127 :
山師さん:04/08/12 23:59 ID:/z1oShpk
本物はもう来ないようだな。
残念だ。
じいちゃんの父親が亡くなったのは
<銀行さんさようなら、証券さんこんにちは>といわれた1961年
岩戸景気がピークを迎える直前のことだった
春先、じいちゃんのもとへ「チチ、キトク」の報が届く
父親は、前年の稲の刈り入れ以降、ふせりがちだった
長男マコトも呼び寄せられ、じいちゃんとマコトは5年ぶりに再会する
父親は何故だかマコトに
「じゅんいちろうをたのむ」と遺言して亡くなる
父親の死後すぐ
じいちゃんとばあちゃんは、残された母親と同居し、財産を受け継ぐため
高校生のエミコ、中学生のユウタ、小学生のヒロシとともに田舎に帰る
新たな生活が始まろうとしていた
129 :
山師さん:04/08/13 22:25 ID:U9q3x7kA
じいちゃん、いいっすね。
あげさせて頂きます。
じいちゃんが相続したのは、だいぶん古くなった家屋敷
一町五反歩の農地(母親たっての願いで一部は弟、元三郎が相続済)と
戦前、開墾途中だった荒地
農地改革では買い上げの対象とならなかった山林
預貯金と有価証券
農耕用の牛小屋(牛は戦時中、お国のためにドナドナ)と鶏十数羽
土蔵とその中の書画骨董の類、絵画(自称画家の卵のものと思われる)、古銭、
農機具とガラクタ、
紙屑とはいえ捨てるに捨て切れず、放置された戦時国債などであった
しかし、母親の監視が厳しく
じいちゃんとばあちゃんには全容が把握できなかったという
が、じいちゃんは田植が終わる頃
ドサクサにまぎれて株式の一部を持ち出し、売却してしまう
と、その途端、値上がり・・・
じいちゃんはもう少し儲けられたはずなのに・・・とちょっぴり悔しかった
いや、とっても悔しかった
131 :
:04/08/16 01:40 ID:e89F3sTM
人それぞれに歴史あり、、、その辺の小説読むより面白いし、過去が分かる いい
母親は激怒した
「お父様の株式です。買い戻してらっしゃい!」
じいちゃんは困った。株は売却したときより一割ほど値上がりしていた
おまけに得たカネの一部はすでにばあちゃんと娘エミコの着物に化けていた
何に使ったのだか、半分はなくなっていた・・・
とにかく着物を質屋で換金、母親の監視のうすい土蔵のガラクタを売り、
弟、元三郎からも借金した
それでも全く足りず途方にくれるじいちゃん・・・
母親の顔は鬼瓦のようにかたまり、じいちゃんは家出しようとまで思いつめる
そんな折、売りに出していた、あの儲からない雑貨店に買い手がつく
133 :
山師さん:04/08/16 20:45 ID:exEovoT8
>>132 じいちゃん乙です。
ねえねえ。怖い話スレって、どこいった?
検索しても見付からないんだけど…。
知ってる人いませんか?
134 :
山師さん:04/08/16 20:48 ID:UkO0HQ4e
前のは1001到達してたよ
135 :
山師さん:04/08/16 20:58 ID:RZvZUNp5
136 :
山師さん:04/08/16 21:42 ID:J7N6bok+
野村宏伸って年とったなあ。俺より年下だろ? がっくりくるような老け方だな。
137 :
山師さん:04/08/16 22:01 ID:J7N6bok+
車だん吉も老けたな。
138 :
山師さん:04/08/16 22:26 ID:0J/6gxF6
死んだじいちゃんがvahoo株だけは買うなと言っていた
139 :
山師さん:04/08/16 22:39 ID:fU1vwMZ6
死んだじいちゃんがブルドッグだけは買うなと言っていた
じいちゃんが店の売却代金を手にしたのは12月
やっとの思いで株を買い戻すべく株屋に行く
すると例の株は半年前より二割と少し値を下げていた
じいちゃんが金策に走り回っているうちに市場は下げ相場に転じていたのだ
岩戸景気は終わり、景気調整が始まりつつあった
じいちゃんは1961年夏の平均株価ピーク直前に売り
年末の、その年のほぼ底値で買い戻すことができたのだ
もっとも翌年、株価はさらに下げ続け、以降も長期にわたり低迷する
株式は母親の厳しい管理の下、塩漬けされることになる
一件落着
何とか家出をせずに済んだじいちゃんは元三郎にカネを返し
余ったカネはまたまた着服し、大好きな小豆を買った
「ちっちゃいまめとかいてアズキー、しまをつけたらショウドシマー」
キジも鳴かずば・・・
お気に入りの言葉を口ずさんでしまったが故
母親に取引が露見し、カネを取り上げられてしまうのだった・・・
「株式勝手に売却事件」以降、母親はますます厳しく家計を管理する
ばあちゃんは家を訪ねてくる呉服屋などに丁寧に対応して
気前よくツケであれこれ買ってしまうので姑は返品、返品で忙しかった
ばあちゃんは後にちょっと照れくさそうに
「実家のお金で買いなさい!」と激怒されたと話す
さて、じいちゃんの雑貨店
店主がかわるとまもなく繁盛し、
儲けが少なかったのは地理的な問題、その他の問題ではなくではなく
あくまでも経営者の問題だと白日の下に晒された・・・のだ
>応援の人
>読んでくださる方
ありがとうございまつ
>乙などとカキコの方
ちからが出まつ
思ったより長編になりそうでつ
ちとスピード上げるようにしまつ
143 :
山師さん:04/08/17 03:18 ID:OP0jkqu1
乙です
復活したんですね!
これからも楽しみにしてます
144 :
山師さん:04/08/17 04:33 ID:Lzcy34BW
ガンガってくれ。
145 :
山師さん:04/08/17 07:54 ID:RujaAizK
乙乙乙
たのしみー
146 :
山師さん:04/08/17 11:47 ID:VFkd76St
じいちゃん!じいちゃん!
しっかりとした姑とぼんやりした嫁が壮絶な戦いを繰り広げていた頃
「じゅんいちろうをたのむ」・・・あの遺言に従ったのか
マコトが都会での修業を終え、帰郷。地元で働き出していた
彼は建築関係の現場で頭角を現し、地元業界で若手有望株と目されるようになる
じいちゃんはマコトの働く現場に入り込み、収入を得るようになる
雇い主は、マコトの父親だから・・・と仕方なく
もうすぐ50歳になる新人を採用したのだ
毎日、朝から晩まで働くなんて初めての経験だったが
数年後には高校を卒業した三男ユウタも同じ仕事に就き、合流、
息子たちの支えのもと、じいちゃんは何とか仕事を続ける
そして、生まれて初めての定期安定収入に歓喜し、アズキの相場を再開する
「ちっちゃいまめとかいてアズキー、しまをつけるとショウドシマー」
・・・・・・しつこい
148 :
山師さん:04/08/17 19:10 ID:y+tApo50
うおー。ペースアップですね。無理せん程度にー。
やっぱ昔々の景気動向なんて分かんないから興味深いですな。
149 :
山師さん:04/08/17 21:18 ID:RJQc4Z2/
おじいちゃーん!
1964年、東京オリンピックの年に長男マコトが結婚したのを皮切りに
じいちゃんの家は結婚ラッシュを迎える
エミコ、コウジが続いた
しばらくするとマコトに男児、エミコに女児・・・と
いざなぎ景気の波に乗るがごとく次々と孫が誕生した
悲しい出来事もあった。母親の死である
1968年正月のこと
母親は白い着物を用意して、ばあちゃんにこう言った
「これが最後の正月になると思います。もしもの時はこれを着せて送りなさい」
ばあちゃんは悲しくなる
「そんなことを言わず、ずっと元気でいてください」
「来る者があれば去る者もいるのです。せいせいすると思いますよ」
二人はすでにいい相方だった
母親はその年の初秋、残暑が一段落した頃、永眠する
9月30日、日経平均は
「株式勝手に売却事件」の、
あの1961年7月の高値を7年2ヵ月ぶりに更新した・・・
151 :
山師さん:04/08/17 23:47 ID:Pz8Qorqf
このスレ、なにげに気に入ってる。
書いてる人が一人じゃないみたいだけど、
色々な人が書くのもいいと思う。
臓物押さえるじいちゃんもたまには
書いてください。
152 :
山師さん:04/08/18 01:04 ID:3zm2DV6E
>>150 残暑が一段落した頃、
漏れはジーンとしている。。。
153 :
山師さん:04/08/18 01:33 ID:h5zY8bR+
154 :
山師さん:04/08/18 03:08 ID:YKh+p5km
じーーーーーーーーーたあああああああああああああああん
155 :
山師さん:04/08/18 05:43 ID:4ds4IIse
乙です
今日で相場は止めますが、このスレはお気に入りに入れて
白い着物のまま、見にくるつもりです
どうか、これからも頑張って書いてください
156 :
山師さん:04/08/18 07:14 ID:YnyepEtq
母親が亡くなると
もと小作人で、屋敷の隣地に住み、
戦後もずっと稲作の手伝いなど何かと世話をしてくれていた夫婦が
「都会に住む息子がいっしょに住もうと呼んでくれるので出ていく」と言う
「土地を買って欲しい」と申し出てきた
その土地はじいちゃんの所有地に囲まれた土地であったので
他人には売却しがたいという
じいちゃんは、もともとは自分の土地同然だったのを買うのが
なんとなく・・・そう、なんとなく悔しかった
そこでマコトに
「隣の土地は借金してでも買え、というではないか」と購入を勧める
マコトは呆れながらも、もと小作人への返礼になればと土地を買った
しっかり者の母親による財産管理はなくなった
有り金は全部使ってしまう、宵越しのカネを持たないタイプのばあちゃんには
到底無理な任務である
今後はじいちゃんが仕切ることになる・・・
158 :
山師さん:04/08/19 03:06 ID:PS/1wfmL
>>150 >来る者があれば去る者もいるのです。
良い事書きますなぁ〜、至極当然だが実に感慨深い・・・
159 :
山師さん:04/08/19 05:25 ID:ybpvjNYQ
オツカレサマデス
160 :
山師さん:04/08/19 08:59 ID:IIZ1+wfc
わくわく
161 :
山師さん:04/08/19 10:50 ID:kR2NBFI/
さくーしゃさん乙です。
商人出のオイラには、
「元小作人」っていう感覚にびっくらこいた...
う〜ん、なんか奥深いね、この話。
本当の作家さんでつか?
巷の糞ブログどもに、爪の垢を
わけてやってほしい。
162 :
ぽん:04/08/19 13:11 ID:IBMW/rsc
おもしろい!
163 :
MM_hantai:04/08/19 23:21 ID:7PKZqlfR
>>161 その、猫も杓子もすなる糞ブログのことでつが・・・
移転も含めて検討中でつ
165 :
山師さん:04/08/20 18:49 ID:steIw2pq
>>164 じいちゃんブログ移転ですか?
これはいい手本になりそうですね
166 :
山師さん:04/08/22 21:15 ID:nNw8QHNZ
移転? 本当?
気に入ってるのに
どこに?
167 :
山師さん:04/08/22 21:45 ID:uenKGijj
>>164 じじまごさん、
ブログ移転決まりましたら
告知お願いしまつ
ただいまニフティのココログあたりで準備中でつ
プレ・スタートは23日午後6時ごろの予定でつ
詳細は後ほど・・・
169 :
山師さん:04/08/23 17:28 ID:huNTEciw
まだかなまだかなー
もうすぐ、6時でつ
今まで、25話書いてきたわけでつが
続きを待ってくださってる人、いまつか?
移転後しばらくは1〜25話を加筆修正しながら掲載していきまつ
26話に到達するまで新作は、しばらくおあずけでつが
どうかどうかお許しください
本格的なスタートは8月26日
新作は・・・9月になるかもしれません
とりあえずブログの場所だけ確認しておいてください・・・
もし、プレスタートからスタートまでの間にアクセスいただけるようなら
「うさぎのほこら」と「じいちゃん」を応援してコメントなど書き込んで
足跡を残していただけるとうれしいでつ
この間は、名前やメルアドなしでもコメントが書けるように設定しておきまつので
匿名可でつ(但し、煽りや荒らしは勝手に削除しまつ)
では、↓ ↓ ↓
172 :
山師さん:04/08/24 13:22 ID:oHUWanuX
ホントにやるとは。。。
173 :
山師さん:04/08/27 16:46 ID:oY/XXaQX
一応、あげとく
だが、わざわざブログに行って読むのマンドクサー
ここに貼ってくれ
174 :
山師さん:04/08/27 22:01 ID:+meIpo0X
『准爺物語』より「じいちゃん」がいいです。
ここで読みたい。
帰ってきて〜おくんなはれ〜
175 :
山師さん:04/08/28 18:38 ID:BPn6U2W+
携帯で読むの楽しみだったのになぁ。
176 :
山師さん: