「…………あれ?」
僕はふと、正気に戻った。
虎が重いのは確かだけど、打ち付けた背中以外はどこも痛くない。
恐る恐る虎の顔を覗き込んでみると…
「わあ?!」
虎は白目を剥いて息絶えていた。そして、その額に突き立つ1本の矢。
と、僕の頭上で影が陽を遮った。
「無様ね」
見上げれば、雲碌。
「…なあ雲碌」
「なあに、お兄様」
「お前、胸ないな」
雲碌が赫となった。ま、多分怒りと羞恥のせいだわな。期待通りの反応だ。
が。
「子供で悪かったわね!」
雲碌は僕の頬を土足でぐりぐりと踏みつけた。
「あい゛でででででで!痛いじゃないか雲碌!」
痛がる僕を無視して、雲碌はさっさと自分の馬に跨った。
「お兄様、いつまでそうやって虎と抱き合ってるつもり?獣姦のうえにネクロ
フィリアときては救えないわよ」
「誰が獣姦でネクロフィリアだっ!」
僕は虎の死骸を押しのけて立ち上がった。
世の中の妹萌えの皆さん。妹って凶暴で生意気ですよ。決していいもんじゃ
ないです…(TдT)
その後、虎の皮を剥ぐということで、程普と勢子が駆けつけた。
程普は虎の額に突き刺さってる矢を見て、僕が射殺したと思い込み、
頻りと僕を誉めちぎった。困ったな…。
「何よー。この虎はあたしが仕留めたのにー」
武威への帰途。
雲碌は鞍に括り付けられた虎の皮を見ながら、そう言った。自分の手柄
だと思ってもらえなかったのがよっぽど不満だったらしい。
けど。ここではぶつくさ言ってるけど、程普の前でそれを強弁しなかった
のは、ある意味立派かもしれない。
「まあいいじゃないか。僕はお前が仕留めたって事をよくわかってるから」
「当り前よ。お兄様が自分の手柄顔をしたら赦さないんだから」
へいへい。
「…なあ雲碌」
「なに」
「さっきはありがとう。その…助けてくれて」
「あ〜そんな事。気にしなくていいわよ」
雲碌はひらひらと手を振った。
「これも出来の悪い兄を持った妹の業だと思うし」
…くそ、最後まで嫌味かよ。
キユは老虎(74)を倒しました。
キユの名声が60上がりました。
続きが遅れてすみませんでした。
しかし…この様子ですと何ヶ月かかることやら(;´Д`)
>>808 訪問で楼船が手に入ればそれもアリですねえ。
実際のところゲームはもう少し進んでいるのですが、それはまた後日。
>>809 いつもありがとうございます&お手数をおかけしてすみません。m(_ _)m
>>「お兄様、いつまでそうやって虎と抱き合ってるつもり?獣姦のうえにネクロ
フィリアときては救えないわよ」
朝から吹いた
保守
保守
建安十五(210)年4月
【動き出す世界】
―武威―
今日、突然、軍師の韓遂が僕の家に来た。取り次ぎのアシスタントからは
「重要な話があるそうです」と聞いたけど、重要な話って一体何だろう?
「キユ。汝を本日付でこの武威の太守に任命する。これが辞令だ。異論は
ないな?」
韓遂の台詞に、僕は口をあんぐりと開けて、暫く声も出なかった。
「どうした。返事は?」
「…あ、いえ」
韓遂の催促にも、まともな返答ができない。
なんで、よりによって僕が太守なんだよ?兄さんとかホウ徳とか、他にも
太守に相応しい人は何人もいるじゃないか。
「ん、どうした?不服か」
「いや、不服っていうか、僕には無理です」
「無理なことはない。むしろお前でなければできん。いや、儂にもできる事では
あるが、儂は寿成の傍にあって助言をせねばならん立場なのでな」
キユは知らない。かつて司馬懿が重用されなかったことの一端に、韓遂が
絡んでいることを。韓遂が自分の地位を守るために、馬騰に司馬懿を軽視する
よう仕向けたことを。それは娘婿の閻行ですら知らなかった。
「でも、僕には自信がありません」
「そう思うのは無理もない。我が軍にはこの10年間、儂を除いて太守が務まる
ような者はいなかった。その中で漸く現れた比較級的第一人者がお前という
わけだ」
「でも、それじゃあ兄さんたちが…」
「ん?孟起の事なら心配要らん。今頃は寿成が説得しているさ。だからお前は
心置きなく太守を務めてくれ」
「てゆーか、僕は政治家になりたいんじゃなくて…!」
「しかし先年の台風災害のときには率先して災害救助と援助にあたっていた
ではないか。為政者としての資質も自覚も十分だと思うが」
「いやあれはただのボランティアで」
「とにかく。これは決定事項だ。いいな」
「とにかく。これは決定事項なんだよ」
馬騰の顔は渋い。
目の前には納得いかないと直訴してきた嫡男・馬超がいる。
馬超には、父から最初に太守に任命されるのは自分だという自負があった。
それだけ自身の武勇に自信があった。
自負が自負のまま終わってしまったのは些か残念だが、相手が赤の他人で
あればまだあきらめもつく。だが選ばれたのは、よりにもよって次弟のキユだった。
それが納得いかなかった。
「ホウ徳。お前も孟起と同じ意見か?」
馬騰は戸口に佇むホウ徳にも声を掛けた。ホウ徳は馬超についてきたのだが、
馬騰の私室に入室してからは万事控えていた。
「長幼の序を乱すべきではない、と存じます」
「そなたは休とも親しいと思っていたが」
「公私を混同するつもりはありません」
ホウ徳の答えは明確だった。
「うむ」
頷く馬騰の顔は心なしか赤い。恐らくは自分の発言に非があったと覚ったから
であろう。
馬騰は改めて馬超に向き直った。
「超よ、そういきり立つでない。今回の決定は長幼の序を乱す為のものでは
ない」
「では証拠をお示し下さい」
「証拠?」
「馬家の嗣子はこの孟起であるということを宣言して頂きとう存じます」
「馬鹿な。馬家を継ぐのは最初からそなた以外におらぬ」
「それを家臣全体に対して宣言して頂きたい」
馬超は無意識のうちに父ににじり寄っていた。
馬騰が目を細めた。
「超よ。そなたは父を脅迫するのか」
父の言葉に、馬超ははっとして身を退いた。
「…いえ、そのような事は決して」
「ではよい。退がれ」
「…………」
「聞こえなかったか。退がれ」
「……御意」
馬超は一礼して退出した。ホウ徳もそれに倣って馬騰の部屋を出て行く。
両者の背中を見送って、馬騰は大きく溜息を吐いた。馬騰には馬騰なりの
算段があってこうした人事を行ったのだが、ちょっとした行き違いからそれを
話して聞かせる余裕がなくなった。それを悔いてのものだった。
或いは馬超だけでもこの天水に呼び戻すべきだったか。だが今や劉璋軍が
駐屯する安定に対して、そうした隙を見せるのは避けたかった。
「…まあよい。不満があったとてどうせすぐに忘れることだろうしな」
馬騰は静かな自信に満ちて独りごちた。
「それでだ。早速だが武威の方針を聞かせる。武威の方針は『軍備』だ。
これは今特に重要なことであるから、努々怠るでないぞ」
「いやあの…」
「…と、その前にもう一つ」
韓遂は僕の話なんか聞いちゃいない。勝手にどんどん話を進めていく。
「お前には今月、重大な任務がある」
「へ?任務?」
「上洛して陛下に拝謁し、併せて朝廷に金品を献上してきてもらいたい」
「…………へ?」
―洛陽―
「りりり竜顔をははは拝したたたてたて奉り、きき恐悦至極にぞぞ存じ上げ
ます」
後漢皇帝劉協に拝謁したときのキユは、傍目にも可哀相なほど緊張して
いた。
洛陽は一時期劉備が支配していたが、現在では再び曹操の支配下に
入っている。とはいえ、河水を隔てて北岸の河内には劉備が、河内の西の
野王には関羽が篭っており、洛中は平穏平和とはいまだ無縁の状況である。
後漢皇帝は現在、その洛陽に行宮を構えている。こんなところに行宮を置く
のは曹操の本意ではない。だが許都はいまだ劉備に奪われたまま、先年は
また劉璋軍に長安を奪われての、半ば必然的、半ば強制的にこのような結果
となっていた。
だが、劉協はそうした事は意に介さなかった。どのような事情があれ、生地
洛陽に戻るのは彼の悲願であったから、今の状況を嬉々として受け入れていた。
曹操の帷幕では「いっそのこと陳留に行宮を迎えては」という意見もあるようだが、
陳留の地理を考えると当面実現することはなさそうである。
――だが、そんな細かい事はキユは知らない。今は眼前の使命を果たす事だけ
に心血を注いでいた。馬子にも衣装とはよく言ったもので、中原の衣冠束帯も
現代人のキユには実に似合っていなかった。そのあたりは勝手についてきた
雲碌にも散々からかわれているので、今更気にするキユではないが、それがまた
居並ぶ文武百官の脇腹をくすぐったらしく、あちこちで失笑の声が漏れていた。
「馬休、面を上げよ」
皇帝の声が朝廟に響き渡って、百官が寂と静まり返った。
僕はおずおずと頭を上げた。
皇帝は僕と同い年くらいかな?顔は玉簾でよく見えないけど、声を聞く限り
そんな気がする。案外若いんだ。
「馬休。そちの父は健勝か」
「はい、お蔭様で」
「そうか、それは何よりだ。伏波将軍馬援は誠の忠臣であった。その裔である
馬騰もまた忠臣である。――期待しているぞ」
ん?随分と含みのある言い方だなあ。どういう意味だろ?
「馬休、どうした?」
「いえ何でも。父さ…父にもよく伝えておきます」
「そうか。ならばよい。此度の朝貢、大儀であった」
もう一度三跪九拝して、これで拝謁はおしまい。
あー疲れた。なんだってこの国の儀礼はこんなに煩雑なんだよ?後漢の皇帝
と面会したなんて、いい話のネタになると思ったから来てみたけど、こんなに面倒
臭いなら来なきゃよかったかな。雲碌にも「衣冠が似合わない」といって笑われた
し。だいたいなんであいつがついてきてんだか。
まあいいけど。もう済んだ事だし。さっさと武威に帰ろっと。
帰国後、父さんは今回の功績を認めて僕を威南将軍に任命してくれた。将軍位
にこだわる気はないけど、やっぱり人から認められるってことは嬉しいよね。
陛下の言葉も伝えると、父さんは黙って頷いていた。なんか父さんと陛下との間
で話ができてるみたいだなあ。
さすがに下がりすぎなのでage
833 :
無名武将@お腹せっぷく:02/09/21 14:25
弩で当世具足を貫通できるか教えてください
834 :
無名武将@お腹せっぷく:02/09/22 00:47
>>833 出来ないんじゃないの?
鉄砲でも難しかったらしいし。
建安十五(210)年5月
【奪還】
―武威―
「――一、二、三!一、二、三!」
練兵場からかけ声が聞こえてくる。これは雲碌の声だな。
僕が武威太守に任命されたと聞いて、雲碌は顎が外れんばかりに驚いた
――というのは先月の話だ。今はぶつくさ言いながらも、勝手に募兵してきて
は練兵に勤しんでいる。
この武威はいまだに開発の余地があるから、僕としては内政を進めたい
ところなんだけど、それは父さんの定めた方針に合わないし、方針に合わない
命令を出して兄さんたちが従ってくれるとも思えないから、仕方なくこうして
練兵の様子を眺めているのが日課だ。
…いやいや、そんなぼーっとしてる暇があったら絵の練習をしないとね。太守
なんかになると絵を描く時間が削られて困ると思ってたけど、この調子なら
案外何とかなるかもしれないな。
ちなみに馬超とホウ徳はというと、今は安定攻略のための援軍として出陣して
いて不在だ。僕が出陣を依頼すると、二人とも、戦争ができると聞いて勇躍して
出て行った。まああの二人のことだから負けることはないだろうけど、どうして
この時代の人たちは、何かにつけて戦争をしたがるんだろう。もっと仲良くすれば
いいのに。
数日後、馬超とホウ徳が凱歌を上げながら武威に帰還した。馬軍団は安定から
劉璋軍を追い出し、虜将のうち張嶷、高覧の二人が父さんに忠誠を誓うことに
なったと聞いた。
それはいいけど、出陣して帰ってこなかった兵士はどれくらいいるんだろう。
中には先月徴兵されたばかりの新兵もいただろうに。南無阿弥陀仏、南無
阿弥陀仏。
まあでも折角だから、この二人にも挨拶の手紙を送っておこう。
建安十五(210)年6月
【留守番ってこんなに心踊るものだったんですね…どの先生に話しかけよう?】
―武威―
占領したばかりの安定が長安の劉璋軍に攻め込まれた。
天水からの援軍もあって幸い撃退し、敵将も何人か虜にしたけど、父さんに
降った武将はいなかったそうだ。父さんはかれらの忠節を嘉して捕虜を全員
解放したらしい。父さんには優しい心があることがわかってほっとしたよ。この
世界はなんかギスギスしてるからなあ。
「逃がすなんて非現実的だとは思うけどねー」
…そうやって茶々を入れるのは雲碌か。
「殺すのが現実的だなんて冗談じゃない。そんな世界には僕が漫画で喝を
入れてやる」
「あら、どうやって?」
「漫画って、Gペン1本あれば世界中の誰とでも友達になれるんだよ」
「ハァ?」
…思いっきり呆れられた。まあ確かに漫画はジャンルの好みにもよるからなあ。
言ってて自分でも変だとは思ったけどさ。
「で、雲碌。今月は徴兵と練兵はしなくてもいいのかい?」
暗に、こんなところで油を売ってる暇があったら出て行け、と言ったつもりだった
けど、案に相違して雲碌は肩を竦めてみせた。
「残念ながら今月から暇になったわ。はい、これがお父様からの辞令よ」
「なんでいつもお前が先に読んでるんだよ」
僕はそう文句を言いつつ辞令に目を通した。
『告
張嶷を天水太守に任ずる
令
武威の馬超、馬鉄、ホウ徳は天水へ移動の事
馬休は武威にて人材を捜索する事
武威の方針は今月より技術とする』
なるほど。しかしこれは嬉しい誤算。僕はこれからずっと、戦争などという
野蛮な分野から離れて技術革新に励みつつ、まったりと漫画を描く毎日を
過ごすことができるんだな。まずは何から始めよう…そうだ、そういえば
この世界にはGペンがない。まずはGペンと、それから良質の原稿用紙だな。
できればトーンがあって、定規があって、あとトレース台なんかもほしいな。
「もしもーし?さっきから何を妄想してらっしゃるのか知りませんけどー」
雲碌の声にはっとして、僕は我に返った。
「技術といっても軍需産業の育成なのよ。そこんとこ間違わないよーに」
「うるさいな。わかってるよ」
「本当に?」
雲碌がジト眼で睨んでくる。うっ、見透かされてんのかなあ?
「…ま、いいわ。それより、これを布告するのは太守であるお兄様の仕事よ。
ちゃっちゃっとやるよーに。それから今月はお兄様にも仕事があるんですから
ね。そこんとこ忘れないよーに」
「へいへい」
兄さん、鉄、ホウ徳の三人を呼んで移動を伝えると、三者三様の表情が
見られた。父さんからの指令を随分と晴れやかに受け入れた兄さん、
しばしの別れを惜しんで涙ぐんだ鉄、そして黙然と一礼したホウ徳。この
差は一体何なんだろう?
「さて。兄さんも鉄も移動するんだ。お前も当然ついて行くよな?」
私室に下がって普珥茶を飲みながら、僕は雲碌に訊ねた、というか
確認した。
雲碌は指を頬に添えて、少し考える風をした。即答が返ってくると思って
いた僕には、少し意外な事だった。
「そうね。お父様は安定だし、お兄様たちは天水になるし。まあどっちかに
行くとは思うけど…」
ああ、どっちに行くかを悩んでたのか。僕も迂闊だな。
後日、兄さんや鉄の出立と日を同じくして、雲碌は安定の父さんの許へ
と旅立った。
本人は従者が2,3人いれば充分だと言っていたけど、万一の事があって
はいけないので、僕は護衛に閻行を付ける事にした。閻行にはまた、安定
での雲碌の武芸の師匠もやってもらう事になりそうだ。多分この武威に
帰ってくる事はないだろう。
彼らとまた会う日はあるんだろうか。
…いや、本来は会わなくていいものかもしれない。
一期一会。
ふと、そんな言葉を思い出した。
感傷だなあ。
チョットシンミリ
建安十五(210)年7月
【大儒死して孝子立つ】
―安定―
馬軍団の安定占領は、忘れていた嫌なものを復活させた。
武術大会だ。
「あ〜、なんでこんな事に気付かなかったんだろーなー」
僕は闘技場の地べたに突っ伏しながら、先月の自分を罵った。
僕を破って勝ち名乗りを挙げているのはホウ徳だ。
ちらり、と会場の脇に眼を遣る。そこには、すでに2回戦進出を決めた
兄さんの姿があった。
鉄と雲碌の姿は見えない。鉄は1回戦で兄さんと当たり、槍の一撃で
馬上から突き落とされた。雲碌は負傷した鉄に付き添って出ていった。
だからだ。
僕自身については、今回は以前ほど怖がる事はなかった。試合だと
割り切ってしまっているのと、あとはもう慣れのせいかもしれない。僕が
三段突きを見せると、ホウ徳は少し驚いたような顔をした。うーん、この
時代に10年も留まってると、身体とかいつの間にか鍛えられてるもん
なんだなあ。でもその直後にホウ徳が本気モードに入って(以下略)。
兄さんが優勝の勝ち名乗りを挙げているとき、一人の文官が父さんに
耳打ちをした。その文官はさっき、場門のところで伝令らしき兵士と話を
していた。
「何かあったんですか。伝令があったみたいですけど」
僕は表彰の終わった父さんに話し掛けた。
「気付いていたのか。意外と目敏いな」
父さんは目を丸くした。が、
「試合中は試合に集中しろ。それもまた大事な事だ」
とも言った。僕は武術大会自体には興味がないんだけど…。
「わかりました。それで伝令の内容は」
「荊州牧の劉表が死んだ」
劉表?…ああ、そういやそんな人もいたっけか。
「後を継いだのは嫡男の劉gだそうだ。ただ、その劉gだが、功を焦ったか
孫策を攻めて敗れたらしい。劉gの後継に不満を抱いていた蔡瑁が、この
機会に孫策に寝返ったとある」
父さんは懐から取り出した書簡を僕に示してみせた。
うーん…こう言っちゃなんだけど、いまだに漢文を読むのは難しい。読み
にくいからせめて句読点くらい打ってよ、この時代の人。えーと、この書面の
「瑁降」ってのがその部分かな?
ま、いいや。蔡瑁といえばちょっとは記憶にある名前だ。この時代に来て
からも、何度か手紙を遣り取りした事がある。蔡瑁ねえ。ふーん。
「父さん。ものは相談なんですが」
「何だ」
「父さんの許可が頂ければ、その蔡瑁を推挙したいと思います」
「蔡瑁を?今の我が軍に水軍都督など必要かな?」
父さんは椅子に凭れて腕を組んだ。
「…いいです。僕も武威に帰ったら話し相手がいなくて寂しいってだけの事
ですから」
「あー嘘。冗談だ冗談。蔡瑁が来てくれるなら願ってもない話だ。是非頼むぞ」
「はい」
―建安―
「はじめまして。キユです」
「キユ…って誰?」
「ああいえ、馬休です」
「ああ、武威の馬休殿か」
キユと蔡瑁の初対面は、こんな会話から始まった。
「遠路はるばるようこそ。私事で済まんが、それがし最近ちと忙しくてな。
室内が散らかっているのはご寛恕願いたい」
「いえいえ、こちらこそこんなときに何の前触れもなく、すみません」
「そう言って頂けると助かる。して、ご来意は何如?」
「僕は、あなたが孫策に降ったのは本心からではないと思っています」
「…それで?」
蔡瑁は目を細めてお茶を啜った。
「まさか劉gめの許へ帰れなどと賢しらに忠告しに来たのではあるまいな」
「ああいや、そんなつもりは全然ないんです。って言うか僕は劉gって人の
事をよく知らないし」
「そうか」
蔡瑁が満足げに頷いた。蔡瑁の歓心を最も得たのは「劉gなど知らない」
という台詞であったが、キユはそこまでは気がつかない。まあ気がつかなく
てもこの場合不都合はないが。
「失礼を承知で言いますが、あなたが孫家から尊重されているとは思えません」
「それはそうだろう。降ったばかりだしな。尊重されるかどうかは、勿論主君の
器量もあるが、今後のそれがしの働き次第であろう」
「そこですが、果たして孫家で徳珪(蔡瑁)さんが活躍する機会があるでしょうか」
「む……」
蔡瑁が眉根を寄せる。
キユの言には一理があった。荊州では江陵水軍の都督として、また州牧
劉表の義兄として重きをなしていた蔡瑁だが、孫家にあっては何の後ろ盾
もなく、また彼の水軍指揮能力もせいぜい中の上であった。更に言えば彼
自身、孫策とはあまり反りが合わないようにも感じている。蔡瑁にとって
決して魅力的な環境ではなかった。
「ですが、僕たちはあなたの才能を高く評価しています」
キユのその言葉に蔡瑁の心が揺れた。
「僕たちのところには水軍を指揮できる人がいません。その才がある人物を
求める事、えーと…そうそう、渇いた者が水を求めるよりも切なんです」
「そちらの事情はわかった」
蔡瑁が言う。キユが台詞の途中で引っかかったのは多少気になるが、
悪くない話ではある。
だが承諾するにせよ断るにせよ、確認すべき重要な事があった。
「だが南船北馬の言葉があるように、華北における水軍の重要性は低い。
まして貴殿らは騎馬を得手とする軍団だ。それでもそれがしを重く用いて
くれるのか?」
「勿論です」
「確かだろうな?」
「僕が全責任を負います」
「わかった、貴殿の誘いに乗ろう」
行ってみるだけの価値はある、と蔡瑁は思った。どうせ荊州には帰れない。
とすればどこへ行ったところで同じ事。馬騰と馬が合わないようならまた別の
主君を捜すまでの事だ。蔡瑁はそう割り切った。
「ありがとうございます」
キユが一礼した。
最近書き込むだけのお愛想なしですみませんでした。m(_ _)m
>>824 ウケたところがあると幸いです。こちらとしても自信が湧いてきます。
ありがとうございます。
>>825-826,
>>832 いつもありがとうございます。m(_ _)m
>>839 一応、将来への伏線になっています(ちょっとネタバレ)
…伏線と言えるのかどうか(;´Д`)
しかしそろそろこのスレも容量がきつくなってきました。
そこで相談があるのですが、次スレのタイトルはどうすればいいでしょうか?
武田じゃなくて馬騰騎馬軍団になってるし…
「武田騎馬軍団」は韓玄スレの「韓玄」みたいなものとして遺しておいては
どうでそ。
で、このままだと8以外のリプレイができなくなるので、[を外し、◆も外して
末尾に「その2」とか「第二巻」とかつければ桶と思われ。
それよりも武田騎馬軍団は外してしまって、本家と合流してはどうでしょう?
>>845,
>>846 う〜ん、意見がほぼ正反対に割れてますか。
本家となると韓玄スレですかねえ?
今はあそこもリプレイがなくて開店休業状態ですが、スレのサイズは
ここと大差ないですね。
重複スレとして放置されていた「三 国 志 プ レ イ 日 記」スレは
今の私のリプレイを続けていくには少し厳しい環境でしょうか?
結局韓玄スレの7を立てて続けるのが無難かもしれませんね。
…板移転でテンプレ作り直しかな?(;´Д`)
このスレは「異世界系リプレイスレ」として残して欲しい気もしまつ・・・
>>848 二代目劉g殿
わかりました。なるほど言われてみれば本スレに持っていくような
代物ではないですね。その方向で考えてみます。
あと、韓玄スレのテンプレ作成お疲れ様でした。
建安十七(212)年2月
【そうだ、長安へ行こう】
―武威―
僕が武威の太守に任命されてから、もうすぐ2年が経つ。最初は全然
自信がなかったけど、幸い大過なくここまできた。この時代の政治って、
現代の政治ほど複雑ではないのね。僕みたいなのですらそれなりに
やっていけるなんて、ちょっとびっくりだよ。
この2年間、いろいろな事があった。僕はお父さんの命令で度々朝廷へ
参内し、皇帝陛下に拝謁した。陛下も度々の献上を嘉して、お父さんに
虎賁中郎将の官位を賜った。お陰で僕も安国将軍という過分な地位を
もらっている。
参内が度重なったので武威の技術革新は遅れているけど、その代わり
手紙で拡げた人脈を使って、多くの人材を推挙した。僕がこの2年間で
推挙したのは蔡瑁の他では士燮、士匡、許靖、程秉、潘濬、沙摩柯、
蔡勳、傅巽、呉巨、韓玄、趙範。ただ残念ながら、その過半は父さんの
命令で武威を去った。許靖は西平太守への栄転だから別に悪かないけど、
推挙する度に翌月移動の命令が届くから、技術の育成を手伝ってもらう
暇がない。
行商人から双鉄戟という武器も買った。本当はインテリアが欲しかったん
だけど、行商人が「武人が武器より置物を欲するとは何事か」と逆ギレした
挙句、僕に双鉄戟をほとんど押し売りの形で買わせたものだ。ま、仕方ない
から今ではその双鉄戟を部屋に飾ってるけど。
昨日は司馬懿が話しに来た。この度南陽郡の太守に任じられて、治所の
宛県に入ったという事だった。
「曹公には長安奪回のために軍備を優先せよと言われた。しかし武関を
越えて攻め込むのはなかなか難しい。高祖のときとは事情が違うからな」
司馬懿はそう言って苦笑していた。
「府君(との)。我が君より書状が届いております」
僕を現実に引き戻したこの声は士燮のものだ。現在僕のアシスタントの
筆頭を務めている。正直、僕よりよっぽど太守に相応しいと思うんだけど。
「府君ってのは嫌だな。キユでいいよ」
「太守を府君とお呼びするのは当り前の事ですぞ」
「でも僕の柄じゃない」
「はあ」
気の抜けたような士燮の返事。まあいつもの事だ。
「で、書状って?」
「そうでした。これを」
僕は士燮から木簡を受け取って目を通した。えーと、なになに?
『今夙、長安を攻め落とした。折角の西京だ、そなたも一度訪ねてくるがよい。
久々に親子水入らずで酒でも飲もう』
「ありゃりゃ」
「いかがなさいましたか」
「いや、父さんが長安を攻め落としたってさ」
「それは祝着」
「ん…まあ、どーだろーねえ?」
僕は曖昧な言葉を返した。昨日の司馬懿の顔が脳裡にちらつくなあ。
士燮は素直に喜ばない僕を不思議そうに見ていたけど、特に理由を聞こう
とはしない。だから僕も特に説明はしない。
「それはともかく、僕に一度長安に来てみろってさ。折角だから行ってくるよ」
「わかりました。して、府君が留守の間の政策はどうしますか」
「威彦(士燮)さんに任せるよ」
「御意」
―長安―
図らずも洛陽、長安と漢の二都を目の当りにすることになった。
洛陽も賑わっていたけど、今は長安の方がもっと賑やかみたいだ。
後漢の首都は洛陽だと聞いていたけど…?
街を歩いていると、董卓の乱で洛陽の街が焼かれ、強制移住させ
られたという市民に出会った。成程、そんな事がねえ。故郷に帰りたい
けどその金がないと言うので、ありあわせの金を渡しておいた。…まさか
同情を買って糊口を凌いでる人じゃないとは思うけど。
うーん、それにしても武威とは随分な違いだ。こういう賑わいは現代を
思い出させるなあ。
うっ、ちょっとホームシックかも…。
「よく来たな休。待っていたぞ」
政庁に出向くと、父さんが笑顔で出迎えてくれた。
「すごく嬉しそうですね」
「うむ。董卓が乱を起こして以来、長安を奪回するのは儂らの悲願だった
からな」
「はい」
そんな事は知らないけど、とりあえず相槌を打っておく。
「でも、戦争で人が死ぬのはやっぱりよくないと思います」
「まだそんな事を言っているのか」
父さんが眉を顰める。う〜ん、こういうときは…
「王道とはそういうものだと思います」
「ふっ、言うようになったな」
父さんは今度は少し笑って言った。
「だが、王者は天子でなければならん。気を付けよ」
「あ…すみません」
「まあよい。此度は開城を条件に劉璋軍の将兵の退却を許した。無駄な
死者は出ておらん」
「そうでしたか」
「こうした形で長安を得られたのは吉兆と言ってよいだろうな。そなたも
益々頑張ってくれ」
「はあ」
「さて、行こうか。超も鉄も既に来てそなたが来るのを待っている」
「はい。…あ、そういえば雲碌はどうしましたか」
僕はふと気がついて父さんに訊ねた。
「心配か」
父さんの顔が綻ぶ。
「そういうんじゃないですけど、一応兄ですから」
「そうか?まあよい。雲碌なら大丈夫だ。見事な初陣であった」
「そうですか。それはよかった…って、ええ?!(;´Д`) 」
2年ぶりに会う兄妹たちは、みんなそれぞれ成長していた。といっても
大の大人が今更がらっと変わるわけはなし。久闊を叙す鉄に拱手で応え
ながら
「ま、敢えて言えばより精悍な雰囲気になったというところかな」
などとぶつぶつ言っていると。
「そう言うお兄様は相変わらずのようね」
…早速絡んできたよ、雲碌が。こいつは何も変わってないな(註1)。
「いちいち煩いなお前は。挨拶も碌にできないのか」
僕が言い返すと、雲碌は珍しく返答に詰まって押し黙った。ふっ、ざまぁ
見ろ。
「お兄様、お久しゅうございます。無事に再会できて幸甚ですわ。…これで
いい?」
雲碌はふくれっ面をしながらも、一応の挨拶を寄越した。どこまでも挑戦的
な奴だなあ。
註1:思春期の少女が何も変わらないわけがありません。ただの色眼鏡です。
「父上。此度の長安占領、おめでとうございます。改めて祝辞を
述べさせて頂きます」
馬超が觴を掲げると、皆が揃って觴を挙げた。僕もそれに倣い、
そして乾杯する。
「うむ。李[イ寉]に敗れてから20年。実に長い道程だった」
父さんの言葉に韓遂が頷いた。
「あのときは思いの他、劉焉の軍勢がアテにならなかったからな。
あれから20年。いろいろあったなあ」
「ふむ。そういえば文約、儂もそなたと仲違いして、妻子を殺された
事があったな」
「うぐぅ…その事を言われると汗顔の至りだ。せめて今日くらいは
忘れてくれ」
韓遂は頬を引き攣らせて笑っている。閻行は…黙々と酒を飲んでいる。
…じゃなくて。いい年して「うぐぅ」はないだろ。
「ははは、今更恨みつらみを持ち出したいわけじゃない。あの頃は
お互い若かった」
儂はとっくに不惑を超えておったがな、とは韓遂は言わなかった。
薮蛇だから。
「それに、あの事件がなければ雲碌はここにいなかったかもしれん。
雲碌という勇将を与えてくれた事には感謝しなければならん」
韓遂は「ご配慮忝けない」と言って頭を下げた。
雲碌は父さんに褒められたのがよほど嬉しかったんだろう。にこにこ
しながら觴を傾けた。
「聞いたけど、初陣を飾ったんだって?」
僕は雲碌に訊ねた。
「ええそうよ」
答えながら雲碌は空になった觴を僕に突きつけた。どうやら酒を注げと
いう事らしい。
まったく何様のつもりだ――と思いつつも、僕は黙って応じる。
酒を注ぎ終わって、僕は雲碌に更に訊ねた。
「人を殺したのか」
「城から討って出た張某という指揮官と、雑兵を5,6人ほどね。みんな
大した事なかったわ」
雲碌が事もなげに答える。
嗚呼、雲碌は僅か14歳で人殺しになったうえに、それを自慢しながら
酒を飲んでます…。
「…何よ、その何か言いたそうな顔は」
雲碌が胡乱げに僕を睥睨する。僕は「別に」と答えて目を逸らしたけど、
雲碌はそれで許してはくれなかった。
「お兄様の不満はどっち?私が手柄を立てた事?それとも私が敵を殺した
事?」
「……お前が敵を殺した事だよ」
ややあって、僕は仕方なく答えた。
「人を殺した事が喜ばしい、嬉しいなんて、僕には理解できない」
「お兄様は随分とご立派な君子でいらっしゃるのね。それとも兼愛を説く
墨家かしら?」
慇懃無礼とはこの事だろうな。けどまあ子供の言ってる事だし、いちいち
腹を立ててはいられない。
「そんな事は僕は知らない。ただ、人殺しはよくないってだけだ。まして
お前は女の子なんだから」
「お兄様、以前にも言ったと思いますけど――」
雲碌が觴を置いて僕に正対した。
「桓・霊の御代よりこの関西(函谷関以西)は羌寇激しく、漢人は婦女子も
みな弓を取って戦っています(註2)。ましてこの馬家に生まれて、私が独り
暖衣飽食に甘んじているわけにはいきません。平和に馴れた中原の女性と
一緒にしないで下さい」
註2:晋の張[王番]『漢紀』によれば、反董卓同盟の頃、廷臣の鄭泰が「山東
(華山以東)は承平久しく、民は戦に習わず、関西(函谷関以西)は頃
(このごろ)羌寇に遭い、婦女もみな弓を挟(さしはさ)んで戦う」と語ったという。
雲碌の言葉に全員が大きく頷いている。ああ、父さんなんて涙を流して
喜んでるよ…。
「そりゃ、自衛の為には仕方ない事もあるかもしれない。けど今回は…」
「長安を逆賊の支配から解放する為の戦よ。義は我らにあり。何か文句
ある?」
「それは……」
詭弁だ、と言いかけて僕ははっとした。そして父さんたちをぐるっと見回す。
ここで父さんの正義を否定すると、僕の立場はとってもまずくなるかな?
なりそう…だよね。
「……文句ないです」
数瞬の沈黙の後、僕が呟くように答えると、雲碌は「よろしい」と言って再び
觴を手に取った。
それから暫く周囲では歓談が続いていたけど、僕はまんじりともせずにただ、
酒を呷っていた。
…ん?何か視線を感じるな。
兄さんか。でも何でそんなにこっちばっかジロジロと見てるんだろう?
「父上」
兄さんが、最初の乾杯以来はじめて、まともに口を開いた。
「ん、超か。何だ?」
「君子と言えば聞こえは宜しいが、私にはときどき、休が乱世というものの
実感を持っていないような気がしてなりません。一度前線に配して身体に
覚えさせてみてはいかがでしょうか」
うげ、何だよそれ(;´Д`)
父さんは胡乱げな眼で兄さんを一瞥した。
「超。そなた、休が太守の座にある事がそんなに不満か」
「いえ、そのような事は決して…」
兄さんは慌てて否定したけど、語気がだんだん弱くなってる。あー、そーゆー
事だったのか。
「私も孟起兄様に賛成します」
真っ先に賛意を示したのは雲碌。
「お前まで何を言い出すんだよ」
「能う事なら愚兄より尊兄を持ちたいですもの」
…酷い言われようだ(;´Д`)
「そうは言うがなあ…鉄、そなたはどう思う」
「兄さんが前線で武功を立てるとあれば喜ばない弟はいません」
「…文約はどう思う?」
「そうだな…後方の太守なら余人にも務まろう。それに曹操の手の者が、
我らが領内の深奥まで土足で上がり込む事もなくなる。悪い話ではないな」
「閻行、一応そなたにも意見を求めておこう」
「…御意のままに」
「では皆、賛成というわけか」
「僕は反対です(;´Д`) 」
「理由を聞いておこうか」
「戦争反対。暴力反対」
「…やっぱり鍛え直そう。休、そなたはこのまま長安に留まれ。武威へ帰る
必要はない」
「そんなあ?!(;´Д`) 」
キユが長安に移動しました。程秉が武威太守を継ぎました。
保守
戦争に怯える馬キユ様に萌え〜
保守するよ
860 :
無名武将@お腹せっぷく:02/10/10 22:47
すみません、よんどころない事情で今ちょっと手が空きません…
マターリ保守
保
建安十七(212)年9月
【キユのワーストレコード】
―長安―
お父さんが、今月は弘農を攻めると発表した。
おまけに僕にも従軍の命令が下った。気が滅入るなあ…。
馬騰軍…7部隊11万1千
曹操軍…6部隊7万9千+5部隊6万4千
竜々「えー、というわけで始まりました馬騰軍VS曹操軍。実況はいつでも
どこでも出歯亀よ、人形劇三国志でお馴染みの竜々と」
紳々「解説は紳々でお送りします」
竜々「ホームの曹操軍は野戦を選択したようですが」
紳々「せやけどあれやね。いつもは紳々竜々ゆうてんのに、今日に限って
竜々紳々ちゅうんは、語呂がようないわな」
竜々「私は解説という柄じゃありませんので」
紳々「わかっとるわかっとる。自分じゃ解説なんてようせぇへんやろ」
竜々「(ムカッ)さて話を戻しますと、守備側の曹操軍は援軍を含めて11部隊。
まさに曹操イレブンといった感じですね。一方攻撃側の馬騰軍は
選りすぐりの騎兵が11万。おや、こちらも偶然イレブンですね」
紳々「随分なこじつけやなあ」
竜々「(ムカムカッ)えー、指令塔はそれぞれ馬騰と張魯のようですが、これに
ついてはどうご覧になられますか?」
紳々「なあ、自分いつからそんなご丁寧な標準語しゃべるようになってん?」
竜々「私らの事はいいですから!」
紳々「へいへい。…まあせやな。指令塔に限らず、フィジカル面では馬騰軍の
方が圧倒的に有利やろ」
竜々「という事は馬騰軍有利と」
紳々「そうは言うてへん。指令塔を補佐するのは馬騰軍が蔡瑁、曹操軍が
楊脩。この差はなかなか大きいで。しかも馬騰軍はアホが多いやろ」
竜々「そうですね。楊脩の策が外れるような雰囲気はないですね。…おっと、
蔡瑁は包囲作戦を提案して、馬騰がそれを採択したようです」
紳々「あんまり感心できへんな」
竜々「と言いますと」
紳々「(中略)ま、作戦を達成させる前に全滅させればええんやろけど」
竜々「なるほど。ではキックオフです」
紳々「こだわるなあ」
竜々「ナンバー10の事がありますから」
竜々「さて、イニシアティヴで早い馬騰軍の騎兵からの行動ですが、まず蔡瑁が
兵士を鼓舞します。おや、これは成功したようです」
紳々「モラルは大事やね。攻撃側の最初のターンなら定石やろ」
竜々「そうですね。対する楊脩はまず伝令を派遣します。…洛陽からの援軍が
進軍速度を上げた模様。『急援』も成功のようです」
紳々「まあこのへんは流石っちゅうべきやろな。最初のターンで成功させるのは
なかなか難しいからな。もっともCOMは成功する時にしか使わへんけどな」
竜々「そうですね。さて、戦場に曹純の虎豹騎など計6万以上が到着しました。
これで兵力的には曹操軍有利です」
紳々「戦力的には漸く五分っちゅうところやろな」
竜々「援軍が到着して意気上がる曹操軍に対し、蔡瑁が罵声を浴びせます」
紳々「曹操軍は元々士気100やけどな」
竜々「そうですね」
紳々「せやけどまあ、このコンボはなかなかええんとちゃうの?失敗しても相手の
士気を下げることはできるからな。自分としてはあんまりおすすめせぇへんけど」
竜々「なるほど。…おっと、蔡瑁の罵声が曹操軍を動揺させたようです。
やりますね蔡瑁」
紳々「たまにはこういうこともあるわな。張魯や楊脩が存外不甲斐ない
気がするけどな」
竜々「『存外』を使いたければ競馬板へ行って頂きたいのですが」
紳々「やかまし」
竜々「さて、出だし好調の馬騰軍はずんずんと進軍していきます」
紳々「危ないなあ」
竜々「罠があるかもしれないという事でしょうか」
紳々「そ。罠は捜さんと見つかれへんのや。不用意に罠に突っ込んだり
してみぃ、兵は減るわ士気は下がるわ、ええ事ないでほんまに」
竜々「そうですね。馬騰軍ではキユの部隊だけがそのへん慎重なようです」
紳々「ええ事や」
竜々「さて、続いて弩兵のターンです。まずは楊脩ですが、再び伝令を出す
ようですね。おや、これは伝令はどこへ向かっているのでしょうか?」
紳々「馬騰軍の方に向かっとるなあ」
竜々「楊脩の軍から出た伝令はそのままキユの部隊へと入り込んで…
おおっと、これは?!」
紳々「レッドカードや…」
竜々「レッドカードです!なんと、キユが一発レッドカードを食らって退場です。
紳々さん、今は一体何が起きたんでしょうか?」
紳々「ワシにはさっぱり」
竜々「とにかく、キユ退場です。キユの傍らで閻行が物凄い剣幕になって
いますが、判定が覆る事はありません」
紳々「むしろキユの方が従容と受け入れて閻行を宥めとるな」
竜々「2ターン!僅か2ターンでキユ退場!その煽りを食らって我々の実況中継
もここまでのようです。残念ですがこれも契約ですので(以下略)。それでは
皆さん、さよーならー!」
紳々「ほんま何の為に出てきたんたやろな、ワシら」
ワーワーワー、カキーンカキーンカキーン
馬騰軍が弘農を占拠しました。
登用…卓膺、駱統、郭奕
斬首…何晏
解放…楊脩、曹植、廖立、曹真、曹純、王平
天水の馬騰軍が武都を占拠しました。
秦フツ、ケ賢が馬騰の配下になりました。
ええと、身辺も何とか落ち着きましたので、またリプレイを再開したいと思います。
私が不在の間保守して頂いている皆さんにはどれだけ感謝してもし切れません。
月並みな台詞となってすみませんが、本当にありがとうございます。
なお、このスレもそろそろ容量がきつくなってきましたので、
新スレを立てておきました。
異世界系リプレイスレ 〜武田騎馬軍団vs三國志 その2
http://hobby.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1035216359/ 皆々様にはこれからもご声援、ご鞭撻のほどを宜しくお願い致します。
2002年10月22日 馬キユ拝
2ターンでキユ退場にワラタ
>>869 楽しんで頂けているようで何よりです(^^
次スレでもリプレイを続けておりますので、そちらの方も
ご愛顧の程を宜しくお願い致します。m(_ _)m