地裁と高裁、どっちがリベラル?

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107間接事実による認定(覚せい剤事件)
○判示事項:間接事実の積み重ねにより,覚せい剤の「自己使用」を認定した1審判決が、
      控訴審でも維持されて、有罪とされた事例

被告事件名:覚せい剤取締法違反{自己使用(http://www.houko.com/00/01/S26/252.HTM#041-3)}
事件番号:平成16年(う)第465号 (http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/$help

2004年8月19日判決宣告
裁判所書記官 I(h)

被告人に対する,覚せい剤取締法違反(http://www.houko.com/00/01/S26/252.HTM#041-3)被告事件につき、大阪地方裁判所(刑事6部.単独1係)が、
平成16年3月05日に言い渡した判決に対して,被告人から控訴の申し立てがあつたから,
当裁判所は、次のとおり 判決する
              主 文
本件 控訴 を 棄却 する。
当審における未決勾留日数中,60日を 原判決の刑に算入する。

           理 由(要 旨)
序論.
   本件控訴の趣意は、弁護人作成の控訴趣意書に,これに対する答弁は,大阪高等検察庁検察官P4
作成のとおりであるから, これらを援用して 説明に代える
108間接事実による認定(覚せい剤事件):04/08/20 22:44 ID:41ssPwS2
                    第2.検討
(1)総論
     そこで、記録を調査し、当審における事実取り調べの結果をも 併せて検討するに,
原判決が、 その挙示する証拠 により、覚せい剤使用の 故意を認めて 被告人を有罪としたのは正当
であるし、とりわけ、原判決が、

その 補足説明において、被告人の弁解___すなわち、
「クラブ.ソウルファクトリーの飲み物の中に、覚せい剤が混入されていた可能性がある」とする__につき、

・被告人から提出された尿から、覚せい剤が検出された以上、特段の事情がない限りは、被告人が
覚せい剤を自己使用したことが 強く推認される、として
・被告人の主張を検討して、その発言の信用性を否定し、
・被告人の 任意同行時の 不審言動 や,その 「覚せい剤の,前科」などをも考慮して

被告人による 覚せい剤の自己使用を認定した判断は 正当なものと認められるし、
当裁判所の事実調べの結果を経ても、上記認定は、動かない
109間接事実による認定(覚せい剤事件):04/08/21 12:56 ID:8HUcNutd
(2)当審の段階での、「新たな」事実の主張

弁護人は、控訴審において,http://courtdomino2.courts.go.jp/K_tetsuduki.nsf/4ba9787225d386c349256a18002db972/ff811e3cba1838df49256b5e0013ed3b/Body/0.1AA4?OpenElement&FieldElemFormat=jpg
○ 知人のK証人が、平成15年6月25日頃,被告人の自宅を来訪した時、被告人がトイレにいった
際に、自己の紅茶に、覚せい剤の混入した「エクスタシー」という薬物を混ぜたところ、
トイレから戻ってきた被告人が、これを 誤って飲んだ というのが 本件である__旨を主張し、(http://www.houko.com/00/01/S23/131B.HTM#382-2
○ 当審において証人出廷した K自身も、上記のような 証言をした。

(3)これについての検討
            しかしながら、もし、仮に これが 本件の真実 であるならば,

@被告人が、このような 「特異体験」について、捜査官に,話をしていないのは、不自然であり(http://school4.2ch.net/test/read.cgi/shikaku/1048764259/209
A捜査段階から、K証人との関係について、被告人には質問がされていたのに、
 この件について 被告人が話をしなかったというのも、納得しがたいところである。

・被告人自身は、当審公判における 被告人質問に際して,「まさか、自宅で 覚せい剤入りの飲み物を口にするとは、
 控訴審になるまで、まったく、頭には 思い浮かばなかったのです。」と述べているが、
・これは、明らかに、説得力を欠く主張であるから、到底、これを信用することは できない。
110間接事実による認定(覚せい剤事件):04/08/21 12:56 ID:8HUcNutd
また、K証人の当審証言についても、

・(1)証言内容に、先に挙げた以上の 具体性 はなく、
・(2)この証言内容じたい、きわめて 不自然 であるから、これを信頼するには 足らない。

・(3)しかも、K証人は、大阪拘置所へ宛てた被告人への手紙の中では、法廷証言と食い違う内容
   を記載していること
・(4)被告人とK証人は、親密な関係にあつたのに、当審になって、「初めて」証人出廷したこと
___これらに照らせば、K証言は 信用性を欠くものである。

(4)その他の事実について
             なお、被告人は、当審における被告人質問に際して、
「いわゆる、自宅での,エクスタシー入りの紅茶の 誤飲 については、控訴審段階になって、
大阪拘置所で K証人 と一般面会(http://www.houko.com/00/01/M41/028.HTM#s9)するまでは、思い出さなかった」とも述べる。
               しかしながら、
当審において、検察官から 追加提出された,http://www.houko.com/00/BUNR/303.HTM
捜査事項照会回答書(検察庁から,大阪拘置所へ宛てられた照会への、拘置所からの回答)によれば、
・平成16年2月09日、原審での第2回公判終了後、一般面会にきた 内妻X子に
・被告人は、 Kに証人として 法廷に出て貰うかもしれないから、そのことを伝えてくれ
と述べていたことが認められる。
111間接事実による認定(覚せい剤事件):04/08/21 12:57 ID:8HUcNutd
                (5)総括
結局、上記(1)ないし(4)で
述べたことを総合的に検討すれば、
被告人が 覚せい剤を自己使用したことにつき、 「合理的な疑い」を差し挟む余地はなく、
1審判決には 事実誤認はないと認められる。

論旨は、理由がない。
            第3.結語

よって、刑事訴訟法396条
により 本件 控訴 を 棄却 することとし、
当審における未決勾留日数の算入につき、刑法21条(http://www.houko.com/00/01/M40/045.HTM#021)を、

当審における訴訟費用を 被告人には負担「させない」ことにつき、
刑事訴訟法181条1項但し書き.を それぞれ適用して、
主文のとおり判決する。
                               2004年8月19日.
                             大阪 高等裁判所.第4刑事部