前スレ600から始まり。
○=生存者 ●=死亡者 △=参加してない生存者
>>〜>>=登場場面〜死亡(前スレの場合は 前〜>> と表記)
人目=死亡順 @=誰が殺したか 並び順は登場した順
△河村隆一
>>600〜
△YOSHIKI(元X・Dr) 前601〜
○KOHTA(PIERROT・Ba) 前602〜
○キリト(PIERROT・Vo) 前602〜
○TAKEO(PIERROT・Dr) 前602〜
○J(LUNA SEA・Ba) 前602〜
△東海林のり子 前603〜
○SUGIZO(LUNA SEA・上G)前604〜
△INORAN(LUNA SEA・下G)前604〜
●現王園崇(FAIRY FORE・Vo)前604〜前612 3人目@TAIZOが弓で
●真矢(LUNA SEA・Dr) 前604 1人目@ゲーム開始前に銃殺
●TAKA(La'cryma Christi・Vo) 前605〜前637 6人目@SUGIZOが射殺
○潤(PIERROT・下G) 前605〜
●アイジ(PIERROT・上G)前605〜前768 14人目@YURAが射殺
○Gackt(元malice mizer・Vo)前605〜
●Seek(Psycho le cemu・Ba)前608 2人目@現王園崇が弓で
●TAIZO(元FEEL・G) 前613〜前744 13人目@アイジがアイスピックで
●竜太朗(Plastic tree・Vo) 前626〜前627 4人目@キリトが射殺
●TAKASHI(Plastic tree・Dr) 前628〜前630 5人目@YURAが斬殺(鎌)
○YURA(Psycho le cemu・Dr) 前628〜
●AOI(SHAZNA・G) 前636 6人目@
●DAISHI(Psycho le cemu・Vo) 前640〜前641 8人目@キリト?射殺
●Lida(Psycho le cemu・下G) 前640〜前641 7人目@キリト?射殺
●HISASHI(GLAY・下G) 前648〜前891 18人目@キリトが射殺
●TAKURO(GLAY・上G) 前652〜前882 17人目@キリトが射殺
●貮方孝司(Waive・下G) 前654〜前658 10人目@YURAが銃殺
●田澤孝介(Waive・Vo) 前655〜前656 9人目@YURAが斬殺(鎌)
●LEVIN(La'cryma Christi・Dr) 前666〜前706 12人目@AYAが射殺
●IZAM(SHAZNA・Vo) 前669 11人目@キリト追跡中禁止エリア進入により爆死
●AYA(Psycho le cemu・上G) 前706〜前839 15人目@JIROが絞殺
△星子誠一(Zy編集長) 前727〜
△PATA(元X/現在はDope HEADz・G) 前735〜
△Yoshitsugu(元EINS・VIER・G) 前740〜
●JIRO(GLAY・Ba) 前837〜前915 19人目@キリトが射殺
●TERU(GLAY・Vo) 前865〜前876 16人目@HISASHIが射殺
○AKIRA(Plastic tree・G) 前918〜
○TADASHI(Plastic tree・Ba) 前925〜
5 :
Nana:02/05/06 06:34 ID:X6XH0K/2
>朝ねずみさん乙彼!
ありがとう!!
6 :
Nana:02/05/06 10:21 ID:tQP4zKiw
朝ねずみさん乙!
7 :
Nana:02/05/06 10:49 ID:VOU0sPws
朝ねずみサン乙かれ〜。
8 :
Nana:02/05/06 11:59 ID:VbEuH7t.
朝ねずみさん乙〜。
話の続きが気になる…生姜さん、お待ちし
ております!
9 :
生姜:02/05/06 22:11 ID:Wx9UsyD2
例えば、疲れ果てた時に。
例えば、気力が萎えた時に。
それは脳裏によみがえる。
繰り返し、繰り返し見る光景がある。
俺は走っている。あいつを追いかけている。
分かっている。いくら走っても追いつけない事はもう分かっている。
けれども、その中での俺は必死に走っている。叫びながら走っている。
しかし、現実は。返ってきた答えは――
「SUGIZO?」
不安そうなJの声に、SUGIZOの意識は一瞬にして現実へと立ち戻った。
視線を移すと、Jが不安そうにSUGIZOを見ていた。その表情から、SUGIZOは自分がどんな顔をしていたか何となく分かった。
「ああ、大丈夫だ。それよりお前こそ顔が青い。大丈夫か?」
「ああ、俺も大丈夫――というにはちょっとアレだけど。もう、痛覚も麻痺してるし。ただ……その、つまり」
怪我のせいで無ければ、Jの表情が硬い原因はただ一つしかなかった。それはつまり――
10 :
生姜:02/05/06 22:12 ID:Wx9UsyD2
「………KOHTA、どうしたんだろうな」
あの時キリトの襲撃を受けて自分達はこうして生き延びているが、果たしてKOHTAはどうだろう?
まだ放送で名前が読み上げられないという事は生きているのだろうが、しかしそれは無事を保証するものではない。
ましてやあの状況だ、無事逃げ延びたとするのは楽観的に過ぎる――まさか、知らずに兄に殺されてしまう、なんて悲劇だけは避けて
欲しい物だが――SUGIZOはそう分析していたが、口にしたのは別の事だった。
「大丈夫、KOHTAは生きている。そして生きているなら必ず俺達の元に戻ってくる。あいつはそういう男だ。そうだろう?」
Jは、それを聞くとSUGIZOを見て頷いた。そして。
「ああ、信じてるよ」
と、呟いた。ただ――やはりその顔に不安の色は隠せなかった。
そうだよな。人を信じるということは難しい。
………本当に、難しい。
11 :
生姜:02/05/06 22:12 ID:Wx9UsyD2
結局午前六時の放送でAKIRAが目を覚ました。
2時間弱程しか眠っていなかったがAKIRAは十分だ、といい手からハンカチをほどいて銃を握りなおした。
TADASHIはYURAに先に眠る様勧めたが、YURAはそれを断りTADASHIが横になった。
YURAの手首からスチール弦が外されているのを見てAKIRAは文句を言ったがTADASHIがなんとか宥めてその場を収めた。
もっとも外されていなくても外してもらうつもりだったが。AKIRAに。
――さて。あまり方法を選んでいる余裕はないようだ。
TAKEOがまた現われでもしたら全てが無駄になる。それに、例のマシンガンの奴の存在も頭にあった。
しかし、どうしたもんか。僕が女だったら色仕掛けでもして一発なんだけどなあ――
YURAはじっと自分に視線をむけているAKIRAをちらっと見た。
右手のリボルバーの銃口は今はYURAの方を向いていなかったが引き金にはしっかりと指がかかっていた。いつでも撃てるという
意思表示なのだろう。
YURAはなお30分ばかり待ち、こちらに背をむけているTADASHIが完全に眠っているのを確認してからAKIRAに向かって静かに言った。
「そんなに見てなくたって何もしませんよ♪」
「わかるもんかよ」
AKIRAの警戒心は相変わらずの様だった。
12 :
生姜:02/05/06 22:13 ID:Wx9UsyD2
やっぱりTADASHIと同じ様にはいかないか。
仕方ない、完璧な作戦とは言えないがとにかくやってみない事には。
とにかく時間がないのだ。
「ねぇAKIRAさん♪」
「何だ?」
呼びかけると疲れた様子でAKIRAが返事をした。睡眠をとったばかりといっても疲労は相当なものだろう。今なら思考回路も少し鈍ってる
かもしれない。
「僕が何であなたに話し掛けようとしたか分かります?」
じっとAKIRAの目をまっすぐに見つめ、YURAが言った。それは普段よりもやや強めの態度で。
AKIRAはそれに少し圧された様子で「いや――」と一言だけいった。
「僕ですね、あなたは一人で行動してるもんだと思ったんですよね♪だから声を掛けようとしたのに……もう一人いたなんて、ね♪」
わざと意味ありげな口調で話す。
「どういう事だ?やっぱり俺を殺そうとしてたってことか?」
AKIRAの顔が歪む。
「やだな、僕誰かを殺すつもりなんてないですよ♪いくらなんでも人の命を奪うなんて事は――」
なんて知ってる奴が聞いたらお笑いだよな。ていうか、貴方のバンドのドラマーを殺したのは他でもないこの僕ですし♪
「僕パートナーを探してたんですよ、一人だけ♪」
「パートナー?」YURAの言わんとしてる事がよくわからなくAKIRAが焦れた様に訊く。
「はい。ここから逃げ出す為のパートナーです」
13 :
生姜:02/05/06 22:13 ID:Wx9UsyD2
「逃げ出すって何か方法があるのか?!」AKIRAが声を荒げた。
「ありますよ、みんな気付いてないのかもしれないけどこの方法なら多分完璧だと思いますね♪」
「じゃあ――」AKIRAの顔が歓喜で緩んだ。
「でも言ったでしょう?僕が探してるのは一人だけだって♪」
AKIRAの顔が再び強張る。「一人、だけ?」
「人数が多いと危険なんですよ♪それだけ見つかる確率が高くなる♪だから最初は一人で逃げようとしたんですけどね♪それもやっぱり
難しくて、だから二人がベストだなって♪」
「じゃあ――」AKIRAがTADASHIの方をちら、と見た。
「ここじゃちょっと………聞くだけでもいいですから移動しません?」
YURAは言うとすぐに腰を上げた。TADASHIとAKIRAのデイパックを掴み歩き出す。
AKIRAが後を追ってくる気配がした。
YURAはそっと笑みを浮かべた。
こんな簡単にかかってくれるとは思いませんでしたよ、AKIRAさん♪
元の位置から20メートル程離れた所でYURAは立ち止まった。
振り返ると茂みをわってAKIRAが現れた。
ぼんやりした目。まだ銃はその手に握られていたがYURAに対する警戒心はもうないと言っていいようだった。
YURAはデイパックの中から地図を取り出すとそれを目の前の地面に広げた。
14 :
生姜:02/05/06 22:14 ID:Wx9UsyD2
「とりあえずこれを見てください。」
AKIRAは何の疑いもなくYURAと向かい合う形で腰を下ろすと地図を覗き込んだ。
「あ、その前にそれどこかへ置いといて下さいよ♪怖くてたまんないです♪」
YURAが右手の銃を指すとAKIRAは悪いと言ってその銃を少し離れた所に置いた。
「じゃあ改めて――」
YURAは作戦を説明する振りで適当に言葉を並べながら、己の右ポケットにそっと手を差し込んだ。
指先に固く薄いものが触れる。武器をなくした時に何か代わりになる物をと思い入った民家で偶然手に入れたもの。
あの時はこんな物が使えるだなんて思いもしなかった。まさかこんな形で役立つ事になろうとは。
YURAはゆっくり右手をAKIRAの首元に近づけた。
ごめんなさいAKIRAさん♪でもあんたもTADASHIさんの事裏切ろうとしたんだし、お互い様ですよね♪
人差し指と中指の間に挟んだそれを振り下ろそうとしたその時――
けけけけっと鳥の鳴き声がした。しかもYURAの右手の方で。
それでAKIRAはびくっとそちらを見て目を見開いた。
声の主は本当にただの鳥でしかなかったのだから、その原因はやはり顔のすぐ眼前にYURAが手にしたカミソリを認めたからだろう。
――ち!なんだってこんな時に
15 :
生姜:02/05/06 22:14 ID:Wx9UsyD2
AKIRAはうわっと声を上げるとすぐさま身を引いた。
たいした反射神経ですね♪でもそんなもの音楽にはあまり生かせないかも、残念♪
AKIRAは立ち上がり呆然とYURAを見下ろしていた。
YURAはそれに構わずすぐさまAKIRAが置いたリボルバーめがけて走った。
しかし目の前をAKIRAの体が飛んできた。まるきりスライディングの要領で。
地面から銃をすくいあげ、一転して膝立ちに起き上がった。
YURAはAKIRAのほうが先に銃を拾うと判断すると方向を転じていた。
背後で銃声が聞こえたが、どこにも当たらないままYURAは茂みの中へ駆け込んだ。
AKIRAが追ってくる音がする。追いつかれる。もちろんだろう、それは。
茂みを抜けるとTADASHIの姿があった。銃声で目を覚まし、それからYURAとAKIRAがいない事に気付いて辺りを見回してた様だった。
「TADASHIさんっ!」YURAは声を上げてTADASHIに走りよった。もちろん泣き顔を作る事を忘れずに。
「YURA?どうし――」
AKIRAが戻ってくる頃にはYURAはTADASHIの背後に回っていた。それでも、完全に隠れると言う訳にはいかなかったが。
「TADASHI!そこをどけ!」AKIRAが足を止め、銃を構えて言った。
「ま、待てよ」
TADASHIは寝起きの頭でよく状況を飲み込めないのか慌てた調子で言った。
「いったい何だって言うんだ?」
「そいつが俺を殺そうとしたんだ!俺の言った通りだ!」
16 :
生姜:02/05/06 22:15 ID:Wx9UsyD2
YURAはTADASHIの後ろに隠れたまま「ち、ちがいます」と弱々しい声をあげた。
「AKIRAさんが急に荷物を奪っていこうとしたんだ。だから俺慌てて追いかけていったんだ。そしたらいきなり銃で撃とうと――」
「な、こいつ――違う、違うぞTADASHI!そいつはカミソリで俺を殺そうとしたんだ!」
冷静に考えればAKIRAが逃げる必要などないのだから、YURAの言ってる事の方がおかしいのだが、状況はAKIRAにとって圧倒的に不利だった。確かに2つのバックはYURAが持っていった為、ここにはなかったしYURAはとっくにカミソリを茂みの中へ捨ててきたので証拠は
何もない。
AKIRAは怒りで顔を赤黒くしながら必死に叫んだ。「どけ、TADASHI!俺はそいつを撃つ!」
「待てったら」何とか落ち着いた声をだそうと務める様にTADASHIが言った。
「俺にはどっちが嘘を言ってるのか、分からない」
「何だと!」AKIRAがまた声を荒げたがTADASHIは動じず、AKIRAのほうへ右手を差し出した。
「とにかくその銃を渡せ。その後でどちらが嘘を言っているか確かめよう?」
AKIRAの顔がゆがんだ。もうほとんど泣きそうな、やるせなげな表情だった。
「そんなまだるっこしい事言ってられるか!お前も殺されるんだぞ、今こいつをやらないと!」
AKIRAの言葉にYURAがひどいと泣き声をあげた。
「僕、そんな事しません、信じて下さい、TADASHIさん――」ぎゅっとTADASHIの肩を握りしめる。
TADASHIが辛抱強く右手を伸ばした。
「渡してくれ、AKIRA。お前が嘘を言ってるのでないのなら」
17 :
生姜:02/05/06 22:16 ID:Wx9UsyD2
AKIRAがまた顔を歪めた。しかしややあって、肩を大きく上下させて息を一つ吐き出すと銃を下げた。
グリップを前にして諦めた様にTADASHIの方へ差し出す。
なお泣き顔を保ったままだったが、YURAの目の奥がきらっと光った。
TADASHIが銃を握った時が勝負だ。背後からなら銃を奪うのもそう難しくはないだろう。
TADASHIが頷き前へでた。しかし――それは実にTAKEOがYURAの目の前でやったのとほぼ同じ様にAKIRAの手の中で銃がくるっと回転した。
そしてその銃口はますっぐにYURAを狙っていた。
TADASHIの背中から離れたYURAの体はがら空きになっていた。TADASHIがぱっとYURAを振り返る。
やられる――YURAは目を見開いた。
18 :
生姜:02/05/06 22:18 ID:Wx9UsyD2
2つの銃声。
YURAの目の前スローモーションの様にTADASHIの体が崩れ落ちようとしていた。
その向こうAKIRAの狼狽した表情が見えた。YURAはその時にはもう、TADASHIが眠る時に横に置いていたカマを拾い上げていた。
AKIRAにむかってそれを投げる。カマは見事にAKIRAの右肩に食い込んだ。
ぐっとうめいてその手から銃が落ちる。
YURAは今度はバットを拾い上げて、右肩を押さえてよろめくAKIRAの頭めがけてフルスイングした。
がっ、とそのバットの先がAKIRAの後頭部のど真ん中をとらえた。
後頭部の皮膚が裂け、血飛沫が上がり頭蓋骨が陥没する感じがYURAの手に伝わった。
そしてそのまま倒れたAKIRAの頭に何度もバットを振り下ろす。
YURAがバットを放り出す頃には、AKIRAは頭部全体を血で真っ赤に染め絶命していた。
YURAは左手の方に転がっているリボルバーを拾うと、倒れているTADASHIに歩み寄った。
TADASHIの体の下、赤い染みが広がっている。
YURAは少し考え、AKIRAの死体がTADASHIに見えない様自分の体を動かすと、TADASHIの肩をぐっと掴んで仰向かせた。
それでTADASHIが「うう…」と声をあげ、目をぼんやり開いた。
少し埃にまみれたカットソーの左胸と脇腹に一つずつ穴が開いていた。血がそこから溢れ出し、その綺麗な布に吸い込まれている。
YURAはそのTADASHIの上半身を抱き起こした。はっ、はっと短い呼吸が続いている。
19 :
生姜:02/05/06 22:20 ID:Wx9UsyD2
「ゆ、ゆら、あ、ああきら、は?」
YURAは顔を左右に振った。
「貴方を撃ってしまって怖くなったんでしょう、逃げていかれました」
「そ、そう――」
そう言ったTADASHIの目は左右でどこか焦点が違っていた。多分、YURAの姿ももうぼんやりとしか見えていないのかもしれない。
「け、怪我して、ないか?」
「はい――」
YURAは頷いた。それから言った。
「かばって、くれたんですね」
TADASHIはちょっと笑った様だった。
「こ、これからは、おおお前達の、時代が、く、くる。俺はもう、う、うごけな――」
言う唇の端から血の泡が吹き出した。肺に穴が開いているようだった。
YURAは「わかってます」と言い、TADASHIの体を抱きしめた。
「ご、ごめ――俺もう――」
YURAは笑んだ。もう一度「わかってます」と言い――
どん、どんと篭った銃声がし、TADASHIが大きく目を見開いた。
その時にはもう、YURAの顔を見つめたまま、多分何が起きたか分からないままTADASHIは死んでいた。
YURAはまだ銃口から煙を吐いているリボルバーをゆっくりTADASHIの腹から離し、その体を抱えなおした。
今はもう何も見ていないTADASHIの目を覗き込む。
「貴方ともっと早く会っていられたら………もっと早く話が出来ていれば、なぁ……――僕、ちょっと嬉しかったです。忘れませんから、
貴方のこと」
それだけ独り言を言うと、まだ暖かいTADASHIの体を、敬意をもってもう一度抱きしめた。
20 :
生姜:02/05/06 22:21 ID:Wx9UsyD2
今まで見たこともない生き物が、SUGIZOの後輩を――否、後輩だった物を、咀嚼していた。
それは、バサバサな髪を振り乱し、血液を口の周りから飛ばしながら喰らっていた。ちょうど、魚を食べる時のように、頭の部分は
残して、まず身から。
SUGIZOの口中にえぐ味が広がり、思わずうずくまった時、気配を察してそれが振り返った。そしてそれの気配に、SUGIZOも伏せた顔を
上げた。
視線がぶつかった。
第5回プログラムとかいうものが始まったとき、本当に「殺し合い」をするなんて、誰も思っていなかった。これからメジャーデビューを
目指して頑張ろう、というミュージシャン達や最近活動が薄いバンドのメンバーが一箇所に集められ、とまどっているうちに、当時は
ソロ活動絶好調で、女性誌での人気ランキング堂々1位に輝く河村が上機嫌で現れた。河村の出現でとまどいが更に深まったところで、
このクソゲームの説明をされた。
もっともこの時点でこれが真実殺し合いのゲームであると本気で受け取った者は皆無だったと言ってよい。自衛隊みたいな格好をした奴ら
から武器や食料の入った深緑色のバッグを受け取って本部を後にしても、そんな雰囲気から、最近よくテレビなんかで目にする、
モデルガンを構えてパーンパーン! と相手より先に口で言ったら得点とか、傍から見たら間抜けなこと間違いないゲームをやれと
いうことなんだと思った(あれ、なんていったっけ、あのゲームの名前。どうしても思い出せん)。
21 :
生姜:02/05/06 22:21 ID:Wx9UsyD2
だから、夜明けに「死んだ選手」の名前が放送されても、「パパパパパパパーン!」「わー、やられたー!」などという言葉の応酬が
あって、それで「死んだ」奴は「死んだ選手」としてカウントされたのだと思った。首輪がモニターするというのも大仰な話ではなく、
首輪を通じて「死んだー!」という声を聞いて、それを「死んだ」と判断するのだと思っていた。
午前10時53分。この時間を、SUGIZOは永遠に忘れない。忘れられない。
適当に腹ごなしをして、一応「禁止エリア」のチェックをしつつ、林の中をさまよっていると、たまたまLuna(元EINS・VIER・Ba)を
見つけた。
Lunaは自分に気がついていない。
にや、と笑って、SUGIZOはデイバッグから自分に支給されていたスミスアンドウエスンを取り出し、Lunaに照準を定めた。
「ばーん!」
間抜けな声と同時に、引き金を引いた。
Lunaは、側頭部に空いた穴から派手に血を噴き出して、そのまま前にどさっと倒れた。SUGIZOを振り返ることなく、前を見たまま。
そして恐らく、自分を撃ったのがSUGIZOだということを知らずに。
SUGIZOは、ただ立ち尽くしていた。銃口からは、SUGIZOが頭の中で思い描いていた、コメディ映画であるような、音とともに「BANG!」
と書かれた旗は出ず、そのかわり火薬くさい鼻をつく匂いが漂っていた。それでこれが、本当の殺し合いだとわかった。
どうしてそのとき、腕時計を見たのかわからない。ともかくそのときSUGIZOは時計を見、時間を確認した。
午前10時53分だった。
22 :
生姜:02/05/06 22:22 ID:Wx9UsyD2
恐ろしいゲームだと思った。なにより自分がまず人を殺してしまった。これが恐ろしくなくてなんだ。どうして事務所の仲間を殺して
売れなくちゃいけないんだ。だいたい、今メジャーシーンを騒がせている奴らはどうなんだ、あいつらも人殺しをして業界から引っ張り
だこな存在になったとでもいうのか?
が、またこうも思った。自分がいまLunaにしたように、自分の背後から息を殺して近づいて、頭や心臓を撃ち抜こうという奴がいるかも
しれない。朝の放送で名前が呼ばれた奴がいたということは、いるのだ。やはり。
そこでSUGIZOは、はっと我に返った。
自分も含め、首を傾げつつ本部を後にしたミュージシャンのうち、たった一人だけ血相を変えて脱兎の如く駆け出した奴がいた。あいつの
ここのところの精神状態からいって、そうなるのも無理はなかったし、だとしたら危険だ。あいつが一人でいるのは危険すぎる。
SUGIZOは、チームメイトを殺す以外の目的を持って動き始めた。
積極的に殺した、ということはなかったと信じたかった。狙われたから殺したのだと。が、殺すたびに相手が持っていた武器や食料、水を
奪い、なんの為に仲間(だった者)を殺しているのか、ゲーム開始前に提示された目的もおぼろになったころ、それがかつての仲間を
食っている場面に出くわしたのだ。
23 :
生姜:02/05/06 22:22 ID:Wx9UsyD2
「うわあああああああああああっ!!」
視線があったそれの顔を、そいつだと認めたくはなかった。けれど紛れもなくそれは“あいつ”であり、“あいつ”がこうなってしまうの
も無理はないという思いと、そんな馬鹿な、こんなけだものみたいになってしまうなんてという憤りがないまぜになって、SUGIZOは
絶叫し、そして引き金を引いた。
かつて“あいつ”だったそれは、抵抗せず、腹に二発喰らって吹っ飛び、そして倒れた。
SUGIZOが慌てて駆け寄り、彼の身を起こした。
彼は、泣いていた。ぎり、とSUGIZOの肩にしがみつき、涎と血を吐き出しながら、涙をとめどなくあふれさせていた。
「もももう、い、いきてたくない、しし、しに、しにたい、しにたいよぉ……」
口の周りには、いま吐き出したのとは違う血がべっとりとついていた。喰っていたときについたのに間違いない、血が。
最初にこいつが、人としてのたがを外してしまったのはいつだったのだろう。本部から遠くへ駆けて行ったときか、このクソゲームでは
じめてチームメイトを手にかけたときだったのか、たまたまSUGIZOと出会う直前だったのか、それとも――
それとも。
いずれにせよ、楽にしてやらねばならなかった。こいつは自分がしでかしたことの、何倍も何十倍も苦しみ、苦しみぬいて、そして人では
なくなってしまったのだ。
SUGIZOも、泣いた。泣きながら、彼の胸に銃口を当てた。
次の瞬間、こもった音がして、彼は死んだ。楽になった。そう思わなければ、SUGIZOも生きていられなかった。映画やテレビドラマの
ように、いまさらのように体を揺さぶりはしなかった。こいつと、ひょっとしたら別の奴のも混ざっているかもしれない血に塗れた両手で
顔を覆った。
24 :
生姜:02/05/06 22:22 ID:Wx9UsyD2
「……、……うああああああっ!」
こいつの名を呼んだとて、泣き叫んだとて、もう失われた命は戻りはしない。そして、失われた時も。
遠くにヘリの音を聞き、ヘリから軍人が降りてきて自分を両脇から支えてヘリに乗せる。どこかよそごとのようにその画像を目に
収めながら、ヘリの計器盤にも目を遣る。午前10時53分。
このクソゲームが、終わりに近づいているからか。あんなことを思い出したのは。
陽光が眩しい。
SUGIZOは、腕時計を見てみた。12時前だ。10時53分ではない。さすがに、ドラマや小説のようにドラマチックにはいかない。
間もなく、新たな犠牲者の名が放送される。
25 :
生姜:02/05/06 22:23 ID:Wx9UsyD2
大分冷えてきた、冬の午後。
TAKEOはいつものように放送で次の禁止エリアが告げられるのを聞き、地図にチェックを入れていた。そして探知機片手に禁止エリアに
なる時間がくる前に、一つずつ当たっていく。
キリトと潤を捜し出すのに、この方法しか思いつかなかった。でも恐らく、一番ベストな捜し方だろう。まぁそれも、この探知機があって
こそスムーズにできる方法なのだけれど。
そうやって行き着いた場所では、何体もの死体を発見した。死体を見ては、キリトでも潤でもない――と、安心した。まったく、
死んでいったミュージシャンには失礼な言い方だよな。死んだ者に対して安心しただなんて。
26 :
生姜:02/05/06 22:23 ID:Wx9UsyD2
民家ではTAKASHIが。
南の山の中腹――雑木林の中ではTAIZOが。
集落から南の山にさしかかる辺りでWaiveの田澤と貳方が。
海岸では竜太朗が。
大きな爆発音が聞こえて向かった集落の西辺りの畑の間。倉庫のような建物がぼろぼろになっていて、その脇の駐車場のようなところ、
一台のワゴン車の前に、あのGLAYの3人。そういえば、あのJIROも死んでいた。
みんな――みんな変わり果てた姿になっていた。
そして、唯一最期だけだったけれど、見届けることができた――アイジ。
ごめんな、アイジ。埋葬もしてあげられず、ただ目を閉じさせ、胸の上で手を組み合わせただけのままで…側にいることさえできなくて。
でも俺らは、まだやることがあるから。今は――キリトと潤を見つけださないといけないんだ。お前ならわかってくれるよな?だから、
どうか許してくれ――。
27 :
生姜:02/05/06 22:27 ID:Wx9UsyD2
KOHTAの視界にふと白っぽい物が映った。
自分の身体感覚――体が地面に対して水平になっているというそれ――と視覚をつなぎ合わせてKOHTAはそれが天井だという事を認識した。
誰かがそっとKOHTAの胸元に手を触れた。
その黒のややくたびれた感のあるシャツの手から腕、腕から肩へと目で追って、見た。
SHUSE(La'cryma Christi・Ba) がニヤリと笑いかけているのを。
「良かった。気が付いたんやな」SHUSEが言った。
KOHTAはがばっと体を起こしかけたのだが途端、体のあちこちに激痛が走り慌てて体を元に戻した。
それで、自分が柔らかいベッドの上に寝ている事がわかった。
「あかん、無理したら。大怪我してんのやから。大丈夫か?」
SHUSEが毛布を掛け直しながら聞いたがKOHTAはそれに答える余裕などなかった。
首を回して辺りを見る。狭い部屋だった。自分が寝ているベッドの他にもう一つだけベッドが見えた。それ以外はほとんど何もない。
「――どこなんです……ここ?」
KOHTAは半ばまだぼんやりとした頭で言った。SHUSEは
「灯台や。俺達これが始まってからずっとここに隠れてる」
と穏やかな口調で言った。
28 :
生姜:02/05/06 22:27 ID:Wx9UsyD2
「それで昨日の夜――この灯台の前、崖になってるんやけど、お前そこから落ちてきたんやで。見張りしてた奴が見つけて、それで
ひっぱり入れたって訳や。ごっつい怪我やったで。血だらけやったし。すぐにも死ぬんじゃないかって冷や冷やしたわ」
KOHTAはそう言われてようやく自分の体を見た。上半身、色んな所にぐるぐると包帯が巻きつけられていた。
左の肩口、首の右側、そして左の肘の上。さらに左脇腹。
包帯が巻かれている場所はどこも焼け付くように痛んだ。
「手当てしてくれたんですか?」
「ああ」SHUSEが頷いた。
「一通りの救急セットはここに揃ってたから。傷、ちょっと縫ったで。素人のやる事なんでめちゃくちゃやし、針も糸も裁縫セットの奴や
けど………」
「すみません、世話かけちゃって、ありがとうございます」KOHTAはSHUSEに向かって言った。
「ええって、気にすんな。それにしても良かった、意識戻って。一時はもうあかんと思ったよ。お前ずっと眠ってたし。そうやな
――もう13時間くらい」
左手首の時計を見ながらSHUSEが言った。
13時間?13時間って、そんなに?
KOHTAは目を見開いた。今度こそ意識が完全に覚醒した。
記憶と現在がやっとかみ合ったのだ。
聞くべき事があった。真っ先に。
29 :
生姜:02/05/06 22:27 ID:Wx9UsyD2
「J――Jさんは?SUGIZOさんは?!」
KOHTAはそこまで言ってごくっと唾を飲み込んだ。生きて、いるのか?
「JさんもSUGIZOさんも無事やと思う。さっき正午の放送があった所やけど2人共名前は呼ばれてへんから」
KOHTAは大きく息を吐き出した。良かった2人共無事逃げたのだ。
あの、マシンガン野郎から――
KOHTAは安心すると同時に、ため息をついた。「やる気になってる奴がいるんです。俺は、そいつと出くわして――」
「もしかして、サイコの2人を殺った奴か?」SHUSEは少し驚きながら言った。
「そいつなのか?その怪我………誰なんや?一体………」
「わかりません、俺そいつを引きつけながら逃げるのに必死で。そうだ、そいつとは別に、サイコのYURAもやる気になってる」
「そうなんや――」SHUSEは小さく頷き、それから続けた。
「でもここは大丈夫や。お前を別にして6人いてる。みんながちゃんと見張ってくれてるから。信用できる奴らやと思うで」
KOHTAは眉を持ち上げた。そういえばさっきも俺達とか見張りの奴とか言っていたが6人もいるのか。
「誰なんです?」
「うちのKOJIにHIROやろ、それからFAIRY FOREのAKIHIDEとYOKO、それとWaiveの杉本善徳」
KOHTAは唇をなめた。まあ、見事なまでの古株チームと新人チームの混成部隊だ。まるでV6みたいじゃないか。
「信用できへんか?俺ら」KOHTAの表情を見てSHUSEが不安そうに聞いた。
「いえ、とんでもない――こちらこそ助けてもらったんですから、凄く感謝してます。もちろん信用しますよ」
と、そこまで言って疑問が残った。この人たちこそなんで俺を助けてくれたんだろう。
30 :
生姜:02/05/06 22:28 ID:Wx9UsyD2
「SHUSEさん達こそ何で俺を助けたんですか?敵かもしれないのに、俺こそ、あのマシンガン野郎かも知れないんですよ」
SHUSEは小さく笑った。
「目の前で人が死にかけてるんや、ほっとく訳にはあかんやろ?それに同じ事務所の仲間やないか。こんな時に信じんと、いつ信じるっ
ちゅーねん。それに、お前がそんな奴やないって事ぐらい、俺にはわかる」
「それは――……ありがとうございます」KOHTAは少し照れながら、先輩の寛大さに思わず礼を言った。
もしこの優しい先輩達があのまま自分をほっておいたら間違いなく死んでいただろう。例え見殺しにしても何の損もない自分をわざわざ
ここに運び入れて手当てまでしてくれた先輩たちにKOHTAは今更ながら本当に感謝していた。
SHUSEはほっと笑うと「そうや」とデイパックを差し出した。
「お前のや。地図、一応チェックしておいたで」
KOHTAはそういえば禁止エリアの問題もあったのだと地図を開いた。
『元の場所だ、KOHTA』SUGIZOがそう叫んだあの場所。
島の西岸、海際に近いエリアC=3は他のいくつかのエリア同様ななめに走らせた鉛筆でざっと塗りつぶされていた。つまり、そこには
もう入れなくなったという意味だ。
KOHTAは唇を噛んだ。JもSUGIZOももうそこにいない。
「すみません。俺行かなきゃならないんで」一刻も早く2人の後を追う必要があった。既にどこへ移動したかは分からなくなっていたが
それでも追いかけなければ。
痛む体を無理に動かすと「まあ待て」とSHUSEが制した。
「そんな体でどこ行こうっていうんや。体を休めた方がええって」
「そうはいきません。JさんとSUGIZOさんの所へ戻らないと――」
KOHTAはなおも起き上がろうとする。
31 :
生姜:02/05/06 22:28 ID:Wx9UsyD2
「無茶やって!だいたい一人でどうやって探すつもりや。とにかくここにいろ。俺、他の奴らに話して来るわ。Jさんたちの事も相談して
くる。だからとにかく待て」
SHUSEに宥められてようやくKOHTAはベッドに体を戻した。SHUSEが安心した様に付け加えた。
「飯食えるか?」言われてみれば確かに腹は減っていた。傷の為にも何か詰め込んどいた方がよさそうだった。
「あ、はい。………あの、何かあるんですか?」
「今ちょうど昼飯の用意してる所やから持ってくるわ。シチューでええか?」
「シチュー?」KOHTAは聞き返した。
「ここ食料がめっちゃ沢山あったんやで。貯蔵用のレトルトとか缶詰とか。水も固形燃料もあるから料理できんねん」
「それはすごいですね。ありがたいです」SHUSEはドアの所に向かうと「悪いけど鍵かけるな」と言った。
「え?」
「堪忍な。そうせえへんと安心せん奴がいてるから。ちょっと待ってろ」
それだけ言って外に出た。閉じたドアの向こうでがたがたっと音がした。かんぬきの様なものだろうか。
KOHTAは再び無理して上半身を起こすと頭上にある窓を見た。
窓には角材が打ち付けられていてその隙間から光が落ちていた。
もちろんこれは外からの侵入者を防ぐ為なのだろうが、今のKOHTAには格好の監獄と言うわけだ。
KOHTAは息をつきまたベッドに横たわった。そうした動きだけで脇腹の傷がぎりっと痛みを突き上げてきた。
32 :
Nana:02/05/06 22:39 ID:CuPvQNks
>20
「サバイバルゲーム」でしたっけ?
>29
ラクリマが全員そろって、嬉しいです。SHUSEさんが生きてるのも。
これからはKOJIさんがポストHISASHIさんになるのでしょうか?
33 :
Nana:02/05/06 22:47 ID:fmTLNzEg
生姜さん今回もおもしろかったです!
明&正も死んでしまったのね(ゴウナキ。
34 :
Nana:02/05/06 22:48 ID:CuPvQNks
YURAサマやっぱ強い…
35 :
Nana:02/05/06 23:01 ID:iXCWVKZc
生姜さんお疲れ様です。
正、最期の最期まで良い人だったナア…(泣
次はラクリー麺に期待!
36 :
Nana:02/05/06 23:09 ID:mz3qT3mk
タダスィー!!!
泣いちまったぜチクショー
37 :
Nana:02/05/07 00:39 ID:VXRYt0BU
更新お疲れ様でした。
しかし、正…(ナキ
生姜さん、これからの展開にも期待してま
す!
38 :
Nana:02/05/07 22:59 ID:Y7Huae96
生姜サン乙カレーです!
た、タダスィ(ホロリ
39 :
Nana:02/05/08 00:40 ID:vkte8A9Y
今夜は更新ないのかしら・・・?(サビスィ
生姜サソ乙です(*゚Д゚*)
あと、上に貼った表間違ってました
死亡者の「〜人目」の数字がずれてっています…
次貼るときがあれば修正します。
新スレ&新作おめでとう&お疲れ様です。
やっとでてきたよ、善徳さん・・・何気なく期待してたり(笑
42 :
生姜:02/05/08 21:48 ID:6sbGH0TI
本部の執務室で、その男はパソコンの画面に見入っていた。
河村隆一………その存在はヴィジュアル系バンド業界の、過去としての伝説となりかけている。
彼自身がスレイヴと呼び愛したファンからの願いを一身に浴び、それらの欲望を吸収して、もはや一つの肉体であることをやめてしまった
彼は、様々なJ-POP界、ファッション業界、芸能界的な勢力と連結しながら、得体のしれない怪物としての自分をもてあますかのようだ。
音楽とは人生そのものだ。それが彼の持論だった。ミュージシャンである彼がスーパースターになりえたという事実が、そのことを証明
している。そう、かつては確かにそうだったのだ。
だが今はその音楽も、そこにあるドラマも、書き割りのようにしらじらしいものになってしまっている。
河村にはそれが物足りない、はがゆい、こんな退屈には耐えられない。2001年秋、思いは爆発した。
そこにはまさに掛け値無しのドラマがあった。ある者はおびえ、ある者は知恵をしぼり、ある者は味わったことのない快楽に我を失う。
ドス黒い駆け引きがあったかと思えば、思いもよらぬ精神の輝きがきらめいて消える。河村は楽しみ、満足していたのだ。ただ一点を除いて。
43 :
生姜:02/05/08 21:49 ID:6sbGH0TI
KOHTAは何をやってるんだ!こんな状況でも相変わらずの末っ子根性か、くだらない……
あれだけの資質を持ちながら、いったい何を恐れているんだ。物足りない!物足りない!
もっと深く憎み合って、もっと深く傷つけ合って、心も体もズタズタに切り裂かれて、その中から、自分も知らない自分自身を見つけて
みろ!自分自身の未来をつかみ取ってみろ!それが人生だ、それが野球だ!
もう良く出来た失敗作のようなおまえは見たくない。自分の肉体を解き放て!その固い固いカラを破って、体液にまみれた裸の自分を
さらして、全身で世界の震えを感じ取るんだ。焼け付くような情熱に身を焦がしてみろ!燃え上がり、沸き立つような一瞬を通過して、
新しい自分になるんだ!おまえには兄以上にその力がある。
河村は窓から差し込む早朝の青白い光の中で、物陰に身を潜めた獣のように苛立つ。
「問題は、SUGIちゃんか………」
44 :
生姜:02/05/08 21:49 ID:6sbGH0TI
灯台の家屋部分にはリビング兼キッチン、バス・トイレ、そして大小の寝室が一つずつ、それに倉庫がある。
その中のゆうに学校の教室分くらいはありそうな広いリビングのテーブルに杉本善徳(Waive・上G) はぐったりと突っ伏していた。
他の5人とは違い、つい昨日までこの島を一人で逃げ回っていた疲労は一晩たってもさほど解消されなかった。
無理もない。ある事が原因で彼はほとんど眠れてもいないのだから。
SHUSE達はこの部屋を寝室を含めた居室として使用していた。
外に見張りを立てる事は必要だったが、その他は一緒にいた方がいいとSHUSEが判断したのだ。
善徳のすぐ後ろでは、HIRO(La'cryma Christi・上G) とYOKO(FAIRY FORE・Dr) が昼ご飯の準備をしていた。
一方その向こうのソファには、AKIHIDE(FAIRY FORE・G) が座っていた。
そして、このグループ最後の一人、KOJI(La'cryma Christi・下G) は灯の上で見張りを務めている。
善徳自身はまだ見張りに立った事はないのだが、この灯台の後ろはすぐ海、前面も港から続く一本道があるきりで、あとは山が迫ってる
からそれ程困難な作業ではないとSHUSEが言っていた。
そのSHUSEは今、KOHTAを収容した玄関からすぐの寝室にいる。
――KOHTAを。
また少しだけ善徳の中に恐怖がぶり返した。もはや一生忘れないであろうあの映像。
45 :
生姜:02/05/08 21:50 ID:6sbGH0TI
頭がぱかんと割れたAOIの顔。そこから抜き出された血染めのナタ。
そのナタを手にした男の姿――そして――
その男、KOHTAは今、この同じ屋根の下にいるのだ。
誰も知らないことだが、KOHTAが弾みでAOIを殺してしまったあの時、善徳はKOHTAと丁度真正面向かいになる茂みの中に隠れていたの
だった。そして彼は、茂みより怯えながら微かに顔を上げたとき、AOIの頭からナタを抜くKOHTAの姿を見てしまっていた。
――地獄絵図、だった。
その、ほんのただ一瞬だけは、確実に。善徳にとって。
あれから必死で逃げ色んな場所を彷徨い疲れ果てていたが、どんなに睡魔が襲ってきてもあの恐怖のシーンと、信頼するメンバーである
田澤孝介と貳方孝司が死んだというショックから彼はすっかり不眠症に陥っていた。毒舌が売りである筈の、一見強い精神力を持って
いそうな善徳は、その実それを盾にして守らなくてはならない脆く繊細な面を持っていたのだ。
――いや、大丈夫。大丈夫やって。
善徳は自分を捕らえそうになる恐怖から何とか逃れようと考えた。大丈夫。だって彼は死にかけているのだから。
目を覚ます事はないであろう傷と出血量だった。もう一度意識を取り戻すなんてありえない。
その時、誰かがポン、と善徳の肩を叩いた。
46 :
生姜:02/05/08 21:51 ID:6sbGH0TI
HIROが隣の椅子に腰掛けながら善徳の顔を覗き込んだ。
「少しは眠れたか?」
「はい」善徳は無理に笑顔を作りながらその問いに答えた。
ここにいるのはよく知らない先輩達ばかりだった。みなメジャーアーティストだ。事務所に入ったばかりの新人である善徳にとって、ある
意味窮屈ではあるのだが、さすがに自分含め6人もいると思うとまだ、どこかで安心できた。それに、疲れ果て彷徨っていた善徳を招き入
れてくれたのは他ならぬHIROだった。当番の見張りをしていて、善徳に気付いたのは彼だったのだ。
安息がここにはある。例えそれが時間切れまでのものでも。ただ――
「なあ、昨日お前が言ってた事なんだけど」HIROが気まずそうに切り出した。
「ああ」善徳は笑んだ。「その事ならもうええです」
そう、もういいのだ。事実考えたくもなかった。あのシーンを思い出すだけで、脳裏にフラッシュバックするだけで震えがくるのだ。
それにもうKOHTAは二度と目を覚まさない。だから、もういい。
「そっか。ならいいんだけど」HIROが複雑な笑いをした。
昨日、瀕死のKOHTAが灯台の前で発見された時、唯一この善徳だけがその収容に反対した。
KOHTAさんは危険です。そのうち皆を殺そうとする――
それでもSHUSEが怪我人、それも後輩をほっとけないと、わめく善徳をとりなし血まみれのKOHTAをここへ運び入れた。
善徳は青ざめた顔でそれを遠くから見守っていた。所詮自分は新人の身。先輩達の決定には逆らえなかった。
最初は心底怯えていたものの、時間がたつにつれ何とか自分を納得させた。
確かにKOHTAは怪我人だ。それもかなり重傷の。目を覚ます事などない、と。
47 :
生姜:02/05/08 21:51 ID:6sbGH0TI
顔を上げ、善徳はHIROに言った。「俺、どうかしてたんです、きっと。疲れてるのもあったし」
決して本心ではないが、わざわざチームの和を乱す必要もないし、何せ自分も助けられた身なのだ。善徳はHIROが安心しそうな言葉を
口にした。
それでHIROは少し安心した様に言った。「KOHTAはいい奴だよ。あんないい奴そんないないと思う」
確かに善徳も以前はそう思っていた。ちょっと一見無愛想そうに見える時はあるが、とても腰の低い、好感の持てる人だと。
あのPIERROTのベーシストにして、これだけの人気がありながら決して奢ることはない。そんな所が羨ましくさえあった。
しかし――そんな事は今の善徳の頭からは消えていた。
何?何言うてんねん?いい人って、誰がやねん?!
「な?だからKOHTAが目を覚ましても喧嘩とかしないでくれよ」
「大丈夫です。そんな事ありません」そう、目を覚ますなんてありえない。冗談じゃない。
「良かった、安心したよ」そう言うとHIROは再びキッチンへと戻っていった。
ちょうどその時、ドアが開きSHUSEが部屋へ入ってきた。そして、言った。
「KOHTAが目、覚ましたで!」
HIROがおう、と声を上げ、YOKOとAKIHIDEがお互いの顔を見合わせ、嬉しそうに笑った。
その中でただ一人、善徳は青ざめていた。
「本当?話はできるのか?」SHUSEの言葉にHIROがそう訊いた。
「ああ。ご飯も食べたいって」SHUSEは頷き、それから善徳の方を見やって言った。
「大丈夫やで。部屋の鍵はかけてきた。お前が心配するとあかんからな」
皮肉な言い方ではなかった。先輩として必要な事をやった、と言う口調だった。
48 :
生姜:02/05/08 21:52 ID:6sbGH0TI
しかし、そんな事はもはやどうでも良かった。善徳は一瞬のうちに頭を切り替えていた。
KOHTAがもう目を覚ます事はない、と確信する一方で、もし覚ましたらどうするかという事を善徳は夜の間に何度も何度も考えていた。
ちょうど良かった。食事どきだ、今は。どうせ死にかけていた男だ。急に状態が悪くなったってなんの問題もない。
善徳は完璧に笑顔を作って、首を振った。
「心配なんてしてない。昨日は俺、ちょっとおかしかったんです。もうKOHTAさんの事疑ったりしてません」
それを聞いてSHUSEはほっとした表情で息をついた。
「なんや。なら鍵かけてくる事なんてあらへんかったな」
それからSHUSEはHIROに言った。「なあ、悪いけどKOJIを呼んで来てくれるか?食事しながらちょっとみんなに相談したい事があんねん」
「見張りいなくなって大丈夫か?」HIROが尋ねた。
「ああ。どうせ建物は閉鎖してあるし、大丈夫。ちょっとの間やし」
HIROはわかったと返事をすると、部屋を出た。かんかんかん、と鉄の階段を上る音が聞こえる。
そしてAKIHIDEとYOKOが「どんな具合なんですか?」「食事って俺らと一緒のでいいんでしょうか?」
と立て続けにSHUSEに聞いている内に、善徳はそっと席を立ちキッチンへ向かった。
湯気があがるシチューの鍋の横、白い陶皿が数枚積み重ねられていた。
善徳は右手をジャケットのポケットにいれ、中の物を握り締めた。
伸縮性の特殊警棒と一緒に、武器としてデイパックに入っていた「特別付録」というラベルのついたそれを。
このゲームでの使い道などないと思っていたそれを。
49 :
生姜:02/05/08 21:52 ID:6sbGH0TI
迷う必要などなかった。自分と、そして優しいこの5人の先輩達を守る為には仕方のない事だ。
善徳は奇妙に冷静だった。ポケットの中、片手だけを使って小さな瓶のコルク栓をそっと外した。
「SHUSEさん」善徳の呼びかけに、AKIHIDE、YOKOと話をしていたSHUSEが顔を向けた。
「先にKOHTAさんに、ご飯持っていってあげた方がええんとちゃいますか?」
「せやな。そうしよか」善徳の提案にSHUSEが頷く。
「じゃあもうシチュー出来てるみたいやからよそいますね」
そう言って善徳は白い皿を持ち上げた。
「うん。あ、そうや」SHUSEは何か用事を思い出した様に言うと、少し離れた所にある棚を指差した。
「そこの引き出しに薬箱あるやろ?鎮痛剤、飯と一緒に持ってくから出してくれるか?」
「――あ、ハイ」返事をして、善徳は持っていた皿を流しの横に置くと、そちらへ向かって歩いた。
その時、またかんかんかんと鉄の階段を踏む音がしてHIROとKOJIが姿を見せた。
「KOHTA、目ぇ覚ましたって?」
KOJIは肩から吊っていたサブマシンガン(6人の持っていた武器の中で一番威力がありそうな物を見張りが持つ事にしていた)をテーブル
の上に置くと、SHUSEに嬉しそうに話し掛けた。
同じチームを組んでいると入っても、やはり古株と新人の混成チームではいまいち息が合わない。KOJIがごく自然に話しかけたのが同じ
メンバーであるSHUSEであることが、このチームがまだ全員の全面信頼の上に成り立っているものではないと言うことを物語る。
善徳は引き出しの中から薬箱を引っ張り出すと、その中を探った。
鎮痛剤――鎮痛剤ってどれやろ。そんなものを飲んだ所で意味なんかあらへんのに。
だって――
ああ、あった。これや。薬効は頭痛、生理痛、歯痛。俺もさっきから頭が痛かったんよね。
後で飲もう、色々終わった後で。
そう、いろいろ終わったあとで。
50 :
生姜:02/05/08 21:53 ID:6sbGH0TI
「それで話って何なんですか?」AKIHIDEがSHUSEに尋ねる声が遠く聞こえた。
「ああそうだ、それを話してもらわないと」そう続いたHIROの声も
「あ、それはね、えーと何から話せばいいだろ」と言うSHUSEの声も善徳の耳を素通りしたのだが、次の瞬間善徳はびくっと顔をあげた。
「ああ、外ホンマ寒かった〜…どれどれちょっと味見ー」と、KOJIの声が聞こえたからだ。
善徳は顔を振り向けた。そして見た。流しの前、KOJIが皿を片手で持ってそれに口つけているのを。
味見ならおたまからすればいいのに、わざわざ『あの皿』によそって口つけているのを。
半透明の粉が入った『あの皿』に。
善徳の顔から血がひいた。声をあげようとし――しかしその前にそれはやってきた。
51 :
生姜:02/05/08 21:54 ID:6sbGH0TI
KOJIが皿を取り落とし、がしゃんとそれが割れる音と共に床にシチューが飛び散った。
全員の目がKOJIに集中する。
KOJIが喉を押さえて、ごぼっと今飲み込んだばかりのシチューを吐き出していた。
更に激しく咳き込むと、白いテーブルクロスの掛かった机の上に真っ赤な血を吐き出した。
そしてそのままシチューのこぼれた床の上に崩れ落ちた。
「KOJI!」全員が――声を失った善徳以外の全員が――KOJIに駆け寄った。
体を折って、横ざまに倒れこんだKOJIはもう一度血を吐いた。
その整った顔がみるみる青くなっていく。
「KOJI!どうしたんだよ!?」SHUSEがその体を揺すったが、KOJIはもう口の端から真っ赤な血を流しているだけだった。
その目はほとんど限界まで見開かれ、飛び出しそうになっていた。
白目の部分も真紅に染まり、毛細血管が破れたせいなのか、青くなったその顔に赤黒い斑点がいくつも浮き出して、KOJIの面貌はもはや
すっかりグロテスクな怪物のお面の様に成り果てていた。
SHUSEが震える手でKOJIの喉を触った。そして、言った。
「死んでる――」
誰も、何も、言わなかった。
52 :
Nana:02/05/08 22:05 ID:gD.0/4hc
ドキドキ…
53 :
生姜:02/05/08 23:11 ID:F.1vN34g
KOJIの側に座り込んだSHUSEとHIROの少し後ろに善徳は立ち尽くし、青ざめていた。(もっともそれは他の4人も同じだった)
ああ、なんて――なんてことが――これは間違い、間違いなんだ――間違いなのに――殺してしまった――殺して――尊敬する先輩なのに
――守る為だったのに。だって、そんな、KOJIさんが飲むだなんて思わなかったんだ。だいたいほんの一口じゃないか。こんな――こんな
強力な物だったなんて――俺はこんなつもりじゃ――俺が狙ったのは――
「これって――食中毒、じゃ……ないよな………?」SHUSEが震える声で言った。それを受けてYOKOが返す。
「おれ――さっき味見、しました。何ともなかった――これって、こんなのって――」
呆然と黙り込んでいたHIROが、YOKOの言葉を引き取った。「何かの毒………?」
それが引き金だった。
全員(正確には善徳を除く全員だが、4人はそんな事に気付きもしなかった)が顔を見合わせた。
そして――
54 :
生姜:02/05/08 23:12 ID:F.1vN34g
がたっと音がした。AKIHIDEが、KOJIがテーブルの上に置いたウージーを手にして他のみんなに向けて構えていた。善徳を含めた4人が、
反射的にKOJIの死体の横や後ろに動いた。AKIHIDEが叫んだ。その目が丸く強張っていた。
「誰だ!誰だよ!誰が毒を入れた?俺達を殺そうとしたのは誰だよ?!」
「やめろ!」SHUSEは叫び、その後ズボンの後ろに差した拳銃の方に手を動かしかけたが踏みとどまって元の位置に戻した。「銃を下ろす
んや。これは何かの間違いやで、AKIHIDE」
AKIHIDEは今にも銃をぶっ放しそうな勢いだった。どうにか落ち着かせようと、SHUSEは穏やかな声音を出した。
「間違いなんかじゃない」しかしAKIHIDEは首を振った。もうすっかり逆上していた。
「さっきの放送だともう残りは半分以下だって言ってたじゃないか。そろそろ味方のふりしてた奴が正体を現したっておかしくない頃だろ?」
そしてHIROを見やって言った。「料理してたの、あんただったよな」
HIROがぶるぶる首を振った。「お俺だけじゃない。YOKOだって――」
「俺そんな事しません!それならAKIHIDEだって善徳だって、毒を入れる時間はあったじゃないか!」
それを聞いたHIROが、AKIHIDEに向き直った。「――そうだよ」陰うつな口調だった。
「そんな風にムキになるなんて、お前こそおかしいんじゃねえか?」
「HIRO!」SHUSEが制したが、遅かった。AKIHIDEが血相を変えていた。「何だって?」
HIROも続けた。「大体、お前ずっと寝てなかったじゃないか。俺見たんだ。夜中に目を覚ました時、お前が起きてたの。俺らが信用できな
いって事だろ?それって。何よりの証拠じゃないか?」
「HIRO!やめろってば!」SHUSEがほとんど絶叫する感じでもう一度言った。「AKIHIDE!銃を下ろせ!」
SHUSEからも先程までの冷静さは消えていた。
55 :
生姜:02/05/08 23:12 ID:F.1vN34g
「何だよ、リーダーぶってんじゃねえよ。みんなに毒を盛るの失敗したから、そうやってごまかしてんだろ!」
「AKIHIDE――」SHUSEは愕然と口を開けた。
善徳は2、3歩後退し、ただ呆然としていた。一瞬の内に起こった事の成り行きに体が麻痺していた。しかし――言わなければならない。真相を説明しなければ――このままでは何か――何かめちゃくちゃな、とてもめちゃくちゃな事になってしまう。
その時、YOKOが動いた。流しに向かって右手の壁際、サイドボードへ。そこにはもう一つ、銃器が置いてあった。
ぱぱぱ、と撃発音が部屋に響いた。同時に、YOKOの背中にまとめて3つ穴が開いていた。YOKOはそのままサイドボードにぶつかり、
ずずっと滑ってそのまま床に転がった。誰が確かめるまでもなく――絶命していた。
「AKIHIDE!何するんだ!…同じメンバーだろ!!」上ずった声でSHUSEが叫んだ。まだ煙を吐いているウージーを構えたままAKIHIDEは
SHUSEを睨んだ。
「そんなの関係ない!こいつ、わざわざ銃を取ろうとしたんだ。犯人だったからだ!」
「お前も銃を向けてるだろ!SHUSE!撃てよ、こいつを!」
AKIHIDEはそう叫んだHIROにちゃっ、と銃口を向けた。その顔はどす黒く変色し、今にも引き金を引きそうだった。
善徳の眼に映るSHUSEの顔は、何かの痛みに耐えている様だった。そして次の一瞬には、その手がズボンの後ろのブローニングにかかって
いた。きっとSHUSEは迷った挙句、AKIHIDEの手か何かを狙おうとしたのだろう。すっ、とAKIHIDEが銃口をSHUSEに向けた。再びぱぱぱ、
という撃発音がしてSHUSEの体が後ろに吹っ飛んだ。Tシャツの胸の辺りから血が吹き上げていた。HIROは一瞬だけ立ち尽くしたが、すぐに
SHUSEが落としたブローニングに走った。AKIHIDEがその体に向かって、再び引き金をひいた。ぱぱぱ、とHIROの脇腹辺りから、シャツの
繊維と一緒に血が飛んだ。
56 :
生姜:02/05/08 23:13 ID:F.1vN34g
それからAKIHIDEは、机を挟んだ向こう側にいる善徳に銃を向けた。
「お前は――お前は違うよな?」
善徳はただぶるぶる震えていた。震えながら、AKIHIDEの異常な顔を見つめていた。
そのAKIHIDEの左のこめかみにぱんっ、という音と共に穴が開いた。
AKIHIDEは口を開き――左手を見た。穴から血がつ、と流れ落ちた。
善徳もぎこちなくなった首を動かして、AKIHIDEの視線を追った。
そこには、倒れた体勢から苦しそうに上半身をあげ、しかし右手にはしっかりとブローニングを構えているHIROの姿があった。
AKIHIDEのウージーがぱらららららと吠えた。意識して撃ったのか痙攣だったのかわからない。ただ、その弾痕の列は見事にHIROの体を
貫通した。血の霧が舞い、HIROの体が半回転しながら跳ねた。その首は、あの首輪の上でちぎれかけていた。
ゆっくりとAKIHIDEの体が前に倒れた。ちょうどKOJIの死体に折り重なる様にどさっと突っ伏し、それきりぴくりとも動かなかった。
今やただ一人、部屋に残された善徳は、ただぶるぶると震えていた。
石の様に硬直した体がぶるぶると震え、その目は変わり果てた姿になった5人の先輩達が倒れる床を眺め回していた。
57 :
生姜:02/05/08 23:13 ID:F.1vN34g
何か、がしゃんという音が聞こえた時、KOHTAはああ、どじな奴が昼ご飯の準備中に皿でも落としたんだな、などと呑気な事を考えていた。
しかしそれに続いて、なにやら言い争う声が聞こえてきたので、がばっと身を起こした。
左脇腹と肩口にぎしっと痛みが落ちてきたが、無事な右手を使ってベッドから這い出した。痛む体を引き摺り、なんとかドアの前に立つと、
SHUSEの叫び声が聞こえた気がした。ドアノブに手をかけその扉を押してみたが、それは何かに阻まれて止まった。SHUSEは言った通り、
鍵をかけていったようだ。KOHTAは溜息をついて諦めてベッドに戻ろうとしたのだが、その耳にぱぱぱ、というもはや聞きなれてしまった
音が届いた。
KOHTAの顔から血の気がひいた。襲撃か?いや、それにしては――ともかく、何かとんでもない事が起こってるには違いない。
KOHTAは傷付いた体で何とかバランスをとり、かつて兄、キリトに教えてもらった前蹴りの要領でドアに足を叩きつけた。しかし、ドアは
頑強にその蹴りを撥ね付け、KOHTAはバランスを崩して床に尻餅をついた。脇腹の傷がまた痛みを跳ね上げた。だがそんな場合では
なかった。ぱぱぱ、という音が更に2度続いた。
KOHTAは自分の寝ていたベッドの端を右手で掴むと、それをひきずって一端をドアに当てた。そしてベッドの後ろに回りこんで、力一杯
ドアに向かって叩きつけた。
めきっと音がして、扉がかしいだ。もう一回――ぱん、という今度は単発の銃声が聞こえた。
ベッドが木製のドアにめり込み、半ばから折れ曲がったドアが廊下側へ開いた。
58 :
生姜:02/05/08 23:14 ID:F.1vN34g
KOHTAはドアから右手一本でベッドを強引に引き抜くと、床へ倒した。
ぱらららららというあのタイプライターの様な銃声が、開け放されたドアからはっきりと聞こえた。
KOHTAが廊下へ出ると、その一番向こうの部屋の僅かに開いたドアから光が漏れ、それが薄暗い廊下に冷たい感じの光の水溜りを作って
いるのが見えた。ドアの前で折れた角材の一つを手にすると、KOHTAはその部屋に向かった。
もう、なんの音もしなかった。一体何が起こったのか?誰かが襲撃してきたのか、それとも――
KOHTAは慎重にそのドアに近づき、僅かな隙間から中を窺った。そして、見た。
その部屋の中央にあるテーブルを囲むように倒れ込んでいる、いくつかの背中。その中で、KOHTAに背を向けて立っている背中。倒れて
いるミュージシャン達の間に、何丁かの銃が転がっていた。床のそこここに飛び散った血の匂いが、つんと鼻をついた。
KOHTAは驚愕に全身を硬直させていた。その何もかもが麻痺する感じは、あの、サイコのSeekの死体を見た時と同じ様だった。
一体――何だ?何が起こったっていうんだ?SHUSEが――待ってろ――そう言ったSHUSEが、倒れている。他にも4人、倒れている。
死んで、いるのか?死んでしまったのか?
KOHTAの目の前にいる善徳は、銃を手にしていなかった。ただそこに、立ち尽くしていた。
59 :
生姜:02/05/08 23:14 ID:F.1vN34g
KOHTAは茫然としながら、ゆっくりドアノブをひき、部屋に入った。それで善徳がくるっとこちらを向き、KOHTAを血走った目で凝視した
かと思うと、床に転がった拳銃に飛びつきかけた。同時にKOHTAの呪縛も解けた。手にした角材をライブ終了後スタッフにギターを
投げ渡すかの様に、思い切り善徳の目の前に向かって投げた。おかげで体がぎしっと痛み、KOHTAは顔を歪めた。角材は善徳の眼前でばん、
と床に当たって跳ね返った。善徳は両腕で顔を覆って、そのまま血がこびり付いた床に尻餅をついた。KOHTAはその銃の方へ走った。この
訳が分からない状況で、善徳が銃を手にしたら絶対ややこしい事になる。善徳はそれを見て「ひっ」と叫ぶと体を起こし、部屋の奥にある
もう一つの扉から逃げ出した。
かんかんかんと金属的な音が聞こえた。階段、か――?
KOHTAは善徳の消えた後をしばらく見つめていたが、はっと気付くとSHUSEに駆け寄り、傍らに膝をついた。
SHUSEのシャツの胸に、穴が開いているのがわかった。体の下に、血が、広がり始めていた。その目は眠る様に穏やかに閉じられていて、
僅かに開いた口からは――もう、息はなかった。
「あ――」
KOHTAはこのゲームが始まって以来、初めて自分の目に涙が溢れてくるのを感じた。
ほんの数分前に言葉を交わしたのに。
『待ってろ』そう言って、出て行ったのに。
何分後かには、できたてのシチューを持って、戻ってくるはずだったのに。
『良かった、気が付いたんやな』
『お前がそんな奴やないって事ぐらい、俺にはわかる』
目の前の不思議に穏やかな顔が、そう言って笑った顔とだぶった。
60 :
生姜:02/05/08 23:15 ID:F.1vN34g
KOHTAは周りを見回した。確認するまでもなかった。KOJIの顔は変色し、口から血の泡がこぼれていた。うつ伏せに倒れたAKIHIDEの頭の
下には血だまりができている。YOKOは背中に数個穴が開いており、HIROは首が――ちぎれかけていた。
全員が、既に息絶えていた。
なんて――なんてこった――
ここにいるのは、全員同じ事務所の仲間なんだ。ストイックな音楽の世界に共に生きる戦友なんだ。まだまだ――これからじゃないか。
これから知る事のできた、喜びや感動がたくさんたくさんあった筈だ。やり残した事だって、いっぱいあっただろうに――突然こんなクソ
ゲームに放りこまれて、こんな所で、なんで死ななきゃいけなかったんだ。
なんでこの人たちが、死ななきゃならないんだ。
KOHTAの目からぼろぼろと涙がこぼれ落ち、SHUSEのシャツの上で小さく弾けた。
「く――」KOHTAは唇を引き結ぶと、先程善徳が手を伸ばしたブローニングを拾い上げた。そして善徳が消えた部屋の突き当たりのドアへ
歩いた。実際に体が傷ついている、という事以上に体が重かった。
銃を握った右手で目元を拭うと、ドアの向こうへ出た。そこはコンクリートが剥き出しになった、円筒状の空間だった。
灯台だ。これが灯台なのだ。中央に太い鉄製の柱があって、それをらせん階段が取り巻いている。
「善徳!」松井は叫びながら階段を上り始めた。「何があったんだ、善徳!」
階段の上、善徳の姿は見えなかった。しかし――「うわあっ」という善徳の声が聞こえた。
KOHTAは眉を寄せ、その足を速めた。脇腹の傷がじくじくと痛み出していた。
再び出血が始まったのか、包帯が湿り始めた気が、する。
61 :
生姜:02/05/08 23:18 ID:F.1vN34g
善徳は息を切らせて灯台のてっぺんまで駆け上がった。
ベランダへと続くドアをこじ開け外へでると、高い場所のせいか思ったよりも風が強く吹いていた。目の前の海から潮の匂いが届く。ベラ
ンダを囲む手すりにそって右へと進む。
アホや、俺。いくら焦っていたからと言うて、何で上にきてしまったんやろ。梯子もなにも見当たらへん。これじゃあ追いつかれてしまう。
その時善徳の目に入ったのは、つい今の今まで自分が居た部屋がある建物の屋上だった。
仕方ない。あそこに飛び降りるしかない。
とにかく逃げなくてはならないのだ。捕まったら――殺される!
善徳は鉄製の柵を乗り越え、ベランダのふちに立った。しかし、足元に覗けた視界は、善徳の頭をクラクラさせる事になった。
高い――これは――飛び降りるなんてできる訳がない。
本当ならそんな事ができる高さではないのだ。正常な判断ができる状態の人間なら、まず飛び降りようだなんて思わないぐらいの高さは
あった。ただ、善徳はKOHTAへの恐怖のせいで柵を乗り越えるまでにいたったが。
あかん。それこそ死んでしまう。とにかく戻ろう。もうなんとかKOHTAと戦う方法を考えるしかあらへん。もうそれしか――手に力を込めて、
柵を乗り越えようとした瞬間。一段と風が強く吹いた。
「うわあっ」途端、ぐらっと視界が揺れた。
62 :
生姜:02/05/08 23:19 ID:F.1vN34g
脛がベランダのふちに当たったと思った時には、善徳の体は空中に踊っていた。なんとか反射的に両手を伸ばしたが、指がかろうじて
ふちに引っかかっているだけだった。心臓が物凄い速さで脈をうっている。もう、どう考えても手すりにすら手を伸ばすのは無理だった。
ましてや体を引き上げるなんて――全身が恐怖に震える。
だめや――だめや、こんな時に震えたりしたら・・・手が滑って――
「ひいいっ」
ずるっと右の小指がすべった。次いで薬指。もう後はずるずると全部の指がふちから離れた。そして左手も――
「ああああああああああああ」
絶叫と共に、体が落下するどこか夢の様な感覚が体を支配した。
死ぬっ――
しかし、がくっという衝撃が腕から肩へと突き上げ、その落下はほんの数十センチで止まった。上方へ伸びた左腕を支点に、自分の体が
ぶらぶらと振り子の様に揺れている。
善徳は顔をそっと上げた。そして、柵の向こうから体を投げ出し、右手を伸ばして自分の左手首を掴んでいる人物、KOHTAがそこにいるの
を見た。
「うわああああっ」
もちろん手を離されたら、死ぬ。だが、その手を掴んでいるのはあのKOHTAなのだ。
なんで?何で俺を助けようとするんだ?自分が助かる為に俺を利用するつもりなのか?それとも――ああ、そうか。俺を、自分の手で
殺したいんだ!
「離せ!離せ!」
善徳は叫んだ。もう、僅かにだが残っていた論理的な思考も吹き飛んでいた。
「あんたに殺されるくらいやったらここから落ちて死んだ方がましや!離せ!離せったら!」
63 :
生姜:02/05/08 23:19 ID:F.1vN34g
それを聞いたKOHTAは表情を変える事無く「暴れるな!」と一喝した。それで善徳がびくっと顔を上げた。気付いた。
KOHTAの首の包帯が赤く染まっており、血が肩口から流れ出していることに。その血がKOHTAの腕を伝って、自分の左手まで届いている
ことに。
「くっ」KOHTAの顔には脂汗が浮かび、その表情は苦痛に歪んでいる。
そうだ。KOHTAは全身にあれだけの怪我をしているのだ。右腕一本で自分の体重を支え、それを引き上げようとするなら、その傷はKOHTA
にめちゃくちゃな痛みを伝えるに違わなかった。
どう、して?どうしてそんな痛いのに、俺を助けようなんて――善徳の頭から、さっと風が吹いた様に黒い霧が姿を消した。
血染めのナタを握っていたKOHTAの姿が消え、かつての代々木体育館楽屋、楽しげな表情のKOHTAが戻ってきた。
メンバーやマスコミの人間と冗談を言い合っている時の笑顔。リハ中の真剣な眼差し。ファン達に優しく接する場面。
ああ――。善徳はようやく目の前の事態を正確に把握した。
――KOHTAさんや。KOHTAさんが、俺を助けようとしてくれてる。俺、なんで?なんでこの人の事殺さなあかんなんて思ってた?どうして
そんな風に――KOHTAさんはKOHTAさんなのに。
思考が正常に戻ると同時に、自分のとった行動とそれが招いた結果が頭をよぎり、善徳は改めて青ざめた。
俺、本当にどこかおかしくなっていたんや。それで、そのせいで皆が――
善徳の目から涙が溢れ出していた。それを見て、KOHTAが怪訝な表情になるのがわかった。
「俺――俺なんです。あなたを、俺は殺そうとしたんです!」
KOHTAは自分の腕の先をちょっとびっくりした顔で見やった。
64 :
生姜:02/05/08 23:19 ID:F.1vN34g
「おれ、あなたがAOIさんを殺したと思て――それで、怖くて。めっちゃ、怖くて。だからあなたの食べ物に毒を入れようと――それを、
それをKOJIさんが食べちゃったんです。それでみんな――みんな――」
KOHTAはそれで全て了解した。あのAOI(SHAZNA・G)との格闘の末、その顔からナタを抜き出した場面を善徳は見ていたのだ。多分、
あの後TAKAやSUGIZOが現れた所は見ておらず、ただあの場面だけを。
もちろんあれは事故であったし、ナタを抜いたのだって武器が必要だと思ったからだ。(自分に支給された鍋のフタでは不安だったのだ)
けれど、善徳の怯えきった心はKOHTAを恐れない訳にいかなかった。それでKOHTAを殺そうと毒を盛り、間違えてKOJIがそれを口にし
――誰が毒を盛ったのかと全員が疑心暗鬼になってしまったのだ。
そして毒を入れた張本人、善徳だけが残った。
65 :
生姜:02/05/08 23:20 ID:F.1vN34g
「もういい!」KOHTAは叫んだ。「もういいからじっとしてろ!今引き上げてやる!」
KOHTAは左手が使えない為柵を掴む事が出来ないので、体を捻り、右膝を体の下に引き付けて背筋に力が入るような姿勢をとった。体は
悲鳴をあげていたが、それでも諦める訳にいかなかった。
このミュージシャンだけでも助けなければ。もう人が死ぬのはたくさんだった。
KOHTAは善徳の手首を握った右手に力を込めた。しかし――
「だめ、だめや、あかん。」善徳の顔が左右に振られた。「俺のせいで、みんな死んでしまった。みんな、死んで――」
善徳の右手がKOHTAの手をもぎ離すように動いた。せっかくしっかり掴んでいた手が緩み、KOHTAは焦って更に力を込めようとしたのだが
あろうことか首から伝いおりた血が、その手の中でずるっとすべった。
KOHTAの腕から、掛かっていた重さがふっと消失した。自分を見上げる杉本善徳の顔が遠ざかり――
ばたん、と音がして眼下の建物の上、仰向けに善徳が倒れこんだ。その大の字に伸びた体の首が、変な方向に曲がっている。頭の右上辺り
からは、赤いしぶきが葉の形の様に伸びていた。
「あ――――」
KOHTAは右腕をベランダに投げ出したまま、しばらくそれを見つめていた。
66 :
生姜:02/05/08 23:20 ID:F.1vN34g
先程まで自分の腕の先にあった命が、目の前であっけなく散った。人がこれほど壊れやすいものなのかと、頭のどこかで思う。
助けられなかった。もう少しだったのに、助けられなかった。これで6人全滅だ。全員、死んだ。なんで?なんでなんだ?こいつらが死んで
、俺だけが生き残って――俺は、この人達のおかげで今こうして生きているのに。
もし、自分がここに運び込まれなければ、6人はこんな目には遭わずにすんだ。これじゃあまるきり死神じゃないか。俺は――
「っ…………」一度緩んでしまった涙腺は、またぼろぼろと涙を溢れさせた。
いくら室内だったとはいえ、あれだけの銃声が響いたのだ。それを聞きつけた誰かがやってくるかもしれないとは思ったが、もはやどうでも
良かった。自分はこのまま殺されても構わない、それよりもう、あの時マシンガン野郎に殺されておけば良かったのだ。そうすれば――
ごめん、SUGIZOさん。俺、約束守れそうにな………
そこで思い出した。どこかで自分を待っているSUGIZOとJ、そしてTAKEOが今頃必死で探しているであろう、兄と潤の事を。
待ってるだけなら良かった。SUGIZOは多分うまくやってくれる。彼がいる限りJも大丈夫だろう。しかし――今二人は何も武器を持って
ないじゃないか。『元の場所だ、KOHTA!待ってるからな!』
あの時、SUGIZOは全ての銃器を自分に預けていった――(そしてその武器を、KOHTAは逃げる途中にどこかへ放りだしてしまった)もし
銃を持った誰かに襲われでもしたら?――もしまたマシンガン野郎に出くわしたら?
67 :
生姜:02/05/08 23:20 ID:F.1vN34g
KOHTAはがばっと顔を上げた。泣いてる場合じゃない。早く二人の元へ帰らなければ。こうしてるうちにも、何が起きてるかわかった
もんじゃない。
KOHTAは善徳に心の中で謝ると、あの血生臭い部屋へと戻った。
部屋には3丁の銃が転がっていた。
ごめんなさい――ごめん。俺は、ここで死ぬわけにいかない。本当にごめん。恨んでくれて構わない。でも俺は戻らなきゃ――
KOHTAは再び溢れ様とする涙を、唇をかみ締めて堪えた。
洗って干してあった自分の服を見つけ、それを着込む。そしてデイパックにありったけ予備の弾薬とブローニングを詰め込むとウージーを
肩から吊り、Cz75をズボンの前に差した。
地図で確認する限り、『元の場所』と隣接するエリアならまだ禁止エリアに入っていない。恐らく、二人はこの辺にいるはずだ。
KOHTAはウージーの引き金に指をかけると、力強く立ち上がった。
68 :
nana:02/05/09 00:12 ID:DKR9r98U
生姜さん、更新乙です!
KOHTA、ガァンガレー!ヽ(`Д´)ノ
69 :
NANA:02/05/09 00:16 ID:wuAMHno2
こーたガムバレ!
70 :
Nana:02/05/09 01:14 ID:ygeKLNOs
生姜さん、お疲れさまです。
KOHTAさん、6人の分まで頑張ってくれ…(ナキ
ここまで読んだ。 と、しおりはさんでみるテスト
前スレの後半で気付いたんですが生姜サソ、更新の最初のageる時に
メール欄にコメント入れてたんですね。
ちょっくら前スレたどってみるかー。
善徳・・・(;´Д`)その役か、よりによって・・・
73 :
Nana:02/05/09 12:33 ID:v1.t8B7I
つか生姜さんてKOHTAファソなの?悪いけど性格全然違くて萎えなんですけど。(ウチュ
カッコよく書きすぎというか、実際こんなに性格良くないし、他バンド麺にも
嫌われまくってるのに、七原の役はないだろ・・・・と思う。
74 :
Nama:02/05/09 12:50 ID:2F7mqt16
生姜さん、更新乙でした!
せ、切ない…(ナキ コータには6人の分まで頑張
ってほしいです。
生姜さんもファイツ!!
75 :
Nana:02/05/09 17:23 ID:3gjCDW4Y
>>73 >他バンド麺にも嫌われまくってるのに
って、誰?
全然聞いた事ないけど
嫌なら貴方がまた書きなされ
76 :
Nana:02/05/09 17:54 ID:KC.xYVB2
フィクションだってこと 忘れてませんか
77 :
Nana:02/05/09 18:21 ID:NXqhMaCc
まぁ、「おはなし」なんだから楽しみましょうよ。
78 :
Nana:02/05/09 20:07 ID:JtN8MrD2
生姜サン乙カレーです!
コータ頑張ってますねん。
今後の更新が楽しみだ(´∀`)
79 :
生姜:02/05/09 22:46 ID:Zb7stcw6
TAKEOは、息を呑んでいた。
約十分前、島の東北端の方、地図では灯台と示されている場所から激しい銃声が聞こえた。こんな目立った所にキリトや潤が一人で居る
はずもないと、まだ捜してなかった場所だったので、確かめないわけにはいかなかった。
すっかり静まりかえったその場所では、良く見知ったアーティスト達が、まとめて死体になって転がっていた。
SHUSE、HIRO、KOJI、AKIHIDE、YOKO。少し離れた所に、杉本善徳。激しい銃撃戦が繰り広げられていたのだろうか、この惨状は。
彼ら6人は示し合わせて、もしくは偶然に集まって一緒に居たのだろう。そこで誰かに襲撃された――というのが妥当なシナリオか。それとも
彼ら6人の他にも誰かいて、本当は7人だったのかもしれない。そいつが突然裏切って、いや、正体を現したとでも、いうのだろうか?
周りを見渡すと、いくつか疑問に思う点があったのだが、その後の出来事のおかげで、もうすっかり忘れてしまった。死体を確認した後で
さっさとその場を去れば良かったのだが、長い間眠っていなかったせいもあって、おぼつかない足でふらふらと歩いていた。
長い廊下の奥、玄関に誰か立っているのが見えた。
80 :
生姜:02/05/09 22:47 ID:Zb7stcw6
廊下が薄暗いせいで、その誰かは光の入る玄関を背に、シルエットになって見えたのだけど、シルエットだけでも誰なのか判断するのは
容易なことだった。
このシルエット、そして立ち方。そこに居るだけで、何かこう、一種独特の雰囲気を醸し出す存在。
間違いない。キリトだ――。
TAKEOの顔が、こんな惨状の中ぱっと明るくなった。
「キリト!無事だったか!」
一方キリトの方も驚きつつ、それでも彼なりにはにかんだ、嬉しそうな表情を見せた。
「TAKEO――お前こそ、こんな所で会えるなんて」
ああよかった――後は潤を見つけて、KOHTAと合流すれば少なくともみんな助かる。TAKEOが喜んだのも無理はなかった。だが――
「TAKEO、それよりお前、どうしてここに――?」キリトの怪訝そうな声が、幾分探るようだった。TAKEOは純粋にキリトが自分とここで
遭遇できたことを訝しんでいるのだと思い、表情を相変わらず幾分緩めたまま言った。
「銃声が聞こえたからな、お前や潤が襲われてるんじゃないかと思って確かめに来たんだ」
「そうか」そうこたえたキリトの声はいくらか乾燥していて、TAKEOに奇妙な感じを抱かせた。
なんだ?この感じ――それに、わざわざ銃声を聞きつけて来たのなら、キリトも俺と同じように仲間を捜しているところなのだろうか。
それとも――
そこまで思って、ふとTAKEOはキリトの右肩から下げられている、カステラの箱のような黒い物体に気付いた。
その銃口は、真っ直ぐにTAKEOを向いていた。
81 :
生姜:02/05/09 22:48 ID:Zb7stcw6
「――――」
TAKEOが口を開きかける前に、キリトがぽつんと言った。
「TAKEO、アイジが死んだって、本当かな?」
「アイジは――」
言いかけて、TAKEOは何故か一瞬口ごもった。仲間の死を語るのに気が重いというのもあるし、どういう訳かこちらを真っ直ぐに向いてい
るキリトの武器――もし見間違いがないのなら、これはマシンガンという奴ではないだろうか――の銃口に圧迫感を覚えたというのもある。
一体、何のつもりだ、キリト――いい加減、警戒したままでいるのは止せ。これからはもう、一人で周りを警戒する必要はないんだぞ?
そう思いつつも、自称ギャンブラーであるTAKEOの中の第六感は、必死で何かをTAKEO自身に訴えようとしていた。
なんだろう、一体、この何とも言えない嫌な感じ――
「アイジは死んだよ。俺が最期を看取った。あいつは確かに俺の目の前で――」
その刹那。
TAKEOは目を見開くより早く、横ざまに跳び、キッチンの中に飛び込んでいた。同時にシルエットの手の辺りが激しく火炎を噴き上げ、
まだ廊下に残っていたTAKEOの足のすぐ先を弾着の列が通過した。
TAKEOは一気に緊張と驚愕に歪んだ顔で起き上がると、そのドアをばたんと閉め、低い姿勢からノブをひっつかんで、カギをかけた。聞き
覚えのある銃声だった。あぁ――!!!なんてこった!!あの“マシンガン野郎”は、キリトだったんだ。あのものすごい爆発音と、前後
して聞こえた銃声は、間違いない、キリトだったんだ。つまり、GLAYの3人を殺したのはキリトだったと。
夜中にJIROとやりあって逃げた後、背後から聞こえた――つまりJIROを仕留めた銃声も、キリトだったんだ。あるいは、DAISHIとLidaが
死んだときに聞こえた銃声も、キリトだったんだ。
その他にも何度か聞こえたあの銃声の主は――全部、キリトのものだったんだ――。
82 :
生姜:02/05/09 22:49 ID:Zb7stcw6
恐らくキリトはTAKEO同様、銃声を聞きつけてここを調べにきたのだろう。あるいは、SHUSEたちをやった襲撃者を狙ってきたか。それとも
あるいは――その襲撃者本人であるキリトが、舞い戻ってきたのか。
愕然、とした。
まさか、まさか、こんな事があって良いのか――!!!信じられなかった。まさか、キリトが、このゲームに乗ってしまったなんて――
いや、何かの間違いだ。そう思おうとした。だが、状況がそんな暇をTAKEOに与えてくれなかった。
床に膝をついた姿勢のまま、半無意識にTAKEOは右手を背後に回して、再び銃のグリップを握った。YURAが残していったデイパックから
弾は見つかったし、今もフル装弾してあったが、予備のクリップだけは、YURAがポケットにでも入れていたのか、無かった。
コルト・ガバメント、シングルアクションオートマチック。装弾数はたったの七プラス一発だ。弾を詰め替えている余裕はないだろう。
そんなことをしている間に、相手はマシンガンを――あるいはそれ以上にも銃器を持っているのだ、あっさりやられてしまう。
ドア脇にぴったり張りついて、TAKEOは先輩たちの死体が転がったキッチンを見渡した。まずいことに、窓には内側から角材が打ちつけて
あった。あれを引きはがして外に飛び出すのには時間がかかる。灯塔に通じるドアの方も見た。――いや、あれも無理だ。灯台の上は、
飛び降りるには高すぎる。そんなことをしたら、善徳と並んで屋上で日光浴をすることになるのが関の山だ。
いや――今、キリトはどうしようとしているのだろう?足音をひそめてこのドアの向こうに迫っているのか、それとも外でゆっくりTAKEO
を待ち伏せするのか?
いや、キリトにもそんな余裕はないはずだ、早くケリを付けなければ、自分もまた、今の銃声を聞きつけた誰かに背後から狙うチャンスを
与えることになるのだから――ケリ?ケリってなんだ。キリトが俺を殺すっていうのか?――まさか!!
メンバーを殺すなんて、そんな事あっていいのか!!俺は、お前を捜しに来たんだぞ!一緒に助かるために!!!
83 :
生姜:02/05/09 22:49 ID:Zb7stcw6
TAKEOは思いきり錯乱していた。理性と感情が激しく脳の中で波打って、冷静な思考ができないでいる。
その時、ノブの周りを中心にドアの板が弾け飛んだ(ついでにドアを抜けたその弾の何発かが、ちょうど正面に当たっていたHIROの死体
から、肩と脇腹辺りの肉を引きちぎった)。
ばん、とドアが開いた。
次の瞬間には、白とどす黒い赤の、なんとも言えないコントラストをした固まりが、部屋の中へ飛び込んできた。
一転して起き上がったときには、それはシャツを血で染めたキリトの身体だとわかった。部屋の中のほかの死体などには目もくれず、死角
になっていたドア脇の方へ、まっすぐマシンガンを向け、向けたときにはもう撃っていた。
あぁ――やっぱりキリトはやる気になっているんだ。もう俺が知っているキリトではないんだ。皮肉にも、再びTAKEOに向かってきた弾着
が、TAKEOの冷静さを回復させた。頬を弾丸が掠めたのか、目の前にぱっと血しぶきが上がる。
「PIERROTは永遠に5人でやる」と、言ったのはつい3ヶ月前じゃないか。お前のその言葉は嘘だったのかキリト――。
ふと、引き金を引く指の力を緩めてキリトが言った。
「もう、何もかもどうでもいいんだ。俺の理想は崩れた。だからお前も――殉じて死ね」
「――!!」
TAKEOの目が、見開かれた。
84 :
Nana:02/05/09 23:29 ID:JtN8MrD2
うわ〜ついにピヘロ内で殺し合い!!
タケオサーン!!
85 :
生姜:02/05/09 23:34 ID:Zb7stcw6
TAKEOにとってPIERROTはやはり特別な思い入れがあるに決まっているが、キリトにとってのPIERROTは――もしかしたら自分が思っている
以上に、深く、暗く、重々しく、思い入れがある物なのか。そこまでなのか。自分の手をおびただしい血で汚してでも、お前は最後の一人
となってPIERROTを自分の手で終わらせたいのか。そんなエゴイズム、そんな物のために、お前は何人もの未来あるミュージシャン達を手に
かけてきたというのか?
勝てるのか? 俺はキリトに。必死で最後の一人になろうとしているキリトに、俺は勝てるのか――?
「うぐっ」
ぱらっという音がしたと同時に、TAKEOの右脇腹に物凄い衝撃が食い込んだ。熱く熱した鉄の棒を無理矢理押し込まれたような――
そう感じると同時に、TAKEOは思わず蹌踉めいて、床に膝をついてしまった。ちらと見れば、右脇腹の肉が三十グラムばかり抉り取られて
いる。コルト・ガバメントを持つ手に力が入らない。
なんてこった――絶望に身を浸食され、それでも未だに目の前の事実が信じられないでいるTAKEOは、半分観念して言った。
「俺を、殺すのか」
「――――」
「アイジが死んで、手間が省けたと喜んだか?」
咳き込むと、右脇腹から全身を駆けめぐって尚あまりある激痛が走った。痛覚神経が一斉に悲鳴を上げる。一瞬、目の前が真っ暗になった。
「俺を殺して潤を殺して――KOHTAも殺すのか?なあ、キリト」
「――黙れっ!」
86 :
生姜:02/05/09 23:35 ID:Zb7stcw6
ぱららららら、と古いタイプライターを打つような音がした。だが、弾着の列はTAKEOの10cm前を走っていく。
キリトは肩で息をしながら、「くそっ」と銃口を改めてTAKEOに向け直そうとした。
だが、引き金にかける指に、力が入らない。
「キリト――」
「くそっ、なんでだ、くそっ!!」
下唇を噛んで、キリトは視線をうろうろさせた。混乱しているのが、傍目にもよくわかった。
その瞬間、TAKEOは銃口をキリトの腹に向け、コルト・ガバメントの引き金を思い切り引いていた。――全弾打ち尽くすまで、引き続けた。
不思議と、自分がキリトを殺すのだという自覚はなかった。寧ろ――アイジを看取った時と同様、どこかで彼を楽にしてやりたい、とさえ
思っていた。こいつは、狂って苦しんでいる――誰かが、止めてやらないと――
一発ごとにキリトの体が跳ねる。最後に銃の遊底がホールドオープンすると、八発目の薬莢が、からん、と床に落ちて転がった。
キリトの体が、一瞬ゆらめき――そのままゆっくりと前に傾いていく。まるで、スローモーションの映像を見ているようだった。
殺してしまった、俺は、キリトを。自分で助けに来たはずの、キリトを。
TAKEOはぜえぜえと肩で息をしながら、ぼう然としていた。
俺達、またライブやるんだ。アイジの分まで――そんなKOHTAの言葉がふいに脳裏に蘇った。KOHTAごめん――俺、お前の兄貴を殺して
しまった。いくら襲われたからって、俺は、メンバーをこの手で――
87 :
生姜:02/05/09 23:35 ID:Zb7stcw6
その瞬間、床に倒れるべく傾きかけていたキリトの体が、不意にその動きを途中で停止した。TAKEOは目を剥いた。
見れば、キリトがTAKEOの顔をじっと見上げていた。だが、その目には何も映っていないかのようだった。
なんで――なんでまだ――生きている?
TAKEOはその瞬間、何か得体の知れない物を見てしまったような恐ろしさに駆られて、身を竦ませた。
が、同時に、キリトは物凄い速さでがばっと起きあがると、物も言わずに廊下へ通じるドアの方へ走り出していた。
足音が、どんどん遠くなる――
「――」言葉が出なかった。
勿論、TAKEOはキリトがもともとJIROが着ていた防弾チョッキを着込んでいることなど知らない――それについて今考えても仕方のない
ことだが。
ただ、あまりに立て続いた衝撃のせいで、頭の中は真っ白になっていた。
88 :
生姜:02/05/09 23:35 ID:Zb7stcw6
「なんで…なんでだよ…」
やっと見つけて入り込んだ小さな倉庫の片隅で、寒さのためでなく潤は震えていた。
YURAに逃げられて、あれから恰好の隠れ場所を見つけ、それからずっとここに居座っている。
たまに、遠くで銃声が聞こえるだけで、ここは今のところ安全だ。だが途中参加と言うことで他の奴らよりは余分な期間保つ筈の水も食料
も、もう底をつきそうになっていた。
ここに隠れてから、潤の脳裏にはYURAの言った一言がずっとぐるぐると回り続けていた。
――TAKEOさんだったんですよ♪
アイジを殺したのは、TAKEOだと。
まさか、まさか、まさか、ありえない、そんなこと。だけど、俺だってみんなを裏切ったじゃないか。
TAKEOがそうしないと誰が言える?いや寧ろ、TAKEOは裏切った俺達を許せなくて、率先して殺したのかも知れない。YURAもそう言って
いたじゃないか。TAKEOはああ見えて筋道立てたがる奴だ。曲がったことをした俺達が、許せなかったに違いない――
だとしたら、次にTAKEOが狙うのは――俺?
潤の身体はだんだん恐怖で小刻みに震えだしていた。
殺される?殺されるのか?俺は――よりによって、同じバンドのメンバーに?
嘘だろ、ずっと一緒にやってきた、苦労を共にしてきた仲間なのに――
そこまで考えて、潤はまた、同じ思いに捕らわれる。
――TAKEOもキリトもKOHTAも、今の俺と同じ思いを味わったんだ、よな。
そしてその報いとして、アイジは既に死んでしまった。
TAKEOに殺されて!
89 :
生姜:02/05/09 23:36 ID:Zb7stcw6
潤は恐怖のあまり、半ば冷静さを失っていた。YURAの一言を鵜呑みにし、長年一緒にやってきたTAKEOに対する評価を思い切り歪めている
自分に気付かない。
それに、潤の脳裏にはもう一人の人物――キリトのことがあった。
潤はDAISHIとLidaを殺したのがキリトであることを知っている。だが、あの時はまだ自分は監視役の立場だったし、おーおー、キリトやる気
になってるね〜とせせら笑うくらいしかできなかった。
だが。
今こうして立場が変わってみると、何と恐ろしい男なのだろう、キリトは。
躊躇無く殺してしまえる精神の強靱さ。その冷酷な手口。そして、初めに会場を出るときに自分に向けたあの憎悪の目。
彼が自分を見つけたら、どうするか。
ふとその仮定が頭に浮かんで、潤は言葉を失った。
ご丁寧に、自分の参戦は大々的に宣伝されてしまっている(しかも、「自ら進んで参戦の意を表明し」だって?ふざけるな!)
こちらにその気がなくても、向こう(たとえキリトやTAKEOでなくても)は俺がやる気になってると思っているわけだから、自己防衛の
ため、躊躇無く襲ってくるに違いない。
あああ、どうしよう、俺はどうしたらいいんだよ…教えてくれよアイジ。お前は死ぬ前に何を思った?
どうすれば俺はお前のようにならないで済む?
スミスアンドウエスンを握る手が、震えのため感覚を失ってしまっている。
潤は極限の恐怖の中、ただただ、なかなか過ぎてくれない時の中で佇むしか方法がなかった。
90 :
Nama魂:02/05/10 00:15 ID:sxTg6iFo
そういえばキリト、防弾チョッキ着てたんでしたね(w
…これからどうなる??ドキドキですわ…。
キリト殺られたと思ったYO
しっかり防弾チョッキ奪ってたんですか…
>>80の生姜サソ
もう風邪っぴきです。鼻ぐずぐずです。
って、別に訊いちゃいないですか。そうですか。
更新乙です。
HIROさん、死んでからも追い打ちを(;´Д`)
って言うか潤!信じてやってくれ!(ナキ
93 :
Nana:02/05/10 23:23 ID:Z87jj102
HIROさん撃つのはもうやめて〜「情熱の風」のプロモで
もう撃たれているから……(ナキ
と個人的にはオモタ。
キリトさんでもやっぱメンバーは殺せないですか…。
生姜さん、お疲れさまです。
94 :
Nana:02/05/10 23:35 ID:ksoJP2HU
マジもう止めて。つまらん。文章力も全くないよ。こんなの妄想じゃん。
だから止めて。妄想ヲタウザイ
95 :
生麦:02/05/10 23:38 ID:ksoJP2HU
わかりました逝ってきます今まで読んでくれてありがとうございました。
=========このスレッドは終了いたしました===========
96 :
Nana:02/05/10 23:45 ID:UKiD5ry.
え、ココまできといて最期まで行かないのは
ナシでしょう。本物の生姜さん、NEVER MIND!
97 :
Nana:02/05/10 23:45 ID:Ui6EQsQw
ジサクジエーン(・∀・)カコワルイ!
98 :
Nana:02/05/10 23:49 ID:9NZ3wWv.
IDの素晴らしさは自作自演があからさまになることだね
生姜さん、続き楽しみにしておりますので。
トリップ付けないんでしょうか・・・?
ヒサシとかグレイのくだり結構すきだなー。
あと無駄にタダシさんの好感度あがった(W
94-95のIDがクソって読めるのよ・・・どーでもいいんだけど。
100 :
nana:02/05/11 00:07 ID:C/6Ndj62
ナマムギて・・・
――こんなに疲れている日は、白昼夢を見るんだ。
いつか、兄がそう言ってため息をついていたことがある。
あれは、いつだっただろう?
デビューして1年位経った頃だっただろうか?毎日が摩擦の連続で、兄は業界関係者を相手に毎日いらいらしていた。
その時、KOHTAは特別何かを思ったわけではない。ただ、そういうこともあるんだろうな、と兄の言うことを上辺だけで聞いているだけに
過ぎなかった。
だが、今になると、白昼夢を見るといった兄の気持ちが少し分かるような気がした。
人間は、あまりに疲弊すると、無意識の内に自己を庇おうとする。
そうしなければ、壊れてしまうから――
あれから失血のためくらくらする意識を必死で保ち、立つのさえおぼつかない足取りで必死で枯れ草の中を用心深く移動するKOHTAは、
大分距離を稼いでからふと突然、草むらの中に転がる死体を見つけた。
倒れていたのはPlastic treeのAKIRAらしかった。らしかった、と言うのは着ていた洋服と髪の色でかろうじて判断が付けるだろうか、という
くらい遺体の損傷(特に頭部)が激しかったからだ。KOHTAはそのあまりの凄惨な死に様に、言葉を失った。もういくつもの凄惨な死に様
の死体を見てきて慣れてきてはいるが、それでも突然遭遇したこの死体を見て、さすがに平静心ではいられなかった。この辺りで、何か
凄まじい戦闘があったのは間違いない。SUGIZOもJも、無事だろうか。果たして、二人に無事に再会できるんだろうか――既に、C=3に
隣接するエリアに入っている。二人が無事なら、そのうち遭遇できそうな物なのだが――
その時、張りつめた状態のKOHTAの靴の爪先がこつん、と何かに触れた。
目を凝らして見ればそれは、AKIRAとは対照的に、綺麗で安らかな表情で死んでいるTADASHIだった。
「――あ…」
その穏やかな死に顔が、逆にKOHTAの疲れ切った神経に負荷を与える。
たまらず、KOHTAは走り出した。
――満足して死ねたんだろうか、TADASHIさんは……そんな訳、ないよな――
二人はどうして死んだのだろう、なんて事は考えるだけ神経の疲労を誘った。走りながらも、KOHTAは今遭遇したこと、物そのものを全部
忘れようとするかのように頭を左右に振った。この異常すぎる状況に、精神が歪みきしみ、悲鳴を上げているのが自分でもわかる。普段
泣くことなんて無いのに、すり切れてしまった感情とは別の次元から、勝手に目頭が熱くなってくる。
――疲れた、本当に…
傷口から止まらずに流れ続ける血と共に力が抜けていくようだ。もういい加減限界だ――と思うのと同時に視界が霞んできた。
ぼんやり前に投げかけた視線の先では、Jの姿を捉えている。
――ああ、俺も、白昼夢なんか見ているんだろうか――そうKOHTAが思うのと同時に、そのJがこちらに向かってふらふらと走ってくるのが
見えた。
「KOHTA!!」
鮮明に自分を呼ぶ声が聞こえた。KOHTAは、目を剥いた。白昼夢なんかじゃなかった。
確かにそれは、Jだったのだ。
「KOHTA!無事だったか!」
Jが駆け寄ると、それに安心したのか、KOHTAの全身からは完全に力が抜け、その場に倒れこんでしまった。
「おい、KOHTA!おい!」
あまりに奇跡的な再会を果たして喜ぶ間もなく、JはKOHTAの体をほぼ引き摺る様に必死に支える羽目になった。
だが、Jはそれでも嬉しさを隠せず、言った。
「よく帰ってきたな、KOHTA」
穏やかな声だった。
海際の方へ少し歩いた木々の間に、岩が露出して海に面した低い壁ができていた。
その場所でSUGIZOとJは休んでいたらしい。
はぐれる時に約束した場所は禁止エリアになっていたし、なんの連絡も取れなかったのに3人がこうしてまた会えた事はもう奇跡と言って
いいだろう。
SUGIZOが診療所から持ち出した強めの鎮痛剤をまず貰った後、KOHTAは二人にはぐれてからの事を話した。
“マシンガン野郎”からはなんとか逃げた事、その後坂から落ちて気を失った事。
そしてあの灯台での悲しい出来事の全てを語り終え、そして最後に
「ひどかった」
それだけ言って、口をつぐんだ。Jが黙ってしまっていた。SUGIZOは眉を寄せ、口をきつく引き締めていた。そして
「SHUSEが人数をかき集めたのが災いしたな」
とだけ言った。
KOHTAは敢えてその言葉を聞き流し、
「これを」
と言いつつ肩からウージーを外してSUGIZOに渡し、
「Jさんはこっちを使ってください」
と、無機質な言葉遣いに徹しながら(そうでないと泣いてしまいそうだったので)Cz75を手渡した。
そして、自分にはデイバッグからブローニングを取り出した。それを掴んだ時に、何故かSHUSEの穏やかな笑顔が脳裏をよぎった。
「SUGIZOさん……人を信じるというのは、難しいですね……」
SUGIZOはそれを聞くと少し遠い目をして、そして頷いて言った。
「そうだな、本当に難しい。しかしまぁ、良かったよ。お前が生きていてくれて」
SUGIZOはそれを聞くと、少し動きを止め、無言で頷いた。駄目だった。やはり、感情の波は抑えられなかった。
106 :
Nana:02/05/11 01:07 ID:mWdbbOEU
生姜さんへ
こういう作り話をされることで傷ついてる人がいるってことも忘れないでください。
見たくなければ見なければいい、で済まされない場合もあるんです。
この書き込みはウザイって叩かれるんでしょうが、
完璧なフィクション話をするなら然るべき板に逝くべきだと思います。
とにかく作り話でも勝手なことを書かれて嫌な思いをしてる人もいるんだってことを
お忘れにならないようにしてほしいです。
107 :
Nana:02/05/11 01:44 ID:qcrMM5ds
>106
ここは2chです。ファソサイトじゃありません。
常識ぶるなら出て行け厨房。
108 :
Nana:02/05/11 02:00 ID:TqOIsR9.
>107
そーゆー言い方はないんじゃない?
むしろ小説やりたいならファンサイトでやれよ、厨房共。
板違いなんだよ。
109 :
Nana:02/05/11 02:12 ID:ZP0QafDU
そこまでおっしゃるのなら、削除依頼もしくは
スレの移動を願い出てみたらいかがでしょうか?(煽りじゃないです)
一つの案として。
・・・そんなにウザいかなぁ。
学歴スレなんかだと完全に板違いだと思うけど。
110 :
Nana:02/05/11 02:17 ID:pgKTBF92
生姜さん、私はこれの更新が唯一の楽しみです(ワラ
だから変な人の発言に惑わされず頑張ってくださーい
111GET
余裕でした
漏れは>106さんの言い分も分かる気がする
なぁ。
確かに面白いし、更新楽しみにしてるのは
確かだけども、やっぱ全ての人に受け入れ
られてるわけじゃないと思うし。前のアイジ
話の時然り。
このまま続けていくのも良いと思うけども、
スレ移動も念頭に置いた方が良いのかもしれ
ないっスね。
煽りじゃないです、偉そうでスマソ
>>112 同意。
削除というのはやっぱ楽しみにしてる人もいるの違う板に移動の方が…
皆で考えてどの板ならいいか探した方がいいかもですね。
114 :
Nana:02/05/11 09:17 ID:zf6ZCjV6
でも今回はどうしてこんなに叩かれるんだろうね。
何も漏れたちは本当の話≠セとは決して思ってないし(当たり前だが)
この話読んだことで、麺たちの印象が変わったりすることもまずないし
…みんな、深くとらえすぎじゃないですか?
ヴィジュ板で小説やることがそんなに駄目なんですかねぇ。
スレ違いスレ違い言うけど、そんな板、今のヴィジュ板には沢山あるじゃないですか。
まぁ、この板もその1つなんだろうけど。
結局、見たくないんだったら見なければいいってのは、投げやりな気持ちではなくて
核心ついてること言ってると思うんですが…。
115 :
Nana:02/05/11 09:38 ID:ZnyPCA3E
>>106 見たくなければ見なければいい、で済まされない場合もあるんです。
私は済ませるけど。
見たからどうなるわけ?
「私の○○を殺した××を殺してやる!」とでも?(w
お前は脳内あぼーんが出来ないのか
116 :
Nana:02/05/11 10:17 ID:okVFEZ.E
食べたいものを食べればよい、しかし他人の好物に難癖つけるのは良くないと思う
>>116 言い得て妙、ですな。その例えは物凄く分かりやすい。
118 :
Nana:02/05/11 10:27 ID:TqOIsR9.
>115
そーゆー作り話を個人の見解でさも事実のように書かれることで
あんたみたいな厨房が「泣けましたー」とかってカンドーしちゃってるのが
傍から見ててバカみたいで笑えて私は好きなんで続けてほしいけど(藁
たかが小説移動にそんなに喧嘩腰になるのも厨房臭いしね。
脳内あぼーんを通用させたいなら801板でも行けばいいんじゃないの。
激しく板違いだろが。
119 :
Nana:02/05/11 12:07 ID:mhds1S4I
文句たれんならsageろや
120 :
Nana:02/05/11 17:17 ID:pgKTBF92
なんかさぁヴィジュ板の人って
人に反発するのが好きだよね。そんなに暇?
なぜ脳内あぼーんできないのだろう。
今晩も更新楽しみにしてます。
121 :
Nana:02/05/11 20:39 ID:V0FuEM4A
自分は暇です。そしてバカです。ハイ。
生姜さん(前は1さん)がリアルタイムで書いてくださっている時は特にそうなのですが、
小説の間に読み手の「○○頑張れ〜」とか「××…(ナキ」とか入って、それも面白い。
これは2chの面白いところだと思います。
なので、小説やりたいならファンサイトで…というのは反対ですね。
でも、板を移動するというのは選択肢の一つに入れておいても良いかと。
やっぱり好きな麺が殺されると、フィクションと分かっていても悲しいですし
(自分も厨房なもので)。
いずれにせよ、これからも読み続けるので、生姜さん頑張ってください。
122 :
Nana:02/05/11 22:36 ID:Zdtj39uU
こういうの嫌いな人もいるってこともわかるけど
嫌なものは脳内あぼーんするのが基本じゃないの?
板違いというなら、ヴィジュ板一行リレー小説だって板違い。
せめて違う板に移動してでも最後まで見たいです。
123 :
Nana:02/05/11 23:46 ID:uiyMSYfk
あーあ生姜さんなんだかかわいそ・・・
124 :
Nana:02/05/12 00:22 ID:c2LG9SpU
うーん。好きだから続けて欲しいな。
私も最後まで連載キボーンヌ。
ずっとつっかかっている人は、具体的な案を出すべきじゃない?
どこの板ならいいと思うの?なんにもしないで
文句だけいうのは違くない?
125 :
Nana:02/05/12 01:22 ID:qM20Z1cw
生姜さんガムバ!!(´∀`)
126 :
Nana:02/05/12 06:17 ID:De8Kv4ns
>124
801板とかって書いてあるじゃん・・・
ちゃんと見れ
>>126 でも801板ってPINKちゃんねるで年齢制限があるじゃないですか。
それに801とは関係無いと思うのですが…ちょっとそこは難しいですね。
いくらなんでも801板は…(アセ
やっぱ同人系か、小説系になるのかな?
はたまた難民板?
難しいですね…。
129 :
Nana:02/05/12 11:51 ID:rQbwIsjc
脳内あぼーんできない厨房が多いな。
バサロで進んでるスレなんだし、見なければヨシ!
130 :
Nana:02/05/12 23:32 ID:gbTOP8To
思い出しちゃったYO・・・
以前モナーRPGのスレで降臨中の偉大な神(作者)に文句つけた厨がいて
怒った神は製作半ばで帰ってしまいましたとさ・・・。
生姜さん・・・ファイツ(ノд`)゚。・。
131 :
Nana:02/05/13 00:00 ID:33kIkDHQ
厨房バンギャが偉大な神かよ(ゲラ
132 :
Nana:02/05/13 00:01 ID:GbLkmIs6
sagesagesage
133 :
Nana:02/05/13 00:06 ID:gAoZCuoE
少なくとも131よりは偉大だと思う(ゲラ<生姜サソ
134 :
Nana:02/05/13 00:17 ID:cXEHz8lQ
ていうかたかが小説ぐらいで偉大な神とか言うと萎えるんですけど。
生姜さん好きですが、誰かより偉大だとか言えた立場じゃないと思う。
板違いでうざいの承知の上でやってるんだからね、最初から。
なんか生姜マンセー宗教臭くてだんだんアホらしくなってきました。
後は生姜さんと当事者で決めればいいんじゃないですか?
周りがごちゃごちゃ言わなくても。
応援なのかただの煽りなのかマジレスなのか、周りが余計なこと言ってて
よっぽど生姜マンセー派の方が厨房に見えますよ、傍から見て。
135 :
Nana:02/05/13 00:20 ID:8bU2BRsc
たかが小説のモメ事ぐらいで長文書いてる
>>134も相当だね
136 :
nana:02/05/13 00:26 ID:4Y2FGgIo
個人的な意見を言うと、「面白いから最後までやって」なんだけど・・・
まぁ、生姜さんが続けたいかどうかが一番重要。
137 :
Nana:02/05/13 00:27 ID:JWLLAy.k
>134
禿同。私も生姜さん好きだけど
最近の擁護レスが宗教ばりで怖い・・・偉大な神なんて持ち出してるし
本当アホ臭いと思ふ・・・(ニガ
>135
そんな風にすぐ噛み付くところが厨房なんじゃないっすか?
私モナーで逝って来ます(ワラ
138 :
Nana:02/05/13 00:29 ID:Bf4sNztQ
ねぇねぇ知ってる?知ってる?
煙草の煙ってね鼻から出すとカッコ悪いんだよ!
あとね、あとね、鼻から出すと鼻毛が伸びるんだって!
エッヘン(・∀・)
139 :
Nana:02/05/13 00:31 ID:9k4F8oqA
うん、ぼくもしってるよ。
エッヘン(・∀・)
140 :
Nana:02/05/13 00:35 ID:4zOR3LiY
なんだぁ知ってるのか〜
ガッカリ
大発見だと思ったのに…
141 :
Nana:02/05/13 00:38 ID:gAoZCuoE
偉大な神って言うのは揶揄した言い方だと思われ。
それともヴィジュ板だからなー、案外マジ?(ワラ
生姜さんも書きづらいのか更新停滞してるね〜・・・
このまま続き読めないのはつまんない。
142 :
Nana:02/05/13 00:43 ID:Q/rAMP62
書きづらいってか、意見すれば?>生姜サソとやら
どうせ見てるんでしょ?毎晩のように更新してたんだから。
それとも自分が意見しなくても『私のファソが守ってくれるから平気』とか思っちゃってたりする!?
いいねぇ、それでこそ厨房の神でしてよ!(ゲラゲラ
井の中の蛙、大海を知らずってこのことを言うのねー
143 :
Nana:02/05/13 00:46 ID:7rzwZNJA
>142
意味わからん。何でケンカ腰なんだ?
144 :
Nana:02/05/13 01:02 ID:zc.djD9k
ここで否定の意見だしてる人って、
自分の好きな麺がよっぽどヒドイ殺され方でもしたの?
厨ばっかりで萎えだー
145 :
nana:02/05/13 01:20 ID:TvEIHrcg
ま、生姜さんの意欲が萎えてないんなら、いつか更新してくれるだろー。
それを楽しみにしてよっと。
146 :
Nana:02/05/13 01:22 ID:7rzwZNJA
>145
そういうことだね。
>145
同意。漏れも待つことにしてみまする。
148 :
Nana:02/05/13 01:42 ID:YJi2V8jI
別に擁護する気もなけりゃ、
読めるなら何処の板で連載されてもかまわんが、
とりあえず、続き楽しみに待ってますカキコ。
149 :
Nana:02/05/13 12:26 ID:ErUnn7N6
あたしも続き待ってます!
第一、ここは見たくなきゃ見なくていい所だと思うんですが?
ファンサイトだと出てくるキャラがすごく偏ると思うし。
煽りじゃないんで気にしないでくださいね(汗
150 :
Nana:02/05/13 12:45 ID:ksttf7kA
更新楽しみにしてます。
半端に終わっても厭だし、完結させて欲しいです。
あと、板違いって話が出てたけど此処が板違いなら
他だって板違いなのイパーイあると思う。
151 :
Nana:02/05/13 14:38 ID:BMlxgsW.
最近の書き込みは厨増加してるからね〜〜
ハキーリ言ってウザかった。でも生姜サソの小説は好きなんで続けてホスィー
待ってます
152 :
Nana:02/05/13 16:48 ID:f6oc3wVA
なんでこんなに煽られてるのだろう・・・。
144さんの意見に同意なんだが
アンチの人は何がそんなに納得できなかったのか。
同じく続き待ってます!
153 :
Nana:02/05/13 19:09 ID:ZR/FrQUo
生姜市ねあげ
154 :
Nana:02/05/13 19:22 ID:77lCtiEc
153を晒しあげ
155 :
Nana:02/05/13 19:39 ID:rtyRgWiQ
確かに盲信はウザイが、142みたいのも一体なんなんだろうと思う
別に作者本人が悪いわけではなかろう
156 :
Nana:02/05/13 23:26 ID:S7ALpMJE
155
禿同。ってかファンサイトだとカナリ
叩かれると思うのですが…。
157 :
Nana:02/05/14 00:22 ID:KJ7cPaJo
もー。妄信だろうと厨房だろうとなんでもいいよ
続き読みたいよ気になるじゃんかよーなんで更新止まってるんだよ〜
・・・と言ってみるテスト。
でもなんで今こんなことになってるんだか本気でわからない(ウトゥ
158 :
Nana:02/05/14 00:22 ID:KJ7cPaJo
ageてしまった・・・スマソ。
159 :
Nana:02/05/14 00:27 ID:vRV6rxHA
うおーバトロワ再開してたんだ、今知った。
すごくオモ(・∀・)シロイ!!!
生姜さん、できれば続きよろしくお願いしますです・・・。
160 :
Nana:02/05/14 02:42 ID:vRV6rxHA
今読み終えた。SUGIZOに萌え(´∀`)
161 :
Nana:02/05/14 10:35 ID:TQ04Lg5Y
まだあったのかここ・・
162 :
nana:02/05/14 15:02 ID:jl16LRIE
漏れも今読み終えたとこです。
奴隷なんで潤タソと俺様の結末が気になります。
康太ガムバレ(・∀・)!!
生姜サソ、連載続行お願いします(セツジツ
163 :
Nana:02/05/14 18:19 ID:lqPW8RGs
こんな状況じゃ、生麦サンだって更新やめたくなるだろうよ
164 :
Nana:02/05/15 00:20 ID:loCodgoA
過去ログ遡ってあちこち逝ったら某所で生姜サソ見つけた(ワラ
もう少しここが落ち着いたらまた更新するってさ!
165 :
Nana:02/05/15 00:22 ID:nz2R8DsI
しないでいいよ(ボソ
つーか話し合う気もないってか。いい身分だね
166 :
Nana:02/05/15 00:22 ID:loCodgoA
うわ、ageちゃったスマソー!逝ってきます
167 :
Nana:02/05/15 00:27 ID:l7ugU8jo
早く続きが読みたいよ
168 :
Nana:02/05/15 00:39 ID:NrZCsLIw
散々言われてるが、読みたくない人はこのスレ覗かなきゃいいのに。
なんでそれができないのか不思議でたまらん。
所詮フィクションだし。
難民板にでも逝ったら納得してくれるんだろうか?
169 :
Nana:02/05/15 00:40 ID:SXUlyIzM
>>165みたいなのとは話し合いたくもないよな、実際
170 :
Nana:02/05/15 01:11 ID:5hGlq4UQ
難民板いけば?
171 :
Nana:02/05/15 06:06 ID:12kXbyjM
もめるくらいなら難民板でもどこでもいいけど。
続き読みたいし。
でもほんと見たくない、って言ってる人は
なんでここに常駐してるのだろうか。
172 :
Nana:02/05/15 06:48 ID:v.XBKcro
>>171 本当だね(ワラ
なんでいちいち覗きに来るんだろう。
電話代勿体無いねー。
173 :
Nana:02/05/15 07:09 ID:69lekbfE
>172禿同〜(ワラ
「見たくなければ見なければいいなんてものじゃないんです」みたいな
こと言ってるけど、わざわざ見に来て気に入らなかったからって
カキコする必要無いと思われ
174 :
Nana:02/05/15 14:09 ID:IEvBmao2
自分の気に入らないモノが存在するだけで許せない
「私の嫌いな人はこの世から消えろ」という
ひどく自己中で身勝手な言い分に思うのは私だけ?
嫌いなモノなら近寄らなきゃいいのに...
175 :
Nana:02/05/15 17:36 ID:TUfmd49A
前こんなこと言う奴いなかったよね?あーあ・・・
176 :
Nana:02/05/15 18:09 ID:1dBTevyo
どうせ悪口言いたい年頃の2ch初心者でしょ。
もしくは風紀ぶりたい精神オヴァンか。
生麦さん、私も楽しみにしてるうちのひとりです。
もうちょっと時間置いてもらっても構わないので、続き楽しみにしてます。
177 :
Nana:02/05/16 16:58 ID:.FFf7PNE
GW終了してから険悪だね…どこのスレも。
関係ないけど
「生姜さん」って言う人と「生麦さん」って言う人がいてチョトワラた。
178 :
Nana:02/05/16 19:51 ID:DswyyJV6
落ち着いたらまた来てほしいな。
ホント、そんなにこのスレが嫌ならなんでわざわざ来るんだろう…
って純粋に疑問に思うよ。別に誰かを叩いてるわけでもないのにね。
179 :
Nana:02/05/16 20:08 ID:VNZZfqm6
最近よく、荒らしがでるのは五月病の憂さ晴らしなんだろうか…
そんなことより、生姜さん気にせず続きよろしくです!!
楽しみにしているNanaがここにも一人
漏れが某スレで使ってるHPスペース
腐るほどスペース余ってるからうpしましょうか?
生姜さん次第ですが
漏れ暇をもてあましてんで1日くれれば過去ログも全部うpしますし
更新はテキストでメールくれればやりますよ
URLだけ貼ってdat落ちさせれば良いと思いますが
2chでやるなゴルァ言われてる気持ちを察しますヽ( ´ー‘)ノ
それもいいんだけど
リアルタイムで更新されていくところを見る楽しみは無くなってしまいますな…
182 :
Nana:02/05/17 21:21 ID:lFE6AWZ.
HPスペース借りたり難民板に行ったりするよりは、
新しくバトロワ専用のJBBSを作った方がいいのでは?
と提案してみます。
183 :
Nana:02/05/18 01:20 ID:oS1Hk/1k
JBBSはちょっと微妙…。
いや、2ちゃん系列だけどさ
普通にこのままここでやれば?
185 :
Nana:02/05/18 02:16 ID:39dl.WJI
保安あげ
>>186 うん、ほっとけばいいじゃん。
文句言ってる人、ただの恥晒しだし。
188 :
Nana:02/05/18 23:33 ID:UirO.E.o
生姜さん早く更新してー!
おながい★
189 :
Nana:02/05/22 16:41 ID:OnYwejss
190 :
Nana:02/05/22 16:43 ID:scUs.lTA
更新はまだだべかー。
191 :
Nana:02/05/24 17:38 ID:7I.KFdMk
保安あげ
192 :
Nana:02/05/24 22:33 ID:SntYso5s
私も続きが読みたいな。生姜さん、お願いします!
193 :
Nana:02/05/27 17:41 ID:dr2.4S6w
生姜さん…続きお願いします!
続けてもらえるかわからんけど
一応生存者&死亡者リストでも貼っておきましょうかねぇ…
195 :
Nana:02/05/27 23:47 ID:298FRboQ
>朝ねずみさん
よろしくお願いします。
>生姜さん
続き待ってますので更新お願いします。
前スレ600から始まり。
○=生存者 ●=死亡者 △=参加してない生存者
>>〜>>=登場場面〜死亡(前スレの場合は 前〜>> と表記)
人目=死亡順 @=誰が殺したか 並び順は名前が登場した順
△河村隆一
>>600〜
△YOSHIKI(元X・Dr) 前601〜
○KOHTA(PIERROT・Ba) 前602〜
○キリト(PIERROT・Vo) 前602〜
○TAKEO(PIERROT・Dr) 前602〜
○J(LUNA SEA・Ba) 前602〜
△東海林のり子 前603〜
○SUGIZO(LUNA SEA・上G)前604〜
△INORAN(LUNA SEA・下G)前604〜
●現王園崇(FAIRY FORE・Vo)前604〜前612 3人目@TAIZOが弓で
●真矢(LUNA SEA・Dr) 前604 1人目@ゲーム開始前に銃殺
●TAKA(La'cryma Christi・Vo) 前605〜前637 6人目@SUGIZOが射殺
○潤(PIERROT・下G) 前605〜
●アイジ(PIERROT・上G)前605〜前768 15人目@YURAが射殺
○Gackt(元malice mizer・Vo)前605〜
●Seek(Psycho le cemu・Ba)前608 2人目@現王園崇が弓で
●TAIZO(元FEEL・G) 前613〜前744 14人目@アイジがアイスピックで
●竜太朗(Plastic tree・Vo) 前626〜前627 4人目@キリトが射殺
●TAKASHI(Plastic tree・Dr) 前628〜前630 5人目@YURAが斬殺(鎌)
○YURA(Psycho le cemu・Dr) 前628〜
●AOI(SHAZNA・G) 前636 7人目@
●DAISHI(Psycho le cemu・Vo) 前640〜前641 9人目@キリト?射殺
●Lida(Psycho le cemu・下G) 前640〜前641 8人目@キリト?射殺
●HISASHI(GLAY・下G) 前648〜前891 19人目@キリトが射殺
●TAKURO(GLAY・上G) 前652〜前882 18人目@キリトが射殺
●貮方孝司(Waive・下G) 前654〜前658 11人目@YURAが銃殺
●田澤孝介(Waive・Vo) 前655〜前656 10人目@YURAが斬殺(鎌)
●LEVIN(La'cryma Christi・Dr) 前666〜前706 13人目@AYAが射殺
●IZAM(SHAZNA・Vo) 前669 12人目@キリト追跡中禁止エリア進入により爆死
●AYA(Psycho le cemu・上G) 前706〜前839 16人目@JIROが絞殺
△星子誠一(Zy編集長) 前727〜
△PATA(元X/現在はDope HEADz・G) 前735〜
△Yoshitsugu(元EINS・VIER・G) 前740〜
●JIRO(GLAY・Ba) 前837〜前915 20人目@キリトが射殺
●TERU(GLAY・Vo) 前865〜前876 17人目@HISASHIが射殺
●AKIRA(Plastic tree・G) 前918〜
>>18 21人目@YURAが撲殺
●TADASHI(Plastic tree・Ba) 前925〜
>>19 22人目@AKIRAが射殺
●Luna(元EINS・VIER・Ba) >21〜
>>21 23人目@SUGIZOが射殺
●SHUSE(La'cryma Christi・Ba) >27〜
>>55 26人目@AKIHIDEが射殺
●KOJI(La'cryma Christi・下G) >29〜
>>51 24人目@杉本善徳が毒殺
●HIRO(La'cryma Christi・上G) >29〜
>>56 27人目@AKIHIDEが射殺
●AKIHIDE(FAIRY FORE・G) >29〜
>>56 28人目@HIROが射殺
●YOKO(FAIRY FORE・Dr) >29〜
>>55 25人目@AKIHIDEが射殺
●杉本善徳(Waive・上G) >29〜
>>65 29人目@灯台から落下して死亡
現在15人(参加者では8人)生存 29人死亡
一応貼っておきますね。日にちも開いちゃったし
生姜サソがまた書き始めるのもだいぶあとかもしれないし…
あと、今この表が更新されたのを見て
「生姜サソが更新したのかな?」と覗きに来た方がいたようでしたら
紛らわしいことしてゴメソ…(;´Д`)
199 :
Nana:02/05/28 00:22 ID:l3iGMsJ2
朝ねずみさんテンキュ!!!
生姜さん、更新楽しみにしてます。
200 :
nana:02/05/28 01:25 ID:12czaR9M
200!
昨日、WOWWOWでバトロワ見たら、
無性にここの続きが気になりだした。
早く続きが読みたいな。生姜さん、お願いします!
201 :
Nana:02/05/28 21:01 ID:KfrtIM1Q
どうでもいいことだけど、LUNA SEAメンバーには「元」はつかないのれすか?
あ。そういえば…
つけ忘れてますた(;´Д`)
203 :
Nana:02/05/30 00:34 ID:HKyOtH92
保安上げ
204 :
Nana:02/05/30 22:19 ID:ma6BX/iY
なかなか続き書いて貰えないなら漏れが書いてやろう。
全員殺し合って死に絶え、ヴィジュアル系は廃れました。
終わり。
ついでにこのスレも終了しろよ。
205 :
Nana:02/05/30 22:29 ID:NxwI96Ec
204の脳内でだけ
━━━━━━ 終了━━━━━━
206 :
Nana:02/05/30 22:30 ID:a.xI7AOU
あーあ。みんなでまたーりお帰りを待つはずだったのに。
また遠くなったね。あーあ。
207 :
Nana:02/05/30 22:31 ID:ma6BX/iY
なんだYO!漏れの書いた話になんか文句あるのか!プソプソ
208 :
Nana:02/05/30 22:35 ID:8yu0f9C.
なんとなく通りすがりなんですけど。。。
>●TAIZO(元FEEL・G) 前613〜前744 14人目@アイジがアイスピックで
妙に生々しくて怖いYO(涙
>>208 ヤパーリ…?(;´д`)
今度また表を更新する機会があれば
>●TAIZO(元FEEL・G) 前613〜前744 14人目@アイジ
までで止めときます。
210 :
Nana:02/06/01 01:38 ID:xSqVPpPQ
久々に来たが更新はまだなのか…
211 :
Nana:02/06/01 22:12 ID:sk14t8Ek
生姜さん…楽しみにしてるのに…
降臨してください(ナキ
212 :
Nana:02/06/01 22:22 ID:7TbsrudI
さんざんお前らがいじめたからもう生姜さんは来ません。
よってこのスレは終了しました。ありがとうございました。
━━━━━━ 終了━━━━━━
213 :
Nana:02/06/01 22:28 ID:x.KB9HzY
生姜本人にまかせとけばいいじゃん。
本人が続けたきゃ自分でスレ建てるなり
なんなりするだろうし。
周りが騒ぎすぎのよーな気がちょっとしてみたり。
214 :
Nana:02/06/02 02:34 ID:DWYR9v0E
今度再開する時は完全sage進行が宜しいかと思われ…。
上がってなくても読みたい人は更新チェックするだろうしね。
sage進行でも書き込んでればdat堕ちはしない筈。
取り敢えず沈めて生姜さんの降臨を待ちませう…。
215 :
Nana:02/06/02 07:25 ID:W5I4/rfo
久々に来たけど、矢張り状況は変わらぬまま…(;´Д`)
216 :
Nana:02/06/02 22:37 ID:4eKQGGpg
バカばっかり。
原因作った本人よ、高みの見物してないで降りてこい!
217 :
Nana:02/06/07 21:05 ID:wkYBlsHo
まだかな〜
218 :
Nana:02/06/12 23:29 ID:wuF6h45k
保守
219 :
Nana:02/06/13 20:43 ID:p9f9Oz5M
YASU(FAIRY FORE)は出ぇへんのかな。
220 :
Nana:02/06/13 22:05 ID:pPqA5llI
生姜さん、早く帰ってきて〜
続き書かないなら「書かない」位云ってよ…
221 :
Nana:02/06/13 22:07 ID:nS6gJsDE
>220 それには同意。
222 :
Nana:02/06/14 00:25 ID:6jLUs6qg
>220
だね。このスレ荒れてて書き込みにくいのはわかるけど、
書かないのなら一言ぐらい言って頂きたい…。
223 :
生姜:02/06/14 00:56 ID:jf8qzDik
もう書きませんさようなら。
224 :
Nana:02/06/14 00:57 ID:jf8qzDik
--------このスレッドは終了いたしました---------
225 :
Nana:02/06/14 01:01 ID:UztbdRTI
リモホは出さんの?
226 :
Nana:02/06/14 09:31 ID:1j5IB9c2
ホンモノの生姜さんはトリップ付いてたよね?
227 :
Nana:02/06/14 18:14 ID:NSQD8Dzs
本物出てきてください…。
228 :
Nana:02/06/16 02:54 ID:1GNwKgHY
みんな生姜さんの書く話を楽しみにしてるんです!
戻ってきてください!!
229 :
Nana:02/06/17 21:31 ID:7a29SBFs
前スレhtml化まだかなぁ…
後半読みそこねちゃったから待ってるんだけど
当然続きも待ってます>生姜サン
私事で申し訳ないのですが・・・、
このスレを見つけたのが6月のはじめ。で、読んで、バトロワに興味持ちました。
原作読んでから、もう一度このスレ読んだら、
微妙に生姜さんがカスタマイズしてる部分もあり、
やっぱり面白かったです。
最後まで読みたいなと思うのですが・・・。
あと、前スレも見たいです。
231 :
Nana:02/06/18 23:53 ID:o8p.ztZw
生姜さん、まだかな…
232 :
Nana:02/06/19 18:28 ID:w1z2Bowg
終了ならそれはそれで仕方ないが、ちゃんとトリップ付きで宣言しに来てホスィ
つーか、このスレはもう終わったものなんだと思って忘れられているのかもしれん
233 :
Nana:02/06/21 03:36 ID:t5KSbFEs
書いて欲しい盤度あるんですけど
もうだしたら遅いですよね?
234 :
Nana:02/06/24 00:55 ID:Gm/gjxxI
本命バンド全滅してるから、続きはどっちでもいいかといわれれば
どっちでもいいや(藁
でもすっきりしないから続ききぼーん。
235 :
Nana:02/06/26 00:06 ID:v7QRb8Wo
前スレ見れるようになったYO!
アイジとタケオのシーンで本気で泣いてしまった(ニガワラ
236 :
Nana:02/06/26 00:13 ID:xeYnxPoo
「書かない」と宣言してないってことは、続きを書くってことでしょうか?生姜さん。
237 :
Nana:02/07/01 01:43 ID:IjaFObOw
生姜さ〜ん
238 :
Nana:02/07/01 03:42 ID:ylRrA2oc
漏れも生姜さんの復活待ってる一人だけど
もう戻ってきてくれないのかな・・・と思って鬱です。
いい感じに進んでたのにくだらんヤシが
レス付けたせいでこうなったんだよ(ボソーリ
続きが気になるじょ・・・(;´Д`)
元X JAPAN、今はDope HEADzのベーシスト、HEATHがPATAの邸宅を訪れたのは寒さも幾分和らぎ、麗らかな日光が大気を優しく照らす午後2時半頃だった。
「改まって話って…」
HEATHの普段柔和な表情は、だが、今はある種の緊張に彩られていた。
彼は、つい5時間ほど前、幾分疲れた声色で「話がある」と電話をかけてきたPATAの用件を既に理解していたのだ。
「もったい付けるな。お前も、分かってるだろう?」
「……………」
ややあって、黙っていたHEATHが「まあ、大体は」と小さい声で言うと、PATAはINORANに見せた時とは一転して、やや弱気な、
疲労しきった表情を見せた。
「INORANが来たよ、昨日の朝」
「あいつもいい加減変だと思ってるだろうね」
そもそもHEATHが異変に気づいたのは、桜が散り、世間がそろそろGWに向けてそわそわし始めている、そんなある日のことだった。
――今年、この分ではどうやらプログラムが行われるようだ――そう聞いた時は大して意外にも思わなかった。なにせ、毎年毎年あれだけ
派手に事務所主催のイベントを始め、巨額を投資してアーティストを売り出しているのにこの様だ。業界でヴィジュアル系が下火になりつ
つある昨今では仕方がないと言えるが、それを容易に認めようとしないあの社長の性格からしていかにもありそうな事だ、そう思った。
しかし、どうやら今回は所属するメジャーバンドマン全員、そしてインディーズのアーティストも巻き込んだ派手な物になるらしい、
そう聞いたときは妙に思った。どう考えたって、それでは事務所として機能しなくなる。
そこまでして行う理由は何か、そう考えた時、HEATHの脳裏にとある仮説が浮かんだ。
「俺は」
HEATHがそう言いかけたとき、PATAは黙って手でHEATHを制した。
それからゆっくり首を左右に振り、人差し指を立てて自分の口元に当てた。盗聴を警戒しているのだ。
それに気付いたHEATHは小さくため息をつくと、肩を竦めて見せた。
全てが始まった場所。
あの、代々木に見立てた体育館。
KOHTA達が目を覚ました場所であり、そして大多数の者が再び戻って来れ無いその場所で、男達は、後片づけをしていた。
本当は未だしばらくそのままにしておく予定だったのだが午後に入ってから天候が悪くなり、今にも雪が降ってきそうということで急遽、
片づけられることになったのだ。
「じゃいくぞ、せーの!」
掛け声と共に外に安置してある50インチはありそうな大型TVが、おそらく日雇いであろう、作業服に身を包む数人の男達によって持ち上げ
られた。
流石に重いのか、頼りない足取りではあったが何事もなくそれは、建物の中へと運ばれていき、その後にはビデオデッキやケーブルなどの
比較的軽い物を運ぶ者が続いた。
取り敢えずはこれで良し、だ。
リストと照らし合わせ、屋外に出していた物は全て室内に収容されたのを確認し、星子は一息ついた。
ふと、目が一本のビデオテープに止まる。
「………結局使わなかったなぁ。名演技だったのに」
口元を歪め、星子は薄笑いを浮かべた。
それは、プログラムのレクチャービデオだった。
話はGW前に遡る。真矢(元LUNA SEA)が次々とソロでの活動を展開する段取りを決め、折を見てそれを河村に報せにきた時のことだ。
それを聞いた河村はしばし考え、
「へー、忙しそうだねぇ〜…。でも、君がオフになったら、レクチャー作成について力を借りるかもだから、よろしくね」
と言った。
相変わらず何が言いたいのか良く分からなかったが、まぁ新しく台頭してくる若手の面倒を見てやってくれ、そう言うことなんだろうと
真矢は解釈していた。
だから、突然呼び出しを受けた時もそう驚きはしなかった。
ただ。その内容は予想とは全く違った物だった。
「これはー斧だー。当たりを引いたぞー!」
真矢は慣れない演技をカメラに向かって続けながら、戸惑っていた。
台本はカンペを見ながらやるから覚えなくても良い。しかし、一体これは何なのだろう。
なんかの隠し芸大会だろうか。ん?ソロで活動するって事で早くもドッキリを仕掛けられているのか? 俺はいつから芸能人になったんだ
ろう?もしかしてこの後ジャジャーン妻登場!とかあり得るのだろうか。
しかし戸惑いは、カメラを操るスタッフの後ろにやってきた人物を見て更に明快な謎へと転身した。
それは、Gackt、潤、アイジの3人であった。
何だ、あいつら…。取り合わせが意味不明なんだが…。やっぱり隠し芸か何かか?
と。つかつかと潤が歩み寄ってきて、真矢の隣に立ち語りかけてきた。
「やぁ、真矢さん、何でそんな物騒な物もってるんですか?」
「いや、なんだかバッグに入ってたんだ」
この野郎、ドッキリだったか…――そう思いつつ、潤が肩から下げている物が気になった。
「おい潤、それは……」
「これですか?マシンガンですよ。見ての通り」
ああ、そうか。ここで何でそんな物騒な物を持っているんだ?と聞くとそりゃお前だ!とツッコミが入るってわけか。
良いだろう、乗ってやるよ。
「何でそんな物騒な……」
だが、潤のリアクションは真矢の予想もしなかった物だった。
「ああ、それはつまり」
その言葉が終わるか終わらないかの内だった。
ぱらららら、という音が響き、真矢は派手に吹っ飛び、そのまま床に叩き付けられ、そして恐らくは何が起きたか判らないままに
――息絶えた。
だから、潤がカメラ目線で
「銃は安全装置を外してからでないと撃てないからな。常識だろ?」
という声も聞こえなかったし、勿論そのビデオが河村の
「ねえ、皆。こうなったらもう殺し合いをするよりないんだよね」
という言葉で終わる事など知るはずもなかった。
244 :
Nana:02/07/03 00:22 ID:xK.18jbI
(キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!! お帰り生姜さん゚(゚´Д`゚)゚。)
245 :
Nana:02/07/03 00:49 ID:kZg35V0s
この前、初めて読んだけどおもしろいYO!
再開嬉しい(゚∀゚)!!
246 :
nana:02/07/03 01:26 ID:yhQ/Pj5U
生姜さんおかえりーーーー!!
神ご降臨待ってました(ナキ
これからも頑張って下さい!!
247 :
Nana:02/07/03 08:44 ID:S9uMeabE
245>禿同〜!
待っててヨカタ
248 :
Nana:02/07/03 14:20 ID:314AyiLE
キタ━━(゚∀゚)━━( ゚∀)━━━( ゚)━━( )━━(゚ )━━(∀゚ )━━━(゚∀゚)━━!!!!!
249 :
nana:02/07/03 20:58 ID:k8bB7G5Y
わーーー!お帰り生姜さん!
YASU(FAIRY FORE・Ba)は細心の注意を払いながら獣道を進んでいたが、いきなり足を止めた。
「…誰か、居る……」
茂みの先に人の気配を感じ、YASUは足を止める。生存者の少なくなった今、生き残っている者は大抵は一筋縄ではいかない奴等ばかり
だろうと。 今まで農作業用の小さな小屋を見つけ、ただその中にひたすらに隠れていた彼にとってそれはこのゲーム始まって以来の最大の
危機であった。
「面倒だな……」
大体今までが幸運過ぎたのだ。自分でも最初見落としていた、視界に入りにくいその小屋は人一人でも入り込むにはあまりに小さく
軽トラック1台が入ったらいっぱいいっぱいの大きさでしかなかったのだ。が、YASUはその軽トラックの荷台に死んだように横たわって
身を潜めることで、上手く隠れる事に成功していた。
途中、小屋の前で派手な銃撃戦が繰り広げられ何人かの怒号が飛び交い、YASUの身体をじりりと緊張感が包んだがそれもやがて済んだ。
その場は確認は出来なかったがやがて人の気配が完全に周囲から消え去り、危機が去ったことをYASUは直感した。
これでいい。後は、時間が過ぎて他の奴らが勝手に自滅していけば――俺の勝利だ。
それからもひたすら軽トラの荷台に横たわり、空腹に耐えかねたときだけパンを囓って水で喉を湿らせた。退屈なのは仕方ないが、外に
出て常に死の恐怖感に晒されているよりはずっとマシな筈だ。この狂った殺人ゲームの中、ただ、首輪の食い込む息苦しさに耐えて
寝ていられるのは、稀有の僥倖という物だった。
いいぞ、このまま…どんどんみんな死ねばいいんだ。
バンドマン達はいっそ腹が立つほど順調にその数を減らしていた。放送を聞くに、残っている人間はもう、そう多くはない。だけど、
自分のように無傷でいるバンドマンなど、もういるわけもないだろう。放っておけば、勝手にみんな死ぬだろう。いいぞ、その調子だ。
何もしないでも勝てるかもしれないというYASUの淡い望みは、だが、あっけなく踏みにじられた。
小屋を含む周辺の地域が禁止区域に指定されてしまったからだ。
ゲーム開始以来、本当に数十時間ぶりに外に出たYASUの目に飛び込んできたのはLEVIN(La'cryma Christi・Dr)の変わり果てた無惨な姿だった。
銃で、一発だった。即死だっただろう。
誰がやったのかYASUは当然分からなかったが、その鮮やかな手口に今まで忘れていた恐怖心を呼び覚まされる。
この辺に、まだLEVINを殺した奴が潜んでいるのかも…そう考えてその危険性が薄いことをYASUは思い出す。そう、もう指定の時刻まで
あと数十分と迫っているのだ。未だにうろついている奴がいるとしたら、そいつは自殺志願者に違いない。
YASUは十分辺りを警戒しながら、支給された武器であるデリンジャーを構えて小走りに小屋を後にした。
そして、やっと禁止区域(になる予定のエリア)を抜けたところで、獣道の先に人の気配だ。
まさか、LEVINさんをやった奴なんじゃ……!!
YASUの全身をたちまち緊張感が支配する。
デリンジャーは、相手が意識していれば筋肉で止められてしまうようなひ弱な銃だ。銃の中ではもっとも火力が低く、速射も利かない
のだ。真正面から撃ちあって、という武器では決してない。ただ、非常に小さい。掌中に収まってしまうサイズなので、上手く立ち回れば
良い武器として使えるはずだ。
「…回避しよう」
まともに正面から行くのは不利だとYASUは背を向けたが、ふいに眉を吊り上げるとデリンジャーを構えて振り返る。
「…!」
背後に居たのはGackt(元Malice mizer・Vo)だった。向こうもこちらの気配を感じて来たのだろう。
(なんてこった…)
YASUはデリンジャーを構えたまま舌打ちする。Gackt、言わずと知れたSWEET HEARTとはなんら関係のないアーティスト。それなのに自ら
志願して参戦してきた、このゲームで最も危険な奴の一人!!!
(LEVINさんをやったのは、こいつだ!)YASUはそう思いこむと一瞬だけ、Gacktの手を見た。
どういう訳か、Gacktの両手は土で汚れていた。しかし、何も持ってはいない。銃器を隠し持っている訳でもなさそうだった。
(――勝てる!!)
YASUは内心快哉を叫びながら、一気にGacktに突進した。
Gacktは、そんなYASUの姿に呆然としている。突然何の心構えもなく出くわして、Gacktも戸惑っているのだろう。だとしたらチャンスは
今しかない!!
興奮して、自分でも訳の分からない奇声を上げながらYASUはGacktに体当たりを食らわせ、Gacktが思わず蹌踉めいたところへYASUは
デリンジャーをGacktの心臓に押し当て、引き金を引いた。
(勝つのは、俺だ!!!)
253 :
Nana:02/07/03 23:46 ID:57wZM.4U
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
しかも続き、カナリ気になるYO…
254 :
Nana:02/07/04 00:36 ID:zmQo.3dc
こ、更新されてる!!嬉しい…!!(>∀<)
255 :
Nana:02/07/04 00:39 ID:mn/svzWg
ageちゃったスマソ…(´д`;)
256 :
Nana:02/07/04 00:47 ID:VuXsKbTA
キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!!!!
生姜さんお帰りなさい(ナキ
そしていきなり気になる展開…続き楽しみにしてます!
257 :
Nana:02/07/04 01:48 ID:/qDqZXc.
生姜さんお帰りなさいです!!!!
YASU(FAIRY FORE・Ba)、どうなることやら。
なんて幸運の持ち主(笑)
258 :
nana:02/07/04 04:30 ID:Y5cw5b4.
>生姜さん
今書いてるのは前回の続編ですか?
それとも新バージョン?
259 :
Nana:02/07/04 06:25 ID:TgziUVi.
きゃーー生姜さんだ!!
更新されてるし!嬉しい〜
頑張ってください!!
>258
今までの続きだYO!
260 :
Nana:02/07/04 08:49 ID:xSw8stuw
ガクソピーンチ!!
灰色の低い空から、ちらちらと白い物が舞い降りてくる。雪だ。
「――………」
SUGIZOは空を見上げて、思わず嘆息した。
あれから数十分が経過している。やっとなんとかKOHTAが落ち着きを取り戻したのを見計らって、SUGIZOは気の重い事実と真っ向から
対面する決心をつけようとしていた。
即ち、KOHTAに“『マシンガン野郎』の正体を告げなければならないという事実”である。
戻ってきたKOHTAが一人だったこと。そしてキリトの事を一言も口にしないことから察するに、恐らくまだKOHTAは“マシンガン野郎”
の事は知らないでいる筈だ。果たしてキリトが、あの暗闇の中自分が襲ったのが弟だと気づけたかどうかは別として――そうだとすれば
また話は変わってくるかも知れないが――だが、それにしても、だ。
お前を襲い、結果として死に追いやろうとしたのは実はお前の兄でしたよ、だなんて、どうして今のKOHTAに告げられるだろう。ただで
さえ、SHUSE達の死が彼にとって相当こたえているこの状況へ持って、そんな事を告げたらKOHTAはまたどんなに打ちのめされることか。
それとも、何も知らないでいる方がいいのだろうか?何も知らせないで、このまま――このまま、キリトが誰かに殺されるのを待つ方が?
いや、その可能性は限りなく低い。何せ、キリトは“マシンガン野郎”なのだ。おそらく、今生き残っているバンドマンの中で1、2を
争う実力(実力?こんな実力があったからってバンドマンとして何も誇れはしない)を持つ男。
そして――このゲームに真っ先に乗ったであろう、恐ろしい男。
自分たちが生き残り、最後に勝利するためにはいずれキリトとの対決は避けられない。
その時になってKOHTAはやはり知ることになるのだ。
だったら、あらかじめ知っておいて、覚悟を決めた方がいいのだろうか。ああ、だけど――SUGIZOは、ともすれば苦渋に満ちた表情に
なりそうな自分の顔を、努めて平静に保とうと努力した。しかし、それは難しかった。
「……………」
SUGIZOのあからさまに強張った表情を見て、JもSUGIZOの心に飛来する物を見て取ったのか、燻らせていた紫煙を腰掛けていた岩肌に
押し付けた。そのまま、視線を投げかけてきたSUGIZOを黙って見返す。ある種の無言の圧力だ。
SUGIZOは、観念したように重い口を開けた。
「KOHTA、話がある」
「?話…ですか?」
それまでじっと俯いていたKOHTAが声をかけられた方に振り返ると、そこにはやや顔色の悪いSUGIZOが立っている。
「その、………つまり、何から話せば良いのか………」
だが、口篭もるSUGIZOに代わって、Jが口を開いた。
「その前に、俺から一つ質問させてくれ」
「あ、はい」
怪訝そうなKOHTAに、Jは一つ息をつくと、視線を虚空に投げた。彼もやはり、迷っている。でも、言わなければいけない。これは自分たち
にも、ひいてはKOHTAの生死にも関わるかもしれないことなのだから。
「………“マシンガン野郎”はあの後どうなったかお前は憶えているか?」
KOHTAは首を横に振った。残念だけど、と付け加え、崖から転がり落ちてからの記憶はないから、奴がどうなったのかまではわかりません、
とやや沈痛な声で言う。
「………そうか」Jがそうため息混じりに言うと、ふと、KOHTAはなんとなく嫌な感じを受けて思わず顔を上げた。
「“マシンガン野郎”が、どうしたっていうんですか?」
「……………」
Jも、やはり黙ってしまう。なんだか、二人揃って様子がおかしい。いくら鈍感なKOHTAでもそれだけははっきりと分かってしまった。
なんというか、何か、そう、何かとても重大なことを隠しているような――
まさか、とその時KOHTAの脳裏に嫌な想像が閃く。まさか、いくらなんでもそんな。有り得ない。
「俺は、お前に最初に言ったよな」
次いで、先に口篭もっていたSUGIZOが言った。
「『相手がやる気になってたらこちらもやるしかない』と。お前はあの時答えなかった。いや、答えられなかった。だけど、俺はもう一度
敢えて問う。KOHTA、お前は躊躇なくやれるか?例えそれが……」
「………SUGIZOさん」
KOHTAはその時、己の心臓の音が嫌に大きく跳ねた様な錯覚を覚えた。
まさか。
でも、そんな馬鹿なことが………あっていい筈がない。
「…それが、お前の兄貴が相手だったとし――」
「それって」
遮る声が、震えている。
KOHTA自身、寒さのせいではなく、身体の奥底からぶるっと震えが上ってくるのを自覚していた。
「それってつまり…“マシンガン野郎”は、兄貴だった、ってことですか?」
多分その時、KOHTAはSUGIZOが「いや」と首を横に振ってくれることを期待していただろう。
だが、SUGIZOは一瞬息を吐いてから、ゆっくり、頷いた。
265 :
Nana:02/07/05 00:03 ID:stl9mKho
あ、更新されてる…
生姜さん乙です!
それにしてもKOHTA、大ショックだ…(汗
266 :
Nana:02/07/05 08:49 ID:/bU1/a.E
ズガーン!ついに知ってしまたのね・・・
267 :
Nana:02/07/05 22:58 ID:TV8JmNlY
今更ですが生姜さんお帰りなさい!!!!戻ってきてくれて嬉しいです(´ー`)
268 :
Nana:02/07/06 13:16 ID:64aasa8A
ワーイ!!更新されてる!
これからも楽しみにしてます♪(*^_^*)
269 :
Nana:02/07/07 20:55 ID:yAwNy3ek
>268
サゲ進で。
270 :
Nana:02/07/07 20:59 ID:4bRkwK2I
君がさがってないじゃん
271 :
Nana:02/07/07 23:10 ID:.NnPN5Yg
生姜さん!!
お帰りなさい(ゴウナキ
続きもまたハラハラドキドキですな…
272 :
Nana:02/07/08 21:20 ID:1B/2Hzns
生姜さんお帰りなさい!!続き楽しみにしてます!!
273 :
Nana:02/07/14 00:15 ID:w6JK0wUI
生姜さん今執筆中?
274 :
Nana:02/07/14 12:53 ID:meHIlMe2
小説系のスレって、容量の関係とかあるから、
みんなあんまり感想を書き込まないんだよね。
だけど、ここをロムって、小説を読んで感動してる人、
続きを楽しみにしている人は、
感想の書き込みをしている人の10倍以上居ると思う。
生姜さん、頑張れ。
275 :
Nana:02/07/17 12:38 ID:bLpWPyIg
保全age
276 :
Nana:02/07/21 00:46 ID:QuqORVek
あげ。
生姜さん…
277 :
Nana:02/07/22 02:15 ID:9Kn767RM
保安あげ
おー。
ここまで読んだ。と。
ぱっ、と血飛沫が上がった。続いて、お約束のように絶叫が。
「ぎゃああああああっっ!!」
「……………」
Gacktは体当たりを食らった勢いで派手に尻餅を付いたまま、今度こそ本当に呆然として今自分を襲った敵の姿を見上げた。
目の前で、YASUが左手で右手首を掴み身体全体を強張らせながら、吹っ飛んだその手の先を凝視している。
赤黒く染まった指が数本、二人の足下に散っていた。
指の他に転がっているのは、既に部品の殆どが暴発の衝撃で変形してしまったデリンジャーだ。ひ弱だが、至近距離で撃てばそれなりの
威力を発揮する銃。銃口を心臓の真上に当て、引き金を引けば間違いなくあの世逝き決定。さっき、まさにGacktはその方法で殺されようと
していたのだった。だが、Gacktの心臓辺りに押し当てられたデリンジャーは、銃口からかかった圧力のみを彼の胸板に残しただけで
その役目を果たす事が出来なかった。
そして、彼の目の前ではYASUが、本人は全く予想していなかったであろう苦痛に襲われ、額に脂汗を滲ませていた。
「運がなかったな」ひどく冷たい声でGacktは言った。
YASUは返事の代わりに、うううう、と低く呻いた。それを聞いて、Gacktははじめてその整った顔立ちに酷薄な笑みを浮かべた。
Gacktの心臓に弾をぶち込むはずだったデリンジャーの銃口は、実は詰まっていたのだった。小さな銃でも、暴発すれば命取りになりうる。
ある意味、右手を吹き飛ばされただけで済んだYASUは幸運と言えた。だが、今この状況では意味のない幸運ではあった。
むしろ、不運といっても良いかも知れない。
「ち、畜生…っ…」
YASUは地底を這うような低い声で吐き捨てた。
「多いんだよね、こういうの。自滅型、っていうのかな」
実はGacktは、参加する前に過去のプログラムデータを仕事の合間に参照していたのだが(勿論バレないように、こっそりと、だ)、
その中で、銃の扱い方を把握していないために命を落としたバンドマン達が少なからずいるという点に目を付けていた。それはそうだ。
こんな本業とかけ離れた、銃器に詳しいバンドマンなんてそうそういるわけがない。ましてやこの異常事態の中だ。支給された銃器が
安全装置を外さないと使用できないとか、先が詰まって暴発する危険があるとか、そんな事いちいちチェックしないで焦って銃を
ぶっ放そうとしたとして何ら不思議ではない。むしろ、始めから支給された武器を完璧に使いこなして殺戮を繰り返しているどっかの
誰かさん達の方がよっぽどおかしい、というか不思議なのだ。
Gacktはその事を十分知っていたから、YASUが襲ってきたとき、まず用いるであろう凶器を素早く探した。そしてYASUがその手に
隠すように持っていたデリンジャーを発見し――その銃口が詰まっているのを見て、無抵抗を決め込むことにした。下手に抗って
揉み合いにでもなったら、自分も暴発に巻き込まれる可能性がある。そんなのはごめんだった。そんなことをしなくても、勝手に相手は
自滅していく――果たして、その通りになった。全くもって、自分の冷静さに改めて感心したくなる。
Gacktは興ざめしたような口調で静かに言った。
「去れ。僕は、戻ってやらなければならないことがあるから」
「ふ、ふざけるな」
右手を吹っ飛ばされ、神経を灼く激痛にその身を苛まれながら、YASUはギラギラとした目をGacktに向けた。
「ここであんたを逃したって、またどうせどっかで遭うんだ。だったら、今ここで決着付けてやる」
その言葉に、Gacktはすっと目を細めた。「――逃がす?」
冷たい土にまみれた手の先が、一瞬だけぴくりと動いた。既に凍えている手ではあるが、それでもYASUが失った手よりは上手く
立ち回れることだろう。
「勘違いするな。逃がすんじゃない。僕が君を、逃がして、あげるんだからね」
「なっ………」
そのGacktの冷たい言葉が、YASUを刺激する。
「――なめんなぁ!!」
相変わらず薄笑みを浮かべるGacktに、激昂したYASUは飛びかかろうとした。左手だけしかないYASUにとって一番効果的な殺傷法は、
まずアイジがTAIZOにしたように目を潰すことだ。目さえ潰せば、条件はかなり変わる。だがそれより僅かにGacktが、羽織っている
ジャケットの中から何かの液体が入った薬瓶を取り出す方が一瞬速かった。YASUが手を伸ばし、その指の先がGacktに触れるか触れないか
のところで、Gacktの投げた薬瓶がYASUの顔面にぶち当たって粉砕した。
「ああああああああああ!!!!!」
しゅううう、という凄まじい音と同時に、白い煙状の気体と物凄い臭気がYASUの顔面から噴き上がった。たちまちYASUの顔がどす黒く
焼け焦げていく。浴びせられた液体は顔から首を伝ってYASUの上半身に広がり、激しく服を溶かしながら焦がしていった。
人肉の焼けただれる嫌な臭いが、つんとGacktの鼻を突いた。
「だから言ったのに。逃がしてあげるって」
Gacktが投げた薬瓶に入っていたのは、強力な酸だった。
武器として支給された医薬品一式。最初はこんな物何に使うのかと思ったが…なるほど、確かにこれは武器だ。立派な。
「ぐあああああああっっ!!!」
YASUが腕をめちゃめちゃに振り回す。それを優雅な動作で避けながら、Gacktは少し首を傾げた。
「美しくないんだよね、人殺しなんてさ」
Gacktは首を竦めると、もう一つ、先ほどの薬瓶より一回り大きいビニール袋をジャケットのポケットから取り出した。
ビニール袋の中には、何か透明の液体が詰められている。袋の上にはGackt自身の字で『タブン試作型』と書かれてある。
「でもそうも言ってられないみたい」
そう呟くと、Gacktはその中身の詰まった袋を暴れ回るYASUの足下に置き、素早くブーツの先で踏みにじって破った。
たちまち、臭気が立ち上る。
タブン。それは、あのオウムも開発に着手していた、『サリン』と似たような神経系のガスだった。
283 :
Nana:02/07/26 00:54 ID:bVww2NYg
生姜さん乙。
ガクト・・・(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
284 :
Nana:02/07/26 01:03 ID:9Kk3.LEk
生姜さん、乙です。楽しみにしてました〜。
オゥ、YASU…。「自滅型」。うん、彼なら自滅型もありうる。
ってか、ガクトー―――――――――!!!
285 :
Nana:02/07/26 01:03 ID:WBGEWbUo
乙です!
このガクト‥好きだ(藁
286 :
Nana:02/07/26 01:06 ID:9Kk3.LEk
ってか、リアルスイトラまでに、終わっちゃうんですか!?
まぁ、スイトラ自体が終了ですからねぇ…
UP頑張ってくださいな。
結局、二日続けていつも以上の睡眠をとってしまったKOHTA(PIERROT・Ba)は二人にもっと休憩して貰おうと見張りを引き受けた。
怪我人である上、精神的にかなりのダメージを受けているKOHTAに、それを任せるのは不安だったのかSUGIZO(元LUNA SEA・上G)も
J(元LUNA SEA・Ba)も躊躇したが、やはりこの状況での2、3時間の睡眠では体力的にかなりきつかったのだろう。横になると数分で
寝息を立て始めた。
TAKEOからの煙が上がった場合、すぐ対応出来るように、そして何より誰かが現れた時の為、KOHTAは廃屋の壊れた壁の隙間から外の景色
を眺めていた。
降り出した雪はあっという間に地面をうっすらと白く染め、大気をしん、と静寂に包み込む。
だが、KOHTAの心はちっとも静まりはしない。
もう頭の整理がつかない内に、この数日は過ぎていった。
そして最初は信じられなかったこの状況にも、すっかり慣れてしまっていた。
そうならざるを得ない程、KOHTAの前では人が死にすぎていたのだ。
もう、何人の死体を目にしてきただろう。
その中には自分に殺意を向けていた連中もいた。しかし、KOHTAには彼らを憎く思う気持ちは消えうせていた。皆が疑心暗鬼になる。
生き残る為には殺すしかない。そんなルールの前では。
誰も誰かを傷つけるために、武器をとった訳ではないだろう。
現王園もAOIもTAKAも善徳も、ただ怖かっただけだ。死にたくなかっただけだ。
自分やJやSUGIZOと同じ様に。
KOHTAの中でのやりきれない思い――憎しみも恨みも怒りも全て甘心事務所へ、ひいてはこのヴィジュアル系音楽業界へと向いていた。
KOHTAは音楽を始めた頃は他のジャンルの音楽に夢中であったし、ヴィジュアル系への思い入れは別段なかった。
けれど、この業界に入ってからは、このジャンルに誇りを持とうと、自分達のバンドを大事にしようとそう思った。
自分が将来、PIERROTというかなり変則的なバンドのリズム部分をTAKEOと共に支えていかなければならない事は十分に分かっていた。
だからその期待に応える様にやってきたつもりだ。
演奏だけではない、余計な波風を立たせない様に言動、とりわけMCにだって気を配った。
たまにTAKEOとラジオで下ネタで盛り上がったりはしたけれど、それだけだ。
当り障りのない発言をし、慎重に行動する。ファンの喜びそうな発言だって寒さをこらえて言ってみた。
時には潤やアイジみたいに好き勝手言いたい事だってあった。
キリトやTAKEOみたいにもっと派手に遊びまわりたい時だってあった(いや、ちょっとどころかかなり遊んだけど)
それでも、自分を押し殺し、ぐっと堪えたのだ。
PIERROTのベーシストとして、そしてPIERROTの末っ子として、恥ずかしくない様に。ファン達の夢を壊さない様に。
それなのに、この業界はあっさりと自分を裏切ってくれた。
何の企みがあるのかは知らないが、こんな人の道を外れた最悪のゲームを行っていたなんて。
KOHTAは思った。ここから逃げ延びて、その後は必ずこの事を世間に知らせる。
そして河村達にはそれ相応の罰を受けて貰う、と。
今後こんなものが、二度と行われる事のないように全てを明らかにする。
甘心を潰すことになっても、ファン達を裏切ってしまう事になっても構わない。
死んでしまった仲間の為に、それが自分のできる全てだ。
だからここからは絶対に逃げ出してみせる。
その為には――やはり、倒さなければならないのだろうか。
兄、キリトを。
正直、KOHTAはまだ、さっきSUGIZOに告げられたことが信じられないでいる。
あの、マシンガン野郎は、キリトだ――
確かにSUGIZOはそう言い、Jも沈黙することでそれを肯定した。尊敬する先輩達二人の言うことだ、万が一としての見間違いの可能性は
あるが、全く完全な偽情報と言うこともないだろう。
おそらく生き残っているであろう面子から見ても、可能性は高い。
というより、それ以外に当てはまるべき人物がいないのだ。
「兄貴……」
だが、何かの間違いだと、KOHTAは思っている。
心のどこか、壊れてしまっている部分はそれを納得してしまっているのに、それでもまだ、KOHTAはあの兄が、マシンガン野郎だと
言うことを信じられないでいる。
「兄貴、どこにいるんだよ………」
KOHTAの体中が、寒さのせいだけではなくぶるっ、と震えた。
灰色に、低く淀む空。
降り続く美しい雪。それを虚ろな目で見つめる一人の男がいた。
「潤……お前、どこに居るんだよ…」
TAKEO(PIERROT・Dr)は焦燥しきった顔で雪空を仰ぎ、一言だけ呟いた。
ゲームが始まってもう何時間も――いや、もう何十時間か――経とうとしているのに、最後の一人、未だに潤(PIERROT・下G)に
出会えない。彼は途中参加とはいえ、もうかなりの時間が経過している。せめてもの救いは何度か耳にした放送で、まだ潤の名前が
告げられてないことと、左手に収まっている探知機の電池が切れていないということだけだった。
出会いたくない奴には出会ってしまうのに――どうしてこうも上手くいかないのか。これじゃまるで己の半生そのものだな…ハハハ、
などと自嘲しながらぼんやりと思った。
先ほどまでは傷だらけの身体を引きずって何とか動いていたのだが、流石にもう右半身が悲鳴を上げて、身動きがとれなくなってしまった。
やぶの中に隠れているものの、ここでゆっくりと休んでいるわけにはいかない。休んでるわけにはいかないのに――。
ズキンと痛む右肩。これはYURA(Psycho le cemu・Dr) にナイフで刺されたものだ。
右の大腿部、尻に近い部分の傷は、既に死んだJIROに撃たれたもの。
そして、最も痛みが激しい部位、右脇腹の傷は――自分が探し続けていた仲間であるキリト(PIERROT・Vo)にマシンガンで剔られた物だった。
「……………」
改めて、TAKEOの胸中にどす黒い暗雲が立ちこめる。
全く持って今は、この世で一番酷い悪夢を見させられているのに違いない、そうは分かっていたが、どうにも気が変になりそうだった。
いや、もう既におかしくなっているのだ。でなければ、いくら半正当防衛とはいえ、キリトに向かって銃弾を撃ち尽くすだなんて、
やれる訳がなかった。
「一体、何がどうしてこうなっちまったんだか………俺も、キリトも、どうして………」
呟いてみて、思わずぞっとする。
もしキリトが最初に遭遇したメンバーが俺でなかったら?
例えば、アイジや、潤だったら?
キリトは、躊躇せずに殺してしまっただろうか?
それとも、KOHTAだったら――
「止めた」
TAKEOは慌ててそう呟くと、自らの頭を軽く叩いた。弱気になってる思考と、貧血のせいでフラフラする脳に活を入れるためだったが、
何よりも今は考えるより先にやることがあるのだ。
そう、こんな事をしている間に潤が危険に晒されているかも知れない。キリトでなくとも、まだまだ敵はいるのだ。
キリトのことは、またKOHTA達と合流してから考えればいい。
そう、KOHTAなら、あるいは――キリトの狂った思考を、正常に戻せるかも知れないのだ。
キリトがTAKEOにとどめを刺せなかったという事実が、皮肉にもTAKEO自身にギリギリの救いを与えてくれていた。
まだ、キリトを救えるかも知れない――KOHTAは、キリトの実の弟なのだ。キリトは自分に対してとどめを刺せなかった位なのだから、
KOHTAに対してならもっと丸腰になってくれるのではないか?
そう思えば、やっとTAKEOの心も少しだけ軽くなる。
とりあえず、攻撃面に於いてはキリトは生存者中最強に違いない。そして、今でこそ思い当たるがキリトはあらかじめ持っていたか、
もしくは誰かから奪ったかで入手した防弾チョッキか何かを着込んでいるに違いない。だから、あんな至近距離でTAKEOに撃たれても
死ななかったのだ。なら、キリトがあっさりやられると言う可能性は高くない。あまり考えたくはないが、やられるより先に仕留めて
しまえるだろう。
だったら、まず最優先に探すべきなのは、潤。
アイジ同様、裏切ったせいで怨嗟の的となり、今頃必死で逃げまどっているだろう。
最悪、命だけはまだある物の、死に瀕しているかも知れない――急がなければならなかった。兎にも角にも、自分もまだ生きている。
でもこの調子だと、潤を見つけるのが先か。はたまた、自分が死ぬのが先か――。
一刻も早く、潤を見つけなければ。もう、アイジの時と同じ思いをするのは沢山だ――。
左手に持った端末を見つめ、TAKEOはもう一度立ち上がった。
TAKEOは再び歩き出した。
なんとしても、潤を見つけださなければ。みんなで、助かるために。
アイジの分まで、生きるために。
欲望にまみれた人間達が撒き散らす汚らしい騒音も、ここまでは届かない。なんの変哲もない景色を見下ろす高台で、彼は語りかけつつ
杯を傾けていた。
もっとも、杯の数は2つなのに対し、そこにいるのは1人でしかなかったが。
「あと、あと少しだよ…あと少しで、やっと果たせるんだ………僕の願いが」
先程から置かれたまま、一向に酒が減らない杯――最も、飲む人間がいない以上減らないのは当然なのだが――
その前には、一枚の写真が飾られていた。
その写真を見ながら彼、YOSHIKIは語りかける。
「ねぇ、君は――こんな馬鹿げた事をもう見たくなかったから、逝ってしまったのか?」
無論、返事は無い。YOSHIKIは、ゆっくりと杯を空け、空を見た。
雲もなく、星はよく見えた。
「あいつは…………相変わらず馬鹿な事をやってるよ。もっとも、それを知りつつあえて手を貸した僕も大馬鹿だけどね」
頭上に輝く無数の星。
あの中に彼と、そして今もう既に死んでいるかも知れないバンドマン達がいるのだろうか?
それが何の救いにもならないことは十分に判っていたが、それでもなお。
せめて。せめて、安らかな眠りであるように――君も祈ってくれないか?
祈りつつ。YOSHIKIは杯の隣に置いてある受話器を手に取った。
慣れた手つきでメモリーを辿る。
「――あ、もしもし、YOSHIKIですが。はい。……恐れ入りますが、“先生”にお取り次ぎ願えますでしょうか?」
潤(PIERROT・下G)は息を潜め、ただひたすらに待ち人がやってくるのを望んでいた。
スミスアンドウエスンM59オートを握っている手が震えているのが分かり、小さく舌打ちをする。
くそっ!腹くくったはずなのに、この期に及んでまだ震えるか?俺の手は。それとも寒さか?ちっ、それくらい耐えろよ。
まったく使い物にならねぇーな。そんなだからいつまでたってもファンからの評価が上がらな――
そこまで考えて、はたと気づき首を横に振る。
いや…違う。そうじゃない。
俺は変わるんだろ?あいつらから奪うんだろ?
不動のギタリストの評価は俺のものだ。アイジはもういない。俺だけのものだ。俺だけの――
暗示でもかけるかのように、何度も何度も自分の中で繰り返した。
ぱしゃっと水が跳ねる音がして、潤はぎくっと顔を上げた。
ぱしゃっ。ぱしゃっ。ぱしゃっ。
降り続く雪が層を作り、僅かに地面に吸われて溶けた水分が水たまりをつくり、それを誰かが跳ね上げている。
音は潤の居る倉庫に近づいているようだった。
誰だ?誰が来たんだ?さっさと姿を見せろよ!!
急速に興奮状態になっているのが自分でも分かったが、もうどうすることもできない。
誰だ?誰だ?誰なんだ!?
ぱしゃっともう一度だけ音がして、その『誰か』は倉庫の入口で足を止めた。視界に鍛え上げられた身体が現れた。
デザインの凝ったカットソーの袖がとれ、右腕が剥き出しになっていた。肩口に巻いた白い布に、赤い血がにじみ出し、雨のせいか
それがピンク色に広がっている。
そしてその腕の先に――拳銃が見えた。ちらりと見えた横顔は、見まごう事なき良く見知った人物――TAKEOのもの。
来た。ついに来た!!!!!潤の緊張は一気に跳ね上がった。
TAKEOの、その厳しい表情は――そう、自分を捜し出して、惨殺するためのもの。恐らく、アイジを殺した時と同じ表情であることは
間違いない――いざ、目の前にTAKEOが現れて潤は戦慄してしまった。しかもTAKEOは拳銃を携えてるじゃないか。
ああ、あの銃で、アイジにとどめを刺したのだろうか?そして、残る銃弾で、俺を――。
落ち着け!!落ち着くんだ潤!!ここで失敗したら何もかもが終わってしまう。もしこちらの存在に気づかれてしまったならば、
TAKEOは容赦なく間違いなく撃ってくるだろう。
同じメンバーである俺でさえも、いやいや、自分をこの糞ゲームにたたき込んだ憎き裏切り者の俺を、アイジと一緒に自分可愛さに
曲がったことをしでかした俺を、TAKEOは絶対に絶対に許さないだろう。
俺は死にたくない。どうせ一度裏切ったんだ。だったら、アイジみたいにもう後ろは見ない。
TAKEOは俺を許しはしない。当然だ。俺は汚い裏切り者。だったら、俺はとことん堕ちてやるまで――
あと少しだ。今の位置からでは狙い難い。もう少し近づいてこい。
「誰か居るんだろ?」
TAKEOが静まりかえった空間に向かって問いかける。
あと三歩…
「PIERROTのTAKEOだ。俺は、戦う気はないんだ」
あと二歩…
「生きてるんなら返事をしてくれ」
あと一歩…
「どこに隠れているんだ?頼む。返事を――」
今だっ!!
狙いを定め、引き金を引こうとした正にその時、タタタッと一匹の、幾分大きめのネズミが潤の後方を横切った。
それは、ほんの小さな音に過ぎなかったが、静まりかえったこの倉庫の中では大きく反響した。もちろんTAKEOもその音に気づいたらしく、
音がした方向に目をやった。
潤とTAKEOの視線がまともにぶつかった。
「じゅ――そこに居るのは潤なのか?!」
刹那。TAKEOの表情に喜色が浮かんだのは、気のせいではなかった。
予想だにしなかった突然の事態に、一瞬躊躇してしまったが、潤は狙いを定めたままの拳銃の引き金を引き絞った。ぱん、と音がして
銃口から小さな火炎が伸び、腕が少しだけ反動で跳ね上がった。
その銃の向こう、TAKEOの筋肉質の身体が弾かれたようにくるっと回った。仰向けに倒れた。
「――――」
頭が、瞬時に真っ白になる。
潤は無我夢中で銃を握り締めたまま、たたっとその身体に走り寄った。とどめを刺さなければならない、とどめを!もう二度と
起き上がれないように!
潤は、TAKEOから二メートルほど離れたところで立ち止まった。
TAKEOのカットソーの左胸に小さな穴が開いていて、その回りがどす黒く変色し始めていた。
しかし、地面に投げ出された右腕の先には、まだ拳銃が握られていた。まだその銃を持ち上げる可能性がある。頭だ。頭を狙わなくては
ならない。
そのTAKEOがぐるっと首を回し、潤を見た。潤は銃を下に向けて構え、引き金を――
ぴくっとその指が動きを止めていた。TAKEOが、銃を手から投げ出したからだ。それだけの余力があれば引き金をひくこともできた
はずなのに、どういうわけか。
拳銃はくるっと一度回転し、それから、がしゃっと横倒しになった。
――は? なんなんだ、これは。何を考えているんだ、こいつは。撃ってくるんじゃなかったのか?憎い憎い俺を撃ってくるんじゃ
なかったのか?
しんしんと降り積もる雪が、大気をますます冷やしていく中、潤は両手に銃を構えたまま、立ち尽くしていた。
「じゅ……にげ…は、早く…」
TAKEOがその、横たわったまま、苦しそうに、しかし、しっかり潤を見据えたまま、左手に持つPDA端末のような機械を差し出して言った。
「受け取れ。は、はや…く。一刻も……早く、逃げろ」
潤の耳にそのTAKEOの言葉は届いていたけれど、潤には、TAKEOが何を言っているのか理解できなかった。いや、状況それ自体が理解
できなかった。
TAKEOが続けていた。
「生き残って……ぴ、PIERROTを」
「は?……何言って」
TAKEOがかすかに笑んだようだった。辛抱強く、繰り返した。
「これを使えば、て敵に遭う危険が減……るから。お前に、やるよ」
TAKEOがぎこちなく左腕を動かし、その手に持っていた端末を潤の方に放った。
「……………」
潤の思考回路が、急速に冷却していった。
危険が減る?逃げろ?……生き残れ?
何を言ってるんだ?お前は…俺が憎いんじゃなかったのか?俺はアイジと一緒なんだぞ?
お前が殺したアイジと同じく、お前を裏切っ……――そこで不意に、気が付いた。
そういえば、“誰”がTAKEOがアイジを殺したと言ったのだろう?
なぜそいつはTAKEOがアイジを殺したことを知っていたんだろう?
どうして、アイジがTAKEOに惨殺されたと、そいつは知り得たのだろう?
おかしくないか?それって。
だって、TAKEOがアイジを殺すなんて、変じゃないか。
TAKEOって、そんな奴じゃないだろう?
「――!!」
その瞬間、潤は弾かれたように銃をかなぐり捨て、TAKEOに縋り付いていた。
「た、TAKEO!!TAKEOTAKEO!!………しっかりしろ!!しっかりしてくれ!!!」
潤はそう言いながら、自分の白々しさにカッとなった。
自分が撃ったから死にかけてるのに、何が“しっかりしてくれ”だ!!反吐が出そうだ。ふざけんなよテメエ!!!
「いいから」とTAKEOは弱々しいが、しっかりとした口調で言った。「俺のことはもういいから、お前は、は早く逃げろ」
「い、いやだ、嫌だ嫌だ嫌だ!!!一緒に、一緒に逃げようTAKEO!!逃げるんだよ!!」
潤の顔色がだんだん蒼白になっていく。TAKEOの命の灯火が目に見えて細くなっていくのが分かるからだ。
「俺は、どのみちもう助からない――アイジも、待ってるし、お前が助かるならもう、いいんだ」
「アイジ……アイジが」
「アイジは、俺が看取ったんだ。あいつサ、サイコのYURAにやられて……」
「――――」
その言葉を聞いて、潤は脳天から雷を落とされたような衝撃に近い絶望を感じた。
そう、全てが、茶番だったと。
YURAが仕組んだ、他愛もない罠だったと。
それに、あっさりと引っかかった、愚かな俺。
俺は、俺の愚かさによって、大切な仲間を…………
「――――」
訳の分からない熱い感情が潤の目頭にこみ上げてくる。
それは悲しみなのか口惜しさなのか腹立たしさなのか、何がなんだかわからなかった。
「それの使い方は、適当にいじってれば………な、なんとか」
あまりのショックとこみ上げる感情のせいで茫然となっている潤は、その言葉に促されるまま無意識に端末を拾い上げた。軽い。
「それから、これもやるよ」
TAKEOはぎこちなく右腕を動かし、ポケットから100円ライターをつかみ出して潤の方へ放った。
「それで生の木を燃やせ。焚き火を、二つ。そしたら、どこかで鳥の声が聞こえる。そ、その鳥の声の方へ進めば、KOHTAとJさんと
SUGIZOさんがいる。きっと…お前も、助けてくれる」
「KOHTAが――?」
「それから、キリトを……助けてやって欲しい」
「TAKEOは?TAKEOも助かろう?!な?……お前がいなかったら、誰があのドラム叩くんだよ!!!」
潤は涙ぐみながら、必死で叫んだ。TAKEOが笑んだ。
「キリトは、まだ狂ってないから………あいつも、助けをも、求めて――」
TAKEOは薄れゆく意識の中で、これまでの事を思い出していた。
メンバー達を探して島中移動している間、たくさんの先輩後輩達に会えた。
まぁ、そのほとんどが死体だったが…。
それでも生きている人達、KOHTA達や、キリトにも会えたし、アイジの最期にも立ち会えた。自分が死ぬ時には、こうして見守って
もらえてるし。
俺って結構ラッキーだったのかも? もしかして。
ごほごほと咳をして、口から血を噴き出したTAKEOに潤は気が動転して叫んだ。
「TAKEO!死ぬなよっ!!!アイジのところなんか行くなってば!!!」
「は、早く逃げた方がいい。誰か――来る前に。な…長話しすぎたな――あ、それから…」
「――――」
それから、の後の言葉を待ったが、もうTAKEOは何も言わなかった。
「TAKEO?」
肩をつかんで揺すってみたが、TAKEOの体からは何の反応も得られなかった。潤は、目を見開いた。
「あ………」
俺が殺した。
俺が、死ねばいいと願い、それを実行して殺してしまった。
殺して、しまった。
大切な、メンバーを。
「……………」
立ち上がる気力も無いまま、雪の降り積もる枯れた地面に潤は座りこんでいた。
これは悪い夢だ。潤の目から、改めてぽろぽろと涙がこぼれた。
夢なら、早く覚めて欲しい。
アイジ、誰がTAKEOを連れていっていいって言ったんだよ。
目が覚めたら、とりあえずお前くまんばちだからな。
ああ、だけどもう、こんな夢はたくさんだ。
303 :
Nana:02/07/26 03:26 ID:bVww2NYg
ナンカセツナクナッチャッタヨママン・・・・゚・(ノД`)・゚・
304 :
Nana:02/07/26 03:45 ID:.nT/L9Dw
生姜さん、お疲れっす!
305 :
Nana:02/07/26 03:45 ID:adR4/.tU
306 :
Nana:02/07/27 12:59 ID:RWy1tW42
くまんばちーー!!懐かしいな〜
307 :
Nana:02/07/27 14:14 ID:a4uzNjuY
オサーン!!!!(ナキ スイトラって…、もうすぐ完結ですね。生姜さん頑張って!!
308 :
Nana:02/07/27 19:34 ID:kmGo3ywk
道化師麺、悲惨(ナキ
同士討ちかよ…
309 :
Nana:02/07/27 19:36 ID:c39a2ZMw
ageちゃったスマソ…
「はーい、終了ーーっ♪」誰かが言った。
びくっと体を震わせ、潤は振り向き、そして見た。
色の抜けきった綺麗な白金髪の髪を雪に濡らしたYURA(Psycho le cemu・Dr) が自分を見下ろし、その手が拳銃を構えているのを。
その綺麗な顔に、心の底からの笑みが浮かんでいるのを。
ぱん、ぱん、と乾いた音が二度鳴り、潤の右こめかみに二つ穴が開いた。
潤の体は、TAKEOに折り重なるように倒れた。額の穴からは血が溢れ出し、顔を伝う。
YURAは、AKIRA(Plastic tree・G) から手に入れたスミスアンドウエスンM19・357マグナムを降ろして、言った。
「最高♪もう、ホントに最高でしたよ潤さん♪」
潤の体を軽く足で払い、YURAはその下のTAKEOの顔に視線を移した。
そして、会心の笑みを浮かべた。
「ホンットに世紀の名演♪僕、貴方ほどの名俳優を知りません♪まさか、ここまでやってくださるなんて♪………ククク」
笑いが止まらないYURAは、雪に濡れた前髪を鬱陶しそうに掻き上げながら、その場にしゃがみ込んだ。
「TAKEOさん、久しぶりですね♪さぞかし満足でしょう♪やっと見つけた大切なメンバーと一緒に死ねて♪」
だが、口調とは裏腹にやれやれというように頭を振ると、潤が取り落としたスミスアンドウエスンM59と、TAKEOが放りだした(これは
かつてYURAが持っていた)コルト・ガバメントを拾い上げるために、腰を浮かそうとした。
「ユ…ラ……」
YURAはギョッとした顔で声がした方に目をやった。笑顔が消えていた。
「TAKEOさん、貴方ホント、いい加減しつこいでございますよ?まだ生きてたんですか?折角なんですから潤さんにあっさり殺されて
いれば素晴らしい芸術になれたものを♪……そんなボロボロになってまでまだ生きてるなんて♪……どこまでも不運な人ですね」
TAKEOにYURAの声が届いたのか、届かなかったのか。TAKEOは虚ろな目で、言葉を押し出すように唇を動かした。
「YURA…お前には……キリトは殺…せない。せいぜい、気を……つけろ。俺がお前に言えるのは、それくらいだ…」
YURAは心底呆れ返っていた。
「TAKEOさん、状況理解してます?僕が潤さんを、そう、あと、アイジさんも殺したんですよ?その僕に、気をつけろって?ふざけすぎ
ですよ、それ。おまけに笑えないし――」
やっぱりこの男が考えていることは、俺には理解できない。半ば苛立ちながら、YURAはそう思った。同じドラマーとしてでも、TAKEOは
異質すぎる存在。所詮、最期まで分かり合える関係にはなれないのだ。
でも――。
「僕が止めを刺してあげますよ」
もともとあんたは俺が殺すはずだったんだしな。
TAKEOは微かに笑んでいた。YURAにはそう見えた。さっき潤を撃った、スミスアンドウエスンM19・357マグナムの引き金に指をかけ、TAKEOの額に狙いを定めた。
「誰も助けちゃくれない……人生なんて、そんなものでしょう?」
潤の手に渡る筈だった探査機端末をついでのようにパシリと踏みつけ、YURAはこのゲームの中ですらきちんと整えていた眉を顰めた。
「そんなもんですよね………TADASHIさん」
TADASHI(Plastic tree・Ba) は助けてくれた。自分を。あまり面識のない後輩である自分にも心を開き、自分と出会うまで一緒にいた
同じメンバーのAKIRAの言うことではなく、自分の言葉を鵜呑みにして自分の盾になって自分を救い、そして、自分をひとりにした。
否、TADASHIにとどめを刺したのは自分だったのだが。
目の前には、自分が作り上げた死体が一つ。そして、これから作ろうとしている死体が一つ。
ふつうなら、男二人で心中なんて、まっぴらだ。
ああでも、長年一緒に苦労を共にしてきたメンバーだったら、まだマシですか?だからTAKEOさん、アンタはこの期に及んでそんなに
笑っていられるんですか?
羨ましいけど。俺にはもうそんな奴がいないことが、妬ましいけど。
でもね、TAKEOさん。TADASHIさん。
やっぱり、誰も助けちゃくれないんですよ。誰も助けちゃくれないのに………助けようと差し伸べた手を、銃や刀でめちゃくちゃにされる
だけなのに。
アンタら、どうしようもなくおめでたいよ。おめでたすぎて、心の底から腹が立ちますね。
YURAは、端末を踏みしめていた足をどけた。無惨に粉々になった端末は、もはや、何の役にも立たない。
「さよなら、TAKEOさん。アイジさんと潤さんに、宜しくお伝え下さい。あと、うちのメンバーにも…」
その時、YURAは、ぱららららら、という古びたタイプライターのような音を聞いた。
同時に、背中にいくつもの衝撃が跳ねた。銃弾が上体を貫通し、すっかり泥と血で汚れてしまった衣装が大きく裂け、血が噴き出していた。
足がよろけるのがわかり―――すぐに、体の中に焼けぼっくいを押し込まれたような熱の感覚が膨れ上がった。
YURAの頭を占めたのは、しかし、その痛みによるショックよりも、そんなばかな―――という気持ちだった。この足元がぬかるんだ中、
背後に忍び寄る誰かの足音が全く聞こえないなんて、そんなばかなことがあるだろうか?
純粋に銃弾の衝撃で体が反転し、TAKEOや潤が横たわっている水たまりへ倒れ込む瞬間、YURAは見た。
いったい、何人の血を吸ってきたのだろう。血染めのシャツの男が立っていた。漆黒の髪、同じく漆黒の瞳、瓜実顔に厚ぼったい唇を
持った、一見おとなしそうに見える、だが双眸は血走り爛爛と輝いて、荒い息を吐きつづけている男―――キリト(PIERROT・Vo)が。
生暖かい息を吐きながら、キリトは仰向けに倒れたYURAの頬をイングラムで突いた。
反応はない。YURAの手からスミスアンドウエスンM19・357マグナムを奪い、そのまま前に歩もうとした―――
「うああああああああああああっ!」
今まで発したことのない叫び声とともに、YURAがスタンガンでキリトの背後に襲いかかる。らしくなく不意打ちを喰らい、キリトは
たったいま手にいれたばかりの銃を取り落とした。
その隙を逃さず、YURAは銃を拾いながら、最後まで持っていたカマを振りまわす。そこらじゅうにある合板を投げ飛ばしながら逃げる
キリトに、YURAは容赦なかった。ついに廃棄物となったベルトコンベアまで追い詰め、キリトの心臓当たり目がけて、拾ったばかりの
スミスアンドウエスンM19・357マグナムをありったけ撃ち込んだ。
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ。
キリトの身体が、人形のように跳ねる。
―――この、化け物め!
自分ももう十分に銃弾を浴びていたが、YURAは勝利して喜ぶよりも寧ろ怒り狂っていた。
その瞬間、まったく一瞬のうちに、YURAは考えていた。いつから人の助けなどいらないと思って生きてきた?
何も理解しようとしてくれない周囲。家族、友達、担任、近所、社会。いつでも、いつになってもYURAの周りは変わりはしなかった。
周りが変わらないのなら自分が変わろうと、様々なアイデアを出して革新的なことをすれば途端に叩かれ、そっぽを向かれた。すべて
わかっていてくれると信じていたメンバーでさえ、時にはYURAの言葉に戸惑いを覚え、その歩みを止めようとした。
どうして、同じ物を見てくれないんだ?ここには、こんなに素晴らしい景色があるのに!!
革新的なYURAの周りの保守的な全ての物が、少しずつ、いやはやたっぷり、YURAから奪っていった。与えたのはただ、お前にはついて
いけない、という言葉と、それでも無尽蔵に溢れ出る振り付けと、アイデアだけ。でもそんなものは役に立たず、ついにYURAは、抜け殻に
なってしまった。
―――俺は、おれは、絶対に生きのびる。おれは、ただしい。ぜったい、まけな………!
ところが、とっくに撃ち殺した筈のキリトが―――笑っていた。あのいつものように不敵な、自信に満ちた笑みで。
一体、どうして?
「――気が済んだか?」
キリトはゆっくりと態勢を立て直し、静かにそう言った。
ひどく、酷薄な笑みが浮かんでいた。
「テメエだけは、許すわけにはいかない」
その時、YURAは気付いてしまった。キリトが、防弾チョッキを着込んでいると言うことに。
ひるんだYURAになおも笑いかけ、その色白の腕からは想像もできないような力でキリトはYURAがスタンガンを握っていた左腕と、彼に
致命傷を与える筈だったスミスアンドウエスンM19・357マグナムを持った右腕をぐっと掴みあげ、そしてこれまた見た目からは想像も
付かない脚力で、器用にYURAの胸倉を蹴り上げた。
キリトの手の内で今しがた奪ったばかりのスミスアンドウエスンM19・357マグナムが火を噴き、体勢を崩したYURAの体に、一つ一つ、
穴をあけていった。
YURAがどう、と倒れる。ぴくりとも、動かなかった。
それを見てから、キリトは何事もなかったかのような足取りでTAKEOに歩み寄り、傍らに片膝を付いた。
「TAKEO」
「―――」
既に視力を失い、虫の息だったが、それでもTAKEOはキリトが近づいてきたことに気付いて、うっすらと微笑んだ。
「すまない。……潤とアイジを宜しく頼む。俺は……KOHTAを助けに行くから」
「―――」
TAKEOは、頷いたようだった。
TAKEOは知っていたのだ、YURAの背後にキリトが迫っていたことを。だから、笑んだのだ。
「助けに…だって………」
同じく虫の息のYURAが呟いた。そして、腹の底から、おかしそうに笑った。
「はは、あははははは、あはは……ふ、アンタらもみんな死ぬんだよ、みんなみんな………死んでいくんだよ」
「黙れ」
キリトはYURAの言葉にみじろぎもせず、いささかも動じず、今度はイングラムM10を打ち込んだ。
男前ともてはやされ、その美貌を褒め称えられるYURAの顔から胸にかけて、縦一列に穴が空いた。常に女性ファンたちの垂涎の的だった
白皙の面貌は、いまやキリトの銃弾の的となり、見事に的は弾け飛び、まるきりストロベリイ・パイを投げつけれらたような状態になった。
今度こそYURAの体が銃弾の勢いで吹っ飛び―――背中が濡れた地面にどっと当たった。当たったときには、事切れていた。いや、もう
とっくに死んでいたのかもしれない。肉体的にはその数秒前に、精神的には、はるか遠い昔に。
「TAKEO………潤……」
キリトは振り返る。
だが、既にTAKEOは眠るように息を引き取っていた。そして、YURAに撃たれた潤の方は、即死だった。
二人とも、綺麗な死に顔だった。
とてもとても、安らかで、穏やかだった。
「―――」
その時初めて、キリトの目から、一筋の涙がこぼれ落ちる。どうにも、こらえられなかった。
アイジが、逝ってしまった。そして、更にまた二人も―――
崩壊していく、何もかもが。
キリトの表情に乏しい顔に浮かんでいるのは、間違いなく、絶望感。
だが、その胸の奥にははっきりとした意志が生まれていた。
KOHTAを、助けなくては―――
正気と狂気のパラドクスの中で、キリトが今やるべき事はただ一つだった。
318 :
Nana:02/07/28 01:54 ID:w9jgAWoA
TAKEOさん素敵!!(ナキ
そしてやっぱりキリトはKOHTAを助けに行ってくれるのね!!
>生姜さん
夏バテに負けないで下さいね!
319 :
Nana:02/07/28 02:08 ID:Cwd7fq7s
きりとぉぉぉぉ!!
320 :
Nana:02/07/28 02:54 ID:YB0X0qKE
ドキドキ・・・
321 :
Nana:02/07/29 11:00 ID:m.A8HOs6
・゚・(ノД`)・゚・
緩い斜面を吹き下ろす風に混じった意外な匂いに、Gacktは思わず風上を仰いだ。
固形スープかなにか、そういう匂いだ。普通に考えればごくありふれた匂いなのだが、いまこの場ではたとえば血か硝煙ならそちらの
ほうがずっと当たり前に思えるだろう、まったく忌々しい話だが。
ともあれ煮炊きをしているというのはつまりそちらに間違いなく誰かいるということだ。
誰か――敵が、殺すべき相手が。
理性のレベルではよくもこんなときに呑気に調理などする、と皮肉めいた感想を抱いたのだが、もっと奥深いところでは全く別の感情が
動いた。
このくそ下らないゲームが始まって以来、あまりに多くが死に過ぎている、親友すらもはや生きてはいないのだ。
人間らしさとおよそかけ離れたこの状況ゆえの、端的に表現するなら人恋しさだった。
どちらに従うにせよ、Gacktの選ぶ方途はただひとつしかあり得なかった。
匂いの源を辿る、探し当てる。その先を具体的に想像はできないが、きっとこの手は引き金を引くのだろう、というある種の諦めが胸中を
よぎる。
なにしろYASU(FAIRY FORE・Ba)と遭遇し、そういう結果になってからまだ幾らも経ってはいないのだ。
苦い笑みの残滓を口元に留めたまま、Gacktは道を逸れ、茂みを分けて斜面を登り始めた。
大した距離も進まぬうち、丘の頂上近くへ至ったGacktの前に、草木に埋もれるようにして建っている荒ら屋が現れた。
道も消えているし棄てられてかなりの時を経るのだろうがまだ家の形はしている。
そちらへ近付きかけて、Gacktは足を止めた。
膝下あたりの高さに、糸が引かれているのに気づいたからだ。
下生えに紛れるように張られたそれは明らかにトラップワイヤーと見えた。
廃屋をぎりぎり視認できるまさに絶妙の位置、建物に意識のおおかたを割いて迂闊な一歩を踏み出せば見事に引っかかるという寸法だ。
トラップといっても地雷か手榴弾でも支給されたのでなければGackt自身がかつて仕掛けようかと考えたそれがそうであったように
鳴子どまりだろうが、わざわざ引っかかって確かめるほど馬鹿な話もないだろう。
認識してさえいればトラップ自体を避けるのは容易いが、そのあとはどうなることか。
待っている相手は偶然頼みで今までを生き延びたわけではない、それなりの意思と能力とを備えているのに違いなかった。
Gacktは左手を後ろに回し、右手にぶら下げているデイパックの中身を確かめた。
デイパックの中には様々な薬品――それは、人を生かす物もあれば殺す物もある――が入っている。使い方さえ上手くやれば、最期まで
立っていられるのは自分だけなのだ。
唇を引き結んでGacktは顔を上げ、廃屋の方を睨んだ。
とうに覚悟は決まっていたはずなのに、踏み出すまでには若干の時間が要った。
その足も三歩目には下生えとは異なる感触の抵抗を感じて止める羽目になった。
張られた糸、二段構えの警報装置。
考えていた以上に容易ならぬ相手なのだとGacktが思い知ったと同時にどこだろうか少し離れたところでがらん、と音がした。
「誰だッ!」
間髪入れず鋭い声が響く。マシンガンを握ったKOHTA(PIERROT・Ba)が姿を見せた。
意外と細身の体躯を覆う衣装はかなり傷んでいるしその下からは包帯らしき白色が覗いている。
KOHTAはさっと首を巡らせて、Gacktの視線とぶつかったところで止めた。
「Gackt、さん……?」
KOHTAは拍子抜けしたような声で呟いた。妙な反応だ。
だがそんなことはどうでも良かった。空き瓶にアルコールを詰めた即席の火炎瓶をそちらへ向ける。
早口にKOHTAが声を張り上げた。
「待って――待ってください! 俺達、殺し合う必要なんかないんですよ!」
今更何を言っているのか、Gacktはそう思った。
それに――もしお前にないとしても俺にはある、必要が。事故とはいえ、TAKAが死んだ一因はお前にもあるんだ――
その思いに突き動かされるまま、Gacktは火炎瓶に火を付け、狙いを定めて投げつけた。
しかし激しく蒼い炎を吹き上げる火炎瓶は柱の古びた肌にぶつかって砕け、瞬時に赤い炎へと姿を変えてむなしく柱を燃やすのみに
留まった。
素晴らしいとしか言いようのない反射神経でKOHTAは柱の陰へ引っ込んでいたのだ。
「ちょ……Gacktさんッ!」
しかしKOHTAはすぐにまた顔を出した。声が続く。
「脱出できるんです、方法があるんです!」
世迷い言を、と再び2個目の火炎瓶に手を掛け、けれどGacktはそれを止めた。
Daishi(Psycho le cemu・Vo) とLida(Psycho le cemu・下G)を思い出したのだ。彼らが展望台で呼びかけを行ったのは―― そして誰の
応えも得られぬまま命を落としたのは、もう遠い昔のように思えるがしかしたかだか二日前のことだ。
KOHTAの言葉は彼らに似ていた、その事実のもたらした感傷がGacktをためらわせた。
しかし躊躇の生んだ間に、Gacktの理性は彼らとKOHTAの決定的な相違に気付いた。
『脱出できる方法がある』、KOHTAはそう言ったのだ。
KOHTAはすでにマシンガンを引っ込めていた。Gacktが撃たないことに力づけられた風に続ける。
「ここから逃げ出せるんです、逃げるって言ったら聞こえは悪いですけどこんな腐れゲームのルール、馬鹿正直に守るこたない。だから」
「……だから?」
反問しながらGacktはデイパックの中に突っ込んでいた左手をそっと出した。
この話は聞く必要がある、KOHTAが本気で言っているのなら。具体的な方法次第では、優勝を目指すよりも合目的的であるかもしれない
のだ。Gacktにとってはもとよりこのゲームの優勝は手段であって目的ではないのだから。
Gacktが聞く素振りを見せたためだろう、KOHTAは目に見えて安堵した様子で言葉を継いだ。
「俺、SUGIZOさんと一緒にいるんですけど――そのSUGIZOさんが、裏をかく方法を知ってるんです。ゲームのシステムの、穴を
利用するんです」
それは全く具体的でない物言いだったが、看過できない情報を含んでいた。
「SUGIZO…さんも、一緒なのか」
「そうです、それと、Jさんも」
その言葉を待っていたようにその二人が姿を見せた。
いや、待っていたようだったのは正しくない。
二人とも、仕方なくといった様子が見て取れた。
その無表情や手にある銃はワイヤートラップの印象とすんなり結びついた。銃口はGacktに据えられていたのに違いない。デイパックから
手を引っ込めるのがいま少し遅れたなら火を噴いてさえいたかもしれなかった。
「それで――脱出の方法というのは」
SUGIZOに向けて訊ねながら、Gacktは三人を見比べた。
やりあうことを考えるなら、三人という相手の数がそもそも問題だった。Jは動けるのが不思議なくらいの深手を負っているにもかかわらず
その目は殺気を帯びているし、何せSUGIZOは前回の優勝者だ。仕切り直せたにせよ不意を打つのは難しく、果たしたとしても全員を殺して
のけてなおかつ自分が殺されないというのはほとんど不可能だろう。
つまり――それでは元の世界に帰れないのだ。
折角TAKAの遺体が教えてくれた“秘密”も、生かすことが出来なくなる。だったら――
よほどでなければこの話に、一口乗せてもらうよりほかない。
「悪いが、今はまだ詳しくは話せない」
意外でありまた奇妙でもある答えにGacktは目を瞬いた。
これは一体……どう判断するべきだろうか?
「敵を欺くにはまず味方から、というだろう? お前さんも味方に数えてるってことさ」
冗談めかして言いながらSUGIZOは、自らの首に填められた銀の輪を指し示した。
なるほど、と思わず言葉に出ていた。
このいやらしい首輪には発信器やら爆弾やらいろいろ仕込まれている、ついでに盗聴器の類も積んである。
Gacktは勿論その事を知っているし、前回優勝者であるSUGIZOもその事を熟知しているのだろう。
脱出にはシステムの穴を利用すると確かKOHTAはそう言った。間に合わせでもそれを塞がれるとまずいということなのだろう。
というより、まさか、SUGIZOの考えていることは――
そこまで思い当たって、Gacktは急にはっとしたように頷いた。
「じゃあこれだけ、聞かせて下さい。……可能性はあるんですね?」
「――確実とは言えないが、それなりの成算はある」
SUGIZOの瞳は真摯な色を湛えている。嘘や出任せにはとても見えなかった。
とはいえ、これはGacktにとって大きな賭けだ。
「……………」
暫く瞑目して悩んでから、Gacktは目を開いた。
どちらにせよ、手を取らないのなら、どちらかが消えなければならないのだ。
だったら、より可能性のある方に掛けた方が、お互いのためというものではないか?
「……先刻は、悪かったな」
言いながらGacktはKOHTAへ右手を差し出した。
KOHTAの顔がぱっと輝く。がっちりと手を握り合って、これで同盟の成立だった。
闇に包まれた夜の街を黒塗りの高級車が疾走する。スモークガラスに覆われて、外から中の様子を伺い知ることは出来ない。
その車の後部座席で悠然と構えていた男はふと、振り返った。その視線の方角、その先にはついさっきまで自分がいた邸がある。
闇の中で、ライトアップされる新しい建物。
彼は、そこの主だった。
男はゆっくりと向き直り懐から携帯電話を取りだした。
ボタンを押して1回…2回…きっかり3回目の呼び出し音が終わった後、相手が出た。
「そうか、もうそんなところまで…。いいね、ほぼ理想的な展開じゃないかね。予定通りいけそうじゃないか」
「…そうか。では、いよいよ……か」
「分かった。では……」
シンプルながら品のいい調度品に彩られた車内で、短い会話を終えた男は端末を置くとすぐさま別の番号を押し、幾つかの簡潔な指示を出した。
数刻後。某港から、なにやらトラブルが発生したとかでしばらく足止めを喰っていた貨物船がゆっくりと出航していった。
その船の乗員は船乗りにしてはいささか目つきが鋭すぎたし、何より貨物船というにはいささか物騒な荷物が積み込まれていたのだが−。
その事に誰も気づかぬまま、何事もなく貨物船は沖へと進んでゆき、そして港からは完全に見えなくなった。
見張り位なら大丈夫だからと言い張るJにとりあえず任せて、KOHTAはSUGIZO、Gacktを伴って屋根の下へ戻った。
求めるまでもなくGacktは武装解除を申し出た。
「でなきゃ話もできないだろう」と皮肉でもなさそうに言う様子、KOHTAにはそれだけで目の前の相手は信ずるに足ると思えた。
ただ、Gacktの携えていたものはとても“武器”と呼べるような物ではなかった。ある意味、とても有意義な物ではあったけれど。
大量の傷薬、内服薬、そして様々な医薬品、化学薬品、基本的な医療器具…
少しGackt自身によって手を加えてある化学薬品もあるようだが、それがなんなのか、KOHTAにはさっぱり分からなかった。
SUGIZOは幾分鋭い目つきでそれらの薬品の入った瓶や、Gacktが調合した薬を手に取って見ていたが、ふと、調合の際にでも使ったのか、
ノートにびっしりと書き加えられているメモを見つけて読み始めた。
「ふうん、お前、薬品に詳しいんだな」
「ニュースでやってたのを思い出したりしてね…まあ、素人技だけど」
Gacktがそうすげなく言うと同時に、ページをめくるSUGIZOの手が一瞬ぴくり、と止まった。
「SUGIZOさん?どうかしたんですか?」
KOHTAがそのSUGIZOの異変に気付いて声を掛けると、SUGIZOは「…いや」と呟くように言った。
そのSUGIZOの視線が鋭くGacktに向いていたが、KOHTAは気付かず、そのままGacktに向かって言った。
「信じてもらえて……嬉しいです」
言いながらKOHTAはSUGIZOを見やった。
SUGIZOは頷くでもなかったが、口を挟みもしなかった。消極的だが肯定だ。なんのかの言いつつもSUGIZOはJは勿論、KOHTAを真実案じて
くれている。危険だと判断したら口でも手でも出すだろう。それをしないのだから。
おおかたそのような気配は読みとったのだろう、Gacktも表情を緩めた。
「こっちこそ。――じゃ、情報交換と行こうか」
KOHTAは頷いた。死人はともかく、危険人物を確認することには大いに意義があった。
とはいえすべては過ぎたことで、それでいて過ぎたというにはあまりに生々しくもある。KOHTAとしてはそれらを逐一つまびらかにする
ことに意味があるとも思えなかったしGacktも同様だったらしい。互いに話は事務的に進め、経緯はごく大雑把にしか触れなかった。
誰が死んだか、誰が危険か、ほぼその羅列だ。いや、羅列というほどの数もない。
聞いたのはYASUが死んでいること、話したのはPsycho le cemuのYURAとそしてキリト――これはKOHTAにとって今一番辛いことなのだが
――は危険だということだけだ。
「サイコのYURAに……キリト、か。そうだな、あいつらはかなりやる気だからな」
Gacktはそう呟いて小さくひとつ溜息をついた。
そのGacktの呟きでKOHTAは、あ、と気付いた。そう、Gacktは元々アイジや潤同様、河村の手伝いをしていたのだから、それ位の情報は
知っている筈だ。それに、冷静に考えれば彼も裏切り者なのだが――
「教えて下さい、Gacktさん」
「――何?」
それでも酷く切羽詰まった声を、思わずKOHTAは出した。
「アイジと潤くんは…その、本当に自分たちから、率先して参戦したんですか?」
「そう思う?」
そう言うGacktの声がひどく疲れたものに聞こえたのは気のせいだったろうか。
「俺には信じられないんです、どうしても……」
考えたら、アイジと潤に始まり、ゲームに乗ってしまったキリト、そんな彼らを探しに行ってしまったTAKEO――と、KOHTAの心痛は、
並々ならぬ物だ。SUGIZOはそれを思ってか思わず眉を顰めたが、Gacktは冷静に言った。
「アイジくんは、河村のきまぐれで突然参加させられた。彼は咄嗟に反抗しようとしたけど、ダメで、そのまま放り出された。その後、
潤くんと僕が、やっぱり騙されたような形で参加させられた。――ああ、潤くんは、ひどく怒っていたかな」
淡々とそう言うGacktに、KOHTAはどこかで救われたような思いになる。
ああ、やっぱり、二人とも心から裏切った訳じゃなかったんだ――それだけで、KOHTAは心が軽くなったような気がした。
勿論、どうせこうなるんだったら、二人とも裏切ったりなんかしないで最初から俺達と一緒に――という悔しさも同時に生まれはしたが。
どちらにせよ、これまでに起きてしまったことはいまさら取り返しのつこうはずもない。アイジも戻っては来ない。
考えるべき、話すべきはこれからのことだ。
それをKOHTAが言おうとした途端だった。
「SUGIZO、KOHTA!」
若干興奮した声を上げながら、Jが不自由な体で蹌踉めくように飛び込んできた。KOHTAやSUGIZOが問うより早く、せき込んだ調子でJは
続けた。
「煙が……煙が上がってるぞ、二つ」
その言葉に、KOHTAは反射的に立ち上がっていた。そのままの勢いで外へ飛び出す。
ぐるり周囲を見渡すと、黄昏の薄暗い空に揺れる二筋の煙が確かに見て取れた。
「TAKEOくん……!」
KOHTAは思わず、無事な右手でガッツポーズを作った。
この土壇場でTAKEOという新たな仲間を得たことは心強くまた幸先がいいように思えた。
だから、と続けるべき相関のあるわけもないのだが、それでもKOHTAは思った――
だからきっとTAKEOくんも潤くんを見つけて、ああして合図を送ってきたんだ。それとも、もしかしたら――!!
元気な、やかましい玩具的な騒音が響いた。SUGIZOの光線銃だ。SUGIZOは時計を見ながら、きっかり15秒鳴らしてそれを止めた。
「たぶん、これでもまあまあ近くまで来ないとこの音は聞こえない。もうしばらく中で待とう」
SUGIZOにそう促されて、KOHTAは廃屋へ戻った。
「……そしたら、光線銃を鳴らすと。合流して、一緒に逃げ出そうって事で」
Jの話す声が耳に入ってきた。そういえばその話はしていなかった。Gacktはさぞ面食らっただろう。
「潤を見つけたんだな、TAKEO」
Jはそう締め括り、なあKOHTA、と微笑を浮かべて振り返る。
KOHTAも笑い返しかけたところで、Jは笑みを消した。不思議に思ってSUGIZOを顧みると、SUGIZOの顔も笑ってはいない。
「SUGIZOさん――?」
SUGIZOは誰とも目を合わさず、低い声で呟いた。
「TAKEOは……潤の死体を見つけたのかもしれないと、思っただけだ」
虚をつかれた感じで、KOHTAは絶句した。
「そんな……」
Jがやや凹んだような表情で呻く(そういえば同じ名前だ、気分が悪いことだろう)。SUGIZOはなお続けた。
「仮に死体じゃなかったにしても――」
SUGIZOはそこまでで口を噤んだが、Gacktが苦いものでも呑んだような表情をして、それでなんとなくSUGIZOの言葉の先がKOHTAにも
想像できた。
気がついてしまえば自分がGacktのような反応をしなかったことが不思議なくらいだった。
よく知っているはずの誰かが、似ても似つかぬ何者かに変じている―― たとえばKOHTAにとって最悪なことにキリトがそうだったように。TAKEOの前にそのような潤が立ったのかもしれない。煙が上がった以上TAKEOは無事なのだろうが潤もそうとは限らないのだ。
「まあとにかく、TAKEOがここへ辿り着けるように祈るとしよう」
言われなくともKOHTAは祈った。TAKEOが潤と一緒に戻ってこられるように。
もう、アイジの時のような思いも、キリトに対するような思いも、したくない。
自分が生きているという稀有の僥倖に感謝すると同時に、それはどうしても抱えなくてはならない思いなのかも知れないけれど――
「まあ……なんにしてもYURAとは、もしかしたら――キリトともやりあうことになる。そのときは、KOHTA――容赦なくやれるな?」
SUGIZOの瞳は真剣だった。
キリトに居場所を知らせるような真似をしたらどうなるかはDaishiとLidaの件で思い知っている。YURAも、どんな姑息な手を使ってくるか
分からない。それ以前に、彼らとやりあって、こちらが全員無事で済むという保証など全くないのだ。KOHTAが躊躇って死ぬのがKOHTA
ならいいが(いや、良くはないが)、JやSUGIZO、Gackt、あるいはTAKEOや潤を危険にさらすことになるかもしれないのだ。
「わかってます」
KOHTAは言って、頷いた。
でも、まだKOHTAには、一縷の望みがあった。キリトが、あの時自分の弟であると知らずに襲ったかも知れないと言う可能性――あの時の
あの暗闇では、十分あり得る。なんせ、KOHTA自身も襲われておきながら気づけなかったのだから――それに、実はまだKOHTAは心の
奥底で期待していた。
334 :
Nana:02/07/30 00:35 ID:rqWAHr2A
うぉー!
リアルタイムで読んじゃった。
生姜さん乙!
なんかコータがかわいいぞ!
335 :
Nana:02/07/30 04:13 ID:4y5JykGo
杉とガクト・・・色んな意味で濃い・・・
336 :
Nana:02/07/30 20:00 ID:JrqOWNY6
小野瀬はどうなるんだろ(´д`;)キニナルー
337 :
Nana:02/07/31 20:25 ID:robXCvCI
ぁ!生姜さん、お待ちしてました(ナキ
切ないのぅ…
338 :
Nana:02/08/01 08:12 ID:fHG4wQDE
>335
奴隷としては杉と小野瀬が行動を共にしているということの方にウケル(ワラ
どうなるんだろ・・・がんがれ生姜さん。
339 :
Nana:02/08/01 08:48 ID:w5ZGoEqQ
>杉と小野瀬が行動を共にしているということの方にウケル
ハゲドー(藁
340 :
Nana:02/08/01 14:12 ID:hsuPRaUQ
今更全部読み終えた・・・
河村さんの逝きっぷりが素敵だ、すんげぇおもろい。
なんか裏が色々ありそうれすね〜更新楽しみにしてます(´∀`)
341 :
Nana:02/08/01 15:47 ID:osTYVWag
小野瀬なんか裏がありそうなんだが…(ワクワク
342 :
Nana:02/08/08 20:31 ID:D0g3FY12
保全あげ
343 :
Nana:02/08/08 21:29 ID:HeuGvspg
>342
うざいよ。
344 :
Nana:02/08/08 21:48 ID:j5kP7qOo
でた粘着
345 :
Nana:02/08/08 23:26 ID:v2xa0ME2
保全ageってダメなの??
346 :
Nana:02/08/09 00:03 ID:Hk9wial.
>345
当たり前ジャン…
鯖のこと考えなきゃ。
347 :
Nana:02/08/14 12:13 ID:tjUPQ/NH
最近出た雑誌の表紙が河村さんで、見ていてここの河村さんを思い出した(w
逝っちゃってるかんじが(w
348 :
Nana:02/08/15 01:26 ID:ATBzSLlk
保全はsageでもできます。みだりにageないように。
以 降 a g e た ヤ シ は 嵐 と 見 な し ま す 。
…って忠告しても小説以外読んでない困ったチャソって居るからなぁ…。
349 :
Nana:02/08/17 16:00 ID:ZNHPvY5q
続きまだかなー
350 :
Nana:02/08/17 20:30 ID:t5xPfwOG
スイトラそろそろだよー。
351 :
Nana:02/08/17 22:19 ID:MQLF+slb
焦らせてはイケマセヌヽ(´∀`)ノ
現実のスイトラは終了しても、このスレはマターリとやってったらイイんでないかい。
生姜さんラーみたいだし、今はツア回るので忙しいのかもしれないね。(´ー`)キナガニマツーヨ
352 :
Nana:02/08/18 20:20 ID:lYsF8eBQ
そうですよね。スマソ−。
353 :
Nana:02/08/24 03:40 ID:zslagtXm
保守。
354 :
Nana:02/08/24 12:22 ID:wGClvnGM
本日スイタラでごずぁいまぷ
355 :
Nana:02/08/24 23:08 ID:ZKNZovQw
保守
356 :
Nana:02/08/28 01:17 ID:90uQFF13
保守保守
357 :
Nana:02/08/29 01:16 ID:EHiHIs5B
このままだと落ちそうだな・・・ニガ
358 :
Nana:02/09/01 02:15 ID:6W9QwjEK
12月8日までに完結すればいいんじゃない?
生姜サン、頑張って〜
359 :
Nana:02/09/01 15:45 ID:SptsmGm8
夏が終るね…
生姜サンガムバレ!ヽ(´∀`)ノ
360 :
Nana:02/09/04 22:47 ID:GpIAk4zn
保守保守保守
361 :
Nana:02/09/06 18:10 ID:rE2oUhBy
ほっしゅ
362 :
Nana :02/09/07 17:43 ID:gKHDuOV+
保守
363 :
Nana:02/09/10 01:01 ID:R7RdRrx0
保守??
364 :
Nana:02/09/11 20:57 ID:13GAro0m
下がってるねーーーー保守しゅしゅしゅ
365 :
Nana:02/09/13 06:46 ID:Rrsb3iI3
(´ー`)y-оО 続きが気になりますなぁ
366 :
Nana:02/09/16 00:33 ID:CSB6vtc8
保守
367 :
Nana:02/09/17 02:10 ID:BW1ul8gr
保守
368 :
Nana:02/09/17 02:26 ID:TZSgW4gm
まだかしら・・・
369 :
Nana:02/09/18 19:54 ID:SrjONFnp
すげぇ・・・。
保守!!
370 :
Nana:02/09/19 22:57 ID:4U1UQ7At
371 :
Nana:02/09/20 23:45 ID:H6CB7ghT
>370
“イベントの名は「SWEET TRANCE」という。
明日、代々木でこのイベントが行われる。”
ってあったから・・・。
理由になってないかな。日本語弱くてゴメソ
372 :
Nana:02/09/21 01:10 ID:rGOcO5vk
>371
スイトラが12/9? にあるって事ですかね??
373 :
Nana:02/09/21 02:34 ID:oOPpMMD9
>372
昨年の代々木スイトラが12/8にあったじゃないですか。
漏れが言いたかったのはそのことです。
てか読み専がどうこう言える立場じゃないので
あまり深く突っ込まないでください。
そしてageないでください。
374 :
Nana:02/09/21 09:30 ID:bh5OayKk
うわーあげてるヤシがいる…
375 :
372:02/09/22 03:05 ID:7gppsEe5
ウワー――――(((;゚Д゚)スマソ
切腹して手首切って首ツッテ逝ってきマス…ゴメンナサイ
376 :
Nana:02/09/25 23:58 ID:AGGOSfED
ほぜーむ
377 :
Nana:02/09/28 00:14 ID:CyyyO8UB
保全
378 :
Nana:02/10/01 10:05 ID:M2KtizsK
保守
379 :
Nana:02/10/01 22:53 ID:OZaBy25l
素敵なぐらい下がってる・・・。
380 :
Nana:02/10/01 23:46 ID:QJfXtJ+1
スゴイさがってるね〜
でも上げません。保守
381 :
Nana:02/10/02 00:08 ID:RKQ/9B76
ぢゃぁあげてみたり……。
382 :
Nana:02/10/02 00:37 ID:ku1jehhP
383 :
Nana:02/10/05 00:42 ID:Gzfd0Lwe
保守
384 :
381:02/10/05 22:26 ID:chyjP8OT
今更ながらスマソ。
385 :
Nana:02/10/05 23:35 ID:+QHvoDCn
保守
生姜さん…
386 :
Nana:02/10/07 02:16 ID:aKt7hxte
ほっしゅほっしゅ!
387 :
Nana:02/10/07 23:56 ID:WuYo7dLX
生姜さん・・・
気になってしょうがないよ・・・
388 :
Nana:02/10/08 22:51 ID:LZAabYJK
つ、つづきを〜〜〜〜〜・・・
389 :
Nana:02/10/09 21:36 ID:s1y01a+8
つづきこないね〜
気になるわ
390 :
Nana:02/10/09 22:36 ID:SX9xAE2C
↑あーあ……
391 :
Nana:02/10/12 23:37 ID:OCCGTCQD
保守〜
392 :
Nana:02/10/16 01:55 ID:Hs0aTkNm
保守。
393 :
Nana:02/10/17 21:38 ID:QqXjsK2/
保守
394 :
Nana:02/10/18 15:44 ID:wpNPIKzB
保守
395 :
Nana:02/10/20 10:05 ID:tPMqizVd
保守
396 :
Nana:02/10/22 03:09 ID:EsifCZQZ
保守。
生姜さん頑張って〜
御多忙なんでしょうなぁ(アセ
397 :
Nana:02/10/25 19:11 ID:EKmMP+c4
ヘ(´Д`)ノ ホシュ
398 :
Nana:02/10/25 21:00 ID:8iJrncoa
保守
399 :
Nana:02/10/27 09:31 ID:EKQLkcDc
保守。
400いただきます☆ζбνб)
401 :
Nana:02/10/30 12:02 ID:1+7X6hB2
保守
402 :
Nana:02/11/01 12:43 ID:Mk6Pzszp
ヘ(´Д`)ノホシュヘ(´Д`)ノ
403 :
nana:02/11/02 16:45 ID:doY7zql0
保守
404 :
Nana:02/11/03 04:43 ID:BupfhjIE
保守
405 :
nana:02/11/04 09:06 ID:0cHF0AqS
保守
406 :
Nana:02/11/04 21:23 ID:NH2AaHdF
保守。
407 :
nana:02/11/05 09:06 ID:VXxY2YyY
保守
408 :
Nana:02/11/05 18:18 ID:uniLiBq9
保守
409 :
Nana:02/11/05 21:28 ID:3jiXR5mC
なんかみじめですよーーーーー
410 :
nana:02/11/06 10:10 ID:TM02Eu56
保守
411 :
Nana:02/11/06 19:30 ID:R2iNCjkC
保守
生姜さーんっ。早く戻ってきてーっ。
412 :
nana:02/11/07 11:02 ID:tlCvovx5
保守
413 :
nana:02/11/07 15:24 ID:h3Tms1rU
保守
414 :
Nana:02/11/07 22:06 ID:ZoFQPvmY
保守。
415 :
nana:02/11/08 07:08 ID:G/Y0eFWu
保守
416 :
Nana:02/11/08 16:08 ID:wQf4m74M
保守
417 :
Nana:02/11/08 17:57 ID:pVVOrPhl
続きが待ち遠しい。
418 :
Nana:02/11/08 22:28 ID:N3N3zhc6
保守〜
419 :
Nana:02/11/09 00:47 ID:qH+qF5ab
保守
420 :
nana:02/11/09 07:54 ID:CeG1zOAC
保守
421 :
Nana:02/11/09 22:59 ID:7EaM+liH
そろそろやばいぞ
422 :
Nana:02/11/10 00:29 ID:0kcWtbkX
生姜さん……
dat落ちしちゃうよ(つД`)
423 :
nana:02/11/10 09:17 ID:k+IE7+hS
保守
424 :
Nana:02/11/10 14:42 ID:puMdYlf8
保守
425 :
Nana:02/11/10 15:04 ID:R/bTZjO/
あ
上がってる・・・
保守。続き気になるよ〜。
生姜さーんっ。カムバーック
426 :
nana:02/11/10 17:36 ID:6eOQ/nCp
保守
1日1回の仕事になってますw。
427 :
nana:02/11/11 02:38 ID:ETcTm5/2
保守
428 :
Nana:02/11/11 12:10 ID:nV79QrDL
保守
429 :
Nana:02/11/11 21:59 ID:7LcqKRHs
保守
430 :
Nana:02/11/11 23:55 ID:86wI6V9W
保守
431 :
Nana:02/11/12 05:50 ID:VNzFl1wB
保守
432 :
nana:02/11/12 08:13 ID:uvv+eA0a
保守
433 :
Nana:02/11/12 16:59 ID:uCpTuH6c
保守
434 :
Nana:02/11/12 21:14 ID:uCpTuH6c
保守
435 :
nana:02/11/13 00:03 ID:1cds0d46
保守
436 :
Nana:02/11/13 08:17 ID:VAf0HoSF
このまま1000まで保守・・・なんてことはないよね(TдT)
437 :
nana:02/11/13 09:13 ID:6xbKMhg0
保守
438 :
Nana:02/11/13 09:22 ID:3NvepwVn
一日に何度も保守する必要はあるのか?
という自分も回してしまったので逝ってきます
439 :
Nana:02/11/13 11:51 ID:nmJkeW1k
それだけみんな続きを待ってるってことさ。
440 :
Nana:02/11/13 12:46 ID:La//RbT0
生姜サン早く帰って来てホスィ・・・(・д・)
441 :
Nana:02/11/14 06:33 ID:y/fuakAP
かむば〜っく生姜さ〜ん。
442 :
Nana:02/11/14 19:57 ID:1kXPV4aI
保守
443 :
Nana:02/11/14 23:33 ID:oyw/TOjQ
生姜さん戻ってきて〜
444 :
Nana:02/11/14 23:34 ID:HBf7HuP0
生姜さん戻って来て〜
445 :
nana:02/11/15 09:49 ID:T7OUubYm
保守
446 :
Nana:02/11/15 17:53 ID:GF3Fnp6x
保守
447 :
nana:02/11/16 12:36 ID:Wsm0PKuz
保守
448 :
Nana:02/11/17 03:17 ID:K1CBn7za
待ちつづけて早何ヶ月だろう・・・
449 :
Nana:02/11/17 12:42 ID:HJcmtqLd
み、み、みじめだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁああああ
450 :
Nana:02/11/18 01:45 ID:Mad2OooM
この際誰でもいいから続きかいて〜
451 :
Nana:02/11/18 15:18 ID:RMGmXq44
保守
452 :
Nana:02/11/20 12:29 ID:MHhe7Hli
>>450 漏れは生姜さんのが読みたい。
勝手に上げちゃって申し訳ないけども
生姜サン見てたら復活して下さい(w
453 :
Nana:02/11/20 17:27 ID:7CxTpgf9
保守
454 :
nana:02/11/20 21:57 ID:hIG6maSb
保守
455 :
Nana:02/11/21 05:06 ID:nFBcFP9B
保守
456 :
nana:02/11/21 08:40 ID:+ZKxAHXa
保守
457 :
Nana:02/11/22 03:10 ID:uHcaQI3c
保守
458 :
Nana:02/11/22 20:01 ID:C6LTziKW
保守
459 :
Nana:02/11/23 03:59 ID:L2JPq9MG
保守
460 :
Nana:02/11/23 10:47 ID:EXgXt55f
保守
461 :
Nana:02/11/23 22:28 ID:fUnBVVVq
生姜サンもうここみてないのかなぁ・・・・ナキ
462 :
nana:02/11/24 18:46 ID:UvJjoOWu
保守
463 :
Nana:02/11/25 00:15 ID:OKLbwzzK
毎日更新されてたあの頃が懐かしいよ・・・ナキ
464 :
Nana:02/11/25 02:00 ID:P9CPL2rP
誰かが続き書いちゃうなんてだめかなあ・・・
465 :
Nana:02/11/25 02:43 ID:1tI0uSvg
漏れ的には、誰かが書くくらいなら、未完成で終わっちゃう方がいいなぁ
466 :
nana:02/11/25 11:34 ID:yn4xJi0j
保守
467 :
Nana:02/11/25 21:30 ID:k82qBEyl
保守
468 :
Nana:02/11/25 22:26 ID:71awSTpA
469 :
Nana:02/11/25 22:27 ID:71awSTpA
470 :
Nana:02/11/25 22:27 ID:71awSTpA
471 :
Nana:02/11/27 01:08 ID:vs56bcg5
保守 ナキ
472 :
Nana:02/11/27 20:57 ID:Es9TosJm
473 :
nana:02/11/27 23:24 ID:uFT/eRbC
保守
474 :
Nana:02/11/28 09:49 ID:MF59hxk+
475 :
Nana:02/11/28 22:37 ID:PLGttChD
476 :
Nana:02/11/29 12:02 ID:7VqpuWjx
477 :
Nana:02/11/29 19:36 ID:RUO+Ei51
478 :
Nana:02/11/30 20:11 ID:okWf6D60
保守
479 :
Nana:02/12/01 19:32 ID:g0KMalEc
age
480 :
Nana:02/12/01 21:54 ID:UHSeQjc6
481 :
Nana:02/12/02 00:02 ID:zXB+fuOt
保
482 :
Nana:02/12/03 20:45 ID:bpK+G32D
hosyu
483 :
nana:02/12/05 21:50 ID:Eykj4Ji1
ほしゅ
484 :
Nana:02/12/09 00:21 ID:YNoJBtGs
保守
485 :
Nana:02/12/11 16:52 ID:bHYjHvIV
保守
486 :
Nana:02/12/12 17:38 ID:f3/VssNF
保守
487 :
Nana:02/12/13 15:22 ID:j7hLkylE
保守
488 :
nana:02/12/14 20:18 ID:+YOda29w
保守
489 :
Nana:02/12/14 20:24 ID:fWK2Mhc5
保守・・・。
490 :
Nana:02/12/15 19:11 ID:wjbLxZiU
保守
491 :
nana:02/12/16 17:46 ID:TqvU7iIL
ほっしゅ。
492 :
Nana:02/12/17 08:59 ID:esnrBWfH
保守
493 :
Nana:02/12/17 16:58 ID:UK4RkrPN
ヤバイぞ・・・・そろそろヤバイぞぉぉぉぉぉぉぉぉんっ
494 :
Nana:02/12/19 13:31 ID:Wdzziwwj
あげ藁
495 :
Nana:02/12/19 13:40 ID:FqEBnRR7
こんなスレもう落とせよ
496 :
Nana:02/12/20 15:46 ID:Ztw7Dk84
だって続きが読みたいんだもん
497 :
Nana:02/12/22 17:08 ID:LiPM8vsQ
続きなんてもうねぇよ。
飽きたんだろ、生姜も。
最後まで書かないならはじめるなよ、まったく。
498 :
Nana:02/12/23 23:07 ID:Prz2ubBb
もうだめぽ・・・?
499 :
Nana:02/12/24 02:23 ID:JytfV1mz
もう無理だから落とそう・・・。
いつまでも続きないのにあげてるから鯖に負担かかってるし。
500 :
NANA:02/12/29 09:34 ID:oH6lIO4X
500ゲト…
鯖負担スマソ
501 :
Nana:03/01/12 02:24 ID:9tZCTySo
それでも保守
502 :
山崎渉:03/01/14 02:30 ID:AM5psYa6
(^^)
503 :
Nana:03/01/15 22:33 ID:VpR7bAuT
今の今まで生姜さんを生麦さんだと思っていた・・・・
504 :
Nana:03/01/19 20:23 ID:KGsTyCLs
hosyu
505 :
Nana:03/01/19 20:24 ID:6MsnntGd
このスレまだあったのか…
506 :
山崎渉:03/01/21 06:36 ID:OhmcMQX6
(^^)
507 :
Nana:03/01/21 12:25 ID:+HoAxdw4
生姜さん帰ってきておくれ!!!!!
こんな良い所で終わらせるなんてあんた罪な人だyo
508 :
Nana:03/01/25 00:36 ID:6z1Vv+c5
保守
509 :
Nana:03/01/28 13:27 ID:h6FxCE9x
保守。・・・ナキ
510 :
Nana:03/02/04 12:57 ID:Kn/P/mF2
511 :
Nana:03/02/07 00:41 ID:97N9p3GZ
ほっしゅ
512 :
Nana:03/02/08 10:08 ID:OYc0i2MS
ヴィジュ板でもバトロワやってんだー、と知って最初の方から楽しみに読んだけど。
これってさー、プロ野球板でやってた巨人バトロワを登場人物名変えただけじゃん?
「松井」とか名前変更し忘れとかあったし(w
巨人バトはもうとっくに完結しちゃてんだから、こっちもさっさと名前変えてうpしたらいいのに(w
それとも巨人バトをヴィジュに変換するのが面倒になったとか、変更しづらい展開になったからやめちゃったとか?(w
513 :
Nana:03/02/08 10:47 ID:OYc0i2MS
巨人バトの保管サイト確認してきたけど、完結まであと20章程度じゃん。
まああのラストをヴィジュ版に変換するのも大変かもしれんけどさ(w
いままでの分(巨人バトの80%以上)そうやってきたんだから今更平気でしょ?
巨人バトはプロ野球の他チームのバトロワの中で最高レベルだったからね。
それベースに使ってんだから当然面白いんだし。
折角名前だけじゃなくて細部もヴィジュに合わせていろいろ変更してうpしてきたんだから完結させなよ。
つっても、もう生姜さん来ないか?(w
514 :
Nana:03/02/08 17:31 ID:Sd2GDpK2
一口にヴィジュverへ書き換えといっても
配役から舞台設定、キャラ同士の人間関係まで違和感なく改変となると
元ネタをかなり読み込まないとできないし、一から書くのと同じ位大変だよ。
ましてや野球→ビジュだし(ワラ
両方読んだけど、配役の絶妙さといい、各麺のキャラの立ち具合といい
やはり生姜タンでなければこれだけ面白くはならなかったと思う。
本人はウトゥかもしれないけどねヽ(´ー`)ノ
515 :
NAna:03/02/10 14:13 ID:FxKkY83p
保全上げ
516 :
Nana:03/02/17 18:48 ID:N5u9zCnd
バトロワUの特番見たら、またこのスレが気になり始めちゃったよー。
ぶっちゃけ続き書いてみたいなーとは思うけど、絶対面倒臭いよねコレ。
生姜さんといい、前回の1さんといい、やっぱスゴイ人やと実感。
517 :
Nana:03/02/25 03:08 ID:wtauPZgR
カムバック生姜さーん!!今、読んでてマジ泣きした・・・
518 :
Nana:03/03/03 00:43 ID:mXi7Z0RU
保守
519 :
Nana:03/03/05 10:08 ID:uZhid4z1
ほっしゅ
520 :
bloom:03/03/05 10:17 ID:tCMkfXBw
521 :
Nana:03/03/08 02:14 ID:Rkbufs+p
保守ー
522 :
Nana:03/03/13 00:55 ID:BB7uYegQ
続き書きたい。
523 :
Nana:03/03/13 21:02 ID:6ENtEvwp
書いてくだしゃい!!!!!!!!!!!
524 :
Nana:03/03/14 01:43 ID:ajVpYtfu
tudukikakuzo,moreha w
525 :
Nana:03/03/14 16:30 ID:MDb9UGfw
監督・・・ナキ
526 :
Nana:03/03/18 18:20 ID:9m81CkNb
hoshu
527 :
Nana:03/03/19 11:20 ID:UBIXT8u5
久々に読んだ・・・
この際誰でも良いから取り敢えず完結させて欲しい・・・
と思うのは漏れだけ?(ニガ
多少雰囲気変わってもこの際・・・
528 :
Nana:03/03/19 21:34 ID:XTcKKzl4
このスレ、てっきりdat逝きになってたと思ったら、
まだあったのね(ワラ
529 :
山崎渉 :03/03/23 14:27 ID:IeRW3yyN
(^^)
530 :
Nana:03/03/28 01:08 ID:npLyBcZi
保守
531 :
Nana:03/03/28 23:32 ID:Gdiv4ilP
hontounikakimasuyo?
iindesuka?
sosite hoshu
532 :
Nana:03/03/29 09:08 ID:lc9NsT7f
douzo.
otenamihaikenn
SUGIZOが二回目のバードコールを鳴らした。
KOHTA自身は、その同じ鳥の声を四回聞いた後、無事にJ、SUGIZOと合流できた。ただそれは、二人の居る位置が大方判っていたからだ。その手掛かりが無いTAKEOには、もう少し時間が掛かるかも知れない。
SUGIZOは廃屋の中に戻ってきた。
ふぅ、と軽く息を吹き、ふいに「お前らどこへ行きたい?」と言った。
KOHTAとGacktはJの向こうにいるSUGIZOの方を見た。
「説明するのを忘れていたが、俺にちょっと伝手がある。ここを出たら、とりあえず、そこへ逃げ込む」
「伝手、ですか?」
KOHTAが訊き返すと、SUGIZOが頷いた。
「俺の友達だ。そいつが俺たちの国外逃亡を手配してくれる」
「国外、逃亡――」KOHTAがちょっと驚いたように呟いた。
国外逃亡。それは兄・キリトとの離別を意味する。
勿論キリトと共に逃亡できたらそれが一番なのだが、この状況下で日本に帰り、スイートハートの追跡網に捕まることなくキリトまで連れて逃走するほどの余裕は、無いだろう。
……。
KOHTAは暫く考えを巡らせてみたが、辞めた。今はそんなことより何より、先ず、この殺し合いゲームから脱出する術を考える方が先だ。兄の元に帰れた時、既に自分は肉体を失った霊魂と化してしまっていては、本末転倒なのだから。
「勿論、異論は無いよな?日本に帰って、日本国内で逃げ隠れしていても、いつかは捕まる。殺される。ネズミみたいにな」
「――本当にそんなことが出来るのか?」JがSUGIZOに訊いた。
KOHTAも訊いた。「何者なんですか、その、SUGIZOさんの友達というのは?」
SUGIZOはそれで、右手の親指と人差し指で握ったバードコールを軽く弄りながら、何事か考えるように三人の顔を見つめた。
しかしすぐに、バードコールを掌に置いて軽く握ると、「そいつは言わない方が良さそうだ」と言った。続けた。
「俺達がここを脱出するときに、もし何らかの理由でバラバラになって、お前達がスイートハートの奴らに口を割ったら困る。いや、お前達を信用してないって訳じゃない。だが、連中に拷問にかかったら、いずれにしても大抵は喋っちまう。だから、案内は俺がする」
KOHTAは少し考えたが、頷いた。それは、正しい判断だろう。
「しかし――そうだな」SUGIZOは言い、ポケットから紙を一枚引っ張り出し、その代わり右手に握っていたバードコールを押し込んだ。
それはどうも、例の‘私達は殺し合いをする’のペーパーのようだった。SUGIZOはそれを三つに破り、鉛筆でそれぞれに何やら書き込んだ。それぞれを小さくていねいに折り畳むと、KOHTAとGacktとJに一つづつ差し出した。
「今見る必要は無い。そいつには、俺とお前達が万一バラバラになった時の連絡方法が書いてある
。毎日、その場所、その時間に、そこへ行ってみてくれ。俺もそこへ行くようにする」
「今見ちゃ駄目なんですか?」KOHTAが訊いた。
「駄目だ」SUGIZOが言った。「見るのは万一バラバラになった時だけにしろ。
つまり――KOHTAのそのメモとJ、Gacktのメモは内容が違うんだ。
お前達三人も、お互いそれを知らない方がいい。誰かが捕まった時のために」
KOHTAはJ、Gacktと顔を見合わせた。SUGIZOのほうに向き直った。
「で――どこへ行きたい?」
KOHTAはそれで、SUGIZOが国外逃亡後の行き先を訊いていたのを思い出した。しばらく考えた。
それから、「やっぱアメリカじゃないですかね」と言った。
「音楽の本場って感じですからね…、行きたいですよ」
PIERROTのこれからの方向性や活動に関するマスコミの問いには、イニシアチブを取るキリトが居た手前大きな事は言えなかったKOHTAだったが、
正直なところアメリカに興味は抱いていた。
まさか、逃げていく羽目になるとは思わなかったけど。
「お前らしいな」SUGIZOは頷いた。「Jは?」「俺は――別にどうとも思わないな」Jはそう言った。
「そうか。じゃあ、Gacktは?」SUGIZOはGacktの方を向いた。
「俺も、別にどこでもいいかな」Gacktは少し素っ気無く答えた。
「じゃあ――多数決で、って訳じゃないけど、アメリカだな。
アメリカならフリースタイルで音楽にも触れていられるし。プロとしてじゃなくても、どっかの
ライブハウスで熱い事でもして小銭を貯めりゃいい。言葉の差なんて身振り手振りで何とかなる。
それに冷たい国じゃねぇしな」
SUGIZOは三人に横顔を見せたまま、続けた。
「三人とも、音楽やれよ。お前らには音楽しかないだろ?まあもし他にやりたいことがあるんならそれをやれ。
とにかく、何をやるにしろ、
自分の善意に従って、精一杯やれ」
KOHTAはその言葉を、ちょっといいな、と思った。自分の善意に従って。精一杯。
――今はもういないアイジが、ファンからの指摘どおりライブ中はメンバーからも少し浮いていたアイジが時々、
からかい半分ではではあるがKOHTAに話し掛けた時、あるべき真実を言い当てるような言葉を口にしていたのを、
思い出した。
いいなと思ったのだけれど――すぐに、別の考えが頭を占めた。
何か欠落していた。SUGIZOの言い方には。
すぐにそれに気付いた。
「SUGIZOさんは?」声に勢い、焦った感じが混じった。
「SUGIZOさんはどうするんですか?」
SUGIZOが肩を竦めた。
「俺はスイートハートに借りがある。いや、そうじゃないな。いろいろ貸してる。だから、返してもらう。何としても。
だから、お前達と一緒には行けない」
「お前――」Jが悲痛な声を上げた。
KOHTAはしかし、Jとは違うことを考えた。
言った。「何かやるんなら、手伝わせてください」
SUGIZOは一瞬KOHTAの顔を見つめ、――それから、視点を落として「はっ」と首を振った。「ばか言うな」
「何でですか」KOHTAの声に力がこもった。「俺だって返してもらいたいものがあるんです。このクソみたいな事務所から」
「――そうだな」Jが口を開いた。「一緒にやるよ、俺たち」
SUGIZOはそのJとKOHTAの顔を見比べ、それから、肩を持ち上げて、下ろしながら、はぁっと深い溜め息をついた。
顔を上げた。「いいか」と言った。
「前に言ったかも知れないが、スイートハートはクソみたいな事務所だが、よく出来ている。壊すなんて、容易じゃない。
いや、多分今は壊せない。だが、俺は――」
首を回し、屋根の向こう、空を見つめた。またKOHTAたちの方へ戻した。
「古い言葉でいうとせめて一太刀、ってとこだな。ファンには申し訳ないが――俺は俺を認めてくれたスイートハートに、隆一に
復讐を果たさなくちゃいけないんだ」
「だから――」
KOHTAが言いかけるのを、SUGIZOが手を揚げて遮った。
「最後まで聞けよ」
KOHTAが黙ると、また口を開いた。
「死ぬぞ、と言ってるんだ。俺なんかに同行してたら」
Jの方を見た。KOHTAに目を戻した。
「KOHTA、お前はまだ若い。これからまだ将来、何だって出来るんだ」
それから、JとGacktの方を向いて、言った。
「Jも、Gacktも一緒だ。お前らだってまだ今から何だってやれる。無駄死になんて、ばからしいことだ」
またKOHTAの方に顔を向けた。
「――どうせ俺は今回のゲームで死んでたようなもんだ。もう俺はSUGIZOとしてではなく、一人の男として、
復讐を果たさなければならない」
最後は厳しい口調だった。SUGIZOは言い終えると時計を見やり、立ち上がると廃屋の外へ出て行った。すぐにまた、ちち、ちちという
バードコールの音が、響き渡った。きっかりバードコールを十五秒鳴らし終えて、
SUGIZOがまた廃屋の中へ戻り、腰を降ろした。
そのSUGIZOに、Gacktが訊ねた。何分、落ち着いた口調で。
「TAKEOと合流したら、どうするんだ」
そうだ。KOHTAもそう、訊きたかった。
「合流したら、か?」SUGIZOはふう、と軽く息をつき、再び言った。
「まずは装備を整える。 そして、――まずはキリトを殺しに行くことになる。あるいは、ユラもな」
――そう。SUGIZOは"他のみんなが全員死んだときなら、脱出する方法がある"と言ったのだ。それは、いずれにしてもKOHTAたちがもう一度キリトと、
あるいはユラとも対決しなければならないことを意味していた。ユラはどうかはわからないが――キリトとは必ずやり合うことになるだろう。
あの男がそう簡単に死ぬとは思えない。あれだけの人数を冷酷に殺ったんだ。そうしたら、
――KOHTAたちだって全員無事で済むとは限らない。
「もう一度確認しとくぞ、お前ら」
SUGIZOがKOHTAの顔を見て、言った。
「言ったと思うが俺の作戦はみんなが死んだ時じゃないといけない。
つまりキリトとユラとはいずれにしろやり合うことになるんだ。
その時は、容赦なくやれるな?」
「はい」
KOHTAは、そう言って、頷いた。
「わかってます」
視界の横で、JとGacktが、KOHTAと同様に頷いたのが見えた。
阿部誠(元・PIERROTプロモーター)はひどく焦っていた。
パソコンのモニターにはKOHTA・J・SUGIZOを指す赤いランプが 1点に固まって表示されている。
その方向に4つのランプが集まっているところから、 1つのランプが向かっていく。
「キリトくん…もうよすんだ・・・」
阿部は東芝のM’sプレイス切っての敏腕プロモーターだった。あのキリトが心を開いて、彼がパーソナルを努める
ラジオに毎回レギュラー出演してしまうほど、打ち溶け合って居た(ように見えた)人物なのだ。
そんな阿部が期待の新人「小久保淳平」のプロモーションに力を入れ始め、キリトにも最近阿部はん冷たくなったねなんて
言われるようになってから間もない頃、PIERROTは東芝を離れた(以後ユニバーサルミュージックに移籍となる)。ビジネス
の関係を抜きにしたって、キリトから感じる才能は本物だと阿部は確信していた。
才能…それは音楽の分野だけに言えるものではなく。
何をするのも計算した上での行動。言動。自分が楽しければそれで良い、ワガママで…子供みたいな人間だとよく
感じて居た。ラジオでの自分に対する人権無視の危険な発言。真性Mだとか膨張率だとか…セクハラ営業妨害発言には
いつも冷や汗を隠せないほどだった。だから今回の事も…。
「結局、君は楽しんでるだけなんだろう?もうよすんだ、キリトくん。笑えないジョークで笑っているのは君だけなん
だから・・・。」
阿部誠は船上の人だった。
これから地獄へ向かう。
全てはキリトを止めるため・・・。
「阿部さんも参加したい?それは素晴らしいね。弱肉強食とはよく言ったものだ。管理する側の人間と、される側の
人間が実際に殺し合うなんて!実に美しいよ」
―――この白痴悪魔が!
阿部は内心そう思った。
ただのナルシストが平和を歌う。何て馬鹿馬鹿しい話だ。己の輝きを守るため、裏でどれだけ前途有望な若いミュージシャンが
犠牲になったのだろう・・・。
阿部もこの業界は長い。すでにスイートハートの裏にある、何かドロドロしている渦があることに感づいていた。
そして、独自の調査の結果、プログラムの存在を知った。
だが、阿部はプログラム自体には驚かなかった。
阿部が信じられなかったのは、順調にプログラムが進行しているという事実だけだった。
―――何かの間違いだ・・・。
そう思いたかった。
阿部は、PIERROTのメジャーデビューに辺り色々な事務所に取り合いされるという今では珍しい状況の中、東芝に決
まることはあっても、まさか自分が担当になるとは思っても居なかった。
そう、「期待の大物」と言われる彼等を担当するなんて。
だって、ジャンルが違うじゃない… ―――
最初は手探りだった。彼等も若かったし、ノウハウも仕込んだつもりだ。不安だった。それでも自分なりに努力してきたつもりだ。
親密感が増せば増すほど、仕事でのシビアさを忘れたくなるほどキリトは厳しい人間だった。それも他人に、だ。不可能を可能に
するのはアーチストじゃぁない。バックで支える俺たちの仕事なんだ。全くもう、次から次へと無茶ばっかやってくれるよ。本当に…
毎回頭を抱えさせられた。
それでも…楽しかったなぁ…。思い出として蘇るのは何故か
綺麗な場面ばかりだ。苦労した事よりも、
結果ばかりが蘇る。
無茶に合わせて事務所ぐるみで無茶やって。怖いもの知らずだったな。若さって、武器だよ。
―――キリトくん・・・。―――
「隆一君、君は少し浅はか過ぎた・・・。」
人間を殺したって音楽は死なないんだよ。
―――殺し合いを楽しんでいる人間は間違いなく狂っている ―――
「全ては隆一君の責任・・・。!、いやっ・・・。」
―――果ては、隆一もスイートハートの犠牲者か・・・。―――
――船が島に着いた。
阿部は武器を確認する。
「38式歩兵銃。銃剣も付いてるぞ。俺にお似合いか・・・」
阿部は苦笑した。
――待ってろ、キリトくん。――
――そして、生き残ってる人間全員だ。俺が絶対に助けてやる――
輝かしい世界で生きているミュージシャン達から比べれば少し見劣りする男は、
無謀にも地獄の島へと踏み込んだ・・・。
「……ねえ、SUGIZOさん」
SUGIZOが五度目のバードコールを鳴らし終えて戻ってきたのを潮に、 KOHTAは先刻から考え続けていたことを口に出してみることにした。 呼ばれたSUGIZOだけではなく、JやGacktもKOHTAのほうへ目を向ける。
彼らの耳目を十分に意識して、全員に向けてKOHTAは言った。 「一緒にライブ、しましょうよ」
寸時、場に沈黙が落ちた。こんなときにそんな話を始めるのは 確かに少々太平楽に過ぎるかもしれない。
しかしKOHTAはそれをしたかった。未来のことを、考えたかったのだ。 真っ先に立ち直ったのはJだった。
そうだな、と言いながらSUGIZOのほうへ身を乗り出す。 「俺、ベースしか取り得ないけど、もっと練習する
し…SUGIZOさんと一緒にセッションしたいです!TAKEO君も居るし、リズム隊はバッチリですよ!」
「なに言ってる、KOHTA」
いささか刺々しい調J入来が口を挟んKOHTAがびくりと身を竦める。 しかしJはにっと笑って見せた。
「ベースは俺だ。お前は歌の練習でもしとけ!(笑)」
そんなぁ…ボーカルはGacktさんでしょう!でも俺ギターセンスねぇし…(汗)
ん?でも待てよ?Jさんががそんなこと言うって事は、Jさんもいるって事じゃないか!
そうか、そうですよね、と嬉しそうにKOHTAが笑った。
「万が一の時はGacktさんにギターに回って貰って、完璧じゃないっすか!」
KOHTAの言葉を受けて、Jは改めてSUGIZOを仰いだ。
「またみんなで音楽しましょうよ。ねえ、SUGIZOさん――」
SUGIZOの顔にはしようのない奴らだな、と書いてあった。少なくともKOHTAにはそう見えた。
『だがそれも悪くない』、いかにもそんなふうに言いそうな顔に。
しかしSUGIZOがなにか言うより先に、唐突なノックの音がそれを遮った。
阿部はノートパソコンに目をやってKOHTAたちの位置を確認し、走り出した。
急がなくてはならない。キリトはKOHTAたちに近づいてきている。
自分はもう結構な年だ。鍛えている訳でもないし、三八式歩兵銃はかなりの重量だ―に加えてこのお荷物、
運動不足の体に響く。だが、これがあるから正確な位置がわかるので、我慢しなくては。
(それにしても酷いな。さっきはTAKAくんで今度は髪の色からしてAYAくんか…全くこんな凄惨なものだったとは…。)
ここは阿部の想像を遥かに超える場所だった。…だが凹み易くはあるがそれでも図太い阿部はすぐに適応する事が出来た。
(もうすぐだ。急ごう。…KOHTAくんとは馴染みがあるが、SUGIZO君とJ君、ましてGackt君なんて俺の事をよく
知らないはずだ。誤解を受けるかもな。)
廃屋が見えてきた。阿部は走るのを止めた。
正面にあったドアをノックすると、中から返事があった。
「TAKEOくん?」阿部は返事をする。
「いや俺です、阿部です。」「エーッ、阿部さんですか!?」
「エーッ、阿部さんですか!?」
KOHTAは驚きを隠せなかった。
傍らのGacktの顔には緊張感が走っている。そしてポケットの中の銃に手を掛けようとした、のをKOHTAが止めた。
「ちょ、ちょっと待って下さい、阿部さんは絶対に大丈夫です。…SUGIZOさん、鍵を開けて貰えますか?」
「………解った。」
KOHTAを勘繰る様子も無く、割と素直にSUGIZOはドアを開いた。阿部が中に入ってくる。
「阿部さん、あなたも参加させられたんですか?」
KOHTAが尋ねた。阿部が返す。
「詳しい事は後です。ここを出よう。キリト君が向かってきている。」
「なんだって!」一同、驚きと狼狽が隠せない。
「何でそんな事が解るんだ?」Gacktが疑わしげに問う。
「これだ。」阿部はノートパソコンを見せた。
「これがGackt君、君だ。そしてこれが…キリト君だ。」
―――KOHTAは、ふとした疑問をいだいた。
「じゃあ…、じゃあ、TAKEO君は?」
「TAKEO君は…、死んだよ。」少し躊躇って阿部が答えた。
「!!!」(…なんてこった。やはりあの時、止めておくべきだった。)
KOHTAは激しく後悔した。
「KOHTA、今は人のことで感傷に浸る時間はない。自分のことだけ考えるんだ。…移動しよう。」
「もうこの島には僕たちしか居ない。ユラ君も死んだんだ。」
「じゃあ残っているのは俺達と兄貴だけだったんですか…」
「SUGIZO君、バードコール…?そうかそれで…よし、もう一度鳴らしておこう。」
「わかりました。」
―――死体、しばらく行くと、また死体、無残だ…。―――
「阿部さん、何であなたがここに?」
「いろいろとあったじゃないですか。キリト君は僕が止めます」
「!、俺たちの移籍って……。」
「そうです、東芝の所為だったのかも知れない…あるいは、キリト君の」―
「…さっきから聞いてたら何の事を言ってるのかさっぱり解らないんだが」
JとGacktが不審そうな顔をしている。
「俺たちの突然の移籍のことっす。バンドを仕切ってるのは兄貴だから俺たちはあまり、、、」
KOHTAが言った。
―――「よし、ここら辺まで来れば大丈夫でしょう」
阿部はノートパソコンを置いた。一同、画面に目を見やる。
「ここがさっきの所です。キリト君周辺を躍起になって探してるみたいですね。」
(兄貴と一戦交えなければいけない所だった…、いや、奇襲されてたら下手をすれば皆も命がない
所だった…。)――
――KOHTAはキリトの鬼のような顔を思い出して思わずぞっとした。
移籍したてでキリトが不振に悩む頃、KOHTAはキリトにかなり八つ当たりをされた。 しかしそれは反撃する程の事で
は無かった。それどころかKOHTAはキリトを本当に尊敬していた。心から復活して欲しい、そう願っていた。
2001年半ばから2002年、ペースを取り戻して笑顔を見せ、物腰がいくらか柔らかくなったキリトは、自分に説教する事が
少なくなっていた。そうやって変わらずに独裁政治を続けるキリトもまた、KOHTAにとっては尊敬すべき【兄】であった。
それでこそ兄貴だと…、KOHTAは嬉しかった。
―オイKOHTA――俺より目立ってみろよ――
オイKOHTA、オイ康太、オイこーた。「おーい、KOHTAクン!聞いてますか?」
KOHTAは現実に引き戻された。
「えぇっ???、何ですか、阿部さん?」
「全く、ちゃんと聞いてて下さい、大事な事なんですから。いいですか、
まず僕がキリト君を説得します。それで・・・君は・・・。」
いよいよキリトと戦わなければいけない時が来た。
KOHTAは覚悟を決めた。
「いいね、かなり見物だよ。素晴らしい、これぞ芸術だ。もっと僕を楽しませて
くれると嬉しかったんだけど。
INO、君はどういう形で決着が付くと思う?」
モニターを見ながら、上機嫌で河村が呟いた。現在の生存者、僅かに5人。
そして、次に起きる戦闘は間違いなくSUGIZOグループVSキリトだろう。
今までのキリトのやり方からして、相当凄惨な戦いになるはずだ。
なのにそんな事を笑顔で訪ねる河村に嫌悪感を感じつつも、
「普通に考えれば…人数が多い分SUGI達の方が有利だと思うけど……」
そう答えたもののINORANは疑問を感じずにはいられない。キリトのように
KOHTAが容赦なくやれるか?
もしやれないのなら…… それを見逃すキリトではないだろう。
(……迷うんじゃないぞ、KOHTA………!!)
「KOHTAくんもキリトくんも、このバトルを乗り越えれば更に更に素敵なアーティストへと変身出来るんだよ。
非常に楽しみだ。まぁ、世代交代が成し遂げられなかったことは少し残念だけどね。んー、まだかなぁ…?」
祈るような気持ちのINORANの横で、河村はあくまで上機嫌だった。
「ここにも居ない・・・。」
キリトは血眼になってKOHTAたちを探していた。自分は音楽が大好きだ。
絶対に勝ち残らなければならない。そして…後輩に引導を渡す時が来た。
(スイートハートを仕切るのはこの俺以外に居るはずが無い!!!)
(・・・それにしても見つからない。)
確かにこちらのほうからバードコールの音が聞こえたはずだった。
廃屋があったがそこはもぬけのからだった。付近はくまなく捜したはずだが見つからない。
(妙だな。ばれたのだろうか…?いや、それは有り得ないはずだ…。)
――ありえないとも言い切れないな。――
ふと、体バランス飲料DAKARAのコマーシャルを思い出し、思わず笑ってしまった。
(そういえば笑ったのなんか久しぶりだ。このプログラムが始まってからまったく
笑ってなかったし。…俺は何であんなにあっさりと竜太郎を殺してしまったのだろう?
あんなに俺になついてたのにな…。)
―――何で自分はそんなにスイートハートにこだわっている?
そこまでスイートハートは本当に自分にとって大事な物なのだろうか?―――
そんな考えが一瞬、キリトの頭に浮かんだ。だが…、
(大事だ。大切だ・・・。…それに俺は竜太郎を殺したあの時点でもう元には戻れない。
竜太郎を殺ると決めた時点で覚悟を決めたんだからな…。)
キリトは、にやけた竜太郎の顔を思い浮かべた。数秒後、キリトは号泣していた。
「竜太郎、ごめんな…!俺は、俺は…。」
突然、バードコールが鳴った。
キリトは涙を拭い去ると、バードコールの聞こえる方へ走っていった。
(俺はもう後には引けない。もう、勝ち残るしか道は残されてないんだ。)
バードコールの音が大きくなってきた。
(近いぞ…。)キリトはマシンガンを構えて慎重に近づいた。
茂みの向こうのやや広い所に人間らしき姿が窺えた。
しかしそれはKOHTAでもSUGIZOでもJでもGacktでもない。
自分が加藤の次に照準を絞ってイジメてきたあの男である。
「キリト君、待ってたよ。」
「阿部はん……何で…!?」
522=524=531
という事で、続き書いてみました。
人の途中からって難しいですね。というか今まで書いて下さってた
生姜さん並びに生姜さんファンの皆様スミマセン。
粗が目立ちますしかなり強引なトコロもあったのですが、
ラストまで書きたいなと思っています。
目障りな人も居るでしょうから、sage進行でお願いします。
ヒッソリとやっていきますが、また賛否両論で
叩かれだしたら即座に消えたいと思います。
自分勝手ですがこのスレは頂きました(ワラ
551 :
Nana:03/03/31 10:25 ID:Rmw8xPdW
ふくサン乙です。
楽しませていただきました。アベハンとか(w
ぜひ最後まで書き綴っていただきたい。
ちなみに太郎じゃなくて太朗な罠
細かいことですが今後名前出てきたらおながいします
552 :
Nana:03/03/31 14:01 ID:itt6jRnK
ふくさん乙です!再開嬉しいです〜!!
一発ageたらよかですか?
553 :
Nana:03/03/31 17:13 ID:KODGSP0m
あっ。再び始まっていたんですね。ウレスィー(゚∀゚)
ふくサン頑張ってくださいませ。
>552
作者さんがsage進行でって言ってるんだから、あげない方がいいと思われ…。
「阿部はん、何で…。」
「僕は…、君を止めるためにここへ来たんだ。」
「…俺を、止める?」
キリトの顔が少し曇る。同時に、胸の中に例えようの無い嫌悪感が沸きあがった。
何故、こんな所に昔の…友達と言うべきだろうか…そんな人がいるのか。別にそれは
どうでもいい。ただ、自分の行動を止めに来たという言葉に酷くムカつきを覚えて
いたのである。
「ああ、君をこれ以上苦しめたくはないんだ、君は…」
「阿部はん、俺は竜太朗をも手にかけたんだ。もう戻れない。生き残るしかねー
んだよ!!」
阿部の言葉を遮って、キリトは言った。
阿部も勿論このルールは知っている。しかしKOHTAやSUGIZOらを、修羅と化した
キリトに殺されるのを黙っているわけにはいかなかった。
自分を敬愛していた人物の豹変を、これ以上見ていられなかったのだ。
両者に一瞬の静寂が訪れる。
―――堰を切って阿部が言う。
「…理由は本当にそれだけですか?」
キリトの顔が急に強張る。殺そうと思った。誰も彼も。自分が生き残る為に。そして
弟と共に逃げる為に。皆殺しにしてやって当然だと考えていた。
―――理由?
―――竜太朗を殺すまでは本当に正常だったか?
―――何の為に生き残りたい?
「キリトくん、君が作り上げた音楽に対する固執は解る。でもここまでして今まで
のものを守ろうとする程の意味は果たしてこれから通用するのかな?」
「……。」
答えられなかった。言葉が出なかった。
―――オレハ、ダレト オンガク ヲ ツヅケタカッタノダ?―――
ピエロは誰かが死なない限り、一生解散しないで続けると大衆に誓った。継続させ
ていくことの艱難さと継続させる意味は五人にしか解らないし、この五人だからこ
そ乗り越えられた障害や葛藤、分かり合えた喜び。信頼しあっていた五人だからこ
そ一生ピエロを続けると固く誓ったのだ。それがどうだ?TAKEOを殺した。潤を殺
した。それでもKOHTAを見つけて逃げようとした。そしてまたバンドをやっていこ
うとしていた。
…一体誰と?
今はもう、殺人マシーンと化した自分しか居ないのに。もしかしたら、KOHTAだって
殺すかもしれない。誰よりも自分が大事なくせに、このゲームに勝てば、また今までの生活を取り戻せると履き違えていた。
ヴォーカルとしての意地。
リーダーとしてのプライド。
キリトとして、また兄としての誇り。
メンバー同士切磋琢磨し、競い合って実力を伸ばしていく。煽動していたのは確かに
自分だが。強引な所も勿論有った。しかし自分のバンド人生は「五人」である事が
前提だったのに。
「君は…、一人でピエロを続けるんですか?これが君の望んだことなんですか?」
阿部は、さらに続けた。
「キリトくん、君の仲間は残念ながらもう居ない。代わりも居ない。君がこれから
しようとしている事は全て無駄なんだ。もうやめにしないか。」
「……フフッ、アハハハハ!!」
高らかにキリトが笑い出す。
「何が可笑しいんですか!?」
「阿部はん、お前も所詮俗な考え方しか出来ないんだね。別に何も期待しちゃあい
ないけど。でもここは生きるか死ぬかの世界だぜ?そんな甘い考えは捨てた方が良いか
ら」
「な…何を言っるんですかキリトくん!!」
「俺はゲームを楽しんでるだけなの。まあ、バンドとはちょっと変わってるけど結構面
白いよ。あの相手が恐怖で震える顔なんか本当たまんないね」
「キリトくん、君は…」
「阿部はん、俺は望んでこれをやってる。俺の邪魔をするやつは消すつもりでね。
たとえ誰だろうと邪魔するやつは殺るだけなんだよ!」
「狂ってる…君は…」
「阿部はん、お前このゲーム知ってた
んだろ?それに俺がこうなるって事も知ってたんじゃないの?」
マシンガンを突きつけ、声を張り上げ激しく言う。
さっきまでの何かを考えている顔つきとは明らかに違う。
ステージに立ち、観客を煽る時のような挑戦的で鋭い眼光。
いつもながらの迫力をもつキリトがそこにいた。
「ああ…だから来たんですよ。しかしこれは…」
「!そうか、KOHTA達を逃がしたのはあんただったんだ。KOHTAはどこにいる?
俺は出来れば阿部はんだけは殺したくないんだけど。教えてよ」
「知りません。僕は誰にも会ってないですから」
「嘘つくとためにならないよ。大体、一人で来るってのも怪しいし。案外、近くに
居るんじゃないの?」
『俺がキリトくんを説得してみる』、阿部はそう言った。それを蔑ろにできるわけも
なく、KOHTAにはただ成り行きを見守ることしかできない時間が過ぎてゆく。
よくない雲行きだった。キリトの口からは、こんな言葉が出たのだ。
「――だいたい、一人で来るっていうのも怪しいからな。案外、近くにいるんじゃ
ないの?」
マシンガンの銃口を阿部に据えたまま、キリトが一歩前へ出た途端だった。
「みんなーーーーーーっっ!!!こんばんは!東海林でーーーーーす!!!」
定時放送が島に響いた。阿部やキリトにすれば話の腰を折られた格好だが、拡声器の
向こうの東海林のり子にそこまでの配慮を求めるのは当然ながら無理だろう。
ごく淡々と(それでいて小気味よく)仕事を果たした東海林のり子はいつも通りに死
者やら禁止エリアやらの情報をもたらしてくれた。
「……あと5人か」
死にも死んだりだな、と阿部が低く呻いた。それを受けて、
「阿部はんは俺がそのうち何人を殺したか……知らないでしょ?」
俯いたキリトの顔が、泣き笑いのような形に歪んだ。だがそれは本当に一瞬のこと
で、阿部へ向き直ったときにはもうキリトは無表情を取り戻していた。
平板な、冷え冷えとしたキリトの面で、ただその瞳だけが異様な精気を孕んで燃えて
いた。
「生き残るのは俺だ――もう、決めた」
地の底から響くような声が決裂を、あるいは訣別を宣告し、銃火が連続して閃いた。
血煙が上がって、KOHTAの眼前で阿部の体が跳ね上がりそして地面に叩きつけられる様が スローモーションのように見えた。
「阿部さんっ……!!」
KOHTAは思わず叫び、身を隠していた藪から立ち上がっていた。
わかっていたはずではなかったか。説得なぞ通じる相手ではない、あれはもう、
KOHTAたちの知っているキリトではないということくらい。
なぜ自分は、阿部にそれを伝えなかったのだろう。できなかったはずはないのに――
「KOHTAッ!」
声が聞こえると同時に引き倒された。頭の上を銃弾の列が通過する。あのままな
ら当たり前にKOHTAの体を抜ける軌道だった。
「SUGIZOさん……」
「黙れ! 位置を知られる」
言いかけた礼をぴしゃりと遮られ、KOHTAが絶句する間にキリトとは別の方向から単
発の銃声が聞こえ、二人を追うと思われた火線が途切れた。
Jだ。Jがベレッタで応戦している。さすがにそれであっさり倒れてくれるキリトで
もなく、撃ち返すマシンガンの銃声がすぐに戻ってきた。
だがとにかくJは、この事態にもKOHTAよりははるかに冷静に対処していると見えた。
ある程度は想定なり覚悟なりしていたのかもしれない。むしろそれが当たり前だ。
ただ――Jの射撃はあまりにも正確すぎる、KOHTAは一瞬そう思ってしまった。
もっともキリト相手では殺すつもりで撃たなければ牽制の用すらなさないに違いない。
要するにJの対処は非常に適切だ。だがKOHTAはその適切さにこそ違和感を覚えていた。
あれではまるで――このくそ下らないゲームに乗ったようにしか見えない。
そう考えかけた矢先、「KOHTA」と低い声でSUGIZOに呼ばれた。
容赦なくやれるな、そう訊かれたときの声に似ていた。
SUGIZOの手が、なにか硬いものをKOHTAに押し付けてよこした。MP5だ。
ことここに至って、ようやくKOHTAはあの問いの意味するところが解った気がした。
――やれるのか、俺は?
KOHTAは自身にその問いを向けた。
『戦うのはやめてください!』
『みんな戦いたくなんかないですよね?』
DaishiとLidaの言葉が耳に甦った。あの二人はチームメイトを信じようとして、
しかしその二人をキリトは情け容赦なく屠ったのだ。
それを思い返し、KOHTAは己れの腹の底を炙る熱を知覚した。
やれる……いや、やる! やるしかないんだ…兄貴…なのに…!
目を瞑った。そう答えを出してKOHTAはMP5を清原に向けて構えた。
KOHTAが撃つより先に、キリトはざっと茂みを分けてKOHTAの視界から隠れた。とは
いえ逃げたわけでは無論ない。キリトは自身を狙った弾丸の来た方へ前進したのだ。
一対四の状況を一対一×四へと持ってゆくつもりであるのに違いなかった。
キリトは相手が誰だろうが構わず撃てるがこちらはそうはいかない、キリトとてそ
れは先刻承知だろう。
撃ってきたことで居場所の知れたJを各個撃破の最初の対象に――Jだと認識してい
るかはともかく――定めたのだ。
近接戦闘に持ち込まれてしまっては当事者以外は手が出せなくなる、仲間を助ける
ために撃った弾丸が仲間を撃ち殺すのでは冗談にもならない。なんとしてもそこまで
距離を詰められる前にキリトの足を止める必要があった。
思いは同じなのだろう、KOHTAの先を行くSUGIZOが撃ち始めた。多少狙いが甘くとも
、牽制になれば意義はある。
しかしキリトに対してはなんの効果も及ぼさなかった。
止まるどころか脇目も振らない。至近へ降る鉛弾の雨に気付かないわけもまさかな
いし、当たればどうなるかなどなお判らないわけがない。
それをキリトは敢えて無視している。
考えてみればキリトにとっては数に勝る敵を皆殺しにしなければ勝ちのない、端か
ら分の悪い賭けなのだ。多少の危険などは度外視して効率を追及したほうが結果が良
いと判断
したのだろう。
どうやら――殺すよりほかこの男を止める手立てはないと比喩抜きでそういうこ
とらしい。
改めてKOHTAはMP5を握る手に力をこめた。草葉の向こうにキリトの後ろ姿がちらつく。
背中からということにちらりと罪悪感が掠めたがそんな場合ではないとすぐに思い直した。
フルオートにしたMP5の引き金を絞る。
反動は思いのほか傷に響いた。連射の途中からは銃を支えきれずによそへ向いてしまう。
左腕はさっぱり役に立たないうえにそこで生じる痛みは非常に邪魔だ。しかしそんな泣き言
を言っていられる場合かどうかくらいはKOHTAもわかっていた。狙いを絞りきれないな
らばらけても当たるようなやりようをするよりほかないだろう。
近すぎない範囲でできるだけ距離を詰めて、どこかしらには当てる。それしかなさそうだった。
清原はそれでも松井や川相の射撃で少しは速度を落としたのか、さきほどよりも背中が近い。
近づきすぎかと一瞬ためらい、しかし相手はあのキリトだ、こちらも多少のリスクは背負
わねばとそれを打ち消す。もう、自分の知ってる兄とは違うのだから。
「――KOHTA!」
Jの声で名が呼ばれたのとその一歩を踏み出したのが同時だった。
待っていたようにキリトが振り返る。燃える眼がKOHTAを射た。
殆ど反射的に、KOHTAはMP5の引き金に掛けていた人差し指に、全身全霊の力を込めた。
銃弾が発射される衝撃と合い重なるように、KOHTAの左肩に激痛が雷となって迸る。
MP5からシャワーのように放射される鉛弾の群れが、キリトの背中へと一斉に衝突していく。
理不尽な殺し合いゲームで非情なる死を遂げていったチームメイトの怨念とKOHTAの
怒りが乗り移ったように、次から次へと。
「死ね、殺人鬼野郎!」MP5の喧しい掃射音に勝るKOHTAの雄叫びが、周囲を矢のように劈いた。
MP5の奏でるその轟音に、RYUICHIはとっさに耳を覆った。そして、そのままモニターを凝視する。
ついに、この時が来たのだ。KOHTAとキリトの対決の時が。
掃射音が止んだのを確認し、RYUICHIはゆっくりと耳を覆った手を下ろした。
−決着が付いたのだろうか? もしそうなら、程なくモニターの光点の数が減少する。
そうでなければ−
RYUICHIの思考はそこで中断した。スピーカーが拾ってくる音が、いや、声が聞こえる。
「なるほど」
スピーカーから流れてくるそれを聞き、RYUICHIは事態を把握した。
「まだまだ甘いんだから…」
そう言って、RYUICHIは笑みを浮かべた。
KOHTAは呆然としていた。狙いは正確だった−はずだ。
「−死ね、か。その言葉、そっくり返す」
キリトは何事もなかったかのように言い捨てた。
キリトが無傷と言う事よりも、その語感のあまりの冷ややかさにぞっとし、KOHTAは
反射的にMP5の引き金を引いた。
しかし。手応えは無かった。音もしなかった。つまりは−
「弾切れなんてお前らしいな。くくっ、ダッセーよ、お前。KOHTA、お前がその気な
ら…解るよな?残念だけど、サヨナラ」
キリトはゆっくりと、マシンガンの銃口を上げた。何の感情も浮かべない目が、KOHTA
を見つめていた。 KOHTAが自分の弟という事も忘れたような瞳だった。
兄貴は俺を殺そうとしているんだ、とKOHTAは夢のような感覚で思った。
兄貴は撃とうとしている。俺を殺そうとしている−。
指先の痛みか痺れかもうわからない感覚が全身に広がっていった。俺は、ここで−
「KOHTAっ!」
叱咤するような力強いその声にKOHTAは弾かれるように飛びずさった。
キリトの銃が火を噴いたのは、ほぼ同時だった。
キリトのばら撒いた弾丸はどれもあたりの草だの木だのを痛めつけたばかりで、KOHTAに
は届かなかった。
こんな状況で傷を増やさずに済んだのはほとんど奇跡だった。ただ――それがいつまで
続くか。
逃げ回ったところで勝てるわけがない、だが反撃するには弾丸が要る。
補充の隙をよりにもよってキリトが与えてくれようはずもない。
どうやれば勝てる?
答えはどう考えたところで出そうにもなかったので考えることは放棄し、勘だけでKOHTA
は動いていた。
手にしていたMP5、弾丸の切れたそれをキリトめがけて力一杯投げつけたのだ。
さすがのキリトも、顔を庇って腕を上げる。そこへKOHTAは体ごとぶつかった。
よろめきこそしたものの、キリトは倒れなかった。
組み付きながら、KOHTAはキリトの体を探っていた。イングラム一丁でここま
で生き残ってきたとも思えない。他にもすぐ使える状態の武器を持っていると見て間違いない。
こっちに弾丸がないのなら、あるものを使わせてもらえばいのだ。
伸びてきたキリトの手がKOHTAの左腕を掴んだ。ぐいと引かれて、思わず上げた悲鳴は噛み殺しきれない。
普段のじゃれあいとなんて比にならない。
どうにも踏ん張りがきかずにそのまま引き倒された。押さえ込まれるのにも、抵抗らしい抵抗はできなかった。
「なあKOHTA。俺とお前と、どっちが素質あると思う?」
呼吸ひとつ乱さずに、キリトはそんな問いを口にした。
瞳には憑かれたような光がある。キリトに対してばかりでなく、KOHTAは悪寒を感じていた。
『カリスマ教祖様』、もしかしてそれが、この人をここまで変えてしまったものの名前か。
「……ま、いっか。そろそろ終わりにしよう」
冷え切った声がそう告げた。同時になにか硬いものが首筋に押し当てられる。
なにかどころではない、銃口に決まっている。状況のひっくり返しようがない。このまま
ならもう、終わる。
俺は死ぬ。殺される――
「ここまで来て、お前に負けるわけにも――」
ぱん、と乾いた音が響き、キリトの声は唐突に途切れた。首にかかる重みが一瞬増し、
背を擦って消える。
――なんだ……?
右腕だけで上体を起こすと、すぐ隣に倒れているキリトの姿が見えた。
なんで――なんであの人まだ立ってるんだ!?
Gacktは恐慌を来しかけていた。 KOHTAの撃った弾丸は、確かにキリトの胴へ吸い
込まれたはずだ。一つ残らずではないにしても、かなりの割合で。
普通に考えたら背骨から内蔵から二目と見られないようなことになっているはずな
のだが、しかしキリトは死なないどころか傷を負ったようにすら見えない。
キリトといえば肉体改造、しかし肉体改造というのはもしかしていわゆるバッタの外骨格を
着込んだとかそういうことだったのだろうか? それは馬鹿馬鹿しすぎるにしても、他に考えようも――
脈絡を失いかけたGacktの思考を、幾つかのイメージがよぎった。
いつ見たかもわからないような映画や漫画やテレビドラマ、動物ドキュメントなどの雑多
な映像はしかし、共通の内容をはっきりと示唆していた。
確実かつ迅速に息の根を止めるつもりなら首から上を狙え。
手足や胴ではまだ動かないとも限らない、現実にキリトは倒れないではないか。
無傷ではないのかもしれないが、止まらないなら致命傷を負わせても勝ちは決まらない。
――四人が四人とも殺される、既に命取りの傷を負ったキリトに。そして誰もいなくなった。
背筋を這い登り手足を縛る悪寒を、Gacktは唇を噛みしめ振り払った。
だから、首から上へ――これを。
右手に握っていたブローニング・ハイパワーを持ち上げ、左手を添えた。
確かな重さを両手で感じる。イングラムやMP5と比べてしまえばずいぶん華奢だが、
それでも人を殺すのに足りないということはないはずだった。
何十メートル単位しか離れていない人間の頭蓋骨を砕き、脳を潰すくらいは十分可能だ。
――首から上を。
もう一度、今度は噛み砕く調子で呟き、手にある銃を強く意識した。波立っていた精神が鎮まる。
根拠もなければ撃ったことすらないのに、外れる気はしなかった。
「なあKOHTA。俺とお前と、どっちが素質あると思う?」
キリトは撃たずに話し続けていた。Gacktたちには手が出せないとでも思っているのだろうか。
いや、違う。この男は、KOHTAと再会と別れの為だけにここにいるのだ。
――キリトくん、
人差し指を引き金にかけ、照準を定める。あとは引き金をひくばかりだった。
本物のカリスマには、先導者には、前や後ろにそれを支えてくれる仲間やファンが居る。
先輩や後輩だって勿論居るんだ。
ひとりぼっちで生きている人間なんかいない、ましてバンド活動を続けていく上では。絶対に。
だから、残るべきは――君じゃない。
Gacktは引き金にかけた指へ力を込めた。
褐色の斑に染まったキリトの衣装に、鮮やかな朱で模様が描き加えられていた。
うつ伏せに倒れたその後頭部から一握りの皮が剥ぎ取られ、骨も砕けて穴が開いている。
銃弾が貫通しているのは間違いなく、顔などは二目と見られぬようなことになっているのだろう。
そのようにしてキリトが死んでいることと、自分がそれを見ている――生きていることが
にわかには信じられずに、
KOHTAはただキリトをまじまじと見つめた。
「KOHTA……!」
茂みをかき分け転び出てきたのはJだ。キリトも目に入らない様子でKOHTAのそばへ膝をつく。
「KOHTA、大丈夫か」
Jに問われて、どうにか頷く。立ち上がろうとすると、Jが手を貸してくれた。
その右手はまだブローニング・ハイパワーを握ったまま、そして銃身にはまだ熱が残っている。
してみると――、KOHTAはキリトのほうへ目をやった。兄貴を撃ったのはJさんか。
もちろん非難できた筋合いではない、命を救われたのだからむしろ感謝をするべきなのだ。
けれど――Jが、生きているアーティストのうちではただひとり誰も殺していなかったJがその手
を汚すことになったのには理屈抜きでひどく抵抗を感じたのだ。
KOHTAが次の言葉を見つけるより先、SUGIZOが隣へ立った。
「無事か、KOHTA」
KOHTAが頷くとSUGIZOも頷きを返し、次いで足元のキリトの死体へ視線を落とした。
「――防弾チョッキだったんだな」
SUGIZOの呟きで、KOHTAにもやっと合点が行った。それがキリトの倒れなかった理由だったのだ。
さしもの防弾チョッキ様も、頭まではそのあらたかなる霊験の及ぶところではなく、Jは首尾よく
キリトを打ち倒し得たというわけだ。
「……ていうか、Gacktは……?」
周囲を見回しながらJが言って、それでやっとKOHTAはGacktの姿が見当たらないことに気がついた。
「Gacktさん……?」
寄ってくる様子はなく、KOHTAの呼んだ名にも応えがあるでもなかった。
「Gackt、Gackt!」
Jが声を張り上げたが返事はやはりない。
「……探しにいかないと」
言ったKOHTAに、SUGIZOは首を振って見せた。
「それじゃ動き回るのはしんどいだろうが。J、お前もKOHTAについててやれ。探してくるから」
わかった、と頷いたJの手がKOHTAの肩を軽く押さえる。待っているべきだと無言で伝えてきたJに、
KOHTAも従わざるを得なかった。SUGIZOはそれを見、しかる後に首を巡らした。
「ここ……じゃあんまりだな、そうだ、先刻の小屋まで戻って、そこでおとなしくしてろ」
KOHTAとJが首肯するのを確認して、SUGIZOは二人に背を向ける。
ああ、とSUGIZOは踏み出しかけた足を止め、KOHTAとJを振り返った。
「――最悪の事態は考えておけよ」
最悪の事態。SUGIZOの言ったその言葉に背筋が冷えた。
露骨な言い方をすれば、Gacktが敵に回っているなら躊躇するなとそういうことだ。
AOIだのTAKAだのキリトだのに襲われて、この上なおGacktが襲ってくることまで想定しなくてはな
らないのか。
しかし、いまさら死ぬわけにいかないのも事実だった。Gacktも含めてここまで来て誰かが
欠けるというのも我慢がならない気もしたが――避けられない流血なら少ないに越したことはない。
「SUGIZOさん、気をつけてください」
だから、KOHTAが言えるのはそれだけだった。
あとはJと二人、遠ざかる背中を見送ることしかKOHTAにはできなかった。
河村隆一は上機嫌だった。
理由はわかっている、KOHTAとキリトの直接、しかも兄弟対決という、おそらくはこの男が
このプログラムの中でもっとも見たいと願っていたであろう局面が実現し、なおかつ望んだ結果
が出たからだった。
どんなに歪んだ形であれ、河村がKOHTAに抱いている期待は並々ならぬもの。
KOHTAを今までのように末っ子的存在に留まらせておくのは余りに惜しいと感じて居た。。
INORANはモニターを見直した。
KOHTAにJ、Gackt、そしてSUGIZO。怪我の程度までは本部からは直接確認できないが、少なくとも
命があるという意味では全員無事だ。
その事実にINORANは胸を撫で下ろし、そして胸を撫で下ろしたことに居心地の悪さを感じた。
キリトなら死んでもいいというのと変わらないことに思えたのだ。
この期に及んでそんな綺麗ごとを口にできた立場ではないことは百も承知だったが、それでもINORAN
としてはそう感じずにはおれなかった。
――こんなだから、俺は。
INORANは横目で河村を盗み見た。だから、河村にとってINORANはどこまでも”二番煎じの男”だった
のに違いない。信頼されて居たのは、いつだって自分ではなく、SUGIZOだったに違いない。くそっ、
ツインギターの戒めか。
「そろそろだよ、INO」
抑えきれぬ興奮を滲ませた河村の声に、INORANはあわててモニターに目を戻した。
なるほどSUGIZOとGacktを示す二つの光点の距離はもはやないに等しい。
『探したぞ、Gackt』
『……SUGIZOさん……』
盗聴マイクの拾った音が、河村とINORANのもとへ届く。音源の数がプログラムの開始当初と比べれば
段違いに少ないのもあって多少の雑音は混じるものの声の調子までも聞き取れる。
『あの二人はどうしたんだい』
Gacktの声は硬い。SUGIZOは答えを返さなかった。
『……同じこと考えてたってわけか』
『そのみたいだな』
短い沈黙を挟んでGacktが問い、SUGIZOが頷く。INORANは会話の意味を取りかねたが河村は違ったらしい。
あのとめどなく喋る男が、ものも言わずにきらきらした目で耳を澄ましている。再び沈黙が戻ってきた。
――まさか、
河村の瞳にある光INORANに事態を教えたのだが、INORANとしては認めたくない状況だった。
SUGIZOもGacktも――
INORANが現実を噛み砕くのを待たず、轟音が響いた。ほとんど同時に起きたその音が銃声だと、
それだけはINORANにもわかった。わからざるを得なかった。
「あ、あ……」
どこまでもいまさらなのだが、それでもまだ、信じたくない。なにかの間違いであってくれと
祈る思いのINORANを嘲笑うようにたっぷりと間を取って、モニター上から光点が一つ姿を消した。
本部に三度静寂が訪れた。
KOHTAとJは顔を見合わせ、そのことでそれが自分だけの空耳ではなかったと知った。
少し遠いが、間違いなく銃声だ。
「SUGIZO……」
Jがぽつりと呟いた。もちろん先刻の銃声にSUGIZOが関わっていないわけもない。
だがここからでは結果がわかるはずがないのも確かだった。
空々しい希望的観測を口にする気にもなれず、さりとて悪いほうへ考えるのにも抵抗があって結局KOHTAは言うべき言葉を見つけられなかった。Jもそれ以上はなにも言わない。
『最悪の事態は考えておけよ』、SUGIZOはそう言い置いていったのだが、考えておけと言われても、SUGIZOに万一のことがあればなんの考えようもないのだ。
どうやって老人どもの裏をかくのか、術を知っているのはSUGIZOだけなのだから。
考えるとしたらJと二人きりになった場合どうするかくらいだ。時間切れなら心中だ。
あるいは一方が死ねば他方が生き残る、だから死んでくれと迫るのか、はたまた生かすために死んでやるのか。――いや。
KOHTAは小さく首を振った。
もし本当にGacktがやる気になっていて、これからここへ来るのなら、こんな気持ちで勝てるとも思えない。
その先を思案するだけ無駄だろう。
そのとき不意に、がたん、と音を立てて扉が揺れた。KOHTAとJが立ち上がったところで、鍵のかからないそれが開け放たれた。
「SUGIZOさん……!」
KOHTAとJは同時にその名を叫んでいた。
「――待たせたみたいだな」
声が硬い。沈みかけた陽の朱を背負ったSUGIZOの表情はまったく読み取れなかった。
KOHTAは妙な居心地の悪さを感じ、しかしそれを打ち消したくてもう一度目の前の仲間の名を口にした。
「SUGIZOさん――?」
SUGIZOは無言で右腕を水平に持ち上げた。その手に、夕日を鈍く跳ね返す小さな鉄の塊が握られている。
吹き込んだ生温い風が、硝煙の臭いをKOHTAの鼻へ届けた。
「これで、終わりだよ」
抑揚に乏しい声がKOHTAとJにそう告げた。
最悪の目覚めだった。頭の芯がずきずきと痛む。体の節々もこわばっている。
二日酔いを数段ひどくしたようなその不快感で、Gacktは目覚めた。
体中にべったりと気持ち悪い汗が張り付いている。嫌な夢でも見たのだろうか。
−取り敢えずは、着替えだな−
そう思いのろのろとGacktは身を起こした。何か体を拭く物を…と薄暗い部屋の中を見渡して−。
「どこだ…ここは……」
Gacktは呆然とした。その部屋は全く見覚えがなかった。混乱する頭をどうにか落ち着かせようと、頭に手を当てて何があったかを思い出そうとして−瞬時にそれに思い当たる。
「ちくしょう!ちくしょう!馬鹿か俺はッ!」
思わず叫びが漏れる。一瞬でも忘れるなんてどうかしている。
こんなところで寝ている場合ではない。慌ててベッドから飛び降りて−Gacktはバランスを崩しつんのめる。
反応の鈍い体に思わず毒づきながら、上半身を起こした時、なにか光る物が目に入った。
目を凝らすと、それはモニターだった。半ば無意識に、目はそれに映る文字を拾い出す。
…者 IZO……ラム 終了……?
「……優勝者……SUGIZO……プログラム終了……?」
思わず読み上げたそれがどういう意味を持つのか数秒経ってからGacktは理解して−
部屋に絶叫が響いた。
勝者にはVIP待遇が与えられる。 日本へ帰る船、その中に設えられたそこらのホテルのスイートルームより余程上等な部屋は、
SWEET HERATのプログラムの勝者、SUGIZOに与えられた。
SUGIZOにとっては二度目の利用となる。
選手の命を縛った鉄の軛は、もうその首には無い。
用意された安楽椅子に体を沈め、SUGIZOは目を閉じていた。
優勝したSUGIZOに河村は興奮してあれやこれやと話し掛けたが、
「自分が生きるためとはいえ、大切な仲間を手に掛けたんだ。しばらく放っておいてくれ。
少なくとも、日本に着くまでは」
この言葉で、さすがにおとなしく引き上げた。
この部屋は最下部にあるが、河村は今、最上部のもう一つのVIPルームに居るのだろう。
「……やれやれ、長かったな」
SUGIZOがそう漏らしたのと、厳重に(外から!)ロックされた鋼鉄製の扉がノックされた
のはほぼ同時だった。
「……RYU、放っておいてくれと言った筈だが」
返ってきた答えはSUGIZOが想定していたものとは違っていた。
「いや、INORANだ。お前と話がしたい。入るぞ?」
SUGIZOが返事をする前に、INORANは扉を開いていた。
「……良いのか? 勝手にこんなことをして?」
「……もうプログラムは終わったんだ。ましてや参加者ではないんだから、拘束を受ける
理由は無いな。そんな人間が優勝者にインタヴューをして何が悪いって言うんだ?」
そうか、とSUGIZOは気のない返事をして、
「それで、俺と何の話をするってんだ? 今更?」
と、顔を背け、INORANを目の隅に留めたまま尋ねた。
「なあ、なあSUGI、道は、道は無かったのか。皆が助かるための道は!」
口を開いた瞬間こそ穏やかな声だったが、語尾には激昂とも哀願ともつかない激しさが満ちていた。
――興奮しているな。そう思った。
仕方の無い話だ。INORANは自分とは違っていわゆる「いい人」だ。多くの知らぬ
仲ではない人間の死に動揺しないで居ることなど出来まい。
しかしこれは厄介だった。興奮した人間は何をしでかすか解ったものではない。何とかINORANを
落ち着かせたかったが、この部屋に盗聴器は無いのか?INORANはいわゆる「いい人」だが、
これからどういうスタンスを取る?自分の生死が掛かってまで「いい人」で居続けられるのか?
俺だって元々は「いい人」だったんだぞ――
「有りははしねぇよ」
思考していると気取られずに返事をしなければならなかった。
その限りで出た返事はこうだった。
「INOが2番目によく解ってるんじゃないのか?お前主催者だろうが。そんな夢みたいな道が
あったんならお前が俺より先に気付く筈だ。あったのか? 穴が?」
INORANは顔を伏せると「そんなものは無かった」と搾り出すように言った。
「じゃあ無かったんだよ。傍目八目って言うじゃねーか。傍目で見ていれば物事は良く解る。
何で主催側のINOに解らない隙を参加者の俺が衝けるって言うんだ?」
「でも!」
INORANは大声で食い下がる。
「お前は今回の参加者の中で唯一前回も参加した男だ!そこから何かヒントを引き出して何とか、
何とかできなかったのか!」
SUGIZOは小さく舌打ちした。盗聴器の心配が拭い切れない以上、その話題にはあまり触れて欲しくない。
いや、そもそもこの状態でのんびりINORANとは会話していられないのだ。
過ぎた事をいつまでもいつまでも……女々しい男だ、とSUGIZOは少し苛つきを憶えた。その苛ついた頭は、
この部屋からSUGIZOを追い出せと警告する。人のいいINORANのことだ、死んだ仲間を侮辱するような発言をすれば怒って勝手に出て行くことだろう。
SUGIZOは口を開いた。
「ああ、ヒントは引き出したよ。ヒントを引き出したと言うか、前回参加のメリットは生かしたよ。
前回参加したことを話したらKOHTAも、Jも、Gacktも、俺が持っている、ありもしない脱出法に縋って俺の優勝を手伝ってくれたからな」
INORANの顔色が変わった。怒ると青くなるタイプのようだ。もう少しだ。もう少しでINORANは椅子を蹴ってこの場から居なくなるだろう。
それがINORANのためにもいい。
「結局はこの俺に殺されるとも知らずにね! 人を疑うことを知らないおめでたい奴らだよ!」
SUGIZOはややINORANに向けていた顔と視線を正面に戻し、呵々大笑した。
「お前……それは本気で言っているのか?」
INORANの返事は先程までとは打って変わって静かなものだった。
「さっきまで生きるか死ぬかの戦いをやっていたんだ。その後すぐに冗談を言えるほど俺も器用じゃねーよ、INO」
そろそろINORANは憤然と部屋を出て行くはずだ。しかし。
「そうか……」
返ってきた言葉はまたもや静かなものだった。
何かがおかしい、SUGIZOはそう思った。
「それなら、仕方が無い」
仕方が無い、その言葉が更なる違和感となりSUGIZOを襲った。
カチリ。
何だ、その音は。
SUGIZOが視線を原に戻すと、コルトガバメントを両手で構えるINORANが居た。
「散々仲間を殺して! 騙して利用して生き延びた上に侮辱までするって言うのか! 俺は貴様を許さん!
お前を殺さないとお前のために死んでいった仲間が成仏できやしない!」
SUGIZOは顔の筋肉を引き攣らせて硬直した。その表情は笑っているように見えるかもしれない。
待てよ、INO、冗談か。その声は音にならなかった。
いや、こんなところで、そんな理由で参加者以外に殺されたのでは冗談ではない。洗いざらい全て話せば
あるいはINORANは納得するかも知れないが、盗聴器があれば、と考えるとあまりに危険だ。
ならば。こうなっては仕方が無い。最悪の中の最善をとるしかなかった。その話は、できない。
SUGIZOは両手を上に上げた。
「待ってくれINO、俺を殺したらINOも消され兼ねないんだぞ? このプログラムで沢山の人間が消された。
そのついでにと協力者のINOが消されたら勘定が合わないと思うんだが」
「構わない!」
INORANは動じない。
「お前には守るものがあるじゃないか……」
「黙れ!」
コルトガバメントが火を噴いた。
SUGIZOは右肩を強く叩かれたように回転すると、床に倒れ伏した。
「お前が殺した奴らにも彼女は、果ては奥さんだって居たかもしれない……」
INORANは倒れ付したSUGIZOにそう言った。
SUGIZOの衣装は赤く染まり始めていたが、急所は外れていたのか、まだ生きているようだった。
「INO……に、撃たれるとは、ね。参ったなあ……」
SUGIZOは何とか自分の体を反転させ、仰向けになった。
INORANは怒りか、哀れみか、蔑みか。複雑な表情でSUGIZOを見下ろしていた。コルトガバメントは
その銃口を真下に向けている。追い討ちをかけたりやとどめを刺すつもりは無いらしい。
こうなってしまったからには、盗聴器が仕掛けてあったとすれば、奴らは既に警戒体制に入っている筈だ。
もう何を話しても同じ、か。最初からこうすれば良かったな。
「INO……俺は構わないがな…、これから来る若い奴らを撃たないでやってくれよ?」
INORANは目を見開いた。
「そ、それはどういう意味だ!?」
SUGIZOは苦痛に顔を歪めながら尋ねる。
「この部屋に、盗聴器は、あるんですか?」
「いや、無い筈だ。必要が無いからな」
「そうなんですか、それはしくじったな」
SUGIZOは皮肉な笑みを浮かべる。
「それより」
「なに、すぐにわかるよ」
その声の方が早かったか。外から銃声が聞こえてきた。
INORANは外に向けてコルトガバメントを構えたが、SUGIZOが「大丈夫だろ」とそれを止めた。
銃声が鳴り止むと、INORANが面白いぐらいに驚いているのが見て取れた。
「お、お前ら……無事だったのか!」
INORANが顔を向けると、SUGIZOは傷口に手を当てたまま、口を歪ませて笑みを作った。
外の人間はINORANの姿を見て躊躇していたようだったが、SUGIZOが力を振り絞って「大丈夫だ!」と叫ぶと、まずGacktが姿を見せた。Gacktは周囲を見回して、SUGIZOが見当たらないことに不審をおぼえたか、銃口を上げかけたまま、すぐにSUGIZOの姿を床に見付けた。
「INORANさん! あなた!」
Gacktは即座に銃口をINORANへと向けたが、KOHTAがそれを制した。
「INOさんがそんな事をする筈が無い、事情がある筈っすよ」
Jは蒼白になって駆け寄ると、SUGIZOを抱き起こした。 SUGIZOは「そうだKOHTAの言う通りだ、INOは敵じゃない」と掠れた声で言った。
「これは一体……」
茫然自失の一歩手前のような顔で、INORANは尋ねた。
「なに、この連中には死んだふりをして貰ってただけだ。俺は首輪の仕組みを事前に、
独自に調べていてね。銃声と共にあの首輪を爆発しないように、うまく外せば死んだように見せかけられるんですよ」
「だったら!」
SUGIZOは先を読んで答える。
「全員助けるのは無理だった。3人程度だったからこの船に隠れて乗ることが出来たんだ。それに『やる気』
になっている人間と話し合うことなんて出来ない。この3人は『やる気』にならなかったんですよ。
そして俺を信じてくれた。だから助けると言っちゃおこがましいが、ここまで連れてくることができたんだ」
それを聞いて、Gacktは少し俯いた。
「それじゃあ、それじゃ逆じゃないか! 俺は! 俺は!」
INORANはコルトガバメントを取り落とし、跪いてSUGIZOの顔を覗き込んだ。
SUGIZOは口を歪めた。笑おうとしたのだろう。
「ごめんなINO、こいつら3人にも言っておくべきことがあるんだ」
見れば、SUGIZOの口の端に赤い泡が溜まっていた。時間が、もう、無いのだ。
INORANは頷くと体を少し引いた。
SUGIZOがKOHTAへ視線を移そうとしているのに気付き、JはSUGIZOの顔をKOHTAへと向けた。
「…サンキュ。いいかお前ら、INOを、恨むんじゃないぞ。INOは、俺が、お前らを、騙し討ちに、
したと思ったからこそ、憎い、俺を、撃ったんだ。俺を撃てば、あいつに、撃たれると、解っていたのに、だ。
お前らの、ために、撃ったんだ。これから、お前らが、ついて行くべき人物だ、INOは。解ったな」
SUGIZOは、もう相当呼吸が苦しくなっているようだった。少し、間を置く。
「これは、遺言だ。守ってくれ」
Jは、また察してSUGIZOの顔をINORANへ向けた。
「INO、もう一度、言っておく、俺の、ことは、キリトか、何かに、殺された、と、思って、気にしない、ことだ。
お前は、これから、甘心を、背負って、立つんだ、そんな、細かい、ことを、気にして、いては、いけないんだ」
INORANの顔は涙でもうグシャグシャだった。SUGIZOはそれを見て笑おう……としたのだろうか。
「しかし、しかし俺は、俺はみんなにどんな顔で会えばいいんだ!」
「だから、俺は、キリトに、殺され、たんだ。いや、対、外、的に、は、テロ、か、何かの、被、害者か、な?
とにかくだ、人の遺言くらい素直に聞いてくれよ、INO」
INORANは息を飲んだ。遺言。その言葉のなんと重いことか。
「……解った」
INORANは深く頷いた。
「あああああああ、あ、ありが、とう」
SUGIZOの身体は痙攣を始めていた。
「いいいいいいいいいか、いい、一番、う上のの階に、ああああいつ、はいる。
そそそそそう、だよな? いいいいいINO?」
INORANは無言で頷いた。
「だだだだ大、部分はしし、始末しただろうとは、思うが、さささ最後、まで、ゆ油断するなよ?
お前らが、こここここここで、やられちゃ俺も、うううう、浮かばれない」
「はい!」
KOHTAは正面から目を合わせて、Gacktは悔しげに目を閉じたまま、Jは目に涙を浮かべ、同時に返事をした。
SUGIZOの顎が下がったように見えた。頷いたつもりだったのだろうか。
「いいいいいいいいい返事だ。じゃじゃじゃじゃ、これからの、すすすスイート、、、ハー…ト、を……たたた頼む、ぞ」
言うべきことを言ったという安心感からだろうか、不思議にSUGIZOの痙攣は止まった。
もう一度、SUGIZOは口を開いた。
「真ちゃん…俺、やったよ…」
そう言うと、SUGIZOの体から力が抜けた。
Jは、それでSUGIZOがSUGIZOでなくなってしまったと知った。
ふと思いついて、KOHTAはSUGIZOのポケットを探った。
指に何かが触った。それを引っぱり出してみると、財布だった。……これだ。
「……KOHTA…?」
怪訝そうな声で問いかけるJをよそに、KOHTAは財布の中を探った。現金…カード…そして、それは入っていた。
「写真…か」
Gacktが呟いた通り、2枚の写真が入っていた。1枚は家族の写真。
そして、もう一枚はずっと昔の…ルナシーのライブを終えた直後だろうか、上半身を肌蹴たSUGIZOと、
同じく輝く汗に包まれたメンバーと他のスタッフ達の集合写真だった。
もっとも、KOHTAには見覚えのあるスタッフは殆どいなかったが−。
ともかくも。どちらも写真の中のSUGIZOは幸せそうに笑っていた。
「そうか、インディーズの時の…… RYUも笑ってる…」
INORANの震える声を聞きながら、その写真をSUGIZOの手に握らせてその上から自分の手で包み、
そして− KOHTAは泣いた。
外の人間はINORANの姿を見て躊躇していたようだったが、SUGIZOが力を振り絞って「大丈夫だ!」と叫ぶと、まずGacktが姿を見せた。Gacktは周囲を見回して、SUGIZOが見当たらないことに不審をおぼえたか、銃口を上げかけたまま、すぐにSUGIZOの姿を床に見付けた。
「INORANさん! あなた!」
Gacktは即座に銃口をINORANへと向けたが、KOHTAがそれを制した。
「INOさんがそんな事をする筈が無い、事情がある筈っすよ」
Jは蒼白になって駆け寄ると、SUGIZOを抱き起こした。 SUGIZOは「そうだKOHTAの言う通りだ、INOは敵じゃない」と掠れた声で言った。
「これは一体……」
茫然自失の一歩手前のような顔で、INORANは尋ねた。
「なに、この連中には死んだふりをして貰ってただけだ。俺は首輪の仕組みを事前に、
独自に調べていてね。銃声と共にあの首輪を爆発しないように、うまく外せば死んだように見せかけられるんですよ」
「だったら!」
SUGIZOは先を読んで答える。
「全員助けるのは無理だった。3人程度だったからこの船に隠れて乗ることが出来たんだ。それに『やる気』
になっている人間と話し合うことなんて出来ない。この3人は『やる気』にならなかったんですよ。
そして俺を信じてくれた。だから助けると言っちゃおこがましいが、ここまで連れてくることができたんだ」
それを聞いて、Gacktは少し俯いた。
「それじゃあ、それじゃ逆じゃないか! 俺は! 俺は!」
INORANはコルトガバメントを取り落とし、跪いてSUGIZOの顔を覗き込んだ。
SUGIZOは口を歪めた。笑おうとしたのだろう。
SUGIZOを凝視したまま動かないINORANの腕を、KOHTAが引く。
感傷にひたっている場合ではないのだ。一刻も早くこの船全体を制圧しなければならない。
Jが先行した。KOHTA、INORAN、Jと続く。
Gacktは前を向いたまま言う。
「けりを付けますよ。上にトラップなどは?」
Gacktの問いに、INORANは「無い」と短く答えた。
Gacktはカンカンと、階段から甲高い音を立てる足を休めない。VIPルームのそれに比べると、このあたりの作りはかなり安っぽい。
「必要ないでしょうからね」
Gacktはまた振り返らずに返事をした。
「だが、まだ」
「ええ、そのようですね」Gacktは階段を上りきると、すぐに身体を通路から階段へ戻し、半身になって右手のベレッタM92Fを構えた。
KOHTAはそれに気付くと、Gacktを追い越し通路へと飛び出した。そのまま素早く同じ方向に銃を構えたが、それを半ば下ろしながら
「seek……?」
と、声を絞り出した。
それを聞いて、INORANも即座に駆け上がった。
KOHTAには、seek(Psycho lu ce’mu Ba.)の足元に転がっている、紅白のまだら模様の何か(いや、大体何かは判断がついたけれど)も気に掛かったが、それよりも気になることがあった。
「何故、ここにseekが?」
KOHTAの問いに、INORAN小声で答える。
「アイツに気に入られたんだ。一回は瀕死の重傷を負ったが、特別な治療を受け、今は幹部として遇されている」
Jが後方に注意を配りながらもゆっくりと階段を上ってくる。
「……これっすか?」
俯いたまま、こちらを見ようともせずに、seekは彼の足元に転がった血染めの衣装を爪先で軽く蹴った。
「……誰なんだ?」
顔も背番号もINORANの立ち位置からでは確認できなかったので、訊いた。
「YOSHIさん!!!!?」
Jが叫んだ。
「何で! 何故なんだseek!」
seekはそこで初めてKOHTAらの方に向き直った。しかし、相変わらず顔は伏せられたままだ。右手にコルトガバメントを持っていたが、その銃口も下を向いている。
「俺たちはね、隆一さんが逃げるまでの時間稼ぎをしろと命令されたんですよ」
JがベレッタM92Fの撃鉄を起こした。
「酷い話やと思いませんか。倒せ、ならまだ分りますよ。勝って俺らが生き残ればええ。けど、下された命令は、時間稼ぎをしろ、ですよ。俺たちは死ぬことが前提ですか? 俺たちは捨て駒なんや」
seekは顔を上げようとせずに、俯いたまま喋り続ける。
「それはともかくとして、この人は」
seekはまたつま先の先でYOSHIKI、だったモノ、だろうものを軽く蹴った。
「救命ボートで逃げようとしたんですわ。どんな無茶な命令やろうが、命令は命令。貴方達がが最後の一人まで殺しあうルールを課せられていれば、俺らも命令という枷に縛られている。そして、
命令違反は――大体想像付くと思いますけど――死、です」
JとKOHTAも銃を構えたが、INORANがそれを制した。しかし、Gacktは銃口を下げようとはしない。
「まあ、この人も、命令どうこうやなくてね、死ぬべきなんすよ。みんなが殺し合いをするのを薄笑いを浮かべて見てたんやから。人として許されることやないでしょ」
INORANはseekが顔を上げてくれないことに苛立った。何を考えているのか読めないのだ。今のseekには違和感がある。seekはこんなことを言う人間だっただろうか。
いや言ったかも知れない、言うかも知れないが、人を殺すなど、あのseekにできるのか? このseekは俺が知っているseekではないのじゃないだろうか。最も、元々よくは知らないのだが。
それにしても…そう、洗脳とか。
seekがふっと息を吐き出した。それは、あるいは笑いだったのだろうか。
「あの人も酷い人っすよね。俺とYOSHIKIさんは時間稼ぎやけど、星子さんと東海林さんは連れて行くですって。結局メディアには弱いんすよ。同じアーティストという位置に居る奴には
興味も無い」
そこで、seekは口を噤んだ。KOHTAらも、口にするべき言葉を見つけることはできなかった。Gackt一人がベレッタM92Fを構えたまま、しばしの静謐な時が流れた。
「命令は、死んでも守らなきゃならないんすけど」
おもむろに口を開き、沈黙を破ったのはseekだった。
「ここでこうして貴方方達に話を聞かせることによって時間稼ぎの任務は果たしましたよ」
果たした。その言葉に、何故かINORANは不吉なものを感じた。
「もう俺がすべきことは何も無い。この人んように」
くっ、と、seekの頭がYOSHIKIの方を向いた。
そこで、INORANはさっき感じた不吉な感覚が何であったのか気付いた。
その時にはもう、INORANの身体はseekへ向けて飛び出していた。それは、INORANがステージ上を駆け回る時のどれよりも良いスタートであっただろう。
しかし、seekはそれを全く意に介さずに言葉を続けた。
「生きているべきやないんですよ。ほんじゃ。INORANさん、後を頼みますよ」
そう言い、seekは右手の銃を自分のこめかみに当てると、引き金を、引いた。
のと、どちらが早かっただろうか。INORANの背後で銃声が響いたのは。
いや、どちらが早かったのかは結果を見れば自明だった。
銃弾はINORANの脇を通り過ぎると、seekのコルトガバメントに命中したのだ。
seekの手に握られたコルトガバメントの弾は、その持ち主の意思に反してseekのこめかみではなく、天井に命中して跳ね返り、数度、甲高い音を立てた。
seekはその予期せぬ銃撃に尻餅をついたが、その次の瞬間には取り落としたコルトガバメントに手を伸ばしていた。しかし、もう一度銃声は響き、コルトガバメントをさらに吹き飛ばした。
なおもコルトガバメントに取りすがろうとするseekにINORANが飛びつく。
Jが何が起きたか理解しようと周囲を見渡すと、GacktのベレッタM92Fがかすかに煙を吐いていた。
「死なせて下さい! もう生きていたくないんです! 俺には生きる資格なんてないんですよ!!!!」
「ふざけるな!」
INORANは馬乗りになってseekを押さえつけると、思い切り顔を殴った。
「死んでどうなる! お前が死んでどうなる! 誰かが助かるのか! 死人が増えるだけだ!」
「だからって、人を殺した人間がのうのうと生きていていいはずがないやないですか!」
そう言うseekは、INORANの目を見ていない。INORANはもう一発拳をseekの顔面にお見舞いした。
「悩みも苦しみもせずにチームメイトを平然と殺した奴も居るってのにどうしてお前に生きる資格が無いんだ!折角助かった命をもっと大切にしたらどうなんだ?!!」
「でも!」
「でもも何もあるか! お前はな、自分が死ねば気が済むのかも知れないが、お前が死んだらお前の家族はどうなる!親孝行したいって、学生時代の自分を悔いてるんだろ?!
それをあっさりと捨てて今度は最大の親不孝をするのか!
そうだ! これからSWEET HEARTが大変だって時に、勢いのある新人が居なくなってどうする!お前は逃げるのか! この卑怯者!」
そう、INORANがあらん限りの大声で怒鳴りつけると、そのINORANの下から嗚咽が聞こえ始めた。
INORANは三人を振り返ると、大声で言う。
「ここは任せてくれ。時間を取られてしまったが、仕上げをしなきゃならん。頼むぞ」
Gacktは大きく頷くと、二人を促した。
あの人を倒すまで、この悪夢に終わりはこないのだ。
Gacktが、KOHTAが、そしてJが駆け抜けた後、再びこの場に静寂が訪れた。
seekは目を合わせようとはしなかったが、INORANもseekの目から、視線を離そうとはしなかった。
そのINORANの眼力に耐えられなくなったのか。
seekが沈黙を破った。
「確かに親には申し訳ないと思う。せやけど……」
そこで初めてseekはINORANの目を見た。
「仲間の殺し合いをただ見てた…そないな俺に親に抱き締めてもらう資格あるゆうんですか?! そんな俺なら帰らない方が、死んでしまった方が家族のためやないんですか?!」
INORANの形相が変わる。
「資格資格資格と!」
もう一発拳が飛んだ。
「生きるのに資格なんて要るもんか! 今生きていることが生きていていい資格だ! 自分の親に抱き締めて貰う事にどうして資格が要るんだ!
お前は本当は怖がっているだけだ!
仲間を見殺しに自分はみんなに、大切な人に受け入れてもらえないんじゃないかと!
大丈夫だよ、不可抗力だし…お前は死んでいた筈なんだ。 誰がお前を責めることなんてできるんだ!」
口を噤んで、再び目を逸らしたseekに、今度は穏やかな口調でINORANは語りかけた。
「俺も、撃たないでよかったSUGIを撃ったんだ、殺したんだ。この手で。あいつがKOHTAやGacktやJを踏み台にしたと勘違いして」
「SUGIZOさん……?」
また、seekはINORANの目を見た。INORANの口調が再び熱を持ち始める。
「だがSUGIは俺を許してくれた! 到底許されないような事をしたこの俺をだ! 何故だか分かるか!」
seekは黙したまま首を振った。
「SUGIは俺にSUWEET HEARTを任せると言ってくれたんだ! だから、俺はSUGIのためにも生きる! そして」
INORANはそこでseekの目を凝視した。この男はここで死んでいっていい男ではない。何が何でも説得しなければならないのだ。
「俺にはお前の力が必要だ。俺のため、ひいてはSUGIのためにも死ぬなんていわないでくれ、な?」
「せ、せやけど俺は」
なお言い募るに、INORANは血が逆流するような感覚を覚えた。
「まだ言うのかっ!」
INORANは腰に下げていたコルトガバメントに手を伸ばし、撃っていた。
装弾数7+1発。8回の銃声が響き、スライドがホールドオープンした。
そして、seekから見て左、頭のすぐ側に8つの穴が口を開けていた。
「これで、人殺しのseekは死んだ。俺が殺した」
INORANは、まだかすかに煙を吐いているコルトガバメントを持ち上げながら、言った。
「これからは、仲間思いの期待の新人ベーシスト、seekとしてSWEET HEARTのために働いてもらう。いいな」
ちょっと(いや余りにも)責任重大で大袈裟とも思われるその言葉に、seekは、涙を流して頷いた。
階段を駆け上がると、甲板へと出た。
轟音が耳を苛む。甲板に作られたヘリポートから、今まさにヘリが飛び立ったところだった。
窓から「あの人」の顔がチラリと覗いた。
KOHTAがそれを確認するより早く、Gacktは発砲していた。しかし、その銃弾はその顔の手前、窓ガラスに阻まれた。
「防弾ガラスか!」
Gacktは二人への注意のためにそう口にすると、さらに燃料タンクがあるであろう場所を狙い再び発砲した。KOHTAとJも慌ててローターへと発砲したが、
機体に穴が空くどころか、バランスを崩す気配さえない。
勿論、全弾外れというわけでもない。通じていないのだ。
Gacktは舌打ちした。
このままこいつを取り逃がせば、日本で悪者にされるのは自分たちだ。あいつの言葉はマスコミに無条件で信用される。そして、
今の日本にはマスコミを無条件で信用するやつらばかりなのだ。そうでなかったならば、
今のSWEET HEARTの隆盛もまた無かった。自分がSWEET HEARTに身を置いているから、それは良くわかる。
「一箇所を狙え! 軍用ヘリ並みの装甲だって、同じところを集中的に狙われればもたないはずだ!」
そう叫び、その叫びにKOHTAとJは頷いたけれども。
殺しのプロじゃあるまいし、こんな離れた、しかも動き回る物体の一箇所に銃弾を何発も当てることなどできるわけがない。できるわけがなかったが、
それしか策が思いつかなかった。
こんなことならばヘッケラー&コッホやイングラム(兄貴の遺品だ。…オエッ)や、KOHTAが持っていたウージーを、荷物になるからとか、
潜入の邪魔になるとか言って捨てないで、何がなんでも持って来るべきだった。
軍用ヘリ並みの装甲ならばマシンガン程度の銃弾など軽く防ぐとは思うが、ベレッタや何かでちまちま撃っているよりは余程効果があるはずだ。
そんな絶望的な射撃の中、不意にヘリの窓が開き、星子の顔が覗いた。彼がヘリを操縦しているのだろう。
KOHTAとJは射撃の手を止めたが、丁度リロード中だったGacktは装弾が済むと、星子を撃とうとした。
それをKOHTAは制した。
Gacktが「何でだ!」と叫ぶ前に、星子が叫んでいた。
「そこに居るのは、KOHTAくんに、Gacktに、Jか!」
星子の叫びに「あの人」の忌まわしい声が被った。
「星子さんどうして窓を開けるんだ。危ないだろう?閉めますよっ」
星子はその言葉を無視し、言葉を継いだ。
「良く生き延びてくれた! もう、こんなことは終わりにしなきゃならない! 俺が終わらせる! ……すまなかった。
許してくれとは言えた義理じゃないが、せめてもの罪滅ぼしをさせてくれ……」
ヘリコプターは機首を下げ、その軌道を変えつつあった。
「星子さん、何を……?」
KOHTAのつぶやきは、「あの人」の声に遮られ、星子に届いたかどうか。
Gacktが、ヘリコプターの窓から顔を出した星子に照準をつけた。
「星子さん…何を言い出すんです。おかしな真似なんかしたら星子さん…貴方の命も無いですよ」
「あの人」の声色は明らかに変化を見せていた。それに、星子は落ち着いて対応した。ヘリコプターは、急速にその高度を下げつつある。
「今更、こんな命なんぞ惜しくはないさ。 仲間がたくさん死んでいったんだ。俺一人が命を惜しもうとは思いませんね。
それに俺を殺したら誰がヘリを操縦するって言うんです?」
「舐めんなよ星子ぉ!! そんな脅しで俺がビビるとでも思ってんのかYO!!」
その声には「ヴィジュアル界の貴公子」たる、紳士的な雰囲気など微塵もなかった。
もっとも、この場にいる全員が、ヴィジュアル界の貴公子という称号は、欺瞞であると知ってはいたが。
そして、それを証明するように、星子のこめかみに銃口が当てられているようだった。トリガーに掛かった指が黒いところを見ると、
押し付けているのは東海林のり子か。
しかし、星子はそれに気圧されることもなく、逆に「あの人」を威圧せんばかりに大声を張り上げた。
「それはこっちのセリフだ! 殺るなら殺れ! お前らも死ぬがな!」
「……いい度胸だ!」
ほとんど狂人のような「あの人」の叫びが聞こえ、ヘリコプターは海に突入した。
水柱が吹き上がる、その轟音に掻き消されたか、非常にかすかではあったのだが、確かに、KOHTAの耳には銃声が聞こえた。
Gacktは悄然と銃口を下ろしただけだったが、KOHTAとJは甲板の端へと駆けた。
大量の気泡で状況は良く掴めなかったが、海面が落ち着くにつれ、KOHTAは油とは別に、海面が黒っぽく汚れていることに気が付いた。
「鮫だな」
ゆっくりと近づいてきたGackt来が言った。
「最近はハワイでも鮫がしょっちゅう出るんだってさ」
KOHTAはGacktを振り返ったが、Gacktが浮かべている笑みが不快だったので、目を海面へと戻した。
しかし、なにやらバチャバチャと音を立て、黒い染みを広げていく海面はもっと不快だった。
Jがつぶやいた。
「終わり……か?」
「だろうね」
Gacktが答える。
「この手で止めを刺してやりたいところだったが、鮫のエサとはね。拍子抜けだよ」
KOHTAにはその言葉も不快だったので、聞かなかったことにした。
ただ、海面に広がりつづける黒い染みを見ながら、星子の冥福を祈ることにした。
隣では、Jが必死に言うべき言葉を探しているようだった。
「さて、大島さんの死体もあいつらにくれてやるか。余程腹を減らせているみたいだしな」
ジョークにしてはやり過ぎだ。KOHTAはそう思ったが、どうやら冗談でもないようだった。
【2001年11月5日(月)16時24分 管理責任者死亡のため、プログラム終了】
【臨時ニュース】
――番組の途中ですが、臨時ニュースをお伝えいたします。
元X JAPANのギタリスト、PATA(本名・・・・・・)さんが、拳銃で自分の頭を撃ち抜いて亡くなられているのが、同じく元X JAPANのheathさんによって発見されました。
PATA氏が生前手を掛けていたSWEET HEARTグループに所属するアーティスト団体は、ハワイでテロに遭遇し、連絡がつかなくなっている状況で、ストレスによる自殺ではないかと思われます。
しかしながら、PATA氏が拳銃を所持していたのは銃刀法違反に当たり、また、渡邉PATA亡くなっているのが発見される前に、数発、銃声を聞いたという報告もあり、当局は自殺以外の可能性もあるとして捜査に乗り出しています――
なお、サイコルシェイムマネージャー上杉哲也氏も同日に、こちらは明らかに殺害されていたが、氏の訃報は、死後数日経ってから全国紙の片隅に小さく載ったきりだった。その記事に拠れば、死因は、心不全。
日本に帰りついたKOHTAらを待ち受けていたのは、大量の武器を所持した現役やら別のバンドに異動したマネージャーや関係者らの乗る装甲船だった。
特に柳(PIERROT メイク担当)などは、河村や星子と語らい、今回のプログラムには介入できなかったが、二度とこのような悪夢が繰り返されないように、
星子から情報の提供を受け、星子からは武器もろもろの提供を受けて、水際で腐った狂人ども(主に、「あの人」)を叩くつもりだったようだ。
それならば、KOHTAらは全くそのような計画があるとは知らなかったのだから(おそらく、「あの人」が乗っていたとしてもそうだっただろう)、
問答無用で船を沈めてしまった方が方法としては確実である(当然、奇襲でないのなら、反撃もあるだろうし)のだが、柳は目的達成のためにプログラム優勝者
(SUGIZO、ということになっていた)を巻き添えにすることはできなかったらしい。
だから、柳は居並ぶ選手たちに武器を構えさせてから、
「SWEET HEART、いや、日本の音楽業界全てが自分の思い通りになると思いなさってる河村さんよ!
これだけ好き勝手やれば思い残すことなんてないだろ?
そろそろ地獄からのお迎えですよ」
と、大声で口上を述べた(いや、ひょっとしたら柳が一言言いたかっただけかも知れないが)。
そこでKOHTAが飛び出したので、装甲船の面々は目を丸くしたのだ。
柳はKOHTAから一切の事情を聞くと、
「そうか……SUGIZOくんは死んだのか……。いや、しかし、君たちが助かって何よりだよ。ほら、見て」
と言って、親指で横を指し示した。
そこには抱き合い、涙を流して喜ぶJとINORANの姿があった。
「SUGIZOくんのカラクリでさ、君たち一度死んだことになってたじゃない?」
KOHTAは頷いた。
「今回はSUGIZOくんには切ない結果だったけど、KOHTAくんたちだけでもこうしてまた会えて・・・良かったよ」
柳は笑いながら言ったが、目が少しだけ充血していた。
KOHTAはGacktのことが少し嫌いになっていたが、安堵からか流れた涙を見て、ようやく皆人間としての感情を取り戻しつつあると自分も安心した。
装甲船を降りるまでに、KOHTAはINORANとともに、柳から事情の説明を聞いた。
甘心グループはハワイでテロに遭遇したということになっていたこと。
諸悪の根源のPATAは、表向きには自殺となっているが、何者かに殺されていたこと。
黒幕が居なくなり、後継の氏家を押さえたので、狂人どもの悪事を暴き立てて混乱を招く必要もないだろう、ということ。 何の心配をしなくても、SUGIZOの遺言通り、INORANがこれからの甘心グループを先導していく、ということ。
柳が内部事情を事細かに説明し終わり、「まあ、大体こういうとこなんだけど、何か質問あるかい?」とKOHTAに問うが、松井は首を振る。するとINORANが一つ尋ねた。
「このプログラムに賛同した連中、つまり、選手を賭けの対象にしたような奴ら。そいつらをどうするつもりなんですか?」
柳はその問いににやっと笑うと、
「既に処理済みですよ」
と言った。
「話して分かる方には納得していただきました。話しても分からない方にはこちらの口でお話して」
柳は腰掛けた椅子の隣にあるテーブルの上に置かれた拳銃を指先で二度叩いた。
「それでも分かっていただけない方には、まあ、そんな方ほとんど居ませんでしたがね」
「そうですか……」
INORANは俯いた。その様子を見て、柳は付け加えた。
「そうでないと、我々も危ないですからね」
INORANは俯いたまま両手を開いて柳の前に突き出した。
「いや、分かってます。ありがとうございます」
「いやいや。業界を一部の人の欲しいままにしておくのは音楽業界の人間としてやはり腹立たしいですからねぇ」
柳が芝居っけたっぷりにそう言った時、船室に軽い振動が響き、船が動きを止めた。
「着きましたね」
柳が言った。
「おかえり。日本へ」
全てが終わった二週間後、12月22日に、河村隆一他アーティストの盛大な葬儀の後、
「プログラム」は、メジャーに在籍しているバンドが多い時期に不甲斐なく、そしてその年にメジャー有望なインディーズバンドが
豊作の時に行われるという事を知る事になる。
つまり、殺し合いを経てアーティストの精神と肉体を鍛えると言う目的も勿論あるが、その主な目的は「バンドの宣伝費を迂闊に新人なんかに費やして貰って堪るか」
というようなベテランバンドの自己中な闘争心が根底にあるらしい。「勝ち残った人間がこれからのバンド界の華を背負って生きるのだ」と。
そして、今回もその措置は取られた。
死してなお、河村隆一の目論見は達成されたのだ。
まったく、たいした執念だよな、とINORANは思う。
しかしそう思う一方、それでもなおINORANは有望な新人バンドを大量に発掘しようとしている自分に苛立ちを覚える。そうでないと建て直しが効かないからなのだが。
「まったく、本当に大したもんだよ」
多くのカメラが彼を捉えている中、INORANはつぶやいたが、その声は誰にも聞こえなかっただろう。
この年、SWEET HEARTはメジャー有望なバンド3バンドと契約を交わし、見込みのあるバンドを精力的に取り入れるために精力的にオーディションなども開催した。
「新生」SWEET HEARTの誕生である。
これからの新人には誇りを持って「SWEET CHILD所属です」と言って貰いたい。自分には時代を生きた元LUNA SEAのメンバーとして、
後世に繋いでいかなければならない事が山ほどあるのだから。
2002年の音楽シーンでは、ハッキリ言って、SWEET HEARTの活躍は望めなかった。
例年ならば頭角のピエロがノルマをこなしていた所だろう。サイコルシェイムもメジャーを控えてノリに乗った一年となる筈だった。
それでも
SWEET HEARTグループは地味ではあるが、今回の事件で知名度も広がり、死んでしまったアーティスト達のオムニバスを出すなどして、話題を集め、更にチャートにも毎週食い込むほどの快挙を果たしたのだ。皮肉ではあるがそれで良かったのかもしれない。
そして今年も例年通り、SWEET TRANCEと称した、バンド祭典は予定通り行われる。ただし今年は全バンド初出演となり、しかも、サヨナラSWEET TRNCEイベントらしい。つまりは、この闇にも漸く終幕が訪れたのだ。
楽屋には、メイクとリハを終えたアーティスト達が、久し振りのステージを今か今かと胸を高鳴らせて落ち着かない様子だ。
「アレ、KOHTAさん何やってんすか?」
今日は主役になれるだろうか。
PIERROT BASS KOHTAは人という文字を三度手のひらでなぞるとそれを飲み込んだ。
あの。。。ゴメンナサイ゚。・(ノД`)・。゚・
生姜さんって多分途中まで書いたはいいけど
ラストに向けて自分がいかに無理矢理の設定したかってのを痛感
したんでしょうね(ワラ
INORANが英雄っぽくなってるし、何故かseekは生きてたし(ニガ、
甘心全滅だし、大体INOが代表になる訳ないし(ワラ
すんげー無理矢理でごめんなさい(´・ω・`)
でもこういう結末があってもいーのでは無いでしょうか。
私はやっぱ生姜さんに簡潔させて貰いたかったけど。。。。
誰かが死ぬのはやっぱイクナイすね。
ではサヨーナラー
598 :
Nana:03/04/03 00:10 ID:x5fZdUMp
ふくさん、生姜さんほんと乙でした。
ありがとございますた
-これ以降もsageで-
599 :
Nana:03/04/03 00:29 ID:w99L8FRM
一気に終わってもーた
600 :
キリ番getter ark:03/04/03 02:19 ID:Qem8ZbGH
601 :
Nana:03/04/03 03:07 ID:1fqaZqBk
何か久しぶりにあがってると思ったら…。
ふくさん、乙でした。
602 :
Nana:03/04/03 15:34 ID:fCYztXEo
一気に読み終えました・・・
とりあえず、ふくさん乙でした。
seek好きな漏れ的には激しく嬉しい展開でした(w
603 :
Nana:03/04/03 18:33 ID:H9UKNiNl
( ゚д゚)ポカーン
604 :
Nana:03/04/03 21:53 ID:bVZ1kpdz
605 :
Nana:03/04/03 23:14 ID:CeE4o71x
agetennnayokusoga!
606 :
Nana:03/04/03 23:56 ID:eraTXE5g
なんか…ちょっとモニョ…
607 :
Nana:03/04/04 07:49 ID:pq/U7YDa
文句あんのかヽ(`Д´)ノゴルァ!!
なめんな
608 :
Nana:03/04/04 09:17 ID:e8a10p/4
>606
シッ!(w
609 :
Nana:03/04/09 21:01 ID:uYkYxylP
?
610 :
Nana:03/04/10 21:44 ID:Zbmccn2t
文句があるなら見なきゃいいじゃん…
書いてくれた人に失礼だよ。
611 :
Nana:03/04/10 22:13 ID:QWOZWe7B
>生姜さんって多分途中まで書いたはいいけど
>ラストに向けて自分がいかに無理矢理の設定したかってのを痛感
>したんでしょうね(ワラ
こっちのほうが失礼だと思うのは漏れだけか?(ワラ
612 :
Nana:03/04/10 23:12 ID:ajA+Bk+x
>>611 漏れはその文を読んだ時、
実は生姜さん=@ふくさんかと邪推した(w
613 :
Nana:03/04/11 23:50 ID:1K5k2dj3
えーやん、誰さんでも。
614 :
Nana:03/04/15 08:05 ID:z1QPsNUh
ホンマやで
615 :
山崎渉:03/04/19 23:39 ID:C1eePix/
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
616 :
Nana:03/04/24 00:13 ID:9mRmksdv
無駄にあげ。
617 :
Nana:03/04/24 01:33 ID:ZAG1rC1f
honto mudadana
618 :
Nana:03/05/04 02:20 ID:UPx/kw4U
619 :
Nana:03/05/08 20:16 ID:vsdFa2/l
これって誰かが書いた小説読むだけのスレ?
・・・だとしたら、ほんと無駄なスレだな。
620 :
Nana:03/05/18 20:05 ID:ePbcYY8c
バトロワは?
621 :
Nana:03/05/25 17:16 ID:ECEjGZeU
このスレまだあったんだね
と思ったら完結してるし、乙でした
でも「松井」とか「清原」とか「氏家」とか変換し忘れがあると萎える(ニギャ
巨人バト→ヴィジュ・バトの変換は人物関係の置き換えも大変だとは思うけど
結局はパクリだし、晒しageしちゃう
自分も某所で某バト書いてたんで、こういうやり方は正直ムカツクんすよ(ワラ
622 :
山崎渉:03/05/28 09:15 ID:TrSgoBp0
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
623 :
Nana:03/05/31 01:16 ID:17HgDlPy
agege
624 :
Nana:03/06/11 18:13 ID:Q3LTVsun
さげ
625 :
Nana:03/06/11 20:27 ID:2BgT2JXD
626 :
Nana:03/06/18 19:46 ID:Oq66lnyC
627 :
Nana:03/06/24 13:16 ID:0hubTfIg
久しぶりに来たら…完結してた。
ふくさん乙です。
>>621 漏れは純粋に話として楽しんでたからわざわざムカツク言うヤシのがムカツク。
野球とか興味ないから生姜さんが書いてくれなかったらこの話も読めなかったし。
621がどこでどんな素晴らしいバトロワ書いてたか知らんし興味もないが
だからといってわざわざ晒しageする辺り人間が小さいね(ワラ
628 :
Nana:03/06/27 23:12 ID:mq9K85PM
なんかこのスレ面白そうなので全部読んでみたいのですが
本当の、発端となったスレやまとめサイト等は存在するのでしょうか?
629 :
Nana:03/06/28 16:13 ID:wxXoluEH
630 :
Nana:03/07/07 14:42 ID:87rPsOyo
sage
631 :
山崎 渉:03/07/12 11:13 ID:dClj3OIf
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
632 :
Nana:03/07/12 11:59 ID:8Bafr8Ft
うわー懐かしい!!
633 :
山崎 渉:03/07/15 14:12 ID:+/oll5l7
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
634 :
Nana:03/07/22 18:20 ID:XlkZ/Dwz
sage
635 :
山崎 渉:03/07/24 00:24 ID:CzgI5tI+
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
636 :
山崎 渉:03/07/26 01:31 ID:3QlSXCAq
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
637 :
山崎 渉:03/08/02 00:24 ID:QHLNgU3w
(^^)
638 :
Nana:03/08/06 05:32 ID:fQVBMFSC
気づいたら朝ですた・・・スレ徹夜で読んじゃうなんてありえんし。はぁ
しかし。すげーおもろかった!!
みんないっぺん読んでみてよー
639 :
Nana:03/08/11 01:17 ID:ClXaLYoM
えーこのスレまだあったのか・・・・長老スレだね
640 :
山崎 渉:03/08/11 19:55 ID:gGcKfQRy
(^^)
641 :
Nana:03/08/17 13:02 ID:qE2FcJmP
?
642 :
Nana:03/08/19 16:25 ID:A686SLGK
(^^)
643 :
Nana:03/08/22 22:06 ID:z6Spm9P0
良かったー。未だ有ったw
644 :
Nana:03/08/23 01:43 ID:j6+BN4Fx
ごめん。まだちゃんと読んでなぃから
あと少しだけ時間くれ!!
ちゅーことでage
645 :
Nana:03/08/30 09:00 ID:UOdtGLsM
あげ
646 :
Nana:03/09/08 20:18 ID:ac6z08Un
新スレは立てられないよね?
もう書く人もいないだろうし。
647 :
Nana:03/09/15 02:05 ID:tCiAVkD+
まだ読んでないので保全カキコ!
648 :
Nana:03/09/16 18:28 ID:IvtQuRDl
漏れも保守。
649 :
Nana:03/09/18 15:32 ID:CQBJRioF
hossyu
650 :
Nana:03/09/25 16:11 ID:uVPpgAZ6
このまま保守で1000逝くのか・・?w
651 :
Nana:03/09/27 15:48 ID:36CtXV5G
全部読めるまでー
652 :
Nana:03/10/07 23:29 ID:mWnGdJ7i
保守
653 :
Nana:03/10/11 20:34 ID:iVBl9XOA
dx
654 :
Nana:03/10/13 13:49 ID:u521T8gy
hosyu
655 :
Nana:03/10/13 15:44 ID:3w+rEgcm
今読んでる人。今そのへんまで読んでるの・・・?
漏れまだスギゾーが何かしてるあたり.
楽斗ぜんぜん居ないYow
656 :
Nana:03/10/13 15:45 ID:3w+rEgcm
↑そのへんじゃなくてどのへん。
657 :
Nana:03/10/24 21:33 ID:o9ag1xEq
保守
658 :
Nana:03/11/02 01:58 ID:+NtapLUK
保守
659 :
Nana:03/11/10 18:46 ID:br2AWt4Q
ほっしゅ
660 :
Nana:03/11/10 21:58 ID:r4I4pgLp
これ新シリーズは誰かやってくれないの??
661 :
Nana:03/11/13 18:03 ID:60nlmQ+S
このスレまだあったのか…
662 :
Nana:03/11/16 01:07 ID:N8FfIY61
世間でのバトロワの熱も冷め切ったからねぇ…
663 :
Nana:03/11/18 18:21 ID:1bthdeqe
最初の方だけ読んだけど、これパクリじゃないの?
登場人物の名前だけ書き換えてる感じがする。
時々書き換えるの忘れて、元の名前のままの箇所があって変。
中居や柴田って誰よ?
664 :
Nana:03/11/18 18:25 ID:egT51d62
665 :
Nana:03/11/24 19:23 ID:nLognuZY
バロックをめためたにしてほしい…
666 :
Nana:03/12/12 02:08 ID:kU+fnjP2
スマソ 上げます
667 :
Nana:03/12/21 18:12 ID:6BcVHlxi
>665
板違い
668 :
Nana:03/12/23 00:55 ID:EJbYgpsK
何となく新ネタ書こうかと思ってる者ですが、
担当官など、試合を進めていく人はオリキャラか実存人物かどっちが良いですか?
皆さんの意見待ってます。
669 :
Nana:03/12/26 18:30 ID:xEmn14/J
>668
実存人物が良いです
670 :
Nana:03/12/26 22:43 ID:XoycTl5m
>668
漏れも!!
671 :
668:03/12/27 00:04 ID:146DoIHg
実存人物ですか…(´・ω・`)
頑張ってネタ考えてみます。
参考として聞いてみますが、どんな人が希望ですか?
個人的には担当官とかヴィジュじゃなくても良いかなーって思ってるんですけど。
&保守age
672 :
Nana:03/12/27 15:54 ID:AN3Kaajw
>671
ヴィジュじゃなくていいなら鳥肌さんあたりは如何でしょう
ヴィジュ麺にするならそれなりの人気と知名度と
このシーンでの地位を兼ね備えている人が良いんじゃないかとと思います
今パッとは思いつかないけども
673 :
668:03/12/30 03:14 ID:n29kyX2u
鳥肌さんですか!!かなり良い感じですね(*´∀`*)!!
でも実は鳥肌さんよく判らないんですよ…。
ヴィジュ麺だったら…今思い付くのは河村隆一(前のと被りますが)、YOSHIKI…ですね。
あとは微妙だけど閣下とか…有得ないですね…スミマセン。
674 :
Nana:03/12/30 14:03 ID:cl0RfBex
>673
YOSHIKIに一票w
675 :
Nana:04/01/07 01:21 ID:qh+n7j1R
hosyu
676 :
Nana:04/01/07 14:46 ID:fdlK9IaI
保守
677 :
Nana:04/01/12 01:47 ID:9BbpoB9F
新ネタ只今執筆中です。
ちょっと一段落着いたらうpしますんで気長に待っててやって下さい。
てか読んでくれる人とか居るんかな・・・(´Д`;
保守ageします。
678 :
Nana:04/01/13 15:16 ID:ZzCJWrkY
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
679 :
668:04/01/15 00:26 ID:BnzToFcm
あ、sageてた・・・。
680 :
Nana:04/01/17 03:10 ID:9Pud0dOT
保守
681 :
Nana:04/01/18 21:36 ID:C2Bmf64N
w
682 :
Nana:04/01/23 10:54 ID:uzdHeAOC
ミ・д・ミほっしゅ
683 :
Nana:04/01/25 13:13 ID:hL5c+4Eh
保守
684 :
Nana:04/02/01 15:02 ID:gbk+ELVD
保守
685 :
Nana:04/02/04 21:36 ID:jz/ZBUQ4
ほしゅ
686 :
Nana:04/02/04 23:40 ID:/u6Ns5YA
スレッド一覧の一番下になってて寂しかったからちょいとageてみる。
687 :
Nana:04/02/14 12:00 ID:7XBOSGq9
保守
688 :
Nana:04/02/14 22:32 ID:qJ2wZVie
保守
689 :
Nana:
保守