信子ちゃん

このエントリーをはてなブックマークに追加
織田信子ちゃん(一七歳)は尾張学園の女王様。
今日も体育館の秘密地下室で後輩の木下秀美ちゃん(中等部一三歳)を吊してねぶってお楽しみ。
信子「秀美!お前のお尻を猿のように真っ赤にしてあげるわ!」
秀美「痛いです〜信子さま〜」
信子「お前は猿なのよ!うっきー!とでも言いなさい!」
秀美「うっき〜、です〜」
そんな楽しい閨に、乱暴者の柴田勝枝ちゃん(一八歳)と
丹羽長子ちゃん(一六歳)が駆け込んできました。
勝枝「信子!大変だぜ!駿河高の今川義子が攻めてきやがった!」
信子「そうなの」
信子ちゃんはでも慌てず、秀美を攻める手を休めません。
長子「既に佐久間のおねー様が落とされました」
長子ちゃんが静な声でにそう聞きます。
信子「佐久間のお姉さんって、大学生の?」
勝枝「そうだ」
そこで初めて信子ちゃんは手を止めました。
信子「そのうち何とかするわ。今は授業に出なさい」
勝枝「でも!」
短気な勝枝ちゃんは信子ちゃんの悠長な態度が気に入らず、食ってかかろうとします。
長子「勝枝さん行きましょう」
しかし、それを温厚な長子ちゃんが制しました。
勝枝ちゃんは不満そうでしたが、ひとまず長子ちゃんに従います。
勝枝ちゃん達が地下室を出ていった後、信子ちゃんは秀美ちゃんを下ろし、
ぐったりとした秀美ちゃんに何か囁きました。
秀美ちゃんは小さく肯き、よろよろとした足取りで地下室を出ていきます。

はたして、信子ちゃんに秘策はあるのでしょうか?
2無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 14:31
2ゲトー!
3無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 14:38
大学違い(藁
4無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 14:39
悪くないね
(・∀・)利子ちゃんと成美ちゃんきぼん
6無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 14:58
恒江ちゃんと貞子ちゃんも忘れずにね
71じゃないよ(ヲレも暇だな・・・):02/01/29 15:06
今川義子ちゃん(40歳)はいまだに自称駿河高校生。
それでも、異母姉をタイマンで破り、駿河高のスケ番となったツワモノ。
そんな義子ちゃんもお年頃(!?)らしく、趣味はお・化・粧。
義子的にはお歯黒で御輿に乗るのがマイブームってやつ?(キャハ

こんな年だから、そろそろ京の都に行ってみたいなぁ。
でも、書道教室の太原先生(故)は「義子にはまだ早いよ」って言ってたしなぁ。
で・も!留守番に妹の氏子を残して、お友達の武田さんと北条さんに後見を任せて、遊びに行っちゃおっと!

義子「元子!元子は何処え?」
元子「はい、義子おば・・・い、いえっ。義子お嬢様、何か?」
義子「もうっ!呼ばれたらすぐに飛んで来なさいよね!忘れたわけじゃないでしょうね?昔の恩を・・・」
元子「い、いえっ。申し訳ございません、お嬢様・・・」
義子「ふんっ、まあいいけど。それより元子。私、京の都デビューすることにしたわ」
元子「えっ!?あの、若者のメッカである?」
義子「そうよ。で、あんたも荷物持ちとして付いて来なさいよね」
元子「は、はぁ・・・それは光栄でございます、お嬢様。でも・・・」
義子「何か異論があって?」
元子「京に行くには、ライバル高の尾張学園を通らない事には・・・」
義子「ふんっ!何よ、あんな弱小田舎学園なんて。それとも何?元子は私があのうつけの織田信子に負けるとでも?」
元子「い、いえっ。そういうわけでは・・・」
義子「あんな野蛮なおもちゃを無駄に買っちゃって。超イケてな〜い、みたいな?」
元子「・・・・・」
義子「ま、もう決めた事だしね。さっさと支度しなさいよ」
元子「わかりました、お嬢様」
義子「京の都ではどんな御輿が流行ってるのかな?豹柄とかかな(ブツブツ」
元子「・・・・・(一寸先は闇と申しますわよ、義子様。織田信子を馬鹿にしていては・・・)」
その頃大学生の佐久間お姉さんを落とした今川義子ちゃん(一八歳)は、
おでん屋「田楽」で祝杯をあげていた。
義子「ほほほ、尾張高校のOBでさえこの程度なんですから、信子なんて娘もきっと大したこと無いわね」
フェラガモの扇子を振り回し、義子ちゃんはいい感じに酔っています。
義子「それにしてもちんけな店ねー、これだから三河高校の娘は田舎臭いって言われるのよ」
そう言うと、義子ちゃんは取り巻きの中の一人を睨み付けました。
この店を手配した三河高校の松平元美ちゃん(十歳)です。
元美「うう、すいません。家が貧乏なので高級店とか思いつかないんです」
睨まれた元美ちゃんは気弱気にそう答えました。でも
(いつか見とれよブルジョワめ、断頭台は冷たいぞ!)
と、心の中では怒りの炎を燃やしています。
でも勿論、そんなことを表情に出すほど元美ちゃんは子供ではありません。
貧乏が元美ちゃんを大人にしたのです。
義子「ふん、まあいいわ」
義子ちゃんは素子から目を外し、店主に嫌がられながら持ち込んだ高級ワインを、
がんもどきを肴に飲み始めました。
がらり!
と、その時、不意におでん屋の入り口が開きました。
駿河高生「何者だ!」
誰何の声に、間延びした声が答えました。
秀美「あの〜こちらに今川義子さんはいらっしゃるでしょうか〜」

おでん屋「田楽」に現れた秀美、その思惑とは!そして信子は!
91だけど:02/01/29 15:13
レス早いよ(w
あっ、それと、全然先のこととか考えてないっすよ(w
10無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 15:13
義子ちゃん、すげえ…(ワラ
11無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 15:16
40歳なら氏子は子供でもいいのでは!?
12無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 15:31
おい、続きはどうなったんよ?
まあマターリ待とうよ。

関東甲信越地方も誰か書いてくれればいいのにー。
14無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 15:36
ワラタ。本能寺まで是非とも続けて欲しい。
秀美「あの〜こちらに今川義子さんはいらっしゃるでしょうか〜」
間延びした声で尋ねる秀美に、今川の生徒も義子も妙な顔をします。
義子「あなた、誰?」
秀美「あ〜、申し遅れました〜、私尾張高校の木下秀美っていいます〜、よろしく〜」
駿河高生「尾張高!」
俄然色めき立つ一同。
朝比奈秦子、阿部真子、関口持、菅沼照美、岡部正子等の取り巻きが、じりじりと秀美に近寄り、
元美ちゃんも仕方なくそれにならいます。
秀美「はわわ〜、待ってください〜、私義子さんの方に付こうと思ってきたんです〜」
その言葉を聞いて、駿河高の一同は一応動きを止め、義子の方を省みた。
義子「本当なの?」
義子は疑わしげな表情で秀美にそう聞く。
秀美「ほんとですよ〜、信子さんってば秀美に酷いことばっかりするんですよ〜
    この校庭の掃除してた時なんて、いきなりおしっこ掛けられたりしたんです〜
    ひどいでしょ〜、酷すぎて何だか……あふぅ〜……」
義子は悶えだした秀美を変な生き物でも見るような目で見ていたが、
それでも興味を抱いたのか、
義子「まあいいわ、本当に裏切ったのかどうか試してあげる、こっちへ来なさい」
と言っておでん屋に金を掴ませ、義子奥の部屋に秀美を連れ込んだ。
秀美「優しくして下さいね〜」

次回「桶狭間の合戦」
16無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 15:45
なんか苦肉の策みたいだな>秀美
17無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 15:48
秀美萌え〜てな奴がきっと現れるぞ。
(・∀・)イイ!!
おでん屋の奥に連れ込まれた秀美。
秀美「あの〜、どこに行くんですか義子さん〜」
てっきり寝室に連れ込まれると思っていた秀美は、
なぜか寝室を通り過ぎ、更に奥へ向かう義子にそう尋ねた。
義子「黙って付いてきなさい」
しかし、義子はにべもなくそう言って質問を封じた。
秀美「はい〜」
秀美も敢えてそれ以上は尋ねない。
そして連れて行かれた先は
秀美「お風呂場ですか〜?」
聞く秀美の背中を、義子はどんと風呂場に突き飛ばし、
その後自分も入ると、風呂場の古いねじ式の鍵を掛ける。
秀美「うわ〜、もしかして泡プレイとか考えてます?」
秀美が心なしか弾んだ声で聞く。
義子「いいえ……」
しかし義子は、欲望にくすんだ暗い目をを光らせ、静にそう言った。
秀美「えっ、違うんですか?何だか恐いな〜」
義子「さあ、始めましょうか……」
義子は秀美の肩に手を掛けた。

ごめん、ちょっと長くなった。
次回「桶狭間の合戦(2)」
20無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 16:16
なんか本当にエロゲーになりそうな内容になってきたぞ。
21無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 16:22
で、明智の光は嫉妬の炎から信子にたてつくとみたがいかが?
22無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 16:35
って言うか義子と元美の年齢変わってるぞ(藁
秀美のはわわ〜って、アレかよ。
24無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 16:43
メイドロボのソレだろう。
その頃尾張高の生徒会室では、義子が「田楽」で秀美とお楽しみ中という一報がもたらされていた。
梁田政子「信子ちゃん!義子は「田楽」にいるそうよ!」
信子「スーダラ節をかけて」
信子はその報を聞くや、会計係の村井貞子ちゃんにそう命じた。
”すーいすーいすーいだららったすらすらすいすいすいー”
信子はこの底抜けに楽天的な歌を聴くと、何故か捨て鉢な勇気が湧いてくるのだった。
信子「勝枝!長子!恒江!盛美!成美!出陣するわよ!貞子は留守番!」
勝枝「おう!行こう!」
長子「はい」
恒江「幼少の頃より恒江は信子様に命を預けています」
盛美「姉の敵を討つわよ!」
成美「なるもお兄様の敵を討ちますー!」
こうして信子一行は尾張高校を出立した。
信子「全員、田楽屋に向かえ。しかし、私はその前によるところがある。
    私が付くまで戦闘は開始するな!」
勝枝「えっ?何処いくんだよ?」
信子「後で解るわよ」
信子はそれだけ言い放つと、一人みんなから離れた。

次回「桶狭間の合戦(3)」
てーか、もとからエロです。
スーダラ節(藁
いや、本当に面白い
28無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 16:50
スーダラ節つーのがいいね。
29ちょっとちがうけど:02/01/29 16:52
宗美ちゃん(18歳)は私立豊後学園の女番長。
お父さんが2階から転落死して以来変な宗教にはまっちゃってます。
最近じゃあ校内の生徒に改宗をせまる始末。
隣の薩摩高校や肥後高校に押され気味です。
親友兼御付きの道子ちゃん(同18歳)は頭を抱えていました。
そこで、道子ちゃんは一世一代の大芝居をうつことにしたのでした。
ある日、宗美ちゃんは妙な噂を耳にしました。
あのクソ真面目でお堅い道子ちゃんが毎週のように
自宅で合コンをしているというのです。宗美ちゃんは
「あのイモもやっと若い子の遊びができるようになったんですねーっ。
いいですよーっ。宗美が優しくレクチャーしてあげますーっ。」
とばかりに、道子ちゃんの家へ遊びにいったのでした。
家ではおりしも合コンの最中でした。
道子ちゃんは「待っていました」とばかりに宗美ちゃんを
家に引き入れました。
中に入ってみると、宗美の好きそうなマッチョなお兄さんたちが
楽しそうに合コンの真っ最中でした。
宗美は喜び勇んで合コンを開始しました。
合コンは楽しく時が過ぎていきました。
「で、宗美ちゃん趣味とかどうよ?」
なかでも一際マッチョなお兄さんが宗美ちゃんに聞きました。
「はいーっ。宗美は『馬手煉教』にはまりまくりですーっ。
病み付きですよーっ。」
宗美ちゃんはちょっとはにかんで答えました。すると、
「えっ・・・・・・」
お兄さんたちの顔がこわばりました。
「…あっ 俺たちそうゆうのナッシングだから…」
といって、他の子とおしゃべりを始めてしまいました。
合コン中、宗美ちゃんはひとりぼっちでした。
お兄さんたちが帰ってから道子ちゃんは宗美ちゃんに
「……新興宗教、かっこわるい。」
とだけ言いました。
その言葉を聞いた宗美ちゃんは、
もう宗教はやめようと心に誓うのでした。めでたしめでたし。
大名を女子高生にするスレ(・∀・)イイ!!
316:02/01/29 17:14
本当に恒江出してくれたのか
うれしいヨ
秀美「何だか義子さん恐いんですけど〜」
風呂場に連れ込まれた秀美は、今まさに義子の餌食になろうとしていた。
それ自体秀美は恐くないのだが、義子の血走った眼孔には流石に恐怖を覚える。
そんな秀美の心中を知ってか、芳美はいっそう嗜虐的な笑みを浮かべる。
秀美「恐くしないでくださいよ〜」
そう怯える秀美に、義子は言った。
義子「ばぶー」
秀美「……はい?」
義子「ばぶー」
秀美「何のまねですか義子さん〜」
義子「まま〜、おっぱい、おっぱい〜」
秀美「もしかして赤ちゃんプレイですか〜?」
そう、義子は寺に入れられて親から離されて育ったため、
親の愛に飢え、こうして時々赤ちゃんプレイをしないと精神崩壊を起こしてしまうのであった。
たまたま、秀美は義子の亡き母に似ていた。
その事まで信子は知って秀美を送ったのである。
秀美「しかたないです〜、あんまり大きくないですけど〜」
義子「おっぱい、おっぱい」
秀美「ひゃは!くすぐったい〜」
秀美はくすっぐったさに笑い転げ、風呂桶や風呂板を蹴飛ばした。

その頃、勝枝達は田楽屋を遠巻きに包囲していた。
勝枝「信子の奴おせーなー」
勝枝がそうもらしたとき
信子「お待たせ」
勝枝「信子!遅かったじゃないか!」
長子「どちらにいらしていたんですか?」
口々に出る質問には答えず、信子は一言だけ言った。
信子「狙うは、今川義子の首一つよ」

次回「桶狭間の合戦(4)」
(´-`).。oO(幼児プレイか……)
「風林火山」
「風林火山」
躑躅ヶ崎のお庭に集う乙女達が今日も仏の様な無垢な笑顔で、門を潜り出陣していく。
佩楯は乱さないように、旗指物は翻させないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。
もちろん遅参ぎりぎりで走り去るなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。
私立風林火山学園。甲斐の名門武田氏の治める学園である。
35無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 17:25
>32
芳美ってだれだYO!!
果たして、三戦板の住民に通じないであろうネタで書いてしまった。
>>35
混じった・・・ごめん。
照美「義子様遅いな、何やってるんだろう?」
真子「あんまり詮索しない方が良いわよ」
暇そうに呟いた菅沼照美に阿部真子がそう答えた。
秦子「まだ暫く掛かりそうね。元美、ジュース買って来て」
秦子が飲食店の中なのに堂々と持ち込み宣言をすると、私も、私もとみな後に続いた。
「(調子に乗り腐って、後で見てろよ)はい、わかりましたー」
元子は、表面元気に答えて店を出ていく。
そのほんの二、三分後。
信子「お久しぶりね。駿河高の皆さん」
駿河高衆「信子!」
不意に現れた信子に駿河高の生徒達は座を蹴って立ち上がった。
正子「そっちからいらっしゃるなんて、どういうことかしら?」
信子はそれには答えず、後に連れてきた二人の女性を前に押し出した。
待「その方達は?」
二人は、それに答えて手帖を前に出し名乗った。
小夜子「熱田警察署の服部小夜子です」
新「同じく毛利新です」
秦子「警察?」
新「ちょっと奥に入らせて貰います」
二人の警官は駿河高生を押しのけて店の奥に進んだ。
そして義子と秀美の居る風呂場の前に来る、中から聞こえる嬌声に耳を止め、
掛かった鍵を壊して中に押し入った。
秀美「くすぐった〜いです〜」
義子「ママー……、ってあなた達は?」
と、そこで漸く二人に気付いた義子が聞く。
新「今川義子さんですね。ちょっと署まで来ていただけますか?」
義子「えっ、なんで?」
小夜子「いま、貴方がおこなっていた行為についてですよ」
義子「ちょっと待ってよ、別に無理矢理したわけじゃないし……」
しかし、小夜子は首を横に振り、哀れが混じったような口調で言った。
小夜子「その秀美さんは一三歳です。ですから……」
義子「えー、そんなー……」
こうして今川義子は補導され、尾張高校の危機は去った。
秀美「信子様〜やりましたね〜」
秀美が喜んで信子に近寄る。
新「あっ、君も署まで来てね」
秀美「えっ、いやですよ〜、あっ、ひっぱらないで〜、信子様〜、助けて〜」
信子「まあ、この程度の犠牲は仕方ないか……」

桶狭間編(終了)
この辺りでいいかな?
次は美濃攻略編ですか?
40無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 19:31
死人がでないオチが秀逸。
他の学園も負けるな!
41無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 19:47
風林火山の続きは?
キャラ誰も出とらんし。
なんかの伏線かとオモターヨ
43無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 19:53
足利姉妹はやっぱり落ちぶれてすまんとか言うんかな?
お、おれもなんか書いて(・∀・)イイ?
45無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 20:03
ネタがある奴は参加せよ。
殺しはタブーで行きたい所だが。
461です:02/01/29 21:43
思いつきだけで立てたスレだったんで、
桶狭間終わるまで続けるとは思わなかった(w
でもまあせっかくなので、次は桶狭間後記と三河独立をはさんでから、
美濃攻略に行こうと思います。
あっ、他にも書く人がいそうなんで、
紛らわしくないようトリップ付けた方が良いですか?
そのほうがいいかモナー
48風林火山:02/01/29 21:52
思いつきで某小説の出だしをぱくっただけなのです。
ちょっとネタを引っ提げて帰るまで待ってたもれ。
491です ◆0xknNOBU :02/01/29 22:02
んじゃ、付けます。
50無名武将@お腹せっぷく:02/01/29 22:40
良スレの予感?
一見わけのわからないスレタイトルが秀逸
52無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 00:42
1の桶狭間ネタ
>>1>>8>>15>>19>>25>>32>>38

1じゃないけど桶狭間ネタ
>>7

その他のネタ
>>29
>>34
53無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 00:47
秀美萌えは墨俣築城を心待ちにしてる模様。
ちなみにそれは俺。
信子ちゃんは出てきませんが、戦国女子高生ネタってことでちょっと書いてみました。
貼らせてもらいますね。
55月に祈りを:02/01/30 01:36
夕暮れ時。山陰の小さな町にたった一軒だけあるマクドナルド──にトレーだけ置いて
座っている女の子が二人。
鹿乃「で、勝子さん。あたしらの目標、何だったか覚えてます?」
質問したのは山中鹿乃さん(18歳)。元出雲学園副番の体育系の女の子です。
勝子「えーっと……」
質問されているのは尼子勝子ちゃん(13歳)。出雲学園の理事にして代々番を張って
きた尼子家の末っ子。家庭の事情で京都の寄宿学校(仏教系)に預けられていましたが
このほど鹿乃さんが身元引受人になってこちらへ帰ってきました。
勝子「……お嫁さん。えへへ」
鹿乃「(ぶちっ)ちがーうっっっ!!!」
ガターンッッ!
椅子をひっくり返して青筋立てた鹿乃さんが立ち上がります。怯えて椅子ごと飛び下が
る勝子ちゃん。
勝子「(びくっ)ひっ……ご、ごめんなさい…」
鹿乃「誰がそんな将来の夢を語れと言いましたっ!いいですか、あたしらの目標は打倒
   毛利です!あのアキジョ(安芸女学院)の女ギツネをひざまずかせて、出雲学園
   を取り戻す。これっ!!」
勝子「(びくびくっ)で、でも私ケンカとか嫌いだし……毛利ってコ強そうだし……」
すっかり怯えてしまった勝子ちゃんを、口調を変えて優しく諭しはじめる鹿乃さん。
鹿乃「いいですか?勝子さん。出雲学園はあなたのひいお祖母さん、経子さんから代々
   尼子の女子が番を張ってきたんです。それがあの女ギツネ……毛利元子の策略で
   尼子の筋の方が次々放校になるわ、辺境に留学に行かされるわ。挙句の果てには
   理事のっとりですよ。あの女ギツネをヒィヒィ言わせるのは、言わば尼子の女子
   である勝子さんの使命なんですっ」
56月に祈りを:02/01/30 01:37
ビシッと指差す鹿乃さん。しかし肝心の勝子ちゃんはまだ泣きそうな顔のまま。
勝子「でも私、ケンカは……どうして鹿ちゃんが自分で取り戻して番長にならないの?」
鹿乃「あ、あたしがなっても仕方ないんですよ。勝子さんだから意味があるんです」
勝子「よくわかんない……鹿ちゃん、お腹すいた」
鹿乃「お金なんてありませんよ…。ここだって注文せずに居座ってるんですから」
勝子「でもお腹すいた……(グスッ)」
とうとう泣き出す勝子ちゃん。鹿乃さんは大きなため息をつきました。
鹿乃「分かりました、そこらのコからカンパしてもらってきます。待っててください」
勝子「うん……ごめんね(グスグスッ)」
鹿乃さんの言うカンパとは一般にはカツアゲと言われるヤツです。
店を出て、愛用のメリケンサックをはめながら暗い空を見上げると、そこには大きな
三日月が。それを見上げて鹿乃さんはしみじみ思うのです。
鹿乃(道は険しいわ…。お金も無い、拠点とする学校も無い、敵は強大で、しかも主君は
   危機感ゼロの13歳……でもっ!)
グッとこぶしを握る手に力が入ります。
鹿乃(これよ!こういう展開が燃えるのよ!むしろもっと艱難を!もっともっと辛苦を!)
そして鹿乃さんはメリケンサック装着の右手を高々と突き上げました。
鹿乃「お月さまーっ!どうかあたしに七難八苦をお願いしますーっっっ!!!」

元出雲学園副番・山中鹿乃さん18歳。悩める乙女はちょっぴりマゾっ気有り。
57無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 01:48
>>55.56
イイ!!ついに他校のネタが!!おもしろいんでこのままいきまっしょい。
58風林火山:02/01/30 02:08
勝子ちゃん萌え。
まさか三戦板で萌え心を擽られるとは思わなかったYO!
59八話「犬」 ◆0xknNOBU :02/01/30 14:42
田楽屋で見事今川義子を警察に捕まえさせた信子ちゃん、秀美と言う尊い犠牲も払い
ましたが、一同そんなことはあまり気にしていません。むしろこの機会に駿河高を制
圧できなかったことが不満のようです。田楽屋から帰ってきた一同の生徒会室での話
題も、自然その事に向かいました。
勝枝「私はてっきり殴り込むものだと思ってたな」
長子「でもそんなことをしたら、私達の方が警察に捕まってしまいます」
盛美「仕掛けてきたのはあいつらの方よ。お姉ちゃんだってもあいつらに……」
恒江「とは言っても、盛美さんのお姉様はいかされただけですし……」
成美「でもー、なるのお兄ちゃんは駿河高の人のせいでやおいオタクになっちゃった
   んだよー」
その事に一番不満なのは、中等部の佐々成美(12歳)の様だった。
無理もない話で、成美の兄は先年駿河高校の大原由貴子(当時28歳)教諭に魅了さ
れ、半年の間やおい漫画しか読めないと言う拷問を受けた。想像を絶する拷問を受け
た成美の兄はついには発狂し、成美と成美の家族の前から姿を消した。風の噂では、
今はアメリカのゲイバーで働いているという。
大原教諭はその後駿河高校を辞職してやおい作家になったが、大原教諭に届かなく
なった成美の恨みは、その後も駿河高校に向かっている。
成美「……なるはお兄ちゃんのお嫁さんになるはずだったのに……」
それは無理だが、とにかく成美にとって駿河高校は許せない敵だった。
貞子「なるちゃんの気持ちは解るけど、北には斉藤竜子の美濃高校もあるし、今の尾
   張高校後からじゃ駿河高校に進出することは出来ないの。解って、ね?」
ぐずりだした成美を、会計係の村井貞子(17歳)がなだめる。
成美「でも……」
貞子「解って、なるちゃん、ね?」
貞子は、なおもぐずる成美の顔を、自分の胸に埋めるようにして抱き締めた。
成美「う……ん。わかった……」
貞子「そう、いい娘ね」
そう言って貞子は、まだうぶげの長い成美の前髪を掌で少し持ち上げ、そのひたいに
唇を軽く触れさせた。
細やかな気遣いのある貞子は、生徒会室に出入りする中等部の生徒達の母親のような
存在になっていて、ちょっとおかしな所のある秀美も、気難しい成美も、貞子がこう
して抱き締めてると気持ちが落ち着くようである。
いや、彼女たちだけではない。生徒会室に出入りする中等部の生徒は、もう一人居
る。
「信子さまー!大丈夫ですかー!」
騒がしい声が生徒会室に飛び込んできた。
60無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 15:30
>>7の「書道教室の太原先生(故)」はどうしたのよ!
61八話「犬(2)」 ◆0xknNOBU :02/01/30 16:12
利子「信子さまー!大丈夫ですかー!」
騒々しく生徒会室に駆け込んできたのは、成美と同じ中等部のクラスに通う
前田利子(12歳)だった。
成美「あー、利子ちゃん!生徒会室に来るの久しぶりだねー!」
利子の声を聞いた成美は、貞子の胸に埋めていた顔をあげて、顎を貞子の肩に乗せ、
利子の方を見て言った。
利子「あっ、なるちゃん。うん、そうだね」
成美「こないだ信子様の大事にしてたにぽぽ人形壊しちゃって、信子様にもの凄い怒   られたしねー」
利子「ううっ……そうだけど。ううん!今はそんなことより信子様だよ!信子様は無
   事だよ!」
盛美「無事って?駿河高なら追い払ったわよ?」
利子「でも!その時信子様も一緒に警察に捕まっちゃったって聞いたよ!」
勝枝「あー、それなら心配要らない。捕まったのは間抜けな秀美だから」
利子「えー!?秀美ちゃんが捕まっちゃったの!大変だよ!大変だよ!」
普段から秀美となかの良い利子は、勝枝の言葉にびっくりして、大変だよ大変だよ、
と叫びながら生徒会室の中を走り回った。
恒江「落ち着きなさい。利子ちゃん」
恒美がばたばたと意味もなく走り回る利子を、呆れた目で見ながら言った。しかし利
子の耳には恒江の言葉など入った様子もなく、相変わらず大変だよ大変だよと走り回り続ける。
と、その時長子が、利子の走り回る軌道上に、無言で静に足を伸ばした。
びたん!
と、大きな音が響き、同時に利子の利子のわめき声が止まる。長子を除く生徒会室の
面々は、轢かれた蛙のように地面に張り付いた利子と、何事もなかったように足を元
に戻す長子の涼やかな顔を見比べて、僅かに恐いものを見たような表情をしている。
利子「ううん……、額が激しく激痛だよ〜」
目を回しながら、長子は漸く体を起こした。顔全体が真っ赤になっている。走りなが
ら転んだのだから、むしろこの程度で済んで良かったと言うべきだろう。
貞子「大丈夫、利子ちゃん?」
貞子が利子の近くにより、心配そうにそう問い掛けた。
利子「あっ、貞子さん〜、だいじょぶだよ〜」
目を回しながらも、利子は貞子のことをどうにか判別し、そして言い終わると、貞子
を見て安心したのか、貞子の胸の中にぱたんと倒れこんだ。
貞子「あらあら」
利子「だいじょぶだいじょぶだよ〜」
そう言っているが、どう考えても大丈夫では無さそうだった。
と、どうしたものかと、貞子がそう考えている間に、また生徒会室の扉が開いた。
信子「何をしているの?」
62十話「犬(3)」 ◆0xknNOBU :02/01/30 16:14
利子「あっ!信子様!」
利子はその声を聞くと、今受けたダメージがまるでないかのように貞子の胸の中から
跳ね起き、猛スピードで信子の側に駆け寄ると、その体に自分の体をまとわりつかせ
た。
利子「信子様、ご無事で何よりです〜」
信子の右にいたかと思えば左、左にいたかと思えば右に、利子は素早く移動しつつ、時には匂いをかぐかのように、自分の顔を信子の顔の間近に近づけ、執拗にまとわりつく。まとわりつかれている信子の方は、別段それを不快にも、嬉しくも思っている
様子はない。
信子「何だ、犬千代か」
信子は興無さそうにそう言った。犬千代というのは、利子の動作がいちいち犬のよう
なので、成美が、利子は犬チックよ、犬チックよ、とからかってるうちに、信子が
それを気に入って、利子に犬千代とあだ名を付けたのである。
利子「そうです〜犬です〜」
何が嬉しいのか解らないが、利子は信子にそう呼ばれると嬉しそうな声でそう言い、なおのさら信子の体にまとわりつく。しかし、信子の方は相変わらず利子に興味を見せない。その一言だけ言うと、まとわりつく利子を、べりっ!と引き剥がし、部屋の脇にぽいと投げ捨てる。
利子「あーうー、信子様それはないんじゃないでしょうか〜」
投げ捨てられた利子が涙声で言ったが、信子は聞く耳を持たない。
信子「貞子、来月の生徒会予算案、どのぐらいまで出来ているの?」
貞子「九分どうりは出来ています。後は勘定項目に細工をして生徒会機密費に振り返
   るだけです」
利子「聞いてくださいー」
利子は泣きながら訴えるが、信子は聞く耳を持たない。
利子「信子様〜、まだにぽぽ人形のこと怒ってるんですか〜?」
信子「長子、秀美の件はどうなっているかしら?」
長子「すぐに戻ってくると思います。何と言っても被害者側ですし」
利子「それは、壊しちゃったのは利子が悪いですけど〜、もうそろそろ許してくれて
   もいいんじゃないかなぁ〜、なんて」
信子「恒江、今川義子はその後どうなった?」
恒江「はい信子様、どうやらあの後、義子が飲酒をしていたことも発覚したらしく、
   それは今川家の力でもみ消したようですが、義子はほとぼりが冷めるまで当分
   アラスカの寺に入れられるそうです」
利子「信子さま〜……」
信子「ふーん、そう。義子はよっぽどお寺が好きなのね」
信子はそう言ってくすりと笑う。もちろん、利子は無視である。
利子「ふふ、でもそうやって無視されるのも実は利子わかってたんですよ。でも、今
   日は信子様が無視できない物を持ってきました!」
言って利子はポケットから何かを取り出した。
63十話「犬(4)」 ◆0xknNOBU :02/01/30 16:15
利子「見て下さい信子様!西成まで探しに言って見付けたにぽぽ人形です!」
利子の言葉に、初めて信子がぴくりと反応した。
利子「ほら!見てください!私頑張ったんですよー!」
利子はまた信子にまとわりついて、手に持った奇妙な人形を信子に差し出す。人形
は、先程の激しい転倒の中にも奇跡的に壊れなかったようだ。
利子「信子様〜これで許して下さい〜これからは気を付けますから〜」
信子は差し出された人形を手に取り、じっくりとそれを見つめると、つ、と人形から
目を外し、利子の方を見て微笑んだ。
利子「あっ!許してくれるんですかー!やったー!」
信子から離れ、両手を上げて飛び跳ねる利子に、信子は静に人形をさしだし、有る一
点を指さす。
信子「見てみなさい」
利子「え、何ですか?」
利子が人形の指された地点を見ると、そこには小さな文字で、にぽぽ人形と書かれて
いる。
利子「これが何か?」
信子「ひらがなも読めないの?なら読んであげるけどここにはにぼぼ人形って書いて
   あるの」
利子「えっ?えっ?」
狼狽する利子に、信子は微笑みを更に増して言う。
信子「犬千代」
利子「はっ、はい」
信子「取ってこーい」
言うと同時に、信子は人形を窓の外に思い切り投げた。人形は狭い校庭を遙かに越
え、道路の向こう側まで飛んだ所で見えなくなった。
利子「うっ……」
利子は一瞬息を呑む、そして次の瞬間。
利子「わーん!わーん!わーん!わーん!」
泣き声とも、遠吠えとも付かぬ声を出して、生徒会室から飛び出していった。
利子の帰参は、もう少し先のことになりそうである。
64無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 17:07
利子は通受けしそうなキャラだ。
続きが楽しみ。
65無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 17:10
俺は長子たんハァハァです
66無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 17:13
長子はにっこり笑って人を斬るタイプだね。
67無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 17:20
68無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 17:24
つまり表情が変わらないてこと。
69足利姉妹:02/01/30 17:42
昭子「お姉さま、私達の出番はもうすぐですわ!」
輝子「そう、よろしくってよ昭子さん」
勘違い姉妹近日登場!?
70無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 17:46
(´-`).。oO(なぜ俺はこんなに萌えているんだろう…? )
71明智光:02/01/30 17:59
光「名門足利女子校の明智光です。私も多分出番があると思うのでお楽しみに♪」
72無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 18:28
ここは大都市京にある某高級ブランド店、二人組の女子高生がいました。
どうやら着ている制服から全国でも名門中の名門である足利女子校の生徒の様です。
なんとなく上品そうな顔立ちをした娘が婦人物のバックを手に嬉しそうにしています。
彼女は足利昭子(14歳)足利女子校の中等部生徒にして理事長代理もしてます。
昭子「ねえ見て光ちゃん、これすごくいいよ!うん、買っちゃおう♪」
嬉しそうにレジへ行こうとする昭子の前に光と呼ばれた少女が立ちふさがります
光「ダメです!昭子さまは無駄使いのしすぎです。大体、今日は見るだけと言うからここへ
  寄ったんですよ。ダメなものはダメですー!」
こちらは明智光(17歳)同じく足利女子高等部生徒にして生徒会長、成績優秀な才女です。
73 ◆0xknNOBU :02/01/30 18:35
いやー、この後三河独立編をやって、そのあと美濃攻略編。
足利姉妹と明智光ちゃんが出てくるのはその後になるかと・・・
それに足利姉妹の姉は、もしかすると名前だけしか出ないかもです。
ごめんちゃい。
74無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 18:43
>秀美ちゃんは小さく肯き、よろよろとした足取りで地下室を出ていきます。

アハハハ、オモロイ!
75無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 18:53
糞スレかと思ったけどやけに面白れえじゃねえか!
76無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 19:17
あの〜,誰か各登場人物の顔入りの設定資料作ってくれませんか?

読んでいても「信長の野望の顔にセーラー服」って姿が浮かんできて(^^;
それはそれで面白いのだが.
77足利女子校:02/01/30 20:12
まねして書いてみたけど難しいですな、これ。
なんか文才ないんで萌えん二人だし…
今、続き考えてるんでまた書きます。あれじゃ尻切れのままだし。
78足利女子校:02/01/30 20:15
ああ、ちなみに光ちゃんはめがねっこにする予定です。
79 :02/01/30 20:24
>>20
剣晃ォォォ!  懐っ!
81無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 21:01
直リンすんな、ボケが!!
82無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 21:03
すごい。漢くさい三国志をここまで萌えに変えるとは。
曹操たん(;´Д`)ハァハァ
荀攸たんは某鍵キャラに酷似。あと魏と呉でデッサンが全然違うね
孫権たんも(;´Д`)ハァハァ
イラストつきで見てみたいね
85真田銃勇姿:02/01/30 21:10
ageるな危険!
86無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 21:16
>>83
ちょっと勃った。
87無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 21:18
>>83-86
これこれ。
そのスレの住民ですが、脱線してはいけませんぞ。
あちらはエロスレ。
こちらは爽やか良スレ。
さわやか?
89無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 21:21
>>81
ぐ○こ?
爽やかかね?良スレだとは思うが
9181:02/01/30 21:27
ちゃうよ。
ちょこちょこ見てるけど。
92無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 21:36
>>91
玉川○雄一?
9392:02/01/30 21:37
>>91
追加
アンタの絵はひそかに好きなので
甘寧を早くかいてくれ
9481:02/01/30 21:45
>>92
>>93
だから違うってw
玉川○雄一でもないし、ぐ○こさんでもないし。
確かに絵は好きかも…
95無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 21:49
>>73
続き楽しみにしてます。
なんか今にも「同情するなら金をくれ!」とか言い出しそうな
元美が怖くてさあ。
『留守番電話サービスセンターに接続します。
 こちらは 090−...』

「おっかしいなあ。まだ電話、出れないのかよ」

 中村寧々男くんは、そうつぶやいて携帯電話を切りました。
 寧々男くん、以前から仲が良かった木下秀美さんからしばらく連絡が無いので心配しています。
たしかに、信子さんとのつきあいで、しばらく会えそうにないとは聞いていました。それにしても、これ
まで電話にも出れないなんて、いままでのつきあいではなかったことです。

「あいつ、何かあったんじゃないだろうな」

 心配する彼の心の中に、いつしか恋心が芽生えていたことには、まだ本人も気づいていませんで
した...
97風林火山:02/01/30 22:14
そういえば、武将が女子高生なら姫は男になるのか
 個人的希望として、明智光さんには、クールなインテリとして出演して欲しいな。
99足利女子校:02/01/30 22:19
姫はやっぱり男だと思いますがまあ男が出ない方が萌えネタとしては
よろしいのでは?
100無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 22:29
ふむふむ。
101無名武将@お腹せっぷく:02/01/30 22:48
最強のレディースチーム武田騎馬軍団はまだですか?
ごめん、今週は試験で忙しい
しかも、レディースネタの方が面白そうだ
後は101に任せた
103足利女子校:02/01/30 23:37
昭子「くすん…ひどいよぅ光ちゃん…くすん…」
ポロポロと昭子の目から涙がこぼれます、14歳にしては華奢で小さな方が小刻みに
震えています。
昭子「ひっく‥輝子お姉ちゃんに会いたいよぅ…」
昭子はつぶやき、光の顔を見上げます。
光「(か、かわいい!!ああフランス人形の様な昭子さまが宝石の様な涙を浮かべて
   私を見ている!!抱きしめたい、頭を撫でて差し上げたい!!あぁ…)」
おもわず光の眼鏡が曇る勢いで光は取り乱しそうな自分を必死に抑制します。学校では
才色兼備で教師からも生徒からも一目置かれる存在の光ですが昭子の前では形無しでした。
昭子「光ちゃん…」
光「わかりました、今回だけですよ。でも副会長の藤子には内緒ですよ?」
昭子「え…本当に‥?」
光「はい」
と、さっきまで泣いていた昭子が華の様な笑顔になります。
昭子「うわーい!光ちゃん大好き!!チュッ♪」
光の頬に柔らかくて暖かい昭子の唇が触れました。
光「(!!!もー死んでもいいっっ!!!)」
光は今にも天に昇るかの様な気持ちでした。
後にこの二人は織田信子と運命的な出会いをするのですが、それはまだ先のお話なのです。
なんかこれって三国迷ってサイトの学園三国志みたいなノリですな
あそこも三国志の人物を使って女学生小説やイラスト展示してあったし
ひょっとしたらそこの職人もこのスレに混じってたりしてw
105無名武将@お腹せっぷく:02/01/31 16:37
お絵描きスレの人が秀美たん描いてくれたage
106無名武将@お腹せっぷく:02/01/31 16:43
秀美ちゃんはモデルがメイドロボのアレだと思うから
やっぱり貧乳だよなー。
10712話「岡崎入学」 ◆0xknNOBU :02/01/31 17:37
時間は少し遡って、まだ田楽屋で今川義子が逮捕される前のこと。松平元美はいつも
のように義子の取り巻きに使い走らされ、一人で五人分のジュースを買いに行かされ
ていた。
元美「くそー、ボクが貧乏だからって便利使いしやがって」
駿河高の生徒が居ないところでは、元美は何時もこうして愚痴をたれている。しかし、元美は三河小学校の存続と引き替えに今川家に奉公に出された身、幾ら愚痴を言ったところで、駿河高校の生徒には逆らえません。
元美「これというのも、おとんとじじが早死にするから……」
元美の祖父は、元々小中高大一貫の私立三河学園を経営していたが、ある年餅を喉に
詰まらせ急死してしまった。その後を継いだ元美の父は、凡庸で経営の才能を全く持
ち合わせていないにも係わらず、学園事業の他にも色々な投機に手を出し、挙げ句に
学園の教師阿部定子(当時38歳)と共に何処かへ失踪してしまったのである。その
時僅かに残った遺産は三河学園の内、岡崎小等部の経営権だけで、その経営権すら、
既に今川家への借金の抵当に入っていた。元美は、家伝の三河学園を途絶えさせない
ために、自ら今川家に身を売ったのである。
元美「あっ、そう言えばあいつらジュースとしか言わなかった。ゴーヤジュース買っ   て行ってやれ」
元美は小さな復讐心をそれで満たすべく、五人分のゴーヤジュースを買った。
元美「さて」
そして返却口に手を入れる。ぴったりの金額を入れたからお釣りはないはずなのだ
が、貧乏人の習性だった。
元美「ジュース、おもいな……」
誰に言うともなく元美は小さく呟いた。欠食児童元美の小さな体には、僅か五本の缶
ジュースでも、両腕一杯を使わねば持ちきれなかった。冷たいアルミの感触とその重
みで元美の腕はぷるぷると震えたが、決して落とすようなことはしない。
元美(三河学園の重さに比べれば、こんな物)
よろよろとおぼつかない足取りで、元美は田楽屋に戻って歩く。
元美「ふぅ、やっと着いた。……って、あれは?」
田楽の中で、誰かが大声で喚いている様です。
義子「ちょっと!私を誰だと思ってるの!今川義子なのよ!」
小夜子「いたた、足蹴られた。暴れないで下さいよ」
新「そうですよ。公務執行妨害も付いちゃいますよ」
義子「あなた達憶えてなさいよ!今川家の力をなめると……」
新「はいはい、詳しいことは署で聞きますから」
ばたん!
秦子「あー!義子様ー!」
持「義子様無しで、これから駿河高校はどうなっちゃうんですかー」
真子「ああ、行っちゃった……」
正子「義子様が居なくなると、駿河高校の管理は氏子様がすることに……」
照美「氏子様ってまだ7歳でしょー、あー……どうすればいいのよー……」
義子の取り巻きは、突然の事態に一様に途方に暮れている。
元美(なんて事、あの義子が……)
元美も事態の急変に驚き、一瞬何をして良いのか解らなくなったが、しかしそこは貧
乏暮らしの長い元美、駿河高校のブルジョワ学生とは強かさがが違います。
元美(これは……チャンスかも!)
すぐに元美は抱えていたゴーヤジュースを全て投げだし、全速力で駿河高校に向かって走り出しました。
10813話「岡崎入学(2)」 ◆0xknNOBU :02/01/31 17:37
駿河高校に着いた元美ちゃん。
元美「すみませーん、小等部の松平元美なんですけどー、実は親の都合で今度転校す
   ることになったんですー。それで、手続きをしたいんですけど」
すぐ学生課に駆け込み、掛かりのお姉さんにそう申し出た。係りのお姉さんは今川家
の裏事情に詳しくない。転校の手続きをおこなおうと思えば、容易にそれをおこなう
ことは出来る。ただ、後でそれが義子に露見すれば、どのような復讐を受けぬとも限
らなかった。恐らく、三河学園は消滅しただろう。
元美(でも義子の居ない今なら)
残った取り巻き連中や妹の氏子はそこまでの処置に思い至る事はないだろう。
事務「あー、はい。じゃあこの書類を提出して下さい」
元美「あっ!ありがとうございます!」
元美は書類を受け取ると、今度は逃げるようにして今来た道を戻った。行き先は、三
河学園岡崎小学校。元美の通っていた学校であり、父の代までは松平家の物だった学
校。

元美「次江さん!転入届頂戴!」
次江「あれ、元美ちゃん!どうしたの!?」
元三河高校の卒業生で、今は駿河大学の分校に成り下がった三河学園大学校に通う酒
井次江(20歳)は、たまたまこの日三河小の受付にバイトとして入っていた。
元美「うん、実はかくかくしかじかで」
次江「えー!かくかくしかじかなの!それはチャンスね」
代々松平学園で働いてきた家系の次江は、そう言って元美に同調します。
元美「うん、だから転入届頂戴」
次江「でも、そんなに駿河学園を甘く見ても良いのかしら。なかには、三河学園を潰
   してしまおうと考える人もいるかも……」
元美「うん、だから次江さんにもう一つお願いが有るんだ」
次江「え、私に?何かしら?」
元美「うん、ボクの保護者がわりに、駿河学園に行って転校の手続きをして欲しいん
   だ。その時、ボクが転校するのは、尾張学園に近いこの岡崎小学校で、駿河学
   園の盾になって頑張るつもりなんです。って言って来て欲しい」
次江「なるほど、でも、それでも戻って来いって言われたら?」
元美「その時は……仕方ない。戻るよ。義子が居なくなっても、駿河学園のたがは緩
   んでないって事だもの」
次江「そう、わかったわ。おねえちゃんも頑張って言いくるめてみる!」
元美「うん!お願い!」
その後、義子不在で混乱する駿河学園は、良く思案もせず元美の要求を通した。松平元美は、これによって3年ぶりに岡崎小学校への復学を果たしたのである。
しかし、いまだ三河学園の権利は、今川家の手元にあった。

次回「三河独立」
109 ◆0xknNOBU :02/01/31 17:45
絵描いてくれた人ありがとー
こんないい加減な話しでも描けるんですねー
>貧乳
確かに秀美は貧乳のイメージですが(w
マ○チがモデルって訳でもないのですよ。
勢いでああいう風に描いただけですので。

んでは、早ければ今日中に次話あげます。
110無名武将@お腹せっぷく:02/01/31 19:32
おもろい。
続き待ちー。
秀美たんのリンクが貼られてないよ。
http://www.fuji.sakura.ne.jp/~pico/cgi-bin/img-box/img20020131031159.jpg
112無名武将@お腹せっぷく:02/01/31 22:50
>>111
(・∀・)イイ!
113無名武将@お腹せっぷく:02/02/01 00:53
>>111
他の子も見てー
特に成美タンと利子タン(犬千代タン)をキボン
114無名武将@お腹せっぷく:02/02/01 01:01
他の大名ネタも読みたい。
それにしてもおもろい。
115無名武将@お腹せっぷく:02/02/01 10:44
続きまだん?
11614話「三河独立」 ◆0xknNOBU :02/02/01 12:13
岡崎小学校への復学を果たした松平元美。今日は転校後初登校の日。父が失踪してか
ら一度として帰ることの無かった学校に足を向ける。普段はしゃぐといった事のない
元美も、この日ばかりはさすが、嬉しさに心躍るようだった。
元美「ボクは三年待ったんだ!」
通学途中の道で意味もなく拳を宙に突き上げそう叫ぶ。と、いきなりそんなことを叫
んだ小学生を、まわりにいた人々はびっくりして振り返った。
元美「いけない」
ちょっとはしゃぎ過ぎた。元美はそう自分を戒めた。て考えてみれば、自分は岡崎小
学校に戻ったと言っても、未だ学園の権利は今川家にある。まだ、はしゃぐわけには
いかないと思った。
元美(そう、何としても三河学園の権利を取り戻さなければ……)

元美「みんな、帰ってきたよ!」
今日から通う教室に五年二組の教室に入った元美は、開口一番元気良く教室のみんな
にそう挨拶した。
千佳「元美ちゃん!?どうしたの!?」
始めにそう声を上げたのは、元子と幼なじみの平岩千佳(10歳)だった。千佳は元から幼なじみだったこともあって元美が転校してからも、たまに会って遊んでいた。この千佳の平岩家も、代々三河学園で働いている。
元美「えへへ、転校してきたんだ。これからよろしくね、千佳ちゃん」
元美は駿河学園小に居た時には見せたことのない、無邪気にはにかんだ笑みを浮かべ
てそう言った。
守江「えっ、なに?元美が転校してきたの?」
そう言って近づいてくるのは、渡辺守江(11歳)。元美とは一、二年生の時だけ同
じクラスだったが、千佳と同じように、元美が転校してからも友好を続けていた。
元美「守江ちゃん!うん、これからは毎日一緒の学校に通えるんだ」
守江「そうか!うれしいなぁ!」
守江はそう言って元美を抱き締めた。バスケ部に入っている守江は小学生にしては力
が強く、どちらかと言えば小柄な元美は大きく抱きすくめられる格好になってしま
い、ちょっと息が苦しい。
元美「ちょっと!守江ちゃん苦しいよー!」
しかし、そう言いながら元美の顔は笑っている。
元美(自分の居場所に帰ってきたんだ)
その思いが、息苦しさも何も帳消しにして、ただ抱擁の心地よさだけを大きく膨らせ
ていく。駿河学園に居たときには、人間の息吹のリズム、空気の流れる重さ、自分の
心臓が血液を流れさせる鼓動さえ、何もかもが気に入らなかったのに、僅か数キロ離
れた岡崎小に移っただけで、それら呪わしい全ての流動が、一転心楽しい律動になっ
てしまったように感じる。
元美(もう、ボクはここから離れないよ)
元美は、心地よい息苦しさを感じながら、そう思った。
11715話「三河独立(2)」 ◆0xknNOBU :02/02/01 12:14
放課後、他のクラスにいる友達も集まって、ささやかながら元美の再転入歓迎会が開
かれた。
康恵「元美先輩お帰りなさい!康恵はきっと先輩が帰ってきてくれると信じていまし
   た!」
元気のいい声でそう言うのは、元美の後輩で四年生の榊原康恵(9歳)で、
秋美「私もそう思ってたよ。それに、守江先輩ってば、部活中も暇さえ有れば元美先
   輩の話しばっかしするんだ。帰ってきてくれなきゃ卒業するまでに絶対耳にた
   こが出来てたよ」
憎まれ口を叩きながらも、嬉しそうに元美の帰りを祝ってくれるのは、守江のバスケ部の後輩、奥平秋美(9歳)だった。
守江「うるっさいなー、秋美だって元美が帰ってきてくれて嬉しいだろ?」
秋美「そりゃ嬉しいですよ。元美先輩はスポーツ万能だし、バスケ部としても守江先
   輩以上の戦力になるかも」
守江「口が減らないなぁ」
守江はそう言って苦笑いした。
世羅「世羅は、元美先輩が早く帰ってこられるよう、ずっとおまじないをしてたんで
   すよ」
佐羅「佐羅も一緒にしてましたー、ほらー、ランドセルに逆さ吊り鑑真くんを付けて
   おくと、願いが叶うんですって!」
世羅「えー、世羅の聞いた話では火あぶり鑑真君だったよー」
佐羅「えー逆さ吊りだよー、『GO!I’Coo!』にそう載ってたもん」
と、占いのやり方で揉めだしたのは、双子の大久保世羅・佐羅姉妹(共に9歳)。
元美「いいのよ、どっちでも。世羅と佐羅がそうお願いしてくれた気持ちが嬉しいん
   だから」
そう言って、元美は揉ている大久保姉妹を二人一辺に抱き締めた。
世羅「あっ、元美先輩……」
佐羅「あっ、なんだか気持ちいい……」
元美も大きな体ではないから、二人を完全に腕のなかへ収めることは出来なかった
が、腕以上に大きなもので抱き締められた様に、世羅と佐羅は暖かな表情になって、
二人とも占いのことなんかで揉めるのをやめた。
千佳「やっぱり、元美が居ると違いますね」
側でその光景を見ていた千佳は小さな声で、隣にいる守江に呟くように語りかけた。
守江「んっ?そうだな。なんたって、元美は赤ちゃんの時からここで育って、ここの
   空気も、広くもない校庭も、コンクリートのヒビの一つ一つまで愛してるんだ
   から。世羅達にも、そういう気持ちは伝わるんだよ」
千佳「本当にそうね……。それに元美のあんな笑顔も、何年も見てなかった……」
守江「ああ……」
感傷癖と言う言葉からは縁遠い守江も、今日ばかりはその気分にならざるをえなかっ
た。しかし、本当に嬉しいことは、この幸せが今日だけではなく、ずっと続くと言う
ことだった。
千佳「でも……」
しかし、千佳は細く形の良い眉を僅かに寄せる。
千佳「本当に、ずっと続くのでしょうか?」
守江「えっ?」
不意にそんなことを言いだした千佳の顔を、守江は訝しげな表情で覗いた。
千佳の顔は笑っていない。何でそんなことを言うんだ?と、そう守江がたずねようと
した時だった。
11816話「三河独立(3)」 ◆0xknNOBU :02/02/01 12:15
数美「元子様、お帰りになられたのですか」
教室に入ってきた少女はそう言った。その整った顔立ちの、整いすぎて冷たさすら感
じられる顔立ちの少女がただそう言っただけで、歓迎会を開く教室の中には、僅かだ
が異質な空気が流れる。
元美「数美さん」
元子が少女をそうよぶ。少女は石川数美、今は今川家の手に渡った、三河学園中等部
に通う15歳の少女である。
数美「よくお帰りになられました元美様。石川数美、元美様の御帰校、三年の月日が
   百年の春秋を数えるよりもなお長く感じるほど、焦がれておりました」
元美「そう……」
元美は何故か、他の人達と違い、数美の祝いの言葉を素直には受け取れなかった。
元美(数美さんが待っていたのは、ボク自身、元美じゃなくて、松平家の人間なの
   じゃないだろうか?)
そういう思いが心の中にあ涌いた。数美の祖父は、元美の祖父の代に三河学園の重役
を務めていた。それも、とかく縁故によりがちな三河学園経営陣のなかでは、珍しく
たたき上げで重役になったのである。その後数美の父も三河学園に勤めたが、この人
は才覚がなかったのか余り出世せず、そのうちに三河学園の経営事態が破綻してし
まったため、今は別の会社で普通のサラリーマンをしている。数美は、凡庸な父より
も、俊才であった祖父に似ていると言われていた。その俊敏さが、時には顔の表にま
で出てしまうことがあり、それが冷たい印象になることがあった。元美の何と無い不
信感も、そこに起因しているのだろう。
元美(悪い人ではないと思うけど)
何となく、他人行儀にしてしまう。
数美「元美様、早速で恐縮ですが、今川家に奪い取られた三河学園の権利書の件。い
   かが致しましょう?」
守江「権利書?」
守江は怪訝な顔をして数美の顔を見た。権利書の件は、元美とバイト事務員の次江、それから旧経営陣に親が勤めていた千佳、数美の四人しか知らない。
元美「それは……」
元美は数美の問いに答えられない。
元美「いずれは取り返さなければいけないけど……」
数美「つまり、今は取り返す策はない、と?」
元美「うん……」
他人を追いつめる話し方が、数美の悪気からではなくたんなる性格からだということ
を知っていても、元美は愉快ではなかった。第一、折角みんなが自分の為にささやか
ながらも祝の席を作ってくれたというのに、その席で権利書の話しをするなんて興醒
めじゃないか。
元美「数美さん、そういう話しは明日に……」
しよう。と言おうとしたところで、数美は元美の言葉を遮った。
数美「ご安心下さい元美様、私に考えがあります」
11917話「三河独立(4)」 ◆0xknNOBU :02/02/01 12:16
すっかりもり下がってしまった歓迎会を早々にお開きにして、元美達は数美の提案を
聞くべく生徒会室に集まった。生徒会自体は、駿河学園に吸収されたとき解散、消滅
させられているので、今は空き部屋である。集まった面々は、元美、数美、千佳の三人。
元美「数美さん。それで、考えって言うのは?」
元美は数美に聞く。さっきは多少不愉快に思ったが、権利書の奪還は三河学園独立の
命題であるだけに、数美の考えには元美も一方ならぬ関心がある。
数美「まず始めに言っておきたいことは、現在の松平家の資産では到底三河学園を買
   い戻すことは出来ませんし、今川にしても売る気も無いだろうと言うことで
   す」
それはそうだろう、つい先日まで釣り銭受けを漁っていた元美の松平家の財力では、
小なりとは言え三河学園の、この岡崎小学校を買い戻す事さえ不可能し、今川家も義
子が不在とはいえ取り立てて経済的な打撃は受けていないから、敢えて三河学園を手
放す必要もない。
数美「ですから、私達が権利書を取り戻すためには正攻法では不可能です。つまると
   ころ、非合法な手段に訴えるより他ありません」
千佳「ちょっと待って下さい数美さん。もしかして、盗み出そうって言うんです
   か?」
意外な話しの流れに、千佳はたまらず口を挟んだ。
数美「いいえ、違います」
元美「じゃあ?」
勿体つける数美を、元美はじれったそうにそう促す。
数美「今駿河学園が有する財産を管理しているのは、今川義子の妹、氏子です。むろ
   ん補佐の管財人が付いているでしょうが、今川家の建前として財産を管理する
   のは今川家の人間に限られています。ですから運用する人間は別にいるとして
   も、財産を握っているのは氏子です」
元美「それでどうするんです?」
数美「氏子はまだ7歳、幼く、そして幼い分だけ無知でしょう。それに……」
そこで数美は言葉を切り、後ろを振り返ってドアの方を向いて言った。
数美「蔵女、入ってきなさい」
言うと同時に、生徒会室の扉が開き、元美と同年代位の少女が部屋の中に入ってき
た。
数美「彼女は服部蔵女と言います。歳は元美様と同じ10歳、私が伊賀上野小学校か
   ら転入させてきました。蔵女、元美様に挨拶を」
蔵女「服部蔵女です。よろしくお願いします」
蔵女はそう言って深く礼をした。どことなく暗い印象の、伏し目がちな目線が元美の
印象に強く残ったが、それよりも、この時は数美の言葉に引っかかりを憶えた。
元美「転入、させてきた?」
数美「そうです。前の学校でいじめにあっていまして、給食費を盗んだの盗まないの
   でそうとう揉めていました。あっ、一応言っておきますが濡れ衣です。蔵女は
   そんなことをする子ではありませんから」
元美「じゃあ、そう言えば良かったのに」
数美「言いましたが、無駄だったようです」
元美「なんで?」
更に突っ込んで元美は聞いたが、普段ははっきりとしたことしか言わない数美が、こ
の時ばかりは多少言いよどんだ。そしてちらりと蔵女の方に視線を遣って、蔵女が軽
く肯くのを見てから、諦めたように口を開く。
数美「蔵女の父親は今刑務所にいます。それが、理由の全てです」
元美「あっ……」
しまったと思ったが、もう遅い。元美は自分の余計な好奇心を強く後悔した。
蔵女「いえ、お気になさらないで下さい」
蔵女がそう言ったのを聞いて、元美は何か言おうとしていた言葉を飲み込んだ。言え
ば、かえって蔵女を侮辱することになりそうだったからだ。
数美「話が少しそれましたが、本題に戻しましょう」
数美がの言葉に、元美は救われたように思った。そして軽く肯き、数美に先を話すよ
う促した。
12018話「三河独立(5)」 ◆0xknNOBU :02/02/01 12:16
数美「蔵女は、幸いにも駿河学園の人間に顔を知られていません、そこで義子逮捕の
   直後から、私の独断で蔵女を駿河学園小等部に潜入させました」
元美「潜入なんて、何だかスパイみたいだね」
数美「みたい、と言うか、スパイです。そこで解ったのは、どうやら今川氏子は今の
   駿河学園執行部の体制では余り重視されていないらしく、日中一人で居ること
   が多く、取り巻きも補佐役の管財人も付いては居ないと言うこと、今川家に
   とって重要な財産は管財人が厳しく管理しているが、さして重要でない財産、
   悔しいですが、三河学園の権利書もこのカテゴリーに分別されています、は氏
   子が自分の部屋に持っていること、最後に、幼い氏子は、同年の遊び友達を持
   たず、つねに暇を持て余している、と言うこと」
一気にそれだけ喋って、数美は一瞬息を吐いた。一瞬だけ吐いて、またすぐ話を続け
る。
数美「氏子は孤独に憂いています。そこを突けば、7歳の子供です。三河学園の権利
   書を騙し取るのは難しくないでしょう」
騙し取るという言葉に、元美はちょっと嫌な顔をした。ただ、”騙し盗”らねでもし
ない限り、三河学園の権利を取り戻せないのも、数美の言うとおり事実だった。が、
もう一つ元美には疑問がある。
元美「騙し取る、は、いいけど数美さん。一体どうやって、誰が騙し取るの?数美さ
   んがやるの?」
数美「残念ながら、私と氏子では歳が違いすぎます。それに、私の性格は余り人には
   好かれませんから」
元美(わかってるんだ)
と、元美は秘かに思ったが、慌ててその思いをうち消した。数少ない味方にまでつま
らない悪感情を持てば、三河学園の再興など果たせない。そうならないため為には、
ほんの僅かな悪感情の芽でも摘んでおく必要がある。
数美「この計画は、ですから氏子と年齢が近く、更に彼女に近づいても不審ではない
   人物でないと駄目です。幸い、駿河小には鳥居彦江がまだ在学しています」
元美「幸い、じゃないよ。彦江も転入させたかったんだけど、ボクと一辺に移ったら
   さすがに怪しまれるからって、仕方なく残してきたんだ。でも、そうすると彦
   江にやらせる気なの?」
元美は数美の話を先読みしてそう言ったが、数美は首を横に振る。
数美「いいえ、彦江は元美様と同じ10歳、歳はぴったりですが、仮にも今川家の現
   当主とではただ遊ぶだけでも釣り合いがとれませんし、そもそも私とは違う理
   由ですが、彦江も今回のようなことには向かない性格でしょう」
元美「彦江は、人を騙すなんて出来る性格じゃないもんね」
元美は駿河小にまで自分に付き従ってきた彦江の純朴な性格を思って小さく笑った。
しかし、彦江でないとすれば誰だろう?
元美「すると……あれ?あれ?今川の当主と釣り合いって……もしかしてやるのはボ
   クなの?」
数美「そうです元美様、貴方以外に誰がこの役をやりおおせますか。いずれ近い内
   に、彦江を通じて今川氏子に話しを通しまので、どうかご成功を」
元美「ちょっと待って、ボクまだやるなんて言ってないよ。それに上手くできる自信
   もないし……」
とんとんと話を進めていく数美に、元美は慌てて待ったをかけた。
数美「難しいことはありません、氏子と仲良くなって、氏子に学園の権利書を持って
   こさせるだけです」
元美「そうやって言うのは簡単だけど……実際にやるとなると結構難しいん
   じゃ……」
数美「しかし」
ぐずぐず言う元美に、数美はぴしゃりと言う。
数美「これより他に、三河学園を取り戻す手はありません」
12119話「三河独立(6)」 ◆0xknNOBU :02/02/01 12:17
こう言われると、元美は断ることは出来ない。
元美「……わかったよ。ボクがやる」
数美「そうです。ご成功しますよう、努力して下さい」
元美「うん」
その答えを聞くと、がたり、と、椅子を引き数美は立ち上がった。
数美「ではこれから、彦江に連絡を取りますので失礼します。元美様も、今日は早く
   ご帰宅なさって、英気を御養い下さいませ。蔵女」
蔵女「はい」
話しの間中身動き一つ直立せずにいた蔵女が、その声に戒めを解かれたように応え
る。
数美「元美様をご自宅までお送りしなさい」
蔵女「わかりました」
元美はその光景を何か言いたそうに見ていたが、結局何も言う気力が起こらずに沈黙
した。そして数美の言うとおり帰宅すべく席を立ち、扉の方に向かった。すると、数
美が先回りしてドアを開けてくれる。
元美「ありがとう、数美さん」
数美「いいえ、当然のことです」
平然としたいつもの顔を崩さずに、数美は言った。
数美「ああ、それから。自分のことをボクというのは、少し幼すぎると思います。氏
   子にあわせねばならない今回は良いですが、おいおいその癖は直した方が良い
   かと」
言われて、元美は数美の顔をしげしげと見た。表情は少しも変わらない。何故かこの
表情と向かいって居ると、元美は強い疲労感を覚える。
元美「そうだね、数美さんは何でも知ってるんだ。うん、直すよ、そのうちに」
数美は、ちょっと妙な顔をする。僅かでも数美の表情を変化させたことに、元美は少
しだけ仕返しが出来たような気がした。
元美「じゃあ、またね、数美さん」
数美「はい」
数美の声を背後に聞いて、元美は蔵女に付き添われて帰っていった。時は既に夕暮れ
の時間になっていた。生徒会室のなかも、茜色から徐々に暗赤色に塗り変わってい
く。がたり、とまた一つ、茜と闇のせめぎ合う箱の中で音が鳴った。
数美「千佳さんもお帰りになられますか。では、もう遅くもありますので私が送って
   いきましょう」
音の主に数美はそう言った。
千佳「ありがとうございます。実はちょっと心細かったんです」
千佳は微笑を浮かべて数美に礼を言う。そして自分の荷物を持つと、数美の方に、つ
まり廊下への扉の方に歩き、まだ手で扉を押さえる数美の前に立った。
数美「なにか?」
何か言いたそうな顔の千佳に、数美はそう問い掛けた。
千佳「いえ……」
千佳は少し言いよどんだが、
千佳「私なんかから見ると、ほら、私ってまだ子供でしょう?でも、普通の子供と同
   じぐらい、子供なんだと思うんですよ。だから、そんな私なんかから見ると元
   美ちゃんは凄く大人びて見えるんです」
数美「そうですね。元美様は頑張っておられます」
千佳「ええ、だから思うんです。元美ちゃんは、まだ大人にならなきゃいけないのか
   な?って」
千佳は数美の目を正面から見て、視線を外さずに言った。
数美「……行きましょう」
視線を外したのは、数美の方だった。それきりは、千佳も何も言うこともなく、数美
に送られて家に帰った。ただ、その間中、千佳は数美の顔から眼を逸らすことはしな
かった。
122 ◆0xknNOBU :02/02/01 12:20
遅くなっちゃった。
昨日の内なんて大嘘でした。寝てまいました。ごめん。
三河独立編は長くなっちゃって・・・
明日明後日と休み何で、書き終わるかというとそうでもなかったりするかも・・・
123無名武将@お腹せっぷく:02/02/01 12:41
おー、なんかすごい大作になってるんですが(w
元美萌え。貧乏臭さがたまらん。
あと数美たんもいいなあ。
続きも楽しみだー。
確かに大作ですね〜ってか同人小説誌作れそうな勢いですね。
誰かまとめてweb上に公開してみては如何でしょう?
125無名武将@お腹せっぷく:02/02/01 15:25
超絶的に暇なのな
126無名武将@お腹せっぷく:02/02/01 15:54
最近の設定を語るのに忙しくて笑いが少なくなってない?
127 ◆0xknNOBU :02/02/01 16:18
>>123>>124
徳川は名の知れた武将が多いんでそれだけでもかさんでかさんで
必然的に長くなってしまうと言うはめに・・・
なんか元美ちゃん主人公な勢いだし(w

>>125
仕事の合間を縫って、
と言うかさぼって描いてるんですが
明日明後日は仕事ない=PCの前に座ってない
んでペースが遅くなると思われ。

>>126
それもありますが
三河武士団は陰気な感じなので笑いに持っていきづらいんですわ
128無名武将@お腹せっぷく:02/02/01 16:20
信子ちゃん集団>笑い・馬鹿・エロ

元美集団>陰気・貧乏・苦痛

いっそのこと↑のように徹底して対比させたら面白いかも。
129無名武将@お腹せっぷく:02/02/01 20:12
双子姉妹萌え〜
大久保姉妹の絡みキボン
ところで他大名書く人いないの?
独眼龍政子ちゃんとか
130無名武将@お腹せっぷく:02/02/01 20:29
>129
なんか僕が考えた超人コンテストみたいだ。
なんならキミが書いてみたらどう?
131無名武将@お腹せっぷく:02/02/01 21:23
>>130
??超人コンテストってなんですか?
自分で書くのは・・・能力的に無理かと。
132無名武将@お腹せっぷく:02/02/01 22:15
昔、キン肉マンで読者が超人を考えて投稿するてのがあった。
それが超人コンテストです。
133無名武将@お腹せっぷく:02/02/02 10:48
尾張          駿河

織田信子  一七歳   今川義子  一八歳
木下秀美  一三歳   朝比奈秦子
柴田勝枝  一八歳   阿部真子
丹羽長子  一六歳   関口持
佐久間盛美       菅沼照美
(池田)恒江      岡部正子
佐々成美  12歳   大原由貴子 28歳
村井貞子  17歳   今川氏子   7歳
前田利子  12歳

三河          熱田警察

松平元美   十歳   服部小夜子
酒井次江  20歳   毛利新
渡辺守江  11歳
平岩千佳  10歳   美濃
榊原康恵   9歳
奥平秋美   9歳   斉藤竜子
大久保世羅  9歳
大久保佐羅  9歳
石川数美  15歳
服部蔵女  10歳

登場人物を抜き出してみた。
結構いるな。
これってある程度年齢差とキャラ設定変えていいの?
たとえば上杉影華(影虎)17才、熱心なクリスチャンとか。
いくらなんでも今の女子高生が毘沙門天信仰はしないと思うので。
135無名武将@お腹せっぷく:02/02/02 18:35
>>134
設定なんかいくらでも変えていいと思うぞ。
ただクリスチャンだと、実際のクリスチャン大名とかぶるから、
ほかの、たとえば新興宗教とかのほうが動かしやすいかも。
136無名武将@お腹せっぷく:02/02/02 21:54
毘沙門天を熱烈に信奉してる女子高生イイ!
137無名武将@お腹せっぷく:02/02/02 23:34
今日は続きないのかな?
138七尾城:02/02/02 23:37
孫氏を読みまくる高校生とか、仏一筋の尼さん高校生もあり?
139無名武将@お腹せっぷく:02/02/02 23:39
新興宗教信じてる女子高生は嫌ん。
140無名武将@お腹せっぷく:02/02/03 00:10
>>138
禿の女子高生もいやん。
141無名武将@お腹せっぷく:02/02/03 00:34
いつのまにか元子が元美に・・・
142無名武将@お腹せっぷく:02/02/03 00:49
元から元美だと思われ。
別々の人が書いたのが混ざってるから。
誰かまとめてくれないかなあ・・・とむし良く言ってみる。
143無名武将@お腹せっぷく:02/02/03 00:59
仏教系の学校とかあるからな。
そういえば信玄はどうなるんだろ。
デブ女か。
 あー、ヒマね...謀反でもしようかしら...
 などとつぶやく松永久子ちゃん

 信子ちゃんのお気に入りであることをカサに来て、木下秀美を毛嫌いして罵倒しまくる、茶道部の
千宗子ちゃん

 ...いかん。山科けいすけの「SENGOKU」が入っとる。
145無名武将@お腹せっぷく:02/02/03 01:09
>>144
俺もおもた。
146無名武将@お腹せっぷく:02/02/03 02:53
期待age
職人の皆様がんばってください
秀美って、猿顔でわ無いノ?
148無名武将@お腹せっぷく:02/02/03 04:17
149集結!尼子十勇士:02/02/03 04:59
相変わらず山陰の小さな町──商店街の入り口に立つ見覚えのある二人の女の子。
そう、打倒毛利を目指す山中鹿乃さんと尼子勝子ちゃんです。
今日商店街にやってきたのもその一環、鹿乃さん発案のある作戦を実行に移すため
でした。
鹿乃「勝子さん、今日は打倒毛利の同志を募りましょう!」
勝子「お友達探し?」
鹿乃「あたし一人で十人分は戦うつもりですが、相手はあの女ギツネと毛利三姉妹、
   その配下に至っては数百人です。さすがにあたしら二人では……。でも!」
鹿乃さんはごそごそとセーラー服のポケットを探り、茶色の封筒を取り出しました。
その中から出てきたのは、なんと数枚の一万円札!
勝子「すごいすごい!鹿ちゃん、そのお金どうしたの!?」
鹿乃「えへへ。ちょっと苦労して都合したんです」
誇らしげな鹿乃さん。このお金のためにコツコツと夜勤のビル警備をやっていたこ
とはナイショです。
鹿乃「このお金で、町にたむろしてるコたちをスカウトするんです。前金は少しで
   も、あとは出雲学園を取り戻してからということにすれば。ある程度頭数さ
   え揃えば毛利に不満を持つ連中は自然に集まってきます。そうなれば毛利も
   恐るに足らず!勝てます!勝てますよ、勝子さん!」
力説する鹿乃さん。対して勝子ちゃんはやっぱりよくわかってない様子。
勝子「なんだかよく分からないけど、お友達が増えるってことだよね?」
鹿乃「そうそう。お友達も増えますし、出雲学園も取り戻せます。一石二鳥だと思い
   ませんか?」
勝子「わぁ!ホント?鹿ちゃんってやっぱりスゴイ!」
鹿乃「それじゃ、さっそくお友達探しに出かけましょうか!」
勝子「おー!!」
そして二人は意気揚揚とアーケードの下に消えていきました──
150集結!尼子十勇士:02/02/03 05:01

──三時間後

商店街から少し離れた公園に、ベンチに並んで腰掛ける二人の姿がありました。
鹿乃「…………」
肩を落とし、力無くうつむいて座っている鹿乃さん。心なしか目が虚ろです。
それに比べて勝子ちゃんは大いにご機嫌、まさしく天使の笑顔大全開です。
勝子「どうしたの鹿ちゃん?こんなにお友達いっぱい見つかったのに」
鹿乃「いや、なんでもないです…」
そう言いながら顔を上げた鹿乃さんの目に入ったのは、勝子ちゃんの笑顔と、その隣
に山をなす大量のぬいぐるみ……。

結論から言うと、スカウトは失敗しました。
商店街に入った勝子ちゃんがまず初めに見つけてしまったのがファンシーぬいぐるみ
ショップだったというのが不幸の始まりでした。
鹿乃さんがしまったと思う間もなく、目を輝かせて店に飛び込んでいく勝子ちゃん。
そこに並んでいたのは勝子ちゃんにとってはお友達、でも鹿乃さんにとっては無駄な
モノの代表(今となっては悪魔の使者)である愛くるしいぬいぐるみ達です。
なんとか諦めてもらおうと必死に説得する鹿乃さんでしたが、勝子ちゃんに目に涙を
ためられて『でも、私こんなの買ってもらったこと一度も無いから……。いつかこん
な子たちと遊んでみたかったの……。どうしても、ダメ?』と聞かれてしまうと──
鹿乃(ダメなんて言えるわけないじゃないのよぅ……)
結局、買ったぬいぐるみ都合九つ。手元に残ったお金はわずか451円でした。
鹿乃「ふぅ……」
もう鹿乃さん、ため息しか出てきません。
151集結!尼子十勇士:02/02/03 05:03
勝子「ねぇ、鹿ちゃん。この子達に名前をつけたんだけど」
そんな鹿乃さんとは対照的に元気一杯な勝子ちゃん。
鹿乃「……名前、ですか?」
勝子「この子がね、小倉鼠子ちゃん」
そう言いながらネズミのぬいぐるみを指差しました。
勝子「で、順番に藪中荊子ちゃん、深田泥子ちゃん、植田早苗ちゃん……」
次々とぬいぐるみを指差しては名前を言っていく勝子ちゃん。
そして最後の一つになると、それを抱き上げて鹿乃さんの目の前に。
勝子「最後のこの子が安宅庵子ちゃん。はい、ご挨拶」
庵子『ハロー! アイム ファービー』
庵子ちゃん、甲高い声でご挨拶。
鹿乃「…………」(なんで今更こんなものが置いてあるのよ、あの店は……)
勝子「この子たちに鹿ちゃんを入れて、尼子十勇士ってどうかな?」
はしゃぐ勝子さん。頭を抱える鹿野さん。
鹿乃(お願いですから、あたしの存在をぬいぐるみと同列に並べるのはやめて
   くれませんか……?)
勝子「これだけお友達ができれば、出雲学園もきっと取り戻せるよね♪」
鹿乃(……すみません、多分、無理です……。
   っていうか、あたしにどうしろって言うんですかぁぁ!!?)
叫び出したい衝動を必死に押さえる鹿乃さん。
そんな気も知らず、勝子ちゃんはぬいぐるみの十勇士たちとお話中。
勝子「はやく、みんな一緒に出雲学園に帰れるといいのにねー」
庵子『トッペリピッター!』

はたしてその日が訪れるのはいつになるのでしょうか?
とりあえず、まだまだ尼子一党の、特に鹿乃さんの受難の日々が続くのは間違
いなさそうです。
152無名武将@お腹せっぷく:02/02/03 05:19
とりあえず西国方面をちょっと書かせてもらってます。
(信子ちゃん達が来るまでしばらく時間かかりそうですし)
内容は尼子再興ネタのコメディ中心でなるべく笑えるようなものを。
一応暇を見て続けていくつもりですが、気に入ってくださった方が居られたら
キャラは勝手に使って続きを書いてくださっても全然結構ですので。
153無名武将@お腹せっぷく:02/02/03 17:30
>>149-152
イイ!!(・∀・) 期待してるので頑張って。
しかし今時ファービーってのはどうかと思うが、勝子ちゃん(藁
154無名武将@お腹せっぷく:02/02/03 18:46
>>149-152
ええですな。
是非頑張って続きも書いていただきたい。
155無名武将@お腹せっぷく:02/02/04 00:23
続きでてないっすね。
156無名武将@お腹せっぷく:02/02/04 21:01
やぱ、今までの続きか新作がないと盛り上がらないっすな。
あるいは絵UPとか。
描いてくれるとしたら大久保姉妹キボン。双子弱いんで・・・
数美「元美様、彦江からの連絡がありました」
元美の初登校の日から数日後、岡崎小学校生徒会室にその連絡が入った。
元美「ああ、来たんだ」
元美は余り乗り気でない声で、数美からの報告を受けてこたえる。
数美「彦江を通して、今川氏子の現在の側近である朝比奈秦子に申し入れましたとこ
   ろ、明日駿河小学校で元美様と今川氏子が御遊園、ということになりました」
元美「御遊園なんて、何をすれば良いんだか解らないな。それに、駿河小まで行かな
   きゃいけないのか……」
駿河小学校には、元美はいい思い出が余りない。僅かに、先年退職した大原由貴子教
諭が、何故か元美のことを可愛がってくていたが、その教諭も居なくなってしまって
からは、ブルジョア揃いの駿河小で随分肩身の狭い思いもしたし、義子の取り巻きに
は便利使いもされた。今名前の出た朝比奈秦子も、その取り巻きの一人だ。
数美「遊園会などと名前を飾っても、要は7歳の女の子と遊んでやるだけのことで
す」
元美「どうも気が重いな……」
あくまで乗り気でない元美に、数美はちょっと苛立った様に言う。
数美「元美様……」
元美「わかってるよ、学園のためだ」
数美「……そうです」
元美「わかってるさ、やるよ。明日の……何時に駿河小へ行けばいいんだい?」
数美は少しの時間元美の顔を見つめ黙った。が、やがて制服の胸ポケットから手帖を
取りだし、それをぱらぱらと捲った。
数美「午後2時です。駿河小には蔵女がお送りしますので、午後1時にはお迎えにあ
   がります」
元美「蔵女ちゃんが?いいよ、行き慣れたところだもん、ボク一人で」
数美「そうはまいりません。元美様は松平家の当主なのですから、護衛の一人ぐらい
   は付いて居ないと」
元美「護衛って、蔵女ちゃんが?ボクと同い年だよ」
数美「蔵女は骨法を心得ています。そこらの大人よりも役に立ちます。それに安全上
   必要な警備処置いうよりも、装飾的な意味合いが大きいです。今川氏子にも、
   朝比奈秦子が付いているのですから、元美様にも護衛が居なくては体面が立ち
   ません」
元美「体面か……」
つい何日か前までは釣り銭受けを漁っていた身からすれば、これは地位の向上なのだ
ろうか?しかし相変わらず家は貧しく、あるのは松平家の当主という、現在は空手形
に近い地位だけだった。この地位を、虚位で無くすには、今川氏子から権利書を略取
しなければならないのだが、なぜか、それも気が重い。
数美「よろしいですか、元美様?」
ぼんやりとしていた元美を、現実に引き戻すかのように数美が強い声を放つ。
元美「うん、いいよ」
元美はそうこたえて、椅子の背もたれにぐっと体重を掛けた。疲れているのかも知れ
ない。やるべき事は権利書の件だけでなく、独立後の生徒会人事、学園の経営方針、
ほぼ0に近い財源をどうするのか、問題は山積している。数美や次江などの補佐者、
千佳などの協力があるとしても、元美には重すぎる課題である。
数美「では、その様に手配します」
数美はそう言うと一礼して生徒会室を出ていった。それを見送ってから、元美は大き
な溜息を吐いた。
元美「何だか、随分久しぶりな気がするよ」
駿河小学校の豪奢な校門をくぐってから、元美は傍らの蔵女にそう呟いた。
元美「ついこの間まで通ってたのにね」
蔵女「はい」
蔵女は余計な口をきかない。元美が話しかければ、一応この程度の返事はしたが、ど
ういった感情を持っているのか、どんな感想を持ったのかは言わないし、顔の表情に
も出ない。彼女を連れてきた数美もそんなところがある。似てくるものなのかな?と
元美はちらっと考えたが、よく考えてみれば、数美よりも蔵女の方がもっとこの傾向
は酷いから、これは元からの性格なのだろう。
蔵女「元美様、あれに」
蔵女がそう言って先の方を見やった。その視線を追って元美も視線を動かす。そこに
は、二人の少女が立っていた。長身痩躯で髪の長い方の少女は見覚えがある。かつて
今川義子の側近として仕えていた朝比奈秦子(17歳)だ。もう一人の小さな少女に
は見覚えが無い。少女は前髪を眉の上ほどに、後ろ髪を髪を肩の少し上程に揃えてい
る。その後ろ髪に、自分の頭の倍ほどもある真っ赤なリボンの付いた髪留めをつけて
いた。蔵女から聞いた容姿と同じだから、これが恐らく今川氏子だろう。
秦子「元美さん。ようこそいらっしゃいました」
秦子は、元美の姿を認めるとそう言った。つい先日までは使い走らせていた元美であ
る。言葉こそ慇懃だが、何処か横柄な口調であった。
元美「こんにちは、秦子さん(偉そうな口利きやがって)こちらが氏子様ですね?氏
   子様、こんにちは」
にっこりと微笑みながら少女にそう言ったが、元美は秦子の口調に今川時代のハング
リースピリッツを呼び起こされ、心の中で悪態を吐く。元々数美の計画には乗り気で
なかったが、今の秦子の一言で逆に元美はやってやろうという気が湧いてきた。秦子
は気付いていないが、失敗したと言うべきだろう。
秦子「元美さんの様な方とお遊びになるほど氏子様はお暇ではないのですが、そちら
がたってのご要望と言うことでこの場をもうけました。あまり、長い時間ではありま
せんわよ」
元美「それはありがとうございます。秦子様も、他の方は余程お忙しいらしくお姿も
   お見かけしませんのに、ボク何かのために時間を割いてくれてありがとうござ
   います」
秦子「……そうね」
氏子の守り役というのは、現在の駿河体制では閑職というに近い。元美はその事を皮
肉ったのだが、この程度の皮肉なら大丈夫だろうと算段があってのことだった。以前
と違い、今川家も松平家をそうそう粗略には出来なくなっている。
氏子「お前が松平元美か?」
と、その時、挨拶にもこたえなかった氏子が不意に言った。
元美「えっ?は、はい、そうですが?(言わなければ分からないの?)」
氏子「そうか。元美、妾は退屈なんじゃ、何ぞ楽しいことでもせい」
元美「はぁ……楽しいことですか?」
元美は腹が立つよりも、余りにも漠然とした要求に困惑した。
元美「と、いうとどんなことです?」
氏子「そんなこと妾は知らぬ。それぐらい自分で考えよ」
元美(こんの、餓鬼〜!)
さすがに元美もむっときて、ちょっと恐い目で氏子を睨んだ。
氏子「妾は、連歌やら貝合わせなどにはもう飽き飽きなのじゃ、元美よ、そちなら何
   ぞ庶民の遊びも存じておろう?」
しかし、氏子はそんな視線を気にした様子もない。何か楽しいことはないか、何か楽
しいことはないかと、困惑する元美に尋ね続ける。
元美「ボクの知ってる遊びって言うと、バスケとか……」
氏子「おお、何じゃバスケとは?楽しいか?」
氏子は元美の口から出た新しい遊びの名前に、期待を込めた目をきらきらさせてそう
たずねる。
元美「いや、ちょっとまって。よく考えたら氏子様じゃあバスケをするには背が低す
   ぎるよ」
氏子「なんじゃと!妾が女童と思うて侮るか!」
元美の言葉を聞いて、氏子は何か誤解したらしく急に怒りだす。
元美「いや、そうじゃなくて……もう!どう言えばいいのかなあ!」
苛立った元美が、つい切れそうになってそう叫ぶ。
氏子「なんじゃ!何がそうでないのじゃ!はっきり言ってみい!」
元美「だからバスケって言うのはある程度背丈がないと……」
氏子「ほれみい!やっぱり妾を女童と侮っておるのじゃ!」
元美「違ーう!ってのにもう!」
秦子「こら!氏子様になんて口聞くんだ!」
そこに、秦子までが口を挟んでくるから、元美にはもう収拾がつかない。
結局小一時間も悶着したあと、騒動は漸く収まった。もっとも、3人とも相手の言う
ことを理解したのではなく、たんに息が切れて喋ることが出来なくなっただけだが。
元美「……とにかく、バスケは諦めて別のことをして遊ぼう」
一休みして少し息が落ち着いてから、元美は氏子にそう言った。
氏子「……わかった」
今度は氏子も、あれだけの口論たため疲れたのか素直に従う。ちなみに、秦子はまだ
向こうでへばっている。元美達との僅かな歳の差が回復に出たのかも知れない。
氏子「しかし、それでは何をして遊ぶのじゃ?」
元美も、実はもう少し休みたいのだが、これも僅かな歳の差が出たのか、氏子はあれ
だけ喚いたのにもう元気が完全に回復している。
元美「そうだなあ……」
元美は何も思いつかぬまま何か無いかとその辺りを見回す。
元美「おっ?あれは……」
と、何かを見付け、元美はその方へとっととよっていった。
氏子「なんじゃ?」
元美「いや、サッカーボールがあったから、サッカーでもしようかなって思ったんだ
   けど、よく考えたらこれだって氏子様には向かないだろうし、人数も全然たり
   ないや」
元美はまたどうしようかと考え込んで、何気なく足下にあるボールを弄んだ、そうし
て考えても、いまいちいい案が浮かばない。あまり浮かばないので、ついボールを
ひょいと足に乗せ、そのまま軽く蹴り上げて頭の上で制止させた。元美はスポーツな
ら何でもこなせたので、この程度のことは造作もない。
氏子「おおっ!元美、何だそれは!凄いではないか!」
元美「へっ?」
氏子の上げた歓声に、元美は漸く自分が何をしているか気付いた。
元美「ああ、これ?リフティングって言うんだけど……」
言って、元美は頭の上に乗せたボールをぽんと飛ばし、膝と足の先を使って器用にぽ
んぽんと蹴り続けた。
氏子「おお!面白そうではないか、妾にもやらせてくれ!」
元美「えっ?氏子様が?ちょっと無理なんじゃ……それにボクは短パンだからいいけ
   ど、氏子様はスカートでしょ」
氏子「なんじゃ?また妾を……」
元美「ああっ!はいはい、わかりました。どうぞ」
また機嫌を損ねられては敵わないので、元美は氏子にボールを渡した。ボールは氏子
の頭程の大きさもあり、到底リフティングが出来るとは思えない。
秦子「あっ、氏子様、その様に汚いボールに触れては……」
そう故障を言い立てる者もいたが、氏子はそれを一瞥しただけで黙殺し、小さな両腕
で一抱えほどもあるボールを持ち上げ、それを自分の足の上に落とした。
氏子「えい!」
とん、ぽて、ころころころ……
ふっと蹴り上げた足にボールは当たり、当たっただけで当然浮き上がることもなくそ
のまま地に落ち、ころころと元美の方に転がってくる。
元美「やっぱり無理じゃあ……」
氏子「うるさい!」
氏子はボールの方に走り寄り、拾い上げてまた同じ動作をしたが、結果もやはり同じ
事だった。その後も、それを何回か繰り返す。
元美「氏子様には、そのボールは大きすぎるんだよ。もう少し小さなボールじゃない
   と」
見かねた元美がそう氏子に言った。
氏子「しかし、ボールはこれしかないではないか」
元美「そうだね」
困ったなと、元美がどうしようか考えてると。
蔵女「氏子様、これをお使い下さい」
蔵女が不意に現れ、氏子に子供が使いような、うさぎの絵が描かれた小さな赤いゴム
ボールを渡した。
氏子「なんじゃおぬしは?」
元美「あれ?蔵女、そう言えばさっきから居ないようだったけど、何処に行ってた
   の?」
いきなり現れた蔵女に、氏子と元美は同時に聞いた。
蔵女「私は服部蔵女ともうします。元美様の附添でやって来ました。先程から居りま
   せんでしたのは、ちょっとトイレに行っておりましたので」
元美「全然気付かなかったなあ」
元美は不思議なものでも見るように、蔵女のことをまじまじと見た。居なくなるときもわからなければ、帰ってきたときにも気づかせない。
元美「蔵女には、不思議なところがあるね」
蔵女「そうでしょうか?」
元美にそう言われ、蔵女は僅かに照れたようだった。
氏子「元美!見ろ、これなら妾でも浮かせることが出来るぞ!」
氏子の声を聞いて元美がその方向を見ると、先程蔵女から渡された赤いボールが氏子
の足で蹴り上げられている。もちろん、氏子はただ力任せに蹴っているだけだったか
ら、ボールは見当違いの方向へ飛んでリフティングなど出来ていない。ボールが飛んでいくたびに氏子はとてとてとそれを拾いに行く。
氏子「しかし上手くいかんの」
氏子は首を捻って、それでもまた力任せにボールを真上に蹴る。もちろん今回も上手
く行かない。
元美「それじゃだめだよ、力任せに蹴るんじゃなくて、ボールをコントロールしな
   きゃ」
元美がそのボールを拾い、見かねてそうアドバイスした。
氏子「うるさい!妾のやりたいようにやるのじゃ!」
しかし、氏子は元美の言うことなど聞こうとはしない。
元美「あっ、そう」
元美は呆れてそれ以上は言わなかった。それなら、出来ないリフティングにせいぜい
苦しむがいい。
蔵女「元美様、実は先程調べましたところ、氏子の部屋には、どうやら三河高校の権
   利書はないようなのです」
不意に蔵女が元美にそう囁いた。
元美「へっ?いきなりなに言い出すんだよ蔵女」
蔵女「ですから先程私が姿を消したとき氏子の部屋を捜索したのですが、権利書は見
   あたらなかったのです」
元美「ちょっと待って。じゃあさっきのは、トイレに行ってたんじゃなくて……」
蔵女「一応、場所ぐらい確認しておこうと思いまして」
蔵女はしれっとそうこたえる。
元美「でも……」
秦子「何のお話ですか?」
突然の秦子の声に、元美はびくっと飛び上がる。
蔵女「はい、元美様がトイレの場所は何処か、と」
しかし、蔵女はあくまで落ち着いてそう答える。
秦子「トイレ?」
元美「そうそう、ちょっとお腹の調子が悪くて……」
秦子は疑わしそうな目で元美を見る。しかし、話を聞いていたわけではなかったらし
く、ひとしきり睨み付けると言った。
秦子「トイレならあっちだから早く行ってきなさいよ」
元美は、ちらっと氏子の方を見る。氏子は相変わらずボールを相手に悪戦苦闘してい
て、暫くはあのまま一人で遊んでいそうだった。別に本当にトイレに行きたいわけで
はないが、行く振りだけでもしないと怪しまれるだろう。
元美「じゃあ、ちょっと失礼して」
元美がそう言って、そそくさとその場を去ろうとした時。
蔵女「あっ、元美様、氏子様が外へ行ってしまわれましたよ」
元美「えっ?」
蔵女の言葉に元美は慌てて氏子の方を見ると、蹴り損なったボールが思わぬ方向に飛
んだらしく、校庭から校門の外に飛び出してしまっていた。それを追って、氏子もと
てとてと校門の外に出ていく。ちなみに、校門の外は車道で、都心ほどではないにし
ろ車の通りも多い。
元美「って説明してる場合じゃなくて、大変!」
元美は言うが早いか全速力で駈けだした。校門までは50mほどの距離がある。既に
氏子は校門の外に出てしまっていて、ボールは間の悪いことに車道に転がり出てし
まっている。当然、氏子は無雑作に車道へでた。
元美「馬鹿!」
叫びつつ元美は全力で氏子にタックルをかけた。
氏子「な、なんじゃ!」
氏子が驚いて叫び、元美と抱き合いつつ対向車線まで転がる。
元美「って車来てるー!」
そこは不幸の一番星元美、わざわざ車の来ていなかった車線から、車の来ている車線
まで転がってきてしまった。と、ガン!ドゴ!っと大きな音がして、元美達に向かっ
てきていた車が急に向きを変えた。そして、ドン!っと更に大きな音を立て、ガード
レールを乗り越えた先の商店に突っ込み炎上する。
元美「こっ、これはいったい……」
突然の出来事に、元美は訳が解らずに困惑して地面に座り込んだ。
蔵女「ご無事ですか元美様!」
元美が初めて見る慌てた表情で蔵女が駆け寄ってくる。
元美「蔵女、ボク轢かれそうになって……、なに?どうしたのこれ?」
蔵女「元美様が突然車の前に飛び出されたりなさるから、とっさに対戦車砲を撃ち込
   みました。びっくりさせないで下さい元美様」
元美「対戦車砲、そんなものをどこに……ってそんなの撃ち込んだの!」
蔵女「ご安心下さい。炸薬は抜いてありますから峰打ちです」
元美達の脇では車の突っ込んだ商店が轟々と唸りを上げて燃えさかっている。車のガ
ソリンに引火したのだろう。商店の主と運転手は奇跡的に爆発前に脱出したようだ
が、二人とも降って湧いた不幸に茫然自失として微動だにしない。
元美「……まあ、やっちゃったものは仕方ないか。損害賠償とか請求されるとやだか
   ら、口ぬぐっとこう」
氏子「苦しい!何時まで抱いておるのだ無礼者!」
元美「ああ、氏子様のことわすれてた。ごめんね……って、駄目でしょ氏子様!車道
   に飛び出しちゃ!」
蔵女「……結果的に車の前に飛び出したのは元美様ですが」
蔵女が呟く。一応配慮したつもりなのか小さな声だったので、元美の耳には届いた
が、氏子の耳には届かない。
元美「……とにかく、危ない事しちゃ駄目だよ!」
余り説得力はなかったが、元美はそう言って氏子を叱る。
氏子「危なくなんかない!妾は子供ではない、一人で外にだって行けるのだ!」
元美「今のを見たらそうは思えないね!氏子は子供だ!」
氏子「そんなことはない!」
元美「いや!そんなことある!氏子は危なっかしい子供だ!」
氏子「うるさい!子供子供子供子供子供子供子供子供!お前達は何時もそうだ!妾は
   子供ではない!義子お姉様のいない今、今川家の当主は妾なのだ!何時もお前
   達が妾を何と言っているのか妾が知らないとでも思っているのか!妾は頼り無
   い子供でも、何も知らない子供でもない!妾は一人で着替えもできるし、一人
   で歯磨きだってお風呂にだって入れるのだ!それを……お前らが何時までも…
   ひっく…子供扱いする…から。妾がそれを…どれほど……いや…んぐっ…
   …ひっく…だと」
元美「氏子?」
突然言葉を詰まらせて涙ぐみだした氏子に、元美は驚いて声を掛けた。
氏子「妾は……あぐぅ……無意味な…すんっ……お飾り何かじゃないっ……!」
言うと感情のたがが一気に外れたのか、元美に抱き締められたまま体勢で氏子は手足
を思いきりばたばたと動かした。
元美「うわっ!ちょっと、暴れないで!」
腕の中でじたばたする氏子を、元美は両手を突っ張って持ち上げた。氏子は元美の腕
で宙に浮き、空中で爆竹の様にばたばたと弾ける。
氏子「うるさいうるさい!妾を馬鹿にするな!妾を子供扱いするな!」
泣きながら大声で喚き、手足をばたつかせる。
元美「うわっ!ちょっと!氏子ちゃん!落ちつい、がっ!?」
ガンッ!っと一発良い蹴りが元美の顎をしたから捕らえ、
元美「ぐふっ!」
同じ足が今度は振り下ろされ鼻頭を撃った。元美は氏子を宙に上げた体勢のまま、大
地に崩れ落ちる。
氏子「お前達は妾を何時もっ……ってあれ?」
元美がダウンしたことで、氏子は地面の高さまで下ろされた。膝立ちの高さだったた
め衝撃もない。しかし、目の前で這い蹲る元美を見て、氏子はびっくりして泣くのを
やめる。
氏子「あっ……蹴るつもりはなかったのじゃ……元美、大丈夫か?」
元美「痛たー……頭がくらくらする」
所詮7歳児の力、大したことはなかったようで、元美はすぐに起きあがった。
氏子「あっ、鼻血が出てる」
元美「えっ?うわっ、ほんとだ。まともに入ったからなあ」
たらりと流れる血の感触を手で確認して、元美は慌てて鼻をつまんだ。しかし、それぐらいでは落ちてくる血を止められない。
氏子「あっ、……元美。ごめん……血が出るなんて思わなかったのだ」
元美「あっ、氏子ちゃんいいんだよ。ボクの不注意もあったんだし」
また泣き出しそうな顔になる氏子を、元美は慌ててなだめる。
氏子「でも……妾が……」
元美「いいって、だから泣かないで」
氏子「泣いてなどいない!」
慌てて氏子はハンカチを出して目から涙を拭った。そして、ふと気付き、そのハンカ
チを元美に渡す。
氏子「これで鼻を押さえておくと良い」
元美「えっ、でもこのハンカチ高そう。千円ぐらいしない?」
実際の価格は5万円前後だが、元美にはそういう金額は想像が付かない。
氏子「いいのじゃ、妾のせいじゃし。それに、元美はさっき妾を助けてくれようとし
   たのに、妾はその礼も言わなかった。あれは……妾が悪かったのじゃ」
元美「……いいんだよ、そんな事」
元美は言って氏子からハンカチを受け取った。これは氏子なりの、仲直りの印のつも
りなのだろう。
元美「ありがとう、氏子ちゃん。あっ、氏子様」
氏子「やめてくれ、様などつけられても、妾は嬉しくなど無い」
元美「じゃあ、氏子ちゃん、でいい?」
氏子「ううむ、何だか面映ゆいような気もするが……まあ許す」
それから氏子は、今度はちゃんと元美に教わってリフティングの練習を始めた。初め
はやはり上手く行かなかったが、何回か練習するうちに2.3回程度なら出来るよう
になり、出来るようになると、氏子はこの単純な動作がますます面白くなって、もっ
と上手くなるにはどうしたらいいかと積極的に元美に尋ねる。元美も、それに嫌は言
わず、幼い氏子相手に丁寧に教えてやる。
そうこうしている内にすっかり日が暮くれ、この日の後遊園はお開きになった。
氏子「元美、今日は楽しかったぞ、また明日も遊ぼう」
秦子「ええっ、明日もですか?」
氏子の言葉にそう言ったのは、言われた当の元美ではなく秦子だった。車が商店に
突っ込んだり、氏子が大泣きしたりと、そんなことがまた明日も有るのかと思い、つ
いそんな一言をもらしたのだろう。
氏子「なんじゃ?お前何か文句でもあるのか?」
秦子「いえ、ありません……」
秦子は淀みがちな声で言った。
氏子「そうか、元美もいいだろう?」
元美「うん、いいよ。明日もリフティングの練習をするの?」
氏子「そうじゃ、せめて10回は出来るようになりたいからの」
元美「そっか、じゃ明日も頑張ろうね、氏子ちゃん」
元美はそう言って氏子の頭を撫でた。子供扱いされて嫌がるかな?と少し思ったが、
氏子は少しくすぐったそうな顔をするだけで、癇性を起こしたりはしなかった。
氏子「明日も、待っているぞ」
照れくさそうな声、氏子は元美にそう言い。その日はそれで別れた。

翌日から、元美は毎日氏子にリフティングを教えた。氏子は口調こそ偉そうだったが
元美に良くなついたし、元美もなつかれれば悪い気はしない。そんな調子で、一週間
ばかりが過ぎた頃。
氏子「残念、今日こそ10回を達成できると思ったのに」
元美「でも、平均5、6回は行くようになったじゃないか。10回ぐらいすぐ出来る
   ようになるよ」
氏子「そうかの?ところで元美何時も、お主を呼んでばかりでは悪いから、明日は妾
   が三河学園に行こうと思うのだが」
元美「ん?そんなこと気にしなくて良いよ。別に大した距離じゃないし」
氏子「いや、な。妾が行きたいのだ。一度、元美の通う学校へ行ってみたい」
氏子は照れながら元美に言う。氏子がこんなに素直に自分の気持ちを行ってくれたこ
とは始めただったから(我が侭なら一杯言われたが)、元美は何となく嬉しい。
元美「うん、じゃあ明日は、うちの学校で」
蔵女「元美様、明日はチャンスです」
帰り道、いつものように護衛についていた蔵女が、珍しく自分の方から話しかけてき
た。
元美「チャンスって?なにが?」
蔵女「実は、この一週間の調査で権利書の保管場所が判明いたしました。氏子が何時
   も着けている大きな髪飾り、あの中に隠されているらしいのです」
元美「あっ……権利書の話しか」
元美ははっと気づかされて、同時に気分が暗く沈んだ。権利書は奪わねばいけない。
しかし奪うと言うことは、自分をほとんど無条件に信じなついている氏子を、裏切る
と言うことだ。
元美「ねえ蔵女、何だかボクは気が重いよ。氏子ちゃんを裏切るなんて……」
蔵女「何故です?」
元美「何故って……当たり前じゃないか、あんなにボクになついている氏子ちゃん
   を……」
蔵女の素っ気ない返事に、元美は反発を感じてそう言った。蔵女がそれに対して、何
か言おうと口を開こうとした時。
数美「何を躊躇うのです元美様」
元美「数美さん。どうしてここに」
数美「蔵女から連絡を受けてお迎えに上がりました。明日、権利書を奪い返しましょ
   う」
元美「でも……」
数美「元美様、氏子は敵です」
言いよどむ元美に、数美は断ち割るような声でそう言った。
元美「敵……」
元美はその激しい言葉に唖然とする。なるほどしかし、理屈としては数美の方が正し
い。今川家は松平家から三河学園の権利を奪い、元美はその権利を再度奪い返そうと
している。両者の関係を客観的に見れば、これはどう見ても敵だろう。
数美「何にしろ、全ては明日です」
数美のその言葉も、元美には余り響かない。ただ、憂鬱であった。
氏子「おじゃまするぞ」
次の日の放課後、氏子は約束通り秦子を伴って三河学園にやって来た。
元美「こんにちは氏子ちゃん」
元美は後ろめたさと憂鬱さを隠しつつ、氏子にそう微笑んでいった。
元美「今日は、何して遊ぼうか?」
氏子「今日も練習に決まっておるであろう。何を言っておるのだ?」
氏子が怪訝な顔をして聞いた。氏子の手の中には、例のうさぎの絵が描かれた赤い
ボールがある。見ればわかりそうなものだ。
元美「ああ、そうだ、そうだね、はは」
力無く笑って元美は誤魔化した。気は重いが、権利書は取り返さねばならない。どう
やって氏子の髪飾りを奪うかにも頭を悩ませる。
次江「あら?元美ちゃんのお友達?」
と、そこへ、掃除をしに裏庭へ向かう次江が通りかかった。次江には、数美の計画は
一切知らされていない。言えば元美達を心配して次江は止めるだろうからだ。
元美「あっ、次江さん。うん、そうなんです」
次江「それじゃあ、ちょうど良かった。悪いんだけど、この子も一緒に遊んであげて
   くれないかしら?私はまだ仕事があるから」
と言って、次江は自分のスカートの裾を掴んでいた女の子を元美達の前に出す。
元美「その子は?」
次江「親戚の子なの、櫻ちゃん、ご挨拶しなさい」
言われて、内気そうなその女の子はおずおずと自分の名前を言う。
櫻「本多櫻、8さいです」
ぺこりとお辞儀をして、また次江のスカートを掴む。次江は苦笑してその様子を見る
と、言った。
次江「この通り甘えんぼなの。元美ちゃん、お願いできないかしら?」
困った。正直に言えば邪魔になるのだが、理由を話せば次江に計画のことがばれてし
まう。
氏子「別に妾は良いぞ」
しかし元美の考えがまとまる前に、氏子が次江にそう言ってしまった。
次江「ほんと?じゃあ、元美ちゃんもいい?」
元美「はぁ……」
ここで断るのは余りにも不自然だろう。仕方なく元美は了承した。
氏子「元美、どうも上手く真上に上がらないのだが」
元美「そうだね……、下半身が弱いからぐらついちゃ宇野は仕方ないんだけど……」
遊び初めてから1時間、元美はなかなか氏子の髪飾りを奪う隙も見付けられぬまま、
いつものように氏子にリフティングの指導をしていた。第一、氏子の側には朝比奈秦
子が付いている。そうそう隙など有るものではない。
元美(困ったな)
後ろめたさはそれとして、どうにもこの状況では困った。
櫻「元美お姉ちゃん、お花上げる」
その事に気をとられているせいか、時々こうして櫻がかまって欲しげによってくるのだが、
元美「うん?ああ、ありがとう櫻ちゃん」
と、どうにも素っ気ない対応をしてしまっていた。櫻は、以前から次江に元美のこと
を聞かされていたので、実は今日元美と会うのを楽しみにしていたのだが、当の元美
はなんだか別の子にかまってばかりでいっこうに自分と遊んでくれない。櫻にとって
は、面白いはずもなかった。
一方、楽しく遊ぶ氏子の姿を、少し離れたところ所からもどかしげに見つめている視
線もある。
数美「元美様は何をなさっているのか」
さっきから見ていれば、いっこうに髪飾りに触れる気配も見せない。それは、無理矢
理取り上げろとは言わないが、せめて朝比奈秦子を何処かにやる策ぐらいは練って欲
しい。松平家の当主として、凡庸な人間では困るのである。
次江「らんらんらららんらんらん♪」
と、そこへ、庭掃除を終えた次江が、歌壇にホースで水をまきにやってきた。
数美「次江さん。機嫌がよろしいですね」
多少の皮肉を込めて次江に言う。次江が知らないとは言え、元美に親戚の子を預ける
という事をしてくれたことに、数美は腹を立てているのだ。
次江「ええ、元美ちゃんが櫻ちゃんを預かってくれるから、仕事もスムーズに行きま
   すし」
しかし、次江に皮肉は通じない。事情を知らないのだから当然だが、また苦々しくなって数美は視線を元美達の方に戻した。と、その時数美の頭にあることが思いつき、数美はもう一度次江の方を向く。
数美「次江さん、アレなんでしょう?UFOですかね?」
次江「えっ?どこどこ?」
数美がそう言って指さした方向に、次江は慌てて体ごと振り向く。
元美「うひゃぁ!?」
氏子「な、なんじゃ!?」
振り向いた方向には、元美と氏子が居た。ホースから出た水が、勢い良く二人の体を
びしょびしょにしていく。
次江「あら、大変!」
慌てて次江はホースを下ろすが、既に元美も氏子もびしょぬれになってしまってい
る。
秦子「こら!貴様何をするか!」
その様子を見て、怒った秦子が次江の方に向かってくる。
次江「悪気はなかったんですよー」
言いつつ次江は秦子の剣幕を怖れて後退した。その次江になおも迫る秦子に、数江は
そっと足を掛ける。
秦子「おわっ!?」
次江「あわわ〜!?」
足下には、次江の下ろしたホースから出た水で水たまりが出来ていた。
ばしゃん!と、音を立てて秦子が次江を巻き込み盛大に倒れ込む、同時に数美は声を
張り上げて言う。
数美「これは大変だ!秦子様と次江さんが泥だらけ!蔵女、用務員室のシャワールー
   ムにお連れしろ!」
蔵女「はい」
すると何処からともなく蔵女が現れ、うーん、と起きあがった秦子と次江を有無を言
わさず連れて行く。
秦子「ちょっと!何するの!」
次江「あらら〜」
秦子が苦情を言うが、蔵女はそれに聞く耳を待たない。しかも、いくらじたばたしても、僅か10歳に過ぎない蔵女に敵わなのだ。
数美「制服はクリーニングに出して置きなさい」
遠ざかる蔵女と次江&秦子にそう言って、数美は元美達の方に歩み寄った。元美達
は、まだ突然の事態に何が起こったのかよく解っていない。
数美「元美様、氏子様、濡れたままでは風邪を引きます。学生寮に浴場がありますか
   ら、お服が乾くまでの間にお入りになられては?」
元美はやっとそこで数江の意図がどこにあるかに気付いた。要するに、風呂にはいる
ときならば髪留めも外すだろうと言うことだ。
元美「数美さん……」
びしょぬれになった服をちょっと持ち上げて見せて、元美は恨みがましい視線を数江
に向けた。無論数美はそれを黙殺して、氏子に言った。
数美「氏子様も、それでよろしいですね?」
氏子「えっ、妾?元美と一緒に湯殿にはいるのか?」
数美「そうしていただければ」
氏子「いいぞ、元美、数美と言ったか?案内しろ」
数美「はい」
元美「ちょっと、ボクの意見は聞かないの?」
無論数美はそれを黙殺した。

氏子「元美ー、こっちに来ーい。妾が直々に背中を流してやるぞ」
氏子は学生寮の広い大浴場が珍しかったのか、ひとしきりその中を駆け回り、それに飽きると、ボディーソープを見付けて元美を呼びつけた。
元美「えー、まだ湯船に浸かってたい……」
元美は温いお湯に長く入るのが好きだったから、もう少し湯船に浸かっていたかった
が、仕方なく、さばっ、と湯船を出て氏子の方へ向かった。
氏子「ほれ、座れ」
氏子がそう促す。元美は苦笑して肯き、言われたとおり椅子に座る。と、いきなり氏
子が元美の頭から熱湯をかけた。
元美「あちゃちゃちゃちゃ!何するんだよ氏子ちゃん!」
氏子「あっ、すまない。水を掛けるつもりだったのに間違えた」
元美「水って、水もやめてよ。もう少し温いお湯でお願い」
氏子「そうか、それでは」
氏子はそう言って今度はシャワーのコックを捻り、それを自分の掌に当てて温度を確
かめると、元美の頭の天辺からかけた。
氏子「どうだ?」
元美「まだちょっと熱いような気もするけど、いいよ」
体を洗うのに頭からお湯をかける意図は不明だが、それはこの際突っ込まないことに
する。
氏子「そうか、それじゃあ」
言うと、氏子は自分の手にボディーソープを垂らし、その手で直接元美の背中をなで
始める。
元美「ひゃぁ!?氏子ちゃん、何してるの?くすぐったいよ、ボディーブラシ使わな
   きゃ」
氏子「そんな物使うのか?妾は何時も、こうして秦子に洗ってもらっているぞ」
元美「普通は手じゃ洗わないよ」
氏子「そうなのか、妾は世間知らずだな」
氏子はそう言うと、素直にボディーブラシに切り替えて元美の体を洗い始めた。ゴシ
ゴシと、力は強くないが氏子は懸命に元美の背を擦る。と、不意に氏子が言う。
氏子「元美、妾はな、どうしようもない愚か者なのだ」
元美「どうしたのいきなり?」
びっくりして元美が振り返ると、氏子は、そのままにしておれ、と言ってその動きを
止め。元美の背を流す手は止めずに続けた。
氏子「今川家は、お母様が亡くなられてから、義子お姉様一人の手で支えられてき
   た。皆がお姉様を頼り、誰もがお姉様無しでは何もできなくなった。お姉様が
   居た時は、それでも良かったのだ。だが、織田信子の謀略に掛かって…」
そこで氏子は苦い表情を作った。元美からは見えなかったが、7歳の少女がではない
ような、7歳の少女がしてはいけないような、苦い表情だった。
氏子「今は、もう居ない。皆が動揺している。誰も自分が信じられないのだ。お姉様
   は、余りにも有能であられ過ぎた。誰もが自分で自分を決めることが出来な
   い。もちろん、妾だってそうだ」
元美「氏子ちゃん……」
元美は何かを言おうとして、何も思いつかずに黙った。氏子は、自分に似ているので
はないか?そうも思ったが、その考えはすぐに頭から消した。
氏子「妾が愚か者だというのは、このごに及んで妾がただの女童に過ぎぬと言うこと
   だ。妾は、女童であってはならないのに、誰もが妾を女童と思い。妾も女童以
   上にはなれなかった。だから妾は、女童に扱われるのが嫌だったし、女童でな
   くなりたいと思った」
そこで氏子は言葉を切り、ちょっと手を休めて元美の顔を覗き込んだ。
氏子「でもな、元美に会ってから、妾は女童のままでも良いと思うようになってき
   た。元美の前にいると、女童のままで居られて、それがすごく心地が良い。妾
   は、きっと元美が好きなんだと思う。だから、元美には、いつまでも妾の友達
   で居て欲しい。迷惑だろうか?」
元美「迷惑だなんて思ってないよ!氏子ちゃんとは、何時までも友……」
言おうとして、元美は言葉を失った。何時までもなんて、ありえない。氏子は敵で
す。そう言った数美の言葉が思い出される。敵であり、同時に友達などと言うこと
が出来るとは思えなかった。まして、今現在の自分でさえ、氏子を欺く計画をおこ
なっているのだ。
氏子「元美、やはり、迷惑だろうか?」
氏子が不安げな声でそう聞く。
元美「迷惑だなんて、氏子ちゃんとは、ずっと友達だよ……」
それでも、この場はこう答えるしかなかった。
氏子「本当か?妾は信じるぞ」
元美は答えず、ただ僅かに肯いた。
氏子「うれしいぞ!」
氏子はそう言って、元美の背中に後から抱きつく。氏子の軽い体が、この時の元美に
は計り知れない重さに感じられた。

数美「元美様、氏子様、お上がりになられましたでしょうか?」
元美達が風呂から上がり、脱衣所で濡れた服の代わりの衣服を身に着けていると、脱
衣所の扉が開いて数美が入ってきた。
氏子「こら!勝手に入ってくるな。服を着ているところぞ」
氏子がそう数美を咎める。
数美「別に女同士なのですからいいでしょう」
氏子「だめじゃ、何となくお前の顔はすけべっぽい」
数美「すけべっぽい……」
意外な言葉を投げつけられて、流石の数美も唖然とする。
元美「ぷっ」
元美は苑表情を見て少し噴き出したが、数美に睨み付けられて慌てて笑いを引っ込め
る。
数美「では外で待っています。着替えが終わりましたらお呼び下さい」
心持ち普段より機嫌が悪そうな声でそう言って、数美は更衣室から出ていった。
氏子「元美、あんなすけべっぽそうな奴と付き合うとろくな事がないぞ」
元美「すけべって事はないと思うけど」
そんなことを話しながら、二人服を着た。そして言われたとおり元美が数美を呼ぶ。
元美「数美さん、終わったよ」
数美は、今度は何も言わず扉を開け、元美ではなく氏子の方へ近づいた。
氏子「んっ?何じゃすけべ」
数美「ぐっ……氏子様、ここにサインをお願いできますか?」
その言葉にはっとして、元美は数美の持つ紙を見た。簡単な偽装がしてあるが、間違
いなく三河学園の権利書である。
元美(ボク達がお風呂に入ってる間見付けたんだ……)
氏子「何じゃコレは?」
数美「クリーニング題の領収書です。クリーニングの領収書は、服の持ち主の名前し
   か書けないのですよ。ですから、氏子様のお名前をお書き下さい」
元美(どんな領収書だよ、それ)
心の中で思ったが、口に出すことは出来ない。数美の芝居をぶちこわすことは、取り
も直さず学園の権利を喪失すると言うことであり、松平家当主としての責任放棄であ
る。それは、元美に出来ることではなかった。
氏子「わかった。妾の名を書けばよいのじゃな?」
氏子はそう言って数美からペンを借り、領収書(に偽装した権利書)にペンを置く。
元美「あっ……」
思わず、元美は声を上げてしまった。
氏子「何じゃ元美?」
氏子が怪訝な顔をして元美の方を見、数美は苦い視線を僅かに、しかし鋭く送る。
元美(あれほど望んだ学園が帰って来るんだ。何故邪魔をする必要がある)
自分に言い聞かせて、胸からこみ上げそうになる塊を飲み込む。
元美「ううん、なんでもない」
氏子「そうか?」
氏子はそう言って、こんどこそ権利書に自分の名前を、余り上手くないひらがなで書
いた。
元美(これで、三河学園は松平家のもの)
そう思っても、何故か余り嬉しさがこみ上げてこない。その代わりに激しい虚脱感
と、それよりも遙かに大きな喪失感を感じ、元美は立っているのも嫌なぐらいの激し
い疲労感を覚えた。
氏子「どうしたのだ元美?何か具合でも悪いのか?」
氏子はそんな元美の様子を見て心配したのか聞く。
元美「ううん、平気。ちょっとお湯にあたったのかも」
氏子「そうか……あの、な、元美。具合が悪ければいいんだが、明日も、ここへ遊び
に来ていいだろうか?」
ちょっと不安げに氏子はそう聞いた。
元美「うん、いいよ。一緒に遊ぼう」
氏子「うん、妾は元美と遊びたい」
そう言ってから氏子はぴょんと飛び跳ねると、元美の腰の辺りにぶら下がった。重
かったが、何故か言いしれぬ疲労感が抜けていくようにも思えた。ただし、それが幻
想に過ぎないことも、元美は頭の何処かでは解っている。
数美「では氏子様、今日はこの辺で、秦子様は次江さんと事務室にいますから、私が
   そこまでご案内します」
氏子「そうか、時間の経つのは早いな。では元美、また明日な」
元美「うん、また明日」
その明日が永遠に来ないだろうと言うことも、元美には解っている。
数美「元美様、先程学園の権利を今川家から松平家に移す手続きが完了しました」
数美が元美にそう言ったのは、次の日の放課後のことだった。
元美「結構早かったね」
数美「急ぎましたから。それに、前々からこの日のために準備をしてありました。こ
   の際余計な時間を掛けては今川家に付け入られるかも知れませんから」
元美「そうか、それじゃあもうこの椅子も、松平家の物なんだ」
元美は自分の座っている椅子を撫でた。そう考えて撫でさすると、気に触感も一際柔
らかに思える。しかし、そんなんかにも、常に元美の胸には刺すような痛みがある。
元美「それで……」
数美「それから、先程朝比奈秦子から電話がありました」
元美の言葉を遮って数美が言った。元美は息を呑んだが、すぐに続けて聞く。
元美「で、なんて?」
数美「いまからこちらに氏子を連れてくると言ったので、断りました。今更今川家と
   仲良くする必要はありませんし、仲良くできる道理もありません」
元美「そうだね……」
それでも、元美には釈然としないものがある。あの、自分を慕い信じてくれた氏子
を、元美は一方的に裏切ってしまった。それも、権謀の道具にして使い捨てたと言っ
て過言ではない。氏子は今頃自分のことをどう言っているだろうか?どう言われて
も、どのような悪罵にも価するだけのことを、元美は氏子にしたのである。だから何
を言われていてもかまわないが、幼い氏子の心がどれ程傷ついたかを考えると、元美にはその事の方が耐え難い苦痛であった。
数美「元美様、仕方のないことです。松平家のためには」
元美「わかってる……」
元美は、数美にそれだけ答えるに精一杯だった。
その数時間後生徒会室に蔵女が現れ、元美にとって驚くべき事を知らせた。
蔵女「元美様、今川氏子が来ています」
元美「えっ!?でも断ったんでしょ?」
蔵女「はい、そう数美様からお聞きしています。しかし、どうやら氏子は一人でここ
   まで歩いて来たようです。いま、校門の所にいます」
元美「まさか!」
元美は信じられない思いで、生徒会室の窓から校門の方を見た。居た。氏子が、閉まった門の所に一人立ち、何かを校舎の方に向かって喚いている。
元美「氏子ちゃん!」
元美はすぐに窓を開けようとしたが、
数美「元美様、お止め下さい!」
数美がいつになく厳しい声でそう叫び、元美の動きを止める。
元美「なんで!氏子ちゃんが来てるのに!」
数美「氏子にあって、いったい何と言うつもりですか?騙していてすまなかった、許
   してくれ、ですか?それとも、この学園の権利を手放すから、もう一度友達に
   なろう、ですか?」
元美は反論する言葉を持たなかった。一体、自分は何を言うというのだ。
元美「……そんなこと、言えるわけがないよ」
数美「そうです。ならば会うことも無用であり、有害です」
元美は奥歯をギシリと噛み締めた。その通りには違いないが、何と不愉快なことだろ
う。
元美「数美さんは、何時も正しいことを言う!でも、その正しさの分だけ間違ってい
   る!」
数美は元美の怒鳴り声を受けても、表情を少しも変えない。ただほんの僅かに息を吸
い、美しく整った発音の声で言った。
数美「そうですね。しかし或いは間違っていても、誰もが正しいことを言わないより
   もましです」
元美には言い返せない。なぜならば、自分の怒りは数美にではなく、自分自身に向い
ているのだと知っているからだ。数美は、そのとばっちりを受けているに過ぎない。
元美「……じゃあ、どうすればいいんだ数美さん?」
気弱気に、元美は数美に聞いた。
数美「追い返しましょう。蔵女」
蔵女「はい」
数美「氏子を今川家に返しなさい」
蔵女「わかりました」
元美「まって、ボクが行くよ。ボクが、氏子ちゃんに言うべきなんだ……」
数美「元美様……」
元美「……数美さん、もう、これは私が決めたことだ」
僅かに強い声を取り戻し、元美は数美に言った。
数美「……わかりました」

元美が氏子に会うべく生徒会室を出た時、廊下の向こうから元美は声を掛けられた。
櫻「元美お姉ちゃん?恐い顔してどうしたの?」
元美「君は、確か次江さんの親戚の……」
櫻「本多櫻です」
元美「そうそう、確か昨日一緒に……あっ、そう言えばあの時はごたごたしちゃっ
   て、ごめんね」
櫻「いいえ、それよりどうしたんですか」
そう櫻に聞かれたとき、ふと元美の中で弱い気持ちが動いた。とても、氏子に顔向け
などは出来ない。この子に氏子への伝言を頼んでしまおうか、と。
元美「あの、さ……」

数美「元美様、どうしたんですか?」
以外に早く戻ってきた元美に、数美は怪訝声で尋ねる。
元美「……やっぱり、会わない方が良いと思ったんだ。だから、知り合いの子に伝言
   を頼んだ」
数美は元美の言葉を聞き、暫くじっと元美の顔を見つめていたが、やがて眼を逸らす
と、窓の外の氏子に視線を移し呟いた。
数美「そう、ですか」
呟いたしか言い様のない。数美には珍しく、小さな、そして不明瞭な声だった。
氏子「元美!出てこい!妾は信じないぞ!元美が妾を騙したなどと!」
氏子は門の鉄柱を掴んで、校舎に向かって叫び続けた。元美が自分を裏切るはずはな
い。それは氏子の中で僅かの間に育った信仰であり、信仰であるが故に唯一の拠り所
だった。
氏子「信じるものか!元美!そなたは私に約束してくれた!誰一人侮って信じてくれ
   る者などいない妾の言葉を信じて!ずっと友達でいると!だから、妾は元美を
   信じる!他の誰が言う言葉も決して信じはしない!」
咽など裂けろとばかりの声で、氏子はひたすら叫び続けた。時折、まだ残っている学
園の生徒が珍しそうに見ることもあったが、氏子の涙でぐしょぐしょになった顔を見
ると、ぎょっとするか、或いは気まずそうな顔をして去っていく。そんな中で、一人
だけ氏子に近づいていく少女があった。
櫻「氏子さん」
氏子「……なんじゃ?」
叫び通しだった咽から、氏子は久しぶりに普通の大きさの声を出した。声は、氏子自
身が驚く程掠れていた。
氏子「すまぬ、妾の声、聞き辛いな……」
櫻「ううん、いいの。だって別に声聞く必要はないから。櫻は氏子さんに元美さんか
  らの伝言を伝えに来ただけだもん」
氏子「なに、元美からの?本当か?」
氏子は掠れた声を励まし、一段高い声で聞き返す。
櫻「本当だよ」
氏子「元美は!元美は何と言っているのだ!」
それを聞くと、氏子はまた怒鳴り声を上げた。
櫻「大きい声出さないで。元美さんは、氏子さんに、帰りなさい、って言ってって」
氏子「それだけか?他には?」
櫻「……ううん、何にも」
実は元美からは、ごめんと言っていた、と言ってくれ、とも言われていたのだが、櫻
は昨日元美を独占されたことを妬んで、わざとその言葉は伝えないことにした。
氏子「馬鹿な!元美がそんなことを言うはずがない!お前は嘘を吐いている!」
櫻「そんなこと無いよ。帰れって言ってたもん」
嘘つきと呼ばれて、櫻はむっとして言い返した。実際嘘を吐いているから後ろめたさ
もある。ただ、ここで櫻の嘘を責めるのは可哀相かも知れない。何故ならもし櫻が元
美の言葉を正確に伝えたとしても、氏子の感情が収まるはずもなかったからだ。
氏子「いや、嘘だ!妾と元美は友達なのだ!帰れ等と、まして人伝に言うはずがな
   い!」
櫻「でも、言ってたもん。大体友達って言うけど、元美さんに嫌われたんじゃない
  の?じゃあ、伝えたからね」
そう言い捨てて、櫻は校舎の方に戻っていった。
氏子「馬鹿な!そんな事は……」
と、その時、氏子の目に生徒会室の窓からこちらを見つめる元美の姿が見えた。元美
も、氏子に見付けられたのに気付いて、一瞬びくりと体をこわばらせる。
氏子「元美……」
距離にすれば20mも無いが、それは圧倒的な距離だった。氏子には、言いたい言葉
が何百も何千もあった。ただそれらは元美の姿を認めたとき、形を保てなくなってし
まった。形を保てなくなった言葉は涙になると言うことを、氏子は初めて知った。
暫くして涙が止まった。止まった時、氏子はほとんど無意識に、持ってきた例のボー
ルを地面に落とし、それをつま先でひょいと蹴り上げていた。
1回、2回、3回、氏子は元美に教わったリフティングをする。元美もその様子を見
ていた。ほとんど食い入るように、ただ氏子の奇妙な、恐らく元美にだけ伝えたいの
だろう動作を見つめる。
4回、5回、6回、氏子は何時もこの辺りで失敗する。しかし、今日は失敗しなかっ
た。時によろめきながらも、しっかりとボールを跳ね上げる。
7回、8回、順調に回数を増やす。
元美「あっ……」
っと元美は声を漏らした。9回、氏子がボールを蹴り上げた時、当たり所が悪かった
のかボールは有らぬ方へ飛んだ。
ぽんっ!
それでも、氏子は体勢を崩しながらも足でボールを追っかけ、10回蹴り上げること
に成功した。しかし、ボールは、方向を定められないまま高く跳ね。そのまま前の車
道に転がり出てしまう。それを追って、氏子は掛けだそうとしたが、ふっ、っと何か
思いだしたようにして足を止める。
ぱんっ!
高い音が一つ、生徒会室にいる元美の耳にまで聞こえた。氏子の手には、帰るべき何
物もなかった。暫く、氏子はかつてボールであった物を見つめ、それからもう一度生
徒会室の窓を見た。元美は眼を逸らしてはいけないと思い。必至にその視線を受け
た。そして、やがて氏子の方が眼を逸らし、そのまま背を返して、氏子の姿は校門を
離れていった。
元美はその姿を見送り、がっくりと椅子に腰を下ろす。そしてちょっとの間を置いて
思い出したように言った。
元美「蔵女ちゃん、お願いが有るんだけど、氏子ちゃんが無事に帰れるかどうか、付
   いていってあげてくれないか?」
言われた蔵女はすぐには返事をせず、ちらりと数美に視線を遣る。数美は一瞬だけ考
えて、こくりと肯く。
蔵女「わかりました」
蔵女はそう言って部屋を出ていった。残されたのは、元美と数美だけで、二人とも
が、思い沈黙だけを有していた。
数美「元美様」
数美が口を開く。
元美「わかってるよ数美さん」
しかし元美が途中で口を開き、その言葉を最後まで言わせなかった。数美もそれ以上
言おうとはしない。数分の間何もせず、それから数美は元美に一礼して部屋を出た。
部屋には、元美だけが残された。
元美「わかっているんだ……」
誰もいなくなった部屋で、元美は窓の外を見つめ、一言だけ小さく呟いた。

−−−この日三河学園は、駿河学園から名実共に独立を果たした。
176 ◆0xknNOBU :02/02/05 10:45
漸く張り終わった・・・文字数規制きびし。
三河編、何か長くなりすぎました。
漸く、これで三河独立編はおわり。

次回は「清洲同盟」です。
が、書き終わる前にDAT落ちしてたら打ち切りですな(w
177無名武将@お腹せっぷく:02/02/05 13:17
切ない話だなぁ
178無名武将@お腹せっぷく:02/02/05 18:38
入浴シーンはサービスですかー!
氏子ちゃーん!
179無名武将@お腹せっぷく:02/02/05 19:17
うむ、せつないね。
氏子ちゃん可哀想だし。
180無名武将@お腹せっぷく:02/02/05 19:53
                      〜〜|
                     | age |
    ∧_∧  / ̄ ̄ ̄     〃〜〜| ∧_∧
   ( ´∀`)< 良スレあげ    〃  O(´∀` )
   (    つ \___          ヽ    、ヽ
   | | |                  | | | ゚|\
   (__)_)                 (_(__) \|
181無名武将@お腹せっぷく:02/02/05 20:16
元美と氏子、誰か描いて欲しいね。
なんか織田軍団とちがいシリアスですな。
182足利学園:02/02/05 20:47
足利学園へと続く道は登校途中の生徒達の姿が見えます、いつもの朝の光景です。
女生徒A「〜でしょう、あっあれ明智さんじゃない?」
女生徒B「ホントだ、おはよー明智さーん」
二人組の女生徒が自分たちより少し前を歩いているすらりと背の高い後ろ姿に声を掛けました
光「ああ、おはよう」
簡潔に凛とした声で挨拶が帰ってきます。掛けている眼鏡が端正な彼女の顔をさらに知的に見せてもいます。
彼女は明智光(17歳)足利学園高等部二年生にして生徒会会長でもあります。
光「また学校で」
それだけ言うと光は何事もなかったかの様に学校へ向かって歩き出しました。
女生徒A「は〜明智さんいつ見てもクールで格好いいわ、あれで私等と一緒の二年
     なんだからね〜」
女生徒B「この間の学年テストもまた入学以来の連続トップでしょ、万年ナンバー2の
     細川さんも凄いけどさ、あの二人親友なんだよね」
女生徒A「生徒会副会長の細川藤子さんでしょ、茶道細川流の家元のお嬢様の。あれね
     きっとうちらとは食べているものが違うのよ、きっと」
その時、一台のロールスロイスが足利学園へ向けて通学路を走って行きました。
183無名武将@お腹せっぷく:02/02/05 23:37
>>181
入浴シーンキボン
184無名武将@お腹せっぷく:02/02/07 04:33
今日はなしか
ところでこのスレって何人ぐらいの人が見てるんだろ?

>>182
続きはー?
エロじゃないのか。つまらん。
三河学園独立から数週間、生徒会執行部の選考も終わり、三河学園は安定した運営に
乗り出そうとしていた。役職は、生徒会長:松平元美、副生徒会長・中等部代表:石
川数美、会計監査・修院両大学代表・高等部代表代理:酒井次江、総書記長・小等部
代表:平岩千佳、運動系部代表:渡辺守江、文系部代表:榊原康恵、その他、秘書官
には復学を果たした鳥居彦江が、書記官には大久保姉妹などがついた。
しかし、こうして新体制が発足していく中にも、松平元美は怏々として日々を楽しむ
ことが出来なかった。
数美「現在三河学園は、西で尾張学園、東で駿河学園の勢力と対峙しています。この
   両勢力を同時に相手取るのは得策でなく、またそれだけの力も三河学園にはあ
   りません。そこで、私としては西の尾張学園と協定を結ぶ事を提案いたしま
   す。」
元美「う〜ん、そうだね。良いんじゃないの〜?」
元美は机に突っ伏して、興味なさそうな声で答える。
次江「経営の方もねー、大学、高等部の方は良いんだけど、中等部、小等部の方がい
   まいちなのよ。少子化で生徒が減ってるから」
千佳「高等部代表を何時までも次江さんに代理をお願いするわけには行きませんね。
   適任者の選考も進めませんと」
元美「あー、うんー、良いじゃないのかな〜」
あくまでやる気がない。
数美「元美様、ちゃんと話を聞いて下さい。元美様がその調子では、三河学園はまた
   すぐにでも他人の手に渡ってしまいますよ」
元美「んー?そりゃまずいねー」
数美「元美様」
数美はいい加減にしろといった調子の声で元美に言った。
数美「まだ今川氏子の事を気に掛けているのですか」
びくり、と、元美は体を強ばらせた。そしてのろのろと顔を上げ、暫く数美の顔を見
た後。
元美「何だか頭が痛い。ちょっと外の空気を吸ってくるよ」
そう言って、これもまたゆっくりと立ち上がる。数美は敢えて何も言わず止めない。
自分のような性格の者が何を言っても、この場合は元美の神経を逆なでするだけだと
知っているからだ。ただ、一人で行かせるわけにはいかない。
数美「散歩に行かれるなら蔵女をお連れ下さい」
元美「えっ、ボク一人になりたいんだけど……」
数美「だめです。蔵女」
蔵女「はい。元美様、参りましょうか」
元美「……うん」
元美は不承不承にそう返事をした。そして生徒会室を出て暫くしたところで不意に立
ち止まり言う。
元美「あっ、ちょっとトイレ行きたくなった。悪いけど蔵女、ここで待っててくれな
   い?」
蔵女「……そうですか、ではトイレの前で待っています」
少し疑わしい目で元美を見てそう言った。
元美「いやだなあ、逃げたりしないよ」
笑いながら元美はそう言った。
……数分後、トイレの窓から抜け出した元美は、一人商店街を歩いていた。
元美「蔵女には悪いけど、やっぱり一人になりたいしね」
気ままに商店街を歩き、小物屋の店先などを覗く、欲しいなと思った物もあったが、
貧乏性なのでやめた。以前なら買うか買わないかの決断もする必要はなかった。貧乏
だったから買えない。今はその選択が出来る。ただその選択と同じように、三河学園
の行方と言う責任有る決断もしなければならなくなった。それに、失った物もある。
元美「人間て何のために生きてるんだろー」
この頃はついそんな実存的な思考に耽溺して、ぼーっとする時間が多かった。
元美「じんせー、かー、って、あそこにいるのは……織田信子?」
道の向こうから、元美にも見覚えのある顔が来る。元美は慌てて、その辺の店の中に
飛び込み身を隠した。
元美「別に隠れる必要はないか」
隠れてから元美はそう思った。顔を合わせたところで別に何をされるわけではないだ
ろう。それに、さっき数美が織田信子の尾張学園と協定を結んだ方が良いと言ってい
た。下手に隠れて印象を悪くするのは良くないかも知れない。しかし、いったん隠れ
てしまうと何となく出にくい。
元美「どうしたもんかな?」
元美が悩んでいるうちに、信子はこちらのに向かって歩いてくる。元美に気づいてい
る様子はない。たんにこの辺りに用があるだけだろう。
珍ピラ「おうこら。人にぶつかって謝りもしねえのか!おうこら」
元美「ん?なんだ?」
不意に外が騒がしくなった。みると、信子の前にちんぴら風の男が尻餅をついてい
る。どうやら信子に因縁を付けているらしい。
珍ピラ「おうこら、どうなんだ!おうこら」
ちんぴらはやたらとおうこらを連発する。
元美「やだなあ、ああいう変なのとは関わり合いたくないんだけど、信子を助けるべ
   きかな?」
一応政治的判断をすると、信子を助けた方が良いような気もするが、どうせ元美が出
ていっても大人の男が相手では敵わない。
元美「出ていって、あんな事やこんな事されたりしたらやだしー」
元美が悩む。と、
バシイッ!
元美「!!」
大きな音が響いた。元美がびっくりしてそちらを見ると、信子の手にはいつの間にか
長い鞭が握られている。ちんぴらはその鞭で打たれたらしく、顔面に酷い腫れをつ
くり、一部の皮は裂け出血していた。
珍ピラ「おうこら!何しやがるんだ!おうこら!」
一瞬茫然としていたちんぴらだが、我に返ると怒りに顔を歪めて信子に掴みかかっ
た。が、信子は表情一つ変えず、言葉一つ発せず、再度鞭を振るう。
バシッ!ビシッ!ドガァ!ビチャ!ビチャァ!ビチャァ!グチャァ!グチャァ!
珍ピラ「おうこら!おうこら!おうこら!おうこ…!おう…!お…!……」
元美「あああっ……ちんぴらが見る見る肉塊に……」
元美の目の前で変わって行く。皮膚が裂け、その下の筋組織が(以下検閲)
元美「ああああっ、あんな人に敵対したら何されるかわかんないよぉぉぉ」
肉汁の滴る肉塊に変わったちんぴらを見て、元美はかってない戦慄を覚えた。
元美「こっ、これはこうしちゃいられないね。早く学園に戻って対策を練らないと」
元美は久しぶりに目が覚めたようになって、急いで店を出て学園に戻ろうとした。
と、しかし。
元美「ん?あれは近所に住んでるロシア人のアレクセイ・パジトノフさん(53)
   じゃないか」
パジトノフさんは最近視力が落ちてきている。だから、目の前に立つ顔立ちも制服も
派手な女学生に気づくことが出来なかった。どん、っと軽くだが信子に追突してしま
う。
元美「あああ!パジトノフさん逃げて!」
しかしパジトノフさんはさっきの光景を見ていない。おまけに目が悪いので、信子の
体に付いた返り血も見えなかった。
パジ「プラスチーチェ」
パジトノフさんが言った。ごめんなさい、といった意味だ。それを聞くと、信子は以
外にも微笑む。
元美「あっ、謝ったから許して…」
バシン!
元美「!!」
バシッ!ビシッ!ドガァ!ビチャ!ビチャァ!ビチャァ!グチャァ!グチャァ!
パジ「ハラショー!ボルシチ!クロパトキン!ガガーリ…!テトリ…!ウラァ……」
元美「あああっ……アレクセイ・パジトノフさん(53)が見る見る肉塊に……」
皮膚が裂け、その下の筋組織が(以下検閲)
元美「に、逃げなくちゃ……」
と、しかしその時、信子の視線が元美を捕らえた。
信子「あら?貴方は三河学園の松平元美さん、よね?」
元美「ええっ!人違いかも知れないなぁなんて思ったりしませんよねごめんなさい」
信子「何を言ってるの?元美さんでしょ?」
元美「……はい」
元美は観念してそう認める。下手に誤魔化せば、あそこに転がる二つの肉塊の仲間に
ならないとも限らない。
信子「貴方とは、一度お話ししたいと思っていたのよ。駿河学園から独立したんで
   すって?」
元美「えっ?は、はい、しました」
信子「やるわね。たいしたものだわ」
元美「えっ、いえそんな。作戦はボクじゃなくて、数美さんが考えたんです」
元美は以外にも信子から褒められたので少し照れた。鬼のような人かと思っていたか
ら、以外にも思った。
信子「謙遜すること無いわよ。それに……」
信子は言って目を細めて元美を見つめる。
元美「な、何ですか?」
信子「今まで遠目にしか見たことがなかったけれど、こうして近くで話して見ると、
   とても可愛らしい女の子なのね」
言いつつ信子は元美の頬に手を伸ばし、磁器の肌に指を滑らすようにして撫で、元美
の顔に自分の顔を近づける。
元美「うひゃぁぁぁ、食べないで下さいぃぃ……」
元美はその異常な接近に怯えてついそんなことを口走る。
信子「やぁねえ、食べたりしないわよ」
怯える元美から離れ、信子は苦笑いしてそう言った。
元美「ひゃぁ!ごめんなさいボク、変なこと言って」
信子「イマノトコロハ」
元美「えっ、何か言いました?」
信子「何も言ってないわよ。ところで、元美さん今お時間はあるかしら?よろしけれ
   ば、私に付き合わない?」
元美「えっ、今ですか?」
信子「そう、今から私、友達と待ち合わせているパーラーに行く途中なの。みんなに
   も元美さんのことを紹介したいし……いかが?」
元美「えーと、はい、よろしくお願いします。ボクも信子さん達に話したいことがあ
   るし」
理由を付けて断っても良いのだが、このさい毒を喰らわば皿までと思いそう決断し
た。出来得るなら、三河、尾張同盟を結びたい。
信子「そう、じゃあ付いてらっしゃい」
元美「はい……、ところであの、その、服に付いた汚れはどうなさるんですか?」
信子「ん?ああ、返り血のこと。いいのよ、返り血は女の勲章ですもの」
元美「そ……うですか?」
納得行かなかったが、信子が納得しているなら口の挟みようもないので、元美はそれ
以上何も言わなかった。

信子「遅くなったわね」
信子はそう言って、待ち合わせ場所の「清洲」のドアを勢い良く開けた。
勝枝「遅えって、どこで道草喰ってたんだ?」
まず柴田勝枝が開口一番にそう言って信子を出迎えた。
長子「あら、そちらのお嬢様は?」
次に丹羽長子が、信子に連れてこられた元美に気づきそう言う。
成美「あー!なるその子知ってるよ、三河学園の松平元美だ!」
更に貞子の膝の上に座ってパフェを食べていた佐々成美が声を上げる。
貞子「あらあら成美ちゃん、口のまわりがクリームだらけよ」
そう言って成美の口を拭いてやるのは村井貞子で、
盛美「松平元美?信子、その子どうしたの?」
恒江「信子様、また可愛かったからとか言ってさらって来ちゃったんですか?」
口々に聞くのは佐久間盛美と池田恒江。この時前田利子は未だ勘当中で、木下秀美は
何故かまだ警察から帰ってきていない。
信子「何言ってるの、この子は違うわよ」
元美「この子は、って、信子さん女の子さらって来たりするんですか?」
成美「秀美ちゃんがそうだよね」
答えたのは信子ではなく成美だった。
元美「えっ、じゃあほんとに人さらい……」
信子「人聞きの悪い。秀美は施設から勝手に引き取ってきただけよ」
貞子「やっぱり、それは人さらいになると思いますが……」
貞子が控えめに自分の意見を述べた。信子が秀美をさらって来た後、煩瑣な手続を済
ませて信子の非保護者にしたのは貞子である。
信子「ところで元美ちゃん、三河学園の方から、私達に話しが有るんじゃないの?」
しかし、信子は貞子の主張は無視して元美に聞いた。元美がと言わず、三河学園がと言う辺り、おおよそ元美の話しに見当が付いているのだろう。
元美「あっ、はい。それはですね……」
数美「元美様、蔵女を巻くとはどういうおつもりですか?」
が、元美の言葉を、いきなり現れた数美が遮った。
元美「あ、あれ?数美さん何でここに?」
蔵女「私をあの程度で巻けるとお思いになられては困ります。お一人になりたいよう
   でしたのでこっそり尾行しました。が、信子様とお二人でこちらに来られたの
   で……」
数美「私が蔵女の連絡を受け駆けつけました。元美様、どういうおつもりですか?」
元美「うっ……、でもほら、こうして信子さんとお話しする機会が出来たわけだし」
厳しい視線の数美に、元美は必至になって言い訳した。
数美「……まあいいでしょう。おっしゃる通り良い機会かも知れません」
数美はそう言って元美の方から信子の方に向き直る。
数美「単刀直入に言います。松平三河と尾張織田、両校で協調するおつもりはないで
   しょうか?」
信子「協調、ねぇ……私に何のメリットがあるのかしら?」
数美「三河学園は東に駿河学園を抱え、尾張学園は北に美濃学園を抱えています。む
   しろ、協調せぬ方が不自然でしょう」
信子「さあ?例えば私が今川と組んで三河を半分こにするなんて手もあるかもよ?」
数美「今川が乗るはずがありません」
数美は信子の案にそう反論する。それに対して、信子が更に何か言おうとした時。
勝枝「何か面倒なこと言ってるけどさー、駿河も三河も一辺に倒しちゃおうよ。そう
   すれば後腐れなく美濃に行けるし」
数美「そんな無茶な……、出来ませんよ、そんな事」
信子「まっ、やって見なきゃわからないわよね。案外、出来ちゃうかも」
数美「そんな馬鹿な事……」
数美は言葉に窮した。出来るはずがないのはその通りだが、それでは尾張も滅ぶがその過程で三河も滅んでしまう。これまで理屈で相手を言いくるめてきた数美だが、理
屈のない尾張学園の面子とは相性が悪かった。
蔵女「信子様、これをご覧下さい」
と、その時普段は自分から動くことの少ない蔵女が信子に近づき何かを手渡した。
信子「ん?なにこれ?」
蔵女「元美様の隠し撮り写真です。着替えから人に言えない場面までばっちり」
今まで事の成り行きを見守っていただけだった元美は、その蔵女の一言に飛び上が
り、蔵女と信子の方に慌てて駆け寄る。
元美「ちょっと!なんだよそれ!ボクそんなの聞いてないぞ!」
蔵女「当たり前です。言ったら隠し撮りにならないではないですか」
元美「そんなこと聞いてるんじゃない!」
信子「ほほう、これはなかなか」
元美「ちょっと信子さん!見てないで返して下さい!」
数美「済みません元美様、お許しを」
元美「わっ!何だよ!何で数美さんがボクを押さえつけるんだよ!」
数美「これもお家のため……」
元美「ちょっと!ほんとに離して!嫌だよ!」
信子「へー、元美ちゃん一人の時はこんな事してるんだー」
元美「わー!わー!何見てるんだよー!返して!返して!」
一人暴れる元美を、数美と、蔵女も一緒になって押さえつけた。二人掛かりの力で押
さえられ、それでも必至の抵抗を続ける元美。その騒ぎを気にもせず、蔵女から渡さ
れた写真を面白そうに次々と眺める信子。その横では、尾張学園の面々が呆れた顔でその光景を見つめていた。

数美「では、同盟締結と言うことで」
信子「うん、良い物を見せて貰った」
普段見せない晴れやかな笑顔で握手を交わす数美と信子の横で、元美は椅子に腰を下
ろしてうなだれ、真っ白に燃え尽きていた。
信子「これからもいい写真が写れたら頂戴ね」
蔵女「はい、お任せ下さい」
元美「任せられるな!ほんとに……ボクお嫁に行けないよ〜、ぐすん」
信子「その時は私がもらって上げるから安心なさい」
元美「安心できませ〜ん……ううっ……」
こうして織田・松平同盟は締結され、織田は北への、松平は東への展望が開けた。
191 ◆0xknNOBU :02/02/07 12:48
と言うことで「清洲同盟」でした。
次回は「美濃」です。
秀美が戻ってきます。

>人数
何人ぐらい何でしょーね。
多い方が嬉しいですが。

>エロ
これからは織田編なんで少しは出ると思いますが……
エロ小説のようにバリエロにはならない思います(w
192無名武将@お腹せっぷく:02/02/07 14:53
いつも楽しみにしてます。
期待age
193無名武将@お腹せっぷく:02/02/07 20:35
やっと秀美ちゃんが出るか・・・
やっぱ一番人気って秀美ちゃんだろ
三河独立も切なくて良かったけど
信子ちゃん出てくると面白いな。
195無名武将@お腹せっぷく:02/02/09 07:40
秀美期待age
>◆0xknNOBU殿

最近このスレを知りましたが、激しく期待してます。
頑張ってください。
バジトノフ氏に激しくワラタ
198無名武将@お腹せっぷく:02/02/10 02:28
誰かサイト作ってまとめてくれないかなー
とか他力本願に言ってみる
199無名武将@お腹せっぷく:02/02/10 03:26
信子怖すぎ・・・・
200無名武将@お腹せっぷく:02/02/10 04:54
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1013278277/
↑ってな訳で半角の人に氏子タン描いて貰いました。
萌えました。
201 ◆0xknNOBU :02/02/10 13:26
こんち、話しの方は全然書けてません(;´Д`)
んで、お茶を濁すため各キャラの外見の設定など適当に考えてみました。

尾張学園

織田信子・・・身長165位、ポニーテール、顔は女王様っぽい感じ(無名浪人氏の影響ですw)
柴田勝枝・・・身長170位、ショートヘア割と無雑作に、
村井貞子・・・身長155位、背中ぐらいまでのロングヘア、母親役何で優しい面差し
佐久間盛美・・・思いつかん……身長165位、ロングへアかな(投げやり)
丹羽長子・・・身長150位、セミロングを後に流してる感じ、お嬢っぽく(コレも絵の影響です)
池田恒江・・・身長155位、セミロングのストレートかな、一応信子の幼なじみという設定があります。
木下秀美・・・身長130位、ショート、いじめられっ子っぽい顔(絵の以下略)
佐々成美・・・身長130位、ツインテールだよなぁ…、小生意気な感じ
前田利子・・・身長145位、肩より上ぐらいの髪、犬っぽい(w

駿河高校

今川義子・・・身長175位、縦ロールしかない、高慢な感じ(まあ、二度と出番はないですが)
朝比奈秦子・・・本編で少し書きましたね。身長175ぐらい、衛兵っぽい感じです(と言われても…)
阿部真子・・・ここから
鵜殿持
菅沼照美
岡部正子・・・ここまで、全く思い浮かびません。所詮ちょい役です。
大原由貴子・・・身長170位、ベリーロングですか。出番はないです。
今川氏子・・・身長110位、容貌は本編に詳しいです。

三河学園

松平元美・・・身長135位、肩より下ぐらいの内巻の髪かな、眉太め
酒井次江・・・身長160位、背中ぐらいまでの髪、大学生っぽく(いまいち思いつかないんです、ごめん)
石川数美・・・身長155位、肩ちょい下ぐらいまでの髪、割と冷たい感じの顔
服部蔵女・・・身長140位、短いポニーテール(忍者武芸帳です)、無表情
鳥居彦江・・・思いつかん…身長135、セミロングかな
平岩千佳・・・身長130位、背中ぐらいまでのロング、知的でしとやかな感じ
渡辺守江・・・誰だっけ?…うなじくらいまでのショート、太めの上がり眉かな
本多櫻・・・思いつきません…125位、後で一つの三つ編みかな
榊原康恵・・・130位、セミロング、幼い顔立ち、の様な気が…
奥平秋美・・・誰?……130位、渡辺守江を小さく、生意気にした感じ
大久保世羅・・・125位、眉の少ししたぐらいまでの前髪、腰ぐらいまでの後ろ髪、割とお嬢様っぽいか?
大久保佐羅・・・同上

美濃高校

斉藤竜子・・・身長180位、腰までの髪、やくざ

っと、以上かな。絵を描いて下さる方も居るようなので参考までに
……かなり適当なんで参考にはならないかも知れませんが(w
202 ◆0xknNOBU :02/02/10 13:41
あ、絵が描かれたりするとは思ってなかったんで、私のイメージも非常に曖昧です。
ですからこれは、あくまでスレ上の肉付け程度と思っていただければ・・・
203足利学園:02/02/10 15:23
光が校門付近に近づくのとほぼ同時にロールスロイスが校門前に止まり、運転席からタキシード姿の初老の男が降りて車の助手席を空けました。
男は細川家の執事和田セバスチャンです。どう見ても日本人なのですが本人がそう名乗っているのだから仕方がありません。
和田「さ、お嬢様今日も一日がんばってくださいませ」
和田に声を掛けられ車から少女がゆっくりと降りてきました。髪は長く艶やかな黒髪、肌は透き通る様な白さ、体のパーツ一つ一つが熟練工によるハンドメイド、
とにかく美しい少女、それが細川藤子。彼女の家は世界でも有数の巨大企業細川グループの令嬢であり、祖母方の茶道細川流の跡取りでもあります。
藤子「……………」
おそらく常人では聞き取れないぐらいの声で彼女はしゃべります。
和田「はい、今日は明智様と放課後はお買い物へ行かれるのですね。では5時に
   商店街入り口にお迎えにあがります。」
光「藤子、和田さんおはよう」
光は二人にいつものようにあいさつをします
和田「これは明智様、おはようございます。」
藤子「…………‥」
光「そうだね今日はいい天気、買い物日和て所かな」
和田「では私はこれで、失礼いたします。」
一礼して車に乗り込み、和田は去っていきました。
藤子「………」
光「え、また昭子さまに無理難題を言われてるんじゃないかって?
  いや、もう慣れたよ毎度の事だし」
藤子「…………」
光「自分も生徒会副会長なんだから力になるって?ふふ、いつもありがとう」
言われて藤子の頬がほんのり赤く染まります。そんなやりとりをしながら二人の一日が始まりました。
204足利学園:02/02/10 15:25
思いつきで書いているので本家みたく上手くいきません。
また思いついたら書きます。稚拙な文章はお許し下さいな。
205無名武将@お腹せっぷく:02/02/10 15:29
sage進行推奨
上杉謙信の設定これどーお?

いつも窓から見える港は雪の下
長尾虎美(21歳)国立越山大学3年生は、警察官採用試験過去問集から頭を上げた
春日ハイツ801号室、大学1年の頃から借りてる部屋
異性は勿論、親友・取り巻きですら、足を入れたことの無い部屋
モテナイ訳でも、友達が少ない訳でもない、ただ虎美の中の何かが拒絶した
勉強机・本棚・冷蔵庫etc…必要なモノがそこにある、整理整頓された部屋
虎美「今日は何か気が高ぶるな」
過去問集を閉じ、冷蔵庫から缶ビールを取り、ビデオラックからお気に入りを引き出す
『NHKプロジェクトX・あさま山荘』だった
虎美「やっぱり、反秩序は赦・せ・な・い」

♪〜チャラチャンチャラ〜(着信音:織田裕二「サンバディトゥナイト」)

村上清子(28歳)短大部信濃校舎・研究助手
「学祭に今年も、例のレディース軍団が来てるの助けてー」
学生会々長として、対決して数度、今回が決着の時だった
虎美「佐々淳行サマ、今度もお守り下さい」学生手帳に挟まれた写真を一度だけみた
「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場に会議室があるべきなのよ」

信子より年上、正義の執行官(自衛官も可?)、異性交渉なし、現場主義、レディースと対決
期待sage
208無名武将@お腹せっぷく:02/02/11 12:10
これを書いてるのはどれみの同人少女、横川信子ちゃんなのか?
209無名武将@お腹せっぷく:02/02/11 14:58
>206
おもしろそう。キャラ萌えが嫌な人にはいいかも。
大学生では萌えられないけど続きを期待。
>208 最初、その信子ちゃんかと思ってスレタイトルクリックした俺。
>34
今更だけど最高。まさかこの板でマリア様がみてるとは思わなかった……
あの行殺新撰組を作ったライアーソフトによるゲーム化きぼん。当然エロゲ。
213無名武将@お腹せっぷく:02/02/12 17:57
尾張学園に森蘭子がいないことに激しく抗議。
214無名武将@お腹せっぷく:02/02/12 18:03
>>213
まだ登場には早過ぎるだろ。
215無名武将@お腹せっぷく:02/02/12 18:09
そんじゃあ蘭ちゃんが登場する頃は信子ちゃんはおばさんじゃねえか。
216無名武将@お腹せっぷく:02/02/12 18:16
いや、学年いっこ上がって、新入生ってとこだろ。
もしくは本当に年月が経って、醜悪なおばはん信子ちゃんに強要されて、
泣きながら腐れ○○コを舐めさせられる美少女蘭ちゃん・・・ってのもありか?
217無名武将@お腹せっぷく:02/02/12 18:30
つうことはあれか、
毛利就香さんは中国地方を拠点とするベンチャー企業の若手美人社長で
会社のためなら可愛い妹を余所に養子に出すのも厭わない、
でも、人のいないところでコソーリ泣きながらいつかの覇道をココロに誓う、
ってとこか

なかなか本編に絡みそうもないな、時期的に(;´Д`) 
218無名武将@お腹せっぷく:02/02/12 18:34
エロゲーでやりたいな。
219無名武将@お腹せっぷく:02/02/12 19:34
>217
それじゃあ全然、学園モノじゃないよ。
220206,長尾虎美の提唱者:02/02/12 21:28
>209さま
レスありがとさんです
大学生にしたのは、秩序好き・遵法精神権化の女の子が酒呑んじゃ拙いから(w
個人的にも酒呑み女高生は萌えないし……固い感じの才女が酔いどれる、書きたいな〜
高3⇒東大法学部志望⇒警察庁キャリア組志望の設定も、京都・権威好きの謙信らしくて捨てがたいんですけどね(w
221無名武将@お腹せっぷく:02/02/12 22:10
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1013278277/46
半角二次元の神様がまたやってくれました。
機会があればお礼をしましょう。
222無名武将@お腹せっぷく:02/02/12 22:25
そろそろ仙台大付属の物語がホシィ・・・
候補は尾張学園の姉妹校、岡崎高と小谷工業高校
223無名武将@お腹せっぷく:02/02/12 23:26
そろそろ高校のパターンも出尽くすな。
後は商業高校と聖なんとか学園くらいか。
女子生徒がメインになる高校は厳しいね
工業高校、高専で・・・キツイか(w
長尾虎美ちゃん、自衛隊の高校(名前ド忘れ)でも良いやも
門限厳守とかで戦いの途中で帰ちゃう(w
225「美濃」 ◆0xknNOBU :02/02/13 10:24
信子「斉藤竜子が留学した?」
三河学園と尾張学園が同盟を締結してから数日後、いつものように生徒会室に居る
織田信子の耳にその情報が飛び込んできた。斉藤竜子は、美濃学園生徒会長にしてや
くざ組織土岐興業の組頭で、同時に信子が長年に渡って敵視し続けている少女であ
る。
可奈「はい、本当です。生徒会は、妹の興美が継ぎました」
報告したのは、去年美濃高校から転校してきた森可奈(17歳)。前の学校の人脈を
活かして、今は対美濃諜報を担っている。
可奈「なんでも、もうジャパニーズやくざは古い。フランスに行って毎日牛乳飲む、
   そして少女を守って爆死するんだ、と言い残して留学してしまったそうです」
信子「……爆死?」
よく解らなかったが、留学の理由など解る必要は信子にはなかった。
勝枝「チャンスじゃねえの?竜子が居なきゃ、後の奴なんて一発だぜ」
信子「そうね。興美は無能だし……竜子に逃げられたのはちょっと悔しいけど」
信子はそう言って、少し苦い顔をした。
長子「信子様は、なぜ斉藤竜子と仲が悪いのですか?」
その態度を少し不思議に思った長子が、隣に座っている恒江に小声でそう聞いた。
恒江「長子は知らなかったかしら?」
長子「私が入学したときにはもう、信子様は斉藤竜子と犬猿の仲でしたから……幼な
   じみの恒江様ならご存じでは?」
恒江「そうねぇ……竜子の姉で道子さんと言う人が居たんだけど」
長子「お姉様ですか?」
恒江「変な意味じゃないわよ。本当の姉妹。この道子さんが、竜子の前に美濃学園の
   生徒会と斉藤興業の名跡を継いでいたんだけど、信子様がまだ中等部に入った
   ばかりの頃、その道子さんが尾張学園に実習生として来たことがあって」
長子「やくざの組長なのに、教育実習生、ですか?」
恒江「まあ、土岐興業はもうほとんど実体がないから。それで当時まだ何も知らない
   純情な少女だった信子様は、道子さんに色々教えてもらったらしいの」
長子「色々、ですか?」
恒江「変な意味よ。そういうことが初めてだった信子様は、それはもう道子さんにい
   れあげてて、はたから見てて恥ずかしいぐらいだったわ」
長子「でも、それなら竜子と信子様は意味は違いますけど姉妹のようなものでは?」
恒江「……貴女、大人しそうな顔して結構下品なこと言うわね。でもまあ、そうね」
長子「じゃあ何故?」
恒江「ところがその後……」
一段と声をひそめて、恒江が続きを話そうとした時。
信子「私の前で内緒話とはいい度胸ね」
何時の間に近寄ったのか、信子が二人の間に割り込みんでそう言った。
恒江「わっ!信子様聞いてらしたんですか?」
長子「申し訳ありません信子様。しかし、これから対美濃戦を行うにあたって参考に
   なれば、と思いまして。それで、何故斉藤竜子と仲違いを?」
慌てる恒美にたいして、長子は落ち着いて信子にそう聞いた。信子は少しの間長子の
顔を見て、それから小さく鼻を鳴らす。
信子「ふん、まあいいわ続きを話して上げる」
長子「ありがとうございます」
信子「道子様は、竜子のせいで亡くなられたのよ……」
長子「えっ?お亡くなりに?」
意外な話の展開に、流石の長子も驚きの声を上げた。
信子「そうよ、あの日長良川のそばで……」
長子「斉藤竜子が、跡目争いか何かで道子様を、あの……殺害してしまったのです
   か?」
信子「長良川の側の教会で挙式を……」
長子「はい?」
長子はきょとんとした顔で信子の顔を見た。
信子「男と結婚するなんておかしいわよ。狂ってるわよ。変質者よ。死んだも同じ事
   なのよ」
長子「あの……道子様はご結婚なされたんですか?」
信子「あー!結婚とか言わないで!聞きたくなーい!」
ご自分で仰られたのに、と言う言葉を、長子は口に出す前に飲み込んだ。この状態の
信子には何を言っても無駄だと知っているからだ。しかし、疑問はまだ残っている。
長子「でも、それでしたら何故斉藤竜子のせいなんですか?」
信子「あの馬鹿が馬鹿だから馬鹿なりに生きてれば良いものを、利口な人間の真似事
   をしようとして家庭教師なんか雇うから。道子様は陋劣で淫猥で下劣で醜怪な
   男なんかに騙されたのよ!」
長子「……えーと、つまり斉藤竜子の家庭教師の男性が、斉藤家に何度も通ううちに
   道子様と恋仲になられて、そのまま道子様とご結婚成された、と言うことです
   か?」
信子「恋仲ー!道子様は騙されたのよ!○×△ね!家庭教師男!」
信子は怒りのあまり鞭を振るい、こう言うときのために備え付けてあるサンドバック
を何度もしばきつけた。ちなみに、サンドバックには竜子の等身大写真が貼ってあ
る。長身の竜子の等身大写真は、サンドバックに張り付けてもなお多く下に余った
が、度重なる乱暴に千切れてその部分はなくなっていた。
信子「はぁはぁ……、とにかく、憎き竜子を逃がしたのは残念だけど、その分の責め
   苦は興美に負って貰うわ」
漸く落ち着いた信子が、息を荒げてそう言った。
長子「何だか逆恨みのような気が……」
長子はそう呟いたが、信子は興奮しているのか耳に入らない。
信子「くっくっ、どーいたぶってやろーかしら……」
血走った目でそう呟く。長子と恒美は顔を見合わせ、深く溜息を吐いた。
その頃、当の美濃学園では斉藤興美の生徒会長就任及び土岐興業の跡目就任祝を開い
ていた。斉藤興美16歳、歴代で最も若い生徒会長である。しかし、
興美「なんか→、私生徒会長何かやりたくなかったんだけど→、姉貴が?いきなり留
   学?とかしちゃって超むかつくじゃん?興美も→そんなら留学とかしたいじゃ
   ん?アメリカ?とか?イギリス?とかカッコ良くない?なのに→、何で生徒会
   長とかやらされてるわけ?なに?超ウザイんですけど?」
就任式でのスピーチでそう発言した興美に、多くの者は不安以上のものを感じた。っ
て言うかコギャルうぜぇと感じた。
理奈「生徒会長があんな調子じゃ、この学校も長くないかも知れないわねー」
言葉ほどに深刻そうでない、何処か他人事のような口調で、安藤理奈(17歳)は隣
の少女に呟いた。少女は竹中一重、西美濃分校小等部に通う11歳で、理奈とは従姉
妹の関係にあたる。
一重「でもでもっ、一重は美濃学園の生徒だから学園のために頑張ろうと思うのっ」
一重は理奈の言葉に、必至になってそう反論した。
理奈「一重はお人好しねー、私ならあんなののために頑張るのは嫌だな」
理奈は笑いながら、一重を少しからかう様な口調で言う。
一重「そんな事ないもんっ。一重は自分の力を試したいんだよっ。だから、一重の力
   で織田信子なんか撃退しちゃうんだからっ」
理奈「織田信子?何?織田信子が来てるの?」
一重「ううん、もうすぐ来るのっ。一重にはわかるんだからっ」
そう言って一重は胸を張った。自信たっぷりに言う一重に、理奈は訝しげな顔をす
る。と、不意に二人は後から声を掛けられた。
徹美「理奈、織田信子がこっちに向かってきているそうよ。新生徒会長と対策を協議
   するから貴女も来なさい」
声を掛けたのは、理奈と同じ西美濃分校の稲葉徹美(17歳)であった。思わず、理奈は少女の顔を見直す。
一重「ねっ、言った通りでしょ?」
一重はそう言って笑った。
227 ◆0xknNOBU :02/02/13 10:29
取り敢えず今書けてる分だけ。
遅くてごめんですよ。

しかし、いやー絵があるとやっぱ萌えますな。
やる気もでるってもんです。
いや・・・書くのは遅れてますけど(´Д`)
>>227
お、きたきた。
期待してますんで、無理せずまったり頑張ってください。
229無名武将@お腹せっぷく:02/02/13 14:39
やっぱり信子ちゃんが出てくるとおもろいな。
信子ちゃん(・∀・)イイ!
231無名武将@お腹せっぷく:02/02/13 23:12
蜂須賀の登場を希望
ついに竹中さん登場ですね〜
キョウモ ゼツボウテキナ キミタチニ

※※※※※※※※※※※
※※■■■※■■■※※
※■■■■■■■■■※
※※■■■■■■■※※
※※※■■■■■※※※
※※※※■■■※※※※
※※※※※■※※※※※
※※※※※※※※※※※
ごめん,昨日もらった
奈緒「理奈、遅かったじゃない」
理奈が美濃学園の生徒会室にはいると、そこには既に、理奈、徹美と同級生の氏家奈
緒(17歳)が待っていた。
理奈「織田信子が来てるんだって?」
理奈は奈緒の言葉には答えず、いきなり本題に入った。
奈緒「そうらしいわね。もっとも、何しに来たのかまではわからないけど」
理奈「そんなの攻めてきたに決まってるじゃん。興美を落として美濃学園を支配下に
   納める気なんだよ」
徹美「奈緒、それよりも生徒会長はどうした?お前が呼びに行ったんじゃないの
   か?」
さっきからその姿が見えないことを不審に思っていた徹美は、二人の会話を遮って聞
いた。奈緒は小さく肩を竦めて答える。
奈緒「呼びに行ったんだけどね、つまんない会議なんか来たくないって言って、どっ
   かに遊びに行っちゃったわ」
徹美「それをお前は見逃したのか?引っ張ってでも連れてこい!」
奈緒「そうしたわよ。でもちょっと目を離した隙に逃げられちゃったんだから仕方な
   いじゃない」
徹美「そんなことが言い訳になるか!生徒会長が信子の手に落ちればそれで終わりな
   んだぞ!」
奈緒「怒鳴らないでよ」
うるさそうな顔をして奈緒は耳を塞いだ。
徹美「何だその態度は!」
徹美はますます声を張り上げて奈緒を怒鳴りつける。徹美の性格には、引くと言うこ
とがない。
理奈「まあまあ、今そんなこと言い争ってても仕方ないんだし」
危うく喧嘩になりそうな二人の間に入り、理奈は慌てて仲裁した。
翔子「あんた達→、なにもめてるわけ→?」
と、その時生徒会室に新しい人物が入ってきた。斉藤興美の従姉妹、斉藤翔子であ
る。翔子は趣味の似た興美と馬が合うのか、今は興美の取り巻きのようなことをして
いる。
理奈「何だ翔子か。ここはあんたなんかが来るような所じゃないわよ」
理奈は不快感を露わにしてそう言った。揉めていた徹美と奈緒も、翔子の顔を見ると
苦い顔をして諍いをやめた。
翔子「でも→、私?興美の代わりにここに来るように言われてるんだよね→、なに?
   それともそんなこと関係ないとか言って無視するわけ→?や→、こわーい」
嫌味たっぷりな口調で翔子は三人に向かっていった。ただ遊び人の興美と違って、翔
子には権勢欲もある。三人が翔子を嫌うのも、無能のくせに自分達の上に立とうとす
る翔子が気に入らないからであった。
奈緒「無視なんかしませんよ。じゃあ、取り敢えずは、この人数で織田信子対策を考
   えましょうか?」
奈緒がそう発言して、一応この場は収まった。そして、空気はほぼ最悪に近い状態で
対策会議が始まる。
翔子「対策って言っても→、この稲葉山校舎のセキュリティシステムは織田信子だっ
   て突破できないでしょ→?話し合う必要なんて無いんじゃないの→?」
翔子は開始早々楽観論を述べた。確かに、稲葉山校舎は先々代の斉藤道子が4億円と
いう偏執的な巨額をかけた声紋照合その他セキュリティシステムのおかげで、稲葉山
高生徒でなければ例え西美濃分校の三人でさえ相応の手続きをしなければ入ることは
出来ない。もし、それを無視して進入を試みれば、152丁の機関銃と2000個の対人地雷、256個致死性トラップが待ち受けている。
徹美「確かに、この稲葉山校舎にいる限りは安全でしょう」
翔子「でしょ→?」
徹美「しかし、残念ながら興美様はここにはおりません。何故なら、あなたを代理に
   して遊びに行ってしまったからですよ。外で織田信子に捕まれば、この稲葉山
   など何の意味も持ちませんね」
皮肉たっぷりに徹美は翔子に言う。お前のせいだと言いたいのだろう。これには、翔
子も言い返すことが出来なかった。その後は、翔子を抜かした三人で意見百出し、甲
論乙駁して用意に結論を得ない。結論が出たのは、翔子はとにかく興美を探しに行け
と言うことだけで、これについては翔子を除く全員の意見が一致し、渋々と翔子は興
美を探しに出た。
徹美「稲葉山校舎が金城湯池とはいえ、あの織田信子だ、何れはこれを打破する手を
   打ってくるに違いない。まして古来より城は外から崩れず内から崩れるとい
   う。今の生徒会長の様子ではその危険もあるだろう」
理奈「口が過ぎるわよ徹美。でも、こうしてる間にも織田信子が近づいてる。早く対
   策を決めないと」
奈緒「……一旦休憩にしましょう。頭を冷やせば、別の考えも浮かぶかも知れない
   し」
四半時も議論が続いた時、声に疲れを滲ませて奈緒が言った。他の二人も異論はな
い。まとめる者のいない集団など烏合の衆に過ぎない。各々それなりに自負するとこ
ろのあった三人でも、改めて先代竜子の重要性を思い知らされた。

理奈「ふー、疲れたー」
会議室を出て、理奈は一人休憩室で伸びをした。他の二人も、それぞれ別の場所で休
憩している。仲が悪いわけではなく、三人集まっていればどうしても話が議論に戻っ
てしまうので別れて休んでいる。
一重「疲れさまですっ、理奈さんっ」
そこへ、一重がひょっこりと現れる。
理奈「あれ一重?あんた帰ったんじゃなかったの?」
一重「帰ったりしませんようっ、理奈さんがここに来るのを待ってたんですからっ」
理奈「ふーん?でも何で私がここに来るってわかったの?約束もしてないのに」
一重はそう聞かれると軽く笑って言う。
一重「人の動きを良く見ていればっ、それぐらいのことはわかるんですっ。理奈さん
   達は、結論の出ない会議に疲れてこの辺で休憩しようって事になったんでしょ
   うっ?それでっ、休憩しようって言い出したのは多分奈緒さんですっ。で、更
   に三人一緒に居たら休憩にならないから、別々に休もうって事になったんです
   よねっ?」
理奈「そうだけど……あんた覗いてたの?」
理奈は訝しげな表情で一重の顔を見た。
一重「違いますようっ。あっ、でも一重がこんな事言ってたなんて事は、他の人には
   言わないで下さいねっ?理奈さんと私だけの秘密にして下さいっ」
理奈「いいけど……?なんで?」
一重「なんでもですっ、お願いしますっ」
理奈「うーん、いいけど……」
理奈は訳の解らない顔をしたが、それ以上一重を問い詰めなかった。
一重「それよりですね理奈さんっ、一重に良い考えが有るんですよっ!一重の意見
   じゃ誰も取り上げて貰えないからっ、理奈さんの意見として会議で言ってみて
   くれませんか?」
237 ◆0xknNOBU :02/02/14 20:48
てな訳で今日も書けた分だけ。
「美濃」はちょと長くなるかも。

ところで興味本位からなんですけど、
どのキャラクターが皆さん一番お気に入りなんでしょ?
よろしければお教え下され。
238無名武将@お腹せっぷく:02/02/14 21:21
秀美(・∀・)イイ!
239無名武将@お腹せっぷく:02/02/14 21:39
ミンナ(・∀・)イイ!
一重は病弱ですか?
だったら(・∀・)イイ!
犬チックなのに期待大
元美(・∀・)イイ!今後も主役級の活躍を見せて欲しい。

(´-`).。oO(パジたん、逝く前にテトリスの版権ちょーだい……)
当然氏子タン。
だって七歳だぜ(;´Д`)ハァハァ・・・
244無名武将@お腹せっぷく:02/02/15 08:37
>言うと、氏子は自分の手にボディーソープを垂らし、その手で直接元美の背中をなで
>始める。
>元美「ひゃぁ!?氏子ちゃん、何してるの?くすぐったいよ、ボディーブラシ使わな
>   きゃ」
>氏子「そんな物使うのか?妾は何時も、こうして秦子に洗ってもらっているぞ」

・・・秦子になりたい(;´Д`)ハァハァ
その頃、いつもの様に信子達が出払った後の生徒会室で留守番をする貞子の元に、久
しぶりの顔が訪れた。
秀美「信子様ー!やっと帰って参りましたー!もー熱田警察ってば酷いんですよ!な
   んか書類に手違いがあったらしくて、何故か私が網走刑務所に送られちゃった
   んですぅ!それを!やーっと誤解を解いて帰ってきましたー!信子様ー!ただ
   いまですー!」
貞子「あら秀美ちゃん?久しぶりね」
秀美「あ、あれ?」
しかし秀美のお目当ての人物は生徒会室の中には居ない。きょろきょろと辺りを、見
回してみても、どう見ても部屋の中には座って何か書き物をしている貞子一人しか居
なかった。
秀美「あれれれ?信子様〜?どこ行っちゃったんですか〜?」
貞子「信子様なら、美濃学園に行かれたわよ」
ゴミ箱の中を覗くなど、一通りのお約束を秀美がこなすのを見てから貞子が言った。
秀美「ええっ!私が居ない間にみんなでピクニックに行ったんですか〜!」
貞子「ピクニックではないと思うけど……、信子様は、今度こそ美濃学園を落として
   支配下に組み込むって意気込んでいたから」
秀美「えええっ!?美濃学園にお菓子を食いに行くんだって意気込んでたんです
   か〜!?」
貞子「いえ、そうじゃなくて……」
秀美「ひどいです〜!私が網走で臭いご飯を食べてたっていうのに、信子様はパンも
   食べずにお菓子をぱくぱくですか〜!?」
貞子「いえ、だから……」
秀美「麦の混じったご飯って、冷めるとすっごく不味くなるんですよ〜!、知ってま
   したか〜!?」
貞子「えっ……?いいえ、私は食べたことがないから……」
秀美「不味いんです〜!それなのに私が居ない間に美味しい物を食べに行くなん
   て〜!何だかすっごく許せません!私、今から信子様を追いかけますね!」
貞子「えっ、今から?」
秀美「私だってお菓子食べたいです〜、ああ〜、美濃ってどんなお菓子があるんで
   しょうか〜?貞子さん知ってますか〜?」
貞子「えっ、そうねぇ……、鮎の形をした焼き菓子があるそうだけれど……」
秀美「それってういろうより美味しいんでしょうか〜?」
貞子「さあ?食べたことはないから……」
秀美「そうですか〜。でも!食べればわかりますよね!さあ貞子さん!早速行きま
   しょう!」
貞子「えっ?私は駄目よ。まだ仕事が残っているもの」
秀美「そうですか〜?残念です〜。それじゃあ、私一人で行ってきます!」
言うが早いか、秀美は生徒会室を飛び出そうとする。
貞子「あっ、秀美ちゃんちょっと待って……」
誤解したまま飛び出そうとする秀美を止めようと、貞子は慌てて椅子を立った。が、
秀美「あっ、そうだ、これお土産です。良かったら食べてください〜」
貞子「えっ?あ、ありがとう」
秀美「それじゃあ〜!」
そう言うと、秀美は廊下を猛スピードで駆け抜けて行ってしまった。後には、秀美の
お土産を抱えて訳も解らず立ちつくす貞子だけが残った。
貞子「……秀美ちゃん、大丈夫かしら?」
暫くして貞子はそう呟き、椅子に腰を下ろした。それから、ふと気づいたように胸の
中のお土産を机の上に置く。そして暫く眺めた後、セロテープを丁寧に剥がして包装
をといた。中には、透明なパックに包まれた真っ黒な物体が入っている。「石炭ア
メ」と、パックにそう書かれているからアメなのだろう。
貞子「白い恋人の方がよかったのだけど……」
小さくそう呟いてから、細い指に力を込めてパックを開けた。開けると、甘い砂糖の
匂いが微かに鼻腔をくすぐる。少しその香りを楽しんでから、貞子は黒いアメの一番
小さな塊を、ひょい、っと口に放り込んだ。
貞子「……固い」
小さく呟く。甘くて黒いその塊を舌の上で転がしながら、貞子はまた仕事の続きに
戻った。
246 ◆0xknNOBU :02/02/15 18:29
今日はどうも調子が悪いような・・・うーん。
量も進まなかったですね。

人気、見事にバラバラみたいですね(w
美濃が終わったら一番人気のキャラで
軽いサイドストーリーでも挟もうかと思ったんですが・・・
まっ、いっか(w
>>246
おつかれ様です。
あまり無理せずに、マターリと続けてください。
(´-`).。oO(氏子が飽き飽きしているという貝合わせってなんだろう…)
>>248
蛤などの貝に絵を描いて,対になる貝を探す昔の遊びです.
神経衰弱みたいな感じでしょうか.
250無名武将@お腹せっぷく:02/02/16 12:22
貝合わせでエロいことを連想した奴↓
251無名武将@お腹せっぷく:02/02/16 13:23
>>220
イイ!武田騎馬軍団は最強レディースらしいから、ただの対抗勢力じゃ
面白くないもんね。
252無名武将@お腹せっぷく:02/02/16 13:42
ニホンちゃん並に盛り上がっていけるかな?期待してるよーん

http://funshei.tripod.co.jp/
253無名武将@お腹せっぷく:02/02/16 14:06
にほんちゃんはイデオロギー臭が強くてちょっとなぁ・・・
こっちは普通の娯楽小説だし。
254無名武将@お腹せっぷく:02/02/16 16:08
本願寺顕如「仏敵の信子をぶっ飛ばすにょ」
>>245(・∀・)イイ!!
秀美のキャラをみてるとへぼレイを思い出す。
256無名武将@お腹せっぷく:02/02/17 14:54
へぼレイってなんだす?
257無名武将@お腹せっぷく:02/02/17 15:49
≫254
って事は学園は現在の大阪日本橋にあったり?そいや加賀にも
分校が…ホジ子(顕如)Tシャツ着て、
「♪うぇっかむとぅー×2うぇかむとぅーまいは〜(極楽浄土が待ってる如!)」
と唱えながら迫るヲタ臭VS織田軍団。イヤーン!
258無名武将@お腹せっぷく:02/02/17 15:56
顕如ちゃんと教如ちゃんは語尾に「にょ」の方向で。
新参者でも書いてみようかな、なんて
気にいらなかったらごめんなさい
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

だんだん暗くなる街に、また一つ明かりがともる。
ぐすっ
まだ涙が止まらないよ。
胸が苦しいよ。
どうして…どうしてなのよ、神様?私何か悪いことした?

今日、私は勇気を出して告白した。
相手は、織田市朗君。尾張学園の男の子。
彼とであった日のことは目を閉じればすぐに思い出せるわ。
そう、あれは尾張学園にバレーの交流試合に行った時だった。
相手の応援団の中に、彼はいたんだ。もう、無茶苦茶かっこいいの。白皙の美少年ってああいうのを言うんだろうって思ったわ。
そして私は典型的な一目ぼれ。
あの時は試合中なのに彼に見とれていて、ボールを顔で受けちゃったんだっけ
すごく恥ずかしかった。
でも、そのおかげで彼は私のことを覚えていてくれたらしい。

昨日一日かけて書いたラブレター。
下手だってわかっているけど一生懸命書いたラブレター。
創立記念日で休みの今日、はるばる尾張学園まで渡しに行ったんだ。
そしたら、彼が言ったの。
「ありがとう、浅井さん」って。
「え?どうして私の名前を知ってるんですか?」って聞いたら、くすくす笑って「覚えてるよ。この前の小谷高校とのバレーの試合で顔面トスしていたでしょ」
って言われちゃったの。
顔から火が出るくらい恥ずかしくって、勇気が萎えちゃって、「ごめんなさい、なんでもないんです」って帰ろうとしたら…
「ちょっと待ってよ。返事も聞かずに帰るつもり?」
なんて引き止めて、いきなりちゅって…
もう羽根が生えて昇天しそうなほど幸せだったんだけど…

「別れなさい」
有頂天になって市朗君のことを紹介したら、ママはそう言った。
「なんでよ!」
「その子、あの織田信子の弟なんでしょ。そんな野蛮な子と付き合うなんてママは許しませんよ」
「関係ないじゃない。それに、信子さんだって本当はいい人なんだよ?ママの考え方は古すぎるわ」
「賢美、あなたはまだ子供だからわからないんだろうけれど、これはあなたのために言っているのよ」
「ママのわからずやっ!」
そう言い棄てて、私は自分の部屋にこもった。

私、ママのことが好き。でも市朗君も好きなのよ。
だから、二人と仲よくしたいのに…
どうしてママはわかってくれないの?
どっちかを選ぶなんて私できないよ。
ねえ、お星様、どうすればいいのか教えてよ…
ついに、浅井×織田市の純愛だぁー
良いぞよ良いぞよ、浅井が体育部系なのが良い
頑張れ!あんまり設定もりこまないのも良いぞ〜
261無名武将@お腹せっぷく:02/02/17 20:59
>>259
ところで、
>「賢美、あなたはまだ子供だからわからないんだろうけれど、これはあなたのために言っているのよ」
だれ?
262259:02/02/17 22:14
浅井賢政。のちの浅井長政で、六角氏と切れていないころの名前
長政だと丹羽の長子ちゃんとだぶるので
言ってる「ママ」が誰かと問われるなら浅井久美(39)
勝枝「しかし異常な防衛体制だよなー、偏執狂が作ったとしか思えねえぜ」
信子「稲葉山校舎を設計したのは道子様よ、侮辱するなら勝枝とは言え容赦しないわ
   よ」
斉藤竜子留学の報を受け、何となく美濃学園まで進行してきた信子達は、稲葉山校舎
の鉄壁の防御システムを前にどうしようかと攻めあぐみ、稲葉山校舎から一番近い喫
茶店に入り、現地で作戦会議を開いている。
勝枝「へいへい、信子は道子さんのことになると目の色が違うからなぁ」
ぼやきつつ、勝枝は椅子の背に体重をかけて大きく伸びをし、ほんの近くに見える稲
葉山校舎を仰ぎ見る。稲葉山校舎は稲葉山という岩塊の様な小高い丘の上に建ち、校
舎へ到る道は正門までの細い道しかない。その道の入り口には検問があり、そこで生
と以外の人間は自動的に排除される。無理にこの門を抜けようとすれば、稲葉山校舎
の過剰とも言える重火器防衛システムが作動してしまう。
勝枝「竜子が居なくなっても、稲葉山校舎まで消えちまう訳じゃねえんだよなぁ……
   無理なんじゃねえの?こんな所落とすの?」
勇敢でも粘性のない勝枝は、その困難さを思うだけでもう諦め気分になっている。
信子「ここを落とさなければ京に進撃して足利家を擁立し、全国の学園に号令するこ
   とは出来ないわ。落とせるか、落とせないかという議論なんか聞きたくないの
   よ。私が聞きたいのは、どうすれば稲葉山が落とせるかと言うことだけ」
勝枝「でもなー……、大体美濃を落としたところで、京までにはまだ北近江、南近江
   学園がいるじゃん?何時になったら京につけるのやら」
まだぼやく勝枝に、信子は鼻を小さく鳴らした。
信子「ふん、北近江なら問題ないわ。妹の市があそこの生徒会長の浅井雅美と付き
   合ってるから」
勝枝「えっ?なに?お市ちゃん南近江の奴と付き合ってんの?」
信子の言葉に、勝枝は色めき立って身を乗り出した。
信子「付き合ってるわよ。それがどうかしたの?」
勝枝「うへぇー!勝枝大ショック!俺お市ちゃんに惚れてたのに!」
信子「勝枝が?それはご愁傷様。市と雅美ちゃんは相思相愛だから、入り込む隙なん
   かないわよ」
勝枝「そりゃないだろー、なー信子ー、友達なんだからお市ちゃんとの仲を取り持っ
   てくれよー」
信子「無理言わないでよ。だいたい雅美ちゃんは颯爽とした性格だし、貴方みたいに
   乱暴でもないから、誰がどう見たって貴方に勝ち目はないわよ」
勝枝「ひでー言い種。あー……でもこれでますますやる気なくなった。もう帰っちゃ
   おうかなー……」
こうして議論百出するも、一案もこれというものがないまま時間が過ぎていく。しか
し、こうして呑気に作戦会議をしている間に、信子達の動向を秘かに伺う者があっ
た。

奈緒(あー、ほんとに織田信子が居る。理奈ちゃんどうしてここにいるってわかった   の)
理奈(それは……、偶然見かけたっていう情報が入ったんだよ)
奈緒(情報が?でも、誰が教えてくれたの?その娘にお礼を言わなきゃ)
理奈(それは……、初めて見る子だったんで、もう誰だかわからないよ)
奈緒(初対面の子が、理奈ちゃんに何でそんなこと教えてくれるの?)
理奈(うっ、んー……)
徹美(そんなことは後で話せ、静かにしないと尾張学園の奴らに見つかってしまうだ
   ろう)
ひそひそ声で話ながら信子達を見つめるのは、西美濃分校の三人だった。三人は美濃
学園の伝を使い、喫茶店のカウンターの中に隠れている。店主は多少呆れた顔をして
いたが、ここなら先ず見つかることはない。
徹美(それで理奈、これからどうするんだ?このまま三人で行っても返り討ちになる
   だけだぞ)
カウンターから見える尾張学園の生徒は6人、三人が顔を知っているのは織田信子と
副生徒会長の柴田勝枝だけだったが、後の人数は、佐久間盛美、丹羽長子、池田恒
江、佐々成美である。ちびっちゃい成美の様なのもいるが、三対六ではちょっと分が
悪い。
理奈(えーと、実はここに催眠導入剤なるものがありまして、これをあいつらのメ
   ニューの中に混ぜました。もうじき効いてくると思います)
一重に教えられたとおりの台詞を理奈は棒読みに言う。実を言えば、細かな小細工な
ども全て一重の手配だ。一重は信子が稲葉山を攻めあぐね、あぐねた挙げくに校舎か
ら一番近いこの喫茶店に来るだろう事を予想した。今のところ、その予想は全て的中
している。理奈としても、こうなっては一重の策を信じるほかない。まして手柄の方
は自分にくれるというのだから、これ程いい話もないだろう。
亭主「おいおい、困るよ料理に変な物入れられちゃ、おじさん明日から営業停止に
   なっちゃう」
足下で物騒なことを話す女学生に、店の主人がたまらず口を挟んだ。
奈緒(お願いしますおじさま。美濃学園が潰れちゃうと、おじさんだって困るで
   しょ?)
軽く脅しをかけつつ、奈緒は亭主の手をきゅっと握った。占いが趣味で、制服を神秘
的に、勝つ蠱惑的に改造している奈緒のお願いに、自然亭主は甘い表情になる。
亭主「……まあ、美濃学園に潰れられたら困るしなぁ」
奈緒(ありがとうおじさま!)
小声で叫んで、奈緒は亭主の掌にキスをする。亭主はもはや、相好が原形をとどめな
いモーターサイクルのような状態になってしまっていた。
徹美(……それで、信子達は眠ってしまうわけか?)
徹美がその光景を横目で苦々しく見つつ理奈にそう尋ねた。
理奈(あっ、うん。そんなに強力な薬は手に入らなかったらしい)
徹美(らしい?)
理奈(あっ、いや、手に入らなかったんだ。だからせいぜい朦朧とするぐらいだけ
   ど、効果としてはそれで充分だろ?)
徹美(なるほど……充分だ)
徹美は理奈の言葉に深く肯く。朦朧とした相手を捕らえるなどは実に容易い。
成美「あれー?何だかなるめがまわってきたようなきがするー?」
成美が声を上げたのは、徹美が肯いたのとほぼ同時ぐらいだった。体が小さい分、薬
の効きも早かったのだろう。
長子「どうしたのなるちゃん?」
長子が成美を心配して立ち上がろうとした。しかし、その長子も、足から力が抜け落
ち、がくりと膝を折ってテーブルに突っ伏す。意識はあるようだが、目の焦点がどこ
となく合っていない。続いて、ほぼ同時に盛美と恒江もテーブルに倒れ込んだ。
勝枝「おい!どうしたんだよみんな!?」
信子「これは……?一体なに?」
まだ正気を保っている勝枝と信子は、この異常な事態に困惑した。何が原因かは分か
らないが、非常に危険な事態には違いない。
勝枝「おい!みんなしっかりしろ!いたいろうしたんら……」
そう呼びかけた途端、勝枝にも薬が回り始めたのか急に呂律が回らなくなる。勝枝は
180pも有る長身だから、他のみんなよりも薬の効きが遅かったのだろう。が、そ
れも時間の問題。一度効き始めると、後はみんなと同じようにすぐ朦朧とした状態に
なってしまった。
信子「ちょっと!どうしたのよみんな!?しっかりしなさい!」
唯一人残った信子は必至にそう呼びかけるが、誰一人として返事を返す者は居ない。
皆正体もなく朦朧としてしまっていた。
成美「ああん、お兄ちゃんだめだよぅ……なるとお兄ちゃんは兄妹なんだからぁ……
   ううんっ……、あっ……でも、お兄ちゃんになら……」
勝枝「お、お市ちゃん。ほんとに俺でいいの?浅井じゃなくて?えっ?あんなのは
   振ってやった?うわーい!幸せー!」
長子「ああっ!秀美ちゃん可愛いわ!もっと私のために鳴き声を聞かせて!そう!あ
   あああっ!どうしましょう、可愛すぎてたべちゃいたいぐらい……」
恒江「信子様、本当に、私一人を愛して下さるのですか?偽りの、他の誰にも注ぐ愛
   ではなく、私一人のための愛を抱いて下さるのですか?」
朦朧とした一同は、口々に訳の解らない独り言を言い始めた。
信子「これは一体……?」
催眠剤の効果なのか、ただ単に半ば夢の世界に踏み入れたせいなのか、各々は自分達
の望む幻想を見ているらしい。一人正気を保っている信子にも、何故そうなったのか
は解らないが朧気にそう悟ることが出来た。
盛美「はははは!信子め、今まで散々こき使ってくれて!これからはこの盛美様が信
   子の女王様よ!ほら!靴をおなめ!」
信子「ほう……」
いろいろと信子の心に思うことはあったが、取り敢えず不問に処すことにする。それ
よりも、今はこの状況を何とかしなければならない。
信子「とは言え」
何をすればいいのだろう?

一方、西美濃の三人の方も、僅かな計算違いに動揺していた。
奈緒「ちょっと理奈!何で織田信子だけ薬効いてないのよ!」
理奈「あっあれ?おかしいなー?そんなはずはないんだけど……」
確かに、一重は全員の料理に催眠剤を入れたはずだ。その証拠に尾張学園の他の面子
には確かに効いている。入れ忘れたと言うことも考えられるが、催眠剤は料理の材料
の方に入れたので、誰がどの料理を食べても薬入りを食べることになる。だいいち、
織田信子が食べたパエリアは、丹羽長子の食べたパエリアと一緒に調理している。長
子に薬が効いているのだから、信子のパエリアに薬が入っていなかったと言うことは
有り得ない。
奈緒「でも、信子は元気じゃない」
理奈「そうなんだよなぁ、よく分かんないけど、何故か信子は薬が効かない体質だっ
   たとしか考えられない」
奈緒「そんな無責任な……」
徹美「まあいいじゃないか、信子一人なら力ずくでも捕らえられる」
言い争いになりそうになった二人の間に徹美が割り込む。
理奈「そうね、ちょっと乱暴だけど捕まえちゃいましょう」
奈緒「荒事は苦手なんですけど……」
他の二人も、一応はその案に賛成した。
徹美「よし、じゃあ行くぞ。おい!織田信子!」
不意に後から掛かった誰何の声に信子は振り向いた。
信子「……誰?あなた達」
徹美「美濃学園の稲葉徹美だ。こっちの変なのは氏家奈緒、こっちの軽そうなのは安
   藤理奈」
徹美の紹介に二人は不満そうだったが、敢えて何も言わない。
信子「へぇ……で?何の用?」
徹美「美濃学園を狙う織田信子、学園生として見逃すことは出来ない。興美様の前に
   突きだしてやるから覚悟しろ」
奈緒「三体一だし、敵わないわよー」
徴発する徹美と煽る奈緒に、信子は冷笑で返答した。
信子「ふぅん……、面白いわね。やってごらんなさい?」
言いつつ、愛用の鞭をどこからともなく取り出した。
266 ◆0xknNOBU :02/02/18 00:25
今日も書き終えた分だけー
「美濃」まだ暫く掛かりそうです

>>259
すみませーん!御市の方女の子にしちゃいました(´Д`)
書き込み見て書き換えようかとも思ったんですが、
その後の設定にも響いちゃうんで・・・
パラレルワールドって事で一つどうかお許しを。
267無名武将@お腹せっぷく:02/02/18 00:56
とりあえず俺の勝枝のイメージはそのまんま
ボンバー来島。
>>262
うお、知らなかった。そういうことだったのか、あるがとう。
268 ◆0xknNOBU :02/02/18 01:01
>>267
ああ、なんか大体そんな感じですね。
私の中でも非常にボンバーっぽいイメージです。
そして一度ボンバーと言われるともうボンバーしか思い浮かばないから不思議なものですね。

それでは、おやすみです。
269259:02/02/18 01:07
別にかまいませんよ。
乱入文ですし…
ちなみに私の設定では浅井賢美は朝倉景子に味方したばかりに市朗の前で信子にワカメ
酒やらされて、羞恥心のあまり高校中退せざるをえなくなるというストーリーでした。
270無名武将@お腹せっぷく:02/02/18 01:24
>>269
あくまで別の話ということで続きを書いてみたら?
>>226もパラレルワールドって言ってるし。
271無名武将@お腹せっぷく:02/02/18 08:00
半角本編同時更新(;´Д`)ハァハァ
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1013278277/
272259:02/02/18 08:33
続ききぼーんする方がいるならかいてみようかな…えへっ
273無名武将@お腹せっぷく:02/02/18 19:19
>>272
続き読みたいけどパラレルだと後で書き手に参加する人間が混乱するかも。
いっそ>>1のお市も雌でレズカップルという設定に変えて書くことは
出来ないだろうか。
274無名武将@お腹せっぷく:02/02/18 19:53
しかし全ての話を総合して書くとなると
1の苦労が凄まじいものになるのではないだろうか?
275無名武将@お腹せっぷく:02/02/18 19:57
>>274
>>1が他の人に合わせるんじゃなく、>>1が出したものを基本設定として
他の人がそれに準拠する感じではどう?
つーか設定バラバラだと読み手として感情移入しにくいなりよ。
よくやるなぁ、こんなの
277無名武将@お腹せっぷく:02/02/18 20:02
どう?と言われても俺は1ではないし・・・
もしそういう形にするなら、1から出来てる限りの設定を出してもらわんとな。
278弐号機(259) ◆nuUmm9xE :02/02/18 23:37
コテハンついでにトリップ
>273
レズカップルにすることは問題ありません。それより「だいたい雅美ちゃんは颯爽とした性格だし」
の設定の方が問題。
なんせ浅井賢美はマザコン娘ですから
279無名武将@お腹せっぷく:02/02/19 00:18
>>278
おかあちゃん思いの子が颯爽としてちゃいけねえのかよお。よお。
>279殿に禿同
明るく元気で、母への愛情も捨てきれない(非情になりきれない甘さ
萌えます!!
マザコン娘=冬彦さん(古!!)の女のコver.でもないでしょう

弐号機さん、冬彦さんが判らんかったら、説明するけど、、、
281弐号機 ◆nuUmm9xE :02/02/19 08:41
>280
今の設定のままじゃ無理だなという意味です。
颯爽としてたら市の方から「あなたのアミにしてくださいっ」ってイメージなので
282 ◆0xknNOBU :02/02/19 20:31
おばんです。
続きはまだ書けてないんですが・・・
資本設定とか出来てる限りのキャラクター設定など出した方が良いでしょうか?
一応山中さんと足利さんの設定は書いた方よろしければそのまま使おうと思ってるんですが。
武田さんと上杉さんの方も、取り敢えず空いてる設定を埋めて使おうと思ってますが。
283無名武将@お腹せっぷく:02/02/19 21:29
設定は出てた方が絵とかも描き易いだろうし、出てた方がいいかもね
284足利学園:02/02/19 23:45
いや、もうそのまま使って下さいな。
明智光なんて思いつきで考えたのですが本家さんで使ってもらえたら
光栄ですから。
285弐号機 ◆nuUmm9xE :02/02/20 00:11
>282さん
浅井雅美さんの設定きぼーん
書いてまたイメージと違ってたらいやーんなので
>282
信長に深く関係する人物は、出しておいたほうが良いかもしれませんね。
逆に、九州、四国、東北あたりは特に決めておかず、書いた者勝ちにしておけばよろしい
かと思いますが。
287 ◆0xknNOBU :02/02/20 18:23
>>284
ありがとうございます。
では遠慮なく使わせていただきますね。

>>285
かなり違ってしまっていると思われます・・・スマソ

>>286
んじゃ、まだ出てないので機内、北陸の一部で設定が決まってるのだけ書きますね。

浅井雅美 16歳
儒学的自己統制が効いた感じの人物にする気でした。正しくないのは解るけど姉の言
うことだから仕方ない、ってな感じで。性格は男装の麗人っぽい感じで、敢えて言う
ならオスカル。タチです。

織田市 15歳
その雅美と付き合ってる信子の妹です。ネコです。性格は芯の強い感じ。でも独創は
ないなってな感じのヒロインタイプ。

浅井久恵 22歳

浅井雅美の前の生徒会長で雅美の姉。無能だったので生徒会長不信任決議案可決。そ
のまま中退。今は家事手伝いだが現生徒会長の雅美に何かと口を挟む。
と、実は姉にしちゃってたんですよ。それでちょっと母親だとこの先変えなきゃなら
ないことが多かったもので……

足利輝子 18歳
明智がらみで結局書くことにしました。「美濃」のあともう一話はさんで出します。
剣豪将軍のイメージを出したいので塚原流の体術使い(剣術だと死人が出ちゃうん
で)。結構凛とした感じに書くつもりです。

松永久美 17歳
耽美担当にさせるつもりです。なので妖しいイメージですね。

三好三人衆
名前未定。足利、松永の間で狂言回しっぽく使う予定。

筒井潤子 5歳
幼稚園児なのでこの時期はあんまり活躍しません。松永のやられ役。

本願寺・雑賀についてはまだ決めてないです。雑賀孫市(名前は考え中)については
キャラクターがある程度出来てますが……

朝倉御景 17歳
ボケキャラで行くつもりです。基本的にはぽやーんとした感じで、応用的にもぽやー
んとした感じで。

これに配下武将やその他の大名(六角とか)をその場その場で付け足していく所存で
す。あと基本的に30歳以上にはしない方向です。理由は萌えにくいから(;´Д`)
それも、現役武将は出来るだけ学生(大学院まで)にする方針です。隠居武将は非学
生って事で。
288無名武将@お腹せっぷく:02/02/20 20:48
>>287
竹刀ふりまわす剣道の達人ではダメなの?
289足利学園:02/02/20 22:01
>287
一応キャラの設定を考えました。よければ参考にしてください。

明智光
私立足利学園高等部二年生生徒会会長。17歳。
すらりとした知的美少女。入学以来学年テストは毎回首位。品行方正であり教師や
生徒からの信望も厚い。後輩の女の子からラブレターをもらったりするタイプ。
実はかわいらしいものに目がなく、自宅の部屋の調度品も少女趣味。
信子には嫌悪感を抱きながらも才能を認め仕えていく。親友は細川藤子。
外見は眼鏡っ子で髪はセミロング。

細川藤子
同じく足利学園高等部生徒会副会長。17歳。
非常にか細い声でしゃべる。おっとりとした性格でまず怒らない。
実家は世界でも有数の大企業、細川グループの令嬢にして茶道細川流の跡取りでも
ある。成績は毎回光に続く2位だがこれは光を立てる為にあえて首位を譲っている
彼女もまぎれもなく才女なのだ。ちなみに光はそのことを薄々気づき初めている。
後に光と信子に仕えるが信子はなんとなく彼女が苦手だったという。
外見的特徴は某黒魔術好きのお嬢様。腰まで伸びた艶やかな黒髪。日本人形みたいな
顔立ち。
 
和田セバスチャン
細川家に代々仕える執事。年齢不詳の初老の紳士。
若い頃は札付きのワルであったが藤子の祖父に拾われて真人間に生まれ変わる。
藤子が危険な目に遭うとどこからともなく現れる。あらゆる武術に精通している。

足利昭子
足利学園中等部二年生で足利学園理事長代理。14歳。
理事長である姉の輝子が武術を極める旅に出てしまい理事長代理を務める事になる。
精神年齢は幼くすぐに泣き出す。手紙を書くのと、ブランド品集めが趣味。
外見的特徴は14歳にしては小さく華奢な体つき。フランス人形のような少女。
290無名武将@お腹せっぷく:02/02/20 22:54
>289
どっかで見たような設定だな(w
291 :02/02/20 23:15
書き込みしたはずなのにできていないのでもう一度。

>>54-56 >>149-152とは別の者ですが現在勝手に
(元)出雲学園編続き書いています。できたら貼ります。

一応他の人に書かれないうちに予約|予告です。

>◆0xknNOBUさんへ

ところで元美ちゃんは改名しないんですか?「徳川康美」ちゃん(仮)とかに。
元子「ん〜、ここどこなんだろう」
長宗我部元子(ちょうそかべ・もとこ)は、ひとりてろてろ歩きながら呟いた。この辺
はあまり来たことが無いため、どこにいるのか良く分からない。
冬の寒さが少し身にしみるが、天気は良いし、元々散歩が大好きなことから、迷子なが
ら随分御機嫌だった。
元子は、さっきまで自分が何をしていたか、すっかり忘れ去っていた。

話は昨晩に遡る。
国子「明日、本山の奴らを叩き潰すよ」
元子の姉、国子は、妹達を前にそう宣言した。その迫力に押されて、元子は少しのけぞる。
国子「そこで、だ。元子、せっかくだから、あんたも来な」
一瞬何を言われたか理解出来なかったが、たっぷり五秒ほどたって、元子は目を丸くした。
元子「えぇ〜、ちょっと待ってよ、姉さま。なんで私が・・・」
国子「いいかい、元子。あたしが春になって卒業したら、土佐学を守るのはあんたなんだ。
ここいらで、あたしの後継者の御披露目もしとかなきゃなんない」
元子「後継者って、私、そんなこと・・・」
国子「そんなもこんなも無い。あんたはぼーっとしてるけど、妙な人徳はある。吉田や久
武は喜んであんたを補佐してくれるさ。あたしの妹っていう血筋もある。結局、元子しか
いないのさ」
泰子「そうそう、少し心配ではあるけど、姫姉しかやっぱ適任者はいないわよ」
貞子「でも、姫姉ちょっとかわいそう・・・」
国子の言葉に頷きながらあいずちを打った香宗我部泰子(こうそかべ・たいこ)に、吉良
貞子(きら・さだこ)が気弱そうに同情の声を上げる。「姫」というのは、色白で腰まで
伸びた豊かな黒髪を持ち、おっとりした性格の元子に対し、自然と皆が呼びだしたあだ名
である。
ちなみにこの二人、国子、元子とは苗字こそ違うが、れっきとした血を分けた姉妹である。
二人とも元子とは住んでる家が違うが、仲が良いためしょっちゅう遊びに来ている。
泰子「ああ、私ももう少し大人なら、一緒に行くのに」
貞子「だめだよ、泰ちゃん。けんかに行きたがったりしちゃ」
二つ年下の妹を、貞子がメっとしかる。だが、元子に負けず劣らずののんびり屋であるた
め、威厳の無いことこの上ない。
国子「まあ、泰子はまだ中一だからな。まだ早すぎるよ。貞子も当然、留守番な」
貞子「はーい」
元子「私もお留守番・・・」
国子「明日は結構な怪我人が出るだろうから、泰子、朝のうちに傷薬を買いためといてくれ」
泰子「わかりました」
元子「お留守番・・・」
国子「さ、今晩はもう遅いし、二人ともそろそろ帰りな。元子、ちゃんと寝るんだよ」
泰子「それではお姉さま方、おやすみなさい」
貞子「おやすみ〜」
元子「・・・」
こうして元子は今日の朝、寝ぼけまなこのまま国子に戦場へと引き摺られていった。
長宗我部国子率いる土佐学園と、本山辰美(やまもと・たつみ)率いる本山高校及び被支
配高校の連合軍の決戦の地は、長浜に決まった。
人数の上では本山連合の方が上だが、国子の下には吉田俊江(よしだ・としえ)、久武千
佳(ひさたけ・ちか)、谷澄香(たに・すみか)などのつわもが揃っており、決して戦力
で劣ってはいない。
辰美「はんっ、ぽっと出のはねっ返りが、何を勘違いしてのこのこ来たんだい」
国子「寝ぼけたこと言ってんじゃないよ。卒業記念に、あんたの首貰ってくよ」
元子(・・・帰りたい・・・)
辰美「言うねえ。後で泣いて命乞いするんじゃないよ。お前ら、やっちまいなっ」
国子「フン、せいぜい詫びの言葉でも考えておきな。吉田、久武、左右に分かれなっ。谷
っ、あたしの後ろを。元子、下がってな。怪我すんじゃないよ」
俊江、千佳、澄香「はいっ!」
元子(・・・なんで私はこんなところに?・・・)
こうして女同士の戦いの火蓋は、切って落とされた。
人数に頼って攻め寄せる本山連合に、精鋭揃いの土佐学園が迎え撃つ。両者一歩も譲らぬ
攻防が繰り広げられた。
それを呆然と見ていた元子だったが、一歩二歩と後ずさるうち、主戦場からフィードアウ
ト、そのまま真っ白な頭のまま、さ迷い歩くことになった。

こうして迷子になった元子だったが、非現実的なさっきまでの出来事は忘れ、鼻歌交じり
で歩いていた。細い車道に沿って一応家の方に帰っているつもりだったが、方向感覚が、
というよりあらゆる感覚が鈍いため、敵地奥へと進んでいることに、まったく気が付いて
いなかった。
元子「よく考えたら今日は日曜日〜。何か買い物して帰ろ。そういえば貞ちゃん、なんと
か愛の歌っていうCD欲しがってたな〜」
きょろきょろと何か良い店が無いか探しながら歩く元子の目に、一匹の三毛猫がとまった。
ころころ良く太っており、目を細めて大欠伸している様がなんとも可愛らしい。
動物は何でも好きだが、特に猫には目が無い。
元子「あ〜、ねこ〜」
人を見ても、猫は逃げる様子が無い。もしかしたらさわれるかもっ、と期待を込めてゆっ
くり歩み寄る。なんだか、やけにやかましい何台もの単車の音が近付いてくるが、まった
く眼中に無かった。ただ可愛らしい猫をさわる、それだけである。
元子「逃げちゃだめよ〜」
ゆっくりゆっくり。が、もう後一歩のところで、猫はふいっとそっぽを向き、道の真中へ
と飛び出した。そこに向かって、爆音を響かせながら単車の集団が突っ込んでくる。
元子「あっ、危ないっ」
元子にしては画期的なスピードで、だが致命的な無謀さで猫を追って車道へ飛び出した。
「わ〜〜〜〜〜っっっ」
「あぶねぇ、どけぇっ」
キィーーーーッ、ズシャァァァァ、ドン、ガン、ギャリィィィ、ゴン、ドゴッ。
目を瞑って身を縮めた元子だったが、恐る恐る目を開けた時、そこにはクラッシュした、
ケバケバしい改造バイクが五台ほど転がっていた。
先頭の単車が急ブレーキをかけて転倒、それを避けようとした後続が横の単車に激突、さ
らにそこに後続が突っ込みバイク集団が全滅したその状況を飲み込んだのは、意識が頭か
ら抜けてそのへんを一周して、ようやく戻って来てからだった。
よく見ると皆セーラー服を着た女の子たち、しかも全員ノーヘルのため、頭から血を流し
てのたうったり、白目を剥いて気を失っていたり、すさまじい有様である。なぜか金属バ
ットや鉄パイプまで転がっている。
元子「あ、あ、あ、だ、大丈夫ですか?」
どうみても大丈夫ではないが、混乱の極みにあるため、お約束な言葉しか出てこない。
すぐ近くで倒れている女生徒の上に、その娘の血だろうか、血塗れの鉄パイプが乗っかっ
ているのを見て、どかそうと手を伸ばす。ぬるり、と嫌な感触が手に伝わるが、そんなこ
とを言ってる場合ではない。
鉄パイプを持ち上げた時、後ろから怯えるような声が聞こえた。
「お、お前、何やってるんだよ・・・」
声の方に顔を向けると、事故の音を聞き付けたのか、路地からキツイ化粧をした女子高生
がこちらを覗いていた。完全に、顔が青ざめている。よく見ると事故って倒れている女の
子たちと同じ制服を着ているが、そこまで気は回らない。
元子「あっ、いいところに来たよ〜」
鉄パイプを引きづりながら、じりじりとその女子高生に近付く。アスファルトにパイプが
跳ねて、ギンッギンッと甲高い音が鳴る。
「ひっ・・・」
女子高生の顔が恐怖に歪む。それはそうだろう。凄い音がしたと思ったら、死屍累々十人
もの人間が地に伏しており、そこには血塗れの鉄パイプを持った女が一人。こっちを見て
「いいところに来たな」(←恐怖のため実際とは違って聞こえた)
と言われた日には、山道で熊に遭遇する以上だ。
そして、女の子は決定的な事実に気が付いた。鉄パイプを手に近付いてくる女の着ている
制服は、現在抗争中にある土佐学園のものである事に。
その時、全てが繋がった。ただし、事実とは大幅に違う方向で。
「しゅ、しゅ、襲撃だ〜〜〜」
何か口を開きかけた元子を尻目に、後ろも見ず一目散に逃げる。生きるか死ぬか、まさに
そんな気持ちだったのだろう。
元子「・・・なんで?」
私携帯持ってないんで救急車呼んでください、そうお願いしようと思っただけなのに、女
の子はなぜか走り去ってしまった。
元子「えっと・・・」
そのまま進んで、ひょいと路地を覗き込んでみる。ちょうど路地を抜けた向こう側の喫茶
店に、転がるように女の子が入っていくのが見えた。看板には「喫茶・潮江」とある。あ、
もしかして喫茶店の店員さんに助けを求めに行ったのでは、そう無茶な納得をすると、振
り返って倒れてる女の子たちを見る。
苦しげな呻き声を聞くと、手に持った鉄パイプを放し、てててと駆け寄った。
元子「ごめんね、いま救急車来るから」
ひどく擦ったのか肘からドクドクと血を流している娘に、ポケットからハンカチを出し、
当てる。服が返り血で汚れることなど、お構い無しだった。そのままキュっと傷口を縛る
と、隣で膝頭を抑えている女の子のもとへ行く。
女「てめえ・・・」
道に飛び出した女だと気付いたのだろう、殺気ばしった目で睨む。
元子「ごめん、お叱りの言葉は、後でちゃんと聞くね」
そう言いながら、ティッシュで額の血を拭ってやる。
その時、
澄香「姫さまっ」
元子は、はっと顔を上げた。
澄香「どうしたんですか、姫さま。これは一体・・・」
駆け付けたのは、国子の腹心である谷澄香以下五名。彼女はいつの間にかいなくなってた
元子を探すため、国子の命令で部下を連れて走り回っていたのだ。その中で一際小さな女
の子が、飛び出してきて元子の首にしがみ付いた。
隼人「大丈夫ですか?大丈夫ですか?こんな敵地で、ボク心配しちゃいましたよ。姫姉さ
まの身に何かあったらどうしようかって・・・」
そのままビービー泣き出してしまった。彼女の名前は福留隼人(ふくとめ・はやと)。ど
うみても男名だが、小学校五年生の女の子である。彼女の親は空手道場の道場主で、子供
は強く健やかにと、女の子にもかかわらずこの名前をつけた豪胆な親父である。その親父
に鍛えられているため、半端じゃなく強い。
彼女は喧嘩の場にはいなかったのだが、本屋に「なかよし」を買いに行く途中で澄香に会
い、事情を聞いて行動を共にしていたのだ。
元子「お、落ち着いて、隼人ちゃん。それより・・・」
「お前ら何やってやがるっ!!」
元子の声をかき消すように、怒号が響く。同時に路地からぞろぞろと15人ほどの女子高
生が現れた。皆同じ制服だ。それが本山高校配下の長浜高校のものであることに、澄香は
すぐに気がついた。
「あ、あいつです、あいつがやったんですよ」
元子を指差し震える声で言ったのは、先ほど逃げていった女の子だった。喫茶潮江は長浜
高校の溜まり場で、ほうほうの体で逃げ込んだのだ。
土佐学園の者が一人で乗り込んできて、辰美の増援に向かった十人を鉄パイプでめった打
ち。全員が倒された事を聞いた女生徒たちは、急いで駆け付けたのだ。
「き、貴様ら・・・」
中の一人が言うが、惨状を目の当たりにして、戸惑い、怯みが隠せない。百戦錬磨の澄香
は、それを見逃さない。人数的にこちらが不利な現状を悟らせる前に、一気に距離を詰め、
先頭の生徒の鳩尾を思いっきり蹴り込む。
澄香「皆来いっ。隼人、いつまでもめそめそしてんじゃないよっ!」
返す刀で右隣の生徒の頬を殴りつける。
隼人「姫姉さま、待っててくださいね。すぐに倒してきますんで、一緒に帰りましょう」
ぐしぐしと目元を拭いながら言う。
元子「え、ちょっと待って、そんなことよりこの人達・・・」
澄香が現れてからの怒涛の展開に、また脳が一時停止していた元子だったが、なんとか言
葉を振り絞る。だが、隼人は聞いちゃいない。
隼人「大丈夫です、すぐに終わりますから」
安心させるように元子の頭に手を置く。普通、小五が高一にやることではないが、妙に違
和感が無かった。
元子「え、あの・・・」
隼人「行くよっ!!」
隼人が突進する。そこからはもう、大乱戦だった。人数は少ないが、押しているのは土佐
学園の面々。国子に鍛えられたその実力は、流石だった。
喧騒の脇に残された元子は、やむを得ず一人せっせと治療を続けていた。
誰か通行人が連絡したのだろうか、しばらくして救急車の音が近付いてきた時には、長浜
高校で立っている者はいなかった。
隼人「さっ、行きましょう」
澄香「急ぎましょう、そのうち警察も来ます」
元子「・・・」
隼人に手を引かれ、元子らはその場から立ち去った。残されたのは、二十人強の長浜高校
の負傷者達だけだった。

この後、長宗我部国子の妹、元子が一人で敵地に乗り込み、二十人からを血祭りに上げた
との噂が、多分に誤解を含んで一気に広まることとなった。
こうして、後に「土佐の出来人」と呼ばれる長宗我部元子の伝説が、本人の預かり知らぬ
ところで始まったのである。
296292:02/02/21 02:00
あー疲れた。とりあえず、長宗我部書かせてもらいました。
それにしても0xknNOBU氏、よくあれだけ書けるなあと思います。書いてみて大変さ
が分かった。
長宗我部のコンセプトとして、「本人にその気は無いのに知らん間に・・・」って
な感じでいこうかと思っています。平たく言えば、漫画「カメレオン」ですな。
四国(愛媛)出身なんですが、分からないんで方言は無しの方向で・・・。

反省点
・資料がネットと歴史群像シリーズだけ。
・ちょっと血なまぐさかった。
・隼人が犬千代とキャラ被りそう(被ってる)。


よければまた書きます。次は安芸攻防戦の予定。
297弐号機 ◆nuUmm9xE :02/02/21 02:08
じゃあ、こんな感じでしょうか
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
机の上には書類の束。
学園祭の食品取り扱い申請書だ。
少なくともこれだけは明日までに目を通して決裁しなければならない。
んだけどなあ…

「雅美、ちゃんと聞いてるの?」
いらついた久恵姉さんの顔がボクと書類の間に割ってはいる。
「姉さん…今忙しいんだよ」
「生徒会の仕事なんて適当でいいじゃない!ハンコをつくだけでしょ。それより私の話を聞きなさい」
「聞いてるよ。耳にたこができるほど聞いた。市ちゃんと付き合うなって言うんだろ」
「じゃあどうして聞き流すのよ。あなたのためを思っていっているのよ」
ボクはめまいを覚えて俯いた。

織田市。最近尾張学園から転校してきた女の子。
つややかな黒髪に意志の強そうな瞳が印象的な1年生だ。
初めて会ったのは、4月のころ。バレー部の試合で尾張学園に遠征した時だった。
目が合うなりいきなりボクを指差して「決めた。私、あなたのアミになるわ」と宣言したんだよね。
普通だったら何言っているんだかと思うところだけど、何故かボクは嫌な気はしなかった。
転校するほど思ってくれているんだしね。
こういうのをきっと赤い糸で結ばれているって言うんだろうね。
唇を重ねあうのも、肌をあわせるのも、それほど時間はかからなかった。
ボク達の関係が知れ渡るのもね。
そして、姉さんがボクの隣で口をすっぱくしてるって訳。

「いい?織田市はあの織田信子の妹なのよ。このままずるずる関係を引きずっていたら
何されるかわかったものじゃないわ」
「いや、だから…」
「あなた、姉さんの言うことが聞けないの?」
「そういう問題じゃなくてさ、その話は明日ゆっくり聞くから。もう寝るから」
「しょうがないわね。でも明日は絶対に聞いてもらうからね!」
そう言って、姉さんはやっと部屋から出て行ってくれた.
足音が十分遠くに去ったのを確かめて、胸ポケットから生徒手帳を出す。
こっそりと貼ったプリクラ。
市ちゃんとの愛の証。

しかし、姉さんは知っているんだろうか。恋の炎は障害があるほど燃え上がるってことを。
しかしアレだな。
貯めに貯め込んだ知識とは言っても、
歴史関係なんぞのものだと
こういった場でしか活かせないのな。
それだけが悲しい……
いや余計なこと言ってすまんかった。楽しく読んでます。
299無名武将@お腹せっぷく:02/02/21 11:45
ところでいま196KBなんだけど、1スレって何バイトまでオケなんだっけ?
うろ覚えだが、386kは余裕で逝けた。
>299氏
1スレの容量は512kbです。496kbから警告がスレトップに出ますのでその頃には新スレ
を立てないといけません。
ここも重量級スレになるヨカーンがありますので、次スレ(この調子だったら立つでしょう)
への引越しの際はお気を付けて。
同板最重量スレ(笑住人より。大きなお世話スマソ。
302無名武将@お腹せっぷく:02/02/22 00:56
誰かサイト立ち上げてまとめてくれー!
書き手が多くなってきたんで混乱するYO!
303 ◆RLL/NoBU :02/02/22 07:48
>>302
291ですが私がまとめてみようかなと思っています。
まとめるのを優先させた方がいいので続編書きは少し保留します。
今無料サービス探して作り始めたところなので
簡易版でもできるのは時間掛かりそうですけど。
>>303
一瞬ビッたわ、そのトリップ……
別のに変えれ。
305303 ◆RLL/NoBU :02/02/22 10:29
>>304
すみません、今トリッパー回しているんで次から変えます。
はいはい!お願いがあります!
うpロダとお絵かき掲示板がホシィです!
タノム、元美ちゃん。
漏らすのは尿までにしてくれ……個人的に。
308無名武将@お腹せっぷく:02/02/22 18:34
尿?なんだかよくわからんけど。
>300-301氏、答えサンクスっす。
309無名武将@お腹せっぷく:02/02/22 18:36
ったく同人くせえな
>307
随分先の話だな
311無名武将@お腹せっぷく:02/02/22 19:25
>309
嫌なら見なきゃいいじゃんよ。
312無名武将@お腹せっぷく:02/02/22 19:36
憶えよう、放置。
同人スレは近く攻撃してやるからな
314 ◆d3NApqNM :02/02/22 21:53
age
>308
おそらく三方ヶ原の戦いの事では……
>>313
…いや分からん人には同じに見えるだろうけど
同人スレと同列視されるのはな…

ホモとは違うのだよホモとは。マジで。
まあ、いいじゃないの。
俺なんざ、戦国ほとんどわからんくせに楽しんでるよ。
変なイメージが付くのがちと恐いけどさ。

職人さん達、頑張れYO!!
318弐号機 ◆nuUmm9xE :02/02/23 12:00
浅井姉妹と市はアレで良いんだろうか…
誰も何も言ってくれないので不安
>>318
書いたらヘコミそうな感想抱いたんで、控えてたが、
言われないほうがもっと不安というなら言おう。

こいつは生意気で人の気持ちを考慮する余裕のない
小娘というだけで、颯爽ではないな、と思った。
そして同時にマザコンって要素までも打ち消しすぎてるな、とも。

以下は本当に不愉快な内容なので、メール欄。
更に以下はメール欄の続き。
そういうわけなので、どうしても書けないなら自分で筆を取らない外野の
野次はひとまず無視しても良いかと思われる。
つまり自分の考えた当初の設定でやるということね。
何もここまで真面目に批評しあう必要があるスレなのかここは。
ただの同人的萌えスレだのに。(w
まあまあ。
またーり好きなこと書いて、またーり鑑賞しようよ。
322弐号機 ◆nuUmm9xE :02/02/23 13:16
>319
ありがとう、そう言ってくれたほうがよほど安心。
颯爽としたレズなんて生まれてこの方みたことないからイメージがわかないんですよ〜。
努力はしてみたけどやっぱりいまいちだなあと自分で思ってた。
一つ言えばマザコンって要素はわざわざ消してるけどね(久政が姉になったので)
>>320
それもあって控えてたんだYOぜってー言われると思ったし。
批評批判の必要なんかまるでねーです。

つーか作者さんの方でもそんなもん求めないで
思うまま書いてってくだちい。読んでる方だって
スレの雰囲気壊したくないから下手なこた言えないんだし。

……気になるのは分かるけどね……
>>322
で、言いついでなので返信。
姉であれ母であれ、長政であるからには
久政に左右されるっていうか、どうしても無視出来ないみたいな
コンプレックス描写は不可欠と思われ。

じゃあ自分がうざくなってきたのでキエルヨ
324足利学園:02/02/23 14:47
明智光の補足なんですが、彼女は実家が貧乏なので奨学生です。
あと冗談が通じないので信子のいいおもちゃになりそうです。
かわいいもの好きなので秀美は気になるみたいだが信子は理解できない。
信子は光を気に入ってるので秀美は少し光に嫉妬しているなんてどうでしょうか?
325「美濃(9)」 ◆0xknNOBU :02/02/23 16:54
信子「ほらぁ!どうしたの!?」
信子がそう叫んで鞭を一振りすると、ドガッ!っという爆砕音と共にカウンターが砕
け散った。
奈緒「ひえー!何ですかアレは!?化け物ですかー!」
他の二人と、咄嗟に左右に分かれ間一髪難を逃れた奈緒が、悲鳴を上げるようにして
そう言った。
徹美「知らないわよ!」
こちらも間一髪信子の鞭をかわした徹美はそう言いつつ、丸腰では分が悪いと、店に
飾ってあった観葉植物の幹を折り、それを剣のようにして構える。
理奈「おお!がんばってね!徹美!」
柱の陰に隠れながら、理奈が徹美に声援を送る。
徹美「お前も戦え!」
ばん!と、しかしそう毒づいたと同時に、派手な音を立てて手の中の木が砕け散っ
た。
信子「んー、何だか妙に調子が良いわね」
徹美の得物を破壊した鞭を手元に引き寄せ、信子は気分良さ気にそう独り言を言う。
信子「今なら一個師団相手でも負ける気がしないわ」
奈緒「あんな事言ってるわよ〜、どうするの理奈〜?」
理奈「あ、あたしに聞かれても……どうしよう徹美?」
徹美「知るか!だいたいこの作戦を言い出したのはお前だろう!」
理奈「えー、そんな事言われても……」
考えたのは自分ではなく一重だ。と言いたいところだが、今更そんなことを言い出す
わけにも行かない。
店主「ちょっと美濃学園の方たち〜勘弁して下さいよ店めちゃくちゃじゃないです
   か〜!」
店主がそう徹美に泣きついた。既にカウンターが瓦礫に化し、観葉植物一本が破壊さ
れてしまっている。
徹美「うるさいな……」
呟くと徹美は店長の襟首を掴み、そのまま信子の方に放り投げた。
店主「あれ?ちょっと待って下さい!」
ぼん!と、短い音と共に、徹美の体を僅かにかすって何かがもの凄いスピードで飛び
抜ける。
徹美「くそっ!」
叫んだ徹美の制服が左袖丸々分引き裂かれ、肩口から腕にかけての素肌が覗いてい
た。もちろん背後では、店主が壁にめり込んでいる。
理奈「何なんだあいつは……?」
圧倒的な戦闘力を見せる信子に、理奈は戦慄してそう呟く。その時、理奈のポケット
から探偵物語のオープニングテーマが聞こえてきた。
奈緒「な〜にぃ、こんな時に?」
理奈「携帯だ。なんだよこんな時に……」
理奈がちらりと徹美の方に目をやると、徹美と信子は一定の距離を保って対峙してい
る。対峙と言えば聞こえはいいが、信子の表情は明らかに余裕があり、対して徹美は
必死の表情であった。一撃でも鞭を喰らえば戦闘不能になると言う恐怖感が有るのだ
ろう。
理奈「くそ!」
それでもまだ暫くは大丈夫そうだとふんで、理奈はそう吐き捨ててから携帯に出る。
理奈「もしもし!」
一重「あ、理奈さんですかっ?」
携帯にかけてきたのは一重だった。
理奈「やっぱり一重か!大変なんだよ!織田信子が!」
一重「解ってますっ。お薬が効かなかったんですねっ?」
理奈「そうだけど、何で解るの?あんたどっかでこっそりこっち見てるの?」
一重「いいえっ、あの薬は元からハイテンションな人には効かないことがある上に、
   そう言う人の身体能力を100倍ぐらいに高めちゃう事が有るんですっ」
理奈「なっ!なんでそれを前もっていっとかないんだよ!」
一重「先に言っちゃうと、理奈さんがこの作戦に賛成してくれないと思ったんで
   すぅ」
理奈「当たり前だろ!そんなリスクの高いこと!」
一重「まあまぁ、もう遅いですからこのまま作戦を続けましょうっ」
理奈「……仕方ない。ここまで来たら一重を信じ切るよ。で?どうすりゃあの化け物
   に勝てるんだい?」
一重「私が分析した所、理奈さんの戦闘能力が59、奈緒さんが61、徹美さんが7
   3です。三人で連携した場合200前後です」
理奈「ふむ、上手く連携すれば勝てる、と?」
一重「ちなみに織田信子の戦闘能力は現在12000を越えていますっ」
理奈「……どうしろってんだよ」
一重「今から私がそっちに行きますからっ、それまで持ち堪えといてくださいっ。そ
   れで私が合図したら、一斉に織田信子に飛びかかって下さいっ」
そう言うだけ言って、一重は携帯を切ってしまう。
理奈「あっ、おい!」
呼びかけても返事はない。
理奈「ったっく!」
理奈は舌打ちをした。が、そうしている間にも戦況は刻々と悪化している。信子の振
るう鞭は確実に徹美を追いつめ、徹美の方は為す術もない。
信子「さぁ、次は何処を破いちゃおっかなー♪」
倒す気になれば何時でも倒せるのに、わざと徹美を倒さずに居るのは、信子の余裕か
らでもあるだろうがその前に趣味だろう。徹美の制服は既にショルダーレスのへそだ
しミニスカートと言うかなり恥ずかしい状態になっている。
信子「肝心なところは最後のお楽しみ♪」
奈緒「徹美さ〜ん、変態ですよあの人〜、負けたら徹美さんどんな目に遭わされる
   か……」
植木鉢の陰に隠れた奈緒が、隠れつつ徹美にそう言う。
徹美「うるさい!わかってるよそんなことは!」
信子「そっちの子も心配しなくていいわよ〜♪貴方も後でたっぷり可愛がってあげる
   から♪ウフフ、三人まとめてなんて久しぶりね〜♪」
理奈「やっぱり、私も入ってるんだ……」
かなり嫌な状況だった。一重の言ったことを信用したが、本当に良かったのかという
疑問が理奈の中で点灯する。
理奈(二人見捨てて逃げるか?)
半ば以上そう決意したとき、ふと今まで徹美をいたぶっていた信子の鞭が止まった。
信子「あれは……?」
そう呟いて、店のウィンドガラスの向こうヲ見る信子の視線の先には、一人の長身な
女性が微笑んで立っていた。
徹美「……道子様?」
呟いたのは、信子ではなく徹美だった。古くから美濃学園の生徒会に参加していた徹
美は、その女性の姿を良く記憶している。前々生徒会長の斉藤道子。
信子「道子様……」
信子は道子をじっと見つめそう呟いた。体は何かにうたれたように小刻みに振るえて
いる。
理奈(これが一重の言ってたチャンスかな?)
どうやって道子を連れてきたか走らないが、多分そうなのだろう。そうとなれば、言
われた通り皆で一斉に掛からねばならない。
理奈「おい、みんな……」
と、他の二人に声を掛けようとした時。
信子「道子様……!何故男なんかと結婚なさってしまったんですかー!!」
叫び声と共に、信子は今までにない勢いで鞭を振り上げ、更にそれ以上の勢いで道子
に向かって振り下ろす。
がしゃん!と派手な音がしてウィンドガラスが砕ける。それでもなお鞭は勢いを失わ
ず、凄まじい唸りをあげて道子の体を捕らえた。
理奈「あー!?何で道子様を!?道子様ー!」
理奈が驚きの声を上げる。理奈も美濃学園生徒会委員の関係で、道子と信子の経緯に
ついては知っている。だからこそ、道子の出現によって信子が動揺するだろうと思っ
たのである。いや、動揺はした。ただし理奈の期待したものとは反対の動揺だった。
理奈は道子の出現によって、てっきり信子の戦意が亡くなってしまうものだと思って
いた。
一重「信子はそんなに甘くないですよっ?」
理奈「ああっ、一重!何時の間にきたんだ!?」
つ、不意に理奈の背後から声を掛けてきたのは、さっきまでは居なかったはずの一重
だった。
一重「さっき裏口からですっ。それはいいんですけどっ、心配しなくても大丈夫です
   よっ、あの道子様は偽者ですからっ」
理奈「偽者?」
信子「ああー!?何よこれは!?」
訝しげに聞き返した理奈の声を、信子の叫び声が遮った。
理奈「……あれは?」
理奈が振り向いてそちらを見ると、信子がなにやら奇妙な人型の物体にからみつかれ
ている。
一重「ミ○○デザインに特注した道子様人形の中に、たっぷりの触空気凝固性ゴム
   を詰めておいたんですっ。鞭を手元に引きつければ、必然的に動きが封じられ
   て、普通なら1分もすれば完全に動けなくなりますっ!」
徹美「何だかよく解らないけど、これで勝ったって事?」
目の前の信子の攻撃がいったん止み、少し余裕の出来立徹美が一重達の会話に気付
き、それでも信子からは目を離さずにそう聞く。
一重「普通なら、ですっ」
信子「この程度で私を封じようと言うのは甘いのよ!」
一重の言葉が言い終わるか終わらないこのうちに、信子はゴムに動きを鈍らせながら
も徹美達の方に向き直り、比較的動きの自由な左手で鞭を振るう。鞭は一重を狙った
様だったが、僅かに逸れて奈緒の隠れている植木鉢を粉砕した。
奈緒「ひえ〜!やっぱり化け物ですよ〜!」
爆風で後に転がり、それでも器用に遮蔽物を取りながら奈緒が叫んだ。
一重「……そんなわけでっ、信子は普通ではないのであれぐらいでは封じ込められま
   せんっ。でも動きは鈍ってますからっ、皆さんでこれを回りじゅうからぶつけ
   て下さいっ」
言って一重はちょこちょこと信子の鞭をかわしつつ走り回って、理奈、徹美、奈緒の
三人にソフトボールぐらいの大きさのボールを渡した。
徹美「これは?」
一重「さっきの人形の中に入っていた凝固ゴムと同じ物ですっ。回りじゅうからぶつ
   ければ、いくら織田信子といえども身動きが取れなくなりますっ!」
信子「……くっ!ただではやられないわよ!」
その言葉を聞いた信子は、歯噛みしてそう呟く。凝固剤は体の今は半分ほどにしか掛
かっていないが、鞭を右手で振るっていたために右半身はほぼ床に固定されてしまっ
ている。
理奈「よーしぶつけちゃうぞー」
徹美「何だか卑怯なような気もするが……仕方ない」
奈緒「じゃあ、私は恐いので真後ろからぶつけますね」
三人はそう言ってばらばらと信子を囲むようにして散開する。
信子「くっ!」
信子も鞭で三人を狙うが、半分固まってしまっているために上手くねらいが定まらな
い。鞭は空を切り、破壊されるのは店舗の壁や棚ばかりだった。そうしている内に
も、どんどんと体の自由が奪われていく。
一重「もう少しですっ!ああ〜!こうして私の罠にはまって自由を奪われていく人を
   見ると、すっごい快感ですっ……」
理奈「……あんたもちょっと変よねー、いいけどさ」
何にしろ、信子が身動きできなくなるのは時間の問題だった。
秀美「信子様〜、いますぐ行きますからね〜」
その数時間前、網走帰りの秀美は一人東海道を尾張から美濃へ走って北上していた。
普通なら丸一日は掛かる行程だが、そんなことは秀美には解らない(馬鹿だから)。
ひたす
らに足を動かし続ける。しかし筋肉は疲労する。一時間も走ったところで、秀美の体
力は限界に達してしまった。
秀美「もうだめぽ……」
そのまま道端に倒れ込む。
秀美「よく考えたらお菓子じゃないですか〜、こんなにお腹減らしてまで食べに行く   必要なかったんですよ〜、これだけお腹が減っちゃうんなら、最低でもお子さ
   まランチは食べなきゃだめです。それにクリームソーダも飲みたいです。後て
   んぷら定食とか、ああ!食べたことないけどステーキとかも食べてみたいで
   す〜」
色々想像している内に、運動のせいもあって秀美のお腹はどんどん空いてくる。
秀美「あ〜、早く信子様にあってステーキを食べさせてもらわなきゃいけないのに〜
   体が言うことを聞きませ〜ん……しくしく……」
顔だけ横に向けて仰向けに寝そべったまま、秀美は滂沱の涙を流した。
小麦「あれ?秀美ちゃんじゃない?何してるの?」
そうして寝そべっていると、不意に頭上から声を掛けられた。
秀美「誰ですか〜?」
秀美は寝そべったまま首を回し、その声の主を見上げた。逆行になってよく見えなか
たが、声の主は中型のバイクにのっていた。かなりプロポーションのいい体付きをし
ているのが、つなぎを盛り上げている隆起からわかる。
小麦「私よ秀美ちゃん、矢作子供園の蜂須賀小麦」
秀美「あ〜!小麦お姉ちゃん!?」
その名前を聞くとそう叫び、秀美は疲れて動かないはずの体を、跳ね上げるように立
ち上げて小麦に抱きついた。
小麦「こらこら秀美ちゃん、道路で危ないわよ」
秀美「小麦さん久しぶりです〜、秀美が居なくなった後も元気でご飯食べてました
   か〜?
小麦「ええ、元気だったわよ。貴方が急に織田家に引き取られて行った時はびっくり
   したけど……秀美ちゃんも元気にしてる?」
秀美「元気です〜、信子様に可愛がられてますから〜」
小麦「そう、良かったわ」
小麦は秀美を抱き返して、心底ホッとしたような口調でそう言った。織田信子につい
ては良くない噂も聞いていたから、秀美が居なくなってからもその事が何時も気がか
りだった。
蜂須賀小麦は、秀美が尾張学園に来る前まで住んでいた施設矢作子供園の先輩で現在
20歳。矢作園にいた頃には、なにかと頼り無い秀美の姉のような存在だったが、秀
美が織田信子に連れて行かれてからは通信がなかった。
秀美「ところで〜、小麦さんこんな所で何してるんですか〜?」
小麦「私は今仕事の帰りよ。高校を出た後、バイク便の会社に勤めてるの」
秀美「は〜、そうなんですか〜。そう言えば最後に小麦さんと会ったのは2年も前で
   すよね〜、そっか〜、もう大人なんですね〜」
感慨深そうに秀美は言う。
小麦「貴方こそ、こんな所で何してるの?」
その秀美に、今度は小麦の方がそう聞き返した。
秀美「ああ!忘れるところでした!実はですね〜、これから美濃学園まで行って信子
   様にステーキを食べさせて貰うんです〜」
小麦「へー、いいわねー。でも、それなら何でこんな所で倒れていたの?」
秀美「それが〜、走って美濃学園まで行こうと思ったんですけども〜疲れちゃって動
   けなくなっちゃったんです〜」
小麦「ここから美濃学園まで走って行くつもりだったの?マラソン選手でもない限り
   無理よ」
秀美「う〜ん、でも〜、秀美一人で電車に乗れませんし〜……」
小麦「相変わらずね〜、いいわ、送っていってあげるわよ」
秀美「ほんとですか〜!ありがとうございます〜!あっ、そうだ!小麦さんも一緒に
   信子様に奢って貰いましょ〜」
小麦「えっ?そんなの、信子さんに悪いわよ」
秀美「いいんですよ〜、信子様お金持ちなんですから〜。そうだ!折角だから矢作園
   のみんなも呼びましょう!美味しい物お腹一杯食べるんです〜」
小麦「それは……、みんな喜ぶと思うけど、本当にいいの?」
秀美「大丈夫です!」
小麦「そう?それじゃ、園長に連絡してバスを出して貰いましょう。場所は、美濃学
   園の前でいい?」
秀美「はい、美濃学園の前で、一番騒がしいところに信子様はいますからすぐ見つか
   ります〜」
小麦「よく解らないけど……」
多少困惑した表情だったが、小麦は秀美の言葉を信じて携帯から園に電話を掛けた。
どうも不確かなことのようにも思えたるし、その時は園児達をがっかりさせないよう
に自分が奢ってやらねばならないだろうが、秀美がこんなに張り切っているのだか
ら、それぐらいのリスクは負ってやろうと思った。
理奈「大分固まってきたわねー」
理奈が言ったとおり、信子の体は大分固まって、ちょうど信子の体を繭とすると、そ
れを支えるような形でびっしりとゴムが信子のまわりを覆っている。しかし、実際に
は、それらは信子の体を支えるためではなく、束縛するために張り巡らされていた。
徹美「よし、そろそろいいだろう。稲葉山から人数を呼んできて連れて行こう」
奈緒「そうね〜、もう!散々手こずらせてくれちゃって!」
奈緒がそう言って、既に両手も動かすことの出来ない信子の側に近寄っていく。
奈緒「うふふ、こうなってしまえば大人しいものねー」
奈緒は嬉しそうに笑った。信子は、顔だけはゴムで埋まっていないのだが、何も言い
返す気が起きないのか黙っている。
徹美「おい、気を付けろよ」
奈緒「大丈夫よ、もう全然動けないんだし」
ガチリ!
奈緒「えっ?ひゃぁあ!?」
と、振り向いてそう奈緒が徹美に言った瞬間、奇妙に高い音が鳴り奈緒の体重が後へ
傾く。
徹美「貴様まだ!」
徹美が叫んだ。音の正体は、信子が唯一動く顔を使って奈緒袖口に噛みついた音だっ
た。がっちりと襟首を引き寄せられて、奈緒も信子と同じく硬化ゴムにとらわれてし
まう。
信子「ひゃはひはひゃいごみゃでひゃきらみぇみゃいわよ(私は最後まで諦めないわ
   よ)」
奈緒「ひえー、何か変な事言ってますー、助けてー!」
口を閉じたまま信子は言ったが、美濃学園の三人には何の事やら解らなかった。が、
どうやら一重にだけは解ったらしい。
一重「無駄ですよ信子さんっ!その体勢では名お産をどうすることもできないで
   しょっ!」
信子「ひゃめないで、わはひはほだほぶこにゃのひょ。ひょどくびぎゅらひはきゅい
   ひぎへみへるはよ(なめないで、私は織田信子なのよ。のど首ぐらいは食いち
   ぎってみせるわよ」
一重「……恐ろしい執念ですっ!でもっ!」
驚きつつも、一重は会話できない残る二人に言った。
一重「大丈夫ですっ!信子には奈緒さんを攻撃する手段がありませんっ!引っ捕らえ
   ちゃって下さいっ!」
信子「ひゃ、ひゃんた(あ、あんた)」
しかし、信子は他の二人にそうではないと言うことは出来ない。言うためには、奈緒
のことを離さねば行けないからだ。そうすれば、結局は人質の強みを失うことにな
る。
徹美「そうか?んじゃ捕まえるか」
理奈「やれやれ、最後まで手こずらせてくれたわねー」
奈緒「早く助けてくださいー」
徹美と理奈は無雑作に信子の方へよってくる。
信子「ひょんなひょころへ……(こんな所で……)」
信子は体をわななかせて呟く。
信子「終われる訳がないでしょ!」
そして次の瞬間奈緒を口から離すと、渾身の力を込めて硬化ゴムの拘束に抗った。し
かし、もちろん硬化ゴムは容易に取れない。
一重「むだですよっ、硬化ゴムと言っても弾性がありますから、力では壊せませ  
   んっ」
信子「うるさい!」
怒鳴り声を上げたその時、あろう事か信子の右肩を包んでいた硬化ゴムが砕けた。
一重「!まさかっ、人間の力では壊せるはずがありませんっ!」
信子「でも壊すわよ!私が壊したいんだから、壊れなきゃいけないのよ!」
一重「まさかっ!そんな馬鹿な事っ!」
しかし、一重の一面では、まさかと言う言葉が兵法の禁句であることも思い起こされ
た。まさか、それを想定し得なかったのは、自分の未熟のせいではないか。
奈緒「ちょっと!この人恐いわー!」
自分の後で着々と戒めを解きつつある信子に恐怖を感じ、奈緒はむちゃくちゃに体を
動かした。しかし硬化ゴムにとらわれてしまっているせいで、その動きは手足のみに
限られてしまう。
信子「じゃまね!この娘は!」
その手が時たま信子の顔に当たった。信子はまだ手が動かせないので、顔を背けてそ
の手をかわしている。
理奈「一重ー、どうするのー!」
一重「……こうなった以上、残る手段はオ○シゲ○デス○ロ○ヤーをつかうし
   かっ……でもあれを使ってしまうとっ!」
一重が悩む間にも、信子の戒めは解けていく。
信子「右手抜けた!」
奈緒「ひゃぁー!」
信子が右腕を振り上げてそう叫んだ。同時に奈緒の背中のゴムも一部が砕け、奈緒も
少し自由度が増し今まで以上に暴れる。
信子「めんどくさい娘ね!後で可愛がって上げるから大人しくしてなさい!」
奈緒「いやいやー!許してー!」
と、その時錯乱した奈緒の手の甲が信子の顔を打った。
信子「いたっ!この……」
そしてその手を振り下ろした時、ぱらり、と、信子の髪が左右に広がる。奈緒の指
に、信子の髪留めが引っ掛かり、髪留めを切ってしまったのだ。
奈緒「いやー!許して!」
殺されるかと思い、奈緒は目を瞑り泣き声を上げて懇願する。しかし、それに対する
べき信子の怒号は飛んでこなかった。それどころか、先程からの激しい運動も止まっ
てしまった。
奈緒「……あら?」
不審に思った奈緒が目を開く。すると、目を開けた先では徹美達が奇妙な顔をして自
分の方を見ていた。
奈緒「なぁに?変な顔して私の顔見てー?」
しかし、すぐにそれは間違いだと気付いた。徹美達が見ているのは自分の顔ではな
く、すぐ後にいる織田信子なのだ。漸くそれに気付いてから、奈緒も恐る恐る後を振
り向く。
奈緒「あらぁ?これって……」
奈緒はちょっと我が目を疑った。先程まで鬼神の様に暴れていた信子が、今はまるで
別人のように小さくなってぷるぷると震えている。
信子「ぁ……からだ、動かなぃ……どうしよう、恐ぃ……」
ぱたぱたと何かを払いのけるようにして目を瞑ったまま右手を振っている。その動作
からは、とてもさっきまでの信子と同じ人間には思えない。
一重「……これって、なんなんでしょうっ?」
信子「ビクッ!……ぁぁ、やだ……変な事しないでぇ……」
理奈「うーん……何だか良く分かんないけど、今なら簡単に捕まえられそうだし、取
   り敢えず捕まえとこうか」
徹美「……そうだな。捕まえてから理由はゆっくり考えよう」
信子「ふぇ!……ひどぃ……」
いきなり人がわりして怯える信子に、理奈の言葉を取り敢えず採用した徹美が近づい
ていく。
小麦「ってなわけで美濃学園まで来たわけだけど……信子さんいないわね」
一旦矢作園に戻り、園長に借りたバスで園児達を乗せて美濃まで来た小麦はそう呟い
た。この分では、どうも自分が奢らなければならなくなりそうである。園児とは言っ
ても、一番大きな子は15歳、食べる量もかなり多いから、安月給の小麦には痛い出
費だ。
秀美「半壊した建物とか、炎上した建物とかありませんか〜?多分そこに信子様が居
   ると思うんですけど〜」
小麦「……何だか物騒ね」
そう言いつつも、小麦は辺りを見回してそれらしきものを探す。
小麦「でも、普通そんなものないわよね……」
秀美「あっ!あそこのお店ウィンドが割れてます!信子様はきっとあそこにいま
   す〜」
小麦「あるんだ……随分派手に割れてるわね〜」
秀美「町中であんな事をするなんて絶対に信子様です〜」
小麦「そう……なの?」
怪獣みたいな人だと思ったが、秀美が世話になっている手前言うのは差し控えた。
小麦「じゃ、ちょっと不安だけどあの店の前に着けましょう。あんた達ー、降りるわ
   よー」
園児「はーい!」
小麦が後に向かってそう叫ぶと、約50人の園児が一斉にそう返事をする。
秀美「あ〜やっとステーキ食べられますね〜」
お腹を鳴らしつつそう言う秀美を、小麦は横目で見て苦笑いしながら店の前にバスを
着けた。
小麦「さっ、降りなー。あんまりはしゃいだりしちゃだめよー!」
秀美「わ〜い!信子様〜!ステーキ食べさせてくださ〜い!」
バスが止まるが早いか、小麦の言葉も聞かず一番に駆け下りたのは秀美だった。
小麦「こら!秀美がはしゃいでどうする!」
慌てて小麦が注意したが、群集心理というのは大人の自制心よりも子供の無茶を敏感
に反映する。秀美が駈けだしたことで、バスの中の子供達は自分も自分もと我先にバ
スを駆け下り始めた。
園児A「俺も牛喰いたい!狂牛病なんか知るか!」
園児B「この星を食い尽くせば、惑星までも併呑してやる!」
争って駆け出す園児達に、小麦の制止は届かない。
小麦「こら!あんた達もう少し静かに!」
言いながらも、小麦も園児達の濁流に呑まれて駈けざるを得なかった。駈けるのを止
めれば、濁流に呑まれて踏みつけられてしまうからだ。
秀美「あっ!信子様はっけ〜ん!信子様〜、ステーキ食べさせて下さい〜」
信子「ぁ、秀美ちゃん……、どうしてここにぃ……」
突然乱入してきた秀美に、信子は弱々しくも驚きの声を上げる。
徹美「おい!何だお前は!」
徹美達も秀美の乱入には驚いたようだが、信子とは反対に強い調子でそう聞いた。
秀美「あれれ?信子様何で髪下ろしてるんですか〜?何時も秀美とお風呂入るときし
   かとかないのに?」
信子「ぅぅん……この人に取られちゃったのぉ……」
弱々しい声で言いながら信子は、まだへばりついたままの奈緒を指さした。ちなみ
に、流石にもう硬化ゴムはその粘性を失っていて、秀美がひっついてしまうことはな
かった。
秀美「それに何ですか〜?この変なゴムは〜?新手のプレイですか〜?」
信子「ぅぅん……違うの……この人達に捕まっちゃったのぉ……」
秀美「そうなんですか〜?まあいいんですけど、ステーキはどこですか〜?」
信子「ステーキ……?よく解らないですけど……厨房の奥にお肉はあると思いま
   す……」
園児「厨房の奥だってよ!みんな、喰い尽くしちまえ!」
それの言葉に反応したのは秀美ではなく、今や飢えた濁流と化した園児の群だった。群はその濁流の勢いを失わず、立っている美濃学園の一重、理奈、徹美をも巻き込ん
で厨房へ向けて流れ込んでいった。
徹美「おいお前ら!やめろ!」
理奈「いやー!何これー!動けないー!」
奈緒「私はどうなっちゃうのー!」
一重「流石にっ!予想外ですっ!一重は逃げますから後はよろしくですっ!」
理奈「えっ?あっ、ちょっと!」
そう言うと一重は、一人濁流の流れに逆らわぬように上手く体を泳がし、裏口から姿
を消してしまった。
理奈「無責任よー!」
理奈の叫びも、空しく響くだけだった。
秀美「あ〜!みんな狡いです〜、秀美もステーキ食べたい〜!」
遅ればせながら、そう叫んで秀美も濁流の中に身を躍らせようとした時、弱々しい力
で制服の裾を捕まれた。
秀美「れれ?何ですか信子様〜?」
裾を掴んだのは信子だった。弱い力だから気づかずに行ってしまいそうにもなった
が、流石に主従の繋がりで気付くことが出来た。
信子「ぁの……あの人が持っている髪止め……を取ってくれませんか……?」
言ってまた奈緒を指さす。
奈緒「ひえ!何ですかー!」
奈緒は少し怯えた。秀美はその奈緒の手に引っ掛かっている髪留めをちょいと取り上
げる。
秀美「これですか〜?」
そして信子に渡した。
信子「ぁ……ありがとう……」
礼を言って髪留めを受け取ると、信子は急いでそれを髪につける。
秀美「信子様?」
信子「……よくやったわね秀美、今日だけは褒めて上げるわ」
と、信子の声にいつもの強さが戻る。
奈緒「あああ!元にもどったぁ!?」
驚く奈緒に軽い一瞥をくれてから、信子は体を左右に揺する。硬化ゴムの戒めはまだ
解けていないから、いくらも動かすことは出来ない。
信子「くっ!やっぱりだめね、なぜかさっきまでの力も出ないし……」
園児「あー!まだ腹一杯じゃないよー!」
その時、厨房の食料を一瞬で食い尽くした園児達が戻ってくる。なぜかその目つきは
尋常でない。信子達には知る由もないが、食材に混入された薬のせいで、園児達は皆
ハングリーハイになり、そのための幻覚にとらわれている。
園児「おい!何かあそこにでかいケーキ有るぞ!」
だから一人がそう叫んで信子の方を指さすと、集団催眠に掛かったように全員が同じ
幻を見た。すなわち硬化ゴムをケーキに見間違え、常人では砕きがたい硬化ゴムを、
五十人からの欠食児童が喰い尽くしてしまう。
信子「……何だか解らないけど、形勢逆転かしらねー?」
自由になった信子は、同じく自由になった奈緒を見下ろしてそう宣言する。
奈緒「あわわ……許して〜」
奈緒は尻餅を付いたままそう言い、じりじりと後ずさりした。
徹美「こら!そうはいくか!」
理奈「いたた……酷い目にあったよ」
しかしその時、園児の並から要約のがれた徹美と理奈が厨房から戻ってくる。信子は
自分の手元をちらりと見た。愛用の鞭は、硬化ゴムと共に園児のお腹の中に収まって
しまっている。先程までの異常な力もないし、園児達は統率不能だから、三対一では
不利かも知れない。
信子「……仕方ない、ここは引きましょう」
そう決意した矢先に、遅ればせながら厨房へ突入した秀美が戻ってきた。
秀美「信子様〜食べ物が一つもありませんよ〜、みんなあの子達に食べられちゃって
   ます〜」
信子「秀美!馬鹿な事言ってないでそこで寝てる役立たず達を起こしなさい!」
秀美「え〜、でも〜ステーキ〜……」
信子「帰ったらいくらでも食べさせて上げるわよ!」
秀美「えっ、そうなんですか〜!じゃあ起こしてきます〜」
喜色を浮かべ、秀美は早速寝ている勝枝達を起こしにかかった。
勝枝「うーん、あれ?お市ちゃんは?」
成美「あんっ、お兄ちゃんだめ……、って秀美〜!?なんで〜!」
恒江「信子様、ああ信子様、信子様……あ、あれ、ここは?」
長子「ああっ!秀美ちゃん柔らかい!」
秀美「はう〜!長子さん寝惚けないでください〜!」
長子「あ、あら?どうしたの秀美ちゃん?あんなに可愛いく私の腕で喘いでいたの
   に……」
長子は秀美を抱き締めた腕を解き、訝しげにそう聞いた。
秀美「何のことですか〜?長子さん今まで寝てましたけど〜?」
長子「えっ?じゃああれは夢?」
長子はがっくり力を落とす。その長子には構わず、秀美は最後に盛美を起こした。
盛美「ほら信子!(自粛)を飲んだ後は「ありがとうございました」でしょ!?」
信子「……全員起きたようね」
信子が一同を見回してそう言った。これで人数の上では逆転した事になる。
信子「みんな、体の調子はどう?」
勝枝「ん〜……何があったのかよく解らないけど、頭が割れるように痛い……」
恒江「私も、ふらふらします」
成美「なるも〜」
長子「何だか吐き気が……」
盛美「うーん、何だかいい夢を見ていたような……、でも体調は最悪です。みんなの
   症状全部併せたような感じで……」
信子「……薬を使われたみたいね。よし!総員退却!」
まだ何事か解らない一同を促して、信子は一足早く小麦のバスに乗り込んだ。
信子「全員早く乗りなさい!」
秀美も含めた一同は、何のことか解らないままバスに乗り込もうとする。
徹美「逃がすか!」
理奈「同じく!」
奈緒「逃がしませんよー」
それに追いすがる三人、さらには、
一重「人を掻き集めてきましたっ!これで再度形勢は逆転ですっ!」
稲葉山校舎からは、一重が居残っていた生徒会の人数を連れてやってくる。
信子「運転手はどこ?」
小麦「……私が運転できますけど、子供達も収容しないと」
園児の流れにもみくちゃにされた小麦が、ぼろぼろになりながらもバスまで辿り着い
て言った。
信子「美濃学園も関係ない子供に手を出したりしないわ、とにかく今は車を出して」
小麦「……でも」
秀美「みんなならこう言えば戻ってきますよ〜。みんな〜ご飯です〜」
秀美の一声に、園児達は一斉にこちらを振り向き、我先にとバスの中に戻ってくる。
徹美・理奈・奈緒「うわっ!」
しかし、その流れに乗って徹美達もバスに一気に近付いた。
信子「余計な物まで……盛美!」
盛美「へっ?はいー?」
信子はまだ寝惚けている盛美の名を呼んだ。盛美は今一状況がつかめていないよう
だったがそれでも返事をする。
信子「殿を任せる!」
言うと同時に、信子は盛美の襟首を掴んで美濃学園の三人向かって投げつけた。
盛美「へっ?ええーっ!!」
どかん、と盛美の体が三人にぶつかり、一緒になって地面に転がった。
信子「さあ、出して!」
小麦「……いいんですか?」
信子「いい!」
少し迷ったが、言われたとおり小麦はバスを出して走り去った。
盛美「信子さま〜!」
後には、もりみの悲鳴だけが残った。
美濃での騒ぎから一夜明け、盛美を除いた尾張学園のいつもの面子と、蜂須賀小麦、それから矢作園の子供達はパーラー清洲に集まっていた。
秀美「わー!ほんとに何でも頼んでいいんですかー!?」
信子「いいわよ。偶然とは言え今回は秀美に助けられたし」
小麦「あの子達までごちそうしていただいて、ありがとうございます」
信子「いいってば、気にしなくて」
小麦の礼に対して、信子は鷹揚にそうこたえた。
勝枝「しかし手ひどくやられたよなー、一体誰があんなまねしやがったんだ?」
貞子「どうやら竹中一重という娘のようですね。美濃学園の生徒会員ではないので聞
   いたことのない名前ですけど、西美濃小学校の生徒みたいです」
恒江「いたた、あの薬のせいでまだ頭が痛いわ……」
成美「なるもふにゅーな感じ……」
信子「だらしないわね。私にはあんな薬効かなかったわよ」
皆が薬の被害を訴える中、一人信子だけが胸を反らした。
長子「……ちょっと失礼」
と、言って、これも頭痛が酷くて青い顔をした長子が、人差し指でピンっと信子の脇
腹をはじく。
信子「!!……っが、あっ、長子……」
それ程の衝撃ではないのに、信子は体を折って悶える。
恒江「これは?」
長子「やっぱり……、あれだけ筋肉に無理をさせたんですから、ただで済むわけがな
   いとは思ってました」
信子「……解ってるんなら」
信子は体を折ったまま長子を睨み付ける。
貞子「まあ、どちらにしても暫く行動は起こせませんね」
やれやれと言った表情で貞子が溜息を吐きながらそう言った。と、
盛美「信子様〜、何とか美濃の奴ら巻いて帰ってきましたよ〜、酷いじゃないですか
   置き去りにするなんて」
美濃学園に置き去りにされた盛美が、ぼろぼろになって清洲の入り口から入ってき
た。手には何処で拾ったのか生木の杖を持ち、それに寄りかかってやっと立っている
という感じだ。
勝枝「おお盛美!よく帰って来れたなー」
信子「ちっ!」
信子は盛美を見てこっそりと舌打ちをする。
盛美「……信子様今舌打ちしませんでした?」
めざとく盛美はそれを見付けた。
信子「いいえ」
しかし信子はしらばっくれる。
盛美「ほんとですか?まあいいですけど、なんで私を置き去りに〜……」
取り敢えずそれは置いて盛美は信子に恨み言を言う。
信子「何を言ってるの、盛美を信用したから最も困難な退却戦を任せたんじゃな
   い!」
盛美「えっ?そうなんですか?でもなんか誤魔化されてるような……?」
信子「そんなこと無いわよ!そうだ、これからは退きの佐久間と言いましょう!退却
   戦のプロ!かっこいいでしょ!」
成美「プロ!かっこいいなー、盛美」
勝枝「おお!退きの佐久間、退きの佐久間!かっけー!」
盛美「えっ?そう、かっこいいかな?」
長子「かっこいいですよ盛美さん」
貞子「勇壮ですね」
秀美「何だか美味しそうでもありますよね〜」
みな口々に褒めそやかす。
盛美「そうかー、退きの佐久間かー!信子様これからもどんどんこの退却戦のプロに
   任せて下さいよ!」
信子「頼もしいわね!頼むわよ!」
盛美「任せて下さいよ!はははー!」

こうして信子の美濃侵攻は失敗に終わったが、佐久間盛美に退きの佐久間という称号
が与えられたのであった。しかし、信子が再び美濃に侵攻するには、もう少しの時間
が居るようである。
337 ◆0xknNOBU :02/02/23 17:08
疲れた・・・長いよ・・・
「美濃」漸く書き終わりました。
次は間に一話挟む予定でしたが繰り上げて「五月雨」を予定しています。
足利輝子と明智光の出会いです。

そんで、設定とかですが、まあ余り気にしなくてもいいんでないかと(w
私も組み込める部分は組み込んでいこうと思いますが、無理な所もやっぱり出てきますし・・・
読まれる方は、その辺脳内で何とか折り合い着けて下さい(w
338無名武将@お腹せっぷく:02/02/23 17:26
>>337
お疲れさまでした。
「五月雨」楽しみにしてますよ〜
339弐号機 ◆nuUmm9xE :02/02/23 21:25
>323
ん〜姉と恋人の板ばさみにあって仕事に逃げてるんですが…<コンプレックス
解説しなきゃわからないようではダメダメですね<私の文才
無名武将に戻りまーす
340無名武将@お腹せっぷく:02/02/24 08:40
>>339
思うに人の設定に沿おうとするから難しいんじゃ
地方のどっかを書いてみるというのはどうだろう?
>>340
全く同じ感想。近江ではぶつかるの必死なので、
信長が直接合戦した地域あたりまでの大名はNGか。
「設定が」ぶつかるの「必至」ね。
武田くらいの超大身なら距離や関わりはどうあれ、
書いても構わないのでは。
その辺考えて誰も二足の草鞋でやろうとはしてないと思うし。
344 ◆0xknNOBU :02/02/24 11:45
こんにちは、見返したら質問っぽいレスを見かけたので答えられる限りで・・・

>>288
それも考えたのですが諸般の都合で体術に・・・って答えになってないか(´Д`)

>>291
名前を変更する理由が思い浮かばなかったもので(w
姓だけなら簡単なんですが、徳川元美ではかえって変になるか、と判断しました。

設定、大勢でやると難しいですね。
その辺大らかな目で見ていただけると有り難いかと。
>>344
10歳そこそこのガキんちょがお家背負ったり、
女子校がスケ番だらけで地元制覇狙ってたりする
世界観なのだから、ここである一定以上の立場の
人間はそれに相応しい姓名に改称するとかいう
設定を作ったり…
346無名武将@お腹せっぷく:02/02/24 15:18
ぶるまー・・・ハァハァ
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1013278277/l50
>>303氏の言ってたサイトまだかなー
>>346
すみません、まだ設計構想段階です。今夜あたりから突貫工事始めます。
>>306さんや半角板の人などお絵かき掲示板が欲しいとの事ですが
無料でレンタルできるところがあるみたいなのでレンタル設置予定です。
アップローダは…よく分からないのでサイトができたらメールで画像ファイル
送ってもらう、とかいうのじゃだめですか?

とにかく鋭意努力中にございます。
>>347
焦らなくていいよ。ゆっくりやってくだちい。
なんかおんぶに抱っこですまんのう…
>>347
メール受け取り式だと、大変だよー。
こんな言い方したらなんだけど、
信子ちゃんが下手に長期に渡って(まあ、
もちろんそのほうがいいんだけど)続いた場合、
いつまでも離れられなくなるからね。
事情が出来てやれなくなっても引継ぎすごい面倒だし。

検索で誰も使ってない忘れられたうpろだ拾ってくるとかね…(汗
 晩冬。東京の一流私大に合格した国子は、土佐学園を卒業と同時に東京へと旅
立った。
国子「まあ、いつまでもやんちゃしてる訳にもいかないしな。外の世界も見てみ
   たいし。正直、元子に後を任せるのは不安だったけど、やれば出来ること
   が分かったし、安心して行けるよ」
 別にやってないし、そもそも後を任せて欲しいなどこれっぽっちも思っていな
かったが、国子を継いで、なし崩し的に元子が土佐学園のトップに君臨すること
となった。
 長浜での戦いの後、土佐全土に一躍元子の勇名は轟き渡った。女子高生の噂話
から信金の取り付け騒ぎにすら発展するのが、田舎の情報伝達力の凄まじさであ
る。元子についても尾ひれが付きながら話が広がり、それを耳にした本山高傘下
の高校は、皆震え上がった。土佐学園に寝返る者も出始め、また統率力のあった
本山辰美が卒業したこともあり、元子が二年生になった頃には、本山連合は弱体
化の一途を辿っていた。

 春。桜が美しく咲き乱れる四月の半ば、長宗我部邸の敷地内の桜並木も満開だ
った。高い塀に囲まれたこの館は、その地名から通称岡豊(おこう)屋敷と呼ば
れている。
 日曜日の午後、広い自室で珍しく一人本を読んでいた元子のもとへ、三人の女
生徒が訪れた。
元子「あら、いらっしゃいませ」
 ぱたんと本を閉じ、椅子から立ち上がる。
俊江「御邪魔します」
 吉田俊江を先頭に、久武千佳と谷澄香が部屋に入る。部屋まで案内した若いメ
イドが、主人に一礼して立ち去る。
 国子の腹心だった三人は、春から三年生になっていた。国子がいない今、実質
的にこの三人が土佐学園を支えていると言っていい。
元子「どうぞ座ってください。あ、今お茶出しますね」
俊江「あ、いえ。お気遣い無く」
 慌てて言う。だが、にこにこしながら部屋から出て行ってしまった。所在無さ
げに、三人が顔を見合わす。元子の性格は重々承知しているつもりだが、どうに
も調子が狂わされる。
 だが、名刀の如き切れ味を持った国子とはまた違った、そんな御姫様が三人と
も好きだった。
 暫くして、お盆にティーカップと菓子をのせた元子が戻ってきた。
元子「はい、どうぞ」
 一人一人にカップを渡す。
俊江「あ、すみません」
千佳「・・・どうも」
澄香「いただきます」
 しばらく無言で紅茶を飲む四人。時々、茶菓子を食べる音が聞こえる。
 そんな空気を壊すのが躊躇われたのか、遠慮がちに俊江が口を開いた。

俊江「あの、今日は本山高についての話がありまして・・・」
元子「はあ」
俊江「最近ではすっかり勢力も衰え、ジリ貧になってる本山高なんですが、その
   本山高の本山茂美が、あっ、茂美の名は御存知ですか?」
元子「えっと、辰美さんの妹さん?」
 前に国子が言ってた事を思い出しながら答える。
俊江「そうです。本山高二年の。その茂美から連絡がありまして。その・・・」
 言い辛そうに口を噤む。黙々と茶菓子を食べていた千佳が、ちらりと俊江に目
を向ける。
 俊江は思い切って言葉を続けた。
俊江「茂美が、姫さまと是非お会いしたいと」
 静まる室内。庭の木々にとまっている、小鳥達の囀りが聞こえる。
元子「・・・え?」
俊江「いえ、本山高の本山茂美から、姫さまと会談の場を持ちたいと連絡があり
   まして」
元子「・・・えぇ〜〜〜〜?」
 パニクる元子。
 あまりに予想通りの展開に、だから言いたくなかったんだけどな、と俊江は心
の中で呟いた。
元子「怖い」
俊江「お気持ちは分かりますが」
元子「俊江さん達だけで話をつけるのでは、駄目?」
俊江「それも考えはしたのですが、そうなると相手は舐められたと思い、余計強
   硬な態度に出ると思いまして」
元子「別に馬鹿にするつもりは無いよ?」
俊江「姫さまはそうでしょうが、受け取り手の問題です。トップ会談を申し込ん
   で、我々しか出てこなかったら、誇り高い本山の連中の事です、死に物狂
   いで打って出る可能性もあります」
元子「・・・」
俊江「この話し合いが上手くいけば、余計な争いが起こらずに済みます。それこ
   そが、姫さまの一番の望みではありませんか?」
 あまりこういう言い方は好きではなかったが、この際こだわっている場合でも
ない。
元子「う〜ん」
俊江「向こうは、この岡豊屋敷まで出向く用意があるそうです。ですので、姫さ
   まに危害が及ぶことは無いと言えます」
元子「うちに?」
俊江「はい」
千佳「・・・我々が必ず姫さまを守ります」
澄香「その通りです。危険な目にはあわせませんので」
元子「確かに、喧嘩はよくないと思うけど・・・」
 しばらく悩む。だが、基本的に頭の中がLove&Peaceな元子は、自分
の我侭で争いを長引かせる訳にはいかないと、不承不承首を縦に振った。
 こうして、予定通り土佐学園と本山高校の首脳会談が、セッティングされるこ
とになった。
 
 岡豊屋敷に三人の訪問者を迎えてから、一週間後。
  「茂美さん、そろそろお時間です」
茂美「分かってる」
 不機嫌そうに、本山茂美は吐き捨てた。
 屈辱だった。土佐学園ごときに、こちらから話し合いを持ちかけるなど。しか
も、長宗我部元子の家でだ。しかし、半年前とは状況が違っていた。姉の辰美も
いなくなり、自分が跡を継いでからも、内部崩壊は止まる所を知らなかった。
  「ここは辛抱です、茂美さん」
茂美「ああ」
 せめてこの会談で活路を見出す他無い。もしくは、本山高が降るに足る相手か
を見極める。認めたくない事実ではあるが。
 だが、相手は二十人殺しの噂高い元子である。一筋縄で行くかどうか。茂美は
重い腰を上げ、三人の部下を従えて会談場所である岡豊屋敷へと向かった。
 
 駅前広場は、日曜という事もあり随分と混雑していた。
俊江「そろそろくる頃だと思うのですが」
元子「見つけられるかな?」
俊江「まあ、一人で来る訳では無いので、目立つ集団を探していれば大丈夫でし
   ょう」
 元子達は、本山茂美一行を駅まで迎えに来ていた。俊江を始め、千佳も澄香も
元子に家で待っているよう言ったのだが、さすがに失礼だと強引に迎えに来たの
だ。
元子「あ、もしかしたらタクシーで来るかも」
千佳「・・・そんな金無いと思います」
澄香「同感です」
 そうこうしているうちに、俊江が駅から出てきた茂美達を見つけた。
俊江「来ました、あそこです」
元子「え、どこどこ?」
 僅かに身を硬くする。向こうもこちらに気付き、近付いてきた。
茂美「本山茂美だ」
元子「あ、長宗我部元子です。今日はようこそいらっしゃいました」
 若干緊張の面持ちで、ぺこりと頭を下げる。茂美は、(間違った)噂で聞くイ
メージとの違いに、少し面食らった。
元子「それでは、家まで案内しますね。ちょっと歩きますんで、申し訳ないんで
   すが」
茂美「ああ・・・」
 こうしてファーストコンタクトに成功した元子と茂美、及びその部下達は、岡
豊屋敷へと向かった。
 ぞろぞろと8人の女子高生が道を行く。
 最初は緊張していた元子だったが、目つきは少し悪いがショートカットが可愛
い普通の女の子に見える茂美に、同い年ということもあってか、次第に打ち解け
ていった。
 一方茂美は、元子の真意を測りかねていた。聞くと見るとのギャップが激し過
ぎ、戸惑いを隠せない。
 長宗我部家まで駅から約15分、ほとんど元子が世間話をし、茂美が相槌を打
つ会話が続いた。
元子「ようやく着きました。ここですよ」
 高い塀に挟まれた巨大な門の前で、元子は茂美に言った。
茂美「・・・」
 言葉も無い。土佐の資産家長宗我部家の噂は聞いているが、実物を目にすると
スケールが違う。門をくぐると、玄関まで桜並木が連なっている。
茂美「はっ、プールでもありそうだな」
元子「小さいよ?」
茂美「あるんかいっ!」
元子「長さは25mなの」
茂美「うちの高校と同じっ!?」
 土佐学園は50mプールなので、元子の感覚では確かに小さい。
 桜並木を抜け玄関に着くと、元子が豪奢な扉をノックする。
茂美「はっ、メイドでもいそうだな」
元子「少ないよ?」
茂美「いるんかいっ!」
元子「全員で10人なの」
茂美「10人!?」
 ギィーっと重い音をたてて、扉が開く。中から顔を出したのは、元子専属のメ
イド、桑名光梨(くわな・ひかり)だった。母親と共に住み込みで働いており、
今年から土佐学園1年になった光梨は、衣食住と学費を面倒見てもらう代わりに、
空き時間にメイド業務をやっている。
茂美「ほんとにメイド服着てやがる・・・」
光梨「お帰りなさいませ、元子様。お客様は応接室にお通し致しましょうか?」
元子「ううん、私の部屋で良いよ」
光梨「かしこまりました。それでは皆様、こちらへどうぞ」
 まず茂美の目を引いたのが、玄関入ってすぐのホールに飾られている装飾品の
数々だった。日本刀、薙刀、槍、弓、西洋剣、鎧、火縄銃など物騒なものばかり。
茂美「なんだよ、これ」
元子「あ、これ?国子ねえさまが、いざという時にって、買い集めてたみたい」
茂美「いざという時って・・・」
元子「あんまりしつこいようだと、ここにあるの使っちゃうぞーって言ってた。
   何の事かよく分からないけど」
茂美「・・・」
元子「結局使ったことはなかったみたい」
茂美「・・・」
千佳「・・・命拾いしたな」
茂美「ぼそっと怖いこと言ってんじゃねえっ!」
  「し、茂美さん、あれ見てください」
 ホールから抜けて少し廊下を進んだ時、部下の一人が声をかけた。指の先に目
を向けると、どこかで見た事のあるような、独創的な絵が飾られていた。
茂美「・・・ピカソ?」
 まさかね、とその他の絵を見てみると、美術の教科書で見たことのある絵がち
らほら。
茂美「・・・レプリカだよな?」
  「さ、さあ、私にはちょっとわかりません」
 怖くて元子に聞けなかった。
 こうして、岡豊屋敷の不思議空間を抜け、一行は元子の自室へ到着した。
 
 元子の部屋のふかふかの絨毯に腰を下ろした時には、茂美はすっかり消耗して
いた。車座になってティーカップを片手に話を始めたが、ただの茶飲み話にしか
ならなかった。
 小一時間ばかり喋った後。急に思い出したように元子が声を上げた。
元子「そうだっ。妹が修学旅行で買ってきた良いお菓子があるんですよ。持って
   きますね」
澄香「私も手伝います」
元子「良いの?それじゃお願いします」
 二人でぱたぱたと出て行く。
元子「あ、光梨ちゃんも運ぶの手伝って」
光梨「はい」
 ドア越しの会話を聞きながら、疲れたように茂美はため息をついた。
茂美「何か疲れた。御手洗い借りるよ」
俊江「部屋を出て右に曲がると右手に階段があるから、一階下りて左、右、左に
   曲がるとすぐ分かるわ」
茂美「分かんのか?」
 力無く毒づくと、茂美は部屋を出た。
 言われた通りに階段を下りたとき、近くの部屋から元子らのものらしき話し声
が聞こえた。
 特に意図はなかったが、興味がそそられ、ふらふらと部屋へと近付いた。はっ
きりとは聞き取れないが、どうやら相談事らしい。
元子「・・・・・・だよ。そん・・・可哀相・・・」
澄香「・・・さまは甘い・・・。・・・決断して・・・」
元子「でも・・・・・・・殺さなくても・・・」
茂美(殺すっ!?)
 茂美は扉にへばりつく。だが、扉が厚いのか、良く聞き取れない。
澄香「・・・ここで逃がしても結局は・・・・・・・」
光梨「澄香様に同感・・・。・・・しても恩義を感じるわけ・・・・・・」
澄香「・・・・・・後顧の憂いを断・・・・・・決断を・・・」
茂美(こ、こいつら・・・)
 茂美がワナワナと震える。
 こうやって敵の大将である長宗我部の家に乗り込んできたのも、まさか命まで
取られまいと考えていたからだ。なんらか手を出してくることがあれば、卑怯者
と言い触らし、土佐学陣営を揺さぶるつもりだった。
 だけど、私はとんでもない見込み違いをしていたのではないか?
元子「・・・じゃあ、今回だ・・・。次は・・・・・・さない・・・」
澄香「・・・・・・それでは・・・この次は・・・」
光梨「・・・わかりまし・・・・・・。・・・容赦はしま・・・・・・」
元子「・・・・・・殺生は嫌・・・」
茂美(・・・)
千佳「・・・おい」
茂美「ひゃう!?」
 文字通り、茂美は飛び上がった。
千佳「・・・何してる?」
茂美「い、いや、別に何も。ただ道に迷って・・・」
千佳「・・・手洗いはこっちだ」
 顔色も変えず、千佳はトイレの方を指す。
 茂美は足元もおぼつかず、部屋へ戻るため階段を上った。訝しげな顔をしたも
のの、千佳は何も言わなかった。
 部屋に戻った茂美は、開口一番、
茂美「帰るぞ」
  「え?」
 部下の一人が慌てる。
茂美「もう帰るぞ」
 そこまで言った時、部屋の扉が開き、盆を持った元子が入ってきた。茂美は、
はっと元子の顔を見た。
 元子は少し憂いを帯びた顔をしており、そして、何故か哀れむような目で、茂
美を、見た。
 その瞬間、茂美は爆発した。
茂美「帰るぞっ!!」
元子「えっ?えっ?」
茂美「分かった。もう分かった。帰るぞ、皆っ!!」
元子「えっ?あの、お菓子・・・」
茂美「食えるかっ!!」
 どかどかと足音荒く部屋を出る。それに困惑気味の部下達が続く。
光梨「玄関まで御案内します」
茂美「いらんっ」
光梨「そうは参りません」
茂美「どっか変な部屋に連れて行こうとしても、そうはいかんからなっ!!」
 玄関のホールを抜ける茂美の目に、往きに見た様々な武器が飛び込んでくる。
茂美(やってられるか。こんな既知外どもと喧嘩なんて、やってられるか)
 ちょっと涙目になりながら、茂美は足早に屋敷を立ち去った。
 
 一方、残された元子達は。
俊江「何なんでしょうね、あれは?」
元子「さあ?」
 小首を傾げる。そこに、遅れて澄香がやって来た。
澄香「遅くなりま・・・あれ?茂美は?あ、姫さま先ほどの件ですが」
元子「ちゃんと言う通りにしてくれた?」
澄香「ええ、いい付け通りに」
俊江「どうしたんです?」
元子「ううん。さっきお菓子取りに行った時なんだけどね。どこから入ったのか、
   部屋にねずみさんがいて。澄香さんが捕まえてくれたんだけど」
澄香「私と光梨は住み付かれたら厄介だから、殺してしまうように言ったんだけ
   ど」
元子「ひどいよ、そんなの可哀相だよ〜」
澄香「で、今回だけは逃がすということで。ただし、次に捕まえたときは、ちゃ
   んと始末すると」
元子「うう、可哀相・・・」
俊江「まあ姫さまらしいというか何というか。あ、千佳どこいってたの?」
千佳「・・・トイレ」
光梨「ただ今戻りました。茂美様は戻られました」
元子「ほんとに、どうしちゃったんだろ?」

 次の日、本山高校は正式に降伏を申し入れてきた。
 こうして本山高は土佐学園の傘下に組み入れられ、「土佐の中原」は完全に土
佐学園のものとなった。
ありきたり過ぎる「金持ち」の図に、ベタベタなオチですが、勘弁してくだしい。
>>356
いや、宜しかったです。
静かなるドンの方がいいって言ったけど
ただの天然でもいいかもって気がした。
ていうか厳密にはカメレオンでもないのね。

あ、そうだ、どうやらドンのほうをご存知でなかったようなんで、
前の自分のレスを補強すると、
近藤組長は基本的に平和主義者なので、野望バリバリな矢沢より
元子のキャラにあってるかと思ったですよ。
それプラス近藤組長の「野生の本能」って言う、激怒したときにだけ出る
本気みたいなのがあればより元親にも近いとか。

や、でもまあいいや。続き楽しみにしてます。
358無名武将@お腹せっぷく:02/02/25 21:54
で、脱糞は?
359 ◆0xknNOBU :02/02/26 01:30
おばんです。
ぶるまーハァハァ・・・

>>345
うーん、前向きに検討します。
と、これではやらないと言ってるのと同じですね(w
でもほんとに改名については考えてみます
しかし、家美(仮)にしてしまうと台詞の部分の先頭
元美「いやっ……そんなとこさわっちゃ駄目だよ氏子ちゃん……」
↑ココ
の部分を変えなきゃいけないんで、戦国詳しくない人(そう言う人も詠んだ下さっているようなので)
は混乱するかも、とも思いまして、ですから変えたとしても、司馬遼太郎氏の「国盗り物語」で道三が何時までも勘九郎
だったのと同じように、改姓は物語り上で触れるだけで便宜上元美で通そうと思ってます。

>>358
・・・さぁ?
(´-`).。oO(三国志しかわかんないから名前とか変わるとまたキャラ覚える
のつらいんだよなぁ…)
361ヲタクきもい:02/02/26 03:55
本音言うと
キモイもんはキモイんで
理屈じゃないんだよ。こんなのは
とりあえず、アニメやゲームのキャラクターで珍子しごいてる
変態は残らず逝ってください
ついでに言うと
洩れの部屋には漫画が一冊も無い。
でもまあ、それが普通だと思ってるんで


>>361
例えば俺はTSF作品(なんのことかは説明しないぞ)が大好きで、
寝取られや寝取りや人妻が大好きだったり、それこそ信子ちゃんみたいな
少女歴史モノとかも好きだったりするわけだが、そんな俺でも
さすがに気色悪い性癖とか理解出来ない性癖とかあったりするわけで、
実のところこれはまああんたの好き嫌いと大差ない。
俺は「漫画なんか少しも読まない」という奴は逆に現代に置ける
若者としちゃごく少数派で、それでありながら「漏れ」とか「キモイ」とか
普通に使って2ちゃんに染まっちゃってるあんたを自我の安定してない
見てるだけで不愉快な人間だと感じてたりするわけで。

で、こういうとき個人の感情で攻撃するよりは他人が楽しんでるとこに
口だしせず棲み分けようというのが、安泰に社会生活を送る不文律なわけで。
これからはそこらへんを弁えような。

それとも書いてる人間や読んでる人間が誰からも理解される娯楽性に
富んだ素晴らしい創作だ!とか考えてるとでも思っちゃったのか?
そんなことはひとつもないから安心して余所行ってなさい。
それと否定的意見を吐くならsageような。
まあ自分の意見を誰かの目に留めたい!って欲求は
分からなくもないんだが、
否定意思の在り方と矛盾してしまうぞ。
364無名武将@お腹せっぷく:02/02/26 05:16
>>361
一般人からすると三国志・戦国オタクも十分にきもい。
ネタにマジレス ?
366無名武将@お腹せっぷく:02/02/26 05:37
うん。マジレス。
憶えよう、放置。

      〜三戦板広報〜
368「五月雨」 ◆0xknNOBU :02/02/26 22:49
その日の京では、昼過ぎからか細い雨が降り下っていた。雨は五月に珍しき日照雨で
あり、鴨川の明るい水面にはきらきらと弾ける無数の輝かしい光の輪が浮かんでい
る。その少女が歩く古格な石畳の上にも、はらぱらと降りしきる明るい雨が、小さな
薄墨色の宝冠円を次々と作り出していた。
(これは詩になるかしら?)
少女には詩文の素養があったので、王城の雨に詞藻をそそられそう思ったが、どうも
良いものが浮かばない。思案のまま、今は足利学園の敷地内にある旧烏丸通りを西に
2、3分も歩いたが、遂に浮かばず詞藻を捨てた。
(考えてみれば、私のこれからの行動こそ、詩となり、歌と詠まれるべきものじゃな
い)
少女は相当な自信家らしく、詩を生み出せなかったことも、自分自身を赫々と掲げる
材料としてしまっている。
少女の名は明智光16歳、かつては先年美濃学園生徒会長を引退した斉藤道子の近侍
であったが、今は後継の竜子とは反りが合わず、各校を転々とした後足利学園に足を
止めている。
足利学園はかつて学生による学校の自治を掲げて全国の学園を統一した鎌倉学園の実
権者北条氏を、教育委員会会長の五代西胡、河内高校の楠木正枝と、当時の生徒会長
であった足利尊恵と共に滅ぼした。その後、教育委員会の復権を狙う五代、楠木と対
立し、一度は敗北し九州へのがれたが、その後湊川会議で正枝を追放することに成
功。五代教育委員会会長の勢力も京から追い落とすことに成功した。その後尊恵は京
に部五代委員会とは別の教育委員会を立て、さらにその後数年の混乱はあったが、尊
恵から二代のちの生徒会長満美により教育委員会は再統一、教育委員会は完全に有名
無実化し、代わって教育委員会幕僚府が学校業務の一切を取り仕切ることとなった。
しかし、統一を成し遂げた足利学園の力も今は衰え、各学園は中央の統制に服せず権
力争いに明け暮れていた。
光(でも、何時までもこんな状態が続くはずもないわ)
いつかは幕府をまとめようとする者が出てくるだろう。その時統一の中心となるのは
足利学園を於いて他にない。と、光は考えている。
光(今は京で空位を暖めるのみの足利家だけれど)
美濃を追われ、徒手空拳の光にとっては、この足利家を復興することによって天下に
明智光有りとしめすより他ない。
光(何にせよ、今は足利学園の生徒会長に会わなければいけないのだけど……さて、
  どうしましょう?)
伝はある。美濃中学の時代、修学旅行の時に知り合った同年の細川藤子だ。
光(あの子は内気だから……)
足利学園の高大な敷地を横切り、校舎の前に建つ頃にはすっかり光の頭の中では算段
が付いていた。
光「申し訳ありません」
事務「はい、何でしょう?」
光はいきなり校舎の中には入らずまず事務窓口に行った。転入の手続きはもう済ませ
てあるから、生徒用の入り口からいきなり入ってもいいのだが、それでは足利学園生
徒会に於ける自分の地位がありきたりのものになってしまう、ここは副生徒会長の細
川藤子と親密な仲であると言うことを学園の人間に示しておきたい。少々あくどい手
だが、よそ者がき足を展ばすにはこの程度のはったりは仕方ない。
光「これを一年の細川藤子さんに渡してくれませんでしょうか?」
事務「はぁ?失礼ですが、貴方はどちらの方でしょうか?」
事務員は少し光のことを不審に思ったが、副生徒会長の名前が出たので慇懃にそう尋
ねる。
光「それは藤子さんにこれを渡して頂ければ、藤子さんならばわかりますので……」
無用な秘密主義だが、秘密というのは得てして人物に得体の知れない大きさを感じさ
せる。これも光の小細工の一つなのだが、事務員は光の曰くありげな態度と、怜悧そ
うな面差しにすっかりその小細工に引っ掛かってしまった。もう一度光の顔を見直す
と、いそいそと手紙を届けるために事務室を出ていく。光の手は、当たったと言って
いい。
事務「藤子様、見慣れない人がこれを藤子様にお渡しするようにと来られたのです
   が……いかが致しましょう?」
藤子はその時茶道部の部室で和田駒栄(16歳)を相手にお茶を点てていた。
藤子「……」
藤子は無言で駒栄に礼をすると、つと立ち上がって茶室へ入ってきた事務員の方へ静
かに歩み寄り、つとまた静かに座った。
事務「……これです」
藤子はその手紙を受け取り丁寧にそれを開くと、じっとその手紙を見つめる。と、み
藤子の薄い頬の下にみるみる朱がさした。
駒栄「藤子様、何のお手紙でしたか?」
さっきからその様子を見ていた駒栄が、好奇心を起こしてそう聞いてきた。どうもそ
の口調からして、藤子にとって唯ならぬ人からの手紙とでも思っているらしい。本
来藤子に宛てられた手紙だから、駒栄に見せる必要など少しもないのだが、藤子はそ
う思われても困ると思ったのか、何も言わずに手紙を駒栄に渡した。
駒栄「よろしいのですか?」
駒栄はちょっと遠慮する振りをしたが、やはり振りだけですぐに手紙を受け取ってそ
れを開く。
駒栄「これは……」
見た瞬間、駒栄は絶句した。

 去年の暮れ閨に語りし湊川 また睦語り曉にせむ

そして一拍を於いて、ちょっと苦笑いして言う。
駒栄「露骨な歌でございますね」
意味は、去年の暮れ寝室で語った湊川の事を語りましたね、また寝室で語り明かし
て、夜を朝にしてしまいましょう。と言ったところか。どうも調べが整っていないの
は仕方ないとしても、ここまで露骨に「また一緒に寝ましょう」と言うことはないだ
ろう。しかも解らないのは、これ程の歌を(出来のことではない)、おいそれと他人
に見せてしまう藤子の心事だ。
駒栄(何を考えておられるのか……)
訝しく駒栄が思っていると、藤子は懐から筆立てと短冊を取りだし、さらさらと返歌
を書いた。駒栄はいけないかなと思いつつも、藤子が別段それを隠す素振りもないの
で、つい後からのぞき見る。

 我が恋はむなしき空にみちぬらし 思ひやれども行く方もなし

駒栄(まあまあ……)
これまた駒栄は驚かざるを得ない。藤子の書いた歌は、藤子が詠んだものではなく古
今集からのものだ。だからこれも歌の出来に驚いたのではない。
藤子の詠んだこの歌の意味は、私の恋は何ない空に満ちてみたいです。思いを追い
払っても、どこにも行くあてはない。
と言ったところである。和歌にはこの種の美的誇張が多いが、それでも現代人の藤子
が送るにしては強烈な表現と言っていい。
駒栄「これは、あてられているのかしら?」
だから駒栄はまた苦笑いするよりなかった。しかし、普段から無口ではあるが、今も
藤子の表情にはいささかもふざけたところがない。その表情を見て、駒栄も多少軽薄
な苦笑いを引っ込める。
藤子「これを……」
藤子はそう言って事務員に短冊を渡した。
370 ◆0xknNOBU :02/02/26 22:54
えー、あんま書けてないですけど一応。

んで、藤子の設定なんですが、ちょっと某ゲームと被ってるところが多かったんで
こちらで勝手に削ってしまいました。すんまへん(´Д`)
371足利学園:02/02/27 03:43
凄いです。自分の考えてた明智光そのままな感じです。
ただ光は冗談が通じない人物なのでどうしてもシリアスな内容になりますね。
今までとは毛色の違う内容なんで新鮮です。
えー藤子はまんま某ゲームのパクリなんで設定はどうぞ削ってください。
ただ無口なキャラがあんまりいなかったので考えました。
続きも期待してます。
実在しないアニメやゲームの女の子が好きな奴がいるんだって。
ガキならまだしも、いい歳した大人にも存在するそうな。
マジ、キショイって!!
俺の彼女もキショイって言ってた。
どう考えても、生身の女の方がいいに決まってるじゃん。
女の子は肌触れ合えてこそ価値があるんじゃん。
コピペご苦労
えーとエロパロ板に出張版立てていい?
元美×氏子が書きたい。
375無名武将@お腹せっぷく:02/02/27 18:53
よくわかんねーけどいいんじゃないの?
376無名武将@お腹せっぷく:02/02/28 01:21
半角の住人たちはすごいな。
新作の数美にはめちゃくちゃ萌えたよ。
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ごめん、ちょっとテスト。
379無名武将@お腹せっぷく:02/02/28 17:21
更新止まってる?
380374:02/02/28 17:41
出来れば三河編作者のNOBU氏の
お許しが欲しいんだが……
返事くれー
381 ◆0xknNOBU :02/02/28 20:54
どんどん書いて下さい。
>>381
よしゃー。
じゃあ二日後あたりをめどに。
無職の力を見せてくれん
 本山高校を降してから約十日後。
 土佐学園支配地域東端の田舎道で、一人の女の子が驚きの声を上げた。
隼人「あっ、俊江さんじゃないですか!?」
 前を歩いていた長身の女性が振り向く。
俊江「ああ、隼人。奇遇ね」
隼人「ですね〜。ところでどうしたんですか、せっかくのゴールデンウイークに、
   こんなところで?」
俊江「こんなところ、と言われても。うちの家、この近くだし」
隼人「ありゃ、それは失言でした」
俊江「まぁ、負けといてあげる」
 吉田俊江は、ちみこい福留隼人の頭をぽむぽむと叩いた。傍目には、仲の良い
姉妹の様に見える。
俊江「友達ん家にCD返しに行っててね。あんたこそどうしたの?それこそ、こ
   んなところで」
隼人「ぢつは出稽古の帰りなんですよ。ちょっと行ったところに、父さんの知り
   合いの道場がありまして」
 来た方角をちょいちょいと指差す。
俊江「相変わらずの空手バカね。それにしても寒くないの?半袖半ズボンで」
隼人「心頭滅却すれば火もまた涼しです。見てください、この健康的な脚線美」
俊江「マセ餓鬼」
隼人「将来はナイスバデーになって、姫姉さまを悩殺です」
俊江「・・・」
隼人「なんで黙っちゃうんですか?」
俊江「どう突っ込もうかなと思って・・・」
隼人「女同士でも愛があればっ!」
俊江「それ以前に、将来ナイスバディー?」
隼人「あ、ひどい」
 わいわいと二人歩きながら喋っていると、隼人が急に立ち止まった。
隼人「あれ?俊江さん、俊江さん、あの人達何やってるんでしょう?」
俊江「ん?」
 見ると、道の脇に設置してある無人の野菜販売所に、10人ばかりの女子高生
と思しき集団が群がっている。手にした大きなバッグに、トマト、キャベツ、大
根等、お百姓さんが精魂込めて作った農作物を詰め込んでいる。
 さんざん詰め込んだ後、一団はお金を払った様子も無く、立ち去ろうとした。
俊江「まったく・・・。ちょっと、あんた達っ!!」
 俊江が立ち塞がる。少しぎょっとする女子高生達。その制服に、俊江は見覚え
があった。
俊江「ん?あんた達、安芸商の?」
  「なんだよ、てめえは」
  「引っ込んでな」
 相手が二人だからか、強気に出る。野菜を抱えながら。
 安芸商業高校は土佐の東に位置し、支配地域が土佐学園と隣接している。土佐
学にとって、東の脅威であった。
俊江「こんなとこまで来て、かつ上げや喧嘩ならまだしも、野菜泥棒って。こっ
   ちが悲しくなるわね」
  「やかましいっ!」
  「お前にゃ関係ないだろが。怪我しないうちにどっか行きなっ!」
俊江「関係無いって事も無いのよ。このあたりが土佐学園の島だってのは、知っ
   てるでしょ?」
  「ふんっ、それが?」
  「知ったことか」
 冷静な俊江とは対照に、相手は益々ヒートアップする。
 俊江は薄く口元に笑いを浮かべた。
俊江「土佐学園三年、吉田俊江。残念だけど、見過ごすわけにはいかないのよ」
  「何っ!?土佐学の吉田っ?」
  「長宗我部の懐刀!?」
俊江「分かったでしょ?長宗我部の領内を荒らされて、黙ってるわけにはいかな
   いの」
  「あの先代長宗我部の参謀・・・」
  「長宗我部国子とできてたとも聞いたわ」
  「じゃあ、隣にいるチビは娘か?」
隼人「むぅ、チビとは失礼なっ」
俊江「どこに突っ込んでるのよ。それに国子様とは何もないわっ。ともかく。そ
   のバッグに入ってる野菜を戻すか、代金を払うかしなさい」
 逸れ始めた話を軌道修正する。
  「よりによって吉田とは」
  「土佐学の中でも、吉田、久武、谷の三人は、喧嘩で負けた事無いって聞く
   わよ」
  「ちょっとどうするのよ!?」
 二人を前に、安芸商の娘達がぼそぼそと相談を始める。
  「でも、相手は二人だし」
  「小さいの除けたら10対1よ」
  「これなら、いくら吉田でも・・・」
隼人「なんだか、やっぱりな雰囲気になってきましたね」
俊江「そうね」
  「10人でかかれば勝てるわよ」
  「土佐学に後ろを見せたとあっては、安芸商の名折れ」
  「よしっ、じゃあやるよっ!!」
隼人「どうやら決まったようですね」
俊江「結構早かったわね」
隼人「「たたかう」のコマンドにカーソルが合ったみたいです」
俊江「隼人、三人ほどお願いね」
隼人「分かりましたっ」
 隼人は元気良く頷いた。
  「よしっ、いけっ、みんな!!」
 ほぼ全員が、一斉に俊江に襲いかかる。中の一人が、小馬鹿にしたような笑み
を浮かべ、隼人に近付いた。
  「お譲ちゃんは大人しくハゥ・・・」
 言葉の途中で、体をくの字に折り悶絶する女生徒。
 電光石火で、隼人が鳩尾に正拳付きを叩き込んだのだ。
 まさに一瞬の出来事。だが、それに気付いた他の女生徒の顔が、怒りの色に染
まる。
 「この餓鬼が・・・」
 そこまで言った次の瞬間、膝関節に下段蹴りが炸裂し、その生徒も脆くも崩れ
落ちた。
 その勢いのまま、予想を越えた出来事にあっけに取られていた近くの生徒の顎
を蹴り上げた。
 これで三人。
 「舐めやがって」
 さらに一人が向かってくる。指の間に剃刀の刃を挟んでいる。
隼人「ちょ、ちょっと、今時剃刀持ってるスケ番なんているの?」
 さあ?
  「ごちゃごちゃうるせえっ!!」
 シャっと閃光が斜めに走る。さすがの隼人も、刃物の煌きに一瞬身が竦んだ。
 音も無く、心臓上から右脇腹の裾までTシャツが切れる。
 痛みは無い。が、
隼人「うひゃあっ!?」
 隼人は、ゆっくり胸の前で開いていくシャツを、慌てて抑えた。小学六年にし
ては発育不足な体だが、やはり恥ずかしいのか、必死で見られまいとする。
隼人「ううぅ、よくもやったなぁ、あっ」
 隼人が見たものは、剃刀の刃を手にこちらを窺うその女の後頭部を、思いっき
り殴りつけた俊江だった。
 女生徒は低く呻いて、前のめりに倒れこんだ。
俊江「大丈夫、隼人?」
隼人「俊江さんっ!?」
 見れば、俊江に向かった六人は既に倒れ伏している。隼人は目を丸くした。
隼人「もうやっつけたんですか?凄いや」
俊江「それより、切られたところを見せてみなさい」
 しゃがみ込み、切り裂かれたTシャツを捲る。
隼人「わっ、俊江さん!?だ、駄目ですよ」
俊江「じっとしてなさい」
 ぴしゃりと言う。
 つつっと、少し膨らみかけた胸の上から脇腹まで、服の切れ目に沿って指を這
わす。
隼人「ひゃぅ!?」
 くすぐったさと羞恥で、顔を朱に染める。
俊江「ふう、どうやら切れたのは服だけのようね」
 安堵の溜息をつく。シャツを下ろして肌を隠すと、自分の上着を一枚脱いで隼
人に掛けてやった。
隼人「すみません」
俊江「いいって。それより、これどうしようかしら」
 転がっている女達を見ながら言う。
隼人「このまま放っておいて、いいんじゃないですか?」
俊江「・・・それもそうね。じゃ、帰りましょうか」
隼人「はいっ」
俊江「あ、その前に・・・」
 安芸商の生徒達が持ってたバッグを掴む。ずっしりと重い。開けてみると、中
には色とりどりの野菜が入っている。
俊江「ちゃんと戻しておかなきゃね」
隼人「そうですねっ」
 二人で無人販売所に運ぶ。そうして全て元に戻した後、二人は現場から立ち去
った。
 
 土佐中央の土佐学園と東部支配の安芸商業高校。いずれ激突必死ではあったも
のの、この事件をきっかけに、逆恨みに近い形で、安芸商の対土佐学園感情は急
速に悪化することとなった。
ちょっとロリ入ってるんで、引いちゃった人は脳内あぼーんでお願いします。

それにしても、キャラ立てるのって難しいね。ろくにキャラ設定考えずに勢いで始めた
から、苦しいッす。こういうの書くの初めてなんだけど、勉強になります。

>>357
「静かなるドン」は名前はしってるけど、読んだことないんです。

>それプラス近藤組長の「野生の本能」って言う、激怒したときにだけ出る
>本気みたいなのがあればより元親にも近いとか。

そういうのも良かったかなあと、今更ながら思ってみたり。
上手く書くのが難しそうですが。楽な方に逃げちゃったなあ。
>>386
いやーこういうライトノベル風なの好きな奴は
総じてロリコンじゃないっすか?オレモナー

三国志に比べてファンの分散してる戦国の、
向こうにはない強みつーことでサイドストーリーはよござんすな。
隼人にも若干愛着が湧いたりして。
388303 ◆DRnobuKo :02/03/02 00:47
サイト制作は大幅に遅れております。ドキュメンテーション作りとか
どうでもいいところに時間を割いているもので。
待って頂いている方々には大変ご迷惑をお掛けしております。

で、サイトタイトルシンプルに「信子ちゃん」でもいいんですが
尾張学園だけでもないですしタイトルから「戦国武将を美少女化した
小説」ということを連想できる人も少ないと思うのでもう少し
的確に内容を表現できるようなタイトルありませんか?
今のところこちらではいいタイトルが思いつきません。募集中です。
389無名武将@お腹せっぷく:02/03/02 02:53
一たん上げとくか
390無名武将@お腹せっぷく:02/03/02 02:58
まんま『戦国少女』とか。
ロゴデザいかんによっては
それなりに決まると思うけど。
391無名武将@お腹せっぷく:02/03/02 03:14
「美少女戦士セーラー木瓜」
一般誌で漫画化してほすぃ。
モーニングあたりで。
393無名武将@お腹せっぷく:02/03/02 04:49
蒼天航路の後釜?
だれか島津書いてくれ兄弟多いからたくさんかけるYO
島津4姉妹のレズプレイ ( ;´Д`) ハァハァ
できれば希望として
小学・中学・高校生と年齢差をつけて欲しい
あと○子っていうのはかなり出てるのであまり使わないでほしい(萌える名前が良い)
395無名武将@お腹せっぷく:02/03/02 05:03
宇喜多秀家「うっき〜、です〜」
毛利も3姉妹で( ;´Д`) ハァハァできるがそうすると尼子との争いが…
397無名武将@お腹せっぷく:02/03/02 07:09
信子ちゃんの野望〜萌え萌え版〜
光は事務員から藤子の短冊を受け取ってその上にさっと目を走らせると、転入初日で
あるにもかかわらず、この日は授業をエスケープしてそのまま帰ってしまった。
駒栄「では、その方は帰ってしまわれたのですか?」
事務「はい」
駒栄「それで、何か託は?」
事務「いいえ何も……あの、いけなかったでしょうか?」
事務員の女の子は不安そうな表情で駒栄に聞く。
駒栄「いいえ、そんなことは有りませんよ」
駒栄はそう言って事務の女の子を安心させ、彼女を退室させた。
駒栄「藤子様、いったいその文の方は、どのようなお方なのです?」
事務の女の子が去ってから、駒栄は藤子にそう聞いた。先ほどから、藤子は報告を横
に聞きながらも、まるで興味は無いといった風情で、一人点茶の動作を続けている。
その挙措の一つ一つが、すでに足利家に仕え数代を経た細川家の令嬢として、鴨川に
磨かれた石畳の如く雅やかに洗練されていた。
駒栄「藤子様」
だがその挙措というのも今は関係ない。駒栄は藤子の優雅な動作に、優雅であるが故
に少し苛立って言う。
藤子「……いずれ」
しかし、藤子は少しもその動作の優美さを崩さず、それだけの小さな言葉を吐き出し
た。
藤子「……どうぞ」
そして、自ら点てたお茶を駒栄の方へ差し出す。駒栄は藤子の言葉には不満足だった
が、仕方なくその茶碗に手を伸ばし、作法通りに飲んだ。
駒栄「結構なお点前で」
そしてこれも作法通りにそう言うと、藤子は指をついて礼をした。

輝子「藤子、今日は茶の席でおかしな事があったそうだな?」
会長席に座った足利輝子は、長い髪を形の良い指で弄びながら茶会を終え生徒会室に
出向いてきた藤子にそう聞いた。足利学園現生徒会長であり、教育委員会幕僚府総監
でもある18歳の輝子と藤子は個人的に友好があり、同時に藤子の細川家は代々足利
家に仕えてきた家でもある。当代の当主二人は、二つの紐帯で強く結ばれていた。
藤子「……」
黙って藤子は傍らの駒栄に目をやった。
駒栄「いいえ、違いますわ。私はずっと藤子様と一緒におりましたでしょう?」
輝子「さっき事務の人間が知らせに来たのだ」
藤子の疑問を、輝子はそう言って解いてやる。
輝子「藤子が茶の席でおかしな手紙を受け取って、その直後顔を真っ赤にしていたと
   ね。そうそう、知らせに来てくれた子は、あれは恋文だったのではないかと自
   分の推理もしていってくれたよ。どうも、そうだとすると椿事だな。清楚可憐
   で絢爛優美、おまけに才色兼備と、後は何があったかな?まあいい、要するに
   それだけの美質に恵まれた君に、ついに恋人が出来たってのは非常に興味深
   い。出来れば、どんな男性なのか私にも教えて貰いたいものだ」
藤子「……」
輝子「おや、言いたくないかい?私にも?」
輝子は何も言わない藤子の顔を覗き込み、からかうような口調でそう言う。
藤子「……違います」
輝子「違う?じゃあ教えてくれよ。友達のことだ、知っておきたいものじゃない
   か。そうだ、何かの時は相談に乗って上げられるかも知れないしね」
輝子は誠実そうな顔を作ってそう言ったが、どうも目の光を見る限りは、単に好奇心
からのようだった。
藤子「そうではありません……手紙のくだされた方は、光様は、男性ではなく女性な
   のです……」
駒栄「まあ……」
藤子の言葉に隣にいた駒栄は驚きの声を上げ、輝子は藤子の言葉に目をぱちぱちとさ
せる。それから輝子は、暫く藤子の顔をまじまじと覗き込んだ。余り近くに顔を寄せ
られたので、思わず藤子の顔が赤くなる。
輝子「はは!こりゃびっくりだ!藤子は女の子の方が好きだったのかい!?」
藤子「違います!」
藤子は、珍しく大きな声をあげてそれを否定する。
輝子「違う?」
藤子「……違うというのは、光様は恋人ではないと言うことです……」
が、すぐにいつものような小さな、秋に鳴く虫の音のような声に戻った。
輝子「そうか、まあ、藤子に恋人が出来るはずもないしな」
心なしか嬉しそうな声で、輝子は藤子に言った。しかしそうなると、疑問に残るのは
光という人物が何者なのかと言うことと、その人物が藤子に宛てた手紙は何なのかと
言うことだ。むろん、輝子としてはそれも知りたかったが、事が藤子のプライベート
のことでもあるし、他人の手紙を見せてくれとも言えない。
藤子「……どうぞ」
と、しかしそんな輝子の心中を察したのか、藤子は懐に入れていた光からの手紙を取
りだして輝子に渡す。
輝子「この手紙、藤子宛の物だろう?私が見てもいいのか?」
輝子はちょっと意外の感にうたれてつい聞き返す。そんなことを言ったが、本心を言
えば見たくてしょうがない。
藤子「……恋文ではありませんから」
先程のやり取りを根に持っているのか、藤子は少し当てつけるような声でそう言っ
た。
輝子「見て良いのなら、遠慮なく見させて貰うよ」
しかし、貴種に生まれたせいか、或いは生来の性質か、輝子には皮肉の類は通じな
い。すっと手を伸ばし、藤子から手紙を受け取るとすぐにそれを開いて目を通す。別
に手紙をすり替えるなどの小細工はしていないから、書いてあるのは例の歌だけであ
る。輝子は少しの間手紙を見つめ、それからさっきとはうって代わって神妙な表情を
して藤子の顔を見つめた。
輝子「これは恋歌ではないね。いや、厳密には歌ですらない」
藤子「……はい」
輝子の下した断定に、藤子も逆らわず同意する。
駒栄「歌ではない、とは?どう言うことなのでしょうか?」
一人わけの分からない駒栄が、堪りかねて二人の会話に割り込んだ。
輝子「そのままの意味だ。この手紙に書かれているのは、歌ではなく別のものだ」
駒栄「……私にはまだよく解りませんが……?」
輝子「この、一見歌らしく書かれているものをみてみろ。これを歌としてよもうとす
   れば、去年の暮れに湊川の話をした、と言う主旨と、一緒に寝ましょう、と言
   う二つの主旨が入っている。そのせいで本来一つたるべき上の句と下の句がバ
   ラバラになってしまっている。これではとても歌とは言えまい」
駒栄「そうなのですか?私、そちらには疎いもので……」
輝子「それだけなら詠み手が下手なだけかもしれんが、この湊川と言うのが気にな
   る。言うまでもなく、我が足利家の故地だ。そして藤子が言った通りこれが恋
   歌でないとすれば、察するに暗号だろう。違うか?藤子」
藤子「……暗号と言うほどではありませんけれど、まず、お心の通り……」
藤子は輝子の言葉を受けてそう答える。輝子はその言葉に肯き、更に続けて言う。
輝子「で、何と読むんだ?」
藤子「……こぞの暮れは、私が光様に初めて出会った時と同時に足利政権の暮れ闇の
   ことでしょう。……湊川は、仰せの通り足利家の故地です。足利家を暗示する
   ためと、尊恵様が失地回復を成されたこの地になぞらえて、この暮れ闇を元の
   曉に回復しよう、と言うことです。……曉には、もう一つの意味もあります。
   光様は美濃明智家のご出身ですので、曉、つまり明けの光りと言う意味も含め
   られたのだと思います。……これだけは、私にしか通じませんけれど……」
輝子「すると、睦語りは君と睦み語ろうてこの足利家を再興する意志があるというこ
   とか?」
藤子「……そう存じます。……光様は足利家を敬うこと篤くございますから」
輝子「……ふむ」
輝子は藤子の言葉を最後まで聞いてから、思案のていをして首を傾げた。指に絡みつ
けた髪は、なお十重二十重に重なり合い、多段の滝のように流れ机の上に落ちてい
る。
輝子「それで、藤子はなんて返事をしたんだ?」
そしてふと思いついたようにそう言った。
藤子「……」
藤子は何も言わず、また胸元から短冊を取りだし、さらさらとそれに歌を書き付け
る。書かれたのは、光に宛てたのと同じものである。輝子はそれを受け取り目を通し
た。
輝子「古今か……」
歌の知識は藤子ほどではないが、輝子にもそれぐらいは見当は付く。一度読み、蒙一
度頭を捻って読んだ。これは恋歌だが、藤子はこれを明智光とやらに恋歌として送っ
たのではないだろう。とすると何か別の意があるはずである。と、頭を捻ること自体
が、既に光の予想したとおりの効果であった。時間をかけ、頭を捻らせ、このように
して勿体つけられてから会う人物というのは、心の中で労力に合うだけの人物であっ
て欲しいという気持ちが生まれる。無論、無能で有れば落胆は大きいだろうが、有能
で有れば本来の人物以上に大きく見えるだろう。光には、有能であることの自信は有
り余るほど有った。
輝子「……解けたように思う。再興の想いはあるけれども、私には方策がない。そう
   意味したと読んだ。当たりか?」
漸くはじき出した輝子の答えに、藤子はこくりと肯いて報いた。
輝子「やはりか。しかし、明智光という者は、それ程信ずるに足るか?」
方策がないと手の内を晒す以上、藤子は光に方策を求めている。それに応えるだけの
力量が光にはあるのか?輝子はそう聞いているのだ。
藤子「……私がお会いした人の中で、光様ほどの人物はつい見果てません」
輝子「……藤子がそこまで褒めるとは珍しい。よし、信じよう」
輝子は力強くそう宣言した。それは後日明智光と対面すると言うことであり、その感
触如何によっては重責につかせるということになる。
輝子「ところで……」
と、輝子はにやりと笑って言う。
輝子「去年会った時は、閨の中で湊川を語ったのかい?」
藤子「……」
輝子の言葉といえど、流石に藤子はこれを黙殺した。
401 ◆0xknNOBU :02/03/02 09:21
あー・・・何かイマイチな出来。
あんまり書けてないし・・・

でも絵が増えたのは嬉しいですねー
自分で書いたキャラなのに普通に萌えます。
402 ◆0xknNOBU :02/03/02 09:27
追加

絵師の人に感謝。
泣きながら恵方を拝んで感激してます(w
403無名武将@お腹せっぷく:02/03/02 16:20
を、新作あがってるのに書き込みなし、以前より人減ったか?
あんまり反応ないと書き手もやる気無くしちゃうと思うぞ、続きも期待してますんで
404無名武将@お腹せっぷく:02/03/02 16:24
絵ならうpのたびに萌え〜とか言ってりゃ
いいからレスもつけやすいんだがな。
405無名武将@お腹せっぷく:02/03/02 16:39
そうだな、じゃあねた振ってみよう
俺は超脇役、本多櫻の元の武将が解からん、
三国志しか読まないって人にはこういうの多いと思うんだが、
元の武将ってみんな全部わかるの?
406無名武将@お腹せっぷく:02/03/02 16:50
>>405
本多は忠勝だろ。
元のキャラクター考えるとあの役回りは
榊原のほうがあってる気もするな。

元の武将っても、ときどきNOBUさん
あたりが異様に濃いネタ出すくらいで
そんなにマニアックな武将や逸話は出てないと思う。

本当にマイナーなやつはそれ相応の役割になってるし(w
407無名武将@お腹せっぷく:02/03/02 16:52
戦国分からないって人も多いみたいだけど、
三国志でいえば于禁あたりまでの知名度のやつしか出てないから
戦国関係スレ読むだけでもそれなりにキャラ学習出来るよ。
408無名武将@お腹せっぷく:02/03/02 16:59
するとあの意地悪な子が蜻蛉切りを振り回すのか
409無名武将@お腹せっぷく:02/03/02 17:09
>>406
名前から類推するに本多作左右衛門かと思ってた。
漏れもあの意地悪な子が忠勝ってのはイヤーソ。
410無名武将@お腹せっぷく:02/03/02 17:13
于禁・・・それでみんな女なのか(藁
ああ、作左右衛門か、何かそっちのほうがあってるような気がする
信長の野望やるとき大体最上もしくは長曾我部あたりでやるから
どうも近畿東海あたりには疎くなってしまうよ。
それでもこのスレは楽しくてイイ
412無名武将@お腹せっぷく:02/03/03 01:27
「ボケ大戦〜京は燃えているか?〜」<サイトなまえね。
413 ◆GroOvBoY :02/03/03 04:18
意外と関東三国志の辺りが埋まらない……。
という訳で職人さんに期待しつつネタフリなんぞを。

上杉さんは「影華」・「虎美」が出てますが個人的には無難に「景子」に一票。
で、最初は「長尾」姓で家庭問題(w)の為に後から「上杉」姓にチェンジ。
毘沙門天を信仰する硬派な女子高生(w
殺し文句は「私、男の方とお付き合いするつもりはございません」

武田のレディースの総代は「武田千晴」でいかがでしょうか?
躑躅ヶ碕女学館の百合の大将で、高坂昌(あきら)と公認のレズの関係。
校長である自分の母親をも追放する破天荒な性格……。

公立小田原女子を統べるのは生徒会長の北条康子。
基本的に争いは好まず、校内の風紀統制に心血を注いでいる。
しかしいざ戦いになれば、武闘派の北条成子(せいこ)と風魔小夜を駆使して戦う。
その力は武田のレディース軍団も追い返す程とも(深追いして返り討ちにあったり……

脳ミソ寝てるのでまともな物がでてこなくてスミマセン。
職人さんに大いに期待age>自分で書けや
414無名武将@お腹せっぷく:02/03/03 05:18
>>413
おう、自分で書けや。既にあがってる設定をそこまで
微に入り細に入り否定するならばな!
ていうか本当に書くのだ。
地元意識の薄さから関東はこれからもずっと手付かずな気がする……
415 ◆GroOvBoY :02/03/03 05:47
>414
ガ━━Σ(゚д゚lll)━━ン
個人的意見で「こんな感じはどうでしょう?」という事でネタフリしただけですが……。
前の設定は否定はしませんです。>413は自分で妄想するならこうするかなぁ……という事で。

先の神々ならびに>414にお詫びしてsageで失礼します。
416無名武将@お腹せっぷく:02/03/03 06:47
製作中のサイトには武将←→キャラの対応表もあると良いね
いっぺんにやると大変だろうからおいおいで、どう?>DRnobuKo氏
417無名武将@お腹せっぷく:02/03/03 08:02
>>413-415
まぁまぁ、>>415は逝かずに生`。
こうやってみんなで設定を小出ししあって、出てきた設定のうち使えそうなものを
職人さんが取捨選択して使えばいいだけだし。
つーか>>415もできれば書いてね。新規の職人さんの参加は大歓迎よん。
>>374
エロパロの方はどうなったんだ?
もしちゃんと立てるのなら半角二次の方にも報告しとけば
絵とか描いてもらえるかもよ?
皆、半角二次の方にも逝ってる?
ちょっとは顔出してリクとかしないと向こうもdat落ちしちゃうよ
反対に、半角二次の人もこっちでROMってるだけじゃなくて
意見とか感想とか書いてホスィ
エロパロにも擦れ立ったら3板同盟で盛り上げませう(w
420無名武将@お腹せっぷく:02/03/03 14:27
「戦国学園信子ちゃん」
なんか信子ちゃんと入ってないとぴんと来ない
やはり信子ちゃんから始まったスレだしね
>>418
いや、立てるために最初に書いてたやつが
保存し忘れててフリーズで飛んで、
今まで放心してた。

まあ気長に行こう(自分で言うことじゃないが
「信子タンの野望 〜美少女血風録〜」
それだ!
俺もそれに1票!
ビビッとキタ!!
>>422
俺もそれがいい。
でも「タン」より「ちゃん」がいいな。
激しく遅レスだが、もしかして>>34
ウォルター・スコットの「最後の吟遊詩人の歌」が元ネタですか?
この板でお目にかかるとは思わなかった。(・∀・)イイ!!
426425:02/03/03 17:48
あれ?勘違いだったようだ。
しかし文体が似ている…
      _」___|_                
      |○-○|               
    ピ |/ψ\∂  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            
     カ |(=) /  <  定期的に向こうのURLを貼っていただくと助かりますな!
     ッ  `‐´    |  http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1013278277/
              \___________   
尼子の作者さーん、神が尼子の絵描いてくれることになったーよー!
俺の主食はテキストなのであなたにはこれを機にガンガン書いてもらいたい!
ぴかっ!
尼子主従完成あげ
430無名武将@お腹せっぷく:02/03/03 19:12
からあげ・・・
431無名武将@お腹せっぷく:02/03/04 03:33
ついに氏子×元美が
 ゴールデンウィーク明けの放課後。ここは土佐学園生徒会室。
 授業も終わり、生徒会長の元子を取り巻く面々が集まっている。
俊江「という訳で、安芸商が報復に出る可能性もあります。姫さまも、十分注意
   してください」
元子「うん、分かりました。あっちの方は俊江さんの家があるんだよね?俊江さ
   んこそ、気を付けてね?」
俊江「ええ、そのへんは抜かり無く」
元子「隼人ちゃんも無事で良かったよ」
貞子「隼人ちゃん、強いからね〜」
泰子「それにしても、小学生に向かって刃物を使うなんて、酷いですね」
 横で話を聞いていた、吉良貞子と香宗我部泰子が口を挟む。
元子「ね、危ないよね」
 妹二人の言葉に、元子は大きく頷いた。
泰子「でも、何でわざわざ野菜なんか盗みに来たんでしょうね?」
貞子「ほら、きっと無農薬野菜を持って帰って、売るんだよ」
泰子「まさか・・・」
貞子「アルバイトの代わりなんじゃないかな?」
俊江「まあ、実際それもあるのかなと思いますけどね。もう一つ、あの一帯はも
   ともと安芸商の支配下にあったんですよ。随分前に国子様が奴らを一掃し
   たんですが、それに対する嫌がらせもあるでしょうね」
泰子「そうなんですか」
 泰子は、納得したように言う。
 元子もふんふんと聞いていたが、ふと周りを見渡した。
元子「そういえば、澄香さんは?」
千佳「・・・家の手伝いで帰りました」
 窓際で本を読んでいた久武千佳が、僅かに顔を上げて言った。話に加わってな
かったものの、一応聞いてはいたようだ。
元子「そうなんだ」
俊江「今回の件、澄香には後で言っておきます。ところで姫さま」
元子「なあに?」
俊江「来週の全校野外実習の行き先を、生徒会として今日までに決定しなくては
   ならないのですが」
元子「あ、それなんだけど。さっき貞ちゃんと泰ちゃんと話し合って、決めてお
   いたの」
 えへん、と元子が胸を張る。貞子も胸を張る。泰子がちょっと溜息をついた。
俊江「・・・どこなんですか?」
 泰子の様子に一抹の不安を感じながら、俊江は尋ねた。
元子「八流(やながれ)臨海公園」
貞子「なのだ」
俊江「・・・もう一回言ってください・・・」
元子「去年できた八流臨海公園。海沿いのすっごく綺麗なとこなんだよ。俊江さ
   んも知ってるよね?」
 嬉しそうに言う。
俊江「姫さま・・・」
元子「なぁに?」
俊江「却下です」
元子「え゛!?」
 思いがけない俊江の強い口調に、元子が言葉を失う。
俊江「いいですか、姫さま。あそこは安芸商の領域内なんですよっ!?しかも、
   安芸商の報復があるかもって言ったそばから、何でそんなに嬉しそうなん
   ですかっ!?」
元子「で、でもアンケートしたら、みんなあそこが良いって」
貞子「クラスの娘達も、行きたいって・・・」
 怒りの俊江に元子がおずおずと答える。貞子も怯えて、トレードマークのおさ
げ髪がふるふる震えている。
泰子「私も反対はしたんですけど。ただ、中等部でも圧倒的に人気なのが、八流
   公園なのも事実でして」
 泰子は土佐学園生徒会の中等部代表である。中等部でもアンケートをとった結
果、やはり高等部と同じ結果だったらしい。
俊江「・・・」
 俊江は黙り込んだ。確かに気持ちは分からないでもない。大型ショッピング
モールを背後に持ち、水と緑の美しい臨海公園は、地元の情報誌などでもしょっ
ちゅう取り上げられる。
 土佐学園の生徒にとっての不運は、場所が安芸商業及びその傘下高校の支配地
区にある事だ。少人数で行ったら、いつ難癖つけられるか分からない。今回の野
外実習は年に一度の全校規模のものだから、皆で行けば怖くないの思いが働いた
のだろう。
元子「あの、私が安芸商業高校の生徒会宛に手紙書くから」
貞子「私も出来る事があるならやるの」
 二人とも必死だ。やはり一度は行ってみたいのだろう。
 俊江は黙ったままだ。二人の懇願を耳にしながら、そのまましばらく何か考え
ていたようだが、やがておもむろに口を開いた。
俊江「分かりました」
元子「いいのっ?俊江さんっ」
貞子「俊江さん、優しい〜」
泰子「いいんですか!?」
 俊江の怒り具合からみて、簡単に了解が得られると思っていなかったのか、三
人そろって声を上げた。
俊江「まあ、良いでしょう。人数も多いですし、滅多な事も起こらないと思いま
   す。今回は姫さま達の意見を、生徒会の決定としましょう」
元子「俊江さん、ありがとうっ」
俊江「どういたしまして。それより、行き先が決まった事を先生方に伝えなくて
   はなりませんが・・・」
元子「あ、じゃあ私が行って来るね」
貞子「姫姉、私も行く〜」
泰子「私も中等部代表ということで、一緒に行きますね」
俊江「それではお願いします」
 元子と貞子がスキップせんばかりに出て行くのを、泰子が追う。今までの喧騒
はどこへやら、生徒会室は静寂に包まれた。
千佳「・・・良いのか?」
 ずっと本を読んでいた千佳が問うた。付き合いが長いため、俊江に何か思惑が
あるのが分かる。
俊江「まあね。ちょっと考えがあるの」
千佳「・・・そうか」
 それだけ言うと、また本に目を戻した。余計な事は聞かない。俊江が大丈夫だ
というからには大丈夫だろうという、信頼がある。
 俊江もそれ以上は何も言わなかった。
 
 しばらくして、先生達の許可を得て嬉しそうに三人が帰ってきた。本日生徒会
で決めなくてはならない事は終わったので、少し雑談した後、五人は生徒会室を
後にした。
 夕暮れ。土佐学園そばの喫茶店で、二人の女性が向かい合っている。
 先程学校を出た吉田俊江と、もう一人は生徒会室に顔を見せなかった谷澄香だ
った。何故か朱色の袴が映える巫女服を着ている。時々物珍しそうに客がこちら
を見ていくが、本人は別段気にした様子も無い。
澄香「そう、八流公園に決まったの」
俊江「ええ。ここで下手に反対したら、姫さまと貞子さまが二人でこっそり行き
   かねないかなと思ってね」
澄香「ふふ、ありえるわね」
 澄香が可笑しそうにコロコロと笑う。しかし、ひとしきり笑うと、ふと真面目な顔に戻った。
澄香「で、お優しい俊江様は、これを機会に何を企んでいるのかしら?」
俊江「あら、人聞きの悪い。私は姫さまのお願いだから泣く泣く・・・」
澄香「利より害が多ければ、例え相手が姫さまでも絶対に意を曲げない、それが
   吉田俊江でしょうに」
俊江「まったく、人を利害関係でしか物を見れない業突張りみたいに」
澄香「ある意味当たってるでしょ」
 何気にひどいことを言いながら、悪戯っぽく笑う。
澄香「もういいでしょう。そもそもその事について私を呼んだんでしょう?」
俊江「やあね、付き合いが長いと。千佳も何か感づいてたみたいだけど」
 俊江はわざとらしく肩を竦めた。
俊江「今回のこと、ちょっとしたチャンスだと思っているの。うちはいま、本山
   高を完全に降して、勢いではどこにも負けてないわ。姫さまの変な噂も相
   まって、周りの高校はうちらの動向に神経を尖らせてるはずよ」
澄香「戦うか、それとも傘下に加わるか、ね」
俊江「そう。現在土佐は、中部は土佐学、西部を一条学園、東部を安芸商で、ち
   ょうど三国鼎立の状況にある。うちらは決して一枚岩ではないけど、それ
   はどこも同じ。機を見て寝返る高校が出ることは、十分考えられるわ」
澄香「ええ」
俊江「そこで、今回の野外実習を利用することにしたの。土佐学園の中等部高等
   部含めて全生徒が押し寄せて来るって聞いたら、果たして安芸商配下の高
   校はどう思うでしょうね」
澄香「全校生徒二千人か。確かにインパクトはあるわね。それをネタに、揺さぶ
   りをかける?」
俊江「大当たり。どのみち、ただの実習ですって言っても、信じはしないわ。ち
   ょっと情報を操作して、土佐学園来襲の噂を流せば」
 俊江は薄く笑って続けた。
俊江「必ず揺れるところが現れる」
澄香「なるほどね。その揺れを大きくしてやって、後は疑心暗鬼と内部崩壊か」
 少しあきれたように言う。
澄香「それにしても、すぐによくそんな事が思いつくわね。あんただけは敵に回
   したくないわ」
俊江「それ程でもないわよ」
 しれっと答える。
澄香「もし八流で攻撃をかけられても、数が揃ってるから危険は少ないしね」
 土佐学園は他の不良高校とは違い、普段真面目に学校生活や部活を行っている
生徒がほとんどある。長宗我部の号令の元、他校からの侵攻や大規模な喧嘩の時
だけ駆けつける(通称一領具足)。そのため、毎年の野外実習もすこぶる出席率は良い。
俊江「そう。私の考えは以上だけど、納得してくれたかしら?」
澄香「まあね。喧嘩をするわけじゃないから、姫さまも怒らないでしょう」
俊江「そう言う事。ところで、澄香。まったく話は変わるんだけど」
澄香「何?」
俊江「家の手伝いしてるところを呼び出したのは悪かったけど、その格好、恥ず
   かしくないの・・・?」
 澄香の巫女服を見ながら言う。さっきから周りの視線が気になっていたようだ。
澄香「別に慣れたわ。境内の掃除の途中で、着替えるのも面倒だったからね」
俊江「ねえ、一つ言っていい?」
澄香「・・・想像はつくけど、どうぞ」
俊江「なんか風俗・・・」
澄香「蹴るわよ」

 こうして、各人の思いが交錯する中、今年度の土佐学園全校野外実習を迎えることとなった。
435弐号機 ◆nuUmm9xE :02/03/05 01:18
…大浦氏なら誰も傷つかないかな…ぼそ
…でも大浦氏はマイナーすぎて判らないから書かないほうがいいかな…ぼそ
436長宗我部 ◆xaoo23us :02/03/05 01:19
 なんかもう、萌えとは違う方向に向かっているような・・・。すまんです。

>>387
俺はロリコンじゃないやい、と思いながらも、書いてて楽しかったです(w
>>435
いやー津軽衆が居たりするんだな。ここに。
人の世の縁の奇なるものよ。

つーか書いてくださいな。
マイナーだからとか変な遠慮をせずに書きたいことを書けばいいんだよ。
俺はわからないなりに楽しんでるぞ。
おかげで中国・四国地方にもちょっと興味が出てきたし(w
>>438
尼子から入る中国史というのは全く正しい(w
何ぞ書いてるうちにエロ色が強くなってしまいました。

エロパロ板のスレ勃ての動きが無いようですので、様子を見て私が勃てますか?
了承されれば明日(6日)の日中〜夕方頃に勃てようと思いますが。
スレ題・テンプレ案等ありましたら教えて下さい。
441無名武将@お腹せっぷく:02/03/05 04:19
立てるのはいいけど物がないと板住人に嫌がられるぞ
書きあがってからのほうがいいんじゃない?
スレタイ:信子ちゃんINエロパロ

http://curry.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1012282176/
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1013278277/
↑これ。上が本スレ、下が画像スレ。
俺の仲で妄想が爆発して止まらないの・・・
エロテキストを煩悩のままにぶちまけてください・・・
特に氏子タンと元美タンのからみを禿しくキボン・・・ハァハァ
>>441
で、これはその通りだね。
つってもみんな自分の興味あるスレしか覗かない
過疎板だけど(w>エロパロ
>>440
ちなみに誰を書いてるの?
おぢさんにコソーリ教えて貰えないかな?(*´∀`)
>>444
ウブな信子と道子様
446無名武将@お腹せっぷく:02/03/05 18:19
半角二次元に池田恒江タンの画像登場!
はああぁぁぁぁ!?
game鯖だけかと思ってたらpink鯖もdどる!
448小咄:02/03/05 20:40
尾張学園幼稚部の加藤清かちゃんは、中等部の木下秀美ちゃんのことが大好きです。
でも、秀美ちゃんは高等部の信子お姉さまに夢中で清かちゃんに見向きもしてくれません。
そこで清かちゃん、秀美ちゃんの注目を引くために一計を案じてみました


清か「見て見てー、秀美たまー!カワイイでしょぉー?」
秀美「う〜ん、いきなり〜、かなりリアルな虎の着ぐるみの幼女に〜、そう言われても〜どう反応したものだか〜」
清か「ぶー、清か幼女ないよぉー!!」
秀美「あら〜、ごめんなさいね〜、いきなりでビックリしちゃって〜。でも〜、良くできてるのね〜、それ〜」
清か「エヘヘ〜、そうでしょぉー?だってー、本物なんだよぉー」
秀美「え〜?でも確か〜、虎って〜?」
清か「うんっ!!勝手に輸入しちゃいけないんだって輸入商のパパに頼んだときに言われたよぉー!!
でもぉー、お風呂で一生懸命さーびすしながら御願いしたら真っ赤な顔してパパは
『パパ、清かタンのためなら何でもするよ!!だから向こう十年間一緒にお風呂入ろうねっ!!』
って約束してくれたのぉー」
秀美「あら〜、よかったわね〜」
清か「それでね、昨日パパが持ってきてくれて『絶対ナイショだよっ!!』って言われたんだけど秀美たまに見せるなら大丈夫だよね!!」
秀美「ええ〜、ワタシは密告したりしないけど〜、清かちゃん、家からその格好で来たの〜?」
清か「うんっ!!だって嬉しかったんだモン!!」


しかし、その姿が警官に目撃されてしまい、おかげで暫くパパはお家に帰ってこれなくなって、しかもそのパパの居ない間にパパとお風呂にはいることに嫌悪感を感じるようになる悲劇など、このときの清かには想像もつかないことなのだった。
<BR><BR><BR><CENTER><HR width=80%"></CENTER><BR><BR><BR>
駄ネタ失礼。
ストーリー性のあるモノは不可能なので(;´Д`) 

(´-`).。oO(こういう小ネタはアリなのだろうか・・・・
いろいろズレた・・・・鬱だスマヌ・・・・
450無名武将@お腹せっぷく:02/03/05 21:04
>>448
イイ
ワラタ
もっと書いてくれ
同じく幼稚部の政宗なんかがイカす
つうか漏れは北条に反抗した里見とか
微妙にマイナーな路線のが見たい。

尼子級のメジャーなら大内と陶の愛憎劇とか
453弐号機 ◆nuUmm9xE :02/03/05 23:20
>437&438様
ありがとーございます。出来上がったら見せますねっ
その日の夜、藤子は細川家のメイド松井雪(15歳)を明智光への使いとし自宅へ招
いた。散々足利家には勿体つけていた光だが、藤子の個人的な招きとあって、これに
は何の小細工も無く細川家にやってくる。細川邸は
光「本日は、お招きいただいてありがとうございます」
茶室へ通された光が、まずは藤子へ丁寧に挨拶する。
藤子「……他人行儀な事をなさらないでください……」
光「ごめんなさい。少し白々しかったかしら?」
軽い不満を鳴らした藤子に、光は微笑を浮かべて、今度はごく軽い口調でそう言っ
た。
藤子「……はい、去年の暮れ朽木谷の苫屋で語りあわせました日から、私と光様の間
   には如何なる繁文縟礼とて無用と、そう思うておりましたのが、一人藤子だけ   の自惚れでなければ……」
光「私も同じ思いよ。ただ久しぶりに会ったものだから、貴女の方が憶えていてくれ
  ているかと思って」
藤子「……」
光「ごめんなさい、また失礼を言ってしまったわ。あなたが忘れるはずないものね」
光は素直にそう詫びた。藤子はそれで光の事を許したのかどうか、ひとまず話を中断
して茶を点て始めた。
光(怒ったかな?)
光は多少不安だったが、茶を点てる藤子の優美な動作を妨げるのも憚られ、一まずは
その疑問を問うことを控えた。
藤子「……どうぞ」
藤子が茶を点て、光の方へそっとさし寄せる。光は一礼して碗をとり、作法どおりに
口をつける。が、如何なる点て方をしたものかすこぶる苦い。
光「……結構なお手前で」
たとえそうであっても光は作法通りそう言った。しかし、藤子はその言葉をさえぎっ
て言う。
藤子「……去年の暮れから京までの長旅、さぞ喉がお渇きでしょう。よろしく、お飲
   み干しあそばしてください」
光「……では、いただきます」
許してほしくば、この苦い茶を飲み干せという事だろう。光は渋面をつくりながら
も、ここは致し方無しと、とても飲めぬようなどろりとした緑色の液体を飲む。
光「結構なお手前で」
漸く飲み干し、目を白黒させながら光は言った。そして碗を静かにおくと、いつの間
に置かれたものか、コップに注がれた一杯の水が目の前に置いてある。光は急いでそ
のコップをとり、喉の奥に絡まっている苦いものを流し込んだ。
光「ふぅ……これで許していただけるかしら?」
藤子「……許して差し上げます」
光の滑稽な表情を見て、珍しく藤子はくすりと笑いそう言った。
光(どうも、藤子には敵わないわ。王城の地に磨かれた血というものかしら?)
思いつつ、いつまでもこんなことをしていても仕方が無いので、光は話を今日の昼の
出来事に変える。
光「私の歌、読んでいただけたようで」
裏の意味を読まれたからこそ光はここに居る訳で、これは事実の追確認に過ぎない。
藤子「……いささか、艶々しき謎掛けでしたけれど」
光「あれなら、万が一心知らぬものの手に渡っても、色に痴れた手紙と思われるだけ
  で住むと思ったの」
光の頭の中には、最近幕府を専横していると聞く三好、松永の徒輩が浮かんでいる。
藤子「……相変わらずの御深慮ですね。……ただ、私に浮名の立つとは考えてくれな
   かったのでしょうか?」
光「……ごめん、考えてなかったわ」
あまりにも正直にそう告白して、また苦い茶を飲まされるかと光は内心怯えたが、藤
子はまたくすりと笑っただけだった。
光「軽率だったかしら。細川家のご息女に」
かえって光の方が気をまわしてそう言う。
藤子「……やめてくださいご息女などと、今は零落して主人たる輝子様をも良くお守
   りできない身です。……それに」
光「それに?」
藤子「……光様となら、浮名を流すのも面白くございましょう」
光「これは……いいえ、私は名こそ光だけれど、とても源中将のようには出来ないわ
  よ」
藤子のからかいの言葉に、光は真面目な顔をしてそう答えた。藤子は何も言わなかっ
たが、手だれた者が見れば、僅かに含まれた含羞と落胆に気付いただろう。が、いか
に美濃の名族に生まれたと言っても光は所詮田舎者、京風の薄墨色をした恋の機微な
どは知らない。
藤子「……それで光様、こたび足利学園に来られましたのは、私を懸想してこられた
   のではないとすれば、何のお目当てがあっての事でしょうか?」
藤子は、ややきつい言い様でそう尋ねた。
光「ええ、貴女と別れた後諸国を訪ね歩き、足利家にとってこれはという学園を幾つ
  か見付けたわ。中国の毛利家、越前朝倉家、越後上杉家、わけても甲斐信濃を支
  配下に置く武田家は幕府創生の頃より縁が深く、生徒会長の武田千晴は広く世間
  に人物を認められた方よ。でも、越後上杉家がしきりと武田家を牽制するため、
  すぐには京へ来られない。然るに、駿遠三の三国を支配する今川家の義子は人物
  も優れ、甲斐武田、関東北条とも親縁の間。まずはこの今川と、京に近い越前の
  朝倉をして京に招き、足利家の藩屏として三好、松永を追い、然る後足利の名に
  おいて四方の争に争いを収めよと布告する」
藤子「……上手くいくでしょうか?」
光「上手くいくかどうかは、御家の運次第でしょう。幸い、私は朝倉家には多少の伝
  があるの、三寸腐乱舌を以って説けば、動かすことも可能だとおもうわ」
藤子「……もう一つ気にかかりますのは、例え今川、朝倉が京に入ったとして、それ
   で足利家の復権となるのでしょうか?三好、松永に代わって、今川、朝倉が専
   横しては何の意味もありません……」
光「それはあるわね。実は私もこの程度で戦乱を一挙に収拾出来るとは思いないの。
  でも、まずは京に足利家あり、と世間に知らしめることよ。その上で強虎相牽制
  させ、足利家はその力学の上に権威を保つ。それ以外、私には足利家の取る道は
  ないと思うわ」
光は、と思う、といいつつも、断定的な口調でそう言った。藤子にしても、零落著し
い足利家を再興するに、他に良い方策も浮かばなかった。
藤子「……光様の策、私も信じてみようと思います」
光「そう」
光は短く言った。藤子の言葉の裏には、この策を足利輝子に進言すると言う意味が
あってのことである。それはもちろん、対朝倉外交の中心人物になるべき光をも推挙
すると言うことだ。
藤子「……ところで」
光「なに?」
藤子は話はすんだと見て、悪戯な笑みを浮かべて光るに言う。
藤子「……お茶、もう一つ如何ですか?」
光「……足りてございます」
光はそのまま細川邸に泊まり、翌日藤子に伴われて足利学園生徒会室で足利輝子と対
面をした。
輝子「君が藤子の源中将か」
挨拶を述べようとする光の先を制して、輝子はからかい口調でいきなりそんなことを
言った。
光「はっ?いえ、そんなことはありませんけれど……」
いきなり出鼻を挫かれ、光は調子を崩した体になったが、すぐに気を取り直して輝子
に礼をしようとした。
光「初めてお目に掛かります輝子様、私は美濃……」
輝子「挨拶はいい。大体のことは、先に藤子から聞いているからね。私が聞きたいの
   は、君と藤子君が閨でどんなことをしているかだ」
光「……」
藤子「……」
輝子「……もちろん、冗談だとも」
呆れた目つきで二人からまじまじと眺められた輝子は、流石にばつの悪そうな顔をし
てそう言った。
輝子「本当に聞きたいのはだ、光君に足利家再興の策有りと、藤子から伝え聞いてい
   る。大まかなことは先程藤子君から説明を受けたが、もう少し具体的な考えを
   君の口から聞きたい」
そこでやっと光は本題に入れた。そうと求められれば、元より光に嫌はない。昨夜藤
子を相手に語ったる所を、今度は輝子を相手に蕩々と語った。もっとも、藤子に語っ
たときのように簡単な説明ではなく、もう少し細に入った説明をしたし、朝倉家との
関係なども多少オーバーに話した。そうしないと、世上無名に近い自分の意見は容れ
られないと思ったからである。
輝子「任す」
輝子は全てを聞き終わると、僅かの間思案するような顔を作った後、光にそう言っ
た。
光「お任せいただけますか?」
自分で説いた事ながら、意外なほどあっさりと言い放った輝子の言葉に、光は簡単す
ぎるが故に不審を抱いた。
輝子「不満かい?」
光「……いいえ」
輝子「君は、私が余りにも簡単に君を信じることが不審なのだろう?なに、私は君が
   この部屋に入ってきた時点から、君を信じると言うことに内心決めていたん
   だ」
光「……」
輝子「まだ不審かい?私はね、信じるしかないんだよ。確かに微弱な足利家を省みぬ
   者は多く、野心のために利用しようと思う者も多い。だが、裏切りを怖れて善
   言を用いぬので有れば、尚のこと足利家に未来はあるまい」
光「……しかし、私が裏切ったらどうなさるおつもりですか?」
無礼を承知で、光は輝子にそう尋ねた。自分がこれから仕える人間を知りたいという
気持ちが、理性よりも強い欲求として、光の心から押さえきれなくなったのである。
輝子「その時は滅ぶ。しかし何もしなくても滅ぶのだ。例え確立が低くても、勝ちの
   目のない賽よりはましだ」
光「……不祥明智光、必ず勝ちの目を振って見せます」
言葉に自分を見くびられた不満と、それ以上に強い自信を滲ませて光は言った。輝子
はその言葉に小さく肯き、自分は席を立って生徒会室の奥に引っ込んだ。
光「藤子、輝子様とはどんな方なのかしら?」
会見を終えて、藤子と光は足利学園校内の茶室で二人きりになっていた。光には、ま
だ輝子がどういう人間か今一つかめない。それで、付き合いの長い藤子から詳しく人となり等を聞こうと思ったのである。
藤子「……光様が今お使いの碗、いかなる物かご存じでしょうか?」
しかし、藤子はその問いに答えず、別のことを光に聞き返した。
光「碗?……さあ、私は余り詳しくないから……」
質問の意図が分からないながら、光は手に持った黒い茶器をなで回してそう言う。
藤子「……それは苗代川の御前黒です」
光「御前黒?」
藤子「……はい、その御前黒というは、一つを焼くために数百の失敗作を焼かねばい
   けません。……貴種と言うのも同じものです。……はばかり多き事ながら、足
   利の先代も御先代も飯盛茶碗にもならぬ人間の失敗作でございました」
光「藤子……」
慌てて光は藤子を制す。二人きりだから良いようなもの、人に聞かれればどう言われ
るか分からない。
藤子「……ここは、二人きりですから」
光「しかし……」
藤子「……まず、お聞きを。……でも苗代川の窯が時に御前黒の名器を生み出すよう
   に、生来の貴種は時に凡窯の生み出せぬ人物を生みます。……英雄というの
   も、本来人間の出来損ないなのでしょう、常ならば役に立たぬものですか
   ら……」
光「……すると、輝子様は御前黒だと?」
光はそう聞いたが、藤子は何も答えない。ここまで好き勝手言ってしまえばもう良い
ような気もするが、そこまで直截的に言うのを憚ったのだろう。
藤子「……もう一ついかがですか?」
ただ目を伏せて、小さくそう言っただけだった。
458 ◆0xknNOBU :02/03/06 00:52
いやー絶不調(w
どうもいまいちぴりっとしないです。
風邪ひいてるせいかな・・・

そんな中ですが、一応次回は「墨俣」です。
明智の思想は将軍家復興朝廷臣従で行くんね。
とすると信子の中央に対する姿勢も必然的に決まったか。

いや、信子ちゃんは史実の彼よりスケールでかい気がする(w
信子は流行に敏感なのでせうか?
本願寺・叡山など仏教徒系=がんぐろコギャル説
462無名武将@お腹せっぷく:02/03/06 22:34
それはいやーん
463 ◆0xknNOBU :02/03/07 07:58
言おうと思ってたの忘れてました。
本多櫻=本多作左右衛門重次です。
三河者の意地悪っぽさ担当なのでやな役回りになっちゃいましたね。
ま、この先あまり出番もないでしょう(w
464無名武将@お腹せっぷく:02/03/07 16:27
>435,437
私は南部が九戸と大浦に津軽(大浦?)に二股をかけてそれがバレ、
九戸も津軽も南部の元から去っていった…という設定にしたかった。
>>464
そして二人を傷付けた罪の意識から、晴海たんは
奥州学院の理事兼学生会長職から退くのであった。
一方、大浦弥絵たんは晴海の辞職を無責任な逃走と見て
復讐に逸り、学院分校津軽女子高校の生徒会長北畠を謀略によって
追い落とし、津軽女子の独立を画策。
傷心の九戸雅実たんはそれでも昔の恋人に尽くそうと健気に
晴海たんご推薦の妹さんを擁護するが、結局晴海たんの従姉妹の
奈緒たんが時期学生会長職を簒奪し、捨て鉢になって不登校を起こすのでした。
466464:02/03/08 00:02
>465
いい話じゃないか!
>>466
ありがたう。
……俺は書かないけどね……
っていっても信子ちゃん世界の年齢設定適用すると、
津軽がすさまじいロリ(なんたって氏子ちゃんより下なんだから)に
なって、晴海たんはヘテロかつロリコンになるという罠。
469弐号機 ◆nuUmm9xE :02/03/08 07:46
ぐはあ
遅筆は致命傷ですか?
470464:02/03/08 19:21
>468
ウワァァァァァァァン!
>468
 場所が被らないんだったら素直に少し後の時代に設定すればいいのに…
 ってのはダメ?
472464:02/03/08 22:09
今読むと、私の文章おかしい…
「南部が九戸と大浦に津軽(大浦?)に二股をかけて」って何だよ…

>468という罠があるので、今回は信子ちゃん設定を抜きにして読んで
下さい
私の考えた設定です
南部晴海…身長162p。中肉中背。肩までの黒いストレートセミロング。
肝心なところで詰めが甘い。色白。
大浦弥絵…身長158p。スポーツ体形で脚が太い。(特にふくらはぎ)
赤毛のショートカット。単純で感情がすぐ顔に出る。気が荒い。
九戸雅実…身長152p。かなりの痩せ型。ふわふわのくせ毛。
言いたい事を内に溜め込むタイプ。
473464:02/03/08 22:10
今夜は、何故か寝付けなかった。何回も何回も寝返りをうって、目を閉じていても
心も頭の中も体さえも落ちつかない。外からは風の音がはっきりと聞こえてくる。
最近は風の強い日が続いている。寝る前に、消防車が「ゴーンゴーン」と鐘を
鳴らして巡回していたのを思い出した。
上半身だけ起こして時計を見るとすでに午前3時を過ぎていた。布団に入ったのは
昨日の11時だから、4時間近くこうしていることになる。
「……寒い……」
晴海はストーブの表示を見た。「室温 1℃」と表示されたパネルが光っている。
晴海は布団から出ると、カーテンをめくって外を見ようとした。窓ガラスには結露や
霜がついており、晴海は仕方なく窓際に置いてあった軍手で窓を拭いた。
軍手が濡れていく感覚がわかる。
完全には取れなかったが窓ガラスを通してぼんやりとした外の景色を眺めた。
びゅうぅ、びゅぅうと風の音が聞こえてくる。晴海は軍手を窓際に置いた。
「あぁ、手が、しゃっこい(←方言。「冷たい」の意味)」
誰がいるわけでもないのに、何故か晴海は口に出す。決して、ひとりごとのような
口調ではなかった。
「つま先も、しゃっこくなってきてるじゃ」
また、晴海は口に出した。
晴海は布団の上に座ると、つま先を手でこすり始めた。

『晴海、お前冷え性だべ』
『うん、お母さんさ似たの』
『わい、晴海の家はみんな冷え性で花粉症が?』

冷たい自分の手で冷たいつま先をこすっても、ちっとも温かくならない。
去年の冬までは、弥絵が晴海の手足を温めてくれていた。

『冷え性の人は足浴がいいんだってよ』
弥絵はそう言ってバケツに湯を汲んできて、晴海の足を洗ってくれた。
『弥絵、あんだにもやってけるすけ』
(標準語訳:あんたにもやってあげるから)
『なぁんも、晴海にされればもちょこくてまいね』
(標準語訳:晴海にされるとくすぐったくてダメだ)
弥絵はそう言いながら晴海の足をタオルで拭く。弥絵の額に汗がにじんでいた。
『ありがとう弥絵。体があったまってきた』
『んだが。せば、早く寝るべし』
『あっ、私がお湯捨ててくる!』
『いいから!晴海が布団しいてよ!』
474464:02/03/08 22:12
晴海はストーブのスイッチを押した。ジーと音がする。
ストーブの表示パネルがチカチカと点灯しはじめた。点火にはまだ時間がかかる。

『弥絵、寝れないでらのか?』
『なんか今日は寝つけないでら』
ごろんと弥絵が晴海の方に寝返りをうった。二人が向かい合う格好になる。
『ちょっと話っこするべ』
『何の話よ?』
晴海は顔にかかった髪を耳にかけた。晴海は自分の耳が冷たくなっているのがわかった。
『寒くないか弥絵?』
『いや』
『ホントか?』
『……ちょっと寒い』
『ん、だったら今度は私がやってける』
晴海はがばっと起き上がると、そのまま弥絵の布団にもぐりこんだ。
『わいは、何してらっきゃ?』
『二人で寝ればあったかいでしょ?』
晴海は弥絵を抱き寄せた。弥絵は少しだけ体をこわばらせたけれど、そのまま晴海に
もたれる。

ボシュッ。
ストーブが点火した。ストーブの中の青白い炎が周りをぼんやりと照らす。
この部屋の中では、晴海の白いつま先と手が余計青白く見える。
晴海はずっと、つま先をこすっていた。火がついた事に気づくと、そのままストーブに
にじり寄っていった。

『晴海、枕ないと頭痛くないか?』
弥絵が布団から頭を出して聞いてくる。
弥絵の瞳が晴海の顔を見ている。
『あ、じゃあ』
晴海は隣の自分の布団から枕を取ると、弥絵の枕と並べて置いた。
そして、そのまま横になり、弥絵をまた抱き寄せた。今度は弥絵も晴海にもたれて
きた。
二人とも、何も言わずずっとそのままの状態であった。
『すごい心臓がどきどきしてるね、晴海』
弥絵が甘える様に晴海へもたれた。
『こうすれば、晴海の心臓の音すごく聞こえる』
『うん……』
『晴海……あったかいよ……』
『うん…』
『ずっとこうしてられればいいのに………』
『弥絵……明日雪かきだ…』

ストーブがついても、晴海の手足はまだ冷たいままだった。
晴海は背中を丸めたままストーブに向かっている。
時折大きく燃えるストーブの炎が壁に晴海の影をうつし、部屋の角にたたんで
置いてある布団の影をうつす。
晴海の背中が時々小刻みに震えた。
475464:02/03/08 22:13
『んがだず死んでまれ!』
(標準語訳:お前なんか死んでしまえ!)
涙でグチャグチャになった顔中をこわばらせて、弥絵はこう叫んだ。
その隣には、青ざめた顔で二人を見つめる雅実がただ立っていた。
『九戸、お前、南部が何て私さへったか知ってらのか!?
南部はな、お前にも、私さも「好きだ、好きだ」ってへったんだぞ!』
(標準語訳:南部が何て私に言ったか知ってるのか?
南部は、お前にも私にも「好きだ、好きだ」って言ったんだぞ!)
『弥絵ちゃん、なんでそったら事言うの?私と晴海ちゃんの事変に誤解して
そんな事言うの?』
雅実は肩を震わせて言った。雅実の小さな手は制服の上着の裾をずっと握っていた。
『違う!南部は私とお前の二股かけてらったんだ!!わがんないのか九戸!
だったらそいつさ聞げ!お前と弥絵のどっちを好きか!早ぐ!』
『晴海ちゃん、弥絵ちゃんがおかしいよ。さっきからずっとこんな事ばっかり言うんだよ。
ケンカしてるんだったら、早ぐ仲直りしてよ。雅実、こんなの嫌だじゃ…!』
『九戸!お前も南部に騙されてるのがまだわがんないのか!』
弥絵が雅実の肩をつかんだ。
『もうやめでよ!弥絵、雅実、私は、あんだ達を騙してない…!だけど、あんだ達の気持に
対して、すごく、不誠実な事をした!』
その言葉を聞いた途端、弥絵の顔が紅潮し、弥絵は晴海の胸倉をつかんだ。
『やっと認めたかこの人でなし!!』
『やめで!やめでよぅ!』
雅実が弥絵を必死に引き離そうとする。雅実が泣いていた。泣いていないのは、ただ、
晴海だけであった。





「弥絵……足がしゃっこいよ………」
風はまだ強く吹き続けている。
476464:02/03/08 22:14
大変申し訳ないのですが、どなたか弥絵の話す津軽弁の添削を
お願いします。津軽弁話すのは父しかいないもので…
東北、特に南部弁や津軽弁は実地で若い女の子が
喋ってるの聞かないとものすげー泥臭いイメージしか
できんだろうな……
>>476
お父様に見てもらったら?
『……ちょっと寒い』→『……ちょっとしばれる』
『わいは、何してらっきゃ?』→『わいは、何してらんだっけ?』
『すごい心臓がどきどきしてるね、晴海』→『たんげだ心臓どきどきしてらな、晴海』
『こうすれば、晴海の心臓の音すごく聞こえる』→『こうへば、晴海の心臓の音すごぐ聞こえる』
『晴海……あったかいよ……』→『晴海……あったけぇ』
『ずっとこうしてられればいいのに……』→『ずうっとこうしてらいれればいいのに……』
『んだがず死んでまれ!』→『なだっきゃ死んでまれじゃ!』
『九戸、お前、南部が何て私さへったか知ってらのか!?
南部はな、お前にも、私さも「好きだ、好きだ」ってへったんだぞ!』 ↓
『九戸、おめ、南部が何てわさ喋てらが知ってらのが!?
南部だっきゃ、なぁさも、わさも「好ぎだ、好ぎだ」って喋てらんだぞ!』
『違う!南部は私とお前の二股かけてらったんだ!!わがんないのか九戸!
だったらそいつさ聞げ!お前と弥絵のどっちを好きか!早ぐ!』 ↓
『違うじゃ!南部がわどおめの二股かげでらって喋てらんだね!!わがんねのな九戸!
したらそいさ聞げ!わどなのどっち好きだが!はいぐ!』
『九戸!お前も南部に騙されてるのがまだわがんないのか!』 ↓
『九戸!おめも南部に騙さいでるのがまだわがんねのな!』
『やっと認めたかこの人でなし!』→『やっとみどめだなこの人でなし!』

津軽と南部で、標準語使うとこと方言使うとこも違うんだねえ。新鮮だ。
ていうか方言によって状況ごとに出る言葉ってのも違うよね。
>>478
南部春政と津軽為信が女の子でしかもレズビアンって
小説を津軽人の親父にか?
俺は今ハタチだけど、津軽ではほんの20年前まで
南部を貶して津軽を誉める教育を親や学校や住民、地域一丸に
なって行ってたのだよ。南部はどうか知らんけど。
あんまり安易に言ってくれるな。

ていうかこんな気合入った方言、今の南部の子が喋る?嘘だろ?
482無名武将@お腹せっぷく:02/03/09 04:56
>>480

津軽タソは元南部家臣。
津軽藩藩祖の為信タソが、南部のお家騒動の隙を突いて独立。

それ以来っすよ、南部と津軽の反目は。
石川と富山も仲悪いです
484482:02/03/09 05:03
>>482

すまん>>480
的外れなレスだった。

鬱だ、、、寝よう。
     ∧_∧
    ( ・∀・)
  .,イ  ゝ ノ | ヽ
  || ヘ.  。   | /|
  || |  。 /  | |
  |  |  。 /  | |   ∧_∧  
  |⌒|  。   | |  (´∀` )3月14日は(・∀・)チンポー!!  
  \|` ヽ   ヽ/   | ヽ_// )
  /|\人/\|    | |3/ //
  || || | | | |     | .| / / ゝ
  ||/|| | | | |   ┌○○┐ヾ\
     || | | | |    |-†-†- |ヽ\ ゝ
    ヽ| | | |   └──┘\_ゝ
      ヽ| | |     レ'⌒`-'\\
       | | |       |-|   ヽ)
        | く く       | |
      \/\>      しヽ


尾張と三河も意外に反目
487無名武将@お腹せっぷく:02/03/09 08:23
時にサイトはどのぐらい出来たのだろう・・・
いや、せかす訳じゃないけど
488464:02/03/10 13:55
>477
>実地で若い女の子が喋ってるの聞かないとものすげー泥臭いイメージしか
できんだろうな……
東北方言を文章化するとこのようなイメージを持たれるのは、多分
日本語に鼻濁音の表記法がないからだと思います。
(中国語の「n」と「ng」の発音の区別が日本語にはないようなので)
鼻濁音表記があれば東北方言の表現ももっとやりやすいのですが・・・
>478
今、私は下宿しているので、物理的にパパりんには見せられません。
それ以前に精神的にも見せられません。
>479
うわぁ、丁寧な添削ありがとうございます!
最後に津軽弁に接したのは今から10年以上前なので、津軽弁の
感覚がわからないのですよ。父も家では津軽弁を話さず、電話で
親戚の人と話す時しかしゃべらないので。
>481
私は22歳八戸生まれの八戸育ちですが、津軽がどうとかという
教育は受けませんでした。しかし、481さんがいうような教育の
せいか青森市から来た転校生は「八戸なんて田舎だじゃー」と
言い、周りからおおいに反感を買っていたことはありました。
>ていうかこんな気合入った方言、今の南部の子が喋る?
気合を入れて書いたつもりはないです…。
南部の人は、たいてい使う言葉が標準語でアクセント・イントネーション・
発音が南部弁というパターンが多く、これでは文章化した時に伝えにくい
と思って、あのようにしました。
>482
それはきっと私に言いたかったんですよね?

489無名武将@お腹せっぷく:02/03/10 18:51
変態性愛愛好者向け三国志・戦国板裏分国法

一、三国志・戦国時代を歪んだ娯楽とする輩、異常性愛を追究する輩、他住民を無視して蔓延するべし。
一、基本ルールは無視の事。
一、スレの本題からずれるようなレスをお願い致し候事。
一、板およびスレッドの占有は振興対象に候。
一、歴史上の人物の名前の使用は、なりきりスレ・リプレイスレ以外でも願い候。
一、なりきり武将に憧れ、あわよくばリアル同性愛への発展を夢見ること。
一、現実世界をも踏まえて武将らしからぬ身の回りの話題を楽しみ、武将のイメージをぶち壊しにすること。

三国志・戦国板裏掟之状如件

>>489
新手の荒らしか?

おはよう趙雲とか同人情報スレにもはられてたな。放置ケテーイ
>>488
ん、つかあれだ。
津軽人としても、いまいち文章だと津軽、南部弁は萌えにくい…
フツーの言葉喋らせちゃいましょーよ。
添削しといてなんだけどさ(藁
493「墨俣」 ◆0xknNOBU :02/03/11 18:36
いつものように放課後の生徒会室、お勤めを済ませてきた秀美も加え、信子達はお菓
子をつまみながら会議をしていた。議題は前回の美濃侵攻戦が失敗に終わってから久
しく美濃へ手を付けかねている美濃学園のことである。
信子「というわけで前回は惜しくも撃退されてしまったわけだけど、筋肉痛も治った
   ことだしそろそろまた美濃に侵攻しようと思うの」
勝枝「えー、また行くのかよー、めんどくせー」
お市ちゃん恋愛発覚からこっちやる気を大幅に失っている勝枝は、机に腕を敷いてそ
こに突っ伏したまま、非常にだるそうな声でそう言う。
信子「ぐだぐだ言わない。ほら、ぱぱっと稲葉山を落としに行くわよ」
信子はそう言って勝枝を叱咤する。しかし、その信子に異論を挟む者がいた。
貞子「信子様、今稲葉山を急攻遊ばすのは上策にないと存じますが……」
それは段作戦行動に口を挟むことのない村井貞子だった。
信子「……どうして?」
これが勝枝や盛美の口から出れば無視しただろうが、何時も口を挟んでこない貞子の
口からこの言葉が出たために、信子はそう聞き返す。
貞子「稲葉山は道子様がお作りになられた難攻不落の要塞です。前回侵攻したの時
   も、もし竹中一重の策略に掛からなかったとしても、結局校舎前のレストラン
   で時間を潰していただけだったのでしょう?」
信子「そうだけど……」
歯に衣着せずそう言われて、信子は少し嫌な顔をしたが、事実なのでどうしようもな
い。
貞子「それに、前回半壊させてしまったレストランから請求書が来てるんです。美濃
   学園と折半ですけど、店の修理費、矢作園の子達が食べてしまった食材の代
   金、それから店主の治療費と……総計386万円ほど」
信子「なにそれ!吹っ掛けすぎじゃないのあのエロ店主!」
貞子「……これでも頑張って美濃学園の方に多く回したんですよ?とにかく、また前
   回のような騒ぎを起こされると生徒会運営資金にも支障が……」
信子「……じゃあ、美濃学園をこのままにしておけって言うの?だめよ!堪えられな
   いわ!どうしても美濃欲しい!美濃の可愛い娘達をハーレムに入れたい!」
勝枝「なに?信子ってばそんなこと考えてたわけ?かー、俺みたいに一筋の愛を貫け
   ないもんかね」
呆れた勝枝が大声でそう言う。その隣では、恒江がその言葉に同意して無言でうんう
んと肯いた。
信子「うっさいわね、振られたくせに」
勝枝「……」
勝枝はそう言われると一言もなく、憮然とした面持ちをしてまた俯せになり、ふてく
されて寝た振りをしてしまった。
信子「まったく、仕方ないわね」
やれやれと、信子は肩を竦めてみせる。どちらの方が仕方ないか、と考えた者も居た
が、それを口に出すほど愚かな人間は居なかった。
信子「というわけで、やっぱり美濃は攻めます」
貞子「しかし……」
秀美「あー!忘れてました!」
なおも異論を唱えようとした貞子言葉を遮ったのは、しかし信子ではなく秀美だっ
た。
秀美「あれですよ〜、私がこないだ美濃学園まで行ったのは、信子様にお菓子食べさ
   せて貰うためだったんでした〜、それなのにステーキで誤魔化されちゃって〜
   何か酷い感じです〜。これは、もっかい美濃学園まで行ってお菓子を奢って貰
   わないとですよ〜、信子様のぴんちを救ったのは秀美なんですからそれぐらい
   いですよね〜?」
信子「……」
備え置きの菓子をぼりぼりと食べながら秀美は言う。
秀美「それでですね〜、墨俣に美味しいケーキ屋さんがあるそうなんですよ〜、秀美
   ここ行きたいな〜、なんて思ったらきっと信子様連れてってくれますよね〜」
信子「……」
秀美「何と言っても恩人ですし〜」
得意気に喋り続ける秀美見つつ、信子は傍らに置かれている銅製のペン立てを手に
取った。ずっしりとした重みが力強い。
ごっ!っと鈍い音がして秀美のお喋りが止んだ。血が机の上に海の如く溜まり、その
中に今空を切ってとんだペン立てが浮かんでいた。
信子「さて、そう言うわけだから……」
貞子「待って下さい。でしたら美濃を攻めるにしても、難攻の稲葉山ではなく西美濃
   高から攻められたらいかがでしょう?」
信子「西美濃?」
貞子「そうです、西美濃は斉藤家の支配から半ば独立の状態にあると聞きます。これ
   を攻略すれば、稲葉山は攻めるまでもなく瓦解すると思うんですけど」
信子「西美濃か……そう言えば竹中一重も西美濃高よね。よし、まずはあの娘をター
   ゲットにしましょう。ついでに一緒にいた三人も」
長子「西美濃に進出するのでしたら私に考えがあるのですが、お聞きいただけます
   か?」
と、それまで黙っていた長子が発言した。
信子「いいわよ、何?」
長子「西美濃は尾張から遠く……」
信子「なんで?新幹線もあるじゃない?」
長子「時間的な距離としてはそうなんですけど、この尾張からでは感覚的な距離が遠
   すぎて西美濃高に対する抑えが効かないでしょう。ダイタイソンナコトイッタラハナシガナリタチマセ
   ン……」
信子「……よく解ったわ。確かに遠いわね!」
長子「遠いんです。ですから橋頭堡として分校を造るべきだと思います」
信子「分校ねぇ……そう先走って言うからには、もう企画案があるのよね?」
納得行った信子がそう聞くと、そこで今度は貞子が口を挟んだ。
貞子「はい、墨俣に建設予定地を見付けてあります」
と、墨俣という言葉を聞いた途端、血の海に沈んでいた秀美がバッと起きあがる。
秀美「墨俣〜、ケーキ屋さん〜」
信子はまた無言で、今度は跳ね馬の銅像を投げつけて秀美を沈黙させた。
信子「墨俣はちょっと田舎過ぎない?羽島か大垣の方が良いんじゃない?」
そして、何事もなかったかの様に貞子に聞いた。
貞子「大垣は稲葉山を通らないと行けませんし、羽島は尾張に近すぎます」
信子「うーん……何か作為を感じなくもないけど……。いいわ、墨俣にしましょう」
貞子「ありがとうございます。建築業者をすぐに手配します」
信子「よろしくね。それから、勝枝!」
勝枝「んあー、なによ?」
信子「何よじゃないわよ。美濃学園の奴らに邪魔されたら困るから、現場警備の総責
   任者として勝枝が墨俣に行きなさい」
勝枝「えーやだよ。何かやる気おきねー⊂(´Д`⊂⌒`つ 」
勝枝は完全にやる気をなくしていた。
信子「ったくどうしようもないわね。……仕方ない、盛美!あなたが行ってきなさ
   い!」
盛美「へっ、私ですか?」
それまで話の外にいた盛美はいきなりの指名に驚き、つい間抜けな声を上げる。
信子「そうよ。勝枝がこの調子じゃあ無理に行かせてもろくに働かないでしょ。だか
   らあなたが行きなさい」
盛美「いや……美濃にはあんまり行きたくないんですけど……前回散々追い回されま
   したし……」
信子「……今日の鞭は血を欲しがってたりするかもねー」
盛美「行きますけどね!はいはい!」
信子「それじゃ、学園SPを連れて行きなさい。貞子、業者の方は何時から入る?」
貞子「七日後ぐらいには」
信子「そう、じゃあ七日後に盛美も業者と一緒に墨俣に赴任、いいわね」
盛美「はいはい、拒否権なんかないくせに……」

盛美「と言うわけで、私が現場総責任者の佐久間盛美よ。あなた達は私の下僕なので
   私の命令には絶対服従するように!」
七日後、墨俣の赴任地に着いた盛美は、尾張学園SPを前にそう宣言した。ちなみ
に、尾張学園SPは卒業生、生徒の中から選ばれているため全員女性である。
SP「それはいいんですけど……盛美さん、何ですかその格好は?」
盛美と顔見知りのSPがそう聞いた。確かに盛美の格好は工事現場には似つかわしく
ない。普段着ている制服の替わりに高そうなブランドの服を着ているし、指にはこれ
もブランド物らしき指輪、その他ブレスレットやネックレスなどまるでパーティーに
でも行くかのような格好をしていた。
盛美「わかるー?これってば全部ティファニーなのよねー、私ってばオードリーばり
   の美貌だからこれぐらいじゃないと釣り合わないって言うかー」
SP「いえ、そう言う事じゃなくて、工事現場にドレスはどうかなー?っと思いまし
   て」
盛美「ああ、大丈夫。別に私が警備する訳じゃないし、私はあなた達の働きをあそこ
   のカフェで優雅に眺めるから。頑張ってね」
SP「……」
ちょっと殺意が湧いたが、SP一同は辛うじてそれを噛み殺した。それにしても、何
故急にあんな服を着てきたのだろう?と言う疑問は残った。定めし深謀遠慮があるの
かと、買いかぶる者はそう思った。
土建「あっ、これは盛美様」
と、そこへ建築業者の社長が、現場責任者の盛美を見付けて声を掛けてきた。
盛美「ああ、社長。今日は良きに計らいなさいよ」
盛美は華美なドレスをなびかせて尊大にそうこたえる。しかし小娘にそんな態度をと
られているにもかかわらず。簾満月の社長は揉み手せんばかりの態度でニコニコとし
ている。
土建「いや流石盛美様、お綺麗なことであります」
盛美「当然じゃない。それは貴方、人間に向かって貴方は人間ですねと言うようなも
   のよ!」
土建「いや、これはしたり。いやいやしかし、これからもどうぞご贔屓に……」
流石に呆れたのか、社長はそう言うと盛美の前から去って現場に向かった。一応初日
ぐらいは現場の様子を見て帰るつもりなのだろう。それはいいとしても、それよりS
P達は今のやり取りからある疑惑を抱いた。
SP1「……もしかして盛美様キックバックか何か貰ってるんじゃあ……?」
SP2「それで急にお金が入ったんであの格好……」
盛美「そこ!つまらない詮索しない!」
盛美はこそこそと話し合うSP達をビシッと指さして一喝した。
SP「別に良いんですけどね……」
ちっとも良く無さそうな顔をして、SPたちはぞろぞろと持ち場に移動した。
盛美「……さて、後はあいつらに任せてゆっくりしよーっと。まだ貰ったお金の残り
   もあるし、うへへ、どーしよっかなー♪」
一人呟きを残して、盛美は本当に喫茶店の中に入ってしまう。その光景をSP達は納
得の行かない表情で眺めていたが、何時までも見ていても仕方がないと、各々の仕事
をこなした。そのせいもあってか、工事一日目は何事もなく終わった。この調子で行
けば、一ヶ月後には校舎が完成する。

興美「ね→?これって何?何なのこれ?私こんなの知らないんですけど→?」
その頃、美濃学園の本拠地稲葉山校舎では、前回信子を撃退した西美濃高の三人と竹
中一重が、斉藤興美の呼び出しを受けて生徒会室に集まっていた。
徹美「何と言われても、請求書ですが?」
一同を代表して徹美がそう答えた。
興美「だから→何でこんな請求書が来るわけ→?何?852万→?ふざけんなって感
   じ何ですけど?」
徹美「そうは言っても払わないと裁判になります。レストランの親父はえらく怒って
   ますからね」
興美「や→よ→、壊したのあんた達でしょ。あんた達が払って」
奈緒「美濃学園を守るためにやったことですからね〜。興美様が払うのが筋ですよ
   ね〜」
今度は徹美に代わって今度は奈緒が答えた。いかにも憎体な口調で言ったので、脳容
量の少ない興美もむかっときたようだ。
興美「何?むかつく→」
椅子を蹴って立ち上がり、今にも奈緒につかみかかろうとする。奈緒もさっと身構え
て臨戦態勢を取る。奈緒は喧嘩が得意ではないが、体には幾つもの妖しげな呪術道具
を装備している。その中には武器になる物もあった。
理奈「まあまあ、穏便に……」
険悪な空気が流れたところで、理奈が慌てて二人の間に入る。理奈とて、興美のこと
が好きではないが仮にも興美は生徒会長、奈緒と喧嘩をされても困る。
興美「どきなさいよ→」
しかし、そう言う理奈の気遣いも頭の悪い興美には通じなかった。ぐっと理奈の肩を
掴むと、力を込めて思い切り横に払いのける。
理奈「わわわ!」
払いのけられた理奈は、それ程強い力というわけでもなかったのだが、たたらを踏ん
で徹美の方によろめき歩いた。
徹美「おい、ちゃんとしろ」
徹美は理奈を受け止めてそう言ったが、それよりも大変なのは、今にも興美と奈緒が
つかみ合いの喧嘩を始めそうなことだった。
一重「待ってくださいっ!奈緒さんもっ、興美様もっ!」
そこに竹中一重が割って入ったが、いかんせん11歳の小学生。16歳の興美と、1
7歳の奈緒の間に割って入るには小さ過ぎた。
興美「ちょっとどきなさいよ→」
奈緒「一重ちゃん、危ないからどいてなさい」
流石に興美も子供相手に乱暴なことはしなかったが、間に入った二人共からどけと言
われてしまう。
一重「でもでもっ、良くないと思うんですよっ!」
それでも一重は、必死に手をばたつかせて二人を止めようとする。としかし、その時
生徒会室の扉がノックも無しに開いた。
翔子「じゃま→」
入ってきたのは興美の友人で、今では取り巻きのようなことをしている翔子だった。
翔子は生徒会室に入ってくるなり大股に一重の方に近づき、その一言とともに一重の
二つ垂れたお下げ髪の一つを引っ張って釣り上げる。
一重「痛い痛いっ!止めてくださいっ!」
一重が痛みに喚いて叫ぶ。
徹美「こら貴様!何をするか!」
さっきから奈緒と興美の喧嘩を傍観していた徹美も、流石に翔子の行動には怒りを憶
えたらしく、一重の髪を放させるべく翔子に猛然とより詰めた。
翔子「邪魔だからどかすだけよ→」
その勢いに恐れをなしたのか、翔子は一重のお下げから手を離し、一重の背中を徹美
の方へ突き飛ばす。
一重「あわわわわっ!」
突き飛ばされた一重は、足取り怪しく徹美の方に飛ばされる。
徹美「あぶない!大丈夫か一重?」
一重の体を慌てて抱き留め、徹美は一重に聞いた。
一重「大丈夫ですっ……」
一重は目にうっすら涙を浮かべて、引っ張られた方のお下げの根本をさすった。まだ
痛むのだろう。
徹美「痛かったか?可哀相に……」
徹美は一重を気遣い、頭を撫でてやった。
理奈「何だか私の時と対応が違うような……」
徹美「一重は子供なんだから当たり前だろ。そんなことより翔子、貴様何の権利が
   あってここにまかり越した?興美様の代わりというのは通らないぞ、今日はこ
   こに居られるからな」
翔子「うっさいわね。興美→、ちょっと話が有るんだけど→、こいつら部屋から追い
   出してよ→」
翔子は徹美の問いには答えず、興美の方を向いてそう言う。
徹美「貴様!」
興美「ちょっとあんた達→、もういいから出てってよ→。何か→、翔子が話あるみた
   いだし→」
徹美「何を言ってるんです!こんな奴の言うこと……」
興美「うっさいな→、とにかく出てって」
徹美「……」
重ねて言う興美の言葉に、徹美は憤懣やるかたなく唇をかみしめたが、今は是非もな
く、怒りに肩を振るわせながら生徒会室を飛び出した。奈緒も暫くは興美を睨み付け
ていたが、やがて徹美に続いて部屋を出る。
理奈「ちょっと、待ってよ」
最後に残された理奈は、まだ涙を浮かべる一重を連れて慌てて二人の後を追った。
翔子「……ふん」
興美と二人きりになった翔子は、一人勝ち誇ったようには撫で笑う。徹美が見ていれ
ばなお彼女の怒りに油を注いだことだろう。
興美「で→?翔子→話ってなに→?」
翔子「あっ、うん→。何かね→日根野に聞いたんだけど→また尾張の奴らが来てるん
   だって→」
興美「また→?懲りないじゃん→馬鹿なんじゃないの→?」
翔子「そうなんだけど→、何か今度は変な校舎建てようとしてるみたいなのよ→」
興美「校舎?」
翔子「そう→、何か→、そこを中心にうちに攻めてこようって事みたい→」
興美「ちょ→ウザイ。また西美濃の奴らに言って追っ払わせる?」
翔子「え→?でもあいつらもこれ以上調子乗せるとウザイよ→?」
興美「じゃあどうすんの?」
翔子「日根野がね→、土岐興業の伝でやくざ雇って邪魔させようって言ってんの。そ
   れ、やらせてみよ→よ?」
興美「ん→?良く分かんないけど任すわ」

徹美「全く何なんだあの翔子ってのは!?」
生徒会室を飛び出したものの、以前憤懣やるかたない徹美は、隣に列んで歩く奈緒に
そう言った。
奈緒「ほんとに!興美様にしても、あんなにお馬鹿ちゃんだったなんて信じられない
   わ〜」
奈緒にしたところで怒りは一緒なので、当然徹美のことばに雷同する。
理奈「おーい、まってよー」
と、そこへ一足遅れて、一重を連れた理奈がやってくる。
理奈「もっとゆっくり歩いてよ、追いつけないじゃない」
徹美「しらん!」
徹美は機嫌が悪いので、理奈への返事にもつい語気が荒くなる。
一重「徹美さんっ、あんまり怒らない方が良いですっ」
徹美「……一重、お前こそ一番怒って良いんだぞ、あんな奴ら相手に我慢することは
   ない!」
一重「あんな奴ら、だからこそ怒るのも馬鹿らしいですっ。だからっ、今は仕方ない
   ですっもう少し時間が経てばっ、興美様も大人になられるかも知れませんっ、
   怒りはっ、その時まで貯めておきましょうっ」
奈緒「……一重ちゃんは大人ね〜、お姉さん達面目ないわ〜」
徹美「……全く、その通りかもしれんな」
理奈「そうそう、冷静に冷静に」
理奈も一重の尻馬に乗る形で二人を諫める。
徹美「今興美様に怒っても一辺の効なく、かえって不興のみを被るだけか……しか
   し、一体何時まで待てば良いんだ?尾張の連中が美濃を狙っているこの時期
   に!」
それでも徹美の憤りは収まらないのか、誰に言うともなく大声でそう叫んだ。まわり
にはまだ稲葉山高の生徒もいるので、皆驚いて徹美の方を見るが、徹美は意に介さな
い。
一重「生死は命に有り富貴は天に有りっ、です。人間の知恵の及ぶ範囲なんてっ、ど
   うしても限界が有るんですからっ、待つしかないんですっ……」
奈緒「待って、それでも駄目だったら〜?」
一重「その時はっ……」
この時一重の胸には深く秘すものがあったが、今それ以上を言うことはしなかった。
一方、墨俣校舎の建築は、盛美のサボタージュなどはあったが順調に進んでいた。
盛美「あー、お茶も飽きたー。大体なんでこんな美少女ちゃんが一人で居るって言う
   のに誰も声掛けてこないのよ?」
それは盛美の着ている物々しいドレスのせいなのだが、俄成金で浮かれている盛美は
その事に気づけなかった。
盛美「暇だし、たまには現場の方に行ってみるかなー」
そう気紛れに盛美が思い立ったのは、既に校舎の骨組みが出来上がった頃だった。現
場は大した事件もなく、SP達も暇を持て余しているような感じだったので、着任当
初は多少の緊張があった盛美も、すっかりお遊び気分になっている。
盛美「おっはー、どう、調子は?」
SP1「もう昼ですが……、まあ、調子は良いですよ。有ると思ってた美濃学園の妨
    害もありませんし」
盛美「そうよねー、案外美濃学園もだらしないわね。それとも、この盛美様に恐れを
   なしちゃったりしたのかな?くふふ」
SP1「……確かに、工事現場でフルドレスを着ている人はある意味恐いですけど
    ね」
盛美「そんなに褒めないでよー」
と、そんな風に馬鹿ながら平和な会話をしているところへ、それは突然やって来た。
SP2「おいSP1!あれを見ろ!」
SP1「ん?なに!?」
逼迫した声でSP1に向かって叫ぶSP2、SP1もその声に慌ててそちらの方を見
る。むろん、盛美にもその声は聞こえている。
盛美「うわっ!なにあれー!」
盛美は驚愕の声を上げた。SP2が指さす先には、ブルドーザーが今まさに猛然と建
設中の校舎の方に突っ込んでいこうとしている。
SP1「いけない!SP2!阻止しに行くわよ!」
SP2「わかったわ!」
声を合わせて颯爽と走り出すSP1&2。
盛美「おー!がんばれー!」
盛美もドレスを振り回して二人を応援する。ぽーん、と、しかし人間がブルドーザー
に敵うはずもないので、SP1&2はその音だけを残して西の空に消えた。
盛美「ああー!雑魚過ぎる!」
どかっ!っと大きな音が響き、作りかけの校舎の骨組みが揺らいだ。一撃で倒れな
かったのは運が良いと言うべきだろう。そのおかげで、現場で作業をしていた工事のおっちゃん達は慌てて逃げ出し、危うく難を逃れることが出来た。しかし、建物の方
は逃げ出すわけにいかない。運良く倒れなかったとは言え、前進を続け様とするブル
ドーザーを止めない限りは、いつか倒壊してしまうだろう。
盛美「ちょっと!そこのブルドーザーに乗ってる馬鹿!出てきなさいよ!」
盛美はブルドーザーに駆け寄り、そう言って運転席のガラスを叩いた。俄然、その窓
が開き中から運転手が顔を出す。
盛美「うっ……」
見事にやくざだった。下品なアロハシャツに下品なサングラス、何処から見てもやく
ざテンプレート仕様な男が、窓から顔を出して盛美のことを睨み付ける。
やくざ「何か言ったかこのアマ」
さらには、反対側のドアからも同じ様なテンプレートやくざが降りてきて、盛美の方
にやくざウォークで近づいてくる。
盛美「……いやーん」
今や絶体絶命の盛美、工事のおっちゃん達は後難を怖れて助けてくれそうにないし、
SPはさっきはね飛ばされてしまった。今ここにいるのは、工事現場でドレスを纏っ
た変な少女だけであった。
やくざA「姉ちゃん、おもろいこと言ってくれたなー?えー?誰が馬鹿だってこら?
     そのドレスひん剥いちゃうよ?(ゲラゲラ」
いい感じの底脳下品トークをかますやくざA、例え底脳であっても、盛美にとっては
切実な脅威には違いなかった。
盛美「いやー、そんな事言ってないですよ。馬鹿だなんてそんな(ヘラヘラ」
やくざB「いーや言ったね。っていうか剥きたいね。剥くよ。剥かねば」
既にやくざBは手段と目的が入れ替わってきている。
盛美(こりゃやばい)
盛美は心の中で汗を流した。剥かれるのは困る。困るというか死んでも嫌だ。
SP1「あー酷い目にあった。何があったんだ?」
SP2「いてて、さあ?何か飛ばされる前のことは良く思い出せないなぁ……」
と、しかし折良くそこにSP*2が戻ってきた。
盛美「じゃあそう言うことで」
SP*2「れれ?何ですか盛美様?」
ここぞとばかり、盛美はSP*2の肩を叩くと、二人をやくざ*2の前に差し出す。
やくざA「何だお前ら?」
SP1「何だという貴様らこそ何だ?ここは尾張学園の私有地だぞ、とっとと失せろ
    社会のダニめ!」
SP2「失せろ!」
堂々やくざに対して胸を張るSP*2。
やくざA「何だとこの餓鬼?ぶっ殺すぞ!」
SP1「ふん!我々はクズの脅しなどには負けん!」
SP2「その通りだ!クズは所詮クズでしかない!正義の前に滅びよ!」
やくざB「……随分威勢がいいじゃねえの」
好き勝手なことを言われて、やくざは大分頭に来たようだが、SP*2は少しも怖れ
ない。彼女らには尾張学園SPの端くれと言う誇りも有れば、ならい憶えた護身の技
もある。そこらのやくざ程度には負けない自信があった。
SP1「ゴミに怯える人があるものか!」
SP2「その通り!さあ、盛美様!今からこのゴミ共を清掃処理します。あぶないで
    すからさがっていて下さい!……って、居ない!?」
SP*2が臨戦態勢に入ろうとして後ろを見ると、そこには既に盛美の姿はなかっ
た。
やくざB「さっきの姉ちゃんならお前らと入れ替わりに逃げたぜ。残念だったな、飼
     い主に見捨てられて」
やくざは嘲るように笑いながら言った。
SP1「ふん、盛美様が居ようが居まいが貴様らが清掃される事は決定済みなのだ。
    念仏でも唱えてろ!」
SP2「念仏でも唱え……!」
が、SP2は最後まで言葉を言うことが出来なかった。
やくざB「念仏が何だって?」
やくざBの手に握られている黒い鉄の筒を見てしまったからだ。
SP1「粘着テープを買って帰ろうと言ったのだ」
SP2「そうだ。勤務もう終わりだしな。んじゃ帰ろっか?SP1?」
SP1「そうだね。じゃあやくざさん、そう言うことで」
そう言ってSP*2は踵を返した。
やくざ「ただで帰すかボケ」
後は、二人の逃げ足がやくざとどちらが上かの勝負になった。幸いなことに、流石に
町中での発砲は控えてくれたことだけが、SP*2の幸いである。
信子「で、おめおめと逃げ帰ってきたと?」
盛美「仕方なかったんですよー、相手やくざだし、ブルドーザーだし」
結局あの後工事途中の校舎は壊され、身一つで墨俣から帰還した佐久間盛美は、今度は信子を相手に釈明しなければならなかった。やくざの時よりは気が楽だが、それでも下手なことを言えば酷い目に遭わされる。
信子「ふん、まあ貴方には荷が重かったようね。所詮盛美はこの程度」
盛美「ぐっ……ジャアジブンデヤッテミロッテノ」
信子「何か言った?」
盛美「いいえ!」
とにかく、盛美による墨俣校舎建設は失敗に終わった。かといって信子はこの案を捨
てる気はない。すると、次は誰に現場指揮を任せるかと言うことになる。
秀美「はい!信子様私やりたいです!墨俣のケーキ屋さんでケーキをお腹一杯……」
鈍い音がして秀美は血の海に沈む。ちなみに、今回は文鎮が宙を飛んだ。
信子「……勝枝、貴方がやりなさい」
勝枝「えー、やる気起きない……⊂(´Д`⊂⌒`つ」
未だ勝枝のやる気は復活していなかった。
信子「……上手くいったら市に口効いて上げるから」
勝枝「えっ、マジで!?」
その言葉に、漸く勝枝はがばっと起きあがる。
信子「嘘は吐かないわよ。ただし、上手くいったらよ」
勝枝「OKOK!やってくる!」

……と、勝枝が意気揚々出陣したのが二日前。
勝枝「いやー、やっぱブルドーザー強いわ。バットじゃ勝てねえ」
信子「どたわけ!」
見事敗れて帰ってきたのが今日である。何にしても、これで二度の作戦が二度とも失
敗してしまった。
信子「……まずいわね」
さすがにこう失敗が続くと困る。こうなれば信子自らが出向くかとまで考えた時、またしても席上から声が挙がった。
秀美「はいはい!秀美が行きたいですー!」
信子「またなの……」
多少うんざりしてまた何か重たい物はないかと信子は机の上を見回したが、既に投げ
尽くしてしまって何もなかった。
信子「……ふう、運が良いわね。まあその運に期待して、駄目元でやらせてみる
   か……」
秀美「駄目じゃないですー、きちんとケーキ食べてきますから」
信子「馬鹿、ケーキ食べに行くわけじゃないのよ。校舎を建てに行くの」
秀美「??ケーキのお家を建てるんですか?」
信子「違う、まあとにかく墨俣に行って来ればいいから。SP*2、ちょっと来て」
SP*2「はい」
信子「この娘方向音痴だから、墨俣まで送っていってやって」
SP1「それはご命令と有れば……」
SP2「でも何か頼り無いような……」
秀美「だいじょぶですよー、私に任せて下さい!」
信子「きっと意味解らずに言ってるんでしょーねー……」
502 ◆0xknNOBU :02/03/11 18:45
ってな所までです。
あんま進んでないっすね(;´Д`)スマソ…
なわけですので次回も墨俣の続きです。
どーも風邪気味なんで遅くなるかも知れませんが・・・
503無名武将@お腹せっぷく:02/03/11 19:08
秀美タン・・・
痛い目にあいすぎ・・・
あああこの女の墨俣一夜城は
想像できないいいい・・・
秀美タンの人望がためされますな。
506無名武将@お腹せっぷく:02/03/12 16:46
すまた一夜嬢
507無名武将@お腹せっぷく:02/03/14 16:39
保全+期待age
508無名武将@お腹せっぷく:02/03/16 06:09
どのキャラが人気あるの?
509無名武将@お腹せっぷく:02/03/16 07:08
秀美タンかな?
510無名武将@お腹せっぷく:02/03/16 15:31
風邪お大事にage
もうだめか、、、もうだめなのか?!
512 ◆0xknNOBU :02/03/17 20:23
いやあ、リプレイススレ見てたら三国志やりたくなっちゃって・・・
ははは、全然続き書けてないんですよ(w






・・・スマソ(;´Д`)
>>512
NOBUさん、そりゃないよ、、、
つか、他の地方はどーした?

そいやぁ2次元板の方も元気ねーな
エロパロの方も音沙汰無しだし、こりゃいよいよダメなのか?!
514無名武将@お腹せっぷく:02/03/18 00:32
のんびり待つべ
焦ることもないだろ。
しかし四日ブリに覗いて何も進展がないと
ガックリ来るのもまた事実
517 ◆0xknNOBU :02/03/19 20:48
今書いとりますー、近日中にはー
遅れて(;´Д`)スマソ
>>517
書いてくれるだけで嬉しかったりするので
そんなに恐縮しなくても…
519無名武将@お腹せっぷく:02/03/20 13:39
遅れても良いからイイモノを・・・
S1「それで秀美様、墨俣の警備についてはどの様なご方針を建てて居られるので
   しょうか?」
墨俣に向かう新幹線の中で、SP1は今後の方針を仰ぐべく秀美にそう聞いた。ちな
みに、東海道本線は稲葉山高の通学路を通るので避けている。
秀美「墨俣ではまずミルフィーユから食べるご方針です〜」
しかし、相変わらず何も解っていない秀美は見当違いな応えを返す。呆れまいと努力
していたSP*2だったが、さすがにここまで見当違いのことを言われると呆れざる
を得ない。
S2「いえそうじゃなくて……」
秀美「なぜか信子様もお金一杯くれましたし〜、これだけあればケーキ屋さん一軒食
   べ尽くせますよ〜、ふふふ〜」
S1「それは現地で警備員を雇うための資金だと信子様が言っていた様に思います
   が……」
秀美「しかも!何だか良く分かんないんですけど、このカードをお店の人に見せると
   お金が無くても買い物が出来らしいんです!お金が無くてもいいなんて便利で
   すよね〜、このカードが有れば一生食べるのに困りませんよ〜」
S1「いえ、ちゃんと銀行から引き落とされるので無限に買い物が出来るわけで
   は……」
秀美「SP1、2さんも一杯食べましょ〜ね〜」
秀美に人の言葉を聞くという能力はなかった。例え聞いているように見えても、それ
は自分に都合の良いようにしか聞こえていない。こういう人間を要職に付けるという
のは、ごく一般的に考えれば組織の自殺行為だろう。二人のSPも、それは同じよう
に考えた。
S1「……ケーキも良いんですが、その前に信子様に言われた通りまず現場を見に行
   きませんか?前回我々、勝枝様と一緒にバットでブルドーザーに立ち向かった
   後気を失っちゃってたんで、その後の現場がどうなってるか知らないですし」
秀美「えー、ケーキが先の方が良いと思います〜?」
S2「いやでも、少しお腹空かし説いた方がケーキも美味しいと思うんですが?」
何と言っても指揮権は秀美にあるので、SP*2も無理矢理連れて行くわけには行か
ない。何とか秀美を宥め賺して計画を形にしようと、必死に説得した。
秀美「秀美は何時もお腹ぺこぺこですよ〜」
S1「そう言わずに……まず現場に行きましょうよ」
秀美「えー、でもー……」
秀美は愚図る。あくまでも任務放棄してケーキ屋に行かねば気が済まないらしい。
S1「……現場から先に行ったら我々が焼き肉奢りますから」
秀美「えっ、ほんとですか?うーん、それならそっちを先にしても良いですよ〜」
S2「おいSP1、あんた勝手にそんな事言って。我々が奢るって、私入ってるの?
   困るわよ、そんなに手持ちもないのに……」
S1「仕方ないでしょ、こうでも言わなきゃこの人現場に行ってくれそうにない
   し……、それにいくら育ち盛りでも秀美様は13歳。そんなには食べないわ
   よ。あんたも多少の出費は我慢して」
S2「仕方ないかなぁ?」
S1「仕方ない!諦めろ」
S2「とほほ、経費で落ちるのかしら……」
SP2は情けない表情をして、渋々SP1の説に伏した。
秀美「早く行って早くケーキと焼き肉食べましょ〜ね〜」
無論、秀美はそんな事情に一片も気付かなかった。
S1「ほんとに……」
S2「大丈夫なのかしら……」
不安がいくら大きくとも、SP*2は秀美について行くしかない。例え自分達の運命
がレミングスでもピクミンでも……
S1「いやー、綺麗さっぱりなくなってますねー」
SP1は瓦礫の山を前に、いっそ清々しそうにそう言った。
S2「前回ここに来てから何日も経ってないのにねー、いやー、我々の詰め所まで破
   壊されているとは……。秀美様、まず詰め所や建築屋の寝泊まりするプレハブ
   から作り直さなきゃいけませんね」
秀美「そうですねー、じゃあもう見たから早速ケーキ屋さんに行きましょうー」
S1「……いや、ちょっと待って下さいよ。その前に建築業者に話し付けませんと。
   先ずこの瓦礫を片づけて、それから新しい材料を揃えてと……やることは山積
   みですし」
秀美「えー?SP1さん現場見たらって言いました〜、嘘つき〜、嘘つき〜」
秀美はまたここでも愚図って言うことを聞かない。ここに信子が居たら秀美は一撃で
沈黙させられていただろうが、不幸にしてここには秀美の暴走を止められる人間が居
ない。恐るべき事に秀美自身が最高責任者だからだ。
S1「……先に建築業者の所に行ってくれたら寿司奢りますから」
秀美「えっ?ほんとですか?うーん、それなら行っても良いですよ〜」
勝手にそう言って秀美をなだめたSP1に、SP2は慌てて詰め寄った。
S2「ちょっと待ってよ!私そんなお金無いわよ!」
S1「堪え難きをたへ、忍び難きを忍び……」
S2「そんな玉音放送みたいな事言われても〜!」
S1「仕方ないだろ!またここで失敗したら信子様に何されるか分かんないんだぞ!
   あんな事やこんな事や!あまつさえそんな事まで!(ll゜Д゜)ヒィィィィ!」
何を想像したのか取り乱して騒ぎ出すSP1、その様を見てSP2は慌ててSP1を
なだめる。
S2「ちょっと!落ち着きなさいよ。信子様だって鬼じゃないんだからそんなに酷い
   事しないでしょ」
S1「鬼ならまだいい!あの人は変態だ!今度失敗したら絶対性奴隷にされ       るぅぅ!」
S2「性奴隷って……あんた変なゲームのやり過ぎじゃ……」
S1「いや!性奴隷は実在する!私は見たのよ!一人のゴム製のマスクを付けた女生
   徒が、信子様にそれはもう凄い事されてるのを(ll゜Д゜)ヒィィィィ!」
S2「そんな……」
S1「しかもそれは最近姿を見ない御妹君の行美様だったのよ!近親レズ!
   監禁!(ll゜Д゜)ヒィィィィ!」
S2「ちょっと待ってよ、何で仮面を付けてるのに行美様だって分かったの?」
S1「聞いたのよ……信子様が居なくなった後こっそり近づいて、貴方は誰です
   か?って、そうしたら、私はこの学園の生徒会長の妹だ、って答えたの……」
S2「なるほど、それで?」
S1「すると続けて行美様はこう言ったわ、私が何故仮面を付けられているか知って   いるか?と」
S2「ふんふん、なんで?」
S1「信子様がラバーフェチだからだって……」
S2「マジ?やだなぁ、それ」
S1「何を呑気な。私達がそんな目に遭わないとも限らないのよ」
S2「うーん、わかった、我慢する……」
まだSP1の言うことにSP2は半信半疑だったが、一応SP1の意見に従うことに
した。
S2「……ところで、その後行美様はどうしたの?あんたが逃がしてあげたの?」
S1「ううん、逃がして差し上げますって言ったんだけど、私もこれが趣味だからい
   いって、幽閉プレイに飽きたら自分で出て行くって言われた」
S2「……」
S1「……と言うわけで、こちらも話がまとまったので早速建築業者の所へ行きま
   しょう。さっ、急いで急いで」
秀美「はわわ、そんなに急かさないでください〜」
と、SP1は秀美の気が変わらない内にと、手を引っ張ってずるずると引きずってい
く。ちょっと不得要領に立ちつくしていたSP2も慌ててそれに続いた。
S1「断る!?それはどう言うことですか社長!」
SP1は建設会社社長の言葉を聞き、我が耳を疑ってそう叫んだ。
社長「ですから、うちとしましてもやくざがらみの仕事は受けたくないんですよ」
S1「尾張学園がやくざだとでも言うのか!?」
社長が続けていった一言は、かえってSP1を怒らせた。SP1は気色ばんで社長に
詰め寄り、ほとんどその胸ぐらを掴まんばかりの気勢をしめす。
秀美「まあまあSP1さん、そんなに興奮しないで〜」
しかし、隣にぱくぱくと菓子を喰っている秀美が居るのでは、その迫力も半減であ
る。ちなみに食べているのは、前回貞子の言っていた岐阜銘菓焼き鮎である。SP1
もさすがに秀美のその態度にはむっときたらしく、ギロリと一片秀美を睨み付けた。
秀美はびくっと体を竦め、慌てて眼を逸らすとまた菓子の方に取りかかる。
社長「いえいえ、そちらがやくざだなどとは言っておりません。ただ、現実に二回
   もその筋の人間に襲撃されたとなると、職人達も嫌がってしまいまして……私
   どもとしましても、無理に行けとは言えませんし……」
S1「しかし、それでは工事の方はどうすれば良いんだ?」
社長「残念ですが、他の業者の方に……」
S1「今から我々に探せと?」
社長「申し訳ありませんがそう言うことに……」
S1「しかし……」
なおSP1は食い下がろうとする。が、SP2がそれを目で制した。これ以上ここで
粘っても益はないと言うことだろう。
S1「……そうか、仕方ない。他をあたろう」
SP1もそれを正しいと判断したのだろう、口惜しげな顔をしながらも社長との交渉
をうち切って席を立った。
秀美「あっ、終わったんですか〜?それじゃ、今度こそケーキやさん行きましょ〜」
と、それを待ちかまえて、秀美が菓子を頬張りつつSP1に言った。
S1「秀美様……」
わなわなと拳を握り締め、SP1は秀美を睨み据えた。
S1「名前も付けられてない私がこんなに頑張ってるのに!何であんたはそんな呑気
   に構えてんですか!本来ならこの仕事は全部秀美様がやる筈なんですよ!?そ
   れを何故一介のSPである私がやらねばならんのです!名前もないのに!」
秀美「はわわ〜、何でそんなに怒ってるんです〜?ケーキ屋さんに行こうって言った
   だけなのに〜」
S1「何もしてないから怒ってるんです!大体……」
S2「まあまあ、秀美様も悪気があるわけじゃないんだし……」
更に喰ってかかろうとするSP1を、SP2が慌ててなだめに掛かる。
S1「悪気がなければいいってもんじゃない!」
秀美「ふえ〜、恐いです〜」
しかし激高したSP1の怒りはなかなか収まらない。秀美は何故怒られているのか解
らないまま、とにかくその剣幕に恐れをなした。
小麦「そこんとこもう少し何とかなりませんかねー?」
と、しかしその時、秀美にとって馴染み深い声が耳に飛び込んでくる。
秀美「あれ〜?小麦さん〜」
小麦「あんまり予算がないんですよ……って、秀美ちゃんじゃない?奇遇ねえ、どう
   したの、こんな所で?」
秀美「ケーキを食べに来たんですけど〜、何だか良く解らないんですけどSP1さん
   が怒るんです〜」
小麦「はい?何のこと?」
秀美はささっと小麦の方へすり寄り、泣きつくような事情を言ったが、もちろんそん
な説明では小麦には意味が判らない。腰に秀美をぶら下げながら、小麦は当惑した表
情でそう言う。
S1「この期に及んでまだそんな事を!」
一方まだ気色収まらないのはSP1。後からまあまあと制するSP2の言葉も耳に入
らない様子で、その様子にはまわりの人間も何事かと注視している。
小麦「どうしたのあなた?あの……秀美が何かしたの?」
S1「何もしていない!」
小麦「何もしていないなら何故そんなに怒っているのかしら?ねえ、ちょっと落ち着
   いて訳を聞かせてくれない?」
興奮するSP1に、小麦は諭すように穏やかな口調で、なかなか興奮覚めやらぬS
P1を粘り強く宥める。
S1「……あなたはどなたですか?」
亀の甲より年の功(小麦は20歳です)、SP1も抑揚の効いた声を聞いている内
に、漸く興奮も収まってきたものと見え、肩で息をしながらもそれだけのことを小麦
に聞き返すだけの余裕が生まれた。
小麦「私は秀美の知り合いで蜂須賀小麦って言うの、よろしくね」
言って小麦は、微笑みつつSP1にすっと握手を求める。
S1「はぁ……」
その笑顔に毒気を抜かれ、SP1は反射的にその手を握った。
小麦「で、どうしたの?出来れば事情を聞かせてくれないかしら?」
秀美「ケーキ屋さんは……」
と、そこにでまた秀美がおずおずと、しかし余計なことを主張した。
S1「秀美様……」
S2「わたた!待って待って!ね、ここで立ち話もなんですから、秀美様の言う通り
   そのお店に行きましょう!ねっ!?ねっ!?」
また怒りをぶり返そうとしたSP1と秀美の間に入って、SP2が慌ててそう提案す
る。それに小麦も加わって説得したから、SP1もこの場は矛を収め、SP2の提案
に従った。
秀美「じゃあ、早速行きましょ〜」
芯から何も考えていない嬉しそうな声を上げ、秀美は両手をぶんぶんと振り回しては
しゃぐ。SP1はそれを見て苦い顔をしたが、さすがにもう何も言わなかった。

小麦「ふーん、尾張学園は墨俣に新しい学校建てるんだ」
ケーキショップ「エグザノットジェネシス」でケーキを食べながら、小麦は秀美とS
P*2から(主にSP*2から)おおよその事情を聞きそう言った。
S2「ええ、それで秀美様がその現場総責任者に任命されまして……」
小麦「秀美が!?」
小麦は目を丸くして驚きそう叫んだ。当の秀美はと言うと、片手にケーキの載った皿
を皿を五枚ずつ持ち、よろよろと危なっかしくこちらに歩いてくる。ちなみに、既に
お腹の中には10個のケーキが入っていた。これは、おかわりと言うことになる。
秀美「何ですか小麦さん〜?」
名前を呼ばれたので、ケーキを落とさないようにしつつ秀美はそう答えた。その顔は
どう見ても何も考えていそうにない。
小麦「秀美が、ねー……」
信じられない、といった顔をして、小麦は軽く首を振りつつ呟いた。
S1「信じがたいとはおもいますが、信子様が任命なさったのは事実ですし……」
小麦「うーん……そうなの。でもいいわねー、新校舎建てられるなんて」
秀美「そう言えば小麦さん〜、何でこんな所に居るんですか〜?小麦さんの家ってこの辺じゃありまひぇんひょね〜?」
ようやっと席まで辿り着いた秀美が聞いた。後半言語不明瞭になったのはケーキを食
べつつ話したからである。
小麦「……お行儀悪いわよ秀美ちゃん」
秀美「……んぐっく!はい〜、それでどうしたんですか〜?」
口の中のケーキを飲み込んで、秀美は改めて小麦に聞く。
小麦「うーん……それがねー、実は矢作園を取り壊さなくちゃいけなくなったのよ」
小麦は、秀美の口のまわりに付いたクリームをナフキンで拭いてやりながら言った。
秀美「ぴえっ!や、矢作園なくなっちゃうんですか〜!何でです〜!」
小麦の言葉は秀美を驚かすに充分だった。矢作園は秀美が物心ついてから信子にさら
われる10歳までを過ごした場所だし、弟妹とも言うべき園児達も多数住み暮らして
いる。つい先日も、その子達と一緒に信子にたかってご飯を食べたばかりだ。
小麦「矢作園の土地は元々借地だし……県に掛け合って何とか残して貰える様に努力
   はしてみたんだけど……駄目だったの」
悔しそうな声で小麦は事情を話す。秀美にとっては寝耳に水の話だ。
秀美「そんな〜、何とかならないんですか〜」
小麦「うーん……取り敢えず今の矢作園をそのまま残すのは……。それで、子供達の
   新しい行き先を作って上げようと思って不動産屋をあたってみてるんだけ
   ど……こっちもはかばかしくなくて」
S2「それは……大変ですね」
小麦「まあねぇ、予算もないから難しいのよねぇ……」
SP2の言葉に、小麦は愚痴に近い声色で、溜息を吐き出すように言った。
S1「失礼ですが、予算はいかほどです?」
小麦「園児は50人ぐらい居るから大体6畳の部屋が15、6室、それから20畳位
   の食堂がついて、レクリエーションルームに15畳位、欲を言えば校庭も欲し
   いわねぇ……。それで、賃貸は月10万円以下」
S1「それは……言い辛いですけど無理だと思いますよ……そんな所があったら私が
   借ります」
呆れた顔をしてSP1は言った。はっきり言って無茶というレベルの話ではない。余
程の山奥にでも行かなければ、その賃料でそれだけの物件を借りることは不可能だろ
う。
小麦「やっぱり無理かしら?」
小麦も苦笑いしてSP1の言葉に答える。小麦にしても、端からこんな条件など無理
だと言うことは解っているのだろう。それでも何とか努力してみようと言うのが、小
麦の抜きがたいお人好しな性格であった。
S2「あの、園の子達は新しい移入先が見つからないとどうなっちゃうんですか?居
   場所がなくなっちゃうんですか?」
いささか躊躇いがちに、SP2が小麦に聞いた。
小麦「居場所が無くなると言うことはないけれど……あちこちの施設へバラバラに引
   き取られることになるでしょうね。仲の良い子達だから、できれば一緒にいさ
   せてやりたいのだけれど……」
ちょっと悲しげな表情を見せて小麦はこたえる。彼女にしても、子供時代を矢作園で
育った訳だから多分の感傷がある。それにもまして、例えばその頃、今度のような事
情で一緒に育った友達と別れたら自分はどんなに悲しく思っただろうかと思えば、他
人にはなく、子供達の悲しみを自らの悲しみとして想像することが出来た。
秀美「うえぇぇぇん!やですよそんなの〜!小鈴や朝日とも離ればなれになっちゃう
   なんて〜!」
もう一人、小麦と同じ様な感情を覚える人間が居た。しかも、こちらの方は小麦の爪
の先程にも感情の制御というものが出来ない。ケーキをひたすら口に放り込みなが
ら、器用にも同時に泣きわめいている。
小麦「とは言っても……難しいわねぇ……」
秀美「いやいやです〜!そうだ!さっき見てきた空き地に矢作園Uを作りましょう!
   そうすれば全て解決!信子様も喜ぶしで悪いこと無いですよ〜!」
と、さも良案を見付けたかのように秀美は言った。
S1「ちょ、ちょっと、駄目ですよ秀美様。あそこは尾張学園分校の建設予定地なん
   ですから」
慌ててSP1がそう言った。
秀美「えー……駄目なんですか〜?」
S1「そりゃそうですよ。そんな事したら信子様に怒られますよ」
秀美「うー……あっ!じゃあ矢作園を分校にすればいいんですよ!」
S1「いや、そう言う問題じゃないでしょ?」
秀美「でもー、分校があればいいんじゃないんですか〜?」
秀美はそれでもしつこく食い下がる。SP1はそれでも更に説得を続けようとした
が、その横からそれに先んじてSP2が口を挟んだ。
S2「あー、でもよく考えたら分校作れとだけしか言われてないわよね。小学校か中
   学校か、或いは高校か何かの指示は受けてないわけだし……」
秀美「つまり作っていいって事ですか〜?ほら〜、やっぱり名案ですよ〜!」
S1「こらSP2、貴様いらん事言うな」
S2「いやいや、割と本気で言ってるんだけど?だってこの校舎って西美濃での勢力
   拡張が目的なんでしょ?だったら地元に詳しい矢作園の子達を取り込んでおく
   のはマイナスにならないと思うんだけど」
S1「あ……なるほど。そうかも知れないわね……でも信子様がなんて言うか……」
S2「ちょっと待って、携帯で聞いてみる」
小麦「……何だか思わぬ方向に話が進んでるみたいだけど……」
事の成り行きをちょっと茫然と見守っていた小麦はそう呟いた。
小麦「期待して良いのかしら?」

S2「OKだそうです。ただし矢作園を立てた後、小中高一貫の校舎も造れって。S
   P1、あの土地にそれだけ建つかな?」
S1「大丈夫だろ?かなり広いし」
秀美「やたー!じゃあ小鈴達と別れなくていいんですね〜!」
SP2の報告を聞いた秀美は、そう叫ぶと食べ終わったケーキの皿を振り回して喜び
を表した。皿に残ったクリームが飛び散って顔やら服に付くが、そんなことは気にし
ない。
S1「秀美様落ち着いて下さい。確かにその通りなんですが、建設業者も見つかって
   ませんし、まだまだ問題は山積みなんですよ?何時工事を始められるかの検討
   もつきません……」
そう言って、はしゃぎまくる秀美にSP1は苦い顔をしてみせる。
小麦「あのー、尾張学園で矢作園を受け入れてくれる事になったんですか?」
と、まだ事の成り行きが信じられない様子で、小麦はSP1にそう確認する。
S1「ええ、そちらさえよろしければ」
小麦「よろしければなんてとんでもない!願ってもないことですもの!ありがとうご
   ざいます!」
そこで初めて喜びを表し、小麦はSP1を抱き締めんばかりの勢いでその手を握る。
S1「わわっ、お礼なら私よりも信子様に……」
秀美「小麦さん〜、私も褒めて下さいよ〜」
小麦「あっ、ごめんなさい。秀美ちゃんが言い出してくれたんだものね。ありがと
   う」
言うと、小麦は秀美の頬に軽く口を付ける。
秀美「えへへ〜、秀美えらいですか〜?」
小麦「うん、えらいえらい」
言いつつ小麦は秀美の体についたクリームを拭いてやる。その間も、秀美はきゃっ
きゃとはしゃいでいる。SP1はその様子を見て少し不安になった。何しろ、建築業
者も決まっていない状態。小麦をぬか喜びさせてしまうことにもなりかねないのだ。
S1「あの、何せ今も言いましたように業者も決まっていない状態ですので……」
小麦「あっ、それでしたら私が手配しましょうか?お世話になりっぱなしですから、
   そのぐらいの労はとらせていただきたいんですけど」
この言葉に、SP1もSP2も顔を見合わせる。それで手配がつくというなら、それ
こそ渡りに船と言うべきものだ。
S2「あの、本当にお願いできます?」
小麦「はい、任せて下さい。私こう見えても一級建築士の資格持ってるんです。逸れ
   に矢作園の先輩が会社を開いてますから、その人に頼めば」
S1「それは……大変助かります。お願いしてもよろしいでしょうか?」
小麦「もちろんですよ!こちらがお世話になるんですからこれぐらい!」
こうして、墨俣校舎の建設は蜂須賀小麦に託されることとなる。しかし、問題の全て
が、解決されたわけではなかった。

小麦「と言うことで、矢作園を私が建てることになったんですけど、先輩、協力して
   くれません?」
翌日、墨俣のホテルで一泊した後、秀美とSP*2の一行は、蜂須賀小麦に連れられ
て小麦の先輩だという建築会社社長の事務所に訪れていた。
青年「なるほど、矢作園が取り壊しになるって話は聞いていたが……そうか、代貸用
   地が見つかったか」
自信も矢作園出身の青年は、小麦の話を聞き終えるとホッとしたように大きく息を吐
き出してそう言った。青年もここの所矢作園のことを気にはかけていたのだが、零細
に過ぎない青年の事務所ではどうすることも出来ず、気にかけるのみで何もできない
のを歯痒く思っていたところであった。
青年「うん、もちろんそう言うことなら協力するよ。ただ、やはりただってわけには
   いかないけど……」
S1「その点でしたらご安心を、建築費の方は尾張学園が全額負担しますから」
青年「そうか……しかし、何だって尾張学園の……織田信子さんは、こんな好意を寄
   せてくれるんだい?」
S2「いやあ、義を見てせざるは勇なきなりというか、まあそんな感じなのですよ」
S1「そうそう、信子様は義に篤い人だから、ははは」
と、SP*2が何故か歯切れが悪いのは、小麦にもこの青年にも、墨俣校舎が美濃攻
略の前線基地であることも、やくざに襲撃されたことも言っていないからである。二
人には、たんなる分校の建設としか説明していない。言えば、そんな危ないところに
子供達は置けないと中止されるかも知れないからだ。
S2(何かちょっと心ぐるしーわね)
S1(しかし工事が遅れて酷い目に遭わされるのは我々だし……ここは鬼になろう)
などとSP*2が心の中で思っていることは、小麦にも青年にも解らない。
秀美「ところで〜、矢作園をどうやって持って来るんですか〜?あんな大きな矢作園
   を運ぶなんて〜、何人の人で運ぶんでしょうね〜」
と、ここでまた秀美が間の抜けた発言をする。どうも、秀美の頭の中では今の矢作園
をそのまま空き地へ運ぶ様子が描かれているらしい。
青年「はは、違うよ秀美ちゃん。今の矢作園は壊すんだ。それから、新しい矢作園を
   建てるんだよ」
青年は秀美の愉快な妄想を笑いながら訂正してやる。
秀美「えー!壊すんですか!いや〜、壊しちゃいやです〜!矢作園は私の故郷で
   す〜!故郷を壊されるときこそ人は泣くのです〜!」
しかし、またここでも秀美は訳の解らない我が侭を言い始める。
小麦「こらこら秀美ちゃん、古い矢作園は人の土地の上に立ってるのよ?貴方があそ
   こに愛着があるのは解るけど、壊さないわけには行かないのよ」
小麦はそうたしなめつつ秀美に説明する。しかし、そんな理屈が解るようなら、そも
そもこんな馬鹿なことは言い出さない。
秀美「え〜……矢作園を、ひょいって持ち上げて、ひょいって下ろせばいいじゃない
   ですか〜、そうすれば壊さなくていいですし〜」
小麦「無理言わないで、オモチャの家じゃないんだから」
青年「……いやいや、小麦ちゃん待って、それはちょっと面白いかも知れない
   なぁ……」
小麦「はぁ?何先輩までおかしな事言ってるんですか?頭がおかしくなっちゃったん
   ですか?」
小麦の言葉は先輩に対するものだというのに仮借ない。或いは、先輩だからこそ歯に
衣を着せぬ言い方が出来るのかも知れない。
青年「……頭がおかしいは酷いな、小麦ちゃん」
小麦「でも先輩って昔から時々急に変な事言い出すんですよねー、そのせいで一緒に
   下校するときとか周りの人から変な目で見られたりしたこともあったし」
青年「いや、まあ昔のことは置いとこうじゃないか」
昔のことに触れられると、青年は慌てて話を元に戻そうとする。小麦はもう少し昔話
をしたそうだったが、場所が場所なので我慢した。
青年「僕が面白いと言ったのはね、最近家では田舎の古民家を最近の住宅地に移すっ
   ていう仕事を請け負ってるんだよ」
小麦「古い家を?何でそんなことするんですか?」
青年「郷愁というもんだね。田舎の家に住んだことのない人ほど、牧歌的な建築物へ
   の憧れは強い。まあ小麦ちゃんには解らないかも知れないけど、これが結構商
   売になるんだな」
小麦「ふーん?」
小麦は何となく納得の行かないような顔をした。自分が住む家なら、どう考えても古
い家より新しい家の方が良い。
青年「古民家で考えて解り辛いなら、矢作園に置き換えて想像してみるといい。小麦
   ちゃんだって、あそこのボロイ建物に思い出も愛着もあるだろう?」
小麦「それは、まあ……」
青年「だからさ」
小麦「はい?だから何ですか?」
青年「だから、この方法で矢作園もそっくり移しちまえばいい。建材の費用も浮く
   し、何より子供達だってあのボロ屋の方が落ち着くさ、経験者が言うんだから
   間違いない」
小麦「えー?わざわざ古い建物を?」
小麦はその提案に難色を示す。それは小麦にも感傷はある。しかし秀美のように感情
の抑制の利かない性格でも、青年のような、いわばロマンティストでもなく、小麦は
ごく現実家であった。その性格から見れば、古い建物は所詮ボロ屋でしかない。
秀美「いいですね〜、そうしましょ〜、ね〜小麦さん〜、小麦さんもその方が良いで
   すよね〜?」
しかし秀美は青年の案が気に入ったらしい。これも当然のことで、秀美は感情のまま
に生きている生物だからである。
小麦「えー、でも……」
小麦はなおも難色を示す。と、
S1「あのちょっとお聞きしたいんですが……」
そこにSP1が割り込んで青年に質問をした。
青年「はい、何でしょう?」
S1「それって費用はいくらぐらい掛かって、工事は何日ぐらい掛かりますか?」
青年「ああ、これはしたり。費用ですね、そう……13、400万って所ですか」
S2「随分安いですね」
青年「建材の分費用が浮きますし、矢作園は古民家と違って一般の建築物ですから特
   殊な技術も要りませんから。もちろん、大分勉強してますけど」
S1「それはありがとうございます。で、工事期間は?」
青年「そうですね……解体、土台作り、建築、全行程一ヶ月って所ですね」
S1「一ヶ月……土台は前の工事のが有りますが、それが使えるとしたらどれぐらい
   で?」
青年「土台があるとしたら、3週間ほどですか」
S1「……何とか3日ぐらいで建ちません?」
青年「3日!?」
余りと言えば余りの数字に、青年も驚いて飛び上がり大きな声を上げる。
青年「多少なら早くなりますが3日とは……いやとても」
S1「無理ですか?」
青年「残念ながら。しかし、何故そんなにお急ぎになるんです?」
S1「いや……」
やくざに襲撃される恐れがあるのでその前に建ててしまいたいのです。とは、口が裂
けても言えない。
S1「……実は信子様はめけめけ教の信者でして、教義により分校を建てるときは3
   日以上の歳月をかけてはいけないことになっているのです」
青年「……めけめけ教?」
S1「……そういう教義なのです」
言ってからしまったと思ったが、もう今更取り替えしもつかない。無理すぎるとは
思ったが、SP1はこの設定で押す。
青年「そうですか……教義なら仕方ないですね」
が、以外にもあっさりと信じる青年。
S1「信じたんですか!?」
青年「えっ?嘘なんですか?」
S1「NO−NO−、ワタシウソツイテナイネ」
慌てて怪しい言語で言い訳するSP1、青年はその言い訳を信じたかどうか、ともか
くそれ以上の追求はしてこなかった。
青年「そうですか、しかしそれは難しいですね。3日……これは難題だ」
難しい顔で青年は考え込む。他人からは知る由も無かったが、この時青年の頭の中に
はプロジェ○トXのテーマが鳴り渡っていた。
青年「うーん……建築に3日以上掛けなければいいんですか?」
S1「はい?どう言う意味です?」
青年「いや、いったん矢作園をばらして、それで建物の各パーツ事を作り、トラック
   で一気に現地に運んで組み立てれば、恐らく二日で造り上げられるかと」
S1「おお!それは素晴らしい!ぜひそれでおながいします!」
小麦「えー、ほんとに古い建物建てるのー?」
小麦が嫌な顔をしている横で、SP1と青年は固く握手した。青年の顔には自己陶酔
が浮かんでいたが、この状況下で気付く者は居ない。小麦はまだぶつぶつ言っている
し、秀美はどうやら懐かしい建物が壊されずに住むらしいと知ってはしゃぎ回ってい
る。SP1と2に到っては、自分らの身の安全がどうやら首の皮一枚でつながったと
いう安心感に浸って腑抜けのようになっている。要するに、まともな思考をする人間
は誰一人としていない状態で、墨俣校舎建築の一大プロジェクトはスタートした。
529 ◆0xknNOBU :02/03/22 01:20
墨俣、書けた分だけー
遅くなってスマソ・・・

>遅れても良いからイイモノを・・・
それが一番難しかったりして・・・(;´Д`)
530無名武将@お腹せっぷく:02/03/22 01:42
ヤター久々の続きだ。おつかれです。
531無名武将@お腹せっぷく:02/03/22 11:59
ここもある意味すごいな・・・
532無名武将@お腹せっぷく:02/03/22 13:01
この板って連続投稿規制ってないの?
533無名武将@お腹せっぷく:02/03/22 22:14
ありますよ
534無名武将@お腹せっぷく:02/03/24 23:01
      _」___|_                
      |○-○|               
    ピ |/ψ\∂  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            
     カ |(=) /  <  定期的に向こうのURLを貼っていただくと助かりますな!
     ッ  `‐´    |  http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1013278277/
              \___________   
こっちもついでにほしゅ、半角大変みたいだからこまめに保守してあげて。
sage保守
NOBUさんはもう去ったのか?
539 ◆0xknNOBU :02/03/28 20:01
いますよー
一人で穴掘りしてる様な気分がして今一筆が進まなくって(w
スマソ
期待sage
保守
ほっしゅー
保守
小麦「と言うわけで、この現場の総責任者に任命された蜂須賀小麦です。まだ若輩者
   ですがこれから皆さんと一緒に作業していくことになりますのでよろしくお願
   いします」
話し合いから2日後、早速矢作園の移設工事が開始され、現場責任者として臨時に抜
擢された小麦は作業員を前にしてそうあいさつした。作業にあたる人間の大半は小麦より年長者ばかりだったが、大抵の人間は時折青年の事務所を手伝いに来ていた小麦
に面識があり、不満のある人間は少ない。
小麦「それから、この工事は完了まで10日を予定しています。作業の内訳は解体に
   3日、ここでの組立に5日、墨俣での組立を昼夜突貫して2日」
この一言に、さすがに作業員達の間にざわめきがおこった。常識的な数字ではない。
小麦「えーと、無理は承知です」
ざわめく作業員達を、小麦は取り敢えずそう言ってなだめた。それでも、作業員達の
動揺は収まらない。この不況下、仕事は出来るだけ受けたいところだが、無茶な条件
での仕事は成功不成功に係わらず危険でもある。躊躇するのも当然といえた。
小麦「でも、無理が通ったら皆さんには一人当たり、現金で取っ払い100万円の
   ボーナスを支給します。もちろん通常の時給は払った上で、です」
その言葉に、作業員達は一瞬に静まり、次の瞬間今までとは違う種類のざわめきを起
こす。
小麦「と、言うわけで、具体的な作業の説明に入りたいと思います……」
文句を言う者は誰もいなかった。今日呼んだ作業員達は腕もさることながら、博打好
きだとか遊び好きなどで金使いの荒い者達ばかりなのである。こういう手法を使えば
多少の無理も利くだろうし、安全よりも投機を好むような性格の者でなければこんな
無茶な計画も成功しないし、どころか安全第一の者なら計画にさえ乗って気もしな
かっただろう。

小麦「ふぅ……」
作業員に工程の説明を終え、いったん事務所がわりのワゴン車に戻った小麦は、一仕
事終えた安心感と、これから先の仕事を考えて大きく息を吐き出した。
青年「お疲れ、小麦ちゃん」
小麦「あれ?社長、何でここに?」
いきなり思いがけない人間から声を掛けられた小麦はびっくりしてそう聞き返す。青
年は社長という立場上やるべき事も多く、この現場に来る予定ではなかったはずだっ
た。
青年「うん、初日だし、一応小麦ちゃんの様子を見ておこうかと」
小麦「私、信用できませんか?」
青年「いや、そんなことないよ」
ちょっと膨れた小麦に、青年は慌ててそう言いわけした。実際、小麦の能力に不安が
あったから来たわけではない。
青年「しかし、一人頭100万なんて言っちゃって良かったのかね?作業員が18人
   だから、それだけで1800万も掛かることになるけど」
青年は話をそちらにそらした。金銭のことに関しては、既に信子の了承を得ている。
青年の事務所に支払われる分は1500万円。それとは別に、作業員達には直截金銭
が支払われる。作業員達の給与が10日分で約500万円、これに固定費が約100
万、材料費が1〜200万。計7〜800万の費用。10日の突貫工事で仕上げる
分、事務所としては儲けが多いわけだが、尾張学園が払う金額は計3300万円。只
の移設工事にしては少し高い。むろんその値段でやるには、尾張学園の方に建設を急
がねばならない理由があるからなのだが、小麦や青年にはその事情は分からない。明
くまで宗教上の理由だと信じている。
青年「めけめけ教ってのは金の掛かる宗教だね」
だから呑気にそんなことを言う。本当は、何時やくざの襲撃ががあってもおかしくな
い。
小麦「まあ良いじゃないですか、事務所は儲かるんでしょう?」
小麦はコップを取り、シンクのコックを捻って逸れに水を注ぎつつ言った。
青年「まあね。ところで小麦ちゃん……」
小麦「社長、ここでは臨時とはいえ上司と部下です。小麦ちゃんは止めて下さい」
青年「え……でもじゃあなんて言えば?」
小麦「蜂須賀さん、あるいは蜂須賀監督と」
青年「蜂須賀……さん?」
小麦「……ふふっ、何だかおかしいですね。いいです小麦で、でも、ちゃん付けは止
   めてくださいね」
青年「ああ……じゃあ……小麦」
青年は言い慣れない呼び捨てに少し照れながら言う。
小麦「はい社長、何ですか?」
青年「いや、なんて事はないんだけど……今日は早めに上がるだろう?この後食事で
   もどうかと」
小麦「ありがとうございます。でも時間がありませんから。現場が動いているのに私
   だけ休んでるわけにはいきませんよ」
青年「そう……残念だ。また今度誘うよ」
小麦「ええ、その時はお願いします」
言うと小麦はコップの中の水を一気に飲み干し、さっと立ち上がってワゴンのほんの
数分休んだだけで今入ってきたワゴンの扉を開けた。
青年「もう行くのかい?」
青年はちょっと驚いてそう聞く、多少名残惜しそうな声でもあったが、小麦はその微
妙な声の変化には気付かない。
小麦「ええ、今言ったように時間がありませんから」
青年「そうか……」
小麦「それじゃ社長、また」
青年「……僕のことも名前を呼び捨てにしてくれると嬉しいんだが」
そう青年が呟いた言葉は、小さすぎたせいか、或いは小麦が意図的に聞き流したの
か、何の反応によっても報われなかった。ばたん、とただ単純な音がして、ワゴンの
扉が閉まっただけである。
青年「……はぁ」
青年は大きく溜息を吐く。
S2「ははぁ、こりゃしゃちょさんも大変ですね」
青年「わっ!」
不意に後から声がして、青年はびくりと飛び上がる。
青年「……びっくりした。君は……SP2君?」
S1「私も居ますよ」
ワゴンの最後部、荷物置きの中からSP1もひょっこりと顔を出す。
青年「SP1君も……何時からそこに?」
S1「我々ここで寝泊まりしてるんです。信子様に滞在費ケチられまして、ホテル住
   まいは秀美様だけ。だから初めからずっと居ましたよ」
青年「はぁ、そうですか」
呆気にとられた表情で青年は呟く。
S2「いやー、そうでないかとは思ってましたが、しゃちょさん小麦さんに気があり
   ますか、そうですか」
下卑た笑いを浮かべ、SP2は青年にそう言った。SP1はそれをちょっと目で制し
たが、それ以上に強く止めようとはしない。彼女らも年頃の女の子、人並みに色恋沙
汰には好奇心が動く。
青年「いや……そんな」
青年は慌てて誤魔化そうとするが、好奇心にまみれた思春期の視線の前には儚い抵抗
に過ぎなかった。関羽と張飛に囲まれて一斉攻撃を喰らった楊修の様に、あっという
間に防御壁は消滅する。
S2「まあ隠すこともないでしょ、同じ名前がない同士、ここは隠し事話で行きま
   しょうよ。うへへ」
S1「下品よSP2、社長さんも話して下さるって言ってるじゃない」
青年「いや、そんなことは一言も……」
S1「ああ、聞き違いでしたか。いえ、話してくれなくても小麦さんにばらしたりし
   ませんから、安心して下さい」
青年「……」
がっくりと肩を落として、青年は諦めの表情を見せた。
青年「まあ、隠すほどのことでもないんだけどね……」
しぶしぶ、と言った表情で青年は語り出す。隠すほどではなくても、こんなことを自
分で語るのは恥ずかしいだろう。
青年「小麦君とは、僕が18の時に出会ってね。僕が矢作園の出身だってのは知って
   るよね?」
S2「知ってます」
青年「矢作園は普通中学を卒業するまでの面倒を見てくれるんだ。それ以上は就職し
   たり、或いは進学して安いアパートに移ったり寮に入ったり。僕の場合は夜間   の高校に進学して、昼間は働いていたんだけど」
S1「はあ、それはご苦労なさったでしょう」
SP1は感心してそう言った。尾張学園SP隊は、通常尾張学園のOBか在校生から
編成される。尾張学園の生徒は比較的裕福な家庭が多いから、所謂金銭による苦労と
いうものは余り経験したことがない。SP*2もそれは同じで、青年の様に苦学をっ
したものを見ると、自分の身の上と会わせて、一種忸怩たる感情と尊敬の念を持って
しまう。
青年「いや、それ程でもないよ。そりゃ大変な人も居るんだろうけど、僕の場合は矢
   作園の人達も含めて周りにいい人が多かったから。これで意地悪な人間ばかり
   が周りにいたら、性格の一つも曲がってたかも知れないけど」
何の衒いもなく青年はそう言った。大変でなかったと言うことはなかったろうと、S
P*2は思ったが、それを感じさせない青年に、一層尊敬を深める。
青年「それで、高校を出て少し経った頃、少し暇な時間が出来たんで矢作園の仕事を
   手伝いに行ってたんだよ。……その時にね、小麦ちゃんと出会って」
S2「うひゃあ、運命の出会いですか!」
青年「いやあ、そんなものじゃないけどね……」
SP2のからかいに、青年は赤くなって頭を掻く、嫌々言わされているにもかかわら
ず、やはり語り出すと思い出によってくるのだろう。語り口からも堅さが消え、青年
の口調は、むしろ進んで話しているような感じにもなってきた。
青年「とにかく、その頃から小麦ちゃんは溌剌として……なんて言うか命が張り詰め
   ていたよ。それに……可愛かったし」
S1「これはこれは……」
いささかあてられたように、SP1は鼻白んでそう言った。
S2「あれ、でも?社長さんって今幾つです?」
社長「可憐だったし……ん?僕かい、29だけど?」
S2「小麦さんが今20歳、高校卒業したてって言うと18、9歳だから10〜11
   年前ですよね。そうすると当時の小麦さんは9歳か10歳……」
S1「……」
青年「もちろん今も可愛いんだけどその頃もかわいくってもう僕なんか毎日矢作園に
   通っちゃったりして、それから……」
青年「……と、言うわけなんだよ」
S1「……はっ!いつの間にか日が暮れている!」
長々と続いた青年の長広舌に、ついうとうととしてしまったと思えば、SP1は何故
か夕日を見る時間までタイムスリップしていた。
S2「……んあっ?終わったのー」
その声に、これは早々と熟睡体制に入っていたSP2も目を覚ました。
青年「ちょっと長話になっちゃったかな、じゃあ、僕は小麦ちゃんにあいさつして事
   務所に戻るから」
自覚のない発言を残して、まだ寝惚け眼のSP*2に青年は言った。そしてワゴンか
ら降りると、昼も食べずに現場の指揮をしている小麦の方によっていく。
S2「……あの人じゃ、どうも目はなさそうねー」
S1「あー、ちょっとなー……」
その姿を見送りながら、SP*2は同じ感想を持ってそうもらした。青年はそんなこ
とは知らず、ひょいひょいと小麦の方によって何かを話しかけると、馬鹿なことでも
言ったのか小麦に何か怒られ、慌てて逃げるように去っていった。SP*2はその光
景を見送って、改めて大きく息を吐き出す。何にしても、今は色恋より任務である。
気を取り直して、SP*2も充分の警戒をしなくてはいけない。

−10日後−
S1「いやー、何とかなるもんですね」
S2「ほんとほんと、一時はどうなることかと思ったけど」
しかし小麦の指示が良かったのか、或いは社長の手腕が良かったのか、意外なほど
あっさりと墨俣校矢作学園校舎は完成した。当地での組立を丸一昼夜で行ったため、
心配されていた美濃学園の妨害もなく、SP*2としては一安心と言ったところだ。
とは言え、これから美濃学園の襲撃があることは間違いない。
S1「これからが勝負ね」
小麦「勝負って何が?」
呟いたSP1の言葉を、校舎完成の達成感に浸って居た小麦が聞きとがめる。
S2「いや……あ、そう言えばSP1、秀美様はどうしたの。来るって言ってたんで
   しょ?」
慌ててSP2は話題をそらす。事情については、まだ小麦にも言ってないのだ。
S1「さっき電話したらまだホテルで寝てた。すぐ来るってさ」
小麦「もう、秀美ちゃんってば相変わらずねぼすけね♪」
校舎完成で舞い上がっている小麦は、それであっさり話をそらされる。SP*2はひ
とまずホッとしたが、問題が片づいた訳ではなかい。いずれ、襲撃はある。

興美「墨俣に校舎が建ってる→?」
斉藤興美が墨俣の変報を受けたのはその日の正午のことだった。報告したのはいつも
の如く斉藤翔子。最近では、西美濃校の三人は興美の側から遠ざけられている。
翔子「そうなのよ→、どうやったのか知らないけど→、いっきなり建ってんの→」
興美「え→?うざ→。でさ→?どうするの翔子→?」
翔子「ン→?何か→、ちっちぇー小屋みたいのらしいから→、今回も日根野に言って
   大阪のやくざ借りてくる→」
興美「あっそ→?それでつぶせんだ→、じゃ、翔子に任す→」
翔子「ン→?任せて→」
こうして、織田学園の変に応じては、美濃学園も第三次の墨俣襲撃隊を派遣しようと
していた。やっと完成したとは言え矢作校舎は木造の小建築物。それでも小麦、SP
*2、その他はこの脆弱な建築物に拠って美濃学園の派遣するやくざ(ブルドーザー
付き)を撃退しなくてはならなかった。
548 ◆0xknNOBU :02/04/02 06:44
珍しいタイミングでしたね。
保守ありがとうございます(w

あーんま進んでないですが間空きすぎるとアレなんで一応。
いや、前回からも充分空きましたけど(;´Д`)
次回で漸く「墨俣」終わりの予定です。

保守してくれた人や絵描いて暮れた人に感謝しつつ、ではまた〜
549無名武将@お腹せっぷく:02/04/02 07:43
>>548

お疲れさんです。
楽しみにしてたんで、アリガター

にしても、10歳の小麦たん。。。(;´Д`)
>>549
結局それなのかお前らというヤシは
んーと
エロパロ書くに当たってカップリング募集したいんですがよろしいかしら。
レズなんぞ書いたことないがな!
出来れば明日の昼十時当たりまでにー。よろ。
あ、尾張学園の連中はNGで……
あんなもん能天気過ぎてエロくしようがないので……
553無名武将@お腹せっぷく:02/04/03 02:37
SP1×SP2
>>553
そ、即レスやね……
うんそいつらは面白そうだ。脳内でプロットもでけた。
明日の夜十二時までには遅くてもうpの方向で行くよ。
555無名武将@お腹せっぷく:02/04/03 03:00
マジカヨ!その二人も尾張学園だしジョークのつもりだったんだが
ななし同士のからみか(w
そろそろか?
そろそろエロパロ立つのか?

気が早いけど第二段のカプリングは是非
今川氏子×松平元美でおながいします
557無名武将@お腹せっぷく:02/04/05 02:58
._。
|優|
|勝| 
|祈|
|願|            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
. ̄|ミψ彡.Λ_  < 今、2ちゃんねるでは、板人気トーナメント大会が開かれている!
./|( ゚Д゚)%| ・_)  |是非4/24には、この板に投票をして戴きたく思う!
| ̄|_(⊃ α|/|    .|更にこのスレは三戦板の中でもかなりの名スレと言える!書き手の皆様の文章力の高さにはほとほと感動いたしておる!
ノ(^( ∪~  ̄ )    |このスレの職人には是非大会時の盛り上げ役として文章作成・貼り付けをしていただき、フリー投票者を引き込んでいただきたい!
 | ) | ) || ` ||     .|有志はhttp://curry.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1017859079/で来て戴きたい!では、ご免!     
             .\_____________________________________________________
558無名武将@お腹せっぷく:02/04/05 06:01
結局エロパロのうpは無かったのかぁ・・・
ほっしゅほっしゅ
560無名武将@お腹せっぷく:02/04/06 22:25
エロパロも全学園も完全に停止しとる〜
やっと濡場に入った書きかけのやつが
PCフリーズで飛んで放心してました(藁

その後ネトゲやってた……スマヌ
>>556
それ前書いてて思ったんだけど、特に元美はキャラとして
重要すぎて正直どうやってエロに持ってけばいいか
分からなくなっちゃった。下手にいじれないし。
保守
一つ、質問。ここって皆が持ちまわりに小説書くスレなの?
>563
いんや、書きたい人が書きたい時に小説を書くスレだよ。
今日の『その時歴史が略』見て、武田軍団の登場はまだかなーって思ったよ。
ってか、小さい頃から信玄好きだし伝記もいくばか読んだけど……。
生半可な知識じゃやっぱり書けない物かなぁ。

ということで武田軍団待ちsage
保守びーむ
567「墨俣(23)」 ◆0xknNOBU :02/04/13 08:38
秀美「サンド〜バ〜ックに浮かんで〜消え〜る〜憎い〜あんちくしょう〜♪」
SP1から連絡をもらってから2時間後、二度寝してご機嫌の秀美は鼻歌を歌いなが
らふらふらと工事現場に向かっていた。
秀美「今日のお昼はなんだジョー!一緒に涙橋をわたろ〜♪」
道行く人々は妙な歌を口ずさむ女子中学生の方に一度は目を向けて行くが、関わり合
いになるのは嫌なのですぐに眼を逸らして通り過ぎる。
秀美「この野郎!かかって来い!最初はジャブだ!ホラ右パンチ!おっとア……はわ
   わ!?」
と、前方をよく見ずいい気分で歌っていた秀美は、足下に落ちていた物体に気付けず
にそれに足を引っかけてつんのめった。
秀美「も〜、何でこんな所にゴミが捨ててあるんですか〜」
たたらを踏んで危うく転びかけた秀美は、そう言いつつ振り返って自分を躓かせた襤
褸のような物(未確定名)を睨む。
秀美「こんなのが道の真ん中にあったら邪魔ですよ〜」
秀美はそう思って襤褸のような物(未確定)の前に立ち、道の隅に除けようと思った
が、手で触るのは気持ち悪い。
秀美「うーん……蹴ってよせときましょう。えい!えい!」
そう思い立って、秀美は襤褸のような物(未確定名)をがしがしと蹴りつける。が、
襤褸のような物(未確定名)は以外にずっしりとしていてなかなか動かない。
秀美「重い〜、えい!えい!」
なかなか動かないので、秀美は勢いをあげて襤褸のような物(未確定名)を更に蹴り
つける。
襤褸のような物「う……痛いよ〜……」
秀美「??ゴミが喋ったような気がしますけど、きっと気のせいですね。えい!え
   い!」
襤褸のような物「痛いよ痛いよ、気のせいじゃないよ〜、やめてよ〜……」
秀美「はわっ!やっぱり喋ってます!気持ち悪いです〜、きゃあきゃあ!」
叫びながら秀美は襤褸のような物(未確定名)にやくざキックを連続して入れる。足
が入るたびに、襤褸のような物(未確定名)は死にかけの海老のようにびくびくと跳
ねた。
襤褸のような物「はうっ!はうっ!痛いよ痛いよ〜!やめてよ〜」
秀美「きゃあ……うにゅ?どこかで聞いたような声ですよ?」
襤褸のような物「はふぅ……」
そう思って秀美がやくざキックを止めると、襤褸のような物(未確定名)はそうはき
だしてまたぴくりとも動かなくなる。
秀美「??」
秀美は動かなくなった襤褸のような物(未確定名)を覗き込んだ。
>かんてい
……しっぱい!
秀美「……何だか良く解らないので放っておきましょう」
君子危うきに近寄らず。秀美は君子でも司祭でもなかったが、危うきには近づきたく
なかったので、気にはなったが襤褸のような物(未確定名)を無視して先に進むこと
にした。
襤褸のような物「待ってよ〜……」
が、そうはそう決めて過ぎ去ろうとしても、危うきの方が秀美を見逃してくれなか
い。今まで動かなかった襤褸のような物(未確定名)がずるずると地面を這い秀美の
足首を掴む。
秀美「はわわ〜、出来もしない鑑定なんかしたから呪われたんでしょうか〜?
   こわい〜!」

果たして襤褸のような物に足首を掴まれた秀美はいかがなりましょうか。それは次回
に解きあかすのをお聞き下さい。
568「墨俣(24)」 ◆0xknNOBU :02/04/13 08:38
「前田利子大いに事情を語り
 木下秀美義によりて朋を助く」

襤褸のような物「うう〜、私だよ〜、秀美ちゃん〜……」
秀美「はわわ?その声は……もしかして利子ちゃんですか〜?」
ようやく秀美はその声に思い当たり、自分の足首を掴む襤褸のような物(未確定名)
をしげしげと見てみれば、随分とぼろぼろになっていたが、これなん将に親友前田利
子(確定)であった。
利子「そうだよ〜。酷いよ〜秀美ちゃん、いきなり蹴るなんて〜」
秀美「ごめんです。でも、何でこんな所で寝てるんです〜?狩りですか?」
利子「こんな所で狩りはしないよ〜、実は〜……」
そう言うと、利子は秀美の足から手を離しずるずると上体を起こす。疲労しているの
か、それだけの動作でも大変なようだ。
利子「これを探してたら以外に時間が掛かっちゃって、こんなぼろぼろになっちゃっ
   たんだよ〜」
利子はスカートのポケットから小さな人形を取りだした。
秀美「あっ、にぽぽ人形ですね。あれ?でも確かそれって利子ちゃんがゴミと間違え
   て焼却炉で燃やしちゃったんじゃあ?それで信子様にものすごく怒られました
   よね〜?」
利子「怒られたって言うか殺されかけたよ〜」
秀美「それなのに何で利子ちゃんが持ってるんですか〜?」
利子「同じのを探してきたんだけど〜……」
秀美「はい?」
利子「偽物だったんだよ〜……、それでまた信子様に怒られて、窓から取ってこー
   いって投げられたんだよ〜」
秀美「見つかったんですか〜?」
利子「今見せたのがそうだよ〜、昨日の午後見けたんだよ〜、でも……」
秀美「でも〜?」
利子「これ偽物なんだよ〜、きっと持ってってもまた投げ捨てられるんだよ〜」
そう言うと利子はしくしくと泣き出した。
秀美「はわわ、泣かないでください〜。何だか良く解らないですけど私からも信子様
   に許してくれるように頼んでみますから〜」
利子「う〜……ほんと〜?」
秀美「ほんとです。今秀美はここでケーキショップをつくってるところなんです。こ
   れが終わったら信子様の機嫌も良くなると思いますから一緒に謝りましょ〜」
秀美の勘違いは酷くなっているが、利子にはそんなことは分からない。ただ秀美の好
意に謝するので精一杯だった。
利子「うう、ありがとう、だよ〜」
秀美「いいですよ〜、でもとりあえず私小麦さんの所に行かなきゃいけないんです。
   利子ちゃんも一緒にいきましょう」
利子「小麦さんって誰〜?」
秀美「秀美のお母さんみたいな人です〜」
その説明だけでは当然利子には何のことか分からなかったが、秀美はそんなことはお
構いなしにどんどん先に歩いていってしまう。
利子「あっ、待ってよ〜」
利子も疲れ切った体をむち打って秀美を追った。
S1「秀美様遅いな〜、電話してからもう二時間以上経ってるぞ」
その頃、墨俣の工事現場では当然のようにSP*2が待ちぼうけを喰らわされてい
た。
S2「さっきもういっぺん電話してみたけどでなかったわ。フロントに確認取ったら
   もう出たって言ってたからそろそろ来るんじゃない」
S1「まったく、あの人には何時も振り回される」
憤然とした顔を作ってSP1はそう言った。
小麦「……それはいいんだけど、あなた達何してるの?」
そんな風に愚痴っているSP*2に、明日からの作業の指示を終えた小麦が近づき、
困惑したような口調でそう聞いた。小麦がそう聞いたわけには、何故かSP*2は二
人してスコップを持ち、一生懸命校門(予定地)の辺りの土を掘り返していたからで
ある。
S1「あっ、小麦さん。いやあ、なんですよ。こう、堀を巡らせ、塀を高くしようか
   な、と」
小麦「……何でそんなことを?」
S2「いやほら、殺風景でしょ?景色を良くしようかなー、なんて」
小麦「景色、ねえ?それはいいんだけど、今堀を掘ったり塀を作ったりしちゃうと、
   資材を運搬するトラックが入って来れなくなっちゃうんだけど……」
S1「……ああ、それは盲点でしたね」
S2「盲点でした、じゃないっての!じゃあ無駄骨か!?」
SP1の呟きに、SP2は持っていたシャベルを地面に叩き付けSP1に食ってかか
る。
S1「仕方ないだろ、気づかなかったんだから。まあどうせ二人で敷地を囲う堀なん
   て掘れっこないんだし」
S2「あんたが!やろうって言ったんじゃない!」
SP2はSP1の言葉に宥められるはずもなく、なお勢い荒くSP1に食ってかか
る。
S1「仕方ないじゃーん」
S2「こら、開き直りか。だいたいあんたは何時も……」
口論を止めようとしないSP*2を、小麦は呆れた面持ちで暫く眺めていたが、これ
以上見ていても仕方ないと思ったのか、踵を返して建て終えたばかりの矢作園の方へ
足を向ける。
小麦「まあそう言うわけだから、掘った分の穴は埋めといてね」
S2「え〜、また埋めるんですか〜?」
小麦「じゃないと明日からの作業に差し障りがあるし……、手伝ってあげたいところ
   だけど、これから矢作園の子達と移設パーティーの準備しなきゃいけないの
   よ。ごめんなさいね」
言うと小麦はもう後ろは見ずに歩き去る。
S2「あ〜、穴を掘ってまた埋めて、まるでナチスの収容所みたい……」
S1「仕方ないさ」
S2「仕方ないで済ます気なの?」
S1「何時までも愚痴口言うなよ。それよりも、美濃学園の襲撃をどうにかしないと
   いけないだろ。……小麦さんには何も言ってないんだし、出来ればこっそりと
   さ」
SP1はシャベルで今掘った土を元の穴に戻しながら、難しい顔をしてそう言った。
S1「ほら、お前も早く穴埋め手伝え」
そしていっこうに手を動かそうとしないSP2に向かってそう言う。
S2「……無理ね」
S1「はぁ?無理じゃない、早く埋めろ」
S2「違うわよ、小麦さんにばれないってのは無理って事」
S1「あー、そりゃそうかもしれんけどやってみなきゃ解らんだろ。それより今は手
   を動かせ」
S2「あれを見てもそういえる?」
言うとSP2はすっと指を上げた一点を指さした。SP1は訝しく思いながらもその
指の先を追う。と、息を呑んだ。指の先には、見覚えのあるブルドーザーがこちらに
向かってきている。SP1の記憶が確かなら、以前アレに二度ほどはね飛ばされた。
S1「もう来たのか!?」
S2「そうみたいね」
S1「なに落ち付いてるんだ!撃退しなきゃ!」
S2「撃退ねぇ……初め私達は素手でアレに挑んだわよね。どうなったっけ?」
S1「……はね飛ばされた」
S2「二度目の時はバットを持ってたっけ、どうなった?」
S1「同じだ……」
S2「三度目、さて、今私達の手の中にある物は?」
S1「……スコップ」
S2「バットでは負けたけどスコップなら勝てるとでも?」
S1「じゃあどうすりゃいいってんだ」
憮然とした声でSP1は言う。そうしている間にも、ブルドーザーはこちらに近づい
て来る。建機だけに大したスピードではないが、それでも人が歩くのよりは早いし、
矢作園のぼろい木造建築ぐらいは簡単に破壊できる力がある。
S2「逃げましょう。勝ち目無いし」
S1「逃げる!?小麦さん達を見捨てて!?」
S2「小麦さん達にも逃げるようにいっときましょう。矢作園が壊れちゃうのは惜し
   いだろうけど、危ないんだし」
S1「うーん、しかし言いづらいなぁ……」
小麦「なにが言いづらいの?」
SP*2「わっ!」
不意に声を掛けられ、SP*2は飛び上がって驚く。いつの間にか背後に小麦が忍び
寄っていたのだ。いや、小麦の方には忍び寄った気などはなかったのだろうが、二人
がブルドーザーの方へ意識をやっていたため、結果的にはそうなった。
小麦「何か危ないとか言ってなかった?」
会話の断片しか聞こえてなかったのだろう、小麦はSP*2にそう聞く。
S1「あー、んー」
SP1は言いよどんだ。
S2(早く言いなさいよ)
と、SP2は小声でSP1を促す。なにもSP1が言うことに決まったわけでもない
のだが(そもそも誰も憶えていないだろうが矢作園移設計画を推したのはSP2の方
だ)、その場の勢いでなぜかSP1が言わなければいけないことになってしまってい
る。ただ、そのSP1がどうにも言い出せないで時間を食った。この時、SP*2の
頭には、ブルドーザーが接近中であるということが抜け落ちていたらしい。
小麦「きゃあ!?何よあれは!」
不意に叫んだ小麦の声に、ようやくSP*2はその事実を思い出した。
S1「しまった!すっかり忘れていた!」
S2「あんたが早く言わないからー!」
小麦が叫んだ方に慌てて目をやると、いましもブルドーザーは現場と道路を隔てる
ロープを引き千切り、まっすぐに移設し縦の矢作園の方へ突進している。
小麦「あんた達ー!逃げなさーい!」
ただ道路と矢作園の間には何もない空間というわけではなかった。移設パーティーに
出るため(そしてそのまま住むつもりだった)矢作園の子供達が思い思いに遊んでい
る。その過半数ほどは、ブルドーザーの進路の上に固まっていた。
S1「まずい!子供達を逃がさなきゃ!」
SP1はシャベルを構え、小麦の後を追って猛然と駈けだした。
S2「またぁ?」
SP2はぼやいたが、自分もSP1に続いて駆け出す。小麦は二人とは別れ、子供達
を逃がすべく子供が固まっている方へ向かった。SP*2は小麦が子供達の所へ付く
より少し早くブルドーザーへ到達する。
S1「喰らえ!」
SP1の鋭いシャベルの一撃がブルドーザーを捕らえた。
S2「止まれー!」
SP2も少し遅れて一撃を加える。カカン!
小麦「あんた達早く逃げなさい!」
小麦は園児達の集団に駆け込むと慌てて子供達を促す。しかしそこは子供のことで、
咄嗟には何が起こったのか分からない。中には、きゃあきゃあとはしゃぎながらブル
ドーザーの方へよっていってしまう子供も居た。
小麦「こら!あんた達危ないでしょう!」
慌ててその子を引き戻す小麦。しかし一人を捕まえれば別の一人がまた向かってい
く、いくら小麦とはいっても、流石にこれでは収拾がつかない。
小麦「あーぶないってのに!」
怒鳴りつけるが、矢作園の子供達はむしろそれを面白がっている。本当に危険なのだ
が、日頃から統制と無縁の矢作園児達は、こういう時に整然とした行動がとれない。
小麦「ああああああ!」
そうしている内に、まさに今、園児の集団の前にブルドーザーが迫ってきた。
小麦「くっ!」
こうなっては逃げるに逃げられない。小麦は手近な園児を二、三人抱え込んで、体を
丸くして防御の姿勢をとった。ブルドーザー相手にそんなことをしても意味があると
は思えなかったが、今の小麦に出来ることはこのぐらいしかない。
がたん!
と、しかし、園児と小麦をミンチにする寸前でブルドーザーは止まる。
小麦「……あれ?」
拍子抜けしたような声を上げ、小麦はゆるゆると顔を上げた。
や1「コラガキ共、あぶねえからどいてろ」
すると、操縦席からは件の(と言って小麦は初めて見る顔だが)やくざが顔を出し、子供達に向かってそう言っていた。無論そう言って散るような子供達ではない。ブル
ドーザーが止まったのを幸い。比較的慎重だった子供らも集まってきて、たちまちに
ブルドーザーの周りは子供で一杯になった。
や2「こらこらおまえら、ほんとにアブねーってよ」
流石にやくざもこれには困った様で、どうにも為す術がない。
S1「おお、やくざといえど子供は挽けないか。ゴミにも一応良心なんて物が有るん
   だな」
S2「全くだ、ゴミに良心なんぞは高級すぎる。分不相応な」
そこへSP*2がひょっこりと帰ってきてそんなことを言った。弾き飛ばされたので
ぼろぼろになっていたが、別段大きな怪我もしていないようだ。
小麦「ちょっとあんた達!」
が、小麦はその二人を見付けるやいなや怒鳴りつける。
S1「やや、小麦さんどうしました?」
小麦「どうしたじゃないわよ、何なのこの騒ぎは?あなた達、何か知ってたんじゃな
   いの?」
S2「あー、あれはですね。工事を邪魔しにきた美濃学園の手先ですよ」
小麦「美濃学園?何のこと?」
S1「いやー、美濃学園の連中ここに我々が新校舎を建てるの気に食わないらしく
   て、やくざ使って妨害に来るんですよ。前回、前々回もそれで見事に作りかけ
   の校舎ぶっこわされちゃいましてね。はは、今回はまだ壊されてませんね」
小麦「あのブルドーザーが子供達の前で止まったから良かったようなものの、止まら
   なかったらどうする気だったのよ」
S2「でも止まりましたし」
S1「うん、将に人は石垣人は城」
と、言い終わると同時に小麦の腕がしなり、SP*2の両頬が都合四回鳴った。
小麦「……目が覚めた?」
叩いたのは小麦の方だが、涙はむしろ叩いた小麦の目の方にあった。
S1「……覚めました。誠に申し訳ない」
S2「……騙すつもりじゃなかったんです」
小麦「信じられません」
キッパリと言い放って、小麦は目元を袖でぐいっと拭った。そして項垂れるSP*2
に背を向けると、まだ園児に囲まれて身動き出来ないやくざの方に向き直る。
小麦「ちょっとあんた達!人ん家にブルドーザーで乗り込むとはどういう了見なの
   よ!」
ビシッとやくざを指さし、毅然と言い放った。
や1「何だよ姉ちゃん、ガキ共だけでもうぜえのに」
小麦「何だじゃないわよ。ここは私達の家よ、出てって」
小麦に言われて、やくざ1&2は顔を見合わせた。そして一拍置いてにやにやと笑
う。
小麦「何がおかしいのよ」
小麦はむっとした顔でやくざを睨む。
や2「わりーね、その家をぶっ壊すように言われてんのよ。小娘は引っ込んでろ」
小麦「あんたらの方が帰りなさいよ。いっとくけど、子供達にちょっとでも怪我させ
   たら一生付きまとってでもあんた達二人殺すわよ」
や1「こわいね」
やくざ1は肩を竦めてそう言った。別段怖がっているようには見えない。まだブル
ドーザーの周りには子供達がたむろしていたが、さすがに小麦とやくざのやり取りに
緊張したものを感じたのか、先程のようにはしゃいではいない。
や1「ほら!お前ら散れ!」
それを追うためにやくざ1はブルドーザーから降り、声を上げて子供達を追っ払う。
やくざ2もそれを見て慌てて続いた。
小麦「ちょっと!」
子供達に危害が加えられるのかと思い、小麦は気色ばんでやくざの方へ歩み寄る。
S1「あっ、小麦さん危ない!」
それを慌ててSP1が制した。
小麦「なによ?」
小麦はSP1を睨む。幸いやくざ1&2は子供達を追っ払うだけで危害を加えようと
はしなかったが、これからも危害を加えないとは限らない。早めに追い出すに越した
ことははない。
S2「あいつら拳銃持ってるんです。迂闊に近づくのは……」
小麦「拳銃?」
さすがに小麦の顔色が変わった。しかし、そんな危険な相手だとすれば尚更早く追い
出さねばならない。
小麦「ちょっとあんた達、要求は何なのよ?出せる物なら出すからさっさと帰って欲
   しいんだけど?」
懐手にこちらを見るやくざ1に小麦は言った。既に子供達は追い散らされてブルドー
ザーの周りには居ない。遠巻きに小麦達を囲んで、事の成り行きを見守っている。
や1「なに、別に難しい事じゃない。お前らがそこをどいてくれればいい」
小麦「どいたらどうする気なのよ?」
や2「そりゃ当然、そこのボロ屋を壊すわなぁ」
何がおかしいのか大笑いしながらやくざ2が答える。
小麦「あそこはあの子達の家なのよ、それを壊そうって言うの?」
や1「うーん、まあ多少心が痛まないでもないが、これも商売なんでね。やくざも不
   況なんだよ。なかなか、仕事も選んでられない」
小麦「そう言うのはね、仕事って言わないのよ。犯罪」
や2「偉そうに言うな」
やくざ1よりもなお頭の良く無さそうなやくざ2が、小麦の言葉に色めき立つ。小麦
はこのやくざ2の方を相手にせず、少しはましそうなやくざ1の方を相手に話を続け
た。
小麦「どれだけお金貰えるのか知らないけど、善良な市民は犯罪は警察に通報する義
   務があるのよ。お金があっても、刑務所の中じゃ使えないでしょ?」
や1「こっちの心配までしてもらってすまないね〜、でも大丈夫なんだよ。美濃での
   事件なら学園の方である程度はもみ消してくれるから、まあ悪くても3ヶ月程
   度ですむ」
小麦「……どうあっても引かないっての?」
や1「こっちも商売なんで、ガキの使いじゃねえから手ぶらじゃ帰れねーなー」
やくざ1&2の手はずっと懐に入れられている。まさか町中で発砲はしないだろう
が、既に拳銃があることを知っているSP*2と小麦には充分な威圧になった。交渉の方もはかばかしくない。どうしたものかと、緊張で小麦は額に汗を滲ませた。
秀美「おそくなってごめんですー!秀美ただ今到着です〜!」
脳天気な声が響いたのはその時である。
S1「あー……秀美様、間の悪いときに……」
SP1は天を仰いで嘆息した。今、一番秀美には来て欲しくない場面だった。
秀美「小麦さんおはようです〜、SP*2さんもおはようです〜、矢作園のみんなも
   おはようです〜、何だか目つきの悪いおじさんもおはようです〜」
や2「なんだてめえは?」
やくざ2はいきなり現れた秀美に怪訝な顔を見せつつも警戒は解かない。
秀美「あー!出来てますねν矢作園!じゃあ早速ご飯を食べましょう!」
秀美はそれをナチュラルに無視して小麦に話しかける。
小麦「秀美ちゃん、今ちょっとそれどころじゃ……」
しかしこの状況でそんなことを言われても小麦も困る。困惑の表情を浮かべ、取り敢
えずそう言って秀美に事情を説明しようとした。
利子「秀美ちゃ〜ん、待ってよ〜」
と、そこに秀美から少し遅れて利子も到着する。相変わらずぼろぼろの風体で足取り
もおぼつかない。
利子「秀美ちゃん足早いよ〜」
秀美「あっ、小麦さん紹介しますね〜。お友達の前田利子ちゃんです〜」
利子「よろしくですよ〜」
小麦「えっ?あ、はい、よろしくね」
秀美が人の話を聞くはずもないので、当然説明は遮られる。
秀美「ところで小麦さん、利子ちゃんもしばらくここに居ていいですか?」
小麦「えっ、どうして?」
秀美「利子ちゃんもケーキ屋さんのお手伝いしたいそうです」
利子「えっ、そんな事言ってないよ〜?」
秀美「そうでしたっけ?でも手伝っておくと信子様の機嫌も良くなると思うんですけ
   ど〜?」
利子「う〜?そうかな……」
小麦「ケーキショップって何のこと?」
と、小麦までつられて訳の解らない会話をしてしまう。やくざ1&2は無視された格
好になって、余り機嫌がよろしくない。
や2「あいつらなんか勝手に話してますけど、この隙にアレ潰しちまいましょう」
やくざ2はそうやくざ1に言う。
や1「そうだな」
やくざ1もこのままじっとしていても仕方ないと思い、園児が居なくなって行動の自
由を取り戻したブルドーザーにまた乗り込もうとする。
S1「あっ、いかん!」
SP1がそれに反応して駆け寄ろうとするが、やくざの手は懐に入れられたままで隙
がなく、どうにも近寄りかねた。
秀美「??どうしたんですか皆さん〜?」
秀美がこの空気を妙に思い小麦にそう聞いた。小麦は秀美の体を抱き締めて庇うよう
にしながら、やくざから目を離さずに言う。
小麦「あの人達がね、矢作園を壊そうとしてるのよ」
秀美「えー!ひどいです〜!何でそんなことするんですかー!」
小麦の腕の中でばたばたと暴れながら、秀美はやくざの方に向き直ってそう非難し
た。
利子「えー!そんなことされたら信子様の所に戻れなくなっちゃいますよ〜、困りま
   すよ〜」
そんなことを言っている間にも、やくざ1&2はブルどーざーに乗り込み終え、エン
ジンを吹かして今にも発進せんとしていた。
S2「あー、万事休すか……」
SP2がそう呟いたとき、何か黒い塊がブルドーザーを直撃した。
や2「なんだ?」
やくざ2が不審に思う間もなく、その塊は次々とブルドーザーに飛来する。あたって
も機械が壊れるような物ではなかったが、あたったところで破裂して飛び散る。特に
フロントガラスに集中して当たった球は、見る見るとやくざ1&2の視界を塞いで
いった。
や1「こりゃ泥団子だな。ガキ共の仕業だろう」
溜息を吐きつつやくざ1が言った。所詮泥だから水で流せば落ちるが、今この状態で
運転を続けるのは不可能だ。
や1「しゃあねえ、一辺降りてガキ共を散らそう」
いささかやる気のそげてきた声で言い、ブルドーザーを降りる。やくざ1も一児の
父、こうあからさまに子供に嫌われる仕事では、暗澹たる気持ちも湧いてくる。が、
仕事である。
や1「お前ら散れ!ぶっ殺すぞ!」
顔に何発かの泥を浴びつつ、やくざ1はやくざ2と協力して子供達をどなり散らし
た。
小麦「あなた達危ないから止めなさい!ね、ここは私に任せてみんなは……そうね、
   あっちの事務所に行っていて」
小麦からもそう言われたので、意気上がっていた矢作園の子供達も矛(泥)を納め、
渋々とその言葉に従った。
や1「すまないね姉ちゃん」
小麦「あの子達を危ない目に遭わせるわけには行かないからよ。済まないと思うん
   だったら、とっとと帰ってくれない?」
や1「そういうわけにも、ね。それじゃ改めて……おいやくざ2、ちょっとそこの
   ホースもってこい」
や2「へっ、兄貴」
泥にまみれたやくざ2がホースを取りに走り出す。SP*2はそれを阻止するべく動
こうとしたが、やくざ1の方も抜かりはなく全員の動向に目を向けていて隙がない。
が、隙とかそういうものを基本的に考えない人間がこの場には居た。
秀美「壊させませーん!矢作園を壊されたら小鈴達の居場所がなくなりますー!」
利子「信子様のお怒りもとけませんよ〜、困りますよ〜」
秀美「そうです〜!断固阻止!と言うわけで利子ちゃん突撃ー!」
利子「そうだよ〜、突撃だよ〜!……って、ええ〜!」
驚く利子の背を、秀美は有無を言わせずやくざ2に向かって突き飛ばした。
秀美「玉砕〜!」
利子「玉砕って〜!そんな〜だよ〜!」
ここ数日何も食べていなかった利子はあがらう力もなく、ひょろひょろとやくざ2の
方に向かっていく。
や2「なんだこの汚いのは?」
やくざ2は慌てない。無防備に突っ込んでくる利子を、カウンターのやくざキックで
撃墜する。
利子「はうっ……」
もろにそれを喰らった利子は、あおのけに跳ね上がって地面に落ちた。
秀美「あー、駄目でした……」
小麦「いや、秀美ちゃんそれはないんじゃない?」
小麦がやんわりと秀美の行いをたしなめたが、無論聞く耳は持たない。
や1「ん?あれは……」
としかし、事の成り行きを呆れて見つめていたやくざ1が何かに気付く。
や1「おい、やくざ2。ちょっとそこに落ちてる人形もってこい」
や2「へっ?人形ですか?」
やくざ2は言われてやくざ1の指さした方向を見た。そこは今蹴り倒した利子の近く
で、確かに見ると小さな人形が落ちている。やくざ2は目を回している利子の脇に
しゃがみその人形を拾い上げる。
や2「これが何か?」
や1「その人形、左目の下にノミの後がないか?」
や2「……あー、ありますね」
や1「なにぃ!本当かやくざ2!?」
利子「うーん、ひどい目にあったよ〜……あっ!その人形は私のですよ〜、返してく
   ださい〜」
勝手に盛り上がる二人の横で、何とか復活した利子はさっとにぼぼ人形をやくざ2か
ら取り返す。やくざ2も不意を付かれたのであっさり取り返されてしまった。
や2「あっ、こら返せ!」
やくざ2は当然取り返そうと利子に迫る。
利子「やですよ〜、これは元々利子のですよ〜」
しかし、言うと利子は今までふらふらだったのに、野良犬のように素早く疾駆して小
麦達の方までささっと逃げてしまった。
や2「逃げんな!」
利子「やですよ〜、うー」
更に追ってきたやくざ2を威嚇する。やくざ2も、小麦達の方へは不用意に近づけな
いので、その場で叫ぶだけだった。と、やくざ1がやくざ2に声を掛けた。
や1「……やくざ2、ちょっとこっち来い」
や2「はい?はぁ……」
呼ばれて、やくざ2は訳が解らないながらもやくざ1の方へ近づく。
S2「なにしてんの、あれ」
S1「さあ?でも取り敢えずすぐには突っ込んでこないようだし」
SP*2は訳が解らないながらもそう言った。小麦も同感であるようだったが、この
後やくざが何をしてくるか分からないので気は抜いていない。利子はひたすらにぼぼ
人形を抱えて唸っているし、秀美は何時も何も考えていなかった。
や1「……と言う訳だヤス」
や2「なんてこったい、じゃあ……」
いつの間にか呼び名が代わっているが、こそこそと会話をしていたやくざ*2の話も
終わったところで、やくざ*2から意外な申し出があった。
や1「……姉ちゃんさあ、その人形渡してくんない?そしたらこの仕事取りやめても
   いいよ」
小麦「はぁ?人形?」
小麦には訳が解らない。
や2「後にいる小汚い嬢ちゃんが持ってる奴だよ」
そう指さされ、利子はびくりと身を竦めてうなり声を上げる。
利子「うー、駄目ですよ〜、これは信子様に取ってこーいってされた物なんですか
   ら、あげられませんよ〜」
小麦「……あんたらが引くって保証は?」
や1「今組長に電話するから」
言うと、早速やくざ1は携帯を開く。
や1「あっ、ボスですか?シュンです。実は例の……」
そう言って二、三言葉を交わすと携帯を小麦の方に投げてよこす。
や1「ほれ」
小麦「ちょっとあんた、人ん家壊そうなんてどういう了見なのよ!」
開口一番小麦は電話に怒鳴りつける。
S1「あわわ、小麦さんあんまり刺激しない方が……」
小麦「黙ってなさい。えっ?どういうつもりかって聞いてんのよ」
SP1の諫めも聞かず、やくざの組長相手に罵りを止めない。それに対して、電話の
反応は静かだった。
ボス「>あやまる」
小麦「謝るで済むか!他に言うことないの!」
ボス「>あやまる」
小麦「ちょっとあんた……」
や1「まったまった、ボスは無口なんだよ。早いとこ用件を言ってくれないか?」
見かねたやくざ1が割って入り、小麦のそう忠告した。小麦は若干の不満があった
が、それよりも矢作園の安全確保の方が重要である。
小麦「……あの変な人形渡せば矢作園から手を引くってほんと?」
ボス「>はい」
小麦「ほんとに〜?なんかその証拠見せてよ」
ボス「>???」
小麦「どうしたの?」
や1「あー、ボスの替わりに俺が言おう。証拠と言われても困るんだがな、俺ら御方
   津句会の仁義にかけて約束しよう」
小麦「私はやくざじゃないわ。仁義とか言われても」
や1「これでも筋目の通ったやくざだ。仁義を通さなかったとあっちゃ組の名折れ、
   必ず守るさ」
小麦「うーん……」
実際、今こいつらとやり合って勝てるとも思えない。全面的に信用できるとは限らな
いが、この際はこれを信じてみるしかないかと、小麦の心は大分取引に傾いてきてい
た。
や1「なんなら、誓紙を出してもいいぜ?」
小麦「……わかった、ただし、その誓紙と交換よ。今日の所は取り敢えず帰って頂
   戴」
や1「OKOK。じゃあまた明日来るよ。お互いの幸せのためにね」
言ってやくざ1はにやっと笑い。やくざ2を促してブルドーザーに乗り込んだ。小麦
達はちょっと緊張したが、やくざ1は自分の目の前の泥を手で除けると、何事もせず
今来た道を帰っていった。
S1「……あー?助かったのか?」
SP1が何か茫然として呟く。SP2も、狐につままれたような表情をしていた。
小麦「そうねー、あいつらがどのぐらい信用できるか分からないけど……取り敢えず
   は」
小麦も小麦で訳が解らない。が、取り敢えずの危機が去ったと言うことでは意見が一
致した。ただ、一人納得の行かない者がいる。
利子「そんなの困りますよ〜、この人形は信子様に渡さないと行けないんですよ〜」
一人そう主張する利子。
S1「おいSP2」
S2「ん?あ、ああ」
しかしその利子を一瞬でSP2と打ち合わせを済ませたSP1が後から羽交い締めに
した。
利子「やんやん!何で押さえるんですか〜!止めて下さいよ〜」
暴れる利子。しかし無情にもSP1はSP2に言う。
S1「やれSP2」
S2「はいはい」
利子「うっ……」
無防備になった利子の鳩尾にSP2の掌底がヒットした。小さなうめき声を上げてだ
らりと崩れる利子。SP1はその利子のポケットの中からゆうゆうとにぼぼ人形を取
り出す。
S1「やれやれ、抵抗しなきゃ痛い目は見なかったのに……」
S2「まるっきり悪役だなー」
崩れ落ちた利子を地面に捨て、SP1はほくそ笑んだ。SP2のつっこみなどは無論
無視する。
小麦「でも、これで本当に大丈夫なのかしらねぇ?」
小麦はまだ不安があるのかそう言う。
S1「まっ、とにかく時間稼ぎにはなるでしょう。何だったら、この人形の引き渡し
   を校舎完成まで引き延ばしてもいいし」
S2「交渉次第ね。校舎が完成したら、いくらでも防御力は上げられるし」
小麦「こら、あんた達まだ家の子達を危険な目に遭わす気なの?」
二人で勝手に話を進めるSP*2を、小麦は少しきつい目で睨み付ける。ただ先程二
人をひっぱたいたときのような鋭さはなかった。
S1「いや、危険でないように努力しますし……」
S2「校舎が出来ればSP隊の増員も常駐できますから〜」
慌ててSP*2は言い訳した。小麦はその答えに完全に満足ではなかったが、もう移
設もしてしまったことだし、これから行くあてといっても思いつきもしない。
小麦「……あんまり、荒事は止めてよ」
結局はそう答えた。SP*2もホッとする。ここで小麦に臍を曲げられては、折角の
新校舎建設も一気に頓挫してしまう。
秀美「ちょっと〜、利子ちゃん起きません〜、何とかしてください〜」
と、そこに秀美の声があがる。秀美は一人で利子を起こそうと、ホースで水をかけた
り、洗面器に顔を押し込んだりしていた。
S1「……早くしないとあれは死ぬな」
S2「やれやれ」
嘆息しつつ、SP*2は利子を助けに行った。

それから>はい>いいえしか言わないボスとの交渉のすえ、墨俣校舎建設現場の安全
は無事確保され、15日後には本校舎、20後には深い堀と高い塀を持った終わり学
園墨俣分校が完成し、これには美濃学園の襲撃隊もおいそれと手が出せず。結局墨俣
分校及び矢作園はここに確立された。が、美濃は未だ丸々斉藤興美の支配下にあり、
稲葉山校舎も不落を誇っている。まだ美濃から騒乱が消える日は遠い。
578 ◆0xknNOBU :02/04/13 08:48
だいぶん遅くなりましたが「墨俣」終わりです。
・・・吉川英治と岩波の三国志と読み返して遅くなったのは内緒です。
長くなったのでたぶんSP*2の台詞量は信子ちゃんより多くなってしまったでしょう(w
次回は「犬千代の帰参」にしようと思ってますが、
他の人も書いてほしーなー(;´Д`)
一人で書いてると寂しいのです(;´Д`)
わーい、まだこのスレ見捨てられてなかったんだ!
秀美と利子に萌え萌え〜。
次は利子イパーイ出てくるのか。
580 ◆0xknNOBU :02/04/14 06:00
余り人も居ないのでもういいかなとも思ったんですが、
保守してくれる人もいるし美濃終わるまで位までは書こうかなぁと思ってます。
そっから先は・・・ま、流れで。
581無名武将@お腹せっぷく:02/04/14 11:17
期待age
良スレにノミネートされました。
保守sage
ほっしゅほっしゅ
>>580
読者はなんだかんだ一杯居ると思われ
決定的に書き手が足りないザンス
( ´Д`)y━~~保守
  ほしゅはにゃ〜ん♪
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

   ,   _ ノ)
  γ∞γ~  \    ホエー
  |  / 从从) ) ヘノ)
  ヽ | | l  l |〃  \          (´´
  `从ハ~_¬ノ)  ヾ /      (´⌒(´
   ⊂ >< /⊂ __/つ≡≡≡(´⌒;;;;≡≡≡
              (´⌒(´⌒;;   
      ズザーーーーーッ
( ´Д`)y━~~保守
589無名武将@お腹せっぷく:02/04/22 14:19
       ヾ
        ,)_
      /  'つ
    ∧∧ /
 Σ(゚Д゚; )'  ヤメロヤ ゴリャー
   ∪ ∪

   ノノノ  ノノノ

   ∧_∧    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ( フ´∀`)フ  <  あげちゃえ!
  (    )ノ    \_______
  / / /
  (_)_)
(;´Д`)y━~~マダマダ保守
591無名武将@お腹せっぷく:02/04/25 14:54
(;´Д`)y━~~粘りage
(;´Д`)y━~~ ・・・・・・・・・・
( ゜Д゜)y━~~ 人間あきらめが肝心だぞ
いやいや
矢尽き剣折れるまで保守
やくざを追い払い墨俣校舎建設の活路を開いた小麦とSP*2とその他。その後校舎
は無事落成に到るが、これはやくざを追い払った直後のことである。
秀美「利子ちゃ〜ん、起きてください〜」
秀美は利子を起こそうと、目を回して意識のない利子にホースで水をかけたり、洗面
器に顔を押し込んだりしている。
S1「早く助けないとアレは死ぬな。SP2、利子様を介抱してやれ、私は園児達を
   収拾するから」
S2「やれやれ、仕方ない……」
秀美「利子ちゃん〜」
そう言いながら秀美は、利子の頬を力一杯ひっぱたく。気を失ったままの利子は、そ
れでも痛みを感じているのか、叩かれるたびにあうあうと呻き声をもらす。
S2「秀美様、ちょっとどいて下さい……」
更にグーで利子を殴りつけようとする秀美をどかして、SP2は気を失ってぐったり
としている利子の背中を片手で支えて上体を起こさせる。
S2「せーの……」
と、反対の手の拳を固め、勢いよくそれを利子の腹、ちょうど横隔膜の真上に叩き付
けた。
利子「はうっ……!」
短く声をあげ、利子は体をくの字に折った。
利子「けほっ……!けほっ……!う〜、いたいよ〜、一体何があったの〜、だよ〜」
しかし同時に、今まで秀美が手を尽くして(?)も目覚めることの無かった利子が目
を覚ます。
秀美「あっ!起きました〜、よかった〜」
秀美はそれを見るとすぐさま利子に飛びついて抱き締める。しかし利子は、長い放浪
生活の後であったし、さっきSP2や秀美から喰らったダメージからも回復していな
い。上体だけ起こしたバランスを維持することは出来ず、秀美の勢いに巻き込まれて
後に倒れ込んだ。
利子「わわわっ!まってよ〜、秀美ちゃ〜ん」
そして倒れっぱなしの勢いのまま、秀美ともつれ合ってごろごろと転がっていった。
利子「うう〜……けほっ!けほっ!何だか体中が痛いよ〜」
漸く仰向けに止まった地面の上で、利子は秀美に抱きつかれたまま咳き込んで言う。
S2「息止まってましたからね、あと1、2分遅れてたら死んでたかも知れません
   よ。いや、よかったよかった」
SP2はその言葉を受けてにこやかにそう言う。
利子「死!?何でそんなことに〜!?」
しかし利子の反応は朗らかではなかった。死にかけたのだから当たり前といえば当た
り前ではある。
S1「まっ、余り気にせんでください。過ぎたことですし」
利子「過ぎた事って言われても〜、死にかけたんだよ〜?」
S2「気にせんでください。気にするとまた死にかけるかも知れませんし」
不服そうな利子を、SP2は強引に説得する
利子「うっ……、分かったよ〜、気にしないよ〜……」
真心の説得が通じたのか、利子も一応納得する。しかし、その直後。
利子「はっ!ニポポ人形〜!」
漸くそれを思いだした利子は、慌てて制服のポケットの中を探す。しかし全てのポ
ケットと、胸元にスカートの中まで探してみてもニポポ人形は見つからない。
利子「無いよ〜!」
それでもまだ諦めず、利子はまだ抱きついていた秀美を体の上から除けると、地面に
はつくばって辺りを探す。
S1「這い蹲って探しても見つかりませんよ。お探しの物はここです」
にやりと不適な笑みを浮かべ、SP1は懐からニポポ人形(偽)を取り出す。
利子「それです〜、返してよ〜」
ニボボ人形を取り返そうと突っ込んでくる利子を、しかしSP1は充分な余裕をもっ
て軽くいなす。
利子「わわわ……」
勢いよく飛びかかった利子は目標を掴めなかったためにバランスを崩す。と、そこで
半身をずらしてかわしたSP1が軽く足を払った。
利子「うわわっ!」
べしっ!っと、踏みとどまれるはずもなく、利子はもろに顔から地面に叩き付けられ
た。
S1「うふふ……、取れる物なら取ってご覧なさい?」
利子「ううう……」
それを見下して笑いながらSP1がそう言った。利子は顔をさすって起きあがった
が、どうすることも出来ず地面にぺたんと座ったまま恨めしげにそれを見上げる。
S2「やめなさい、馬鹿」
がつん!と音が響いて、今度はSP1が地面に這い蹲る。一連の場面を見たSP2
が、見かねてSP1をシャベルで殴り倒したのである。
S2「まったく……。すみません利子様、普段は到って真面目な奴なんですが、どう
   もたまにトチ狂うことがありまして……」
言いつつ、SP2は意識を失ったSP1からニボボ人形を取り上げる。
利子「あっ、人形!返してだよ〜」
S2「すいません、返すわけには行かないんですよ……」
利子「どうして〜、返してだよ〜」
不服な顔をして利子はSP2の持つニボボ人形に手を伸ばす。しかしSP2の方が身
長も高いので、SP2が人形を持った手を高く挙げてしまうと、利子の手には届かな
い。
利子「返して〜返して〜」
それでもぴょんぴょんと飛び跳ねて人形を取ろうとする利子。
秀美「SP2さん〜、返してあげてください〜」
傍観していた秀美も、利子の為に口添えをしてやる。
S2「いや、しかしですね……」
現場の総指揮権は(恐るべき事に)秀美にある。であるから、理屈上秀美に言われた
とあればSP2は命令に従わねばならない。が、現実返すわけには行かないだろう。
SP2は多少その事に困り、いっそ二人とも沈黙させてしまおうかと思ったが、そこ
に都合良く助け船が出された。
小麦「秀美ちゃん、その人形がないと矢作園が潰されちゃうのよ。だから、ね?お友
   達の大事な物だって言うのは分かるんだけど、ここは秀美ちゃんの方からお友
   達を説得してくれないかしら?」
秀美「えっ、そうなんですか?矢作園が潰れたら困り増す〜!というわけで利子ちゃ
   ん、諦めて下さい」
そう言われると、秀美は今までの態度をあっさりと翻してそう言った。
利子「そんなだよ〜、秀美ちゃんの裏切り者〜」
利子はぷんぷんと怒って今度は秀美に食ってかかる。
秀美「でも矢作園のためだし仕方ないです〜。それにその人形偽物何でしょ〜?持っ
   ていっても信子様はどうせ許してくれませんよ〜」
利子「うっ……、そうかな……だよ〜」
言われると利子もそんな気がする。実際信子の性格を考えれば、むしろ確定と考えて
いい。第一それで許されるなら、前回謝った時許してくれているはずだ。
利子「……うう、どうすれば〜」
利子の思考が煮詰まった所に、小麦が見かねて口を入れる。
小麦「まあまあ、色々あるようだけど、それもふくめて一旦皆さん矢作園の中に入り
   ましょう。貴方……利子ちゃん?女の子がそんな汚れたままじゃいけないわ。
   中にお風呂があるから入りなさい」
利子「でも〜……」
小麦「ねっ?取り敢えず、話はその後にしましょう?」
小麦はあくまで穏やかな口調で、優しく諭すように利子に言う。利子は暫しSP2の持つニボボ人形にちらちらと目をやったり、或いは小麦や秀美の方に視線を送ったりしていたが、やがて肩から力を落としてその言葉に従った。
利子「わかったよ〜……」
小麦「そう、じゃあ行きましょう」
小麦もそれを聞いてホッとしたように小さく息を吐く。やはり矢作園のためとはい
え、利子の持ち物を勝手に取り上げてしまうことに引け目があったのだろう。
秀美「じゃあ利子ちゃん一緒にお風呂はいりましょ〜、小麦さんも〜」
秀美は相変わらず分かっているのか分かっていないのか脳天気な声で脳天気なことを
言う。
小麦「そうね」
小麦はその様子にちょっと苦笑いしたが、反対する理由もないのでそう言う。
利子「うん〜……」
利子は力無く肯いただけだった。そんなことよりも、これからどうしようかと言うこ
とで頭が一杯なのだろう。
小麦「SP2さんとSP1さんも一緒に入る?」
S2「いえ、我々はさっき掘った穴を埋めなければいけませんので……」
小麦「そうだったわね。それじゃあ、私達の後にはいると良いわ。お二人も、随分泥
   まみれだし」
S2「はあ、そうさせていただきます」

利子「はふぅ〜……さっぱりしたよ〜」
何日かぶりの風呂で綺麗に磨き上がった利子は、矢作園の談話室に入るとすっかり気
の抜けきった顔でそう言った。ちなみに着ていた服は汚れが酷かったので今は洗濯
中。今来ているのは下着まで含めて小麦から借りた。小麦の方が利子より20センチ
近く背が高いのでシャツはだぶだぶだし、スラックはウエストが締まらなかったので
これは園児の半ズボンを借りた。
秀美「そうですね〜、ふわぁ……さっぱりしたら何だか眠くなってきました〜……。
   ちょっと小鈴のベッド借りて寝てきます〜、おやすみ〜……」
と、これも風呂上がりの秀美が眠そうな表情で言う。秀美の服も結構汚れていたの
で洗濯中。こちらは園児用のスモッグを借りて着ていてる。
利子「うん、おやすみだよ〜……って、じゃないよ〜!ニポポ人形〜」
小麦「気になってたんだけどそのニポポ人形って何なの?」
最後に、利子の泥ですっかり汚くなった浴槽を洗い、SP*2の為に湯を張り直して
きた小麦が入ってくる。
利子「ニポポ人形はウイルタ族の幸運の人形で、ニポポは木の小さな子って意味で
   す〜」
小麦「へー、そうなの?よく知ってるわね」
利子「調べたから知ってるんですよ〜、うふふ〜」
小麦「で、あの人形はそんなに大事な物なの?」
利子「人形が大事というか〜……利子が信子様が大事にしてたニポポ人形を壊し
   ちゃったんだよ〜、それで代わりの人形を持っていったんですよ〜」
そこで利子はかくかくしかじかとこれまでの事情を小麦に話す。
利子「そしたら、人形は偽物だったんだよ〜、ニポポ人形〜、偽物の需要があるなん
   て思えない〜、何で〜?」
小麦「確かにそこは謎だけど、取り敢えず気にしないことにしましょう。でも、それ
   じゃあその人形はもう要らないんじゃない?それなら……」
利子「でも、とってこーいって言われたんだよ〜、信子様の事だから言うとおりにし
   ないと機嫌が直らないと思う〜」
小麦「信子さんにも困ったものねぇ……」
小麦は信子のことを良く知っているわけではないが、色々と伝え聞く話からすると
思っていた以上に厄介な性格らしい。本来なら余り係わらない方が良いような気もす
るが、既に深く係わってしまっている今となっては後悔しても仕方がない。
小麦「そうねぇ、私も信子さんに利子ちゃんの事許してあげてって一緒に頼んでみる
   から、それで何とか」
利子「う〜……だいじょぶかな〜?」
小麦「あの人形は墨俣校舎を建てるのに役立つわけだし……多分」
不安そうに聞く利子に、小麦もいまいち自信なげに答える。それ程良く知っている人
というわけではないし、かなり厄介な性格らしいから、自信があるかといわれるとど
うも有るとは言いづらかった。
利子「う〜……秀美ちゃんどう思う〜」
利子はそれを見てまた不安に思い、さっきから発言のない秀美の方を振り返って言
う。
秀美「クゥ……クゥ……」
利子「って寝てるよ〜、薄情だよ〜、起きて、起きてよ〜」
談話室のソファーに座ったまま、秀美は涎など垂らしてだらしなく眠りこけている。
利子は慌てて秀美を(起こしても役には立たないだろうが)揺り起こす。
秀美「うひゃひゃ……、なになに?あっ、利子ちゃん?何でここに?」
利子「なんでって〜……」
目を覚ました秀美の余りな言葉に、利子はがっくりと肩を落とす。
小麦「まあまあ、秀美ちゃんも一緒に信子さんに謝ってあげるわよね?」
秀美「えー?やですよー、信子様恐いもん」
利子「そんなだよ〜、秀美ちゃん薄情だよ〜」
しくしくと泣き出す利子。
小麦「こらこら、秀美ちゃんのお友達でしょ?」
秀美「そうですよ?」
小麦「じゃあそれぐらいしてあげなきゃ」
秀美「何をですか?」
小麦「だから、人形壊しちゃったのを一緒に謝ってあげること」
秀美「あー、その事ですか!……うーん、仕方ないです。信子様恐いですけど……」
利子「ありがとだよ〜、秀美ちゃん〜」
その言葉に、利子はぱっと顔を上げて秀美に抱きついて感謝する。
秀美「でも、多分許してくれないと思いますけど〜」
利子「そんな〜……」
その言葉にまたがっくりとして利子は肩を落としてめそめそと泣き出す。
利子「せめてニポポ人形(本物)があればよかったんだよ〜」
言っても仕方ない愚痴を言う。
秀美「ニポポ人形ですか?それなら持ってますけどー?」
と、そこに秀美が思いもかけないことを言う。利子はまたぱっと顔を上げ、まだ半信
半疑の顔で、それでも大きな期待を込めて秀美の顔を見た。
利子「ほんと〜!?」
秀美「網走を出所するときお土産にもらったんです〜。知ってました〜?網走刑務所
   はニポポ人形の生産高全国一何です〜」
豆知識を得意気に披露する秀美。が、無論そんなこと利子にはどうでも良い。
利子「なんで〜、早くそれを言ってくれないの、だよ〜!」
秀美「聞かれませんでしたし〜」
利子「そんな〜……、でもこれで信子様に言い訳が出来るよ〜。秀美ちゃんありがと
   だよ〜」
秀美「???、何がですか?」
利子「???、ニポポ人形〜、信子様に渡せば〜……」
秀美「え〜?あれは秀美が貰った物だからやですよ〜」
小麦「こらこら秀美ちゃん(中略)」
…………
秀美「うーん、仕方ないです〜、あげます〜」
利子「やたよー!秀美ちゃんありがとだよ〜」
今度こそそう言って、利子は秀美に再び抱きつく。
小麦「それじゃ、早速明日にでも謝りに行きましょうか」
といって、その場は小麦が締めた。
600 ◆0xknNOBU :02/04/28 15:34
すっかりさぼってました・・・スマソ(;´Д`)
犬千代帰参は連休中に終わらせようかと思ってます。多分・・・
待っとりましたーーーーーーーー!!
ヤターーーーーーーー!!!!!!!
( ゚∀゚)y━~~  キタ━━━!!!!!
hoshu
保持
やばいので揚げ
新しい書き手が現れないと、このスレの1000到達とともに
打ち切り最終回ってことになりそうでヤダ……
607無名武将@お腹せっぷく:02/05/03 19:54
>>606
sageてるよ。
というわけでage

保守カキコ
http://vip.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1013278277/
二次元板で信子ちゃんビジュアルノベルゲームをDL
小麦「というわけで、利子ちゃんも反省してるようですし」
翌日、早速利子は小麦達と連れ立って尾張学園を訪れた。訪れたと言っても、本来利
子は尾張学園の生徒だから、この表現は少しおかしいのかも知れない。ただ、ニポポ
人形破壊事件があってからは信子が恐くて生徒会室には顔を出していなかったし、ニ
ボボ人形を投げ捨てられてからはずっとそれを探していたので学校にさえ行っていな
かった。利子は中学生なので放校になることはないが、信子の怒りが取れない限りは
実質放校に近いだろう。その意味では、漸く尾張学園に帰って来れたというのが利子
の心境である。が、それもこれからの風向き次第では分からない。
利子「反省してるんですよ〜」
小麦の言葉を追っかけるようにして、利子も同じ事を信子に言う。信子は生徒会長用
の大きな椅子に長い足を交差させて座りながら、何の表情も浮かべず黙って聞いてい
た。
小麦「墨俣校舎建築には利子ちゃんも力になってくれましたし、その辺を考慮して許
   して挙げていただけないでしょうか?」
利子が力になった、とは多少良い過ぎな表現だが、とにかくもやくざ追い返しの要因
になったことは違いない。その辺も絡めて、小麦は信子に何とか取り繕ってやろうと
するが、そこは気難し屋の信子。一筋縄ではいかないらしく相変わらず黙ったままで
ある。
秀美「それに〜、壊しちゃったニポポ人形も持ってきましたよ〜、ほんとは秀美の何
   ですけど〜」
と、そこで秀美が例のニポポ人形を取り出す。
信子「ニポポ?」
そうすると、初めて信子の表情が動いた。
利子「そうですよ〜、ニポポニポポ〜」
この期を逃してはいけないと、利子は慌てて秀美からニポポ人形をひったくると信子
の前に傅く様にしてそれを差し出す。
利子「ほら!これですよ〜!本物ですよ〜!」
キャンキャンと喚く利子の手から、信子はひょいとニポポ人形を取り上げしげしげと
それを眺めた。前回のニボボ人形と違い、今度は網走直輸入の本物、間違いのないと
ころだ。
利子「ほら本物だった〜!やた〜!」
利子はもうそれで許されたものと思いわめく。
信子「犬千代」
信子はその利子に向かってにっこりと微笑み掛けた。利子は尚一段と顔を明るくす
る。小麦と、一応秀美も、どうやら許されるらしいともてほっと息を吐いた。
利子「はい!信子様!」
信子「とってこーい」
利子「(゚Д゚)!!」
信子はそう言うと、ニポポ人形を力一杯窓の外に向かって投げた。
利子「……なんで〜!」
突然の行動に利子は暫く言葉が出なかったし、小麦や生徒会にいた他の面子も、漸く
利子が許されるかと思っていただけに、信子のこの行動は意外であり、皆一様に唖然
とした表情をしている。
信子「取ってこないの?」
しかし他人の思惑など信子にはどこ吹く風、理由を聞く利子の問いには答えず、重ね
て利子にそう言う。
利子「うっ……」
利子は信子の思惑が全く分からなかったので、前のように泣きながら走り出すような
ことはなかった。それよりも困惑の方が大きい。
利子「……ううっ」
それでも利子にとって信子の命令は絶対、訳が解らないながらも人形を探すために生
徒会室を出ていく。途中何度も信子の方を振り返り、何か言って欲しげであったが、
結局何の言葉もえられずに出ていった。
小麦「……何でなんですか信子さん?」
利子が出て行ってから、それまで口を挟むことを控えていた小麦がそう聞いた。
信子「いや、別に意味なんか無いけど」
小麦「ちょっと!それはあんまりなんじゃないですか?」
れを聞くと小麦は猛然と信子に食ってかかる。
小麦「利子ちゃんもああして反省して来たのに、それを許さないならまだしもアンナ
   酷いことを!」
余程信子のやり口が腹に据えかねたらしい。普段は比較的穏和で、特に年下の女の子
を怒鳴りつけることなどしない小麦が、学校中に響く様な大声で信子に怒鳴る。
小麦「秀美ちゃんも酷いと思うでしょ!?」
後ろを振り返り、秀美にもそう言う。
秀美「あっ……蝶々」
秀美は窓から入ってきた蝶々を追っかけていた。
小麦「ほら!秀美ちゃんも酷いと言ってます!」
信子「そうかしら?」
信子は首を傾げたが、小麦はそんな事には気にしない。
小麦「酷いですよ!ちゃんと利子ちゃんを連れ戻して、今度は信子さんが謝るまで、
   私ここを一歩も退きませんよ!」
言うと側にあったパイプ椅子を片手で運び、生徒会室の出入り口に置くと誰も出てい
けないよう座り込んだ。
成美「えー、成美早く帰って再放送のドラマみなきゃいけないのに。今日の回は克夫
   が若芽に告白するクライマックスなのにー」
貞子「あらあら、困ったわね。私も会計の業務がまだ残っているのですけど……」
その行動にちょっとざわつく生徒会室。
盛美「ちょっと、私だって用事があるのよ。貴方どきなさいよ」
小麦「……」
そう言ってきた盛美を、小麦は無言でにらみ返した。
盛美「うっ……、まあ今回は勘弁しとくわ」
強気のくせに小心者な盛美はそれですぐ黙る。
長子「でも、確かに困りますわね」
勝枝「どうする信子。力ずくで動かせないことはないと思うけど?」
恒江「墨俣の功労者なので手荒なことは避けたいですけど……」
信子「まあ待ちなさい」
そう言って信子は口々にいろいろと言う生徒会の面子を押さえる。
信子「小麦さん」
小麦「何ですか?」
険悪な表情で小麦は答える。
信子「利子の壊した人形は、先年死んだ私の恋人から貰った物なのよ」
小麦「あっ……」
と、言われて小麦の表情から怒りが消え、変わりに後悔に似た表情が浮かんだ。
小麦「……でもそれにしたって」
信子「まあ聞いて、それにその子は利子も知り合いだったのよ。人形を壊してしまっ
   たのは仕方ないにしても、死者からの贈り物だったことまで忘れたのは、まだ
   許せないわ」
小麦「……」
信子「利子が謝るべきなのは、私ではなくあの子よ。それを思い出すまでは、許すわ
   けにはいかないの」
小麦「そうだったんですか……でもそれならさっきそう言ってくれれば……」
信子「言えるわけないじゃない、こんなこと」
そう言うと信子は小麦から眼を逸らしてそっと目頭を押さえた。小麦の方はますます
気まずい。
小麦「……すみません、よく事情も知らないのに……」
小麦は言うと椅子から立ち上がり、扉の前から片づける。
信子「いいのよ」
信子はそれににっこりと笑ってこたえる。
小麦「……じゃあ私は帰りますけど。あの、出来るだけ早く利子ちゃんを許してあげ
   てくださいね」
先程までの勢いもなく、遠慮がちに信子に向かってそう言った。
信子「ええ。あっ、それから今の話は利子にはしないでね。あの子が自分で気づいて
   初めて意味が在るんだから」
小麦「分かりました。それでは……。秀美ちゃん、さよならね」
生徒会室の扉を開けつつ小麦はそう言ったが、何故か秀美の姿はなかった。
小麦「あれ、秀美ちゃんは?」
長子「さっき蝶を追いかけてそこの窓から落下しました」
言うと長子は先程ニポポ人形が飛び出した窓を指す。ちなみにここは三階。
小麦「大変!」
小麦は慌ただしく駆け出した。生徒会室には、信子とその他の面子が何となく置いて
けぼりにされた格好になる。
恒江「……しかし、あの人形にそんな意味があったんですね。この恒江信子様の定規
   の深さに感動しました」
暫くして恒江がそう口を開く。
恒江「信子様に道子様以外の恋人が居られたのは大ショックでしたけど、それなら私
   にもまだ希望が有ると言うことですし、うふふ」
嬉しそうに恒江は言う。が、長子がそこに口を挟んだ。
長子「あの人形、確か十亜ちゃんから貰ったんですよね?」
信子「そうよ。長子は憶えてたのね」
長子「お亡くなりましたっけ、十亜ちゃんて?」
信子「ううん、転校しただけ。お人好し騙すの何か簡単よね」
恒江「……」
そんな、午後の会議室でした。
利子「信子様ー!ニポポ発見してきましたよ〜!」
勝枝「おー、今回は早かったな」
暫く経ったある日、利子がまたも、今度は一人で生徒会室に現れた。すでにあれから
2週間以上。墨俣校舎も本工事が終わり、秀美は墨俣分校の生徒会長として赴任して
いるし、小麦も秀美の手助けをするため墨俣校総務部の部長として現地に赴任してい
た。
利子「信子様〜、今度こそ許してだよ〜」
ぼろぼろの格好で利子は、今度こそと必死に信子へ嘆願する。
信子「許す」
盛美「はやっ!」
利子「わ〜い!やた〜!」
盛美からつっみが入ったが、利子はそんなことは気にせず漸くの寛恕にはしゃぎまく
る。
信子「取り敢えずその格好じゃ汚いからシャワーを浴びてきなさい。貞子、手伝って
   あげて」
貞子「はい。さっ、利子ちゃんいらっしゃい」
信子はそう貞子に指示すると、貞子もそれに従って利子を促す。
利子「信子様〜、ありがとうございますだよ〜、信子様好き好き……」
利子は信子に飛びつこうとしたりして、なかなかシャワー室に行こうとしなかった
が、貞子の巧みな誘導で生徒会室から消えた。
長子「今回は随分簡単でしたね?」
信子「んー?秀美が墨俣に行っちゃってるからおもちゃになる娘が居ないし」
恒江「……」
何か言いたそうな恒江ではあったが、とにかく利子はこれによって漸く帰参を果たし
た。
614 ◆0xknNOBU :02/05/06 06:48
連休最終日……ぎりぎり。
もっと早く書いちゃうつもりだったんですが、
遊びに来た従姉妹にパソコン占拠されて使えませんでした(;´Д`)

>新しい書き手が現れないと、このスレの1000到達とともに
>打ち切り最終回ってことになりそうでヤダ……
書く人はふえて欲しいですがなかなか居ませんね(;´Д`)
それに1000より前にスレ容量で打ち切りになるかも。
そんな状況ですが、一応次回は「不如帰」ということで足利・明智に目を向けようかと。

んでは、これから寝ます・・・
( T∀T)y━~~  
616無名武将@お腹せっぷく:02/05/06 16:29
NOBUさん・・・信じてたよ( ゚∀゚)y━~~
キターーーーー!!!!

>打ち切り
普通のスレじゃ1000行ってもこんな容量なんないよね
どのくらいまでOKなの?
618無名武将@お腹せっぷく:02/05/07 00:51
>617
サイズは書き込み欄のちょっと上のところに

450 KB [ 2ちゃんねるの一日1,600万PVを支える Big-Server.com ]

って表示されてるね。
496KB超えると警告が出始める。
512KB超えると表示できなくなる。
619617:02/05/07 22:41
>618
サンクス
もう新スレっすかね?
ほしゅ
621無名武将@お腹せっぷく:02/05/11 15:24
age
これを挽回するにはもはや
エロパロを書く他打つ手がござらんぞ皆々様

ホラ、書け
保全カキコ
保守
625無名武将@お腹せっぷく:02/05/19 16:45
篭城age
味方はまだこぬのかー
古来よりの戦において篭城した方が勝ったためしは無い
援軍のあてすら無い以上
この擦れの滅亡は最早逃れられぬ運命
この上は潔くdat落ちすることをお勧めする
いや!まだ兵糧は十分にある!
たてこもれー
空城の計があるだろう!!だが絶対するなよ。
629 ◆0xknNOBU :02/05/19 19:30
ごめんちゃい。
書いとるんですがあんま進んでなくて・・・
あせんなくていいですよー マイペースが一番
( ´Д`)y━~~期待保守
632「不如帰」 ◆0xknNOBU :02/05/22 00:00
明智光が足利学園に転校してから、一年が経とうとしていた。この時まだ今川義子は
駿遠三のに無事であり、尾張学園も変哲無い地方学園に過ぎない。一方足利学園も以
前の状況と比べはかばかしい進展はない。明智光・細川藤子を初めとして、足利家に
忠実と見られる有能な人間を地方勢力に派遣し、彼らの手を借りようと言う策を進め
てはいるのだが、地方勢力はそれぞれ周囲に別の強豪を抱えなかなか身動きが取れ
ず、何処も足利家に好意的ではあるものの、いずれいずれ、と同じ様な答えしか得ら
れない。
この間、明智光は何の役職にも就いては居ない。功績がないということもあるが、新
参者に役職を与えると言うことに内部から異論があるためである。それでも光は輝子
の個人的な参謀としてかなりの権限を持ってはいるが、自負心の強い光にしては、今
の好く功を為しえぬ状況に苛立っていた。
この日も、そう言う不満を抱えつつ、気を落ち着けるために弓道場を借りて独り弓を
射ていた。
藤子「……光様は来て居られますか?」
光へ会いに来た細川藤子は、足利学園寮の自室に光が居ないことを知り、人づてに聞
いて弓道場へやって来た。
弓道部員「あっ、藤子様。光様なら一人になりたいからといって今出川の旧練習場の
     方へ行きましたよ」
聞かれた弓道部員はそう答える。
藤子「……今出川の?」
藤子は多少訝しげな顔をしてそう言った。今出川弓道場は、十年ほど前の台風で屋根
が飛び、老朽化も進んでいたことから新たに屋内練習場が建てられて廃棄されてた。
建物自体は残っているが、倒壊の危険もあるから今では立入禁止になっているはずで
ある。
藤子「……ありがとうございます」
弓道部員「あっ、いえ。お気を付けて」
藤子が深々と頭を下げてそう言ったので、弓道部員は慌てて頭を下げてそれに応じ
た。藤子はそれに対してもう一度軽く頭を下げてその場を去った。

薄暗い森の小道を通り、藤子が今出川練習場についてみると、はたして人の気配があ
る。更に歩をゆるゆると進め練習場の入り口の扉の前にたつと、錠が掛けられている
はずの扉は開け放たれ、そこから一人の人物が見えた。
光であった。飛ばされてなくなった屋根枠からは木漏れ日が落ち、制服のまま弓を構
える光の顔にも、初夏の陽が作る鮮明な濃淡が、ときに止まり、あるいは風にそよぎ
ながら浮かんでいる。弓は既に引き絞られ、キシリという音が聞こえそうなほどの緊
張感を放っていたが、光の表情には水の如き静けさがあるだけだった。その静かな表
情のまま、音もなく弦が光の手から放れる。ヒョウ、っと短い音をたてた後、矢は朽
ちかけた的に的中した。
藤子(お見事)
心の中で藤子は賞賛を送った。的には今放った矢だけが刺さっている。今のが一矢目
と言うことは、光がここに着いたのもついさっきなのだろう。藤子は、光の集中を乱
してはまずかろうと、敢えて声は掛けず、足音も忍ばせて朽ちかけた練習場の中に
入った。そして練習場と同じくらい朽ち果てた木椅子に腰を下ろす。木椅子は光の
ちょうど真後ろにあり、光の視界には入らないが光の姿を最も良く見ることが出来
た。その間に光は二矢目を放っていた。これも的中した。藤子はまだ黙ってみてる。
矢は後二本残っている。そのうち一本を光はまた弓につがえ、放ち、また的中させ
た。そして残る一本の矢をつがえ、打起し、引き分ける。しかし、最後の一矢をなか
なか射ようとしない。それが余りに長く続き、藤子が訝しく思いだした頃、光は的に
向けていた矢の先を、上体を反り返らすようにしてほぼ真上に向けた。そして、
睡生睡夢応睡童 十余年志空隆隆
尚残歳月時戔如 雖遺韶珠可覚夢
と、詠みあげ、読み終えると同時に弦を放す。矢は頭上高く飛び去り、十拍ほどの間
をおいて、後ろ髪を掠って光の真後ろの床板に突き刺さった。
藤子「……あっ」
その際どさに、思わず藤子は声をあげる。
光「誰?」
矢が体のすぐ側を掠めたときも残心のまま微動だにしなかった光も、その声にはっと
して後ろを振り返る。
藤子「……光様」
藤子は座っていた木椅子から立ち上がり、茫然とした表情で呟いた。
光「藤子?何故ここに?」
光はちょっと驚いた表情を浮かべ藤子にそう聞いた。が、藤子の方はまだ茫然とした
表情のまま、その問いには答えようとしない。
藤子「……光様」
そうしてもう一度呟く。それから急にはっとした表情になり、その表情になったと同
時に光の方をキッと睨んで声高く言った。
藤子「光様!何と危ないことをなされるのですか!いくら腕に自信有りといえども、
   名人に必ず万が一なしとは言えません!光様は高々弓技の巧みを誇って、大切
   な命を蔑ろにするほどのお人であられましたか!」
普段穏やかな藤子の時ならぬ剣幕に流石の光も怯んだ。
光「いえ、これはほんの気紛れよ……」
藤子「気紛れに落とすべき命と、ご自分をそう思っておいでですか?木登りの下郎が
   梢を降る時さえ、危うき高さより安き高さに気を置くものです。まして光様は
   下郎に非ず。天下の難きを捌き得ても、下らぬ事で万分の一も命を危険にさら
   すなどは、そもそもお心得が間違っています」
しかし、藤子は更に光を責める。それでも多少心が落ち着いたのか、先程ほど激しい
口調ではない。
光「いや、その……、ごめんなさい」
普段控えめな藤子にバシバシ説教されると、道理も向こうにあることだし光としては
ひたすら謝るしかない。ぺこぺこと頭を下げ、先程までの緊張感も何処かにやって、
ひたすら藤子を宥めた。
藤子「……いえ、これから気を付けて下されば」
光「うん、気を付けるわ。ごめんなさい」
そのかいあってか、漸く藤子も普段通りの口調に戻り、光はほっと息を吐いた。
藤子「……いえ、私の方こそ興奮してしまって」
言って藤子はちょっと俯き、僅かに頬を赤らめた。
藤子「……でも憶えておいて下さい。……今はしたなくも光様に意見してしまいまし
   たけれど、この事必ず私の真情でありますから……」
光「ええ、間違いなく」
光は藤子の言葉に微笑を浮かべてこたえた。元より藤子が怒ったのも、自分のことを
考えてくれてのことだと百も分かっている。その心に感謝こそすれ気を悪くしたりす
るはずもない。
光「ところで、どうしたのこんな所まで?」
と、それから藤子に聞いた。今出川練習場に来ている事は弓道部員の誰かから聞いた
のだろうが、それなら光が一人になりたいというのも藤子は察しただろう。こんな
時藤子なら敢えて光に接触を持とうとはしない筈で、それでも光に会いに来たと言う
ことはただ顔を見に来たという以上の用があるに違いない。
藤子「……ああ、そうでした」
言われると藤子も思いだしたらしい。普段ならど忘れなどしないのだが、やはり興奮
したせいだろう。
藤子「……そう、でも立ち話では……茶室の方へ御来し願えますか?」
光「分かったわ。それじゃあ私は矢を拾って弓道部に返しに行かなくちゃいけないか
  ら、藤子は先に行ってて。あっ、茶道部の茶室でいいのよね?」
藤子「……はい、それではお待ちしています」
光と別れた藤子は茶道具の準備をしていた。茶道具には案外重い物も多いので、普
段は駒栄や後輩達に手伝って貰うのだが、今日は特に、光と二人きりで話したかった
ので一人で支度をしている。一つには輝子から言い付かった用件を余計な人間に聞か
せないと言う配慮もあった。ただそれだけなら駒栄辺りには手伝って貰ってもいい。
実際、初めは駒栄も同席して貰うつもりで居た。しかし、今出川練習場から戻ってく
る道々、いささか思うところあってそれはやめた。
藤子(光様)
藤子は支度をしながら、光が最後の矢を空に打ち放すとき言いあげた詩を思い出して
いた。
藤子(鬱して居られるのだ)
光ほど自負心の強い人間は居ない。同時にその自負心に見合った志も遂げたいと思っ
ている。
藤子(それが、微弱な足利家を復権すると言うこと)
しかし、今のところ目立った動きは取れないし、光もその自負心に見合うだけの活躍
の場をもてない。全ては微弱であるが為であり、である以上期を待つより仕方がない
ことだということも光には分かっているはずである。が、分かっているといっても焦
らずにいられないのだろう。
藤子(志は遂げられず、儚く詩を吐き出すだけ)
詩は光の鬱屈した志が詮無く漏れだした、愚痴のようなものだ。
藤子(見事なお方ではあるけれど……)
その鬱しやすい性格が、藤子の心に僅かな不安を覚えさせた。

光「今川義子が西進を開始した?」
藤子「……はい、先日東海方面からそう報告が入りました。急ぎ雪に調べましたとこ
   ろ、間違いないようです」
程なく茶室にやってきた 光に藤子はそう告げた。ここ一年来、上洛は足利家にとって
義子の上洛は日照りに雨を待つような心境でそれを願っていたところである。むろん
足利家の方からも何度か義子に上洛を促していたのだが、関東の北条、甲斐の武田家
が今川家の後背にいるためなかなか実現しなかった。
光「ということは、北条、武田の問題が片付いたという事ね?」
藤子「……はい、駿河学園の教諭大原由希子が、退職の置き土産に今川、武田、北条
   の同盟を成立させました」
光「なるほど」
とすれば、後は京までの街道をひたすら西進するだけで、今川家は上洛を果たすこと
が出来る。街道筋の尾張学園や美濃学園などは、駿遠三を支配する今川家の敵ではあ
るまい。
光「ついにこの時が来たわね」
光は多少興奮気味な声でそう言った。もともと光の構想でも、京に今川家が上洛する
事を第一条件に設定している。今までなかなかそれは実現しなかったが、ここに来て
遂に日の目を見た。
光「じゃあ、早速私は輝子様にお願いして越前学園の朝倉御影にも上洛するように催
  促してこなければ」
光の構想の第二弾目がそれである。今川家だけでは上洛は可能でも周辺の学園から京
を維持することは難しいと思われるし、また今川家だけが功を独占することも足利家
にとっては好ましくない。これらの不利を避けるため、越前朝倉家の力を借りる。こ
れは、既に輝子や藤子にも了承済みの企画である。
藤子「……光様」
そうと決まればと、気早く腰を浮かそうする光を、藤子はちょっと高い声を出して制
止する。
光「えっ、なにかしら?」
光は気が逸っているのか、藤子の言葉を聞いても腰を浮かしたまま、中腰の姿勢でそ
う聞き返す。
藤子「……まず、お待ちを。まだ湯も沸いておりません」
藤子はそう言って、光に腰を下ろすように促す。言うとおり、まだ茶釜は松風の音を
鳴らしてはいない。が、光の方は充分以上に沸騰していた。
光「お茶など、何を悠長な」
そう言うとまた立ち上がろうとする。
藤子「お待ち下さい光様。席を途中にして客が座を蹴るなど、主人である私に対する
   大変な侮辱です」
光「しかし……」
いつになく強い口調で言われ、ひたすら気に逸っていた光も流石に動きを止めた。第
一こういう礼儀を嵩に着た言い方をするなどは、普段の藤子の性格からすると信じら
れないので、その事にも驚かざるを得ない。
藤子「……まず、お座り下さい」
光「……」
もう一度座に着くよう促した藤子の言葉に、光は仕方なく座り直す。と、それに併せ
るかのように鳴り金が音を立てた。その音を聞くと、漸く光も逸る気持ちが落ち着い
たのか、ふぅ、っと大きく息を吐いて肩を落とした。藤子は光をちらっと横目で見
て、何時も通りの手順で茶を点て始める。そして日が一度ほど傾いた頃、光の前に点
てたばかりのお茶が差し出された。
藤子「……どうぞ」
藤子の言葉に、光は茶碗を持ち上げそれを飲んだ。別段苦くもない。
藤子「……先程、無礼致しましたこと申し訳ありません」
お茶を飲み終えた光に、藤子は両手を畳につけ、深々と頭を下げて謝った。
光「いえ、そんなことはないけど……」
光はそう言ったが、藤子の思惑が分からないので困惑は隠せない。確かにさっきの自
分は明らかに気が急いていたし、朝倉への要請も一分一秒を争うものではない。しか
しだからといってやたらとのんびりしていいものでもないし、出来るなら今日の内に
輝子から了承を取り越前に発ちたいところだ。そう思えば、また気も焦ってくる。
光「結構なお点前で」
そう言って今度こそ光は座を立とうとする。
藤子「……光様」
と、また藤子がそれを制する。光は訝しく思いながらも動きを止めて座り直す。それ
を見て、藤子はスッと座ったまま半身をずらし、光の視線を床の間の方へ促した。光
が促された通り床の間に視線を移す。床の間には小さな臥龍梅の描かれた掛け軸があ
るきりで、他には何もない。が、良く見ると絵には讃が入っている。光が良く目を凝
らしてそれを見つめると、次のような文字が読めた。
夏日京城北 天閂一矢輝
碧雲通過行 赤日向尚飛
独勢然虚落 天将欲日違
鳳雛休樹杪 隠待露朝晞
光「……藤子」
苦笑いしながら光は藤子の顔を見る。藤子は僅かに顔を伏せたまま光と目を合わせ
ず、表情も変えない。
光「でも、今は休む時じゃないわ。早く朝倉家に行かなくては」
藤子「……そのこと、余人に任せてはいけませんか?」
光「何を言い出すの?」
いきなり意外なことを言われ、光はびっくりした。そもそも光は朝倉に伝があるから
こそ足利学園の対朝倉外交を任されている。ここに来て他人が朝倉家との折衝をする
というのは朝倉家にとっても不審だろう。また、光個人にとってもこれまでの苦労を
他人に横取りされるようで面白くない。
藤子「今足利学園の中で絶対に信用が置け、かつ頼りになる人間といえば光様と和田
   駒栄の他には居りません。その駒栄は南近江学園の六角鼎の元に出向いていま
   す。……光様まで居られねば、三好松永の徒が良からぬ事を考えぬとも限りま
   せん」
光「それは……でも朝倉との折衝はそう時間は掛からないと思うし、三好松永らも今
  川上洛の情報を聞けば迂闊な事はしないでしょう」
藤子「……もう一つ気がかりがあります。今川、朝倉が京に上れば、三好らは破滅、
   そうはならなくても少なくとも今日には居られなくなるでしょう。……そうな
   らないために、三好らが朝倉への使者を害する可能性が……」
光「藤子」
光は藤子が最後まで言い終わる前に言葉を遮った。
光「私は美濃を捨てた時から孤児のようなものよ。門地もなく、功績もなく、ただ自
  分一つがあるだけ。藤子、初めて輝子様と会ったとき、輝子様は足利家の存続は
  賭だと仰られたわ。私の運命も賭よ。金のある人間は金を賭ればいい、家門のあ
  る人間は家門を賭ればいい」
言いつつ既に光は立ち上がっている。藤子は尚もそれを止めたかったが、今度ばかり
は良い言葉が思い浮かばなかった。
光「私には、命とプライドしか賭るものはない」
言い放つと、さっと身を翻して襖を開け、そのまま足早に茶室を去った。
藤子「あっ……」
藤子は慌ててその後を追うとしたが、廊下に出た時には既に光の姿はなかった。
藤子「……」
藤子はそれでも暫く光の去った先を見つめていたが、やがて諦めたように小さく息を
吐き茶室の中に戻った。ふと耳を澄ますと、何時の間に降り始めたものか雨の音が聞
こえた。
藤子(五月雨)
あの日のように、明るい雨なのだろうか?外の見えない茶室の中で、藤子は雨音を聞
きながらそんなことを考えた。

この日の午後、光は輝子の許しを得て朝倉御影の元へと発った。
637 ◆0xknNOBU :02/05/22 00:05
えー、遅れましたが「不如帰」であります。
漢詩は適当ですんで突っ込みはカンベソ(;´Д`)

     人
   (__)
 \(__)/ ウソコー!
  ( ´A` )
待っとりましたーーーー!!!!
( T∀T)y━~~  
保守sage
642「越前」 ◆0xknNOBU :02/05/28 01:37
足利輝子の命を受けた明智光はその日の内に京を発った。京から越前学園までの間に
は六角鼎の南近江学園、浅井雅美の北近江学園があり、本来ならばこれらの学園に挨
拶をして行くべきなのだが、今回は事が急を要するだけに素通りして越前学園へ向かった。
越前学園。一乗谷にあるこの学園は、朝倉敏美の代にそれまで足利家から越前学園生
徒会長に任じられていた斯波家を追放。その後失地回復を目指す斯波家や甲斐家等を
破って越前全体の学園を支配下に納めた。その原動力になった敏美の運営方針は、そ
れまで縁故に頼りがちだった生徒会役員の任命方針を一新し、代々役員の家系を設け
なかった。これにより以後の朝倉家は腐敗しがちな運営陣を新鮮に保ち、また門閥も
緊張感をもって職務にあたるようになった。が、その敏美から既に四代。現生徒会長
御影の代になると流石にこの運営方針のたがも緩み、人事は門閥が横行し緩やかに退
廃の傾向を見せ始めている。しかしそれでも越前学園の勢力は広大で、北は仏教系の
本願寺学園加賀分校、南は斉藤龍子の美濃学園などと接しつつも、少しも越前での勢
力を侵されることはない。
光(新進の気質は無く新しく事を起こすには向かないが、それだけに守ることに対し
  ては堅牢でもある)
光の越前学園評はそんなところであり、世間一般の評と大体変わらない。
光(ただ今回ばかりは動いてもらわないと)
そう言う亀のように鈍重な朝倉家を、どうしても京まで引っ張ってこないことには、
光の構想も成立しないし、足利学園の将来もおぼつかない。
光(さて、あの御影様が動くかどうか?)
これは、ちょっと光にも自信がなかった。

一方一乗谷の越前学園では、足利学園からの正式な使者として光が来ることに対し
て、さほどの驚きもなくのんびりと構えていた。
足利学園からの上洛要請はこれまでにも何度かあったが、その都度朝倉家の力では不
可能と返答してきたので、今回光が来ることに関しても何時もと同じ様な感覚でしか
受け止める者はいなかった。せめて情報に敏感な者がいれば、今回光が来ることと今
川義子の上洛行動とを関連付けて考えたのだろうが、先年まで生徒会長代理であった
朝倉雫が卒業して以来、その種の判断能力を持つ人間は朝倉家には居ない。しかもそ
の雫に変わって越前学園に勢力を張っているのは鞍谷今日子は朝倉御影の恋人の姉と
いうだけで権勢を得ている人物である。
この情勢下に、優秀な実権者を持たないということは、朝倉家にとっても光にとって
も幸運なことではなかった。
今日子「と、いうわけで。足利学園の輝子様から使者として明智光が来ることになっ
    てるわけだけど……。あなた達何か意見ある?」
今日子は生徒会室に集まった、御影を除く役員を前にしてそう言った。形式的に言え
ば今日子は生徒会役員ではないので場を仕切って良いはずもないし、それどころか発
言権もないのだが、その場の面子の中でそれを追求する者は居なかった。今日子の権
勢を怖れてのことだが、あるいはたんに気付いていないだけかも知れない。
鏡「別に意見なんか無いですけど、一応御影様の意見も聞いた方が良いんじゃないで
  すか?そう言えば、なんで御影様居ないんです?」
生徒会役員の一人で朝倉家の一門朝倉鏡がそう聞いた。べつに御影の居ないことに不
満があって言ったわけではなく、思いついたままを口に出しただけだろう。
今日子「……御影様はまだ寝て居られる」
それでも今日子は自分の進行を妨げられたことで少し気を害したらしく、ちょっと
むっとした口調でそう言った。
鏡「寝て?何でそんなことまで分かるんです?」
今日子「さっき小宰から電話があった。起き次第こっちに向かうそうよ」
鏡「ははぁ……」
要するに臥所の中からのご連絡か、と、流石に鏡も呆れたが、口には、こちらも流石
に、出さない。
643 ◆0xknNOBU :02/05/28 01:41
どーも何時でもいいやと思うと書く気が起きてこないので、
「越前」の間は1日1レス分位を目標にしてみようかと思います。
・・・隔日になっても許してくりゃされ(;´Д`)
無理しないでがんばってくださいね
今日子「何か不満でも?」
その鏡を、今日子がじろりと睨み付ける。
鏡「いえ、別に不満なんて……」
鏡は慌てて否定する。足利家の血筋で、本来斯波氏の名跡を継ぐ今日子は何かにつけ
て権高く、越前学園の中でも好かれては居なかったが、権勢を怖れて歯向かう者は居
ない。
健香「まあ、今回も適当にあしらえば良いんじゃないですか?」
鏡と同じ朝倉一門の朝倉健香がそう言ったことで、多少ギスギスしていた生徒会室の
空気も和らぐ。元より誰の中にも意見らしい意見など無い。
小々奈「じゃあ、そう言う方針ということで、金ヶ崎分校の紀香ちゃんにそれとなく
    対応するよう言っておきます」
魚住小々奈がそう言ったことで、他の誰も異論のある者は居なかった。そこで会議は
終わる予定だったのだが、
御影「あはは〜、遅れちゃった〜、ごめんね〜」
そこに気の抜けたコーラのような声が飛び込んできた。本来なら会議の主催者である
はずの、越前学園生徒会長朝倉御影である。御影は長い髪に、ある意味貴族らしい、
端正ではあるが気の抜けた顔を持っている。今も何も考えていないような屈託のない
笑いを浮かべていて、そう言う無邪気なところは男性にとって魅力的であるといえな
くもない。ただし、御影は男には興味がなかった。今も制服こそきちんと着ているも
のの、髪や体からは仄かに石鹸の香りがしていた。直前まで今日子の妹小宰と一緒に
いたことを考えれば、何をしていたのかは考えるまでもない。
今日子「いらっしゃいましたか御影様」
今日子は表情を変えずにそう言った。その軽い口調からは、どうも御影を重んじてい
る風には見えない。が、もちろん御影はそんなことには気付いていない。
志津子「随分お早いお目覚めでしたね」
御影「うにゃ〜?早かったかなー?」
生徒会役員の一人前波志津子皮肉を言ったが、もちろん御影は皮肉とは気付かず相変
わらずニコニコしている。その前波志津子は今日子に睨み付けられたが、志津子は対
とその視線を外して在らぬ方に眼を逸らす。
統子「御影様、今話していたのですが、足利学園から使者として明智光様がいらっ
   しゃるそうです」
会計委員の河合統子が、また悪くなりかけた空気を元に戻すため、多少強引ながら御
影にそう言う。
御影「うん〜?光ちゃんが来るの〜?じゃあお菓子の用意しなくちゃね〜」
今日子「御影様お菓子も良いですが、何時も通り、明智光に言質を与えるようなこと
    を言ってはいけませんよ」
御影「あれ?今日子ちゃん来てたんだ。うんわかった〜」
今日子「それならよろしいですが」
御影「ところで言質って何〜?」
今日子「……足利学園に出向くとか、京都に行くとかって言っちゃ駄目ですよ」
御影「そうなの?でも京都行ってみたいな。京都って、町中に舞妓さんが溢れてて〜
   目隠しして捕まえると捕まえた人を貰えるんだよね〜。うわ〜、楽しいそ〜、
   行ってみた〜い」
今日子「……今の言葉、小宰に伝えていいですか?」
御影「あっ、うそうそ。そんなこと考えてないもん」
馬鹿な妄想を口に出した御影は、今日子の言葉に慌ててそう言いわけする。
今日子「では、絶対に京都に行くとか言ってはいけませんよ」
御影「うん、わかった」
生徒A「御影様、足利学園から明智光様がお見えになりました」
一乗谷の朝倉学園生徒会室にそう連絡が入ったのは昼休みが終わった頃だった。ちな
みに生徒会執行部の人間は鎌倉執行部下で制定された学園自治法により必要な時は授
業を免除される。本来は煩瑣な手続きを踏まねばいけないのだが、現実に学園運営を
しているのは生徒会なので、実際のところ生徒会役員は自由に休み放題になってい
る。
今日子「もう来たの?」
と、報告を受けて軽い驚きの声を挙げたのは御影ではなく今日子だった。今日子は生
徒会役員ではなく、本来学園自治法を使って授業さぼることは出来ないのだが、御影
の許可を受けた特例と言うことで光を待ちかまえていた。
今日子「紀香の所で用向きを聞いてから来るのが通例だけど……」
紀香というのは朝倉雫の義理の妹で、今は卒業した雫に変わって金ヶ崎分校の生徒会
長をしている。通常近畿や東海道から来る使者はここに一旦立ち寄り、用件を一乗谷
の御影まで伝えた後、漸く本校へ来る手順になっている。今回は、まだその通達が来
ていない。
生徒「はい、明智光様は金ヶ崎を素通りして、直接こちらにいらしたようです」
今日子「……横紙破りな」
今日子は不愉快だった。如何に足利家の使者とはいえ、慣例を無視するとは無礼であ
る。
御影「まあまあ、いいじゃない。ねっ、今日子ちゃん。それじゃあ生徒Aちゃん、光
   ちゃんを呼んで来て〜」
が、御影の方は余り気にしていないようだった。今日子はそれでも不満だったが、光
がもう来てしまっている以上どうしようもない。
生徒A「はい」
御影に命じられた生徒Aはそう言って生徒会室を出ると光を呼びに行った。
今日子「……今回はもう来てしまっていますから仕方ありませんが、明智光には当学
    園の決まりをよく言っておきませんと、規則は意味のないものでも守らせな
    ければそもそも規則が力を持ちません」
御影「う〜ん……良く分かんない……」
しつこく言って来る今日子に、御影はちょっと困ったような顔をしてそう言った。基
本的に御影は三行以上の言葉は長すぎて理解出来ない。良く解らない演技をしている
のではなく、本当に言っている意味が今一解らないのだろう。

生徒A「光様をお連れいたしましした」
少しの後、生徒Aが光を連れて生徒会室に戻ってきた。
御影「あはー、ご苦労さま」
御影はそう言って生徒Aを労う。そして生徒Aはそのまま下がり、代わりに長い黒髪
をしなやかに舞わしながら、足利学園の制服を着た女性が入ってきた。明智光であ
る。対して朝倉学園生徒会室には生徒会長朝倉御影、運動系部代表朝倉健香、学園総
書記長魚住々奈、副書記長前波志津子、会計監査長河合統子、この面子に加えて、鞍
谷今日子が待ちかまえている。
光「お久しぶりです御影様、本来なら色々の先恩に謝し、尚厚き挨拶などせねばなり
  ませぬ所。ですが、本日この明智光、足利輝子様の使いとしてこの一乗谷まで参
  りました故は、いささか無礼なれど略礼をお許し下さい」
光は部屋にはいるとすぐにそう言って御影に向けて頭を深く下げた。その御影の左右
には、朝倉学園の役員及び鞍谷今日子が顔を並べて座っている。呑気にニコニコして
いる御影の他は、どの顔も厄介な人間が来たという顔をしていた。
光(思った通り、越前学園は鈍いわね)
その顔々を上目使いにこっそりと見回し、心中光は前途の苦労を思った。が、すぐに
別の考えが浮かぶ。
光(諸葛亮ね)
居並ぶ保守派を相手に一弁を以て衆議を決する。なる程苦労には違いないが、足利学
園で燻っているよりは何倍もましである。そう思えば、自然と笑みすら浮かんだ。
647 ◆0xknNOBU :02/05/29 23:25
きのうあげられなかったので2レス分〜

>>644
ありがとうごぜいます(´Д`)
まあ無理してるわけじゃないんですが・・・
期限無いとやる気が起きないタイプなので(w
今日子「明智さん、御影様に御目通りするには、先ず金ヶ崎の紀香に取り次ぐのが慣
    例だったはず。今回それを省いて要らしたのはどういう御了見でしょう?」
先ず朝倉側で口火を切ったのは鞍谷今日子だった。以前、光が一乗谷に数ヶ月数ヶ月
こうしていたときから、今日子は光のことを生意気な小娘として快く思っていなかっ
たので、口調は酷く嫌味なものだ。
光(まずはこいつか)
光も今日子のことを快く思っていない。光には珍しく、心の中とはいえ余り上品でな
い表現で今日子のことを思い。それからこの朝倉家で一番の保守家を排除すべく口を
開く。
光「本日私が参りましたのは足利輝子様の名代としてです。でありますれば、本来朝
  倉家に目下の礼を取る道理はありません」
今日子「しかし今までは慣例の通りにして来たでしょう。何故今回に限りその様に言
    われる?」
光「今までの事はあくまで足利家の使者としてこの光がたっていただけの事。しかし
  ながら今日は輝子様の名代として参りましたからには、光がここにあるは輝子様
  がここにいらっしゃるのと同じ事です」
今日子「しかし……」
光「で、ありますれば、申し訳ないながら事は天下の公事。極秘のこともあります
  故、役員の方々以外には席を外していただきたい」
尚も反論しようとする今日子の言葉を遮って光が言った。
今日子「なっ……!」
生徒会室の中に非役員は今日子しか居ない。露骨に今日子を追っ払うための言葉であ
る。
御影「う〜ん?今日子ちゃんは私のお姉ちゃんみたいな人なんだけど……それでもだ
   め〜?」
光「姉妹の仲は私事、如何に情濃しといえども公事と秤に掛けることは出来ません」
我ながら嫌な言い方だ、と、光も思ったが、今日子を排除しないことには話がうまく
行かない事は目に見えている。
御影「うん〜……、今日子ちゃん……」
光に言われて、御影は困った様に今日子の方を見る。今日子は顔を赤くして怒りに震
えていたが、御影の視線に気づくと、一瞬だけ助けを求めるような視線を返した。
が、すぐに無駄と悟ったのか、今度は今にも掴みかからんばかりの視線を光に向け
る。越前学園の役員達は少し緊張したが、今日子はすぐに眼を逸らし、御影に一礼す
るともう光の方は見ず退室すした。
光「お聞き入れいただきありがとうございます」
今日子が退室してから、光は御影にそう言った。そして続けて。
光「では、失礼して」
と言い、つかつかと生徒会室の中を進むと、御影の座る生徒会長席のすぐ横に椅子を
運びそこに座る。これには一同もあっと声を挙げ色めき立つ。が、更にそれを制し光
が言う。
光「輝子様の名代でありますから本来上座に着くところ、この明智光は無位の身であ
  りますから、一段遠慮して御影様と同席させていただきます」
その言葉に一同は戸惑った。なるほど言う通りかも知れないが、心情的には納得しが
たい。
光(乱暴ではある)
しかし、これぐらいのことをしなければ鈍い越前学園の役員達を動かすことは出来な
いとも思っている。足利学園の生徒会長が、その名代においても自分達の生徒会長と
同格か、あるいはそれ以上であるということを示しておかなければ、これから先足利
家の立場も曖昧になる。
光(上座が在ればそこに座るのだけど)
残念ながら生徒会長席部屋の窓ぎりぎりでこれ以上の上座はない。しかし、同席でも
充分一同には動揺が走っていた。無論光に好意的なものではない。
御影「いいよー、別に」
光が隣に座ったことに、当の生徒会長御影はそう言っただけだった。御影には光の政
治的な意図などは分からない。しかし、これは越前学園生徒会長自ら足利家の権威
と、名代である光の権威を認めたことに他ならない。御影が認めてしまった以上は、
他の役員が口を出すのは越権でもある。
光「では、輝子様のお言葉をお伝えします」
敢えて礼は述べず、光は漸く用件を持ち出す。用件というのは、要するに今川義子の
上洛に呼応して上洛しろと言うことだ。
光「御影様にも、至急京に上られますよう」
最後のそう結論を述べ、光は言葉を一旦切った。御影を除き、越前学園の面々は一様
に難しい顔をしている。本音を言えば、わざわざ京になぞ行きたくはない。
御影「京都か〜……、でも今日子ちゃんに行くなって言われてるんだよねー」
そう言う役員の思惑など知らず、御影が不用意な言葉をもらす。
光「今日子様が?」
隣でその言葉を聞いた光は嫌な顔をした。
志津子「いえ、御影様の思い違いでしょう。今日子様はその様なことおっしゃられま
    せんでしたよ」
慌てて前波志津子が御影をフォローする。言い訳にもならない言い訳だが、光も深く
追及はしない。どうせ越前学園全体が上洛に反対なのは分かっていたことだ。
光「そうですか、すると上洛していただけるわけですね?」
それよりもこの期にすかさず畳みかけ、御影にそう聞く。
鏡「いえその件に関してはよく生徒会で会議した上で……」
御影が何か答えるよりも先に、鏡が慌てて口を挟む。御影に任せていては光の良いよ
うにされてしまうと思ったのだろう。
光「何をおっしゃられます。既に今川義子は上洛を開始しているのですよ?悠長に会
  議の結果を待つなどは、火事を前にして竜土水を作る様なものです。即刻出立す
  ることこそ肝心であるのに、それでは慎重も度が過ぎ、かえって越前学園のため
  にならないでしょう」
小々奈「火事と言っても遠く京のことでしょう?今川義子が京についてから越前を
    発っても遅くはないと思います。それ程火急の用件とも思いません」
光「今川義子の駿河から京までは尾張、美濃、南北近江を通らねばなりません。その
  間尾張、美濃の両学園は抵抗するでしょうし、北近江学園の浅井雅美も越前学園
  が動かなければ今川義子の上洛を不可とするかも知れません。今川義子の上洛を
  怖れる三好、松永の徒輩がその間に輝子様に害意を持のはまず間違いありませ
  ん。その時こそより京に近い御影様のお力が必要であるというのに、火急でない
  とはどう言うことなのでしょうか?」
納得しているようには見えなかったが、言われて小々奈は取り敢えず黙った。
志津子「輝子様のためと光様は言われますが、私達は足利学園の役員ではなく越前学
    園の役員です。先ず第一に考えるのは越前学園のこと、足利学園のために危
    ない行動はとれません」
光「これは何を言われるのかと思えば恥ずかし気もなく。そもそも尾張、美濃など勝
  手に生徒会長に就任している学園の生徒ならともかく、古くは土岐氏が治めてい
  たとは言え越前学園の生徒会長は足利学生府より任命された正式の生徒会ではあ
  りませんか。であればその生徒会長は輝子様にとって子も同じ、役員は孫も同じ
  でしょう。任命を忘れるのは不義であり、主に尽くさぬは不忠、子や孫がその親
  に尽くさぬのは不孝、また乱れた世を救う力がありながら座して動かぬのは不
  仁。……これ以上は舌もつかれました。いずれ一つをとっても世間に顔向けでき
  るものではないでしょう」
650 ◆0xknNOBU :02/06/01 00:33
2レス分ー。
前回役職の所で朝倉鏡抜かしちゃったんでフォローを。
ついでに今生徒会室にいる人キャラの役職も。

生徒会長    朝倉御影
文化系部代表 朝倉鏡
運動系部代表 朝倉健香
学園総書記長 魚住小々奈
副書記長    前波志津子
会計監査長   河合統子
NOBUさん、連日お疲れ様〜。
光タソがいい感じにかっこいい・・・。
一日一レス策は上手いね。
そう言った後、光はわざとそっぽを向いてしまった。志津子は憮然とした表情をした
が、反論も思いつかないので黙る。
統子「しかし明智様、言われる理想はごもっともですが、今の越前学園には京に常駐
   するだけの予算がありません。口だけなら何とでもおっしゃれるかもしれませ
   んが、現実はそうもいかないのですよ」
次に口を開いたのは会計監査長の河合統子である。彼女は越前学園系列の分校まで、
全経理を総括する立場にあるから、その面から光の構想が非現実であることを指摘し
た。口調に皮肉の要素が多分に混じってしまっているのは、今までのやり取りからし
て仕方ない。
光「昔佐野源左衛門常代は零落して二度の食事にも事欠く有様であったのに、旅の僧
  に鉢の木を薪とし語ったところには、貧すれども鎌倉に大事あれば一番にはせ参
  ぜんと言う志。僧に変じた時絵は後言葉通り駆けつけた常代に三庄を与えまし
  た。貧窮の御家人さえこの三個の鉢を持つというのに、朝倉家は既に足利家から
  生徒会を任じられて5代。三個の鉢さえ持たずとは一体どれ程の貧窮であられる
  のか、全く以てこの光には解し難い事です」
言って光はいかにも訳が解らないという風に、目を瞑って首を左右に振った。これで
統子も、むっとした顔をしつつ黙った。
健香「まあ明智様そう逸らずに。もちろん朝倉にも梅の木の志はあります。しかし越
   前学園の北には本願寺勢力の加賀学園が有り、南は好の深い北近江浅井とは言
   え南近江には挙動不確かな六角鼎がいます。また美濃学園の斉藤竜子も大人し
   くはしていないでしょう。京に上りたい気持ちは山々ですが、本願寺に足首を
   掴まれ、近江、美濃に衝立があっては、これは物理的に不可能と言うもので
   す」
光「つまり、近江まで出たところで本願寺が後背を侵すと?」
健香「ええ、加賀本願寺分校とは昔から仲が悪いですから。恐らく機会を逃さず越前
   に乱入するでしょう」
光「驚きました」
健香「明智様はその辺の事情に詳しくないようですから仕方ありません」
光「いえ、私が驚いたのは、上洛上洛と口で唱えておきながら、朝倉家は加賀と不可
  侵条約一つ結んでおかなかったのかと、その不首尾にです。先に上洛の志有りと
  言いながら必然の策一つ取らないというのは一体どう言うことなのでしょう。知
  は行の主意、行は知の功夫、また知は行の始、行は知の成とか、とすれば口では
  上洛上洛と唱えながらその実心は退嬰にこそ在るとしか思えませぬ」
健香「いえ、そんなことはありませんけど……」
光「するといかなる策も成さぬと言うのはどう言うことでしょう?思うて学ばざれば
  則ち危うしと、詰まりはそう言うことであれば、心を曇らす気質があると言うこ
  とにはなりませんか?」
光(則ちそれが、鞍谷のような宿り木だ)
と、心の中で光は思ったが、流石にそこまでは口に出して言わない。もっとも、そこ
まで言わなくても充分朝倉側は愚弄を感じていた。朝倉御影を除いては、皆一様に光
のことを憎々しげな目で睨み付けている。
光(恨めばいい)
その点を光は割り切っていた。恨まれること位を怖れていては、自分のような者が大
事を成せるわけがない。
光(朝倉の人間などは立場も在れば地位もある、どれだけ私を恨んでも楽な立場だ。
  私の方こそ、匕首の森に立ってなお匕首を怒らせているのだから)
どちらがより苦しく、どちらがより優れているか知れ。光はそう叫び出したいよう
な感情に襲われた。
休日は全然書けんした・・・
んで1レス分だけ、休日は以外とやることあるんで休みって事でスマソです。

>>651
ありがとうございます。
まあ元がスプラスティックな話なので、
さほどかっこよくは書けんですけど(;´Д`)

>>652
自分で決めときながら見事に守れてませんけどね(w
655 ◆0xknNOBU :02/06/06 17:37
PCとびました・・・(´Д`)
すんません・・・しばらく遅れます・・・
>655
⊃Д`;)
保守
このスレも名スレにエントリーされているのですが、
画像は半角二次元のスレにお願いしたらいいですか?
>>658
そうですね、その方がよろしいかと思われ
ちなみに半角二次元の擦れです
ttp://vip.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1013278277/l50
ココで依頼してみればよろしいかと、
しかし、この擦れも半角二次元の擦れも過疎気味なので
早急な対応は不可能かもしれません。
あと5KBで492KBに達しますね。
そろそろ新スレの準備でもしますか?
661658:02/06/10 01:54
>>659
ありがとうございます。
紹介していただいたスレでお願いしてみる事にします。

>◆0xknNOBUさん
マシントラブルとは難儀ですね。
荒筋などいただけたらと思ったのですが……
どうか無理のない様になさって下さい。
662無名武将@お腹せっぷく:02/06/11 15:09
足利編は故事を踏まえた物が多くて難しいですな・・・
戦国は今一疎いのでわかる人が教えてくれたら嬉しいなぁ(;´Д`)
てへっ♪
663半角スレから:02/06/14 06:20
先日はじめて知って、全部読ませていただきました。
面白いです!(・∀・) 続き楽しみにしております。
真田昌幸好きなので登場して欲しいけど、織田視点では接点ないかなあ。
>>662 
<時代背景>
この当時、戦国時代と言っても、一応京には室町幕府があり足利将軍がいました。
でもその力は脆弱なの、どうしても強力な戦国大名の力が必要でした。
また各地の戦国大名達にとっても本国の問題も完璧にクリアして、京に見事一番
乗りを果たし、将軍からのお墨付きをもらって、その実力を天下に示す・・・
というのが、ひとつの目標でした。
でも歴史を見ると、今川義元も上洛の途中に桶狭間で討たれ、武田信玄も途中で死亡
信長も斎藤や長島の一向衆徒などの闘いに明け暮れたように、これはとても大変な
ことでした。

<武士団以上の勢力>
また、この当時(と言うかいつの時代も同じですが)、戦国大名以外にも超強力
な勢力がありました。つまり宗教団体です。
一揆で大名を殺して一向宗徒で国を作った加賀の本願寺とか、比叡山の坊さん自体
も武装して強いんですが、その信者達は更に激烈に強かったので(当時は武士と農民
のあいまいだし、死ぬの怖くない人達の集団なので)、大名達はこれをいかに抑える
かが共通の課題のひとつだったわけです。上杉謙信の祖父とかたくさんの大名が一揆
で殺されてます。
また坊主の理不尽な行動にも、神罰を恐れて強引な方法も取れない点もありました。
<光秀タン>
さて、そういう時代の中で・・・明智光秀タン(オリジナル)は昔住んでた美濃で
斎藤家のお家争いの時に、自分の城が落城してしまったので京都の将軍足利家に
寄食している身分でした。
頭も良くて礼法に通じていたので、将軍からも重宝され密使として有力な大名
との交渉に行かされたりもします。
光秀タンは謎の多い人ですが、インテリなので秩序を好みプライドも高く、己の
美学も持っています。主を倒す下克上とか、下品で野蛮なことは大嫌いだったし
寄食の身であることにもコンプレックスをもっていたそうです。

だから幕府再興と将軍の権威の元の秩序回復を望んでいるんだけど、戦国大名達
は野心を持った人達や保身を考える人ばかりなので、色々と鬱な気分になる毎日
を過ごしていた・・・という感じだったようです。
健香の言葉に光が反駁し終えたところで、いったん御影の提案により会議を中断する
ことになった。ともすれば光主導になりそうになる会議の流れを、いったんの休憩を
挟んで立て直そうという意図がある、訳ではない。単に御影が退屈な会議に飽きただ
けである。光としてはここまで自分のペースで会議を進行できているのだから、火急
を理由にこの提案を蹴ってもよかったのだが、ここは割合とあっさり会議の中断を認
めた。
光(動くまい)
一人応接室で休憩する光はそう考えていた。こんな会議をいくら続けたところで、い
くら光が朝倉の面子をやりこめたところで、結局のところ言説で朝倉が動くことはな
い。と、いうのが、光の見通しである。
光(小人とは常にそうしたものだ)
保身には熱心でも、危険を犯して利益をつかもうとはしない。
光(また、それで正しくもある)
立場を抜きにして考えれば、光としてもそう思わざるを得ない。越前学園を率いてい
る御影が英明の気質であれば、京に上って乾坤一擲の勝負をするのもいい。朝倉には
それだけの元手もあるし、ことの成り行きによっては天下を取ることも可能だろう。
光(しかし御影様はそれほどの人物ではない)
である以上、越前学園は保身につとめるべきなのであった。京に進出したところで足
下はおぼつかず、泥沼の権力争いの果てに破滅するだけだろう。足利家としても、朝
倉家に大きすぎる力を持たれては困るので、ある段階が過ぎればむしろそれを望んで
いた。
光(惜しいわね)
もし光が越前学園の支配者であれば、いや、せめて重役の一人であったならば、天下
を画布に大きな絵を描いてみせる自信がある。しかし現実には、光は越前学園の重役
ではないし、足利学園においても、輝子の引き立てで枢密には与かっているが、役員
ですらない。
光(惜しい)
これほどの自分が、である。

御影「んじゃ〜、またはじめよっか〜」
20分ほどの休憩を挟んだ後、御影の脳天気な声で会議は再開された。生徒会室にい
る面子は先ほどと変わらないが、光によってはじめに追い出された鞍谷今日子は流石
にこの場には来ていない。
小々菜「そうですね明智様もお急ぎのようですし」
魚住小々菜がそれを受けて穏やかにそう言った。いったん休憩を挟んだせいか、口調
に先程までのような険悪な雰囲気はない。
光(どうせ、さっきの間に私を追い返す算段をつけてきたんでしょう)
それは予想の範囲である。そして、次に小々菜の後を接ぐようにして朝倉健香が言っ
う。
健香「さて明智様、先ほどからの御高説、誠に私達も耳の痛いことです。既に越前学
   園は足利学園から五代の恩を受けているのに、この御恩に報ずることもなく足
   利家の窮状を見過ごして参りました。誠に、心苦しいことです」
光「なるほど」
光は健香の言葉を聞いても表情を変えない。まず、健香の言葉も予想の範囲である。
667 ◆0xknNOBU :02/06/14 19:55
遅くなりましたがようやくPCと書く気が復活しました。
FEPがお馬鹿になっちゃってるのがとほほですが(;´Д`)
やはり書きかけが飛ぶと書く気力がなかなか・・・
いや実は前にも一度トンでてそのとき書きかけだったのは全面没にしたんですよ。
その話は元美がスターリン主義者で氏子が麿で、
最終的には断頭台とか考えてたんですが・・・
いやいや、トンで正解でしたね、PCナイスジョブ。

楽しんでいただけるとやる気もでますね。
そんなわけでこれからはまた一日一レス分ぐらい・・・たぶん(;´Д`)
後逸話など分からない部分は聞いていただければ、
基本設定は664氏の説明通りですが、
何せこんな話なのでアレなネタとかも結構入ってますし(w
( T∀T)y━~~  
>>667
元美氏子のエロが100%書けなくなる展開ですね
PCグッドジョブ
PCグッジョブ!(・∀・)

光タンはかなり信子ちゃん達と対照的なキャラクタな感じなので
遭遇楽しみですね。アレなネタにも期待。
牛乳飲んで爆死や、ニポポ人形とボスが個人的にツボでした。
オホーツクに消ゆ。
健香「しかしながら、先程も申しましたように私達の後背には加賀本願寺分校の勢力
   が存在します。本願寺の勢力は分校とはいえ越前学園とほぼ同じ」
光「なるほど」
光はもう一度同じ言葉を繰り返した。今までさんざんに論駁を繰り返して来た光が、
休憩を挟んで後は妙に静かなことに対して、健香も越前他の人間も不審な思いを抱い
たが、おとなしくしているのに文句をつける事もない。ちょっとやりにくかったが、
健香も先を続ける。
健香「いえ、我らの不明不敏をお責めになるのはごもっとも。それについては何の申
   し開きもできませんがしかし、今現実に上洛行動は起こせないというのも、此
   は厳然とした事実」
光「なるほどすると、結局上洛の意志無しと言うことですね?」
健香「とは、申しません。ただ、こちらの方で時期にないと……」
光(賢いことね)
聞きつつ光は、そう冷ややかな感想を持った。結局のところ足利家には力がなく、朝
倉家には力がある。越前学園が言うことを聞かないからと言って、足利学園にはそれ
を罰する力がないのである。もしそんな物があれば、端から朝倉などには頼らない。
である以上、朝倉すればとにかく行けないの一点張りで通せば事は足りるのである。
さっきまでのようにいたずらに光の理屈につきあうなどは愚の骨頂。理屈など、実力
の前には団扇の風のようなものだ。無視してしまえばそれですむ。
光(気付くのが遅いぐらいよ)
しかし光にとってはそれが幸いしている。いったんは光の理屈につきあってしまった
以上、実際に行動を起こすかどうかはともかく、足利家に対しては従順であるという
方針を朝倉は表明してしまったことになる。これに安心しきることはできないが、朝
倉家がもしも足利家に異心を抱いたとき、今日の言葉を記憶しているだろう世間は、
それを道義の面から責めるだろう。体面を重んじる朝倉家にとっては、それは十分な
足かせになるはずである。が、やはり早急の役には立たない。
健香「ですから、光様におかれましても、ここは一度京にお戻りになられるのがよろ
   しいかと」
健香は言葉をさらに続ける。しかし、光は目を伏せ、健香の言葉などは聞いていな
い。健香の言葉などははじめから予想していたことで、聞くに及ばない。もっとも正
確に言えば、言葉を聞いてはいたが頭の中では別のことを考えていたのである。
光(足利家にも私にも力がない、力があれば、健香のようなくだらない人物の言葉も
  威力を持ち、力がなければいかに千金の言葉も寝言)
そう思えば、心の中にやり場のない憤りが沸々とわいてくる。
光(結局は力よ)
健香「明智様、聞いておられますか?」
黙り込んでしまっている光に、健香がそう声を掛けた。考え込んでいた光もその声に
目を上げる。と、健香は光の目を見て息をのんだ。顔を上げた光の目が、ぞっとする
ほど暗く、底冷えするような光を湛えていたからである。
健香「……明智様?」
光「……失礼いたしました」
光もすぐ自分の表情に気付き、気味の悪い光は目から消えた。が、その目が健香をは
じめ、朝倉の役員に与えた印象までは消えない。少しまずかったかもしれないと光も
思ったが、すぐにその考えは頭から追い払う。朝倉など、何程のことがあるだろう。
光(力よ)
結局はそれに尽きるのだから。
672 ◆0xknNOBU :02/06/17 18:44
ほかにも田楽屋に放火して、
義子と秀美を一緒に焼き討ちなんてのも考えたことが・・・
あんまりなんで没にしましたが。

オホーツク、実はクリアしてないんですよ。
コマンド総当たりめんどくさい・・・
そろそろ容量制限が怖くなってきましたが、新スレどうしましょう?
NOBUさんにお任せしちゃった方がいいのか、それともキリ番踏んだ人が立てたほうがいいのか。
このペースだと、700くらいで容量オーバーしそうな予感・・・。
674無名武将@お腹せっぷく:02/06/18 00:16
キリ番まで持つかな。
もう立てちゃってもいいような気がする。
誰か、早く新スレを…
保守
677エノキ ◆TpbJGovQ :02/06/24 14:48
しかし、名前なんとかならなかったのか。全然萌えぬぞ。
健香「……とにかく、そういうことですので越前学園としては早急に上洛するのは不
   可能です」
光の顔を胡乱気な表情で見つめながら、健香はもう一度そう言った。
光「わかりました」
と、言うと同時に光はさっと椅子から立ち上がった。いきなりな行動だったので、先
程光の見せた表情と思い合わせ、越前学園の面々は光が何か非常な事をするのではな
いかと一瞬緊張する。しかし、光はもちろんこんなところで暴れたりしない。さっと
立ち上がった後は、やはり同じようにさっさと歩いて生徒会室を出ようとする。
鏡「京へお帰りになられるのですか?」
余りあっさりと立ち去ろうとする光に、鏡が思わずそう声を掛けてしまった。もちろ
ん光は自分がこのように行動すれば、朝倉誰かは必ず鏡のようなことを聞いてくると
計算しての行動であった。鏡の言葉はよけいなことだったと言うべきで、わざわざ光
の術中にはまりに言ったようなものである。黙って見過ごされてしまえば光もちょっ
と困っただろう。光は、これあるを期待していたから当然立ち止まって言う。
光「いえ、折角の心遣いありがたいことですが、まだ任務がありますから京へ戻る訳
  には参りません」
鏡「はぁ……どちらへ行かれるのですか?」
鏡の言葉に、光はちょっと考え込むような素振りを見せる。
鏡「どうなされましたか?」
怪訝に思った鏡は重ねてそう聞く、この辺りは光の田舎芝居なのだが、鏡だけでなく
越前学園の誰もがそれに気づいた様子はない。
光「いえ、足利学園の外交方針に関わることなのでお話しすべきか一瞬迷ったので
  す。しかしよく考えれば越前学園にも関わりのあること、よしお話ししておくべ
  きでしょう」
鏡「はあ、私達にも関わりが?」
鏡は何を勿体つけるのかとちょっと不快な顔をして言う。
光「実は越前での外交が不首尾に終わった場合、そのまま加賀を抜けて越後まで行け
  輝子様に言われております」
鏡「越前……上杉影華の所へ?」
光「ええ」
鏡「すると、影華にも上洛を要請するつもりなのですね?」
光「まあ、そうです」
越後は、越後防衛学校の勢力圏であり、生徒会長を務める上杉影華は越後防大の院生
にして学生府大佐、学府機動隊関東第三師団隊長を兼ねている。ただし学生府自衛部
隊は既に組織としては有名無実の存在で、その役職に付属する兵権はない。上杉影華
の場合は、越後防衛学校の私設兵力に対していわば逆説的に授与されたものである。
しかし、それだけに上杉影華の勢力は本物であったし、影華自身作戦行動の天才と呼
び声が高くその威勢は朝倉家など比にならないほど全国に響いている。
その影華が京へ上るとすれば越前は通り道であり、朝倉家は強力な越後防校と激突す
るか、あるいは身を低くしてともに京へ随身するしかない。どちらにしても越前学園
にとってはおもしろからぬ事だろうが、以外にも鏡は驚かない。
鏡(できるわけないわ)
と思い、むしろ冷ややかな目で光を見返した。鏡の思っているとおり常識的な観測で
は不可能に近い。上杉影華の南方、信濃にはその作戦能力において影華と並び賞され
る武田千晴がいるし、南東の関東には創生から三代を数え関東一円を支配する北条恋
の勢力が盤踞している。加えて影華は加賀本願寺とも仲が悪い。上洛の余裕などとて
もあるはずがない。