ?あそこでからまれてるのは郭図公則様じゃないのか?
あんなに人に恨まれてるのに街中を堂々と歩くなんてなぁ…。
意外と頭悪い人だったんだな。
217吾玄 ◆pa7KljsyW2 :02/11/25 17:32
あれ、終わっちゃったか。
これじゃ一騎打ちの意味がないな。
>>186の発言はスルーしちゃっていいです。ネタになるかなぁって思っただけなんで。

しかし斐妹………・゚・(ノД`)・゚・
吾玄将軍!翻陽の戦いはまだ終わってはいませんぞ!
Part.4が残っておりますぞ!
>>216
激しく同意、郭図公則殿は何を考えて行動していらっしゃるのやら…
しかし、ああやって絡んでいる連中に近づかないほうが良い、
まず間違いなく後で捕えられ(ry

しかし、将軍に陳情するいい機会だ、後で挨拶しておこう。
>>207
「かがり火が、激しく火花を上げた。」

こういう表現大好き。
長文ガンガレ涼王。
ひどい目にあった・・・・。
くそう郭図公則様を馬鹿にする愚民め!!
今日の夜あたりあいつらの家、盗みにはいって燃やすか。
222錫ヤカン組同僚:02/11/26 00:10
>>221
おい!新入りお前いきなり減俸だってさ。
一体何やったんだ?
223旅の占い師:02/11/26 00:24
>呂砲様
>めーちゃくちゃナイスタイミング!
お役に立ててなにより。
224洛陽市民:02/11/26 00:34
>>216
>>219
でもさあの絡まれてるのが太守様だとすると、
後ろの車に乗った、物凄い怖い顔しているのは誰なんだ?
なんだか太守様に顔がよく似ているけど…。
225洛陽の爺:02/11/26 03:33
>>216
>>219
>>224
なぬ? 太守様じゃと?
おかしいのぅ、太守様はつい先ほど、向こうの城門から出て
宛の方へ向かわれたような気がしたんじゃが。はて……???
226洛陽暴者:02/11/26 13:14
>>219
ガクガク((((゚Д゚))))ブルブル
227廖衛 ◆ttmECRHBeQ :02/11/26 15:31
>殿下
いやあ、折角『冷静』にしてもらったのに、あわてんぼうと言うのも恥ずかしいものでして。

>馬参殿
おお、久しいな。・・・しかし風邪とは、ゆっくり養生するが良いですぞ。
直ったら、洛陽にある美味い居酒屋にでも行こうではありませんか。
228吾玄 ◆pa7KljsyW2 :02/11/26 15:31
>>218
いやいや、「終わった」っていったのは狂気のこと。
捕らえた敵を抗とか皆殺しとかやれるなぁって。
229呉兵:02/11/28 01:25
呉兵
「涼軍は鬼気迫るものがあるぞー」
 
士気が下がりました。

呉軍軍師
「うーん。気合はすごいが吾玄は挑発に乗りそうだ。総大将の首を取り
一気に盛り返すぞ。」
230廖影 ◆CN2I0jO6s2 :02/11/28 11:54
お久しぶりにございます。
書き込むたびにネタを振る癖がついてしまい、多忙な殿下のことを思うとこれ以上
ネタを振るわけにもいかず、結果、引きこもっておりました。

二倍の敵に立ち向かう吾玄将軍の第二軍…。素晴らしい見せ場ですな。
戦記を読むのはいち武人としてそれがしも大変楽しみであります。
最近は派閥争いの話もとんと聞こえず、それがしもようやく陰鬱な気持ちから開放されましたわ。

>見習忍者どの
貴殿がそれがしの部下、か。いくら「ふり」をするだけとはあってもなんともくすぐったく感じるな。
そういえば貴殿の諜報部に新人が入ったそうではないか。
一度会ってみたいもの。廖衛さまの力にもなってくれるといいのだが…。
231旅の占い師:02/11/29 13:49
・・・・今回の件、道教の徒としてはいささか酔狂に過ぎたかのう、危うく首が飛ぶところであったわ。
しかしまあ、これで吾玄将軍も正気に立ち返ったじゃろうて・・・・、よきかなよきかな。
さて、急ぐ旅でも無し、第二軍の戦い振りでも見物するとしようかのう・・・・。

>呂砲様
中国系の物語ではピンチになった将軍の元に謎の老人が現れて助言をするというのは「定番」ですから・・・。
まあこういう役どころも有ってよろしいかと。
232洛陽速報 ◆sW2getuhmE :02/11/29 16:57
本日未明、市内を巡察中の郭図太守が暴漢を装った魏の
間者に襲撃されると言う事件が発生しました。
幸い太守に怪我は無かったものの巡回中の兵士達が殺到したため
一時周辺は騒然となりました。
尚、太守は「陛下や我が君ではなく自分が狙われたのなら問題は無い」
と忠臣ぶりを表す発言を・・

また、警護兵の指揮をとり賊を全滅させた見習忍者氏(仮名)に対しては
太守様から感謝状が(略




当放送局は太守府主催の自由な雰囲気溢れる国営放送です
違います実は検えはなせわたしにナニヲs…  ターン

大変お見苦しい場面を御見せしました、しばらくお待ちください
233洛陽警護兵:02/11/29 19:01
洛陽太守支援会仮本部・投書箱より(抜粋)

襲撃事件のあった時刻、太守らしき人の目撃証言が多数ありまして。
暴漢に囲まれている太守、それを馬車から険しい表情で見ている太守。
苑に向かって出立した太守、太守府で政務中の太守。
さらにはその時刻に太守が参加した議事録もあるらしく、謎は深まるばかりです。
太守様が未明に巡察してたって?しかもその時刻にしては目撃者が多くないか?
(・∀・)ニヤニヤ
235魏の間者:02/11/29 22:29
一体どの情報が本当なんだ…
郭図公則おそるべし…
( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )
なんだか、色々事件になったっぽいけどもしかして俺のせいなのだろうか。
洛陽速報の郭図公則様、しびれるっす。
>>214希代之副官殿
                     ヽ(`Д´)ノ

>「郭図公則がいっぱい」事件ネタ提供者の皆様
第一軍と第三軍の攻略戦の後、「郭図公則」編に移ります。
その際、今回のネタはありがたく使用させていただきます。
ありがとうございました。

>>217吾玄殿
ま、何とか斐妹の方もカタがついて良かった。
自分でネタ振りしながら、どうまとめようか困っていたもので。
一騎打ちの方はそのうちできると思うので、お楽しみに。
(ボソッ)負けたらシャレにならんけど。

>>220
どーもッス。

>>223>>231旅の占い師殿
今後も「あ、煮詰まっとるな」と思われた時は、サポートよろしく。

>>227廖衛殿
気にしない。
わしなんか、臆病で非力で粘着でやらしいという最悪のキャラだぞ。
ただ、実物とはまったく正反対のキャラなので、「呂砲」の心情がまったくわからない。

   _、_ ┏━━━━━━━━┓
 ( ,_ノ` )┃ここでツッコんで!┃
      ┗━━━━━━━━┛

>>230廖影殿
思惑通りに行けば、貴殿と廖衛殿、馬参殿、郭図公則殿は、なかなか興味深い戦いをすることになるかもしんないよ。
赤壁の戦いの折り、孫呉軍の総大将として、一度は19万の涼軍を撃退した男、韓当。
紫桑喪失後は、ここ翻陽に駐屯し、荊州進出の機会を伺っていた。
そして今、佳境を迎えている涼呉の戦闘。
呉軍は、依然として涼軍の二倍以上の兵力を有してる。
翻陽を守り切ることができたのなら、紫桑を奪い返し、荊州進出の悲願をかなえられる。
だから、踏ん張れ。
老将は、配下の部隊―残兵わずかに300―に向かって叫んだ。

「老人め、粘りおるわ」
戦闘隊形を依然として維持している韓当隊を見て、孟達がつぶやいた。
「だが、これで終わりだな。やつも………わしも」
孟達隊。残兵800。
手負いの涼軍部隊と、同じく手負いの呉軍部隊。
うなり声を上げ、真正面から激突する。

韓当隊を殲滅させた孟達隊が、呉増援軍に簡単に踏み潰される場面を見届けた吾玄は、同じく南側の戦場に踏みとどまっている黄権隊に伝令を出した。
「速やかに後退。あとは袁奉、厳顔、張任に託せ」
残った敵正規軍は、太史慈と潘濬の2部隊。合わせて7000もいない。
これなら、残った第二軍部隊で料理できるはず。
だが、吾玄隊と黄権隊は、彼らから離れた位置に布陣する形となっており、かつ危険なほどに消耗している。
呉正規軍の残存部隊に一撃を与える前に、こちらが全滅してしまう。
屈辱だが、退がる。それしかなかった。しかし。
「黄権隊、敵に囲まれました!」
兵の報告に、吾玄は嘆息した。
無理だ。黄権は救えない。
「吾玄隊、わしに続け!」
極力黄権隊の方向を見ないようにして、吾玄は叫んだ。
そのまま、西へと突き進む。いや、後退する。
(黄権、死ぬな)
そう思うしかなかった。
吾玄隊、残り2200。
統制の取れた太史慈隊の弓攻撃は、甚大な被害を涼軍にもたらし続けた。
厳顔と張任の力任せの攻撃で、ほとんどの兵を失いながらも、その精度が下がることはない。
「だがのぉ、太史慈!」
白い髭を戦慄かせながら、厳顔。
「部隊が全滅してしまえば……精度も何もあるまい!」

「厳顔殿、お見事にございます!」
騎馬にまたがった張任が駆け寄ってきた。
「たいしたことではない。小僧の躾ぐらい、軽いものじゃ」
肩で大きく息をつきながら強がる厳顔を見て、張任の顔もほころぶ。
この老人は、常にこうでなくてはならん、と思った。
「残りは潘濬だけです。このまま押し潰しましょう」
「言われずとも……で、潘濬はどこにいる?」
「はっ。やつは……む?」
背筋を伸ばして周囲を見回していた張任。その顔に、怪訝なものが浮かぶ。
「いかがした?」
まだ息が整わない厳顔の声。しかし、張任はしばらく応えなかった。
その間、厳顔は従兵が差し出した水筒を煽っている。
収まり切らなかった水が、口から胸元へと滴り落ち、そして、張任の言葉で吐き出された。
「潘濬がいない!」
張任は完全に動転していた。
「潘濬の部隊がどこにもいない!」
目を剥いた厳顔は、何かを口走ろうとした。
しかし、むせる。
言葉を発することができなかった。
「潘濬隊の所在が不明?」
何度目かもわからない孫権隊の攻撃を退け、一息ついていた袁奉は、張任隊から送られてきた伝令の報告に、力が抜けそうになった。
あと少しで勝利だというのに、何ということだ。
「袁奉将軍には、よろしく潘濬隊捜索にお力添えいただきたく!」
水兵隊長が胡床から立ち上がった。
目が怒りに燃えている。
「承知した」
水兵隊長の経歴を守ったのは、袁奉の素早い返事だった。
「すぐに手を打つ。張任殿にはそのように伝えよ」

「無茶です!」
水兵隊長が怒鳴った。
「増援軍と戦いつつ、潘濬を探し出す……本気で可能とお考えか!」
袁奉は黙っている。心眼で敵を捜すかのように、じっと目を閉じている。
「将軍! 袁奉隊は残り3000! もって2日……いや、明日にも壊滅するかもしれんのですぞ!」
これまで常に冷静だった水兵隊長が、切れている。
たった一部隊で、圧倒的な呉増援軍を追い払ってきた。疲れはピークに達している。
そしてなにより、水兵隊長の指摘は、まったくの事実だった。
事情が事情とは言え、張任の要請は実現可能なものではなかった。

「明日で決まる」
胡床に腰掛けたまま、袁奉は口を開いた。
「我らの壊滅が、でござるか?」
反応しない袁奉に絶望しかけていた水兵隊長は、ようやく言葉を発した袁奉に嫌味をぶつける。
袁奉はそんな嫌味は無視した上で、水兵隊長に語り掛ける。
「砦に寄って立つ守備側正規軍……砦から離れることがあると思うか?」
イライラと陣中を歩きまわっていた水兵隊長の動きが、その言葉でピタリと止まった。
「見えない位置にいる。それだけのことだ」
疲労をかくしようもない袁奉の顔。しかし、声はしっかりしている。
「砦の裏側。そこに潘濬隊はいる。厳顔隊と張任隊のすぐ近くだ」
袁奉は槍の巴で、地面に図を書いた。

西                 東
       ○(周瑜)
        ○(孫策)
    (袁奉)★○○(孫権、李異)
     (厳顔)★○(張紘)
     (張任)★○(諸葛瑾)
★        ○(呂蒙)
(吾玄)    ○(孫翊)
        ○(厳o)
       ○(魯粛)


※厳顔、張任、張紘、諸葛僅の4部隊が砦上に布陣
★=涼軍
○=呉増援軍

「諸葛瑾。そして李異。この両部隊の背後に、潘濬は隠れている。安全な場所から矢でも放っているのであろう」
「仮にそうだとして……」
水兵隊長がうなった。
「呉は戦線を隙間なく固めています。それに諸葛瑾にせよ李異にせよ、まだ十分な兵力を有している。これを撃破するのは至難の技では?」
「撃破する必要はない。突破すればよいのだ」
「簡単に申されますが……」
「北の方で騒ぐ。お調子者の李異あたりが、押っ取り刀で駆けつけるだろうよ」
「おびき寄せる、と申されますか?」
「そうだ」
「おびき寄せるためのエサは……つまり」
「そうだ」
袁奉は言った。
「もちろん、我らだ」
対する水兵隊長の声は、ほとんど悲鳴に近かった。
「将軍!」
「なんだ?」
「現在の袁奉隊の総数は……」
「承知している。3000と少々」
「このうちの800は水兵隊です!」
「部隊の八割が失われたというのに、水兵隊は損害二割。たいしたものだ」
「さよう! たいしたものです!」
のんびりとした袁奉の口調に、水兵隊長は我を失った。
「将軍。敢えて言わせていただきます! 我が水兵隊は、将軍直卒の部隊ではござらん!」
「それも承知している。殿下直々の御命令で編成され、鍛え上げられた特殊部隊。今回は特別に、我が袁奉隊に編入された……」
「貴重な部隊です! 一朝一夕にはできあがらない、貴重な戦力です!」
「此度の戦さで、わしにもそれはよくわかった」
「ならば!……ここで全滅させてよい部隊ではないこと! それも承知されているはず!」
「それとこれとは話は別だ」
「将軍!」
「一年ぶりの対呉侵攻。その最初の戦いで涼が敗れたとあっては、内外に与える影響が大きすぎる。それにこの戦さで、多くの武将が呉に捕らわれの身となっている。彼らを救うには、ここで勝つほかない」
「さような! むざむざ捕虜となった武将と、我が精鋭を天秤にかけられるか!」
つい、本音が出た。慌てて口を押さえたが、もう遅かった。
袁奉の拳が、水兵隊長の体を数メートル吹き飛ばした。
「今の言は聞かなかったことにしておく」
袁奉の口調は相変わらず静かだが、水兵隊長は投げやりになっている。
「どうとでも……どうせ我が水兵隊は全滅するのだ。お好きなように」
袁奉は、いじけている水兵隊長の肩に手を置いた。
「殿下は涼の国威伸張のため、この水兵隊を組織された。戦局由々しき今こそ、水兵隊の力を天下に示す好機ではないか」
「……」
「明日の戦闘は、わしが先陣に立つ。水兵隊には後詰めを頼む。わしが死んだ後、おぬしも死ぬが良い」

袁奉の言葉に、水兵隊長の目がカッと開いた。
「……将軍が先陣に?! そ、そんな、大将自ら先陣に立つなど!」
「指揮官が前に出ねば、兵も力を発揮できまい? 最後ゆえ、華々しく暴れてみせるわ」
「危険過ぎます! たった3000しか兵もいないというのに……」
「戦さをしているのだ。今更危険も何もあるまい」
「そういう意味ではござらん! 仮にも七同志に名を連ねるお方が……余りに軽率すぎます!」
七同志。
その言葉に、袁奉は一瞬目を細めた。
ひとつの志を共有し、それを果たさんと供に誓い合った者たち。しかし今は、遮二無二走っていた昔とは違う、微妙な結びつきになっている。
もちろん袁奉は、そんな想いを口にすることはなかった。
「わしが七同志となったのはな、水兵隊長よ」
袁奉は言った。
「この戦さで死ぬためではなかったのか。今、そう思っている」

水兵隊長が口を開くまで、しばらく間があった。
間はあったが、その口調はしっかりしたものとなっている。
「先陣は水兵隊にお任せくだされ。殿」
水兵隊長は、袁奉のことを「将軍」ではなく、「殿」と呼んだ。

「にわか水兵隊が袁奉の副官待遇になりました」

>にわか水兵隊殿
そういうことで、今後ヨロシク。
翌日。
「袁奉隊、動く」の報が、呉軍各部隊に告げられた。
朝食を摂っていた李異は、すぐさま前線に走って確認する。
袁奉隊は大きく北上、周瑜隊の背後に回ろうとしている。その数3000。
「これはまた……戦功が向こうからやってきたか!」
李異は狂喜して叫んだ。
「行軍だ! 七同志の首を取りにいくぞ!」

「撹乱!」
水兵隊を先頭とした袁奉隊は、周瑜隊の懐に深々と潜り込んだ。
「かき乱せ!」
水兵隊長も、槍を振り回しながら兵たちを叱咤する。
敵兵の数が多すぎて、周瑜がどこにいるのかはわからない。
だが、そんなことはどうでもよい。
袁奉の考えを知っているわけではない兵たちも、雰囲気で自分たちが果たすべき役割に気付いていた。
とにかく、派手に暴れまわれば良いのだ。

「袁奉ー! 神妙にいたせ!」
周瑜隊を混乱させた袁奉隊に、李異隊が切り込んできた。重騎1万余り。
だが、袁奉は微笑んだ。
吾玄隊は、呉増援軍4部隊に包囲されていた。手始めに、孫翊隊が突っ込んでくる。
「支えよ!」
命令する吾玄の声は、かすれていた。
斬り、叩き、殴り、蹴る。吾玄の奮戦に、兵たちも色めきたった。
兵A「孫賊! いくらでもかかってきやがれ!」
兵B「俺達は七同志直卒の部隊! 貴様らごときにやられるか!」
兵C「死ねー! 死ねー!」
吾玄自らが、孫翊の副官を斬り下ろした。
「かような首、何の足しにもならぬ! 返してやるわ、受け取れ!」
首を孫翊隊に投げつける吾玄。孫翊隊は大慌てで退却していく。


袁奉隊との激しい斬り合いの末、李異隊はいったん下がった。
余裕しゃくしゃくなのがわかる。次は確実に仕留める気だ。
残った袁奉隊兵士は、600。だが、袁奉が見ていたのは、自分の部隊でも、李異隊でもなかった。


孫翊隊は撃退したが、包囲は狭まった。どこから攻めようか。そんな意志を隠そうともせず、ジリジリと接近してくる。
「残りの兵は?」
吾玄の問いに返ってきたのは「200」、という報告。
吾玄は目を閉じ、軽く笑った。


ついさっきまで、李異隊が陣取っていたスペースが、ぽっかりと空いている。
厳顔隊、そして張任隊。
そのスペースに、ものすごい勢いでなだれ込んでいく
「行けぇぇぇ!」
袁奉は叫んだ。
「潘濬を……叩き潰してくれ……!」
単縦陣となった厳顔隊が、呉増援軍の形成していた戦線を突破した。
張任隊がそれに続く。
「潘濬!……貴様ぁ!」
砦の裏に潜んでいた潘濬の弩兵隊4000。
言いたいことは山ほどあったが、厳顔はそれらを言葉として表すことができなかった。
ようやく叫ぶことができた必要最低限の命令に、そのすべてをぶつける。
「乱撃!」

「仕留め損なった!……」
厳顔は歯噛みをして悔しがった。
厳顔の「乱撃」は、確かに潘濬隊に大損害を与えたが、全滅させるにはあと少し、力が足りなかった。
「張任隊、突進していきます!」
従兵の叫び声。
厳顔は意味不明の唸り声を上げながら、素晴らしい速度で潘濬の背後に回る張任隊を見た。
「張任め!」
厳顔は、呉軍に対するものよりもはるかに敵意に満ちた視線を、張任隊へとぶつけている。
「最後の獲物だというのに……ええい、やつにくれてやるわ!」
亡き斐妹を思えばこそ、自我を捨て、この勝利のためだけに尽力したのだ。
孫策に対する復讐心は、まったく消えてはいない。
孫策の捕虜になるなど論外だった。
「軍団長は、これより斬り死にする」
吾玄は、整列した兵に向かって訓示した。
出撃時、1万4000いた兵が、今は200。
悪い冗談を見ているような気もするが、これは紛れもない現実。
「わしの死に様を確認したら、あとは思うようにせよ。今までご苦労だった」
兵たちは無言で、吾玄を見詰めている。
その目を見る限り、どうも全員の意志は決まっているらしい。
いいだろう。それもまた一興。
吾玄隊の最後、華々しく飾ろうではないか。

呉軍と対峙した吾玄隊は、「疾風」の快速で魯粛隊へ突っ込む。
突進する兵たちの叫び声は、完全に開き直った者にしか発せられない大音量。
兵A「孫賊ー! わしらの死に様、しかと見れやー!」
兵B「俺たちゃ何も恐くねえんだよ! なんてったって、今から死ぬんだからな!」
兵C「死ねー! 死ねー!」

だが、吾玄隊と魯粛隊が接敵することはなかった。
魯粛隊は―いや、呉軍は、潮が引くように退却していく。
兵A「お、おい、見ろ! 孫賊が逃げてくぞ!」
兵B「どういうことだ? やつら、圧倒的に有利なはずなのに……」
兵C「死ねー! 死ねー!……………ン、どうした?」

13日目、呉増援軍は退却した。
退却した呉軍は10部隊9万余り。
一方、翻陽に残る涼第二軍は、4部隊1万余り。
兵力差で見るなら、どちらが勝者かわからなかった。
馬から下りた吾玄は、危うく崩れ落ちそうになった。
このまま大の字になることができれば、どんなに気持ちがいいだろう、とも思ったが、今は兵たちの前。
吾玄は槍を支えにして、じっと立ち尽くした。
こちらに向かってくる部隊がある。
ボロボロになった軍旗には、「袁」と大書されている。

「やられたな、四則殿」
泥と血で覆われた顔面をほころばせ、袁奉も馬から下りた。
地に足がついた途端によろめいたのは、吾玄と同じだ。
「よくもまあ無事だったな、到越殿」
吾玄も笑顔で返した。
「孫策らを相手に最後まで………これ以上言葉が思い付かぬ」
「水兵隊が踏ん張ってくれた」
振り返って袁奉。
彼の背後では、水兵隊長が兵に「休め」と指示している。
「あの者たちの働きなくば、わしも捕らわれの身となっていたであろうよ……ところで四則殿」
「なんだ?」
「座って話さぬか? わしは少し疲れた」
「胡床はないが」
「なに、地に腰を降ろせばよい」
「ハハハ……そうだな。それだけのことだ」
部隊長が座るのを見て、両部隊の兵たちも、競うように地面に倒れた。

やがて現れた厳顔隊と張任隊は、地面で大の字になって熟睡している吾玄隊と袁奉隊に遭遇した。
もちろん、両部隊もそれに倣った。
翻陽の大地ではしばし、1万人の寝息といびきが交錯した。

【登用】周泰、蒋欽、太史慈
【斬首】許貢、蘇飛、賀斉


※次回、「未定!」(久々にPS2の電源入れます)
250吾玄 ◆pa7KljsyW2 :02/11/30 19:37
全軍、この戦いで散った数万の同胞に対し黙祷!!

>到越殿
この戦いに勝てたのも貴公のおかげだ。感謝する。
251旅の占い師:02/11/30 22:10
ホホッ
際どい所で涼が勝ったか
次の戦いではもっとうまくやるじゃろうて
さて宛にでも戻ろうかの・・・・

>呂砲様
>今後も「あ、煮詰まっとるな」と思われた時は、サポートよろしく
そう毎度毎度うまく行くとは限りますまい
それに新参者が余りでしゃばるのもまずかろうと・・・・
252見習忍者:02/11/30 23:36
>閣下
・・・以上が第二軍の翻陽攻略戦の詳細です。
今回の袁奉将軍の活躍は目覚しいものがありますな。
予想された虐殺は行われなかったようです。
しかし、第二軍の被害も大きいようで呉制圧には今少し時間が掛かるかと思われます。

先日廷臣の一人が町費将軍と直接接触をもったようです。
連中が町費将軍を遠隔操作する様な事態になれば
少々やっかいな事になると思われます。
今後益々の警戒が必要と思われます。

兼ねてより極秘調練中の部隊についてご報告します。
既に十分な精鋭には違いありませんが、さらなるレベルアップを図りたいと思います。
そこでご提案なのですが、廖影を使っては如何でしょうか?
あの男の調練力は定評があります。恐らく期待以上の成果が出ると思われます。
勿論表向きは帝都護衛の近衛兵(親衛隊とは別)と言う事で・・・。

諜報部については質・人員は順調な向上が認められます。
今回は特に埋伏の毒の人員を増強し、組織作りを強化させつつあります。
刻が経てば経つほど効果は優れた物になるかと思われます。
また、ご命令のあった影武者については試験的に一部配備を致しました。
まだ問題も多く、本格的な導入に向け運用を進めて参りたいと思います。
253廖影 ◆CN2I0jO6s2 :02/12/01 00:48
おう、見習忍者どの。今日は何用で?

洛陽の近衛兵の調練か。それがしに任せていただけると!?
丁度戦もなく暇を持て余しておるところ。それがしでよければ喜んでお受けいたそう。
魏には「虎豹騎」なる部隊があるそうだがそれを超える精鋭に仕立てあげようではないか。
洛陽太守さまのお許しが出次第、調練にとりかかるとしよう。
郭図さまによろしくお伝えくだされ。それでは。

(見習忍者帰還後)
許昌攻略戦も近い。久々に忙しい毎日が戻りそうじゃ。
……待てよ?
副軍師さまはなぜ洛陽の武将ではなくそれがしに調練をご依頼されたのであろう。
洛陽には老雄・黄忠将軍がおられるというのに。
……それがしが悩んでも仕方がないか。副軍師さまには深慮遠謀があるのだろう。
見習忍者どのが来たときに尋ねてみるとするか。
このスレを時折覗いている者です。

翻陽攻防戦のくだりを読んだところですが、勝利と敗北が紙一重の緊迫した状況が
ひしひしと伝わってきました。
自分で三國志シリーズをプレイしたときには、こんなにきわどい勝負を挑んだことは
ありませんでした。(私が同じ状況に立ったら、味方の被害をなるべく少なくして
撤退することを第一に考えてしまいます。)
255町費 ◆khvWPc71kM :02/12/01 10:22
謹慎中でしたので今まで参内せずにすいません。
本当は偶然に中古で見つけたロマサガTに夢中でネットをやめてました。
許昌解放戦まであと1ヶ月もあるので、
なまった体に気合を入れる為>>65から行方不明の士長殿を探しと黄将軍会いに洛陽に行こうかと。

>>呂砲様
「郭図公則」編のネタになるには弱いと思いますが
私は引き篭もってたので洛陽の池田屋事件は知らないってことで。
>>255町費様
>>213
洛陽への道中で拾えるかと。
257長史:02/12/02 00:22
帝都の建設は順調だな。
しかし、やたら殿下が色街について細かい指示を出される。
後宮だけでは物足りないようだ(タメ息

大涼宮建設の基礎工事に入ったが一つ問題がある。
宮殿が巨大で壮麗な為に大きな棟木が必要なのだが、
通常の物では全く足りないのが難点だ。
そう言えば洛陽付近に巨木があったな・・・。
確か漢初期に神木とされたが、最近は誰も顧みてない代物だ。
丁度良い、こいつを利用するとしよう。

宮殿建設の式典を兼ねて、殿下に最初に刀を入れて頂くとするか。
政治的にも漢の神木を利用すると言う事は非常に有意義な事だ。
国内の漢王朝派の炙り出しと、反応を見る良い機会となろう。
早速殿下に奏上し、式典の準備を進めるとしよう。
258にわか水兵隊:02/12/02 18:31
呂砲様副官待遇の昇進ありがとうございます。
武骨物ですができるだけがんばりますので今後ともよろしくお願いします。

袁奉様
「殿、今後よろしくお願いします。水兵隊共々生死を掛けお仕えします。」
(しかし胸が痛い、戦いの傷より殿にふっとば方が傷が深いな…骨二・三本いってるし)


259熱血廷臣:02/12/02 21:04
首尾はどうだ?

やはり現状では連合は難しいですね。

ちっ!馬鹿供が、まだ自力でどうにかなると思っているのか。

そちらは如何でした?
アレまで持ち出したとの事ですが。

首尾は上々だ、彼は間違いなく陛下の為に働いてくれるであろう。
道具とは使ってこそ力を発揮する物だ。飾っておいても何の意味も無い。
それにな、もう一人良き人材がいるようだ。

例の筆頭軍師でありますか?
お会いになられたので?

いや、さすがにこちらは一筋縄ではいくまい。
ここ許昌が陥落するのも時間の問題だ。
その時は恐らく向こうから会いにくるであろう。
今はそれまで刻を待つのだ。
260吾玄隊:02/12/03 00:34
A「さすがに今回は着かれたな。」
B「あぁ、本当に死ぬと思ったよ。」

C「グゴォ〜・・・グゴォ〜・・・。」

A「しかし、これだけの被害が出たのは大変だな。」
B「あぁ、また新兵を補充しないといけないしな。」
A「・・・となるとまた訓練が大変だな。」
B「まぁ、悲恋の吾玄の為もう人肌脱いでやろうぜ!」

C「グゴォ〜・・・グゴォ〜・・・。」

A・B「しかしこいつは何時になったら起きるんだ?」

※被害は大きかったですが、兵の士気は衰えていないようです。
 でもちょっと休ませてあげて下さい。
>>260
吾玄隊応援sage
262許昌市民の噂:02/12/04 00:06
いよいよ涼軍が攻めて来るそうだ

ひぃ〜恐ろしい

涼王様と言えば次の帝になる御方じゃろ?
今の帝はどうなるんじゃろう?

他人の心配より自分の家族の事を心配しなされ
急ぎ荷物をまとめた方が良い

な〜に、ここには戦の天才の魏王様がおるんじゃ!ここは安心じゃよ
263廖衛 ◆ttmECRHBeQ :02/12/05 09:47
<廖衛邸>
・・・なに?廖影殿が精鋭部隊の調練を洛陽太守に任されたと・・・?

家人「はっ」

そうか、ご苦労下がって良いぞ。
・・・また洛陽太守の調略か・・・。
・・・仕方がない。少なくとも私や馬参殿、吾玄殿、袁奉殿らで殿下を守り立てていくしかないのか・・・?
・・・しかし、なぜ私の耳にこんなにも早く情報が・・・?
洛陽太守め、さてはわざと知らせたな。私の廖影殿への不信感を煽るつもりだろうて。
ふん・・・、そんな手に乗ってなるものか。

・・・・・。・・・ん・・・?
そうか!!これは使えるぞ・・・!私が不信感を持ったようにすれば、
洛陽太守の軽挙を誘うことがができるかもしれない・・・。
洛陽太守の好きなようにさせてなるものか・・・。とはいえ、まずは馬参殿に相談だな。何事も無ければ良いが。
264廖衛 ◆ttmECRHBeQ :02/12/05 10:14
<続き>
まてよ・・・。・・・とはいえ、私程度では洛陽太守を欺くのは無理であろう。
慎み慎まねばならん。下手をすればこちらが謀反人扱いされてしまう。
しかし、私は殿下の人物を見こんで傘下に加わったのだ。傀儡とされる殿下は見たくない。
いずれ至高の座に就くべき御方、私は操られる程度の小物に仕えているわけではない。
さてどうすれば良いか・・・。

(なんかノリが銀英伝っぽいなあ・・・。気に障ったら申し訳御座らぬ。)
265廖衛将軍府:02/12/05 22:23
>264
将軍聞きましたぞ!
何でも廖影殿が帝都の近衛兵の調練を任されたそうですな。
いやぁ〜非常に名誉な事です。
これで上役たる将軍の名声もさらに高まりますな!
今まで正直某将軍は政治的な行動は苦手かと思っていましたが、
上手い事やりましたなぁ(笑
今頃あの洛陽太守が悔しがる姿を想像すると愉快であります!
266吾玄 ◆pa7KljsyW2 :02/12/05 23:01
>吾玄隊
許可。どうせ三ヶ月ばかりは戦も出来まい。
この次の戦も厳しいものになるに違いない。この間にゆっくりと体を休めておけ。

今回の戦いで生き残った兵はこれから吾が軍の主力になる。
新しく来た兵の指導はお前たちに頼むぞ。
突然ですが、1週間ほど旅に出ることになりました。
来週末には、続きをUpします。
次回は「洛陽――人集う都市」。

>町費殿
これからが踏ん張り時。ラストスパートだ。
応援している。
名前入れ忘れ。
269 ◆CN2I0jO6s2 :02/12/06 21:44
行ってらっしゃいませ
270雑兵1号:02/12/06 22:43
あー、これこれ。ただいま殿下は不在ですよ。

え?理由?
実はね、書類の処理があまりにも遅いので
激怒した文官たちが殴り込んできたんですよ。

で、殿下は泣きながら逃げたワケです。

え?場所?
私の立場でそんなの言えるワケないでしょう。
・・・・一杯どうかって?
・・・・奢りですか・・・・そこまで言われたら断れませんな。

最初に断っておきますが、私も親衛隊を殿下から任されている身です。
しゃべりませんよ。
271町費 ◆khvWPc71kM :02/12/08 12:15
やっと洛陽に到着したか。
道中は大変だった士長殿が隊商の雑用をしていたり
私の旅費も残り少なかったので一緒に雑用をしたり。
黄将軍に会って真意を確かめてお金を借りなければ帰れない。

>>呂砲
申し訳ありませんが呂砲様の親衛隊長殿に
私の士長が巻き上げられた、お金を返していただきたいのですが。
え?本人に直接請求しろですって?
親衛隊長殿が部下の責任は上司の責任だから呂砲様が払うと。
272町費 ◆khvWPc71kM :02/12/09 08:52
>>271にて呂砲様を呼び捨てした罰として許昌の戦いの時には誰かと一騎打ちします
273希代之副官:02/12/09 21:07
ちょっと期間が空きましたのでこんなものを作ってみました。
http://popup5.tok2.com/home/tabla/gunki800x600.jpg
274諜報部末端構成員:02/12/10 01:06
>271
町費将軍が洛陽入りしました。
黄忠将軍と接触を図る模様とφ(..)メモメモ
275無名武将@お腹せっぷく:02/12/10 19:47
希代之副官good job
2スレを読みたいのだが、早くhtmlしちくり。
洛陽攻略戦が読みたい。
277町費隊士長:02/12/11 00:35
この隊商、あんまりにものんびりしすぎだ。
この調子では、いつ洛陽にたどり付けるのやら・・・・
ん、今脇を通りぬけて行った騎馬・・・・町費様!
と、殿〜!お待ち下され!
それがしも連れて行ってくださ〜い!

>希代之副官殿
お見事にございます。
三国志8のオープニングムービーみたいですな。
もしもお時間がおありでしたら、我が町費隊のも・・・・
いえ、なんでもないっす。

>>276
それがしは「副官の夕べ」が読みたいですな。
janeのログにあったんでうp。
スキン適用後なんで、感じが違うだろうが許したもれ。

http://chiefan.tripod.co.jp/warhis/multiplay2.html
279町費隊士長:02/12/11 00:57
>>278
おお!これはありがたい!
これからゆっくり読みます。
いいネタが浮かぶかもしれぬ。
280見習忍者:02/12/12 00:46
今や廖衛将軍身辺は全く問題がないな。
まさか本人も見えない糸によって縛られていとは思うまい。
多少の疑念は抱いている様だが既に手遅れだな。

さて次は袁奉将軍だな。
この男も廖衛将軍並、いやそれ以上にこの手の事に疎いな。
まぁおかげで助かる。
袁奉将軍に関して様々な噂を流すように指示と。
最初は誰も信じないだろうが、
長期に渡って流れると・・・・・・人間の心理とは恐ろしいものだからな。

>274
わざわざ洛陽まで来るとはご苦労な事だ。
町費・黄忠両将軍近辺から目を離さず泳がすのだ。
281吾玄 ◆pa7KljsyW2 :02/12/12 20:25
なんだと?
到越殿が第二軍団長の地位に興味を持っている?

…ばかばかしい。軍団長になりたいのであれば第四軍団長に立候補するという手があるだろう。
私と到越殿の仲だ。投票しないはずがないというのに。
どうせ敵の調略に違いない。放っておけ。
282文官達の噂:02/12/12 22:46
聞きましたか?袁奉将軍が第二軍団長の座に興味を持っているとか?

馬鹿な何故第四軍団ではなく、第二軍団なのだ?

第四軍団長には郭図将軍が並々ならぬ意欲を見せています。
となると既存軍団の中からと言う事になるようですね。

なるほど馬参将軍の名声は高い、それに比べ勝ったとは言え被害も大きく
何より以前殿下から叱責を受けている吾玄将軍と言う事か。

あの温厚そうな袁奉将軍が…人は見かけによらないものですね。

あぁまさかとは思うが気になるな。
283廖衛 ◆ttmECRHBeQ :02/12/13 10:30
殿下、久々で御座います。・・・とは言っても、未だ用事中でしょうが。
私はようやく『期末考査』なる物に解放されたところで御座います。

ああ、ところで殿下、
もし軍団を新しく発足させるのでしたら、私も軍団長に立候補したいのですが・・・宜しいでしょうか?
私も長年仕えてきた身、それなのに一般のままでは殿下に御恩返しもできませぬ。
もし宜しければ、御恩是に過ぎたるは御座いませぬ。

<心の声(他の人聞こえないので宜しく)>
(このまま郭図公則にでしゃばらせたままでは、涼が内部崩壊を起こすやも知れぬ。
とはいえあの男も涼には必要な人材、言うなれば高祖陛下に仕えた陳平のような者であろう。
まさか除くわけにもいかぬ。しかし、元々太守よりも参謀のほうが能力を発揮できるような気がする。
かくなる上は、あの男を洛陽太守に留め、私や袁奉殿、町費殿が軍団長に付くほうが良かろう。
しかし、町費殿は殿下との対立が表面化してきているし、袁奉殿は軍団長になる気がなさそうだ。
巷間に流れている袁奉殿の噂も嘘であろうし・・・。そうなると、私が立候補してみるしかないか・・・。)

>265
うむ、廖影殿もやる気が高いようだ。頑張って欲しい物だ・・・。
・・・ところでそなた、廖影殿の補佐にまわる気は無いか?
いつも廖影殿には世話をかけっぱなしなのでな、貴公のような人物に補佐してもらいたいのだが・・・。
284下級将校's:02/12/13 11:45
袁奉将軍が第二軍団長に就任するらしいぞ!

なに?本当か!

文官の間ではその噂で持ちきりだ。
…考えてみればこの第二軍団は元々孫呉に対するためのもの。
水兵隊を手に入れて水軍の力が強くなっている袁奉将軍の方が軍団長に適任なのかも知れぬな…。

馬鹿、でかい声をだすな!
あそこの三人組は吾玄将軍の直参。下手なことを言うと何されるか分からんぞ。
285弐番支援会支部より:02/12/13 14:11
第二軍団長に袁奉将軍が名乗りをあげたらしいな。

こんな時期に軍団の再編成でもするってのか?

再編成は今だからこそともいえるさ。この機を逃せばあとの戦局は収縮していくだけだろう。
もし涼王が野心を……おっと人が来たな。

功臣の最大の敵は…ってことか。郭図公則様はどうされるんだろうな?
>>254
なるべく戦闘が緊迫するよう「縛りプレー」に徹してますが、今回の翻陽攻略戦は、途中で「マジ負けるかも」と思いました。

>>255町費殿
了解。

>>257長史殿
( ̄ー ̄)bグウー(→郭図公則編にて)

>>258にわか水兵隊殿
こちらこそよろしくお願いします。

>>263廖衛殿
( ̄ー ̄)bコレマタグウー(→次回にて)

>>265廖衛将軍府殿
今後もご参加お呼びネタ振りのほどよろしくお願いします。

>>270雑兵1号殿
町費からクレームが来とるぞ。
士長の旅費、一人で飲みに使い果たしたとか。
何が「部下の責任は上司の責任」だ。
わしゃ知らんぞ! 自分で弁償せい!
こちとらタイヤ代調達するのに四苦八苦してんだ!

>>271町費殿
↑というわけで、雑兵1号が全額弁償するそうだ。
ケツの毛まで毟り取るがよい。
>>273希代之副官殿
こ〜れはありがたい!
さっそく保存させていただきました。
それにしても、「赤地に金の縁取り、黒で大書された『涼』の文字」とは……。
描写そのままのデザインに感激ですわ!

>>278
これまたありがたや!
昔を懐かしみつつ、読ませていただきまする。

>>280見習忍者殿
え? 袁奉殿に噂?
いったい何さ?

>>281吾玄殿
……と思ったら、あーなるほど、そういうことか!
( ̄ー ̄)bサンキュ。さっそく今回使用させていただきました。

>>283廖衛殿
( ̄ー ̄)bマタマタグー(→次回)
すまんが軍団長選挙の実施は、あとちょっと待ってくれ。
その前にどうしてもやりたいネタがある。
288洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/14 00:01
「見失ったと申すか」
細作頭の声は冷たい。
上司たる郭図公則に似てきてた、とは、最近自分でも思うところだ。
彼の前に控えている下級細作は、可能な限り体を縮め、叱責が落ちる瞬間を待っている。
そんな部下の姿を見ながら、「閣下はここで怒声を上げたりはしないな」と自分に言い聞かせる。
(それに、やつが相手では仕方ないか)
やつ。涼筆頭軍師・希代之の護衛隊長のことだ。現在、洛陽にいる。

細作団という組織作りの力量については、自分は誰にも負けない、と自負している。
ただ、細作個人としての力量に絞るなら、あの護衛隊長は自分と同等、あるいは上。
複数の尾行を張り付けていたとはいえ、配下の細作が巻かれてしまったのは、無理からぬことだった。
部下を下がらせた細作頭は、卓上に置いてあった書類に目を通した。
(戦さと同じこと。情報を得るに最も重要なのは、細作個々人の力量ではなく、組織力だ)
卓上の書類は、そんな細作頭の信念の結果でもあった。
「人集う都市・洛陽……か」
書面に目を落とし、つぶやく細作頭。
町費、廖衛、希代之の護衛隊長、町費隊士長、廖影―。
記されているのは、現在洛陽入りしている武将やその副官たちの名前だ。

今度は揚州・翻陽へ放っていた細作がやってきた。これまでの首尾を報告する。
「吾玄将軍のお耳に入ったことは間違いありません。ただ、現在のところは一笑に付しておりますが」
「繰り返し続けよ。ただし、派手にはやり過ぎるな。逆効果になる」
細作が部屋から立ち去ると、細作頭は首をひねった。
袁奉が第二軍団長の地位を狙っている。
そんな流言を流すよう指示したのは、もちろん郭図公則だ。
しくじりさえしなければ、吾玄と袁奉の間に亀裂が入る日もそう遠くはない。
(しかし、なぜ今、第二軍に謀略を仕掛ける必要があるのだ?)
細作頭には、郭図公則の意図がわからなかった。
(露見して、閣下の立場が悪くなることの方が心配だが……いったい閣下は、何を目ろんでおられるのか……)
289洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/14 00:01
「優秀な組織=構成員すべてが優秀」というわけではない。
尾行を巻いた希代之の護衛隊長は、そう考えながら洛陽の市を歩いている。
そもそも、今の自分を尾行したところで、連中に何も得るものなどない。
自分は既に、洛陽での務めを終えている。
あとは宛に帰還するだけだった。

「務め」とは、洛陽における希代之細作団の再編成。
過日の洛陽事件で、希代之は配下の中でも特に優秀な細作を七人も失った。
洛陽に開いた「穴」は余りにも大きい。
しかし、魏、呉、そして燕の各地に配してある細作の数にも、余裕があるわけではない。
限られた数の細作を、可能な限り効果的に配置する。
希代之の命令を帯びて洛陽入りした護衛隊長は、その難しい作業を、郭図公則が預かり知る前に完了させていた。
もちろん、再編された洛陽細作団の陣容は、満足できるものではない。
ただし、やれることはすべてやった、という想いはある。
(尾行も巻いたことだし)
周囲に注意深く目をやりながらも、護衛隊長は一息ついた。
(洛陽のまちを見物でもするか)

人が増え、街並みも急速に整備されつつある洛陽。
市の賑わいは、それを示すひとつのパロメーターだ。
涼軍の侵攻で若干減ったものの、洛陽の人口は急速に回復し、間もなく侵攻前を上回りそうな勢いになっている。
魏領の許昌、陳留、上党と隣接している洛陽は、奪還を企てる魏の侵攻がいつあってもおかしくない地。
にも関わらず、行き交う民から不安の表情は伺えない。
「そりゃあ涼王様が負けるわけないからさ」
護衛隊長が声をかけた店の主人は、何の疑いもなくそう言った。
「だって、涼王様は防衛戦では負けなしっていうじゃないか」
これまで涼軍は、二度の敗戦を経験しているが、いずれも攻略戦のことだ。
地の利が見込める防衛戦では、一度も負けたことがない。
290洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/14 00:02
「人賑わう都市・洛陽か」
再び通りを歩きながら、護衛隊長はポツリとつぶやく。
確かに民の活力があちこちから感じられる。
ほかの都市ならば、十分に満足できる繁栄ぶりだ。
しかし、今の洛陽には、重大な何かが欠落している。
ここはただの都市ではない。中華唯一の「漢都」なのだ。
(皇帝陛下がおわされねば、真の意味での漢都とはいえぬ)
皇帝の玉体を曹魏から解放したまう許昌攻略戦は、間もなく発動される。
(陛下が還御して初めて)
護衛隊長は思う。
(洛陽は、真の漢都として復活するのだ)

皇帝が鎮座し、文字どおりの「漢都」として益々発展する洛陽。
そんな想像を楽しんでいた護衛隊長は、そこで一件の武具屋に目が行った。
さすが中華随一の都市だけあって、武具もいいものがそろっている。
並外れた集中力を持つ護衛隊長だが、何事も程度というものがある。
この男の場合、ひとつのことに集中すると、まったく周りが見えなくなる。
今がそうだった。
武具に並んで、西域の置物が置いてあった。
それを手に取り、美しさに感嘆していたため、注意が散漫になっていた。
「おじさん。ちょっとこの槍高くない?」
突然頭上から聞こえた声にびっくりして見上げると、護衛隊長のすぐ脇に1頭の象がいた。
象に乗っているのは、悪趣……いや、派手な服を着飾った女兵士。
「張さんの店では、似たような槍がもっと安くで売ってたよ。こんな値段じゃ誰も買わないよ」
「だったら張の店に行きな」
店主はゲンナリした様子で答えている。
「あのね。わたしは親切心から言ってあげてるの。武具が売れなくて家族を路頭に迷わせることになったらかわいそう……そうならないためにも、商品売れた方がいいでしょ?」
「言い値で売れるならね」
「その言い値ってのがおかしいの。おじさん、市場原理って知ってる?」
「知らん」
「市場原理ってのはね…………………ま、それはともかく、この槍は高いっていうことよ」
291諜報部末端構成員:02/12/14 00:02
>280
了解しました監視を続けます。

え?袁奉将軍に関する噂も流すのでありますか?
はい、適当に魏の手の者が接触してると言う噂を流すであります。

道理で最近方々で袁奉将軍に関する様々な噂を聞くと思ったよ。
292洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/14 00:03
呆れ顔の護衛隊長をほっといて、女兵士と店主の値段合戦は続く。
「つまりこういうことだろ。姉ちゃんはこの槍が気に入った。買いたいと思っている。しかし金がない。だから値引きしようとしている」
「『買いたいと思ってる』までは正解だけど、それ以降ははずれ。お金はある。でも市場原理に則るなら、この金額で買うわけにはいかない」
「だから市場原理ってなんだよ」
「この槍は高すぎるってことよ」
いや、違うだろ、と護衛隊長が心の中で突っ込んでいるとも知らず、女兵士はついに禁じ手を出してきた。
「ねぇん、お・じ・さ・ま」
「な、なんだ突然……悪寒が走るような声出すな」
「もうちょっとでいいのウフーン。この槍、安くしてくださいなアハーン」
「やめろってその声は! 夢に出そうだ」
「夢の中なら、いくらでも楽しんでいいのよフニーン」
「どうせ見るならいい夢見たい。悪夢はいやだ」
「値切ってくれないと、いつまでもこの甘美な声でおじさまを悩殺しちゃうわよムッフーン」

結局言い値の半額以下にまで値切り通した女兵士は、「二度と来るな!」と叫んでいる店主を尻目に、「♪スンスンスーン」と鼻歌を歌いながら、意気揚々と象で立ち去っていく。
呆然とその姿を見ていた護衛隊長は、象に括り付けられた軍旗に気付き、思わず手にしていた西域の置物を落としてしまった。
「郭」。軍旗にはそう大書されている。
「郭」とは、もちろん郭図公則が司令官の洛陽守備軍所属を示すもの。
しかし、洛陽守備軍には戦象隊は配備されていない。
そもそも、洛陽守備軍を含めた涼四個軍団のうち、戦象隊があるのは馬参率いる第三軍だけのはずだった。
293洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/14 00:04
法外な値引きを強要され、さらには売り物を壊されて怒髪天をついてる店主。
泣く泣く置物の代金を支払ってから、護衛隊長は質問した。
「あの女兵士だが……洛陽守備軍の者かい?」
「違うよ」
金を受け取るや、一転してニコニコ顔になる店主。
多分、この置物の値段も相当ふっかけたものだったのだろう。
「第三軍のじゃじゃ馬だ。確か、陸遜様の部隊のはずだよ」
「じゃなんであの女兵士、郭図公則将軍の軍旗を付けてるんだ?」
「選挙活動だろ?」
「選挙活動?」
「ほれ、第四軍団長選挙。そのうちあるんじゃないのかい?」
「いや、それは知らんが……なんで第三軍の兵が、郭図公則将軍の軍旗を掲げなきゃならんのだ?」
「ん〜言われてみればそうだな。なんでだろ?」

(あの女兵士……郭図公則の放った細作か?)
最初そう思ったが、すぐにその予想を打ち消す。
せっかく忍び込ませた細作を、あんなに目立たせるわけがない。
(ということは……あれは囮だな)
護衛隊長は当たりをつけた。
郭図公則は、何人かの細作を第三軍に入り込ませているか、あるいは入り込ませようとしているに違いない。
それをカモフラージュするための処置だろう。
きっとあの女兵士には、金を掴ませるなどして言いくるめてあるのだ。
女兵士のいかにも金のかかっていそうな服装を見ても、それは容易に想像できた。
(これが郭図公則将軍の諜報力。そして組織力か……)
護衛隊長は、愕然とするものを覚えた。
(早く宛に帰ろう。そして希代之様に報告しよう)
急にソワソワとし始めた護衛隊長は、すぐに帰路につく。
(あるいは……我が隊にも、郭図公則の細作が潜り込んでいるかもしれぬ。すぐに調査しなくては)
294洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/14 00:04
粗末な宿屋で、2人の男がヒソヒソ話を交わしている。
「首尾は?」
「上々にございます。今夜にでも、と」
「そうか! よくやってくれた!」
上の身分と思しき男が破顔すると、部下と思しき男も顔を緩めた。
「おぬしには本当に苦労をかけたな」
「いえいえ、配下として当然のことにございます」
「何を申す。隊商の手伝いをしながら洛陽を目指し、郭図公則のお膝元たる洛陽守備軍に入り込み、黄将軍と渡りを付けてくれた。どれほどの苦労があったことか、私には想像すらつかぬ」
「……殿」
「その苦労には必ず応えよう。ただ……恩賞の方はもう少し待ってくれぬか?」
「どうか殿! その儀はお気になさらず! 殿のお力になること、これに勝る喜びはございませぬ!」
目に涙を溜めて言うのは、町費隊の士長。
士長の言葉に思わず目頭を熱くするのは、町費。
七同志の中で、もっとも優れた内政能力を持つと同時に、七同志の中で、もっとも経済的に困窮している男だ。

町費と呂砲の間に険悪な空気が生じ始めたのは、呂砲が涼王に就任して以降のこと。
とはいえ、呂砲が王位に就いたこと自体に、町費は不満を抱いているのではない。
王位は、中華の半分の都市から戦火を無くしたことを皇帝自身が嘉し、呂砲に授けたものだったのだから。
問題なのは、あの「噂」だった。

古来の伝統として、王号は受任者の所在地にちなんで授けられる。
王位に進むその直前、呂砲は新野に駐屯していた。
「噂」によると、皇帝は伝統に則り、「韓王」の位を呂砲に示したという。
しかし呂砲はそれを固持し、代わりに「涼王」の位を求めたというのだ。
295洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/14 00:05
皇帝から王位を授けられる。
町費の目から見ても、呂砲はそれにふさわしい実績を残してきたと思う。
実際、中華の半分の都市から戦災を無くしたその功績は、誰にも否定できるものではない。
だが、神聖不可侵たる皇帝が示した王位を断り、我意のままに好みの王位を求めたという振る舞いは、明らかに皇帝の威信を軽んじるものだった。
皇帝に対する緊張感を失った実力者が最終的に望むもの―それは帝位だ。
(事が起こってからでは遅いのだ)
呂砲が「暴挙」に至ろうとするなら、断じてそれを食い止めなければならない。
もっとも望ましい方法は、呂砲に対する説得。
万策尽きた時は……まあ、それについてはその時考えよう。

とにかく、仲間が必要だった。
最初町費は、その相手として軍師の希代之を考えた。
希代之は、呂砲の涼王就任に対して、もっとも激しく反発した男だった。
「もし皇帝陛下を蔑ろにするようなことがあれば、それがし、殿と一戦仕る覚悟に御座います!」
ほかの武将も控える前でそう言い放った希代之は、その後、「話をしたい」と町費に打診していた。
しかし結果的に町費は、その申し出を黙殺した。

王位就任以前の呂砲と希代之は、極めて親密な関係にあった。
ひょんなことから仲たがいしたこともあったが、拳同士の語り合い(呂砲が一方的に殴った、という説もあるが)で、氷解していた(前スレ初期参照)。
(軍師殿は、殿下と通じているのではないか? 王即位に反対する振りをして、反対派をあぶりだそうとしているのでは……)
その疑念を晴らすことができなかった町費は、結局七同志以外から味方を探すことを選んだ。
296洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/14 00:06
町費が最初に目を付けたのは、関羽と張飛の義兄弟だった。
形だけのものだったとはいえ、彼らの長兄たる故劉備は、「漢朝復興」を旗印としていた。
うまく釣れれば儲けもの―そう考えての関羽・張飛との接触だったが、これは意外な収穫だった。
長兄を失い、目的意識を無くしていた2人は、新しい使命を持つことに純粋な喜びを感じ、町費の行動に従うことを約した。
劉備死後、町費が劉備の墓を建てたほか、劉備の遺族の世話をしていたことも、2人が町費を信用する大きな背景となっていた。

次いで町費が目を付けたのが、洛陽守備軍所属の老将・黄忠。
町費が黄忠を選んだ理由は、三つある。
一つ目は、黄忠が元々韓の武将であり、劉備に近い考え方をしていると思われるから。
二つ目は、かつて黄忠も第一軍に所属しており、町費とも顔見知りの間柄だったから。
三つ目は、洛陽守備軍司令官・郭図公則の動静を探る耳目として、黄忠に期待したから。

今、町費の頭の中でもっと大きな割合を占めているのは、呂砲が帝を廃立するのではないか、という危惧。
次いで大きいのが、郭図公則の存在だった。
とにかく、挙兵当初から「我が道を行く」を貫いているこの男は、何を考えているのかまったくわからない。
予想外のところから、こちらの足元をすくわれてはたまらない。
洛陽守備軍最強の武将である黄忠を味方につけることができれば、その懸念は大幅に減るはずだった。
297洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/14 00:07
夜、黄忠邸。
「よくぞ参られた、町費殿」
町費より二倍長い人生を送っている老将は、軽装平服で町費を迎え入れた。
「お久しぶりにございます、黄将軍。お元気そうで何より」
拱手する町費に、黄忠は見事な白髭を揺らせながら笑った。
「それがあまり元気ではないのだ」
「お体の具合でも?」
「いやな、主力たる第一軍から外され、あの辛気臭い男の下で守備軍務めであろう? なんとも張り合いのない日々でな。気が滅入っておる」
「洛陽は神聖なる漢の都。ここを攻め立てられては、陛下の宸襟も安らかではございますまい。黄将軍の存在こそが、曹魏をして、洛陽侵攻を控えさせている最大の要因かと」
「ハハハ、七同志からそう言ってもらえると嬉しいの。しかしわしとしては、早く曹賊が攻めて来ぬかと、腕をさすっているところよ」
町費は曖昧に笑った。
「漢の都」という言葉を最初の探りとしたつもりだったが、黄忠は乗ってこなかった。
「して、この老人に内密の相談とは……いったい何でござろう?」
町費の若干の失望にも気付かぬ様子で、黄忠は席を勧めた。

直情型で情にもろい。
黄忠の性格を要約すれば、そういうところになる。
ならば、攻略方法は決まっている。
町費は黄忠の前で、いきなり土下座した。
「黄将軍! この哀れな若造を導いていただけませぬか!」
「な、なんじゃ突然?」
気勢を制せられ、黄忠は目を丸くしている。
「漢朝復興を目指し、この町厨房、10年にわたって呂砲殿下とともに山野を駆け巡って参りました。間もなく第一軍は許昌を攻略します。そして玉体をここ洛陽へとお連れいたします!」
「いや、それは承知しているが……まずは町費殿、土下座などやめてくれ。それでは話もできぬぞ」
「お聞きください、黄将軍!」
町費はさらに声を張り上げた。
必死であること。黄忠を頼りにしていること。
まずはそのことを、この老人にしっかりと認識させなければならない。
298洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/14 00:07
「私は今、どうすれば良いのかわからなくなってきているのです!」
町費の訴えは続く。
「間もなく陛下は、生まれ育った洛陽へ還御されます。おそらく、その胸のうちは喜びに満ち溢れ、天下万民を安寧へと導くべく、意欲に燃えておられることでございましょう。しかし!」
すごい勢いで絶叫する町費に、黄忠は完全に息を呑んでいる。
「私は心配なのです! 果たして陛下が、本当に天下万民のためにその徳をお示すことができるのかどうか!」
「……どういうことだ、それは? 陛下には中華を統治する資質がないとでも言うのか?」
「とんでもございませぬ!」
目を見開いて否定しながらも、町費は黄忠の反応に手応えを感じ始めている。
「董卓、郭、李カク、そして曹操……彼らはその軍事力にものを言わせ、国政を壟断してきました。しかし、それでも漢が破滅するに至らなかったのは、ひとえに陛下の英明によるもの! どうして漢の忠実な臣たる私が、陛下の資質に疑問を挟むことができましょうや!」
黄忠は腕組みをして、町費を見据えた。
「それでは町費殿。おぬしは何を懸念しておるのだ?」
ここで町費は、声を詰まらせた。
演技のつもりだった。
しかし、胸が昂ぶっている。涙が自然に流れている。
なぜだろう?
自問自答するが、答えはわかりきっている。
この10年間、町費は漢朝復興だけを目指し、そのために呂砲に仕えてきた。
しかし最近の呂砲の態度は、町費の10年間を否定し、嘲笑うものにほかならない。
理不尽。
怒りと悲しみが、町費の涙腺を緩くしている。

「私の懸念はただひとつ……呂砲殿下が……董卓らと同じ振る舞いを陛下に向けるのではないか。いや」
町費はようやく声を振り絞った。
「それだけならまだなんとかなるかもしれませぬ。しかし……陛下を廃虐するとなれば……漢朝は滅びます」
299洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/14 00:09
黄忠は無言だった。じっと腕を組み、目を閉じているが、その手はわずかに震えている。
震えている理由ほどなく明らかとなった。
「話はよくわかった。町費殿」
手だけでなく、声まで震わせて黄忠。ついでに涙を浮かべている。
「貴殿の漢朝への忠義、この黄忠、しかと承知しましたぞ」
黄忠は町費の前に膝を突き、その手をぐっと握り締めた。
「漢朝の威信を世に示すこと。それはわしの生きがいでもある。残念ながら、わしは世の流れを掴むことや腹の探り合いは苦手だが、わしの力が必要となった折りには、いつでも声をかけてくだされ!」
「黄忠殿!」
町費は感激していた。演技ではなく、心から。黄忠は大きく肯き、町費の肩を叩いた。

「如何でございました?」
黄忠邸の外で待機していた士長が、町費に問い掛ける。
「上々だ。黄将軍は我らの味方となったぞ」
満面の笑みを浮かべる町費だったが、ここでハッとした。
「しまった! 迂闊だった!」
「どうなさいました?」
頭を抱える町費に驚く士長。対する町費は、無念のうめき声を上げる。
「……黄将軍に金策を持ち掛けるのを忘れていた」
「な、なんと。それは一大事! すぐにまた、黄将軍にお会いして……」
「いや、それはできぬ」
たった今、感動的な話し合いをもったばかりではないか。
ここで金策など持ち掛けたら、せっかく築き上げた空気に水を差す。
「しかし、それでは……」
心配そうに士長。
洛陽攻略戦での戦功を帳消しにされた結果、町費は私財を投げ打って、部隊の兵士たちに恩賞を与えた。
結果今の町費は、七同志の一人とは思えぬほどの極貧生活を強いられている。
(ええい、どうしよう)
悩む町費だったが、すぐその脳裏に、一人の武将の名がひらめいた。
「会いたい人物がいる。明日その人物と会う段取りをつけよ」
「はっ。で、その人物とは?」
「第三軍団長、馬参殿だ」
300洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/14 00:10
「帰っていったぞ」
町費を見送った黄忠は、無人のはずの部屋に声をかけた。
その声に応じて、隠し扉が開かれる。
「ご苦労であったな。黄忠」
「フン、なにが……純粋な若者をたぶらかすなど、まったく本意ではないわ」
「たぶらかしてはおらぬではないか。おぬしはおぬしの考えること、そのまま町費にぶつけていたように見えたが?」
「おぬしがコソコソと隠れていたことを黙っていた。これがたぶらかすと言わずして何と言う!」
「どうとでも」
隠れていた男―郭図公則―は、あくまでも落ち着いて答える。

「で、おぬし……これからどうするつもりだ?」
椅子に勢いよく腰を下ろし、黄忠は尋ねた。
立場上は洛陽太守たる郭図公則の部下にあたる黄忠だが、言葉使いにはまったく遠慮がない。
一方の郭図公則は、それを気にする様子もなく答える。
「別に。今宵は単に、町費の存念を知りたかっただけ。他意はない」
「町費殿の存念を探り、それを己の野心に利用するのであろう」
「心外だな。それは」
「なんだと?」
「私はこの10年というもの、涼王殿下の忠実な配下として務めてきたつもりだ。なのになぜ、多くの者がわたしに猜疑の目を向けるのか。実に心外だ」
「それはおぬしの態度に問題がある。敵を作り過ぎるのが原因だ」
「確かにそれは言えている。私の味方といえる武将は、おぬし一人だからな」
郭図公則の言葉に、黄忠は「ブホッ」とむせた。
「い、今……おぬし何と言った?」
「戯れ言だ。聞き逃してくれるならありがたい」
「いや待て。今、とんでもないことを言ったな」
「確かに長生きする者の言には、傾注すべき部分が多い」
動揺する黄忠を無視して、郭図公則は言った。
「敵を作り過ぎるのはよくない。以後、心しよう」
301洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/14 00:11
あらゆる部分に触覚を巡らすことによって、情報は集まる。
集まる情報はそれこそ玉石混合だが、それを読み分ける力があるなら問題はない。
現に今夜、極めて興味深い情報が得られた。
頭をかきむしっている黄忠を尻目に、郭図公則はそう思う。
町費は年寄りの情深さをついて、黄忠を味方に引き入れたつもりになっている。
いや、実際黄忠も、町費のひた向きさに心打たれた。
肝心なことは、自分がこの人間関係を、どのように活用するか、だ。

今夜、町費と黄忠のラインが完成した。
しかしそれ以前に、郭図公則と黄忠のラインも完成していたのだ。
そんなことを言ったら、黄忠は顔を真っ赤にして否定するだろうが、実はこの老将、暇さえあれば太守府に顔を出し、郭図公則と嫌み合戦をすることを楽しみにしている。
その嫌味合戦で敗れるのは、決まって黄忠なのだが。

(しかし、町費め。なかなかやるではないか)
町費と黄忠の会話を思い出し、郭図公則は嘆息した。
(関羽と張飛まで仲間に引き入れておったとはな)
黄忠との密会で、町費は関羽と張飛も同じ考えであることを告げていた。
(つまり、こういうことだ)
後ろで黄忠が「さっきの発言取り消せ」と怒鳴っている。
それを無視して、郭図公則は自分の思考を進める。
(黄忠とのつながりから、町費を味方にする道も開けた。そして町費を味方に引き入れたのなら、自動的に関羽と張飛もこちらに来る可能性がある)
郭図公則は、酷薄な笑みを浮かべた。
あらゆる部分に触覚を巡らすことによって、情報は集まる。
ただし、集めるだけでは駄目だ。
情報を生かすも殺すも、人間次第……。

郭図公則は突然振り返ると、黄忠に言った。
「確かに敵を作り過ぎるのは良くないな。これからは味方を増やすことを考えよう」
徹底的に無視されっぱなしだった黄忠は、「フン!」と横を向いた。


次回、「洛陽――人集う都市(その2)」。
302吾玄 ◆pa7KljsyW2 :02/12/14 01:17
あの噂が広まっているようだな…。

…全軍に通達だ。
「偽報に騙され、みだりに士気を下げるようなことを言いふらしたものは死罪」。

ともかく今は抹陵攻めだ。呉のこんな愚策に付き合っている暇はない。
303雑兵1号:02/12/14 01:55
殿下、経理部の方と話をつけました。
殿下の12月のお給料からさっぴくことになりました。
タイヤ?だからワイヤー出てるのでよければ、タダで譲りますよ。

殿下からのボーナスということで、早速町費将軍様、士長殿に渡してきます。
たしか洛陽に行っているんでしたね。

馬引けーーーーい!よし、おまえら5、6人ついてこい。
よいな、洛陽で見苦しい真似をするな。誇り高き親衛隊の名を汚すなよ。
それでは殿下、出立いたします。

(ほとぼりが冷めるまで洛陽でブラブラしてるかな。
許昌攻めはまだ先だし。ププ・・・まずはキャバクラかな)
304希代之護衛兵:02/12/14 14:06
>希代之様
・・・以上が今回の諜報報告でございます。
我が細作衆の能力は、郭図殿の細作部隊にひけをとりませぬ、が
組織力では圧倒的にございます。
この部隊にも数人紛れてる様子ですが、このまま泳がせますか?それとも・・・。

ところでお話は変わりますが、そろそろ許昌攻めですね!
一刻も早く漢復興のために、戦う所存でございます!

>呂砲様
まさかあの日記からここまで話ができるとは思いませんでした!
年末なのでお忙しいでしょうが、風邪をこじらせないように気をつけてくださいね!
305見習忍者:02/12/15 01:05
>284
>285
各員黄金のヤカン賞を目指し奮闘せよ。

>287
例の思枠に役立てていただければ・・・
メール欄とかも・・・

>302
長期的なネタになる?かと思うので良いのではないのでしょうか?

そうか軍師殿が埋伏の調査に乗り出したか。
組織員を少し伏せた囮、巧妙に伏せた囮、本命の三段階に分け攪乱せよ。
袁奉将軍の件は計画に沿って全土に継続的に進めよ。
噂の内容に関しては各員に任せるのでじっくり気長に広めるのだ。

我らは閣下を頭とするなら手足である。
各員はただひたすら閣下の為に任務に励めば良いのだ。
さて、閣下に燕の件をご報告せねばな・・・。
民間の一部では劉備信仰が激しいそうな。
やれ、首のない手長男が徘徊するだの、
涼の王のおかしな振る舞いも劉備のたたりのせいだの、
漢の皇帝もきっと劉備の霊に取り憑かれるに違いないだの、
おかしな噂をながしては劉備を祀るように脅迫するんだと。
いい迷惑だから早く取り締まってほしいよ、まったく。
307廖影 ◆CN2I0jO6s2 :02/12/15 09:38
廖衛への報告書(洛陽、仮宿舎にて)

廖衛さま
洛陽では兵の調練も順調に進み、日に日に精鋭となる彼らを見ると、早く戦場に向かいたい思いで一杯になります。
一つ気になりますのは、許昌攻略が近づくにつれ、なにやらまたきな臭い動きが出始めていることです。
確たるものは何も掴んでおりませぬが、袁将軍のお噂など、廖衛さまも耳にされているかとは存じます。
引き続き洛陽で調練にあたりつつ、洛陽太守さまなどから情報をなんとか収集いたします。

ところで、廖衛さまがついに軍団長に立候補されるとか!
以前にも申し上げたように、全力を尽くして選挙に協力させていただきます。
選挙はまだ先のようですが、根回しは早いに越したことはありますまい。
とりあえず馬参将軍に廖衛さまの意向を伝えてこようかと。
また、許昌攻略戦では我らが華々しい武功をあげる必要がありますな。
洛陽太守さまにもなんとか協力を取り付けられるよう働きかけてみます。


あぁ、伝令よ。今回の報告書だ。また苑の廖衛さまの元に至急届けてくれ。
(無論、細作頭のもとに真っ先に届けられるのに気づかない廖影なのです)
308長史:02/12/15 12:36
近頃袁奉将軍に関して様々な噂が流れているようだ。
あの真面目一徹の袁奉将軍の事だ。そんな事はないと思うが、
魏の手の者と接触していると言う情報もある。
一応殿下にご報告だけはしておいた方が良いな。

それより気になるのは町費将軍がここ洛陽に来ていると言う事だな。
町費将軍と言えば軍師殿と並ぶ漢王朝派の者。
一体何の為に・・・偶然を装い会ってみるか?さてはて・・・。
しかし、この情報は何処から流れて来たのだ?確認できる者がいないとは・・・。
・・・・・・太守か?
309無名武将@お腹せっぷく:02/12/15 14:43
洛陽日記・2巻

○月○日
長史が何か御神木を切り倒そうとしているらしい、廷臣の反発は必至と推測。
とりあえず洛陽に残っている廷臣達に注意を喚起しておかねばなるまい。

○月×日
廖が近衛隊の訓練を引き受ける、これで有事において戦力となる軍隊が出来るだろう。
しかし、近衛隊は非常時に誰が指揮することになるやら…

○月△日
補津斗楚濡なる物を化中者に代わり導入、見栄えに疑問が残るが作業効率の向上に成功。
細作に洛陽に巣食う魏呉の手の者の動向を聞く、全滅は難しいとの事。
黄忠と会見、物別れに終わる。

×月○日
↑の日記が流出する、予定どうりだ。

×月×日
袁奉の第二軍団就任に対する意欲、現実化すれば面白いが、どうしたものか。

×月△日
黄忠を使って町費に探りを入れる、金に困っているらしい。
自分→見習→商人→長史→廷臣→廷臣→町費のルートで金を流して様子を見る。

×月▽日
休暇
310郭図公則 ◆sW2getuhmE :02/12/15 14:44
12月15日
かちゅの間隔で書き込んでしまいミス。
311袁奉 ◆JLz0areZMU :02/12/15 16:02
ふう、ようやく戦いが終わったか・・・・。今回は本当に危なかったな。
>吾玄殿
いやなに、この戦いはそれがしだけでなく、皆の力があったからこそ勝てたのです。
礼ならば、他の将軍や兵達に言ってやってくだされ。
>にわか水兵隊殿
こちらこそ、これからもよろしくお願い致す。至らない面もあるだろうがどうか支えてやって欲しい。

ん?何?それがしの噂が流れているって?
それも第2軍団長になろうとしているだと?
はぁ、やっと戦が終わったというのに、慌しいものだな。
まぁ、おそらくは郭図公則殿の仕業だろう。
どれ、出かけるついでにちょっくら変装して街の中でものぞいてくるか。
好漢袁奉、復活━━━━━━━━━━(・∀・)━━━━━━━━━━!!
313吾玄隊:02/12/15 18:02
>311
町中にて

A「おい、あれは袁奉将軍じゃないのか?」
B「本当だ、あんなヅラとか被って何してんだ?」
C「あの噂と関係があるに違いない!」
A「なるほど、お前(C)珍しくマトモな事を言うな。」
B「って事はあれで変装しているつもりなのか?」
C「やはり怪しいぞ!」
A「むぅ、確かに選挙の事や呉と接触しているとか噂はあるが・・・」
B「あんな姿を見ると確かに怪しいな。」
C「何か企んでるに違いない!」

※袁奉将軍の怪しい変装を見て物凄く誤解しています。
314馬参 ◆.L/ffpm.yw :02/12/16 00:47
前回は粗相をいたし、申し訳ございませなんだ。


ほう、廖衛殿が第四軍団長に立候補する、と。
今まで、左様な素振りをおくびにも出さなかっただけに、驚いたな。
無論、郭図公則も立候補するだろうが、もしかしたら他にも同じ様に考えておる者もおるかも知れぬな。

さて、これからどうなっていくのか。


それにしても、近頃は希代之殿の姿を見掛けないが、どうしたのだろうか。
315弐番支援会支部より:02/12/16 01:23
なぁ最近の謀略おかしくないか?

なんだ急に?

太守になってからはやかんの隊長が謀議を任されてるけど、
本当に郭図公則様は七同志の分裂を望んでおられるのか?

おい変なこと言い出すなよ。俺は知らないからな。

(…行ってしまったな。郭図公則様に直訴してみよう………命がけだな)

※巨大化した謀略府に反やかん派の芽が生まれました。注:ネタです。
316成都のおねぇさん:02/12/16 05:00
日記より

今日はいい買い物をした。いい槍が手に入った。
この「旗」を武鵜(ブー)につけてから面白いようにお金が入ってくる。
そして、身に付けた愛想と色気で市場価格どおり物が手に入る。
戦も無いしなんて平和なんだろうと思う。

さて、以前ネタとして振った宴会を開催しようと酒屋を予約した。
場所は「池田屋」なんでも不祥事があったとかでただ同然で部屋を予約できた。
第二軍が対呉戦で勝利したこともあるしいいおいわいになると思う。
えっと…招待状誰に送ったっけ?
いいや。洛陽にいるえらい人全員におくっちゃえ^^

>呂砲様
いつもいつも登場させていただいてありがとうございます。
これからも下手なネタを提供するんでがんばってください。
317廖衛 ◆ttmECRHBeQ :02/12/16 11:46
なに、廖影殿から書簡が・・・?
ふむふむ・・・、兵士の育成は順調か・・・。
確かに根回しは必要かも知れぬな・・・。考えておいても良いかも知れぬ。
うーん・・・。・・・ん?開封した跡がある・・・。ふん、さてはまた細作頭の仕業か・・・。
しかし妙だな・・・。郭図公則にしては杜撰なやりかたな気がするが・・・。
あやつの性格からすると、この様な場合ではわざとというのは考えにくい・・・。
さては細作頭の独断か。郭図公則も部下の扱いに苦労しているようだな。

>殿下
ははっ、私の願いを聞き入れてくださり有難う御座います。

>吾玄殿
おお、久しぶりですな。勝利おめでとうございます。孫賊めの討伐、期待しておりますぞ。

>袁奉殿
吾玄殿の副将として頑張ってくだされ。・・・どうでもいいですが、その変装は怪し過ぎますが・・・。
貴殿の妙な噂は信じておらぬので気に召されるな。

>馬参殿
まあ、殿下に御恩返しをするにはそれなりの地位という物が欲しかったのですよ。
近々そちらにお伺い致しますので宜しくお願いします。
318にわか水兵隊:02/12/16 21:19
うーむ、噂で兵士達が少し動揺しておるな。これでは呉に隙を与えてしまう。なぜか味方の間者の数が多い!殿ため洛陽に
手のものを放つか。。
皆が自ら太守様の網に掛かるために洛陽に離せ何をすr・……ザシュ

洛陽に生ゴミが一つ増えました
320希代之副官:02/12/16 23:55
へ、へっくしょん! む、また誰か死んだかな?
それにしても、許都の開放と帝の還御が近いというのに
まるで皆それ所ではないようなのは困ったものだ。
…そう仕向けている誰かがいるとしてもね。

まあ、のんびり絵でも描きながら、殿のご下命を待とう。

それがしも希代之様を激しくお待ちしております。
CGもまた描きたいと思います。感想ありがd
321洛陽清掃員:02/12/17 00:11
>319
あぁ困るなぁまたマグロを生ゴミに出した人がいるよ

珍しくもないけど片付ける俺らの立場にもなって欲しいもんだ
322池田屋主人:02/12/17 00:27
象に乗った怖そうな女性が部屋を貸してくれと言ってきた。
断ると宿を破壊されかねない勢いだったので、
一番安い部屋を貸す事にしたがどういう訳か特別室を乗っ取られた(泣

文句を言いたいけど命が惜しい。

え?勿論料理も・・・喜んで最高の物を用意させて戴きますです(血涙
323廖衛将軍府 :02/12/17 01:11
廖影殿の補佐を某が?!
某のような者には荷が重過ぎます。

それより将軍面白い話を聞きましたぞ!
あの袁奉将軍にこすぷれと言う趣味があるそうですぞ。
第二軍にいる某の友人が見かけたそうです。
きっとこんな姿を他にも見かけた者がいるから、
妙な噂が流れる元となったのでしょう。
いやぁ〜人の趣味とは分からないものですな(笑

※中央では選挙よりこすぷれ将軍の噂が広まってしまったようです。
324見習忍者:02/12/18 02:10
おい、そこの研修生何だその密書閉じ方は?!
良いか?密書を見た後はきちんとこのように閉じねばいかんのだ。
まさか先日の廖影の書簡もお主が閉じたのか?
・・・・・・以後廖影の書簡は上級者にやらせるように(涙
先日の軍師護衛兵の件と言い、どうも最近組織のタガが緩んでいるようだな。
組織員に引き締めを強化するように通達させねばな。
無能な者は減俸もしくは斬首とするか。

>315
何?その様な反感の芽が生じていると言うのか?
(成績表を見ながら)なるほどこの男は中々有能だな。
与える役を間違えた私のミスだな。

最近お主は方針に疑問があるそうだな?
疑念を抱かせたのは与える役を間違えた私の不徳だ。
そこでだ、お主を第二軍団及び吾玄・袁奉両将軍の諜報責任者に任命する。
存分にその才能を生かすが良い。
その前に一つだけ注意がある。
我々の頭脳は閣下である。全ての命は閣下から出される。
それに従いただ一途に任務に励むように。
我々一細作風情が閣下の真意を理解する必要はないのだ。
我々細作団の合言葉は全ては閣下の為に!だ。
今一度その意味を噛み締めて欲しい。
お主の手腕に期待する。あぁ定時報告は怠らないようにな。
325315番目の草:02/12/18 15:21
>324
「ハァ。では洛陽へ挨拶ののち早々に任地へ向かいます」

…やれやれ、呉軍に涼の対呉諜報部、加えて最近は袁奉将軍の諜報部も活発な
第二軍団でいまさら人事異動とは、どうやっても動向をつかまれるではないか。

なるほど、私自身が七同志向けの囮か。しばらくは呉の細作刈に専念しよう。

それにしても反やかんの同志を集める時間も与えずにこんな所へ飛ばすとは、
さすがは郭図公則様の右腕といった所、もはや長安の土を踏むことも無いな。
「すべては郭図公則様のために」

※第二軍団内⇒呉の諜報影響力↓(一時低下) 郭図の諜報網に偽装完了
※細作315番行方不明 諜報部内の反やかんの芽消滅。
326廖衛 ◆ttmECRHBeQ :02/12/19 10:23
ふう・・・、普段頭を使わぬ所為か、頭脳戦は疲れるな・・・。
私も早く戦場を駆け回りたいなあ。廖影殿も今ごろ調練に励んでおるのかな・・・?
・・・しかしなぜ、廖影殿は名前をあかさぬのだろうな・・・?
フッ・・・、別に良いか・・・。私も元々この名ではないのだからな・・・。

<以下回想(第三者的に書きます)>
廖衛。この男には誰にも言わぬ過去があった。主君である呂砲、刎頚の友馬参、そして影武者廖影。
この男が最も信頼するこの三人にも秘密にしていた。そしてその過去故に漢王朝に深い恨みを抱いていたのである。
いまから二十年程も前、彼の名は『郭封』と言い、汝南に住んでいた。
ところが、盗賊により彼の住んでいた農村は滅ぼされてしまい、彼の両親も殺された。
嘆き悲しみ、彼は郡太守に訴え出たのである。しかし・・・
郭封(廖衛)「お願いで御座います。盗賊が発生し、私の村が滅ぼされてしまいました。どうか盗族共を討伐してください。」
役人「馬鹿なことを申すな。太守様の治政は上手く行っている。盗賊など出るはずが無い。」
郭封「でも・・・、」
役人「だまれ!!貴様のようなガキに判ることではない!とっとと失せろ!!」
役人に門前払いされ、泣く泣く生き残り達の元へ戻ったのである。
土地の古老の言うところでは・・・
古老「あの郡太守は悪名高い十常侍が派遣した者でな。盗賊達と結び、住民から搾取しておるのじゃ。
   じゃから、盗賊を討伐するなど承知するはずが無い。自分の懐が侘しくなるだけじゃからな・・・。」
激怒した郭封は剣と槍を持ち、郡太守府に乗りこみ、郡太守を剣で六回、槍で七回突いて殺した。
まだ十歳だったが、膂力は通常の大人以上にあったので、周りの者は恐れて手出しが出来なかったのである。
彼が貪官汚吏の跋扈する漢王朝に対して深い憎しみを抱いたのはこの時であった。
≪続く(勝手に過去書いて申し訳ない)≫
お尋ね者となった郭封は逃げに逃げたが、汝南のとある山の麓で追い詰められた。
郭封は覚悟を決めたが、追っ手がまさに斬りかかろうとするその時、とある人馬の一隊が
駆け下りてきて追っ手を蹴散らした。呆気に取られている郭封の前に一人の若武者が降り立った。
年のころなら二十程、上背もありたくましい体つきの男だった。男は『廖惇』と名乗った。

廖惇「なぜ追われていたのだ?」
郭封「実は・・・(事情説明)・・・と言うわけなんです。」
廖惇「しかし、よく子供がそんな事出来たな。」
郭封「門番さえ倒せば、後は膂力に自身のありそうな奴が居ませんでしたから。」
廖惇「ははは、ぬけぬけと言う。ま、あの郡太守はそろそろ叩き潰そうとしていたからな。
   おかげで手間が省けたよ。・・・ところで、これからどうするんだ?」
郭封「・・・」
廖惇「行く当てが無いのなら、俺達の所に来るか?」
郭封「えっ?」
廖惇「おまえは中々見所がある。俺達は山賊なんて言われてるが、要は治安維持を非合法でやってるだけだ。」
郭封「・・・はい!ついて行きます!」
廖惇「それと名前も変えたほうがいいだろう。そうだな・・・俺の名字の廖を取って廖衛とでも名乗ったらどうだ?」
郭封「廖衛・・・、はい!」
こうして『郭封』は『廖衛』となった。

それから五年が経った・・・
廖惇「この山賊家業もそろそろかな。」
廖衛「えっ?どう言うことですか?」
廖惇「役人が近々討伐に来るそうだ。大軍でな。討伐される前に逃げる。」
廖衛「・・・」
廖惇「そんな顔するな。・・・ま、俺は名を変えて逃げるよ。おまえはどうする?」
廖衛「とりあえず、蜀の方へ行こうかと思います。」
廖惇「そうか。じゃまたいつか会おうぜ。」
廖衛「はい。」
そして、廖惇は『廖化』と名を変え、廖衛は永安まで逃げた。
328廖衛 ◆ttmECRHBeQ :02/12/19 11:30
(あれから更に十年ほど経ち私は呂砲様に仕えた。廖化殿はお元気だろうか・・・。汝南は曹操領だから
曹操に仕えているのだろうか。しかしこのままでは廖化殿が捕まったら危ない。殿に先に具申しておこう。
それにしても・・・、軍師殿や町費殿はこの一般民衆の事情を考えて『漢朝再興』と言っているのか・・・?
あれから二十年経っても私の漢への恨みは消えぬ。それに比べれば殿下のどこが不敬なのだ。
民衆の事を考えた善政を行ない直すと言うのなら、漢も存続するべきだろう。
そうでないのなら、直にでも滅び、殿下に天下を委ねるべきだ。)

>殿下(長文な上に独断でこの様な物を書いてすみませぬ。)
殿下。戦で廖化と言う人物を捕らえても、処刑などせずに、登用して頂けませぬでしょうか?
彼の者は義をわきまえ、忠を知る者です。それに私はかつて彼の者に命を救われたことがあるのです。
私の我侭では御座いますが何とぞお願い申し上げます。
・・・えっ、命を救われた理由ですと?・・・全てを話すことは出来ませぬが、私は追われていた時があったのです。
これ以上は申し訳御座いませぬが言えませぬ・・・。殿下が天下を取った暁には
全てをお話いたします。そしてそれが殿下に影響を及ぼさぬよう、
私は天下統一後は下野致しましょう。
廖衛どの面白い!
>希代之殿
かぁむ・ばぁぁぁぁぁっく!

>>303雑兵1号殿
       ∧         ∧          ∧
        / ヽ      / ヽ_       / .∧
     /   `、___/   `、⌒ヾ⌒ヽ/  ∧      だ・か・らぁ
    /   へ  呂  /  u (.....ノ(....ノ    / ヽ    わしのタイヤはなぁ
    l:::::::::    \   |     雑兵1号  u .:(....ノノ  とっくにワイヤー出てるの
   |::::::::::  -=・=- / ̄ ̄ヽ      ::::::::::::::/`ヽ     ツルツルギザギザなの
   .|:::::::::::::::::  \_(___..ノ   u::::::::::::::::::::(....ノノ     アンダースタァン?
    ヽ:::::::::::::::::::  \/    u ::::::::::::::::::::::::::::ノ

>>304希代之護衛兵殿
読み返しているうちに「あ、こりゃ使える」と。
しばらく置いてから使えるようになるネタ、ってけっこうありますね。

>>305見習忍者殿
了解。
どれほど期待に応えられるかはチトあれですが。
>>311袁奉殿
しばらく!
何かあったのかと心配してたぞい。

>>315>>325弐番支援会支部の草殿
危険と隣り合わせの任務に就く貴殿に聞きたい。
「いつ、どこで死ぬかわからない」という事実について、如何にお考えか?

>>316成都のおねぇさん殿
宴会ネタ、ようやく使えそうです。

>>320希代之副官殿
ぜひぜひヨロシク。

>>326廖影殿
長文乙!
やっぱり廖化ファンであったか。
承知した。まだ先になると思うが、使わせていただく。
332洛陽:02/12/19 19:11
ゆっくりと響く太鼓の音色に合わせて、軽装備の歩兵隊がゆっくりと列を成して進軍していく。
ほどなく太鼓が止まると、部隊は一斉に散開した。
そして連打。
左右の陣が、覆い被さるように敵部隊に殺到する。
方陣を組んでいた敵部隊は、さらに陣を小さくかつ堅くし、これに耐えようとする。
太鼓の調子がさらに激しくなった。
聞いている者の鼓動までも速くなるような、猛烈な連打。
左右の陣の攻撃がさらに熾烈となり、敵部隊が大きく動揺する。
見計らったように動いたのは、中央の陣。
真っ正面から敵部隊に襲い掛かる。
「決まったな」
小高い丘からその模様を眺めていた細作頭が、つぶやいた。
隣にいる廖影は、笑みを浮かべながら部隊の動きを見つめている。

「慌てん坊将軍」とも一部で揶揄されている廖衛だが、「突撃」と「撹乱」というまったく性質の異なる戦法をマスターしているように、器用さにかけては七同志随一のものを持っている。
呂砲軍の挙兵当時、廖衛が部隊の練成係として活躍したのは、その器用さに起因する。
何かと細かいところにも気がつくし、情が厚いので兵もよく廖衛に従い、練兵の効果も上がる。
廖衛によって戦闘可能なレベルまでに鍛え上げられた兵は、ほかの七同志の配下に回された。
緒戦の呂砲軍の躍進に貢献した廖衛の練兵技術だが、彼の副官兼影武者の廖影もまた、その才を有していた。
新設された近衛軍の練兵官として、細作頭が廖影を推薦したのも、当然のことではあった。
333洛陽:02/12/19 19:12
「一月と少々でここまで仕上げるとは。さすがだな」
細作頭の言葉に、廖影は照れくさそうに笑った。
「なに、ほとんどが洛陽と長安の兵だからな。連中、物覚えは早い。ただ……」
奥歯に物が挟まったような口振りで、廖影は細作頭に喚起を促す。
もちろん、細作頭もその言わんとするところをすぐに察した。
「いざという時は、か?」
「そうだ」
廖影は肯いた。

涼州の兵は騎馬に乗せれば最強だが、歩兵としてはせいぜい並み。
揚州の兵は剽悍。ただし、水上戦限定。
漢中の兵は愚鈍。「東を向け」と言われれば、3日でも4日でも東を向いたまま。
荊州の兵は田舎の警護以外に使い道がない。
そして、洛陽・長安など大都市出身の兵。要領はいいが踏ん張りがきかない。

「やるべきことはすべてやったつもりだ。調子に乗れば、どんな任務でもこなせる」
「問題は危機に陥った時か」
「指揮官次第だな。連中を奮い立たせることができるような指揮官なら、問題はあるまい」
「その懸念は不用だ。近衛軍は洛陽守備軍の管轄。一級品の武将が指揮を採ることになるだろう」
「ということは、黄忠殿?」
「ハハハ……私の上司の部隊統御もなかなかのものだぞ?」
「おう、これは失礼いたした」
ひとしきり笑ったところで、細作頭が尋ねた。
「宛にはいつ戻るのだ?」
「明日。今宵は例の宴に参加する……貴殿もくれば良いのに」
「どうしても今夜中に済ませなければならぬ仕事が残っていてな。女兵士殿によしなに頼む」
「承知した」

有用なもの、そして無用なものと、細作頭の元には様々な情報が入ってくる。
中には、最初は無用と判断していたが、後になって有用となってくる情報もある。
「戦象隊の女兵士、その酒癖甚だ凄まじく……」
細作頭は、今夜廖影が経験するであろう修羅場を予想し、こっそりと笑った。
334洛陽:02/12/19 19:12
郭図公則の息のかかる者に見つかるのはごめんだった。
別に悪いことをしているわけでもないのに、町費と士長が辺りを伺い、腰をかがめているのはそのため。
「殿、こちらにございます……」
士長が案内した先には、洛陽の中でも大きい方といっていい立派な邸宅。
馬参邸だ。

「よく来てくれた、町費殿」
町費を迎える馬参の顔は、大きく崩れている。
「宛に参って、礼を申し上げようと思っていたのだがな。何かと公務が忙しく、お邪魔することができなかった。申し訳ない」
頭を下げる馬参に、町費はにこやかに応える。
「いえいえ、狭小なる我が家にございますゆえ。馬参殿をお招きするには、あまりに格が足りませぬ」
「何を申されるか。貴殿の存在なくば、今の馬参はこの世にない……ささ、まずは中へ。酒を温めようとも思ったが、貴殿は酒をたしなまぬのであったな。熱い茶を用意してある」
下にも置かぬ扱いで、馬参は町費を部屋へ案内した。

先の洛陽解放戦は、予想外の苦戦となった。
降り止まぬ雪で行軍速度は大幅に減じられ、高く厚い城壁は第三軍の必死の攻城策を嘲笑った。
第三軍9部隊のみの攻撃だったのなら、函谷関は陥落しなかっただろう。
実際、第三軍は最後まで、城門を突破することができなかったのだ。
第三軍単独で函谷関を陥とすには、30日では少し足りなかった。
その「少し」の日数を補填したのが、軍令違反を犯して戦場に登場した町費隊だった。
「町費隊なくして、洛陽は涼の手中に収まることはなかった」
馬参は事あるごとにそう口にし、町費を絶賛していた。
335洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/19 19:13
拱手して馬参と町費を見送った士長。
このまま邸宅の外に出て、上司の帰りを待つつもりだった。
まだ1月。洛陽の冬は厳しいが、それは部下として当然のこと。
昨夜の黄忠邸でも、寒空の下、ずっと会談の終了を待っていたのだ。
しかし、退出しようとした士長を、馬参の家令と思われる老人が呼び止めた。
「士長殿、どうぞこちらへ」
「は? なんでございましょう?」
首を傾げる町費に、家令は告げた。
「別室にて酒を用意してございます。御公務中ゆえ、多くはございませぬが、冷えた体を温める程度ならよろしゅうございましょう」
「な、なんと?! それがしにでござるか?!」
士長は驚いた。
町費の片腕とはいえ、隊のごく一部を指揮するだけの身分の自分が、軍団長邸で接待を受ける。
考えられない話だった。
「い、いえ、お気持ちはありがたく存じますが……それがしは下賎の身。馬参様の邸宅に足を踏み入れるなど、あまりに恐れおおく……」
「町費様は我が主人の恩人と承っております」
家令はにこやかに言った。
「であるなら、町費将軍の配下の方々は、馬参様の下僕たる私にとって恩人にございます。あいにく、この家には若い女子はおりませぬゆえ、私めが一献お注ぎします。話し相手としては不足でしょうが、どうかこの老人めに天下の話をお聞かせくださらぬか」
その言葉を聞いた瞬間、士長は涙をこぼしそうになった。

洛陽攻略戦での独断を指摘され、功績はおろか、戦死者への見舞金も与えられなかった町費隊。
町費が私財を投じ、戦死者の遺族を中心に恩賞を支払ったが、それでも多くの兵が苦しい生活を強いらている。
軍中でも、町費隊の立場は良いものではない。
軍令違反の部隊として、ほかの部隊からも後ろ指をさされているのだ。
(今に見ておれ……)
来たる許昌戦で、雪辱を晴らすことだけを心の支えにしている町費隊の兵たちは、他人の好意に飢えていた。
「あ……ありがたく……ご相伴させていただきます」
士長は、ようやく言葉を振り絞った。
336洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/19 19:14
「まずは貴殿にお詫びしなければならん」
そう言って馬参は、頭を下げた。
「函谷関の戦いにおける貴殿の戦功。これが認められなかったのは、ひとえにわしの力不足によるもの。本当にすまなかった」
洛陽解放直後、馬参は呂砲に手紙を送っていた。
内容はもちろん、軍令違反を犯した町費のこと。
「涼王殿下に請う、何とぞ寛容な処置を町厨房に賜らんことを」
文面は必死の想いで綴られていた。

「何を申されますか、馬参殿」
町費は顔を上げるよう促し、言った。
「今、私の首と胴がこうしてつながっているのは、馬参殿の嘆願があってこそ、と思っております。私こそ早く馬参殿に礼を申し上げねばならなかった」
「いやいや、そう言っていただけるなら、この馬参、少しは胸が軽くなりもうした」
そう言う馬参の顔は、心から晴れやかなものとなっている。
この男にとって、町費が呂砲から虐げられている事実は、ずっと重荷となっていたのだ。
「許昌戦も近いと聞く。これに活躍いたせば、貴殿の名誉も回復しよう。町費殿のお働き、この馬参、心より祈っておりますぞ」
「ありがたい言葉です。馬参殿の激励で、またやる気が出てまいりました」
「しかし町費殿。洛陽戦での功績が認められなかったため、兵士への恩賞は貴殿が私財を投じて与えた、と聞く」
オヤ、と町費は思った。
こちらが切り出す前に、馬参の方から用件を振ってくれたのは、町費としてはありがたかった。

もちろん馬参は、ただの人の好い親父ではない。
単なるお人好しなら、「あの」郭図公則と張り合って、第三軍団長選挙で勝利を収めることなどできるわけがなかった。
ただし馬参は、作ってしまった「借り」に関しては、病的なほどに拘る。
それだけのことだった。
337洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/19 19:15
「なかなかできることではないと存ずる。だが、さらに聞くと、すべての兵に恩賞を行き渡らせることはできなかったとか。そのような状態で、兵たちは大丈夫でござるか?」
案じ顔の馬参に対し、町費は演技ではなく、本気で言いよどんだ。
兵士たちの窮乏は、町費本人が一番よく知っている。
一言で言うなら、限界に近い。
兵の中には、食事に手をつけず、これを故郷の家族に送ってやりたい、と涙ながらに訴える者まで出始めている。
今の状況で、許昌戦で力を発揮するなど無理だった。
「よろしい。万事わしに任せられよ。函谷関での恩を返すは、まさに今」
町費の表情から事情を察した馬参は、大きく肯いた。
「ここで町費殿と貴殿の兵たちを見捨てることは、この馬参の男に関わる。どうかわしに恩返しをさせてくれぬか?」

確かに、金策目的の馬参訪問ではあった。
馬参は自分を援助すべきだ、とも思っていた。
そして自分の自尊心を保った上で、援助を引き出そうと考えていた。
そのためには、演技でも恫喝でも、なんでもするつもりだった。
しかし今、町費は自分が涙を流してることに気付いた。
もちろん、演技などではない。

逆境が強ければ強いほど、猛烈に意欲を高める人間も確かに存在するが、大抵の場合、それは人をネガティヴな方向へと導く。
妬み、嫉妬、倦怠感、現実放棄など、そのパターンは様々。
町費は今、呂砲から冷たくあしらわれ、ほかの武将からも距離を置かれるという逆境の渦中にいる。
そんな町費がたどり着いたネガティブな感情は、「猜疑心」。
呂砲が漢室に仇なすのではないか、という危惧も、その傾向をさらに後押ししていた。
町費の猜疑心は、馬参に対しても向けられていた。
すなわち、言を左右にして、金策を断るのではないか、という疑念だ。
しかし、現実は違った。
馬参は全身全霊でもって、町費と向かい合おうとしている。
疑念を胸に秘めていた自分と、心からの「誠意」で相対する馬参。
(私は……愚か者だ!)
逆境の中にあって受ける、他人からの好意。
これ以上ありがたく、暖かいものはない。
338洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/19 19:16
「馬参殿……私は……私は……!」
言いたいことを口にできず、町費は自分自身にもどかしさを感じていた。
「で、町費殿。いかほど用立てすればよいのじゃ?」
馬参が実務面に話を移したのは、そんな町費の心情を察してのこと。
(馬参殿にお任せしよう。いや、ご厚意に甘えよう)
素直にそう思った町費は、馬参の配慮にありがたく従うことにした。
「はい……実に心苦しいのではありますが……金1000ほど……なのですが」
下を向いたままそう告げた町費は、涙を拭き、顔を上げた。
そして、馬参の目が点になっている様を見た。
金1000。
ほどよく訓練された軽歩兵1万を、楽に揃えられる金額だった。

洛陽戦に参加した町費隊兵士は1万4000。
独断で出陣した町費は、部隊分の投石機を自前で用意したが、これにかかった費用は1000。
貯蓄だけでは足りず、ほぼすべての家財などを売り払い、ようやく充当したものだった。
そして戦闘。町費隊は2500人余りの戦死者を出し、ほぼ同数の者が負傷した。
投石機を用意したお釣りはすべて、戦死者の遺族に支払っている。
まだ終わっていないのが、負傷者への見舞金と恩賞。しめて金1000。

町費が目の前にいるにもかかわらず、馬参は派手に頭を抱えた。
三品官の馬参は、三月ごとに金★の俸給を受け取っている。
だが、馬参にも生活があるし、家令への給与も支払わなければならない。
そもそも貯蓄にあまり関心のない馬参は、戦闘のたびに、俸給の多くを配下の兵たちに分け与えていた。
早い話、馬参の貯金は実にたいしたことのないものだった。
いや、仮に貯金に精を出していたとしても、1000という額は、ポンと現金で手渡せるものではなかった。
恩返しを、という単純な心情から大見栄を切った馬参だったが、町費が求める金額、及び自分が支払えるのかという問題について、まったく考えていなかった。
(むむむ……我、誤れり!)
馬参は自分の迂闊さを呪った。
339洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/19 19:16
もちろん、「すまぬ。とても支払えぬ」とは言えない。
町費に申し訳ないし、馬参のプライドも許さない。
「町費殿、しばらく」
馬参は席を立ち、部屋から出ていった。
ほどなく戻ってきた馬参は、一抱えの袋を持ってきた。
中身がジャラジャラと鳴っている。
「とりあえず、わしが今すぐ用立てできるのはこれだけなのだ。金100……しかないのだが」
心底申し訳なさそうな馬参だったが、それでも町費は心から頭を下げた。
もはや、額など問題ではなかった。
自分を助けようとしてくれている。
その気持ちだけでも十分だった。
「馬参殿、まことにかたじけのうござる。馬参殿の誠意に応えるべく、許昌では必ずや戦功一位となってみせましょう。そして……」
やや言いにくそうに、町費。
「時間がかかるとは存じますが……必ずやこのお金はお返しいたす」
「いや、その儀については心配御無用」
馬参は首を振った。
「この金は貴殿に貸すものではない。返したもの、とご理解いただきたい。函谷関にてわしが貴殿より受けた恩を、金にして返したもの、と。返済は無用でござる」
「馬参殿、それはなりますまい!」
「いやいや、これについては絶対に譲れぬ。そして」
頑固者らしく、馬参は口をへの字に曲げた。
「さらにいくらかの金を用意し、貴殿の元へ贈ろう」
「……え?」
「第三軍配下の武将たちからも金を集める。それでも金1000には足りぬであろうが、100よりは遥かに多く集まろう」
340洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/19 19:17
自信満々に話す馬参だが、町費は慌てた。
町費隊が困窮しているということは、涼の武将なら誰もが知っている事実。いまさら隠すまでもない。
とはいえ、馬参ならともかく、他の将にまで自分が金策に走ったと知られたくなかった。
自分の隊の兵たちが困窮していることはよくわかっている。
だが、それでも超えられない一線というものはあるのだ。
「馬参殿、それについてはしばらく! 今いただいた金で、私はもう十分です。これ以上は望みませぬ!」
だが、馬参は同意しなかった。
ここらへん、馬参は徹底的に頑固者だ。
「貴殿の参陣によって、我が第三軍全体が殿下から恩賞を授かることができた。ならば第三軍として、貴殿に恩を返すが筋でござろう」
「い、いや、そういうことではなくて……」
「なに、ご案じめさるな」
馬参は笑った。
「あくまでもわしの提案ということで、第三軍武将たちには呼びかける。恩人に対し何の礼もなさぬとは将の風上にもおけぬ!とな」
町費は再び頭を下げた。
言うことはなかった。
すべて馬参に任せよう、と思った。
341洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/19 19:18
「如何でございましたか?」
酒で赤くなりながら問い掛ける士長に、町費は金の入った袋を見せた。
「おおお! 馬参将軍様はご理解いただけましたか!」
大喜びする士長だが、町費は柔和な中にも、凛とした口調で言った。
「馬参殿からの援助は、町費隊にとってまことにありがたいものだ。しかし、此度の真の収穫は、この金ではないと思うのだ」
「……と申しますと?」
「洛陽戦以来、何かと日陰者の立場だった我らだが……今日、久々に人の誠意に接することができた。そうは思わぬか?」
諭すような町費の言葉に、士長は「それはもう!」と大きく肯いた。
「まこと仰せの通りにございます。人間というものも、まんざら捨てたものではございませぬ」
士長の息は、かなり酒臭いものとなっている。
下戸の町費は若干顔を歪めたが、それでも素直に喜ぶ士長の姿に微笑む。
ただし次の瞬間、ハッとした。
「し、しまった! 迂闊であった!」
突然頭を抱えた町費は、無念のうめき声を上げた。
「と、殿、如何いたしました?!」
「漢朝や殿下に対し、馬参殿が今、如何に考えているのか。それを確認する絶好の機会であったのに……すっかり忘れておった」
「な、なんと。それは一大事! すぐにまた、馬参将軍様にお会いして……」
「いや、それはできぬ」
たった今、感動的な話し合いをもったばかりではないか。
ここで泥臭い政治の話など持ち掛けたら、せっかく築き上げた空気に水を差す。
「うーむ、つい昨晩、似たような展開があったような……だが仕方ない、此度はあきらめよう」
町費は気分を入れ直した。機会ならきっと、これからいくらでもあるはずだ。
「まあとにかく士長よ。今宵ぐらいは洛陽の美味いものを食おうではないか。苦労している兵たちにはすまぬが、一食ぐらいならバチも当たるまい」
思わぬ上司からの誘いに、士長の相好は大きく崩れた。
「はっ! お供させていただきます!」


次回、「洛陽――人集う都市(その3)」。
342洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/19 19:22
>>338の「★」は「120」っス。
343希代之副官:02/12/20 01:16
新作upしました。
http://popup5.tok2.com/home/tabla/
344315番目の草:02/12/20 06:04
>呂砲様
命をかける覚悟も起こさせぬ方なら、はじめから仕えますまい。
どのような犠牲が出ようともすべては郭図公則様のために。

本音
(だが、生きてこそ恩を返し働けるというもの。
敵に捕まらぬために常日頃から諸事万端備えておかねば。
捕まればすなわち死。それだけは避けねばならぬ)
―――
声をかけていただいて恐縮です。
このスレ最高です。町費将軍素敵すぎます!!がんばってください。
345町費隊士長:02/12/20 08:12
>>343
>馬参様
それがしのような下賎の身にかくも暖かき振る舞い。
このたびいただいた酒の味、一生忘れませぬ!

>町費様
おいしいお店なら、それがし、良い店を知っています。
「池田屋」というんですが、これがまた料理が美味とか。
行ってみませんか?

>希代之副官殿
今までの自分の人生で、これほどかっこいい
「町」の字を見たことはないです!
本当ありがとうございます!
にしても「2○○○」って・・・・(w
346諜報部末端構成員:02/12/21 22:39
町費将軍と馬参将軍が接触φ(..)メモメモ

最近は殿下の色町散策監視の任から逃れられ、
まともな仕事ができて何よりだ。
後任のあいつ絶対苦労しているんだろうなぁ。

町費将軍と士卒は池田屋に入店と、
ん?ピンクの鎧を着た男が猛然と2人を追いかけて行くぞ。
あれは親衛隊か?
347郭図公則 ◆sW2getuhmE :02/12/22 00:20
(´-`).。oO(先ほどから道を歩いている袁奉似の男は何者なのだろう)

とりあえず、金に困っている町費に政治献金でもしてみるか。

>弐番支援会支部
頑張れ、監視役はちゃんとつけておいたから。



眠い・・・
よし!!
一ヶ月近く詐欺と強盗で金1000を稼げた。過労で倒れそうだけど、
これで噂だと困っている町費様の兵士さん達に、
命を助けてもらった恩をやっと・・・返せる時が来た!
今私が助けに行きますよ〜。
(そういえば郭図様の訓練一ヶ月サボっと「一日金33!!」目標で頑張ったけど
処罰されないかな?)
それにしてもこの国の人たち呂○様のかっこうしてたらすぐお金貸してくれるな〜。
さて配るとするか。(処罰がないよう祈りつつ)
349希代之護衛兵:02/12/23 01:35
それにしても、最近間者の数が多すぎる。
曹魏の埋伏調査だけでも大変なのに、これに郭図殿の間者も調査せねば
ならぬとは・・・(原因作ったのは拙者だけど) 洛陽では宴会か・・・。
拙者も久しぶりに酒をたしなみたいなぁ・・・。(洛陽で弁償させられ自制中)
350町費 ◆khvWPc71kM :02/12/23 11:25
酒好きの士長殿が良い店と言うだけあって、料理も酒も安くて美味しい。
あれ?向こうから、凄い勢いで走ってくるのは、私の家宰だ、どうかしましたか?
何々、副軍師様の細作らしき人が私の隊の兵士に金を配ってるだと?

>>町費隊士長殿
私が誘ったのですが急用ができたので宛に帰ります。
代金はあそこに座っている、呂砲様の親衛隊長に奢ってもらって下さい。(>>286
上司と飲むより仲の良い友人と飲むほうが楽しいでしょう。
351廖衛 ◆ttmECRHBeQ :02/12/24 10:54
>廖衛将軍府
う〜ん、そうか。残念。まあ、補佐はともかくとして、
貴公に将軍府主簿の役職を与える。職務に励んでくれ。
どうでも言いが、コスプレ将軍想像して激ワラ

>329
いや、ありがたいことです。書いた時は怒られるかと思いましたが、誉めて下さるとは。

>殿下
長文に対し寛大な処置有り難く存じます。でも廖化ファンって少なさそうですがね・・・。
あ、それと殿下、細かくて申し訳無いですが、廖影殿ではなく私ですのでお気を付けを・・・。
更に申し訳御座いませぬが、私はまた暫くこれませぬ。
(書簡の配達と、生活用品の販売で二週間ほど働き詰めなんで。)

>町費殿
色々不用になった道具などを売ったら、結構な金額になったので、貴公に金2000を貸します。
あ、勿論無利子で、返済日は設けませんので心配なさらずに・・・。
この金で貴殿や貴殿の部下たちの為に役立ててくだされ。
(う〜ん、色々と整理してたら渡すの遅くなってしまった。)
352出納係:02/12/24 11:23
廖衛様!!
け、け、桁をご確認くだされぇー。
そんな大金はどこにもありませぬぞ。

>>342あたりから相場を推測くだされ)
あげておきます
354廖影@過去 ◆CN2I0jO6s2 :02/12/25 14:35
汝南にて
 「いたぞ!」
 「廖衛だ!」
 「追え!」
「またかよっ!しつこい連中め。」
 「射て〜!」
「っく!ちょっと待ててめえら!!俺は廖衛なんて名前じゃない。いいか、俺様の名ま……!」
 風を切り矢が頬を掠める。
「……死ね!」
男は馬を翻し、役人達は斬り伏せられた。
「まったく。この豫州に来て以来追われっぱなしじゃねえか。大体、なぜ俺が廖衛とやらに間違われなければならんのだ。
 廖衛とかいう奴、一体何をしでかしたんだ。ま、これだけ役人を斬ったからには俺もお尋ね者だが…。
 しかし俺がこんな目に遭うのも奴のせいだ。廖衛め、絶対見つけ出してやる!」  
某所で郭図様に思いっきり失言してしまった。
今度こそ処刑かな?
(やっと配り終えたけど、もう死にそうだ。)
2002年もあとわずか。
皆様、クリスマスはどのようにお過ごしだったでしょうか?
わしは(中略)だった。・゚・(ノД`)・゚・

>>343希代之副官殿
実にお見事!
マジで「町」の字、かっこいい!
で、郭図公則殿の軍旗だけ赤地でないところが、なんとも先を暗示しているようで……。

>>344 315番目の草殿
えー、あー、そのー…………
ごめんなさい。今のうちに謝っておきます。
恨むなら郭図公則殿及びメール欄にメッセージを残していた見習忍者殿を恨んでくださいということでわしには非はありませんあそっかなんだかホッとしたなアハハハハh。

>>345町費隊士長殿
♪カモがネェギしょってやってきた

>>346諜報部末端構成員殿
すみません。ちょっと変えます。

>>349希代之護衛兵殿
そんなこと言わず、参加してくださいな。
飲み会。
>>350町費殿
今回から町費殿のキャラつーかしゃべり方を変更します。
部下に対しても物腰の低い人柄ってことで。
なお、郭図公則殿からの献金については、郭図公則編でネタにして振りますのでその時までお待ちを。
YesNoクエスチョンの予定。

>>351廖衛殿
す、すまん!
うっかりしてた!

>>352出納係殿
ナイスフォロ。
一桁減じます。

>>354廖影殿
やるね。
えらく想像力が沸いてくる展開だ。

>>355郭図公則様支援倶楽部会員殿
いや、処刑されるのは(略)
358洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/27 03:16
(さて、鳳徳らからどれだけ集められるかな……)
町費が去ったあと、馬参はひとり考え込んだ。
せめて金400ぐらいは揃えたいところだが、難しいだろう。
間もなく、第三軍の上党攻めが発動される。
出撃前の諸準備で、配下武将らも何かと物入りなのだ。
(しかし、やれるだけのことはやってみよう。考えるより行動……)
そんな馬参の思考を中断させたのは、遠慮深い家令の呼びかけだった。
「馬参様。お客様がおみえになっております」
「客? 誰か?」
「はい、り……」
家令がそれ以上の言葉を口にできなかったのは、「客」がドヤドヤと足を踏み鳴らしながら、威勢良く馬参の部屋へ入ってきたため。
男は馬参の前に立ち、サッと拱手して声を張り上げた。
「親父殿、ごぶさたにございまする!」
「お、おぬし?!」
男の姿を認め、馬参は目を丸くした。
「廖衛! いつのまに洛陽へ来ていたのだ?!」

「まったく……許昌戦も目前だというのに。第一軍はそんなに暇なのか?」
呆れ顔の馬参に対し、廖衛は笑ってみせた。
「洛陽と宛は近い。親父殿が上党へ出る前に会っておかねば、次はいつになるかわからんでしょうが」
「たわけ。おぬしも1万余の兵を預かる身なのだぞ。私情を表に出すでないわ」
「相変わらず親父殿は堅いなぁ……1年振りの再会ですぞ。もそっと喜んでくれてもいいでしょうに」
廖衛のすねた口振りに苦笑した馬参が、家令に酒を持ってくるよう命じると、廖衛は嬉しそうな顔をした。
359洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/27 03:17
七同志の一人、廖衛。字は伯真。
性格「冷静」を自認するも、若干おっちょこちょいな面もある武将。
呂砲軍の一員となる前は、少年兵として馬参率いる傭兵隊に所属していた。
それ以前の出自は不明。
馬参に対する「親父殿」という呼び方は、傭兵隊時代以来のものだが、2人だけの時しか廖衛はこの呼び方は使わない。

「洛陽に来るのは初めてですが」
杯を口に運びながら廖衛。
「でかいですな。こんなでかい都市を人間が造ったなんて、とても信じられません」
「造るのも人間。壊すのも人間、だ」
謎かけのように応じる馬参。
かつて自分がこの大都市を廃虚にしたという事実は、廖衛にも知らせてはいない。
「で、今日はどうしたのだ? わしの顔を見るためだけに来た、というわけではあるまい」
馬参が話を振ると、廖衛は微妙に戸惑った表情を浮かべ、残りの杯を体内に流し込んだ。
「なんだ。親父殿はそれがしの孝行心を疑うのですか?」
「そうだ」
「そりゃないでしょ……」
それでもひとしきり笑った廖衛は、素早く周囲を見回して、声を潜めた。
「実は親父殿に相談があるのです」
「相談? なんだ?」
「第四軍の軍団長選挙ですが……それがし、立候補しようと思っております」
「軍団長選挙? おぬしがか?」
「さよう」
せっかく声を潜めていたのに、廖衛の声はここから急に大きくなった。
「それがしは殿下に恩返しをしたいのです。そのためには、それなりの地位や立場が必要、と思いまして」
360洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/27 03:18
「その心意気はけっこうだが……」
馬参は首を傾げた。
廖衛が軍団長選挙に立候補。
これまでそんな素振りを見せたこともなかっただけに、意外だった。
「恩返しをするに、必ずしも軍団長となる必要はあるまい。第一軍の尖兵として、これまで以上に奮起する。それも立派な恩返しだ」
「なんだ。親父殿はそれがしが立候補するのに反対なのですか?」
「相変わらずせっかちよの。早とちりするな」
たしなめるように馬参は、空になった廖衛の杯に酒を注いだ。
「要は恩返しをしたい、という心意気を常に忘れず、日ごろの仕事に励め、ということだ。軍団長にならずとも、その手段はいくらでもある」
しかし、廖衛の眉毛は下がっている。
廖衛としては、「父」とも仰ぐ馬参から、諸手を上げて賛同してほしかったのだ。
「しかし、まああれだ」
ゴホンと咳払いして、馬参。
「おぬしが向上心を抱くようになったのは、わしとしても嬉しいことだ。それに仮に軍団長となれば、これまでとは違った資質が求められるようになる。それはきっと、おぬしをこれまで以上に成長させよう」
馬参のいわんとすることが通じたのか、廖衛は顔を上げた。
ただし、その表情は喜色あふれるものではなく、真剣なものだった。
「親父殿。それがしは今、涼が危機に瀕していると思っておるのです」

予想外の言葉にキョトンとしている馬参だったが、廖衛はとつとつと語り続ける。
「危機を現実のものとせぬためには、わしが軍団長となるしかない。そう思うからこそ、立候補しようと決めたのです」
「ちょ、ちょっと待て。廖衛」
壮大な演説になりそうな気がした馬参は、慌てて廖衛を止めた。
「順序立てて話せ。いきなり危機とかなんとか言われても、話が読めんぞ」
361洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/27 03:18
とりあえず廖衛を落ち着かせ、馬参は質問した。
「まずは涼の危機。聞き捨てならぬが、それはどういうことだ?」
しかし廖衛は、馬参の問いに明らかに失望の色を見せた。
「親父殿、本気でそう言っておられるのか?」
「おいおい。さっきから話が飛び過ぎているぞ。もっと言葉は大切に使え」
さすがに馬参も、その言葉にムッとなった。語気が強くなる。
それに気付いた廖衛は、慌てて詫びた。自分は馬参に喧嘩を売りに来たのではないのだ。
廖衛は背筋を伸ばすと、言葉を選びながら説明した。
「それがしが申す危機とは、ふたつあります。ひとつは涼が分裂するかもしれない、ということ。もうひとつは、殿下が操り人形に成り果てるかもしれぬ、ということです」
「分裂……そして殿下が操り人形……」
馬参は小首を傾げ、持っていた杯を胸元で止めた。
「おぬし……郭図公則のことを言っておるのか?」
郭図公則。
その名が馬参の口から出た途端、廖衛の目が輝いた。
「やはり親父殿も危惧しておられたのですな!」
「先走るなと言うに!」
「ははっ! 申し訳ありません!」
とうとう馬参の怒鳴り声が上がり、廖衛は素早く頭を下げた。
しかし、顔を上げた時、やはり廖衛の目が輝いている。
思わず馬参はため息を吐いたが、これはこれで廖衛の美点だ。
あるいはこの先走った性格のために、今後大きな失敗をすることがあるかもしれない。
だが、今現在に関していえば、この性格は愛嬌として捉えられている。目くじらを立てても仕方がない。
「とりあえず、おぬしの言葉で申してみよ」
一応苦虫を潰したような表情を作ったままで、馬参は促した。
「郭図公則が元凶になるやもしれぬ、という根拠を」
362洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/27 03:19
廖衛は「郭図公則元凶説」を話し始めた。
ただし、いささか論拠に飛躍がある点は否めなかった。
「廖衛よ」
苦笑しながら馬参。
「おぬしの言い分だが、『郭図公則はムシが好かぬ。だから殿下に仇なすに違いない』と言っているようにしか聞こえぬぞ?」
「そうでございましょうか?」
真剣に話したのに簡単にあしらわれ、廖衛は口を尖らせた。
とはいえ、自分自身も口に出して説明しながら、「飛躍」は感じ始めていた。
郭図公則が洛陽太守となったこと。洛陽守備隊を守備「軍」に昇格させたこと。近衛軍を編成していること。その調練役として、自分の副官の廖影が任命されたこと。
いずれも、郭図公則が呂砲を傀儡とするかもしれない、という推測とは全然異なる方向を向いている。
頭で感じたことを、落ち着いて言葉にして表す。
その行為は時として、自分の考えを客観的に見つめ直す効果をもたらす。
「とは申しますが、親父殿」
このまま簡単に引き下がるのも癪なので、廖衛は言いつのった。
「洛陽解放戦後の町費殿、そして我が副官への処置に関する郭図公則の進言! あれを如何に思われますか!」
「うむ、確かにあれは」
馬参はそれには肯く。
「厳しすぎるな。まあ、わし自身が当事者だったせいもあるかもしれんが、そう思った」
馬参の同意に、廖衛は再び元気を取り戻した。
「その件だけではございませんぞ。あの男は何かにつけ、我ら七同志の結束を揺さぶろうとしている。そんなヤツが軍団長となったらどうします!」
「どうするのだ?」
「それはもちろん…………ええと……」
再び廖衛は言いよどんだ。
郭図公則が第四軍団長となった場合、考えられる弊害。
具体的に思い浮かばなかった。
363洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/27 03:20
「考える前に行動するとは、まさにおぬしのような者のことだな」
顔を真っ赤にして言葉を捜そうとしている廖衛を見て、馬参は言った。
「確かに郭図公則と我らは友好的とはいえぬ。だが、やつが涼の興隆に貢献してきたことも事実。公務と私情は切り離して考えるべきだ」
廖衛はさすがに小さくなって聞いている。
「もちろん、おぬしが軍団長選挙に出ることは止めぬ。殿下への恩返し、さらなる涼の興隆のための働く場。純粋にそれを求めるなら、おおいにやれ」
「………」
「おぬしに投票するかどうかは何とも言えん。そもそも、選挙がいつあるかもわからぬのだからな。しかし、わしとしても可能な限りの助言はしよう」
「親父殿……」
「組織の中の人間すべてとウマが合うわけではない。波長の合わぬ者とも仕事はやらねばならぬ。ましてや軍団長ともなれば、好き嫌いで部下を判断するなど厳に戒めなければならぬところ。廖衛、わしの言うことがわかるか?」
「はっ……目が覚めました。親父殿、ありがとうございます!」
「おぬしは相変わらず聞き分けは良いのう」
「ハハハ、親父殿から褒められると、自信がつきますな」
「あとはオッチョコチョイな部分を直せ」
「親父殿から叱られると、本気でヘコみます」
「こいつめ」
二人は晴れやかに笑った。

「親父殿と話して、胸のつかえが落ちました。これより宛に戻り、許昌戦に備えます」
「なに、もう帰るのか? 一晩ぐらい泊っていってもよかろうに」
「そうしたいのは山々ですが、今回の洛陽入りは微行。廖影にも伝えていないのです。なるべく早く戻らなくては」
「そうか……まあ廖影については心配するな。あやつは良い副官だ。おぬしを裏切るようなことはありえぬ」
「もとより承知しています。では親父殿、上党での御武運を」
「うむ、おぬしもな」

廖衛が去った後、馬参は一人、思いに耽っている。
(ああは言ったが……郭図公則……)
郭図公則のことなど気にするなと廖衛には言ったが、本音を言えば、馬参も郭図公則に対し、漠然とした不安のようなものを感じ続けている。
364洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/27 03:20
間もなく日が落ちる。
周囲が薄暗くなるにつれて、宿屋と飲み屋が軒を連ねているその通りは、賑わいを増していく。
その通りにポツンと立ち尽くし、一件の宿屋に目を向けている男がいた。
男は希代之の護衛隊長。そして彼が見つめている宿屋は、「池田屋」。
どうしてもこの店を見ておきたかった。
自分自身の軽挙のために命を失った、凄腕の細作七人。せめて彼らが死んだ店の前で、冥福を祈りたかった。
(おぬしらの命と引き換えに、わしは自分がいかに浅慮であったかを知った)
護衛隊長は頭を垂れる。
(いずれ、おぬしらの死に償おう。だが、もう少し待ってくれ)
まだ死ぬわけにはいかなかった。自分は涼の筆頭軍師の護衛隊長。希代之を守り続けることが使命。
(おぬしらの死は無駄にはせぬ。誓って……)
心の中で唱えていた鎮魂の言葉は、ここで途切れた。誰かに肩を叩かれたのだ。
ビクッとして振り返ると、そこに廖衛の副官である廖影が立っていた。

「もしやと思ったが、やはり貴殿でござったか」
廖影は目を丸くしつつも、笑っている。
「まさか洛陽でお会いするとは。御公務でござるか?」
洛陽事件の顛末はおろか、そんな事件があったことすら知らない廖影は、ニコニコしながら問い掛ける。
一方、護衛隊長の方は、明らかに狼狽しながら言葉を繕う。
「え、ええ、ちょっと仕事がございまして。これより宛に戻るところ……では御免」
「ちょっと待たれよ!」
急いでその場を離れようとする護衛隊長の手を、廖影は素早く掴まえた。
「このような場で出会えたのも何かの縁。今宵はあの店にて宴が催されるのだ。貴殿も一緒に参らぬか?」
「あの店……とは?」
「あれじゃ。池田屋」
護衛隊長は軽い目眩を感じた。
365洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/27 03:22
同じ第一軍所属でありながら、これまで廖影と護衛隊長は、親密な仲というわけではなかった。
「せっかくだから、酒を介して誼を深めようではないか」
ほとんど廖影に引きずられるような感じで、護衛隊長は池田屋の暖簾をくぐった。

主催者は既に池田屋にいた。
「廖影様、お待ちしておりましたー!」
二人を出迎えたのは、もちろん戦象隊の女兵士。
(あ、あの値切り娘)
護衛隊長はすぐに思い出したが、慌てて(ノ_<。)ウッと目を逸らした。
廖影は廖影で、目を剥いている。
原因は女兵士の強烈な衣装にある。
胸元は大きくはだけ、へそが顔を出し、スカートの縁は大胆に切れて、太股が露になっている。
「お……おねぇさん……」
廖影がようやく口を開いた。
「その格好は少し……派手すぎやせんか?」
「あーらやですわ、オホホホホホ。こんなの今宵の余興のひとつに過ぎませんことよ」
いや、余興にしてももう少しマシな……と言いかけて、廖影はなるべく女兵士を見ないようにして護衛隊長を紹介した。
「こちらは筆頭軍師希代之様の護衛隊長殿だ。たまたま洛陽に来ていてな。せっかくだから呼んだのだが、良かったかな?」
「まあ、筆頭軍師様の護衛隊長! もちろんですわよ。そんな素晴らしい方と一緒にお酒が飲めるなんて、光栄でありますことよ。オホホホホホホ」
女兵士はそう言って、孔雀の羽根でできた扇を優雅に仰いだ。
全然様になっていなかったが。
紹介されてしまったので、護衛隊長も仕方なく腹を括った。
366洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/27 03:23
杓を勧めるのは町費。受け取るのは士長。
「では一献どうぞ。こたびは本当にお疲れ様でした」
士長は心底恐縮している。
一滴もこぼさずに酒を飲み干すことができたのは、カタカタと指が震えていたことを勘案するなら、奇跡といってもよかった。
「あああああああー! うんまい!」
心から酒を愛する士長は、心から幸せそうな顔をした。
それを見て、町費の表情もほころぶ。
「私は下戸だから、お酒は貴方にお任せします。私は料理の方をいただきましょう。では士長。もう一献」
「い、いえ! それがしは殿の御身を護衛する立場。この一杯で十分にございます」
「なにを言いますか。いつも貴方には迷惑をかけていますからね。今宵ぐらいは羽根を伸ばしてください」
「え……よ、よろしいのですか?……それではもう一杯だけ……」

最近何かと暗い話題が多かった町費だが、黄忠、そして馬参との極秘の会見は、実のあるものとなった。
町費も、そして士長も、自然と口元が緩む。
「それに料理もなかなか……」
箸を動かしながら、町費は満足そうな笑みを浮かべた。
「さすが士長推薦の店ですね。この値段でこの味とは。この店を知っただけでも収穫でしたよ」
「殿のお口に合ったようで、それがしホッとしております!」
達成感と酒で既に緩みっぱなしだった士長は、町費から褒められてさらに顔をほころばせた。
「先の洛陽戦の後に見つけた店にございます。これなら殿も喜んでくださるのでは、とずっと思っておりました………んん? 何やら隣りが騒がしいですな」
町費らの隣りの部屋では、ドンチャン騒ぎになっているらしい。
歌や奇声がガンガン聞こえてくる。
「七同志がおわすというのに、町民どもがなんという不届き! 許せぬ!」
やおら士長が立ち上がったのは、町費に対する忠義心もあるが、やはり酒が入っていた点も大きい。
町費が制止する間もなく、士長は扉を開けて怒鳴った。
「やかましいぞ、町民ども! こちらでは七同志の一人、町費様が料理を楽しんでおられるのだぞ! もう少し静かにせぬか!」
367洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/27 03:23
(うーむ、不覚!)
士長は心の中で悔やんでいる。
騒いでいたのが、寄りによって廖影や護衛隊長の一行だったとは。
内密の洛陽入りだったのに、これではバレバレだった。
さらに困ったのは、理不尽(敢えてそう言う)な衣装の女が、やたらと町費に酒を勧めることだった。
「ええい、女!」
士長は怒鳴った。
「町費様は酒を嗜まれぬというに! 何度言ったらわかるのだ!」
しかし、女はまったく応えぬように町費にまとわりつく。
「ねえーん、町費さまぁ。わたしの杯、の・み・ほ・し・て」
町費は顔を真っ赤にしたまま、女兵士の体を見ないよう虚空を睨んでいる。
士長はなんとか女兵士を引き離そうとして、廖影と護衛隊長の方を見た。
しかし、二人は「君子危うきに近寄らず」を貫徹する気らしい。あらぬ方向に目を向けている。
「一杯だけですよ」
ようやく町費が口を開いた。
「一杯だけ……それで許してもらえますか?」
町費の言葉に、女兵士は嬉しそうに頷いた。
「ウッフーン、許しちゃう。私の杯飲んでくださったら、それだけで私、し・あ・わ・せ」
渋々杯を受け取った町費は、そっとそれを口につけた。
相手は泥酔者、形だけ口をつけ、ごまかすつもりだった。
ただし、女兵士が「ウリャ」と杯を押し上げたため、酒のほとんどが町費の体内に流れ込んだ。
「ああああああ! おまえ、なんちゅーことを!」
士長が絶望的な叫び声を上げたが、女兵士は「キャハハハハハ」と笑いながら逃げていく。

取り残された町費は、無言で杯を卓に置いた。
そして、そのまま後ろにひっくり返った。
368洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/27 03:24
「♪洛陽いいとこ一度はおいて
  酒はうまいしねえちゃんはきれいだ
  ワッ、ハッ、ハッハー」
ご機嫌で歌いながら、夜の洛陽を徘徊しているのは、親衛隊長。
町費に金を返すという名目で、洛陽に遊びに来ていたのだ。
金はなんだかんだと呂砲をごまかして、出納係からふんだくってきたもの。
もちろん、金を町費に返す気は「少し」しかなかった。
「さてさて、どの店で騒ごうか」
親衛隊長の胸は今、ときめいている。

一件の店の前で、象がポツンとお座りしている。
第三軍の象に違いない。
「ということは、あの店は第三軍の兵でいっぱいだな。つまり、きれいなお姉ちゃんはあらかた取られてしまっている、と……」
そういうことだけには知恵を巡らす親衛隊長は、別の店を捜すことにした。
だが、店の前で起こった騒ぎが、彼の運命を変えた。

一人の男が、その店から出てきた。
千鳥足の男は足がもつれ、そのまま地べたにはいつくばる。
後ろからやってきたのは、とんでもなく理不尽な衣装の女。
「逃げようたってそうはいきませんことよ。オホホホホホホ」
男の襟首を掴んだ女の嬌声が響く。一方の男は、情けないほどに哀願口調。
「頼む! もう勘弁してくれ……もう飲めぬ!」
他人の不幸は蜜の味。
親衛隊長は二人の顛末を見届けようと、興味本位で近づいた。
だから、男が自分の姿に気付いて名を呼んだ時は驚いた。
「あ……し、親衛隊長殿!」
ギョッとしてよく見ると、男は希代之の護衛隊長だった。
369洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/27 03:25
護衛隊長はやや呂律の回らない口調ながら、必死で叫んだ。
「親衛隊長殿、どうかお助けくだされ! それがし、このままでは死んでしまふ!」
護衛隊長の言葉で、女は親衛隊長の存在に気付き、悪魔のような笑みを浮かべる。
「あらま、誰かと思ったら親衛隊長殿じゃございませんこと。お久しぶりでありますことよ、オホホホホホ」
戦場での武勇伝とはまったく無縁な親衛隊長だが、伊達に幾多の戦場を生き抜いてきたわけではない。
少なくとも、身の危険を感じ取る能力「だけ」は、中華随一といっても過言ではない。
今この瞬間、危険を告げるシグナルが、けたたましく親衛隊長の心の中で鳴り響いていた。
だから、女兵士の「あんた、護衛隊長殿と知り合いだったの?」という問いに対し、「全然知らない人です」と答えてその場を立ち去ろうとしたのだ。
「し、親衛隊長殿! お待ちくだされぇ!」
護衛隊長の必死の言葉では、親衛隊長を止めることはできなかった。
ただし、女兵士の言葉は別だ。
「武鵜(ぶー)! ぬりかべ!」
わけのわからない言葉の意味は、お座りしていた象によって明らかとなった。
女兵士の命令に反応した象は、ドスンと親衛隊長の退路を断った。
「お一人様追加、ごあんなーい!」
女兵士の声が、親衛隊長の背後から聞こえる。

仕方なく店に入ると、厠から出てきた廖影と出会った。
「おお……これは親衛隊長殿……」
廖影の顔色は、すさまじく青い。
だが、生け贄が増えたことによる危険の分散を喜んでいるのは確かだった。
「何度目ですか?」
努めて平静を装いながら、親衛隊長が尋ねると、廖影は指を四本突き出した。
「吐いては飲まされ、また吐いては飲まされる……延々と続く無限地獄……」
親衛隊長はゴクリと唾を飲み込んだ。
370洛陽 ◆I9WFnCXgeU :02/12/27 03:25
(なんとしても、細作頭殿も呼ぶべきであった)
柱にもたれかかりながら、廖影はそう思っている。
あの男がいれば、もう少し自分の被害も押さえることができたはずだ。
危険の分散、という意味で。
(もしかしたらあの男、おねぇさんの酒癖のひどさを知っていたのでは……)
そう考えて、すぐに打ち消す。
(いやいや、そんな男ではない。他人を疑うなど、わしも焼きが回ったな)

周囲を見てみる。
女兵士は、極端に酒が強い戦象隊兵士たちの歌に合わせて、妙な舞を演じている。
「象の舞」とか言っていたが、どこあたりが象なのか小一時間問い詰めたくなる踊りだった。
護衛隊長は、下半身だけが視界にある。
上半身は、階段の下。
ああ、あの階段を降りなければ帰れない。でも、あの階段はきっと……。
町費は最初の一杯で意識不明に陥った。
ある意味、この宴に参加した者の中で、もっとも幸福なのは町費かもしれない。
町費隊の士長は、ピクリとも動かぬ上司に向かって、必死でお盆を振って風を送っている。
親衛隊長はどこだ? 
あ、いた。
部屋の隅で丸くなって寝ている。
「酒好き」と「酒に強い」は同義ではないよい見本だ。
そこまで考えたところで、廖影もまた、意識を失った。
その直前、間違いなく明日は二日酔いだな、と思ったが、どうしようもなかった。


※次回、「洛陽――人集う都市(その4)」。
 皆様、良い年越しを。
371廖影 ◆CN2I0jO6s2 :02/12/27 03:52
新作キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!

>>殿下
ちょっと廖衛さまのネタに乗ってみました。
無責任に伏線張りまくりですがあとは殿下に味付けしていただくなり
皆様に妄想していただくなり2002年と共に忘れていただくなりご自由にどぞ。
372吾玄 ◆pa7KljsyW2 :02/12/27 13:05
…下手に接触して来ようものなら斬ってやろうと思っていたが。
さすがは洛陽太守殿の細作だ。隙が無い。 >315番目の草

さてと、錬兵の時間だ。
水上戦以外使い物にならない兵達を何とかしなければ。
…自分でやってみて初めて伯真殿の凄さが分かる。兵に好かれているという点では涼随一だな。
373郭図公則 ◆sW2getuhmE :02/12/27 18:52
(´-`).。oO(女象兵の誘い、断っといて幸いだった。。。)

>我が君
最近曹賊から引き抜きの誘いが私にひっきりなしに来ていますが、如何なさいますか?
374洛陽の美女:02/12/27 20:55
>女象兵士
最近調子に乗ってるようね。洛陽では大きな顔はさせないわよ。
呂砲様と七同士はみんな私が落とす予定なのよ。
375成都のおねぇさん:02/12/27 22:36
日記より

像隊のみんなと護衛隊長様、廖影様、町費様、士長様、親衛隊長様と池田屋で大忘年会を行う。
楽しかった。今度は新年会を企画しよう。やかんの人とか郭図公則様とか馬参様とかも呼んでもっと派手に。
何しろ、これだけ飲んで騒いでもとても安く上がったのだ。
ただ、翌日聞いた話だと私や隊のみんなを除いてみんな二日酔いとか?
おかしいなぁ……樽は一人ひとつずつしか渡していなかったはずだけど???
(ぽん)おみまいに迎い酒をみんなに送っておこう。

>洛陽の美女様
ふっふっふ。たしかぁに私には調子に乗っています。
見てよ!この撃沈マーク(えっへん♪)<武鵜(ブー)の筵に酒樽の撃沈マークあり<すでにこの時点で当初の目的を綺麗さっぱり忘れています

>殿下・七同士・配下各位あて
今年一年本当にありがとうございました。
一兵士として、来年こそ中華大陸に涼の威光を満たすべくがんばりますのでこれからもよろしくお願いします。
376雑兵1号:02/12/27 23:11
うーむ・・・・・。

・・・・・これは皆様おそろいで・・・
ところで、なんで私たちはこんなところで寝ているんですか?

いえ、昨夜のことは全然覚えてないんです。
いや思い出したくもないってのが正解でしょうか。
>>375
第二の林舜のヨカーン
378315番の草:02/12/28 18:50
〜洛陽宛て〜
第2軍団ではどこでも街に活気もあるし治安もいい。
行商や旅装のものも多く物や人の流通も活発なようだ。
町民は朗らかでおしゃべりで気持ちよいが、
軍民は律に厳しく公舎に近寄るのも重い雰囲気がある。とφ(。 。  )

…政所や軍舎に顔を向けるだけで見張りの視線を感じる。
これでは手の出しようが無いな。また今度にしよう。
それにしても呉賊にするよりも監視きついぞ。恐るべし郭図公則様の悪名…

―――
>>呂砲様 どぞ、ご自由にしてください。
379見習忍者:02/12/29 00:47
廖衛将軍までご来訪とは今夜の洛陽は随分賑やかなようだ。
それにしても池田屋の惨状は・・・(苦笑
あの女兵士、高官撃沈数では涼随一かもしれなんな。

>356
え?閣下と私が何か?(笑
ただ私は・・・・・・を見ta・・・・・・

>378
順調に任務を遂行している様だな。
第2軍団には「にわか水兵隊」と言う手強い者がいるが、
お主の力量なら対等に渡り合えるはずだ。

さすがに囮に向かって真相は言えぬが、
この男の力量なら意外性もあり期待ができるな。
あわよくば閣下の為の良き後継者に・・・・・・。

・・・・・・人を育てるのには時間が掛かるもの、私とした事が夢想が過ぎたな。

そうだ研修生、密書の閉じ方が良くなったぞ。その調子で励むのだ!
そういえばお金配っている途中、池田屋の前にいた象はなんなんだろ?
郭図様の傍が立ってたけど?
それより訓練一ヶ月さぼってたけど大丈夫かな?
行きずらいなぁ・・・・・。
381池田屋主人:02/12/31 00:43
仮にも最高級の部屋なのに襖は破れてるし、
部屋中・・・外にも嘔吐されてるしえらい損害だ!

あの金額でここまでやられては適わなかったけど、
途中合流した隣の部屋の高官さんと桃色の鎧来た人から
追加料金の形できっちり清算してやった。
酔ってたせいかあまり気にしてなかったけど、後で明細を見たらさぞ驚く事だろう。

何しろ財布事私の手にあるからな♪
町費将軍(−人−)南無
383某コテハン:03/01/01 00:00
謹賀新年あげ
ひきこもりであることを伏せたいので実名は伏せときます。
殿、近所の暴走族を何とかしてください
むしろ初代ファミコン買ってとほざく妹を止めて
386袁奉 ◆JLz0areZMU :03/01/01 09:54
殿、新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
 お年玉
 財布痩せ干す
 里帰り

謹賀新年
今年も皆様よろしくお願いいたしまする。
388希代之副官:03/01/01 18:25
皆様への年賀状でございます。
http://popup5.tok2.com/home/tabla/gallery.htm
389馬参 ◆.L/ffpm.yw :03/01/04 00:36
年賀のご挨拶に参り申した。

新年、明けましておめでとうござる、今年も殿下や皆々方には何卒、良しなにお願い申したく存じ上げまする。

本年が我ら大涼にとって良き年であらん事を。
390町費隊士長:03/01/04 13:44
宛では親衛隊長から酒代巻き上げられ
洛陽では女兵士にからまれる・・・・
それがしがいったい何したと?

皆様今年もよろしくお願いします。
391吾玄 ◆pa7KljsyW2 :03/01/04 14:18
遠く翻陽より謹賀新年。
願わくば今年こそ、この中華より戦乱の火が絶えますように。

涼王殿下、並びに皆々様。
本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
謹賀新年おめでとうございます。
今年も最初からいきなり、食中毒になりかけたり頭怪我したり足くじいて階段から落ちた
とかいきなりどうしようもない年ですが、宜しくお願いします
393希代之護衛兵:03/01/06 00:24
お酒飲んで寝て、お酒飲んで寝て・・・。
お・・お正月終わってる!(汗

呂砲様、皆様、今年も色々と御迷惑おかけしますが、
宜しくお願いいたします。
394廖影 ◆CN2I0jO6s2 :03/01/07 02:42
明けましておめでとうございます。
今年もマターリ宜しくお願いします。
395にわか水兵隊:03/01/07 10:58
新年、明けましておめでとうございます。
呂砲様・袁奉様今年もよろしくお願いします。
流行病のインフルエンザに皆様気をつけてくださいませませ。
あげておきます
>>396
ageるなボケが!!!
upられてるかと期待して損するじゃねえか!!!
>>373郭図公則殿
塩漬けの肉にして曹操に送り返すように。

>>378 315番の草殿 >>379見習忍者殿
すみません。
散々煽るようなこと言ってましたが、今までの話は無しにしてください。
ホントすみません。

>>388希代之副官殿
めでたい年賀状多謝。

>>396>>397
えらく遅くなってすみません。
正月はずーっと甥っ子や姪っ子と初詣したりすごろくしたり凧上げしたり餅食べたり羽子板ならぬバトミント
ンしたりお馬さんになってあげたりずーっと寝てたり親から「早く結婚せえ」と言われたりそれに対して「結
婚が一人でできるならとっくにやってるよ」と答えたりそしたら「くだらんこと言ってないで彼女見つけろ」
と怒られたりしょうがないので彼女とデートしたりってあこれは明らかに嘘だなとにかくいろいろあってUPが遅れてしまいました。
今後はなるべく週一ペースでやっていこうと思います。
399洛陽 ◆I9WFnCXgeU :03/01/07 22:16
@近衛部隊訓練(廖影、細作頭)
A馬参―町費
B馬参―廖影
飲み会(女兵士、廖影、護衛隊長、町費、士長、親衛隊長
コスプレ袁奉、吾玄動揺
頭―草(惨殺)
第三軍出撃前(馬参―長史、馬参―郭図公則)

★@
洛陽、太守府。
使者の表情は穏やかだが、目には油断のない光が輝いている。
対する郭図公則はいつになく柔和な笑顔。その脇に控える細作頭は無表情だ。
彼らが対峙しているのは、魏からやってきた文官だった。

「我が主、夏侯惇は、郭図公則将軍の武名と知謀を高く評価され、ぜひとも友誼を結びたいと考え、それがしを遣わせた次第にございます」
使者は明朗な口調で言った。
「こちらは心ばかりの贈答の品。郭図公則将軍に受け取っていただけるなら、これにすぐる喜びはない、と夏侯淳は申しております」
使者が差し出したのは、西域製の硝子細工。
「ほう、これは見事な逸品」
受け取った郭図公則は、嬉しそうに顔をほころばせた。
「この品、夏侯惇殿はいつ入手されたのかな?」
これに対し、使者は「得たり」とばかりに即答する。
「つい二月ほど前に取り寄せた品にございます」
「二月? はて、西域から魏領に至る街道は、すべて我が涼が制しているはずだが?」
「道とは、通るという意志を持っていさえするなら、いくらでもあるものにございますゆえ」
「なかなか良いことを言う」
郭図公則は声を上げて笑った。今日の郭図公則は陽気だ。
「夏侯淳殿は、なかなか柔軟な思考の人物を家臣に据えている。うらやましいものだ」
「もったいなき仰せにございます」
使者も笑みを浮かべ、頭を垂れた。
400洛陽 ◆I9WFnCXgeU :03/01/07 22:16
「しかしな、私も夏侯惇殿に敬意を抱く身ではあるが……」
硝子細工の曲線を指でなぞりながら、郭図公則は言った。
「不幸なことに我が涼、そして夏侯惇殿が属する魏は血で血を争う間柄にある。ましてや共に、それぞれの勢力にて何がしかの官職をかたじけのうする立場。涼王殿下の録を食む者として、このような贈答品を頂くわけには参らぬ」
「それは困りまする」
使者は困惑した顔をしてみせた。
本当に困惑しているのかどうかは窺い知れないが。
「郭図公則将軍は武門の誉れ高きお方。しかし、洛陽太守に御就任以来、統治官としても抜きん出た才を発揮されておられます。かねてより夏侯惇は将軍の動向に注目しており、『まこと見習うべきは郭図公則殿』と公言して憚りを知らぬところ。
是非とも誼を結び、互いの立場を尊重しつつ研鑚していければ、考えておりまする」
「その立場というものをわかってほしいのだ」
申し訳なさそうに郭図公則。
「夏侯惇殿との誼はこちらとて望むところではある。だが私は、涼都・洛陽を守護する身。その地位にあるものが魏の高官とあい親しむことあらば、世間はどう見ようか」
「しかし、現に我が魏の筆頭軍師・荀ケと、涼の筆頭軍師・希代之殿は義兄弟の間柄ではございませぬか。将軍が夏侯惇と友好を深めたとて、おかしな話ではございますまい」
「両軍師が義兄弟の契りを結んだのは、我らが挙兵するより遥か前のこと。此度の夏侯惇殿の申し出とは根本的に事情が異なる、と思う」
「むむぅ……確かに将軍のおっしゃることには筋が通っておられますな……」
使者はほんの少し、残念そうな表情をしたが、すぐに笑顔に戻った。
「しかし、郭図公則将軍が有能であるのみならず、忠義に厚いお方だとわかっただけでも収穫にございました。本日伺った将軍のお言葉、そのまま夏侯惇に伝えようと存じまする」
「うむ。わかってもらえたのならありがたい……」
ここで郭図公則は、細作頭の方を向いて小さく首を振った。
意を察した細作頭は、拱手すると音もなく部屋から去っていく。
「さて、使者殿。二人だけになったところで、本音を伺いたい」
「本音、と申されますと?」
「夏侯惇殿が私と誼を通じたいという話。真の目的は何だ?」
使者は、鼓動が急に速くなるのを感じた。
さあ、始まる。ここからが本番だ。
401洛陽 ◆I9WFnCXgeU :03/01/07 22:17
「真の目的、と言われましても……」
とりあえず、使者は戸惑って見せた。
「夏侯惇のあいさつを将軍が受け取ってくれたのなら、それだけでも夏侯惇の喜びになったと存じますが」
「それだけなのか? 本当にそれだけなのか?」
郭図公則はしつこく聞いてくる。
そんな郭図公則の真意を探ろうとしながら、使者は言葉を慎重に選んだ。
「私は主から言葉を受け、そして将軍にお伝えしたのみにございます。ただ、敢えて私の感想を申し上げるのなら……将軍と友誼を深めたいという夏侯惇の申し出は、純粋なものではないか、と」
その言葉を聞いた郭図公則は、しばらく無言だった。
「さようであったか……いや、詮無きことを聞いた。すまぬ、忘れてくれ」
大分時間がたってからそう答えた郭図公則の顔には、失望の色が浮かんでいた。
「せっかくだが、やはり夏侯惇殿と誼を結ぶことはできぬ。書簡のやり取りひとつにしても、残念ながら無理だ」
「………」
「恥ずかしい話ではあるが、涼国内に私に敵は多い。多すぎると言ってもいい。どうか夏侯惇殿には、そのへんの事情を察していただけるようお願いしたい」
この時、使者の鼓動の速さはピークに達していた。
郭図公則が七同志の間で孤立している、という情報を元に、この文官は使者に立てられた。
その情報は間違いではなく、しかも郭図公則は、内応の申し出を期待していたのだ!
「……将軍、しばらく」
「ん? 何かな?」
「白状いたします。私は主命により、将軍が魏のお味方となる可能性があるかどうかを探りに来た者にございます」
「な!……まことか!」
「シッ! お静かに……もしも将軍との会合が上首尾となった時のことも考え、魏公殿下から内応の条件も預かって来ております」
「曹操……いや、魏公からだと?! 聞こう。その条件とは?」
「折りを見て、洛陽まるごと魏に寝返ること」
「ふむぅ……して、見返りは?」
「将軍は軍団長の地位を嘱望しておられるとか」
使者は、ニヤリと笑った。
「対涼攻略軍の軍団長の地位。如何にございますか?」
それに対し、郭図公則も笑った。
使者が初めて見る種類の笑顔だったが、郭図公則の笑顔とは大体こんなものだった。
402洛陽 ◆I9WFnCXgeU :03/01/07 22:18
「外交の使者を切るわけにはいかぬ。個人的友誼を求める使者なら、なおのこと切れぬ」
細作頭に押さえつけられた使者を見下しながら、郭図公則は言った。
「しかし、内通の申し出を持ってくる者など、そもそも使者ではない。間諜だ。これを切らぬ理由はない」
「後悔いたしますぞ」
己の運命を悟ったのか、使者は抵抗することなく、口だけ動かした。
「魏の全将帥の怒りは、将軍に対して向けられることになる」
「望むところだ」
もはや郭図公則は、笑ってもいなかった。いつもの無表情に戻っている。
「おぬしは塩漬けにして、魏に送り返してやろう。言い残すことがあったら申せ。夏侯惇に伝えてやろう」
使者はものすごい形相で郭図公則を睨み付けてた。
だが、この事態があることも覚悟していたのだろう、すぐに言葉を発する。
「『郭図公則の首を、我が墓前にてご披露いただきとう存じます』とでも」
「承知した。おぬしの随員に伝えさせよう」
「ありがたき幸せ。では将軍。一足お先にあの世にてお待ちしておりますぞ」
「そうだな。三十年、あるいは四十年ほど遅れるとは思うが、のんびり待っておれ」
「そこまで遅れるとは思えませんが……まあもしそうなったなら、私は壮年の身で、老人となった将軍を迎えることになる。非力な私でも、将軍を組み伏すことができるやもしれませんな」
「文官が膂力で勝負しようとするものではない。まあ、知恵比べでおぬしは私に敗れたのだから、そうせざるを得ないというのもわかるが」
使者は、もう何も言い返さなかった。自分が敗者となったことを認めたのだ。

「紙と筆を」
部下が使者を連れていったところで、郭図公則は細作頭に呼びかけた。
「殿下に書面を送る。魏の間諜が私に内通を図ってきたので、これを斬り殺したとな」
郭図公則は今回の件を、公にするつもりらしかった。
言われるままに筆を揃えながら、細作頭は尋ねた。
「しかし閣下。あの者の申すことも確かです。魏の憎悪を閣下お一人が浴びるというのはいかがなものかと」
それに対し、郭図公則は首を傾げた。
「魏に憎悪を抱く権利は、私にもあるのだぞ」
真意のよくわからない言葉を口にした郭図公則は、もちろんその真意を説明することのないまま、紙に向かった。
403翻陽 ◆I9WFnCXgeU :03/01/07 22:19
翻陽、第二軍本営。
軍団長の吾玄は、軍師の黄権が携えてきた竹簡に目を通している。
軍団の練兵状況を報告する竹簡だった。
「遅れているな……」
一件一件に丹念に目を通しながら、吾玄。黄権も肯く。
「とりあえず例の件も収まりつつあります。実質的な訓練はこれからになりますな。もう少し時間を頂ければ、以前の水準に近づくかと」
「もう少し、とは?」
「2カ月ほど」
「うむ……仕方ないか」

剽悍な蛮兵を中心に構成する第二軍。
先の翻陽の戦いで、我に倍する呉軍を撃破するのと引き換えに、半分以上の兵が死傷する大損害を受けた。
もちろん、兵の補充は速やかに行われた。
頭数だけ見れば、第二軍は既に再建されている。
だが、軍団としての質は、翻陽攻略戦前と比べると、段違いに落ちている。
吾玄は黄権の策を取りいれ、生き残った蛮兵の多くを伍長格に昇進させた。
新たに徴兵した揚州の新兵たちを蛮兵に指揮させ、軍団全体としてのレベルを底上げする、という目論見で、即急かつ効率的に軍団の質を上げるに、もっとも良い方法だった。
ただし、問題がないわけではない。

中華の中心は中原。
これは400年以上に渡って続いている、この国の真理だ。
孫一族の興隆は、その真理に根差す揚州人の劣等感を少しは払拭させたが、完全に覆すまでには至っていない。
それでも上には上があるように、下には下がある。
揚州人から見れば、南蛮は揚州とは比較にならぬ僻地。
なまじ山越などより遠いだけに、その認識はさらに強固なものとなる。
にも関わらず、彼ら第二軍揚州兵の直属の上官は「野蛮人」なのだ。
当然あつれきは生じる。
404翻陽 ◆I9WFnCXgeU :03/01/07 22:19
「最後にものを言いいましたのは、やはり蛮兵たちの能力の高さでした」
黄権は説明した。
「戦士として彼ら以上の種族は見当たりません。自分らが生き残るには、蛮兵に従うのが一番。揚州人たちもようやくそのことを理解したようです」
「自明のことを理解するに、えらく時間のかかるものだ。これだから揚州はいつまでたっても後進地なのだ」
「ハハハ。同意いたしますが、軍団長。さようなことを口にするのは、それがしの前だけになされませ」
「わかっている。今だけだ」
吾玄は憮然とする気持ちを禁じ得ない。
もしも廖衛が―今、第一軍武将として、許昌への出撃を控えている―が第二軍にいたのなら、揚州兵と蛮兵たちの心の垣根など、あっという間に取り除いていただろう。
自分より1歳だけ年上で、何かとそそっかしい男だが、その手の術に関しては先天的な才能を持っていた。
「我が身の不徳を感じるわ……」
「は? 何と仰せになられましたか?」
「いや、何でもない」

練兵の報告を終えたところで、黄権が声を潜めた。
「ところで例の件でございますが」
黄権の口振りから話の内容を察した吾玄は、不機嫌そうな顔をして手を振った。
「その話なら聞きたくない」
「極めて重大な問題ですぞ」
「呉の調略だ。そんなものにいちいち煩わされてどうする」
「確かに調略かもしれません。しかし、最初からそう決め付けては、見えるものも見えなくなりますぞ」
「決め付けではない!」
吾玄は声を荒げた。
「なぜ到越殿がわしの地位を狙わねばならぬのだ! 軍団長になりたければ、第四軍の編成を殿下に上奏すれば良いではないか!」
「そうなれば、対抗馬はあの洛陽太守です。それに第四軍団長の地位に対しては、廖衛殿も並々ならぬ意欲をお持ちとか。決してありえぬ話では……」
「黙れ、黄権!」
憤然と立ち上がった吾玄は、黄権を睨み付けた。
「今度この話を持ち出したら、おぬしといえども容赦はせんぞ!」
405翻陽 ◆I9WFnCXgeU :03/01/07 22:20
翻陽、袁奉邸前。
袁奉の副官を務める水兵隊長が、油断ない目つきで周囲を見回している。
「隊長」
左右の路地から、彼に声が投げかけられる。
そちらの方向には、水兵隊の兵士が陣取り、「異常なし」と手を振っている。
それを確認した水兵隊長は、邸宅の中に呼びかけた。
「殿。大丈夫です」
周囲に誰もいないのだが、水兵隊長の声はささやくようなものになっている。
それも仕方のないことではあった。
邸宅から出てくる男―袁奉―が変装しているとあっては、自然と声も小さくなる。
しかも、かなり怪しいいでたちとあってはなおさらだった。

「殿、ほどほどになさいませ」
ため息をつきながら水兵隊長。
「殿に関する悪い噂を助長するようなものではございませんか」
悪い噂。袁奉が吾玄から第二軍団長の地位を奪い取ろうとしている、という噂は、回りまわって袁奉の耳にも届いている。
しかし、まったく意に介さぬように、袁奉は答えた。
「わしの心には一片の曇りもない。なのになぜ、微行如きを慎まなければならないのだ? かえって疑いを深めるだけではないか」
「そうは申されますが……」
変装した袁奉をなるべく見ないようにして、水兵隊長は喚起した。
「何も変装までなさらずとも……それに一度軍団長に釈明ぐらいされてみては? このままですと、痛くもない腹を探られると存知ますが」
「わしと四則殿の関係を知らぬとは言わせぬぞ」
「もちろんそれは存じております。しかし、現にこのような悪意ある噂が流れております。放置しておいては……」
「よいと言うに。四則殿とは、殿下の下で挙兵する以前からの付き合い。語らずともわかるわ」
406翻陽 ◆I9WFnCXgeU :03/01/07 22:21
もうこれで何度目だろう、と水兵隊長は思う。
「噂」が流れ出してからというもの、ことあるたびに水兵隊長は、吾玄に釈明するよう袁奉に伝えてきた。
そして、毎回同じ結論にたどり着く。
「わしと四則殿は、殿下挙兵以前からの付き合いだ」
袁奉が吾玄との信頼関係を信じていること。それは別にいい。しかし、それに甘んじているようだと危険だ。
実際、呂砲勢力が大きくなるにつれて、鉄の結束を称えられた七同志の間にも、深い溝ができてしまっている。
吾玄と袁奉の関係だけが生涯不変など、誰が断言できよう。
袁奉が釈明の必要なしと考えるなら、せめてこの……変装のつもりらしい格好だけは何とかしてほしかった。
火のない所に煙、などというものではない。
これでは火に油を注ぐ行為に等しい。
だが、それについても袁奉は頑として聞かない。

「供はいらぬ」
いつもの言葉を口にする袁奉。
水兵隊長は若干肩をすくめた。
「そして、絶対に後を追うな、でございますな」
「わかっておるではないか」
袁奉は笑った。
根本的に楽天的な袁奉は、そう言って翻陽の町へと向かっていった。

人込みに紛れながら、袁奉は周囲を何度も見回した。
知っている者はいない。尾行された気配もない。
大丈夫だ。
頃合いを見計らい、袁奉はサッと目当ての店へと入っていった。
「おや、袁さん。あの薬はどうだった?」
店の主人が袁奉に声をかけた。
主人に対して袁奉は、「荊州からやってきた武芸家の袁」と名乗っている。
「どうも効果があるような気がせぬ。もっと良いやつはないか?」
「そうねぇ……ちょっと待ってな」
主人は店の奥へ入っていく。
袁奉が入った店の看板には、「養毛屋 良い毛生え薬あります」と書いてある。
407洛陽 ◆I9WFnCXgeU :03/01/07 22:22
洛陽、長史府。
「わざわざお越しいただき、恐縮にございます」
「なに、貴殿にはいろいろ世話になった。今後も兵站面等、我らを支えていただきたい」
「それはもちろん。涼全土の交通網の整備も進んでいます。兵糧、兵、武具。遅滞なく第三軍にお送りいたします」
「ありがたい。洛陽から先はそれがしにとっても未知の地。やはり不安もあってな」
「確かに第三軍の方々は、涼州や漢中出身の方ばかりですからな……ああ、陸遜殿は揚州でしたか。いずれにせよ、将軍の御武運をお祈りいたしております」
「貴殿も。太守の相手を貴殿一人に押しつけるのは、少し気が引けるが」
「ハハハ、実はそのことが心配で、夜も眠れません。馬参殿がおられたからこそ、三すくみ状態で太守殿との関係を均衡といえる状態に保つことができた。これからは一対一ですから」
「まあ、敢えて対立姿勢で臨む必要もあるまい。共に涼の臣。見つめるところは同じだ」
「そう考えるようにはしておりますが……時に馬参殿」
「なにか?」
「別れ際と言うことで、聞きづらいことを聞くのですが」
「ほう」
「その太守殿についてです」
「郭図公則のこと……」
「私は太守殿との付き合いも短く、彼の御仁が何を考えているのか、さっぱりわからないのです」
「確かにわしは、やつとは十年来のつきあいだ。しかし、それでもやつの考えはわからぬよ」
「馬参殿でも?」
「まああまり気にせぬことだ。少なくともやつは、私利私欲に走る輩ではない。目指すところは涼の興隆。そのたどり着く道筋に、特異な部分がある。そう考えればよいのではないか」
「心に留めておきましょう」
「ではこれにて失礼する」
「はい。上党攻め、そして業β攻めの成功を心より祈っております」
「かたじけない」
馬参と長史は、拱手して別れた。
408洛陽 ◆I9WFnCXgeU :03/01/07 22:22
洛陽、太守府。
「上党攻めにあたっての策はあるのか?」
「陸遜が大筋練っている。まあ、あまり大仰な小細工はないが」
「それで良かろう。上党の魏軍はわずか2万。これに小細工を弄するようでは、涼の名が廃る」
「問題は次の業β攻めだ」
「守備兵10万。これに増援軍だな」
「その折には、おぬしにも助言を請うかもしれぬ。よろしく頼む」
「陸遜という軍師がいるではないか」
「あやつは若い。まだまだこれからだ」
「そのような者を軍師の座に据えたのはおぬしであろう」
「第三軍だけで魏を滅ぼせるものでもない。第一軍と呼応しての東進であり、同時に洛陽守備軍の支援を受けながらの魏攻めだ」
「それなら今のうちにひとつ、その助言とやらをしておくか」
「承ろう」
「もっと陸遜に経験を積ませろ。七品官ごときの軍師など、軍団の沽券に関わる。それに、大軍とぶつかればあっという間に全滅する……まあ、おぬしもわかっているとは思うが」
「御助言、ありがたく承った。心しよう」
「後方については心配するな。洛陽は私が守る。魏軍は一兵たりとも侵入はさせぬ」
「おぬしが魏の使者を斬ったことで、魏は騒然となっていると聞く。気を付けろ」
「斬ったのは使者ではない。間諜だ」
「とにかくおぬしが洛陽を守ってくれてこそ、わしも安心して進軍できるのだ」
「上党に駐留する武将、兵の手配は私がやっておこう」
「当てにしている」

一切本音が語られぬ、馬参と郭図公則の会見。
馬参は後に、この時のやりとりをある種の感情とともに思い出すことになる。
409宛 ◆I9WFnCXgeU :03/01/07 22:23
第三軍は洛陽を進発、上党へと向かった。

「上党」攻略軍(第三軍。出撃都市・洛陽)
武将(兵科) 兵数/武/知(戦法)
馬参(重騎)15500/92/59(乱撃極、突撃5、車懸1)
陸遜(象兵)・9500/68/96(奇襲5、撹乱4、突撃3、槍衾3)
鳳徳(重騎)12500/95/64(突撃極、乱撃2、車懸2)
楊任(軽歩)11000/87/52(突撃5、奇襲4、撹乱1、乱撃1、車懸1)
張燕(軽歩)11000/85/50(突撃5、撹乱2)
張衛(軽歩)12500/77/37(乱撃4)
韓遂(軽歩)18500/69/78(乱撃3、奇襲2)
張魯(軽歩)15500/54/70(奇襲4、乱撃2)
鐘ヨウ(軽歩)12500/53/82(撹乱5、乱撃2)
      9部隊計118500

迎え撃つ魏軍は、7部隊21000のみ。
洛陽を攻略した第三軍の相手になるわけもなく、上党は簡単に涼の支配下に落ちた。

【登用武将】司馬朗


宛、仮涼王宮。
伝令から上党陥落の報を受けた呂砲は、大した感慨もなく、機械的に肯いた。
「第二軍が翻陽を、そして第三軍が洛陽と上党を陥とした」
馬参からの書面を希代之に渡し、呂砲は言った。
「そろそろ我が第一軍も働くか」
「御意。いよいよでございますな」
「そうだ」
玉座から立ち上がった呂砲は、大きく伸びを打った。
「魏都・許昌を陥とす。そして陛下の玉体を肝賊からお救い賜うのだ」

次回、「許昌攻略戦」。
ブ。
コンテまでUPしてた。
正月疲れ残ってんのかな。もう寝ます。
411見習忍者:03/01/08 00:39
新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

閣下の大いなる飛躍の年となりますように・・・。

>378
了解しますた・・・と言いたいのですが、
正月ボケの抜けない私にはどちらの話か・・・。
すいませんメール欄で・・・、いずれにしろ上手く繋げますです。

>閣下
かねてより調略中であった、禁城のお庭番衆の懐柔に成功致しました。
彼らを組織に編入させる事により、構成員の全体的な能力の底上げが期待できます。
また、これにより皇帝の身辺の動きもより詳しく掴む事が可能になりました。
続きまして魏国内の動きですが・・・(以下略

>廖影殿
いよいよ許昌攻略戦が始まるな。
さて、餞別という訳ではないが閣下からこれを預かってきた。
ぜひこれを役立てて欲しいとの事だ。いや、何遠慮する事はない。
貴殿の鎧が、先の洛陽攻略戦で痛んでしまったのを閣下は気にされていたのだ。
有能な将のかような姿を見るのは忍びないとな。
鎧も貴殿と一緒になれればこそ本望であろう。
閣下は貴殿の活躍を多いに楽しみにしておられるだよ。
412見習忍者:03/01/08 00:51
>378
すいません、前者は315の草殿が上手くまとめてくださっていましたね。
・・・と言う事は後者で良いのでしょうか?
度々申し訳ありません。これもみんな正月ボケがいけない・・ハズ。
413廖影 ◆CN2I0jO6s2 :03/01/08 03:22
またも流行病の予感…。秘薬・葛根湯を飲み静養します。

>>見習忍者どの
これは忝い。このような素晴らしい鎧を頂けるとは。
なるほど、この角度から見ると「郭」の字が浮かび上がるとはオサレですな。
いつもそれがしに良くしていただきまことにありがたい。
廖衛さまにも郭図公則さまのご好意は伝えておこう。

そういえば郭図公則さまが魏の間諜を斬ったそうだな。大胆なことをされるわ。
もし郭図公則さまが狙われても、それがしが体を張ってお守りいたすと伝えておいて欲しい。
414吾玄 ◆pa7KljsyW2 :03/01/08 18:12
下手に動くのは下策だ。
私は到越殿を信頼している。根も葉もない噂ならば何れ立ち消えよう。

しかし揚州人とは厄介な奴らだ。
単純明快な蛮族どもの方がよほど付き合いやすい。
ここの気風はまったく自分には合わんな。
415廖衛 ◆ttmECRHBeQ :03/01/09 11:24
殿下、新年明けましておめでたく存じます。今年もどうか宜しく。

>352
ゴメンナサイ。0一つ多かった。

>馬参殿
いや〜、親父殿、お騒がせして申し訳ない。私の浅慮を御容赦下され。
(しかしああは言っても、親父殿は危惧を感じているようだ。それが解っただけでもよしとしよう。)

>殿下
いつも、物語が凄く面白いですな。これからも頑張ってくだされ。
あ、ちなみに私は『覇権』なので、『義理は高いが野望も高い』のでそんなキャラでお願いしたく存じます。

>廖影殿
また風邪か!まあ、私もだが・・・。ゆっくりと休みなさい。
具合が悪いなら、無理に出仕せずとも良いぞ。
(近々部下たちを集めて、新年会をやろうと思ったのに・・・。
 仕方ない、廖影殿には今度個人的におごるか。
 しかし、廖影殿と最初にであった時は大変だったなあ。いきなり殴りかかってきたからな。)
in永安、廖衛が偶々一人で歩いていると・・・。
部将(廖影)「見つけたぞ廖衛!!」
廖衛「ん?」
武将「覚悟!!」ブンッ!!
廖衛「うおっ!!いきなり何をするか!!」
武将「やかましい!お前のせいで俺はお尋ね者になったんだぞ!」
廖衛「お主がお尋ね者になったのと私になんの関係があるのだ!!」
武将「俺はお前と顔が酷似している所為で、汝南で追い回されたわ!
   やむを得ず役人を斬ったらお尋ね者だ!これをお前の所為と言わずしてなんと言う!」
廖衛「・・・!!(あの時のことか。ちっ、役人共もしつこい。
   しかしまずはこの男を何とかせねば・・・。
   しかしよく考えると、この男は得がたい人材かもしれん。
   ・・・よし、味方になるよう説得するか。)
   まてまて!!お主がお尋ね者になったのは確かに気の毒だ!!私に似てただけで追い回されたのも
   貴殿の所為ではない!だが、私に襲いかかるのはそれこそ筋違いと言うものだ!」
武将「なんだと!!」
廖衛「私がお尋ね者になったのはそれなりの理由があってのことではない!!
   郡の汚吏に気に食わないからと言う理由で追われたのだぞ!!」
武将「なんだと・・・!?」
廖衛「そんな、下らん理由をだす役人の方こそ貴殿が恨むべき方だろう!」
<続く>
続き
武将「本当か・・・?うそ臭いな・・・。」
廖衛「信じるかどうかは自由だ。だが、それだけの理由で追われた者を斬るのはどうだ?
   そのまま、本物のお尋ね者になってしまうではないか!!
   貴殿は中々の才を持っていると存ずる。それを失うのはそれこそ世の損失!
   その才を生かそうとは思わぬのか!」
武将「・・・・・・・。・・・ふん、まあお前の言うことにも一理ある。
   俺にお前の言う才があるかは知らんがな。」
廖衛「なら私と共に来るが良い。私は中規模の傭兵団に所属している。
   己を鍛えるには良い場所である。団長の馬参殿は良い団長だ。
   そこで私が信用に値するか確かめるが良かろう。」
部将「・・・よし、じゃあ行ってやろうじゃないか。」
廖衛「(よし、なんとか味方に引き入れることが出来たな。)
   承知した、案内しよう。・・・ところで貴殿の名前は?」
武将「・・・あちこち旅してお尋ね者になった所為もあるが・・・、
   故あって元々の名を名乗りたくは無い。
   ・・・お前の影、廖影とでも名乗らせてもらおう。」
廖衛「宜しい、承知した。これからよろしく頼むぞ、『廖影』殿。」
廖影「・・・ふん、すぐに別れなきゃいいがな。」

後に、涼で一、二を争う良好で理想的な君臣関係を誇る二人の最初の出会いであった。
のちに二人が『一国の重臣とその忠臣』になるとはその時誰が予想したであろうか・・・。
>>417
電波キタ―――――
スレそのものが電波
>>416-417
あんまりそういうのは避けた方がいいかも。
それぞれが独立して話を作るスレならともかく、ここは七同志その他がネタを出して
それを◆I9WFnCXgeUさんが料理するタイプだからいろいろ厄介なことも起こりがち。
よっぽど自分の文才(構成力・整合力)に自信があって煽られるのも構わないっていうんだったらいいけど、大体失敗するし。
こういうの嫌いな人間もいるんだからあまりいろんな事に手を出さない方がいいと思うよ。
>>416-417
廖衛殿、スレを盛り上がらせたい気持ちもわかりますが、やはり文章は呂公閣下に任せましょう。
決して出来が悪いわけではありませんが、荒らしを生み出す元はなるべく避けた方が良いのでは。
422雑兵1号:03/01/09 19:44
ヤベヤベ、ちと飲み食いしすぎて腹が出てきたぞ。
しかし、洛陽という所は華やかな反面、妙に殺伐としてるな。
ま、うまいモンと綺麗なネーチャンがいれば、どーでもいい事だが。ププ

あーそこの町人、いま何日だ?
9日?・・・9日か・・・って、許昌攻めじゃない?

ヤベ!乳揉んでる場合じゃねえぞ!速攻で帰らねえと。
なに?支払い?・・・長史府にまわしとけ!じゃあな。
(やっぱり郭図様は凄いなぁ。魏の間諜を切っちゃうなんて)
最近、何故か訓練が厳しいなぁ。
何故か時々同僚消えるし、最近来たCはどこにいったんだか。
424長史:03/01/10 01:41
補給部隊は間もなく上党へ到着するな。
第一軍への武具、食料の方も滞りない。

いよいよ許昌陥落も間近となった。
許昌は我が涼にとって良き商業拠点となるであろう。

そして何よりあそこには劉協がいる。
殿下ご出陣の前に今一度処分を検討して頂こう。
いや・・・この件は馬参将軍に内密に相談した方が良いかもしれん。
彼なら意を汲んで内密に処理してもらう事も可能だな。
さてはて・・・。

それにしても洛陽守備軍への武具等の支給は当然だが、
近衛兵への支給はどうしたものであろう?
近衛兵は公の場で検討されてもおらず、現状では太守の私兵だ。
しかし、太守の要請を無下に断る事もできぬ。
まぁ、馬参将軍もあぁ言っておられたし懸念すべき事でもあるまい。
まずは認可しておいて太守に仮を作っておいても良かろう。

さて例の式典の準備も急がねばな・・・。

>422
ん?親衛隊長が給料の前借り?
その程度認可してやれ。ただし、許昌攻略後の賞与は絶対払うな。
その前借り認可証だけ回してやれ!
425希代之護衛兵日記:03/01/10 12:48
今日は、許昌攻めのために武具の手入れをした。
やはり綺麗に磨いだ武器は美しい、と槍を振り回していたら
この前許昌に諜報で行った時、無理して買った博山炉の壷を見事に貫いた。
少し現実逃避するために散歩していると、兵舎から人の声が聞こえた。
「郭図様を知っているか?あそこまですばらしい人はいないぞ!」
さすがに許昌戦で味方に埋伏はしないだろうと思い、ただの噂話として処理した。
426廖衛 ◆ttmECRHBeQ :03/01/10 15:01
>420-421
忠告多謝。以後気をつけるように致します。
(授業中に書いたもんだから、いい加減な事この上ないんですよ。)
>>(授業中に書いたもんだから、いい加減な事この上ないんですよ。)
学生は馬鹿が多いなぁ
>廖衛殿
郭図公則殿のネタの振り方なんぞを参考にするといいと思われ。
一言二言だけのネタ振りの方が、呂砲殿にとっても扱いやすいかと。
個人的には郭図公則殿を誉めたくはないのだが・・・いや・・・ゴニョゴニョ・・・

>>427
まあまあ。マターリ行きましょ。
429315番の草:03/01/10 22:17
流行病にかかった。熱が出続けて3日目。なんかもういっぱいいっぱい。

病床で思ったことは
「ああ、今の第2軍団なら埋伏だけで壊せるなぁ…
 でも、将軍達は噂で手一杯だし、気づかないだろうなぁ、
 まいっか、他人事他人事。寝よっと。」
430315番の草:03/01/10 22:36
そういえば、自分は
・軍人ではないが国の人間。
・吾玄将軍に郭図公則の手の者とばれてる。
ってことは、洛陽太守推挙の下級官吏ってことだから…
あぁ揚州とか来ちゃって左遷されまくってんじゃん。
431郭図公則 ◆sW2getuhmE :03/01/10 23:33
>個人的には郭図公則殿を誉めたくはないのだが・・・いや・・・ゴニョゴニョ・・・
( ̄ー ̄)ニヤリッ見習忍者に連絡・・・

所で最近私の部下の規律が乱れている由、魏や呉の間者の浸透を食い止める
ためにも人員整理でも考えるべきか・・・
しかし、最近町費将軍と廷臣が密会しておるが、長史や過激派が暴発せねば良いが。
432諜報部末端構成員:03/01/11 00:32
>>423
>何故か時々同僚消えるし、最近来たCはどこにいったんだか。

>431
>人員整理でも考えるべきか・・・

既に粛清が?!Σ( ̄□ ̄;)
433山崎渉:03/01/11 01:18
(^^)
434孫策:03/01/11 14:14
間者の報告によれば、涼の第二軍が面白い事になっているらしい。
吾と袁の仲を引き裂く絶好の機だな。
435呉文官:03/01/11 22:31
>434
殿、我が軍の中もかなり面白い事になっているようですぞ(涙
436 ◆pa7KljsyW2 :03/01/12 00:47
そういや315番目の草が郭図勢だって吾玄が知ってるはずがないんだった。

……どうしよう。
>436
大丈夫、きっと◆I9WFnCXgeU殿が上手く編集してくれる!



・・・・・・はずだ。
>>411見習忍者殿
「なかったことに」というのは、草殿に我が身に危険が及ぶことへの気構えを尋ねたことです。
以下構想ネタバレ。
 第二軍への調略に草殿反発
→見習忍者と草のタイマン会話。草、納得
→しかし郭図公則は極悪非道なので、見習忍者に草の殺を命令
→揚州への途上にあった草に追いついた見習忍者、微笑む草を○★※◆△
ってやろうかと思っていたのだが、草殿にはもっと重要な役割をば……。


>>414吾玄殿
「心配するな」と言っていいのかどうか、実はまだよくわかんない。
ま、なるようになるさ。
今後ともネタ振りヨロ。

>>415廖影殿
「義理堅く、野望も高い」ね。了解。
いろいろあったみたいだが、ま、気にすんな。

>>434>>435
「敵勢力から見た涼」というやり方もあるってことを、すっかり忘れていました。
多謝。

>>436>>437
なかったことに汁!



ソレガイイソウシヨウ。
涼において軍政官とは、戦闘前は軍の兵糧、武具などを揃え、戦闘中は野営地の設営や食事の準備に頭を悩まし、戦闘後は兵への報酬を分配する官職―とされる。
計数に造詣があり、かつ他の担当者との機微に通じていなければ、とても任せられないこの職務は、軍団の日常に深く関わる。
そもそも、軍政官が有能でなければ、その軍団は能力を発揮することもできない。
魏や呉などは専門の軍政官を配しており、涼の第二軍は萠リ越を、第三軍は楊修をその職に付けているように、非常に専門性の高い役職だ。
しかし、涼の総元締めたる呂砲は、軍政官に対する認識と理解に乏しい。
第一軍の部隊長が同軍政官を兼任していることが、何よりの証だ。

武具を揃え訓練された兵士と、それを操る武将。
これが呂砲の抱く「軍」のイメージであり、そこに「軍は生き物」という認識はない。
呂砲は挙兵以来、仕事は配下武将に任せ、最後の決断を自分で下すという「良きにはからえ」的手法を通してきた。
何らかの一芸に秀でた七同志の存在もあり、その手法は呂砲軍の勢力拡大に貢献してきたが、同時にそれは呂砲をして、組織維持という地道な努力に無関心な君主としていた。
呂砲は気前が悪いわけではないが、褒美の対象となるのは、戦闘で多大なる武功を挙げた者か、内政で抜群の成績を出した者。
軍の運営を遅滞なく維持するという、重要かつ地味な軍政官職に、呂砲の目が向けられることはない。

第一軍総勢12万5000人。
ひとたび進軍となれば、莫大な額の金、そして糧食が動く。
軍政官はこれを一括して管理運用するわけだが、それはある意味、最前線で敵と渡り合う以上のプレッシャーを伴う。
もしも自分の仕事に足りない部分があれば……否、自分の手配は完璧でも、その指示するところが忠実に実行されなかった場合、10万以上の軍団が到達する先は、悲惨な敗北。
また、戦闘が無事に終了したとしても、受けるべき報酬を受けられなかった兵の怨嗟は、軍政官に向けられる。
上首尾に進んで当たり前、不首尾となれば断罪。
それが涼の軍政官の宿命でもある。

ちなみに、第一軍の軍政官を務めるのは、町費だった。
「此度は非常に順調でした」
馬上で町費が語る。
「洛陽の長史殿が行っている涼全土の街道整備。これが軌道に乗ってきたようで」
「では兵糧も万事滞りなく?」
尋ねるのは、同じく馬上の希代之。
彼らは今、第一軍の構成員として、魏の都、許昌への征途にある。
「第一軍がもうひとつ増えても大丈夫……とは言い過ぎですが、かなり潤沢です。補給路さえしっかり確保しておけば、兵が飢えることはありません」
「ご苦労様。毎度のことながら、町費殿が第一軍にいなかったらと考えるとゾッとしますな」
「なに、私ごときにできる仕事ですよ。代わりなどいくらでもいます。それよりも軍師殿の存在の方が代え難きものでしょう」
「軍師の職は目立つ。良いことも悪いことも。しかし、軍政官は違う。うまく仕事をこなしても話題にはならぬが、仕損じれば全軍の非難を浴びる」
つぶやくように希代之。
「魏では軍政官の地位は高いそうだが、当然だな。軍政官はそれだけの責任を伴う職務だから。転じて我が涼は……いや、第一軍は」
「軍師殿、その件についてはしばらく」
「あ? ああ、そうですな……言っても詮無きことか」
これまで希代之は、第一軍における軍政官職の地位向上に力を注いできた。
ただし、呂砲が生返事に終始しているため、実のあるものとはなっていない。

「軍政官としての役割の半分は、これで終わりましたからね。あとは陛下を御救いするに全力をあげるのみですよ」
町費の明るい口調に、希代之も大きく肯く。
「十年だ。我らの義挙から十年。その重大な山場が今、目前にある。さすがに武者震いも起こりますな」
曹、孫、劉の三氏にないがしろにされている皇帝を救い出し、その威を九州(中国)に示す。
呂砲が唱えた挙兵の目的は、まだ生きている。
同時に、函谷関での軍令違反を問われた町費にとって、この戦いは汚名返上の絶好の機会でもある。
(なんとしても、戦功一位を……)
町費の闘志は、静かに燃えている。
町費同様、戦功一位の座を狙っている武将がいる。
廖衛だ。
父とも仰ぐ馬参に、第四軍団長選出馬の意志を示した廖衛。
当初は馬参だけに告げるはずだったその意志は、何時の間にか涼全土で知らぬ者のない事実として流布している。
馬参が漏らしたのではない。
単に廖衛が、自分に関することに隠し事のできない性格だったからにすぎない。
第三軍が上党を制圧したことで、涼は燕とも国境を接するようになった。
燕攻略軍として第四軍が編成されるのは、もはやタイミングの問題でしかなかった。

「とにかく目立つことだ……もちろん、良い意味でだが」
廖衛は言った。
「なにせ相手はあの郭図公則だからな。どんな手を使ってくるのか見当もつかん以上、とことん正攻法で行くしかない」
明らかに廖衛は昂ぶっている。
そんな上司を諌めるのも、副官たる廖影の務めだ。
「ごもっともと存じます。されど殿。まずは落ち着きあれ」
廖衛の気持ちを鎮めるように、廖影は静かに言った。
「我が廖衛隊は最精鋭。殿がお命じになれば、どんな強固な敵陣であっても陥とすに相違ありません。殿が冷静であればあるほど、得られる戦功も増しましょう」
「我を見失っては、得られる戦功も逃すか」
「御意」
「わかった。落ち着こう……廖影、今後ともわしを支えてくれよ」
「もちろんにございます」

廖衛があっさりと廖影の言葉に従ったのは、かすかにではあるが、暗い不安が心から消えないが故。
この忠実な副官は、郭図公則の副官と良好な関係を築いている。
もちろん、それ自体は喜ばしいことだが、廖衛にとって気になるのは、郭図公則の副官を介して、郭図公則自身の影響が廖影から感じられることだった。
それを感じるたびに、廖衛は自分自身を叱り付ける。
己の副官も信用できない男が、軍団長など務められるわけがないではないか。
戦場に到着したところで、第一軍全武将が集結し、軍議となった。
希代之が状況を説明する。
「敵の備えは、正規軍が10部隊72000。総大将は蒋幹とのことです」
「蒋幹? 聞いたことがないな。誰か知っている者はおるか?」
呂砲が問うたが、いずれの武将も初めて耳にするらしく、顔を見合わせた。
「ああ。それがし存じておりますぞ」
声を上げたのは、白髭の老将・公孫賛。
かつて北平を拠点に覇を唱えていた公孫賛は、袁紹にその地を追われた後、曹操の碌を食んでいた時期がある。
「魏公……いや、曹操の幕賓にござる。九江の生まれにて字は子翼。えーと確か……うーん、大した評判は聞いたことがありませんな。三寸不憫の舌を恃んでどうだこうだと抜かしていたようですが、実績については特に」
「曹操め!」
公孫賛の説明に、呂砲は不機嫌になった。
「許昌は彼奴の拠点ではないのか? ましてや、それを陥とさんと迫るは涼王直卒の軍であるぞ! にもかかわらず、実績のない文官風情に守らせるとは、わしをなめておるな!」
「曹操の存念はわかりませぬが」
呂砲をなだめるように希代之。
「我らにとって、都合のよい事態ではありましょう。魏の都を守護するがさような文弱の徒なれば、第一軍出兵の目的もたやすく成し遂げられるかと」
「まあ、それはわかるのだが……」
不機嫌な表情のまま、呂砲もその話をやめにした。
許昌を制圧し、皇帝の身柄を確保すればそれで足る。
そのことは呂砲も理解している。
しかし、魏都を巡って曹操との直接対決を夢見ていただけに、おもしろい事実ではなかった。
「なお、魏は陳留と礁から増援軍を派遣しているとのこと。おそらく、10万は下らぬと存じますが」
そんな呂砲を慰めるように、希代之は言った。
「その増援軍、曹操自ら率いているそうです。第一軍の相手として、不足はございません」
「なんだ、曹操は出てくるのか」
パッと呂砲の顔が輝いた。
「軍師よ、そうならそうと早く言ってくれ。わし一人、空回りではないか」
呂砲の言葉に、希代之は黙って頭を下げた。
魏軍が立てこもる砦は、左右を山に覆われている。
山岳戦となれば、希代之や町費、呂砲、廖衛など、戦法「撹乱」を持つ武将の出番となる。
しかし、17万を越える軍勢を相手とするに、この四部隊だけでは明らかに不足だ。
「ご覧の通り、砦の正面に平地が広がっています」
希代之が地図を指し示すと、涼州の馬騰が言葉を引き継いだ。
「そこに魏軍をおびき出す、ですな。そして後は、我らの働き次第、と」
馬騰の息子の馬休、親族の馬岱、そして公孫賛らが大きく肯く。
敵部隊を速やかに殲滅するにもっとも効率的なのは、破壊力のある「突撃」系戦法。
彼らは、自分の「突撃」系戦法に大きな自信を持っている。
「問題は、如何にして魏軍を誘い出すかだが」
希代之は微笑み、そして呂砲の方を向いた。
「それについては、策がある。では殿下、直々にご説明くださいませ」
「ハイ?」
希代之の指名は、呂砲にとって予想外のことだった。
しかし、呂砲の反応もまた、希代之にとって予想外のことだった。

「ハイ?って殿下……如何なされました?」
「如何なされましたって……わしにいったい何を説明せよと?」
「何を説明せよって……砦の魏軍をおびき出す策についてでございますが?」
「おびき出す策って……わし、何も考えてなかったけど?」
「考えてなかったって……殿下、ご冗談を」
「いや、マジで」
「ハイ?……親衛隊の全兵士が、戦場でも目立つ桃色の甲冑に統一したのは、殿下自ら囮となり、敵軍をおびき出す意志の表われ、と聞いておりましたが?」
「だ、誰が……いつそんなことを?」
「親衛隊長が、前スレで」
その言葉にハッとした呂砲は、後ろに控えている親衛隊長を振り返った。
睨まれた親衛隊長は、「ムム! 何やら不穏な気配を感じまする。殿下の御身を害さんとする魏の工作員が潜入しているやもしれませぬ。警備に行って参ります」と言って、速やかに天幕から逃げ出した。

第一軍全武将が集まった天幕は、重苦しい沈黙に包まれている。
親衛隊が甲冑を桃色で統一したのは、呂砲自らが囮となるためではなく、単なる親衛隊長の趣味に過ぎなかったことが明らかとなったためだった。
(我、誤れり!)
心中、希代之は頭を抱えている。
親衛隊長の言葉を鵜呑みにして、呂砲に問い合わせなかったのは、軍師として明らかな失敗だった。
チラリと上司を盗み見ると、呂砲も途方に暮れている。
(かくなる上は、私が囮役を引き受けるしかあるまい)
自分は参軍だ。総大将に比べれば価値は落ちるが、魏からすれば「おいしそうな餌」に映るかもしれない。

だが結局、呂砲自身が囮役となることになった。
別に己の使命を思い出し、気合を入れたからではない。
場の空気に耐えられなくなり、「ええい、わかったわい。わしが囮になる!」とやけくそになったからにすぎない。

「許昌」攻略軍(第一軍。出撃都市・宛)
武将(兵科) 兵数/武/知(戦法)
呂砲(軽歩)20000/50/77(撹乱極)
希代(軽歩)14000/71/100(撹乱極、奇襲2)
甘寧(軽歩)11000/96/79(奇襲5、突撃4、乱撃1)
廖衛(軽歩)14000/94/70(突撃5、撹乱3)
公孫賛(重騎)8000/88/65(車懸極、突撃4、奇襲2)
関平(軽歩)11000/86/71(突撃極、槍衾2、奇襲2)
馬岱(重騎)11000/86/53(突撃5、乱撃3、車懸3)
馬騰(重騎)11000/82/50(突撃5、乱撃4、車懸3 )
馬休(重騎)11000/72/49(突撃5、車懸4)
町費(軽歩)14000/70/72(撹乱極、突撃1、乱撃1、奇襲1)
    9部隊125000

敵正規軍10部隊72000
敵増援軍10部隊110100
   計20部隊182100

次回、「許昌攻略戦(その二)」
殿下キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

ついに許昌攻略戦。楽しみにしてます。
最近はおかしすぎる>>222の錫ヤカン組同僚
まで一ヶ月留守している間に消えていた事に気がついちゃった。
ていうか最近ほとんど同僚すらあの宴会後からあんまりみていないような気が
してきた・・・。昨日はついにあの毎日来てるけど不真面目だったDまでこないし・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・運を天にまかせるか。
447:03/01/14 08:10
魏軍は我らより6万も多いそうだが・・・
まあ数的劣勢の戦闘は慣れっこだ。
何より我が町費隊は戦意豊富。
必ずや町費様に戦功1位の栄誉をもたらすのだ。

いざ果たさん、函谷関の屈辱!
448町費隊士長:03/01/14 08:11
>447はそれがしです。
すみません。
449廖衛 ◆ttmECRHBeQ :03/01/14 15:37
>殿下
ご迷惑をおかけして申し訳御座いませぬ。
私も殿下の負担を減らそうと思ったのですが、余計に増やしてしまうとは・・・。

>427
申し訳ありませんでした。m(_ _)m

>428殿
忠告ますます多謝。ほんとにすいません。
450廖衛将軍府:03/01/16 00:08
将軍!いよいよですな!
見事手柄を立て軍団長の座に付きましょうぞ!

それにしても廖影殿の新しい鎧は見事な物ですな。
某もあのような物を手に入れたいものです。
しかし、時々背中に「 郭 」の文字が見えるような気が・・・。
気のせいであろうか?
451廖衛 ◆ttmECRHBeQ :03/01/16 11:13
>廖衛将軍府
うむ!そなたらには期待しておるぞ!!
>某もあのような物を手に入れたいものです。
そうだな・・・。そろそろ使い古されてきたからな。
鎧を新調するか。
452にわか水平隊:03/01/16 19:53
殿の変装も困ったものだ。うーん
うん?(何か足にあたった.)
陣の中に育毛剤が空ケースが!!
こんな大切な時に困った奴がいる。見つけ出し見せしめしにしてやる!

にわか水平隊に「育毛剤を使っている兵を探し出せ!」命令が発令されました。
453郭図公則 ◆sW2getuhmE :03/01/16 21:57
>>452
(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル
>>445
えらく早いレスで……。
ちょいと驚きましたです。

>>449廖衛殿
これからもマターリと楽しんでいきましょう。

>>450廖衛将軍府殿
今後は廖衛殿の主簿(秘書)としてよろしくお願いします。

>>453郭図公則殿
も、もしかして貴殿、はg(以下略)。
敵味方双方が見守る中、全身桃色の呂砲隊二万は、しずしずと進んだ。
囮であるし、何よりすでに、その存在は魏軍に確認されている。
にもかかわらず、呂砲隊が隠密行動さながらに息を潜めているのは、ひとえに部隊の、いや、部隊長の性格によるもの。
これが戦争好きの指揮官と副官に率いられた廖衛隊なら、一番槍の興奮で戦意旺盛な行軍となっているだろう。
「殿下、ホントに我が隊だけでやるんですか?」
不安と不満と不審の色を浮かべて親衛隊長が尋ねるが、呂砲の言葉は投げやりだ。
「やかましい。おのれのせいでこうなったんだろが」
やがて、魏軍の砦と、その周辺に展開する魏正規軍が見えてきた。
「うーん」
その陣容を見て、呂砲はうなり声をあげた。
「隙がない!」
目前に広がる魏軍は、兵法に則った堅実な構えでこちらを待ち構えている。
闇雲に突っ込めば、相当な損害が出ることを覚悟しなければならない。
しかも、涼王の部隊が目の前に現れたというのに、魏軍はピクリとも動かない。
それが何とも言えない不気味さを醸し出している。
「蒋幹とかいうヘナチョコが総大将だから、たいしたことあるまいと思っていたが……」
嘆息する呂砲に、親衛隊長が声をかけた。
「殿下、あの軍旗!」
「なんだ。どうした?」
「『張』です。許昌にいる張性の武将って、確か張合βじゃありませんでしたっけ?」
「張合β……ああ、それで納得。やつが実質的指揮官ってことか」
「やばいですよ。張合β相手じゃ殿下なんてひとたまりもありません。逃げましょう」
「タコ申せ。逃げられるくらいなら、最初から囮役なんか引き受けるか」
しかし、魏軍が動かなければ、囮の役は果たせない。
「連中を砦から引き摺り出さねばな……睨めっ子してても仕方ない」
間もなく、魏の増援軍が現れる。
それまでに、多少なりとも敵正規軍を撃破しておかなければ。
「ということで親衛隊長」
「なんですか?」
「行ってらっしゃい」
「ハイ?」
「涼王が出てきているのだぞ! しかもたった一部隊で! 好機ではないのか!」
今にも出撃命令を出しそうな気配で、許昌太守の蒋幹が怒鳴る。
「我が方は劣勢! ここで敵の総大将を叩けば、戦機は一気にこちらに傾くではないか!」
対する張合βは、穏やかに太守をなだめる。
「太守殿。なぜ呂砲が単独で出てきたのか、その意味をまずお考えになられよ」
間違いなく、呂砲隊の後方には涼の本隊が控えている。
「呂砲は囮です。連中は、我らを誘い出そうとしているのですぞ」
なぜ魏公は、こんなこともわからぬ男を魏都の太守に任命したのだろう。
「程なく魏公殿下率いる援軍が現れます。涼賊を討つは、それからでもよろしいでしょう」
錯乱気味の上司を刺激せぬよう、張合βはゆっくりと状況を説明する。
ようやく蒋幹が落ち着いたところで、物見の兵が報告してきた。
「呂砲軍から騎馬が一騎、こちらに向かっております!」
その報告に、蒋幹と張合βは顔を見合わせた。
一騎? こちらに向かっている?
二人は急いで物見櫓に登り、兵が指差す方向を見た。
桃色の甲冑を着込んだ騎馬兵が一騎、いつでも逃げ出せる態勢で、ヒョコヒョコとこちらに近寄ってくる。
やがて騎馬兵は、矢の届かないギリギリの所で止まり、声を張り上げた。
「こんちゃす………じゃなかった。えーと、許昌太守に物申しゅ!」
叫ぶ騎馬兵の声は、裏返っている。
「戦さの駆け引きも知らず、さりとて民政・軍政にもさしたる功なき貴殿が、許昌の太守であること、涼王殿下はことのほか喜んでおられる! 
 魏都を巡る戦さなれば、我ら、相応の激戦を覚悟いたせども、貴殿が総大将とあっては、鉄壁の許昌も砂上の楼閣にほかならん!………」
「………さては魏公、最初から許昌を涼王殿下に献上する腹積もりでござったか! 
 それならそうと言っていただければ、謝礼の品を用意することもやぶさかではござらんかったが、あいにく此の度持参した金品は、貴殿らを捕縛するであろう我が勇猛なる涼軍武将に贈る褒美の品!
 次の戦さの折りは、ちゃんと貴殿らへの謝礼の品を用意するによって、此度はよろしく配慮のほどを…………………ウヒャア」
次第に気分よく演説ぶっていた親衛隊長は、己の顔のすぐ横を飛び抜けた矢に、危うく落馬しそうになった。
そして、ものすごい勢いでこちらに突っ込んでくる魏軍を見て、腰を抜かした。
逃げる親衛隊長。追う魏正規軍。
なんとか呂砲隊の中に逃げ込んだ親衛隊長だが、その顔は恐怖に引き攣っている。
「で、殿下ぁ! 御言いつけ通り、敵を引きずり出してまいりましたぁ!」
「お疲れ」
素っ気無く答えた呂砲は、手を目の上にかざして魏軍を見つめ、軽く舌打ちした。
「蒋幹が出てきたのはいいが……やつめ、かなり怒っているみたいだぞ。もう少し穏やかに挑発せんかい」
「そんな微調整できませんて!」
呂砲の心無い言葉に、親衛隊長は半泣きで怒鳴る。
単騎で魏軍をおびき出せ、というとんでもない命令。
もちろん親衛隊長は拒否したが、「三族皆殺しの刑にするぞ」と呂砲に脅され、嫌々ながら体を張ったのだ。
「もう二度と御免ですからね! 私の仕事は殿下の守護! こんな任務は他の者にやらせてください!」
「なーにが『殿下の守護』だ。いつも戦闘になれば、速攻でわしの後ろに隠れてるくせに」
一応親衛隊長の抗議に答えながらも、呂砲の目は魏軍に向けられている。
「ふむ……さすがに総大将の突出は見過ごせんわな」
飛び出した蒋幹隊を制するように、砦から他の魏部隊も出てくる。
最終的にどれだけの部隊が出てくるか。
そしてどれだけの時間、呂砲隊が持ちこたえられるか。
戦さの帰趨を握るのは、その二点だ。
「方陣に組み直せ!」
呂砲は命令した。
「よいか! ここで我らがどれだけ耐えられるかによって、この戦さは決まる! 全軍死兵となれ! 親衛隊の意地を見せよ!」
日ごろ何かとおちゃらけな呂砲だが、この瞬間は確かに「戦場の王」だった。
それを感じた親衛隊兵士らは、戦さ特有の高揚感に包まれ、一斉に「おう!」と槍を突き上げた。
ただし、呂砲の余計な一言で、その気合にも若干水が差される。
「ようし、気合が乗ってきたな。何があってもわしを守れ!」
張合βの制止を振り切り、蒋幹は部隊を引き連れ、砦から飛び出していく。
「ええい、戦さを知らぬ御仁というやつは……!」
罵り声をあげた張合βは、側にいた楽進を振り返った。
「ご覧の通りだ。あのままでは、太守殿が危ない」
「出るのか?」
尋ねる楽進は、迷惑そうな顔をしている。
「もちろんだ。反対か?」
「あの総大将が捕らわれても、戦局にさしたる影響はあるまい。身から出た錆だ。今は殿下の到着を待つべきではないか」
心の中で張合βは、楽進の言に賛同した。
しかし、実際に肯くことはできない。
総大将が捕縛、または戦死という事態になれば、許昌軍監である張合βに責任が及ぶ。それに……。
(太守の言うように、速やかに呂砲の首を取ることができれば、戦さは我らの勝ちだ)
緒戦で敵総大将を倒す。
軍人なら誰もが夢想する展開だ。
ましてや、呂砲は戦さの駆け引きに長じた男ではない。
自分の敵騎隊をもってすれば、これを殲滅する自信は十分にある。
「太守殿を見捨てるわけにはいかん」
張合βは己の存念を、別の言葉で隠した。
「精鋭を率いて、速やかに呂砲を叩く。貴殿には、砦の守備をお願いしたい」
楽進は肩をすくめ、「承知した」と答えた。

「董承殿は、太守の右側! 公孫範殿は左側に布陣を!」
駆けながら指示を送る張合β。
董承と公孫範は、槍を振りかざして「了解」の意を表し、張合β隊から離れていく。
この布陣は、呂砲の後方に控えている涼軍が、蒋幹隊に集中攻撃することを防ぐための措置。
とはいえ、蒋幹はそれほど多くの兵を率いているわけではない。
一時でも早く呂砲隊を潰し、砦に引き返す。
さもないと、10万の涼軍に揉み潰される。
張合βは、槍を握る手がジワリと汗ばむのを感じた。
小高い丘に立つ希代之は、腕を組んだまま、じっと戦況を見つめている。
集中しろ、と自分に言い聞かせるが、涼軍全将兵が自分を見ているような気がして、なかなか落ち着かない。
それでも今のところは、冷静沈着な軍師として振る舞うことに成功していたが。
「殿……」
希代之の集中を妨げないように配慮しながら、彼の副官が声をかける。
「廖衛将軍より、出撃の具申がきておりますが」
「まだ早い」
副官の方を振り向くことなく、希代之はそれだけ答えた。

希代之の背後で、護衛隊長が仁王立ちしている。
副官は彼の側へ寄ると、希代之に聞こえないようにささやいた。
「良いのか?」
ごく短い質問だったが、その意を汲んだ護衛隊長の答えもまた、短い。
「良い……と思う」
「確信は持てぬ、と?」
「それがしはただの武辺者。戦さの駆け引きについては、あまり自信がない」
「それを言ったら……」
ここで副官は口をつぐんだ。
彼にとって、今回の戦さは初の実戦。それこそ右も左もわからない。
希代之が何も語らず、護衛隊長もわからないとなれば、もはや事態の推移を判断しようがない。
副官は、不安そうに東に目を転じた。
その方向では、魏の四部隊に包囲された呂砲隊が、絶望的な戦闘を展開している。
(本当に良いのですか?)
じっと戦場を見据えている希代之を見て、副官は心中でつぶやく。
(このままでは、殿下が捕らわれの身となってしまわれますぞ)
蒋幹、張合β、董承、公孫範の集中攻撃を受けながらも、呂砲は何とか部隊の指揮だけは確保していた。
ただし、隊はかなり消耗している。
現在、曲がりなりにも戦闘に参加している兵は1万3000ほど。
すでに約7000の兵が、戦死か負傷かで戦力外だ。
「うわー殿下! また来ましたぞ!」
親衛隊長が指差す方向には、1万4000の重騎隊。
その先頭にあるのは、数百頭の白馬。
「白馬陣……公孫賛の族弟か!」
呂砲としては、とにかく陣を堅くするしか手はなかった。
亀のように縮こまった呂砲隊を、公孫範の「車懸」が嘲笑うように席捲する。
これでまた2000程度の兵が脱落し、さらに陣の一部に穴が開いた。
「親衛隊長! 北側がもろくなっとる! すぐに出向いて支えろ!」
「御意です!」
もはや「殿下の守護」などと言っている場合ではなかった。
親衛隊長がいなくなると、呂砲は西に目を転じ、怒鳴った。
「希代之! いつまで高みの見物を決め込むつもりだ!」

「呂砲め。粘りおるわ」
馬上で張合βがつぶやく。
四部隊の波状攻撃に晒され、甚大な損害を受けながらも、呂砲隊は崩壊することなく、抵抗を続けている。
この調子でいけば、いずれ呂砲の首をあげることはできるだろうが、時間は無限ではない。
呂砲と同様、張合βも西を向いた。
整然と横陣を組んだ涼第一軍八部隊10万が、不気味な沈黙とともに、こちらを見据えているのが見える。
連中が動く前に、とにかく呂砲だけでも仕留めなければ。
「楽進に伝令を!」
張合βは命令した。
「加勢を寄越せと伝えよ!」
廖衛からの督戦の伝令は、二度来た。
三度目は、廖衛本人だった。
「おぬし、殿下を見殺しにする気か!」
現れるや廖衛は、目を血走らせながら希代之の胸座を掴んだ。
「殿下は耐えておられる」
護衛隊長が廖衛を引き離すと、希代之は廖衛から戦場に視線を転じ、言った。
「我らも耐えねばならん」
「十分に耐えたわ!」
希代之の冷静な態度に、廖衛はいっそう逆上した。
「これ以上待てば、殿下の御身に危害が及ぶぞ! 早く攻撃命令を出せ!」
「まだだ」
やはり戦場の方角だけを見つめながら、希代之。
「より多くの敵をおびき出してからだ。さもないと、増援軍と合流した多数の敵と相対する羽目になる」
「その前に、殿下がやられるわ!」
「だから、こうして戦局を注視している。殿下の隊は、まだしばらくは耐えられる」
もしも護衛隊長に押さえられていなかったら、廖衛は確実に希代之を張り倒していたであろう。
それができないため、廖衛は怒鳴るしかなかった。
「親衛隊が幾ばくか残っても、殿下が死んでは何にもならんだろうが!」
「ここで我らが軽挙に転ずれば、殿下の踏ん張りも生かせぬ。今が耐え時だ」
「話にならん!」
ようやく護衛隊長を振りほどいた廖衛は、視線で焼き殺すかのように、希代之を睨みつけた。
「廖衛隊はこれより殿下の救出に向かう! 一人で観戦を楽しんでおれ!」
「廖衛! 第一軍の次席指揮官はこの希代之だ! 勝手な真似は許さんぞ!」
初めて希代之は廖衛の方を向いたが、廖衛は背中を向け、自隊の方へと走り去っていく。
「護衛隊長!」
希代之は途方に暮れた様子の部下に叫んだ。
「廖衛を止めろ! やつが勝手に動けば、殿下の御苦労が無駄になる! 急げ!」
「御意!」
脱兎の勢いで駆けて行く護衛隊長。そして、何事もなかったように、再び戦場を見つめる希代之。
戦場での是非を判断できない希代之の副官は、ただ不安に怯えたまま、上司の命令を待つしかなかった。
督戦の伝令を送ってきたのは、廖衛だけではない。
関平、公孫賛、甘寧の諸将もまた、「速やかに出撃を」と言ってきている。
その都度希代之は「出撃は許さず」とだけ答えた。
魏正規軍十部隊。このうちの六部隊ぐらいは、平地戦で仕留めておきたい。
その上で速やかに砦を破壊し、砦の東側の平地に躍り出て、曹操率いる増援軍10万と対決するのだ。
この計画を現実のものとするには、今現在おびき出している四部隊だけでは、どうにも厳しい。
残った六部隊、かつ無傷の増援軍10万と戦いつつ、砦を破壊するのは困難だった。
(今は耐える時)
希代之は自分に言い聞かせるが、同時に、別の思念も頭を過ぎる。
(もしも……もしもここで、殿下が戦死されるようなことがあれば……)

涼王・呂砲。
希代之の君主であると同時に、希代之が神聖なものとして崇める皇上に対し、不遜な言動を取った(とされる)男。
呂砲には宮中務めの経験はないし、ましてや漢室とは何の縁もない。
漢朝とはまったく関係のないところで力を貯え、中華の半分以上を制してきた男であり、すなわち漢朝に対し、遠慮仮借の念を持つ義理も、素地もない。
そんな呂砲が皇帝を庇護下に置いたら……何代にも渡って漢室に仕えてきた一族の末裔である曹操より、遥かに過酷な運命を皇帝にもたらすのではないか。
そんな不安が希代之にはある。
そうなる前に、ここで呂砲が戦死すれば………その名は忠臣として永遠に残るだろう。
(その方がどれだけ……)
そう考えて、希代之は軽く首を振った。

小犬の耳を引っ張る幼児がいたとする。
「乱暴な子だ。この子は将来、他人を殺めるかもしれない。そうなる前に除くべし」
今自分が考えたことは、そんな無茶苦茶な論理と大差ないではないか。
(殿下はまだ、小犬の耳を引っ張っただけだ)
希代之は思う。
(私が努力しさえすれば、きっと殿下も皇上の尊さを御理解されるはずだ……)
「駄目だ。太守殿は完全に頭に血が昇っている」
砦に残っていた楽進が、同じく砦を守る李典に伝えた。
「太守殿の残兵は?」
「もう500を切っている。そのことにすら、気がついておらんようだ」
「まったく……これだから、文弱の徒というやつは!」
毒つく李典。
蒋幹が許昌の太守であったことに不満を持っていたのは、張合β一人ではなかった。
「太守殿はもういい。それよりも、張合βから加勢の要請が来ている。どう見る?」
「どうであろう……もうすぐ曹操様がやってくる。それまで砦を堅守すべきではないか?」
「そうは思うのだがな。呂砲の首が、もう少しで手に届きそうなのだ」
「涼王の首か……なかなか魅力的だが」
「張合βらの他に、無傷の三部隊が加勢に加われば、涼王の首は取れる」
「そして、残りの三部隊を砦に残すと」
「残留部隊に増援軍。これで十三部隊だ。砦の確保は十分可能と思うのだが、どうだ?」
小柄ながら肝っ魂の激しい楽進。
軍事より学問に興味があり、何かと慎重な李典。
互いの長所で互いの短所を補い合う曹操軍随一の名コンビ。
二人の意志は、この時まったく同じ方向を向いていた。

ほどなく、楽進隊を先頭に、胡班、牛金の三部隊が、砦から進発した。
「いざ、涼賊を討ち果たさん!」
鼻息荒く西進する三部隊を、李典は櫓の上から見送った。
東からこちらに向かっているはずの増援軍は、まだ見えない。
この決断が、この戦闘においてどのような結果をもたらすのか。
不安と期待の両方を胸に抱きながら、李典は自分たちの決断が吉と出ることを祈った。
出撃前、きらぎらしく輝いていた呂砲の甲冑は、数カ所に渡って傷が付き、大きく裂けている部分もある。
「おのれ、雑兵どもが!」
剣を闇雲に振り回しながら、呂砲は怒鳴る。
「高かったんだぞ、この甲冑!」
そんなくだらないことを言っている間は、まだまだ余裕がある。
呂砲は自分にそう言い聞かせている。

「で、殿下〜!」
親衛隊長があたふたとこちらに駆け寄ってきた。
「何しとる! 北の守備は?!」
「それなんですけど、これ見てください!」
親衛隊長は片手に持っていた生首を掲げた。
「武将が私に切りかかってきたんで、とりあえず槍を突き出したんです。そしたら自分から突き刺さってくれまして」
「そんなセコい手柄話をしている場合か!」
「いえ、それが……この武将が死んだら、魏兵どもが動揺したんです」
「動揺? なんでまた?」
「私もおかしいなーって思って、連中の声を聞いてみたら、『総大将がやられた!』とか言ってるんですよ!」
「総大将?」
親衛隊長の言葉に、呂砲は改めて生首を凝視した。
なかなか立派な兜をかぶっている。
「てことはこの首……蒋幹か?」
「どうもそうみたいなんですけど」
「どれ、見せてみろ」
そう言って親衛隊長から首を受け取った呂砲は、その首を高々と掲げ、大声で呼ばわった。
「敵総大将・蒋幹、この呂砲が討ち取ったぞ! 戦さは我らが勝っている! 皆の者、このまま踏ん張れい!」
激しい攻撃にうろたえ始めていた親衛隊は、その声に再び戦意を取り戻した。
「家臣の戦功を横取りするなんて、それでも君主ですか!」
猛烈に抗議する親衛隊長に、呂砲はニヤリと笑った。
「俺のモノは俺のモノ。おまえのモノも俺のモノ」
「なにジャ○アンみたいなことを! えーそうですか。だったら私の借金も殿下のモノですね、あー良かった!」
ふてくされる親衛隊長だが、対する呂砲は、相変わらず人を食った顔でいる。
「おぬしの借金は、おぬしのモノに決まっとろうが」
「ジャ○アンよりひどいです……」
「いつも官費でただ飲みしているではないか。それをチャラにしてやろう」
親衛隊長が何かを言い返そうとした時、他の親衛隊員が叫んだ。
「殿下! さらなる敵部隊、接近中にございます!」
それを聞いた呂砲は、大きくため息をついた。
「やれやれ……これで希代之も腰を上げるな」
とはいえ、希代之らが来るまで、しばらく時がいる。
「親衛隊長、再度陣を固めるのだ。もうちょっと耐えれば、我らの勝ちだ」
しかし、親衛隊長はプイと横を向いている。
「安堵せい。蒋幹を討ち取った戦功は、ちゃんと評してやるによって」
苦笑しながら呂砲は言った。

「楽進! 来たか!」
砂塵を上げて突進してくる友軍を認め、張合βは歓喜の声を上げた。
呂砲隊は残り9000余り。
六部隊で集中攻撃すれば、確実に仕留められる。
その後は、速やかに砦へ後退し、増援軍とともに残る涼軍部隊を迎え撃つ。
(これで我らの勝ちだ!)
これが呉や燕相手の戦さなら、その読みは的外れなものではなかった。
ただし、張合βは忘れていた。
涼王直卒の涼第一軍。
これを構成するのは、強力な「突撃」系戦法を十分にマスターした武将ばかりなのだ。
砦からさらに魏の三部隊が突出したのを見て、希代之は短く命令した。
「銅鑼を!」
すぐに副官が反応する。
「攻撃開始だ! 銅鑼を鳴らせ!」

廖衛隊では、出撃しようとする廖衛を、希代之の護衛隊長と廖影、そして廖衛の主簿が必死で止めていた。
「離さんか! おぬしらまで殿下を見殺しにする気か!」
「落ち着いてくださいませ、廖衛将軍!」
護衛隊長が叫ぶ。
「このままでは、軍令違反の咎が課せられますぞ!」
それを聞いて、廖影の腕にもさらに力が入る。
洛陽攻略戦における独断専行で、廖影も処罰を受けた経験がある。
そして、廖影の上司である廖衛もまた、連座して謹慎処分となった。
初犯ということもあって、あの時は寛大な処置で済んだが、二度も続けばそうはいくまい。
「しっかり押さえぬか!」
廖影は、廖衛の右足にしがみついている主簿を怒鳴った。
廖衛は小柄な主簿を抱えたまま、右足をブンブン振り回している。
ささやかな重り程度にしかなっていない。
そんな廖衛隊の狂騒を止めたのは、派手な銅鑼の音だった。
「おぬしら、あの銅鑼が聞こえぬか! 攻撃開始だ!」
廖衛の怒声に、廖影らはようやくその手をふりほどいた。
自由になった廖衛は、素早く愛馬にまたがると、わき目も振らずに戦場へ突進していく。
廖衛の行動に、廖影も慌てて軍馬に乗り、動揺気味の部隊を叱咤した。
「全軍、殿に続け! 殿下をお助けするのだ!」
そして廖影は、護衛隊長の方を振り返った。
「では護衛隊長殿。お先に失礼する!」
10万の軍勢が一気に動く。
怒声、地響き、そして狂ったような銅鑼の音。
大きく横に展開していた廖衛、町費、関平、甘寧、公孫賛、馬騰、馬岱、馬休の八部隊。
呂砲隊を攻撃していた魏軍を包み込むべく、さながら巨大な一頭の龍のように、東へと猛進していく。

八部隊が駐屯地からいなくなると、あたりは急に静かになった。
ただ、「ジャーン、ジャーン」という銅鑼の音だけが響いている。
護衛隊長がそちらを振り向くと、希代之隊がゆっくりと丘を下っているところだった。
「始まった」
どうしようもない高揚を覚えつつ、護衛隊長は自隊へと走り出した。
10万の軍勢の怒号で、まだ耳鳴りがしている。
「我らの許昌戦が、始まった!」
胸が高鳴る。
「始まった! 始まった!」
戦闘の始まり。言いようのない興奮。
走りながら、護衛隊長は狂ったように叫びつづけた。


次回、「許昌攻略戦(その三)」


※一個軍団九部隊と制限をつけておきながら、思いっきり第一軍は十部隊。
 たった今気付いてしまった。
 次からはちゃんと九部隊で出ます。
469希代之副官:03/01/19 17:43
HPの方はなかなか更新できません。すいません。

殿は戦場に来てからめっきり口数が少なくなった。
手持ち無沙汰なので何かお手伝いはないでしょうかと聞いても、
――戦場全体をよく観察してわしのすることを見ておれ。
それだけ。本当にそれがしは役に立っていないよ・・・

ところで、われわれの部隊はどこへ向かっているんだろう?
470希代之護衛兵:03/01/20 21:11
>副官殿
なにも心配することはないですよ!
それに副官殿がそんな顔をしてると、兵士も不安にかられる恐れが・・・。
戦場は私達にでもまかせて、後ろで堂々と構えておればよいのです!
それに殿は政務だけではなく、戦場においても才を発揮できる御方。
曹魏が殿の策にはまり、壊滅していく姿でも見物してなさるといい(笑
471315番目の草:03/01/21 03:55
第一軍団が許昌に進発したらしい。
これに勝てば第二軍団の侵攻も近いだろう。
上に連絡を取ってここで何をすべきか指示を仰ぐか。
〜報告sh(略)シジヲマツ ρ(。。 )

>>436-438 こんなんでどうでしょ?
遡ること幾々日。
〜吾玄軍団長宛〜
前略。赴任の挨拶を書状で(中略)い。
孝廉で登用され、洛陽太守直々に推挙され第二軍のお手伝いに参りました。
将軍の武名をk(後略)。草々
保守
473見習忍者:03/01/21 21:43
閣下・廖影・町費、これに対するのは軍師・馬参・廖衛・・・。
やはり武が不足している。袁奉将軍の取り込みは必須だな・・・。

>>431
御意・・・( ̄ー ̄) ニヤリ

組織についてのご懸念はついては、
編入したお庭番衆などを元に再編を進めております。
どうぞご安心下さい

>>471
吾玄、袁奉将軍間の離間を本格的に開始せよ。
中傷のコツは、如何に当人の長所を欠点と思わせるかだ。
実直で真面目=頑固で人の意見を聞かない、とも取れると言う事だな。
また例え偽りでも複数の、しかもそれを数多く聞けば人は疑念を生じせざるを得ない生物だ。
他にも団長と副長の立場の違いを元に責めるのも面白いな。
元々殿下を除く七同士は同格。にも関らず格差がある事を
配下で面白くなく思っている者もいるはずだ。
両将軍の心情?そんな事を気にする必要ない。
そうせざる得ない状況・立場に追いこめば良いのだ。期待している。
474山崎渉:03/01/22 14:43
(^^;
ここにも来たか…
476町費 ◆khvWPc71kM :03/01/22 21:01
ちょいと流行り病で死にかけてました。
呂砲様いまさらですが>>357

>>350町費殿
今回から町費殿のキャラつーかしゃべり方を変更します。
部下に対しても物腰の低い人柄ってことで。
なお、郭図公則殿からの献金については、郭図公則編でネタにして振りますのでその時までお待ちを。
YesNoクエスチョンの予定。

好きに料理して下さい。
477長史:03/01/22 21:49
許昌陥落後、劉協を庇護下に置く事により
みなが殿下の即位に対して態度を明らかにせざるをえまい。
今まで曖昧にしていた事が明確になる訳だ…。

例の式典の待ち遠しい事よ。
478山崎渉:03/01/24 01:26
山崎渉
479無名武将@お腹せっぷく:03/01/24 14:06

     / |   / |
    /,_ ┴─/ ヽ      , 、  ,、
   (・_.,》.'(・_,》)ミ ヽ    . / L--/ l、
  / ,,__,ニ、、 ノ( |    (・;;》 (・;;》 |    /L--/l、
  | Y~~/~y} `, ~ |   |y-,‐vi`ノl |   (・.》 (・.》 l   /L--/l、
   | .,k.,.,!,.,.,r| ,! く    |, kl r| i ^<   | 'fT~ヲ x |  (・〕_(・〕x|   /L/l
 / <ニニニ'ノ    \ / (二二‐ ' \ / l==_」 <  ,l fmヨ ! L 〔゚fヲ゚.〕 、.。., .
480無名武将@お腹せっぷく:03/01/25 21:36

     / |   / |
    /,_ ┴─/ ヽ      , 、  ,、
   (・_.,》.'(・_,》)ミ ヽ    . / L--/ l、
  / ,,__,ニ、、 ノ( |    (・;;》 (・;;》 |    /L--/l、
  | Y~~/~y} `, ~ |   |y-,‐vi`ノl |   (・.》 (・.》 l   /L--/l、
   | .,k.,.,!,.,.,r| ,! く    |, kl r| i ^<   | 'fT~ヲ x |  (・〕_(・〕x|   /L/l
 / <ニニニ'ノ    \ / (二二‐ ' \ / l==_」 <  ,l fmヨ ! L 〔゚fヲ゚.〕 、.。., .
481郭図公則 ◆sW2getuhmE :03/01/26 00:03
これも韓国F5団の仕業か、高麗人が中華に牙を剥くとは…
482無名武将@お腹せっぷく:03/01/27 12:28
DAT行き阻止age
483無名武将@お腹せっぷく:03/01/27 19:13
age
なんだか展開が物凄く濃くなりそうだけどスレの容量は大丈夫かな?

応援sage
>>469希代之副官殿
ボチボチのんびりペースで進めてください。
次作を楽しみにしております。

>>471 315番目の草殿
それでいきましょ。

>>476町費殿
了解。

>>472>>482>>483>>484
遅くなってすみません。
容量については、とてもこのスレだけで完結させるのは不可能となってますので、490KBあたりで次スレに移ります。
張合βら、魏の六個部隊の集中攻撃に晒される呂砲隊。
呂砲を守るように五段構えの方陣を敷いていたが、既に残り二段となっている。
「耐えろ!」
何度目かもわからぬセリフを叫ぶ呂砲。
「すぐに本隊が動く! もうしばしの辛抱だ!」
嘘ではなかった。
ようやく希代之が攻撃命令を出したらしく、丘の上に布陣していた第一軍全部隊が、一斉にこちらに向かっているのが見える。
ただし、呂砲隊が全滅から免れるか、となると、話は別だった。
包囲された呂砲隊に逃げ道はなく、二万を数えた親衛隊員も今や5000を数えるのみ。
全滅は時間の問題だった。

時間に縛られていたのは、張合βらも同じだった。
もう間もなく、第一軍の反撃が始まる。
ギリギリまで引き絞られた矢のように、その反撃は強烈なものとなるだろう。
それまでに、呂砲隊を壊滅させなければならない。
「横陣に構え!」
満を持して、張合βは命令した。
「『槍衾』だ! 賊の首領を血祭りに上げるぞ!」

最強戦法「槍衾」により、第四陣はあっさりと破られた。残る壁は一枚。兵は1500。
「殿下、マジでヤバイですよ!」
泣きそうな顔で親衛隊長。
「もうもちません! 速やかに『医術』を!」
計略「医術」。
太平道をかじったことがあるという呂砲が会得している、珍しく役に立つ特技だ。
ただし、赤壁の戦いを最後に、呂砲はその技を封印している。
「あれは使わぬ! そう誓った!」
喧騒に負けぬよう叫ぶ呂砲に、親衛隊長は本気で怒鳴り返した。
「なに呑気なこと言ってるんですか! あれがない殿下なんて、戦さ下手で魅力70そこそこで七同志の中でも名声は下の方で武力に至っては50に過ぎなくてスケベで
そのくせ男色の噂を立てられてもう少しで31歳になるのに結婚の予定もないどうしようもない男に過ぎないんですよ!」
「ぜ………絶対に使うもんかー!」ヽ(`Д´)ノ
いずれ涼本隊が襲いかかってくることは予期していた。
しかし、呂砲隊殲滅に全力を注いでいた魏軍部隊は、結果的に背後が無防備となっていた。
公孫讚、馬騰、馬岱、馬休の各将率いる騎馬隊は、その快足を利して、代わる代わる魏軍に痛打を浴びせてくる。
「雑魚には構うな!」
張合βとしては、そう叫ぶしかなかった。
涼の総大将を仕留めなければ、砦から突出した意味はゼロとなるのだ。
しかし、公孫讚の「車懸」や馬一族の「突撃」の前に、魏軍は呂砲を攻撃するどころではなくなりつつある。

単騎で駆ける廖衛と、それを追う廖影、そして廖衛隊兵士。
「殿、落ち着きあれ!」
廖影の制止もほとんど耳に入らぬまま、廖衛は槍を振りかざして命令する。
「廖衛隊、突入! 殿下をお救いするまで下がるな!」
標的となったのは、涼騎馬隊の攻撃で散り散りになりかけていた胡班の部隊。
「涼賊………もう少しだったのに!」
胡班の無念の声は、廖衛隊の軍靴の前にかき消された。

「殿下、御味方です! 助かったぁ!」
包囲を突破して突入してきた廖衛隊に気付き、親衛隊長が声を弾ませた。
「うぉっしゃ!………これにて此度の演習は終了!」
呂砲は肩で息を切らしていたが、部隊長の義務として、残る力で声を振り絞った。
「ずらかるぞ! 遅れても助けてやれんからな、死ぬ気で駆けろ!」

亀のように縮こまっていた呂砲隊が、脱兎の勢いで逃げて行く様を見て、張合βは嘆息した。
(あと一押しだったのに)
軍旗の先端に掲げるはずだった涼王の首は、完全に張合βの手から離れてしまった。
追い掛けようにも、涼本隊が分厚い壁となり、とても追撃はできない。
それどころか、今度は張合βたちの方が、涼軍に包囲される立場となっている。
砦まで逃げられるか。
そう考えて、すぐにその存念を打ち消す。
たった今、敵の総大将がやってみせたように、今度は自分たちが踏ん張るしかなかった。
涼第一軍武将、公孫讚。字は伯珪。
元は一勢力の長として、袁紹と対峙してきた北辺の雄。
騎兵隊の最強戦法「車懸」を完全に習得している数少ない武将であり、騎馬の扱いなら、馬騰を筆頭とする馬一族にも引けを取らないと自負している。
ただ、しばらく在野にあったため、八品官と官位は低く、任された兵も少ない。
そんな彼は、第三軍発足当時、軍団構成メンバーの中に自分が入っていないことに憤慨し、馬参に食って掛かった経緯がある。
それだけに、涼の主力たる第一軍への編入を知らされた時は、多いに粋に感じたし、だからこそ戦功に対する執着は、廖衛や町費にも劣らぬものがあった。

そんな公孫讚の前に現れたのは、彼と同じく「公孫」の軍旗を掲げた部隊だった。
「範か」
公孫讚の顔に、一瞬だけ形容しようのない表情が浮かぶ。
魏軍武将・公孫範。
公孫讚の従弟であり、袁紹の篭絡を拒絶し、自分とともに戦ってくれた一族。
相手もこちらに気付いたようだった。
主将が槍を持ち直したのが見える。
やる気のようだ。
「良い心意気だ」
微笑することで、公孫讚は自分の感情を打ち消した。
涼の公孫氏と魏の公孫氏。
涼州産馬の「白馬陣」と幽州産馬の「白馬陣」。
(楽しいではないか)
公孫讚はそう思うことにした。
だから「前方の魏部隊に『車懸』をかける!」という彼の命令にも、迷いはなかった。
お預けを食らった時間が長かった分、第一軍の攻撃は執拗なものとなった。
突出していた魏軍は、一部隊また一部隊と叩き潰されていく。
馬騰隊と連係して臧覇隊を殲滅させた町費は、次なる獲物を求めて周囲を見回した。
やや離れたところで、猛烈な砂塵を巻き上げながら戦っている部隊が見える。
「あれは?」
町費の言葉に、士長は目を細めてその軍旗を見極めた。
「廖衛将軍のようです………負けられませんな」
第四軍団長の座を狙う廖衛。
函谷関の汚名をはらさんとする町費。
いずれも戦功一位を欲する武将であり、その意味では今回の許昌攻略戦におけるライバル関係でもあった。

「敵部隊はだいたい片付けたようです。砦まで攻めあがりましょうか?」
士長の言葉に、町費は首を振った。
「このまま残敵の掃討を続けましょう。我が隊だけが突出しても、集中攻撃の的になるだけです」
「さようでございますな。それでは我らも、張合βめの首狩りに参加いたしますか?」
「それがいいで………ん?」
ここで町費は言葉を途切らせ、眉をひそめた。
士長が主君の視線の先に目を転じると、そこには砦へと突っ走る重騎隊がいた。
「馬休将軍ですな。張り切っておられる」
士長の言葉には、町費をけしかけるものが若干含まれている。
戦功を他の部隊に先取りされたくなかった。
「士長。馬休隊に注意。何かあったらすぐに報告を」
士長は了解した。
主君も自分と同じ考えなのだろう、と思った。
だが、町費はやや不安げな表情を浮かべたまま、周囲の状況を把握しようとしている。
突出した魏部隊は、まだ壊滅してはいない。
そして第一軍の各部隊は、必死の抵抗を続ける張合βに手を焼いており、とても馬休隊と連係できる余裕はなかった。
馬休の張合βらに対する認識は、町費とは異なっていた。
(連中はもう間もなく全滅する)
愛馬を操りながら、馬休は考えている。
(ならば次の敵だ)
折りしも、砦の脇で飛び出すかどうか迷っている連弩隊が見えた。
攻撃力の高い連弩だが、防御力は弱い。
それに砦に立てこもっているわけではないから、「車懸」の決まる可能性も高い。
敵の砦に一番乗り。
(なかなか良い響きではないか)
馬休はその功名に酔った。

馬騰の次男・馬休もまた、許昌戦での戦功一位を狙う武将だった。
その心意の底にあるのは、「馬家の復権」だ。

5年前。
中原進出の機会を狙っていた馬一族は、その足掛かりともいうべき長安攻めを行う前に、呂砲軍と対決することになった。
劉璋、そして張魯の勢力を傘下に収めた呂砲軍が、馬一族の最前線都市・天水に攻め込んできたのだ。
馬超を総大将とする精鋭部隊が、これを迎え撃った。
この中には馬休も入っており、勝利の自信に溢れていた。
こちらは十分に錬成された騎兵隊。
歩兵中心の呂砲軍相手に、負けるとは思えなかった。
しかし実際は、戦う前から敗戦は決まっていた。
呂砲軍は前もって念入りな計略を施しており、馬一族が誇る騎馬隊は、ほとんど戦果も上げぬうちに壊滅した。
西涼に逃走した馬休は、兄が呂砲軍に降ったと知らされ、地に拳を打ちつけた。
一勢力の盟主から、他勢力の一構成員へと転落した馬一族だったが、まだ希望はあった。
武勇を呂砲に愛でられた馬超が、赤壁の戦いを前に臨時の第一軍団長に任命されたのだ。
ちょうどその頃、第三軍団長選挙の実施が噂されていた。
孫呉の拠点・紫桑を陥落させれば、きっと馬超が第三軍団長となる。
そうなれば、後はタイミング次第。馬一族で構成されるであろう第三軍を足掛かりとして、再び自立することも夢ではない。

しかしそれは、文字通りの「夢」で終わる。
17万の大軍を投入した涼軍だったが、砦に立てこもる呉軍に敗北を喫したのだ。
馬超は第二次赤壁の戦いで再び総大将となり、今度は紫桑の陥落に成功する。
しかし、馬超の名が第三軍団長候補として挙がることは、その後なかった。
馬超は現在、新野の守りに就いている。
汚名を晴らすことには成功したものの、精彩を欠いている事実は否めなかった。

ならば自分が、西涼の馬家をふたたび一軍の雄に返り咲かせてやる。
それが馬休の心の支えとなっている。
涼の主力たる第一軍に編入されたのは、その野望を実現するための重要なステップ。
戦功一位ぐらい軽く手にしなければ、そんな大それた目標などとうてい成し得まい。
馬休を突出させたのは、そんな意気に裏付けされた勇気と野心―若者の特権―だった。
ただし乱世というものは、その特権に「失命」という代価を求めることもある。

連弩隊の部隊長・張既は、こちらに突進してくる馬休を見極め、思わず笑い声を上げた。
「迂闊なやつ! 合図を送れ!」
間もなく、馬休隊の突進は止まった。
突然隊内で始まった同士打ちに、馬休は成す術もなかった。
「慌てておるわ。このまま串刺しにしてやれ!」
計略「埋伏」を発動された馬休に向け、張既隊から何千本もの矢が打ち込まれた。
砦に残っていた他の魏軍部隊も、一斉に馬休隊に襲いかかる。

必死で部隊の統御にあたっていた馬休は、東に現れた軍旗を見て、思わず背筋を振るわせた。
「そ……曹操………!」
魏公・曹操率いる10万の軍勢が、遂に戦場に到着したのだ。
突出した張合βらを包囲する涼軍と、同じく突出した馬休を包囲する魏軍。
戦場は2つに分かれて推移しているが、前者は涼が、後者は魏が、それぞれ圧倒している。
ただ、涼軍の間には動揺が生じ始めている。
その元は馬騰と馬岱。
一族たる馬休が敵中で孤立しているとあっては、落ち着いて目の前の敵に専念することができない。

希代之は予備隊兼第一軍指揮官として、やや離れた地点から戦況を見守っていた。
「馬休………功を焦りおって!」
希代之は苦り切っている。
馬休の猪突によって、希代之が思い描いていた戦術に綻びが出始めている。
自らが立てた策に自信と誇り、そして「愛」的何かを抱いている希代之にとって、それは許し難い行為だった。
「敵の増援軍も到着したようです。あのままでは、馬休将軍はもたないのでは?」
恐る恐る副官が具申する。
戦闘の素人は自認しているが、具申せずにはいられなかった。
第一軍の指揮を呂砲に代わって任されているからか、あるいは、帝を救出するこの戦さに昂ぶっているのか。
とにかく副官の目から見て、今の希代之は冷静さを欠いているように思われた。
声をかけられた希代之が、副官の方を振り返った。
その目を見て、思わず副官はギョッとする。
やはり、狂気に類する何かが宿っていた。
「馬休はもちろん助ける。そのためにも、張合βと公孫範を早く仕留めなければな」
拱手した副官は、希代之に見られないように、そっと額の汗をぬぐった。
狂気の宿る目とは裏腹に、声はまったく冷静。
今日の希代之が異常というわけではなく、希代之そのものがやはり常人とは違うのだ、と副官は実感した。
「護衛隊長」
希代之は副官と並ぶ自分の懐刀の方を振り返った。
「一軍を率いて、張合βを潰してまいれ。殺してはならんぞ。殿下はあやつの身柄を御所望だ」
「ハッ! お任せくださいませ!」
数百の警護の兵を残し、護衛隊長率いる希代之隊は猛然と張合β隊に襲い掛かった。
だが、張合βは老練だった。
全滅寸前ながら、馬騰と馬岱が動揺しているのを、瞬時に見抜いた。
「あとは殿下にお任せするぞ。全軍続け!」
希代之隊が突入する直前に、残兵をまとめた張合βは、戦場から離脱した。

「馬騰に馬岱………脇が甘いわ!」
声だけは冷静、しかし鬼のような形相で希代之が舌打ちをした。
「やむなし。公孫範に攻撃を集中させろ。孔融の隊は潰すな。そのまま残しておけ」
矢継ぎ早の希代之の命令は、銅鑼の音とともに全軍に伝えられた。

やはり、騎馬隊の扱いに関しては、族弟よりも公孫讚の方が数段上だった。
公孫讚の「車懸」は、公孫範の部隊を真ん中から分断し、激しい恐慌状態に陥らせた。
廖衛や関平の隊が、これに容赦なく攻撃を加える。
幽州の駿馬とともに、公孫範の騎馬兵たちはろくに抵抗もできぬまま、どんどんその数を減じていく。
その様を見て、公孫讚は少し複雑な心境になる。
できることなら、自隊と族弟の隊だけの対決といきたかった。
だが、公孫讚も一軍の将。
自分だけの感慨で戦さを進めるわけにはいかないことは承知している。
「せめて止めだけは……わしが刺してやろう」
公孫讚は馬首を反し、部隊を集結させた。

「安堵せい、範」
縛り上げられた族弟を前に、公孫讚は柔和な笑みを見せた。
「涼王殿下は勇猛の将を欲しておられる。おぬしもきっと、厚く迎えられるであろうよ」
「涼王のことは存じませぬが」
口惜しそうなものは見せつつも、公孫範は現状を受け入れた。
「伯珪殿を信頼するに、それがし邪念はござらん」
「それでよい」
公孫讚は笑った。
「公孫氏の力、涼において再び轟かせようではないか」
突出した計七部隊の魏軍の内、残っているのは孔融の部隊のみとなっている。
それも、町費の「撹乱」で行動の自由を失い、壊滅の時を待つだけの状態だ。
涼軍は哀れな孔融隊には見向きもせず、馬休救出へ向かった。
新たな魏軍部隊をおびき寄せる餌として、孔融隊にはまだ利用価値がある。

涼軍が馬休救出に転じたタイミングは、涼軍全体が置かれていた状況を考えるなら、実に素早いものだった。
ただし、馬休の置かれた状況から見るなら、ワンテンポ遅れていた。
混乱状態にあった馬休隊にとって、李典、楽進、張既ら正規軍のほか、曹操率いる増援軍10万の一斉攻撃は、余りにも大きすぎる波だった。

一撃ごとに、1500から2000余りの兵が減っていく。
現実のものとは思いたくなかったが、現実。
かろうじて正気は保っているものの、馬休の顔からは完全に血の気が失せていた。
すがるような想いで、西を見る。
味方はどうした? 助けに来てはくれないのか?
実際は、父や従弟の部隊が必死でこちらに向かっているのだが、周囲を魏軍に囲まれた馬休は、その動向を知ることができなかった。
やがて、部隊は数百の兵を数えるのみとなった。
「降伏しろ!」
「降伏しろ!」
馬休隊の周囲を駆け回る魏の騎馬将たちが、そう呼びかけている。
降伏。
そうすれば、命は助かる。
戦闘そのものが涼軍の勝利となれば、その後自分も解放される。
だが、若さと野心と誇りに満ちた馬休にとって、それは絶対に受け入れることのできない選択だった。
馬休は矢を引き絞ると、降伏を勧告している騎馬将に向けて放った。
槍でそれを振り払った騎馬将は、哀れみの眼差しを向け、そのまま魏陣の方へ駆けていく。
「馬休様、死んでしまっては何にもなりません」
部下が嘆願するように言った。
「ここは一時の恥を忍び、降伏を……名誉挽回の時ならいくらでもございます」
だが、馬休はそっぽを向いた。
確かに涼王は、汚名返上の機会を自分に与えてくれるだろう―かつて馬超に対して行ったように。
しかし、純粋さと若さは、しばしば若者の思考を硬直させる。
馬休にとって「汚名」とは、その後どんなに戦功を重ねようとも、絶対に消えることのない「染み」なのだ。
ここで敵の手に落ちるということは、馬一族の復権という自分の野望が潰えることと同義。
他人からすれば「愚か」に尽きるその論理も、今の馬休には正当なものだった。
「西涼の馬一族の誇りを忘れたか! 涼州騎馬軍団の散り際を、曹賊に見せ付けてやるのだ!」
自己陶酔した馬休の演説だったが、部下たちの心を揺さ振ることはなかった。
「どうしても降伏はされぬ、と仰せでございますか?」
部下の声のトーンが変わったのを、馬休は敏感に感じた。
他の部下たちも、目配せしながら次第に馬休ににじり寄ってくる。
「貴様ら………」
ここで初めて、馬休は恐怖を感じた。
「わしの首を………曹賊に売るか!」
部下たちは、少し目を伏せながらも、やはり馬休に近寄ることをやめない。
それが答えだった。

「敵が寄せてきます!」
反吐が出るような空気を破ったのは、物見に当たらせていた部下の報告だった。
ハッとして声の方を見ると、完全武装の連弩隊がこちらに接近してくる。
(あれは……趙雲……)
旗頭を見て、馬休は急に冷静になった。
そうか、俺は趙雲に討たれるのか。
部下に殺されるよりは、その方がいくらも………。
そこで馬休の思考は止まった。
趙雲隊から放たれた強弓が、彼の頭を吹き飛ばしたのだ。


次回、「許昌攻略戦(その四)」。
496民A:03/01/28 11:51
>>呂砲に愛でられた馬超が、赤壁の戦いを前に臨時の第一軍団長に任命されたのだ。
男色キタ――――――(゚∀゚)―――――――
嘘です。冗談です。謝ります。だから殺さないd
497町費隊士長:03/01/28 16:59
>町費様
殿、馬休隊が魏軍に囲まれました!
あのままでは危ない!
馬一族の皆様は殿の大事なお味方、
なんとしても助けなくては。

むむ、どうも全滅したようです・・・・
(もしも私の献策を殿が採用していたら、
 馬休隊ではなく、我らが壊滅していたか)
DAT行き阻止age
499希代之護衛兵:03/01/30 18:33
さすが張合β・・・一筋縄ではいかぬか。
それにしても馬休殿はなにを聞いていたのだ!
あれほど殿が突出するなと言っておられたのに。
まぁ涼全体の士気にはそれほど影響しないだろうが・・・。

さて・・・どこまで魏の増援を食い止めることができるだろうか。
増援をうまくいなすことができれば、涼軍の勝利は目前だな。
500山崎渉:03/01/31 17:08
(^^)
501廖影 ◆CN2I0jO6s2 :03/02/01 17:43
馬休将軍が討ち取られたとな!
町費将軍といい廖衛さまといい少し功に逸りすぎではなかろうか。
馬休将軍の二の舞にならぬよう、廖衛さまに落ち着きを取り戻して頂かなくては。
502315番目の草:03/02/02 17:18
>>473
なんと!またも七同志の離間だと?!ここに飛ばされた理由をお忘れか(>>315
任務である以上はしかたがない。
袁奉将軍と吾玄軍団長には次の戦場ではしっかり戦功を争ってもらおう。

以下お手紙。
>袁奉将軍
汚名の払拭はその両腕にかかっております。
次の戦で涼の勝利のために奮戦すれば如何な噂とて消し飛びましょう。
>吾玄軍団長
真実はどうあれ軍団長の地位に注目が集まってるのは確かです。
次の戦で先陣にたって槍を振るうようでなくば今の信頼もどうなるか。
>郭図公則様
っていうか七同志の離間はあなたはどう思ってるわけよ?
ほら一応反やかん、郭図公則絶対派な役どころなわけよ。
503お目付け役:03/02/02 23:06
本部へ
315の草の反応は予定どうりのものであります。
これにより・・・(略
504希代之副官:03/02/03 00:45
>護衛兵殿
戦場に来てから君が一回りも二回りも頼もしく見えてきたよ。
よし、言う通り堂々と戦況を眺めるとしよう。

・・・馬休殿が増援軍を砦に引き付けてしまった。
このまま正規軍を温存する策に出られたら、囮作戦が無意味になってしまう。
互角でない戦いにこれ以上兵力を消耗するのは危険だ。
私ならどうする。希代之様はどうするだろう。息が詰まる。

おや、殿下の本陣から龍が昇ったような?まさか。
あの煙は・・・炊煙か!
>>496民A殿
三族……いや、七族まで皆殺しの刑に処すw

>>502 315番目の草殿
天の声が聞こえます。
「汝は涼の臣なり。
 汝の行いは、明らかに涼に仇なす行為なり。
 なれど、汝は郭図公則の配下なり。
 上司の命令は絶対なり。
 悩み苦しみつつ任務に精進せよ。
 やがて汝は大いなる分岐点に立たん。
 ・
 ・
 ・
 郭図公則編あたりで」

506第一軍・許昌#連:03/02/03 21:42
蹴破るような突撃を繰り返し、馬騰は息子を取り囲んでいた魏部隊を、ようやくの想いで押しのけた。
しかし、馬休隊は目の前にはない。
「休!」
駆け回りながら、馬騰は息子の名を連呼した。
「休! どこだ!」
途中、無残に散らばる馬休の軍旗を何本も見たが、それでも馬騰は息子の姿を捜し続けた。
「叔父上!」
眉を釣り上げて駆け寄ってきたのは、馬岱。
「曹操の増援が来ます! このままでは我らも包囲されますぞ!」
言われるまでもなかった。
おびただしい数の魏軍が、前後左右に大きく展開しつつある。
馬騰は言葉にならないうめき声を上げた。
下がるしかなかった。

希代之隊は、馬騰らからやや遅れて東進していた。
後方で全体指揮を取る希代之に代わり、護衛隊長が部隊を引きいている。
だが戦場に到着する前に、前線から下がってくる町費隊と鉢合わせとなる。
先頭を進むのは、不機嫌そうな表情の町費。
「将軍、馬休隊は無事にございますか?」
町費は護衛隊長の質問に直接答えることはせず、「貴隊も下がった方が良いでしょう」とだけ言うと、さらに馬脚を上げた。
町費の態度から大体の状況を掴み、護衛隊長は天を仰いだ。やはり、やられたか。
しかし、希代之に報告する以上、もう少し詳しく状況を把握しなければならない。
ちょうどそこへ、町費隊の士長が現れた。
「おお、護衛隊長殿」
士長の顔は、興奮で赤くなっている。
「馬休隊はもう駄目だ。貴殿もお下がりなされ。曹操はすぐそこまで来ている」
「全滅したのか、馬休隊は?」
「跡形もないわ。将軍の消息もわからん」
興奮する一方で、士長は安堵もしている。
もしも町費が、自分の具申を採用していたら、全滅したのは馬休隊ではなく、町費隊だったかもしれない。
「今は全部隊下がっているところだ………仕切り直しだな」
507第一軍・許昌#連:03/02/03 21:42
希代之のもとへ戻った護衛隊長は、体を小さくして報告した。
「申し訳ございませぬ。張合βを取り逃がしてございます」
後方から一部始終を見ていた希代之は、怒った様子もなく、逆に護衛隊長を慰めた。
「気にいたすな。張合βを逃がした咎は馬騰と馬岱にある。で、馬休はどうなった?」
「壊滅いたしました。馬休将軍の消息は不明」
「魏軍は?」
「突出した我が軍を包囲せんと策動しておりましたが、全軍が速やかに後退したことによりその意図は頓挫。現在は再び砦周辺に陣を構え直しております」
馬休隊全滅には特に関心を示さなかった希代之だったが、その報告を聞くとしらけた表情になった。
「馬休め。脚を引っ張ってくれるわ……」

(まったくの別人であられるな)
2人のやりとりを少し離れたところから見ていた副官は、初めて感じる違和感に落ち着かなかった。
軍師府で執務を取っている希代之は、やや神経質な面はあるものの、至って温和な常識人だ。
しかし、今彼の目の前にいる「戦場の希代之」は、明らかにそれとは違う。
戦場では、如何にうまく兵を殺すかによって、勝敗が決まる。
そのことを骨の髄まで熟知している、冷たい戦闘機械。
今の希代之は、副官が知っている希代之とは別の希代之だった。
(ならば、その別人たる殿は、如何にしてこの局面を乗り切るおつもりなのだ?)
初めての戦場とあって、極度の緊張に震えていた副官も、ようやく冷静になりつつある。
もちろん、実際に剣を取って戦うとなれば、落ち着いていられるわけもなかったが。

希代之からの伝令が、廖衛隊へ駆けていった。
伝令を受けた廖衛は、虜囚となっていた魏の孔融隊をけしかけながら、砦へと近づいていく。
砦に立て篭もる魏軍は、捕らわれの身となった友軍の姿に唖然とした。
残兵たちは、両手のみならず、互いの首を一本の長い縄で縛られ、自由に動くこともできない状態となっている。
(何をするのだ?)
いぶかしむように成り行きを見守っていた副官は、やがて目の前で起こった出来事に絶句する。
508第一軍・許昌#連:03/02/03 21:43
「曹操! 漢室を手中に収めたのを良いことに、天下を私するに躊躇なき賊徒! 聞け!」
部隊の先頭に立った廖衛は、声を張り上げた。
「天に唾するおぬしの振る舞い、涼王殿下はいたくお怒りであらせられる! 此度の戦さにておぬしの首級を挙げ、天下に示す! 涼王殿下はさように御望みじゃ!」
戦場に響くのは、廖衛の声だけ。
魏軍も、そして涼軍も、声もなく廖衛を凝視している。
特に魏軍の方は、廖衛隊兵士にひったてられている友軍の哀れな姿に、息を呑んでいる。
「おぬしの首を取った暁には、涼王殿下は国をあげてこれを祝い、天下に御自身の正義をお示しになられる! だがその前に、前祝いというやつをするのも悪くない!」

なんだ。いったいなんだ。
副官の鼓動は急に早くなった。
何が起ころうとしているのかわからない、というわけではなかった。
身動きのままならない孔融隊兵士。
それを後ろから追い立てる廖衛隊。
廖衛の意図、そして希代之の意図は、明白だった。
ただ、その意図を信じたくないという想いが、副官を混乱させていた。
(まさか……いや、いくらなんでも……そんな非道なことを)
副官のはかない想いは、廖衛の次の言葉で破られた。
「天に仇なす者、そして涼王殿下に刃向かう者! 分別なき輩に待つ運命を、これよりお目にかけよう!」
高々と掲げられた廖衛の右腕が、勢いよく振り下ろされた。
それを合図に、後方に控えていた廖衛隊から一斉に矢が放たれた。
標的はもちろん、無力な魏の残兵たちだ。

恐怖にかられた残兵たちは、必死で逃走を試みる。
しかし、互いの首を縄で連結されているため、射られた1人が転倒しただけで全員が動けなくなる。
両手も縛られている以上、首の縄をほどくことは不可能だった。
比較的落ち着いている者は、死んだ傍らの兵を抱え上げて逃げようとする。
完全にパニックに陥っている者は、せめて自分の首に縄が食い込まぬよう縄をつかみ、屍を引きずっている。
抵抗する力を失った者から、さらに行動の自由までをも奪った上で、公開処刑。
その図は、阿鼻叫喚としか言いようがなかった。
509第一軍・許昌#連:03/02/03 21:44
副官は思わず顔を背けた。
鹿狩りでもあるまいに、逃げるしかない無抵抗の人間を、人間が射殺す。
何より恐ろしいのは、本当なら一撃で全滅できるはずなのに、廖衛隊が加減しながら矢を射掛けていること。
少しずつ兵は死んでいき、死体の増加に伴い、残った兵の逃げられる範囲も狭まっていく。
「お助けを………お助けを!」
残兵の悲鳴は、副官の耳にも聞こえてくる。
耐えられなくなって、救いを求めるように希代之を見た。
しかし、彼の上司は無表情のまま、目前で展開されている虐殺を見つめている。
背後に控えている護衛隊長は……やはり、無表情。
では、兵たちはどうだ?……無表情。
(この調子では、おそらく)
薄寒いものを感じながら、副官は思った。
廖衛も、町費も、士長も、そして矢を放っている廖影も、全員無表情のまま、この光景を見詰めているのだろう。
非道な行為であることは、全員承知しているはずだ。
だが、勝つために必要な行為と割り切っている。
無表情は、そんな自分たちの精神状況を均衡に保つための手段。
これ以外には、ヒステリックな嬌声を上げるしか手はあるまい。

「魏軍、砦より出撃します!」
物見の兵が叫んだが、友軍を救おうと猛然と飛び出してくる魏軍の様子は、希代之の目にもはっきりと捉えられている。
だが、希代之はすぐには攻撃命令を出さず、腕を組んだまま魏軍の動きを凝視している。
その間も、砦から出撃する魏舞台の陣容を、物見が叫び続ける。
「二部隊目、楽進!……三部隊目、曹仁!……四部隊目、趙雲!」
希代之が動いたのは、「七部隊目、魏公!」と物見が叫んだ直後だった。
「全軍、かかれ!」
激しく銅鑼が連打され、待ってましたとばかりに涼軍は再び戦場へ突進していく。
「護衛隊長」
希代之は片腕と頼む男に告げた。
「今度は幾ばくかの功績を期待する」
「御意! お任せくださいませ!」
拱手にも気合いの入る護衛隊長は、猛然と部隊を率いて飛び出していった。
希代之とともにその場に残った副官は、どうしようもない寂寥感に耐えている。
510補給部隊 ◆I9WFnCXgeU :03/02/03 21:45
敵地へ出撃した涼軍はこれまで、だいたい半月前後で戦闘の決着をつけてきた。
出撃部隊が携帯できる食糧は、せいぜい三日分程度だから、糧食輸送の可否は戦さの帰趨を決める重要なものとなる。
だが、攻撃部隊に比重が置かれている涼軍―特に第一軍―において、補給部隊に割けられる人員は限られている。
よって補給部隊は、軍政官・町費の計画にのっとり、殺人的なピストン輸送によってその任務を全うしなければならない。
直接戦闘に巻き込まれる機会が少ないにも関わらず、涼の補給部隊が激務とされる背景には、そんな事情がある。

その補給部隊の動きはのろかった。
「第一軍は身を張って敵と戦っているのだ。我らが踏ん張らずしてどうする!」
配下の部隊を振り返り、補給隊長が叱咤する。
しかし、この補給隊長を含め、兵員のほとんどが満足に寝ていない。
戦闘が始まって以来、出軍地の宛と戦場の許昌の間を、既に三回も往復しているのだ。
体力は既に限界を越えていたが、休むわけにはいかない。
第一軍では、到着期限から三日までの遅延は放免されている。
だがこの部隊は、過密日程による疲労と時折生じる不測の出来事により、三日以内に到着できるかどうか、微妙な状況になっている。

猶予期間から三日以上遅れたら、補給隊の長は文句無しで斬首となる。
つい先日も、期限から四日目に物資を運び入れた部隊の隊長が、首を落とされている。
その部隊長は、隊員の体力消耗が甚だしいのを鑑み、一日だけ休息をとった。
ここで運悪く、その後の天候が急変したため、その部隊は予定通りに進むことができなかったのだ。
集積地の指揮官は、遅れてやってきた補給隊長にこう言ったという。
「到着期限から逆算して宛を出るよう、申し渡していたはずだ」
補給隊長は、部隊の疲労や天候の変化を必死に訴えたが、指揮官は冷たく言い放った。
「三日の猶予すら守れない無能者は斬。町費将軍より直々に命令が届いておる」
511補給部隊 ◆I9WFnCXgeU :03/02/03 21:45
(もしも、我が隊も間に合わぬとなれば……魏に亡命するしかないかな)
額の汗をぬぐいながら、補給隊長は思う。
しかし、そんなことをすれば、今度は家族にまで害が及ぶ。
歯を食いしばり、行軍を急がせるしかなかった。
(しかし、ここで魏軍に襲われたら、ひとたまりもないぞ)
疲労困ぱいの非戦闘員たちに、戦闘などできるわけもない。
そら恐ろしい想像に身を震わせた補給隊長の前に、先行させていた斥候が現れたのはその時だった。
「た、隊長!」
斥候は口から泡を吹きながら叫んだ。
「前方より野盗団……こちらに向かっています!」
「な………!」
補給隊長は絶句した。
日程が遅れ、剣も握れぬほど隊員が消耗しているこの時に!
「か、数は?」
「わ、わかりません! しかし、我が隊よりははるかに多いようでございます!」
補給隊長は目を白黒させながらも、配下部隊に集結するよう命令した。
とにかく一点に固まり、対抗するしかなかった。

丘の上に野盗団が現れたのは、部隊の集結を行っている真っ最中だった。
補給部隊を認めるや否や、野盗は猛然と襲い掛かってくる。
(駄目だ。間に合わぬ!)
補給隊長は泣きたくなった。
隊員の中には、早くも逃げ出す者まで出ている。
「逃げるな! 勇気を奮い、見事賊を追い払ってみせよ!」
不可能と承知はしているが、そう叫ぶしかなかった。

野盗団は補給隊員には目もくれなかった。
「食ぅいぃ物ぉぉぉぉぉ!」
転げ落ちるように丘を下ってきた野盗どもは、隊員がうっちゃった糧食に張り付くと、袋を破り、中の野菜などを生のままかじり始めた。
震える手で形だけ槍を構えていた補給隊長は、ここでようやく、野盗の装束が桃色の甲冑であることに気付いた。
512補給部隊 ◆I9WFnCXgeU :03/02/03 21:46
臆病者の斥候が野盗と見間違えたのも、あるいは無理のない姿だった。
泥にまみれたボロボロの甲冑に、陣形というのもおこがましい、統制の取れていない陣容。
兵も1000程度と、そんじょそこらの野盗団とかわらない規模で、ましてや涼軍であることを示す軍旗すら、一本も掲げていなかった。
「あ、あの………」
補給隊に一顧だにせず、餓鬼のように糧食をむさぼり食う男に、補給隊長はおそるおそる語りかけた。
「貴殿らはもしかして……涼王殿下の親衛隊の方々では?」
「ふぉう」
対する男は、生の大根で頬を大きく膨らませながら、肯いた。
「わひがりょーほーへはる」
数秒考えた後、「わしが涼王である」と言われたことに思い至った補給隊長は、反射的に平伏した。

大根一本丸ごとかじりつくして一息ついた呂砲は、今度は生米をパリパリと食べている。
「わしらの分を少し置いて、おぬしはすぐに集積所へ向かえ。あそこの糧食庫はスッカラカンだ」
話の流れからして、集積所に食糧がないので、自ら求めて西進してきたらしい。
「ははっ。すぐに向かいます。ところで殿下」
「なんだ?」
「道中、魏の伏兵などはおりませんでしょうか? ご覧の通り、我が隊は年寄りと子供ばかり。戦闘となれば、ひとたまりもございません」
「それなら心配するな。我が隊を見よ。この情けなくも頼りない部隊が、無事にここまでやってこれたのだぞ」
「は、はぁ……御意にございます」
自虐的な呂砲の言葉に、補給隊長はそう答えるしかなかった。

「おお、干し肉ではないか! 親衛隊長、寄越せ!」
行軍を再開しようとした補給隊長は、その声に後ろを振り返った。
見ると、呂砲が親衛隊員から干し肉を奪い取ろうとしている。
対する親衛隊員―呂砲の言葉からして、親衛隊長―は、「何をおっしゃいます。これは私が見つけたものですよ」と抵抗している。
王を守るべき親衛隊ですら、食糧が尽きればこの有り様となる。
だからこそ、自分たちの任務は重要なのだ。
補給隊長は、そう思った。
「涼軍の本領は平地戦」
遮蔽物もなく、行動半径も大きくなる平地は、「突撃」系戦法を会得する武将が多く、「疾風」戦術で駆け抜ける涼軍にとって、まさに格好の戦場だった。
町費隊と希代之隊が「撹乱」で敵を釘付けにした部隊に、廖衛、公孫讚、甘寧、関平、馬騰、馬岱の各隊が一斉に張り付き、「突撃」で切り刻む。
1万を越える部隊といえども、この徹底した集中攻撃にいつまでも耐えることはできない。
魏部隊は、次々に壊滅していく。

もちろん、魏軍も反撃する。
曹操や趙雲率いる連弩隊は、一撃ごとに2000前後の涼兵を串刺しにしたし、曹仁や楽進、李典らも「突撃」「槍衾」などの戦法を駆使し、涼軍を何度も追い返した。
士気にしても、涼軍に劣るものではなかった。
ましてや、戦闘が再開された時、部隊の数や総動員数は依然として魏軍の方が多かったのだ。
このまま砦周辺に展開し、山岳を利用して相対したなら、さらなる大きな戦果、そして勝利を勝ち取れたかもしれない。
だが、孔融隊虐殺の一部始終を見せ付けられた魏軍は、怒りと憎悪で己が置かれていた有利な条件を、自ら放棄してしまった。
「涼軍の本領は平地戦」
世間に流布されつつあるその事実を、魏軍は身を持って体感することになった。

員数合わせのような武将の部隊はあらかた殲滅し、残るは曹操や趙雲ら、有力武将の部隊のみとなっている。
ここで余裕が出てきた町費は、同時に欲も沸いてきた。
「雌雄一対の剣」は、まだ鞘に収めたままで、一回も抜いていない。
「やってみるか……」
町費は静かに唇を舐め、残る魏部隊に目を向けた。
その方向には、全滅を待つばかりの曹遵隊が、絶望的な戦闘を展開している。
「曹遵殿! 武人として、名誉ある死を遂げさせてあげましょう!」
町費の声に、曹遵は喜声を上げた。
「七同志か! これはありがたい。やられる前に、武功が転がり込んできたわ!」
「貴殿が最後まで勇敢に戦ったことは、私が遺族に伝えてあげましょう。遠慮なく我が剣の贄となるがよい!」
「文官上がりがよう言った!」
突進してくる曹遵に対し、町費は槍を放り投げ、代わって雌雄一対の剣を静かに抜いた。
町費(武力70)対曹遵(武力69)
曹遵の言う通り文官上がりではあったが、町費には自信があった。
函谷館の戦いでは、自分より上の膂力を誇る魏続と戦い、見事にこれを切り伏せている。
それに自分には、皇帝から下賜されたという曰く付きの「雌雄一対の剣」がある。
町費にとって、漢室の「加護」に勝る味方はない。

だが戦さとは、思い通りにいかないものでもある。
両腕で剣を振り回す町費は、明らかに劣勢となっている。
(そ、そんな馬鹿な!)
必死で曹遵の槍をかわしながら、町費は焦り始めていた。
勝ち戦に気を良くしていた町費と、もはや後のない曹遵。
そんな気合の差が、顕著に表れていた。
曹遵が全力を込めて槍を振り下ろす。剣を交差させて、かろうじてそれを防いだ町費は、大きくバランスを崩した。
それを見逃すわけもなく、曹遵は自分の馬を町費の馬にぶつけてくる。
声にならぬ声を上げ、町費は落馬した。
「町費……死ねぇ!」
曹遵が槍を構え、町費は思わず目をつぶった。
だが、悲鳴を上げたのは町費ではなく、曹遵だった。
曹遵の肩には、深々と矢が突き刺さっていた。
「賊軍の将! 貴様ごときに殿をやらせるか!」
矢を放った弓を投げ捨て、槍を振り回しながらこちらに突っ込んでくるのは、士長だった。

「殿、おけがはございませんか!」
曹遵を追い払うと、士長はしこたま体を強く打った町費を助け起こした。
町費は打撲の痛みに顔をしかめながら、苦笑した。
「調子に乗り過ぎたようですね………貴方のおかげで助かりました。ありがとう」
「何をおっしゃいます!」
士長は心外だとでも言うように、大きく首を振った。
「殿の御身を守るのがそれがしの役目。当然のことにございます!」
感謝を込めて肯いた町費は、曹遵の方を見た。
曹遵は隊の中へ逃げ込んだようだが、これに公孫讚隊が襲い掛かろうとしている。
趙雲隊の放った矢が、希代之隊の兵士を大量に殺傷する。
「効くわ……さすが趙雲!」
しかめっ面で護衛隊長が毒つく。
趙雲隊は7000を切っていたが、その射撃精度と威力は、まったく落ちていないように思われた。
甘寧の部隊が、趙雲に必殺の「突撃」を敢行する。
しかし、趙雲はそれを軽々といなした。
続いて関平。これもかわす。
「反則だろ、ありゃ」
魔法のように攻撃をかわし続ける趙雲を見て、護衛隊長はむしろ呆れた。
甘寧に関平。
いずれも第一軍でその勇猛を謳われる将軍たちだ。
それを子供扱いするなど、尋常ではない。
だが、ここで趙雲はミスを犯した。
いずれ「突撃」を食らうことを予測した趙雲は、涼軍の隙を突いて、平地から山岳へと移動したのだ。
「好機!」
護衛隊長は歓喜の声を上げた。
希代之隊が得意とする「撹乱」は、平地よりもむしろ、山岳や森林で威力を発揮する。
「『撹乱』だ! 続け!」

希代之隊の「撹乱」でようやく大混乱に陥った趙雲隊に対し、甘寧らが猛然と攻撃を加える。
これまで踏ん張ってきた分、反動は大きかった。
趙雲の兵は、次々に戦場に倒れていく。
「我らが……我らが趙雲を捕らえるのだ!」
護衛隊長は興奮していた。
部隊の先頭を切って、趙雲隊へと突入していく。
しかし、趙雲捕縛はならなかった。
わずかな供回りの身軽さで、趙雲は護衛隊長らを翻弄しつつ、速やかに退却していった。
「ま……また逃がしたか……」
逃がした魚は、常に大きい。
いや実際、趙雲という武将を捕らえられなかったのは、
護衛隊長は腹立ちまぎれに、うめき声を上げて倒れている趙雲隊兵士を突き殺した。
公孫讚や馬騰、馬岱らと共同して砦を破壊した廖衛は、魏公曹操への攻撃に移った。
曹操の部隊指揮もまた、趙雲に劣らず老練だった。
廖衛らの攻撃をかわしつつ、手痛い打撃を与えてくる。
これに、曹仁や李典、そして楽進も助太刀に加わった。
曹操の「斉射」に曹仁の「槍衾」、李典の「乱撃」、そして楽進の「突撃」。
断末魔にあえぐ魏軍にあって、この四部隊の奮戦は目覚しいものがあった。

「曹仁がうるさいの」
廖衛が舌打ちをした。
曹操への攻撃を重ねる廖衛隊に対し、曹仁は執拗な妨害を続けている。
「先にあやつを仕留めますか?」
廖影が尋ねたが、廖衛は首を振る。
「後回しでよいわ。まずは曹操だ。曹操の首級さえ上げれば、魏は終わりだ」
「さようですな。公孫讚将軍らも同じお考えのようですし」
廖影が顔を向けた方向では、公孫讚や馬騰らが、曹仁たちの妨害をかわしつつ、曹操隊への攻撃を繰り返している。
「何としても曹操は我らの手で捕らえるぞ。さすれば戦功一位は勝手に転がってくるわ」
「御意。公孫讚将軍がかなり戦果を上げておられるようですからな。逆転といきましょう」
「おう。わかっておるではないか」
廖衛はニヤリと笑うと、それ以上は何も言わず、愛馬の脇腹を強く蹴った。
廖影もそれに従う。
廖衛、廖影の二騎を先頭に、廖衛隊は曹操の首目指して突進していく。

廖衛隊は、あとわずかのところで、曹操の身柄を取り逃がした。
包囲された曹操は、激しく愛馬をけしかけ、壊滅しつつある部隊からものすごいスピードで脱出していった。
「青鹿毛の馬! サンデーサイレ………じゃない、絶影か!」
涼州産の良馬にまたがる廖衛だが、あの名馬に追いつくことは不可能だった。
「おのれ、もう少しだったのに!」
部隊の殲滅には成功したものの、肝心の曹操を逃がしたことに、廖衛は歯噛みをして悔しがった。

曹操の退却で、許昌の戦いは実質的に終わった。
まだ曹仁らは残っていたが、完全に士気は落ち、もはやまともな抵抗は為し得なかった。
戦闘が終結したところで、後退していた呂砲がボロボロの軍装のままで現れた。
その場で捕虜の検分となり、公孫範と董承、胡班の三人が、涼への帰順を願い出た。
「来る者は拒まぬ」
呂砲は彼らの参入を許した。
皇帝の叔父にあたる董承に対しても、「これで陛下にも、安心して御過ごしいただくことができるな」と声をかけるほどのご機嫌振りだった。
一方、曹仁、李典、楽進らは帰順を拒否した。
「去る者は追わぬ」
これにも呂砲は、にこやかに接した。
「おぬしらの信じる君主のもとで、おぬしらの信じる忠義を尽くせ」
曹仁らは無言で拱手すると、生き残ったわずかな兵とともに陳留へ落ち延びていった。

「馬休は死んだか……」
馬休戦死の報を告げられると、さすがに呂砲は神妙な顔をして、馬騰を慰めた。
「おぬしの息子は勇猛だった。わしはそれを知っているし、命ある限り忘れぬ」
馬騰は一礼し、かきわけるように天幕から出て行った。
誰もそれを止めなかった。

引き続き、論功行賞の場となった。
「此度の戦功一位は公孫讚である。各自、異存はないな?」
呂砲の言葉に、公孫讚は「ありがたき幸せ!」と声を張り上げ、廖衛と町費は気持ち顔を背けた。
今回の公孫讚の働きは、否定しようもなかった。
公孫讚は、公孫範、董承、曹遵、張既の四部隊を殲滅させるという、抜群の結果を上げたのだ。
これで、七品官昇進は間違いあるまい。
「二位は廖衛。三位は町費だな。どちらも甲乙つけがたいが、数字はそうなって(略)」
廖衛が撃破したのは、曹操、胡班、周倉。
町費は臧覇、李典、陳葦。
いずれも三部隊を倒したが、魏公の部隊を撃退した分、廖衛の方が高位に位置づけられた。
「四位は希代之。わしが下がった後、よく軍をまとめてくれた……ま、あまりにも攻撃に転じるのが遅かったから、てっきりわしを殺す気かとも思ったがな」
ニヤリと笑う呂砲に、希代之は苦笑して答えた。
「勝利を収めるためとはいえ、殿下が瀬戸際の事態であったにもかかわらず、兵を留め置きました。その罪、万死に値します」
「そんなこと全然思ってないくせに、よく言うわい」
「我が隊は張合β、趙雲、楽進の三部隊を撃破しましたが、張合βと趙雲はみすみす取り逃がしております。それなのに戦功四位とは、あまりに過分な思し召し」
「では辞退するか?」
「ありがたくお受けいたします」
「ひねくれとるのか、素直なのかわからんな………各々の部隊内の戦功は、それぞれまとめた上で、軍政官の町費に提出せよ。よいな」
その言葉で論功行賞を終えると、呂砲は勢いよく胡床から立ち上がった。
「さあて、陛下にご挨拶に参るぞ。軍師、廖衛、町費。わしについてまいれ」

【斬首】ショウ幹、孔融
【登用】公孫範、董承、胡班
【戦死】馬休
※馬休は部隊が全滅しただけで死んではいないのだが、ここでは戦死扱い。
 今後は後方都市にて飼い殺しとする。

戦功
一位・公孫賛9154
二位・廖衛6451
三位・町費6008
(希代之は最後のターンで、第四位の5200ぐらいでした)


次回、「皇帝謁見」
戦死ぐっじょぶ!
やっぱ戦争はそうでなくっちゃね
520見習忍者:03/02/03 23:13
>503
・・・予想どうりの反応か。
惜しい男なのだがな・・・。

閣下は涼の臣下、つまり閣下の僕たる我々も涼の臣下と言う事になる。
だが、我々は涼の臣下である前に閣下の僕なのだ。
その事を奴はまだよく理解していないようだな。

魏・呉が滅びるのは現在の涼の国力であれば時間の問題。
問題はその後の事だ、吾玄・袁奉将軍の絆が馬参・廖衛将軍の様になっては困るのだ。
実力者同士が近すぎるのは将来に禍根を残す。
全ては閣下の為に・・・。
521成都のおねぇさん:03/02/04 13:21
殿下戦勝おめでとうございます。
これで、高き涼の威光が中華全土に広がる事でしょう。
その威光を広めるためにこれからも武鵜(ブー)と共に更にがんばりますのでよろしくお願いします。

と、いうわけで日記
正月(旧正月)休みに上党駐留の第三軍にも許昌攻略の報は届いた。
一年の最高の滑り出しに歓喜に沸くみんな、次は私たちの番という気持ちは強い。
それにしても寒さはこたえる。筵を頂き暖を多めに頂いているとはいえ象隊にこの寒さはつらい。
春よ来い。それを願いながら日記を綴る。
寒さ以外に我ら第三軍の象隊を遮る者はいないはずだから。
522雑兵1号:03/02/04 19:17
殿下、その肉は私のものでs

しかし今回は久しぶりにボロクソにやられましたな。
やはり武力50で囮は荷が重かったですな。ワッハッハッハ。
523町費隊士長:03/02/05 15:50
戦功三位か・・・・
それがしの弓で、曹遵を射殺しておけば、
二位の廖衛隊を上回ることもできたのに!

>町費様
しばらく弓の練習に励みます。
ご用向きがございましたら、いつでもお呼びくださいませ。
>>519
今後も全滅した部隊の将は、基本的に戦死扱いにするつもり。
おかげで、★攻めの第◎軍からも戦死者が……。

>>521成都のおねぇさん殿
武鵜(ブー)を可愛がってあげてくれ……。

>>522雑兵1号殿
まあ、ここまでボロボロにやられると、かえって気持ちがいい。



おお、そうだ。
干し肉を一人占めにした咎により、敵総大将を捕殺した功は相殺とする。
董卓によって、兄を毒殺された。
帝都・洛陽の炎上する様を見た。
長安では、董卓の機嫌を伺いながら暮らした。
頼みとしてした王允が殺されると、郭と李カクの権力争いに巻き込まれた。
必死の想いで長安を脱出したが、郭と李カクの追撃で、多数の廷臣を失った。
ようやく辿り着いた漢都・洛陽で、その無残な有り様に涙を流した。
新たな擁護者となった曹操によって、許昌へ移された。
与えてくれたのは、皇帝としての形ばかりの権威のみ。
叔父の董承を通じて、反曹操の動きをもくろんだが、董承が長安へ左遷されたため、実を結ぶことはなかった………。
後漢第十四代皇帝・劉協。
彼のこれまでの半生を振り返ると、だいたいこんな感じになる。

皇帝に謁見する朝見の間を前にして、希代之も町費も緊張で顔を強張らせている。
「くれぐれも粗相のないようにな」
過去三回、皇帝との謁見を経験している呂砲は、妙に先輩ぶった口調で告げる。
聞きようによっては、二人をからかっているようにも取れる。
もう一人の七同志・廖衛は、つまらなそうな顔をしている。
漢室への忠義に厚い希代之、町費と異なり、廖衛にとって漢帝とは、侮蔑と怨嗟の対象でしかなかった。
「廖衛、もう少し愛嬌を浮かべよ」
そんな廖衛に対し、呂砲は厳しい視線を向けた。
「陛下の謁を賜るに、さような顔をしているやつがあるか」
呂砲の叱責に、廖衛は眼を剥いた。
廖衛ほどでないにしろ、希代之と町費もピクリと反応した。
三人にとって、呂砲のその言動は意外なものだった。
現れた廷臣を見て、町費は思わず声を上げそうになった。
それは、以前町費に雌雄一対の剣を贈った廷臣だった。
廷臣は、さも初めて会ったかのようにあいさつした上で、露骨に顔をしかめた。
「涼王殿下、そのお姿は如何なる所存にございましょうや?」
「如何なる所存、とは?」
にこやかに尋ね返す呂砲だが、もちろん質問の意味はわかっている。
呂砲らは、戦闘後の大まかな残務処理を終えた、そのままの姿だった。
そのままの姿とは、泥と埃にまみれ、所々に刀傷や矢でえぐられた痕がある甲冑姿のこと。
曹遵との一騎打ちで軽傷を負った町費に至っては、右頬に血がこびりついたままだった(本人は気付いていなかったが)。
「涼王殿下。これより貴方様が御会いになられるのは、臣下が仰ぎ見るべき万乗の君にございますぞ」
侮蔑の色を隠すことなく、廷臣は言葉を続ける。
「にも関わらず、死臭すら漂うそのいでたちとは、此度の謁を如何に思し召しか。およそ、臣下が謁を賜る姿として……」
ここで、「涼の瞬間湯沸かし器2号」の廖衛が沸騰した。
「何を申すか、文弱の徒!」
希代之らが制する間もなく、廖衛は廷臣の前に身を乗り出した。
「我らが何故ゆえ、かような姿でいるのか、知らぬとは言わせぬぞ! 陛下を曹賊の手から御救いせんとして、つい先ほどまで激しき修羅場を経て来たのだ! それをおぬし、汚物と等しくみなすか!」
激昂する廖衛だったが、廷臣もひるまなかった。
廷臣からすれば、王である呂砲ですら、出自もわからぬ卑しき身に過ぎない。
廖衛に至っては、何を言わんかやといったところだった。
「黙れ、匹夫! その方、陛下の謁を愚弄していることも解せぬか!」
廷臣のドスの効いた声に、逆に廖衛の方が首をすくめた。
宮仕えの廷臣など、ちょっと怒鳴れば腰砕けになるだろうと思っていたのだが、どうしてどうして、宮廷に閉じ込めておくにはもったいない迫力がある。
「おぬしらがこれより謁を賜るは、恐れ多くも大漢の皇帝陛下なるぞ! おぬしらのような下賎の者にお会いなさるなど、それこそ海より深き陛下の御自愛の賜物! そのありがたき思し召しを、さような薄汚い身なりで汚す所存か!」
廷臣の指す「おぬしら」の中に呂砲が含まれているのは、その口調から明らかだった。
さらに顔を赤くし、廷臣につかみかかろうとする廖衛。
それを止めたのは、希代之でも町費でもなく、呂砲だった。
「控えよ、廖衛!」
鋭い声に動きを封じられた廖衛は、歯ぎしりしながらも呂砲に頭を下げた。
「廷臣殿」
黙っていろ、と目で廖衛に告げた上で、呂砲は廷臣に向かって拱手した。
「およそ陛下に謁見するにふさわしき姿でないこと、この呂砲、十分に承知している。なれど此度に関しては、少々事情が異なる」
「下賎の身」と廖衛ともども罵倒されたにも関わらず、呂砲は笑みすら浮かべていた。
「陛下の御徳を九州に示すため、我らはつい今し方、陛下を篭絡し続けていた曹賊を駆逐せしめた。では、次に我ら精鋭十万がなすべきことは何であろうか?」
警戒の色を深める廷臣だったが、呂砲はかまわずしゃべり続ける。
「一刻も早く、陛下の御無事を確認すること。これに尽きるとわしは判断した。それゆえ、曹賊の敗走を確認するやいなや、取るものと取らずにこうして馳せ参じた次第」
「し、しかし……」
呂砲が挑発に乗らないことに戸惑いつつ、廷臣は反撃を試みようとする。
それを呂砲は、手を振って制した。
「あくまで非常時ゆえ、とお考えいただきたい。陛下の御威徳を汚すなどという、不敬な考えによるものではないし、賢明なる陛下には、ご理解いただけるものと信じている」

「涼王殿下のお心は承知いたしました」
廷臣は渋々肯いた。
「間もなく陛下は参内なされます。今しばらくお待ちくださるよう………ああ、その前に」
慌てたように廷臣は、呂砲らを呼び止めた。
「謁の前に、まずは帯びておられる剣をお預かりいたします」
その口調自体には、呂砲らを挑発しようという意志は込められてはいなかった。
あくまでも、当然の指摘だった。
だがやはり、廖衛が反応した。
「まだ言うか! 剣は武門の証! おぬしのような儒子に預けては、名剣も錆びるわ!」
呂砲への作戦の練り直しを考えていた廷臣もまた、これに反射的に反応した。
「匹夫の徒は黙っておれ! おぬしに剣履上殿の権はないぞ!」
この二人、最悪の相性らしかった。
廖衛を止めたのは、今度も呂砲だった。
ただ先ほどと違い、声には苦笑が伴っている。
「陛下の御前で剣を帯びることは許されんのだぞ。知らんのか?」
諭された廖衛は、ふてくされたように横を向いた。
それぐらいのことは常識であり、もちろん廖衛も知っているが、呂砲がまったく自分の味方をしてくれないとあっては、廖衛も立つ瀬がなかった。
「靴も脱がねばならぬのだ……そうであったな、廷臣殿?」
そっぽを向いた廖衛を放っておいて、呂砲は廷臣の顔を覗き込んだ。
対する廷臣は、堅い顔で肯いている。
「陛下の前で御無礼のないよう、一応講釈しておくぞ」
呂砲は得意げに希代之らの方を向いた。
「陛下の御前では、小走りで移動する。両足の親指が触れ合うよう内股で。さらに背をかがめた上で、素早く進むのだ。さも『わたしゃ小者ですばい』と言わんばかりにな」
そう言って呂砲は、笑顔で廷臣の顔を見た。
「わしが南中牧の位を陛下より賜る前、貴殿より厳しくご指導いただな。六年前になるか……月日の経つのは早いものだ」
それを聞いて、希代之と町費は顔を見合わせた。
廷臣の叱責を浴びながら、小走りに進む練習をする呂砲。
日ごろの呂砲からは、なかなか想像できない図だった。

「皇帝陛下出御!」
宦官と思われる甲高い声が響く。
「さあ、参ろうか」
相変わらずご機嫌の口調で、呂砲は希代之らを促した。
そして、たった今教えた通りの小走りで、玉座に座る皇帝の下へササッと駆けていく。
希代之らも、慌ててその後を追った。
「陛下の御尊顔を拝し奉り、恐悦に存じ上げ奉ります。臣砲、陛下の御威徳を九州に知らしめるべく、宛より参上いたしましてございます」
敷石にひざを折った呂砲は、額を何度も地にこすりつけた。最上級の拝礼だった。
その有り様をそっと見ながら、希代之は呆れていた。
(これが本当に………あの殿下なのか?)
希代之が知る呂砲は、野放図でいい加減で無礼で、かつ女好きの戦さ下手。
女好きと戦さ下手はこの際関係ないにしても、敬意を通り越して、むしろ卑屈にすら見えるその行動は、日ごろの呂砲から連想できるものではなかった。
希代之の思考は、ここで止まった。
「大儀である。涼王よ、よくぞ参った」
皇帝が声を発したのである。

呂砲が皇帝への忠義を誓い、皇帝がそれを嘉する。
決まりきった美麗字句のやり取りは、滞りなく進行した。
滅多に使う機会もないはずの謙譲語を、何時の間に練習していたのか。
希代之たちがいぶかしむほど、呂砲の受け答えは完璧なものだった。
「それにしても、その姿」
威厳を保つ努力が伺われていた皇帝の声色が、ここで変わった。
「相当な激戦であったようだな。総大将自らが、そこまで戦塵にまみれたとは」
穏やかな、いかにも線の細そうな若者の声。
第十四代後漢皇帝の、真の人となりだった。
「かような薄汚れた姿にて、殿下の御目を汚すのは不忠の極み。なれど陛下、深き御自愛でもって、愚かなる臣をお許しいただけるなら、これにすぐる喜びはございませぬ」
「そのひとつひとつの刀傷は、漢朝への忠義の証である。忠勇なるその姿を、なぜ朕が厭うものか。とはいえ、それでは次なる戦さでは使えまい。卿に甲冑を授けようと思うが、受けてくれるか?」
「もったいない仰せにございます……なれど陛下、そのお優しき御心は、臣ではなく、臣の後ろに控えし者たちにお授くださいませ」
「うむ、先ほどから気になっていた。その者たちは誰か?」
「臣とともに義挙に臨んだ七同志、その中にあって特に知謀と勇猛を誇る、希代之、廖衛、町費の三将にございます。臣が陛下のもとにたどり着けましたのも、ひとえにこの者たちの助けがあってこそ」
「そうか。涼王の股肱たちであるか」
「御意。陛下のお覚えをいただけるなら、この者たちにもさらなる励みになるかと存じます」
「よかろう」
皇帝はあっさりと了承し、希代之らに声をかえた。
「三人とも、面を上げよ」

希代之たちは動揺していた。
今回は呂砲の護衛役のつもりだったから、とにかく粗相のないよう、下を向いていれば良いと思っていた。
皇帝から声をかけられるなど、想像の外だった。
希代之と町費はもちろん、廖衛ですら体が硬直していた。
それが漢朝400年の重みであり、顔を上げろと言われても、早々できるものではなかった。
気配で動きがないのを感じ取ったのだろう、呂砲が小さな声で促す。
「如何がした? 陛下の思し召しである。ありがたく御尊顔を拝し奉れ」
急かされた三人は、恐る恐る顔を上げた。
ずっと下を向きっぱなしだった三人は、ここで初めて、漢の皇帝の顔を見た。
そのか細い声に似つかわしい柔弱な若者が、穏やかな笑みをたたえてこちらを見ていた。
真新しい甲冑の入った葛を軍馬に担がせ、四人は宮殿を後にした。
「殿下、あんまりです!」
歩きながら、町費が呂砲に抗議する。
「我らのことまで陛下に紹介するなど………あらかじめ伝えていただければ、私とてそれなりに心の準備ができたのに!」

皇帝は三人にそれぞれ名を名乗らせ、その働きを称えた。
町費に至っては、皇帝から頬にこびりついた血について尋ねられ、「早く癒せ」という言葉までかけられたのだ。
「あ……あ……ありがたき幸せに存じます!」
しどろもどろになりながら、町費は何とかそれに答えたのだった。

町費の抗議に対し、呂砲は涼しい顔をしている。
「かくも立派な甲冑を下賜され、さらにはねんごろな言葉まで賜った。陛下お墨付きの箔が付いたわけだし、良かったではないか」
「そういう問題ではございません! 血も拭き取らぬまま、御尊顔を拝し奉るなど……不忠の極みではございませんか!」
「良いではないか。陛下はそれを嘉してくださった」
まだ文句の言い足りない町費をいなし、呂砲は廖衛に語りかけた。
「おぬしはどうだ? 初めて陛下にお会いした感想は?」
対する廖衛の返事は、ひどく素っ気無かった。
「漢朝が400年続いてきた王朝であること………それは実感いたしました」
そして、口をつぐむ。

三人の中で、皇帝への受け答えに一番しどろもどろになっていたのは、間違いなく廖衛だった。
それを廖衛は、不覚、と思っている。
どもったこと事体にではない。
「漢の皇帝に対して」どもったこと。そんな自分が許せなかった。
馬を引きながら、廖衛は自分に言い聞かせている。
自分が硬直したのは、漢朝400年の重みに接したが故。
けっして、あのひ弱な皇帝に声をかけられたからなどではない。
「殿下、お伺いしたき儀がございます」
希代之が口を開いた。
「陛下は洛陽への還行をご所望とか。これについて、殿下は如何お考えでしょうや?」
「陛下の意志とは、すべてに優先されるべきものである」
さも当然とばかりに、呂砲は答えた。
「しょせん許昌は、曹操が造った人工都市。陛下が漢都への郷愁をお抱きになられていることは、わしとて耳にしておるぞ」
「では、陛下の還行はいつごろ?」
「第二軍の抹陵攻めと、第三軍の業β攻めが完了してからだな」
「はて? 陛下の還行と、第二、第三軍の侵攻にどのような関係が?」
「その方が郭図公則編に絡めやすく……グェホンゲホッオエッ!」
「殿下、如何なされました?」
「宮殿の修復を長史に命じてあるが、もう少し時がかかるとのことだ。造りかけの宮殿で陛下にお休みいただくわけにはいかぬし、仮の宿というのも恐れ多い。まあそれほどお待たせすることはあるまいよ」

七同志とともに挙兵したそもそもの目的を忘れ、己の覇道に関心が移りつつあるのではないか。
呂砲の涼王就任以来、希代之と町費の両名から、その疑念が消えることはなかった。
今日の謁見は、その呂砲の心情を図る上での重要なターニングポイントだった。
だからこそ二人は、呂砲の一挙一動を片時たりとも見逃すまいと、神経を尖らせた。
結局、皇帝の前に控えた呂砲は、漢朝の忠臣としての態度を終始貫き通した。

(これでもって、万事解決とみなしてよいものか)
忠臣振りを見せ付けられても、希代之の心には、まだ引っかかっているものがある。
確認すべきだった。
手後れとなる前に、今、ここで。
意を決した希代之は、勇気を振り絞った。
「殿下。もうひとつお伺いしたき儀がございます」
共にいるのは、廖衛、そして町費。この四人だけ。
廖衛は豪の者だが、不意をつけば何とかなる。
おそらく、町費も加勢してくれるはずだ。
しかし……自分は、この男を切ることができるのだろうか?
十年間、君主として支えてきたこの男を。
涼王・呂砲を。
「今や皇帝陛下は我らの庇護下にございます」
希代之は言った。
「そこで、殿下は皇帝陛下をどのように処遇するおつもりか、お聞かせ願えませぬか?」
「なぬ?」
呂砲はキョトンとした目で、希代之を見返した。
「軍師よ、何わけのわからんことを言っておるのだ?」
とぼけてごまかそうとしているのだろうか、とも思ったが、そうさせるつもりは希代之にはなかった。
「家臣団の意志を統一するためにも、どちらの道を選ぶのか、決めておかねばなりますまい。殿下、なにとぞ御存念をお聞かせくださいませ」
「家臣団の意志の統一、か」
呂砲は顎をつまみ、つぶやいた。
その様子を、廖衛と町費も息を呑んで見つめている。
聞きたかった話。しかし、なかなか切り出せなかった話。
希代之はそれを、呂砲に突きつけている。
言い逃れは許さぬという覚悟をみなぎらせて。
「涼は大きくなった。昔のような小所帯ではない」
希代之らの存念にも気付かぬように、呂砲は言った。
「家臣団の意志の統一。うん、確かに必要かもしれぬな」
よかろう。質問に答える。
呂砲はそう言っている。
「で、どのような選択があるというのだ?」
質問に答える立場と認識しているのか、呂砲は希代之に言葉を促した。
対する希代之は、慎重に言葉を選んだ。
「ひとつはこのまま皇帝陛下の臣として、漢朝の復興を目指す道です。次に……」
希代之の口調は、敢えて無機的なものとなっている。
「自らの威名を高めるために、漢朝の名を利用し、天下の覇者を志す道………如何にございましょうや?」
七同志のこれからの運命すら決めかねない、極めて重要な質問、のはずだった。
だが、呂砲の答えは実にあっけなかった。
「わしは漢朝の臣であると自認しておる」
ほとんど即答だった。
「当然目指すのは漢朝の復興であり、利用するなどもってのほかだ。さように心得て、これからの戦いに臨んでくれ」

ややどもりながら、希代之はなんとか言葉を継いだ。
「で、殿下! ただ今の言上、偽りはございませんでしょうな!」
その言葉に、呂砲は心外とでもいうように、ムッとした顔をした。
「なんじゃい。おぬしが問うたから答えたというのに、そんな言い方あるか」
「はっ。申し訳ございませぬ!」
謝りつつも、希代之はたたみかける。
「ただ今の殿下の言上、全軍に布告してよろしゅうございますか?」
「軍師よ。今日のおぬしは少しおかしいぞ」
呂砲は眉をひそめる。
「家臣団の意志を統一するための質問だったのではないのか? 布告するのが当然であろう」
「御意!」
歓喜の声を上げた希代之に対し、猛然と異議を唱えたのは廖衛だった。
「殿下、しばしお待ちを!」
その顔には、必死とも憤怒ともつかぬものが浮かんでいた。
だが、呂砲はそれ以上言わせなかった。
「わしの耳とて節穴ではない。わしを奉じて、新たなる王朝を築き上げんとする動きがあることぐらい、もちろん知っておる」
「な、ならば……!」
すがりつかん勢いの廖衛だったが、やはり呂砲は、多くを語らせなかった。
「だが、忘れてはならぬ。十年前、永安にて我らが義兵を挙げたのは、いったい何のためだったか」
「殿下! しかし! しかし………」
廖衛は今にも泣き出しそうな顔になっている。
うまく言葉がつむぎ出せず、もどかしがっているのが傍目からもわかる。
そんな廖衛の目を見詰めながら、子供を慰めるように呂砲は言った。
「わしが涼王に就任した折り、袁奉が言っておったわ。初心忘るべからず、とな」
廖衛はガックリと肩を落とし、うなだれた。
呂砲は廖衛の肩を叩いた。

「おお、そうだ。すっかり忘れたおったわ」
ここで呂砲は、急にいつもの調子に戻った。
「町費。おぬしを今日より三品官に任ずる。馬参は二品官だな。希代之と廖衛、おぬしらももう少し功績を上げれば三品官だから、今後も精励してくれ」


 呂砲は漢朝の復興を目指すことを表明しました。
 荀攸「さすがは呂砲様。呂砲様のためなら働き甲斐があるというものだ」
 荀攸をはじめ、呂砲の考えに強く賛同する配下の忠誠が上がりました。


次回、「業β攻略戦」

>このスレをご覧の皆様(特に七同志、各副官、長史、熱血廷臣の諸兄)
呂砲が漢朝復興の意志を全軍に表明した。
よくよく【熟考】の上、これに対する反応レスヨロ。
疑念、賛同、反対、疑念、歓喜、悲嘆、疑念、罵詈雑言、自暴自棄、疑念、なんでもどうぞ。
そのレスが、今後の貴殿らの運命を左右する………かもしんない。

>馬参殿
もしも他の名前を名乗るとしたら、どんなのが好みか。
レスヨロ。
>皇帝陛下の処遇
ふむ。
わざわざご苦労だった。

…どうした?
私の望みは中華の安寧のみ。それ以上でもそれ以下でもない。
この世界から戦争がなくなりさえすれば私は天が何色だろうと構わんよ。


さて鍛錬の時間だ。
次の抹陵攻めでは先頭に立って戦わなくてはならん。
538郭図公則 ◆sW2getuhmE :03/02/06 00:14
(゜д゜)漢王朝再興表明にポカーン…………
…………
………
……

( ´Д`)呂砲シネ ホラァ!(´Д`)/帝!命拾いしやがって!( ゚∀゚;).。oO(何考えてんだこいつは?)
等と言う暴言を吐く輩は即時収容所送りにするから良いとして、
とりあえず宮殿修復→宮殿建設に変更、予算を徹底的に回すと。
そもそも、誰が皇帝であろうが私に取って重要なのは…( ̄ー ̄)ニヤリッ

それはともかく、袁胤が蜂蜜を買い占め(ry
539長史:03/02/06 02:11
まだ刻は満ちていないと言う事か…。
それとも殿下ご自身が炙り出しに掛かったのか?

大涼宮の建設をわざと遅らせよ。
劉協なぞに使われては適わないからな。
奴には郊外の離宮に行ってもらうよう殿下に奏上しよう。

>殿下
宮殿建設が予定より遅れております。
その為こちらに陛下をお迎えする事は難しいかと思われます。
郊外に離宮が完成しておりますので、こちらにお迎えしては如何でしょうか?

また、先の式典の件如何いたしましょう?
既に準備はできており、あとは殿下をお待ちするのみであります。
漢帝国ニュースの時間です。
許昌で続いていた涼と魏の戦闘は、涼の勝利で終わりました。
涼軍は10部隊12万5000、魏軍は20部隊18万の兵力を投入、序盤は涼王殿下の部隊が壊滅寸前に陥るなど、魏軍優位に進みました。
しかし、涼軍の計略で魏軍が砦から飛び出してからは戦局も逆転。
最後は平地戦に勝る涼軍が圧倒する形となりました。
魏公殿下は汝南への撤退に成功し、無事でした。
魏軍をおびき出す策として、涼軍が捕虜の虐殺を行ったという未確認情報も入っていますが、涼軍はこれを否定しています。
この戦闘で、魏の許昌太守・蒋幹将軍と、孔子の末裔と称される孔融将軍が戦死。
涼軍でも元涼州牧・馬騰将軍の次男、馬休将軍が戦死しました。
また、魏の公孫範、董承、胡班の三将は、涼に帰順しました。

(VTR)
董承「別に涼に降伏したわけではない。私は皇帝陛下を守るべき立場にある。涼王が陛下を庇護することに
   なった以上、涼の将として陛下のお側に仕えるのは当然である」

なお、皇帝陛下への謁見を済ませた涼王殿下は、先ほど記者会見に臨みました。
涼王殿下は、今後は皇帝陛下の臣として、漢朝の復興を目指すとの意志を表明。全軍に布告するとしました。
中華の半分以上の都市を領有し、皇帝の位への野心を深めているとの噂もあった涼王殿下ですが、漢の忠臣を自称したことで、陣営内には少なからぬ波紋が生じています。
「もともと漢室復興のための挙兵であり、当然のこと」と話す将軍がいる一方で、「信じられない。殿下ならきっと、新しい世をつくってくれるものと期待していたのに」とショックを露にする将軍もいました。
ただ、涼王殿下は>>536の中で「疑念、賛同、反対、疑念、歓喜、悲嘆、疑念、罵詈雑言、自暴自棄、疑念」と語っており、その言葉に「陰謀の匂いがする」と指摘する武将もいました。

以上、ニュースをお送りしました。
>>539長史殿
式典の方は今しばらく待つように。
それに、大漢の皇帝陛下に郊外で寝泊まりいただくなどもってのほかである。
宮殿建設を(ほどほどに)急ぐのだ。
あと、「大涼宮」という名称はよろしくない。
「大漢宮」と代え、陛下が心地よく御住まいになれるよう、全力を尽くして仕上げるのだ。
とにかく、荘厳なる宮殿とせよ。
金を惜しむな。ガンガン使え。

なお、洛陽の蜂蜜の相場が高騰しているとかいう話を聞いた。



ま、どうでもいいが。
542廖影 ◆CN2I0jO6s2 :03/02/06 05:43
士は己を知る者の為に死す。
それがしが仕えるは、漢でも涼でもなく、廖衛さまのみ。
時と場合によっては陛下に弓引く事もあるやも知れぬな。
これまで以上に副軍師さまとの繋がりを築くべきか。
543馬参 ◆.L/ffpm.yw :03/02/06 06:50
まずは長き無沙汰を致し、お詫び申し上げまする。

それにしても殿下、漢帝陛下の保護、並びに許昌を得たりし事、まことにおめでとうござる。
しかし、此度の戦は殿下御自ら前線に立ち、囮となりて死力を尽くされたとか。
昔と違い今は涼王であられる大事な身、無茶をなさいませぬよう。
それがしが言うても、あまり説得力がありませぬが・・・。

また、漢朝を復興なさるとの事にござるが、それがしの考えを申し述べさせていただくならば
如何なものであろうと、殿下の言葉は涼の意思。
生涯を涼の臣と自負する馬参に、今更なんの異議がございましょうや。
たとえ漢に不義となろうと、それがしが身を立てられるのは涼旗の下のみと思うております。
二品官にまでして頂いた殿下の御為にも、第三軍団共々ますます勤しむ所存にござるぞ。


さて、他に名を名乗るなら、との事でございましたな。
では古の英傑たる楽毅より楽姓を頂戴し、楽驂、とでも。
どの様な意図なのか計りかねますゆえ、もしこの名に問題あらば申し付けていただきたく存じます。
544町費 ◆khvWPc71kM :03/02/06 18:36
まさか呂砲様が漢朝の臣を表明するとは( ゚∀゚;).。oO(何考えてんだこいつは?)
本当なら何よりも嬉しいが、どーも嘘くさい。
呂砲様に曹操を殺させて曹彰を刺客にすれば嘘でも本当でも問題ないがな。
その為には廖衛殿の胆力は邪魔だな。
廖衛殿には第四軍団長になってもらい第一軍からは離れてもらおう。

それと、洛陽で蜂蜜の相場が高騰しているらしい。
陛下を曹賊から御救いした日に自分への御褒美にと買おうと思ってたが
とても手が出る値ではないな。

>>町費隊士長殿
貴殿がいなければ私は曹遵に殺されてました。
本当にありがとうございました。
545315番目の草:03/02/06 19:48
孔融が戦死しているだと?
漢朝復興を表明する涼王がみすみす孔子の末裔殺したというのか?

孔融が末裔を自任しているならその命の重さも分っているはず。
捕囚を拒み、投降せずに死ぬまで戦うなど有り得ないはずだが…

…そんなことより仕事だ!呉の調略はどうなっt ハッ天の声が聞こえる(゜Д゜ )
546廖衛将軍府主簿:03/02/06 23:45
将軍、いい加減一日中そのような顔をされるのはお止め下さい。
結構な事ではありませんか、これで他の同士の方々より箔が付いたと言うものです。
軍団長選挙にも良い影響があると思われますよ。
ある日の店での事
男「すみませぬーこの店の飴水すべてください〜」
( ゚∀゚;).。oO(何考えてんだこいつは?)
その日町から飴水は姿を消した。

他の店での事
男「長くて丈夫な紐をすべてください。」
( ゚∀゚;).。oO(何考えてんだこいつは?)
その日町から紐が消えた。

漢王朝再興表明しようが、私が死のうが、私は一生郭図公則様似付いていきます。
・・・・・それにしても暇だ。
死んだらしい孔融殿の格好でもするか・・・
548雑兵1号:03/02/07 19:47
国営放送KIN記者(以下K記)
涼王親衛隊長:雑兵1号(以下1号)

K記 「涼王が漢朝の再興を表明しましたが、なにか一言お願いします」
1号 「・・・・・・・・」
K記 「・・・・・・・・」
1号 「・・・・・・・・」
K記 「・・・一杯飲みに行きます?」
1号 「私は涼王の親衛隊長です」
K記 「えーと、それであなたの考えは?」
1号 「・・・・・・・・」
K記 「・・・そのあと、ねえちゃんのいる店に行きましょう」
1号 「涼王こそ我が主君であり、その主君が漢朝再興を唱えたのなら私もそれに従うまでです」

はい、カーット!

どう?かっこよく撮れた?え、いつもと違う?いいじゃねえか。
さて、約束通り飲みに行こう。もちろん奢りだろ?
549郭図公則 ◆sW2getuhmE :03/02/07 21:02
ふむふむ、宮殿建設がおくれていると。。。


さて、建設費を長史が出さぬならこちらで支出するまでのこと。
労せずして名声が(ry
550見習忍者:03/02/08 00:07
>そもそも、誰が皇帝であろうが私に取って重要なのは…( ̄ー ̄)ニヤリッ
御意( ̄ー ̄)ニヤリッ
(いずれにしろ私には閣下こそ全てでございます)

閣下、蜂蜜もほどほどにしませんと糖尿病になるかと・・・。
551熱血廷臣:03/02/08 01:30
そのような事で欺けるとでも思っているのか?
あの曹操でさえ、最初は同じ事を公言していたのだからな。
だが、考えようによってはより目的が達成しやすくなったと言えよう。
公言を歓迎した者の動向を掴む必要があるな。

それにしてもあの武官の腹立たしいことよ。
所詮は無知蒙昧なる下賎の輩か。
552希代之副官:03/02/08 20:15
いずれ天命の帰する所があるだろう。
賢明な殿下はよく自重された。
なにより希代之様と殿下の対立が避けられて良かった。
あとは、殿がうっかり密勅など貰わぬようにお護りしなければ。

漢朝の再興という掛け声の内容はこれから考えなきゃな。
問題は漢の再興でも涼の覇権でもなく、国そのものの建て直しだ。
漢臣の中で真に国を憂いている者は重職に用いるべきだし、
名分や権門党利にしがみつき救国の策なきものは孔融殿のようになって頂こう。
希代之軍師、廖衛将軍、町費将軍が皇帝陛下から鎧を拝領した事が原因でイザコザが起きた。
袁奉隊の兵が主にも鎧を欲しかったと嘆いていたのを、吾玄隊の兵が揶揄したのが原因だ。
以前から本来同格であるはずの吾玄将軍と袁奉将軍の間に、
役割とは言え軍団長と副官と言う立場の差がある事は配下に微妙な空気を作り出していた。
今はまだ戦功争いぐらいで済んでいるけど後々が心配だ。
>希代之副官殿
滅茶苦茶グッジョブ!
そうか、袁奉殿の兜は呂布っぽいやつだったのか。
それに「袁」の字もよくもまあ、と感心。
「揚州三軍司令」に「水軍大都督」、次回さりげなく使わせてもらいます。サンキュ。
ところで、吾玄殿は第二軍では……?


※次回「業β攻略戦」とか言ってたような気がしますが、変更します。
 次回「波紋」
555吾玄隊:03/02/12 21:02
A「袁奉隊の奴らもどうしようもないな。」
B「全くだ。軍団長である吾玄将軍ですら手に入らないと言うのに、
 副官がもらえるわけないだろう。」
C「そこで俺のカウンターが決まりだな〜。」
A「配下もそうなんだが、袁奉将軍自身も相変わらず臭いな。」
B「あぁ、例の話だろ?特殊部隊を子飼いにしているし油断ならんな。」
C「向かって来る連中を次々に投げ飛ばしだな〜。」
A・B「しかし、個人技の練習って事で誤魔化せて良かったなぁ…。」

※イザコザの原因は…(汗
556文官達の噂:03/02/15 00:54
聞きましたか?

えぇ何でも殿下と親衛隊長殿が声を張り上げて言い争っていたとか

聞き及ぶところによりますと、婆憐多淫なる日の箸庫なるものが原因だとか

一体何のことなのでしょうか?

さぁ?
557成都のおねぇさん:03/02/15 02:30
日記より

戦場といえど、日常は存在するわけで。
西から伝えられたお菓子を贈る行事等、お祭り大好きな陛下が逃すはずも無く…
こうしてぞうさんチョコを作っているのだけど……
なんで、かわるがわるみんなが覗いてゆくのだろう??

と、いうわけで全関係者にチョコプレゼント♪
当人イベントの意味を良く分かっておりません。
義理とはいえ、チョコはチョコ。たまには甘いものも良かろう。
おや? なぜこのチョコはしょっぱい?
それに目から水が出ているのはなぜ?

>>543馬参殿
「馬」と「参」を合わせて「驂」か。
しかし、こんな字よく見つけたものだ。
「楽驂」、了解。

>>547郭図公則様支援倶楽部会員殿
長らく放置状態で申し訳ありませなんだ。
郭図公則編まで出番あるかなーと思ってたが、さっそく使わせてもらいました。
チョイ役だけど。

>>548雑兵1号殿
「不覚にも」ストライクだった。腹イテエ。

>>553ある第二軍団兵の日記殿
狂おしくイイ!(゚∀゚)

>>557
南蛮の女兵士より贈答品とな?
「婆憐多淫」? なんだそりゃ。
ム、象さんチョコ。
ムググ……負けてるかもしれん。

>廖衛、袁奉、希代之殿
漢復興宣言に対する反応レスヨロ。

とりあえず場をつなぐため、今回は番外編。
197年3月
武勇、知謀、内政等、各部門で活躍できる将が7人もそろった。嬉しい限り。
協議の結果、旗揚げ地は永安と決まった。
永安に隣接する勢力は、ええかっこしいの劉表と、ボンクラ劉璋。
相当ヘタを打たん限り、やられることはあるまい。
出発を前に、襄陽の酒楼で打ち上げ。
町費が下戸であることが判明する。
元劉表配下の文官にして、現在は裏切り者扱いの希代之は、周りを気にして落ち着かない様子。
「希代之よ。そんなことじゃ軍師は勤まらんぞ」と言ってやったら、たまたま隣りの席に劉表の部下がいた。
何とか逃げ切ったところで、「あんたのせいで、酒が少ししか飲めなかったじゃないか」と吾玄から文句を言われた。
「(ピー)毛も生え揃っていないガキが、酒など10年早い」と言いたかったが、ケンカになったら負けるので謝った。

197年4月
途中で兵を募りながら、永安にて挙兵。
武将はわしを含めて8人。兵は1万。
いよいよ、呂砲軍の門出だ。
わしのことを「あんた」と呼んでいた吾玄が、初めて「殿」と呼んでくれて感無量。
あと1回「あんた」と言ったら、ヤツの飯に下剤を入れてやるつもりだった。
礁に駐屯していた劉備が、放浪軍となって下野したとの情報が入る。
何がしたいんだろう?
197年5月
内政に勤しんでいる七同志と会話を楽しむ。
まずは、一番わしと折り合いの悪い吾玄の元へ。
きっと軍事のことが好きだろうと思ったが、「殿はそのような興味があるのですか……」。
あいつは根本的に間違っちょる。
次いで、希代之の元へ。
「人物について話さぬか」と声をかけたら、こいつまで「殿はそのような興味があるのですか……」と来た。
蹴ってやろうかと思ったが、わしより武力が上なのでやめておく。

197年7月
最初の内政結果報告。
得意分野でなかった町費の開墾40%はしょうがないとして、特技「開墾」を持ってるはずの吾玄さん。
43%とはいい度胸してますな。
今度は許さぬ。下剤はどこだ?
それと今月、袁術を降伏させて准南の制覇を果たした孫策が、州牧となった。
これで「准南牧」というわけだが、なんとなくピンとこないので、「呉公」と呼ぶことに決定。文句は許さぬ。

197年8月
希代之が巳に対して略奪を働きやがった。
「余りにも財政状況が悲惨なもので、つい」と言い訳をしておったが、軍師のクセしてやることは荒っぽい。
しかも失敗してどうされますか。
廖衛と軍事について話す。
「おおおおお! 目茶苦茶興味ありますぞ!!!!」とかなりオーバーアクション廖衛。
でもけっこう仲良くなれたみたいだ。
ついでに郭図公則と人物について語る。
「与太話に時間を割いている暇などないのですが、興味がないわけではありません。(「フゥ」とため息)しょうがない。お相手しましょう」
ちょっとは仲良くなれたみたいだが、蹴ってやりたい。
でも、やはりこいつもわしより武力が上なのでやめておく。
197年10月
吾玄が開墾110%!
やればできるじゃないか。
わしの「褒めて伸ばす」的教育が身を結んだようだ。
七同志と会話する傍ら、戦法「撹乱」の訓練に勤しむ。
武門の士として、これは当然のたしなみである。
ううむ、いまひとつ上手く動かなかったな。

198年11月
吾玄のところへ顔を出すと、派手な服装をした男がいた。
甘寧とかいう湖賊だった。
ふてぶてしい容貌だが、わしとは相性がいいらしく、話が弾む。
いずれわしの配下となって、戦場を駆け巡る……てな予感がする。

198年12月
戦法「撹乱」の訓練。
ううむ、いまひとつ上手く動かなかったな。
よくよく考えてみれば、3カ月連続で失敗してる。
兵たちよ。そんな目でわしを見ないで。
198年1月
内政結果だが、商業を命じた郭図公則の成績は、70%といまいち。
政治力は相当あるはずなのだが、どっかでさぼってるんだろか。
どうやってさぼりの現場を押さえてやろうか。見つけたらどんな罰を与えてやろうか、と想像を楽しんでいたら、その郭図公則がやってきた。
「給料泥棒。何のようだ」と言いたかったが、わしは組織の和を重んじる男なので、そんなことは口にしない。
郭図公則は「私に10380人の兵を集めさせてくだされ」 と言ってきた。
副軍師のくせして計数のわからぬヤツ。
こんな貧乏状態で徴兵などしたら、それこそ財政が成り立たぬわ。
すると郭図公則、「劉表が我が永安を狙っておりますぞ。このままでは負けますぞ。殿は縛り首ですぞ」とか言ってくる。
なんで劉表の動向がわかるんだと聞いたら、結成した細作からの報告だという。
いつの間にそんなもん揃えたんだ?
ちょっと劉表は怖かったけど、外ズラを気にするヤツのこと、挙兵1年目の弱小勢力を狙ったりはしまい。
「余計なこと言ってないで仕事しろ」と郭図公則を追い払う。
郭図公則がブツブツ言いながら出て行くのと入れ替わりで、総勢3万5000の劉表軍が攻めてきたと報告が入る。
少しチビったが、幸い誰にもばれなかったようだ。(終わり)
563◇315kusa:03/02/16 05:46
>日記
面白かったです。
思わず過去スレを読み返してしまいました。
今だからこそニヤリとできる部分もあって楽しかったです。
564郭図公則 ◆sW2getuhmE :03/02/16 14:35
>郭図公則がブツブツ言いながら出て行くのと入れ替わりで、
>総勢3万5000の劉表軍が攻めてきたと報告が入る。

ふむ・・・( ̄ー ̄)ニヤリッ
読んでて思ったんだけど…。
「連合」組むには勢力が五つ以上必要だったような気が。
前に連合を組んでもらえなかったのはそのせいなんじゃないスか?
馬参殿は二品官で袁方面第三軍団長ってことは征北将軍?
8持ってないから知らないんだけど。
>>袁方面第三軍団長
郭図公則どのが敏感に反応すると思われ
568町費隊士長:03/02/18 12:40
ハーハーゴシゴシ、ハーハーゴシゴシ・・・
美しい。いや実に幻想的輝きを放つ甲冑だ。
これを来て戦場に討って出る殿のお姿、
早く見てみたいものだ。

でも、戦場に出たら汚れちゃうしな。
ううん、悩ましいところだ
最近希代之殿が沈黙し続けている事に微かな不安を感じているのですが…
呂砲氏が漢王朝再興の意思を示して二週間。
おそらく希代之殿たちはもう表れないのでは?
 
 第十八条
  正当な理由なく3回連続で評定を欠席した武将は解雇とする。

と定めてあるように(もはやこのスタイルは変化を遂げてはいるが)
代役を立てるなり、何らかの措置を取るべきかと。
横槍入れて申し訳ないが、お忙しい中一所懸命に長文をupしてくれる呂砲氏に失礼かと愚考します。
>>570
異議あり!!
稀代之氏 廖衛氏 袁奉氏の三名らは
正当な理由をもって評定つーかネットすら、できない状態にあると思われる。
>>570は自分が七同志に食い込みたいだけである!!!
弁護側は>>570に賠償と損害を要求しる
どうでもいいが、続きが読みたい。
これまでの流れから見て、三氏が書き込みをすれば、
呂砲殿はすぐに続きをupしてくれそうなんだが・・・・
573郭図公則 ◆sW2getuhmE :03/02/19 12:57
金曜日までに姿が確認できぬならば欠席扱いとしそのまま進めてしまえばよいのでは?
帰ってくればそれで良し。帰ってこずとも話は進む。


他のスレに捜索願でもだすか?
>>572
「続きが読みたい」に禿同。
呂砲殿はupしたくてうずうずしてるんだろうか。
ここ注目。「3回連続で“評定”を欠席した武将は解雇とする」
戦線が非常に小さかった序盤はともかく、戦線が非常に拡大している現在
“「評定」そのものがスレに1回か2回ある程度”となっている。

故に代役を立てる必要は無いと思われ。ま、確かに心配ではあるが…
英傑殿も伯真殿も到越殿も…今何をされておられることやら…
>>575
評定に出さえすればいいって問題じゃないと思う。
ここは呂砲氏の熱意で成り立っているスレだが、
ネタを振ることが、七同志やほかの参加者ら
このスレを楽しんでいる者としてのせめてもの
サポートじゃないか?
それに、希代之殿の副官殿や護衛隊長殿だって
ネタ振っても無反応じゃ、やる気なくなりそう。
そういう空気が、最終的にスレを閑散とさせてしまうのでは、と危惧する。
577袁奉 ◆JLz0areZMU :03/02/19 16:59
ふむ、殿下が漢の臣である事というを表明したのか。これでとりあえずは一安心だな。漢にとっても、涼にとっても・・・・。
しかし、どうも第2軍のいざこざが絶えないな。今は共通の敵に向かって協調し合っていくべき時であるのに・・・・。(溜息)
ん?手紙が来てる・・・・?
・・・・どちらにしても今は目の前の戦いに集中するのが肝心、であるな。
後二人
>>575
「“3回連続”で評定を欠席した武将は解雇とする」
仮に、これが評定だとしても3回連続でないので、解雇も代役もいらない。

>>ネタ振っても無反応じゃ、やる気なくなりそう。
>>そういう空気が、最終的にスレを閑散とさせてしまうのでは、と危惧する。

>>570>>575のような空気を読めない信者が暴れる
       ↓
徹底的に論破され信者がアンチになる
       ↓
アンチと化した信者がスレを荒らす
       ↓
呂砲以下七同志の、やる気が無くなる
       ↓
誰もいなくなって終了
       ↓
激しく(・Д・)イクナイ
581580:03/02/19 19:07
または

>>570>>575のような空気を読めない信者が暴れる
       ↓
荒れ具合を嗅ぎ付け荒らしの登場
       ↓
    スレが荒らされる
       ↓
呂砲以下七同志の、やる気が無くなる
       ↓
誰もいなくなって終了
       ↓
激しく(・Д・)イクナイ
>>580
おまえのそのレスは煽り。
スレに荒らしを呼び込む行為。
まあまあ、皆さん落ち着いて。
とりあえずもうしばらく、2人の帰還を待ってみませう。
584郭図公則 ◆sW2getuhmE :03/02/19 20:20
昔から言うではないか



果報は寝て待て
>>563◇315kusa殿
過去スレ読み返して、よくもまあ初戦で滅亡しなかったものと、我が事ながら感心しました。

>>565
マジですか?
つーことは、命乞いしながら洛陽で斬首となった韓玄の立場は……。

>>566
三国志8には将軍号の機能がないので、どうしよかと思ってました。
此の度皇帝を庇護したので、洛陽還行の折りにおねだりしてみよう。

>>569以下
読んでておじさん目頭熱くなっちまったい。
もう少し待とうと思います。

>>577袁奉殿
到越! あんたって子は心配かけて!
お尻出しなさい! 今日は折檻よ!・゚・(ノД`)・゚・

>希代之殿、廖衛殿
щ(゚д゚щ)カモーン


※今回も番外編。日記の続き。
 速攻でまとめたものにて………
「どうして俺が外されるんだよ!」
今にも呂砲の首を絞めかねん勢いで、廖衛が叫ぶ。いや、実際に首を絞めている。
馬参が廖衛の頭をポカリと叩き、舌を出して白目を剥いている呂砲の命を救った。
「兵が少ないんじゃ、兵が!」
ゴホッ、ゴホッとせき込みながら、呂砲もヒステリックに怒鳴り返す。
「たった1万2000の兵を振り分けるとなれば、これが限度だ!」
「俺が言ってるのは、そういうこっちゃねえ!」
馬参に羽交い締めにされながら、少年武将は声を張り上げる。
「なんで吾玄が選ばれて俺が外されたのか! それがおかしいって言ってるの!」

突如として永安に現れた劉表軍3万5000。
迎え撃つ呂砲軍は、わずかに1万2000。
呂砲が告げた迎撃部隊の陣容は、呂砲が軽歩隊2000、軍師の希代之が弩兵隊500、馬参が軽歩5000、そして最年少18歳の吾玄(廖衛とは1歳しか違わないが)が軽歩4800―となっていた。

「俺はな、伊達に親父殿の下で戦ってきたわけじゃねえんだ! 戦場での経験は十分に積んでいる……なのになんで、俺じゃなくて、戦さをやったこともない吾玄が選ばれるのかって聞いてるんだ!」
足をばたつかせながら、廖衛。
戦争初心者扱いされた吾玄は、眉をひそめてプイと横を向いた。
「戦法習得の差だ」
憤然と襟を正して、呂砲は言った。
「吾玄は『撹乱』をそれなりに使いこなすことができる。多勢の敵と戦う以上、吾玄の力が必要だ」
「俺だって『撹乱』は使える!」
「タコ申せ。おぬしは最近練習を始めたばかりではないか。ものの役にも立たぬわ」
役立たずと言われ、廖衛はさらに顔を赤くする。
「何がものの役にも立たぬわ、だ! そういうあんたはどうなんだよ! 『撹乱』の習得状況は、俺とたいして変わんないじゃねーか!」
呂砲配下の七人の武将の中で、もっとも呂砲と折り合いの良い廖衛だが、この時はとことん切れている。
「わしが出陣するに足る理由はある」
胡床に腰を下ろした呂砲は、暴れまわる廖衛を睨み付けながら言った。
「わしは若い頃……今も十分に若いが、太平道をかじったことがある。そこで、ちょっとした特技を身につけたのだ」
「え? あんた、黄巾だったのか?」
漢朝の復興を旗印に挙兵した男が、実は元賊徒。
七人の武将は、思わず顔を見合わせた。
「中黄太一の理念はいまいちよくわからんかったが、張角に仕えれば、何かと就職に便利な特技を覚えられるかも、と思ったのだ。漢朝を敬う気持ちはその頃からあったが、何せ世間知らずの若者だったでな」
七人が抱いた疑念を感じ取ったのか、呂砲は素早く釈明すると、話題をもとに戻した。
「で、その特技は『医術』というやつでな。負傷した兵を、呪文ひとつで全快させるという優れものだ。これでもって、マメに馬参や吾玄の兵を回復させれば、三倍の敵といえど、ものの数ではない」

編成で揉めた呂砲軍だったが、迎撃にあたっての作戦でも揉めた。
「敵は我が方の三倍ですぞ!」
吾玄同様、戦さに臨むのは初めてとなる希代之が、幾分泣きそうな顔で訴える。
「まともに戦って勝てるわけがない! ここは城門を堅く閉ざし、劉表軍の攻撃を堪え忍ぶ以外にないでしょう!」
後の許昌戦で、呂砲に代わって第一軍の指揮を採る希代之も、この時は文官上がりの若者に過ぎない。
一方、呂砲の案は迎撃策。
「篭城戦となれば、わしの『医術』などあってもなくても同じではないか。砦に立て篭もれば、相当踏ん張れる。あとはわしの『医術』の出番じゃ」
呂砲の主張には、単に「医術」を使ってみたいだけ、という匂いがプンプンしている。
「殿の兵はわずか2000ではありませんか! 私にいたっては500の弩兵隊……速攻で潰されるに決まっています! 敵は3万5000ですぞ!」
「だぁかぁらぁ! そのための『医術』だろうが!」
接点の見えない呂砲と希代之の論議を断ったのは、呂砲を含めた八人の中で、もっとも実戦経験が豊かな馬参だった。
「殿。軍師殿。それがしの考えにもお耳を拝借いただけませぬか?」
「篭城策。砦に依っての迎撃策。いずれを採ったとしても、我らは三倍の敵と相対することに変わりはござらぬ。これについては如何?」
馬参の問い掛けに、希代之が不承不承肯き、呂砲が「そりゃそうだ」と相づちを打った。
「仮に我らに10万の兵があったとしても、三倍の敵と戦えば敗北は必至。しかし幸いなことに、此度の三倍の敵は集結しているわけではありません」
「敵の分力をこちらの全力で討つ、だな」
狙いすましたように口を挟むのは、今回出撃の布陣から外された郭図公則。他人の話にちょっかいを出す癖は、今も昔も変わらない。
「敵正規軍の進行が想定される街道に、集中的に罠を仕掛けます」
馬参は不機嫌そうに郭図公則を睨んだが、この不埒者を無視することに決めたようだ。
「そして、罠にはまった敵が立ち往生しているところを、砦から出撃した我が軍の全力で叩く……敵正規軍は2部隊1万7500。決して勝てぬ相手ではないと存じますが」

「目から鱗が落ちる、とはこのことかと思いました」
行軍中の馬上で、吾玄が馬参に話し掛ける。
「敵の分力をこちらの全力で討つ……あ、すみません。これは副軍師殿の言でした」
謝る吾玄に、馬参は鷹揚に肯いた。
「戦場で30年以上過ごしていれば、誰でもそれ程度の知恵はつく。要は応用だ」
「私にも」
やや顔を上気させながら、吾玄は尋ねた。
「私にも馬参殿のような、武将としての知恵がつくのでしょうか?」

この時、吾玄は18歳になったばかり。一方の馬参は43歳。親と子ほどの年齢差がある。
呂砲軍配下の武将となって1年がたつが、吾玄の話し相手は、もっぱら年が近い廖衛と町費、そして同郷の袁奉(吾玄と同じ武官志向の廖衛は、ライバル関係でもあった)。
いかにも歴戦の将といった雰囲気の馬参は、若い吾玄にとって憧れの存在でもあったが、同時に話しかけにくい相手でもあった。何かと「いいか。俺の親父殿はだなぁ」と自慢気に口にする廖衛もいないことだし、初陣を前に、武将としての心得を是非とも聞いておきたかった。
だが、常日頃から寡黙な馬参は、ここでも素っ気無かった。
「生き残ればな」

「どうした、吾玄“将軍”! 背が曲がっとるぞ!」
賑やかに騒ぎながら、斑の芦毛馬にまたがった呂砲が吾玄を追い越していく。
しょげている吾玄は、それに応える気力も沸かなかった。
「ほっほー、悶えとる悶えとる!」
長江の対岸では、劉表軍総大将の呉巨の隊が、罠にかかって行軍不能となっている
呂砲が「雪風」と名づけた軍船上からも、その模様ははっきり見えた。
「上陸だ、上陸! 逆上陸! 腰抜け劉表の部下だ。切り応えもなかろうが、攻め込んできたからには生かしておけん! 一人残らず引っ捕らえい! ほれ、上陸だっつーの!」
興奮して、軍船の漕ぎ手たちをはやし立てる呂砲。
上陸一番槍を果たし、兵がついてくるのも待たずに、ドタドタと呉巨隊の方へと駆けて行く呂砲。
自分が率いるのは、わずか2000の兵に過ぎないことをすっかり忘れている。
呂砲の興奮は、もう一人の劉表軍武将・霍峻の重歩隊が現れたことで、頂点に達した。
「お前たちなどわしの敵ではないわ! 命が惜しくば、退け!」
調子に乗って、「大喝」を仕掛ける呂砲。
「ありゃ、効かんな」
当たり前だった。
「敵兵は思ったより度胸が据わっているようだな」
自己欺瞞か、本気でそう思っているのかは不明だった。

自分が置かれている状況を掴んでいない呂砲だったが、混乱状態から復活した呉巨の重騎隊11000が突っ込んでくると、さすがに慌てた。
「い、いかん! 全軍わしを守れ!」
だが、兵たちの動きは遅い。
仮に速かったとしても、2000対11000では、分が悪いにもほどがあった。
戦死者は500人程度だったが、戦闘不能な負傷者が800人。
呂砲隊、残り693人。
「ば……馬参! 吾玄! 助けてくれえ!」
特技「医術」を使う暇も、そもそも自分が特技「医術」を持っていることを思い出す暇もなかった。
続けざまに攻め立ててきた霍峻の攻撃は、あっさりと呂砲を飲み込んだ。

 「呂砲が霍峻に捕らえられました」

呂砲の戦さ下手を示すエピソードは数多いが、この永安防衛戦はその最初の例となった。(終わり)
590長史:03/02/20 02:01
>541
ふぅ、ご命令とあれば進めざるをえないな。
・・・ん?陛下の為に金をガンガン使え?
ふむこれは使えるな。

皇帝陛下のご命令にて宮殿の造営を進める。
その為一時的な増税を行うとの布告を出せ。
それと宮殿の規模を予定より大きくするのだ。
皇帝陛下直々の命だ。民の声など気にする必要はない。
それと、殿下はこの事に反対してるとの噂を流すのを忘れないようにな。

荘厳な受禅台を建設していると思えば良い訳だ。
しかも怨嗟を劉協に向け、殿下の名声を高める。
まさに一石三鳥の策だな。
現行のスタイルへのリニューアル面白いです。
しかし、こうして読むとよく勝てましたな本当に。
>>呂砲殿下
リニューアル版いいですね。
なんか懐かしいです。

593廖衛 ◆ttmECRHBeQ :03/02/21 17:33
や、やっと来れた・・・。殿下、遅くなって申し訳ありませぬ。
見たところ漢の復興を目指すそうでございますな・・・?
私は殿下の臣、異議を申し立てる気はございませぬ。
殿下の決定には従う所存にございます。
(ふん・・・、皇帝め弱輩かと思えば中々の器を持っているようだな・・・。
だがもう遅い、もはや漢の命脈は尽きたのだ。
しかしあの文官め、なんと言う態度だ。しかも軍師殿を見る目が
異様によそよそし過ぎる。まさか初対面ではないのか?)

>廖影殿・主簿殿
此度の戦において、私の軽挙を押し止めた功と、戦場での功により
廖影殿を将軍府督前部先鋒に任じ、主簿殿(名前どうする?)を
将軍府中軍師に昇格させる。これからも私を助けて欲しい、頼むぞ。

>571殿
弁護ありがたく存ずる。すみません、学校でも書けなくなって、ネットカフェで書いてます。
本当なら先々週に来てたのに。

>郭図公則殿
今来たよ。

(以下、今回のネタ)
・・・此度の戦・・・、勝つ為とはいえ、無抵抗の人間を多大に殺してしまった・・・。
私は治世には向かぬ人間かも知れぬ・・・。
秦の白起将軍も私と同じように夜も眠れぬ日々が続いたと言うが・・・。
・・・軍師殿・・・。貴方は平気でいられるのですか・・・?
594無名武将@お腹せっぷく:03/02/21 17:44
保守
595池田屋:03/02/22 23:41
>590
厄介なお客が去ったと思ったら今度は増税?!
何が宮殿だ!そんなに宮殿に住みたければ自分で勝手にやってくれ!!

全く勘弁して欲しいよ。
596いつぞやの占い師:03/02/22 23:47
どこからともなく現れた老人が廖衛に声をかけた

廖衛殿・・・・
廖衛殿・・・・・・・・
己の行く末についてお悩みかな?
なんなら戦が無くなった暁にはこのジジイとともに師の元で仙道の修行をなされてはいかがかな?
古の張良もそうしたと聞きますぞ
猟犬は獲物が無くなれば捨て去られるが定め
その時の為にも今から身の振り方を考えておきなされ

廖衛は声がした方を振り向いたが既に老人は消え去っていた
597孫策:03/02/23 02:59
涼賊が漢帝を手中に収めたか…曹魏も堕ちたものだ。
もっとも、まったく他人の事は言えないのだがな。

…間諜を以って涼を乱せ、と?
公瑾、お前も先の一戦を見た者であろう。
下手な小細工はかえって逆の効果を生む。
間者には諜報に専念させよ。
…何が御意だ、俺がこう返答する事など判っていたくせに。

行くぞ公瑾、調練を視察する。
戦いは、そう遠くはない。
598郭図公則 ◆2getuRmEIU :03/02/23 13:23
トリップ変更報告

>>595
酷いな………
太守に申し出れば軍の兵糧を拠出するとふれを出せ

長 史 が 帝 の 手 先 だ と は 知 ら な か っ た
>>590長史殿
( ̄ー ̄)b

>>591>>592
あの頃はまだ、某人の話に口を挟むのが大好き男以外、七同志のキャラが掴めていなかったんですな。
だから報告形式で、と。
じゃ今は全員のキャラ掴んでんのかと言われたら………

∧_∧   
( ´・ω・) まあ、そういうことは気になさらず、茶でもどうぞ。
( つ旦O ∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬
と_)_) 旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦

>>593廖衛殿
何はともあれ、ネタ多謝。
期末試験時期なのかな、とか思ってた。
自分が高校生だったのは10年以上前なので、いつ期末試験やるのか覚えとらんのだが。

>>595池田屋殿
今後も洛陽、そして涼の経済事情の報告ヨロ。

>>597孫策殿
>戦いは、そう遠くはない。
その通り。
でも………まさかこんなことになるなんて。

>>598郭図公則殿
どんどん長史殿とやりあったもれ。
ニュースの時間です。
スレ本文担当の涼王殿下が、書き込み直前だった本文の大半を消去していたことがKINの取材でわかりました。
涼王殿下は消去直後、ショックで椅子ごと後方に転倒し、肩などを強く打ちましたが、命に別状はありませんでした。
許昌地方検察庁は、公文書消去の容疑で涼王殿下に対する在宅起訴を検討しましたが、「故意ではなく、消去分補填の努力は遂行されている」として、今回の起訴を見送りました。
涼の侵攻に晒されている魏と呉は、この処分を不服とし、許昌検察審査会に再審請求を行う方針です。
一方、涼と一度も戦闘になったことのない燕は、見舞いの使者と湿布30年分を涼に贈るなど、外交に配慮した動きを見せています。

許昌地検の調べによりますと、涼王殿下は22日深夜、許昌の自宅で「波紋」編の編纂にあたっていたところ、持病の荒藻之藻垣帯病を発症。
文章量が一気に増えたため、1回での書き込み完了を予定していた「波紋」編を、上下2回構成に変更することを急遽決定しました。
これに伴い、整理しやすいよう他のアンダンテへのコピー作業を行いましたが、「名前を付けて保存」と選択するところで、誤って「上書き」をクリックし、第二軍に関する記述を除くすべての文章を消去した、とのことです。
スレ進行に関する涼王殿下の失態は、赤壁の戦い書き込み直後にゲームのセーブデータを誤って消去し、同戦役を再びやり直して以来、二度目となります。

涼王殿下はKINの取材に対し、「ノーコメット。コメットとは『彗星』。すなわち、『ノーコメット』イコール『イヤ彗星』。いやすいせい。いやすぃーせー。いやしいせい。卑しいぜ。おまえらマスコミは卑しいぜ」と語りました。

荒藻之藻垣帯病は、あらゆるものを書き加えたくなる神経性の病気で、発病すると、書き手の文章が異様に長文化するなどの症状が表れます。
発症患者には、日ごろ短い文章を書くことを強制されている人が多く、根本的な治療法は見つかっていません。

なおKINは、文章消去直後に錯乱状態となっている、涼王殿下の映像を入手しました。
映像をご覧ください。

            。。
   。     。 +   ヽヽ
゜ 。・ 。 +゜  。・゚ (;゚´дフ。 ニシュウカンブンノカキコミガ……
            ノ( /
              / >


以上、ニュースをお送りしました。













雑兵「このあとは!」
長史「『波紋』前編」
呂砲「今日のテーマは『確執』」 (ノД`)シクシク
翻陽・酒楼。
袁奉隊の兵士が、酒を舐めながら語っている。
「陛下から甲冑を賜るとは……よくやったものよ」
「しかし、納得できんな。七同志の中で殿の戦功は、馬参将軍に次ぐ第二位。軍師殿や廖衛将軍、それに同じ三品官の町費将軍よりも上なんだぞ」
「仕方あるまい。それが第一軍武将としての恩恵ということだ」
「おまえ、それでいいのか? 吾玄将軍の要請がなかったなら、殿は第一軍に所属したままだった。陛下から甲冑をいただけたはずなのだぞ」
「言っても詮無きことだ。第二軍武将として目覚しい働きを続けていれば、いずれ殿や我らにもいい目が来るさ」
そのやり取りを隣りの卓で聞いていた男がいる。
商人風のその男は、スッと立ち上がると、別の卓を囲んでいる兵たちのもとへ近寄っていった。

「兄さんたち。ちょっと耳寄りな話を仕入れたんだが、同席していいかい?」
商人風の男が声をかけたのは、吾玄隊の兵たち。
兵A「あん? なんだい?」
兵B「楽しく酒が飲めるような話なら歓迎するぜ」
兵C「話せー飲めー!」
「吾玄将軍が袁奉将軍を招聘したりしなければ、袁奉将軍も恩寵の甲冑をもらえたのに、ってさ」
商人風の男は、たった今耳にした袁奉隊兵士の愚痴を、尾鰭をつけて耳打ちした。
「それと袁奉将軍は三品官で、吾玄将軍は四品官だろ。副将の立場に甘んじてはいるが、本当は袁奉将軍の方が格上なんだ、とか言ってたぜ」
兵士たちの反応は、微笑ましいほど素直なものだった。
兵A「副将風情が殿より格上だとー!」
兵B「ふてえやろうだ! 締めてやる!」
兵C「喧嘩だー喧嘩だー!」

「水軍大都督をなめんじゃねーぞ!」と袁奉隊兵士。
「うるせー! こちとら揚州二軍司令様でい!」と吾玄隊兵士。
大乱闘となった酒楼を、人知れず後にする商人風の男。
吾玄と袁奉の離間を果たすべく、郭図公則が派遣した細作だった。
翻陽・第二軍本営。
吾玄隊と袁奉隊の兵たちの喧嘩は、双方のストレス発散と、店内を壊された店主の悲嘆で幕を閉じた。
「まったく、今は共通の敵に向かって協調し合っていくべき時であるのに……」
苦虫を潰したような袁奉に対し、吾玄は笑ってみせる。
「連中にしてみれば、ちょっとした息抜きみたいなものなんだろう。私の兵など、実にふざけたことを言っていたぞ」
「ふざけたこと?」
「戦さに備え、個人技の練習を袁奉隊の連中とやっていました、だと」
吾玄の言葉に、袁奉は思わず吹き出した。

「処分はどうする? 軍団長たるおぬしが処理すべき問題だが?」
「二、三日営倉に叩き込んでおけばよかろう」
「うん。それが妥当だな」
つきあいの長い武将の、くだけた会話。
事情を知らぬ者にはそう見える。
実際、袁奉はそのつもりだった。
酒を通じてのイザコザなど、兵の間では日常茶飯事だし、たいした怪我人もなし。深刻になる必要もなかった。
もっとも、もし死人でも出ていたら、かなり面倒な事態になっていただろう。
軍団長たる吾玄には、軍令違反者を死刑にできる「仮節」の権が与えられている。
仮に吾玄隊の兵が死亡し、その咎で袁奉隊の兵が死刑となったら。
いや、たとえ逆のパターンであっても、相当な禍根となっていたはずだ。
とにかく今の袁奉は、そんな事態にならなかったことに安堵していた。

一方の吾玄は、笑顔の下の葛藤を懸命に隠している。
今、自分の目の前で笑っている戦友が、自分の地位を狙っている。
そんな情報や噂が、様々な形で吾玄の耳に入ってくるようになって一月余り。
最初は一笑に付していても、繰り返し聞かされれば、やがて疑念を抱くようになる。
それは善悪の問題ではなく、人間なら誰もが持つ弱さであり、そして吾玄は人間だった。
一月余りという時間は、「そんな馬鹿な」が「まさか」へ、そして「まさか」が「あるいは」へと変わっていくのに、短すぎるというものでもない。
「……あえずは一安心だな」
上の空になりかけていた吾玄は、袁奉の言葉を聞き逃した。
「ん? すまん、何だって?」
慌てて問い直す吾玄だったが、袁奉は特に気分を害した風もなく、繰り返した。
「殿下の漢朝復興宣言だ。これで一安心だと思わんか。漢にとっても。そして涼にとっても」
「ああ、そのことか」
その話について、吾玄はあまり関心がなかった。
「私の望みは中華の安寧のみ。それ以上でもそれ以下でもない。この世から戦さがなくなりさえすれば、天が蒼色だろうが黄色だろうが構わんよ」
「まったく、おぬしも変わったな」
袁奉は笑った。
「殿下の元へ馳せ参じるよう、わしをけしかけた頃のおぬしは、武で天下に名を轟かすと息巻いておったが……今では戦さを無くすために、戦さに励む武将だ」
「戦さで苦しむのは、弱い民百姓だ。平和な益州にいたころは、考えもしなかったが」
「民の間では評判になっているぞ。『戦さ嫌いの軍団長様』とな」
そう言って、袁奉は再び笑った。
一方の吾玄は、袁奉の口から出た「軍団長」という単語のせいで、作り笑いを浮かべることしかできなかった。

翻陽とともに東呉と国境を接している、涼領・江夏。
ここから第二軍本営に急使がもたらされたのは、吾玄と袁奉が語らった数日後のことだった。
送り主は、江夏太守の呉巨。

書状を読んでいた吾玄の手が、やがてブルブルと振るえ始めた。
控えている袁奉や軍師の黄権、張任ら、第二軍武将が見つめる中、吾玄は堪えきれなくなったように声を張り上げた。
「な……なんだ、これは! どういうことだ! 呉巨は一体何を考えている!」
吾玄は完全に我を失っていた。
書状を床に叩き付け、呉巨の使者を思い切り蹴飛ばすと、そのまま本営から飛び出していく。
袁奉らが制止する暇もなかった。

突然の成り行きに、しばし呆然としていた第二軍武将。
誰も声すら出せぬ中、袁奉が書状を拾い上げた。
いぶかしみながら、サッと斜め読みで目を通す。
概略はすぐにわかったが、呉巨が何を考えているのかということは、吾玄同様、袁奉にもわからなかった。

  孫賊を廬江より駆逐すべく、江夏軍は精鋭8万をもって進軍する
  ついては戦勝を涼王殿下に捧げるべく、第二軍団長殿に増援軍の派遣を請う

書状には、江夏軍の出撃日も書いてある。
今日から三日前の日付け。
江夏軍は、今から伝令を送っても間に合わない地点まで進軍しているはずだった。
「援軍は出さぬ!」
黄権になだめられて本営に戻ってきた吾玄だったが、怒りは収まっていなかった。
「孫呉征伐は、殿下が我が第二軍にお下しになられた任務だぞ! 江夏軍は討って出ることを禁じられた守備隊ではないか! 巧妙欲しさに勝手に軍を動かす輩に、増援など送れるか!」
「そうは申されても、友軍には違いありません」
若干青褪めた顔ながら、黄権は吾玄を説得する。
「書状には精鋭8万とありますが、実際江夏には、4万程度の兵しかいないはずです。単独で廬江に攻め入れば、確実に呉軍に撃退されます」
「知ったことか!」
吾玄は本気で言っていた。

吾玄がこれほど怒るのも、当然のことだった。
涼の攻略戦は、軍団―許昌の第一軍、上党の第三軍、そして翻陽の第二軍―が実施する。
言い方を変えれば、この三個軍団以外に攻略戦の実施は許されておらず、七同志である郭図公則が太守の洛陽ですら、侵攻を受けての防衛戦しかできないのだ。
江夏軍の侵攻は、単なる軍令違反に留まるものではなかった。
揚州方面司令官たる吾玄に、何の事前協議もないままの進軍であり、それはすなわち、吾玄の面目を完全に潰す行為にほかならない。

そして、呉巨は確信犯だった。
呉巨が出陣したのは、増援を求める使者が翻陽に到着する三日前。
吾玄が進軍中止の伝令ではなく、増援を出さざるを得ない状況を作るという、明白な意図に基づくものだった。
以上だけでも、吾玄が呉巨を憎む理由としては十分だったが、さらにもう一つ、吾玄が呉巨を許せない理由があった。
個人的な問題ではあったが。

吾玄は呉を憎んでいる。戦さを憎む以上に。
呉領全てを蹂躪すると誓った吾玄にとって、呉巨の突出は到底許せるものではなかった。
首を縦に振らない吾玄に対し、袁奉も説得にかかった。
「ここは援軍を出さざるを得まい」
吾玄は、キッと袁奉を睨み付けた。
その目は、「黄権のみならず、おぬしまで言うのか」と、袁奉を激しくなじっている。
「江夏軍がやられれば、呉を勢い付かせることになる。そしてそれは」
袁奉は注意深く言葉を選びながら、語り続けた。
「江夏軍の消耗と、呉軍の江夏への逆侵攻にもつながり得る。そうなれば収拾がつかんぞ。我が第二軍も、抹陵攻めどころではなくなる」
だが、吾玄は袁奉の説得に感銘した様子はまったく見せなかった。
「呉の心臓は抹陵だ!」
吾玄は卓を叩いて怒鳴った。
「抹陵さえ陥とせば、支軍など脅威ではない! 勝手に立ち枯れるわ!」
「そうはいかんだろう」
辛抱強く、袁奉は状況を説く。
「荊州には、ほとんど兵がいないではないか」

先の翻陽の戦役で大損害を受けた第二軍は、荊州の各都市から兵を集め、なんとか軍の再編に成功した。
ただその結果として、荊州の各都市は、刈り取り放題の草場となっている。

感情に訴えることなく、袁奉はあくまでも現実的視点から吾玄を説得する。
「江夏を抜かれれば、呉軍は好き勝手に荊州を蹂躪するだろう。そのまま襄陽当たりに拠点を移すことだってあり得る。そうなれば、揚州を制圧したところで、意味はなくなるぞ」
「そうなったなら、それは呉巨の責任だ。自分の尻拭いは自分でやれと言ってやる!」
「四則殿。おぬしは対孫呉の司令官ではないか。江夏もまた、おぬしの管轄だぞ」
「おう、そうだとも! 私の管轄だ! つまり、呉巨は私の部下ということだ! にもかかわらず、私に一言の相談もなく、勝手に軍を動かした! あんなやつなど知ったことか!」
援軍を出すべきだ。いや、出さぬ。
議論には、張任や厳顔ら他の武将も加わった。
「増援軍を出すべきと存ずる」
そう主張したのは、第二軍武将の中でもっとも規律の遵守を尊ぶ男、張任。
「呉巨の勝手な進軍は、確かに厳罰に処すべき問題だ。しかし」
増援軍の派遣は、それとは次元の異なる問題。そう張任は強調した。
「抹陵攻めは目前なのだぞ」
派遣に反対するのは、老将・厳顔。
「第二軍には、呉の拠点を攻め落とすという極めて重要な任務がある。ようやく再編した兵を、廬江ごとき痩せた都市ひとつのために損なうわけにはいかん」
「しかし御老人」
「わしを年寄り呼ばわりするな!」
「申し訳ござらん。しかし厳顔殿、もし江夏軍が敗れ、調子に乗った孫呉が荊州に乗り込んだら、それこそ目も当てられませんぞ」
「呉巨とて、その程度のことはわかっていよう。にもかかわらず軍を動かした。それなりの勝算があるということだ」
「勝算と厳顔殿はおっしゃるが、呉巨はまさしく、翻陽からの増援を勝算に含めて出兵しているのですぞ」
「それはおぬしの推測だろう」
「呉巨は使者がここに到着する日にちを逆算して、軍を出している。それが何よりの証左でしょう」
「証左なものか。そういうのを推測というのだ」
「廬江がどれだけの兵を有しているかご存知か? 6万ですぞ。それに抹陵からの援軍もあるでしょう。4万の江夏軍だけで勝てるわけがない」
「何か策があるのだ。そこまで呉巨も愚か者ではあるまい」
「だから! 第二軍の増援こそが、呉巨の策だということがおわかりになりませんか!」

増援軍を出すのなら、一刻も早く動くべきだった。
さもないと、劣勢の江夏軍は簡単に撃破され、遅れた増援軍も各個攻撃の憂き目に遭う。
だが、結論はなかなか出なかった。
増援の可否について、第二軍は完全に分列していた。

出兵派:袁奉、黄権、張任、呉懿、呉蘭
非出兵派:吾玄、厳顔、雷胴、孟達
議論は加熱していく。
最初から頭に血が上っていた吾玄は、さらに熱くなった。
そして、何とか理詰めで話を進めようとしていた袁奉もまた、熱くなっていった。

「話にならん!」
堂々巡りも三巡目となったところで、とうとう袁奉が切れた。
「四則殿は戦略というものをまったく解しておらぬ!」
「おう、よく言った!」
怒り狂った目をさらに釣り上げ、吾玄は憤然と立ち上がった。
「そんなに呉巨が心配なら、勝手に増援でもなんでもすればよい!」
袁奉も立ち上がった。
卓を挟んで、二人は激しい言葉をぶつけ合う。
「話を摩り替えるな! 誰が呉巨の身など案じるか! わしが心配しているのは、江夏軍の敗北と、その後に起こる揚・荊州の混乱だ!」
「何度言えばわかる! そうなったら呉巨に責任を取らせると言っている!」
「呉巨などの首を切っても、混乱は収まらん!」
「誰が切ると言った! やつに火消しをさせると言っているのだ!」
「やつにさようなことができるものか!」
「できるという自信があるからこそ、勝手に軍を動かしたのだろうよ! お手並み拝見、それで良い!」
「もし荊州を呉軍に蹂躪されたら、殿下に何と申し開きするつもりだ! 責めはおぬしにふりかかるのだぞ!」
「どうしてわしの責任になる! すべての責は呉巨にある! 明白ではないか!」
「おぬしは対呉方面の司令官ではないか! 軍団長ではないか! なぜそんな無責任なことが言えるのだ!」
「軍団……長……だと?」

吾玄がここまで感情を爆発させたのは、斐妹の死以来のことだった。
そして、袁奉が口にしたその単語は、昂ぶっていた吾玄の精神を、強く、激しく刺激した。
「軍団……長……だと?」
吾玄は繰り返した。
「自分が軍団長なら、すぐにでも増援を出す、というわけだな」
熱くなり切っているはずの吾玄だったが、その口調は急に低くなった。
不気味な豹変振りに、袁奉も他の武将たちも、一様に動きを停止させた。
「おぬしに何がわかるものか」
吾玄の目に浮かんでいるのは、怒り。
そして、これから大切なものを失おうとしている、そのことへの哀しみ。
吾玄はわかっていた。
これを口にしたらおしまいだ、と。
だが、もはや引っ込めることができないということも、吾玄は知っていた。
「軍団長という地位には、責任と重圧が伴うのだぞ………軍団長なりたさに、コソコソ動いているだけのおぬしに、何がわかるものか」
むしろつぶやくような声だった。
しかし、場は凍り付いた。

袁奉は最初、吾玄の言葉の意味がわからなかった。
軍団長なりたさに、コソコソ動いている?
何のことだ?
吾玄は何を言っているのだ?

不意に、以前水兵隊長が自分に告げた、「悪い噂」のことを思い出した。
吾玄の言葉の意味に気付いた袁奉は、全身の毛が逆立った。
ち、違う! 誤解だ!
そう言いたかったし、言おうとした。
しかし、吾玄が言葉を発する方が早かった。
「第二軍は私の軍だ。そんなに軍団長になりたいのなら、上党へ行け
袁奉を見すえる吾玄の目は、古くからの戦友を見るそれではなかった。
「私はコソコソ謀事を巡らす輩は好きではないが、同郷の誼もある。投票については、考えてやってもよい」
絆が切れた瞬間だった。
最初は、取るに足らないすれ違い。
だが、「悪い噂」は徐々に吾玄を虫食んでいた。
そんな折りに起こった呉巨の暴走は、吾玄の面子を完全に潰し、同時に我を忘れるほどの怒りをもたらした。
不幸なことに吾玄の怒りは、正論であるはずの袁奉の意見をはねつけるほど強く、激しかった。
そして、袁奉の口から出てきた「軍団長」という単語。
単なる話の流れから出たに過ぎない単語だったが、それを聞き流すには、この時の吾玄の心は、余りにも昂ぶり過ぎていた。

外へ向かって歩き出す吾玄。
雷胴らが慌てて道を開ける。
背中に、男たちの視線を感じる。
その視線の中に、袁奉のそれはあるのだろうか?
袁奉は、今、自分の背中を見ているのだろうか?
(到越殿!)
吾玄は心の中で叫ぶ。
(私を呼び止めてくれ! 今すぐ!)
そうすれば、すぐに謝る。必ずそうする。
吾玄とて、自分が謝るべきだということは、十分に承知していた。
だが、吾玄は歩き出してしまっていた。
意地が邪魔をして、どうしても自分から立ち止まることができなかった。
意地もプライドも捨てなければならない時。人間にはそういう時が必ずある。
今がまさにそうだった。
だが、それを実行するには、吾玄は若すぎた。
自分が袁奉より年下であるが故の、甘えもあったのかもしれない。
(早く!……到越殿、早く!)
駄々をこねる子供のように、吾玄は叫んでいる。
ただし、心の中で。
軍議の間の出口に差し掛かったが、袁奉の声はない。
吾玄は軍議の間から退出した。
歩く。ことさらゆっくりと。
だが、背後から彼を呼び止める声は、ついになかった。
軍師・黄権の「自分が責任を負う」という言葉で、増援軍を廬江へ送ることが決定された。
軍を構成するのは、袁奉、張任、呉懿、呉蘭の四将。
増援に反対した厳顔、孟達、雷胴は、出撃を拒否した。

大急ぎで部隊の編制が行われたが、兵の招集、武具の用意、兵糧の調達など、すぐに終わるものではない。
「最低限で良い。不完全でもかまわん」
そんな指示の元での突貫作業が完了したのは、派遣が決定してから2日後のこと。
驚異的な早さではあったが、袁奉らにとっては身悶えするような2日間だった。
「とにかく、急いでいただきたい」
出撃準備なった袁奉らに対し、黄権は真剣な表情で告げた。
「兵糧の不足分は、必ず私が何とかする」
返事をする時間も惜しく、袁奉は「頼みます」とだけ答えた。
増援軍の派遣を黙認する形となっていた吾玄が、慌ただしく出撃する袁奉らを見送ることはなかった。

@呂砲プレー中
 ゲゲ! 江夏の軍が勝手に廬江に侵攻しやがった! 翻陽から増援が出てる!
 もしも負けて、吾玄やら袁奉やらが孫策配下になったら、シャレになんねーぞ。
 そういや江夏は、襄陽のCPUが勝手に攻めたところだったな。クソ、太守は誰だ?
 ……おお、勝ったか。良かった。非常に良かった。
 ハッ!………コレッテネタニツカエマセンカ?(∀)

捕虜を検分する天幕で、袁奉らは呉巨と対面した。
「おお、袁奉殿!」
満面の笑みを浮かべて、呉巨が近寄ってくる。
「さすがは精鋭揃いの第二軍ですな! この呉巨、貴殿らの御助力は………」
江夏軍の兵たちがいた。
捕虜となった呉軍の将たちもいた。
だが、知ったことではなかった。
何も言わずに袁奉は、呉巨の顔面に己の拳をめり込ませた。

【登用武将】賈華、張紘
帰陣した袁奉ら廬江増援軍を、翻陽に残っていた兵たちが出迎えた。
少なからず問題の残る出兵ではあったが、「凱旋」といっても間違いではない。
にもかかわらず、迎える兵たちから、歓喜の声は上がらなかった。
「生きて帰ってきたか。良かった良かった」
顔なじみの兵が、そう語り掛ける程度であり、しかもそれすら、周囲を憚るような小声で交わされていた。

袁奉隊が吾玄隊の前を通り過ぎた時、「静かな凱旋」は破られた。
「なんでえ、おまえら帰ってきたのかよ!」
いきなり上がったヤジに、誰もがビクリと肩を揺らせた。
「廬江で第四軍を編成するんじゃなかったのかい!」
袁奉隊の間から、殺気が沸き上がった。
普段冷静な水兵隊長ですら、馬首をヤジの方向に向けようとしている。
「やめんか!」
袁奉の一喝で、踏み込む寸前だった兵の足が止まった。
ほんの少しでもタイミングが遅れていれば、そのまま切り込んでいたのは間違いなかった。

吾玄隊の兵たちは、逆にこれで勢いづいた。
軍団長でない袁奉に、兵を切る権利「節」はない。
逆に袁奉が吾玄隊の兵を切れば、吾玄によって処罰される。
それを心得ているのか、ヤジはいっそう大きくなった。
袁奉隊を中心とする廬江増援軍の兵たちは、歯を食いしばりながら、「凱旋行進」を続けるしかなかった。

第二軍団長・吾玄。そして第二軍副将・袁奉。
車の両輪たる二人の確執は、既に全軍の知るところとなっている。
そして、廬江への増援を支持した者と、必要なしと反対した者の間にも、確執が生じていることも。
ささやかな噂として流れていた第二軍内の不和は、単なる噂から事実へと変貌を遂げた。
第二軍本営。
厳顔も、孟達も、雷胴も、そして吾玄も、そこにはいなかった。
戻ってきた袁奉らを迎えたのは、軍師の黄権ただ一人。
「廬江増援の任、無事完了とのこと。本当にお疲れ様でした」
黄権の顔は、大きくやつれていた。
不足していた兵糧の手配は、決して簡単なものではなかったはずだ。
食糧庫に貯えられている膨大な兵糧は、すべて抹陵攻略戦のためのもの。
廬江への転用など、吾玄が許すわけもなかった。
黄権の苦労は、兵糧の調達だけではなかった。
袁奉らが廬江で戦っている間、吾玄と袁奉の確執を除くべく、懸命に奔走していたのだ。
ただ、その結果については、黄権の顔を見れば誰にでもわかる。
「軍師殿」
それでも一縷の望みをもって、袁奉は問い掛けた。
「その後、軍内の状況は?」
黄権は目を伏せた。
そして、ゆっくり首を横に振った。

「どういうことだ!」
とうとう呉蘭が怒りを爆発させた。
「我らは友軍の増援として出陣したのだぞ! そして、その任を見事に果たした!……なのになぜ、このような仕打ちを受けねばならんのだ!」
「蘭、言うな」
呉懿が甥を制する。
その顔には、疲労感と徒労感がない交ぜになっている。
呉蘭は乱暴に椅子に腰を下ろしたが、何も言い返さなかった。

全員がグッタリと椅子に座ったところで、黄権が口を開いた。
「貴殿らが廬江で戦っている間、抹陵で動きがありました」
「なに?」
疲れていたが、黄権から告げられた「抹陵」という地名に、袁奉らはすぐに反応した。
「広陵の魏軍が抹陵に侵攻しました」
黄権の表情は硬い。
「孫策は呉に退却しております。なお、魏領・抹陵太守は、夏侯淳です」
吾玄邸。
自室の揚州地図を見下ろしながら、吾玄は眉間にしわを寄せている。
広陵魏軍の抹陵侵攻。そして制圧。
正直なところ、想定外の状況だった。
孫策にしてみれば、悪夢以外の何物でもなかっただろう。
敵勢力と接している二つの領有都市に、ほとんど同時に涼と魏が攻め込んできたのだから。
これにより孫策は、呉と会稽という小都市に閉じ込められる形となった。
「小覇王」と称された孫策の命運は、この時点で実質的に潰えている。

今の状況は、吾玄にとって喜ばしいものではなかった。
これまで韓や呉と戦いを繰り広げてきた第二軍は、魏と対峙するのはこれが初めてとなる。
もっとも、いずれ魏と戦端を開くことはわかりきっていたから、それ自体に懸念はない。
吾玄が憂いているのは、孫策を呉と会稽に閉じ込め、蓋をしているのが、自分ではなく夏侯惇である、ということ。
今の孫策を壊滅させるなど、魏にしてみれば、鼻歌交じりでできる任務に違いない。
(すぐに抹陵攻略に出るしかないな)
地図を睨み、吾玄はそう心中でつぶやく。
孫策は、自分の手で斬る。
そう誓う吾玄にとって、抹陵はすぐにでも魏から奪い取るべき都市だった。

黙思を続けている吾玄に、家令が遠慮がちに話しかけてきた。
「庭に投げ込まれておりました」
そう言って家令が手渡した封書は、吾玄宛となっている。
差出人の名は、ない。

  第二軍副将袁奉、廬江解放後、増援軍諸将と歓談
  曰く、第四軍設立の折りは、貴公らを我が幕僚に迎えん、と
  諸将ら答えて曰く、第二軍団長にふさわしきは、一人袁将軍なり、と

吾玄は黙って書状を読み返した。
この時、吾玄が考えていたのは、どのようにして袁奉との関係を修復するか、ということではなかった。
第二軍が分裂した状況下で、どのようにして夏侯惇を打ち破るか。
存念はそれだった。
袁奉邸。
「さすがに今回はくたびれたな」
自邸に戻った袁奉は、最後まで控えていた水兵隊長に笑いかけた。
「呉巨のやつもこれで懲りただろう。部下や捕虜の前で殴られたのだからな」
水兵隊長は笑みを返さなかったが、かまわず袁奉は、陽気に振る舞い続ける。
「おかげでわしも気が晴れたわ……うん、スーッとした」
余りにも痛々しい袁奉の独り言だった。

追笑することなく表情を消していた水兵隊長は、ここで意を決したように告げた。
「殿……ここは我らが居るべき場所ではない、と存じます」
今日は耐えた兵たちも、明日はどうなるかわからない。
もし再び騒動が起こったなら、今度は酒楼の喧嘩程度では済むまい。
ここで切り上げるべきだった。最悪の事態―涼軍の同士討ち―となる前に。
「第一軍へ帰りましょう」
水兵隊長の声は、なだめるようなものになっている。

袁奉は、水兵隊長の意見に直接答えることはしなかった。
「夏侯惇が抹陵を制圧した」
「存じております」
はぐらかされているような気もしたが、水兵隊長の応答は静かだった。
ただでさえ袁奉は、深い心労を抱えている。きつく問い詰めることなど、できなかった。
「理由は知らぬが、四則殿は孫策を憎んでいる。尋常でないほどにな。だがこのままでは、孫策の首を夏侯惇に取られるから……近日中に抹陵攻めが発動されるだろう」
「廬江への増援部隊は、今日戻ったばかりですが?」
「それでも、やる。四則殿ならな」
袁奉は断言した。吾玄の性格は知り尽くしている。
「とりあえず抹陵を陥とすまでは、第二軍の副将として戦おう。わしの身の振り方を決めるのは、それからでもよい」

差出人不明の投げ込み文は、袁奉邸にも届いていた。
勝手に廬江へ向かった袁奉らを、吾玄が強く批判している、という内容だった。
袁奉は乾いた笑いを浮かべた。
どうにでもなれ。
そんな気分になっている。
宿屋。
商人風の男が、筆を走らせている。
送り先は、洛陽。
内容は、呉巨の突出に端を発した第二軍の確執。
書いているこの男は、言うまでもなく、郭図公則配下の草。

呉巨の廬江攻略は、予測通り吾玄の自尊心をズタズタに切り裂いた。
これで第二軍内に何らかの亀裂が生じるだろう、とは考えていたが、あそこまで確執が深まるとは予想外だった。
吾玄派と袁奉派に分裂している今の第二軍は、いつ同士討ちが起こってもおかしくない状況となっている。
今日、吾玄邸と袁奉邸に投げ込んだ書状は、二人の亀裂をさらに深くしていることだろう。
(それにしても、ここまで事が大きくなるとはな)
自分の蒔いた種が、予期せぬほどの影響をもたらしていることに、草は愕然としていた。
郭図公則配下の名目で呉巨に面会し、廬江侵攻をそそのかしたのは、ほかならぬこの男だった。

(だが……)
計が成功した喜びよりも、釈然としない気持ちの方が先に立つ。
(俺はいったい、何をしているのだ?)
吾玄と袁奉の離間をなせ。
細作頭から受けた命令はこれだけであり、その目的については、一切知らされていない。
友軍相手にこのような陰湿な計を仕掛けるなど、的外れも甚だしいとしか思えなかった。
自分は確かに、洛陽太守・郭図公則配下の細作だ。
だが同時に、涼の録を食む者でもある。
上司の命令が絶対であることは承知しているが、自分がやっていることは、涼にしてみれば明らかに利敵行為だった。
(俺はいったい、何をしているのだ?)
もう一度、同じ思考が頭をよぎる。
しかし、答えは出てこなかった。


※次回、「波紋・後編」
618第二軍兵士:03/02/25 11:44
「袁奉派が5人で吾玄派が4人か」
「増援に関してはそうだったが、黄権様が吾玄様と対決する道を選ぶかな?」
「てことは、袁奉派4人に吾玄派5人?」
「うーん。どう転ぶことやら」
「なんか派閥争いの数合わせみたいだが」
「実際のところ…同士討ちってあるかな?」
「吾玄様も袁奉様もトサカに来てるみたいだからな」
「やれやれ…こんなんで、夏侯惇に勝てるのかよ」
619315番目の草:03/02/26 07:33
第二軍団がこれほどまでに揺らぐとは…
涼の進攻にまで影響が出ては本末転倒なのだが。

こうなっては呉巨の面会に郭図公則様の名を出したのは失敗かもしれぬ。
公になれば第二軍だけでなく涼王にも排されよう。
第二軍団も俺の行く末も天のみぞ知るということか…ハッまた声が(゚ Д゚ ;)

>>呂砲様
感激しました!好きに使ってやってください。
620希代之副官:03/02/27 02:21
(軍師邸にて)
は。呉巨様から讒訴の書状、でございますか?
なるほど、きたない字だな・・・武功を挙げたのに袁奉様に衆前で辱められたと。袁奉様に?
いやこれは、どうにも腑に落ちません。何かの間違いでございましょう。

しかし讒言は早めに封じないと厄介かも知れませんな。彼は前線の太守ですし。
621見習忍者:03/02/28 02:38
楔を打つ事には成功したな。
他の部隊にも伝達し、より複雑に絡み合ってもらうとしよう。
しかし、この様子だと吾玄将軍の方が取りこみ易いかもしれんな。
そう言えば例の呉の女を始末したのは軍師殿だったな。
これを絡めると吾玄将軍の反応は面白いものになりそうだ。

あとは呉巨の処分だな。
彼の役目をもう終わりとするかそれとも・・・。
屈辱が元で自害したり、相手に復讐するのはよくある話だからな。

>閣下
長史の増税の件・・・洛陽事件の時と言い抜け目ない男ですな。
さて魏及び燕についてでありますが・・・(略
長史殿は帝の名を語り重税を科して私腹を肥やしておるそうだが(ry



郭図公則が公的な場で長史を批難シマスタ
623呉の義兄弟:03/02/28 18:40
( ハゝク)「伯符だ」
( コゝウ)「公瑾です」
( ハゝク)「廬江と秣陵を同時に失ってしまったな」
( コゝウ)「魏軍の侵攻が意外でした」
( ハゝク)「流石は夏侯惇、抜け目ない。かっかっか」
(;コゝウ)「笑ってる場合じゃありません」
( ハゝク)「おおっと、そうだったそうだった」
(#コゝウ)「真面目に(・∀・)ヤレ!!」
( ハゝク)「怒るな公瑾。長生きできんぞ?」
( コゝウ)「貴方よりは長生きします」
( ハゝク)「ショボーン」
( コゝウ)「そんな事より、これからどうなさいますか?」
( ハゝク)「取り敢えず、大喬たちを会稽へ退避させるか」
( コゝウ)「愛妻家ですね」
( ハゝク)「うむ。手配が終わったら呉の歓楽街へ参る」
( コゝウ)「今のお言葉、奥方に言いつけますからね」
(;ハゝク)「それだけは勘弁してください」
保守します
     __ ,,  
   '´    ` ,  カタカタカタカタ   
   i |,_i_/i|__|         
   ヽ* ´Д`⊂)。゜。 < ウチナオシハシンドイヨ。ウワァァァン!
   (つ._|| ̄ ̄ ̄ ̄|  
 __|\.||   V   |_
     \,,,|========.|


  _、_     
( ,_ノ` )     ……とまあ、けっこう大変だったわけが、大まか書き終えた
   
    [ ̄]'E
      ̄
  _、      
( ,_ノ` )     例によって長くなったが、荒藻是藻垣帯病のせいちゅーことで
  [ ̄]'E 
    ̄
  _、 _      
(  ◎E      お? 急に暗くなったのはなぜ?

  _、_
( ; Д`) .・;'∴   ブレーカー落ちたぁ!? 上書き保存しとらんぞおおおお!
         

    [ ̄]'E

     __ ,,  
   '´    ` ,  カタカタカタカタ   
   i |,_i_/i|__|         
   ヽ* ´Д`⊂)。゜。 < ………………
   (つ._|| ̄ ̄ ̄ ̄|  
 __|\.||   V   |_
     \,,,|========.|

現在、再度書き直し中。
627雑兵1号:03/03/03 21:08
諸行無常。
諸行無常の響きあり。

あぼ〜ん。
殿下……おいたわしや(同情
>>627雑兵1号殿 >>628

      /ヽ        /ヽ             
     /::::::::ヽ____/:::::::ヽ            
    /  ::::_    :::::::::::::._ .\            
   /:::::: /  。\ヽ v.._/。 \ :::\  クワッ
  |::::   / ̄ ̄ /___√ ̄ ̄\ ヽ         <諸行無常ってわしが何したって言うねん!
  |:: :::::.     /|ーーーt ヽ ヽ.. :.:::::::::. |          
  |::.        |    ||:..  ...:::::.. |         
.. |:::::       ! | ヽニ⊃| |    ::: |         
  |::.       | |::::T:::|  | |   .. : |.         
 _丿::::     ├^^^^^--∧  :: :/  ∧      
/::::::::::::::::::::        ../ ::ヽ   \ / ヽ、
::::::::::::::::::::         / ::::ヽ⌒ヾ⌒ヽ  ::::ヽ ←>>雑兵1号&628
:::::::::::::::::::: グリグリッ/    ..(.....ノ(....ノ  ::::/ ヽ 
::::::::::           |         ∪  .:(....ノノ ))
::::::::::         / ̄ ̄ヽ ∪     :::::::::::::/`ヽ
::::::::::      (( (___..ノ      ::::::::::::::(....ノノ ))
              ヽ ノノ     ::∪:::::::::::::ノ
     __ ,,  

>>629
なんとかUPできる量だけは書き終わりました。
許昌・仮王宮。
元涼州牧・馬騰が、玉座の呂砲と対面している。
静かな中にも明確な意志を示している馬騰に対し、呂砲は途方に暮れた顔をしている。
頭の中で言葉を組み合わせながら、呂砲はなだめるように語り掛けた。
「おぬしは確か、51歳であったと思うが」
「それがしなどの齢をお覚えいただけるとは、恐縮にございます」
「おぬしと同い年の馬参は、第三軍団長として、ますます意気盛んであるのだぞ」
「彼の御仁の軒昂なる意気は、まこと涼の誉れと存じます」
「はぐらかすでないわ。かつて涼州牧として覇を誇ったおぬしとは思えぬ」
「もはや牧などという分不相応な官職に縛られる身ではございませぬ」
「そうだ。今のおぬしは西涼の牧ではない。涼の、そして漢の忠臣のはずだ」
「承知しております」
「天はまだ乱れておる。おぬしの力を欲しておる……にもかかわらず、なぜ隠遁したいなどと申すか」
馬騰はこの日、公職の身から引退したい旨を呂砲に伝えに来ていた。

「殿下は九州の半分から戦火を収め、さらには皇帝陛下を庇護されました。今後は涼の軍旗を掲げるのみで、賊は霧散し、民はこぞって糧食を差し出し、殿下をお迎えするでありましょう」
「そんな簡単なものか。魏に呉に燕。我らが陛下を庇護したからとて、安々と尻尾を振るタマではない。戦さはこれからも続くのだぞ」
「御意。戦さは終わってはおりませぬ。されど、終局へと向かいつつある、と存じます。これからは次の世代の者たちの仕事。老兵は去るのみにございます」
「馬参やら黄忠やら厳顔やら公孫讚やら張燕やらが怒るぞ。いずれもおぬしと同年か、あるいは年長。しかし、現役として頑張っている」
その言葉に、馬騰は詫びるように頭を下げた。

結局呂砲は、馬騰の引退を承諾した。
「超、鉄、岱の三人を何とぞよろしくお願いいたします」
愛する次男の死に打ちひしがれた男は、その言葉を最後に退出した。
「体を大事にな」
そう告げる呂砲の口調は、しらけた感情もあらわな投げやりなもの。
歴史の表舞台から退場していく男の背は、年齢以上に老けて見えた。
漢朝復興宣言の布告文と、呂砲から長史に送られてきた手紙を読み返しながら、長史は暗然とした気持ちを禁じ得ないでいる。
漢朝復興宣言事体は、まだよい。
まだ刻が満ちていない。そう考えれば収まりもつく。
だが、布告文に遅れて届いた呂砲の手紙は、そんな長史の淡い期待を粉々に打ち砕くものだった。
「大涼宮などという不遜な名称を皇宮に付けるとは、余を大逆の徒に仕立て上げる所存か」
「即刻『大漢宮』と改めよ。そして、陛下をお迎えするにふさわしい居城として、金に糸目をつけず、さらなる拡張を進めよ」
「荘厳なる大漢宮の完成こそが、余の皇帝陛下への忠心を示すものと心得よ」
叱責の手紙だった。

(私の目指すところは、殿下のそれとは見当違いの方向を向いているのだろうか)
長史の悩みは、まさにそれだった。
新しい世をつくりたい。
その一心で呂砲を支え、あの郭図公則と張り合ってきた。
だが、呂砲の手紙は、そんな長史の努力と熱意を完全に否定するものだった。
呂砲に新しい世―涼王朝の世―をつくる気がないのであれば、自分が涼の長史として洛陽に留まる理由はない。
(確認しなければならん。殿下の御意志を)
しばし、その方法を模索していた長史は、大涼宮建設の責任者を呼び付けさせた。

蘇越という名の責任者はすぐに飛んできた。
工事の進捗状況について、蘇越は平伏したまま答えた。
「周辺の工事はほぼ完了しております。しかし、肝心の宮殿の方がなかなか」
「やはり、棟梁か?」
「御意。荘厳なる大宮殿ともなれば、それ相応の大木にあらざれば、その用をなしませぬ」
「他の当ては? その後、見つかっておらぬのか?」
「八方手を尽くして捜しておりますが、やはり、躍龍潭の神木に代わるものはないかと」

洛陽から三十里。躍龍潭。
そこには高さ十余丈に達する千古の梨の木が立っている。
その脇には、漢朝を祭る小さな祠があり、梨の木が「漢の神木」と呼ばれる所以となっている。
「ほかに当てがないのなら、仕方あるまい。躍龍潭の大木を使うぞ」
「し、しかし……二百年余にわたって漢朝を守護してきた神木なれば、切り倒そうものなら、その……」
「祟りがくる、と申すか?」
「……御意」
「安堵せい。おぬしらに一太刀目を任せるつもりはない。やんごとなき身分のお方が、最初の一伐をお加えなさる」
「は、はぁ……。やんごとなき身分のお方とは?」
「おぬしが知る必要はない」

漢朝の神木への第一伐を、呂砲にやらせる。
その時に示す呂砲の対応でもって、判断する。
下野するかどうかを。

「それとな」
恐れ入っている蘇越に、長史はさらに命令した。
「『大涼宮』の名称を『大漢宮』と改めよ。これは涼王殿下の御命令である。よいな」
「はっ。直ちに」
「それともうひとつ」
これが本題というように、長史は足を組み直す。
「大漢宮に改めるにあたって、宮殿を拡張する。造営計画を全般的に見直し、近日中に報告書を提出するように」
「ははっ……えっ?」
かしこまった蘇越は、長史の言葉の内容を反芻し、眼を剥いた。
「そ、その儀はしばらく! ここまで来て計画を見直せば、時間はもちろんですが、費用もとんでもないものとなってしまいます!」
「費用は心配ない。増税で対処する」
「増税! しかし、現行の計画でもかなりの額となっておりますが……」
「やむをえまい。皇帝陛下直々の御命令だ」
「こ……皇帝陛下の」
「今は乱世ゆえ、と涼王殿下はお諌めになったのだがな。皇上の命令とあれば、そう強くも反対はできぬ」
長史は蘇越に笑いかけた。
「民に過酷とわかっていても、皇帝陛下の御命令とあれば、喜んで受けなければならない。宮仕えの身とはつらいものだ。おぬしもそうは思わぬか?」
許昌・町費邸。
町費隊の士長は、ニコニコ顔で恩寵の甲冑を高価な絹で磨いている。
町費が「もう十分にきれいですよ」と声をかけても、「陛下から賜った甲冑にございます。磨き足りるということはございません」と取り合おうとしない。
「それにしても、複雑な気分はいたしますぞ」
顔だけ町費の方を向いて、士長。
「この甲冑を羽織って戦場に立つ殿のお姿。ぜひ見てみたいものではございますが、殿は何かと無茶をなさいますからなあ。この美しき甲冑も、次の戦さが終わった折りには……」
士長のぼやきに、町費は苦笑した。

こと膂力に関して言えば、並みの武将に過ぎない町費だが、戦場では常に、「勇猛」と「無謀」の境界線を行ったり来たりしている。
洛陽解放戦における軍令違反はその典型的例だったし、明らかに自分より強い敵将への一騎打ち申し込みも、二度や三度の話ではない。
そういうわけで、戦さが終わった時の町費の甲冑は、その損傷度合いにおいて、「第一軍の切り込み隊長」廖衛とタメを張る。

「この甲冑には、賊徒を殲滅し、漢朝の威徳を世に知らしめるべし、という陛下のお気持ちが込められています。戦場で使ってこそ、陛下の御意志に応えるものでしょう」
町費の軽い反論に、士長は甲冑を磨く手を止め、頭を下げた。
「や、まことおっしゃる通りにございます。恩寵の甲冑に雌雄一対の剣! 次の戦さが楽しみでなりませんぞ!」
許昌の戦役での戦功で、いくらか借金も返済できた(完済には程遠かったが)。
それに、恐れ多くも皇帝陛下から声をかけていただき、甲冑まで賜った。
そしてさらに、涼王の漢朝復興宣言。これで、自分の上司が、さらにその上司に刃向かう理由もなくなった。
今の士長は、ここ最近になく幸せだった。

もっとも当の町費本人は、そこまで呑気にはなれなかった。
(漢朝復興宣言……本当なら嬉しいが、どうもうそ臭い)
呂砲が一度は皇帝の位への野心を抱いたであろうことに、町費は確信を持っている。
一度抱いた野望をそう簡単に捨てられるものだろうか、と考えた時、とても呂砲の宣言を手放しで信じる気にはなれなかった。
(廷臣殿と一度会っておくべきかもしれぬ)
幸せ一杯の士長と対称的に、町費の顔に安堵の色が浮かぶことはなかった。
許昌・皇宮。
廖衛とやりあった廷臣と、先の戦いを機に涼に帰順した董承が、密談をかわしている。
「馬騰の引退? それが如何した?」
「車騎将軍は、彼の者を存じませぬや?」
「騎馬の扱いに優れているそうだな」
「さような些少なことにあらず。彼の者、周公旦に勝るとも劣らぬ忠義の士。事起こりし折りには、必ずや陛下の心強い味方となったであろう人物」
「事起こりし、とは……穏やかでないぞ」
「おっしゃる意味がわかりませんが」
「涼王は漢の復興を宣言したばかりではないか。平地に乱を起こすような言は、陛下の臣として慎むべきであろう」
「将軍。初めて陛下に謁を拝した時の曹操は、如何ような人物に見えましたか?」
廷臣の指摘に、董承は反論できなかった。

「呂砲がいつ心変わりをするか。いや、あの漢復興宣言ですら、己の野心を隠すための欺瞞とも思えます。凶事となる前に、あの者を除くべきです」
「しかし、涼王……いや呂砲を除いたとしても、また別の者が漢室の威光を脅かすだけではないのか」
弱音をはく董承だったが、廷臣はこれを一喝した。
「陛下の義兄ともあろうお方が、何故ゆえ他者を当てにされるのか! さような弱腰の姿勢が、今の漢室の危機を招いたのではございませんか!」
車騎将軍の身ではあったが、董承はこの熱い血をたぎらせる廷臣には、どうも口応えできない。
「まあ確かにな……以前わしは、曹操を退けるに、亡き韓公の力を借りようと考えたこともあったが……今思えば、劉備殿が曹操に取って代わるだけの話だったかもしれぬ」
「郭、李カクを除くに曹操。曹操を除くに劉備、そして呂砲。野望のみに凝り固まった者に逆臣を除いてもらうなど、家に盗人を招くようなもの。今我らが倣うべきは、己の知謀であの董卓を退けた、王司徒の忠義にございますぞ」

司徒・王允。
洛陽、そして長安で暴虐の限りを尽くした董卓を、搦め手でもって誅殺した人物。
その杓子定規な性格ゆえ、賊徒どもに刻み殺される羽目となったが、この際それは関係なかった。
「だが涼は強いぞ。最盛期の魏より多い都市を押え、兵力も100万を超えている。これにどう対抗する?」
「涼そのものに対抗する必要などないのです。狙うは呂砲の首、ただひとつ」
「というと?」
「呂砲には子がおりませぬ。呂砲が死ねば、後継者のいない涼は、そのまま分裂します」
「おお、そうであった! 涼の大きさに目を奪われ、そんな初歩的なことも忘れておった」
「呂砲に次ぐ実力者の七同志にしろ、すべて同格の士。勝手に合争い、自滅するでしょう。その間に我らは兵を奪い、これを元に叛徒を成敗し、漢の威光を九州に知らしめるのです」
「兵を奪う……うむ、今の我らには自由に使える兵がないからな」
「だからこそ、多くの兵を有する者を味方につけねばなりません。そしてそれは、我らが扱いやすくあるためにも、陛下のお膝元に近いところでなければならない……成都あたりの兵が呼応しても、短期的にはどうしようもありません」
「なるほど。陛下のお膝元に近く、かつ多くの兵を有している……上党にいる馬参はどうだ? 第三軍団長だ。兵も将も多い」
「あの者は呂砲に盲信する輩。漢に対し明らかに不忠。使えません」
「宛太守の馬超は? 馬騰の息子なら、期待もできよう」
「残念ながらその男、漢への忠義という素養は、親から受け継がなかったようです。また単なる匹夫にて、緻密な計には向きません」
廖衛との一件もあって、廷臣はいわゆる「武力型」武将に偏見を抱くようになっている。

「では、第一軍の町費と希代之はどうだ? 奴等に呂砲を誅殺させ、そのまま第一軍の兵を官軍に組み込めばよい。一石二鳥だ」
「彼の者たちに、呂砲を誅殺させることは考えております。ただ、そのまま官軍に編入するのは危険です」
「どういうことだ?」
「呂砲を殺した彼らを官軍として迎え入れれば、残る七同志は弔い合戦として、漢に宣戦するでしょう。下手を打てば、馬参や廖衛あたりが、陛下の身に危害を及ぼすこともありえます」
「そんなことを言ったら、何もできなくなると思うが?」
「あくまでも、呂砲を殺す兵と、陛下の兵は別であるべきなのです。我らの手管によって呂砲が死んだと知れてはなりません」
「つまり………希代之と町費は捨て駒ということか?」
さすがに董承は鼻白んだが、廷臣は目をそらすことなく言い放った。
「陛下の兵は、呂砲死後の混乱期に陛下をお守りし、かつ時期を見て涼や魏を討つべきもの。緒戦に失うわけにはまいりません」

「まあ、第一軍のことは良いとして、だ」
咳払いをした董承は、難しそうな顔になる。
「馬参も馬超も希代之も町費も駄目となれば、いったい誰の兵を組み込むのだ? まさか、弘農の兵を当てにするとは申すまい?」
「弘農太守は陳蘭です。さすがにこの義挙の尖兵とするには、役不足でしょう」
「ではどうする? 状況が変わるまで待つとでも?
「これ以上涼の勢力が大きくなっては、事を成すのも困難となりましょう。早ければ早いほどよろしい」
「しかし、御辺の言う条件に合致する者など………あ」
ここで董承は、ハッとしたように顔を上げた。

皇帝のお膝元に近く、多くの兵を有し、かつ有能。
難しい条件だが、適合する武将は、確かにいた。
ただ、強気一辺倒の廷臣も、さすがに迷いの色を見せている。
果たして、あの男を味方につけることができるだろうか?
これについては、自信をもって断言することはできなかった。

「洛陽太守………郭図公則か」
董承はうなり声を上げた。
曹魏の抵抗により、わずか半年しか経過せぬうちに容量オーバー目前となった。
陣形を維持したまま、全軍次スレへ突入!
なんとしても次スレまでに、中華全土を平定するのだ!

自信?
全然ありませんな。

http://hobby.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1046700921/l50


>廖影殿
わしもついに禁断の果実の在処を知ってしまった。