フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 6日目

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1スポーツ好きさん
今日も今日とて繰り広げられるドタバタ劇。
今日は一体どうなることやら?

前スレ
フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 5日目
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1275317520/

過去ログ
ジョニ子の乙女ないちにち その1
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/skate/1267015878/
フィギュアスケーターズの華麗ないちにち
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/skate/1269584472/
フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 3日目
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/skate/1271067332/
フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 4日目
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1272445178/
2スポーツ好きさん:2010/09/09(木) 21:45:36 ID:9HMVH0/8
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・スケーターたちへの尊敬の念を持って書きましょう。
・書き込む前にリロードして新しいレスがないか確認しましょう。話に矛盾が出てしまいます。
・話に矛盾が出来ないよう、書き込む方は少なくとも5レスは遡って読みましょう。
・気に入らない話の流れを批判するよりも、より面白くする流れを考えましょう。
・特定選手の過剰なage/sage、他選手による持ち上げは自重しましょう。
 このスレの主役はあなたのお気に入りスケーターだけではなく、
 誰もが彼(女)が一番好きとは限らないことに気がつきましょう。
・妄想カプネタ、ハゲネタ、性別人種差別、宗教系等、世界で「タブー」とされているネタ、は自重してください。
・一人で連続投稿や長文はなるべく控えること。 どうしてもという時はこちらの舞台裏スレ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1278563228/l50)を有効に使ってください。
・1スレ(500KB)で完結を目指して書いていきましょう。
・本スレが目指すのは大団円です。
・何か意見等ある時は、舞台裏スレを有効活用してください。勿論、ROM専さんの御意見御感想も大歓迎です!
            まとめwiki(http://www23.atwiki.jp/figureskaters/

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3スポーツ好きさん:2010/09/09(木) 21:51:04 ID:PyRxvy2b
3 :スポーツ好きさん :sage :2010/09/09(木) 21:45:18 ID:qhMgJ/MK
ここは中国・北京。
雪組の氷上結婚式ショーは盛況のうちに幕を下ろし、今は和やかに祝賀パーティーが行われていた。
パーティーにはショーに参加したスケーター達、そしてこのスレのDIVAであるジョニ子も
もちろん姿を見せていた。
4スポーツ好きさん:2010/09/09(木) 23:28:16 ID:NCdN1nHD
その頃、猛暑の日本に降り立った謎のスケーターたちがいた・・・

「ここがトーキョー・・・嘘でしょ、なんて暑さなの。
こっちのトーキョーはもっと涼しいって聞いてたのに!」
「気温35度か、向こうの春の気温とほとんど変わりないねアハン」
「これじゃもう手遅れなのかなママン?」
「手遅れかもねアハンアハン」
「あーもうっ、そんなこと言っててもしょうがないだろ!
マシンで行き来できる一番古い時代が2010年なんだから
ここで手を打つしかないじゃないか!」
「そう、すべては未来の私たちの世界を灼熱地獄から救うため・・・
何としてもこの時代の地球温暖化をストップしなくっちゃね!」

彼らは華麗な5回転で、2010年のスケーターたちが集う北京へ向かった。
5スポーツ好きさん:2010/09/10(金) 11:26:55 ID:6SGueLX1
「うわっ、何だか臭い……ひどい大気汚染!」
北京郊外にて、スモッグの中へ降り立っての第一声は、案の定この通り。
「これじゃ温暖化も進むはずよ! 少しは子孫たちのことを考えて……」
「落ち着けって。未来世界がああなった原因は、人類の活動だけとは言えないからな。
最大の引き金になる『あれ』についても、調べて何とかしないと」
「そ、そうね。この時代のご先祖様たちにも助けを求めて、情報を集めましょう」
うなずき合う彼ら。念のため持ってきたマスクを着用し、一息つく。

さて、その頃……
6スポーツ好きさん:2010/09/10(金) 12:15:16 ID:pEE5Gd06
盛り上がる祝賀パーティ会場。
初めは静粛にかつ華やかに進行していたが
アルコールの量が増えていくにつれリーマン親父達の宴会場のようになっていた。
現在はカラオケ大会に移行し、DIVAジョニ子が小さいときからの大切な友人である
パンダのぬいぐるみのPingちゃんを胸元に突っ込みDIRTY LOVEを熱唱していた。
(発売前でカラオケに入ってないので特別にアカペラでお披露目中)
横ではヤグとプルが歌に合わせてダンスをして更に場を盛り上げている。

そんなジョニ子の歌声の中
「素敵な氷上結婚式になって嬉しいわ」
「中国で初めてのアイスショーが成功したのも君がいてくれたからだよ」
「あなたがいてくれたからこそよ。これからもよろしくね」
「もちろんさ。素晴らしい時間を二人で過ごしていくんだよ」

パーティの主役2人は歌声が耳に届かないくらい喜んでいるようである。
7スポーツ好きさん:2010/09/10(金) 12:28:55 ID:mvDX3e3b
DIRTY LOVEを熱唱するジョニ子の頭にはショーの途中でプルに被せられた花冠が乗っていた。
ついでに踊っているプルも花籠を被っていたが、細かい事は(ry
8スポーツ好きさん:2010/09/10(金) 13:34:31 ID:q1Juub2r
ジョニ子「ふぅっ気持ちよかったわ」
思う存分熱唱しご機嫌なジョニ子が席に戻ってきた。ヤグプルも一緒だ。
ジョニ子「それにしても暑いわね〜エアコンの効きが悪いのかしら」
プル「今年は世界中猛暑で大変だよね」
ヤグ「ロシアもウォッカ引っ掛けて水に入るっつう死亡事故があとをたたなかったもんな」
真央「日本でも体温よりも高い暑さが続いててどうかなっちゃいそうです」
ロシェ「氷河も崩壊してるのよね。ネアズ海峡が塞がれるかもしれないのよね。
海峡横断が日課の私には由々しき問題だわ」
ジョニ子「どうにかなんないのかしらね。メイクもすぐ落ちるし暑くていいことってなにもないわ〜」

ちなみにランビは隣のパーティ会場に乱入して
女の子にアハンアハンの最中だ。
9スポーツ好きさん:2010/09/10(金) 16:57:36 ID:ZIdVdAwk
「ここが首都体育館ね。」
未来世界から来たらしい彼ら5人はマスク姿でうなずきあった。
「さて、ここからどうする?」
「僕と君の先祖がこのパーティーに参加してる記録があるからうまく落ち合えば・・・・」
「と、言ってるそばから見つけたよママン」
「そうだね、アハハン」
体育館から程近いホテルのパーティー会場に、まさに潜入しようと試みるランビを発見。
「どうする?後ついていく?」
「取りあえず、僕たち二人で君のご先祖をマークするよ。ママン」
「じゃあ、僕はご先祖の振りして体育館に潜入してみるよ。アハン」
「私たちは隙を見て出演者の説得をしてみるわ。」
「よし!作戦開始!」
彼らは未来の地球を救うべく活動を開始した。
10スポーツ好きさん:2010/09/10(金) 17:35:18 ID:rsbY1ay9
雪組結婚式の祝賀パーティー会場の隣の部屋で開催されている
全く関係ない別のパーティー会場にランビはいた。
ピンクのドレスに身を包んだ女性の後ろ姿に
前スレで出逢ったエマ謹製フラミンゴを重ね合わせ
フラフラとついてきてしまったのだ。
「アハン、ここは何のパーティーをしてるのかな」
11スポーツ好きさん:2010/09/10(金) 19:44:25 ID:tZaCG8Dm
ステージ上では芸達者な中国スケ連の面々が京劇を披露している。
「ねえ、そう言えばステファンは?」
「うーん見当たらないね」
「次はアタシ達二人の出しものなのにどこに行ったのよ!」
「体育館に忘れ物をしたって、ジョニーさんが歌の準備をしてる時に
そこから出て行きましたよ」
マオが角の出入り口を指差す。
「なによっアタシの歌を聞いてないですって、許せないわ!」
怒りのあまりプリンをひと飲み。
「まあまあ、忘れ物なら仕方ないだろ」
ヤグが宥めながらプリンを差し出す。
「とりあえずステファンを探しに行ってくるわ
ずーーーーっと練習してきたのに披露出来ないなんて
冗談じゃないわよ」
プリン片手にジョニーはスピンで出入り口を駆け抜けた。
12スポーツ好きさん:2010/09/10(金) 22:47:10 ID:vwSBDVBT
一方、日本スケ連の元に謎のメールが届いていた。

『突然のメール失礼いたします。
僕たちはあなた方の時代から100年後の世界からやってきました。
今僕たちの世界は温暖化により危機に瀕しています。
原因はいろいろありますがそのひとつが通称・『ICE』の消滅なのです。
これだけでは信じられないとは思います。
後ほどそちらに伺い詳細をお話いたします。
乱筆乱文、平にご容赦ください。             from KOZUKA』

13スポーツ好きさん:2010/09/10(金) 23:12:50 ID:NKkr1kjG
まったく関係ないが、アボットは扁桃腺を腫らして寝込んでいた。
「SF的な事とかわかんないから絡みようがないけどさ、誰か助けに来てくれないかなあ」
あいにくみんなそれぞれ忙しくて、それどころじゃないのだった。

物語的にも、子孫軍団のうち正体の目星がついているのはたった2人。
残りの3人は誰?物語の鍵を握るのは?DIVAはプリン食べ過ぎ?

とにかくいろいろと大変なのだった。
14スポーツ好きさん:2010/09/10(金) 23:21:26 ID:aK9uacmt
一方ベルネルは戸惑っていた。
「まだ拵えた覚えのない子孫が・・・なぜ?」

勇名トラ二世
ttp://uproda.2ch-library.com/289634muQ/lib289634.jpg
15スポーツ好きさん:2010/09/11(土) 11:32:23 ID:KWEPlQ2f
一方こちらは、関西大学キャンパス内。
練習の合間にくつろぐ二人のスケーターたち。
大輔「いよいよ来月やな」
信成「そーなんですよ、どんな顔してるんやろ?やっぱ僕似かな?」
大輔「あー、そっちも来月なん?けどGPSももう来月からやで」
信成「あ、そっちもか!大ちゃんはNHK杯がいきなり初戦で大変やね」
大輔「でも国内やし体はラクやで。あれ、どうしたんやろ、昼間に流れ星?」

ちゅどーーーーーーーーーーーん!

???「うわー、やっと着いたぞ。皆は無事にトーキョーに着いたのか?」
大輔「なんや!この謎の物体!?中から人が出てきたで!」
信成「大丈夫?救急車呼ぼうか?」

???「おっす、オラのび太!おめえがオラのひいじいちゃんの信成だな!
     それにライバルの高橋大輔!ホントに百年前の世界に来れたんだな。
     オラおめえたちに会えてとってもうれしいぞ!」

信成「ブクブクブク(泡を吹いて倒れた)」
大輔「あのー・・・・・・どちらのサイヤ星人さんですか?」
16スポーツ好きさん:2010/09/11(土) 12:03:27 ID:WFqAuVWk
「もう!ステファンたらこんなとこにいたのね!」
プリン片手に体育館にやって来たジョニ子はさっそくランビの姿を発見した。
「あ、ああ・・・、ちょっと探しものをしていたんだよアハン」
「まったく仕方ないわね!早くしないとアタシ達の出番はすぐよ!」
「出番?・・・なんだったかな?アハン」
「んもうっ!とぼけるんじゃないわよ!さっさと行くわよ」
「ちょ、ちょっと待ってアハン」
ジョニ子はランビの腕を引っ付かんでパーティー会場に大急ぎで引きかえした。

腕を引いているのがランビのフリをした子孫である事は
当然ながらま〜ったく気が付いていない。

17スポーツ好きさん:2010/09/11(土) 13:11:53 ID:i5t7ApZU
「いい?アタシ達の練習の成果を今こそ見せる時よってアンタなにマスクしてんのよ」
「アハハンこ、これはね・・あの」
「なんか怪しいわね〜アンタ。まさかアタシに内緒でネタを仕込んでないでしょうね。
そのマスク、取ってみなさいよ」
言うが早いかジョニ子が子孫ランビのマスクを奪い取った。
そしてマスクが取られた顔を凝視して言葉を失うジョニ子。
「!!!!!!ステフ・・・・アンタ・・・!!!」
(もうバレちゃったよアハン。騒ぎになる前に説明しないと・・)

「やっだーお肌ツルッツルじゃない!忘れ物とか言いながら
こっそりヒゲを剃りに行ってたのね。それにしてもいつもより綺麗に剃れてるわね。
ヒゲが全く残ってないじゃない。アタシにも後で貸してよね。さあっ急ぐわよ」
気合い入れにプリンをひと飲みしてお肌ツルツルランビと共に会場へ急いだ。
(この状況は良いのか悪いのか、アハンどうしようアハンアハン)
18スポーツ好きさん:2010/09/11(土) 14:08:42 ID:VvKmRKcC
その頃パーティー会場では、真央とプルがなかなか戻らない二人を気にしていた。
「ジョニーさんもランビエールさんもまだ帰ってきませんね?どうしたのかなぁ?」
「ちょっと僕様子見に行ってこようかな?・・・あ、帰ってきた!」
プルは会場の出入り口に駆け込んできたジョニ子とランビ(子孫)を見つけた。

「随分遅かったな。どこ行ってたんだ?」
「それが聞いてよ、ステフったらこっそり抜け出して髭剃りに行ってたのよ、ほら!」
ジョニ子はヤグにつるつる肌のランビ(子孫)の顔を指して言った。
「あらホント、随分キレイに剃れてるわねぇ」
「いやあ、お祝いの場には相応しい身なりをしないといけないからねアハン」
(ここにいるのがご先祖達か…ああ、あの人が彼のご先祖だな。確かに顔立ちが似ているなぁアハン)
とりあえず先祖のフリを続けながら一行の様子を伺うランビ(子孫)。

そうこうしているうちに京劇が終わり、いよいよジョニ子とランビの出番がやって来た。
19スポーツ好きさん:2010/09/11(土) 22:37:14 ID:q6K+41DI
>>12のメールは日本スケ連のみならずISUをはじめ
世界各国のスケ連に送られていた。
『ICE』の単語を見つけたISUの幹部たちはこのメールは
真実であると判断。
なぜなら『ICE』はスケーター達にとって命のような存在だったからだ。
そしてこの事はISUの幹部と各国スケ連の会長しか知ることができない。
ISUは事態を収集するべく、各国スケ連に優秀なスケーターたちの招集
を指示したのであった。
20スポーツ好きさん:2010/09/11(土) 23:53:20 ID:JTuOM3aV
アボット宅の出窓をよいしょ、と乗り越えてキャロライン・ジャンがやって来た。
「ジェレミー大丈夫?お見舞いに来たの」
「ありがとうキャロ。でも、なんで窓から」
「はいこれ。ミライからのお見舞い。ジェレミーにはこれが効くだろうって」
「なんだろう。スープかな」
つ【宇津救○丸】
「僕、夜泣きもかんのむしもないよ!」
21スポーツ好きさん:2010/09/12(日) 07:56:46 ID:Jj3DXuTd
でも素直に飲むアボット。不思議と気分が落ち着いた。
ベッドの隣ではキャロラインがアボットが描いたイラストを見つめてなにやらコメントしている。
「精神的な抑圧と将来への漠然とした不安がスパークしてるわね」
「あ、それ夜中にふと描きちらしたやつだから気にしないで」
「そういう時に本音が出るのよ。心の深淵から怪物が顔を覗かせるのよ」
見舞いに来てくれたのはいいけどなんかめんどくせーなー、とアボットは溜息をつく。
22スポーツ好きさん:2010/09/12(日) 11:39:48 ID:UqX+7ITh
小塚とリッポンとアモディオはトロント近くの湖畔で日に焼かれていた。
こづ「アモ君初登場オメ〜」
リポ「オメ〜」
アモ「d」
リポ「初トロントどうよ?」
アモ「思ったより熱いね。」
リポ「温暖化進みすぎてるよね。」
アモ「DIVAに関わるときつい?」
リポ「わがままハンパね〜」
こづ「・・・今回はゆるい活躍でいいや〜」
アモ「ピンポイント程度でいいの?」
こづ「とりあえず、うかつに近寄らなきゃOK」
リポ「トラブルは向こうからやってくる」
アモ「活躍は寝て待てばいいんだね。」
二人「正解」

3人のゆるい時間が過ぎてゆく・・・




23スポーツ好きさん:2010/09/12(日) 15:35:47 ID:W1U5nLAS
「さあ、行くわよ」
再びプリンを口の中へ流し込み、子孫ランビを引っ張ってステージへ向かう。
「アハンちょっと待って、準備がまだ出来てないから」
なにをするのかわからない子孫ランビは大あわて。
「まさかアンタここまで来て怖じ気づいてるんじゃないでしょうね。
あれだけの練習を無駄にする気?」
「アハンアハンアハンアハン」
嫌がる子孫ランビとステージへ突進するジョニ子が腕をひっぱりあう。

「はーい、お待たせしましたー。特製のふかひれスープを皆様どうぞー」
ウエイターのお兄さん2人が大きな鍋を抱えて会場に入ってきた。
会場内の視線が鍋に釘付けの中ジョニ子達の引っ張り合いは続く。

「行くから、行くからもう少しだけ時間をアハーン」
勢いをつけてジョニ子の腕を振り払った衝撃で
ジョニ子のネックレスが引きちぎれた。辺り一面に散らばるチャームと鎖。
そして一部はふかひれスープにぼっちゃんと音を立てて飛び込んで行った。
ふかひれスープへの視線が一斉にジョニ子に向けられた。
24スポーツ好きさん:2010/09/12(日) 20:39:14 ID:qkeq9KdX
「ちょっと!あたしじゃないわよ!ステフなの!も〜あたしのネックレスとスープどうしてくれるのよ!!!」
「あ、は〜〜〜ん・・・・」
子孫ランビは半べそをかきながら周囲を見る。
招待客の残念そうな視線が彼の心に突き刺さる。
「お客様、落ち着いてください。すぐに変わりのスープを・・・」
ウェイターさんが声を書けた瞬間、

ホテルの全て照明が落とされた!
25スポーツ好きさん:2010/09/12(日) 21:43:24 ID:NmyxH5uZ
と、すぐにまた照明がつくと、なんとステージにもう一人ランビ登場!
「やあ、僕たちのステージの時間だよねアハーン。
これから素敵なマジックをお目にかけ、アハ?」
なんと、ランビが二人もいるではないか!
観客はすごいマジックだと思い拍手喝采。
「はい、以上ご友人の皆さんのマジックでした〜ありがとうございました〜」
これ以上場をややこしくしたくない司会者によって
ジョニ子一同(ランビ×2含む)はステージから強制退場になった。

「ちょっとぉ、せっかくあんなに練習したのに何もできなかったじゃないの〜!
ぷんすかぷん!で、あんた何者?」
こうなったら仕方がない。正直に状況を説明することにした。
「アー、アハンアハン、突然ですがご先祖の皆さん、はじめまして」
26スポーツ好きさん:2010/09/12(日) 23:09:15 ID:r/xSSTyX
「キャーいやあああああああ」
ランビ(子孫)の挨拶に被せるようにジョニ子が悲鳴をあげた。
「そのフカヒレスープちょっと待ったーーーっ
アタシのネックレスチャームの救出がマダなのよーー」
思い出いっぱいの品々をおいそれと見過ごすわけにはいかない。
「ほらっアンタ達も手伝いにくるのよ」
右手にランビ、左手にランビ(子孫)、頭にはいつの間に作ったのかプリンの冠を乗せて
ジョニ子はウェイターを追っかけ会場を出ていった。
27スポーツ好きさん:2010/09/13(月) 09:09:48 ID:gcOl264O
真央「ジョニーさん達行っちゃいましたね」
プル「ねぇ、ステファンって双子だったっけ?」
ヤグ「…さぁ、そんな話は聞いたことないぞ?」
ジョアニー「また厄介なことにならないと良いけど…」
ひそひそと話合う4人。
一方、次々と起こるハプニングにパーティー会場はざわつき始めていた。
パーティーの主役の雪組も少し困惑げな表情を浮かべている。
(このままの雰囲気だとまずいなぁ…なんとかしなきゃ)
「ねぇみんな、ちょっとついてきて!」
「はあ?何やるんだおまえ?」
思い立ったプルはおもむろに立ち上がると、残った仲間と一緒にステージに向かった。


その様子を会場の物陰から伺っているマスク姿の男女がいた。
28スポーツ好きさん:2010/09/13(月) 15:27:58 ID:wKpeN2bW
♪♪♪〜
『着信 先生』
「誰?」
「信夫先生だ。はい、もしもし?」
「崇彦、ゆるゆるバカンス中に大変申し訳ないのですが、 至急、日本スケ連本部まで戻ってきてもらえますか?」
「・・・・・・え゛?」
嫌な予感がする。いっそ、信夫の雷のほうがましなくらいの、嫌な予感が。
「嗣彦と光彦さんにも来てもらっています。・・・どうしても、小塚家がいないと話が進まなさそうなんですよ」
「・・・はーい」
電話を切った崇彦が3年分のため息をついた。
「何?なに?活躍できるの?」
「・・・・・・嫌、でもね」
初登場アモディオの目の輝きと反比例するように、崇彦の目が死んでいる。
29スポーツ好きさん:2010/09/13(月) 20:25:34 ID:PdyDgQ8S
無事アタシのネックレスを救出できたワァ.*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!

ふかひれスープを小分けにし、チャーム探しをさせられ
疲労困憊気味のランビとランビ子孫にジョニ子は
頭の上のプリンを1つずつ渡す。
ちなみに小分けされたスープであるが、ランビの北京での新しいお友達、
街のカラスくん達に庭で振る舞うことになった。
30スポーツ好きさん:2010/09/13(月) 22:19:44 ID:1dCVhAMk
子孫「あの〜実はですねアハン」
先ほどの自己紹介が聞こえてないと思いもう一度挨拶をしようとする子孫ランビ。
ジョニ子「あっら〜〜アンタってば喋り方までステファンそっくりじゃない」
子孫「アハハンそれはですね」
ジョニ子「世の中には自分に似た人が3人いるっていうものね。
アタシも会ってみたいわ〜〜。それでお互いにメイクをし合って
服の交換をしたり夜通しガールズトークで盛り上がるの。楽しそうよね〜〜」
子孫「似てるんじゃなくてですね、アハン僕は」
ジョニ子「ステフ!せっかくそっくりさんに会ったんだし、記念に
ペアルックを着て他のみんなを驚かしましょうよ!アタシ、意外とペアルックって大好きなのよ」
ランビ「アハン。ペアルックは微妙じゃないかな。でもみんなを驚かすのは楽しそうだよね」
子孫「いや、さっきみんな見たからアハン。驚かないと思います。というよりですね、僕の話をアハン」
ジョニ子「よ〜〜しっそれじゃあ早速行くわよっ!アンタ達のんびりプリン食べてる場合じゃないわよ!!」

ジョニ子に押され、子孫ランビは口を挟む暇もなく
会場近くのブティックに連れて行かれる羽目になった。
31スポーツ好きさん:2010/09/13(月) 22:22:55 ID:BBJbjEwj
さて、日本スケ連本部にとんぼ帰りする羽目になった崇彦。
「あ、大ちゃんにナルくんも呼ばれたの?シーズン間近だってのに災難だね。」
「その台詞、そっくりそのままタカに返すよ」
「ていうか先に謝っとく。ごめん、ホンマかんにん!」
「ナルくんそれどういう・・・あれ、ジュニアにあんな子いたっけ?」

「コーチのじっちゃーん!オラ会いたかったぞ!!!」
「じ、じっちゃん!?そそそそれ僕のこと!?」
「だっておめえ、小塚崇彦だろ?」
「そうだけど・・・」
「やっぱり!おらが小学生のころ5回転ジャンプを教えてくれたじっちゃんだ!
オラが12の時に死んじまったから、3年ぶりだぞ!」
「僕は初対面なんだけど・・・坊や、どこから来たの?
まさかサイヤ星とか言わないよね?」
「いやーオラびっくりしたぞ、じっちゃんの若い頃はハンサムだったって
皆が言ってたのはホントだったんだなー!
で、早速なんだけど若いじっちゃんに頼みが・・・おーい、じっちゃーん!」

「なあノブ、タカに見せてみたらどうよ?あの子が持ってきた、
"小塚崇彦118歳と最後の教え子織田信太11歳のツーショット写真"ってやつ・・・」
「見せたらあかん!タカちゃんマジギレするで、あんなシワシワのツr(ry」
32スポーツ好きさん:2010/09/13(月) 23:32:36 ID:jgfuWZab
一方その頃、ざわついたパーティー会場の中を真央とジョアニーが
くまなく回って散らばったネックレスパーツを可愛らしく探す仕草をし、
見つかるとにっこり笑顔でお客さんたちにアピールしていた。
二人の笑顔になんだか和んでしまう招待客。
(ちなみにヤグも一応笑顔でいたが、営業スマイルは性に合わないのか若干引きつっていた)
一方、プルは見当違いの方向を探すフリをしたり、おもむろに3Aを跳んだり、
ステージ上から目をつけたお客さんに近づいてはちょっかいを出したりと
EX張りのフリーダムな行動で笑いを誘っていた。

大方のパーツを拾い終えた頃合で「それではごきげんよう〜♪」と極上スマイルで
会場から廊下に出てきたところでようやくほっとする4人。
「ふう…なんとかうまく行ったかな?」
「なんで俺達が他の客のご機嫌をとらないといけないんだ?」ひと安心なプルと不満げなヤグ。
「そういえばジョニーとステフ…とそっくりな彼はどこ行ったのかしら?」
「さっき出て行ってから帰ってきてませんね……あれ?」
周囲を見ていた真央が何かに気がついた。
「どうしたんだい、マオ?」
「プルシェンコさん、あそこに人が…」
真央が指差したところにある柱の影から一行を手まねきする男の姿が見える。
「誰だあいつ?変なマスクしてるぞ?」
「何だか見覚えのあるような顔だねぇ?」
訝しげに様子を見ていると男はおもむろにマスクを取った。その顔を見た真央は驚いた。

「あれぇ?…たかちゃん、どうしてここにいるの?」
33スポーツ好きさん:2010/09/13(月) 23:48:40 ID:LthfS6BP
ブティックに行くはずがなぜか天安門広場を観光している3人。
手にはスタバで買ったコーヒーがある。
「アンタ名前はなんて言うのよ」
本名を言っていいのか逡巡する子孫だったが
この状況で自分の正体を明かすのは無理だと悟る。
「えっとアハン。……ラ…いや、バンビ…バンビ・エール」
「へぇ名前まで似てるのね。こっちはステファン・ランビエールっていうのよ」
知ってるとも言えず、おとなしくジョニ子の言うことに頷くしかなかった。
34スポーツ好きさん:2010/09/13(月) 23:57:20 ID:e6TYfAxK
「・・・要するに、彼は100年後の未来からやってきたナル君の子孫なんですね。」
憮然とした表情で答える崇彦。部屋の隅では可哀相なことになった人物がひとり転がっていた。
「それとこのメール、100年後の未来から彼方の子孫がSOSを求めているわ。」
崇彦たちにメールを見せながら橋本聖子会長は続ける。
「彼は今中国スケ連にいる。まもなくここにきてくれるようね。」
「あの・・・僕たちも同席してても大丈夫ですか?」
ちゃっかり崇彦にお供してきたリッポン&アモディオ。
「かまいません。むしろISUからも通達が着てる事態ですので私としても心強いわ。」
「初めての活躍・・・・・wktk」瞳を輝かせるアモ。反対に今までのことを思いため息をつく崇・大・り・・・・

まもなく、部屋に佐藤コーチに連れられた一人の青年が入ってきた。
「はじめまして、私はプルシェンコ財団から派遣されてきたモロゾフと・・・」
その視線が信太を見つけて驚愕する。
「し・・・信太!!!何でこんなところに!あれほど来るなって言ったのに!」
「ずるいじゃないか〜おらを置いてこうとするなんてさ!何が何でもくっついってってやるからな!」
「やれやれだぜ・・・・」彼は額に手を当てて首を振る。
「・・・とにかく手短に現状をお話します。そして、皆さんの力をぜひともお借りして私たちの世界を救ってください!!」
35スポーツ好きさん:2010/09/14(火) 01:29:59 ID:/TPhoiUC
「バンビちゃんはどこの生まれなのかしら?」
「アハハン、スイスです」
「まぁっそれもステファンと同じなのね。偶然ってすごいわ〜」
「じゃあもしかしてスケートもやってたりしてアハンアハン」
「あっやってます。アハン、でもご先祖様みたいにメダルはまだだけどアハハン」
「え!?あなたのご先祖様もメダリスト?すごいわっきっとあなたも
その才能を受け継いでるわね。スケーター同士だなんて偶然って重なるものね〜」
36スポーツ好きさん:2010/09/14(火) 15:52:46 ID:2vsbL0sp
 ヨーロッパではISUの特命を受けたADSLがサンクト目指して殺人イーグルで向かっていた。
37スポーツ好きさん:2010/09/14(火) 19:40:23 ID:ewR30hPa
「あれぇ?…たかちゃん、どうしてここにいるの?」
じっ…と真央を見つめる崇彦(?)。
「どう思う?」
「・・・何か違う気がするな」
そんな崇彦(?)を睨むプルとヤグ。

「・・・・・・」

崇彦(?)は小さく口を動かした後、キッ、と、真央を見据えた。
「浅田真央さん、突然ですが、大至急日本スケート連盟本部へお戻りいただけますか?」
「え?」
「突然である上に挨拶もそこそこという無礼は百も承知しておりますが、
 どうしても事態は急を要するのです」
口調は柔らかく丁寧だが、全く持って話が見えない。
崇彦は真央にこんな話し方はしないから、とりあえず、崇彦ではなさそうだが・・・。
「え?た、たかちゃん、何を言ってるの?」
他にどう呼んで良いのかわからないので、とりあえず「たかちゃん」呼びの真央。
「・・・・・・僕、そんなに崇じぃに似てるんだ・・・(ボソッ)」
「・・・え?」
「失礼をお許しください!」

ガッ!

「ぅえっ?」
崇彦(?)は素早く真央を横抱きにした。
「貴様!」
「エフゲニー・プルシェンコさん、と、アレクセイ・ヤグティンさん、ですね?」
「だったら何だと言うんだい?」
「あなた方も至急ロシアへお戻りください。・・・ここでももうすぐ、
 僕の仲間が皆さんに重要な事実とお願いを申し上げるでしょうけれど・・・」
「貴様さっきから何言って・・・!」
「アンナ、後は頼むよ!」
「任せて!」
真央を抱えて4Aで逃げ去る崇彦(?)。
プルとヤグの前に立ちはだかり、マスクを取った女、その姿は・・・
「・・・・・・ヤナ・・・!?」
38スポーツ好きさん:2010/09/14(火) 23:19:49 ID:tdpBfu8X
モロゾフ「さて、2010年の日本スケ連の皆さん。残念ながら百年後の世界は
今の地球からは想像もつかないような極限世界に変わっています。
ちなみに2110年夏の最高気温は58.7度でした・・・」
「え、うそ!」「ホンマかいな!?」「何その灼熱地獄!」

信太「崇彦じっちゃんは生きてたころ、口ぐせみたいに言ってたぞ。
若いころに"地球温暖化"って言葉がはやったけど、その頃はスケートに夢中で
見向きもしないでいるうちに取り返しがつかなくなっちまって後悔してるって。
オラたちの時代じゃ、夏は50度超えが当たり前で外でなんか暮らせねえから
今はシェルター都市に皆で避難して暮らしてる。
もう外の世界じゃ、草も木もまともに育たねえ。それ以前に草が生える場所がねえ。
北極も南極も氷がみんな溶けて、地面はほとんど水没しちまったんだ。
そんな世界で、オラたちがスケートを続けていくのがどんなに大変なことか、
わかるだろ・・・じっちゃんたち・・・・・・」
先祖一同「・・・・・・」

???「けど、のび太が住んでる日本じゃ、もっと大変なことになってるの。
何しろスケートを法律で禁止しようとしてるんだから。
スケートのこと、貴重な氷を浪費する有害なスポーツだって。許せないわ!」
モロゾフ「お前まで来たのか!これ以上登場人物を増やしてどうするんだ・・・・・・」
???「ハーイ、ご先祖の皆さんこんにちは〜。私も未来のスケーターの一人よ。
訳あって私の正体はひ・み・つ。とりあえず"ブルマ"とでも呼んでちょうだい」
信成「・・・それだけ美姫ちゃんに生き写しじゃ、秘密も何もないと思うで」
信太「さすがオラのひいじいちゃん」
39スポーツ好きさん:2010/09/15(水) 01:05:16 ID:c8er1ZD/
「ちょっと〜一体どうすんのよ。そろそろアタシも出番が欲しいのよ!」
「そんなこと言ってもだなママン。とにかく現状を把握する必要があるだろ」
「現状把握とか言いながら、登場時からず〜っと後をつけてるだけ!
だいたいね、体育館潜入担当のあいつがあの2人に合流した時点で
アタシ達もあの場に割り込めばよかったのよ。
なんでアタシがこんなコソコソと、ろくに出番がない役回り担当なのよ。
こんなことなら会場偵察の方に回ればよかったわ」

パーティ会場からランビの後をつけてまわっている
子孫ジュベと子孫ジョニ子。
「もう待ち切れない、あそこに乗り込んでやるわ」
「ママン落ち着け。あっちはあっちで考えがあるのかもしれない。ここはママン、じっと我慢だ」
「ふんっわかったわよ。あとで出番は作ってもらうわよ」
40スポーツ好きさん:2010/09/15(水) 13:55:59 ID:KE6JOl5H
同じ頃、プル達はヤナそっくりの女―アンナから信太が語ったのと同様の話を聞いていた。
「地球温暖化で人が住めなくなる?・・・マジかよ?」
「それで、貴女はジェーニャとヤナの曾孫で、さっきのタカヒコやステフに似てるのは彼らの子孫ってこと?」
俄かに信じがたい話に困惑するヤグとジョアニー。
「突然こんな事を聞いて驚くのは無理ないでしょうね。でも実態は一刻を争っているの。どうか私達に力を貸していただけないかしら?」
そう語るアンナの風貌を見つめるプル。よく見るとヤナより少し年若い感じで、目の色はプルと同じアイスブルーだ。
「なにぼんやりしてんだジェーニャ?ヤナとどっちが美人か比べてんのか?」
「そんなわけないだろ!・・・やっぱり似てるなぁと思っただけだよ!」
「まぁおまえの子孫って言ってもヤナ似で良かったな。お前似だったらきっと鼻が・・・」
「どういう意味・・・?」たちまちブリザードが(ry

「・・・私は曾祖母様似だって聞いてたけど、あの子はご先祖様に似てるのね(ぼそっ)」
「あの子って?僕にそっくりな子孫もいるの?」
「私の弟よ・・・写真でご先祖様の若い頃を見たけど、実際に見ると本当にそっくりだわ」
そう言ってアンナは一枚のディスクを取り出した。
「・・・彼は今回の作戦の指揮をしているわ。これは彼からこの世界の人達へのメッセージよ」
41スポーツ好きさん:2010/09/15(水) 14:11:01 ID:aIbhwWM+
―――――30分後

ジョニ子一行が雪組へのプレゼントにと両手いっぱいの花束を抱えて
祝賀パーティ会場に戻ってきた。
しかしすでにパーティ会場は片付けが始まっており
出席者達の姿はなかった。スケーター達も見当たらない。
「パーティの終了時間までは、まだまだあったわよね。
なんで終わってるのかしら」
「アハンなにかあったのかもしれないね」
困惑する2人に一人のウェイターが近づき
一通の封筒を差し出した。そして一礼をして去っていく。

「ただ事じゃないわね。出席者の誰かがアタシに一目惚れをして
ラブレターをくれた展開でもなさそうだわ」
「残念だが違うみたいだね。アハン何かなこのマークは」
「アハハン、それはプルシェンコ財団のマークですよ」
バンビの言葉にジョニ子とランビが振り返る。
「バンビちゃん、アンタなにを知っているのかしら。
パーティがお開きになった理由にアンタも関係あるのね」
「お話しますよ。アハン、最初からその予定でしたからアハハン」

「ちょっと待ったーーーー」
3人が会場隅のソファに腰を下ろした途端、響く声。
そこには出番を待ちきれず業を煮やしたジョニ子と
疲れた顔をしたジュベの子孫が立っていた。
42スポーツ好きさん:2010/09/15(水) 17:11:25 ID:JfosZzQh
サンクトペテルブルグではISUから特命を受けたユーロ地区のスケーターたちが集結していた。
時空飛行装置を組み込んだ金色宇宙船の前でガチ君は祈る。
(今回は裏方・・・・今回は影・・・・今回は応援・・・・)
43スポーツ好きさん:2010/09/15(水) 18:55:13 ID:6Cncp3Ek
子孫ジョニ子の声に子孫ランビは>>26を思いだし吹き出した。
(アハハーンやっぱり仕草や言葉は受け継がれるもんなんだね) 
オマエモナー
44スポーツ好きさん:2010/09/15(水) 20:37:47 ID:E74fPCZ6
「何がおかしいのよ」バンビにデコピンを食らわせてから、子孫ジョニ子はジョニ子とランビに視線をやった。
仲間に顎周り以外は瓜二つの男と、まるで鏡に映った自分のようなおとk…もとい、DIVA。
キョトンとしたまま固まっているその姿は非常に興味深いものだったが、のんびり観察してもいられない。
子孫ジョニ子は咳払いを一つして、優雅に一礼した。
「御機嫌よう。ジョニー・ウィアー、そしてステファン・ランビエール。
アタシはジョニー・G・ウィアー。
この名前は、21世紀のスケーター史に燦然と輝く曾祖叔父さまからいただいたもの。
子供の頃、ママからそう聞かされたわ」
面を上げ、ウインクをしてみせたその表情も目の前の祖先とそっくりである。
45スポーツ好きさん:2010/09/15(水) 21:20:28 ID:yoZ0FOby
「崇じぃっ!!」
「ぎゃぶっ!!」
どんっ!!
扉が開いたと思うと、何かが崇彦に勢い良く衝突した。
つづいてひょっこり入ってきた真央。
「とりあえず、無事に着いたようで何より・・・・・・この子は、崇彦の子孫ですかね」
「そうなんですか?弟ですか?」
弟は子孫じゃないなんてツッコミなど、今ここでしても無意味である。
「崇じぃ〜会いたかったぁ〜!!」
「く、くるしぃ・・・はなして・・・」
「あ、ごめんごめん・・・でも、本当に会いたかったぁ・・・」
「あ!ズルいぞ、ユキ!おらだってじっちゃんに会いたかったのに!!」
「後にしてよノビ君。この人は僕の偉大なる曾お祖父さまなんだから!」
「・・・・・・とすると、君は崇彦の曾孫なんですね?」
「あ、はい」
信夫に話しかけられて我に返った崇彦の子孫は礼儀を正した。
「ご挨拶が遅れて申し訳ありませんでした。僕は小塚雪彦と申します」
46スポーツ好きさん:2010/09/15(水) 22:52:46 ID:qR0dqUNB
ジュベはイラついていた。
突然ISUから特命とやらを受けてサンクトまで来て見れば
大勢のスケーターが同じように集まっていた。
が、その後は待機と言う事で特命の詳しい内容も未だ知らされていない。
「こんなところまで呼びつけて一体なんのつもりだママン?」
ジュベのボヤキを聞いた同じく待機中のトラが声をかけてきた。
「ああ、なんかプルシェンコさん達がある重要な人物と一緒に中国から帰ってくるの待ってるらしいよ?」
「なんだって?今中国にいる重要人物ってまさかリョーシャ先輩か?!…なら仕方ないなママン」
トラの話を勝手に解釈して一人納得するジュベだった。
47スポーツ好きさん:2010/09/15(水) 23:40:39 ID:yeIVEDcV
その頃中国ではヤグがくしゃみをしていた。
そしてヤグもちょっとイラついていた。
ジュベそっくりの子孫ジュベが自分の顔をジロジロと見ているからだ。
(なんだアイツ、俺に喧嘩売ってんのか?
ブライアン以上にジロジロ見てくるやつだなぁ)

とうの子孫ジュベは
(ああ…あの人がご先祖さママンが憧れているリョーシャさん…!
ご先祖さママンから代々受け継いでいる家宝のポスターの人そのままン!!
ポスターも自伝も演技を収録したビデオも見まくったけど
実物はやっぱりすごいオーラだ…!)
やっぱりヤグファンであった。
48スポーツ好きさん:2010/09/15(水) 23:54:21 ID:VMmeUumU
日本スケ連に到着して、改めて話を聞かされた真央はびっくりだ。
真央「地球温暖化がそんなに進んじゃって、皆スケートはどうしてるの?」
信太「オラは崇彦じっちゃんが死んじゃってからは、トーホクの中学校に進んで
そこのスケートリンクを使わせてもらってるけど、トーホクで一か所だけだから
使用料はめっちゃくちゃ高いし、混みまくりでさあ・・・」
雪彦「それですっかりトーホク弁になっちゃったんですよ、ノビ君。
ちなみに小塚家ではプライベート・リンクを持っていますよ。
ノビ君たちも子供の頃はそこにスケートを習いに来てたわけですけどね」
ブルマ「ま、こんな感じですっかり、一握りの金持ちの道楽と化してるわ。
私もプルシェンコ財団の奨学金がなければ続けてなかったかもね。」
真央「で、私たち、まずはどうしたらいいの?」

部屋の隅で話を聞いていた大輔が、そそくさとクーラーの温度を上げに行ったのと、
さっき可燃ゴミのゴミ箱に捨てたペットボトルを信成が捨てなおしに行ったのと、
ほぼ同時だった。
49スポーツ好きさん:2010/09/16(木) 01:06:45 ID:lsI+XA+f
「ところで、『ICE』てなんですか?」
ずっと疑問に思っていたことを崇彦は口にした。
佐藤先生は橋本会長を振り向き頷きあった後、静かに口を開いた。
「・・・・殿堂入りを許されたものだけが持つことができる書物のことです。」
「そして、私たちの世界では北極と南極のことも指しています。」
子孫モロゾフが付け加えた。
先生「この部屋に入ってくる前に彼の語ったことによると、近い将来その両極の氷が崩壊し消滅するそうです。」
「工工工エエエエエエェェェェェェ(全員)ェェェェェェエエエエエエ工工工」
モロ子孫「その災害後に地球の温暖化は急激に進んで、今では地上での生活は困難になりました。」
雪彦「僕たちスケーターはモロゾフ先生をはじめとした財団の協力でこれまで温暖化を食い止める方法を模索してきました。」
ブルマ「その結果行き着いたのが、かつてはあった『ICE』の存在なの。」
モロ子孫「『ICE』には私たちの世界では失われつつある『スケート力』の全貌が記されているところまで判明いたしました。」
ブルマ「その項目の中にもしかしたら温暖化を食い止める方法があると信じてこの世界に来たの。」
雪彦「僕たちは自分たちの世界を変えたい一心で、過去を変えるというタブーを犯そうとしている。」
ブルマ「たとえ重罪になろうとも、かつて人や動植物が生活していた地上に私たちも暮らしたい!」

子孫たちの叫びに静まり返る室内。しかし崇彦はなにやら思いついたことがあるようだ。
(あの温泉ツアーのとき、タラソワコーチが貸してくれた本。あれがもしかして『ICE』?)
50スポーツ好きさん:2010/09/16(木) 03:35:28 ID:ZXPlHOMF
曾祖叔父さま・・・もしかしてそれアタシのことかしら。
DIVAでトロフィーワイフを目指すアタシがおじ・・・いやあああああああああああああ
呆然として放心状態のジョニ子だが他のみんなはそれに気づかない。

「アハンってことは、バンビ君ももしかして?」
「はい、曾お祖父様のお話はかねがねうかがっていますアハハン。
えーっと、僕は曾お祖父様の元に生まれた12人兄妹の2番目の兄の元に生まれた10人兄妹の・・」
「いいよいいよ、わかったよアハン。とにかく大家族で楽しそうだね、なによりだよアハンアハン」
「その中でもですねアハハン。僕は曾お祖父様に一番似ていると言われています。照れるんですが・・
アハーン、スケートの技術を受け継いでるとも。名前を一部頂いてステアハン・ランビエールと名付けられました」
「あれ?じゃあバンビっていうのはアハン?」
「先ほどは急遽偽名を・・・実はバンビというのは・・・さっきジョニー(子孫)が自己紹介をしている間に
5回転でいなくなった彼のことでして・・・アハハンアハハン」
「そう言えば急に飛んでいちゃったよね、アハンあれどうしたの?」
「アハハーン・・・彼は先祖代々語り継がれているとある選手の大ファンなんです。
こっちに来てからは、いまいち上の空で。多分スケ力を集中させてその選手のオーラを感じ取って
幸せに浸ってたんだと思いますが・・・・」
「面白い子だねアハン」
「それでさっきそこの厨房から鹿肉の香りがしましたよね。アハハン・・そのー
ご先祖様がクリスマスに鹿肉を食べていたことから、彼はジャンプの練習前に鹿肉を食べる癖がありまして」
「鹿肉の香りで思わず飛んでしまった、とアハンアハン」
「はい、ご無礼をお詫びいたします。アハハン・・・どうやら憧れの選手の元に飛んでいったようです」
「アハン気にしないで。それで僕たちは何をすればいいのかな?」
51スポーツ好きさん:2010/09/16(木) 10:34:22 ID:pNBUePlC
「・・・で、彼はブライアンの子孫ってわけかい?」
突然現れたかと思うと、挨拶もそこそこにヤグを熱いまなざしで見つめるジュベ子孫を見遣ってプルが尋ねる。
「ええ、そうよ。そしてアレクセイ・ヤグディンは彼の一族代々の憧れの選手なの。」
「ふぅん、そのへんもブライアンと一緒なんだ」アンナの返事を聞いて思わず苦笑するプル。
「・・・何笑ってんだよ?」プルの視線に気づいてむっとするジュベ子孫。
「ごめんごめん、君と君のご先祖があんまりそっくりなもんでつい・・・」
そう言いつつも笑いを堪えるのに必死だ。
「あんたこそ、あいつと顔から仕草からそっくりじゃないか!」ますますむくれるジュベ子孫。
「バンビ、私達の曾お爺様に失礼よ。彼は財団の礎になった人よ」アンナが嗜める。
「ああ、すまん・・・ついいつもの調子で・・・あんたとアリョーシャがあんまりそっくりなもんだから」
「あ、アリョーシャ?!!」「なんでこいつの子孫が俺の名前なんだよ?!!」
それを聞いて驚くプルとヤグ。
「弟が生まれる少し前に曾お爺様が亡くなったんだけど、この名前をつけるようにっていう書置きがあったの。
父のように敬愛する人の名前から取ったらしいわ」
「そうか、ミーシンコーチからか・・・そりゃそうだよね」
「そういやあのおっさんもアレクセイだったな・・・紛らわしいったらありゃしねぇ」
ちなみにウル様もアレクセイだぞヤグ。
52スポーツ好きさん:2010/09/16(木) 11:27:09 ID:Dkf4vKa2
「カクチーカクチー」
ユーロ地区のスケーターを乗せた金色宇宙船を呼び出したプル。
「具体的な作戦会議はこの宇宙船の中で行おう。」
プルたちと子孫を乗せて宇宙線は一先ず北極を目指す。
53スポーツ好きさん:2010/09/16(木) 13:24:38 ID:/4eeCn3k
飛び立つ宇宙船の窓を見ながら、物憂げな様子のスケーターが一人。
つい先日、愛息子・アクセルが1歳の誕生日を迎えたばかりのアリ=ペッカ・ヌルメンカリである。
突然現れた「子孫」と名乗る若者達は、確かにそれが頷けるほど見知った顔ばかりだ。
自分と妻の特徴を併せ持った我が子は、これから一体どのように育っていくのだろうか?
まだ想像もつかないが、彼の子供や孫にも、この若者達と同じようにスケーターの道を志す者が……
未来に危機が迫っているらしい、という言葉が実感出来ないまま、ついこんな思いばかりを巡らせてしまう。

「そう、私達のお祖父様の世代に当たる、アクセル・ヌルメンカリという方が……」

(な、何だって!?)
突如耳に入ったアンナの声に、ヌルメンカリは目を見開いた。
54スポーツ好きさん:2010/09/16(木) 14:16:06 ID:m2ShmvFi
先祖と共に優雅のティータイムを満喫する子孫ジョニ子たち。
「私たちは温暖化と氷河の崩落を食い止める為にこの世界に来た。
でも、個人的にもうひとつやってみたい事があるの!」
「へ〜、なんだいアハハン」
「地球を薔薇の花でいっぱいにするの!そうすれば緑だって増えるし温暖化だって食い止められるわ!」
「やっぱりジョニーの子孫だねアッハ〜ン」
その言葉にわれに返った先祖ジョニ子。
「そうよ!何も難しいことじゃないじゃない!今すぐはじめるわよ!
ステフ!今すぐ薔薇の種と薔薇の花買ってきて!子孫ステフも一緒よ!」
「ジョニーはどうするんだいアハ〜ン」
「あたしはもちろんコスチュームを揃える為にブティックに行くわ。あたしの分身と一緒にね(ハート」
「人使い荒いよ〜アハン;;」

こうしてジョニ子ズ指揮の元、地球薔薇化計画が始動!
55スポーツ好きさん:2010/09/16(木) 23:05:58 ID:lsI+XA+f
そのころバトルは北の大地からの救難スケパシーをキャッチした。
「これは大変だ!!!!」
急いでリュックにありったけのお菓子を詰めると華麗なジャンプで北極に向かった。
56スポーツ好きさん:2010/09/16(木) 23:27:27 ID:mQ3O94Zw
アンナの話に息子の名前が出てきた事に驚いたヌルメンカリは、さらにその続きを聞こうとした。しかし。
「アンナ、君が持ってきたメッセージを皆に見せて欲しいんだけど」
「ええ、解ったわ」
プルに促されてアンナの話は中断されてしまったので、それ以上の話は聞けずじまいだった。
(ああ、話の続きが気になる…後で彼女に聞いてみよう)
こっそり思うヌルメンカリをよそに、アンナはディスクを持参した小型の再生装置にセットした。

ディスクの再生が始まると、スケーターの集まる大部屋の真中に立体的な映像を映し出した。
最初はノイズ交じりだったそれは人の形を取り始め、やがて見覚えのある金髪と青い目、
そして特徴的な鼻が目立つ青年の姿になった。
「…これが僕の子孫?」
「へぇ…憎たらしいくらいおまえにそっくりじゃねぇか」
思わず息を呑むプルと立体映像をまじまじと眺めるヤグ。
周囲で見守っているスケーター達も驚嘆の声をあげた。

「…なんかス○ーウォーズみたい」
事前の願いと裏腹に結局宇宙船に乗っていたガチ君がポツリと呟いた。
57スポーツ好きさん:2010/09/17(金) 00:15:10 ID:K231/dnj
「アハン君、見てみなよアハンアハン。綺麗に出来たよ」
近所のお花屋さんから薔薇の花と種を買ってきて
パーティ会場の庭にそれらを埋め終わったランビと子孫ランビ。
「あのー確かに綺麗なんですけど、アハハーン僕たち2人で1時間かけて
10m四方を花で埋めつくしただけっていうのは…あまりにも
非生産的で能率が悪すぎませんか?アハン?」
ステアハンが心配げに言うが、てんとう虫のじょうろで踊りながらご機嫌に
種に水をやっているランビの耳には届いていなかった。

「2人で1時間かけて10平方メートル。
アハーン地球の陸地面積はおよそ1億5000万平方キロメートル。
……無理だアハハーン」
58スポーツ好きさん:2010/09/17(金) 17:09:38 ID:hx7S1Kh7
颯爽と北極へ降り立ったバトル。
しかし見渡す限り真っ白な氷原が続く限りで人影は見当たらず、
先ほどまで感じていたスケパシーも今はまるで反応が無い。
「おかしいなぁ?たしかにスケパシーを感じたんだけどなぁ・・・」
バトルは首を傾げつつも、ひとまず周囲を探してみる事にした。
59スポーツ好きさん:2010/09/17(金) 20:29:55 ID:cnZZqdbw
アダム・リッポンは憂鬱だった。
よくは解らないが何だか大変な事が起こっているらしい。
にもかかわらず相変わらずフリーダムな行動をとっている人物がいる。
云うまでもなくジョニーズとランビーズだ。
取りあえず何とかしてこい、と云われ、何故、僕が!?
と思ったがその場(日本スケ連)に米国人は自分しかいなかった。
「そりゃあ、ジョニ姐には世話になってるけどさぁ・・・」
明るい材料といえば、フローラン・アモディオが一緒についてきた事だが果して役に立つのかどうか。
「あ!アダム、あそこ!」
アモディオが指さす方向を見ると一面の薔薇畑を背景に何やら人垣が出来ている。その中心をよく見ると・・・
「うげ!ジョニ姐、何やってんだ?!」リッポンはその綺麗な顔を歪めた。

一方、宇宙船の中ではブライアン・ジュベールとバンビ・ジュベールがヤグディンを挟んで睨みあっていた。
「お前ら・・・いいから映像の方に集中しろ」
60スポーツ好きさん:2010/09/17(金) 22:37:38 ID:pv0jo4H0
睨み合っているWジュベは放っておいて、スケーター達は立体映像に注目していた。
スケーター達が見つめる中、プルにそっくりな子孫――アレクセイはゆっくりと周囲を見回すと口を開いた。
アレクセイが一体何を話すのか、じっと見守るスケーター達。

『…あれぇ?これもう撮影始まってるの?』
がくっ。ずっこける一同。
「ごめんなさい、出発直前に急遽撮ったから編集が出来ていないのよ」
アンナが申し訳なさそうに呟く。
『なに?撮りなおそうかって?…まぁいいや、このまま撮っちゃっおうよ。そのほうが面白そうだし』
「さすがジェーニャの子孫…全然変わってねぇ…」
Wジュベに挟まれるなか、呆れた様子のヤグ。
『さて、と…こんにちわ、初めましてご先祖様達。僕はアレクセイ・プルシェンコ。名前を聞いて察しがつくと思うけど、
僕はエフゲニー・プルシェンコの曾孫にあたるんだ。まぁそういうわけだから、よろしくねご先祖様達♪』
にやりと見覚えのある笑みを浮かべるアレクセイ。こんなとこまで先祖似らしい。
先行きにちょっぴり不安を感じたスケーター達だが、気を取り直して映像の続きを見る事にした。

『…挨拶はこの辺にしておいて、ご先祖様達に僕から頼みがあるんだ。ある現象についてそちらの世界で確かめて欲しい。
もしかしたら、それは今僕達が解決しようとしている事に関連があるかもしれないんだ』
61スポーツ好きさん:2010/09/18(土) 00:46:35 ID:yWGBwxya
北極を調査していたバトル。そこへ別の一団がやってきた。
「あ、バトルさんだ〜!」「真央〜!!」
真央と愉快なチームジャパンの面々だ。
大輔「バトルもスケパシーをキャッチしたの?」
バト「ああ、でもさっきからいろいろ探してるんだけど何も見当たらないんだ。
   ところでノブの隣にいる子供はジュニアかノービスの子?」
信太「うわ!ひどいな〜オラこう見えても15だぞ!」
全員「嘘!」
ブルマ「見かけどおりのオコチャマだから仕方ないんじゃない?」
信太「うるさ〜い!」
信成「あ、そうそうバトルさんにも説明しておかないと・・・」
バトルに改めて子孫とその他もろもろの話をする。
バト「・・・・そんな事になっていたとは」
大輔「取りあえず、何も見つかりそうにないしどこか場所を移そうか?」
バト「そうだね、その話しも詳しく聞きたいし・・・僕の通う大学があるトロントは?」
大輔「うんおk!そこにしよう。」
バト「ところで崇彦がいないようだけど?」
大輔「うん、何か佐藤先生と小塚家で相談があるからって日本に残ってる。」
バト「そうか。じゃあ後でメールするか。」
バトルを加えたチームジャパンは北極を後にしてトロントへ向かった。
62スポーツ好きさん:2010/09/18(土) 09:30:00 ID:Afx7ncsB
映像のアレクセイの話は続く。
『こっちで消滅した『ICE』についての情報を調べている時に、
極地帯で発信者不明のスケパシーが確認されたんだ。
財団から調査員を向かわせたけど、ほとんど微弱なスケパシーのうえに、発信場所は溶けた北極の海の真っただ中で
誰も生存できる状態じゃなかった。でもその後も同じような現象が何度も起こってるんだ』
「謎のスケパシー…か」
「もしかして幽霊じゃ何かじゃないのか?」
口々に噂するスケーター達。

『残念ながら僕達の現状ではこれ以上の調査ができない。
でも、ご先祖様の時代には極地帯はまだ氷に覆われていて、ご先祖様達のスケート力は僕達より強くて安定している。
もしかしたらこの件について何かの答えが見つかるかもしれない。…ご先祖様、どうか僕達に力を貸して下さい』
映像はそこで終了した。

「随分ややこしそうな話だな。どうする?」
ヤグがプルの様子を伺う。
「確かにちょっと気になる話だよね・・・それに、君も感じてるでしょ?」
「ああ、さっきから妙なスケパシーが来てやがる。たぶんこれの事だろうな」
「となったら、まずはこのスケパシーの発信元へ急ごう!」
63スポーツ好きさん:2010/09/18(土) 11:34:56 ID:J9fVlg1X
「では、崇彦はその借りた本をもう一度探してみてください」
「先生は・・・」
「残念ながら、私はまだ正式な式典を受けていないので、『ICE』は持っていません。
 そのかわり、有香と連絡を取って北米チームを動かしてもらいましょう。
 現在の科学的なデータも利用できるかもしれませんからね」
「はい」
「嗣彦はみどり君を探して欲しい。彼女も殿堂入りの一人だ…『ICE』の内容ぐらい読んでいるはず。
 光彦さん、古い資料を貸してもらえませんか?何か使えるものがあるかもしれない」
「愛知の連盟にかけあってみるか・・・」
「雪彦君は崇彦を助けてくれるね?彼だけじゃわからないことだらけだろう・・・」
「わかりました」

「ところでじいさん、何でさっきから嬉しそうなの?」
「お前の結婚が確定したからのう・・・あとは一刻も早く曾孫の顔を見せろ」
「あーもうっ!!!!そればっかり!!!」
64スポーツ好きさん:2010/09/18(土) 12:56:14 ID:32Pr8q4I
静かな部屋に、携帯電話の着信音が響き始めた。アボットの顔色が再び青ざめる。
「どうかしたの」
「ユカからだ…! どうしよう、そろそろ練習しなさいって怒られちゃう」
布団を被って震えるアボットを見て、キャロラインはほんの数秒考え込む素振りをした後、携帯を手に取った。
「はい、こちらジェレミー・アボットの携帯電話」
「…あら? ジェレミー、あなたいつから女の子になったのかしら^^」
慌てるアボットにも、有香の冗談にも、キャロラインは表情一つ変えない。
「私はジェレミーではありません。キャロライン・ジャンです。今は彼のお見舞いに」
「分かってるわよ、キャロライン^^ …それで、ジェレミーの具合はどう?」
「本調子ではないですね。まだ練習は無理そうだ、早く復帰したい、待っててくれるユカにも申し訳ない、と」
アボットの顔付きが一転、安堵のそれに変わった。
「そうなの。いつもなら頑張りなさい^^って言うところだけど、実は、今日はそうもいかないのよね」
「何かあったんですか」電話越しに聞こえた溜息に、キャロラインの眉が訝しげに動く。
「……今朝リンクに来たら、氷が全て溶けてしまっていたの」
65スポーツ好きさん:2010/09/18(土) 22:50:35 ID:yWGBwxya
崇彦と雪彦は殿堂入りした人物から『ICE』を借りられそうな人物を絞り込んだ。
「オーサーはまぁ、リッポンに頼むとして・・・・いや3人かな」
ロシア重鎮の一人タラソワ、アメリカの名伯楽キャロル、そして今期EXを依頼したカート。
「一番頼みやすそうなのはカート。距離的に近いのはLAのキャロルコーチ。
・・・ただ、どうしても聞きたいことがあるのはタラソワコーチ。」
頭を抱えていた崇彦だったが・・・
「雪彦、おまえモスクワとロスとトロントどこ行きたい!」
「へぇ?なに?」
「悩んだときは誰かに聞くのが一番!おまえの行きたいとこでいいよ!」
「そんな単純でいいの?崇じぃ。」
「まぁ、どこでも一緒だと思うから」
どこに行っても絶対トラブルに巻き込まれるから、とはいえなかった。
66スポーツ好きさん:2010/09/19(日) 03:37:26 ID:w8eGannv
「あらぁっ!そのくるくるした巻き毛ちゃんはえーっと、アダム・リッポンくんね。
そして隣の子は…ニコニコした陽気な男前…フローラン・アモディオくんかしら。
あなたの天性のリズム感がアタシのご先祖様にちょっとでもあればねえ……」

顔を見合わせるリッポンとアモディオ。
ピンクのジャケットを羽織り、薔薇畑の中で横たわったまま声をかけてきた人物、
それはどうやらジョニーの子孫のようだ。
リッポンは辺りを見渡すがジョニーの姿はない。
事態が把握できないままだが、とにかく天安門広場のど真ん中に
薔薇畑を作り上げているこの状況をなんとかしなければ…!
67スポーツ好きさん:2010/09/19(日) 07:27:29 ID:tcRUchBs
とりあえずリッポンは花売り少年に化けた。
これで相棒がカナコならモリコロのハプニング的で完璧なのだが、今回はアモ。
「なんでもいいから早くこの薔薇を売りさばくんだ!」
68スポーツ好きさん:2010/09/19(日) 10:51:46 ID:XkebX+9O
とりあえずアモは脱いでいた。
うそです。冗談です。まだ、そこまで突き抜けてはいなかった。
得意のダンスで人を集めるが北京っ子は財布の紐が堅かった。不況だし。

そこへ、ランビーズが現れた。
「あ〜ひどいよ〜。せっかく植えたのにアハンアハン」
「でも、ダンス楽しそうだね〜アハハン」
アモディオと一緒にくるくる踊り出す。
「(うへあ('A`) 二人いる )あ、あのジョニ子姐さんは何処に…」
二人はリッポンの問いかけなど勿論聞いていなかった。
(自由だ…!自由過ぎる!二人いるのに二人とも役に立たない…!)
69スポーツ好きさん:2010/09/19(日) 18:52:16 ID:OFSQfZod
スケパシーを頼りに北極へ到着した宇宙船組。
だが先に来ていたバトル達同様に、周囲に誰もいる気配はない。
プル「…やっぱり誰もいない。アレクセイの話と同じだね」
ヤグ「スケパシーもここに来た途端にピタッと止まっちまったぞ?」
ガチ「何者かが僕達…っていうか、スケーターをおびき出そうとしてるでしょうか?」
トラ「まさか本当に幽霊…なんてことないよな?」
気味の悪い現象にさすがのスケーターも困惑を隠せない。

「いぜれにせよその「幽霊」の正体を調べないとね」
プルが一枚の地図を取り出す。アレクセイのディスクに一緒に情報が収められていた
これまでに確認された謎のスケパシー現象の発生地点を記してある。
プル「同じ現象が北極のあちこちで起きてるようだから、いくつかに分れて調べてみよう。
僕とアンナとアーチャはここをもう少し調べてみるよ」
バンビ「リョーシャさんには俺がお供しますよママン。」
ブライアン「何言ってるんだママン?俺が一緒に決まってるじゃないかママン」
ヤグ「(…くそっ、なんで俺がこいつらの面倒を!)…おい!静かにしないとお前ら置いてくぞ!」
プル「人気者で良かったねぇ、リョーシャ♪」
ヤグ「うるせぇデカッ鼻!」たちまちブリザードが(ry
ぬる麺「…とりあえず、僕とトマシュとアドリアンで行動しようか」

黙って頷くトラとADSL。タダでも寒い北極でこれ以上のブリザードに巻き込まれないうちに、
スケーター達は何組かに分れて怪しい地点の調査に向かった。
70スポーツ好きさん:2010/09/19(日) 20:10:59 ID:NlKgy3xO
(だ・・・駄目だ。頭が痛くなってきた・・・・・・)
どうにかしようと、とりあえずの行動を2連発でやってみたアモとリッポンだが
どうみても事態は更に混乱している。
アモはランビーズと共にダンスに夢中で
薔薇畑に横たわってるジョニー(子孫)はティータイムに入った模様。
そのうえ、通りすがりの観光客や現地の人は怪訝そうに遠巻きに見ているだけで
薔薇は全く売れていない。
初登場で目を輝かせていたあのアモディオが
まさかのジョニーズランビーズタイプだったことも
リッポンの頭痛の種だった。
そんな混乱が続く中
「アンタ達っ!何をやってんのよ!
アダムも一緒になって・・・!いい加減にしなさいっ」
背後からジョニ子の一喝が響き渡る。

(なんでこの状況で僕ひとりだけが、名指しで怒られなきゃいけないんだ・・・)
腑に落ちない思いを抱えながらリッポンは振り返った。
71スポーツ好きさん:2010/09/19(日) 20:50:28 ID:q8aEf3eM
崇彦・雪彦コンビは結局ロスに向かうことになった。
有香さんから佐藤先生にデトロイトを中心に、ほとんどのリンクの氷が解けて混乱していると連絡があったからだ。
「タカ〜!!こっちだよ〜!!」
リンク前に降り立った二人を未来が出迎えてくれた。
「隣の人がタカの子孫?双子みたいにそっくり!」
目を丸くする未来に二人は苦笑する。
「未来ちゃん、フランク先生は?」
「リンクでエヴァンのシンクロ見てるよ。うちにもエヴァンの子孫がいっぱい来たの。」
「うそ!あいつも来たの!」
驚いたのは雪彦のほうだ。
「とにかくすごいから早くいこう〜!」
未来にせかされてリンクに入った二人。そこで目にした光景は・・・・

長い手足  回転数がまったく変わらないスピン 一糸乱れぬ動き そしてなにより黒(ry  それはまさに


             『 量 産 型 エ ヴァ ン (ライサ) ゲ リ オ ン』
72スポーツ好きさん:2010/09/19(日) 23:44:29 ID:smv7YJ7v
世界各地でスケーターとその子孫達が遭遇していた頃。

2110年のロシア、かつてその場所にあった街の名がついたドーム都市『サンクトペテルブルグ』。
街の中でひときわ目立つプルシェンコ財団本部の建物の奥まった一室で。
「今ごろみんなご先祖様達に会ってるのかなぁ…」
執務机に頬杖をついて、面白くなさそうな表情の若者が一人。
「あ〜あ、なんで僕が一人で留守番しなきゃいけないんだよ…」
一人ぶつくさ言ってるのは何を隠そう、財団の総帥にして今回の計画を指揮する
アレクセイ・プルシェンコだった。

「過去へ行ってご先祖様の協力を得て『ICE』の全容を解明・温暖化を阻止」という計画を立てた時は
ぶっちゃけ自分も行くつもりだったのだが、立場上周囲から駄目出しされてしまったのだった。
「もう、僕だって行きたかったのになぁ。第一ここを纏めるならアンナの方が上手いのに…」
それに、伝説のスケーターの曽祖父にひと目会ってみたいとも思っていたのに
仲間達を他所に一人追いてけぼり状態なのは、正直かな〜り面白くない。

「こうなったら、隙を見てこっそり行ってやろうか…いてっ!!」
突然頭をはたかれて何事かと振り返ると、そこには一番見たくない顔がニヤッと笑って立っていた。
73スポーツ好きさん:2010/09/20(月) 01:29:39 ID:WWGCaa+B
リッポンが振り向く。そこには
生肉に身を包んだジョニ子、いやよく見ると
真っ赤な薔薇の花びらに身を包んだジョニ子がいた。
隠しているようでいろんなところが隠れていない。
天安門広場でこの姿は絶対にヤバすぎる。いや、天安門広場じゃなくてもヤバい。
74スポーツ好きさん:2010/09/20(月) 11:27:27 ID:7m9bjMmN
「何やってるんですか、ジョニ姐さんっ!」
「何って見れば解るでしょ。ガガリスペクトよ。パクリじゃないわよ。オマージュよ」
「どっちでもいいですよ!兎に角その格好はまずいですって。早く着替えて…」
「駄目よ〜、これからここで即席ファッションショーやるんだから!Wジョニーのお披露目よ!
そうだ!あんたも参加しなさい。パフォーマーとして」
「嫌です、恥ずかしい!」
「何いってんのよ、ツイッター見たわよ。似たような事してたじゃない。『世界の王だーhaha!』って」
「あっ、あれはちょっとテンションが上がっちゃってっ…」
「じゃあ、今すぐテンション上げなさいっ!ほら、ここでっ!ジョニー手伝って」
「は〜い、ジョニー♪」
ジョニーズ、リッポンの服を脱がしにかかる。
「(同じだ…!この二人も同じ性格だっ…;)いやー、止めてー!フローラン、助けて!!」
75スポーツ好きさん:2010/09/20(月) 15:43:15 ID:qb3uwZ7k
さてこちらは北極調査中のヤグ・ジュベ・バンビ。

「ここも反応無しか、まったくわけわかんねぇぜ」
地図の担当場所のポイントにチェック印を入れるヤグ。その様子を両側から覗き込むジュベとバンビ。
「リョーシャさん、俺はこっちが怪しいと思いますよママン」
「先輩!むしろこっちのほうが怪しいですよママン」
「なに言ってんだよ曾祖父さん!こっちだろママン!」
「うるさいな!曾孫なら言う事聞けよママン!」
いがみ合うジュベーズ。ジョニーズやランビーズとは様子が違うようだ。
「…ったくお前等うるせぇっ!次の場所は俺が決める!とっととついて来い!!」
ヤグはイラつきながらも次の場所へ向かう事にした。

「『黙って俺について来い』かぁ…男らしくて格好良いなぁ。さすがだ!」(×2)
憧れフィルターが発動してヤグの言葉を勝手に解釈して感激しているところだけは
そっくりなジュベーズだった。
76スポーツ好きさん:2010/09/20(月) 21:29:28 ID:VArU7ZBR
「ん?」
リッポンの叫び声に振り向いたアモディオ・・・。
「ちょ、何やってんの・・・えぇぇぇ!?ストップ、ストーーップ!!!」
大慌てでジョニーズとリッポンを引き離す。
「た、たすか・・・た、ありが・・・「ここでセッボなんかやっちゃまずいでしょ!!」・・・は?」
真顔のアモディオ。何か壮大な勘違いをしているようだ。
「もう、ジョニーさんたちもさすがにわかるでしょ、あのプロはこんな所でやるべきプロじゃないって」
「・・・あの」
「・・・アモディオ、くん?」
「確かにみんなで脱げば怖くないけど、それはリンクの上でいろいろな照明や演出も整えて、初めて成功なんですよ」
やはり、アモディオもフランス男子。「みんなで脱げば怖くない」のだ。
しかし、なにやら「脱ぐ」にも彼なりのルールらしい。
「・・・気分がそがれたわ」
「そうね」
(よ、よかった、これで薔薇地獄から逃げられる・・・)
「薔薇の本場、フランスに移動しましょ」
「何で思いつかなかったのかしら」
(・・・・・・・・・orz)
泣き出したリッポンを意味もわからず慰めるアモディオ。
こんな見当違いなことを言ってみたりしている。
「どうでもいいけどさ、カナコを連れて行かない?花売りにはもってこいだよ?」
77スポーツ好きさん:2010/09/20(月) 22:54:03 ID:Gvywhfc8
「ご指名ありがとうございま〜す!!!!」
当の佳菜子が花売りスタイルで広場に参上した。
「初代スレ以来なかなかで番がなくてヤキモキしてたんだよね〜」
ニコニコしながら話す彼女、既に準備は万端のようだ。
「ようこそあは〜ん」「女の子成分あはは〜ん」
ランビ〜ズは歓迎ムード。対するジョニズは警戒モード。
「た、助かった・・・」「カナコおひさ〜」
リッポンとアモは嬉々として彼女を向かいいれる。
「じゃあ、早速だけどパリだっけ?出発しましょう!!!」
「ちょっと!なにあんたが仕切ってるのよ!」「DIVAは」
「レッツGO!!!!」
「まって〜!!」
こうしてカナコの号令のもとDIVA一行はパリへ向かう。
78スポーツ好きさん:2010/09/20(月) 23:42:55 ID:WhM3DyKv
ヤグがWジュベに手を焼いている頃、プル&ガチ君と行動中のアンナは北極の光景に見入っていた。
「凄いわ…資料で見たけど、この時代の北極は本当に一面が氷に覆われているのね」
「そういえば、アンナさんの時代はここも南極も海になってるんですよね?」
「ええ。大量の氷がある場所といえば、ドーム都市のリンクか各国政府の管理する氷の貯蔵所ぐらいよ」
ガチ君の問いかけにアンナは頷いた。
「貯蔵所?そんなものまで出来てるのかい?」プルが不思議そうな顔をする。
「私達の時代では氷は貴重品だから…この景色を弟や残っている仲間が見たら驚くでしょうね」
「ねぇ、アレクセイはこっちには来ないの?」
「彼は全体を指揮する立場だし、財団を纏める役目もあるから残っているわ」
「そうか…彼には会えないんだね」
それを聞いて残念そうな様子のプル。
「あの子も来たがってたけれど、危険な事も多いし皆で説得してなんとか思い留まらせたの。
きっと今は向こうで自分の役目を果たしているはずよ」

あの……お言葉ですがお姉さん、弟さんこっちへ来る気満々ですけど?
79スポーツ好きさん:2010/09/21(火) 15:15:55 ID:85q0yTYN
「さあ、パリに到着です!皆さん脱ぎましょう!」張り切るアモディオ。若干、引く佳菜子。
「何言ってるのよ」「脱ぐ訳ないじゃない」とジョニーズ。
「え?だって、さっき…」
「あれはただのガガネタ、ツイッターネタでしょ?本筋はずれちゃってどうするのよ」
「そうそう、遊びは必要だけどバランスとってね」
「良かった…ジョニ姐に正気の部分が残ってた… ;」

ジョニ子の部屋別室inパリを設置。
室内なので勿論ジョニーズはパンイチだ。完全に引く佳菜子。
リッポン「脱いでるじゃん!やっぱり脱いでるじゃん!!」
ジョニ子「脱いでたって作戦会議は出来るわよ。ジョニー状況は?」
子ジョニ「あんまり進展ないわね。謎のスケパシーを調査するも今のところ手がかりなし。
作戦司令のアレクセイからも情報なし。さぼってんじゃないのかしら?
あっと、『ICE』を集めるイベントが発生してるわ。『ICE』とは(説明略」
「オッケー!そのイベント参加出来るわ。アダムつながりでオーサーに突撃よ!はい、アダムお姫様抱っこ」
「今回その役は僕ですか…ていうかジョニ姐太ったよね!?」
「失礼ね、10パウンドだけよ」「嘘だ!絶対もっと太ってる!」
「あんたレイチェルの時と態度違うわよ!いいからとっとと飛びなさい!
ステフ達はカナコとフローランの面倒みてやって!」
80スポーツ好きさん:2010/09/21(火) 16:29:47 ID:M0De88eL
「サーシャ・・・・何するんだよ!」「お前がチャント仕事してるか見に来たんだよ!」
恨めしそうにサーシャ――アレクサンドル・ヤグディンを見つめる総帥プル。
「なかなか連絡がこないからどうしたのかな〜て思っただけだよ!」
「ほんとか〜?こっそり過去に行こうとしてたんじゃないのか〜?」
「ふふ〜んだ!」
そっぽを向くが、子孫ヤグにはばればれだ。
「まあ、そろそろ現地から報告がほしいところだな。お前から連絡すればいいじゃん。」
「ええ〜、この通信機旧式だからめんどくさ〜い。・・・・・サーシャやって!」
「ホントにお前は総帥かよ!」
そういいつつ通信機のスイッチを入れる子孫ヤグ、その間に総帥プルは時空移動の準備をこっそり始めていた。
81スポーツ好きさん:2010/09/21(火) 19:00:18 ID:3L59HDd+
謎のスケパシーを調査していた宇宙船組は、各地の調査を終えて集合していた。
「おかえり、そっちはどうだった?」プルは戻ってきたトラ達に声をかけた。
「・・・残念ながらどこも反応なしだったよ。」首を振るヌルメンカリ。
「こっちも空振りだ。全く何がどうなってんだか」
若干疲れた様子のヤグ。最も疲労の原因は後ろのWジュベに手を焼いた事もあるのだが。
「もうこれ以上探すところはないのかなぁ?」
北極の地図を見て考え込こむプル。すると。

「・・・・・・ここはまだ、探してない」
黙っていたADSLが地図のある場所を指した。
「アドリアン、そこには印はないぞ?」
訝しげなトラを他所にADSLはその場所の周囲をくるりとなぞった。
よく見てみれば、その周辺は北極全体に散らばったポイントからみてちょうど中央の地点だ。
「なるほど、全ての中心か・・・なにかあるかも知れないね」
「まぁここまで来たならついでに探してみるか」
頷く一同。というわけで一行はADSLの示した地点――北極点へ向かった。
82スポーツ好きさん:2010/09/22(水) 19:13:56 ID:VcQts3q6
2人のジョニ子を抱えて飛び去ったリッポン。
「アハンあっちの方向でいいのかなあ」
「服を着て行った方がよかったんじゃないでしょうか」
「大丈夫だよアハン。いつものことだから」
いちにちスレではDIVA組として行動を共にすることの多いランビには見慣れた光景だが
カナコには何もかもが初めての経験だった。

「あれ?アハハンそういえばこれ・・・」
脱いでたたまれたジョニ子の服のポケットからはみ出ていた未開封の封筒。
宛先は2010年のジョニー宛。差出人はアレクセイ・プルシェンコ。
そういえば>>41でプルシェンコ財団マークの封筒を受け取っていたが
ごたごたしていたので開けていなかった。
「アリョーシャからジョニーに渡せって、アンナが預かってたんだよアハハン」
「うーん、ジョニーが帰ってくるまで待っていようか。アハン勝手に開けるわけにはいかないしね」
「重要なことが書いてるかも!ジョニーさんを呼び戻して開けた方がいいですよ!」
「そうですよ。もしくは私たちが追いかけるか。ここでのんびりなんてつまらないです」
アモとカナコはやる気だ。目を輝かせてランビに詰め寄る。
(たまには女の子とのんびりしていたいのになアハンアハン)迷うランビ。
「お願いします!!」
ニコッと微笑むカナコ。これで決まった。女の子の満面の笑顔に逆らえるわけがない。
83スポーツ好きさん:2010/09/22(水) 20:06:05 ID:GftT09W1
「エヴァン達、まだやってるの?」
「うわっ!?」
量産型エヴァ…もといライサと子孫達の群舞をポカンと眺めていた崇彦は、不意に声を掛けられて思わず飛び上がった。
振り返ると、唇を尖らせたデニス・テンの姿があった。片手に持っているのは枕ではなく、携帯電話。
「あれ、デニス。起きてたんだ」
「起きてるよ!」ますます不機嫌そうに頬を膨らませる。「練習できないから、アブザルと電話してた」
「アブザルって、ミキ達と一緒にモロゾフコーチの所にいる?」
未来の問いに、デニスは頷いた。
「けど、みんな連盟とかに呼ばれて、今残ってるのはアブザルと、あともっと年下の子ばっかりだってさ」
「ラトビアは大丈夫なのかな…んっ?」思いを馳せる崇彦の袖を、雪彦が引っ張った。
「崇じぃ、終わったみたいだよ。ほら!」
雪彦の指差した先には、横一列に手をつないだライサ達。凸凹のない、綺麗な直線だった。
84スポーツ好きさん:2010/09/22(水) 21:35:15 ID:8sqzqp9D
先祖と子孫の夢の競演を終えたライサ一族。
リンクの上でみな抱き合って互いの喜びを分かち合っていた。すると

ポポポポン!

抱き合ったライサ同士がひとつになり黒い珠に変わった。
その珠をリンクに残ったライサが懐から出した黒磁石で一気に集めて、
ネックレス上になったそれを首にかけてキャロルたちに深々と頭を下げた。

「改めて、私は2110年の世界から来たエヴァン・ライサチェクの末裔・ギャヴァンです!」
「ど、どうも・・・」
シドロモドロになりながら返事をする崇彦たち。しかし、あのネックレスはもしかして・・・
「このネックレスは『チャッキーリング』と言いまして代々伝わる我が家の家宝なんです。」
「いや〜、前回ケヴィンから譲ってもらって遊んでたら分身出来るようになっちゃってさぁ、楽しいたらありゃしないよ!」
「・・・そうなんだ・・・よかったね」
棒読みで答える崇彦。まさかあのネックレスが再登板とは・・・ま、その件はここまでにしてキャロルコーチに向き直る。
「あの、佐藤先生から連絡が入ったと思いますが」
「ああ、『ICE』の件だね。ちょっと待っててくれ」
控え室へ入って戻ってきたキャロルの手には崇彦にとって見覚えのある本に握られていた。
「(タラソワコーチが貸してくれた本とほぼ同じ・・・・)」
「さて、この本について説明をする、心して聞くように。」
85スポーツ好きさん:2010/09/22(水) 22:32:45 ID:oV5e7qUM
北極点へと向かった宇宙船組。徐々に近づくにつれて謎のスケパシーが再び届き始めた。

「……やっぱりここみたいだね」
「ああ、最初に感じたのと同じスケパシーだ。どうやら当たりらしいぜ」
頷くプルとヤグ。やがて北極点の直ぐ傍に宇宙船は着陸した。
外に出るとやはり人の姿は無いが、今度ははっきりとスケパシーが感じ取れる。
一体どこから発しているのか、スケート力を使って辿って行くスケーター達。
そして、遂にその場所は見つかった。

地球の最も北の地点。そこに広がる氷の下からスケパシーは漂っていた。
「よりによってこの下かよ?」困惑するヤグ。
とてもじゃないがこんな氷の下に生きた人間がいるとは到底思えない。
「まさかと思うが遭難した誰かが埋まってたりしないよなママン?」
「気味の悪い事言うなよ曾祖父さん、それじゃ本当に幽霊じゃないかママン」
言い合いながらも同じ動作で足元の氷を覗き込むWジュベ。しかし真っ白な氷の下では何も見えない。
でもスケパシーは今もはっきりとそこから発せられている。

「となると、後はこの氷を割って確かめるしかないね」
「でもこの氷は結構分厚いわ。どうやって割ればいいのかしら?」
アンナに尋ねられて考えるプル。さて、どうしようか…?
86スポーツ好きさん:2010/09/22(水) 22:40:25 ID:Z3LtlkQB
「氷を削ればいいんだママン!」
ジュベはルームランナーをやり始めた。
「あ!その技は…!俺だってできるぞママン!!」
バンビも先祖に負けじと走る。
「「さあ!リョーシャさんも一緒に…!!ママン!」」
キラキラとした目でヤグを見つめるWジュベ。
87スポーツ好きさん:2010/09/23(木) 15:15:48 ID:BAy+spxE
トロントでは真央たちだけでなく、ユカさんの連絡で多くの北米スケーター達が集結していた。
「ICEの謎と北極・南極の調査・・・・いろいろやること多いわね!」
88スポーツ好きさん:2010/09/23(木) 20:58:24 ID:UfkDGx7N
>>82から1時間後―
とっくの昔にジョニーズ&リッポンのもとに向かってると思われたランビチームだったが、まだパリにとどまっていた。
「じゃんけんアハン!あっち向いて〜〜〜〜アハン♪」
「じゃんけんアハハン!あっち向いて〜〜〜〜アハハン♪」
どちらがカナコを抱えて飛んでいくかを巡って、ランビコンビの熱い戦いが繰り広げられているのだ。
勝負を見てるのもいい加減飽きてきたカナコ&アモは集まってきた野次馬に薔薇を売りつつ
この状況を打開する方法について考えていた。
89スポーツ好きさん:2010/09/23(木) 23:30:41 ID:1h6nKGS5
ぱらぱらと本の頁をめくるキャロル。固唾をのんで見つめる一同。…が
「あ、あれ?…白紙?」「何にも書いてないですぅ」「………zzz(ハッ、フルフル)」
「まあ、待ちたまえ。見ててごらん。…書物よ、お前はスケート力について知っているかね?」
すると白紙だった本の頁にうっすらと文字が浮かびあがってきた。
『YES』
「おおー!」
「それはいかようなものだね?」
しかし、今度は本は反応しなかった。崇彦「どういう事ですか?」
「うむ、どうやら私の本はYESかNOしか答えないらしいのだ。つまり…」
キャロルコーチは本を崇彦に手渡して言った。「ここから先は君たち若い選手の仕事だよ」

一方…
「やったー!オーサーの『ICE』を手に入れたわー!」
「すごーい、はやーい!巻き毛ちゃん、どうやったのよー!」
「どうって…ハァハァ普通に貸して下さいって丁寧に頼んだだけですよ…ハァハァ
っていうか、ジョニ姐さん達っ!そんなかかとの高い靴で走ったら転びますよっ!」
ジョニーズはオーサーの『ICE』を手に何故かセントラルパーク(勿論NY)を全力疾走していた。
90スポーツ好きさん:2010/09/24(金) 09:34:15 ID:CLmIzcoo
「はぁ?何だよおまえら、何で俺が・・・」
Wジュベの双方向の熱い視線に一瞬たじろぐヤグ。だが期待に満ちた視線は止まらない。
「わかったよ!氷を削れば良いんだろ?・・・見てろよっ!!」
半分やけくそでお断りしまステップを繰り出すヤグ。
その後を寸分狂わず同じ動きでステップを踏んで続くWジュベ。
たちまち周辺に削れた氷しぶきが飛び散る。
「よし、僕たちも氷を削っていこう!」
負けじとプルが宇宙人高速ステップを駆使して、あっというまに氷しぶきを大量生産。
他のスケーター達もそれぞれのステップで北極の分厚い氷を一斉に削りにかかった。
91スポーツ好きさん:2010/09/24(金) 16:36:31 ID:SthryxYN
「じゃんけんアハン」
「あいこでアハハン」

「ちょっとぉ、あの2人ってばなにやってんのよ」
「あっジョニーさん達、帰ってきたんですね。実は(ry」
「もう仕方ないわね〜カナコ達をほったらかしにしておいて……
好きなようにやらせておきなさい。それはそうと…ジャジャーン」
「あっ『ICE』。すごいっ!さすがですねっ」「噂以上に大活躍してるんですね。来てよかった!」
アモと佳菜子が尊敬の眼差しで2人のジョニ子を見つめる。
ちなみに真の功労者であるリッポンは2人を抱えて2度もクワドを飛んだ疲れで
ジョニ子の部屋別室のソファで横たわっていた。
「ふふんっアタシ達の手に掛かればちょろいもんよ」
「さて、任務も1つ完了したし、今日はこれで終わりでいいわよね。
アタシ2010年の世界を観光したいわ〜」
「あの…そう言えばこれを……」
佳奈子が封筒を差し出した。それを見て子孫ジョニ子が顔をしかめる。
「ああ、それは後でいいわ。いいってば、気にしないで。いーやっ開けなくていいんだってば。
とーにーかーく、観光に行くわよっ」
92スポーツ好きさん:2010/09/24(金) 23:40:05 ID:itZRnYmu
「…謎のスケパシーの正体ってこれか?!」
皆で氷を削りまくってようやく見つけた「それ」を見たトラは怪訝な顔をした。
他のスケーターも不思議そうに「それ」を見つめている。
結論からいうと「それ」は遭難して埋まった誰かでも、幽霊でもなかった。
長い間氷に埋まっていたらしく、所々損傷した箱。
中に入っていたのは掌に乗るくらいのサイズの水晶の塊のような物体だった。
そして例のスケパシーはその物体から発せられていた。

「……あれ?」
箱と謎の物体を調べていたプルが何かを見つけた。
「どうした、ジェーニャ?」
「リョーシャ…これに見覚えない?」
プルが箱の裏蓋を見せると、そこには殆ど消えかけているが文字のようなものが見える。
目を凝らしてそれを読もうとしていたヤグの表情が不意に険しくなった。
「おい、こいつは確か…!」
「そういうこと。ここは一度ロシアへ戻ったほうが良いかもね。あの人なら何か知ってるかもしれないし」
「あの人って…タラソワのところへ行くのか?」「そりゃ勿論。何か問題でも?」
「…おまえ、ホントにむかつく!」

こうして北極を後にした宇宙船は、一路ロシアのタラソワコーチの元へ向かった。
約一名機嫌の宜しくない人がいるが、細かい事は(ry
93スポーツ好きさん:2010/09/25(土) 14:31:05 ID:UNilxG5s
「もぅ〜遊びに行きたいの〜」
疲れはてていたリッポンだったが
あっち向いてホイを続けるランビーズを押さえ込み
観光に繰り出そうとするジョニーズを取り押さえ
エッフェル塔の真下に移動したジョニ子の部屋に全員を座らせた。
「はい、エッフェル塔が見えますよ。観光終了。
カナコの両脇に座ってるからお2人もそれで満足ですよね。
いいですか、今は一刻を争う事態が起きてるんです。
そのために未来から来たのを忘れないで下さい」
自分がしっかりしなければ誰がこの面子をまとめるんだ、
そんな思いを胸にリッポンは先程キャロルからの電話で聞いた
『ICE』の使い方をみんなに説明した。

「ワーオすごいわ」
「これは面白いねえアハン」
「使えるわ!さっきそこでこれを配ってたのよ」
「『ヨーロッパ縦断ウルトラクイズ』アハハン。飛び込み参加OKってあるね」
「この本さえあれば全問正解も夢じゃないわ」
「いやそうじゃなくて、これを持ってみんなの所へ行かないと」
「おもしろそうです!私、頑張ります」
「よしっ活躍できそうだ」 
「賞金10万ユーロを目指して行くわよ〜」
「エイエイアハーン」
94スポーツ好きさん:2010/09/25(土) 14:34:33 ID:ApmveBzm
リッポンはうとうとしながら、つい先程……オーサーから「ICE」を借り受けた時のことを回想していた。

「改まって何を言い出すかと思えば、そんなことか。いいよ、持って行きなさい」
「ありがとうございます」
薄く埃を被った箱から「ICE」を取り出す時まではニコニコしていたオーサーだったが、
それをいざリッポンに渡す段になると、突然真顔になった。
「? …ブライアン?」
「アダム。『ICE』を貸す代わりに、ひとつ頼みたいことがあるんだ。
もしも、彼女に会ったら。そして彼女が困っていたり、悲しんでいるようなら、どうか」
「ちょっとアダム! まだ終わらないのー?」
ドアの向こうからジョニー(ジョニ子なのか子孫ジョニーなのかは分からなかったが)の呼ぶ声がした。
「あ、はい! 今行きます!」
オーサーの頼みは、最後まで聞かなくとも理解できた。
任せてください、と親指を立ててみせ、リッポンは一礼してオーサーの部屋を出た。

「そうだ、アタシ素敵なカフェに行きたいわ! 曾祖伯父さまの時代のカフェはどういう感じなのかしら?」
「ちょっとジョニー、その呼び方はやめてよね。連れてってあげないわよ」
隣から聞こえてきた会話は、「ICE」とまったく関係がなさそうなものだった。
95スポーツ好きさん:2010/09/25(土) 14:55:56 ID:h2YcGZFh
「さあ着いたわよ。巻き毛ちゃん寝てる場合じゃないわよ」
「DIVAジョニ子チーム7人一組でエントリーしまーす」
(あーあ、クイズへの出場が夢だったらよかったのになあ)
ハイヒールで全力疾走をしながら会場へ向かう後ろ姿に
リッポンは溜め息をついた。
96スポーツ好きさん:2010/09/25(土) 16:05:58 ID:OeKduTFW
と、先頭を走っていたジョニ子がすっ転んだ「きゃああああ!」
はずみで『ICE』が宙を舞う。
「うわあああ!」慌ててダイブして本を守るアモディオ(よし!活躍した!)。
「ジョニ姐さん!気をつけて下さいよ!」「何よ!転んだ先輩をいたわる気持ちはないの!」
「ん?あれ?」
アモディオが何かに気付く。
「ねぇ、アダムちょっと…!これ…、本じゃないよ、隠し箱になってる!」
97スポーツ好きさん:2010/09/25(土) 16:30:49 ID:e1dvuxg+
「やぁ、待たせたね!ユカ。」「遅いわよ!カート!」
ちょっとおどけ表情を見せながらユカに本を渡す。
「これが僕の持つ『ICE』だ。丁重に扱ってくれよ。」
「わかってるわ、ありがとう。お借りしますね。」
受け取った『ICE』をパラパラとめくってみるが、
「なあに、これ?何も書いてないけれど?」
「そう、この本は読み物ではないから文字は書かれていない。」
「どういうこと?」
「この本は『もう一人のカート・ブラウニング』。つまり僕の分身と思ってくれていい。」
「つまり、人間と同じように扱え。と言うことかしら?」
「まぁ、単純にはそういうことだ。ただし、行き成り『ICE』のことを聞き出そうとしても無理だよ。」
「どういう意味?」
「人間のように扱え、ということはそれと同じコミュニケーションをとれということ。
これ以上のことは僕は言えないけどユカならわかるよね。」
「・・・いろいろ厄介ね。」
「なあに、僕も手伝うよ。なんたってあれだけ多くのスケーターがいるんだからね。」
「そうね、シゴキ・・じゃなくて鍛えがいもあるもんだわ。」

ゆかさんはそういって、トロントに集まった北米と日本のスケーターたちを見てニヤリと笑った。
98スポーツ好きさん:2010/09/25(土) 17:06:42 ID:yEJkpzGs
ピーーッ♪
アンナの腕にはめられた通信機から呼び出し音が鳴った。
「なに?今の音?」
「アリョーシャからだわ。丁度良かった、こちらの状況を伝えておきましょう」
プルに答えながら通信機のボタンを押すとアンナは相手に話しかけた。
「もしもし、私よ・・・あら、サーシャなの?・・・ええ、北極で気になるものを見つけたの。今タラソワという方のところへ移動中よ」
(ああっ!サーシャさんが通信に!!だったら俺が報告したのに!)
その様子を見て密かに悔しがるバンビ。
「・・・ところで、アリョーシャはそこにいるの?ちょっと代わってくれるかしら・・・・・・え、どうかしたの?」
返答を聞いたアンナの顔色が変わった。

「何ですって?アリョーシャがいなくなった?!」
99スポーツ好きさん:2010/09/25(土) 18:55:13 ID:5X2xXlpS
その頃。トロントに着いたチーム・ジャパン+バトルは
なぜか『ICE』の調査そっちのけで滑って滑って滑り倒していた。
信成「うわすごい、大ちゃんの4F!もう試合でもバリバリ飛べるやろ!」
大輔「いや、まだまだ練習せんと。真央ちゃんの3Aも高いな〜」
真央「やっぱり一日一回はリンクで滑らないとね!」
バトル「マオは相変わらず練習の鬼だな」

一方、呆然としているのが子孫組。
ブルマ「嘘でしょ・・・これが百年前の、改良前のスケート靴なの!?
皆、こんな重い鉄のブレード付の靴でどうやってジャンプしてるのよ!」
モロゾフ「まだ僕らの時代の靴のように軽量化されていないのさ。
しかし参ったな、これじゃ満足にステップも踏めやしない」
信太「オラはノービスの時にこれでジャンプの練習してたぞ。
DBの悟空が亀の甲羅背負って修行してたのとおんなじようなもんだな。
それっ・・・あーやっぱりこの靴じゃオラも3回転が限界だな、
じいちゃんたちにオラの5A-5T-5Loを見せたかったのに」
ブルマ「なんですって、それを言うなら私の専売特許6Sを・・・」
モロゾフ「やめなさい、ここで未来の靴を使ったらこの時代の人々に怪しまれる」
ブルマ&信太「「はぁ〜い」」

大輔「じょ、女子なのに6S・・・6回転のことか?」
信成「15歳で5A-5T-5Loって・・・」
真央「百年後のフィギュアスケートって、そんなハイレベルなの!?」
今度は先祖組が呆然とする番らしい・・・・・・
100スポーツ好きさん:2010/09/25(土) 22:04:58 ID:hn9gEg75
子孫ヤグ『あのバカ、ちょっと目を離したらこれだ!…あいつは俺が何とかするから、
    そっちは予定通り『ICE』の調査を続けてくれ。じゃあな!』(ブチッ!)
アンナ「まったく、あの子ったら本当に落ち着きが無いんだから…はぁ…(ため息)」
プル「なになに?もしかしてアレクセイがこっちへ来るの?!」
ヤグ「おい…おまえ今の状況絶対楽しんでるだろう?」
プル「もちろん!だって僕の子孫に会えるかも知れないし♪」
ガチ「…皆さん、ひとまずタラソワさんの所に急ぎましょうよ(どうかややこしい事になりませんように…!)」
101スポーツ好きさん:2010/09/26(日) 18:08:27 ID:acCtfZgu
「えへへっ、脱出成功!」
アレクセイこと総帥プルは、会心の笑みで、小型宇宙船の操縦席についていた。
財団が受け継いでいる宇宙船と、同じ原理で動くこれには、時空飛行装置も組み込まれている。

そして、2010年サンクトペテルブルグ、郊外の森の上空。
「やったー! 到着ー!」
100年後の世界にはない、緑豊かな森。その中の少し開けた場所に、船は静かに着地した。

だが喜びもそこそこに、アレクセイは急にとろんとした眼で、シートに背をもたせかける。
「な、なんか……着いたら、気が抜けちゃったよ……ここんとこ、寝不足だったし……」
ぼやけていく意識の中、彼はなぜか突然、過去改変反対派のことを思い出した。
一部のスケーター達が、歴史を歪めれば大惨事を招く、と主張しているのだ。
(いや、あいつらはまだ、時空移動装置を持ってない……過去へは来られないから、邪魔されることは)
そこで彼の意識は途切れた。何らかの手段で睡眠薬を盛られた、とは気づかないまま。

「過去を変えて、何もかも丸く収まるものなら、私たちだって反対なんかしない……」
そんなことを密かに呟きながら、船内に隠れていた数人の男女は
シートでぐっすりと眠るアレクセイを残し、どこかへ飛び立っていった。
102スポーツ好きさん:2010/09/26(日) 21:52:25 ID:2b0UNJeU
「プルプルプルプルプル!」
「リリリン♪リリリン♪リリリン♪」
「チャ〜ラ〜ヘッチャラ〜〜〜」
信太「あっれー、オラの携帯にメールが来てるぞ。なんでだ?」
モロゾフ「私にもだ。君たち、この時代の人にアドレスを知らせてないだろうね」
ブルマ「教えてないわよ。それにこのメール、一体誰からの・・・ああっ!」

From: "マオ" <[email protected]>
To: "織田 信太" <[email protected]>
Sent: Sunday, September 26, 2010 21:30 PM
Subject: 【警告】今すぐ帰還してください
Message: のび太くんお久しぶり。今日はお仕事でメールしています。
とにかく、何もせずに直ちに2110年の日本に戻ってきてください、皆で。
過去の歴史を改ざんすることはれっきとした犯罪ですから。
今すぐ戻ってくれば、タイムマシンの無断使用の罪も問いません。
ご先祖様方の記憶もこちらで抹消しておくので安心して戻ってきてください。
追伸・「スケート禁止法案」が日本およびロシアの国会で可決されました。
これでもう日本ではスケートはできません。トーホクリンクも既に閉鎖されました。
のび太くんは過去への介入なんかやめて、スケートを続けられるように
海外の拠点を探すのが先決なんじゃないですか?

信太「そんな・・・スケート禁止法案ができちまうなんて・・・・・・
だったらなおさら温暖化が進まないように歴史を変えなきゃなんねえぞ」
真央「このメールを送ってきている人、私と同じ名前だね。
誰なの?同じ未来の時代の人なの?」
信太・ブルマ・モロゾフ「「「・・・・・・」」」

(曾祖母と同じ名前のスケーター兼時空警察官だ、とはさすがに言えない
未来人一行であった・・・・・・)
103スポーツ好きさん:2010/09/26(日) 23:06:06 ID:Ubi5TsnG
その頃、宇宙船組はロシアのタラソワコーチの元へ到着していた。

「…ずいぶん遅かったわね?」
「仕方ねぇだろ、北極で探し物してたんだから」
タラソワのひと睨みにさすがのヤグも気後れ気味だ。
「まあいいわ…で、その探し物とやらは見つかったの?」
タラソワの前にプルは北極で発見した箱と謎の物体を取り出した。
「これは北極点の真下でスケパシーを発信してました……これが何かご存知ではありませんか?」
差し出された物体をしばらくの間じっと見つめるタラソワ。

「勿論知っているわ…でも、残念ながらそれについて教える事は出来ないわね」
「え〜っ?!」「そんなぁ…ここが頼りだったのに…」うなだれる一同。
「なんだよそれ!一大事なんだぜ?教えてくれたって良いじゃねぇか?!」
「リョーシャ!人の話は最後まで聞きなさい!」
思わず食って掛かるヤグをタラソワは一喝して黙らせた。
「…どういう事ですか?」困惑するプル。
「さっきも言ったように、私の口からはこれ以上の事は言えない…それは人に教えられてではなく、
自身でその意味と正しい使い方を知った時に初めて役に立つ物なのよ」
そう言ってタラソワが取り出したのは一冊の本――『ICE』だ。
「持って行きなさい…私が教える事は出来ないけれど、答えを探すのに『ICE』が助けになってくれる。
その物体の事についても、末来のスケーター達を救う方法についてもね」
104スポーツ好きさん:2010/09/27(月) 10:00:07 ID:IK/mJuyg
「・・・・・・なんだって!?、うん、わかった・・・」
「・・・雪彦?」
「・・・最悪だ、一番知られちゃいけない人間に知られた・・・」
「?」
仲間からのスケパシーを受け取った雪彦は、
曽祖父に「マオ」から伝えられたと言うメールを話した。
「・・・・・・」
「どうしよう、崇じぃ、僕やだよ・・・崇じぃみたいなスケーターになるって、
絶対なるって決めてたのに、やだよ・・・!どうしよう!!」
「雪彦、」
「やだ!スケートできないなんて嫌だ!!スケートがないと僕って何にもない!!」
「あーもう!!落ち着けよ、バカ!」
パニックになりそうな曾孫を抑えて、コーチにしてもらうように背中をぽんぽんと叩いた。
(・・・こんな頃があったな)
インフルエンザでリンクにいけなかったとき、足を捻挫してスケートが出来なかったとき、
悲しくて、イライラして周りに八つ当たりして困らせたことが崇彦自身にもあった。
(こいつ、あのときの俺より苦しいことになってるのかも・・・)

「未来、いる?」
「タカ?」
「『ICE』についてもうちょっと詳しく聞きたいんだ、フランク先生を呼んできて」
「うん、ちょっと待ってて」
走り去っていく未来。
「どう?」
「僕のこと、すっかり崇じぃだと思ったみたい」
「おまえはこっちで行動を続けろ、俺がおまえとして2110年に行く、行って、「マオ」を説得させる!」
「けど、」
「スケートがなかったら何にもなんない、だろ?信太くんと合流して、やってみるさ」
「すぐバレるよ!あいつ、勘だけは妙に鋭いから」
「もともとだよ、未来を書き換えて何が悪い?」
「・・・・・・気をつけてね、崇じぃ」
崇彦は、誰かに背中を押してもらったような気がした。

同じ頃・・・
「・・・・・・」
スケ連で連絡を待っていた信夫は、ふと、顔を上げた。
そのまま無言で立ち上がり、手を伸ばして・・・
「・・・いいですか、自信を持って、いってらっしゃい」
くるくると円を描き、ぽん、と空をおした。
105スポーツ好きさん:2010/09/27(月) 10:18:39 ID:PPexlhR1
一方その頃・・・

「さて、ここからどうするのかしら?」
「・・・北米には大勢のスケーターが集結しているし、ロシアもそう簡単にはいかないだろう」
「ご先祖様方や過去の世界に影響を出さないようにしないと、僕達が来た意味が無いからね」
しばし考え込む一行。そしてその中の一人が21世紀の地図のある一点を刺した。
「まずはここからにしよう。人数もそれほど多くないし、それに・・・」
「それに?」
「ある意味ここの連中が一番問題を起こしそうだからな・・・(ぼそっ)」
なろほど・・・と納得しつつもやや脱力する一行。
「そうね・・・問題を起こす芽は早めに摘みとらなくちゃ。」
「そうと決まったら急ごう!」

話がまとまった一行はとある場所へと向かった。
106スポーツ好きさん:2010/09/27(月) 11:08:49 ID:QYtvMndF
崇彦たちは未来の家の寿司屋で今後の方針を話し合っていた。
雪「・・・・とりあえず、これからどうする?」
ギャ「『ICE』 の謎を解明することが先決だと思うが、他に意見は?」
一同「異議なし!」
エ「じゃあ、僕たちはまずは本を調べるためにいったんトロントと合流して、
それからコロラドスプリングスの殿堂本部まで出向くか。」
み「賛成!それじゃ話し合いも終わったし、うちの寿司食べて食べて!」
一同「おいしく頂きます!」
当の話し合いをとっとと終わらせ、寿司を頬張る面々・・・
ただ、雪彦とギャヴァンの表情は冴えない。エヴァンが声をかける。
エ「さっきのメール、気にしているのか?」
ギャ「ああ、覚悟はしていたけどね。」
雪「でも、ほんの少しでも光が見え始めた。僕たち前へ進まなきゃ。」
崇「ごっちそうさま〜!!!・・・・ふう・・・・茶がうめぇ・・・・」
一同「はっや!!!」
み「ユキってお寿司食べるの早いね。タカみたい!」
崇「へぇっ?そうお?・・・(やばい、今俺雪彦だっけ・・・・気をつけなきゃ)」

気を引き締めて後大きく伸びをして立ち上がる。
崇「じゃあ、僕は先にのび君たちと」と言いかけたとき、突如崇彦とギャヴァンの体が光り始めた。
崇「これは!」ギャ「まさか強制送還!!」テン「えええ!!」雪「崇じぃぃ!!!」未来「だめぇぇええ!!」エヴァン「!!!ミライ!なにを!!」

二人を止めよう駆け寄る未来、その瞬間     3人の姿はかき消された。
107スポーツ好きさん:2010/09/27(月) 17:29:13 ID:W8yPFgr/
ジョニ子ズinパリの別室
「アハちゃん、あたしの時空転送ブレス知らない?」
「知らないよ。それより僕のブレスもないんだ。」
「二人ともなに探してるのよ。」
子孫たち困ってるのを見てジョニ子が声をかける。
「あらやだ!失くしちゃったの!しょうがないわね〜」
呆れるジョニ子二人は深刻な顔になる。
「そんなに落ち込むんじゃないの!確かジェーにゃのところに小型の時空飛行装置があるから大丈夫よ」
「それならいいんだけど・・・」

実は二人の時空ブレスは強制作動により未来へ送還されたのだが、このメンバーたちが知ることはなかった。
108スポーツ好きさん:2010/09/27(月) 18:25:55 ID:VUUUPH6g
各地で問題が起きはじめたその頃・・・。

「う〜ん・・・・・・やっぱり21世紀のスシは美味しいなぁ・・・zzz」
曽祖父の宇宙船をベースに製作しただけに、オリジナル同様に外部からの干渉に
対するシールドが張り巡らされている小型宇宙船。
そのおかげで強制帰還動作もしっかり無効化されたコクピット内では、
アレクセイが周りの騒ぎも知らずに夢の真っ只中にいた。

「すみませ〜ん、プルシェンコさ〜ん。ここ駐車禁止区域なんですけど・・・」
「よく寝てるよ・・・仕方ないなぁ、スケ連に連絡して迎えに来てもらおう」
小型宇宙船の外では何も知らない森林パトロール隊員達が困り果てていた。
109スポーツ好きさん:2010/09/28(火) 13:43:38 ID:1SY0AhVy
「さて、今日の収穫はユキちゃん、ギャヴァンさん、ジョニーGさん、アンナさん、
モロゾフさんとミ・・・あっ、ここではブルマさんだったよね、
あとは空の時空転送ブレスが2つ。ステアハンさんたち用心して外してたのかな」
未来人たちが召還された先には、曾祖母に生き写しの婦人警官、マオがいた。
捕まった面々の脇でマオがピコピコとマシンを操作する。
「よし、これで他のスケーターたちは過去の世界に来られなくしたわ。
後はあなたたちを2110年に強制送還するだけだね。そうそう、未来さんは
記憶抹消したらすぐ解放しますからおとなしくしてて下さいね(ニコ)」

未来「ってことは、ここはまだ2010年なんですねぇ!」
G「良かったわぁ〜まだご先祖様とのショッピングを堪能してないのよ」
モロ「そういう問題じゃないだろう!だから君を来させるのは反対だったんだ」
ギャ「モロゾフたちも災難だな。ノビタは一緒じゃないのか?」
ブルマ「のび太は自宅のカプセル宇宙船で来てるから難を逃れたのよ」
アンナ(アリョーシャもいない・・・宇宙船のバリヤに守られたようね)
崇(で・・・彼女がマオなんですか?本当にそっくりだ・・・)
110スポーツ好きさん:2010/09/28(火) 16:22:29 ID:HQerd+sc
一方その頃。
「…アンナが消えた?!」「今のは一体何なんだよ?!」
サーシャからの通信で「スケート禁止法案」の話がスケーターに伝えられたその矢先。
突然アンナの周囲に光のようなものが立ち込めたかと思うと、一行の見ている前で姿が消えてしまった。
バンビ「時空警察の強制送還光線だママン、俺達の計画が知られたらしいママン…」
暑苦しくなって時空転送ブレスを外していた為、難を逃れたバンビは頭を抱えた。
バンビ「アンナや、他の仲間も捕まったに違いない…畜生!どうすりゃいいんだママン!!」
ジュベ「しっかりしろママン!まだ全員捕まったか解らないぞママン!」
とはいえこの状況を一体どうしたら良いものなのか?考えあぐねる一行。

その時、不意にタラソワの携帯が鳴った。
タラソワ「もしもし、今は取り込み中よ…え?何ですって?…解ったわ、すぐに収容に向わせます」
電話を切るとタラソワはプルの方向へ向き直った。
タラソワ「ジェーニャ、あなた宇宙船はどこへ停めたの?」
プル「そこの駐車スペースだけど…それが何か?」
タラソワ「…森林管理局から『郊外の森でエフゲニー・プルシェンコが宇宙船を停めて寝ているから、
移動させて下さい』ですって」
プル「…それってまさか!」
タラソワ「とりあえず彼以外にもまだ無事な人達がいるようね。急いで確認をとるのよ!」

バンビ「…どうせ来るならサーシャさんの方が良かったのにママン」
111スポーツ好きさん:2010/09/28(火) 16:43:05 ID:kfT5r8c/
「ええ!!あたしの子孫消えちゃったの!」
落胆の声を上げたのはラトビアから今しがたトロントへ到着した美姫だった。
「もう!折角ユーロから北米に来たのに!」「仕方ないだろ。現場も混乱してるんだから。」
ふくれる美姫をモロゾフコーチがたしなめる。そこへロスから雪彦たちがやってきた。
「みんな!無事か!」「崇彦!」「たかちゃん!」「ライサ!」「テン君!」
呼吸を整えた後エヴァンが答える。
「こっちは・・・ギャヴァンと・・・た、・・雪彦と・・・未来が・・消えた・・」
「えええ!!!」「何で!」「どうして未来が・・・」

そこへ一機の小型宇宙円がワープしてきた。ふわふわと直陸して出てきた人物は・・・・

「ふ〜〜、やっとたどり着いた・・・わっ、みんな集まってる。ご挨拶ご挨拶・・・
えっと・・・はじめまして!ご先祖さま!僕は100年後からやってきた未来の偉い人!アレクセイ=プルシェンコです!」
 
112スポーツ好きさん:2010/09/28(火) 17:37:19 ID:82XtIWuV
「ねぇ、マオさ〜ん」「何かしら?」
監視下にある未来はあえてやさしい口調で話しかけた。
「あたしが子孫にであった記憶ってすぐに消されちゃうの?」
「ええ、警察の医療部隊が到着次第、安全な方法で私たちと出会った記憶だけ消去させていただくわ。」
「ふ〜ん・・・・・あのさ、あたしこういうの持ってるの。」
未来が取り出しのはキャロルコーチが彼女に託した『ICE』
「この本は所有者と彼が認めた人間以外は開くことも出来ないんだって。
どうせあたしの記憶消すんだったらこの本の効果を未来で試してからでも遅くないでしょ?」
黙って未来を見つめるマオ
「・・・・私の権限では判断しかねる事項ね。いいわ、上層部と掛け合ってあげる。ただし、結果が悪くとも文句言わないでね。」

一度その場を後にするマオ。答えはどう出る?



113スポーツ好きさん:2010/09/28(火) 20:25:22 ID:1SY0AhVy
トロント大リンクの信太はパリのステアハンとスケパシー交信中だ。
信太「うん、こっちはブルマもモロゾフも消えちまった。多分強制執行だと思う。
けどアリョーシャともうすぐ合流できそうだし、オラほっとしたぞ。
ジョニー(子孫)は>>107で一度難を逃れてたんだろ、何で捕まっちまったんだ?
はぁっ、買い物中にマオに見つかってしょっぴかれた?運が悪かったんだな」

大輔「・・・でさあ、俺らいつまでリンクで待ってりゃいいの?」
バトル「とりあえずこちらの真央が戻ってくるまで・・・ほら、来たぞ」
真央「おまたせ〜会ってきたよ!」
なんと、真央は『ICE』を手にしていた!「MIDORI ITOU」の刻印が入っている。
「おお、これが噂の!」「すっげぇ」「どんなこと書いてあるんやろ」
信太「なあひいじいちゃん、これが『ICE』なのか?」
信成「そや、殿堂入りした人だけが持てる、スケート界の宝やで」
信太「そっか〜、オラ『ICE』って食いもんのことだとばっかし思ってたのに・・・」

一同、ずっこけました。
信成「か、かんにん、うちの曾孫が・・・・・・」
114スポーツ好きさん:2010/09/28(火) 21:21:57 ID:MdMoAygH
「未来へ強制送還されたですって!?」
ランビ子孫から説明を受けたDIVAジョニ子チーム。
「どうすんのよ!」
「アハハン、とりあえずトロント大にいる僕の仲間達と交信したんだけどねアハンアハハン。
あちこちでみんな強制送還されてて大変なことになってるよ」
「そんなのはどうでもいいのよ!7人でウルトラクイズにエントリーしちゃったじゃない!
クイズ開始まであと数時間しかないのよっ!人数変更間に合うかしら。
会場受付に行くわよ。急いでっ」
115スポーツ好きさん:2010/09/28(火) 21:50:29 ID:czGHHXZk
一方宇宙船組も強制送還を免れたスケーター達の確認をして回っていた。

「…どうやらステアハンと信太は無事だったようだな、ママン」
無事な仲間の存在にほっとするバンビ。
「それから、ミキの話だとトロントに宇宙船がワープしてきたらしいぜ?」
「ええ〜?アレクセイは向こうに行っちゃったの?どうりでいなかったわけだ」
一行はアレクセイを迎えに郊外の森に急いで向かったもののすでに宇宙船の姿は無く、
そのくせ駐禁区域へ停めた件の苦情はしっかり聞く羽目になったのだった。
「どうやらおまえに似て、落ち着き無くてフラフラしてるらしいなぁ?」
「…リョーシャ、何か言った?」
宇宙船内の気温が下がる気配に思わず身構えるスケーター達。

「お、お二人とも落ち着いて…ひとまず今後の行動を考えましょうよ?」
機転を利かせたガッちゃんが話題を逸らしてなんとかブリザードは回避されたようだ。
116スポーツ好きさん:2010/09/28(火) 22:17:54 ID:25xN9URa
アモはジョニ子の言動にちょっと不安を感じてきた。
「あのーこのままクイズに出てもいいと思う?」ジョニ子以外のメンバーにそれとなく尋ねる。
「いいんじゃないかなアハハン」
「楽しみですよね。私、さっきそこの本屋さんでクイズの本を買ってきました。
でもフランス語で読めないんです」「アハーン僕が読んであげるよ。第一問〜」
(おかしいことにやっと気づいてくれたんだね。
フローランはやっぱり頼れる仲間だったんだ)
今後の対策を話し合おうとリッポンがアモに近づいた。
「そっか〜。俺の考えすぎか〜」「そうだよアハンアハン」
「心配性は身体に毒よ。無事にエントリー人数も変更できたし
ウルトラクイズ、頑張るわよ〜〜」
「エイエイアハーン」「アハハーン」
(駄目だ…僕ひとりじゃ何もできない………)半泣きになりながらリッポンはクイズ本を開いて読み始めた。
117スポーツ好きさん:2010/09/29(水) 00:54:49 ID:AnCDwOG/
子孫消滅騒動を知らないトロントの別のリンクでは、有香さんの鬼のしごきでスケーターたちの血の叫びが木魂していた。
「さあ、次はステップを踏みながらリンクを10週!」
「ノオオオオオ!!!!」「いやぁあああああ!!」「ヘルプミー!!!!」
「いや〜ユカはがんばるね〜。」
カートはお茶を飲みながら和んでいた。
118スポーツ好きさん:2010/09/29(水) 09:50:49 ID:1/uIgcrK
パリのDIVA組に合流するか、トロントに向かうか考える宇宙船組。
「よし、迷った時はこれで決めよう!」
そういってプルが取り出したのは何故か下駄。
「日本にアイスショーに行った時にもらったんだ。これを投げて裏表で占うんだって」
おいおいそれは明日のお天気占い専用アイテムだ…と注意が出来る日本人スケーターは
残念ながら現在宇宙船にいなかった。
「表ならパリ、裏ならトロント……えいっ!」
勢い良く投げた下駄は床をコロコロと転がっていって止まった。
119スポーツ好きさん:2010/09/29(水) 11:45:40 ID:sVcdgy5f
混沌を深める展開の一方、本筋から外れた所には、情報の遅すぎるスケーターもいたりする。

「もしもし、キャンデロロで……おう、エルヴィスやないか久しぶり!」
『久しぶり、じゃねぇ! ISUは何を企んでやがるんだ!』
携帯からのストイコの怒声に、ロロは「えっ」としか答えられない。

『山でのキャンプから帰ったら、スケーター仲間の様子がどうもおかしい。
トロントに大勢集まってるらしいし、欧州じゃISU直々に若手を招集したんだってな。
なのに誰に尋ねても、何でもないだのそっちには関係ないだの言うばかりだ!
表沙汰に出来ないようなことに、大勢のスケーターを駆り出してるのかよ! もう許せねぇ!』
元々スケ連嫌いの彼は、何やらすっかり誤解している様子。

『フィリップ、お前も一緒に来い! ローザンヌのISU本部に殴り込……』
「まっ待てっ落ち着け! 皆が本当のこと言わんのは、俺が頼んだんや!」
今度はストイコが「えっ」と言って黙る番だ。
「前スレ終盤で長いこと引っ張り回してもうたやろ。あの後、さすがに悪かった思て、
あちこちのスケーター仲間に言っといたんや。エルヴィスも新婚早々のことやし、
なるべく面倒事は耳に入れんでそっとしといてやって、って」
『お 前 の せ い か!』
120スポーツ好きさん:2010/09/29(水) 12:20:05 ID:9IIRLsqr
「すまん、ホンマすまんって!これもエルヴィスのことを思うてやなぁ…」
『そんな思いやりがあるかっ!…おい、今からそっち行くからな!』
「そらアカンって!おちつくんやって…うわぁぁ?!」
言うが早いかぐわっしゃ〜ん!!という音と共にストイコが窓をぶち破って飛び込んできた。
「フィリップ!!おまえ一体何を隠している?本当のことを話せ!!返答次第では…」
「お、落ち着けエルヴィス!話はそれからや〜!」「問答不要!!」
慌てて逃げ出すロロと追いかけるストイコ。
「アカン、このままやとあいつの空手チョップの餌食や……ん?あれは?」

ふと見上げると上空に金色の宇宙船が差し掛かっていた。
「お〜い!ジェーニャ〜!!俺や〜!!」
両手を振り回しながらスケパシーを送るロロ。ほどなく宇宙船から発した光にロロの体が引き込まれていく。
「はあ〜助かったぁ…って、うわぁ!離せぇ!!」
「お前が本当の事を言ったら離してやる」
浮き上がったロロの足にしがみついたストイコ。結局そのまま二人とも宇宙船に収容された。
121スポーツ好きさん:2010/09/29(水) 13:25:15 ID:AnCDwOG/
「な〜んだ!最初っからこうすれば良かったじゃん!」
ルンルン気分で操縦するプル。艦内にはロロとストイコの他にパリのDIVA組も収容されていた。
「へぇ〜これ宇宙船か〜」「活躍活躍wktkwktk」「「おにゃのこ成分×3アハンアハン」」「やっと・・・・報われた・・・o(TωT )o」
そんな中一人魚とり網に絡まれているDIVA・ジョニ子。
「ちょっと!なによこの扱い!」
「だって、一緒に行こうとしたら君が駄々こねる逃げ回るから。」
「だって、折角最後の一問で優勝するところだったのよ!もう駄々こねないからせめて網から出してよ!」
「だ〜め!トロントに着くまでそのままでいてもらうよ。」
「いやあああん!!」
ジョニ子の悲しい叫びをあえて無視して、宇宙船はまもなくトロントに到着した。
122スポーツ好きさん:2010/09/29(水) 21:44:00 ID:ba/Z4osJ
「無事だったかママン」「オラはママンじゃねえ!」「アハハンアハハ」
「やあみんな、僕が来たからには百人力だよ」
トロントで久しぶりに邂逅した100年後のスケーターたち。
そんな彼らを崇・・・雪彦は先祖たちのいる側から見つめるのだった。
彼の曾祖父は本当なら今頃、ここにいる仲間たちと合流しているはずだったのだ。
そう、ロスで入れ替わりさえしなければ。
(あーっもう、頑張るしかないじゃないか。崇じぃには遠く及ばなくても!)
雪彦は気を取り直し、前に一歩踏み出・・・

ズッテーン!と見事に転んだ。
「おいおいタカ、何やってんだ」「ジャンプ調子悪いん?」「タカちゃん痛くない?」
(百年前の重いスケート靴なの忘れてた!前途多難だよ、崇じぃ・・・)
123スポーツ好きさん:2010/09/29(水) 22:37:31 ID:1/uIgcrK
「大丈夫?派手に転んだみたいだけど?」
声をかけられて顔を上げるとプルが雪彦の顔を覗き込んでいた。
「…大丈夫です。心配かけてすみません」
「そう。なら良いけど…気をつけてね、ユキヒコ君」「えっ?!」
まさかバレたのか?一瞬身構えたが、次の瞬間プルはこらえきれずに吹き出していた。
「…な〜んてね♪ホントに君と子孫は瓜二つだねぇタカヒコ。うっかり見間違えちゃうよ」
「(…良かった、バレてない)あ〜もうっ!からかわないで下さいよっ!プルシェンコさんだって…」
「あ!いたいた!!曾お祖父さま〜!!僕だよ〜〜っ!!!」「うわっ?!」
突然プルに跳びついてきたのはこれまたそっくりな子孫のアレクセイだ。
「わ〜い♪やっと会えたねぇ曾お祖父様!」
「…ホントに君に会うのには苦労したよ、アリョーシャ」
「僕だってここまで来るの大変だったんだよぉ?」

「…ほらね、プルシェンコさんもまるでそっくりじゃないですか」
「それもそうだねぇ」
思わず苦笑するプルと崇彦――のフリをした雪彦だった。
124スポーツ好きさん:2010/09/29(水) 22:54:45 ID:AnCDwOG/
は〜い!ここでヤマ子こと、田村ヤマトナデシコからのおしらせよ!
現在>>123の時点で容量は102KB、残り398KBだからよろしくね!
それじゃ引き続き『6日目』をお楽しみに。ちゃお〜(* ̄〓 ̄*)チュッ♪
125スポーツ好きさん:2010/09/30(木) 18:22:27 ID:6PGpvd1N
トロントにスケーターが集結しつつある頃・・・
「ちょっと!いつまでここにいるつもりなのよ〜っ!!」
「そんなこと言ったって、俺たち今捕まってるんだぞ?」
イライラ最高潮のジョニ子子孫にげんなりした様子のギャヴァン。
「解ってるわよ!だから早くここから脱出するのよ!まったく、時空警察ったら腹立つわねぇ!
スケーター全体の危機だっていうのに頭固いし融通利かないし。
おまけにこんなセンスのかけらもない部屋にアタシを閉じ込めるなんて何考えてんのよ?!」
ますます機嫌が悪くなるジョニ子子孫だった。

「マオさんの話だとここはまだ2010年ですよねぇ?なんとか皆にスケパシーを送れませんかぁ?」
「…さっきから試してるけどスケパシーが届かないの。」
「アンナも?私もやってみたけどダメだったのよ。この部屋外部と遮断されてるのかもね」
女子組のやりとりを聞いていた崇彦はふとあることを思いだした。
(そういえば、前にもこういう状態の時に皆のスケパシーが届いた事あったよな?あれは確か…)
126スポーツ好きさん:2010/09/30(木) 21:36:35 ID:fxM/SVno
同じ頃・・・
「歴史の改変は許されない大罪なんだぞ!」
「そうは言っても、実際に行動するのはその時代の人たちであるし、そうでもしなければ
 この灼熱&水浸し地獄の現状をどうすることもできないだろう!!」
「・・・はぁ」
未来が見せた『ICE』やら、今のスケーターの動きを報告したマオは、
2110年のお偉いさんたちがいっぱい集まった部屋でため息をついた。
「・・・悪い結果より悪い結果、『お偉いさんたちが口論してどうにもならない』を、
 みんなに報告しないといけなくなりそうね」
もう正直面倒になって部屋を後にする。
「・・・それにしても、あのユキちゃん・・・なんか違和感があったのよねぇ」
127スポーツ好きさん:2010/09/30(木) 22:47:44 ID:qGxknwqQ
「あ、そうだ!アリョーシャが頼んでた北極の調査だけど、こんなものが見つかったよ」
そう言ってプルは例の謎の物体をアレクセイに見せた。
「へぇ…これがそうなんだぁ。なんだかクリスタルの結晶みたいだね」
アレクセイは謎の物体に触れようとしたが、横から現れたジョニ子が素早く手に取った。
「まぁっ!!綺麗なクリスタルじゃない?いや〜んコレ素敵ぃ!」
「ダメだよジョニー、これが何なのか調べなくちゃいけないんだ」
プルはジョニーから慌てて謎の物体を取り戻した。
「ええ〜?良いじゃないちょっとくらい…そうだわ、調べるついでに大部屋に飾っときましょうよ?ね?」
「でも曾お祖父様、一体どうやって調べるの?財団の資料にもこの物体の記録は無いよ?」
「う〜ん…問題はそれなんだよねぇ。タラソワさんは自分達で理解しなきゃ意味が無いっていうし…」
考え込む三人。ただしジョニ子は謎の物体を飾る為のコーディネートについてだった。
「あのクリスタルの周りに薔薇を敷き詰めるっていうのも神秘的で良いわねぇ…」
「…また僕達で薔薇を買いに行くのかな?アハン」「仕方ないよ、アハハン」
128スポーツ好きさん:2010/09/30(木) 23:59:10 ID:FTadTCsC
2110年のマオは廊下を歩きながら、時空警察設立の経緯を思い返す。

21世紀後半、ロシアの宇宙船技術をベースに、大発展を遂げた重力制御技術。
それは、省資源の動力として多くの乗り物に組み込まれ、宇宙開発にも飛躍をもたらしたが
一方で「タイムトラベル」という、禁断の扉を開けてしまった。

「重力の制御」とは、「小規模な時空制御」でもある。
色々省いて簡単に言うと、重力制御装置を改造すれば、タイムマシンが作れてしまうのだ。
関連知識と、好奇心や若干の悪意を持つ者たちが、じきに時間移動を試み始めた。
その結果としか説明がつかない、いくつもの「事故」が引き起こされた後
各国は時間移動を厳しく規制し、国際組織として時空警察が誕生した。

……小難しい話を思い出して、さらに疲れてしまったマオがため息をつく。
「今度の事件が片づいたら、休暇を取りたいな。そして、月へ遊びに行こう。
あそこにならまだ、氷も、スケートリンクもある」
宇宙開発の成果である、月面のドーム都市を、彼女は思い浮かべた。
129スポーツ好きさん:2010/10/01(金) 09:24:13 ID:Xy4wL5rR
『だーかーらっ!アンナの報告聞いてこっちでもその物体の事を調べたけど、ホストコンピューターのデータにも
なかったんだよ!その上おまえはいなくなるわ、時空警察は事情聞きに来るわ、大変だったんだぞ!』
「だって、指揮をとるなら現場にいた方が状況が解り易いじゃん。それより、もう一回よ〜く調べてよ!
コンピューターだけじゃなくて、資料室の本もね!」
『…あのなぁ、資料室の本って10万冊以上あるんだぞ!!』
「サーシャならなんとかできるでしょ?じゃ〜ね〜!よろしく〜♪」『おい、こら!おまえ…』(ブチッ!)
どこかで聞いたようなやりとりでアレクセイは財団に残るアレクサンドルとの通信を終了した。

「え〜っとまずは…ねぇ『ICE』、この物体っていったい何なんだい?」
「バ〜カ!そんな単刀直入に聞いて答える訳ないだろ、なんせあのババァの分身だぞ?」
「そんなこと言ったら、ますます『ICE』がますます機嫌悪くして答えてくれないじゃないか!」
そしてこちらでも『ICE』から謎の物体の情報を調べようとしていつも調子を繰り広げる
プルとヤグだった。
130スポーツ好きさん:2010/10/01(金) 13:31:37 ID:V0ajSbro
コツ、コツ、コツ・・・
ジョニーG「あらやだ!マオが帰ってくるわ。なんとかしなきゃ・・・ん?何よジャラジャラうるさいわね!
・・・そうだわ!ギャウ゛ァン、あんたの首飾りでマオの不意をつくのよ!・・・はぁ?つべこべ言わずにアタシの言う通りにするのよ!」
ジョニ子子孫はでかい黒い人の子孫に何やら囁いた。
131スポーツ好きさん:2010/10/01(金) 21:46:37 ID:25jpOWKZ
「やっぱ僕の息子がいちばんかわええなあ(感涙)」
「うわあ、あれがオラのじいちゃんかあ。オラ会いたかったんだ。
それに生まれたばっかの赤んぼがあんな大勢、オラ初めて見たぞ!」
「えっ、信太は赤ちゃん、見たことなかったんか?」
「ひいじいちゃん・・・2110年の赤んぼの出生率、知りたくねえか?」
どうやら百年後の未来では温暖化のみならず、少子化も深刻な問題のようだ。

ちなみにここは日本某所の病院。
時空転送ブレスを失って未来に戻る手立ても失ったバンビやステアハンのため、
信太がこちらにやってきた時のカプセルタイムマシンを回収しに
関西大学のリンクに一旦戻ってきたところへ、朗報が振って沸いたのだ。
信成が愛妻の出産に立ち会ったことはいうまでもない。
「宇宙船も回収できたし、オラ一足先にトロントに戻ってる。ひいじいちゃんは、
じいちゃんとひいばあちゃんのそばにもう少しいたらいいさ。じゃ後でな!」
「おーい、のび・・・もう行ってしもた」
信太はこちらの世界のスケート靴のまま、3連続3回転でトロントに戻っていった。
ちなみに百年後のスケート靴も持っていたのだが、信太が言ったのだ。
『崇彦じっちゃんに貸すんだ。ユキが強制送還されたショックで
全然ジャンプが飛べなくなっちまってるみたいだから・・・』

「少子化防止にも励まなあかんな・・・」一人ごちる信成であった。
132スポーツ好きさん:2010/10/02(土) 15:11:20 ID:/Sf5zrdp
「やれやれ、気が重いけど言わなくちゃいけないわね・・・」
スケーター達の居る部屋へ戻ってきたマオはため息交じりでドアを開けた。
「残念だけど結果は・・・・・・あら?!!」
部屋の中にいるはずのスケーターたちの姿がない!
「まさか?!・・・・・・一体どこに消え・・・」
「「「「「「「「「俺ならここにいるぞ〜!!!」」」」」」」」」 
声が響くと共に突然何十人もの黒くででかい人が部屋中に現れたかと思ったら、
全員が一斉にマオに向かって突進してきた。
「きゃぁぁぁっ!!!!!」
部屋中を埋め尽くす黒い人の大増殖というとんでもない光景に驚いてマオは気を失ってしまった。

「やったわ〜〜!大成功〜〜♪」
扉の影に隠れていたジョニ子子孫達が飛び出してきた。
「俺の家宝のネックレスをこんな事に使わせるなよ・・・」
「良いじゃないのよギャヴァン、これでアンタも活躍できたんだし〜」
ライサ子孫はぶつくさ言いながら元の姿に戻った。
133スポーツ好きさん:2010/10/02(土) 22:00:39 ID:of0l+MPl
「まってギャヴァン!安心するのはまだ早いわ!」
ブルマの叫び声、と共にガチャリと拳銃を構える音がした。
「その通り。これから順番に強制送還するから、大人しくしてもらおうか」
なんとそれは一緒に捕まっていたモロゾフだった。
そのまま拳銃をアンナの背中に向けてぶっ放す!
「ズドン!」「きゃあぁぁぁ〜」
なんと、アンナは光に飲まれて消えてしまったではないか!
「安心しなさい。2110年に送り返しただけで、命に別状はない」
「なんでモロゾフが!?ブルマ、何か知ってることがあるの?」
ジョニーGも他の全員も固唾を呑んでいる。

「モロゾフがプルシェンコ財団から派遣されたってのは、大嘘よ。
だってこいつ、昨年のうちにプルシェンコ財団を辞めてるんだもの。
アリョーシャはボランティアで協力してくれてるものと思い込んでたみたいだけど、
今のこいつは…時空警察のモロゾフ刑事なのよ!」
「何てことなの!しかしなぜ、今のタイミングで裏切りを?」
モロゾフは黙って、次の銃口をジョニーGに向けた…
134スポーツ好きさん:2010/10/02(土) 23:11:04 ID:7PWM6qAh
「ちょっと〜!22世紀のDIVAのアタシがなんで狙われなきゃいけないのよ〜!
あ、でもピンチに晒されて危機一髪のヒロインって、なんかいい感じゃない?
そこへ颯爽とヒーローが現れて悪者を片付けて、その後は二人のめくるめくロマンスが
広がったりして……ていうか、いや〜ん、誰か早く何とかしなさいよ〜っ!!」
「…やっぱり君から先に強制送還しておいたほうが良かったかもしれない(汗)」
こんな状況でも相変わらずのテンションのジョニーGにややげんなりするモロゾフ。

一方…。
「さて、薔薇も買ってきたし、まずはこのゴールドの布を敷いて…っと」
『ICE』を相手に悪戦苦闘しているプルヤグの横でうきうきしながら飾り付け中のジョニ子。
「さあ、これにクリスタルを乗せて……あら?」
謎の物体に触れようとした途端、それは当然眩い光を放ち始めた!
「なんだ?あの水晶が急に光りだしたぞ?!」「ジョニー、一体どうしたんだい?」
「えぇ?アタシ知らないわよ!急にこれが光ったのよ〜!!」
プルとヤグに尋ねられるが、ジョニ子も何が何だかさっぱりわからない。
そして謎の物体の輝きに呼応するように、プルの持つ『ICE』に変化が起き始めた。
「見ろ、文字が浮かんで来たぞ!」
「『光の導きにより汝の子らを救え』…どういうこと?」
「もしかしてこれって……いよいよDIVA活躍の予感ってヤツかしら〜?ってきゃあ〜〜〜!!!」
次の瞬間、部屋中に謎の物体の光が満ち溢れた。
135スポーツ好きさん:2010/10/03(日) 13:25:41 ID:XAnNuLgp
その頃、今日もかいがいしく働くガチ君はスケーター達に飲み物を配っていた。
「皆さんお茶が入りましたよ……アレクセイさんもどうぞ」
「ありがとう。えっと確かアルトゥール・ガチンスキーさん…だよね?」
「あ…その…アーチャで良いです」
「そう?じゃ僕もアリョーシャで良いよ」
末来の子孫とは言え、先輩そっくりな青年相手だと恐縮してしまう律儀なガチ君だった。

「そういえば末来の人達が皆「プルシェンコ財団」って言ってるけど一体どんな所なんですか?」
「あ、俺も気になってたんですよ。多分プルシェンコさんに関係あるんだろうなぁとは思うけど」
真央の疑問に高橋も興味があるようだ。他のスケーターも興味深そうに聞いている。
「うん、元々は曾お祖父様が若い頃にスケートで得た収益を元に若いスケーターの支援活動を
始めた事がきっかけらしいんだ。最初は小さな活動だったけど、やがて賛同する人や組織が増えてって
今は世界中のスケーターの権利を守る為に動いてるんだ」
「…俺も財団から奨学金をもらってたぞママン」
「末来ではスケーターは何かの形で財団のお世話になってるよ、アハハン」
「そうそう、財団が今の形に発展したのは21世紀中後半の有名選手達が協力してくれたのも
大きいらしいよ。有名な人だと五輪金メダリストのアクセル・ヌルメンカリとか、他には…」

アレクセイの話を興味深げに聞くスケーター達の影で、ぬる麺がこっそり涙していた事は誰も気付いていない。
136スポーツ好きさん:2010/10/03(日) 15:24:06 ID:XBbSSWil
「モロゾフ、ちょっと待って!」
「・・・マオ?」
「結果報告ぐらいさせて」
ジョニーGのうるささに目を覚ましたマオが、体勢を立て直す。
「・・・で?残念だけど、何?」
「残念だけど、結果は・・・」
「結果は・・・」(←全員)

「・・・・・・『しばらく結論が出せないから動けない』よ」

「・・・はい?」
「お偉いさんたちの大論争になっちゃってね・・・もうどうにもこうにも・・・」
「じゃぁ・・・強制送還も出来ないのか?」
「それくらいはしても良いけど、無駄なお仕事に終わる可能性もあるってこと」
「えぇぇぇぇぇぇ・・・・・・!?」
「結果報告は以上、各自待機!」
キッパリ言い放つマオと、がっくりと肩を落とすその他一同。
「あ、あと・・・ユキちゃん」
「何?」
「ちょっと話があるの、別室に来て」
「・・・わかった」
137スポーツ好きさん:2010/10/03(日) 17:09:44 ID:NVQ5Vs5c
「コーチ〜うわぁぁぁぁぁん会いたかったコーチ〜〜〜」
「あーもうっ、一体どうしたっていうんだ、真、マオちゃん!」
「隠さなくていいです。おじいちゃんコーチならこの位はすると思ってました。
ユキちゃんものび太君もずるいよ、私だってコーチにご挨拶したかったのに〜」
(…てことは、この子も僕の晩年の教え子だったってことか?)
別室に移ったとたん、これだ。にしても、崇彦には早速疑問があった。
「お偉い方の大論争ってさっき言ってたけど、具体的にはどういう?」
「コーチになら…いいや、お話ししちゃいます。三派に分かれちゃってるんです。
その一。文字通り歴史の改変一切禁止派。私もこのチームだと思ってください。
その二。地球温暖化阻止のため積極的に過去に働きかけようとしている派。
時空警察内ではジョニー刑事が中心になって…えっ、聞いてません?」
「あのジョニ子の子孫が刑事!?時空警察の!?」
「見えませんよねぇ。すっごく優秀なんですけど、型破りな人だから始末書の枚数もすごくて…
まあ、それは置いといて、一番の問題はモロゾフ刑事たち、第三の派です」

マオはごくりとつばを飲み込んでから、続けた。
「第三の派、自分たちに都合のいいところだけ歴史を改変して、
後はご先祖様方の記憶を抹消してトンズラしようとしてるチーム!
でもその目的が一体何なのか、まだわからないんです。尻尾がつかめない…」
138スポーツ好きさん:2010/10/03(日) 19:31:30 ID:Xxjg3x9R
トロントでは、総帥アレクセイの話が続いていた。皆が「イイハナシダナー」と感銘を受ける中、
「……あと、資金がヤバくなったら、ロシアの某研究所からも出してもらうし」
彼はにっこりと笑って、そんなことを口走った。

皆、思わず目が点になる。ガチ君が恐る恐る尋ねた。
「あ、あの、某研究所って……何か怪しくないですか?」
「怪しくはないよ、一応ロシアの政府関係機関だし。
曾お祖父様の協力であの宇宙船を研究して、それを元に色々開発した所なんだけど
おかげで世界中から、すごい額の特許料が入ってるんだ。
向こうはもう、曾お祖父様には頭が上がらないって訳。
財団からの資金援助要請は、いつも二つ返事で受けてくれるよ」

「イイハナシダナー」だけで終わる訳がなかった。まあ、某組織や某組織よりは遥かにマシだが。
139スポーツ好きさん:2010/10/03(日) 22:21:34 ID:DdZn0Z9+
「・・・で、最近は月のドーム都市に財団所有のリンクを作ったんだ。
ガラス張りの屋根越しに地球を見ながら滑れるんだよ!」
「はぁ・・・凄いんですねぇ・・・」
次々と出てくるスケールのでかい話に呆気に取られるガチ君。
ふと持って来たトレイを見ると手付かずのカップが三つ。
「しまった、ジェーニャ先輩達に持って行かなきゃ!」
ガチ君は慌ててトレイを持って立ち上がった。
「曾お祖父様の所に行くの?僕も用があるから行くよ」
二人はプル達のいる部屋へ向かった。
140スポーツ好きさん:2010/10/04(月) 18:50:13 ID:L/iAmsKf
真央「月のスケートリンクかぁ…面白そう、真央も行ってみたいなぁ」
バトル「でも月って地球より重力少ないよね?そこでジャンプしたらどうなるんだろう?」
バンビ「月のリンクのお披露目のショーにアリョーシャが出た時は10Tを跳んでたぞママン」
一同「ええええええっっっ?!!!」
ステアハン「地球と同じ重力にも設定できるよアハハン、でも低重力モードも大人気だよアハハン」
信太「オラもまだ月のリンクに行ってねえんだ!早く滑ってみたいなぁ!」
さすが未来のスケート、一味も二味も違うらしい。

ロロ「…なんや話聞いとったら援助はしてもえるわ、凄いリンクはあるわ、随分楽しそうやなぁ?」
ストイコ「バカ!いくら設備が良くても地球温暖化やらスケート禁止法があるんじゃ大問題だろう?!」
ロロ「スマン、そうやったなぁ……子孫が困ってるんやったら俺らもなんとかしたらんと」
ストイコ「まったく、スケート禁止法なんてくだらないもん考えやがって!
    よし、今から未来に行ってその法案考えた連中の所に殴りこみかけてやろうぜ!」
ロロ「エルヴィス、さっきから言うてるけどまずは落ちつかなアカンって……(汗)」
141スポーツ好きさん:2010/10/04(月) 22:32:30 ID:OgV1V9sO
「…てことは、ジョニー刑事も身分を伏せてたのか。過去でもあっさり正体を明かして
職権濫用しまくっているとばかり思ってたが、それをしないだけの分別はあったわけだ」
「あったり前でしょ、これでも公僕の端くれなんですからね!
それにしてもあんたが、いつの間にかあたしの同僚になってたとはね」
マオと崇彦がいない間、元の部屋ではジョニ子刑事とモロゾフ刑事が絶賛口論中。
「ま、うまいこと日本スケ連に取り入って何かやらかすつもりだったんでしょうけど、
ノビとブルマにひっつかれてたんじゃ、予定通りにはいかなかったでしょうね、ホホホご愁傷様〜」
「違うわよ、モロゾフがのび太にひっついて監視してたの。その後を私が追ってきたわけだけど」
「ブルマさん、それってどういうことなんですかぁ?」
「だってあんな好奇心の塊みたいな子に『自分は過去の世界に行って来るが、お前は絶対来るな』
なんて告げたら絶対追っかけて来るに決まってるじゃない!それで何かやらせるつもりなのよ。
あの子の祖父が生まれてくる、2010年秋というこのタイミングにね!」

部屋の中は一気に緊迫!
「もう遅い、私の目的の一つは既に達したよ…信太のおかげでね」
142スポーツ好きさん:2010/10/05(火) 00:59:30 ID:/VpS014x
(あれ?……誰か呼んでるなぁ?)
夢の中でゆらゆらとしていた意識がはっきりしてくる。
揺さぶられてプルが目を覚ますと、そこには酷く慌てた様子のガッちゃんとアレクセイがいた。
「あれ?二人ともどうしたの?」
「『どうしたの?』じゃないよ!部屋に入ったらみんな倒れてるし、何が起きたのかと思ったじゃない!」
「ごめんねアリョーシャ、僕は大丈夫だよ」
そう言いながらのろのろと起き上がるプルの傍らでヤグも目を覚ましたようだ。
「ったく、何だったんださっきの光は?まだ目がクラクラしてやがるぜ…」
「ジョニーさんも大丈夫ですか?しっかりして下さいよ」
まだ倒れているジョニ子に声をかけるするガッちゃん。すると…
「…いや〜ん、起こすなら優しく揺り起こして頂戴(はぁと)」
「はぁ…?!」

「アーチャ…水ぶっ掛けるか蹴っ飛ばしても良いぞ」
「え〜?そんな事して大丈夫?」
「う〜ん…まぁ、何とかなるんじゃない?」
143スポーツ好きさん:2010/10/06(水) 06:10:04 ID:yYXWkMGn
「んもう!冗談のつもりだったのにぃ!!」
タオルで頭を拭きながらぶーたれるDIVAジョニ子。
「すみません、びっくりしてつい・・・・・・」
パニクって本当に水をかけてしまったガチ君は平謝りだ。
「いいのよ坊や、元はと言えばリョーシャがそそのかすからよ」
「あぁ?俺は後輩の危機を救っただけだぞ?」「何よ、ふ〜んだ!!」
ニヤニヤするヤグとむくれるジョニ子。
「・・・ところで曾お祖父様達はなんで気を失ってたの?」
「それなんだけど実はね・・・」
プルは先程起こった事をアレクセイに話した。
「・・・あの物体が?本当に?」
「うん。それに『ICE』に浮かんだ言葉も気になるんだ。」
「あら、そういえば確か光の導きがどうとかって・・・?」
「もしかしたら他の『ICE』にも何か起きたかもな・・・よし、他の連中に声かけてみようぜ!」
144スポーツ好きさん:2010/10/06(水) 20:28:31 ID:os4PYMZX
「ねぇ、あなた、誰^^?」
「!?」
有香に「タカ、時間があるなら練習よ^^」と言われてリンクに連れ出された雪彦。
しかし、待っていたのはこの質問だった。
「・・・・・・あーもうっ!いつから気づいてたんですか」
「最初から^^だって私はタカが5歳の時から見てるのよ^^わからないわけないじゃない」
「はぁ・・・。わかりましたよ」
自己紹介をしあう、有香と雪彦。
なんとなく大筋から外れていた有香に、雪彦は今までの経緯をざっと話した。
「まぁ、タカなら大丈夫。あなたはできることをやればいいわ^^」
「心配じゃないんですか?」
「言ったでしょ、大丈夫^^」
「はぁ・・・」
「カートが『ICE』の様子がおかしいって言ってたの^^持って行きなさい。必要なんでしょ?」
「いいの?」
「タカの代わりをきちんとできなかったら、重いスケート靴でステップしながらリンク50週^^」
「やりますがんばります!!!」
雪彦は大慌てで『ICE』を取りに行った。
145スポーツ好きさん:2010/10/07(木) 01:04:58 ID:PFIuUtav
一方その頃、プルとヤグは他の『ICE』に変化が起きていないか確かめていた。
真央「みどりさんの『ICE』には変わった様子はありませんよ?」
リッポン「コーチから借りてきたのも変化無しです」
ジョニ子「・・・そもそも本じゃないわよね、コレ」
二人は隠し箱になったオーサーの『ICE』の蓋を開けたが中は空っぽだ。
ヤグ「ここにある『ICE』は変化無しか。他はどうなってんだ?」
バトル「さっきユカさんから連絡があったよ。カートさんの『ICE』をタカヒコが持ってくるって」
プル「となると、後はミライが借りたキャロルコーチの『ICE』だね。でもミライは・・・」
ライサ「俺の目の前でギャヴァンやユキと一緒に消えたんだ・・・一緒に末来に送られたのかもな」
プル「アンナも一瞬で消えちゃったんだよね・・・目の前にいたのに何も出来なかった・・・」
重苦しい空気に包まれる一同。

アレクセイ「・・・その事なんだけど、サーシャが通信で気になる事を言ってきたんだ」
ランビ「いったいどうしたんだいアハン?」
アレクセイ「『アンナが送還されたのは確認したけれど、他のスケーターが確認できない』って」
ジュベ「捕まったら末来へ強制送還じゃなかったのか?ママン」
アレクセイ「普通はそうなんだけど…もしかしたら他の皆はまだこっちにいるのかも知れないよ」
146スポーツ好きさん:2010/10/08(金) 23:03:16 ID:tqyZcQzG
「あら?なんか騒がしいわね〜」
部屋の外から騒々しい後が立て続けにする。
気になったマオは廊下に出てくると奥からギャバンが未来を抱えて走ってきた。
「ちょっと!何勝手に出てきてんよぉ〜!」
「すまない!彼女をこの部屋にかくまってくれ!モロが裏切った!」
「も〜!!次から次へと〜!!!こー・・・じゃなくて、ユキちゃんは未来さんとこの部屋にいて!絶対だからね!」
「お。おう・・・わかった・・・」
気を失ってるらしい未来を椅子二つを使って寝かせて、マオは念のため部屋にロックをかけてモロゾフを追った。
「いったい何があったんだ・・・」
未来が抱えていたICEを手にとってため息をつく崇彦。そのICEが突然光りだした。
『聞こえるか・・・・私の声が・・・・』
「!(スケパシー?でも誰が・・・)」
『聞こえたようだな・・・・』
「まさか・・・・・『ICE』!?」
『今から君たちを助ける。私の言葉に従いなさい』
「へぇ?何?どういうこと?」

次の瞬間   崇彦たちのいる施設が一気に氷で覆われすべての機能が停止状態に陥った。  
147スポーツ好きさん:2010/10/08(金) 23:53:16 ID:cL+P5hWY
Trrrrrr・・・疾走するマオの懐で携帯が鳴った。
「はい、マオです!あ、警部ですか、実は施設が大変なことに・・・」
「そちらの状況は把握しているが、君は気にしなくてよろしい。。
それより喜ひたまえ、君にかけられていた行動制限が解除されたよ」
「え、どういうことですか?私の行動制限って、そんなものがあったんですか?」
「そう、話していなかったが・・・いわゆる歴史の分岐点が2010年秋に存在しており、
君の曾祖母にあたる人物が巻き込まれて命を落とす危険性があったのだ。
モロゾフ刑事に歴史工作をしてもらって、その危険な時期を無事に過ぎたので
君の活動にも支障がなくなったわけだ。彼には後で礼を言っておきたまえよ」
「それって・・・歴史を改変したってことですか!?」
「いけないかね?君という優秀な捜査官を確保するために必要だったことだ。
それより君は任務だ。マオ捜査官は直ちにそちらの時代のトロントに赴き、
残る容疑者を全員逮捕したまえ。手こずるようなら射殺しても構わん!」

「・・・・・・警部、任務を遂行しようにも、ここが氷漬けで外に出られませんので
状況が変わりましたらまたご連絡します(ブチッ)」
携帯の電源と共に、マオの堪忍袋の織も切れたらしい。
148スポーツ好きさん:2010/10/09(土) 14:12:45 ID:v3HwcNMu
「ああっ大変、みどりさんの『ICE』が!」
その時、真央の持つ『ICE』が開き、ひとりでにページがめくれはじめた。
世界地図を表示したページで止まり、南の一点が光り輝いた!
「南極!南極基地だママン!あそこはまだ調べてなかった!」
「日本の国旗が立ってる、あそこにユキたちがいるんだねアハン」
「氷漬けじゃないの!あそこにアタシの子孫、22世紀のDIVAがいるのね…
待ってらっしゃい、これから21世紀のDIVAが助けにいくわ!」

"光る 雲を突き抜け Fly Away〜"
「なあ、その前に電話に出てもいいか?おっ、モロゾフのおっちゃんからだぞ!
きっと脱出に成功したんじゃねえかな、もしもし?」
「のび太、2010年10月1日は無事過ぎたようだな。祖父の出産には立ち会えたか?」
「ああ!けど、オラそん時にまずいことしちまったかも。
道端で苦しんでた別の姉ちゃんも一緒にかかえて3Aで病院に連れてったんだ。
病院に着くのがあと一分遅かったら手遅れだったってほめられたけどさ…
あと>>131でひいじいちゃんに未来の少子化のことも話しちまったし、
これって歴史を変えちまったことになっちまうのかな?」
「少子化の話もしてくれたか。良かった、これでブルマの生存も確定した!」
「おいおっちゃん、やっぱオラやっちゃいけねえこと、しちまったのか?
おーい、もしもーし!(ブツッ、ツーッ、ツーッ、ツーッ…)」

「あーもう、ノビ君歴史変えすぎ…」背後で崇、雪彦がぼそっとつぶやいた。
149スポーツ好きさん:2010/10/09(土) 22:45:44 ID:GDv10Q3t
「みんなの居場所もわかった事だし、さっそく助けに行くわよ!!」
「あ、ちょっと待って!」
意気揚々と救出に向かおうとするジョニ子をプルが止めた。
「なによぅ、早くしないと助けられないじゃないのよ」
「さっきのモロゾフの電話を聞いただろ?彼、なんか様子が変だよ。」
「信太の助けた女の事を聞いてたな?…まるで最初からそうなるのが判ってたみたいだし…怪しいな」
「でしょ?だからあいつを計画に入れるのは嫌だったんですよママン!」
ヤグの言葉に大きく頷くバンビ。
「う〜ん、怪しいとは思ってたけどやっぱりそうかぁ」
「…アリョーシャ、知ってたのか?!」思いがけない言葉に驚く一同。
「うん。だってさぁ、ちょっと前に意見の相違で財団辞めた人が急に協力申し出てきたら
普通怪しいでしょ?…まあ油断させる為にこっちも気がつかない振りしてたんだけどね」
けろっとした様子のアレクセイに一行が脱力感を覚えたのは言うまでもない。
150スポーツ好きさん:2010/10/10(日) 15:15:17 ID:/tfFswGY
(しかし、困ったな・・・・・・)
先ほど、カートの『ICE』を預かった雪彦は一人首を捻る。
(モロゾフが怪しいのはわかってたけど、それより前に問題があった・・・。
 他の未来の人間の歴史改変のせいで、真央さんやブルマの祖先に当たる人が
 危険にさらされることになってたなんて・・・)
『ICE』が教えたのは、今までにあった歴史の歪み・改変の中でスケーターに深く関わる事件の全て。
人の手で過去を操作する恐ろしさ、マオが反対していた理由が分かった気がした。
そして、現に自分も自分の曽祖父を危険な目に遭わせている。
(モロゾフの目的はまだわからないけど、しばらく利用したほうがいい。
 この事実を早くマオに伝えて、協力してもらおう!)

「考えても仕方ない、全員完全武装して一気に強行突破しよう」
脱力している一行に雪彦は提案した。
「でも崇ちゃん、モロゾフさんなんか変みたいだよ?」
「今はこっちに不都合なことは何も起こってないし、モロゾフに直接会って問いただそう」
151スポーツ好きさん:2010/10/10(日) 16:57:56 ID:ApBnK5sA
「・・・うまく潜り込めたのいいが、事態は深刻だな。」
トロントから南極へ向けて飛行する宇宙船内、その中には財団側の歴史改ざん阻止派の4人も含まれていた。
「セルゲイ(モロ子孫)が相当暗躍してるみたいね。」
「寧ろ俺たちにとっては好都合だ。厄介なのは今のこの動きだ。」
「そうだよな〜。先祖はあっさり改変派に取り込まれちゃったし・・・」
「でもこの大人数よ。絶対一枚岩じゃいかない筈。」
「ああ、そのとおりだ。 子 孫 の 皆 さ ん !」
「「「「!?」」」」
4人が一斉に振り向く。そこにいたのはアンドレイ・ルタイ。

「あんな大人数の中で自分そっくりな顔がいたから驚いたぜ。意外と詰めが甘いんだな!」
思わず小さくなる4人。
「とにかくここじゃ目立つから個室に入ろうぜ。話は聞いてやるからさ!」
「え!」
今度は驚きに変わる。
「俺も今の空気は居心地が悪すぎる。もともと特命を受けてないし、いわば興味本位でくっ付いて来ただけだからな。」
そういって自分の子孫の顔を覗き込む。
「・・・・協力してくれんるんですか?」
「それは話を聞いて俺が納得してからだな。・・・・・まぁ、もっとも俺も人の親だからな!」
そう言ってニッと笑って見せた。
152スポーツ好きさん:2010/10/10(日) 17:16:56 ID:jJK+YQBZ
一方、騒ぎに乗じて南極の施設を脱走しようとしてるのは・・・
「待ってよギャヴァン、私はあんたみたいにストロークが長くないんだから!
それにまた去年より背が高くなってない?どこまで伸びるのよ?」
「おいおいブルマ・・・いやお前、背が縮んでるんじゃないか?」
「バカね、あんたがでかくなったのよ!」
「そういう意味じゃない!ついさっきまで俺の肩くらいまではあったのに、
今のブルマは胸くらいまでしかないぞ!?」
「まさかそんな、私の身長は161cm・・・えええええっ!?」
驚いて傍らの鏡に全身を映したブルマ。それまで着ていた服も靴もぶかぶか、
身長はどう見つくろっても150cmくらいしかない。

「やはり、歴史は"正しく"改変されたようだな」
「モロゾフ!あんた・・・一体何したの!?」
「別に。ブルマの"無事"さえわかれば、もうこの時代にも時空警察にも用はない。
世界選手権2連覇に向けて、また練習しなくてはな。2110年へ帰ろう、ブルマ」
153スポーツ好きさん:2010/10/12(火) 20:28:07 ID:/90uF0nc
「部屋から出たのはいいけど・・・・」「なんだかすごく寒いですぅ・・」
機能が停止した時空警察の南極基地。現在はエマージェンシーモードですべての扉が開放されていた。
「あ〜も〜・・・なんでこんなとこに基地造ってんだよ〜」
あちこち歩き回る未来と崇彦。
「・・・ねぇ、タカ。この部屋すごいね・・・」
「うん、・・・・テレビ局の衣裳部屋みたいだ。」

二人が辿り着いたのは世界各国の民族衣装、ブランド物、普段着が保管されている大部屋。
「あっそうだ!コートもらっちゃおっと!」「あ、あぁ・・そうだね・・・」
部屋に入ってお目当てのコートを探す未来。その姿をそっと見つめる崇彦。

「(・・・そういえば、未来ちゃん・・・・あの時何で飛び出してきたんだろ・・・・後で聞いてみるか・・・)」
154スポーツ好きさん:2010/10/12(火) 22:14:49 ID:N5NVR/hu
一方その頃。
「見てなさい!時空警察だか何だか知らないけど、このアタシが来たからには思うようにはさせないわよ!」
「でも相手は末来から来てるんでしょ?大丈夫かなぁ…」
南極に近づくにつれテンションの上がっているジョニ子と心配そうなリッポン。
「な〜に言ってるのよ!今こそ21世紀のDIVAの出番じゃないのよ〜!ああ、胸が高鳴るわ〜!!」
(どうしよう…無茶しないように止めても聞かないよな…っていうかまず無理だし……はぁ…)
ジョニ子のそれと反比例するように、先行きの不安にリッポンのテンションは下がりまくりだ。

そしてこちらは操縦桿を握るプル。
「そろそろ南極だね、僕らも向こうに悟られないように進まなきゃ」
「…でもさぁ、この宇宙船で近づいたら返って目立たない?」
毎度世界各地に出現する毎に住民の皆さんをお騒がせしてる宇宙船だけにバトルは気が気でない。
「大丈夫だよジェフ、ちゃんと対策取ってるからまぁ見ててよ」
プルがボタンを押すと、たちまち宇宙船の姿が周囲の光景に溶け込むように消えてしまった!
「小型円盤につけてた光学迷彩を宇宙船にもつけてもらったんだよ〜!凄いでしょ♪」
「う〜ん……確かに目立たなくなったけど…まぁいいか(汗)」
こうしてステルスモードになった宇宙船はいざ南極の時空警察基地へ!
155スポーツ好きさん:2010/10/12(火) 22:45:22 ID:Y9itOK6f
「・・・・・・まぁ、こうなるかな〜とは思ってたんですけど・・・、一応言うけど、じっとしててって言ったでしょ、コーチ」
「・・・その割にはあんまり怒ってないね、マオ」
「えぇ、ちょっとまぁいろいろありまして・・・」
はっきり言ってすっかりやる気をなくしたマオが、のんびり未来と崇彦をみつめる。
「暖房設備ぐらい、残しておいてもらっても良かったと思いません?くしゅっ」
「マオさんもなんか着たらいいでしょう?はい」
「あーさむっ、ありがとうございます」
マオは未来からコートを受け取って羽織った。
「しかし驚きました。『ICE』ってものすごい力があるんですね」
「ですよね、びっくりですよ!」
「確かにその力を使えば、私たちの時代も助かるかもしれない・・・」
「マオ・・・」
「私、タイムマシンなんて無い物だ、って思って、自分たちで何とかするべきだって思ってるんです。
 ご先祖様に頼るって、それってご先祖様のせいにしてるような部分もあるんじゃないかって・・・。
 だから私、自分たちの時代のことは自分たちで何とかしたかった。もし、私たちの時代に『ICE』が残ってたら、
 迷うことなく使ってたと思う」
「え!?『ICE』ないの!?」
「スケーターの人口も本当に減っちゃって・・・道を究めずに投げ出す人も多いし」
「・・・・・・そっか」
156スポーツ好きさん:2010/10/12(火) 23:34:04 ID:HlESsQg+
こちらは南極行き宇宙船。大輔の携帯にメール着信があったようだ。
「信成が試合終わったから、南極で合流しようってさ。で、なになに、
『息子がチョー可愛くて時間がたつのも忘れそうです。こんな可愛い子なら
フィギュアの団体チーム(16名)ができるくらい作ってもいいかも。
息子の未来のために温暖化防止も頑張らなあかんけど、少子化防止のために
アッチのほうも嫁さんと頑張ります』・・・だってさ。あーあ、ご馳走様」

そのメールを見た途端、信太が顔色を変えた。
「まさか・・・ブルマのばあちゃんが生まれるのはもう二十年くらい後の話だぞ。
オラがひいじいちゃんに少子化の話をしなきゃ生まれてこなかった、なんて
そんなバカなことあるわけねえ・・・」
「そういえばノビ・・・太君は電話でモロゾフさんと話したんだよね。
信太君がひいおじいさんに"少子化の話をした"ら、"ブルマさんが助かった"
って、言ってたんでしょ。さっきのメールといい、何か心あたりはある?」
「ある・・・あいつの母ちゃんは美姫ばあちゃんの子孫だから見た目でバレバレだけど、
他にもこの時代に、ご先祖様がもう三人位いるから、兼ね合いが難しいんだ。
だから、オラやユキたちと違って、本名もヒミツにしてるだろ?」
「えっ、まさか、そのうちの一人が・・・」
「オラのじっちゃんと、ブルマの父方のばあちゃんが、兄妹なんだよ・・・
これ、ひいじいちゃんたちが気まずくなったら困るから、皆にはナイショな」

これは同時代の雪彦も知らなかった。頭痛の種がまた一つ・・・
(あーもうっ!神様仏様崇じぃ様『ICE』様、僕はどうすりゃいいんですか〜!?)
157スポーツ好きさん:2010/10/13(水) 15:56:59 ID:rRIgouvp
「しかし、アンナが戻ってきてくれて助かったぜ。」
「迷惑かけてごめんなさい、サーシャ」
2110年の財団本部にて再会した二人は漸く落ち着きを取り戻した。
「あの馬鹿のせいで俺が今までどれだけ苦労したことか・・・・・」
「最初から私がここに残って、貴方と二人で派遣したほうが」
「それじゃあいつを甘やかせるだけだ・・・・。あ〜こういうときにあの爺がいてくれたら・・・・」
「そうね・・・・あれからもう3年・・・・・すっかり世界もスケート界も変わってしまった・・・・」
「そういえば、アンナはあったんだろ?爺の若いころに。どうだった?雪彦そっくりだったか?」
「ええ、ホンのわずかな時間だったけど・・・・・監視室で話しかけられときホントに目を疑ったわ。」
アンナはサーシャに南極基地でのやり取りを話して聞かせた。
「雪彦と入れ替わってマオに直談判しようなんざ、やっぱりあの爺らしいぜ。」
「でも、あたしは結局送り返されちゃったからどうなったのか・・・」
「ああ、そうだな・・・・しかもわざわざ財団の執務室に返してくるとは・・・モロゾフは何を考えているんだ?」
「たぶん彼は、味方でもないけど敵でもない。もうひとつの顔を持ってるのかも・・・・・・」
「まぁ、あいつのことは今は俺はどうでもいいと思ってる。最優先事項はやっと引き上げたこれを解析してからだ。」
サーシャは執務室のテーブルに置かれたクリスタルに目をやる。
それは2010年の情報を手がかりとしてやっと引き上げに成功した北極のクリスタルだった。
158スポーツ好きさん:2010/10/13(水) 21:12:43 ID:dtIkcDjC
南極基地へ近づく宇宙船。
プル「もうそろそろ基地があるはずなんだけど…どこかなぁ?」
ヤグ「ステルス機能使ってるとは言え、随分あっさり近づけたな?向こうの作戦かそれとも…」
バトル「何かのアクシデントが起きたのかも……ん?何だあれ?」
宇宙船の窓ごしに見えたのは、氷漬けになった建物。
大輔「さっき『ICE』が見せた場面と一緒だ…!きっとここが時空警察の基地ですよ!」
真央「あんなに凍っちゃって…末来ちゃんやユキちゃん達大丈夫かなぁ…?」
ジョニ子「大丈夫よ。だってアタシ達スケーターよ、氷が怖くて滑れるもんですか!
……あら?何よアダム浮かない顔して?平気平気、こんなの3分も経てば慣れちゃうわよ!」
リッポン(南極って気温どのくらいだったっけ……?)

ちなみに地球上で最も低い気温(−89.2℃)が観測されたのは南極である。
頑張れスケーター!特にリッポン!
159スポーツ好きさん:2010/10/13(水) 23:36:11 ID:rRIgouvp
「つまり、あんたらのいう3年前にタカヒコが逝っちまってからおかしくなったと言うことか?」
「はい、あの方は長きに渡って財団の名誉顧問を務め、スケート界でも一目置かれる人物なのです。」
「あのタカヒコガねぇ〜」
ルタイは反対派の子孫たちの話を聞いてため息をついた。
「名誉顧問は『過去の過ちは改めることは出来ない。だから今を努力して未来に繋げる』それが持論でした。」
「だから彼を慕う人は多かったし、現総帥も彼には頭が上がらなかった。」
「でも、彼の死後スケート界は一部の環境団体や著名人からクレームをつけられるようになりました」
「温暖化を食い止められないのに人工的に氷をつくって滑るのは馬鹿げてると・・・・・」
「要は言いがかりって奴か?」
「はい、自分たちは必死で温暖化を食い止める方法探し続け辿り着いたのが『ICE』」
「でも、あんたたちの世界には既になくその『ICE』をめぐって意見が割れた・・・」
「僕たちは『ICE』がなければ別の方法を模索することを提案しました。財団の幹部のほとんどは
『ICE』を調査する意見に賛成し総帥もついに了承してしまいました。」
「私たちは時空警察が動く前に事を納めたかった。でも事態は最悪のほうへ流れてきている。」
「・・・・こりゃ一筋縄じゃいかないな・・」
話を聞いていたルタイは呟く。
「文句たれるだけの奴にろくなのはいない・・・いいぜ、俺はお前たちのほうにつく。」
「本当ですか!」
「ああ、今からおれが言う奴をこの部屋に呼んでくれ。きっと協力してくれる。」
自分の子孫に写真とメモ渡して呼びにいかせた後、ルタイはステルスモードのスケパシーを試みた。

『タカヒコか?ひさしぶりだな〜今どこにいる?・・・・・やっぱりそうか・・・話したいことがあるから其処にいてくれよ!』
160スポーツ好きさん:2010/10/14(木) 01:10:01 ID:tHW1b0u7
Trrrrr…今度はブルマたちと対峙中のモロゾフ刑事に電話だ。
「はいこちらモロゾフ、ああ長官ですか。オオサカの任務は完了しましたよ。
今は南極基地です。ブルマとギャヴァンの両名を連行してこれより帰還します」
『その任務はマオ捜査官に任せたまえ。君には次の任務がある。
これよりただちにアメリカに急行して……という人物を抹殺するように』
「おやおやその方は、長官の政敵の先祖にあたる方ではないですか。
いいんですか、そんな風に歴史改変を利用して?私はお断りですな」
『マオ捜査官の先祖を救い、歴史改変に手を染めながら、今更逆らうのか!?』
「マオ捜査官はほんのついでですよ。"2010年10月1日のオオサカに
ノブナリ・オダとその子孫ノビタが居合わせる"というのが共通の条件だったのでね。
要は私の愛弟子、ブルマが誕生する歴史が確定しさえすれば
ほ か の こ と は ど う で も い い んですよ。ではさようなら」
『ブルマ容疑者の救済だと!?聞いとらんぞそんなこ(ガチャ)』

ブルマ「バカだわこいつ…それにしてもこの身長、どうしてくれるのよ」
ギャヴァン「なかなか似合うと思うがな。それに、麗しい師弟愛じゃないか」
ジョニー(刑事)「あら〜あんたもそう思う?アタシたちを出し抜いたのは腹立つけど、
こういう奴はアタシ嫌いじゃないわ。けど代償としてタップリ協力してもらいましょ」
しかし念のため、モロゾフ刑事の背後から銃を構えるのを忘れない
22世紀のDIVAことダーティ・ジョニー刑事であった…
161スポーツ好きさん:2010/10/14(木) 11:37:37 ID:Zm35u9Os
「ちょっと〜!何これ、超寒いじゃないのようっ!!」
「・・・3分経ったら慣れるんじゃなかったんですか?」
「あれは物の例えよアダム。いくらなんでも限度ってモンがあるでしょ?ああ寒い!!」
防寒具の上から毛皮のコートを着込んだジョニ子は南極の猛烈な寒さに身震いした。
真冬を過ぎたとはいえ、冬の南極は昼間でも-20℃近い日は珍しくない。
「・・・確かにいくら僕たちでも、冬の南極でずっと外に居るわけには行かないね」
「基地のシステムが凍ってダメになってるらしいのは良いが、ドアまでこの調子だぜ?」
「となると、ドアを壊して入るしかないね。それじゃあ僕が・・・」
「あ、ここは僕にやらせて下さい!」
プルとヤグのやりとりを聞いて名乗りを上げたのは途中で合流した信成だ。
「よ〜し、やったるでぇ!!」言うが早いかドアに向かって飛び掛る。
新米パパのパワーなのか4Tがクリーンに決まると、凍りついた扉は派手な音を立てて地面に倒れた。
「さすが曾じいちゃん!すげえなぁ!!」
信太が感嘆の声をあげる。中の様子を覗き込んだプルとヤグは内部も凍っているのに気づいた。
「中まで凍ってるぞ?!どうなってんだ?」
「早く皆を見つけないとまずいね・・・急ごう!」
スケーター達は中に居る子孫たちを救出すべく基地内部へと入っていった。
162スポーツ好きさん:2010/10/14(木) 18:26:28 ID:coPHnlbW
「いかにもヤバそうやなぁ……やっぱここは、なんか呼んどかんとな」
基地入口。先を行く若い選手達を見つつ、ロロが呟いたのを、アモ君が聞きつけた。
「というと、ダルタニアン召喚ですかっ?」
「私、実際に呼び出すとこ見るの初めてです〜」
宇宙船に戻って待てと言われていたカナコも、興味津々の様子で駆け寄ってくる。
二人に笑顔でうなずくと、ロロは……突然、携帯電話を出して耳に当てた。
「あ〜、ダルタニアン? 休んどるとこ済まんけどな、ちょっと出てきてくれへん?」

ギャグですか、と突っ込もうとしたアモ&カナコの目の前で、
半透明な青いものが一瞬、ふわりと揺れた。銃士隊の正装、十字を縫い取った青い外套。
それはすぐ見えなくなったが、「何かがいる気配」はそのまま残る。
「ホ、ホントに、あれで呼べちゃったの?!」
「そないに驚かんでも。縁のある品を持っとると呼びやすいってのは、聞いたことあるやろ?
この携帯な……ほら、待ち受け画面を、パリのダルタニアン像にしてあるし」
とことんマイペースなロロは、二人に携帯を見せてから、もう一度耳に当てる。
「えっ何? うん、まだ憑依はせんでええから、そのまま待っとってや」
アモ君とカナコは、ちょっと途方に暮れて顔を見合わせた。
163スポーツ好きさん:2010/10/14(木) 21:15:10 ID:v7YxVaaj
「崇じぃ、崇じぃ!どこ!?」
内部に入った瞬間、猛ダッシュで基地内を探し回る雪彦。
「返事して!崇じぃ!!崇じぃってばぁ!!!」
「あーもぅ!ウルサイ!!!」
恥ずかしくてたまらなくなった崇彦がドアから出てきた。
とたん、しがみついて泣き出す雪彦。
「ぅわぁぁぁぁぁぁん!!崇じぃぃぃ!!」
(・・・・・・苦労、したのかな)
今まで自分がしてきた苦労を考え、崇彦はあの中に曾孫を置いたことをちょっとだけ後悔した。

今までのお互いの進行状況を確認し、とりあえず、今後どうするかを考える。
「なんか、上司が怪しくなってきたの。歴史改変には大反対だけど、かといってこのままなのも嫌なのよね・・・」
マオが首を捻る。
「でも、もうこっちも後には引けなくなってきてるんだよ」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・
ドアの外で走り回るメンバーの足音の方を雪彦が指差す。
「タカ、どう思います?」
「それが、さっき、ルタイさんからスケパシーが入って、話があるって・・・」
「ルタイ?」
「知ってるんですか?」
「・・・・・・歴史改変反対派のスケーターに、その名字の人間がいるわ」
164スポーツ好きさん:2010/10/15(金) 00:03:04 ID:bSeeZQSu
その頃、ジョニー・Gはモロゾフの背中に銃を突きつけていた。固唾を飲んで見守るブルマとギャヴァン。
「最初はアタシ達を阻止する為の長官の回し者かと思ったけど、そう言うわけでもなさそうね?」
「…長官の指令はたまたま私の計画と合致するところだけを利用したに過ぎないさ」
「そうやって財団も都合よく利用したってわけ?随分ちゃっかりしてるわね」
「その通り、私の目的が達成されれば他の事はどうでもいい。」
「ふ〜ん…ねぇ、アンタは目的が達成されればアタシ達がここを脱出して『ICE』の解読をしても
妨害する必要ないわけよね?…だったら迷惑かけたお詫びとして協力してもらうわよ。
どっちにしろ長官に逆らった以上アンタもタダじゃ済まないし、ここはお互いその方が得じゃない?」
「取引って訳かい?だが、ブルマの生存確定という私の目的は既に…」

「…へぇ、ホントに目的はそれだけなのかな?」「その顔はなんかまだ他にも隠してそうだぜ?」
「財団総帥としては、君の目的についてもじっくり話が聞きたいんだけどなぁ?」
そこににいた全員の目が声のする方へ向けられる。
「おやおや、これは皆さんお揃いで」
モロゾフはそこに立つ3人――プル・ヤグ・アレクセイの姿を見据えた。
165スポーツ好きさん:2010/10/16(土) 00:22:14 ID:shLGGLJA
ジョニーG「ちょっとぉ、来るの遅いじゃないの!そんなんじゃ乙女の危機は救えないわよ?」
アレクセイ「ごめ〜ん、まさか南極にいるとは思わなかったんだよぉ」
ジョニーG「んもう、アリョーシャったら仕方ないわねぇ。あら?そう言えばアタシのご先祖様は?」
  プル「ジョニーなら途中まで一緒だったんだけど、衣装部屋みたいな所を見つけたら…」
  ヤグ「『まぁシャネルだわ!プラダもあるじゃない!素敵!』とか言って動かねぇから先に来たのさ」
ブルマ「…さすがジョニーのご先祖様。行動パターンが一緒だわ」
 プル「まぁそのおかげでこの場に出くわしたんだけどね……ところでモロゾフ、君の狙いって一体何なんだい?」
アレクセイ「ブルマの事だけなら、別に時空警察の力を借りなくても君の言う条件を揃えられたはずだよね?
     わざわざ二重スパイみたいな事までしなくちゃいけない必要があるのかな?」
モロゾフ「…さすがは総帥、なかなか鋭い洞察力をお持ちだな。やはり貴方を侮るわけにはいかないようだ」
アレクセイ「あ〜お世辞は良いから早いとこ喋ってくれる?じゃないとみんな寒くて風邪引いちゃうよ…くしゅん!」
小さくくしゃみをするとアレクセイはモロゾフに向き直った。
166スポーツ好きさん:2010/10/16(土) 04:07:26 ID:5lmrrGxB
「みんな、21世紀のジェラート冷たくておいしいよ、いっぱい食べるといいよ」
「ど、どうも…」
こちら宇宙船の一室では、ルタイのご指名で駆けつけたコストナー姉さんが
自分の子孫も含めた四人組にジェラートを振る舞っているところだ。
百年後の未来ではフローズンデザートがキャビアやトリュフにも勝る
最高級のご馳走だったりするのだが、
いかんせんここは21世紀の南極…
歴史改変派の面々を止めに行くどころではなく、ガタガタ震えていたw
167スポーツ好きさん:2010/10/16(土) 10:07:16 ID:3C/vks5L
「やっぱり外が気になるな。ちょっと様子を見てこよう」
子孫の一人が宇宙船の外へ出たが、一瞬で戻ってくるとガタガタ震えていた。
「大丈夫?しっかりして!」
「駄目だ・・・寒過ぎる・・・」
温暖化の世界で育った子孫達は寒さ耐性が先祖より低いようだ。
「みんな帰って来たらゆっくり話すと良いよ!さぁドンドン食べると良いよ!」
にっこり笑って特大かき氷を振る舞うコストナーさんだった。
168スポーツ好きさん:2010/10/16(土) 23:32:52 ID:nXi75Dc+
「たかちゃ〜ん、いる〜?」
タラソワのコートをしっかりぬくぬく着込んで来た真央が、崇彦、雪彦、マオ、未来を見つけた。
「あ!ユキちゃんも未来ちゃんも一緒だったんだ」
どうやら、雪彦と崇彦が入れ替わっていたことに気づかなかったらしい。
「えっと、・・・それから・・・」
そして、ここに来て初めて、自分とそっくりな相手に、少々困る真央。
「初めまして、曾おばあさま・・・」
少々嬉しそうに声を震わせながら、丁寧に一礼するマオ。
「初めまして、浅田真央です。ねぇ、思ってたんだけどここ寒くない?」
「うん、みんなとっくにそう思ってるから」
「あちこちで風邪を引きかけてる人が多いみたいなの。シーズンも始まってるし、どっか移動したほうがいいと思うの」
「マオさぁん・・・・・・」
「くしゅっ!・・・そうですね。確かめたいこともあるので、アメリカになら・・・」
169スポーツ好きさん:2010/10/17(日) 12:17:45 ID:2XyLnPXs
だがその時、崇彦たちは、異様な感覚を覚えた。体が、急激に重くなっていく……?!
「こ、これは……重力操作よ!」マオが壁に手をつき、辛うじて身を支えながら叫んだ。

「嫌ぁぁぁっ! アタシこんなに重くないわ!」
数倍にもなった体重に耐えきれず、床に崩れ落ちたジョニー・Gを見下ろしながら、
モロゾフは平然と立っている。彼は、重力増幅の影響を受けていないのだ。
「済みませんが、私にはあと少しだけ、自由に動ける余裕が必要なんですよ」

他の者たちもすでに、床に這いつくばっている。モロゾフは、ブルマに優しく声をかけた。
「苦しいだろうが、もう少し我慢してくれ。本当は2110年に送り返したいんだが、
これだけ重力を歪めた場所で時間移動させると、『事故』が起きかねない」
そうして、動けないプル達の傍を悠々と通り過ぎ、廊下へ出て行く。

「そうは、させるかっ!」
プルがその背中に向けて、ブリザードを放った。モロゾフを、氷の嵐が襲う……
はずが、一瞬突風が吹いて雪が舞っただけだ。アレクセイが、はっと気づいて叫ぶ。
「まさか……スケ力抑制装置! あんな物、持ってきたのかよ!」
「ご明察。まあ、分かっても何もできないでしょう」
170スポーツ好きさん:2010/10/17(日) 13:27:08 ID:y8B0BYR2
「お 待 ち な さ 〜 い い !!」
そこへ颯爽と表れたのは21世紀のDIVA・スーパージョニ子!!     と、お供のリッポン。
二人とも重量付加の影響を受けずモロゾフの前に立ちはだかる。
「何故だ!・・・・この時代に装置は開発されていないはず!」
「それは『ICE』のオ・カ・ゲ(ハート)」ウィンクをしながらリッポンに軽く微笑む。
彼はオーサーの『ICE』に入った小さな装置をモロゾフに見せる。
「・・・・そういうことか!」舌打ちをするモロゾフ。
「どうも彼の『ICE』は使用者にニーズに合わせて便利アイテム提供してくれるツールのようね。
・・・・さあ、これで貴方も年貢の納め時よ!!!覚悟!!!」
華麗に飛び上がりフライング嫉妬スピンをきめ・・・・るはずだったが、
「ぎゃあああ〜〜〜!!!!!」びた〜ん!!!!!
ジョニ子はその場に叩きつけられ伸びてしまった。
「あ〜・・・取説に有効範囲は半径1メートルだから無理するなって言ったのに・・・・」リッポンがべそをかく。
「まったく・・・・・」多少気を削がれたがモロゾフはブルマを抱え時空移動準備に入る。
「そ・・そうはさせないぞ!!」威勢よく叫ぶリッポンはタノルッツでモロゾフに飛び掛る。
「ちい!!!」辛うじてかわしたモロゾフはブルマに銃を突きつける。
全員が意気を呑んだ瞬間モロゾフはにやりと笑った。
「掛かったな・・・・さらばだ!!」
その銃を自らに発砲、二人の姿は光に包まれ跡形もなく消えてしまった。

「やられた・・・・・・・」
力なく呟くアレクセイ。重量負荷は収まったものの誰もその場から動けなかった。
171スポーツ好きさん:2010/10/17(日) 15:51:23 ID:IFGr8xzG
さて、まんまと2110年に戻ってきたモロゾフと連れてこられたブルマだが・・・
「ブルマ、残る目的はあと一つだ。財団で発掘したという北極のクリスタル。
あれを強奪して、そのエネルギーのすべてをお前に注げば、
7回転さえも飛べる無敵のフィギュアクイーンが誕生するはず・・・フフフフフ」
「何よそれ!?私、そんな方法で強くなりたくなんかない!
マオやアンナや、他のみんなと正々堂々競い合いたいの。余計なお世話!」
「これでいいんだ!お前を世界一、いや歴史に残るスケーターにすることが私の夢・・・」

「「セルゲイ・モロゾフ、銃から手を離しなさい!!」」

「し、しまったあぁぁぁ!」
そう、お二人さんはよりによって、財団の執務室に飛んできてしまったのだ。
アンナを銃で強制送還した時、利用するだけして出し抜いた相手への情けゆえ
財団の執務室に送還するよう設定したのだが・・・設定がそのままになっていたのだ!
サーシャとアンナに両側から銃を突きつけられて、モロゾフ、降参。

『・・・というわけで、モロゾフは財団に拘束されたからもう安心していいよ。
私もそっちに戻れなくなっちゃったけど、後はアリョーシャたち、頑張ってね〜』
アリョーシャの通信機に届いたブルマ本人からの通信に、
南極基地の一同が別の意味で脱力したのはいうまでもない・・・・・・
172スポーツ好きさん:2010/10/17(日) 18:00:08 ID:KQakOjdM
「…ひとまずモロゾフの件はどうにかなったようだね」
ブルマとの通信を終えて、アレクセイは安堵の息をついた。
「いや〜ん!せっかくアタシの華麗な活躍を見せる時だったのに〜!」
「だから説明はちゃんと読まなきゃ…」リッポンがとりなすがジョニ子は聞いちゃいない。
「しかし愛弟子の為とは言え、歴史改変やら重力装置まで使うとはなぁ」ふとギャヴァンが呟く。
「そうかしら?むしろあれはブルマを自分の野望の為に使おうって感じよ」
「自分の野望の為なら手段を選ばない…か……ぞっとしないな」
ジョニー・Gの話を聞いてギャヴァンは薄ら寒いものを感じた。
「ともかく皆も見つけられ事だし宇宙船に戻ろう……ん?アリョーシャどうしたんだい?」
他のスケーターが立ち上がる中、床に座り込んだままのアレクセイの顔をプルは覗き込んだ。
「曾お祖父様…緊張しててほっとしたら急に力が抜けちゃって……」
「アリョーシャ?!大丈夫かい?…ほら、僕につかまって」
プルに肩を借りて立ち上がるアレクセイ。さっきもくしゃみをしていたが体調が悪いようだ。
「この寒さで具合悪くなったんじゃねぇか?体が弱いのまでお前に似てるとはな」
「リョーシャ、そんな事言ってる場合じゃないだろう?他の皆も心配だしここは早く引き上げよう」
一行は急いでその場を後にした。
173スポーツ好きさん:2010/10/17(日) 22:12:49 ID:Voiiws5J
「…ふぅ、何や知らんけどやっと動けるようなったで!」
異変に気付いてダルタニアン憑依をしたところで、重力負荷で動けなくなっていたロロがようやく起き上がった。
「リョーシャさんから連絡だママン…ジョニーとギャヴァンを見つけたらしいぞママン」
「真央からもスケパシーが入ったよアハン、タカヒコとミライも無事だってアハン」
その傍らでジュベとランビが仲間からのスケパシーを受信した。
「みんな見つかったなら俺達も脱出しようママン、ここはちょっと寒すぎ…っくしゅん!ママン!」
「アリョーシャが具合悪いらしいけど、僕達も風邪引いちゃいそうだよアハハ…ックション!」
鳴れない寒さにくしゃみをするバンビとステアハン。
「何やお前等鍛え方が足りんのちゃうか?ええか、男っちゅうのは…へ、へ〜っくしょんっ!!」
ひときわ大きなくしゃみをするロロだった。
174スポーツ好きさん:2010/10/17(日) 23:05:25 ID:zwM7CeXR
収容人数いっぱいの宇宙船艦内は人でごった返している。
加えてなれない寒さのせいで体調を崩すものが続出。
「最短で暖かいところはないかな・・」
パソコンで検索をかけるプルたち。その横でガチ君がある場所を指差す。
「あれ、南極にも温泉があるみたいですね。」
「温泉ですって!!」
その言葉にときめくジョニ子。
「南極半島にちかいデセプション島。かなり高温の温泉が湧き出るようだから温まるには調度よいかも。」
「へ〜意外な穴場だね。手っ取り早くそこにしよう。」
プルは進路を設定して宇宙船を発進させた。
175スポーツ好きさん:2010/10/17(日) 23:17:17 ID:2zlRdz5U
「アレクセイ・プルシェンコ総帥・・・」
「やぁ、ごほっ・・・マオ・・・」
「・・・言い訳その他諸々は後で聞きます。とりあえず、アメリカへ移動しましょう。さすがに寒すぎる」
宇宙船の前で出会った、「南極にいた組」と「救出組」。
「デトロイトで有香さんが待ってるって。温かい飲み物を頼んでおくよ」
「タカ、ナイス!・・・・・・へっくしっ」>◇

「・・・なんだ?色々戻ってきたのか?」
未だ宇宙船内で残っていた「過去改変反対派」+数名が物音に気づく。
「見て、メモよ」
「・・・マオの字だ!」
『反対派の皆さん、積もる話は後でお願いします。今からアメリカに向かいます
 くれぐれも、おじいちゃんはじめ、2010年の皆さんに風邪を移さないで下さいね』
「誰がそんなことす・・・ハックションッ!!!」

「おいフィリップ」
「何やねん今度は・・・・・・へっくしょん!」
「今153KBで、残りあと347KB・・・まとまるのか?」
「知るか!まとまらなアカンやろ・・・」
176スポーツ好きさん:2010/10/18(月) 05:04:26 ID:qtIOOX2m
「俺らの存在は既に筒抜けだったってことか…くそっ」ルタイ子孫が悔しげにメモを握り締める。
「落ち着くといいよ、ワーニャ。まだ強制送還が決まったわけじゃないよ」
コストナー子孫がジェラートを口に運びながら宥める。
血のなせる業か、彼女は既に他のスケーターの分まで皿を空けていた。
「マオがここにいる、ってことは改変派の連中とも接触してるのかしら?」
「その可能性は高いな。まぁ、彼女が簡単に考えを変えるとも思えないが…」

あれこれ言い合う反対派と、デザートを振舞うコストナーから離れ、ルタイは別の個室にいた。
その隣にはある反対派子孫の少年もいた。頼みたいことがある、と彼がルタイを呼び出したのだ。
「どうしても、会いたい方がいるんです」
「今すぐ呼んで来られる奴か? 状況が状況だ、場合によっちゃ簡単にはいかないぜ」
「おそらく、この船の中にいます。ただ、ぼくと彼が会ってしまうと…他の仲間に」
ルタイは少年の顎を指でくいっと上げ、その不安気な顔をまじまじと見つめていたが、
すぐにニヤリと笑い、OK、と呟いた。
「アイツがどんな考えだとしても、お前のことを知ったら同じことを思うだろうさ。
待ってな、すぐに呼んでやる。お前、名前は?」
「…ユッカ、です。ユッカ・ヌルメンカリ」
「ユッカな。了解」早速、ルタイはスケパシーを発信し始めた。
177スポーツ好きさん:2010/10/18(月) 12:43:03 ID:5GTYhoFt
「マオも気になるし、ご先祖様に風邪移しちゃいけないし、気をつけた方が良いよ!」
「だから移すわけ・・・ックション!まぁ改変派も体調悪い連中がいるから活発には動けないだろうけどな」
「曾お祖母様が言ってたけど、総帥やバンビやステアハンも具合悪いらしいよ!」
「総帥が・・・?具合が悪いの?」
コストナー子孫の話を聞いた反対派の一人が驚いたように尋ねた
「うん。たぶん風邪だろうけどみんな安静にするように言われてるらしいよ!
・・・風邪には生姜や大根も良いよ!スープに入れて食べると美味しいよ!」
先祖譲りの知恵袋を披露するコストナー子孫。
その横で何やら考え込んでいる反対派の子孫の一人。
(・・・だから私は反対したのよアリョーシャ。歴史改変も貴方が直接動く事にもね)
彼女の横顔は先祖を思い起こさせるリンゴのような赤い頬が目立っていた。
178スポーツ好きさん:2010/10/18(月) 23:23:15 ID:N3DEXoZf
アメリカに向かう前に宇宙船は温泉があるデセプション島へ立ち寄っていた。
先ほどPCで見つけた情報を確認するガチ君とプル。
「ここは火山島だから、海に温泉が湧き出てるらしいですよ。」
「へぇ、ここなら風邪を引いた皆も暖まれるね…ところでサウナは無いのかなぁ?」
「…さすがに南極にサウナは無いと思いますよ(汗)」

「この海が温泉がなのね!さぁ早く入って暖まりましょうよ!」
早く温まりたくて勢い良く海に入ったジョニ子、だが次の瞬間。
「きゃあぁぁぁぁ!!!地面が熱〜〜〜いっ!!!!それに水が生ぬるい〜〜っ!!!!!なにコレ?!!」
「ジョニー、ここの温泉は砂浜から沸いてくるから、水と温泉が丁度よく混ざる場所を
見つけて入るのがコツらしいよ」
「ジェーニャ!そういう事は早く言いなさいよぉ〜〜!!……ええっと、ちょうど良い温度はどこかしら…?」
文句を言いつつも外の気温は低いので、温まるのに適切なポイントを探すジョニ子。
他のスケーターも注意しながら暖かい場所を探して海へ入っていった。
179スポーツ好きさん:2010/10/19(火) 02:02:17 ID:TgjUnp/S
「みんな、お風呂上がりにジェラートおいしいよ!おなかいっぱい食べるといいよ!」
コストナー姉さんは歴史改変派の面々にもジェラート伝道中。
早速ひっかかってるのは…
「うめえっ、アイスってオラはじめて食った!姉ちゃんおかわり!」
「このジェラートなら22世紀のオニャノコもイチコロアハンアハン」
「ほっぺが落ちそうだよママン、きっとおみやげにもって帰るよママン」
温泉とはいえここは南極なんだが…
なんとかは風邪をひかないというが、この三人も確かに風邪とは無縁そうだ。
「バンビそれ僕のジェラートアハン」
「ステアハンの分も食べてあげるよママン、さっきくしゃみしてたしママン」
「オマエモナー」
180スポーツ好きさん:2010/10/19(火) 09:18:18 ID:HB5ZRBB1
「二人ともさっきまで風邪ひいて寝込んでたのに凄いねぇ…ゴホン!」
ホクホク顔でジェラートをかき込むバンビとステアハンを見てアリョーシャが呟いた。
二人の回復力がすさまじいのはやはりなんとかは…というやつなのか?
「アリョーシャ大丈夫?なんかまだ咳が出てるみたいだけど?」
「うん、温泉でだいぶ良くなったみたいだけど。もうちょっと…かも」
「じゃあおなか壊すといけないからジェラートは我慢しないとね♪」
「ええ〜!僕だってジェラート食べたいよぉ!!」
「だ〜め!早く元気になりたいでしょ?」
にっこり笑うプルとむくれるアレクセイ。対照的な表情を浮かべる二人だった。

「元気になったらまた作ってあげるよ!その時にどんどん食べると良いよ!」
181スポーツ好きさん:2010/10/19(火) 14:37:20 ID:0C9FRQ1s
「ジェラートおいしいなぁ、温泉も気持ちいいし(もぐもぐ)」
バトルは適温ポイントを発見し、「温まりながらジェラート」の贅沢を楽しんでいた。
食べ終わって、コーンを持っていて冷えた手を、何気なく水底の熱砂に突っ込む。
「……?! ねえ! 誰か今、スケパシーで助けを呼ばなかった?」

だが皆、「呼んでないよ」「というか、そんなの聞こえなかった」と言うばかり。
「おかしいな。微かだったけど、確かに近くで……まあいいや、ジェラートお代わりしよっと」
バトルは不審がりながらも、適温ポイントを離れる。
そういえば、前にもどこかで、似たようなことがあったような?
182スポーツ好きさん:2010/10/19(火) 20:30:05 ID:TgjUnp/S
さて、宇宙船の一角ではついに歴史改変派と反対派がご対面だ。
「やべぇ、ジェラートの姉ちゃんてアロエリーナのご先祖様だったのか!」
「ノビタ、相変わらずのおバカっぷりでモロゾフに利用されすぎ!
少しは南極の冷気でアタマ冷やすといいよ!」
「め、面目ねえ…」

「そ、そやけど、今んとこはええほうに転がっとるんやし…」
「そうそう、ジェラートが溶ける前に仲直りするがいいよ!」
183スポーツ好きさん:2010/10/19(火) 21:14:08 ID:dffTdeJM
「ただいまー!」
皆が休憩している間に、ちょっと体を動かしてくると言って
その場を離れていた真央が手提げ袋を持って戻ってきた。
「おかえり・・・ってどこまで行ってたんだい?その荷物は?」
「サトちゃん所に行ってストナ分けてもらって来ました。
えーと、熱には赤でくしゃみと鼻水には白。あ、咳が止まらない人は黄色ね。
あとは・・・そうだ、鼻かみすぎて真っ赤っかにならないように鼻セレブもあります。
ストナ飲んで、砂風呂や足湯で暖まって汗かけばきっとすぐ良くなりますよ。」
「えっ!?まさか日本まで行ったのかい?」
驚くプル。当の真央は、バサバサと袋ひっくり返して中身を取り出している
「平気です。信夫先生に言われてたスケーティングの練習にも丁度良かったですから。」
相変わらず練習の虫な真央だった。
184スポーツ好きさん:2010/10/19(火) 22:08:56 ID:KfuTjRZ8
「アリョーシャ、マオが持ってきてくれた薬だよ。コレ飲んだら元気になるよ」
「えぇ〜?21世紀の薬って固形や粉末でしょ?…飲みにくくて嫌だなぁ…」
「僕たちの時代の薬は一回分ずつスプレー状になってるからねアハハン」
「それに21世紀の薬って僕らの時代みたいにイチゴ味とかじゃないし…って、うわぁ〜!!」
「まったく、文句の多いヤツだなぁ……ほら!つべこべ言わずに飲め!!」
いらだったヤグは黄色いス○ナを強引にアレクセイに飲ませた。
「リョーシャ!何も無理強いさせることないだろう?」
「ゴホゴホっ!酷いや!サーシャと同じ事するなんて〜!!」
たちまちW27歳児からブーイングの嵐が沸き起こる。
(まったく…俺の子孫もこいつのお守りには手を焼いてんだろうな…お前の苦労はよく解るぜ)

「…っくしょん!」「あら、サーシャ風邪?」
「さぁ…誰か俺の噂をしてやがるな?」
185スポーツ好きさん:2010/10/19(火) 23:05:14 ID:oAZOY36F
カタカタカタ・・・
「マオちゃん、仕事?」
「ジョニー刑事から話があったの・・・長官、どうもモロゾフ刑事を利用して、最悪の歴史改変を企んでたらしいわ」
「・・・・・・」
「ユキちゃん?」
「ごめん、面倒かけて・・・」
「・・・みんなに振り回されるのはいつものことだし、いいのよ、もう。それより・・・長官がこれで諦めるとは思えない」
「まだ何かしてくるって言うの?」
「おかしいと思わない?スケーターの殆どが過去に行ったタイミングでの『禁止法案成立』、
 まるでスケーター撲滅を狙ってるのか・・・、ううん、逆に一層の歴史改変を促しているみたいだった・・・」
「!?」
「・・・ユキちゃん、2110年のみんなはしばらく行動を慎むように言って。私は引き続き、調べ物をするから」
「うん・・・」
「・・・長官、あんたの思い通りになんかさせませんから」
186スポーツ好きさん:2010/10/20(水) 09:03:52 ID:AMf4AF34
海岸では、ロロがストイコに豆知識を披露していた。
「砂蒸し温泉って知っとる? 日本の九州あたりに多いそうやけど、
こういう、地熱の高い砂浜で、砂の中に首だけ出して埋まるんやで」
「ふぅん……(少し考え込む)それで、お前、行ったことはあるのか? ……フィリップ?」
返事がない。ただのエロ親父のようだ。(女子選手達の水着姿を、にた〜っと笑って見てる的な意味で)

数秒後、ロロは強烈な踵落としを喰らって、肩近くまで砂にめり込んでいた。
「何すんや! 砂に埋まるって、こういう意味やあらへん!」
「俺はもう知らん、好きなだけ埋まってろ!」

たまたま様子を見ていたアモ君が、何人か応援を呼んでロロを引っ張り出したが
すっぽ抜けた勢いで今度は、海中にいるバトルの近くまで飛んでしまうロロ。
「何だよ、いきなり飛んできて! ジェラートが水かぶっちゃったよ!」
「済まんっ、今日はどうもついてへんわ。……ん? 今、何かスケパシーが……」
187スポーツ好きさん:2010/10/20(水) 21:29:38 ID:YKLs5Ytu
「何やろ今のスケパシーは?もう聞こえんけど、助け呼んでるみたいやったぞ?」
「フィリップも?…僕もさっき一瞬聞こえたけどすぐに消えちゃって…」
「一体どないなっとるんや?」
二人で首をかしげていると、近くで温泉に入っていたトラが話し掛けてきた。
「どうしたんです?二人でキョロキョロして水着姿の女子ばかり見てると怒られますよ?」
「アホ!今はそんな話やないで。実はな…」
二人は先ほどのスケパシーの事をトラに聞かせた。
「へぇ謎のスケパシーかぁ……って、え?ちょっと待てよ?」
「トマシュ、何か知ってるのかい?」「覚えあるんか?はよ思い出せ!」
「……そうだ!それって俺達が北極で体験したのと同じ現象だ!」
トラは先日の北極での出来事を思い出した。
「北極って、おまえらがあの水晶みたいなんを見つけたときか?」
「それってここのスケパシーと何か関係あるのかな?…ひとまず皆に知らせよう!」
バトルは砂浜にいるプル達に先ほどの現象を知らせに行った。
188スポーツ好きさん:2010/10/21(木) 07:53:31 ID:xOF2CCFO
「…と、いうわけなんだ」
それぞれ温泉やジェラートを堪能していたスケーター達を砂浜に集め、バトルはこれまでの状況を説明した。
「調べてみる価値はあると思うんだけど、皆、協力してくれる?」
「あ、そういえば」リッポンが前に出て来た。「さっき、コーチの『ICE』からこんなものが」
リッポンの手には、細い金属の棒が2本。直角に折れ曲がっていて、短い方はちょうど握れるくらいの長さである。
「何や、この棒っきれ?」
「アハン、ダウジングロッドだね」ランビが目を輝かせた。
「これを両手に持って、風や大地の誘う声に耳を傾けるんだ、アハン。彼女達が優しく囁いたら、それに従って…」
「要するに探し物を見つけてくれるかも知れない道具、だと思います」容赦なく遮るリッポン。
「面白そうじゃない、早速使ってみましょ!」
ジョニーがダウジングロッドを引ったくったのと同時に、スケパシー発信源探しか始まった。
189スポーツ好きさん:2010/10/21(木) 11:34:49 ID:qbxsXTvQ
再びスケパシー発信源を探すスケーター達。
だが北極同様になかなか発信源の特定には至っていないようだ。
その時、ジョニ子のダウンジングロッドに反応が!
「あら!ここでちょっと動いたわよ!アダム、地面を掘ってみて」
言われるままに砂浜を掘り返してみるが・・・
「なんだ・・・空き缶かぁ・・・・・・」「なによ〜!見つかったと思ったのにぃ!」
残念!捜索は続行だ。

そしてこちらは、ジョニ子達と別の地点を捜索中のプル。
「う〜ん・・・・・ここは反応なしだねぇ・・・」
「スケパシー探しって難しいねぇ・・・あれ?曾お祖父様『ICE』が!」
アレクセイに言われて見てみると、タラソワから借りた『ICE』にまた変化が起きている!
「あ、また文字が浮かんできた!・・・『北と南、其は常に一対なり』・・・?」
「相変わらず、小難しい文句ばかり出てくるな?どういう意味だ?」
190スポーツ好きさん:2010/10/22(金) 01:11:33 ID:CIXt80LI
ICEに浮かぶ文字の意味を考えながらウロウロしているプルとアレクセイ。
「北と南・・・北と南・・・う〜ん・・・・・・。」
と、その時
『ぶはっ!』
突然2人の顔面に砂の塊が直撃した。
「うわっ!?ちょ・・・何なのこれ!」
口に入ってしまった砂をペッペと吐き出すアレクセイ。
見ると、ダウジングチームが大きな砂山の側面に大きな穴を掘っていた。
どうやらとっくの昔にダウジングには飽きていて、掘り返した砂で遊んでいたようだ。
「もぉ〜いつまで掘ればトンネル繋がるのよぉ。
ちょっとステファン!ちゃんと反対から掘ってるのぉ?」
「アハン、ちゃんと掘ってるよアハン。」
全身砂まみれで、少々ご立腹のジョニ子。
「きっと、掘る位置がズレてるんですよ。
こっちとあっちで対になるような直線で掘らないと・・・・・・。」
ジョニ子の雰囲気を察して、やんわりとアドバイスをするリッポン
端と端を結ぶ直線・・・・・・あれ?・・・これはもしかして・・・・・・?
191スポーツ好きさん:2010/10/23(土) 09:07:13 ID:cFXKUZ6+
「北と南を対で結ぶ…それだ!!!」
「きゃあ!なによ急に大声で?」
プルの声に驚いたジョニ子。その拍子に砂山を崩してしまう。
「いや〜ん!せっかく掘ったのにぃ!!どーすんのよ!」
「残念だったねアハン」
「びっくりさせてごめん。でもジョニー達のお陰でヒントが解ったよ」
「え?どういうこと?」
不思議がるジョニ子にプルは先ほどの『ICE』の変化の事を話した。
「北と南を対で結ぶっってことは、つまり北極のスケパシー発信源のちょうど反対になる地点を捜せば…」
「そこで何か見つかるかもしれないのね!……それにしても謎の解明にDIVAが一役買うなんて素敵じゃない?!」
上機嫌のジョニ子。砂山の事はすっかり忘れたらしい。
192スポーツ好きさん:2010/10/24(日) 13:36:11 ID:e4Zu9Rec
南極のスケパシー発信源探しが白熱する一方宇宙船では…

「みんな!早く仲直りしないと本当にジェラート溶けちゃうよ!」
「オラも早く終わらせたいけど、こいつら頭固いんだよジェラートの姉ちゃん!」
「頭固くないよ!みんなの事心配してるから止めに来たよ!ご先祖様に迷惑かけたらいけないよ!」
言い合う信太とアロエリーナ。
「だいたいだな、お前達が派手に動き回るから時空警察まで動き出したじゃないか!どうすんだよ?!」
「なぁに言ってんのよ!長官が怖くてスケーターの危機を救えるもんですか!」
「ていうか、ジョニーはそもそも刑事だし…」
「あんたは黙ってなさいっ!」「うるさいな!静かにしてろよ!」
口を挟もうとしたギャヴァンはジョニーGとワーニャから睨まれてタジタジになった。
どうにもなかなか話がまとまらないようだ。

「みんな!食べないなら先に食べちゃうよ!…ぱくぱく」
ジェラートを無駄にするなどもってのほかとばかりに、ジェラートをパクつくコストナーさん。
こんな状況だが優勝おめでとう!
193スポーツ好きさん:2010/10/24(日) 20:40:13 ID:am6M50k1
「ケンカしてる場合じゃないわ!」
「みんな、ストップストップ」
イラつき気味のマオが崇彦と宇宙船に入ってきた。
「えっと・・・反対派、さん?」
「ワーニャです、こいつはアロエリーナ・・・」
「小塚崇彦です。少なくとも俺は、信太君や雪彦たちの頼みを迷惑だなんて思ってない。 むしろ・・・こっちが申し訳ないよ。
 今まで、自分が上手くなることばかり考えて、自分の子孫のことなんて少しも考えてなかったから」
「でも・・・」
「『今を努力して未来につなげる』だっけ?俺は2010年の人間だから、今、何かやろうとしてるだけ」
懐かしさやら何やらと崇彦のさわやかさ(?)で、言葉を失った面々。
「それに、時空警察はしばらく動かない・・・今の私には、みんなを強制送還する権利もないし、気力もないわ」
「マオ?どういうこと?わからないよ」
「時空警察の長官が改変派に協力姿勢を示したんですって!」
イライラが最高潮に達したマオが、どっしん!とソファに座った。
「あら、それじゃぁ遠慮なく・・・」
「バカ言わないで下さい!!長官は自分に都合のいいように歴史を改変させて、全責任をスケーターに押し付ける気なんですよ!」
「・・・何!?」
194スポーツ好きさん:2010/10/24(日) 21:07:01 ID:OZlKUA1z
一方、別の部屋。
195スポーツ好きさん:2010/10/24(日) 21:17:37 ID:x348aGK1
知らぬ間に自分たちの身に及んでいた危機に一同仰天!
・・・ジョニーG刑事だけが憮然とした表情である。
「ふ〜ん、あの時空警察長官がまさか歴史改変?って思ったけど。
セルゲイの自供は正しかったのねえ」
「なあ、モロゾフのおっちゃんが、なんか情報しゃべったのか!?
おっちゃんはホントは悪いやつじゃねえ、ブルマを強くしたかっただけなんだ!」
「落ち着きなさいよ坊や!確かに協力的にペラペラしゃべってくれてるそうだけど。
元々長官はマオたち歴史静観派の領袖だったんだけど、
時空警視総監の歴史改善案に反対してたのに、可決しちゃいそうなの。
で、それならばいっそ自分に都合のいい歴史を、って思ったみたい。
でもセルゲイは総監のご先祖様の暗殺を断っちゃったから、
今頃は別の暗殺者を派遣してるでしょうね、アメリカに」

「な・・・・・・なんだってーーーーー!!!!!」
突然ギャヴァンが5回転で飛び立ってしまった!驚くエヴァン。
「ギャヴァン!なんでギャヴァンが?」
「ああ、今の時空警視総監・・・アタシの上司ね、ギャヴァンのパパなのよ」
「それを先に言えーーーーー!!!!!」エヴァンも3Aでアメリカに飛んだ!
要するに・・・リューキンが危ない!
196スポーツ好きさん:2010/10/24(日) 21:40:52 ID:OZlKUA1z
ミスりました、すみません >>194から

「アリ=ペッカ、いい加減落ち着けよ」
「落ち着いていられるか! アンドレイ、お前だってもし自分の子供が…」
「そりゃそうだけど、まずは話聞いてやろうぜ」
ルタイは顔面蒼白で震えるヌルメンカリを宥めながら、ユッカの方を振り向いた。
「心配しないで下さい。
多分、おじいちゃ…アクセル・ヌルメンカリや、アンドレイさんの娘さんが生まれてこない、ということはありません」
「ほ、本当か!?」
「はい。彼らが生まれてくることは、もうずっと前に確定していますから。
ワーニャやぼくがここにいるのが、何よりの証拠です」
溜息を吐くヌルメンカリ。ルタイもどことなく安心した表情を浮かべた。
「けれど、さっき話した通り…ほんの少し違ったことが起きるだけで、未来は簡単に変わりかねないんです。
何も、改変派が動くだけじゃなくても」

「な・・・・・・なんだってーーーーー!!!!!」
「それを先に言えーーーーー!!!!!」

突如聞こえてきた大声。
「あの声は…エヴァンか!?」
「何か、あったんでしょうか?」
「だろうな… とりあえず、行ってみようぜ!」
ルタイ、ヌルメンカリ、ユッカは部屋を出て、声のした方へ向かった。
197スポーツ好きさん:2010/10/24(日) 22:01:13 ID:qHQ9MdlM
「あれ?今飛んでったのギャヴァンとご先祖様じゃなかった?」
「何だか宇宙船も騒がしいな?ちょっと様子を見に行こう」
慌てて宇宙船内に入ってきたプルとアレクセイ。すると二人の前に見覚えのあるりんごホッペの女性が立っていた。
「あれぇナターシャじゃない?!どうしたの」
「イーラ…じゃないね?君も子孫の一人かな?」
「…お帰りなさい、アリョーシャ。それから、初めましてエフゲニーさん。
私はナタリア。子供の頃に曾お祖母様…イリーナ・スルツカヤから貴方のお話は伺ってます」
ナターシャは深々とプルに一礼した。
「一体どうやってここまで来たの?君は時空移動装置を持ってなかっただろう?」
「貴方がここへ来る時に、悪いけどワーニャ達と一緒に同乗させてもらったわ」
「えぇ!そうだったの?それに反対派の連中がみんな来てるのか?!…あ、言っとくけど僕帰らないからね!!」
「解ってるわ。…それに今は一大事が起きそうなのよ。そっちの解決が優先よ」
「ええ?どういうこと?」不思議そうな顔をするアレクセイ。
「詳しい話はひとまずこっちで…皆集まってるわ」
ナターシャの案内でプルとアレクセイは子孫達のいる部屋に向かった。
198スポーツ好きさん:2010/10/25(月) 18:08:23 ID:GZI4HLhD
「なんだってぇ?!長官がそんな事企んでたのか?!」
ジョニーGとマオから事の次第を聞いたアレクセイは驚いた。
「でしょ?自分の都合いいとこだけ改変して責任はこっちなんて冗談じゃないわよねぇ〜」
「・・・だから歴史改変なんて危険だって俺たちは反対してたんだよ」
「ワーニャ、今はひとまずその話はおいておきましょう、今はこっちの方が緊急よ」
「解ってるよナターシャ。しかし暗殺なんてとんでもない話だな」
「しかもライサチェック時空警視総監のご先祖様の暗殺なんて歴史改変反対派としても、
良識的にも見逃すわけには行きませんよね?・・・何とか手を打たないと」
そう言ってマオは部屋にいるスケーター達を見遣った。
「・・・まぁ彼女がそう簡単にやられるとは思えないけどねぇ。でもエヴァン達だけで大丈夫かなぁ?」
「プルシェンコさん、やっぱり僕等も助けに行ったほうがいいんじゃ・・・?」
考え込むプルに崇彦が尋ねる。
「そうだねぇ・・・でも南極のスケパシー発信源の件も気になるし、一度に大勢で動くのも別の問題を
引き起こすかもしれないし、ここは二手に分かれて行動した方が良いかもね」
「それじゃ僕はみんなに知らせてきます!」
崇彦は他のスケーター達を集めに部屋の外へ出ていった。
199スポーツ好きさん:2010/10/27(水) 20:56:59 ID:OncD04Qa
プル「それにしても、イーラの子孫が反対派だっていうのは意外だなぁ」
アレクセイ「でしょ?僕もびっくりしたんだよ。協力してくれると思ったのになぁ〜」
ナタリア「あら?だって些細な事で歴史が大きく変わってしまうかもしれないのよ?それに…」
プル「それに?」
ナタリア「アリョーシャったら、思いつきで後先考えずに行動しちゃう所があるんですもの。
    端から見てたら危なっかしくて心配よ。だから貴方が動くにも反対したの」
ユッカ「でも結局サーシャさんの隙をついて抜け出して来ちゃいましたもんねぇ…」
ワーニャ「おまけに宇宙船に俺達がこっそり乗り込んでたのに気付かないしなぁ」
アロエリーナ「アリョーシャ脇が甘いよ!もっと注意したほうが良いよ!」
ジョニーG「確かにそこはみんなが心配するのわかるわぁ…(しみじみ)」
アレクセイ「皆酷いよお!僕だっていろいろ考えてるんだからね!ふ〜んだっ!」
スケーター達に指摘されまくってむくれるアレクセイ。
…まぁ、意見の相違はあっても皆心配してくれてる事には変わりなかったりするのである。
200スポーツ好きさん:2010/10/28(木) 08:46:45 ID:JbdP3N9I
スケパシー発信源を探すスケーター達を呼びに、崇彦が宇宙船の外へ出た瞬間。
びゅんっ、と強い風が吹き、周囲の砂を巻き上げた。
「うわっ!」思わず両腕で顔を覆う。竜巻か? でも、何故こんな場所で?
「…タカヒコ」
呼ばれた声に腕を降ろし、目を開けると、ADSLが立っていた。
「アドリアン、平気? すごい風だったけど」
「トマシュだ」
「へっ?」
突然名前を出され、崇彦は戸惑ってアドリアンの顔を見た。いつものポーカーフェイスが、明らかに焦っている。
「さっき、ファビアンからスケパシーが来て… ナタリーが誰かに襲われた、って」
「ナタリーって、ペシャラさんが!?」
「そうよ、アタシもビックリしたわ!」後ろからジョニ子が現れた。
「怪我はしてないらしくてホッとしたけど、かなりショックは受けてるみたいね… まったく、誰の仕業よ!」
女子を襲うなんて許せないわ!と怒りを露わにするジョニ子の隣で、
「今の風… トマシュが跳んだ時に起きたんだ。あんなトマシュ、初めて見た」
アドリアンが呟き、空を見上げた。
201スポーツ好きさん:2010/10/28(木) 22:26:25 ID:rhQ54Arn
スケーターが集まった宇宙船内。
「一体どうなってるのよ?!リューキンといいナタリーといい誰かに狙われるなんて?」
「あの…ひょっとしてナタリーさんの所に現れたのって…」
「長官の命令を受けた暗殺者…の可能性はありますね。」
ジョニ子とリッポンのやり取りを聞いていたマオが呟いた。
「ナタリーの子孫も末来で有名な人物なのかママン?」
「私が知る限りでは直接の子孫にあたる人はいません。でもわざわざ暗殺者を差し向けるくらいなら、
長官と対立する人物でナタリーさんとどこかで血縁関係がある人がいるのかも…」
マオの話を聞いて神妙な面持ちのスケーター達。
どうやら危険な立場なのは子孫達だけではなくなってきたようだ。
「ともかくこういう事態ですからご先祖様達もくれぐれも気をつけて下さいね!」

「なんや複雑な事になってきよったなぁ…太刀打ちできるんやろか?」
「バカ!俺たちが弱気になってどうするんだ!それにしてもその長官ってヤツは気にくわねぇ!
よし!やっぱり今から末来に殴りこ…」
「だからエルヴィス落ちつかなアカンってぇ〜〜!(汗)」
202スポーツ好きさん:2010/10/29(金) 08:58:31 ID:M79slJLO
「クリスタルあったどーーー!」
大輔の声だ。彼はさっき跳んでったトマシュやADSL、美姫たちと共に
南極点の穴掘り中だったが、無事にスケパシーの源にたどり着いたらしい。
皆もしばし南極点に集合。早速クリスタルの確認をしようとしたのだが…

突然、クリスタルがまばゆいほどに輝きはじめた!
『よく、ここまできましたね……』
そして皆の前にあるビジョンを映し出す。
『あなたがたの仲間を思う心が、きっとこの星を救うことでしょう…
どうかICEの力を正しく使って下さい……』

しかし皆はクリスタルの語りかけに感動するどころではなく、
全員ずっこけていた。
クリスタルが映し出していたのは
『リューキンが銀ずくめの男達十人ばかりを一人でこてんぱんにし、
その光景を黒くて長い二人がボーゼンと見守る』の図であったwwwww
203スポーツ好きさん:2010/10/29(金) 09:57:10 ID:yLyo1wGF
「・・・思ったとおりだけど、まずは彼女が無事でよかったよ」
「そもそもあいつを狙おうって時点で未来の連中も読みが甘すぎるな」
どうにか気を取り直したプルの一言にヤグが頷く。他のスケーターも同意見のようだ。

「プルシェンコさん、ここからはどうします?」ふと小塚がプルに尋ねた。
「そうだねぇ・・・南極のクリスタルも見つかった事だし、予定通りアメリカに行ってエヴァン達と合流しよう。」
「・・・あ、トマシュからだわ!ナタリーが落ち着いたようだから後で合流するって!」
ジョニ子がトラのスケパシーを受信したようだ。
「良かった、ナタリーも大丈夫なんだね?・・・合流したらみんなで今後の話し合いをしなくちゃ」
「なんだ?未来へ殴りこみの相談か?!」
「エルヴィス〜何べんも言うけどまずは落ち着いて・・・」
「「未来へ殴り込み」ねぇ・・・それも悪くないかもね。」
「・・・えっ?」

・・・それってマジですか?!
プルの言葉に思わず目が点になるスケーター達だった。
204スポーツ好きさん:2010/10/29(金) 14:30:36 ID:4Zd9CDSf
「と、とりあえず、殴りこみに行くかどうかも含めて話し合わないと・・・」
「ま、そうだね。じゃ、トマシュを拾ってからアメリカに行こう」
ぞろぞろと宇宙船に乗り込む一同。
「ねぇたかちゃん」
「何だよ?」
「ライサチェックさんの曾孫さんのお父さんがあぶないってことはさ、ライサチェックさんも危ないんじゃないの?」

・・・

「・・・・・・ま、側にリーキュンがいるんだし」
「そ、そうだよ、ね・・・」
「とりあえず、急ごうか」
205スポーツ好きさん:2010/10/29(金) 22:29:01 ID:u8tBh8GE
「曾お祖父様、さっきの話本当?」
一路アメリカへ向かう宇宙船。プルの所にやってきたアレクセイが唐突に問いかけた。
「殴りこみの話かい?あれはあくまでその必要があればの話だよ」
「でも末来だと長官の刺客だって増えるだろうし、曾お祖父様だって狙われるかもしれないよ?
…もっともそんな奴がいたら僕が許さないけどね。あ、その時は僕が守るから安心してね!」
「ありがとう、アリョーシャ。もちろんこの話はみんなの意見も聞かないといけないし、
選択肢の一つに過ぎないけどね。ともかくは今この時代で出来る事を考えてやって行こうよ」
「うん。僕も頑張るよ…僕だっていろいろ考えてるとこ見せなくちゃ!」
「へぇ、じゃあお手並み拝見させてもらおうかな。アレクセイ・プルシェンコ総帥?」
「もぉ〜!曾お祖父様までからかわないでよ〜!」
「あぁゴメン、悪かったね。謝るよ」
不機嫌そうな顔をするアレクセイに思わず苦笑するプルだった。
206スポーツ好きさん:2010/10/30(土) 18:59:34 ID:O++B7PUY
一方その頃、崇彦が宇宙船の通路を歩いていると、何やら話し声が聞こえてくるのに気づいた。
不思議に思って声のする場所へ行ってみると、格納庫の一角にスケーターが集まって騒いでいるらしい。
「あ、たかちゃ〜ん、こっちこっち〜!」
「皆こんな所で何やって……って、どうしたのこれ?!」
真央に呼ばれて近づいてみると、そこには突如小さな即席リンクが出来上がっていた。
「シーズンに入って練習もしないといけないし、どうしようかなぁって未来ちゃんと言ってたの。そうしたら…」
「『ICE』が光って、あっという間にこうなっちゃったんですぅ。『ICE』の力って本当に凄いですねぇ〜!」
未来はそう言いながら既にリンクで滑っていた。他のスケーターも何人か滑っているようだ。

「…ていうか、勝手にリンクなんか作ったらまずいんじゃないの?」
「プルシェンコさんにはもう話してるから大丈夫だよ。たかちゃんもおいでよ〜!」
207スポーツ好きさん:2010/10/31(日) 23:08:59 ID:UL2A2uNW
さて、未来の2110年では、セルゲイ・モロゾフの自供が佳境に入っている。
アンナ「・・・では、核心に入るわ。
あなたが歴史改変をしてまでブルマを強化しようとしたのは、一体なぜ?」
セルゲイ「正確には改変じゃない。途切れかけていた歴史を"確定"させただけさ。
この時代に6回転を飛べるスケーターは、ブルマを含めたった5人なのだからね。
ブルマがミキ・アンドウだけでなく、あの猫足ジャンパーの血を引いているという
歴史が確定させられれば、それが一番手っ取り早かったのさ。
そう、夢の7回転を飛べる"救世主"を誕生させる、一番の近道にね・・・」
ブルマ「7回転スケーターが世界を救う・・・そんな言い伝えをまだ信じてたの!?」
セルゲイ「だが身長が150cmに縮んで、ジャンプがさらに飛びやすくなったろう?」
ブルマ「知らないわよ!だって私、パパとは8歳で死に別れたもの・・・
ママのご先祖様の安藤美姫はずっとあこがれてたけど、
パパの方のご先祖様のことなんて・・・聞いてないよ・・・・・・」

サーシャ「言い伝えってまさか・・・あの『ICE』の預言のことか?
"その者7回宙を回って、銀白の野に降り立つべし"っていう・・・」
セルゲイ「そうだ!6回転までできたのだから、あと1回転で7回転になるだろう!」
アンナ「でもその6回転ができるのが、ブルマとアリョーシャとバンビとステアハンと
・・・あとノビタが確か練習で成功してるのよね?」
セルゲイ「そうだ!もう誰でもいいから7回転してくれ。こんな暑いのはもう沢山だ!」
ブルマ「もう、そんなに言うなら自分で7回転してみたらどうなのよ!」

ちょうど2010年のアリョーシャから通信が入っているのだが、誰も気づいてないw
208スポーツ好きさん:2010/11/01(月) 14:19:34 ID:P5cdJ72B
「あれ?誰も出ないなぁ・・・どうしたんだろ?」
なかなか繋がらない通信にアレクセイは訝しげな表情を浮かべた。
「回線状況が悪いんじゃないかママン?」
「また後で通信すればいいんじゃないかなアハハン。その間に格納庫に出来たリンクに行ってみようよアハハン」
「・・・南極のクリスタルの事を知らせなくちゃいけないんだ。滑りたいなら先に行っててよ」
後ろでお気楽な事を言っているバンビとステアハンを他所にアレクセイが通信機をいじくっていると、ようやく向こうと繋がったようだ
「ああやっと繋がった!・・・どうしたんだよサーシャ誰も出ないなんてさ。せっかく南極でクリスタルを見つけたのに・・・え?『ICE』の預言?」
そこでアレクセイはサーシャから先程のモロゾフの供述を聞かされた。
「まさかモロゾフの狙いはあの預言を実現させる為だったとはね。でもその話なんだか気になるなぁ・・・
こっちでもちょっと調べてみるよ」
通信を終えるとアレクセイはバンビとステアハンの方へ振りむいた。
「二人とも今の話を聞いただろうけど・・・・・・って、あれぇ?どこ行っちゃったの?!」

気がつくと背後にいたはずの二人の姿がない!
どうやら待ちきれずに先にリンクに行ってしまったようである・・・
209スポーツ好きさん:2010/11/02(火) 18:56:18 ID:QF7Fq1st
「いち、に、さん、し、ご!」
「Awesome! ほんとに5回回ってますぅ!」
リンクでは、バンビのジャンプにスケーター達が息を飲んでいた。ほんの僅かによろけはしたものの、見事な5Tである。
「やっぱりこの靴じゃクイントが限界だなママン。しかも回るのがやっとだ、メッドゥ!」
当のバンビはやや不満顔だ。
「ね、バンビさん」興味津々な様子で真央が訊ねた。「いつもはどれくらい跳べるの?」
「ママン、調子が良ければ6Tと6S。ステアハンも6Tは跳べるなママン」
さらりと答えたバンビだったが、21世紀のスケーターからは歓声が上がった。
「けど、ママン、この程度で満足してちゃいけないんだ。な、ステアハン」
「その通りだよアハン。僕達の夢は7回転を成功させることだからねアハハン」
「な、7回転…」話を聞いていた小塚は唖然とするほかなかった。「想像もつかないよ」
「きっと、宇宙を飛んでるようなんだろうなママン」ジュベールがその隣でしみじみと言った。

「あ、いたいた。ステアハン! バンビ!」
アレクセイが入って来た。
210スポーツ好きさん:2010/11/02(火) 22:54:30 ID:ii78cjBG
「アリョーシャ、そんなに慌ててどうしたんだいアハハン?」
「なにか問題でも起こったのかママン?」
慌ててやってきたアリョーシャに二人は不思議そうな顔をした。
「二人とも聞いてよ!モロゾフの狙いは『ICE』の預言の成就だったんだよ!」
「預言ってあの7回転の救世主の事かいアハハン?」
「あの言い伝えを実行しようとしてたのかママン?!」
真剣な顔で話し合う子孫たち。しかし21世紀のスケーターには何の事だかさっぱり解らない。
「あの〜『ICE』の預言って何ですか?それに末来では『ICE』は消滅してるんですよね?」
「うん、確かに僕らの時代では『ICE』消滅してるけど…でも気になるものは残ってるんだ」
真央の問いかけに答えたアリョーシャは格納庫に停めた小型宇宙船に入っていくと、今度は何かを抱えて戻ってきた。
「…何ですか?それ」
保護ケースの中に厳重に入れられているのは一見ボロボロになった紙片だ。
茶色くなった紙には殆ど消えかけた文字が書いていある。
「これは21世紀後半にサンクトペテルブルグのドーム都市を建造した時に旧市街地から見つかった物なんだ。
殆ど読めないけど解読できた部分にはこう書いてある…"その者7回宙を回って、銀白の野に降り立つべし"とね」

「……なんかどっかで聞いた事あるような文句だなぁ?」
思わず首をかしげるスケーター達だった(特にチームジャパン)。
211スポーツ好きさん:2010/11/03(水) 15:54:49 ID:mszf6WUm
「オラんちにはひいじいちゃんから伝わった、もっと詳しい文書もあるぞ。
『その者、7回宙を回って、銀白の野に降り立つべし。
失われし『ICE』との絆を結び、ついに人々を白き清涼の地に導かん』
すげえなあ〜そんなヤツがホントに現れたら世界が涼しくなるんだよな!」
信太が言った途端、チームジャパンの涼しい視線が一斉に信成に集まった…
「ナルくんて…もしかしてオタク?」
「いや別にノブがオタクでもいいけど、にしちゃあナウシカは古くねーか?」
「……」

だが新米パパ信成はというと、
(ナウシカかあ〜今やったらアリエッティだっけ?
息子がもうちっと大きくなったら一緒にジブリのアニメ見るのもええなあ…)
案外まんざらでもなかったりするのだった。
212スポーツ好きさん:2010/11/03(水) 19:06:03 ID:byM9fDpe
「つまり、その文章に書かれていることが『ICE』の預言って言われてるわけだね?」
「そうなんだ。もっとも本当にそんな事が起きるのかちょっと信じられないけどね」
ひとしきり話を聞いていたプルの問いにアレクセイは答えた。
「でも7回転を跳ぶ救世主かぁ、興味深い話だね・・・ところでアリョーシャはどれくらい跳べるの?」
「そうだねぇ…6T-5T-5Loもやったことあるけど、練習なら5種類の6回転を跳んでるよ。
最近は5A-6Tとか6T-6Tの練習してるんだけどまだ実戦で使えるとこまではね・・・」
さらりと出るとんでもない数字に現代のスケーター達が呆気にとられたのは言うまでもない。
「なるほど、それなら大丈夫かもねぇ・・・・・・じゃあこれ僕のだけど特別に貸してあげるよ」
にっこり笑ってプルが差し出したのは愛用のスケート靴。
「曾お祖父様、これって・・・?」
「言い伝えが本当かどうか確かめるにはまず7回転を会得しなきゃね♪」
さらにとんでもない事を言ってのけるプルに目を丸くするスケーター達。
「でも曾お祖父様、僕たちの時代でも7回転跳べるスケーターはまだ居ないんだよ?」
「6回転でも跳べるのは俺達とブルマだけだぞママン?」
「だからこそやってみなくちゃ。より高い難度を目指していくのがスケートだろ?
・・・アメリカに着くまでまだ時間あるし、頑張ってね、救世主候補のみんな♪」

さすが氷の上では妥協を許さない27歳児・・・もとい、今日から28歳児。(プル誕生日おめでとう!)
こうして「目指せ救世主!7回転スケーター育成特訓」が始まった・・・・・・らしい。
213スポーツ好きさん:2010/11/03(水) 23:24:16 ID:GkRO4dKN
「伝説の救世主ですって?なんだか素敵な響きねぇ…」
子孫達が特訓を開始するなか『ICE』の預言の話を聞いたジョニ子は興味深々だ。
「決めたわ!アタシ伝説の救世主になるわよ!何たってこのスレのDIVAはア・タ・シよ〜!」
一人張り切るジョニ子だがリッポンは気が気でない。
「あの…預言の救世主は7回転を跳ばないといけないんじゃ…」
「あらなによアダム?アタシじゃ無理って言いたいの?!(ムカッ!!)」
「いや、そういうわけじゃ…(誰か助けて〜!!)」
ジョニ子に睨まれてしどろもどろになるリッポン。
「わかったわ、7回転を跳べば良いのね。だったら…」
そう言いながらジョニ子が手にした『ICE』の中から取り出したのは22世紀のスケート靴。
「あの子達現代の靴は重くて跳び辛そうだったわよね?だったらアタシが逆に末来の靴で跳べば
6回転、いいえ7回転跳べちゃうかも知れないじゃない?!」
「それだとジョニ子姐さんが条件的に有利すぎなんじゃ…」
と、リッポンが呟いているのは「伝説の救世主のアタシ」の妄想に浸っているので聞こえていないw
214スポーツ好きさん:2010/11/05(金) 01:16:19 ID:T5QngETN
キミも7回転に挑戦して救世主になろう!
てなジョニ子の無謀なチャレンジだが、早速プルが反応。
「へえ、この時代の重い靴に慣れてるスケーターが未来の軽い靴で跳べば
7回転も夢じゃない…か。いいセン行ってると思うよ。
ただし…身体が常軌を外れた高速回転をも制御できればの話だけどね」
「ええっ、一体それどういうことよ!?」
「だって僕らが普段跳んでいるのは3回転や4回転だろ。
仮にジャンプ時の滞空時間が変わらないとしたら、7回転を跳ぶには
単純に考えても今の倍の早さで回転しなくちゃ。しかもバランスを崩さずに。
はっきり言って、死の危険さえ感じるね」
このチャレンジ、相当ハードルが高そうだが、どうする、DIVA?
215スポーツ好きさん:2010/11/05(金) 18:06:51 ID:QXgO7wm+
そしてこうなった。

リンクを滑るジョニ子。ジャンプの体制を整えると意を決して跳び上がった。
1.2.3.4・・・・・・そして7回転。着氷も乱れずに見事に降り立った!
「ジェーニャ、ちゃんと見てた?!アタシ7回転出来たわよ〜!!」
「うん、確かに7回転だったね。でも問題はそれ無しで今の動きができるかだよねぇ」
そう言いながらプルが指したのはジョニ子の背中から伸びるワイヤー。
要は映画のワイヤーアクションのように体を吊っていたのだ。
「あらやだ。これはイメージトレーニングよ〜まずは感覚を掴まなくちゃね!」

「ジョニ子姐さん、まだやるんですか・・・?」
吊るしたワイヤーを引っ張る役のリッポン。少々お疲れ気味だ。
「何言ってるのよ、やるに決まってるでょ?さぁ、続けるわよ!」
(早く飽きてくれないかなぁ・・・)
こっそり願いながらワイヤーを引っ張るリッポンだった。
216スポーツ好きさん:2010/11/06(土) 00:20:00 ID:nlQtGulb
ジョニ子が怪しい練習を続行する一方、子孫たちはと言うと…
信太「よ〜し!オラも頑張って7回転跳ぶぞ!そしたらすげぇ事が起こるかもしれねぇもんな!」
ステアハン「救世主か…きっと7回転を跳ぶその様は翼が生えたかのように軽やかで
優雅なんだろうねアハン、僕もそんな風に跳びたいものだねアハハン」
比較的乗り気な(?)信太とステアハン。一方こちらの二人はそうではなさそうだ。
バンビ「まったく、いきなり7回転を跳べなんて無茶すぎるぞママン!幾ら俺たちでも…ん?」
ヤグ「なんだ、おまえじゃ無理なのか。そりゃあ残念だなぁ」
バンビ「…勿論やって見せますともママン!リョーシャさんの期待にお応えしますよママン!!」
途端に張り切るバンビ。なによりヤグの一言は効果的だ。
アレクセイ「やっぱりこの靴だと5回転がやっとだよぉ…7回転って思ってた以上に難しいかも…」
プル「あれぇここでやめちゃうの?…あ、別に僕は良いけどね。でもみんな結構乗り気だし、
この調子だと人類初の7回転スケーターの偉業は他の誰かが達成しちゃうかな?」
アレクセイ「〜〜っ!!…ぼ、僕が最初に7回転跳ぶんだからねぇ〜っ!!!」(←負けず嫌い)

理由は様々あれど、とりあえず7回転習得に向けての特訓は続く。
217スポーツ好きさん:2010/11/06(土) 09:38:30 ID:FgVIhl+r
「た〜か〜じ〜ぃ〜ってばぁ〜〜」
「無理、無理なものは無理」
「どうしたの?」
雪彦が崇彦にまつわりついている光景を見て、真央が尋ねた。
「崇じぃが7回転教えてくれないんです」
「4回転が精一杯だよ」
「コーチしてよぉ、前みたいにさぁ〜」
相手が曽祖父とあって何の遠慮もない雪彦だが、崇彦は困り顔。
「よいしょって、飛べないものかな」
「それに必要な体力もタイミングもわからないのに、いきなり教えろなんて」
「5回転教えてくれたじゃない」
「およそ100年後に、ね」
「ユキちゃん、おじいちゃんコーチ困らせちゃだめだってば」
呆れ顔のマオが雪彦を崇彦から引き剥がした。
「マオは7回転飛ばないの?」
「伝説は伝説です。もっと地道で確かな方法があるはずだし、今は私、それどころじゃ・・・」
「熊川さんに頼めばいいんじゃない?」
大輔がひょっこり顔を出した。
「あの人、氷の上のスピードなら8回転ができるっていってたよ」
「陸上の垂直跳びと氷上のジャンプは使う筋肉が違います、大ちゃん」
218スポーツ好きさん:2010/11/06(土) 16:09:13 ID:rNahj8G5
「おーい、コーチのじっちゃーん!オラのジャンプも見てくんねえか?」
「だーかーらー!100年後ならいざ知らず、まだ4回転さえ苦戦してる今の僕に
5回転なんて教えられるわけないだろ!?」
「えーっ、今でもできるんじゃねえのか?ワイヤーをオラの背中に吊るしてさあ。
ちょうどいま、あっちのリンクでジョニ子のおっちゃんもやってるみたいにさ」

お っ ち ゃ ん

「このアタシを・・・伝説の救世主(になるつもり)のDIVAに向かって
おっちゃんですって工工工エエエェェェエエエ工工工!!!おだまりこのクソガキ!
信成、あんたの曾孫なんでしょ!DIVAに対する礼儀くらいちゃんと教えなさいよ!」
「おっちゃんをおっちゃんって言って何が悪いんだよー!」
「ジョニー、ワイヤー吊ったまんまでリンク走り回ったら危ないでぇ!」

そんな光景をリンクサイドからボーゼンと見つめているのは
アメリカで宇宙船に乗り込んだエヴァン・リューキン・ギャヴァン一行。
「なんだありゃ?」
「あー、言ってみれば救世主育成計画ってとこかな?」
「なんだそりゃ?」
219スポーツ好きさん:2010/11/07(日) 12:09:07 ID:Zlz9r2O4
練習の様子を見ていたアモ君が、ふと思い当たって、一息ついているアレクセイに質問した。
「月の重力でなら、7回転ぐらい簡単じゃないの? 確か、月面リンクで10T飛んだって……」
「ああ、それがね。不思議なことに、月でも7回転だけはうまく行かないんだ」
少し残念そうに、アレクセイは説明を始める。

「重力が6分の1だと、感覚がずいぶん変わるのは想像つくよね?
特にジャンプの軸の制御には、地上とは違う難しさがあってさ。
まあ、地上で4回転以上飛べてれば、慣れれば6回転までは飛べるようになる。
でもその上はなぜか、一気に8回転以上にしないと、バランスが崩れてまともに降りられない」

「アハン、スケーター仲間内で『7回転の谷』って呼んでるアレだね。
僕も月でなら9Tまで飛べるんだけど、7回転はどうしても駄目だったな」
ステアハンもそう付け加えるが、アモ君はまだちょっと諦めきれない。
「じゃあ、もっと別の重力設定にすれば7回転も……」
そのやり取りを聞きつけたジョニーGが、とどめの一言を投げてゆく。
「それじゃ預言の実現にならないわ。試合だったら、ドーピング並の反則になっちゃうし」
220スポーツ好きさん:2010/11/08(月) 22:04:36 ID:O5AgZRNG
一方その頃。
ワーニャ「…改変派は何やってるんだ?急にスケートの練習始めたりして?」
アロエリーナ「7回転を跳ぶ練習してるよ!『ICE』の預言を実現させるらしいよ!」
ユッカ「『ICE』の預言って言うとあの救世主の事ですよね?本当に起こりえるんでしょうか?」
ナターシャ「月面でも7回転は跳べないのに地上でやろうだなんて、相当難しいわよ?」
反対派の子孫達が話しているのを聞いてふとある事にルタイが気がついた。
ルタイ「なぁ…思うんだが、その救世主とやらは7回転を跳ぶらしいが、
   具体的に7回転を跳んだらどういう奇跡が起こるんだ?」
ルタイの疑問にう〜んと考え込む子孫達。
「それが…具体的には何も解らないんです。預言の文書も破損が酷くて殆ど読めないし…」
「…俺が言うのも何だが、もうちょっと確実な方法考えたほうが良いんじゃないか?」
やれやれと言った様子のルタイ。まぁ気持ちは解るぞ。
221スポーツ好きさん:2010/11/08(月) 22:50:06 ID:L7qJjPwB
コンコン、ガチャ・・・ここは2110年の時空警察オフィスだ。
「失礼いたします、長官。これは・・・相変わらず暑い部屋ですな。
外界はまだ40度台だというのに、長官は長袖で大丈夫なのですか?」
「クールビズだよ警部、悪いかね?さっそく報告を頼む」
「はっ、ナスティア・リューキン暗殺計画ですが、失敗に終わったようです。
実行部隊15名が全員タイムマシンで強制送還されてきました。
ライサチェック総監も未だに異変はみられません」
「くそう、そのためにモロゾフを送ったというのに、裏切りおって。
財団経由で退職届まで送りつけてきおった。もう時空警察は用済みだとな。
マオ捜査官とはまだ連絡は取れんのか?」
「通信は途絶えたままです。しかもどういうわけか時空航路を閉ざしたままでして
こちらも新手を送ることができません」
「ううむ、あのマオ君までが我々を裏切るとも思えんが。
ライサチェック、プルシェンコ、わしの障害になる存在があってはならんのだ。
それにノビタ・オダ・・・彼には歴史改変のため役に立ってもらったが、
その証拠はぬかりなく"消して"おかねばな。
警部はどうにかして新たな捜査部隊を送り込む手はずをつけてくれたまえ」
「はっ、では失礼いたします」ガチャ、コツコツ・・・

ドアの開閉と同時に身をすくめる長官。室温は35度なのだが。
「うう、わしは寒いのは嫌いなんじゃ。今くらいがちょうどいいんじゃ。
これ以上世界を涼しくされてたまるものか。何としても阻止してみせるぞ!」
222スポーツ好きさん:2010/11/08(月) 23:29:51 ID:qCUD8oL4
なんだか新たな波乱の予感だけど、ここでお知らせよ!
スレ>>221の段階で198KB、残り約302KBよ!
というわけでお知らせ役はご先祖様譲りのつぶらな瞳がチャームポイントの
パトリシア・チャンでした<◎><◎>♪
…ていうか、アタシの出番これで終わり?せっかく救世主目指して7回転練習中なのに〜!
そうか、皆アタシを恐れてるのね、うふふwそれじゃまたね〜♪
223スポーツ好きさん:2010/11/08(月) 23:57:51 ID:RZ75ppim
しばらく後。長官の机の上で、小さく着信音が鳴った。
「長官殿、私です」
「ああ、君か。警部から連絡が行ったのか」
「はい、事情は伺っています。時空航路が閉じられて、人間を送れない状態になっていても、
アンドロイドなら支障はないと思いますが。戦闘にも耐える軍用タイプの用意があります。
万一の場合には、自動的に崩壊・消滅する設定にしておけば、証拠も残りませんよ」
きびきびと告げる男の言葉に、長官は表情を緩めた。
「至れり尽くせりだな。わしの計画も、君の協力があってこそだ」
「プルシェンコ財団を排除するためなら、喜んで。あそことの結びつきは、
当研究所にとっての癌ですからね。代々の所長は、フィギュアスケートなんぞに魅入られて
大喜びで資金援助を続けてきましたが、そんな悪習も終わりです」
「そうだな。現所長は病気療養中。もうじき副所長の君が、めでたく昇格だ」
224スポーツ好きさん:2010/11/09(火) 19:05:37 ID:+Xm7Lr52
場所は戻って宇宙船内。
リンクから少し離れた部屋で、テン君・佳菜子・ガチ君の3人が並んですやすや眠っていた。
彼らの側には、喧騒を離れてレッドブルで晩酌(?)をするADSLとぬる麺。
「AP、子孫の子…ユッカだっけ。一緒にいてやらないの」
「いろいろ話は聞いてみたいね。けど」ぬる麺はADSLの問いに首を振った。
「自分からそうしてみよう、って気にはならないんだ」
「どうして」
「…アドリアンにも、子供が出来れば解るよ」
曖昧な回答に、ほんの少し不服そうな表情を浮かべるADSLだった。

「そういえば、トマシュはどうしたんだろう? 確か、そろそろ戻って…」
「来てない、な。まだ」

その頃、トマシュは見知らぬ場所で途方に暮れていた。
見たことのない建物。SF映画に出て来そうな人々や乗物。そして何より、とてつもない暑さ!
(一体何なんだよ、ここ!?)
トマシュの腕には、ナタリーが襲われた後に拾ったという……奇妙なブレスレットが巻かれていた。
225スポーツ好きさん:2010/11/09(火) 21:21:43 ID:sZW6lrhR
「ねぇ、真央ずっと気になってたんだけど、なんで時空警察ってスケーターが多いの?」
「一言で言うと『強いから』ですね」
先祖の質問にマオが答えた。
ジョニーGが詳しく説明する。
「時空移動ってものすごい負荷がかかるのよ、だから一般人にはとてもムリなの」
「宇宙開発技師とか、陸上の砲丸投げの人とか・・・あとSUMOUの人とかが兼職しています」
マオがさらに付け足した。
「アメリカついたよー!!」
「行きましょう」
ぞろぞろと宇宙船から降りようと支度をする。

その時

「わぁっ!?」
「ユキちゃん?」
マオが行ってみると、雪彦が腰を抜かしていた。
机の上の、カート・ブラウニングの『ICE』が輝いてひとりでに開き・・・
「止まった・・・えっと、危機リスト!?」
「僕が読む!・・・えっと・・・ナスティア・リューキン、エヴァン・ライサチェック、エフゲニー・プルシェンコ・・・
 ヤナ・プルシェンコ、ナタリー・ペシャラ・・・・・・これって・・・!!!」
「長官一派幹部の政敵の先祖の人たち・・・!?命の危機ってこと!?」
「また一人・・・ノビタ・オダ・・・・・・!?・・・・・・え、まだ・・・」
「見せて!・・・え?トマシュ・ベルネル時空ブレスレットの効果により・・・2110年に飛ばされたぁ!!?」

226スポーツ好きさん:2010/11/09(火) 21:44:53 ID:84z3KogG
見慣れない光景のなかで混乱しつつもトラは先程までの自分の行動を思い出そうとした。
確かここに来る直前、ナタリーが拾ったブレスレットに見覚えがあるような気がして、
実際に手に取って調べていたはずなのだが……気がついたらここに立っていた。
やはり何が何だか解らないままふと上を見上げると、そこには空のかわりに一面の巨大な天井が広がっている。
「何だこりゃ?…全く空が見えないじゃないか?」
「…ドーム都市なんだから当たり前だろ?これがなきゃ暑さと紫外線が酷くて外に出れないよ」
思わず呟いたトラの一言を聞いた通りがかりの人が答えた。
「ドーム都市?…この場所が?」
「何言ってんだ?この温暖化で人間が住めるとこなんてドーム都市しかないだろう?
…もっとも、俺の爺さんの若い頃にはここももっと涼しくて冬には天然の雪や氷が大量にあって、
外でスケートができたらしいけどな」
(温暖化にドーム都市……まさか…?)
そう言えばこのブレスレット…見覚えがあると思ったら、末来の子孫達が身につけていた物によく似ている。
と言う事はここはもしや…?トラは頭の中に浮かんだある可能性にぎょっとした。
「アンタここは初めてか?もしかして財団に援助の申込に来たなら本部はあそこだよ」
通行人は街の中でひときわ目立つ大きな建物を指した。
「ほら、ロシア語が解らなくても大丈夫なように英語でも書いてるだろ『プルシェンコ財団』って」
227スポーツ好きさん:2010/11/09(火) 23:29:02 ID:ftkjqc+d
「…というわけなんです」
雪彦が『ICE』に現れた危機リストの内容を一行に話すとどよめきが起こった。

「なんだ、あいつらアタシで失敗したにも関らずまだ懲りないのか?」
「全く…無駄な事はさっさと諦めたほうが良いんじゃないか?(というより諦めてくれ…頼む!)」
呆れた顔で聞いているリューキンと自分も名前が載っているので内心穏やかでないライサ。
「そりゃ政敵のライサチェック総監のご先祖ですもん。今度は長官ももっと強い連中を送りつけてくるわよ」
ジョニーGの一言に真っ青になるライサ(だが黒くてry)

gkbrしてる黒い人はともかく、危機が迫っている仲間を守らなければ。
「なぁ、思うんやけどナタリーやヤナも宇宙船に呼んだほうがええんちゃうか?」
「そうだね…ここにいた方が安全かも。フィリップはナタリーに連絡してくれ。ヤナには僕が知らせるよ」
携帯を取り出してヤナと連絡をとるプルの傍らで、ガチ君とアレクセイが心配そうに見つめていた。
228スポーツ好きさん:2010/11/11(木) 09:02:53 ID:KkqHMXb5
さて2110年のプルシェンコ財団。
サーシャ「来たぜ来たぜ、モロゾフ元刑事に当局からの出頭命令だとさ」
ブルマ「それって取り調べってこと!?モロゾフはどうなるの?」
アンナ「すぐ逮捕ということはないと思うけど…間違いなく時空警察長官の差し金でしょうね」
セルゲイ「あの長官をここまで手玉に取ったんだ。覚悟の上さ。」
ブルマ「嫌よ、モロゾフが捕まるなんて!私のコーチよ、なんとかならないの?」
一時は敵対していたのも忘れ、セルゲイの身を案じる一同。

…と、そこへ珍客登場。
「ハロー、財団の入口で脱水症状の行き倒れを拾ったんだけど〜」
「パトリシア・チャン!いつロシアに来たの?」
高祖父譲りのつぶらな瞳を持つカナダ娘が背負ってきたのは、
慣れぬ22世紀の気候にあえなくダウンしたトマシュ・ベルネルであった。
229スポーツ好きさん:2010/11/11(木) 21:26:38 ID:jkI/zvHO
「パトリシア、一体急にどうしたの?」
「ウフフ、聞いたわよ〜7回転の救世主の話!総帥やバンビ達だけじゃなくてノビタまで
練習してるって聞いて急いでカナダから跳んできたのよ〜!」
「…でもあなた試合では5回転までしか跳んでなかったんじゃ?」
ブルマの問いにパトリシアの自称つぶらな瞳の瞳孔がキラ〜ン!と見開かれる。
「何言ってるのよ〜アタシは試合で跳ぶ必要ないだけよ。当然練習じゃ6回転もやってるわよ〜?
まぁアタシが本気出せばすぐに7回転マスターしちゃうから、他の皆は残念だったわね〜w」
「…なんかちょっとムカつくんだけど(怒)」
「まあ、とりあえず7回転を飛ぶ意思はあるようだな…」
一人その気になってるパトリシアをよそにひそひそと話すブルマとモロゾフ。

その傍らでダウンしているトマシュを介抱するアンナ。
サーシャはPCのデータベースで照合する人物を探している。
「サーシャ…この方は……」
「ああ確認した。間違いなく21世紀のスケーターのトマシュ・ベルネルだ。でもどうやってここへ…?」
「見て、時空ブレスレットをつけてるわ!きっとこの影響ね」
「いろいろ話を聞く必要があるが、まずはこの状態をどうにかしてからだな」
サーシャはひとまず財団の医療センターに連絡を取った。
230スポーツ好きさん:2010/11/12(金) 00:35:46 ID:UCTmYczy
一方、2010年の宇宙船はアメリカでライサチェク一族を拾った後
直ちにロシアのヤナのもとに向かうところだったが、
急にマオの時空転送ブレスが光りはじめた!
「あ、プルシェンコさん!ちょっとだけNYに寄り道してもらえますか、今すぐに!」

「いました!彼も時空警察官なんです。こっちに来てるなんて知らなかった・・・」
なんとNYはハーレムの街角で素っ裸に銀のまわし一丁、頭は大銀杏という姿の
SUMOUレスラーがヒッピー連中に追っかけられている。早速助けに入ったマオ。
「ドルジ君!こんな所で一体何してるの!?」
「こ、これはマオ捜査官、助かりまs・・・ああっ、ナスティア・リューキンも!?」
「こいつ、アタシを襲撃した一味の仲間だよ。まだやる気かい?」
「いえもうこりごりです長官の命令でも二度としませんから許してください(泣)」
「やっぱり・・・長官の命令だったのね?」
「はい。その後もナタリー何とかという人物も攻撃命令が出て出動したんですが、
その際に現地でブレスを失くしたらしく、帰還できずに困っていたところです」

というわけで21世紀の宇宙船にも新たなメンバーだ。早速自己紹介。
マオ「大相撲出身で私の部下のドルジ君です。何と彼のご先祖様は・・・」
真央美姫大輔信成崇彦「どうみても朝○龍の末裔です。本当にありがとうございました」
ドルジ「ごっつあんです」
231スポーツ好きさん:2010/11/12(金) 22:17:48 ID:s2ieivSW
「あら?パパからメール?」
デトロイトでスケーターからの情報を待っていた有香。

『光彦さんが、満州時代にクリプトン星の人からもらったという書物が発見された。
 崇彦たちの役に立つかどうかはわからないが、参考にはなるかもしれない。
 どうやってそっちに渡せばいいか、折り返し、連絡待つ。 
                                   のぶお』

練習ついでにジェレミーを叩き起こして取りに行かせようかと思ったが、それは止めた。
「夫に取りに行ってもらいます。何かどうもスケーターの安全が保障されてない感じです。
 パパも変に動かないでね、有香・・・っと」
送信ボタンを押した。
232スポーツ好きさん:2010/11/13(土) 00:01:59 ID:8BCVdFza
その頃、宇宙船はロシアのプルの家の前に到着していた。

「ここが21世紀に曾お祖父様が住んでた所だね」
アレクセイは家の周囲をキョロキョロと見回した。
「そうだけど、そんなに珍しいものでもあるのかい?」
「うん、周りの景色も22世紀とはだいぶ違うしね。…でも僕が子供の頃に爺が財団の仕事で
ロシアに来る時にはよく僕とアンナに曾お祖父様の事や21世紀の話をしてくれたんだよ」
そう言いながら崇彦を見るとアレクセイは懐かしそうに笑った。
(え?僕がアレクセイさん達に昔話…?なんか想像できないなぁ…)
崇彦は何だか自分が物凄く歳をとったような妙な気分になってしまった。

「…と、とりあえずその話はまた後で聞きますんで、ヤナさんを迎えにいきましょうよ」
「そうだね、僕らが着くの待ってるって言ってたしね」
玄関のドアに手をかけたところで、ふとプルの動きが止まった。
「曾お祖父様、どうかしたの?」
「いや……なんでもないよ。ひとまず中に入ろう」
233スポーツ好きさん:2010/11/13(土) 21:28:19 ID:NYPeeftu
「・・・気づかれたか?」
「いや、そうだとしても、奴らに何ができる?丸腰じゃないか」

「あの3人は、ね!」
カチャ
「国際歴史保守条例違反および歴史改造禁止法違反の罪で拘束する!」
「ゲ!!!ジョニーG!!」
「マオ刑事まで・・・お前はこちらの人間じゃなかったのか!?」
「私は歴史改変全般に反対です。長官であろうと誰だろうと絶対許さない」
「くそっ!こうなったら・・・」
「4F!」
「ティラミス美味しいよっ!!」
「バナナ(冷凍)くらえ!!!」
「かなこタンバリーン!!!!」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「どすこい!!!」


「ねぇ、外騒がしくない?」
「気にしなくていいよ、ヤナ。早く宇宙船に避難して」
234スポーツ好きさん:2010/11/14(日) 10:56:48 ID:EBzZn1l/
その頃、モスクワ。
「いやぁ、チンピラに絡まれたて聞いた時はめっちゃ焦りましたわ。
けど今はこの通り、ピンピンしてまっせ。さっきまでトマシュもおりましたし」
プル宅に向かう途中で宇宙船を降りたロロを、ペシャラ&ブルザが笑顔で迎えていた。
「心配してくれはったみたいで、ほんま申し訳ありません」
「謝らんでもええよ。無事やったならおっちゃんそれだけで嬉しいから」
ぺこっと一礼したナタリーの頭を、ロロががしがしと撫でる。
「でー、…トマシュが急にいなくなったんやて?」
「あれ、ご存知やったんですか。ええ、ナタリーが拾った腕輪を」
「拾ったんちゃう、ファビアン」説明しようとしたファビアンをナタリーが制した。
「警察に突き出す証拠になるかと思って、もぎ取ったんです」
「そ、そうなん…」ナタリーの意外に逞しい発言に、思わずたじろぐロロだった。
「それをトマシュに見せたんですけど、しばらく触ってるうちに……突然、姿が消えてしもて」
不安気に俯くナタリーの横で、「光に包まれた、言うてましたわ」とファビアンが補足する。
「なるほどなぁ。ま、とにかく。詳しいことは後で話すから、ちょいとナタリー借りてもええか?
色々あってな、一人にさせとくには危険なんや」
「あ、それやったら俺も行きます! ナタリーは大事なパートナーですから」
「よし、じゃあ一緒に行こか!」二人の手を取り、ロロはプル宅へと跳んだ。
235スポーツ好きさん:2010/11/14(日) 23:10:02 ID:S2g8Nw15
その頃宇宙船内では、信太がちょっとした騒動を起こしていた。
「なんでオラは出ちゃいけないんだよ?オラも皆と一緒にあいつ等をやっつけるんだ!」
「信太、忘れたの?貴方も狙われてるのよ?」
「ノビタ落ち着いて考えるといいよ!今はおとなしくしないといけないよ!」
「でも…!」
ナターシャとアロエリーナが説得するが信太は納得しかねる様子だ。
「信太、みんなの言う通りや。外でみんなが頑張ってるのは狙われてる人達を守る為や。
それやのにおまえが出て行って何かあったらそれこそ向こうの思うツボやで?」
「曾じいちゃん…」
「そのうち信太が頑張らなあかん時が来る。でも今は違う、今は我慢する時や…わかるな?」
信成に諭されて考え込む信太。
「…わかった。今はそうしなきゃいけねぇんだな?ならオラはここでじっとしてる。
その代わりオラが出番の時はみんながビックリするぐらい暴れてやるからな!」
「そうや、それでこそ僕の曾孫や!」
「アイタタ…!曾じいちゃん痛いよ〜!」
信成は笑って信太の頭をくしゃくしゃと撫でた。
236スポーツ好きさん:2010/11/15(月) 21:13:51 ID:kxtYEXTJ
「プルシェンコさんたちを守れたのは良かったけど・・・」
「ちょっとボコし過ぎたんじゃないの?」
完全にのびてしまった時空警察とおぼしき連中。
「死にゃぁしねぇし、いいだろ」
「おまけに、おでこに肉って書いとこ」
定番のいたずらをする大輔・・・。
「じゃ、強制送還っと!」
強制送還のための銃をマオがぶっ放した。



「・・・・・・」
2110年時空警察オフィスでは、長官が首を捻っていた。
彼らは確かに、自分が送り込んだ刺客で、返り討ちにあって送還されてきた・・・。
それは、わかる。
しかし・・・
「なんだこの額の文字は・・・『内』?」

237スポーツ好きさん:2010/11/16(火) 23:47:22 ID:D1X/dIKJ
場面は現代に戻って、末来からの刺客を退けたスケーター達。
『ICE』の危機リストに載っている人々も宇宙船に避難してきて、ひとまず事態は落ち着いた。
だが問題はまだ残っている。

ジョニ子「ヤナもナタリーも避難してきたし、残ってるのはトマシュだけよねぇ?どこに行ったのかしら?」
ヤグ「ナタリーの話じゃ変な腕輪を調べてるうちに消えちまったらしいが」
バトル「光に包まれて消えたって事らしいけど、それってやっぱり…」
雪彦「『ICE』の記述どおりトマシュさんは22世紀に飛ばされたんでしょうか?」
プル「その可能性は高そうだね。それにしても22世紀かぁ…迎えに行くにしても結構遠そうだね」
う〜んと考え込む一同。これはなかなか厄介な問題になりそうだ。

大輔「なぁノブ、こないだの安土城と22世紀はどっちが遠いんだ?」
信成「いや…どっちも結構遠いと思うで(汗)」
238スポーツ好きさん:2010/11/17(水) 19:57:25 ID:XbZj99IA
その頃日本では、信夫と嗣彦が、クリプトン星の書物をチェックしていた。
「最初の方にあるのは、あの星での言い伝え……父に聞いた覚えがある」
「遠い昔の『氷の悪魔』との戦いと、スケートの起源の話ですね」
氷の悪魔、すなわち氷河期の襲来。豊かな湖沼地帯が広がっていた大地は、氷と雪に覆い尽くされた。
寒さと餓えの中、古代のクリプトン星人たちは為すすべもなく、次々に命を落としていった。

そして、伝説はこう語る。その時、滅びに瀕した民を哀れみ、神が「スケート」を授けたのだと。
人々は、刃のついた特別な靴で氷原を駆け、「氷の悪魔」に立ち向かった。
激戦の果てに「悪魔」は打ち倒され、戦利品の毛皮は、皆を寒さから守る衣服となった。
(実際に起きたのは、寒冷地から勢力を広げてきた、大型肉食獣との戦いだったろうか)
戦えぬ者たちも、これまで行けなかった氷原の果てへ赴き、貴重な植物を集めて回った。
彼らはそうして滅びから救われ、氷の世界に適応して生き延びたのだ。

「だからこそ、クリプトン星人は、スケートに深い思い入れがある、と……
おっと、このあたりは現状とは関係ないかな?」
話が脱線した、と頭をかく嗣彦に、信夫も思わず苦笑する。
「そうですよ、氷河期だなんて、地球とは逆じゃないですか」
239スポーツ好きさん:2010/11/17(水) 21:07:32 ID:BHXxMj5c
「お邪魔しま・・・散らかってますね」
「あぁ、ジェイソンか」
「資料のコピー、取らせてもらいますね」
「何が何に使えるやらさっぱりわからないが」
信夫が少し笑った。
「崇彦たちから何か聞いていませんか?」
「さぁ・・・どれも現実味のない話のようで・・・有香が聞いているのは、2つのクリスタルとか、7回転とか・・・」
「7回転か・・・想像もつかない未来だ」
「私たちのときは、男子は3回転が目標でしたからね」
「それが今では4回転で戦う時代!」
オジサマ2人に笑顔がこぼれているのを微笑ましく見ながら、ジェイソンは資料を探した。
「・・・・・・ん?何だこの紙・・・『未来の子供たちへ』・・・?」
240スポーツ好きさん:2010/11/17(水) 22:00:18 ID:iSXe5Z4B
その頃2110年の世界では、暑さにダウンしていたトマシュが目を覚ましつつあった。
(あれ?…俺何やってたんだっけ…?)
頭痛でまとまらない頭の中の記憶をどうにかつなぎ合わせていく。
腕輪を触っているうちに飛ばされた見知らぬ場所。真夏のような暑さのドーム都市。
そして、ひとまず目指した街の中でひときわ目立つ建物に書かれた名前。
(そうだ、確かプルシェンコ財団の入り口まで来たところで気が遠くなって…!)
おもむろに目を開けた途端、視界に広がっていたのは…。

<◎><◎>キラ〜〜ン!

「うわぁぁぁぁ!!!!」「きゃあああ!!!!」
室内に響く二つの悲鳴。
「ちょっと〜!いきなり大声出さないでよね〜!」
「そっちこそ大声出すなよ!びっくりしただろ?…っておい、おまえもしかして?」
「ウフフ、解ったかしら?まぁ、このつぶらな瞳を見れば当然よねぇ〜」
目の前のパトリシアの顔をしげしげと見つめた後トマシュはポツリと呟いた。
「…パトリック、おまえそういう趣味もあったのか?」
「違うわよ〜〜〜っ!!!あんた乙女に向かって失礼じゃないのよ〜〜っ!!!」
本当にパトリシアは曽祖父によく似ていたのだった。
241スポーツ好きさん:2010/11/17(水) 23:48:27 ID:/H2hWvfh
♪♪♪〜 『着信 体育学部・○×研究室』
「(大学から?なんだろ・・・)はい、もしもし?」
携帯に出た崇彦の顔色が数秒後に変わった。
「えええええ!!!まじですか!!!・・・・・はい・・・・はい・・・今すぐ戻りますので!」
携帯を切った崇彦は急いで身支度をすると宇宙船のメンバーに叫んだ。
「個人的緊急事態!!ちょっと俺大学に戻るから!!!」
「え、崇ジィ!」「名古屋行くの?」「私も〜!」「活躍〜♪」「ちょっと待ちなさいよ!」「あんたもきなさい!」「僕を巻き込むなぁあああ!」


そして5分後
「・・・・君たち・・・・なんで勝手についてきてるの?・・・・・」
大学の門の前で息を整えていた崇彦の後ろに落ちてきた面々、
雪彦・佳菜子・未来・アモディオ・ジョニ子・ジョニーG・リッポン
を見てうなだれる。

「だって〜こっちのほうが目立ちそうなんだも〜ん!」
能天気に答えるジョニ子にめっ!!をするリッポン。
「いったい何があったの?」
「大学のコンピュータがハッキングとウィルスにやられて全滅・・・」
「工工工エエエエエエェェェェェェ(全員)ェェェェェェエエエエエエ工工工」
「卒論データとかバックアップとってあるけど、大学のデータがぶっ飛んじゃったら復旧までいつまでかかるか・・・」
「卒論!」
その言葉に雪彦が反応する。
「どうかしたの?」
「まさかとは思うけど・・・・時空警察の妨害かもしれない。」
「ええ!マジで!」
「詳しいことはここじゃ・・・・」
「一先ずラウンジに移動するか・・・・」
崇彦とお騒がせオールスターズは大学の構内へ入っていった。
242スポーツ好きさん:2010/11/18(木) 01:03:32 ID:4U66gXm3
「たかちゃん大丈夫かなぁ…」
「とりあえず『ICE』のリストにはあいつ等は載ってないし、さしあたっては大丈夫なんじゃねぇか?」
「でも何だか大急ぎだったねぇ。厄介な事にならなきゃ良いけど」
真央・ヤグ・プルが慌てて飛び立った崇彦達を案じていると、傍らで通信機の呼び出し音が鳴った。
「…アンナからだ!向こうでも何かあったのかな?」
急いで通信機を操作するアレクセイ。
「もしもし、僕だよ……え?何?パトリシアが来てるって?…彼女どこで話を聞きつけたのかなぁ?
……あ、やっぱり彼はそっちに行ってるんだ!」
「トマシュが向こうにいるのか?!」
22世紀からの知らせにざわつく宇宙船組。
「あいつ無事なんか?やったら通信で話ができるやろか?」
通信中のアレクセイにロロが尋ねる。
「見つかった時は脱水症状起こしてたけどだいぶ回復したらしいよ。でも今ちょっと問題が起きてて…」
「問題って、何か起こったんか?」
何かよくないことが起きたのか?!緊迫する宇宙船内。しかし。
「『パトリシア・チャンにとっちめられてて通信に出られない』だって。彼女の気に触る事でも言ったのかなぁ?」
やれやれと肩をすくめるアレクセイと思わず脱力する宇宙船組。
…まぁひとまずトマシュの無事は確認できたので良しとするか。
243スポーツ好きさん:2010/11/21(日) 10:43:39 ID:h1ig36nr
ピリリリリ・・・
「失礼」
マオの携帯が鳴り響いた。
「はい、もしもし?」
『マオ君、大変だ。長官め、なにやら怪しげなロボットを時空装置に送り込みやがった』
「えぇ!?室伏先輩、それ、本当ですか!?」
『あぁ、装置の防犯カメラにはっきり残ってた。今映像解析を進めてるが、絶対に身一つで動かないでくれ!』
「わかりました・・・あの、そのロボットの行き先、わかりませんか?」
『2010年であることは確かだ・・・。マオ君、気を緩めるんじゃないぞ。歴史を守るんだ!』
「はい・・・」
ピッ・・・。
「みんな、」
「聞いた。爺たち、多分・・・きっと危ないよね」
「ジョニーGだけじゃ不安だなママン」
「それに、あの方もいらっしゃる・・・リストにこそなかったけれど、狙われたっておかしくない」

「仕方ねぇ!俺が行って来る」
「え、エルビス?」
「未来の連中に一発喝入れてやろうと思ってたところだ!」
「私もいくよ!大先生を守らないとダメだよ!」
ストイコに続き、アロエリーナも手を上げる。
「じゃぁ俺もだ」
ワーニャが続いた。
「・・・わかった。じゃぁ、これ渡しておくわ」
マオが銃を3式、3人に渡した。
「元の時代に返すレーザーを放つ銃です。間違って2010年の人に当たっても効果はないから安心して」
「ありがとう、マオ」
「そのかわり!必要以上に歴史をいじるのはダメだからね」
「俺たちは反対派だぜ?」
「・・・信用してるわ」
244スポーツ好きさん:2010/11/21(日) 23:09:13 ID:Qt0egqFR
一方その頃…

「いくらアタシが曾おじいちゃん似だからって、失礼じゃないのよ〜?!」
「…だから〜!パトリックと見間違えたのは謝るって言ってるだろ!!」

「…パトリシア、もうその辺にしておきなさいよ」
「そうよ、トマシュさんだって急にこっちへ来て驚いてるでしょうし」
パトリシアに睨まれているトマシュにブルマとアンナが助け舟を出した。
「そもそも目が覚めた途端にお前のその目をどアップでみりゃ誰だって……おっとっと」
サーシャはそう言いかけてパトリシアの瞳孔が更に開きそうな気配を感じて、慌てて口を噤んだ。
「あらいやだ。気絶したままだからどうなったのかと思って覗き込んだだけじゃないの!
…まぁ良いわ。いつもならコテンパンにするトコだけど心の広〜いこのアタシに免じて許したげるわ」
(た、助かった…!)
それを聞いてトマシュがホッと胸をなでおろしたのは言うまでもない。
245スポーツ好きさん:2010/11/22(月) 00:31:07 ID:wnca+g62
宇宙船にて。ロロはため息をつきながら、出発しようとするストイコに言う。
「ま、お前のことやから大丈夫とは思うけど、無茶はせんといてな」
「分かってるさ。勇気と無謀とは違うんだ」
「……それ、ホントに分かっとる?」
「何が言いたいんだこら」


一方、崇彦たちは大学のラウンジに着いた。
「へぇ、新しいベンチが入ったんだ……」
腰掛けるのに丁度いい、四角い物体が4つ、ラウンジで銀色に光っている。
「じゃあみんな、適当に座って」
「「「「「「「はーい」」」」」」」
なお、大学側は、ここに新しいベンチなど設置していない。
246スポーツ好きさん:2010/11/22(月) 08:37:29 ID:qocvk1w8
皆が着席した、その瞬間。
物体の表面から銀色の線が大量に伸び上がって、一行の腿と脛を縛り付けた。
「きゃっ!」「やだ、何よコレっ!?」
太いワイヤーのようなそれはさらに長くなり、あっという間に上半身までぐるぐる巻きにされる。
30秒も経たないうちに、スケーター達は座ったまま身動きが取れなくなってしまった。
「痛い……苦しいですぅ…」
「くっ… 誰の仕業よ、出てらっしゃい!」
中でも未来とジョニーGは相当に強く拘束されているようで、未来は抵抗も出来ずにぽろぽろ涙を流している。
しかし、他のスケーターも助けようにも助けられない。
「ごめん、俺が皆に座れなんて言ったからだ…」
「バカ! ウジウジしてたってしょうがないでしょ!」
「そうだよ、崇じい。まずはこれを何とかしなきゃ」
唇を噛んで項垂れる崇彦を叱咤するジョニ子と雪彦。しかし、どうにもならないことに変わりはない。

静まり返ったラウンジに、乾いた足音が響いた。
一行は同時に振り向き、その主の姿を見た…
247スポーツ好きさん:2010/11/22(月) 11:41:56 ID:a6DutVq1
「初めまして皆さん。」
黒服にサングラスをかけた男が前に進み出て挨拶をした。
「アレックスね!なんて事してくれるのよ!」
ジョニーGが毒づくがアレックスはニヤニヤするばかり。
「単刀直入に申し上げます。小塚崇彦さん、貴方が手がけている卒業論文を破棄していただきたい。
そのかわり、あなたが無事卒業できるように私たちが全力でサポートいたします。新たなテーマをご用意して。」
「やっぱりそうか・・・・・」
雪彦は唇をかむ。
「なになに?どういうこと?」「説明してよ!」
周囲が騒ぎ始める中崇彦はゆっくり顔を上げた。
「クワドジャンプを完成させること・・・・そのトレーニング方法を見出すこと・・・それが今の貴方たちにとって都合が悪いと言うことですね。」
「あまり時間はありませんよ。何せ捕らわれているのは君たちだけじゃないのですから。」
「ええっ・・・・・」
そういえばラウンジには自分たちの他に誰も見当たらない。いったい何処へ・・・
「学内にいらした皆さんにはあちらの建物の中で待機していらっしゃいますよ。今日も最高のコンディションですから安心してください。」
アレックスが指差した方向にあるのは学内にあるアイスアリーナ!
「・・・・・・ホントに時間はないみたいだね。」
「はい、それでは返事をお願いします。」
248スポーツ好きさん:2010/11/22(月) 13:16:41 ID:iekvNIaa
「「「「返事は"ノー"!!!!」」」」
突然空中から手榴弾のようなものが投げられ・・・たが
それはスケーターたちの身を傷つけず、謎の銀の物体のみ木っ端微塵になった。
マオから銃を託された救出隊たち、何とか間に合ったようだ。
「全く、勝手に行動するからだ。手間のかかる奴らだぜ」
「さあ助けに来たよ、皆今のうちに体勢立て直すといいよ」
「あれ、一人増えてないか?お前さっきまでリンクで拘束されてただろ」
「はい、羽生結弦です。先ほどはありがとうございました」
どうやらリンクに拘束されてた人々も救出された模様。しかしだ。
「結弦君、こちらこそ助かったよ!でもどうして中京大に?」
「やだなあ、崇彦先輩に呼ばれたから来たんじゃないですか」
「え、僕は呼んでな・・・」

「そう、呼んだのは私です。あなたも我々の処刑リストに入っているのでね」
アレックスの背後には銀色ロボットたちが群れをなしている・・・・・・
249スポーツ好きさん:2010/11/23(火) 00:29:06 ID:oLDimXoW
「えっ? 処刑リスト?!」
驚きで固まる結弦に、数体のロボットが一気に迫ってきた。
「させるかっ!」
彼の前に飛び出したストイコが、先頭の二体をスプリットで左右に蹴り飛ばす。
そのまま連続バタフライで、向かってくるロボを次々に蹴倒しながら叫んだ。
「ぼやぼやすんな、来るぞ!」

ロボットの群れが一斉に動き出し、たちまち乱戦になる。
どうやら、経験値の少ない若手から狙うよう、プログラムされているようだが……
だからといって、フィギュアスケーターを甘く見てはいけない。
「痛かったんだからね! お返しです!」
「こんな所で負けられません!」
「黙ってやられると思うなっ!」
未来、佳菜子、結弦が同時にビールマンスピンを繰り出し、迫るロボを吹っ飛ばした。
250スポーツ好きさん:2010/11/23(火) 16:38:28 ID:LgIBJqLT
スケーター達は戦闘ロボを次々と倒していくが、いかんせん相手の数が多い。
「このままじゃラチがあかないわね…こうなったら、あれを使うわよ!!」
「あれってまさか…?」
ジョニ子の言葉に驚くリッポン。
「まさかのそれよ、だってアタシは伝説の救世主(になる予定)ですもの。まぁ見てらっしゃい!」
ジョニ子は自動的に向かってくるロボット達の前に立ちはだかる。
「今こそ特訓の成果を見せてあげるわ!……必殺の七回て〜んっっ!!!」
勢い良く飛び上がるジョニ子。その時リッポンがはたとあることに気付いた。
「あれ?でも練習ではずっとワイヤー着けてたんじゃ・・・」
「きゃああああ〜〜〜っ!!!バランスがぁ〜〜〜っ!!!」
リッポンが言い終わらないうちにワイヤー無しでとんだジョニ子は>>214のプルの指摘どおり、
高速回転状態でバランスを失って本人の意思とはまるで無関係な方向へ飛んでしまった。

「だ、大丈夫ですか?!すぐ助けに…」
「いや…意外と大丈夫かも知れねぇぞ?」
慌てるリッポンだったが、ストイコに言われて見てみると、めちゃくちゃな方向へ跳んだ煽りで
その周囲にいるロボットが巻き込まれてはなぎ倒されていたのだった…
251スポーツ好きさん:2010/11/23(火) 16:57:20 ID:1/ZLblS/
「ユキヒコ、お前、爺先生を連れてどっかに隠れてろ」
「え、でも・・・」
ワーニャの言葉に戸惑うのは、崇彦自身。
「あーもう、崇じぃに何かあったら、僕はどうなるのさ・・・」
「でも、みんなをこんなことに巻き込んでおいて、俺だけ・・・」
そのとき、どこからか静かな声が聞こえた。
「雪彦君の言うとおりですよ」
「!!!!!!!!」
崇彦の顔が一瞬にして青くなり、その場にさっとしゃがみこむ・・・次の瞬間、

シュッ・・・・・・
ガッシャァーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!「ぶぐぉっ!?」

ぶっ飛んできた何かがロボット数体とアレックスを薙ぎ倒した。
・・・パイプ椅子!?
「どこのどなたか存じませんが、私の愛弟子にとんでもないことをしてくれましたねぇ」
みんなが椅子の飛んできた方を振り向けば、恐ろしい笑顔を浮かべている信夫が佇んでいた。
同じく怒り心頭らしい、静香、武史、岳斗、友加里、樹を従えて・・・。

「信夫先生ごめんなさい信夫先生ごめんなさい信夫先生ごめんなさい・・・」
「あ、あの・・・何か、崇じぃのトラウマにふれたっぽいよ・・・?」
252スポーツ好きさん:2010/11/23(火) 22:28:16 ID:IKxpvG43
パトリシアの機嫌が直ってひとまず落ち着いていた財団の執務室に呼び出し音が鳴った。
「なんだ?さっき連絡入れたばかりだってのに…」
首を傾げつつもサーシャが通信に出た。
「どうしたアリョーシャ、何かあったか?…なんだって?長官がロボットを送り込んだ?」
「…なんですって?」
「それってまさかご先祖様達を狙ってるってこと?」
緊張が走る執務室内。
「解った。こっちでも調べてみるぜ…言っておくが、くれぐれも無茶な真似するんじゃねぇぞ!」
「どういう事だ?時空警察ってロボットまで持ってるのか?」
通信を終えたサーシャにトマシュが問いかけた。
「俺もそんな話は初耳だぜ。時空回廊が閉じられて人間は過去には行けないから安心してたが、
まさかそんな物まで持ち出すとはな…」
「私が知る限り時空警察にロボットを製造する技術はないはずだが…一体どこから手に入れたんだ?」
「モロゾフに出頭命令出したり、ロボットを送り込んだり、向こうも手段を選ばなくなってきたわね…」
「ああ、俺たちも今まで以上に警戒しねぇとな」
サーシャの言葉に頷く一同。

「いよいよアタシの出番ね!まあアタシの華麗な技にかかれば時空警察なんて目じゃないわよ!」
ここぞとばかりに一人その気になっているパトリシア。
「…だったら良いんだけどな(ぼそっ)」
「あら?何か言った?」「いや…何も……」
また面倒な事になるのは厄介なのでトマシュは黙っておく事にした。
253スポーツ好きさん:2010/11/24(水) 08:49:56 ID:rtigwC8K
一部は残骸と化したロボットの山から、アレックスが起き上がった。それに合わせて、残りのロボットも動きを止める。
「今回はこれくらいにしておきましょうか。形勢不利と知って尚続けるほど、私も愚かではないのでね」
あっ、とアモディオが小さく声を上げた。アレックスの腕や脚からケーブルが飛び出し、バチバチと火花を散らしている。
「そう簡単に逃がさな…」
「では、御機嫌よう」
無傷の片腕を掲げた瞬間、アレックスとロボット達の姿が光に包まれた。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
まだ震えている崇彦の背を、信夫が優しく撫でた。
「君の責任ではありませんよ、崇彦。まずは皆が無事で何よりです」
「ねぇ、ジョニー?」師弟をよそにジョニ子が尋ねた。
「何者なのよ、あのアレックスとかいう奴は? まさかとは思うけどシブタニ兄妹と関係あったりなんて」
「そんなわけないわ、曾祖お…じゃない、ジョニー。あれに先祖も子孫もいるわけがないもの」
「ひょっとして…」
アモディオが言い終わる前にジョニーGが答えた。
「時空警察が裏で造ってた、ロボット刑事よ」
254スポーツ好きさん:2010/11/26(金) 21:46:14 ID:hMd8gk9P
こちらは宇宙船組・・・
「・・・ホント?うん、・・・全員無事だって!」
連絡を受けているアレクセイの言葉に、ほっと胸をなでおろす一同。
「それで?・・・うん、うん・・・え?・・・そう・・・わかった・・・じゃぁ」
ピッ
「どうだって?」
「とりあえず、迎えに来て欲しいって。それから危機リストの再確認も頼まれた」
「よっしゃ、見てくる」
「増えてないといいが・・・」
大輔とライサが確認に向かう。
「アハン、マオ、どこに行くんだい?」
「長官に書いてもらう始末書の作成です」
「マオ捜査官、仕事熱心ですねぇ」
「・・・ドルジ君、始末書はあなたに持って行ってもらうから。間違っても歴史改悪にこれ以上加担したら・・・」
「そうだねぇ、タラソワの指全部に指輪をつけて、思いっきり10発殴られても文句言えないよ」
「おい、そんなことしたらこいつの顔変形するだろ」
「!!!!!」
255スポーツ好きさん:2010/11/27(土) 11:59:48 ID:FYE1ESpz
「大丈夫っす!マオ捜査官のおっしゃる通りにします。
というか、今回長官に出動させられた同僚たちはみんな怒ってるっす。
当初説明された作戦は『ある非力な一女性を全員で取り押さえて
将来子供が産めないよう放射能光線を浴びせまくってから記憶抹消して、
後はアフガニスタンのテロ地帯に放置すれば任務完了』という話だったのに、
現地に行ってみれば指揮官から『やっぱ殺せ』ということになるし、
しかも相手は非力どころか猛jyuふごぁひでぶ!」
「まだ言うかいこの鏡餅レスラーが!(ドガバキボコッ)」

・・・まあそれはさておき、ドルジ刑事短い間だったがお疲れさまでした。
時空航路を開放してまた新手が来られたら困るので、
長官の始末書持参で、マオの銃で強制送還されて2110年に帰っていった。
何やら気がかりな伝言を残して。

「あ、それから日本の男子選手で羽生さんとかいう人がいるっすよね。
今のうちに安全確認しといた方がいいと思いますよ。
スケーターとしてはジョニー刑事の曽祖叔父さん?だかのリスペクトを受けていて
しかも時空警察の設立にも関わった人物ともなれば、
ジョニー刑事が崇拝・・・もとい尊敬するのも無理もないっすからね」
256スポーツ好きさん:2010/11/28(日) 10:32:09 ID:Q2FdrXwv
一段落着いた中京組
「佐藤先生に言われて、クリプトン星の資料整理を手伝ってたんだ」
どうして来てくれたのか?という疑問に武史が説明してくれた。
「そうしたら、真央ちゃんから連絡が来てね・・・間に合ってよかった」
「ありがとうございます」
「ねぇ、中京のほかの人たちは無事なの?」
「あぁ、舞さんと無良君、明子さんが避難誘導してたから」
ひとまず助かったことを喜び合うみんなをよそに、崇彦はPCと睨めっこ。
「・・・・・・ダメだ。完全にパー・・・」
「困ったわね。防犯カメラも機能していないんでしょ?長官を告発する証拠になりそうだったけど」
ジョニーGが首を横に振った。
「論文のデータは宇宙船に置いておきなさい。羽生君も宇宙船組に加わった方がいい」
「みんな、くれぐれも気をつけて。俺たちはまた資料整理に戻る。何かあったら言うから」
「そっちもどうか無事で」
257スポーツ好きさん:2010/11/28(日) 12:02:57 ID:g8/XGbiW
《List of Endangered People》
Nastia Liukin
Evan Lysacek
Evgeni Plushenko
Yana Rudkovskaya
Nathalie Pechalat
Nobita Oda
Yuzuru Hanyu
Takahiko Kozuka
Yukihiko Kozuka
Johnny "G" Weir
...
Tomas Verner
Patricia Chan
...
Remaining : 231 / 500
258スポーツ好きさん:2010/11/28(日) 14:31:24 ID:Yoihe9Zl
「大変だ!リストの名前が増えてるぞ!」
リストを確認しに行った大輔とライサが『ICE』を抱えて大慌てで戻ってきた。
「ええっホント?」「マジかよ?」「一体誰が増えたの?」
一行は驚きつつも新たに増えた名前を確認していった。

「ええっと…たかちゃんにユキちゃんに…結弦君も入ってるの?」
「…ドルジ君の言った通りだわ。それにジョニー刑事やパトリシアまで!」
「いったいどうなってるんだいアハン?」
「もしかして俺達の行動でリストに変化が起きたんじゃないのかママン?」
「…ちゅうことは場合によってはまだ増える可能性もあるんかいな?!」
ロロに一言に宇宙船内は騒然となった。
「…みんな落ち着いてよ、もしこのリストが僕達の動きで変化していくのなら、行動次第では
逆にリストから消える事もあるわけだよね?確かに警戒しないといけないけど考えようによっては
このリストが僕達の今後の行動の助けになるかもしれないよ」
プルの話を聞いて頷く一同。もっともリストに自分の名前が載らないに越した事とはないのだが。
「…危機を避ける為にも、まずはタカヒコ達と合流しなきゃね」
「そうだな、また新手が来るとまずいしさっさと動いたほうが良いぜ」
崇彦達を収容すべく宇宙船は中京大へ急いだ。
259スポーツ好きさん:2010/11/28(日) 21:13:02 ID:2LzOEhf4
「ところでさっきから気になってたんだけど・・・」
危機リストに並んだ名前を見ていたバトルがある疑問を口にした。
「通信でも名前が出てたけど、この「パトリシア・チャン」っていうのはもしかして・・・」
「たしか彼女の曽祖父はカナダのスケーターのパトリック・チャンって人だそうですよ」
「やっぱり・・・・・・」ユッカの返事を聞いて納得するバトル。
「パトリックの子孫は女の子なのかい?どんな子なのかなアハン?」
女の子と聞いて興味と好奇心(?)が沸いたのかランビが子孫達に尋ねた。

一方アレクセイとバンビはどうしたものかと言った様子で顔を見合わせた。
「どんな子って・・・う〜ん、確かにスケートの実力はあるんだけどねぇ」
「気が強いと言うか、余計な事を言ってよくブルマや他の女子とやりあってるぞママン」
「ああそうだ、このあいだの大会で撮った画像があったよアハハン」
そう言いながらステアハンが取り出した携帯のような装置を操作すると、パトリシアの立体画像が浮かび上がった。

「うわぁ・・・こりゃ見事にあいつの子孫だなぁw」
「て言うか、どう見てもウィッグつけてメイクしたパトリックです本当にあり(ry」
「遺伝って本当に凄いわね・・・(しみじみ)」
一瞬の沈黙のあと、笑いを堪えながら様々な感想を漏らす現代のスケーター達だった。
260スポーツ好きさん:2010/11/28(日) 23:21:43 ID:4ZIW9VTb
「じゃあ、僕は宇宙船に避難したほうがいいんですね・・・」
ファイナル出場は逃したといえ、これからシニア初の全日本が控えているのに
中京大キャンパスでがっくりとうなだれる結弦。
を、両側からしきりに励ますWジョニーという構図。結構濃いぞ。
「大丈夫よユヅル。ちょうどフリー衣装を手直ししたいと思ってたところだし。
宇宙船にも特設リンクができてるから、一緒に7回転の練習しましょうよ!」
「な、ななかいてんですか!?」
「そう、私たちの時代には『その者、7回宙を回って、銀白の野に降り立つべし』
という『ICE』の預言があるの。ぜひ7回転の救世主を目指しましょ!」
(ああっ、彼が時空警察創設者の一人、ユヅル・ハニュウなのね・・・って
さすがに当人の前で歴史ネタバレしたらヤバイから言えないけど、
アタシは彼の遺志を継いでスケーター刑事になったようなものよ。
彼の演技もテラバイトディスクが擦り切れるまで繰り返しリピートしたものだわ。
その彼にこうして会えるなんて・・・ジョニー困っちゃう!!!)

「で、崇彦先輩。どっちがジョニ子さんでどっちが子孫の刑事さんなんです?」
「結弦君を見て顔赤らめてる方が子孫かな・・・多分」
「あーもうっ、宇宙船がもう迎えに来てるよ。皆早く乗って。崇じぃも!」
261スポーツ好きさん:2010/11/29(月) 19:50:27 ID:8cG64dwe
「あっ…アタシが危ないですって!? 失礼ね、人を変質者みたいに」
「そうじゃなくて、パトリシア」
黒い瞳を見開いて睨みつけてきたパトリシアに、アンナは思わず頭を抱えた。
「あなたとトマシュさんの身に危険が迫っている、と通信が入ったの」
「なぁに、それ。アタシは誰かに恨まれたりケンカ売られる覚えはないわよ」
サーシャとブルマ、それからトマシュも肩を竦める。
「とにかく。いつ何が起きてもいいように、準備をしておく必要があるわ」
「そうね、アンナ。北米支部やアジア支部にも連絡をしておいた方が…」
ブルマが言いかけたその時、突如、皆の身体中を震わすような轟音が響いた。
「!? 今のは……?」
「入口の方からだ!」サーシャが立ち上がって、トマシュの腕を引いた。
「えっ? な、何」
「ボサッとしてんじゃねえよ、来い! アンナ達はここに残ってろ、いいな?」
「待って、アタシも行く!」
叫ぶや否や、パトリシアが部屋を飛び出して行った。
しょうがねぇな、と吐き捨ててサーシャが後を追う。半ば混乱したまま、トマシュもそれに続いた。
262スポーツ好きさん:2010/12/01(水) 19:24:56 ID:bvFO/Li1
「なんだって?!本部が襲撃されてる?!」
緊急通信の呼出音にあわてて応答したアレクセイが驚きの声を上げた。
「まさか時空警察が攻撃してきたのか?!・・・皆は無事なのかい?」
『状況は解らないけどその可能性は高そうよ。今サーシャとトマシュさんとパトリシアが向かってるわ』
そう話すアンナの返事の間にもズシン!という地響きが聞こえてくる。
「大丈夫かいアンナ?僕達も戻ったほうが・・・」
『ダメよ、貴方達はここよりも曾お祖父様やリストに載ってる人達を守らなくてはいけないわ!
それに今戻れば危険を犯して過去に行った意味がなくなるのよ。」
「でも・・・・・・」
『大丈夫よ、サーシャ達もいるし。それにいざとなったらアレを使うわ』
「ええっ?アレを使うの?!」
「もちろんよ。その為に貴方が考えたんでしょ?」
「う〜ん・・・そりゃそうだけど・・・・・・」
「ここは私達に任せなさい。それじゃ後でね」

「ねぇ、アレって何のことなの?」
ブルマが尋ねると、アンナはアレクセイの執務机の前に立っておもむろに机の天板を跳ね上げた。
中から現れたのはずらりと並んだボタンやコンソールの類。
「何これ?!いかにも怪しさ満載っぽいけど?」
「アリョーシャが『非常事態が起きた時に』って作らせたのよ。面白半分で考えたみたいだけど
実際に使う事になりそうね。」
263スポーツ好きさん:2010/12/01(水) 23:43:23 ID:/GwZGjFC
2010年の宇宙船は、時空警察の追っ手を逃れるべく中京大を飛び立った。
集結あるいは保護されたスケーターたちでごったがえす船内の一室では
数人の男子たちが「危機リスト」のチェックと人々の安否確認に追われていた。
「ダイスケ、アメリカのスケーターは全員確認が取れたぞ」
「サンキューエヴァン!ステファン、ノブ、そっちはどうよ?」
「アハーン!ユーロも全員無事、後は日本だけだねアハン」
「どないしよう。一人だけ、あと一人だけ、どうしても連絡が取れへん」
「誰それ・・・えっ、よりによってあの人!?スケパシーでも駄目なのか?」
「そや!真央ちゃんならわかるやん!ついでに『ICE』も持ってきてもらお!」

「で、一体誰が行方不明なの?」
「真央ちゃんがトロントで会うた人や。待ち合わせして、『ICE』を受け取ったやろ」
「ええっ、マチコ先生は危機リストには載ってなかったんじゃないの?」
「トロントで会ったのって山田コーチだったの?」
「うん。先生の話だとみどりさん、最近はストーカー被害に遭ってたらしくて、
色んなところを転々としてて、ごく一部の人にしか居所を知らせてないんだって。
だからこの『ICE』も先生が預かって、持ってきてくれたんだよ」
「アハーンますます心配だね、そのストーカーが時空警察の奴でないことを祈るよ」
「そうかあ、本人に会えたんやないのか・・・・・・orz」

というわけでお願いです。ミドリ・イトウさんの安否をご存知の方は
このスレまで情報をお寄せください。お待ちしております。
264スポーツ好きさん:2010/12/02(木) 19:05:59 ID:6qzJwf/P
一方別の部屋では子孫達が相談中だ。
「いくらサーシャ達とあのシステムがあるとはいえ大丈夫かなぁ…」
「でもアンナも言ってたけど、ここで戻ったら本来の目的が果たせなくなるぞママン?」
「それにこっちにもいつ時空警察が来るか解らないよアハン、君の曾お祖父さんは財団の創設者だし、
もし何かあったら影響は計り知れないよアハハン。」
「そりゃそうだけどさ…」
「本部は今あいつらだけだしな・・・他に援護に行けそうな奴がいれば良いが、」
「…そうか、その手があった!」
ワーニャの話を聞いていたアレクセイが何かを思いついたらしく、急いで通信機を操作すると
緊急モードで通信を開始した。

「…アレクセイ・プルシェンコより各支部に緊急指令!現在本部が襲撃を受けている。各支部で動ける者は
至急援護に向かってくれ!」
265スポーツ好きさん:2010/12/03(金) 22:52:37 ID:LaYWg1+b
「ねぇアーチャ、思うんだけど・・・」
「なんですか?」
「確かに警戒はしないといけないけど、護衛まではいらないと思うんだよね」
宇宙船の通路を歩くプルの後ろにぴったりついて歩くガチ君にプルは少々困ったように言った。
「でもさっき話し合いで決まったばかりですよ?『危機リストに載った人は単独行動しないように』って」
「・・・僕より他の人についてあげたほうが良いと思うんだけどなぁ」
「ダメですよ、油断大敵って言うじゃないですか」
ガチ君の言うとおり、どこで危険が有るか解らないので単独行動をしないようにと決まったし、何よりそう言ったのは他でもない自分だ。
しかし自分にまで護衛がつくとは思ってなかったので、ちょっと戸惑ってしまうのもまた事実。
「それにずっと僕に付いてたらアーチャも大変だろうし・・・」
「大丈夫ですよ、だっていつもとそんなに変わらないでしょ?僕とアリョーシャさんが交代でついてますから安心してくださいね!」
「そう・・・じゃあ頼むよ・・・・・・」
にっこりと笑うガチ君。流石のプルもこの雰囲気じゃ断るのは気まずいと思ったのは言うまでもない。
266スポーツ好きさん:2010/12/04(土) 10:06:01 ID:D84SRuDn
2110年の各地では・・・

「・・・こちらユーロ支部、了解、至急人員を派遣する!」
カチャ・・・ピピピッ
「こちらプルシェンコ財団ユーロ支部長、ルカシュ・ベルネル!ユーロ各地のスケーターに告ぐ!
 各国No.2はユーロ支部の防衛に周り、他は本部へ向かってくれ!」

「こちらアジア支部です!わかりました、直ちに向かわせます!」
ピッ・・・
「アジア在籍スケーターへ、聞こえますか?アジア支部長の羽生です!
 時空警察の一部に財団本部が襲撃を受けた模様!大至急援護に行ってください!」

「はいOK、任せて!」
ピコピコ・・・
「プルシェンコ財団北米支部長代理ジョージ・バトルが北米スケーター全員に告ぐ!
 財団本部が襲われた!更なる襲撃に備えて各自武装し、至急援護に向かうこと!」
267スポーツ好きさん:2010/12/04(土) 12:21:54 ID:u1o/0bVt
"つっかっもーぜっ!ドラゴンb・・・"
「オッス、オラのび太!おめえ誰だ?おーヨンヒ姉ちゃんか、わりいわりい。
オラいま2010年で7回転の練習中なんだ。もう6Tも6Sもマスターしたぞ。
・・・え、なになに・・・・・・わかった。皆に画像も見せて確かめてみる(ピッ)」
「ヨンヒが電話なんて珍しいな、何を話してたんだいママン?」
「だからママンじゃねえって!それよりオラたちの時代も緊急事態みてえだぞ!」

その写メに映っていたのは、間違いなくみどりだった。が・・・
「いつものような覇気は感じないよね。よく似た別人ってことはない?」
「そもそもこれ、いつどこで撮った写真なん?」
「2110年のナゴヤ、プルシェンコ財団アジア支部」
「「「「「「「!!!!!!!???????」」」」」」」
「記憶喪失・脱水状態で倒れてたとこをヨンヒ姉ちゃんが保護したんだけど、
いまアジア支部の建物は時空警察の捜査員たちに包囲されてんだと。
で、この人の身柄を渡せって言ってきてるんだってさ・・・」
268スポーツ好きさん:2010/12/04(土) 13:02:05 ID:FSTGUOeK
(ヨンヒ…?)
聞いたことのない名前ではあったが、その音の響きからリッポンはコーチの言葉を思い出した。
(『もしも、彼女に会ったら。そして彼女が困っていたり、悲しんでいるようなら、どうか』)
「ノビタ」スケーター達のざわめきを割って、尋ねる。「その、ヨンヒっていうのは?」
「あー、ヨンヒ姉ちゃんはアジアのあっちこっちでスケート教えてるコーチだぞ。
オラが初めて会った頃にはもう引退しちまってたけど、昔はすっげえ選手だったんだ!」
目をきらきらさせて答えるノビタの隣で、マオが懐かしそうに続けた。
「キム・ヨンヒ……あの子とは、よく一緒の試合に出たわ。
とてもいいライバルだった。まるで2010年の再現、って大げさなこと言われたりもして」
マオの照れを含んだ微笑に、リッポンは自分の連想が誤りでないことを確信した。
真央の方をちらりと見ると、どうやら彼女も気が付いたようである。
意を決して、リッポンは切り出した。
「マオ。僕を、2110年に送ってください」
269スポーツ好きさん:2010/12/05(日) 15:36:37 ID:ckRqvzE7
その頃、財団本部入り口では・・・

煙の立ち込める向こうにいる武装した一団から声が響いてくる。
「時空警察より警告する!10分以内にセルゲイ・モロゾフの身柄引渡しに応じなければ、
再度威嚇射撃を行ったうえで内部突入し身柄を拘束、抵抗した者は公務執行妨害で逮捕する!」

「はぁ?威嚇射撃?・・・時空警察は威嚇射撃に爆薬使うわけ?バカじゃないの?!」
受付カウンターの陰に隠れて様子を伺っているパトリシアは警告に毒づいた。
3人が隠れている入り口のロビー周辺は爆風の煽りで内部がめちゃめちゃに散らかっている。
どうやら本部の建物周囲は武装した時空警察の一団が取り囲んでいるようだ。
「そういえばモロゾフはどうしたんだ?さっきブルマが部屋から連れ出してたけど?」
「あいつなら非常シェルターにいるぜ。ブルマがどうしても時空警察には渡したくないって言うからな」
「まぁブルマったら甘いわね。一度は裏切った相手だってのに」
「そう言うなよ、彼女にとっては大事なコーチでもあるんだし、預言を実現させる為の行動だったんだろ?」
トマシュはパトリシアを宥めて言った。

「・・・とにかく、確かなのは10分経ったら連中が突入して来るって事か」
「さっきアリョーシャが救援指令を出したから、援護が来るまで俺達でどうにかするしかねぇな」
「フン!こんな連中相手に助けなんて要らないわよ、さっさと片付けちゃいましょ!」
パトリシアは煙の向こうの一団を睨み付けた。
270スポーツ好きさん:2010/12/05(日) 16:28:21 ID:Y0s+5pmI
「えぇ?そ、そんなことできません」
マオが首を横に振る。
「どんな危険があるかもわからない、下手をすれば命の保証もない、そんなところに、先祖であるあなたを送り込むわけには行きません」
「そこをなんとか・・・」
「ねぇ、私からもお願いします」
「曾おばあさままで・・・」
困ったようにマオは笑い、しかし、キッと表情を引き締めた。
「・・・何か、思うところがあるようですね?聞かせてもらってから、判断しましょう」
「あのね・・・」

こちらは別室
「整理してみよう」
子孫スケーターにいろいろ言われて、部屋から出ることさえ出来なくなった崇彦。
正直ヒマなので、ちょっと忘れられかけている本来の目的「地球温暖化阻止」について考えることにした。
ちなみにメンバーは、雪彦、ヤグ、結弦、佳菜子、アモ、未来、ジョニー、ジョニーG。
「手がかりは、それぞれの『ICE』、南極・北極で見つかったクリスタル、7回転伝説・・・」
「クリスタルの使い方については詳細不明・・・タチアナの『ICE』も、今のところ新しいヒントはナシだ」
「『ICE』も、そのときそのときには助けてくれるけど、核心は教えてくれないね」
「7回転はワイヤーなしで成功した例はなし」
全く結びつきが見えてこない。
(先生たちが見てる資料・・・それにヒントがあったり・・・そんなわけないか)
271スポーツ好きさん:2010/12/05(日) 22:08:57 ID:l3+flZq2
『プルシェンコ財団アジア支部に告ぐ、即刻不法滞在者を引き渡しなさい!
さもなくば10分後に強制執行を行う!繰り返す!不法滞在者を引き渡しなさい!』

「申し訳ありません。やはり・・・私が出ていったほうが・・・・・・」
「気にすることない。あなたが出頭してもしなくても奴らはここを攻撃する気ニダ」
「でも見ず知らずの、記憶もない私を保護してくださって感謝しています。
これ以上あなたがたにご迷惑をかけるわけにはいきませんし。
それに時空警察、でしたっけ?あの方たちが私の身元を調べてくれるかも」
「そう、調べたんでしょうね。だからあなたの身柄を手に入れようとしてるのかも。
けど平和的な目的ならいきなり自衛隊を差し向けたりはしないニダ。
これだからイルボンの軍隊は信用できないニダ」
『ピー、ガー、こちら南米支部のアモディオ。本部からの緊急連絡を伝える。
そちらに滞在中のミドリさんの身元が判明。引き続き保護するようにとのことだ。
間違っても時空警察に引き渡さないように。あと僕らはここを早急に脱出、
もといそちらの救援に向かうので受け入れ準備ヨr(ドカーン!)』

「南米支部が陥落したニダか・・・ま、メンバーはみんな逃げおおせるでしょ。
そういうわけだから引き続きゆっくりしてて。ここはそう簡単に落ちないニダよ」
272スポーツ好きさん:2010/12/05(日) 23:27:51 ID:+DUcdEyX
「あ〜あ、南米支部が陥落しちゃったかぁ…」
通信を聞いていたアレクセイはがっくりと肩を落とす。
「南米支部のみんなは無事なのかい?アハハン」
「とりあえず全員の脱出は確認出来たよ。このままアジア支部へ移動するって言ってる」
「本部だけでも大変なのに、他の支部にも襲撃なんてどうなってるんだママン?」

そこへガチ君を伴ったプルが子孫達の部屋に入ってきた。
「末来で問題が起きてるって聞いたけど、一体どうしたの?」
「あ、曾お祖父様、実は…」これまでの経緯をアレクセイが説明した。
「各地を襲撃したうえにモロゾフやミドリさんにまで身柄引渡しを要求するとはねぇ…」
「いったい時空警察は何が目的なんでしょうか?」
考え込むプルにガチ君が尋ねる。
「ただの身柄引き渡し要求にしては規模が大きすぎるよね?
…そこまでして入手しないといけないくらい重要な何かをミドリさんが握ってるのかも」
「そういえば真央さんの『ICE』も元々はミドリさんの持ち物ですしね…」

「…とにかく今はそのアジア支部に何としてもミドリさんを守ってもらわなくちゃ」
「勿論だよ曾お祖父様。これ以上あいつらの思い通りになんてさせないからね!」
273スポーツ好きさん:2010/12/06(月) 22:23:16 ID:+VWUqdsS
スケーターがジャンプを行う際、非常に重要となるものが“軸”である。
“軸”がリンクに対し垂直で、また細ければ細いほど、高く、美しく跳ぶことが出来る。
……が。極稀にではあるが、自らの“軸”により空間に僅かな歪みを発生させることで、
人々の常識を超越したレベルのジャンプを可能にするスケーターが存在する。
いかに“軸”が傾いていたり、大変バランスが危うく見えたとしても、
彼らは難なく宙を舞い、回り、何事もなかったかのように着氷してみせるのである。
空間を歪ませる能力は持って生まれた才能が全てであり、訓練や努力で身に付けられるものではない。
名ジャンパーと呼ばれるスケーターは数多いが、この力を持つ者は50年に1人程度しか現れないと言われている。

民明書房刊「氷上を翔る者 フィギュアスケーターの隠された真実」
274スポーツ好きさん:2010/12/08(水) 02:25:39 ID:24qyiM0q
信夫たちの元では、クリプトン星資料の解読が、少しずつ進んでいた。

クリプトン星では、隕石衝突による滅亡より前から、別の危機が予測されていたという。
凍った地表に熱をもたらす火山活動は、次第に弱まっており、数百年後には停止するはずだった。
惑星そのものが、寿命を迎えようとしていたのだ。その時には全てが凍りつき、生態系が崩壊する。
寒さに適応したクリプトン星人でも、これではさすがに生きていけない。

ということで、地球年代で言えば20世紀初頭から、惑星脱出に備えた計画がスタートした。
移住先の星を求め、あちこちに調査隊が送られたものの、いずれも一長一短。
地球の寒冷地はなかなか良い環境だったが、すでに先住の知的生命体……地球人がいた。
(光彦が満州時代に出会ったのは、この時の調査隊員だったのだろう)

岳斗が、とあるページを見ながら考え込む。
「えーと、ここの文って……知的生命体のいない惑星を、改造する計画、か?」
一方で樹は、資料に紛れていた小さな紙に首をひねっていた。
>>273で249.4KB、残り約250KB、折り返し地点に到達……何なんだこれ?」
275スポーツ好きさん:2010/12/08(水) 17:44:28 ID:+og45AQG
岳斗が見ているページにはこんな事が書いてあった。

【惑星のエネルギー充填装置実証実験】
惑星改造計画の一環としてその効果が期待される装置の実証実験を行う。
以下はその手順を記す。

・この装置は惑星の生命活動及び火山活動の際に生じる力をエネルギーに転換し、内部に蓄積する力を持つ。
・先ずクリプトン星及び同様に寒冷地帯のある惑星を選び出し、極地帯に実験装置をセットする。
 (注:装置の安定の為単体で使用せず、規定の組み合わせで使用する事)
・装置内に一定量のエネルギーが充填された時点で回収し、改造対象の惑星へ移設する。
・該当の惑星の極地帯へ再設置し、充填されたエネルギーを開放することにより、
 惑星の火山活動の促進・及び改造の際の制御が期待できる。

この実験を現在確認された以下の惑星で実施。良好な結果がでれば実用型の開発に取り組む。
276スポーツ好きさん:2010/12/08(水) 19:12:39 ID:QuB5TSDQ
一方、宇宙船内。

「崇じぃ、何読んでるの?」
「うん・・・少しでも7回転の力になればと思ってさ」
崇彦は>>273の資料に目を通していた。
「タカヒコ、お前あの伝説とやらを信じるって言うのか?」
「時空警察も手を出してきてるって事は、僕の論文は向こうにとって不都合だと言うことになりますから」
「そうか・・・だが、どうもあちらさんはそれどころじゃないらしいぞ」
ヤグが顔をしかめる。
「どういうことです?」
「2110年で、ミドリ・イトウと、送り返したモロゾフの身柄を時空警察が要求してきてるらしい」
「・・・なんですって!?雪彦、ちょっと!!」
雪彦はあわてて『ICE』危機リストを確認する。

しかし。
「・・・・・・ない、よ。ミドリ・イトウの名前も、モロゾフコーチの名前もどこにもない!」


どういうこと?
277スポーツ好きさん:2010/12/10(金) 21:36:06 ID:bxujeKm/
その頃、宇宙船の厨房で腕を奮う人物が二人。
「こういう時こそ美味しいご飯が必要だよ! しっかり食べなきゃ動きたくても動けないよ!」
「マンマが昔言ってたよ、『腹が減っては戦は出来ぬ』。それと、『ノンナのご飯、とっても美味しかったよ!』」
船内のスケーター達のために食事の用意をする、カロリーナ&アロエリーナだった。
隣の食堂にも、何人かスケーターが集まっていた。
携帯電話越しに妻子の声を聞き、穏やかな笑みを浮かべるヌルメンカリ。それを不思議そうに眺めるユッカ。
未来にいる恋人を案じ疲れたか、うとうとし始めたナタリーに、そっと毛布を掛けるファビアン。
レッドブルを片手に、何やら考え事をしている風のADSL。
一見、他の部屋よりはいささか平和な空気が流れているようではあったが、
隅のテーブルで話すナターシャとルタイは、深刻な顔つきで声を潜めていた。

「…トマシュの状況が一番ヤバい、だと?」
「ええ。ナタリーさんの手前、ずっと言えずにいたのですが……
ひとりの人間が未来へ行く、ということは、その逆よりもずっと歴史に影響を与える可能性が高いのです。
本人だけではなく、それに連なる人々にも」
「理由は?」
「……時間移動は、『ある時からの消滅』とも言い換えられます。
それに、過去を振り返ることは出来ても、確かな未来を見られはしないでしょう?」
ルタイは首を傾げたが、ナターシャは構わず続ける。
「とにかく… これ以上可能性を大きくすることは絶対に避けなければなりません。
良く考えて行動しなければ、それこそ相手の思う壷です」
彼らはまだ、2110年の名古屋で起こっているらしい出来事も、
その出来事を受けて2010年のスケーターが何を言い出したかも、
それらを伝えるべく、ワーニャが血相を変えて駆け戻って来ていることも知らなかった。
278スポーツ好きさん:2010/12/10(金) 23:43:43 ID:cXds/mpr
時空警察との睨み合いが続いている財団本部入口。
各支部から救援が向かっているが、彼らが到着するまでは現在の戦力で持ちこたえるしかない。
この状況を打破すべく、トマシュは考えていた。

(むこうは威嚇と称して建物を爆破するような武装集団だ。
 こちらはパトリシア・チャン、サーシャ・ヤグディン、そして俺の3人。
 力の差が大きすぎる、下手に動けば危険だ。かといって何もしなければ10分後に突入…
 あ゙━━━━ッ !!!!! どうすりゃいいんだよ!
 ここにクリストファーとカロリーナがいれば、暗黒舞踏で動きを封じることができるかもしれないのに…!)

親友べるるんの絶叫がうつっているが、今はそれどころではない。
…いや待てよ。こっちも今ちょうど3人だし、もともとあの動きも即興でやったものだ。
一か八か、このメンバーで集団暗黒舞踏…やってみるか?

他の二人にとっては相当の無茶振りであるこの作戦、果たして本当に実行するのか?
279スポーツ好きさん:2010/12/11(土) 17:45:50 ID:6w48Cpvb
「なあ、ちょっと聞いてくれないか?」
トマシュはサーシャとパトリシアに先程の自分の考えを聞かせた。
「はぁ?何それ?何でアタシがそんな事しなきゃいけないのよ?!」
「・・・本当に俺達がやって上手く行くんだろうな?」
「このまま何もしないわけには行かないだろう?とりあえずやってみよう!」
トマシュの提案に疑わしげな様子の二人だったが、確かにこのまま手をこまねいているわけには行かないので
ひとまず提案に同意する事にした。
「これで人数は揃ったな。あとは・・・・・・」

ピーッ♪
「サーシャからよ!・・・どうなってるのよ!このままじゃ突入され・・・え?なにそれ?」
「どうしたのブルマ?」
「よく解らないんだけど『コンピュータのアーカイブから大至急この曲を流してくれ』だって」
「・・・一体何をする気かしら?」
訝しげな顔をしつつもアンナは財団のコンピューターに記録された過去の様々なプログラム使用曲の
データから指定されたデータを呼び出した。

「10分経過だ!これより内部へ突入する!」
時空警察の一団にに突入命令が出たその時、財団入口から突然音楽が流れ始めた――
280スポーツ好きさん:2010/12/12(日) 16:56:32 ID:VWVd62E8
2110のナゴヤドーム、ちなみに野球場ではなくシェルター都市のことだ。
ドーム中に大音量で流れる「死の舞踏」をバックに、
ヨンヒが並み居る機動隊連中に5Lz-5Tを食らわせているところだ。
もちろん男子選手も負けちゃいない。「アランフェス協奏曲」「古事記」「シェルブールの雨傘」・・・
荒川「次の曲かけはアタシ、『誰も寝てはならぬ』でよろ〜」
村主「次は私の番よ、後輩のくせに割り込まないでちょうだい!」
荒川「ずるい、あなたさっき『秋によせて』をかけてもらったでしょ!」
村主「遅れて参戦してきたあなたが悪い!列の最後尾で並んで待ってらっしゃい」
激混みリンクの曲かけじゃないんだが・・・そして次の曲が始まったその時。

「ラフマニノフのピアノ協奏曲・・・アルベールビルのフリープログラム・・・・・・」
財団職員を振り切って現れたのはトランス状態に陥ったみどり。
たちまち3Aが決まった!一気になぎ倒される機動隊員たち。
荒川「どういうこと!?ただの3Aなのに、一体どうやって奴らを倒したの?」
村主「忘れてたわ、彼女が21世紀、いえ20世紀の天才スケーターだってこと。
女子の身で、それもこの時代よりずっと重い靴と衣装で飛ぶトリプルアクセルは
私たちの3Aとは比べ物にならないほどのスピードとパワーを秘めているのよ。
時空警察の連中が彼女の身柄を欲しがるわけだわ・・・」

さらにアモディオたち南米支部の面々がナゴヤに駆けつけたため
一旦時空警察の勢力は撤収していった。が、まだ油断はできないようだ。
みどり「あら?ヨンヒさん、私どうして外に?一体どうしたんでしょう???」
ヨンヒ「何も覚えてないみたいね・・・ウリも疲れたニダ。辛ラーメンでも食べるニダ」
村主「辛ラーメンなんてないわよ。マオの買い置きのブタメンならあるけど」
荒川「私ハーゲンダッツ〜」
281スポーツ好きさん:2010/12/14(火) 22:17:58 ID:YKxzFUX3
その頃財団本部入口では奇妙な事が起こっていた。

突入命令が出た時空警察の一団だったか、奇妙な事に誰一人動こうとしない。
いや、正確には誰一人動けなかった。
「何をしている!早く突入しろ!!」
「ダメです隊長!…さっきから動こうとしてるんですが、全く動けません!」
「自分もです!一体何がどうなってるのか解りません」
指一本動かせず、一行はただただ困惑するばかりだ。

そんな彼らを尻目に集団暗黒舞踏を繰り出すトマシュ・サーシャ・パトリシアの即席トリオ。
「自分で言うのも何だけど、このメンバーでも効果があるとは思わなかったなぁ」
「当然よ、このアタシの手にかかれば、時空警察の動きを封じるなんて楽勝よ〜」
フフンと得意げな表情を浮かべるパトリシア。
「…おまえ、さっきまで文句言いまくってたじゃねぇか」
というサーシャの呟きは聞こえてないらしい。
282スポーツ好きさん:2010/12/15(水) 23:59:42 ID:7DBeQIzS
一方こちらは2010年。マオは、リッポンの話を聞いた後、苦笑して答えた。
「あの子、別に22世紀では、辛い目に遭ったりはしてませんよ。
それまでの一族には、色々あったみたいだけど。第二次朝鮮戦争の時とか……
でも、何とか乗り切ってこられたんだし」
「つまり、僕が100年後に行くような理由はない、と?」
「はい。だから、無茶しないで下さい」
そう念押ししてから、マオは付け加える。
「現役の頃、ヨンヒは言ってました。ボロボロになった祖国はまだ立ち直れてないけど、
自分は皆の声援だけ背負って戦えばいいから、ご先祖様より楽なぐらいだって」

ならば、かつて一人の少女が背負った巨大な闇は、100年後の世界にはもう無いのだ。
(それが分かれば、今は十分だ。そうでしょう、コーチ?)
リッポンは胸の奥で、そっと呟いた。

さて、そうすると気になるのは、スケーター仲間たちの動きだが。
283スポーツ好きさん:2010/12/16(木) 22:52:34 ID:EeaDNf7l
「ううむ、やはりあれはミドリ・イトウだったか。彼女の身柄を手に入れて、
財団の連中が違法歴史介入をしている証拠にしたかったのだが」
「こちらの予測を遥かに越える強敵ですな。このままでは拘束は困難でしょう」
2110年の時空警察本部では、長官一派の作戦会議中・・・

「ロシアに派遣した陽動部隊にはひとまず撤退命令を出しましたが、
モロゾフ出頭命令をエサにロシアの財団本部に戦力を集中させ
その隙に一息にアジア支部を攻め落とす作戦、どうやら裏目に出たようです。
それにマオ捜査官の安否情報も入手できず・・・申し訳ございません、長官」
「いや、警部の作戦で南米支部は壊滅したし、全くの無駄ではなかった。
これ以上総帥のいない財団本部を攻撃したところで益はない。一旦捨て置こう。
ところで・・・"アレックス"の具合はどうかね、副所長?」
「はっ、メンテナンスも完了し、いつでも出動可能でございます」
「よし。準備完了次第、再び出動させるぞ!」「はっ!」

かくして、『ICE』の「危機リスト」から
「ミドリ・イトウ」と「セルゲイ・モロゾフ」の名前が消えたのである・・・
284スポーツ好きさん:2010/12/17(金) 20:55:40 ID:g7u8RdIh
暗黒舞踏発動中の本部入口前。
踊る3人は、これが試合だったら大幅加点が貰えそうなくらいノリノリのキレッキレだ。
僕だったら5点あげちゃう。

一方、全く動けない時空警察一団。
「くそっ!なんなんだあの奇妙な踊りは!」
「こんな状況で言うのもなんだけど、いい動きしてるなぁ」
「俺もなんだか踊りたくなってきた…」
「お前ら気を確かに持てー!!」

爆風で散らかったロビーに大音量で流れる音楽、
うねうね踊り狂う男女3人、それを見ているしかできない武装集団。
救援にやってきた財団支部のスケーターたちがこのシュールな光景を目撃するのは
あと数分後の事である。
なお、このスレの容量は>>283の時点で260KBである。
285スポーツ好きさん:2010/12/19(日) 09:45:05 ID:ZY4lWa1a
そのころ・・・時空警察本部のある一室にて

「・・・ははぁ〜ん、そういうことでしたかぁ」
何やら納得する女性が一人。
「とりあえず、この隠しカメラの映像と音声は重要な証拠になりましたね。あと、アレックスのメンテナンス班に紛れてくれていた
 シュルタイス先輩と高橋先輩が一活躍してくれましたし、もうこっちも動いて大丈夫でしょうね」
「待ちなさい、まだスケーターの安全が確保されていない上、ミス・ミドリの身柄も保護しなくては。もう少し、様子を見よう」
「わかりました。でも、ここまでやっちゃうと長官の方がいろいろマズいですよね〜」
「まぁ、そのあたりはお互い様だ。とりあえず、国際検察には連絡を入れてもいいだろう。マナ君、よろしく頼む」
「はぁい、ライサチェック警視総監♪」
ニコニコ笑顔でマナは答えて部屋を出ていき・・・。
すぐ戻ってきた。
「間違えた、電話がある部屋はこっちだった」
「おいおい(苦笑)」
別の部屋からいそいそと出て行った。
286スポーツ好きさん:2010/12/21(火) 23:58:46 ID:GdIUqRZ/
「……という訳で、ミドリ・イトウは無事だし、財団側はまだ抵抗を続けてるわ」
ジョニーGから2110年の動向を聞いて、マオはため息をついた。
「もう、そんな状況なんですか……下手に暴れすぎると、財団の、
ひいてはフィギュアスケーター全体の立場が悪くなるのに」
「だからって、抵抗もせずに捕まる訳にはいかないよ」
「だよね〜。こっちからも応援に行こうか、なんて話も出てるのに」
アレクセイとプルがこの調子なので、マオはますます渋い顔になる。
「それはちょっと困るんです……というか、時空警察もあれだけのことをやったら、
どこかでぼろが出ますよね。色々証拠もあるし、じきにライサチェク警視総監だって動くでしょう」
「長官派の自滅を待った方が賢い、ってことかしら? ま、後で思い知らせてやるけど」
ジョニーGが呟き、そしてアレクセイが首をひねりつつ言う。
「要するに、今はあまり暴れないで、本部にでも立てこもって時間稼ぎしろ、ってこと?」
財団本部であれば、いよいよとなれば「あの装置」もある。
「そうですね……どこか、隠れられる場所があればいいんですけど……」
287スポーツ好きさん:2010/12/23(木) 14:39:03 ID:209Xfxt+
本部以外で、スケーターたちを匿えそうな場所。少し考えて、アレクセイは言う。
「研究所が持ってる、月のミニドームだけどさ。今、実験に使ってないから、
ほぼ財団の貸し切り状態なんだよね。そっちも一応、候補として考えておこうか?」

月にはドーム都市の他に、それよりは小さなドームも複数、主に科学実験場として作られている。
小型隕石の直撃にも耐えられる強度を備え、非常用に食糧の備蓄もあった。
「立てこもって時間稼ぎ」の場所としては、まあ悪くない。

……ということを思いつくのは、彼らだけではない訳で。
「今し方の報告によれば、警視総監に情報が漏れたかもしれん。
ううむ、こちらが危なくなった場合は、拠点を移す必要があるな」
「それなら、我が研究所の月面ドームはどうでしょう?」
考え込む長官に向かって、副所長が進言する。
「しかし、あそこはスケーターだらけだそうじゃないか」
「ええ、未使用スペースがあるからと、スケートリンクなんか設置させた総帥殿のせいでね!
でも、心配いりません。アンドロイドの保管庫は元々、あのドームにあったんですよ。
まだ多数残っています。我々が行く時には、遠隔操作で起動して、スケーター共を不意打ちすればいい」
288スポーツ好きさん:2010/12/23(木) 14:53:20 ID:LaoZ/y4P
「・・・おー!聞いた?月のリンクは危ないよ◇」
「待ってろ高橋、本部との通信が結構面倒なんだから・・・」
「わぁい♪情報も大量ですねぇ。一瞬のスキをついて長官の部屋にいろいろ仕掛けた甲斐があったもんです」
時空警察のある一室・・・。何やらわちゃわちゃしている。
「早く知らせないと◇」
「わかってる」
「あ、でもでも。完全武装してそこに行って、逆に一網打尽って出来ませんかね?」
「・・・・・・一応、伝える」
「アンナ君とサーシャ君がいるんだ、賢い判断を向こうで下してくれるさ」
「さーて♪アレックスから回収した画像もあるし、あとはマオちゃんから証拠を届けてもらうばっかりだね◇」
「ですよねー。・・・あれ?高橋先輩、それ、何ですか?」
「これ?なんか、画像のデータ盗むときに一緒に持ってきちゃったネジ◇」

「・・・・・・ふぅーん」

289スポーツ好きさん:2010/12/27(月) 13:20:38 ID:eoqUGwvy
本部前で動けないままの時空警察部隊。と、通信機から声が響き始めた。
『撤退を命ずる。総員ただちに、プルシェンコ財団本部から撤退せよ』
「……」「……」「……」「……」「……」←動くに動けない連中

「無抵抗な相手を叩きのめすなんて、やっぱり気分悪いし」
「……という訳で、皆様お気をつけてお帰り下さ〜い」
支部のスケーター達が、部隊の連中を次々に、乗ってきた装甲車に押し込んでいく。

「あっ、あの実は、うちの娘が貴方のファンなんです! サイン下さい!」
そんなことを言って、ちゃっかりサインを貰っている隊員もいるぞ。
290スポーツ好きさん:2010/12/31(金) 13:28:58 ID:0upfeFzg
時空警察が撤退して行った財団本部。
ひとまず危機は去った。が、まだやることが残っていた。

「なによこれ?何でアタシがこんなことしなきゃいけないの?!」
散らかったロビー内を集結したスケーター一行が片付けている傍らでパトリシアは不満顔だ。
「第一ここをめちゃくちゃにしたのは時空警察じゃないの。返す前に連中に片付けさせれば良かったのに」
「そんな事言ったって、このまま放っとくわけにはいかないだろ?」
「ホントに文句の多い奴だな。さっさと片付けてこっちも対策を考えねぇと・・・」
サーシャとトマシュが呆れているところに通信機の呼出音が鳴った。
「・・・アンナか?どうした、なんかあったか?」
『サーシャ、シュタルイス君達から秘密通信が入ったの』
「あいつらから連絡ってことは、時空警察側で何か情報を掴んだのか?」
『詳しい話はあとでするわ。皆で急いでこっちに戻ってきて』
「よし、わかった・・・おい、執務室に戻るぞ!」
「今度はなによ?人使いが荒いわね」
「ここで掃除するよりマシだろ?早く行こう!」
サーシャはパトリシアとトマシュを連れて、執務室に急いだ。
291スポーツ好きさん:2011/01/01(土) 21:38:49 ID:+qY50aNL
大輔「試合おつかりぃ(^-^)/」「誕生日おめ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆」
信成「つぶやき始めました」「リプおおきに」「おおきに」(以下しばし全レス)
美姫「ノブくんフォローしたよ〜」「ボーリングなう」「チェブ飼ってます」

崇彦「あのさあ・・・この非常時に携帯とにらめっこして何やってんの?」
真央「時空警察対策のアリバイ作り。このみんなが宇宙船に集結してるって
敵の人たちにバレたらまずいから、中京のみんなとも示し合わせてるんだって」
美姫「あと、しーちゃんやあっこちゃんへの暗号連絡も兼ねてね。タカもやる?」
美姫が差し出したiPhoneには水色の画面が映し出されていた・・・

『のぶおなう』
「あ゙ーっ、もう!」
292スポーツ好きさん:2011/01/06(木) 13:03:02 ID:8iI4hKHl
一方その頃。
「どうしたの曾お祖父様?難しそうな顔して?」
何やら思案顔のプルにアレクセイが尋ねる。
「うん。確かに今回は大丈夫だったけど、時空警察がこれで諦めるとは思えないんだよねぇ」
「そういえばあのアレックスとかいうロボット刑事もいたわよね?あいつも要注意だわ」
「そうそう!今度会ったらたっぷりお返ししてやるんだから!」
ジョニ子の話で中京大での一件を思い出したのかカナコは少々ご立腹のようだ。

「それにしても、いくら宇宙船に避難してるとはいえ俺達このままで良いんですかねママン?」
「確かにただ時空警察から逃げ回るだけってのは、俺の性分に合わねぇな」
「でも今はおとなしくして時間稼ぎをするようにってマオが言ってるよアハン?」
3人のやりとりを見ていたアレクセイがふとこんなことを言いだした。
「…その件なんだけどね、サーシャがちょっと気になる事を連絡してきたんだ。
ロボット部隊の襲撃に気をつけろっていうのともうひとつ、その時には何らかの物証を掴んでほしいって」
「物証っていうと、画像を撮るとかロボットの部品を拾うって事かママン?」
「でも連中を撃退しながら証拠を掴むとなると、こっちも用意周到に動かないと難しいよねぇ」
う〜んと考え込むスケーター達。
「まったく面倒よねぇ、あっちが来るの待つよりいっそのことおびき出すとかしちゃえば…」
「「「「 !!!!! 」」」」
その呟きを耳にしたスケーターの視線が一斉にジョニ子に集まった。
293スポーツ好きさん:2011/01/07(金) 23:53:56 ID:nHS1BuES
「ちょっと待って下さい!そんな事したらご先祖様達だって危ないですよ?」
あわてて制止するマオ。まあ彼女の立場からすればごもっともである。
「え〜?僕はいいアイディアだと思うけどなぁ?」
「そうそう。僕達は普通に行動するだけだし、時空警察が察知しなけりゃそれで終わりだし♪」
「〜〜〜っ!!!」
そんな彼女とはうらはらに結構乗り気なプル&アレクセイに思わず頭を抱えるマオだった…

「ねぇマオ、ここはひとつこの作戦に乗ってみましょうよ。」
「…ジョニー刑事までそんな事おっしゃるんですか?!」
「大丈夫よ。あくまで向こうが来るのに乗じてちょ〜っと利用させてもらうだけよ」
「さっすがアタシの子孫、飲み込み早いわねぇ……マオ、ここはアタシ達に任せて頂戴。
心配ないわよ〜なんせ伝説の救世主!のアタシがついてるんですもの!」

あの〜まだ救世主の正体は不明なんですけど…というリッポンの呟きは聞こえていないらしい。
294スポーツ好きさん:2011/01/09(日) 11:18:43 ID:RsMJI2ua
「先生、もぅ何やってるんですか〜!」
『アリバイはあったほうがいいと思いましてね』
真央には甘い恩師に、崇彦は頭をわしゃわしゃとかく。
『それはそうと、今現在君の手元にある手がかりを教えてもらえますか?』
「あー、はい。発見された2つのクリスタル。北極と南極に一個ずつありました。それから、7回転を飛ぶ救世主の伝説。まさかと思ってましたが、
 僕の論文が時空警察に狙われたので、可能性を捨てることは出来ません」
『『ICE』のほうはどうだね?』
「あれから、どれもしばらく何の反応もありません。あの・・・みどりさんが何故か未来に飛んでしまったらしくて・・・でも、危機リストに名前が無い
 のでとりあえず大丈夫かなって思ってるんですけど・・・」
『ふむ・・・わかりました』
「先生の方はどうですか?」
『田村君が気になる記述を見つけてくれましたよ、文章を送りたいのですがどうしましょうか?』
「本当ですか?有香さん経由で宇宙船のアドレスに送ってください!」
295スポーツ好きさん:2011/01/09(日) 21:12:20 ID:APEZfGOi
ヤマトからのメールを確認中の崇・雪コンビ。
「クリプトン神話?」「まぁ、そんな感じ。RPGのあらすじ読んでるみたいだった。」
ざっくりと読んだ内容を崇彦は伝えた。

――昔々のクリプトン星。
その大地を覆う氷が溶け出し困り果てた住民たちは神に祈りをささげた。
すると神は人々にこう告げた。

「二つのクリスタルをさがせ。ひとつにはDIVAの祈りを、もうひとつには長(おさ)の勇気を示せ。
この二つが成し遂げられたとき、火の神の怒りも収まるだろう・・・・・・」

人々は時のDIVAと長(おさ)と協力して見事火の神の怒りを鎮め星に平穏をもたらせた・・・・・

「長(おさ)はともかくとして・・・・・DIVAはおそらく彼女のことだからなんとかなるけど・・・・・問題は『火の神』か。」
「え?崇じい、DIVA二心当たりあるの?まさかジョニーズ!?」
「いや・・・・そうじゃないけど・・・・」
「後他にも気になるワードが出てきたね。『踊り子』とか 『軍神』とか 『賢者』とか・・」
「タカちゃ〜ん、ゆきちゃ〜ん!!」「タカ〜、ここにいた!」
そこに、佳菜子と未来が駆け寄ってきた。
「これからバトルさんたちがクレープ焼いてくれるんだって!」
「それで、タカの腕を見込んで手伝ってほしいんだって!」
「俺の腕?」
「はい、これ!」「ユキにも!」
二人に渡されたのはボールと鍋。
「たかちゃん、納豆もペーストにしちゃう攪拌力があるから生クリーム泡立てるには最高だってみんな言ってたよ!」
「ユキも曾孫だから同じことできるだろうって言ってた。」
「ええ〜!!!!僕料理なんてしたことないよ!!崇じい、なんとかしてよ〜」
「・・・あきらめろ。こういう無茶振りする奴は何いっても無駄。それよりクレープいっぱい食うことだけ考えたほうが幸せじゃん!」
「崇じい〜!!!」
かくして4人はクレープ焼きに悪戦苦闘してるバトルたちがいるキッチンに向かうのだった。
296スポーツ好きさん:2011/01/10(月) 12:51:17 ID:BYfYezwj
一行が向かったキッチンだが、どうやらパンもたらふく食べられそうだぞ。
美姫「ちょっとぉ、それトトロじゃなくてドングリの間違いじゃないのプププ」
信成「ちゃうもん、これちゃんとトトロの形してるもん、メイみたもん!」
大輔「やっぱりノブはオタクだったんじゃねーの・・・こっちはガチャピンか?」
信成「そや、ガチャピンの形のパンやから『ガチャパン』やで、ムックも作ろか?」
大輔「そんならクワッチのパンの方がいいなあ・・・え、もう覚えてない?」
美姫「ぬいぐるみ持ってる大ちゃんはともかく、もうすぐ一年になるんだよ」

マオ「ガチャピン、トトロ、レトロなキャラばっかりね・・・あら曾祖母様、どこへ?」
真央「うん、減量中だから、どうせここにいても食べられないんだよ。」
マオ「私もナゴヤドームに買い置きしてあるの・・・減量中だけど」
「「ブタメン・・・食べたいなあ・・・・・・」」

カロリーナ「そんな二人にはパスタ作ったよ!一緒に食べるといいよ!」
アロエリーナ「パスタはGI値が低いからダイエッターにもおすすめだよ!
ただし茹ですぎはGI値が上がるからアルデンテにするといいよ!」
「「わーいありがとう、いただきまーす!!」」

雪彦「なんかすごい炭水化物祭りみたいだね、崇じい」
崇彦「だよね、この上さらにクレープなんて作らなくてもいいって感じ?」
未来「だめですぅ、私たちクレープ食べたいから作るんですぅ」
佳奈子「そうそう、この際いっぱい食べるんだからよろしくね!」
「「・・・・・・orzorz」」
297スポーツ好きさん:2011/01/11(火) 22:45:49 ID:EmXnhFUk
炭水化物祭りが盛り上がる頃、2110年の財団本部では…

サーシャ「ひとまずアリョーシャには連絡しておいたぜ」
ブルマ「…それにしてもまさか時空警察と研究所がつるんでたなんて!全く冗談じゃないわ!」
トマシュ「どういう事だ?アリョーシャの話じゃ研究所って財団の支援をしてるんじゃなかったのか?」
サーシャ「ああ、今まであそこの所長は財団に対していろいろと協力してくれてたんだが、
    副所長がどうにもいけすかねぇ奴でな…前に顔を合わせた事があるんだが、あの野郎
   『今時スケートなんて貴重な氷を無駄に消費する行為は感心しませんね』とかぬかしやがったんだぜ!」
その時の事を思い出してサーシャは露骨に嫌そうな顔をした。
アンナ「最近は入院中の所長の代理をしていると聞いてたけど…裏でいろいろと動いていたようね」
パトリシア「大方所長がいない間に自分がのし上がろうとしたんでしょ?…ユウスケ達からの情報じゃ
     月のリンクで待ち伏せてるらしいけど、いるの解ってて行くわけないのにホントバカよね〜w」
サーシャ「…いや、ここはあえて乗り込んでいくっていう手もあるぜ?」
パトリシア「はぁ?時空警察のロボットが大量にいるとこに行ってどうすんのよ?!アンタバカぁ?」
モロゾフ「サーシャの言うとおりだ。確かに月のドームには大量のロボットがいるが、逆にそこを抑えてしまえば
     時空警察も過去へロボットを送り込むことはできなくなる」

とはいえ確かにリスクを伴う行動だけに考え込む一同。さてどうする?
298スポーツ好きさん:2011/01/11(火) 23:59:07 ID:AGImoInW
ふと何か気づいた様子で、サーシャが顔を上げた。
「なあ、アンナ。確か月面基地には、スケーター出身の技術者がいたよな?」
「ええ。ベルントソン工学博士と、あと何人かいたと思うわ。
あそこって、理系スケーターなら憧れの就職先だもの。
地球の研究所とは違って、氷の無駄遣いとか、あんまりうるさく言われないしね」

ちなみに月面の最低温度は、マイナス170℃に達する。
これを利用して大量の不凍液を冷やし、低コストでリンクの氷を作るシステムが
月面基地には置かれていた。「月のリンク」は決して、面白半分で作られた訳ではないのだ。

閑話休題。サーシャはにやりと笑って、皆に言った。
「じゃあ、彼らに連絡を取ってみようぜ。もしかしたら、向こうにあるロボットに
こっそり細工して、動けないようにできるんじゃないか?」
299スポーツ好きさん:2011/01/12(水) 13:26:35 ID:CfAXjPei
当の月面基地、研究室棟のとある一室。
「BERNTSSON'S LAB」と書かれたドアの奥で、白衣に身を包んだ女性がモニタと睨み合っていた。
映し出されているものは、複雑な設計図と添えられた夥しい量のテキスト。
時折顔をしかめるのは、文章の英語が少々まずいため、だけではない。
「キッキ、コーヒー飲む?」
同じく白衣姿の青年が入って来たことに気付き、ようやく彼女…
クリスティナ・ベルントソン工学博士は顔を上げた。
「ありがとう。今は手が離せないから、後でいただくわ」
「まだ当分かかるかい?」青年がモニタを覗き込む。「あまりこん詰めると体に毒だよ」
「休憩したいのは山々だけど、そうもいかないのよね」ふぅ、と博士は息をつく。
時空警察とサンクトペテルブルクの研究所の共謀により造られたロボット刑事、
温暖化阻止に向け100年前の過去を動かそうとする財団総帥と時空警察メンバー、そして先祖のスケーター達。
旧知の仲であるシュルタイス博士から聞いた話や、その同僚・高橋研究員がまとめたデータによっても、
どうにも現実に起きていることとは信じ難かった。
(確かに、時空警察のラボでアンドロイドの開発をしてる噂はあったけれど、まさか実用化されていただなんて)
再びモニタへ目を向けたその時、研究室の電話が鳴った。いつもの内線とは、異なる音で。
「財団から…!?」出ようとした青年を制し、博士は自ら受話器を取った。
300スポーツ好きさん:2011/01/12(水) 23:58:32 ID:BQI0D/nT
こちらは2010年。腹が減っては戦はできぬ、の実行に走るスケーターたちを
ナターシャとワーニャは、ほっとした表情で見守っていた。
「無理に未来世界へ突撃するよりは、待ち伏せする方向でまとまったわね」
「ああ。良かったよ、一時はどうなることかと……」

その意味で一番厄介だったストイコは、作戦会議(兼、食べ放題パーティ)に加わっている。
襲撃してきたロボットについての説明を、一通り終えた所だ。
「……というわけだが、次も同じ戦法が通じるとは限らないぞ。
戦いのデータを参考に、もっと手強くなってくるだろうな。皆、覚悟しとけ」
「とか言ってお前、何や嬉しそうやで」
ロロが横合いから口を挟んだ。
「だって、弱すぎる敵じゃ、戦ってもつまんねぇだろ?」
「そうやな……って何言うとるんやこの状況で!」

「みんなー、クレープの追加だよ〜もぐもぐ」
流れをぶった切って、また大皿が運ばれてきた。
301スポーツ好きさん:2011/01/16(日) 18:50:06 ID:qBf9Ged4
「えっ? 時空警察の長官派が、この基地へ?」
「ああ。まだ、それらしい動きはねぇようだが」
サーシャは一通りの事情を説明してから、クリスティナに尋ねた。
「それで、あいつらが使おうとしてるロボってのは……」
「こちらに保管されているのは、宇宙仕様の作業用ロボットです。
この基地や月面都市で、外回りの仕事をするための」
「軍用タイプじゃなければ、大したことはないかしらね?」
ほっとした様子で、アンナが言う。だが、クリスティナの表情は曇ったままだ。
「いいえ……月面や宇宙で活動できるロボットは、軍用とほぼ同じ仕様。
組み込まれたソフトウェアが違うだけで」
「!!」
「遠隔起動できるなら、戦闘ソフトの送信・インストールも可能でしょう」
結局、「戦闘ロボが大量にある」という当初の予想には、何の変わりもない訳だ。
「なぁ、何とかそれを、動かないようにする方法って無いもんかな?」
サーシャの問いに、工学博士は考え込みながら答える。
「……起動不能にしてしまうと、向こうにも気づかれますよ。でも……そうだわ!」
彼女は受話器を握ったまま、傍らの青年に言う。
「手の空いてる人を集めて。ロボットのバッテリーを、廃棄予定の消耗品とすり替えるの」
302スポーツ好きさん:2011/01/21(金) 00:04:17 ID:P0Zd2zxg
作戦会議と食べ放題パーティー、一体どっちがメインなのかわからなくなる勢いで
作りまくり&食べまくっている2010年の現代&子孫スケーターたち。
いつの時代も美味しいものは人を幸せにするのである。
それはさておき。

「うーむ…『敵を知り、己を知らば百戦危うからず』って言葉があるが
 その敵がどんな戦法で来るかだな」
「こっちもしっかり迎え撃つ準備をしておかないとね」
「孫子の兵法か…そういった方面に詳しい人がいれば頼りになるけど
 ここにいる人たちの中には期待できそうもな… …あ!」

会話していたメンバーの視線が、一斉にある人物に向けられた。
「よーしもうすぐパン焼けるでー!…あの、何でみんな僕の事見とるん?」
303スポーツ好きさん:2011/01/23(日) 23:40:11 ID:NcgFoZYk
「ノブ君、御先祖様呼び出して!」「そうだ、信長がいたね!」「信長ならきっと何とか(ry」
一斉にリクエストされて戸惑う信成。
「だっ、大丈夫かなぁ? 万一暴走されたらシャレにならんけど」
「何なら、作戦の相談が済んだ所で、丁重にお帰り頂けばいいし〜」
ジョニ子がにっこり笑って言う。何人かが周囲でうなずいている。

好奇心に目をキラキラさせた信太が、信成に駆け寄ってきた。
「じっちゃんの御先祖様召喚かぁ、見てみたいなぁ。オラ、うまく出来ねぇから」
「そうやったんか?」
「幼稚園の頃にな、『信長じゃ』って名乗るユーレイみたいなのに会ったんだ。
その時、なんか偉そうで苦手だなぁって思っちまって」
「ああ、それじゃちょっとうまく行かんかもな。よし、ちょっと待っててや」
304スポーツ好きさん:2011/01/28(金) 00:50:58 ID:izWtXSMI
その頃、名古屋組もティータイム休憩の傍ら、解読した資料について語り合っていた。
「この話(>>295)は、氷河期襲来(>>238)より後の時代らしいけど、
やっぱり同じように、何かの史実を反映していると思うよ」
岳斗の言葉に、明子がうなずいた。
「こっちの資料に、古代の間氷期について書かれてる。
当時に起きたらしい災害は、神話の内容とかなり一致してるわ」

クリプトン星の環境は、古代に氷河期に入って長らく安定を保ったが、
一時的な温暖化、「間氷期」が訪れたことがあるようだ。
原因は、火山活動の活発化で放出された、大量の温室効果ガス。
この時には、氷が溶け、橇での物資移送が途絶えたり、
海面上昇と高潮被害のため、海沿いの町が放棄されたりしたという。
寒冷環境ならば増殖しない細菌による、疫病の発生もあったらしい。

それなら、神話にあるクリスタルも、実在したのだろうか?
305スポーツ好きさん:2011/01/29(土) 22:47:26 ID:x+F0NNg/
実在したのだろう。名古屋組の意見は一致した。
「試作されたっていう『惑星エネルギー充填装置(>>275)』は、
そのものなのか複製なのか分からないけど、同じような働きをするんじゃないかな」
武史が言い、信夫が結論を出す。
「それが、北極と南極のクリスタルだと見て、まず間違いないでしょうね」

「そうだとして、あれ、一体どうやって使うの?」
「うん、動かし方もよく分からないし……」
友加里と舞が揃って考え込む。その隣で静香が、別の後輩の呟きに気づいた。
「ん? 無良君、今何か言った?」
「あ、その……クリスタル、もし奪われたりしたら大変だな、って」
306スポーツ好きさん:2011/01/30(日) 00:04:21 ID:1ptfzM/f
「ユキ、おれやっぱり名古屋にいったん戻る。」
「?なんで」
「先生達の話を詳しく聞きたい。それに・・・・・今一度状況を整理しないと話しがぜんぜん進まない・・・・」
「そうだね、崇じぃ。・・・・みんなに内緒で行く?」
「そのつもり。あと、佳菜子と未来も連れて行く。」
「え!?崇じい?なんで?」
「俺の当てずっぽうだけどあの神話の『DIVAと踊り子』の候補ってとこかな。他にも考えてるけど」
「ふ〜ん、わかった。じゃあ僕が声かけてくるよ」

そして、数分後・・・・・

「崇彦おかえり〜」「雪君お初〜」「丁度いいとこ着たわね〜お燗も上がってるわよ〜」「ワインも飲み頃だ〜ね〜」「なべもいい感じ〜」
「・・・・・・みんなちょっと出来上がってません?」
名古屋に戻ってきた崇彦たちは恩師と先輩方の顔色のよさにちょっと肩を落としていた。
「煮詰まったときは一回白紙に戻してぱ〜っと騒ぐのが大人の流儀ですよ・・・・」
「先生、ネクタイ頭に巻いていわれても説得力ないです・・・・・」
そういう崇彦もさっさと席に座り灰汁取りしながらちゃっかりトロの刺身をつまんでいる。
「きりたんぽって初めて〜」「僕鍋物ってはじめて食べるんだ〜。楽しみ〜」「はじめてづくしだね〜」
雪彦と佳菜子と未来も簡単になじんでいた。

そのころ宇宙船では無良君の懸念していたクリスタルに、いや宇宙船全体に危機が迫っていた・・・・・

307スポーツ好きさん:2011/01/30(日) 01:29:32 ID:7wnW848o
その頃宇宙船では数日かけてやっと信長召喚に成功したところだった。
「やれやれ待たせたの、皆の者。こたびは規制とやらのせいでえらい目におうたわ。
で、そちがあの信太か。大きくなったものじゃ、いやまだ背は低いか。
しかしわしの甲冑姿を一目見た途端『だーすべいだーが出たーーー』とかわけのわからぬことを申して
うぉーん泣きしておったあの稚児がのう…」
「い、い、いやご先祖様その話はいいから、戦法教えてくれよ戦法!」
傍らではアロエリーナがニヨニヨ笑っている…
「安心せい、そちの曾祖父の信成とて初めてわしを見た時には『ままーおばけがでたー』と」
「そんなん言うてへんわ!」「その場で粗相も」「してへんでっ!」
「以来寝小便がおさまらず」「小学校上がるまでやっ!」
傍らではチームジャパンが腹を抱えて大爆笑している…が、
「あれ、そういやコーチのじっちゃんどこに行っちまったんだ?ユキもいねえぞ」
「ええやん信太、こんなとこ見られずにもっけの幸いやで…」
傍らでジョニ子の眼がキラリと光った、がここはご先祖様の話が先だ。

「して、わしの戦法じゃったな」
308スポーツ好きさん:2011/01/31(月) 00:13:37 ID:HBnjr3vy
信長「わしの戦法じゃが、今川の陣地を奇襲した桶狭間の戦いがやはり印象深いの。
もしやおぬしらも未来に行って敵の本拠地を奇襲するつもりか?」
アロエリーナ「ききききき奇襲は絶対止めたほうがいいよ!!!
こんな大所帯で時空異動なんて未来に与える悪影響がはかりしれないよ!!!」
ジョニーG「ちょっと、せっかくのキャラパン握りつぶしちゃってるわよ。
でも考えてみたら2010年でもアタシたち待ち伏せ自体はできるのよねぇ・・・」
マオ「あっ・・・そういうこと!」
突如ジョニーGとマオが顔を見合わせ、目を輝かす!
このところ意見対立していた二人だが、久しぶりに意気投合したようだ。
信長「おぬしらいかがした、一体どうするつもりじゃ?」
マオ「じゃあ未来の皆に聞きますけど・・・こちらの時代に時空異動してきた時、
2110年のどこから出発して2010年のどこに着きました?」

ステアハン「アハーン、僕ら5人は向こうのトーキョードームで待ち合わせてワープして・・・」
バンビ「着いたのも確かにトーキョーだったぞママン!」
信太「オラはオオサカドームの実家からタイムカプセルに乗ったんだけど、
着いたのはカンダイのキャンパスだったんだよなあ」
ジョニーG「でしょでしょ!2110年の時空警察本拠地はロサンゼルスにあるの。
つまり奴らが2110年から攻めてくるにしても、最初に到着するのは・・・」
マオ「2010年のロサンゼルスというわけです」
「「「「「おおおおおーーーーー!!!!!」」」」」

というわけでようやく「ロサンゼルス待ち伏せ作戦」が全会一致で可決。
ご先祖様は安心して帰っていった。が、問題はまだ残っている。
ジョニ子「で、その残骸は一体何のキャラパンだったわけ?」
信成「・・・あれ、ご先祖さまもう帰ったん・・・・・・ってあああああ!
せっかくムックパン作ったのに!イチゴチーズクリームが〜〜〜〜〜!」
大輔結弦真央美姫「どうみてもぷよぷよです。本当に(ry」
309スポーツ好きさん:2011/02/01(火) 06:18:33 ID:ORtDzDiK
一方、その頃。有香コーチにはもう一つ心配事が増えてしまっていた。
扁桃腺を腫らして熱を出し、しばらく寝込んでいるのみと思っていた愛弟子・アボットが、
ここ数日眠ったまま目覚めないという知らせが、彼の家族から入ったのである。
「声を掛けても、体を揺さぶっても、叩いてもつねっても全然起きないんです。
時々苦しそうにうなされて… 可哀想なジェレミー」
涙まじりに電話をかけてきたのは、姉のグウェン。
「熱はもう引いています。お医者様に診てもらっても、異常はないということです。
けれど、グウェンの言うとおり目を覚ます様子はありません。
ご家族や私、それにメリルも心配して駆けつけてくれて、交代で看病しているのですが…」
キャロラインの声も心なしか震えている。
「分かったわ、ありがとう。何かあったらまた伝えてちょうだいね」
いつも冷静な有香も、こう返すのが精一杯だ。
「…そう言えば、ユカ。ひとつだけ気がかりなことがあります」
「それは?」
「ジェレミーがうなされている時、こう言っているのだけははっきり聞こえたんです。
『タカヒコを先頭に、たくさんのスケーターが氷河を渡っている』……って」
310スポーツ好きさん:2011/02/06(日) 19:19:58 ID:/rStuxeN
名古屋の一同はその頃、デザートの果物盛り合わせを味わいつつ
マターリと、だが真剣に語り合っていた。
信夫「あのクリスタルのエネルギーを解放する手順は、結構難しいようです」
武史「誤作動を防ぐためでもあるんだろうね。軽々しく使われていい物じゃないから」
崇彦「その手順、具体的にどうするのかは、まだ分からないんですか?」
岳斗「そこが一番の難関なんだ、専門用語だらけでさ。でも、あの神話がヒントになってる」
明子「DIVAの祈り、つまり強い思念で、何かを入力するのが第一段階みたいよ」
樹 「パソコンに例えると、パスワード入れて起動させるようなものだね」
311スポーツ好きさん:2011/02/08(火) 23:59:33 ID:IVS2F5Xo
時空警察本部では、ロボット部隊が出撃前の最終調整中だ。
『敵宇宙船の主力メンバーによる待ち伏せの可能性、77.4%』
傍のモニタに映った文字列が、一瞬で数式や記号の列に変わる。
よほど詳しい者でなければ意味不明だろうが、戦闘ロボットたちへの指示である。

『ミッション:ターゲット襲撃、及びクリスタルの奪取。
Aグループは、到着と同時にワープ、宇宙船の近辺に潜伏せよ。
Bグループは敵主力に対して陽動を行い、宇宙船から引き離すこと』
312スポーツ好きさん:2011/02/09(水) 12:14:37 ID:78erZKPL
「これやばくね?◇」
「どうだシュルタイス君、マオ君と連絡が取れるか!?」
「難しい…彼女の方が受信制限をしているらしい」
時空警察の『秘密部屋』では、ロボット部隊の動きに焦りを感じていた。
「マナ君、頼みが…。マナ君?」
マナの姿が忽然と消えている。

「…………あった!」
見つけたのは、財団名古屋支部の倉庫でほこりをかぶっていた古い古い資料。
「ふんふん、これとこれとこれで…羽生支部長、どう?」
「…あ、イケそう」
「じゃ、やってみるね……」

『もしもし、村上佳菜子さん?初めまして。私はあなたの子孫のマナです。聞こえますか?』

「クリプトンの資料を残せって言う小塚先生の言葉、守ってて良かった。時空を超えたスケパシーが可能な装置も作れるんだから」
313スポーツ好きさん:2011/02/10(木) 16:21:58 ID:dg4FFins
ロスにて待ち伏せ作戦の準備を進める宇宙船組。
「僕たちユーロ組は一般人が巻き込まれないように避難誘導とバックアップに回るよ。
ジョニーたち北米チームは地の利を生かして奴ら気をひきつけてくれ。
そして大輔たちチームジャパン+子孫組はクリスタルの保護に専念してほしい。」
「なんや!何でワイらはバックアップ何や!」
「お 前 が い る か ら や!」
314スポーツ好きさん:2011/02/11(金) 23:57:25 ID:3u3Akgi+
「どうも嫌な予感が……気のせいならええんやけど、念のためや」
出発を前に、ロロは船内の一室から、何かを小脇に抱えてきた。
「済まんな、まともな依り代を用意しとる暇なくて」
ファンのプレゼントらしいそれを、宇宙船の廊下が見渡せる棚にそっと置く。
「頼むで。あの子らの手に負えんって時には、知らせに来てや」

ロロが立ち去った後、通りかかった信成が、棚の上の「依り代」に気づいた。
「あ、あの……ダルタニアンさん、何でパンダのぬいぐるみの中に?!」
可愛らしいパンダは、何を思ってかただ無言だった。
315スポーツ好きさん:2011/02/17(木) 14:23:54 ID:yofRS85E
『時間がありません、クリスタルの保護とご先祖の皆さんの援護をしないと、
 スケートの未来が永遠に失われてしまいます、どうか・・・!!』

「・・・な、・・・・・・こ、・・・佳菜子!!」
「!」
友加里に身体を揺さぶられていた佳菜子。
「急に気を失って、心配したわ・・・」
「・・・大変」
「・・・えっ?」

「真央ちゃん!真央ちゃんに知らせて!宇宙船が危ない!クリスタル危ない!」
316スポーツ好きさん:2011/02/17(木) 23:44:36 ID:AzCYcQYP
その少し前、アレクセイは操縦室で、曾祖父とちょっとした雑談をしていた。

「この宇宙船、僕の時代まで残ってるけど、内部構造は同じだよね?」
「構造? 100年後のとは、何か違って見えるのかい?」
プルは操縦席のモニタを操作し、宇宙船の断面図をいくつか表示させる。
「あ、基本的な構造は変わってないんだ。内装周りの見た目は結構違うけど」
「そりゃ、100年の間には当然、模様替えもするだろうし」

変なことを聞くんだな、と言いたげなプルに、アレクセイは苦笑して答えた。
「まさか、襲撃されてあちこち壊されるせいだったら、どうしようって思ってた」
「そんなことは、僕らがさせなけりゃいいんだよ」「そうだね!」
どや顔(瓜二つな)でうなずき合う二人であった。
317スポーツ好きさん:2011/02/18(金) 18:09:49 ID:56y/0XMk
その頃名古屋では・・・
「落ち着いて!一体どうしたの?」
「早く!早く真央ちゃんに・・・!」
友加里の問いかけにも答えず必死で訴える佳菜子の様子に一同は困惑するばかり。
何が起きたか解らないが、その内容からするとどうやらただ事ではなさそうだ。
「あのぅ、あたし達宇宙船に戻ったほうが良くないですかぁ?」
「夢だったとしても気になるな。一度宇宙船と連絡を取ってみようか・・・」
未来と崇彦が相談していたその時。
「あ!崇じぃ!見てあれ!!」
雪彦が指す方向を見てみるとカートの『ICE』がひとりでに開いた。
例の危機リストのページに見る見るうちに新たな名前が浮かび上がる。
「あ〜もう!今度は一体誰なんだ?・・・って、ええっ?!!」
新たに浮かびあったその名前を見た崇彦はぎょっとした。
そこにはこう記されていた・・・・・・『Mao Asada』と。
318スポーツ好きさん:2011/02/18(金) 20:36:02 ID:uvJmxxF+
「・・・・・・」
「どうしたの?」
士気が高まってそわそわする宇宙船内で、一人、浮かない顔のマオ。
「何かしら・・・ものすごく嫌な予感がするの・・・」
「んもうっ!アンタはいつもそうやって士気をそぐんだから」
「ジョニー刑事ちょっとだまってて・・・」
マオの顔がいよいよ険しくなり・・・
「あ、どこ行くのよ」
「水飲んできます」
部屋を後にして・・・

「強制保護カプセル・・・使いたくなかったし、一つしか用意してないけど・・・」
小さな小さなカプセルを、ポケットに隠した。

「マオさんマオさんどうしたの?」
「あぁ、曾お祖母様」
「ねぇ、崇ちゃん知らない?」
「・・・・・・・・・・・・えっ?」

ドタドタドタ・・・・・・
「みんな待って!!!おじいちゃんコーチとユキちゃんがいない!!!」
319スポーツ好きさん:2011/02/19(土) 13:22:48 ID:4OOc/Q5j
ここに来て漸く二人の不在に気づいた宇宙船組。
そこへストイコが手紙を持って走ってきた。
「書置きがみつかったで!」その手紙には・・・・

『ちょっと崇じいたちと出かけてきます。 雪彦』
『タカとユキとカナコで遊びにいってくるよ! みらい』
『崇ちゃんと雪ちゃんと未来ちゃんで旅行に行ってきま〜す。v 佳菜子』
『雪彦たちと旅に出ます。 糸色 文寸 に探したり後をつけたりしないでください。 崇彦』

「これはもしや・・・・いえ『駆 け 落 ち よ 〜!!!!』で、え?・・・・」
ざわつく宇宙船メンバーの中でジョニ子の声が大きく響いた。
「崇彦ってばいつのまに・・・ここ数日で急に色気づいたと思ったそんなこと・・・・!!!!!!」
「ジョに姐・・・・いくらなんでもそりゃ失礼でしょ。妄想も甚だしい」
「そうだよ〜!崇ちゃんたち旅行に行くって書いてあるし〜」
「きっとストレス溜まってたんやろな〜。ここはひとつ関大に、じゃなくて寛大に」
「う〜ん、大ちゃんの座布団1枚もってって〜」
「もう!!!これだからチームジャパンは甘いのよ!」
ジョニ子はすっくと立ち上がり
「アダム!フローラン!ジョニG!今すぐ崇彦たちを連れ戻すわよ!」
「・・・そんなこと言ってもどこにいるか分かるんですか?」
「DIVAの感が阿蘇にいるといってるわ。今すぐGOよ!!」
「一番当てになんないじゃないですか!!!!」
「うるさいわね!つべこべ言わずに出発よ!!アダム!あたしを姫抱っこ!!」
「鬼〜!!!」
こうしてジョニ子たち4人は一路阿蘇へ・・・・・・・

「ところで本当のところおじいちゃんコーチたちはどこ行ったんでしょう・・・」
「間違いなく信夫先生のところだと思う。つまり新横か名古屋。」
「ジョニーたちが行くと厄介だからこっちも気つかってやらないいとな。」
「崇ちゃんたちなら大丈夫よ。きっと向こうから連絡くれる。」


320スポーツ好きさん:2011/02/20(日) 10:28:47.88 ID:LXfzXiPR
阿蘇に来ちゃったDIVA一行。
もちろん、崇彦たちは見つからなかった。

が、

「姐さんなんでこんなところに…?」
「お前たしか宇宙船にいるってきいてたぞ?っていうか増えてるし!?」
「でも、ちょっと心強いかも」
「そうね、私たち、パトリック以外はそんなに場数を踏んでないし」
上からアーミン君、Pさん、アリッサ、アシュリー。
「へぇ、DIVAの勘ってそんなに外れなくも無いんだ…」
「フローラン、たぶん今回だけだから」
「なんであんたたちが阿蘇にいるのよ!崇彦はどうしたのよ」
「知 る か」
「え?タカヒコもこっちに来てるの?」
「ジョニ姐が勝手にそう思ってるだけだから、アリッサ」
「そうなの?私たちユカに頼まれて、北海道で氷河の調査をしに来たのよ」
アリッサの説明に続けて、アーミン君がぽん、と手を叩いた。
「そうだ、せっかくだから手伝ってくれませんか?」
「DIVA姐さん一人いるといないとでは心強さが全然違うし」
「あらっ?そう?」
アシュリーのおだてに気を良くしたらしいジョニ子。
「もう、しょうがないわねぇ〜。崇彦なら大丈夫よね。さ、アンタたち、手伝うわよ〜!」
「(´A`)エェェェェ…」
「活躍〜♪」

「…ま、ミスター・コヅカのことだから思うところあって宇宙船から離れたんでしょうね。でも…
 どうやってみんなに謝ろうかしら。曾お祖父様が勢いで持ち出しちゃったクリスタルのこと」
321スポーツ好きさん:2011/02/23(水) 00:47:58.04 ID:wu+xbarC
一方、宇宙船では。
「ま、何人か抜けたって作戦は変わらへん、こっちは打ち合わせ通りに……ん?」
そう言いかけたストイコの肩を、ハリセンでぺしぺしと叩いたのは、含み笑いを浮かべたロロだ。
「エルヴィスお前、気がついとる? ちょいと訛ってきとるでぇ」
「……☆#℃♭※!!」
今まで自覚がなかったのか。ストイコは数秒間硬直した後、ハリセンを引ったくった。
すぱーん! キレのいい打撃音が響き渡る。「誰のせいだと思ってんだ!」

「あー、これで元に戻っちゃうかなアハン」
「だんだん訛っていくの、ちょっと面白かったのにねアハン」
ランビーズが、そんな様子を見ながら笑い合っている。
「……ってそういえば、さっき何の話してたっけアハン」「何だっけアハン」
クリスタルの片方はジョニーが持っていたが、誰か受け取ったろうか?
と皆に確認するつもりが、うっかり忘れてしまった彼らであった。
322スポーツ好きさん:2011/02/24(木) 14:29:23.71 ID:8OGV7uKL
こちらは名古屋組…。

「はいはいみんな、落ち着いて」
信夫がぽんぽんと手を叩いた。
「まず、舞さんは真央さんにこの事を連絡して」
「は、はい!」
「それと、崇彦たちは宇宙船に戻るならその前にそれなりの武装をしなさい」
「わかりました…」
「あ、でも先生、佳菜子は先生のところでお願いします。また何かあるかもしれないし…」
「いいでしょう。我々も固まっていてはいけませんね…新横との二手に分かれましょう。友加里、久美子に連絡を」
「はい」
「それからジェイソン、今までに分かっただけの資料をもって有香の元へ戻ってください」
「分かりました」
パニックになっていてもしょうがないのでそれぞれ、信夫の指示通りに動く。
「あぁ、崇彦、ちょっと」
「?」
>>321の時点で残り202KBです」
「了解しました」
323スポーツ好きさん:2011/02/24(木) 22:35:22.03 ID:IwkV9z3T
ジョニ子一行は一面銀世界の阿蘇の雪景色の中でショートケーキに1本のローソクを刺していた。
「みんな、きょうはこのスレの前身『ジョニ子の乙女ないちにち』スレがたった記念すべき日よ。
ささやかながらみんなでお祝いよ!」
「・・・・それは分かるけど・・・どうして真冬の草原のど真ん中・・・・・・」
「この雪景色がきれいだからじゃな〜い!!南極に比べたらへっちゃら・・・・へ、へ・・・ぶわKKっくううしょおおおん!!」
「これだから云わんこっちゃない・・・・」
「アダムうるさいわね!・・・・・このケーキに最後の飾りを・・・・うふふ、出来たわ!」

ケーキの上に自分がちゃっかり持ってきた南極のクリスタル。
ローソクの明かりに照らされてクリスタルがキラキラと輝く。
一同がうっとりとそれを眺めていたのだが・・・

「あれ?クリスタルの光が増してない?」
「そういえば・・・・・」

クリスタルは放つ光がだんだん大きくなりやがてジョニ子たちを包んでいった・・・・・・
324スポーツ好きさん:2011/02/27(日) 18:27:03.08 ID:wWCZ1Dvk
「えーっと、靴、コンタクト、ベルト、衣装、下着」
「・・・はい」
「それから・・・弁当、水筒、抹茶飴、卒論の原文、靴紐の代え、リカバリー」
「・・・大丈夫です」
「あとは・・・あ、無敵のパイプ椅子」
「それはいりません」
「崇じぃ急いでぇぇ!!!」

「しーちゃん、友加里ちゃん、俺、佐藤先生は新横。岳斗、あっこちゃん、舞ちゃん、佳菜子ちゃんは小塚先生と名古屋。樹、無良くんは宇宙船組、でいいね?」
「異議なし」
「急ぐわよ!」
「あっこちゃん、また佳菜子に何かあったら連絡して」
「うん」

pllll・・・pllll・・・
『もしもし、舞?』
「真央、無事!?逃げて!!」
『え?舞?』
325スポーツ好きさん:2011/02/27(日) 23:17:50.16 ID:VfIuiDzA
ロスに停泊しているはずの宇宙船に戻ってきた崇彦たち。
「えっと・・・・マオからきいた時空警察本部はこのあたり・・・・」
雪彦を先頭にその場所に向かうが・・・

「あああ!!!!」

一同はその場に立ち尽くした。

宇宙船は細長いビルの先端に輪投げのように引っかかっていたのだ。

「あの建物・・・・見たことないですぅ・・・」
未来の言葉にはっとなった雪彦、そして彼は驚愕の事実を口にする。

「あれは・・・・時空警察本部!!!!」
「ええええ?!!!!!」
326スポーツ好きさん:2011/02/27(日) 23:59:27.44 ID:ufNMSfi5
クリスタルの光に包まれながら、ジョニ子たちは不思議な光景を見た。

薄暗い洞窟のような場所で、数人の少女がひざまずき、祈っている。
いずれも粗末な毛皮の衣を身にまとい、やせ細ってやつれた様子だ。

《神様、お願いです。どうか、慈悲を》
《このままでは、私たちは滅びてしまいます》
《恐ろしい悪魔から、どうかお救い下さい》
少女たちは無言だが、その思念らしきものが伝わってくる。
そして、彼女らの前にあるのは、沢山の結晶がクラスター状になった大きなクリスタル。

「これって……もしかして、このクリスタルの記憶?」
呆然と呟くジョニ子に、リッポンがやはり呆然と呟き返す。
「つまり、大昔のクリプトン星ってこと?」
327スポーツ好きさん:2011/02/28(月) 12:44:25.60 ID:s9EsxtAj
「え?舞?」
真央が電話の向こうの姉に聞き返した。

その瞬間

ガゴン!!

「なんだ?」
「どうした?」
大きな音と共に宇宙船が激しく揺れる。
当然、バランスを崩したメンバーたちが次々とひっくり返る。
なんとかしてマオが宇宙船の外をのぞくと・・・
「・・・時空警察本部!?」
「・・・エェェェェェェェ!?」
予想の斜め上の事態に困惑する一同。


でもそれ、宇宙船のメンバーだけじゃなかったりして。

「こ、これは・・・・・・い、いい、一体どうなっているんだね!?」
「分かりません長官、大至急原因の解明に・・・」
「早くしろ!こんな事態が起きたら、総監をつぶすどころか私の身が・・・」
「ちょ、長官大変です、アレックスが、今の衝撃で再起不能なまでに壊れてしまいました・・・!!」
「な・・・な・・・!!!」
バタン・・・
「長官!長かーーーーん!!!」


「何が起きているんだろうね?」
「・・・・・・これだ」
「「え?」」
「見ろ、アレックスを過去に転送するときに、この部分に欠陥があったせいで
 転送装置全体が異常をきたし、ビルごと過去に転送してしまったんだ・・・」
「・・・それ、オレが引っこ抜いてきちゃったネジの部分・・・?(・◇・;)」
「・・・・・・ユウスケ君、始末書百枚じゃすまんぞ・・・」
328スポーツ好きさん:2011/03/01(火) 20:40:22.04 ID:Ti+oLhII
予想外の出来事に混乱する宇宙船内だが、いつまでもこのままなわけにはいかない。
とりあえずこの状況を何とかしなければ。
「ジェーニャ、早く宇宙船を上昇させろ!こんなとこに引っかかってる場合じゃねぇぞ!」
「君に言われなくてもやってるよ!」
ヤグに言い返しながらプルが操縦桿を操作するが、宇宙船に引っかかった時空警察本部ビルの
先端ががっちりはまっているようで、いくら頑張ってもびくともしない。
「駄目だぁ〜!エンジン全開にしても動かないよ〜!!」
「「「「「工エェ工エェ(゜Д゜(゜Д゜)゜Д゜)ェエ工ェエ工」」」」」
再び呆然とする宇宙船組の一行。

「どうしよう曾お祖父様、このままじゃ身動きが取れないよ?!」
「そうだねぇ…この先端部分を壊すか、何か衝撃を与えて宇宙船との間に隙間ができれば動けると思うんだけど…」
心配そうな様子のアレクセイに答えながらプルは考え込んだ。
329スポーツ好きさん:2011/03/02(水) 23:34:07.99 ID:ay3t1IiI
「やっと終わったあ゙━━━━━━((゚∀゚))━━━━━━ッ !!!!!」

月面基地の倉庫内に、どこかで聞いたような絶叫が響き渡った。
>>301でクリスティナ工学博士が提案した作戦…
手の空いている者を総動員させ、大量に保管されているロボットのバッテリーを
消耗品に交換する作業がようやく完了したのだった。

「これで時空警察の長官派が来ても、ロボットは戦力にはならない。それにこちらには地の利もある。
 あんなムカつく連中、顔見せた瞬間にボッコボコにしてやりますよ!」
血気盛んな研究員の一人が拳を握る。おそらく長時間作業のイライラも含まれているのだろう。

だが、その長官派が建物ごと21世紀に転送されて大混乱に陥っているとは
この時彼らはまだ知る由もなかった。
330スポーツ好きさん:2011/03/03(木) 09:57:31.80 ID:AOri0D8e
その頃2110年の財団本部では、北米支部からの連絡を聞いたアンナが驚きの声を上げていた。
「なんですって?!時空警察本部が消えた?!」
「消えたってどういうコトなの?」
「詳しい事はまだ解らないの。でも向こうからの話だと突然時空警察の建物が消えてしまって、
ロスでは大騒ぎになっているらしいわ」
ブルマの問いに困惑した様子でアンナが答えた。
「きっと連中がまた変な装置とか作ったのよ!空飛ぶ時空警察本部とか!・・・うん、そうに違いないわ。」
「パトリシア、それはちょっと飛躍しすぎじゃ・・・」
トマシュが窘めるが自分の推理に自信満々なパトリシアが聞いてるはずもない。
「なんにしても気になる話だな。よし、アリョーシャにも連絡を入れておくか」
そう言ってサーシャが通信機に向かった数分後。
「なにぃぃぃぃ?!時空警察ビルに引っかかってるだとぉぉ?!」
聞こえてきたサーシャの声にその場にいた一同は思わず目が点になった。

・・・その中でパトリシアだけは瞳孔が開いていたのは言うまでもない。
331スポーツ好きさん:2011/03/03(木) 20:17:30.99 ID:GGaabYid
ロスの街外れに突然現れた建物と天使の輪のような物体。
住人達が混乱する中、この騒ぎに目をつけた強かな連中が現れた。

「本場アメリカンのホットドッグいかがですか〜」
「フライドポテトにポップコーンもある出よ〜!!」
「チャイニーズタウン名物の豚マンあるよ〜!」
「当店自慢の未来ロール!!食べるといいよ!おいしいよ!」

人々はたちまち屋台に群がり、見物客は携帯で写真を撮ったりですっかり観光気分。

「あの建物、トーキョーで作ってるタワーとどっちが高いかな〜?」
「展望台が金色なのね!登ってみたいわ〜」
「さすがアメリカ!こんな建物を今日まで隠しておくなんてやること違うね〜」

・・・・・・・・

「タカ、どうしよう・・・」
「この騒ぎじゃ正面突破は無理でしょう。・・・・雪彦、危機リストちょっと見て!」
「あ、う、うん」
慌ててページをめくる。そして・・・・
「宇宙船のみんなの名前が載ってる・・・・」
「うわあ!崇ちゃんマズイ!超ヤバイヨ!」
「タックン、落ち着いて!」
樹が無良君を制している横で、危機リストを眺めていた未来は名前の横に数字が出ていることに気がついた。
「これ、何の数字かなぁ?」
「調べてみるよ。」
ページをめくって裏表紙にそれらしい説明書を発見。
「これ、現在の危険度レベルの数字だ!」
説明書によると注意を促すレベル1から始まり生命が危ぶまれるレベル5まであるらしい。
ちなみに安全であるレベル0になると危機リストから消える仕組みになっている。
「みんなはいずれも1〜2だね。心配することないか。」

そんなわけでしばらく様子見を決めつつ屋台の豚マンを頬張る5人。
しかし、危機リストのなかで只一人レベルが4に移行したものがいることなど知る由もなかった。

332スポーツ好きさん:2011/03/03(木) 20:37:43.68 ID:OrqHCYJs
「・・・・・・時空警察って、バカばっかニカ?」
「ユウちゃん先輩が平常運転なだけです」
ヨンヒの呆れ顔に、羽生が困り顔で説明する。
「・・・私の努力、なんだったんですかぁ」
マナは半泣き顔。
「さすがユウスケね・・・毎度毎度斜め上」
「ま、邪魔者がいなくなってこっちはやりやすいな。今のうちに各国支部も準備が整うだろ」
「もうこれ国際検察のチェックどころじゃありませんね・・・国連会議レベルですよねぇ」
「さっさと私たちは、『地球環境のために』『時空警察警視総監の許可の下で』歴史介入をしたという証明、を整えるニダよ」
333スポーツ好きさん:2011/03/03(木) 22:17:43.73 ID:+Yi2lIgO
その頃、宇宙船のメンバーも地上の騒ぎにようやく気が付いたようだ。
美姫「ちょっと見て!見物客が集まってきてるわよ!」
信成「どれどれ…うわぁホンマや、ぎょうさん集まってるなぁ」
真央「ほんとだ〜屋台もいっぱいできてお祭りみたい〜♪真央も行きたいな〜」
マオ「曾お祖母様、その為にもこの状況をどうにかしないといけませんよ…」
のんきにはしゃぐチームジャパンとまたもや渋い顔をするマオ。

一方操縦室では、プルがエンジン全開で船体を揺すらせたりしてみるが、
相変わらず宇宙船に嵌った時空警察本部ビルの先端が抜けそうな気配はない。
「まいったなぁ…ここまできっちりはまってるとはねぇ」
そう言ってため息をつくプルの肩を誰かが叩いた。振り向くとそこにいたのは信太だった。
「おい、アリョーシャの曾じっちゃん!!」
「どうしたんだいノビタ?」
「あのビルの先っちょが壊れれば良いんだな?…よし!オラに任せろ!!」
「ちょっと待って!どこに行くんだい?!」
言うが早いかプルの制止も聞かずに信太は操縦室から走り去っていった。
334スポーツ好きさん:2011/03/04(金) 09:47:35.51 ID:E4gtFy+X
「長官!長官、しっかりなさってください!」
時空警察本部内の一室では気絶していた長官が目を覚ましていた。
「なんという事だ・・・我々の計画が警視総監に知れ渡ったうえに、おまけに過去へ飛ばされるとは・・・」
すっかりうな垂れている長官に副所長が声をかけた。
「諦めるのはまだ早いですよ長官。転送装置を修復しひとまず使用可能になりました。
建物ごとの移動の為始動まで数分かかりますが、22世紀に戻り次第ここを脱出しましょう」
「ああそうだな・・・とにかくいつまでもこんな古臭い所で見世物になるのは御免だ」
こうして長官派は再び時空飛行の準備に入った・・・ビルの先端に宇宙船がひっかかったまま。
335スポーツ好きさん:2011/03/04(金) 20:09:17.74 ID:cPzdUrmk
阿蘇の地でクリスタルの記憶に触れたジョニ子一行。
クリスタルの映像はまだ続いていた。
クリプトン星が栄華を極めていたころの人々の喜び
そして滅び行く星に最後の望みを託し、クリスタルの一部を遠い星に託したことまで・・・・・

「なんて・・・・儚くて・・・・かわいそうなお話なのかしら・・・・」

映像を見終わったジョニ子は人目もはばからず乙女泣き。
他の女子達もすすり泣き、男子メンバーも涙をためていた。

「そうよ!私達はこの星をクリプトン星の二の舞にだけはしてはいけないの!」

ジョニ子は再び立ち上がった。

「みんなのところへ返りましょう!!崇彦たちだってきっと私達と同じ気持ちのはず!」

心をひとつにしたジョニ子一行は再びロスに旅立った。


そのころ崇彦一行は買い食いのし過ぎで資金不足に陥り、未来ロールの屋台を手伝う羽目になっていた。
336スポーツ好きさん:2011/03/04(金) 21:53:53.18 ID:QrKrYuBP
「そうか・・・そっちの準備は整ったんだね、ありがとうマナ君。・・・ん?・・・そうか、確かめよう」
「総監、どうしたんですか?」
「シュルタイス君、ここの転送装置をしばらく使用不可にできるかね?」
「何故?」
「ビルの先端に私たちの大切な方々が引っかかってしまっている。せめて救出して差し上げたい」
「ふーむ・・・」
「それに、長官をこのまま現行犯逮捕、そして起訴も可能だ。少々大事になってしまうが、この際、膿は出し切ってしまおう」
「わかった、ウイルスを送ってみる」
「それと、ユウスケ君」
「はい?」
「ここからこっそり脱出して、若かりし小塚大先生に我々のことを伝えてくれ」
「へぁい」
337スポーツ好きさん:2011/03/06(日) 23:39:11.13 ID:HKLlEgsM
プルの制止を振り切って宇宙船の非常口から外に出たノビタ。
「うわ〜!!!風がすんげ〜!!」
突風を受けバランスを崩しそうになるが何とか踏みとどまった。
「よし!おらのフライングスピンでこの天辺を吹っ飛ばしてやる!」

「長官!転送装置に異常が発生。ソフトの一部がウィルスにやられたようです!」
「何〜!!」
「念のため旧式のバックアップで再度起動を試みますが最低でも1時間の猶予が必要かと・・・」
「1時間か・・・仕方ない。それで再度転送を試みろ!!!」
「はい・・・・それと・・・ここだけの話なんですが先ほどアレックスの被害状況を調べた結果1機のみ無傷のものが見つかりました。」
「何だそれは早く言わんと」
「ですが、その一機は例の試作品でして・・・・」
「試作品?あの月面基地で暴走したとか言う・・・」
「はい、どうやらこちらで調整していた研究員がいたようで・・・・・・」
「そうか、その研究員とやらに感謝しないとな・・・・・・」
「はい、しかも今建物を調べた結果、この時代の宇宙船がタワーの一部に引っかかってることが判明いたしました。」
「何だと!!そんな面白いことになっていたのか!」
二人はにやりと笑う、がしかしすぐに表情を引き締めた。
「ではその一機に今すぐ出動命令を!1時間以内に宇宙船の機能を破壊し乗員すべての身柄を確保せよ!」
「了解致しました」
338スポーツ好きさん:2011/03/07(月) 20:23:11.12 ID:6DcCweQW
「・・・・・・長官はどうしてるかしら・・・?まさか計画通りって高笑いしてるんじゃないでしょうね?」
心配になったマオはこっそりと携帯の受信制限を解除する・・・と。
「・・・・・・け、警視総監!!?」
メールが届いていた。一通や二通ではない。

今どうしているのか。
先祖たちは無事でいるのか。
マオたち子孫組は大丈夫なのか。

ミドリ・イトウは名古屋支部が保護している。
長官の暴走をこっちも黙っては見ていない。
もし危険が迫ったら、迷わず全員非難しなさい。

推進する「環境救済のための未来改変」については一言も触れずに、
ただただ、スケーターの無事を祈っていた。
「・・・総監・・・あなたこそ、危ないというのに・・・私たちのことばっかり」
マオは思わず涙を流した。
その時、

−新着メール−

「長官たちが宇宙船がタワーに引っかかっていることに気付いた!
 どんな手を使ってでも良い、タワーを破壊しても良いから逃げなさい。
 責任は私が全て取るから、何にも心配しなくて良い」

「・・・長官、私はあなたのことも私たちのことも、スケートのことも、ご先祖様方のこともあきらめない!」
マオは携帯を閉じてみんなのところに戻った。
「私が許すわ!!全員でこの建物を襲撃しましょう!」
339スポーツ好きさん:2011/03/08(火) 19:41:41.29 ID:AeDVynPG
「おーっほっほっほっほっほ!」
場違いな高笑いが、時空警察ビル内に響く。
「あたくしの出番ですわね! 敵は全員、這いつくばらせて差し上げますわ!」
電磁ウィップを片手に、上階へ向かってゆく女。
外見だけは「スレンダーでクールな婦警さん」っぽく見えなくもないのだが……

アレックスの予備機体のうち、唯一の女性型、通称「アレクシア」。
性格設定をどう失敗したのか、彼女はバリバリの女王様であった。
340スポーツ好きさん:2011/03/08(火) 19:57:47.66 ID:N/SNgEKt
「こづじいさん、こづじいさん・・・あ、ユキに似てるんだから、えーっと・・・◇」
100年も前の時代を一人歩くユウスケ。大丈夫か?

「あれ?」
無事(?)バイトを終えた崇彦たち。
どうやって宇宙船に戻ろうかと考えていると、未来が何かを発見した。

「・・・ちっちゃい大輔さん!」

「いつものことじゃん」
「崇ちゃんきっつーいw」
「ホント!ホントにちっちゃいの!!連れてくる!大輔さーん!」

てれれてってれーん♪
「ちっちゃい大輔」 が なかまになった!
341スポーツ好きさん:2011/03/24(木) 20:39:37.48 ID:FdXhFD3i
「・・・・・・」
こちらは、夫が元スケーターたちを引き連れてやってくるのを待っている久美子。
「なかなか来ないわね、くるまでに一働きしましょうか」
ちょっと家を留守にし、向かったのは・・・役所。
「がんばりましょう、日本!」
粉ミルクや乾パン、オムツなどを受付口に預けた。

342スポーツ好きさん:2011/04/15(金) 12:52:00.60 ID:wfPbrEXV
ドカ、バキ、ボコ!
「くっそ〜オラの5Aや6Sでもこわれねえなんて、このタワーめちゃくちゃ頑丈だぞ」
「ママーン!大丈夫かぁ?」
「ノビータ、一人じゃ無理だよ、皆で力を合わせるがいいよ」
「というわけで手伝いに来たよアハ…ン?!」
凍り付く信太、バンビ、アロエリーナ、ステアハン…

「をーっほっほっほっ!坊やたち、こんなところで何をぐずぐずしているのかしら?」
「やべえ、時空警察の制服!みんな、オラに構わず逃げるんだ!」「あ〜らつまらないのね、なら、アタクシから行くわよ…
ハーッ!」

『こちらアリョーシャ、そちらの婦警ロボは味方だ…というかたった今味方になったそうだ』
「「「「はぁ?」」」」
子孫スケーターたちの目の前で、タワーの先端が破壊され、ついに宇宙船が解放された!
343スポーツ好きさん:2011/04/19(火) 20:19:42.75 ID:wSOR+56m
「ハッキング成功、っと」
「うまく行ったのかい、シュルタイス君」
「はい、総監。「アレクシア」は元々不安定だったので、バグを利用して」

タワー先端にて。ひとまず味方になったといっても……
「おーっほっほっほ! さあ、急いで脱出しないとおしおきですわよ!」
やはり彼女は、この調子であった。
344スポーツ好きさん:2011/04/29(金) 12:17:31.23 ID:1uUO6P5t
アレクシアのお仕置きを逃れるべく(?)慌てて宇宙船に戻る子孫スケーター達。
「それにしても相変わらずすげぇ風だなぁ〜」
「ビルの屋上だから仕方ないさ、早く宇宙船に戻るぞママン」
強風の吹き荒れるなか信太が宇宙船に乗り込もうとしたその時。
ビュウウウウウウウッッッ!!!
「うわぁぁぁぁっ!!!」
いきなり巻き起こった強烈な突風に、不意を突かれた信太が吹き飛ばされてしまった!
345スポーツ好きさん:2011/04/29(金) 17:55:42.72 ID:8U+q9V9U
このままでは地上に墜落だ!
あわてて6Tで着陸態勢を整え、どうにか着地した信太だが
『ドガッ!』
「うぐぉっ◇」
「やべぇぶつかっちまった、わりぃわりぃ・・・って、なんでおめえがここに!?」
「いやーっ、ちっちゃい大輔さんになんてことするんですかぁ!?」
「「あーっ、もう!」」
346スポーツ好きさん:2011/05/04(水) 19:25:47.28 ID:NErHdVGH
ちゃららっちゃっちゃっちゃ〜♪
未来いわく「寝癖大爆発のちっちゃい信成」から、宇宙船が危機を脱したことを聞き
とりあえず一同安堵。
「それなら僕らも宇宙船に戻ろうよ崇じい」
「ちっちゃい大輔さんもいっしょに行きましょうよぉ…あれ、まだ帰らないんですかぁ」
「わりぃことしちまったなユウスケ、豚マンおごるぞ」
「つか信太が食いたいんだろ?あ、スーパードライも2つね◇」
「オラまだ15だぞ、飲酒はできねぇって」「全部俺が飲むんだって◇」
「あーもぅ、帰るぞ皆!」

信太はほんの一瞬、その崇彦の胸元に、銀の輝きを認めた…
『あれっ?じっちゃんが最初の銀メダルを取るのは来年(2011年)だよな…ま、いっか』
347スポーツ好きさん:2011/05/05(木) 19:57:31.28 ID:LzTWeQkC
ビルの中では、副所長が一派の者たちに何か配っていた。
「おお、ありがたい。百年前の冷え込みはさすがにこたえる」
長官を始め皆は、配られた物の封を切り、服の中にぺたぺたと貼り始めた。
「これ、なかなか買えないからなぁ」「というか、ほとんど売ってないし」
温暖化の進む中、地球の一般人にはすっかり縁遠くなった品。「貼るカイロ」である。

アレクシアが、いきなりスケーター側についてビル先端を破壊したと分かり
一同が真っ青になったのは、その直後のこと。
348スポーツ好きさん:2011/05/08(日) 23:55:17.81 ID:K/FGfz9r
その頃。アボットは何日目かの眠りの中、また夢を見ていた。
美しい山々に囲まれた、小さな湖。空に浮かぶ3つの大きな月。
湖畔に着地した宇宙船の傍らで、数人の男女が語り合っている。

『いい景色。この湖が凍ったら、楽しく滑れそうね』
『まだまだ暑いけどな〜。早く氷点下にならないかな』
『君たち、気が早いよ。こんな暑い星の改造に、一体何年、いや何十年かかると思う?』
『そうだね……実験、うまくいくといいけど』
クリプトン星人? アボットがそう思った時、夢はふっと薄れ、途切れた。
349スポーツ好きさん:2011/05/09(月) 00:43:47.12 ID:+yzwGAkz
真央ちゃんのイメージソング!!
ttp://www.youtube.com/watch?v=sknrw4q6C0s&sns=em

誰かこれの替え歌でリアルな真央ちゃんバージョン作って欲しいw
350スポーツ好きさん:2011/05/17(火) 20:02:51.13 ID:3xGO7qFC
「おい、ビルにはまってた金の輪が、上に飛んでったぞ!」
見物の野次馬たちは、事情も知らずワイワイガヤガヤやっていた。
「あれれ? 輪が消えた〜」「何なんだ一体」
宇宙船では、野次馬避けに光学迷彩を発動したようだ。

「なあ、ビルの方も何だか蜃気楼みたいになってる」
「ほんとだ、消えそうにゆらゆらしてるな」
「ひょっとしてイリュージョンってやつじゃね?」
「大規模だなぁ、誰が仕掛けたんだろ」「今度TVで流れるかな」
351スポーツ好きさん:2011/05/17(火) 20:48:59.48 ID:SHvHpQX2
「あれぇ?あのビルがなんだかゆらゆらしてますよぉ?」
宇宙船に戻ろうとした崇彦一行は未来の不思議そうな声でビルの異変に気がついた。
「なんだあれ?蜃気楼か?」
「もしかして時空警察の武器とかだったりして?」
「ええっ?それってまずいんじゃないの?!」
謎の現象にざわつく一行。その傍らで雪彦と信太は何やら話しかけている。

「…なぁ信太、あれって時空移動の前兆現象に似てない?」
「ああ、オラのタイムマシンを動かす時にもあんな風にゆらゆらしてたぞ」


「…そういえば、そろそろ転送装置が起動する頃だったっけ◇」
「「「「そういう事は早く言え〜っ!!!!」」」」
のんびりと呟くユウスケに思わず突っ込む一同。
そうこうしているうちに目の前の時空警察ビルは揺らめきながら姿を消してしまった。
352スポーツ好きさん:2011/05/18(水) 10:06:05.63 ID:qkN202gq
「おい!今度はあのビルも消えちまったぞ!」
「こんな大掛かりなイベントは見たこと無いぜ」
ビルの時空移動をショーの一環と思って喜ぶ野次馬達。
その騒ぎの中でどうやって宇宙船に戻るか崇彦達が考えていると・・・
『みんな大丈夫だった〜?すぐそっちに向かうからね!』
スケパシーでプルの声が聞こえてくると、ほどなく宇宙船がやってきた。
光学迷彩で姿を消した宇宙船から光線が発射されると
とたんに崇彦達の姿はかき消えてしまった。

「なんだ?こんどはあそこにいた兄ちゃんたちが消えたぞ?!」
「ホントに凄いイリュージョンだな!」
次々起こるイリュージョンに大興奮の野次馬達だった。
353スポーツ好きさん:2011/05/18(水) 22:57:49.85 ID:Ha2lJ5H5
「やっと合流できました〜!!( ´o`)п」
安堵の表情を見せる未来。しかし、宇宙船のメンバーの様子がおかしい。

「みんなどうしたの?・・・・表情も暗いし・・・・人も少ないし・・・」
「うん、・・・・実は・・・」
プルがいいずらそうにくちを開いた。

---アレクシアの活躍により無事危機を脱した宇宙船。
しかし、突風で飛ばされた信太を身を案じたスケーター達が彼を助けるべく宇宙船から飛び出したのである。

「・・・ちょうど、建物の先端が破壊されていたからみんなはそこから安全に下へ降りるつもりだったんだけど・・・」
「じゃあ、みんなは建物と一緒に100年後に飛ばされたんですか!」
「・・・崇彦たちの話とあわせるとそういうことだね・・・・」

一難去ってまた一難、とはこのことか。

「だから今ここに残っているのは僕と僕の子孫とリョーシャ、アーチャ他数人しかいないんだ。」
「真央やナル君はともかく・・・・靴が壊れてる大ちゃんまであっちに・・・・・」

黙り込む一同。そこへまた緊急警報が鳴り響いた。

「今度はなに!」
「太平洋上空からこちらに向かって飛行物体接近!そちらのモニターにも写しますね。」
操縦室からガチ君の通信が入りモニターに写った物体を確認したプル達。
「・・・・・どう見てもジョニーだよね」
「そのようだね。やっともどってきたようだね。」

プルは立ち上がってガチ君に指示を出した。

「接近中のお仲間達を視認でき次第宇宙船内に保護して。
ただし、一人とんでもないじゃじゃ馬がいるからきをつけてね。
もしものときは魚とり網と鳥もち銃使ってもオーケーだからね!」

354スポーツ好きさん:2011/05/20(金) 00:32:14.82 ID:FLdyrtuf
「ま、トリモチはやめといたほうがいいんじゃね?
あいつらが持ち出してるクリスタルがどうにかなっちまったらヤバイしさ◇」
「大輔さぁ〜ん!」「おめえ無事だったのか?」
「ああ、靴の修理とボルト抜きの件で歌子センセから呼び出し来ちゃってさ…
ってノブに言付けといたんだけど、そういやノブは?真央は?」
「「「「「「………………」」」」」」

「イヤアァァァン!ちょっとぉ、これがDIVAに対する出迎え方なのぉ!?」
クリスタル持ち出し犯ことジョニ子は、宇宙船から伸ばされたロボットアームで
クリスタルごとわしづかみ状態で船内に収容されたところであった…
355スポーツ好きさん:2011/05/20(金) 22:35:34.77 ID:B+AarUFX
「まぁっ!アタシ達がいない間にそんなことになってたの?!」
ロボットアームお出迎え騒動の後、ジョニ子達は残ったメンバーから事のあらましを聞いていた。
「みんなどこへ行っちゃったのかなぁ?」
「転送装置が動いたんなら元の場所に戻ったんじゃないの?」
「ということは2110年のLAに行ったのかしら?」
消えた時空警察ビルとスケーターの行先を考える一行。

「みんな!サーシャ達と…財団本部と連絡が取れたよ!」
そう言いながらアレクセイが部屋に駆け込んできた。
「それで、向こうは何て言ってきてるんだ?」
「やっぱりみんなLAにいるのかい?」
矢継ぎ早に尋ねるヤグとプルにアレクセイが困ったような表情を浮かべた。
「それが…2110年の時空警察本部の場所は空き地のままだって……」
356スポーツ好きさん:2011/05/21(土) 08:33:00.12 ID:fvAvln0P
その頃、時空警察ビルは何やら薄暗い空間にワープしていた。
「総監、ここは?」
「2110年…ではないようですな、長官」

「うわあ、これってオーロラやろか?」
「オーロラって寒い地方の空に出るものよ。温暖化の進んだ未来にはないんじゃない?」
「いや、歴史が変わったのかもしれないぞママン」
「きれいだねえ〜真央、外で見てk「曾祖母様、ビルの外に出ちゃだめ!!!」

「へ?」
「皆さん、落ち着いて聞いてください。
ここは……『時空のはざま』です、多分」
357スポーツ好きさん:2011/05/21(土) 11:10:27.48 ID:LP1pBFgY
一方その頃宇宙船では・・・
ジョニーG「ちょっとぉ!それってどういうことなのよっ?!」
アレクセイ「う〜ん・・・僕にもよく解らないけど、ともかく時空警察本部が元の場所に無い事は確かだよ」
 ジョニ子「それじゃ何も解らないじゃないの!アナタ総帥でしょ?!財団でなんとかできないの?!」
アレクセイ「・・・も、もちろん僕も指令を出したから今財団で総力を挙げて捜索中だよ」
ジョニーズの勢いにさすがの財団総帥もたじたじだ。
そうしているうちに外はすっかり日が暮れ、月が昇りかけていた。

するとその時久々に『ICE』に反応が起こった!
  小塚「あっ、タラソワさんの『ICE』が開いてますよ!それに何か書いてある!」
  プル「『時の川の流れは夜の女王の御許へ』・・・?どういう意味だろう?」
358スポーツ好きさん:2011/05/21(土) 15:03:56.36 ID:nGZl2GL1
(この言葉・・・どこかで・・・?)
小塚はタラソワの『ICE』を覗き込みながら、記憶をたどった。
(そうだ・・・先生が史料整理していた中にあった・・・!)
ということは、クリプトン伝説にヒントがあるはず。
(でも、あれまだ全部読めてないしな・・・)
とりあえず、信夫にこの文章を見つけたら教えてほしい、とだけメールしておいた。
「・・・あれ?雪彦?」
雪彦がしょんぼりと部屋の隅で座っていた。
「・・・ごめんね、僕のせいで・・・僕が、過去に戻って何とかしようなんて言い出さなかったら・・・」
「過ぎたこと気にしてても仕方ないだろ」
「でも、僕のせいで真央さんや羽生さんたちまで!!」
「お前のせいじゃない。お前そんなに偉くないだろ?何でもかんでも自分でやってるなんて、思い上がるな」
「・・・・・・」
雪彦の表情が晴れないので、小塚はプルに一言断って、雪彦とともに一度仮眠を取った。
(7回転、クリプトン星の記録、『ICE』、時空警察、みんな・・・それから・・・)


   阿蘇山    スケートリンク


いつの間にか意識が眠りに落ちていた小塚は、ガバッと身を起こした。
(もしかして・・・もしかしたら!!)
359スポーツ好きさん:2011/05/21(土) 23:10:22.74 ID:D9rwdIU9
「…ここは、いわば時空どうしを繋ぐトンネルのようなところです」
『時空のはざま』を漂う時空警察ビル内でマオはスケーター達に説明していた。
「通常の時空移動なら一瞬で通り過ぎてしまいますが、恐らく本部内の転送装置に
何か異常があったんでしょう、時空移動の途中で……」
「要はそのトンネルの中で止まってしもうたっていうわけやな?」
ロロの問いにマオは黙って頷いた。
「それで、ここから脱出するにはどうすれば良いんだママン?」
「それが…今まで目的と異なる時代や場所に誤って転送された例はありますけど、
こんな風に『時空のはざま』に迷い込んだなんて事は…私も聞いたことがないんです」

「「「「「「え〜〜〜っ?!」」」」」」
『時空のはざま』にスケーター達の叫びが響き渡った。
360スポーツ好きさん:2011/05/22(日) 01:30:45.84 ID:ezcuKduc
「すまねえ、みんな。オラが宇宙船から飛び出したりしたから、
ひいじいちゃんや皆が巻き込まれちまった」
「自分を責めないで。仲間を助けるのはスケーターとして当然のことだよ。
信太君が宇宙船を解放しに行ってくれたのと同じようにね」
慰めるのは結弦。
危機リスト入りしていたため宇宙船に残され難を逃れた数少ない一人だ。
「それにね、ノビタが突風に煽られた時真っ先に助けに飛び出したの、誰だと思う?
あの時空警察官のマオだよ。歴史の改変は許さないってあれだけ言ってたのにさ」
「アリョーシャ、それホントなのか?
よーし、落ち込んでなんかいられねえ。オラぜってぇ皆を助けるぞ!」

「それにしても曾祖叔父様、実際問題、彼らと連絡をつける方法ってないものかしら。
時空間メールも駄目、スケパシーの気配もなしとなると」
「やっぱり『ICE』と『この子』に聞くしかないかしらね」
おもむろにクリスタルを取り出したジョニ子は、そっとクリスタルにキスしようとして
「そこでキスの必要なんかないだろ!」
僕様に徹底的にボコにされましたwww
361スポーツ好きさん:2011/05/22(日) 11:33:38.26 ID:Kde0JuAZ
その頃財団本部では総帥の命を受けて、スケーター達の行方を全力で捜索中だった。
サーシャ「…今のところ時空警察ビルとスケーターのめぼしい情報は無さそうだぜ」
ブルマ「どうなってるのよ?どこの支部でも情報をつかめないなんて」
アンナ「もっと捜索範囲を広げるように指示するしかなさそうね」
パトリシア「まったく時空警察って迷惑な連中よねぇ〜やっぱりこのあいだ徹底的にシメとくんだったわ」

騒々しい様子の執務室内。その中で一人落ち込んでいるのはトマシュだった。
トマシュ「はぁ…場所さえ解ればすぐ飛んでいくのに…皆は…ナタリーはどうしてるんだろう?」
がっくり項垂れるトマシュにサーシャは一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐにその理由に気が付いた。
サーシャ「そうか、たしかアンタ……心配すんな、俺達にとっても大事なご先祖様達だ。何がなんでも探し出してやるぜ」
トマシュ「すまない……ファビアンめ、こんど会ったら取っちめてやるからな」
サーシャに励まされ少しほっとしつつも、やっぱり仲間達と恋人の行方が心配なトマシュだった。
362スポーツ好きさん:2011/05/22(日) 13:27:10.53 ID:ezcuKduc
「ねえ、この子なんかおかしいよ!」
「信太君、自分を責めないで…スケーターとして当然の…」
結弦の異変に最初に気づいたのは美姫。明らかにここにいない仲間に話しかけている。
「いかん!これは『タイムワープ分裂症』だ。
ワープ前の時空に精神が置き去りにされてしまう症状だよ」
「あなた、一体どなた?」
「初めまして諸君。レスラーで時空警察庁長官のジャイアン馬場だよ」
げっ、今回のラスボス!一部のスケーターはさっと身構えるが、
「落ち着いて、ババ長官はタイムトリップ医学の専門家だよ。ちゃんと診てもらうといいよ!」
どうやら一時休戦するしかなさそうだ。
363スポーツ好きさん:2011/05/22(日) 15:15:35.85 ID:KkjMG/9G
「プルシェンコさん、ちょっと気になる事が……って、ええっ?!」
部屋に戻ってきた崇彦はスケーターの中に結弦の姿を見つけて素っ頓狂な声をあげた。
「なんでここに結弦が…?!真央達と一緒に飛ばされたんじゃ…?!!!」
「それが僕にもわからないんです。時空移動の直前に気が遠くなって…気が付いたらここにいました」
しかもよく見たら結弦の姿は少しぼんやりと透けているような…これってまさか?!
「あ、僕幽霊にはなってないと思いますよ。ほらこうやって物に触ることもできますし」
そう言って結弦はテーブルの上のカップを握って見せた。

「ユヅルが透けてるのもやっぱり時空移動の影響かしら?」
「まあ今のところ彼も元気そう(?)だし、このまま様子を見るしかなさそうだねぇ」
口をあんぐりあけて固まっている崇彦と対照的にのんびりとしているジョニ子とプル。
海千山千のDIVAと宇宙人は少々の事では動じないのだった。
364スポーツ好きさん:2011/05/23(月) 00:22:14.99 ID:g/XfKebV
『時空のはざま』では長官が結弦を診ている傍で、美姫は先ほどのオーロラに似た光が揺らめく中にある物を見つけていた。
目を凝らしてよく見ると、その光の中に様々な人の姿や光景がちらりと映っては消えていくのだった。

「なんなのあれ?光の中にいろんな場所が見えるけど?」
「どうしたママン、一体何が見え…あっ!あの娘ママンに似てるぞ?もしかして若い頃のママンなのか?!」
「わぁ!あそこに舞が見える〜!一緒にいるの小学生のころの真央だぁ、懐かしいな〜♪」
「…どういうこと?」
光の揺らめきの中に見えた光景に大騒ぎのスケーター達をよそに美姫はマオに尋ねた。

「あれは『時空の欠片』です。さっきも言ったようにここは時空のあいだにある場所。
過去や未来の様々な時空がここと交差する時に向こうの世界がああやって一瞬だけ見えるんですよ」
「そうなの。じゃああの光の向こうはいろんな世界と繋がってるのね」
365スポーツ好きさん:2011/05/23(月) 08:56:20.42 ID:En+IR2zN
そうやって少しでも皆が和んでくれればと、マオは願った。
今自分たち、そして結弦が直面している状況はあまりに苛酷すぎたから…

「アッポー…」馬場長官のため息、診察は終わったようだ。
「かなり重症の『タイムワープ分裂症』だな。
21世紀でも恐らく彼の姿が陽炎のように見えていることだろう。無論意識は完全にあちら側だ」
結弦はうつろな瞳を彼方に向け、信成たちの呼びかけに全く反応せず、
時折ぶつぶつと、ここにいないジョニ子たちに話しかけるのみ。
「これで今後の見通しはますます厳しいな、マオ君」
「はい長官、当初は行き先は問わず『時空のはざま』を抜けるのが最優先でしたけど…」
「結弦のためには、何としても2010年に戻らなあかんわけやね」
理由は…言われなくても皆には解った。
366スポーツ好きさん:2011/05/23(月) 16:37:28.87 ID:GFA4QRx4
「見つけたわ!」
財団本部に朗報が入った。相手は月にいるクリスティナ博士だ。
「本当か!?何処だ!」
「ポイントK▲▲のB■■ですね。財団の人工衛星のレーダーが時空の揺らぎをキャッチしました!」
「人工衛星が?さっきは何の反応も見つからないって言ってたじゃない?」
パトリシアの疑問にクリスティナが答える。
「ええ、地球の熱による大気の大きな揺らぎが邪魔して。
でも、もしかしてと思って、レーダーの電波に自分のスケパシーを乗せてみたの。
そうしたら、複数のスケーターの反応が見つかったのよ。・・・いくらかスケ力を消耗したけれど」
「それで、みんなは無事なのか?何か脱出させる方法は!?」
今度はトマシュだ。
「今のところ、揺らぎのパターンに大きな変化は見られません。
脱出の方法は・・・スケパシーが届くのなら、あるいは・・・でも・・・」
言葉を濁すクリスティナ。科学者として、あまり荒唐無稽なことを話すのはためらわれるのだ。
「今は可能性があるのなら、何でもやってみることが大事だわ。言ってみてください」
ブルマが先を促す。アンナも真剣な表情で頷いた。
クリスティナ博士は一度ゆっくりと瞬きをしてから、その提案を話し始めた。
「・・・『ICE』の力を、借りるんです」
367スポーツ好きさん:2011/05/23(月) 18:13:37.42 ID:kw2PUK/6
「ところで長官、転送装置の修復は進んでいるのかね?」
「只今副所長が復旧にあたっておりますが、まだ回復したとの知らせは・・・ちょっと様子を見てきます」
「では、私も状態を確認しておこう・・・シュルタイス君、一緒に来てくれたまえ」
「私もご一緒させて頂きます」「俺達も行ってみよう!」「真央も行く〜♪」
マオと何人かのスケーターが同行を名乗り出て、一行は転送装置のある部屋へと移動した。

「副所長、状態はどうなっているんだ?」
「・・・私が見たところ、不安定な状態で時空移動を強行した為に装置全体の損傷が著しいですね。
むやみに起動させれば誤作動で未知の空間へ迷いこむか、装置が破損して使用不能になるでしょう」
「副所長さん、それじゃあこの装置は直らないんですか?」
「・・・残念ながら現状の回復は厳しいかと」副所長はそう言って首を竦めた。
「という事は・・・俺達はここから脱出できないのか?!」
368スポーツ好きさん:2011/05/23(月) 18:57:37.48 ID:En+IR2zN
結弦の状態は相変わらず芳しくなく、今は点滴につながれ美姫・信成がつききりである。
「このままではかわいそうやな、はよ何とかせな」
「本人が21世紀にいるつもりで苦痛を感じてないのが不幸中の幸いかしらね」
「そういや馬場長官さんもいうてはったな。
『21世紀でも恐らく彼の姿が陽炎のように見えていることだろう』って…」
「え、どうしたの?」
「……………」
「殿、まさかあんたまで分裂症に」
「それや!ええか、見ててや」
信成はポケットから油性ペンを取り出し、何やら書き始めた…

「なんじゃーこりゃあー!」

2010年の宇宙船内に、結弦の絶叫がこだまする。ジョニ子以下全員集合。
「こ、こ、こわいよ!僕の手の平に突然文字が浮かんで!」
「ユズル、大丈夫よ。アタシがついているから落ち着いて」
「崇じぃ、これ日本語だよね。なになに…」

『おっすオラ信成。みんな時空警察ビルと結弦の身体ごと時空のはざまに飛ばされ中。
タイムワープ分裂症の結弦を救うため、何としても2010年のロスに戻りたし。救援請う』

「「「な、なんだってーーー!」」」
「タイムワープ分裂症?何それ?僕が?ジョニ子さん、このメッセージって一体…」
この時、時空のはざまでは「おっしゃあああ〜!」という歓声が響き渡っていたのだが、
あいにく結弦の耳には届いていなかった…
369スポーツ好きさん:2011/05/23(月) 22:24:46.94 ID:9oxCz4TD
「ああ、タイムワープ分裂症って言うのは時空移動の際精神と体が一時的に分離する症状や。◇」
「「「ユウスケ〜!!!それ早く言え〜」」

未来人の総ツッコミにあったユウスケ。しかし先祖組の反応は違った。

「体と精神が分かれてって、それってドッペルゲンガ見たいやん。」
「ドッペルを見た人って(ryうわあああああ、マジやばいって!!ゆづる!!!」
「タックン、落ち着いて!!!」
「ちょっと〜!!!縁起でもない事言わないでよ!!!ユヅル!あたし達が絶対元に戻してあげるからね!!」

370スポーツ好きさん:2011/05/24(火) 22:41:58.42 ID:/u4LmFTM
一方2110年の財団本部には、各地・各時代から人も情報も集まりつつあった。
サーシャ「遭難者たちからは定期的に連絡が来るようになったが、
逆にこちらの情報を向こうに知らせるにはどうしたらいいんだい?」
アンナ「クリスティナ博士が座標特定に成功したのよね?スケパシーは?」
ヨンヒ「時空のゆらぎに邪魔されて、クリアな通信は到底無理っセヨ。
今回タイムワープ分裂症の患者がいあわせたのは思わぬラッキーニダね。
当分は彼にこちらのメッセージを朗読させるしかないニカ・・・ブ、ブルマ苦しいニダ!
暴力反対ニダ!謝罪と賠償を(ry」
ブルマ「バカ!そんなことしたらますます分裂症患者に負担がかかるじゃないの!
それでなくても身体と精神の分裂状態が長引けば、心身共に衰弱して命取りにもなるのに」
セルゲイ「ブルマ、よしなさい・・・すまないねヨンヒ。
この娘はワープ事故による分裂症で、最愛の父親を亡くしているんだ」
パトリシア「あっそ、だからって他に方法があるわけ?ところで今連絡が入ったんだけど、
時空警察ビルじゃワープ装置がアボーンしてにっちもさっちもいかない状態ですってよ。
さあさあどうすんの?」

さあ、どうする?
371スポーツ好きさん:2011/05/24(火) 23:01:19.81 ID:w71vG4d4
副所長の話を聞いて愕然とする一行。
「なんという事だ…このままでは我々は永久にここから脱出できないぞ」
「元は言えばお前達が変な事を企むからだろう!やっぱりさっさと殴り込…」
「エルヴィス〜!気持ちは解るが落ち着かなアカンって〜!」
長官に食って掛かろうとするストイコをロロが必死に宥めた。

「すまない諸君、まさかこんな事にになってしまうとは…私はただ……」
強烈なパンチを食らったかのようにひどく狼狽する馬場長官。
「落ち込む必要はありませんよ長官、このような事態は誰も予測できませんでした。致し方ありません」
「長官さん、副所長さんの言うとおりですよ。元気出して下さいよ」
「真央の言うとおりだよ、ここはみんなで協力して脱出の方法を考えようアハン」
「うう…すまん……本当にすまんっ!!」(ガバッ!!)
「うぐぁっ?!おっさん抱きつくな〜!怪力で骨がぁ〜〜〜っ!!!!」
感涙のあまり思わず傍にいたロロをがっちりホールドして号泣する長官。ロロはギブアップ寸前だ。
その騒ぎを副長官は冷ややかに見つめていた。

(…本当にあなたは充分役立ちましたよ長官、それも予想以上にね)
372スポーツ好きさん:2011/05/25(水) 15:57:24.07 ID:Aa1Zt3OA
「脱出不可、と決まったわけじゃない」
装置をしばらく見ていたシュルタイスが一歩前に出た。みんなの注目が集まる。
「これの修復は不可能だが、部品さえそろえば簡易装置は作れる」
「本当!?」
「基本的に強制送還銃の改造型と思えばいい。一人ずつここから脱出させる。
ただ、時空のはざまからの脱出を目的にするから、場所と時間の指定はできない」
「それでもいい!どこにいようと、後から拾いに行けばいいじゃないか」
「羽生結弦は?ま・さ・かあの状態のまま放置、なんて言わないだろうな?」
シュルタイスが副所長を睨みつける。
「そうだわ!」
マオがポケットからカプセルを取り出した。
「・・・強制保護カプセル、か。物騒な物もってたな」
それは本来、犯人の護送に使われる特殊防御カプセルなのだ。
「これなら、2人で1人の勘定になるわよね?これに、私が結弦さんと一緒に
入るわ。どこに飛ばされても、私が必ず元の時代に返してみせる」
「・・・・・・マオ!備蓄倉庫にあるだけの強制送還銃もってこい!5分で装置を作ってやる!」
373スポーツ好きさん:2011/05/26(木) 00:05:36.67 ID:Iq9qFEA1
『急がないとまずい。改造した強制送還銃を使い、一人ずつ脱出することになった。
どこに飛ばされるか分からないので、それぞれ回収してほしい』

結弦の腕に浮かび上がった伝言は、22世紀にも回された。
「無茶しやがる。全員ばらばらに飛ばされたら、探すのも一苦労じゃねぇか」
半ば呆れて言うサーシャに、回線の向こうからクリスティナが答える。
「そうはならないでしょう。『時空のはざま』の性質から推定して、
内部の一カ所からランダムに飛んだ場合、到着先はせいぜい5、6カ所です。ただし……」
「その『5、6カ所』を割り出すのがちょっと厄介だ、ってことだな?」
374スポーツ好きさん:2011/05/26(木) 01:12:27.56 ID:bHktBqO2
一方こちらは宇宙船。
崇彦「脱出しても何処にいくか解らないって…そんな状態で大丈夫なんですか?」
プル「大丈夫だ、問題ない……って言いたい所だけど問題大ありだよねぇ」
ヤグ「だがあっちも他に方法が無さそうだしな。やるしかないだろう」
アレクセイ「クリスティナ博士の話じゃ到着先は5、6か所に分かれるそうだけど…
ともかくは全員脱出後に場所の特定と救出を大至急で進めるしかないね」
ジョニ子「あ〜んもうっ!まどろっこしいわね!一気に宇宙船までどーんと戻ってこれないの?!」
リッポン「ジョニ子姐さん、それができれば苦労しませ…」
ジョニ子「あら?なにか言ったかしら?」
リッポン「…いいえ、何も(汗)」

結弦「…皆さん無事に帰って来れるんでしょうか?」
信太「大丈夫だって!オラ達がぜってぇ皆を助けるんだからな!!」
大輔「そうそう、結弦も元の状態に戻れるだろうから安心して……」
そう言いながら大輔は結弦の肩を叩こうとしたが、その手は結弦の体をすり抜けてしまった。
375スポーツ好きさん:2011/05/26(木) 09:06:45.45 ID:+sUChUBJ
目の前で起きた「すり抜け」に息を呑む宇宙船組。
「・・・・・・雪彦!危機リスト!」
「はい!」
大慌てでページをめくると、結弦の危機レベルが3になっていた。
「崇彦、一体どうしたんだい?」
「それが・・・「いえ、なんでもありません。危機リストに変化があるかもと思ったけど、ありませんでした」・・・・・・崇じぃ?」
崇彦は笑顔を作って、雪彦を制した。
「それより、こんなときこそ『ICE』ですよね?みどりさんの『ICE』で、その5.6箇所が分かるんじゃないですか?」
「・・・なるほど?」
「よーし、じゃぁ見てみるか?」

「崇じぃ、どうして嘘つくの?」
「結弦を不安にさせることが一番まずい。ひまつぶしのフリをして、無駄話とかをして落ち着かせないと」
「そんな」
「結弦はもともと精神力はあるから、ある程度はたえてくれるはずだ。それに賭けるしかない」
「・・・・・・」
危機リストと睨めっこをする崇&雪コンビ。
(・・・?)
ぴらり、と崇彦はページをめくった。
白紙。
「・・・・・・」
「崇じぃ?」
おもむろに崇彦はペンを取り、白紙のページにドアを描いた。
「何・・・してるの?」
「・・・・・・『ICE』に、そう言われた気がしたんだ」
ご丁寧に非常口マークまで、崇彦は描いた。
376スポーツ好きさん:2011/05/26(木) 09:33:30.35 ID:szSkJeYP
と、再び2110年から、今度は緊急通信が入った!
「こちらキム・ヨンヒ!時空のはざまからの脱出の件で問題発覚ニダ。
分裂症患者を通して待ったをかけてほしいセヨ」
「こちらアレクセイ。問題発覚って何なの、強制脱出装置に何かバグでも?」
「シュルタイツがいるから装置の心配はしてない。それ以前、いや後の問題ニダ。
アンナ、2010年で南極基地に強制送還された時のことをもう一度説明してくれるニカ」
「ええ。実はあの時に、マオが基地のマザーコンピュータを操作して
他の時代から2010年に来られないよう時空航路を閉ざしたの。未来さんは覚えてる?」
「アンナさん、よく>>109の時の事なんか覚えてましたねぇ」
「時空警察ビルは元々2010年から2110年に行こうとしてたから、
ワープ時に作られた時空の流れが今もビルの周囲でトンネル状に渦巻いているはずよ。
けどこのまま強制脱出しようとすれば『トンネルの入口』で弾き返される…」

「崇じぃ、南極基地って今も氷漬けのままだよね」
「あーっ、もう!やるしかないだろ」
ますます結弦を不安にさせちゃうんだけどな…心のなかで舌打ちするしかなかった。
377スポーツ好きさん:2011/05/27(金) 00:00:24.55 ID:Jpw7ZFyj
「それじゃ、もう一度南極基地へ向かうかい?」
「マザーコンピュータの操作なら一応、アタシでも出来るわよ」
プルとジョニーGの言葉にうなずいて、崇彦は『ICE』を閉じた。
……そこに描かれた、非常口の絵の向かいのページに、密かに現れたものがある。
「 ○ 」。ページの上方に、小さな円がひとつ。
378スポーツ好きさん:2011/05/27(金) 00:32:15.47 ID:t+pzL8pm
一方、名古屋にはまっちーと無良君が帰還。
「二人ともお疲れ〜。」
出迎えられた二人は信夫先生たちにロスでの経緯を報告した。
「思っていたより深刻な事態ですね・・・・」
報告を聞き終えた先生たちは一様に肩を落とす。
「落ち込んでいる暇はないですよ!僕達はたかちゃんの変わりに阿蘇に行ってやらなきゃならないことがあるんですから!」
そう言って無良君は預かってきた2つのクリスタルを先生に託した。
「そうですね。崇彦たちが南極に行っている間の時間、私達もできる限りのことをしなければ。」
「僕とあっこちゃんたちは先生と一緒に引き続き資料解析に専念するよ。」
「じゃあ、阿蘇には私と武士と佳菜子が同行するわね。」
こうして、無良君、まっちーに加え佳菜子、静香、本田の5人は阿蘇出発に向けて準備を始めた
379スポーツ好きさん:2011/05/27(金) 09:49:11.96 ID:6X51YAUk
いざ南極に向け出発!・・・の直前。
「どうも、赤ぬこ宅配便です〜!アレクセイ・プルシェンコさん宛にお荷物ですよ〜」
「あ、来た来た!・・・噂どおりすぐ持って来てくれるんだぁ!」
「アリョーシャ、何を頼んだの?」
受け取りを済ませ、いそいそと箱を開封するアレクセイにプルが尋ねた。
「この前は南極で風邪引いちゃったからね。今度は対策を採ろうと思って」
「対策?」
「爺が昔教えてくれたんだ、21世紀には耐寒に優れた技術があったって・・・だからそれを手配したんだ」
そう言いながらアレクセイでユ○クロの○ート○ックを取り出して見せた。
「他にもいろいろあるよ「エンセキクツシタ」とか「貼るカイロ」とか。これで対策はばっちりだね」

「・・・タカヒコ、アリョーシャに何を言ったの?」
「すみません・・・未来の話なんで僕も解りません(あ〜もう!何やったんだよ未来の僕・・・orz)」
380スポーツ好きさん:2011/05/27(金) 13:25:59.59 ID:pjOsET8a
頭を抱える崇彦。そこへ赤ぬこ宅配便の配達員さんが声をかけた。
「あの〜すみません、お支払いをお願いします」
へ?!と思って渡された伝票を見たら「代引支払い:依頼人小塚崇彦様」の文字が。
「アレクセイさん、一体どういう…」
「え〜だって、僕の口座ここじゃ使えないし、21世紀の通貨持ってないんだもん。だから…お願い♪」
出た、曽祖父譲りの必殺の上目づかい。
「ちょ、ちょっとそれは……プルシェンコさん、何とか言って…」
「ねぇタカヒコ、僕の曾孫のお願い聞いてくれないかな?…ね?」
「………(汗)」
プルも加わってのダブル上目づかいに黙って頷くしかない崇彦だった……
381スポーツ好きさん:2011/05/27(金) 13:44:05.09 ID:ghekDdOS
「ババ長官、患者の容態はどうですかな?」
ライサチェク総監はマオとアロエリーナを伴って長官を訪ねた。いつかは追求せねばならない。
「総監、ちょうど診察していたところです。多少体力が落ちてはいますが、精神力で保っているんですな」
そして居住まいを直すと、以外にも長官の方から切り出したのである。
「総監、無事脱出できた暁には、貴官の権限で本官を処罰していただきたい」

「それは…古今のスケーター達に危害を加えた罪状を認めるということかね」
「いかにも。時空警察官はみな出身スポーツのユニフォームで勤務しているが、
見ての通り私の服装は半ズボンにガウン。これで21世紀並の寒さが訪れたらと、柄にもなく怯えた…
後はお定まりの権力闘争に心奪われ、冒してはならぬ一線を越えました。
しかし十数年ぶりに分裂症患者に直面して、
やっと本官は時空管理者としての、また医師としての本分を思い出すことができた。
今は彼に心から感謝しております」
その場にいた一同で、涙を流さぬ者はなかった…
382スポーツ好きさん:2011/05/27(金) 16:43:06.20 ID:IxHVQEAX
「まったく・・・カナダのショーのギャラが残ってたから良かったようなものの・・・」
いろいろ物入りになるのに、と崇彦はぶつぶつ。
「タカヒコ、しょげた顔してる場合じゃねぇぞ」
ヤグがみどりの『ICE』を持ってきた。
「お前の読みどおりだ。『ICE』が場所を教えてきたんだが・・・その位置ってのがな、」
「・・・・・・これは・・・二つ目のクリスタルが見つかった位置!?」
「そういうことだ。どうやら南極で二手に分かれる必要がありそうだな」
「なら、何にしても急がなきゃね!レッツゴー!」


「佳菜子、あれから何か聞こえる?」
「いいえ・・・ごめんなさい」
「気にすることないよ。えっと・・・・・・」
「・・・このあたりの筈だ。クリプトン星が遺した『遺跡』は」
「・・・でも、私たちで大丈夫なのかしら?確かアレは崇彦と未来ちゃんに反応して・・・」
「それなんですけど・・・」
無良が静香に耳打ちした。
「崇ちゃんが言ってたんです。佳菜子でもイケるはずだって」


「お涙頂戴のところ悪いが、装置が完成したぞ」
シュルタイスが少々大型の銃を持って現れた。
「すごい!本当に5分でできちゃったよ!」
「じゃぁ、マオ。保護カプセルの準備をし・・・
       バシュッ
                      ・・・っ!」
「・・・副所長!?」
「貴様何を!!」
 
「・・・ごきげんよう、スケーターの皆さん、ババ長官」
383スポーツ好きさん:2011/05/28(土) 16:19:15.83 ID:cM+toaDN
騒然となる時空警察ビル。
「一体何の真似だね、副所長」
「長官、この銃は私が頂戴します。そしてスケーターたちの命もね。
ご安心下さい。スケーター以外はみな、我々の奴隷として生かしておいてあげますよ」
「何だと!?」「ありゃ、アレックスの集団じゃないか!」
「ガガガ…全時空ハコレヨリ、偉大ナル25世紀人ニヨリ統治サレル」
「『七回転ノ秘儀』ニヨリ邪魔ヲスルすけーたー達ハスベテ処刑スル」
「というわけです。まずは手始めに、我等が21世紀半ばに侵略を開始した際に
七回転ジャンプのスケーター達を指揮して我が軍を壊滅に追いやった仇敵、
羽生結弦を血祭りに(カチャッ)…うぬ、いない!どこへ逃げた!?」

「ゼェゼェ…今頃気がついたんかい、演説ぶってる合間に逃げ出さん手はないやろ」
「アッポー…それにしても君ら随分手際が良かったな。こうなるとわかっていたのか?」
「全然。敵だと思ってたあなたと一緒に逃げることになるなんて考えもしなかったわよ」
「長官さんが万が一危害を加えてきたら俺か美姫ちゃんが結弦を抱えて逃げようって
予め打ち合わせしとったんですわ」
「無駄話してる暇はないよ、とっとと逃げたほうがいいよ!」
「で…君はどちらなんだね?」
「ひいおばあちゃんが私の身代わりに副所長に捕らえられたよ、悔しいよ」
アロエリーナは長官に確認したかったのだ。アレックスが結弦を殺そうとした>>248のことを。
しかしアレックスも副所長の手駒であった以上、結論は出たも同然だった。
384スポーツ好きさん:2011/05/28(土) 19:11:24.21 ID:WtApFuqc
「・・・・・・どう?カートさんの『ICE』は」
クリスタル発見地点で崇彦は空を仰いだ。
そばにいる雪彦が返事をする。
「非常口の絵のそばの「 ○ 」?線が3本・・・一本は動き続けてる。まるで時計だよ」
「・・・・・・そう。南極基地はどう?」
「キャロルさんの『ICE』のおかげで、すんなり氷は解けて、装置も解除できたって」
「・・・そっか」
「・・・崇じぃ、そろそろ教えてくれない?どこまで何を知っているの?」
雪彦は曽祖父に詰め寄った。
目には、恐怖と苛立ちがうかがえる。
「・・・・・・確信はないから、上手く言えないけど・・・」
崇彦は再び天を仰いだ。
「夜の女王って言うのは、そのまんま、夜の意味。
 時の川の流れって言うのは、たぶん時空のはざまに飲み込まれた、いろんな時代の人たち。
 時間の区切りがつく瞬間って言うのは、一日一回、日付が変わる瞬間。
 ・・・『ICE』が僕に描かせた非常口は、その時空のはざまからの出口。
 現れた時計は・・・きっと、タイマーだ」
タイマーの針は、23時59分30秒を指している。


「・・・カロリーナ・コストナー以外、全員無事か?」
「そのようだな・・・」
「ここどこ?」
夢中になって逃げ込んだところは…いろいろな機械やコードがごちゃごちゃしている。
「・・・総監、今何時だ?」
「21世紀のロンドンの時間で、23時59分・・・30秒だ」
「・・・あと30秒か」
シュルタイスは一つの機械の前に立った。
「・・・何をする気なの?」
「・・・」
「ちょ、ちょっと、待って・・・・・・!ここは、時空警察ビルの・・・マザーコンピュータールーム!?」
「・・・何のために銃を全て持って来いと言ったと思っている。全員まとめて脱出するためだ!」

ぽちっ。


「「「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!?」」」」」」」
385スポーツ好きさん:2011/05/28(土) 20:12:22.01 ID:cmd+wmQr
「!」

突然カートのICEが開かれた。

「これは・・・・・リストに数字が・・・・・」

カートにリストに掲載された人物の横に危機レベル以外の数字が表れ始めた。

「『2006.02.23 22:00 45゜04'N 07゜42'E』・・・・・・・・」
「こっちは『2002.2.14 21:00 40゚45’N 111゚53'W』」

他にもいくつかの数字が名前の横に表示されているが、カロリーナだけには『Lv.2』以外の数値は現れなかった。

「これは・・・・何の日付なんだ?」

困惑する雪彦。日付を見ていた崇彦はあることに気づいた。

「みんな・・・・2月だ・・・・・しかも西暦はほぼ4年刻み・・・・・」
「4年ごとに2月・・・・・ええ?これって・・・・」
「まさか!!!・・・・・・そういうことなのか!?」
386スポーツ好きさん:2011/05/29(日) 00:36:48.98 ID:UXOPll49
「あ、あれ?ユズ!ユズはどこ行ったん!?確かにおんぶしとったのに!」
信成が飛ばされた先は、TVモニターが立ち並ぶ電気街のような一角だった。
どうやら日本の都市部らしく、着飾った・・・ご老人方ばかりが闊歩している。
『・・・昨年はついにアムステルダムやキルギスといった国々が水没し、
ますますの地球温暖化に備えて、シェルター都市の建設が急がれます』
「これは?未来のニュース番組やろか???」
「ひいじいちゃーーーーーん!よく無事で・・・オラ、オラうれしいぞ」
「信太!よう来てくれたなあ。ところでユズは無事やろか?
それにここはどこ?西暦何年なん?」
「うーん、ひいじいちゃんは知らねえ方がいいと思うぞ。
それに歴史が変わったら街の様子も変わるだろうしな。
そうそう、結弦兄ちゃんは助かったって聞いたけど詳しくは戻ってから」
『以上、2030年2月25日のニュース19でした』
「やべえ!19時27分までに脱出しろって言われてたんだった、すぐ2010年に帰るぞ!」
信太が信成の手をつかみ、すぐさま時空転送リングを発動させると、
二人の姿は跡形もなくかき消えた。

『この後の番組はお待ちかね、"21世紀の子沢山家族・織田家物語パート8"です!
ついに10人目のお子さん誕生の織田家。そのとき父・信成さんは?』
387スポーツ好きさん:2011/05/29(日) 11:42:46.77 ID:jNQtCDah
ホテルの一室で、ベッドに突っ伏して泣いている女性がいる。
それを慰めるように、別の女性が寄り添っている。

「・・・曾お祖母さま、ここは・・・」
「うん・・・ここは・・・」
「はーいそこまでです」
雪彦がいつの間にか真央とマオの真後ろに現れていた。
「ユキちゃん・・・一体どういうこと?」
「詳しいことは良くわかんないけど、羽生さんなら無事だから。早く戻ってきて」
雪彦は二人の手を引いて、時空転送リングを操作した。

「このままなんて・・・できない!舞、絶対四年後、ノーミスしてパーフェクトな演技で、金メダル取るの!」
「そうだよ!がんばろうよ!ね、・・・真央!」
388スポーツ好きさん:2011/05/30(月) 00:00:02.25 ID:QV/c69SJ
どこにたどり着いたんだ。と思う間もなく、ストイコは突然、激痛に襲われて崩れ落ちた。
(……?! 内転筋の古傷? 畜生、こんな時に!)
だがおかしい。負荷をかけた覚えもないのに、この異常な痛み。どういうことだ。
気が遠くなりかけた所で、馬場長官の声が聞こえた。
「君、1998年の2月半ばに、大きな故障がなかったかね?
共鳴型幻痛症だ。タイムワープによって、同一人物が同じ時空間に二人存在した場合、
一方が強い苦痛を感じると、その感覚がもう一方に波及することがあるんだ」
実際のダメージは生じないというが、それでも痛いものは痛い。
(98年2月、って……ああ、大怪我を隠して、長野五輪でメダル争いしてた時か)

その頃、ロロは多少離れた場所で、道に迷っていた。日本の地方都市の郊外らしい。
辛うじて日時は把握している。98年2月14日、あの男子フリーの真っ最中。
「弱った……どうやってみんなを探せばええんや。
ダルタニアンは呼べん。今のあの人、12年前の俺にきっちり張りついとる所やし。
かと言ってスケパシーは、競技中の連中が聞いたら混乱するしなぁ。早く誰か助けに来て〜」
389スポーツ好きさん:2011/05/30(月) 11:35:41.82 ID:E7+bM17T
ジュベ「ああ、やっぱりいつ見ても素晴らしい光景だなぁママン」
バンビ「そうだなママン、家宝の記録映像で何度も見たけど生はやっぱり違うなぁ」
ロシア国歌の鳴り響くアイスリンク。表彰台の一番上にいるのはアレクセイ・ヤグディン。
二人がいるのは2002年のソルトレイク、まさに男子シングルの表彰式の真っ最中であった。
その光景を会場の片隅から見てすっかりご機嫌なジュベとバンビだった。
ジュベ「まさかちょうどこの場所に転送されるとは思わなかったぞママン」
バンビ「できるならずっとこのまま見ていたいなぁママン」

「「ふうん……じゃあこのままずっとここにいる?」」
背後の冷やかな声と気温の急激に下がる気配に慌てて振り向くと、不機嫌な様子のプルとアリョーシャが立っていた。
プル「僕はさっさと帰りたいんだけどねぇ…そっかぁ、二人とも帰りたくないんだぁ」
アリョーシャ「せっかく迎えに来たのにそりゃ残念だねぇ…曾お祖父様、僕達だけで帰ろうか」
ジュベ・バンビ「「…誰も帰らないとは言ってないぞママン!!」」
アリョーシャ「あっそう、じゃあ僕達についてきて…早くしないと置いてくよ」
プル「そうそう、スレ388の時点で354KBで残り約146KBなんだからね、急いで!」
二人は物陰に隠してあった小型宇宙船にジュベ達を乗せると急いで時空移動を開始した。
390スポーツ好きさん:2011/05/30(月) 22:45:57.22 ID:945dLx/8
「ここは…」
結弦が目を覚ましたのは、見慣れた宇宙船の一室だった。が、
「アッポー、意識が戻ったようだね。これでもう安心だ」
「いやあ、一時はどうなることかと思ったッス」
「うわあぁあぁあぁあ!」
取り囲んでいたのはゴツイプロレスラーに、まわし一丁のSUMOUレスラー・ドルジ。
どちらも「結弦」には初対面である。
「ななな何なんですかこの人たちは!?」
「結弦、気がついたか。安心しな、以前はともかく今は二人とも味方だってよ◇」
「お、また仲間が帰ってきたじゃん。今度は誰かな◇」

「21世紀の伝説のイナバウアー見損ねたアハンアハン」
「オニャノコ祭りお預けアハンアハン」
「だからこのDIVA様がわざわざ迎えに来てあげたんじゃないの、ありがたく思いなさいよ」
「南極基地の装置を回復したその足で2006年のトリノまで駆けつけてあげたのよ。
もっとレディをいたわりなさいよ」
「「オニャノコの方がよかったアハーンアハーン」」
「キーッ、アタシたちのどこが不満だってのよ!」

「お帰りなさい。僕もジョニーさんに迎えに来て欲しかったな」
「んまあっユヅルったら、嬉しいこと言ってくれるわね。元に戻ってホントに良かったわ」
(まあ…汗臭いレスラーズよりはDIVAズの方が結弦にはまだ良かっただろう)

「てことは、あと何人だ?」
391スポーツ好きさん:2011/05/30(月) 23:29:04.26 ID:tp33mmVL
「おーほっほっほ!まだ帰ってきてないのは誰かしら〜?早く戻らないとお仕置きですわよ〜!」
電磁ムチを片手に相変わらずの様子の『アレクシア』。
彼女のお仕置きに遭うスケーターが出ない事を祈るばかりである。くわばらくわばら。
その傍らで無事救出したスケーターを一行は確認していった。
「信成と、真央達と、ブライアンとバンビ、ステファンとステアハンは合流済み。後は……」
「ジェフとアロエリーナはワーニャとナターシャが迎えに行ったぞ」
「あ!ナタリーとファビアンが戻ってきた!ユッカ、お疲れ様!」
そうしてる間にも次々と戻ってくるスケーター達で騒々しくなる宇宙船内。
その中でまだ姿の見えないスケーターがいた。
「…あれ、エルヴィスは?」
「そういえばフィリップもまだ帰ってないぞ?二人の到着予定は確か……」
392スポーツ好きさん:2011/05/31(火) 09:06:50.25 ID:a4YYFCsQ
『汎用ロボの暴走が発生しました。皆さん落ち着いて避難して下さい。繰り返します・・・』
「七回転部隊、出動準備完了」「マスコミ対策も完了です」
「よし、今回の敵はアレックスロボ約百体だ。作戦中は絶対にパートナーとはぐれるなよ」
「「「「「「「「了解!」」」」」」」」
(あははは、これは特撮モノの撮影現場かな〜
でも『七回転』がどうのってかっきも誰か言ってたような・・・え!?)
「しっ、声出さないで。安藤美姫さんね?2010年に帰りましょ」
(あなた誰?それになんでニコライと一緒なの?)
「私はセルゲイ。彼女は・・・ブルマと呼んでくれ」
(ああ・・・やっと会えたわね。ところであの七回転部隊っていうのは?)
「そうよ、私も七回転練習してる皆も初耳よ。2070年に既に跳んでる人がいたなんて」
「時空警察の機密事項でね。君達も『あれ』は見なかったことにしてくれないか」

外でロボ軍団相手に戦っていたのは、トラン組らペアスケーターたちであった。
「なるほど、『七回転スロージャンプ』か・・・例の伝説とは微妙に違うワケね」
「だからブルマ、我々も2010に着いたら七回転の練習だぞ」
「はぁ〜」
393スポーツ好きさん:2011/05/31(火) 12:47:21.12 ID:OJHUss6n
セルゲイは、少し説明を付け加える。
「アレックスロボは、重力変化時のパワー調整に不具合があって、少しの間動きが鈍るんだ。
その隙を狙って、低重力を利用した7回転で迎え撃っている。
つまり、ペアの連中も、試合で認定される7回転はまだなんだよ」

その頃。長官は、腕に着けている小型通信機に目をやりながら、心配そうに言った。
「早くエルヴィス君を迎えに行くんだ。彼には、予備の通信機を渡してあったんだが……
生憎と、負傷していた時期へ飛んだらしいぞ」
その言葉に、ジョニーGとマオが思い当たったようにうなずいた。
「ああ、アレね。気の毒に。下手に『自分自身がいる時代』へ行くと厄介なのよね〜」
「長野五輪の時でしたよね? 過去のストイコさんの滑走順が来ちゃったら……」
何それ、もしかしてヤバいの?! と一同が思った時。

ガシガシガシガシドスッ! ガッシャーン! 長官の通信機から、派手な破壊音が響く。
『うおっ、エルヴィスの正拳突きはやっぱ凄いわ〜! ってかお前、大丈夫なんか?』
『銀メダルを取るよりは楽さ。フィリップお前こそ、ダルタニアンは呼べねぇんじゃ……』
『ああ、これ? 今丁度スローパートやから、剣だけちょっと貸してもろた』
追っ手のロボを撃破した所らしい。何はともあれ、数人が大急ぎで救出に向かった。
394スポーツ好きさん:2011/06/01(水) 16:48:42.24 ID:GMUQ+ow8
「はいはーい、お2人ともお疲れ様でした」
「お?なんや迎えに来てくれたんか?」
「・・・うゎぁ」
ロボットの残骸に言葉を失う大輔。
「ストイコさん大丈夫ですか?」
「あぁ・・・でもさすがに堪えたな」
2人を宇宙船に押し込み、いざ、出発。

「じゃぁ、滑走順には間に合ったのね」
「うん。何かマズかったの?」
「いや・・・激痛に耐えながら演技してたんだから、さらにその負荷が一気に・・・」
「あぁ、普通なら立つこともできないはずだ」
間に合ってよかった・・・と一同は胸をなでおろした。

♪♪♪

「ケータイ鳴ってる。誰?」
「・・・たっくんからだ!はいもしもし?」
『崇ちゃんの読みどおりだった!けど・・・』
「・・・リンクじゃなくってプール状態?」
『うん・・・』
395スポーツ好きさん:2011/06/02(木) 00:18:54.42 ID:FL+7bdHn
阿蘇から今の現状を伝える無良君。
「クリスタルの力で封印の解除には成功したけど肝心のリンクが・・・」
『わかった。こっちの問題もほぼ片付いたから今すぐそっちに行くから!!』
「うん。待っ『┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨━━━━━ン!!』てっ・・!!うわ!!何?」

会話中に突然降ってきた崇彦に驚く無良君。
彼の脇には横抱きされた未来が、ICEを抱えたまま事態を把握出来ずに目を白黒。

「ふえ〜ん・・・何があったんですの〜・・・ (*'ρ'*)」

「おまたせ〜!!未来ちゃんも連れてきた!ICEのキャロル付だよ!!!(><)ь」
「・・・・・取りあえず、崇ちゃん落ち着こうか・・・(=ェ=;)」
396スポーツ好きさん:2011/06/02(木) 09:05:12.16 ID:ZaUqhjlT
「ひいおばあちゃん、言ってたよ。あなたが無事で良かったって、うう。
私に構わず早く逃げるといいよって、えっぐえっぐ。」
バトルと共に助け出されたアロエリーナは、宇宙船でずっと号泣し続けている。

一方、時空警察ビルは未だに時空のはざまを漂っていた。
「おとなしく降参した方がいいよ。じきスケーターの皆が私を助けに来るよ」
「そうしたら我々が返り討ちにするまでだ。しかしその前に聞いておかねばならん。
時空警察長官首席秘書官のアロエリーナ・コストナー君」
と、副所長は彼女の胸元に付けられたネームプレートを読み上げたが、
アロエリーナならぬカロリーナには、副所長の次の言葉の意味はわからなかった。
「『月人の舞踊』の巻物のありかだ。
素直に白状すればお前だけは生かしてやってもいいぞ」
「は?何のために?」
「勿論、スケーターどもが永久に七回転を跳べぬよう、灰にするためだ」
397スポーツ好きさん:2011/06/02(木) 11:38:45.12 ID:ml/WuD3J
「16世紀の日本で描かれたという『月人の舞踊』の巻物。
21世紀始めに発見された後再び所在不明になったと言われているが、
実際は時空警察とスケーター達が重要機密として極秘裏に何処かへ隠した事は解っているぞ。
その巻物に描かれているらしい『究極の奥義』の秘密をお前達に解き明かされる訳には行かないのでね
・・・さあ、巻物のありかを言ってもらおうか」

「そんな巻物知らないよ!知ってたって教えないよ!!」
(・・・そんな大昔の物が7回転とスケーターに関係あるとは思えないよ。
でも副所長が狙っているって事はきっととても大事なものに違いないよ!
何とかこの事をみんなに知らせないといけないよ!)
とはいえ、今は時空のはざまで捕らわれの身だ。一体どうすれば・・・?
398スポーツ好きさん:2011/06/03(金) 21:02:41.99 ID:82iOIRgY
「冷静になればわかると思うよ?長官秘書の私がもし、それを知っていたら
 今頃私は自由に行動していないよ」
「む…?」
「それに、そんなのスケーターが知ってたらとっくにやってるよ!知らないから時代超えたり
『ICE』探したりして必死にやってるんだよ!」
「む……」
一里ある、と思ったのか、副所長は「くそっ」と一言言って背を向けた。
(何とかごまかせたけど……そんな巻物なんて…)


「はぁ?『月人の舞踏』?」
同じ頃、スケーターたちも、ババ長官から同じ様な話を聞いていた。
「そうだ、副所長はそれが7回転奥義の秘密を握っているといっていたが…知らないのか?」
「いや、知らないかって……」
信成、プル、ヤグは顔を見合わせた。
心当たりがある……というか、どう考えても、アレしかない。
(それって…あの変プロ祭絵巻ですやん…)
(クリプトンの儀式ならともかく、7回転には関係ないよねぇ…さすがに)
(一体どこで何が間違ったんだ?あれが7回転の秘訣だったら俺たち全員とっくに跳べてるだろ)
399スポーツ好きさん:2011/06/03(金) 23:21:09.71 ID:DzFoonSa
3人は長官のいる部屋を出ると、早速例の巻物について話し合っていた
「どうなってんだ?あの巻物にそんな秘密があるなんて到底思えねぇが…?」
「やっぱり100年経ってる間にいろいろと話に尾ヒレ腹ビレがついたんとちゃいますか?」
「でも副所長がそんな単純な間違いをするとも思えないんだけどなぁ…」
いろいろ考えてみるが、どうにもこうにも奇妙な話で益々解らなくばかりである。

「…とりあえず、もう一度アレをよく見てみるしかなさそうだな」
「ただの間違いなのかそれとも本当にアレが7回転の秘密を握ってるのか、調べる必要はありそうだね。
…ノブナリ、あの巻物は今どうなってるの?」
「アレやったらまだウチの蔵に置いてありますよ…なんならちょっと見に行きます?」

…なんだか眉唾物の話だが、一応確認はしておかなければ。
というわけで、宇宙船は一路日本へ向かった。
400スポーツ好きさん:2011/06/04(土) 00:25:21.38 ID:6ekA6EHu
「ひいじいちゃん、これのことだろ?オラも本物のありかは知らねえんだけどな」
「ちょ、ちょっと待ちぃ…」
信太が自分の携帯を前にかざすと、見覚えのあるホログラム画像が広がった。
「あれ、前は気づかなかったけど、よく見ると絵の他にも何か書いてあるね」
「まさか何かの暗号じゃないだろうな」
「ワァッハッハ、まあ南蛮人にはあれは読めぬじゃろうな」
「お、ご先祖様久しぶり〜◇」
「よいか。『其の者七回宙を廻りて銀白の野に降り立つべし。
失われしあいすとの絆を結び、遂に人々を白き清涼の地に導かん』とな。
じゃがこれを描いた絵師が、その時何かに憑かれたかのように筆を走らせたにも関わらず、
その当人が何故そのような文を書いたのか、ましてやどのような意味なのか、
さっぱり覚えておらなんだのじゃ。不可思議なこともあるものよのう…」

(16世紀の作か…悪ィ、ノブがアニオタなんじゃなかったんだな◇)
大輔は心の中で詫びたが既に時遅し、
信成は愛息子のお蔭で今やいっぱしのアニオタになっていたのだが…
「で、本物は今どこにあるのかね?」
「わしの口からは言わぬがよかろう。それでなくとも悪者に狙われておるのであろう?」
信成宅でテーブルクロス代わりになっていることは黙っておくことにしたご先祖様であったwww
401スポーツ好きさん:2011/06/04(土) 00:31:09.58 ID:6ekA6EHu
ちなみに>>400は日本に向かう途上の出来事であったことを付け加えておく。
>>399殿にはすまぬことをしたの。わしが出現するときには時空が歪むらしい…」
402スポーツ好きさん:2011/06/05(日) 00:59:35.50 ID:emFu4koj
宇宙船は予定通りに日本へ向かっている。
いくら信太がホログラムを見せてくれたとはいえ、
「やっぱり実物を見てみないとわからない点があるかもしれないからね」
というプルの見解があったからだった。

が、一部の人々からは反対意見も噴出した。
「巻物よりアロエリーナのご先祖様を助けるのが先じゃないのかなアハン」
「ママンもそう思うのか。確かにこのままじゃ取り返しのつかないことになるぞママン」
「あ、あなたたち優しいよ。私あなたたちのこと誤解してたかもしれないよ・・・」
涙ぐむアロエリーナ。これで歴史改変派と反対派の完全和解になるかと思いきや・・・
「芳しいバニラの風味、口中を快く冷やすシャリシャリ感、あの絶品ジェラートアハーン!」
「そうだ、彼女を助け出さないとあのジェラートを二度と味わえなくなるんだぞママン!」
「ジェラートの心配はいらないよ!あなたたちには二度と食べさせないよ!」
両人はどこからともなく登場したハリセンにしばかれ、動議は否決されたのだった。
403スポーツ好きさん:2011/06/05(日) 04:07:56.87 ID:dt6WzgDd
「崇じい〜!!!ひどいよ置いてけぼりなんて〜!!」
「つくづくスマン。!」
スケパシーで号泣する雪彦にかなり申し訳ない気持ちになる崇彦。
雪彦からコストナーさんが捕虜になったことと巻物の件を伝えられた。
「・・・・じゃあ、コストナーさんはいまだ時空の狭間に・・・」
「それだけじゃないよ。ビル内には警視総監含めまだ多数の職員も取り残されてる。
今はババ長官の指示で各時代に派遣された時空警察官がロス周辺に配置されてるけど・・・・」
「いつ、どこの時代に建物が現れるかわからない状態か・・・・」

しばらく考え込む崇彦・・・・・・

「・・・・こちらから向こうにアクセスしておびき寄せることが出来ればいいんだけど・・・」
「ええ!!崇じい!!」
404スポーツ好きさん:2011/06/05(日) 23:18:07.50 ID:MLc2uImU
「はぁ、新聞に載った巻物?そんなんもう蔵の中にはないで」
「ええっ、なんでやおかん!?」
「『内容が荒唐無稽で贋作の可能性が高い』て、鑑定した専門家が言うねん。
頭にきてほかそう(捨てよう)としたんやけど、あんたの嫁はんがもったいないって、
オシャレやからテーブルに敷くていうから持って帰らせたわ」
宇宙船一行はあわてて信成の愛の巣へGO。

「おだりんおかえり〜、あっ今日はお客さん大勢やね」
「まさかこれがあの絵巻?シミがついてるじゃないか!」
「すんまへん、それこないだ信太朗の離乳食のお粥こぼした跡ですねん」
「あああ、七回転のカギを解く大事な絵巻が・・・」
外見上は何の変哲もない絵巻だが、さりとてここに置いたままでは、
絵巻を狙うロボ軍団に信成の妻子が危害を加えられかねない。
やむをえず絵巻は回収し、宇宙船内の機械で検査することになった。
405スポーツ好きさん:2011/06/06(月) 21:33:00.44 ID:G9m686ku
「もちろん、アクセスする方法がわかんないから無理だけど」
「・・・だよねぇ」
「ただ、一応こっちも連中が来たときに太刀打ちはできるかもしれなくなったよ」
「どういうこと?」

話は少し前に遡る。

「じゃ、未来いくよ」
「うん!」
未来にキャロルの『ICE』を持たせ、崇彦は二つのクリスタルを近づけた。
『このような場所があったとはな・・・』
「どうでしょう、ここは一年前に寿命を迎えているんですが・・・」
『なに、そのクリスタルがあるのだから・・・』
その瞬間、『ICE』とクリスタルが反応しあい、一面のプールはたちまち、銀盤へと姿を変えた。
樹、無良、佳菜子が思わず歓声を上げる。
「すっげぇー!!!」
「なにこれ、魔法!?」
「キャー!このリンクめっちゃ調子良い!中京のと良い勝負!」
樹、無良はクリーンな4Tを、佳菜子は素晴しい3T-3Tをぽんぽんと決める。
「死してなお、その機能は失われず、か・・・」
「タカ、もしかして・・・・・・」
未来の言葉に崇彦は力強く頷く。
「ここでなら、子孫たちは7回転を成功させられるかもしれない」
406スポーツ好きさん:2011/06/07(火) 22:53:28.96 ID:QraLy1/s
持ち帰った巻物を早速調べる宇宙船組。
「パッと見たところ特に怪しいところはなさそうだな…」
「X線検査でも特におかしな点はでてこないしねぇ」
宇宙船の解析システムでも目ぼしい成果は出ず、一行はため息をつくばかりである
「もしかして何か秘密の暗号とか見えたりしねぇかな?」
そう言いながら信太はおもむろに絵巻をばさっと広げた。
「ノビタ、古いものだから慎重に扱わないとダメだよ」
「そうやで、ただでもおかゆのシミがついてるんやから」
「皆さんお疲れ様です、少し休まれてはいかがですが?」
プルと信成が窘めているところへ、カップを乗せたトレイを持ったガチ君が部屋に入ってきた。
「あ〜わりぃなぁ、曾じっちゃん!ここらでちょっと休も…」
ぐわっしゃ〜ん!!!!
巻物を持ったまま勢いよく振り向いた信太は歩いてきたガチ君とぶつかってしまい、
はずみでカップの中身が勢いよくぶちまけられてしまった……
407スポーツ好きさん:2011/06/08(水) 00:55:11.19 ID:XO8bIS3b
「アッポー、絵巻が!七回転の秘儀が!?だから扱いには気をつけろと!」
「長官、コブラツイストはやめたほうがいいよ!ノビータが氏んじゃうよ!」
「どんどんやってください、ノビタはその位ではくたばりませんよ!
だいたいお前も分析検査中のマシンルームに飲み物なぞ持ってくるな!」
「セルゲイ落ち着いて、その人ガチンスキーさん!あんたの国の大先輩!」

他の面々は阿鼻叫喚の大立ち回りをよそにせっせと絵巻をかわかしにかかるが、
「あーあ、アイスティーでまだよかったぜ。これが熱々のコーヒーだったりしたら…」
「けど紅茶かて色はついてまっせ。ばっちりシミになりそうでんな」
「んもうガッちゃんたらおっちょこちょいね。一体どうすんのよ…コ、レ……?」
「曾祖叔父さま?どうしちゃったの?」
「んもう!どうしてよりによってこんな時にタカと未来がいないのよ〜」
絵巻のシミに浮き出ていたのは、クリプトン語だった。
408スポーツ好きさん:2011/06/09(木) 21:52:15.13 ID:ZuhMzfks
「・・・無理」
「やっぱり」
「タカの子孫の君なら読めると思ったんだけどなぁ・・・」
いきなりわけの分からない言葉を見せられた雪彦は目を白黒させた。
「素直に崇じぃに聞けば良いのに・・・・・・もしもし、崇じぃ?」
『どうした?ってか、スケパシーに「もしもし」はいらん』
「うん、なんか『くりぷとんご』?ってのが出てきたんだけど・・・」
『あーそれ、祖父さんのほうが詳しいわ。写真撮って、信夫先生経由で父さんに送って読んでもらえ』
「はーい」
409スポーツ好きさん:2011/06/10(金) 01:27:48.99 ID:N+nB+eFM
さて…時空のはざま脱出組のうち、一組だけ忘れ去られていた者たちがいた。
『視聴者の皆さん…遂に冬季五輪の歴史に幕が降ろされる時が近づいて参りました。
2046年、北極オリンピックも本日で閉会式となったわけですが、
南極の氷河はほぼ流失、残念ながら次回2050年大会は中止の公算が高いです』
『いやあ実に残念ですね。今大会では新しい軽量型スケート靴が解禁になり、
フィギュアスケートでは大会史上初の五回転ジャンプも多く見られたのですが…』

観客は皆セレモニーの様子に涙しており、
そこにまぎれている黒くて長い二人組は会場の柱ぐらいにしか思われていないwww
「まあ、ある意味好都合ではあるが、どうやって2010年に戻ったものかな?」
「現代の迎えが遅すぎるような…なんだあの不気味なドレス姿は?」

「ハーイエヴァン、お・待・た・せ(ハァト)。遅くなってゴメンなさいね。」
「DIVAとしたことが、アンタたちを忘れるなんてどうかしてたわぁ」
「「すいません人違いです俺らドラッグクイーンに知り合いはいないんで」」
「失礼しちゃうわねっ!傷心のアンタたちを慰めるために工夫を凝らしたのに」
「わざわざ皆の反対を押し切ってウェディングドレス着てきたのに!」
「自分で着たかっただけだろうが…んなもんどこから出してきたんだ」
「そんなクレイジーな格好で歴史に悪影響が出なきゃいいがな。もう帰ろう」
「「んもうっ!プンスカプン!」」
そんなこんなでギャヴァンとその曾祖父はやっとこさ2010年に帰りついた。
ただしギャヴァンの父はまだ、25世紀からの侵略者共々時空のはざまだ…
410スポーツ好きさん:2011/06/17(金) 23:59:02.16 ID:WreJ0ONi
いくつの不思議な夢を巡ったら、目が覚めるんだろう。
そう思いながらアボットがたどり着いたのは、真っ白な何もない空間だった。

そこに、不思議な光が現れた。というより、周囲の空間そのものが、色とりどりに発光し始めた。
アボットが戸惑いながら、その輝きを見回していると、突然“声”が響いた。

『ようやく、こうしてお話できます。聞こえますか?』
それは実際の音声ではなく、直接頭の中に語りかけてくる。
『今までごめんなさい。あなた方と接触するには、どうしても誰かを深い夢に導き、
その中で意識同士を繋げるしかなかった。精神構造が違いすぎて、通常のテレパシーは通じないのです。
……かつて、クリプトン星人がやって来た時もそうでした』

「あなた達は、一体……?」
『戸惑われるのも当然ですね。では、もう少し、じっくりお話しましょうか……』
アボットは再び、夢の中に引き込まれていった。
411スポーツ好きさん:2011/06/18(土) 12:42:12.97 ID:Wa7/CsSn
「・・・・・・ほぉ」
「どうですか?」
「読めんことはないが、ずいぶん砕けた口調じゃな・・・」
雪彦から写メで送られてきた、例のクリプトン語文章を読んだ光彦氏。
「いいか、読むぞ・・・」

これを読む、未来の子どもたちへ
初めまして、名前も顔も知らない、未来のクリプトン星人たち。
私は、クリプトン星から派遣され、惑星探査に来ている者です。
ついこの前、信じられない光景を見ました。
同じ、クリプトン星の人間が目の前に現れ、今よりもずっと発展した
フィギュアスケートの技術で華麗に踊っていたのです。
確信しました。あれは遠い未来からやってきた私たちの子孫なのだ、と。
いつになるかは分かりませんが、きっとこの地球と私たちのクリプトン星は、
互いに手を取り合い、切磋琢磨していく関係を築き上げるに違いありません。
この絵に描かれている、舞踏のように。
互いの発展と栄光のためにも、この絵を描いている人にちょっとスケパシーを送り、
予言めいた文章を書いてもらいました。
七回転ジャンプなんて、ひょっとしたらもう当たり前なのかもしれませんが、
今の私にとっては、伝説のような、夢まぼろしのような話です。
フィギュアスケートに一番大切なのは、高みを目指し続ける心のたくましさ。
それを忘れないで。それさえあれば、どんな壁も乗り越えられるはず。
地球と、クリプトン星の未来のために、愛を込めて。


「・・・・・・つまり、手紙じゃな」
「遠い、自分たちの子孫のための?」
「これを書いた人間は、なーんにも知らんとこんなことを書いたんじゃろう」
「クリプトン星が滅びることも、地球の氷が失われることも・・・何ひとつ知らず!」
「・・・・・・しかし、最後の一文は正論じゃな」

フィギュアスケートに一番大切なのは、高みを目指し続ける心のたくましさ。
それさえあれば、どんな壁も乗り越えられるはず。
412スポーツ好きさん:2011/06/19(日) 23:53:29.78 ID:cv/y5BxB
アボットは再び、クリプトン星人が訪れていた、三つの月に照らされた惑星を見ていた。
「この星の名前は?」
急に、目の前を様々な色彩が飛び交い、複雑なハーモニーが美しく響く……その後に答えがあった。
『これが、この星の名前。あなた方の使うような、音声言語の名はなかったのです』
「じゃあ今のが、あなた達の言葉? 精神構造が全然違うって、本当みたいだね」
『はい。私たちは、そちらで言うような文明を持たず、あなた方の肉眼では見ることもできません。
精神生命体、とでも言えばいいでしょうか。幼い時期を過ぎると、肉体も脱ぎ捨ててしまうのです。
物質文明が築けなかった代わりに、長い歳月をかけて、独自の精神文化を育んできました』
「とんでもない生物がいるもんだね……」

『クリプトン星人がやって来た時、当初はテレパシーが通じず、危うく大惨事になりかけました。
彼らは私たちの存在に気づかず、惑星の環境改造を始めてしまったのです。
温暖な環境でなければ、私たちの子供……幼生体たちは生きていけません。
あわやという所で、やっと意思疎通が叶い、彼らは寒冷化を止めてくれたのです』
413スポーツ好きさん:2011/06/20(月) 14:31:42.86 ID:Q0C968Lk
精神生命体は、彼らの言語らしき光や音色と共に語り続ける。
『しかし当時、研究サンプルとして捕らわれた幼生体たちの一部が、
地球へ渡っていると判明しました。救出しなければ将来、この地球にも災いが訪れます』

「ちょ、ちょっと待って。さっきから言ってる『幼生体』って、どんな姿なの?」
『あ、すみません。幼生体でも、かなりの群体にならないと、やはり目には見えないでしょう』
そして、アボットに見せられたイメージは。
「……な、何これ。アメーバ? いや、スライム?」
『原始的な生物に見えますか? でも、群体となって協力し合うと、それなりの知能になるんですよ。
成体である「私たち」は、数千兆分の意識の集合体です』
「どこまで常識外れな生命体なんですか一体……というか、これが地球でどうなるの?
まさか、将来温暖化が進むと、大増殖を始めるとか?」

『はい。そしてこの子たちは、身を守るため他の生物に寄生し、操る能力を持ちます。
しかし、知的生命体はうまく操れず、宿主を異常な精神状態に陥らせてしまうのです。
やみくもに増殖して地球人に寄生すれば、どうなることか……』
414スポーツ好きさん:2011/06/25(土) 23:39:08.83 ID:A1il6nDU
一方その頃。宇宙船組はある場所へと到着していた。
「うわぁ!すげぇ滑りやすそうなリンクだなぁ!オラこんな所で滑るの初めてだぞ!」
「宇宙船のリンクのコンディションも良かったけど、ここはもっと良さそうね」
「もしかしたら財団本部のリンクより氷の質が良いかもね…ちょっと癪だけど」
「アハン、見てるだけじゃ解らないよ、さっそく滑ってみなくちゃね!」
子孫達は目の前に広がる一面の銀盤に感嘆の声を上げた。
実際22世紀では氷を張るだけでも苦労しているだけに、これほどの良い状態のリンクで滑る機会には
なかなかありつけないのだ。

「崇じぃ、地下にこんな凄いリンクがあるなんて一体どうなってるの?」
「実はこのリンクはクリプトンの技術と「ICE」の力で……って、あ〜もう!」

崇彦の話もそこそこにさっそく氷の感触を確かめに行く子孫達だった……
415スポーツ好きさん:2011/06/26(日) 11:57:32.92 ID:jwA43ZbC
夢の中でアボットは困り果てていた。
彼ら精神生命体の言葉が本当だとすると早くこの事実を誰かに伝えなければならない。
しかしいったいどうやって・・・・

『だから私達はあなた方を頼ったのです。』
「?」
『あなた方は数少ない精神伝達ができる地球人だからです。』
「!!そうか!スケパシーか!!!」
『おねがいします。この事実を早く皆さんにお伝えください』
「それで、君達はどうするの?」
『私達はクリプトンの悲劇を繰り返さないためにもあなた方に協力します。
だから、もう少し私たちとともにこの世界にいていただけませんか?』
「わかった。」

こうしてとアボットは深い夢の中からスケパシーを試みた。
416スポーツ好きさん:2011/06/28(火) 01:19:51.49 ID:3jtjVOtl
さて、アボットの必死のスケパシーは…

未来「あれえ、どうしたんですか?」
雪彦「たかじぃー、クリスタル!!」

崇彦が手にしていたクリスタルがこれまでとは異なる不思議な光を放った。
そう、アボットが夢の中で遭遇した精神集合体の言語と同様の光言語である。

と、一瞬後には未来が手にした『ICE』からなぜかアボットの声が聞こえてくるではないか!

崇彦「一体、どうなっているんだ…?」

417スポーツ好きさん:2011/06/28(火) 01:40:58.51 ID:3jtjVOtl
アボット「おーい、崇彦ー、他の皆にも届いてる!?」

宇宙船にいた雪彦が反応する。

雪彦「たかじぃー、これ誰のスケパシー?」
崇彦「ジェレミー・アボット。でも、君、今病気療養中じゃなかったっけ?」
アボ「諸事情あって詳しいことは端折るけど…」

といいながら、精神集合体の話を説明する。

雪彦「うーん、幼生体…温暖でないと生きられない…おまけに人間の精神に影響をきたすとはね」
未来「あのぉ、幼生体って、今誰かに入り込んでるんですか?それも、20世紀の人?それとも未来の人?」
418スポーツ好きさん:2011/07/01(金) 01:51:22.51 ID:wZw/ue7M
その時、他の宇宙船組がぞくぞくと阿蘇のスケートリンクに登場。

「ハァーイ!クリスタルならDIVAにお・ま・か・せ(^_−)−☆タカ、クリスタル貸してぇ(はあと)」
「曾祖叔父さま、だったら私も!」
「おお!なんて素晴らしいリンクだ!さ、ブルマ、早速練習だ!!」
「オラだって、早速滑るぞ!」
「うーん、確かにいいリンクだねぇ」
「うおう、スゲー◇」
「念のため、靴確認してっと…よっしゃあ◇」
「気持ちが高ぶるアハンアハン」
「おにゃのこもいっぱいだねママン」


崇彦(あーっ、もう!話がまた混乱しそうだ)

その時、またしてもクリスタルが光言語…要するに光の乱舞が一段と激しくなった。
その様子はあたかもブリザードのよう。
そして、アボットのスケパシーが。

「長の勇気を今こそ示せ、だって」

419スポーツ好きさん:2011/07/01(金) 08:01:26.86 ID:xQE7rHCq
「こってぃ〜!!!リンクの様子が変だよ〜!!」
「誰だよこってぃ〜・・・・て」

先にリンクで滑っていた佳菜子たちが崇彦たちの元に駆け寄ってきた。

「そういえば・・・・なんだかリンクが光ってますぅ〜」
「わあ!!ホントだ!!崇じい!!!これクリスタルのあれみたいだよ!」
「!!!!まさか!!」

クリスタルを見直す崇彦。
明らかにリンクの光とクリスタルの光は連動しあっている。

「あれ?何してるの?」

結弦がロミオ衣装で崇彦の元に駆け寄ってきた。すると・・・・

『これで・・・・そろったか・・・・』

『なに!!!』

崇彦たちは突然広がったクリスタルに包まれその姿は忽然と消えたのである。
420スポーツ好きさん:2011/07/02(土) 20:07:39.17 ID:LvoXcAlt
「・・・・・・ここは!!」
周囲は一面岩だらけ。目の前に広がるのは厚い氷に覆われた湖。
「・・・おいおい・・・まさかまた『ここ』だって言うのか・・・?」
崇彦がため息をついた。
「い、一体ここは、どこなんですか・・・?」
「ここは・・・ってガチ君いつからそこに?」
「いえ、あの、たまたま側を滑ってただけなんだけど・・・」
崇彦が人員点呼したところ、ぶっ飛ばされたのは崇彦、未来、佳菜子、結弦、ガチ君、そして雪彦の6人。
「・・・雪彦を巻き込んじゃったけど、とにかく必要な人物は揃っているわけだ」
「え?タカ、それって・・・ユキは違うってこと?」
「少なくとも『今』はね。100年後ならいざ知らず、だけど」
「「「「????」」」」
「詳しい話は後で。ジェレミーが伝えてくれたことを、ここで実行しないと」
一年前、死闘を繰り広げた地を、崇彦は今一度見つめた。


「消えちゃった・・・・・・」
たまたま、離れた場所からことの成り行きを見守っていた真央がぽつりと言った。
「あっ!」
「どしたの?」
「曾おばあさま、『ICE』が・・・!」
マオが急いで持ってきたのは、2冊の『ICE』。
一つ目・・・みどりさんの『ICE』には、一枚の絵が現れていた。
「これは・・・何かの機械でしょうか?」
「・・・あれだね」
秘密のリンクの一角にある、小さな装置。
「そっちの『ICE』は?」
「えっと・・・」
カートのものだった。しかし、危機リストとはまたちがうページに、名前が書かれている。
「選ばれし者・・・タカヒコ・コズカ、ミライ・ナガス、ユズル・ハニュウ、カナコ・ムラカミ、アトゥール・ガチンスキー・・・」
「何のことだか・・・」
「・・・大丈夫。タカちゃんたちなら大丈夫」
真央はにっこり笑った。
421スポーツ好きさん:2011/07/02(土) 21:09:14.34 ID:9sf9qWpF
「ちょっとぉ〜!なんで選ばれし者にアタシが入ってないのよぉ?!」
ICEに浮かんだリストを見た自称救世主のジョニ子は何やらご機嫌斜めのようである。
「救世主のこのアタシがいなくちゃ話にならないじゃないの?『ICE』の人選おかしいんじゃないの?」

「曽叔父様落ち着いて。何が起きてるか解らないのにむやみに動くのは危ないわ」
「そうそう、それに救世主ってみんながピンチの時に颯爽と登場するのがかっこいいと思うけどねぇ」
「そうね…シチュエーションとしてはそれも悪くないわね…解ったわ、アタシ最高の場面で華々しく登場して
皆の危機を救う事にするわ。そうとなったら登場時のセリフと衣装考えなくちゃ♪」
ジョニーGとプルに宥められてひとまずは溜飲を下げたジョニ子だった。
422スポーツ好きさん:2011/07/02(土) 22:37:54.92 ID:+t3SCTN5
一方、時空を漂っている時空警察本部内。
ライサ長官以下職員は全員副長官派の監視の下軟禁状態にあった。
「・・・・まもなく転送装置の修理が完了する。」
「ああ、ご苦労であったな。シュルタイス博士」

副長官自ら監視のなか装置の修繕を行ったシュルタイスは黙って会釈した。

「・・・・とりあえず・・・そうだな・・・2011年の7月1日の阿蘇にするか・・・」
「!!!それは!!!どういうことだ!!!なぜ私達の時代に戻らない!!」
「簡単ですよ。私にはまだやらなければならないことがあるんですよ。
・・・・・クリプトンに故郷をのっとられた恨みを晴らすというね・・・」
423スポーツ好きさん:2011/07/03(日) 00:00:31.36 ID:BIE+GClz
転送装置と連動している壁面モニタに、世界地図が大写しになる。
日本がズームアップされ、さらに北九州が拡大された。
「阿蘇山の位置はここ、と……」
副所長の呟きと、地図に映るいくつかの地名に、総督がはっと目を見開く。

(まずい! そこへ飛ばれたら、フクオカが攻撃圏内に入る!
その日は、FaOIの直前だ! 出演スケーターを奇襲する気か!)
総督はとっさにスケパシーを飛ばした。シュルタイスは小さくうなずくと、
副所長が地図を見ている隙に、素早く転送装置の設定をいじる。

目標とされる「2011年7月1日」ではなく、もっと別の時点へ……
できれば、スケーター達が事態収拾に動いている時点へ飛べるように。
424スポーツ好きさん:2011/07/06(水) 10:33:57.18 ID:g5L82gkj
2110年の財団から2010年の宇宙船に時空通信が入った。
「サーシャだ!時空警察本部の機影・・・?をキャッチできたぜ!」
「ありがとサーシャ!!愛してるよ!」
「こんなときだけ気持ちワリー事言うな!!」

サーシャの通信で本部ビルが確実に2010年に近づいていることを知ったスケーターたちは、
来るべき決戦のときに備え俄然いきり立った。

「いよいよ決着をつけるときが来たようね!タカヒコたちは残念ね、出番がなくて!」

新たなステージの登場でジョニ子の不満も吹っ飛んだ。

「・・・・・せっかくだから、さっきユキヒコが言ってたお爺様のアイデア実行してみない?」
「あらジョニG?なにそれ?」
「・・・・あいつらを挑発してこの時代にタイムスリップさせるのよ!」
「いいじゃない!!早速実行よ!ジェーニャ、あいつらに通信回線開いて!!!」
「ちょ!!!!そんなイキナリ・・・しかもこっちだって体制がまだ」
「善は急げ!!あいつらだってこっちが7回転の修行をしてるなんて知らないだろうし・・・・
それにこのスレも残り385kb。決着はとっととつけて早く地球の温暖化を食い止めなきゃだわ!・・・・・」
「わかったよ。何とか回線をつないでみる。」

プルは慣れない手つきで時空の歪みにいる本部ビルに向けて通信を試みた。
425スポーツ好きさん:2011/07/06(水) 21:32:14.65 ID:wkXBlv0q
「DIVAの祈り・・・長の勇気・・・、とりあえず未来、こっち持って」
「OKey」
クリスタルと睨めっこをしながらぶつぶつと考えている崇彦。
「あのー、僕達はどうすれば・・・」
「ちょっと待って、今>>295の文章を思い出して・・・」

ヒューーー・・・・・・・

                ごちん☆

「いっだぁぁぁぁぁぁぁぁいいーーーー!!!!!」
雪彦の頭上に何かが落ちてきた。
「あー、大丈夫ユッキー?いたいのいたいのーとんでけー!」
「佳菜子そんなことしてる場合じゃなくて救急車!」
「・・・その前にここはどこ?」
三者三様、ソチの星たち。今シーズンも頑張ってほしい。
「これは・・・『ICE』!?」
崇彦は落ちてきた物体を拾い上げた。
しかし、なにやら様子がおかしい。
なにやら、鎖で幾重にも厳重に閉じられている。
「でも・・・いったい誰、の・・・・・・・・・」
「・・・・・・タカ?」


  『ICE』 
 Nobuo SATO
426スポーツ好きさん:2011/07/07(木) 08:53:36.86 ID:srlVBLzM
一方、《BERNTSSON'S LAB》ではまた別の動きが起きていた。
「時空のはざま」の件が一段落ついた矢先に、クリスティナ博士の元へかの青年が再びやって来たのだ。
「これを見てくれないか、キッキ」
博士が顔を上げるよりも早く、青年は手にした簡易映像機のスイッチを入れた。
映し出されたものは、名前、年齢、身長、体重、視力、聴力、血圧、その他諸々の検査値…
「これは…この前の健康診断の結果?」
「そう」首を傾げるクリスティナに構わず、青年は続けた。
「気になることがあるってミンキネン先生に言われてさ、ちょっとデータを借りてみたんだ」
映像をスクロールし、ある名前の欄で止める。

Space-Time Police Organization : Ph.D. SCHULTHEISS

その名前を目にした瞬間、クリスティナの顔が青ざめた。
「彼に、何かあったというの?」
「まだ、はっきりしたことは分からない。僕の専門は生物学で、医学じゃないからね。
けど、シュルタイス博士だけじゃなく…特に時空警察の一部の検査結果が、明らかにおかしいんだ」
青年…ヤン・ベルネル生物学博士はため息をついた。
ちなみにこのヤン青年は、プルシェンコ財団ユーロ支部長ルカシュ・ベルネルの弟にあたるのだが、
それはまた別の話である。
427スポーツ好きさん:2011/07/09(土) 23:59:47.99 ID:GGj1Dq5p
「明らかに、って何が?!」
震えながら尋ねるクリスティナに、ヤンは説明する。
「共通して現れているのは、尿検査での異常な結果。尿素が少なすぎる。
その他の老廃物もろくに排出されてなくて、数値だけなら、とっくに腎不全だ。
なのに皆、体調はむしろ良いぐらいで、血液検査なんかの数値は全く異常なし」

クリスティナはちょっと拍子抜けしながら、そのあたりの知識を思い起こした。
哺乳類は、タンパク質代謝で生じるアンモニアを、尿素に変換して排出するはずだが。
「つまり体内の老廃物が、『何か』によって分解・除去されてる?
でも、それならむしろ、身体にいい何かだったりしない?」
「クリプトン星人たちも、最初はそう思った。そして大変なことになったんだ」
ヤンが始めたのは、かつてプルシェンコ財団で見たという、古い文書の話。

「そこには、ある惑星でクリプトン星人が見つけた、寄生アメーバの情報があったんだ。
感染者の検査結果データが、シュルタイス博士たちのデータのパターンとそっくりった。
そのアメーバは確かに、星の原生生物にとっては、有益微生物だったかもしれない。
でも、クリプトン星人の脳に入り込んだ時、恐ろしい病原体以外の何者でもなくなった」
428スポーツ好きさん:2011/07/10(日) 22:30:47.77 ID:XwNqwNir
阿蘇のリンクで7回転の習得に勤しむスケーターたち。しかし、彼らに徐々に異変が現れ始めた。
「ママ〜ン?おかしいな〜さっきは簡単に・・・・・」
ジュベは首をかしげた。
先ほどまで飛べていた楽々跳べていたはずの4回転以上のジャンプが跳べなくなったのである。
「あは〜ん・・・僕のスピンも急に回転が鈍くなってきたような・・・」
ランビがつぶやいて周囲を見渡すとほとんどのスケーターたちがリンクの上で立ち止まっていた。
・・・・と、いうか一時停止ボタンを押したテレビ画面のように動作の途中で固まってるのだ。
「あは〜ん?みんなどうしたの?」
「おかしいぞ。ママン!」
その二人に突然悪寒が走り、体が冷たくなる感覚に襲われた。
「ママ〜ン!!体の動きが・・・」
「まずいよアハ〜ん!!!」
「一先ずみんな!!リンクからおりよう!!ママン」

ジュベの呼びかけでランビ以下数名がリンクから逃げ出した。



429スポーツ好きさん:2011/07/11(月) 09:28:08.31 ID:VQVFq19h
「ちょっとぉ!一体どうしたのよ!返事しなさいよ!」
リンクの端にいたジョニ子が隣にいたPチャンを揺さぶるが、Pチャンは瞳孔が開いたまま固まっていた。
「ジョニー!君も早く外に出て!何か様子が変だ!!」
「何よジェーニャ?様子が変って…あら何だか身体が重いわ…?」
「ジョニー急いで!」
「いやぁぁん?何これ?動けなくなってきたじゃないのぉ?!」
「みんな、ジョニーを急いでリンクの外へ出すんだ!」
「こっちに掴まれママン!」
「頑張ってアハン、もう少しだよ」
「きゃ〜!そんなに引っ張ったら腕が痛いじゃないのよ!DIVAには優しくエスコートしなさいよ」
だんだん動きが遅くなっていくジョニ子だったが、先に脱出したプル達に引っ張り出されどうにか難を逃れた。
430スポーツ好きさん:2011/07/11(月) 22:55:10.48 ID:+O3AI2Xa
プル「宇宙船で作業している間に何が起こったんだい?…ま、人が苦労している隙に滑ってたのが悪いんだよ」
ジョニ子「だって、凄くいいアイスコンディションだったんですもの」
バンビ「あんなリンク、初めてで、ついはしゃいでしまったママン」
アリョーシャ「ま、曾お爺様と協力した結果、無事時空のはざま、時空警察本部とつながったよ。『温暖化ストップまでもうすぐ』って言ってやったから、もうじき来るんじゃない?」
一同「「「「エエエェェェ)@o@(ェェェエエエ」」」」
431スポーツ好きさん:2011/07/12(火) 00:18:27.86 ID:g4rwx57g
阿蘇山スケートリンク(スケーター入場可能区域)が大変なことになる直前のこと。
かつて死闘を繰り広げた、「長」でないと入り口が解除できない空間の中で一同突然現れた『ICE』を取り囲んでいた。

崇彦「…信夫先生の『ICE』だ」
ガチ「でも、確かまだ入手されていないんじゃ」
佳菜子「厳重に鎖巻きになってる」
結弦「あ、つまりこれは近い将来の『ICE』だから、僕達じゃ使えないってこと?」
崇彦「…じゃあ、逆に未来からやって来た雪彦なら」
未来「呼びましたぁ、私のこと?」

崇彦・結弦・佳菜子・ガチくんはずっこけた。
そんなご先祖様に目もくれず、某然とする雪彦。

雪彦「僕が…『ICE』を??」
432スポーツ好きさん:2011/07/12(火) 21:43:17.78 ID:yGnIna+I
「・・・ん?なんだこれ」
鎖でぐるぐる巻きの『ICE』だったが、ねじ込むようにして紙がはさまっていた。
「・・・信夫先生の字?」

「ISUに頼み込んで、少々時期を早めて、渡してもらいました。
 荒っぽい渡し方をしてすみませんね。
 君達ならば、この『ICE』を間違えることなく使ってくれると信じていますよ
                                のぶお」

「・・・なんだ、じゃ、未来から来たわけじゃないんだね」
「ということは・・・鎖で縛られているのは別の理由があるってこと?」
「どういうこと・・・『間違えることなく』・・・って?」

「僕ってわけじゃないんだ・・・」
ほっとしたような、少々残念なような表情をする雪彦。
「油断するなよ」
崇彦がぽん、とその肩をたたく。
「どういうこと?」
「・・・お前は俺の曾孫なんだから、やたらと苦労する運命にあるってこと」
「えぇぇぇぇーーーーー!!?」

(・・・本来、クリプトンの長は血統で選ばるわけじゃない。むしろ、こいつは俺と
 近すぎて除外されてもおかしくないはずだ。・・・でも、競技人口が減っている
 100年後だったら・・・・・・それにふさわしい演技をこいつがしていたら・・・・・・!)
433スポーツ好きさん:2011/07/14(木) 22:56:58.90 ID:J7lPSlip
「ともかく、アボット通じて高度精神体の皆さんにアドバイスいただくか…」

崇彦はスケパシーを発動。

『おおーい、アボット、スケパシー通じてる?』

ところが。

『あ…タカ…よく…こっちも……さっき……よくとどか…』

一同、愕然。

「あれ?」
「さっきより弱いですねぇ」
「確かにアボットのスケパシーだけど」
「なんか混線している感じ?」

崇彦がクリスタルとキャロルコーチの『ICE』を近づけても、クリスタルはわずかに光るだけ。

「うーん、多分さっきはキャロルコーチの『ICE』からアボットのスケパシーも聞こえて来たんだけどなあ…全然クリアじゃないってことは、こっちのスケパシーもアボットにはクリアじゃないんだろうな」

それまで考え込んでいた結弦が一言。

「あのね、今の流れを邪魔して悪いんだけど、そういえば信夫先生の『ICE』、この空間にどうやって送り込まれたんだろうね?」

!!!!


434スポーツ好きさん:2011/07/15(金) 07:07:16.39 ID:GhdRfu43
「うーん、 『ICE』だから、スケ力の塊なんじゃない?…それに信夫先生の念力ってハンパないし」
「崇彦、それどういうこと?」
「少なくとも、僕には離れていても信夫先生の手の動き…リンクに飛び出す前の背中ポン、が伝わるんだよね」

崇彦は息を吐き出した。

「いずれにしても…とりあえず鎖解除が先か…あっ!」

一同、緊張。

「全員で、踊るんだ!!」
435スポーツ好きさん:2011/07/18(月) 00:15:01.57 ID:hd/co6yu
「『全員で踊る』…って、なんで?」

崇彦は答えた。

「仮説だけどね…
『ICE』は殿堂入りしたスケーターのもの。ということは、それぞれのスケ力と、その意志を具現化したものと考えていいんじゃないかな?
タラソワコーチの『ICE』だって、カートコーチの『ICE』だって、僕達の意志に応えてくれた。それは、何も今回の地球温暖化解決のためだけにじゃない。僕達がフィギュアスケートの高みを目指すからこそ、助けてくれたんだと思う。
多分、コーチたちにとって『ICE』は、その持ち主の現役の時のスケ力に加えて、後進の指導を通じてのフィギュアスケート全体の高みを目指すためのアイテムなんだ。
…もし、僕達がその『ICE』の力を借りようと願うなら、まず僕達自身が高みを目指して頑張っていることを『ICE』に納得してもらわないと」
436スポーツ好きさん:2011/07/18(月) 21:45:46.18 ID:hd/co6yu
崇彦「まず、まだまだジュニアの3人だな」
佳菜子・結弦・ガチ「「「エェエ」」」
未来「だって、これからシニア本格デビューですもんね」
崇彦「君たちの『高みを目指すスケーティング』、期待してるよ」

2010年のこの時、雪彦以外は知らない。
この3人が2010ー2011シーズンのISUグランプリで好成績をおさめることを。
もちろん、雪彦は密かに感動しているのだが。

雪彦(やった、生で見られるなんて…)
437スポーツ好きさん:2011/07/18(月) 23:59:25.78 ID:qVYUA+9s
一方アボットは、うまく通じないスケパシーに困惑していた。
「弱ったな。クリスタルの発動を手伝ってもらうにも、これじゃ……」
精神生命体たちは、クリプトン星人のクリスタル操作に立ち会い、記憶に留めているので
手順の一部は引き受けられるというが。

『それは、もう少し後からでもいいでしょう。最初の手順は、祈りを込めた踊りです。
肉体のない私たちには手伝えません』
「そうか、じゃあひとまず後回しとして。幼生体の方も心配だね、手掛かりはあるの?」
『すでに、気配を捉えてはいます。でも……不審なことがあるのです。
あの子たちは眠りについていて、つい最近まではっきりした気配がなかったのですが』

かつてクリプトン星人は、幼生体を研究サンプルとして冷蔵し、宇宙船に積んだという。
どうやら地球でもそのまま、寒さで仮死状態になった幼生体を保管していたようだ。

『……その状態では、誰かに寄生してしまうこともありませんが、居場所も絞り込めません。
なのに、目覚めている子供たちの気配が、突然現れたのです。それも、すでに宿主を持つ状態で。
目覚める段階を飛ばしていきなりそうなるなんて、ありえません』
彼らの放つ光が、不審げに明滅する。アボットはその時、ある可能性に気づいた。
「まさか……未来から来た連中の中に、宿主がいる?」
438スポーツ好きさん:2011/07/19(火) 07:19:11.71 ID:HkhiKiE2
他方、阿蘇山スケートリンク(スケーター入場可能区域)。
ソチの星三名が踊り出した頃に《身体が、重く、動かなくなる》状態にしまった。

ジョニー「まあ、なんとかリンクから出られたからいいんだけど、他のリンクで微動だにしない連中どうしたらいいのよっ?」
ジョニーG「なんか、セルゲイに重力装置で負荷かけられたのと似た感じだったわ」
マオ「…ジョニーさん、>>170でオーサーコーチの『ICE』から授かった小型重力制御装置、どこにあります?」
ジョニー「どこにって、ここにあるけど?」
マオ「それ、確か半径1m以内なら動けるんですよね」
ジョニーG「あ、そういうこと!」
マオ「そうよ。効率悪いけど、数人で固まって移動して、一人ずつ助けるしかない…」
ジョニー「それなら、善は急げ!私がみんなを助けてあげる☆だってDIVAですもの!!」

ジョニーに指図される一団から離れ、プルとアリョーシャは片隅に出現したマシンをじっくりと見ている。
439スポーツ好きさん:2011/07/21(木) 23:58:19.04 ID:b/8HwVmw
月面の《BERNTSSON'S LAB》では、ヤンがクリスティナに説明を続けている。
「当時、研究サンプルとして採取された寄生アメーバを、クリプトン星人が地球に持ち込んでる」
「そんな危ない物を! いい迷惑だわ!」
「仕方なかったんだ。その輸送船が地球に立ち寄っていた時、
クリプトン星への巨大隕石接近の知らせが届いた。船は、全速力で故郷へ向かうために
全ての積み荷を地球に置いて飛び立ち……二度と、戻らなかった」

彼女は返す言葉もなく、クリプトンの船員たちの心情を思った。
その立場だったら、自分もきっと、同じようにして飛び立つだろう。
「……確かに、仕方ないわね。で、そのサンプルが今になって漏れたってこと?」
「監視データ上は、漏れた形跡は全くないけど、データを誤魔化された可能性もある。
そして、それだけのハッキング技術があれば、所長権限でしか開けられないあの保管庫も……」

「ちょっと待って。ヤン、どうしてそんなことを知ってるの?」
「あ、ごめん、言ってなかったっけ。そのサンプルって、ロシア政府から委託されて、
サンクトの研究所にあるんだよ」
440スポーツ好きさん:2011/07/26(火) 23:56:07.48 ID:vEVu8rSk
そのサンクトペテルブルグでは、財団本部の一室で、みどりが仮眠を取っていた。
悪い夢を見ているのか、苦しげな寝言を漏らしている。
「駄目……そんな方法では、駄目!」

彼女が見ている夢は、どこかの研究室のような場所。
行き交う白衣の男女の中に、どこかしら見覚えのある顔がある。
そして彼らは、一つの容器の中身を、焼却処分しようとしていた。
(駄目! その方法では、災いは消えないの!)

記憶のない彼女だが、ひとつだけ、おぼろげに覚えていたことがある。
「何か」を止めるために、無我夢中で飛んで、ここへ来たこと。
間に合うのだろうか。なお、スレ容量は>>439で約400.2KB、残り約100KBである。
441スポーツ好きさん:2011/07/28(木) 00:23:57.68 ID:AE41qtdK
Pチャン「ジョニ姐さん、皆さん、助かりました…」
ジョニー「もちろん、私がDIVAだからよ!感謝なさい!!」

ちなみに、生身の人間はリンク上では小型重力制御装置がないと動けないのだが。

アレクシア「あら、皆さんか弱いこと!いつもならお仕置きですけれど、
非常事態のようですから、助けて差し上げてもよくってよ!おーほほほっ」

彼女一人、スケーターをひょいと抱え、リンク傍へと運んでいく。
ある意味規格外のアンドロイド、重力負荷をものともせず。

ジョニ子指揮する一団とアレクシアの活躍によって、ほぼ全員リンク傍に回収した所で…

「皆さん、無事のようですね」

その声のする方向には、22世紀のスケーター兼科学者シュルタイス博士と拘束具で自由を奪われたカロリーナが。

マオ「シュルタイス、ライサチェック長官は!?」

2人に駆け寄ろうとする彼女を止めたのは。

ジョニーG「マオ、待って!何だか、様子が変よ!!」

と同時に、シュルタイス博士からスケパシーが。

『皆、よく注意してくれ。カロリーナの手錠にはマイクがついていて、
こちらの音声は研究所副所長に筒抜けだ。
それに…まず君たちに私を拘束して欲しい。
私の白衣の右ポケットにマイクなしの拘束具が入っている。
詳しい話は私の自由を奪ってからだ。とにかく、早く!』
442スポーツ好きさん:2011/07/29(金) 07:48:47.43 ID:x8JWP9Le
ジョニ子「とにかく、人質離しなさいよっ!アンタ、どっちの見方なのよ!?」
Pチャン「姐さん、人の話は最後まで聞いたほうが…」
ジョニ子「だってだって、アタシの見せ場じゃな〜い(ハアト)DIVAなんですもの!」
ジュベ「ママ〜ン、パトリックの言う通りだよ。なぜ彼がここに入ってこれたのかな?」
ランビ「とは言えなあ、まずは人質の解放が先じゃないのかな、アハン?乙女が囚われの身というのは、心が痛むよ」
アロエリーナ「無事だったのね!良かったよ!!(リンクに駆け出してまた固まる)」
アレクシア「あら、お嬢さん、懲りないですわね。あとでお仕置きですわよ(と、アロエリーナをひょいと抱える)」

天然なのか、策略なのかよくわからない面々。
その会話の隙にマオとジョニーGがシュルタイス博士を拘束。

ジョニーG「とりあえず、こっちに来てもらいましょうか?このスケーターの動きが止まった理由から、アンタがここにいる理由から何から」
シュルタイス博士「まあ、私がここにいるということは、『時のはざま』から脱出できたってことさ。そして、この上空に時空警察本部があるってこと」

会話しながら、シュルタイス博士は再びスケパシー。
『できれば、私を柱か何かに鎖で繋いでくれないか。詳しい話は、私を動けなくしてからスケパシーで』
443スポーツ好きさん:2011/07/30(土) 04:07:46.25 ID:YtZZxBeo
シュルタイス「とりあえず、副所長からの要求を伝える。『7回転の秘儀』が記された絵巻物を渡せ、だそうだ」
信成「へ?何で?」
シュルタイス「副所長は地球高温化が目的のようだが、私も詳しくは知らん。副所長はスケーターではないので、この空間に入って来られない。そこで私が代理だ。…まだライサチェック長官が向こうの人質になっているものでね」
シュルタイス(スケパシー)
『仮説の域を出ないが、私は第三者にこの身体…正確には意識を乗っ取られようとしている。
身体上の数値はおそらく財団かその筋に近い関係者ならわかるだろう。数値の詳しいデータは端折るとして、ともかく何らかの異物が体内に入っている。なのに、体調そのものは極めて良好。これは、アスリートととしても興味深く、自分を被験者として経過観察してきた。
ところが、最近さらなる自覚症状が現れた。それは、ほんの数秒だが自分の意識がなくなることだ。しかし、意識はなくなっても作業は続けている。異常だ。
しかし、残念ながら私は生物学や医学のプロではない。
ただ、意識がなくなり続ける危険性を考慮すると、君たちに拘束されるのがとりあえずの策ではないかな?』
444スポーツ好きさん:2011/07/30(土) 10:26:27.41 ID:xilmUl6a
『…えーっと、こちらの音声はあちらさんに筒抜けなん?』
大輔がスケパシーでシュルタイスに確認した。
『そうだが』
「ほな…えーっと…大変申し訳ないんやけど…100年の間にいろいろ間違ったみたいで、
 7回転絵巻なんてものは無くって、変プロ絵巻しかなくって、要するに変なプロも上手いってことで」
「「「「なんじゃそりゃ!!!」」」」
一同、ズコー。全く訳が分からない。

その頃

「だめ・・・だめよ・・・」
「ミドリさん、ミドリさん、しっかりするニダ!」
ゆさゆさ
「・・・あ・・・」
「記憶、戻ったニカ?何か思い出せたら教えてほしいニダよ」
記憶喪失の人間を放っておくのも危険なので、ヨンヒはみどりを財団本部まで連れてきていたのだ。
「しらせ、なきゃ・・・」
「知らせる?」
「くりぷとんの、なかまたちに・・・」
「……クリプトン!?ちょ、ちょっとサーシャ!!アンナ!!!来るニダー!!」
445スポーツ好きさん:2011/07/31(日) 01:35:07.59 ID:H18Vd6R0
22世紀でみどりさんが目を覚まし、ヨンヒが大騒ぎしている所に。

サーシャ 「…21世紀のアリョーシャから妙な文面が来たぞ。
いつもなら音声と画像で通信するのにな」
アンナ 「内容は?」
サーシャ 「21世紀で新事実発覚。シュルタイス博士にトラブル発生。
彼の医学的データの分析を頼む、だと。
ついでに、現在音声での通信が研究所副所長にダダ漏れになってるので、
回答も文面で頼む、と」
アンナ 「あの子らしく、要領を得ない文章…(苦笑)」

そこにまた、月面からの通信が。

ヤン 「シュルタイス博士の医学的データを分析できる研究者、今財団にいる?
クリプトン星人が過去に置いて行った物騒な代物と、シュルタイスの身体状況を今すぐ解析しないと。どうやら関連があるようなんだ。
もちろん、僕も解析チームに加わるよ」

そして、待ちきれないヨンヒがミドリさんを支えてやって来た。

ヨンヒ「ミドリさん、意識戻ったニダ。
しかも『クリプトンの仲間に知らせなきゃ』ならないことがあるセヨ!
大至急、みんなで作戦会議するニダ」

果たして打開策は見つかるのか?
446スポーツ好きさん:2011/07/31(日) 13:29:14.72 ID:zchg8n59
「・・・あー、もう・・・カメラ持ってくるんだったぁ・・・」
「旅行じゃないぞ」
こちら、「選ばれし者」の皆々様。
先祖たちの生演技に雪彦は大はしゃぎ。
「うわっ!この時代の4回転ってこんなに迫力あるんだぁ!」
「真央ちゃんの3Aもすごいですよ」
「見たいーっ!!」
本当に、これ遊びじゃないんですけど・・・と、内心突っ込みつつ、
崇彦は信夫の『ICE』を見つめた。
(先生・・・俺は一体どうすれば・・・あと93KBしかないのに・・・)

(・・・クリプトンの、長・・・)

「!!?」
脳内に直接声が響き渡り、崇彦はきょろきょろと周りを見た。
しかし、相変わらず踊っているソチの星3人と、それを見てはしゃぐ曾孫とDIVAが見えるだけ。
(その、高みを目指し続ける心意気・・・見せてもらいました・・・)
「・・・・・・先生?・・・先生の、『ICE』!?」
(長よ・・・君とDIVAのスケ力は、まだ温存しておきなさい・・・さぁ、君の勇気を試そう)
「勇気・・・?」
(制限を解除し、火の神を・・・地球温暖化を促進している生命体を、迎え撃ちなさい)

447スポーツ好きさん:2011/08/01(月) 00:07:25.15 ID:tPk3AQIt
崇彦は >>295 の文章の細部を思い出した。

…二つのクリスタルを発動するには、踊り子と賢者、軍神の力を借りよ。
クリスタルのひとつには、DIVAの祈りを。
もうひとつのクリスタルには長の勇気を。
さすれば、その他の高みを目指す者たちも、力となるであろう。
火の神の怒りは、ねじれたところを源とする。
しかし、火の神は悪神ではない。
祈りと勇気が、火の神をただしき地へと導く道標となる…

もし、この伝説の通りならば、『ICE』が示した
火の神=幼生体を「迎え撃つ」という行為は間違っている。
「迎え撃つ」とは、具体的には何なのか?
ダメモトで、崇彦は再度アボットへスケパシーを送った。

『ジェレミー、崇彦だ。とりあえず、佳菜子や結弦、アルトゥールのスケ力を借りて
『ICE』から<制限を解除し、火の神を・・・地球温暖化を促進している生命体を、
迎え撃ちなさい>って指示が出たんだけど、制限解除とか迎え撃つって
どういうことか、念のため高度生命体の皆さんに尋ねてくれない?』

448スポーツ好きさん:2011/08/01(月) 11:05:08.25 ID:bgwPjtpa
『了解』
アボットは高度生命体に、崇彦からのメッセージを伝えた。
『あの子達はおそらく、もう宿主を持っています。そして、宿主の精神状態を異常な状態にしているでしょう。
 彼らはおそらく、クリプトンの人々を憎んでいます』
「・・・もしかして、クリプトンの『長』を狙ってくるって事?」
『わかりません・・・しかし、この星を我々の故郷のようにするのには、「クリプトンの氷の力」は邪魔者でしょう・・・』
「・・・「スケ力」のことかな?」
『そう言われているものですね・・・』
「じゃぁ、「迎え撃つ」ってことは・・・」
『あの子達が宿っている人々からの襲撃に抗戦し、あの子達を私達のような、「成体」へと成長させてください』
「そういうことか!」
『クリプトン星の時は・・・それはもう時既に遅く、その上、隕石の衝突もあって、助けられませんでした・・・。
 同じ悲劇を繰り返してはいけない・・・』
「OK!タカヒコだけじゃなくって、みーんなに頼んでみるよ!」
449スポーツ好きさん:2011/08/02(火) 06:45:13.87 ID:IHlGNu3w
阿蘇山上空に、ラピュタのように浮かぶ時空警察本部ビル。
副所長は…阿蘇山スケートリンクの会話に苛立っていた。

>>444
「ほな…えーっと…大変申し訳ないんやけど…100年の間にいろいろ間違ったみたいで、
7回転絵巻なんてものは無くって、変プロ絵巻しかなくって、要するに変なプロも上手いってことで」
「「「「なんじゃそりゃ!!!」」」」

副所長 「こちらのほうが、『なんじゃそりゃ!』と言いたい…
ライサチェック長官、一体どういうことだ!? 『7回転の秘儀』の絵巻物はどこだ!?
21世紀に発見されたんじゃなかったのか??」
長官 「彼らが言っていることが正しいということだよ」
副所長 「どういうことだ!?」
長官 「確かに絵巻物は存在したがね、それは7回転の方法を示すようなものではないのだよ」
副所長 「くそう…攻撃したいところだが…」

なぜ時空警察本部が上空にあるか?
それは阿蘇山がバリアーのようなものに覆われて、本部ごと着陸できないからである。
もっとも、その影響もあってスケートリンクでは異常な重力場となっているのだが。

副所長 「こうなったら…」

450スポーツ好きさん:2011/08/03(水) 07:29:32.31 ID:X2UZuDHX
パトリシア・チャン「なにぃ、この数値!異常よ、異常!!
ふつーならとっくに腎臓・肝臓やられて尿毒症、多臓器不全よっ!!!
あらー、でも脳スキャンの結果が面白そう」
サーシャ「とにかくお前が医大生でよかったよ」
アンナ「あと少しで月面ラボよ」

22世紀の財団サンクト本部にいた面々は、クリプトン小型宇宙船で月へと向かっていた。

ヨンヒ「ミドリさんが少し思い出してくれて助かったニダ」
みどり「いえ…まだ全部じゃないんですけど。あら、あなた…トマシュ・ベルネル?」
トマシュ「はい。えーと、何だかんだで21世紀に帰りそびれてまして」

実は >>385 の頃、各冬季オリンピックに飛ばされたスケーターズを迎えに行っている間に帰れなくもなかったが、本人も他の人もそれどころではなかった…

アンナ「ミドリさんがいなかったら、今頃全く違う行動をしていたわ」
サーシャ「そうだな。あの予知夢がなかったら…」

この面々、ヤンの同僚(情報工学といえば聞こえは良いが、ハッキングのプロ)に保管庫の各種トラップを解除してもらい、あの幼生体サンプルを回収。
万が一を考慮し、地球ではなく月面で分析することにしたのだ。

ヤン「待ってたよ、みんな。一通り機材を準備したよ」
キッキ「機材操作なら、支援できるわ」

その時、その場にいたスケーターズは強力なスケパシーを感じ…
光に包まれたかと思うと、機材も宇宙船も、スケーターズも消えてしまった。

数秒後。
トマシュ「…あれ? 阿蘇山が見える」
451スポーツ好きさん:2011/08/04(木) 00:20:38.13 ID:uEY7SELH
アンナ「…どうして!? 何にも操作していないのに2010年に飛ばされたの…」
トマシュ「それも不思議だけど、なぜ阿蘇山が氷山になってるんだ?」

それは、クリプトン星人の血をひく者たちによって引き起こされた。
きっかけは、その場にいた皆がスケパシーで相談している最中に、
出現した謎の装置の前で立ったままうたた寝をしたアリョーシャ。
彼の手が…思いっきりあるものについて、目を覚ますと。

アリョーシャ「曾お祖父さま、つい押しちゃんたんだけど。あの装置のボタン」
ヤグ「まったく、子孫もお前と同じうっかり者かよ」
プル「何か起こったほうが面白いじゃないか」

こんなときにブリザード発生。いつもなら2人だが、今回は3人で。

スケーターズ『『『「「「「「イヤ--------------////)@0@(///------------アァァ!!!」」」」」』』』

叫び声。下がる温度。強烈なスケパシー。
それは22世紀の月面にも、《選ばれし者》のいるリンクにも伝わった。
そして、急激な冷却作用はリンクのみならず阿蘇山一体を氷漬けにしてしまったのである。
452スポーツ好きさん:2011/08/04(木) 07:20:23.18 ID:nF/YQPYj
アンナ「みんな!!!これは一体!!!」
トラの案内でクリプトン宇宙船で阿蘇のスケートリンク付近に急行した2110年組。
彼らはそこで宙に浮かぶ時空警察本部を目にした。

副所長「やあ!プルシェンコ財団の皆さん。こんなところで合えるとは奇遇ですねぇ。」

通信回線から聞こえてきた声に反応したのはサーシャ。
「おい!建物が宙に浮いてるって言うのはどういうことだ!!!まさか宇宙船とか言い出すんじゃねぇだろうな!!」
「おしいですね。正しくは宇宙も航行可能な時空飛行船ですよ!」
「なにい!!!タイムマシンかよ!!」
「私はこれから最後の仕上げをせねばなりません。あなた方はその礎になっていただきたい!!」
「一体何をする・・・・」
「「「「「「わあああああああああああ!!!!!!」」」」」」」」」

激しい振動と共にクリプトン宇宙船は財団ビルに『吸収』されてしまった!!
453スポーツ好きさん:2011/08/04(木) 10:25:46.97 ID:rpQ6We+1
このままでは危ない。

「だめ・・・だめよ・・・そんなこと、私が許さない!!」
「み、ミドリさん・・・?」

助走して、キャンセルしてからの

          3A!!

「「「「ぎゃぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!!!?」」」」

クリプトン宇宙船(2110年組)はミドリの3Aによって生じた突風で、
一気に外に吹き飛ばされた。
「い、いくら、重いスケート靴はいた女子の3Aだからってぇぇ」
「パワーありすぎだろぉがっ!」
アニメみたいに、吹き飛ばされながらも各々勝手なことを言う。

「オーライオーライ!」
ぽふっ。

「人員点呼するよー。サーシャにアンナにパトリシア、キッキにヤンにヨンヒ、
 トマシュさんにミドリさん。全員居るね?」
宇宙船(2010)から伸びた腕が、2110組全員を受け止めた。
「もうちょっと丁寧な扱いしなさいよー!<◎><◎>」
「みどりさーんお久しぶりですー」
「あ・・・真央ちゃん、真央ちゃん!?」
「ナタリーっ!!!」
「トマシュ、無事でよかったわぁ」
454スポーツ好きさん:2011/08/04(木) 14:16:19.23 ID:uEY7SELH
度重なる失敗や予想外の事態に歯ぎしりしきりの副所長。

「あいつらの音声も途切れてしまった…かくなる上は、警視総監を…しかし」

先ほどの急冷ブリザードによって、カロリーナの拘束具は壊れてしまったようだ。
その時、ある回線から音声が。

「はぁい、副所長?誰だかわかるかしら?」
「お前はっ……ジョニー・G・ウィアーかっ」
「あら、随分お怒りのご様子ね。それよりも、ご招待よ」
「何にだ!?」
「副所長がご執心だった『月人の舞踊』を実際に見せてア・ゲ・ル☆」

プチッ…

「これでいいかしら、ご先祖様がた?」
「OKよ、ジョニーG」
455スポーツ好きさん:2011/08/05(金) 06:43:04.99 ID:c3vTOkhv
副所長「今更『月人の舞踊』なんぞ」
ライサ総監「そうかな?副所長、君が知らないことはまだまだあるんだが」
副所長「何だと!?」
そして彼らは巨大モニターに目をやる。
そこには…


阿蘇山、スケートリンクと化した草原に立ったのは信成。
信長憑依の上、衣装も戦国武将のいでたち。
スケート力はかつてないほど高まっている。
敦盛を一節舞う。
ところどころにスピンを入れながら。

信成「ハッハッハッ、愉快じゃの!」

そして4T-3Tを決めた!滑らかな着氷。
プルが負けじと現れる。これまたスケ力によって煌びやかにタンゴ・アモーレ。

「あの絵巻物のモデルは僕だから!」

さりげなく4T-3T-2Lo。冴えるエッジワーク。
ジョニ子も薔薇を背負って滑り出す。

「アタシこそ、DIVAなのっ!!」

4Tもさることながら、優雅でしなやかな演技。
大輔やアモディオも加わり、気迫の演技。

「「こういうの、好きなんだよね〜」」
456スポーツ好きさん:2011/08/05(金) 18:23:49.98 ID:7UNzBWEO
「ウッ(゜◇゜*)」
に合わせて、大輔の4Fが入った。
「私だって、ソチを本気で目指してるんだから!」
美姫の4Sが美しく決まる。
「真央はもう二十歳です。な・め・ん・な・よっ」
黒薔薇衣装に身を包んだ真央が3Aを跳んだ。
「ある寒い日のこと、オウムの羽をつけたシマウマが雪の森を駆け上がり・・・」
さすがのランビ。4T-3Tも冴えている。
「お前ら!俺様を差し置いて自分勝手するんじゃねぇ!」
ヤグが「仮面の男」に合わせて、4回転のコンビネーションを続々と決める。
「さすがはリョーシャ先輩だママン。こうしてはいられない・・・!」
4T-2T、4S、4T・・・名乗っている以外は無問題のスパイ・ジュベ。

子孫達一同心の叫び ↓
「・・・カメラ、もってくるんだった・・・」


一方。
「・・・・・・こんなもんかな」
「タカ、できた?」
「あぁ。じゃぁ・・・結弦」
「うん、上手く所長をこっちに誘導しますよ」
「・・・危ないって思ったら、すぐに逃げていいからね」


シュッ・・・・・・


「軍神登場!」
3A-3Aという神業と同時に、結弦が阿蘇山に現れた。
457スポーツ好きさん:2011/08/05(金) 23:37:26.82 ID:c3vTOkhv
ご先祖様の美の競演を見守る2010宇宙船内の人々。
アンナ、サーシャ、パトリシア、キッキ、ヤン、ヨンヒ、みどりさんに加えて、
シュルタイス博士と馬場長官、ドルジ刑事も。
ついでに、船内にはあの、スケートリンク片隅にあった装置も積み込まれていた。
ほとんどが阿蘇山の草原に見入っている中、医学組はシュルタイスを見守っていた。
軍神ユズルが登場したところで。

パトリシア「…シュルタイス博士、何か様子が変」
馬場長官「目の焦点があってない。これはまずいかも」
シュルタイス博士「あW、あW、あW、あW、あW、あWーーーーーーーーーー!!」

ご先祖様そっくりの雄叫び。
と同時に、何か光のようなものがシュルタイスの頭上に現れた!
光は強くなったり、弱くなったり。
色も様々に変化し。

『ここは…私達の星ではない。仲間は、どこ?』

458スポーツ好きさん:2011/08/06(土) 08:55:23.31 ID:tt2g1VwH
副所長「うぅ、(冷汗)あれは、一体…?」
頭痛がするのか、頭を抱えながらも総監に尋ねる。
総監「『月人の舞踊』とはね、我々スケーターの力の発露だよ。
残念ながら、22世紀では失われつつある力…
副所長、この時代だからこそ目にすることができたのだよ。
しかし、君、先ほどから顔色が悪いが?」
副所長「うるさい!」

外では、軍神がしなやかなビールマンスピンを披露していた。
459スポーツ好きさん:2011/08/06(土) 11:45:10.74 ID:qUucNU6y
アレックスロボが運んできたコップの水を、副所長は一気に飲み干した。
総監たちは知らないが、水の中には、連絡役の幼生体が紛れている。

「連絡」内容はひとつの映像。捕らえた宇宙船の窓から、中にある頑丈そうな筒が見える。
金属と特殊強化プラスチックの組み合わせ。さらにその中に、液体入りの容器。

(あれは、地球に持ち込まれた最初の『私たち』……)
ヤンは勘違いしていたが、「彼ら」の記憶では、まだこの中身は漏洩していない。
2110年末頃、焼却処分に失敗して、幼生体がばらまかれることになる。
炎に焼かれても、一部は生き残り、灰に紛れて飛び散ったのだ。
(水分がなくなると、我々は粉末状の胞子に姿を変える。
あの時は、兄弟たちの屍を楯にして、ぎりぎりで胞子化が間に合った)

(だが、あの容器が、奴らの宇宙船で運ばれていたということは。
勘づかれたか、焼却では全滅しないと。月か、この時代でなら、完全に凍結させられる……)
あれが処分されれば、それ以後の時代、彼らの存在は「無かったこと」になるが。
(無かったことになど、されてたまるか!)
460スポーツ好きさん:2011/08/06(土) 21:22:59.80 ID:tt2g1VwH
時空警察本部内で幼生体の多くがが誤解に誤解を重ねているのと並行して、2010宇宙船内ではシュルタイス博士の周りに人だかりが。

アンナ「…博士?シュルタイス博士?大丈夫?」
馬場長官「アッポー、脈拍は…正常値だ。呼吸も落ち着いている。体温も異常ない」
パトリシア「脳波取りましょう!…あら、こちらも熟睡中の波形で、異常ではないわね」
ヨンヒ「でも、意識は…いつ戻るニカ?」

彼の頭上には蛍1匹分ほどの発光体が出現しているのだが、一同まだそれに気づいていない。加えて、発光体は困惑していた。

『ああ、私達はどうすれば良いのでしょう?』
『ここは私達の星ではない。先達とは遠く離れています…』
『まだ成体になっていない仲間とは…通じません』
『どうすれば、どうすれば…』

それに応えたのは。

『誰だ、君たちは?声は聞こえるが、姿が見えない』

失神状態にあるシュルタイス博士当人がその存在に気付いたのだった。

『それから、君たちより弱いんだが、若干別の声も聞こえるぞ。あの空中の建物がわかるか?あの中から君たちと同じように「どうしましょう」と困っているような声がしている』

461スポーツ好きさん:2011/08/06(土) 21:29:45.20 ID:tt2g1VwH
6日目、480 カキコ主です。一日二回投下、ご容赦を。
一応、幼生体と成体との区別をつけようと考えて、前出幼生体は乱暴な口調だったので、成体になった途端に丁寧口調にしてみました。
オマケ:6日目スレ前半には居た北欧勢を登場…というのは、1スレ完結を目指すと無理かなあ…(ーー;)
462スポーツ好きさん:2011/08/06(土) 21:52:36.28 ID:kABJk2Gg
アボット「あれ?今スケパシーが入ったような…」
高度精神体『今、察知しました。どうやら僅かな数ですが、あなた方の星で成体に成長したようです』
アボット「僕がうっかりしてたんだけど、幼生が成体になる条件って何?だって、地球…僕らの星とここでは環境が違うだろう?」
高度精神体『成体になるには、あなた方の言葉では「美」や「感動」と表現される事柄を体験することなのです。私達は「美」をこよなく愛しているのです。
だから、あなたを通して>>448のようなお願いをしたのです。クリプトン星人の舞踊は私達に少なからず「感動」を与えてくれました。姿形にではなく、高みを目指す心にです。
成体になった子達が現れたということは、今のあなた方の方法が正しい証…』
463スポーツ好きさん:2011/08/07(日) 08:22:59.57 ID:nOtqsMh3
副所長「もう一杯、水をくれ!…各部署に告ぐ。A班、修理完了したアレックスを連れて外の連中を攻撃しろ!あいつらの舞踊を二度と見られないように殲滅だ!
B班、接収した宇宙船の船内を調べろ!C班は…う、頭が痛い!C班は各自の持ち場に待機、それぞれの捕虜の監視続行だ…」
A班回線「副所長、申し訳ございませんが、現在動ける所員は私のみでして…他はモニターのそばで固まっています!
一人で行くならば、A班バックアップ要員が絶対的に足りません!それに、この寒さに私が耐えられるかどうか…」
副所長「仕方ない。遠隔操作でなんとかしろ!!」
B班回線「B班、命令通り、只今より宇宙船に向かいます」
ライサ警視総監「副所長、なぜ寒さが『仕方ない』で済まされるのかね?確か、君たちは≫347で貼るカイロを入手していたではないか?」
副所長「私にそんな質問に答える義務はない!!」

(我々の体を、冷気にさらすわけにはいかないっ…そんなこと、この環境でしてしまえば、それこそ死滅してしまう!)

副所長の思惑をよそに、寄生して数ヶ月しか経っていない者は次々と倒れていく。
『月人の舞踊』、『軍神の踊り』。これだけで感動極まってしまったのである。
続いて、《踊り子》・《賢者》と続くのに…
464スポーツ好きさん:2011/08/07(日) 16:14:52.16 ID:LPLsKBli
アボット『誰かー、僕に気づいてー』
シュルタイス博士『うん?失礼だか、どなたかな?』
アボ『良かったー!僕、21世紀のスケーター、ジェレミー・アボット。どなたか存じませんが、今とある星の生命体との通訳をしてまして』
シュル博士『…ひょっとして、発光体かね、その生命体は?』
アボ『そうです!あなた、彼らの姿がわかるんですね?だったら伝えて欲しいことが』
465スポーツ好きさん:2011/08/07(日) 21:09:57.65 ID:QpjDXChd
メンテナンスを終えたアレックスがぞろぞろと出てきた。
迎え撃つは・・・
「おーっほっほっほ!邪魔する人はお仕置きですわよ!」
アレクシアさん。
「邪魔をしているのはそちらではありませんか?アレクシア」
「さぁ?私はあなた方のほうがお仕置きのしがいがありそうなので」
(基準そこかよ!)
やり取りを聞いていた宇宙船組が突っ込んだ。

「ほぅ、邪魔はさせてもらえないようですね」

「「「!!」」」
アレックスが身構える。

「なら、加勢をさせてもらいましょうか、アレクシアさん」
>>251のごとく、登場した信夫たち・・・と。

「あれは・・・タチアナ・タラソワ!!この時代のロシアの名伯楽よ!」
「あっちはカート・ブラウニングじゃない!あとでサインもらっとこ<◎><◎>」
「あの人は・・・フランク・キャロル・・・ご先祖のコーチだ・・・!」

「私達はコーチとしても、あの子達の大先輩としても、彼らがさらに成長するために全力でサポートする使命があるのよ」
「あの子達を倒すのなら、私達に勝ってからにするべきですね」
「もっとも、我々とて手加減するつもりは全くありませんが」

「それに、フィギュアスケートを私達は心から愛しているの」
「現役時代は確かに、自分がさらに強くなることが一番の願いだったさ」
「でも、プロとして一線を引いた立場になって、もっともっとフィギュアスケートが発展してほしいって思ったんだ」


「「「「「「だから何があってもフィギュアスケートを守り抜く!!!!!!!」」」」」」
466スポーツ好きさん:2011/08/09(火) 08:06:11.04 ID:Tls9Kr3i
「準備OK!じゃあ、たかP・未来ちゃん行ってくるね〜!!」
「僕が賢者・・・僕が重要任務・・・失敗したら責任重大・・・」
「ほら!ぶつぶつ言ってないで早く!!じゃあ!崇じぃ、未来さんあとよろしくね!」

「3人とも気をつけて!」
「(・・・・・たかPてなんだよ(-_-;))」

3人を決戦の地へ送り出して、二人はある方向へ向き直る。
そこはかつてDIVAである未来が捕らわれていた氷の柱。
今はかつてのクリプトンの長達の慰霊碑となっていた。

「「・・・・・・今一度力を貸してください。」」

二人はこれから起こすサプライズの為に祈った。
467スポーツ好きさん:2011/08/09(火) 20:11:18.24 ID:16z3lH5l
「アレックスの皆様、お仕置きですわよ!」
うなり続ける電磁ウィップ。頭部をえぐられるアレックス達。
「4Tとアイスホッケーとの合わせ技で、どうだっ!」
史上初の4T記録者、カートの攻撃で足が掬われるアレックス数体。
「優雅なステップはバレエの動きをイメージね!」
タラソワが毛皮を揺らし、指輪を光らせ腕を振るうと、なぎ倒されるアレックス数体。
「若手に何をしようというのですか、あなた方は!」
信夫先生の怒りのパイプ椅子が炸裂。
ちなみにキャロルコーチはバックアップ(パックやパイプ椅子の補給)と、更なる有事に備え防衛体制に余念がない。

子孫一同↓
「「「「「アレクシアはともかく、ご先祖様のコーチ、半端ない…なんてチームワークだ」」」」」

22世紀組が動けないうちに、ベテラン組が参戦!

「コーチ達に任せておけるか!」
「ダルタニアンも助太刀する!」
「俺様は暴れ足りないぞ!」
468スポーツ好きさん:2011/08/10(水) 07:18:23.89 ID:gro+G82m
「暴れるのもいいけど、破片が広く飛ばないようにもしてくれ」
「どうしてですか、キャロルコーチ」
「やれやれ…今、若手がスケーティングしているというのに。その邪魔にもならないように、集中できる環境を整えるよう配慮するのもコーチのつとめだぞ」
469スポーツ好きさん:2011/08/10(水) 11:22:19.12 ID:+O5FRpwx
「誰も寝ちゃダメよ!私のイナバウアーを目に焼き付けなさい!」
静香の伝説級イナバウアーの速さは、アレックスの進撃を許さない。
「ソルトレーク再びと行こうか!」
ヤグに負けてはいられない、と、武史もクワドのコンボを炸裂させる。
「ハァーイ!ヤマトナデシコさんよぉ〜♪」
女装してても、そのクワドに敵無し。むしろ、アレックスはその女装にビビって逃げ腰になっている。

「ご先祖様方ばかりを危険な目に会わせているなんて・・・」
「・・・マオ?現役時代にはできなかったコラボでもやるニカ?」
「・・・それ名案だわ!」
周りが止める間もなく、マオとヨンヒは外に飛び出して・・・
「「2大女王ここにあり!!」」
マオの5Aからの、ヨンヒの5Lz-5T。
「5Aの威力上がったニカ?」
「そっちこそ、より精度が増してるんじゃない?」

「あの二人だけに良いとこ持っていかせるなんて、させないわよー!!」
ジョニーGに続いて、子孫数人が飛び出した。
470スポーツ好きさん:2011/08/12(金) 02:21:45.15 ID:cXCFOct8
ジョニーG「やったわ、始めての6Tよー!」
ノビタ「それは良かってね。でもオイラは堅実にっ5A-5T-5Lo!」
ブルマ「女子専売特許!6S!」
ステアハン「アハハーン、僕は6T-6T」
バンビ「こちらは6Sだママン」
アリョーシャ「では、6T-5t-5Loで」

22世紀組のジャンプであらかたアレクシア転倒!
そこにアレクシア電磁ウィップと信夫怒りの鉄パイプで殲滅終了。

信夫「お待たせしましたね、《踊り子》に《賢者》。我々はバックアップに回りますから、どうぞ『ICE』の予言の成就を期待していますよ」
471スポーツ好きさん:2011/08/15(月) 07:31:59.79 ID:T6jaFcmy
副所長「おい、A班!一体どうなっている?アレックスの予備はもうないのか!?」
A班回線「……ふく…しょちょ……同輩が呼んでいます…わた、しは…これ、に、て......う、ちゅう、せんの…B班に…」
プツッ。
副所長「おいっ?何だ、それは!?」

シュルタイス博士(スケパシー)『帰る方法があるのだそうだ。だから、君たちは集まらなければならない。そう伝言されている』
発光体(極小)『ああ!私達の先達よ!!そして、《美》と《感動》を生み出す方々!』

阿蘇山の草原では、佳菜子ー《踊り子》ーとガチ君ー《賢者》ーによる初コラボが披露されようとしていた。

佳菜子「取り敢えず、先に翔んじゃうから」
ガチ「僕は追いかける…責任、責任重大…」
佳菜子「がんばろうね!」

そして、佳菜子は3T-3Tを翔んだ。
472スポーツ好きさん:2011/08/16(火) 15:50:56.75 ID:D+1HdwIY
通信を終えたA班主任は、ふらふらながらもかろうじてB班が調べている宇宙船にやって来た。

B班主任「おや、A班主任、どうしましたか?もう、外の連中は片付いたので?」
A班主任「いや…実は、私は…で、ん、ごんを、伝えな、ければ」

うずくまるA班主任。
実は、A班主任はフィギュアスケートファンであった。副所長の命令に(顔には出さなかったものの)疑念を持ち続けていたのである。しかも、幼生体の依代となっていたが、シュルタイス博士と同じく、自分の意識がなくなる自覚症状もあった。
逆に、それが功を奏する結果となったのである。
氷上で繰り出される技の数々。彼にもそれは奇跡であったのだ。ファンだから。
彼の体内にあった幼生体は、無事成体群となった。そして、その群は、微弱ながらシュルタイス博士と仲間ー一足先に成体群となった仲間との語らいをキャッチしたのである。
A班主任は自分でもわからないまま、宇宙船に向かって、話しかけた。

A班主任「故郷に帰れる方法があるのです。それは、副所長ではく、今氷の上で踊っている人たちが助けとなるのです」

倒れるA班主任。しかし幸せそうな表情を浮かべている。
次の瞬間、あちこちで微弱な光が発生した。
473スポーツ好きさん:2011/08/16(火) 16:30:12.99 ID:CjIjHYW4
阿蘇のリンクにアメリカから別の一団が到着した。

「やあ、ユカ!やっと到着だね!」
「弟子のたっての願いだし、このままアメリカにいるより現場のが手っ取り早いかですから。」

夫のジェイソンとキャロたちがストレッチャーで運んできたのはいまだこん睡状態のアボット。
『ありがとう、そしてご迷惑おかけします。』
スケパシーで感謝と謝罪と言葉を述べるアボット。

「君も大変だけどもう少しの辛抱だ。よろしく頼むよ」
474スポーツ好きさん:2011/08/18(木) 23:57:22.09 ID:o0SnUCqX
『成体になった子が増えていますね。もうすぐ、直接話せるようになりそうです』
精神生命体が、アボットにそう伝えてきた。

『でも、心配なのは年長の子たち……すっかり心を閉ざしてしまっている。
人間を操るということは、人間の心の闇に触れることでもあります。
そんなことを長年続けていたら、すさんでしまっても仕方がない』

彼らの心に届くだけの演技が、スケーター達にできるだろうか?
アボットは少し不安だったが、仲間たちの力を信じようと思った。
(みんな、頼むよ)
475スポーツ好きさん:2011/08/19(金) 23:42:56.42 ID:NwlZOet1
佳菜子の3T-3Tに続いて、ガチ君も4T-3Tを翔ぶ。
《踊り子》の明るさ、対照的に生真面目な《賢者》。
しかし、不思議な魅力がそこには生まれていた。
ジャンプの高さだけではない。ステップや身体のしなやかさ。
《軍神》も意志の力を感じさせる動きでコラボに再び登場。
3人のスケ力はどんどん高まっていく。

一方、祈り続ける地下の《DIVA》と《長》。
『《長》よ…そろそろ、あなたも地上へ。そして、未来の可能性を伝えなさい』
476スポーツ好きさん:2011/08/21(日) 15:19:10.77 ID:dGkx+Pl3
「じゃあ、そろそろ行こ……うわっ」
雪彦が、滑り出しかけて急によろめいた。
「おっと、気をつけろよ」
とっさに彼を支えた崇彦は、わずかな違和感を感じる。
「あれ? お前、体重何キロだ?」
見た目より軽い気がしたのだ。いや、自分自身の体も、何だか軽いような?

「崇じいも気がついた? さっきから時々、重力が弱まってるみたいなんだ」
雪彦が言う。体が妙に軽い感覚は、じきに薄れて元に戻っていった。
崇彦はその時、思い当たることがあった。
「もしかして…前から、少し変には思っていたんだ。
古代クリプトン星人にはまだ、七回転なんて出来なかったはずなのに」
477スポーツ好きさん:2011/08/21(日) 23:20:05.78 ID:waFH3hcX
副所長「くっっ…ライサチェック警視総監、何か私に隠していないか?」
ライサ総監「隠すも何も…君が副所長ではないと知っていることかな」

副所長、青ざめる。

副所長「ほう、その根拠はなんだ?」
ライサ総監「君は自分のDNA検査結果を改変している。
それも、数年前からだ。たまたま改変の痕跡をこちらの組織が記録していてね。
ついでだが、私も先ほど君の頭髪を分析機器にかけさせていただいた。
非常に興味深いデータだったよ。あの公にはしなかった7回転紛争の首謀者の一人と一致しているようだからね。つまり、君は25世紀の人物である可能性が高い」
副所長「お前を拘束する時にボディチェックしたはずだがそんな機器はなかったぞ!ハッタリじゃないかね!?」
ライサ総監「残念だったね。実は私の左腕は偽腕なんだよ。かなり高度にできている。その辺のボディチェック機器は生身の左腕としか認識しない。その中に簡易な分析装置が組み込まれているのさ。そうでもしないと総監職は務まらない。
ついでに言っておくが、私を殺しても記録は消せないぞ。幾つかのサーバに瞬時にデータを飛ばしているのでね。
それよりも、外を見たまえ。万が一君がここを脱出できたとしても、相当な力を持った者たちが集まっているところだ」
478スポーツ好きさん:2011/08/22(月) 01:41:12.22 ID:1OTLhjQg
「おじいちゃんコーチ!それどういうこと!!」
雪彦が何か言う前にマオが割り込んできた。
「・・・・なんで君がいるの?」
「だって〜ユキちゃんが「崇じいに頼まれた衣装が見つからな〜い!」て涙目になってたから手を貸してあげたんです!(キリ」
ちなみに崇彦たちはいまだ地下(?)の氷湖の畔にいた。
ちょっとばつが悪そうに頭をかく雪彦と不満げな表情を浮かべるマオを見比べながらため息をつく崇彦。
「・・・・・・まあ、その・・・・なんだ・・・『七回転』伝説は実は・・・・『重力』と関係あるんじゃないかなと・・・」
「「「はああ?」」」
驚きの推測をする崇彦に混乱する2人。
「まあ、はっきりとはいえないけど・・・・ジャンプを何回か飛び続けると体に負担を感じなくなることがこの湖とあのリンクであった。」
「じゃあ、ジャンプを飛び続ければいいてこと?」
「いや・・・・・たぶん、他にも条件があるはず・・・・そのためにも」
「タカ〜!準備できた?」
雪彦たちが持ってきた衣装を身にまとった未来を見て愕然とする崇彦。
「ちょ!!!!あれ!!!!」

未来が来ていたのは少し古めだが純白の ウ ェ テ ゙ ィ ン グ ド レ ス 

「ね!すごいでしょう!近くにホテルがあってフロントの人に頼んだら『型落ちで使ってないのがあるから』て言うからそのままもらってきちゃった。」
「わかるよ、崇じいの気持ち。でも・・・・まあ、『白い衣装』だからいいかなと・・・崇じいの分ももらえたし。」
「まて・・・・まさか俺も着ろと・・・」
「当然でしょ?!時間がないから早くして、ほら、ユキちゃんも手伝って。」
「ごめん!悪く思わないで!ね!」
「うわ〜!!!やめろ!!!」

数分後、何とか二人を説得した崇彦は白シャツと黒ズボン姿で現れた。

「・・・気を取り直していくぞ!」
「「「おー!!!」」」

4人は最終決戦と地球を救うために阿蘇の地へ舞い戻った。


479スポーツ好きさん:2011/08/25(木) 16:46:54.12 ID:efBEt7UG
地上に立った崇彦たちの前に、一抱えもありそうな大きさの発光体が現れた。
同時にアボットからスケパシーが飛んでくる。
『おーい、こっちに居た連中の一部が、手伝うとか言ってそっち行ったよー』

発光体は、沢山の小さな光に分かれ、色とりどりに淡く光りながら、未来のドレスにまといついた。
「わぁ、綺麗……」
崇彦の白シャツ&黒ズボンも、その光に飾られ始める。地味衣装にしておいて正解だった様子。
480スポーツ好きさん:2011/08/30(火) 20:51:30.77 ID:MHGtJY+o
ライサ総監「外を見たまえ、君」
副所長「……見たくはない」
ライサ総監「何故かね?美の祭典だというのに」

副所長は《美》という言葉に肩を震わせた。

副所長「こんなところに《美》などあるものか!?お前たちは劣悪な精神しか持ち合わせていないだろうに」
ライサ総監「では、自分の目で確認したまえ」

副所長はしぶしぶモニターに目を向けた。
その時、発光体をまとった《DIVA》と《長》が、滑り出した。

副所長「何故だ?何故…成体があんなに」

481スポーツ好きさん:2011/08/31(水) 23:58:37.04 ID:VxFlYBps
滑り出した未来のドレスは、金色の光に包まれ、複雑なパターンで明滅を繰り返し始めた。
(何だと……まさか! あの『言葉』は!)
副所長は驚く。長い歳月の中、彼自身も忘れかけていた、故郷の光言語だった。

未来を包む色合いと発光パターンは、彼らの言葉で『こっちを見て』という意味。
少し離れた場所では、崇彦の衣装が青くきらめき、『迎えに来ましたよ』と優しく告げている。

そして、今まで見ようともしていなかった「フィギュアスケーターの演技」を、
副所長は初めて、はっきりと見た。
482スポーツ好きさん:2011/09/04(日) 22:38:38.59 ID:Ue34EPbK
崇彦は、4Tを跳んだ。
その時、成体群も舞った。一部は崇彦と共に、一部は空中をくるくると。
その瞬間、さらに他の成体群も現れた。

成体群(氷上)『これぞ、《美》…!』『我らの愛する《美》…!』
副所長「これが、《スケート力》なのか…」

そして崇彦は普段ならあり得ないことに、コンビネーションジャンプの態勢に入った。



483スポーツ好きさん:2011/09/08(木) 01:01:43.22 ID:eRhYaLhU
崇彦が助走に入った瞬間、雪彦も滑り出した。
そして、曽祖父と曽孫の動きがシンクロした!
雪彦の衣装にも、成体群が光を放っている。

『今こそ、7回転を目指して%
484スポーツ好きさん:2011/09/09(金) 00:05:23.16 ID:ZShoZ0s9
スケーターの演技に狼狽する副所長とその一派。そこへ
「「は〜い!!お迎えに来たわよ!(ハート」」
現れたのはジョニ子&ジョニーG

「総監、勝手してごめんなさい!でも私達の地球と今を変えるにはこれしかなかったの!」
ジョニーGが頭を下げる。
「謝るのはまだまだよ!これからもっと楽しいショーが始まるから皆さんを招待しに来たの!」
ジョニ子が言い終わると同時に窓が破壊され、そこからノビタとブルマが入ってきた。
「もう〜!!あんた達のやり方はいつも下品ね!」
「うっさいな〜!!!ほら!総監のおっっちゃんに副のおっちゃん早く!」
ノビタに急かされて破壊されたビルから落とされそうになる副所長。
「わ!わ!!なにを!」
「怖くはないわよ!あたしとおじいさまのスペシャルコラボですぐに最高のSARに到着するから!」
「わああああ!!!!」
二人に脇を抑えられた副所長、ペアスピンならぬトリプルスピンではるか下方のリンクに飛び立った。
485スポーツ好きさん:2011/09/10(土) 00:49:59.60 ID:U9FzD5Lw
その少し前、アレックスロボとの戦闘から戻った者たちを、子孫組が労っている最中のこと。

「キャンデロロさん、4Lzで転倒しちゃったのは惜しかったなー」
ユッカの言葉に、周囲の数人が顔を見合わせた。
4Lzなんて、まだ試合で認定されてもいないし、しかもロロはクワド持ちではない。

「いや、アレな。3Lzのつもりがなぜか4回回ってしもて、焦ってコケたんや」
「えっ、それってもしかして」
ロロが言うのを聞いたアレクセイが、宇宙船の計器に駆け寄る。
重力計は確かに、何度かの重力減少を記録していた。しかも、次第に減少幅が増している。
「これ、クリスタルの働きだとしたら……!」
486スポーツ好きさん:2011/09/12(月) 09:24:53.06 ID:9xmmJ41O
自分にとって、フィギュアスケートとは何か。
(人生そのもの。いろんな人から教えられ支えられて、ここまで来た)
(そのフィギュアスケートがなくなってしまうなんてとっても悲しい)
(だから、なくならないで)
(俺たちフィギュアスケーターはみんな、こんなにスケートが大好きだから)
(上手になるために、どんな努力も惜しまないから)

「崇じぃ!行こう!」
「おう!」

シュッ・・・・・・


「崇ちゃん降りたぁぁぁ!!!!」
「セカンドも決まったわ!!」
「4Tからのコンビネーション・・・やりましたね、崇彦」

「・・・・・・今の雪ちゃんのジャンプ・・・」
「6回転だったかな?」
「それにしては・・・なんか多かった・・・?」
「・・・・・・ひょっとして・・・?」

「雪彦、気を抜くなよ!まだまだスピンもステップも鬼レベルで行かなくちゃいけないんだから」
「うん!」
487スポーツ好きさん:2011/09/15(木) 09:20:58.98 ID:lcWvjIh3
「あいつら、やるじゃないかママン……というか、いつの間に俺らの中にこれが?」
小塚コンビの演技と、そちらへ向かって飛んでいくホタルのようなものを見ながら、
ジュベが呟いた。ついさっき、彼をはじめ数人の体から飛び出したものだ。
「呪われた放浪がようやく終わる、って言ってるよアハン」
「ナチュラルに聞き取ってんなよ、というか重症にならなくて良かったぁママン」

地下では、一群の光の粒に取り巻かれて、クリスタルが力強く輝き始めた。
(勇気ノ鍵、承認。エネルギー解放ノ準備ニ入ル)
変動する重力の中、全ての想いを乗せて飛んだ勇気を、クリスタルは認めたのだ。
488スポーツ好きさん:2011/09/15(木) 09:49:59.57 ID:NDqxEhtP
『・・・DIVA・・・聞こえますか?DIVA・・・』
「えっ、誰?」
発光体の輝きがより映えるのではないかと、ビールマンスピンを続けていた未来。
『私ですよ・・・ほら』
「・・・あぁ、そっか」
未だ、鎖でぐるぐる巻きの、信夫の『ICE』だ、と理解した。
『そろそろ祈りの準備に入ってください。DIVAのやさしい心が、彼らの道しるべとなる』
「OKey」
489スポーツ好きさん:2011/09/19(月) 03:38:04.98 ID:p2w4NnDg
未来は“SAYURI”を選んだ。
“辛いことがあっても、凛として生きる女性”を表現する…
きっと、今、彼らに必要な祈りはその演技を通して表現できる、はず。

「発光体の皆さんも、きっとそうでしょう?
 今まで、辛いこといっぱいだったでしょう?
 …でも、くじけちゃだめなの。私も頑張るから」

集まってきた発光体達も、賛同するかのように瞬いた。
490スポーツ好きさん:2011/09/23(金) 18:53:14.47 ID:L156ENYw
未来は滑り出す。長い冬を耐え、やっとつぼみを開いた早春の花のように、
柔らかな光に包まれながら。

「あ……ああ……」
その姿を見ている副所長の中からは、次々に大量の発光体がこぼれ出し始めた。
彼を横で押さえているノビタが、少し不審を覚える。
「なんかこれ、多すぎな……ってちょっと、大丈夫かおっちゃん?!」
副所長の様子がおかしい。急にノビタたちの腕に、体重がかかってくる。

「大丈夫だよ。これは寄生された宿主じゃない、巧妙に作られた人形だ」
総監には、先にそのからくりが分かっていたようだ。
「毛髪や皮膚は、人工培養細胞で出来ている。その上、未知のDNAも混在していた」
「早い話が、人間そっくりの着ぐるみに入ってた、ってこと?」
ブルマが、ぶらりと垂れてしまった「人形」の頭をつつきながら言う。
「そうだね。彼らには本来、知的生命体を精密に操るのは難しいようだから
細かい工作をする場合は、こんな風に人間に化けていたんだな」
491スポーツ好きさん:2011/09/23(金) 21:48:46.89 ID:U+4QDH9K
「・・・雪彦、もういい。ここから先は俺一人でやる」
「崇じぃ?」
「記録には『長』の勇気が必要だとあった・・・俺の勘が正しいなら、これはちょっと危険な作業になる」
「崇じぃ、それなら僕が」
「お前は・・・少なくとも今の『長』じゃないだろ」
「でも、」
「それより・・・お前には別の作業をしてもらわなくっちゃ」
「何?」
「タイミングを見計らって、信夫先生の『ICE』の封印を解け。最後の仕上げにそれが必要になるハズだから」
「うん」


五輪を終えて、オフの間にいろいろな経験をした。
まだまだ自分は伸びるし、伸びなくてはいけない。
あと4年しかない。
まだ4年もある。
その間に、どこまでもどこまでも伸びていきたい。

「タカ、今よっ!」
未来の声がした。

(4回転からの・・・!!!)
492スポーツ好きさん:2011/09/25(日) 23:49:16.56 ID:+ALmOIFl
予期した通りに、重力がふっと弱まる。そして飛ぼうとした瞬間、
「そんな! 何でよぉ!」
突然ブルマの悲鳴が響き、崇彦は踏み切りのタイミングを外した。
着氷にも失敗して転倒する。低重力のおかげでダメージが少なかったのが、せめてもの幸いだ。

「何があった!」
起き上がった崇彦は、演技を中断し、ブルマの方に滑り寄った。
「副所長さん……正直、落とし前つけずに帰らせるのはシャクだった。
でもね、私たち、こんなこと望んじゃいなかったのに!」
青ざめた彼女たちの周囲で、大量の発光体が嘆きの念と共に渦巻いている。
『兄様、兄様、どうしてですか?』『一緒には帰れない、だなんて!』
総督が、低くため息をついて言った。
「自分のやってきたことが、結局すべて無駄だったのに、耐えられなかったんだろうな。
幼生体の最後の一塊は、この人形を抜け出し、自ら氷の上に落ちた……もう、生命反応はない」

(あーもう何それ、後味悪すぎね?)
半ば呆然と思う崇彦に、宇宙船からみどりの声が降ってきた。
「小塚くん! まだ『過去の彼』を救うことはできる! 歴史の歪みの源も、そこにあるのよ!」
493スポーツ好きさん:2011/09/30(金) 00:25:31.58 ID://iUNEtY
『大丈夫です。長よ。私達が力を貸します。
子ども達、そんなに嘆かないで。あなた方の兄様も、
長と《美》の力で救えるのですから…
さあ、長よ、続けてください。
あなたが信じるままに』

ついに、精神生命体の本星からのメッセージが
地球上のスケーター達にも直接響いた。

494スポーツ好きさん:2011/10/01(土) 23:58:25.26 ID:8TPArgV0
「過去の彼というと、22世紀から持ってきたあれね!」
みどりの言葉に、クリスティナとヤンはうなずき合うと、急ぎ時空警察ビルへ飛ぶ。
例の保存容器はまだ、ビルに吸い込まれた宇宙船にあるはずだった。

彼らが容器を持ち帰ると、いくぶん幼い感じのテレパシーが一同に届いた。
『それです、兄様が言ってました。この中に過去の自分たちがいる、
処分されてしまえば、地球で増殖した皆は「最初からいなかったこと」になると』
そう聞いて、スケーターたちはあることに気づく。
言うに言えない者が大部分の中、それをぱっと口に出したのはプルだ。
「いいの、それ成体にしちゃって? そしたら君たち消えちゃうんじゃないの?」

それに答えたのは、本星の方からと思われるテレパシー。
『今のこの子たちなら、大丈夫。心と想いは、一族の集合意識に溶け込んで残ります。
その想いを受け取らないまま「無かったこと」にしてはいけなかった。
スケーターの皆さんも同じでしょう? これまで頑張ってきたのは、子孫たちの想いを
無かったことにするためではないでしょう?』
495スポーツ好きさん:2011/10/02(日) 21:12:30.23 ID:j6wEYfDJ
「…やるしかないみたいだな」
崇彦は体制を立て直す。
と、
「タカ、ストップ」「崇彦、待ちなさい」
佐藤父娘の声が重なった。
「何?」
「これ、マリナが届けて欲しいって」
「…これ…ピアノコンチェルトの衣装?」
「それから、ほら、背筋を伸ばして」
「あ、はい」
くるくる、ぽん。
「ありがとう先生、有香さん!俺、やってみせます。一スケーターとして!」
クリプトンの長だから、ではなくて。
自分に課せられた使命だからじゃなくて。
スケートを愛するものとして、スケートを愛する同士を守りたいから。
ただ、それが100年後の子孫達だというだけのこと。
「一緒にスケートを守ろう!」


(ピアノ…コンチェルト…!?)
聞こえてきた言葉に雪彦は思わず振り返った。
そして、目にしたのは、
信夫が崇彦の背中をくるくるとさすり、最後に優しくぽん、と押すところ。
(うっわぁぁぁぁぁぁ!!!!あれが本家だぁぁぁ!!)
100年の時間が過ぎていった中で、スケート一家小塚家の掟として、
「リストのピアノコンチェルト」は、課題曲に、
「くるくる、ぽん」は、コーチ(という名の親)が弟子(と言う名の子)に必ず行う儀式に、
それぞれ暗黙の了解のうちに定まっていたのだった…。
496スポーツ好きさん:2011/10/06(木) 17:27:45.96 ID:v2ck/o8x
宇宙船の方では、容器に眠る最後の幼生体を巡り、また一騒動起きていた。
「こ、これ、どうすれば目を覚ますの??」『温めて下さい』「温める? アルコールランプない?」
「「僕様そんなもの積んでない」」「こういう時は人肌でアハン」「お湯をわかすといいよ!」

結局カセットコンロが持ち出され、容器が火にかけられた。少しすると、
『ん……あれ? ここ、どこ?』
かすかに思念が漏れてくる。それに、年長の成体たちの念が応えた。
『無事に目覚めましたね、もう大丈夫。怖かったでしょう?』
『うん……ずっと、こわいゆめ、みてた……しらないほしの、こわいゆめ……
わるいこと、たくさんしなくちゃいけなくて、くるしかった』
「数百年後の彼」である副所長の意識が、流れ込んでいたのだろうか。
『でもね、さいごに、すごくきれいなひとたちをみたの。
あれだけは、ゆめじゃなかったらよかったのにね』

夢なんかじゃないよ、見てごらん。
スケーターたちのその思いと共に、窓の外では崇彦が滑り出していた。
497スポーツ好きさん:2011/10/09(日) 22:24:56.84 ID:k3rvSWMZ
4Tから始まって、一つ一つのエレメンツを、的確にこなしていく。
でも、何かが違う。
(100年後も200年後もスケートが発展しますように)
(フィギュアスケートを愛する心が多くの人に伝わりますように)
静かに、だけど、強く湧き上がってくる願いが、演技に直結した。
最後のスピンに至るまで、それは変わる事がなかった。

そして、崇彦と未来が同時にフィニッシュを迎えた。

「あっ!」
雪彦の手の中で、信夫の『ICE』に異変が起きた。
巻きついていた鎖が音を立てて壊れ、勢いよく何かが天空を突き刺す。
『さぁ、こちらへ・・・』
本星のほうからのテレパシーが、その向こうから聞こえてくる。
『帰っておいで・・・』
498スポーツ好きさん:2011/10/15(土) 19:44:54.49 ID:SQEhDO5P
容器の中身は、嬉しげにきらきらと光り出していた。
『すごーい! きれい! ぼくたち、「にんげん」にであえてよかった!』
崇彦たちの演技フィニッシュと共に、その光は容器をすり抜けて舞い上がる。
『ありがとう! もうちょっと見てたいけど、みんなが呼んでるから行かなくちゃ』

「これ、本当にこうやってあの精霊になるんだぁ……」
パトリシアが、大きな眼をさらにまん丸にして呟いた時、何冊かのICEが一斉に光を放った。
『クリスタルからのメッセージ:阻害因子ノ浄化ヲ確認。エネルギー解放ヲ実行スル』
一様に、その一文がページに浮かんでいる。地下では、巨大なエネルギーの気配が膨れ上がる。

そのまま、何も起こる様子がない。ざわつく皆に、信夫が言った。
「そうそう、言い忘れてました。クリスタルによる環境改造には、
早くても十年以上はかかるそうです。変化が一気に起こるわけではなさそうですね」
一同、ずっこける。
「あーもう! 本当にうまくいったか、十年以上経たないと分か……」
「崇じい、百年後には結果が出てるんじゃない?」
499スポーツ好きさん:2011/10/19(水) 22:28:18.44 ID:cR9t3HmS
しかし彼らの考えをよそに、「変化」は既に起こっていた。
初めに気付いたのは、宇宙船で静かに成り行きを見守っていたナターシャだった。

「…歴史は変えられたのね。しかも、大きく」
「すごい! どうして分かったの、ナターシャ?」
彼女の傍で、幼いロシア人の少女が尋ねた。
「あなたは知らなくていいのよ。…『ヴァーニャチカ』」
「えー! ナターシャのいじわるー!」
頬を膨らませた少女、ヴァーニャチカことイヴァナ・ルタヤの頭を、宥めるように撫でるナターシャ。
そこに、彼女の片腕ワーニャ・ルタイの存在は既になかった。

勿論、「変化」はこれだけに止まらない。
500スポーツ好きさん:2011/10/19(水) 23:58:57.62 ID:6BOldguV
アレクセイが、宇宙船の通信機を操作する。
「ヤン、君の兄さんに連絡を取ってくれ。財団のユーロ支部長の立場なら、情報も集まってるはずだ」

「もしもし、ルカシュ兄さん? 僕だけど、そっちの様子はどう?」
『ああ、お前か。こっちはさっきまで大変だったんだぞ。時空警察の捜査が入っててさ』
そうだ、時空警察と財団は派手にやり合ってる最中だ……と思いきや。
『仏スケ連のお偉いさんが何人か、株の違法タイムスリップ取引やってて、こっちまで疑われてさ。
何のための財団だよ、贅沢しない限り金には困らないってのに』
「え……? そ、そうか、お疲れさん」
『おまけに南米支部は火事で半焼するし、サンクト本部じゃ玄関先に小型宇宙船が墜落するし、
どうしてこう災難が続くかなぁ。ま、どっちも死傷者なしで済んで良かった』
この点でも、歴史の書き換えが起きている? ならば、気候はどうなっているのか。

皆が固唾を呑んで見守る中、ヤンは慎重に言葉を選ぶ。
「あ、あのさ。ちょっと変なこと聞くけど、北極の氷って、今どうなってたっけ?」
『え、氷? えーと……ここ数年、急に気温が上がってちょっとヤバかったけど、
シミュレーションでは今度の冬から、反動で気温が下がるから大丈夫だってさ。
ついこの前、国連の研究チームから発表されたばかりじゃないか。専門バカも程々にな』
100年後、少なくとも「北極の氷の消滅」は起きなくなったらしいが。
501スポーツ好きさん:2011/10/21(金) 22:00:57.59 ID:Mps5YYjC
ピピピ…
「私だ」
『総監、歴史の修正があちこちで確認されています。まず、心配されていた北極と南極に氷の塊を確認。
 財団及びスケーターと時空警察とのアレコレも、大きなトラブルは無かったことになっています』
「マナ君、ご苦労」
『ワーニャ・ルタイ氏は「正しい歴史」のとおり、財団幹部の一人として財団本部にいます。
 そちらには…「妹」のイヴァナさんがいることになっているかと』
「…あぁ、いたよ」
『それから、スケート力が21世紀レベルにまで回復しました』
「それらを逐一、まとめておいてくれ。私たちの記憶も時期に修正されてしまうだろうが、
 忘れてはいけない、様々な変化が起きているんだから」
『はい』

「総監、どういうことですか?『修正』?」
「マオ君か…すべては、私たちが自分の時代で犯した…小さな小さな判断ミスがきっかけだった…」
「…あのビンの中の生命体を、火にかけて処分したこと…」
「…そのとおりです、ミス・ミドリイトウ。彼らは…クリプトンの血を引いた、
 スケーター出身の研究者によって、燃やされた…」
「その生命体の生き残り…あの『副所長』は25世紀になって力を取り戻した」
「そして、スケーター殲滅を始めたんですね…」
「いきなり、根源である22世紀を襲撃しようとしたが、誤ると自分まで攻撃してしまう。
 そこで、それよりも100年昔の21世紀をターゲットにした、が…」
「羽生結弦さんが『無意識のうちに』それを阻止した」
「結果…彼らは100年かけて、スケ力を消滅させる方法をとった…。
 氷の消滅、スケ力の減少、ブルマ君の身長異常、イヴァナ・ルタヤの消滅。
 すべて、最初はほんの小さな小さな判断ミスが招いた…悲劇ということさ」
502スポーツ好きさん:2011/10/22(土) 18:18:43.49 ID:iHayErG6
『ヴァーニャチカ! 兄ちゃん心配したんだぞ!
ナターシャ達が行かなかったらどうなってたことか!』
「ごめんなさい。もう家出なんてしないから、おこらないで」
鼻をすすりながら、イヴァナが通信機越しに頭を下げている。
『戻ったら父ちゃんにも母ちゃんにもきちんと謝れよ。まったく本当に…お前って奴は…』
厳しい口調とは裏腹に、ホログラムのワーニャの顔も涙でぐしゃぐしゃである。
そんな様子に、ルタイは首を傾げるばかりだった。
「一体どうなっちまってんだ、これ」
「財団幹部の妹が家出をした拍子に、どこかのタイムマシンに忍び込んで過去へ行ってしまったらしい。
時空警察の捜索によって、彼女…ヴァーニャチカが2010年にいることが判明した。
彼女を保護するために、ちょうど別件でその年へ行く用事があったアリョーシャのタイムマシンに、
時空警察のアロエリーナ、ヴァーニャチカのリンクメイトのユッカ、そして私が同乗させてもらった」
小さな端末の画面を見ながら、ナターシャがすらすらと答えた。
「……そういうことになったようですね」
「なったよう、ってどういう意味だよ」
「今まさに、我々の歴史も書き換えられつつあるのです。
今の私にはこの『日記』を書いた覚えはありませんが、そのうち…これが記憶となり、真実となるのでしょうね」
503スポーツ好きさん:2011/10/22(土) 19:10:51.39 ID:aBNbwR54
総監「過去の事例から言えば、我々の22世紀の者の記憶は、
当事者でも1週間が限度だろう。
我々の活動もひとまずここまで。
ただ、問題は21世紀に残っているが…」
ジョニ子「あら、やっとDIVAの出番かしら☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆」
504スポーツ好きさん:2011/10/23(日) 16:07:27.66 ID:9AGaHnCK
「何です?問題って…」
崇彦がジョニ子をスルーして総監に尋ねた。
「21世紀現在、まだ処分されていないはずの、精神生命体カプセルです」
「確かに、彼らが現在どこにあるのか…誰もわかってない」
一同、顔を見合わせる。
「真央、みどりさんの『ICE』に出てこないか?」
「うーん…何もでてこないよ」
「他の『ICE』は?」
タラソワ、カート、オーサー、キャロル、それぞれの『ICE』も無反応のようだ。
信夫の『ICE』に至っては、壊れたはずの鎖が元通りに巻きついていて、開くこともできない。

「見つからないんじゃしょうがないね」

プルがあっさりと言った。
「22世紀組の記憶は変わっちゃうのかもしれないけど、僕たちが覚えてればいいだけじゃない?」
「お前無責任だな…」
「そうだよ!崇じぃが一言残してくれればいいんだ!」
雪彦の思いつきによって、ブリザードは阻止された。
「なんで俺だよ」
崇彦のボヤキに反応するのは…チームジャパンの面々。
「え、だってそういうの崇ちゃんの役目でしょ?」
「そうだよ、いっつもそういうことはタカに任せればいいし」
「それに崇ちゃんなら漢字ミスも計算ミスもしないわよね」
「忘れ物はするけどなー」
「あーもうっ!!うるさい!!」
505スポーツ好きさん:2011/10/23(日) 20:53:23.55 ID:TUVBAw7C
総監「21世紀のカプセルは、今のところ差し迫った問題というわけではないが、
機会があれば、あなた方の手で見つけていただきたい。
もう一つ。これは時空警視総監としてではなく、 一アスリートとしての願いだ。
あなた方が常に高みを目指すこと…それを続けていって欲しい」
506スポーツ好きさん:2011/10/24(月) 13:48:37.36 ID:oUIJxytW
"あんなこといいなっ♪できたらいいなっ♪〜"
「あれ、オラこんな着メロ使ってねえぞ。もしもし…」
『もしもし、ノビちゃん!』
「マ、ママ!?」
『まーたしずかちゃんと一緒に過去に遊びに行っていたのね。
これ以上練習をサボるのなら、四次元タイムマシンは没収よ!』
「ママ、それだけは勘弁して!ご先祖様たちの演技がとっても勉強になるんだよ。
ひいおじいちゃんに会っちゃったのは謝るからぁ〜」
『な、何ですってぇ〜!』
「もしもしおばさま、しずかです。時空警察から迷子探しを依頼されて仕方なく…」

「ママン、ブルマの本名って"しずか"だったっけ?」
「何を今更アハン、イナバウアーのシズカ・アラカワからもらった名前だって
彼女が散々自慢話を…アハン?」「にしてもあんなにおしとやかだったかなママン?」
「ノビタもあんなヘタレだったかな…アハン」
507スポーツ好きさん:2011/10/24(月) 14:06:56.89 ID:E955+q/N
『総監』
「ん?室伏君か」
『時空警察ビルの時空移動装置が無事に全快しましたよ』
「おぉ、ご苦労」
『付きぬ話はあるでしょうけれど、2110年での後始末も待っています。
 そろそろ、ご先祖方へのお別れをしてください』
「そうだな…みんな、聞いたとおりだ。我々は引き上げなくてはいけない。
 各自、2010年にお礼とお別れをしてきてくれ。
 ちなみに、残りは42kbだからそのつもりで」
508スポーツ好きさん:2011/10/24(月) 19:05:52.92 ID:oUIJxytW
「何ですって、後42KBしかないの?
まだ曾祖叔父様とアタシのスペシャルオンステージが始まってないのに!
ノビタ何してんの!早くステージの準備をするのよっ!」
「ええーっジョニー、21世紀に来てまで歌うつもりなのーっ?」
「何よ、ノビタのくせにDIVA様の命令が聞けないの?シズカだってアタシの歌を聞きたいでしょ」
「まあまあ、のび太さんだってひいおじいさんとの名残を惜しみたいでしょうし。
私もひいおばあさまにご挨拶してきてもいいかしら?」
「そうだよ、コーチのおじいちゃんとだって話をしたいし…僕、行ってくる!」
「ちょっとぉ…んもぅ、ノビタの奴、覚えてらっしゃい!」

「ところでサイヤ人はどこに行っちまったんだ…◇」
「え、信太は最初からあんなだったやろ?」
「あーもぅ…まああの方がナルくんの曾孫らしいか」
509スポーツ好きさん:2011/10/28(金) 19:29:10.48 ID:uWD6BGAo
ジャイアン馬場長官「ところで、私の処分は…?」
ライサ警視総監「それも安心したまえ。
《正しい》歴史では、時空のはざま解明のためのチームが組まれたことになっている。君もその一員だよ。
と言うのも、そこの時空警察本部ビルがテロにあった挙句、時空のはざまに飛ばされてしまってね…
ヴァーチャニカ一人のための捜索にしては物々しい規模になったのも、
ここに研究者が集合しているのも、正体不明のテロ組織の関与を疑ってのもの。
だから馬場君、長官は辞任せざるを得ないが、それは君から言い出したことになるよ。
君はこれからは顧問という名誉職付になるが、研究は続けられる」
マオ「と言うことは…」
ライサ警視総監「正直、記憶操作の必要性すらないのだよ。
我々がご先祖のスケートフェスティバルをたまたま目撃した、
という程度の記憶が残るくらいさ。というわけで…」
ジョニ子&ジョニーG「「さあ、ショーの開幕よ!!」」
510スポーツ好きさん:2011/10/28(金) 23:55:04.74 ID:dhH9QWIR
その時、物影にひっそりと小型タイムマシンが着地したが、
マオはなぜか誰にも何も言わずにこっそりと近付いていった。

「アニョハセヨ、マオ!」
「ヨンヒ!トマシュ選手とミドリさんを送ってきてくれたの、ありがとう」
「二人ともまだ薬が効いて寝ているニダ、目が覚めたらみんな忘れてるセヨ」
「そうね。そしてその頃には多分、他の皆も…歴史は修正され、真実は忘却の彼方か」
「でも、ウリたちは忘れない。忘れることは許されない」
「それが私達『特殊捜査官』の宿命だものね…」
歴史変動にまつわる真実を密かに記録、管理する指命を帯びた一握りの者たち。
それが『特殊捜査官』。歴史変動前にはそんなものが存在すらしなかったことも忘れて、
二人の『特殊捜査官』マオとヨンヒはため息をついた…
511スポーツ好きさん:2011/10/29(土) 15:17:50.12 ID:19VZqLdV
「そこのお二方、スケートの準備はよろしくて?でなければお仕置きですわよ」

マオとヨンヒ、頭に何か載せられる。
振り向くとそこにはアレクシア。なぜか頭に薔薇冠が乗っている。

「驚かさないでくれる!?」
「アレクシア、いつも気配を消すのはウリたちの前では止めてほしいニダ。
優秀な助手だってのは認めるから」
「総監からのご命令ですから、私の行動パターンは仕方ございませんことよ。
今回はお二人も特別に過去の人物に関与して構わない、とのご伝言。
ちなみに薔薇冠はジョニー・ウィアー様からのご好意ですわ」

マオ・ヨンヒ苦笑。その二人の頭にも薔薇冠。
512スポーツ好きさん:2011/10/29(土) 17:14:53.82 ID:ueP+ZlLR
「崇じぃ♪」
「ん?」

ぷに

「引っかかった〜!」
「あーもう!!古典的ないたずらやめろ!」
「えへへ」
無邪気に崇彦にしがみつく雪彦。
「なんなんだよ、お前…」
「タカもいっつも俺らに同じことやっとる癖に」
「ホンマや…」
それぞれ、呆れ顔の2010年日本3BK。
「崇じぃ?」
「はい?」

「…ありがとう、だいすき」

「…は?」
「じゃぁねっ!」
崇彦が止める間もなく、涙を拭いながら、雪彦は時空警察ビルに入っていった。
「辛いんだと思う」
「信太?」
「ユキ、じっちゃんが死んじゃったとき、一週間ぐらい塞ぎこんでたから…」
「もっと頑張るとこ見て欲しかったのに、もっともっと一緒にいたかったのに、って…」
「ユウスケも…」
信太とユウスケも、寂しそうにうつむいている。
「そんな顔すんなって!もっと笑えよ〜!(^◇^*)」
「そうそう、君ら、世界救ったスケーターやもん。さっすが僕らの曾孫」
大輔と信成は、それぞれの子孫の頭を撫でてやった。
「雪彦に伝えといて。『まだまだだ』って」
崇彦はニヤリと笑って、二人の背中を押した。
513スポーツ好きさん:2011/10/29(土) 18:41:48.78 ID:nNEvuWdO
その頃、ヌルメンカリは一人で手紙を読んでいた。
手紙と言っても、誰かから貰ったのであろう、破いたメモ帳に走り書きされたものであったが。

「ぼくがどうして100年まえに来たか わすれないうちに伝えようとおもいます
じぶんの手で文字を書くことにはなれていないので よみにくかったらごめんなさい

ぼくのおじいちゃんは オリンピックで金メダルをとり 財団をつくるためにたくさん努力をした人です
ぼくも おじいちゃんみたいな立派なスポーツマンになりたいです
でも 歴史が変わってしまったら おじいちゃんの残したことも変わってしまうかもしれない
そんな気がして とてもこわかったのです
けれど みんなが一生けんめいがんばっているのを見て ぼくはこわくなくなりました
もしも歴史が変わってしまっても おじいちゃん そして21世紀のみんなの強さや心は
22世紀にもちゃんと受けつがれていると 信じられるようになりました

おじいちゃんはぼくが生まれたころには もう天国へ行ってしまっていました
だから ぼくはおじいちゃんがどんな人かを 映像とお話でしか知りません
おじいちゃんに会うことはできなくても おじいちゃんがだれよりも尊敬していた人に 会うことができて本当にうれしかったです
ひいおじいちゃん ありがとう

ユッカ・ヌルメンカリ」

ヌルメンカリは手紙を小さく畳んで、ポケットにしまった。
そして素早く目を拭い、皆の元へ戻って行った。

514スポーツ好きさん:2011/10/30(日) 00:35:37.68 ID:OtSelCHS
『さあ、時空警察の敏腕刑事にして22世紀のスーパーDIVAたるこのアタシ、
ジョニー・G・ウィアーのスーパーリサイタルの始まり…ピー、ガー…
ちょっとノビタ!マイクの調子悪いわよ、何とかしなさいよ』
「今調整してるってば〜全く人使い荒いんだから」
『バックダンサーのアレックスとアレクシアたちも準備オッケー?』
「オーケーですわ!…それではご両人も後からおいでなさいませ、では!」
ステージに駆け付けるアレクシア。後の言葉はマオとヨンヒに向けたものだ。

「アレクシアってばノリノリね、そういえばプログラムのバグはもう大丈夫かしら」
「それは心配ない、でもあの勇姿も見納めニダね」
「どうして?」
「22世紀にはもう、アレックスもアレクシアもいないニダ…
みんなドラえもんとドラミちゃんに変わっているセヨ」
マオはブタメンを噴いたwww
515スポーツ好きさん:2011/10/30(日) 09:35:22.59 ID:G+An1AIA
「なにそれなにそれ〜!」
それを聞きつけた真央が食いついてくる。
「ドラえもんもドラミちゃんも実現してるの?わーすっごーい!!ねぇねぇ、その二人もスケートとかするのかなぁ」
「するんじゃないの?」
「キャーッ!観たい観たい!真央観たい!」
美姫の適当な一言に大喜びしている。
「…本当にこの人マオの曾お祖母ちゃんニカ?」
「そうだけど?」
思えば、見た目はそっくりでも性格は結構違っていた真央とマオである。
「曾お祖母さま」
「なーに?」
「この度のご協力、本当に感謝いたします」
「ううん、いいのいいの。真央楽しかったし」
握手を交わす二人。
(この人が・・・あの人がこだわり続けたライバル・・・。そうは見えないけど、スケートは確かにすごかったニダ!)
「え?なぁにヨンヒさん」
「・・・何でもないニダよ。会えてよかった。カムサハムニダ」

「曾お祖母さま、真央さんに適当な返事しちゃダメじゃないですか」
「いいの、真央のことだからこういう重要じゃない話題は3分後には忘れてるから」
こちらも、曾祖母と曾孫のやりとり。
「ブルマちゃん・・・でいい?お疲れ様」
「こちらこそ、いろいろありがとうございました」
「モロゾフはいっろいろ五月蝿いだろうけど、あれで生徒の事ちゃんと一番に考えてるもんね」
「ええ。私も引き続き、彼に指導してもらうつもりです」
「がんばってよね」
「曾お祖母さまも、お疲れの出ませんように」
516スポーツ好きさん:2011/11/20(日) 18:02:26.23 ID:wrfWbBy/
「Ladies and Gentlemen, Boys and Girls!!
Welcome to Johnnys' Ice Shooooow!!!」
マイクを手にしたふたりのジョニーが氷上で呼びかけると、周りからは盛大な……
とは言いがたい拍手が、ぱらぱら巻き起こった。
「ちょっとぉ、アンタ達ノリ悪いわよ!! もっと盛り上がりなさい!!」
「まぁまぁ、姐さん」
フォローのために控えていたリッポンがジョニーを宥める。
「ショーが始まればきっと皆ノッてくれますよ、多分。だからお二人はそれまで…」
「一理あるわね。主役は最後に登場してこそかも知れないわ」
ジョニーGが不機嫌顔の曾祖伯父に笑いかけると、ジョニーの表情もいささか和らいだ。
「なら、後は頼んだわよ巻き毛ちゃん」
「はい!」ホッとした様子で、リッポンはマイクを受け取った。
「えー……それでは皆さん、まずはオープニング・アクトをご覧いただきましょう。
エヴァン&ギャヴァン・ライサチェックズ with キャロル・ ファミリーです! どうぞ!」
リッポンが促すと同時にリンクに現れたのは、ミライとテン君、ライサ、
そして…チャッキーリングの力を借りて分裂したギャヴァンの群れであった。
517スポーツ好きさん:2011/11/21(月) 11:13:36.16 ID:KUgkUGJW
「・・・うぅーん・・・」
「ジェレミー!」
有香とジェイソン、キャロがアボットに駆け寄る。
「・・・あ、れ・・・?ここ・・・」
「阿蘇よ」
有香はぎゅっ、と弟子を抱きしめた。
「・・・あの生命体たちは?さっきから何にも聞こえないんだけど・・・」
「もう大丈夫だ。大手柄だったよ」
「ジェレミーこそ大丈夫なの?」
「・・・うん、もういいみたい」
よっこいしょ、とアボットはストレッチャーから身体を起こした。
有香が微笑む。

「そう・・・じゃぁ今すぐ帰国して練習再開ね^^これだけ寝込んだんだから相当落ちてるはずよ。
 シーズン開幕までにしっっっっっっっっかり調整しなくっちゃね^^」
「・・・・・・・・え゛」
518スポーツ好きさん:2011/11/26(土) 18:56:17.98 ID:XpGRyO1U
「まあまあ、このショーぐらい見ていったっていいじゃない」
バトルが助け船を出す。
「ジェレミーはまだ、22世紀の彼らの滑りを見てないんだし」
「そっそうだよユカさん、お願いだからもう少しっ」
「仕方ないわね、終わったらすぐ戻ってリハビリ開始よ」
「やったぁありがと〜 :)」

「僕もじきに出るんで、行ってくるね」
とバトルがステージの方へ去る。そちらで展開されている光景はさながら、
黒長集団の森をさまようヘンゼルとグレーテル。カオスだ。
519スポーツ好きさん:2011/12/17(土) 23:55:55.78 ID:b37NEf4e
(ヘンゼルとグレーテル、というと……それから出てくるのは……)
(お菓子の家!)(そうそう、お菓子の家ね)(((お菓子の家か!)))
誰からともなく漏れる囁きの通り、黒長集団がパッと左右に分かれた後ろから
やけにサイケデリックな、お菓子の家の書き割り(電飾つき)が現れる。

あの童話がモチーフだとすると……家のドアからばーんと登場したジョニーズの姿に、皆の反応はもちろん
(魔女)(魔女)(魔女だ)(((魔女だね)))(((((そうか魔女か)))))
520スポーツ好きさん:2011/12/28(水) 00:46:47.20 ID:kzn3qdm1
ジョニーズ「「さあ、みんなに魔法をかけてあ・げ・る(^з^)-☆」」
ここぞとばかりに薔薇がニョキニョキ。

(薔薇?)((薔薇と言えば…))(((今度は『いばら姫』かよっっ)))
521スポーツ好きさん:2011/12/30(金) 13:40:45.73 ID:5bDP9+tV
あっという間にリンクは薔薇園に。
咲き乱れる薔薇の中に、ひときわ大きな薔薇がふたつ。
(何だろう)((妙にでかいぞ))
ジョニーズが投げキッスをしながら後ろに下がると、花びらがフワッと開いた。
白い薔薇の中には、佳菜子。赤い薔薇の中には、パトリシア。
花と同じ色のドレスを着た二人のいばら姫が、目を閉じ横たわっている。
(きれい…)((パトリシアも目つぶってれば可愛いな))(((おい、後で本人に言いつけるぞw)))
522スポーツ好きさん:2012/01/08(日) 22:20:40.18 ID:1COYprwo
(でも、誰が『王子』かな?)((二人必要だね))(((今から立候補ってあり?ww)))
523スポーツ好きさん:2012/01/08(日) 23:57:14.47 ID:Yhp+W8LY
少し時間を遡る。ショー開幕の直前、子孫組数人の前でストイコが慌てていた。
「おいおいっ、お前ら何してんだ、早くあいつらを止めろよっ」
プルが曾孫に「ちょっと歌ってみない?」と誘われ、ステージの方へ去っていたのだ。
アンナが苦笑しながら答える。
「何とかなりますよ。22世紀の音声加工技術なら、どんな音痴の歌だって
リアルタイムで真っ当な音程に補正できるんだから」
「あ、ああ、そういうことか。ずいぶん進歩してるんだな?」
「音声加工って、22世紀のスケーターには意外と縁があるテクノロジーなのよ。
ボーカロイドの……歌声合成ソフトの歌をエキシに使う選手もいるしね。
クリスティナなんて自分で入力して作ってるし、ミカエラ・ストイコも有名な、」
ぽろっと出た名に、ストイコは思いっきり反応する。
「いっ今何て?! 俺の子孫なのかっ」
「そうよ。貴方の曾孫で、メキシコ初のフィギュア世界女王」
アンナはタブレットを取り出し、画像を映し出す。メキシコで待つ愛妻によく似た姿に、
ストイコは思わず目頭を押さえた。ツインテールの髪が目立つ出で立ちは、
微妙にアニメか何かのコスプレっぽいが、彼にはよく分からない、というか知るよしもない。
524スポーツ好きさん:2012/01/15(日) 23:37:28.45 ID:5IDEYQcd
音痴補正ソフトの話を小耳に挟んだランビが、曾孫に向かって言った。
「凄いテクノロジーだねアハン。ジョニーたち、やけに自信満々だと思ったよ」
「何なら後で歌ってみる? みんなでコーラスとか楽しいよアハン」

この会話をさらに、その手のソフトに詳しいクリスティナが聞きつける。
(でもあのソフト、処理が追いつかないとフリーズするのよね。
宇宙船のコンピュータだと、何人ぐらいの同時補正が出来るかな? 保ってくれればいいけど)

ここで、いばら姫×2の場面に戻る。王子役が歌うとは限らないが、さて?
525スポーツ好きさん:2012/01/30(月) 00:29:32.15 ID:bfLlev0b
ジョニーとジョニーGは、うなずき合ってからそれぞれ、薔薇を一輪ずつ手に取った。
「それじゃ、この薔薇を受け取ったコが……」「王子様よ!」
スケーター達の中にふわりと投げられた薔薇。それをキャッチしたのは、
「取ったぜママン!」「取っちゃったアハン」
(舞台裏スレ508のルーレット結果により)バンビとステアハンである。
526スポーツ好きさん:2012/02/14(火) 14:57:15.96 ID:rv4b2qXv
バンビ「ところで、どっちがどっちとペア?」
ステアハン「…どうやら、僕は白薔薇だから、佳菜子かな」
バンビ「え、パトリシアとなのかい?」(と言いながら、紅の薔薇を口にくわえてみる)
ジョニーズ「「つべこべ言わずにさっさと行きなさーい!!」」

527スポーツ好きさん:2012/02/21(火) 23:03:25.89 ID:ThgvgJc/
(どうしよう、ノリでこの役引き受けちゃったけど、『いばら姫』って)
紅薔薇の中のパトリシアは、内心ちょっとドキドキしている。
(目を覚ます時にはアレよね、『王子様のキス』が……
え? ちょ、バンビなの? あの朴念仁が一体どんな風に?!)

などと思っている彼女を、バンビがいきなり「キス抜きで」抱え上げ、氷の上に立たせる。
「じゃ、踊るよーママン」「な、何か忘れてない?」
内心何だか複雑なパトリシア、だが流石スケーティングは完璧だ。
528スポーツ好きさん:2012/02/23(木) 23:51:50.48 ID:dj4Pzr6w
ステアハン(おにゃのこ、おにゃのこ・・・)

ステアハン、乗り気で佳菜子に顔を寄せる。
だがしかし。

佳菜子、即座に花売り娘に変身!

佳菜子「さ、花の嵐も1.5倍(当社比)で(^-^)/ ステアハンさんもよろしくね」

花籠を持たされるステアハン。
529スポーツ好きさん:2012/02/24(金) 22:54:46.05 ID:RCUPJNgY
花売り娘・赤色バージョンで周囲のスケーターに薔薇とスマイルを振りまく佳菜子。
ステアハンは佳菜子のペースに振り回されてアタフタしている。

「あのステアハンが女の子に振り回されるなんて・・・・・・・・いつもの光景よね〜~~旦_(。-_-。)」

一服しながらジョニーG以下、ミライスケーターたちは和む。

「あら、そういえばここも残り30kb切ったようね。
 事件は解決したようだけど、もう少しだけ私達のお話に付き合ってくれるかしら?」

ジョニ子はウィンクをしてスケーターたちの輪に戻っていった。
530スポーツ好きさん:2012/03/19(月) 23:59:28.67 ID:qWTAZ6PJ
スケーターたちの間をうろちょろしていたヴァーニャチカが、ふとロロに目を留めた。
「あ、ルイ君のお人形そっくり」
「ん? ルイ君の人形、って?」
「あの子のお人形ね、そこの透明なおじさんと同じ格好なの」
彼女は、ロロの隣の「一見何もない空間」に視線を向ける。
「青地に十字のマーク、それって銃士隊の制服でしょ?」
「あー、お嬢ちゃん、うちの相棒が見えとんのね。って、だからルイって誰?」
ロロに尋ねられて、ヴァーニャチカは携帯の画面に、一枚の画像を映し出した。
話通りの小さな人形を抱え、スケートリンクに立つ幼い少年。
「この子だよっ。ルイ・キャンデロロ君、4歳」
「おおぉっ可愛いっマジ天使! 子供の頃の僕そっくり!」

さてその頃、舞台裏では。
531スポーツ好きさん:2012/04/14(土) 18:40:38.30 ID:sHFQ08s1
「え、君たちが歌うの、ショーの締めの曲?」
舞台裏の機材の傍で、バトルが少し狼狽している。その前にいるのはもちろんプルたちだ。
22世紀の驚異の音声補正技術wについてざっと説明を受け、曲についても聞く。

アリョーシャが挙げたのは、ご存じの某ヒット曲。
「2110年の僕らは結構、100年前の流行り歌を知ってるんだよ。
100周年記念でリバイバルヒットした歌はいくつもあるからね。
さて、大団円までもう一頑張りだ」
532スポーツ好きさん:2012/04/15(日) 22:35:15.74 ID:DbBX9113
スケーターたちの宴を遠く時空警察ビルから眺める雪彦はため息をつく。

「もうすぐお別れだって言うのに・・・・もう、二度と会えないのにみんな悲しくないのかな?」
「そう思うなら、ちゃんとお別れを言えばいいのに・・・」

いつの間にか後ろにいたマオに声をかけられて雪彦は首を横に振る。

「・・・・この世界のスケーターたちは、僕達がここを去ると同時に僕達といた記憶が一切消える。
 これは、後の歴史に悪影響を残さないための当然の措置。」
「でも、ユキちゃんはいいの?自分の気持ちを伝えなくても?」

しばらく黙って考え込む雪彦。そして

「マオ、出発まであとどれくらいかかる?」
「早ければあと10分後には可能よ。ただ、あの宴会の盛り上がりから行ったら、あと1時間は無理ね。
それでもリミットのことを考えるとギリギリだけど。」
「わかった・・・・」

雪彦は目を閉じて強く念じる。

(崇じぃ・・・・僕の最後のメッセージ・・・・受け取って)
533スポーツ好きさん:2012/04/28(土) 21:05:24.86 ID:91F+PVB+
(・・・ねぇ、崇じぃ)

「!?」
「崇彦?」
「あ、いえ・・・」
コーチ陣に今回のことで御礼をしていた崇彦だったが、失礼を承知で一人にさせてもらった。

「雪彦?」
(崇じぃ、あのね・・・)


今回、崇じぃに会えて、本当に良かった。
本当は、最初すっごく不安だったんだ。
未来の話を信じてもらえるのかな、力になってもらえるのかな、って。
でも、崇じぃは、僕の思い出の中の「崇じぃ」がそのまんま若くなっただけで、
僕のこと信じてくれて、一緒に道を探してくれて、助けてくれて、
本当に、僕、嬉しくって、
だから、だから、
僕は、
僕は・・・、


「雪彦」
スケパシー越しでもわかる、曾孫の、涙でぐしゃぐしゃの顔。
「お前、すごいよ。スケート守るために時代超える勇気があるもん」
その勇気があれば、どんな辛いことも大丈夫。
上手く行かないときも、上手にできないときも、必ず乗り越えられる。
(崇じぃ、あの、ね!)
「うん?」

崇じぃに会えて、崇じぃが僕の曾お祖父ちゃんで、本当によかった!!
本当に本当に、ありがとう!
いつまでもいつまでも、大好きだからね!!

「・・・雪彦、そっちこそ、ありがと。」
(うんっ!)
スケパシーが、途切れた。

(長生き、しなくっちゃな)
サヨウナラは言わない。その日まで、またね。
534スポーツ好きさん:2012/05/17(木) 23:57:53.52 ID:Yr8JrakI
「フィナーレのこれは、前にチャリティショーで好評だったグループナンバーなんだ」
アリョーシャは、手の中の歌詞カードをバトルに示す。
「へえ、『We Are The World』? こんなのも流行ってたの?」
「こっちじゃ去年が、マイケル・ジャクソンの没後100周年だからね。
関連の曲が片っ端からヒットしてたんだよ」
確かに盛り上がる名曲だ、うまく歌えさえすれば……頑張れ、音痴補正システム。
なおバトルの役目は、そのチャリティショーに出ていた曾孫の代わりに、
イントロで思いっきりイーグルすることだ。

一方ジョニーGは、2010年のスケーターたちを見回しながら思っていた。
(アタシたちが帰っていって、貴方たちが今度のことを忘れてしまっても、
どうか忘れないで。世界とフィギュアの明日のため、皆で手を取り合った想いを。
あれはそういう歌。みんな同じ世界の子供、心を一つに、より良い世界を作っていこう、って)
535スポーツ好きさん:2012/06/09(土) 23:54:12.95 ID:ghDcBlov
雄大な『We Are The World』のイントロに乗せて、バトルがイーグルで滑ってゆく。
氷の上に描かれていく大きな輪は、もちろんこの地球のイメージ。

「♪There comes a time when we heed a certain call」
登場して歌い出したのはプルたち、ではなく信太だ。2010年版のジャスティン・ビーバーの物真似っぽい。
彼が滑り出すと、次の一節はユッカとヴァーニャチカがハモる。
「♪When the world must come together as one」

「出演者皆でワンフレーズずつ歌ってから、リンクに出て行く演出なの。私たちも行くわね」
アンナが言い、そしてサーシャが歌詞カードの束を周囲に配る。
「で、後半はお客さんも一緒になっての大合唱。ってわけで、これ皆に回しといて」

なお、今度の事件であちこち宇宙船移動中、誰かが暇つぶしのネットサーフィンで
たまたま『We Are The World』動画を見つけてヘビロテしていた、という後付け設定のため
スケーター一同は、この曲が大体頭に入っていた。
536スポーツ好きさん:2012/07/02(月) 23:12:37.70 ID:JS3H8psW
本部ビル転送の支度をしながらも、総監は壁面モニタでショーの様子を見ていた。
「盛り上がってるな、チャリティショーで披露した時以上だ」
次々に登場する22世紀のスケーターたち。5回転・6回転のジャンプが惜しみなく披露されるたび、
21世紀組の賛嘆の声が挙がる。今の所、歌声補正プログラムも順調だ。
アリョーシャが(無謀にもw)担当したMJパートが、何とか真っ当に変換されて流れた。

さきほどまでビルにいた、雪彦たち数人も滑り出そうとしている。
総監はこう言って、彼らを送り出したのだ。
『行っておいで。記憶が消えても、感動だけは御先祖様たちへ残していけるよ。
記憶操作の技術は、PTSDの治療法から派生していて、ネガティブな記憶から先に消す性質がある。
そして、「感動」は最後まで残るんだ。たとえ記憶そのものが消えてもね』
537スポーツ好きさん:2012/08/02(木) 00:11:24.79 ID:TPgh2Sa4
あげ。
538スポーツ好きさん:2012/08/02(木) 01:13:02.63 ID:lbx0YaZA
気がついた時、21世紀組のスケーターたちはそれぞれ、いつもの帰り道を歩いていた。
(あれ? えーと……そうだ、これから帰って……)(さ、ご飯ご飯。何だかお腹空いちゃった)
(妙に疲れてるなぁ、練習張り切りすぎたかな)(新シーズン、頑張らなきゃね)
世界のあちこちで、何事もなかったように日常へ帰っていく彼ら。

「……ショーのラスト、盛り上がったねぇ」「自分で言うのもアレだけど、会心の演技だったよ」
「本当、素敵なフィナーレだったね」「でも……御先祖様たち、みんな忘れちゃったんだよね」
22世紀へ帰還する途中の、本部ビルの中では、子孫スケーターたちがしみじみと呟き合っている。

時空警察の記憶操作は、ショーの後それぞれの帰路で発動し、今度の事件をいつもの日々に書き換えた。
最後の素晴らしい群舞も、別れを惜しみながら旅立った子孫たちのことも、もう覚えてはいないのだ。

ただ、不思議と勇気をくれる、微かなイメージだけが残っていた。
(凄いジャンプを見たような気がする。素晴らしいプロを見たような気がする。
気のせいかな? いつか、あんな演技ができる時代が来るといいなぁ)
539スポーツ好きさん:2012/08/03(金) 00:59:22.03 ID:q6Y51UK6
やがて本部ビルは、振動と共に、元の22世紀へたどり着く。
「これで、良かったんだと思う?」
そう言ったのは子孫たちの誰だったか。
「僕らはやれるだけのことをやった。終わり良ければ全て良し、さ」
「でも、ご先祖様たちに変な影響出たりしてないか、やっぱりちょっと心配」
そんなことを言い合いながら、じきに誰かが、小さなメモリーディスクを取り出した。

「それじゃ、見てみようか。あの後のご先祖様たちのこと、
『フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 7日目』を」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1324094766/l50
540スポーツ好きさん
ディスクをしげしげと見ながら、ジョニーGが言う。
「向こうが大騒動なのはいつものことだし、ま、心配ないんじゃないの?」

そこへ、ライサチェック総監が声をかけた。
「君、それより先に報告書の作成だ。それに、始末書なしというわけにもいかんぞ」
「ええ、まずはこれを。記録映像のダイジェストよ」

ジョニーGの笑顔に、ちょっと悪い予感を覚えながらも、総監はそれを再生してみる。
BGMは『ポーカーフェイス』だ。リズミカルに切り替わる画面が無駄にスタイリッシュだ。
(何だこのPVは……)
総監は苦笑いしながら眺める。事件の始まり、北京の氷上結婚式ショーへの潜入光景を。