第2回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-008

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127フェチ板・勝手に選対
今より、ほんの少し未来。
サイバネティクス医療技術の進歩で、人間が少しだけ「死」の恐怖から逃れる術を得た時代。
彼女はそんな時代に生まれ、全身義体のサイボーグとなった。

義体で、眼鏡で、アオザイで、浴衣で、臆病で、H好きで、たまに鬱が入って、面倒見がよく、
ボロ屋暮らしで、天涯孤独で、力仕事のバイトに明け暮れる、大学4年だけど身体は高校生。
どこにでもいるような、それでいて、他の女の子と少しだけ違う。
八木橋裕子、22歳。
フェチ板・サイボーグスレで生まれたヤギーは、今日も健気に日常を「生きて」いる。

「八木橋裕子の物語」(ヤギー関連小説まとめサイト)
http://comic-ekk.homeftp.org/user/hailaer/tentestuki/tentetsuki/yagee-index.htm
【機械化】サイボーグ娘!四人目【義体化】@フェチ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1109861097/l50

所詮は変態。でも、それだけじゃない。それが<<フェチ>>板クォリティ。
http://pie.bbspink.com/feti/ 
2chトーナメント開催!@フェチ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1111078223/l50
128ヤギー・ベストセレクション(1/6):2005/03/23(水) 01:15:26 ID:3beeBWwU
「でも、北崎君は将来義体医師になるわけでしょ。 この映画みたいな恋が実際生まれちゃったりして」
「あ、 でも俺的には恋人にするのはきっついかも」
  でてきたのは予想外の答え。 とまどう私。
「正直ベースで話するとさ、 事故なり病気なりで身体が機械になちゃった人は、可哀想だな、 とは思うよ。
でも恋人とか結婚相手としてはありえないよ。 だってさ、俺は普段から義体みているから分かるんだけど、
義体ってどんなに人間そっくりでも結局のところ機械のかたまりだぜ?結婚したって子供ができるわけでもないし・・・。
もちろん機械の中に人間の脳が入っているってのは理屈では分かっていてもやっぱり俺には人形にしか見えないかなあ。」
(はいはい、どうせ私は人形女ですよ。)
  ひょっとして私の表情あからさまに曇ったかも。 でも奴は気づかない。
「八木橋的にはどうなのさ? 好きな人がいたとしてさ、 例えばそいつが、 実は俺サイボーグなんだよね、とか言ったらやっぱちょっと引かねえかな」
(別に引きませんが何か? 北崎君将来義体医師になるんじゃないの。 そんな、相手が人形なんて言ったら可哀想。サイボーグだってれっきとした人間です。 あんた医師失格だわ)
  そう言ってやりたかったが、 そんな勇気もなく
「うーん、そうかもしれないね」
  と力なく苦笑する私。 この期に及んで生身のニンゲンであるかのように振舞ってしまう自分が恨めしい。そこから先もまだ何か話したようなきがするが、 余りよく覚えていません。 ていうか、忘れます。 今日の出来事はすべて。
129ヤギー・ベストセレクション(2/6):2005/03/23(水) 01:15:59 ID:3beeBWwU
「いえ、 あの・・・1000円お貸します」
  言葉につまった彼はしどろもどろになっちゃった。 ごめんね。
「ありがとう。 えーと、 私の連絡先はねえ」
  彼はさっと、 手帳とペンを出してくれた。 年は私と同じくらいかな。 もっとも私の見かけは高校三年くらいだから、むこうはひょっとしたら私のことを年下と思っているかも。 かわいい顔してるし、性格も良さそうだよね。
「八木橋裕子さんというんですね」
  私が手帳にすらすらとペンを走らせるそばから、 一字一字確認するようゆっくりと彼は言った。
「そう、 友達は私のことヤギーって呼んでる」
「あなたの携帯も教えて。 こういうことって私のほうから連絡するのがスジでしょう」
「そうですね」
  彼は嬉しそうに笑って、 手帳を破って自分の携帯番号を渡してくれた。 そして
「でも私から、 連絡しますから」
  とつけ加えた。
  最後に一つだけ、 どうしても気になったので確認しておく。
「朝の手帳のことですけど、 障害者・義体化一級の意味って知っていますか?普通の人間に見えるかもしれないけど、 私はお人形さんですよ?」
「貴女は貴女でしょう」
  彼はそれだけ言うとまた笑った。 いい笑顔だよね。 つられて私も笑っちゃった。

  帰りの車中、 一人で笑ってる私がいました。 まわりの乗客は気味悪がってちょっと引き気味。でも私は気にしませんとも。
  今日のことは全部忘れる? えーと前言撤回。 今日の出来事明日への活力。
  八木橋裕子22歳一見フツーの女子大生、 明日も頑張るぞう!
130ヤギー・ベストセレクション(3/6):2005/03/23(水) 01:17:20 ID:3beeBWwU
 八木橋裕子様

おはよう。 俺、 今日は早番なんだ。 先に行くね。 昨日はいろいろあって疲れただろう。
裕子さんはゆっくり休んでいってくれ。昨日はありがとう。 俺はこういうこと初めてだったんで、 うまくできなくてごめんな。
裕子さんはことあるごとに私はお人形さんだからっていうよね。 世の中には汚い心を持った人たちも残念だけど、ちょっとだけいるんだ。
そういう人たちが裕子さんをずっと傷つけてきたんだろ。だから、 裕子さんもそんな言い方をするようになっちゃったんだと思う。
でも、お願いだから、そんなふうに自分を傷つけるのはやめてくれ。 確かに裕子さんはちょっとだけ他の人と違うかもしれない。でも、 立派な人間だ。
それは裕子さんとすごしたこの三ヶ月間でよく分かった。裕子さんはとても真っ正直で、 とても優しくて、 とても強い人だ。 そしてとても心の清らかな人だ。俺なんかよりずっと。
だから裕子さんが僕を必要かは分からないけど、 少なくとも僕には裕子さんが必要だってことだけははっきり言える。俺は口下手だから、 面と向かっては言えない。
だから、 古い手段かもしれないけど、こんな形で告白します。 一回しか書かないからな。 裕子さん、 俺はあなたが好きだ。愛しています。
これからもずっと一緒にいよう。 裕子さんさえよければ、 いつまでも。

                                                 藤原修治

「藤原・・・有難う」
  私はその手紙を藤原だと思って、 ぎゅっと胸に抱いた。 目を閉じたら、嬉しくて胸がいっぱいになって涙が溢れてきた気がした。 ううん、 気がしたんじゃない。確かに涙は流れたはず。 この世でたった二人、 私と藤原しか見えない、 でもとびっきり大粒のやつが、ね。
 そうだ、今から宮の橋に行こう。働く藤原を見に行こう!
131ヤギー・ベストセレクション(4/6):2005/03/23(水) 01:18:20 ID:3beeBWwU
  そう、 私は、 私は何のために働くんだろう。 何のために就職活動をしたんだろう。
何で、 宇宙開発事業団に、 自衛隊に、 警察に、 入ろうとしなかったんだろう。
どうして、 今、 イソジマ電工に入ろうと思っているんだろう。 そう、 答えなんて分かりきっている。人間らしく暮らしたいからだ。
「私はこんなふうに、 全身義体の機械の身体で、 ただ生きていくだけでも、とてもお金がかかります。
でも、 私には好きな人がいて、 彼は無邪気に私達は将来幸せになるって信じきってるんです。
そんな時に、 私がお金の話なんかして、 彼の夢を壊すようなことはできない。
でも、 現実を呪っていても何の進歩もない。 私が何とかしなければいけないんだ。私は、 もう覚悟は決めてます。
私には幸せになりたいっていう、 人間らしく生きたいっていう強い意思があるから、私は決して実験台じゃない。
意思のある実験台なんてない、 もしあるとすれば、それは実験台じゃなくて人間にほかならないはず。 私はそう思います。 そう思うことにします。
深町さん、 タマちゃん。 私は、 私のために、 今、 私がつかみかけてる小さな幸せを守るために、御社で働きます。」
132ヤギー・ベストセレクション(5/6):2005/03/23(水) 01:19:25 ID:3beeBWwU
唐突に快感がやんだ。 今まで私の身体を好きなように踏み荒らして、
脳みそを崖から突き落とそうとして狂喜乱舞してた電気じかけの悪魔どもが
いつの間にかいなくなって、また私だけが取り残された。
節電モードだよう。 なんで、 なんで、 なんで、なんで。
一人Hに夢中になりすぎて、 いつの間にかコンセントが外れてた・・・。

「裕子さん・・・」
びくっとして私は振り返った。 藤原はいつの間にか起きていた。 ベッドに正座して悲しそうな顔してる。
見られてた。 今の、 全部藤原に見られてた!
「俺が駄目だからかなあ。 俺が下手くそだからかなあ・・・。 ごめんね。 裕子さん。本当にごめん。
最近、 俺、 裕子さんが気持ちよさがってたから、 自分は上手いんだって思い込んで調子に乗ってた。
勝手なことしてた。 反省・・・してます」
ベッドの上で土下座する藤原。
「ちっ、 ちっ、 違う。 藤原。 これは違うの! わけがあるんだからね! ホントだよう!信じてよう!」
133ヤギー・ベストセレクション(6/6):2005/03/23(水) 01:20:02 ID:3beeBWwU
「それはアタシがニンゲンじゃないからでしょや! サイボーグだからでしょや! いいんだもん、
ニンゲンじゃなくたって。 プールなんかに入れなくたって、 給食を食べられなくたって。
アタシなんて・・・アタシなんて、 ニンゲンよりずーっと偉いんだから。 なんだってできるんだから。
そう思って何が悪いっけさ!」
そこまで言うと、 とうとうこらえ切れなくなったのか、 茜ちゃん、 顔を覆ってわーって泣き出しちゃった。
茜ちゃんは、 機械女で結構なんて強がってたけど、 でもやっぱり違う。 例え生身の肉体の記憶がなかったとしても、
みんなの身体と明らかに違うってことは、 やっぱり辛いことなんだ。 義体が素晴らしいって思い込むのは、
彼女なりに悩んだ結果に違いないんだ。 いいんだよ。 ここでいくら泣いたって、 ちっとも恥ずかしくないんだ。
泣けるうちに思いっきり泣いて、 心のもやもやをぜーんぶ流しちゃおうよ。
「茜ちゃん、 なんで今、 水着着てるの? 海に入りたいからじゃないの? 人間じゃない、 何か別のものだと
思ってるなら、 そんな感情なんてないはずだよ。 私達、 向こうの世界では決して海に入ることなんてできないよね。
普通の身体を持ってるみんなが羨ましいよね。 悔しいよね。 茜ちゃん、 そんなに我慢しないでいいんだよう。
強がらなくてもいいんだよう。 自分に嘘をつかなくてもいいんだよう。 私だって、 茜ちゃんと同じ身体なんだ。
茜ちゃんと同じような思いをしてきたんだ。 だから、 茜ちゃんの気持ちはとってもよく分かるんだ。 ここで話した
からって私達の身体が戻るわけじゃないけど、 でも話すことでちょっとは楽になるかもしれないよ。 ねえ、
茜ちゃん。 茜ちゃんのホントの気持ちを話してみてよ」
  私、 話しているうちに昔の自分を思い出して泣きそうになっちゃった。 でも、 お姉さんぶって、 泣くのは
こらえたよ。 笑顔で優しく茜ちゃんの背中をさすってあげたよ。 そうしたら、 今度は茜ちゃん、 私を
振りほどかなかったんだ。
134ヤギー・ベストセレクション(END):2005/03/23(水) 01:22:52 ID:3beeBWwU
     _
    ,.'´   ヽ というわけで、「八木橋裕子の物語」から
    | ノハノ)〉〉名場面を集めてみました。
   从ゝ0ヮ0ノヽ フェチ板にも、こんなハートフルな物語があるって事を
   '⊂l) #(lつ 是非知って下さい。
     〈_#」l そして、もし興味を持ってくれたら、
     し'ノ  是非<<フェチ>>に投票してほしいよぅ。

「八木橋裕子の物語」(ヤギー関連小説まとめサイト)
http://comic-ekk.homeftp.org/user/hailaer/tentestuki/tentetsuki/yagee-index.htm
【機械化】サイボーグ娘!四人目【義体化】@フェチ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1109861097/l50

2chトーナメント開催!@フェチ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1111078223/l50