さて、本日もプロレスのお時間です。
ついに吉原の登場となった「金網デスマッチ」の
続きを書きます。
夜が明けるまでに完結することができるのか?
プロレスの出てるあたり、貼っておきますんで、
ご参照ください。
>>57-79
>>111-130
リングでは、吉原と大崖の睨み合いが続いていた。
二人は、お互いから一瞬たりとも視線をそらすことなく、
間合いをはかりながら、近づいていった。
息詰まる緊張の中、先に仕掛けたのは大崖だった。
得意の掌底で、吉原の顎を狙っていった。
先ほど、永富をダウンさせたほどの威力を持つ必殺技である。
最初の一撃から勝負をかけていた。
大崖の掌底は、キレイに吉原の顎を捕らえていた
はずだたった。
確かな手ごたえ、見つめる観客の誰もが、
次の瞬間、吉原がリングに倒れこむのを予感した。
しかし、掌底は顎にヒットしたにもかかわらず、
吉原は倒れなかった。
そう、吉原は掌底が顎に当たる寸前に、
僅かに体を捻ることによって、打撃のダメージを
最小限にくいとめていたのだ。
古武道に伝わる防御技の一種である。
非常に高度な技術、かつ危険性を伴う技であるのはいうまでもない。
会場の一部が、どよめいた。
プロレス会場で、それも金網デスマッチで
この技が見られるとは!
だが、会場のほとんどは何が起こったのかを
判断することができなかった。
実況の三宅アナもその一人だった。
「Qさん、今の技はいったい?」
解説席には、OGのQナカムラ(本名・中村カズミ)が座っていた。
「今のはですねえ、大崖の掌底が当たる寸前に
吉原が僅かに体を捻って、ダメージを最小限にしたんですね。
地味ですけど、非常に高度な技です。」
「すると、柔術の技ですか?」
「そうですね、柔術というよりは古武道のですね。
いやあ、まさか金網でこの技が見られるとは思わなかった。
でも、大崖の掌底もよかったですよ。普通の選手なら、
もうダウンして試合終わってますよ。」
と、現役時代は柔道出身で関節技で一時代を築いたナカムラも
ビックリの高度な技の応酬であった。
必殺の大技をスカされて動揺した大崖に、
吉原は、すかさずタックルをかまし、
グラウンドに勝負を持ち込んだ。
狙うはただ一つ、大崖の右足首。
そう、大崖はシリーズ途中の千葉市民体育館大会で、
場外に放ったトペ・コンヒーロの着地に失敗し、
右足首を故障していたのだ。
本来なら、欠場しての治療を要するほどであったが、
団体のエースの責任感から、試合を休むことなく、
今日のデスマッチに臨んでいたのだ。
吉原は、一瞬の隙をついて大崖の体勢を崩すと、
アキレス腱固めに入った。
大崖の足首を伸ばした状態で、アキレス腱を締め上げる。
試合以外では引きずって歩くほどの大崖の右足に、
耐えがたいほどの激痛が走る。
大崖、たまらず顔をゆがめて絶叫する。
観客席の女性ファンからの声援が、
悲鳴に近くなった。
しかし、金網デスマッチにロープエスケープはないのだ。
そのとき、コーナーから高橋が飛び出して、
カットに入った。
吉原の背中に蹴りを一発。
体重ののったサッカーボールキックに、
アキレス腱固めが緩んだ。
その隙に、脱出する大崖。
そして、永富もコーナーから飛び出し、
4人入り乱れての大乱戦に!
三宅アナ「Qさん、やっとデスマッチらしい展開に
なってきましたねえ。」
Qナカムラ「そうですねぇ、今までオーソドックスなプロレスでしたから。」
三宅「っていうか、大崖の掌底とか、アキレス腱固めとか、
格闘技的な展開になってきてましたから。」
三宅「おおっと、リキ永富がチェーンを取り出してきたぁ!」
Q「さあ、これから極悪コンビの得意の展開ですよ。」
リキは高橋の背後から、
チェーンを首に巻きつけると、
思いっきり締め上げた。
クビに食い込むチェーンを外そうと、
もがく高橋。
その隣では、吉原と大崖が殴り合いをしていた。
吉原の拳には、シューズに隠し持っていた
メリケンサックが…
リキが目で合図をすると、吉原は高橋のみぞおちに
ボディーブローをお見舞いした。
高橋は失神してリング中央に倒れこんだ。
2対1の状態に持ち込んでから、
残った対戦相手を痛めつける。
極悪コンビのいつもの手口だった。
さて、金網に囲まれたリングの傍では、
ベビーフェイス、ヒール双方のセコンド陣は、
リング上の戦いを真剣に見守り声援を送りながら、
一触即発の緊張感を漂わせていた。
試合の流れ如何によっては、セコンドを巻き込んでの
大乱闘になるのは日常茶飯事だった。
ヒール側のセコンドには、いつもついている丹山の他に、
レオ、田口、そして最近ベビーフェイスから寝返った松永が。
さらに、セミファイナルの6人タッグを終えてから
駆けつけてきた森山など、軍団の中核から新人、見習い
までがリングを取り囲んでいた。
金網の中から、吉原の声がした。
「美沙緒〜!木刀!」
丹山、即座にリング下に隠していた木刀を
取り出すと、高く投げ上げた。
木刀は金網を越えて、リングの中へ。
吉原は落下してくる木刀をキャッチすると、
そのまま大崖の、右足首に向けて振り下ろした。
徹底して故障個所を狙うのは格闘技のセオリー
とはいえ、あまりにも卑怯すぎる極悪コンビの
やり口に場内の観客からは大ブーイング。
金網デスマッチひとつにしても、
細かく続けてると、キリがありません。
私も眠くなってきたので、それではまた明晩。
皆さんもプロレスネタ以外でもいいから、
お笑いネタくださいね。
プロレスネタ=お笑い
のつもりなんで。