第2回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-017
文学賞メッ叩きの時間です。
【メフィスト賞】
講談社文芸第三部が主催する、広義のエンタテインメント小説を対象とした新人賞。
募集は随時。同部編集社員が読み、部内の会議やまわし読みを経て授賞→デビューとなる。
受賞に至らなくとも、雑誌「メフィスト」での編集者座談会、ページ下段の1行コメントなどで
応募者は自作の評価を知ることができる。
受賞作はキワモノから正統派まで幅広く、これでなければデビューしなかったであろう人材を
多く輩出しており、良くも悪くも目が離せない。
<受賞作紹介>
・「六枚のとんかつ」蘇部健一
・「ダブ(エ)ストン街道」浅暮三文
ファンタジー。好き。
・「煙か土か食い物」舞城王太郎
パワーで読ませる
メフィスト賞と講談社ノベルスの愉快な仲間達13
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1109864383/l50
<受賞作紹介>
・浅暮三文「ダブ(エ)ストン街道」(第8回)
『ケン、私また……迷っちゃったみたい。今……、ここ……、ダブエストンとか、ダブストンとか、
……って人もいるわ。』 夢遊病持ちの恋人タニヤを迎えに行きたいのだが、
その「ダブエストン」だか「ダブストン」だかはいったいどこにあるのか。
ひょっとしてここがダブストンですか?―――― 人の形をした霧や迷い続ける王様と従者の一行など、
不思議な出会いが待つ、不思議な土地での不思議な旅の物語は、ミステリというよりファンタジー。
受賞して出版され、知らぬうちに絶版になっていたが、著者が推理作家協会賞(
>>345-347)を受賞したり
なんやかやしてるうちに復刊ドットコムで要望が集まり、めでたく文庫化された作品。
たとえ賞を受けても売れないものはすぐやめる、講談社の商魂が窺えるエピソードでもある。
・舞城王太郎「煙か土か食い物 Smoke, Soil or Sacrifices」
サンディエゴの総合病院の敏腕外科医である奈津川四郎は、母親が暴漢に襲われたという知らせに。
急遽、故郷の福井に帰還した。そして幕を開ける、壮絶な奈津川家の物語。
「俺のこの美しいおふくろの後頭部を殴ってポリ袋に詰めて土に埋めた奴」を四郎は探し始める。
圧倒的なスピード感と特異な文章は読む人を選ぶ。著者が「阿修羅ガール」で三島賞(
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/vote/1113102631/295)
を受賞した際、強硬に反対した宮本輝がこれを推した筒井康隆の首を絞めたという話はわりと有名かもしれない。
…こういう作品があるから、「もうメフィスト賞イラネ(゚听)」と言えないのが悲しい性。講談社め。
【日本SF大賞】主催:日本SF作家クラブ 後援:徳間書店
「最も優れたSFの業績を選んで顕彰し、SF界の発展に寄与すること」を目的として、1980年に創設。
その年度に発表された評価の高い数作から、選考委員の合議で決定する。
作家に与える賞の側面が強く、時機をはずすとその作家の代表作とは言い難い作品が
選ばれることもあるが、おおむねその年に最も強い印象を残した作品に落ち着く。
主な受賞作:
井上ひさし「吉里吉里人」(1981年)
東北の一寒村が日本からの独立を宣言した。全編コテコテの東北弁でつづる戦いの記録。
この前後数年の間に、筒井康隆「虚航船団」、大江健三郎「同時代ゲーム」など仮想国家を題材とした
作品が相次いで発表された。その流れを評価した結果として興味深い。
筒井康隆「朝のガスパール」(1992年)
ゲーム「まぼろしの遊撃隊」のキャラが現実世界に出現する。メタフィクションを得意とする作者が
パソコン通信を利用し、読者の反応を取り入れながら新聞連載で進行させた多重構造の物語。
インターネットが浸透した今なら実行しやすい企画だが、最終的に面白い小説にするのは至難のはず。
<受賞作紹介続き>
神林長平「言壷」(1995年)
「私を産んだのは姉だった」という文章をコンピュータに入力すると、矛盾した文章であると勝手に
修正されてしまう。意地になって入力を成功させようとすると、言葉でなく世界のほうが変質していく…。
言語についての思考実験の結晶。80年代に「雪風」あたりで受賞しているべきだったが、ようやくこの年に。
冲方丁「マルドゥック・スクランブル」(2003年)
事故に偽装して殺されかけた少女バロットと、万能兵器のネズミ・ウフコック。二人の戦いは
復讐ではなく自らの存在を証明するためのものとなった…。出身(ライトノベルの新人賞)とか
若さ(受賞時26歳)に関係なく、真摯に書かれた小説が評価された。個人的にも嬉しかった受賞。
漫画、映像作品なども小説と同じ枠で審査され、過去には大友克洋「童夢」や
庵野秀明「新世紀エヴァンゲリオン」が受賞している。最新、2004年の大賞は
押井守「イノセンス」。国内でこれに評価を与えられるほとんど唯一の賞と思われるので
しょうがないかとも思うが、同じく非小説の幸村誠「プラネテス」が落ちたのは惜しい。