今日俺が一人で近所の公園でリフティングをしてたら・2巻
1 :
monica:
前スレ
今日俺が一人で近所の公園でリフティングをしてたら
http://ex12.2ch.net/test/read.cgi/soccer/1105957924/ いきなり2人組の外人が俺のボールをかっさらって
「カモン、ボーイ」
と言って、笑いながら手でチョイチョイってやった。
俺はカチンときたのでボールを取りに行った。
ボールを保持してる外人はフェイントをかけるような仕草をした。
俺はあっさりとひっかかり、かわされた。
なおも取りに行こうとすると、外人はもう一人の外人にパスした。
それから俺はしばらく二人にもてあそばれて、一度もボールに触れる事が出来なかった。
10分ほどすると、外人は満足したのか俺にボールを渡して二人で高らかに笑いながら去っていった。
その後姿を俺は呆然と見詰めた。
お尻がプリッとした、可愛らしい女の子達だった。友達になりたいと思った。
ここから始まるサッカー選手の物語です
2 :
U-名無しさん:2005/07/10(日) 00:54:17 ID:krBk8xvw0
3 :
U-名無しさん:2005/07/10(日) 00:55:19 ID:VjwnvAsq0
4 :
U-名無しさん:2005/07/10(日) 01:21:36 ID:YFvwFtJsO
5 :
U-名無しさん:2005/07/10(日) 11:42:21 ID:SfwhsHvW0
乙
6 :
U-名無しさん:2005/07/10(日) 16:00:34 ID:DxFKnoTu0
1乙。モニカが終わったら俺も書いてみたい。
モニカが交通事故にあった、という知らせは
ワールドユースから日本に帰る飛行機の中で、小熊監督の口から俺に伝えられた。
その後の機内の記憶はない。普通に起きていたはずなのだが、何も覚えていない。
成田に降り立つと分厚い灰色の雲の下、雨が降っていた。
俺は手続きを済ますと、協会の人が手配してくれた車に乗って、
すぐさま埼玉へ、モニカの家へ向かった。
モニカの家に着き、車を降りると、そこは白黒の花輪が玄関の脇に並び、
黒い服を来たたくさんの人々でごったがえしていた。
俺は事態が飲み込めないまま、門をくぐり中に入る。
玄関の脇に岩崎監督とタカシが並んで立っていた。他のサッカー部の面々もいる。
岩崎は真っ黒のスーツに、そしてサッカー部の奴らは学ランを着て、
みな表情を失ったかのように立っていた。
その横にはなでしこジャパンのメンバーの顔も見える。
俺はみんなの前で立ち止まる。
ほんとなのか?嘘だろう?
あんなに元気な奴が、あんなにサッカーうまい奴が死ぬわけないだろう?
まだ17歳なんだぜ。17歳で死ぬなんてあり得ないよ。
8 :
U-名無しさん:2005/07/10(日) 22:35:57 ID:fevnD2gU0
俺の足音に振り向くタカシ。唇をぎゅっとかんでいる。
そうきっとこれは俺をかついでるんだ。テレビでよくやるどっきりだ。
ここまで周到にやるなんてほんとに手が込んでいる。
そうだよな、タカシ。
お前、だまされたな。笑って俺にそういってくれ。
だが、俺の顔を見たタカシの表情はみるみるうちに崩れる。
目からは涙がこぼれだし、嗚咽と共にタカシは俺の両肩をつかんだ。
すべてが現実であることを悟った俺の体から力が抜ける。
膝が、腰が、もう力が入らない。
その場に膝をつく。ズボンを通して地面を濡らした雨の冷たい感触が伝わる。
なぜだ?どうしてなんだ?なぜモニカが死ななくちゃならないんだ?
体の中で何かが爆発する。俺は叫ぶ。絶叫する。
言葉にならない。俺のうめき声だけが、叫び声だけが、
静かな雨の降る日、この場所にこだましている。
9 :
U-名無しさん:2005/07/10(日) 22:36:37 ID:fevnD2gU0
学校の帰り道、歩道を自転車で走っていたモニカ。
携帯で会話しながら運転していた車が、ハンドル操作を誤り、
車線をはずれガードレールに激突。歩道に乗り上げる。そこにモニカが居合わせた。
モニカの死について語ろうとすれば、それですべてが尽きてしまう。
告別式。俺は何も考えられずにただ椅子に座っていた。
前を見ると花に包まれた制服姿の白黒の写真。あの、いつもの笑顔だ。
きっと生徒手帳の写真だ、と俺は思う。一度見せてもらったことがある。
みんな手帳の写真といえばしかめつらしい顔をして写っているのが多いのに、
モニカのははち切れんばかりの笑顔。外国人らしいや、と感じたものだ。
その笑顔が黒い額縁の中から俺を見ていた。
そう何度もグラウンドで言葉を交わしたときと同じように。
違うのは写真の笑顔は永遠にその表情を変えないことだけだ。
モニカのお父さんがいる。テレビに出てきそうな、
典型的なアメリカのやり手のビジネスマンという感じだ。
逆にお母さんは、典型的な日本の優しい母親を絵に描いたような人だ。
10 :
U-名無しさん:2005/07/10(日) 22:36:58 ID:fevnD2gU0
モニカのご両親に会うのはこれがはじめてだった。
焼香に立つときご両親に挨拶する。俺が誰だかはわかったみたいだった。
俺は歩いてモニカの写真の前に立つ。
ワールドユースはもちろん日本でもテレビ中継されていた。
きっとモニカは俺の試合を見てくれていたはずだ。
もしかしたら、その脇にはご両親も一緒にいたのかもしれない。
そして、俺のことが話題に上ったかもしれない。
この男の子、一緒の高校なんだよ。
はじめて会ったとき、公園で一人でリフティングしてたんだ。
わたしがからかってボールを奪ったら、
むきになってとりにきたけど、私とらせなかったわ。
そんなふうに俺のことが話されたりしたかもしれない。
俺はじっとモニカの写真を見る。
モニカはここにはいない。いや、ここだけでなく世界中のどこにも。
もうモニカはいないんだ。
それが夢なんかじゃない俺が生きている現実だ。
俺が生きている現実。それはモニカが生きていない現実。
その現実を心の中で処理できずに俺は写真の前で立ち尽くす。
11 :
U-名無しさん:2005/07/10(日) 22:41:13 ID:JWG2XbTZ0
まだ続けるつもりか・・・
つーか、前スレのトリップは何?
12 :
U-名無しさん:2005/07/10(日) 22:46:01 ID:4twm5MH30
ああああああああああ
まじ泣きそう
13 :
U-名無しさん:2005/07/10(日) 23:23:50 ID:luu/1riu0
乙です
゚ + 。・゚・。・ヽ(゚´Д`゚)ノ ゚゚。ウァァァン
>>11 色々言いたことある人もいるのかもしれないけれど、せめて最後まで見守るくらいの礼儀は守ってよ。
そんなに不満なら、読みにこなきゃよいだけなんだしさ。
14 :
U-名無しさん:2005/07/10(日) 23:33:44 ID:n+xz2CH80
>>11 みんなが望む方向ではない(モニカの死など)話になっていくことで、
21さんのなりすましではあるまいか?なんて言い出す人もいるだろうし・・・
そういった疑心暗鬼に陥る事を防ぐためじゃない?<トリップ
15 :
U-名無しさん:2005/07/11(月) 00:14:00 ID:5/0bCZiW0
前スレの>1000がwww
・・・モニカは戻って来ないんだよ。・゚・(ノД`)・゚・。
16 :
U-名無しさん:2005/07/11(月) 00:16:45 ID:f2UEHvDj0
ますます携帯使いながらのドライバーに殺意が沸いてきたぜ
17 :
U-名無しさん:2005/07/11(月) 00:21:03 ID:xkUOpMHU0
炎天下の中、車中に子供置いてパチンコに行く主婦にも殺意が沸くぜ
18 :
U-名無しさん:2005/07/11(月) 17:21:04 ID:IwjBk/lZ0
お前ら 携帯使いながら運転するなよ マジで!
俺も もう2度としない。
19 :
U-名無しさん:2005/07/11(月) 21:13:59 ID:ncUOtkCc0
交通安全のお守り買ってあげたモニカが
よりによって交通事故でなんて…
20 :
U-名無しさん:2005/07/11(月) 23:17:09 ID:K/s0dWyB0
俺はモニカの葬儀の後、三日ほど学校を休んだ。
ワールドユースの疲れ、帰りの長旅、時差ぼけ、そしてモニカのこと。
病気でもないのに、淀んだ沼の底に生える藻に
絡めとられたように俺の体は動かなかった。
一度、病院で点滴を打ってもらった後は、
ひたすら死んだように眠り続けた。
目が覚めても、俺はほとんどの時間をベッドの上で横になったまま過ごした。
力が入らず動けなかったのもあるし、動く必要もまたその気力もなかった。
暗闇の中ってこんなに落ち着くものなんだ。
俺は生まれて初めてそう感じた。
窓に厚いカーテンを引いた俺の部屋。
カーテンの隙間から夏の強い日差しは漏れるが、
それがちょうどいい按配で俺の部屋を適度な暗さに保っている。
その中でずっと横たわっていると、暗く深い谷底のような場所に
自分がどんどん引き込まれていくような気がした。
その暗闇の中で俺は最後に自分が見たモニカの姿を何度も思い出した。
西が丘サッカー場の芝の上を走るモニカの後ろ姿。
日差しを浴び、かろやかに躍動するモニカの体。
どうして俺はあのとき、もう少し待てなかったのだろう。
あのときの俺はモニカがずっといると思ってた。
少なくとも帰ってきたらモニカがいないなんて想像したこともなかった。
緑の芝生の上で俺たちに手を振るモニカの笑顔が、
俺の頭の中で何度もフラッシュバックする。
部屋のベッドの上で俺はモニカの幻影を繰り返し追う。
21 :
U-名無しさん:2005/07/11(月) 23:17:57 ID:K/s0dWyB0
四日目の朝。もう体力は十分回復しているのが感じとれた。
時計を見る。いつもの起床時間だ。
俺は窓のカーテンを三日ぶりに開け放つ。
今日も快晴らしい。7月の強い日差しが俺の部屋の中に差し込む。
この時間なら、空気も朝の軽く湿った
ひんやりとした心地よさを残している。
気分がいい。俺の体がそう感じているのは伝わってきたが、
俺の心はそれに呼応しない。体と心の微妙なギャップ。
いつものようにボールを持って朝の公園へ出かける。
子どもの頃からずっとそうしてきたように、リフティングからはじめていく。
久しぶりのボールの感触。
こんなにボールを触らなかったのは記憶にない。
予定がある日でも、俺の生活では一日の中で
必ずどこかで一度はボールを触っている時間があった。
ボールが足の甲で、膝の上で弾む。俺の肌に適度な反発の感触を残す。
ああ。俺が好きなサッカーだ。
でも。
その日のボールは俺に何も語ってはくれなかった。
22 :
U-名無しさん:2005/07/11(月) 23:18:24 ID:K/s0dWyB0
いつもボールを蹴っていれば、俺の心は楽しさで満たされた。
嫌なことがあったときも無心でリフティングしていれば、
いつしか俺の心はほぐれていった。
青空の下、ボールと遊んでいれば、いつも俺の心を解放してくれた。
俺はボールを足下に止めると周囲を見渡す。
朝の、誰もいない公園。
もうモニカはここには来ない。
リフティングしている俺をからかい、むきになってボールを
取り返そうとする俺をいなして、あの笑顔を見せてくれることはもうない。
試合の前に俺を激励し、勇気づけ、一緒にトラップ練習をしてくれることももうない。
この公園に俺は一人。
俺が一人でリフティングしても、誰もボールをとりに来たりはしない。
俺はぽーんとボールを蹴り上げると、
膝で勢いを殺しながら首の後ろでトラップして背中に落とす。
背中を転がり落ちたボールをヒールで蹴り上げる。
ボールが狙ったとおり俺の正面に落ちてくる。
俺は気づく。ボールを蹴っても楽しくない自分に。
23 :
U-名無しさん:2005/07/11(月) 23:29:17 ID:7gJ1Ushz0
しかし文章上手いなー。凄い。その場の空気が手に取るように解かる。
サッカーやった事ある奴のつぼを捉えてる。
24 :
U-名無しさん:2005/07/11(月) 23:45:17 ID:0JUABC0F0
作者さんいつも乙です
最近のは見ててつらいなぁ(つД`)
25 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 00:21:19 ID:5bslLekz0
26 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 01:00:30 ID:TOkgAVi60
そりゃ大学行くわ 納得です。
それにしても悲しすぎる(T_T)
俺フィー思い出した。
27 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 01:11:59 ID:0LBj8KBZ0
俺はドラゴンじゃない方の久保さんを思い出した。
28 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 01:29:21 ID:ovvSfMIq0
>26
確かにこの状況じゃプロに行く気はしないな。
悲しいけどうまい作り方だ。参った。
29 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 04:22:24 ID:w7+gslr9O
何も死なす事ないだろ…orz
30 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 04:25:10 ID:Jw2QuBEY0
モニワアアアー!
31 :
茂庭:2005/07/12(火) 04:43:13 ID:Dc+uZB2DO
呼んだ?
32 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 07:02:14 ID:DKe+4n8B0
昨今の芥川賞作家は反省しる
33 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 20:28:07 ID:EaisEEhMO
ハニワァァァ
34 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 22:06:12 ID:y8Fbe1RSO
なぜ、モニカを殺さねばならなかったのか。
ある意味、皆の期待を裏切ったストーリー展開。新しいヒロインを希望。
35 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 22:11:49 ID:O940wMuu0
せめて、
トラックにひかれそうになった子供を助けて…とかにしてくれよ。
36 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 22:13:12 ID:vq2xr5D60 BE:27011726-
>35
それじゃ「タッチ」じゃん
37 :
二ート佐野:2005/07/12(火) 22:24:05 ID:uqRNP6QtO
新しいヒロインは西野つかさたんでよろしいかなヾ(^_^;
38 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 23:04:30 ID:ELVIKVvU0
その日から学校へは行くようになった。
学校に行った最初の日は、まだ沈鬱な空気が立ちこめていたが、
日が経つに従って、少しずつ会話も明るいものになり、
笑い声も聞こえてくるようになった。
もう一学期も終わる。楽しい夏休みがもう目の前だ。
あの日泣いていたクラスメイトも、
教室で屈託のない笑顔を見せるようになった。
そう、みんな、慣れていく。当たり前であり、自然なことだ。
いつまでも悲しみを胸に下を向いていてはいけない。
悲しみを乗り越え、時間と共にまた前と同じ生活に戻っていく。
正しいことだ。俺もモニカのために、笑って生活できるようにならなければいけない。
頭ではわかっていた。だが、俺の心は、精神は、
どこか配線が一本ぷつりと切れて止まってしまったかのように、
そういう元の生活への復旧作業をなかなかはじめようとはしなかった。
39 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 23:04:54 ID:ELVIKVvU0
友人に話しかけられれば笑顔で応える。
ギャグを言えば笑う。アホなことをすれば突っ込みを入れる。
表面上は以前と変わりないやりとりをしていても、
その実、俺の心は何の反応もしていなかった。
まるで皮膚の表面だけ、俺のコピーロボットがいるみたいだ。
ロボットは過去の蓄積にしたがって
プログラミングされた俺の動きに従って、会話し、動く。
それだけだ。ロボットに心なんてない。
俺はモニター画面でロボットの挙動を確認する科学者のような存在だ。
俺は話し、動いている。でも、それは俺とつながっていない。
俺と俺自身の間には、いつのまにか気づかぬうちに壁ができていた。
いつか壁も消えるだろう。俺は思う。
壁をなくさなければいけない、とも思う。
でも、その壁はなかなか強固で簡単に崩れる気配はなかった。
40 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 23:06:04 ID:ELVIKVvU0
久しぶりに顔を出す部活。
みんなからは体調を崩してたんだから、
あせってくる出てくる必要はないと気を遣ってもらっていた。
その言葉に甘えて顔を出すのがついつい遅くなってしまった。
モニカと一番多くの時間を一緒に過ごしたこのグラウンド。
足を踏み入れるのには、俺自身いくばくかの時間が必要だった。
脇から見る練習風景は以前と変わらない。
プレーを指示する大声が飛び、時には笑い声も出る。
誰もがひとつのボールを追って、懸命に走っている。
でも以前からずっと俺たちの練習を見てきた人が注意深く見たならば、
ほんのかすかな違和感に気づいたはずだ。
このグラウンドにいる誰も忘れてはいない。
大事なものがこの場所からなくなってしまった事を。
太陽のように光をそそいでくれた大切な存在が失われたことを。
41 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 23:07:11 ID:ELVIKVvU0
俺はブランクのあった分慎重にウォーミングアップをこなす。
俺がワールドユースに出ている間にインターハイ予選は終わっていた。
タカシの活躍もあって決勝リーグまで駒を進めたが、
わずかな差で全国への切符をとることができなかった。
次の最大の目標は冬の選手権ということになる。
俺も当然の選択だったとはいえ、ワールドユースに出場したために
チームの大事なときに貢献できなかったことに、
多少の後ろめたさみたいなものはある。
今度は俺の力で、といえばおこがましいが、
ぜひタカシたちチームのみんなと大きな舞台に挑戦したい。
冬の選手権に出られるのは埼玉からは一校。
埼玉から二校出場できるインターハイよりハードルは高い。
もっとレベルアップしなければ選手権出場なんて絵に描いた餅で終わる。
俺はアップを終えると自分自身に気合を入れた。
42 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 23:07:55 ID:ELVIKVvU0
今日は紅白戦をやることになっている。
ワールドユース仕込みのテクニックを見せてもらおうか、という
さっき聞いた山口の言葉も冗談ばかりではないようだ。
組み合わせはレギュラー組対控え組。
俺はゆっくりとグラウンドに入る。土のグラウンドなんて久しぶりだ。
センターサークルの後ろ、いつものポジション。
俺たちのボールでキックオフだ。前には高田とタカシが構える。
審判役の下級生が笛を吹く。
タカシがすばやくボールを俺に送る。
さあ、頼んだぜ。タカシの笑い顔が見えたような気がした。
俺は視線を左右に散らして、
すかさず走り出した両サイドの動きを確認してパスを送ろうとした。
その瞬間、何とも言いようのない違和感が俺をわしづかみにする。
パスを出そうとした俺の足が止まる。
猛然とチェックに来る下級生が目に入り、
俺は慌ててディフェンスにボールを戻した。
前線でタカシが怪訝そうな表情で俺を見ている。
俺が自分自身に聞きたかった。いまのはいったいなんだ?
いま、どうして俺の体は動かなかった?
夏の日差しが俺の焦燥を笑うかのように照りつける。
43 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 23:11:22 ID:TrxUFpRz0
まとめサイト2の管理人様
お手持ちの掲示板の御確認をよろしくお願いします。
44 :
U-名無しさん:2005/07/12(火) 23:43:19 ID:2u2RqarR0
>>34 前スレで終わらせるつもりだったのがレスの伸びが予想以上に速かった。
そんなとこだろう。
45 :
U-名無しさん:2005/07/13(水) 20:01:27 ID:YCkUICYK0
サッカーの描写はリアルなんだけど、全体にファンタジーを感じる小説だ。
46 :
U-名無しさん:2005/07/13(水) 21:54:33 ID:5Rx+EiRi0
>>45 それはな、書いてる人と登場人物の年齢差からくるもんだと思う。
語り口が設定の年齢とちょっと離れてしまう。こりゃ一人称だと仕方ない。
小刻みな連投だと、どんな比喩が自然かまで考えてられないもの。
47 :
U-名無しさん:2005/07/13(水) 22:47:48 ID:kpx69Koc0
>>36 そうかそうだった。
とにかくさ、モニカを轢いた運転手を一概に責められない様な、
そんな状況であってほしかったわけよ。
48 :
U-名無しさん:2005/07/14(木) 00:19:12 ID:En3lN4iq0
ネタじゃなかったのかw
49 :
U-名無しさん:2005/07/14(木) 00:44:39 ID:qb/LvMyU0
冬はこの商売にとっては辛い季節だ。
防寒対策は十分にやっているのに、それでもじわじわと寒さが忍び寄ってくる。
元山は埼玉スタジアムの記者席で肩をすくめて震えていた。
大晦日だというのに結構観客席が埋まっているのは、
やはり地元チームの試合があるのが大きいのだろう。
元山のいる記者席からは、アウェーゴール裏の方向に
低い位置で灰色の雲が立ち込めているのが見える。陰鬱な空だ。
明日は天皇杯で国立だ。この商売をやってもう何年もたつ。
すっかり慣れっこになったはずのサイクルだが、
この時期なぜか妙に気分が重くなるのは、
年越し気分に浮かれる世間と隔絶したところで
生活している自分を実感してしまうせいなのか。
ふと手前に視線を戻した元山は、見知った顔を見つけた。
軽く会釈すると向こうも元山に気づいたらしく、こっちに歩いてくる。
近くまで来た彼に元山は声をかけた。
「小熊さん、どうしたんですか?今日は」
「お久しぶり。いきなりだけど、ここいいかな?」
小熊は元山の隣を指差す。
どうぞ、と元山はうなずく。
元U-20日本代表監督の小熊が記者席にいても、
誰も面と向かってとがめだてする人もいないだろう。
50 :
U-名無しさん:2005/07/14(木) 00:45:56 ID:qb/LvMyU0
「監督就任おめでとうございます」
元山の挨拶に小熊が、ありがとう、と礼を返す。
一週間ほど前、小熊のFC東京監督就任が発表されていた。
元々、ワールドユースの監督を務める前は、
FC東京の監督だったから古巣に帰った形になる。
「いろいろ忙しい時期なんじゃないんですか、チームの編成とか」
元山は話を振ってみる。
「意見を言える部分なんて限られてるからね。
大まかな希望ぐらいは言うけれど、あとは編成の仕事だから」
小熊はそういってピッチに目をやった。
「今日はこの試合を見に、わざわざ?」
元山は訊いてみたが、小熊は聞こえていないのか何も言わない。
審判が手をあげ笛が吹かれる。
ピッチで一斉に選手が走り出す。試合開始だ。
第84回全国高校サッカー選手権大会1回戦
埼玉代表・埼玉南高校対鹿児島代表・鹿児島学院高校。
さんざん手垢のついた言葉だが、一回戦屈指の好カードというのが、
専門誌の記者たちの間の評判だった。
51 :
U-名無しさん:2005/07/14(木) 00:52:25 ID:KLIzykD+0
あげ
52 :
U-名無しさん:2005/07/14(木) 01:01:13 ID:En3lN4iq0
乙
小熊は北京には行かなかったのね
成績残したのに
53 :
U-名無しさん:2005/07/14(木) 01:38:42 ID:RogkfORP0
ということで、FCサポ以外は寄りつかないスレになりそうだ。
54 :
U-名無しさん:2005/07/14(木) 10:59:58 ID:FuS/Pqf+0 BE:56273055-
だから、FCの好き嫌い、たたきとは関係ないだろ。
俺は赤サポだが、単に設定の問題だろ。小説としておもしろければいいじゃないか。
それこそ巣にカエレ!
55 :
U-名無しさん:2005/07/14(木) 12:56:42 ID:XEu83Jro0
>>54 いあ、そこまでして読むほど面白い作品じゃないよ、という意見もあっていいはず。
多少の煽りや叩きが来るくらいで過剰反応するから荒れる。
スルーできないなら君も巣に帰れ。
56 :
U-名無しさん:2005/07/14(木) 13:10:43 ID:FuS/Pqf+0 BE:54022638-
>55
すまん、おとなげなくて。
おとなしくしてるよ。
57 :
U-名無しさん:2005/07/14(木) 16:49:17 ID:Nc1Ouds+0
別にどこかのチームの試合みたいに、金取ってるのにこのざまは何だゴルァ!みたいな話じゃないんだしさ。
21さんの書く読み物を読みたいって思う人だけが集まればいいじゃん、ここは。
読みたい派にとっては無意味なカキコによって21さんの創作意欲が萎えることが一番困るよ。
(感想とかアドバイスとか改善点の提案とかはいいと思うよ)
面白くないと思ったら、黙ってここのスレから離れる。それでいいじゃないか。
58 :
U-名無しさん:2005/07/14(木) 17:52:07 ID:iFAHW7Pb0
>>57 ネガティブな意見をスルーできない人間を「信者」という。
前スレ最後にあったような過度のマンせー意見は、このスレ荒らす気はなくても、
偶然に通りかかった人間に素直に「つまらん」と言わせる原因にもなるんだぜ。
それとも君は、そのたびに「いやなら読むな!とっとと消えろ!」と叫ぶつもりか?
適度な応援と適切な批評こそが職人にとっては燃料になることを忘れてはいかん。
59 :
U-名無しさん:2005/07/14(木) 18:19:54 ID:+RkFou8W0
>適度な応援と適切な批評こそが職人にとっては燃料になることを忘れてはいかん。
うむ、同意。
オレは
>>53みたいな無意味なカキコは必要なしと言いたいわけで、ネガティブそうな意見だったらなんでも反発ってわけじゃない。
くだらないレスで荒らしてから去るくらいなら、黙って消えろってことだ。
60 :
U-名無しさん:2005/07/14(木) 22:07:20 ID:MOu5jVOF0
Jリーガーを過去に数多く輩出し、昨年の選手権を制した強豪、鹿学。
今年もインターハイでは決勝進出を果たしており、
この大会でも優勝候補の筆頭に挙げられている。
対する埼玉南は初出場。
冬の選手権では長い長い低迷にあえぐ埼玉勢だが、
今年は夏のインターハイでも上位に食い込んでおり、
県全体のレベルは決して低くないという話だ。
地元浦和レッズへの入団が決まっているフォワードの
田村隆の決定力は高校レベルでは群を抜いているという話だ。
チームワークもいい。個々のタレントでは
ライバル校に見劣りするにもかかわらず、
際どいクロスゲームを制して予選を勝ち上がってきたのは、
試合を決してあきらめない粘り強さあってこそといえた。
そして。元山はピッチ上10番の白いユニフォームを探す。
樋口広樹の姿。田村−樋口のホットラインがこのチームの生命線だ。
タレント揃いの鹿学の強力な攻撃を、
抜群のチームワークを誇る埼玉南の守備が抑え込めるか。
その上で樋口、田村の二人が、
鹿学の分厚い守備に穴を開けることができるか。
61 :
U-名無しさん:2005/07/14(木) 22:08:18 ID:MOu5jVOF0
隣の小熊はピッチを険しい顔つきで
睨みつけたまま一言も発しようとしない。
小熊の厳しい表情に、元山は話しかけるのを躊躇する。
そのまま元山も黙って試合を観戦することにした。
結局、前半が終わるまで小熊は一度も口を開かなかった。
試合は、高校生らしい無造作なロングボールを蹴りあう単調な展開となった。
初戦の緊張からかどちらもセーフティの意識が強く出すぎて、
見ている側がはっとするようなチャレンジするプレーが見られない。
スコアは前半20分にセットプレイから、
ヘディングのゴールを決めた鹿学が1点リード。
そのまま、審判が前半終了の笛を吹いた。
観客が一斉に席を立ち、トイレに休憩にと動き出す。
とはいっても所詮は高校サッカーの試合。
代表戦のような混雑にはなりそうもない。
「トイレ行ってきますけど、なにか暖かいもの買ってきましょうか?」
小熊に声をかけてみる。多少陽が出てきたとはいえ、
この気温でじっと座っていると、体の心から冷えてくる。
小熊ははっとしたように振り向くと、
「ああ・・。申し訳ない。コーヒーをお願いしてもいいかな」
ポケットから財布を取り出そうとする小熊を制止して、
「今日は私がごちそうします」
小熊はそれでも財布から小銭を取り出したが、
元山が受け取る気がないのを察したらしく、
「じゃあご馳走になるよ。なんか後が怖いな」といって笑った。
62 :
U-名無しさん:2005/07/14(木) 22:08:49 ID:MOu5jVOF0
元山が二人分のコーヒーを買って戻ると、
小熊は腕を組んだまま、控え選手たちが練習するピッチを、
難しい数学の問題でも出された生徒のような表情で睨みつけている。
「買ってきました」
小熊が礼をいって、コーヒーを受け取るとカップのふたを開ける。
白い湯気が机の上に広がっていく。
小熊はそのまま黙って一口飲む。
元山は砂糖とミルクを入れ、マドラーでかきまぜてから軽くすすった。
苦い。相当煮詰まっている。
「元山さんは・・・樋口の試合見るのは?」
「選手権の予選も含めて何度か・・。」
そうか、と小熊はそっと呟く。
小熊はワールドユースの総括が終わった後協会を離れ、
ドイツへ数ヶ月コーチ留学へ行っていた。
戻ってきたのはつい最近、FC東京監督就任が発表される少し前だ。
おそらく樋口の試合を見る機会はなかっただろう。
「正直、耳には入ってきてたんだがな。まさか、ここまでとは・・」
「どう思いました?」
小熊は苦しそうにぼそりと言葉を押し出す。
「いまの樋口じゃこの先はない。ここまでの選手だ」
63 :
U-名無しさん:2005/07/14(木) 22:25:07 ID:uAwk8+xz0
おっ今日の更新は早いね。おかげで早く寝られるよw
自分は樋口がどんな試練を乗り越えてきたのか、そして
さらにW杯で何をしてくれるのか、楽しみにしてますよ。>作者さん
64 :
U-名無しさん:2005/07/15(金) 06:38:51 ID:HYBPx3UEO
やべー、樋口ケガじゃなくてスランプかよ!
65 :
U-名無しさん:2005/07/15(金) 06:59:07 ID:ebhhtn7WO
そうか、タカシはやっぱり浦和か。
66 :
U-名無しさん:2005/07/15(金) 08:20:25 ID:J8KDcpLy0
樋口→腐頭で若いうちから酷使されて27歳で引退
タカシ→劣頭で飼い殺されて解雇⇒サガントス移籍
67 :
U-名無しさん:2005/07/15(金) 08:40:41 ID:cmO4M9sGO
タカシがんがれ!
68 :
U-名無しさん:2005/07/15(金) 08:46:13 ID:j9o1P4Sg0 BE:182323499-
タカシよかったなあ。
ジュニアユースからユースに上がれず高校へ行って、
自分の力で改めてレッズからのオファーを勝取ったのか。
それだけでも一つの話しだな。
69 :
U-名無しさん:2005/07/15(金) 10:34:37 ID:+i4PBHbC0
>>64 モニカ・ショックの後遺症でプレーに影響が出てるんだろうな・・・
>>22 >俺は気づく。ボールを蹴っても楽しくない自分に。
>>42 >すかさず走り出した両サイドの動きを確認してパスを送ろうとした。
>その瞬間、何とも言いようのない違和感が俺をわしづかみにする。
>パスを出そうとした俺の足が止まる。
頑張れ樋口〜・゚・(ノД`)・゚・
71 :
U-名無しさん:2005/07/15(金) 19:51:32 ID:bvdPm0l80
てかこっから大団円に持っていけるのか・・・。
72 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 00:02:07 ID:5u6b0Yh40
グラウンドではエンドを換えて後半がはじまっている。
「元山さん、いいサッカー選手ってどんな選手だと思う?」
「いいサッカー選手?」
元山は聞きかえす。
「いい、という言葉が適当かどうかわからんが。
サッカー選手としての能力といってもいい。
よく、こいつはいい選手だ、能力のある選手だっていうけど、
それって具体的には何があることを言ってるんだろう」
難しい質問だ。軽率に答えられない。
元山が答えを探していると、小熊が話を続けた。
「技術はサッカー選手としての大事な要素のひとつだ。
だが俺は技術がサッカーに占める割合というのは
実はそんなに高くないと思っている。
もちろんクラスに応じた最低限のラインというのはあるが」
樋口が鹿学の選手に囲まれ、倒されてボールを奪われる。
「文章が上手くてもそれだけでは小説家になれないように、
サッカーが上手いだけではプロのサッカー選手にはなれないんだ。
そこを勘違いしているやつは多い。
ユースの監督やってるときもいろんなところからよく聞かれたよ。
彼はあんなにすごい技術を持っているのに
どうして使わないんですか、とね。
この前、どなたか解説者の人が雑誌で書いてたけどね、
中田英寿よりも中村俊輔よりも上手くて高い技術を持っている選手なんて、
Jに限らず、アマチュアの中にだっているって。
俺もその意見には同感だ」
73 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 00:02:31 ID:5u6b0Yh40
「そんな」元山は思わず異議を唱える。
小熊は元山の言葉に首を振って、
「たとえばリフティングだけならフリースタイルリフティングの
やつらには代表選手より上手いやつがいる。
ドリブルだってそうだ。
アマチュアだって練習でとんでもなくキレた
フェイント見せられてこっちがびっくりすることがしょっちゅうある。
アマチュアや下位カテゴリでもすごい技術を持ってるやつはいるよ。
でも、それとプロの、トップの世界というのは違うんだよ」
埼玉南の攻撃。左サイドの選手からクロスが上がるが、
中央で待っている田村隆の頭上を遠く越えてゆく。
「技術だけではだめ、ということですか?」
「わかりやすくいえばそうなる」
小熊はコーヒーのカップを口にして飲み干した。
空になったカップが机の上に置かれる。
「たとえば元山さんがドリブルをしている。
相手が一人チェックに来た。
ここで相手を抜いてしまえばビッグチャンスになる。
さて、ここで相手を抜くために一番必要なものはなんだ?」
74 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 00:03:02 ID:5u6b0Yh40
元山は考える。この話の流れからするとテクニックではないらしい。
「抜こうとする・・気持ちですか?」
「正解。さすがだね、恵理ちゃん」
いつのまにか呼び方が「恵理ちゃん」に変わっている。
「抜けるだけの技術があっても、抜きに行かなきゃ抜けっこない。
すごいシュートを打てる技術があっても、シュートを打たなきゃ決まらない。
いくら優れた技術を持っていても、
それを使おうという意思がなければ何の役にも立ちゃしないんだ。
抜ければ、行けばチャンスという場面で、
勝負しない横パスやバックパス。意図の不明確なプレー。
いくら技術があってもそういう無難な、
責任逃れの選択をしてしまったら、技術は何の意味も持たない。
A代表の攻撃のゴール前を見ればわかるだろ。
ビッグチャンスというところで打たないやつがざらにいるんだ」
不意に元山はワールドユースで
樋口の決めた鮮やかなループシュートを思い出す。
そう、あのとき小熊は元山の質問にこうコメントしていた。
「彼がこの難しい場面で決める力を持っていたということです」
決める力。それは技術だけではない。技術を行使する意思・・
75 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 00:06:33 ID:o1Bh5Smf0
師匠のことかw
76 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 06:38:25 ID:MBy2lLQcO
だよなw
77 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 07:33:16 ID:WrfopyhnO
いや、ヤナガシャワでしょw
78 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 09:50:14 ID:FaaWWY/x0
どっちもだろw
79 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 10:13:56 ID:mvipdPJg0
タークハルは、打とうという意思は感じられるんだけどな(w
80 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 10:25:04 ID:u0PWowo2O
クラブなんか標準装備だ
♪ゴ〜ルが見えたらシュ〜ト打て♪
リアルに自分達の選手の顔が思い浮かぶよ
頼むよジョー
81 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 11:47:49 ID:oNyqGxO+0
これ書いている方は絶対プロだね ( ̄ー ̄)ニヤリッ
82 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 14:28:25 ID:DEsTBm5f0
誰もが知ってる現役選手が書いているのだと勝手に想像してる。
遠征中、深夜にPC打ち込んでる姿を想像すると楽しい♪
529 名前:名無し物書き@推敲中?[sage] 投稿日:2005/06/30(木) 00:20:25
サッカー好きならマジオススメ。
http://ex12.2ch.net/test/read.cgi/soccer/1105957924/ 序盤は文章下手だし、結構書き間違いも多いが、
それでもサッカーの描写はかなりリアル。
途中から絶対に面白くなるので、最初は我慢しても読むべし。
最近は住人のレスがいい感じで入っていて、
作者もそれを計算してるようなところがある。
ある意味、掲示板小説といってもいいかも。
532 名前:名無し物書き@推敲中?[sage] 投稿日:2005/06/30(木) 10:47:13
>>529 作者乙。
俺はサッカーも好きなんでそのスレは知ってるんだけど、
文章は中の下程度(2ちゃんのスレに書いてる点は割り引く必要あるけど)で、
しかも肝心のサッカー描写が代表の二次創作なのがちょっと気になってる。
それでもサッカー板的には良スレで、十分に楽しめる作品だとは思うよ。
でも、もしこの板に貼られてたならば、細部に突っ込みが入りまくると思う。
こういう場所には貼らないで板内だけで楽しんだほうがいいと思うなあ。
(なにより、続きを楽しみにしてる人間ならば終わってから貼るのが吉)
533 名前:名無し物書き@推敲中?[sage] 投稿日:2005/06/30(木) 17:55:04
>>529 サッカー等の小説は結構好みだが……
ここまでアレだとちとむりぽ
だが、ふむ。文章とかの書き方有り方にこだわらない人ならば読めると思う
そんな頃が懐かしい
84 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 15:00:34 ID:lxD9Y8jH0
オタクどもの評価なんてどうでもいいよ
85 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 17:10:29 ID:oNyqGxO+0
>>83 それは冷静な評価というより 貶すことで自らを慰めているあほども評価ね
86 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 17:30:30 ID:XmyfqrKq0
>>83 俺は小説も好きなんでそのスレは知ってるんだけど、
文章は中の下程度(2ちゃんのスレに書いてる点は割り引く必要あるけど)ばっかで、
しかも肝心の話に全く引き込まれないのがちょっと気になってる。
それでも自己満足小説家気取り的には良スレで、十分に楽しめるスレだとは思うよ。
でも、もしこの板に貼られてたならば、誰にも突っ込まれずスルーされまくると思う。
どういう場所にも貼らないで脳内だけで楽しんだほうがいいと思うなあ。
(なにより、続きを楽しみにする人間なんかつくれないのが凶)
87 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 17:39:58 ID:zeLFytZk0
>83
>なにより、続きを楽しみにしてる人間ならば終わってから貼るのが吉
に、禿げしく同意
88 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 20:16:57 ID:m5mej1Wt0
>>83 まあまあ落ち着け。何も他人を貶す人間の仲間入りすることはあるまい。
俺は最近このスレを発見して、もう夢中になって貪るように3時間くらいで全部読んだけど、
でも、話に引き込まれない人が居るってことはなんか分かる気がする。
この小説の魅力って、サッカー描写の素晴らしさと、時折(主に小熊の口から)語られるサッカー観、
それから、主人公自身の魅力だと思う。
主人公の魅力と言っても、人間的魅力というよりは、サッカー選手としての魅力。
「こんな選手がいたら・・・」って言う。
要するに、全部サッカーに関する魅力なんだよ。サッカーが好きじゃない(分からない)人にとっては、
全く引き込まれないのも分からない話では無い。
逆にサッカー好きにとってはたまらない。
プレイ描写なんて、村上龍の小説なんかより全然良い。
だから小説オタクの意見なんか気にせず「極上のサッカー小説」として、
これからも楽しんでいけば良いんじゃないかと思う。 長文スマソ。
89 :
88:2005/07/16(土) 20:18:07 ID:m5mej1Wt0
レスアンカー間違えた。
>>86だった・・・orz
90 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 20:33:24 ID:zatRrWtl0
つーか信者なマンせー意見増えたら当然それに反発するヤツも出てくるわけで。
最近のレスの流れがあまりにキモイのが単なるアンチを増やしてるだけ。
内容にやきもきするレスはいいけど、文章を持ち上げすぎるのはちと不自然。
逆に職人さんに対して失礼なような気がする。
作品としての評価は「佳作」以上の何物でもないわけなんだからさ。
また、
>>83のスレで文章が中の下というのは、「内容で評価される水準には達してる」
という意味で、わりとマシな評価だ。
91 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 23:02:22 ID:qv00bOiB0
「まあちょっとアバウトすぎるたとえだが、こんな言い方もある。
恵理ちゃんが目の前のやつを、
だいたい3回に2回は抜けるとしよう。
チャレンジしてみた。1回目は止められてしまった。
すると抜きに行くのを次からはやめてしまう。
決して抜けない相手じゃないのに、最初の一回を失敗したために
次からトライしなくなってしまう。
結果、抜けるはずの相手が抜けない。持ってる力を発揮できないわけだ。
適度な臆病さと勇気の両方がプレーには必要なんだ。
ここで大事なのは、臆病になるのは誰でもできるが、
勇気は誰もが持っているわけじゃないってことだ」
小熊の言葉が熱くなる。
「それって山川さんの言うような人間力ってことですか?」
元山は訊いてみる。山川はアテネ五輪の代表監督である。
山川の唱えた「人間力の必要性」はサッカー界に様々な反応を巻き起こした。
「考えるスタート地点は同じなんだろうな。
試合において技術だけじゃない、メンタル的な強さが必要だ、と
いうアプローチは、俺が言ってることと同じだと思う。
ただ、人間力って言葉と俺のイメージしてるものは違う。
さっき勇気って言葉を使ったけど、
俺がイメージしてるものはそういうメンタル面も含むけど、
さらにそれ以外のものも含んだ、得体の知れない何かなんだ。
どこの世界でもそうなのかもしれないが、
サッカーで成功した人の中には、破綻してるとまでは言わないが、
お世辞にも人格円満とは呼べない人たちがごろごろしている。
マラドーナなんか見てみろ。人気はすごいがやってることは無茶苦茶だ。
彼らなんかを見てると、俺は人間力という言葉では
俺が言ってる「何か」は説明できないと思っている。
単なる強烈なエゴでもなく、単なる人間的魅力でもなく、
それらを超越した何かなんだよ」
92 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 23:03:06 ID:qv00bOiB0
ライン際を樋口がドリブルで仕掛けたが、
相手の伸ばした足にボールが当たってラインを割る。
「その何かは教えて身につけさせることができるものじゃない。
ある奴は最初から持っているし、ある奴は持っていない。
あるレベルだとそれを持っているように見えるのに、
一定以上の高いレベルの試合やプレッシャーのかかる試合では、
途端にそれがなくなってしまうタイプもいる。
以前持っていた奴が突然それを失ってしまうことも珍しくない」
審判の長い笛。埼玉南の選手がゴール前でうなだれている。
鹿学の選手が右手をつきあげて走っている。
鹿学の追加点。2−0と点差が開く。
樋口が腰に手をあてて空を仰ぐ。何もできずに立ち尽くす姿。
「いまの樋口のようにね」
元山は黙ってピッチを見ている。
そうオランダでもこんな風に記者席からピッチを見ていた。
あの日、ライン際を風のように樋口が駆けていった。
いま、スタジアムの芝の上で、
彼は翼を切られた鳥のように、飛べない自分にもだえ苦しんでいる。
「恵理ちゃんも・・・気づいていたんだろ?」
元山はちらりと小熊の顔を見て、
「ええ・・」
もう攻めるしかなくなった埼玉南が、前線に人数を割く。
開き直りが功を奏したのか、埼玉南がリズムを掴みはじめる。
前線から田村隆が後ろの選手たちに大声で何かを叫んでいる。
93 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 23:03:34 ID:qv00bOiB0
「ワールドユースのときの樋口なら、
まちがいなくJ1でもレギュラーを張れたし、
A代表にだって呼んでみる価値はあった。
恵理ちゃんがよく知ってるとおり、
あのときの樋口のプレーにはどんな奴もひきつける魅力があった。
ドイツに行ってからも正直樋口のことは気になっていた。
どこのクラブに行くんだろう。ジーコは代表には呼ばないのか。
樋口がどんなプレイヤーになるのか、
俺も一人のサッカーファンとして楽しみにしていた。
でも日本にいる奴にたまに聞いてみると、どうも話がはかばかしくない。
聞けばすっかりただの人になっちまってるって話じゃないか。
俺は自分の耳を疑ったよ。
小中高あたりまで年代別代表の常連だった選手が、
ある時からふっと選ばれなくなる。ぱたりと顔も名前も見なくなる。
俺自身そういう若い選手たちをセレクトする側でやってきた。
そんなのがあちこちに転がっているありふれた話だってのは承知している。
それでも、樋口だけは例外だとどこかで思っていたんだ」
試合前に撮影される集合写真。
元山もライターとして報道する仕事に携わっている故、
年代別の代表だけでも数え切れない枚数を見ている。
時折昔の写真を見返すと、
いまでもA代表で活躍する面々に交じって、記憶にない顔がある。
あれ、これ誰だっけ?
集合写真はサッカー選手の生存競争の記録でもある。
いつのまにか欠けて消えていく顔がある。
94 :
:2005/07/16(土) 23:04:39 ID:vZukH+5O0
人間力wwwwwwワラタ
95 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 23:07:14 ID:zeLFytZk0
財前(ホロリ)
いまじゃチームでも干されちゃって‥‥
96 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 23:13:35 ID:v6sEfJuu0
人間力と聞くとめ組のダイゴを思い出す
97 :
U-名無しさん:2005/07/16(土) 23:55:57 ID:pGN91ELl0
>一定以上の高いレベルの試合やプレッシャーのかかる試合では、
>途端にそれがなくなってしまうタイプもいる。
これ、まさに俺だぁ。もちろん、そんな高いレベルの話じゃないけど。
こうゆうリアルな部分がでてくるところが好きだなあ。
98 :
U-名無しさん :2005/07/17(日) 23:05:22 ID:Lfzcdxqs0
保守
99 :
U-名無しさん:2005/07/17(日) 23:26:40 ID:bHDDad8r0
今日はオヤスミかな
確か休日は作者タンお休みでしょ
明日に期待
101 :
U-名無しさん:2005/07/18(月) 10:50:32 ID:h+x/UfreO
しょぼーん(´ω`)
保守
「やっぱりモニカちゃんのことが原因なのか?」
小熊が元山のほうを向いて尋ねた。
元山は少し迷ったが、正直に答える。
「そうだと思います」
埼玉南の攻勢が続いているが、鹿学の守りは堅い。田村にいい形でパスが入らない。
埼玉南は田村にロングボールをほうりこんでいるが、
鹿学のディフェンダーも上背があり、きっちり跳ね返す。
「でも、それにしても・・それだけであれほどまでに
変わってしまうものなんでしょうか」
元山はずっと抱いていた素朴な疑問を口にする。
「プロとしてサッカーを見てる恵理ちゃんが
そんな質問するとはちょっと意外だが・・。
選手にとってメンタルがプレーのデキに占める割合は相当高いんだよ。
監督やチームメイトとの確執、移籍絡みのごたごた、女性関係のトラブル。
怪我よりもメンタル面のトラブルで
プレーがおかしくなるやつの方が実は多いんだ。
日本の10番を背負うといわれていた磯崎や、
去年引退を発表した前野だってそうだ。
樋口の中でモニカちゃんの死をきっかけに、
何かが消えてしまったんだろう」
「彼は一所懸命やってます。必死でもがいてます」
元山は反論する。
「誰も樋口が一所懸命じゃないなんていってない」
小熊が悲しそうな顔をした。
「あいつ自身にもどうしようもないどこかで、
なにかがなくなっちまったんだ」
樋口がボールを持つ。パスの出し先を探して、
迷路にいるようにせわしなく左右を見渡すが、出し所が見つからない。
その間もじりじりと時間が過ぎていく。
「なんといってもテクニックの蓄積があるから、
県予選ならなんとかごまかしきれたかもしれん。
同じチームにいいフォワードもいるしな。
高校選手権のレベルならピッチに立つ資格は十分にあるし、
それなりに通用もするだろう。
だが、この先の世界ではもう通用しない」
スタジアムの時計の針は残り時間が少ないことを告げている。
「やつにとっては相手が鹿学でよかったかもしれんな。
今日来てる全国紙の記者はほとんど地区予選なんて見てない。
テレビ中継を見てる一般のお客さんもそうだろう。
ここで負ければ、たまたまこの試合だけ樋口の調子が悪かったで済む。
しかも相手は優勝候補の強豪鹿学だ。負けても不思議はない。
だがもし勝ち進めば勝ち進むほど、
もうかつての樋口はどこにもいないことを世間に知らしめることになる。
それは樋口本人にとって、ひどく酷なことだろう」
そんな・・・・。元山は言葉をそっと呑みこむ。
認めたくはなかった。
けれど、小熊の言葉は元山が感じていたこととまったく同じだった。
樋口を見に出かけた県予選。試合を見た元山は首をかしげた。
これがあのオランダの彼と同一人物なの?
テクニック、ボール捌きには面影を残しているものの、
見ている元山に伝わってくるものがなにもない。
元山を思わず記者席から立ち上がらせた、
あのほとばしるような情熱のかけらも見あたらない。
元山のような素人にも読めるパス。確実だが創造性のないプレー。
困惑する元山の耳に、近くにいたJクラブのスカウトの会話が耳に入る。
「あれが樋口か。実際に見てみると・・随分印象が違うもんだなあ・・」
「よくまとまってるけど、レベルの高いチームじゃないからなあ。
練習してるうちに低いレベルに合わせるようになっちまったのかな」
「ワールドユース見たときは化け物かと思ったのに・・
たまたまあの時だけ確変入ってたってことか」
自分の世界に入り込んでしまった元山を置いて、
そっと小熊が静かに立ち上がった。
「小熊さん?」
「もう失礼するよ。試合もほぼ決まったようだし、それに」
そういうとコートの襟を立ててぎゅっと首にかぶる。
「俺はあんな樋口を見たいんじゃない」
そういうと小熊は振り返りもせずにすたすたと
スタンドの出口に歩いていってしまった。すぐに姿が見えなくなる。
ひとり取り残された元山はゆっくりとピッチに視線を落とす。
ロスタイムを示す表示が出ている。スコアは2−0のままだ。
もう鹿学は敵陣内に入ったボールは追わない。全員が自陣に引いている。
埼玉南のディフェンダーは、悠々と
ボールを持たせてもらえるがもう時間がない。
早く攻めたい埼玉南。長いパスが中盤に送られる。
パスを受けたのは樋口だ。
埼玉南のイレブンは最後まで樋口を信頼してパスを出している。
あっというまに鹿学のユニフォームに取り囲まれる樋口。
後ろへターンしてキープしようとするが、そこにも相手がいる。
後ろがだめなら、と今度は強引に前を向く。
接触ではじかれた鹿学の選手がよろめき、ぽっかりと樋口の前が開いた。
すかさず樋口が小さな足の振りでパスを出す。
だが、そのボールは鹿学の選手が伸ばした足にあたり、
方向を変えて前に飛んでいく。
それが運よくゴール前で待っていた田村の足元に転がった。
虚をつかれ一瞬ボールウォッチャーになってしまった鹿学のディフェンス。
田村の前にはぽっかりと幅広いシュートコースが空いている。
田村はまだゴールに対して半身だ。ワンタッチ入れてボールを置きなおすか。
元山がそう思った瞬間、田村は強引に体を捻り、
腰をぐるりと回転させるとダイレクトでシュートを打った。
人に当たって予想外の動きで後ろからきた難しいパス。
無理に打った分シュートのスピードはなかったが、飛んだコースは完璧だった。
ゴール枠左下すれすれ。ぼてぼてのボールがゴールの中へ転がっていった。
地元チームの得点にスタンドからこの日一番の歓声が沸き起こる。
けれども田村にも、樋口にも笑顔はない。
そして続いて長い笛。埼玉南の選手がばたばたと芝に膝をつく。
あちこちで抱き合って喜ぶ鹿学の選手たち。
そんな中、田村隆は悔しさを顔に浮かべながら、
それでも毅然と前を見てセンターサークルに戻ろうと歩いている。
樋口の表情からはなにも読み取れない。
目線を落とし、ただ疲れ果てたように、重そうに足を進めている。
たぶんダイレクトで打ったのは田村君のメッセージね。
元山にはそんな気がしてならなかった。
あの状況なら一回ボールを足下で置きなおすだけの時間はあったし、
そのほうが確実にゴールできた。
彼はそれがわからない選手ではないし、シュートを打つときも落ち着いていた。
でも、田村君はあえてリスクの高いダイレクトで打つことにこだわった。
樋口君、あなたはなぜ田村君がこだわったかわかるかしら?
元山は問いかける。届くはずのない問いをピッチを力なく歩く樋口に投げかける。
108 :
U-名無しさん:2005/07/19(火) 00:09:38 ID:Cife8tuZ0
>>103 去年引退を発表した前野。。。 (つД`)・゜
ここからどう樋口が復活するのか…ワクワク
110 :
U-名無しさん:2005/07/19(火) 08:06:12 ID:07i3K+qD0 BE:22509252-
>日本の10番を背負うといわれていた磯崎や、
今はゴルファー(未満)の磯○、、、、、、
まだちょっとワクワクにはなれないな
強烈な光を放った後、一瞬にして輝きを失った選手
ただ上手さだけは持ち合わせていて、逆にそれが悲しい
そんな奴らの顔を思い出したよ、マジコ
捏造記事やら日の丸問題やらいろんなメディアとのトラブルに見舞われても、
今だ一線にいる中田英寿の精神はやはり並じゃないという事か。
がたがたと椅子を引く音がひとしきり鳴ると、
あっという間に教室からは人がいなくなっていた。
以前は、授業が終わっても居残って、
際限ないおしゃべりを延々としていた女子たちも、
いまはさっさと挨拶を交わして、学校を出て行く。
これが受験シーズン本番ってことか。俺は妙に納得する。
三学期になってから、俺たち3年生はずっと半日授業だ。
私大やら専門学校やらの試験がはじまりだしたため、
今日も教室は空席が目立っていた。
形ばかりの授業を受けても意味がないと、
学校に来ないで家で受験勉強に励んでるやつも少なくない。
一方、推薦とかで自分の行き先をもう決めているやつは、
バイトか教習所にでも通うのだろうか、
残り少ない自由時間を無駄にできないと、
学校にもう忘れ物はないような顔をして、さっさと校門を出て行く。
ああ、別れの季節なんだなあ。
俺は実感する。そんな俺もカバンの中には受験参考書が詰まっている。
今日も帰り道に図書館によるつもりだ。
親は進路についてなにも言わないが、浪人してあまり家計に負担はかけたくない。
いままで好き放題やらせてもらった以上、
俺自身少しは勉強を頑張らないといけない。
ふと窓の外から校庭を見る。2年の男子が体育の授業をやっている。
サッカーだ。岩崎が脇に立って暇そうにゲームの様子を見ている。
俺たちの高校サッカーは、大晦日で終わった。
優勝候補の鹿学に1回戦負け。
鹿学はその後も順調に勝ち進み、準優勝という成績だった。
最初から鹿学なんて運が悪かったよなあ。そういってくる友人もいた。
他のとこだったらいいとこまで進めたかもしれないのに。
だって、鹿学とも一点差だったもんなあ。
俺たちサッカー部員はそんな言葉を笑ってやり過ごした。
鹿学と俺たちの間にどれほど大きい差があったか、
それは同じフィールドで戦った俺たちが一番よくわかっている。
鹿学と俺たちの間にははっきりとしたレベルの差があった。
プレイスピード、判断力、ゲームを読む力。大人と子どもほどの違い。
試合結果は妥当なものだし、よほどの幸運がなければ変わらないだろう。
でも、もし俺がワールドユースのときの俺だったら。
あのときのプレイができる俺だったら、どんな試合になっていただろう。
俺ははっとする。くだらないことを考えてしまった。
俺は首を振って頭の中から余計な考えを追い払う。
しょうがないじゃないか。もうお前は以前のお前とは違うのだから。
サッカーをやっていると、いろんな感覚がある。
たとえば「スペースが見える」感覚。
木の生い茂った森の中に、なぜかぽっかりと広場ができることがあるように、
フィールドにも無数のスペースが泡のようにできては消える。
誰かが、もしくは自分が動くことで、スペースは生まれ、また消える。
そのスペースを見つける楽しみ。
今あるスペース。何秒後かにできるであろうスペース。
そこにイメージどおりのパスを出して通ったときの喜び。
ワールドユースのときは、人がやっと立てる程度の
小さな円のスペースまで俺には見えるような気がしていた。
だけど日本に帰ってきた俺には、そういうスペースが見えなくなっていた。
ドリブルしているときの相手の気配もそうだ。
オランダでは、言葉も通じない相手選手が俺のドリブルに対峙したとき、
何を考えているかある程度イメージすることができた。
攻撃を遅らせたがっている、すぐさま喰いついていくることはない。
狙ってるな、足を伸ばしてくる。あ、いま俺のフェイクに吊られた。
だが俺は相手が何を考えているか読めなくなっていた。
見えていたものが見えない。感じていたことが感じられない。
プレー中に感じ続ける違和感が、
俺の視界を眼帯でもはめたようにどんどん狭くしていく。
以前なら見えていたサイドのオーバーラップが見えない。
勝負どころでだすスルーパスの走る道が見えない。
自分のプレーがどんどん悪くなっていくのがはっきりとわかった。
その頃、練習試合や大会でライン際に見知らぬ大人の姿を見ることも増えた。
プレーの切れ目にふと彼らのほうを見ると目が合うこともあった。
俺を見ている。何者だろう。
すぐにその答えはわかった。Jクラブのスカウトだ。
時折声をかけられ、試合後に話をすることもあった。
ほとんどがプレーについての他愛無い世間話だ。
表面上は普通に会話を交わしていたが、
俺には彼らの心の声が聞こえてくるような気がしていた。
「樋口はどうしちゃったんだ?全然プレーにキレがないじゃないか」
そんな俺の心にささやく声を裏付けるように、
一、二度練習参加の打診はあったものの、
やがてスカウトたちはひとり、またひとりと顔を見せなくなった。
たまに来るスカウトたちの視線も、俺ではなくタカシに向くようになった。
当然だと思った。タカシはめきめき成長していた。
チームメイトとしても頼りがいのあるフォワードになっていた。
やがてタカシにはいくつかのオファーが届き、
タカシはその中から古巣ともいえるレッズを選んだ。
タカシのサッカーにかける思い、三年間の頑張りを知っているだけに、
俺にとっても嬉しいニュースだった。
そして俺はいつしか思うようになった。
俺が一瞬でも、違うサッカーの世界を見ることができたのはモニカの力だったんだと。
モニカが持っていたサッカーの特別な力を
俺に与えてくれたから、俺は本来持っている能力以上のプレーができた。
だからモニカがいなくなり、モニカの助けがなくなったいま、
俺が平凡なプレーしかできないのも当然のことだ。
俺はそんな風に自分自身に言い聞かせた。
いくじなし!
切ないなあ・・(;´Д⊂)
宗方コーチを失ったひろみや佐為が消えて途方にくれるヒカルを
思い出させる。例えが気に障ったらゴメン
タカシのメッセージは、樋口を再生させるには至らなかったのか orz
(´・ω・`)タカシカワイソス
代わりにタカシが事故にあえばよかったのに。
121タンの鬼ィ
それで俺自身のことは納得させることもできた。
だがチームメイトにはとてもそんなことはいえなかった。
タカシはもちろん、山口も内藤も、レギュラーも控えのやつも、
みんな懸命に練習に打ち込んでいた。
口にはしなかったが、モニカのことをみんな忘れていない。
選手権に出ることで、モニカにせめてものお礼をしたい。
誰も口にはしなかったが、一人一人が心の中に熱い思いを
隠し持っているのを、練習中に何度も感じることができた。
俺も何かしたい。チームに貢献したい。
俺の中でもチームのために、という思いが大きくなっていく。
みんなの俺への期待もひしひしと感じていた。
モニカと一番コンビを組んでいた俺を軸にしたい、というみんなの心。
けれどもいくら練習しても失ったものは戻ってこなかった。
県予選では厳しいマークを受けることが多かった。
俺はその裏をかくように、どんどん周囲にパスを回していった。
自分では何もできなくなった俺が考え付いた苦肉の策だった。
時には不必要なフェイントを連発したりして、相手にはったりをかましてもみた。
すべてはごまかしだった。ギミックだ。
目の肥えた人が試合をよく見れば、俺を中心にボールが回っているようで、
その実ほとんど俺が仕事をしていないことがわかっただろう。
そんな風に敵チームの目をごまかしながら、
タカシの神がかり的な決定力のおかげで、
紙一重の差で予選を突破したときは心底ほっとした。
そして高校選手権。一回戦で負けたとき、悔しくなかったわけじゃない。
でも笛が鳴ったときに俺の心に広がったのは安堵感だった。
もうこれで楽になれる。不釣合いな期待をかけられずに済む。
もういいんだ・・。
俺は窓の外を見るのをやめて教室を出た。
三年生はもう誰もいないし、他の学年は授業中だから廊下には人がいない。
俺は廊下を歩く。ぺたぺたという上履きの足音が妙に響く。
サッカーができなくなった以上、他の進路を考えなくてはいけなかった。
まだ将来具体的に何になるかなんてわからないが、
ずっとサッカー中心の生活だったから、もっといろんなことを知りたい。
そんな考えで俺は大学を受験することにした。
時間がたって、いつか気が向けば、大学の同好会とか地域のクラブで
趣味として、サッカーは続けるのも悪くない。
下駄箱から靴を出したとき、校庭のほうから笛が鳴るのがかすかに聞こえた。
点が入ったのか、試合が終わったのか。どっちだろう。
まあいい。もう俺にサッカーは関係ない。
埼スタで試合終了の笛が鳴ったときに、俺のサッカーは終わったんだ。
上履きを靴箱にしまおうとしてふと人の気配を感じる。
「タカシ・・」
タカシの一見なにも考えてそうな笑顔。
扉の付近に置かれた傘立てにタカシが腰かけている。
「随分帰りが遅いじゃねえか。
こんな遅いと思わなかったから待ちくたびれたよ。
まあ、授業のサッカー見てたから暇は潰せたけど」
俺はなぜタカシが俺を待っていたのかがわからず、困惑する。
「ところで今日、時間あるか?」
ウホッ!
126 :
U-名無しさん:2005/07/21(木) 00:02:58 ID:crZfYlQz0
あげ
いやー
待ちage
俺たちは自転車を並べてこぎながら校門を出た。
タカシは俺を先導するように、少し斜め前を走っている。
俺は黙ってタカシの後についていく。
タカシはうちのグラウンドをぐるっと回り込むように自転車を走らせる。
学校の裏手にある埼玉スタジアムの白い屋根が近づいてくる。
タカシはそのままスタジアムの周囲に作られた公園へ自転車を乗り入れる。
今日みたいな平日の昼間では客がいるわけもなく、
スタジアムは古代の遺跡のように物言わず、静かにたたずんでいる。
スタジアムの駐輪場にタカシが自転車を止める。俺も倣う。
タカシはそのままスタジアムに向かって歩き出す。
もちろんスタンドに通じる扉は閉められているが、
タカシはその扉に連なる鉄柵に沿って歩きはじめた。俺も横に並んで歩く。
「レッズのジュニアユースにいた頃さ」
タカシがしゃべりはじめた。
「俺、出た大会のほとんどの試合で先発してた。
点だって他の誰よりもとってた。
だから、自分がユースにあがれることをこれっぽっちも疑ってなかった。
でも、秋になってクラブから言われたんだ。
俺のこと、ユースにあげる予定はないって。
進路については相談に乗るけどどうするって」
タカシが自分からレッズ時代のことを話すのははじめてだ。
俺は黙って聞いている。
「俺は全然納得しなかった。
俺より下手なやつがユースに上がっているのに、
なんで俺がだめなんだ?って思った。
なんてこいつら見る目がないんだって思った。
子どもの頃からプロになるつもりでやってきた。
俺自身は十分プロでやれる手応えを感じていた。
傲慢なんじゃないぜ。ジュニアで練習してても、試合に出ても、
こいつには負けるって思うようなやつはいなかったんだ。
だから俺はきっとプロまでいける。そう信じてた。
だけどクラブは俺のことをプロにはなれない、と判断したんだ。
ふざけんじゃねえよって思った。俺の夢を勝手に潰すなよって思った。
でも、クラブの決定だ。どうしようもない。
クラブに頼めば私立とか、多少は口をきいてくれるらしいけど、
捨てられる立場でクラブに頼るのなんて勘弁だって思った。
だから、公立の南に入ることにした。
俺の馬鹿な頭じゃちょっときつかったけど、
ここならそこそこサッカー強いし、監督は岩崎だし、
入って損はないだろうって思った」
それに、とタカシは言葉を切ってスタジアムを見上げる。
「南なら埼スタが近いからな。
授業を受けてても、グラウンドで練習してても埼スタが見える。
俺は南で伸びて、絶対に俺を落とした奴を見返してやる。
いつかプロとしてあそこに立ってやるって。
埼スタを見るたびに、落とされた悔しさを
思い出せるんじゃないかって思った」
冬の弱々しい日差しがスタジアムの屋根を照らしている。
屋根の切れ目からは、屋根の影になって日のあたらない、暗い観客席が見える。
スタジアム全体がいまは静かにたたずみ、
やがて訪れる熱狂の時をじっと待っている。そんな感じだ。
「だから正直言うと、チームにはさほど期待してなかった。
武東みたいな私立には選手集めの段階で分が悪いのは承知してたし。
あくまでも自分がどれだけ成長できるかにしか、俺は興味なかった。
チームがダメでも、俺にいい評価がつけばそれでよかった」
浦和美園駅に伸びる遊歩道が右手に見えてくる。
「最初に練習に参加したとき、ぱっと全体見てみたら、
だいたい予想していたとおりのレベルだった。
これならすぐにレギュラーになれる。問題ねえってまず思った。
だがよく見てたら、次に焦ったよ。
いたんだよ、ひとり。げ、こんな上手い奴がいるのかって。
はじめてだった、そんなこと思ったの。
もちろん常に俺がナンバーワンって思ってる訳じゃないぜ、俺だって。
他の奴見てて、ある部分なら俺より上手いなって感じたことは何度でもある。
でも、トータルで・・全体で負けてるかもしれんって
感じたのはあの時が初めてだった。
ジュニアユースでやってても、いろんなやつと試合で対戦しても、
そんな気分になったのは、あの時が初めてだった」
俺はタカシの話を聞きながら、考える。
入学した頃、上級生にそんな上手い人いたっけ?
少なくともタカシにそこまで感じさせるような先輩がいた記憶はない。
「お前だよ、お前。なに、とぼけてるんだ」
タカシが俺の方を見て楽しそうに笑った。
俺?思わず自分の顔を指さして問い返してしまう。
「嘘だろ?入学してすぐの頃っていったら・・」
中学時代も部活でやってたとはいえ、全くの無名だった俺。
当然あの頃はたいしたテクニックもなく、プレーだって見栄えしなかったはずだ。
「俺は冷静に考えてみた。俺は何でそう感じたのかってね。
正直、どれをとっても俺の方が上手かった。
ドリブル・パス・シュートは言うまでもなく、
フィジカルだって、経験の蓄積だって、精神面だって、
誰がどう見ても俺の方が勝ってる。
でも、俺の勘みたいなものが言うんだ。こいつはうまくなるって。
自慢じゃないが、俺の勘は絶対に嘘をつかないんだ。
だからそのとき俺は心に決めた。
いまは俺がリードしてるが絶対にこいつは追いついてくる。
卒業までの間が勝負だって。
卒業したときどっちがいい選手になってるかの勝負だって。
こいつに負けないようなら俺はきっとプロになれるって。」
いつのまにか俺たちはスタジアムを半周している。
右手には大きな池がある。
タカシが近くの芝を指さして座ろうぜ、と言う。
俺とタカシは池の周囲の芝生の上に並んで腰を下ろした。
「やっぱり俺の勘はあっていたんだな、お前はどんどん上手くなった。
ああ見えて、やっぱり岩崎もいいコーチなんだよ。
俺も成長したけど、お前はもっと伸びた。
最初はチームに何の期待もしてなかった俺だけど、
お前の成長を見ているうちに正直色気が出てきた。
これならこのチームででかいとこ狙えるかもしれないなって。
そしてモニカちゃんが入ってきた。
いま思うとモニカちゃんは選手としてはもちろんだけど、
コーチとしても一流だったんじゃないかな。
一気にお前の素質が全部開花した、という感じだった。
だから俺はワールドユースでお前が大活躍しても、全然驚かなかった。
俺が最初に見たときに感じたものはまちがってなかったんだ。
やっぱりこれだけのことができる力を持ったやつだったんだってな」
座った俺の目の前で、池の水面が震えるかのように小刻みに揺れている。
「サッカー、続けろよ」
横を見るとタカシの優しい目。俺は思わずはっとする。
こいつ、こんな顔ができるくらい、大人だったんだ。
俺は、いつのまにかタカシと自分の間に
埋めようのない大きな差がついてしまったような気がする。
「タカシ、すまん。もう俺は前の・・・」
もう俺は以前のようなプレーができないんだ。
ワールドユースの時のような俺じゃないんだ。
あれはモニカが一時見せてくれた奇跡だったんだ。
その先は言わなくてもわかってるというように、
タカシがすっと俺の言葉を引き取る。
「わかってるよ。お前がずっとスランプに陥ってるのは。
チームのみんなだって気づいてた。
でも、結局みんなお前から実力でレギュラーを奪えなかった。
だから俺たちのチームは最後までお前を使って、お前に頼るしかなかった。
あいつらもわかってるよ。
内藤も山口も高田も、みんなお前のいないところで自分を責めてた。
自分たちの力が足りなかったがために、樋口に負担をかけちまったってね。
もっと俺たちが頼りになる存在で、樋口の気分を楽にしてやれたら、
お前のスランプだってもっと軽くなったのかもしれないって」
みんなの顔が思い浮かぶ。馬鹿なことばかりいってた仲間。
みんなそこまで・・俺のことを考えててくれたのか。
ふがいない、だらしない俺のことを。
「お前が自分のことを、モニカちゃんの助けがあったから、いいプレーができた。
モニカちゃんがいなくなったから、もうたいしたプレーはできない。
そんな風に考えてるのは見ててわかったよ。
でも、それって違うだろ。
モニカちゃんは確かに死んじまったけど、
モニカちゃんがこの世に生きてたという事実がなくなるわけじゃない。
プロになることしか考えてなかった俺に、
モニカちゃんはサッカーの楽しさってのを改めて教えてくれた。
モニカちゃんは確かに俺たちと一緒にいたし、
俺たちはいつでもモニカちゃんのことを思い出せる。
死んでしまったからすべてがきれいさっぱりなくなっちまうわけじゃない。
だから、お前自身の力、モニカちゃんが伸ばしてくれたお前の力。
それは決してなくなったりはしない。いまでもお前の中に脈々と息づいてる。
だからサッカーを続けろよ。
俺の勘が正しければお前は相当なところまでいけるはずなんだ。
俺はレッズに行く。レッズでレギュラーをとって、
代表になって、俺は絶対に一流のプロサッカー選手になる。
だが、お前はそれよりももう少し上を見られるはずなんだ。
だから・・サッカーを続けろよ」
この前まで一緒に馬鹿な、くだらないことを言い合っていたはずなのに。
なんかタカシだけ、大人になって。
「タカシ。お前、俺に腹は立たないのか」
俺の問いにタカシはにやりと笑って、
「青春ドラマみたいにパンチしちゃうのか。それもいいかもな。
もちろん、お前のだらしなさにまったく腹が立たないって言ったら嘘になる。
でもな。俺なりにわかってるつもりなんだ。
お前がどれほど悲しくて辛かったかは。俺なりに、だけどな」
タカシのはにかむ横顔。俺はすべてを悟る。
いや、いま悟ったんじゃない。ずっと前から気づいていたのに。
俺は無理矢理気づかないふりをしていた。
そう、タカシだってきっとモニカのことが好きだった・・・。
俺と同じくらい、モニカのことが。
タカシだって、悲しくて辛くてどうしようもなくて。
きっと俺と同じくらいのやりきれなさを抱えて。
それでも、タカシは歯を食いしばってその悲しみを乗り越えた。
俺は、俺は・・。タカシの気持ちがわかっていたか?
俺だけが何もわかっていない、辛いことに背中を向けて
膝を抱えて泣きじゃくる子どもだったんじゃないか?
「まあ本音言うとそんなに心配してる訳じゃないんだけどな、
お前は絶対サッカーから離れられないよ。
一応、今日の話は念のためにってとこだな。
しばらく離ればなれになるけど、そのうちそこで会おうぜ」
タカシは楽しそうに笑って後ろを指差す。
振り返ればスタジアムの巨大なスタンドが、
そっと俺たちを包み込むように見守っていた。
・゚・(ノД`)・゚・
タカシを友人にもった樋口は幸せモンだ・・・。゜(゚´Д`゚)゜。
くそ、泣きそうになってしまう自分が悔しいw いつもありがとう作者タン。
139 :
U-名無しさん :2005/07/22(金) 02:29:01 ID:1k4Q5n1y0
保守
いい話や…しかしなんで大学に進学してもスランプ続いてんだ?
いや、これから徐々に復活だろ。
てゆーか、たかしが死ねば良かったのにって言ってた奴、出てこいゴルァ!!
(;´Д⊂)号泣。。。
ああああああ泣けるじゃねーかこんちくしょう!!!
今読むんじゃなかった。。。
これから出かけなきゃならんのに、目あかいしヤバすぎす。・゚・(ノД`)・゚・
タカシ素敵すぎ。・゚・(ノД`)・゚・。
職場でもこの物語の事ばかり考えてる。
暑い中外に出るとモニカの事を想う・・。
モニカは夏がよく似合う太陽のような少女だったし・・。
俺はカバンを学校の駐輪場に止めてあった自転車の前かごに放り込む。
日増しに学校に来るやつの数が少なくなっている。
校門を出ていく3年生の数も目に見えて減っている。
これからどうしようか。図書館に寄ろうか。
前だったら迷うことなんかなかったのが、
ついつい考え込んでしまう俺がいる。
タカシと話してから、俺の心の中で何かがうずきはじめている。
次の日からタカシの姿は学校から消えた。
もうすぐはじまるレッズのキャンプに備え、自主トレに励んでいるらしい。
俺は行き先も決めぬまま、とりあえず自転車をこぎだす。
俺は・・まだサッカーがやりたいのか?
自分自身に問うても答えは帰ってこない。ただ何かが俺の中でうずく。
タカシはああいってくれたけど、プロのスカウトから
使い物にならないという烙印を押された俺が、
このあとどうやってサッカーを続ける?
大学だって願書の受付は終わり、早いところは試験がはじまっている。
いまからサッカーの強い大学に変更しようにも間に合わない。
受け入れてくれるところを探して、片っ端からクラブの門を叩いてみるか。
トライアウトだって一ヶ月前に終わってしまってる今、
俺を受け入れてくれるところがあるとは思えない。
じゃあこのまま、普通に大学に行く道を選ぶのか。
わからない。答えが出ない。
結局、考えがまとまらぬまま、家に帰ってきてしまった。
家に入りいつものように部屋にあがろうとすると、おふくろが俺を呼び止めた。
ん?と声をかけておふくろのいる台所に顔を出す。
「モニカちゃんのお母さんから電話があったわよ。
何かお前に渡したいものがあるんだって。いってらっしゃい」
おふくろは正面から俺の顔を見据えていった。
俺は黙ってうなずくと家を出た。
モニカの家はそんなに遠くない。自転車で行ける。
俺は一目散に自転車をこいだ。
何も考えずに、頭の中を真っ白にして全力でこいだ。
汗が額から噴きだし、脇の下を流れ落ちていく。
モニカの家に着くと、インターホンを鳴らす。
すぐに返事があり、ちょっとするとお母さんが家のドアを開けて出てきた。
簡単に挨拶して、お母さんの後に続いて家の中に入る。
ああ。
まだ、この家には悲しみが満ちている。
それもそうだろう。モニカはお母さんにとってかけがえのない娘だ。
まだガキの俺には血を分けた肉親を失う悲しみは想像もつかないが、
きっとそれは想像もつかないつらさなのだろう。
部屋に通される。仏壇が置いてあった。
多少、この家のイメージとミスマッチな雰囲気もするが、
俺は自然とその仏壇の前に座っていた。
俺はお母さんに断ってお線香を上げさせてもらう。
葬儀の時と同じ写真が仏壇の中に飾ってある。
しばらく手を合わせた。
気がつくとお母さんがお茶とお菓子を用意してくれていた。
お礼を言って正座する。お母さんも俺の向かいに座る。
「葬儀の時はせっかくお越しいただいたのに、
ゆっくりご挨拶もできなくて申し訳ありませんでした。
あんなにお世話になっていたのに、
きちんとお話しもしないまま、こんなに時間も経ってしまって。
ほんとうにごめんなさい」
俺は、いえ・・と口の中でもごもごする。
「モニカに親切にしてくださったそうで、ほんとありがとうございました。
あの娘が日本での生活になじめるか、非常に心配だったものですから・・
でも、ほんとうにみなさんによくしていただいたようで・・。
学校から帰ってくるといつもサッカーの話でした。
サッカー部の皆さんの話、あなたの話もたくさん聞かされました。
ごぞんじのとおり、サッカー以外は何の取り柄もない娘でしたので・・
そのサッカーを通じてお友達がたくさんできたんですから、
モニカもほんとうに幸せだったと思います」
モニカのお母さんは静かな語り口で話した。
「あ、ごめんなさい、そんな話をするために、お呼びしたのではないんです。
お恥ずかしい話なんですが、ようやくちょっとずつ
モニカの品物の整理もはじめましてね。
半年もなにやってたんだ、と言われてしまいそうですが、
やっぱりなかなか手がつかなくて・・いろいろ思い出してしまうものですから。
それで今日はどうしてもあなたにお渡ししたいものがありまして・・・」
お母さんは後ろを向いて棚から何かを取り出すとそれを机の上に置いた。
「これは・・・」
そこにはモニカにもらったのと同じデザインのお守り。
ただよく見ると前にもらったのとは色が違うし、書いてある文字も違うようだ。
「話をモニカから聞きましてね・・
サッカーの大会に出かけるのに交通安全のお守りを渡してしまうなんて、
ほんと恥ずかしいったらありゃしない・・・・
でも、あの娘はとうとう最後まで漢字はほとんど読めませんでしたからね・・」
そこまで話してこみ上げるものを抑えきれなくなったのか、
モニカのお母さんがハンカチで目頭をぬぐった。
「それであなたが出かけた後、一緒に神社へ出かけましてね、
今度は間違えないようにと私も付き添って。
何がいいのかとは思ったんですが、
やはりずっと健康でサッカーができるようにということで
無病息災のを買いましてね。
モニカも喜んで、今度は間違いない、と。
オランダからあなたが帰ってきたらすぐ渡すんだ、と言っておりました」
前に置いてあるお守りを手にとってみる。お母さんの話どおり、無病息災の文字。
「部屋を整理してましたらそれが見つかりましてね。
もっと早くお渡しできれば、よかったんですが・・。
死人からの贈り物というのも、あまり気分のよいものではないとは思いますが、
モニカのそんな気持ちもありましたので、
できればあなたにもらっていただければと思って今日はお呼び立てした次第です」
手の中でお守りはほんのりと暖かい。
お母さんの優しさなのか、それともモニカの魂なのか。
ありがとうございます、ぜひ僕にください。俺は返事をした。
「私はアメリカ人と結婚しましたが、やはり根は日本人でしてね。
長いことアメリカで暮らしまして、特に不都合もなかったんですが、
やはり少し落ち着かない部分がどこかにありましてね。
主人の仕事の都合で日本に住むことになって正直、嬉しくて。
けれども、モニカはずっと子どもの頃からアメリカで育ってましたから、
日本という国にうまくなじめるかどうか不安だったんですね。
でもほんとうにみなさんのおかげで、
モニカもどんどん日本が好きになっていって・・
アメリカも好きだけど、お母さんの国も私、好きだよって言ってくれました。
ほとんどがサッカーを通じたおつきあいでしたが、
みんな、とっても優しい人ばかりだよって。優しい人のたくさんいる国だねって」
俺は何も言えずに聞いている。
違う、モニカがいつも笑ってそばにいてくれるから、みんな幸せになって。
だからみんなどんどん優しくなれたんだ。みんなモニカのおかげなんだ。
「事故の前の試合、ワールドユースというんですか?
オランダの大会、テレビで見ました。
中継も遅かったんですけど、モニカが見るって言って聞かないものですし、
お友達のあなたが出るというので、私もついつい
つきあってしまって・・寝不足になりながら拝見してました。
モニカが本当に嬉しそうに、この子は本当に天才なんだよ、
最初は私からボールもとれなかったのに、めきめきうまくなったんだって。
絶対に日本を代表する選手になるから、お母さん覚えてるんだよって。
同じことを何度も言ってました。
モニカの言うとおり、ほんとうにすごい活躍で・・
モニカも大喜びでした。私の言ったとおりでしょうって」
俺の目からは涙がこぼれおちる。一度、落ちはじめた涙はもう止まらない。
耐えることなく俺の頬を伝い続ける。
モニカ。視界がぼやける。
「私から申し上げるようなことではないんですが、
これからもサッカーのほう頑張ってくださいね。
きっとそれがモニカが一番喜ぶと思うんです。
あの娘はほんとうに日本のサッカーが好きでした。
だから、これからも頑張って活躍してくださいね、勝手なお願いですけれど・・」
モニカ。
ずっと一緒にサッカーをしたかった。
サッカーの話をしていたかった。
俺が点を決めたときは、同じピッチで、ベンチで、スタンドで、
ずっと一緒に喜んで欲しかった。
モニカ。ずっとそばにいてほしかった・・・
俺は泣き続ける。
ここでアレか・・・゚・(ノД`)・゚・
母しゃべりすぎw
>>141 すみません、私です、撤回します。
今日はU−31を読んだ時以来、熱い気持ちになりました。
155 :
U-名無しさん:2005/07/23(土) 01:14:53 ID:Ch9ZOlOT0
泣けた
タカシの話は良かった。母話はもうちと練れたような
157 :
U-名無しさん:2005/07/23(土) 04:34:13 ID:kpIE/lYgO
泣いた…今日のはどうしようもなく泣けたよ…
>>148-151 会話はいうまでもなく小説を作るうえでとても重要な条件なのですが、
その便利さゆえに使い過ぎて失敗を招くことがあります。
ストーリーの展開や登場人物の心情を会話を利用して
簡単に読者に伝えることができるために、しばしばというより、
ほとんどの小説が頻繁に使用しています。
地の文が面倒になったというだけで、たちまち会話に逃げるのです。
余りにも説明的に過ぎる白々しい会話が、日常使われている会話とは
程遠い会話が積み重なることによって、その作品全体が易きに流れ、
リアリティを失い、浮きに浮いてしまうのです。
母親はともかくタカシの話はグッときた。ウホッ
タカシはともかく母親の話はグッときた俺はどうすれば……
>160
ママンに気持ちを伝えなさい
>>158 そりゃ一人称独白という形式も似たようなことが言えるわけで、
もともとこの作品には創作技術的にさほど高度な技術は使われてない。
せいぜい「腕のいい職人」レベルでしょ。
ところが最初のお題を上手にまとめそこなった時点で、職人としては失格なわけで、
もはや信者以外は読むのが難しいスレになってきてる。
そろそろスルーするのが賢明かと。
(´-`).。oO(このスレで話終わらなかったら、そんとき叩こうよ)
つーかなんで批評オタが湧いて来てるんだ?そんな不満なら自分で書けよ、ご立派な物が書けるだろうしな。ここには二度と来るなカス
↑
ここが大勢が使う掲示板ということを忘れた典型的な信者の反応。
でも、面白いからといって煽らないようにね。
なんか書き物の技術とか言ってる、気持ち悪いやつらが湧いてるな。
ここは、そういうスレじゃないからw批判したけりゃ、別の板でスレでもたててやってね〜w
ID:IzSK5HR+0
↑
こいつはスルーだな もうここには来るなよ。
どんな掲示板でも流れや暗黙の了解というものがある。
大勢が出入りするからといってそれを無視した書きこみは注意されるのが当然。
まぁ社会生活してない者には分らないかもな
IzSK5HR+0 はスタジアムでサポートもせず「トラップする時の身体の向きが・・」なんて理屈こねてるクチだろ
キモヲタの思惑通りになってるぞ、スルーしろ
>>83の報告にあるように、
あっちの板から流れ込んできてるのかな・・・
170 :
U-名無しさん:2005/07/24(日) 00:20:46 ID:pVbcpPNaO
ウンコー!
「スレ違いのためスルー」
これで充分だ
つか、小説は技術じゃないよ。
何を書こうとするかの方がずっと大事。
面白さなんて、思い入れの有無で決まるようなもんだし。
朝靄。冬の寒さが朝の公園を包んでいる。
かすかにもやがかったような空気。
部活がなくなっても、この日課だけは変わらない。
毎朝の公園通い。寒さが随分きつくなった。
白い息。かじかむ手足。
馴染むまではボールの感触が肌にちょっと痛い。額から肩、腿へ。
体が温まり、皮膚の細胞とボールの皮が馴染んでいくのがわかる。
その時、俺の視界の端に人の姿が目にはいる。
俺は相手の顔を確認すると、指を動かして取りに来い、というサインを送る。
相手が軽く笑うと、一気に走ってきて間合いを詰めた。
右側から取りに来た。俺は左の腿にボールを乗せて左へターン。
いいダッシュでそのまま回り込んでくる。
ちょっと卑怯だが、ボールを軽く蹴り上げて反転し、背中を入れさせてもらう。
体でしっかり隠してしまえば相手は手も足も出ない。
いったん足元に落としたボールを、右足ヒールの内側で跳ね起こす。
ボールが俺の足を蛇のように這い上がってくる。
しばらく左右に追い回していた彼女があきらめたように両手を広げた。
「一年ちょっとでめちゃくちゃうまくなったわね」
「この公園に人が来たのは久しぶりだよ。
もしかしたら、と思ったけど、本当にここへ来るとは思わなかった」
アメリカの女子代表が日本遠征に来ている、というのはニュースで知っていた。
もちろんシンディもメンバーに選ばれている。
「思ったよりも元気そうね」
軽い口ぶりに真剣な目。
「ああ。もう大丈夫だよ」
俺の返事にシンディの目尻がほっとしたように下がる。
そう、いまの俺は自分のすべきことがわかっている。もう迷いはない。
「ところでちょっと連れてってほしいとこがあるんだけど時間ある?」
何の変哲もない道路。
まっすぐ伸びた見通しのいい道。
なんでこんなところで事故が起こったんだろう、と
シンディはやるせない気持ちになった。
モニカの家は葬儀の後訪問していたが、
事故の現場に来るのは今日がはじめてだった。
日が高くなるにつれ、徐々に車の通る量が増えてきた。
ガードレールの向こうをひっきりなしに車が走っていく。
持ってきた花を樋口が教えてくれた場所に置く。
二人で並んで立って、そっと手をあわせた。
亡き友の冥福を祈る。
ねえ、モニカ。さっき私、彼からボールとれなかったよ。
いやんなっちゃうよね。
一年前は私たちに手も足も出なかったのにさ。
きっとこうやって男との差が開いていくんだって納得しちゃった。
まあ、女子相手なら絶対に負けたりしないけどね。
オリンピックもワールドカップも獲ってくるから、応援するのよ。
メダルとかとったら見せに来るからね。
シンディはゆっくりと友の冥福を祈ると、目を開けた。
隣の樋口はまだ目を閉じたまま、手をあわせている。
真剣な横顔。きっと話すことがたくさんあるのだろう。
話し終わるのを静かに待とう。
横目で樋口を見る。その時シンディは樋口の背中が妙に光っているのに気づいた。
私の目が変なのかしら?樋口の背中が白い光に覆われている。
よく目を凝らすと樋口の背中から羽が生えている。白い翼。
シンディの目の前で、羽の像は急激に薄くなりあっという間に消えた。
あまりの不思議な光景にシンディは声も出ない。
やがて樋口が目を開けた。シンディの視線に気づき、
怪訝そうな顔で、どうかした?と尋ねる。
シンディは少し考えたが、やがて黙って首を横に振った。
ううん、なんでもない。
樋口は納得したように笑うと、じゃあいこうか、とシンディを促す。
シンディは樋口と並んで歩きながら、いま自分が見たものについて考える。
人の背中から羽が生えるなんてありえない。
私の目が幻覚を見たに決まっている。
けれども。シンディはそっと隣の樋口の顔を盗み見る。
彼はあの時、何かを取り戻したのかもしれない。
自分がいま見たものの正体。それはきっと誰にもわからない。
憑いてたか…
177 :
U-名無しさん:2005/07/25(月) 00:39:32 ID:wflIjf2u0
今日読み始めたけどすげえ面白い
おおぉぉぉおぉぉ
シンディきたああぁぁぁぁぁぁぁああ
。゚(゚つД`゚)゚。
179 :
U-名無しさん:2005/07/25(月) 01:12:01 ID:BPqWV7To0
本になったら買います
戻ったんだ・・ 本来の樋口に (;´Д⊂)
白い翼はおれにもあるかな・・
お、日曜夜に新作が。
前スレ21さんは仕事とか大丈夫なんかな?
樋口のスタンド能力?
オーバーソウル?
>>173 >皮膚の細胞とボールの皮が馴染んでいく
樋口 感覚を取り戻したのか!・゚・(ノД`)・゚・。
>>184 いや、それはいつもやっているリフティングで
「のってきた」って表現で、「忘れていた感覚」ってんじゃないと思う。
シンディヒロイン候補に急浮上
がんがれ樋口
俺は新宿駅近くの喫茶店の入り口に近い席に座っている。
静かな感じの店で、周りの客を見ても会話してるグループは少なく、
ほとんどがひとりで黙って本や新聞を読んでいる。
新宿に遊びに来たことぐらいはあるが、
こういう感じの店に入ることはないので、
大人の中にいきなり放り込まれたようで微妙に居心地が悪い。
さっき無表情な店員の置いていったアイスティーのグラスが、
冬だというのに俺と一緒に汗をかいている。
岩崎のところに相談にいったのは一昨日のことだった。
俺はストレートに自分の気持ちを岩崎に話した。
サッカーを続けたい。
いまさら進路相談なんて虫のいい話だとは承知していたが、
そういう相談ができる大人は俺の周りには岩崎しかいなかった。
俺のわがままな話に怒っているのか、それとも何も感じていないのか、
岩崎は表情を変えずに黙って俺の話を聞き、最後に一言、
「明日授業が終わったら俺のとこに来い」とだけ俺に告げた。
三年近く付き合っても、岩崎が腹の中で何を考えてるかわからない。
翌日、職員室に顔を出した俺に、岩崎は一枚の紙を渡した。
手書きの地図だった。新宿駅近くの喫茶店の場所が示してある。
「今日の二時にその店で待ってろ。
お前の相談にのってくれそうな人にお願いしておいた。
その人に相談してみろ。俺ができるのはこれくらいだ」
俺は岩崎に礼を言うと地図を持って職員室を出た。
そしていま、地図に書かれた喫茶店で待っている。
しかしここへ来ることになっている誰かは俺の顔をわかっているんだろうか。
このまま待ちぼうけ、ということはないだろうな。
俺が少し不安になったとき、
「おう、待たせたな。すまなかった」
顔を上げるとそこには意外な人物の顔があった。
「小熊監督・・」
「もう別にお前の監督ではないから、普通に呼んでくれ。
あ、ホットコーヒーひとつ」
通りかかった店の人に口早に注文すると、
小熊さんはコートを脱いで脇に置くと、俺の前に座った。
「ワールドユースの時は・・お世話になりました」
「いや、こっちこそ。みんなよく頑張ってくれた。
俺からも礼を言いたい。
樋口とは最後、落ち着いて話できなかったからな」
小熊さんの複雑な表情。
そうあの時の俺は、モニカの葬儀に出るため、
チームメートに挨拶もできずにチームを離れたのだった。
小熊さんとも顔を合わせるのはあの時以来ということになる。
「で、樋口。今日、俺がここに来たのは、
岩崎から電話がかかってきて、
樋口の進路について相談に乗ってやってくれって言われたからだ」
確認しておきたいのはひとつだけだ。
お前、ほんとにサッカーやりたいのか?」
小熊さんの目が俺を射る。身がすくむほど鋭い。
目をそらさず、正面から小熊さんの目を見て俺は答える。
「やりたいです」
小熊さんは口の端をちょっとあげながら、
俺の言葉の余韻を楽しむように、二、三度満足げにうなずいた。
「わかった。これから俺が説明するから話を聞け。
お前がこの先サッカーを続けたいのなら選択肢は大きく分けて二つだ。
どこかのクラブに入るか、大学のサッカー部に入るか、だ。
お前自身もサッカーやってるんだから承知してるだろうが、
もういまの時期、どこのJクラブも編成は終わっている。
早いところではもうキャンプインして、
チーム作りに取りかかろうっていう段階だ。
クラブってのは、何年か先の姿も見据えてチームを編成している。
即戦力補強として獲得する外国人選手とかは別枠だが、
日本人選手については、メンバーの年齢構成、ポジションごとのバックアップ、
下部組織から入ってきそうなやつ、そろそろ引退しそうなやつ。
諸々のことを考慮に入れて、綿密な計画に基づいて編成されてるんだ。
ワールドユースで活躍したお前の存在は魅力だが、
プロの世界ではまだ海のものとも山のものともわからぬ新人選手だ。
毎年ユースで一番のやつや高校選手権で大活躍したのがプロ入りする。
どいつもその年代じゃ、怪物とか超高校級と評判になってたやつだ。
でもシーズンが終わったとき、リーグどころかカップ戦で
出番をもらえればルーキーとしては上出来の部類だ。
一分もトップの試合に出られないやつもごろごろしている。
いくらお前の名前をみんな知ってても、
チーム編成が固まったこの時期になって、
そんなあてにならない新人選手と契約しようと言うクラブはまずない。
体制が柔軟な小さいクラブで、補強の見込み違いとかで
予算が余ったところとかだったら、おまえを取りに来る可能性はあるが、
それはあくまでも失敗した補強の穴埋め扱いだ。
それでも新人に手を出すなんていったら、
それは相当現有の選手層が薄くて困ってるところだ。
よくてJ2の中位レベル、普通ならJFLクラスが妥当だろう」
J2、JFL。スタート地点はどこでもいい。
もう一度、自分自身の力がどこまであるのか試してみたい。
そんな気持ちが表に出てたのか、小熊さんは俺の顔をにやりと見て笑うと、
「サッカーさえやれればどこでもいいって顔をしてるな。
そういう気持ちを持っていることは大事だ。忘れるな。
だが、岩崎から頼まれた以上、俺はシビアに考えるぞ。
J2やJFLの魅力は実戦経験を積めるチャンスが大きいことだ。
その意味ではJ2で早くプロの試合を知るという選択肢はある。
だが俺は今回は薦めない。
なぜか?お前はプロを目指すのだから覚えておくといいが、
プロというのは契約に縛られるものなんだ。
プロになるために、プロだからこそ、契約しそれに拘束される。
今年慌ててJ2クラブと契約を結べば、お前は今後それに縛られる。
お前が成長し力をつけてJ1へ行きたいと思っても、
クラブがそう簡単に出すとは限らない。
昇格が見える位置にいるクラブなら一年、二年待たされるかもしれん。
俺はお前の能力を高く買っている。
いますぐJ1でやれる力があると思っている。
だからお前の成長の足枷になる可能性のある選択肢は薦められない。
決して俺はJ2を馬鹿にしている訳じゃない。
だがプロのサッカー選手とは、
レベルの高いリーグへ、一つでも上のカテゴリへ、
自分の能力をフルに発揮できるチームへ入るために全力を尽くすものなんだ。
それがプロだということはお前もよく頭に叩き込んでおけ」
小熊さんの険しい視線。プロの世界。俺の背筋はさっきから伸びっぱなしだ。
「じゃあJ1でって話になるが、さっきいったように
J1のクラブぐらい体制がしっかりしてれば編成はもう終わってしまってる。
仮に抱えてる選手数に余裕があったとしても、
プロ契約っていう以上、ただじゃないからな。
お前に直接払う年俸だけじゃなく、
選手を一人多く抱えることで付随して様々なコストがかかる。
いくつかの裕福なクラブを除けば、
どこも運営費には四苦八苦してるのが現状だし、そう簡単に話は来ないだろう」
俺自身のためにこの半年は必要な時間だったとは思う。
だが、俺が貴重な時間をロスしたことを改めて痛感させられる。
「ところで、岩崎に聞いたんだが、お前、学業優秀なんだって?」
「はぁ?」質問の意図が読めずに思わず気の抜けた声を出してしまう。
「大学受けるつもりでいたそうだが、どこ受ける気だったんだ?」
俺は、都内の大学の名前をあげる。
岩崎は軽くひゅーっと口笛を吹いた後、
「サッカー部は強いのか?」
「確かおそらく都の二部か、三部あたりだったかと」
あまり強くないのはインターネットで調べて知っていた。
「あそこの監督は・・そうか樺沢さんか。ますます具合がいい」
小熊さんの顔に楽しそうな笑顔が浮かぶ。
あまりに楽しそうなので、思わずきょとんと顔を見ていると、
「樋口、お前、俺を信じられるか?」
急に真顔に戻って身を乗り出す。
はい、とうなずく。
れっきとしたJクラブの監督が、一高校生のために
わざわざ時間を作ってくれていることの重みは理解しているつもりだった。
「じゃあ、これから俺がいいと思う方法について説明するからよく聞け」
そして、小熊さんはこれから俺がやるべきことについて話しはじめた。
今日はここまでか?
俺は大学とか詳しくないんだけど、これも元ネタあり?>樺沢
>>193 都の2,3部リーグで口笛を吹かれるくらいの
偏差値の大学っていうと早稲田かな?
おれも早稲田が思い浮かんだ
ひょ(ry
つーか早稲田しかないよなぁ
樋口はサッカー上手くて頭良くてイケメンか…
いや、だって不細工だったらモニカやシンディーも声掛けようとしなかっただろうし。
早稲田は都リーグ2部までは落ちてないよね。
ちなみに今年の都2,3部で頭よいとこだと
東大、東工大、一橋、東京外語、上智あたりですね。
こんなとこでリアリティー求めてもしょうがないんだろうけれどw、漏れは上智に一票。
>樋口はサッカー上手くて頭良くてイケメン・・ヽ(`Д´)ノ
>>188 樋口はシンディの茂みに顔をうずめ
まで読んだ
202 :
U-名無しさん:2005/07/26(火) 12:30:19 ID:uesMlboW0
本になったら俺も買うだろうなぁ
203 :
U-名無しさん:2005/07/26(火) 12:33:51 ID:uesMlboW0
>岩崎は軽くひゅーっと口笛を吹いた後、
岩崎いたんだw
205 :
U-名無しさん:2005/07/26(火) 19:07:43 ID:Nk6jjW1R0
>>199 それじゃパンチがないよ。やっぱ「東京大学運動会A式蹴球部」でしょ!
意外なとこで東京朝(ry
もう物語も終盤だなんて辛い・・。
ずっと読み続けていたい小説だし、何より樋口にホレ込んでしまった
自分としてはもう会えなくなるなんて寂しい。
どうかじっくり書いて下さい。
結局、俺は小熊監督のアドバイスに従って、
FC東京の練習生としてサッカーを続ける道を選んだ。
大学の合格発表が終わり、無事合格した翌日から俺は、
小平にあるFC東京のグランドに通いはじめた。
練習着こそ貸してもらえたが、俺だけが背番号もユニフォームもない。
もちろん公式戦には出られない。それが俺の新しいスタートだった。
練習に参加してしばらくはプロのスピードにとまどった。
かつてワールドユースでJの選手と一緒にやっていたとはいえ、
プロのスピードに対しては、半年以上のブランクがあった。
ピンボールマシンのようにすさまじいスピードで、
ピッチを移動するパスについていくのがやっとだった。
だが練習に参加し続けるうちに、いい意味で慣れてきた。
徐々に感覚が戻ってきたといってもいい。
少しずつ去年オランダで体に刻んだプレーの記憶が甦ってくる。
あの時のメッシのスピードを俺の体は忘れてはいなかった。
大丈夫、このスピードなら俺は慣れていける。
やがて周りが見えてくる。四角いピッチが自分の世界になっていく感覚。
俺の中で少しずつ手応えがわいてきた。
久しぶりに味わう自分が成長している実感。
もちろん練習の中心は、レギュラーとベンチ入りするメンバーだ。
練習生の俺は、あくまでもその相手役。
調整のための練習試合でも、他のみんなが自分のポジションについた後、
空いているポジションを埋めるのが役割だ。
サイドハーフ、サイドバック、ボランチ、なんでもござれだ。
ピッチに立っているプレイヤーの中で一番下の存在。
それでもプロの中に混じってサッカーをすることができる喜びで、
俺は楽しくてしょうがなかった。
やがてJリーグが開幕。春が来て四月になり、俺は大学生になった。
大学のサッカー部に必ず入部して活動すること。
これは小熊監督に必ず守るように何度も言われた。
「正直、お前の大学のサッカー部のレベルはさほど高くはない。
だからそこで練習する時間は無駄だ、という考え方もある。
だが、お前は大学のサッカー部に加入して活動しなければならない。
理由はふたつある。
ひとつは、せこい話だが特別指定の関係だ。
特別指定とはそもそも学校の部に在籍しながら、
プロの試合にも出られるという制度だからな。在籍してなくちゃ話にならん。
ふたつめは、そこでお前が技術以外の何かを学べると考えるからだ。
いま、お前はサッカーへの気持ちを取り戻している。
だが俺の目から見ると、それはまだろうそくの炎のように
弱く頼りないものだ。なにかアクシデントがあったら消えてしまうような。
誤解するな、お前の気持ちを疑ってるわけではない。
だけどお前には単に高いレベルを追うだけでなく、
自分のサッカーへの気持ちと向き合うような時間も必要だということだ。
大学ではなんでお前はサッカーをやりたいのか、よく考えてこい」
俺は入学式が終わると、すぐにサッカー部への入部届を出した。
監督の樺沢さんには名前どおりかばみたいな穏和そうな人で、
小熊さんから話が通っていたらしく、
「うちのチームをよろしくお願いしますよ」と
こちらのほうがお願いをされてしまった。
だが樺沢さんがそんなお願いを俺にした理由がすぐにわかった。
うちの学校のチームがそんな強くない。それは事前に承知していた。
だがその割にうちのチームは部員数が多いのだった。
一応、体育会系ということになってるが、
樺沢監督の人格そのままに間口が広いというか来るもの拒まずというか。
監督の指示で入部した俺が初日の練習でやることになったのは、
俺と一緒に入った新入部員たちのコーチ役だった。
しかも経験者ですらない。
大学入学を機にサッカーをやってみたいという部員のグループだった。
「彼らにサッカーの楽しさを教えてあげてください」
俺を呼んだ樺沢監督は、彼らのいる場所を示しながら俺にそう言った。
「やり方は君に任せますから。
彼らがサッカーが大好きになるように、練習をしてください」
そう言われた俺は途方にくれてしまった。
高校時代も、一応後輩にアドバイスぐらいはしたことがある。
だがそれは指導といえるようなものでなく、
見て気になったことを口にした、という程度のものだ。
グループの前に立ってみると、みんな緊張した表情で俺を見ている。
サッカーだったらまあなんとか教えられるかもしれない。
でもサッカーの楽しさを教えるってのはどうすればいいんだろう?
迷ったがあげく、俺はとりあえずキックを教えることにした。
ひととおり適当に蹴らせてみると、みんな運動神経がそこそこあるらしく、
ボールを蹴ってる場所はメチャクチャだが、
脚力任せの自己流でもまあまあいい球が蹴れている。
次に順番に一人ずつ前に立ってもらって、俺のすぐ前でボールを蹴ってもらう。
ひとりひとり声をかけながら、
ボールへの足のあたり方を直接足を触って動かしながら教えていく。
すぐにボールを蹴る音が、抜けのいい澄んだ音に変わった。
「うぉー、すげえ。俺があんな速い球蹴れちゃったよー」
「全然レベル違うけど、ロベカルってこういう感じなのかなぁ」
まるで小学生のように自分の蹴ったボールに興奮して喜んでいる。
何度も何度も本人が嫌にならない程度に、足とボールの当たりを見てあげる。
かかる時間は個人差で違ったが、みんな自分の蹴る音が変わる感覚が掴めたみたいだった。
あとはしばらくほうっておけばいい。俺はしばらく自由に練習するように言った。
自分でいろいろ試してみて、
感覚をもっと確かなものにしたり、逆に感覚がなくなってしまったり。
どんな方向であれ、自分で思い思いに試すようになる。
適度なところで休憩をとる。汗をかいて初顔合わせの緊張も解けたのか、
そのまま話が弾む。俺もその輪の中に入る。元々は同じ一年生だ。
「俺、ずーっとサッカーやりたかったんだけど、
中学・高校とサッカー部なくてさあ。
子どもの時から親がやらせてくれてたらなあって思うよ」
「俺もそう。中学んときにサッカーやろうかなあって思ったけど、
みんな少年団とかでやってきてるじゃん。
なんかレギュラーなれなくてつまんなそーだなって思って、
他の部行っちゃったんだよなあ」
笑いの輪。
「でもほんと幸せだよなあ。もうサッカーなんて縁がないと思ってたもん。
張り紙に「初心者大歓迎」ってあるから、
これが最後のチャンスって思って入ってみたんだけどよかったなあ」
「しかも教えてくれるのが現役のJリーガーだもんなあ」
おやおや随分話が広まるのが早いな、と思ったが、
その言葉を聞いたみんなが俺の顔を見て驚いている。
そこで俺は簡単に自己紹介する。
聞いているうちにワールドユースを思い出した人もいたらしく、
「あの樋口?」俺は笑ってうなずく。
「プロとかだとやっぱりテクニックとかも全然違うんだろうなあ」
「そりゃそうだよ。プロになるやつなんて俺たちから見たら化け物さ」
俺は笑って立ち上がり、ボールを足下に置く。
輪になって周りに座ってる連中から拍手がわく。
212 :
U-名無しさん:2005/07/26(火) 23:17:27 ID:PHPx04iB0
ボールを転がしながら最小限のヒールの動きでリフトアップ。
すばやくヒールを差し込んでかち上げ、腿に持ちかえる。
周囲からはボールが重力に逆らって、
ひとりでに浮き上がってきたように見えるだろう。
頭、肩、肩胛骨、腿、膝、足首。
俺はテンポをあげて、ボールを動かしていく。
歓声がため息に変わり、やがてそれさえも聞こえなくなる。
みんながボールの動きに夢中になって見入っているのがわかる。
両足を交互に使ってダブルヒール。
左足で体の前に持ってきて、浮かせたボールを右足でまたぐ。
どんどんボールが柔らかくなっていく。
いや違う。柔らかくなっているのは俺の足。俺のボールタッチ。
子犬が飼い主にじゃれ付くように、ボールが俺の周りを動く。
いつしか俺は笑っている。ボールと遊ぶのって楽しいよな。
こんなに楽しいものなんだよな。だから俺はサッカーが好きなんだ。
そのまま続けていると、練習していた他の部員たちも、
いつのまにか練習をやめて俺のリフティングを見ているのが見えた。
そう。前もこんな時があった。
高校の校庭。モニカとはじめて会った日。
みんなの見る前でこんなふうにモニカもリフティングを見せてくれたっけ。
モニカ。お前からしたらきっと俺たちって下手に見えたんだろうな。
でも、全然そんな気持ち顔に出さずに、いつも親切に教えてくれたよな。
俺はお前にサッカーの楽しさを教えてもらったんだな。
だからやっぱり、今度は俺がみんなにそういう楽しさを伝えてみたいな。
心地よいボールの弾む感触。俺はボールを蹴りながらモニカと話す。
モニカ。一緒にいたときはわからなかったことが、あとでわかるってあるんだな。
やっぱり泣けた(つД`)
樋口ぃ・゚・(つД`)・゚・
今日、また最初から全部読み直したよ。
情けないけど、涙せずには読むことができななかったです。(つД`)
21さん、本当にありがとう。
ええ話や(つД`)
なんつーか、鳥肌たった。
ありがとね、21さん。
なんつーか、鳥肌実
ありがとね、49歳
練習を終えた選手たちが、
グラウンドの外で待ち構えていたファンの求めにこたえ、
サインや写真撮影に応じているのが窓から見えた。
ゴールデンウィークも終わったばかりの平日の昼間だというのに、
少なくない数のファンがいるのは、
近くの大学との練習試合が組まれていたせいもあるのだろう。
元山は練習試合が終わるとすぐにクラブハウスのほうへ引き上げていた。
小熊監督が戻ってきたのは、さっき窓越しに見えた。
もう少ししたら顔を出してくれるだろう、そう思ったとき、
「どうもお待たせしました」
体育会系のような大声とともに、小熊が部屋に入ってきた。
古巣に戻ってますますエネルギッシュになったようだ。
「いえいえ、こちらこそお疲れのところ無理をいってすいません」
「よく考えれば久しぶりだね。
でも元山さんが代表の取材に行かないなんて珍しいね」
日本代表はいま、ワールドカップのメンバーの
最終選考も兼ねた欧州遠征に出ている。
FC東京からも加地、茂庭、土肥、今野の四人が遠征に参加している。
その間リーグ戦は中断となっているが、
代わりにナビスコ杯の予選リーグが開催されている。
FC東京も週末の土曜日には埼玉スタジアムで、
浦和レッズと対戦することになっている。
今日の練習試合は週末の試合に向けて、
四人が抜けた状態でのチームのシステムを確認する意図があったはずだ。
「たまには日本に腰を落ち着けるのもいいかなって」
元山は軽いジョークを口にしたが、
「どうせ樋口が気になるんだろう?」小熊はすっかりお見通しだ。
「あはは、、、で、どうするんですか、監督。
いまの試合ではスタメン組に入ってましたけれど」
「使うよ。見てのとおりだ」
小熊はあっさりと言い切った。自信にあふれた口ぶり。
その自信もうなずけた。さっき見た練習試合。
冬、埼スタで見たのとは別人の樋口がそこにいた。
ワールドユースのときの、
極限までエッジが立っていた状態には及ばないとしても、
プレーする姿にあのオランダでの面影が戻っていた。
埼スタでの自信を喪失し、途方にくれて立ち尽くしていた状態から、
よくぞここまで、と元山は思わずにいられなかった。
日本に残った自分の判断はまちがっていなかった、と確信できた。
「いま、うちは前目のメンバーに怪我人が多いのはご存知のとおりだ。
長いシーズン考えると、今の時点であまり彼らに無理はさせたくないんでね。
もちろん、樋口に使える目途が立った、というのが一番大きいが」
「で、状態はどうなんですか?」
元山がずっと気にしているのはそこだった。
元山には十分復調しているように見えたが、
小熊のプロの目はいまの樋口をどう見ているのか。
「心配はいらない。
樋口個人の状態としては100%とはいわないが、9割以上戻ってる。
ゲームに出たとき、まだうちの戦術に馴染んでいないとか、
周囲との連携とか意思疎通の面では多少の不安はあるが。
それは時間と実戦で解決するしかないからね。
俺としては自信を持って送り出せる。心配はしていない」
小熊はしっかりと元山の目を見て答えた。
「どうですかね、やってくれますかね」
素人の浅はかな質問。だが、小熊は落ち着いた様子で答えた。
「心配はいらないよ。本来の姿に戻ったならば、
はっきりいってやつはモノが違う」
小熊の力みなぎる言葉に元山はふっと力が抜けた。
元山のほっとした表情に、小熊が嬉しそうに目尻を下げて笑い返した。
通じるものがあった。小熊が言うのだったら間違いない。
大丈夫、樋口は闘う心を取り戻した。
あの力強さと熱さにあふれた樋口が帰ってくる。
「でも監督、びっくりしました。
入学してすぐの樋口を特別指定かけるなんて。
協会のほうとの交渉、大変だったんじゃないですか?」
元山を日本に残らせることを決意させた一枚のリリース。
連休の合間の平日に出されたそれは、
FC東京が樋口を特別指定として受け入れる旨の発表だった。
規定上問題がないとはいえ、所属チームに加入してさほど間がなく、
大学での実績がまったくない樋口の指定は異例なのは事実だった。
「まあ他のクラブが一度見限った選手だからできたのは確かだな。
どこかが過去に本気で獲りに来てたら、さすがに道義上無理だった。
他のクラブもオファーを出さなかった以上、
うちが動いても、とことん突っ張ることはできなかったわけだな。
うちも練習生としてチームに三月から合流させて
実績を作っておいたのも大きかったし、
それに協会の中にもやはり樋口の復活を望む人がいたしね。
少々骨は折れたがなんとかなったわけだ」
小熊のことだ。相当周到な根回しの元に動いたのだろう。
「しかしそれにしても早かったですね。
どうしてもナビスコで試してみたかった、ということですか」
元山の質問に、小熊がにんまりと笑った。
「それもあるが、一番大きいのはこの時期じゃないと
まにあわなかった、ということだな」
まにあわない?と首をかしげる元山に
「ワールドカップに決まってるだろ」
元山の体が雷に打たれたように硬直する。
J1デビュー クル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
おおおおおおおおおおおお
樋口復活キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
瓦斯中毒で潰れるらしいね>樋口
で、うちとの試合で活躍するわけか?
読者は判っちゃいるが、改めて言われると鳥肌立つ
ワールドクラスなのか樋口
マジコ樋口
レッズか…
タカシと対戦する訳か。
タカシキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!!
ナビ一試合出てドイツメンバー?
さすがにレッズFW陣を差し置いて、タカシの出場はないかな〜
ナビス子とはいえまだ入団したばかりだし
>>230 それは言わない約束でしょ
楽しもうよ物語を。
おれのモノも硬直しまつた
そんな元山の反応を小熊は楽しそうに眺めてから、
「ここからは冬におごってもらったコーヒーのお礼だからな。
オフレコ扱いで頼むぞ、絶対に書くなよ」
元山は何度も首を縦に振る。
「ジーコはワールドユースのときから樋口がお気に入りなんだ。
あいつのプレーを見て代表に呼びたがってたのは事実なんだ。
事実、昨年の夏の東アジア選手権への抜擢を考えてたぐらいなんだ。
知ってるとおり、あの頃の樋口は
すっかり調子を崩してたからさすがに実現せずに終わったがな。
ただ今年に入ってからも、彼はどうした、どこのクラブへ行った?と
樋口のことは何度か気にしていたらしい。
ワールドカップは登録メンバー全員の総力戦になる。
俺もユース代表の監督やってたからわかるんだが、
スタメンとオプションとしての控え、怪我人が出たときのバックアップを
考えていくと、ほとんどのメンバーは自然と決まってくる。
たいていは何度もテストを重ねてきてるわけだから当然のことだ。
だが最後の一人か二人。これはそれ以外のやつらとは選ぶ基準が違う。
監督として万が一のときに頼りたいやつ。そんなやつを選んぢまうもんなんだ。
トルシエが全然呼んでなかったゴンと秋田を土壇場で召集した他にも
そんな例はあちこちに転がっている。
指揮官にしてみれば、ベンチに樋口みたいな
自分好みのオプションを置いておきたい気持ちというのが絶対にあるんだ。
ここで樋口をトップチームの試合に出して完全復活をアピールしておけば、
可能性はほんとに少ないが、ジーコの気持ちが変わる可能性がある。
最後に誰を入れるかはほんとうにひどく迷うもんなんだ。
そのとき、かつて惚れこんだ選手が使えるとなったら
心が動く可能性は大有りだ」
元山は小熊がそこまで考えていたことに驚く。
「だがJで1試合もでてないんじゃ、さすがにジーコも呼べない。
しかし一度でも試合でそのプレーを見せておけば、
呼ぶ側にしても最低限の言い分は立つ。
正直、樋口の今後を長いスパンで考えるなら卒業した時点で、
J2かJFLの知り合いに話をしてみる、という選択肢もあった。
ほとんど編成が終わっている時期だったからチームは選べないし、
主力としては扱ってもらえないだろうが、
樋口の力なら何とかするだろうとは思った。
だが、仮に活躍できたとしても、ジーコはJ2の選手をまず呼んでくれない。
ワールドカップに召集されるためには、J1で試合に出るしかない。
J1で確実に試合に出すことを考えたら、他のとこには頼めない。
自分とこで抱えるしか手はなかった。
そのうちも樋口とのプロ契約をする予算は残ってない。
それでもトップの試合に出すとなったら、
入学後即座に特別指定を受けるしか手がなかったんだ。
もちろんほんとうに呼んでもらえる可能性は低い。
代表初召集がワールドカップだなんて常識じゃありえないからな。
だがそれでも俺は樋口のために、
ワールドカップに出るどんなかすかな可能性でも残しておきたかったんだ。
樋口もきっちりトップフォームに近い状態まで戻ってきた。
これでだめなら今回のドイツは縁がなかったとあきらめるしかないよ」
ほんとうに嬉しそうに樋口のことを話す小熊の顔を見て、元山はすべてを悟る。
小熊はあの埼スタで樋口を見限ったのではなかった。
私はどうしてわからなかったのだろう。
自分の手で見つけ出し、磨き上げ、そして自分の期待に応えてくれた才能。
小熊こそ、樋口広樹という才能に一番ほれ込んでいる人間なのだ。
そんな小熊が樋口に見切りをつけるはずがなかった。
彼に立ち直りの兆しが見えたことを知ったときから、
小熊の頭の中には練習生としての受け入れから
ナビスコで使うまでのスケジュールが綿密に描かれていたに違いない。
樋口がワールドカップメンバーに選ばれるかもしれないという
日本中で誰も想像しなかったことが起こる可能性をこの人は追い求めていたのだ。
仮に樋口の復活が遅くなったとしても、彼の心の傷が癒えるまで、
小熊はきっといつまででも待つつもりだったのだろう。
いつかその日が来ることを信じて、
自分が手を差し伸べて上げられる日が来るまで・・・。
元山は不意に目から何かが零れ落ちるのを感じる。
小熊に気づかれないように元山は目をすばやくぬぐった。
「元山さん、お願いだからこれから樋口のことばんばん書いてよ。
あいつが調子に乗らない程度にさ。
辛い時間を乗り越えてきたあいつは、
これからもっと大きくなれると俺は思う」
元山の異変に気づかず、小熊は遠くを見るような目で熱く語り続ける。
小熊は夢を見ている。自分が果たせなかった日本サッカーの
世界の強豪と伍して闘っていく新しい時代という名の夢。
その夢を小熊は樋口を通して見ようというのか。
ならばジャーナリストの立場から私も夢を見よう。
たとえ樋口がドイツ行きの切符を手にできなかったとしても、
また彼で夢が見られる。四年後に、そしてさらにその先も。
ジャーナリストとして彼を追い続けよう。
小熊が彼を待ち続ける覚悟を心に秘めていたように。
樋口広樹という才能の向かう道を。
ヒロ…君は幸せだよ…人に恵まれてるな・゚・(つД`)・゚・
すまんが能書き長すぎ。
できれば選手の素晴らしさはプレイで語ってくれよ。
でもこれ書かなきゃ樋口が代表に選ばれるのは
どうしてもおかしいってことになるじゃん
これでもちょっと無理はあるけど・・・いいんだよ
樋口がんばれ〜〜
241 :
U-名無しさん:2005/07/29(金) 00:24:43 ID:fFfPvLC+0
書いたことで余計に不自然になった希ガス
出来れば話し広げないでワールドユース編で終了がよかったなぁ
そろそろアンケート結果で掲載順が下がってきた頃じゃね?
素人ならではの拙さはあるけど、充分小説として読めるに値する内容だと思うよ。
樋口じゃないけど、テクニックだけじゃない何かが確かにある、と思って毎晩楽しみにしてます。
243 :
U-名無しさん:2005/07/29(金) 00:27:59 ID:oXofVm5U0
黙って食え
俺には今回の文章は凄く良かった。感動した。やっぱ夢を追いかける男っていいわ。
まぁ人それぞれさ。
ジャンプの連載漫画っぽいんだよ
俺はワールドユース編の後も好きだよ。
>>235-237の、小熊の一人語りも良かったと思う。
長ったらしいやり取りになりそうな批評レスはまとめサイトにかけよ。
>>247 マンセー意見の連続よりはよほどマシなレスになってきてると思うが?
マンセーとは盲目的に褒め挙げる事だろ。ここで誉めている人達の意見はマンセーではない。
賞賛も批判も批評の内。どちらでも問題はない。
批判が怖けりゃチラシの裏に書けってね
別にここで活発な議論なんてするべきじゃない。
作者が、出来上がった文を淡々とアップしていくのがこのスレの目的なんだから、
「マンセーばかりで気持ち悪い」なんてのは随分ピントのずれた意見だと思う。
勿論、マンセー意見もここに書くのはあまり賛成できないクチです。
なんて事を言っといて、自分が長文書いてるのもみっともないので
無言の読者に戻ります。
>作者が、出来上がった文を淡々とアップしていくのがこのスレの目的なんだから
自分の主観を押し付ける馬鹿発見
>>251 ちがうよ。ここはどういうスレでもないよ。
いまは前スレ21が勝手に貼りつけてる文章を皆で生暖かく見守ってるだけ。
俺もおまいもレスの応酬が成り立つかぎりは勝手に好きな文章書いていいんだよ。
ここで意見言われるのがイヤなら、まとめサイトに直接貼ってもらうように頼めよ。
まあ、小説としてどうのこうのなんて批評を書いてる奴には
…………だがな。
どんな批評があってもいいが、批評の批評だけは要らん。その流れが一番下らない。
>>255 意見に対する意見言ってるのはおまいも同じ。
このスレはいまのところ誰も荒らしていないんだから過剰反応するな。
>>256 いや違うだろ。批評に批評するのと意見に意見するのでは意味が違う。
それでは住人同士は何のやり取りも出来ない事になる。
今日は更新ないのかな。(´・ω・`)ショボーン
259 :
:2005/07/30(土) 01:23:40 ID:BmVISLHr0
フェイエノールト所属の平山が登場する予感・・・
>>261 まあ、エピローグ的な話がもうすこしダラダラ続く可能性はあるが、
U-31と同じ顛末になるだけなので、このへんで〆たほうがよさそうだな。
そういやU-31も強引にまとめるために無理やり誰かを殺してたっけ。
完結なら完と書いてくれないと分からないよ。
楢崎との話の続きはどうなったんだ。
「俺たちの戦いはこれからだ!」な男坂エンドか。ありえそうだ。
欲を言うならワールドカップでの活躍とかも書いて欲しいけど、
冗長にせずに話を終わらせるのって難しいんだろうな。
アンケート不調で打ち切りか
21先生の次回作にご期待ください
俺リフ2
樋口やタカシの10年後が描かれる!!!
かたや2014ワールドカップで4得点の大活躍、今夏の海外移籍がささやかれるタカシ
2006ワールドカップでは代表入りを果たしたもののその後伸び悩み、J2降格したチームと共に野に埋もれていく樋口
明暗がくっきりと分かれた親友二人の行方は???
という夢を見た
樋口はただの狂言回しにしておけばよかったものを・・・
途中から俺語りがキツくなってきた作品であった。
感想は以上↑で、あとは作者さんに一言。
俺一人称主人公は、ヒーローにすればするほど、どーしても語り手が
傲慢に見えてくる傾向あるので、ヒーロー描きたかったら避けたほうがいいかも。
とくにスポーツヒーローを描く場合、語り手=主人公で成功してるのは、
描写を和らげるために語り手を女性にしてる作品がほとんどなんだ。
男を主人公にしちゃうとキツくなりすぎて、長編に仕立てるのは難しいと思う。
あえて傲慢なキャラに設定して、そのエゴを前面に出させるなら別だけどね。
前スレでも指摘したけど、途中で三人称描写や他人語り入れて
視点を混乱させちゃったのは、そのせいでやむを得なかったんだろうね。
素晴らしい才能は、やはり他人に語らせるほうが説得力出るから。
でも、やはり技術的に難しいことをしてるので、どうしても無理が出てきちゃう。
だからこそ、樋口がモニカの才能を語ってた部分は凄く面白かったよ。
これは本当にそう思う。
そして、樋口のキャラに欲を出した瞬間、残念だけど別の作品になっちゃったね。
まだ続くかここで終わりかは知らないけど、とりあえずお疲れさま。
小説の技法云々はあるんだろうけど、プレーの描写には
本当にのめり込めたから俺は満足してる。
ぶっちゃけ、長文感想レスは専用BBSいってやって欲しい。
読みたくなくなったら静かに去っていってくれ。
>>267 それはお前個人のキャラ論だろ?
感想は人それぞれだろうけど、ここでさも知ったふうに書くのは
場違いだからやめろ。
21さん、まだ気になる伏線があるので続き待ってます。
271 :
U-名無しさん:2005/07/31(日) 00:23:27 ID:KFxkm4XW0
hoshu
批評するなとは言わないけど、
更新を楽しみにしてる人もいるということを忘れないで欲しい。
公共の掲示板だから自由だろ、とかいろいろあるかもしれないけど。
プロだってボコボコに言われるんだから、あんま気にせず書きたいように書けばいいんでない?
274 :
U-名無しさん:2005/07/31(日) 07:38:41 ID:A/N7/v0+O
なんかクロ高の前田の作文を思い出した
古いよw
276 :
267:2005/07/31(日) 11:00:53 ID:ay55IyzG0
感想より反論が多いってことは・・・残ったのは信者ばかりのようだw
続けるには最悪の状況になってきたぞ、と職人さんには言っておく。
あと、反論好きな人に言っておくけど
批判がイヤなら逆にまとめサイトに直接貼らせたほうがいいんでない?
俺は本人が2ちゃんに貼った作品に対して2ちゃんのルール内で感想言ってるけど、
まとめサイトはもっと小規模な個人サイトだから、そこにはそこのルールがある。
気に入らない意見を削除する権利もそっちの管理人個人にある。
また、2ちゃんに貼られたものに意見言うのに、なんでそこまで行く必要あるの?
最後に。
書く側の立場から言うと、俺みたいな意見もないと張り合いがないのだ、と言っておく。
2ちゃんに貼る職人の多くは、個人サイトだと率直な意見が聞けないから貼るのだ。
中には大勢が読むから、という理由だけで貼る厨もいるが、21はそうではなかろう。
逆に反論ダラダラ書いてる連中のほうが21をそういう厨扱いにしていると思うぞ。
批判がいやなんじゃなくて
>>267みたいな「批評家きどり」がいやなんだと言っておく
278 :
267:2005/07/31(日) 11:52:04 ID:ay55IyzG0
>>277 んじゃ好きに叩けばいいさ。それは君の自由。
そのうち批判的なレスが全部俺に見えてきてスレが荒廃するだろうけど。
ちなみに俺の
>>267の長文レスは基本的に職人さんに宛ててるのであって、
君らは読まずにスルーしてくれるほうがいいんだよ。
どうしても何か言いたいのであれば、
「○○まで読んだ」
と書くのがもっとも効果的な方法だと思う。
以上。
はいはい偉い偉い
ほんと空気嫁よ267…
281 :
U-名無しさん:2005/07/31(日) 12:14:01 ID:BdeibQ9T0
なんで信者は批判を嫌がるか
27は批判?を受けただけで何も出来なくなるほどのヘタレだとでも言うのか
夏だなとか池沼乙とでも言えばいいのか?この状況…
>281
いや、だから批判とか「つまらなくなった」などの感想がいやなんじゃないんだよ。
そういうひともいるのかと思う程度だからね。
さも俺は小説知ってます、みたいな評論家きどりで長文だらだら書くやつが痛い。
>278
>書く側の立場から言うと、俺みたいな意見もないと張り合いがないのだ、と言っておく。
アンタ、読む側の立場だろうにw
>>267は感想の内容にこそ注目して欲しいのに、周囲は内容云々ではなく「お前が嫌い」。
これじゃ話も噛み合わないわなw
土日は作者さんの更新もなくて暇だから、とりあえず
>>267と遊ぶか?w
ここはへなぎのようにはスルーできないインターネッツですね
>>267 つーか、まとめサイト行け。
長々と「批評」とやらを書きたきゃ、そっちでやれ。作者もちゃんとそっちも読んでるんだから。
わざわざ人数の多いこっちに空気読まずに書いてんのが痛い。
>>288 作者がこっち貼ってて自分もレス書いてるのに、
自分が読みたくないレスにだけは他のサイトに行けって・・・
そんなこと言えるなんて、あなたはきっとひろゆきさんなのですね。
記念カキコ。
だからさ、サカ板なんだから巧い小説が読みたいんじゃなくて「サッカーの話」が読みたいんだよ。
技術オタは小説板で重箱の隅つついててくれよ。
>>290 の意見が267に文句言ってる人の多くの意見だと思う。
感想とかは抜きにして、このスレはそういう技術的なもんじゃなくて、
『サッカー板』でなんとなく始まってしまった『サッカー』小説を楽しみにしてるだけだから。
普段小説板なんか寄り付かない俺にしてみたら、技術うんぬんって言ってる小説オタは痛いだけ。
ワナビはどこの板でも迷惑掛けてますな。
>>291 かといって「文章上手すぎ」とか「これプロだろ?」みたいな意見が出ても、
それは叩かないんでしょ?
反対意見だけ叩くのはさすがに気持ち悪いよ。
295 :
U-名無しさん:2005/07/31(日) 23:12:41 ID:v2RktEoQO
一番手っ取り早いの何も評価しないこと
賛否両論クソクラエ
俺は小説が読みたいんだ。評価を読みたくてここに来てるんじゃね〜んだ。
>295
カコイイ
298 :
↑ミスった。:2005/07/31(日) 23:53:43 ID:JRsAtkh30
>>289 BHpi/5zP0
レスを書く書かないの問題じゃないの。大半の住人は長い批評文は無用と思ってんのよ。
うざいし荒れるし、ロクな事がない。だから
>>1に書いてあるまとめサイトに要望・感想スレ
が用意されてる。そういうの書きたきゃそこ行けってだけ。
299 :
支援:2005/08/01(月) 01:35:46 ID:xBP80pt1O
もうそんなんどうでもいいから俺は早く続きが読みたいよ。
>>298 だったらスルーしろよ。
おまいもウザイ。
自分が読みたい部分だけ読めばいいだろ。
今日は新作あるかな?
302 :
U-名無しさん:2005/08/01(月) 22:25:43 ID:zr4K5JKt0
続き期待age
>301
まとめサイトのコメントからの推測だと「あとがき」は
書いてくれそうだ。まだまだ続きが読みたいんで、
「あとがき」が出るまでは、またROMに戻ることにするよ。
代表の試合で忙しいんかなあ・・21さん。
順序変えて、
>>212がラストだったら、うまくまとまってたかも。
305 :
U-名無しさん:2005/08/02(火) 10:36:28 ID:cNSD8DbBO
ドラゴンボールじゃないけど、無理に続き書けとかって言うのもちょっと…
まとめサイトのBBSで作者さんがきっちりしあげますって
書いてるんだから、あんまり心配することもないかと
1が降臨しててびっくり
>>306 きっちり仕上げるというのがおまいの思うとおりの展開になるとはかぎららん。
まず、すでに21のオナニースレになってるこ事実をを認識するべき。
オナニーは別に悪いことじゃない。
その上で楽しめるところを楽しみ、つまらん部分は叩くかスルーしろ。
なんで諌めている意見に対してわざわざ噛み付くんだ?
サッカーが好きで読んでる訳じゃないからだろ。
まったく、ワナビどもは巣にカエレ!!
今日も更新は無いのかな?
東アジア選手権中はお休みかな(´・ω・`)ションボリ
まとめサイトの法の更新は一体・・・
だから打ち切りだとあれだけ
316 :
U-名無しさん:2005/08/04(木) 15:12:03 ID:zsdr+6f80
ここでageなきゃ・・・
ここでageなきゃ・・・
保守
早く続きが読みたいべ
まだかorz
まとめサイトで続き更新されてるみたいだね。
こっちにはもう書き込んでくれないのかな・・・。
俺はケータイなんで続きが読めないorz
まとめサイトで読んできた。
ワールドカップのスタジアムの描写が(・∀・)イイ!
でも、こっちにはもう書き込まないのかな。
322 :
U-名無しさん:2005/08/05(金) 14:11:38 ID:u9Dwy2fR0 BE:101291459-
哀しいけど、ウザイ批評厨がおおいからだろ。
まとめサイトがあるのだから我慢しようよ。
>>320 え?読めるでしょ!?
俺昨日は寝る前に携帯で読んだよ?
245のサイトの方は更新無いけど、303のに統合されたの?
267さんへ。
>書く側の立場から言うと、
267さんは書く人みたいだから、出来れば何か書いて貰えませんか?
短編でも長編でもサッカーのじゃなくてもいいから。期待してます!
お前らなんで27=267だと分からないんだ?
>>327 27 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 01:11:59 ID:0LBj8KBZ0
俺はドラゴンじゃない方の久保さんを思い出した。
ごめん。俺分からないよ。
329 :
267:2005/08/05(金) 22:18:57 ID:Ma3nr+9/0
>>326 言い訳めいててすまんが、俺はいま18禁専門なのでこの板では無理なのだ。
スポーツとエロのシーンは技術に共通するものがあるので書きやすいんだけど、
たぶんどんなに筆抑えても必ずエロ〜な展開になっちゃうだろう。
ここがエロパロ板なら、援交サッカー少女で小ネタを書くんだけどさ。
(あの板は俺は行かないんだけど、適当な板が他にないのだ)
その作品はそのうちどっかの適当なアダルト小説サイトに投稿する予定。
君がサッカー好きでネットうろついてるなら、いつか見つけてくれるだろうよ。
そんときはお手柔らかにw
んで。
いま覗いてみたけど、まとめサイトのほうが断然読みやすいな。
広告無しみたいだけど有料でやってるのか?だったらすごい気合いだね。
素直な気持ちで、21氏には今後もがんがれと言わせてもらおう。
おれは正直まとめサイトよりもこのスレでやったほうが面白いと思う
331 :
267:2005/08/05(金) 22:26:18 ID:Ma3nr+9/0
>>327 え?
俺も分からないよ?w
いちおう俺は前スレの
>>243とか
>>261ではあるんだけどさ。
つまりまとめサイト作成のいいだしっぺだったりw
(当時はログまとめる時間なかったんで自分で作れなかったのだ)
なんにせよ、まとめ人さん乙!
自分もまだかまだかっていうワクワク感や
このスレの臨場感すごく好きだったけど
・・・upしてもらえるだけで感謝感謝です
>>329 >その作品はそのうちどっかの適当なアダルト小説サイトに投稿する予定。
>君がサッカー好きでネットうろついてるなら、いつか見つけてくれるだろうよ。
ごめん。俺2ちゃんはここ以外殆ど見てないんだ。見つけるのはムリだからupしたら教えてくれ。
期待してる。
>>329 うーん、読み手が書き手を批評したのとは違って、
書き手が書き手を批評したんですから、
その言葉はいただけないですねえw
それに「必ずエローな展開」になっちゃう、というのも、
書き手らしくない発言ですね。
プロでもワンパターンになる人はいますが、
少なくとも創作しようという人間が自分では認めないw
ま、せっかくですから、作品どこかネット上にアップして
リンク張っていただけますか?
どんな文章書くのか興味があるので。
この板でもリンクなら問題ないでしょう。
たぶん文章上手いんだと思うんですが、
エロは腕がはっきり出ると同時に、ごまかしももっとも効くんで。
ほんと楽しみにしてるんでよろしく。
335 :
333:2005/08/05(金) 22:56:43 ID:XiEWTi6k0
あ、これが「釣られた」ってヤツなのか?
267さんは逃げを打っただけなのか。やっぱまとめサイトにしようっと。
267の書いてるスレに誘導きぼん
おれも267の書いてる小説すげー読みたい。
ぜひともおしえてくれよ。
>>329 > いま覗いてみたけど、まとめサイトのほうが断然読みやすいな。
当たり前w
>>331 >いちおう俺は前スレの
>>243とか
>>261ではあるんだけどさ。
>つまりまとめサイト作成のいいだしっぺだったりw
>(当時はログまとめる時間なかったんで自分で作れなかったのだ)
267は口ばっかりだなw
エロがあってもなくても自分の作品に自信がないからうpできないヘタレなんだろ?
ほっとけよw
いつのまにか物凄いみっともないスレになってるな。
早めに撤退して正解だったw
「君の作品に興味があるから見せてくれ」
といわれたら、作り手(書き手)は逃げられないですよね。
漫画でも小説でも、その他の分野でもそうでしょうが、
お客さん(編集者とか)から、「君の仕事が見たい」と言われたら、
心の中で「どうせ糞味噌に言う気だろう」とか
「お前には俺の作品は理解できねえよ」と思っていても、
見せることは拒めませんよね。
それは即作り手として失格の烙印を押されますから。
267さんは批評されたほうがやる気が出るタイプだと
ご自分でおっしゃっておられましたので、
厳しい批評をしようと待ってる性格の悪い人たちが
どうやらここにはたくさんいそうですのでw
ぜひリンクを張られてはどうでしょう。
過去にネット上に書いた文章がまったくない、ということは
いままでの発言を見るとなさそうですし。
267ので抜いたら抜いたと俺は正直に言うよ
下半身は正直だからw
エロで文章上手く書こうとかすると、
日経で連載されてるアレみたいになる罠。
エロは勢い、コレ!
もうこのスレいらないんじゃね?
>>346 267がいるからな。あいつは逃げ出すようなやつじゃないぜ。
俺たちのために、いま懸命に傑作をアップする準備してるんだよ。
待っててやらなきゃかわいそうだろw
……ちょっと時間かかりすぎだけどな。
348 :
U-名無しさん:2005/08/08(月) 14:00:39 ID:mSdwjQ7K0
久しぶりにまとめサイト見てきたけど、面白すぎるなwww
349 :
U-名無しさん:2005/08/08(月) 18:48:20 ID:2ctS1DH5O
誰か携帯厨な漏れのためにこっちにコピぺして物語を貼ってくれないか?続きが気になって仕方ないんだ。
今日はいよいよ樋口投入か? ワクワク
漏れはモニカ復活かと思うぞ。ワクテカ
がらんとした店内。客は俺一人しかいない。
奥の壁掛けテレビも電源は切られ何も映っていない。
どうして。俺はこんなとこ来ちゃったんだろう。
自分でもほんとによくわからない。
気がつけば電車を降り、この店に足を踏み入れていた。
注文をとりにきたおじさんにとりあえず烏龍茶を頼んだものの、
ぽつんとテーブルの上に置かれたグラスの中身を
ひとりですすってる姿は、端から見たら相当滑稽だろう。
どうしよう。帰ろうか。
決して時間が有り余ってるわけじゃない。
Jヴィレッジでの合宿を打ち上げてそのまま東京へ移動し、
国立を埋めた大観衆の前で壮行試合を行ったのが昨日のこと。
半ばお披露目のような雰囲気の中、
ジーコは交代枠をフルに使って選手を入れ替えたが、俺の出番はなかった。
交替できる人数に上限がある以上、予想していたことではあった。
そしてチームは一旦解散、今日一日がオフとなり、
明日の夜には成田からドイツへ飛ぶことになっている。
びっちり詰まったスケジュールの間の小さな隙間。
わずかなオフの一日をもっと有意義に過ごす方法があるんじゃないか。
俺はグラスを眺めながら思う。
たとえば具体的に?自問してみたが答えは浮かばなかった。
そんなことを考えていると、ふっと人の気配がした。
俺は反射的に顔を上げる。
「いいかな」
そういってさっき注文をとりにきた中年のおじさんが、
手にグラスを持って俺の隣に腰かけた。
「どうぞ」
少し驚きつつも、その自然な仕草に俺は思わずうなずいている。
「いつもこの時間はお客さんはこんなもんなんですか?」
何か話しかけたほうがいいような気がして俺は聞いてみる。
他に客の姿は見当たらない。見たところ店の人もおじさんだけのようだ。
だからおじさんも俺の相手をしようという気になったのあろう。
「いや。普段はこの時間は店開けてないからね。
いつもは午後六時開店だから」
俺はおじさんの言葉に驚く。
入口のドアには確かに営業中の札がかけられていた。
確認してからドアを開けたのだから間違いない。
札をひっくり返すのを忘れたのだろうか。
「今日はね、誰かが来るような気がしたんだよ。
こういう商売を長くやってるとね、
不思議と変な予感が働くときがあるもんなんだ。
君が来たんだから僕の予感もなかなかということかな」
俺の中で隣に座っているおじさんの顔と、入口に飾られていた写真の顔が重なる。
この人が店のオーナーさんなのか。
「樋口くんだよね」
はい、と俺は答える。
「この前、メンバー発表の日も来ていたね」
俺は黙ってうなずく。
「うちの店に今いる人間がワールドカップのメンバーに選ばれたわけだからね、
店をあげて即席のお祝いかなにかしようかと思ったが、
あの日の君はとてもそんな雰囲気じゃなかった」
オーナーさんは俺の目を見て問いかける。「なんでだい?」
この人になら素直に話してもいいような気がした。
俺はかいつまんでこれまでのことを話した。
モニカのこと、モニカがいなくなった後スランプに陥ったこと、
みんなの助けでまたサッカーができるようになったこと、そして現在のこと。
「おかげでサッカーのほうは、ほんとうに問題なくて・・。
監督のおかげで試合にも出してもらえたし、
プロのトレーニングは厳しいけど、新鮮で楽しいし。
でも自分がだらしなかったために、
時間を無駄にし、いろんな人に心配をかけ、
高校のチームメイトに迷惑をかけた過去は変わらない。
モニカのお母さんから聞いたんです、
モニカが俺のことを代表に行くような選手になるよって言ってたこと。
俺は悲しみに逃げ込むばかりで、
そういうモニカの気持ちとかみんなの期待とか全然わかってなかった。
もちろん仮に順調に行ってても選ばれてたかどうかはわからないです。
代表ってのはやっぱりみんなの憧れだし、レベルの違う世界だし。
でも俺は選ばれる立場に立つ前に自分から逃げ出して、
チャンスを自分から放棄しちゃったんです。
メンバー発表を聞くとき、そんな自分の弱さを
改めて指摘されているような気がしたんです」
俺は正直に話した。
「でも君は選ばれた」
オーナーさんがグラスの中身を軽く飲んだ。
俺は首を縦に振ってうなずく。俺自身にとっても信じられない報せ。
合宿に参加し壮行試合のベンチに座ってみても、その気持ちは変わらない。
「私はサッカーが大好きだが、技術的には素人だ。
だからジーコがなぜ君を呼んだのかは僕にはわからない。
でもただひとついえるのは、君はメンバーに選ばれた。
君にはまだドイツの舞台に立つチャンスがあるんだ。
だからいまはそれをものにすることだけを考えなさい。
まだ君には支えてくれた人たちに恩返しできるチャンスがあるのだから」
俺は黙ってうなずく。
「新聞を見たよ。マスコミは随分口さがないことを書いてるみたいだけど」
おじさんは店の隅に置かれたマガジンラックにちらりと視線をやった。
赤や青の目立つ色で縁どられたスポーツ新聞の見出しが見える。
どこも今日の一面は昨日の壮行試合の結果だろう。
俺が代表に選ばれた直後はその意外性をメインに記事にしていたが、
ある新聞が、そう確か小平でのクラブハウスでの会見で、
嫌味な笑いを浮かべながら質問してきた記者のいるところだ、
モニカと俺のことを書いたのをきっかけに状況が変わった。
それからはテレビも新聞もこぞって俺のことを
大切な友達―メディアによっては恋人扱いしてるのもあったが―を失った
悲しみを乗り越えて、いざ大舞台に挑もうとする
「悲運のストライカー」に仕立て上げようとしていた。
書いてあることは全部が全部嘘というわけじゃない。
モニカが死んだのは事実だし、そして俺の中にワールドカップで
活躍する姿をモニカに見せたいという気持ちがあるのも否定しない。
でもそれは俺だけの中にそっとしまっておきたいことだった。
Jヴィレッジの合宿中に選手一同の意思という形で申し入れが行われたので、
直接俺にモニカのことについてコメントを
求めてくるようなことはなくなったが、
いまでもワイドショーでは繰り返しそのネタが使われている。
マスコミは人が大事に隠しておきたいことこそ、
知りたがって声高に報道しようとする。
この一週間ぐらいで俺はそのことをしみじみと実感していた。
「あとさっき言ったことと矛盾するように聞こえるかもしれないけど、
君を支えてくれる人たち、彼らのためにプレーすることも大事だが、
君自身のためにプレーすることも忘れないように。
きっと君に声援を送る人たちもそれを望んでいる。
君とはほとんど接点のない僕だけど、ここに来てくれたのもなにかの縁だ。
君が活躍できるよう応援しているよ。
といってもしがないマスターの僕には
この店でサッカーが好きなやつらと一緒にテレビを見ながら
声援を送ることぐらいしかできないけど」
ありがとうございます、と俺は礼を言う。
なんで今日この場所に足が向いたのかその理由が少しわかったような気がした。
この場所には雰囲気がある。
本当にサッカーを愛する人たちの気持ちが、長い月日の間に壁にしみこんでいる。
きっとその雰囲気はこのオーナーさんの人柄が作り出しているのだろう。
「頑張ってきます」
もう店を出るときだ、と俺の心が教えていた。
準備はすべて整った。あとは出発するだけだ。
「みんなのために、そして自分のために。頑張ってきなさい」
おじさんが優しい笑顔を俺に向ける。
俺は荷物を持って席を立った。マスターが店の出口まで見送ってくれる。
俺はドアのところでふと足を止める。
この前来たときにも見た、サッカー選手たちの写真。
この前はさっと通り過ぎたが、なんとなくゆっくりと写真を端から見ていく。
合宿で一緒だったあの人がいる。
いまは引退した日本のサッカー史に名を残す名選手もいる。
日本のサッカーを作ってきた選手たちの顔が並んでいる。
マスターとの深い信頼感を裏付けるように、みんなすてきな笑顔で映っている。
ふと一枚の写真の前で視線が止まった。
どこかで見た顔。肩を組んでいる隣の人の顔も見覚えがある。
でも誰だろう?
もう一度じっくりと写真を見る。顔の輪郭、そして目。
ああ。俺は思わず声を出している。
高校時代から一緒でそのまま代表でもコンビを組んだ二人。
愚直にただひたすらにボールを追ったフォワードと、
彼に正確なパスを送り続けることを自らの使命としたミッドフィールダー。
彼らも日本の代表として世界に挑み、日本のサッカーの歴史を作ってきたのだ。
足を止めて動かない俺におじさんが、どうかしたかい?と声をかけてくる。
俺はおじさんのほうを振り返ると、
「もし僕がワールドカップで活躍できたら、ここに写真貼ってもらえますか?」
ちょっと図々しいお願い。半分冗談で言ってみたが、
そのアイディアはいたくマスターのお気に召したらしく、
「それはいいね。約束しよう。
というかこんな店でよければ、とこっちが言うべきだろうな」
俺は色あせたフレームの中で楽しそうに笑う二人の表情をもう一度目に焼き付ける。
「じゃ行ってきます」
俺は店のドアを押し開ける。
「終わったら店にも顔出してくれよ」
マスターの声に俺は笑ってうなずくと外へ出る。
初夏のさわやかな日差しが階段の上から差し込んで、俺を照らしている。
ロッカールームで俺たちは円陣を組む。
俺の左には楢崎さん。右には大黒さん。しっかりと肩を組む。
宮本さんの気合いで一斉に俺たちの熱がはじける。
ロッカールームにみんなの怒号のような叫び声がこだまする。
その熱を保ちながら俺たちは開け放たれたドアから外に出る。
待機所にはまだドイツの選手の姿は見えない。
ここに残る先発メンバーに、みんなが順繰りに声をかけていく。
土肥さんが川口さんに話しかけている。
答える川口さんがリラックスした笑顔を浮かべている。
腕にキャプテンマークを巻いた宮本さんの表情は緊張に引き締まっている。
そんな宮本さんの緊張をほぐすようにアツさんが声をかけている。
待機所から見るとピッチへつながる出口はいつも白い光で満ちあふれている。
スタンドの下の暗く低い場所にあるロッカールームと
煌々とした照明に照らされて明るいピッチのコントラストが
選手の目にそう見せるのだが、それはまるで新しい世界につながる扉のようだ。
ひととおり声をかけ終わると、俺たち控えのメンバーはピッチへ向かった。
階段を上がり、その白い光の元へたどりつく。
階段を上がりきる少し前から、うぉぉぉんと反響するような音が俺たちを包みはじめる。
そして、最後の一段を上ると同時に
俺は表現しがたい雰囲気の中に取り込まれる。全身に鳥肌が立つ。
新築されたこのアリアンツ・アリーナ。
斬新な外観が話題となっていたが、このピッチ内部の景色もなかなかの物だ。
山脈のように四方にそびえ立つ観客席。それがみな人で埋め尽くされている。
照明が作る鮮やかな光の洪水が目にまぶしい。
そしてなんともいいようのない華やかさがスタジアムに充満している。
「すげぇ・・」誰かが思わずため息を漏らす。
プロとして幾多の大舞台を、後のない真剣勝負を経験してるはずの代表選手でも、
それでも言葉が抑えきれずにこぼれてしまう。
「さすが、ワールドカップだな」土肥さんが相槌を打った。
何が違う、と聞かれれば困ってしまう。
観衆でいっぱいのスタジアムなんてオランダでも経験した。
熱狂的なサポーターの姿だってJで見ている。
それでもこれはいままでの試合とは決定的に違う。
絶対に間違えっこない。これは紛れもなくワールドカップだ。
ワールドカップという名前だけが作り出せる興奮と熱狂がある。
俺たちの姿を見て、選手の入場が近いことを知った観衆がまたボルテージを上げ、
それが赤道直下の太陽のような高揚をスタジアム中にもたらしていく。
ベンチに座っても、腰掛けてるという実感がない。
自分の体が空気で構成されているように、皮膚と物が接している感覚がない。
完璧に呑まれているな・・・俺は自分に苦笑いする。
しかし、呑まれるな、というのも無理な相談だという気もする。
この雰囲気の中でなんの変化も来さない奴がいたら、それはただの鈍感な人間だろう。
ジーコの姿が目にはいる。表情はいままでに見たこともないほど固い。
プレイヤーとして、そしてその後スタッフとしても、
ワールドカップという舞台を何度も踏んでいるジーコでも
やはり戦いを目の前にしたいまこのとき、心が高ぶるのを抑えられない。
それがワールドカップの持つ魔力だ。
場内にアナウンスが響く。地響きのような、スタジアム自体が叫んでいるような歓声。
そしてFIFAアンセムが流れ、両チームの選手がピッチに入ってくると、
すべての歓声はひとつの巨大な白い音に昇華される。
2006ドイツワールドカップ開幕戦、ドイツ−日本。
キックオフ直後の興奮がようやく少し落ちついたスタジアム。
元山はすばやくスタジアムの時計に目を走らせる。
もう開始から5分を過ぎている。時間が経つのが早く感じる。
日本のスタメンはゴールキーパーに川口。
数々の紆余曲折を経て、ジーコは最終的に4バックを
本大会のメインシステムとしてチョイスした。
右から加地、宮本、中澤、三都主の顔ぶれ。
そして守備的なミッドフィールダーに小野と福西。
攻撃的なミッドフィールダーは右に中田英寿、左に中村。
これがジーコが唱えた「黄金の中盤」の最終形となった。
2トップに柳沢と大黒。
日本中に果てのない議論を巻き起こし続けた
ジーコジャパンのドイツでの戦いはこのメンバーで行われることになった。
一方のドイツ、クリンスマン監督はこれも激しい論議のもととなった
ゴールキーパーに、オリバーカーンを指名した。
衰えも指摘されてはいるが、それでも、その卓越した技量と
四年前の横浜でのミスのリベンジに燃える熱い闘志は、
日本にとって大きな壁となって立ちふさがるだろう。
中盤にはいまのドイツをしょって立つ男、バラック。
彼もまた累積警告で出場できなかった横浜での借りを返すために、
この大会にすべてをぶつけてくるだろう。
シュナイダー、ダイスラーが脇を固め、
前線は復調なったクローゼにクラニー。
ベンチにはまだポドルスキーという切り札を残している。
ブンデスリーガ中心のメンバー構成は、
ブラジルなどに比べれればネームバリューの華やかさは欠くが
チームとしての強さは決して引けをとらない。
統一ドイツとしての初の栄冠、その舞台としてもってこいの地元開催。
比類なき高いモチベーションを持ってこの大会に臨んでいるのは疑う余地もない。
常識的に考えれば、日本が不利な顔合わせだ。
日本も強豪国相手にクロスゲームを展開できるようになったとはいえ、
まだ彼らから勝ちを計算できるほどの強さは身につけていない。
まして、ワールドカップ。フロックのない、国の地力がものをいう本物の戦いの場。
ニュートラルな発想で考えるなら、ドイツ勝利が妥当な予想だろう。
だがドイツも大事な大会の初戦、
しかも立ち上がりということもあって、静かに試合に入ってきている。
多少、動きに硬さも見えるが、試合を通じて影響するほどではなさそうだ。
対する日本も平穏な試合ペースに救われているが、はつらつとした動きとは言い難い。
今日のスタメンでワールドカップ初出場となるのが、大黒、中村俊輔、加地に中澤。
福西も日韓大会ではロシア戦の最後、わずか5分間の出場にとどまっている。
彼らにとっては未知の雰囲気での試合となっている。
日韓大会で十分な経験を積んでいるといってよいのが、
柳沢、中田英寿、小野、そして宮本。
川口は日韓大会こそ出番はなかったが、フランス大会での経験がある。
よく見てみると、彼らがチームの縦のラインとして一本、線が通っている。
様々な議論を巻き起こしたジーコのチーム作りだが、
きっちりセンターラインに安心できる人材を配置しているあたり、
スタンダードなチーム作りをしているともいえる。
日本だってそれなりの経験を積み重ねてきている。
だがこの開幕戦、しかもホスト国を相手にしての試合は、それでも難しいだろう。
スタジアムに詰めかけた圧倒的なドイツサポーターの醸し出す空気。
アウェイゴール裏の青に染まった一角。
日本のサポーターたちが声を張り上げているが、その声は儚い。
選手だけではない、サポーターもまた試されるのがワールドカップという場だ。
遠路はるばるやってきただけでは足りない、
ただ声をひたすらに張り上げるだけでも足りない。
彼らには、サポートするという言葉の真の意味を問われる時間になるだろう。
ピッチ上では静かな、プロとしての冷徹な目で
はっきりいってしまえば、ぐだぐだな試合が続いている。
驚くことではない。両チームが慎重に入る以上、想像できた展開だった。
問題は後半だ、と元山は思う。このままスコアレスドローで終わるとは考えにくい。
両チーム、それぞれどのような動きを見せるのか。
記者席からちらりと日本のベンチに視線を走らせる。
屋根に隠れて日本のサブメンバーの姿を見ることはできない。
もし、後半まで勝敗がもつれるような流れで試合が進んだ場合、
ジーコは。元山は考える。勝負のカードを切ってくるだろうか。
「日本、ドイツは前半を終わって0−0。両者無得点のまま後半に突入します!」
息の詰まるようなプレッシャーからようやく解放されたアナウンサーが
前半終了を伝えると、画面はすぐさまコマーシャルに切り替わった。
きっと高い金を払ってこの枠を買ったのだろう。
商品を宣伝するタレントの声が大きく部屋の中に響いた。
「だらだらした前半だったな」小熊は一口ビールを飲みながら滝沢に言った。
今日は女房を連れて滝沢の家に邪魔して、一緒にテレビ観戦としゃれ込んでいる。
長いつきあいだから、女房同士もすっかり仲良しだ。
男二人に遅い遅い夜食をあてがい終わった彼女たちは
キッチンのほうでさっきから楽しそうにしゃべっている。
「でもそれでも無失点でいけたのは大きい。
前半点を取られてたら、ずるずるいってもおかしくないですから。
これで後半、勝負できるでしょう」
滝沢が応じた。確かにそのとおりだ。
滝沢はワールドユース終了後、J2のクラブにコーチとして所属することになった。
しっかりした理論を持っている滝沢のことだ、
すぐに監督になり、やがてはJ1で指揮を執るようになるだろう。
いつかはJ1のピッチで対戦相手の監督として、滝沢の姿を見るようになるかもしれない。
まあそれまで俺が首にならなければの話だがな・・・。
小熊は苦笑いを浮かべる。監督の首なんていつ飛んでも不思議のない世界だ。
後半、ジーコが打ってくる手について思いを巡らせていると、
足元にじゃれつく子どもの気配。
見てみると、パジャマを着た滝沢の息子の姿があった。
確か今年小学校に入ったはずだ。深夜の中継だから寝ているものとばかり思ってた。
「おお、コウキくん元気か?」
顔が思わずほころぶ。自身に子どもができなかったこともあって、
滝沢の子どもを見ると、ついついかわいがってしまう。
小熊の問いかけに、無言でこっくりとコウキはうなずく。
利発そうな目と、口数の少なさは父親譲りだ。
「サッカーは相変わらずやらせているのかい」
小熊の問いかけに滝沢は、ええとうなずくと、
どこまでものになるかはわかりませんけどね、と控えめに言った。
「一緒にテレビ見てもいい?」
コウキの問いかけに滝沢がにっこりうなずいたのを見て、
小熊はコウキを大きなソファーの自分の横に座らせる。
「いつかワールドカップに出てみたいか?」
小熊の質問にコウキはこれまた黙ってうなずく。
「そうか、じゃあ一所懸命練習するんだよ。コウキ君はどんな選手になりたいのかな?」
いまの子はやっぱりヒデだろうか、それとも伸二か俊輔?
それとも聡明そうなこの子なら親父の滝沢の名前を挙げたりするのだろうか。
少し間があった後、コウキがきっぱりとした口調で言った。
「ひぐちせんしゅみたいになりたい」
小熊は大人に接するときのように、トウキの目を見返す。
コウキの目に強い意志の光が宿っていることを見届ける。
「俺がワールドユースから帰ってきたら、こうなんです。
普通はヒデとか俊輔とかの名前を挙げそうなもんなんですけどね。
どうやらワールドユースで見た樋口のプレイが相当気に入ったみたいで。
そのあと、テレビに出ることがなかったから、
このぐらいの年齢の子どもだと
樋口のことを忘れてもおかしくなかったはずなんですがね。
ワールドカップのメンバーに選ばれたときはにこにこしてましたよ」
小熊の胸裏を一年前の戦いの日々がよぎる。
樋口、よかったな。ここにお前のプレイに惚れた男がいるぞ。
お前のプレイを見たいと願っていた男がここにいるぞ。
俺のちょっとした努力も報われたと言うべきだろうな。
小熊は心の中で満足の笑みを浮かべる。
「そうか。それはいい目標だな。
とにかく毎日、練習を頑張ること。それがまずは大事だよ」
コウキはこっくりとうなずく。無口ではあるけど、素直な子どもだ。
そのとき、コウキが口を開いた。
「今日はひぐちせんしゅ出ないのかな?」
トウキが小熊の顔を見上げている。
小熊はその頭をなでながら、コウキにゆっくりと語りかける。
「樋口は後半出てくるよ。それが奴が得意とする時間帯だから。
きわどい展開の試合になれば必ず出てくるよ」
元山は記者席からピッチを俯瞰している。
ハーフタイムを消化して試合は後半へと突入している。
後半はややドイツが押し気味だ。
日本がボールを触れない時間が少しずつ長くなっている。
ハーフタイム中にクリンスマンの檄が飛んだのだろうか。
気合いがやや空回り気味だった前半と違って、
後半のドイツの選手たちは、この試合にかける意気込みが
素直にプレーの力強さに反映されるようになっている。
ホスト国として、そして全世界が注目するワールドカップ開幕戦。
ドイツにとっては絶対に負けるわけにはいかないゲームだ。
ドイツは中盤の中央を分厚くし、
そのブロックを思い切り日本の守備陣にぶつけてきた。
バラックが、ダイスラーが、そのフィットネスにものをいわせて、
やや強引なキープから細かいパスをつないで日本陣内に攻め込んでくる。
前半はタンポポの綿毛のように前線で浮遊するだけだったクラニーに、
レーザービームのような鋭いショートパスが入りはじめた。
ちゃんとクリンスマンは日本を研究してきている。
元山は記者席で前半とはがらりと変わったドイツの攻撃の組立を見ていた。
よく日本人がスポーツをやる上で、身体能力でのハンデを指摘されるが、
サッカーではそれが単なる体のサイズの問題に帰結するならば、
日本が追っているハンデは普通の人が考えているほどではない。
中澤のような大型ディフェンダーもいる。メンバーの体格だってそんなに差はない。
単純にフィジカルの違いに物を言わせようと、
後ろからロングボールを放り込み続けるような攻撃は、日本にとって実はありがたいのだ。
そこそこのサイズを持つ一方、綿密に訓練された組織を持つ日本にしてみれば、
単純な戦術はむしろ格好の餌食だ。しっかりとした連携で難なく対処できるだろう。
問題はむしろ、中盤やサイド、ゴール前での一対一の局面だ。
11対11なら五分の勝負ができても、1対1を11回やられたときの日本は脆い。
わざわざ日本のディフェンダーが複数待っているところにハイボールを蹴るのではなく、
ひとりずつ日本の選手を引きずり出して、個別撃破で崩していく。
それがアジアの盟主となった日本への対応手段だった。
自分たちがボールを持った状態での1対1を徹底して仕掛けていく。
それが日本を疲弊させるもっとも効率的な方法だとクリンスマンは知っている。
相手の攻勢にじわじわと小野がかなり低い位置まで押し込まれている。
よくない兆候だ。元山は無意識のうちに下唇をかむ。
小野はすばらしい選手だがその魅力が遺憾なくはっきりできるのは、
やはりハーフウェーより前、敵陣に近いポジションにいるときだ。
自陣ゴール前やバイタルエリアという場所にいて、守備で力を発揮するタイプではない。
小野を前に出せれば相手には大きな脅威となるが、
押し込んで下げてしまえばその脅威を取りのぞくことができる。
ドイツが確実にピッチに吹く風を自分の物にしていく。
少しずつドイツがボールを持つ時間が長くなる。
元山は祈るような思いで日本のベンチを見る。
イノセントな期待だとわかっていても、元山には彼の姿が見たかった。
エリア外にこぼれた玉をバラックの強烈なミドルシュート。
強烈なストレートボールが枠に飛んだが、
川口が間一髪手首を返してバーの上にはじき出した。
「ニッポン危なかった!!すごいシュートでした、川口ナイスセーブ!!」
アナウンサーが悲鳴をあげる。
小熊は思わず深い安堵のため息を漏らす。隣の滝沢も同じだ。
「今日の川口は久しぶりに当たりだな」
小熊は滝沢に話しかける。
「ですね。こういうシュートがひっきりなしに飛んでくるゲームのほうが、
川口にとってはやりやすいでしょうね。
特に彼は多くボールに触ることで、集中力が無限に高まるタイプですから」
「問題は最後のロスタイムまで防ぎきれるか、か」
小熊の表情は険しい。
画面の中ではドイツがポドルスキーを投入した。21歳の新鋭。
それを追うようにジーコも動く。柳沢に変えて久保。
久保はまだ完全なトップフォームではない、というのが
マスコミの報道だったが、ジーコは未完の大砲で勝負をかけてきた。
俺だったらどんな手を打つだろう、と考えてしまうのはプロコーチとしての悲しい性か。
日本のよくないときのパターンで、ボランチの二人が守備に引いてしまい、
フォワードとトップ下が構成する前線との間に大きな空白ができてしまっている。
こうなると攻撃と守備それぞれのブロックが分離した状態になってしまい、
ジーコの監督就任以降基本スタイルとなったショートパス主体で
ボールポゼッションをあげていくサッカーは機能しなくなってしまう。
フォワードはサポートがない以上、ボールが足元に入っても選択肢が限られてしまい、
無理な単独突破を試みるしかなくなって、
相手ディフェンスの網に自爆気味につっこんでボールを奪われてしまう。
絶対的な力を持つフォワードのいない日本は、
複数の人数でパスをつなぎながらチャンスを作っていくのが
攻撃の基本であり、得意パターンだ。いまはそれができていない。
自分たちのスタイルを取り戻すには、
やはりラインを高く保ち、前線とディフェンスラインの距離を縮め、
二つのブロックをしっかりとリンクさせることが不可欠なのだが、
これだけ押し込まれている状況で、
宮本にいまラインの押し上げを求めるのは酷な相談だろう。
一度でいいからビッグチャンスが欲しい。
そうすればそれを契機に小野のポジションを押し上げ、流れがつかめるかもしれない。
俊輔はおそらく最後まで持たない。
これだけ守備に走らされれば最後はスタミナが切れる。
さっきから俊輔のところで対面の突破を許すシーンが散見されるようになってきた。
流れを一気に覆す、フリーキックをはじめとした俊輔の決定力の高さは言うまでもない。
だがその決定力を生かすチャンスがこのゲームでこれからあるのか。
敵陣でファールがとれず、このままじりじりと押し込まれ続ける可能性も高い。
そのような状況では守備であと一歩が出なかったために
悲劇的な失点を招くこともありうる。
どこまで俊輔を引っ張るか。難しい判断だ、と小熊は思う。
裏目に出ればまちがいなくマスコミからこてんぱんに叩かれる。
画面ではジーコが2枚目のカードを切った。
後半25分を経過したところ、大黒が退き大久保嘉人がピッチの中へ駆けていく。
日本のサポーターが歓声を上げて向かい入れる。
これで2トップを入れかえた。ジーコが得意とする交代パターンだ。
スコアレスで迎える残り20分。
1点の重みがぐっと大きくなる時間帯。
もし、もしこのまま膠着した展開でいったなら、最後の一枚はどうする?
小熊はふと隣を見やる。コウキは画面から視線をみじんも動かさず、
さっきから食い入るように見続けている。
ジーコは使う。小熊の肺腑の中に確信がある。
もう少し待ってろ、坊主。ジーコは必ず君のヒーローを使ってくる。
ここで使わなければやつを呼んだ意味がない。
・・・更新終わったかな?
キタワア゚・*:.。. .。.:*・゜(゚∀゚≡゚∀゚)゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
話とんだな
今日はここまでか
週刊誌では打ち切られて、月刊に島流しにされた感じの更新速度だな
384 :
U-名無しさん:2005/08/08(月) 22:59:11 ID:mSdwjQ7K0
お腹いっぱい
大久保選ばれてるじゃんw
更新って言うか、まとめページで更新されてたのがこっちに転載されてだけでしょ?
387 :
U-名無しさん:2005/08/08(月) 23:09:30 ID:FVup65WVO
ウンコどもが、早く更新しろよ。
新作始めるぞ?
厳密に言うと、誰が貼ったのかすら分からん。
そういう問題だ。
コピペにマジレスしてもしょうがないから・・・
とまあ、そういうスレになっただけでないの?
あらま、知らなかった。まとめサイト全然見ないもんで・・・
でも読めたからいーや。
普通の高校サッカー物語から何か樋口が成長しすぎて手の届かない
ところに行ってしまった気分だ・・
391 :
U-名無しさん:2005/08/08(月) 23:18:55 ID:LTfyMAZn0
tarouno
tiinnkonameteeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeyo
>>385 おおいに、代表選出のサプライズだな(w
前期の最後の3試合くらいの活躍が出来れば余裕で呼ばれるでしょ大久保は。
まー当確とは全然言えないけど今年次第ですな。むしろ玉ちゃんと師匠が(ry
でも田中達也が残りでもしたら、大久保はどうなるんだろ
395 :
U-名無しさん:2005/08/09(火) 01:49:20 ID:2zlJLlXAO
マトメサイトどこん?
397 :
U-名無しさん:2005/08/09(火) 09:47:09 ID:2zlJLlXAO
396
禿しくサンクス
「樋口、出番だ」通訳の鈴木さんが俺の名を呼んだ。
もう十分にアップは済ませてある。
まさか、という状況のはずなのに俺の心は不思議なほど落ち着いていた。
出番が来ることがわかっていたような、そんな余裕が俺の中にある。
楢崎さんがすっと近寄ってきた。
「お前のことだから心配してないが、舞い上がるなよ。
お前なら絶対この流れを変えられる。必ず1点取るんだぞ」
俺はうなずく。
「あの一緒にやった練習試合を思い出せ。
あのときと同じ気持ちでやってこい」
楢崎さんと手を軽く合わせる。俺の体に楢崎さんの力が流れ込んでくる。
ビブスを脱いでベンチに置き、歩いてジーコの前に立つ。隣には鈴木通訳。
ジーコの下で試合に出るのは今日がはじめてだ。
ジーコはどんな指示の出し方をするタイプなんだろう?
普段の指導を見た限りでは、細かいポジショニングなどをいう監督には見えないが。
ジーコが俺の目を見て何かをしゃべる。
俺はその目をまっすぐ見返す。目から熱い力を感じる。
もちろん言葉はまったくわからない。ここでは気を感じるだけだ。
鈴木さんが訳してくれるのを待つが、なにもしゃべらない。
不審に思って鈴木さんのほうを見ると、当惑した表情を浮かべている。
ん?いったいジーコは何を言ったんだ?疑問が広がる。
ジーコが鈴木さんを軽く促すような素振り。
それにおされて鈴木さんがしゃべりはじめる。
「ピッチには彼女が待っている。彼女の声を聞いてこい」
ジーコの視線と俺のそれが交錯する。
このおやじ、確かにサッカーの大事な何かをわかってる。
タッチラインに立つ。審判が持っているボードを横目で見ると俊輔さんとの交代だ。
俺はユニフォームの胸のあたりをぎゅっとつかむ。
審判に見つからないよう、ちょっと工夫して首から下げたふたつのお守りの感触。
おれはプレーが切れるまでの間、ぐるりと首を回し周囲を仰ぎ見る。
タカシが教えてくれたリラックス法、いまではすっかり俺の癖になっている。
断崖のようにそびえ立つバックスタンド。斜度が35度だと聞いた。
35度というとなだらかに聞こえるが、下から見るとほとんど垂直の壁だ。
一番上を見るには相当首を後ろに傾けなければいけない。
最前列から最上段までぎっしりと詰まった観衆が一人残らず、
息を呑んでこのピッチを見つめている気配が伝わってくる。
プレーが切れず、俺はラインの外でしばらく待たされる。
ドイツがいい形でボールを奪った。その瞬間、一斉にスタンドが地鳴りを起こす。
まるで地震が起きてスタンドが崩れるんじゃないか、と思うような歓声だ。
右側を見るとアウェイのゴール裏には青の巨大な一団。
これだけの人数が多くのお金と時間を費やして、このドイツまで来てくれた。
そして俺たちが少しでもやりやすいように、
力が出るように、と懸命に声を張り上げ続けている。
視線を下に落とすと照明にその濃さが映える緑の芝生。
前日練習では下地の厚みはあるものの意外と刈り込んであって、
思いのほか滑りやすいピッチだという感じだった。
双方のゴール脇につらなるカメラマンと彼らが構える砲筒のようなカメラのレンズ。
圧倒的に数が多いのは、左側のゴールのサイド。いま、ドイツが攻めているゴールだ。
後半、日本が攻める右のゴールは、反対側と比較すると人数が格段に少ない。
カメラを構えているのも日本のメディアがほとんどなのだろう。
彼らにすばらしいシャッターチャンスをプレゼントしたい。
その後ろで待っている日本のサポーターに喜びの瞬間を届けたい。
俺は強く思う。
加地さんの蹴ったクリアボールが反対側のタッチを割った。
審判が笛を吹いて、こっちを見た。
とうとうこのときがきた。
さあ、モニカ行こう。これがワールドカップだ。
俊輔さんが走ってくる。すれ違い際に俺の肩を抱いて
「1点頼んだぞ」と気合いを入れていく。
わかりました、と答えて俺はピッチに駆け出す。
日本のサポーターの熱烈なコールと、
スタジアム全体が怒っているようなブーイングが俺の登場を祝福してくれる。
元山の視線の先で、樋口は愛おしむように芝を何歩か踏みしめると、
足を伝わる感触に満足したようにまっすぐセンターサークルの方へ駆けていった。
ゴール裏に陣取った日本サポーターが樋口の名を呼ぶ。
ああ。とうとうこの時が来た。
一年前のオランダ。冬の埼玉スタジアム。そしてこの前のナビスコ杯。
ずっと見てきた。ずっと応援してきた。
よかったね、本当に・・・。
元山は手元の取材ノートに書き記す。「後半35分 樋口in」
さあ、これからだ。
君はその思いのままにピッチを走れ。
私はそれを文章に残し、多くの人に伝えよう。
「なんとジーコ、ここでA代表初キャップの樋口です!
この大事な場面で、3枚目のカードは樋口を起用してきました。
ジーコ、まさにこれは勝負に出た!」
アナウンサーがここが盛り上げどころとばかりに声のトーンをあげた。
画面には中田英寿と身振りを交えながら会話する樋口の姿が映し出される。
小熊は、横に座っているコウキの顔を見る。
まだ幼いけれど、どこか滝沢に似た整った鼻筋の通った横顔。
一秒たりとも見逃すまいという気持ちが微動だにしない視線に表れている。
そうだ、そのきれいな目によく焼き付けとけ。君のヒーローの姿を。
小熊は心の中でそっと樋口に呼びかける。
樋口、出ただけで満足するな。自分の仕事はわかっているな。
この子に、いまテレビを見ている他の子どもたちに、
日本サッカーのもっと大きな可能性を、もっと大きな夢を見せてやってくれ。
彼女は一人でテレビ画面を見ている。
インターネットを通じて、その後の彼の情報は仕入れていた。
だから、ワールドカップのメンバーに選出されたことも知っていた。
けれども、初戦の、この難しい場面で出てくるとは思わなかった。
「IN 20 Hiroki Higuchi MF JPN」のテロップが画面の下に出る。
青いユニフォームを着た彼の姿がテレビいっぱいに映る。
公園でからかったときのムキになった表情、
冬に日本へ行き、一緒に手をあわせたときの繊細な横顔。
いま画面に映っているのは弱さなど微塵も感じさせない
彼の闘志に満ち溢れる顔つき。
でも、彼はいまでも内面にいろいろなものを隠し続けている。
彼は忘れたりしない。すべてを知ってあそこに立っている。
がんばるのよ、あの娘の分まで。
彼女は届くわけないと知りながら、テレビの中の彼に向かって発破をかけた。
しかしねえ、あなた。あの時点でわかるわけないとはいえ、
わたしたち、ワールドカップに出るような人にちょっかいを出すなんて
いま思えば随分大胆なことしたものよね。
シンディはひとり苦笑を浮かべると、いまはいない友に語りかける。
「樋口かよ!ジーコも思い切った交代するなあ」
浦和レッズの選手寮。ロビーに置かれたテレビをみんなが囲んでいる。
テレビ画面の左上に示された時計は後半35分の表示。
闘莉王が話しかけてくる。
「どうなんだ、この交代は?お前から見て」
「正解でしょう。この場面ならあいつが一番期待できる。
必ず見せ場は作ってくれますよ」
タカシは念を送るように胸の前でぐっと手を組んだ。
がんばれ、お前ならきっとドイツにだって負けない。
俺も山口も内藤も、高校のみんなも、そして岩崎も絶対テレビを見ている。
がんばれ、お前のために。そしてモニカちゃんのために・・・
「あなた!樋口君、出てきましたよ」
隣の部屋のパソコンで仕事をしていた夫が、
彼女の呼びかけにこっちの部屋に入ってくる。
画面には、緑のピッチに映える
青いユニフォームを着た若者の顔が大写しになっている。
「やや、すごいな、あの若さでワールドカップに出るなんて。
ほんとうにたいしたもんだ。いやあ、起きててよかったな」
テレビに映し出された樋口の姿にひきこまれたように、
夫はどっかりと座ると、目をこすりながらテレビを見始めた。
「いま思うとあの娘はすごい人と一緒にサッカーやってたんですね」
彼女の言葉に、夫が深く首を縦に振る。
「あの娘は不思議といつも周りの人に恵まれていたからなあ。
ほんとうに幸せだったと思うよ、たとえ短くてもいい人生だった」
夫の目が赤いのは、さっき目を激しくこすったせいなのか。
彼女はあの日のことを思い出す。メンバーの発表されたあの夜。
あの日はなにかせわしない一日で、
彼女がニュースを見ることができたのは深夜に近い時間だった。
テレビに映ったメンバーの名前を見るや否や彼女は家を飛び出した。
あの娘へ。早く伝えたい。
彼女の足はいつしかあの忌まわしい場所に向かっていた。
決してもう訪れることはないと思っていた場所。
暗い道路。両脇の歩道。ガードレールも修復され、
もうどこにもあの事故の痕跡は残っていないように見えた。
そんな暗い道端にそっと置かれた真新しい花束が、
街灯のほのかな光を浴びて、明るく輝いていた。
少し前まで誰かのいた気配。誰かの祈りが残っている。
いろいろ他に報告しなければならない人もいただろうに。
ほんとうはマスコミの取材も受けなくてはいけなかっただろうに。
彼女は花束の前でそっと手を合わせる。
直接、聞かせてもらったんだ。よかったね・・・。
彼女はそっとあの夜の記憶を、心の中の引き出しにもう一度しまい直す。
テレビの中の若者に心の中でそっと声援を送る。
がんばってください。日本のサッカーとあなた自身のために。
きっとあの娘もどこかで見てます・・・。
彼女はテーブルの上においた愛娘の写真の入ったスタンドを、
テレビ画面がよく見えるように、とそっと向きを調整した。
うおぉぉぉぉ、ここで終わりかよぉぉぉぉぉ
ジーコ良いヤシだなジーコ
泣ける。・゚・(ノД`)・゚・
鳥肌たった。゚゚(´□`。)°゚。
411 :
U-名無しさん:2005/08/10(水) 02:29:42 ID:7ei0zeCs0
心から感動しました。 ありがとう。
412 :
U-名無しさん:2005/08/10(水) 02:32:43 ID:RkaysmsIO
不覚にも涙が…コピぺしてくれた人と作者さんには感謝してもしきれんよ。マジありがとう。
正直不満な点もあったんだけど、やはり作者さんの描写は素晴らしい。
個々の情景が目に浮ぶ・・。これからも楽しみにしています。
大円団
なんだ?大円団って?
ふいんき(ryみたいなもの?
最後まで楽しく読ませて頂きました。
21さん、ありがとう。
マジで終わりなの?
え?
これで終わりなの?
せめてエピローグをおおおお
今更だけどタイトルをつけるなら「モニカ」が一番いいと思う。
主人公はヒロだけど、やっぱこれがしっくりくるよ。
タイトルは今のスレタイのままがいいな
いいけど長くない?愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない並だ。
残り10分。延長のないグループリーグ。
セーブする必要はない。すべてをこの10分で出し尽くす。
ピッチに入るとすぐにヒデさんとゲームの運び方の確認をした。
「とてもいまのディフェンス陣は押し上げられる状況じゃない。
だがこのまま引いて守って引き分けでよし、とはいかない」
ヒデさんの言葉にこめられた意味はすぐにわかった。
わずか3試合しかないグループリーグ。
たとえ相手がドイツだろうが勝ち点3をとっておけば
決勝トーナメント進出に向けて大きなアドバンテージになる。
確かにドイツは伝統国だ。ホームの有利さもある。
しかし、どの国が本当に強いかはやってみないと
わからないのがワールドカップという舞台の恐ろしさだ。
前回大会でアルゼンチンが、フランスが、グループリーグで消えたように、
どのチームが強い、弱いなんてのは終わってからわかることだ。
どの試合でも常にひとつでも多くの勝ち点を狙っていかなければいけない。
「ということはカウンター狙いで?」
という俺の言葉にヒデさんは深くうなずいた。
「ヒロはこっちが押し込まれたときも下がりすぎるな。
あくまでも前目でのディフェンスに徹してくれ。
フォワードの二人のポジションを見ながら、
誰かが必ずサイドに流れているようにしてくれ
フォワードのどっちかが流れたらヒロは真ん中のフォロー、
フォワードが両方とも中央寄りだったら右サイドを突け」
耐えてその上でもう1点を取りにいくという考えか。
ドイツがスローインからボールを入れてゲーム再開。
周囲を確認すると左サイドに移動したヒデさんは俺より下がり目の位置にいる。
守備は俺に任せろ、だからお前は点を取ってこい、ということか。
ハーフウェー付近でボールを追っかけるが、相手のパス回しがなめらかだ。
できたら俺が間合いをがちっと詰めて、相手が持ってるボールの動きを止めたい。
動きをある程度止めてしまえば一気に複数で囲んでボールを奪えるのだが、
こうも少ないタッチで早く回されると、なかなかボール奪取の基点になれない。
前線で詰め切れてないので、後ろの選手も囲みに行ってかわされた時の
リスクを考えると、ついつい様子を見てしまって足が出ない。
それがボールの持ち手へのプレッシャーが弱くなることにつながり、
相手のパスがまたスムースにどんどん回ってしまう。
「ヒロ、追え!中を切れ!」
観客の上げる歓声の切れ目を縫うようにして、
後ろからヒデさんの怒声のような檄が飛んでくる。
「集中!集中切らすな!」
ディフェンス陣に活を入れる宮本さんの声も遠くからかすかに聞こえる。
俺がボールを追っかけてコースを切るたびに、
相手と俺とボールの動きにあわせて、
後ろの選手は微妙にポジションを調整する。
敵味方の選手のポジションがピッチに描く図形は
戦場を捕捉するレーダーのように休むことなく流動して変化し続ける。
ボールが奪えない。寄せてははたかれ、追えばボールは逃げていく。
気分的にはしんどいところだ。だが、ここであきらめるわけにはいかない。
いつか必ずこぼれるはず。そう信じてひたすらパスコースを切り続ける。
シュナイダーが鋭い縦パスを送る。
引いてきてくさびになったのはクラニーだったが、
それをヒデさんが素早い出足で潰した。
この時間帯でまだあれだけダッシュが効くなんて、
やはりこの人の持久力も含めたフィジカルの強さは化け物だ。
必死に抵抗するクラニーを抑えつけて、ヒデさんがボールを奪いとる。
ヒデさんならボールを失う確率は低い。
俺はモードを切り替えて前を見る。フォワード二人の位置を確認。
久保さんは中央にどんと構えている。やや左サイド寄りで嘉人さんが動く。
バラックがボールを奪い返しに行くが、ヒデさんが前線にパスを送る。
早い弾道。鋭い軌跡。ボールが空気を裂きながらハーフウェーを越える。
キラーパスの称号は伊達じゃない。
厳しいボールだったが、久保さんがジャンプして絶妙な胸トラップ。
ボールはぴたりと足元へ落ちる。
うまい。俺は心の中で感嘆のため息を漏らす。
一度敵として日本代表と戦ったことはあったが、
いざ自分がその中に入ってみてみると、そのテクニックとスピードはやはり一味違う。
あの試合が、多少向こうもマジになったとはいえ、
位置づけとしてはあくまでも調整試合だったことを痛感させられる。
俺はヒデさんの指示どおりに右サイドを走る。
後ろからは加地さんも懸命に上がってきているだろう。
久保さんから見ると右に俺、左に嘉人さんの構図だ。
久保さんはどっちにパスを出す?それとも自分で持っていくか?
その瞬間、久保さんから俺の前方に鋭いライナーのパス。
だがそのボールは途中でドイツの選手に当たってしまう。
はじかれたボールが背丈ほどの高さで宙を舞う。まだ勢いは死んでいない。
間に合う。俺の位置からなら取りにいける。
俺はダッシュの向きを変え、ボールに向かって走る。
視線の先でボールがワンバウンド。
俺と同じようにドイツの選手がボールめがけて走ってくるのが目に入る。
俺の方がボールに追いつくのは早い。
だが足元に落としたら、その瞬間を狙われてしまうだろう。
ならば。俺は力を振り絞ってギアをもう一段上げる。
これなら落下点に入れる。
俺のスピードアップに計算が狂った相手が、まごつく気配が空気越しに感じとれる。
ヘディングは間に合わない。だが他にも手はある。
俺は落ちてきたボールを左肩に乗っけてかっさらうと、そのまま背中づたいに落とす。
ボールがユニフォームの背中をかすりながら落ちていく。
たとえ目では見えなくても、俺にはボールの軌道がはっきりとわかる。
落ちてきたところをヒールで蹴り上げて、相手の背後へ浮き球で送り出す。
俺に向かって前進していた相手は、背後に蹴り出されたボールに逆をつかれる格好だ。
相手がきびすを返そうとする間に、
走ってきたスピードそのままに俺は裏へ抜け出す。
スタジアムから一斉に地鳴りのようなどよめきがあがるのがわかる。
トリッキーなプレーだがうまくいった。
抜けた。ラインの裏だ。俺は壁の裏へ抜け出した。
ベルリンの壁を越えたときの住民たちの気持ちもこんな感じだったのだろうか。
――― ……… ――――
中央に久保さん、ファーには嘉人さん。
すさまじい形相で手を広げ、俺によこせ!と訴えている。
だが俺の前には誰もいない。
追ってくる相手に取り返されないように、少しボールを長く出す。
ボールがエリア付近まで転がる。
俺の気配を察したディフェンダーがスライドしてコースを切りにきた。
交わしてシュート。もしくはフェイントを入れて横パスか。
だが、ボールを奪ったときドイツもさほど前がかりではなかった。
時間をかければすぐにエリア内が戻ってきた
ドイツのプレイヤーで埋めつくされるのは目に見えている。
ほんの一瞬だけ視線を飛ばしてキーパーの位置を確認。
じっくりゴールを視るのは、百戦錬磨のカーン相手じゃ
こっちのほうが経験がない分勝負としては不利だ。
相手の駆け引きに引きずり込まれる前に、こっちから打ち込んでやる。
これだけ離れてるのにゴールからオーラがびんびん伝わってくる。
威圧感。プレッシャー。閉塞感。これが超一流のキーパーの持つオーラか。
左足を踏み込む。イメージの中のゴール枠の左上。
シュートを察したディフェンスがスライディングしてくる気配。
大丈夫、それより先に打てる。
何も考えずにストレートのフルショット。
右足の甲に快感を残してボールが飛んでいく。
決まれ!俺は祈りと共にゴールマウスをみる。
カーンの巨体が、その重量感から信じられないほど軽やかに飛翔する。
伸ばされる左腕。届くな。そのままなら左上すれすれに突き刺さる。
カーンの指先がボールを押し上げる。ボールの軌道を変えられたのがわかる。
俺のシュートはバーに気持ちい音を立てて当たると大きく跳ね返った。
ドイツサポーターでいっぱいのスタジアムから悲鳴が起こる。
ボールは不運にも白いユニフォームの前に落ち、
間髪いれずに大きく蹴り出されてタッチを割った。
今度はスタジアム全体が唸り声のような安堵のため息を一斉に吐く。
まるでスタジアム自体が生き物みたいだ。
ピッチでその声を聞いていると、
自分が物語に出てくる得体の知れない怪物に飲み込まれ、
その胃の中にいるような気分になってくる。
しかし。俺は自分でも気づかないうちに頭を抱えていた。
いいシュートだった。俺の中では完璧といってもいい。
あれが入らないのか。あれを防がれてしまうのか。
遠くでは嘉人さんが、なんで俺に出さなかったと怒っているが、見えなかった振りをする。
いまの俺の判断は間違っていなかった。シュートだって会心の当たりだ。
それを完璧に止められた。
世界とは、世界とは。こんなに広いのか。
頭を抱えた俺を励ますように日本サポーターがコールを送ってくれた。
その声が少し俺の気持ちを楽にしてくれる。
「よかったぞ、ヒロ。もっと狙ってけ」
後ろから走ってきた小野さんがぽんと俺の背中を叩いた。
顔を向けると、テレビ画面でよく見ていた
あの誰もを幸せな気分にする笑顔が一瞬見えた。
そうだ、一度止められたぐらいでしょげてどうする。しかも相手はあのカーンだぞ。
一度打って入らなければ、もう一度打てばいいだけの話だ。
俺はゴールマウスを睨む。次こそあの中にボールを叩き込む。
今日はこれで終わりかな?
うちきりだよ^
つーか、マジでウザくなってきた。
続いても別にいいけど、次スレはヲチ板に作ってくれ。
267乙。
君もこのスレから、この物語から離れられないんだね。
436 :
U-名無しさん:2005/08/11(木) 01:06:33 ID:vN1hufiL0
最高っすね
>>424 >耐えてその上で「もう」1点を取りにいくという考えか。
細かいところだけど↑これは間違いだよね?0-0の場面だし。
そういえばまとめサイトって添削して修正ってしてあるんだろうか。
ヒールショットやいきなりシュート
交代直後にいきなりブチかましたシーンが目にうかんだ。
ヒロみたく周りやサポを勇気づけるプレーする選手がウチにもほしい…
樋口…腐頭にいたら腐ったサッカーしか出来なくなるぞw
レッズじゃないし
441 :
U-名無しさん:2005/08/11(木) 13:31:19 ID:L2H2hZb50 BE:45018454-
>439
大丈夫。
FCの枠に収る選手じゃないから。
あっさりヨーロッパへいっちまうよ。きっと
267は完全に逃げちゃったんじゃないの? 267は叩かれるのスゲー怖いんだろうな。
もういいだろその話は。最後が近いっぽいんだから21の小説に集中にようぜ。
それもそうだな。あれは21のいない間の暇つぶしだったんだしな。
実は21=267らしいぜ
すげー・・・
単純なモノローグなのに、実際のゲームを見ているみたいな気分だ・・・
試合内容の描写は金子達人なんかよりもずっと上じゃないか?
ドイツのロングボール。さすがに時間がなくなったせいか手数をかけない。
ゴール前にほうりこんできた。パワープレーに切り替えるのか。
前線でポドルスキーと中澤さんが競り合うが、
ボールはどちらかの体に当たって、ゴールラインめがけて転がっていく。
川口さんが懸命にスライディングしながら手を伸ばすが届かない。
横を見ると線審がコーナーを旗で指している。
スタジアムの時計を確認すると43分。嫌な時間のコーナーだ。
久保さんがエリアまで戻ってくる。
この場面、久保さんの高さは守備においても貴重だ。
前線には相手を引きつけるために大久保さんが残る。
ドイツは大久保さんのそばに二人残した以外は、
全員コーナーに備えて上がってきている。
ドイツにとって引き分けは許される結果ではない。点を取りにきている。
俺もエリア内に入り、ニアで低いボールに備える。
シュナイダーがセットしたボールを蹴った。
ファーへの高いボール。俺の頭上を越えていく。
落下点を巡って肉体と肉体がぶつかる。激しい肉弾戦。
地元開催の初戦。悲願の統一ドイツとしての栄冠。
嬉しいニュースを心待ちにしている人がたくさんいる。
そのためには、このジャンプ、このヘディングで負けられない。
ドイツの選手たちの叫びが聞こえる。
だが俺たちだってそれは同じだ。
日本には俺たちの勝利を心待ちにしてくれてる人がたくさんいる。
ひとりひとりが負けられない理由を抱えてこのピッチに立っている。
絶対に譲れない。意地と意地がボールめがけてぶつかりあう。
明快な意思に基づいて蹴られたボールが激しい争いではじかれて、
その意思を失ってあてもなくふんわりと宙を舞っている。
ルーズボールを足元に収めたのは誰かわからないが青いユニフォームだ。
俺は右サイド、ライン際のスペースへダッシュする。まだまだスタミナは有り余っている。
「右!右にヒロ!」
この大声はたぶん宮本さんだ。周囲に誰もいない右サイドのスペースへ進出。
中を見るために左側に体を開くと、俺の足元にボールが送られてきた。
ていねいにトラップ。すかさず前を見る。広がるのは人工の野原。
前に待つのは大久保さんとふたりのディフェンダーだけ。
行くか?それともここはキープして時間を稼ぐか?
そんな俺の逡巡を吹き飛ばすようにヒデさんの怒声が遠くから響いた。
「ヒロ、持ってけ!持ってけよ!」
点を取れ、という意思がびんびんに伝わってくる。
そうだ、とことん打ち合う。斬りつけあう。今日はそういうサッカーだ。
大きくボールを前に出してのドリブル。
スペースさえあればこのほうがスピードは上がる。
この疲労が蓄積した時間帯、最初の数秒でぶっちぎって
相手との間にはっきりと距離を開けてしまえば、
萎えた心がきっとドイツの選手の追う足を止めてくれる。
最初だ、最初の数秒であきらめさせてしまうしかない。
懸命にスピードを上げる。だが追ってくる足音がする。もの凄い歓声。
なぜか、誰が追ってくるのか見なくても俺にはわかる。バラックだ。
このままこの位置で無理矢理ファールで引き倒されたら何の意味もない。
俺はやむなく急停止してボールを足元に止める。
間髪入れず俺の前に立ちふさがる人影。背番号13。やっぱり。
この人にあきらめてもらおう、というのは都合がよすぎる考えだった。
時間はかけられない。ドイツの選手がみんな戻ってしまう。
行くしかない。だがお前にバラックが抜けるか?
ドイツの皇帝とまで言われる選手を抜く力がお前にあるのか?
ここでボールを取られたら、もう一度日本のゴール前でチャンスを作られるぞ?
どうして時間を使わなかったんだ、引き分けでよかったのに、と叩かれるぞ。
心の中を横切る弱気。
だけど。抜きにいかなければサッカーじゃない。
―――― ス… ……
俺は決める。時間がない。速攻で仕留めるしかない。
手、肩、首、腿、足首。
体のありとあらゆる部位を使ってフェイントを繰り出す。
一気に相手の脳へ情報を送りこむ。
頼む、揺れてくれ。俺は祈るような思いで感覚をとぎすます。
バラックはつられない。俺のフェイントは通用しないのか。
もう一度左足でボールをシザース。その時、バラックが揺れる気配。
その瞬間言葉で考えるより早く、俺の足はボールを前に送り出している。
バラックは俺を止められない。抜けた。
そのまま全速で走る。白いハーフウェーラインが俺の足元を過ぎていった。
前を見る。大久保さんが鬼気迫る表情で俺を見ている。
ディフェンダーの二人はそのまま大久保さんにつきながらじりじり下がる。
真横に視線を走らせる。大丈夫、誰も追ってきていない。
2対2。絶好のカウンターのチャンスだ。
どんどんゴールが近づいてくる。スタジアムの歓声は耳をつんざくようだ。
耳が麻痺して何が聞こえているのかわからない。
大久保さんの口が大きく動いている。何かを叫んでいるのだろうが聞こえない。
あの練習試合でも、ワールドユースでのアルゼンチン戦でも、
最後俺が駆け上がるのは必ず右サイドだ。
日本代表とやったときは、左サイドからモニカがスライドしてきて、
俺は右サイドへ流れたモニカへパスを出した。
ドイツゴールめがけドリブルで突き進む俺の目に、
目の前を左から右に走るモニカの姿が見える。
―――― ス… ……ケ……ベ……
俺はそのままモニカの影を追い抜き、ゴールまで一直線に進路を取る。
エリア手前で観念したようにディフェンダーがシュートコースを切りに来る。
もう一人は左で待っている大久保さんについたままだ。
大丈夫、この一枚は交わせる。
確信がある。
人里離れた山の奥深くに沸く水のように、いま俺のすべては澄みきっている。
おおおおおおもしれえええ
>>447 > 試合内容の描写は金子達人なんかよりもずっと上じゃないか?
ほめてんだかなんなんだかw
作者タソは隆慶一郎とか読んだらもっと白熱した描写になるのかな
樋口カコイイ
うおおおおおおお、ここで終わるのかあああああ
456 :
U-名無しさん:2005/08/12(金) 02:20:37 ID:Gns3kJIY0
>>455 今日はってことね。
ここで、終わったらマジ泣くよ。
メッシとの再戦は書いて欲しいなあ。
プレイの描写は相変わらずいいね、ドキドキさせてくれる。
>>453 いや、すまん。「達人など足元にも及ばぬ」と言い直し申す。
作者さんが自分でやめ時だと思ったところで終わるべきだ
仕事じゃないんだから、連載継続の声が大きくても無視しちゃって良いぞ
主人公はこれからもずっと心の中で「ス ケ ベ」と呼ばれ続けるのか・・。
ムードないなあ。
もう、全て頭の中で映像になる。
すまん、最近サッカーを見始めた俺に教えてくれ。
>>358にある、「高校時代から一緒でそのまま代表でもコンビを組んだ二人」って誰?
磯貝と森山だよ
小倉と中西だよ
267乙
小熊と岩崎でしょ。よく本文を(ry
俺はスピードを落とさずにエリアに侵入。
そのまま俺がライン際まで突き進んで、
角度のないところから打ってくると判断したディフェンスが
セオリーどおり内を切りにくる。
俺を見るために左開きの半身になったそのタイミングを狙って、
右足にボールをひっかけて相手の裏をついてエリア中央へ切れ込む。
ディフェンダーの背中が見える。相手は踏みとどまれない。完全に交わした。
1試合の疲労が彼のスピードへの対応力を既に奪っていた。
シュートコースが開いた。ゴール正面。カーンが待っている。
既にカーンが俺を捕捉しているのを感じる。一対一の勝負だ。
相手を交わすときに右足に引っかけて中央へ持ってきた。
俺の利き足は右だから、持ちかえてから右で打ちたいところだが、
カーンはそれをするだけの余裕は与えてくれないだろう。
このまま左で行く。俺は右足をぎゅっと踏み込み、左足を振り上げる。
ゴールは見ない。カーンに視線は渡さない。
そのままイメージの中の枠めがけてフルショット。
俺の足じゃないみたいに、左足はボールの芯をとらえ、
最高の感触を残してボールは飛んでいった。
静寂。いつまでも続くかと思うような静寂。
その中をさっきまではよく聞こえなかった審判の笛の音が響く。
ネットに絡まってゴールの中に佇むボール。
一瞬の間の後、目の前のゴール裏に陣取った日本サポーターの叫び声。
生まれたての赤ん坊のような、もはや言葉の体裁をなさない叫び。
審判がゴールを認めたのを確認すると、
俺はゴールラインに向かって、サポーターの方へ向かって走り出す。
体の中から、熱い熱いマグマのような感情が突き上げてくる。
動かずにいることなんてできない。
衝動に身を任せて走る。決めた、俺が決めたんだ。
その瞬間。
俺の周りからすべての音と光が消えた。
何も聞こえない。何の音も。
雄叫びをあげていたサポーターの声も消えた。
俺の周りには光。白い光。
白い光の中を俺は歩いている。
ピッチの芝も、サポーターも、巨大なスタンドもない。
俺がいるのはただ光の中。
周囲をぐるりと見渡す。そのとき、声が聞こえる。
・・・ス ケ・ ベ・・サ・ ン・・
これは音なのか。俺は聞いてるのか。
・・・スケベサン、・・・ヨカッタ ネ・・・
モニカ。お前いま、ここにいるのか。
モニカ、どこかから俺を見てるのか。
・・・モットイッショニヤリタカッタナ・・・
そうずっと一緒に
・・・ありがとう。
その言葉と同時に何かが失われていく気配。
取り返しのつかない大切なものが消えていく。
俺はモニカの名を大声で叫ぶ。
その瞬間、すべての光と音が戻ってきた。
真昼のように明るい照明の光。空気の中に立ちこめる音、また音。
気づけば芝に膝をついて座っていた俺を、青いユニフォームの輪が取り囲んでいる。
「この野郎、本当にお前って奴は!」
俺を後ろから羽交い締めにしているこの声は中澤さんだ。
脇から太い腕で俺の頭を抱いているのは宮本さん。笑顔がはち切れそうだ。
ヒデさんもいる。小野さんの顔も見える。
みんな見たことのないようなすてきな笑顔だ。
日本の誇るサッカープレイヤーたち。
その輪の中にいま自分がいる。俺はその幸せを噛みしめた。
ようやく輪がほどけて、俺は立ち上がる。
サポーターたちの声援が一段と大きくなる。
俺は遠くベンチを見る。まさかの失点に沈むドイツベンチとメインスタンド。
一角だけ喜びがあふれているのはもちろん日本のベンチだ。
楢崎さんが俺の名を呼んでいるのがかすかに聞こえた。
俺は楢崎さんの方を向いてガッツポーズをする。
だけどあふれる喜びと一緒に俺の心はひっそりと泣いている。
モニカはもういない。モニカはもうほんとうにどこにもいない。
喧噪の中、俺の心は静かな昼間に降る雨のようにそっと涙を流し続ける。
――― ありがとう、モニカ・・・―――
世界には四年に一度、誰もがひとつのボールに心奪われる季節がやってくる。
ひとつの小さなボールをその場にいる数万の観衆が息を止めて見守る。
いや、そこにいる彼らだけではない。
そのボールは画面を通じて、何億、何十億もの人間の視線を集める。
ボールの動きに連れて、人々は理性を忘れて喜びを爆発させ、
時には背中を丸めて打ちひしがれる。
ネットを揺らすボールに両手を天高く突き上げ、声も枯れよと叫ぶ。
遠く枠を離れ飛んでいくボールに嘆き、頭を両手で抱える。
それは世界を幾ばくかの間包み込む熱い熱いフェスタの季節。
やがて一人の勝者と多くの敗者を産みだして祭りは終わり、
そして世界は何事もなかったかのように、また日常を取り戻す。
みんなあの熱狂を忘れたかのように普段の生活に帰っていく。
でもそれは見た目だけのこと。
誰もあの祭りを忘れたりなんかしない。忘れることなんてできやしない。
一人一人の心に鮮やかな原色で祭りの思い出は深く深く刻まれている。
そうだからいまは四年後の次の祭りのために。
祭りを楽しむために、一時、変わりない日々に身を浸す時。
新宿駅から程近い雑居ビルの地下にその店はある。
祭りの時はここも青い服を着た人々で埋めつくされ、
テレビを通して映し出される彼らの代表の活躍に
叫び、ため息をつき、そして喜びを
店にいるものみんなでわかちあう姿が試合のたびに見られた。
そんな光景も祭りの終わりとともに見られなくなり、
店には以前の雰囲気が戻ってきた。
マスターは顔なじみの常連に声をかけ、常連も笑顔でそれに応じる。
祭りの前と同じ光景。でも昔から来ている常連は、
ひとつだけ店が変わったところがあることに気づいている。
店内の入口近くに新しく飾られたまだ色鮮やかな一枚の大きな写真。
オーナーと直接話をした人ならば、
オーナー自身がつてを頼りにそれを撮影した写真家に頼み込んで、
手に入れて飾らせてもらってるものだという話を聞くことができたかもしれない。
新聞の一面を飾ったその写真は、その後雑誌などにも数多く転載されて
サッカーファンのみならず、多くの人の目に触れることとなった。
2006ドイツワールドカップ開幕戦 日本1−0ドイツ。
終了間際の劇的な決勝ゴールでホスト国の強豪ドイツを破り、
世界に日本サッカーの新時代を宣言した記念すべき試合。
写真は決勝ゴールを決めた直後の日本の若きエースをとらえている。
背景には笑顔の代表イレブンが、
殊勲の立役者を祝福しようと後ろから両手を広げて走ってくる姿。
中央にいる「彼」は両目をきつく閉じ、ピッチに膝をつき、
右手をすっと高く天に向けて突き上げている。
一方、左手は胸のあたりで首から下げた何かを握りしめている。
写真をよく見ると、彼が握りしめているのはふたつのお守りだとわかる。
膝を芝につけ、左手を胸におき、右手で天を指し示す。
それはまるで何かに祈りを捧げる姿のようにも見える。
そして、彼が誰に祈っていたかは、その写真を見た彼を知る誰もが知っている。
― Epilogue ―
「お母さん!お母さん!」
すごい剣幕でドアを開けて家の中に駆け込んできた息子に、
マリアは手に持っていた皿を思わず床に落としそうになる。
「マルコ、あまりお母さんを驚かせないで。
びっくりしちゃったじゃない。どうしたの?」
とりあえず皿を台の上に置いてタオルで手を拭くと、
今年12歳になったかわいい息子の前に立つ。
「いま、いつもの公園で遊んでたら、変な奴が来て・・」
マリアは思わず嫌な予感に身をすくめる。
比較的この地区は治安がいいとはいえ、犯罪がまったくないわけではない。
「どうしたの?なにかされたの?」
「違う。俺がボールで遊んでたら、いきなり変なやつがボールをとったんだ」
この子がボールといえばサッカーボールのことだ。
時には近所の子どもたちと、時には一人でボールを蹴っていつまでも遊んでいる。
我が子ながらよく飽きないものだ、と感心するぐらいだ。
「で、どうしたの?」と先を促すと、
「ボールを取り返そうとしたんだけど・・そいつ、もの凄くうまいんだよ!!
まるで紐がついてるみたいにボールが体から離れないんだ。
体のいろんなところでボールをトラップして、
まるで手で持ってるみたいに動かすんだよ!!信じられないよ!」
どうやらぶっそうな事件ではないらしい。マリアはほっとする。
よく見れば駆け込んできたドアの脇に、いつも蹴っているボールも転がっている。
どうやらどこかの誰かにちょっとからかわれただけのようだ。
「なーんだ、州選抜がだらしねーの」
テーブルに座ってテレビを見ていた兄のアントニオが調子に乗って弟をからかう。
「アントニオ、そういうことは言わないの!」
マリアが怒るとアントニオは首をすくめた。
マルコはすぐムキになる性格だ。また兄弟げんかが始まってしまう。
夕食の準備に忙しいのに、喧嘩の仲裁に時間をとられるのはごめんだった。
「アントニオもいればよかったんだ、あんなうまいやつ見たことないよ。
まるでロナウジーニョみたいだったんだ」
マルコの言葉を聞いたアントニオが、ばーか、と呆れはてた顔をする。
「こんなとこになんでロナウジーニョがいるんだよ。
お前、頭がおかしくなっちまったんじゃないのか?」
マルコはほっぺたをぷっと膨らませているが、それ以上何も言わない。
でも、アントニオの言うことももっともだ。
もちろん周囲の男どもはみんなフットボール好きだが、
そんな上手い人の顔はこの近所では思い浮かばない。
どんな人だったの?とマリアは尋ねてみる。
「ガイジン。見たこともない奴だった」
異国の人間。近所の住人に外国人がいるというのは聞いていない。旅行者だろうか?
そのとき、マルコが唐突に叫び声を上げた。
「あっ!!こいつだ、こいつだよ、お母さん!見て、こいつだよ!」
すっかり興奮状態でアントニオの見ていたテレビを指さしている。
マルコの剣幕に釣られて、家族三人で顔を並べてテレビ画面に見入る。
ちょうどニュースの時間。
画面は恰幅のいい男性と握手をしながら、ユニフォームを持って笑う若者を映している。
「今日、ヒロキ=ヒグチの入団会見が開かれました。
昨年のドイツワールドカップで3得点2アシストの大活躍で、
日本をベスト4に導いた立役者。
しかもまだ20歳という若さです。
そのプレイは、オリエンタル・マジック、最期のファンタジスタと
絶賛を浴びたことはみなさんご記憶のことかと思います・・・」
マリアには笑っているのか泣いているのか見分けのつかない
東洋人の平板な顔が画面に大写しになる。
マルコが画面に顔がくっつきそうな勢いで、テレビの中の東洋人を睨みつけている。
表情からして、どうやらテレビの中の彼が
マルコをからかった相手というのは間違いないようだ。
きっと無心にボールを蹴っているマルコの姿を見て、からかってみたくなったのだろう。
「よかったじゃない、こんなプロの選手に遊んでもらえたなんて」
サッカーに詳しくはないマリアは、とりあえずマルコの機嫌をとる。
「こいつ、待ってるぜって言ったんだ」
え?と思わずマリアは聞き返す。
「俺に、待ってるぜって。言葉はわからないけど絶対そう言ってた。
もっとサッカー頑張る。絶対にこいつに勝つんだ」
いままで見たこともない息子の真剣な顔にマリアは思わず言葉を失う。
それはマリアが初めて見た我が子の、子どもではない、男としての顔だった。
俺は、ボールを蹴っている。
スペインの熱い日差しを浴びて、ボールの白さが一層映えている。
ここはどこかあの場所を思い出させる。
新しい家の近くに見つけた小さな公園。
景色も、広さも全然違うのに、なぜかあの場所と同じ雰囲気がある。
ボールが足の上で気持ちよく弾む。
昨日、からかってやったあの男の子はどうしただろう?
家に帰ってお母さんに話したりしたのだろうか?
俺がプロの選手だってことにはもう気づいただろうか?
想像を膨らませてみるのはなかなか楽しかった。
モニカ、外国に来るって大変なんだな。
自分一人で来てみて、ようやくモニカの気持ちがわかったよ。
でもこれから少しずつ慣れていくよ。言葉ももっと勉強するよ。
俺はリフティングを続けながら、ゆっくりとモニカと会話をする。
そのとき、甲高い声が耳に入った。
振り向いた俺は思わず笑みがこぼれる。昨日のガキだ。
顔を真っ赤にして俺を指さしながら何か叫んでいる。
言葉がわからなくたって意味は通じる。
どうせ、もう一度俺と勝負だ!とでも言っているのだろう。
そうだ、それでいい。何度でもかかってこい。
わざと余裕綽々の笑みを浮かべてやった上で、
指をくいくいと動かして、かかってこいよと挑発してみる。
「カモン、ボーイ」モニカの声がふっと耳に蘇る。
ガキの顔がみるみるうちに赤くなったかと思うと、飛びかかってきた。
いいダッシュだ。見所がある。だが、まだまだだ。俺はそれをひらりと交わす。
ヒールで蹴り上げたボールがイメージどおり体の正面に落ちてくる。
モニカ。俺はサッカーがある限り、
どこにいってもひとりじゃない。最近そう思うんだ。
ほら、いまだってこのガキがいる。
きっとこいつも遠いいつか。この日のことを思い出として振り返る。
そのときは、きっと俺と同じ言葉でその話ははじまるんだ。
今日、俺が一人で近所の公園でリフティングをしてたら――
作者さんありがとーーーー
毎日のように欠かさずスレを更新してくださったまとめサイト2の管理人さん、
すてきなきっかけをくれた「1」さん、
そして樋口とモニカを応援してくれたすべてのスレの住人のみなさん、
ご愛読ありがとうございました。
作者こと21
21氏
ありがとう… 涙が止まらん
ありがとう! 感動したよ!
作者さん乙でした。
本当に素晴らしいお話をありがとうございました。
ここ数ヶ月家に帰ってこのスレを更新して話の続きを読むことが自分の生活の中での大きな楽しみの一つになっていました。
一読者として感謝を述べるとともに、これからの"樋口広樹"の人生に多くの幸せがあることを願っています。
21さんありがとう゜.(ノД`).゜.
涙とまらん
スレ立ったばっかりの頃から見てたけど
本当にいい話だよ…。・゚・(つ∀`)・゚・。
鳥肌がすごいよ感動したよ!!
作者さん、今まで本当にありがとう!!!
21さん、本当にありがとう&お疲れ様!・゚・(ノД`)・゚・
490 :
U-名無しさん:2005/08/13(土) 01:32:32 ID:b783bhGU0
面白かったよ。
491 :
463:2005/08/13(土) 01:33:27 ID:fK5Mgv9k0
感動しました!
今までありがとうございました!!
21さん、まとめサイト作ってくれた人、こっちに転載してくれた人
本当にありがとう!!
ほんと素直にそう思う。
ラスト名文記念カキコ。
21さん今までありがとう。
何と言うか…ただただ感謝。素晴らしい小説だったよ。魂が篭っていた。ありがとう、作者さん。
496 :
488:2005/08/13(土) 02:03:38 ID:VadIjSSRO
あっそれから、1スレ目の「俺の書いてる小説とかぶりまくり、
でも俺のより面白そうorz」発言した携帯厨は俺です(ノ∀`;)アイタタ
すみません…
恥ずかしながら物書きを目指してたのですが、自分の才能に
自信がなく、なかば諦めていた時にこのスレに出会いました。
この話を読んでいくうちに、ヒロやモニカ、タカシに勇気付けられた
ことも何度かありました。何というか、眠っていた情熱を呼び覚ますと
いうか。とにかく、いつもこのスレを開いては元気をもらってました。
もう書かないって決めてたけど、また書いてみようかな。
作者さん、ありがとう。俺もっと頑張ります。どこまでいけるか
わかんないけど、いけるところまでやってみます。
本当にありがとうございました。お疲れさまでした!
長文&スレ汚しスマソでしたm(_ _)m
そういえばまとめサイトはずっと残しておいてくれるのかな?
いつでも読めるときに読みたいので残しておいて欲しいんだけど・・・
あああああああ終わったああああああああ
めっちゃ感動…
作者さんお疲れさまでした
ついに最終回。
21さん、お疲れ様。そしてありがとう・゚・(ノД`)・゚・。
サンキュー作者!サンキューな!
501 :
U-名無しさん:2005/08/13(土) 02:30:22 ID:MBCLdRGz0
おつかれさま。素晴らしいお話をありがとう。
読み終わった。
授業と昼休みくらいしかボールに触れてきてない自分でも、
樋口の見た世界が伝わってきた。
ありがとうございました。サッカー、これからもっと好きになると思う。
GJ!!!!! 最高に面白かった。
ベスト4はやりすぎだと思ったけどw
これで終わりと思うとまた感動する…
いつも草サッカーばかりだけど、あんなピッチに立ってみたい
作者さんありがとう、毎日楽しかったよ。
506 :
sage:2005/08/13(土) 03:34:07 ID:ofhKgBis0
これで毎日の楽しみが一つ減っちまった。
ありがとう・゚・(ノД`)・゚・
これは小説のまま出しても、漫画にしても売れるよ!
電車の中で見てて、泣きそうになった。
いい小説、どうもありがとう!!
509 :
U-名無しさん:2005/08/13(土) 04:18:45 ID:srRPmxw80
今日俺の生きがいが一つなくなりました。
21さん、ありがとう。
ほんといい話だと思うよ。
みんな言ってるけど、特に試合の描写。
なんつうんだろ・・・
サッカーしてる、してた人にはものすごくその場が想像しやすい。
してない人にはわからないかもね。
でも、そんな試合の場面に鳥肌や涙があったね。
みんなが次は?次は?って楽しみにしていたと思う。
ここで話が終わってしまうのは残念だけど、
読んでいたみんながその後をいろいろと想像してると思います。
その想像が大事なんだよね。
最後まで楽しく読ませてもらいました。
いろんな力をもらえたと思います。
21さん、ほんとはもっといろいろ書いているのでは?
あなたの活躍を心より願っています。
ありがとうございました。
想像するのを忘れていたおっさんより。
長文失礼しました。
何よりほぼ毎日この量の文を書き続けたのがすごい
お疲れさん
毎日このスレを読むのをとても楽しみにしてました。
今日が最後の日になってしまうのはとても寂しいです。
21さんどうもありがとうございました。
心より御礼申し上げます。
513 :
U-名無しさん:2005/08/13(土) 05:20:22 ID:qH9t7naNO
21さん本当にお疲れさまです
楽しませてもらいました
514 :
U-名無しさん:2005/08/13(土) 06:12:19 ID:XM0imeu60
21さま
本当にお疲れ様でした。
サッカーのプレーの描写はいまだ、どんな人もここまで描けた人は
いなかったと思います。
自分は本格的にプレーをしたことがないので大きな事はいえませんが
本当にピッチサイドで、そしてヒロと一緒に戦うプレーヤーの一人として
彼を見ているような気分にさせてくれました。
終わってしまうのはとても残念ですが、またどこかで新しい話を書いてください。
きっと、またふっと見つけて読むことができると思います。
ありがとうございました。
515 :
U-名無しさん:2005/08/13(土) 06:16:05 ID:XM0imeu60
あと、ここを読んでいるであろう出版業界の方。
ぜひ、書籍化してください。お願いします。
「電車男」を始めとして「59番」や「鬼嫁」などネット発のコンテンツは
今が旬だと思いますので企画が通りやすいと思います。
ぜひ、このすばらしいサッカー小説をもっと広く世の中に広めてください。
ぜひ、お願いします。
516 :
U-名無しさん:2005/08/13(土) 06:18:26 ID:1qpPbrLQO
ここは自演が激しいインターネッツですね
21さん、お疲れ様でした。
朝から涙がとまらないよ…
21さん、御疲れ様。毎日とても楽しかった。
ドキドキしながら読んでたよ。
そして来年の6月には
きっと同じぐらいドキドキできる事を願って…。
いちサッカーファンより
これから販売の仕事に行くのに涙が止まらない。
朝、読むんじゃなかった・ ・゚・(つД`)・゚・
とにかく帰ってからゆっくりまた読む。
21さん乙でした。
サッカーやったこと無い自分ですが、試合中の描写がすごく面白かったです。
>>519 同意
仕事終わった後の楽しみが無くなった・゚・(ノД`)・゚・
タカシの活躍を!!とか、Jリーグ編を書いてほしいとかって馬鹿な連中に流されなくて本当によかった
きれいな終わり方だね。乙。
21さん、本当にありがとう…。
携帯からですが、毎日ここの更新を楽しみにしてました。この数ヶ月の間、ホントここが毎日の楽しみでした。2chに書き込みなんてしたこと無かった自分ですが、21さんにお礼をしたくて初めて書き込みました。
長い間、ありがとうございました!
ガイドラインから来ました
記念カキコ
こんなゴミみたいな小説は久しぶりに読んだ。
時間を返せ。
>>526 俺も同じ事思ったw
とにかく21さんお疲れ。ラスト泣けました、サッカーがまた好きになったよ。
最後に、作者さんの挨拶をまとめサイトで読みたいな。ワールドユース編の時みたいに。
あと、21さんの新作読みたいよ。サッカーの話じゃなかったら他の板に読みに行くから
その時は教えてください。とりあえず乙でした。ホント毎日楽しかったです。
21さんはこの季節に彼岸から舞い降りた野沢尚の霊。
…とかだったら泣いちゃうぞ(つД`)
龍時のあとこういうサカー小説を久しぶりに読んだ。
作者さんありがとう。感動したし、ワクワクした。
ラストがスマートで良かったよ。
サッカーの中の静と動をここまで書けるのだから、今後も期待していいですよね。
。゚(゚´Д`゚)゚。ウァァァン
いまから公園行ってくるよ・・
では俺が外人の変装をして…
お尻がプリッとしてないとな
535 :
U−名無しさん:2005/08/13(土) 14:23:12 ID:UwivDoT80
21さん、ありがとう
良い話だった。〆も良かったよ・・・21さん、本当にありがとう。
やっぱりサッカーって良いよな、良いよな。・゚・(ノД`)・゚・
それからネタに飢えてる出版社とかテレビ局とか。
ここでの事は忘れてください。
海猿のサントラ聴きながら深夜のカキコ読んでた。魂が奮える感じがしたよ。目に浮かぶようなプレーの描写、マジコ楽しませて貰った。知り合いのJ2若手選手にも読んでみなとすすめた。
楽しみが無くなるのは淋しいが、また、書きたい時に書けばいい。21を支持するよ。
マジコありがとな、21
だけど、ホントは悦ちゃんなんだろ、元川悦子ちゃん(^^ゞ
21さん、おもしろかったよ
21!サンキュー、サンキューな!
あいうえお
お疲れ様でした。
毎日毎日楽しみに読んでました。
お疲れまでした。
21さんの作品、また読みたいなw
今日俺が一人で近所の公園でリフティングをしてたらZが始まるって聞きました
主人公は樋口と誰かの子供
続編が読みたいねぇ。
Jリーグ編かなんかで、タケシ主人公のやつとか。
>>529 俺の中では龍時に並んだよ。どちらも素晴らしい作品だ。
プロとかアマとかねらーだとか関係ない。良い物は良い。
中でも構成力と表現力と試合の描写が凄く良かった。
感動した。・゚・(つД`)・゚・
漫画化してほしい!!
>>544 途中までは子供を主人公にしようと作者はがんばるけれど、
結局大人の都合でまた主人公が樋口に戻るとも聞きました。
547 :
U-名無しさん:2005/08/14(日) 00:23:03 ID:eT4Mxh9nO
漫画化するならシュートの作者かスラムダンクの作者がいーな!Uー21のヒトもいい
モニカの健康美と透明感を描ける人はそう簡単にはいない。
ヘタな漫画家に胸やお尻を強調されてエロっぽくなるのは鬱。
でもお尻がプリッとしてるんだぞ
お尻といえば桂正和
551 :
U-名無しさん:2005/08/14(日) 01:30:23 ID:yefvPsCV0
(巛ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡)ミ彡ミ彡)ミ彡)
,,从.ノ巛ミ 彡ミ彡)ミ彡ミ彡ミ彡)ミ彡)''"
人ノ゙ ⌒ヽ 彡ミ彡)ミ彡)ミ彡)'
∧_∧ ,,..、;;:〜''"゙゙ ) 从 ミ彡ミ彡)ミ彡,,)
√(:::.・∀・) ,,..、;;:〜-:''"゙⌒゙ 彡 ,, ⌒ヽ ミ彡"
| (:::..、===m==<|::::::゙:゙ '"゙ ミ彡)彡''"
|_=|:::. |::. | ' ``゙⌒`゙"''〜-、:;;,_ ) 彡,,ノ彡〜''"
(__)_) ゙⌒`゙"''〜-、,, ,,彡⌒''〜''"人 ヽノ
"⌒''〜" し(__)
樋口が最後移籍したのはバルセロナ
将来、樋口はシンディーと結婚する
二人の間に女の子が生まれ、モニカと名付ける
一気に読んだ。感動した。
まじで野沢尚の魂が蘇ったかと
思って泣けたよ。
マンガ化なら塀内夏子だなぁ
いや、しかし素晴らしかった。作者乙
村枝賢一でよろ
21おつ!
いやー、パソの脇にティッシュてんこ盛りだよ
エロサイトみてたわけじゃないからなw
俺いろんなサイトでサッカー話読んでるけど
背景、プレイ描写、伏線、抑制、どれもうまく噛みあってて
毎回今か今かと言う気持ちになったよ。
今ちょっとハマってるブログがあって
そっちもそこそこ面白いんだけど読み切りだし読み応えの点でイマイチなんだよなー。
もしまたしばらくして書きたい気持ちになったら
是非今度は全然物語(サッカー話で)が読みたいな。
とにかくおつでした!
ありがとー!
>是非今度は全然物語(サッカー話で)が読みたいな。
是非今度は全然違う物語(サッカー話で)が読みたいな。
自己レスすまそ
>>558 サンキュー!ほめてくれてサンキューな!
その気になりゃスラムダンクでだって抜けるyo!
集中力の違いさw
ってそうじゃない!
鼻かんだんだってば!
560 :
U-名無しさん:2005/08/14(日) 19:20:37 ID:UFQz2KCaO
作者さん、コピぺしてくれた人、本当にありがとう。携帯厨の俺がラストまで読めたのはコピぺしてくれた人のおかげです。本当にありがとうございました。
この時間になるとついついこのスレ覗きにきちゃうなぁ。毎日楽しみにしてただけに
ちょっと寂しいよ。
サポティスタで晒されてたんで一気読みしてみた……
サッカーの小説ってあんまり読んだこと無かったんだが良かった。
ユースでのやりとり、モニカの死、ひぐちに憧れる子供、泣いたよ。
願わくば、他のアレとかアレみたいに書籍化とか、そういうのに巻き込まれないでいてほしい。
ここで生まれた感動は、ここで終わって欲しい。
・・・モットイッショニヤリタカッタナ・・・
やっぱりモニカかわいそ過ぎる・・。
もっと生きて、樋口と一緒にサッカーして成長してほしかった゚゚(´□`。)°゚。
そして将来は樋口と幸せな家庭を築いてもらいたかったよ。
564 :
U-名無しさん:2005/08/15(月) 01:21:29 ID:k26hrqJ40
∧_∧ ∧_∧
_( ´∀`) (´∀` )
三(⌒), ノ⊃ ( 1 ) 糞スレは・・
 ̄/ /) ) | | |
. 〈_)\_) (__(___)
∧_∧ .∧_∧
( ´∀) (´∀` )
≡≡三 三ニ⌒) 1 .) 立てるなって・・
/ /) )  ̄.| | |
〈__)__) (__(___)
∧_∧ ,__ ∧_∧
( ´)ノ ):;:;)∀`)
/  ̄,ノ'' バ ) 言ったろーが!!
C /~ / / /
/ / 〉 (__(__./
\__)\)
ヽ l //
∧_∧(⌒) ―― ★ ―――
( ) /|l // | ヽ ヴォケがーー!
(/ ノl|ll / / | ヽ
(O ノ 彡'' / .|
/ ./ 〉
これだけの文章書く人はプロでもそんなにいないと思う。
プロみたいにじっくり編集、校了すれば多少稚拙な表現なんかもなくなるだろうし。
また会える日を願ってます。ありがとう。
566 :
U-名無しさん:2005/08/15(月) 02:08:07 ID:QuBbwk3q0
サポティスタから来て一気に読んだ。
大泣きしちゃったじゃねーか。
俺も21=悦っちゃんに一票。
書いたのは大熊
改めて読み直すといろいろ気づくことがあるね。
なぜ滝沢の息子がカタカナで「コウキ」なのかなんとなくわかった。
そして16年後のWC決勝日本vsスペイン
ピッチにはひとつのボールを挟んで対峙するコウキとマルコの姿が・・・
ってとこまで想像をめぐらしたのは俺だけ?
570 :
パブロフ:2005/08/15(月) 03:59:02 ID:0Hh2GAEF0
連載終わってからも毎日ここに来ちゃう自分がいます。
この書き込みの後、ログを削除します。
作者さん。素晴らしい物語をありがとう。
御本人にやる気があるなら、もう少し色々な味付けをして、何処かの雑誌に持って
いくと面白いかもしれませんよ。
小説の技術的なことは良く分りませんが、物語に引き込む力は確かですから。
完結お疲れ様でした。
572 :
U-名無しさん:2005/08/15(月) 04:55:43 ID:5u9AStnU0
樋口は初期の泥臭いMFの方が良かった。
途中から超絶テクのFWになってたのが微妙。
点を決める方がドラマになるってわかるけど。
WYまではすごく面白かった。大した思い入れの無いw今の代表組での
ドイツ戦より、WY組を使っての次のW杯の話を書いた方が
面白かった気がする。
267、まだ出来ないの? ちょっと遅いよ。俺は面白いのが読めれば満足だから
批判したりはしないから、頼むから書いてくれよ。
あとがき読んだよ。21さん、まとめサイトの管理人さん乙でした。ありがとう。
ユース編は森本のキャラが、なんか立ってたしなw
そいや、漫画のファンタジスタっての思い出した。あれもなかなか面白かった。
やばい、面白すぎて全部一気に読んでしまった。
スレの存在は知ってたがスルーしてた。
激しく後悔してる。
試合の描写のリアルさは経験者ならではだろうな。
ユース編と言えば、ヒラヤマっしょ。ヒロとのホテルでの会話、世界の凄い奴と闘いたいと本音を語った後、リアルの世界で筑波大からオランダへ旅立ったもんな。マジコ驚いたし、ホントに本音かと思った。
このスレを読んでればヒラヤマの突然の方針転換が理解出来るというか、リアルの理解出来ない部分が繋がる。
あのホテルのトークで『リアルのヒラヤマ頑張れ』って思っちまった(笑)
結局、21の連載が終わっても、オレ、毎日ここに来てる。オレにとっては、ここが『公園』だったのかもね。
俺もそうだな。
平山がJに入らなかった時になんで? って思ったけど、
小熊と樋口の会話で納得できた面もあった。実際オランダに旅立ったし。
俺も取り壊しの決まっている『公園』で余韻を楽しんでいるよ(笑)
俺も今日も来ちゃったよ。毎週、日曜は更新ないと思っていても、もしかしたら・・・
って期待してたなぁ。
出版を!!って声もあるけど、
「馬鹿がばれるので取材を制限されている森本」や「彼女ができたことない平山」
なんかここら辺がリアルすぎて本人や周辺からクレームが出そうだw
Hawaian6のI believeかけながら一気に読んだ
もっとサッカーが好きになった〜、明日から公園でリフティング始める!!
ほんとよがった(ノ_・。)21ありがと〜
ずっとROMってたけど最後に記念カキコ。
サッカーのプレーの素晴らしさをここまで高いレベルで言語化
できる人が出現したというのは,この国にもサッカーが文化として
根付き始めているということなのかもね。
そこに偶然居合わせることのできた幸運に感謝します。
21さん本当にありがとう。お疲れ様でした。
次回作に激しく期待します
でも、みなさんサッカーという一点でつながっていました。
それってすてきなことだと思いませんか?
これに尽きるな・・作者さんお疲れ。
ではまたどこかのネタスレでお会いしましょう。
俺はこれに尽きるな‥‥俺たちもお疲れ。
このスレ(2巻)を立てたものです。盆で留守していて帰ってきたら完結してました。
途中荒れてどうなることかと思っていたけど、このスレで完結を見届けられて良かった。
でも作者さんにはそれも織り込み済みだったんですね。
21さん、まとめサイトの管理人さん、すばらしい物語を読ませてもらえて本当に感謝してます。
ありがとうございました。樋口これからもがんばれ!!
樋口はこれからもずっと大切なものを失った悲しみを背負って
生きていくんだな・・。でも、その悲しみは忘れてほしくない。
きれいなラストで本当に良かった。作者さんありがとうございま
した。
正直、プロの仕事としか思えん。もしくはプロ志望の人か。
色々素人やセミプロの人の文章は読んだけどこれほどのレベルの人は見たこと無いな。
野暮だとは思いつつも、21さんの素性が知りたい。興味があるよ。
589 :
U-名無しさん:2005/08/16(火) 04:04:45 ID:AYJMFTZLO
今読み終わったけど、EDは最高だった。こんな鳥肌立ったのは初めてってくらい。
終わり方も凄く良かったと思う。変に膨らませるよりはマシでしょ。
本当、21さんはお疲れさまでした。
そして最高の感動をありがとう。
本当に面白かった。でも
お尻がプリっとしたモニワたんがいつも心の中にいて困る。
591 :
U-名無しさん:2005/08/16(火) 07:54:03 ID:qkhmM8Hr0
>590
ぶわははははh
モニワかよ(^^ゞ
想像してコーラ吹いちまったじゃねーかゴルァ!
実家に帰省していて帰ってきたら終わっていた・・・
急いでよみました。なんつーか、おつかれさま。21さんありがとう。
本当にすばらしかった。最後よんだときに鳥肌が立った。
本当にありがとう。ありがとう。
593 :
U-名無しさん:2005/08/16(火) 14:17:05 ID:uIQpkEESO
>>1をリアルタイムで見て依頼、「なんじゃこのスレはw」とだけ思い、そこから2度と見ていなかったのですが・・・まさかその後、こんな感動的な超大作に変貌を遂げていたとは!!
感動しました。心動かされました。サッカーが更に大好きになりました。
幸せな気分で胸一杯。
594 :
風来のシレソ:2005/08/16(火) 14:39:09 ID:TwcOAPju0
冬ソナみたいな展開希望。
ヨン様風にマフラーを巻いた激似のモニカとバッタリ出会い
冬ソナのテーマが流れる。
モニカにそっくりの少女は父親の再婚で新しい母親になじめず
外で喧嘩にあけくれていた・・。そこで樋口は少女にサッカー
を教え立ち直らせていく。
「エースをねらえ!」かよっ
596 :
U-名無しさん:2005/08/16(火) 18:46:56 ID:b7Q/MNmr0
いや、最高だマジで。
職場で泣きそうになった。
…お盆で人が少なくて良かったよ。
597 :
U-名無しさん:2005/08/16(火) 20:37:35 ID:mQjCJLCUO
この物語りには「若者たち」がイイ!
特に最後のドイツ戦の樋口が点を決める描写のシーンでこの曲が流れると鳥肌たつぞ
ってか漏れがそこを読んでるときにちょうどTVから「若者たち」が流れてきて
歌詞がぴったりでびっくりしたからなんだが…
「きみのゆくみちは
はてしなくとおい
だのに なぜ
はをくいしばり
きみはゆくのか
そんなにしてまで」
二番なんかモニカのこと歌ってるぞ!
>>483 乙!
サッカーの詳しさ、情報の新鮮さ、情景描写の見事さ
恐れ入ります。
この物語、実現するといいな!と希望に胸膨らませながら
サッカーを応援し続けようと思いました。
2chってやっぱりスゲーな。年に一回くらい、こう思う。
感動記念真紀子600
出版サポしよっと
UGに晒したけど見てくれたかな?
次は西村さんかな♪
マジレスすると、出版するにあたっては、
選手名を変更するとかの処理が必要と思われる。
結構説明なしに選手名だけで、皆の意識が共有できたのも
物語を面白く(簡潔に)読めたってのもあるからどうかな?
無論、サッカー協会などにペイできるほどのビッグウェーブ
になれば、トントン拍子になると思うけど。
作者様お疲れさまでした。
読ませる文章でとても感動しました。
漫画ファンタジスタを思い出しました。
この話が良かった人は読んでみてはいかがですか。
その前に未読の奴は龍時を読めと言いたい。別に野沢信者じゃないけど。。
>>602 やはりジーコもヅーコとかに変更しないといけないのか・・
それは萎えるな。
ジーコ→ヅーコ
森本→童貞
平山→独活
中田→姐
これでおk
龍時でも選手実名だから大丈夫だろ。色々調整は必要だろうけど。
でもリュウジは稲本とちょこっと喋っただけだからなぁ。これくらい絡みが多いと微妙だろうな。
特に森本w いやすげー面白かったけど本人は怒るだろうなw
記念パピコ
21さん乙
このスレ最高ベイベ
609 :
U-名無しさん:2005/08/19(金) 07:31:16 ID:f0YMlP3/0
www.geocities.jp/kajidaisanji/zettaini.html
これ加持さんの伝説の動画
610 :
U-名無しさん:2005/08/19(金) 11:49:02 ID:UcuE8lsxO
ケガをしたまま大学に進学しサッカーをやめた私ですがこの物語のおかげでまたサッカーと向き合うことができそうです、二年生なので間に合うと思うので樋口君のように必死でやっていこうと思います。本当にありがとうございました。
グッジョブ!! ∩ ∩
_ _∩ (⌒ ) ( ⌒) ∩_ _ グッジョブ!!
(ヨ,,. i | | / .ノ i .,,E)
グッジョブ!! \ \ | | / / / /
_n \ \ _、 _ .| | / / _、_ / ノ
( l _、 _ \ \( <_,` )| | / / ,_ノ` )/ / _、_ グッジョブ!!
\ \ ( <_,` ) \ ノ( /____( ,_ノ` ) n
ヽ___ ̄ ̄ ノ | / ヽ | __ \ l .,E)
/ / / / \ ヽ / /\ ヽ_/ /
21さん乙でした。
サッカー未経験のサッカー好きだけど、
試合中の樋口視点の描写が最高でした。
あれを読んでから、いろんな場面での選手のミスする意味が
ちょっとだけ理解できるような気がしてきました。
なんて冷静なこといいながら、感動して泣いてます。
年取ると涙腺が弱くなるのかの〜と自分に言い訳したくなるくらい泣いてますよ。
最初はどんな大河ドラマになるかと思いきや、あのエピローグ。お見事です。
おいらには、お金が出ないのに、モノを書くモチベーションを持たせられたことが
本当にうらやましすぎです。
21さん、乙でした。
そろそろこのスレも役目を終えるのかな・・・
そうだな
1000取り合戦でも始めとくか?
616 :
U-名無しさん:2005/08/22(月) 01:55:26 ID:VmT9rVr2O
早すぎるだろ(笑)もうこのスレは思い出を語るスレでいいんじゃないのか?この物語には語り継ぐだけの価値があると思うし。
そうだなぁ、確か俺が彼女に振られたのは
樋口がブラジル合宿で気を吐いてた頃だったかな・゚・(ノД`)・゚・
1000なら、サイドストーリー<タカシ編>を書く。
昨日の夜このスレ発見して今日の早朝までずっと読んでました。
おかげで今日は昼出勤に…orz
マジで感動して、何度も鳥肌立ちました。
自分も今向き合ってる事に一生懸命にならなきゃ!って思うことができました。
ありがとう!
21タソ、ありがとう。
平山の活躍を見て、またグッときてしまったよ・・・
>「自分自身、サッカーで食っていけるかというと、
> やっぱりいまでも自信はないんだ。
> まあこんな性格だからプロはやめておいたほうが
> いいのかな、と思ったんだけど。
> ただここまでみんなが期待してくれるんだから、
> きっと俺にもそれだけの価値があるんだろうと最近は思うんだ。
> だからやるだけやってみようと。いまはそう思ってる」
622 :
U-名無しさん:2005/08/23(火) 03:16:16 ID:hfH9mEmtO
ホントこのまま潰すには惜しいよな、このスレは。
作者さんの事詮索するのはよくないけど、それ相当の選手だったの
かな。試合の描写もすばらしいけど、遠征での選手同士の会話が
フツーじゃ書けないくらいリアルすぎる。
>>622 そうか?
まぁ書く奴なんていないだろうけど
このあとに変な小説書かれるよりこのまま終わったほうがいいと思うな
せっかくキレイに終わったんだからさ
BBSの1と21のやりとりが、ほのぼのしてていいなw
626 :
U-名無しさん:2005/08/24(水) 14:04:12 ID:C9g/fr1uO
はぁ…物語が終ってもまたここに来ちまう。樋口の活躍がもう見れないなんて…
樋口は今もどこかでボールを蹴り続けているさ
628 :
U-名無しさん:2005/08/24(水) 14:46:05 ID:aedEqK2p0
冗談で書いたのに
別人によってよくここまで続いたな
初代>>1の感想聞いてみたいな
629 :
U-名無しさん:2005/08/24(水) 14:46:27 ID:aedEqK2p0
8ヶ月か長かったな
サッカーはいいな。
もう一回サッカーをしたいと思ったよ。明日の朝公園でリフティングをしようと思う。
【バレンシアのサムライ】樋口広樹応援スレPart6
633 :
U-名無しさん:2005/08/25(木) 15:12:34 ID:kJAbtwrLO
ちょっと上げてみたり。
634 :
U-名無しさん:2005/08/26(金) 20:52:09 ID:vVhWy1DMO
中途入社した会社がサッカー好き多い。
リフティングくらい覚えないと。33歳サッカー経験なし。リフティングはひざで4回できただけ。
長くできるコツ教えて!
635 :
U-名無しさん:2005/08/26(金) 22:10:16 ID:426ELAme0
漏れは本を読んでいるほうだと思うが、この小説は良かったよ。
21は武智さんといってみるテスト。
だから、明らかな経験者だって。
ネタスレにしか見えないスレタイなのに
あまりにも良い話でビックリしました
638 :
U-名無しさん:2005/08/28(日) 09:08:20 ID:meYG4Vyc0
まったりと余韻を楽しんでいる。良い小説だったなぁ
639 :
U-名無しさん:2005/08/29(月) 04:05:48 ID:Ilw+Jwf+O
何かの形で残ってほしいな。まとめサイトか小説かでさ。
自分に画力と構成力があれば漫画にしたいが
試合のシーンを絵で見せるのが難しすぎる。
642 :
U-名無しさん:2005/08/30(火) 03:17:54 ID:fyTh5ki40
ヤングサンデーあたりで連載してほしい
俺は文春あたりで連載してほしいな。
渡辺淳一どかして 日経で連載してくれ
645 :
U-名無しさん:2005/08/31(水) 03:59:26 ID:+qpIRlQ5O
新聞のコラムじゃ短すぎるんじゃ?
646 :
U-名無しさん:2005/08/31(水) 06:46:40 ID:4QGyTCd60
新しいスポーツ専門雑誌に連載希望。
エルゴラは?
648 :
U-名無しさん:2005/09/01(木) 08:00:32 ID:pmEI9ZOq0 BE:36014382-
ああ、エルゴラいいかもね。
いまのU-31の完結後に連載キボン
140くらいから先を読むのがもったいなくてずっとためておいたのを
ゆうべ読んで泣いた。
21さんお疲れ。そしてありがとう。いい話だったしいい文章だった。
エンディングは秀逸。初代1に戻っていくのがいい。
サンキュー初代1さん、サンキューな。
あんたの書込みがなきゃ始まらなかった。
でも「遠いいつか」思い出として振り返るのに「今日」だとちょっと違和感あるんだよね。
言いたいことが分からん
どういう意味?
>きっとこいつも遠いいつか。この日のことを思い出として振り返る。
思い出を語る時に「今日」って言い方が違和感ある・・って言いたいんじゃないか?
> そのときは、きっと俺と同じ言葉でその話ははじまるんだ。
これがあるから俺は違和感無いけど
654 :
652:2005/09/02(金) 11:07:09 ID:kJPj/b/10
ああ、そういうこと
俺も同じく違和感無いね
>>653サンキューな
俺、「今日」でいいと思う
ただ過去を振り返り、懐かしむだけじゃない。明日の自分に繋がる気がするんだ
1タンがそこまで考えてたわきゃないと思けど(笑)
進学のため浪人を決意したうちのユースの子に言われたよ。
「何かを始めるのに遅いということはない。」
40過ぎのオッサンは目からウロコが落ちました。
かつての「あの日」の切っ掛けが『今日』、今、この時の自分を作ってる。
そして、『今日』、今、この瞬間の行動が、「明日」の自分に繋がる。マジコ
657 :
U-名無しさん:2005/09/03(土) 11:31:53 ID:YMF3Qx0B0
下がりすぎなんでageときますよ
すでに終わったスレが下がりすぎて何か不都合があるのだろうか
そんなことを思う土曜日の夜
それでもこの物語をいろんな人に見てほしいから上げ。
660 :
U-名無しさん:2005/09/05(月) 20:21:08 ID:hw22FywO0
W杯は何が起こるか分からんから、日本がベスト4というのはあり得る
かもしれない。でも、樋口が3得点2アシストは活躍し過ぎw
途中出場では厳しいだろ。あとの試合スタメン起用なのかな?
大学はやはり中退してリーガ移籍なのか?
まー小説は終了してもいろいろ想像するのが楽しいけどね。
662 :
U-名無しさん:2005/09/07(水) 08:22:52 ID:4MJ0F7De0
age
サカつくの次回作の架空選手あたりに、何気にこっそり樋口やタカシがいたりしたらなんとなくうれしいかも。
隠れキャラでモニカが・・
665 :
U-名無しさん:2005/09/09(金) 01:15:55 ID:ZNiSPSeEO
お尻のプリっとしたモニワが…
つーか早くサカつく最新作だせよ…EDITで樋口作ってハァハァしたいんだよ!
>>663 インスパイヤされただけで、オリジナルキャラです。
なんてセガは言ったりしないよね?
そんな、某Aベックスじゃないんだから・・・。
保守
670 :
U-名無しさん:2005/09/13(火) 07:59:20 ID:a9dLLG7xO
最後まで読んだ。今日おれが近所の公園で〜
を見るだけで涙が・゚・(;A;)。・。
泣けた…マジ書籍化とかしてくんねぇかな、ずっと手元に残しておいてたまに読みたい…
国内サカ板1の糞スレだなこりゃ・・・
糞スレだけじゃなくてキモスレでもある
>>656 個人的に広島の前田あたり来そうな気が・・・。
やっぱないか。
676 :
U-名無しさん:2005/09/17(土) 21:14:23 ID:oUY0v93Z0
もしかして第二の電車男とか狙ってんのw
いや、モニワ男だ。
678 :
U-名無しさん:2005/09/19(月) 07:19:37 ID:R0NZxxHE0
誰かまたサッカー小説書いてくれんかな。
短編でもいいし。
679 :
U-名無しさん:2005/09/19(月) 21:49:13 ID:3efC2S/f0
途中で自称小説家がいたな。エロサッカー小説書くって言ってたから
まだちょっと期待してる。
680 :
二ート佐野:2005/09/19(月) 22:04:21 ID:89RMQ6fd0
俺なんて一人で近所の公園でリフティングしてたら軟球が直撃したぜ┐('〜`;)┌
くそったれ
俺も軟球ぶつけたガキに「カモンボーイ」って言ってやればよかった
エロサッカー小説か…読みたいような読みたくないような…
682 :
U-名無しさん:2005/09/20(火) 04:01:23 ID:MBxFqN32O
ところで次回作の予定はないの?
683 :
U-名無しさん:2005/09/20(火) 14:25:38 ID:dy+NLewi0
801サッカー小説でもいいよ
↑却下
んじゃ俺が書くから待ってて。しかしここって一度に4レスまでしか書けないんだよな。うーむ。
686 :
U-名無しさん:2005/09/21(水) 02:02:04 ID:GRHRv96mO
毎日コツコツ4スレづつ書けばいいんじゃない?なんにせよ楽しみに待っときまつ。
エロサッカー小説はまだか!
4スレ掛け持ちはキツイだろうwwwww
今日俺が一人で近所の公園でリフティングをしてたら、
高校の練習を終えた兄貴が顔を見せた。
「おー今日もやってるな、少年」兄貴は白い歯を見せて俺に笑いかけた。
「なんだよ、少年って。自分だって少年だろまだ」俺はガキ扱いされた事が気に入らなくて文句を言った。
「まぁ、そうかな。でも俺の場合はその前に”天才”がつくけどな。ははっ」
「ちぇ、調子に乗っちゃってさ。ちょっと上手いからって」
「まぁまぁ。久しぶりにやろうぜ。俺からボールを取れたら何でも奢ってやるよ」
兄貴は余裕綽々で言う。しかし、その余裕が過信ではない事も俺は知っている。
「さぁ、来いよ、優司」そう言って足元にボールを置いた。
俺は兄貴に向かって突っ込んでいった。兄貴の右足元にボール。俺は足を出す。
兄貴は右足の裏でボールを後ろへ引き反転。速い。まるでダンサーの切れのいいターンのように。
すかさず俺はフェイクを入れて揺さぶる。
肩を動かして右に突っ込むと見せかけて釣られたら逆からボールを蹴り出そうとする。
…かかった。兄貴に隙が出来る。しかし、読まれていた。俺のカットは空を切った。バランスを崩し、よろめく。
「まだまだ!」なおも俺は食い下がる。しかし兄貴は苦にもしない。
俺だってそんじょそこらの高校生には負けないのに。部活じゃエースなのに!
「はぁー…。もう無理だ…」俺は両手を膝に付き、肩で息をする。この何の利益ももたらさない運動が無駄に思えてくる。
「やれやれ。根性ねーなぁ。ガッツが足りないぞ。「男はガッツと脳みそだ」と、トルシエも言っている」
兄貴は笑顔を変えずに俺に言う。
「俺はトルシエは嫌いなんだよ…。って、チャーンス!」
俺の思いつく限りの悪あがきだった。兄貴は油断している。そこへ全力で突っ込む。
足ごと刈り取る勢いのスライディングタックル。かなり手荒いがもうこれしかない。
「っと!」兄貴は虚を突かれた。よし、最悪ボールは取れなくてもこれならこぼれる。
しかし実戦だったら赤紙覚悟の俺のラフプレーも徒労に終わる。
兄貴は右足のつま先でボールをヒョイと蹴り上げると半拍遅れて左足で大地を蹴った。後方に。
兄貴とボールは平行の軌道で小さな二つの虹を描く。そしてボールを着地と同時に右足の甲と脛でロック。
一度もボールを地面に落とすことなく、俺のタックルをかわして見せた。
「すげー。漫画みたい…」大地に這いつくばっている俺は兄貴を見上げる。
「なかなかいいマリーシアだったぞ。でもラフプレーは感心しないな優司。罰としてジュースを奢れ」
「ええ〜!?」
「さ、帰るぞ。腹減ったよ」俺が反論するよりも早く、兄貴は俺に背を向けてスタスタと歩き始めた。
小野の再来、埼玉のロナウジーニョ、若きファンタジスタ。地元では兄貴はこんな風に呼ばれてる。
いくらなんでも高校生を持ち上げすぎだと思うけれど、
こうやって兄貴とプレーをしていると大袈裟な異名をつける奴の気持ちも解かる。
俺の3つ上の兄貴、本庄総一郎は多分天才だろう。
サッカーの強豪、南浦和学院のエースにしてUー17日本代表。背番号はどちらでも当然10番。
気の早い地元のサッカーファンや地域のマスコミには、
「5年後には俊輔の次の日本の10番、2010年のエース」なんて言われてたりもする。
帰りの道すがら、夕焼けの赤が濃くなる地元の商店街を二人で歩いていると、
「おう、総くんに優くん、今帰りかい? 総くん、もうじき選手権だろ? 応援行くからね! 国立まで!」
定食屋のおじさんだ。店の前を掃除していたようだ。この辺では有名なサッカー狂。
兄貴の才能に最も早くから気付いていた、という事が自慢らしい。去年も一昨年も国立まで応援に来ていた。
「斉藤さん、国立は全国で4強に入らないと。それにまだ予選だよ〜」兄貴は苦笑する。
「何言ってんだい、総くんなら今年こそ優勝出来るって。優勝、得点王、MVPの三冠王さ! 間違いない!」
斉藤のおじさんのボルテージはヒートアップしている。本当に兄貴とサッカーが好きみたいだ。
「そんな、嘉人さんじゃないんだから」兄貴は笑う。「嘉人さん」という親しみを込めた呼び方に少し嫉妬する。
兄貴はあの大久保嘉人とも知り合い。ユースの合宿の時、Jビレッジで一緒になって何度か話した事があるらしい。
「いや、総くんならもっといけるね。大久保よりも。そうそう、平山の選手権最多ゴールも破れるね!
あ、来年は優くんも南浦和に入るんだろ? 兄貴は凄いけど負けるなよ?」
斉藤さんは大きな腹をゆすりながら豪快に笑った。
「まったく、斉藤さんの期待はいっつも天井知らずだからなぁ…」兄貴は困ったように笑うが満更でもなさそうだ。
「それだけ認めてるんだよ、兄貴の事」
「でもさ〜。もう選手権優勝して、将来絶対A代表に選ばれると信じてるよあの人は。
いや、いい人なんだけどさ」
「まぁ、斉藤さんじゃなくても兄貴見てるサッカーファンならその気持ちも解かるよ」
「まぁな。みんなの期待に応えないと」兄貴は胸を張って言った。
嫌味に聞こえないのもこの男の魅力なのだろうか。
「あの〜、すいません」唐突に3人組の女子高生が俺達の話を切って兄貴に話しかけてくる。
「ん? 何?」
「えっと、本庄さんですよね? 浦和南のサッカー部の」女子達は恐る恐る、しかし目を輝かせながら兄貴に話しかける。
…またか。
「うん。そうですよ」
やっぱり! 日本代表なんですよね!? すご〜い!」
「いや…別にA代表じゃないからさ」
「うわーテレビで見たことある〜! 背たか〜い! 超カッコいい〜!」
「顔小さい〜! 雑誌よりカッコいい〜! すいません、握手してもらえませんかぁ!?」
…聞いちゃいねぇ。
俺は少し離れて兄貴の即席ハーレムを観察。羨ましくないと言えば嘘になる。
「プリクラ撮ってもらえませんか? てゆーか彼女いるんですか?」
「あ、それ聞きたい! てか、プリクラも撮りたい!」
「サインして下さ〜い!」
女子高生達は大はしゃぎだ。正直、カッコよくて有名なら誰でも良さそうだ。
まぁそれだけでも相当凄い事なんだけど。そして兄貴の周りに人が集まりだす。
何人かが兄貴の存在に気付いたようだ。商店街に小さな人だかりが出来る。
「マジ? 本庄?」「ほらあいつだよ、あの浦和南の」「え、有名なサッカー選手なの? 凄くない?」
「あの子が埼玉のロナウジーニョだよ。いや、本庄はイケメンだけどな」
色んな声が聞こえてくる。
「いや、ごめんね、今こんな状況だからすいません」丁重に、礼儀正しく兄貴は頭を下げた。
丁寧な兄貴の物言いに、流石の彼女達も引き下がった。兄貴は俺の方に来て、
「行くぞ、優司!」そして俺の手をとって走り出した。しかし珍しくも無いことなので俺もすぐに倣って駆け出す。
「兄貴もだいぶ断るのが上手くなったね。何か凄い落ち着いてたし礼儀正しかった」
「ふふっ、あれはキングカズのサインの断り方だ。直伝じゃないが代表のコーチに教えてもらった。流石だよな」
「普通の人には必要ない技だけどね」
「そういやそうだ」俺達は走りながら笑った。
「しかし彼女いますか?と来たもんだ。いなかったら立候補でもするつもりなのかね」
「そうなんじゃない? 身の程を知れって感じだけど」
「酷いなお前。あの子達結構可愛かったじゃん」
「そうだけど…でも」
「まぁな、唯に比べたら全然だからな」
「う、うん。そうだね…」
彼女…。兄貴の彼女。そこに俺は引っかかる。…唯さん。俺の初恋の人。そして、兄貴の彼女。
サッカーの才能と唯さん。俺が本当に欲しい物はいつも全て兄貴が独占している。
サッカーが誰よりも上手くて、優しくてカッコよくていつだって自慢の兄。
そしていつも俺の矮小で身勝手な嫉妬心に火を点ける、残酷な兄。
俺達はいつでも一緒だった。でも結果はいつも違っていた。
とりあえずこんな感じで。
乙!
21さんとは別の方だよね?
楽しませてもらいました
続き期待してます
頼むから兄貴が死んじゃう展開はやめてくれよな
689さん、乙です。
またここを見る楽しみが出きました。
いい始まりかたですね。素直におもしろいっす。
698 :
U-名無しさん:2005/09/22(木) 07:36:02 ID:aL+kpny40
お、新作の始りですね。
楽しみにさせてもらいます。
ただ、695さんじゃないけど死人が出るとか再起不能とかの展開だけはかんべんして下さいな。
つまんねー
死亡フラグ立ちまくりじゃねえか…
兄貴死んで弟が下手ながら努力を積み重ねてギリギリで怪我した誰かの代わりに代表呼ばれて途中交代で決勝ゴル決めるフラグ立ちましたね
それなんてあだち充?
さあここまで言われて、兄貴を殺さずに続きを書けるものなのかw
いや、ここまで言われたにもかかわらず兄貴を殺したら凄い
それとも兄貴が選手生命に係わる大怪我をするとか。
いや、実は主人公はまだ出てきてないんだよ
兄貴あっさりプロ入りするが才能枯渇、伸び悩みとか
財z
新作ワクワク。
実は唯さんが死ぬに一票。もしくはもう死んじゃってる。
というか、コレで完結だろ?
たまには主人公DFってのも読んでみたいぞ
711 :
:2005/09/23(金) 07:56:25 ID:gclV+o8o0
21とは別人だよな?
続き(゚听)イラネ
自分も含めて勝手な事ばかり書きましたが、どうか気にせず
689さんの思うようにストーリーを進めて下さい。
実際楽しみにしています。
これはこのスレで登場した「エロサッカー小説」の作者によるものなのか?
そーすると方向としてはやっぱりエロ?
つーと「汚れた英雄」のサッカー版みたいになるのか
んじゃ俺は斉藤さんが死ぬに1票。
わかった
鄭夢準の罠によりダークサイドに落ちてしまった兄貴と対決する
優司と唯のおはなしだ
718 :
U-名無しさん:2005/09/26(月) 14:52:21 ID:VTrMsWrk0
テ
719 :
U-名無しさん:2005/09/26(月) 16:26:58 ID:VTrMsWrk0
ス
720 :
U-名無しさん:2005/09/26(月) 17:02:17 ID:PDhyxMh50
僕は、今日、高校サッカー市立○○vs○○第二の試合を見てきた。
ヲタの僕はカメラを首から下げ、大きなつばのある帽子をかぶり、いつもの大き目のレンズがついためがねを装着し
ここ○○県の○○サッカー場へ来た。
僕は、おなかペコペコなので、試合が始まるまで焼きそばをほおばっていた、
すると、前に一人の女の子が座った。
僕は見とれてしまった。
次の瞬間僕は、愛用のデジタルカメラを彼女に向けてカシャリと1枚写真を撮ってしまった。
風の強い日だったので、一瞬彼女の着ているYシャツが煽られTシャツから綺麗な腰が出た画像を
撮ってしまった。
彼女はしばらくそこで試合を観戦していた、長い髪から見える、彼女の頬は白くて、綺麗だった。
僕は、勝手に興奮して顔が見えた瞬間を撮ろうと思いタイミングを計らっていた・・・
あぁ・・・彼いるのかな?とか妄想を広めていた次の瞬間彼女が何かの拍子に横を見たのである。
僕の指はシャッターを抑えようとした、ちょうどタイミングよく、デジタルカメラの節電機能で画面が真っ暗に
僕はシャッターを押す事が出来ず、悔しい思いをした。
721 :
U-名無しさん:2005/09/26(月) 17:05:01 ID:PDhyxMh50
僕の今までの経験だと、目当ての女の子は大抵このあと、彼志が現れて楽しそうにどこかへ消えてゆくのだが、
何分立ってもあらわなかった。
僕から見ると彼女は年下らしく、もしかしたら、応援してるサッカー部に彼志がいるのかな?
とか思ってしまった。僕はいつも嫉妬ばかりでどうしようもなかった。
二人の女の子がその女の子と友達だったのか、一緒に別の席へ移っていった。
僕は、選手を撮りに着たのに、女の子ばっかり気になって、自分の本能ってなんてバカなんだ。
と思っていた。
それでもシャッターチャンスがあったのでその瞬間を撮ったすると、彼女の顔がしっかり写ってしまった。
僕は彼女たちに気づかれて目が合ってしまった。僕は知らん振りしようとしたけど、やっぱりばれてるみたいだ・・・
試合がおわり帰ろうとすると彼女が待ち伏せしていた。
女の子「あのー写真とろうとしてませんでしたか?」
自分「え?あぁ御免なさい、つい可愛いから・・・」
女の子「写真見せてください」
自分「すみません、破棄します」
自分「お詫びしたいです」
女の子「それじゃ、食事をおごってください」
自分「はぁ?、え?そんなことでいいの?」
皮肉な事に、女の人から誘われる第一声となったのだ。
722 :
U-名無しさん:2005/09/26(月) 17:07:11 ID:PDhyxMh50
帰りに僕は、近くのファミレスに入る事になった、僕は社会人だからお金を持っていたから1000円くらいの出費なら出るわけである。
彼女は、おいしそうにパフェを食べた。
お詫びのはずなのに、夢の様である。
僕は、彼女にどこのチームを応援しているのか聞いてみた。
すると、市立○○だという、なんだ、僕の応援しているチームと同じじゃないか・・
僕は地元の市立○○を応援していたが、今日はぼろ負けしてしまったと言う内容の話になった。
誰のファンか聞いた・・○田君だという、・・・
残念だが、僕は、あらゆる点で○田選手にはかなうはずもない、ルックス、サッカーのテク、彼らはスターなのである。
彼女の中でも、僕の中でも・・・
自分「あの・・・又、一緒にサッカー見ませんか?チケット代勿論おごります。」
女の子「じゃあ、30日に試合があるから会場で待ち合わせしましょう・・」
なんと、写真を勝手に撮った僕の誘いを受けたのである。
そしてこの日から僕の人生に無かったはずの青春が生まれる事となったのである。
723 :
U-名無しさん:2005/09/26(月) 17:08:25 ID:PDhyxMh50
と言う妄想なわけだが・・・
夢見るにも程がある!
今度からチラシの裏に書いといてくれ。
誤字もあるし文章もおかしいし
読めたもんじゃねーっての。
妄想版のほうがウリは好きw
>>692の続きだと思って読んだら…大いなる時間の無駄使いだった。
>>725 最低限、文章ちゃんと書けるやつに書いてもらいたいな。
最初の人がクオリティ高かったぶん。
俺も
>>692の続きだと思ったよ。時間の無駄だった。
おれは結構楽しめたけどなw
>僕は社会人だからお金を持っていたから1000円くらいの出費なら出るわけである。
「−から−から−わけである」みたいな稚拙な物言いや、
社会人なのに1000円で自慢げなあたりが、
とてもヲタっぽい感じが出てて、この一行は非常に気に入ったよw
いずれにせよ物語が続くのはうれしいよ。作者さんがんばってね。
735 :
709:2005/09/30(金) 05:59:47 ID:h8JaWFYj0
どうやらオレが正解だったみたいだな
「優司、今度の日曜はどうすんだ?」
学校の昼休み、前の席の亮一が身体をひねって話しかけてきた。
「シンシアのセレクションに行くつもりだよ」
俺は素っ気なく答える。
秋色すっかり濃くなったこの時期、
多少自分に自信のあるサッカー小僧たちの関心は、中学を出た後の進路だ。
Jクラブのユースに行くか、高校サッカーの強豪校に進むか。
自分の希望するとおりの進路に進めるのは、ごく一部の選ばれた連中だけだ。
そうたとえばうちの兄貴のように。
兄貴は中学の頃レッズのジュニアユースにいて、
クラブからはユースへの昇格を約束されていたのに、
それを迷いも見せずに蹴って南浦和学院に進んだ。
なぜユースに行かなかったのか、と訊いた俺に兄貴はこともなげに言った。
「ユースに行ったらレッズにしか入れないじゃないか」
きょとんとした俺に、かんでふくめるように兄貴は説明してくれた。
Jリーグじゃ契約の制度上、どこのクラブに入っても年俸にはさほど差がない。
ならば、自分がクラブに入る時点で、
自分にとってもっともメリットのあるクラブ。
すなわち監督、コーチが誰か。自分との相性はどうか、指導力はどうか。
同じポジションのライバルや、その時点でのチーム力がどの程度か。
それらを比較して自分の成長に一番適したところを選んだほうが得だろう。
兄貴はそんな内容のことを、当然だろうという表情で俺に言った。
高校を出たら、必ず複数のクラブからの誘いが来る。
自分がプロになることをこれっぽっちも疑っていない。
そんな兄貴の底知れぬ自信に当時の俺はあ然としたものだ。
でも兄貴ほど才能のない俺には進路をあれこれ選ぶ権利はない。
俺も亮一も夏頃から徐々に開催されるようになった
Jクラブのユースセレクションをもう何度か受けているが
箸にも棒にもかからずに落ちている。
この先プロ選手に続くどの道も狭き門なのはわかっているが、
その中でもユースセレクションのそれは半端じゃない。
一般的なJクラブでユースに占めるジュニアからの
昇格組の割合は平均して7割から8割。
そのクラブの方針にもよるが中学卒業後、
外部からJクラブのユースに加入するのは相当至難の業だ。
多くの選手が集まってもただの一人も選ばれないのが当たり前の世界。
そして俺も亮一もこの数ヶ月にあった何度かのセレクションで落ち続けるうちに、
自分たちが選ばれない側の人間であることに薄々気づきつつある。
続きキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!
続きキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!
便乗してみた。待ってたぜ!
語り口と舞台設定から、「21さん」じゃないかなー?と思う。
でもそれはどうでもいい話。
楽しみにしてるよ。
736から作者代わったな
作風変わったよ
こういうの面白い
前作もそうだが、切っ掛けは素人の日常や思い付き。しかしそれを引き継いでスゲー物語を展開するのはサッカーと物書きのプロ
もし、この第二話が第一話のモニカみたいに成功しなくても、また次の切っ掛けに期待できる
楽しませてくれ、736!マジコな
確かにおもしろい
ただスレタイ関係ないような…
大丈夫、作者が最後につじつま合わせるに決まってるだろ
「シンシアかあ。シンシアなら多少人数とってくれるかなあ」
亮一が少し考えるような顔で呟く。
埼玉のサッカーといえば、実績と伝統のある高校サッカーと、
クラブ創設後見る見るうちにJきっての集客力を誇るようになった
浦和レッズが中心になって発展してきた。
そこに新たな軸として出てきたのが、J2にいるさいたまシンシアである。
全国にショッピングモールを展開して
急激に業績を伸ばしている大手企業のバックアップを受けて、
昨年はJ2で善戦し今年は順調に昇格圏内につけている。
とはいうものの、埼玉といえばやはりレッズというのがみんなの反応で、
シンシアを応援する雰囲気というのはあまり周りを見ても感じられない。
レッズは埼玉県民なら誰でも知ってても、
シンシアの名前はサッカー好きしかわからないというのが現状だった。
シンシアは今年でJ2が三年目ということもあり、
新しいクラブにしては比較的内部からの持ち上がりが多い方らしいが、
それでも亮一の言うとおり外部から加入できる枠は
他のJクラブに比べればたぶん多いだろう。
けど、俺がシンシアのセレクションを受けることにしたのは、
決して加入できる枠が広いからではなかった。
「お前、シンシアのに行くってことは、南浦和のセレクションは行かないのか?」
俺はちらっと亮一の顔を見て頷く。
「南浦和に入っちゃったらきついよ。
三年間ずっと兄貴と比較されるんだぜ。たまんないよ」
商店街の斉藤さんの顔がふと思い浮かぶ。
斉藤さんは俺が南に入ると信じきっているようだったけど、
俺にしてみたらそれだけは勘弁してもらいたいというのが正直なところだ。
15のガキにだってそれなりの自尊心はある。
名前の代わりに「総一郎の弟」と呼ばれるのが嬉しいはずはない。
俺の言葉に亮一は心底そうだよなあ、という顔をして見せた。
「そうだよなあ。あの兄貴と比較されたら…つらいよなあ。
すげえ兄貴がいるっつうのは大変だよなあ。
弟ならまだ兄貴風吹かせて面倒見るとかできるけど
兄貴じゃそうはいかないもんなあ」
珍しく妙にもっともらしいを言う。
俺が上だったら、少しは違っていたのだろうか。
全然見当違いであっても、何かプレイについてアドバイスをしたりして、
それを兄貴も素直にうなずいて聞いてくれたりしたんだろうか。
想像がつかない。兄貴にものを言う自分の姿が想像できない。
いつも兄貴は俺に何かを言う人間で、俺はそれを聞くだけだ。
今度は架空のJクラブが舞台になるのかな。おもしろそう。
アルディージャはないことになってるのかな?
わざわざ舞台を埼玉にしているからなにかしらの狙いがあるんだろうか
前作とのリンクがあるとうれしい。
匂わせる程度でいいから。
それよりエロサッカーはまだか!
南浦和学院のそれは、公式にはもちろんセレクションとはうたっていない。
建前としては中学三年生と高校生の合同練習会みたいな形になっていて、
自分の中学校を通じて参加を申し込むことになっている。
だがその場でどんなプレーをするかが、
来年度南浦和学院のサッカー部に入れるかを
大きく左右するのは改めて説明するまでもない。
聞いた話によると参加した中学生たちは、
簡単な体力テストとウォームアップ程度の簡単な基礎練習をした後、
南浦和学院の部員たちと混成で練習試合を行って、
その内容でセレクションの結果が決まるらしい。
もちろん参加する中学生がどんな選手なのか、
どんな経歴の持ち主かは向こうは事前に入念に調べてあり、
特にセールスポイントのない普通の選手は、
南浦和学院の三軍、四軍と混じって試合をし、
全国大会の経験があったり、Jクラブのジュニアユース上がりのやつは、
レギュラーやベンチメンバーと一緒に試合をすることになるので、
自分のはいるチーム分けを見ただけで、
自分が客観的にどう評価されているのかわかるという話だった。
俺がもし参加したら。兄貴の顔が思い浮かぶ。
兄貴と同じチームで、もしくはむきあって試合するんだろうか。
俺は軽くあごを振ってその妄想を振り払う。
現実的には俺がレギュラーに混ぜてもらえることはないだろう。
「亮一は南浦和行くのか?」
俺は亮一に聞いてみる。
「うん、一応な。ゴジがいい経験だから行ってこいって。
うちの学校からはお前一人だけだからって言うから
ヘンだなって思ったんだけど、優司はシンシアのほう行くんだな」
ゴジはサッカー部の顧問だ。
絵に描いたような体育会系でゴリラみたいだからゴジ。
学生時代は柔道が専門だったらしいが、
最近はサッカーの勉強もすごく頑張ってるらしい。
休日を使って、あちこち指導者としての勉強もやっているという話だ。
怒らせると怖いけど、俺たちにとってはいい顧問だと思う。
「しかし同じ日にやることはないよな。
どうせならずらしてくれればいいのになあ」
亮一がぼやく。
大人の考えはよくわからないが、日程が重なったことには
南浦和のプライドみたいなものがあるんだろうな、となんとなく俺は思っていた。
セレクションみたいな試験は、ネームバリューで
その開催される順番が決まっていく。
一番有名で人気も高いところは、
一番先に開催していい素材を全部先に持っていってしまうか、
一番最後にやって既に他の所の合格をもらっている人間を
根こそぎ奪ってしまうかのどちらかだ。
サッカーの場合、二股というのはかなり許されない行為だから、
同じ地域ではセレクションは当然J1のクラブからはじまり、
J2、JFLと進んでいくことが多い。
高校だって同じだ。強い高校のセレクションは弱い高校のそれより早い。
南浦和がシンシアと同じ日にセレクションを
ぶつけてきたというのは、単純に日程の都合もあるだろうけど、
いまや埼玉だけでなく日本の高校サッカーをリードしているという
南浦和学院の強烈な自負あってゆえの気がした。
「ま、お互い頑張ろうぜ」
亮一があまり力強いとは言えない声を出した。
ああ、と答える俺の声も力はない。
才能。それについて中学で考えなければいけないというのもなかなかつらい。
752 :
U-名無しさん:2005/10/03(月) 19:56:31 ID:ca05m89z0
新作も面白いよ
あげとこう
753 :
U-名無しさん:2005/10/03(月) 20:11:01 ID:uKuogjT00
兄に劣等感持ってる弟視点から見たサッカーが面白い。
これから優司がどう成長していくか楽しみにしています。
家の階段を降りてくと、ちょうど兄貴が帰ってきたところだった。
「おかえり」
俺の言葉に、おう、と兄貴は簡単に応じた後で、
ふと思い出した、というように俺を見た。
「お前、うちのセレクションには来ないんだな。
今日、監督がリスト見せてくれたけど名前なかったぞ」
「その日はシンシアのセレクションがあるからそれに行くつもり」
俺はなんでもないことのように言った。
そか、と兄貴はあっさり受け流した。
「やっぱ選手権の効果は大きいな。聞いたことある名前がごろごろいたぜ。
あれなら俺がいなくても全国くらいは出られるかな」
南浦和学院は兄貴が入学する前も全国大会の常連だったが、
冬の選手権で二年連続ベスト4入りを果たすなど、
全国でも上位の成績を残せるようになったのは兄貴が入ったここ二年のことだ。
監督は兄貴が抜けた来年のことを考えると頭が痛いだろう。
「お前も来ればよかったのに。
あのクラスの連中とプレイすればそれだけでいい経験になるぜ。
監督には俺から上位組に入れるように頼んでやれたのに」
兄貴がさらっと言う。いい経験。
そういまの俺じゃ南浦和のセレクションには通りっこない。
スピード、判断の早さ、テクニック、フィジカル。
すべての要素の違いにおののいてショックを受けるのが関の山だ。
兄貴の言うとおり、きっといい経験を積めるだろう。
これからサッカーをやる上で貴重な財産になるのかもしれない。
でも。俺はいい経験をするためにセレクションを受ける訳じゃない。
自分の進路を切り開く。その目的のために、大人たちの目に自分を晒すのだ。
でもそんな密かな意気込みを兄貴に言う気にはなれなかった。
「ま、土曜はかるーく揉んでやるかな。
いくら遊びとはいえ本庄ってこんなもんかよ、なんて
勘違いされたらたまんないからな」
保守、続き楽しみにしてまつ。
話の内容や展開的には面白く読ませてもらってるんだけど、
どうにも説明的な言い回しが多くて気になる
前作が真逆な感じで(試合展開の描写除く)ザックリしてたから余計感じるのかもしれないけど惜しい気がする
お前の文が典型的な煽り過ぎてつまんね。
センスないよ。
まぁ、そんなセンス無い方いいけど。
って煽られてる俺が言う言葉じゃないな・・・。
とにかく続き期待してます。
グラウンドを走る風が少し冷たい。
俺は周囲をぐるりと見回した。河川敷のグラウンド。
当初はクラブハウスのあるさいたま市内で行うという話だったが、
思いのほか応募があったので、急遽会場を変更してここでやることにしたらしい。
近くの駐車場は、親たちの車でごった返していて、ちょっとした騒ぎだが、
自転車を家から三十分かけてこいできた俺には関係がない。
グラウンドの脇に設営されたテントの前に並んで順番を待つ。
思いのほか親子連れが多いのが目を引く。ちょっとした孤独感。
やがて、順番が回ってきた。
パイプ椅子に腰かけた、いかにもサッカーのコーチといった感じのする
若い男性が長机に受講者リストを広げて待っていた。
お名前と、申込票をお願いします、という男性の言葉に、
俺は自分の名を名乗り、クラブから郵送されてきたハガキを見せる。
いま、俺の声は震えてなかったか?
ハガキに書かれた名前と机の上のリストを男性が照合する。
無事確認は終わったらしく、男性はハガキを俺に返すと、
案内の放送があるまで、テント近辺で待機するように言った。
他の学校のやつで知り合いはいないかと見回してみたけど、
見覚えのある顔は見当たらない。
なんとなく手持ち無沙汰なのに耐えられなくなって、
持ってきたボールをバッグから出すと、足の上で弾ませてみる。
ボールがかすかな空気の反発音を立てて上下する。
目の前を規則正しく上下に動くボールを見つめ、
集中して蹴っていると少し気分も落ち着いてきたようだ。
どうせ受からないだろうとは思っていても、
セレクションを前に心のどこかでやはり緊張していたらしい。
いい感じで体も温まってきたので、適当なとこで切り上げることにして、
ボールを落としてスパイクの裏で抑える。
その時、俺は誰かがこっちを見ているのに気づいた。
グラサンに髭。くねくねと曲がった髪はパーマなんだろうか?
ちょっとこわもての崩れた感じのオヤジが俺のほうを見ている。
ウィンドブレーカーを着ているところを見ると、
たぶんこのセレクションのためにいるんだろうけど、誰かの父親だろうか。
俺がオヤジの顔を見返すと、オヤジはそのまま真正面から俺の顔を見返してきた。
俺はなんとなく視線が動かせなくなって、
そのままオヤジと見つめあう格好になる。
なんだろ。いい大人が因縁つけてくるなんてことはないだろうけど。
どれくらい時間がたったのか、オヤジは満足したように軽くかぶりを振ると、
すたすたと歩いていってしまった。
なんだろ?俺のリフティングに感心してたのかな?
でも俺のリフティングに見とれるようじゃ、
きっとあのオヤジの子どももたいしたことないな。
今日は俺よかうまいやつがごまんと来てるんだし。
その時スピーカーを手に持ったさっきの受付の兄さんがしゃべりはじめた。
「それではただいまよりセレクションを開始します。
参加者の皆さんはこちらへ集合してください」
俺は地べたに置いた荷物を拾い上げると、
それっきり変なオヤジのことは忘れてしまった。
ウォーミングアップ代わりのボール回し。
みんな程度の差こそあれ緊張感を漂わせて真剣に取り組んでいる。
その様子を桜井は端から順番にささっと目を走らせていく。
既にセレクションはこの段階から、正確に言うなら受付の段階から始まっている。
受付をしている桜井の前で満足に自分の名前も言えない子も珍しくない。
信じられない話だがそれが現実だ。
それどころかジュニアのセレクションならまだしも、
ユースセレクションだというのに自分自身で受付をせずに、
親が代わりに手続きに来る子どもがいる。
年端もいかない子どもには確かにあまりにも早いが、
今日のセレクションは自分の進路を左右する立派な選抜試験だ。
その手続きを親に任せるような心構えでこれから先、
慈悲もなく冷徹で厳しいプロの競争に生き残っていけるだろうか。
自分自身の意思で自分自身の人生を掴み取ろうという気持ちは、
そんなところにも現れると桜井は考えている。
桜井の他にもスタッフが違った角度からアップの様子を眺めている。
セレクションが終わった後よく子どもたちの父兄から、
あんな短時間見ただけで違いがわかるものですか、という問い合わせを受ける。
その裏にはたいてい自分の子どものよさがわからなかったんじゃないですか、と
いう暗黙の抗議がこめられていることがほとんどだ。
もちろん子どもの素質をパーフェクトに見極めることは不可能だ。
桜井だけでなく世界中のどんな指導者であっても、
この年代の子どもが最終的にどんなプレイヤーになるかはわかりっこない。
ただ桜井の、自分自身の眼力の範囲においては、
セレクションという短時間の場で出した見極めと、
その後十二分に時間をかけて見直した後で出した結論はほとんど変わらない。
それはセレクションという場の性質ゆえだ。
たくさん集まる子どもたちの中から、ごく少数の非常に優れた才能を拾い上げる。
ある程度経験を積んだ上で、見る側に立ってみればいいと桜井は思う。
並べて外から見ると、違いというのは
残酷なほど一目でわかってしまうものなのだ。
プロサッカー選手の中からひとりの優れたプロを選ぶのとは違う。
自由応募で集められた玉石混交の顔ぶれの中から、
光りそうな石を見つけるのは、ある程度の経験があれば
さほど難しいことではないのが現実だ。
難しいのはその先、桜井がたいてい悩むのは最後の、
あと一人誰を残すかそれとも落とすかという絞込みの部分であって、
ほとんどの選手については一瞬で振るい分けが終わってしまう。
もちろんそれがただの選ぶ側の傲慢にならないよう、
一人一人に必ず視線をきちんと向けるようにはしているのだが。
ワクテカ
面白いけど、前フリ長いなぁw
見る目といえば、と桜井はふと横を見る。
少し離れたところに立っている木崎の彫りの深い横顔が目に入る。
参加者のリストも持たず腕を組んでじっと子どもたちの様子を見ている。
前任の田原が他クラブのコーチに招かれたため、
新しく就任したシンシアのユース監督。
桜井はこの木崎という新しい監督といまひとつ反りがあわない。
いや正確に言えば、この男がどういう人間なのかよくわからない。
顔をあわせるようになってしばらく立つが、
まず最初に驚かされたのは木崎のポケットに
しばしば筒型に丸められた競馬新聞がささっていることだった。
競馬新聞をポケットに突っ込んだ中年男なんて、
映画かドラマの中にしかいないものだと思っていた。
ギャンブルをやらない桜井にとってはそれだけでちょっと引いてしまう。
そして木崎が持っているうらぶれた、どこか崩れた雰囲気。
こんな男が、若い子どもたちを指導なんかしていいんだろうか?
サッカーはもちろん、それだけでなく人生の手本と
なるような人間がふさわしいんじゃないか。
桜井は内心思っていた。そう田原さんのような…
前任の田原は選手としては大成しなかったが、
自分の才能に早めに見切りをつけてスタッフに転職すると、
飽くなき情熱と研究を重ねた指導法で、
ろくに選手もいなかったシンシアユースを軌道に乗せた立役者だ。
その力が認められて他のクラブのトップチームのコーチとして声がかかった。
田原の選手ひとりひとりに向ける視線の細やかさ、
そして夜遅くまでクラブハウスで机に向かい、
個々の選手の体力や筋力の数値等のデータを確認し、
オフの日には近県の学校など様々な現場に出かけて指導法を貪欲に学ぶ姿に
新しく育成スタッフに着任した当時の桜井はいたく感動したものだった。
育成スタッフのあるべき姿がそこにあるように桜井には思えた。
田原が退職する日、桜井は礼をいいに言った。
「田原さんのおかげでなんとか少しずつコーチの仕事がわかってきました。
ありがとうございました。これからも田原さんを手本にがんばります」
田原はにっこり笑って
「こちらこそありがとう。これからもシンシアユースを頼んだぞ。
俺の代わりに来る木崎さんは腕っこきだからな。
俺なんかよりもよっぽどお前の手本になる人だ。しっかり学ぶといい」
新しい監督に関する話はほとんど桜井の耳に入ってなかった。
東北のある高校の教職を辞めて、
うちのユースの監督に就任するというのが桜井が聞いた唯一の情報だ。
「そんなにすごい人なんですか?」
田原は何の迷いも見せずにうなずいてみせた。
「まあ、変わったとこがある人だから多少戸惑うかもしれないがな。
でも、ほんとにあの人は高校生の年代の指導をさせたら、
いまの日本でもピカイチだと俺は思ってるよ」
そんなふうに田原は太鼓判を教えてくれたのだが、
いまのところ桜井はその言葉を素直に信じることができていない。
着任してからも
「しばらくはこのクラブのやり方を勉強させてくれ」
と言うと、ユースの指導は桜井たちコーチに任せ、
自分はグラウンドの脇でずっと飽きもせずに練習風景を見つめている。
打ち合わせでこのセレクションの進行を桜井が説明しているときも、
軽く体をゆすりながら黙って聞いているだけだった。
ほんとにこのおっさんできるんだろうな・・・
桜井は横目で木崎の顔を睨むが、木崎は桜井の険しい視線に気づかず、
どこか楽しそうにグラウンドでボールを操る子どもたちの姿を見ていた。
読みにくい
おもしろいけどさ
773 :
U-名無しさん:2005/10/08(土) 08:53:11 ID:Zp/z74Nh0
早く続きを
内容は面白いけどね
俺は素直に面白いと思うよ。
批判するのが悪とは言わないけれど、774みたいなのはただの馬鹿。
さっきやってたダイハツのCM(大黒のじゃないよ)が
ちょっとこのタイトルを思い出させた。
ウォーミングアップが終わると、
コーチらしき人からゲームの組み分けが伝えられた。
順番に番号が呼ばれていく。俺は二試合目の組だった。
20分ハーフのゲームだから、小一時間近く待つことになるが、
これだけの人数が受けに来てる以上しょうがない。
俺は時間とコートを頭の中でもう一度復唱して確認すると、
休憩場所を探すことにした。
あちこちで家族連れが我先にシートを広げていて、
居心地のよさそうな場所はほとんどとられてしまっている。
ま、一人だしどこだっていいや。風が当たらない場所ならどこでも・・・
いい場所がないか、周囲を見渡して探してみる。
そのとき、
「優司くん!」
澄んだ声が俺の名を呼ぶのが聞こえた。
びっくりして声のした方向を振り向いて俺はまた驚く。
「あれ、どうしたんですか!?」
そこには楽しそうに目を細くして笑う唯さんの顔。
俺は思わず唯さんのところへ駆け寄った。
「総くんが、今日優司くんがセレクション受けに行ってるって教えてくれたの」
俺は一瞬驚く。兄貴も意外と優しいところがあるんだな。
「ご両親の付き添い断って一人で行ったし、向こうで知り合いもいなくて、
きっと寂しくて膝を抱えて泣いているだろうから、
励ましてやってくれって言ってたわ」
唯さんが楽しそうに笑った。
兄貴の野郎。確かにひとりで心細かったのは事実だけど、
唯さんにわざわざ言わなくたっていいじゃないか。
唯さんが来てくれたのはとても嬉しいけど、気持ちは少々複雑だ。
そんな俺の微妙な感情を読み取ったのか、唯さんは慌てた顔をすると
「優司くんのことだからひとりでもへっちゃらだと思ったけど、
今日は時間あったから見にきちゃった。邪魔だったかな?」
俺は急いで首を横に振って、そんなことないです、と答える。
それならよかった、と唯さんはほっとしたように笑うと、
「とりあえずレジャーシート持ってきたから座ろうか。いま広げるね」
唯さんはバッグの中に手を入れてシートを捜しはじめた。
いつも兄貴といるときは南浦和学院の制服だから、
私服の唯さんを見る機会はあまりない。
今日の唯さんは白のシャツに青のデニムを着ている。
あまりにもシンプルなファッション。
だがシンプルだからこそ唯さんの清楚な魅力がぐっと引き立つ。
イケてないやつがやれば、単に服装に無頓着なだけと思われるのがオチなのに、
唯さんが着ていると、そのきれいな容姿を際立たせる最高のエッセンスになる。
うちのクラスにもいるが、中坊のうちからごてごてと化粧をする女。
目もと周りにはにはごてごてとまつげやらシャドーやらをつけているが、
そういった連中とは唯さんは格が違う。
元が十分にきれいだからことさら飾りたてる必要がない。
俺は唯さんの横顔を見ながらクラスのケバい女たちのことを思う。
あいつらもきっと唯さんくらいきれいだったら、
あんなにごてごてと飾りたてたりしないのかもな。
休み時間に、時には授業中も一心不乱に鏡を見つめるのも、
唯さんのような生まれながらの美しさを
自分たちが「持っていない」ことに気づいているからだ。
飾りたてないと勝負にならないことをもうこの年齢で気づいている。
そういう意味では。才能のない俺と一緒かもしれない。
違うのはあきらめきれずに飾りたてて勝負に参加しようとするか、
それとも既に才能がないことを認めているか、それだけの違いかもしれない。
おもしろいんだけどさ
さっさとセクション始めてくれ
進行遅くてイライラする
俺はこういうサッカー以外の描写があったほうが感情移入できるから今の展開で満足です。
>>781 セクション、じゃなくて、セレクションだろ。
おまいさん、相当短気だな。
俺は好きだよ。
作者さん続き期待してます。
好きなように書いちゃって下さい。
兄貴の彼女、実は弟が好きだったフラグキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!
唯さんはバッグから折り畳んだ
レジャーシートを取り出すと、勢いよくそれを広げた。
シートの鮮やかな青色が俺の目の前に広がって、唯さんの姿を一瞬隠した。
唯さんは周囲をちらっと見ると空いていたスペースにそのシートを敷いた。
近くに低木が生えている、お世辞にもいい場所ではないが
唯さんは全然気にしていないようだ。
意外と唯さんって豪快な人なのかな。
自分が知らなかった唯さんの一面を見たような気になる。
俺は唯さんに礼を言ってそのシートに座った。
唯さんは、遠慮しないで、とにっこり笑うと自分もシートに腰を下ろした。
そんな大きなシートじゃないから、必然的に俺と唯さんの距離が近くなる。
思わず口元がほころぶのがこらえきれない。
にやにや笑いを唯さんに見られないように、俺は正面を見る。
俺たちと同じように固まって座っている家族連れの姿が目に入ってくる。
さっきまで幾ばくかのうらやましさとともに見ていたその景色が、
いまはまったく別のものに見える。
どうだ、うらやましいか。
こんなすてきな人が一緒に来てくれてる奴なんてどこにもいない。
「このあとはどういうスケジュールなの?」
唯さんが聞いてきた。
「いまやってる試合が終わったら」
俺は目の前のグラウンドを指す。
「あそこで試合やってそれで終わりです。
20分ハーフって言ってたんで、一時間は待たないと思うんですけど」
「それで結果が決まるの?」唯さんは目を少し大きくして尋ねる。
俺はうなずく。やり直しのきかない一発勝負。
視線の先では、最初の試合を指定された参加者が
険しい顔でゲームをやっている。
「そういえばどうして優司くんは、うちの学校に来ないの?
兄弟で同じ学校でサッカー部のエースってかっこいいじゃない。
きっと女の子にももてるわよ」
「僕じゃ兄貴の代わりはできませんから」
さらっと言った後でなんか心の中に苦みが残る。
僕じゃ兄貴の代わりはできない・・・。
兄貴の卒業した後を埋めるようなことは俺の力じゃ無理。
それだけの意味のはずなのに、妙に言葉の響きが後に残る。
後を引くその嫌な感じを消すように俺は言葉をつなげた。
「やっぱ、兄貴は僕から見ても正直モノが違うんですよ。
うまいし、強いし、タフだし。
僕に兄貴のような選手になれっていっても無理ですよ」
「そうなの?優司くんもすごいうまいと思うんだけど」
唯さんが小首をかしげる。
「それは唯さんがサッカーやらないからですよ。
兄貴と俺の間には、天と地ほどの差があるんですって」
俺は両手を身体の前で大きく縦に広げて、大げさにその差を表現してみせる。
やっておきながらそういう自分が嫌になる。我ながら自虐的だ。
「そう?でも、私は総くんもだけど、
優司くんもきっとすごい選手になると思うけどな」
唯さんはにっこり笑っていった。
慰めか、社交辞令か、はたまた素人の唯さんはほんとにそう信じているのか。
笑顔の後ろでポニーテールに束ねた髪が揺れる。
俺はそれ以上、兄貴と自分の差を強調する気にもなれず曖昧な笑みを浮かべた。
「それできっと二人が日本代表でね、一緒に大きな試合に出るの。
それを私はスタンドで応援するんだ」
兄貴と二人で日本代表・・・
心の中で何かがけぶる。ちりちりと躯の内側が焼ける。
「そうなればいいですね」
「そうするのよ」
乙
おもしろい
おもしろいけど何かが足りない気ガス
キャラが立ってないことか?
面白くない。
才能0。
めちゃ面白イッス!
次を早く!
792 :
U-名無しさん :2005/10/10(月) 21:16:07 ID:15TOJpOj0
おもしろいっすね。
>「そう?でも、私は総くんもだけど、優司くんもきっとすごい選手になると思うけどな」
こんなの典型的無駄トークじゃないか。
確かに無駄が多いね
箇条書きでまとめようよ
>>793 フリだよフリ。ゆーじがどう転ぶかは解からないが、いずれ伏線になる。
>>796 だが今の弟が自覚しているサッカー能力で
そのフリにまで到達するのには、かなりかかるぞ。
このペースで進んだら、ものすごい大河ドラマになりそうだ。
またはいきなりサイボーグ化して、SFスポーツ小説とかw
あとは儚い切ない初恋物語になって、サッカーそのものが傍系になるとか。
それにしても、兄弟に美少女。鬼?コーチ。
文章がまともだから、まだ読めるが。前説としてはどこかで見たようなつくりだ。
返ってきた強い言葉に思わず唯さんのほうを見る。
「そのために今日ここにいるんでしょう?
必ずいいとこ見せてセレクション通るのよ」
「簡単に言いますけど、これだけ人数いるんですよ。
そうほいほいと合格する者でもないですよ・・・」
大丈夫、実力を出せばきっと合格できるから。
俺の言葉に耳を貸さず、唯さんは
自分が合格者を決める人間であるかのようにきっぱりと言った。
はあ、参ったなあ。唯さんがこんな肝っ玉母さんみたいな人だったなんて。
落ちちゃったら、というかまずダメに決まってるんだけど、
唯さんと顔合わせづらくなりそうだなあ。
でも。こんなふうに無責任に期待かけられたのっていつ以来だろう。
俺に向けられる言葉はいつも決まっていた。
兄貴とは違うんだから、お前の実力が出せればいい。
兄貴のようにやろうとする必要はない。お前ができることをやれば・・
最近はそんな言葉しか聞いてなかったような気がする。
その一方で兄貴には常に最大級の期待がかけられる。
きっと総一郎君ならできるよ。本庄ならなんとかしてくれる。
本庄なら、もしかしたら実現させちまうんじゃねえ?
商店街の齋藤さんの顔が思い浮かぶ。
無責任に兄貴に活躍を期待していたあの表情。
それをさらりと受け流していた兄貴の自信溢れる態度。
それに比べ誰にも期待されず誰の期待にも応えてこなかった自分。大違いだ。
せめて神様がいるんなら、今日くらいは
唯さんにいいとこ見せるぐらいの幸運を俺にプレゼントしてほしい。
唯さんの無邪気な期待に応えるぐらいの幸運を。
バッグに着けておいた時計を確認すると、意外と時間が経っている。
この時期だと時間を置くとそれなりに身体も冷えてくる。
さっきひととおり動かしてるから怪我の可能性は低いだろうが、
軽く動かしておいた方がいい頃合いだろう。
ちょっとウォーミングアップはじめますね、と唯さんに断って俺は立ち上がる。
ストレッチみたいなのを想像したのか、何か手伝おうか?と唯さんが聞いてくる。
一人で大丈夫です、と返事をして、俺はボールをネットから出して足元に置く。
もうひととおり動いてる。あくまでも緊張をほぐすための運動だ。
ボールを足の甲に乗せ、最初は小さく、少しずつ弾ませる幅を大きくしていく。
何の変哲もないリフティング。
「うまい、うまい。その調子」と目の前で見ている唯さんが拍手してくれた。
もうすぐ勝負の場が待っている。
どんな結果が俺を待っているんだろう。
800 :
U-名無しさん:2005/10/11(火) 08:20:58 ID:agZGW8htO
面白い、展開が遅いのは仕方ないとして中学でのエピソードとか見たいな。
昔の兄貴の凄さが脳にこびりついていて、
実は弟(自分)も今や兄貴に迫るレベルまで来ているのに、
兄貴を美化しすぎていてそれが反動として自分を卑下してるタイプという感じかもしれん
自分の実力を一番自分が分かってないというやつ
唯さんはサッカーを見る目が無いのではなく、実は誰が見ても兄弟それほど遜色ないレベルなんだろう
⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒
☆ || . , || ☆
, o || 。 . || o
。 || . , ァ || 。
★ || // 。 ゚ .|| ☆ ゚
, ゚ / i. . ||
o / i . ☆ .|| o 。 ゚
。 | i 。 ||
☆ | i_,,..,,,,_ 。 || 。 ★
| / ,' 3 `ヽーっ..||
'i l ⊃ ⌒_つ..||_.,ャ ゜ 。
o 'i. `'ー---‐'''''"  ̄ ,;'´
丶, ,/ ☆
'ー- - - r '´
⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒
展開遅すぎ。眠たすぎ。
連載小説なら、セレクションに落ちて即連載打ち切りだな。
展開遅いのが嫌な香具師は、
連載中に読まずに単行本化してからいっきに読むとかするマンガ好きな人間もいるよな
展開遅いというよりなんだか読みにくいね
ただこれも書いてくうちに改善されていくことだと思うしマターリ待つよ
おもしろいしさ
前の試合が終わりそうな頃に二試合目のメンバーに集合がかけられ、
俺たちは自分のチームを知らされた。
そのまま指示されたチームごとに集まる。
横目で素早くチームのメンバーの顔を確認したが、
やっぱり知っている顔はいないようだ。
11人の中三生の輪。
少し離れたところにはおそらく俺たちの相手なのだろう、
同じように参加者が集まって立っている。
少し経つと俺たちのグループにクラブの人が入ってきて説明をはじめた。
「この後は20分ハーフの試合をしてもらいます。
ハーフタイムの休憩は10分とします。
試合が終了した後は、各自解散して帰っていただいて結構です。
セレクションの結果については、自宅へ郵便にて直接お知らせします。
ですので、原則として電話でクラブに
問い合わせたりはしないようお願いします」
フォーマットがあるのか、クラブの人は説明を一気にしゃべった。
「チーム分けは事前にいただいたみなさんのポジションを考慮して
こちらで決めさせていただきました。
だからちゃんとキーパーが一人ずつ入ってます。
うちのチーム、キーパーいないよ、なんてことは
ありませんから安心してください」
そこでクラブの人はぎこちない笑いを浮かべた。
もしかしたら笑うべきところなのかもしれないが、笑う奴は誰一人いなかった。
「ただみんなはよく知っているとおり、サッカーには
同じポジションでもいろんなタイプの選手がいます。
それをこちらで事前に知ることは不可能ですので、
ポジションについてはこのメンバーでよく話し合った上で決めてください。
みんなで相談して決めてフォワードを何人にするか、
ディフェンダーを何人にするか、
そういったことはこちらでは指定しませんので、自分たちで決めてください。
ひとりひとりがいいプレイができるよう、
できるだけ全員が納得するように決めてください。
試合開始後はいまやってる試合が終わった後、10分後からはじめますので、
それまでに決めて、試合開始時にはポジションに着いていてください。
なにか質問はありますか?」
誰も手を挙げない。クラブの人は一度うなずくと、
「では時間までに準備を済ませておいてください」と
いうと、遠くにあるテントへ戻っていった。
俺たちはその場にとり残されたような格好になる。そのまま誰も何も言わない。
こういうのってよくあるよな。これが日本人の特性だよな。
自分を棚に上げてそんなことを考える。どうしよう、俺が口火を切るか?
そう思っていたら野太い声が響いた。
「とりあえず自己紹介しようぜ。
名前と希望ポジション、それがわからないとはじまらないもんな」
俺の左側に立ってる奴だった。随分背が高い。180近くありそうだ。
体もがっちりした感じだ。町で会ってたら中三だとは思わなかっただろう。
「じゃあ、最初に俺から。名前は坂上太。
ポジションはディフェンダー、細かく言えばストッパー。よろしく」
軽く会釈するような感じで頭を下げる。
じゃあ次、というように坂上が手を伸ばして隣にいる俺を促した。
「名前は本庄です。ポジションはミッドフィールダーなら
どこでもできるけど、下がり目のボランチをいつもやってます。よろしく」
あまりよくある名字じゃないだけに、何か言われるかと思ったが
そんな余裕がある奴はさすがにいないらしく、淡々と自己紹介が進んだ。
どれも印象に残らない平凡な内容だったが、最後に強烈なのが待っていた。
やっぱおもしろい!(;゚∀゚)=3
ちゃんとまとめサイトに上がってるんだな、暫くチェックしてなかったんで知らなかったw
810 :
U-名無しさん:2005/10/12(水) 12:39:09 ID:z97rVOPZ0
優秀な兄が身近にいるせいで自分を過小評価してしまう弟
いい意味でベタな展開を期待してる・・!
>>811 ホンマや〜
中の人、乙!
略称決めない?
『キャプつば』とか『俺フィー』みたいな。
『俺リフ』?『今日リフ』?
『俺リフ1〜モニカ編〜』
『俺リフ2〜兄貴編〜』
3、4・・・と続いて最後に話が繋がるみたいな展開キボン。
>>806 アフォか。こんな説明文章を話し言葉で書くな。文才なさすぎ。
文才がどうとか薀蓄ひけらかしたい奴は創作文芸板にでも行ってろ。
内容が面白けりゃそれでいい。
描写にたいして無駄無駄言ってるやつ、普段、小説とか読んでるのか?
ジュニア向けのものじゃなくて普通の小説。
これでも描写はかなりさっぱりしてるほうだし、これ以上ないと
ただの骨組みだけになってしまうよ。小説じゃなくなる。
>>794 俺は小説を期待してるので、こういうワケの分からない批評は
本当に気にしないでもらいたい。
つか、兄貴の彼女の言葉が突き刺さる感じがいい。
>>813 罪と罰を二百回読みなおして、ドストエフスキーでも批判してろよ。
でも、なんか読みにくい気がするのは俺だけか?
なんか漫画を小説にした感じだからなのか、引き込まれない。
>>816 12行も話し言葉が続いている
>>806の文章をみて、読みにくいとか思わないほうがどうかしているぞ。
普通の小説でそんなものはまずない。ちゃんと勉強してくれ。
>>817 そんな偉そうなことを言うお前は「白鯨」を全文暗記してから、俺に文句言え。
>>818 同意。この作家のいいところは、サッカーをやっている人にだけわかる刹那を、うまく表現できるだけだと思う。
それ以外は、並以下。
具体的に反論されてないから、突然、白鯨暗記しろって言われても困るw
俺より「勉強している」
>>819さ。
罪と罰を例にだした、皮肉の意味も分かってないみたいだけど。
ドストエフスキー、一冊も読んだことないか?十二行以上の会話なんてザラだぜ。
トルストイでもいいよ。大江健三郎でも、ミラン・クンデラでもなんでもいいけど、
「会話が長いことは悪いこと」と妄信的に信じて、批評のテーマにしている浅はかさを
罪と罰を例にだして、指摘しているだけ。
「普通の小説」ってなんだ? 子供向けのジュニアノベルか、
もしくは村上龍とか吉本ばなな?w
「普通の小説では話し言葉で12行以上会話が続かない」。恥じたほうがいい発言だな。
お前が「並以下」なんて判断するのはどうでもいいが、
今回のやつも楽しみにしているものとしては、
「書いている人間のモチベーションが下げるような書き方はするな」って希望。
端的に言うと
>>819なんて存在は、どうでもいいんだよね。
なのに「俺に文句言え」とか「自分には価値がありますよ!」みたいな書き方されても
ぜんぜん、しっくりこないんだ。
面白い批評、やる気にさせる批評、もしくは面白い小説を書いてくれたら、
「俺に文句言え」なんて君の自意識に、適した見方で、君のこと見られるかもしれないけどね。
>>820-821 お前は、アフォ。
>>806の文章にドストエフスキーの才能を感じさせるものがあるのか?ないなら、とりあえずドストエフスキーに謝れ。
2chで「面白い批評、やる気にさせる批評、もしくは面白い小説を書いてくれたら・・・・」なんて遊郭で処女を探すようなものだろう。
いいにおいがしたり花が置いてあることもあるが、所詮ドロドロとした便所の書き込みなんだからね。
取り合えず、言い争うなら他のスレでやってくれ。
>>822 おもしろいと思わないなら読みに来なけりゃ良いだけだし、書き込まなきゃよいだろ。
一言だけ言わせて貰うなら、貴方の書き込みがまさに"ドロドロとした便所の書き込み"だって気付いてますか?
>>815 どうせなら小説じゃなく、あれを原作にしたマンガにしてほしいな
電車男みたく楽して稼ごうと思ってるんだろうけど、
ログをそのまま印刷した小説版で出されてもつまらんし、出版社の怠慢にしか見えずに不愉快だ
金儲けしようってんならそっち側にも少しは努力させたいしさ
>>822 ハイハイ分かりましたからもう大人しくしててね(失笑)
文章のテクニックを批評するスレじゃないことに気付いてくれ、幼稚な人よ
>>822 論旨がすりかわってるよ。
まぁいいや。俺の希望を汲んではくれないみたいだし、お前どうでもいいよ。
まあ、モニカ編のときも、文章批評→創作文芸板に行けで
ループしてたわけだし、結論は出てるんだから
内容にワクテカしましょう
829 :
U-名無しさん:2005/10/12(水) 22:43:23 ID:Y3GRdcPJO
エルゴラで連載だなw
背は俺より一回り小さいから150あるかないかぐらいだろう。
小さな体にぎょろっとした目が印象的だ。
その目がまるで潜水艦の潜望鏡のように動いて俺たちを見回すと、
「名前は大木大地。ヴェルディのジュニアユース所属だ。
希望ポジションはトップ下。今日の攻撃は俺に全部任せとけ、以上!」
ヴェルディジュニアユースの名前を聞いた瞬間、
みんなの表情が微妙に変わった。たぶん俺も含めて。
トップチームがかつてのような絶対的な強さを失い、
同じ都内をホームタウンとするFC東京の躍進があっても、
俺たちくらいの年代のガキにとって、
ヴェルディのジュニアユースはいまでも
「とびっきりのうまい奴ら」が集まる場所の代名詞だ。
あそこは決して簡単に入れる場所ではない。
攻撃は任せとけ、という自信満々の言葉も、やはり力あってのものか。
やりにくそうな奴だな、というのが正直な感想だったが、
これくらいエゴが強くないとプロの世界ではやっていけないのかもしれないな、
俺は大木の聞かん気の強そうな横顔を見ながらそんなことを思っていた。
大木の押しの強さに他のやつらは多少あっけにとられていたが、
坂上は気にする様子もなく淡々としている。
大木の自己紹介が終わったのを確認すると、坂上は静かにしゃべりはじめた。
「じゃあ早速だけどポジションを確認しよう。
いま、ひととおり聞かせてもらった希望を考えると、
4−4−2が適当だと思うんだがどうだい?
ディフェンダーは俺と・・・君が中に入る。サイドは・・・」
こいつ、ちゃんと一人一人が言った希望ポジを覚えてたんだ。
坂上は手際よくポジションを割り振っていくが、
どれも本人の希望に添ったものになっている。
クラブ側でその辺は考えてチームを組んだのかもしれないが、
その意図をちゃんと汲み取って話を進めるあたり、しきりがうまい。
しきる奴は往々にして本人の気持ちとは無関係に、
周りからは嫌みに見えることがあるのだが、それも感じさせない。
キャプテンとかやってたのかな。随分デキそうな奴だ。
俺には中盤の4の真ん中が割り振られた。異存はない。
順調に決まるかと思われた時、大木が異議を唱えた。
「中盤の4はフラットにするんか?」
こいつがしゃべるとなんか小動物が、愛玩犬か何かが吠えているような感じだ。
よく名前と実物のイメージが全然違うやつがいるが、まさにそのいい例だ。
大木大地、「大」が二つもつく名前の割に大きさを感じない。
坂上は大木を見返してうなずく。「ああ、そのつもりだ」
「俺の言ったこと聞いてなかったんかよ、俺はトップ下の選手だぜ。
3−5−2にしてくれよ」
坂上の動きがちょっと止まる。考えている風だ。
俺は最初の提案どおり真ん中がフラットの4−4−2がいい、と考えていた。
それぞれ自分のチームで慣れ親しんでいるやり方がそれぞれあるだろうが、
即席の、名前も互いに覚えてないようなメンバーでチームを組む以上、
もっともオーソドックスなシステムを選ぶのが無難だ。
3−5−2は自分のチームで経験のある奴もいるだろうから、
このメンバーでこなせる可能性もなくはないが、
初顔合わせで連携が皆無というこの状況では、
4−4−2は妥当な選択だと思っていた。
だが坂上はあっさりと自分の意見を引っ込めた。。
「大木の意見はわかった。それなら4−4−2で中盤はダイアモンドにしよう。
大木が前で、本庄が後ろだ。これならいいな?」
大木はそれでいい、というように笑顔を浮かべて満足げにうなずいたが、
俺の唇は思わずへの字に曲がる。
即席のメンバー、しかも中三生でダイアモンド型の4−4−2?
相当互いの連携がスムースでないと機能しないシステムだ。
こんな即席のメンバーでやっても、
間延びしてスペースの空いた中盤をずたずたにされるだけじゃないか?
だが俺以外のみんなが何も言わない以上、なんとなく反対しづらい。
それに試合がはじまるまでもう時間もない。
「じゃあポジションはこれでいいね。後は各自いい結果が出るよう頑張ろう」
坂上はまとめ方も手慣れている。サッカーの力もありそうだ。
だが。坂上はサッカーがわかってる奴のような気がしたが、
あっさりと大木の意見を受け入れたあげく、
3−5−2でなくわざわざダイアモンドにしたってのは、
俺の見込み違いだったということか。
俺のワンボランチ。かなり負担は思い。
嫌な予感がする。
834 :
U-名無しさん :2005/10/12(水) 23:56:36 ID:xWPdAK570
1の編集者さん
10の方が作者さんで間違いないですよ。
トリップが作中で使われていたものと同じですから。
, へ,,,))),,,ヘ
∠,,,ヽ・∀・ノ,,,,ゝ
| 6 |
*〜|__|
| |
パルちゃんマン
もめごとがおきないように、
交通安全のお守り、縫い付けときますね。
笛が吹かれてゲームがはじまった。
うちのフォワードが大木にボールを下げる。
さらに後ろに下げてくるかと思ったが、こっちを見る気配など微塵もない。
大木は、センターサークルをまっすぐに突っ切って、ドリブルで仕掛けていく。
猛然とつっこんできた大木に
相手のフォワードも面食らったらしく、足を伸ばすが腰が引けている。
大木は細かく左右に体を揺らしながら、伸ばされた足を難なく越えていく。
後ろから大木のドリブルを見てるだけで、俺なんかとモノが違うのがわかる。
ステップを小刻みに踏みながら、足からボールがまったく離れない。
ヴェルディジュニアユースの肩書きは伊達じゃない。
「本庄、フォローしてやれっ」
少し後ろから坂上の声が飛んでくる。
大きくてよく通るいい声だ。すっと頭の中に入ってくる。
俺は、大木との間隔を保ちながら敵陣へ少しずつ上がっていく。
フォワードもサイドも大木の突破にあわせて、前へ前へと進む。
だが、大木がパスを出す気配はない。
そのまま、エリアまで一人で突っ込んでいきそうな勢いだ。
これ以上やらせたらやばいと危険を察知したのか、
相手チームのディフェンダーがエリア手前で二人がかりで前をふさぐ。
大木みたいなドリブラーを、エリアに入れたらやっかいなことになる。
前をふさがれた大木は足の裏でボールをキープしているが、
それ以上前に行くのはきつそうだ。
大木の後ろから、一度抜かれた敵の選手が戻ってきて、
ボールをとろうと足を伸ばす。大木は三人に囲まれる格好だ。
もうここらあたりが限度だろう、そう判断した俺は
「後ろ!」と声をかけながら大木の背後から距離を詰める。
だが大木は俺の声なんか聞いちゃいなかった。
足の裏でボールを前後に動かしながら粘り強くキープしていたかと思うと、
そのまま足の裏で送り出すようにボールを前に出した。
ディフェンダーの足と足の間をゆっくりとボールが抜けていく。
エリア内へころころと転がるボールにサイドから、
うちのフォワードがダッシュを効かせて走り込む。
誰もマークがいない。ドフリーだ。
グラウンド中にびびっと電気が走る。
大木のドリブルにみんな注意がいってしまって、
サイドにいたうちのフォワードが完全にフリーになっていた。
完璧に裏を取られたディフェンダーたちはもうなすすべがない。
キーパーと一対一。絶好機。
もらった、と思った次の瞬間、
ぼてぼてのボールが力無くサイドネットに収まっていた。
一瞬の奇妙な間。フォワードの奴が引きつった顔で頭を抱えている。
力みすぎてダフったか。
俺の前で大木が「信じらんね」と心底あきれたというような表情で、
大きく両手を広げて首を左右に振った。
その素振りを見たフォワードは、大木から目をそらすように下を向く。
「集中、集中!ボール来るぞ」
また、坂上の声が後ろから飛んできた。
いいタイミングの声だ。いまのプレーで途切れかけた
俺たちのチームの集中が、俺も含めてきゅっと引き締まるのがわかる。
相手のゴールキックから再開。
相手キーパーが素直にボールをディフェンスの選手に渡す。
相手のバックラインでのボール回しを見ながら、
俺は頭の中でいまのプレーを整理する。
大木のドリブルに泡を食った相手チームは大木をケアするあまり、
両サイドもついつい中に絞りすぎていた。
ちゃんと大木はその状況を見てとって、
三人に囲まれながら、フリーのフォワードへのパスを、
狭いコースをきっちりと通して、文句なしの場所へ出して見せた。
でかい口叩くだけのことはある。
サイドでボールが子どもたちの手にはじかれる風船のように、
落ち着きなくセンターラインを挟んで行き来している、
うちも相手のチームもパスを出そうとしているが、
技術の低さと意思の疎通が出来てないこともあって、
パスというよりも、まるで敵に向けてボールを蹴りあってるようだ。
俺は攻撃の組み立てを考える。
大木をばんばん突っ込ませれば、相手ディフェンスに穴が空く確率は高そうだ。
大木を突っ込ませて、相手の守備を中央に寄せておいてから、サイドに散らそう。
だが。ボールの動きから視線を切らずに俺は前線に一瞬視線を飛ばす。
ちとフォワードが不安だ。
どんなスポーツでもそうだろうけど、一度ボールを持たせてみれば、
そいつのだいたいのレベルはわかる。
もちろんいまのシュートは失敗だろうし、
普段はもっといいボールを蹴るんだろうが、
それでもあのダフりっぷりを考えると、そこそこの中学のエースというところか。
このセレクションが自由応募である以上、集まる選手のレベルも様々だ。
人様のことを言える立場じゃないが、
パスを捌くポジションにいる以上、
誰がどの程度やれるのかはわかってないとやばい。
大木と、そして。俺はちらりと後ろに視線を走らせる。
坂上が手を使って、他のディフェンダーに指示を出している。
あの的確な声の出し方を見る限り、坂上も。
大木と坂上、この二人はある程度計算ができそうだ。
あとは残りのメンツがどの程度できるのか。早くそれをつかみたい。
それを知るにはパスを回してみるのが一番手っ取り早くて効果的だ。
俺のところにボールが来たら一度ひととおりパスを回したい。
だがサッカーの試合というのは、そう都合よく思うとおりには進んでくれない。
おもしろいじゃんw
842 :
熊:2005/10/14(金) 01:58:56 ID:CWT6sev6O
大木さん('A`)
843 :
U-名無しさん:2005/10/14(金) 06:17:43 ID:2QiPpzezO
大木やるじゃん、引き付けてパス出すくらいだから完全な個人プレーに走ることもなさそうだな。
844 :
U-名無しさん:2005/10/14(金) 07:44:16 ID:EnTJySVi0
おもしろい。
ちょっと文章が読みにくいのが難だけど、「サッカーを知ってる」感じが良く出ている。
もう少しこなれてきたらいいのかもしれない。
期待してます。
ぼっきした
サイドでのもみ合いからボールを奪った相手チームが中央へパスを出す。
上がってきた敵の中盤がフリーでボールを受ける。
俺は首を振って周囲の状況を確認する、と同時に慄然とする。
俺の周りに味方がいない。
ピッチの真ん中あたりに相手が使い放題の巨大なスペースができている。
大木はどこだ?いた、あの野郎。
前線からゆっくりとぼとぼとこっち向きに歩く大木の姿が一瞬見える。
あの馬鹿野郎、3トップじゃねえんだぞ。
あんなにフォワードにくっつきやがって。
大木が前ぎみのポジションをとっている分、大木の背後が無防備だ。
おまけに両サイドも、サイドへの意識が強すぎるのか、
それとも単にまだ試合に落ち着いて入れていないのか、きっちり絞ってない。
これじゃあ、俺の前にこれだけの大穴が空くのも当然だ。
「右、絞って!本庄、プレス、プレス!」
同じように状況を察した坂上から声が飛ぶ。
状況を理解したらしく、声にさっきまでとは違う切迫感が感じられる。
さてこの状況でどうするか。
のんびり持たせてたら、好き放題やられちまう。
かといってがりがり取りにいってあっさり交わされたら最悪だ。
とりあえずプレッシャーを掛けよう、と前へ出た時、
ボールをキープしてた相手が大きく前へ蹴った。
うちの右サイド、ディフェンスラインの裏あたりへのロングボール。
一瞬ほっとした。確かに俺の前はすかすかだけど、
俺の後ろにはディフェンスが四枚揃っている。
じわじわパスで崩されたらきついが、
簡単にほうりこんでくれれば枚数で負けることはない。
だがその考えが仇だった。
頭の上を飛んでいくボールの軌道の先を追って、俺は我が目を疑った。
ライン際を走る相手の選手がフリーだ。
飛び出したフォワードの動きもよかったのだろうが、
うちの右サイドバックのマークが外れ、完璧にラインの裏をとられている。
いくらなんでもあっさりやられすぎだろう。
懸命に相手を追ううちのサイドバックを見ながら、俺は急いで戻る。
チェックされていない状態で相手フォワードがボールをトラップ。
一度置き去りにされたうちのサイドバックが必死になってボールを取りに行くが、
そこをフェイントで自分が走ってきた方向にボールを滑らされると、
走ってきた勢いを止めきれずにそのまま足を滑らせて転倒した。
最悪だ。一発でサイドが突破されちまった。
いまの攻防を見る限り、相手のあのフォワードと
うちのサイドバックでは技術が違いすぎる。右サイドも穴だったか。
チャンスとかぎつけたフォワードが、
一直線にゴールへ向かってドリブルをはじめた。
俺は、懸命にゴール前に戻る。これはまちがいなく相手のビッグチャンスになる。
相手のフォワードはもうエリア内に入ろうと言うところ。
もう自分が行くしかない坂上がゴール前から離れて、相手とゴールの間に体を入れる。
あいつにあそこは任せるしかない。
相手フォワードは坂上と勝負に行くか、中央へパスを出すか。
俺は走る。間に合うか、間に合わないか。
相手のフォワードは坂上に気づくやいなや、
迷いなくゴール前へややマイナスのパスを出した。
もう少し迷ってくれれば、間に合ったのに。
これじゃ届かない。
懸命に戻る俺の目の前、ボールがゴール前のスペースに出てくる。
赤いビブスを着けた相手チームの選手がいる。
坂上と組んでるもうひとりのセンターバックもいるが、そのマークも緩い。
中央で待っていた相手フォワードがボールを受けて、左足一閃。
ボールが勢いよくネットに突き刺さった。審判の長い笛。
コース、勢いともに申し分なし。
キーパーが悔しそうに地面をこぶしで一度叩いたが、
あの距離であのシュートを打たれたら、キーパーは責められない。
あっさりと先制されてしまった。
まさかあんなに無抵抗でサイドが破られるとは思ってなかった。
仲間の特徴がわかってない以上、俺ももう少し慎重にいくべきだった。
いつもどおりの動きをしてた分、俺の戻りもあと一歩間に合わなかった。
ミスといわれるほどのものではない、とは思う。
だが気を抜いたことを自分でわかっているだけに微妙な苦味が残る。
まいった・・・唯さんにいいところ見せるつもりだったのに。
やっぱりこういう風に終わるのが俺のキャラなのか。
兄貴はいつでも陽の当たるところにいるけど、俺はそうじゃないのか。
そのとき、坂上の声がした。
「俺は、いまからここでオナニーをする!」
新シリーズ期待ageとかしていいのかな?
坂上「もうだめぽ!!!!」
「オレたちの戦いは、これからだぁ!」
NEVER END
854 :
U-名無しさん:2005/10/16(日) 00:13:42 ID:nVYyfA2QO
「なんだかオラわくわくしてきたぞ!」
「大分はまだ死んでいない!」
振り向くと坂上がいつのまにかネットから
回収したらしいボールを抱えて立っている。
「まだ1点だ、どたばたするな。取りかえすぞ」
こいつの声は効く。怒鳴ってるわけじゃないのに張りのある声でよく通る。
すっと耳に入るだけじゃなく、頭の中にまで届いてくる。
俺の気持ちが妙に楽になる。確かに出会い頭の1点だ、まだどうにでもなる。
点をとられるとたいてい誰かが気合を入れるものだが、
その声に力がないとかえって逆効果になってしまうことがある。
口では「まだいけるぞ」といっても、その声から弱気を感じたりすると、
ああ、やっぱりだめなのか、という気分になってしまうものだ。
その点、坂上のは完璧だ。
声を出すタイミング。落ち着きがあって堂々とした声。
そしてみんなの視線を受け止めて安心感を与える堂々とした素振り。
こいつ、すげえ奴だ。俺は思った。
どんなサッカー選手だって、たとえプロだって、
相手に点を取られれば、少しは気落ちするものだ。
それなのにこいつは、点を取られたショックをまったく感じさせない。
逆に持っているエネルギーが増えたようにさえ思える。
どういう精神構造してんだ、こいつ?
ボールがピッチ中央に戻される。
坂上について考えるのは後だ。まず、目の前のゲームに集中だ。
坂上の檄のおかげで、メンバーの動揺もほとんど見られない。
うちのチームのキックオフでゲーム再開。またフォワードが大木に下げる。
すると大木はまたドリブルで突っかけていった。
今度は相手も予想しているから囲みが早い。
さっさと潰しちまえとばかりに大木の周りに集まってくるが、
大木はたじろぐ様子も見せない。
次の瞬間、大木は敵の体の間をきれいにすり抜けていった。
いつのまにかボールは大木の足元にしっかりとキープされている。
あんなふうに抜けるものなのか。今まで見てきたやつらとはちょっと次元が違う。
敵も大木のテクニックが桁違いだということに気づいたのだろう、
止めなければやられちまう。
周囲にいた相手選手が一斉に大木に向かって走ろうとしたその瞬間、
大木がいきなり左斜め前へパスを叩いた。
さっきよりも手前だが今度もエリアの角付近で2トップの左がフリーだ。
いまあいつ、足元どころかパスを出した先見てなかった。
ロナウジーニョの真似かよ。見てもいないのに
どうしてあいつがフリーだとわかるんだ?
大木という名前の前俊キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!
大地たんハァハァ…
860 :
U-名無しさん:2005/10/17(月) 00:35:34 ID:l+rWOPGaO
更新マダカナー…
だが大木の判断は正解だ。
大木を止めることに気持ちが行ってしまって、
相手の意識が前に向いた瞬間を見逃さず、シンプルに前線にボールを入れた。
あれならフォワードは次を選択できる時間がある。
シュートも行ける、それともドリブルでアクションを入れるか?
だがボールを受けたフォワードはあまりのいいパスにあせったのか、
シュートを打つでもなく、ドリブルで切れ込むわけでもなく、
その場でおろおろと立ち往生するように動けない。
サッカーではそういうときがたまにある。
俺はフォワードのやつの気持ちがわかった。
不意にビッグチャンスが訪れると、一瞬戸惑ってしまうことが往々にしてある。
あまりに切れ味がいいパスをもらったりすると、
瞬間、頭の中が麻痺してしまうのだ。
だがそれはプレーしている上では致命傷になる。
そのわずかなタイムラグの間に、必死に守る相手ディフェンスが
もう彼の体に取りついている。
前をふさがれた彼は囲まれながら懸命にキープしていたが、
やがてボールが足元からこぼれる。
そのボールを相手が打ち上げ花火のように威勢よく
俺たちの陣地めがけてクリアした。
「何やってんだよ!!」
そのとき、大木の甲高い怒鳴り声が耳に突き刺さった。
見ると顔を赤くして、ボールを奪われた選手を睨みつけている。
言われたほうも言い返せない。確かに今のプレーはあまりに無為だった。
ほめられるプレーじゃなかったのは事実だ、しかし……。
俺は心配になって彼のほうを見る。
距離があるのではっきりとはわからないが、
明らかに意気消沈している雰囲気が体全体から発せられている。
やばいな、あまり落ち込まないといいけどな。
今日はプロになるためのセレクションの場だ。へこんでる時間などない。
ポジション柄、失敗がお友達といえるフォワードは特にそうだ。
ミスのたびに気落ちしてたらとてもプロのフォワードなんかできない。
相手のロングボールがうちのディフェンスラインに飛んでいく。
そのボールを坂上が前に出てヘディングで弾き返す。
そばに相手も一人いるが、坂上の高さに戦意を喪失したか競る素振りも見せない。
正確にコントロールされたボールが俺の足元にぴたりと飛んでくる。
ラインに放り込まれたロングボールをヘディングするときは、
ついつい跳ね返すことにばかり意識がいってしまいがちだが、
坂上はしっかりとコントロールしてつないできた。
やっぱりこいつは頼りになりそうだ。
俺はターンして前を向くと、右サイドのやつにパスを出した。
まずはひととおりボールをまわしてみたい。
大木が俺がボールを持つや否や前線から下がってきて、
ボールをよこせとばかりに叫んでいるがここは無視した。
守備のときにもあれくらいの速さで引いてきてほしいものだ。
ボールを持った右サイドは前を向いたが、
敵が正面にいるのをみて俺にボールを戻してきた。
セレクションなんだからがんがん仕掛ければいいのに。
俺は追ってきた相手を、軽く体の向きを変えていなすと、
今度は左サイドへ長いグラウンダーのパスを送った。
サイドにボールを回すのは、ボクシングで言えばジャブみたいなものだ、と
顧問のゴジが教えてくれたことがあった。
サイドにボールをいれることで相手がどう動くか、
敵陣のどのへんにスペースがあるかを推し量っていく。
相手の力を知るための動きという点では確かにジャブと似ている。
もちろん、ただ相手の力を調べるだけでなく攻撃の第一歩でもある。
サイドをワンツーで崩すのは、
ジャブのコンビネーションで相手をぐらつかせるのと同じだ。
また、サイドを集中して攻めた後で、
長めのパスを中央にズバッと入れて攻撃を作るのは、
ジャブでこっちのリズムに引き込んでおいて、
ストレートを叩き込んで相手にダメージを与える
ボクシングの攻め方に通じるものがある、とゴジは俺に教えてくれた。
ゴジは自分が柔道をやっていたからか、
そんな格闘技の例え方で俺たちに話をすることがあった。
大木がまた自分にパスが来ないのを見てとると、
「こっちだよ、こっち!」と叫んでいるが、俺は黙って聞こえない振りをする。
大木が使えるのはわかったが、大木一辺倒じゃいい攻撃にはならない。
おもすろい!!
セレクションは主人公と坂上が通って大木が落ちると見た!
俺は大木も含めて3人とも受かると思う
シンシアはこの県内でも一番上のチームじゃないって設定だったよな
だとしたらちょっとオナニーで難あるようなのでも獲ると思う
長所よりも短所に目をつけて落とすようなのは、自分達が一番レベル高いだとか格式あるだとか自惚れてるチームだよ
2番手以下のチームは、より長所を伸ばすようなことをしなきゃ一番手には追いつけないよ
そんな完璧な選手、元からこのクラブのセレクション受けに来ないでしょ
あっさり主人公が落ちるという可能性も
868 :
主人公は…:2005/10/17(月) 05:01:25 ID:l+rWOPGaO
坂上は間違いなく受かりそうだな、大木はユースで丸くなれば使えるって判断するやろうから大木も受かるやろ。
>>866 大木は、守備以外のプレーは別に問題ないんでないの。
チビで上に進めないって方があり得そうなんだが。
ここで主人公が落ちたら物語にならないだろ〜
本当はもっと長期連載するつもりだったが、編集長の判断であと3話で最終回にしろと言われて、
慌てて方針転換するようなことにでもならない限りw
左サイドが懸命に前へ突破しようとフェイントを入れているが、
脇から見てて、あまり効果があるようには思えない動きだった。
相手が全然つられていない。
これじゃフォローがいる。大木は?と思ったが、
相変わらずピッチ中央、ディフェンスラインの手前でどんと構えている。
期待できねえなあ、という表情をしてサイドの争いを傍観している。
あの様子じゃ大木は動く気がない。
じゃあ左のサイドバックが後ろから応援に、と思ったが、
サイドバックのやつの位置取りも随分と後ろだ。
ボールをとられて、攻めに移られた時のことを
考えてるのかもしれないが、もう少し前にいてほしい。
自分でフォローにいくか、と一瞬考えたが、
自分が動いた後にできるスペースの大きさを想像すると足が止まった。
坂上は確かにうまいが、あのスペースを一人で任せるのはさすがに気が引けた。
おまけにさっき破られたうちの右サイドの守備力の問題もある。
攻められたときのカバーを考えると、あまりピッチの中央から離れたくない。
考えた挙句、結局俺も大木と同じく遠くから見ているだけになってしまった。
一度、ボールは相手に奪われたが、
すぐに後ろに控えていたサイドバックが取り返した。
そのボールが、坂上へ。そしてすぐに俺の足元へ。
坂上のパス回しが早い。
最初から俺のいる位置はわかってるといいたげなスピードだ。
お前がボランチなんだから、しっかり球配って攻撃組み立てろよ。
そんな声が足元に飛び込んできたボールから聞こえたような気がした。
俺の周りには敵がいない。余裕で前を向ける。
俺にボールが来たのを見ると、大木がすかさず前線から引いてくる。
相手が一人背中に張りついているが、構わず「よこせ!」と叫んでいる。
ちらりと見たフォワードは相手のディフェンスラインの中に埋もれている。
縦に一発ほうりこんでみてもいいが、大木をあまり我慢させるのもあれだ。
根負けした形で俺は大木にくさびのパスを入れる。
強めの、足元にびしっと入るパスだったが、
大木はあっさり足元に止めてみせると、肩と腰の動きで相手をつり出す。
マークしていた相手がつられて、つい一、二歩動いてしまう。
次の瞬間、大木はすばやくターンすると、
ゴールめがけてドリブルを開始している。
相手が中央の道をふさぐと、エリア手前で横に曲がって相手を揺さぶる。
一度振り切られたマーカーが後ろから間合いを詰める。
さっきと同じように囲まれる大木。
もう一度引きつけるだけ引きつけて、どこかにパスを通すのか。
その瞬間、大木がつんのめるように倒れる。
相手がこぼれたボールを大きく蹴りだす。
余裕で味方につなげるボールだったが、大木のドリブルでややあせったか。
大木が両手を広げて、審判をしているクラブの人に
ファールをアピールしているが、
審判はだめだめ、というように大木に向かって手を振った。
大木がぷっと頬を膨らます。
クリアボールは坂上が一歩前へ出てトラップ、
相手のフォワードがトラップ際を狙ってまとわりついたが、
坂上はあっさりそれをいなすと、また俺にボールを回した。
前線を見る。フォワードにもっとサイドへ流れてもらうなりして、
俺がパスを出せる位置に出てほしいのだが、
大木のパスを受けてゴールを決めることしか頭にないのか、
エリア近辺にへばりついたままだ。
サイドも中途半端な高さでライン際に陣取っている。
どちらかは絞って俺に寄ってきてもらい、
俺のパスコースを作ってほしいのだが、
サイド突破でアピールすることしか考えてないのか、俺との距離が遠い。
なんだ、このチームは?俺は心の中で舌打ちする。
坂上もよりによってダイアモンドになんかしやがって。
出しどころが見つからないだけなのに、
これじゃあ俺がパスを出すのが下手みたいじゃないか。
相手が寄せてきたので、どうすんだよ、この状況、とばかりに
坂上にいったんボールを戻してみたが、
相手がそのまま坂上を追いにいくと、
坂上はあっさりと俺にパスを返してよこした。
はたかれた格好になった相手が追っても無駄だと足を止める。
坂上の顔をちらりと見るが、素知らぬ顔をしている。
「こっち!こっち!」
また大木が前線から引いてきて叫んでいる。なんか頭が痛くなってきた。
俺はもう何も考えたくない気分になって、黙って大木にパスを出した。
坂上はツンデレ
876 :
ななしさん:2005/10/18(火) 00:31:16 ID:mR8lHoLW0
あくまでもセレクションだ!
>>877 すぐに後ろに控えていたサイドバックが取り返した。
「すぐ」ってのは場所じゃなくて、時間の経過を表している表現だと思ふ
879 :
U-名無しさん :2005/10/19(水) 01:32:52 ID:9Xj239tI0
おもしろいです
880 :
U-名無しさん:2005/10/19(水) 15:26:34 ID:2c+AVmmz0
つかモニカ(仮)の作者さんでしょ
881 :
U-名無しさん:2005/10/19(水) 15:38:33 ID:knvQvTXz0
漫画化するなら「アイシールド」の絵がイメージ
882 :
U-名無しさん:2005/10/19(水) 15:48:15 ID:B3Inyvm70
非現実的なサッカー漫画ばかりでウンザリ。バカみたいにサン付けするマンガも嫌だ。
90年代に流行った高校生なのに30代にしか見えないバスケマンガも嫌いだ。
俺はタッチの主人公をもうちょっと弱めて、どこにでもいそうなキャラが
主人公のサッカーマンガみたい。稲中サッカー部に近い感覚かな。
よく女子と交流戦をして、試合後は部室でハンディカメラ片手にAVとかね。
とにかくリアルなのが見たいんだよ!
つか板間違えてるだろw 漫画が見たければ漫画板行けよ
親から借りたハンディカメラとかね(藁
でもそれぐらいリアルじゃないと漫画化されても、2ちゃん発というだけで
埋もれる可能性がある。
今回の文章は、なんかまどろっこ過ぎるな。
表現がくどすぎて、ケーキバイキングを食べているみたい。
前の作風のよさが消えてしまっている。
でも、初めの頃にあった読みにくさは随分無くなってきた。
試合描写が得意なせいか、研究したのかは解らないけど。
試合描写が濃すぎるんだよ。
一人でリフティングしてオナっているみたい。
自分の好みとちがうものはすぐオナニーって揶揄すんのもどうなんだ?
自分は世の中の法則?この濃さが面白いよ、俺は。
展開も無理にせく必要はない。早漏なやつが遅いとか、そろそろ言い出しそうな感じだけど。
でも、今回のはモニカ(仮)よりよほど長い物語になりそうだな。
主人公のキャラに樋口みたいなキレが無いからな、見下した
口調の割に何も出来てない劣等感の固まりだし。
これからだろ。
892 :
U-名無しさん:2005/10/20(木) 20:25:35 ID:uTzzszBV0
これからですよ
早く読みたいなー
893 :
ななしさん:2005/10/21(金) 06:21:11 ID:s2nr3EwM0
作者さんおやすみかー。ザソネソ( ノД`)
今日もおやすみ?
895 :
U-名無しさん:2005/10/23(日) 07:39:04 ID:VMdAexbvO
書き溜めして一気に公開と期待…
作者は事故でしにますた
897 :
U-名無しさん:2005/10/23(日) 12:34:03 ID:kZ3IEOtq0
今日初めて最初から読みましたが、小説ってより少年漫画の原作レベルっすね。
多分書いてた人は漫画好きな人だろね。
人物描写を、漫画というかこういう分かりやすいキャラクターにしないと
人物造詣にページをさくことになり、ここの住人にとっては不満げな
読み物にしかならないだろう。漫画っぽいというより、あっさりしてる。それでいい。
899 :
U-名無しさん:2005/10/24(月) 00:16:35 ID:PTDYfRS4O
とにかく漏れは続きが読みたいよ、サッカーの小説って結構貴重だし。俺はおもしろいと思う。
うーん…誰もカキコしないなぁ、もう駄目か。
>>900 まだ一週間だし、もうちょっと待とうよ…。
久々に見てみたら第二弾が始まってるのか。いい傾向だね。
ちなみに一番最初の1だ。スレに書くのはあれ以来はじめてかも。
なんか連載止まってるみたいだし、スレ汚しにはならんよね。なってたらごめん。
書くほうは大変だろうし、気長に待とうぜみんな。わー。
903 :
U-名無しさん:2005/10/26(水) 12:34:53 ID:2UpzWMG90
>>902 創造ネ申キタ―――(・∀・)―――!!!
わー。
905 :
U-名無しさん:2005/10/27(木) 01:39:05 ID:2c0smWILO
保守。もう何のためのスレなんだか…
もしかして新スレ立つのを待ってる?とも思ったけど
残り約100レスだから十分続きは書けそうだな。
樋口ィ、スペインで元気にやてるかぁ〜。
私ら読者が樋口と再会できる日が来るとすれば、リアルのドイツW杯後ですかね。
樋口のプレー描写が懐かしい。マジコ
908 :
U-名無しさん:2005/10/27(木) 09:57:49 ID:ynuz0iPp0
作者さんは第一弾の加筆・修正で忙しいんじゃないかな?
それが一段落つくまで更新はないような気がする。
勝手に同一人物だと決め付けてるんだが・・・。
909 :
U-名無しさん:2005/10/27(木) 14:53:17 ID:2c0smWILO
例の出版の計画か、そうだといいんだけどな。
別に出版しようが何も嬉しくないけどな
そんなのより続編見たい
どうやら、また「外野がうるさいのでまとめサイトでやります」なのかな?
外野がうるさいのが嫌なら、最初からここに来るなと言いたいが。
お前が来るなよ
どうやら作者は自分の才能の無さを悟ったみたいだね。蜜柑のまま終了ウマー。
続きが読みたいよーーー。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
915 :
U-名無しさん:2005/10/30(日) 14:11:32 ID:x1nm260c0
書き手が去ったら、誰か次の人が物語りを続けてくれると嬉しいな
前のスレの1と21がそうだったように・・・・
俺には文才ないから誰か頼むよ。今まで面白かったから続きを楽しみにしてるんだ。
小説すばるで先月号から川端裕人っていう作家がサッカー小説書いてるよ。
正直微妙だけどなw
ほっしゅ。
age
919 :
U-名無しさん:2005/11/01(火) 17:23:30 ID:hBnDVUIrO
↑いや上げてねぇじゃんw
まとめサイトの中の人、乙です。
ボールを持った大木はまたドリブルで仕掛けていく。
今度は相手も単純にボールをとりに行くのではなく、
コースを粘り強くふさぎながら、大木をじわじわと追っている。
大木はサイドに流れながら、しぶとくボールをキープする。
ボールコントロールは実に見事だ。
足の甲で、裏で、ボールを動かし、抑え、思い通りに運んでいく。
エリアの角まで来たところで、今度はゴールラインへダッシュ、
スピードで振り切って狭い角度からシュートを打つが、
さすがにコースが狭すぎる。
基本どおりコースをふさいでいたキーパーが体の正面でキャッチする。
大木は地面を叩いて口惜しがるが、そんなに惜しいシュートでもない。
あいつ、パスを出す気がないんじゃないか。
全部自分で持ってく気じゃないか?
キーパーがカウンターを狙ったのか、大きくパントキック。
だがそのボールもフォワードには届かない。
サイドバックをどかすように坂上が落下点に走りこむ。
相手フォワードも少しは競ってやろうと根性を見せているが、
坂上のほうが高さもジャンプ力も数段上だ。
坂上が競り勝ったヘディングのボールがまた俺のところへ来る。
その後の試合は、とても奇妙なものになった。
俺はまわってきたボールをあちらこちらと散らしたが、
大木にパスが回ったが最後、大木はとことんドリブルで仕掛けていく。
試合はまるで大木のドリブルショーになっていた。
最初は大木からパスをもらおうと動いていた他のやつらも、
次第に大木がパスを出す気がないことに気づき、足が止まりはじめた。
相手も大木だけにマークを集中させてきたので、
大木もさすがに最後まで突破できない。
その一方相手が奪ったボールはフォワードに入るところで、
全部坂上が奪い返してしまう。
微妙な雰囲気がグラウンドに立ちこめはじめた頃、前半終了の笛が鳴った。
やっとこの居心地の悪さから解放された。そんな気分になる。
大木がライン際まで歩いてくる。そばに近寄って声をかけた。
「なんで途中からパスを出さなかったんだい?」
大木のギョロ目が俺を睨む。
「お前も見たろ。ツートップの両方に決定的なやつ、出したじゃないか。
あれであのざまじゃ、いくらパス出しても意味ねえ」
「あのときだけ、たまたまミスっただけかもしれないじゃないか。
またパスを出せば、次は決めるかもしれないよ」
俺は反論する。すると、大木はわかってないなあ、とでも
言うように首を大きく横に振ると、
「お前、今日ここに何しに来てるかわかってんのか?
セレクションだぞ、セレクション?大会じゃねえんだぞ。
この試合で勝つのが目的じゃないぜ。
自分自身をどれだけアピールできるか、そのために来てんだぜ。
せっかく回ってきたボールをどうしてあっさり手放さなきゃいけないんだよ」
俺は言葉を失った。
大木はそんな俺の様子を見て話は終わったとばかりにすたすた歩いていく。
俺はそのままその場に立ち尽くす。
自分のアピールだけ考えればいい。そう、大木の言うとおりだ。
ブラジルあたりのセレクションでは、みんな一度ボールを持ったら、
絶対に離さない、という話を俺も雑誌かなにかで読んだことがある。
大木の言ってることは正しい。でも…。
俺の心の中でうまく収まらないものがある。言葉では説明できない。
作者変わった?
そうか?いままでどおりって感じもするけど。
作者さん続きありがとうございます!
楽しみにしてました
作者さん乙です。
しかし・・また中盤のトータルプレイヤーか。
んでいつのまにかテクが磨かれ、選手としても
スケールアップしていき、やがては樋口みたいに
なんのかねえ。
ヤツの影がちらついていまひとつ集中できねー・・
928 :
U-名無しさん:2005/11/03(木) 02:49:23 ID:CxMoStxN0
ひさびさに読んだー
イイ!!!
こんばんは、21です。
拙作には半年もの長い間お付き合いいただきありがとうございました。
その後、ブログ等で嬉しい感想もたくさん拝見しました。
改めて御礼申し上げます。
今日、書き込むのは先日スレの立った書籍化の件に関するご報告です。
あっちのスレで「自費出版じゃねえのか」という突込みがありましたが、
あれを見たときは私自身もそう思ってましたw
一応、結論から言うと釣りではありませんでした。
先日、出版社のほうに伺い、編集者の方と直接お会いしました。
(受付のお姉さんに「○○様を…」と伝えたら、
さんざん名簿を捜された時には、やっぱ釣りかって一瞬思いましたけど)
現時点では社名は書けませんが、みなさん知ってる出版社です。
じゃあ、本になるのが決まったんだ!というとそうではありません。
感想で「出版できるよ」という言葉をたくさんいただきましたが、
作者自身は、これを本にするのは難しいだろうな、と考えていました。
まず作品自体のクオリティがあります。
出版するとなったら相当手を入れなければいけない。
また手を入れたとして、作者の筆力が出版できるレベルに到達できるか。
その他にもいざ本当に本にするとなると驚くほど多くの課題があります。
そのうちの幾つかは既にスレでも出てるのでお気づきの方もいると思います。
従って現在は「本にできるのか出版社の方と検討中」という状況です。
書き込みをしなかったのも別にもったいぶっていたのではなく、
報告できることが「釣りじゃなかった」以外、何もなかったからなんですね。
しかし、このスレも寿命わずかとなりましたので、
あえてみなさまに現段階の報告をさせていただく次第です。
作者自身も、今日の時点では、本ができるという確信はありません。
また後日正式な報告をさせていただこうと考えています。
931 :
U-名無しさん:2005/11/03(木) 03:04:56 ID:CxMoStxN0
キター
おめでとー!!!
今日出てきたのはもうひとつ理由があります。
このスレはもうすぐ寿命を終えます。
次スレが立てばいいですが、立たなかった場合、
このスレの住人をつなぐ輪っかはなくなってしまいます。
となると作者が困ってしまうのは、
作者と「1」さん、まとめサイトの管理人さんとの
つながりも完全に切れてしまうことです。
おふたりには今後書籍化の検討を進める中で、
ご意見を伺いたい場面が必ず出てくると考えております。
メル欄アドレスまでご連絡いただければ幸いです。
いまは、樋口とモニカを愛してくださったスレの皆様に、
活字となった二人を届けられたらいいなあ、と夢想しております。
では失礼します。
933 :
U-名無しさん:2005/11/03(木) 03:15:08 ID:CxMoStxN0
リロードしてなかった_| ̄|○
逝ってくる
まあ、でも書籍化したら俺は買うぞ
“今日俺が一人で近所の公園でリフティングをしてたら”
が一人でも多くの人に読まれることを願ってます。
書籍化する際に続きが!ってのキボン
頼むからマンガ化にしてくれ
小説のままじゃ難しい面もやっぱあるよ
ていうかやっぱり前作と今作の書き手は同一人物だったんだな
同じ方なの?特に言及されてなかったけど。
こんだけ長い期間ストーリーの書き込みがなくて、
超久々に書き込みがあった直後に登場
そんなタイミングで現れれば疑われるの間違いないのに別人ですとの言及もなし
間違いないね
書籍化のスレって何処?
>>939 スレストされちゃったから、落ちちゃったかな?
もういい、とりあえず唯さんのところへ行こう。
きっと唯さんのそばにいれば気持ちも落ち着く。
そう思って足を早めると再び俺を呼び止める声。坂上だ。
振り返ると背の高い坂上を少し見上げる格好になる。
坂上は軽く微笑むといきなり質問してきた。
「君、もしかして本庄総一郎の弟?」
嫌なことを聞くやつだ。かといって嘘もつきたくない。
俺は、ああそうだよ、となるべく素っ気無く聞こえるように言った。
「やっぱりな。兄さんも見たことあるけど、やっぱプレイが似てるな」
兄貴と俺のプレイスタイルが似ている?
いままで一度もそんなことは言われたことがない。
口から出まかせを言ってるのか?
俺は坂上を睨みつけるが、そんな俺の視線には気づかない様子で
「しかし…君、さっき自分のポジション、
ボランチっていってたけど、あれ、ほんと?」
「兄貴と同じトップ下じゃないのかでも言いたいのか?」
言い返す声がつい尖る。
それとも普段やってるとは思えないほど俺が下手という意味か。
でも、坂上は心底不思議がっている様子で、
「ふーん、じゃあ、ボランチってほんとなんだ。
いや、前半君のプレイ見てて、なんとなく
実はフォワードじゃないのかって思ったからさ」
さっきから変なことばかり言う。よくわからないやつだ。
「ま、とりあえずそれはいいや。で、この試合後半どうする?」
坂上があっけらかんと聞く。俺のむしゃくしゃが思わず弾ける。
「どうするもなにもねえだろ。
あんな自己中ドリブラーがいたらサッカーにならねえよ。
ディフェンスもあっさり点取られるしよ」
俺は自分でもみっともないとわかってたが、つい坂上に嫌味を言ってしまう。
「ああ、あれはすまなかった。
一発目だったからどれくらい周りができるか、俺もわからなくて、
ちょっと甘いところがあった。だが、これからは簡単には取らせないよ」
坂上に素直に謝られると俺はそれ以上何も言えない。
それに坂上の言葉には俺を納得させる響きがあった。
こいつがもう簡単には取らせない、というからには、
坂上の中ではある程度、後半の守備について目処が立っているのだろう。
前半に見た坂上の力を考えると、それだけの自信があっても不思議はない。
坂上は大人が子どもを見るような眼差しで、俺を見ると、
「君がサッカーにしてみせろよ」とこともなげに言った。
俺は一瞬、その言葉に意表をつかれる。
「だって、君ボランチだろ。ボランチがゲームを作るんだよ。
前半の君はただ見てるだけだったじゃん。
君がゲームを作らなければサッカーになんかならないよ。
初顔合わせのメンバーなんだしさ」
俺がゲームを作る?
「まあ確かに大木はかなりクセがあるみたいだけど、
それを使いこなすのが君の役割じゃないかい?」
俺はそこで気づく。
もしかして、こいつ、だから中盤をダイアモンドにしたのか。
俺が前の選手にボールを捌けるように。
「ま、後半頑張ろうぜ」
坂上はぽーんと俺の背中を叩くと、ラインの外へ歩いていった。
うわー、一気に興味深い展開に!
ハーフタイム中、落ち着くために唯さんのとこにおもむろに向かう
ヘタレっぷりがなんかいいなw
946 :
U-名無しさん :2005/11/06(日) 01:13:26 ID:XQSaFBuI0
おもしろいね
年齢が樋口よりも下なせいか、主人公のへたれっぷりが程よく出ていてよい。
947 :
U-名無しさん:2005/11/06(日) 01:37:32 ID:LoL1Uzx+0
不定期連載? 待つのが辛い・・
FWコンバートで覚醒くるか〜〜〜?
と思ったがそれは置いといてボランチでまだやらせるのかw
949 :
U-名無しさん:2005/11/06(日) 04:20:34 ID:aioMN3Zq0
実は主人公が坂上に切り替わる大どんでん返し。
やべー、なんか一気に面白くなってきたww
ヘタレ主人公ワロスwwww
作者さん、頑張れ!!
FW的かぁ。ボランチでゲーム作っていく過程で
自分も飛び出して前線で絡む道を見つけると見た。
それなんて稲本?
FW→DMFって選手はだいぶいるけど、
DMF→FWって聞いたことないなぁ。
師匠はDF→FW→DFWという稀有な遍歴の選手。
俺は先生に宿題を出されたような気分で考える。
ゲームを作る?確かに前半の俺は自分がプレーすることに必死で、
チーム全体のことまで考えていなかった。
みんな、今日が初対面だ。いきなりチームとして機能するわけがない。
じゃあ、どうする?どうすればいい?
俺は頭の中で前半のみんなのプレーをもう一度再現してみる。
なるべく詳しく、ひとつひとつのプレイを。
坂上の高さはすごい。相手のフォワードはまったく歯が立たなかった。
ロングボールの処理はまず心配ないだろう。となると守備で怖いのは、
相手に人数をかけられ、サイドを使ってボールを運ばれることだ。
ならば、できるだけ相手にロングボールを蹴らせるような形がいい。
中央に、坂上のあたりに蹴り込んでくれればこっちは楽になる。
俺は詰め将棋を解くような気持ちで考えを進めていく。
攻撃はどうだ?大木は確かに頼りになる。あのキープ力は半端じゃない。
だけど、ひとりでフィニッシュまで持っていける確率は、
相手も大木のドリブルの威力に気づいてる以上、そんなに高くない。
点を取るためには、大木にパスを出させたい。
大木に崩してもらってチャンスを作る。
だがどうやって大木にパスを出させる?フィニッシュは誰を使う?
ひとつずつロジックを組み立てていく。まるで殺人事件に挑む名探偵のように。
周りのざわつく気配にふっと我に返ると、
みんながもうピッチに戻ってきている。
どうやら休憩時間がもうすぐ終わるらしい。
考えるのに夢中になってしまい、時間のことを忘れていた。
ふと顔を上げると、遠くで唯さんが心配そうな表情で俺を見ていた。
突然ひとりで立ち止まって真剣な顔で考え込んでたら、
唯さんでなくても俺のことが心配になるだろう。
大丈夫、心配しないで。
俺は唯さんに笑いかけながら手を振った。
唯さんの顔がほっとしたようにほころぶ。
大木も坂上ももう自分のポジションに着いている。
どうせ、最初から受かると思ってなかったセレクション。
自分のやりたいようにやってみるのも悪くない。
後半は相手のキックオフでゲームがはじまった。そのボールがサイドに渡る。
「左サイド、プレッシャーかけて!詰めて、詰めて!」
俺は左サイドのやつに大声で指示を出した。
いきなり俺が声を出しはじめたものだから、味方がびっくりしている。
左サイドのやつは俺を見てきょとんとした顔をしている。
俺がもう一度指示を出そうとした時
「左サイド、プレスだ、プレス!」
坂上の気合の入った声が飛んだ。左サイドがその声にびびったように、
いそいでボールを取りに行く。
「前切れ、前切れ!サイド突破させるなよ」
パスを回されてサイドを崩されるのだけは避けたい。
ならば早めにプレッシャーをかけて、相手のサイド攻撃を止めたい。
相手が中央にボールを戻す。
「フォワード、ボール取りに行って!守備、守備!」
大木に守備は期待できない以上、
ちょっと心苦しいがフォワードに頑張ってもらうしかない。
フォワードのふたりが素直にボールを追っかけてくれる。
だんだんボールを持っているのが苦しくなった相手が、
無造作にロングボールを蹴った。
前線へのボールだったが、うちのプレスを気にしたが、ボールに精度はなく、
フォワードとかなり離れたところにいる俺のほうへ飛んできた。
やっぱりこれでいいんだ。
早め、早めにボールに行く。
向こうだって即席チームだ。そうそうスムースにパスは回らないだろう。
プレスを続けていれば、苦しくなってボールを蹴り出すはずだ。
そのボールをすかさず俺は大木に送る。
俺がボールを持った瞬間、大木はすかさずスペースに動いてフリーになっている。
味方ボールになった時の動きだしの速さは特筆ものだ。
ボールを持った大木がそのままドリブルで突っかけていく。
とりあえずこれでいい。この一回は前半と同じでいい。
大木が奮闘むなしくペナルティエリアでボールを奪われた。
そのボールが相手の左サイドへ渡る。再び俺は大声で指示を出す。
「プレス、プレス!頑張って!そうそう」
右サイドの選手がすかさず間合いを詰める。俺はその間に中央を見る。
一人いる。あいつか。
おもしろくなってきたー!
目の前にずっと日本最高の選手がいたことで、
プレーヤーを見る目やら、戦術眼に長けた人間になっていたってことかな?
積極的にチェックに行ったうちの右サイドを交わして相手が中央にパスを出す。
よし、引っかかった。
相手がパスを出すとわかった瞬間、俺は中央の相手選手に向けてダッシュ。
ボールが彼の足元に届いた時には、俺はもう完全に体を寄せている。
足を伸ばし、すぐさま体を入れる。トラップ後すぐを狙われ、
考える時間を十分に与えてもらえなかった彼から、
ボールを奪うのはそう難しいことではなかった。
狙いどおり。早めに潰しに来られて苦しくなったら、
おそらく中央にいる彼にパスを出すだろうと読んでいた。
そのために彼とわざわざ間隔をとってフリーでいるように見せたのだから。
もちろん実際は俺が彼を完全に捕捉していたのだが。
高い位置でボールが取れた。このチャンスは形にしたい。
大木を捜す。ゴール正面、エリアの外。
ここで大木の足元に出したらさっきと同じだ。大木の位置をずらしたい。
「大木!」わざと一声叫んで、
俺は大木の右、三メートル離れたところにパスを出す。
大木が走ってくれなかったらどうしよう、という不安はあったが、
大木のドリブラーとしての血に賭けてみた。
たいていドリブラーはボールが大好きで、自分の足で届く範囲にボールが在れば、
かっさらわずにはいられない性分のやつばかりだ。
一瞬大木の顔に「糞パス、出しやがって」という感情が浮かんだが、
すぐにすばらしいダッシュでボールに追いついた。
もちろん相手も少し遅れたものの必死に大木についてくる。
大木も中央から右にダッシュした分、すぐに中央には戻れない。
そのまま、巧みな足技でボールをキープしながら右サイドに流れていく。
そのまま相手の隙を見て、ゴールライン際を突破しようとするが、
相手が懸命に伸ばした足がボールを押し出す。副審がすかさずコーナーを指す。
俺は後ろを向く。坂上にゴール前へ上がれ、と身振りで示す。
このチャンス、坂上の高さを使わない手はない。
坂上が笑いながら走ってくる。俺の脇を通る時に
「後ろは頼んだぜ」と言い捨てていく。
「お前が決めりゃカウンターの心配はいらないよ」
俺はゴール前に走っていく坂上の背中に言い返してやる。
相手ゴールに向かって右からのコーナーキック。大木が蹴る用意をしている。
おそらく大木の利き足はさっきからプレイを見ている限り右だ。
さすがに直接ゴールを狙ってくることはあるまい。
キーパーから逃げるように巻くボールだろう。
ならば誰に合わせるべきか。それがわからないほど、大木は馬鹿じゃないはずだ。
自分にアシストだって付くこの場面、大木は必ず坂上に合わせる。
俺は坂上の代わりにフォワードのマークに下がって、
ハーフウェー付近で大木がボールを蹴るのを見ていた。
大木がコーナーを蹴った。ゴール正面への素直なボール。
坂上がジャンプすると完全に頭一つ抜け出す。
他のやつらの頭が坂上の肩あたりまでしか来ていない。すごいジャンプ力だ。
ゴール正面絶好の位置で、坂上がすばやく頭を振って、
ボールをゴールへ叩きこむ。
きちんとコントロールされたボールがサイドネットに突き刺さった。同点。
自分が点を決めたのに、周りの味方の肩を叩きながら坂上が戻ってくる。
まるで他のやつが点を決めたのを祝福しているようだ。
ちらりと見ると大木は「まあ、決めて当たり前だな」とでもいうような
小憎らしい表情でこっちに向かって歩いてくる。
まあ、いい。何はともあれ同点に追いついた。
面白くなって来たな
そろそろ、シンシア関係者のボソボソ話が聞きたいところだ
966 :
U-名無しさん:2005/11/08(火) 00:03:38 ID:YX3DJK7oO
大木タソハァハァ…。つか三人しかまだ名前出てないのが笑えるw 他のメンツカワイソス
他のメンツは不合格ってことだろう